愛すべき愚かな存在達へ (植物のような生活)
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始動
昔からエボルトが好きなものです。
デアラの作品ならエボルトが上手く暗躍できるのでは、と思い書かせてもらいました。
では、短い文章ですがお楽しみください。
其処はとある建物
作られた目的も何をしているのかも一部のものしか知らない極秘施設。
通路の所々に吊るされている照明器具が唯一、この施設を照らす光。
ありとあらゆる分野の実験器具が綺麗に整理され置かれている。
それと人一人が入る箱状のポッドも複数個確認できる。そして人が複数入っている檻も。
ガスマスクをつけ全身を白い防護服で身をまとった人達と機械的な音を鳴らし動作する人型のロボット。
この施設やこのポッド、そしてこの檻はいったいなんなのだろうか、ますます謎が深まるばかりだ。
その疑問に答えるかのように一人の研究員が何かの合図を各自に送る。
合図を理解したロボットは檻から一人の人間もとい被験体を連れてきた。
連れてこられた被験体は実験を拒む為に機械に抵抗していたが機械の力には勝てなかった。
抵抗しながらその被験体はポッドに無理矢理入れられ扉が閉じられる。
内側の状態を確認できるように顔の部分だけはこちら側からも確認できる様になっている。
扉が閉まってから数秒後、ポッドの中に謎のガスが流され始めものの数秒でポッドの中はガスに満たされた。
ポッドの中から悲鳴や内側を叩いて出ようとする打撃音が聞こえるが研究員達は気にせずに更に謎のガスをポッドに注入する。
「助けてくれ!ここから出してくれ!」
最初は聞こえていた男の怒声は徐々に聞こえなくなっていた。五分も経たずに実験は終了。
ゆっくりとポッドの扉は開き、謎のガスが徐々に気体に変わり消えていく。
そして完全に謎のガスが消えるのを確認した研究員達はポッドの中身を確認する。
其処には先程までいた人の姿は無く、残っていたのは小さな白色のボトル一本のみだった。
男はどこにいったのだろうか、私は気になったが他のもの達に気にするそぶりは全くなかった。
研究員達は実験レポートを書き纏めそれをある人物に渡す。そのポッドを上から見下ろせる位置にある椅子に座っている人物に。
その姿は血のように赤いワインレッドを基調としたスーツに体を包み、顔の部分には青いコブラの顔。私はその姿に少し恐怖を抱いた。
その異質さとこんな実験を平気で行える残酷さに。
「やはり、この実験はあまり上手くいかんな」
レポートを受け取り実験結果の詳細を確認した人物が発した第一声。その声の低くさからそれなりの年を取っている男と思える声。
「・・・ネビュラガスに対応できる被験体は中々見つからないというのに」
そう言いながら研究員から小さなボトルを受け取り、確認をする。
「しかし、これは失敗だな。そもそも色が違う」
白色のボトルを見ながら空中に放り投げ銃火器のようなもので撃つ。そうするとボトルは瓶が割れるように砕け散りこの世から姿を消した。
その人物はため息をつき、「今日は実験はもう終わりだ」そう言い残し椅子を立ちその施設を後にした。
研究員達はそれぞれ撤収の準備を始めていて私も準備をする。この実験は一体何の実験なのかは私には理解できない。
ただし、この実験のことが表に出てはいけないとだけは理解した。まさかあの大手企業が人体実験を行なっているなんて口が裂けても言えない。
研究者レポート 赴任初日 記載者 不明
施設から出てきたその人物は大きなため息を吐く。
今回の実験結果が不満なのだったからだ。
「全く、意外と上手くいかないものだな。ネビュラガスを利用した人体実験。成果としては今ひとつだがそれだけでもわかれば十分だ。
しかし、ブラッドスタークの姿になるのも久しぶりだな」
その人物こと、ブラッドスタークは自身の体を確認し独り言を呟く。
「愛すべき愚かな存在の人間達よ、せいぜい楽しませてくれよ」
星一つない曇り空、まるでブラックホールのように暗い空の下、彼は人間に期待するのだった。
感想等をいただけると筆者のモチベーションUPに繋がります。
デアラはアニメ二期までしか知らないので原作とは異なる部分もあるともいます。
誤字脱字など教えてくださった場合は幸いです。
エボルト擬きがいったい誰なのかいずれ判明しますのでご期待ください。
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十香デッドエンド
第一話
十香編はもしかしたら少し長くなるかもしれません。
約30年前
