ISと無気力な救世主 リメイク (憲彦)
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学園生活1
自己紹介


予告していたリメイク版です。第1話の前書きでは注意事項を大量に乗せます。かなりの量がありますので、その時点で「読む気なくす」と言う方はブラウザバックしてください。その方がお互いに良いですので。以下の注意事項を必ず読んだ上で小説を読み進めてください。なお、注意事項の段階で気に入らない物があった場合、耐えられる場合は読んでください。そうでない場合はお戻りください。

・仮面ライダーとのクロスオーバーです。
・一夏は原作の面影が消えるレベルで改変してます。
・原作は崩壊してます。
・特に仲間との成長はありません。
・オルフェノクは出ません。
・スマートブレインは普通の企業。
・白式は早々に退場(出るのは名前だけ)
・ドラマ性は期待するな。
・最初から最強状態
・ハーレムではない。
・救済があるとは言え、普通にアンチ要素あります。

上の物以外にも細々としたものが作中にあります。リメイク前の方を読んだことがある方はまぁ分かると思います。

ではこれより本編を開始しますが、この段階でこちらはしっかりと注意喚起をしています。以降は全て自己責任です。内容が気に入らなかったと言って、批判的な感想を記入したり、低評価を押したりはしないでください。気に入らない方はすぐに何もせずブラウザバックしてください。

では本編ゴー


IS学園。それは、将来ISを扱った職に就くものを育成する専門機関である。原則として、ISは女性にしか使うことが出来ない。その為、自然とIS学園は女子高になる。だが、そんな学園に1人の男性がいた。名を織斑一夏。偶然にもISを動かしてしまった不幸な少年である。

 

(鬱陶しい……)

 

因みに、この様な状態が頭の中ピンク色の男性に訪れれば「ヒャッホーイ!!」となるが、あいにく一夏は女性にそこまでの興味を示さないし、男性との違いが「胸周りに脂肪が付いているか否か」なので、この状況をただただストレスに感じるだけだ。

 

(ジャンプでも読むか。あ、連載終わってやがる……マジかよ……)

 

ストレスから解放される為なのか、それとも単に気になるからなのか、朝買ってきたジャンプを開き、読み始めた。読みたいマンガが掲載されていなかったが、他にも読むのはたくさんある。気にせずにジャンプを黙々と読み始めた。

 

それから数分後、教室の入り口が開き、名簿らしき何かを持った人が入ってきた。

 

「全員揃ってますね~。それじゃあSHR始めますよ」

 

このクラスの先生のようだが、何か全体的に小さい。見た目だけで言えば周りと大して変わらないくらいに見える。しかも服や付けているメガネのサイズが合っていない為か、ますます本人が小さく見える。

 

言い方は悪いが『子供が無理して大人の服着てみました』感満載である。

 

「このクラスの副担任をする山田真耶です。今年1年よろしくお願いします!」

 

『…………』

 

「お願いしまーす」

 

誰も返事をしないなか、一夏だけが真耶に返事をした。間抜けな返事だがな。

 

「!じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号で。」

 

一夏に返事をされたことがそんなに嬉しかったのか、表情が一瞬で明るくなった。

 

(この人、今までどんな生活送ってきたんだ?)

 

返事をされたくらいで嬉しくなっている真耶に、一夏はそんな疑問を抱いたが、すぐに読みかけのジャンプに目を移した。「そんなに大事か!?」と突っ込みたくなる。

 

「……くん。織斑一夏くんっ!」

 

「ん?あぁ、自己紹介か」

 

ジャンプに熱中していた為、突然大きな声で呼ばれ、不機嫌そうに返事をしながらも、立ち上がって自己紹介をした。

 

「織斑一夏だ。好きなものは特に無い。嫌いな物は女尊男卑に染まっている女、面倒な物に退屈なもの。後、熱い物だ」

 

完全にそこそこ問題のある自己紹介だ。周りの女子は「もっとなんか言って」的な視線を向けてくるが、全部無視して座り、またジャンプを読み始めた。

 

「え、えーと……。他には?」

 

「自分の事を詳しく言うわけが無いだろ」

 

「自己紹介とは、自分と言う人間の事を知ってもらう為に存在する。少しはまともにやれ」

 

自己紹介の途中に教室に入ってきたスーツ姿の女性。この人がクラスの担任の様だ。

 

「こんなところで何やってんだ?姉貴」

 

「ここでは織斑先生だ」

 

スゴい勢いで主席簿を降り下ろされたが、それを軽々と片手で受け止めた。相手が手加減した訳ではないのだが、簡単に受け止められた事に担任は少し驚いていた。

 

「良く見ておけ。自己紹介とはこうやるんだ」

 

そう言うと、黒板の前に立ち、生徒達を見ながら自己紹介を始めた。

 

「諸君。私が織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことは良く聴き、良く理解しろ。出来ないものには出来るまで指導してやる。逆らっても良いが言う事は聞け。いいな?」

 

こちらの自己紹介も、一夏と変わらないくらいに問題がある。まともな思考の持ち主なら、「お前ら自己紹介って知ってる?」と質問してしまうレベルでおかしいが、本人達には全くの自覚が無いから質が悪い。

 

「キャァァァァ!千冬様よ!本物の千冬様よ!!」

 

「ずっと憧れてました!!お姉様と呼ばせてください!!」

 

「私!お姉様に会うために北海道から引っ越して来ました!!」

 

「情熱的な指導をお願いします!!」

 

「あぁ……またこのパターンか。毎年毎年狙ってるのかこの学園は……!」

 

「キャァァァァ!もっと叱って!」

 

「その厳しい視線でもっと蔑んでください!!」

 

「そして付け上がらない様に調教してくださ~い!!」

 

千冬の自己紹介は何故か女子達には人気である。IS界のカリスマである千冬の自己紹介に興奮するのは分からなくもないが、流石に「付け上がらない様に調教して!!」はヤバい。イヤ異常だ。これが毎年だと言うのだから驚きである。




第1話はここで終了です。次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!

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自称幼馴染み(迷惑者)とイギリス代表候補生

リメイク版と言うことで頻繁に感想への返信はしないつもりです。あ、ちゃんと読んでいますのでそこは勘違いしないでくださいね笑

溜まったらそのつどと言う感じで返信して行こうと思います。


授業が終った行間休み、殆どの生徒にとっては勉強と言う地獄から解放される時間だ。

 

しかし、そんな大切な時間なのに、1組の教室の周りは人でごった返している。理由は1つ。世界初の男性IS操縦者てある織斑一夏を見るためだ。「暇なのかお前ら」と言いたくなってくる。

 

だが、神経が人と比べて図太い一夏はそんな事を気にする様子はない。関わられるのが面倒なのか、耳にイヤホンを刺し音楽を聴き、机に頭を乗せて眠っている。

 

「ちょっと良いか」

 

「……」

 

声をかけられた気がしたので顔を上げてみたが、そこにはポニーテールの人が居ただけなのでまた顔を下げて目を瞑った。

 

「おい!無視をするな!!」

 

今度は大声を出しながら耳からイヤホンを無理矢理抜き取った。壊れてないかが心配だ。

 

「なにしやがる……」

 

この行動にはイラッと来たようだ。明らかに不機嫌である。

 

「お前が無視をするからだろ!!まぁ良い。少し付き合え」

 

何か話があるようだが、ここでは話しにくい様だ。その為、一夏を連れて教室から出ようとする。

 

「断る。何で初対面のお前の命令に従わなくちゃいけないんだ?」

 

「な!?初対面だと!?私を覚えていないのか!!」

 

「知らねーよ。お前みたいなヤツ」

 

「とぼけるな!!お前の幼馴染の篠ノ之箒だ!覚えているだろ!!」

 

どうやら相手は、一夏の幼馴染(自称)の様だ。自分の事を覚えていない一夏に、何がなんでも思い出させようと必死になっている。

 

「知らねーっつてんだろ。鬱陶しいんだよ。お前」

 

しつこく絡んでくる篠ノ之に突き放す様に言うと、丁度授業開始の呼び鈴がなった。

 

「後でまた来る!」

 

「チッ。休み時間邪魔しやがって」

 

その後は授業に入ったが、一夏は休み時間を邪魔してきた篠ノ之箒について考えていた。どっかで聞いたことのある名前だったからだ。

 

(篠ノ之箒……篠ノ之箒……アイツしか知らないな)

 

一夏の記憶の中にある篠ノ之箒と言う名前。それは小学校の頃にしつこく付きまとってきた人の名前だ。それくらいしか覚えていない。

 

(事ある毎に付きまとって勝手に人の予定を狂わせてくるあの女か?だったら関わる必要は無いな)

 

一夏の中にある彼女の記憶は、彼女への評価と共に散々な様だ。

 

(アイツとは殆んど関わっていなかった筈だが……何で絡んでくるんだ?まあ無視しとけばその内どっか行くか)

 

彼女は幼馴染と言っていたが、一夏自身は一切馴染んだ記憶がない様だ。むしろ煩わしいと思っている。

 

キーンコーンカーンコーン

 

考え事をしたら授業が終わってしまった様だ。授業が終わってから早々、一夏は教室を飛び出して全力疾走。学園の1階まで降りていった。

 

「何で自販機が1階にしか無いんだよ……まともな飲み物が無いな」

 

自販機のレパートリー

 

・どっかの神様のジュース、オレンジ味

・どっかの神様のジュース、バナナ味

・どっかの神様のジュース、ブドウ味

・どっかの神様のジュース、メロン味

・どっかの神様のジュース、ドリアン味

・どっかの神様のジュース、レモン味

・どっかの神様のジュース、モモ味

・どっかの神様のジュース、ドラゴンフルーツ味

 

と、バツゲーム用のジュースが全種類並んでいた。バツゲーム選り取り見取りだ。余り評判が良くない理由は、どの味も滅茶苦茶濃いのだ。声を上げてしまう程に濃い。そして値段が高い。缶ジュースなのに500ミリペットボトルと同じ値段、イヤ、30円ほど高い。

 

「はぁ…………」

 

財布を覗いて溜め息を付き、あの中でもまともな物であるメロン味を買った。

 

「まさか、缶ジュース1本で180円も使うなんてな……」

 

この値段の高さと買った後のガッカリ感がバツゲーム商品と言われる由縁である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に戻り、買ってきたジュースをチビチビ飲んでいた。

 

「ウェッ……やっぱ不味い…」

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「チッ。何か用か?」

 

「まあ!何ですの!?その口の聞き方は!!わたくしに声をかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言うものがあるのでは無いのかしら!?」

 

一夏はこの様に「女=偉い。男は媚びろ」と、頭のなかでおめでたい方程式が出来上がっている女が苦手である。

 

「(また五月蠅いのが来た……)知らない相手にやる態度って何だ?お前みたいなヤツにはこれくらいで十分だろ」

 

「知らない!?イギリス代表候補生にして、入試主席のこのわたくしセシリア・オルコットを知らない!?」

 

「あぁ、知らん。興味も無い」

 

一夏の言葉に何か色々と大声で喚いていたが、ガン無視を決め込んでいた。買ってきてたジュースを飲みきるのに必死になっていたからだ。と言うよりも、ジュースの処理で構っている暇が無かった。いつの間にか休み時間が終わり、チャイムが鳴り響いていた。

 

「また来ますわ!!逃げないことね!!」

 

いったいどこへ逃げると言うのやら。その後、なんとかジュースを飲み干し授業の準備へと入った。




さてさて、ボチボチこれも始めましょうかね。

『教えて!憲八先生~!!』
本日の質問はペンネーム「orotida」さんからです。

「好きなモビルスーツはなんですか(前聞きましたかな」

はい。前にも聞かれましたがズバリお答えしましょう。私の好きなモビルスーツはOO関連です。特に主人公たちとグラハムの機体ですかね。テレビfastシーズン、secondシーズン、そして劇場版と、機体のバリエショーンが多く、個性的ですので好きです。

こんな感じで質問に答えて行くので、活動報告への記入お願いしま~す。

次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!

リメイクと言っても大きな変化はありませんね笑


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ジャパニーズディスりお嬢様

いや~。更新に期間が開いてしまいましたね。何をやっていたかと言うと、ウルトラマントレギアの更新と執筆。そして、家にあるガンプラのダブルオーライザーをネクサスのジュネッスっぽく色を塗り替えられないかな~と思って塗装していたからです。塗装ってかなり難しいんですよね~。ようやく腕や胴体、頭にオーライザーが終了。残るは脚と太陽炉だけです。はぁ、何週間かかるだろうか……

あ、オーライザーはストーンフリューゲル風に白と赤の2色だったので、本体ほど難しくはありませんでした笑


味が濃いと不評の「どっかの神様のジュースシリーズ」第1弾(メロン)を飲み干した後の授業。これが今日の午前最後の授業となる。

 

(今度は第2弾買お)

 

どっかの神様のジュースシリーズは味の濃い第1弾よりも、値段が安く、味もよい第2弾「どっかの神様のジュース・プロフェッサーシリーズ」の方が人気である。エナジードリンクの様な強炭酸が人気の秘訣だ。ただし種類が少ない。……イヤ、そんなバカ話はどうでも良いのだ。問題は一夏が次に買う飲み物の話では無い。現在の問題、それは、

 

「では、クラス代表は織斑で良いな」

 

クラスの代表である。何故こんな話になっているのかと言うと、この授業が始まった直後、千冬の一言のせいだ。

 

「あ、SHRで伝え忘れたが、再来週に行われるクラス対抗戦に出るクラス代表をここで決める。クラス代表とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まぁ、平たく言えばクラス長だ。自推・他推は問わないぞ」

 

ざわ……ざわ、ざわ……ざわ。と教室がざわめき出した。どこの人生逆転ゲームアニメのざわつき方だ……。一夏は興味無さげに、机の中に入れておいた小説を読んでいる。ハッキリ言って参加する気はさらさら無い。

 

「はい!織斑君を推薦します!!」

 

「私も!」

 

「右に同じく私も!!」

 

↑左側に居る人が何を……

 

一夏の名前が上がると、そのまま周りにそれが伝染し、クラス中が一夏を推している。まぁ、当の一夏本人は露骨にイヤな表情をしている。それもそうだろう。本人の意見丸々無視しているんだから。一夏自身たまにやってしまうので人には言えないけど。この様に、クラスの大体が一夏が代表に推薦しているので、千冬も一夏を代表にしようとした。

 

「お待ちください!!納得いきませんわ!」

 

決まりかけていたが、先程の休み時間に一夏に突っ掛かってきたオルコットが、机を強く叩きながら立ち上がった。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんて良い恥さらしですわ!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

そこまで言うのなら自己推薦をすれば良いのかと思うのだが……。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然!それを、物珍しいからと言う理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこの様な島国でISの技術を学ぶために来たのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

 

彼女は世界地図を見たことはあるのだろうか?と言いたい。日本もイギリスも島国だ。違うところは面積と正式な国名が長いこと位だろう。(グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国)因みに面積は日本の方が大きい。

 

「良いですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!!大体!文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で―」

 

止まらないなこの人。このIS学園、イヤ織斑一夏と言う男の前では、先程の発言はどれぐらい危険なものなのかを理解していない。

 

ピッ!

 

「あっ、電池切れた」

 

何かの機械音が教室に響き、オルコットも演説を止めた。音のでた場所は一夏の手の中。そこを見ると、小さな機械を持っていた。こう言うことを平気でやる男である。

 

「織斑、それは何だ?」

 

「せっかくのイギリス代表候補生の生演説だ。両国のトップにでも聞かせてやればどうだ?ほれ」

 

小型の録音機の様だ。充電はしていなかったので、先程の所までしか録音は入っていない。それを千冬に投げ渡した。

 

「貴方、どう言うつもりですか?そんなもの」

 

「はぁ、オルコット。さっきの演説を思い出して、この録音を両国首脳に聞かせたらどうなるか考えてみろ」

 

千冬に言われ、考えてみた。すると、みるみる内に顔が青ざめていく。どうやら理解したようだ。

 

「まあ、先程の発言は問題だ。最悪戦争になるか、イギリスは世界的な立場が弱くなる。良くてもお前は代表候補生の資格剥奪と専用機の没収だな。ここではお前にその気があろうと無かろうと、国の発言になる。それを忘れるな。完全に今のは宣戦布告だったぞ」

 

千冬の言葉に、完全に諦めた様に見えたが、1つだけ先程の事が国にバレない方法を見つけた。

 

「そ、そんな……。ッ!決闘ですわ!」

 

「は?」

 

「よくもわたくしを落とし入れようとしてくれましたわね!!貴方に決闘を申し込みます。そしてその音声データは消させてもらいますわ!!」

 

周りにいる皆が言葉を失った。流石にこれは無いだろと思ったからである。どう考えても逆ギレできる立場にはない。

 

「はあ、仕方ない。候補が複数いるわけだし、1週間後に代表決定戦を行う。オルコットが勝てばこのデータは消してやる。織斑が勝った場合は……まぁ好きにしろ。それで良いな」

 

「構いませんわ!!」

 

「だだし、織斑。お前は手加減をしろ。そうじゃないと、オルコットは勝つことが出来ない」

 

千冬が一夏に対して、手加減をしろと言ったので、クラス中が驚いた。当然だ。片方は国家代表候補生。もう片方はつい先日見つかった男性IS操縦者。本来なら完全に逆である。しかも、勝つことが出来ないと断言したのだ。

 

「織斑先生。それはどう言うことですか?わたしくしがこの男に劣っていると言う事ですか?」

 

「姉の私が言うのも何だが、織斑の戦闘能力はハッキリと言って異常だ。単機での戦闘には向かない打鉄で試験官を倒した。ダメージを受けずにだ。強さだけで言えば国家代表にも近い物がある」

 

千冬の言う、一夏の実力にクラスは驚き、言葉が出なかった。そのまま授業が終わると、千冬が思い出したように一夏にあることを伝えた。

 

「織斑、忘れない内に聞いておく。お前に専用機が届いているが、どうする?」

 

「返品で」

 

即答した。もう一度言わせてください。考えもせずに即答したのです。

 

「な!?貴方いったい何を考えているのですか!?専用機とは与えられるだけでも名誉な事なのですよ!分かっているのですか!?」

 

「どうせ倉持だろ?作ったの。あそこは今日本の代表候補生の専用機を作っているはずだ。元からある仕事放り投げる連中の作った機体なんか危なくて乗れるかよ。そもそももう持ってる。2機な」

 

信用なら無い。命を預ける機体だ。いくら専用機を与えられる事が名誉でも、一夏の判断は当然である。

 

「そう言うと思ってな、もう既に返品してある。ただこれは持たせろとしつこくてな」

 

千冬はどこからか1本のブレードを出した。人間には四次元ポケットも無ければ拡張領域もないはずなのだが?

 

「何だそれ?てかどっから出した」

 

「雪片弐型。私の雪片の弟刀に当たるらしい」

 

「はあ、ちょっと貸せ」

 

一夏は千冬から雪片を受けとると、窓を開け、外に放り投げた。

 

『103 ENTER』

『Single Mode』

 

窓の外に雪片を投げ捨てると、取り出した携帯のような物を拳銃みたいな形にして破壊した。

 

「よし」

 

イヤ何が?何がよしなの?何もかもがアウトだよ。

 

「もしもし用務員さんですか?教室の外にゴミが散らばっているので片付けておいて貰って欲しいんですけど」

 

千冬も懐から携帯を取り出して用務員のいる事務室に清掃の依頼をした。お前ら姉弟何やってんの?問題にならないと良いけど……




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今日も教えて!憲八先生~

ペンネームクロロンヌさんからの質問です。

「今までで一番びっくりしたなというアニメはありますか?」

はい。ずばりお答えしましょう。まぁこれはあれです。銀魂です。理由は大体分かると思います。普通に現職の議員だったり不祥事起こした有名人だったりの名前を出してネタにしたり、無許可で人気アニメと勝手にコラボして、スケットダンスと正式にコラボした時は問答無用で銀魂ワールド炸裂させて、ヒロインがゲロインで、スタッフが上の方から真面目にお叱りを受けたり、製作の裏事情を暴露したり、作者はやるやる詐欺と終わる終わる詐欺を繰り返したりと、普通に考えたら存続すら危うい事をやってきても10年以上続いたと言う事実に驚きました。面白いですけど、それと同時にインパクトも強かったです。

質問の投稿はこちら!
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是非質問を投げ込んでください!


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クラス代表決定戦

取り敢えず、非ログインの人からの感想入力は不可にしよう。読めと言われたものは読んで理解する様にしてくださいね。

あと質問は活動報告にするように。
質問募集はこちら↓
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先程の話が終わった後、一夏は昼食をとるために食堂に来ていた。学食なのに意外とメニューが豊富である。そんな豊富なメニューの中から一夏が選んだものは……

 

「熱ッ!!」

 

猫舌なのにラーメンである。何で?と突っ込みたい。

 

「ちょっとおばちゃん。これ熱すぎない?舌火傷しそうなんだけど」

 

「えぇ~?普通だけど。熱いなら冷めてから食べれば?」

 

「俺は今食いたいんだよ!」

 

ずいぶんと勝手な言い方である。急いで食べたいなら何故ラーメンを頼んだんだ?急いでる人が昼食に食べたくない物ランキングで、普通に1位とか2位とりそうな物なのに。

 

仕方なく、一夏は手元に置いていた氷水をラーメンにブチ込み、ズルズルとすすって食べた。すると、隣に箒が座ってきた。ここから早く離れる理由が1つ増えた。

 

「一夏。何か策はあるのか?代表決定戦での」

 

「何でそんなこと一々あんたに言わなきゃいけないんだよ」

 

「い、いや、その、お前の練習に付き合ってやろうかと思ってだな……」

 

「必要ない。何であんたに教わらなきゃなんないんだ。つーか付きまとうな。鬱陶しい」

 

ISの訓練に付き合ってくれるとの事だが、バッサリと切り捨てた。これにはいくつかの理由がある。

 

1、ISの訓練と言いながら、1週間剣道させられるだけの可能性がある。

 

2、戦い方がなっていないと、無理矢理戦い方を変えさせられる。

 

3、ISの事など1つも教えない。

 

4、一夏は既にISに関する大体の知識・戦闘能力を持っている

 

等があげられる。その他にもまだいくつかある。断られたことに何か文句を言ってくるが、昼食を早く終わらせたいので、ラーメンをズルズル吸っている。すると今度は、別の人が声をかけてきた。リボンの色が違う。恐らく2年生だと思われる。

 

「君かな~?代表候補生と勝負するって言うのは。それって本当の事?」

 

「はぁ。だったら何だ?あんたに何か関係でもあるのか?」

 

今回の箒と言い、この2年生と言い、この学園には一夏に絡んでくる人がやたらと多い。正直、本人はもううんざりしている。この状況に。

 

「何?その言い方。せっかくISの事教えてあげようと思ったのに」

 

「必要ないって言っ―」

 

「必要ありません。私が教える事になっているので」

 

一夏が必要ないと言うよりも早く、箒が自分が一夏に教えると言った。

 

「いやでも、君も1年生でしょ?稼働時間たいして変わらないんじゃない?」

 

「私は、篠ノ之束の妹ですから」

 

「篠ノ之って……ええ!?」

 

2年生の人は、ここぞとばかりに驚いている。それなら仕方無いと、その場を退散した。

 

「おい、何勝手に決めてんだ」

 

「良いじゃないか。お前もISの事が理解できるのだから」

 

「ふざけんな!誰がテメー何かに教えられるかよ」

 

空になったラーメンの丼を取り、不機嫌そうにその場から去っていった。後ろの方で「放課後に剣道場に来い」と言われた気がしたが、無視して食堂から出ていった。その顔は誰の目から見てもイライラしていると分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箒にしつこく絡まれながら1週間。クラス代表決定戦当日。一夏はピット内で準備をしていたが、何故かそこには箒がいた。

 

「あの、篠ノ之さん。ここは関係者以外立ち入り禁止なんですけど……」

 

「私は一夏の幼馴染ですので関係者です」

 

山田先生が出ていくように優しく注意をしたが、自分は一夏の幼馴染だと言って出ていかなかった。

 

「立派な部外者だバカ者。今すぐにここから出ていけ。と言うか、専用機関連の事は最重要機密だ。例え関係者でも、必要以上の人員を置くわけないだろ」

 

「ち、千冬さん!?」

 

千冬が現れた。

 

「まぁそんな事は置いといて、織斑。こいつはお前の幼馴染だと言っているが、どうだ?」

 

「さぁな。勝手にそう言って付きまとってるだけだ」

 

「な!?」

 

「ほら。そう言う訳だからさっさと出ていかないか」

 

一夏に幼馴染であることを否定され、千冬にも注意を受け、渋々出ていった。

 

「ん?今回はそれを使うのか?」

 

「手加減しろって言ったのはそっちだろ」

 

一夏の手には、「SMARTBRAIN」のロゴが入った小さめのアタッシュケースがあった。

 

「試合時間まだだが、相手は既にアリーナで待っている。行けるか?」

 

「あぁ。問題ない」

 

アタッシュケースを開き、中にある白いベルトを腰に巻き、一昔前にあった折り畳みの出来ない携帯電話の様な物を手に、デルタフォンに取った。(作者は1度も携帯電話には見えませんでした。)

 

「変身」

 

『Standingby』

 

不思議な待機音が流れた。それをベルトの右側に付いているビデオカメラの様な物。デルタムーバーにさした。

 

『complete』

 

電子音と共に、一夏の体に白いラインが回り、光に包まれると、そこにはオレンジの複眼に、黒い体のスーツを纏った一夏が立っていた。

 

「さてと、行くか」

 

右腕を軽くスナップさせるように振り、アリーナへと向かっていった。

 

「ようやく来ましたわね。あら?男にはお似合いの欠陥機ではありませんか。飛行能力もない、武装は腰に付いている拳銃1丁とは……随分と情けない機体ですわね!そんな粗末な機体でわたくしに勝てるとでも!?」

 

等と、精神的に追い詰めようとしているのか、一夏の機体に色々と文句をつけてきた。当の一夏はと言うと

 

(デルタは久しぶりだな。上手く動けると良いが……)

 

もう1機の方に慣れている為、少し不安に思っていた。自分が動けるかどうかにだ。

 

「貴方に最後のチャンスを与えますわ」

 

「あ?チャンス?」

 

話を聞いていなかったので少し戸惑った。元から聞く気などは無いが。

 

「織斑先生がなんと言おうとも、わたくしが一方的な勝利を納めるのは明白の理。ボロボロで惨めな姿を晒したくなかったら、今ここで謝りなさい。そしたら、許してあげない事もなくってよ」

 

オルコットが上空から一夏を見下しながら言うが、何言ってんだ?コイツ。が一夏の感想である。そんなことに一々反応するのは面倒なので、無視しておいた。

 

「無言……。そうですか。それが貴方の答えですか。ならここで無惨に負けて、惨めな姿を晒しなさい!!」

 

試合開始まで5秒程残っているが、オルコットは一夏にライフルを向けており、弾の装填・セイフティーの解除をし、ロックオンをしている。公式戦なら完全にアウトだ。

 

『試合開始!』

 

開始の合図と同時に、オルコットは一夏を狙撃した。

 

「ふん。呆気なかったですわね」

 

見ていた誰もがオルコットの勝利を確信しただろう。だが、いつまで経っても試合終了の合図が無い。土煙が晴れてくると、人の影があった。正体は1人しかいない。一夏だ。体に付いている埃を払っている。

 

「な!?ッ!さあ、踊りなさい!わたくしとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!!」

 

「お前試合の時にいつもそれ言ってんのか?Fire」

 

『BLASTMODE』

 

腰からデルタムーバーを取り出し、ブラスターモードに変え、オルコットを撃った。

 

その威力は、大きさからは想像できない位に大きく、完全に嘗めていたオルコットはモロに受け、地上に墜ちた。

 

「フッ!ハァ!!」

 

墜ちたオルコットに、一気に近付いていく。ライフルを向けられたが、蹴りで弾き飛ばした。ついでにオルコットも蹴飛ばしおく。

 

「キャ!クッ!!」

 

ヨロヨロとオルコットが立ち上り、ティアーズの目玉でもあるビットを展開しようとしたが、それよりも早くに一夏が動いていた。ベルトのバックルからメモリーを抜き取り、デルタムーバーにさし込みポインターを展開した。

 

『Ready』

 

「check」

 

『ExceedChage』

 

ベルトから光が出て、ラインの上を移動しデルタムーバーに入っていく。それをオルコットに撃つと、三角錐状の光が動きを封じた。

 

「う、動けない……!?」

 

「ハアァァァァァ!!!」

 

そこに蹴りを叩き込み、ティアーズのシールドエネルギーを0にした。ティアーズが解除される瞬間に、ローマ数字のΔが薄く浮かび上がった。

 

『…………』

 

観客が予想していなかった展開。終止一夏のペースで幕を閉じた試合に、全員言葉を失った。

 

「よくやったな。それで?賭けの内容はどうするんだ?勝者はお前だが」

 

「アイツにクラス代表をやらせる」

 

「ほう。それで良いのか?」

 

「ああ。そうじゃないと、俺が代表をやることになるからな」

 

「分かった。ならこの音声データは私が預かっておく。部屋で休め」

 

千冬に賭けの内容を伝え、一夏は部屋に戻った。もちろん変身は解除してだ。




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『教えて!憲八先生~!!』

ペンネーム「超電磁砲・極」から

1、一夏って、オルフェノクなのかなぁ...

2、簪は...大丈夫なのかな?(打鉄弐式の制作)

うん。前書き読んで。オルフェノクは出ないから。簪の件については今後にご期待ください。


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もう1つの力

現在、質問募集の活動報告では今作のタイトル募集もしてます。そちらもお願いします!

活動報告はこちら
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=225283&uid=180457


あの色んな意味で印象に残ったクラス代表決定戦が終わり、週の開けた月曜日。この日は大体の生徒が暗い顔をしている。

 

その中に1人、周り以上に暗い「この世の終わり」的な顔をしている生徒が居る。そう。先日行われたクラス代表決定戦で、一夏に盛大に負けてしまったセシリア・オルコットである。

 

因みに周り以上に暗い顔をしている理由は、あれだけの大事を言っておいて、それらしい成績を残せなかったと言うことと、あの演説(笑)を国の方々に報告されたらと言う恐怖からである。

 

(良くて代表候補生の資格剥奪と専用機の没収。悪くて戦争……)

 

考えれば考えるほどに、顔が真っ青になっていく。もう既に、病人の様に青白い。これが自らの力を傲り、他人を見下した人間の末路なのかもしれない。

 

「全員居るな。織斑起きろ」

 

オルコットが青くなっていると、教室の入り口が開き、千冬と真耶が入ってきた。

 

「まずは連絡だ。クラス代表はオルコットに決まった」

 

千冬のこの一言で、クラス中がざわついた。全員嘘だろ!?と言うか顔をしている。

 

「な、何故わたくしなんですか!?」

 

「決まっているだろ。これが織斑の賭けの内容だからだ」

 

「俺は面倒な事はやらない主義なんだよ」

 

この言葉に、オルコットは安堵し、取り敢えず先日の不手際をクラスの全員に謝った。まあ、その事は別に問題にならなかったのだが、クラスの大半の女子が嘆いていた「スイーツ無料パスが貰えない」と。試合そっちのけでスイーツ無料パスかよと言いたくなる。

 

「一時間目はISの基本的な操作訓練を行う。着替えてからグラウンドに集合だ」

 

全員着替え始めた。一夏は着替える必要が無いが、制服だと動きづらいので、更衣室にいき、ジャージに着替えようとしたが、教室を出ると、箒に呼び止められた。

 

「おい!一夏!!」

 

「何だよ。うるせーな」

 

「そんなことはどうでも良い!何だ先日の試合の戦い方は!?何故拳銃を使った!?何故刀を使わないのだ!?あんな卑怯な戦いかたをするなんて!」

 

かなりどうでも良いことだった。そもそも何で拳銃を使ってはダメなんだ?この時代飛び道具積んでる機体は沢山ある。その機体全てに刀で戦えと?バカなのか?

