古明地こいしとFクラス (こいし金二)
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第一章『最初の戦争!』 第一話「はじまり!」

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それでは、はじまりはじまり!


 

 

「お姉ちゃん、本当にいい天気だね~!こんな天気だとつい楽しい気分にならない?」

 

晴れわたる青空。

満開の桜並木。

そして気持ちいい風。

新学期をむかえるには絶好の天気だよね!

 

「なにが楽しい気分よ・・・。こいしから無意識のうちにテストが終わってたと聞かされて、気を病んでいるのが私だけっておかしいと思うわよ・・・。しかもお空はテストの日付を忘れて欠席するし・・・。」

 

「でもお姉ちゃんはテストはわりと出来たんでしょ?」

 

「・・・まあ、私はBクラスは行けると思うわよ。お燐も同じくらいって言ってたし。」

 

「だったらもっと明るい表情しないの?」

 

「こいし、あんたのせいでこうなってるのよ!あんたにもお空にも勉強教えたのに、完全に無駄になってるわけじゃない!バカ。」

 

お姉ちゃんがおこだ。

いつもみたいにやさしくしてくれない。

・・・あれ、おかしいな。

なんだか無意識のうちに目から塩水が出てきたよ・・・?

 

「・・・一緒のクラスになれれば嬉しかったのに。」

 

「お姉ちゃん、何か言った?」

 

「何も言ってないわよ。」

 

お姉ちゃんが冷たいよ。

ちなみに、お姉ちゃんの名前は古明地さとり。

そして、私は古明地こいし。

お姉ちゃんのことは大好きだから、普段優しいお姉ちゃんにこう冷たくされると悲しい。

そう思いながら歩いていると、いつのまにか校門まで来ていた。

 

「おはようございます、西村先生。」

 

校門に立っている先生にお姉ちゃんがあいさつをする。

その先生は西村先生、通称鉄人だったかな。

私もあいさつしないと!

 

「おはよう、鉄人!」

 

「教師にタメ口を使うな!それと西村先生と呼べ!」

 

・・・痛い。

無意識に言ってしまったせいで、げんこつを落とされた。

手加減はしてくれてるみたいだけど、それでも痛い。

 

「まあ、これはあんたが悪いわね。」

 

とどめにお姉ちゃんの言葉が突き刺さる。

 

「・・・まあいい。とりあえず、これを受けとれ。」

 

渡されたのは二つの封筒。

名前を確認し、自分のをとる。

この封筒の中に書かれたクラスが、この1年過ごすクラスとなる。

一番上はAクラス。

そして、最下位がFクラス。

上位になるほどいい設備があって、成績順に振り分けられるんだけど、私は無意識のうちにテスト終わってたから、結果はわかってるんだよね。

 

「お姉ちゃ~ん、どうだった?」

 

「私はBクラスよ。あんたも、結果がわかってるとはいっても見ておきなさいよ。」

 

言われて封筒を開く。

やはりFクラス。

 

「なんというか、お前は頭が悪い訳ではないのだが・・・。テスト中の休み時間にふらっと出ていったきり、戻ってこない生徒はお前がはじめてだ、まったく。まあ、今年は0点扱いの生徒が数人いるが・・・。姉のほうはよく頑張ったな。Bクラスでも2位だから、あともう少し取れていればAクラスに入れたのはおしかったな。」

 

「ありがとうございます。」

 

「だが、これで満足せずにこれからもしっかりと励むように。応援しているぞ。」

 

「はい。」

 

クラスのチェックも終わったから、教室に向かおうっと。

・・・でも、まだ時間あるしAクラス覗いていこうかな?

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・これはすごい。」

 

私が予想していたより、Aクラスはものすごかった。

教室もやたら広いし、高級そうな絨毯や絵画も見える。

それに、個人用にノートパソコン、エアコン、冷蔵庫といった設備もあるみたい。

椅子もリクライニングシートだし。

・・・ちょっと、いやかなりやりすぎじゃないかな?

 

「ついでに、お姉ちゃんの教室も見ていこうかな~?」

 

Aクラスの隣にBクラスがあるため、覗いていく。

こっちも広い。

Aクラスの半分程度だけど、Aクラスが異常に広いから、Bクラスも充分なんだよね。

Aクラスみたいにぶっとんでは無いものの、白を基調としたデザインが高級感をただよわせてる。

机や椅子も使いやすそうだし、お姉ちゃんがここに来れてよかったよ!

私も楽しい学園生活目指して頑張ろー!

 

 

 

 

 

「う、うっわぁ・・・。」

 

早速気持ちが折れかけたよ・・・。

窓ガラスは一部割れていて、畳や木も腐っているところがちらほら。

机はちゃぶ台で、椅子なんてない。

2ーFと書かれた看板は今にも壊れそうで・・・・・・あ、今割れた。

AやBクラス見た後だから余計辛いな・・・。

 

「・・・まあ、ここで立っててもしょうがないよね。よし、気を取り直して行こう!」

 

きっと、この教室とは違って明るく楽しい人達がいるはずだよ!

気を取り直して、笑顔でこの扉を開けよう!

 

ガラッ!

 

「早く座れ、このウジ虫野郎。」

 

・・・ぶわっ!

あまりの酷い言い草に涙が溢れたよ!

ひどい!

私の気持ちを返して!

 

「・・・っと、お前は古明地か。人違いだ、すまん。明久だと思ったんだ。」

 

あらためて見てみると、私をウジ虫呼ばわりしたのは、私の友達の坂本雄二だった。

180センチを超えてる巨体に赤髪。

悪い人ではないけど、私をウジ虫呼ばわりしたのはひどいよ。

 

「坂本君もこのクラスなの?」

 

「おう、他にもいるぞ。」

 

そう言いつつ、坂本君が振り返る。

 

「おっ、古明地じゃないか!私もこのクラスだぜ!」

 

「あっ、魔理沙!このクラスだったんだね~。」

 

私に手を振ってきたのは霧雨魔理沙。

悪い子じゃないんだけど、人をからかうのが好きなのと借りたものなかなか返さないんだよね・・・。

 

「あ、そういえばお姉ちゃんがいい加減貸した本を返してくれって言ってたよ?」

 

「おう、また今度返すってつたえといてくれ!」

 

このやりとり、もう十七回目なんだよね。

 

「こいしちゃん、はろはろ~!」

 

すると、また別の人が手を振ってくる。

彼女は島田美波だ。

ドイツからの帰国子女で、すらっとした体と明るい色のポニーテールが魅力的な女の子。

胸が小さいことを気にしてるけど、私だってあんまないんだし、気にしなくていいと思うんだけどね~。

 

「やっほ~美波ちゃん!やっぱり問題が読めなかったの?」

 

「う、うるさいわね、その通りよ!ウチは問題さえ読めればいい成績出せるんだから!」

 

実際、漢字をあまり使わない数学の成績はいいから、この言葉は間違ってないんだよね。

 

「すまぬ、そこを通してくれるかの?」

 

「あ、ごめんね秀吉君。確かにここじゃ邪魔だったね。」

 

彼じ・・・彼も、私の友達で、木下秀吉というんだけど、女子と見間違えるような綺麗な顔してるんだよね。

演劇が好きで、声を自在に変えられるのが羨ましいんだよね~。

 

「お空も一緒なのね~。あはよ~!」

 

「あっ、こいしちゃん!おはよ~!」

 

秀吉君の後ろから入ってきたのは、私の一番の親友の霊路地空。

あまり頭は良くないんだけど、優しい娘だし面白いから、一緒にいて楽しいんだよね!

お姉ちゃんも言ってた通り、テストの日程を忘れてたみたいで、Fクラスになっちゃったみたいだけど、同じクラスになれたから結果オーライだよね!

話していたらチャイムが鳴ったため、席に座ろうとしたところで気付く。

 

「ところで坂本君。私はどこに座ればいいの?」

 

「あー、この教室は座席とか特に決まってないみたいでな。適当にしてくれ。」

 

な、なんて適当なんだろ・・・。

まあ、お空と隣になれるからいっか!

私とお空が席に着いた時、再び扉が開く。

 

「すいません、ちょっと遅れました!」

 

「早く座れ、このウジ虫野郎。」

 

「ひどい!可愛い生徒に向かって第一声がそれなんて、教育者としてあんま・・・・・・・あれ、雄二じゃん。何してるの?」

 

「教師が来るまで何となくここにいただけだ。代表としてここを使うことになると思うしな。だが明久、お前は可愛い生徒の中に入らないと思うぞ。ブサイクだからな。」

 

「雄二には言われたくないやいっ!」

 

今入ってきて、坂本君と喧嘩しているのが吉井明久。

明るくて優しいし、料理もできるし、運動神経も悪くないし、顔もブサイクじゃないけど、バカなんだよね・・・。

 

「だいたい、いきなりウジ虫野郎呼ばわりする雄二の心の方がブサイクじゃないかっ!綺麗な心の僕とは五十歩百歩じゃないか!」

 

ね。

五十歩百歩はほとんど差がない時に使うものなんだけどな・・・。

 

「えーと、ちょっと通して貰えませんか?」

 

言い争ってる二人の後ろから、中年の男性がやってくる。

生徒には見えないし、多分担任だよね。

 

「・・・では、HRを始めます。皆さん、席に着いてください。」

 

その言葉で、坂本君と吉井君、その他話していた生徒が席に着く。

 

「えー、おはようございます、私は2年Fクラスの担任を担当する福原槙と申します。よろしくお願いします。」

 

・・・・・・えーと、今黒板の方を見て、こちらを向いたのは特に深い意味はないんだよね?

私には、黒板に名前を書こうとしてチョークがなくて止めたように見えるけど、深い意味はないんだよね?

 

「皆さん、全員にちゃぶ台とざぶとんは用意されていますか?設備に何か不備があれば申し出てください。」

 

一応改善はしてくれるのかな?

私のところには不備はないけど、みんなはどうなんだろう?

 

「先生、俺のざぶとんに綿がほとんど入っていないです。」

 

「我慢してください。」

 

「先生、すきま風が入り込んで寒いです。」

 

「我慢してください。」

 

「先生、ちゃぶ台の足が折れたんですけど。」

 

「我慢してください。」

 

「無理だっつーの!」

 

「はっはっは、冗談です。木工ボンドとビニールテープの申請をしておきましょう。」

 

えーと、ここは地獄か何かなのかな?

蜘蛛の糸のような救いの手すら見えないんだけど・・・。

 

「必要なものがあれば、極力自分で調達するようにしてください。・・・他に設備の不備はないようなので自己紹介を始めましょう。廊下側の人からお願いします。」

 

(((((いや、不備たくさんあるけどね・・・。)))))

 

言っても我慢してくださいと言われるとわかってるから黙ってるだけで・・・。

クラス全員の意見が一致したと思うよ・・・。

その時、前の扉が開かれた。




いかがでしたか?
原作と一部違うところはあります。
それと、ポケきらの方は投稿をしばらく中止します。
ちょっと展開がうまくいかないので…。


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第二話「Fクラス!」

 

 

「「遅れてすみません!」」

 

入ってきたのは二人の女子生徒だった。

 

「「「・・・・・・」」」

 

でも、なんでこの二人がいるの?

二人とも成績、やたらいいはずなのに・・・?

 

「あの、なんであなたたちがここにいるんですか?」

 

聞き方によっては不躾な質問。

だが、それは全員が感じてたことだと思う。

 

「私は試験中に熱を出してしまい、途中退出で0点扱いになってしまって・・・。」

 

「実は私も同じく途中退出してしまって・・・。」

 

その二人が答えてくれた。

最初に答えたのが姫路瑞希、後に答えたのが稗田阿求、どっちも私の友達だね。

二人とも、成績が恐ろしいくらいにいいから残念だったね。

 

「そりゃ災難だったな・・・。実は俺も熱・・・が出たせいで・・・。」

 

「化学だろ?あれは難しかったな。」

 

「弟が熱を出してテストどころじゃなくて・・・」

 

「黙れ一人っ子。」

 

「前の晩、彼女が寝かせてくれなくてな・・・」

 

「今年一番の大嘘をありがとう。」

 

「私はあえてサボっただけだ!だから他とは違うのさ!」

 

「おい正邪、それはむしろ他の人よりダメだぞ。」

 

・・・・・・もしかして、この教室バカばっかり?

まあ、無意識で消えちゃった私が言えることじゃないけど・・・。

 

「とりあえず姫路さんと稗田さん、席に着いてください。あと、みなさん静かに・・・」

 

先生がみんなを静かにさせようと教卓を叩く。

すると、ボロボロと崩れ落ちた。

 

「・・・えー、私は替えの教卓を取りに行くので自習していてください。私が戻ってきたら自己紹介を始めてもらいます。」

 

えー・・・・・・。

さすがに酷すぎない・・・?

先生は去っていったけど、こんなんで1年過ごすのね・・・。

 

 

 

 

 

 

5分後、先生が戻ってきて自己紹介が始まった。

えーっと、私の番は後のほうかな?

 

「・・・木下秀吉じゃ、演劇に所属している。宜しく頼む。あと、わしは女ではなく男じゃから、そこを間違えないでほしいのう。」

 

「「「嘘だッッ!」」」

 

クラスの全ての男子が叫んだけど、木下君ほんとに男なんだけどな・・・。

 

「・・・まあ、ともかくよろしくじゃ!」

 

木下君が無理矢理自己紹介を打ち切った。

残念そうにしてるクラスメイト達をよそに、自己紹介は次の人に進む。

 

「・・・・・・土屋康太。趣味は盗ちょ・・・特にない。特技は盗さ・・・特にない。」

 

なんか、今変な言葉が聞こえたような・・・?

まあ、きっと気のせいなんだよね!

ポケットにボイスレコーダーとカメラが見えるけど、気のせいだよね。

まあ、私は知っているんだけどね。

 

「島田美波です。ドイツで育ったので、日本語は苦手ですが、話すのは大丈夫です。趣味は、吉井明久を殴ることです☆」

 

やっぱりいい笑顔で言うんだ・・・。

 

「あぅ、し、島田さん。」

 

「吉井、今年もよろしく~!」

 

怯える吉井君に対して、美波ちゃんは何もなかったかのように明るくあいさつをしてる。

相変わらず、吉井君に対して、感情を伝えるのが下手だよね・・・。

 

「・・・っと、次は僕か。えーと、吉井明久ですね。気軽にダーリンって読んでくださいね♪」

 

『『『ダァーリィーン!!!』』』

 

野太い声(と一部女の子の声)が響く。

ノリがいいな・・・。

ちなみに、私もしっかり言ったよ。

せっかくだもんね。

 

「・・・失礼、忘れてください。ともかくよろしくお願いします。」

 

吐きそうな顔で吉井君が座る。

・・・だったら言わなきゃいいのに。

 

「霧雨魔理沙だぜ!読書とゲームが趣味なんだぜ。みんな、よろしくだぜ!」

 

「私は・・・多分霊路地空だよ!お空って呼んでね!みんな、よろしくね!」

 

「鬼人正邪だ。一応よろしくだな。」

 

「あの、姫路瑞希ですっ!これから一年間、よろしくお願いします!」

 

「私は稗田阿求です。みなさん、よろしくお願いしますね。」

 

その後は特におかしなところもなく進んでるけど、このクラス、なんというか濃いな~。

女子が自己紹介をするたび、歓声をあげてる人達がたくさんいるし・・・。

おっと、次は私だね。

 

「古明地こいしだよ。好きに呼んでね。」

 

「「「うおおーっ!こいしちゃーん!」」」

 

やっぱり元気なクラスだな・・・。

 

「皆さん、今は自己紹介中ですよ。静かにしてください。」

 

さすがに先生が教卓を叩いて注意する。

そして、また教卓が壊れた。

えぇ・・・・・・。

さっき変えたばかりなのにまた・・・?

でもちょっぴり慣れちゃった自分が怖いな。

 

「もう一度替えの教卓を取ってきます。自習していてください。」

 

また教卓を取りに行く先生。

なんというか、このFクラスでは常識にとらわれてはいけないんだなぁ・・・。

 

「・・・・・・じゃなんだから廊下で。」

 

「まあ、別に構わんが。」

 

そんなことを考えていると、吉井君と坂本君が廊下に出ていくけど、何処にいくのかな?

ちょっと気になるから行ってみよーっと!

 

 

 

 

 

 

 

「・・・雄二、試召戦争をやらないか。こんな設備じゃダメだと思うんだ。Aクラスの設備を見た?それに比べてFクラスはぼろっちいしすきま風も入ってくるから健康にも悪いわけだし、ここで一年なんて、ごめんだね。」

 

「・・・ははあ、なるほどな。明久がやりたい理由は大好きな姫・・・」

 

「わーっ、そんなこと言ってないってば!」

 

・・・なるほどね~。

 

「ねえねえ二人とも、その話私も『その話、詳しく聞かせてもらっていいか?』あら?」

 

私が口を挟もうとしたら、誰か他の人が二人に話しかけてた。

 

「・・・ん?お前は確か・・・」

 

「鬼人正邪だ。呼び方は適当で構わない。それより、試召戦争をやるってのは本当なのか?」

 

なんだ、正邪ちゃんか。

 

「まあ、冗談で言っていた訳ではないが・・・。」

 

「私は下位クラスでの試召戦争やるのが面白そうだとおもっていたのだ。それがまさか初日で叶うことになるなんて予想してなかったが、こんな楽しいことを見逃すなんてもったいないじゃないか。古明地もそうは思わないか?」

 

あら、私にふられた。

 

「まあ、私も楽しそうだとは思うけど、やるならお姉ちゃんがいるBクラス以外がいいかな。」

 

「「古明地(さん)!?いつからいた(の)!?」」

 

「吉井君が力説してたあたりだよ?」

 

「「まったく気づかなかった・・・。」」

 

実は、私は存在感消すことにはちょっとした自信があるんだよね。

こっそり行動するのは得意だよ、えへん。

 

「・・・まあ、俺も学力だけが全てではないと証明してみたかったからな。俺達が最終的に狙うのはAクラスだ。そして、勝算はある。」

 

坂本君はそう言ってるけど、どうやって勝つつもりなんだろう?

 

「・・・と、先生が戻ってきたみたいだな。続きはあとでだ。」

 

教室に戻って、残りの人の自己紹介を聞くことになる。

おっと、聞いてたらもう最後か。

 

「では坂本君、最後に代表としてお願いします。」

 

先生に呼ばれた坂本君が、教卓に向かって歩いていく。

代表だからかな?

 

「俺がFクラス代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きに呼んでもらって構わない。」

 

「じゃあ私はド○キーコングと呼ばせてもらうぜ!」

 

「・・・坂本か代表と呼ぶようにしてくれ。」

 

坂本君が額に青筋をたてて魔理沙をにらむ。

あ、結構おこだね。

 

「とにかく、俺はみんなに一つ問いたい。Aクラスは冷暖房完備でリクライニングシート、さらに個人用のパソコンや冷蔵庫もあるらしい。だが、俺達はこの始末だ。不満はないか?」

 

「「「おおありじゃあっ!」」」

 

クラスの皆の心がひとつになったね。

私も、不満があるかな~。

 

「だろう?この設備には、俺も代表として問題意識を抱いている。だから、代表としての提案だが・・・・・・、我々FクラスはAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う!」

 




いかがでしたか?
原作の流れがあると書きやすいですよね。


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第三話「試召戦争!」

 

 

 

坂本君が試召戦争を仕掛ける意思を言葉にした瞬間、みんながざわざわしだす。

試召戦争というのは、この学園の学園長先生が科学とオカルトの力で作った「試験召喚システム」というので、テストの点数に応じた強さの召喚獣を呼び出して戦うクラス間の戦争のことなんだけど、この戦争で、クラスの設備が変わるんだよね。

上位クラスに下位クラスが負けた場合、クラスの設備が入れ換えられちゃうから、もし私達がAクラスに勝てたとしたら、Aクラスの人達がこのぼろっちい教室に、Fクラスがシステムデスクになるということだね。

まあ、下位クラスが負けた場合、設備が1クラス分ランクダウンし、その後3ヶ月はふたたび戦争を挑めなくなっちゃうんだけど。

 

「勝てっこない・・・、あいつらは伝説のAクラスなんだぞ・・・。」

 

「これ以上設備を下げられるなんて嫌だ。」

 

「姫路さんと稗田さんがいてくれたらなにもいらない。」

 

「こいしちゃんマジ天使!」

 

坂本君が放った言葉に、否定の言葉が飛び交う。

ドラゴンボールが好きな人がいるのかな?

私へのコメントはスルーでいいか。

 

「勝つプランはある。いや、絶対に勝たせてみせる。」

 

坂本君のそんな言葉。

それでも、懐疑的なコメントは消えない。

まあ、Fクラスは最下位クラスだし、そう言われても信じるのは厳しいよね。

 

「根拠ならあるさ。このクラスには勝つために必要な要素は充分すぎるほどにある。おい康太、畳に顔をつけて古明地のスカート覗いてないで早く前に来い。」

 

「・・・・・・!!(ブンブン)」

 

あ、ほんとだ。

 

「まずはこの土屋康太。こいつがあの有名なムッツリーニだ。」

 

「・・・・・・!!(ブンブン)」

 

ムッツリーニ君は、畳のあとがついた額を押さえながら否定のポーズをしてるけど、なかなかすごいよね。

ちなみに、ムッツリーニというのは、要はムッツリスケベのことなんだけどね。

いつものことといえばいつものことだし私は怒らないけど。

 

「姫路と稗田のことは言うまでもないだろう。姫路は学年トップクラスだし、稗田は途中退出してなかったら文句なしに首席だっただろうな。」

 

「えっ、わっ、私ですか!?えーと、が、頑張ります!」

 

「私も頑張りますね。」

 

坂本君に名指しされた二人がやる気をみせる。

二人がやっぱりキーパーソンだよね!

 

「それに、霧雨魔理沙、霊路地空、古明地こいしと、科目を絞ればAクラスと対等に戦える人材も3人いる。」

 

「うにゅ?私?」

 

「お?私を買ってくれるのか?」

 

「私も、期待されてるなら頑張らないとね~。」

 

ちなみに、私の得意科目の地学は平均300点位で、お空もだいたいそれくらいなんだよね。

坂本君があげた名前でみんなの士気が上がっていってるけど、それでもまだ直接のぶつかりあいは厳しいんじゃないかな?

 

「そして、吉井明久もいる。」

 

・・・・・・・・・うわぁ、一気に士気が落ちた。

 

「ちょっと雄二!なんでそこで僕の名前を呼ぶのさ!せっかく上がった士気が台無しじゃないか!」

 

「まあ落ち着け明久。知らない人もいるだろうから言うが、こいつは《観察処分者》だ。」

 

「あの、すみません・・・。観察処分者って何ですか?」

 

姫路さんは知らないみたいで、坂本君に尋ねている。

 

「僕みたいにちょっと人と違う凄い『バカの』才能を持ち・・・ってちょっと雄二!僕の説明に口を挟まないでよっ!」

 

「いや、事実じゃねえか。」

 

「なるほど、吉井君って凄いんですね!」

 

「ああっ!穴があったら入りたいっ!」

 

吉井君が悶えてる。

 

「ちなみに、観察処分者の召喚獣には、ものに触れられるのと、召喚獣の食らったダメージが本人にフィードバックするという特別な仕様があったりする。よく教師の雑用に駆り出されてたりするな。」

 

「でも、それならおいそれと召喚できない奴が一人いるってことじゃないのか?」

 

「まあそうだな。だが、いてもいなくても変わらないようなザコだから問題はない。」

 

「雄二、そこは普通僕をフォローする場面だよね?」

 

ただバカにしたかっただけみたいだね。

この二人を見てると、友達なのかと疑わしくなる場面が1日3回くらいあるんだよね・・・。

 

「なんにせよ、まずは力の証明としてDクラスを倒そうと思う。」

 

ん?

Dクラス?

まあ、坂本君には坂本君の考えがあるんだよね!

 

「境遇に不満があるだろ?ならば全員ペンを取れ!俺達は決してダメ人間のあつまりなんかじゃねえ!最低クラスの実力、見せつけてやろうじゃねえか!」

 

「「「おおーーーっ!!」」」

 

またまたみんなの気持ちがひとつになったね。

私も頑張ろ~っと。

 

「よしじゃあ明久。お前にはDクラスへ宣戦布告に行ってもらいたい。」

 

あ、坂本君が吉井君を陥れようとしてる。

下位クラスの使者って、大抵酷い目にあわされるからね。

 

「それって僕に死ねっていいたいの!?」

 

「大丈夫だ。やつらはお前に加えない。騙されたと思っていってこい。俺を誰だと思ってる。俺を信じろ。」

 

「雄二・・・。そこまで言うならわかったよ。行ってくるね。」

 

「ああ、頼んだぞ。」

 

やっぱり信じちゃうのね。

吉井君純粋だからしょうがないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「騙されたぁっ!」

 

やっぱり吉井君はボロボロになって帰ってきた。

 

「やっぱりな。」

 

「少しは悪びれろよっ!」

 

「これくらい予想できずに代表がつとまるか。」

 

ほんとに、坂本君と吉井君が友人か信じられなくなることは多いなあ。

 

「あの、吉井君、大丈夫ですか・・・?」

 

「あ、うん、大丈夫。ほとんど軽い傷だから。」

 

「吉井、ほんとに大丈夫?」

 

「平気だよ。心配してくれてありがとう。」

 

「よかった・・・。ウチが殴る余裕はまだあるのね・・・。」

 

「ああっ!もうダメ!死にそう!」

 

吉井君、美波ちゃんは冗談で言ってるんだから、そんなに体を押さえて転げ回らなくても・・・。

 

「明久の傷のことはどうでもいいから屋上へ行くぞ。」

 

「ほら吉井、行くわよ。さっきのは冗談だから、ほんとに殴ったりしないわよ。」

 

「ほぇ?そうなの?」

 

「・・・っとそうだ。おい正邪、話を聞きたいんだろ?よかったらついてくるか?あと稗田と姫路も来てくれないか?」

 

坂本君、覚えてたんだ。

その声に反応してこっちに歩いてくる正邪ちゃんと阿求ちゃん。

それで、みんなで屋上に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今からDクラス戦の会議をはじめる。明久、宣戦布告はしてきたんだよな?」

 

「うん。今日の午後から開戦だと伝えてきたよ。」

 

「ならお昼御飯食べない?私、おなかすいちゃった。」

 

「確かにもうそんな時間だな。よしこいし、弁当を貸してくれ。」

 

「嫌だよ魔理沙・・・。返さないよね絶対・・・。」

 

「失礼な、ちゃんと返すぜ。まあ、いつ帰すかが未定なだけなんだぜ。」

 

「それは借りるって言わないんだけどな・・・。」

 

「とりあえず明久、今日くらいはまともなものを食べとけよ。」

 

「そう言うならパンくらいおごってくれればいいのに。」

 

まあ、吉井君の主食はアレだからね・・・。

 

「ん?吉井は昼食食べない派なのか?」

 

「いや、一応食べてるよ。」

 

「いや、あれは食べてると言えるのか・・・?」

 

「ん?少量しか食べないのか?」

 

「いや、コイツは量とかじゃなくて・・・・・・」

 

「吉井君の主食は水と塩だもんね~。」

 

「・・・・・・は?」

 

「失礼な!ちゃんと砂糖もとってるさ!」

 

「・・・すまない、意味がわからんのだが。」

 

「私の記憶にもいままで主食が水、塩、砂糖だった人はいないですが・・・。私の知り合いで悟りを開こうと修行している聖さんも、それ以上のものを食べてるのに・・・。」

 

「あの、吉井君、砂糖や塩は食べるとは言わないと思いますが・・・。」

 

正邪ちゃんと姫路ちゃんと阿求ちゃんがものすごく困ってる。

私もはじめて見た時はものすごく驚いたんだよね・・・。

あ、ちなみに阿求ちゃんはいわゆる瞬間記憶能力ってやつを持ってるんだよね。

覚えたことを決して忘れないから、吉井君以外に塩を主食にしてる人間はいないってこと。

どんだけおかしいかわかるよね・・・。

 

「まあ、吉井は飯代まで仕送りに使うから同情の余地ないんだけどな。」

 

「あの、吉井君。それなら明日から私がお弁当を作ってきましょうか?」

 

「ゑ?」

 

姫路ちゃんなかなかやるね~!

 

「本当にいいの?僕、塩と砂糖以外のものを食べるのは久しぶりだよ!どんなものだってありがたいさ!」

 

「はい。明日のお昼で良ければ。」

 

「姫路さん、本当にありがとう!実は僕、はじめてあった時からあなたのこと好き・・・」

 

「おい明久、今振られると弁当の話はなくなるぞ。」

 

「好きにしたいと思ってました。」

 

・・・・・・うん、ドン引きするしかないかな。

吉井君がバカなの知ってるけど、軽く引いちゃうのはしょうがないよね。

 

「明久よ、それはただ欲望をカミングアウトした変態じゃぞ。」

 

「だって・・・お弁当が・・・!」

 

「さて、話がそれたが試召戦争に戻ろう。」

 

坂本君が話を戻す。

 

「ひとつ気になっておったのじゃが、どうしてDクラスなんじゃ?段階をふむならEクラスじゃろうし、勝負に出るならAクラスじゃろう?」

 

「とりあえずEクラスを攻めない理由は簡単だ。攻めるまでもないないからな。お前のまわりの面子を見てみろ。」

 

「えーと、美少女7人とバカが2人とムッツリが1人いるね。」

 

「誰が美少女だと!?」

 

「・・・・・・(ポッ)」

 

「ええっ!?雄二とムッツリーニが美少女に反応するの!?」

 

「おいおい、おだてても何も出ないぜ吉井?」

 

「正しい反応だけどなんか納得できない!」

 

「私はどっちなのかな?」

 

「古明地さんは当然美少女に決まってるじゃないか!」

 

「まあ要するにだ。姫路や稗田に問題がない今、Eクラスには100%勝てるだろうな。」

 

「Dクラスだとダメなの?」

 

「まあ、まともに戦ったら負けかねないだろうな。それに、打倒Aクラスのプロセスに必要だからだ。」

 

「??どんな流れなの?」

 

「まあそれはDクラス戦後に話す。とりあえず、今から作戦を話すぞ。特に明久と霊路地、お前はしっかり覚えとけよ。」

 

「ええっ!?なんで僕と霊路地さんだけ!?」

 

「俺にわざわざ言わせる気か?」

 

「・・・ああ、なるほど!僕や霊路地さんが作戦の要で期待され『バカと鳥頭だからだ。』酷いよ雄二!」

 

「私は鳥頭じゃないよ?」

 

「とりあえず今から話すから黙って聞いとけ。でないとチョキでしばくぞ。」

 

そうして、みんなで坂本君の作戦を聞いた。

さあ、いよいよ午後から開戦だね!




いかがでしたか?
明久ってどうやって生きてるんでしょうね。


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第四話「Dクラス戦前半!」

今回から戦いが始まります。



 

 

「ここは私が引き受けるぜ!島田は木下の援護を頼む!サモン!」

 

「わかったわ!サモン!」

 

「Fクラスがなめるなよ!サモン!」

 

「補習室送りにしてやらあ!サモン!」

 

おー、やってるやってる。

私は中堅部隊の副隊長として、隊長の吉井君と後ろに待機してるから、戦闘にはまだ参加してないんだよね。

一応、魔理沙や正邪ちゃん、お空と同じくテストは受けたから点数はあるけど。

 

「なっ!?なんでお前らFクラスなのにそんな点数なんだよ!」

 

「私達だってやれば出来るってことだぜ!」

 

「その通りだ。さあ来い!補習の時間だ!」

 

「てっ、鉄人!?嫌だ、補習室は嫌なんだ!」

 

「黙れ!戦死者は全員、補習室で特別抗議だ!終戦まで何時間かかるかはわからんが、終わるまでたっぷりと指導してやろう!」

 

「た、頼む、見逃してくれ!あんな拷問、耐えきれる気がしないんだ!」

 

「拷問?そんなことはしない。これは立派な教育だ。終わる頃には、趣味は勉強、尊敬する人物は二宮金次郎といった理想的な生徒にしてやろう。」

 

「お、鬼だ!誰か、誰か助け・・・(バタン、ガチャッ)」

 

「よし、どんどん補習室送りにしてやるぜ!次に死にたいのはどいつだ?」

 

「霧雨、至急手を貸してほしいのじゃ!このままでは押し負ける!」

 

「よしお空、行ってくれ!」

 

「わかったよ、行ってくる!」

 

「・・・げっ!もう私も点数がヤバイ!誰か助けてくれ!」

 

「ウチの方もお空がいても厳しいわ!誰か、手の空いてる人は援護して!」

 

結構厳しい状況だね・・・。

 

「古明地さん、中堅部隊の全員に伝えてくれ。」

 

「お、行くの?頑張ろ~!」

 

「総員撤退だ!」

 

「えいっ!」

 

「ぎゃあああっ!目が、目がァ!」

 

とりあえず、坂本君と美波ちゃんに言われた通り、吉井君が敵前逃亡しようとしたから目をついたけど、大丈夫かな?

一応手加減はしたけど・・・。

 

「吉井君、私達の役割は木下君達前線部隊の援護でしょ?前線のみんなが補給試験を受けてるときに、私達が戦線を支えなきゃダメなんだから、逃げちゃダメだよ。」

 

「た、確かにその通りだね!激痛で目が開けられないけど目が覚めたよ!」

 

「それじゃあ中堅部隊のみんな、前線部隊のみんなを助けにいこー!」

 

「「「おおーーーっ!」」」

 

私を先頭に、やる気になってくれたみんなが続いてく。

前線部隊のみんなを助け、出来るなら戦線を押し上げていこ~っと!

 

「「「こいしちゃんを補習室送りにさせないよう、全力で守るぞ!!ここは俺らに任せてください!」」」

 

あれ?

なんかおかしくないかな?

まあでも、崩壊しかけてた前線部隊は立て直したし、少しづつ押してるからいいか!

 

「待て!この戦線、この我、物部布都が止めて見せる!太子様、お願いします!」

 

「はいはい、フィールドを展開しますよ。」

 

・・・いや、ちょっとマズイかな?

あれは日本史の先生の豊郷耳神子先生だから、新たに立会人を増やして勝負をつける気だね!

 

「物部の秘術と道教の力の融合、見るがよい!」

 

「ぐああああっ!ただ皿投げてるだけなのに威力がやたらたけえっ!」

 

「福村ッ!今助けうわあああっ!」

 

「戦死者は補習!」

 

「「や、やめてくれええーっ!」」

 

福村君と藤堂君が補習室に連れてかれちゃった。

えーっと、相手の点数は・・・?

 

『Dクラス 物部布都 日本史 370点』

 

・・・あ、これものすごくマズイやつだ。

しかも、皿投げが点数消費するタイプだったのか、400点超えなことをあらわす腕輪をしてる。

しかも、ここにいるメンバーは理科系科目が得意なメンバーばっかりだから、日本史高い人いないんだよね。

こっちだと阿求ちゃんがものすごく得意なんだけど、今補充試験やってるし・・・。

よし、私ができるだけ頑張ろう!

 

「えいっ、サモン!」

 

私の声で、私の召喚獣が出てきたね。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 187点』

 

でも、これで持ちこたえられるかな・・・?

 

「次の我の相手はおぬしか?」

 

「うん、頑張って戦うよ!」

 

「待って!僕も助太刀するよ!サモン!」

 

吉井君も来てくれて、2対1になった。

一応、吉井君の得意科目は日本史だし、いい戦いになるといいんだけど・・・?

 

『Fクラス 吉井明久 日本史 149点』

 

「ぎゃあああーっ!足の裏に鋭く尖った固いものが刺さった感触があああーっ!」

 

・・・あ。

吉井君がさっき福村君を葬った皿の破片を踏んで悶えてる。

 

「なんじゃ?おぬし、何故痛がっているのじゃ?」

 

「僕は観察処分者だから、痛みがフィールドバックするんだよ!」

 

「そうか・・・、まあそれなら、できるだけ痛みが少ないように葬ってやろう!我の優しさに感謝するがよい!」

 

物部さんが、私達に向かって皿を投げてきた。

私も吉井君も頑張って避けてるけど、結構厳しいな・・・。

 

「「「こいしちゃんを守れーっ!サモン!」」」

 

すると、Fクラス中堅部隊のみんなが助太刀に来てくれたよ!

 

「おぬしら・・・、うっとおしいから我がまとめて焼いてくれるわ!霊符『太乙真火』!」

 

物部さんのセリフとともに、腕輪が発光する。

・・・あれはものすごくマズイ気がする奴だ!

 

「「「ぎゃあああーっ!」」」

 

「「「ってそれ、味方にも当たってるじゃねーかー!」」」

 

物部さんが燃え盛る皿を地面にぶつけた瞬間、ものすごい勢いで火が燃え広がり、味方ともども召喚獣を焼いていっちゃったよ・・・。

救援に来てくれたみんな(とDクラスの一部)がやられちゃった。

 

「戦死者は補習ーッ!」

 

西村先生が運んでいったけど、なんで15人くらいまとめて運べるのかな?

 

「太子様、我の活躍、見てくれていましたか!?」

 

「・・・言いたいことやお説教は後にしてあげますから、今は戦いに集中したほうがいいですよ。」

 

「ええっ、なんでなんですか!?」

 

物部さんが驚いてるけど、味方ともども焼き払っちゃあねえ・・・。

クラスメイトに恨まれないか心配になっちゃうよ。

 

「残りは吉井君だけ?」

 

「ああ!僕はなんとか避けられたよ!」

 

でも、ちょっとかすったのかな?

点数が半分くらいになってる。

私はなんとか完全にかわせたけどね。

 

「よしじゃあ吉井君、行こうよ!」

 

「ああ!このコンビの実力、見せつけよう!」

 

さっきの火と皿で、物部さんの点数は200点くらいまで減ってる。

これなら行ける!

二人で攻めていく。

 

「・・・っと、しまった!」

 

吉井君がうまく攻撃をしかけ、皿で迎撃し損ねた物部さんがバランスを崩す。

よし、ここで私が攻撃をすれば、物部さんを退場させてここを突破できるね!

 

「・・・やらせはしませんよっ!」

 

「えっ?」

 

あっ、いきなりあらわれた乱入者に私の召喚獣が飛ばされちゃった!

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 120点』

 

それで点数も落ちちゃった・・・。

 

「この紅美鈴、ここを通させるわけにはいきませんよっ!」

 

「おお、助かったぞ!あのままでは我が地獄行きになるところだったからな!」

 

「点数は高くないですが、頑張ります!」

 

『Dクラス 紅美鈴 日本史 127点』

 

むむむ、これで2対2、しかも吉井君も私も消耗しちゃってるから厳しいな・・・。

 

「ここは私に任せろ!日本史の点数が少ない吉井は他にまわれ!サモン!」

 

「!ありがとう、正邪さん!」

 

「正邪ちゃん、日本史の点数はどれくらいなの?」

 

「それはだな・・・。」

 

『Fクラス 鬼人正邪 日本史 180点』

 

「まあ、こんなもんだ。」

 

「さっきから思ってましたが、あなた達本当にFクラスなんですか!?それにしては点数高くないです!?」

 

美鈴さんが驚いてるけど、一応私達は理由があってFクラスにいるからね。

吉井君は得意科目だったわけだし。

 

「よし行くぞ!Fクラスの下克上、見せてやる!」

 

「負けませんよっ!Dクラスの門番として、何人たりともここは通しません!」

 

美鈴さんがくりだしてくる正拳突きを私の武器で受け止める。

この尖った触手のようなもの、伸び縮みするし結構便利なんだよね~。

 

「そのまま抑えてろ古明地!私が引導を渡してやる!」

 

「我を忘れるでない!」

 

美鈴さんに正邪ちゃんが攻撃しようにするも、物部さんに防がれちゃう。

これは、1対1で倒すしかないみたいだね!

よし、頑張ろう!

 

「・・・そろそろですかね。」

 

「ああ、あっちで始まっとるはずじゃ。」

 

「「??」」

 

戦いの手はとめてないけど、美鈴さんと物部さんが話してる。

私も正邪ちゃんもわからないけど、なんだかヤバそうな気がする!

 

「ぎゃあああ!物部クラスがまだいるのかあああっ!」

 

「い、嫌だ!春なのに補習室送りは嫌だ!」

 

「生物でもそんな奴がいるなんて聞いてねえぞおおっ!」

 

「春ですが補習室行きの時間ですよ~。えいっ!」

 

「うわあああ!点数があああっ!」

 

「戦死者は補習ーッ!」

 

「「「ぎゃあああーっ!」」」

 

むこうから、そんな声が聞こえてきた。




いかがでしたか?
原作と比べ、明久の日本史の点数は最初から高いです。


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第五話「Dクラス戦後半!」

 

 

 

「どうじゃ?我の日本史と、あの娘の生物による、理系文系両方で攻める作戦は?」

 

「むむむ・・・、化学か物理ならお空がかえりうちにできたんだけどな・・・。」

 

「もちろん、こちらも負けるつもりはありませんから、ねっ!」

 

「わわっ!危ないっ!」

 

しかけられた足払いをジャンプして回避する。

 

「今じゃ!」

 

でも、空中で身動きがとれない私に対し、物部さんが皿を投げてくる。

 

「とりゃっ!」

 

「皿って我以外に投げ返せたのかああああーっ!」

 

でも、正邪ちゃんがキャッチして、物部さんに投げ返した。

今までの消耗とあわせて、点数が1ケタになったね。

 

「よし、これでとどめだっ!」

 

「我が破れるなんて、嘘じゃああああっ!」

 

点数が大きく減って動きが鈍った物部さんの召喚獣を、正邪ちゃんの刀がばっさりと切り裂く。

 

『Dクラス 物部布都 日本史 0点』

 

「戦死者は補習ゥ!」

 

「い、嫌じゃ!補習室なぞ行きとうない!」

 

「こらこら布都。負けたのだから素直に受け入れなさい。ついでに、しっかり教育してもらいなさい。」

 

「嫌じゃあああっ!太子様、助けてえええ!」

 

「助けませんよ。」

 

点数がなくなった物部さんが補習室につれていかれた。

よしっ!

 

「よし、これで2対1だな!」

 

「マズイですね!でも私は負けませ・・・あれ?」

 

「これはこんな使い方もできるんだよ~!」

 

私の召喚獣の触手が、サマーソルトキックをしてきた美鈴さんの足にからみつき、動きをうまく封じる。

 

「よし、これでとどめだ!」

 

「ぐぬぬ・・・!でも、私の負けですね、参りました。」

 

私の触手を切らないように、今度は突きでとどめをさす正邪ちゃん。

物部さんと違い、美鈴さんは潔く補習室に連れていかれた。

 

「さて、あっちはどうなってるのかな?」

 

『・・・ピンポンパンポーン。風見幽香先生、風見幽香先生、吉井君が体育館裏でお待ちです。』

 

あら?

この放送なんだろ?

幽香先生は今生物の立会人をやってる先生だね。

 

『なんでも、育てていた花を水をやりわすれてひとつのこらず枯らしてしまったため、僕にお仕置きがてら花を綺麗に咲かせるコツを教えてほしいとのことだそうです。』

 

・・・・・・。

吉井君、御愁傷様。

生物の風見幽香先生は、普段はニコニコとしてて優しい先生なんだけど、お花を傷つけた人に対しては鉄人が可愛く見えるほどの折檻をかますんだよ・・・。

それに、花の育て方のコツを聞くと、だいたい10時間コースでみっちりと教えてくれるから、畏怖と尊敬も込められて『四季のフラワーマスター』なんて言われてたりするんだよね。

 

「・・・あら。それはしっかりとO☆HA☆NA☆SHIする必要があるわね。水をやりわすれるなんて、花に対する接し方が間違っているから直させないといけないわ。傘取ってこないといけないわね。」

 

うわぁ・・・。

ここからでも、春なのにひんやりとした空気を感じるよ・・・。

 

「吉井、あんた男だよ・・・!クラスのために風見先生に喧嘩を売るなんて・・・!」

 

「身命を賭して活路を切り開いた吉井隊長に続けーっ!」

 

「アキ、大丈夫かしら・・・?」

 

「十中八九、2日くらいは寝込むじゃろうな。」

 

むこうからはそんな声が聞こえてくる。

 

「あ、あれ?私の召喚獣が消えちゃいましたよ・・・。」

 

「マズイ!リリー・ホワイトさんを守りながら撤退しろーっ!」

 

どうやら、その娘はリリー・ホワイトさんっていうみたいだね。

でも生物のフィールドを展開していた幽香先生がO☆HA☆NA☆SHIをするために消えちゃったから、召喚獣を展開できなくなっちゃったみたい。

吉井君の命が危険にさらされてる以外は問題がなくなったね。

どうやらリリーさんは生物以外はダメみたいだし。

 

「・・・もう姫路ちゃんの補充試験は終わったかな?今回阿求ちゃんは参加しないけど、作戦はもうすぐだよね。」

 

阿求ちゃんは体が弱くて一度にたくさんテストを受けられないけど、成績は学年トップだからね。

今回は補充試験に徹してもらうことにしたみたい。

さっきの物部さん達も、阿求ちゃんがいたら2秒でかたがついたと思うけど、阿求ちゃんがみんなの前に姿をあらわしてたら、今回の作戦が破綻してた可能性があるからね。

・・・と、準備ができたみたいだね。

それじゃあ、私もこっそり行きますか~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下校中の生徒にまぎれてDクラスの代表に近づいていく。

まだこちらにも気づいてないみたいだし、吉井君もいる。

それに、立会人となる古文の先生も付近にいるからしかけられる!

みたところ、近衛部隊もほとんどいないみたいだし、チャンスだ!

 

「新井先生!Fクラス吉井明久、Dクラス代表に古典で・・・」

 

「Dクラス玉野、受けます!」

 

「なっ!?」

 

「Fクラス古明地こいし、Dクラス代表に・・・」

 

「Dクラス直木、受けます!」

 

「むむむ、やっぱりダメか・・・。」

 

「残念だったな。二人とも。さすがにFクラスの生徒が近づいたら近衛部隊は来るに決まってるじゃないか。」

 

『Dクラス 直木美紀 古典 107点 VS Fクラス 古明地こいし 古典 73点』

 

ちょっとこれは厳しいかな・・・。

 

「でも、やるしかないよね!あともう少しなんだし!」

 

「でも、その点数ならどちらにしても無理だっただろうな。」

 

『Dクラス 玉野美紀 古典 101点 VS Fクラス 吉井明久 古典 37点』

 

・・・うん、言い返せないね。

 

「だろうね。僕には無理だと思うよ。だから姫路さん、お願いね♪」

 

「「は?」」

 

まあ、普通わかんないよね。

 

「あ、あの、すみません・・・。」

 

「え、あ、姫路さん、どうしたの?Aクラスはここを通らないはずだけど・・・。」

 

「あの、違うんです、Fクラス姫路瑞希、Dクラスクラス代表平賀君に現国勝負を申し込みます。」

 

「はぁ、どうも、よろしくおねがいしま・・・あれ?」

 

「サ、サモンです。」

 

『Fクラス 姫路瑞希 現代国語 339点 VS Dクラス 平賀源二 現代国語 129点』

 

「あの、えっと、ごめんなさい!」

 

姫路ちゃんが平賀君の召喚獣を一太刀でまっぷたつにする。

これにて、Dクラス戦は決着をむかえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ふぅ。まさか、姫路さんがFクラスにいるとは、予想すらしてなかったよ。完敗だ。」

 

斬られてから1分ほど平賀君は立ち尽くしていたが、我にかえってそんなことを言ってくる。

 

「実は、もっと凄い隠し玉もあったんだけどな。」

 

あ、坂本君だ。

阿求ちゃんのことだね。

今回のことで相手は他に強大なメンバーがいないか調べるだろうし、阿求ちゃんのことを隠す必要はないと思ったんだろうね。

 

「あ、その、さっきはすみませんでした・・・。」

 

「いや、あやまる必要はない。物部やリリーがいるし、そもそもFクラスはDクラスより点数低いからFクラスなんかに負けるはずはないとなめてたせいで、下調べをしてなかったのも悪いし、何よりこれは勝負だ。」

 

「とりあえず、やったね!」

 

せっかくだから坂本君と握手する。

 

「古明地、物部との日本史ではよくやってくれたな。お前がいたからこの勝利があったと言えるだろう。」

 

「坂本君も、いい作戦だったよ!元神童の力はだてじゃないね!」

 

「それも、お前らの力があってこそだからな。」

 

「坂本君が私達の力を信じてくれたからだよ。」

 

こういうの、いいよね~。

 

「雄二、僕とも勝利の握手しようよ!・・・あれ?なんで手首を押さえるのかな?」

 

「押さえるに・・・決まってるだろうが!」

 

「ぬぐぐ・・・!雄二、生物ではよくやってくれたな!お前がいたからこの犠牲があったと言えるんだぞ!」

 

「お前もいい働きをしてくれたじゃないか。観察処分者は伊達じゃないな。」

 

「その時だって、雄二の力があったからじゃないか!」

 

「教師達がお前のバカさを信じてたからだろうが!」

 

こういうの、醜いよね~。

そして、カランと音をたてて落ちる包丁。

 

「・・・ふぅ。みんなでなにかをやり遂げるって素晴らしいね。」

 

・・・吉井君、やっぱりバカだね。

この状況、逃れられないでしょ・・・。

 

「僕、仲間との達成感がこんなにいいものだなんて、今まで知らな関節が折れるように痛いいぃっ!」

 

「今、何をしようとした。」

 

「も、もちろん、喜びを分かち合うための握手を手首がもげるほどに痛いぃっ!」

 

「おーい、誰かペンチを持ってきてくれー。」

 

「わ、わかった!僕が悪かったから生爪を剥がそうとするのはやめてください!」

 

まあ、当然だよね。

いやまあ、吉井君の状況も同情に値するけど。

 

「とにかく、ルールにのっとって教室をあけわたそう。ただ今日は時間も遅いし明日でいいか?」

 

平賀君がどこか悲しげな雰囲気を出しながら言ってくる。

まあ、そうだよね。

勝って英雄扱いでもてはやされるのが代表なら、負けて戦犯として責められるのも代表。

負けちゃった平賀君は、この先辛いんだろうなあ・・・。

 

「いや、その必要はない。」

 

だけど、坂本君はそんなことを言った。




いかがでしたか?
原作どおりの展開。
まあこの戦力ならDクラスはね。


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第六話「煉獄!」

 

 

 

「坂本君?どうして設備をもらわないの?」

 

坂本君の発言に対して私が質問する。

この場のみんなが頭にクエスチョンを浮かべてたんじゃないかな?

 

「忘れたのか?Dクラスはあくまで中間点。目的はAクラスだろう?」

 

「でもそれなら、なんで直接Aクラスに戦いを挑まないのさ?」

 

「ちょっとは自分で考えろ。そんなんだから近所の小学生にバカなお兄ちゃんと呼ばれんだよ。」

 

「・・・・・・人違いです。」

 

「冗談のつもりだったんだが、お前・・・。」

 

えー。

なにしたのか、すごく気になるよ・・・。

 

「とにかく、条件次第では設備交換をやめてもいい。」

 

「条件?一応聞かせてくれ。」

 

「なに、簡単なものさ。俺が指示したらBクラスのところにある室外器を破壊してくれ。」

 

「・・・ほう?それだけなのか?」

 

「ああ。設備を壊すから教師に睨まれるだろうが、そう悪い取引じゃないだろう?」

 

なるほどね。

私にはよくわからないけど、これが大事なんだろうね。

 

「だが、何故そんなことを?」

 

「次のBクラス戦に必要なことだからな。」

 

坂本君がそんなことを・・・・・・ん?Bクラス?

お姉ちゃんがいるBクラス?

 

「ねえ坂本君。私、お姉ちゃんがいるBクラスにはやらないでって言ったよね?お姉ちゃんをあんな設備にさせるわけにはいかないんだけど、さっきのはどういうことなのかな?もしお姉ちゃんにあんな教室を押しつけようとするなら、さっきの吉井君みたいな方法使ってでも止めるよ?ねえ坂本君、そこのところ答えてよ?」

 

「ま、待て古明地!あとで詳しく話すからそんな詰め寄ってくるな!明久と違ってお前が本気で隠れると全然見つからないから怖いんだよ!」

 

坂本君がなんか言ってるけど、さっき吉井君が落とした包丁はどこに行ったのかな?

家庭科室かな?

 

「待て古明地!とりあえず落ち着け!」

 

「そうだよ古明地さん!クラスメイトを殺すなんてダメだ!」

 

左右から魔理沙と吉井君が抑えてくるせいで動けなくなっちゃった。

 

「とりあえず、後で納得できる説明をするから落ち着け!」

 

・・・はっ!?

あれ?私はなんで抑えられてるんだっけ?

 

「まあともかく、その取引、のませてもらう。お前らがAクラスに勝てることを祈ってるよ。」

 

「ははっ、無理するなよ。どうせ勝てないと思ってるだろ?」

 

「まあそうだが、100%負けるとは思ってないからな。10%くらいはあると思ってるよ。まあ頑張ってくれ。」

 

そう言いつつ平賀君は去っていく。

 

「・・・さて古明地、ちょっと来い。さっきのこと、納得いく説明をしてやる。」

 

「わかったけど、内容によっては《ピー》で《ズッキューン》で《ザッパーン》だよ?」

 

「怖いからやめてくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

私達は補充試験を受けるため、学校に来てた。

ん?私と坂本君のあの後?

一応納得したからチクチクするのは勘弁してあげたよ。

 

「おっはよ~!・・・あれ?姫路ちゃんどうしたの?」

 

「おはようございます・・・。実は、いけないものを食べてしまって・・・ぐすん。」

 

泣くほど痛いのかな?

なんかものすごく心配だな。

 

「無理だけはするなよ?健康は大事にしろよ。」

 

「あ、ありがとうございます・・・。でも、私は大丈夫です、多分・・・。」

 

「おっはよ~!って姫路さん、大丈夫!?もしかしてブサイクな雄二に話しかけられたせいで気持ち悪くなったの!?」

 

「おいこら明久、お前には言われたくねえよ。」

 

あ、坂本君と吉井君だ。

 

「よう吉井!坂本と睨みあってどうしたんだ?」

 

魔理沙も来たね。

 

「聞いてよ霧雨さん!雄二が姫路さんをいじめてたんだよ!」

 

「嘘をつくんじゃねえ!」

 

「あ、魔理沙、姫路ちゃんが具合悪いのは変なもの食べたかららしいからね?」

 

「なるほどな。とりあえず吉井、私の呼び方は魔理沙でいいぜ。」

 

「ほぇ?そうなの?ごめんね雄二、あまりにブサイクだから勘違いしちゃった。」

 

「テメェ表出やがれっ!」

 

「それより、吉井はここにいていいのか?1限のテストは生ぶ・・・・・・」

 

バギャドガァッ!

突然の大きな音に魔理沙の言葉が遮られる。

音がした方を見ると、破壊されたドア。

そして、恐ろしいオーラを放つ四季のフラワーマスター。

 

「あなたが吉井君ね。私に花のことを聞いておいてすっぽかすとはいい度胸してるじゃない?」

 

ひいっ!?

怖い、怖いよ。

私に向けられてないのにものすごく怖いよ!

こんだけ怒りのオーラ出してるのに表情が笑顔なのがなおさら怖いよ!

 

「あ、あ、あ、あ、あのですね風見先生、あの放送は雄二がでっち上げで・・・」

 

「へえ、そうなの。ならば・・・その雄二君とやらもまとめて教育してあげようかしら。」

 

「「ひいいいいーーーっ!」」

 

「花を水やり忘れで枯らすなんて、一番私が怒るものよ?花だって生きているのに、責任をすっぽかして殺すなんて、人として最悪な行為。それを嘘とはいえ私に言った二人は許されないわ。どっちも三途の川を渡る覚悟しときなさい。とても綺麗な花を見せてあげるわよ。」

 

「「い、い、イヤアアアアーッ!!」」

 

すごい勢いで走ってく吉井君と坂本君。

そして、あくまで笑顔でそれを追う先生。

・・・えっと、テストはどうするのかな?

まあ、とりあえず二人が生き残れることを祈っておこう!

 

「・・・あれ?アキがいない。昨日助けてくれたお礼をしようとしたんだけど・・・。」

 

後から来た美波ちゃんが吉井君を探してるけど、しばらくは無理だと思うよ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み。

 

「大丈夫?」

 

「「ああ、綺麗な花畑と川だなぁ・・・。あ、鎌を持った女の人が杓をもった幼女に叱られてる。」」

 

「ちょっと!?それ多分三途の川だよね!?起きて!!」

 

「「はっ!?」」

 

良かった、目覚めたみたいだね。

命をかけた鬼ごっこでは二人とも捕まっちゃったみたいだけど、生きて帰れて一安心だよ。

 

「二人とも、風見先生は許してくれたのかの?」

 

「うん。捕まって花についてひたすら語られた後、花を枯らした嘘をついた罰として文庫本1冊程度の反省文提出したらひたすら傘でボコられた後、ようやく許してくれたよ。多分。意識が朦朧としてたからはっきりとはわからないんだけどね。」

 

「あ、あはは・・・」

 

阿求ちゃんが苦笑いしてる・・・。

私も過剰じゃないかなと思うけど、今日一日じゃなかっただけよかったのかな?

 

「とりあえず、今は昼飯を食べに屋上へ行くぞ・・・。」

 

「坂本君、屋上じゃなくて保健室に行こうよ・・・。」

 

「いや、鬼ごっこの前のこいつとの決着をつけないといけねえからな・・・。か、覚悟しやがれ、明久・・・。」

 

「の、望むところだよ・・・!」

 

「あの、これ以上やったら本当に死にますよ・・・?」

 

さっきも三途の川っぽいの見てたのに・・・。

 

「そういえば、姫路が弁当作ってきてくれるんだったよな?」

 

魔理沙の言葉で思い出したけど、そういえばそうだったね!

姫路ちゃんがビクンと反応してるけど、どうしたのかな?

 

「あ、あのですね、実は、持ってくるのを忘れ『お、これだな!』ま、魔理沙ちゃん!?」

 

魔理沙、人の鞄を勝手にのぞくのはやめようよ・・・。

 

「みたところ、弁当みたいだな!これは楽しみだぜ!」

 

「あ、あの、待って『やったあ!姫路さん、ありがとう!』あぅ・・・。」

 

「これはなかなか旨そうだな・・・。」

 

「・・・・・・・きっと美味。」

 

楽しみだな~!

みんなで屋上へいく。

坂本君と美波ちゃんは飲み物を買うため、あとから来るみたいだけど、無くなっちゃわないか心配だな。

 

「よーし、開けるぜ!」

 

魔理沙が弁当のふたをとる。

すると、中から唐揚げ、卵焼き、ベーコン巻き、おにぎりなどがこんにちはする。

とっても美味しそうだし、味に期待するしかないよね!

 

「「「おおーっ!」」」

 

「あぅ・・・。皆さん、いったん待って・・・」

 

「よしじゃあさっそくいただくぜ!」

 

「・・・いただき。」

 

「あっ、ずるーい!」

 

いきなり魔理沙とムッツリーニ君が唐揚げを口に運ぶ。

二人が食べた瞬間、ガシャン、ガタガタガタガタと顔から倒れて痙攣しはじめた。

・・・・・・・えっ?

 

「ああ・・・、二人とも大丈夫ですか!?意識ありますか!?」

 

私達が何が起こったかわからない状況のなか、姫路ちゃんだけは半泣きで二人に声をかけてるね。

 

「・・・(ムクリ)」

 

「・・・ふっ。(ムクリ)」

 

あ、二人が起き上がった。

 

「・・・・・・(グッ)」

 

「我が人生に、一片の悔いなしだぜ・・・。(グッ)」

 

だけど、そんなことを言ってまた倒れちゃった。

もしかして、美味しすぎて倒れちゃったということかな?

でも顔が青白いのが・・・。

 

「な、なんというか、二人とも突然倒れたが、確かこの時期は貧血を起こしやすいと言う噂を聞いたことがあるぞ!」

 

正邪ちゃんが半泣き・・・というか今にも泣き出しそうな姫路ちゃんを見てられなかったのか必死で理由をでっちあげる。

 

「そ、そういえばわしも聞いたことがあるぞい!今くらいの時期、貧血は多いものじゃろうしな!」

 

「ま、まったくムッツリーニも魔理沙ももっと鍛えないといけないよね!」

 

「ま、まさか目の前でおこるなんて予想してなかったよね~。」

 

「そ、そうですね。私の記憶にもこういうことがあった気がします!」

 

「まったく、偶然って怖いよね!」

 

「「「アッハッハッハッハ!」」」

 

「・・・と、待たせたな!早速俺も食べさせてもらうとするか!」

 

「「「あ・・・・・・。」」」

 

全員で必死にごまかしていたら、坂本君が食べてしまう。

ガシャン、ガタガタガタガタと、ジュース缶をぶちまけて倒れる坂本君。

 

「あ、ああ・・・」

 

「ちょっと!?坂本、どうしたの!?」

 

後ろからは美波ちゃんの声。

並ぶ3人の死体(生きてるけど)。

・・・・・・うん、これは詰みだね。

 

「ごめんね姫路ちゃん、お話、聞かせてくれないかな?」

 

「うう・・・っ、ごめんなさい!」

 

とうとう泣き出しながら謝る姫路ちゃん。

心苦しいけど、ごめん!

 

「じ、実は私の弁当が原因なんです・・・。昨日、頑張って作ってみたんですが、試食してみたら気絶しちゃって・・・。でも、意地をはってしまって持ってきちゃったんです・・・。本当にごめんなさいっ!」

 

泣きながら謝る姫路ちゃん。

悪気がないのはわかってるし、反省してるわけだし、誰も責めたりはしないけどね。

 

「・・・・・・大丈夫だよ姫路さん。姫路さんが作ってくれたんだから、どんなものだって嬉しいよ。だからいただきますっ!」

 

えっ吉井君!?

一口食べたら人の意識を刈り取る弁当をかっこみ始めちゃったよ!

大丈夫なの!?

 

「・・・・・・(ゴクン)、ふう。姫路さん、美味しかったよ・・・・・・・(バタリ)」

 

「よ、吉井君・・・!死なないでくださいっ!」

 

た、食べきった・・・・・・!

すごいよ吉井君・・・!

今、最高に輝いてるよ!

まあ、その輝きが命の焔を燃やしつくしかけてるのが問題なんだけど・・・。

 

「よ、吉井・・・、お前すごい男だな・・・。」

 

「吉井君の勇姿は、私の頭にずっと記憶しておきますよ・・・。」

 

死屍累々の状況だけど、吉井君は最高に輝いてた。

 

 




いかがでしたか?
自分の料理の味をしらないのは不自然ですよね。
明久かっこいい。


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第七話「Bクラス戦前半!」

 

 

 

「み、皆さん、本当に大丈夫ですか・・・?」

 

あのあと、気絶した4人を教室に運び込んだら、なんとか目をさましてくれた。

吉井君と坂本君は本日2回目の三途の川を渡りかけたみたいだけど、さっき怒られてた鎌の女の人が寝てたから戻ってこれたみたい。

・・・・・・死神だよね、それ。

 

「ああ。心配するな。さっきの地獄と比べたら・・・(ガタガタブルブル)」

 

「雄二の言う通りだよ。風見先生が見せた地獄に比べたら、全部食べてもへっちゃらだよ(ガタガタガタガタ)」

 

「私も大丈夫だぜ・・・。」

 

「・・・問題なし。」

 

吉井君と坂本君、足が生まれたての小鹿みたいにふるえてるけど、幽香先生はものすごくトラウマになっちゃったみたいだね・・・。

 

「うむ、ところで坂本よ、何故Bクラスなのじゃ?」

 

「・・・ああ、そうだったな。正直に言おう。俺達Fクラスがまともにぶつかったら逆立ちしたってAクラスには勝てない。」

 

その言葉に、昨日聞いた私以外がきょとんとした表情をする。

 

「そうなると、ウチらの目標はBクラスに変更なの?」

 

「いや、Aクラスだ。・・・まあ聞け。あと古明地は鉛筆構えるな。」

 

ざわざわしだしたみんなを坂本君がおさえて説明をはじめる。

 

「俺達FクラスがAクラスに勝てない理由は平均点の違いだ。姫路、稗田は高いが他はアレだからな。個々が強いだけではあっさりと押し負けてしまう。だから、一騎討ちに持ち込むつもりだ。」

 

「・・・わかりました。つまり、要求をのまなければBクラスにAクラスを攻めさせ、消耗させた直後に攻めこむと脅すわけですね。Bクラスも、Fクラスと設備を交換するよりはAクラスに攻めこむ方が得ですからね。」

 

「なんで得なの?」

 

「おい明久、試召戦争で下位クラスが負けたらどうなるか知ってるか?」

 

「・・・・・・うん、知ってるよ。」

 

絶対知らないよね・・・。

 

「設備が1クラス分落とされるわけだ。この場合、BクラスはCクラス相当になるな。Fクラス相当になるより明らかにマシというわけになるな。」

 

わかってない様子の吉井君のために正邪ちゃんが補足説明する。

だから、もし勝ってもBクラスとの設備入れ換えはしないみたい。

なら、いいかな?

 

「だが坂本、一騎討ちで勝てるのか?多分稗田や姫路はなんらかの対策をされると思うぞ。」

 

姫路ちゃんはAクラス代表の霧島さんに総合点数で負けちゃうし、阿求ちゃんは英語が苦手だから、そこをつかれたら負けちゃうんじゃないかな。

 

「大丈夫だ。勝つための策はある。心配するな。ともかく、今はBクラスだ。」

 

「それもそうだな。確かにそこに勝たないとダメなんだぜ。」

 

「ほらお空、次も頑張ろ?」

 

「うん、私頑張るよ!」

 

お空はさっきの昼休み、いっしょにいなかったけど、今の話は聞いてたみたい。

鳥頭だからちょっと不安があるけど・・・。

 

「よしじゃあ明久、さっそくBクラスに宣戦布告してきてくれ。」

 

「断る!雄二が行けばいいじゃないか!僕は本日3回目の三途の川を見るなんてごめんだね!」

 

「大丈夫だ。大事な大使を傷つけるような奴がBクラスにいるわけがない。」

 

「Dクラスの時もそう言って騙したじゃないか!」

 

不毛だな・・・。

Bクラスにはお姉ちゃんがいるし、私が行ってこようかな?

 

「よしじゃあジャンケンで決めよう。心理戦ありで行こうじゃないか。」

 

「わかった。それなら僕は・・・」

 

「待って?私とお空が行ってきてもいい?」

 

「え、古明地さん?」

 

「大丈夫だよ。優しいお姉ちゃんがいるんだから!ほらお空、行こ!」

 

「うん!」

 

「・・・まあ、姉がいるというのならあまり酷い目には、あわな・・・・・・、いや、どうなんだろうか?」

 

「む?何故わしを見るのじゃ?」

 

なんか坂本君が言ってるけど、まあいっか!

行ってこよ~っと!

 

「じゃあ行ってくるね~!」

 

「あっ、ちょっと待て・・・」

 

お姉ちゃんに会える、お姉ちゃんに会える~!

学校で会うのはクラス分けの時以来だな~!

スキップ気味に廊下を移動し、Bクラスの扉を開ける。

 

「やっほー!お姉ちゃん、いる~?」

 

「・・・えっ、こいし?なんでここにいるの?」

 

「えへへ、お姉ちゃんだ~。」

 

「ひゃっ!?ちょっとこいし、急に抱きつくのはやめなさい!」

 

「お姉ちゃんすりすり~!」

 

「私もいるよ~!お燐もいる?」

 

「ああ、お空ね。お燐ならいるけど、まずはこいしを引き剥がしてくれないかしら・・・。」

 

「というかこいしちゃん、確か私達、用があって来たんだよね?」

 

・・・あっ、そうだった!

お姉ちゃんに会って忘れてた!

お空に言われて思い出したけど私達、宣戦布告に来たんだった!

 

「ん?お空にこいしちゃん、どうしてここにいるのかな?にゃはは。」

 

今こっちに来たのが火焔猫燐、通称お燐。

お姉ちゃんの一番の親友で、私やお空とも仲がいいんだよね~!