中国・モンゴル国境付近で大規模な災害が発生した。
ユーラシア大災害 そう人々に言われている大規模な災害。
規模は相当なもので人が大量に死んだのだとか、俺には人間がいくら死のうが関係ないことだがな。
だが、興味深いのはそれが地震や津波といった災害ではなく空間震と呼ばれる空間広域現象が原因だという事。
俺はそのことを知ったとき、自然と笑みがこぼれてしまった。この星は俺を楽しませてくれると。
早速、俺は空間震についての情報を集める事にした。少し苦労することもあったが大したことではなかった。
そして俺はその情報収集の過程で面白いものを発見したんだがーーーーーー今は関係ないので置いておこう。
頭の中で空間震について調べたことを振り返っているとファミレス前で妹と別れたばかりの五河士道を見つけた。
俺は元気よく「よ!士道、おはよう」と挨拶する。
士道も急に喋りかけられ驚いていたが俺だと気づいたら溜息をついて、「おはよう」と返してくれた。なんでこいつは疲れてるんだ?俺はふと疑問に思った。
「…全く、冷たい反応だなぁ。挨拶する身にもなってくれよ」
「わ、悪い。さっきまで琴里の相手をしてて少し疲れててな」
確かに士道は少し疲れている様子だった。
「今からが始業式だというのにお前って奴は。俺の
バッグから取り出した魔法瓶を開け士道に見せる。その瞬間、士道は怯えるように顔を真っ青にし首を全力で横に振り拒否の反応を示した。
「い、いや、遠慮しとく。お前のコーヒーは不味いからな」
「…失礼だなぁ、これでも俺の店でナンバーワンの看板商品なんだが」
「お前の店はコーヒーカフェだからコーヒーが看板商品なのは当たり前だ。しかもそれ以外にお前が提供できないからだろ」
こいつ、痛いところついてきやがる。俺がコーヒーしか提供できないと知ってるのか。
「お前の店に行くたびにコーヒーしか出ないからそう思ってたんだが、まさか図星だったとは。よくあの状態で店が営業できてるな」
「店を営業するための資金を得るために俺がバイトしてるのは知ってるだろうが。だが、ここまで批判されるとは思ってなかった。今後もコーヒーの味の改良をしないとな」
俺がそう話すと士道はまた溜息をつき足の進める速さを上げる。俺もそれに合わせて足を速める。
ったく、こいつには死ぬまで俺ブレンドのコーヒーを飲ましてやる。俺のコーヒーがうまいというまでな。
俺たちの絡みを見ていた女子達が失礼なことを言っていたが気にせず学校に向かった。
…電柱から士道を監視するような視線を感じたが気のせいだろう。
十分ほど歩くと我が校の校舎が見えてきた。校門を通りクラスの発表がされている場所に向かう。
自分の名前が書いてあるクラスを確認しクラスに向かうが、士道が並んで階段を登って行く。どうやら士道と同じクラスみたいだ。
階段を登り終えるとクラスにたどり着いた。早速、教室の中に入り自分の席を確認する。窓側の席で後ろから二番目の席。どうやら士道の席の前のようだ。
俺達は切っても切れない縁でもあるのかと思いたくなる。机の横にバッグを掛け俺ののコーヒーの悪い部分を士道から聞き出す。
いろんなことを遠慮なく言う士道に俺の心はある意味、傷ついた。が、そんなことは御構い無しに士道は続ける。一番の問題は味のようだ。根本の問題はそこらしい。
俺は冗談だと思い、試しに今朝入れたばかりのコーヒーを飲んでみたが士道のいう通りだった。不味い、非常に不味い。
指摘された点を小さなメモ帳に書き込み今後の改良に生かすことに。今後も俺のコーヒーへのこだわりは続く。それこそ、この地球がなくなるまでな。
俺がメモ帳を胸元のポケットにしまいコーヒーの話は終わった。それと同時に一人の声が此方に向けて発せられる。
「五河士道」
その声は百人が聞けば百人聞こえたと答える程にはっきりしていた。そしてまるで確固たる意志があるようにも思える声。
その声の主を俺と士道は首を向けて見る。そこには一人の少女がいた。そうーーー鳶一折紙がいた。
「…どうして俺の名前を」
士道は気になって聞き返した。
「覚えていないの?」
鳶一の返答に頭を捻らす士道。考え込んだ末に俺の顔を見て助けを求めてきやがった。
俺は士道に折れて軽く鳶一のことを説明してやることに。
成績優秀で恋人ランキングTOP3に必ず入っていることなどのありふれた情報などを軽く説明した。
俺が説明してやると士道は鳶一についてある程度分かったようだ。
「流石、学校一の情報屋だな。よくそこまで知ってるな。もしかして、お前って意外と凄いやつだったのか」
「そうだな、例えば士道が中学時代に書いた黒歴史のノートの内容も知ってるが『なんでお前がそのノートを知ってんだよ!』自分でそれを処理しなかったお前が悪い」