 

「どう戦おうと俺の勝手だろ。何でお前に決められなきゃなんないんだよ。つーか何で刀なんだよ?この時代に。時代錯誤も良いところだ」

 

「千冬さんだって現役時代は刀1本で戦っていたのだぞ!お前もそうするべきだろ!!それに剣術なら昔私の道場で習っていただろ!!」

 

「ふざけんな。俺は俺だ。何で他の真似をしなくちゃなんないんだよ。いい加減にしろ。つーか剣術なんか習った覚えはねーよ」

 

話を聞く必要が無くなったので、更衣室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これよりISの基本的な飛行操作を実践してもらう。織斑、オルコット。試しにやってみろ」

 

「織斑先生。俺の専用機飛べない」

 

「もう1つの方があるだろ。今回はそっちを使え」

 

千冬にもう1つの方を使えと言われていたが、あいにく今日はデルタギアしか持ってきていない。

 

「バジンにでも取ってきて貰え。それでも操作は出来るだろ」

 

「あ~。はいはい」

 

デルタフォンを取り出し、どこかに連絡をした。(※本作ではデルタフォンでもバジンの遠隔操作が可能となっております。ただし、声帯認識システムに登録されている声のみ可能です)

 

数分後、人型のロボットが荷物を持って飛んできた。手にはデルタギアが入っているのと変わらない大きさのアタッシュケースと、トランクボックスみたいなのがある。それを一夏に投げ渡すと、いつも待機している場所に戻っていった。

 

「まだ用事があったが……まぁいいか。織斑、早く変身してみろ」

 

千冬の指示で、アタッシュケースの中にあるものを取り出し、ベルトを腰に巻き、トランクボックスのくぼみに、携帯電話をさし込み、キーボードに番号を入力した。

 

『555 enter』

 

『Awakening』

 

電子音の後、赤い光に一夏が包まれると、そこにはデルタとは違う、赤い体に黒いラインが入っている姿になった。

 

「な!?」

 

「やっぱり何度見ても慣れんな。ブラスターフォームは。派手過ぎる」

 

オルコットは自分が戦ったのとは別の機体を使っていることに驚き、千冬はブラスターフォームを見ると毎度思う感想をこぼした。

 

「両者展開できた所で、早速飛んでみろ」

 

「はい!」

 

千冬の言葉に、オルコットはハッキリと返事をして飛んでいった。一夏は

 

『5246 enter』

 

『Faiz Blaster Take Off』

 

コードを入力していた。電子音の後、背中に付いているマルチユニット、フォトン・フィールド・フローターからのジェット噴射により、一夏も空中に飛んだ。後から飛んだにも関わらず、オルコットを追い抜き、かなり高い位置まで飛んでいく。

 

「よし。次は急降下と完全停止だ。目標は地上より10センチだ」

 

位置的に一夏よりも低い場所に居るオルコットから始めた。

 

「12センチか。まあ、良いだろ。次、織斑」

 

空中である程度停止場所の確認を行い、フルスピード降下していった。そして、目測をつけた場所で急停止をかける。

 

「ジャスト10センチか。良くやった。だが、あのスピードでの降下はよせ。周りが驚く」

 

千冬の言うと通り、先程の一夏を見ていた生徒たちは、心臓の辺りを手で押さえている。コイツら大丈夫か?と言うのが一夏の感想である。

 

「次は武装の展開だ。まずは遠距離武器」

 

『103 enter』

 

『Blaster mode』

 

電子音と共に、ボックスのアンダーパートが上方向に180°展開・接合させ、巨大な銃に早変わりした。

 

「まあ、お前のは時間がかかるのは仕方無いな。次、オルコット」

 

「はい」

 

左手を肩の高さまで上げ、真横に突き出す。すると、一瞬爆発的に光に、手の中にはスナイパーライフルが握られていた。銃には既にマガジンが接続され、オルコットが視線を送るだけでセーフティーが外れた。

 

「流石代表候補生と言う所か。だが、そのポーズは止めろ。真横に向かって展開して誰を撃ち抜くつもりだ」

 

因みに、一夏はオルコットの右側に立っているので大丈夫だが、左側に立っていたら確実にフォトンバスターを躊躇なく撃っていただろう。

 

「次は接近用の武器を展開しろ」

 

『143 enter』

 

『Blade mode』

 

フォトンバスター時の砲身部分が分解され、刀身が生成され、巨大な剣が完成された。因みに砲身部分はボックス内のサーバーに格納されている。一夏はナンバーの入力等があるので、そこそこ時間がかかるが、それ以上にオルコットは時間がかかっていた。

 

「くっ……」

 

「まだか?」

 

「ああ、もう!インターセプター!」

 

やけくそに叫び、漸く展開することが出来た。

 

「遅い。実戦ではすぐにバーベキューになるぞ」

 

「実戦では間合いに入られないので問題ありません!!」

 

「拳銃一丁しか武装の無いデルタに、一瞬で間合いを詰められた上にビットすら展開することが出来なかったのはどこの誰だ?」

 

この言葉に、オルコットは黙ることしか出来なかった。実際やれた事と言えば試合開始直後の狙撃くらい。後は一夏のワンサイドゲームで終わった。手も足も出ずに。千冬から練習するように注意を受け、他の生徒も武器展開の練習へと移った。




『教えて!憲八先生~!』

ペンネーム『クロロンヌ』さんからです。

今まで生きてきた中で『あ、これ死んだ。』と思った瞬間はありましたか?

そこまで大袈裟じゃないですけど、高校時代の話です。俺のいた学校、一泊二日でスキーの授業をするために蔵王山に行くのですが、そこであった出来事です。山の天気は滅茶苦茶変わりやすいので、吹雪の中を滑っていたのですが、ゴーグルしてても先は見えないしゆっくり滑ってても傾斜があるのでスピードがでる状態で、どこに人がいるかも分かりませんでした。周りに自分の学校の生徒がいなくなったとき、「あ、やらかした」とは思いました。まぁ、実際には見えなくなってただけで、近くにいたんですけどね笑

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外国の友達

一夏の2つめのISが明かされた次の日、やけにクラス中が盛り上がっていた。作者的には火曜日はあんまり好きじゃないですね。面白い番組が無いので。そもそも最近テレビほとんど見ないけど。

 

「あ、織斑くん。聞いた?転校生の話」

 

「この時期に転校?転入の間違いだろ」

 

ごもっともである。この時期では「転校」と言うには少し早すぎる。どちらかと言えば「編入」だ。そして噂の転校生?だが、どうやら中国の代表候補生だそうだ。

 

「中国ねぇ……」

 

中国と言う言葉を聞き、どこかに懐かしそうな顔をしている。

 

「中国にご友人でも居られるのですか?」

 

「ああ。1人な」

 

オルコットの質問に、友人が居ると言った。その言葉を聞いた1組の生徒の中には驚いているのも居た。そんなに不思議かと聞きたくなる。

 

「織斑一夏くん居ますか~?」

 

転校生の話をしていると、教室の入り口から名前を呼ばれた。どうやら噂の転校生本人の様だ。

 

「……鈴?」

 

「久しぶりね一夏。元気してた?」

 

噂の転校生は、たった今噂をしていた一夏の友人だった。……偶然って怖いね。

 

「ああ。久しぶりだな。何でまたこっちに来たんだ?」

 

「それは―」

 

久し振りに会った者同士、話をしようかと思ったが、それは出来なかった。何故なら、

 

「おい。もうすぐSHRの時間だぞ」

 

後ろに地獄の閻魔様ですら冷や汗をかく鬼が立っていたからだ。とてつもない威圧感で、言葉が詰まってしまった。

 

「ゲッ!千冬さん……」

 

スパン!!

 

「織斑先生と呼べ。そしてとっとと教室に戻れ」

 

名前で読んだ鈴の頭に、出席簿を叩き込み本来あるべき教室に戻した。その後、多少騒がれたが授業に入り、午前中を過ごした。授業中にとある生徒が出席簿を頭にバッチリと叩き込まれていたが、特に問題は無い。

 

そして昼休み、一夏は昼食をとるために学園の食堂に向かった。頭の中で何を頼むか考えながらだ。

 

「待ってたわよ一夏」

 

食券を買おうとしたら、ラーメンを持った鈴が現れた。(ドラクエのモンスター出現bgm流したい。)

 

「麺伸びるぞ」

 

それくらいしか反応できない。実際、もう既にスープが減ってきている。一夏は比較的、イヤ滅茶苦茶安い蕎麦を注文し、受け取ると空いてる席に座った。鈴も一緒にだ。

 

「それにしても久し振りだな。丁度1年振りくらいか?会うのは」

 

「それぐらいね。しかし、良くまぁISなんて動かしたわね。昔からの不幸体質は治ってないようね」

 

鈴の言う通り、一夏は昔から地味に運が悪い。当たり9割の福引きでハズレを引いたり、自販機で買ったのとは別の飲み物が出てきたり、心霊スポットで自分だけ幽霊に出会したり、自動ドアが開かなかったり、財布を無くしたりと、こう言った不幸が多い。

 

これ地味って言わなくね?財布を無くす辺り普通に不幸じゃね?そんな感じな話していたら、箒がやって来た。

 

「おい一夏!ソイツとはどういう関係か説明しろ!!」

 

予想通り、と言うかヤッパリ聞いてきた。

 

「ただの友達だよ。何でお前に一々説明しなきゃいけないんだよ」

 

「一夏誰これ?」

 

「知らん。勝手に付きまとってくるヤツだ」

 

「ふ~ん」

 

それを聞くと、興味が無くなったのか自分の注文したラーメンをズルズルとすすっている。一夏も残りの蕎麦を黙々と食べた。

 

隣でなんか言ってきているが、2人はスルースキルを発動している。その為、一切話の内容は耳に入ってこない。

 

「そう言えば一夏。あんたISの操縦とかどうなの?」

 

「特に問題は無い。専用機も持ってるしな」

 

「専用機?企業代表にでもなったの?」

 

「んな大層なものにはなってねーよ。スマートブレインの機体を使ってるだけだ」

 

スマートブレイン。鈴はそれを聞くと少し考え出した。

 

「じゃあ放課後に訓練手伝ってくれない?スマートブレインの機体の性能も見たいし」

 

「ああ。良いぞ」

 

こうして、一夏は放課後に鈴の訓練に付き合うことになったのだが、問題はどれ程の力加減でやれば良いかと言うことだ。一歩間違えれば鈴の機体を破壊しかねない。その為、慎重にやることを決めた一夏だった。




教えて!憲八先生~!!

今日はペンネーム「花蕾」さんからです

Netflixにて配信されたURUTRAMAN、どうでした?
私としてはフルCGで立体的に描かれており、戦闘シーンの重圧感もありとても良かったと思います。

私、Netflixには加入してないので視聴できてないんですよね。悲しいことに。ただ予告等を見た時はスゲー面白そうだなと思いました。YouTubeチャンネルでも投稿してくれよ!

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放課後の訓練

今後はどうするか……


座学中心の授業を終えた放課後。一夏は訓練のためアリーナに向かっていた。鈴は既に待っていると先程連絡があった。

 

「ん?何でソイツが居るんだ?」

 

「さぁ?」

 

一夏がアリーナに入ると、鈴以外に何故か箒が居た。しかも打鉄を纏っている。

 

「一夏!お前の曲がった根性、今日ここで叩き直してやる!!」

 

「はぁ……一夏、私は後で良いから早く済ませて」

 

「分かった。」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身」

 

『complete』

 

「?昨日とは姿が違う……」

 

こんなことでブラスターフォームを使うのは面倒なのだろう。

 

「んな事どうでも良いんだよ。さっさと始めろ」

 

なんか納得していない様だが、そんなことで時間を取ってる余裕は無いと判断したんだろう。規定の位置まで下り、2人ともいつでも動けるようにした。

 

「じゃあ準備は良いわね!始め!!」

 

鈴の合図で、箒は打鉄の接近ブレードの葵を構えて、声をあげながら突っ込んで来た。

 

(突っ込むなら瞬間加速ぐらい使えよ)

 

そんなことを考えながら、一夏はベルトに付いているカメラの様な物にメモリをさし込み、手にはめた。

 

『Ready ENTER』

 

『EceedCharge』

 

「ハァ!!」

 

「ガッ!?」

 

一夏が出した拳をもろに受け、箒は壁までブッ飛ばされた。この一撃でシールドエネルギーも0になった様だ。打鉄が解除されている。操縦者の箒はと言うと、そのまま伸びている。

 

「ストーカーされてるなら相談したら?千冬さん辺りにでも」

 

「あぁ、そろそろストーカー被害の相談でもしてみるか」

 

これ以上話してるのも時間の無駄なので、一夏は鈴と試合をする準備をした。準備と言ってもメモリをベルトにさしなおすだけだけど。

 

「準備は良いわね。始めるわよ!」

 

全体的にピンク色の目立つ機体を纏っている。機体の名前は『甲龍』。7つの玉を集めると願いを叶えてくれる緑色の龍と同じ名前だ。

 

「その機体人の願い叶えてくれるのか?」

 

「なに言ってんの?頭打った?」

 

流石にそのネタはあっちでもさんざん言われたのか、少しイラッとしている。

 

「って、そんな事はどうでも良いのよ。早く始めるわよッ!」

 

「グッ!?重い……!」

 

大型のブレード、双天牙月の重い一撃が一夏を襲った。同じ斬撃でも、箒のものとは比べ物にならない。

 

「これを受け止めるの!?化物ね。その機体」

 

「デリャ!!お前の機体もな。ファイズがおされるとは思わなかったさ」

 

「まだ余裕そうね。でも、これならどうかしら!!」

 

「ッ!?」

 

突然なにもない所から衝撃に襲われた。そのまま続けて2発食らい、吹っ飛ばされた。だが、一夏もただやられている訳ではない。

 

「ッ!フッ!」

 

「避けた!?嘘でしょ!?見えない筈なのに!」

 

この短時間で一夏は鈴の癖を見抜いた様だ。その癖とは、

 

「お前、次に撃つところに目線送ってるだろ。バレるぞ」

 

鈴は次に撃つところに無意識の内に目線を送ってしまう様だ。たった3発受けただけで見抜き、対処したようだ。

 

「たった3発で見抜くとか、機体だけじゃなくてアンタも相当の化物ね。普通気付いてもすぐに対処は無理でしょ」

 

「生半可な訓練は受けてないからな。続けるのか?」

 

「当たり前!!」

 

その後も、一夏と鈴の2人はお互いにアドバイスしつつ、ほとんど一夏が鈴にしているだけだが、訓練を続けた。アリーナが閉まるギリギリまで、約3時間位。ノーストップでだ。良く体力が持ったなと言いたい。

 

後は2人で軽く夕食をとったり、離れている間の事を話していた。箒は……途中アリーナの監督の先生に回収されていったので、問題は無いだろう。次の日放課後の記憶が少し消えてる位だから問題は無い筈だ。多分。きっと。

 

「いやぁ~。良い勉強になったわ~」

 

「そいつは良かったな。俺は少し疲れたが」

 

「私も疲れたわよ。今ここにいるのも、あん時アンタと弾が助けてくれたからだわ~」

 

「あぁ。だから今お前が専用機を持って代表候補生やれてるのは俺達のお陰だ。ざまあ見ろ」

 

「ふざけんな。私だってあの後結構勉強してここまで来たんだから」

 

「知ってるよ。今日戦って直に感じたわ」

 

「そうそう。周りと差があまり無かったから、休みの日や養成所の授業以外にもアホみたいに訓練したんだからさ」

 

「滅茶苦茶してるな」

 

「あっちじゃ教え方が下手でね。全員で同じことを同じサイクルでやってるだけだから、才能があるのはまぁ頭1つ飛び抜ける感じになるけど、他は全員同じ成績って感じね。まぁ、休日返上してまで訓練したんだから、報われたって思えば安いもんよ。お陰で技術手当てや途中で獲得した資格手当てが入って、今私の口座真夏日になってるの」

 

「成る程。俺も似たようなもんだ。まぁ俺の場合は技術手当てと、危険業務手当てだがな」

 

「危険業務手当てって……たしかアンタの機体に使われてる新エネルギー、人体に悪影響なんだっけ?」

 

「あぁ。今のベルトじゃ完璧に浄化できないからな。管理さえしっかりしてれば、環境への影響もないんだが、漏れたらな~……」

 

フォトンブラッドは漏れたら最後。生物は灰になって深刻な大気汚染が起こる。早い話一瞬でゴーストタウンになるような物だ。危険業務手当ては妥当と言えば妥当である。

 

「しかし、今日の訓練でアンタが異常な化け物だって分かったわ。一体何してきたのよ?」

 

「色々な。死にかけた事もあったが」

 

遠い目をしている一夏に、鈴は深く聞くことを止めて食事を食べ進めた。




教えて!憲八先生~!!

ペンネーム「永瀬ケイさん」からです。

『好きな架空武器は何ですか?』

そうですね~。銃系ならドミネーターやヘルシングでお馴染みのジャッカル&カスール。ワールドトリガーで木虎が使っているワイヤー付きのアステロイド拳銃。

刀剣系ならルパン三世の五右衛門でお馴染み斬鉄刀や剣心の逆刃刀。ビームサーベルやライトセイバーみたいな光剣。ワールドトリガーで風間さん達が使ってる出し入れや形状が自由なスコーピオン。それに弧月も好きですね。

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クラス対抗戦。無人機襲来

あの訓練のあと色々な事があった。箒にいつも通り絡まれたり、箒が千冬に出席簿アタックを食らったり、箒が千冬に指導室に連れていかれたり、箒が補習を食らったり……。訂正しよう。特に何も無かった。

 

まあ、そんなことがありながら迎えた、クラス対抗戦当日。この対抗戦は、現時点での各クラス代表の実力をはかる物なので、公式戦の様に相手をシャッフルで選ぶ訳ではない。隣のクラスと戦うことになる。従って、最初は1組と2組の試合になる。

 

(鈴は初っ端から相性の悪い遠距離機が相手か……)

 

そう、鈴の機体、甲龍は遠距離の機体との相性が悪いのだ。主な理由は衝撃砲の射程距離が余り長くない事があげられる。しかし、そんな事は鈴が1番理解しているだろう。だが、絶対に勝つと言う顔をしている。

 

(1組やオルコットには悪いが、ここは鈴を応援させて貰うか)

 

『両者、規定の位置まで進んで下さい』

 

どの様な試合になるのか、楽しみにしていると、いつの間にか開始時間になっていた。アナウンスに従って、鈴とオルコットは規定の位置まで進んだ。

 

『試合、開始!!』

 

合図と共に、オルコットは自分の距離に入るために後退し、鈴との距離を開けようとした。だが、

 

「オゥリャ!!」

 

距離を取らせまいと、双天牙月を連結して投げ飛ばした。綺麗な投球?フォームだ。ISと言う、ほぼ何でもアリな戦いが出来るようになったこの時代、自分の持っている武器を投げ飛ばすと言う方法は誰も取らない。単にリスクが大きいからである。

 

しかし、誰も取らない方法だからこそ、相手の意表を突き、大きな隙を作らせる事が出来る。暗殺でも良く用いられる方法だ。なにより、ISの戦闘では「隙を作る」事事態、最も危険なことである。この世に存在するどんな格闘技よりもだ。

 

予想通り、鈴の放った攻撃は、オルコットの意表を突き、動きを一瞬止めた。一夏との特訓で、それを見逃さなくなった鈴は、一気に距離を詰め込んだ。

 

「ハァ!!」

 

「グッ!」

 

距離を詰め込むと、武器を使わずに、拳で地面に叩き伏せた。しかし、相手も専用機を任される程の代表候補生。一夏との試合から全く訓練をしていない訳ではない。墜ちながらではあるが、ビットを展開して、鈴を攻撃した。これくらいの返しは出来るようになった様だ。

 

(ヤバッ!ビットの対策してなかった!!こうなったら!)

 

鈴はビットの対策を忘れていたみたいだ。しかし彼女の性格上、チマチマ避けたりガードしたり等はしない。単純に面倒だと思うからだろう。攻撃を受けながらも獣の様に接近し、オルコットに掴みかかると、一緒に地面へと突っ込んで行った。

 

地面に押さえ付けると、衝撃砲の出力を最大にして撃とうとしていた。残りのシールドエネルギーを考えて、この一撃で全てを決めるようだ。だがオルコットもただ押さえ付けられてるだけではない。レーザービットにエネルギーを溜め、鈴と同じく一撃で片付けようと思っていたらしい。だが、

 

ドゴォーン!!!!

 

突然響き渡った轟音に、アリーナが静まり返った。その音は、鈴の衝撃砲でも、オルコットのビットでもない。アリーナの中に突っ込んで来た何かの音だった。

 

「「ッ!?」」

 

「ん?」

 

土煙に包まれた相手の正体。それはISだった。一夏のとはかなり違ったフルスキンのISだ。

 

「何あれ?一夏のISの親戚?」

 

「どう見てもそんな感じには思えませんけど?」

 

正体不明のIS。それの登場で観客席はパニックになっている。皆我先に逃げ出そうとし、収集が付かない。

 

「姉貴聞こえるか?」

 

『織斑先生と呼べ。それでなんだ?』

 

離れた所から一夏は千冬に連絡をとっていた。

 

「この状況は不味い。俺をアリーナの中に入れろ。今すぐにだ」

 

『そうしたいが、今全ての扉がロックされている。開けることは出来ない。中に入るには壁かアリーナを覆ってるシールドを破壊する必要がある』

 

「なら今すぐにシールドを―」

 

『ただし、シールドは修理費が高い。破壊するなら壁にしておけ。そっちの方がまだ安く済む。今から指定する場所の壁を破壊しろ』

 

「分かった」

 

いくら人を助けるためとは言え、学校を破壊させるとは、千冬も思い切った様だ。一夏は場所を聞くと、その場に急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑先生!いくら何でも生徒をあそこに入れるのは危険すぎます!扉を開けて、教員部隊を入れた方が―」

 

「その教員部隊が我先に逃げ出し混乱を招いている。そんな連中を入れるより、アイツを入れた方がよほど信用できます」

 

「ですが!」

 

「それに、私は一夏を信じている。アイツなら大丈夫だ」

 

一夏を信じ、託した千冬に真耶は何も言わなくなり、一緒に一夏を信じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ内部では、シールドエネルギーがギリギリな鈴とオルコットが踏ん張っていた。先程通信で、千冬に一夏到着までの時間を稼ぐ様に頼まれたのだ。

 

「すぐに来るって言ってたけど、案外キツいわね……!」

 

「大丈夫ですわ……!あと少し、あと少し耐えれば、きっと……!」

 

2人共、立っているのがやっとの状態だ。ほとんど気力で戦ってる様な物だ。しかし、相手にはそんなこと関係ない。所属不明のISは、鈴達にトドメをさそうと迫ってきた。

 

((避けられない!!))

 

2人は諦めかけたが、まだ運は2人を見捨てていなかったようだ。

 

「ハァ!」

 

壁を破壊した一夏が、壁と一緒に正体不明のISを殴り飛ばしたのだ。

 

「遅くなった。後は俺がやる」

 

「本当よ。どれだけ待たせる気?」

 

「遅すぎですわ!」

 

「そんだけ騒げるなら大丈夫か。一気に片を付けさせてもらう!」

 

そう言うと、手首に巻いている腕時計の様なもの、ファイズアクセルからメモリーを抜き取り、携帯のメモリーと差し替えた。

 

『Complete』

 

電子音の後、体の基本カラーが黒に変わり、胸部のアーマーが展開し、複眼の色も赤に変わった。体に流れるラインも銀色に変化。超加速モード、アクセルフォームだ。

 

『一夏!!男なら……男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!』

 

「「な!?」」

 

「あの野郎!?」

 

超加速するためにファイズアクセルに付いているボタンを押そうとしたとき、突然の邪魔物が入った。バカデカイ放送が流れると、正体不明のISは放送室に狙いを定め、アリーナに突っ込んだ時と同じレーザーを放った。

 

「不味い!?」

 

『startup』

 

加速して、攻撃を体で受け止めた。別に箒1人だったら見捨てても構わなかったかもしれない。だが、放送室には他にも数名人がいた。恐らく逃げ遅れた放送部の人だろう。

 

それを守るために、一夏は体を張ったのだ。だが、アクセルフォームは胸部のアーマーが展開しているため、防御力が極端に下がっている。

 

「グワァ!!」

 

その状態で攻撃を体に受ければ、当然ダメージは生身の体まで来る。スーツもダメージ限界を迎え、解除されてしまった。

 

「一夏!!」

 

生身になった一夏に、止めをさそうと所属不明機が近付いてくる。だが、それは大丈夫だ。何故なら

 

「……おせーよ。呼んだらすぐに来い!」

 

事前にバジンを来るように呼んでいたからだ。バジンは一夏を立たせると、ファイズエッジを置いて、元の場所に戻って行った。

 

『555 ENTER』

 

「はぁ、全く…動いてくれよ?変身!!」

 

『Complete』

 

「よし。もう1回行くか」

 

『Complete startup』

 

正常に動くか不安だったが、なんとか動いてくれたようだ。渡されたファイズエッジに、もう片方のメモリーを差し込み、加速しながら相手に斬りかかった。その時、腕の装甲の一部が剥がれ、相手が無人機であることが判明。

 

「無人機ならこれ食らっても問題は無いな!」

 

ファイズエッジからメモリーを抜き取り、ポインターに差し込み、それを脚に付けた。

 

『Exceed Charge』

 

電子音の後、無人機に大量の円錐状のマーカーが付き、それに次々と蹴りを叩き込んだ。

 

『3・2・1 timeout』

 

『Reformation』

 

無人機は粉々に破壊され、ファイズは元の姿に戻った。

 

「これで、終わったか……」

 

『error』

 

ダメージが大きすぎたのか、強制的に変身が解除されると、そのまま倒れてしまった。制服の胸の辺りが少し焦げている。それが彼のダメージの大きさを物語っている。

 

その数時間後、一夏が目覚めると先程の報告を行った。その結果、戦闘及び避難の邪魔をした箒に反省文と1週間の自室謹慎処分が下った。

 

本人は一夏の応援の為だと全く悪びれた様子は無かったが、千冬にこっ酷く叱られた。ついでに、鈴には殴り飛ばされた。2秒位空中を漂っていたと思う。結構な力で殴ったようだ。




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未来の兄(笑)

短いです


無人機の襲撃後、壊れたアリーナのシールドと壁の修繕、大量に出来たクレーターの処理、その他諸々の影響でクラス対抗戦が中止となった。

 

「外出届け?どこに行くんだ?」

 

「スマートブレイン。あの後からコイツの調子が悪くてな」

 

千冬に外出届けを提出し、ファイズギアを見せながら行き先を伝えた。どうやらあの無人機の襲撃でファイズギアが不調になっているようだ。

 

まあ、あの攻撃をアクセルフォームで受けた上に、強制解除されたのにまたすぐに変身したのだ。当然と言えば当然だ。

 

「そうか。まあ良いだろう。今日中には帰ってこいよ」

 

「分かってるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイクを走らせ数時間。現在一夏はデカいビルの前に居る。そこがスマートブレイン。ファイズギアの開発元だ。ついでにその他のギアも開発している。

 

「またですか……織斑くん、アクセルフォームは防御が低いと何度言えば分かるんですか?ファイズアクセル渡した時と訓練中にも伝えた筈ですよね」

 

「しかたねーだろ。あん時はそうするしか無かったんだから」

 

「ブラスター使えば良いですよね。ブラスターの方が早く片付きましたよね」

 

一夏の行動に呆れているこの男。スマートブレインの社長の村上だ。因みに今回の様に突然訪れて修理を依頼するのは今回が初めてではない。数えるのが鬱陶しくなるくらいある。

 

「はぁ……分かりました。修理ができ次第IS学園に送ります。修理代は……まぁ今回は良いでしょう」

 

「あぁ、頼んだ」

 

それを伝え、ファイズギアを机の上に置き、社長室を出ていった。一夏の今日の予定はこれだけなので、スマートブレイン社の中をブラブラと歩き回っている。すると、1人の男に声をかけられた。

 

「ん?一夏か」

 

「ウェットティッ……草加か」

 

「おいコラ今なんて言おうとした。まぁ良い。このあと暇か?」

 

「あぁ。予定は無いが」

 

「なら少し買い物に付き合ってくれ」

 

「買い物って、どうせ姉貴へのプレゼントだろ。あんたからのプレゼントだったらなんでも喜ぶだろ」

 

会話の流れからも分かるように、草加と千冬は現在交際中だ。今年で3年ぐらいかな?とっとと結婚しろよ。

 

「まぁそう言うな。ちょっとの時間で終わる」

 

「前もそう言って2時間ぐらい付き合わされたよな」

 

何だかんだ言っているが、結局買い物に付き合ってしまった。現在は高級宝石店にアタッシュケースを持った2人が並んで立っている。

 

「何でそんな物を持ってきたんだ?」

 

「お前と買い物に行くとロクな事が無いからな」

 

実は草加もかなりの不幸体質なのだ。大体一夏と2人で出かけると、35%の確率で強盗にあったり、50%の確率で何かを無くす。2人で過ごすと不幸体質が強化されるのだ。全く嬉しくない相乗効果である。

 

「んで?今日は何を買うんだ?婚約用の指輪か?」

 

「それはまだ早いだろ。今回はネックレスにでもしておくか……」

 

なんで数年間交際してて婚約もしないんだよ。そろそろ痺れを切らして相手から言ってくるよ。千冬だから。

 

「ん~……」

 

「早く決めろよ。もう1時間も悩んでるだろ。いい加減にしろ」

 

「待ってくれ。もう少しだ」

 

「さっきも同じこと言ってただろ。つーか石ころなんかどれも同じだろ」

 

やっぱりかなりの時間付き合わされている。一夏からすればどれも同じ様に見えるが、買う人から見ると違う様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~それから2時間後~

 

「おい、マジでいい加減にしろ」

 

「ん?もうこんな時間か。もう行くか」

 

「結局買わないのかよ。」

 

「いや。もう買っている」

 

(クソッ!殴りてぇぇえ!!)