 

「やっほーお燐!実は、私達、伝えなきゃいけないことがあるの。代表さんはいる?」

 

「代表?一応そこにいるけど、なにか用なの?」

 

お姉ちゃんが指差した方向を見る。

すると、なんか男の子達がいっせいに目をそらしたけど、どうしたのかな?

 

「よし、じゃあ言うよ。しっかり聞いててね。2ーFの古明地こいしです。私達FクラスはBクラスに対し、明日の午後から試召戦争を申し込みます。」

 

「「「なにっ!?」」」

 

私が言った瞬間、空気が変わった。

ピリついた感じに。

吉井君がDクラスで言った時もそうだったのかな?

 

「生意気な!この身の程知らず達に教えてやれ!」

 

「「おうっ!」」

 

一部の人達が私達に殴りかかってきた!

衝撃にそなえ、目をつぶる。

でも、いつまでたっても衝撃が来ない。

 

「お待ちなさい。こいしは私の大事な妹です。手を出そうというのなら、私がトラウマを植えつけてあげますよ。」

 

「お姉ちゃん!」

 

「にゃは、もちろんあたいも黙ってないよ?」

 

「お燐!」

 

「さて、やるのですか?」

 

「ぐっ・・・!」

 

根元君とやらが悔しそうに歯噛みする。

 

「あ、こいし、根元じゃなくて根本ですよ。覚える価値があるかはともかくですが。」

 

「あっ、そうなの?」

 

お姉ちゃんは、他人の表情や声のトーンなどを読みとって、目の前の人が何を考えているかを知ることができる。

やっぱりお姉ちゃんはすごいんだよ!

 

「あと、こいしに一応言っておくけど、もし私と戦う時に手加減とか自害とかしたら、この学校にいる間は口をきかないことにするし、あんたの恥ずかしい秘密をいくつかばらすわよ。嫌なら全力でやりなさい。私もそっちの方が嬉しいわ。」

 

・・・見透かされてたみたい。

お姉ちゃんが補習室送りになるのは嫌だったし、もし補習室送りになったら私も行っていっしょにやろうとしてたのに。

大好きなお姉ちゃんに口をきいてもらえなくなるとか、1日で死んじゃうよ!

 

「お空・・・は大丈夫そうね。」

 

「にゃはは、敵を応援するってのもなんだか変だけど、頑張るんだよ!」

 

「うん!お姉ちゃんもお燐も頑張ってね!」

 

「私達、頑張るよ!」

 

宣戦布告もしたし、さっそく頑張らないとね!

よーし、やるぞー!

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで翌日午後。

全員、しっかりと補充試験を終え、準備はできたよ!

 

「さて、まずはテストご苦労様だった。午後からBクラスとの試召戦争だがやる気は充分か?」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

「今回の戦闘は敵を教室に押し込むことが重要になる。その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負けるわけにはいかない。だから、前線部隊は稗田に指揮をとってもらう。」

 

「は、はい、頑張ります!」

 

「「「うおおおおっ!」」」

 

「目指すはシステムデスクだ!行くぞ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

坂本君の号令で、みんなのやる気が膨れ上がる。

ちなみに私は阿求ちゃんひきいる前線部隊だよ~!

 

「み、みなさん、待ってくださーい!」

 

「私も、もうちょっとゆっくりにしてくださらないと・・・」

 

でも、みんな姫路ちゃんと阿求ちゃん置いていっちゃダメだよ~!

今回の作戦は渡り廊下戦を勝つのが最大の目的らしいね。

阿求ちゃん以外は理系な人達が多いし、相手は文系が多いみたいだから、理系科目で一気に攻めこむんだって。

そのためにFクラス50人中40人をここに突っ込んでいるんだって聞いたよ。

姫路ちゃんや阿求ちゃん以外にも、私、お空、魔理沙と強い人いるから、絶対負けられないね!

 

「いたぞ!Bクラスだ!サーチアンド!」

 

「「「デス!!」」」

 

デス!じゃないでしょ・・・。

でも私も頑張るよ!

 

「Fクラス風情が勝負を挑んだこと、後悔させてやる!サモン!」

 

「私達だってできるんだぜ!サモン!」

 

『Bクラス 武藤修平 数学 164点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 374点』

 

「げえっ!?なんだその点数は!?」

 

「Fクラスなめないでほしいんだぜ!」

 

『Fクラス 鬼人正邪 数学 241点 VS Bクラス 新川恭一 数学 184点』

 

『Fクラス 島田美波 数学 216点 VS Bクラス 萩生響 数学 197点』

 

まわりにも点数が見えてきた。

みんな、いい感じみたいだね。

 

「よしっ、私もサモン!」

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 163点 VS Bクラス 有田重信 169点』

 

私の相手はだいたい同じくらいみたいだね。

 

「くたばれっ!」

 

「・・・後ろだよ?」

 

「なっ!?」

 

突撃してきたBクラスの人のうしろにまわりこみ、私の武器をつきさす。

うん、簡単だね!

相手はまだ操作に慣れてないのか、あっさりと刺され沈んでいった。

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 163点 VS Bクラス 有田重信 0点』

 

「戦士者は補習ーッ!」

 

魔理沙ちゃん正邪ちゃんが倒した3人がつれてかれた。

でも、Fクラスの人達も2人か。

 

「お、お待たせしました・・・サモン!」

 

「私も、なんとかたどり着きました・・・!サモン!」

 

お、阿求ちゃんと姫路ちゃんが来てくれたみたい!

二人ともぜえはあ言ってるけど、召喚獣が召喚される。

 

「来たぞ!姫路に稗田だ!」

 

『Fクラス 稗田阿求 数学 334点』

 

『Fクラス 姫路瑞希 数学 417点』

 

「マズいぞ!姫路の奴、腕輪持ちだ!」

 

「ごめんなさい!これも勝負ですからっ!」

 

「左に飛べーっ!」

 

姫路ちゃんの謝罪と同時に腕輪が光り、そこから熱線が放たれる。

それは、退治していた二人のうち、逃げ遅れた片方の召喚獣を丸焦げにした。

 

「ごめんなさいっ!」

 

残ったもう一人の召喚獣もその武器で切り裂き、一瞬で決着がつく。

 

「姫路に2人やられたぞ!」

 

「ならばここは私が引き受けます!サモン!」

 

「虎丸、姫路相手に一人で大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫ですよ!私も、数学は出来るんです。」

 

『Fクラス 姫路瑞希 数学 397点 VS Bクラス 虎丸星 数学 421点』

 

「「「なにっ!?」」」

 

まさかBクラスにもいたとはね・・・。

 

「毘沙門天の威光、その身に刻みなさい!」

 

「レーザー、ですか!?」

 

姫路ちゃんが言うように、虎丸さんの攻撃はレーザーだった。

姫路ちゃんの熱線に比べて太いね。

姫路ちゃんはなんとか回避したけど、その射線上にいた3人のFクラスの人達が一気に蒸発しちゃってる。

 

「くっ、これはきついですね・・・!でも、負けません!」

 

姫路ちゃんは放たれるレーザーを回避させながら、虎丸さんに近づいていく。

 

「残念ですが、そこは射線上です!」

 

「えっ?・・・きゃあっ!」

 

虎丸さんの持つものから放たれたレーザーはぐにゃりと曲がって、姫路ちゃんの召喚獣を直撃する。

 

「ここは私に任せろ!レーザーにはレーザーだぜ!」

 

「ま、魔理沙ちゃん!?」

 

「あなたもレーザーを?」

 

「ああ、見せてやるぜ!マスタースパーク!」

 

魔理沙の掛け声とともに、武器として持ってる箒からレーザーが放たれる。

二本のレーザーはぶつかりあい、ちょうど中間でせめぎあう。

 

「むむむ、なかなかやりますね・・・!ですが、私は負けませんよ!」

 

「それはこっちのセリフだぜ!」

 

『Bクラス 虎丸星 数学 348点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 352点』

 

互いに消耗したからか、かなりいい勝負になりそうだね。

負けないでよ、魔理沙?

 

「みなさん、私がしんがりをつとめるのでここは退いてください!」

 

Bクラスが引いていくね。

よし、これなら行ける!

 

「待て古明地。なんだか嫌な予感がする。教室に戻るぞ。Bクラス代表は根本恭二だから、なにか卑怯なことをやりそうな気がする。」

 

私も追撃しようとしたんだけど、なにか感じたのか、正邪ちゃんが言ってくる。

確かに、卑怯そうな男だったし、噂も聞くもんね。

 

「うーん、わかった、そうだね!」

 

正邪ちゃんはあまのじゃくなところもあるけど、こういう時、味方を不利にするような嘘はつかないからね!

確かに、私とお空をボコボコにしようとした根本君が何かやってくるのはありそうだし。

そのため、私達はこっそりと教室へ戻る。

すると、中からFクラスのものではない声が聞こえてきた。

 




いかがでしたか?
こいしちゃん達がいることで運命は変わります。


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第八話「卑怯はダメだよ!」

 

 

 

「誰か、いるな・・・。」

 

「ちょっと私が確認してくるね。」

 

正邪ちゃんにそう言って、中にこっそり入っていく。

 

「・・・よし、誰もいないな。お前達は文房具と座布団をやれ。俺はちゃぶ台をやる。」

 

・・・いけないことしてるね。

人の文房具やちゃぶ台に手を出そうとするなんて、制裁が必要かな?

 

「ねーねー、そこで何してるのかな?」

 

「「「うわっ!?」」」

 

私に気づいていなかったみたいで、振り返って驚くBクラスの3人。

 

「人の私物や設備に手を出すのはいけないんだよ?わかってる?何してたか言わないなら、このまま補習室行く?」

 

「ほ、補習室は嫌だっ!」

 

「残念だけど、逃がさないからな?」

 

逃げ出した一人を正邪ちゃんが投げる。

正邪ちゃん合気道とか得意だから、高校生男子くらいならあっさり投げられるんだよね。

 

「ぐわっ!」

 

「さて、このまま私と古明地に痛めつけられた後、先生呼んで補習室行きになるか、おとなしくたくらみを話すか選ぶんだな。」

 

「わ、わかった、話す!代表にFクラスの文房具やちゃぶ台壊して補充試験を妨害しろと言われたんだ!」

 

「・・・なるほどな。一応聞くが、お前らに罪の意識ってものはないのか?」

 

「お、俺達だってやりたくはなかったんだ!代表の根本に脅されただけなんだ!」

 

「ほんとは古明地さんに従いたかったんだ!」

 

お姉ちゃん?

とりあえず、根本君はねじ曲がった性格だとよくわかったよ。

注意しておかないといけないね。

 

「それで、脅されただけだから俺達は悪くない、とでも言いたいのか?」

 

「い、いや、そんなつもりは・・・。」

 

「古明地、どうする?」

 

「私?私としては、一人だけ逃がして、もう二度とこんなことしないようにと伝えさせるのがいいんじゃないかな?」

 

「お前・・・なかなかエグいことを考えるんだな・・・。」

 

あれ?

正邪ちゃんがひいてる。

私が言った通りにすると、地獄の補習を逃れるために多分醜い争いが始まるだろうから、エグいかもしれないけどね。

この3人が友人だった場合、その後の友情にヒビが入るかもしれないけど、そんなの私しーらないっと!

 

「・・・よし、じゃあそうするか。おいお前ら、一人だけ逃がしてやる。ちなみに、とっとと決めないと他のFクラスの人達も来るから強制的に全員補習室だぞ?」

 

正邪ちゃんも人のこと言えないんじゃないかな・・・?

今、ものすごいゲス顔してるし。

 

 

ちなみに、結局3人は争ったあげく、決まる前に坂本君達が帰ってきたから、全員補習室送りになったよ。

 

 

 

 

 

「ところで坂本君はどこ行ってたの?」

 

「ちょっと協定を結びに屋上にな。」

 

「協定?」

 

「どんな内容なんだ?」

 

「そんな面倒なことじゃない。4時までに決着がつかなかったら、戦況をそのままにして続きは明日午前9時に持ち込み。その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁止する、だ。」

 

うーん・・・、なんで根本君はそんな協定を結んだんだろう・・・?

なんか、絶対裏があるはずなんだよね・・・。

 

「こちらとしても戦力の要である姫路と稗田にとって有利だからな。」

 

「でも、なんでそんな協定を結んだんだろう?」

 

「わからんが、俺達がいない間に補充試験を妨害するためだけじゃないのかもしれないな。」

 

協定について会話していると、Fクラスの伝令が教室に飛び込んでくる。

 

「大変だ!霧雨とBクラスの虎丸が相討ちになり、島田が人質にとられた!」

 

魔理沙、やられちゃったのか・・・。

しかも美波ちゃんが人質?

 

「霧雨、数学は400付近だったはずだぞ!その虎丸って何者なんだ?」

 

「もう補習室いきましたが、腕輪を持ってレーザー撃つ召喚獣です!」

 

「ぐっ・・・!大事な戦力のひとりが欠けちまったか・・・!しかもレーザーなんて規格外だろ・・・!」

 

「いやまあ、魔理沙もレーザー撃ってたけどね。」

 

「それより今は島田の救出だ。古明地、行くぞ!」

 

「うん、美波ちゃんを助けよう。」

 

人質って、またベタな卑怯だよね。

立ち上がろうとすると、ふたたび伝令。

 

「島田は救出したぞ!Bクラスも教室に押し込めている!」

 

・・・と、私達が行く必要もなかったね。

そのまま時計をみてみると現在3時45分。

もうすぐ協定の時間だね。

そのまま私達は教室にいて、4時になったあたりで吉井君達が戻ってくる。

 

「ただいま~!島田さんも『美波でしょ?アキ?』あ、そうだったね、美波も救出してきたし、Bクラスも教室に押し込んでるよ!」

 

「おう、ご苦労だった。とりあえず明久、現在の戦況と島田の呼び方が変わったいきさつについて詳しく報告してくれ。」

 

「前者はともかく後者は嫌だよっ!なんで雄二なんかに言わなくちゃなんないのさ!」

 

私も気になるけど、まあいっか。

本人達に無理に聞くのも悪いしね。

 

「冗談だ。普通に戦況だけを聞かせてくれ。」

 

「うん、了解。まずね・・・。」

 

吉井君の報告によると、魔理沙がやられ、美波ちゃんと姫路ちゃんがだいぶ数学の点数を消費したみたい。

阿求ちゃんはまだあるみたいだけど、明日以降、数学でやるのは厳しいかな・・・。

あと、お姉ちゃんとお燐がまだ出てきてないのが気になる。

お姉ちゃんの得意科目は現代文と生物、お燐の得意科目は生物だから、その先生達も注意しないといけないかな?

 

「・・・・・・(トントン)」

 

「お?どうした?ムッツリーニ?」

 

「・・・・・・Cクラスに戦争を始めようとする動きがある。」

 

「・・・チッ。あいつら、漁夫の利を狙いにきたか。・・・ならCクラスと協定を結ぶか。Dクラスあたりを攻めこませると脅せばやる気もなくなるだろ。」

 

坂本君らしいね。

でも、これってBクラスとのとりきめに反してないかな?

 

「・・・待ってください坂本君。」

 

「お?どうしたんだ?稗田?」

 

「恐らく、これはBクラスの罠でしょう。私の記憶では、根本君と、Cクラス代表の小山さんはつきあっていたはずです。」

 

「な!?それは本当か!?」

 

「あはは稗田さん、冗談がうまいね。あんなブサイクで卑怯で人間として最低な根本君なんかに、そんな美人な彼女ができるわけがないじゃないか。」

 

「あまり人のプライベートをばらすのは好きじゃないんですが、小山さんは『卑怯というのは勝つために手段をつくすということだから私はいいと思うわよ。』と以前言っていましたし、この話はまず間違いなく本当なんですよね・・・。」

 

「嘘だっ!そんなんで彼女ができるなら、僕にも今ごろ彼女の2人や3人くらいいてもおかしくないはずなんだっ!」

 

「いや、2人や3人はダメだろ。二股は人間として最悪だぞ。」

 

慟哭する吉井君に正邪ちゃんが突っ込む。

・・・・・・でも、姫路ちゃんと美波ちゃんがいるし、あながち間違ってないんだけどね。

 

「あ、そういやお前に好意を持ってる奴が俺の知り合いでいたな。確か、久保・・・」

 

「えっ?ほんと?」

 

吉井君が嬉しそうにしてる。

 

「・・・利光だったかな。」

 

「・・・・・・もう僕お婿にいけない。」

 

天国から地獄へという言葉がこれほど似合うのを私は見たことなかったな。

 

「安心しろ。半分冗談だ。」

 

「ちょっと!半分ってなにさ!」

 

「さて、Cクラスのが罠とわかった訳だが、どうしたものかな。」

 

「罠だとしても、このままだと多分ほんとに攻めてくるだろうしね~。」

 

「逆にあえて罠にひっかかって、私達を狩りにきた根本の奴を返り討ちにするというのはどうだ?」

 

「それはかなり厳しいだろうな。今日消耗させられた数学でやられれば勝ち目は薄い。稗田は確かに点数が残っているが、虎丸の時みたいに、稗田に対抗できる奴が残っていたとしたらほぼ詰みだ。」

 

「ちょっと雄二!それより残りの半分のことを説明してよ!」

 

「明久、今は大事な作戦考えてるんだから、邪魔すんな。」

 

「僕にとってはこっちの方が大事だよっ!」

 

「まあ、Cクラスの方はおもいついたんだがな。今日はもう遅いから明日実行する。あと古明地と霊路地は少し残ってくれ。」

 

うん?

なんだろう?

 

「うにゅ?いいけど、どーしたの?」

 

「私も構わないけど、なにか用なのかな?もしかして告白とかかな~?」

 

「古明地。冗談でもやめてくれ。まわりを見てみろ。」

 

えーと、カッターを持ったFクラス生徒17人、ちゃぶ台を持った生徒4人、スタンガン持った生徒2人、脱いだ靴下を持った生徒2人だね。

・・・・・・ごめん、ちょっとこのクラスが理解できないや。

 

「・・・ということだ。」

 

「うん、わからないけどわかったよ。」

 

私としてもからかった結果坂本君がかえらぬ人になるのは望んでないからね。

とりあえず、それで話を聞いたけど、確かにこれは聞けてよかったかな。

よーし、明日も頑張るぞー!




いかがでしたか?
正邪は合気道ができます。


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第⑨話「Bクラス戦後半!」

 

 

 

「では、昨日言っていた作戦を実行する。」

 

翌日。

戦争のために集まった私達に対し、坂本君が言った。

 

「うにゅ?Bクラス戦はまだだよね?」

 

「Bクラスにではなく、Cクラスにだ。とりあえず秀吉、前に出てきてくれ。」

 

「んむ?何じゃ?」

 

「とりあえず、これを来てくれ。」

 

そう言って坂本君が取り出したのは・・・・・・女子の制服?

坂本君がどうやって手に入れたのか気になるな~。

今度聞いてみて、お姉ちゃんの制服を《ドッパーン》して《ズッキューン》する方法の参考にしよっかな?

 

「・・・おい。それなんで男の木下に着せるんだ。」

 

「まあ、わしは構わんのじゃが、確かに理由が気になるの。」

 

「・・・いや、そこはかまえよ。お前男だろ。」

 

ちょっと変わってるはずの正邪ちゃんが、ここでは一般人に見える。

不思議だな~。

 

「まあ、木下君は演劇に命かけてるといっても過言じゃないくらいに真剣だからね~。」

 

「うむ。この程度、劇では着なれておるのじゃ。」

 

「とりあえず、これを着る理由は、CクラスにAクラスの木下優子として行き、挑発して敵意をAクラスに向けさせるためだ。」

 

「ちなみに、木下優子とはワシの姉上じゃ。」

 

確かに、二人はそっくり・・・なんだけど、木下君の方が女の子っぽいんだよね・・・。

凶暴性・・・怒りの沸点?は吉井君に対する美波ちゃんくらいだし。

まあ、Aクラスにいるだけあってすごいことは事実なんだけど。

 

「と、いうわけだ。さっそく用意を頼む。」

 

「うむ。了解なのじゃ。」

 

言いつつ、制服に手をかける。

ちょっと木下君!?

ここで着替えるの!?

 

「ちょっと木下君、こっちで着替えようね。」

 

「何故じゃ!?わしは男だというのに!?」

 

「男の子だったら、女の子の前で着替えるのはダメでしょ?」

 

「・・・確かに、それもそうじゃな。」

 

まあ、本当はムッツリーニ君がカメラ構えてるのと、吉井君達が秀吉君の全身に穴があきそうなくらいみつめてたからなんだけどね。

木下君見た目は女子だから美波ちゃんとかも気にしてないし。

みんなが残念そうな声をあげるけど気にしなくていいよね。

 

「もしかしてこれはこいしちゃんと秀吉のゆ・・・」

 

聞こえてきた言葉は聞かなかったことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

3分後。

秀吉君が戻ってきたけど・・・、もうこれ女子だよね。

知らずに見せられたら、多分見抜けないよ私。

 

「・・・これは、売れる・・・!(プシャアアァ)」

 

ムッツリーニ君も鼻血を出してるし。

 

「よしじゃあ行くぞ。」

 

「あ、私もいい?」

 

「まあ、構わないが。」

 

私も、面白そうだからついていくことにしたよ~!

不自然に思われないように距離をとってついてく。

そして、秀吉君がCクラスの扉を開けた!

 

「静かにしなさい、この薄汚い豚共!」

 

うわぁ・・・。

なんというか、エグいね。

多分Cクラスの人達固まってるよ。

 

「な、何よアンタいきなり!」

 

「話しかけないで!豚臭さがうつるわ!」

 

自分から入っていってこの言い草。

多分これ、精神が弱い人なら泣き出すよ?

 

「私はね、こんな豚臭くて醜い教室が同じ校舎にあるなんて我慢できないの!あなた達なんて豚小屋につながれてるくらいがちょうどいいのよ!」

 

「なっ!?言うに事欠いて私達にはFクラスがお似合いですって!?」

 

秀吉君もひどいこと言ってるけど、豚小屋=Fクラスの式が成り立ってるのはなんでなの!

 

「私の手が豚なんかで穢れてしまうのは本当は嫌だけど、今回は特別に私がふさわしい教室に送ってあげようと思うの。せいぜい豚らしくブヒブヒと感謝の意を示しなさい。」

 

もうね、なんというか、ひどいよね。

さっきからCクラスの声が聞こえてこないし、狙い通りに挑発できてるんだろうけど、なんだろうこの素直に喜べない気持ち。

 

「ちょうど試召戦争の準備もしているみたいだし、覚悟しておきなさい。近いうちに私たちが薄汚いあなた達を始末してあげるから!」

 

そして、秀吉君の声が途切れ、中から出てくる。

 

「・・・と、まあこんなもんじゃろうか。・・・む?古明地よ、どうしたのじゃ?」

 

「とりあえず、やりすぎだよ・・・。」

 

狙い通りに挑発出来たとはいえ、流石に・・・ね。

 

「Fクラスなんか構ってられないわ!とりあえず、あの女、許さないんだから!」

 

Cクラスから声が聞こえてくる。

あれが代表の小山さんかな?

 

「ところで秀吉君、一応聞くけど、もしこれが優子ちゃんにバレちゃったらどうするの?」

 

「・・・・・・(ダラダラダラダラ)」

 

秀吉君、真っ青になって冷や汗かいてる。

まあ、私が出来ることはなにもないし・・・ね。

 

 

 

 

 

 

 

そして、Bクラスとの戦争の開戦時刻になった。

昨日の時点で、私達FクラスはBクラスを教室に押し込んでるから、今日はそっから開戦だね。

私達の役割はBクラスを外に出さないよう閉じ込めることだよ!

まあ、私とお空は少し特別な役割があるんだけどね。

 

「くそっ、Fクラスのくせに!」

 

「私達だってやるときはやるからな!」

 

「そっちも抑えててよ!」

 

「任せとけ!」

 

「古明地さん、相手が予想以上に強いです!」

 

「一人で勝てそうにないなら二人一組であたってください!とにかく、この教室の出口を解放するのを優先に!」

 

「わかりました!」

 

戦況は今のところ五分五分。

でも・・・。

姫路ちゃんが、さっきからオロオロするばかりで仕事を果たせてないんだよね。

 

「姫路ちゃん、さっきからどうしたの?なにかあった?」

 

「あ、あの、その・・・。」

 

泣きそうな顔をしてる。

なにかあったはずなんだけど・・・。

 

「な、何でもないんです。」

 

このように、答えてくれないんだよね。

 

「おい、後ろの出入口の科目が英語に変えられたぞ!」

 

「阿求ちゃんは一旦引いて!」

 

「わ、わかりました!」

 

英語は阿求ちゃんの苦手分野。

だから、現状はかなりマズイ。

姫路ちゃんが大事なのに!

 

「なにもないわけないでしょ!そんな顔で!」

 

「ほ、本当に何でもないんです。」

 

「ちょっと厳しいかもしれないけど、姫路ちゃんはこの戦争、いや、このクラスにとって大事な人なんだよ。このままだと作戦にも影響しちゃって、姫路ちゃんは自分のせいで負けたと後悔し、自分を責め続けちゃうことになるよ。だから、ね、言お?」

 

「ほ、本当に何もないんです!」

 

私・・・いや、誰ににとってもバレバレな嘘をつきつづける姫路ちゃんに、嫌な予感が混ざる。

まさか・・・。

 

「姫路ちゃん。もしかして、脅されてたりする?」

 

「!・・・あ、う、あうあ・・・」

 

私の考えが確証に変わる。

 

「マズイ!前の入り口の科目が世界史に変えられた!」

 

「物理の先生はどうした!」

 

「Bクラスに拉致された模様!」

 

こちらの得意科目を封じ、相手の得意科目で勝負か・・・。

上手い指揮だね・・・。

 

「私が行きます!・・・・・・あっ。」

 

姫路ちゃんが救援に行こうとしたけど、ある一点を見た瞬間、うつむいて立ち止まってしまう。

その一点を見ると、ニヤニヤとこちらを見下ろす根本君の姿。

そして、その手には可愛らしい封筒。

ここからでも、姫路ちゃんが心をこめて書いたのがわかるような封筒。

本人に事情を聞かなくてもわかる、靴箱とか机の中に入っていそうな封筒。

・・・・・・・・・へえ、そんなことまでしちゃうんだ。

私の中で、なにかが切れた音がした。

 

「うん、姫路ちゃん。ちょっと体調悪そうだから、保健室なり教室なりで休むといいよ。まだ戦争は続くんだから、体調管理はしっかりしないとね。」

 

「・・・はい。」

 

「姫路ちゃん、そんな風にならなくても大丈夫だよ。私達がきっちりと勝って取り戻してくるからね。」

 

さて、私が許せる一線を越えてきた根本君には、どう償ってもらうかな。

 

「とりあえず、まずは突破しないとね。」

 

「化学の先生、連れてきたぞー!」

 

うん、私はこっちだね。

お空もいるし、絶対に突破するよ。

 

 

 

 

 

 

 

「マズイ、古明地妹に原田と杉崎がやられた!」

 

「今度は霊路地に平賀がやられた!」

 

「おいお前ら!しっかり守れ!」

 

「・・・根本、あなた、何したか言いなさい。」

 

「お、俺はなにもしてねえ!」

 

「んな訳がないでしょう。あの娘が私関連以外であれだけ怒りをみせるなんて、姉の私でもほとんどみたことがないですからね。心の眼がなくたってわかります。」

 

中から根本とお姉ちゃんの声が聞こえてくる。

私は今、怒ってるから強いよ?

もうすぐ突破できそうかな。

 

「扉、突破されます!」

 

Bクラスの人が報告すると同時に、私達Fクラスが教室になだれこむ。

 

「どうもー、2日ぶりのFクラス古明地こいしだよ!」

 

「同じくFクラスの・・・・・・えっと、霊路地お空だよ!」

 

「そして同じくFクラス稗田阿求です。」

 

「お、お前らいい加減にしろよな。昨日から扉に固まりやがって、暑苦しいことこのうえないっての。」

 

「ふーん、そ。それはどこかのBクラス代表が卑怯な無能だからでしょ?」

 

「それは、あなたの代表としての能力が劣っていたからでしょうね。例えば人望や思考力などといったものが。」

 

「つまり、Bクラスの代表は私達よりバカだったってことなのかな?」

 

「ぐっ・・・!貴様ら・・・!」

 

私達の挑発(1人は天然だが)に歯噛みし、こちらに歩きだそうとする根本。

 

「待ちなさい!」

 

だが、お姉ちゃんが引き留める。

 

「こんな明らかな挑発にのってはいけません。まだ戦況的にはこちらが有利です。一応代表なんですから、それくらいは冷静に判断しなさい。」

 

「・・・チッ!それくらいわかってらあ!」

 

お姉ちゃんにとめられた根本は足を止める。

さすがお姉ちゃんだね!

 

「なるほど。Bクラスの指揮がうまかったのはあなたが理由ですか。納得しましたよ。」

 

「ともかく、こいつらを補習室送りにしてやれ!古明地、火焔猫!他の奴等は稗田を圧殺しろ!」

 

「あなたに指示されるでもありません。サモン。」

 

「にゃはは、お空、行くよ、サモン!」

 

『Fクラス 古明地こいし 化学 241点 VS Bクラス 古明地さとり 化学 293点』

 

『Fクラス 霊路地空 化学 371点 VS Bクラス 火焔猫燐 化学 217点』

 

対戦カードが表示される。

でもこれは2対2だ。

 

「お姉ちゃん、言われた通り本気で行くよ!」

 

「ええ、かかってきなさい。」

 

点数的はこちらが有利。

そして、お空は遠距離タイプだ。

 

「えいっ!」

 

まずは小手調べに触手を使って攻撃する。

 

「遅い!」

 

だけど、お姉ちゃんはあっさりとかわし、こちらにハート型の弾を撃ってきた。

えっ、お姉ちゃんも遠距離攻撃あるの!?

 

「にゃはは、こっちも忘れないでね!」

 

なんとか回避したけど、お燐が猫車を持って殴りかかってくる。

 

「それは私のセリフだよ!」

 

でも、お空の召喚獣がビームを放ち、お燐の攻撃の軌道を変えさせる。

 

「そのままさとりちゃんに、どーん!」

 

「させませんよ!」

 

そのレーザーをそのままお姉ちゃんに照射するけど、飛び退いて回避するお姉ちゃん。

なら・・・!

 

「お空、援護して!」

 

「わかった!」

 

先にお姉ちゃんを倒す!

ハート型の弾を放ってくるお姉ちゃんの弾幕を潜り抜けつつ、お姉ちゃんに近づいていく。

どうしても回避不可能な弾は私の触手ではじくか、お空がビームで打ち消してくれる。

 

「・・・!お燐、お空を止めて!」

 

「了解!」

 

お燐は猫車をかまえてお空の方に行く。

ビームは速度が速いが、照射にわずかにためがあること、同時に1本しか放てない欠点がある。

 

「にゃはは、猫車にはこういう使い方もあるんだよ!」

 

「お燐!?」

 

でも、普通に近づいていたら追いつかれて焼かれると判断したのか、猫車を使うお燐。

なんと、猫車を勢いよく押し、セグウェイのように飛び乗って突撃していってる。

 

「こいし、よそ見してていいの?」

 

「もちろん、してないよ?」

 

お姉ちゃんまであと2メートルくらい!

お姉ちゃんは冷静に後退しながら弾幕を放ってるけど、私の方が速い!

 

「つかまえたっ!」

 

「なっ・・・!?」

 

お姉ちゃんの召喚獣を触手で捕らえる。

弾幕を放つ両手をこちらに向かないように拘束し、あとはとどめをさすだけなんだけど・・・。

お姉ちゃんの形をした、お姉ちゃんの分身にとどめをさそうとしても手がうまく動かない・・・。

 

「こいしちゃん、そのさとりちゃんを倒しても本人に痛みはないから倒しちゃってよ!」

 

「こいし!敵に情けをかけるのはやめなさい!それは精一杯戦った私にも失礼よ!」

 

「・・・わかった。ごめんね、お姉ちゃん!」

 

触手をお腹に突き刺す。

すると、お姉ちゃんの召喚獣は静かに消えていった。

 

「・・・ってお空!危ないよ!」

 

「もう避けられないよ!ごめんね、これも勝負だからね!」

 

お空が眼を離した隙に、お燐の召喚獣がお空のそれの目の前に来ていた。

私のせい・・・だよね。

 

「まだ手はあるんだよ。爆符『ギガフレア』!」

 

「にゃっ・・・!?」

 

お空が言葉を発するとともに、お空の召喚獣の回りに【caution!】と表示される。

お燐も異変に気づいたが、もう止められない。

 

「いっけえーっ!」

 

そして、お空の召喚獣が大爆発をおこす。

爆発がとまった時、お燐の召喚獣は黒焦げになって倒れていた。

 

「よし、今だよムッツリーニ君!」

 

「・・・・・・参上。Fクラス土屋康太、Bクラス代表根本恭二に保健体育勝負を申し込む。」

 

「なっ、そんなとこから・・・!」

 

私が言った瞬間、窓から突入してくるムッツリーニ君と保健体育の大島先生。

Dクラスに条件として室外器を破壊させていたのと、私達が教室前で戦っていたため、室温が上がったBクラスは、熱中症を避けるために窓を全開にしていた。

だが、そこから入ってくるなんて誰が予想できただろうか。

 

『Fクラス 土屋康太 保健体育 441点 VS Bクラス 根本恭二 保健体育 220点』

 

点数差は2倍以上。

そして、勝負は一瞬でついた。




いかがでしたか?
こいしちゃんぶち切れ。
次回、制裁。


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第十話「因果応報!」

 

 

 

「・・・なるほど。私達の完敗ですね。」

 

「にゃはは、あんな奥の手を隠し持ってたなんて知らなかったよ。」

 

「お姉ちゃん達もやっぱり強かったよ。もしお姉ちゃんとお燐の得意科目でやられてたら、一瞬でやられてたんじゃないかな?」

 

「お燐もあのシャーッてやる奴凄かったよね!私もやってみたい!」

 

「いや、召喚獣でやっても感覚は感じられないよ?」

 

「うちのクラスの観察処分者の吉井ならできるよ!」

 

「いや、お空が感じる訳じゃないでしょ・・・。」

 

「でもお姉ちゃん、心の眼を使ってなかったよね?」

 

「・・・まあ、これは私にしかできないからね。せっかくの戦いだから、正々堂々と戦いたかったのよ。」

 

「えへへ、お姉ちゃんだ~いすき!」

 

「ひゃっ!だから、いきなり抱きつくのはやめてっていつも・・・」

 

「だって、お姉ちゃんが大好きなんだもん。」

 

「と、とにかく、そういうことは人目があるところではやめなさい!」

 

「はーい・・・。」

 

しょぼーん・・・。

でも、確かに今はやらなきゃいけないことがあるよね。

 

「とにかく、戦後会談を始めるぞ。そっちの取り決め役は古明地姉か?」

 

「いえ、こっちが一応代表なのでそっちにさせます。ほら、とっとと起きなさい。」

 

「・・・わかったよ。」

 

お姉ちゃんが根本を起こす。

ムッツリーニ君に倒されてからずっと座り込んでたんだよね。

聞く体勢になったのを確認した坂本君が話し始める。

 

「さて、本来ならお前たちにちゃぶ台をプレゼントしてやるところだが、特別に免除してやらんこともない。」

 

うんうん。

ここで交換しようとしてたら、お姉ちゃんの椅子にすりすりした後坂本君に《ピー》しようとしてたからよかったよ。

 

「・・・条件はなんだ。」

 

「条件はお前だよ、Bクラス代表さん。」

 

「何・・・だと?」

 

「お前は色々なことをしてきたからな。ツケは払ってもらおう。条件はひと『ちょっと待って。』なんだ古明地?」

 

口を挟んだ私に反応してこちらを向いた坂本君に、私の案を耳打ちする。

 

「・・・なるほど、古明地もなかなかやるな。」

 

「坂本君にはかなわないよ。」

 

「さて、条件は二つだ。まずひとつめはAクラスに行って、試召戦争の準備ができていると伝えることだ。宣戦布告はせずに、あくまで戦争の意思と準備ができていると伝えるだけでな。」

 

「・・・それがひとつめか?」

 

まあ、これだけならさほど難しくないもんね。

でも、まだ続きがあるよ。

 

「・・・ただし、これを来てな。」

 

坂本君が取り出したのは女子の制服。

うん、ハードルがかなり上がるね!

 

「嫌だ、ふざけるな!俺がこんなの着るなんて嫌げふぅ!」

 

「黙らせました。」

 

「お、おう・・・。ありがとな・・・。」

 

騒ぎだした根本に対し、Bクラスの女子生徒が腹パンをかまして黙らせた。

坂本君もあまりの変わり身の早さにひいてる。

 

「任せて。Bクラス全員で責任をもってやらせるわ。」

 

「「「おう!」」」

 

これを見るだけで、彼がどれだけ人望がなかったかわかるよね。

試召戦争の時より団結してるんじゃないかな?

 

「そして、二つ目だが、お前には今からFクラスで異端審問会に出頭してもらう。」

 

「・・・は?」

 

「内容は行ってみてからのお楽しみだ。・・・ま、死ぬなよ。」

 

「ちょっ!?おい、坂本、待ってくげふぅ!」

 

「異端者を確保。直ちに審問会を開始するためにFクラスへ運べ。」

 

「「「はっ!」」」

 

会長の須川君が指示し、根本にふたたび腹パンした後、一糸乱れぬ動きで根本を運ぶ。

 

「とりあえずBクラスのみんなに行っておく。『~しばらくお待ちください~』だ。まあ、そんなに時間は取らせないから待っていてくれ。さてFクラスの奴は行くぞ。」

 

私も行こう~っと!

 

 

 

~しばらくお待ちください~

 

 

 

「さて、次は女装だな。」

 

「・・・気絶してますし、しょうがないので私が着せま『絶対にダメ!』・・・どうしましたか?」

 

お姉ちゃんがあんな汚いのにふれるなんてダメ!

 

「・・・なるほど。皆さん、私がこの男に触れてほしくはないということですか。」

 

「・・・私がやるからさとりちゃんは触らないでおいて。そんな可愛いのに、こんなんで穢れちゃったら勿体無いから!坂本君、制服をちょうだい。」

 

「あ・・・はい、どうも・・・。」

 

根本に知らない女子生徒が女子制服を着せていく。

 

「あ、そうそう、脱がせた男子用の制服は渡してくれ。逃げられないようにな。」

 

「わかったわ。はい。」

 

「とりあえず、せっかくだから可愛くしてあげてね。」

 

「無理ね。土台が腐っているから、いくら飾っても無駄よ。」

 

吉井君の言葉に辛辣な言葉が返されるけど、たしかにそうなりそうだよね。

あ、そうだ!

 

「とりあえず、私が根本君の制服は預かっておくよ。」

 

「「「こいしちゃんがそんなんに触れるなんてとんでもない!!!」」」

 

むー・・・。

みんなに反対されちゃったせいで渡してくれなかったけど、手紙はどうしようかな・・・?

まあ、こっそり行くかな。

みんなが根本君の方を見ている間に制服のポケットから取りだし、こっそりと抜け出して、姫路ちゃんのバッグに手紙を入れて戻る。

あれは、間違いなく吉井君へのラブレターだろうけど、成就するといいね!

私も応援してるよ!

 

「次はこのポーズをしろ。」

 

「はあ!?嫌だ、俺は絶対にしたくねえよ!」

 

「ならBクラスの多数決で決めよう。根本がこのポーズで写真をとられるのに賛成なひとー。ちなみにしなかったらちゃぶ台と座布団だぞー。」

 

「「「はーい。」」」

 

「ほら、お前以外全員賛成だ。やれ。」

 

わー、むごいなー。

まあ、とめないけどね。

 

 

 

 

ちなみに、この後写真撮影され、宣戦布告を女装で行った後、吉井君によって捨てられてた自分の制服を着て、軽く涙を流しながら帰ったみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Bクラスとの戦いが終わった次の日に補充試験を終わらせ、さらに翌日、私達はついにAクラス戦の時間になっていた。

 

「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにも関わらずここまで来れたのは、他でもない皆の協力があってのことだ。感謝している。」

 

前に立って話をはじめる坂本君。

坂本君が感謝をあらわすなんて珍しいな~。

 

「雄二がそんなこと言うなんて珍しいね。らしくないよ?」

 

吉井君も感じたみたい。

 

「まあな。でも、これは俺の偽らざる気持ちだ。ここまで来た以上、絶対にAクラスにも勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃないという現実を、教師どもに突きつけるんだ!」

 

「「「おーっ!」」」

 

「下克上、成し遂げようぜ!」

 

「皆ありがとう。そして、Aクラス戦だが、一騎討ちで勝負をつけようと思う。」

 

当然、ざわざわするみんな。

まあ、あの場にいなかったら初耳だもんね。

 

「今からきちんと説明する。やるのは当然、俺と翔子だ。」

 

翔子?

えーと、誰のことなのかな?

 

「古明地。翔子っていうのはAクラス代表の霧島のことだ。」

 

へ~、知らなかった。

正邪ちゃん、よく知ってたね。

でも坂本君、下の名前で呼ぶってことはもしかして特別な関係なのかな?

 

「なんで雄二なのさ?姫路さんや稗田さんならともかく、バカで不細工なゴリラな雄二が勝てるわけなああああっ!」

 

「次は耳だ。」

 

吉井君に対し、刃を出したカッターを躊躇なく投げつける坂本君。

ギリギリのところを通ったカッターは後ろの掲示板に突き刺さり、プルプルとふるえている。

吉井君もプルプルと震えている。

 

「まあ、明久の言う通り、まともにやったら勝ち目はないだろう。だが、それはBクラス戦もDクラス戦も同じだった。今回も同じだ。俺達はAクラスに勝ち、システムデスクは俺達のものになる。」

 

どうするつもりなのかな?

Aクラス代表ということは、(途中退席の阿求ちゃんを考えなければ)学年首席ということになるわけだからね。

 

「具体的な作戦としては、日本史で戦う。」

 

「ん?霧島さんって日本史苦手なの?」

 

私はそんな話を聞いたことはないけどな~。

 

「ただし、内容は限定する。レベルは小学生程度、方式は100点満点の上限あり、召喚獣勝負ではなく純粋な点数勝負という感じだ。」

 

「えらくしぼるね?」

 

「それではどちらも満点で延長勝負になってしまうのではないですか?延長になればレベルも上がるでしょうし、厳しいのではないですょうか。」

 

「大丈夫だ。俺は、ある問題が出たらアイツは確実に間違えると知っている。」

 

「?その問題はなんなんだぜ?」

 

「大化の改新だ。」

 

大化の改新・・・ねえ。

それのなんなんだろう?

 

「大化の改新の年号を問う問題が出たら、俺達の勝ちだ。」

 

「でも、霧島さんがそんな簡単なのを間違えるのかな?」

 

私ももちろん覚えてるからね。

大化の改新は645年、簡単だね!

 

「まあな。こんな問題は霊路地や明久でも間違えないはずだ。」

 

「うん!645年だよね!」

 

「ああ。この通りだ。明久だってわかってるだろう。」

 

「お願い・・・・・・、僕を見ないで・・・・・・。」

 

えぇ・・・。

お空でもわかるのに、吉井君・・・。

・・・・・・・うん、聞かなかったことにしよう。

 

「だが、翔子は間違える。それで、俺達の勝ち。はれてこの教室からはおさらばって寸法だ。」

 

「あの、坂本君。その・・・霧島さんとは仲がいいんですか?」

 

「・・・まあ、翔子とは幼馴染みだ。」

 

なーんだ。

てっきりつきあってたりするのかなとか思っちゃったよ。

 

「総員、狙ええぇっ!」

 

すると突然、吉井君の号令で男子生徒全員が上履きを構える。

一昨日異端審問会というのは見たけど、やっぱりこのクラスはわかんないや。

 

「なっ!?なぜ明久の号令で皆が急に上履きを構える!?」

 

「黙れ、男の敵!Aクラスの前にキサマを殺す!」

 

「俺が何をしたと!?」

 

「遺言はそれだけか?・・・待つんだ須川君。靴下はまだ早い。それは押さえつけた後で口に押し込むものだ。」

 

「了解です隊長。」

 

どうやら、美人の幼馴染みがいるという状況が羨ましかったのかな?

根本が粛清された理由もそんな感じだったし。

 

「あ、あの吉井君。吉井君は霧島さんみたいなタイプの女の子が好みなんですか?」

 

「へ?まあ、美人だし。」

 

「・・・・・・」

 

「待って姫路さん!姫路さんはどうして僕に対して上靴を構えているの!?それに美波、教卓は決して僕に投げ当てるものじゃないよ!」

 

まあ、それはなんというか・・・ね。

セリフの選択が間違ってるとしか言えないんじゃないかな。

 

「じ、じゃあアキはウチのこと、どう思ってるの?」

 

「ペッタンコ」

 

「アキのバカあああっ!」

 

「ぎゃあああああっ!」

 

吉井君は教卓の下敷きになっちゃった。

でも、まあ、今のは吉井君の発言が無神経過ぎるのが原因だもんね。

やり過ぎな気はするけど、あんま同情の余地はないかな。

 

「というかお前ら一旦落ち着くべきだぜ!話が進まない!」

 

あ、魔理沙がとめた。

 

「というか、相手はあの霧島翔子じゃぞ。男なんかに興味があるとは思えんじゃろ。」

 

「そういえば、一年生の時、誰が告白しても全員玉砕してたもんね。」

 

あら、吉井君ピンピンしてる。

でも、吉井君と木下君の発言で場は落ち着いたみたいだしよかった。

阿求ちゃんが一人だけ気まずそうな顔をしてるのが少し気になるけど、まあいいか。

 

「とにかく、俺と翔子は幼なじみで、小さなころに間違って嘘を教えていたんだ。そして、アイツは一度覚えたことは忘れない。だから稗田が途中退席をした今、学年トップの座にいる。」

 

なるほどね~。

阿求ちゃんと同じく瞬間記憶能力があるのかな?

点数は阿求ちゃんの方が高いんだけど、そのへんは家の差とかなんだろうね。

阿求ちゃんの日本史と古文はものすごいし。

 

「俺はそれを利用して勝つ。そしたら俺達の設備は・・・」

 

「「「システムデスクだ!」」」

 

クラス全員の声がそろう。

・・・でも、この作戦うまくいくのかな?

なんか、私はうまくいかないような気がするんだよね~。

 

「よしじゃあ明久、宣戦布告にGOだ。」

 

「嫌だよ!なんで僕にばっかりその役目を押しつけようとするのさ!」

 

「安心しろ、冗談だ。今回は交渉があるからな。俺が行く。古明地、正邪、稗田、霧雨、姫路、明久、秀吉、ムッツリーニはついてきてくれ。」

 

みんなでAクラスにGO!だね!




いかがでしたか?
あとがきに書くことがねえ…。


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第十一話「宣戦布告!」

 

 

 

みんなで宣戦布告行くことになったけど、そういえばAクラスに誰がいるか、私は知らないんだよね~。

 

「さて、ついたな。行くぞ。」

 

坂本君がAクラスの扉を開け放つ。

 

「・・・あら?阿求、どうしたの?それにいっしょにいる人達は?」

 

こちらを見て、質問してくる女子生徒。

阿求ちゃんの知り合いなのかな?

 

「あっ、小鈴じゃない!ひさしぶり!」

 

「ひさしぶり!体は大丈夫?」

 

「うん、今は大丈夫よ。小鈴の方はどうなの?」

 

「うーん、なんというかこのクラス、豪華すぎて落ち着かないんだよね・・・。私はほら、ほどほどに狭い場所でたくさんの本に囲まれてるのが好きだしね。」

 

「まあ、小鈴らしいよね。」

 

うん、仲がいいみたいだね。

二人とも笑顔で楽しそうだもん。

 

「・・・んー?なにこの騒がしいのは・・・ああ、魔理沙じゃない。何してんの?」

 

「よう霊夢!今日はちょっと用事があるんだぜ?」

 

「まあよくわかんないけど、とりあえず私は寝るわ・・・。おやすみ・・・。」

 

「いやいやお姉ちゃん、せっかく魔理沙さんが来てるんだから起きようよ?」

 

「ん・・・早苗、相手よろしく・・・。」

 

「まあまあ、霊夢は頑固だから、言っても多分無駄だぜ?」

 

「むー、でもー。」

 

「それはお前が一番見てきて知ってるだろ?」

 

「まあ、そうなんですけど・・・。」

 

「とりあえずあっちにこいしもいるぞ。」

 

「やっほー、早苗ちゃ~ん!」

 

「あ、こいしちゃんじゃん!ひさしぶりだねー!」

 

「・・・おいお前ら、話の邪魔をしてすまないが、とりあえずあとでにしてくれないか。」

 

その言葉で、私も阿求ちゃんも魔理沙も気づく。

確かに、ここには宣戦布告に来たんだよね。

それに、木下君・・・じゃなかった木下さんが用件を聞いてきたし。

 

「で、Fクラスがなんの用かしら?・・・ま、だいたいわかってるけどね。どうせ宣戦布告でしょ?」

 

「いや?今日は交渉をしに来た。」

 

「交渉?一応聞かせてもらおうじゃないの。」

 

木下さんと、早苗ちゃんに小鈴ちゃんが並ぶ。

霊夢さんは寝てた。

にへらっとした表情浮かべてるけど、なにか美味しいものでも食べた夢みてたのかな?

 

「こちらの望みは、試召戦争ではなく、一騎討ちで勝負をつけることだ。」

 

「・・・何が狙いなのかしら?」

 

「もちろん、Fクラスの勝利だ。」

 

「へえ、ずいぶん大きく出たものね。うちの代表一人なら勝てると言いたいわけ?」

 

「さあな。それはやってみてのお楽しみだ。」

 

「結果はわかってるでしょうけどね。当然、Aクラスの負けはないわ。」

 

「だったら受けてもいいんじゃないか?そうすれば面倒な試召戦争を楽にできるわけだ。」

 

「「・・・・・・」」

 

互いに一歩も引こうとしないね。

 

「でも、こちらがわざわざ提案に乗る理由は無いんじゃないですか?変に楽しようとして負けるより、多少手間でも確実に勝てるほうがいいと思いますよ?・・・お姉ちゃんなら逆のこと言いそうですけど。」

 

「・・・確かに早苗の言う通りね。残念だけど、その提案は断らせてもらうわ。」

 

「ま、賢明だな。」

 

でも、交渉はここからが本番なんだよね。

 

「ところで、Cクラスとの試召戦争はどうなったんだ?」

 

「あ、それは問題なく勝ちましたよ!」

 

「そうか。それは良かったな。で、そのあとにBクラスとやりあってみる気はないか?」

 

「・・・もしかして、Bクラスって、おととい来てたあの・・・。」

 

「そう、アレがひきいるクラスだ。」

 

「あはは、私はああいうクラスと戦争はしたくないですね・・・。」

 

早苗ちゃんが苦笑いする。

だよね・・・。

私だって嫌だもん。

お姉ちゃんとお燐があのくくりにされるのは嫌だけど。

 

「でも、BクラスとFクラスの戦争はFクラスの勝利で終わったから、3ヶ月は試召戦争が出来ないんじゃないですか?」

 

「小鈴、あの戦争は対外的には、『和平交渉にて終結』というかたちになってるわ。」

 

「稗田の言う通りだ。だから、ルール上は何も問題ないわけだ。そしてDクラスもな。」

 

なんというか、交渉に乗らなければBクラスとDクラスをけしかけると脅す坂本君って、悪役だよね・・・。

 

「・・・うまいですね。私達が乗らなければBクラスとDクラスをけしかける・・・と。」

 

「おいおい、人聞きの悪いことを言うなよ?これはただのお願いだぞ?」

 

「ふん、よく言うわよ・・・。」

 

「それなら・・・姫路さ・・・阿求・・・」

 

「2人以外・・・いや、魔理沙・・・」

 

木下さん、小鈴さん、早苗ちゃんの3人がひそひそと話し合ってる。

 

「決めたわ。こちらの条件をのむなら、その条件、のんでもいいわ。でも、のまないのなら決裂よ。」

 

「・・・聞かせてもらおうか。」

 

「一騎討ちのことだけど、代表とは別に、6回一騎討ちをしてもらうわ。そして、代表をいれた7回のうち、4回勝った方が勝者というものよ。」

 

うーん、これは別にこちらがそこまで不利な条件じゃないはずだし、私は受けるべきだと思うかな?

姫路ちゃんや阿求ちゃん以外にも、ムッツリーニ君の保健体育、お空の化学、魔理沙の数学と、科目を絞ればAクラスに対抗できる人達いるもんね。

 

「なるほどな。こっちから姫路や稗田が出ることを警戒してか。」

 

「まあね。特に稗田さんは本来なら学年首席だっただろうしね。」

 

「安心してくれ、こちらからは俺が出る。」

 

「たとえそれが真実だとしても、信じるのは難しいわね。」

 

まあそうだよね。

一応ほんとだけど。

 

「・・・わかった、その条件をのもう。ただし、勝負科目はこちらで決めさせてもらう。それくらいのハンデはあってもいいはずだ。」

 

坂本君はさらにもう一手。

日本史勝負もあるし、一科目特化の人達(特にムッツリーニ君とお空)は活躍できないもんね。

 

「んー、それはちょっと厳しいんじゃないですか?わざわざFクラスにハンデを与える理由はありませんよ?」

 

「・・・受けてもいい。」

 

「わわっ!」

 

吉井君、びっくりするからそんな声を急に出さないでほしいな。

今出てきたのは黒髪の美しい女性でAクラスの代表の霧島さんだね。

 

「・・・雄二の提案、受けてもいい。」

 

「いいんですか?こちらが受けるメリットは無いですよ?」

 

「・・・いい。そのかわり、条件がある。」

 

「ほう、条件とはなんだ?」

 

「・・・負けたほうが、なんでも言うことを聞く。」

 

 

ダバダバダバ(ムッツリーニ君と吉井君が鼻血を出す音)

 

ブスブスッ(美波ちゃんと魔理沙が目潰しした音)

 

ジタバタジタバタ(目潰しされた2人が悶える音)

 

 

「「目があっ、目があっ!!」」

 

「でも、あちらに科目選択権を与えるのはまずくないですか?こちらが不利になりますよ。」

 

「それなら4つだけ相手に決めさせてあげるのはどうかな?それならそこまで不利にはならないよ。」

 

「確かに、それはいいかもね。坂本代表、それでいいかしら?」

 

「・・・まあ、いいだろう。」

 

「これで交渉成立ですね。いつからやりますか?」

 

「十時からでいいか?」

 

「・・・構わない。でも雄二。」

 

「あ?なんだ?」

 

「・・・絶対、負けないから。」

 

霧島ちゃんが坂本君の目を見て言う。

おー、なんかいいね~。

 

「抜かせ。勝つのは俺達だ。」

 

幼馴染みだからある距離感っていいよね。

 

「よしじゃあお前ら、一旦教室に戻るぞ。」

 

「7人って、メンバーは誰にするんだ?」

 

「それは一応考えてはある。あとで発表するつもりだ。」

 

「ほう、そいつは気になるな。」

 

私も楽しみだよ~。

私はでるのかな?

一応、地学ならAクラスに対抗できなくはないかもしれないけどね。

綺麗な石ころ集めるのが好きだったから、自然と頭に入ってるんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして十時。

 

「では、両クラス、準備はいいですか?」

 

「ああ。」

 

「・・・問題ない。」

 

よーし、今から始まるよー!

 

「ではただいまより、Aクラス対Fクラスの勝負を開始します。早速ひとりめは出てください。」

 

「じゃ、みんな、行ってくるね~!」

 

「「「こいしちゃん!頑張ってー!」」」

 

トップバッターは私。

よーし、頑張ってくるよー!

 

「なるほどね。ここは私、比那名居天子が行かせてもらうわ。」

 

相手は青色の長めの髪が美しい人だね。

天子さんっていうのか~。

桃つきの帽子をかぶってるけど、好きなのかな?

でも、なんで室内で帽子?

 

「よかった、ウチ以外にもあれだけ平らな子がいたのね・・・。」

 

なんか後ろで美波ちゃんが安心したような声をもらしてる。

どうしたのかな?

 

「そこ!私のこと平らとかまな板とか洗濯板とか言うんじゃないわよ!」

 

「ではお二人とも。勝負科目を決めてください。」

 

「それなら地学で行くわ!」

 

「!」

 

やった!

私の一番の得意科目だ!

相手が選んでくれるなんてラッキーだな!

 

「やった~、私の一番得意な科目なんだ!今回は結構とれたんだよ!サモン!」

 

私の召喚獣が出てくる。

地学は今回いつもより取れたからよかったな~!

 

『Fクラス 古明地こいし 地学 411点』

 

「・・・へえ、なかなかやるじゃない。Fクラスなのに腕輪つきってすごいわね。サモン!でも・・・」

 

天子さんが召喚獣を呼び出す。

でも、今回はだいぶ取れたし対抗できるくらいには・・・

 

『Aクラス 比那名居天子 地学 615点』

 

「私に比べたらまだまだね。」

 

「「「なにいっ!?」」」

 

ならなかったかな・・・。

みんなも驚いてるけど、私も驚いてるよ。

でも、やれるだけ頑張る!

さいわい、腕輪もあるし!

相手の召喚獣は剣だね。

 

「点数は負けてるけど、負けないよ!」

 

こうなったら、私の腕輪の能力で決める!

私の腕輪は、点数消費は多いけど10秒ほど透明になれる効果があるから、それで攻撃を受ける前にたおしちゃう!

 

「「「なっ、消えた!?」」」

 

天子さんも見失ったみたいできょろきょろしてる。

もといた位置から適当に動き、攻撃軌道を読まれないようにしてから攻撃だ!

 

「くっ・・・!」

 

『Fクラス 古明地こいし 地学 259点 VS Aクラス 比那名居天子 地学 417点』

 

私の攻撃で、相手の召喚獣の点数がそこそこ減る。

急所を狙った攻撃だったけど、直前で感じたのか、剣でわずかに軌道をそらされちゃったけど、このままなら行けるかな!

 

「・・・残念ね。」

 

「?どうしたの?」

 

「あんたの召喚獣の能力はだいたい理解したわ。地震『先憂後楽の剣』!」

 

天子さんがその言葉とともに、剣を床に突き刺す。

実際に揺れたわけじゃないけど、剣が刺さった場所から地震のような衝撃派が広がっていった。

 

『Fクラス 古明地こいし 地学 0点 VS Aクラス 比那名居天子 地学 217点』

 

「・・・勝負あったわね。」

 

一瞬後、そこにはドヤ顔の天子さんと、姿をあらわして倒れてる私の召喚獣がいた。

・・・あら、負けちゃったか。

 

「では、まずはAクラスが一勝ですね。」

 

高橋先生が結果をうちこむ。

トップバッターとして勝ちたかったなあ。

 

「すごいね~、私の場所がわかったのか~。」

 

「いや、場所はわかってないわよ。私の召喚獣が最初に攻撃された時、私の剣がたまたまかすったのか点数がわずかに減ってたじゃない?だから、無敵ではないと判断して地震という周囲攻撃で撃退しただけ。ふふん、そんなとこを見抜くなんて、さすが私ね!」

 

ナルシストさんなのかな?

でも、確かにその観察眼は凄いよね。

 

「まあ、地震は発動時に1センチでもジャンプしてると当たらないんだけどね。攻撃タイミングを予想して、回避できないタイミングを推定して地震をかましてみたわ。それに・・・」

 

「天子さーん、とりあえずあとでにしてもらってもいいですかー?」

 

「わわっ、早苗!ちょっ、引っ張らないでよー!」

 

なおも話し続けようとする天子さんが早苗ちゃんにひっぱられてく。

 

「・・・みんな、ごめんね。いきなり負けちゃった。」

 

「気にしなくていいぜ。まだあるんだからな!」

 

「魔理沙の言う通りだよ!まだまだあるんだから、そんなに気にしないで!」

 

「・・・でも。」

 

「それに、地学であんな点数取れる奴なんてうちのクラスにはいないからな。古明地が負けたことを気にする必要はない。」

 

「そうだよこいしちゃん。私だったら多分3秒でやられてたよ?」

 

「選択権もつかってないしな。」

 

「・・・ただ、二連続で負けたらさすがに士気に支障が出るな。ここはムッツリーニを次に出すか。」

 

「・・・わかった。」

 

次はムッツリーニ君みたいだね。

私は負けちゃったけど、しっかり勝てるように応援してこう!

 

 




いかがでしたか?
東方キャラが基本一点特化なこともあり、インフレがすごいことに。


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第十二話「Aクラス戦前半!」

 

 

 

「さて、次の人達は前に出てきてください。」

 

高橋先生が言う。

 

「・・・(スック)」

 

予定通り、ムッツリーニ君が立ち上がる。

頑張ってね~。

 

「じゃあ、ボクが行くよ!」

 

そう言って出てきたのは緑の髪をした男の子・・・いや、女の子だね。

ボーイッシュな雰囲気で、一人称がボクだったから、一瞬勘違いしちゃったよ。

・・・でも、冷静に考えてみたら、女子の制服着てるから一発でわかるはずだったんだけどね。

木下君みたいな人もいるけど。

 

「ボクは工藤愛子だよ。一年の終わりに転入してきたんだ、よろしくね。」

 

「科目はなににしますか?」

 

「・・・保健体育で。」

 

「土屋君だっけ?ずいぶんと保健体育が得意なんだよね?でも、ボクだって得意なんだよ。キミと違って、実技でね。」

 

ブシャアアアッ!

工藤さんの言葉を聞いたムッツリーニ君の鼻から、紅い液体が大量に噴射する。

なんか、変なこと考えたのがまるわかりだな・・・。

 

「あー、なんかこの教室暑いなー。」

 

吉井君もだったみたいだね。

顔が赤くなってる。

 

「そこのキミは吉井君だっけ?勉強苦手そうだし、保健体育で良ければボクが教えてあげよっか?もちろん、実技でね。」

 

ブシャアアアッ!

吉井君とあとムッツリーニ君からふたたび紅い液体が出てくる。

絨毯、ひどいことになってそうだな・・・。

 

「ア、アキにはまだそんな実技なんて早いわよ!」

 

「そ、そうですっ!吉井君には永久に必要ありませんっ!」

 

あの、美波ちゃん、姫路ちゃん、吉井君の方をちょっと見て?

彼、ものっすごい悲しそうな顔をしてるよ?

 

「おいムッツリーニ、大丈夫か?」

 

「・・・これしき、何も感じない。(ダバダバ)」

 

鼻血出しながら言っても、全く説得力ないよね・・・。

 

「・・・大丈夫だ。問題ない。」

 

「で、では二人とも、召喚獣を出してください。」

 

「よーし、サモン!」

 

「・・・サモン。」

 

二人の召喚獣が出てくる。

工藤さんの召喚獣は・・・また強そうだね。

すっごく大きな斧持ってる。

 

「じゃあ、早速決めさせてもらうよ!」

 

さらに、工藤さんの斧にバチバチと電気が流れ出しちゃった。

なんというか、あれくらったら即死だよね・・・。

 

「それじゃ、バイバイ!」

 

工藤さんが斧を構え、突進するあたりで、ようやく点数が表示された。

 

『Aクラス 工藤愛子 保健体育 482点 VS Fクラス 土屋康太 保健体育 574点』

 

「・・・加速。」

 

「えっ?」

 

工藤さんの斧がムッツリーニ君に吸い込まれるようにヒットする直前、ムッツリーニ君の召喚獣の姿が一瞬にして消える。

 

「・・・・・・加速、終了。」

 

次にムッツリーニ君の召喚獣を視認した時は、工藤さんの召喚獣のうしろにいた。

そして、前に倒れる工藤さんの召喚獣には攻撃のあと。

 

「そ、そんな・・・。このボクが負けるなんて・・・。」

 

「・・・あまり理論派をなめるな。」

 

な、なんかかっこいいかも。

 

「これで1対1ですね。次は誰がやりますか?」

 

「よしじゃあ稗田、頼む。」

 

「え、私ですか?構いませんけど。」

 

おっ、阿求ちゃんの出番みたいだね!

学年トップの成績だし、ここは勝てるよね!

 

「じゃあ、私が出ます。よろしくね。阿求。」

 

「小鈴、自信があるの?」

 

「もちろん、やるからには全力でやるよ。科目は古文でお願いします。」

 

「小鈴、あんた・・・!」

 

「もちろん、知ってるわよ。これが阿求の得意科目なこと。でも知ってるでしょ?私も、古文は得意なこと。頑張ったんだから。サモン!」

 

それで小鈴ちゃんの召喚獣が出てくる。

点数は・・・・・・えっ?

 

『Aクラス 本居小鈴 古文 983点』

 

「「「き、きゅうひゃくはちじゅうさんてん!!?」」」

 

Fクラスだけじゃなく、Aクラスの人達も驚いてる。

そりゃ、これだけとれるなんて聞いたことないもん。

高得点の目安としての腕輪が400点だから、これが異常な点数なのはよくわかるよね。

先生でもそんなに取れないんじゃないかな?

 

「確かに、小鈴は頑張ったんだね。でもね、サモン。」

 

小鈴ちゃんの圧倒的な召喚獣に対しても一歩も怯まない阿求ちゃん。

阿求ちゃんとは仲がいいから怯まない理由は知ってるけど、みんなはざわざわしてる。

 

『Fクラス 稗田阿求 古文 

・・・・・・1147点』

 

「「「はああああっ!?四桁台だとおおぉっ!!?」」」

 

「ぐぬぬ、わかってたけどやっぱりきついな・・・。」

 

「でも、家にある古典読んで全部覚えてる私より、初見ですらすら読んでいける小鈴の方が、私は凄いと思うよ?」

 

「いや、今まで読んだ全ての文覚えてるあんたの方がすごいでしょ。」

 

(((どっちも化け物だよ・・・。)))

 

この場の人達の心の声が一致した瞬間だった。

阿求ちゃんの家は奈良時代からの歴史があって、学校で出てくるような古典は家に全部あるんだよね。

日本史も同じように、まるで見てきたように知ってるから同じくらい取れるから凄いよね。

 

「まあ、おしゃべりはこのくらいにしましょ。」

 

「確かにそうね。戦いましょ。」

 

二人の召喚獣がぶつかりあう。

二人とも恐ろしい点数だから、動きを目で追うのも大変だよ。

どうにか追っていると・・・ん?