士道といらぬ会話をし終わった頃には鳶一は自身の席に着き自習をしていた。さっきまでの会話はどこにいったんだよ。
そのことに俺達は呆気にとられていたが始まりのチャイムが鳴り俺は席に着き新しい担任を待つ。
しばらくすると一人の女教師が教室に入ってきた。身長は平均的でメガネが印象的な女性。
その性格から生徒に大人気の岡峰珠江先生 。
ーーーー通称珠ちゃんがこのクラスの担任のようだ。
生徒達の大半は喜んでいるようだ。俺も一応それっぽい感じで喜ぶ。珠ちゃんの軽い自己紹介が終わった後は始業式を行うために体育館に移動する。
校長による長い長いありがたーいお話が終わるとその後のことはスムーズに進み、気づけば時間は正午となっていた。
俺のコーヒー改良に士道を誘ってみたがどうやらこの後は予定があるみたいだ。聞けば妹の琴里ちゃんと一緒に昼を過ごすのだと。
それなら仕方がないと俺は諦めて一人で店に戻り改良することにしよう。そう思い帰る準備を始めた時だった。耳に触る警報が鳴り響く。
「…来るのか」俺がそういい外を見る。士道も俺につられて外を見た。
「ひとまず避難しよう。学校の地下シェルターなら安全の筈」
士道は避難する準備をしていたが鳶一が席を立ったのが気になったのか鳶一を見ていた。…少しからかってやるか。
「なんだ。士道は鳶一みたいなのが好きなのか?」
「な、なに言ってんだよ。変な勘違いさせるからやめろよ」そういいながら顔が少し赤いじゃないか。
「悪かった、悪かった。冗談だ」俺が謝ると士道は一応は許してくれた。さすがは仏の士道、並大抵のことでは怒らないな。
俺達も他の生徒に続いて地下シェルター入り口に向かう。
入り口付近には生徒続々と集まっていた。全校生徒が避難できるように入り口は大きめに作られているみたいだ。
生徒達や珠ちゃんは急なことに驚いていたが学校に整備されている地下シェルターの入り口に入って行く。
珠ちゃんは「お・か・しを忘れないように!!」と生徒達に言い聞かせている。あんたが一番慌ててどうするんだと心の中で思った。
珠ちゃんに教室にもう誰もいないことを伝えるために士道には列に並んで置いてもらった。
俺達が最後だったことを伝え列に戻ろうとしたが士道の姿が列に見えない。あれ、並んでもらっていた筈なんだが。
辺りを見回し士道を探すと地下シェルターから出て行くのが見えた。確か並ぶ前に琴里ちゃんがなんとかかんとか言ってたような。
そして俺は理解して大きなため息を吐く。
「…はぁ、全くあの馬鹿は。こういう時にだけ妹のことを思いやがって、後でマジでコーヒーの刑だな。士道、お前が今から目撃するものはお前の一生を変えるものだ」
俺は士道の後を追うように地下シェルターの出口から外に出る。珠ちゃんの呼び止める声が聞こえたが無視させてもらう。
学校から出てスマホを取り出し士道のケータイの位置を確認するが最初は写っていたものの直後、士道の居場所に空間震が現れ反応が消える。
これには流石の俺もまずいと思い、全速力でそこに向かう。俺のコーヒーを美味いと言うまで死ぬなよ、士道!
士道の最後の反応があった場所まで来てみるとそこにあいつはいた。正確に言えば突っ立ていた。
「ったく、心配させやがって。俺じゃなかったら絶対きてないぞ外に」
俺はその突っ立ている士道に話しかけようとした瞬間、とてつもない殺意がこちら側を向いていることに気づく。
刹那、斬撃のようなものが士道に向かって飛んで来る。俺は急ぎ士道の服を引っ張り少し後ろに下がらせ危機一髪というところでそれを回避させる。
「あと数ミリずれてたら今頃お前の体は真っ二つだったぞ、士道」
「な、なんでお前がここにいるんだよ。ひ、避難したんじゃ」
「とある馬鹿が列からいなくなっててな。探してたら、出口から出て行くのが見えてそれを追いかけてきただけだ」
俺が少し怒り気味に言うと士道は罪悪感に苛まされ「…わ…悪い。俺のせいで巻き込んで」と謝ってきた。
「なら、俺の特製コーヒー改良を手伝ってもらおうか」と言うと少し考える素ぶりをしてから士道は何も言わず首を縦に振った。引きつった顔で。失礼なやつだな、相変わらず。
「士道。今の状況を例えるなら俺達、生と死の狭間にいるんだぜ。あそこにお姫様が見えるだろう」俺が空間震でできたクレーターの中心部を指でさす。
「あれは精霊といってな。空間震を引き起こしてる存在、つまり人からしてみれば邪魔以外の何者でもない存在なんだ」俺がそう言いながら士道はそのクレーター中心部にいる少女を見る。