 

デルタギアの入っているアタッシュケースでぶん殴りたいと思った。結局、この日一夏は、草加によって3時間無駄にしたのであった。

 

「これ。渡しておいてくれ」

 

「自分で渡せよ」

 

「最近仕事が立て込んでてね。抜けられそうに無いんだよ」

 

断れずに受け取ってしまった。途中、何度か海に放り投げようとしたが、姉への届け物なので我慢していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「意外と早かったな。ファイズギアはどうなった?」

 

「修理ができ次第IS学園に送るだと。後これ」

 

「ん?なんだこれは?」

 

「草加からだ。渡すように言われた」

 

「そ、そうか。感謝する」

 

千冬の照れる顔を見て、早く結婚しろよ。と思いながら自室に戻り寝た。夕食もとらずにだ。そう言えば、今回は大きな不運はおきなかったな。




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2人の転校生

休みがあけたら次の日。今日は朝から村上からの連絡があった。後2日ぐらいでファイズギアの修理が完了するそうだ。が、デルタフォンが使いにくくて聞いていて少しイライラしていた。

 

まぁ、そんなことはさておき、今日はどう言う訳かクラス中がザワツイていた。どうやらこのクラスに転校生が来るようだ。しかも2人。そしてその内の1人が男だと言う。

 

しかし気になるのはそこではない。毎度の事ながら、一体どこからそんな情報が回ってくるかだ。男子校だろうが女子高だろうが、中学校や小学校でも、先生が伝える前から何故か全員が知っている。ある意味七不思議である。

 

一夏が何も考えずに目を瞑ってボーっとしていたら、真耶と千冬が教室に入ってきた。

 

「ホームルームを始めるぞ。全員座れ。織斑は起きろ」

 

その後、連絡事項を手短に済ませ、恐らくクラスの全員が聞きたいであろう連絡を、真耶に言わせた。

 

「はい。ええとですね。皆さんもう知ってると思いますが、今日は2人の転校生を紹介します!」

 

知っているとは言え、やはりテンションが上がるようだ。現在進行形でクラスが盛り上がっている。

 

「落ち着かんか!自己紹介が遅れるだろ!!」

 

千冬の一言で、クラスが一気に静まった。これだけ見るとクラス中から恐れられてる人物にしか見えない。だが、またすぐに騒がしくなることだろう。

 

「始めろ」

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

「やっぱり、男……」

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方が居ると聞いて、本国より転入を―」

 

人懐っこそうな顔。礼儀正しい立ち振舞いに中性的に整った顔立ち、濃い金色の髪。華奢に思えるぐらいに細く、スマート。シュッと伸びた足。

 

……チッ。モテ要素の塊である。作者が近くに居たら、即藁人形を作って呪うだろう。おや?後ろの方で釘を打つ音が……。

 

「きゃ……」

 

「あっ」

 

なんか嫌な予感がしたので、とっさに耳をふさいだ。次の瞬間、

 

「きゃああああああ!!!!」

 

「ングッ!グッ!」

 

クラス中に大きな衝撃波が響き渡り、ガラスに軽くヒビが入った。これぞIS学園の最終防衛システムだ。襲撃にあっても一瞬で片付き、なおかつ相手を殺さずに生きた状態での確保が可能だ。まぁ鼓膜は無事ではすまないだろうがな。

 

「男子!2人目の男子!」

 

「しかもうちのクラス!」

 

「美形!守ってあげたくなる系の!」

 

「地球に生まれて良かったーーー!!!」

 

元気な事でなによりだな。このクラスは。

 

「貴様ら。少しは静かに出来んのか?まだ残っているだろ。それとも、それを認識できんのか?」

 

あまりにも五月蝿いことに、少しイラッと来たようだ。言葉と共に僅かに殺気が含まれている。

 

「み、皆さん。まだ自己紹介が終わっていませんから~!」

 

「……」

 

挨拶ぐらいしろよ。無言は止めてやれ。山田先生が可哀想だ。

 

「……挨拶をしろ。ラウラ」

 

「はい。教官」

 

礼儀正しいと言えば礼儀正しい。が、ズレている。クラス一同、ポカーンとしている。

 

「ここではそう呼ぶな。私はもう教官ではない」

 

「了解しました。ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

至極シンプルである。

 

「い、以上ですか?」

 

「以上だ」

 

このいたたまれない空気をどうにかしてくれ。山田先生は出来る限りの笑顔を作ってラウラに聞くが、無慈悲な即答だけで、泣きそうな顔をしている。先生をいじめるな。興味無さげにラウラの様子を見ていると、バッチリ目があった。

 

「ッ!貴様が―」

 

何故か急に殴られた。他の作品では兎も角、この作品で一夏とラウラは初対面の筈だが。

 

「どうした?虫でも止まってたか?」

 

が、一夏は全くダメージを受けていない。あんな無駄な動きの無い平手打ちを受けたのに。こんな一夏を見て、周りの人は少なからず引いている。

 

「ッ!?私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか!」

 

「アンタ1人が喚いた所でその事実は変わらねぇよ」

 

なんか訳の分からない事を言って自分の席に向かっていった。

 

「はぁ、ホームルームはこれで終わる。各自着替えて第2グラウンドに集合しろ。今日は2組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

ホームルームも終わったので、一夏はとっとと空いてる更衣室に向かおうとしたのだが、

 

「待て織斑。お前、デュノアの面倒を見てやれ。取り敢えずお前は同じ男子だろ」

 

予想はしていたが、実際頼まれると面倒なことこの上ない。しかも随分と言い方が酷い。

 

「君が織斑くん?初めまして。僕は―」

 

「んな事はどうでも良い。早く移動するぞ。女子が着替え始めてるぞ」

 

説明すると同時に、デュノアを連れて教室から出ていった。

 

「男子は空いてる更衣室で着替えろ。実習のたびに移動になるからとっとと慣れろよ」

 

「う、うん……」

 

何故かソワソワしている。

 

「どうした?トイレか?」

 

「ち、違うよ!」

 

「そうか。置いていかれたくなかったら急げ」




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転校生との1日

今現在、一夏とデュノアは現在進行形で全力疾走をしている。学校の廊下を走るなよ。全力で走っている理由は1つ。スピードを落とせば捕まるからだ。

 

誰に?まさかとは思うが、この小説を読んでいる画面の前のお友達の皆は知らない筈が無いよね。それでは紹介しよう。2人を捕まえようとするハンター達を。

 

「いたっ!こっちよ!!」

 

「者ども!出会え出会えい!!」

 

学校中の女子だ。つまり今の状態は、一夏&デュノアVS他1年1組以外の全校生徒だ。と言うか、いつからここは武家屋敷になった?

 

「織斑君の黒髪も良いけど、金髪って言うのも良いわね!」

 

「しかも瞳はアメジスト!」

 

四方を囲まれた。

 

「チッ」

 

これ以上の時間のロスは危険と判断したのか、多少強引ではあるが、正面を突っ切る事にした。少しでも動きやすくするために、デュノアを抱えてだ。所謂お姫様抱っこ。ではなく、荷物を運ぶ様に担いで進んでいく。

 

「キャアアア!!見て!お姫様抱っこじゃない事にはツッコミたいけど良い光景よ!!」

 

「眼福眼福」

 

拝むな。崇めるな。ただただ全員の頭上を飛び越えるだけなのに。何故かデュノアも顔面を真っ赤にさせて黙ってしまった。……コイツ、もしかして男色家?

 

その後も、追い掛けてくる女子が数名いたが、何故かポケットの中に閃光弾が入っていたので全員撒けた。大方草加がイタズラで仕込んだのだろう。この前会ったときの服装は制服だったからな。意図は全く分からんが……。

 

「やっと着いたな。早く着替えるぞ」

 

「う、うん」

 

何故か気まずそうにしている。

 

「早く着替えろよ。」

 

「早!?ISスーツは?」

 

「俺のは着る必要が無いんだよ。さっさとしろ。」

 

手際よくジャージに着替えて第2グラウンドへと向かってしまった。数分後、デュノアも慌ててグラウンドに集合した。一夏が運んだお陰で、遅れることはなかった。

 

「全員居るな。では、今日より格闘および射撃を含む実戦訓練に入る」

 

「はい!」

 

1組と2組の合同。人数はいつもの倍となり、出てくる返事もいつもより気合いが入っているように思える。

 

「じゃあそうだな……、オルコット!凰!お前達2人が実演してみろ」

 

千冬に呼ばれ、前に出たが露骨に嫌な顔をしていた。

 

「なんでわたくし達が……」

 

「流石に面倒よね~」

 

「専用機持ちはすぐに始められるだろ。少しはやる気をだせ。アイツに良いところ見せられるぞ~」

 

一夏を売りやがった。この言葉にオルコットはやる気を出したが、鈴はそうでもなかった。何故なら、彼女は一夏を真友以上には見ることが出来ないからだ。

 

「凰。本気を出して強くなった所を見せれば、アイツは今までに以上にお前と全力で戦ってくれるぞ」

 

「全力で!ならやるしか無いわね!!」

 

こっちの方が効果覿面だった。鈴は一夏を真友と思っているが、それ以上に良き好敵手と思っている様だ。彼女らしいと言えば彼女らしい。

 

「で?相手は誰ですか?セシリアですか?」

 

やる気出しすぎだ。千冬も若干引いている。

 

「落ち着け、慌てるな。もう少しで来る」

 

こんなやり取りをしていると、上空から空気を裂くような音が聞こえてきた。

 

「あああああーっ!ど、どいてください~っ!!」

 

「ん?ヌァッ!!」

 

流石にこれでは一夏も目を瞑る。だが、いつまで経っても体に痛みが来なかった。普通なら骨の砕ける音や、内蔵が破裂する音が聞こえてくる筈だ。だがそれが来ない。痛みを感じる間もなく死んだと言う事だろうか?

 

そんな訳は無い。物語が進まなくなるからな。

 

ゆっくりと目を開けると、ラファールを纏った真耶をバジンが受け止めていた。今日は使うため、近くに持ってきていたのが幸いしたようだ。多分今年の運を使いきったな。

 

「ビックリした~。サンキューバジン」

 

「す、すみません。お手数をかけてしまって……」

 

2人がバジンに礼を言うと、バイクに戻って待機した。カッコいいな。

 

「と言うわけで、山田先生が2人の相手だ」

 

なにがと言うわけでだよ。と突っ込みたくなった。

 

「山田先生は元とは言え代表候補生。実力はかなりの物だ。2対1でも今のお前達に勝ち目は無いだろう」

 

この言葉に2人は燃えた。と言うより、頭に血が昇り、沸騰している。その為、2人の攻撃全てが真耶に簡単にかわされた。

 

「さて今の内に、デュノア。山田先生が使っている機体の説明をしろ」

 

「はい。山田先生が使っている機体は、デュノア社製のラファール・リヴァイブです。第2世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期型第3世代型にも劣らないもので、安定した性能と高い汎用性、豊富な後付け武装が特徴の機体です。現在配備されている量産型ISの中では最後発でありながら世界第3位のシェアを持ち、7ヵ国でライセンス生産、12ヵ国で制式採用されています―――」

 

その後も、デュノアの説明が続いたが、試合が終わりそうになったので一旦止めた。

 

「クソ。負けた」

 

女子がクソとか使うなよ。手も足も出なかった。いや、正確には頭に血が昇り、冷静な判断が出来ず自爆した。の方が正しい。

 

「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力が理解出来ただろう。以後、敬意を持って接するように」

 

その後は、各専用機持ちごとに別れて、それぞれ実習を行った。班ごとに教え方や温度差等はあったが、特に問題なく進んだ。ただ、先程負けた2人は少し落ち込んでいたため、テンションが下がりながらの指導となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、授業が終わり疲れを癒すための時間。一夏、鈴、オルコット、デュノアの4人は屋上で昼食をとっていた。

 

ん?いつも突っ掛かってくるポニーテールのヒドインはどうしだって?まぁ伝えるまでも無いと思っていたので言っていないが、今日まで自室謹慎中だ。理由は無人機のあれだ。

 

「さーてと。一夏。昔約束した酢豚よ。ちゃんと腕をあげてきたから食べてみなさい。あっ、温度は下げてあるから大丈夫よ」

 

「ああ。おっ、マジで美味くなってるな」

 

少し疑っていた様だ。そんな鈴を見て、オルコットも対抗し、一夏に自分の作ったサンドイッチを食べさせてみた。すると……

 

「ガハァッ!?」

 

一夏が倒れた。よほど不味かったようだ。因みに、今引いたのは、ハズレの中のハズレである。ここでは運の悪さを発動するとは……。

 

次に一夏が目を覚ましたのは、保健室のベットの上である。授業は全部終わって放課後になっていたようだ。夕食をとるために食堂に行くと、オルコットに会ってしまい。全力の謝罪を受けた。が、当の本人が何故気絶したかを覚えていなかった為、なんのことかは理解出来なかった。




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貴公子の正体

本来ならここで「ふざけた作文」が出てくるんですが、あれは当時、ネタが間に合わなかった為に苦し紛れで投稿したストーリー進行には一切関係ないものです。なのでリメイク版の今回、今のところ乗せるつもりはありません。

福音事件まで書いたらコラボトークショーを挟み福音後の1年生時のストーリー。短いけど2年生時、3年生時のストーリーにでも行こうかと思ってます。まぁ戦闘シーンは少なくなるので、ちょっとのろのろした感じになります。

その後完結編を書いて、短編集。草加編。木場編。過去編。タイミングを見てディケイド編。再び短編集を書いてから最期編。デルタサーガ。新編。この順番で行くつもりです。


2人の転校生が来た次の日の放課後。前日屋上で昼食をとっていたメンバーは現在、アリーナで訓練をしている。のだが……

 

「ハァァ!!」

 

「キャァァ!!」

 

3人とも一夏にブッ飛ばされていた。唯一鈴だけが食い付いている様だ。

 

「なんですの!?その機体!代表決定戦の時に一度戦ってるからまだ勝ち目があると思っていましたのに!!」

 

「本当、強すぎるよ」

 

オルコットもデュノアも、一夏に手も足も出ずにダウンしたようだ。

 

「Check」

 

『Exceedcharge』

 

「デリャァ!!」

 

「キァァ!!」

 

とうとう鈴もルシファーズハンマーを受け、ダウンしてしまった。

 

「イタタタ。ちょっとは手加減してよ~」

 

「手加減したら意味ねーだろ」

 

ごもっともである。訓練である以上、全力で取り組まなければ意味が無い。

 

「ねぇ、ちょっとアレ……」

 

「ウソッ、ドイツの第3世代型だ」

 

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど……」

 

急にアリーナ内がざわつき始めた。一夏達もそっちに視線を移すと、そこにはもう一人の転校生、ドイツの代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒだった。

 

「おい」

 

オープンチャンネルで話しかけてきた。

 

「なんか用か?」

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話は早い。私と戦え」

 

いきなりの申し出だった。

 

「断る。面倒くせー。試合でもないしお前と訓練している訳でもない。俺にゃ理由がねぇよ」

 

「貴様には無くとも、私にはある」

 

「お前?なんの理由があるってんだよ?」

 

何の事を言ってるのかは一夏にはさっぱりだ。

 

「貴様がいなければ教官が大会2連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像が出来る。だから、私は貴様を、貴様の存在を認めない!」

 

恐らく彼女が言っているのは、第2回モンド・グロッソ決勝戦の事だろう。その日、一夏は変な連中に誘拐された。連中の目的は千冬の決勝戦の破棄。これ以外はなにも分からなかった。

 

そこに助けに来てくれたのが千冬、と言いたいが、実際は違う。ギリシャ文字のΩを模した金色のライダーだった。その後に千冬が一夏を保護してくれた。これを知るのは一夏と千冬だけだ。金色のライダーの変身者を2人はまだ知らない。

 

まぁこれを言ったところで彼女が止まることは無いだろう。彼女の目に写っている一夏は、尊敬する千冬の経歴に傷を付けた憎い相手としてだろう。

 

しかし、そんなことは戦う理由にはならない。あの日の事を気にしていないと言えば嘘になるが、今更それを言ったところで過去が変わるわけではない。故に、一夏はそれを消し去るレベルまで強くなろうとしている。かなり危険な方法ではあるがな。(ブラスターとかのこと)

 

「また今度な」

 

「ふん。ならば、戦わざるおえないようにしてやる!」

 

そう言うと、ラウラはISを戦闘状態へとシフトさせ、左肩に装備された大型の実弾砲をぶっぱなした。

 

「……危ねーな。いきなりの撃つなよ」

 

ゴガギンッ!

 

放たれた砲弾を野球ボールの様にキャッチし投げ返した。キャッチするのにどんな音出してんだよ。

 

「こんな密集したところで撃つんじゃねーよ。ドイツでは流行ってんのか?人が密集したところになんかデカイ球体を落とすのが。ほら、返すぜ」

 

「グワァッ!貴様……!」

 

結構吹っ飛んで行った。意外とISって軽いな。一夏の行動にイラッと来たのか、本格的な戦闘になりそうになった。

 

『そこの生徒!何をやっている!学年とクラス、出席番号を言え!』

 

突然アリーナのスピーカーから声が響いてきた。騒ぎを聞き付けてやって来た監督の教師だろう。なんでもっと早くに止めないんだよ。

 

「……ふん。今日は引こう」

 

横やりを入れられて興が削がれたのか、戦闘状態を解除してアリーナゲートに向かっていった。怒った教師が待っているだろうが、彼女の性格上ガン無視だろう。

 

「大丈夫?」

 

「問題ない。さっさと帰るぞ。そろそろ閉館だ」

 

その後、一夏は飲み物を買いに自販機へと向かった。まぁどっかの神様シリーズしか無いんだけどな。少し部屋に着くのが遅くなるので、デュノアに部屋の鍵を渡してだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、かなり時間がかかったな」

 

何本かのジュースを持って一夏が寮に戻ってきた。メロンエナジーにレモンエナジー、ピーチエナジー、チェリーエナジー、4本も買ってきたようだ。

 

「メロン以外は冷蔵庫に入れておこ」

 

部屋に入ると、早速メロン以外のジュースを冷蔵庫に入れ、氷を入れたコップにメロンエナジーを注いだ。因みにこれは炭酸がかなり強いので、落としてしまった場合は覚悟が必要です。コップに注ぎ終わると、シャワーの音が一夏の耳に入ってきた。デュノアがシャワーでも浴びているのだろ。

 

「あ、ボディーソープ切れてた」

 

昨日の夜に使いきったことを思い出して、詰め替え用のボディーソープをデュノアに渡すためにシャワールームに入っていった。

 

「デュノア、ボディーソープの替え持ってきたぞ」

 

「へ?い、一夏……」

 

「詰め替えておけよ」

 

「は、はい……」

 

確実に見た筈だが、詰め替えるように言って、後は出ていった。

 

~5分後~

 

「そ、その、見た?」

 

「あぁ。まさかお前が……性同一性障害だったなんて……」

 

「へ?」

 

性同一性障害、生物学的な性別をハッキリと認知していながらも、心理的にはそれと別の性に属していると確信している状態。GIDとも言う。

 

「イヤ、本当、気付いてやれなくてごめんな。皆には黙っておくよ」

 

「い、いや性同一性障害じゃないけど……」

 

「ん?じゃあ男だったけど、女になるために全身改造してきたのか?いくら掛かるんだよ。それ?」

 

「別に手術もしてないよ!」

 

全部自分の斜め上の答えを出してくる一夏に、突っ込みを入れてしまった。普通の人なら「お前女だったのかぁ!!?」的な反応をするからだ。

 

「え?生まれつき女だったのか?」

 

「どう考えてもそれしか無いでしょ!?」

 

「あっそう。じゃあなんで男の格好なんかしてたんだ?」

 

「実家から言われたんだ。デュノア社にね」

 

この学園に男として転校した理由。それは経営難に陥ったデュノア社を立て直すためだった。デュノア社は他の企業に比べて第3世代の研究が遅れている。その為IS学園に入り、第3世代機のデータを取ってくるためだそうだ。そして、あわよくば一夏に近付き、スマートブレインの機体を盗み出す等、所謂スパイ行為を命令されたのだ。

 

「んな事どうでも良いけどよ。お前はどうするんだ?」

 

「事の全てがばれちゃったし、本国に強制送還からの牢獄行きかな?これだけの事をやろうとしてたんだから」

 

いくら強要されたとは言え、スパイ行為だ。このまま行けば、デュノアの言った未来が現実になるだろう。だが、一夏の聞きたい答えはそれではない。

 

「ハッキリ言って俺はお前が牢獄に行こうと興味はない。俺が聞きたいのはお前がどうしたいかだ。良いのか?それで?」

 

「で、でも、そうなるしか……」

 

「はぁ、これ読め。IS学園の特記事項。本校に在学する者は、3年間在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に属しない。本人の同意が無い場合、それらの外的介入の一切は許可されない」

 

「これって……」

 

「取り敢えず3年間は身の安全があるって事だ。まぁまだ3年と捉えるか、3年しか無いと捉えるかは別だけどな」

 

3年。確かに長いように感じるが、たかだか3年で企業の状態や国の状態が変わる訳ではない。短すぎる。

 

「後は好きにしろ」

 

それを伝えると、一夏は部屋から出ていき、人気の無い場所に行った。

 

「もしもし、俺だ。話がある。今週の土曜日、予定を空けておいてくれ」

 

『また急ですね。今度はなんですか?』

 

「ここじゃあ言えない。そっちで直接言う」

 

『分かりました。ただし長い時間は取れないので手短にお願いします』

 

「分かった」

 

『あぁ、後、ベルトの修理が完了したので明日届けます。草加くんが届けると言っていたので、彼から受け取ってください』

 

「あぁ、サンキューな」

 

そのまま電話を切り、軽めの食事を買うために食堂に向かった。




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ドイツ軍と殴り合い

長期的な休暇が欲しいな~


デュノアの正体が一夏にバレた次の日の朝、複数の生徒が大きな声で何かを言っていた。廊下までに響いている。

 

「何騒いでんだ?」

 

「さあ?」

 

因みにデュノアはまだ男性用の制服だ。クラスの皆には話してないからな。

 

「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなのよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君と交際でき―」

 

「俺がなんだって?」

 

「「「キャァァ!!」」」

 

何故か一夏が声をかけたら慌てて逃げていった。しかし優勝出来たら一夏と交際と言う妙な噂、これは恐らく、完全にあれが原因だろう。

 

昨日の夜、消灯時間ギリギリの時間、謹慎の解けた箒が一夏とデュノアの部屋を訪ねて来たのだ。そして大声で「私が優勝したら付き合ってもらう!」とか叫んでいたことだ。

 

まぁ、当の一夏本人は寝る寸前だったと言うこともあり、話なんか全く聞いていなかった。右耳に入って左耳へと流していし、デュノアは1時間ぐらい前に寝ていたので話は耳に入っていない。

 

たぶんその声を聞いた他の生徒が、誰かに話してそれが学校中に噂として広まり、現在に至ったのだろう。9割女子校って怖いな。

 

「なんだアレ?」

 

「あ、一夏~。おはよう!」

 

「あぁ、鈴。朝からよく炭酸なんか飲めるな」

 

炭酸強めのコーラを片手に持った鈴が現れた。

 

「まぁ~ね。それよりも、あんたも災難ね。変な噂流されて」

 

「は?」

 

「え?知らないの?自分の事なのに?」

 

聞こうとしたら悲鳴をあげて逃げていったからな。一夏は今現在なにも知らない。

 

「なんかアンタ、今度やる大会の優勝賞品になってたわよ」

 

本来出回っている噂よりも酷い言い方だ。事実である事に間違いは無いが、別の誤解を生みそうだ。

 

「なんだそれ……」

 

「まぁ、75日たてば忘れ去られるから、それまで待ってれば?じゃあ私自分のクラスに戻るわ」

 

トーナメントまでもう少しなんだけどね。

 

「どうすんだよこれ」

 

「変に本当の事を伝えても、別の噂が広がりそうだしね……」

 

この日1日、一夏は自分の不幸体質を恨みながら授業を受けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恨みながら授業を受けた放課後、修理が完了したファイズギアを受け取りに、職員室に来ていた。とっとと受け取ってデュノアとアリーナに行こうとしていたのだが、

 

「何やってんだ?草加」

 

「あぁ、来てたのか。一夏」

 

「さっきから居たよ。早くファイズギアよこせ。姉貴とコーヒーなんか飲んでないで」

 

しばらく会えてないから仕方無いと思うが、ここ学校だぞ。それに草加は仕事でここに来ている。

 

「良いではないか。後5分だけだ」

 

「姉貴、あんた仮にも教師だよな。仕事あるだろ」

 

「いいだろ一夏?5分ぐらい許してやれ。それに俺は今日の為に仕事を全部終わらせてきた!」

 

誇らしげに言っている姿がイラッとくる。

 

「尺が勿体無いんだよ。早くしろ」

 

「チッ。千冬、また今度な」

 

「そんな~……」

 

久々に会えたが、時間が短かったのか千冬が少し泣きそうになっている。

 

「今度2人で誰にも邪魔されないところに行こう。そこで今まで会えなかった分の埋め合わせをッ!!」

 

「いい加減にしろバカ共!」

 

キスしそうなくらい千冬に顔を近付けていたので、カイザギアの入っているアタッシュケースを使って、全力で草加の後頭部を殴った。あのまま行ってたら確実にしていただろう。

 

「一夏!君は将来の兄に何て事をするんだ!」

 

「お前が俺の兄貴になるくらいなら俺は家を出ていく!とっとと帰れ!帰るのが嫌ならアリーナで俺の訓練相手になれ!」

 

そんなことを言われたら、大体は帰るはずだ。だが草加はアリーナで一夏の相手をすることにした。

 

「えっと……、一夏、隣の人は?」

 

「草加雅人。姉貴の恋人だ。」

 

「え!?織斑先生恋人居たの!?」

 

悪くないリアクションだな。スマートブレイン内部でも、草加に恋人がいると言ったら周りから驚かれた。この2人に恋人がいるのはかなり意外な様だ。

 

3人が使用人数の少ないと聞いた第3アリーナに向かっていくと、近づくにつれなにやら慌ただしい様子が伝わってきた。

 

「何だ?」

 

「何かあったのか?」

 

様子をうかがうために前に出ようとしたとき、

 

ドゴォンッ!!

 

突然爆発音が響いた。その音を聞いた3人は、強引にではあるが、前に出て様子を見た。

 

「鈴!?オルコット!?」

 

ISを使ったら模擬戦、と言うよりは、ラウラが2人を一方的に攻めている様にしか見えなかった。機体の状態も危険だ。だが、それでも無理矢理動かして戦っている。

 

「一夏!」

 

「分かってる!」

 

「「変身!」」

 

『『complete』』

 

2人は変身すると、アリーナのシールドをぶち破って中に入り、3人の間に入った。

 

「おい。何をやってるんだ。お前は?」

 

「何をやっている?見ての通り模擬戦だが。何か問題でもあったか?」

 

「一方的に痛め付けてただけだろ」

 

「その2人が弱いだけだ」

 

「……草加。2人をここから出してくれ」

 

「……分かった」

 

一夏は草加に頼み、鈴とオルコットをアリーナの外まで運んでもらった。

 

「お前、昨日俺に自分と戦えって言ってたよな。良いぜ。相手になってやる。ただし、無事で済むと思うなよ」

 

本気でやるようだ。友人を傷つけられた事でかなり頭に来ている。

 

「ふん。無事で済まんのは貴様の方だ」

 

2人の間にビリビリとした空気が流れる。一夏だけではない。ラウラも本気で一夏を潰しに行くようだ。

 

「ハァ!」

 

『Ready』

 

ファイズショットにミッションメモリーをさし込み、ラウラ目掛けて走り出した。

 

「直線的に突っ込んでくるとは……絵に書いたような愚図だな」

 

「ッ!?」

 

突然一夏の動きが止まった。

 

「やはり敵ではないな。私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、貴様も有象無象の1つでしかない。消え失せろ」

 

肩の大型カノンが回転し、一夏に止めをさそうとしたが、

 

「グゥゥ!!ハァァ!!」

 

無理矢理拘束を外した。

 

「な!?ガッ!」

 

この予想外の動きに、ラウラは驚き、隙を作ってしまい、殴り飛ばされた。

 

『Ready』

 

『ExceedCharge』

 

ラウラが立ち上がり、一夏に向けて加速するが、一夏もミッションメモリーをファイズショットから抜き取り、ポインターに差し込んだ。

 

「グ!?」

 

加速するラウラに、円錐状の光で拘束した。

 

「終わりだ!!ハァァ!!!」

 

クリムゾンスマッシュでラウラにとどめさそうとした。だが、

 

「よせ!一夏!!」

 

『ENTER』

『Exceed Charge』

 

「グワッ!?止めんなよ危ぇな!」

 

空中で草加のグランインパクトが一夏に直撃。それによってクリムゾンスマッシュは阻止された。

 

「バカか!その攻撃を有人のISに撃ってみろ!機体は大破し、操縦者は灰になって消えるぞ!もう十分だろ。これ以上は意味が無い」

 

「……」

 

草加の言葉に納得したのか、変身を解除してアリーナから出ていった。

 

「2人はどうした?」

 

「デュノアが医務室に運んでくれたよ」

 

「そうか」

 

その言葉を聞いた一夏は、見舞いの為に医務室に向かった。途中、千冬に会い、アリーナのシールド破壊とやり過ぎについて注意され、この戦いは学年別トーナメントで決着をつけるように言われた。後でラウラにも同じことを伝えるつもりの様だ。




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訓練の前に

「…………」

 

「…………」

 

現在保健室。第3アリーナの件から少し時間が経っている。ベッドの上では包帯やら湿布やらでぐるぐる巻になっている鈴とオルコットがボーっとしていた。

 

「別に助けてくれなくても良かったのに」

 

「あのまま行けば勝ってましたわ」

 

「イヤ無理だろ」

 

鈴とオルコットが強がっていたが、一夏がバッサリと切り捨てた。まぁ、鈴は頭に血を上らせず冷静に居れば勝てたかも知れないが、オルコットは機体の性能をフルに稼動できていない。あのまま行っても勝つことは無かっただろう。

 

「俺と草加が入らなかったら、包帯と湿布の他にギプスも巻くはめになったぞ」

 

「後は、機体のフルメンテ。最悪オーバーホールしてからパーツを1から組み立てることになってたかもね。2人が割って入ってくれたから通常メンテでなんとかなったって感じかな」

 

一夏の言葉に、デュノアが付けたし、この言葉に2人はぐうの音も出ない。確かにあの状態で続けていたら、確実にオーバーホール、もっと悪ければ廃棄の可能性も無くはない。

 

ある意味、今の状況はラッキーと言えるだろう。が、2人にはやっぱり納得出来ない所があるらしく、少し不機嫌そうだった。2人の様子も見たことだし、部屋に戻ろうとしたその時、

 

ドドドドドドッ……!

 

「ん?地震?」

 

イヤ揺れてないだろ。廊下からの地鳴りの様だ。そしてそれはだんだんと近付いている。気のせいだろうと思っているが、ドアに目を向けていると、

 

ドカーン!!