 

「おい、私の見間違いじゃなければ、相手が増えてないか?」

 

「私も見えるよ魔理沙。なんか妖怪っぽい・・・・・・というか狸の尻尾が生えた小鈴さんの召喚君が3匹見えるね。」

 

「うーん、1対4の状況に強いのはどの武器かな・・・?」

 

「というか、あの4匹、全部あいつが操ってるのか?」

 

「さあ?でも、すごい動きだよね。」

 

阿求ちゃんが1体に攻撃をしようとすると残りの3体が攻撃をしかけ、1体に攻撃しようとする、防御しづらいタイミングで攻めるというような絶妙なコンビネーションを見せてる。

どの狸に銃を撃っても持ってる剣で銃弾をはじかれてしまってる。

だから、一見阿求ちゃんが不利。

 

「腕輪も使用できるから、ここは範囲攻撃・・・?でも範囲と威力が高かったのは・・・」

 

でも、点数で勝ってる阿求ちゃんはその攻撃をほとんどかわしてる。

狸1が頭に降り下ろした剣をバックステップでかわし、狸2が着地の瞬間を狙って放った足払いを蹴りで迎撃し、動きが止まった瞬間に狸3が投げつけてきた剣を首をずらして回避し、その剣をキャッチし、降り下ろした本体の攻撃を銃身で受け止め、狸2に当たるように反らさせる。

私だったら無理だな・・・。

 

「・・・うん、このタイミングでこれがいいね。チェンジ、霊路地空!」

 

阿求ちゃんがしばらく回避に徹したあと、突然お空の名前を言う。

すると、阿求ちゃんの召喚獣から両手銃が消滅し、かわりに右腕に、お空の召喚獣と同じような武器が装填される。

そして、caution!というメッセージ。

 

「マズイ、後退しないと!」

 

本体と尻尾つきを後ろに跳躍させ、距離をとろうとする小鈴さん。

直感で危険を悟ったみたいだ。

 

「残念、少し遅いよ!」

 

その瞬間、お空が腕輪を使ったときと同じように、阿求ちゃんの召喚獣が大爆発する。

お空のよりも大きく、速い爆風。

 

「・・・残っちゃったか。」

 

爆風がはれた時、そこには狸召喚獣が1匹、そして本体の本居さんの召喚獣がいた。

 

「なかなか痛い爆風だったわ・・・。2人犠牲にしなきゃ、4人ともやられてたわね・・・。」

 

『Aクラス 本居小鈴 古文 311点 VS Fクラス 稗田阿求 古文 477点』

 

点数が更新される。

いまので、どっちもだいぶ減ってるけどまだまだ高いね。

 

「チェンジ、虎丸星!」

 

「今度はレーザー!?」

 

距離を行かすためか、今度は虎丸さんの宝塔を手にし、軌道が読みづらいレーザーを連発して相手を近づけないようにする阿求ちゃん。

自由自在・・・とまではいかなくても、射線が読みづらいレーザーにはばまれ、本居さんは近づけない。

 

「くっ、しょうがない!だったら!」

 

でも、本居さんはかわしきれないレーザーは剣で斬りつつ、無理矢理近づいてきた。

 

「なら、これでとどめよ!」

 

「狸ちゃん、お願いっ!」

 

「えっ、自分の召喚獣を盾に!?」

 

阿求ちゃんが放った必殺のレーザーの一撃は、小鈴さんの狸にはばまれ、本人まで届かない。

狸が消滅した時、目の前には攻撃を放った本居さんの召喚獣。

 

「くっ、チェンジ、工藤愛子!」

 

でも、阿求ちゃんはさっきの工藤さんの武器に変えて、それをなんとか防いだ。

斧と剣によるつばぜり合い。

 

『Aクラス 本居小鈴 古文 175点 VS Fクラス 稗田阿求 古文 241点』

 

でも、阿求ちゃんの方がまだ点数が高いから、なんとか押し返せてる!

 

「ぐっ・・・きゃあっ!」

 

そのままなんとか押し返し、本居さんの剣を弾き返す阿求ちゃん。

でも、あまり崩れてないから、斧じゃ多分間に合わない!

 

「チェンジ、坂本雄二。」

 

でも、阿求ちゃんは坂本君のメリケンサックに切り替え、本居さんの召喚獣の胸にパンチする。

体勢をたてなおす前に決まった一撃。

その一撃で召喚獣が吹き飛び、床に叩きつけられる。

 

『Aクラス 本居小鈴 古文 0点 VS Fクラス 稗田阿求 古文 191点』

 

それで決着がついたみたいだね。

なんというか、ものすごいハイレベルな戦いだったな。

 

「これで1対2ですね。」

 

「あーあ、やっぱり負けちゃったか。頑張ったんだけどなー。」

 

「でも、点数差がなかったら、私が負けてたんじゃないかな。あの狸達、小鈴が全部操ってたの?」

 

「ううん、あの狸ちゃん達には簡単な指示しか出してないよ。あの武器コロコロ変えるのはやっぱ阿求の腕輪だよね?」

 

「うん、今まで見てきた召喚獣の武器と腕輪を使えるの。決して見たものを忘れない私にはピッタリだよね。」

 

「でも、使うの初めてだったんでしょ?」

 

「まあ、そうなんだけどね。それはお互い様、でしょ?」

 

「・・・まあね。でも楽しかったよ。」

 

握手をかわす2人。

いいね~。

 

「では、次の人達は前に出てきてください。」

 

さて、次は4戦目だね!

ここまでは2勝1敗、次でリーチかけられるといいな。

 

 

 




いかがでしたか?
あっきゅんと小鈴ちゃんのバトルはもはや異次元。
ちなみに明久のものとは違い、本当に簡単な指示しかできません。


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第十三話「Aクラス戦後半!」

 

 

「よし、じゃあ次は霧雨頼む。」

 

「おう!任せてほしいのだぜ!」

 

「・・・あー、じゃあAクラスからは私が出るわ。」

 

「おう霊夢!やっぱお前が出てきたか!先生、科目は数学で頼むぜ!」

 

「はい、了解しました。」

 

魔理沙の得意科目だか

らね。

次の相手は霊夢さんか~。

 

「頑張ってね、魔理沙~。」

 

「任せてほしいのだぜ!」

 

「あ、そうだ魔理沙、せっかくだからこの勝負で賭けをしない?」

 

「ん?賭け?」

 

「この勝負で私が勝ったら魔理沙は私に昼食2回おごり、私が負けたら私が魔理沙に昼食を1回おごられる、これでどうかしら?」

 

「ちょっと待て!それだと私が勝っても負けても奢ることになるじゃないか!私が勝った時のメリットが一切ないぜ!」

 

「あるじゃない。あんたが勝てば、おごりは1回で済むのよ?」

 

「奢ることを前提に話をしないでくれ霊夢!」

 

「やっぱり、お姉ちゃんは常識にとらわれてないなぁ・・・。」

 

早苗ちゃんが呟く。

私もそう思うよ・・・。

 

「まあ、冗談よ。普通に私が負けたら奢るわよ。そのかわり、私が勝ったら奢りなさい。」

 

「まあ、構わないが・・・、でもお前、金あるのか?」

 

「今月はあと40円ね。大丈夫、1日2円で過ごせば問題ないわ。」

 

「相変わらずだなお前!昭和か!」

 

霊夢さん、人間は1日2円で生活するのは現代では不可能なんだよ・・・。

まあ、霊夢さんカエルでも雑草でも食べるからね。

月末、この近くの海や山いくと、食べられるもの探してる霊夢さんの姿があるから・・・。

 

「でもどうせ私が勝つから問題ないわ。食べ物がかかってる時の私は本気だからね。最悪、早苗に押しつけるわ。」

 

「おいおいお前、姉としてそれはどうなんだよ・・・。」

 

「あの、博麗さん、霧雨さん、とりあえずはじめてもらってもいいですか?」

 

「おっと、そうだったな。サモンだぜ!」

 

「ひさしぶりのまともなごはんのために・・・サモン。」

 

高橋先生に言われ、会話を中断した魔理沙と霊夢さんが召喚獣を呼び出す。

えーと、どうかな?

 

『Fクラス 霧雨魔理沙 数学 433点 VS Aクラス 博麗霊夢 数学 449点』

 

うーん、霊夢さんの方が高いけど、これくらいならまあいけるかな?

というか、霊夢さんはやっぱり赤を基調とした巫女装束なんだね。

手の武器はお祓い棒だし。

まあ、早苗ちゃんもそうだけど神社の神主の家系みたいだし。

母親が違うから、早苗ちゃんと霊夢さんは名字が違うけど。

 

「それじゃあ霊夢、弾幕ごっこと行こうぜ!」

 

「いや、私の召喚獣は弾幕撃てるかわからないんだけど・・・。でも、負けないわよ。」

 

「どっちも腕輪を持ってるけど、この勝負、どうなるかな?」

 

「魔理沙の召喚獣はレーザータイプ、あいつの召喚獣は近接タイプに見えるから、一見魔理沙が有利に見えるんだが、なんか嫌な予感がするんだよな・・・。」

 

「・・・なるほどね。私の召喚獣の特徴、だいたいつかんだわ。」

 

「行くぜ霊夢!」

 

魔理沙が霊夢さんの召喚獣に対してレーザーを乱射する。

霊夢さんはそれをかわすのと、召喚獣の動きに慣れるためか、攻撃も接近もせずに、横に走って回避している。

でも、完全には回避しきれないのか、時々かすり、そのたびに点数をわずかに減らしている霊夢さんの召喚獣。

 

「どうした霊夢?逃げてばっかじゃ勝てないぜ?」

 

「・・・まあ、そうでしょうね。逃げてばっかじゃ勝てない、アンタの言う通りだわ。」

 

「なっ!?いきなりだと!?」

 

でも、霊夢さんはいきなり魔理沙の召喚獣の方に走り出す。

魔理沙もレーザーを放つが全く当たらない。

霊夢さん反射神経もいいからね。

 

「くっ、こうなったら、召喚獣はパワーだぜ!マスタースパーク!」

 

直線で細いレーザーだと放っても回避されるだけだと判断したのか、魔理沙は強力で太いレーザーを放つ。

魔理沙はあれにマスタースパークって名前をつけてるみたいだけど、腕輪の能力だし、特別感はあるよね。

ほぼゼロ距離で、光速で放たれる太いレーザー。

さすがの霊夢さんでも、これはかわしようがないかな・・・。

わかってはいても、動きのスピードの関係で、回避不能な一撃。

 

「・・・ま、予想通りね。二重大結界!」

 

「結界!?」

 

「・・・後ろよ。」

 

霊夢さんの言葉とともに、霊夢さんの召喚獣を結界が包む。

そして、魔理沙のマスタースパークが霊夢さんの目の前で消滅し、魔理沙の真後ろからあらわれる。

なすすべもなく貫かれる魔理沙の召喚獣。

自身が放った技で点数を失い、魔理沙の召喚獣は倒れた。

 

「なん・・・で・・・。」

 

『Fクラス 霧雨魔理沙 数学 0点 VS Aクラス 博麗霊夢 数学 197点』

 

「さて、2勝2敗ですね。」

 

冷静に結果を告げる高橋先生。

ここで勝てればリーチだったんだけど、仕方ないよね。

 

「これで奢り確定ね。ここの冷蔵庫の中のお菓子以外でまともなものを食べるのはひさしぶりだわ~♪」

 

「・・・まあ、私もいいと言ったし、約束は守るが・・・。でもさっきの結界はなんだったんだ?」

 

「ああ、あれ?教えないわよ。また魔理沙からおごってもらう時・・・もとい、再戦の時に不利になるじゃないの。」

 

「むー、ケチ臭いぜ。」

 

「夜も奢ってくれるなら教えてもいいわよ。」

 

「・・・いや、さすがにそれは嫌だぜ。」

 

霊夢さん、食べ物とお金のことになると目の色変えるからね。

タダ飯の機会は決して逃さないし・・・。

 

「あの、博麗さんと霧雨さん、次の試合があるので降りてもらってもいいですか?」

 

高橋先生の言葉で降りる二人。

 

「じゃあ、次は私だね!」

 

「うん、お空、頑張ってきてね。」

 

「私にまかしといてよ!」

 

「さて、お姉ちゃんも勝ったし、私も頑張らないと・・・!」

 

「あなたが私の相手?負けないぞー!」

 

「ええ、よろしくお願いしますね。」

 

「早苗、負けたら承知しないわよー!」

 

「大丈夫ですよ天子さん。しっかり勝ってきますから。お姉ちゃんも見ててね!」

 

「zzz・・・天丼雲丹丼カツ丼うな丼親子丼・・・魔理沙の奢り・・・にへへ~。」

 

「・・・・・・(´・ω・`)」

 

「・・・・・・早苗、ドンマイ、よ。私が見ててあげるから・・・。」

 

しょぼんとする早苗ちゃんが可哀想に思ったのか、慰める比名那居さん。

 

「・・・あの、科目はどうしますか?」

 

「うーん、じゃあ物理で!」

 

「わかりました。」

 

「じゃあ、いくよ!サモン!」

 

『Fクラス 霊路地空 物理 407点』

 

「なるほど、あなたもかなりの高得点なんですね。やっぱり物理、好きなんですか?」

 

「うん!大好きだよ!」

 

「物理、いいですよね。私も大好きなんですよ。サモン!」

 

『Aクラス 東風谷早苗 物理 486点』

 

うーん、ここでもAクラスの方が上か・・・。

 

「たしか、霊路地さんはレーザーを放っていましたよね。それなら私はこうします!準備『神風を呼ぶ星の儀式』!」

 

早苗ちゃんがなにかを唱えるようにすると、地面から緑色の魔法陣みたいなものが出てくる。

 

「わっ!なにっ?・・・あれ?」

 

それをお空が踏んじゃったけど・・・、特に何も変わりはない・・・かな?

 

「じゃあ、行きますよ!」

 

「わわっ、えいっ!」

 

早苗ちゃんの召喚獣がいきなり距離をつめ、肉弾戦を仕掛けてくる。

一応、お空の砲台もわりと強度があるから、剣かわりにも使えなくはないんだけど、相手は点数が高いからちょっと不利だね。

 

「むー、あなた、近接は苦手だと思ったんですが、なかなかやりますね・・・。」

 

「けっこう、ギリギリ、だよ!」

 

早苗ちゃんの武器はないけど、武器もなにもない素手で普通にやりあってる。

坂本君ののようにメリケンサックがあるわけじゃないのに。

リーチはお空のほうがあるけど、火力とスピードは早苗ちゃんのほうが高いね。

どちらも決定的な有効打を与えられず、さっきの魔法陣の上で格闘してる。

 

「よし、今です!これで終わらせますよ!『神の風』!」

 

でも、早苗ちゃんが唱えたことで、魔法陣から緑色の竜巻が発生し、お空の召喚獣が空にうちあげられる。

そして、下で待っているのは早苗ちゃんの召喚獣。

 

「これで、とどめです!八坂スマッシュ!」

 

お空はレーザーを放とうとするも、瞬間移動かと見間違えるような速度でジャンプした早苗ちゃんの召喚獣に隣接され、パンチされる。

そして、そのまま地面に叩きつけられたお空の召喚獣は戦闘不能となった。

 

『Fクラス 霊路地空 物理 0点 VS Aクラス 東風谷早苗 物理 323点』

 

「よし、勝ちました!天子さん、見てましたよね!?」

 

「え、ええ、見てたわよ。べ、別に格好いいなとかやっぱ早苗はやってくれて嬉しいなとか思ってみとれてたわけじゃないけどね。」

 

「天子さんの期待にこたえられてよかったです!」

 

「うにゅ・・・。負けちゃった・・・。」

 

「大丈夫だよお空。いきなり負けちゃった私がいうのもなんだけど、姫路ちゃんと坂本君が勝ってくれれば勝てるんだから!」

 

・・・まあ、私はあまり信用できてないんだけど・・・。

 

「ところで古明地、さっきから木下と正邪の姿が見当たらないんだが、何か知らないかなのぜ?」

 

・・・あ、ほんとだ。

言われてみれば2人の姿がないね。

・・・ま、いっか。

 

「これで3対2ですね。では、次の人達は前に出てきてください。」

 

「では、僕が行こう。」

 

「・・・ま、予想通り学年次席のおでましか。姫路、頼んだぞ。」

 

「はい、頑張ってきますっ!」

 

「あれ?秀吉のお姉さんは出ないんだね。というか姿が見えないや。」

 

「まあ、木下姉は学年で両の指に入るくらいの成績優秀者だがな。特化科目があるというよりはオールラウンダーな感じだから、特化科目型が多いFクラスに対しては、少し厳しいんだろう。確か木下姉は全科目300点程度で総合4000弱だからな。」

 

「へー、秀吉のお姉さんはやっぱり優秀なんだね~。僕がそれだけ取ろうと思ったら、どれだけ頑張ればいいんだろ?」

 

「ま、とりあえず転生してこい。10万年くらいかければ、もしかしたら行けるかもしれないな。」

 

「雄二に言われたくないよっ!だったら雄二は10万光年必要だよ!」

 

「・・・おい吉井、光年は距離の単位だぜ。」

 

「・・・10万年じゃ、足りないかもな。」

 

「・・・と、ともかく今は姫路さんの試合だよ!」

 

「ま、その通りだな。」

 

吉井君と坂本君はやっぱり面白いよね。

でも私も姫路ちゃんの勝負を見ないとね!

 

「科目はどうしますか?」

 

「では、総合科目で。」

 

相手のメガネの男子・・・久保君だったかな?がそう答える。

こっちは坂本君のぶんが必要だから問題ないね。

 

「「サモン!」」

 

二人が召喚獣を呼び出す。

一年の頃は確か久保君のほうが姫路ちゃんより成績良かったけど、どうなるだろう?

 

『Aクラス 久保利光 総合科目 4096点 VS Fクラス 姫路瑞希 総合科目 4417点』

 

「マジかっ!?」

 

「姫路の奴、霧島に匹敵してるだと?」

 

「・・・まさか、ここまで上がっていたとはね。どうして、こんなに上がったんだい?」

 

「・・・私、このクラスが好きなんです。みんなのために頑張る人達がたくさんいる、このFクラスが。」

 

姫路ちゃんらしい、少しずれた感想だけど、気持ちは伝わってくるね。

 

「阿求ちゃんに教えてもらったこともありますが、やっぱり大きな理由はそれです!ですので、この勝負、勝たせていただきます。」

 

姫路ちゃんの召喚獣の武器はやっぱすごいね。

自分の体より大きい大剣を軽々と操ってる。

久保君の召喚獣も、まるで死神が持つような巨大な鎌を持ってて強そう。

 

「・・・なるほどね。でも、こっちだって易々と負けるわけにはいかない!」

 

でも、二人ともまだ召喚獣の扱いに慣れてないのか、姫路ちゃんは普通に突っ込むだけだ。

まあ、得点高いから、普通に速いんだけどね。

久保君も普通に鎌で受けることしか出来なかったのか、力比べとなる。

そして、それは点数で勝っている姫路ちゃんのほうが有利だ。

そして、つばぜり合いの末、姫路ちゃんの召喚獣が押し勝ち、久保君の召喚獣を切り裂いた。

 

『Aクラス 久保利光 総合科目 0点 VS Fクラス 姫路瑞希 総合科目 4417点』

 

「これで、3対3ですね。では、最後の人達はどうぞ。」

 

泣いても笑ってもこれが最後の勝負。

しっかり勝ってきてよ、坂本君?

 

 

 




いかがでしたか?
ちなみに霊夢さんの腕輪は二重結界で、相手の遠距離攻撃を相手の背後に転送する効果を持ちます。
つまりレーザーの魔理沙とは相性最悪。
なお、素手の召喚獣は腕輪とは別に特殊な能力があります。


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第十四話「大化の改新!」

 

 

「さて、最後は俺だな。」

 

「・・・私。」

 

こちらもむこうも代表だね。

この勝負がすべてを決めるから、勝ってきてよ?

 

「科目はなににしますか?」

 

「日本史だ。ただし小学生レベルで100点満点の上限あり、そして召喚獣勝負ではなく純粋な点数勝負でたのむ。」

 

ざわ・・・・・・・ざわ・・・・・・とAクラスの人達がざわざわする。

まあ、そうだよね。

Aクラスの人達は誰だって100点取れるだろうし、坂本君の作戦を理解できるAクラスの人がいたなら、それは事前に知ってたとしか思えないくらいだし。

お姉ちゃんなら多分見透かしたと思うけどね。

 

「・・・わかりました。では、問題を用意するので、少々待機していてください。」

 

急な注文でもあっさり答えるなんてすごいな~。

 

「雄二、あとは任せたよ。」

 

「おう、任された。」

 

あつい握手をかわす吉井君と坂本君。

ここだけ見れば、普通の友達だよね。

 

「革命の成功は、坂本にかかってるんだからな。絶対、勝ってきてくれよ。」

 

「ああ、勝ってくる。」

 

「ここで負けたら全部パーになるんだから、勝たないと許さないんだぜ。」

 

「わかってる。任せとけ。」

 

「・・・(ビッ)」

 

「お前にはずいぶん助けられたな。感謝してる。」

 

「・・・(グッ)」

 

「頑張ってきてねー!」

 

「で、でも無理はしないでくださいね?」

 

「ああ、ありがとな。」

 

「坂本君、勝ってきてね?」

 

「おう、信じててくれ。」

 

吉井君につづき、Fクラスのみんなが坂本君に声をかけていく。

その言葉のひとつひとつに嬉しそうに返していく坂本君。

でも、どうなるんだろ?

なんか、嫌な予感がするんだよね。

というか正邪ちゃん、いつのまにか戻ってたんだ。

木下君はまだいないみたいだけど。

 

「では、準備が出来ましたので、二人は視聴覚室に移動してください。」

 

戻ってきた高橋先生がふたりに誘導をかける。

あとは、坂本君の勝ちを祈るだけだね!

 

「こいしちゃーん、テストが終わるまでちょっとお話ししませんかー?」

 

と、待とうとしてたら、早苗ちゃんに声をかけられたね。

 

「私は構わないよ~。」

 

「どうせなら私の席に座ってくださいね。お菓子でも食べながらお話しましょう。」

 

「え?いいの?」

 

「ええ、構いませんよ。この椅子でまったりしてみてくださいね。」

 

「じゃ、遠慮なく~!ありがとね~!」

 

勧められたから座ってみる。

はふぅ・・・・・・。

なんだか、座り心地がものすごく良くて、下手をしたら二度と立ち上がれなくなっちゃいそうだよぉ・・・。

まったり~。

 

「そういえば、どうしてFクラスはあんな限定的なテストにしたんですか?」

 

「ああ、あれ?あれはねー、大化の改新の年号を問う問題が出ると、霧島さんが間違えるから、Fクラスが勝てるってことらしいよー。」

 

いま言っても対策は不可能だし、本人達もいないから言ってもいいよね。

 

「・・・へえ、あんた達、なかなか面白い作戦をたてるじゃないの。」

 

あ、霊夢さんだ。

さっき寝てたけど、いつ起きたのかな?

 

「あ、お姉ちゃん!寝てたんじゃないの?」

 

「夢のなかで出てきたもの全部食べ尽くしたから起きたわ。」

 

「あはは、そうなんだ・・・・・・どうせだったら私の活躍、見てほしかったな。」

 

「あー、見てたわよ見てたわよ。確かあんたの召喚獣、巨大化して相手の召喚獣踏み潰してたわね。」

 

「夢の中の話じゃない!私の召喚獣、巨大化なんてしてないよ!」

 

「・・・・・・ま、それはそれとして、Fクラスがたてた作戦、それほんとに上手くいくの?」

 

「・・・まあ、私もうまくいくとはあんまり思ってないけどね。」

 

「まず、その作戦、あんた達の代表が満点取るのが条件だけど、あのゴリラみたいな見た目したのが取れんの?」

 

ゴ、ゴリラ・・・。

まあ、気持ちがわかるからなんともいいがたいな・・・。

 

「お姉ちゃん、そんなこと言ったら失礼だよ。」

 

「あんたも思ったでしょ?」

 

「・・・・・・お、思ってないよ・・・。」

 

早苗ちゃん、それは苦しいんじゃないかな・・・。

ほら、霊夢さんがニヤニヤしてるよ。

 

「で、こいしはどう思うの?」

 

「・・・・・・正直、厳しいんじゃないかなって思ってるよ。」

 

坂本君、小学生の時は神童とか言われてたみたいだけど、中学の時は悪鬼羅刹だったみたいだし、いまも成績もそんな良くないからね・・・。

昨日復習してたならいいんだけど・・・。

 

「・・・あ、こいしちゃん、問題出ましたよ!」

 

早苗ちゃんの指差す方には、確かに問題が出てるね。

せっかくだから、私も解いてみようかな。

 

(  )年 十七条憲法制定

 

(  )年 壇ノ浦の戦い

 

(  )年 遣唐使廃止

 

えーと、上から確か604年、1185年、894年だったよね。

 

「そういえばお姉ちゃん、今は鎌倉幕府設立が1192年という説以外にもあるの、知ってる?」

 

「もちろん知ってるわよ。1180、1183、1184、1185とか色々な説があったわよね。」

 

「うん、お姉ちゃんさすがだね!」

 

「んで、こいし。大化の改新はあったの?」

 

えーと・・・

 

(  )年 大化の改新

 

「うん、あったよ。」

 

「・・・ま、これで代表の満点はなくなったわけね。向こうでFクラスの人達が歓喜の声あげてるのもそれが原因よね。」

 

「うん、多分そうだと思うよ。」

 

「・・・・・・うっとうしいから黙らせてきていいかしら。(スッ)」

 

「ちょっと、お姉ちゃん、ストップストップ!」

 

どっかから木の棒を取り出してFクラスの人達のほうに向かおうとする霊夢さんを必死に早苗ちゃんがとめる。

霊夢さん、うるさいの嫌いだしね~。

 

「よう霊夢、早苗!さっきぶりだな!何やってんだ?こいし、あの問題はしっかり出てたぜ!」

 

あ、そんなことしてたら魔理沙が来た。

 

「魔理沙さん、お姉ちゃんを押さえるのを手伝ってください!放置してたら、お姉ちゃんFクラスの人達みんな気絶させようとしちゃいます!」

 

「おいおい霊夢・・・。何してんだよ・・・。」

 

「あんた達がうるさいから、叩きのめすだけよ・・・。」

 

怖いなー。

さすがに幽香先生には負けるけど、すごいオーラ放ってる。

 

「まあ落ち着けって。FクラスがAクラスに勝つんだから、それくらいいいじゃないか。とりあえず、霊夢と早苗は御愁傷様だな。」

 

「普段ならあんたをボコるところだけど、今ボコったら食事がなくなるからあとでボコるわ。」

 

そうこうしてる間に、テストと採点が終わったみたい。

えーと、結果は・・・・・・・

 

「あ、あの、魔理沙さん・・・。」

 

うん、早苗ちゃんの言いたいことは私にもわかるよ・・・。

私も見たもん・・・。

 

「ん?どうしたんだぜ?」

 

「後ろの画面、見てください・・・。」

 

「ああ、私達が勝ったことを示すスクリーンか?どれどれ・・・」

 

《日本史 限定テスト 100点満点》

 

《Aクラス 霧島翔子 97点》

 

「ほらな?霧島が97点で、坂本がひゃ・・・」

 

《Fクラス 坂本雄二 53点》

 

「100点取れよおおおぉぉーッ!!!」

 

「「「何じゃこりゃあああっ!?」」」

 

「雄二ィィィィーッ!!?」

 

・・・なんというか、これはひどいよね。

今までのことが全部パーだよ。

 

「4対3でAクラスの勝利です。」

 

そして、とどめをさすかのような高橋先生の言葉。

・・・うん、わかってるよ。

坂本君、最後の最後で致命的なミスやらかしたものだよね・・・。

あはは、笑えない。

 

「魔理沙。御愁傷様。」

 

「いい笑顔で言ってくるんじゃねえっ!今はとにかく坂本だッ!」

 

「私も、ちょっとこれは言いたいことがあるからね・・・。」

 

Fクラスみんなで視聴覚室になだれこむ。

中には・・・膝をつく坂本君と、歩み寄る霧島さんがいるね。

 

「・・・私の勝ち。」

 

「・・・殺せ。」

 

「いい度胸だ!殺してやるッ!歯を食い縛れ!」

 

「これはちょっと私も納得いかないぜ!」

 

「最後の最後で台無しにするなんて、なにやってるんだよ!」

 

「アキ、魔理沙、正邪!ちょっとは落ち着きなさい!」

 

「ちょっと正邪ちゃん!?その手にある鉛筆はさすがにストップだよ!」

 

「ま、魔理沙ちゃん、ストップです!とりあえず落ち着いてください!」

 

気持ちはわかるけどね?

でもこのまま放置しとくとほんとに坂本君の命がなくなりそうだから、自業自得なとこもあるけど今回はとめないとまずいかなってね。

 

「雄二!53点ってなんだよ!0点とかなら名前の書き忘れの線もありえるのに、この点数ってことは・・・」

 

「いかにも俺の全力だ。」

 

「「「この阿呆がーっ!!」」」

 

「落ち着きなさいアキ!あんたなら30点も取れないでしょうが!」

 

「それについては否定しない!でもコイツには喉笛を引き裂くっていう体罰が必要なんだ!」

 

「吉井君、それは体罰じゃなくて処刑です!」

 

「魔理沙、乱暴はダメだよ!」

 

「正邪、ストップだってば!」

 

「魔理沙さん、ダメですよ!落ち着いてください!」

 

「「「放せええぇーっ!」」」

 

 

~しばらくお待ちください~

 

 

「・・・なんとか落ち着いたぜ。」

 

「もう大丈夫だ。だが、これでも坂本のこと信じてたんだけどな。」

 

「坂本って、バカだったの?」

 

「・・・でも、危なかった。雄二が所詮小学生レベルだと油断してなかったら負けてた。」

 

「この最後の最後での失敗、私の頭のなかに残り続けるでしょうね。」

 

「・・・マジすんませんでした。」

 

坂本君、土下座でもしかねない勢いだ。

まあ、正邪ちゃんと阿求ちゃんの目がかなり冷たいし、お空の無邪気な一言はグサリと来るからね。

 

「・・・それで雄二、約束。」

 

「・・・・・・!(カチャカチャ)」

 

ムッツリーニ君、何をうつそうとしてるのかな?

 

「ムッツリーニ、なにか僕に手伝えることはある!?」

 

「・・・そこのケーブルをコンセントに繋げ。」

 

「了解!」

 

吉井君ものらないの。

でも、もし私達女子がそういう目にあう可能性があるとしたら、坂本君受けてもいいと言ったかな?

 

「・・・わかってる。なんでも言え。」

 

代表としてのせめてもの意地なのか、潔く返事した坂本君。

 

「・・・それじゃあ、雄二。私とつきあって。」

 

・・・え?

これって告白?

 

「・・・やっぱりか。まだ諦めてなかったんだな。」

 

「・・・私は諦めない。ずっとずっと、雄二のことが好き。」

 

「その話は何度も断っただろ?他の男と付き合う気はないのか?」

 

「・・・私の中には雄二しかいない。他の男なんて、興味ない。」

 

わぁ・・・!

なんというか、聞いてるこっちがドキドキしてくるよ・・・!

 

「拒否権は?」

 

「・・・ない。だから、今からデートに行く。」

 

「ぐあっ!放せ!やっぱりこの約束はなかったことに・・・」

 

ぐいっ、つかつかつか・・・

 

霧島さんが坂本君の首もとをつかんでひっぱっていった。

霧島さん意外と力あるね・・・じゃなかった、うまくいくといいねー!

私は霧島さんを応援するよ~!

 

「・・・さて、我がFクラスの生徒達よ、お遊びは終わりだ。」

 

みんなが無言になってるなか、やってきた鉄人先生がそんなことを・・・ん?我が?

 

「おめでとう。お前達は戦争に負けたおかげで担任が福原先生から俺に変わることになった。これから一年、死に物狂いで勉強できるぞ。よかったな。」

 

「「「ウソオォォ!?」」」

 

「いいか、確かにお前らはよくやった。Fクラスがここまで来るとは正直思わなかった。でもな、いくら『学力が全てではない』と言っても、人生を渡っていく上では強力な武器の一つなんだ。全てではないからといって、ないがしろにしていいものではない。」

 

あ、教育者っぽい言葉だ。

生活指導と補習室担当の姿しか普段見ないから若干新鮮だね。

 

「とりあえず、お前らのその好ましくない言動と態度、それと成績をこの一年かけて俺がみっちりと直してやろう。特に吉井と坂本だな。なんせ、お前らは開校以来初の《観察処分者》と《A級戦犯》だからな。」

 

「て、鉄人先生!?そういうのは雄二だけにしてください!僕はこれほど真面目で優秀なのに、どうしてそんなことを言うんですか!」

 

「どの口がそんな虚言を言ってるんだ。あと西村先生と呼べ。」

 

「そ、それは今どうでもいいんです!」

 

いや、それ吉井君が言うことじゃないけどね。

 

「とにかく先生!例えどんなに監視されても、僕は何とか監視の目をかいくぐって、今まで通りの楽しい学園生活を過ごしてみせます!」

 

「吉井、どうしてお前にはそこで反省するという選択肢が出てこないんだ・・・。」

 

鉄人が呆れてるけど、ほんとうにそうだよね。

別に吉井君そんなにものわかり悪いわけじゃないのに。

反抗期って奴かな?

 

「とりあえず、明日から補習の時間を2時間増やしてやろう。」

 

うげ。

それは私も嫌だな・・・。

お姉ちゃんといられる時間が減っちゃうなんてやだ!

 

「んじゃ、アキ。補習は明日からみたいだし今日はどっか遊びにいこ?」

 

「へ?今から?」

 

おー、デートのお誘いとはやるね~!

ひゅーひゅー!

 

「今からよ。ほら、アキ。どうせ暇でしょ?時間がもったいないし、はやく行くわよ!」

 

「えっ、僕にだってやることがあるし、お金だってほとんどないし・・・」

 

「ダメです!吉井君は私と映画を観に行くんです!」

 

「ええっ!?姫路さんまで!?しかもそんな話初耳だよ!?・・・先生、補習は明日からといわず今日からやりましょう!思い立ったら仏滅です!」

 

「『吉日』だ、バカ。まあ、うーん、お前がやる気になったのはいいが・・・ま、無理をすることはない。今日だけは存分に遊ぶといい。」

 

「お、おのれ鉄人!僕が苦境にいると知った上での狼藉だな!こうなったら卒業式には伝説の木の下で釘バットを持って貴様を待つ!」

 

「斬新な告白だな、オイ。」

 

間違いなくふられるんじゃないかな・・・。

第一、伝説の樹ってうちにはないような・・・。

てか、吉井君じゃ鉄人先生には勝てないと思う。

パーフェクト負けして倒れた吉井君を見下ろす鉄人先生が容易に想像できるな。

 

「ほら、早く行くわよアキ!」

 

「行きましょう、吉井君!」

 

「い、嫌あああっ!僕の食費が!僕の栄養があああっ!」

 

吉井君、二人にひっぱられていったけど、楽しんできてね~!

 

「さて、それじゃ私達も帰るとするぜ。じゃあこいし、一緒にかえ『昼飯奢りの約束、破るの?』ろうと思った私が悪かったからとりあえずその棒をおいてくれ!」

 

「じゃ、行くわよ~!魔理沙のおごり、魔理沙のおっごり~♪」

 

あら、霊夢さんに魔理沙連れていかれちゃった。

 

「お姉ちゃん、ほどほどにね?」

 

「わかってるわよ。天丼カツ丼うな丼いくら丼親子丼大盛り3つづつくらいしか頼まないつもりよ。」

 

「あの、お姉ちゃん?普通はその中のどれかひとつだからね?」

 

ほんと、霊夢さんは常識にとらわれてないよね。

冬眠前の熊みたいに、霊夢さんは食べられるときにたくさん食べて蓄えるから・・・。

太らないのかと言われそうだけど、普段の主食は雑草や公園の水だから、平均摂取カロリーは一般人以下だからね。

 

「それならこいし、私とお空と帰らないか?」

 

「うん、いいよ、正邪ちゃん、お空!」

 

「いっしょに帰ろ~!」

 

結局、私は正邪ちゃんとお空と帰った。

 

 

 

 

 

「そういえば木下君知らない?さっきから全然見かけなくて。」

 

「うにゅ?知らないよ?」

 

「木下か・・・・・・あいつはいい奴だったよ。」

 

「正邪ちゃん知ってるの?」

 

「直接見た訳じゃないんだが、トイレの帰りに返り血がついたAクラスの木下姉に出会ってな、何してたか聞いてみたら『秀吉は急用ができたから先に帰ったわよ』って笑顔で言われたんだよな・・・。」

 

「「・・・・・・。」」

 




いかがでしたか?
霊夢さんはものすごい食べます。
そして第一部終了です。


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幕間『ラブレター騒動!』 第十五話「ラブレター!」

幕間。
ラブレター騒動やります。


 

 

 

「お姉ちゃん、本当にいい天気だね~!こんな天気だとつい楽しい気分にならない?」

 

今日もいい天気だね~!

晴れ渡る空、温かい日差し、そして散り始めた桜。

こういう日は、テンションが上がるよ!

 

「あんた、机がみかん箱になったのに随分元気ね・・・。」

 

「だって今はお姉ちゃんと一緒だもん。」

 

先日の試召戦争で、最後に坂本君がやらかしてくれたおかげで、私達Fクラスの設備はさらにランクダウンし、みかん箱とござになっちゃった。

でも、今はお姉ちゃんがいるからそんな憂鬱な気分なんて吹っ飛ぶよ!

 

「・・・と、私は先に行くわね。ちょっと部活で用事が出来ちゃったから。」

 

・・・えっ?

イマナンテイッタノ?

 

「こ、こいし・・・。そんな捨てられた子犬のような目をしなくても・・・。」

 

「お姉ちゃん、私も行く!」

 

「・・・まあいいけど、校門までよ?」

 

えー。

まあ、しょうがないか。

お姉ちゃんの邪魔はしたくないもんね。

ちなみに、お姉ちゃんは美術部だよ。

 

 

 

 

 

 

 

校門までお姉ちゃんと走る。

校門には鉄人・・・じゃなかった西村先生が立ってるね。

 

「おはようございます、西村先生。」

 

「おはよーございます、先生!」

 

「おう、おはよう!部活の朝練か?関心だ・・・」

 

あれ?

鉄人がこっちふりむいて固まっちゃった。

 

「先生?どうしました?」

 

「・・・すまない、少し間違えた。」

 

「何を間違えたの?」

 

「古明地姉は部活、感心だな。妹の方は何故早く来たんだ?吉井と何か企んでたのか?」

 

「間違えたって接する態度?」

 

ひどくない?

でもなんで吉井君の名前が出てきたんだろう?

 

「こいし、どうやら彼は少し前に来たみたいよ。」

 

「古明地姉の言う通りだ。吉井には今サッカーゴールを撤去させてるところだから、何か企んでたなら残念だったな。」

 

なるほど、少し前に来てたのね。

サッカーゴールなんて重いもの運ばせるなんて、何も知らなきゃ教育委員会に訴えられるような虐待レベルだよね。

私達が使う召喚獣は、人間の数倍のパワーを出せるんだけど、ものに触れることはできない。

でも、《監察処分者》である吉井君の召喚獣は特別仕様で、ものにさわることができるんだよね。

これだけ聞くとものすごく良さそうだけど、実際は教師の立ち会いがないと召喚できないし、召喚獣の感覚の何割かが吉井君本人にフィードバックするから、あまりいいことじゃないんだよね。

サッカーゴールみたいな重いもの運べば吉井君も疲れる。

多分、普通に10キロのもの持ってる位には疲れるんじゃないかな?

ちなみに、先生の召喚獣もものに触れるみたい。

もちろん、フィードバックは無いよ。

 

「私はお姉ちゃんと一緒に来たかっただけですよ?お姉ちゃんだーいすき!」

 

「・・・と、私はもう行かなきゃ行けないわね。」

 

「おう、部活頑張りなさい。」

 

私の言葉無視された・・・ぐすん。

お姉ちゃんも走ってく。

はあ・・・、私も行こうかな・・・。

 

「古明地、一応言っておくが、美術部の使用している教室を窓やドアから覗かないようにな。」

 

「・・・・・・・・・」

 

「返事をしなさい。」

 

「いいノー。」

 

「いいえとノーを混ぜるな!返事ははいだ!」

 

・・・痛い。

また鉄拳落とされた。

しょうがない、諦めて行こう・・・。

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?これはなんだろう?」

 

教室に行くため、昇降口で上履きに履き替えようとしてたら、なんか便箋が落ちてるの見つけた。

・・・とりあえず、見てみようかな。

 

《吉井明久様へ》

 

・・・・・・おー!

ラブレターだったとは、吉井君もやるね~!

とりあえず、床に落ちてるのもアレだし、ぽいっと!

吉井君の下駄箱にこの手紙を入れてっと!

でも、どっかで見たような気がするんだよね・・・?

まあいっか!

さて、せっかく早く来たんだし、アレやっておこうかな?

 

 

 

 

 

 

Fクラスではないどこかの空き教室。

そこで、私は一人の男と、人目を忍んで会っていた。

 

「・・・用件は?」

 

「私の撮影と、お姉ちゃんの写真!」

 

「・・・毎度。」

 

それはムッツリーニ君だよ。

ムッツリーニ君は、撮った写真を売る、いわゆるムッツリ商会というのをやってるんだよね。

いい写真が多いから、かなりお世話になってる人多いんじゃないかな?

・・・盗撮だけど。

 

「・・・とりあえず、そこに立ってくれ。」

 

でも、私は盗撮されるの嫌だから、ムッツリーニ君の指示通りのポーズの写真とかを提供する代わりに、盗撮はしないのと、お姉ちゃんの写真を報酬に貰うように契約してるんだよね。

お姉ちゃんの写真、男の子に買われるなんて嫌だから、私が出来るだけ買い占めるようにしてるんだけど。

ムッツリーニ君もそんな過激なポーズ要求するわけじゃないしね。

そんなこんなで撮影を済まし、教室向かった頃にはもうSHRのはじまりが近くなってるね。

 

「おはようだな、古明地。」

 

「おはよう、正邪ちゃん!」

 

「おはよう、こいしちゃん!」

 

「おはよう!お空!」

 

挨拶をかわし、私も席につく。

そういえば吉井君はあのラブレター見たのかな?

・・・ちょっと聞いてみよっと!

 

「お前ら、SHRの時間だ。全員、席につくように。」

 

・・・と思ったら先生が来ちゃった。

しょうがない、あとでにしようっと。

出欠確認、返事したらさっき買ったお姉ちゃんの写真見よう!

 

「鬼人。」

 

「いいえ。」

 

「いいえってことは欠席だな。木下。」

 

「はい。」

 

「霧雨。」

 

「ういっす!」

 

「返事ははいだ。」

 

「はいだぜ。」

 

「ちょっと待ってくれ先生、はい!」

 

「最初からはいと返事しろ、鬼人。」

 

正邪ちゃん、時々あまのじゃくだからね・・・。

出欠は進んでいく。

 

「古明地。」

 

「はーい!」

 

「斎藤。」

 

「はい。」

 

よし、呼ばれたし、お姉ちゃん観賞タイムに・・・

 

「坂本。」

 

「・・・・・・明久がラブレターを貰ったようだ。」

 

「「「「「殺せええええっ!」」」」」

 

わっ、なに!?

普通だった教室がいきなりおかしくなったよ!?

 

「ゆ、雄二!いったいなんてこと言い出すんだ!」

 

「吉井が貰ってるなら、俺達にだってあってもおかしくないはずだ!自分の席の周辺を探してみろ!」

 

「ダメだ!腐りかけのパンと食べかけのパンしか出てこねえっ!」

 

「もっとよく探してみろ!」

 

「・・・・・・出てきたっ!未開封のパンだ!」

 

「お前は一体なにを探してるんだ!?」

 

みんながざわざわしてる。

とりあえず、なんで食べかけのパン放置してたのか気になるな。

 

「お前らっ!静かにしろ!」

 

でも、先生の一喝でしずまりかえった。

すごいな~。

まあ、このままだと暴動がおきてもおかしくなかったもんね。

とりあえず安心かな?

 

「出欠を続けるぞ。沢田。」

 

「吉井コロス。」

 

「島田。」

 

「アキのバカ。」

 

「白石。」

 

「吉井コロス。」

 

「進藤。」

 

「吉井コロス。」

 

・・・全然安心じゃなかったよ。

 

「みんな落ち着くんだ!ほとんどの返事が『吉井コロス。』に変わってるよ!」

 

「吉井、静かにしろ!」

 

え、そっち?

 

「僕じゃなくて他のみんなを注意してください!このままではみんな僕に殴る蹴るの暴行をくわえてしまいます!」

 

「原田。」

 

「吉井マジコロス。」

 

「稗田。」

 

「はい。」

 

「姫路。」

 

「は、はい。」

 

「福田。」

 

「吉井ブチコロス。」

 

さ、殺意が・・・・・・。

それに動じず出席続ける西村先生もどうかと思うけど・・・。

 

「・・・よし、遅刻欠席はないようだな。今日も一日勉学に励むように。」

 

「待って先生!可愛い生徒を見捨てないで!」

 

普通に去ろうとした西村先生に対して吉井君がすがりつく。

実際、間違いなく吉井君は酷い目にあうだろうしね。

 

「吉井、間違えるな。」

 

ん?

間違いってなんなんだろ?

先生は扉に手をかけたままだけど、吉井君を助けるのかな?

 

「お前はブサイクだ。」

 

「ブサイクとまで言われるとは思ってなかったよバカ!」

 

ブサイクって・・・。

私もそれは予想してなかったな。

そのまま扉を閉めて行っちゃう先生。

これは間違いなくひと波乱おきるね。

私としては、静かにお姉ちゃんの写真を観賞してたいんだけど、ラブレターも少し気になるんだよね。

 

「アーキー?ウチに教えてくれるかしらー?その手紙は誰から貰ったの?」

 

と、早速美波ちゃんが行った。

チンピラがガンを飛ばすように、吉井君に顔を近づけて聞き出そうとしてる。

 

「ちょっ、美波さん、顔が近い近い!」

 

「い、いいのよ今は!で、誰からのラブレターなのかしらー?男子?それとも女子?」

 

「男子という選択肢を入れないで!あってほしくないから!」

 

「じゃあやっぱり女の子からなのね・・・!アキのバカァーッ!」

 

「ぐはっ!そっいわれてっもね、僕にもっなにがなんだっか!?」

 

「ちょっ、美波ちゃん!吉井君が苦しんでる苦しんでる!」

 

どんどんと吉井君の胸を叩く美波ちゃん。

でも、吉井君叩かれるたびに息つまってるからもうちょっと優しくしてあげて!

 

「なあ吉井、それ私にも見せてほしいんだぜ?」

 

「私にも見せてくれよ?」

 

「魔理沙に正邪!?でも、僕、まだ読んでなくて・・・。」

 

「そうなのか?だったらこけで声に出して読み上げるんだぜ!」

 

「君は鬼かい!?やらないよ!」

 

「冗談だって。とりあえず、見せてくれないか?」

 

魔理沙と正邪ちゃんは手紙を平和的に見たいみたいだね。

だったら私も見たい!

 

「ねーねー吉井君、私にも見せて~?」

 

「私もみたいな~?」

 

「古明地さんと霊路地さんまで!?でも、人のラブレターを勝手に見せるのは・・・」

 

「あ、あの、吉井君。できれば、ですけど・・・、私にも手紙を見せて欲しいです・・・。」

 

「姫路さんも!?・・・みんな、ごめん。これは見せられない。」

 

「そうか、残念だな・・・。でも・・・」

 

「それは是非とも見てみたくなったな。だが・・・」

 

「そうですか・・・。でも・・・」

 

「「「私は吉井(君)に酷いことしたくないんだぜ?(ないんだけどな?)(ないんです!)」」」

 

三人の声を揃えての脅迫はやめてあげて!

 

「ちょっと待って三人とも!なんで僕に危害をくわえるのが前提なの!?」

 

「吉井が見せないからだぜ?」

 

「理由になってないよっ!」

 

「あの、みなさん、ちょっと落ち着いて吉井君の話聞いてあげてください!」

 

混沌と呼べるこの状況のなか、阿求ちゃんが仲裁に入る。

 

「確かに稗田の言う通りだ。お前ら、いったん落ち着け。」

 

坂本君がみんなを落ち着かせた。

なんだかんだで、友人のピンチには助けてあげようとし・・・あれ?

でも、この騒動って坂本君がラブレターのことカミングアウトしたのがきっかけだったような気がするんだよね・・・?

やりすぎたと思ったのかな?

でも、坂本君だし・・・。

 

「今大事なことは、明久の手紙を見ることじゃない。」

 

「ありがとうございます坂本君。まずはみんな吉井君の話を聞いてから・・・」

 

「問題は、明久をどうグロテスクに殺すかだ。」

 

「違いますよ!?」

 

これは酷い。

 

「前提条件が間違ってるんだよチクショウ!」

 

「逃がすな!追撃隊を組織しろ!」

 

「サーチアンドデス!」

 

「そこはせめてデストロイで!」

 

「みなさん、いったん待って・・・」

 

荷物をひっつかんで逃走する吉井君と、それを追うみんな。

阿求ちゃんの言葉は届かなかったみたいだ。

教室に残ってるのは美波ちゃん、木下君、阿求ちゃん、お空、あと私しかいない。

全員女子・・・じゃなかったね。木下君男だ。

・・・・・・・でも、なんというか、アレだよね。

落ちてた奴とはいえ、ラブレターを吉井君のところに入れたのは私でもあるわけだし、収集つけないといけないかもだよね。

 

「じゃあ、ちょっと収集つけてくるね。」

 

「あ、こいしちゃん、私もいっていい?」

 

どうやら、お空も来たいみたいだね。

かまわないけど、大丈夫かな?

 

 




いかがでしたか?
この世界の美波ちゃんは少し優しいです。


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第十六話「収拾!」

 

 

 

みんなを止めようと、教室を出たはいいんだけど、どうやったらいいのかな?

いい方法が浮かばないや。

 

「ねえお空、なにかいいアイデアない?」

 

「んー、ゴリラ先生に頼むのは?」

 

ゴリラ先生・・・西村先生のことなのかな?

 

「悪くはないかもしれないけど、下手したら私達が捕まっちゃうんじゃないかな?」

 

目的がどうであれ、授業中に外出ているというのは変わらないしね。

それに、さっき吉井君見捨てたし・・・。

 

「とりあえず、吉井君捜してみようかな?」

 

先生に一応注意しながら吉井君を探す。

 

「あれ?なんか焦げ臭くないかな?」

 

「うん、私も感じるよ。」

 

とある空き教室通った時、なんか焦げ臭い匂いがしてきたんだよね。

覗いてみよ~っと。

 

「・・・・・・えー。」

 

そこにあったのは、濡れたサッカーゴールのネットとスタンガン。

あと5人の男子生徒の死体だね。

死んでないけど。

 

「これ、間違いなく吉井君の迎撃だと思うけど、やりすぎじゃないかな・・・?」

 

「とりあえず、助けてあげた方がいいんじゃないかな?」

 

「うん、そうだね。」

 

私達じゃ保健室に運ぶことは出来ないけど、せめてスタンガンを止めておかないとね。

 

「えーと、スイッチはこれで・・・ネットを取って・・・きゃっ!」

 

ネットかなり熱かったよ!

バチってきた!

 

「・・・しょうがないから放置していこっと。行こ、お空。」

 

「うん、行こう!」

 

とりあえず、私が持っているメモにこのことを書いて教室前に貼って・・・と。

西村先生あたりが見つけたら保健室に連れていってくれるよねきっと!

・・・行くのは補習室かもしれないけど。

 

 

 

 

 

 

「・・・吉井君、なかなか凄いね。」

 

あの後も、本棚の下敷きになっているクラスメイト、縄でまとめて縛られてるクラスメイト、空き教室に閉じ込められていたクラスメイト、出血多量で倒れてたムッツリーニ君とかいたしね。

これだけのことを全部吉井君がやったと考えると、凄いよね。

 

「でも、吉井君、どこに行ったんだろ?」

 

「あ、あれじゃない?」

 

お空が指差した先には・・・正邪ちゃんと一緒にいる吉井君だね。

でも、正邪ちゃんさっき吉井君脅迫してなかったかな?

・・・ま、いっか!

 

「やっほー、吉井君!」

 

「・・・こ、古明地さんと霊路地さん!?まさか、君達も僕の手紙を?」

 

「見せてくれるなら嬉しいけど、手荒な真似はしないつもりだよ。」

 

私達の目的は事態の収集だもんね。

 

「吉井、屋上で読むんじゃないのか?」

 

「・・・っと、そうだったね。」

 

「ねーねー、私達も行ってもいい?」

 

「え・・・?」

 

「ついていっちゃダメなら、この場で手紙を奪っちゃうよ?」

 

嘘だけどね。

ただついていきたいだけだよ。

・・・まあ、見たいのは事実だし、チャンスがあれば見るけどね。

 

「・・・わかったよ。でも、まずは手紙は一人で読ませてね。」

 

「私も覗き見なんてするつもりないからな。」

 

「私もお空も、そんなことしないよ?」

 

やった、交渉成立だね!

4人で屋上に向かう。

 

「・・・明久、やはりここまで来たか。」

 

「吉井君、言うことを聞いてください。」

 

「・・・!雄二、それに姫路さん・・・。」

 

でも、そこには坂本君と姫路ちゃん。

なんか、ラスボスみたいなポジションだよね。

まずは話し合いでどうにかしようとする吉井君。

 

「雄二、こんなことをして、雄二に何の得があるのさ!」

 

「得?そんなもの決まっている。明久が不幸になるのを見るのが、俺にとって最大の得さ。」

 

「あんたは最低の友達だ!」

 

・・・・・・吉井君、それ、世間一般では友達と呼ばないんじゃないかな・・・。

相変わらず、2人が友達か疑わしくなるよね。

 

「さあ明久、言葉はいらねえ。かかってこい。姫路、上着を頼む。」

 

「は、はい。」

 

上着を脱いで姫路ちゃんに預ける坂本君。

殺る気だね。

私達にはどうしようもないし、見てようかな。

 

「しょうがない、ラブレターをくれた女の子のためにも、ここで負けるわけにはいかない!正邪、上着をお願い!」

 

「よし、受け取った。」

 

上着を受けとる正邪ちゃん。

・・・あっ。

 

「さあ雄二、尋常に勝負だ!」

 

「・・・お前、バカだろう。」

 

「え?」

 

呆れたような表情をして正邪ちゃんの方を見る坂本君。

それで吉井君が正邪ちゃんの方を振り向く。

そこには手紙を持つ正邪ちゃんの姿。

・・・いや、吉井君。

入れた場所くらい覚えておこうよ。

 

「せ、正邪!?見ないって言ったじゃないか!」

 

「ああ、言ったな。『覗き見』はしないとな。」

 

「ひどいよっ!」

 

うわー、ゲス顔だー。

 

「正邪、ここは俺が抑えておく!俺のことは気にせず、手紙をやってくれ!」

 

「くっ、離せ雄二ィ!」

 

坂本君に羽交い締めされて暴れる吉井君。

こうなったら、私がやることはひとつだよね!

 

「正邪ちゃん、私にも見せて?」

 

「私も私も!」

 

「構わないぞ。ほい。」

 

もちろん、手紙を読むことだよ!

お空と一緒に読む。

ふむふむ、へえ~!

なるほどね~!

 

「あ、あのこいしちゃん、ちょっとその手紙、見せてくれませんか?」

 

「いいよ~、はい!」

 

姫路ちゃんに手紙を渡す。

でも、どうしたのかな?

姫路ちゃん、手紙の中身知ってるはずなのに。

 

「やっぱり・・・・・・。しょうがないですっ、えいっ!(びりびり)」

 

「ああーっ!記念すべき僕の大事な初ラブレターが小さな紙切れにいーッ!」

 

絶叫する吉井君。

 

「・・・すまん、明久。俺もこうなるとまでは思ってなかったんだ。」

 

坂本君が拘束を解除して、珍しく神妙に謝る。

確かに、普段の彼女からは、ここまですると思わないよね。

 

「まあ、友人としてのせめてもの情けだ。」

 

「雄二、まさか、手紙を復元するのを手伝ってくれるの?」

 

「未練を絶ってやる。」

 

シュボッ、メラメラメラ・・・

坂本君が取り出したライターから出る火が、手紙だったものを包んでいく。

 

「どうだい、明るくなっただろう?」

 

「ちょっと、何完全に消滅をはかろうとしてるんだよ!?誰か、誰か水を持ってきて!」

 

吉井君の叫びもむなしく、完全に燃え尽き、灰になっちゃった。

吉井君本人も、燃え尽きたようになってる。

 

「み、みなさん、このことはどうか内密でお願いします・・・。」

 

「うん、わかったよ!」

 

「ああ、秘密にしておこう。」

 

まあ、そうじゃなかったら、わざわざ手紙破ったりしないよね。

 

「ああ・・・、僕の手紙、僕の手紙・・・。」

 

ああいう感じで悲しみにくれている吉井君見ると言いたくなっちゃうけど。

ここは心を鬼にしないと!

 

「貴様ら・・・!やっと見つけたぞ・・・!」

 

・・・本物の鬼?

いや、西村先生だった。

・・・すごくおこだけど。

 

「授業をサボってこんなところにいるとはいい度胸だな・・・!貴様らにはたっぷりと教育をしてやろう。」

 

「ち、違うんです西村先生!僕は雄二に巻き込まれただけで・・・」

 

「おい明久、これの原因はお前にあるだろうが、だからここは明久を・・・」

 

「わ、私はみんなを止めようとしただけだから悪くないんだ!だから私以外を・・・」

 

「問答無用!」

 

「「「イヤアアアァア!」」」

 

三人の言い訳もむなしく、私やお空も含めた全員ひっぱられていった。

 

 

・・・このあと、滅茶苦茶怒られた。

一応私達は抑えようとしてたのにな。




いかがでしたか?
次は明久視点。


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第十七話「収拾!SideA」

今回明久視点。


 

 

現在、僕は悪魔に追われています。

 

「いたぞ!吉井だ!引っ捕らえて処刑しろ!」

 

「B隊は回り込み、C隊はこのまま追いかけて挟み撃ちにするんだぜ!」

 

「「「了解っ!」」」

 

「サーチアンド・・・」

 

「「「デス!」」」

 

後ろから聞こえてくる、全てを奪おうとする悪魔達の声。

悪魔理沙が部隊を編成して、僕を追い詰めようとしている。

まったく、僕がイケメンでラブレターをもらったからといって、そんなに嫉妬しないで欲しいよね。

これから貰えるかわからないんだから、一人でゆっくり読ませて欲しいものだよ。

・・・やだな、泣いてなんかいないよ?

 

「・・・吉井、見つけたぞ。」

 

「うわっ、正邪!?」

 

目から出た塩水を拭いながら走っていたら、目の前に正邪が出てきた。

いきなりだから結構びっくりしたよ。

 

「まあ落ち着け。私はお前に協力しようと思ってな。」

 

「・・・協力?」

 

さっき、僕のこと脅迫していたような気がするんだけどな・・・。

 

「少し考え直してな。お前もこのまま全員に捕まって手紙を取られるのは嫌だろ?」

 

確かにそうだね。

理由はわからないけど、味方がいた方が安心だ。

 

「うん、わかったよ。ありがとね。」

 

「気にすんな。・・・これも、手紙を平和的に見るためだからな。」

 

「ん?正邪、なんか言った?」

 

「いや、何も言ってないぞ?それより、逃げなくていいのか?」

 

正邪の言葉で振り返ると、確かに悪魔達が迫っていた。

 

「いたぞ!吉井だ!正邪も一緒にいるぞ!」

 

「・・・げっ。行こう、正邪!」

 

「おう、そうだな!」

 

僕と正邪は走り出す。

悪魔達から逃げ切り、幸せをつかむために。

 

「・・・その言い方だと、私とお前がそういう感じだと聞こえるからやめてくれ。」

 

「あ、ごめん。」

 

「吉井!観念して手紙を出しやがれ!」

 

「げ、前からも来た。」

 

このままだとはさまれちゃうから、やむなく近くの空き教室に逃げ込む。

なにか、なにかこの状況を打開できるものは・・・あった!

 

「正邪!これを入り口の上にひっかけるんだ!」

 

「おう、任せとけ。」

 

あとはタイミングを待つだけ・・・

 

「観念しやが『今だ、正邪!引っ張って!』うおっ!?」

 

全員が入った瞬間、僕と正邪で、さっきかけたゴールネットをひっぱる。

狙い通り、ネットにつつまれる五人。

 

「端の奴から出て吉井を引っ捕らえろ!」

 

「ああ、だがこのネット、濡れているから体に張り付いて・・・。」

 

それでもすぐに脱出しようとする悪魔達。

でも、僕がこれだけで終わるなんて思わないでほしいね!

 

「正邪は離れて!」

 

「おう!」

 

正邪が離れたことを確認し、僕は秘密兵器を取り出す。

 

「お、お前まさか!やめろ!」

 

「さらばだ!来世では悔い改めるんだよ!」

 

僕が取り出したのは、ムッツリーニから借りていたスタンガン。

これを、濡れたネットにつつまれたクラスメイトに、スイッチをONにして投げつける!

 

「「「ぎゃあああああっ!」」」

 

バチバチバチッ!と激しい音に焦げ臭い臭い。

そして、気絶するクラスメイト達。

よし、まずは5人だ!

 

「うわぁ、お前、容赦ないな。」

 

正邪がちょっとひいてるけど、こうでもしないとこの悪魔達は抑えられないしね。

 

「よし、今のうちに行こう!」

 

僕達はこのまま出る。

絶対に、この聖書を悪魔に奪わせはしないよ!

 

 

 

 

 

 

 

「やあお前ら、調子はどうだ?」

 

「!?・・・ああ、正邪か。吉井を殺る気は充分だ。吉井を見なかったか?」

 

「ああ、見たぞ。場所を教えてやろうか?」

 

「頼む。」

 

「・・・お前らの、後ろだ。」

 

「だらっしゃあああぁっ!」

 

「「「うわああああっ!」」」

 

正邪がクラスメイトの注意をひきつけている間に、僕は本棚を倒す。

ずしいいいんと大きな音をたてて倒れる本棚と、その下敷きになるクラスメイト達。

よし、これでまた無力化できたね!

 

「人の恋路を邪魔するからそうなるんだよ!さらばだ!」

 

「おのれ吉井!裏切り者め!」

 

「絶対に許早苗!」

 

「正邪さん、もっとやってください!」

 

「覚えていろ!お前の幸せは絶対にぶち壊す!」

 

「・・・本当に、歪んだクラスメイト達だなあ・・・。」

 

なんかMな人いたし。

 

「吉井、そこのモップで出入り口封鎖した方がいいぞ。」

 

「確かにそうだね。ありがと、正邪。助かるよおおおーっ!?」

 

危なっ!

いきなり飛んできた文房具。

なんとか回避したけど、あともう少し遅かったらと思うとぞっとする。

壁に刺さってるし。

 

「・・・動かなければ、楽にしてやれたのに。」

 

「さらっと何言ってるんだよムッツリーニ!」

 

「おいおい、私まで巻き込むとはどういうつもりだ?」

 

「・・・必要な、犠牲だ。」

 

僕にカッターを投げてきたのはやっぱり、元友人で、現在は敵のムッツリーニだった。

しょうがない、ラブレターのためにも眠ってもらうよ!

 

「とりあえず覚悟、ムッツリー『・・・次はカッター』やっぱり話し合おう。」

 

やっぱり友達に暴力なんてダメだよね。

 

「ムッツリーニ、そっちの欲求は?」

 

「やはり、吉井の手紙を奪うことなのか?」

 

「・・・そんなんじゃない。こちらの要求は・・・。」

 

あれ?

手紙を奪う気ないのかな?もしかしてムッツリーニも『・・・グロテスク。』悪魔だったよ畜生!

僕はこれほどどうにもならない交渉をしたことがない。

でもなんとかし『・・・交渉決裂。』ようとする前にダメじゃん!

しょうがない、殺るしかない!

 

「・・・動くな。」

 

「イヤだよ!」

 

飛んでくる文房具を必死に回避する。

 

「うわ、しまった!」

 

だけど、正邪が回避の際にバランスを崩してこけてしまう。

 

「・・・・・・青!(ブシャアアア)」

 

「おい、見るんじゃない!」

 

正邪がこけた時、パンツが見えたのか、鼻血を盛大に吹いて倒れるムッツリーニ。

倒れてもなお、僕を殺ろうとしたのかピクピク動いていたけど、やがて動かなくなった。

・・・勝った、第三部完。

 

「と、とにかく行こう!」

 

「私にとっては不本意だがな・・・。」

 

血まみれのムッツリーニを背に、僕と正邪はむかう。

 

「ところで、吉井はどこで手紙を見るつもりなんだ?」

 

「んー、特に決めてないかな。」

 

「屋上とかどうだ?」

 

「いいねそれ!」

 

確かに屋上なら良さそうだ!

いいアイデアだよ正邪!

早速、屋上へ行こう!

・・・と、その前にムッツリーニの死体から武器をとっておこうっと!

 

 

 

 

 

 

 

「おっと、ここを通りたいなら手紙を置いていくんだぜ。」

 

「魔理沙、そこをどいてくれない?」

 

屋上へ向かう道の途中。

僕の前に立ち塞がったのは魔理沙だった。

 

「それは無理な相談なんだぜ。通りたいなら力づくでどかすんだな。」

 

「でも、2対1で、魔理沙が勝てると思うの?」

 

「いいや、2対2だぜ。サモン、須川!」

 

「いや、俺は召喚獣じゃないんだけどな。」

 

魔理沙の声であらわれたのは異端審問会会長の須川君だった。

手には木刀を持っている。

 

「吉井、俺はお前の幸せを許さない。この木刀は剣道部から借りてきた。さあ、覚悟しろ。」

 

「くっ・・・!卑怯な・・・!」

 

「いや吉井、お前死体から武器を取ってなかったか?」

 

・・・あ、そうだった!

 

「なら正邪は魔理沙をお願い!僕は須川君を殺る!さあ、この武器の山葵にしてあげるよ!」

 

そういいつつ、僕はムッツリーニから取った武器を取り出す。

どうだ須川君!僕だって爪切り装備しているから丸腰じゃないよ!

・・・ん?

 

「「「吉井・・・・・・。」」」

 

みんなのバカを見るような目が物凄く辛いです。

 

「くっ、いいさ!これでやってやる!覚悟!」

 

「いや爪切り使わない方が強いだろ!」

 

「吉井、お前こそ覚悟しろ!」

 

それぞれの考えを持つ四人が、今ぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・まさか、本当に爪切りで勝てるとはね・・・。」

 

勝てちゃった。

深爪になって地面に倒れ伏す須川君。

その横に転がっている木刀。

 

「く、くそ・・・!吉井、お前の幸せだけは許さねえ・・・!」

 

「こっちも魔理沙は終わったぞ。」

 

「正邪!無事だったんだね!」

 

「まあな。」

 

よし、これで邪魔する人達もいなくなったはずだし、屋上に向かおう!

 

 

 

 

 

「正邪、あとは頼むぞ・・・。吉井の手紙を見届け、私に教えてくれ・・・ガクッ。」




いかがでしたか?
正邪と魔理沙は策士であった。
次からは文化祭編です。


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第二章『文化祭!』 第十八話「学園祭準備!」

 

 

 

「お姉ちゃん、本当にいい天気だね~!こんな天気だと、つい外で遊びたくならない?」

 

今日もいい天気だね~!

雲ひとつなく晴れ渡る空、温かい日差し、葉っぱだけになった桜。

こういう日は、テンションが上がるよ!

・・・普段ならね。

 

「こいし、今は外の天気を気にするんじゃなくて仕事をしなさい。」

 

私やお姉ちゃん、その他は文月学園の文化祭実行委員だ。

・・・正直、自分でひきうけたとはいえめんどくさいな。

お姉ちゃんがいたからやってるけど、お姉ちゃんと話したり抱きついたりするチャンスあんまりないし。

 

「・・・ここじゃなくても、学校で抱きつくのはダメよ。」

 

「・・・・・・( ;∀;)」

 

あれ、おかしいな?

無意識のうちに塩水が目から流れてるよ?

 

「泣いてないで仕事をしっかりこなしなさい。」

 

むー、お姉ちゃんが鬼だ。

 

「・・・まあ、もし、あんたが仕事を真剣にやったらだけど、私と召喚大会にで『やる!』・・・じゃ、頑張りなさい。」

 

召喚大会。

その名の通り、召喚獣を使ったトーナメント制のバトルで、優勝すると賞品として商品券とかが貰えるんだよね。

それに、クラスが違うから普段はお姉ちゃんと肩を並べて戦うことができないけど、この大会ならできるからね!

 

「お姉ちゃんと一緒に戦える~♪楽しみだな~♪・・・あ、お姉ちゃん、仕事終わったよ!」

 

「・・・相変わらず、やる気だした時のあんたは凄いわね。」

 

そんな嬉しいことが待ってるんなら、仕事もはかどっちゃうよ!

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あれ?みんながいない。どこ行ったのかな?」

 

十分後、私は仕事を終えてクラスに戻ったんだけど、なんかクラスの人数が少ないな・・・?

姫路ちゃん、美波ちゃん、阿求ちゃん、木下君、お空しかいない。

男子全員と二人の女子がいな『わしは男じゃ!』木下君、こう言うときに勘が鋭いのは一般的に女性の特徴だよ?

 

「・・・あー、外、外見ればわかるわよ。」

 

美波ちゃんが、なんか言いづらそうにいう。

なにかあったのかな?