その少女の精霊は此方を向き士道と一瞬、目が合う。そしてこちらの存在に気づくと一瞬で距離を詰め近づいてきた。大きな剣を俺たちに構えて。
紫を基調とした鎧のようなものを身につけている少女は百人に聞けば百人が美しいという容姿。だが、その顔の表情はどこか寂しさがあるようにも思えた。
そして少女は口を開き俺たちに問う。
「…お前達も私を…殺しに来たのか…」
士道は突然のことに尻餅をついてしまっていた。ったく、何やってんだよ士道のやつ。
「お前たちも私を殺しに来たのだろう。ならば早めに始末させてもらう」
急になんてこと言い出すんだこの精霊は。
「ちょっと待った待った、そんなわけないだろ。だいだい、君は」
「っ、何」
俺は改めて士道に感心した。まさか精霊と会話が成立するとは。やはり此奴は面白い。
「そこの紫の綺麗な人。俺たちはあんたを殺しに来たわけじゃない。というか、寧ろそんな力俺たちは持ってねーよ。だから安心してくれ、俺達はあんたを殺したりはしない。そうだよな、士道」俺は士道に相槌を打つように視線を送る。士道に伝わったのか首をウンウンと言いながら縦に全力で振っている。
俺達の意思が伝わったのか、精霊の少女は剣を下ろしてくれた。一先ずは助かった、そう俺達が安堵した時だった。
上空から何かが飛来する音が聞こえる、それ一つではなく複数。精霊と俺はその音にいち早く気づき俺はミサイルに怯える士道をできるだけ精霊の少女の後ろに移動させた。
彼女へミサイルが飛んで来た瞬間、バリアのようなものを展開しミサイルを食い止めた。
「こんなものは無駄と、なぜ学習しないん」彼女がそう呟いた直後、ミサイルは爆破した。
上空からは妙に露出が多い集団がミサイルをこちらに打ち込んでくる。さらにミサイルが飛んで来るが俺たちに避ける術はないーーー精霊の少女を除いて
精霊の少女は飛来する複数のミサイルをたった二度の剣戟で全て無効化した。次々と連鎖的に爆発していくミサイルを見てまるで歯が立たないのがよく分かる。
それでも尚、ミサイルを撃ち込む存在に対して俺は愚かだと思った。そして、やはり彼女の剣戟によってミサイルは全て無力化された。
ミサイルが全弾なくなると飛行していた集団の一人が精霊をめがけて近づいてくる。そして彼女に至近距離で銃のようなものを打ち込んだが手だけで防がれた。素晴らしい力だ。
よく見るとその襲いかかって来た一人はこれまた少女のようだ。その少女は手で防がれたのに驚き一旦距離を取ろうとするが精霊がそんな隙を与えるはずがない。
後ろに下がった瞬間、翼のようなものは片方は切られたがどうやら空を飛ぶことが可能のようだ。なるほど、これが
確かに人類にとっては素晴らしいものかもしれないが所詮はその程度のものだ。
少女と精霊はどうやら接近戦をするようだ。少女は精霊と一度距離をとるため、こっちにジャンプした。
その時、俺と士道は驚いた。その少女が鳶一折紙だった事に。
「…鳶一…折紙」
士道がそう呟くと鳶一は士道の存在を見て驚く。
「…五河…士道」
「な、なんだその格好」
そう聞こうとした瞬間、精霊は二つの斬撃を放った。直後、二つの斬撃によって俺と五河はばらばらに吹っ飛ばされた。
「大丈夫か、士道」
「痛てて、軽く体を打っただけで問題ない」
一応の安否確認をしておいたが、あまり意味はなさそうだったみたい。士道は二人の戦いが見える場所にいて、かたや俺は誰にも見えない場所にいる。
分断された俺達は互いにその場でその戦いに決着がつくのを待つこと以外に何もできなかった。
これは彼女たちの決着がつく数分前の出来事
「…やれやれ。この俺自らでなくてもいいんだが少しあの精霊の力が気になる。もしかしたら、俺の望みを叶えるにたるかもしれない。仕方がない」
何も手にない状態からゼリー状の何かが、形あるものへ変化する。
手に現れたのはトランスチームガン。
そしてポケットから一本のボトルを取り出す。
それはコブラが彫られたボトルーーーコブラフルボトル。
ボトルを数度振り先端を回し、トランスチームガンにコブラフルボトルをセットする。
コブラ!
「…蒸血」
トランスチームガンから現れた黒煙が体を包み
ミストマッチ…! コッ・コブラ…!コブラ…!ファイヤー!
小規模な花火のようなものが黒煙で発生し、その姿を表す。
「…さてと、始めるとするか。その力がどんなものか…確認させてもらうぞ、精霊」
そして、ブラッドスタークは現れた。
感想及び誤字の報告はいつでも受け付けています。
次の話は少し先になるかもしれません。すいません。
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