 

急にドアが吹っ飛んだ。ジャンプ系のアニメでありがちなシーンだ。修理費いくらだろう?結構高そうなドアだが。

 

「織斑くん!」

 

「デュノアくん!」

 

女子が雪崩れ込んできた。IS学園はその規模故に保健室と言えども普通の学校の3倍以上の広さがあるのだが、それが一気に埋め尽くされた。しかも一夏とデュノアを見つけると、我先に捕まえようと手を伸ばしているため、軽くホラー映像みたいになっている。……ホラー映像より怖いかも知れない。

 

「お前らここ保健室だぞ!」

 

「ど、どうしたの、みんな……ちょ、ちょっと落ち着いて!」

 

「「「これ!!」」」

 

その言葉を聞くと、女子生徒がバン!と一同に学内の緊急告知文が書かれた申込書を出した。

 

「あ?何だ?」

 

「『今月開催する学年別トーナメントでは、より実戦的な模擬戦闘を行うため、2人組での参加を必須とする。締め切りは―』」

 

「ああそこまでは良いよ。兎に角!」

 

そして、また手を一斉に差し出した。

 

「私と組もう!織斑くん!」

 

「私と組んで!デュノアくん!」

 

面倒くさい事この上なし。と言う表情をしている。しかし、一夏はこの中の誰かとペアを組むのは不味いと思っていた。自分がではない。デュノアだ。彼女の正体を知るのは、今のところ自分だけ。協力者が居れば、その人とデュノアを組ませ自分は不参加。と言うのは可能だが、生憎そんな便利な協力者なんて居ない。かと言って片足を突っ込んでしまった件を放り投げて、デュノアを見捨てるのは少々心苦しい。そのため、仕方無く一夏はデュノアを指差し、

 

「悪いな。俺コイツと組むから」

 

一夏はかなり苦い表情をしている。それを言うと、女子の波が去っていった。何故か滅茶苦茶暗い雰囲気になっていたが、一夏には全く関係がない。

 

静かになった保健室で、鈴が「一夏も出るなら私も出る!」と張りきり、オルコットと出ようとしたが、2人の機体の状況を伝えに来た山田先生に、ダメージレベルがCを越えていると言うことで、学年別トーナメントへの参加は不可能になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学年別トーナメントを2日後に控えた休日。出ると言ってしまった以上、出るしか無い。その為、今日一日は訓練に使いきろうかと思っていたが、大事なことを思い出した。

 

「またスマートブレイン。今度は何をやらかした?」

 

「何もやってねーよ。社長と話があるだけだ」

 

朝から外出届を出していた。

 

「まぁ、分かった。ついでにスマートブレインに行くならこれを渡してくれ。この前のネックレスのお返しだ」

 

そう言うと、千冬は一夏に、ワインを渡した。かなり高そうだ。その前に未成年になんてものを持たせてるんだ。

 

「せめてラッピングしろ。剥き出しで持たせるとかどんな神経してんだ?」

 

一夏に言われて、それもそうだと思い、綺麗にラッピングしたものを渡した。それでも調べられれば完全にアウトだけどな。置いていこうかと思ったが、後が五月蝿いので持っていくことにした。バッグに入れてだ。

 

数時間バイクを走らせ、スマートブレイン内に入ると、まず草加を1発ぶん殴ってから、千冬に持たされたワインを渡した。頭に投げ付けてやろうかと思ったが、騒ぎになりそうなので止めておいた。そんなことがありながら、ようやく社長室に入り、村上と話を始めた。

 

「お待ちしていました。それで話とは?ここでしか言えないような内容みたいですが……」

 

「ああ。この前来た転校生の片方の事だ」

 

そう言うと、一夏はデュノアの写真を村上に渡した。

 

「この子がどうかしましたか?」

 

「2人目の男性IS操縦者として学園に来たんだが、実はデュノア社からのスパイだったみたいでな。このまま行けば牢屋行きは確実だが、本人は普通に生きたいと言っている。だから……」

 

「彼女を助けたいと……一夏くん。私は貴方に感謝しています。ファイズギアやデルタギアの使用者として、貴方は今までにこの会社に貢献してくれました。ですので私も貴方の頼みはなるべく聞き入れたいと思っていますが、今回の件には協力出来ません。メリットが無い上に、これから逮捕者が出る可能性のある企業です。そんな企業は潰すにこしたことはありませんが、この会社が不利益を被る事は出来ません」

 

「メリットなら多少だがある。デュノア社はイグニッションプランからは外されたが、世界3位のIS企業だ。そこを買収すれば、ラファールの設計図が無条件で手に入る。その他にもデュノア社のIS情報や研究用に支給されたISと警備用に配備されているISのコア。そしてスマートブレインが手を加えればイグニッションプランに再び入ることも出来る。これだけメリットがあればこっちの不利益はカバーできる筈だ」

 

一夏の言うデュノア社買収のメリットに、村上はしばらく黙り込み考えた。

 

「貴方がこれほどまでに熱くなるのは珍しいですね。まぁ、確かに一夏くんの言うメリットは正しい………分かりました。やってみましょう。明日には全てが片付く筈です」

 

「分かった。感謝するぜ」

 

そのまま部屋を出て帰ろうとしたが、

 

「待ってください。もし私が協力しないと言った場合、貴方はどうするつもりだったんですか?」

 

「物理的にデュノア社を潰していた。文字通り跡形もなくな。後々面倒にはなるが、1番手っ取り早い方法でもあるからよ」

 

これを聞いて、今回の話を受けて良かったと心底思う村上だった。翌日のニュースで、デュノア社社長婦人とその他数名の社員が逮捕されたことと、デュノア社がスマートブレインに買収されたことは余談だろう。




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学年別トーナメント

デュノア社がスマートブレインに取り込まれたニュースがあったが、デュノアには大して影響が出なかった。その辺も全て手を回してくれたようだ。

 

このニュースを聞いたデュノアからは、朝からスゴくお礼を言われた。が、寝ている一夏を叩き起こした上でのお礼なので、本人はかなり迷惑がっていた。

 

その後は、仕方無く起きてトーナメントに向けての訓練をすることに。

 

「1日無駄にしたな……」

 

日曜日は大体寝ている一夏にとって、平日と同じ時間に起きたと言うことは、その日1日が台無しになったのと同じなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな日曜日を過ごして週明け、時間のかかる行事は週の始めに持ってこようと言う学園独自の考えで、大体の行事は月曜日から開始する。

 

そして今日は、学年別トーナメントである。しかも今年は優勝商品付きと言うことで、参加者全員、異常なまでに気合いが入っている。あの誤解はまだ解けていないようだ。

 

そして第1試合のカードは、一夏&デュノアVSラウラ&篠ノ之となった。初戦から一夏とは色々ある2人が相手となった。

 

「この学園は俺に恨みでもあるのか?」

 

「アハハハ……」

 

一夏の発言に、デュノアは笑うしか無かった。最近篠ノ之が謹慎になっていた為、一夏への迷惑は少し減っていたが、多いことに変わりはない。そして今回、まさかの煩わしい1号と2号が初戦から出てきた。因みに、対戦相手は完全ランダムなので運が悪かったと言うことになる。ここでも不幸体質の発動であった。

 

「1戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたと言うものだ」

 

「そりゃー良かったな」

 

相手はやるき満々だが、対照的に一夏は仮面で顔が隠されてるが、諦めかけた笑みを浮かべているのが分かる。現に今頭を抱えている。そして、イライラもだんだんMAXに……

 

「叩きのめす!」

 

「上等だ!殺れるもんなら殺ってみろ!!」

 

普段はキレない一夏だが、流石に今回ばかしは少しキレている。文字がおかしくなってる。

 

試合開始のブザーと共に、一夏とラウラは走りだし、武器を無視して殴り合いに入った。……これISの試合だよな。今完全に2人はただの殴り合いの死合になっている。

 

両者の相方のデュノアと篠ノ之はと言うと、篠ノ之が一方的に押されているだけだった。当然だ。相手はアサルトライフルやグレネード使ってるのに、何故かブレード1本で戦っている。打鉄にも「焔備」と言う飛び道具は積み込まれている筈なのだが……何に拘っているんだが。

 

「グッ!貴様!飛び道具とは卑怯だぞ!正々堂々と戦わんか!!」

 

「何言ってんの?戦いに卑怯も丁寧も無いよ!それに、シッカリと正面から戦ってるよ!!」

 

うん確かにデュノアは死角からは攻撃せず、正面から銃を乱射している。最終的に、篠ノ之は蜂の巣にされ負けた。うわぁ~と言う感想しか出てこない。絵に描いたような雑魚キャラっぷりだ。

 

そして、一夏達はと言うと、

 

『Ready』

 

一夏は右手にファイズショットをはめている。この前喧嘩した時と同じだ。だがラウラはAICを使わない。無理矢理ほどかれるのが分かっているからだ。前回は無理矢理ほどかれて隙を作った。同じ過ちは繰り返さない為に、今回は最初からAICを使わずに相手をしている。

 

「どうした?AICは使わねーのか?」

 

「同じ過ちを繰り返すほど、私はバカではない!」

 

「そうかよ!」

 

殴っては殴られの繰り返しである。2人共全力なのに、何故まだ決着がつかないのか不思議だ。

 

「一夏!今援護に!」

 

「来るな!手を出すな」

 

篠ノ之を片付けたので、一夏の援護にデュノアが来たが、勝負の邪魔をされたくないのか、デュノアの援護を断った。

 

「そろそろ終わらせるぞ」

 

「望むところだ!」

 

お互い、これが最後の一撃になるだろう。全力で殴った。ラウラは一夏の腹部に、一夏はラウラの顔面に拳を叩き込んだ。相当の威力だったのか、お互いに吹っ飛ばされ、地面を2、3回バウンドしてアリーナの壁にめり込んだ。

 

これで一方の機体が解除されれば勝負はついたのだが、まだ終わらなかった。

 

「マジかよ。タフ過ぎんだろ」

 

『Ready』

 

ファイズショットからミッションメモリーを抜き取り、ポインターに入れて脚に付けた。クリムゾンスマッシュで終らせるつもりだ。そのままやると危険なので、当然威力はセーブしてある。

 

ENTERキーを押してラウラを拘束しようとしたが、突然、ラウラの悲鳴と共に、レーゲンから激しい電撃が放たれた。

 

「ッ!?」

 

一夏とデュノア、イヤ、観戦していた人も含めて自分の目を疑った。レーゲンが変形を始めたからだ!変形では少し語弊がある。そんな生易しいものではない。装甲を型どっていた線は全て溶け、ドロドロになりラウラを飲み込んだのだ。

 

「あれは……一体……」

 

誰もが思ったことだろう。ISには原則として変形機能は今のところ存在しない。それはISに疎い者でも知っている事実だ。では目の前で起こっているこれは何だ?ISが溶け、別の形を形成しているこの現象に、誰も声を出せなくなった。そして、変形が終わると、そこにはレーゲンではない何かが立っていた。

 

「雪片……」

 

レーゲンだった物が握っていた刀、それはかつて千冬が振るってきた「雪片」だったのだ。姿も暮桜に酷似している。

 

「デュノア、今すぐここから逃げろ。」

 

「え?」

 

何で?そう聞こうとしたとき、隣に居た筈の一夏が消えていた。いや。デュノアの後方で暮桜擬きの攻撃を受け止めていた。

 

「早くしろ!巻き込まれるぞ!!」

 

その言葉を聞き、すぐにその場から離れた。ここにいては死ぬ。本能がそう告げたのだ。

 

「おい!何ISに飲み込まれてんだ!?聞こえてんのか!!」

 

必死にラウラに呼び掛けたが、完全に意識を失っているため、届かなかった。

 

「チッ!ハァ!」

 

『complete』

 

ラウラを蹴飛ばし、ファイズアクセルからミッションメモリーをファイズフォンにさし込みアクセルフォームに変わった。

 

「少し我慢しろよ」

 

『startup』

 

ISに直接ダメージを与えて、強制解除させようと考えた。ただし、少し加減を間違えるとラウラ諸とも殺してしまいかねない。かなり精神を削る作業だ。

 

「ゼヤァ!!」

 

加速を付け、ラウラが居るであろう場所に腕を突き刺した。中で何かを掴むと全速力でその場を離れた。腕にはシッカリとラウラが掴まれていた。

 

『timeout』

 

『reformation』

 

「デュノア。早くコイツを保健室まで運べ」

 

「分かった!」

 

ラウラをデュノアに渡し、先程まで戦っていた機体に視線を移した。

 

「ッ!?……」

 

一瞬動いたので身構えたが、その直後に完全に動かなくなったので警戒を解き、レーゲンを回収した。回収後は勿論千冬に全て渡した。

 

「ご苦労だったな。今日はもう部屋に戻れ」

 

「その前に、デュノアの事だが、もう連絡は来ているか?」

 

「ああ。村上さんから直接聞いた。部屋の準備はもうしてある。ある程度の事が終わったらすぐに作業に取り掛かるぞ」

 

「分かった」

 

それを聞くと、一夏は部屋に戻り休むことにした。




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『教えて!憲八先生~!!』

ペンネーム「デスティニー愛好家」さんからです。

ガンダムSEED・SEEDDestinyのキャラで一番嫌いなキャラは誰ですか?

存じ上げないシリーズです。申し訳ない。
質問は活動報告で受け付けています。下のURLからどうぞ。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=225283&uid=180457


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進展

リメイク前で言うところの本音との出会いですね。本音ヒロイン化に賛成の声が多かったのと、個人的に本音が良いなと思ったのでヒロインに決定してましたね。懐かしい。


「ウッ!……ここは?」

 

「保健室だ」

 

「教官……!?私は一体……」

 

学年別トーナメントの一件の数時間後に、ラウラが保健室で目を覚ました。

 

「VTシステム。ドイツ軍のお前には分かるな?」

 

「ヴァルキリー・トレース・システム……モンド・グロッソ部門受賞者の動きをトレースするシステムだと聞いています……ですがあれは……」

 

「ああ。ISの条約で現在はどの国家、組織、企業において全ての研究や開発、使用が禁止されている。それがお前のISに積まれていた」

 

「そんなまさか!?」

 

「まぁそんなことはどうでも良い。ラウラ、実際アイツと戦ってどう思った?」

 

この質問に驚いた。もっとVTシステムの話が続くかと思っていたからだ。だが、きた質問は一夏と戦ってみての感想だった。

 

「……楽しい、そう思いました。戦いのなかで起こる胸の高鳴り、久しく忘れていた高揚感。限界の中で繰り出される、1つ1つが命を持った重たい攻撃。おかしい話ですが、あの男とはもっと戦いたいと思いました」

 

これは全て事実だ。ラウラが戦いの中で感じた、心の底から楽しいと思った戦い。現に話しているラウラの顔は、実に楽しそうだ。

 

「そうか。何故VTシステムが発動したのかが不思議なぐらいだな」

 

「恐らく、私が力を求めたからです。この男に負けると思ったときに……もっと戦っていたいと思っていましたが、アイツだけは絶対に潰すと言う思いが混ざって今回の事態に至り、力に溺れたのかと……」

 

「なら、今度からは溺れないことだな。まぁ、この学園で私が指導する限り、再び力に溺れる事は無いだろう。今は私の授業に耐えるための体力を付けるために休んでおけ」

 

それを伝えると、千冬は保健室から出ていき、現在引っ越し作業が行われている一夏の部屋へと向かった。ラウラもその後は傷を治すために寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、一夏の泊まっている部屋では引っ越し作業が行われているのだが、思ったより捗っていなかった。理由は簡単だ。IS学園の寮に使われている家具は、かなり重たいのだ。

 

素材なんだよ?って言いたくなるレベルでクソ重たい。大型のブラウン管テレビを3台位一気に持つ方が軽いと思えるレベルだ。

 

「やっぱり終わってなかったか……」

 

「姉貴……。これいつ終わる予定なんだ?」

 

「さぁな。本来は1日はかかる作業だから知らん」

 

この言葉を聞いて、ファイズになって一気に片付けようかと思ったが、そもそもファイズだと力が大きすぎて家具が壊れてしまう。その為、渋々生身で手伝うことにした。

 

~5時間後~

 

「あと……半分……」

 

 

~更に3時間後~

 

ガンッ!

 

「あ、目覚まし時計壊れた……」

 

「おい、気を付けろよ。フローリング直すのに時間がかかるから」

 

人の心配より床の心配かよ。と文句を言いたくなる。

 

~そのまた更に2時間後~

 

「やっと……終わった……」

 

「ご苦労様でした」

 

結局、作業が終わったのは夜中だった。作業を最初から手伝っていた一夏は既にフラフラである。トーナメントの後にすぐ行われた作業のため当たり前だ。

 

因みにデュノアだが、現在は千冬の部屋に居る。(しっかりと片付いている)作業が長引くのは目に見えていたので、千冬が自分の部屋で過ごすように言ったのだ。

 

「一夏、シャワー浴びたらすぐに寝ろよ」

 

「当たり前だ……」

 

千冬の言葉通り、シャワーで体を洗い、ベッドに入ると深い眠りに入った。あまりにも疲れていた為か、死んだように眠っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。この日はラウラも復帰し、デュノアも女性として再編入した。デュノアが女だと判明したさいに誰かが「織斑君はデュノアさんが女だって知ってたの?」的な発言をしたため、クラスが少し混乱した。千冬の一言ですぐに片付いたがな。だが問題はそこでは無い。居ないのだ。一夏が。

 

「恐らくまだ寝てるんだろう。昨日遅くまで作業してたからな。日付け変わってたし……誰かに起こしに行かせるか…」

 

「でしたらこのセシリア・オルコットが!」

 

「千冬さん!私が行きます!」

 

「僕のせいだし僕が行こうかな?」

 

「いや、ここは私が」

 

と、4人が手を挙げ自分が行くと言う。だが千冬はそれらを無視し、4人の後ろに目を向けた。

 

「そうだな、布仏。お前が行け」

 

「は、は~い?分かりました?」

 

一瞬、「何で自分?」みたいな顔をしたが、千冬から合鍵を受け取り、学生寮に向かった。

 

「織斑先生!何故わたくし達の中からではなく布仏さんを!?」

 

「そうです!接点のある私の方が良いではありませんか!!」

 

と、オルコットと篠ノ之が抗議したが、千冬にとっては全く無意味だった。

 

「はぁ、そうか。では、まずオルコット。貴様はここのところ成績が右肩下がりだがどうしてだ?」

 

「一夏さんとの訓練に時間を使っていたからですわ。それが何か?」

 

「成績が下がっているヤツを授業から抜けさせる訳が無いだろ。次に篠ノ之。貴様は何をするかが分からない。今までの織斑に対する行動から、まず貴様に行かせることは無い。そもそも、お前はただでさえ謹慎があって授業が遅れている」

 

この言葉にはぐうの音も出ない。実際、オルコットは最近の小テスト等での成績が落ちてきているし、篠ノ之に関しては1週間の謹慎、一夏に対する様々な危険行為等の前科がある。

 

「次にボーデヴィッヒ。貴様の保健室での発言で、私は少々危ないと判断した。寝込みを襲う可能性が無いとは言えないからな」

 

「わ、私はその様な卑怯な真似はしません!信用ならないと言うのなら、身一つで行きましょう!無論武器を持っていないことを証明するため、服は着ません!」

 

「その行動も十分問題だ馬鹿者!最後にデュノア。お前は何と無くだ」

 

「ちょ!ボクだけ適当じゃないですか!?」

 

簡単に言うと、どいつもこいつも何をするか分からないからだ。

 

「お前ら全員が凰の様な性格なら兎も角、邪な考えを持っている上に、成績が危ういヤツらを行かせるわけが無いだろ」

 

確かにデュノア以外、起こしに行く以外に何かを考えていたようだ。

 

「まぁ、布仏なら間違っても何かが起こることは無いからな。成績もクラス上位だし。分かったらさっさと席に着け小娘共」

 

渋々席に座り、授業を受けた。が、ラウラとデュノア以外の2人は真面目に聞いていなかった為、授業中に何度か出席簿を頭に食らった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~っと。あ!あった。おりむー起きてる?」

 

鍵を開けて、声をかけながら中に入っていった。起きていれば返事があるはずなのだが、無いところを見るとまだ眠っているようだ。

 

寝ているのに気付くと、ベッドの方に行き一夏を起こそうとしたが、声をかけても全然起きない。

 

「おりむー!お~き~て~!」

 

一夏を揺らしながら起こそうと試みたが、一向に起きる気配がない。

 

「お~り~む~!わぁ~」

 

急に本音の視界が暗くなった。何故かはすぐに分かった。一夏が本音を抱き枕にしたからだ。一夏を揺らしているときに寝返りを打ち、そのまま枕にされたようだ。

 

「え?お、おおお!」

 

最初は少し焦ったが、少し時間が経つと

 

「ZZZ」

 

本音も寝てしまった。彼女の性格上、あり得ないことでは無いが、これは2人揃って欠席だ。

 

因みにこの後、あまりにも遅かったので千冬が来てみたら、2人仲良く寝ていたので写真を撮って静かに部屋から出ていった。2人が起きた後に、千冬から写真を見せられてイジられた事は言うまでも無いだろう。本音は顔を真っ赤にさせていたが、一夏は通常通りだった。何故か鈴もその写真を持っていたな。笑いながら一夏に見せていた。




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教えて!憲八先生~!!
はい。今日はクロロンヌさんからの質問です。

『今までで本気でキレそうになった瞬間はありますか?』

もちろんありますよ。変えることのできない容姿を馬鹿にしてきたりは理不尽な理由で暴言吐かれたり攻撃された時などは特に。ただキレる事を気にする必要はありません。そんなことしてくるヤツとは時間が過ぎれば関わることは無くなってきます。学生故に「いじめ」と言う物で片付いていますが、実際は傷害罪、強要罪、名誉毀損、窃盗、犯罪教唆そして殺人罪等と全て重罪です。社会人になってもそれをやって来るヤツは確実にまともな生活はできていません。


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不幸が行き過ぎると呪われていると思う

何となくで当時見ていたアニメのキャラを出してましたね笑
因みに出したのは阪本くんです。


「はぁ……何でこうなるかな?」

 

現在、一夏と本音はデパートに買い物に来ていましたが、拉致られてます。他の客と一緒に。

 

「おりむーの運って本当に悪いね」

 

「全く、清々しいぐらいの不運だ。いずれ命を落としそうなくらいだな」

 

何故この2人が買い物に来ているのかと言うと、遡ること数時間前。

 

「アハハハハ!!いつ見ても面白いわ~。この写真。見事なまでに抱き枕だし(笑)」

 

「笑いすぎだろ」

 

「リンリンあんまり笑わないで~///」

 

一夏が本音を抱き枕にしている写真を見ながら大爆笑していた。この写真のどこにそんな要素があるかは分からないが、鈴にはこれで大爆笑出来るようだ。

 

「て言うか誰に貰った?」

 

「ん?千冬さん。草加さんにも渡したって言ってたけど」

 

「草加の野郎……脚滑らせて頭打って死ねば良いのに」

 

今一夏の頭の中では、その写真を見ながら腹を抱えて笑っている草加が浮かんでいる。何故かそれだけでも酷く殴りたくなった。

 

「まぁそれよりもさぁ、アンタらどんな体勢でご飯食べてるの!!?」

 

ああ、言い忘れたが、ここは食堂だ。しかし休日の為ほとんど人が居ない。それもそうだろう。わざわざ学園が休みなのに、金を払ってまで食堂で朝食をとる人は居ない。自分で作れば良いからだ。

 

その為、今ここに居るのは料理の出来ない人か、一夏や鈴の様に作るのを面倒くさがる人たちぐらいだ。と言っても、ここは規模の大きい学園。そんな人はたくさん居る。現在の食堂には約40人ほどが座っていた。

 

それで、鈴が言っていた体勢だが、一夏の膝の上に本音が座っている状態だ。

 

「いつの間にな、これで安定してな」

 

「アンタらが関り持ったの昨日でしょうが!何で1日も経たずにこんなになってんの!?」

 

「知るか」

 

本音の能力である。一夏の抱き枕になったら、何故か一夏の近くが落ち着く様になったそうだ。

 

「私はここが落ち着くんだよね~。なんか安心する~」

 

「でしょうね!それは分かってるわよ!!一夏の側が安心するのは分かってるわよ!!でも何でそんなすぐに信頼関係が築けるのよ!!」

 

「落ち着け。コーヒーでも飲んでろ」

 

「私がエスプレッソ飲まないのは知ってるでしょうが!!」

 

「モガッ!」

 

余計に火に油を注ぐ結果となり、鈴は一夏に差し出されたコーヒーを手に取り、無理矢理一夏の口の中に流し込んだ。因みに、本音は動じないでご飯を食べている。

 

しばらくして鈴が落ち着くと、

 

「そういえば、2人は水着買ったの?」

 

「いや。買ってないな」

 

「やっぱり。買いに行った方が良いわよ。そろそろ臨海学校だし」

 

臨海学校と言う単語に、2人は成る程と思い、午後から水着を買うために出掛けることにしたのだ。デパートの水着売り場では、

 

「種類多すぎるだろ」

 

好みの水着を買うために、一夏と本音は別々に水着を探しているのだが、普段着ですらネットで適当に買う一夏だ。こんなに種類の多い店では選ぶのにも苦労する。

 

「水着をお探しですか?」

 

「え?あぁはい」

 

後ろから学ランをきた七三分けの眼鏡をかけた、とんでもないスタイリッシュオーラを放っている人に声をかけられた。

 

「でしたら、こちらの水着はいかがでしょうか?動きやすさを重視し、軟らかい素材で構成されておりますし、耐久性もあります。こちらのパーカーと合わせることも可能です。私の勝手な判断ですが、あなた様の第一印象から、カラーはこちらを選ばせて頂きました」

 

上下でメーカーは違うが、デザインがぴったりな2着を渡された。どちらも黒に赤いラインが入っているファイズカラーだ。ポケットも付いているので物を入れることもできるし、チャックも付いているから落とす心配も無い。そして、彼の言うように動きやすい素材で出来ている上に、中々の耐久性もある。

 

「良いものだな~」

 

「お気に召した様で何よりです。その2着ならお値段もお安く済みます」

 

「へ~。サンキューな。アンタ店員か?」

 

「いえ、近くを通り掛かったら何やら悩んでいる様子でしたので、失礼ながらお声を掛けさせて頂きました。では、私はこれで」

 

一夏に頭を下げると、そのまま店を出ていった。世の中にはとんでもない物好きが居るようだ。

 

「おりむー決まった?」

 

「ああ。お前は?」

 

「決まったよ~」

 

かごの中には着ぐるみみたいなのが入っていた。これ水着かと聞きたくなる。

 

「本音、溺れないのか?」

 

「ん?大丈夫だよ?」

 

本人が大丈夫な様なので、そのまま会計に進んだ。水着は以外に高いものが多いが、一夏の選んで貰った水着は彼の言う通り、安値で済んだ。

 

まぁ問題が起こったのはここではない。問題が起こったのは一夏達が帰ろうとしたときだ。武装した男達がデパートを占拠したのだ。そして、冒頭の様に一夏が頭を抱える結果となった。

 

「でも何で今時デパート襲撃するの?銀行とかで良いと思うんだけど」

 

「アイツらの格好見てみろ。そんなこと思い付く連中に見えるのか?」

 

襲撃してきた連中の格好とは、まさに世紀末である。髪型も含めてだ。顔を隠すつもりでマスクを着けているのかもしれないが、全く意味をなしていない。

 

「おいテメー!何喋ってやがる!!死にたいのか!?」

 

「うるせーよ全身世紀末スタイル!つか何で今時デパートなんか襲撃してんだよ!銀行行けよ銀行!!」

 

「うるせー!どこを襲おうが俺達の勝手だろうが!!その口もう一回開いてみろ!2度と喋れない様に―」

 

急に言葉が途切れた。さっきまで喋っていた男の顔があった場所には、デカイ拳があり、男は壁にめり込んでいた。

 

「な、何だ!?コイツ!!」

 

「う、撃て!撃て!!」

 

一斉に撃つが、銃弾は弾かれるだけだった。まぁ皆さんもうお気付きだろうが、今テロリストを殴り飛ばしたのはバジンである。騒ぎに気付いて中に入ってきた様だ。

 

「おっと。サンキュー」

 

一夏にベルトを投げ渡すと、いつまでも後ろから撃ってくる連中が鬱陶しく思ったのか、近くに居たのを蹴飛ばした。

 

「変身!」

 

『complete』

 

「IS!?ガァ!」

 

「全く、どいつもこいつも俺の休日を潰しやがって!何か恨みでもあんのか!?」

 

拉致られた人の全員を助けると言うより、日頃の鬱憤を晴らしているようだ。まぁ、確かに最近の休日は平和に過ごせていない様な気がする。

 

「う、嘘だろ。相手はたったの1人だぞ!!?」

 

「も、もうダメです!アイツ、鬼の様に強い……!」

 

「に、逃げろー!!」

 

「逃がすか馬鹿共!!」

 

「「「「ギャアアアア!!!!」」」」

 

物の数分で全てが片付いた。テロリスト共は全員警察に持っていかれた様だ。

 

「おりむー本当に運が悪いね」

 

「一度出雲大社にでも行って開運でもしてくるか……」

 

「普通に近くの神社でも良いと思うけど……」

 

その後、一夏はマジで神社に通い詰める事になり、今日の様な不幸はあまり起きなくなったが、その代わりにそこそこ大きめな不幸が起こりやすくなった。

 

「マジで神の野郎をしばく……!出雲まで行って締め上げる!」

 

この発言に、皆何も言えなかった。ただ1人、

 

「ドンマイ!」

 

と、鈴が毎度声をかけている。




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一夏は意外も海が好き

本来なら作文その2が入りますが、あれも苦し紛れに投稿した物ですので、今回は書きません。短編にgoですね笑

因みに何故前回の話で阪本が出たかですけど、前書きにもあるように何と無くです。当時見ていたアニメで、インパクトあるキャラが欲しかったので出しました。


現在、週が開けての月曜日。1年生達は大型のバスに揺られながら海を目指している。今日から2泊3日の臨海学校だからだ。

 

バスの中では、暇を潰すために音楽を聴いたり、複数でトランプをやったり、チェスをしたり、将棋をしたり、モンストしたり、ジグソーパズルをしたりと盛り上がっていた。……うん。バスの中でやる遊びでは無いな。

 

だが1番多いのはやはり、海で何をやるかの話である。高校生でも「海」と言う単語は、テンションが上がるようだ。そんな中、一夏と本音はと言うと、

 

「グー……zzz」

 

「スースーzzz」

 

爆睡してた。本音は一夏の肩に頭を乗せて、一夏は乗せられた本音の頭に自分の頭を寄り掛からせて寝ていた。

 

その光景に、鬱陶しい嫉妬の念を飛ばしてくるヤツと、微笑ましそうに眺める者がいる。千冬は相変わらず写真を撮っている。しかも高そうな一眼レフで。アルバムにでも入れるのだろうか?態々自分の席と一夏達の席を近くにしたのは、このためのようだ。

 

しばらくすると、景色が変り海が見えるようになり、誰かが「海だ!」と口にし、他の生徒も一斉に窓の外に目を向けた。多少バスの中が騒がしくなったが、一夏と本音は起きることなくスヤスヤと寝ている。

 

数分後、バスが目的地に到着した。だが一夏達が起きる気配がないので、千冬が起こしてくれた。

 

「ここが今日から3日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」

 

「「「よろしくお願いしまーす!!!」」」

 

千冬の言葉の後に、全員で挨拶をした。この旅館には毎年お世話になっているようだ。

 

「はい。こちらこそ。今年の1年生の元気があってよろしいですね」

 

歳は30代くらいだろう。しっかりとした大人の雰囲気を漂わせている。仕事柄、笑顔がたえないからなのか、その容姿は女将と言うには逆に若々しく見えた。

 

「あら、こちらが噂の?」

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

目があったので、取り敢えず挨拶をしておいた。

 

「ええ、まぁ。今年は1人男子が居るせいで浴場分けが難しくなってしまい、申し訳ありません」

 

「いえいえ、そんな。それに、良い男の子じゃあありませんか。しっかりしてそうな感じを受けますよ」

 

「そうですか?」

 

コイツが?と言う顔をしているが、すぐに顔を戻して諸々を終わらせた。そのあとは、全員指定された部屋へと向い、夕食までの自由行動を指示された。

 

「ね~ね~、おりむ~。おりむーの部屋ってどこ?後で遊びに行きたいんだけど」

 

「いや。俺も知らん。別に野宿でも構わんが……」

 

流石に寒いと思うぞ。海辺だし。

 

「織斑。お前の部屋はこっちだ」

 

千冬から呼ばれた。待たせるわけにも行かないので、本音に「またな」と伝え、千冬の元へ向かった。

 

「ここがお前の部屋だ。少し狭いだろうが我慢しろ」

 

千冬に連れてこられた部屋には「教員部屋」と書かれたプラカードがぶら下がっていた。まぁ、実際色々な面から考えても、ここ以上に適している部屋は無いだろう。

 

「着替えたらとっとと海へ行け」

 

「ああ」

 

千冬に言われた通り、とっとと着替えると海に向かっていったが、途中で変な物を見つけた。岩に突き刺さったウサギの耳だ。

 

「……無視するか」

 

なんか面倒な予感がしたので、触れずに無視して海水浴場に向かった。

 

「さーてと、泳ぐか」

 

泳げる場所に到着したので、泳ぐための準備をしていた。その時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「あっ!おりむー!」

 

本音だ。

 

「本当に着ぐるみで来たか……」

 

「おお~!その水着似合ってるね~」

 

「そうか。お前の水着は個性的だな。溺れないかが心配だ」

 

「大丈夫だよ~。慣れてるから」

 

以前にもこの様な格好で泳いだことがあるかの様な発言に、少し一夏は驚いている。そんな感じに雑談をしていると、鈴がやって来た。

 

「一夏来るの早いわね~。もっとのんびり来るのかと思ってたのに」

 

「海はけっこう好きだからな。潜れば魚や海草が採れるし、海水は蒸発させれば塩が採れる。食料に困らないから良いぞ?」

 

確かに一夏は海が好きだが、あくまで食材としてだ。100%間違ってる楽しみ方だと思う。

 

「取り敢えず、海は食材って言う考えを辞めようか」

 

鈴にそんなことを言われたが、一夏の見方は変わらないだろう。だが、ここには海水浴に来ている。流石に食材確保は行わないだろう。いくら一夏でも。

 

その後は普通に泳いだり(普通ではない)、千冬達を交えてのビーチバレー(色々と危ない)をしたりと、自由時間を楽しんだ。ビーチバレーに関しては、ボールが3個程お釈迦になってしまったがな。

 

「一夏、アンタら姉弟はどんな力でバレーやってんのよ?」

 

「おりむーやりすぎだよ~。ボールがいくつあっても足りないよ~」

 

「むしろ何故怪我人が出なかったのかが不思議なんだけど……」

 

一夏と千冬のスパイクを正面から受けた生徒には、素直に同情するしかない。怪我はしなかったけど。この姉弟にスポーツをやらせてはいけないと、1年生全員が思ったそうだ。体育祭等ではどうなるかは分からない。




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緊急事態

ここんところやる気が出ないんですよね~。感想が無いと言うのが1番の理由なんですけどね。やっぱり意欲的になれないです……中身のある感想が欲しいです。


臨海学校は楽しい時間だけと言うわけではない。2日目には大規模なISの操縦訓練を行う。海上と言う、アリーナよりも何倍も広い空間で、生徒全員が普段学園では行わない様な訓練を行うのだ。

 

ただし、専用機持ちとは別々でだ。別々の筈なのだが、何故か専用機持ちのグループの中に篠ノ之が混ざっている。もう1度言わせてください。何故か篠ノ之が混ざっていた。

 

「姉貴、1人専用機持ち以外が混ざっているんだが」

 

「織斑先生と呼べ。その事に関してだが、コイツは今日から―」

 

「ちーちゃ~~~~ん!!」

 

その声が耳に入り、鼓膜を振動させ、その人間の存在を頭で認識した瞬間、千冬は呆れた様な顔をし、一夏は嫌悪感を露にした。嫌悪感と共に殺意も混じってる様な気がする。

 

「……束」

 

認めたくない。認めなくなかったが、認めざるおえない。そこには、ISを作った歩く自然災害にして、自分は世界の中心だと豪語する天災、篠ノ之束が居たのだ。

 

一夏は一刻も早くこの場から消え失せたい、もしくはアイツを今すぐに灰にしたいと言う顔になっていた。

 

「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、ハグハグしよう!愛を確め―ぶへっ!」

 

飛び掛かってきた自然災害の顔を掴み、思いっきり指を食い込ませていた。手加減は全く無いようだ。

 