言われて外を見てみる。

 

「よっしゃ吉井!次は撃ってやるぜ!」

 

「もちろん撃たせるつもりはないよ!僕の魔球で三振になるがいい!」

 

「私も早く撃ちたいから正邪は早くヒットを撃つんだぜ。」

 

「・・・野球?」

 

野球・・・だよね。

何故か、Fクラスのほとんどの人達が野球やってる。

・・・楽しそう!

 

「楽しそうだから、私も行ってくる!」

 

きびすをかえし、外に出ようとする私。

でも、何故か、木下君に手を押さえられた。

 

「悪いことは言わないからやめておくのじゃ。もう一度外を見てみるべきなのじゃ。」

 

「・・・・・・あ。ありがとね、木下君。」

 

言われて外を見てみる。

そこでは野球ではなく鬼ごっこが行われているね。

・・・鬼が鉄人だけど。

楽しい遊戯というより、もはやデスゲームだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、これから文化祭の出し物について話し合う。まずは議事録進行ならびに実行委員を一人任命する。そいつに全権を委任するから、あとは任せた。」

 

頭にたんこぶがある坂本君が言う。

やる気ないね~。

 

「で、その実行委員だが、古明地は頼めるか?」

 

「私?私は忙しいから無理かな。」

 

実行委員と召喚大会があるからね。

それに、お姉ちゃんと文化祭まわる時間も確保しないといけないからね~。

 

「そうか、じゃあ島田はどうだ?」

 

「ウチ?ウチもちょっと、召喚大会で忙しいから無理ね・・・。魔理沙はどう?」

 

「私はやる気がないんだぜ。それに、なんとなく忙しくなりそうな気がするんだぜ。」

 

「忙しくなりそうな気がするってまた斬新な断り文句だな・・・。なら・・・、正邪しかいないのか・・・。」

 

なんかすごく嫌そう。

正邪ちゃんはまれに天邪鬼だから、こういうの向かなさそうだもんね。

親友に言う言葉としてはアレだけど、お空は鳥頭だから、多分自分でだした指示や出された意見を忘れちゃいそうだし。

 

「雄二、姫路さんや稗田さんはどう?」

 

「その二人には無理だな。多分全員の意見を真摯に聞いているうちにタイムアップになる。」

 

「あ、あの、それに私も美波ちゃんと召喚大会に出るので・・・。」

 

「私も、小鈴と出ることが決定しているので、少し厳しいですね・・・。推薦してくださることはありがたいことですが・・・。」

 

「あ、そうなの?それならごめんね。」

 

結構出る人が多いな~。

私とお姉ちゃんのペアだけじゃなくて、阿求ちゃんと本居さんのペア、美波ちゃんと姫路ちゃんのペアと、3人いるみたいだしね。

さっきの魔理沙のアレは多分、霊夢さんに強制的にとかなのかな?

 

「私は一応やるからには真面目にやるつもりだぞ?」

 

「・・・なら、正邪頼む。」

 

「よし、任せてくれ。だが、黒板に書く役を一人決めたい。」

 

正邪ちゃんは、黒板に書かせる人が欲しいみたい。

 

「なら、とりあえず、誰にやらせたいか、適当に3人程書いてくれ。俺は寝る・・・・・・zzz。」

 

坂本君寝ちゃった。

 

「そうか。それなら・・・」

 

①吉井

②明久

③アキ

 

「この中から決めてくれ。全員バカだけどな。」

 

「ちょっと、それ全部僕じゃないか!それに、さらっとバカ呼ばわりするなんて君はバカだ!」

 

正邪ちゃんは吉井君にやらせたいみたいだ。

多分、面白がってるよあれ。

 

「じゃあ投票を取るぞー。・・・・・・・・・えーと、①が41票、②が7票、③が1票だな。よし、吉井に決まったから頼むぞ。」

 

ちなみに、私は②に投票をしたよ!

寝てる坂本君以外は全員投票をしたみたいだね。

不平を言っても無駄だと悟ったのか、上がっていく吉井君。

 

「とりあえず、意見がある人は手をあげてくれ。」

 

そう言われて、何人かが手をあげる。

よかった、やる気がある人はいるみたいだね。

 

「じゃあ、ムッツリーニ。」

 

「(スック)・・・写真館。」

 

・・・ムッツリーニ君が言う写真館って、なんか嫌な予感がするのは私だけかな?

 

「よし、じゃあ吉井、書いてくれ。」

 

「わかったよ。」

 

【① 写真館『秘密の覗き部屋』】

 

・・・・・・待って、その名前は危ない匂いしかしないよ吉井君。

 

「じゃあ、次進藤。」

 

いや、正邪ちゃんも突っ込もうよ。

 

「メイド喫茶・・・はありふれているだろうし、ウェディング喫茶を提案したいかな。」

 

「ウェディング喫茶?それはどういうものなんだ?」

 

「やることは普通の喫茶店と変わらないけど、店員がウェディングドレスを着ているというものだよ。」

 

「ほー、なかなか面白そうだな。」

 

ウェディングドレスね・・・。

私が着るのもいいけど、お姉ちゃんが着ているのも見たいな。

まあ、もし、お姉ちゃんが誰か男とつきあうなら、そいつを抹殺したうえで、どんな男かを確かめないといけないけどね。

 

「じゃ、吉井、書いてくれ。」

 

「へいへい。」

 

【② ウェディング喫茶『人生の墓場』】

 

・・・・・・待って、吉井君結婚をそう考えているの?

美波ちゃんと姫路ちゃんが不満そうな目で見てるよ?

 

「・・・・・・じゃ、次は魔理沙。」

 

正邪ちゃん突っ込むの諦めたね。

 

「それならカジノとかはどうなんだぜ?生きるか死ぬか、とまでは言わないが、そこそこの賭けを他人がやってるのを見るのは楽しいんだぜ。」

 

「じゃ、吉井、しっかり書いてくれ。」

 

「ほいほい。」

 

【③ カジノ『Dead oa Araive』】

 

・・・待って、名前が物騒とかいう以前にスペルがおかしい。

それを言うなら『Dead or Alive』だよね。

 

「・・・・・・もういいや。次、斎藤。」

 

「俺はお化け屋敷をやりたい。怖さがありつつも客を楽しませ、まるで夢を見ているような奇妙な体験をさせられるのが理想だ。」

 

「・・・吉井、お化け屋敷だ。真面目に書け。」

 

「な、なんだか怖いな。」

 

【④ お化け屋敷『夢○国、ディ○・・・』】

 

「「「アウトーッ!」」」

 

さすがにこれは突っ込むよ!

 

「吉井、それ以上書くな。絶対に書くな。」

 

「で、でも正邪が書けって『いいから書くな!』・・・はい。」

 

よかった、どうにかなったよ。

使者がやってきたら洒落にならない。

 

「・・・じゃあ、最後に須川。」

 

「俺は中華喫茶を提案する。」

 

「中華喫茶?店員がチャイナドレスを着るのか?それとも中華料理を出すのか?」

 

「いや、あくまで喫茶店だから、ウーロン茶とか簡単な飲茶を出すだけになるよ。それに、チャイナドレスで客を釣りたい訳じゃない。最近じゃあヨーロピアン文化が中華料理の淘汰が見られるから、その流れを変えようと一石投じてみたいからな。焼け石に水かもしれないが、水滴が石を穿つとも言う。中華料理は古来からあって、料理文化の中心とも言われていて・・・」

 

この後3分ほど語り続ける須川君。

すごい熱だね。

 

「オーケーオーケー、わかったわかった。吉井、いい加減に真面目に書け。」

 

「せ、正邪、なんか怖いよ・・・?」

 

【⑤ 中華喫茶『ヨーロピアン』】

 

・・・・・・もう、何も言わないよ。

吉井君が書いた時、がらがらと扉を開ける音とともに鉄人先生が入ってくる。

 

「どうだ、清涼祭の出し物は決まったか?・・・これが候補だな。」

 

【① 写真館『秘密の覗き部屋』】

【② ウェディング喫茶『人生の墓場』】

【③ カジノ『Dead oa Araive』】

【④ お化け屋敷『夢○国、ディ○』】

【⑤ 中華喫茶『ヨーロピアン』】

 

「・・・補習の時間を倍にしたほうがいいかもしれんな。」

 

「先生!それを書いたのは吉井で、俺達は関係ありません!」

 

「ただ吉井がバカなだけで、俺達に補習は必要ありません!」

 

「全部吉井が悪いんです!」

 

「馬鹿者!みっともない言い訳をするな!」

 

「「「!!!」」」

 

教師として、一人の生徒を生け贄に、自分だけ助かろうとする行為は許せなかったみたい。

一喝に、みんなの背筋が思わず伸びる。

 

「先生は、バカな吉井を選んだ行為がバカだと言っているんだ!」

 

・・・確かにそうだけど、それなの?

いいのかなそれで。

 

「まったくお前らは・・・。少しは真面目にやったらどうだ。稼ぎを出して設備を良くしようという気持ちすらないのか。」

 

「「「!!!」」」

 

その言葉で、さっきみたいにみんながはっとする。

みんなやる気を出したのか、ざわざわし始めるクラス。

なかなかおさまらないから、正邪ちゃんが強引に多数決をとる。

それで・・・多いのは中華喫茶だね。

よ~し、がんばろ~っと!

 




いかがでしたか?
こいしちゃんってチャイナドレス似合いそうですよね。


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第十九話「転校!?」

 

 

「さて、中華喫茶に決まったわけだが、料理がうまい奴はいるか?」

 

「俺は飲茶や胡麻団子はできるから引き受けるよ。」

 

言い出しっぺなだけあり、須川君には自信があるみたいだね。

 

「・・・・・・(スック)」

 

あれ、ムッツリーニ君も?

なんか、意外だね。

 

「あれ、ムッツリーニ、料理なんて出来るの?」

 

「・・・・・・紳士のたしなみ。」

 

紳士のたしなみ?

中華料理が紳士のたしなみというのは聞いたことがないけどね。

もしかして、チャイナドレス目的に中華料理店通っていたら、見よう見まねで出来るようになったのかな?

 

「なるほどな。なら、厨房は須川と土屋を中心にしよう。次は、厨房で料理を担当する厨房班と、客の注文を取るホール班を決めるぞ。厨房班を希望するなら須川の方へ、ホール班を希望するなら私の方に来てくれ。」

 

んー、私はどうしようかなー?

一応、料理はそこそこ出来るんだけど、お姉ちゃんのごはんが美味しくて、あまり作らないからね。

・・・よーし、ホールにしよーっと!

 

「お空はどうするの?私はホール班だよ。」

 

「んー、私もホールにする!」

 

お空もホールにするみたい。

でも、注文を忘れちゃったりしないか不安だな。

・・・ま、いっか!

 

「うぅ・・・、厨房かホールか悩める皆さんが羨ましいですぅ・・・。」

 

横では姫路ちゃんがしょぼくれてた。

・・・確かに、料理が料理だもんね。

姫路ちゃんには悪いけど、殺人料理出したら客いなくなっちゃうし・・・。

 

「大丈夫だよ姫路さん!姫路さんはホールに向いているし、見た目もいいから華がでるよ!」

 

そんな姫路ちゃんに吉井君がフォローする。

お、男らしいね~!

姫路ちゃんも嬉しそうにしてる。

 

「アキ?なら、ウチはどうすればいいと思うかしら?」

 

「美波の料理の腕がわからないからなんとも言えないけど、やりたい方をやればいいんじゃないかな?そっちの方が楽しいからね。」

 

「そういうこと聞いてるんじゃないのに・・・。」

 

吉井君、そこはホール班だよと答えるべきところだよ。

美波ちゃんは結局ホールにしたみたい。

 

「私は厨房班にしましょう。」

 

「お?阿求、料理が出来たのか?」

 

「まあ、それなりに・・・というか、本で過去に読んだ知識とレシピをたよりに作るくらいですが・・・。」

 

「なら、ホールをやった方がいいと思うんだぜ。可愛いんだからな。」

 

「可愛いなんて、ありがとうございます。では、ホールにしましょうかね。」

 

阿求ちゃんと魔理沙が後ろで話してる。

ふたりともホールにするみたいだし、Fクラス女子は全員ホールみたい。

 

「・・・こいしちゃん、この後、時間ある?」

 

「あるけど、どうしたの?」

 

「・・・ちょっとした相談があるのよ。」

 

「うん、わかったよ。」

 

そんなことを考えてたら、美波ちゃんが相談があるみたい。

でも、美波ちゃんの相談ってなにかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あれ?古明地さんも呼ばれたの?」

 

「吉井君もなんだ。うん、私もだよ。」

 

言われた場所には吉井君や木下君もいたけど、どうしたのかな?

 

「・・・アキもこいしちゃんも、ありがとね。実は、相談は学祭のことで、多分アキが一番適任なんだけど、坂本を学祭に引っ張りだせないかな?」

 

「うーん、雄二は興味ないものにはとことん興味がないし、厳しいんじゃないかな?」

 

だよね。

今日の態度から、坂本君は学祭に興味がないのはわかるし。

 

「でも・・・アキと坂本って、仲がいいでしょ?それも・・・ちょっと愛が芽生えるくらいに・・・。」

 

「もう僕お婿に行けないっ!」

 

冗談・・・だよね。

うん、さすがに美波ちゃんも思ってないよね。

 

「でも、仲がいいのは事実よね?」

 

「誰があんな赤ゴリラと!それなら、断然秀吉がいいよ!」

 

「あ、明久よ、すまぬがおぬしの気持ちには答えられそうにないぞい。ほら、歳の差とかもあるからのう。」

 

違うよね。

歳の差問題じゃないよね・・・。

 

「そっか・・・。じゃあ、こいしちゃんや木下はどう?」

 

「んー、吉井君が無理なら私も厳しいと思うよ。」

 

「ワシも厳しいと思うぞい。」

 

愛はともかく、一番仲がいいのは吉井君だもんね。

友達か疑わしくなる時も多いけど。

 

「そっか・・・。これ、本人には言わないで欲しいと言われているけど、事情が事情だから話すわ。言いふらしちゃダメよ。」

 

「う、うん。わかったよ。」

 

美波ちゃんが真面目な調子だけど、それだけ大変なことってことだよね。

 

「実は、瑞希のことなんだけど・・・、あの娘、転校しちゃうかもしれないの。」

 

「・・・え?」

 

転校?

確かに、これは衝撃的なことだね・・・。

 

「ええ、それが・・・ってアキ?」

 

「む、いかん。明久が処理落ちしかけとるぞい。」

 

「アキ!不測の事態に弱すぎるのよ!起きなさい!」

 

固まってふらふらしてる吉井君を揺らす美波ちゃん。

よっぽど衝撃的だったんだね・・・。

 

「秀吉・・・、僕がグラ○ドラインに行っても、好きでいてくれるかい・・・?」

 

どうしてこうなったんだろう。

たまに、吉井君の思考回路がわからないや。

ワ○ピースと姫路ちゃんの転校ってつながらないよね・・・。

 

「起きなさいっ!(ボコッ)」

 

「・・・はっ!?姫路さんが転校って、いったいどういうことなのさ!」

 

よしいくんは しょうきに もどった!

でも、それは私も聞きたいからね。

 

「このままじゃ、瑞希は転校しちゃうかもしれないのよ。」

 

「このまま?なら、確定じゃないの?」

 

「じゃが島田。その姫路の転校の話と、さっきの雄二の件が全くつながっておらんぞ。」

 

だよね。

どういうことなんだろ?

 

「それがそうでもないのよ。だって、瑞希の転校の理由が『Fクラスの環境』なんだから。」

 

あー、なるほどね・・・。

姫路ちゃんは本来Aクラスにいるはずなのに、体調不良による途中退出のせいでここにいるわけだもんね。

劣悪な設備、ライバル心など発生しえないレベルのクラスメイト、すきま風など酷い教室。

クラスメイトには阿求ちゃんいるけど、彼女も本来はAクラスだったもんね。

学年首席だったし。

 

「だから、学園祭を成功させて設備をどうにかしたいのじゃな。」

 

「そういうことよ。それに、瑞希って体が弱いでしょ?」

 

「そういうことなら任せて!きっちり雄二をたきつけてやるよ!」

 

さっきと違ってやる気充分だね。

そのまま電話をかける吉井君。

 

「あ、もしもし雄二?ちょっと話が・・・・・・え?雄二今何してるの?ゆ、雄二!?もしもし!?もしもーし!・・・・・・切れちゃった。」

 

「・・・何があったの?」

 

「よくわからないけど、『見つかっちまった』とか、『鞄を頼む』とか言ってたよ。」

 

・・・指名手配犯かなにかなのかな?

 

「大方、霧島翔子から逃げ回っているのじゃろう。アレはああ見えて異性には滅法弱いからの。」

 

「そうなると、坂本と連絡をとるのは難しいわね・・・。」

 

逃げ回っているなら携帯で連絡しようとしても出ないもんね。

そうなると、校内を探すしかないのかな?

 

「いや、これは考えようによってはチャンスだ。」

 

チャンス?

 

「アキ、どういうこと?」

 

「雄二を喫茶店に引っ張り出すには丁度いい状況なんだよ、うん。ちょっと3人とも協力してくれるかな?」

 

「うん、私は構わないよ!」

 

「それはいいけど・・・、坂本の居場所は分かっているの?」

 

「大丈夫。相手の考えが読めるのは、何も雄二だけじゃない。」

 

「何か考えがあるようじゃな。」

 

「うん。とりあえず、古明地さんは僕についてきてほしい。で、秀吉と美波は・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、坂本君はここにいるって言いたいの?」

 

私と吉井君は、吉井君が予想した場所に来たけど・・・。

そこには『女子更衣室』って書かれてる。

うん、明らかに男子がいる場所じゃないよね。

 

「うん。きっとここに雄二がいるよ。」

 

・・・わけがわからないよ。

 

「とりあえず、一応説明してね。」

 

「うん。今、雄二は霧島さんから逃げ回るために隠れているでしょ?なら、霧島さんにみつからない場所に隠れなければいけないわけだよ。」

 

・・・わけがわからないよ。(二回目)

 

「だったら、男子更衣室とか、女子がいないところじゃないと思うんだけどな。」

 

「いや、雄二はきっとその逆をとるはずなんだ。」

 

「・・・ま、いっか!でもね吉井君。」

 

「な、何?」

 

「もし、お姉ちゃんがこの中で着替えていたとして、もしそれを吉井君が見た場合、一生を暗闇の中で過ごす覚悟はある?」

 

「・・・い、いやだなあ古明地さん、冗談にしても怖いなー。」

 

冗談じゃないけどね。

 

「でも、きっとここに雄二はいるよ。じゃ、入ろうか。」

 

吉井君が女子更衣室の扉を開ける。

いつでもできるように、私もついていこーっと。

 

「やあ雄二、奇遇だね。」

 

「・・・どういう奇遇があれば、女子更衣室で鉢合わせをするか教えてくれ。」

 

うわー、本当にいたよ。

私が女子更衣室に入ったときに見たのは、その大きな体を小さくして、ロッカーの隅に隠れてる坂本君の姿だった。

 

「坂本君、自分がやってることは、一応わかってはいるんだよね?」

 

今は誰もいないから、先生につきだす気はないけどね。

友達が性犯罪者として捕まるのは気分良くないもん。

 

「まあまあ古明地さん、雄二がバカなのはいつものことだから大目にみてやってよ。」

 

「このうえなく屈辱的だが、今だけは否定できねえ・・・。」

 

まあ、わかっているならよかった。

 

「でも二人とも、誰も来ないうちに出たほうがい『ガチャッ』あっ、お姉ちゃんだ!わーい!」

 

「こいし、離れなさ・・・こいし、ここは女子更衣室よね?」

 

「うん、女子更衣室だよ。」

 

「・・・なんか、私には、この場にふさわしくないものが見えるのだけど、どういうこと?私、幻覚が見えてるの?」

 

「ううん、お姉ちゃんはなんもおかしくないよ。」

 

入ってきたのはお姉ちゃんだね。

おかしいのはお姉ちゃんじゃなくて前の二人だから大丈夫だよ!

 

「ふむ・・・。・・・はあ。霧島翔子から逃げるためだからといって、女子更衣室に入っていいわけがないでしょう・・・。」

 

「ぼ、僕は雄二を連れていこうとしただけで、やましい気持ちはないんだ!」

 

「・・・嘘ではないようですが、理由があっても男子が女子更衣室に入るのはダメということ、わかっていますか?」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「・・・まあ、私も被害自体は無いですし、見なかったことにしてあげるのでとっとと去りなさい。」

 

「「ありがとうございます!」」

 

お姉ちゃん優しい!

さすがお姉ちゃんだよ!

ここをダッシュで出ていく2人。

 

「・・・で、こいし。いい加減に離れなさい。」

 

「やーだー!今誰もいないしこのままでもいいじゃーん!」

 

「・・・はあ。誰か来るかもしれないのに。」

 

そう言いつつも、無理に引き剥がそうとしないお姉ちゃん。

やっぱり大好き!

 

「ところでこいし、Fクラスは何をやることに決まったの?」

 

「中華喫茶だよ!お姉ちゃんにも来てほしいな。」

 

「・・・まあ、時間があれば行くわよ。」

 

「やったー!楽しみにしてるね!お姉ちゃん達Bクラスは何をやるの?」

 

「私達は焼きそばの出店よ。」

 

おー、焼きそばかー!

お姉ちゃんの料理はどれも美味しいからワクワクだよ!

 

「・・・で、こいしは戻らなくていいの?ここに来たのも、クラスのことだったんでしょ?私も着替えなくちゃいけないし・・・。」

 

「あ、そうだね。じゃあまたね、お姉ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、坂本君と吉井君は戻ってないの?」

 

教室にいたのは・・・木下君と美波ちゃんだけだね。

どこいったんだろ?

 

「ああ、あいつらなら一回戻ってきとったが、今は学長室に行ってるぞい。」

 

ふーん、そうだったん・・・ん?

学長室って何したの二人とも・・・あ、覗き容疑かな。

 

「もしかして、覗き容疑で捕まったの?」

 

「覗き?何のことじゃ?あの二人はFクラスの教室の改善を要求しに行っているぞい。」

 

「アキ、覗きをするなんて、これは制裁が必要そうね・・・。」

 

・・・あっ。

・・・吉井君に罪がない・・・訳じゃないけど、美波ちゃんが考えてるのとはちょっと違うし、止められないかな?

 

「ただいまー!ババァと話をつけ肘の関節があらぬ方向に曲がってて折れそうに痛いいいぃ!!」

 

・・・あっ。

なんて最悪なタイミング・・・。

 

「アーキー?覗きなんてするこの悪い目はこれかしらー?」

 

「ちょっ!?美波、平然とチョキをかまそうとするなんて危ないじゃないか!」

 

「美波ちゃんストップ、一回落ち着いてー!」

 

 

~少女説明中~

 

 

「理解はしたけど、坂本は何やってんのよ・・・。」

 

「まあまあ、雄二がバカなのはいつものことだから、大目にみてやってよ。」

 

「当たってたとはいえ、アキのその思考もおかしいでしょ!」

 

だよね。

たまに吉井君、実は天才なんじゃないかと錯覚しちゃうようなことはあるけど。

 

「ところで、坂本君はどうしたの?」

 

「雄二?雄二ならほら、そこに・・・。」

 

そこ?

・・・あっ。

 

「ぐわっ、翔子!まだ追ってきてたのか!」

 

「・・・浮気は許さない。お仕置きが必要。」

 

「待て、浮気なんてしてなぎゃあああああっ!(バチッ、ズルズルズル)」

 

「「「・・・・・・。」」」

 

そこには、霧島さんにスタンガンで気絶させられて首根っこ掴まれて引きずられる坂本君の姿があった。

 

「・・・これは、今日は無理そうじゃな。」

 

「・・・うん、そうだね。」

 

結局、その日は話を聞けなかったよ。

でもまあ、坂本君も学祭に協力してくれるみたいだし、まあいいか!




いかがでしたか?
さとり様はすごい。


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第二十話「一回戦!」

こいしちゃんとさとり様が組めるのはうれしい。
はやくも文化祭開始です!


 

 

 

 

学園祭当日。

あのあと、坂本君が協力してくれたおかげで、無事に準備は進んだよ。

・・・中華喫茶なのに、名前はヨーロビアンだけど。

 

「そういや坂本君、この布はどうやって用意したの?」

 

テーブルとして、Fクラスの汚いみかん箱を使うわけにもいかないから、綺麗な布で隠してテーブルとして使ってるんだけど、これはどうやったのかな?

 

「ん?ああ、これは稗田が持ってきてくれた奴だぞ。」

 

阿求ちゃんか。

それなら納得だね!

 

「そういえば、厨房の方はどうなってるのかな?」

 

店の外観を取り繕っても、出すものが美味しくないとダメだもんね。

ムッツリーニ君担当だけど、どうしたのかな?

 

「・・・・・・心配無用。」

 

「お、ムッツリーニ君。問題はないの?」

 

「・・・・・・(コクリ)上出来。食べてみろ。」

 

ムッツリーニ君は、お盆に載った胡麻団子を差し出してくる。

食べていいんだよね?

 

「お、私も貰っていいか?」

 

「私もいいですか?」

 

「・・・(コクコク)」

 

「「「じゃあ、いっただきまーす!(いただきます。)」」」

 

3人で団子を食べる。

ほわぁ、これは確かに美味しい・・・!

表面はカリカリで、中はモチモチだし、甘すぎないのもいいね!

幸せだな~!

 

「・・・おっ、団子の試食やってるの?なら僕も『残念だな、これは三人用なんだぜ(パクッ)』ちょっと魔理沙!2つ食べるなんて酷いよ!」

 

吉井君、ドンマイだね。

4つの胡麻団子は魔理沙がふたつ食べちゃったし。

 

「僕も食べたかったなぁ・・・(´・ω・`)。」

 

吉井君が悲しみにくれている。

 

「あ、まだ有りましたよ。」

 

「姫路さん、ありがとう!」

 

すると、姫路ちゃんが4つの胡麻団子が載った皿を持ってきてくれたね。

よかったね、吉井君。

 

「!!?ちょっと待て、それは食べちゃダメだ!」

 

あれ、魔理沙がなんかものすごく慌てた感じで吉井君を止めてる。

どうしたのかな?

 

「魔理沙はさっき食べたんだから、僕がこれ食べたっていいじゃないか!いただっきまーす!」

 

「待て、本当にストッ・・・」

 

「ふむふむ、表面はゴリゴリ、中はベタベタ、甘すぎず、酸っぱすぎる味わいがとっても・・・んゴパッ(バタン)」

 

え?

ありえない声をだして、吉井君が倒れた。

 

「「「・・・・・・。」」」

 

場を沈黙がつつむ。

えーっと・・・。

 

「だからダメだと言ったんだぜ・・・。あれは、私が作った失敗作だったのに・・・。」

 

ゑ?

このクラス、殺人料理人が二人もいたの・・・?

 

「というか、あの皿には食べないようにと注意書を書いた紙を貼っておいたはずなんだか・・・。」

 

「え?私が見た時にはその紙、ありませんでしたよ?」

 

「・・・あれ、これじゃない?」

 

それっぽい紙が床に落ちてた。

 

「・・・でも、何で置いておいたの?」

 

「タイミングを見て廃棄しようとしたんだけどな・・・。」

 

「とりあえず、これは廃棄し『おっ、旨そうじゃないか。どれどれ(パクッ)』・・・あっ。」

 

横から来た坂本君が流れるような動作で団子を口に運び、流れるようななめらかな動作でダウンする。

・・・南無三。

 

「ところで、材料は何を使ったの?」

 

「・・・ええと、まずはそこに生えてた赤と黄色のマーブル模様のキノコと」

 

「・・・これはいますぐ廃棄しましょう。」

 

「「「異義なし。」」」

 

阿求ちゃんの提案に、みんな賛成する。

二人とも、大丈夫かな・・・?

 

「「またまた死神が怒られてる・・・はっ!?」」

 

あ、目覚めた。

 

「吉井君、坂本君、大丈夫?あれは魔理沙が作った失敗作だったみたいだけど・・・。」

 

「「まあ、風見先生のアレよりは、全然マシだったからね。(からな)」」

 

本当にトラウマだったんだね・・・。

と、もう召喚大会の時間だね。

行かなくちゃ。

 

「じゃあ、私は召喚大会に行ってくるね~!」

 

「あ、いってらっしゃい。頑張ってくださいね。」

 

「おう、行ってこい。」

 

「頑張ってね!」

 

みんなの声を聞きながら、お姉ちゃんとともに、召喚大会に向かうよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより、召喚大会の一回戦を始めます。出場者は前に出てきてください。」

 

「お姉ちゃん、頑張ろうね!」

 

「ええ、頑張りましょ。」

 

今の私はやる気充分だよ!

一回戦は数学みたい。

 

「・・・あら、さとりさんでしたか。私も負けませんよ!」

 

「星、空回りしないでよ。」

 

「大丈夫です!数学は得意科目なので、この毘沙門天の威光のもと、ひれふさせてみせます!」

 

「・・・不安だなあ。」

 

相手は・・・以前魔理沙とひきわけた虎丸さんと、知らない人だね。

でも、親しいのはわかるよ。

 

「こいし、早速行くわよ。」

 

「うん!」

 

「「サモン!」」

 

「こちらだって負けませんよ!」

 

「「サモン!」」

 

みんなが召喚獣を呼び出す。

えーと、みんなの点数は・・・

 

『Bクラス 古明地さとり 数学 211点 & Fクラス 古明地こいし 数学 178点』

 

VS

 

『Bクラス 虎丸星 数学 419点 & Cクラス ナズーリン・ペンド 数学 135点』

 

結構差があるね・・・。

私とお姉ちゃんの点数を足しても、虎丸さんに及ばないし・・・。

ナズーリンさんの武器は・・・なんだろ?

なんか曲がった棒みたいなのを持っているけど、あれが武器なのかな?

 

「こいし、星さんは私が引き受けるから、こいしはナズーリンさんを倒してちょうだい。」

 

「わかったよ~!」

 

ナズーリンさんなら、私の点数でも上回ってるし、なんとかなるかな?

まあ、虎丸さんの流れレーザーは怖いんだけどね。

 

「では、早速決めさせてもらいますよ!商品券のためです!」

 

虎丸さんはレーザーを放つ。

やっぱり、軌道が読みにくいね・・・。

でも、お姉ちゃんはその全てを回避し、時々ハート型の弾を撃って削っていってる。

さすがお姉ちゃん!

 

「こいし、早く加勢しなさい!こう見えて、結構ギリギリなのよ。」

 

「あ、ごめん!」

 

ナズーリンさんを倒さないとね。

触手のようなものと曲がった棒が、互いを倒そうと動く。

点数の差があるおかげで、私が今は押してるよ!

 

「くっ、厳しいね・・・。」

 

「そっちも操作、うまいね。」

 

「・・・まあ、Aクラスの時に少し慣れたからね。」

 

「ナズ、大丈夫ですか!?」

 

「・・・こっちの心配もいいけど、しっかり当ててよね。」

 

「こっちはしっかりやってますよ!相手が凄いんです!」

 

「そうだよ、お姉ちゃんがすごいんだよ!」

 

「こいし、恥ずかしいから向こうの会話に割り込むのはやめなさい・・・。」

 

だってお姉ちゃんはすごいんだもん。

それに、口を挟みながらもしっかり召喚獣も動かしてるからね。

 

「これで・・・っと!」

 

「・・・なっ!?」

 

私の触手を受け止めたナズーリンさんの召喚獣に、足払いをかけてバランスを崩させる。

うん、チャンス!

武器をナズーリンさんに突き刺し、点数を削り取る。

 

「ぐっ・・・!あとは任せたよ、星!」

 

「ナ、ナズーリンー!!」

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 141点 & Cクラス ナズーリン・ペンド 数学 0点』

 

ちょっと削れたけど、なんとか倒せたね!

お姉ちゃんは・・・

 

『Bクラス 古明地さとり 数学 173点 & Bクラス 虎丸星 数学 244点』

 

すごい、だいぶ点数差が縮まってるよ!

私も加勢に・・・

 

「・・・こいし!右に飛びなさい!」

 

「・・・えっ?えいっ!」

 

お姉ちゃんが突然、右に飛べと言ってくる。

よくわかんないけど、お姉ちゃんだし、理由はあるはず!

すぐに飛ぶ。

すると、一瞬前まで私がいたところに、太いレーザーが突き抜けてった。

 

「二人とも外しましたか・・・。」

 

「おしいですね。ですが、かなりいい手だったと思いますよ。私の接近の瞬間、こいしが射線上に入るようにレーザーを放つのは。」

 

言葉とともに、お姉ちゃんが至近距離でハートの弾幕を放つ。

避けられるはずもなく、被弾する虎丸さん。

これで勝ちだね!

 

『Bクラス 古明地さとり 数学 117点 & Bクラス 虎丸星 数学 0点』

 

「ああ、商品券がぁ・・・。」

 

「まあ、しょうがないよ。星にしては頑張ったよ。」

 

「ちょっと!星にしてはってどういうことですか!」

 

ずーんとへこむ虎丸さんと、それを慰める(?)ナズーリンさん。

 

「勝者は古明地姉妹ペアですね。4人とも、お疲れさまでした。」

 

先生が、私達の勝利を告げてくれる。

 

「やったね、お姉ちゃん!」

 

「ちょっと、だから抱きつくのはやめてって・・・」

 

嬉しくて、ついお姉ちゃんに抱きついちゃったけど、しょうがないよね!

これで、1回戦突破だよ!

 




いかがでしたか?
魔理沙の団子は姫路ちゃんの料理に比べて致死量は低いですがものすごい危険なのは変わらす。
それと、しばらく明久視点と交互になります。


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第二十一話「一回戦!sideA」

 

 

 

 

「さて、古明地さんや稗田さんは大会に行ったし、僕たちもそろそろ行こうよ。」

 

「ああ、そうだな。」

 

あのババァのせいで、なんかなし崩し的に出場することになったから、古明地さんや稗田さんみたいに自分で希望したわけじゃないけど、それとこれとは話が別。

設備を良くして、姫路さんの転校を阻止するために優勝目指して頑張ろう!

それに、優勝商品には商品券があるみたいだから、塩と水だけの生活を一時的でも脱却できるしね。

やる気を胸に、大会の会場まで移動する。

 

「やっと来たね、吉井君。坂本君。相手はもう待機してるからはやくステージにあがってよね。」

 

「あ、ごめんなさい、河城先生。」

 

「うっす、すぐいきます。」

 

そんな僕達に声をかけてきたのは河城にとり先生。

数学の先生なんだけど、機械いじりと発明が好きで、時々不思議なものを持って来てる。

噂によると、ババァ長に協力してこの試召システムを開発したなんて言われてたりするけど、どうなんだろ。

別の噂では、自身の発明がいくつか特許とってるとか、以前は世界的に有名な会社の技術部にいたとか、発明中は水だけで1ヶ月部屋にこもってたことがあるとか、謎が多い先生なんだよね。

まあ、それはともかく今はステージに登る。

えーと、僕達の対戦相手は・・・と。

 

「おぬし・・・確か皿の破片踏んで痛がってた奴じゃったな。名前は確か・・・吉井アホ久じゃったか?」

 

「違うよ!なんだよアホ久って!人の名前をアホ呼ばわりするなんて酷いじゃないか!」

 

僕をいきなりアホ呼ばわりしてきたのは、確かDクラス戦で戦った物部さんだったかな。

まったく、失礼なもんだよ。罵倒するならそこの赤ゴリラにしてほしいものだね。

 

「おい布都、人の名前をアホ呼ばわりするのは失礼すぎるし、アホはお前だ。」

 

「なんじゃと!!おぬしだって今は我のことをアホと行ったじゃろう!アホって言う方がアホなんじゃ、このアホめが!」

 

「吉井君、こいつがすまなかったな。こいつは見ての通りアホだから、気にしないでやってほしい。」

 

「大丈夫だ、こいつはアホと呼ばれて喜ぶようなマゾだからな。」

 

「・・・うわ、そうだったのか。」

 

「ちょっと雄二、なに事実無根なことを言ってるのさ!僕はいたってノーマルだよ!だからそんな引いた目で見ないで!」

 

「おい、我を無視するでない!」

 

「あの、君達?そろそろ召喚してもらっていいかな?」

 

「「「「あ、はい、ごめんなさい。」」」」

 

カオスになりかけていたこの場をとめたのは河城先生だった。

額に怒りマークがうっすら見える。

正直、地味に怖い。

全員で謝っちゃった。

 

「雄二、あとで白黒つけてやる、サモン!」

 

「上等だ、返り討ちにしてやらあ、サモン!」

 

「む、我がアホの子でないことを証明してやるわ、サモン!」

 

「空回りする未来しか見えないな・・・、サモン!」

 

四人が召喚獣を召喚する。

僕の召喚獣は相変わらずの改造制服に木刀。

物部さんのも前回と同じ皿スタイルだ。

雄二の武装は・・・?

 

「あれ、雄二?武器はどこやったの?」

 

雄二の召喚獣はなにも持ってなかった。

白い改造制服着ているだけのように見える。

もしかしたら、東風谷さんの召喚獣みたいに、素手でも必殺技みたいなのがあったり、なんか弾幕を撃てたりするのかな?

 

「明久、よく見ろ・・・。手元にメリケンサックをつけているだろう?」

 

「うわっ、雑魚だ!雑魚がいる!」

 

「クラス代表がメリケンサックってどうなんだよ・・・。というか、このコンビ、まるでチンピラだな。」

 

「これはもう、我らが勝ちをもらったようなものじゃな!」

 

物部さんと隣の女子生徒が呆れたりおごったりしてる。

ちなみに、その女子生徒の召喚獣は・・・幽霊のような下半身と、緑の服だね。

武器はなんかギザギザした刀みたい。

しかし、点数がバカみたいに高いならともかく、雄二の点数ごときじゃなあ・・・。

ちなみに、点数はどうなんだろ?

表示されている点数を見る。

 

『Fクラス 吉井明久 数学 63点 VS Dクラス 物部布都 数学 57点』

 

『Fクラス 坂本雄二 数学 159点 VS Cクラス 蘇我屠自子 数学 132点』

 

「ち、ちょっと雄二!なんでそんなに点数が高いんだよ!?Bクラス並みの点数じゃないか!」

 

「ああ、前回の試召戦争以来、本気で勉強しているからな・・・。」

 

「へー、それはまた珍しいね。どうして勉強を?」

 

コイツはそんな風に勉強するタイプじゃないとおもってたから意外だ。

 

「・・・・・・前に、翔子に聞かれてな。」

 

「何を?」

 

「・・・式は、和風と洋風、どちらがいいか、と。」

 

「・・・霧島さんは一途だね~。」

 

「しかも『・・・私は洋風がいい』と聞いてもないのに言い出して、本居小鈴の図書館で式場やドレスを調べた上で、東風谷早苗にドレスの製作を依頼しやがった・・・。しかもあいつも承諾して、どんどん既成事実が出来上がっていきやがる・・・!」

 

「ごめん雄二、東風谷さんがドレス作れるということが一番驚きだったよ。」

 

東風谷さんってすごいね。

古明地さんや魔理沙から聞いた話で、家事全般得意ってことは知ってたけど、ドレスまで作れるなんて。

霧島さんも、友人が作ってくれるのは嬉しいだろうし、素晴らしい計画だね。

雄二にとっては嫌みたいだけど。

 

「俺はもう負けられない!でないと、俺の人生は、俺の人生は・・・!」

 

「落ち着いて雄二!きっといい結婚生活が待ってるから!」

 

壊れた雄二が暴れださないようにはがいじめにする。

それにしても、霧島さんみたいな美少女にそこまで思われているなら、普通は喜ぶものなのに、雄二は贅沢ものだなあ。

 

「・・・あの二人、もしかして布都と同じくらい変人なんじゃないか?」

 

「おい、だから我を変人扱いするでない!」

 

向こうで蘇我さんが失礼なことを言ってる。

まったく、雄二と一緒にしないで欲しいな。

というか、そろそろ雄二を正気に戻した方が良さそうだ。

河城先生が怖い。

 

「ほら、雄二起きて。(ボコッ)」

 

「婿入りは嫌だ・・・!霧島雄二なんて死んでもごぼぁあ!はっ!?」

 

よし、雄二が正気に戻った。

古来から伝わる、壊れた機械の直しかたは雄二にも通じるんだね。

 

「じゃあ始めるよ。二組とも頑張ってね。」

 

河城先生が開始の合図をする。

なんだかんだあったけど、戦いのはじまりだ。

 

「よし屠自子よ!我は左に行くから、おぬしは右から攻めるのじゃ!」

 

「まあいいが、失敗するなよ?」

 

相手の二人が左右に散開して攻めてくる。

さて、もう勝負は始まっているし、ここは挑発でもして揺さぶろうかな。

 

「ふっ、物部さん。前回負けたのに、今回もまた負けにくるとはね。」

 

「いや、おぬしは途中で交代したじゃろ。」

 

「前回は物部さんの方が点数高かったのに負けたのを忘れたのかな?今回は、点数でも僕が勝ってるのにね。」

 

「だからおぬしは途中で交代したではないか。それに、今回はあの女子二人がいないうえにこやつがいるから、我が有利であろう?」

 

む、正邪と古明地さんは評価されているけど、僕や雄二は低く見られてるな?

 

「やれやれ、俺達も舐められたものだな、明久。」

 

「まったくだよ雄二。どうやらあの二人には、僕達の完璧なコンビネーションによる強さがわかっていないようだね。」

 

「なに!?おぬしら、まさか実は強いのか!?」

 

「布都、油断するなよ。」

 

どうやら蘇我さんには僕達の強さがわかったみたいだね。

その強さ、物部さんにも見せてあげるよ!

 

「さて、明久!」

 

「おう、雄二!」

 

僕達の間に言葉は不要。

軽く視線をかわしただけで、互いの意思を読み取ることができる。

もはや一心同体といえるこのコンビの実力、今見せてあげよう!

 

「「後は任せた!」」

 

僕と雄二は同時に左右に飛ぶ。

・・・ん?同時?

 

「ちょっと雄二!雄二が任せちゃダメじゃないか!雄二は点数は高いんだからここは雄二が行くべきでしょ!」

 

「てめえこそ働きやがれ明久!俺は試召戦争での召喚経験がねえだろうが!少しは役にたて!」

 

「その言葉、そっくりそのまま返すよバカ雄二!」

 

「野郎、表に出やがれ!」

 

「上等だ!」

 

互いの胸ぐらをつかみあう僕と雄二。

まずはこいつを葬るのが先だ!

 

「・・・・・・あやつらは、何をしておるのじゃ。」

 

「・・・見るな布都。チンピラがうつる。」

 

・・・おっと、しまった!アホ見るような目で見られてしまってる!

 

「あー・・・コホン。どうだい、僕らの凄さ、つたわったかな?」

 

咳払いをして、二人に告げる。

 

「・・・アホじゃな。」

 

「・・・アホだな。」

 

残念、二人にはこの凄さがわからなかったみたいだ。

 

「じゃあ仕方ない!実力行使だ!さあ雄二、作戦を見せてくれ!」

 

「そこは自分で考えろよ!・・・まあいい、作戦ならある。最も楽に勝てる方法がな。」

 

「お、なになに?」

 

まさかこの短時間でそんな作戦を考えるなんてね。

さすがは元神童といわれるだけはある。

 

「まず明久が物部をひきつけて・・・」

 

「ふむふむ。」

 

「・・・その間に明久が蘇我を倒すんだ。」

 

「それってただ僕が二人と戦うってだけじゃないか!」

 

楽に勝てるって、雄二が楽に勝てるって意味だったのかよ!

 

「さあ行くぞ明久!一人一殺だ!」

 

「結局作戦なんてないんじゃないか!まあいいや、行こう!」

 

僕の召喚獣を物部さんの召喚獣のほうへ向かわせる。

さあ、今回は勝つよ!

 

「む、やはりおぬしが相手か。向こうは頼んだぞ、屠自子よ!」

 

「やってやんよ!」

 

物部さんは皿を投げて攻撃してきたはずだから、距離をあけると不利なはず。

なら、いっきに近づく!

 

「そりゃっ!」

 

そのまま木刀を物部さんの召喚獣めがけて降り下ろす。

 

「そんなもの、当たらぬわ!」

 

それを横にずれて難なく回避する物部さんの召喚獣。

そのまま、お返しとばかりに手に持った皿を降り下ろしてくる。

でも、点数は僕の方が上だし、回避はできる!

 

「隙ありイィィィーッ!」

 

そして、かわされて若干体勢を崩した召喚獣の背中に、木刀による一撃を叩き込む。

 

『Fクラス 吉井明久 数学 63点 VS Dクラス 物部布都 数学 31点』

 

よし、点数を減らせた!

 

「なかなかやるではないか!前回は少し手加減したが、今回は手加減せぬぞ!痛いのを覚悟しておけ!」

 

そう言いつつ、物部さんはふたたび攻撃してくる。

でも、さっきと同じように回避して、攻撃を、撃つ!

 

「むっ・・・!」

 

だが、前回とは違い、物部さんは皿で木刀をガードしていた。

でも、あくまでそれは皿。

木刀の一撃を防ぎきれはせず、粉々に砕け散る。

割れた瞬間、後ろにバランスを崩したように動く物部さんの召喚獣。

よし、これでとどめ・・・ッ!

ぎゃあ!足の裏に陶器の欠片が大量にささったような痛みが!

その痛みで、攻撃を外してしまう。

 

「かかったな!今度はこっちの番じゃ!」

 

必殺の一撃を外したことによる大きな隙。

そこをつかれ、吹き飛ぶ僕の召喚獣。

 

『Fクラス 吉井明久 数学 14点 VS Dクラス 物部布都 数学 31点』

 

攻撃を受ける瞬間、とっさに両腕をクロスさせて勢いを殺したけど、だいぶ持ってかれてしまった。

点数も逆転されて、かなり厳しい状況。

そして、物部さんが追撃で投げてきた皿がすぐ近くまで迫ってきていて、回避ももう無理。

点数的にも、これを受けたら間違いなく僕の召喚獣は戦闘不能になる。

でも、僕は負けるわけにはいかないんだ!

 

「やられるかあああーっ!」

 

とっさの判断で、木刀を手放し、真剣白羽取りの要領で迫ってきた皿をキャッチする。

そのまま、物部さんめがけて皿をおもいっきり投げつける。

 

「二回も同じようにやられはしないわ!」

 

それを回避する物部さん。

 

「って屠自子、危ない!」

 

僕が投げ、物部さんが避けたた皿がたまたま蘇我さんの方に飛んでいく。

そっちには、拳で剣と互角にわたりあってるおかしな召喚獣がいた。

見たところ、雄二が優勢だ。

 

「え?・・・うわっ!」

 

飛来する皿に当たって体勢を崩した蘇我さんの召喚獣。

その隙を逃さず、雄二の召喚獣が拳を叩き込む。

 

『Fクラス 吉井明久 数学 132点 VS Cクラス 蘇我屠自子 数学 0点』

 

そのまま蘇我さんの召喚獣は戦闘不能に。

これで2対1。

 

「くっ、これは厳しいの・・・!」

 

雄二による拳の嵐と、僕の木刀が物部さんを襲う。

数でも点数でも劣る物部さんは防戦一方だ。

 

「・・・・・・第三者の観点からすると、吉井君、坂本君ペアは早急に負けて欲しいものだね。」

 

河城先生が呟く。

だよね。

一人の女の子を武装チンピラコンビがリンチしてるようにしか見えないもの。

当事者じゃなかったら、僕だってそう思うよ。

 

「これで・・・終いだっ!」

 

ダメージ覚悟で、僕が物部さんのガードを破り、雄二が拳をみぞおちに叩き込む。

100点を超える点数の一撃を耐えられるわけがなく、物部さんの召喚獣は戦闘不能になる。

よし、これで一回戦突破だ!

 

『Fクラス 吉井明久 数学 7点 and Fクラス 坂本雄二 数学 107点 VS Dクラス 物部布都 数学 0点 and Cクラス蘇我屠自子 数学 0点』

 

「そこまで。勝者は吉井君、坂本君ペアだね。4人とも、お疲れさま!」

 

河城先生によって勝利の軍配があげられる。

 

「まずは一勝だな。」

 

「うん、まずは一勝だね。」

 

おっと、そういえばやらなきゃいけないことがあったんだったね。

そして、僕と雄二は向き合う。

 

「それじゃ、改めて・・・」

 

「うん。」

 

二人の意見が一致したのが、言葉を交わさなくてもわかる。

友情を確かめるため、互いに手を出す。

 

「さっきの決着をつけるぞクソ野郎!」

 

「それはこっちのセリフだよバカ野郎!」

 

勝利の余韻のなか、僕らは互いに友情を確かめあった。




いかがでしたか?
アホ久は我ながら語感がよくて好き。


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第二十二話「罪と罰!」

今回は大会ではないです。
常夏コンビ初登場。


 

 

 

「じゃあこいし、またあとでね。クラスのほうも頑張りなさいよ。」

 

「うん、頑張ってくるよ!お姉ちゃんも、来てくれるならサービスしちゃうよ!」

 

お姉ちゃんとわかれて、クラスに戻る。

クラスのほうも頑張らないとね!

 

「あ、こいしちゃん!Aクラス戦以来ですね!」

 

「あ、早苗ちゃん!ひさしぶり~!」

 

「あんはは・・・たひかこへいひよね?」

 

その途中、たまたま早苗ちゃんと出会う。

隣にいるのは確か天子さんだっけ?

色々な食べ物持って、今も食べてるみたい。

 

「こいしちゃんはどうしたんですか?」

 

「ん、私?私は召喚大会の帰りだよ!」

 

「あ、私もですよ!そのついでに、天子さんと出店を回っているんですが・・・、天子さん、さっきからずっとはしゃいでまして・・・。」

 

「あによ、あはひはへふにははいへはいわよ。」

 

天子さん、もの食べながらしゃべってるから、何言ってるか全然わかんないや。

 

「天子さん、ものを食べながらしゃべるのは、行儀が悪いですよ。」

 

「・・・(ゴクン)そういやFクラスは確か中華喫茶だったわよね?」

 

「うん、そうだよ!早苗ちゃんも、比那名居さんも、よかったら来てね!」

 

「私は天子でいいわよ。それで、Fクラスはどこ?」

 

「あ、私が案内するよ!あと、私もこいしでいいよ!」

 

「それはありがとね。ほら早苗、次はFクラスに行くわよ!」

 

「はいはい、天子さんやっぱりはしゃいでますよね。」

 

早苗ちゃんと天子さんを連れて、私はFクラスに戻る。

 

「ちなみに、どんな感じなの?」

 

「えーとね、店名は『ヨーロビアン』で、主に胡麻団子と飲茶を売りにしてるよ。」

 

「「中華喫茶なのに、ヨーロビアン・・・?」」

 

うん、普通おかしいと思うよね。

私もそう思うよ。

でも、魔理沙のアレ以外のは美味しいし、気に入ってくれるといいな。

歩いてると、Fクラスがちかづいてくる。

 

「おいおい何だよこのきったねえ机はよ!」

 

・・・ん?

今のはFクラスからだよね?

 

「こんなきったねえ箱使って食品扱うなんて、衛生管理がなってねえだろ!」

 

また別の声が聞こえてくる。

Fクラスに普通の机なんてないから、みかん箱にテーブルクロスをかけて机にしていたけど、その下を見た客が騒ぎ立ててるというところだよね多分。

一応、みかん箱もテーブルクロスも、アルコール消毒で殺菌してるし、クラスもしっかり清掃はしたから、衛生面の問題はないんだけどね。

ちょっと、様子を見てこようかな。

 

「ちょっと待っててくれる?私は中の様子見てくるから。」

 

二人に声をかけて、一度厨房に行ってから、私はクラスの中に入る。

中ではやっぱり、文月学園の制服を着た、二人の男がテーブルクロスをひっぱがして騒いでた。

一人はモヒカン、もう一人は坊主だけど、見たことないから3年の人かな。

 

「とっとと責任者を出せ!」

 

うーん、今坂本君召喚大会の真っ最中なはずだから、来ることが出来ないんだよね・・・。

一応、私も代表補佐的な立場だし、ここは私が対応しようかな。

とりあえず、はじめは礼儀正しく、何が不満なのかを聞かないとね。

 

「お待たせしました。私が代表補佐の古明地と申します。何かご不満がおありでしょうか?」

 

「おう、このきったねえ箱だよ不満は!なんなんだよこれは!」

 

「そうだそうだ!こんなんで体を壊したらどう責任とりやがる!」

 

なんというか、声を荒らげて因縁をつけてくるこの二人、チンピラみたいだよね。

もちろん態度には出さないけど。

 

「その件についてはご安心ください。テーブルも、テーブルクロスも、アルコール消毒をきちんとしております。ですので、お客様の健康に害を与えることはありません。」

 

「そういうことじゃねえんだよ問題は!」

 

でも、これで納得してくれないみたい。

 

「では、どういうことなのでしょうか。」

 

あくまでも丁寧に聞く。

でもやっぱ、こういう態度は慣れないな。

自分で言ってて違和感感じるもん。

 

「見た目が汚ねえんだよ!こんな場所で食わされるこっちの身にもなりやがれ!」

 

「こんなところで喫茶店やるなんて、客の気分を害するだろうが!」

 

「教室はきちんと清掃し、見た目も綺麗にしております。それに、そのテーブルもテーブルクロスで、お客様が不快な思いをされないためにつけております。」

 

「ぐっ・・・!と、とにかくFクラスのような汚い教室で喫茶店をやるなんて気分が悪くなるだろうが!」

 

そんな坊主頭の主張。

・・・うん、さっきから気づいていたけど、この2人は敵だね。

だったら、こっちもそのつもりで対処しないと。

丁寧語は崩さないようにはするけどね。

 

「お客様はFクラスは汚いから嫌だと言われましたが、それなら何故、Fクラスに来られたのでしょうか?先程の発言から、お客様はFクラスが汚いところだと思っているみたいですが、それならわざわざここに来たのか不思議だと思われませんか?」

 

「ぐっ・・・!そ、それは・・・!」

 

そこまで考えてなかったのか、言葉につまった様子をみせる二人。

 

「ともかく、他のお客様のご迷惑になりますので、店内ではお静かに願います。」

 

「んなっ!?もとはといえばお前らが原因だろうが!責任をなすりつけてんじゃねえっ!」

 

モヒカンと坊主がさわぎたてるけど、まわりの人達は私達じゃなくてその二人の方に不快感をしめしてくれてる。

もし、私が当事者じゃなかったとしても、あれは言い過ぎと感じるもんね。

それと、モヒカンが常村、坊主が夏川っていうみたい。

 

「・・・チッ!もういい!行くぞ夏川!」

 

クレーマー二人は退散していく。

・・・というストーリーでもよかったかもしれないけどね。

クラスのためにも、私は鬼になるよ。

 

「お待ちください。では、お詫の品を渡したいと思います。」

 

「おっ?やっと自分達の非を認めやがったか!」

 

「で、何をくれるってんだ?」

 

うわー、この二人、なんかすごく嬉しそうにしてるよ。

何想像したんだろう。

 

「こちらの特製胡麻団子でございます。味は保証しますよ。本来はかなり高いものですが、お詫びの品なので、お代は結構です。」

 

「ほうほう、じゃあいただくとするか。」

 

二人がそれを口に運ぶ。

 

「「ふむふむ、表面はゴリゴリ、中はベタベタ、甘すぎず、酸っぱすぎる味わいがとっても・・・んゴパッ(バタン)」」

 

うん、計画通り。

さっきの魔理沙が作った胡麻団子、このクレーマー達と話す前にふたつだけ回収しといたんだよね。

殺傷能力は充分にあるから、これでこの二人も改心してくれればいいんだけど・・・。

 

 

 

 

 

 

教室に死体を放置しとくわけにもいかないから、ずるずるとひきずって移動させる。

でもこの死体、どうしようかな?

かなり重いし、近場の人目のつかない場所に捨てておければいいんだけど・・・。

 

「早苗ちゃん、天子さん、待たせてごめんね?もう大丈夫だよ!」

 

とりあえず、待たせてた二人に声をかけることにする。

 

「ん?こいし、その二人がクレーマー?」

 

「うん、そうだよ。」

 

「あはは・・・また派手にやりましたね・・・。」

 

「そう?私だったらこんなもので済ますつもりはないし、こいしは優しいと思うわよ。」

 

天子さん、恐ろしいよ。

 

「まあそれはいいとして、案内してくれない?あと、そのクズ共はそっから投げ捨てとけばいいんじゃない?」

 

「天子さん、それはダメですって!死んじゃいますから!」

 

窓をあけて捨てようとした天子さんを早苗ちゃんが慌ててとめる。

・・・ちなみに、ここ2階だよ。

 

「(ガラッ)古明地、そいつらの処理は私がやっとくから、その二人を案内してやってくれ。」

 

処理について考えていると、出てきた正邪ちゃんがかわりに処理してくれるって言ってくれた。

 

「ありがとね!正邪ちゃん!」

 

「・・・ま、まあ私には多分そのクレーマーの対処をうまく出来なかったと思うしな。だから気にしないでくれ。」

 

正邪ちゃんが引きずっていく。

私は首根っこつかんでたけど、正邪ちゃんはわざわざうつぶせにしてから足をひっぱってるから、顔が地面にゴリゴリあたってる。

痛そー。

 

「じゃあ、二名様、ご案内~!」

 

正邪ちゃんに任せ、私は案内する。

早苗ちゃんも天子さんも、胡麻団子と飲茶に大満足してくれたみたいだし、よかったよ!

そして、接客したり、さっきのことを坂本君に話したりしてたら、いつのまにか第二回戦の時間だね。

よーし、次も勝つよ~!

 




いかがでしたか?
こいしちゃんと天子さんが友人になりました。


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第二十三話「想起『テリブルスーヴニール』!」

今回は2回戦。


 

 

「・・・こいし、遅いわよ。」

 

「ごめんねお姉ちゃん、クラスでちょっと問題あって遅くなっちゃった。」

 

お姉ちゃんと合流する。

次に余裕ができた時、お姉ちゃんのBクラスにも行きたいな。

焼きそば楽しみだな~!

 

「・・・まったく、焼きそば食べたいなら、わざわざ来なくても私が作ってあげるのに。」

 

・・・・・・!!?

 

「お姉ちゃん大好き!!」

 

「ひゃっ!?だ、だからだきつかないでって言ってるでしょ!」

 

引き剥がされちゃった。

残念。

でもまあ、今は大会に集中しないと!

 

 

 

 

 

 

「・・・げっ、お前らかよ!」

 

二回戦の対戦相手は、えーと・・・誰だっけ?

・・・あ、そうだ!藤○君だ!

 

「・・・こいし、彼は根本よ。」

 

あれ、そうだっけ?

姫路ちゃんからラブレター奪ったクズで女装趣味ということしか覚えてないや!

覚える価値ないし!

 

「ところで、隣の人は誰?」

 

「えーと・・・、確か小山さんだったわね。Cクラスの代表で、根本の彼女だったはずだわ。」

 

へー、あの人が小山さんなんだ。

・・・男を見る目がないみたいだね。

 

「・・・男を見る目が無いって可哀想だよね。」

 

「ちょっと失礼ね!」

 

あ、声に出ちゃったみたい。

 

「と、とりあえずとっとと勝負を始め『待ちなさい。』・・・なんだよ。」

 

話が良くない方向に進んでいきそうなことを察したのか、根本がとっとと勝負を開始しようとしたが、お姉ちゃんはそれを止める。

 

「さて根本、この際だから改めて言わせてもらいますが、あなたのふるまいはクラス代表として、あまりにもふさわしくないものです。あの戦いの時もそうです。あの日のあと、何故あそこまで怒っていたかこいしから聞きました。」

 

「・・・そ、それが何だと言うんだよ。」

 

「・・・反省はしないのですね。それなら、私はBクラスの一員としてではなく、古明地こいしの姉としてあなたに怒りをぶつけます。ああいう手口は、私が最も嫌うものです。・・・小山さん。」

 

「・・・なに?」

 

「実は私、このようなものをたまたま持っていまして。そこにいる根本の晴れ姿が映っていますよ。」

 

お姉ちゃんは懐から本を取り出す。

・・・ってあれ、もしかして。

 

「!!?待て古明地!止めろ!反省するから!」

 

お姉ちゃんが取り出したのは、『生まれ変わった私を見て!』というタイトルの写真集。

中には、根本の女装写真がたくさん。

若干禍々しいオーラを感じるそれを、どうするのかな?

 

「・・・今更遅いですよ。さあ、ここからが本番です。トラウマを呼び起こす恐怖の記憶で眠りなさい。・・・小山さん。これを見たいのなら、負けを宣誓してもらえませんか?」

 

「古明地ッ!お前は鬼か!?」

 

うわー、相当エグいね、これ。

このままだと、根本には黒歴史を彼女に見られて試合にも負けるっていう最悪の展開が待ち受けることになる。

 

「・・・わかったわ。私達の負けよ。」

 

「話がわかりますね。ではこちらを。」

 

小山さんが受諾し、お姉ちゃんが写真集を渡す。

お姉ちゃんを無理矢理に止めようとした根本を、美波ちゃんに教わった関節技で制裁しつつ、小山さんが写真集を眺めるのを確認する。

根本の叫びと、小山さんが写真集をぱらぱらとめくる音だけが聞こえる。

 

「ということで、私達の勝利でいいよね?」

 

「・・・あ、はい!勝者は古明地姉妹ペアです!」

 

その写真集がどんなものか気になるのか、小山さんの手元をじっと見つめてた先生に声をかけると、我にかえった様子の先生が勝利を宣言してくれた。

うん、これで2回戦突破だね。

根本を放して、私とお姉ちゃんはこの場を去る。

 

「・・・別れましょう。」

 

「ま、待ってくれ優香!これには事情があったんだ!」

 

・・・後ろから聞こえてきた声はしーらないっと!

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、戦いがすぐに終わったから、少し時間が余ったわけだけど、Fクラスに行ってみてもいい?」

 

「もちろんだよ!たくさんサービスするね!」

 

お姉ちゃんが来てくれるなら、最高のおもてなしをしないと!

お姉ちゃんを連れて、Fクラスに戻る。

 

「・・・もしかして、あまり繁盛してないの?」

 

「いや、さっきまでは人がもっといたと思うんだけど・・・。」

 

さっき大会にいた時より、明らかにお客さんの姿が減ってる。

何かあったのかな?

 

「いらっしゃいませ!・・・あっ、こいしちゃんとさとりちゃん!試合は勝てたの?」

 

ドアを開けて入ると、お空が私達に寄ってきた。

 

「うん、勝てたよ!・・・ところで、いつからこんなに人すくなくなったかわかる?」

 

「んー、こいしちゃんが出てすぐ、いきなりお客さんが少なくなったんだよねー。徐々にじゃなくて、ほんとに突然減った感じだよ。」

 

お空によると、なんの前触れもなく減ったみたい。

どういうことなんだろ?

 

「そういえば、さとりちゃんは注文、どうするの?」

 

「では私は、飲茶と胡麻団子でお願いします。」

 

「わかった!伝えてくるね!」

 

お空が元気に厨房に向かっていく。

間違えないといいな。

 

「・・・あっ!ピンクの優しいお姉さんです!」

 

「きゃっ!・・・ああ、葉月ちゃんですか。」

 

お空を見ていたら、いきなり小学生くらいの女の子がお姉ちゃんにかけよってきて抱きついた。

お姉ちゃんもびっくりしてたけど、知ってる娘だったみたい。

 

「ピンクの優しいお姉さん、ひさしぶりですっ!ここには何しにきたですか?」

 

「私ですか?私は普通に食べに来ただけですよ。妹のこいしのクラスなので。」

 

「ピンクの優しいお姉さん、妹がいたですか?」

 

「ええ。隣にいますよ。」

 

「緑のお姉さん、ピンクの優しいお姉さんの妹だったですか?葉月は島田葉月、小学5年生ですっ!」

 

「私は古明地こいしだよ。よろしくね~。」

 

元気のいい自己紹介されたから、私も挨拶を返さないとね。

 

「緑のお姉さん、ピンクの優しいお姉さん、バカななお兄ちゃんを見てないですか?葉月、バカなお兄ちゃんを探しているです。」

 

バカなお兄ちゃん、ね・・・。

うーん、絞れないような気がするな・・・。

 

「名前はわからないの?」

 

「あうぅ・・・、それがわからないのです・・・。」

 

名前がわからないということは、実の兄じゃないのかな?

 

「うーん・・・、他になんか特徴はない?」

 

「えーっと・・・、すっごくバカなお兄ちゃんだったです!」

 

・・・うん、多分わかっちゃったよ。

ごめんね吉井君。

 

「んー、今は大会に行ってるから、多分もうすぐ戻ってくるんじゃないかな・・・?」

 

「じゃあここで待つです!緑のお姉さん、ピンクの優しいお姉さん、ありがとうございました!」

 

お礼を言って、葉月ちゃんは座ってた席に戻ってく。

入れ替わりのように、お空が胡麻団子と飲茶を持ってくる。

 

「おまたせ!胡麻団子と飲茶だよ!」

 

「ありがとう、ではいただくわね。・・・あら、美味しいじゃない。」

 

やった!

お姉ちゃんが認めてくれた!

 

「でも、なおさら客がいない謎が深まるわね・・・。こいし、なにか心当たりはないの?」

 

「えーっと、2回戦の前に営業妨害目的のクレーマーが来たのはあったけど、制裁はしたからもうやってないと思うんだけどね・・・。」

 

「制裁?何を・・・いや、やっぱり言わなくていいわ。」

 

心を読んだのかな?

でも、あれだけやられてまだ妨害続けるかな・・・?

考えてると、魔理沙が戻ってきて、客の少なさに驚いていたから、軽く説明しておく。

すると、魔理沙がとある案を出してくれた。

 

「それなら、いい案があるぜ!チャイナドレスを着て客寄せをすれば、千客万来間違いなしなんだぜ!」

 

「チャイナドレス?そんなもの、ないんじ『・・・ここに。』ムッツリーニ君、私達が着ているの、見たかったの?」

 

「・・・違う、宣伝のためだ。」

 

チャイナドレスという単語に反応したのか、ムッツリーニ君がチャイナドレスを持ってやってきた。

相変わらずだけど、こういうことになるとムッツリーニ君はものすごくハイスペックになるよね~。

 

「じゃあ、早速着てみるね!」

 

いいだしっぺの魔理沙と、ついでに今いるお空と阿求ちゃん、あと私は奥で着替えてくる。

戻ってきてみんなの前に立ったら、ムッツリーニ君が「・・・感無量」とか言って鼻血を出して倒れたり、美波ちゃんに胸元見られながらものすごい悔しそうにされたりと色んな反応があったけど、少なくとも似合わない訳じゃないみたい。

よかった。

 

「じゃあ、早速宣伝してくるよ!お姉ちゃん、好きなだけゆっくりしていってね!」

 

「あ、私も行くよ!」

 

早速宣伝に行くと、戻ってきた時にはお客さんがたくさん来ていたよ!

よかった、効果はあったみたい!

このあとも頑張らないとね!




いかがでしたか?
根本振られたザマア。
さて明久サイドはどう出るのか。


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第二十四話「想起『テリブルスーヴニール』sideA!」

 

 

 

「雄二、二回戦の科目って知ってる?」

 

「ああ知ってるぞ。・・・まあ、口で言うより見た方が速いだろ。」

 

「あれ?雄二、足が震えてるけどどうしたの?」

 

なんか、雄二の足が生まれたての小鹿のように震えてる。

まったく、そうなるなんて恐がりなんだなあ。

平気なところ見せて、雄二のことを笑ってやろ・・・・・・

 

「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」

 

雄二が震えてた理由がようやくわかった。

そこに立っていたのは、ブルーベリー・・・じゃなくて、生物の先生である風見幽香先生。

しかも、笑みを浮かべている。

あれは、間違いなく怒っている時の表情だ。

今は立会人としてだけど、もはや僕の頭には鉄人と比較にならないくらいのトラウマが刻み込まれてる。

 

「吉井君、坂本君、遅れているというのに、どうしてそんなにゆっくりだったのかしら?」

 

「「ご、ご、ご、ごめんなさい!!」」

 

今の僕らはまるで蛇に睨まれた蛙。

風見先生に言われ、全速力でかけ上がる。

 

「よう!奇遇だぜ!」

 

「金金金金金・・・・・・」

 

そこにいたのは、魔理沙と・・・あれは博麗さんでいいのかな?

なんか禍々しすぎるオーラが彼女を覆ってるように見えるね。

 

「まったく、霊夢は食糧とお金のことになると、ものすごく目の色変えるから、少しは落ち着いて欲しいものだぜ。」

 

「だって5000円よ?それだけあったら最長2ヶ月はまかなえるのよ?」

 

「お前、1日100円弱で暮らしていけるのか・・・?」

 

「まあこれは、美味しいものを食べるのにパーッと使う予定だけどね。」

 

「じゃあ暮らせないじゃないか!それに私だって協力してるんだから報酬はしはらわれるべきだぜ!」

 

「報・・・酬・・・?」

 

「そんな心底不思議そうな顔をされても困るぜ!」

 

「まあ冗談よ。1%あげるわ。」

 

「これだけやらされて50円って、さすがに理不尽すぎる!」

 

なんか二人で漫才みたいな会話を繰り広げてる。

でも多分、博麗さんは全部本心で言ってる気がする。

それに、僕の今日の朝ごはんは、市販のカップラーメンを6回半分にした1/68カップラーメンだったし、別におかしくはないと思うけどなあ。

 

「なあ博麗、お前が出場した目的はなんなんだ?」

 

「・・・なによいきなり。そんなもの決まってるじゃない。商品券よ。早苗が既にペア組んでいたから、そこの魔理沙を引っ張って参加してきたのよ。だから、あんたらには悪いけど、負けてもらうわ・・・。」

 

凄まじい殺気を放つ博麗さん。

これ、僕生きて帰れるかな・・・?

生物の点数はおせじにも高くないし、博麗さんの殺意がこもった本気の一撃をかまされたら、フィードバックで昇天しかねない気がする。

 

「ねえ雄二、今の博麗さんの一撃をくらったら、フィードバックで昇天しかねない気がするんだけど。」

 

「まあ案ずるな。俺に任せろ。おい博麗。お前は商品券を何がなんでも手に入れたいという訳か。」

 

「当たり前じゃない!チケットは換金するし、腕輪も売っ払うわ!」

 

「だが、俺達も勝たなければいけない理由がある。・・・そこで博麗、俺からひとつ提案だ。」

 

おお雄二!

言葉で戦闘を回避しようなんて、今は君が神に見えるよ!

 

「・・・何よ?」

 

「もし、ここで負けてくれたら、商品券分の5000円を渡す。腕輪もチケットも興味ないんだろう。そっちは労せず確実に5000円得られる、こっちは勝てると、両方に得があるだろう?」

 

「・・・まあ、確かに得あるわね。でも、それだとチケットと腕輪の分損するじゃない。」

 

「なるほどな。ならば、もうちょい多めに渡そう。8000でどうだ?」

 

「・・・支払いは、いつ?」

 

「この大会が終了したら、きっちりと責任を持って払おう。・・・・・・明久が。」

 

・・・雄二。

・・・今は、君が大悪魔に見える。

 

「ちょっと雄二!君は僕を殺す気なのかい!?」

 

8000円の出費なんて、一体何日公園の水と砂糖塩だけで生きていかないといけなくなるか、想像がつかないよ!

 

「安心しろ。この大会に勝てば、商品券は手に入る。だから明久、お前は3000円払うだけでいい。」

 

「だとしても大金だよっ!」

 

「明久も文句ないみたいだな。じゃあ博麗、それでいいか?」

 

「いいわよ。じゃあ先生、私達の負けで。」

 

「ちょっと雄二、博麗さん、まだ僕払うなんて一言も『あ゛?』・・・払わせていただきます。」

 

博麗さんからとてつもない圧と殺気を感じたため、折れるしかない。

だって、このなかで払わないなんて言い出したら命だって失いそうなんだもん。

 

「あら、結局戦いはなしで終わりなの。まあいいわ。吉井君と坂本君のペアの勝利ね。」

 

風見先生が僕達の勝利を告げる。

勝ったのはいいけど、今度は生命の危機だよコンチクショウ!

これは、死んでも優勝しないと!

でないと、死ぬ未来しか見えない。

・・・あれ?もしかして、僕の未来、どうあがいてもデッドエンド?

 

「さて魔理沙、これで8000円入るのは確定したし、今度の日曜にでも、どこかに食べに行きましょ。」

 

「えっ、私もいいのか?」

 

「そりゃまあ、無理矢理誘った訳だしね。さっきはああ言ったけど、さすがに感謝の気持ちはあるわよ。」

 

「霊夢・・・!・・・もしかして、明日の天気は晴れときどきぶたか?」

 

「失礼ね!んなこと言ってるなら誘わないわよ!」

 

後ろから聞こえてくる会話からも、博麗さんが楽しみにしてることがわかる。

すっぽかしたら修羅を見ることになるよなぁ・・・。

 

 

 

 

 

 

「ちょっと雄二!なに勝手に人生賭けてくれちゃってんのさ!僕がお金に困ってるのは知ってるはずなんだから、雄二が払えばいいじゃないか!」

 

「お前が金に困ってるのは自業自得だろう。それに・・・、俺達、ダチだよな?」

 

「友人を売るような奴なんかとダチになった覚えはない!これでもくらえっ!(ブォンッ!)」

 

「っと、あぶねえな!この野郎!」

 

雄二と殴りあいの喧嘩をしていると、雄二と僕の携帯が同時に鳴る。

やむなく喧嘩を中止して、確認する僕ら。

メールは正邪からで、喫茶店の客足がいきなり大幅に減少したことが書いてあった。

・・・どういうことなんだろう?

 

「・・・あ、確かあなた達は観察処分者の人と翔子ちゃんの婿の53点の代表でしたよね?ちょうどいいところに!」

 

「待て、俺は翔子の婿になんてなってねえ!」

 

僕達がメールのことを考えていると、声をかけてきた人がいた。

えーっと、確か彼女は本居さんだったっけ?

でも、何の用なんだろう?

 

「とりあえず、ちょっとAクラスまで来てくれませんか?」

 

「?どうしてAクラスに?」

 

「・・・まあ、行けばわかります。」

 

本居さんに連れられて、Aクラスに向かうことになる。

Aクラスに近づくと、中から声が聞こえてきた。

 

「しっかし、ここの机は綺麗だよなー!」

 

「ほんと、2ーFとは比べ物にならない位だよなあ!」

 

「2ーFは店も汚かったし、サービスも味も最悪だったもんなー!」

 

「まったく、あの汚さでよく喫茶店やろうと思ったよな!」

 

「ほんとだよ!あんなところで食べたら食中毒が発生してもおかしくなさそうだよな!」

 

「2ーFには気をつけろということだな!」

 

2人の男によって、中から聞こえてくるFクラスの悪口。

・・・クソッ!あんなことされたら、Fクラスに悪い評判が流れて、お客さんが来なくなるじゃないか!

 

「・・・こういうことなんです。比那名居さんか博麗さんを探していたんですが、Fクラスの2人をたまたまみかけたので。さっきから出たり入ったりして繰り返していますし、あれだけ言われてるということは、なにかあったのかなと気になりまして・・・。」

 

「・・・常夏コンビ、古明地に制裁されたはずなのに、まだこりてねえのか。」

 

そう言う雄二だけど、どこか想定内というような表情をしている。

しかし常夏コンビとはうまい。

座布団・・・は今Fクラスにないからござ1枚。

そんなことを僕が考えている間に、雄二が本居さんに事情を軽く説明してた。

そのままAクラスの中に入る。

『ご主人様とお呼び!』というメイド喫茶らしいし、常夏コンビだけじゃなくて、メイド服姿の女子もたっぷりと確認しないと!

 

「・・・おかえりなさいませ。」

 

そんな僕らを出迎えてくれたのは、学年首席で、雄二のことが好きな霧島さん。

こんな似合ってる姿を見ると、ほんと雄二にはふさわしくないと思うよ。

 

「・・・おかえりなさいませ。今夜は返しません、ダーリン。」

 

・・・ほんと、まったくもって不公平だ。

 

「おい翔子。突然だが、予備のメイド服はないか?1着貸して欲しい。」

 

「・・・わかった。」

 

雄二の急な頼みにも、顔色ひとつ変えずに了承する霧島さん。

そのまま自分が着ているメイド服に手をかけて・・・

 

「待て待て待て!何故お前は普通に脱ごうとする!」

 

「・・・だって、雄二はメイド服が欲しいって言った。」

 

「俺は、よ・び・のメイド服を貸して欲しいって言ったんだ!お前が着ているメイド服が欲しいなんて言った覚えはねえ!」

 

「・・・そう。今、持ってくる。」

 

ちょっと残念そうにし、奥に消えていく霧島さん。

雄二に言われたからといって、躊躇いなく脱ごうとするなんて、底知れない人だ。

 

「・・・おまたせ。これでいい?」

 

間もなく戻ってきた霧島さんの手には、霧島さんが着ているそれと同じものがあった。

でも、雄二はそんなものをどうするつもりなんだろう。

 

「でも雄二、そんなものどうするの?」

 

「服というのは、当然着るためのものだろう。着るんだよ。・・・明久が。」

 

へー、まあそうだよね。

メイド服は着るものだよね・・・ってちょっと待て!

 

「ちょっと待って!なんで僕がメイド服を着させられるのさ!」

 

「よく考えろ。お前も俺もFクラスだ。もし、そのままあいつらをボコしたとすると、今度は『Fクラスはチンピラの集まりだ』というような噂が流れかねない。まだ顔は割れてないかもしれないが、お前はバカで有名だからな。」

 

「なんだと!?雄二にはバカって言われたくはないやい!」

 

「話は最後まで聞け。だから、メイド服を着て変装し、常夏コンビを仕留めるといったところだ。」

 

「だったら雄二が着ればいいじゃないか!僕は着ないよ!」

 

「やれやれ・・・。それなら仕方ない、公平にあっちむいてホイで決めようじゃないか。それで負けた方が行く、これでどうだ。」

 

「わかった。あとで後悔しないことだね!」

 

これで勝って、女装は回避してやる!

 

「「ジャーン、ケーン、ポン!」」

 

雄二はグー、僕はチョキ。

くっ、最初は負けたか。

でも、雄二が指差した方向と違う向きをむけばいい!

 

「あっちむいて・・・」

 

雄二の指が、僕の目に迫ってくる。

これはあれだな?

指をかわすために顔をそらしたら、そっちを指差す作戦だな?

その手にのってたまるか!

僕は顔をそらさず、きっと睨み付ける。

 

「・・・あ、あっちにチャイナドレスを着た古明地と姫路がいるぞ。」

 

「えっ!?どこどこ!?」

 

雄二が指差す方向を見る。

どこにいるんだ!?

 

「ホイ。お前、本当にアホだな。」

 

・・・・・・あっ。

しまったああぁぁっ!

 

「第一、接客は制服でなんだから、チャイナドレスを着ているわけないだろ。とりあえず、着替えてこい。」

 

「嫌だッ!こんなの、不正じゃないかッ!」

 

「男らしくないぞ明久。覚悟を決めろ。」

 

「うぅ・・・」

 

仕方がないので着替えてくる。

ううっ、絶対雄二に復讐してやる・・・。

 

「・・・ほう、案外似合うじゃないか、明久。」

 

「・・・確かに可愛いけど、きっと雄二だったらもっと似合ってた。」

 

そんな二人の感想。

嬉しくないよっ!

・・・はあ、しょうがないし、行ってくるか。

 

「・・・失礼いたします。」

 

「ここと違って、Fクラスはほんと・・・ん?お前、なかなか可愛いな。」

 

掃除をするフリをして近くに寄る。

一撃でしとめる!

 

「それでは、失礼して・・・」

 

「お?なんで俺の腰に手を・・・まさか、俺に惚れて」

 

「死にさらせええぇーーえッ!」

 

「ごふあっ!?」

 

よし、決まった!

僕のバックドロップがうまく決まり、頭を床にうちつける坊主先輩。

 

「なっ、夏川っ!?ってお前、Fクラスの吉井明久じゃないか!」

 

くっ、バレたか!

ならばこのまま畳み掛けるっ!

 

「ぐっ、ここは逃走だ!夏川、起きろっ!とっとと逃げ・・・!」

 

走り出したモヒカン先輩。

でも、それはすぐに何かによって止まる。

そこには・・・

 

「あんたらの営業妨害のせいで、収益が減ったら私の旨味も減るじゃない・・・!責任、取ってもらおうかしら・・・?・・・それに、魔理沙の邪魔にもなるじゃない・・・。(ボソッ)」

 

「うちのクラスにまで来て、他クラスの営業妨害になることを叫び散らすなんて、あんたらはクズで邪魔な存在ね。こいしと違って、私は甘くないわよ・・・!」

 

そこには、赤鬼と青鬼がいた。

・・・間違えた。怒りのオーラを全身から放つ博麗さんと比那名居さんがいた。

 

「お、お姉ちゃん、天子さん、やりすぎないようにして・・・」

 

「「大丈夫よ、命は取らないから。直前で済ますわよ。」」

 

「半殺しはやりすぎですよ!」

 

東風谷さんが二人を抑えようとしてるけど、とまる様子はなさそう。

 

「ではお客様、メイド2人による特別な接待をお楽しみくださいね?」

 

「「ひっ・・・!た、助け・・・」」

 

「「問答無用!」」

 

「「ぎゃあああああああっ!!」」

 

常夏コンビの二人に、二人の修羅が襲いかかる。

・・・というかもしかして、お金を払わなかった場合、僕もこうなる?

ちなみに、常夏コンビは意識を失った後、さらにボコボコにされようとしていたのを東風谷さんが止めた。

 

 

 

 

 

 

「なんだかんだで、悪評のもとは解決したと思うけどさ、これ、僕が女装する必要ってあったのかな?」

 

「いや、ねえぞ。放置していても、あの二人が片付けてただろうな。」

 

「くたばれええーーっ!(ブゥン!)」

 

僕の渾身の飛び蹴りはかわされてしまう。

そのまま、喧嘩をしていると、後ろから知ってる声が聞こえてくる。

 

「・・・あれ?坂本君と吉井君?なにやってるの~?」

 

「ああ古明地さん、僕は今雄二に、男のプライドと正義をかけた鉄拳を・・・・・・ッ!!?」

 

僕は、雄二が全て悪いということを伝えようと振り返るが、その瞬間、声が出なくなる。

だ・・・だって、古明地さんがチャイナドレスを着てたんだよ!?

古明地さんみたいな美少女がチャイナドレスなんてものを着たら、もうそれは似合うなんてものじゃない!

もはや芸術だよ!

ムッツリーニ!君の写真にとても期待しているよ!

 

「どう?似合ってる?」

 

「似合ってるなんてものじゃないよ!こんなに素晴らしいもの、僕は見たことない!ビバ、チャイナドレス!」

 

「明久、お前チャイナドレスが好きなんだな。」

 

「大好・・・愛してる。」

 

雄二のいきなりな質問に、ついうっかり大好きと口走りそうになったから、慌てて訂正する。

ふっ、これが僕のとっさの判断力さ。

 

「言い直した意味がまるでないな。」

 

だ、だって本当なんだから仕方がないじゃないか!

 

「今私は宣伝担当してるから、また後でね~!あ、あと他のみんなもチャイナドレス着てるよ!美波ちゃんとか姫路ちゃんとか、すごく似合っていたから誉めてあげてね~!」

 

そう言いつつこいしちゃんがどっか行っちゃう。

ああ、もっと見ていたかったのに!

まあ、しょうがないから戻ろうかな。




いかがでしたか?
買収して勝ちました。
ですがこれは悪魔の誘い。
払えなかったら東京湾に沈むことに。


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第二十五話「三回戦!」

 

 

 

「こいし、もうそろそろ大会の時間じゃないのぜ?」

 

客が戻ってから、ずっとチャイナドレスで接客してたから、時間がわかってなかったけど、いつの間にか時間になってるね。

魔理沙に言われなかったら気づかなかったかも。

 

「あ、魔理沙、ありがと~!じゃあ、行ってくるね~!」

 

じゃあ、行ってこよっと!

さっき、お姉ちゃんと待ち合わせるのは大会の会場って決めてるから、まっすぐ会場に向かう。

すでに待ってたお姉ちゃんに声をかけて、早速あがるよ!

対戦相手は誰なのかな?

 

「・・・あ、こいしちゃんとさとりさんじゃないですか!」

 

「ああ、こいし、さっきぶりね。」

 

そこで待っていたのは、早苗ちゃんと天子さんだったね。

 

「早苗さん、ひさしぶりですね。」

 

「さっきぶり!天子さん、今度こそ負けないよ~!」

 

前回の戦争では負けちゃったけど、二回も負けたくないもんね!

 

「・・・ところでお姉ちゃん、科目はなに?」

 

「・・・それくらいは調べておきなさいよ。現代文よ。」

 

・・・え、現代文?

 

「それでは、お互い召喚獣を出してください。」

 

「「サモン!」」

 

早苗ちゃんと天子さんが、召喚獣を呼び出す。

点数は・・・

 

『Aクラス 東風谷早苗 現代文 181点 and Aクラス 比名那居天子 現代文 322点』

 

「天子さん、今回のテストはいつもより取れたんですよ!」

 

「それでもBクラスの平均程度でしょ・・・。早苗は現代文だけ点数良くないわよね・・・。」

 

「うう・・・、採点する先生は常識に囚われすぎなんですよ!」

 

召喚獣、出したくないな・・・。

 

「こいし、あなたの現代文の点数が低いのは知ってるわよ。でも、私がフォローするから大丈夫よ。」

 

お姉ちゃん・・・!

 

「わかった、じゃあ出すよ!」

 

「「サモン!」」

 

お姉ちゃんと同時に、召喚獣を呼び出す。

 

『Fクラス 古明地こいし 現代文 37点 and Bクラス 古明地さとり 現代文 499点』

 

「・・・こいし、さすがにもっと取りなさい。」

 

「ごめんなさい、お姉ちゃん・・・。」

 

お姉ちゃんとの点数差は、約13.4倍。

現代文は苦手だけど、前回のはさらに取れなかったんだよね・・・。

 

「そういえば、こいしちゃんも現代文苦手でしたね。」

 

「でも早苗、姉の方は腕輪持ちだから注意しておいた方がいいわよ。」

 

「はい!私はこいしちゃんを先に倒すので、天子さんはさとりさんの足止めをお願いしますね!」

 

「まあいいけど、早く倒してよ?」

 

どうやら、私の相手は早苗ちゃんみたい。

点数比4.8倍、吉井君の気持ちがわかる気がするな・・・。

 

「こいし、勝とうと思わなくてもいいから、やられないでね。」

 

「わかった!」

 

観察処分者の吉井君ほどじゃないけど、私もある程度は操作できるからね!

それに、早苗ちゃんの召喚獣は基本的に素手だから、リーチはこっちが有利だし!

 

「では、行きますよ!」

 

早苗ちゃんがこっちに早速拳を叩きこもうとしてくる。

 

「おっとっと・・・、これはまともに受けちゃダメみたい・・・。」

 

それに対し、私は武器である触手のようなもので受けようとするけど、点数が低い私の召喚獣はいつもより打たれ弱くて、あっさりと押しきられちゃう。

受けた瞬間に気づいたから、後ろに飛んで勢いを軽減してどうにかなったけど、これは判断をミスすると簡単にやられちゃうなあ・・・。

 

「まだまだ行きますよ!」

 

そんな私の思いなんてお構いなしに早苗ちゃんがどんどん攻めてくる。

素手の召喚獣は、相手の武器を防ぐ方法がものすごいシビアだし、攻撃も武器を持つ召喚獣より威力は低いけど、身軽な分スピードと手数に優れてるから、受けられない今の状況だとやりづらかったねやっぱ。

早苗ちゃんの拳を頑張って回避しながら、ちらりとお姉ちゃん達の方を見てみる。

 

「あんたはそんなもんなの?これなら点数が同じだったら私の圧勝よね!」

 

「・・・言ってなさい。ですが、奢りは身を滅ぼすことになりますよ?」

 

どうやら、お姉ちゃんと天子さんはいまのところ互角に戦っているみたい。

・・・互角?

 

「よそ見とは余裕ですね!」

 

「・・・!しまっ・・・!」

 

見た時間はだいたい1秒くらい。

でも、早苗ちゃんはその隙を逃さずに、左手の拳を叩きこんでくる。

慌てて回避したけど、それはフェイクだったみたいで、右の拳が私に向かってきた!

回避する余裕がなかったから、触手のようなものを束ねて両端を持って受けるけど、勢いを殺しきれず、ダメージをくらっちゃう。

 

『Aクラス 東風谷早苗 現代文 177点 VS Fクラス 古明地こいし 現代文 11点』

 

即死は免れたけど、だいぶ点数を持ってかれちゃった。

この点数だと、下手したらかすっただけでも倒されかねないかも・・・。

 

(どうしよう・・・。このまま早苗ちゃんが倒されちゃうと、2対1になっちゃう・・・。でも、私の点数じゃ早苗ちゃんを長くは足止めできないし・・・。)

 

「・・・こいし。落ち着きなさい。」

 

テンパっちゃってた私に、お姉ちゃんが落ち着くようにと声をかけてくれる。

それで落ち着いた私は、お姉ちゃんが天子さんと早苗ちゃんに見えないように動かした指の動きが目に入る。

・・・ああ、なるほどね。

わかったよお姉ちゃん。

お姉ちゃんを信じて、お姉ちゃんの方に少しづつ移動しながら回避を繰り返す。

そして、少しの時間がたつ。

 

「・・・わっ、きゃっ!」

 

何度目かの攻防で、お姉ちゃんが体勢を崩す。

 

「隙を見せたわね!」

 

その隙を見逃す天子さんではないようで、刀でお姉ちゃんの召喚獣に斬りかかる。

 

「・・・こいし!今よ!」

 

「なっ!?」

 

お姉ちゃんの言葉を聞き、私の方を向く天子さん。

でも、私の狙いは天子さんじゃない。

私の仕事は・・・

 

「むっ、触手による拘束ですか!ですがこいしちゃんからの攻撃手段はないはずです!」

 

早苗ちゃんの動きを封じることだよ!

点数に大きな差がある現状、拘束も長くはもたない。

でも、少しの間、拘束するだけでいい!

 

「心花『カメラシャイローズ』。」

 

天子さんがお姉ちゃんからわずかに意識をそらし、早苗ちゃんの動きが止められた瞬間、お姉ちゃんが腕輪の力を解き放つ。

四方八方に撒き散らされたハートの一撃の威力は低いけど、たくさん当たればそれだけ火力は出る。

そして、天子さんはかなりお姉ちゃんに近い。

とっさに刀で防ぐ天子さんだけど、量が多すぎて当たってしまう。

一度当たると次々と当たっていく。

そして、私が動きを封じていた早苗ちゃんと、ついでに私にもたくさんのハートがヒットしてく。

ハートの射出が終わった時、そこに立っていたのはお姉ちゃんだけで、三体の召喚獣が倒れていた。

 

『Aクラス 東風谷早苗 現代文 0点 and Aクラス 比名那居天子 現代文 0点』

 

『Bクラス 古明地さとり 現代文 377点 and Fクラス 古明地こいし 現代文 0点』

 

「古明地姉妹ペアの勝利ですね。どちらもお疲れ様でした。」

 

先生によって、私達の勝利が告げられる。

なんとかなったね。

 

「ごめんねこいし、あなたまで倒すことになってしまって。」

 

「ううん、大丈夫だよお姉ちゃん。」

 

私が倒れても、お姉ちゃんが残ってるおかげで私達の勝ちだし、召喚獣が倒されても痛みはないからね。

それに、私がもっと点数をとれていればよかったわけだしね。

 

「ごめんなさい、天子さん・・・。私がもっと点数をとれていたなら・・・。」

 

「早苗が悪いんじゃないわ・・・。」

 

対照的に、凹んでいる天子さんと早苗ちゃん。

正直、早苗ちゃんがもっと点数高かったらダメだったかもしれなかったよ。

 

「四回戦もここに集合でいい?」

 

「うん、大丈夫だよ!」

 

お姉ちゃんと待ち合わせ場所を決めて、解散する。

四回戦のあとは、準決勝、決勝となって優勝だから、いまでちょうど半分なはずだね。

よーし、喫茶店のほうもがんばっていこうっと!

 

 




いかがでしたか?
早天コンビはふし幻で好きになりました。


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第二十六話「犯行!」

 

 

 

 

「ねえ古明地さん、飲茶の材料が足りなくなったから、取りに行くの手伝ってくれないかな?」

 

喫茶店の仕事をしていると、吉井君に、飲茶の材料を取ってくるのを手伝って欲しいってたのまれた。

 

「うん、いいよ~。」

 

断る理由もないし、協力はするよ~。

でも、なんで私なのかな?

 

「ありがとう。ちょっと一人では多かったからね・・・。」

 

・・・まあいっか!

吉井君と二人で、材料を置いてある空き教室に向かう。

えーと、確か4袋だよね。

 

「じゃあ古明地さん、僕は3つ持つから、古明地さんは1つ『おい、お前ら。』・・・ん?」

 

3つの袋を担ぎ上げようとする吉井君だったけど、知らない声が後ろから聞こえてきたため、吉井君と私は振り返る。

そこにいたのは、知らない男子3人だけど・・・なんだか嫌な感じがするな。

 

「お前らが・・・吉井明久と古明地こいしか?」

 

「うん、まあそうだけど・・・、申し訳ないけどここは部外者立ち入り禁止なんだよね。悪いんだけど、出てもらっていいかな?」

 

吉井君が、立ち入り禁止なことを伝える。

 

「んなことは今重要じゃねーんだよ。あんたらにお願いがあってな。」

 

「・・・お願い?」

 

でも、その3人は従う気はまったくないみたい。

 

「ああ、お前ら二人とも召喚獣大会勝ち進んでるみたいだが、負けてくんねえかな。」

 

「「・・・は?」」

 

吉井君も私も、わけのわからない要求に声が漏れる。

制服も違うから他高の生徒なのは確定的だし、なんでなんだろう?

外部の人達には、大会の結果なんて関係がないはずなんだけど・・・。

 

「・・・なんで?」

 

「んなもん教える義理はねえよ。お前らはただ、黙って負けらぁいいんだよ。」

 

吉井君が一応理由を尋ねたけど、男達は答える様子を見せない。

ずいぶんと、勝手な話だね。

 

「私達が断ればどうするつもりなのかな?」

 

「ちょっと辛い目にあってもらうだけだぜ?まあ、俺らとしては、それもありだけどな!」

 

「「ギャハハハハ!!」」

 

・・・うっわあ。

この人達、あれだなあ。

 

「・・・古明地さん、下がってて。」

 

吉井君が前に出る。

男らしいけど・・・、3対1じゃ大丈夫かな?

 

「あ?テメエ、痛い目見たいのか?」

 

吉井君の動きを見て、殺気だつ3人。

・・・うん、吉井君一人に任せるんじゃなくて、私もやらないとね。

殴りあいとかみたいな喧嘩は苦手だけど、一応護身用アイテムみたいなものはあるし。

それにお姉ちゃんに害を及ぼそうとする男をアレするためのものとかのもあるしね。

 

「おいお前ら、行くぎゃあ!(バチッ!)」

 

「おい大和、どうしうぎゃああ!(バチィッ!)」

 

とりあえず、吉井君に気をとられている相手のうちの二人を小型スタンガンで気絶させる。

もう一人も気絶させようと思ったけど、吉井君が取り押さえてたからやめておかないとね。

聞きたいこともあるし。

 

「・・・で、誰の差し金なのかな?」

 

「ひっ!?し、しらねえよ!」

 

他校の生徒にとっては、誰が優勝しようが関係ないはずだからね。

誰かに指示されたんだとは思うんだけど・・・、素直に教えてくれないみたい。

 

「シラをきっても、いいことないよ?」

 

「ほ、本当に知らないんだ!匿名でメールが来たから、誰の計画かはわからないんだ!」

 

なおも尋ねてみるけど、どうやらほんとに知らないみたい。

でも、誰なんだろ?

個人的には、わざわざ営業妨害してきた常夏コンビの二人が怪しいと思うんだけどね。

 

「古明地さん、この人達どうする?」

 

「ほんとに知らないみたいだし、放してあげていいんじゃないかな。・・・まあ、お姉ちゃんを狙っていたら、骨二、三十本折ってたとこだけど。(ボソッ)」

 

「?古明地さん、どうしたの?」

 

「別に何でもないよ~。」

 

吉井君が退く。

取り押さえられてた男は、気絶していた二人を起こし、逃げていった。

 

「ありがとね、吉井君。」

 

「い、いやこっちこそありがとう!」

 

実際、吉井君がいなかったら、スタンガン当てられなかったと思うしね。

そんな話をしつつ、吉井君と教室に戻る。

・・・そういえば、次の科目と対戦相手は誰なのかな?

三回戦では、確認してないところにいきなり現代文だったせいで、焦っちゃったし。

わかっているのといないのでは心のあり方が変わってくるもんね。

えーっと、次は古文で、相手は・・・。

 

(・・・なるほどね。)

 

トーナメント表に書かれていた名前は、微妙に見覚えがある人達。

やっぱり、さっきの人達はそういうことなのかな。

まあ、とりあえず今は喫茶店の仕事だね!

古文なら、阿求ちゃんに教えてもらったおかげでだいぶ取れたし。

 

 

 

 

 

 

「げえっ!?お前らかよっ!?」

 

1時間後。

私とお姉ちゃんは、四回戦の相手である・・・えーっと、名前なんだっけ、とにかく坊主とモヒカンと対峙していた。

・・・あ、そうだ!確か夏川と常村だね!

・・・どっちがどっちか忘れちゃったけど。

 

「おっと、ここでやって来ました古明地姉妹コンビ!姉妹だけあって抜群のチームワークをみせつけ、ここまで進んできました!彼女達ははたして三年生コンビに勝てるのでしょうか!?」

 

・・・あ、そっか。

そういえば四回戦からは公開試合なんだったね。

 

「・・・こいし、この二人が、営業妨害してきたって人?」

 

「うん、そうだよ~。」

 

「・・・なるほどね。確かに、この二人は心が腐っているわね。ゾンビという方が正しいかもしれないわ。」

 

「おいお前ら!さっきから丸聞こえなんだよ!」

 

お姉ちゃんと話していると、坊主の方が口を挟んでくる。

 

「・・・なんですか?ゾンビの分際で話しかけないで貰えませんか?というか今すぐ心だけでなく体まで腐り落ちてこの場から消えてくださるとありがたいのですが。・・・あ、臭うので寄らないでいただけます?体に毒です。」

 

「「て、てめえっ!何言いやがるっ!?てか臭くねえよっ!!」」

 

普段のお姉ちゃんらしくない強烈な罵倒に激昂する二人。

相手の考えていることを読み取れるお姉ちゃん、相手が言われたくないことをピンポイントで突けるから、本気を出すと口喧嘩はものすごく強いんだよね。

でも、直接的な恨みはないはずなのに、なんでこんなに言葉の刃が鋭かったんだろ?

 

「・・・口論はその辺にしておけ。始めるぞ。準備はできているのか?」

 

激化していく言い争いを止めたのは、立会人である易者先生の声だった。

易者先生もまた、謎が多い先生なんだよね~。

本名知らないし。

 

「おう。」

 

「できてるよ~。」

 

易者先生に返事を返すモヒカンと私。

 

「お?お前ら、やけに自信があるじゃねえか。」

 

「へっ、どうせ二年、しかも片方Fクラスだから大したことねえだろうけどな!」

 

むー、ちょっとカチンときたよ。

 

「・・・こいし、絶対に勝ちましょう。」

 

「うん、そうだね。」

 

こんな二人には負けたくないよね。

 

「では、召喚獣を出すんだ。」

 

「「おう!サモン!」」

 

常夏コンビが召喚獣を呼び出す。

点数は・・・っと。

 

『Aクラス 夏川俊平 古文 227点 and Aクラス 常村勇作 古文 234点』

 

なるほど、言うだけはあるみたい。

装備も一般的な盾と剣だし。

 

「どうした?ビビっちまったのか?」

 

「まあFクラスの奴にとってはなかなか見られない点数だろうしな!」

 

得意気に挑発してくる常夏コンビ。

自信満々だね。

 

「お姉ちゃん、どうやら私達、ずいぶん弱いと思われてるみたいだね。」

 

「・・・ええ、そうね。心から楽勝だと考えているみたい。」

 

「あ?俺達がお前らみたいなFクラスに負ける訳がねえよ!」

 

「隣の奴は知らねえが、Fクラスの妹はどうせ点数大したことねえだろうしな!」

 

ぎゃはははと下品に笑う常夏コンビ。

なんというか、小物感満載だよね・・・。

まあ、さっきからカチンときてるし、ここらで反撃しようかな。

阿求ちゃんに教えて貰ったから、古文はわりと取れたんだよね。

 

「ねえねえ、じゃあ、そんなバカな私達に負ける二人は何になるの~?」

 

「「は?」」

 

「「サモン!」」

 

お姉ちゃんと召喚獣を呼び出す。

 

『Bクラス 古明地さとり 古文 340点 and Fクラス 古明地こいし 古文 411点』

 

「「なあっ!?」」

 

お姉ちゃんは、生物や現代文程じゃないけど古文は得意だし、私は阿求ちゃんにとことん教わったしね。

あまり2年をなめない方がいいよ?

これでも阿求ちゃんの足元に及ばないわけだし、多分常夏コンビがあと10ペア分いても多分阿求ちゃん勝つよ?

 

「こいしはモヒカンをお願い。私は坊主を殺るから。」

 

「うん、わかった!」

 

「ぐっ・・・!」

 

召喚獣をモヒカンの方に走らせる。

そのまま、私の武器である触手のようなものでアタックするが、剣で防がれる。

3年なだけあって、操作には慣れているみたい。

お返しとばかりに腰めがけて放たれた剣での攻撃を回避し、触手のようなものによる突きを放つ。

それもかわされるけど、これは伸び縮みするし固さも変えられるからね。

ムチのようにして側面から攻撃して突き刺す。

先制攻撃は貰ったよ!

 

「ぐっ!?テメエッ!」

 

その攻撃に、一瞬虚をつかれたような表情をしたけど、すぐに私めがけて剣を突きだしてくる。

攻撃をしていたせいで回避が間に合わず、ちょっとかすっちゃったけど、そこまでのダメージにならなくてよかったよ。

その前に点数を削れてたしね。

 

『Aクラス 常村勇作 古文 168点 VS Fクラス 古明地こいし 古文 397点』

 

「・・・ところで、なんで執拗に営業妨害したの?」

 

召喚獣を戦わせながら、私は気になっていたことを聞いてみる。

 

「・・・特に理由なんてねえよ、お前らFクラスが気に入らなかっただけだ。」

 

「・・・ふーん。気に入らない、ね。」

 

嘘だね。

明らかにわかるよ。

・・・まあ、いいけどね。

どっちにしても、その理由は私の怒りとやる気ゲージをチャージするもんだったし。

 

「・・・じゃあ、そろそろ死んでね。」

 

「・・・なっ!?テメエ、何しやがったんだ!?」

 

腕輪の力を発動させて、私の召喚獣の姿を消す。

相手は腕輪を持っていないし、問題ないね。

やみくもに剣を振り回すけど、もちろん私には当たらない。

方向を変えて読まれないようにしつつ、相手の召喚獣を刺していく。

全身をめった刺しにされた召喚獣は、点数を全て失い、どうと倒れ伏した。

 

「お、おい常村!何やってんだ!」

 

「・・・余所見とは、また余裕なものですね。」

 

相方の敗北に気をとられ、隙が生まれた坊主。

その隙を逃すことなく背中に弾を撃ち込み、お姉ちゃんが倒す。

 

「お~っと、ここで勝負が決まりました!なんと、経験という壁を打ち破り、古明地姉妹コンビが勝利をおさめました~!」

 

実況の声とともに、観客の歓声が聞こえてくる。

やったね!

 

「こいし、やったわね。これで準決勝出場よ。」

 

「うん、お姉ちゃん!いえ~い!(パァン!)」

 

お姉ちゃんと、よろこびのハイタッチをして、退場していく。

ちなみに裏に退場していく時も、私達への歓声は続いてたよ。




いかがでしたか?
常夏コンビはここで退場。


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第二十七話「犯行!sideA」

 

 

 

 

「さて明久、そろそろ行くぞ。」

 

古明地さんと材料取りに行ってから働いていると、いつのまにか大会の時間が迫ってたみたいだ。

 

「そういや雄二、次の作戦はなにか考えてるの?」

 

「まあな。トーナメント表見りゃ、誰と戦うことになりそうか大体予想つく。」

 

「ちなみに、その雄二の予想では次の対戦相手は誰なのさ?」

 

「まあ、それに関しては直接見たほうが速えだろうな。」

 

確かに、今雄二に聞かなくても、戦いはもうすぐ開始だ。

会場行ってから見ればいいよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あら、今回の相手はアキと坂本なのね。」

 

「吉井君と坂本君が相手なんですね。ですが手加減はしません!」

 

そこにいたのは、姫路さんと美波のペアだった。

それと観客達もいる。

そういえば、二人も召喚大会、出てたんだっけ。

でもね姫路さん、僕の召喚獣はフィードバックがあるから、科目によっては本気で行かれると死にかねないんだ。

 

「姫路さん、出来ればお手柔らかにしてくれるとありがたいな~なんて・・・」

 

「ところで姫路、島田。お前達は明久が誰とペアチケットで幸せになりに行くか知っているか?」

 

「「えっ!?誰(なんですか)!?まさか坂本(君)!?」」

 

雄二の言葉に同時に反応する二人。

僕としては、何故そこで雄二の名前が出てくるか、小一時間ほど問いつめたいところだ。

 

「いや、島田・・・」

 

「えっ、アキ、まさかウチと・・・!」

 

「の妹だ。」

 

「殺すわ。」

 

まずい、雄二の事実無根の発言のせいで美波が殺気だってる。

 

「吉井君、小学生に手を出すのは犯罪なんですよ?」

 

「ちょっと雄二!何しちゃってくれてるのさ!美波なんか今すぐにでもこっちに来て僕に拳を叩き込もうとしてるじゃないか!」

 

「美波ちゃん、落ち着いて下さい。」

 

どうやって惨劇を回避しようかと考えていると、姫路さんが美波を止めてくれる。

ああ姫路さん!

僕は君の優しさを信じていたよ!

 

「召喚獣でお仕置きすればいいんですよ。そうすれば私もいっしょにやれますから!」

 

かと思ったら笑顔で死刑宣告。

最近姫路さんの考えが読めない。

 

「そうね。瑞希の言う通りだわ。アキ、覚悟しなさい!サモン!」

 

「吉井君、おしおきですっ!サモン!」

 

二人が召喚獣を呼び出す。

 

『Fクラス 姫路瑞季 古文 399点 and Fクラス 島田美波 古文 6点』

 

「っ!?古文!?数学のはずじゃ・・・!」

 

「残念だが、お前らに渡した科目表は偽物だ。島田が古文が大の苦手なのは知っているからな。」

 

「くっ・・・!卑怯ねアンタ・・・。」

 

美波が悔しそうにしているが、6点の召喚獣なんて、はっきり言っていないも同然だよ!

 

「「サモン!」」

 

僕らも召喚獣を呼び出す。

さあ、行くよ!

 

『Fクラス 坂本雄二 古文 211点 and Fクラス 吉井明久 古文 9点』

 

「・・・・・・・・・明久。」

 

「・・・・・・正直、すまなかったと思ってる。」

 

すごくいたたまれない雰囲気だ。

さっきまで召喚獣の登場で盛り上がっていた会場もシーンとしてるし。

 

「アキ!おしおきよ!」

 

そんでもって二人とも僕の方へ向かってくるの!?

9点の召喚獣に対して、6点の召喚獣と399点の召喚獣が襲いかかる。

ねえこれいじめだよね!?

雄二も見てないで助けてよっ!

というか雄二の方が点数高いんだから雄二が姫路さんと戦ってよっ!

 

「・・・明久、キツいだろうがそのまま武器を抑え込め。俺が奇襲をかける。」

 

助けを求めると、そんな返事が小声で返ってくる。

・・・そういうことね。

なら、一瞬の痛みを我慢して押さえ込む!

姫路さんの召喚獣が剣を引き戻そうとするタイミングで召喚獣を飛びつかせる。

ぐうっ!引き戻す動作でも攻撃力が高いっ!

 

「雄二ッ!」

 

でもこの一瞬の痛みを耐えきれば、雄二が倒してくれる!

さあ、あとは僕を巻き込まないようにして・・・

 

「アホか、そんなこと考慮したら威力が落ちるだろうが。」

 

ドンッ!

雄二の言葉とともに、姫路さんの召喚獣と僕のに叩き込まれる拳。

ぐほっ・・・。

し、死ぬほど痛い・・・。

 

「瑞季っ!」

 

「余所見とは余裕だな。」

 

姫路さんの召喚獣に気をとられていた美波に、雄二の攻撃が叩き込まれる。

姫路さんですら耐えられなかった一撃だ。

結果は見なくてもわかる。

というか、痛みで意識が飛びそうなため見えなくなってきた。

 

「え・・・っと・・・。姦計をめぐらせ、味方ごと敵を倒した坂本君の勝利です!」

 

先生の戸惑ったような声を最後に、僕は痛みで気を失った。

 

 

 

 

 

しばらくして僕が目覚めたあとは、秀吉、ムッツリーニ、僕の3人で食事をとるため学祭を回っていた。

胡麻団子は美味しいけどお腹はあまり膨れないし。

 

「む?あれはBクラスのようじゃな。」

 

秀吉が指差した方には行列がある。

焼きそばの美味しそうなにおいがこっちに来てて食欲が増す。

 

「並ばない?」

 

「・・・・・・賛成。」

 

「そうじゃの。」

 

他の二人からも賛成を得られたため、並ぶ。

数分待つと、僕らの順番が回ってきた。

 

「注文はどうしますか?」

 

「じゃあ焼きそば3つで。」

 

店員に注文をして、待つ。

すると、焼きそばを作りながら、彼女は話しかけてきた。

 

「・・・妹は、クラスでうまくやれていますか?」

 

・・・妹?

誰のことなんだろう?

 

「妹とは、誰のことなのじゃ?」

 

秀吉も疑問に思ったようで、彼女に質問する。

 

「失礼、そちらの二人とは初対面でしたね。私は古明地さとり、こいしの姉です。」

 

古明地さんのお姉さんだったのか。

 

「というか、そこの吉井明久とは会っているのですが、忘れていたのですね。」

 

言われて思い出した。

雄二を探すために女子更衣室に行った時に会ったんだった・・・。

その節は助かりました。

まあそれはともかく、古明地さんのお姉さんに、思った通りに答える。

 

「・・・そうですか。いい友達を持ったのですね。焼きそば、できましたよ。」

 

それで伝わったのか、彼女は安心したような笑みを浮かべ、焼きそばを渡してくれる。

焼きそばは期待通り美味しかった。

 




いかがでしたか?
さとり様は結構妹思いです。


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第二十八話「準決勝!」

 

 

 

 

「・・・さて、これから準決勝な訳だけど・・・なんでその格好なの?」

 

四回戦が終わって1時間後、準決勝の時間が来たからやってきたけど、お姉ちゃんは困惑と呆れが1:4くらいの割合な表情をしてる。

喫茶店から直接来ただけなんだけどな。

 

「・・・いや、私が言いたいのはなんで制服に着替えずにチャイナドレスで来たのかってことよ?」

 

「えー、でも可愛いでしょ?」

 

「・・・こいしに一般常識を求めた私がバカだったみたいね。」

 

チャイナドレス、可愛いと思うんだけどな~。

 

「まあいいから会場向かうわよ。」

 

「はーい。」

 

お姉ちゃんと一緒に会場に入る。

四回戦と同じ・・・いや、それ以上に観客がいるね。

対戦相手も今から入場するところだけど、対戦表見てるから相手誰だかはもう知ってるよ。

 

「こいし、点数はどれくらい?」

 

「んー、確か220点くらいだったかな・・・?」

 

保健体育は別に得意でも苦手でもないんだよね。

お姉ちゃんが私の点数を確認している間に、対戦相手の二人が入場してくる。

出てきたのは阿求ちゃんと本居さん。

なんというか、四回戦で当たらなくてよかったよ。

 

「あら、次はこいしさんでしたか。お手柔らかにお願いします。」

 

「よろしくね!あと古文の時は助かったよ~!」

 

阿求ちゃんに教えてもらったおかげで古文の点数とれたからね。

 

「じゃあ、始めよ!」

 

「「「サモン!!」」」

 

四人が召喚獣を呼び出す。

えっと、みんなの点数はどれくらいかな・・・?

 

『Aクラス 本居小鈴 保健体育 278点 and Fクラス 稗田阿求 保健体育 364点』

 

『Bクラス 古明地さとり 保健体育 447点 and Fクラス 古明地こいし 保健体育 223点』

 

んー、どうだろこれ?

点数では勝ってるけど、そこまでの差じゃないし・・・。

銃での遠距離攻撃は辛いから、距離をつめようかな。

 

「お姉ちゃん!援護お願い!」

 

「わかったわ。」

 

恐らく阿求ちゃんの弾は威力は低いけど高速連射できるんだと思う。

放置していると危険そうだから、先に倒したいよね。

400点を超えてないから多分武器も変わらないし。

 

「ですが、させませんよ!小鈴!」

 

「わかってる!」

 

でも、そううまくはいかず、間に割り込んできた本居さんと戦うことになる。

お姉ちゃんの援護も、阿求ちゃんの攻撃のせいで無くなっちゃう。

私と本居さん、お姉ちゃんと阿求ちゃんと、1対1のかたちがふたつになる。

でも、本居さんの武器は普通の剣だから読みやすいは読みやすいけどね。

降り下ろされた刀を横から弾いて軌道を反らす。

そのまま踏みつけて武器を動かせないように封じ、こちらの攻撃を打ち込む。

本居さんは武器を諦めて後ろに飛んで回避したけど、武器をどうにかすることはできた。

でも、このあたりの判断のはやさはさすがAクラスだね。

 

「マズイな・・・。」

 

武器を失ったことによる、本居さんの焦りの呟きが聞こえてくる。

私の武器は直接くっついてるから同じことがおこる心配はないけど、気持ちはわかる。

まあ、だからといって手加減とかはしないけどね。

攻める。

 

「・・・ここね。」

 

えっ?

その言葉を疑問に思う間もなく、私の召喚獣が大きく体勢を崩す。

何が起きたのかわからなかったから注意して見てみると、どうやら本居さんの回し蹴りが私の召喚獣の足をとらえたみたい。

体勢を立て直す間に本居さんは剣を再度拾い上げ、横凪ぎに打ち込んでくる。

マズイ!

とっさにガードはしたけど、不充分だったために吹き飛ぶ私の召喚獣。

 

「チャンスよ阿求!」

 

「任せて小鈴!」

 

「・・・ッ!こいし!頭を守って!」

 

吹き飛ぶ私の召喚獣に、阿求ちゃんが銃を撃つ。

お姉ちゃんの直前の警告で、頭だけは守れたけど、弾が私に当たる。

 

『Aクラス 本居小鈴 保健体育 186点 VS Fクラス 古明地こいし 保健体育 65点』

 

「・・・仕方無いです、心花『カメラシャイローズ』。」

 

お姉ちゃんが、私に対するさらなる追撃を防ぐために、腕輪の力を使う。

本居さんは残念ながら射程圏外だけど、阿求ちゃんにたくさんのハートの弾が襲う。

本居さんが私のところに来るまでには、私は体勢を立て直せる。

これで阿求ちゃんを倒せれば、1対2のかたちを作れる・・・

 

「と思っているかもしれませんが、そううまくはいきませんよ。」

 

えっ?

何を言って・・・

 

「「無傷・・・!?」」

 

お姉ちゃんの攻撃が終わった後、そこには傷一つない阿求ちゃんがいた。

でも、放たれた時に動かなかったから、回避したわけではないはず・・・。

もしかして・・・

 

「全弾撃ち落としたの・・・?」

 

「いいえ、自分に当たる弾だけです。」

 

平然と言う阿求ちゃんに、お姉ちゃんも私も驚く。

いくら拡散するといっても、まさか完全に防げるとはね・・・。

でも、おかげで体勢を立て直すのは間に合った。

さっきは武器を封じた油断からやられちゃったけど、次は油断しないよ。

同じような足払いも警戒しつつ、ギリギリのところで回避し、わずかずつ、しかし確実にダメージを蓄積させてく。

一撃当たったら多分やられちゃうし、かなり厳しいね。

 

「小鈴、攻撃が必要以上に大振りになってるわよ。落ち着いて。」

 

「ああ・・・ごめん。ありがと。」

 

点差が縮まったことによる焦りが生まれていたのか、攻撃の隙が大きくなっていたけど、阿求ちゃんが落ち着かせてもとに戻る。

私的には大振りな方が攻撃しやすかったからよかったんだけどね。

阿求ちゃんとお姉ちゃんの方も互角みたい。

驚きながらも回避はしていたから、点差もほとんどないしね。

・・・いや、互角じゃなさそう。

だんだんお姉ちゃんが優勢になってきている。

 

「その銃、連射性能等は高いみたいですが、重さもかなりのものみたいですね。点数が下がり、動きにくくなってきたはずです。」

 

「見抜かれていましたか・・・。」

 

自分の武器を扱えなくなることはないけど、武器の性能は召喚獣の点数に比例するかのように変わる。

お姉ちゃんは武器がないけど、阿求ちゃんは両手銃というだけあって、質量も大きいんだよね。

しかも今回は400点に達してないから、武器を変えることも出来ないし。

 

「では終わらせましょう・・・。心花『カメラシャイローズ』。」

 

お姉ちゃんの弾を阿求ちゃんが撃ち落としたタイミングで、お姉ちゃんが再び腕輪の力を使う。

 

「もう1回やっても同じことで(カチカチッ)・・・・・・嘘、弾切れ!?」

 

さっきと同じように撃ち落とそうとした阿求ちゃんだけど、どうやら弾切れが起こったみたいで、驚きの表情を浮かべている。

あの様子から考えるに、そもそも弾切れがあるのを知らなかったということだよね。

 

「・・・!ごめん小鈴、あとはお願い・・・。」

 

銃を構えていた体勢からの回避は間に合わず、弾幕が阿求ちゃんに多数hitする。

さすがに耐えきることはできずに、阿求ちゃんは倒れる。

 

『Fクラス 稗田阿求 保健体育 0点 VS Bクラス 古明地さとり 保健体育 112点』

 

「阿求!私がやるしか・・・。」

 

これで2対1。

点差もちまちま攻撃していたおかげで、だいぶ縮まってるし、油断しなければ行ける!

お姉ちゃんと目線を交わし、作戦を伝える。

そして、あえて体勢を崩し、隙を生み出す。

もし私を攻撃しようとすると、お姉ちゃんの弾が直撃するような位置に行くように。

弾は私の武器と私の召喚獣の体で隠れるような軌道になってる。

 

「くっ、しまっ・・・!」

 

本居さんも気づいたようだけど、それはひっかかった後。

私が攻撃されると同時に、お姉ちゃんの弾が本居さんの召喚獣の頭に当たる。

倒れたのは同時。

・・・ほんとは紙一重でかわすようにしたんだけど、失敗しちゃった。

まあ、お姉ちゃんがいるから勝ちだしいっか!

 

『Aクラス 本居小鈴 保健体育 0点 VS Fクラス 古明地こいし 保健体育 0点』

 

「そこまで!優勝最有力候補であった稗田・本居ペアを破り、決勝への切符を手にしたのは、古明地姉妹ペアだぁ~!」

 

実況の人・・・かはわからないけど、その人が私とお姉ちゃんの勝利を告げてくれる。

危なかったけど、なんとかなってよかったよ!

 

「・・・お疲れ、こいし。」

 

「うん、お疲れさま、お姉ちゃん!」

 

お姉ちゃんと言葉を交わす。

決勝戦は明日だし、今日はこれで終わりだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・じゃあこいし、喫茶店頑張りなさいよ。」

 

「うん、お姉ちゃんも頑張ってね!」

 

お姉ちゃんと別れて私のクラスに向かう。

・・・でもせっかくだし、おやつ食べてから行こうっと!

進路をちょっと変えて、Fクラスの教室じゃなくて控室的な場所に向かう。

そういえばさっき、ここで絡まれたんだっけ。

まあ、2回も同じことはおこらな『おい、お前Fクラスの女か?』フラグって怖い。

 

「ん?そうだけど、どうしたの?」

 

「おいお前ら、連れてくぞ。」

 

えっ?

何が起こってるかわからないうちに腕をつかまれ、つれていかれる。

・・・三人の男達に私一人でも勝てないし、しょうがないから抵抗しない。

腕をつかまれてるのは不快だけどね・・・。

 




いかがでしたか?
このコンビと当たったのが4回戦だったら2秒でやられてたでしょうね。


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第二十九話「準決勝!sideA」

 

 

 

「ねえ雄二、次はどんな卑怯な手を使って勝つつもりなの?」

 

「準決勝の相手は翔子と木下姉だ。だから秀吉を使う。」

 

秀吉を?

どういうことなの?

 

「はあ・・・。秀吉を木下姉に変装させ、降伏を宣言させるってことだ。そんくらい、言われなくてもわかれ。」

 

僕が雄二の言ったことを考えていると、呆れたような感じで雄二が補足する。

まったく、僕は雄二のような卑怯な男じゃないんだしわかるわけがないじゃないか。

 

「とにかく、翔子にペアチケットを渡すわけにはいかねえ・・・。企業の力で無理矢理婿入り・・・、霧島雄二なんて呼ばれるのはごめんだ・・・!勝たないと、俺の人生は、俺の人生は・・・!」

 

最近、雄二の壊れかたがワンパターンな気がする。

まったく、霧島さんのような美人なら、僕なら大歓迎なのにな。

開始の時間も近いので、古来から伝わる壊れた電化製品を直す方法を雄二にやって起こし、会場に向かう。

雄二が言っていた通り、出てきたのは霧島さんと木下さん・・・いや、秀吉なんだっけ。

 

「・・・雄二。私は雄二と幸せになりに行きたいだけ。そんなに嫌?」

 

いきなり霧島さんが上目使いで、雄二に質問する。

うっ、これは僕なら嫌とは言えない。

というか、それでお願いをされて断れる人は人の心を持ってないと言えるだろうね。

 

「ああ、嫌だ。」

 

雄二は人の心を持ってなかった。

 

「・・・そう。なら、頑張る。」

 

でも、霧島さんも特に気にした様子はみられない。

案外、この2人はお似合いなのかもしれない。

 

「さて、それじゃ秀吉!やってくれ!」

 

雄二が叫ぶ。

これで、木下さんのフリをした秀吉が、敗けを宣言し、僕らは決勝戦に進める。

はずなんだけど、秀吉は黙ったまま宣言しようとはしない。

 

「秀吉、何をやってるんだ?うちあわせ通りに頼むぞ。」

 

「秀吉?もしかしてあのアホのことかしら?」

 

霧島さんの隣に立っている秀吉?がそんなことを言い出す。

指差した方向を見ると、チャイナドレスを着た秀吉?が縛られ、転がされていた。

・・・・・・ごくり。

・・・じゃなくて、誰があんなことを!

 

「・・・雄二の考えることはわかる。」

 

くっ、霧島さんと雄二が幼馴染みなのは、試召戦争では有利に働いたけど、今は仇となったのか!

 

「くっ、翔子・・・」

 

ともかく、ムッツリーニが写真を撮りながら縄をほどきに向かったけど、雄二の作戦は失敗してしまった。

もちろん、学年主席の霧島さんと学年でも指折りの成績優秀者である木下さんとまともに戦ったら、僕達には万にひとつも勝ち目はない。

どうにか勝てる方法は・・・そうだ!

 

「ねえ雄二、勝てる作戦を思いついた。僕を信じて、今から僕が言う言葉を言ってね。棒読みじゃダメだよ。」

 

「・・・わかった。俺の作戦は失敗しちまったし、お前を信じようじゃねえか。」

 

よし、雄二の協力もとりつけられた!

この作戦には、雄二が必要だからね。

 

「じゃあ行くよ。『翔子、俺の話を聞いてくれ。』」

 

「翔子、俺の話を聞いてくれ。」

 

「・・・なに?」

 

うん、無事に霧島さんの気をむけられている。

ここまでは計画通り。

 

「『お前がそう思ってくれているのは嬉しいが、俺には俺の考えがあるんだ。』」

 

「お前がそう思ってくれているのは嬉しいが、俺には俺の考えがあるんだ。」

 

「・・・考え?」

 

「『俺はお前に勝って、俺の意思で、胸を張って幸せになりたいんだ。』」

 

「俺はお前に勝って、俺の意思で、胸を張って幸せに・・・ってちょっと待て!」

 

こちらを向いて抵抗してくる雄二。

でも、それくらいはお見通しさ!

 

「『だからここは俺に勝たせてくれ。そして優勝したら結婚しよう。』」

 

「だ、誰がそんなこと言うかボケ!」

 

雄二が激しく抵抗する。

 

「くたばれ!」

 

「くぺっ!?」

 

だから僕は雄二の頸動脈を押さえ、意識を刈り取る。

意識を失った雄二の体を支えて・・・と。

 

(秀吉、お願い。)

 

(うむ、任せるのじゃ。)

 

近くに呼んだ秀吉を雄二の後ろに隠すようにして配置する。

 

「だからここは俺に勝たせてくれ。そして優勝したら結婚しよう。愛してる、翔子!(秀吉の声真似)」

 

秀吉が雄二の声で、霧島さんに愛の告白をするのにあわせて、僕が後ろから口や手を動かし、本当に雄二が言っているように演出する。

・・・ところで、僕が指示してないものまで入ってたんだけど、実は秀吉もこういうの好きなのかな?

ともかく、これで霧島さんは封じた。

こっちも雄二を落としたけど、雄二と霧島さんの交換なら余裕でお釣りがくる。

名付けて『なりすまし作戦』、成功だ!

そして、ここからが僕の秘策第二段!

 

「さあ木下さん、残りは君だけだ!」

 

雄二と霧島さんの対話の間に召喚獣を出していた木下さんに言う。

 

「いくよ!サーモン!」

 

「・・・・・・サモン(ボソッ)」

 

『Aクラス 木下優子 保健体育 234点 VS Fクラス 土屋康太 保健体育 691点』

 

これぞ第二の秘策、『なりかわり作戦』!

保健体育だけはべらぼうに高いムッツリーニによる代理召喚で決める!

 

「・・・加速。」

 

「ちょ、本当に卑怯・・・きゃあっ!」

 

出現と同時に腕輪の力を使い、一太刀で木下さんの召喚獣を切り裂くムッツリーニ。

 

「・・・えー、ただいまの勝負ですが・・・。」

 

む。でも、物言いがつきそうだ。

 

「秀吉、お願い。」

 

「うむ。愛してる、翔子!(雄二の声真似)」

 

「・・・私達の負けでいい。」

 

「・・・わかりました。吉井、坂本ペアの勝ちです!」

 

ふう、危なかった。

雄二の作戦が失敗したときはどうなるかと思ったけど、僕の天才的な頭脳のおかげで、雄二の人生という、僕には全く損害がないものだけで勝つことが出来た。

優勝できなかった場合、僕の人生は博麗さんに終わらせられるか、水道水と塩だけしか食べられなくなってのたれ死ぬとこだったし、安いものだよね雄二の人生くらい。

 

 

 

 

 

 

「テメェ明久!なに俺の人生を売ってやがるんだ!」

 

「もとはといえば雄二の作戦が失敗したから悪いんじゃないか!むしろ僕のおかげで勝てたことに感謝して欲しいんだよ!」

 

「だからといってこれじゃ本末転倒なんだよボケ!あれか?2回戦の時の仕返しのつもりかこの野郎!」

 

「ああ、その通りだよ!計8000円という大金を支払わなくちゃいけなくなった僕の苦しみを、雄二も味わえばいいんだ!」

 

「8000円と俺の人生って、割にあわなさすぎるだろうが!」

 

雄二と口論しながら、Fクラスに戻るために歩く。

・・・ん?なんだかFクラスの様子がおかしいような・・・?

 

「・・・大変なことになった。」

 

僕らの姿が見えたのか、先に戻っていたムッツリーニが慌てた様子で教室から出てくる。

 

「どうした、なにかあったのか。」

 

「・・・女子達が連れ去られた。」

 

へ?

連れ去られた?

 

「・・・連れ去られたのは正邪以外の全員。正邪だけは連れ去ろうとした奴を撃退したそうだ。」

 

正邪以外の全員・・・というと大変じゃないか!

今すぐ助けにいかないと!

 

「落ち着け。まずはどこに連れていかれたか確認だ。」

 

「・・・もう調べた。これを。」

 

ムッツリーニがなにかを見せてくる。

これは・・・発信器?

・・・うん、今だけは見なかったことにしよう。

友人から逮捕者が出るなんて事態、僕も嫌だしね。

 

「・・・学校の近くのカラオケを差している。」

 

「そこに、姫路さん達がいるの?」

 

「そうだな。助けに行くか。」

 

「うん。」

 

誘拐なんてする犯人達を、僕は許せない。

待っててねみんな!今助けに行くから!

・・・でも、なんでこんなに事件が起こるんだろう。

正邪がやってくれているから店から店員がいなくなる事態にはならなかったけど、誘拐なんて普通に犯罪じゃないか!

 

 

 

 

 

 

「ここか・・・。」

 

5分後。

ムッツリーニの発信器がさしていたカラオケに到着していた。

店員に、中に連れがいると言って入る。

ムッツリーニは既に店員として潜入してる。

中から聞こえる声を聞くために、ムッツリーニから借りた盗聴器を耳にあてる。

すると、聞こえてくる声。

 

「ちょっと、いい加減にしなさいよ!何が目的でこんなことをするのよ!」

 

これは・・・美波の声?

 

「そんなの言うわけないだろ。お前達はここで大人しくしてれゃいいんだよ。」

 

「よくわからないけど、これ美味しそうだから頼んでいい?」

 

「なあお空、こっちも美味しそうだぜ!」

 

「あ、これ、前に私がお姉ちゃんと食べて美味しかったやつだ!瑞季ちゃんも阿求ちゃんもどう?」

 

「い、いえ・・・。私はいいです・・・。」

 

「あ、あの・・・、そこの3人、呑気過ぎませんか・・・?」

 

「というか、よく食べられるのう・・・。」

 

「だって、この人達、どうせ出してくれないと思うもん。だったら、食べられるものを食べた方がいいかなって。」

 

「その通りだぜ!・・・それに、今私達金持ってないし、こいつら持ちに出来そうだしな。(ボソッ)」

 

美波とは対照的に、危険を感じていない様子の魔理沙と古明地さんと霊路地さんの声。

というか魔理沙、誘拐犯に持たせようとするなんて凄いね・・・。

今すぐ行かなくても良さそう。

隙をうかがって・・・

 

「この・・・!お前、いい加減にしやがれ!」

 

ドンッ、ガシャーンと、なにかを突き飛ばしたような音と、テーブルか何かに当たったような音。

そして、魔理沙のうめき声が聞こえてくる。

うん、前言撤回。

 

「お、おい明久、落ち着・・・」

 

雄二の声を無視して中に入る。

中には、聞こえてきた音と同じような光景があった。

数は・・・6か。

 

「あ?なんだ、テメェ?」

 

そのうちの1人が、こっちにガンつけながら近づいてくる。

それじゃ、失礼して・・・

 

「死にさらせエェェーッ!」

 

「ごふぉっ!?」

 

股間を思いっきり蹴りあげる。

そいつは股間をおさえて沈んでいった。

 

「テメェ!リュウキに何しやがる!」

 

僕の腹にパンチを叩き込む誘拐犯の一人に、カウンターの顔面パンチを叩き込む。

魔理沙を突き飛ばしたのはどいつだ?

誰でもいい、全員ぶちのめす!

 

「やれやれ・・・全く、突っ走りやがって・・・っと!」

 

でも、多勢に無勢。

不利になってきていたけど、雄二も加勢してくれる。

店員に扮したムッツリーニが最後の一人の頭を灰皿でぶん殴り、制圧は完了した。

 

「大丈夫、みんな?」

 

なにかトラウマになるようなことがなかったか、突き飛ばされた様子の魔理沙に怪我がないかと聞いてみたが、問題はないようだ。

そのため、みんなでFクラスに戻る。

 

「や・・・やっと帰ってきたか・・・。あとは・・・頼む・・・ぞ・・・(バタン)。」

 

「ちょっ、正邪!?」

 

中には、1人チャイナドレスで奮闘し、げっそりとしたような正邪の姿があった。

こっちを見て、糸が切れたように倒れる彼女。

お疲れさま。

そして、ありがとう。

 

 

 

ちなみに、彼女は控え室でゆっくりと寝かせておいた。




いかがでしたか?
こいしちゃんサイドに比べて明久サイドは卑怯。


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第三十話「白金の腕輪!」

 

 

 

連れ去られた私達を吉井君達が助けてくれてからしばらく後。

学園祭1日目も終わって、他の生徒はもう帰ったんだけど、何故か私はひきとめられたんだよね。

今教室にいるのは私と吉井君と坂本君の3人。

あのあとお姉ちゃんと話したけど、まだ話したいのにな。

 

「ところで、用件ってなんだっけ?私、はやくお姉ちゃんと会いたいんだけどなー?」

 

「まあ待て。もうそろそろ来るはずだ。」

 

「ん?誰か来るの?」

 

そう言ったのは吉井君。

あれ、吉井君も知らないのかな?

 

「ババァだ。」

 

・・・・・・いや、誰?

ババァって言われてもなあ・・・。

 

「え?学園長がここに来るの?」

 

「えっ?ババァって学園長のことだったの!?」

 

学園で一番偉い人なのにババアって・・・。

二人らしいといえば二人らしいけど。

 

「でも、どうして学園長がここに来るの?」

 

「俺が呼んでおいた。さっき廊下で会ったときにな。」

 

「ダメだよ雄二。性悪ババァとはいえ一応目上の人なんだから、用があるならこっちから行かないと。」

 

吉井君・・・。

ババァとか言っていなければ、とてもいいことを言っていたのに・・・。

 

「用もなにも・・・、今日起きたFクラスへの妨害の原因は、あのババァなはずだからな。事情を聞かせてもらわないと気がすまん。」

 

「もうちょっとふさわしい呼び方をした方が・・・・・・ん?なんて?」

 

なんだか今、妨害の原因が学園長にあるって聞こえたんだけど・・・。

 

「だから、あのババァが今日のトラブルの原因だ。」

 

「えええっ!?あのババァ、なにか企んでいたのかっ!?」

 

もしそうだったら・・・残念だな。

その時、ガラガラと扉が開けて、長い白髪の女性が入ってくる。

 

「やれやれ、わざわざ来てやったのにずいぶんな挨拶だね、ガキ共。」

 

「出たな!諸悪の根源め!」

 

その容貌に、教育者としては乱暴なしゃべり方、あと吉井君の台詞から考えるに、今入ってきた人が学園長である、藤堂カヲルさんで間違いないはず。

 

「おやおや、アタシが黒幕扱いかい?」

 

「そうでないにしろ、俺たちに隠していることがあるのは間違いないはずだ。でないとたかが学園祭の出し物で、執拗な営業妨害や誘拐が発生するなんて、どう考えてもおかしい。話を聞かせてくれるんだよな?」

 

「・・・まさか奴らがそこまでするとは、このアタシも思わなかったのさ。本当にすまなかったね。」

 

そう言いつつ学園長が頭を下げて謝罪を・・・え?