「うるさいぞ束。貴様との間に愛なんぞ存在しない。それに、私は既に恋人持ちだ。独り身歴=年齢の貴様と一緒にするな」

 

「ウグッ、相変わらず容赦の無いアイアンクローだね。て言うか恋人!?誰ソイツ!誰ソイツ!!ちーちゃん騙されてるよ!待ってて!今すぐソイツ殺しに行って―」

 

「ほう、それは面白い冗談だな。私の気が長くないのは知っているだろ?クソウサギ。首を斬られたいか?それとも灰にされたいか?選ぶんだ。光栄に思え。今なら好きな方を選ばせてやるぞ」

 

「じょ、冗談だよ。ちーちゃん……」

 

「ふん」

 

殺気を全開にして束に問い詰めた。が、自然災害でも命は惜しい様だ。冗談だと行ってその場がら逃げようとした。

 

「まぁ、この女に草加を殺すことは無理だろ」

 

「それもそうだな。返り討ちにされるのが関の山か」

 

一夏の言葉に、千冬も納得し殺気を解いた。草加の強さへの信頼は厚いようだ。

 

「な!?いっくん!?それはどう言うこ―」

 

「姉さん!それよりも、私の専用機は」

 

「あ、そうだった。私としたことがつい」

 

周りの事などお構い無しに話が進んでいく中、彼女の存在を詳しく知らない者達はポカーンとしていた。

 

「織斑先生、あの方は?」

 

自己紹介を待っても無駄と思ったのか、オルコットが千冬に直接聞いた。

 

「ISを生み出した天災、篠ノ之束だ。世界一のバカと覚えておけば良い。名前は覚える価値もない」

 

言い過ぎである。流石に気に入らないからと言っても、少々言い過ぎな感じもする。まぁ、今気にするところはそこではない。本来は専用機持てない上に持つほどの実力もない。そんな人間に専用機が与えられるのだ。当然周りからは、

 

「あの専用機って篠ノ之さんが貰えるの……?身内ってだけで」

 

「だよねぇ。なんかずるいよねぇ」

 

当然こうなる。が、そんなことで一々揺らぐような神経をしている姉妹ではない。

 

「おやおや、歴史の勉強をしたことが無いのかな?有史以来、世界が平等であったことなど1度もないよ」

 

この様にピンポイントで姉は周りを黙らせ、妹は好き勝手する。手の施しようが無い。

 

「後は自動処理に任せておけば全部終るね。あ、いっくんのIS見せて。白式じゃないのは癪だけど、興味があるしね!」

 

キーボードやらディスプレイを全部片付けて、一夏の方を向き、ISを展開するように言った。

 

「断る」

 

「……それはまた、何でかな?」

 

「アンタに見せればロクな事が無いからだ。どうせ模造品でも作ってまた世界を引っ掻き回すだけだろ」

 

「随分と信用されてないね~」

 

「信用されてるとでも思ってたのか?悪いが俺はガキの頃からアンタを信用した覚えは無い」

 

「そ。ま、いっか(後で盗めば良いし)」

 

なんかヤバイこと考えてるが、それを悟られないように興味を無くしたような振りをした。

 

突然だが、画面の前のお友達の皆さんは、トラブルの連鎖はご存知だろうか?1つ大きなトラブルが起こると、連鎖反応の様に他の大きなトラブルが起こることだ。現にここでも、

 

「たっ、た、大変です!お、おお、織斑先生っ!」

 

真耶が大きな声を出しながら走ってきた。大体いつも慌てているが、今回は尋常じゃないくらいに慌てている。

 

「どうした?」

 

「こ、こっ、これをっ!」

 

「どう言うことだ?」

 

渡された小型の端末に目を通すと、千冬の表情が険しくなった。

 

「そ、それが、ハワイ沖で試験稼働をしていた―」

 

「機密事項だぞ。これ以上はここで喋るな」

 

「す、すみません……」

 

「専用機持ちは?」

 

「1人欠席していますが、それ以外は……私は他の先生方にも伝えてきます」

 

見ているだけでも事の重大さは伝わってくる。真耶が走っていくと、千冬は生徒たちの方を向き、注目させた。

 

「現時刻より、IS学園教員は特殊任務行動へと移る。今日のテスト稼働は中止。各班ISを片付けて旅館の自室に戻れ。連絡があるまで自室待機。以上!」

 

この言葉に、全生徒がざわついた。実戦経験等が少ないものからすれば、戸惑うのは当然だ。

 

「とっとと戻れ!以後、許可なく室外に出たものは実力を持って拘束する!いいな!!」

 

「「「「は、はい!!」」」」

 

「専用機持ちは全員集合!篠ノ之も一応来い」

 

篠ノ之を呼んだとき、かなり嫌そうな顔をしたが、現在専用機を持っているため何をしでかすか分からない。故に取り敢えず呼んでおいた。戦力としては端から数えていないようだ。

 

専用機持ちは全員千冬に着いていった。だが、慌てていた為、誰も気付かなかった。篠ノ之束が笑っていることに。




次回もお楽しみに!感想やお気に入り登録、ついでに活動報告もよろしくお願いします!!

教えて!憲八先生~!!

今日の質問は「一人ボッチの犬」さんからです。

仮面ライダーシリーズで変身してみたいライダーは何ですか?それと家族に成ってみたい特撮キャラは誰ですか?

変身したくないよ~笑。まぁ、変身できたら便利そうですよね。と言う訳で、多種多様に対応できそうなオーズですかね。陸海空全部フォローできますし、分身できたり速く動けたり、どんな場面でも活躍しそうな物体を形にした物ですので。

家族は特に……強いて言えば天道ですかね。料理教えてもらいたい。あ、ヒヨリも良いですね。一緒に居ると落ち着いて暮らせそうなので。


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戦闘開始のちょっと前

「では、現状を説明する」

 

旅館の1番奥、周りに部屋は無く、他の生徒に話を聞かれない旅館の一室で、専用機持ちと教員達が集められた。照明を落とした部屋の中には、大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

 

「2時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型の軍用IS『銀の福音』が制御下を離れて暴走し、監視領域より離脱したとの連絡があった」

 

いきなりの説明に、全員ポカーンとしてしまった。何故軍用ISの暴走が専用機持ちの生徒に伝えられたのか、そもそもISの軍事的運用を禁止すると言う条約はどこに行ったのか、等と言う疑問がある。

 

が、緊急事態であることに変わりはない。篠ノ之を除く全員が事態の深刻さを理解している。特に軍人のラウラは真剣な眼差しだ。

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから2キロ先の空域を通過する事が分かった。時間にして50分後、学園上層部からの通達により、我々が事態の対処に向かうこととなった」

 

溜め息を吐き、何故こんなことを私達にやらせるんだ。的な顔をしている。当然だ。専用機持ちとは言え、全員生徒な上に、教員部隊も訓練を受けてるとは言え、本職の軍人ではない。突然の事態に対応できるかが不安だ。それに無人機の前科もある。

 

ハッキリと言って、今回の作戦は無謀としか思えない。本来なら大元であるアメリカとイスラエルの軍や、日本の自衛隊が対処に当たるのだろうが、恐らく1番近い、と言う理由で決められたのだろう。嘗めてんのか。

 

「本来なら自衛隊や当事国の軍が来るまで道路や空域や海域の封鎖、周辺住民の安全確保が仕事内容として妥当だが、ここが1番近いため教員部隊は学園の訓練機を使い周辺の空域及び海域の封鎖を行い、本作戦の戦闘行動は専用機持ちに行ってもらう事になった」

 

かなり苦い顔をしている。今回の事態に生徒を頼るのは、気が進まないようだ。

 

「それでは作戦会議を始める。意見のある者は挙手をしろ」

 

「はい」

 

真っ先に手を挙げたのはオルコットだった。

 

「目標の詳細なスペックデータを要求します」

 

「分かった。だが、けっして口外はするなよ。漏洩が発覚した場合、諸君らには査問委員会による裁判と、最低2年の監視がつく」

 

「了解しました」

 

その場に居る全員が提示された機体情報を頭に入れている。状況を飲み込めていないのは篠ノ之だけだった。取り敢えず目を通してます感がある。

 

機体の情報を見ると、ますます全員の顔が険しくなった。それもそうだろう。広域殲滅を目的とした特殊射撃型、オールレンジ攻撃も可能。攻撃力だけではなく、機動も高い。しかも格闘性能が未知数ときた。完全に情報不足である。

 

「偵察は行えないのでしょうか?」

 

「無理だ。この機体は現在も超音速飛行を続けている。現段階では、アプローチは1回が限界だ」

 

「一度きりのチャンス。やはり一撃必殺級の攻撃力を持った機体で行くしか無いですね」

 

当然の判断である。能力未知数となれば、一撃で沈めるしかない。

 

「俺が行く。ブラスターならスピードは不安だが、福音のスペックに負けてない。攻撃力も十分にある」

 

「やはりそうなるか……ただし人命最優先だ。織斑、今すぐ準備に―」

 

「ちょっと待ってちーちゃん!ここは断然!紅椿の出番だよ!!」

 

「山田先生。室外への強制退去を。もしくは亡き者に」

 

なんか天井から出てきて、作戦に紅椿を加える様に言った。真耶が部屋から出そうとしたが、逃げている。

 

「ちょっと!話だけでも聞いてよ!」

 

「分かった。話だけ聞いてやる」

 

「今日箒ちゃんに渡した紅椿は私の作った第4世代型のISだよ。攻撃力もスピードも現存するISを軽く超えてるんだよ!だから―」

 

「もう良い。分かった……織斑、準備しろ」

 

「ちょ!束さんの話聞いてた!?紅椿の方が絶対良いって!」

 

話だけは聞いた。確かに千冬は、束の作戦を行うとも、参考にするとも一言も言っていない。

 

「私は話だけ聞くと言ったんだ。そもそも篠ノ之は最初から戦力として見ていない。実戦経験も実力も無いヤツを戦場に出す訳が無いだろ。話は終りだ。とっとと引っ込め」

 

「待ってください千冬さん!私と一夏なら行けます!失敗はしません!!」

 

「はぁ、私は織斑の戦闘力と学園に入ってからの実績を信用している。ファイズとして戦っていたからな。お前は今日専用機を貰ったばかりだ。実技授業での成績が優秀なら兎も角、今のお前に信用できる要素は無い。あるなら言ってみろ。ただし剣道の事以外でだ。あんな物、ISの戦闘、しかも実戦ではクソの役にも立たない」

 

この言葉に、箒は黙ってしまった。事実、千冬を信用させられることが自分でも見付からないからだ。まぁ、あったとしても千冬は箒を行かせることは無い。理由は簡単だ。絶対邪魔をするからだ。

 

「無いようだな。織斑、時間が迫っている。早く準備をしろ」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『555 ENTER』

 

「変身」

 

『Awakening』

 

海岸では、一夏がファイズブラスターフォームに変身し、福音の撃墜に向かおうとしていた。

 

『5246 ENTER』

 

『FaizBlaster TakeOff』

 

コードを入力し飛ぶと、フルスピードで福音の通過するポイントに向かっていった。数分後、

 

「福音を見付けた。これから攻撃に―」

 

「ハアアアア!!!」

 

「ん?……おい姉貴、救い様の無いバカがこっちに居るんだが……」

 

『すまん。束が入れ知恵したようだ。目を離した隙に逃げられた』

 

まさかの、ここに来ての大きなトラブルである。




さぁさぁ、さっさと次の話を書きましょ。


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SBと白騎士事件の真実

はい。原作とは全く違う白騎士事件です。それじゃあレッツゴー


暴走した軍用のIS『銀の福音』。人的被害が出る前に福音の討伐作戦を実行していたIS学園の専用機持ち。福音を確実に行動不能にするために、一夏が向かったのだが、思わぬ邪魔が入ってしまった。

 

「おい!邪魔だ!早く戻れ!!」

 

「何を言っている!私とお前ならすぐにアイツを殺せるだろ!」

 

「バカな事言うな!!福音と操縦者を助けるのが目的だ!いい加減帰れ!」

 

福音の攻撃を避けながら、篠ノ之に帰るように言っているが、全くそのつもりは無いようだ。しかも彼女は今回の任務の内容を全く別の物としてとらえていた。

 

それに加え、彼女の行っている攻撃は、一夏の援護どころか、邪魔をしているだけだった。そして、更にトラブルが続いた。

 

「ッ!?おい!何でこの海域に船が居るんだ!?」

 

『なに!?密漁船か……?数名の教員を向かわせた!なんとか持たせてくれ!』

 

「分かったよ!」

 

トラブルが重なる自分に、半ばヤケ糞になりながら、福音から放たれる光弾を弾いている。

 

『143 enter』

 

『Blade Mode』

 

「ハァァ!!」

 

フォトンブレイカーで放たれた大量の光弾を切り裂き、福音に近付き落とそうとしたが、

 

「ガッ!?危ねぇな!何しやがる!」

 

またしても篠ノ之の援護(笑)である。慣れない射撃武器での攻撃だ。篠ノ之は当然福音に当てられる訳もなく、攻撃は一夏に当たってしまった。

 

「お、お前が私の射線上に入るからだろ!」

 

逆ギレである。いい加減帰れよ。

 

「あぁ、もう!耐えてくれよ!」

 

離れた福音に全速力で近付き、フォトンブレイカーからフォトンブラットの刃を伸ばし、福音を斬った。もちろん威力はセーブしてある。

 

攻撃を受けた福音は、海へと落下。後は福音と操縦者を回収するだけだが、一夏が海へ向かおうとしたとき、異変が起こった。

 

福音が墜ちた場所の海水が蒸発し、そこだけ綺麗に無くなっていたのだ。その中心には、青い雷を纏った福音が、自らを抱くかのようにうずくまっていた。

 

「おいおいマジかよ……!」

 

「な、何だ?あれは……」

 

一夏も篠ノ之も、第二形態移行した福音に驚いている。何故このタイミングかは疑問だが、事態は更によろしくない方向に進んでいる。

 

『キアアアアアア……!!』

 

獣の様な咆哮を発し、福音は一夏に突っ込んできた。

 

「ッ!?グワ!!」

 

あまりのスピードに、反応することが出来ずに足を掴まれ、海へと叩き付けられた。

 

「チッ!」

 

『103 enter』

 

『Blaster Mode』

 

海から出て、飛び出すと同時にフォトンブラスターに変えて、福音を狙い撃った。1発1発のポンプアクション式なのを恨みたくなる。

 

先程よりも増えた光弾を、紙一重で避けながら福音に攻撃を入れている。だが、どんなに一夏が必死で戦っても、邪魔をしてくるヤツが居る。篠ノ之である。彼女のやっている攻撃は、福音の動きを制限するのではなく、逆に一夏の動きを制限している。

 

「ガッ!?お前いい加減にしろ!!」

 

とうとう、篠ノ之は一夏に攻撃を当ててしまった。今まではかする程度だったので、ある程度は無視していたが、今度は当てやがった。

 

「お前が一々私の射線上に乗るからだ!!援護をしてやってるのに文句を言うな!!」

 

邪魔ばっかりしてくる篠ノ之に、一夏もついにキレた。だがここは戦場。目の前に居る福音を倒さない限りはまともに文句を言うことも出来ない。しかし、第二形態移行をした福音は、篠ノ之の作った絶好のチャンスを逃さなかった。

 

「ハッ!?グワァァァ!!」

 

一瞬で一夏に近付き、0距離で光弾を複数一夏に撃ち込んだ。その衝撃で、ベルトは外れ一夏は海に落ちていった。

 

「一夏!!」

 

一夏が落ちるのを見ると、福音はその場から立ち去っていった。

 

『作戦失敗……直に戻れ』

 

「ですが千冬さん!一夏が!!」

 

『戻れと言っている。次は無いぞ』

 

千冬からの帰還命令に納得できず、命令を無視して海に入ろうとしたが、その時

 

『邪魔だ。退け』

 

紅椿に短い文のチャットが飛んできた。誰かと思い、確かめようとしたとき、横から何かに殴り飛ばされた。バジンである。ベルトの状況から一夏が危ないと判断して飛んできたのだろう。

 

そのまま孟スピードで海に突っ込むと、物の数秒で一夏とベルト、ファイズブラスターを見付けて上がってきた。全部揃っていることを確認すると、一夏を持って旅館に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館の作戦室に使っていた部屋では、一夏が横になって寝かされていた。全身に包帯等を巻いている状態だがな。

 

「篠ノ之。貴様どういうつもりだ?命令を無視し、勝手に出撃した挙げ句、戦闘では一夏の援護どころか邪魔をして、戻ってきたら一夏はこの状態」

 

「そ、それは……」

 

「ちーちゃん!箒ちゃんは悪くないよ!問題があったのはいっくんの方だよ。私が作った白式を使えば良かったのに、スマートブレインの作ったゴミなんかに乗ってるからこんなことになったんだよ!」

 

「そ、そうです。悪いのは一夏です!ちゃんとしたISを使っていればこんなことには!!」

 

バギッ!!

 

怒りが押さえきれずに太い柱に拳をぶつけて砕いた。血が滲んでいるが、お構いなしに拳を構える。

 

「貴様らは揃って私に殺されたいようだな。望み通りにしてやろう!!」

 

頭蓋骨を割る勢いで2人を殴ろうとした。だが、止められた。

 

「よせ。そんなヤツら、殴る価値すら無い」

 

その部屋には、2人の男性が入ってきていた。

 

「雅人さん……木場さん……」

 

「今はそんな人達を殴るよりも重要な事があるはずだ。キツいかも知れないけど、今は落ち着いて千冬さん」

 

草加と木場の2人だった。

 

「そう、ですね。ふぅ……よし、まずお前達2人は今すぐこの部屋から出ていけ。これ以上一夏のそばには居させん」

 

「な、何故ですか!?千冬さん!!」

 

「私は同じことを2回言うのが嫌いなんだ。さっさと出ていけ」

 

その言葉に、篠ノ之姉妹はなにも言わずに出ていった。出ていってから数秒後に何かを蹴飛ばした様な音がしたが、何と無く予想がついたので無視しておいた。

 

「2人は何故ここに?」

 

「一夏が撃墜された直後、スマートブレインのメールにバジンからの連絡があった」

 

「それを見た社長が、俺たちをここに向かわせたんだ。でも、まさかここまでだったなんて……」

 

「あの女は、自分以外の事なんて考えていないんだ……白騎士事件の時もそうだ。どうせ今回も、自分の作った第4世代型のISの実力を見たいが為に、こんなことを……!」

 

他の専用機持ちが暗い顔をしていたが、「白騎士事件の時も」と言う発言に反応した。

 

「どう言う事ですか?白騎士事件の時もって?」

 

専用機持ちの中から、ラウラが代表して2人に訊ねた。

 

「白騎士事件は、表向きは日本に飛んできた4000発以上ものミサイルを撃ち落とし、死者0と言う事になっている。新聞やニュースでもそうなっている筈だ」

 

「えぇ。わたくし達も、当時のニュースで報道された内容は覚えていますし、授業でもその様に聞いていますわ」

 

「でも違ったんだ。実際は、何万人もの人が死んでいる。白騎士が落とせなかったミサイルや、破壊したミサイルの破片が降り注ぎ、地上に居た人達を殺した。でも政府はその事実を公表しなかった。これからISの時代が来るからだと、ISが不利になる情報を消すために……!」

 

その言葉に、千冬以外の全員が驚いていた。そんなことが発覚すれば、世界が持っているISへの見方が180度変わってしまうからだ。

 

「な、何故そこまで…!いやでも、実際にたくさんの人が亡くなっているのならそんな報道出来る筈が無い!」

 

軍人のラウラならそれが不可能なことはよく知っている。実際に何万もの人が亡くなっていたとしたら、そんな報道出来る訳が無い。かならず遺族や友人等が騒ぎを起こすからだ。

 

「誰も文句を言わないように、政府は死亡した人の関係者に、大量の金を払ったんだ。それこそ、自分の家族や友人がどうでも良くなるレベルの金額を……」

 

この言葉に、全員驚き、何も言わなくなった。

 

「国の予算には、毎年使用用途不明金が出てくる。白騎士事件が起こった当時、その金を使って人を黙らせたんだ。具体的な額を言うとすれば、人生5回は遊んで過ごせる位の額だ。そんな金を貰ってしまえば、例え家族でも恋人でも黙ってしまう」

 

「で、でも、それでも騒ぐ人は居ると思うよ!いくらお金を積まれたからって、無かったことに出来ない人だって居る筈だよ!」

 

デュノアの言うことは確かだ。本当にその人を大切に思うのなら、金でも黙らない人はいくらだって居る。だが、

 

「そんな人間ほど、沢山殺されたよ。国が手を回してその人の人生を滅茶苦茶にしたり、覚えも無い借金で自殺に追い込まれたり、ISに不利な情報を出そうとする人は、いろんな方法で消されたよ」

 

「俺達スマートブレインは、そんな人達を集めて作られた会社なんだ。白騎士事件の被害者だけじゃない。世界中のIS被害者で構成された会社だ。そして、俺達の使ってるギアも、これ以上IS被害を出さないための物だ。世界を、もう一度男女平等に戻すための……」

 

これがスマートブレインと白騎士事件の真実だ。だが、1つ分からないことがある。

 

「あの、何でそこに篠ノ之束が出てくるんですか?ISの制作者だからって、白騎士事件と結び付けるのは無理があると思うんですが……」

 

鈴の言うことも確かである。IS制作者=白騎士。では少し無理がある。

 

「当時、ISは学界では子供の夢物語だと笑われていた。そしてそのタイミングでの白騎士事件、これだけでも結び付ける理由にはなる」

 

「それに、俺達は独自で白騎士事件について調べていた。世界中の軍事基地にハッキングを仕掛けたヤツや、白騎士の正体を。だが、その結果は誰もが予想した通り、ハッキングしたのも白騎士の正体も篠ノ之束本人だった。……あの事件は、自分の発明を周りに認めさせる為の自作自演だったんだよ!そのせいで、俺の友達は……!!」

 

木場の言葉に、全員詰まらせた。さっきまで半信半疑だった白騎士事件の真相が、目の前に居る人の言葉によって真実だと判明したからだ。

 

木場は、あの事件でギタリストになる夢を持っていた親友を、やっと好きな人と結ばれた女友達を失っていたのだ。それから、政府の連中に追われたり、いっそのこと自分も死んで楽になろうとしていた。だが、自分と同じ境遇の人がいるスマートブレインに入り、男女平等を目指し現在に至る。

 

同時に、草加も白騎士事件で幼馴染を失っている。草加と木場の共通の友人をだ。その為、2人は篠ノ之束を恨んでいる。と言っても良いだろう。



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因果応報

木場と草加の話で、真実を知らなかった者達は暗い顔をしていた。ISの為に、たくさんの人が死に、たくさんの人が悲しんで居る現実。知らなかった訳ではないが、内容が自分達の知っている真実と違いすぎた事に、彼女達は戸惑っていた。

 

その時、真耶の持っていた端末に、緊急の通信が入ってきた。

 

「どうした?」

 

「ちょっと待ってください……ッ!?これを!」

 

「な!?」

 

福音の暴走にも、冷静な判断が出来た千冬だが、今度学園から入ってきた連絡には、その冷静さも消えた。

 

「どうした?」

 

連絡を見てからの千冬のただならぬ様子に、草加が訪ねてみた。

 

「山田先生、すぐに各教員に連絡を!専用機持ちはすぐに準備をしろ!」

 

「待ってください!一体、何が起きたと言うんですか!?」

 

ラウラの言葉に、千冬は持っていた端末を全員に見せた。その内容は、現在に自分達が居る旅館に、福音が近づいているとの内容だった。

 

「ッ!?木場!いくぞ!」

 

「あぁ!」

 

木場は一夏のファイズギアを持ち、草加と共に旅館を飛び出した。

 

「専用機持ちは教員部隊と協力し、旅館を守るんだ!」

 

「ですが!福音はどうすれば!?」

 

確かに旅館を守るのは大切だ。しかし、福音を倒さない限り、いくら守ってもキリがない。かといって、真っ先に飛び出した2人に頼むのも申し訳ない。

 

「……山田先生、しばらくここを頼みます」

 

そう言うと、デルタギアの入ったアタッシュケースを持ち、草加達の後を追った。

 

「木場、出来るだけ旅館から離れるぞ」

 

「分かってる。海岸の端まで行けば、旅館への被害は抑えられる」

 

木場はバジンに、草加はサイドバッシャーに乗り込み、出来るだけ旅館から離れた場所で福音の相手をしようとしていた。そこへ、

 

「待ってください!私も行きます!行かせて下さい!」

 

「千冬!?」

 

デルタギアを持った千冬が現れ、自分も連れていって欲しいと頼んだ。

 

「良いんですか?ここからは、本当に危険ですよ」

 

「覚悟は出来てます。私は行かなくてはならない。教師として、一夏の姉として」

 

覚悟は確かな様だ。こうなってしまえば必ず着いてくる。草加はそれを良く知っているので、何も言わずにバッシャーのサイドカーに乗せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイクを走らせる事数分。海岸の端まで来ると、福音を目視で確認できた。

 

「来たぞ!」

 

『913 ENTER』

 

『Standingby』

 

「思ったより早い。」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「「「変身!」」」

 

『Standingby』

 

『『『Complete』』』

 

福音を確認すると、3人ともベルトを巻き、草加はカイザ、木場はファイズ、そして千冬はデルタに変身した。

 

『Battle Mode』

 

草加はサイドバッシャーをバトルモードへと変形させて、飛んでいる福音目掛けて6連装のミサイル砲で一気に攻撃した。だが、福音はそのミサイル全てを光弾で破壊し、草加達のいる場所へ向かってきた。

 

「来たよ!」

 

『Ready』

 

「Fire」

 

『Blast Mode』

 

ミサイルを全て破壊し、迫ってくる福音に、木場はファイズエッジにメモリーをさし込み構え、千冬もデルタムーバーをブラスターモードへと変えて構えた。

 

「威力はちゃんとセーブしておけよ」

 

「分かってる!」

 

2人に注意しながら、草加もブレガンにメモリーをさし込み、ブレードモードにした。

 

『キアアアアア!!!』

 

福音が咆哮をあげ、更にスピードをあげて突っ込んできた。

 

「グッ!ハァ!!」

 

初撃を受け止め、弾き返した。そこに合わせて千冬は福音を撃ち、動きを一瞬止めたところを木場が斬り付けた。

 

「加減が難しい!」

 

「あぁ!何でアイツがこれで戦えてたのか不思議だ!」

 

ライダーズギアはISを超える攻撃力を持っている。今回の様な、機体と操縦者の救出の場合はかなりの神経を使う。各攻撃力は最低限にしてあるものの、やはりやりにくい様だった。

 

「千冬!合わせろ!」

 

『Rady』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「デリヤァ!!」

 

グランインパクトで福音を殴り飛ばすと、千冬はそれに合わせて、空中にいる福音を木場のいる場所にルシファーズハンマーで蹴り落とした。

 

「ハァァ!!」

 

木場のファイズエッジでの攻撃が命中した。威力はセーブしてあるとは言え、かなりのダメージを与えられた筈だ。

 

「どうだ?」

 

砂浜に叩き付けられた福音は、動きを止めている。だが、待機状態に戻っていない為まだ警戒はしている。様子を確認するために、少しずつ福音に近付いていく。しかし、次の瞬間、福音は突然起き上がり、草加達に近距離で光弾を撃ち込んだ。

 

「グワァ!!」

 

「ウワァ!」

 

「アアァ!!」

 

「う、嘘だろ……。ダメージが、無い!?」

 

油断していた訳ではないが、近距離での攻撃に防御が間に合わず大きなダメージを受けてしまった。

 

何故ISを超えているライダーズギアを使っているのに、ここまでのダメージを受けるか疑問に思っている人も居ると思うので説明しましょう。フォトンブラッドの流し方1つでスペックが変わるからだ。今はISに合わせて流しているため、防御力が下がっているのだ。

 

「……クッ!」

 

『Rady』

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

ポインターにメモリーをさし込み、福音を2重の四角錐状の光で拘束し、トドメをさそうとしたが、福音はその拘束を無理矢理解いた。威力をセーブしているため拘束力も弱くなっている様だ。

 

「ッ!?グワァ!!」

 

無防備になった草加に光弾を当て、地面に落した。その衝撃でベルトも外れ変身が解除されてしまった。福音は、邪魔者を消そうと再び光弾を草加に撃とうとした。

 

「「危ない!」」

 

草加を庇うため、木場と千冬が盾になり攻撃を受けたが、2人もベルトが外れ変身を解除されてしまった。

 

「グ!まだだ!」

 

草加はベルトを掴み、立ち上がろうとするが脚に全く力が入らず、立つことが出来なかった。木場と千冬も、受けたダメージが大きい為、しばらく動けそうに無かった。

 

福音は、倒れている3人に近付くと、今後も障害になると判断したのか、エネルギーを溜めて3人に放とうとした。草加達も流石にこの状況には目を瞑ってしまったが、いつまで経っても衝撃が来なかった。

 

「ギリギリ間に合ったか」

 

「い、一夏……」

 

目を開けると、一夏がいた。その手にはファイズブラスターがある。生身で福音にフォトンバスターモードで攻撃した様だ。そしてそこには、一夏だけではなく専用機持ち達も来ていた。

 

「お前達、どうしてここに?」

 

千冬が驚いた様に訊ねた。

 

「一夏が目を覚ましたんで連れてきました。どうしても行くと言っていたので」

 

「そこまで言ってねーよ。早く3人を連れてこい」

 

運ばれてくると、一夏はファイズギアを受け取り自分の腰に巻いた。

 

「良くそんな状態でこれたな」

 

「結構な時間寝たからな。後は俺がやる」

 

『555 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身!」

 

『Awakening』

 

『143 ENTER』

 

『Bride Mode』

 

フォトンバスターによって吹っ飛んだ福音が体勢を直したところに、一夏がフルスピードで突っ込んで、福音を斬った。

 

『キアアアアア!!』

 

「何回も同じ攻撃を食らうかよ!」

 

福音から放たれた無数の光弾。だが、それはもう何回も見た。見切れない筈がない。

 

『5532 ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

「ヤバイ。離れるぞ!」

 

草加の言葉を、専用機持ち達は良く理解していなかったが、何と無く危ない感じがしたので全力でその場から離れた。

 

「ハァァ!!」

 

ファイズポインターを起動させると、フォトン・フィールド・フローターで上空へ飛行し、急降下しながら福音に跳び蹴りを叩き込んだ。攻撃が福音に当たった瞬間、周囲にフォトンブラッドが渦巻いた。草加が離れろと言った理由はこれの様だ。

 

この攻撃を受ければ、福音と言えども動くことは出来ない。シールドエネルギーが0となり、強制解除された。

 

「よし!終わ……り……」

 

「一夏!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、旅館の医務室。ベッドの上では一夏が寝ていた。

 

「織斑先生、おりむーの様子は……」

 

「大分落ち着いている。もう大丈夫だ」

 

「でも、戦いが終わった直後に倒れたって……」

 

「無理して動かしたからな~。まぁ夜中にでも目覚めるだろ。少しの間代わってくれないか?座りっぱなしで少し疲れた」

 

「はい!」

 

会話の通り、福音を倒した後に一夏は気を失ったのだ。ブラスターの影響かと思ったが、単に無理して倒れた様だ。むしろ何であれで戦えたのかが不思議だ。

 

消灯まで後1時間位しか無いのに生徒に何を頼んでいるのやら。まぁ本音自身も一夏を心配しているので快く受け入れてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も居ない筈の夜の海岸。しかしそこに人影があった。篠ノ之束と箒だ。

 

「早く行こう。ここに居ても箒ちゃんには意味無いよ!」

 

「で、ですが一夏が」

 

「後で束さんが連れてくるよ!(頭の中を色々と弄ってからからだけど)」

 

学園から逃げ出して別の場所で何かをするようだ。しかも束はまた碌でも無い事を考えている。

 

「待て。篠ノ之束」

 

「ん?なんだお前か。何か用?」

 

「白騎士事件について聞きたいことがある。何であんなことをした?」

 

「な~んだそんなこと。決まってるだろ。私の作ったISを認めさせる為だよ。それ以外にある訳無いでしょ」

 

「あの事件でたくさんの人が死んだんだぞ。中には夢を叶えられそうな人も居た。ギタリストになる夢を叶えられそうな人、好きな人と結ばれた人、美容師になる夢を叶えた人、世界中の洗濯物が真っ白になるように、世界中の皆が幸せになることを夢見ていた人、そんな人達がたくさん居たんだぞ」

 

「ふん。そんなの知らないね。そんな小さなゴミみたいな夢より、私の夢の方が大切だからね。私の夢の方がそんなヤツらよりも大きいし偉大。叶えられるべき夢なんだよ。私の夢の為なら、他のヤツらの夢なんか消えてしまうべきなんだよ!!」

 

自分の夢の為に他人の夢を消す。この発言に、強い怒りを覚えた。

 

「……知ってるかな?夢って言うのは呪いと同じなんだよ。途中で挫折した人間はズット呪われたまま。らしい。人の夢を潰し消した、貴方の罪は重い!」

 

『000 ENTER』

 

『Standingby』

 

「変身……!」

 

『Complete』

 

木場の体を包む金色の光。その光が止むと、そこにはギリシャ文字のΩを模したデザインの金色のライダーが立っていた。

 

「ふ~ん。そんなので来ても無駄だよ。紅椿には勝てない。箒ちゃん。殺っちゃいな」

 

「はい!」

 

箒は紅椿を纏うと、刀を構えて木場に突っ込み、斬りかかった。

 

「ハァ!」

 

「ガ!?」

 

攻撃を受け止めると、そのまま箒の顔面を殴った。

 

『Ready』

 

右腰のホルダーに携行しているオーガストランザーにメモリーをさし込み、長剣にして構えた。

 

「デリャアァ!!」

 

バカの一つ覚えの様に突っ込んでくる箒の攻撃を避けながら、一撃一撃を確実に決めている。

 

「フン!」

 

「グワァァ!」

 

木場の攻撃は先程から決まっているが、紅椿には傷が付いていなかった。束はそれを観察していた。

 

「ハハハッ!見ろ!この機体には傷1つ付いていないぞ!派手な割には随分と弱い機体だな!!」

 

傷1つ付いていない事に、余裕そうな態度をとっていたが、それはすぐに消えた。突然ISが解除されたのだ。

 

「な!?何故ISが!?」

 

すると今度は、箒の体が灰の様に崩れてきた。青い炎も出ている。

 

「こ、これは一体!?」

 

「お前!箒ちゃんに何をした!?」

 

「体に有害なフォトンブラッド。それが体内に入り込めばどうなるか。当然調べたんだろ」

 

「……灰になって……死ぬ……!」

 

「そ、そんな!ああ!アアアアアアア!!!!!」

 

悲鳴が消え、箒は灰になり崩れ去った。

 

「次はお前だ。篠ノ之束。罪を償って貰う」

 

オーガストランザーを構え、ジワジワと束に近付くが、突然大きな声で笑い始めた。

 

「フフフフ……アァハハハハッ!!!」

 

「何が可笑しい?」

 

「いやー。ISへの適性は低くても、私の妹だから機体の性能の30%は出してくれるかと思ってたけど……まさかその半分も出せなかったなんてね~。笑えてくるよ。やっぱり専用機は与えられた人が使わないとね」

 

「何を言っている」

 

束は箒の灰の中から待機状態に戻った紅椿を取り出すと、自分の体に付けた。

 

「こう言う事だよ。この機体は、私が私自身の為に開発、調整した機体なんだよ。見せてあげるよ。開発者自身が自分の為に造り上げた機体の性能を!来い!“黒椿”!」

 

束が叫ぶと、纏った機体は先程の紅色ではなく、赤い部分が黒になった機体だった。これが本来の姿の様だ。

 

「100%の力を味わって死ね!!」

 

「ッ!?ハァ!!」

 

確かに彼女の言う通り、スピードも攻撃力も箒が使っていた時と比べて格段に違う。動く度に残像が発生するレベルの速さだ。

 

「ハハハハハ!!そんな動きで捕まえられると思うなよ!!」

 

さっきまでは、迫ってくる束に剣を振るっていたが、それを止めた。

 

「ん?諦めたか?良い判断だねぇ!!早く死にな!!」

 

「確かに捕まえるのは難しい。でも」

 

「ッ!?」

 

「こうなってしまえば関係無い」

 

トドメをさそうとした渾身の一撃を片腕で受け止め、逃げられないようにガッチリと固定した。

 

「終わりだ」

 

『ENTER』

 

『Exceed Charge』

 

オーガストランザーから伸びる、伸縮自在のフォトンブラッドの刃に、束は貫かれた。

 

「無駄だよ。この機体にはフォトンブラッドを消す能力がある!この傷もすぐに塞がる!お前に勝ち目はない!!」

 

フォトンブラッドを消す能力が機体に備わっていると、余裕そうにしているが、箒の時と同様に機体が解除された。

 

「な、何で!?」

 

「オーガのフォトンブラッドは、ライダーズギアの中でも最も強い濃度を誇る。ファイズブラスターのデータをきちんと機体に入れておけば、少しは防げたかもしれない」

 

「そ、そんな……!私にはまだやることが……!イヤだ!死にたくない!!死にたくない!!!!!イヤアアアアアア!!!!!」

 

「その感情は、あの事件で死んだ沢山の人が思っていた事だ」

 

灰の中から束の作った機体を回収すると、変身を解いて旅館に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千冬さん。これを」

 

「篠ノ之の機体……そうか、ありがとうございました」

 

渡された紅椿の待機状態を見て、千冬は全てを察した様だ。

 

「いえ。一夏はまだ?」

 

「眠っています。でもそろそろ目を覚ますでしょう。あぁそうだ。部屋を2つ取りました。使ってください」

 

「……草加君と一緒に居たらどうですか?最近一緒に過ごせなかったでしょ?」

 

「ええ!?で、でも!」

 

「1つの部屋に一夏を泊まらせるので、バレませんよ。適当に誤魔化しますし」

 

「そ、そこまで言うのならお言葉に甘えて……」

 

「伝えておきます」

 

そう言うと、一夏の居る医務室に向かっていった。中に入ると、一夏の寝ている側に本音が居た。

 

「あ、さっきの」

 

「布仏本音です」

 

「よろしく。調度良かった。一夏が目を覚ましたらこの部屋に泊まる様に言ってくれないかな?」

 

部屋の名前が書かれている紙を本音に渡した。

 

「後で君も行くと良いよ。一人部屋だしね」

 

「はい!伝えておきます!」

 

伝える事も伝え終わったので、自分の部屋に向かっていった。明日は臨海学校最終日。午前で学園に戻るが、出来ることなら楽しんで貰いたい。




質問はないので今回はここまで。また次回会いましょ。


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次の日

本来もう1話ありますけど、文字数的にくっ付けても良いやと思ったので1話にまとめます。


次の日の朝、一夏は木場に泊まる様に言われた部屋で目を覚ました。しかし何故か頭を抱えている。

 

(ヤベー。記憶がフワフワして何も思い出せねー。何で枕元に女子用の制服があるんだ?何で俺包帯だらけなんだ?つかここ何処だ?意識朦朧として本音に運ばれたのは覚えてるけどそこから先何も覚えてねー……)

 

頭を抱えながら自分の状況を確認している。意識が可笑しくなっている時に女子の制服を着てしまったのか?等を考えてしまった。だが、キチンと畳まれてい辺り、それは無い。と言うかそもそもサイズが合わない。

 

「ん?なんだ?」

 

周りを見ると、自分の使ってる布団の隣半分が膨らんでることに気が付いた。何と無く捲ってみると、そこにはスヤスヤと寝ている本音が居た。

 

「…………」

 

ゆっくりと、布団を戻した。そしてもう1回捲って確認をした。しかし結果は同じ。何度確認してもそこには本音が居た。服装は聞かないでね。皆さん1番最初に予想した通りの服装だから。

 

「……シャワー浴びてこよう」

 

朝からよく理解出来ない状況。イヤ、理解したくない状況に、一夏は考えるのを止めてシャワーを浴びることにした。

 

そして、これと似たような状況が別の部屋でも起こっていた。しかも随分と身近な人物がだ。

 

「あっ…あぁ。朝か。ん?何で私は何も着ていないんだ?……ッ!」

 

大事な事を思い出し、顔を真っ赤にさせた。しかし昨晩はそこそこ飲んでいたので、記憶は一夏同様にフワフワしている。

 

(一体昨日の夜に何があったんだ~!イヤ待て頭は痛いが何か覚えているかも……ダメだ残念ながら何も思い出せない~!イヤ!でも何も起きていないかも!と言うか仕事中に何か起こしてたらそれはそれでマズイ!!)

 

自分の使ってる布団を捲り、中を見てみた。誰も居なかった。この事に安心したが、一応触って確かめてみると、少し暖かかった。

 

(絶対誰か居た~!!)

 

まぁ誰かと言っても1人しか居ないけど。懲戒免職と言う4文字が頭の中を横切った辺りで、風呂から草加が出てきた。

 

「起きたのか。朝食までには少し時間があるぞ」

 

「ま!雅人さん!き!昨日の夜は!?」

 

「……何も聞かない方が良い」

 

「////ッ!!」

 

肩に手を置かれて言われたその言葉に、再び顔を真っ赤にして、今度は目を回しながら気を失った。

 

「ちょっと遊びすぎたか」

 

爽やかな良い笑顔で笑っていらっしゃる。どこまでが悪戯かは分からないが、実に楽しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ~。昨日、全員が知っている通り、トラブルがあった。内容は言えんが、皆には迷惑をかけたことに変わりはない。そこで、帰りの時間をずらし午後4時まで初日と同様自由時間とするようにと、学園から連絡があった。以上!」

 

千冬の連絡に、生徒達のテンションが上がった。今日もほぼ1日自由に過ごせるのだ。全員、急いで部屋に戻り、水着に着替えて海で遊び始めた。

 

「さてと。何をやるか……」

 

「おーりむー!!」

 

「ウワッ!」

 

後ろから本音に抱き着かれた。

 

「あぶねーぞ。?着ぐるみはどうした?」

 

「今日は着てないよ」

 

今回は置いてきたようだ。乾かなかったのだろうか?今日はビキニタイプの水着だった。

 

「可笑しいかな?」

 

「イヤ。似合ってると思うぞ」

 

一夏に水着が似合ってると言われ、嬉しそうにしている。

 

「一夏~!本音~!海の家行きましょう!」

 

「海の家?」

 

「リンリン何かやるの?」

 

「えぇ。料理の美味しいって評判だから全メニュー制覇しようと思ってね!」

 

実に鈴らしい元気な理由だ。全メニューとはまた、随分と思いきったな。

 

「お~!面白そう~!行こう行こう!」

 

本音も乗り気である。この2人なら本当に全メニュー制覇しそうに思えてきた。そんな2人を見て、一夏は苦笑を浮かべている。

 

「おじさ~ん。全メニューちょうだ~い!」

 

「えぇぇぇぇえ!!?」

 

小柄な2人が、メニューを全て注文したことに、店長はかなり驚いていた。古い表現だが目玉が飛び出るくらいにだ。

 

料理が来ると、2人は早速かじりついた。スゴい勢いで減っていく。どこにそんなに入るんだよと聞きたい。

 

「ちゃんと噛んで食えよ」

 

「「はーい!」」

 

2人に注意しながらも、一夏も出てきた料理を食べている。

 

~2時間後~

 

「嘘だろ……マジで全メニュー食っちまった……」

 

出されたメニューの料理全部を完食した3人を見て、店長は驚いている。と言うか軽く引いている。

 

「ふぅー!美味しかった!」

 

「噂通りの味だったね~」

 

「あの、いくらですか?」

 

「あぁイヤ。こんなに食ってくれたんだ。何か、逆にもう良いよ……」

 

2人の食欲は、店長に代金はいいと言わせるレベルでスゴかったようだ。

 

「あっ!最後にかき氷下さい!」

 

「私も~!」

 

「「………………」」

 

かき氷を受け取り、満足そうに海の家から出た。一夏は出るとき会計に諭吉さんを1枚置いてから出ていった。

 

海の家のメニュー全てを制覇した3人は、特にすることが無いので海岸をブラブラ歩いていた。

 

「食後の運動になんかやるかな……」

 

軽く運動をしたい一夏は、辺りを見回していた。すると、

 

「あ、一夏。ビーチバレーやらないか?」

 

「お前が相手をするのか?」

 

「構わないが」

 

草加からビーチバレーのお誘いを受け、参加するこことなった。

 

「じゃあ、ルールの説明をするわよ!今回は2VS2の1試合。先に相手から3点モギ取った方が勝ちよ!」

 

鈴のルール説明の声を聞いてか、周りには沢山の生徒がよってきた。彼女らも試合が気になるようだ。……死合にならないと良いのだが……。

 

「草加さんのペアは決まってるけど……一夏、あんた誰と組むの?」

 

「あ……」

 

完全にペアを忘れていた。

 

「忘れてたのね……仕方無い。木場さんでも呼んでくるかな……」

 

ペアが居ないとどうしようも無いので、木場を連れてこようとしたが、現在木場は気持ち良さそうに日光浴中だったため、誘うのも悪いと判断し声をかけなかった。

 

「仕方無い。アイツ呼ぶか」

 

「ん?誰か居るの?」

 

『Battle Mode』

 

一夏がギャラリーの中から選ぶのかと思ったが、電話をかけるとスゴく聞き慣れた電子音の後に、スゴく見慣れた人型のロボットが出てきた。

 

「これでいいだろ」

 

確かに問題は無い。ペアが居るのだから。むしろバジンで安心している。普通にここの生徒がやったら怪我では済まないだろうからな。

 

「色々と問題が見え隠れするけど、大丈夫みたいね……始め!」

 

「おりむー頑張れー!」

 

草加のサーブを一夏が綺麗にレシーブすると、上がったボールをバジンがトスを、せずに相手のコートにツーアタックを決めた。

 

「なっ!?」

 

「ハッ!?」

 

何故か一夏も驚いている。綺麗にツーアタックを決めたバジンはと言うと、

 

「……」

 

言葉は発していないが、満足そうにサムズアップしている。

 

「…………」

 

バジンの行動に、言葉を失った一同だった。そしてサーブは一夏ペアへと移った。しかもサーブをするのはバジンである。

 

バジンの見ため的に、全員普通にオーバーで打つのかと思ったが、またしても裏切られた。ボールを高く上げ、ジャンプサーブを打ったのだ。かなり強烈なヤツを。スゴくシュールな光景だった。

 

「落とすか!!グッ!千冬!上げろ!!」

 

「はい!」

 

「ゼリャ!!」

 

「グワァ!!」

 

草加の打った強烈なスパイクは、ブロックで飛んだ一夏の壁を突き破り、砂浜にボールがめり込んだ。

 

「チッ!草加、全力で行くぞ!」

 

『555 ENTER』

 

「面白い!」

 

『913 ENTER』

 

『『Standingby』』

 

「「変身!!」」

 

『『Complete』』

 

2人にとっての全力、お互いに変身し文字通り全力で終わらせる様だ。

 

「食らえ!!」

 

一夏の放った全力のジャンプサーブ、何故ボールが破裂しないのかが不思議だ。

 

「グッ!千冬!叩き込め!!」

 

「ハァ!!」

 

千冬のスパイクは、完全に決まったと思ったが、落下地点に来ていたバジンによって、かなりの高さまで上げられた。

 

『『ENTER』』

 

『『Ready』』

 

「ハァァァ!!」

 

「デリャ!!」

 

「ヤバ。本音、逃げるわよ」

 

「アイアイサ~」

 

ズドォーン!!

「な!なんだ!?」

 

突然起こった爆発に、日光浴をしてウトウトしていた木場が驚き、音のした方向を見てみた。

 

「何でクレーター?」

 

一夏と草加は変身が解除された状態で倒れ、千冬も横になってる。バジンに関しては半分砂に埋まっている状態だ。

 

「一夏と草加さんがビーチバレーをやったからです」

 

「ビーチバレーとは一体……」

 

帰りのバスの中では、何故か包帯や湿布、絆創膏を付けた生徒がたくさんおり、真耶が不思議そうに見ていた。




次回はコラボトークショーです。


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コラボトークショー
コラボトークショー


いや~書きすぎた。最後まで書いてから、前後で分ければ良かったな~と感じています。本日はのんのんびより氏とのコラボトークショーです。今回は全編台本形式の台詞のみで行きます。同じ名前のキャラクターが居ますが↓の様に表示します。

一夏(のん)
「こ、こんにちは!」

一夏
「さてと。始めるか」

とまぁ、こんな感じで分かりやすく行きます。のんのんびより氏のユーザーページは此方です。面白い作品が沢山あるので是非。因みに今回は「女性恐怖症の一夏君」とのコラボトークショーです。

https://syosetu.org/?mode=user&uid=147922


一夏

「なぁ主。お前もやる必要あるのか?もう既に向うでコラボトークショーはやってるだろ。俺達出演したし」

 

まぁその辺は気にせず。前々からの約束だったし、何より俺が滅茶苦茶したい。だからする。

 

一夏

「あっそ」

 

鼻ほじりながら面倒くさそうにするな。お前もあっちで世話になっただろ。バジンとメサさんの3本勝負とか。と言う訳で、こっちのキャラ達を口寄せするぞ。

 

一夏

「最初から俺以外も呼んどけよ。後、分かってると思うが気を付けろよ?」

 

分かってるよ。こっちの女子キャラは本音と千冬のみ。後でその場に応じてって感じ。全員に話は通してあるから、まぁ大丈夫だ。じゃ、口寄せの術!

 

本音

「おぉ~!この殺風景な空間久しぶり~!」

 

千冬

「まるで主の部屋のようだな」

 

バジン

「少しは飾りを付けろ」

 

ナチュラルにディすられただと……!?はぁ……こう考えると、向こうの主要キャラが天使に思えてくるよ。

 

一夏

「向こうの芝生が青いってヤツだろ。でどうするんだ?まだここで尺を稼ぐか?それとも向こうの世界の皆を呼ぶか?」

 

のん

「ニョキッ!)こっち準備できましたよ。いつでもどうぞ!」

 

あ、じゃあ向うでこのボタン押してください。チャイムみたいな音がしたら勝手にこっちに転送されるので。

 

のん

「はいは~い」

 

さてと。時間は稼げたな……お前ら飾り付けするぞ!!この殺風景な空間を華やかにするんだァァア!!

 

4人

「やっぱりか!!?」

 

~30分後~

 

一夏

「はぁ、はぁ、取り敢えずできるだけの準備はした!」

 

バジン

「椅子にテーブル。軽いツマミに飲み物」

 

千冬

「部屋の装飾も完了だな」

 

本音

「で~も~、椅子がパイプ椅子でテーブルが会議室にある長机ってどうなの?」

 

この際その辺は仕方ない。他に良さそうなの無かったんだから。それ使わないと、IS学園の教室になるぞ……さてと、そろそろ皆この空間に到着する頃だな。少し遅いけど。

 

一夏

「おいおい大丈夫なんだろうな?別の場所に転送されてたら洒落にならねぇぞ?」

 

一応メタ空間だから無理矢理ここに呼ぶことはできるけど……

 

のん

「ガラガラ!)ごめん!道に迷いました!」

 

一夏

「ここまで一本道だったよな?」

メサ

『変なところに転送されまして。それで家の主が焦ってしまいましてね┐( ̄ヘ ̄)┌』

 

本音

「どこに転送されたの?」

 

一夏(のん)

「さ、さぁ?あでも、なんか生徒指導の途中だったよ?筋肉のスゴい先生と生徒が2人いた」

 

おっと1回別次元に行ったっぽいね。じゃじゃじゃしゃあ、のんのんびより氏を含むそちら側の世界の皆さん、自己紹介お願いします。もう尺は十分に稼いだから、好きなようにやって良いよ笑

 

のん

「じゃあ家の一夏くんからだね」

 

一夏(のん)

「は、はい!織斑一夏です!えっと、特技は料理です!特にお菓子が得意です!よろしくお願いします!」

 

本音(のん)

「布仏本音だよ~。よろしく~」

 

千冬(のん)

「織斑千冬だ。よろしく頼む。前回は参加できなかったが、今回は楽しませて貰おうと思う」

 

一夏

「前回は次元の壁ぶち破ってツッコミ入れてたな」

 

千冬(のん)

「因みに、今回は一夏の護衛も兼ねている」

 

嘘だろ!?

 

千冬(のん)

「嘘だ(Ф▽Ф)」

 

なんだそれ……(-_-;)じゃ、次の人お願いしま~す。

 

束(のん)

「はいは~い!いっくんのお姉さ~ん!束さんだよ~趣味は開発と発明と裁縫だよ!こっちの私はどうかな?会えたら会ってみたいな~。色々とあったみたいだから。じゃあメサにバトンタ~ッチ!」

 

メサ

『一夏坊ちゃまの全てを愛し、全てを受入れ、全てを愛でる。坊ちゃまの忠実な下僕!プラカードで喋るメサです!以後、お見知りおきを( ̄▽ ̄)ゞ』

 

一夏(のん)

「め、メサさんは下僕じゃなくて家族だよヽ(д`ヽ)」

 

メサ

『坊ちゃま( ;∀;)それより、バジンさんはどこですか?前回の三本勝負、一勝一敗一分と引き分けでした。そんなの納得できません!(`Δ´)今日こそ決着を着けてやる!!さぁ我が永遠のライバルは(`Д´≡`Д´)??!』

 

バジン

「ここに居るぞ?」

 

メサ

『は?( ゚д゚)ポカーン』

 

バジン

「今はコミュニケーションモード。コミュニケーションを目的とした姿で、アップデートしてもらった時になれるようになった」

 

メサ

『ハァア!?』

 

束(のん)

「スゴい科学者がいるね……是非とも会って話をしたい……そして一緒に発明を」

 

一夏

「止めとけ。うちの世界じゃ、開発をする連中は漏れなく全員何かがブッ飛んでる。アンタでも疲れるぞ」

 

うん。其処は否定しない。アイツらは何かがおかしいから。じゃ、最後にのんのんびより氏。よろしくお願いします。

 

のん

「はい!あっちの世界の作者、のんのんびよりです!特技はサバゲー!好きなものはゲーム!ラーメン!エアガンです!作品、キャラクター共々よろしくお願いします!」

 

よし。自己紹介も終ったところで、次のメニュー行ってみよ~!

 

メサ

『よし!なら私とバジンさんの3本勝負から!』

 

あ、今回はメサVSバジンの勝負はないよ

 

メサ

『あ何故!?(゜〇゜;)?????』

 

一夏

「ま、料理の腕は同等」

 

本音

「そもそもの運用目的が違うから便利機能の差は圧倒的」

 

本音(のん)

「おりむーへの愛情が勝ってるけど」

 

のん

「バジンはどちらかと言えば相棒感が強い」

 

千冬(のん)

「メサは相棒と言うより家族で」

 

束(のん)

「バトル用じゃないからサポート面にステータスを全振り」

 

千冬

「土俵が違うから端なっから勝負にはならないと言うわけだな」

 

一夏(のん)

「ど、どっちもスゴいからね?2人ともカッコいいし頼りになるよ!」

 

メサ

『クッ!どこまで行っても平行線と言うわけか……無念!!』

 

じゃあ片方の土俵で戦う訳だけど、バジンの土俵は戦闘な訳だけで……

 

束(のん)

「多分勝てないね……強いっちゃ強いけど、それでもサポートタイプだから」

 

一夏

「逆にメサの土俵であるサポート面勝負をすれば、こっちが負けるな」

 

バジン

「生活面での支援ができるとは言え、戦闘支援の応用で本来の機能ではないからな」

 

まぁ畑が違うから得意分野で勝負したらお互いに勝てないってことね。と言う訳で、ここでやる最初の企画はこれ!

 

『ダブル一夏料理対決~!!』

 

一夏ズ

「「え?」」

 

ルールは簡単!制限時間内に料理を作れるだけ作れ!因みに、料理はこの場所でのツマミになる。このトークショーが終わる頃には全部無くなってると思うから。

 

一夏

「チッ。しょうがねぇな……悪いが料理となればゲスト相手でも手は抜けねぇ。全力で行かせて貰うぞ」

 

一夏(のん)

「は、はい!よろしくお願いします!!僕も全力で行きます!」

 

千冬

(あぁ~。向こうの世界の一夏は天使だな~。それに比べて家のは……ほとんど悪魔…(-_-;)もう少し人相どうにかならないのか?)

 

千冬(のん)

「なぁ、そっちの世界の私」

 

千冬

「む?なんだ?」

 

千冬(のん)

「そちらの一夏は最終的に店を開いたんだよな?今回のこれ、勝負として成立しているのか?」

 

千冬

「問題は無いと思うが……まぁ、私たちは楽しみに待っているとしよう!どちらが勝つか楽しみだ!!」

 

千冬(のん)

(私とだいぶ性格が違うな……ほぼ同一人物だと聞いていたのだが……)

 

さぁ始まりました第1回ダブル一夏料理対決!材料はなんでもOK!勝敗は食べた人の反応!取り敢えず沢山作って貰おう!

 

一夏

「なぁ、おかしな食材がいくつか混じってるんだが」

 

一夏(のん)

「このキラキラ光ってるお肉なに?」

 

一夏

「アホみたいにデカイ果物もあるし」

 

一夏(のん)

「見知った食材が少ないですね」

 

一夏

「あ、デカいキンキだ。高級魚だぞ」

 

まぁまぁその辺は気にせず。食べられる食材ではあるから。あただ、いくつか調理方法が特殊な特殊調理食材が混じってるから。使用法を誤れば倒れて動けなくなるのもあるから気を付けてね。

 

千冬

「それは毒って言うんじゃないのか?」

 

のん

「と言うかどこの世界から持ってきたの?まぁだいたい分かるけど……」

 

束(のん)

「この水のなかに入ってるサクランボなに( ´∀`)σ」

 

あ、それ衝撃与えると爆発するから弄らないで。調理方法は説明書あるから見といて。

 

本音

「食べられるんだよね?」

 

一夏

「気にすんな。どんなもんでも食える様にしてやる」

 

一夏(のん)

「ちゃ、ちゃんと美味しくするよ!」

 

本音(のん)

「おりむー頑張ってね~!」

 

~30分後~

 

一夏

「残り時間半分だが……飽きたな」

 

一夏(のん)

「え!?」

 

千冬

「おい一夏。勝負放棄とは良い度胸だな」

 

一夏

「いや。この企画その物に飽きた。何故勝負しなくちゃならないんだ?つー訳でそっちの俺」

 

一夏(のん)

「ん?」

 

一夏

「企画変更だ。ここからは俺たち2人の合作だ。準備はしといた。味見すれば大体なにするか分かるだろ。お前の得意分野だ。デケーの作ってやれ」

 

一夏(のん)

「は、はい!ならこっちを」

 

一夏

「おう!」

 

千冬(のん)

「い、いったい何を?」

 

こりゃ面白いことになったな。さてさて、そろそろ制限時間だ。

 

のん

「いったい何ができるのやら。楽しみですねo(^o^)o」

 

さぁ、時間はここまで。2人が作ったものは~?

 

一夏

「パーティーの定番。唐揚げとナポリタン、エビフライの盛り合わせ。刺身盛りと寿司多数もあるぞ」

 

一夏(のん)

「あと、沢山の野菜が入っててバランス良く栄養をとれるコンソメスープにピラフ、オムライスもあります!」

 

一夏

「他にはサラダと揚げ物諸々。そっちの俺が準備してくれたハンバーグ」

 

一夏(のん)

「デザートは沢山の果物とアイス、ホイップクリームで作った巨大なパフェです!」

 

「「「「おぉ~(パチパチ」」」」

 

本音

「このでっかくて赤い粒は?」

 

一夏(のん)

「それはザクロです。僕の顔くらいあるけど……」

 

千冬(のん)

「ん?普通のリンゴも……顔が付いている……」

 

一夏

「ソイツはびっくりアップルだな。びっくりさせればさせるほど旨くなる。らしい……顔が付いてて切るに切れなくてな。仕方なくそのままにしておいた」

 

束(のん)

「マンガによく出てくる骨付き肉もあるよ!」

 

千冬

「魚の丸焼きもあるな」

 

何はともあれ、これで料理は完成だな。結局勝負じゃ無くなったが、結果オーライかな?ちょっと気持ち悪い食材もあるけど……

 

のん

「自分で用意した商材だよね!?しかも割りと捕獲レベル高めのヤツ!結局あの爆発するサクランボ調理できてないし!」

 

あ、これは俺が食うから置いといて。

 

のん

「爆発するって自分で言ってなかった?!」

 

大丈夫大丈夫。多少胃が荒れるけどすぐ治るから。じぁ食べながら次の企画行こうか。

 

束(のん)

「次はなにやるのφ(c・ω・ )ψ モグモグ」

 

こっちの世界のキャラを何人か呼び出して反応を見てみるつもりだよ。束も来るよ。

 

千冬(のん)

「それは楽しみだな( ̄~; ̄)ムシャムシャこっちの束には私も興味がある」

 

扱いやすいキャラで行くから全員は出せないけどね。じゃ、まずは鈴からね

 

一夏(のん)

「(; ゚д゚)ノビクッ」

 

本音(のん)

「イッチー落ち着いて。この世界の人達だから大丈夫だよ丶(・ω・`) ヨシヨシ」

 

ちゃんと事情は説明してるから安心して。はい出てきて~……どこ行った?

 

「ここにいるわよ( ´З`)=3 ゲップぅ…」

 

いつの間にか料理がそこそこ消えている!?