 

「そこのジャリ共も、誘拐犯から生徒達を助け出してくれたこと、感謝してるよ。」

 

学園長は頭を下げたまま吉井君達にお礼を言い、頭を上げる。

 

「・・・さて、謝罪も終わったことだし話すとしようかい。身内の恥をさらすような真似になるから、あまり話したくはないんだけどねえ。」

 

そう言って、学園長は話し始めた。

 

「アタシの目的は、如月ハイランドのペアチケットじゃないのさ。」

 

・・・ん?

まって、いきなり話がわからないんだけど・・・。

ペアチケットっていうと大会の優勝商品だよね。

お姉ちゃんと行くつもりだったけど、なにかあったのかな?

 

「ベアチケットじゃない!?どういうことですか!?」

 

「アタシにとっちゃあ企業の企みなんかどうでもいいんだよ。アタシの目的は、別の優勝賞品の方さ。」

 

「別のって言うと・・・商品券と、『白金の腕輪』とやらか。」

 

「ああ。あの特殊能力がつくとかなんとかってやつ?」

 

そういえばそんなものもあったっけ。

確か、片方が点数を半分にわけて2体同時に出せるのと、教師がいなくてもフィールドを展開できるんだったかな?

 

「その白金の腕輪をあんたらに勝ちとって欲しかったのさ。」

 

「ああ。それと引き換えに教室の補修を許すってな。ま、俺達が聞いてたのはチケットの方だった訳だが。」

 

へー、そんなことがあったんだ。

確かにFクラスはすき間風とか酷いもんね。

 

「でも、なんで吉井君達に手に入れて欲しかったの?」

 

「・・・・・・欠陥があったのさ。恥ずかしい話だが、点数が一定以上だと暴走してしまうんだよ。」

 

「一定以上?」

 

「そうさ。片方はそこまで水準は低くはないが、もう一方は平均点程度でも暴走してしまうようでね。だから、あんたらのような、優勝の可能性がある低点数者がいいってわけさ。」

 

な、なるほどね・・・。

確かに坂本君は作戦でD、Bクラスに勝ち、Aクラスにもあと一歩のとこまで行った(それを台無しにしたのも坂本君だが)し、吉井君は監察処分者だから召喚獣の扱いが上手いものね。

 

「雄二、僕たちは褒められてるってことでいいのかな?」

 

「いや、お前らはバカだって言われてるんだ。」

 

「なんだとババァ!」

 

「それぐらい自分で気づけっ!」

 

暴れだしかけた吉井君をおさえて学園長の話を聞き続ける。

あれ、そうなると負けたほうがいいのかな・・・?

私達以外で勝ち上がったのは吉井君達みたいだしね。

 

「ところで、明日の試合は私とお姉ちゃんが負けたほうがいいの?」

 

あまりやりたくはないけど、そういう事情があるならしょうがないかな。

 

「いや、そんなことはするんじゃないよ。決勝はいろんな人が見てるんだ。そんなことをしちまったら八百長試合で思い切り叩かれちまうさね。もしもあんた達が勝ったら、『白金の腕輪』だけ、そこのバカガキどもに譲ってやってくれるかい?」

 

「うん、わかったよ。」

 

腕輪とかちょっと面白そうだけど、不具合あるならしょうがないよね。

うん、それなら二人と普通に戦えるよね。

 

「ええええ!?バ、ババア!そこは古明地さんに負けろって僕は言ってほしかったよ!?」

 

でも突然吉井君が慌てだす。

なんか事情があったのかな?

 

「あん?別にアタシとしちゃあ、『白金の腕輪』が戻ってくるんならどちらでもいいさね。むしろ、礼儀知らずのあんたらには負けてもらって、この娘に勝ってほしいぐらいだよ。」

 

「そんな!?ババァ、僕達を見捨てないで!可愛い生徒じゃないですか!」

 

「バカ言うんじゃないよ。あんた達よりもこの子の方がよっぽどかわいい生徒だ。万が一にも八百長を仕掛けるとしてもこの子を勝たせるさね。」

 

「そ、そんな殺生なっ!?」

 

よくわからないけど・・・吉井君は八百長してでも勝ちたい理由があるのかな?

でも、さっきの吉井君、まるで命がかかってるかのような必死な感じがしたけど・・・。

 

「まあそういうわけで、明日は頼んだよガキ共。」

 

「ああっ!待って、ババァ長!」

 

吉井君が呼び止めるのを無視して、スタコラと歩いていく学園長。

吉井君の態度も態度だけど、無情だよね。

 

「雄二!今日は徹夜で勉強するよ!」

 

「とはいってもなあ・・・。古明地らが勝てば、翔子にペアチケットが渡る心配はないだろうしな。だろ、古明地?」

 

「うん、私はお姉ちゃんと行くつもりだったよ~!」

 

「ん?だったとはどういうことなんだ?」

 

お姉ちゃんと一緒に行きたかったんだけど・・・。

 

「お姉ちゃん私と遊園地行くの恥ずかしいみたいで、いいって言ってくれなかったんだよね・・・。」

 

「そうなると、どうするつもりなんだ?」

 

「んーっとね、お姉ちゃんは今一番欲しがっている人に売るって。」

 

「欲しがっている人・・・?」

 

「えーと、Aクラスで学年主席の、一途な女の子って言ってたよ。」

 

「・・・Can you say that again?(もう一度言って貰えますか?)」

 

何故英語?

私もさっきまで知らなかったんだけど、お姉ちゃんと霧島さんは知り合いだったらしいんだよね。

 

「Aクラスで学年主席の、一途な女の子って言ってたよ。」

 

とりあえず言われた通りにもう一度言ってあげる。

 

「じゃ、私はもう行くね~!」

 

お姉ちゃんがいる場所に私も向かうため、坂本君と吉井君に別れの挨拶をして去る。

 

「ちくしょおおぉおっ!明久ァ!今から死ぬ気で勉強するぞおおぉおっ!!」

 

後ろから、そんな坂本君の魂の叫びが聞こえてきた。

 

 

 




いかがでしたか?
霧島さんとさとり様は友人です。


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第三十一話「決勝戦開始!」

 

 

 

翌日。

 

「おっはよ~!」

 

「おう、古明地か。おはようだな。調子はどうだ?」

 

教室に入って、挨拶すると、正邪ちゃんが調子を聞いてくる。

 

「うん、しっかり寝たし大丈夫だよ!そういや坂本君は?」

 

普段、こういう時にははやく来ているのに、姿が見えないから気になったんだよね。

なにかあったのかな?

 

「坂本と吉井なら、徹夜で勉強してたから、少し眠らせて欲しいらしくてな。今は屋上で寝てる。」

 

「ほ、ほんとに徹夜したんだ・・・。」

 

私、昨日も普段通りに11時に寝たんだけど・・・。

まあお姉ちゃんも健康は大事って言ってたし、間違ってはいないはずだよ!

 

「そういうこいしはどうなんだぜ?」

 

話していたら、横から魔理沙が聞いてきた。

 

「ま・・・まあ、それなりに勉強したよ!」

 

ほんとは1時間くらいしかやってないんだけど、そのまま言うのは恥ずかしいし、ごまかそっと。

 

「それなり、ねえ・・・。」

 

あ、正邪ちゃん信じてない。

ものすごく疑わしげな視線を感じるよ。

 

「こいしがこう言う時って、大抵ウソなんだぜ。」

 

魔理沙にもバレてる。

まあ魔理沙とはそこそこ長い付き合いだしね・・・。

 

「と、ところで、喫茶店の準備はどうなってるの?」

 

このまま話を続けたくなかったので、ちょっと強引にでも話を変える。

喫茶店がどうなったか知りたいのは本当の気持ちだもんね。

 

「特に問題なく進んでるぜ。このまま行けば、開店時刻までには準備は終わるはずなんだぜ。」

 

お、それは安心だね。

とはいっても、私だけサボっているのは嫌だから、そのまま手伝う。

そして、開店、接客、料理運びなどをこなしているうちに、あっという間にその時刻は近づいてたよ。

 

「じゃあ私、そろそろ行ってくるね!」

 

「頑張ってね、こいしちゃん!応援してるよ!」

 

「精一杯頑張ってきなさい!・・・まあ、アキにも同じことをいうつもりなんだけどね。」

 

「あはは、まあそうだよね!」

 

私の声に、お空と美波ちゃんがそう言ってくれる。

同じクラスの人同士が戦うんだもんね。

そりゃ片方だけ応援なんてできないよね。

 

「・・・いいシャッターチャンスをた『お姉ちゃん撮ったらカメラ壊すよ?』無情すぎる・・・!」

 

当たり前だよね?

お姉ちゃんを盗撮するなんて、許せないもん。

 

「こいし、出来れば接戦で頼むんだぜ!」

 

「古明地、いい試合を見せてくれ!」

 

「善処する!」

 

魔理沙と正邪ちゃんのそんな言葉。

うーん、接戦ね・・・。

それで負けちゃったら元も子もないし、気にしない方がいいかな?

 

「頑張ってきてくださいね。私が教えたこと、生かしてくださいね。」

 

「わっ、私も応援してます!吉井君達もですけど・・・。」

 

「うん、頑張ってくるよ!」

 

阿求ちゃんと姫路ちゃんの応援も、ありがたいよ。

阿求ちゃんには、昨日少し日本史教えてもらったし。

みんなの応援をうけとめ、教室を出る。

お姉ちゃんは、すでに待っていた。

 

「こいし、調子は問題ない?」

 

「うん、元気だよ!勝とうね、お姉ちゃん!」

 

「ええ、そうね。決勝はたくさんの人が来ると思うけど、怯んじゃダメよ。」

 

確かに、決勝はたくさん人がいそうだよね・・・。

外部の人も召喚獣システムがどのようなものかを確かめるため、見に来てるって学園長も言ってたはずだし。

よーし、頑張るよ!

改めて意気込みつつ、会場前まで歩く。

 

「2人とも、来たね。会場から、入場の掛け声が聞こえてきたら入場だから、それまでここで待機しててよ。」

 

着いたら、河城先生が手招きしてた。

なるほど、ここで待ってればいいんだね!

 

「しかし2人とも凄いよね~。四回戦では三年生コンビを打ち破るし、準決勝や三回戦も、学年トップクラスの相手に勝ってるわけだし。」

 

「ありがとうございます。入場の掛け声が来るのはどの程度後でしょうか?」

 

「んーと、大体十分といったとこかな。」

 

そんな風に、河城先生も交えた3人で話しながら待つ。

そして。

 

『さてさてご来場の皆さん!長らくお待たせいたしました!これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行いまーーすっ!実況は私、保坂実里が担当いたします!最初の登場となるのは、2ーB所属、古明地さとりさんと、2ーF所属、古明地こいしさんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

「ほら、出番だよ。頑張っておいで。」

 

『うおーーーーっ!』

 

私達が入場すると、たくさんの拍手と声援が迎えてくれる。

んー、やっぱりちょっと緊張するな。

 

『さて、このペアですが、名前からわかる通り、姉妹です!FクラスとBクラスと、クラスこそ違いますが、姉妹の絆は随一!完璧なコンビネーションを見せつけ、四回戦で三年生コンビにすら白星をおさめています!しかもどちらも可愛い!才色兼備とは、まさにこのことではないでしょうか!』

 

才色兼備なんて・・・、保坂さん、お姉ちゃんにいいこと言うね!

私の自慢のお姉ちゃんなんだから!

 

『そんな彼女達の相手となるのは、2ーF所属、坂本雄二さんと、同じく2ーF所属、吉井明久さんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

入ってくる2人に対し、同じように、歓声と拍手が響く。

私達の時より、ちょっと少ない・・・かな?

 

『さて、このペア、なんとどちらも学年最下位クラスであるFクラス所属でありながら、ここまで進んできました!先程の古明地こいしさんと合わせ、4人中3人がFクラス所属となります!いやー、これはFクラスの認識を改めないといけないかもしれませんねー!』

 

嬉しいこと言ってくれるね。

姫路ちゃんのお父さんが聞いていたら、Fクラスのイメージアップに繋がると思うし。

 

『さて、ルールについてですが・・・』

 

保坂さんが観客に対してルールの説明をしてる間に、言葉を交わす。

 

「驚きました。まさか翔子さんを破って、あなた達が決勝に残るとは思いませんでしたから。・・・ですが、二人ともやけに血走った目をしてますね。どうしたのですか?」

 

「自分の胸に手を当てて考えてくれ!誰のせいだと思ってやがる!」

 

「ふむ、しかし霧島雄二さん、翔子さんと行くのの何が悪いのでしょうか?」

 

「悪いし俺は坂本雄二だ!婿入りさせんじゃねえ!」

 

「坂本君はわかるけど、吉井君はどういう理由なの?」

 

「だって、優勝出来なければ、僕は博麗さんの手によって殺されるからね!」

 

「・・・??」

 

よくわからないや。

なんで霊夢さん?

 

「というわけで、俺達は死んでも勝たなけりゃいけねえ!そんくらいの意気込みでいかねえと、勝てそうにねえからな!」

 

「いい心掛けですね。こいし、油断してはダメよ。」

 

「うん。吉井君も、普段の成績は悪いけど、本気だした時は凄いと思うし。」

 

よく、運動バカとか野球バカとか言われるけど、それは誉め言葉だしね。

吉井君も、そういう一面を持ってると思う。

 

「それに、坂本君の策も恐ろしいもんね。味方だと頼もしいけど、敵に回すとかなり怖いものだよ。」

 

「本当です。私達Bクラスに勝ったのも、彼の作戦があったからでしょうしね。ですが、今回はどんな作戦を見せてくれるのか、楽しみでもあります。」

 

「策?そんなもんはねえ。俺達は今回は正々堂々と戦う。」

 

「その割には自信満々ですね。徹夜でもされたのでしょうか。」

 

「「ああ!死んでも勝つ覚悟だからな!!」」

 

気迫を感じるよ。

絶対に勝つというか、DEAD or ALIVEというか・・・。

まあ、でも負ける気はないんだけどね。

 

『さあ!それでは説明も終わりましたことですし、始めるとしましょうか!』

 

と、話している間に保坂さんが、観客に対しての説明が終わったみたい。

 

「さて、4人とも。科目は日本史なので、私が立会人をつとめます。後悔がないよう、全力で頑張ってくださいね。では、召喚を行って下さい。」

 

神子先生が召喚の合図を出す。

さて、召喚しないとね!

 

「「「サモン!」」」

 

四人が同時に召喚する。

それで出てくる召喚獣は、やっぱり外部の人には珍しいみたいで、歓声があがる。

・・・さて、Dクラス戦の時は140点くらいだった吉井君だけど、どこまで上がってるのかな?

それぞれの召喚獣の点数が出てくる。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 324点 and Fクラス 古明地こいし 日本史 287点』

 

VS

 

『Fクラス 坂本雄二 日本史 288点 and Fクラス 吉井明久 日本史 276点』

 

えっ?

吉井君が予想以上に凄い・・・。

バカだバカだと言われてたけど、本気になればやるね・・・。

普段からこれだけやれてれば、吉井君をバカだと言う人もいなくなると思うんだけどな。

 

「さて、両者出揃いました!それでは、文月学園召喚大会決勝戦、スタートでっす!!」

 

そして、保坂さんによって決勝戦の火蓋が切って落とされる。

さあ吉井君坂本君、勝つのは私達だよ!

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
決勝戦がついに開始。
どっちが勝つかはわかりません。


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第三十二話「決勝戦!」

 

 

 

「行くよ~!」

 

保坂さんの開戦の合図と同時に、私は召喚獣を走らせる。

狙いは・・・

 

「・・・俺が狙いかっ!」

 

「そうだよ坂本君!覚悟してね!」

 

坂本君の方が点数は高いけど、私の考えだと、強敵なのは坂本君より吉井君。

お姉ちゃんの方が点数高いし強い。

だから、私は坂本君を倒すよ!

まずは、近づきざまに左ストレート。

 

「そう簡単にくらうかっ!」

 

でも、それは坂本君が右に移動し、あっさり回避される。

お返しとばかりに、メリケンサックつきの拳がとんでくる。

狙いは・・・顔だね!

 

「それはこっちもだよ~!」

 

でも、私もそう簡単には当たらないよ!

あいていた右手で彼の拳を横から払いのける。

それと同時に、私の武器である、触手のようなものを展開し、攻撃をしかける。

 

「それは読める!」

 

でも、坂本君は読んでいたのか、拳で横からなぐりつける。

なぐりつけられたことで、私の攻撃は坂本君の召喚獣を反れていく。

同時に、もう片方の拳を私の鳩尾に叩き込もうとする坂本君。

・・・ま、そこまでは想定内なんだけどね。

 

「だったらこうだね・・・っと!」

 

坂本君の拳をはじくんじゃなくて、片手で横から腕をつかみ、ひっぱる。

 

「・・・ぐっ!?」

 

つかまれていない方の手もさっきの防御に使ってた坂本君は、予想通りひっぱられてバランスを崩す。

よし、まずは一発!

さっき弾かれた触手のようなものを手に持ち、坂本君の召喚獣の能天めがけて突きを放つ。

 

「・・・させるかあっ!」

 

「・・・むっ。」

 

これで決まっていれば勝ててたと思うけど、残念ながら、それは直前で止められてしまう。

私の先端の部分にメリケンサックを合わせてるから、多分向こうにはダメージないはず。

点数も坂本君の方が高いとはいっても、差はほとんどないから、力勝負では互角。

ん~、どうしようかな。

 

「・・・うん、じゃあこうしようかな。」

 

少し考えた後、私は触手のようなものを最大まで固くして、手を離す。

これは私の召喚獣の体と直接繋がってるから、少しだけなら弾かれない。

 

「えいっ!」

 

「なっ!?・・・ぐふっ!」

 

そして、武器を離したことで自由になった右手で、坂本君の召喚獣の腹をなぐりつける。

両手がふさがっている坂本君に防ぐ術はなく、私の拳は直撃する。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 287点 VS Fクラス 坂本雄二 日本史 251点』

 

でも私の召喚獣は拳タイプじゃないし、あまり削れなかったな。

でも一撃は一撃。

点数は削れたし、次同じような場面があっても力押しで勝てるよね。

 

「くっ、やってくれるな。Dクラスの時は140点程だったし、妹だけなら俺でもなんとかなると思っていたんだがな。」

 

「お姉ちゃんは私の自慢のお姉ちゃんだからね!それに阿求ちゃんに教えてもらったし!」

 

「稗田か。確かにあいつは日本史の点数もべらぼうに高かったな。まったく、試召戦争では助かったが、今は恨み言のひとつもこぼしたくなるぜ。」

 

「そう言う坂本君も、Aクラス戦で小学生レベルので53点だったのに高くなったよね~。」

 

互いに距離をとって軽口をかわす。

もし、あのときにこれくらいの実力があれば、今ごろ私達はAクラスだったのかなとか思ったけどしょうがないよね。

 

「まあなんだっていいさ。ともかく俺と古明地が敵なのは変わりない。俺は操作技術等で劣るだろうが、それでもただで負けるつもりはねえ。最大限削ってやるぜ。」

 

「ん?吉井君がお姉ちゃんに勝つって思ってるの?」

 

確かに吉井君の方が強敵だとは思うし、吉井君がすごいのは否定しないよ。

でも、相手はあのお姉ちゃんだよ?

 

「ああ。俺はそう信じてる。」

 

そういう坂本君には、疑っている様子などひとつもない・・・というか、もはや決定事項であるかのように話してる。

もちろん、ちらりと横を見ても本当にお姉ちゃんが負けてるわけじゃない。

 

「へ~、なんだかんだ言って、坂本君って吉井君のこと好きだよね~。そういう噂がたつのも納得できるかな?」

 

「ばっ、古明地!冗談でもそんなこと言うんじゃねえ気色わりぃ!」

 

私の冗談(6割程本気だけど)に対して心を乱す坂本君。

普通にセコイけど、スキが出来たかな。

 

「よし、チャンス!」

 

「なっ、汚ねえっ!」

 

スキだらけになっていた坂本君の召喚獣に対して武器をつきだす。

まあ、かわされちゃったんだけどね。

 

「古明地!俺の幸せな未来のためにおとなしく負けてくれっ!」

 

「坂本君こそ、私達の商品券のために潔く婿入りしてくれないかな?」

 

「バカ言うんじゃねえバカ野郎!!」

 

本当に婿入りが嫌なようで、振り払うかのように拳を叩きつけてくる。

でも、そんな興奮してたらスキだらけだよ?

 

「ていっ!」

 

「ぐはっ!」

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 287点 VS Fクラス 坂本雄二 日本史 176点』

 

隙を見せた坂本君の召喚獣に、私の武器で攻撃する。

一発くらってのけぞる坂本君の召喚獣。

よし、チャンス!

 

「とおっ、やあっ!」

 

反撃される隙を見せないように注意しつつ、連続で攻撃していく。

よし、いい一撃が入った!

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 287点 VS Fクラス 坂本雄二 日本史 98点』

 

「ぐぬっ・・・。だが、何度も同じ流れになってたまるかあっ!」

 

そう言うと、攻撃に転じる坂本君。

結構ラッシュの勢いが強い。

 

「オラオラオラオラオラオラオラッ!」

 

「・・・きゃっ、痛っ!」

 

額に一撃入り、吉井君の召喚獣のようにフィードバックがあるわけでもないけど、つい声が出ちゃう。

 

「やってくれたね坂本君。最後のあがきって奴?」

 

「いや、違うな。火事場のクソ力ってやつだな!」

 

わっ、確かにそうかも。

この点数になってからすごくなった気がする。

本当にシステム的にそんなものがあるとは思わないけどね。

 

「・・・でも、私は返り討ちにするだけだよ!」

 

「上等だ!勝って婿入り回避してやらあ!」

 

互いの勝ちたいという気持ちがこもった2匹の召喚獣が、拳と触手のようなものをかわす。

真剣勝負に、観客の歓声も大きくなってるね。

なら見ててね!

私が勝利をおさめるところ!

私の武器を坂本君の召喚獣の腹に突きさ・・・

 

「でえいっ!(バシッ)」

 

すことははじかれてできず、逆に私のもとに左の拳が・・・まずい!

 

「くっ!」

 

なんとか防げ・・・

 

「オラッ!(ゴチン)」

 

「きゃっ!」

 

てない!

手は防いだけど、頭突きが顔に・・・。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 171点 VS Fクラス 坂本雄二 日本史 96点』

 

・・・まずいね、今の頭突きでだいぶ減っちゃった。

 

「よし、もう一発だ!」

 

だめ押しとばかりに拳による攻撃をしかける坂本君。

これ以上攻撃をくらうと流石に倒れちゃいそうだし、ここらで決めないと!

 

「うん、捕まえたよ、坂本君!」

 

「なにっ!?畜生、離せっ!」

 

坂本君の左腕を左手でつかみ、右の手を触手のようなもので押さえつける。

私は右手がフリーなのに対し、坂本君は両腕を使えない状態。

私の召喚獣は拳タイプじゃないからダメージは少ないけど、そのまま殴り続ければ点数は減らせるもんね。

 

「よし、これでとどめだよ!」

 

「くそぉっ、せめて最後に少しでも減らしてやらあ!」

 

私が拳を頭に降り下ろし、最後の点数を減らそうとすると、そこに坂本君が頭突きをしてくる。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 108点 VS Fクラス 坂本雄二 日本史 0点』

 

思ってた通りに点数はなくせたけど、坂本君の最後の狙い通り、私の点数も減らされちゃった。

 

「おーっと、今片方で決着がつきました!勝利したのは古明地姉妹の妹、古明地こいしさんですっ!ですが・・・」

 

「ちっくしょおおぉぉおっ!!俺の未来が・・・っ!待ち受ける地獄を受け入れるしかねぇんだぁ・・・!」

 

慟哭する坂本君。

なんというか、彼のまわりだけ空気が重いというか・・・。

 

「・・・坂本さんはどうしてあそこまで落ち込まれているのでしょうか・・・?まるで、今後の人生を賭けたギャンブルに敗北し、地下送りが決定したかのようですが・・・。」

 

保坂さんが当たらずとも遠からずなことを言ってる。

そのせいで、なんかすごい罪悪感がね・・・。

素直に勝ちを喜べないな・・・。

 

「・・・ま、まあ坂本君、坂本君ならきっと幸せな家庭を築けるよ!だからほら、元気出して!」

 

「鎖と首輪は嫌だ・・・!でももう受け入れるしかないのかぁ・・・!」

 

・・・・・・あれ、聞き間違いかな?

今婚約者というよりペット的な扱いな感じに聞こえたんだけど・・・?

その坂本君のセリフから、幸せな家庭を築ける方法が全く浮かばないから罪悪感がさらに3割増しだよ。

 

「・・・はっ!そうだ!まだ明久が!」

 

そういえばそうだった。

2対2だから、自分が負けても片方が勝てば優勝できるんだよね。

 

「・・・っと、ここでもう一方も勝負がついたようです!結果はどうなったのでしょうか!?」

 

そんな保坂さんの実況を聞いて、私達はお姉ちゃんと吉井君のほうを見る。

さて、どうなったのかな?

まあ、お姉ちゃんが勝ってると思うけどね!




いかがでしたか?
雄二VSこいしちゃんはこいしちゃんが勝ちました。
明久VSさとり様はどっちが勝ったのか。
次回、明久視点です。


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第三十三話「決勝戦!sideA」

明久サイドですが、ちょっと時間が戻ります。
2日目開始時点からです。


 

 

学園祭の2日目。

召喚大会の決勝戦のため、僕と雄二は会場に向かっていた。

結局、昨日は徹夜したけど、みんなの厚意で寝かせてもらえたのは助かった。

眠いまま勝負したら負けそうだもんね。

相手は古明地さんとそのお姉さんだし。

 

「来たか。会場から入場の掛け声が来たら入場だ。それまで待機していろ。」

 

会場に着いた僕達を待っていたのは易者先生だ。

本名はババァですら知らないらしいから、みんな易者先生って呼んでいる謎の多い先生である。

 

「しかし、まさかお前達が決勝戦に上がるとはな。正々堂々ではないとはいえ、驚いたぞ。教師の立場上、どちらかに肩入れすることは出来ないが、期待はしている。だがテーブルの件はあとで説教だ。」

 

と、先生がそんなことを言ってくる。

説教のほうはなしにしてくれたらなあ・・・。

常夏コンビの一件の後、僕と雄二と魔理沙で応接間とかからテーブルを(無断で)借りて使ってたんだよね。

そのまま会話していると、入場の掛け声が聞こえてくる。

易者先生によると、最初は古明地さん達みたいだから、僕達は2番目みたいだね。

 

『さてさてご来場の皆さん!長らくお待たせいたしました!これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行いまーーすっ!実況は私、保坂実里が担当いたします!最初の登場となるのは、2ーB所属、古明地さとりさんと、2ーF所属、古明地こいしさんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

聞こえてくる大きな歓声。

さすがは古明地さん達だ。

 

『さて、このペアですが、名前からわかる通り、姉妹です!FクラスとBクラスと、クラスこそ違いますが、姉妹の絆は随一!完璧なコンビネーションを見せつけ、四回戦で三年生コンビにすら白星をおさめています!しかもどちらも可愛い!才色兼備とは、まさにこのことではないでしょうか!』

 

保坂さんによる解説を聞きながら、僕達の入場の番を待つ。

 

『そんな彼女達の相手となるのは、2ーF所属、坂本雄二さんと、同じく2ーF所属、吉井明久さんです!皆様、盛大な拍手でお出迎え下さい!』

 

・・・と、今だね。

名前を呼ばれたため、入場する。

古明地さん達程ではないけど、かなりの歓声が僕達にも浴びせられる。

・・・あ、美波や姫路さんをはじめとしたFクラスメンバーがいる。

見に来てくれたようだ。

 

『さて、このペア、なんとどちらも学年最下位クラスであるFクラス所属でありながら、ここまで進んできました!先程の古明地こいしさんと合わせ、4人中3人がFクラス所属となります!いやー、これはFクラスの認識を改めないといけないかもしれませんねー!』

 

そんな保坂さんによる言葉。

嬉しいことを言ってくれるね。

教室改修でないもうひとつの目的として、姫路さんのお父さんに、Fクラスにも召喚大会で優勝出来るほどの生徒がいるのを示すというのがある。

姫路さんいわく、決勝戦には見に来るらしいからね。

今の発言は、いい印象を与えたはずだ。

 

『さて、ルールについてですが・・・』

 

保坂さんが観客に対してルールの説明をしてる間に、言葉を交わす。

僕達はいまさら聞く必要なんてないからね。

 

「驚きました。まさか翔子さんを破って、あなた達が決勝に残るとは思いませんでしたから。・・・ですが、二人ともやけに血走った目をしてますね。どうしたのですか?」

 

そんな古明地さんのお姉さんの言葉。

だって、僕達は死んでも勝たないといけないからね!

 

「自分の胸に手を当てて考えてくれ!誰のせいだと思ってやがる!」

 

「ふむ、しかし霧島雄二さん、翔子さんと行くのの何が悪いのでしょうか?」

 

「悪いし俺は坂本雄二だ!婿入りさせんじゃねえ!」

 

まったく、雄二もそろそろ観念すればいいのに。

僕からすれば、代わってほしいくらいだ。

 

「坂本君はわかるけど、吉井君はどういう理由なの?」

 

「だって、優勝出来なければ、僕は博麗さんの手によって殺されるからね!」

 

Aクラスで常夏コンビを制裁した時の彼女の姿、2回戦での殺気を考えるに、払わなかったら間違いなく僕は無事では済まない。

だから、勝たないといけないのさ!

 

「・・・??」

 

古明地さんが不思議そうな表情をしている。

 

「というわけで、俺達は死んでも勝たなけりゃいけねえ!そんくらいの意気込みでいかねえと、勝てそうにねえからな!」

 

「いい心掛けですね。こいし、油断してはダメよ。」

 

「うん。吉井君も、普段の成績は悪いけど、本気だした時は凄いと思うし。それに、坂本君の策も恐ろしいもんね。味方だと頼もしいけど、敵に回すとかなり怖いものだよ。」

 

「本当です。私達Bクラスに勝ったのも、彼の作戦があったからでしょうしね。ですが、今回はどんな作戦を見せてくれるのか、楽しみでもあります。」

 

そんなことを言う古明地さんのお姉さん。

でも、残念ながら?今回は策はなにもない。

 

「策?そんなもんはねえ。俺達は今回は正々堂々と戦う。」

 

「その割には自信満々ですね。徹夜でもされたのでしょうか。」

 

「「ああ!死んでも勝つ覚悟だからな!!」」

 

決勝戦の科目は、僕がほとんど唯一得意な日本史。

つまり、僕が唯一、古明地さん達のような成績優秀者に太刀打ちできるもの。

 

『さあ!それでは説明も終わりましたことですし、始めるとしましょうか!』

 

と、話している間に保坂さんによる、観客に対しての説明が終わったみたいだ。

 

「さて、4人とも。科目は日本史なので、私が立会人をつとめます。後悔がないよう、全力で頑張ってくださいね。では、召喚を行って下さい。」

 

豊郷耳先生が、召喚の合図をする。

いよいよだね。

 

「「「サモン!」」」

 

4人が同時に召喚獣を呼び出す。

沸き上がる歓声。

そして、点数が表示される。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 324点 and Fクラス 古明地こいし 日本史 287点』

 

VS

 

『Fクラス 坂本雄二 日本史 288点 and Fクラス 吉井明久 日本史 276点』

 

よしっ!

頑張ったかいもあって、点数差はそこまでない!

これなら、たとえ木刀でも真っ正面から戦えるはず!

それに、雄二もかなりの点数を持っている。

Aクラス戦で53点を叩き出した彼とはまるで別人のようだ。

 

「さて、両者出揃いました!それでは、文月学園召喚大会決勝戦、スタートでっす!!」

 

そして、保坂さんによって決勝戦の火蓋が切って落とされる。

開幕と同時に、古明地さんの召喚獣は、雄二の方へ向かっていく。

なら、そちらは雄二に任せ、僕はお姉さんの方を狙う!

 

「・・・私が狙いなのですね。」

 

お姉さんの召喚獣は何も持ってないように見える。

雄二のようなメリケンサックなのか、東風谷さんのようなタイプなのかはわからない。

でも、木刀でも持っている僕の方が、リーチ的には有利なはずだ!

 

「・・・とでも考えているのでしょうか。浅はかですね。」

 

・・・・・・ッ!

お姉さんのその言葉が聞こえて来た瞬間、嫌な予感に襲われ、全力で右に飛ぶ。

すると、僕の召喚獣のすぐ左をハート型の弾幕が掠めていった。

・・・危なかった。

僕の点数がいつものレベルだったら直撃していたかもしれない。

 

「かわしますか。なかなかやりますね。」

 

「まさか、遠距離攻撃を持ってるなんてね・・・。」

 

予想してなかった。

 

「だったら、距離をつめる!」

 

お姉さんの召喚獣が遠距離攻撃主体なら、近接タイプは距離をつめるのが最適解だ。

普段やってる格闘ゲームとかでもそうしてるしね。

木刀を構え、ふたたび突っ込ませる。

弾幕も、来るとわかっていれば防御できる!

 

「やはり、そう来ますか。」

 

でも、それはお姉さんも読めていたようで、弾幕を放ちつつ後ろに下がられ、距離をなかなかつめることが出来ない。

だったら、多少無理矢理にでも距離をつめに行く!

弾幕をはじくのでなく、勢いを殺さずにかわす方法に切り替える。

精密な召喚獣の操作技術が必要だし、タイミングもシビアだけど、観察処分者として召喚獣の操作に慣れている僕なら行ける!

 

「・・・驚きました。失礼ながら、ここまでやれるとは思っていませんでしたから。」

 

全ての弾をかわし、お姉さんに接近戦を仕掛けることができる。

そしてそのまま一発を叩き込み、点数を減らす。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 261点 VS Fクラス 吉井明久 日本史 276点』

 

よし、逆転した!

お姉さんは驚いた様子を見せたけど、簡単なことさ!

 

「・・・前に、友達が言ってたんだ。」

 

「・・・・・・?」

 

「好きな人のためなら頑張れるってね。」

 

「・・・・・なるほど。誰とは聞きませんが、普段からそれだけ頑張れば、バカと言われることもないでしょうに。」

 

それはちょっと無理かな・・・。

今回は姫路さんのためというのと、自身の命のためという理由があったからね。

 

「とはいえ、私も負ける気はありませんよ。」

 

その言葉と同時に、僕が降り下ろした木刀を回避し、足で踏みつけてくる。

さっきの一撃で点数では勝っているけど、お姉さんの召喚獣の質量があるせいで、武器を動かすことが出来ない。

そのままゼロ距離で放たれた弾幕。

やむなく木刀を手放し、後ろに飛び退いて回避するが、木刀を奪われてしまった。

しまった!

 

「これで、武器は失いましたね。私は剣に慣れていませんし、こうしておきましょう。」

 

そう言うとお姉さんは僕の木刀を蹴り飛ばし、雄二と古明地さんが戦っている方向とは逆側の遠くに飛ばしてしまう。

取りに行けないことはないかもしれない位置だが、弾幕がかなり危険だ。

でも、木刀が無いとキツいのも確かなんだよね。

 

「くっ・・・。どうする・・・。」

 

「迷っている暇はありませんよ。」

 

どちらにしても、あまり時間をかけられない。

チラリと横目で向こうの戦いの様子を確認したところ、雄二が劣勢だ。

逆転する可能性はあるが、このまま雄二が負ければ武器を失った状態での2対1になってしまう。

そうなれば、負けは確実だ。

 

「・・・仕方ない!」

 

だったら木刀を取りに行く!

召喚獣を蹴られた木刀の方へ走らせる。

 

「やはりですか。」

 

予想していたのか、走る僕の召喚獣目がけて弾幕を放つお姉さん。

軌道を変えつつ弾幕を避けて走らせるが、もう少しのところで弾幕が左肩にヒットしてしまう。

 

「ぐぅっ!!」

 

フィードバックで、僕自身にもダメージが入る。

まるで、肩に熱された金属が当てられたかのようだ。

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 261点 and Fクラス 吉井明久 日本史 128点』

 

一発当たっただけなのにこの点数の減り。

動きを止めたら蜂の巣にされるため、フィードバックを根性で我慢し、回避を続け、木刀をつかむ。

そのまま勢いを殺さず走り抜けて、弾幕を回避する。

もし、勢いを僅かでも落としていたら、弾幕が直撃していたかもしれない。

 

「・・・取り返されましたか。失敗ですね。」

 

「そう簡単に負けてたまるか!」

 

とはいっても、遠距離で不利なのは変わらない。

それに、さっき当たったせいで、肩に火傷のような痛みが残っている。

その痛みを無理矢理意識の外に追い出し、僕はふたたび接近戦を仕掛けにいく。

弾幕を撃ちつつ距離をとろうとしても先程のようになると判断したのか、お姉さんは弾幕を撃つだけで動かない。

先程のように攻撃するとまた木刀を奪われかねないため、突きと横凪ぎを中心に攻撃していく。

 

「・・・多少のダメージは覚悟しましょうか。」

 

でも、僕が放った攻撃をお姉さんは素手で受け止め、刀身を両手でつかむ。

木刀では斬れないし刀身をつかんでもダメージを受けることはない。

点数で勝るから、武器を奪おうとしたのだろう。

でも、2回も同じ手は食らわない!

 

「だらっしゃああああぁっ!」

 

だから、僕はあえて手を放し、無防備となっていたお姉さんの顔に、渾身の右ストレートをかます。

 

「きゃっ!」

 

フィードバックがあるのは僕だけだけど、反射的に声が出たのだろう。

衝撃で手を放し、後ろにのけぞるお姉さんの召喚獣。

チャンスだ!

僕はふたたび木刀を握り、急所である首めがけて突きだす。

 

「・・・くっ!危ないところでした・・・!」

 

でも、その一撃は本当にギリギリのところで止められる。

とはいえ、お姉さんは片手、しかも不安定な体勢。

それに対し、僕は両手かつ安定した体勢。

点数は低いけど、このまま押すっ!

 

「いっけええええぇぇっ!」

 

「くっ、ダメでしたか・・・!」

 

その結果、僕の木刀は、お姉さんの喉元を貫いた。

よっしゃあ!

 

『Bクラス 古明地さとり 日本史 0点 VS Fクラス 吉井明久 日本史 128点』

 

「・・・っと、ここでもう一方も勝負がついたようです!結果はどうなったのでしょうか!?」

 

実況の保坂さんの声が聞こえる。

ついさっき、雄二が負けたというのが聞こえて来たから、これで1対1になるね。

 

「・・・なんと、古明地姉妹の姉、古明地さとりさんを破り、立っていたのは吉井明久さんですっ!これで両チームともに1人!点数は同じくらいですが、はたしてどちらが勝つのでしょうか!?」

 

雄二はしっかりと点数を削っておいてくれたみたいだ。

この勝負、絶対に勝つ!

そして、生き残るんだ!




いかがでしたか?
大穴、明久が勝利しました。
次回、ついに決着!
こいしちゃんVS明久!


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第三十四話「決着!」

 

 

 

「・・・なんと、古明地姉妹の姉、古明地さとりさんを破り、立っていたのは吉井明久さんですっ!これで両チームともに1人!点数は同じくらいですが、はたしてどちらが勝つのでしょうか!?」

 

え?

うそ、お姉ちゃんが負けたの!?

信じられなくて、実際にこの目で確かめてみても、吉井君の召喚獣が立っていて、お姉ちゃんの召喚獣が倒れてる。

点数を見ても、お姉ちゃんの召喚獣が0点で、吉井君の召喚獣が120点ほどだ。

確かに、吉井君は油断できないとは言ったけど、それでもお姉ちゃんは負けるはずがないって思ってたからね。

 

「さあ古明地さん、あとは君を倒して、僕は生き残って見せる!」

 

そんな吉井君の一言。

 

「私も負けないよ!お姉ちゃんのかたき!」

 

私が勝てば、お姉ちゃんも優勝できる。

なら、頑張るよ!

早速吉井君が木刀で殴りかかってくる。

吉井君の方が点数は高いから、木刀といえどもやっぱり真っ正面からの力押しは良くないよね。

横凪ぎにくり出された木刀での一撃をバックステップで回避し、私の武器を槍のように突きだす。

2本とも木刀ではじかれ、引き戻す間に、吉井君が斬りかかってくる。

今度は突きだったから、右腕で横からガードし、そのまま力を込めて吉井君の召喚獣の腕を折ることを狙っていく。

まあ、少しやって無理そうだと判断したから諦め、いったんバックステップで距離をとったんだけどね。

召喚獣同士の戦いに沸き立つ観客達。

 

「やっぱり、吉井君は強いね。」

 

「まあ、僕は監察処分者として、長い間召喚獣を動かしてきたからね!」

 

「だとしても、私も負けるつもりはないから!」

 

私だって、理由があって召喚獣の扱いには慣れている。

吉井君程じゃないけどね。

 

「なら・・・僕は実力で勝利を勝ち取ってみせる!」

 

私と吉井君の召喚獣が、ほぼ同時に踏み出す。

その勢いのまま互いの得物がぶつかり合い、つばぜり合いとなる。

押しきられる前に私が引き、吉井君の召喚獣の足を狙って、ムチのように足払いをしかける。

それを小ジャンプでかわし、その隙を狙って木刀を降り下ろす吉井君。

横にかわしたあと、ふみつけて武器を封じようと思ったんだけど、それよりはやく剣を引き戻されたからそれは無理だったよ。

むしろ逆に、空ぶった足を木刀に狙われて・・・しまった!

認識は出来たけど回避は間に合わず、足を木刀で叩かれてしまう。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 88点 VS Fクラス 吉井明久 日本史 128点』

 

吉井君ののように私自身に痛みがくるわけではないし、そこまで点数が減った訳ではないけど、点数差は開いちゃった。

 

「やってくれるね吉井君・・・。」

 

焦りを感じた後、やっぱり攻めに行くことにする。

それでも、全てかわされた末、もう一撃もらってしまう。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 56点 and Fクラス 吉井明久 日本史 128点』

 

さらに点数差が開いていく。

・・・・・・まずい。

・・・このままでは、私はパーフェクトで負ける。

しかも、こんなに大勢の前で。

さらに、これは決勝戦だ。

観客の期待とかも大きい。

その前に坂本君を倒しているけど、吉井君だってその前にお姉ちゃんを倒してる。

それに、天子さんの時にあったような点数差もほとんどない。

・・・・・・あのときと同じだ。

頭の中で、忘れていた・・・いや、忘れようとして記憶から締め出していたあの出来事が思い返されてしまう。

あのときの記憶が私を縛りつけてくる。

まるで、足下が突如底無し沼になり、沈んでいくような感覚。

凍りついたように身体や頭が動かない。

そのまま薄れていく意識。

・・・やっぱり私、あのときから変わってなかったのかな。

 

「こいし!そんなことないから落ち着きなさい!変わってないわけがないでしょう!」

 

私が意識を失う直前、お姉ちゃんの声が聞こえ、同時に私の手がお姉ちゃんに握られる。

その温もりが私の手からつたわり、私の氷を溶かしていく。

 

「こいし、ここにはあのときのような人間はいないわ。それに、まだ逆転の可能性は充分にある。私がついてる。心を強くもちなさい。私はこいしを信じているわ。」

 

お姉ちゃんの言葉で、私の心は動き出す。

・・・そうだね。

ここで意識を失ってしまったら、棄権で敗北になってしまう。

それに、まだお姉ちゃんは私を信じてくれている。

なら、まだ頑張れる!

私はあのときとは違う!

 

「古明地さん、大丈夫?さっき明らかに様子がおかしかったけど・・・。まだ戦えそう?」

 

どうやら、吉井君は私の様子に気づいて、攻撃を止めてくれていたみたい。

私が動けていない時に止めをさしていれば、確実に楽に優勝できたのに、バカだよね。

さっき言っていたのが本当なら、優勝しないと自分の命が危ういかもしれないのに。

でも、そういうところは吉井君のいいところだと思う。

そういうところは私も好きだし。

 

「うん、ありがと。私はもう、大丈夫だよ。」

 

だから、私も答えられる。

あの出来事の記憶を奥に押し込めて。

 

「じゃあ・・・改めて、決着をつけよう!」

 

吉井君がふたたび木刀をかまえ、攻めにくる。

点数差はだいぶ大きいし、吉井君の方が技術が高い。

私も普通に攻めたら、今度こそ点数を全部持っていかれちゃうと思う。

だから、今は攻撃を考えない。

防御も、点数差で押しきられる気がする。

だから、防御も考えない。

私は何も考えず、ただ反射と無意識での回避に徹する。

 

「よし、ここ!」

 

そして、チャンスが来たところで武器を突き出す。

 

「うぐっ!」

 

それで吉井君の脇腹にヒットしたみたい!

腹を貫いたわけじゃないから致命傷にはならなかったけど、点数は大きく削れる。

それと吉井君の体力も。

吉井君、フィードバックあるからね。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 56点 and Fクラス 吉井明久 日本史 63点』

 

点数も、だいぶ近くなった。

腹を押さえて苦しむ吉井君は可哀想だけどね。

 

「うぐぐ・・・やってくれたね・・・!」

 

「まだ行くよ!」

 

吉井君が怯んだ隙に武器を突き出し、点数を全てなくすために攻撃をする。

 

「やられて・・・たまるか!」

 

でも、木刀でギリギリ防がれる。

残念。

そのまま、つばぜりあいになる。

 

「僕は、絶対に負けられないんだあああああぁっ!」

 

でも、吉井君の思いがこもったパワーなのか、点数では同じくらいなはずなのに、私の武器が易々と弾かれ、そのまま私に攻撃が刺さる。

 

『Fクラス 古明地こいし 日本史 0点 and Fクラス 吉井明久 日本史 63点』

 

そして、決着がついた。

・・・結局負けちゃったか。

でも、さっきのようにあの出来事が思い出されることはなかった。

 

「おーっと、ついに決着がつきました!勝ったのは吉井、坂本ペアです!皆様、彼らに盛大な拍手を!」

 

保坂さんによる、勝負の結果を告げる声。

残念だけど、しょうがないよね。

 

「お姉ちゃん、ごめん・・・。」

 

「いいのよ。私も負けた訳だし、こいしだけのせいでは決してないわ。」

 

最初はお姉ちゃんと一緒に大会に出ることが目的だったんだけど、せっかくなら優勝したかったな。

召喚大会はこんな感じで終了したわけだし、このあとは喫茶店頑張らないとね。




いかがでしたか?
結果的には明久が勝ちました。
これで明久は明日の日の出を拝むことができます。


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三十五話「学園祭の後!」

 

 

 

召喚大会が終わったあとの喫茶店は大忙しだったよ。

ひたすら注文とって、飲茶と胡麻団子を運んで、勘定やテーブル拭きをして。

私だけじゃなくて、全員が一生懸命働いた。

そして、文化祭終了の放送が流れてくる。

 

「文化祭も、まだ片付けあるけど、とりあえずはこれで終わりなのか・・・。」

 

召喚大会では負けちゃったけど、楽しかったもんね。

せっかくだし、もう少しチャイナドレスは着たままでいようかな。

あと、準優勝でも貰えるものがあったみたいで、私とお姉ちゃんは3000円分の図書カードと、黒い腕輪を貰った。

黒い腕輪は、学園長先生によると、新しい武器みたい。

これをつけて召喚すると、あらかじめ設定した武器を持って召喚出来るんだって。

一度決めたら変えられないみたいだから、阿求ちゃんの腕輪みたいにコロコロ変えるのは不可能だけど、戦略の幅は広がるよね。

私は遠距離に対処出来るように弓を、お姉ちゃんは近接戦をしやすくするために2本のナイフを選んだよ。

ちなみに、私もお姉ちゃんも、武器にハートがある。

だってハート可愛いんだもん。

 

「ところでこいし、あいつらはどうしたんだぜ?」

 

黒い腕輪のことを考えながら片付けしてたら、魔理沙が私に質問してくる。

あいつら?

 

「あいつらって?」

 

「吉井と坂本だぜ。特に吉井だな。」

 

あー、あの2人ね。

確か・・・。

 

「あの2人なら、学園長室行ったはずだよ?」

 

勝利の報告と、改修の交渉のためにね。

私も誘われたけど、片付けの方をしたかったから断ったんだよね。

 

「霊夢が心配だな・・・。吉井のことだし何か問題犯して追われそうだ。霊夢に金渡せなければ、明日の霊夢は修羅になりかねないぜ・・・。」

 

「ずっと気になっていたんだけど、吉井君と霊夢さんの間になにがあったの?」

 

吉井君も、「博麗さんに殺されないために」とか言ってたし、気になっていたんだよね。

 

「ん?ああ、あの2人は霊夢を買収して2回戦に勝利したんだぜ。」

 

察したよ。

霊夢さん、お金のことになると両津○吉以上の執着を見せるからね。

払うと言ったものを払わなかった場合、そんじょそこらのヤミ金が天使に見えるレベルで恐ろしいし。

そんなことを話しながら片付けをしてると、火薬が爆発する音、それと壁かなにかが崩壊するような音が本校舎の方から聞こえてきた。

よくわからないけど、何故か吉井君と坂本君が原因だと確信できちゃったよ。

鉄人先生の声も聞こえてきたし。

見てみると、校舎の一部が崩落し、そこと屋上から煙があがっていた。

確か、あのへんって教頭の部屋だよね。

昨日のこと考えると同情はしないけど・・・・・・。

 

「・・・ま、まあいいや。ところで魔理沙、このテーブルってどこから持ってきたか知ってる?」

 

爆発に関しては見なかったことにし、このテーブルに話をシフトさせる。

3回戦行ったあと返ってきたら、いつのまにかテーブルがきれいになってたんだよね。

ミカン箱だったのが、ごく普通のテーブルに。

木下君の演劇部にはテーブル2つくらいしかないみたいなのに。

 

「ん?ああ、それは吉井と坂本と私が色々な場所から調達してきたんだぜ。」

 

・・・色々な場所?

 

「えっと魔理沙、色々な場所って『霧雨、説教の時間だ・・・!』ん?」

 

私が聞こうとしたところ、怒った様子の易者先生が、Fクラスに入ってくる。

慌てる魔理沙。

 

「げっ・・・!」

 

「俺は殴ったりはせん。だが、テーブルを盗んだ件はきっちりと説教させてもらおう!あの二人もだが、まずは霧雨、お前からだ!」

 

「に、逃げるんだぜっ!」

 

「待てっ!」

 

逃げる魔理沙と、追いかける易者先生。

・・・えっと、大体わかっちゃったな。

どっから持ってきたかわからないから、テーブルは外に出しておくだけにしとく。

ほんとは返したいんだけどね。

そのままみんなで片付けをして、喫茶店は完全に片付いた。

このあと、公園で打ち上げをやるみたい。

お姉ちゃんも帰りが遅いらしいから、私も行くつもりだよ。

・・・・・・あ、チャイナは着替えたからね?

着替えようとしたらムッツリーニ君が必死にひきとめてきたけど、さすがにこれ着て外を歩くのは恥ずかしいかな。

 

 

 

 

と、行こうとしたことで、大事なことを思い出した。

そういえば、お姉ちゃんの絵をまだ見てない!

美術部でもあるお姉ちゃんは、清涼祭で、絵を展示してるんだよね。

今から美術部に行けばまだなんとか見られたりしないかな?

淡い期待を持ちつつ、美術部へダッシュで向かう。

扉からこっそり中の様子を覗いてみると、女子生徒一人だけみたい。

横顔しか見えないけど、お姉ちゃんより薄いピンクの髪の毛で綺麗な人だ。

文化祭の装飾もなくなり、普段の様子を取り戻した美術部の部室で、一人真剣に集中した状態で絵を描いているその人は、なんというかとても絵になっている。

何を描いているのかはここからじゃ見えないけど、中に入るのは止めておこうかな。

邪魔しちゃ悪いもんね。

 

「・・・・・・誰?」

 

そう思っていたら、私の気配に気づいたのか、その女性は振り返り、聞いてくる。

その顔に表情はないけど、やっぱりきれいな人だね。

う~ん、同学年で見たことはないけど、先輩なのかな?

 

「私は古明地こいし、古明地さとりの妹です。」

 

先輩だったら失礼だし、丁寧に答えておこうかな。

 

「・・・へえ。あの子が言っていた子なの。」

 

同じ美術部というだけあって、お姉ちゃんのことは知ってるみたい。

でもお姉ちゃん、私のことを話してたのかな?

だったらなんか嬉しいな。

 

「・・・少し、時間はある?」

 

「ええと、まああるかな?」

 

「・・・なら、良かったら私の絵、見てくれない?」

 

そう言うと、その人は今書いていた絵ではなく、恐らくは学祭で展示してあった作品だと思う作品の山から、1枚の絵を取り出す。

えっと、どれどれ・・・

 

「わぁ・・・。」

 

思わずそんな言葉が出てくるくらいには、凄い絵だったよ!

草原に咲くたんぽぽの絵だけど、まるで花の香りやそよ風が伝わってきそうだもん!

 

「・・・風景画は、得意なの。でも。」

 

そう言って、彼女は今書いている絵を私に見せる。

やっぱり、この絵も・・・

 

「・・・ん?」

 

あれ、予想と違う。

学祭の絵なんだけど、確かに背景はものすごく綺麗。

でも、そこに書いてある人達の表情が・・・・・・ものすごく無表情なんだよね。

楽しい学祭の雰囲気みたいなのが全く伝わってこないというか・・・。

 

「・・・私には表情が書けないの。私自身、感情がわからないから。」

 

私の微妙な表情を悟ったのか、彼女が言う。

確かに彼女、最初からほとんど表情変えてないもんね。

 

「・・・あの子から、あなたは感情が豊かな子って聞いている。少し、あなたを描かせてもらってもいい?」

 

「あ、うん、全然いいよ。」

 

「・・・ありがとう。なら、そこに座って普通にしてて。」

 

言われた通りに、私は座ってじっとしてる。

20分くらいそのままだったかな?

 

「・・・できた。けどやっぱり、うまくいかない。」

 

彼女がそう言ったから、絵を見せてもらう。

確かにさっきのみたいだけど・・・少し違うかな?

わずかだけど、表情があるというか・・・。

 

「でも、さっきのより表情があるように見えるかな?」

 

「そう?」

 

「うん。」

 

とはいっても、ほんとに少しだから、さっきのを見てない場合はわかんないと思うけどね。

 

「・・・そう。・・・あなたを書いている時、わずかだけど不思議な感じがした。・・・よかったら、また描かせて貰っても、いい?」

 

「うん、私はいいよ。」

 

別に不都合なこともないしね。

 

「・・・ありがとう。あなたを描いていれば、私はなにか掴めそうな気がする。・・・私は秦こころ。これからよろしく。」

 

「うん!」

 

こころさんっていうんだね。

そんなことがあって、私は時々モデルをすることになったよ。

まあ、今は打ち上げ会場の公園に行かないと!

 

 

 

 

 

「へー、吉井君達の方ではそんなことがあったんだ~。」

 

「うむ。あやつらが盗聴器を仕掛けておっての。その内容を屋上の放送機器で流そうとしたようなのじゃ。」

 

「それで花火を爆弾として投擲したんだな・・・。」

 

打ち上げ会場の公園で、私は正邪ちゃんと、木下君に学園長室であったことを聞いていた。

確かに、自身の失態を隠すために学園長先生と大会出場者が密約をしていたなんて、公にされたら姫路ちゃんの転校どころかこの学校が潰れかねないよね。

でも、そんなことをして常夏コンビに得になるのかな?

 

「やっぱりあの爆発、吉井君達だったんだね・・・。2人はまだ学校?」

 

「・・・まあ、校舎の破壊をしたわけだし、良くて厳重注意、悪ければ停学や退学もあり得るだろうがな。」

 

そんな話をしていると、当の2人と魔理沙がやってくる。

・・・2人は顔が腫れ上がってるね。

鉄人先生に殴られたのかな?

魔理沙の方は易者先生にこってり説教さるたのか、ものすごく疲弊した顔してる。

 

「いやー、ひどい目にあったよ。」

 

「まあ厳重注意で済んでよかったと言えるがな。明久が壊しちまった場所には花もなかったし。」

 

「それもこれも、学園長先生が手を回してくれたからなんだろうね。」

 

確かに、修理の名目で部屋をガサ入れして証拠をつかむことが出来るもんね。

 

「ところで、収益はどれくらいなの?」

 

私は気になってたことを坂本君に尋ねる。

施設がどれだけ良くなるか気になってたんだよね!

 

「どれどれ・・・。えーと、これだとちゃぶ台と座布団が限界だな・・・。」

 

「まあ、戻ったと思えばいいんじゃないのぜ?」

 

やっぱり最初の妨害が効いたんだろうね。

思い出したら腹がたってきたよ。

 

「まあでも、姫路ちゃんの転校は阻止できたみたいだし、いっか!」

 

「姫路さんの転校、阻止できたの?」

 

「うん、本人がさっき言ってたよ!」

 

よかったよね。

 

「あ、坂本もアキも来てたのね。はい、ジュースとお菓子。」

 

「吉井君!転校しなくていいとお父さんも言ってくれました!」

 

美波ちゃんと姫路ちゃんが、こっちに来てジュースとお菓子を渡してくれる。

オレンジジュースみたいだね。

喉乾いていたからありがたく一気に飲む。

・・・・・・ん?なんだかオレンジジュースにしてはちょっと苦いような・・・?

それに、なんだかからだとあたまがぽかぽかする・・・。

 

「・・・あれ?古明地さん、顔赤いけどどうしたの?」

 

「ん~?どうもしてらいよ~?」

 

よしいくんがおかしいな~、いっぱいいるよ~?

わらし、どうもしてらいのに~?

 

「いや、明らかにおかしいぜ。まさか・・・・・・やっぱり、これお酒なのぜ!」

 

まりしゃがなんかいってりゅけど、どおしたんだろ?

おしゃけ?

 

「あははははは~、そんなわけないれしょ~。わらしはよってにゃいし~!」

 

「そうれすよね~、おかしなことないれすよね~!」

 

「「ね~!」」

 

ひめじひゃんのゆうとおりよ~!

 

「いや、二人ともどう考えても酔ってるよね!?」

 

「そうですよね、吉井さん。2人ともあきらかにおかしいではありませんか。私のように、落ち着いた行動を心がけるべきですよ。さあ、自然の声に耳を傾けましょう。」

 

「そういう正邪もキャラが全然違うじゃないか!絶対君も酔ってるよねえ!?」

 

「あははははは、よしいくんおもしろ~い!」

 

「この状況、僕だけじゃ突っ込みきれない!」

 

よしいくんもたのしそう~。

 

「あきひさくん、わたしはおこってるんれすよ?」

 

わー、ひめじひゃんがよしいくんにつめよってる~!

 

「それよりまりしゃ、おもしろいいっぱつげーみせて~!」

 

「うわこっちに来た!いきなり無茶ぶりすぎるぜ!」

 

「やらにゃいの?なりゃ・・・こうしちゃう!」

 

「いひゃいいひゃい、ほっへた引っ張るのはやめてふへなんはへ!」

 

まりしゃのほっぺたやわらかーい!

・・・あれ、なんかねむくなってきた・・・。

 

「じゃあ、おやふみ・・・。zzz・・・。」

 

「暴れた末にやっと寝て大人しくなってくれたのぜ・・・。姫路とこいしには酒を絶対飲ませてはいけないな・・・。」

 

まりしゃのこえをさいごに、わひゃしのいひきはうすれて・・・。

 

 

 

 

 

 

次に私が目覚めた時、私は自宅の布団で寝てた。

記憶は残ってたから、恥ずかしいな・・・。

あと、その日から姫路ちゃんの吉井君に対する呼び方が明久君になってた。

私が魔理沙に絡んでた時になにかあったのかな?

ま、いっか!




いかがでしたか?
こいしちゃんは美術部に寄り、こころと知り合いました。
酔っ払ったこいしちゃんはもはや別人格です。


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第三章『強化合宿!』 第三十六話「脅迫状!」

今回から強化合宿です。



 

 

 

「お姉ちゃん、本当にいい天気だね~!こんな天気だと、なにかいいことが起こりそうじゃない?」

 

今日もいい天気だね~!

青く晴れ渡る空、ちょうどいい日差し、葉が青々としげる桜。

こういう日は、なにかいいことありそう!

 

「いつにも増してテンション高いわねこいし・・・。今日は強化合宿前日だし、あまりはしゃぎすぎるとバテるわよ・・・。」

 

そう!

お姉ちゃんの言う通り、明日は強化合宿!

勉強浸けの生活だけど、みんなとお泊まりというのはワクワクするよね!

そんな話をしながら歩いていたら学校に着いたから、お姉ちゃんと別れて自分の教室に向かう。

お姉ちゃんは新校舎、私は旧校舎だから、場所が違うんだよね。

 

「・・・ん?なんだろこれ?」

 

教室に行こうと下駄箱から上履きを取り出そうとすると、中になにか入ってる。

取り出してみると、白くて四角い手紙が出てきた。

『古明地こいし様へ』って書かれてるし、私宛なのは間違いなさそう。

・・・あ、もしかしてラブレターかな?

他人に見られるのも良くないし、お断りを前提にトイレでこっそり見てみる。

今はお姉ちゃんがいるからね。

 

『あなたの姉の秘密を握っています。公開されたくなければ、胸の小さい同性にこれ以上近づかないように。』

 

「・・・・・・脅迫状?」

 

それは予想してなかったな。

しかも、脅迫材料が、私のことじゃなくてお姉ちゃんのことだ。

私が嫌なことを的確についてる。

むー。

 

「というより、胸の小さい同性って誰のことなんだろ?」

 

うちのクラスだと、正邪ちゃんに美波ちゃん、あと魔理沙位かな?

阿求ちゃんはこの前の喫茶店で見たけど、平均的な大きさだったし、お空と姫路ちゃんは平均以上だしね。

木下君は胸小さいけど男の子だし。

あと私が関わりがある中で条件に合うのは天子さん位かな?

霊夢さんや早苗ちゃん、あとお燐はわりとあるし。

お姉ちゃんも胸小さいけど、多分違うと思う。

 

「・・・とりあえず、ムッツリーニ君にでも協力を頼んでみようかな?」

 

お姉ちゃんの秘密を握っているなんて許せないもんね。

みつけたら《ズゴゴゴゴ》して《ガラガラガラ》して《ピッチューン》しないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に行き、さっそくムッツリーニ君に協力を頼もうとしたら、そこには吉井君、坂本君、あと魔理沙がいた。

3人とも相談しようとしてるみたい。

 

「実は、僕のメイド服パンチラ写真が、全世界にweb配信されそうなんだ。」

 

「・・・何があった?」

 

吉井君、何があったんだろう?

さすがに色々飛ばしすぎたと思ったようで、説明する吉井君。

どうやら、吉井君と魔理沙も私と同じように脅迫状が来てたみたい。

それで、無視した場合、同封されていた吉井君のメイド服写真をばらまくってことらしい。

でも吉井君、なんでメイド服着てるの?

ちなみに、坂本君は婚姻の証拠としてプロポーズ音声を親に聞かせようとしてる霧島さんに、その音声ファイルが渡らないようにしたいらしい。

もう坂本君、結婚しちゃえばいいのに。

 

「・・・恐らく、4人のそれは全て同一人物。」

 

ムッツリーニ君がそう予想する。

坂本君以外の3人の脅迫状は似ているしね。

筆跡に関しては、どれもデジタルで打ち込まれたものだからわかんないけど。

 

「遅くなってすまないな。HRを始めるから席についてくれ。」

 

4人で脅迫状について話していると、鉄人先生が入ってきた。

手に大きな箱を抱えてる。

 

「・・・とにかく、調べておく。」

 

ムッツリーニ君がそう言ってくる。

私達は鉄人先生にどやされないうちに席に戻っていく。

特に吉井君と坂本君は目をつけられてるからね。

 

「さて、明日からの強化合宿だが、だいたいはしおりに書いてある通りだ。まあ、勉強合宿だから着替えと勉強道具さえあれば特に問題はないはずだが。携帯ゲーム機等は没収するから持ってこないように。」

 

前から渡されたしおりを1冊とって後ろに回す。

 

「集合の時間と場所だけはくれぐれも間違えないようにな。特に他のクラスの場所と間違えるなよ。クラスごとでそれぞれ違うからな。」

 

パラパラとめくって集合場所を探す。

今回行くのは、電車やバスで行くとだいたい5時間くらいかかる場所だね。

Aクラスはやっぱり豪華なリムジンバスなのかな?

そうなると、Fクラスはどうなるのかな?

やっぱり補助席とかつり革とか・・・?

いや、もしかしたら引率だけな可能性も・・・。

 

「いいか、Fクラスは他のクラスと違って・・・現地集合だからな。」

 

「「「案内すらないのかよっ!!」」」

 

扱い・・・。

あまりの扱いに、全員が涙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

集合場所の関係で私はFクラスのみんなとともに電車に乗っていた。

電車で1時間くらい乗ってるだけでも景色はだいぶ違ってくる。

窓の外には緑が豊かな光景が見えるしね。

 

「あと2時間はこのままですね。」

 

姫路ちゃんが操作していた携帯をしまう。

多分乗り換えを見てたのんだと思うよ。

でも、意外にやることないよね。

 

「ねえ雄二、なにか面白いもんない?」

 

吉井君もやっぱりヒマみたいで、坂本君に尋ねてる。

 

「鏡がトイレにあったぞ。存分に見てくるといい。」

 

「それは僕の顔が面白いって言いたいのかな?」

 

「いや、お前の顔は・・・・・・笑えない。」

 

「笑えないほど何!?そんな酷いの!?」

 

「面白いと言ったのはお前の守護霊だ。血みどろで黒髪を振り乱してる珍しい守護霊がな。」

 

「そいつはどう考えても僕を守ってないよね。」

 

「安心しろ。半分冗談だ。」

 

「あ、なんだ。びっくりした。」

 

「本当は茶髪だ。」

 

「そこは一番どうでもいいよね!?」

 

二人は楽しそうに話してる。

まあ吉井君をからかってる坂本君が、だけど。

 

「そういえば美波ちゃんは何読んでるの?」

 

ふと横を見たら、美波ちゃんがなんかの本を読んでいた。

珍しいな。

 

「ん、これ?これは心理テストよ。意外と面白いの。」

 

「へえ~、面白そうだね。ねえ美波、よかったら僕にもなんか問題出してよ。」

 

吉井君も興味を示したみたい。

 

「じゃあ私も、それやってみたいな。」

 

「いいわよ。じゃあ・・・『次の色でイメージする異性をあげてください。①緑 ②オレンジ ③青』似合うと思う人の名前をあげてね。」

 

ぱらぱらとページをめくった美波ちゃんが問題を出す。

えーっと・・・。

 

「えーっと、私は①木下君②坂本君③吉井君かな?」

 

「僕は・・・①古明地さん②秀吉③姫路さんかな?」

 

ビリィッ!!

美波ちゃんの手元からすごい音がした。

 

「「あ、あの美波さん?何故本を引き裂いているのですか・・・?」」

 

私と吉井君はついつい敬語になっちゃう。

 

「こいしちゃんはどうして青がアキなのか、アキはウチが入ってなくて瑞季が青なのか、説明してくれる?」

 

「「ど、どうしてと言われましても・・・。」」

 

私はなんとなくなんだけどな・・・。

 

「なんとなくなんだけど・・・。」

 

吉井君もそうみたい。

でも、どうして美波ちゃんは本を裂いたんだろう。

気になったから、本を見てみる。

・・・あー、そういうことねー。

緑は友達、オレンジは元気の源、青は・・・

 

「ちょっ、返しなさいよ!」

 

「ごめんごめん、ちょっと気になっちゃってね。」

 

これは吉井君には言わないでおこうかな。

 

「お?なかなか面白そうなことやってるな、私も参加していいんだぜ?」

 

「別にいいわよ。」

 

そうこうしていると、あっちで話してた魔理沙達も興味を示したようで、やってくる。

 

「じゃあ・・・『1から10の数字で、今あなたが思い浮かべた数字を順番に2つあげてください。』だって。どう?」

 

「私は5、8だぜ。」

 

「俺は5、6だな。」

 

「ワシは2、7じゃな。」

 

「私は8、10かな?」

 

「私は10、6だ。」

 

「僕は1、4かな。」

 

「私は3、8です。」

 

ちなみに、順番に魔理沙、坂本君、木下君、私、正邪ちゃん、吉井君、姫路ちゃんだよ。

 

「『最初の数字は、普段あなたが見せている顔です。』魔理沙と坂本が・・・『クールでシニカル』、木下は『落ち着いた常識人』、こいしちゃんは『素直で思いやりがある人』、正邪は『冷静で思慮深い』、アキは・・・死になさい、瑞季は『温厚で慎重』ね。」

 

「私と坂本はクールでシニカルなんだな。」

 

「常識人とは嬉しいのう。」

 

「素直で思いやりがあるのね~。」

 

「冷静で思慮深いはわかるな。」

 

「ねえ、僕だけ罵倒されてなかった?」

 

「温厚で慎重ですか~。」

 

口々に感想を述べている私達。

 

「それで『次に思い浮かべた数字はあなたがあまり見せない本当の顔』だって。魔理沙と瑞季が『意志の強い人』、坂本と正邪が『公平で優しい人』、木下は『色香の強い人』、アキは・・・むごたらしく死になさい、こいしちゃんは『冷静で思慮深い人』ね。」

 

「坂本や正邪は公平で優しいんだな。」

 

「秀吉は色気があるのか。」

 

「霧雨と姫路は意志が強いようじゃの。」

 

「古明地は冷静みたいだな。」

 

「ねえ、僕の罵倒エスカレートしてなかった?」

 

感想を口々に言い合う私達。

こういうのも、旅の醍醐味だよね。

そんな話をしながら昼ごはんを食べたりみんなで遊んだりしたら、いつのまにか時間も経って、強化合宿の場所に到着したよ。

個人的には、阿求ちゃんが教えてくれた人狼ってゲームが面白かったな。

強化合宿の会場は、潰れた旅館を文月学園が買取り、合宿専用の施設に改修させたんだって。

召喚獣も教師の立ち会いのもとなら出せるようになってるみたいだけど、お金あるよね~。

 

 

 




いかがでしたか?
脅迫された人が多いです。
明久は死ななかった。


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第三十七話「一日目!」

 

 

 

合宿場所に着いたあと、私と魔理沙は吉井君達の部屋に来ていた。

もちろん、脅迫状の犯人のことを聞くためだよ。

 

「・・・昨日、犯人が使ったと思われる道具の痕跡を発見した。」

 

昨日の今日だから、そこまで期待してたわけではないけど、ムッツリーニ君は情報をつかんでいたみたいだね。

 

「・・・手口や使用機器から、4人の犯行は全て同一人物だと断定できる。」

 

まあ、普通そう何人もいないよね。

そもそも、犯人とムッツリーニ君2人がそういうことやってるのもおかしいと思うし。

 

「それで、犯人は?」

 

「・・・(フルフル)」

 

さすがに、まだわからなかったみたい。

 

「・・・犯人は女子生徒でお尻に火傷の痕があるということしかわからなかった。」

 

「「「キミはいったいなにを調べたんだ(の)(のぜ)。」」」

 

私と魔理沙と吉井君が突っ込む。

普通、お尻の火傷の痕なんて知らないよね。

どう調査したかが気になるし、もしお姉ちゃんにそういうことをしていたならしかるべき処置をしないといけないからね。

 

「・・・校内に盗聴器を仕掛けた。これを。」

 

ムッツリーニ君にどう処置をするか考えてたら、盗聴器っぽいものを取り出し、ピッと再生ボタンを押す。

 

『ーらっしゃい。』

 

音質が悪いから特定は出来ないけど、かろうじて女子だというのはわかる。

取引相手と思われる人は・・・坂本君のプロポーズ音声を注文してるし霧島さんだよね。

 

『・・・雄二のプロポーズを、もうひとつお願い。』

 

『毎度。2回目だから、安くしとくよ。』

 

『・・・値段はどうでもいいから、出来るだけ早く。』

 

『さすがお嬢様、太っ腹だね。じゃ、明日の朝・・・と言いたいところだけど、明日からは強化合宿があるし、月曜の朝でいい?』

 

『・・・わかった。我慢する。』

 

「あっぶねえ!強化合宿に救われたぜ!」

 

坂本君が心底嬉しそうに言う。

相変わらず素直じゃないよね。

とはいっても、学校が休みな土日はほとんど動けないから、実質的なタイムリミットはこの合宿の間だけだけど。

 

「・・・それで、こっちが証拠の音声。」

 

ムッツリーニ君がまた違うファイルを再生する。

今度の取引相手はまた別の人みたい。

 

『しかし、相変わらずすごい写真ですね。こんなのバレたら大変じゃないですか?』

 

『ここだけの話、実は1回母親にバレてね。文字通りお灸をすえられたよ。まったく、いつの時代の罰なんだか。』

 

『それはまた・・・。』

 

『おかげで未だに火傷の痕が残ってるよ。乙女に対して酷いと思わないかい?』

 

それ以降は、他愛もない商談がいくつか続いた。

 

「なるほど、そういうことだったのね。」

 

よかった、友人を手にかけなければいけない事態にならなくて。

 

「犯人を特定できる有力な情報だけど、お尻の火傷か・・・。スカートをめくりまくっても、わかるとは限らないし・・・。」

 

その前に吉井君、それは普通にアウトだよ?

 

「赤外線カメラでもわからないだろうしな・・・。」

 

坂本君も悩んでる。

 

「なら、私と魔理沙でお風呂の時にFクラスの人の分だけでも見てこようか?」

 

私達は同性だから問題ないもんね。

クラスごとで、Fクラスは最後だから、Fクラスの人達と、出るのが遅れたEクラスの人くらいしか見られないけど。

・・・まあ、クラスメイトのなかに私達にこんな脅迫状を出す人がいるとは思いたくないけどね。

 

「じゃあそれで頼む。風呂の予定は・・・。」

 

坂本君がしおりを広げ、風呂の予定を探しているから覗きこむ。

・・・・・・ん?

 

「ねえ木下君、なんで個別風呂なの?」

 

「本当に何故ワシだけ個室風呂なのじゃ!?」

 

クラスごとに男子女子で別れているなか、木下君だけ個人名がのせられて個室風呂になってた。

まあ、木下君が男子トイレや男子風呂に入るのは絵的にダメな気がするけど・・・。

 

「しかし、Fクラス以外をどう確認したものか・・・。」

 

そうやってみんなで悩んでいると、突然ドアが勢いよく開けられ、大勢の女子生徒が突入してくる。

え?なになに!?

 

「全員手を頭の後ろに組んで伏せなさい!」

 

「木下、こいしちゃん、魔理沙はこっちへ!そこのバカ3人は抵抗を止めなさい!」

 

とっさに窓から脱出しようとした3人を美波ちゃんが制する。

なんでとっさの判断で窓に向かえるかという私の疑問はこの際置いておこっと。

 

「仰々しく大勢でぞろぞろとやって来て、なんの真似だ?」

 

「よくもまあ、そんなシラを切れるものね。あなた達が犯人だということくらい、すぐにわかるのに。」

 

「・・・なんのことだ?」

 

「女子の脱衣場にあったこれのことよ。」

 

前に出てきて、なにかを見せたのは、Cクラス代表の小山さん。

あれは・・・?

 

「・・・小型集音マイクとCCDカメラ。」

 

こういうのに圧倒的に詳しいムッツリーニ君が答える。

・・・・・・えっ?

 

「ええっ!それって盗撮じゃないか!」

 

「とぼけないで。あなた達以外に誰がこんなことをするっていうの?」

 

どうやら、小山さんをはじめとした女子達は吉井君達を犯人と確信しているみたい。

でも、いくらムッツリーニ君や吉井君でも、そんな完全にアウトラインなことはしないと思うんだけどなあ。

 

「違う!ワシらはそんなことしておらん!覗きや盗撮なんてそんな真似は・・・・・・そんな真似は・・・・・・否定・・・できん・・・っ!」

 

「ええっ!?信頼度低くない!?」

 

友達の無実を証明しようと声を荒らげる木下君だけど、途中で尻すぼみになる。

でも、このままでは決まった訳ではないのに本当に吉井君達が犯人扱いされ、折檻されかねない。

 

「まさか明久君たちがこんなことしてたなんて・・・。」

 

「待ってくれ姫路さん!本当に覚えがないんだ!」

 

「アキ・・・。信じてたのに、どうして・・・。」

 

「美波。信じてたなら、拷問道具は持ってこないよね?」

 

美波ちゃんが持ってるのは、膝の上に乗せるタイプの石。

明らかに乗せる気マンマンだよね・・・。

 

「みんな、ちょっと待って。」

 

だから、いったん私が制止する。

犯人と決めつけられてる3人の話は聞いて貰えなさそうだしね。

 

「どうしたのよ、こいしちゃん。」

 

「その機材が、本当に吉井君達のだという証拠はあるの?冤罪かもしれないのに、折檻するのは可哀想だよ?」

 

「でも他に誰がいるってのよ!」

 

「だとしても、同じもの持ってるみたいな確固たる証拠がないのに犯人と決めつけて折檻するのは良くないんじゃないかな?」

 

「こいしの言う通りだぜ。それに、美波も瑞季もこいつらがそんな完全な犯罪行為をするような奴らだと思ってるのか?」

 

「「うっ・・・。」」

 

魔理沙の言葉に2人がたじろぐ。

ムッツリーニ君も本当にヤバイ写真は取ってないもんね。

 

「だから、誰がやったかわかるまで、折檻は止めよ?」

 

「う・・・。そうね・・・。」

 

小山さんが引き下がってくれる。

後ろで「見るもん見たなら金は払ってもらうわよ」とか言ってる霊夢さんは、魔理沙がなだめてくれた。

 

「俺達は決して盗撮はやっていない。だから翔子、『・・・浮気はダメ』と言いながら手をかまえて俺の顔にロックオンするのはやめてくれ。」

 

「・・・わかった。信じる。」

 

うん、この場は収まりそうだね。

安心したよ。

あとでお姉ちゃんに見抜いてもらおうかな。

そう思っていると、ムッツリーニ君が立ち上がった時に、ゴトリと音をたてて小型集音マイクが落ちる。

それはさっき見たものと全く同じで・・・・・・・・・時間が、止まった。

 

「・・・・・・落とし物。」

 

ムッツリーニ君が何事もなかったように拾い、懐にしまう。

・・・・・・うん。

 

「「GO(だぜ)。」」

 

魔理沙と声がそろう。

もう私も魔理沙も止めないよ。

むしろ私もやっちゃおっと。

 

「・・・浮気はダメ。」

 

「明久君、覗きは犯罪なんですよ?」

 

「アキ、おしおきよ。」

 

「ムッツリーニ君、ちょっとおりおりするけど我慢してね?」

 

「「「ぎゃああああああっ!」」」

 

坂本君には霧島さんが、吉井君には美波ちゃんと姫路ちゃんが、ムッツリーニ君には私が中心になっておしおきする。

まあ、私が被害を受けた訳でもないから、おしおきだけしたらもう何も言うつもりもないけどね。

お姉ちゃんや友達が被害にあったなら私ももっと怒るけど。

それにデータが入ってたと思われるマイクやカメラは回収されたしね。

そんなことを考えながら、私はムッツリーニ君をおりおりしてた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・酷い目にあったよ。お金もとられたし・・・。」

 

「・・・見つかるようなヘマはしないのに。」

 

おしおきされた場所をさすりながらぼやく吉井君とムッツリーニ君。

私と魔理沙は脅迫状のことがあるし、あの後も残ってた。

ムッツリーニ君は反省全くしてないのかな?

 

「・・・上等じゃねえか。」

 

ぼやく吉井君達とは対照的に、怒りの炎を目に宿しながらつぶやく坂本君。

 

「ゆ、雄二?どうしたの?」

 

「あっちがそう来るなら、本当に覗いてやろうじゃねえか!」

 

よりによって彼はなんてことを言い出すんだろ。

頭霧島さんにアイアンクローされておかしくなっちゃったのかな?

 

「どうせもう仕置きは受けたんだ、覗きなんて真似はやりすぎだと自重していたが、あっちがそう来るなら本当にやってやろうじゃねえか!」

 

「ねえ坂本君、お仕置きした後で聞くのもなんだけど、本当に覗きはしてないの?」

 

「ああ、神に誓ってしてねえ。」

 

「お姉ちゃんに心を見透かされたとしても同じこと言える?」

 

「ああ。」

 

「嘘だったら霧島さんと即結婚誓える?」

 

「大丈夫だ、俺達はまだやってない。」

 

ふーん。

坂本君の返事には、全く嘘は込められてないように感じるね。

 

「魔理沙はどう思う?」

 

「うーん、確かに嘘ついてるようには見えないが・・・乙女として覗き宣言を見過ごすのはなぁ・・・。こいしはそこのとこどうなんだ?」

 

「んー、そこまで良くはないけど、止めても聞かなさそうだしね。それに覗きをされるなら、吉井君達と行動していれば見られる心配はないし。お姉ちゃんや友達のは絶対に見てほしくないけど、それ以外ならまあいいかなって。」

 

同行なりしていれば、もし覗きが成功しても、私はその時服を着てることになるしね。

それに、もしお姉ちゃんの裸なりを見られそうになったら目潰し出来るし。

 

「お・・・おう、そうだな・・・。」

 

あれ?

魔理沙がひいてる。

私、そんなおかしいこと言ったかな?

 

「・・・まあ、確かに脅迫犯を見つけたいしな。しょうがないから協力するぜ。」

 

「そうと決まれば早速行くぞ。ムッツリーニ、女子風呂の場所はわかるか?」

 

「・・・真っ先に確認済みだ。」

 

「よし、ならば全速前進だ!」

 

吉井君達は部屋を出て、女子風呂めがけて走る。

4人の男子と、私含めた2人の女子。

対するは・・・

 

「止まりなさい!カメラがあったと報告を受けたので念のため張ってましたが、まさか本当にくるとは思いませんでしたよ!」

 

女子風呂に続く廊下に立ち、私達を止めようとするのは、化学の布施先生。

 

「構わん!ぶちのめせ!」

 

「そこは構いなさい吉井君!」

 

「くたばれえええぇっ!」

 

「ひいいいいっ!サ、サモン!」

 

先生を殴り倒そうとした吉井君の拳は、出現した召喚獣によって阻まれる。

そういえば、先生の召喚獣も物理干渉出来るんだったね。

 

「危ないところでした・・・。」

 

「くっ、自分で作ったテストを解けばそりゃ点数が高いのは当然じゃないか!卑怯な!」

 

「いや、これはそもそも正式な勝負ではないので卑怯もなにもないですし、それ以前に一方的に殴ろうとしたことを棚にあげてませんか・・・?」

 

だよね。

私も、先生の方が正しいと思う。

 

「サモン!ここはワシに任せて先に行くのじゃ!」

 

召喚獣には召喚獣。

木下君が召喚すると、坂本君と魔理沙も召喚する。

さすがに先生も3体の召喚獣を相手にしつつ私達3人を止めることは不可能なようで、ありがたく先に進ませてもらう。

 

「そこで止まれ。」

 

次に立ち塞がるのは保健の大島先生。

ムッツリーニ君にとっては師匠みたいな先生なのか、苦い顔をしてる。

でも、ムッツリーニ君は保健体育は教師に劣らないくらいに取れるはず。

だから、いい勝負になってくれるはず・・・。

 

「・・・・・・大島先生。これは覗きじゃない。」

 

「じゃあなんだと言うんだ?」

 

意外なことに、説得でどうにかしようとするムッツリーニ君。

先生は聞く態度を見せる。

 

「・・・これは、保健体育の実習。」

 

「サモンだ。」

 

説得は失敗。

・・・当たり前だけど。

 

「ムッツリーニ、ここは任せた!」

 

ムッツリーニ君ならいい勝負するだろうし、ムッツリーニ君ですらいい勝負にならないなら私達が加勢しても意味無さそうだしね。

私と吉井君は大島先生の横をすりぬけ、そのまま向かう。

 

「来たか、吉井と・・・古明地もか。」

 

「出たな鉄人!」

 

「西村先生と呼べ!」

 

女子風呂の扉の前で背を向けて仁王立ちしていたのは鉄人先生。

 

「ここは通らせてもらいますよ!サモン!」

 

吉井君が召喚獣を召喚する。

それに対して、鉄人先生は何故か拳を構える。

・・・ん?

 

「・・・あれ、先生?もしかして、僕の召喚獣が特別製だということ、忘れてます?」

 

「阿呆か。学園で一番の問題児のお前のことなど忘れるわけがあるか。それに、担任変更などのゴタゴタで試験を受けそびれてな。」

 

「つまり、召喚獣出せないの?」

 

「まあ要約すると古明地の言う通りだ。」

 

そういうことみたい。

なら私は召喚獣を出す意味は全くないし、静観していようかな。

 

「そういうことなら・・・日頃の恨みもこめて、くたばれ鉄人!」

 

吉井君が召喚獣を動かし、フェイントをまじえて木刀を先生に叩きつけようとする。

 

「ふんぬっ!」

 

「・・・・・・は?」

 

でも、先生が放った拳で木刀が弾かれ、カランカランと音をたてて転がる。

・・・私の記憶では、召喚獣は人間の数倍のパワーがあったはずなんだけどな・・・?

 

「吉井、何故お前の召喚許可を取り消さないかわかるか?」

 

さっきのは何かの間違いだと言わんばかりに突進する吉井君の召喚獣に対し、小さな蹴りを放つ鉄人先生。

たったそれだけなのに、吉井君の召喚獣は完全に空中に浮いていた。

 

「召喚獣なら殴っても体罰にはならんからな!歯ァ食いしばれェッ!」

 

「ごふうっ!」

 

抵抗できない状態になった吉井君の召喚獣に対し、目にもとまらぬ速さで5回拳が叩き込まれる。

フィードバックする仕様のせいで苦しそうに腹をおさえる吉井君。

 

「さて、古明地、お前はどうする気だ?召喚獣出しても生身で来ても、俺には勝てんぞ。」

 

「ん~、これは無理だね、降参しよっと。」

 

「賢い選択だ。男らしく正面から来た気概とその返事に免じ、停学は勘弁してやろう。優しい西村先生が相手でよかったな。まあ、俺も鬼ではない。指導を終えたら解放してやろう。そっちの4人もな。」

 

「え?」

 

後ろを向くと、捕縛された坂本君、木下君、魔理沙、ムッツリーニ君の姿があった。

あらら、勝てなかったのか。

 

「さて、まずは英語で反省文を書いて貰おうか。文法、単語等間違えていたら何度でもやり直しだ!終わった人からシャワーを浴びて寝ても良し!」

 

こうして、私達は廊下で正座させられながら反省文を書かされることになった。

大変だったよ・・・。




いかがでしたか?
こいしちゃんや魔理沙は女子ですが罰則を受けたのは、覗きに加担したからです。
2人はともかく明久達が成功したらそれはダメですからね。


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第三十八話「二日目!」

覗き合宿2日目。


 

 

翌日。

今日の予定は、Aクラスとの合同学習となっていた。

質問あれば教師や周囲に聞いてもOK。

まあ、自習みたいなものだよね。

お空と早苗ちゃん、阿求ちゃんと本居さん、魔理沙と霊夢さんみたいな、普段学校行事で一緒に勉強する機会があまりないグループが出来てる。

お空と早苗ちゃんはAクラス戦のあとに仲良くなったみたい。

天子さんが一人で勉強しながら、早苗ちゃんの方を10秒に1回くらいのペースで寂しそうに見てるけど、早苗ちゃんは気づいてないのがなんか見てて面白い。

 

「・・・雄二。一緒に勉強できて嬉しい。」

 

「待て翔子。当然のように俺の膝の上に座ろうとするな。クラスの連中が靴を脱いで俺を狙ってる。」

 

膝に乗ろうとする霧島さんとそれを阻止しようとする坂本君の攻防も、見てて面白い。

まあ、あんまやってると注意されそうだけどね。

 

「でもなんでこんなところまで来て自習なんだろ。勿体なくないかな?授業やらないの?」

 

そうつぶやく吉井君。

でも、Aクラス向けの授業受けても理解できるとは限らないし、AクラスにとってはFクラスの授業は多分簡単すぎて身にならない。

それに、多分目的は意識の変革だしね。

坂本君も、それはわかっていたようで吉井君に説明する。

吉井君もそれで納得したようだ。

 

「あ、代表ここにいたんだ。それならボクもここにしようかな?」

 

すると、聞きなれない声。

彼女は確か、Aクラス戦でムッツリーニ君と戦った工藤さんだっけ。

 

「えっと、工藤さん、だっけ?」

 

「そうだよ。キミは吉井君だったよね?ひさしぶり。」

 

吉井君の質問に答えて、にっと笑う彼女。

ボーイッシュな雰囲気とあいまって、とても爽やかだね。

 

「それじゃ、改めて自己紹介させてもらうね。Aクラスの工藤愛子です。趣味は水泳と音楽鑑賞、スリーサイズは上から78・56・79、特技はパンチラで好きな食べ物はシュークリームだよ。」

 

・・・んっ?

なんか途中不思議なものなかった?

 

「吉井君もしかして疑ってる?なんならここで披露してみせよっか?」

 

吉井君も疑問そうな顔をしてたからか、そんなことを言い出す彼女。

・・・・・・あっちで目をおさえてのたうち回ってる坂本君と、「・・・浮気はダメ。」と呟いて、手をチョキにしてる霧島さんは関係ないよねそうに違いない。

 

「あれ?ムッツリーニ、随分と冷静だね。僕ですらこんなにドキドキしてるんだから、鼻血の海に沈んでいると思ったのに。」

 

「・・・騙されるな。奴はスパッツを履いている。」

 

「あはは、ばれちゃった?」

 

そういえばムッツリーニ君なんか静かだったけどそういうことだったんだね。

普段のムッツリーニ君ならこのセリフ聞いただけで鼻血の噴水を産み出すはずなのに。

「俺は目を突かれ損じゃないか・・・。」と呟いてる坂本君は視界から外しとこっと。

 

「まあ特技ではないけど、最近はまってるのはコレかな?」

 

そう言って、工藤さんは小型な機械を取り出す。

よくわからないけど、あれは録音機かな?

そのままカチカチと弄る工藤さん。

 

ピッ《工藤さん》《僕》《こんなにドキドキしてるんだ》《やらない》《?》

 

「わああああっ!僕こんなこと言ってないよ!?変なものを再生しないでよ!!」

 

「ね?面白いでしょ?」

 

工藤さんの声は、吉井君ではなく、その後ろに向いている。

そっちには・・・

 

「・・・ええ。最っっ高に面白いわ。」

 

「・・・本当に、面白いセリフですね。」

 

氷の笑みをたたえた美波ちゃんと姫路ちゃん。

当事者ではないけど怖い。

 

「瑞季。ちょっとアレを取りに行くのを手伝ってもらえる?」

 

「わかりました。アレですね?喜んでお手伝いします。」

 

机に勉強道具を置いてなにかを取りに向かう2人。

笑みが怖い。

 

「あれ、秀吉、首をかしげてどうしたの?」

 

「明久、何かあったのじゃ?今姫路と島田に石畳を運ぶのを頼まれたんじゃが・・・。」

 

吉井君の全身から冷や汗が吹き出してる。

私にも使用用途が100%わかるから怖いよ。

 

「工藤、今のは録音した会話を合成したのか?」

 

「うん、そうだよ。」

 

それを聞いた坂本君と吉井君がヒソヒソと話してる。

多分脅迫状の犯人か話してるんじゃないかな。

 

「ねえ工藤さん。キミが・・・」

 

「ん?なに、吉井君?」

 

「あ~、えーっと、キミが・・・」

 

「ボクが?」

 

「キミが・・・僕にお尻を見せてくれると嬉しいっ!」

 

・・・・・・。

お尻に火傷の跡があるか確かめるためなんだろうけど、セクハラ発言だよ。

工藤さんは笑って流してくれたみたいだけど・・・。

 

「違うんだ工藤さん!別に僕はお尻が好きな訳ではなくて・・・」

 

「さすがだな明久。まさか録音機を目の前にそこまで言うとは。」

 

「へっ?」

 

そう。

録音機があるんだよね。

 

ピッ《僕にお尻を見せてくれると嬉しいっ!》

 

「ひあぁぁっ!これは合成すらしてない分ダメージが大きいよ!お願い工藤さん!今のは消してください!」

 

「吉井君ってからかいがいがあって面白いなあ。ついついいじめたくなっちゃうよ。」

 

ピッ《お願い工藤さん!》《僕にお尻を見せて》

 

「今の、何かしらね、瑞季?」

 

「なんでしょうね?美波ちゃん。」

 

表情を変えず、吉井君の後ろに石畳を設置していく2人。

気のせいか、2人の後ろにブリザードが見えるよ。

 

「ただでさえ目をつけられているFクラスで、さらに問題発言をしたバカがいるのかしらね。」

 

「そうですね、そんな人には、きつ~いお仕置きが必要ですね。」

 

「2人とも、これ合成だからね?」

 

最近、姫路ちゃんがFクラスの悪影響を受けてる気がする。

私の言葉も届いたか怪しいよ。

 

「二人とも誤解なんだ!僕は問題を起こす気はなくて、ただ《お尻が好き》ってだけで・・・って今のも音を重ねられたんだ!お願いだから手を後ろに縛らないで!あとそっちも見てないで助けてよ!特に雄二!」

 

「・・・工藤愛子。おふざけが過ぎる。」

 

そんな友のピンチに立ち上がったのはムッツリーニ君。

やっぱり、友達を陥れるような真似は許せなかったみたい。

吉井君が弁解を始める。

 

「2人ともよく聞いて。さっきのは誤解なんだ。僕はただ、《お尻が好き》って言いたかったんだ。《特に雄二》《の》《が好き》ってムッツリーニィィーッ!後半は貴様の仕業だな!」

 

「・・・吉井、雄二は渡さない。」

 

「いらないよ!」

 

「アキ・・・。そんなに坂本のお尻がいいの・・・?ウチじゃダメなの・・・?」

 

「前からわかっていたことですけど、ハッキリ言われるとショックです・・・。」

 

美波ちゃんと姫路ちゃんのお仕置きがとまったのはいいけど、吉井君には悲しいレッテルが。

というかムッツリーニ君、遊んだだけだったね・・・。

 

「だからどうして僕を同性愛者扱いするの!?僕にはそんな趣味は『同性愛をバカにしないでくださいっ!』ないよ!」

 

スパァンと音をたててドアを開け、外からドリルのツインテールの女の子が入ってくる。

誰?

さっきのセリフを考えるに、彼女は同性愛者なのかな?

ちなみに、私は同性愛を否定する気はまったくないよ。

私もお姉ちゃんがとっても大好きだし!

 

「み、美晴!?どうしてここに!?」

 

「お姉様に会うため、美晴はDクラスを抜け出しちゃいました!」

 

ミハルと言うその娘の恋愛対象は美波ちゃんみたいで、彼女の姿を見るなりとびつく。

 

「す、須川バリアーっ!」

 

「穢らわしいですっ!腐った豚にも劣る抱きごこちですっ!」

 

酷い・・・。

勝手に盾にされて罵倒された須川君、涙をこらえるかのように上を向いてるよ?

 

「ひどいですお姉様っ、美晴はこんなにもお姉様を愛してるというのにっ!」

 

「バカ、何言ってるのよ!アキに勘違いされちゃうでしょ!」

 

勘違いされるのは吉井君にだけじゃないと思うけどね。

まあ、美波ちゃんは吉井君が好きなのは見てればすぐわかるし、片想いというか一方通行気味みたい。

 

「君達、少し静かにしてくれないかい?」

 

新たな人も加わって騒いでいたら、さすがにうるさいと思われたらしく、メガネの男子が注意してくる。

彼はえーっと・・・あ、思い出した、Aクラス次席の久保君だ!

 

「あ、ごめん久保君。」

 

「吉井君か。気をつけてくれ。まったく、姫路さんといい島田さんといい、Fクラスには危険人物が多くて困る。」

 

謝った吉井君に対して言う久保君。

でも意外だな、坂本君とかより先に2人の名前があがるなんて。

 

「それと、同性愛者をバカにするような発言はどうかと思う。彼らは異常者でも精神障害者でもなく、個人的嗜好が世間一般とちょっと違っているだけの普通の人なのだから。」

 

同性愛者に対する言動をたしなめる久保君。

でもなんだろ、言葉にやけに重みがあるような・・・?

もしかして久保君もそうなのかな?

で、その対象が吉井君だから、彼のことが好きな2人を危険人物として挙げたとかだったりして!

ま、さすがにないよね!

 

「とにかく美晴、自分の教室に戻りなさい。」

 

「嫌ですっ!美晴はお姉様を愛してるんですっ!性別なんて関係ありませんっ!」

 

「はいはい、ウチにその趣味はないからね。」

 

美波ちゃんがミハルと呼ばれた女子生徒を教室の外に出し、扉を閉める。

やっと静かになったかな?

 

「性別なんて関係ない、か・・・。」

 

そう呟きながら吉井君をじっと見つめる久保君。

なんだろう、さっきあり得ないと捨てたはずの考えがバックステップで帰ってきた。

 

「性別なんて関係ない、ですか・・・。」

 

「なんで姫路さんはそこで僕と雄二を交互に見るの!?僕は知っての通り《秀吉》《が好き》ってちょっと!?」

 

またまた録音機による捏造が入る。

 

「もう、こうなったら《久保君》《雄二》《と》《交互に》《お尻を見せて》って違う!なんでこの場面で2人のお尻を見る必要があるのさ!とにかくそのボイスレコーダーを使うのはやめて!」

 

吉井君に交互にお尻を見せる坂本君と久保君・・・。

あ、想像したらツボに入ったかも。

やばい、笑いがとまらないや。

 

「吉井君、そういうのは困る。物事には順序というものがある。」

 

「わかってる!順序以前に人として間違ってることも!というかなんで僕をそっちの人にしようとするの!?とにかく、僕の話を聞いてくれぇっ!」

 

結局、この騒ぎと私の笑いの発作は鉄人先生がどなりこんでくるまで続いた。

笑いすぎてお腹痛いや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで勉強時間や晩ごはんの時間も終わって、入浴時間の30分くらい前。

私達は吉井君達の部屋に来ていた。

 

「んで雄二、今回はどうするの?」

 

「昨日は待ち伏せしていた教師達に勝てるような戦力がなかった。だから、今回は頭数を増やす。廊下は一直線だから、正面突破以外ないからな。」

 

坂本君はそう言うけど、どうやって増やすんだろう。

もしかして、Fクラス男子全員で攻める、とかかな?

と思ってたらその通りだったようで、Fクラスの男子がぞろぞろとやってくる。

目的は聞かされてないらしくざわざわしてる。

坂本君はそれがおさまるのを待ち、声を出した。

 

「みんな、女子風呂の覗きに興味はないか?」

 

「「「詳しく聞かせろ。」」」

 

わー、全員食いついた~。

 

「俺達は昨日、理想郷を目指し6人で突撃したのだが、そこで卑劣にも待ち伏せしていた教師の罠にかかり、目的を達成できなかった。」

 

「「「ほほう、それで?」」」

 

坂本君の言葉に対して誰も突っ込みしてないことに対して、私は突っ込みたいな。

 

「そこで、お前達には教師という障害の排除を頼みたい。報酬はその後の理想郷の光景だ。」

 

「「「乗った!」」」

 

全員が躊躇いもなく賛同したよ。

いいのかなこれで。

でも、これだけは言っておかないとね。

 

「でも、お姉ちゃんの裸とかをみるのは絶対にダメだよ?見たら暗闇の刑だからね。」

 

「「「こいしちゃん!?」」」

 

まあ、男子だけの覗きと思っていたら女子がいたわけだし驚くよねそりゃ。

 

「大丈夫だ、古明地と霧雨は、とある事情からこちら側だ。さてそれより、これから隊を4つに別ける。A隊は俺、B隊は明久、C隊はムッツリーニ、D隊は秀吉に続け!二○一○、出陣するぞ!」

 

「「「おうっ!!」」」

 

わー、一糸乱れぬ返事だ~。

こういう団結力は凄いんだよね。

変態達によって組まれた編隊が部屋を飛び出し、女子風呂めがけて突撃してく。

廊下には、昨日と同じように布施先生が立ってる。

 

「昨日でこりるかと思ってましたが、まさか数をふやしてやって来るとは!全員止まりなさい!」

 

「D隊、足止めを頼む!」

 

「「「おうっ!」」」

 

立ち塞がろうとする先生に対し、D隊みんなが召喚獣を出す。

ひとりひとりは弱いけど、先生の召喚獣をぐるりと取り囲むだけの数がいるからね。

本人は横を抜けていく私達を捕まえようと追いすがってきたけど、ある程度のところで悔しそうに止まった。

 

「あれ?諦めたのかな?」

 

「恐らく干渉を嫌ったんだろうな。」

 

干渉?

よくわからないけど、とにかくこれで第一関門は突破かな?

 

「そこまでです、薄汚い豚共!この先は男子禁制の場所!大人しく引き返しなさい!」

 

そう思っていたら、目の前には予想外の光景が。

さっき見たミハルさんを先頭に、女子達がずらりと立ち塞がってる。

戦力的には・・・だいたいDEFの3クラス分+αってとこかな?

まあ、私の感覚が少しズレてるだけで、普通は覗きという行為自体が許せないものだもんね。

横では美波ちゃんのことペッタンコペッタンコ言ってた吉井君が間接技決められてるけど、それはまあいっか。

 

「やっほー、吉井君。何を見に来たのかな?ボクを覗きに来てくれたのなら嬉しいんだけど♪」

 

「工藤さん!?そんな、どうしてここに!?」

 

吉井君に工藤さんが手を振っている。

もし工藤さんが脅迫犯なら、ここにいられると火傷の確認が出来ないから嬉しくないな。

 

「・・・古明地?何故そっち側にいるんだ?まさか、姉を覗きに来たのか?」

 

あ、正邪ちゃんにバレた。

正邪ちゃんなら信頼できるし脅迫犯のこと、言ってもいいかもしれないけど・・・。

でも、今ここで言うのは論外なんだよね。

 

「うん、まあちょっとした事情があるんだよ。」

 

「・・・まあいいけどな。」

 

正邪ちゃんは追求を止めてくれる。

なにか事情があるんだと思ってくれたのかな。

 

「でも、この布陣、どう突破するつもりなのですか?あまりこういうことは言いたくないのですが、私には勝てないと思いますよ。」

 

「我もおるぞ!太子様、我らに任せてくだされ!」

 

「布都、腕輪で味方を攻撃するのは注意しなければなりませんよ。まあ、そこまで言うのなら任せましょうか。一応私も召喚獣だけは出しておきましょう。」

 

前に出てきてそう言うのは阿求ちゃん。

あと物部さん。

昨日とは布陣を変えたようで、豊郷耳先生がいる。

うーん、阿求ちゃんの日本史は4ケタだし、物部さんも腕輪持ちだから厳しすぎるよね。

先生の点数はわからないけど、かなり高いだろうし・・・。

 

「落ち着け!豊郷耳先生以外の召喚獣は物に触れない!召喚獣は出さないか豊郷耳先生の足止めのみにして、脇を駆け抜けろっ!」

 

須川君が、そう指示を飛ばす。

教師の召喚獣以外は物に触れない。

だからその判断は一見正しいように見えるけど・・・。

 

「教育的指導ッ!」

 

「ぐふぉっ!」

 

まあ、こうなるよね。

最終関門として、鉄人先生が立ち塞がってるわけだし。

 

「鉄人を生身で突破しないといけないのか!?」

 

「勝てっこない・・・!あいつは伝説の鉄人だ・・・!」

 

「勝てるわけがないッ!」

 

絶望のざわめきが広がってる。

まあ、Fクラスは特に恐ろしさを知ってるもんね。

 

「さて、吉井、昨日のでは指導が足りなかったようだな・・・ 。今日もまた、指導してやろう・・・。」

 

ものすごい絶望的な状況だね。

前からは鉄人先生が迫ってきていて、生身ではどうやっても勝てない。

後ろも女子達が壁を作ってるから通れそうにないしね。

かといって召喚獣出しても、阿求ちゃんに瞬殺される未来しか見えないもん。

これは・・・全滅ルートだよね。

 

「吉井っ!諦めるな!悔しくてもこの場は退いて力を蓄えろ!今日はダメでも明日にはチャンスがあるはずだ!」

 

「す、須川君!?」

 

でも、打ち倒された須川君が鉄人先生の足にしがみついて行く手を阻んでいた。

 

「吉井、鉄人を倒すことが出来るのは、《観察処分者》であるお前の召喚獣だけなんだから・・・。だから頼む!この場は逃げて生き延びてくれ!」

 

「須川君っ!無理だよ!みんなを置いて自分だけ逃げるなんて!」

 

須川君が最後の力を振り絞って吉井君に訴えかける。

鉄人先生の拳が叩きこまれても、意地でも離さない。

 

「こ、この手は離さねえ・・・!吉井は俺達の希望なんだ・・・!皆、吉井の撤退を援護するんだ・・・!」

 

『『『おうっ!』』』

 

「す、須川君・・・!それに、皆も・・・。」

 

「吉井!お前は召喚獣で女子を押し退けて走れ!召喚獣は俺達が意地でも抑える!」

 

「この場の全員で血路を開く!お前は振り向かずに駆け抜けろ!」

 

「ここが男の見せ所ってやつだな!」

 

みんなが次々と死地におもむいていく。

漢の生きざまみたいな感じでかっこいいね。

 

「私も援護するぜ!点数低いがやってやる!ファイナルマスタースパーク!」

 

魔理沙も、まるで自身の召喚獣の命を削るようなレーザーを放ち、後方の召喚獣を消し飛ばす。

召喚獣システムにはオカルトの要素があるからか、みんなの召喚獣が点数以上の力を出してるみたい。

こんなの見せられちゃ私も、ね?

 

「易々と逃がしはしないのじゃ!」

 

「逃がしません!」

 

「吉井を守れっ!」

 

点数4ケタと400台の召喚獣から放たれた遠距離攻撃が吉井君に襲いかかろうとする。

でも、遠距離攻撃が吉井君に当たらないように、自身の召喚獣の身を呈して庇うFクラスの2人。

 

「・・・チェンジ『本居小鈴』。遠距離はダメなようですね。」

 

Fクラスの人達が肉盾となって防がれると判断したか、即座に武器を切り替え、分身して攻めにかかる阿求ちゃん。

 

「・・・って、これ、バラバラすぎて操作が効かないです・・・!」

 

でもまだうまく操作が出来ないようで、うまく動けてない。

 

「ごめんね、私も吉井君を倒されたく無いんだ。少し相手してね?」

 

「・・・何故、そちら側に・・・?」

 

「ちょっと事情があってね。」

 

そうした私達の援護のおかげで、吉井君は後ろを振り向かずに逃げていく。

 

「皆・・・ごめん。必ず僕は生き延びて、いつか理想郷に辿り着くことを誓うから・・・。」

 

吉井君の、心底悔しそうな声がかすかに聞こえてくる。

自分の無力さへの怒りと悔しさ、そして強さへの欲望が感じられる声。

私の召喚獣も阿求ちゃんに倒され、打つ手はなくなっちゃった。

まわりの男子達も、恐らく布施先生に当たったD隊も既に壊滅し、拘束される。

私達はここで終わるけど、吉井君だけは生き延びることを祈る。

どうか、吉井君は・・・。

 

《放送連絡です。Fクラス吉井明久。至急臨時指導室に来るように。》

 

ま、そうなるよね。

顔バレてるし。

わかってたけど。

 

 

 

 

 

こうして2日目も、完全敗北で補修で終わったよ。




いかがでしたか?
ファイナルマスタースパークはオカルト。


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第三十九話「交渉!」

評価がほしい。
求:感想か評価
出:ヘビボ勇敢最遅ダンゴロ@ポイントマックス
···嘘です。
出せますけど嘘ですただポケモン交換風にしただけです。



 

 

「そういえば、昨日工藤さんに『脱衣所にまだ見つかってないカメラがある』って言われたんだよね。」

 

強化合宿も3日目。

クラスごとでまとめられ、朝食を食べていると、吉井君がそんなことを言い出した。

見つかってないカメラ?

 

「怪しいよね。それを知ってるってことは、やっぱり犯人じゃないかな?」

 

「いや、それならわざわざ怪しまれるようなことを言うとは思えないのじゃ。」

 

吉井君の言葉に反論する木下君。

でも逆に、犯人候補から外れるためにあえて自身に不利になるようなことを言うという方法もあるからね。

まあ今回に関しては、残っているカメラなんて知りようがないことだし・・・いや、魔理沙ならわかるかも。

隠してあるもの探すの上手いからね。

 

「・・・やっぱり、覗くしかないかぁ。」

 

「・・・いや、あれから少し考えたんだがAクラスに関してはどうにかできるかもしれないのぜ。」

 

吉井君の呟きに魔理沙が反応する。

どういうこ・・・あ、わかったかも。

 

「・・・ほう?その方法とは?」

 

「霊夢に協力を頼むんだぜ。あいつのことだ、報酬をキッチリ出せばやってくれるはずなんだぜ。」

 

確かに霊夢さんなら、報酬を出せばさほど事情を話さなくてもやってくれそうだね。

工藤さんと同じAクラスである霊夢さんなら、何もおかしなところなく火傷確認出来そうだし。

Bクラスもお姉ちゃんに相談すれば確認してくれるかもしれないけど、お姉ちゃんには脅迫のことを知られたくないもん。

だから私に禁断症状出ちゃってるけど、解決するまでお姉ちゃんと会わないようにしてる。

 

「そういうことなら頼む。工藤が犯人か否かわかるだけでも重要だからな。だが、報酬はどうするんだ?明久が出せばいいのか?」

 

「また僕に出させようっていうの!?嫌だよ!学園祭の時、もっのすごく怖かったんだから!」

 

「心配はいらないのぜ。私が持ってるこの焼肉食べ放題引換券を使うつもりなんだぜ。」

 

確かに、それなら霊夢さんも引き受けてくれそう。

霊夢さんは冬眠前の熊みたいに、一度に栄養をたくさん取るために、自分が金を出さない場合、だいたい15~20人分くらい食べるから食べ放題とはもっとも相性がいいし。

霊夢さんの場合、肉が焼けるの待てなくてまれに生で食べ出すけど・・・。

 

「・・・そうなると、Aクラスは解決だな。」

 

「うん。あとは覗きを成功させるだけだね。雄二、作戦はあるの?」

 

「ああ。昨日の敗因は戦力差だ。だから今回はさらに戦力を増やすため、他クラスの協力を仰ごうと思う。」

 

そう作戦を説明する坂本君。

でも、普段のやり方とは違うような・・・?

普段の坂本君はカルタゴのハンニバルのような、相手の予想を超える奇抜な作戦で勝つのに。

吉井君も疑問を感じたみたいで、坂本君にその旨を言ってる。

 

「もちろん理由はある。女である古明地と霧雨はともかく、覗きは立派な犯罪だ。今はまだ未遂で終わってるからいいが、成功すれば真犯人が見つからない限りなんらかの処罰はあるだろう。」

 

まあ、そうだよね。

警察沙汰になっても不思議じゃないもん。

 

「それを避けるためのメンバー増員だ。人が増えれば、覗きに参加したメンバーの記憶も難しくなる。」

 

「でも、阿求ちゃんは瞬間記憶能力持ってるし、私達Fクラスの顔はバレてるよ?」

 

それで吉井君に呼び出しがかかった訳だし。

 

「大丈夫だ。召喚システムで世界的に有名な進学校である文月学園でこんな不祥事が起きた場合、学園側はキッチリ全員処分するか、ひた隠しにするしか選べない。現在顔が割れているFクラスのみを罰した場合、ただでさえ批判を受けてるクラス間の格差について、さらに強めることになりかねんしな。それに、稗田だって一人だ。戦場の全てを確認出来る訳がない。」

 

なるほど、そういうことね。

坂本君、こういうこと考えさせるとすごい。

 

「さっすが雄二、ずる賢いね。で、どのクラスから協力を頼むの?」

 

吉井君が質問する。

相手はDEFクラスにくわえ、Aクラスの一部やAクラス以上の力を持つ阿求ちゃんに先生がいるからね。

万全を期すならA~Cクラスくらいは仲間にしたいかな。

 

「知略に富んでいると言え。もちろんAクラスからだ。」

 

今後というか今日の方針が決まったところで、私達は朝食を食べるのを再開した。

朝ごはん食べないと調子出ないもん。

 

 

 

 

 

「Aクラスなら久保を説得するのが妥当だろうな。ということで頼むぞ明久。」

 

その後の自習時間。

昨日と同じようにAクラスと合同だよ。

 

「・・・(コクン)」

 

「適任じゃな。」

 

「別に構わないけど、どうして僕なの?」

 

久保君への説得役が一瞬で吉井君に決定した。

吉井君の質問に対し、昨日の考えが確信に変わっていた私は苦笑いしながら目をそらすことしかできないな・・・。

 

「・・・ま、まあお前がこの中で久保に一番好かれているからな・・・。」

 

「あ、なんだ。そういうことね。」

 

「ただし、いざとなったらこれを使え。」

 

珍しく歯切れが悪い坂本君が吉井君に渡したのは、スタンガン(20万ボルト)。

『どうして同じ学校の生徒にお願いをしに行くだけなのにスタンガンを持たされるのか、僕にはさっぱりわからない。』と思っていそうな表情をしている吉井君は、是非そのままでいてほしいな。

 

「そ、それじゃ行ってくるね。」

 

釈然としない様子ながら、頼みに行く吉井君。

3分ほどした後、戻ってきた。

 

「ごめん。ダメだったよ。」

 

「そうか。まあ無事で何よりだ。」

 

事情が事情だからか、坂本君がきれいな坂本君になってる。

映画版なのかな?

 

「しかし、そうなると他のクラスとの交渉を迅速に進めないといけないな。」

 

「それはそうだけど、今は授業中だよ?」

 

「それはわかっている。だが、全クラスに交渉をするなら休み時間だけでは全然足りないからな。なんとかして抜け出そうと思う。」

 

どうやら坂本君は抜け出したいみたい。

でも、自習時間とはいっても鉄人先生が監視してるから並大抵のことじゃないと思うんだけどね。

今だって勉強してるふりしておかないと、注意されてるはずだよ。

 

「ところで、霧雨と古明地はどうする?」

 

「私はやめておくのぜ。霊夢と早いこと交渉しておきたいし、私が行っても邪魔になりそうだからな。」

 

「私はついていってもいいかな?」

 

正直、いなくなったのを気づかれた時に誤魔化しきれない気がするもん。

それに、吉井君達についていった方が楽しそうだし!

鉄人先生のスキを見計らうため、こっそりて様子をうかがう。

 

「こーら、また悪巧みしてるでしょ?」

 

そうしてたら、美波ちゃんが怪しく思ったようで、私達に声をかけてくる。

その悪巧みというワードに、ピクリと反応する鉄人先生。

 

「もう今更問題を起こすなとは言わないけど、覗かれる方の気持ちにもなってみなさいよ。風呂場ではまわりと比べられるし、寄せて上げることも出来ないし・・・。Fクラスで同じくらいなのって、魔理沙と正邪くらいしかいないじゃない・・・。」

 

「あの美波、それって特定の部位を見られるのを嫌がってるだけに聞こえるんだけど・・・。」

 

「そこで私の名前を出さないで欲しいのぜ!美波よりはある!」

 

美波ちゃんの気持ちはわかるけどね。

私は平均くらいだけど、お空や姫路ちゃんには圧倒されちゃうし。

ちなみに、魔理沙も正邪ちゃんも、美波ちゃんよりはあるよ。

そんなことを思ってると、坂本君が吉井君に美波ちゃんを遠ざけるように指示を出してる。

 

「そういえば美波、さっき須川が話があるって言ってたよ。」

 

「須川がウチに?まあ、休み時間にでも聞いてみるわ。」

 

「え~・・・っと、それじゃ困るというか・・・。」

 

「なんでよ?」

 

「彼はすっごく真剣な顔をしてたから、よっぽど大事な話なんだよきっと。」

 

「ええっ!?それってまさか・・・!」

 

顔を赤くする美波ちゃん。

旅先でそういうのは多いみたいだし、そう思ってもおかしくないよね。

 

「今すぐ伝えたいって言ってたから、すぐにでも行かないと可哀想だよ。」

 

さらに押す吉井君。

多分吉井君は美波ちゃんの顔が赤くなった理由を全く理解してないんじゃないかな。

 

「アキは・・・それでいいの・・・?」

 

ほら、美波ちゃんも責めるような、どこか寂しそうな目で見てる。

 

「え?それで良いもなにも『だからっ!アンタは、ウチがその、須川とゴニョゴニョ・・・』ごめん、よく聞こえないんだけど・・・。」

 

「ああもうっ!要するに、ウチが誰かに告白されたらどう思うかって聞いてるのよ!」

 

「悪戯だと思う。」

 

「はぁ・・・。シャツについた返り血って、落とすの大変なのよね・・・。」

 

「いきなり返り血の心配!?僕の出血は決定事項なの!?」

 

ここでそう言っちゃうあたり、ほんと鈍感だよね吉井君は。

美波ちゃんがそう思うのもおかしくないよ。

美波ちゃんスタイルいいし美人だし、告白されても全然おかしくないと思うけどね。

私は素直に祝福できると思うよ。

 

「まあまあ美波ちゃん、吉井君はきっとどこかに行くはずがないって油断してるんだよ。ここらでひとつ、焦らせてみるのも手じゃない?」

 

とりあえずこのままだと美波ちゃんを遠ざけられなさそうだし吉井君が血の海に沈みそうだから、そう言っておく。

実際、吉井君は美波ちゃんを恋愛対象というよりは、気のおけない友達みたいに見てるところあるしね。

 

「そうね。見てなさいアキっ!ウチだって、結構モテるんだから!」

 

捨てセリフのように言って、須川君の方に向かってく美波ちゃん。

 

「島田。そんなに血相を変えてどうした。」

 

「西村先生、ウチは須川に用事があるんです。すぐに終わりますから。」

 

「そうか。だがその剣幕だと、お前が須川を血の海に沈めないか心配なんだが。」

 

あ、途中で鉄人先生に捕まってる。

とにかくいまのうちだね。

鉄人先生の注意がそれているうちに、そ~っと、音をたてないよう慎重に扉を開けて脱出する。

扉を閉める直前に、美波ちゃんの怒りの声が聞こえてきたけど、それは吉井君にむけてのものだし、まあいっか!

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり監視の先生はいるな。」

 

見つからないように慎重に歩くこと数分。

DクラスとEクラスの合同自習会場の部屋の前に辿り着いた私達は、扉をわずかに開けて中の様子をうかがっていた。

残念なことに、ここの監視を担当してる豊郷耳先生は出入り口の前にいるから、こっそり侵入するのは厳しいな。

 

「して、どうするのじゃ?このままでは交渉を進められんが。」

 

「簡単だ。一人が囮となって、教師を引き付ければいい。(チラッ)」

 

「断る。」

 

囮といいながら吉井君をチラ見した坂本君に対し、言われる前に先手を打って断る吉井君。

まあ、Dクラスへの宣戦布告の時みたいに、大抵は吉井君がやることになるもんね。

 

「やれやれ。それじゃ、ゲームで決めないか?」

 

「ゲームって何?」

 

「古今東西ゲームだ。」

 

「・・・わかったよ。」

 

古今東西ゲームか~。

私は隠れることなら出来るけど走るのはあまり得意じゃないし、選ばれたくはないかな。

誰かが追われてるところで注意をひきつけて隠れるとかならいいんだけどね。

 

「坂本雄二から始まる、古今東西ゲーム!!」

 

「「「イェーイ!」」」

 

「【A】から始まる英単語っ!」

 

「へっ?」

 

パンパン!

 

「【Apple】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「【Angel】(私)」

 

パンパン!

 

「僕のっ・・・負けだッ・・・!(吉井君)」

 

えー、ひとつもないの・・・?

 

「で、でもムッツリーニも出来ないよね!?」

 

ムッツリーニ君も囮役に引き込まんとする吉井君。

 

「・・・そんなことはない。」

 

でも、それに対するムッツリーニ君のセリフは意外なものだね。

まあ、それが普通なんだけど。

 

「じゃあ、行くぞ。古今東西ゲーム!!【A】から始まる英単語!」

 

パンパン!

 

「【April】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【AV】(ムッツリーニ君)」

 

「はいちょっと待って。」

 

吉井君によるストップが入る。

まあAVは英単語ではないもんね。

AudioやAdultならともかく。

 

「なんだ?ちゃんとAから始まっていただろう。」

 

「それはそうだけど・・・。」

 

「だろ?続けるぞ。」

 

吉井君の物言いは却下された。

 

パンパン!

 

「【Action】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【Akihisa】(ムッツリーニ君)」

 

「はいストップ。今僕の名前を言ったよね。いつの間に僕の名前は英単語になったのかな?」

 

「《名詞》バカの意。またはそれに値する人物の総称。~fulで形容詞。」

 

「何!?そうやって本当に載ってるかのような説明はやめてよ!?」

 

「《例文》He is so akihisaful.(彼はこのうえなく愚かな人物だ。)」

 

坂本君、それっぽいね。

本当にありそう。

 

「とにかく、固有名詞や略語は禁止だからね!」

 

「わかったわかった。次行くぞ。」

 

吉井君の物言いは再び却下され、続行される。

 

パンパン!

 

「【Arrive】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【Amen】・・・ボ(ムッツリーニ君)」

 

「今小さい声でボって言ったよね!?今のは明らかにアメンボだよね!?」

 

パンパン!

 

「【Agent】(坂本君)」

 

パンパン!

 

「・・・【Aー●△●◇※★⁉】(ムッツリーニ君)」

 

「今思いつかなかったから早口で言ってそれっぽく誤魔化したよね!?ねえ!?」

 

吉井君の抗議はガン無視されてる。

 

「ふう。勝負がつかないな。これくらいでいいだろう。」

 

「・・・(コクリ)」

 

「納得いかない!どうしてムッツリーニへの判定はそんなに甘いのさ!」

 

あ、ちょっと吉井君!

そんなに大声出したら!

 

「(ガラッ)誰ですか!自習時間に出歩いているのは!」

 

ほら、豊郷耳先生にバレちゃった。

 

「あ、やば。雄二・・・っていない!くっそぉ、やっぱり僕がこの役目になるのかぁ!」

 

私達は即座に隠れたから、出遅れた吉井君だけが豊郷耳先生のターゲットになる。

猛ダッシュして逃走する吉井君と、それを追う先生。

とりあえずこれで監視の先生の目はなくなった訳だけど・・・交渉の場に女子である私がいてもね。

 

「じゃ、私は吉井君の手助けをしてくるから、あとは任せるね~。」

 

隠れるのには自信があるから、吉井君を追う先生からある程度離れた場所で注意をひきつけて、吉井君が撒きやすくするつもりだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・はぁ・・・大変だった・・・!途中から大島先生も出てきて・・・。」

 

あのあと、私の協力もあって吉井君は先生を振り切れたよ。

その間に無事にD、Eクラスとの交渉は終わったみたい。

で、私達はB、Cクラスのところまで来てた。

 

「おお明久、お陰で交渉は成功したぞ。もう1回、よろしくな。」

 

「今度は勝って回避してやる!ここまでに考えてきたんだからな!」

 

お、吉井君が自信満々だ。

 

「ほう?見せてもらおうか。古今東西ゲーム!【O】から始まる英単語!」

 

パンパン!

 

「【オーガスト(August)】!(吉井君)」

 

「吉井!何故授業中に出歩いているのだ!」

 

「すいません!色々事情があるんです!」

 

易者先生は意外に足が速いってことがわかったよ。

吉井君、私も手伝うから頑張ってね。

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、そこでは振り切ったけど、結局Fクラスの会場に戻った際、鉄人先生に捕まってみんなそろってお説教と課題、あとげんこつを貰ったんだけどね。




いかがでしたか?
相変わらず明久は貧乏くじ。


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第四十話「三日目!」

他のでもそうなんですが、うちは展開が速めだなぁ。


 

 

その日の夜、EクラスとDクラスの協力を得られることになった私達は、吉井君達の部屋で待機してた。

結局CとBクラスには協力を得られなかったみたいなんだよね。

Cクラスは小山さんがリーダーだからか尻込みしてる感じらしいし、Bクラスも同様に今のクラスの中心は根本じゃなくてお姉ちゃんな関係で尻込みしてたみたい。

まあ、根本は今立場無いだろうからね~。

 

「まあ、得られなかった戦力のことを嘆いても仕方がない。DとEには既に集合場所と時間は知らせてある。とにかく時間まで待機だ。」

 

それもそうだね。

坂本君の言う通りだ。

 

「そういえば魔理沙、霊夢さんは引き受けてくれたの?」

 

「ああ、バッチリだぜ!最初は渋ってたけど、食べ放題のチケットを見せたら0.1秒で承認してくれたんだぜ。」

 

あはは、霊夢さんらしい。

まああの身体にどうやって入るのかなっていうくらい食べるもんね。

 

「やられたっ!女子が食堂で待ち伏せしてやがった!」

 

それを聞きながら待機していたところ、須川君が駆け込んできて報告する。

・・・えっ?

 

「なんだと!?・・・クソッ!翔子か!」

 

坂本君が驚いた後、悔しそうにする。

そっか、幼馴染みだから考えてることが読めたんだね。

試召戦争では有利にはたらいたけど、今はつらいね。

とにかく食堂に向かうと、そこでは戦争がはじまっていた。

まだ入浴時間になってないためか、女子は全クラス見受けられる。

D、E、Fの下3クラスなこちらは圧倒的に不利だ。

・・・どうするの?

 

「生き残った奴は陣形を立て直し、俺に続け!どうにか持ちこたえるんだ!」

 

坂本君の指示が飛ぶ。

どうにかFクラスのみんなと合流はできたけど、このあとどうするの?

そう思っていたら、坂本君は迷いなく進み始める。

向かってるのは・・・敵が多い方?

 

「坂本君、なんでわざわざ多いほう行くの?」

 

「敵が少ない方は罠の可能性が高い。だからあえて多い方に行った方がいいという考えだ。」

 

なるほどね。

でもなんだろう、なんか不自然な気が・・・。

多数の女子達と接敵してるけど、むこうが召喚獣を出さないどころか、なんか道をあけてる気がするし・・・。

 

「・・・やっぱり、雄二ならそうすると思った。」

 

「翔子!?クッ!」

 

私の予感は間違ってなかったようで、目の前には霧島さんや姫路ちゃんをはじめとしたメンバーが勢揃いしてた。

しかも、さっき私達を避けた女子達が通せんぼするかのように後ろを塞いでる。

坂本君の気持ちはわかるよ。

とっさの判断でとった行動が完全に相手の思い通りだった訳だもんね。

 

「・・・雄二。浮気は許さない。」

 

坂本君の行動パターンを予測して待ち伏せるなんて、霧島さんはよっぽど坂本君の覗きが許せないみたい。

 

「落ち着け!女子の召喚獣は触れない!間を無理矢理にでも抜けるんだ!」

 

須川君による指示。

昨日みたいに鉄人先生はいない(鉄人先生は最後の砦として女子風呂の前に陣取ってるからね)から大丈夫かと思ったのかもしれないけど・・・。

 

「まったく、あなた達には社会のルールについてたっぷりと指導する必要がありそうですね。」

 

注意がいるのは鉄人先生だけじゃない。

教師全員だからね。

しかも、よりによって学年主任の高橋先生がいる。

普通に考えれば、今合宿所にいる先生のなかでもトップだよね。

 

「くっ!こうなったらとことんまでやってやる!サモン!」

 

吉井君が召喚獣を呼び出し、単身相対する。

 

「先生!アキの召喚獣は見た目よりずっと強いですから気を付けてください!」

 

「大丈夫です。心配には及びません。吉井君。あなたには失望しました。少しは見所のある子だと思っていたのですが。」

 

美波ちゃんの言葉に返事を返し、武器であるムチを構えさせる高橋先生の召喚獣。

対する吉井君も木刀を上段にかまえさせ、間合いを計るかのようにして備えている。

さて、高橋先生はきっとものすごく強いけど吉井君も召喚獣の扱いは多分誰よりも上手い。

どうなるかな?

・・・と、少し期待しながら見ていたんだけどね。

吉井君の召喚獣がいきなり倒れる。

そして一瞬後に本人も痛みで倒れ、のたうち回ってる。

はっきりと見えたわけじゃないけど、まるで剣術の居合のように素早くムチをふるい吉井君を倒したあと、もとに戻してた。

あれ多分、ムッツリーニ君が腕輪を使った時よりも速いんじゃないかな?

落ちた小銭や食べられる獲物を発見する能力に長けているため反射神経がものすごい高い霊夢さんならともかく、常人ならたとえ点数が5ケタとかあっても回避出来ないと思うよ。

・・・改めて思うけど、霊夢さんの人外っぷりが凄い。

 

『学年主任 高橋洋子 総合科目 7791点 VS Fクラス 吉井明久 総合科目 0点』

 

点数も恐ろしいよね。

瞬間記憶能力持っていて、日本史と古典が4ケタな阿求ちゃんですら5000点ちょいなのに、なにしたらあれだけいくのかな・・・?

 

「仕方ない!ここからは各自の判断で行動しろ!」

 

「「「おうっ!」」」

 

坂本君による、事実上の撤退宣言が出される。

ここまでに召喚獣を出してない私は罠だとわかった瞬間、そっと女子達の間にまぎれて共犯認識されないようにしたけど、みんなはどうするのかな?

 

「「・・・・・・(土下座)」」

 

全員土下座か。

・・・ムリじゃないかな?

 

「・・・ほう?あなた達は土下座をしないのですね。指揮官としてのプライドですか?」

 

ほとんどが土下座をするなか、吉井君と坂本君だけが微動だにせず立っているのを見て、高橋先生が感心したかのように目を細めてる。

でも私は2人と長くいるからわかるよ。

多分あれは・・・

 

「いいや、違うな。アンタはなにもわかっちゃいない。」

 

「まさか、援軍が来るとでも?」

 

「助け?俺達が言っているのはそういうことじゃない。」

 

「・・・雄二。浮気は許さない。」

 

「坂本君、明久君。覗きは立派な犯罪なんですよ?」

 

「そういえばアキには昼間のこともお礼しなきゃね?」

 

・・・あれは、「土下座をしても許してもらえそうにないからだ」と思ってるよねきっと。

まあ実際土下座組も全員許されなかったわけだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で、なんでわざわざここに呼び出したのよ。」

 

「私とコイツら以外にはこのことを聞かれたくなかったからなんだぜ。」

 

「・・・ふぅん。まあ、いいけどね。」

 

吉井君達へのお仕置きと私達女子のお風呂が終わった後。

私達だけでなく、霊夢さんも吉井君達の部屋に来ていた。

魔理沙がここに来るよう言ってあったみたい。

 

「で、どうだったんだ?」

 

「言われた通り、尻に火傷の跡がある生徒がいないか見てきたわよ。結果から言うと、Aクラスにはいなかったわね。」

 

霊夢さんが言う。

Aクラスにいないってことは・・・

 

「工藤は風呂にいたか?」

 

「なに、アンタ愛子に気があんの?代表いんのに浮気?」

 

「ちっがう!」

 

坂本君の質問に対して勘違いした様子の霊夢さん。

まあ、そう思ってもおかしくはないかな?

 

「まあいいわ。とにかく愛子もいたわよ。」

 

そうなると、工藤さんは犯人ではないみたいだね。

 

「で、焼肉食べ放題のチケットは渡すんでしょうね?『いつ渡すか指定してないから、その気になれば10年、20年先にすることも可能だ』みたいなこと言ったら鉄骨で殴ってビルから叩き落とすわよ。」

 

「んなことは言わないぜ。ほれ。」

 

魔理沙が約束の品を渡す。

まあ、霊夢さんなら本当にやりかねないからね。

鉄骨渡りとかも即答でやって成功しそうだし。

 

「確かに受け取ったわ~♪夢が膨らむわね~!」

 

「ちなみにそれ、有効期限があるから注意するんだぜ。1月くらい先だけどな。」

 

「問題ないわ。合宿終わったらすぐ行く予定だったから。」

 

「それと、せっかく2枚あるんだから、早苗の奴を連れていってやったらどうだ?絶対に喜ぶと思うんだぜ。たまには姉として、な。」

 

「・・・まあ、考えておくわ。」

 

確かに、早苗ちゃんは霊夢さんのこと大好きだもんね。

早苗ちゃんが特別お肉が好きっていうわけじゃないけど、多分霊夢さんが誘えば喜んで行くんじゃないかな。

 

「・・・あ、そうそう。この部屋の前で西村先生が見張ってるから、吉井、坂本、木下、えーとあとカメラは外に出ない方がいいわよ。んじゃね。」

 

出ていこうとした霊夢さんが振り返ってそんなことを言う。

カメラって。

ムッツリーニ君だけ名前覚えられてないみたいだね・・・。

 

「・・・俺の名前は土屋康太。カメラじゃない。」

 

「まあまあムッツリーニ君、そう気を落とさないの。吉井君と坂本君は召喚大会で戦ってるし、木下君は同じクラスにお姉さんがいるから覚えてただけだと思うよ。」

 

でも監視されてたのか~。

私はうまくまぎれられたおかげで罰を受けないで済んだし、魔理沙は今日参加してないから罰を受ける理由がないし、監視がつく前に部屋に入ってたから知らなかったや。

 

「まあ、霊夢はあまり積極的に人の名前を覚えようとしないからな。気にすんなって。それで、Fクラスのは私が見てきたぜ。こっちも火傷の痕はなし、だ。」

 

魔理沙が報告する。

まあ、同じFクラスにこんなことをする人がいるとは思ってなかったけどね。

 

「ふむ。まあそうだろうな。」

 

「・・・同じクラスでやっていたのなら、5秒で察知していた。」

 

「そうなると、やはり覗くしかないみたいだぜ。坂本、作戦はあるのぜ?」

 

「正面突破だ。」

 

えー。

 

「そんな絶望的な顔をしないで話を聞け。相手はあれ以上戦力は増やせない。今日は負けたが、相手の戦力を知ることができた。これは大きいぞ。」

 

「・・・他のクラスの情報も把握済み。」

 

多分D、Eクラスだね。

 

「向こうの布陣は教師を中心とした防衛布陣だが、色々と弱点がある。明久、わかるか?」

 

「微塵もわからないね。」

 

「チョキの正しい使い方を教えてやる。」

 

「ふぎゃあっ!目がっ!目があぁっ!」

 

吉井君の眼に坂本君のチョキが刺さったよ。

痛そ~。

 

「それは干渉だ。向こうにとって、一番避けなければいけないのは召喚獣を出せなくなることだからな。」

 

確かに、召喚獣の力なしで男子高校生の群れを止めるのは難しいもんね。

鉄人先生ならともかく。

 

「それと、やはり最大の関門は鉄人だ。覗きを成功させるには、ある奴を無傷で送り届けなければならない。」

 

「ある奴って?」

 

「お前だよ明久。鉄人と張り合えるのは、監察処分者であるお前の召喚獣だけだ。」

 

確かにそうだよね。

人間が熊などの獣に勝つには武器が必要だし。

 

「それで、今日の目撃情報から敵戦力を推察すると、こうなる。というか、俺ならこうする。」

 

話しつつ、この会場の地図に予想布陣を書き込む坂本君。

 

「なるほどね。絶対に通らなければいけない場所には、最強の先生である高橋先生を置いてくると。」

 

「まあな。だから、さっき言ったことを実現させるには、高橋先生のエリアを明久が無傷で突破する必要がある。とはいっても、現状の戦力では突破どころかたどり着くことすら厳しいだろうな。」

 

実際、AやBクラスの人もチラホラいたもんね。

 

「だからやはり、A、B、Cクラスの協力が必要ってことだ。」

 

「なるほどね。でも、どうやって?」

 

「これを使う。」

 

そう言って取り出したのは、部屋に備え付けられている浴衣。

一応使っちゃいけないことになってるけどまあ、坂本君だもんね。

 

「これを着せた写真を撮って劣情を煽るつもりだ。うまくやればA、B、Cクラスの協力もとりつけられるだろう。」

 

「またワシが着るんかの・・・。」

 

木下君がしょんぼりしてる。

まあ、こういうのをやるの、木下君が多いもんね。

 

「いや、今回は秀吉だけではない。古明地と霧雨、あと島田と姫路にも協力を頼む。」

 

あ、私も?