 

「いや~。流石一夏ね。どこの世界でもやっぱ旨いわ。特にこの骨付きのマンガ肉最高ね」

 

千冬(のん)

「何故かスゴくしっくりくる画だな……」

 

束(のん)

「うん。何故か似合ってる……」

 

「どう言う意味だか物凄く聞きたい所だけど……」

 

一夏

「なんだ?」

 

一夏(のん)

「な、なにかな?」

 

「('・c_,・` )プッ全然2人似てない!おんなじ人間なのに全く顔違うんだもん!こっちのは吊眼だし目つき悪いし瞳孔開いてるし眉間にシワよってて身長もデカいしゴツいから威圧感もあるし前科100犯な顔だもん!」

 

一夏

「おい(-_-#)」

 

「でもそっちのは逆に垂れ目でオットリした感じで、髪の毛もフワフワだし身長こそはうちのと変わんないけど、体が細いから威圧感はない。全く別人なんだもん」

 

メサ

『この娘っ子。坊っちゃまの可愛らしいポイントを押さえてるじゃないか。仲良くなれるやも知れん』

 

「あ。そうだこれあげるよ」

 

一夏(のん)

「本?何のだr(ポンッ‼///」

 

本音(のん)

「イッチー!?」

 

千冬(のん)

「どうした一夏!」

 

束(のん)

「ちょっとお前!いったい何を読ませた!!」

 

一夏

「お前まさか……!」

 

本音

「リンリン、あれ渡してないよね?」

 

千冬

「あれは耐性の無い人間にはキツいぞ」

 

バジン

「あぁ。あれか……」

 

のん

「え?なに見せたの!?なに読ませたの!?まさか!グロい画像が沢山載ってるサイコパスが読むようなハードなヤツ!?」

 

大丈夫大丈夫。スプラッター物ではないから。一夏君の反応見てみな。顔真っ赤っかでしょ。読ませたのはアレだよ。

 

「うん。BLの18禁本」

 

のん一行

「なに読ませてんだぁぁぁあ!!!!」

 

「いや女性恐怖症って聞いてたから、こっちなら行けるかなって」

 

千冬(のん)

「だ、だからと言ってこれは……!しかもこのキャラクター!一夏そっくりじゃないか!!?」

 

束(のん)

「それにスゴく作画のレベルが高いね……」

 

「うちの世界にBL同人誌の作家いるのよ。千冬さんの娘さんと山田先生の娘さん。んで簪が2人の編集長を務めてるわ。夏と冬にやってるイベントに出れば開始10分で200部売れる程に売れっ子よ。そっちの世界の事話したらノリノリで作ってたわ」

 

千冬(のん)

「こ、こんな物を一夏に読ませる訳には行かない!わ、私が管理する!!」

 

束(のん)

「ちーちゃん?」

 

「因みに他には…機械×一夏、千冬(♂)×一夏、束(♂)×一夏、千冬(♂)+束(♂)×一夏等々」

 

千冬(のん)

「ダァァァァ!!全て私が管理する!!!」

 

束(のん)

「ねぇメサ。こんな感じの機械になるつもりは」

 

メサ

『微塵もありませよ!( ̄▽ ̄= ̄▽ ̄)』

 

束(のん)

「まぁ私もそんな酷いことはしないよ~。心配しないで~」

 

メサ

『あの、束さま。先程からおぞましい量の物が通販で購入されてるんですけど?それにパソコンで何を作ってるんですか?ちょっと!さっきからよく分からないプログラムが送信されてるんですけど!?』

 

千冬(のん)

「おい!私は男になっても一夏にこんな酷いことはしないぞ!」

 

一夏(のん)

「お姉ちゃん( ;∀;)」

 

千冬(のん)

「もっと優しくするに決まってるだろ!!」

 

本音(のん)

「あ、もうダメだこの人たち……」

 

のん

「これ、収集つく?」

 

無理ですね(ヾノ・∀・`)。次の人呼びましょ。そちらの千冬と束も気になってる、こっちの世界の束だね。

 

「初めまして。海堂束です」

 

千冬(のん)

「た、束なのか……!?これが!?家のとは似ても似つかないぞ!紫の髪の毛は!白衣は!ウサ耳は!?と言うかなんだこの大人しい性格は!!」

 

一夏(のん)

「束お姉ちゃん綺麗~」

 

「ありがとういっくん(*⌒―⌒*)」

 

千冬(のん)

「知らない!こんな束知らない!束と言えば!不適な笑みを浮かべながら薄気味悪い高笑いを上げて開発をして24時間パーティーかと聞きたくなる位に騒がしいのに!こんなに淑やかな性格はなんだ!!」

 

メサ

『そちらの束さまは…なんと言うか綺麗ですね。色々と』

 

バジン

「憑き物が落ちた感じだな。最初からアレなら好感が持てるんだがな~」

 

本音(のん)

「なんか、近所の親切なお姉さんって感じがするよね~。作りすぎた料理とかお裾分けしてそう」

 

千冬

「どうだ?これがうちの束だが」

 

「…がう……」

 

千冬(のん)

「ん?どうした?」

 

束(のん)

「こんなの、こんなの束さんじゃな~い!!束さんと言えば遠くから見ても一瞬で識別できるこの紫の髪の毛!そして白衣!それが無いにしてもトレードマークのウサ耳も無いってどう言うこと!?なにその服装!?ジーパンにセーター!?主婦か!?と言うか海堂ってなによ!?」

 

「色々あって結婚することになって///今はそっちの姓を名乗ってるの」

 

束(のん)

「結…婚……=(;゚;Д;゚;;)グハッ!!」

 

「こんな感じで良かったかな?」

 

束(のん)

「違~う!!こうなったら!せめてその髪の毛を紫に戻して白衣を着せてやるゥゥゥウ!!!」

 

「ヒギャァァア!!私の黒歴史ィィイ!!」

 

束(のん)

「なにが黒歴史だ!逃げるなぁぁぁあ!!!これが自然体だろぉぉお!!」

 

行っちゃった……

 

千冬(のん)

「どの世界の束も、身体能力高いな~」

 

千冬

「あぁ。まさかあんなにアクロバットな鬼ごっこをするとはな」

 

何かしら起こるとは思ったけど鬼ごっこが始まるとは……仕方ない。みんなは少し休んでて。自由に過ごして良いよ。今から「作者の部屋」ってことで、俺とのん氏の2人だけの企画に入るから。

 

 

 

~『作者の部屋』~

 

作者の部屋第1回(たぶん最初で最後)。ゲストは先程からツッコミをしてくれているのんのんびよりさんです。

 

のん

「よろしくお願いしま~す」

 

さてさて、せっかくのコラボトーク。キャラクターだけじゃなくて作者同士もと言う安易な考えから勢いでやっているこの企画。今日は色々と聞いていきたいと思います!

 

のん

「なんか後ろからルールルってBGMが流れてきそうな企画だね」

 

まぁまぁそれは置いといて、さっそく質問行きますよ。まず手始めに、このサイトで小説を始めた切っ掛けを語ってくださいな。

 

のん

「切っ掛けは、当サイトの猫林13世先生が書かれている『もし一夏が最強だったら』を読んだのがきっかけです」

 

ほうほう

 

のん

「その小説を読んでから、ふとその時遊んでいたフロントミッションというゲーム画面を見て、“ISとフロントミッションをコラボしたら、面白いかな?”と頭に浮かび、自己満足でもいいから書いてみるかと思って小説を始めてみました」

 

なるほど。読んでいた小説とゲームですか。このサイトじゃやっぱりそう言ったのが多いんですかね?自分も読んでいた小説に影響を受けて。ですからね。

 

のん

「あぁ。そちらもでしたか。因みになんの小説を?」

 

ドラえもんと仮面ライダーのクロス小説です。特撮とアニメで、なおかつバトルがあるとは言えほぼ日常。日常があるとは言えほぼバトル。ほとんど真逆の位置にある存在のクロスオーバーで、こんなのもアリなんだなと思って勢いで書いたら完成しました笑

 

のん

「勢い笑」

 

yes勢い。では続いて、多くのヒロインが存在するISと言う作品。そんな中で好きなキャラクターはどなたですか?

 

のん

「好きなキャラは更識姉妹と布仏姉妹ですね~。理由はきっかけとなった小説を読んでから好きになった」

 

いずれ読んでみたいですねその小説。因みに私は今作でヒロインとして扱っている本音と山田先生ですかね。

 

のん

「おや?メインのヒロインは入らないのですかい?」

 

色々と読んできたんですよね。原作よりの二次創作や原作から全力で離れた二次創作。原作(少しだけ)。そしていろんなサイトの設定集。

 

のん

「なるほどなるほど」

 

で、原作を持ってる友人にどのキャラクターが好きなんだと聞かれたとき、即答で本音か山田先生と答えました。そしたら分からんでもないと。個人的にただただ設定を読んで魅力的に感じたのがその2人なんですよね。

 

のん

「オットリ系ですからね~。安心と安定を求めるなら分かる感じがします笑」

 

ハハハハ。では次の質問。ゲーム好きとの事ですが、現在はまっているゲームはなんですか?

 

のん

「今はバトルフィールド4です。理由は広大なマップで多種多様な現代兵器で戦うからです」

 

聞いたこと無いゲームですね。ps4ですか?

 

のん

「はい。ps3やXboxでもありますけどね」

 

う~ん。何故かテレビゲームには前向きになれない民の私ですので、やったこと無いですね。今まででマジになれたテレビゲーム、スーパーファミコンくらいですからね笑

 

のん

「果てしなく懐かしいゲーム機が出てきましたね笑」

 

まぁ、お亡くなりになったのでもう遊べないんですけどね。さてと次の質問です。サバゲーをやっていてエアガンも好きと言うことで、お好きなエアガンはなんですか?

 

のん

「東京マルイ製の次世代電動ガンのSOPMODM4とガスブローバックのM4MWSです。何方のエアガンも引き金を引いた際の衝撃が楽しいからです」

 

衝撃が強いと楽しいですよね~。実銃は衝撃が少なくて撃ちやすいものが好まれますけど、エアガンはその逆。衝撃が強くてたまにジャムを起こす物にロマンを感じると言う不思議。

 

のん

「ありがちですよね~」

 

私はガスハンドガン6丁とエアコキショットガン1丁、エアコキハンドガン2丁を所持してますけど、長物は持ち合わせてないですね。買いたくても値段を見て躊躇してしまいます……

 

のん

「まぁ、確かに高いですからね~。アサルトライフル系だと性能が良いのは4、5万飛びますから」

 

中古で値下げされてるのは買えるんですけどね。マルゼンのP38。ルパン三世でお馴染みの銃ですけど、箱無し中古で発売当時の新品と変わらない15000円(税抜き)でリサイクルショップに置かれてました。衝動買いしましたけどね。

 

のん

「どうでした?ワルサー」

 

ワルサー社と正式契約して実銃の図面だったかな?それを使ってるため構造上入る弾とガスが少ないです。だが逆にそれが良い。

 

のん

「ロマン属性持ちはそれくらいがちょうど良いですよ」

 

愛用はサムライエッジスタンダードモデルです。サバゲーは未経験ですけどね。やれるフィールドが無いので。いつか参加したい物です。

 

のん

「ならデカイのを買わないとですね~」

 

通帳に余裕ができたらですね~。ではでは、エアガン談義はここら辺までにして、のんのんびよりさん、ISの世界に行けたとしたら何します?

 

のん

「もし乗れたらIS学園に通うことになるだろうから、一夏と鈴ちゃんが付き合う様に裏工作をします。理由はなんとなくそっちの方が面白そうだからです。(不純な動機)乗れない場合は、IS学園の清掃員か用務員にでもなってのんびり生活を送りたい」

 

給料良さそうですもんね~IS学園。沢山の保険に加入してて手当てとかも充実してそう笑

 

のん

「学園の規模も多いから人を沢山雇ってそうだし、人が多ければそれだけ残業とかも少なそうですからね笑。それに家が遠い人は用務員用の寝泊まりできる部屋も完備してそう笑」

 

働き口としては最高ですね。因みに私は何もしたくないです。どっちのパターンであっても。そろそろ時間もいい感じですので、私の質問は次が最後です。今作『ISと無気力な救世主』を読んでみて、率直にどう思いました?

 

のん

「そうですね~。無気力で口が悪い一夏に、最初はこの主人公大丈夫か?と思っていましたが、話が進んでいく内にその裏にある優しさなどに気付かされ、ぶっきらぼうだが優しい一面のある主人公だなと改めて思いました。それと一夏や他のキャラ達の家族の様子などの閑話には何時もほっこりしたり笑いながら読まさせてもらっています」

 

いやはやありがたいですね。まぁ、個人的にも最初の一夏の口の悪さには、自分でも引いています。

 

のん

「自分でも笑。あ、じゃあ自分からも質問を。最近はまっているゲームありますか?」

 

SAOフェイタル・バレット(switch版)です。レベルが100以上あるので、キャラクターの成長が楽しめますし、つい最近も新しいダンジョンとクエストが追加。たぶん今後も追加あるんじゃないかな?と思ってます。武器も多いですし、取り合えずキャラクターを全力で育成しなが追加クエストを待ってます。

 

のん

「ガンゲームなのにブレードとか使ってそうですね笑」

 

Σ(・∀・)

 

のん

「じゃあ次に、1番印象に残ってる仮面ライダーはなんですか?」

 

ディケイドですね。これ1択です。

 

のん

「おや意外。てっきりファイズを出してくるかと思ったんですけど」

 

ファイズも印象には残ってますけど、平成ライダーを全て通して考えてみると、やっぱりディケイドなんですよね~。ただでさえ放送当時チートが服着て歩いてる様な状態だったのに、ジオウで再登場して最終回まで居座って、更に自分のウォッチ渡して以降は常に半分の力で大暴れして主人公サイドと敵サイドを翻弄。それに2期以降のライダーにも変身するし……なんなのアレ本当に。

 

のん

「まぁそう言われると確かに……じゃ、じゃあ自分がライダーに変身できるとしたらなにになりますか?」

 

ん~。特に変身したいライダーはいないですけど……強いて言えばギャレンかな~?

 

のん

「これまた意外。それに主人公ライダーじゃなくてサブライダーですか。しかし何故肝心な時にしか役に立たないギャレン?」

 

近距離中距離に対応できて、ジャックフォームでは空を飛べますから、戦いに使わなくても移動に使うことができて便利そう。そう言う感じで言ったら、便利機能満載のライダーならなんでもOKって感じです笑

 

のん

「なるほど現実的ですね笑。なら仮面ライダーに変身してくれと頼まれたらどうしますか?」

 

どっかのフェレット擬きに契約してくれ的な感じだったらお断りします。まぁ誰に頼まれても断りますけど。

 

のん

「え?断るんですか?」

 

怪人が出てるから変身して戦ってくれと言う事だとしたら、態々自分の命をかけてまで見ず知らずの誰かを守るのは嫌ですし、そもそも無料で人助けなんて……

 

のん

「じゃあ無料じゃなかった場合は?」

 

土壇場で変身してくれとアイテムを投げ渡された場合、その場の変身で10万、討伐完了後30万、怪人1体につき15万、沢山湧いてくる所謂ザコ敵は1体につき5万、ライダーとして変身アイテムが与えられている間は医療保険・雇用保険・厚生年金・国民年金・労災含めて月々20万、半年で任期満了金、1年で退職金発生、怪人による負傷の治療費免状。等の物が付いてたらなります。

 

のん

「夢を壊しに行ってますね(;^ω^)妥当な内容だとは思いますけど。話変わりますけど、ISキャラで姉にするなら誰がいいですか?」

 

姉にですか~。山田先生ですかね。常識ありそうですし抜けてるけどしっかりしてそうですから。

 

のん

「今回の質問の数々で分かったのは、この人は現実的って言う事です笑」

 

色々と申し訳ない。さてと、そろそろみんなの場所に戻りましょ。

 

~移動~

 

千冬ズ

「「グヌヌヌヌヌヌヌ!!!!」」

 

一夏(のん)

「ヌゥゥゥゥウ!!」

 

一夏

「\( ̄0 ̄)/」

 

本音(のん)

「イッチー頑張れ~!」

 

バジン

「ここにハチミツを加えてだな」

 

メサ

『ついでに醤油も少し入れましょう』

 

作者ズ

「「な~にこれ(´・ω・`)?」」

 

本音

「お義姉ちゃん達とイッチー達が腕相撲対決してて、バジンとメサが料理研究やってるよ~」

 

のん

「この穴だらけになった的は?」

 

本音

「イッチー達、最初は狙撃対決してたんだけど、こっちのイッチーなかなか当てられなくて負けちゃいました」

 

まぁ、うちの一夏は接近戦にステータス振ってるからバランスよく伸ばしてる一夏くんに勝てる訳ないでしょ。飛び道具使ってるとは言え、腰溜めで撃つ近距離タイプの物だもん。勝てる訳ないじゃん。

 

のん

「千冬さん達は?」

 

本音

「どっちが力が上なんだって話になって腕相撲です。どっちも同じだから、始めてからずっと動かずにあんな感じ。イッチー達も腕相撲始めたけど、私達の世界のイッチー全く力入れてないんだよね……」

 

のん

「うちの一夏くん、両腕で倒そうとしてるのに全然動いてないよ……バジンとメサは楽しそうだから置いておこう。で束さんたちは?」

 

束(のん)

「こら待てぇぇぇえ!!紫にしろ!白衣着ろ!ウサ耳付けろぉぉお!!!」

 

「嫌だぁぁあ!!アウッ!」

 

のん

「ナイスキャッチ」

 

はい。鬼ごっこはここまでね。そろそろお別れの時間だから。

 

一夏(のん)

「え?もう?」

 

もう始まってから11000文字越えちゃってるのよ。この時点で。

 

束(のん)

「もう少し待って!まだまだ言いたいこと沢山あるよ!」

 

「まだあるの!?」

 

束(のん)

「いっぱいあるよ!まず最初に胸!何で私より大きいの!?揉まれてたのか!?旦那に揉まれてたのか!?」

 

「痛い痛い!やめてよ~!!乱暴に揉まないで~!!」

 

千冬(のん)

「一夏、見ちゃ駄目だぞ」

 

一夏(のん)

「え?なに!?」

 

本音(のん)

「聞いても駄目~」

 

メサ

『束様には申し訳ありませんが、坊ちゃまの健全な成長のために不健全な物は全てシャットアウトします!』

 

本音

「イッチー?」

 

一夏

「見てないぞ」

 

バジン

「安心しろ。例え見たとしても、コイツがどうこうなる訳じゃない」

 

千冬

「それはそれで姉として心配だ……」

 

束(のん)

「お尻も大きいし!なんか私より全体的に少しむっちりしてるし!!運動してないでしょ!!」

 

「ウグッ!……確かにしてない、です」

 

こんど束が全力で運動するエピソードでも作るかな。

 

のん

「アハハハ。まぁそれは良いとして、うちの一夏の隣にいる犬。なに?」

 

犬?

「ワン!」

 

一夏(のん)

「なんかなつかれちゃって。たぶんサモエド犬だと思うんですけど」

 

あぁそれ、うちの小説で出演予定で終わったサモエド犬のサモンくんだ。

 

一夏(のん)

「予定ってことは、今後出るんですか?」

 

いや。予定で終わらせた。どの立ち位置で登場させるか決まらなくてね。結局登場は断念したよ。それにしてもよく懐いたな~。そんなに一夏くんの事が気に入ったのかな?

 

サモン

「ワン!」

 

本音(のん)

「にしてもおっきいね」

 

のん

「一応大型犬だからね~サモエド犬って」

 

束(のん)

「いっくんなら乗れるんじゃない?」

 

千冬(のん)

「確かに。一夏なら行けるやもしれん」

 

一夏(のん)

「乗らないよ?でもモコモコもふもふで気持ちいい~」

 

千冬(のん)

「顔も一夏に似てるな」

 

一夏(のん)

「え?そうかな?」

 

千冬(のん)

「あぁ。テスト中に難しい問題に直面して困っている時の顔に似てる」

 

本音(のん)

「眠たくなってちょっとぼんやりしてる時の顔にも似てるよ~」

 

束(のん)

「抜け毛が凄そうだから高性能な櫛でも作ろうかな?」

 

メサ

『私、動物のお世話に興味あります!』

 

連れていく?

 

のん

「でもうちでも出せるとは限らないしな~」

 

前書き後書きや本編に関係ない今回みたいなメタ空間なら登場できますよ。一夏くんに懐いてますし、是非ともどうぞ。

 

一夏(のん)

「あの、この子の好きなものってなんですか?」

 

食べ物は鶏肉と果物。あと散歩と昼寝、風呂、スポーツ観戦と読書が好きだ。

 

一夏

「スポーツ観戦と読書って……コイツ本当に犬か?」

 

読書って言っても文字がなくても内容が分かる絵本の事な。因みに野球観戦が特に好きだ。

 

本音

「本当に犬か聞きたくなるね……」

 

いいからいいから。ここまでワチャワチャしたなら、山田先生や草加や箒も出せば良かったな~。

 

束(のん)

「箒?」

 

千冬

「あ゛?」

 

一夏

「(>_<)」

 

そんなに怖がったり殺気立たないで。うちの世界のまともな方だから。

 

のん

「たしか、転生して別世界の存在になったんですよね?最終的に外科医兼仮面ライダーだったような?」

 

そうそう。そっちの方。色々やったら訳わかんないイケメンになっちゃって扱いに困って、コラボ中だけど現在更新が停滞してるあの世界に出てきてる箒。

 

一夏

「扱い方を間違えまくった結果できあがった産物じゃねぇかよ」

 

束(のん)

「私の知ってるのより随分違うね」

 

言っとくが、向こうの一夏はお前よりも強いぞ。

 

一夏

「あんなチート使いこなす段階で大体予想できてるよ」

 

あの世界のキャラたちは……またコラボする機会があったら少し呼んで紹介しよう。あったらだけどね。じゃ、皆さん今日はお疲れ様でした。

 

のん一行

「お疲れ様でした~!!」

 

残った料理はそれぞれで持っていって……全部食ったのかよあれ……

 

本音(のん)

「美味しかったんで食べました~」

 

千冬

「気付いたら無くなってたな」

 

バジン

「4割程は鈴が食っていった」

 

メサ

『残りの6割の内3割は本音さん達が、残りは千冬様達と坊ちゃま達が食しました。因みに、私たちメカ2人組はガソリン水割りを飲んでいました』

 

バジン

「体に悪そうな表現だな。間違いではないが」

 

メサ

『まぁ、少量であれば食べても体の中で分解されてエネルギーに自動変換されるんですけどね』

 

急なご都合主義設定やめて。後々それが困るパターンになるから。

 

のん

「そうなんですよね。何気なく、そして都合よく付けた設定が後々響いて滅茶苦茶痛い事に……(-_-;)」

 

一夏

「おい。そろそろ閉めるぞ」

 

それじゃあ皆さん、また会う日まで!

 

全員

「さようなら!/お疲れ様!/またね!/ばいば~い!/次こそは勝負を!」

 

どれか1つにまとめなさいよ……同時に言うからごちゃごちゃしちゃったよ……。




読んで頂きありがとうございました。今回のコラボ作品「女性恐怖症の一夏君」のURLはこちらになります。
https://syosetu.org/novel/181241/

いや~。こう言う作品同士の交流。定期的にやりたいもんですね笑。また何かしらの機会によろしくお願いします!

次回は通常投稿になります。臨海学校終了後のエピソードですので、タイミング的には期末テストと夏休み。その他夏らしいエピソードですね。ではいつかの未来に会いましょう。

それでは最後に、すいませんでしたぁぁぁあ!!!
( ノ;_ _)ノ


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学園生活2
来ました期末テスト


コラボトークショーも終わり、早速次のエピソードです。と言うわけで、今回は夏休み直前に行われる期末テストです。中間テストが無いのはご了承ください。忘れてただけです。


「臨海学校も終わり、時期も時期なためそろそろ夏休みに入る」

 

「「「「いよっしゃぁぁあ!!!」」」」

 

「静かにしろ!他のクラスに迷惑だろ!!」

 

臨海学校終了後、結構な時間が過ぎていった。当然授業が進み夏休みと言う長期休業に入るわけだが、その前に1つ片付けなければならない事がある。

 

「説明を続ける。夏休みに入る前だが、皆大好き期末テストが当然ある」

 

「「「「うぇぇぇぇ……」」」」

 

そう期末テストだ。学期末に行われる大規模テスト。IS学園も学校である以上は必ずそれが存在している。特別な事がある訳ではなく、どこの学校とも変わらず赤点を取れば夏休みの間は補修になり、苦い思いをすることに。

 

「この学園では40点以下が赤点になる。赤点1教科につき、1日の補修授業が入る。これは教員にとっても非常に迷惑だ。故に、赤点をとらない為にいつも以上に勉強に励め。では山田先生、テストの説明を」

 

千冬に言われ空中投影機でテスト科目を標示した。上から国語、数学、科学、英語、家庭科、情報、保健体育、ISとなっている。

 

「テストは以上の8科目になります。1日に2教科づつで、4日間行う予定です。上から2つづつです。基本的には先程織斑先生が言ったように40点以下が赤点になりますが、ISテストについては実技も含まれるので他の教科よりもラインが高く設定されています。補修を受けるとすればIS実技ですかね?」

 

笑顔で何て事言ってくれてんだ。と言いたくなる。しかも赤点ラインが他の学校と比べると普通に高い。このクラスでは何人補修になるか楽しみだ。

 

「あれ?社会科の世界史や日本史は無いんですか?」

 

「ここはIS学園。日本人が多いとは言え、他の国出身の生徒も多数在籍している。国ごとに歴史の見方は様々だ。無用な混乱や問題、政治的衝突を避けるために、社会科は最低限の事のみを行い、それ以上の事はしない。勿論テストで社会科は除外される」

 

現代社会なら兎も角として、歴史。特に世界大戦の時代は国によって捉え方は様々。日本の教科書の内容が他の国とは同じとは限らない上に、日本人以外にどう受け止められるかと言う問題がある。その為、取り敢えず除外と言う扱いになっている。

 

「テストは今日から2週間後に始まります。それと同時にテスト期間に突入しますので、部活動は無くなり6時間授業から5時間授業に変更。放課後は自学自習に当てるようにしてくださいね!皆で楽しい夏休みを迎えましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来ちゃったわね。この時期が……」

 

「リンリンどうかしたの?」

 

「決まってるでしょ。テストよテスト。嫌なのよね~本当に。普段の授業態度見てればテストなんて不要でしょうが」

 

「昔からお前はテスト嫌いだったからな~。頭は良いのに」

 

あれから少しして昼休み。食堂には一夏、本音、鈴のいつものメンバーが座っていた。2組もテストの説明を受けたようで、鈴は青い顔をしている。

 

「テストで生活リズムが変わるのが無理なのよ。放課後が長くなるのは嬉しいけど、勉強はしたくない」

 

「リンリンが勉強できるって事が少し驚き~。おりむーは同じクラスだから大体分かるけど~」

 

「数馬って言う幼馴染みがいるんだけど、日本に来たばっかりの時に一夏とソイツともう1人に色々と教えられてね。ついでに勉強も仕込まれたのよ」

 

ラーメンをズルズル啜りながら懐かしそうに話している。一夏もアイツか~と言う顔をしていた。

 

「ところで、1つ気になるんだけど」

 

「ん?」

 

「なに?」

 

汁を全て飲み干し、丼をテーブルの上に置くと真剣な表情に変わり気になってることを一夏と本音に尋ねた。

 

「アイツのこと、なんて説明されたの?」

 

「その事か……」

 

「一応、転校したって聞いてるよ」

 

アイツとは篠ノ之箒の事だ。箒がどうなったのか知るのは、木場と千冬の2人のみ。あの問題に関わった専用機持ちたちは束に連れられどこかへ行った。と言う報告を受けただけ。それ以降の事は何も分からない。聞いてもはぐらかされてしまうのだ。

 

「分かりやすいわね……」

 

「あぁ。正直、アイツは特別勉強ができるわけでも、運動神経が良いって訳でもない。それに素行が良いとも言えないからな。受け入れる学校があるとは思えない」

 

「素行に関してはアンタは人の事言えないけどね」

 

「うるせー」

 

臨海学校後、千冬はクラス全員に箒の転校を報告。クラスこ反応は様々で、厄介者がいなくなったと安堵する者もいれば、3人の様に何故と疑問に思う者がいた。

 

「これでおりむーに迷惑かけなくなるって喜べば良いのか、真実を隠されたことを疑問に思えば良いのか、ちょっと分からないね……」

 

「えぇ。なんか釈然としないのよね。アイツの一夏への執着は異常だったから。転校なんて言う諦めるみたいな事、しないと思うわ」

 

「まぁ考えても仕方ねぇ。分からないことは分からないで放置すればいい」

 

食べていた親子丼を胃袋に流し込み、気分が悪くなったのかこの話を終わらせた。スッキリしない部分があるとは言え、やはり話したい内容ではないのかもしれない。

 

「でさ、私もう1つ気になる事があるんだけど」

 

「今度はなんだよ?」

 

「本音、アンタ。いつまで一夏の事をおりむーって呼ぶの?」

 

「ほえ?」

 

「いや。もうそこそこの付き合いよ?私が一夏に会えば大体その隣にいるし、アンタらをセットで見ない方が珍しい感じなのよ?そろそろ苗字を捩った渾名じゃなくて下の名前を捩った渾名にしたら?それか名前で呼ぶとかさ」

 

神妙な顔をして何を聞くのかと思えば、随分とどうでもいい事を聞いてきた。確かに気になることではあるが、さっきの話の直後にする様な内容ではない気がする。

 

「何かと思えばそんなことかよ……」

 

「ん~。もうおりむーで慣れちゃったしな~。下の名前で~?一夏……一夏……イチ……」

 

考え込んでしまった。一夏は頭を抱えている。こうなってしまうと梃子でも動かないからだ。

 

「あぁあ。考え込んじまったよ。呼び方なんてどれでも良いだろ……」

 

「でも2人とも苗字で呼び会う仲じゃないでしょ?一夏に関してはずっと名前呼びだから片方だけ苗字っておかしいでしょ?」

 

鈴はどうやら2人にはフェアでいて欲しいようだ。そう思っての発言だったのだろう。

 

「ん~……よし!決めた!イッチー!今日からイッチーって呼ぶ!」

 

「え?あ、うん。まぁ良いけどよ、テストどうするかな……」

 

「今週と来週の土日に数馬の所にでも行こうかしら?一夏、連絡しといて。本音も来る?」

 

「良いの?行く行く~!」

 

「めんどくせ~」

 

「文句言わないで早く連絡!」

 

「へいへい」

 

文句を言いながらも携帯を取り出して数馬に連絡を送った。

 

『今週と来週の土日空いてるか?鈴が勉強したいとか言ってるんだが、あともう1人俺の友人も行く予定だ』

 

以上の文面でメールを送った。すると1分もしないで返信が届いた。

 

『もうほとんど決まってんじゃねぇかよ。お前ら俺に予定あっても勉強教えさせるつもりだったろ。まぁ暇だから良いんだけどよ。どこですんだ?弾のところか?図書館か?それともお前の家か?お前ん家そこそこ辺鄙な場所にあるから行きたくないんだが?』

 

『どこが辺鄙な場所だ。多少町から離れた所にあるだけだろ。まぁ面倒だから弾のところで良いや。弾に鈴が帰ってきた事言ってなかったし。ただ飯たかりに行くぞ』

 

『相変わらずヒデェ野郎だな。まぁ分かった。今週と来週の土日だな。時間は朝の9時からな』

 

『へいへい。んじゃ鈴たちに伝えとくよ』

 

携帯をしまい、鈴たちに予定を伝えて昼休みを終えた。説明通りこの日は5時間目で終わり、部活も無かく全員そのまま寮に帰って広い範囲の勉強に身を投じた。




書き方を忘れちまったぜ笑
次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!


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テスト勉強……

もう書きたいと言う意欲が消えてるんですよね。ハハハハハ。

アンケートは3日後の17日までです。投票よろしくお願いします。


「イッチー!勉強会行こう~!」

 

「時間はまだ……もう8時か……すまん。すぐに準備する」

 

本音に声をかけられて寮のドアを開けると、寝間着のジャージ姿の一夏が出てきた。どうやら本音の声で起きたようだ。寝癖が付いている。

 

「鈴はどうした?」

 

約3分ほどで準備を全て終わらせ、外に出られる服装に着替えてきた。辺りを見回したが、言い出しっぺの鈴がいない。恐らく一夏と同様にまだ寝ているのだろう。

 

「鈴の部屋って確か寮の出口付近だったよな?」

 

「うん。来るときに声かけたけど、返事なかったからイッチーの所にきたの」

 

「そう言やぁ、アイツ朝弱かったな」

 

「あイッチーと同じだね。兄妹みたい」

 

「やめろ。頭痛くなる」

 

そうとう兄妹扱いされるのが嫌な様だ。苦虫を噛み潰したような顔をしている。しかし、そう言われると確かに一夏と鈴は共通点が多い。頭使ってる割りに意外と単純だったり、朝が弱かったり、案外悩筋だったり、たまに友人を友人として扱うことを放棄したり……かなりの共通点がある。

 

「この部屋だな」

 

コンコンコン

 

「やっぱり寝てるのかな?」

 

「チッ。おい鈴!起きろ!時間だぞ!」

 

ノックを繰り返しながら声をかけるが、いっこうに返事がない。同室の生徒はもう何処かへ行ったのだろう。居たのなら出てくる筈だ。

 

「朝からなにやってるんだ五月蝿いぞ。休みの日だからまだ寝ている生徒もいるんだ。少しは気を使え無神経バカ」

 

「姉貴」

 

「織斑先生。実は……」

 

朝からスゴい罵倒をされたが、本音が丁寧に事情を説明すると納得してくれたのか、寮のマスターキーを使って鈴の部屋を開けようとした。

 

「つまり、勉強会の言い出しっぺであるもう1人の無神経バカを起こしに来たと言うことか……」

 

鍵を開けると入れと一言言って千冬は立ち去っていった。一緒に入ろうとしない辺り、何か間違いが起こることはないとある意味信頼しているのだろう。

 

「おい鈴!……やっぱりまだ寝てたか」

 

「清々しいくらいに気持ち良さそうに寝てるね~」

 

「コイツ……!」

 

絵に描いたかの様な清々しい寝相に、怒りを覚えて殴ろうと拳を構えたが、一夏がそれを振り下ろすよりも早くに本音がベッドの敷布を掴んだ。

 

「そぉ~れ~!」

 

「フベッ!?なに!?何事!?」

 

ベッドから叩き落とされたて起きたは良いが、まだ寝ぼけてるようだ。脳天に手刀を叩き込んだ。

 

「いった!!何すんのよ一夏!!」

 

「テメェ今何時だと思ってやがる?言い出しっぺが何気持ち良さそうにグースカ寝てんだよ!」

 

「だからって女に一撃いれる!?しかもベッドから叩き落として!」

 

「あ、落としたのは私だよ~」

 

「クッ!……はぁ、取り敢えず着替えるから出ていって。見ての通り私今下着なのよ」

 

「はいはい。さっさとしろよ」

 

「ちょっとは反応しなさいよ!!いや、期待はしてないけども!」

 

「なにに反応しろってんだよ」

 

「この……無神経バカがぁぁう!!!」

 

「イテテテテテテ!!!噛み付くなバカ野郎!!」

 

無反応だったのが余程気に食わなかったのか、一夏の背中にしがみついて頭に噛み付いた。そんな鈴を振り払って部屋から出ていき、鈴が出てくるのを待った。

 

「全く……朝から疲れたわ……」

 

「テメーが寝坊するからだろ。さっさと行くぞ」

 

「バジンに乗って?」

 

「あれ2人乗りだぞ。サイドカー付いてねぇんだよ。電車とバス使うしかないだろ。さっさと行くぞ。外出届はお前の分も一緒に出したからよ」

 

その後、電車とバスを使って集合場所である弾の家へと向かうのだが、鈴の寝坊で到着が30分程遅れてしまった。

 

「おいおい。呼んでおいて遅刻とは……良いご身分だな~。これはここの食事を1つ2つ奢って貰わなくちゃ割りにあわないぞ?」

 

一夏と鈴を軽く睨み付けて、かけている眼鏡を中指で押し上げているこの男が数馬だ。待ちぼうけ食らって相当ご立腹の様。

 

「いやぁ~ハハハハハ……ごめんね?私と一夏が寝坊しちゃって」

 

「大幅に遅刻したのは鈴のせいだがな」

 

「はぁ?アンタも人の事言える時間に起きたのかしら?えぇ?どうなの?ねぇ?言ってみなさいよ~?え?どうなのさぁ?」

 

「こりゃ久し振りに拳で話し合いをつけないといけないみたいだな……」

 

「ほう……よろしい。ならばクリークだ」

 

責任の擦り付け合いで血を見ることになりそうになっている。所詮戦争なんてこんなことが原因で起こるんだろうなと、この2人を見ていると思ってしまう光景だ。

 

「おいガキども。喧嘩やるのは構わんが、店の外でやれよ?テメェらが勉強するって言うから態々臨時休業にしてやったんだ。その上店ん中荒らされたんじゃかなわねぇ」

 

厨房から巨大な中華鍋を両手に持った状態で、この店の主である厳が出てきた。五月蝿い2人を殴る予定なのだろう。その中華鍋で。

 

「げ、厳さん……」

 

「なんで店休みなのに厨房にいるんだよ……」

 

「しゃぁ~ねぇだろ。今日突然休みにしたんだぞ。いつも通り癖で入っちまったんだよ。お前らの飯でも作っておいてやる。さっさと勉強しろ。ついでに弾の野郎にも教えてやってくれ……んでそっちの子は?」

 

厳はそう言いながら、一夏と鈴の後ろにいる本音に目を向けた。数馬もそう言えばと言う感じで2人に尋ねた。

 

「布仏本音で~す!今日はイッチーとリンリンと一緒に勉強しに来ました~!」

 

「「……一坊/一夏の恋人か?」」

 

「何故その結論に至った……間違っちゃいないが」

 

察しの良すぎる2人に若干の気持ち悪さを覚えつつ、テーブルをいくつか移動させて勉強しやすい様にした。並べ終わると上から弾が下りてきて目を丸くしている。

 

「なんだこの状況?」

 

「おう弾。ちょうど良い所に下りてきたな。お前も一緒に勉強教えてもらえ。成績が心配だからな」

 

厳に進められ、一夏たちの用意したテーブルの席に座りノートと教科書を開いた。

 

「なぁ一夏、その人誰?」

 

「ん?あぁ、本音だ。再来週テストだから一緒に勉強することになった」

 

「ほ~ん。弾だ。よろしく。で~…えっと……」

 

本音と軽く自己紹介を交わすと、鈴の方に目を向けた。しかし、何故か名前を呼ばない。と言うか、鈴と認識しているかが怪しい反応をしている。

 

「どうした?」

 

「いや。どっかで見たことあるんだけど……」

 

「顔面の認識機能死んでんのかよ」

 

「へぇ~。アンタ、友達の顔忘れるとは良い度胸してるわね~。せっかく会いに来たのに、そう言う反応しちゃうんだ~。へぇ~」

 

確かに今日はいつものツインテールからポニーテールに変わっているが、それだけで気付かないのはおかしい。そんな弾に、鈴は青筋を浮かべて激しく怒っていた。

 

「あ、鈴か。すまんすまん。髪型変わってたから誰だか分かんなかったわ。久し振りだな」

 

「えぇお久し振り。バカは相変わらずの様で安心したわ~」

 

また喧嘩が始まりそうな雰囲気に突入したが、痺れを切らした数馬がさっさと参考書とノートを開いて勉強する体制を完成させた。これで嫌でも喧嘩ができない。

 

「さてと。俺と弾の学校は赤点のラインが高い訳じゃない。どの教科も30点未満が赤点だ。それに比べてお前らIS学園組。世界のいろんな国の連中がいるんだ。普通に考えてもレベルは高くなる。だから今回はお前らに合わせて進めていくぞ」

 

「了~解」

 

「つー訳で、まずこれ読め」

 

「ん?ノート?」

 

国語です数学、科学、英語、IS基礎と書かれた5冊のノートを差し出された。

 

「取り敢えず、一夏が送ってくれたIS学園の教科書と今までの授業ノートを見て、それぞれの教科の出やすそうな所をまとめてみた。他のは嫌でも赤点ラインを突破するだろうから作ってない」

 

「お前……この短期間で送ったデータ分全部まとめたのかよ!?」

 

「カズマンって何者?」

 

「やめときなさい本音。考えるだけ無駄よ。コイツはIQ380の天才。それ以上は考えない方が良いわ」

 

「それって、実際の所どれくらいスゴいの?」

 

「歴史上の人物で言うと、レオナルド・ダ・ヴィンチの2倍だ。想像するだけで頭痛くなる。草加ですら180だってのに。笑わせんじゃねぇよ」

 

「別に笑わせてねぇわ。つかカズマンってなに?」

 

「お前の渾名じゃね?」

 

さりげなく弾の分のノートも渡して、中身を説明していく。そして大体終わった所で、今度は別のノートを出してきた。

 

「こっちはお前らがやって来た小テストの内容を見て、どの問題が出やすそうなのかをまとめて模擬テストを作った物だ。流石IS学園教師。良い性格してやがる。面倒な言い回しをしてくるから、惑わされない様に気を付けるんだな」

 

「「「うわぁ~……」」」

 

「なに引いてんだよさっさと解け。弾。お前にも作ってきてやったから、そっち解け」

 

数馬に言われた通り、渡されたノートの中身の問題を解いていく。分からない所はその都度教えてもらうと言う感じだ。真面目に勉強してきたIS学園組は躓く事は少なかったのだが、弾が問題だった。

 

「テメェはさっきから何回同じところ間違ってんだ!一々教えるこっちの身にもなれ!!そんなに分かりにくい教え方してねぇだろ!!」

 

「苦手な所なんだからしゃーねぇだろ!!他の所で点数稼いでるんだから文句ねぇだろ!!」

 

「大有りじゃ!何のための勉強だよ!?にがて残すなよ!結果にコミットしやがれ!」

 

「RIZ○Pじゃねぇんだよ!!コミットもクソもあるか!!」

 

こんな具合で、進んだり退いたりしている。

 

「ユニークな友達だね~」

 

「少し騒がしいくらいだけどね」

 

「もう暫くしたら慣れるぞ」

 

そんな感じでやっていると、いつの間にか12時を告げるチャイムが鳴り響いた。もう昼飯時である。

 

「昼だな。おいガキども、勉強の手を休めて飯にしろ。なんか作ってやる」

 

「厳さんありがとうございま~す!なんか手伝いますよ」

 

「おう。ありがとうよ。弾、テメェも手伝え」

 

「へいへい。おい一夏。お前もこい」

 

「なんで俺まで。まぁいいや」

 

一夏、鈴、弾は厨房へ入っていき、厳と共に昼食を作り始めた。意外にも慣れた手付きで一夏と鈴が厨房の道具を使っていく。弾も自分の家の物だからなのか、素早く準備して何かを作ろうとしている。

 

「ダンダンって料理できるの~?」

 

「あぁ。この店の店主の孫だからな。鈴と弾が似たようなレベルで、その上に一夏、更にその上に厳さんがいる」

 

「ほえぇ。なんかスゴいね」

 

因みに、料理の苦手な数馬は本音と一緒にテーブルの上を片付けて食事ができるように準備をしている。

 

「ねぇカズマン。3人ってどうやって仲良くなったの?幼馴染みとは聞いてるけど」

 

「ん?あぁ、まぁ幼馴染みかどうかは微妙だが、仲は良いほうなのは確かだな。全員タイプ違うけど」

 

「なんかきっかけとかあるの~?」

 

「そうだな……」




数馬、眼鏡かけてた方が面白いと思ったので、インテリ眼鏡設定にしました。それらしい容姿が出てこなかったので、完全に勝手な想像です。イメージとしては、斉木楠雄のΨ難の窪谷須亜蓮を黒髪にして少し髪の毛を伸ばした感じです。

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三馬鹿の出会い

本日は一夏、弾、数馬の出会いです。公式設定では中学からの付き合いですが、この作品に限り小学生からの付き合いにしています。そして親族に関してもオリジナル設定になっています。

あと、前半の学園編であった「どっかの神様のジュースシリーズ」の下り、パクり疑惑を吹っ掛けられたのでこの場で正式に言います。パクり行為は一切やっていません。このジュースの話は書いてるときに思い付いたので書いただけです。文字数を稼ぐためにふざけに走った結果生まれたものです。同じネタがある小説があるとか言われましたが、そもそもその小説を知らないし読んだ記憶もないです。

もう一度言います。パクりはやってはいません。俺が思い付いたから書いただけです。それだけは確かな事なので。

「参考にしました?」や「似たようなのありましたよ」「かぶってますよ」と言うのではなく、端から「パクりました?」と言われて少しイラッと来たのでここで反論させて頂きました。

反論するって事は疚しいことがあるんだろと考える方もいると思いますが、まぁ勝手に思ってて下さい。実際そんな事実はありませんので。では本編どーぞ


「俺らが関わる様になったのは、鈴がくるまえだ。小2の頃だったかな?まずはそこからだ」

 

「あれ?リンリンが来たのっていつだっけ?」

 

「アイツが来たのは小4の新学期早々だ。そこから中2の中盤まで。んじゃ、俺らがつるみ始めた頃からな」

 

一夏、弾、数馬の3人が関わりを持つようになったのは、数馬が言うように小学校2年生の時からだ。正確に言うと、進級して早々である。

 

「皆さん、進級おめでとうございます!これから1年が一緒に頑張りましょうね!」

 

「「「「「は~い!!!」」」」」

 

担任となった教師の挨拶のあと、クラスの生徒全員が大きな声を揃えて返事をする。小学校ではよくある光景だ。だが、その中に1人、爆睡を決め込んでいる生徒がいた。一夏である。

 

(なんでアイツ寝てんだ?)

 

そしてそれを見ている赤髪の生徒。それが弾である。新学期の始めの挨拶。その中で寝るのは中々に不自然だが、それ以上に追求することもなく、なにもせずに諸々が終わり休み時間に入った。

 

「お~い。織む……ら?」

 

弾が声をかけようとしたが、すんでの所で止めた。寝ていた筈の一夏が起きて、何やらノートに書いているからだ。しかも周りにはレシートやチラシ等が広がっている。かなり集中している様で、声をかけられる雰囲気ではない。

 

「今日は駅前の八百屋が野菜の安売りしててスーパーで卵1パック190円で、商店街の魚屋が鮭の切り身を1人3切れ限定で210円で……」

 

なにやらブツブツ言いながら同時に作業しているため、不気味さも感じられた。

 

「電気と水道とガスもう少し抑えないとな……姉貴の携帯代は仕方ないとして……今月は俺の食費を少し削って家計に当てて……クッソ。姉貴の学費の支払いもあるんだった……隣町の安売りスーパーまで行くか?」

 

他の生徒が遊んだり、新たなクラスメイトとの談笑を楽しんでいる中、一夏のやっている小学生に似つかわしくない行動が物凄く不気味に見える。

 

(アイツ……なんで目の下に隈作ってんだよ。それに家計簿って……小学生のやることか?買い物の予定まで立ててるし)

 

そんな一夏を静かに観察するのが数馬である。しかし弾の様に声をかけようとはせず、少し離れた所から見ているだけだ。しばらく観察を続けると、少し気になる所がいくつか出てきた。

 

「ダルそうにしてて給食の残り物争奪戦には必ず参加。例え隣町だろうと安ければ買い物に行く。授業中は寝てるのにテストは大体満点。運動神経の割りには痩せている。目の下に酷い隈。妙なのに付きまとわれてる……どう言うことだ?親はいったい何を……」

 

数馬の頭の中には育児放棄の4文字と、関係各所への通報が頭の中を過った。

 

「アイツん家。親いないんだってよ」

 

「ん?」

 

「姉と2人で暮らしてて、家事や買い物は全部やってるそうだ。因みに姉の方は年齢ごまかして朝と夜にバイトしてるらしい。見た目大人っぽいから誤魔化せてるみたいだ」

 

「成る程……なら児相も警察も動こうとしないな……ん?つか誰?」

 

「五反田 弾。クラスメイトだ」

 

「そうか。すまなかった。覚えてなかったもんでな。御手洗 数馬だ。よろしく」

 

「あぁ。よろしくな」

 

軽く自己紹介を終わらせると、数馬は弾に何故一夏の事を知っているかを聞いてみた。まぁまぁの期間一夏を観察してきていたが、それでも分からなかった事を弾は知っていた。数馬はそれが気になって仕方なかったが、答えは非常にシンプル。親に聞いたとのことだ。

 

「昔、親は事故で2人とも亡くなったそうだ。親戚は全員遠方で、引き取りたがらなかったらしい。ただ、生命保険や遺産聞いて掌返し。甘い声だして自分が自分がって状態になったんだと」

 

「じゃなんであんな状態なんだよ」

 

「姉が拒否したんだと。目の前で見せられたんだ。子供でも気持ち悪いって思ったんじゃねぇの?」

 

「よく親戚(笑)がそれで納得したな」

 

「するわけねぇだろ。何度も家に突して警察沙汰になったよ。そこから姉が人間不振に近い状態になって、警察も児相も手を付けられなくなったらしい。ただ幸いな事に、通ってる剣道場の師範代と両親が面識ある人で、つい最近まではその家の人が助けてたってよ」

 

「ふ~ん。ん?最近までは?」

 

「2人とも、道場辞めたからな。そこからは関わりが無くなった。一夏のヤツ、よく絡まれてるだろ?アレが道場の親の娘だ」

 

「道場通わなくなったら助けるのを辞めるか……」

 

腹立つ話だが、どう考えても自分に利益が無いことを続ける人間なんているはずがない。大人ともなれば当然とも言える。残酷な話に聞こえるが、仕方のない事だ。無償で人を助け続ける人は存在しない。

 

「辞めたにしては酷い絡まれかたしてるよな?」

 

「人の色恋に口出すヤツは馬に蹴られて死ぬぞ」

 

「あぁ~。一方的なやつね」

 

鋭い2人はその考えで納得し、その日は帰路に着いた。

 

「なぁ、なんで俺が一夏のこと調べてるって気付いた?自分で言うのもなんだが、結構気付かれない様に気を使ってたんだが」

 

「新学期早々、家計簿つけてた一夏のこと見てたろ?なんか目線が違ったからそう思った。あと、爺ちゃんに買いだし頼まれたとき、一夏を尾行してるのを見付けた」

 

「……馬鹿で無鉄砲に見えて意外に冷静で観察眼あるんだな」

 

「馬鹿にしてるのか?」

 

「まさか。馬鹿に思ってただけだ。俺以外全員な」

 

「うわぁ~……嫌なヤツ」

 

その日はそれで別れる。だが、次の日学校に来ると問題が起こっていた。

 

「何があった?」

 

「分からん。朝来たらあんな状態だった」

 

学校に来て早々に目に入ったのは、酷い格好をした一夏だった。身体中に絆創膏と湿布を貼っている。だがそれでも全ての傷を覆い隠せている訳ではない。まだ何ヵ所も傷がある。服の中はもっと酷い状態になっている可能性だってあった。流石にこの状況で見ているだけだ何て事ができないのがこの2人だ。

 

「おい。なんだよその傷。何があった?」

 

「あ?別になにも。関係ねぇだろ」

 

「何もない訳ないだろ。その傷は自分で付けられる物じゃない。誰にやられた?」

 

「…………」

 

「お前が昨日最後に一緒にいたのは篠ノ之 箒。腕に着いてる痣の形や大きさから考えで棒状の何か。更に模様の様に一部だけが痣になっていない場所がある。それ、竹刀の痣だろ?」

 

「お前らに何か関係あんのか?え?ただ同じ教室にいるだけで何でそこまで聞かれなくちゃなんねぇんだよ」

 

「問題ありと判断したからだ。そのノートの破られたような跡。それに腕だけじゃない。首や顔にも痣がある。関係なくても方っておけるおけるかよ」

 

睨み合いながら言い合いをする一夏と数馬だが、それに痺れを切らした弾が強行手段に出た。一夏の荷物をまとめてランドセルに突っ込み数馬に持たせ、一夏の傷に配慮しながら引っ張って行き、野次馬の1人に自分達3人が早退する事を伝えてくれと頼み、学校から出ていった。

 

「テメッ!何しやがる!離せ!!」

 

「黙って付いてこい!!」

 

「離せつってんのが聞こえねぇのか!?」

 

後ろから文句をグチャグチャ言われているが、無視して自分の家まで連れていく。

 

「おい弾。マジで1回離してやれ。少し気になる事がある」

 

「あぁ?なんだよ」

 

「ちょっとな」

 

数馬に言われ引っ張っるのは辞めたが、逃げる可能性があったため羽交締めにしている。

 

「あんまり強く締めるなよ。怪我が悪化する」

 

「なにすんだよ!!」

 

騒ぐ一夏だが、黙々と確認をしていく。まずは靴と靴下を脱がして足首を見る。歩き方に違和感があったからだ。案の定、僅かにだか腫れていた。軽い捻挫をしている。全治2、3日と言う所だろう。そして、1番気になっていた服で隠れている部分を見るため、上着を捲っていく。

 

「……やっぱりな」

 

「お前……こんな大ケガしててなんで学校に来たんだよ!病院に行くレベルだぞ!」

 

服の中は、見えている場所以上に酷かった。痣や内出血で想像できない色になっている。本来なら病院へ行って治療を受けるようなレベルだ。

 

「んな金ねぇわ!人の事に口出すな!」

 

「うるせぇ!いいから黙って付いてこい!!」

 

そのまま一夏を引っ張って来たのは弾の家。正確には店だ。まだ開店前で、人は誰もいない。中で仕込みをしている人くらいだ。

 

「爺ちゃん!救急箱持ってきてくれ!」

 

「弾?オメェ学校はどうした?」

 

「今はそんなこと良いから。それより手伝ってくれ!」

 

「後で説明しろよ?蓮!手ェ貸せ!」

 

何と無く状況を察した厳は深く聞くのを止めて救急箱の中から包帯、湿布、軟膏、傷薬を出して一夏の服を脱がせて手当てをしていく。

 

「全く……誰にやられたよ?」

 

「誰だって良いだろ……」

 

「バカ言うな。手当てしてやってんだ。いいから言え」

 

「篠ノ之箒。予定があったのに無理矢理道場に連れていかれてこのザマだ。情けねぇ」

 

「情けねぇことなんてあるかよ。止めなかった親に問題があるからな。つかオメェ、飯食ってんのか?痩せすぎだろ」

 

厳の質問に一夏は答えられなかった。口ごもるだけで、中々に言葉が出てこない。見かねた数馬が学校での一夏の様子を説明。それで逃げられなくなり、仕方なく一夏は生活の様子をこの場にいる全員に話した。

 

「節約してるからあんまり飯は食ってない。削った分は姉貴に回してる。朝も働いて、学校行って、夜も働いてるからな。俺よりも必要な筈だ」

 

「……お前の家の事は知ってる。遺産や保険金がある筈だ。それはどうしたんだ?」

 

「それがあったところで、姉貴や俺が高校でるまで普通に生活してたら残るとは思えない。今から削らなきゃなんないんだよ」

 

「そうか」

 

厳はそれ以上なにも言わずに厨房へと入っていき、料理を作り始めた。

 

「早く学校に戻らねぇと……」

 

「んな体で戻っても意味ねぇだろ。休んでろ」

 

「今日はスーパーの特売なんだよ。授業聞かなくても学校の方がスーパーに近いんだ。それに無断の早退だ。お前らも戻った方が―」

 

「ほら。食え」

 

「は?」

 

出ていこうとした瞬間、テーブルの上に大量の料理が出された。僅か数分で作れる量ではないが、何故か普通に用意されている。

 

「どうやって作ったよ……普通に考えて時間的にも無理な物まであるんだが……」

 

数馬は手際の良すぎる厳の腕前に軽く引いている。

 

「悪いが金がない。食えねぇよ」

 

「金はいらねぇよ。腹へってんだろ。いいから食っていけ」

 

「金がねぇって言ってんだろ!迷惑かけられるか!」

 

「ガキ1人の腹を満たすくらい迷惑でも何でもねぇわ!テメェが食わねぇならこの料理は全部捨てる!良いから食いやがれ!!テメェ1人満腹にさせることが迷惑なら!こんな所で店なんか構えるか!!」

 

一夏を無理矢理座らせて蓮華を持たせる。

 

「こうなったら爺ちゃんは本気だ。マジで店先とかに投げ捨てそうだから食っていってくれ」

 

大量の料理を目の前に、やはり空腹に耐えられなかったのか一口、また一口と口に料理を運んでいく。徐々に加速が付いて無言で食べ進めていった。

 

「蓮。学校に連絡入れといてくれ。この3人は家にいるって。あと休みって事にしといてくれ」

 

「は~い」

 

厳は料理を作り続けて無くなった皿を片付けながらどんどん出していく。弾と数馬はそれを手伝っていた。

 

「よくこんなに食えんな……」

 

「コイツの胃袋。ちょっと調べてみたいな」

 

「ゴチャゴチャ言ってねぇで運びやがれ。あと弾。お前は自分の部屋掃除してベッド空けとけ」

 

「へいへい」

 

その後一夏は厳が出した料理を食べつくすと、満腹になったのか眠ってしまった。

 

「さぁ~てと。次はコイツの姉だな。…ん?コイツァ驚いた。ガキのつける家計簿じゃねぇな」

 

眠った一夏を弾に部屋まで運ばせると、荷物の中にあった家計簿の正確性に厳は驚いていた。本当に一夏を子供か疑ってしまうほどだ。

 

「今日一夏が行く予定だったスーパーと目的の物は……卵と醤油、1玉100円のキャベツ2つ。後は100グラム60円の豚ばら肉……よし。買いに行くか」

 

「受けとるとは思えねぇが?」

 

「立て替えるだけですよ。後で代金はキッチリ貰います。それならアイツも受けとるでしょう。んじゃ行ってきます」




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次回はその内投稿。じゃ


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織斑姉弟救済

書く気が失せてたので全く書いてませんでした笑

前回の荒筋
なんやかんやあってボロボロになった一夏。それを助けた弾と数馬。状況を把握した弾の祖父の厳の計らいによって、一夏は空腹を満たし眠ってしまった。そして数馬は一夏の代わりに買い物に行くのだった。


「スゲーな。こんだけ買ったのに3000円を切るとは……」

 

 一夏の書いていたメモ通りに隣町の安売りスーパーにて買い物をした数馬。量としてはかなり多い。一夏と千冬の2人分と考えると、大体1ヶ月分だ。数馬1人で持つのは普通に辛い。

 

「ん?あれって……」

 

 汗を流しながら荷物を運んでいると、ある人物が目に入った。千冬だ。一夏の持っていた写真を見ていた為、容姿は知っている。多分だが、一夏が今どこにいるかは分かっていない筈だ。声をかけてみることにした。

 

「織斑千冬さん。ですよね」

 

「え?あ、あぁ。一夏のクラスメイトかな?」

 

「えぇ。一夏なら家にいませんよ。今、友人の親がやってる店にいます。案内しますよ?」

 

「そうか。なら頼もうかな?」

 

「わかりました。こっちです。あとこれ。一夏が買う予定だった物です」

 

「こ、こんなに沢山!?重たいものを持たせてしまって申し訳ない!」

 

 数馬から荷物を受取り、後に付いて一夏のいる場所まで向かっていく。意外にも距離があり、こんな遠くまで買い物に来たことに千冬は驚いていた。

 

「今日は特別ここまで買い物に来たのか?」

 

「いえ。売ってるものが安いとき、一夏は大体この町まで買い物に来ているようです」

 

「そうなのか……いつも苦労をかけてばかりだな……」

 

 そんなことを呟く千冬だったが、数馬は特になにも反応をせずに案内を続けた。そんなこんなで、一夏が待つ弾の家へと到着した。店の入り口には『臨時休業』の札が付いており、客がいるような様子はない。

 

「戻りました~。ついでに一夏の姉の千冬さんも連れてきましたよ~」

 

「ソイツは良かった。呼び出す手間が省けたぜ」

 

 厨房から料理を持ってきた厳がそれをテーブルに置き、千冬をそこへと座らせた。

 

「まぁオメェも腹減ってんだろ。食え」

 

「え?いや、でも、お金無いんですけど……」

 

「はぁ……なんでお前ら姉弟は同じ反応をするんだよ。気にすんな。腹が減ってるヤツには飯を食わせる。それがこの店だ。腹減ってるのを見過ごすつもりはねぇ」

 

「い、いただきます……」

 

 箸を持って食べ進めて行く。一夏と同じく千冬もまだ育ち盛り。どんどん加速が付いていく。やはり、千冬も空腹だったのだろう。

 

 ある程度まで食べた辺りで、厳は千冬にあることを聞いた。

 

「お前、今はどこで働いてるんだ?」

 

「え?」

 

「今日は月末。明細も貰ってる頃だろう。それを見せろ」

 

「…………」

 

 渋々ながら、バッグの中から1枚の給料明細を取り出して厳に手渡した。

 

「新聞配達か。給料はピンはねも無く満額支払われているな……だが、この時間の仕事、お前にはキツいんじゃないのか?」

 

「で、でも!働かないと……」

 

「まぁ、お前らの家のことはそれなりに知っている。金が必要なこともな。さ、もう1つのも出しな」

 

「ッ!?」

 

「坊主が言ってたぞ。朝も夜も働いてるってな。見た感じこれは朝刊の配達。朝の仕事で夜のじゃない。ほら、もう1つのを早く出せ」

 

 バッグを握り締めて出すのを渋っている千冬だったが、弾がバッグを奪い取り中からもう1枚の給料明細を取り出した。それを厳に渡し、厳は内容を確認する。

 

「……キャバクラ。か」

 

「はい……」

 

「まぁ、その容姿なら確かに年齢を誤魔化せるだろうな。話し方や雰囲気も大人びてる。が、分かってるだろ?ダメなことだって事くらい」

 

「はい……」

 

「酒は?」

 

「アルコールアレルギーと言っているので、飲んだことは無いです……」

 

「まぁ、それなら下手に手を出すヤツは居ねぇわな」

 

 アレルギーと言ってしまえば、下手なことはできない。知ってながらアレルギー物質を与えた場合、暴行や障害罪、殺人未遂、殺人罪として起訴されることがある。やってしまえば「酒で酔ってついやってしまった」は通用しない。社会的に殺されてしまう。

 

「はぁ……取り敢えず、今すぐにここは辞めろ」

 

「で、でも!ここを辞めたら収入が……」

 

「よく見ろ。お前、ピンはねされてるぞ。どう考えてもこの給料、時給に直すとこの県の最低賃金を下回ってる。お前、雇われたとき声を掛けられたんだろ?面接抜きにしてやるとか簡単に稼げるとか上手いこと言われて。お前に声を掛けたヤツは、お前が中学生って事も知ってるんじゃないのか?」

 

「そ、そうです。制服姿で歩いていた時に声を掛けられて……簡単に沢山稼げるし、面接はしないし、年齢の事は周りに黙ってると言われて……」

 

「やっぱりな。……ん?この店……」

 

 店の名前を見て何かに気付いたのか、電話を取り出してどこかへと連絡をした。

 

「あ、あの何処へ?」

 

「警察や児童相談所じゃねぇから安心しろ。この店、知り合いが経営してる店だ」

 

 携帯の電話帳から目的の人物の名前を探しだし、そこへとかける。4回ほどコール音が流れると、相手が出てきた。

 

『おう厳。久し振りだな。お前からかけてくるたぁ珍しい。どうしたんだ?』

 

「どうしたもこうしたもあるか!龍テメェ、自分の店でなに中坊働かせてんだ!」

 

『は?なに言ってんだ?俺は面接もしてるし、身分証明書やマイナンバーも出させてるぞ?つか、俺は新しい店を出す準備で、ここんところ誰も雇った覚えはねぇんだが?』

 

「じゃあテメェの店で働いてる織斑千冬はどうなんだ?そこのスタッフから声を掛けられて働いてるって言ってるぞ?」

 

『んあ?最近店はヤスの野郎に任せてるが……』

 

「ヤスだと?成る程。そう言うことか」

 

『あぁ察したよ。今から戻るから先に行っててくれ』

 

「分かった」

 

 電話を切ると、千冬の給料明細を持って店を出ていく。

 

「あの……なにかあったんですか?」

 

「大丈夫だ。あと、もうこの店で働く必要はねぇぞ。働き口は俺が用意してやる。今日は泊まっていけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。今日は──」

 

「ヤスに用事があるだけだ。どけ」

 

「え?ちょっ!お客さま!?」

 

 店員を押し退けて店の中に入ると、店長の部屋へとズカズカ入っていく。

 

「えぇ。上玉ですよ~?金をチラつかせればすぐに来るガキです。えぇ。年齢とお望み通り……はい!では、またご贔屓に…………ふぅ。楽な仕事だな~。女のガキを売るだけで100万か……ククククク」

 

「随分とご機嫌だな。ヤス」

 

「んあ?誰──げ、げげげげげげけ!厳の旦那!?きょ、きょきょきょきょ今日はどう言ったご用件で!?」

 

「自分の胸に聞いてみやがれ!」

 

 デカイ拳がヤスの顔面を捕らえ、そのまま2メートルくらい吹っ飛ばされていった。

 

「随分と舐めた真似をしやがって……龍に拾ってもらった恩を仇で返すとはな……」

 

「な、なんの事で──」

 

「とぼけんな!生活が苦しくて無理して働いてるヤツの給料をピンはねするだけじゃ飽き足らず、ソイツを売る?どうやら、テメェは救い用のないゴミクズ成り下がったようだな」

 

 胸ぐらを掴んで持ち上げると、丁度この店のオーナーである龍が帰ってきた。こんな状況だが、特に焦っている様子はない。

 

「もうやってたのか」

 

「あぁ。どうやら、どっかの誰かに売るつもりだったらしい。これがアイツの給料明細だ。結構な額ピンはねされてる。確認して足りない分を今すぐ出しやがれ」

 

 龍はデータを確認すると、金庫から足りない分と今までの千冬への迷惑料を封筒に包み、厳に渡す。

 

「取り敢えず、このバカの根性を叩き直してやる。アイツへの償いも兼ねてな」

 

「なら丁度いい。ここに来る途中知り合いに電話をかけてな。良い仕事をさせることになった」

 

「りゅ、龍さん!?お、俺の事、見捨てないですよね!?」

 

「悪いが今回の事は庇いきれねぇ。死ぬかも知れねぇが、たった1回出るだけで1200万は稼げる仕事だ。そこで暫く働いてこい。勿論逃げ出さねぇ様に監視はつけるぞ」

 

「龍、後はお前に任せる。迷惑かけなた」

 

「いや構わねぇ。今度から毎月蟹が送られてくる。楽しみに待ってろ。迷惑掛けたヤツの家にも送らせるから、連絡先教えてくれ」

 

「あぁ。聞いとくよ」

 

 そう言うと、厳は自分の店に帰って事の顛末を千冬に話した。そして迷惑料とピンはね分が包まれた封筒を渡し、もう店で働かなくて良いと言うことを伝えた。

 

「でも、これからどうすれば」

 

「知り合いの婆さん、マンションの管理をしててな。もう歳だから掃除がキツいらしい。手伝ってくれるのを探してたそうだ。土日に数時間来て欲しいとよ。その分の手伝い料も出るそうだ。それでも足りないなら、ここで働け。その分は出すし残り物で良いならくれてやる」

 

「は、はい!よろしくお願いします!!」

 

「おう。分かったからさっさと寝ろ」

 

「分かりました。ただ、蟹と言うのは?」

 

「アイツの根性を叩き直すために、今から低気圧の墓場に行って貰ってる」

 

※低気圧の墓場=ベーリング海




今回はここまで。次回は未定。感想よろしくお願いします!!


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