・・・って考えてみたらそりゃそうか。

 

「ぜぜ!?私!?」

 

対照的に、魔理沙は驚いてる。

結局はなんかしらの交渉をした末に了承してたけど、何を話してたかは聞こえなかったな。

ちなみに、私はOKしたよ。

 

「ということで、明久は島田と姫路に連絡をとってくれ。古明地と霧雨、あと秀吉は準備を頼む。」

 

「「「はーい。」」」

 

返事をして、見えない位置に移動する。

着替えている途中、吉井君の変な声と何かが倒れるような音が聞こえてきたし、着替え終わって戻ったら、なんか元携帯っぽい電子パーツが複数とお茶漬けの携帯、あと坂本君の死体があったんだけど・・・。

いや、何かがあったの?

部屋はなんかひどいことになってるし・・・。

ある程度の耐水機能がある携帯なら電源を切ってパーツごとに分解して数日放置すれば大抵は生き返るけど、あれは大丈夫なのかな・・・?

 

「あ、古明地さんと魔理沙!悪いんだけど携帯を少し貸してほしいんだ!美波にメールを送らなければいけなくて!」

 

「うーん、私は携帯部屋にあるんだよね・・・。」

 

「私は持って・・・そういえばパチュリーの図書館に本を借りに行って逃げ帰った時に落としたからもってないなぜ、すまん。」

 

「・・・ねえ魔理沙、確かそこ出禁喰らってなかった?あと本といえばいい加減お姉ちゃんに返してほしいんだけど・・・。」

 

「今は合宿で無理だしそのうちな。」

 

パチュリーさんは、魔理沙の家の近くにある私立図書館の館長なんだけど、魔理沙は借りた本返さないから出禁喰らってるんだよね。

魔梨沙という偽名と赤いウィッグで変装したりこっそり忍び込んだりで本を借りてるけど、いつか窃盗罪で法的手段に訴えられないか心配だよ。

それに、『送信先を間違えて美波ちゃんに告白ともとれるメールを送ってしまい、訂正メールを送ろうとしたところ坂本君に携帯を壊されてどうしようもなくなり、報復に同じことをやってやった』みたいな顔してる吉井君もね。

そんなことをやっていたら時間が過ぎ、コンコンと控えめなノックの音が聞こえてくる。

 

「失礼します・・・。」

 

この声は姫路ちゃんかな?

吉井君がドアを開けると、やっぱり姫路ちゃんが立ってた。

 

「よく来たね。鉄人に絡まれなかった?」

 

「あ、はい。お菓子をあげたら通してくれました。みなさんもどうぞ。」

 

そう言って、市販品と思わしきお菓子を出す姫路ちゃん。

まあ、姫路ちゃんは成績優秀で(基本)品行方正な生徒だし、大丈夫って判断されたんだと思う。

 

「よく来たな姫路。早速だがプレゼントだ。」

 

「浴衣・・・ですか?」

 

「そうだ。それを着た写真を撮らせてほしい・・・と、明久が言っている。もちろんタダとは言わない。・・・ゴニョゴニョ・・・。」

 

坂本君が姫路ちゃんに小声で交渉してる。

ほとんど聞こえなかったけど、寝顔写真って単語が聞こえたな。

 

「わかりました!少しくらいなら浴衣のすそをはだけさせても大丈夫ですっ!」

 

すごいやる気だね。

だいたい何を提示されたかわかっちゃったよ。

私だってお姉ちゃんの寝顔は何時間見てても飽きないもん!

 

「あ、そうそう。撮った写真を他の人に見せても構わないかな?」

 

吉井君が許可をとる。

まあ、さすがに無断で見せるのは友達としてどうかなと思うもんね。

 

「他の人、ですか・・・。少し恥ずかしいですけど・・・頑張ります。」

 

姫路ちゃんのなかで天秤にかけた結果、寝顔写真に傾いたみたい。

 

「そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫だよ姫路さん。僕と秀吉、それに古明地さんと魔理沙も映るからさ。」

 

「・・・そうですか。」

 

ちょっと不満そうな姫路ちゃん。

やっぱり吉井君とのツーショットが良かったのかな?

まあ、結局撮影は5人でやったけどね。

多分ムッツリーニ君の腕なら、絶妙に吉井君だけをフレームアウトさせつつ、良いアングルで取ってくれてると思うよ。

せっかくだし、可愛く写ってると嬉しいな~。

・・・あ、そうだ。

 

「・・・あのさムッツリーニ君。」

 

「・・・どうした?」

 

「こっそり、姫路ちゃんと吉井君の2人の写真を撮って、姫路ちゃんに渡してあげてよ。吉井君には秘密でね。」

 

私のお節介かもしれないけど、多分姫路ちゃんにはいい思い出になるはずだからね。

 

「・・・いいだろう。」

 

ちなみに、吉井君も姫路ちゃんとのツーショット写真をお願いしていたみたいだけど、これを知ったのは相当後なんだよね。

 

 




いかがでしたか?
金で雇った霊夢のおかげで愛子が犯人ではないと判明しました。
霊夢さんなら本当にブレイブメン・ロードを渡りきり、風圧も根性で耐えそうです。


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第四十一話「四日目!」

 

 

強化合宿も4日目。

明日は帰るだけだから、今日が実質的な最終日だね。

朝食の時間だけど、吉井君と坂本君はものすごく眠そうに目をこすりつつぼやいている。

昨日私と魔理沙、あと姫路ちゃんが帰ったあとに何かやらかして夜通し指導を受けたのかな?

 

「気合いさえ入れば目が覚めると思うんだが、全然気合いが入らな・・・ふおおおおっ!」

 

なになに!?

坂本君がいきなり叫んで覚醒したんだけど!?

よく見たら坂本君はなにか持ってる。

あれは・・・写真?

 

「ムッツリーニ、今お主が見せたのは何なのじゃ?えらく興奮しているように見えたが・・・。」

 

「・・・魔法の写真。」

 

魔法の写真?

なんだろ、私も見たい!

 

「あはは、雄二も単純だなあ。そんな写真一枚で気合いが入るなんてこと、あるはずなふおおおおっ!!」

 

入ってるじゃん。

吉井君の後ろから覗き見させてもらうと、どうやら昨日撮った写真を現像したものみたい。

浴衣姿の私に魔理沙、木下君に姫路ちゃんが、すごい色っぽく写ってる。

自分で言うのもどうかとは思うけど、私もすごく可愛いな。

ムッツリーニ君、凄いよ!

 

「・・・それと、綺麗に撮れたので印刷してみた。」

 

「放して秀吉!このバカの頭をカチ割ってやるんだ!」

 

「落ち着くのじゃ明久!よく撮れておるではないか!」

 

ムッツリーニ君が取り出したもう1枚の写真には、セーラー服を着た吉井君の姿。

それを見て、ムッツリーニ君の頭をカチ割ろうとする吉井君を木下君が羽交い締めにしてる。

どこから入手したんだろうとか、いつ着たんだろうとか、本人に気づかれずにどこから撮影したんだろうとか突っ込みたいことがたくさんあるけど、なんか突っ込んだら負けな気がするんだよね。

 

「驚いたぞムッツリーニ。まさかここまですごい写真を撮るとは。」

 

目に光を取り戻した坂本君が、ムッツリーニ君に労いの言葉をかける。

普段あんまり女の子に興味を示さない坂本君でさえこんな反応だし、かなり期待出来そうだよね。

 

「よし、これを全男子に回せ。」

 

坂本君が写真の裏にパクるのを禁止するよう字を書き、近くにいた須川君に渡す。

須川君は疑問符を浮かべながら写真を受け取って、

 

「ふおおおおっ!」

 

覚醒したね。

でも、こんな風に全員が覚醒してたら、怪しまれないかな?

まあいっか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから私達は、最後の決戦に向けて補充テストを受けたり、作戦を考えたりと、頑張ってた。

もちろん私もね。

そしてついに、運命の時間がやってくる。

 

「いよいよ、この時が来たな。」

 

坂本君がしゃべり始める。

もう、この時間には監視の先生もおらず布陣についてるから、いるのは協力者だけだ。

 

「もはや言葉はいらねえ!理想郷を目指し、進むぞ!」

 

「「「おうっ!」」」

 

最後の戦いが、幕を開けた。

さて、私も頑張らないとね。

私と魔理沙は、吉井君と行動するように言われてる。

鉄人先生への唯一の切り札である吉井君を、無事に送り届けるためだよ。

 

 

 

 

 

 

 

「うむむ、我に集団で来るでない!鬱陶しいわ!」

 

「落ち着け布都!防衛陣を敷いているこの状況での太乙真火は味方の被害が大きい!」

 

「行け!物部と蘇我を圧殺しろ!」

 

まず最初に戦場となっているはずの2階広間。

Cクラスが協力してくれていれば、ここで戦いが行われるはずだけど、無事にやってるね。

見たところ、攻撃側が優勢みたい。

 

「Cクラスのみんな!協力してくれたんだね!」

 

「ったりめぇだ!あんなモン見せられて、男がおめおめと帰れるかってんだ!」

 

「ここは俺達に任せやがれや!てめぇらこそしくじんじゃねぇぞ!」

 

すごい、口調が少しおかしいけどノリがいいね。

 

「通す訳にはいかないんです!」

 

「いいや、あいつらは通させてもらう!」

 

おかげでこの戦場はスルーすることができた。

後ろは振り返らず、前だけを見て走る。

先の試召戦争では敵だった相手が、今は味方になってるのは、なんか嬉しいね。

階段を降り、次は大食堂。

ここでも勝負が繰り広げられてたなら、賭けには勝てるはず!

 

「・・・メだ、かなわ・・・」

 

「・・・護をた・・・」

 

「やった!戦いが行われてるみたいだ!」

 

「待て!様子がおかしいぞ!」

 

安堵する吉井君を坂本君が諌める。

 

「・・・ここは通さない。」

 

「ええ。ここは私達が守りますよ。」

 

扉を開けて、中に入るとそこでは戦いが行われてた。

さっきとは違って、防衛側が圧倒的に優勢。

見たところ・・・Aクラスの姿はない。

Bクラス男子は首席の霧島さんと、実質首席の阿求ちゃんに蹂躙されちゃってる様子だ。

 

「・・・雄二。浮気は許さない。」

 

「くっ、根本バリアー!」

 

「さ、坂本!?せっかくの協力者に、それはあんまりじゃないか!?」

 

坂本君が盾にした、Bクラス代表である根本の召喚獣すら一撃で斬り伏せられる。

うーん、根本が倒されたのはどうでもいいけど、この戦況はまずいね。

 

「明久よ。どうしてお主はここまで覗きに拘るのじゃ?失礼かもしれんが、これを達成しても、お主のレッテルは大して変わらんと思うぞい。それに、お主はやられれば痛く苦しいはずじゃ。何故、そこまで諦めないのじゃ?」

 

この戦況をどうするか考えてたところ、横から木下君の質問が聞こえてくる。

確かに、苦労に対して、リターンは少ないと思うよね。

 

「確かに、最初は僕の名誉の為だったよ。でもね秀吉、それに向かって努力したり、仲間が増えて、その仲間を失いながら前に進んだりしているうちに、僕は本当の気持ちに気づいたんだ。世間がどう思うかなんて関係ない!僕は自分の気持ちに正直でありたいんだ!純粋に、心から己の欲望のために女湯を覗きたいんだ!」

 

「お主は何を言ってるのじゃ!?」

 

どう答えるかと思ったら、ね。

でも、なんかかっこよく聞こえなくもない・・・かな?

 

「・・・よく、わかりました。吉井君、覚悟をしてく『君の想い、確かに聞きとった!』誰ですか!?」

 

呆れと怒りがこもった阿求ちゃんの言葉を遮り、何者かが声をあげる。

声がした方を見ると・・・

 

「吉井君!君の想いは確かにこの僕が聞きとったよ!すまない、準備はしていたが、踏ん切りがつかなくてね。だが、君の言葉を聞いて、気持ちが固まったよ。ただ今からAクラス男子総勢22名、吉井明久の覗きに力を貸そう!」

 

「お主ら自分が何を言ってるのか、わかってるのかの!?」

 

久保君を先頭に、Aクラスの男子っぽい人達がずらりと並んでる。

そして、久保君の合図とともに、一斉に召喚を行い、戦いを始める。

一人一人がさっきの根本より点数が高いため、戦況は一気に逆転・・・とはいかなかったけど、五分五分くらいにはなった。

 

「ありがとう久保君!」

 

「なに、気にすることはないよ。僕も、君の言葉の通り、気持ちに正直でいようと思っただけだからね。」

 

まあ、その気持ちが吉井君にとっては問題なんだけどね。

私には腐った趣味はないし。

とにかく、私達は戦場を駆け抜ける。

 

「やはり、来ましたか。あなた達にはもう一度、社会のルールを説く必要がありそうですね。」

 

次は高橋先生率いる部隊。

昨日見てわかったけど、高橋先生の召喚獣はものすごく強い。

多分この中で一番扱いに慣れている吉井君ですら瞬殺したもんね。

見えないレベルの攻撃速度だったし、多分吉井君が阿求ちゃんくらいの点数を持ってても厳しいんじゃないかな。

 

「アウェイクン!」

 

だから、私達は戦わない方法を選ぶ。

坂本君が召喚大会で得た腕輪には、教師の立ち合いなしにフィールドを生成できる効果がある。

点数は消費するし科目はランダムだけど・・・。

 

「干渉、ですか。やってくれましたね・・・。」

 

召喚フィールドがぶつかってしまうと、互いが互いのフィールドを消してしまう。

フィールドがなくなれば召喚獣は実体化出来ないから、この場の全員の召喚獣が消滅したね。

この隙に、脇を駆け抜ける。

召喚獣さえいなければ、高橋先生はただの女性だもん。

 

「くっ、4人通してしまいましたが、これ以上はさせません!」

 

でも、先生がフィールドを消去したことで、坂本君のフィールドのみが残り、召喚獣は再び実体化する。

さすが高橋先生、判断が早いね。

点数を消費する関係上、坂本君のはそう簡単にオンオフができない。

だから、実質的に、ここから先は私、吉井君、ムッツリーニ君、魔理沙の4人で戦うしかなくなったね。

高橋先生はそう簡単に倒せないと思うし。

 

「止まれ。」

 

「ボクも女の子だからね。ここを通す訳にはいかないんだ。」

 

廊下で待っていたのは大島先生と工藤さん。

1日目に先生の点数を見てるし、工藤さんもムッツリーニ君ほどじゃないけど、点数が高い。

大丈夫かな?

 

「・・・ここは俺が引き受ける。行け。」

 

「でも、ムッツリーニ君一人でこの2人って・・・。」

 

「・・・いいから行け。俺のことは心配ない。」

 

そこまで言うなら、この場はムッツリーニ君に任せようかな。

 

「わかった!任せるよムッツリーニ!理想郷でまた会おう!」

 

ムッツリーニ君以外の3人でダッシュする。

・・・でも気のせいかな、初日よりかなり前にいたような・・・?

少し、嫌な予感する。

 

「あんた達、止まりなさい。」

 

「ここは通す訳にはいきませんよ!」

 

「・・・こいし、あとで事情をみっちり聞かせてもらいますよ。」

 

そう思ったのは間違いじゃなかったみたいで、目の前には霊夢さんと早苗ちゃん、そしてお姉ちゃんが立ってる。

・・・どうしよ。

でも、とりあえずお姉ちゃんに私の目的を悟られるわけにはいかないな。

 

「・・・しょうがない。吉井!お前だけでも抜けるんだ!」

 

「・・・わかった!僕は鉄人を倒す!」

 

「あ、こら、待ちなさい!」

 

「「サモン!」」

 

吉井君を止めようとする霊夢さんの気を引くために、私と魔理沙で召喚獣を出す。

フィールドは・・・数学だね。

・・・数学?

私達の学年の数学教師は河城先生だけど、昨日というか今朝も居なかったような・・・?

あと、フィールドだけで先生がいないのも気になるな。

まあでも、そのへんを考えててもしょうがないよね。

 

「・・・わかったわ。あんた達の挑戦、受けてやるわよ。あんた達が勝ったら、私は手を引くわ。」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

早苗ちゃんが驚いてる。

 

「魔理沙は理由もなくこんなことに加担するような人間じゃないし、それはこいしも同じよ。早苗もそれは知ってるでしょ。それにさとりも姉なんだからわかるはずよ。」

 

「まあ、そうですが・・・。」

 

「これは勘だけど、あんた達・・・少なくとも私が部屋にいった時にいたメンバーは覗きに目的があるんでしょ。例えば・・・お尻に火傷の痕がある、初日の盗撮の真犯人を見つけるとか、ね。」

 

すごい、大体合ってる。

 

「・・・さすがお姉ちゃんだけど、でも何でこいしちゃんや魔理沙さんが?」

 

「そこまでは知らないわよ。その真犯人になんか脅迫でもされてるんじゃないの。」

 

適当な感じで言う霊夢さんだけど、それも正解だよ。

やっぱりすごいね霊夢さん。

 

「・・・まあ、今はいいでしょう。こいしの考えも読みとることが出来ませんし。」

 

お姉ちゃんが呟く。

なんで読みとることが出来ないのかはわかんないけど、良かったかな。

とにかく、今は3人を倒さなければならないね。

 

『Aクラス 博麗霊夢 数学 421点 and Aクラス 東風谷早苗 数学 375点 and Bクラス 古明地さとり 数学 361点』

 

VS

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 271点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 408点』

 

うーん、霊夢さんと魔理沙が腕輪持ちみたいだけど・・・。

でも霊夢さんと魔理沙の戦いは、Aクラス戦の時に負けてるんだよね・・・。

 

「大丈夫だぜ、こいし。あの時は使えなかったが、霊夢を倒せる策はあるんだぜ。」

 

小声で魔理沙が言ってくる。

 

「霊夢!私の技を受けてみるんだぜ!恋符『マスタースパーク』!」

 

「・・・あんたそれ、前回やられたじゃないの。二重け『チャリチャリーン』お金の音!(シュババッ!)」

 

「ちょっとお姉ちゃん!?」

 

魔理沙が、前回も使ったマスタースパーク?を放つと同時にポケットから500円玉を2枚取り出し、霊夢さんの方へ1枚、その場に1枚落とす。

前回もやった反射行動を取ろうとした霊夢さんの意識は完全にそっちへ向き、結果的に魔理沙のレーザーは霊夢さんの召戦争を貫いた。

えー・・・・・・。

 

『Aクラス 博麗霊夢 数学 0点』

 

それで霊夢さんの召戦争は戦闘不能。

でも・・・

 

「「「・・・・・・」」」

 

味方であるはずの私も含め、全員が魔理沙をジト目で見てる。

 

「・・・すまないな霊夢。例え卑怯だ根本だと言われようが、私は勝たなければいけなかったんだぜ。」

 

「・・・・・・まあいいわ。1000円は私のものになったし、そこまで怒らないわよ。」

 

「さ、さすがは霊夢だな!人間が出来てるぜ!」

 

「魔理沙、合宿が終わったら、5000であんたの悪いものを祓ってあげるわ。来なかったら・・・わかるわよね?」

 

「・・・・・・ハイ。」

 

霊夢さん、やっぱり怒ってた。

まあでも、霊夢さんの巫女業は真面目にやってるから詐欺でもないんだけどね。

 

「しょうがないから、早苗とさとりに後は任せたわよ。」

 

「わかったよお姉ちゃん!」

 

「いいのでしょうかこれで・・・。」

 

燃える早苗ちゃんと、困惑気味のお姉ちゃん。

 

「・・・とりあえず今はこの場の戦いだ!行くぜ!」

 

魔理沙が箒を構えて召喚獣を走らせる。

狙いはお姉ちゃんみたい。

 

「ふむ、そう来ますか。私の召喚獣はハートの弾幕で武器はない、だからあえて近接戦を仕掛ける。狙いは悪くないと思います。」

 

・・・・・・そういうことか!

お姉ちゃんの狙いはわかった。

 

「ですが、私も黙ってやられはしませんよ。」

 

「ナ、ナイフだと!?」

 

魔理沙が振りかぶった箒は、お姉ちゃんが手に持つ2本のナイフで止められる。

よく見たら、お姉ちゃんはあの黒い腕輪をしてる。

さっきマスタースパーク?で点数を消費してるし、魔理沙の箒は木。

それに箒は近接用の武器じゃないもんね。

 

「では、今度はこちらから行かせて貰いましょう。」

 

「うぉっ!とっとっ、と・・・!」

 

お姉ちゃんが2本のナイフを使いこなし、魔理沙に攻撃を加えていく。

魔理沙も箒で防ごうと奮闘するけど、手数が多いせいで防ぎきれてない。

・・・と、魔理沙の方を気にしてる場合じゃないね。

私も早苗ちゃんをなんとかしないと。

早苗ちゃんの拳をかわしたり私の武器で防いだりして攻撃の機会を待つ。

前回戦った時は現代文だったから点数差が酷かったけど、今回はまだマシだしね。

でも、どうしようかな。

こっちから攻められそうなチャンスはないし、魔理沙の方も放置してたら多分負けちゃう。

 

「・・・こちらは終わった。そっちはどうなった。」

 

打開策を考えながら戦ってたら、ムッツリーニ君がやってくる。

どうやら、先生と工藤さんに勝ったみたいだね。

 

「吉井君は鉄人先生と戦ってるはずだけど、今私達はお姉ちゃんと早苗ちゃんに止められてるって状況だよ。」

 

戦いの手は止めず、ムッツリーニ君に状況を説明する。

 

「・・・わかった、加勢する。サモン。」

 

ムッツリーニ君が召喚獣を出す。

これで数的優位にたてたし、行けるかな・・・

 

『Fクラス 土屋康太 数学 27点』

 

・・・って思ったけど、これじゃほぼ変わらないような気がするな。

 

「今です!八坂スマッシュ!」

 

「!!」

 

私がムッツリーニ君の点数を見て落胆したところで生まれた一瞬の隙をつき、早苗ちゃんが八坂スマッシュを放つ。

一撃目が私に入り、高く打ち上げられる。

確か・・・次はジャンプからの地面に叩きつけだったよね。

 

「じゃあ、こうするよ!」

 

Aクラス戦の時、お空が受けてた時を思い出し、場所を推測して攻撃を放つ。

合っていたみたいで、早苗ちゃんの拳と私の武器がぶつかり、音をたてる。

とはいっても、不安定な場所から放った攻撃だし、早苗ちゃんの攻撃に重力も乗ってるから、私の召喚獣は高速で地面に落下していくんだよね。

多分、防衛行動をとっても私の死は免れない。

だったらせめて、一矢報いるよ!

ポケットに入れていた黒い腕輪を素早く腕に装着する。

私の武器である、触手のようなものが細かな粒子となって消え去り、かわりに私の手に弓が生成される。

召喚獣を既に出してる時でも、つけてない時からつけた時に限るけど武器をチェンジ出来るって学園長先生から聞いてたからね。

 

「早苗ちゃん、覚悟だよ!」

 

「弓っ・・・!?」

 

早苗ちゃんの召喚獣だって、あの攻撃を放った後は落ちるしかない。

素早く弓をひいて、上にいる早苗ちゃんの召喚獣めがけて放つ。

さっきの一撃は防いだから、まだ私の召喚獣の点数は200点くらいある。

それだけの一撃が入れば、早苗ちゃんの召喚獣もただではすまない。

まあ、防御行動とってない私の召喚獣も倒されちゃうんだけどね。

あとは魔理沙とムッツリーニ君に任せようかな。

 

『Fクラス 古明地こいし 数学 142点 VS Aクラス 東風谷早苗 数学 0点』

 

・・・って、あれ?

私の召喚獣が死んでない。

 

「・・・間に合った。」

 

ムッツリーニ君が呟く。

私が自身の召喚獣の方を見ると、私の召喚獣をお姫様だっこで支えるムッツリーニ君の召喚獣が。

・・・ってなってればかっこよかったんだけど、実際はムッツリーニ君の召喚獣が私の召喚獣の下に入り、クッションになってた。

そのおかげで落下の衝撃がだいぶ緩和されて、生き残ったみたい。

とにかくムッツリーニ君のおかげで私は生き残ってる。

ムッツリーニ君は犠牲になっちゃったけどね。

ありがとね、ムッツリーニ君。

 

「えいっ!」

 

とにかく、私は召喚獣に弓をつがえさせ、狙いを絞る。

もちろん、狙いは魔理沙を攻めてるお姉ちゃん。

ほんとはお姉ちゃんに攻撃したくはないけど仕方ないよね。

 

「・・・!」

 

放たれた矢はお姉ちゃんめがけて飛んでいくけど、ギリギリのところで当たらない。

うーん、やっぱり真上に射つだけならともかく、狙いを定めるのは難しいな。

 

「・・・今のはこいしね。わざと外したのかしら?」

 

お姉ちゃんがこっちを見て確認するかのように呟く。

お姉ちゃんはそう疑ってるけど、純粋に外しただけなんだけどね。

 

「・・・まあいいわ。魔理沙さん、覚悟です。・・・あと、いい加減本も返して下さい。」

 

「やられるつもりはないぜ!あと、本はまたそのうち、な。」

 

お姉ちゃんが魔理沙を攻め続ける。

でも位置関係がよくないな。

お姉ちゃんと私の直線上に魔理沙がいるような位置をとられてる。

でも弓には銃にも弾幕にもレーザー(星さんのは別だけど)にもない利点があるからね。

今の私が出来るかはわかんないけど、矢を上向きに放つ。

上向きに放たれた矢は重力に引かれ、そのままお姉ちゃんの召喚獣の肩あたりにヒットする。

・・・うん、うまくいったみたい!

軌道が直線とは限らないから、味方の頭上を越えて攻撃出来るっていうのが選んだ理由のひとつなんだよね。

 

「・・・くっ。」

 

「隙ありだぜ!マスタースパーク!」

 

私の矢で点数を減らし、動きが鈍ったお姉ちゃんの召喚獣に対し、至近距離で必殺技を放つ魔理沙。

回避は敵わずレーザーは直撃した。

 

『Bクラス 古明地さとり 数学 0点 VS Fクラス 霧雨魔理沙 数学 108点』

 

「よし!勝ちだぜ!」

 

「・・・負けましたか。ナイフの扱いももう少し慣れなければなりませんね。」

 

「私も、八坂スマッシュ決まった後も油断はしないようにしないとですね・・・。」

 

「約束通り、通っていいわよ。」

 

霊夢さんの言葉に甘え、悔しそうなお姉ちゃんと早苗ちゃんを横目に通る。

女湯の前には満身創痍ながらも勝利をもぎ取った様子の吉井君と気絶してる鉄人先生、あとは・・・誰だっけ?

ドリルのツインテールに見覚えはあるんだけど・・・。

 

「・・・あ、古明地さんと魔理沙!どうやら、彼女が脅迫犯みたいだよ。」

 

え、そうだったんだ。

ちょっと失礼して、お尻の火傷の痕の有無を確認させてもらうと、確かにあるね。

・・・うん。

 

「爪に針・・・、歯茎をペンチ・・・。姫路ちゃんの料理強制・・・。」

 

「「古明地さん(こいし)、真顔で何怖いこと言ってるの(のぜ)!?」」

 

おっと、いけないいけない。

お姉ちゃんの秘密を握って脅迫したんだからこれくらい当然だけど、心の声が漏れちゃった。

 

「それより吉井君、よく鉄人先生に勝ったよね!おめでと!」

 

「あ、うん、ありがとう。2体の召喚獣を使ってやっとの勝利だったよ。」

 

「「「いざ、理想郷へ!」」」

 

吉井君と話してたら、むこうで戦っていた男子達がやってくる。

どうやら、勝ったみたい。

これでもう、阻む壁はないってことだよね。

でもなんだろ、なんか良くない予感がするな。

坂本君がみんなの前で感謝の意とかを述べてる時に、こっそりと風呂場の中を覗きこむ。

・・・・・・あっ。

 

「では理想郷へ『みんな、ちょっと待って。』どうした古明地。」

 

「みんな、ここで覗きをしないで引き返した方がいいよ?」

 

「「「今更帰れるか!」」」

 

「ここで実行すれば、絶対に良くないことになっちゃうよ。今ならまだ間に合うよ?ね、だから引き返そ?」

 

「「「断る!」」」

 

私の説得も空しく、進行してくみんな。

あーあ、私は確かに止めたよ?

みんなのために言ったんだけど、受け入れられないならしょうがないか。

せめて、これから起こる惨劇を見ないよう、彼らに背を向けて出てく。

 

「「「割に合わねええぇぇーっ!!!」」」

 

だから言ったのにな。

学園長先生の艶姿なんて、吉井君達男子高校生が見たら良くないって。

まあ、私にとっては吉井君達男子に友達やお姉ちゃんの裸を見られなくて済んだし、脅迫犯も見つけられたし、なんだかんだで楽しかったしハッピーエンドだね!

こうして、強化合宿は幕を閉じたよ。

・・・というか、あの時あっさり通過許可を出してた霊夢さんはこうなるって知ってたみたい。

強化合宿の様子を見るため、河城先生と来てた学園長先生がお風呂に入るのを見てたらしいよ。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに翌日、男子生徒全員1週間の停学になったけど、私と魔理沙は女子だからお咎めナシ。

阿求ちゃんとかの視線がちょっと痛かったけど、キチンと説明したらわかってくれたよ。

吉井君達には悪い気がするけど、しょうがないよね!




いかがでしたか?
これが魔理沙の霊夢対策。
ちなみに八坂スマッシュを武器で防いでから地面に落下するまでは2秒くらいです。
こいしちゃんの反射神経すげえ。


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第四章『合宿後の騒動!』 第四十二話「急展開!」

強化合宿終わって一波乱。


 

 

 

 

「お姉ちゃん、本当にいい天気だね~!こんな天気だと、なにかいいことが起こりそうじゃない?」

 

今日もいい天気だね~!

青い空と白い雲、明るい太陽、見える黒い制服。

こういう日は、なにかいいことありそう!

 

「そういえば今日が男子の停学明けだったわね。」

 

強化合宿が終わって1週間後。

Fクラス男子達の停学が明けるのが今日だよ。

 

「確か、Fクラスはクラスの80%以上が男子よね。」

 

「うん、そうだよ。」

 

だからすごく広く感じたよ。

まあ、それも昨日までなんだけどね。

今日からは吉井君達が来るから、いつも通りに戻ると思う。

 

「じゃあこいし、またね。私は根本に少しばかりお灸をすえないとならないので。」

 

「うん、わかった!じゃーねー。」

 

今は根本よりお姉ちゃんの方が実質的な立場は上だからね。

お姉ちゃんと別れ、私達Fクラスの校舎に向かう。

 

「・・・!!」

 

そこで、私は驚きの光景を目にしたよ。

なんと、美波ちゃんが吉井君とキスしてる!

吉井君の方は何がなんだかわかってない様子だけど、もしかして美波ちゃん、合宿中に告白を決意するような何かがあったのかな?

改めて考えてみると、吉井君達の停学期間中、少し悩んでるような素振りが多かったかもしれないな。

 

「じ、冗談じゃないから・・・!」

 

それだけ言い、美波ちゃんは走り去る。

やるね!

これで吉井君も美波ちゃんの想いに・・・・・・気づいたら苦労してないか。

今も吉井君、何がなんだかわからないような感じで呆然として・・・あ、吉井君の顔に須川君が全力で拳叩き込んだ。

黒いローブを羽織り、悪魔降臨の儀式を行うような服装の、Fクラスの異端審問会の人達が吉井君を気絶させ、Fクラスに運び込んでる。

なんというか、いままでと比べて本気の殺意を感じるな。

 

「・・・なあ古明地。これ一体どういう状況だ?」

 

「あ、正邪ちゃん!うーん、私もよくわからないけど美波ちゃんが吉井君にキスしてたよ。」

 

「だからあいつらはあれだけ殺気だち、坂本も殺ろうとしてるのか。」

 

あ、本当だ。

あそこにいる霧島さんと、かれらのレーダーにひっかかるようなことしたのかな?

 

「まあ、とりあえず教室に行けばわかるかもしれない。」

 

正邪ちゃんといっしょに教室へ向かう。

異端審問会のみんなもFクラスに行ったしね。

扉を開くと・・・なんていえばいいのかな、生け贄の儀みたいな感じになってる。

中央に縛られた2人を取り巻くよう並ぶ会員達。

どうやら、審問会みたいだけどね。

 

「これより異端審問会を始める。では、始めに判決を言い渡す。判決、死刑!」

 

・・・ん?

もしかして2人の死刑は決定事項なの?

 

「ストップ!せめて吉井君と坂本君の言い分を聞こ?」

 

「安心しろ、今からするところだ。吉井と坂本の猿轡を外してやれ。」

 

「「「はっ!」」」

 

一応聞く気ではいたみたいで、会長である須川君の命によって数人のメンバーが外す。

それでも2人とも、みのむし状態で、動けそうにはないかな。

 

「では、まずは罪状の確認を行う。横溝。」

 

「はっ。本日午前八時頃、吉井明久が人目のある場所であるにも関わらず、島田美波に対して強制猥褻行為を働きました。これは学園上の風紀を乱すものとして我々は事実と余罪について追求を『長い。簡潔に述べよ。』キスしてたから羨ましいであります!」

 

わー、簡潔だー。

 

「うむ、簡潔でよろしい。吉井明久よ。罪を認めるか?」

 

「・・・ちなみに、認めたらどうなるの?」

 

「そうだな、ライターと灯油を使った刑を『濡れ衣です!僕はやってない!』そうか、それなら自白を強要するまでだ!」

 

「そうだ!自白を強要させろ!」

 

「議事録を改竄しろ!」

 

んん?

審問会でやっちゃいけないことが聞こえるよ?

まあ、もうこれは審問会って呼んじゃダメなもんになってると思うけどね。

 

「ええい、灯油とライターの用意はまだか!」

 

「拷問用もそれなの!?なら同じじゃん!」

 

「違うぞ吉井。罪を認めない場合は拷問用と処刑用の2回だから罪を認めた方が1回お得なんだ。」

 

「そんな風に言われても、僕は騙されないぞ!」

 

「というか灯油とライターはダメ!校舎が燃えちゃうよ!」

 

これで火事になったら大変だもん。

こんなぼろっちい校舎、すぐ燃えちゃいそうだし・・・。

卓袱台も畳も燃えやすいしね。

 

「・・・よかろう、古明地こいしに免じて『特別バンジージャンプ』に刑を変えてやろう。あまり恐怖を与える訳にもいかないからヒントくらいしか言えないが・・・『パラシュートのないスカイダイビング』といったところか。」

 

死刑だよね?

120%死刑だよね?

 

「それもう答え言ってるじゃん!死刑だよね!?僕と雄二をここから突き落とすつもりなの!?」

 

「テメェ・・・!やるならコイツだけをやれ!」

 

「雄二、ありが・・・違う!それだと被害を受けるのは僕だけじゃないか!あまりにもかっこよく言うから一瞬勘違いしちゃったよチクショウ!」

 

「よかろう、男らしいお前のセリフに免じ、刑は吉井だけにしてやる。」

 

「須川君も気づいて!コイツはただ友達を売って自分だけ助かろうとしてるだけなんだ!やるなら雄二を!」

 

「まあ安心しろ、明久。こんなこともあろうかと、持っていたものがある。」

 

そう言って、坂本君が取り出したのは・・・・・・切れた輪ゴム。

さては坂本君、遊んでるね?

 

「HRを始めるぞ、お前ら席に・・・・・・お前らは停学明け早々、何をやっているんだ。」

 

そんな風にドタバタしてると、いつのまにかHRの時間になっていたようで、鉄人先生が入ってくる。

 

「先生!助けてください!校内暴力です!虐められてるんです!」

 

「違います!これは学園の風紀を守るための戦いなんです!吉井は不純異性交遊の現行犯なんです!」

 

「・・・まあ、何をやってたのかはどうでもいいが、それより補充テストは受けんでいいのか?ここにいる大半は点数がゼロなはずだぞ。」

 

確かに、私達女子はテストを受けたけど、停学中だった男子みんなは受けられてないもんね。

最終的に、特定の教科で点数がなくなったら他のフィールドに行って召喚し戦うといった、全教科入り乱れての戦いとなっていたようだし。

もし今戦争を仕掛けられたら、7人しか戦えないよ。

 

「でもこんなFクラスに戦争仕掛けてくるところなんてないと思いますよ?稗田さんと姫路さんもいますし。」

 

「「「それより今は吉井のことだ!」」」

 

「・・・まあ、お前らの自由だ、好きにすればいい。それとその稗田についてだが、体調を崩したため3日程学校を休むそうだ。」

 

あらら、阿求ちゃん大丈夫かな?

昨日は普通に元気そうだったから深刻な病気じゃないはずだけどね。

阿求ちゃんは身体が弱いから、まれに今みたいに休むことがあるんだよ。

 

「最後に、試召システムのメンテナンスが遅れている。教師総動員で当たっているが、今日中に終わらないだろう。そのため、試召戦争が出来るのは明日以降になる。では、HRを終わる。あまりこんなことばかりしてないで、勉学に励むように。」

 

そう告げて先生は教室を出ていく。

・・・大丈夫かな?

というか、そろそろほんとに吉井君助けないと殺されそう。

 

「まあ落ち着けお前ら。羨ましいという気持ちはわかるが、処刑したからといって島田の気持ちがお前らに向く訳ではないんだぞ?」

 

あら、珍しく正邪ちゃんが制止した。

しかも普通に真面目なこと言ってる。

 

「「「だとしても、俺達は吉井が殺したいほど憎いんだ!!」」」

 

それに対しての反応がコレ。

酷いというか歪んだクラスだよね。

 

「・・・はぁ。とにかくキスごときでクラスメイトを殺そうとすんなって。」

 

「だとしても、吉井と島田の接吻は異端審問会として許されるものでなく・・・」

 

須川君の言葉の途中で、ガラッと扉が開けられ、当人である美波ちゃんが入ってくる。

その顔は耳まで真っ赤になってて、普段とは違う空気に誰も言葉を発せない。

授業に来た先生も、その様子に驚いてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ねえ、アキ。ウチの卓袱台、損傷しちゃったから、一緒に使わせて欲しいんだけど・・・いい?」

 

「あ、うん・・・。いいけど・・・。」

 

一時間目の授業が終わり、美波ちゃんが吉井君に言う。

普段とは明らかに違うのがわかるくらいぎこちないよね。

まあ、今までの友達という関係からカップルという関係になるなら、はじめてのことばっかりだと思うししょうがないよね。

 

「「「・・・・・・!!」」」

 

その様子を見てるクラスメイト達から怒りと嫉妬のオーラが立ち上ってる。

頭の上に、何故かぱるぱるという文字が見えたよ。

 

「お姉様!その豚野郎から離れてください!」

 

さらに乱入してきたのはDクラスの清水美春ちゃん。

先の強化合宿での覗きの真犯人かつ脅迫犯で、美波ちゃんが好きな女の子だよ。

まあ、脅迫についてのお仕置きは、男子の停学期間中にやったんだけどね。

爪に針とかだと目立っちゃうから、せっかくだから火傷の痕があった場所にお灸をすえてみたよ。

・・・まあ、今も事情を知って乱入してきたし、多分改心はしてないけど・・・。

でもお姉ちゃんの写真を撮らないよう釘をさしたし、お仕置きは済ませたしまあいっかなって思ってるけどね。

 

「み、美春!?ウチの邪魔をしにきたの!?」

 

「当然ですっ!そこの豚野郎とそんなに密着してるのを見逃す訳にはいきませんっ!」

 

豚野郎って、相変わらず毒舌だよね・・・。

 

「し、しょうがないじゃない!卓袱台は狭いから密着しなきゃならないでしょ!ウチのは壊れてるんだし!」

 

「だったら他の女子の所へ行けばいいじゃないですかっ!魔理沙さんとか正邪さんとか古明地さんとかっ!」

 

まあ、理にはかなってるよね。

でも、友人の恋は応援したいと思っているはずの魔理沙と正邪ちゃんと私は素早く目線を交わす。

 

「先に言っておくが、私はお断りだぜ。美波には悪いが、私は卓袱台を広く使いたいのぜ。」

 

「私も魔理沙と同じだ。古明地のとこはどうだ?」

 

「ごめんね、私も無理かな。」

 

もちろん、こういう事情がなかったら全然構わないんだけどね。

美波ちゃんは友達だし。

 

「そういう訳みたいよ。」

 

「だ、だったら稗田さんとか姫路さんとか霊路地さんとかいるじゃないですかっ!」

 

「阿求は今日休みだから勝手に使ったら悪いし、瑞希は勉強の邪魔になっちゃうし、お空は寝てるから頼めないし・・・。」

 

「あ、あの美波ちゃん、私なら大丈夫ですから・・・。色々話したいこともありますし・・・。」

 

おずおずと言う姫路ちゃん。

まあ、姫路ちゃんも吉井君のことが好きな訳だもんね。

 

「でも、そうは言っても遠慮しちゃうし・・・。」

 

「私は本当に構いませんから・・・。」

 

「そうですお姉様!席は移動して美春とお弁当を食べましょうっ!朝早起きしてお手製のタレで作った唐揚げとかっ、産地に気を遣って選んだポテトサラダとか、奮発した挽き肉を使ったハート型のハンバーグとか、デザートとしてつけたウサギリンゴとか、考えただけで美春は、美春は・・・!」

 

「待ちなさい!なんでアンタがそんなに知ってるのよ!?」

 

まあ、気持ちはわかるけどね。

私もお姉ちゃんの料理は大好きだし。

でも、美波ちゃんのその料理の想いは吉井君に向けてだけどね。

 

「あのね美春。いままでは我慢してたけど、もうこういうことは止めてほしいの。だって、ウチとアキは、つき合ってるんだから。」

 

「畳返しっ!」

 

シュカカカカッ!

美波ちゃんの言葉とともに、吉井君にカッターが飛ぶ。

咄嗟に盾にした畳に刺さってるカッターの本数は・・・・・・優に50を超えてる。

おかしいな、この教室、50人しかいないよね?

というか、この教室がフローリングやござだったら、吉井君死んでたよね・・・。

 

「そ・・・そんな・・・。嘘・・・ですよね・・・。」

 

「ウソじゃないわ。」

 

「・・・・・・だったら男を全て殲滅します!男なんかがいるから、お姉様はたぶらかされてるんです!男がいなくなれば、お姉様は目を覚ましてくれますっ!」

 

落ち込んだかと思ったら、吉井君の命を奪おうと襲いかかる美春ちゃん。

まあ、お姉ちゃんに手を出す男は《ピチューン》してから人柄を確かめるし、気持ちはわかるけどね。

その動きはかなり速くて、吉井君が捕まりそう。

 

「助けてムッツリーニ!」

 

「・・・今、消しカスで練り消しを作るのに忙しい。」

 

《練り消し作り》>《吉井君の命》

友人をあっさり見捨てつつも、視線は美春ちゃんのスカートから外さないムッツリーニ君。

 

「そろそろストップしとけ。これ以上続けると良くないことになるぞ。」

 

そんなムッツリーニ君の代わりに美春ちゃんを止めたのは正邪ちゃん。

 

「邪魔しないでくださいっ!美春はお姉様のために男を殲滅するという行為をやりとげなければならないのですっ!」

 

「・・・まあいいか。私は忠告したぞ?」

 

あれ、やけにあっさり引き下がった。

どうしたのかな?

 

「5秒あげるので、神への祈りを済ませてください。」

 

「ちょっと正邪!そこまでやってくれたなら、僕を助けてよ!」

 

追い詰められた吉井君に迫る美春ちゃん。

私が止めに入ろうかな。

 

「おいお前ら、授業を始めるぞ、席に・・・やれやれ、また清水か。授業が始まるから自分の教室に戻るように。」

 

そう思ってたら、扉が開き、鉄人先生が入ってくる。

もしかして、正邪ちゃんはこうなるとわかってたのかな?

確かに、時計を見ると休み時間がもう終わろうとしてるし、あり得る話だよね。

 

「見逃してくださいっ!特に重要な要件なんですっ!」

 

「なんだ?まさかまた、『邪魔者のいない教室でお姉様と授業を受けたい』と言い出すつもりではないだろうな?」

 

あー、あったねそういえば。

その時は問答無用でつまみ出されてたけど。

 

「いえ、今回はこのクラスの男子を殲滅するという『今後このクラスへの立ち入りを禁止する。』ああっ、お姉様!」

 

鉄人先生の手でつまみ出される美春ちゃん。

扉をドンドンと叩いて主張するも、鉄人先生の生活指導の脅しによって、それは静かになる。

まあ、しょっちゅう受けてるFクラスのみんなでも恐怖の対象だもんね。

 

「お姉様・・・!卓袱台だから豚野郎にくっつくというのなら、美春にも考えがありますからね・・・!」

 

不穏当な言葉を残し、それ以上は何もせずに去っていく美春ちゃん。

その後は鉄人先生によって、何事もなかったかのように、授業は始まったよ。

・・・まあ、美波ちゃんと吉井君はいつも通りじゃなかったけどね。

何が原因かは見てなかったからわからなかったけど、美波ちゃんの髪に吉井君がさわって、両方赤面してるし。

でも、その度に周囲で増幅してく殺意の波動はどうにかならないのかな・・・?

 

「「「もう我慢ならねえーっ!!!」」」

 

あ、爆発した。

みんながカッターを構えて立ち上がり、吉井君の方を憎しみと怒りが込められた顔で睨んでる。

悪政に耐えかねた市民が革命起こしたみたいになってるね。

 

「もう殺す、絶対殺す、苦しめて殺す。」

 

「徹底的に、魂まで殺す。」

 

「お姉様の髪を豚野郎が触るなんて、万死に値します・・・!」

 

あ、あれ?

いつのまにか美春ちゃんがいる。

 

「全員、畳返し対策として、カッターを投げつけた後、間髪入れずに卓袱台を叩きつけるのです!あの豚野郎に正義の鉄槌を下します!」

 

「「「おうっ!」」」 

 

カッターだと畳返しで防がれるから、カッターで動きを止めるために使い、卓袱台の質量で止めをさすというつもりみたい。

・・・こういうことしてるから、卓袱台が壊れるんじゃないかな。

 

「お前ら!今は授業中だぞ!」

 

吉井君を殺害するために暴れだそうとしたみんなを、鉄人先生の一喝が止める。

並の先生なら止まらなさそうだし、凄いよね。

 

「お前ら、そういうことは休み時間にやれ。それと清水、もう一度言うがこのクラスへの立ち入りを禁ずる。わかったな?」

 

「・・・わかりました。」

 

不承不承って様子だけど、撤退してく美春ちゃん。

去り際に吉井君を一睨みしたけど、それだけ。

とりあえず、この場は鉄人先生のおかげで事なきを得た・・・・・・かな?

 

 




いかがでしたか?
美波ちゃん勇気を出しました。


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第四十三話「八つ当たり!」

 

 

休み時間。

嫉妬に狂ったクラスメイトが投げるカッターとか卓袱台とかが飛び交うなか、坂本君やムッツリーニ君が固まって何かを話してる。

どうしたんだろ?

 

「ねえねえ、深刻そうな顔してどうしたの?」

 

「・・・ああ、古明地か。明久のせいで、少々マズイ事態になっていてな。」

 

「?吉井君がどうかしたの?」

 

「・・・Dクラスに試召戦争をしようという動きがある。」

 

Dクラスっていうと・・・ああ、美春ちゃんかな?

さっき、「卓袱台だから・・・」って言ってたのは、試召戦争で設備を落とすってことかな?

確かに、みかん箱なら二人はくっつけないし、ござなら畳返し出来ないもんね。

私達は負けてるから宣戦布告は出来ないけど、挑まれたら受けざるを得ないし。

 

「わかったようだな。そう、Dクラス・・・というか清水の狙いはFクラスだ。」

 

「でも、美春ちゃんの個人的な怨みだけで戦争は出来ないんじゃないかな?」

 

「そこで今の状況が問題になる。俺達は覗きの主犯だ。Dクラス代表の平賀も協力してる。だから発言権は皆無だ。覗き犯に制裁しようと怒りに燃える女子達を抑えられるとは思えん。」

 

なるほどね。

自らの手で罰を与えたいとDクラスの女子達が考えてるなら、美春ちゃんを中心に戦争をしようという流れになってもおかしくないかも。

 

「それで、勝てそうなの?」

 

「・・・厳しいな。うちのクラスは今朝からのことで補充出来てないし、向こうには20人以上の女子生徒がいる。特定科目に絞った場合なら島田と正邪はBクラス、他はAクラス並の点数を持ってるが、Dクラスの主力の物部とリリーは日本史と生物で、対抗出来ないからな。稗田が来ていればどうにかなったんだが・・・。」

 

確かに、阿求ちゃんがいれば行けたかもしれないよね。

阿求ちゃん日本史と古文4ケタだし。

 

「てな訳で、今回の戦争は回避するのが賢明な訳だ。Dクラス程度の設備では旨みが薄いし、せっかく貸しがあるクラスをわざわざ敵に回すことはない。」

 

だよね。

Dクラスはごく普通の高校の設備って感じだし。

Cクラスは大学の講堂みたいな感じでちょっと豪華だし、交換するならCかAって感じかな。

もちろんBはお姉ちゃんの教室だから交換はあり得ないよ?

 

「・・・あれ、雄二達どうしたの?なんか深刻そうな顔してるけど・・・。」

 

あ、吉井君が来た。

坂本君がいきさつをざっと説明する。

 

「で、だ。この戦争を回避出来るかはお前と島田にかかっている。明久、島田を見なかったか?」

 

「えーっと・・・。確か休み時間が始まってすぐ、姫路さんとなにやら真剣な顔して出ていったけど・・・。」

 

真剣な顔して出ていったって、やっぱり今朝のことだよね。

吉井君に好意を寄せてるのは姫路ちゃんも同じだもん。

 

「・・・その前に、ひとつ確認しておきたいことがある。お前と島田は、つき合ってるのか?」

 

「えっと・・・、僕の記憶だと・・・つき合ってないと・・・おもう。」

 

んん?

吉井君の方ではつき合ってないっていう認識なの?

美波ちゃんの態度は明らかにつき合ってるものなんだけどな・・・?

 

「じゃが、島田のそれは、明らかにつき合っているものじゃぞ?」

 

木下君からみても、やっぱりそうだよね。

さっきは美波ちゃんのキスは告白だと考えてたんだけど、あの態度になるまでに吉井君が返事のようなものをした様子は全くなかったし、あのキスは告白の返事ととらえるというのが自然だと思ったんだけどな。

 

「・・・うん、それは強化合宿中のメールが原因で・・・。」

 

そう言って、吉井君は強化合宿中の悲しい事故について話す。

・・・美波ちゃんの気持ちを知る私としては呆れるしかないかな。

 

「・・・そうか、俺は素晴らしいタイミングでやらかしたんだな。すまん、明久。」

 

でも漫画みたいな出来事だよね。

というか、あの時事情を説明してくれてたら、部屋まで携帯取りに行ってたのに。

 

「・・・でも、そもそもの原因は明久の確認不足。」

 

「うっ、確かに。」

 

「全く、吉井と坂本は腹を切って詫びるべきだぜ。坂本は吉井に、吉井は美波にな。」

 

あ、魔理沙がいつのまにか近くに来てる。

 

「あれ、魔理沙、いつ来たの?」

 

「今なんだぜ。告白が間違いって聞こえたから気になってな。」

 

「・・・まあ、間違いってなら話は早い。」

 

「え?何が?」

 

「Dクラスとの戦争の話だ。島田の誤解を解いて、お前らがいつもの姿に戻れば清水の怒りも収まるだろう。そうすれば中心となる人物が居なくなるから、この話は流れる。」

 

なるほど、確かにね。

美波ちゃんには酷なことしてると思うけど、このまま騙し続けるのはもっと酷だもん。

後から来た魔理沙にDクラスの戦争の準備の動きについて話していると、扉が音を立てて開けられ、姫路ちゃんが駆け込んでくる。

 

「明久君!美波ちゃんに告白したというのは本当なんですかっ!?」

 

普段の雰囲気とは違って、かなり真剣だね。

珍しいな。

 

「それについてだが、話すのは島田も一緒な方がいいだろう。島田の場所はわかるか?」

 

「えっと・・・美波ちゃんはさっきまで一緒に屋上にいましたけど・・・。」

 

「だったら屋上に行くか。姫路には引き返す形になって申し訳ないがな。」

 

「あ、いえ、大丈夫です・・・。」

 

みんなで屋上に向かう。

屋上の扉を開けると、確かにそこに美波ちゃんはいた。

 

「瑞希・・・とアンタ達も?みんな揃ってどうしたのよ?」

 

「あの、さ・・・。実は話しておかなければいけないことがあるんだ・・・。・・・神よ、ご加護を・・・。」

 

吉井君の言葉次第では、彼が半殺しにされる可能性もあるからね。

吉井君が十字を切ったのもわからなくはないかな。

 

「いきなり十字を切ったりして、どうしたのよ。それで、話したいことって何?」

 

「あのさ、強化合宿の時に送ったメールのことなんだけど・・・。」

 

「め、メールって、あのメールのこと?」

 

美波ちゃんが顔を赤くしてる。

 

「うん。実は、あのメールなんだけど・・・間違いなんだ。」

 

「・・・・・・え?」

 

赤い顔のまま固まる美波ちゃん。

まあ、いきなりそんなこと言われたら固まるのもおかしくないと思う。

 

「いや、誤解っていうか、送り先を間違えたっていった方が正しいかな。」

 

・・・それだけ聞くと、かなり最低なことをしてるよね。

 

「えっと・・・誰に送るつもりだったの・・・?」

 

「須川君・・・かな。」

 

「「「えええええっ!?」」」

 

美波ちゃんだけではなく、姫路ちゃん、魔理沙、あと私も驚いてるよ。

告白ととれるようなメールを送ろうとした須川君とは何があったんだろう?

 

「じ、じゃあアキは須川に告白したつもりだったの・・・・・・?」

 

「明久君はなんだかんだ言って女の子が好きだと思っていましたが、やっぱり男の子が好きだったんですね・・・。しかも坂本君でも木下君でも久保君でもなくて須川君とは・・・。」

 

姫路ちゃんの悩みはわからなくはないけど、そうだったら女子風呂を己の欲望のために覗きたいとかは言わないと思うけどね。

 

「いや、そうじゃなくてね。『お前は何故そんなに女子風呂の覗きに拘るのか?坂本や木下が好きなんじゃないのか?』みたいなメールが来たから、それの返事を送ったつもりが、間違えて美波に・・・ってことなんだ。」

 

「え、でも告白にしか・・・でも、改めて見ると少し文章がおかしいような・・・。」

 

「私にも見せて貰っていい?」

 

「あ、うん、いいわよ。はい。」

 

美波ちゃんの携帯を見せてもらう。

えーと、なになに・・・?

 

『もちろん好きだからに決まってるじゃないか!雄二なんかよりずっと!』

 

・・・・・・。

確かに帰国子女の美波ちゃんが、違和感に気づかず告白と勘違いしてもおかしくはないような文章かも。

でも、私だったらなんで坂本君が比較対象なの?って思うかな。

あ、よく見たら鍵マークついてる。

 

「明久よ、なんて送ったか覚えているかの?」

 

「うーん、あんまり覚えてないかな・・・。」

 

「アキからのメールには『もちろん好きだからに決まってるじゃないか!雄二なんかよりずっと!』って書いてあるわ。」

 

「ふむ、おかしいとは思わなかったのかの?」

 

「その時は別に・・・。アキは坂本のことが好きなんだって思ってたし・・・。」

 

「あの、美波?僕は女の子が好きなんだからね?」

 

「いいなぁ美波ちゃん・・・。私も坂本君より好きだなんて言われてみたいです・・・。」

 

「姫路さんもおかしいからね!それだと僕が雄二が好きなのが確定みたいじないか!」

 

「あ、明久・・・。俺はどんな返事をしたらいいんだ・・・?」

 

「普通に嫌がれ!」

 

吉井君の突っ込みにガハハと笑って答える坂本君。

坂本君に関しては100%遊んでるのがわかるね。

 

「・・・まあ、そういうわけで間違いだったんだよ。」

 

「そっか。誤解だったのね。ウチもちょっとおかしいなと思ってたけど、やっと納得がいったわ。」

 

「もう、美波はそそっかしいな。」

 

「あら、宛先を間違えるアキには言われたくないわね。」

 

二人はあっはっはと笑いあってる。

まあ、それで済むわけないけどね。

 

「どうしてくれるのよーっ!ウチのファーストキス!!」

 

「ごっ、ごごごごめんなさい!」

 

吉井君に詰め寄る美波ちゃん。

まあ、好きな人とはいっても勘違いでっていうのは悲しいよね。

美波ちゃんが怒るのも当然だと思う。

 

「ごめんで済む問題じゃないでしょ!」

 

「そ、その、美波。えっと・・・僕も初めてだったから、おあいこってことじゃ、ダメかな・・・?」

 

「「「ダメに決まってんだろ(だぜ、でしょ)。」」」

 

私達の総ツッコミ。

多分言った本人もそう思ってると思うけどね。

 

「え・・・?そ、そうなんだ・・・?それは、その・・・ご・・・ご馳走さま?」

 

「ぅおぃっ!いいのか島田!?」

 

・・・通った。

まあ美波ちゃんにとっては好きな人のファーストキスを貰ったわけだし、いいの・・・かな?

 

「あのさ美波。怒らないで答えて欲しいんだけど・・・。僕と美波がつき合ってるって話なんだけど、あれってもしかして、美波が僕のことを・・・その、す、好き、とか・・・?」

 

おっ?

あの鈍感すぎる吉井君が気づいた?

 

「あ・・・!そ、それは・・・っ!」

 

慌てたように手をバタバタ振る美波ちゃん。

まあ図星だもん、動揺するよね。

 

「あ、あれはね、ほらっ。美春があまりにもしつこいから、彼氏でもいたら諦めてくれるかと思って、それでちょうどアキが告白してきたもんだから・・・!」

 

せわしなく手や目を動かしながら言う美波ちゃん。

苦しいと思うな。

 

「ああ、なるほど。そういうことね。」

 

・・・でもそれで納得しちゃう鈍感野郎が吉井君だったの、私は忘れてた。

吉井君以外の全員にバレバレなのに、吉井君だけ気づいてないし。

 

「・・・美波、素直になった方がいいと思うぜ。」

 

「・・・うるさいわね。ウチがこんなバカのこと、好きになるわけがないじゃない。」

 

「・・・まあいいけどな。私も人のこと言えないかもしれないしな。」

 

魔理沙の言葉にも意地を張る美波ちゃん。

告白が間違いだったって言われて言いづらいのはわかるけど、今は気持ちを伝えるチャンスだと思うんだけどな。

言わなきゃ多分吉井君一生気づかないよ?

 

「しかし、それならそうと先に言ってよ。美波が僕のことを好きだって勘違いしちゃったじゃないか。」

 

「あ、う・・・うん。」

 

「美波が僕のことを好きになるわけがないし、それにこんなに美波がしおらしい訳がないものね。」

 

「・・・そうね。ウチがしおらしいわけ、ないものね・・・!」

 

「ちょっ、美波痛い痛い!骨が折れるっ!」

 

むー、なんか見てたら腹がたってきたよ。

えいえい。

 

「ちょっ、なんで古明地さんまで僕のすねを蹴ってくるの!?」

 

「別にー?特に理由はないよー?」

 

「ふっ、二人ともやめて!折れるっ!折れちゃうっ!ギブッ!ギブッ!」

 

吉井君が苦しそうだし、このへんにしとこっかな。

まあ、ダメージの大半は美波ちゃんの間接技だけどね。

とにかく、あとはこれを美春ちゃんに伝えればDクラスとの戦争の問題は解決かな。

吉井君だと美春ちゃんは襲いかかりそうだし、美波ちゃんが伝えるのがいいと思う。

それで吉井君と美波ちゃんの態度がいつも通りに戻れば異端審問会のみんなも矛を収め・・・るかはわかんないけど、一件落着って言っていいかも。

 

 

 

 

 

 

 

・・・そう思ってたんだけどね。

昼休み、私はお姉ちゃんに呼び出された。

普段こんなことないのに、どうしたんだろ?

 

「・・・来たわね。ごめんねこいし、いきなり呼び出して。」

 

「ううん、お姉ちゃんからの呼び出しなら大歓迎だよ!でもどうしたの?」

 

「いくつか聞きたいことがあるのよ。まず、Fクラスの今の点数はどうなってるか、わかる?あと、稗田さんがやすみというのは本当?」

 

「うん、男子はほとんど全員ゼロだよ!阿求ちゃんが休みなのも本当!」

 

朝からあんな騒ぎがあったしね。

補充テストはいきなりやりますと言って、はいそうですかと始められるもんじゃないし、事前の申請が必要なんだよ。

 

「・・・そう。そんなことがあったのね。どちらにしても、それだとかなり良くないことになるわ。」

 

「良くないこと?」

 

点数がないと良くないことになるって、戦争くらいだけど・・・。

でもDクラスの誤解は解消したし・・・。

 

「私はBクラスの生徒としてではなく、あなたの姉としてこのことを伝えるわ。Bクラスは今、Fクラスに戦争を仕掛けようとしてるわよ。」

 

えっ?

BクラスがFクラスに?

まあ確かに勝てる試合だとは思うけど、メリットがほとんどないような・・・。

 

「・・・まあ、そう思うわよね。根本の狙いは、復讐と明確な外敵の提示よ。」

 

復讐・・・。

まあ、確かに根本には女装写真撮らせて写真集にしたり、異端審問会に行かせたり、女装写真集を彼女の手に渡らせて破局させた(これは実際にやったのはお姉ちゃんだけど)りと、色々あったもんね。

当然の報いだけど、逆恨みされててもおかしくないと思う。

でも、明確な外敵の提示って?

 

「こいしは為政者が大衆の不満の声を抑えるのに効果的な方法って何だと思う?」

 

「うーん、不満の声が出せなくなるまで徹底的に痛めつけて抑圧する?」

 

「・・・それもなくはないけど、よっぽどの権力がないと難しいわ。正解は、共通の外敵を作る、よ。アドルフ・ヒトラーはわかるでしょ?彼も、ユダヤ人というドイツ人にとって共通の外敵を示すことで国をまとめてるわ。」

 

なるほど、今回はその相手がFクラスってことなのね。

 

「根本は元々の人望の無さにくわえて、覗きに協力したせいで、今彼の発言力はほとんどないのよ。それ以前に、卑怯な手を使いつつもFクラスに敗北してるのもあるわ。少し失礼な言い方になるけど、覗き犯の中心かつ今戦えばまず勝てる弱い相手であるFクラスは、支持回復には適切ということね。」

 

「それはわかったけど、どうして私にそれを教えてくれたの?」

 

「私はこの戦争に反対しているから、よ。」

 

確かに、こういうのはお姉ちゃん好きじゃないもんね。

覗き犯への制裁なりなんなりと理由をつけたとしても結局、根本がやってることは己の益のためだし。

それに、今のFクラスは相当弱ってる。

Fクラスの私が言うのもなんだけど、弱いものいじめだもんね。

 

「現在、Bクラスは着々と補充試験を進めてるわ。それで、根本はFクラスがBクラスの動向に気づいた様子を見せる、または全ての補充試験が完了した時に、Fクラスに宣戦布告をしようと画策してるの。」

 

「つまり、こちらは下手に動かない方がいいってこと?」

 

「まあ、そうなるわね。とはいっても、稗田さんがいれば状況は変わってくるわ。根本も稗田さんが明日来る可能性がある以上、よほど露骨な動きをしなければ様子を見てくるはずよ。」

 

確かに、阿求ちゃんの点数はほぼ誰にも止められないもんね。

 

「でもそれなら今日仕掛けてきてもおかしくないんじゃないの?」

 

「今日はメンテナンスのせいで、戦争は出来ないのよ。」

 

そういえば、鉄人先生がそんなこと言ってたかも。

 

「Bクラスの非開戦派は私を含めても7人しかいないけど、開戦派だってこの戦いで得られるものはひとつもないわ。それに、以前負けたトラウマだってある。もしFクラスが万全な状態ならば、根本も宣戦布告を行わないはずよ。」

 

まあ、2回も同じような奇襲は通用しないとは思うけどね。

多分次奇襲するなら教室の壁を破壊するくらいやらないとダメだと思うな。

・・・やったら多分停学になるけど。

 

「戦争が始まれば、Bクラスが卓袱台になるか、Fクラスがみかん箱になるかしかないわ。厳しいとは思うけど、どうにか戦争を回避する手段を考えなさい。・・・まあ、あの代表ならばこちらの動向くらいは察知していると思うけど。」

 

確かに、ムッツリーニ君は盗聴器を学校に仕掛けてるもんね。

 

「うん、ありがとうお姉ちゃん!」

 

「いいのよ。ただ、私はもうそろそろ戻らないといけないわ。健闘を祈るわよ。」

 

お姉ちゃんが去ってく。

ありがとう、お姉ちゃん。

さて、私もお姉ちゃんの親切を無駄にしないように教室に戻って考えないとね。

 

 




いかがでしたか?
こいしちゃんに忠告するさとり様マジ天使。
現在Bクラス代表は実質さとり様みたいなものなのですが、女子は開戦派ですからね。
男子?発言権ありませんが?


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四十四話「演技!」

 

 

 

お姉ちゃんと別れた後、私は坂本君を探す。

えーっと・・・あ、いた。

ムッツリーニ君といる。

 

「ねえねえ坂本君。」

 

「うぉっ!?古明地か、いきなりだったから驚いちまった。ちょうどいい。実は今、今朝よりもさらに良くない状況になっている。」

 

「もしかして、Bクラスに宣戦布告をされそうなの?」

 

「・・・そうだが、何故知ってるんだ?」

 

「お姉ちゃんに聞いたんだよ。」

 

私はさっきお姉ちゃんが教えてくれた情報を伝える。

お姉ちゃんが非開戦派なこともきちんとね。

じゃないと情報の信憑性なくなっちゃうし。

 

「・・・なるほど、そういうことだったか。お前の姉が言う通り、戦ったら100%負ける。だから戦いは回避しなければいけないんだが・・・そのためにDクラスを使おうと思う。」

 

「Dクラス?なんらかの方法でDクラスがBクラスに宣戦布告をするようしむけて時間を稼ぐの?」

 

「いや、違う。試召戦争は1対1しか認められてない、つまりDクラスとの戦争中はBクラスは宣戦布告が出来ない。そして、終戦後には補充試験の時間が与えられる。こうしないとどんなクラスでもすぐ負けるからな。」

 

なるほどね。

確かに、Dクラスと戦う方がBクラスと戦うよりいいかも。

勝っても負けても私にとってマイナスだし・・・。

・・・ん?

 

「坂本君、その案なんだけど、Eクラスじゃダメなの?」

 

「まあもちろんそれができるならそっちの方がいいが、Eクラスには戦争の中心となる人物は今はいない。Dクラスの方が圧倒的に簡単だ。なにせ明久と島田の件があるからな。」

 

「でもそれ誤解だってさっき吉井君言ってたよね?」

 

「この際事実関係はどうでもいい。とにかく明久と島田に、清水がキレるくらいにベタベタさせ、宣戦布告をするよう仕向けるのが俺達が生き残る道だ。」

 

「・・・実はさっき、明久に頼まれて屋上の盗聴器は接触不良を装い、一時的に機能しないようにしていた。」

 

なるほど、それならまだ伝わってないってことなのね。

 

「まあ、Dクラスと戦うにしても勝算はない。ただ負けない勝負が出来るというだけだ。強いて言うなら、負けない勝負を続けて稗田が登校出来るようになるまで戦いを引き伸ばすのが勝ち筋といったところだな。」

 

それは確かにめんどくさいよね。

こういう体調を崩した時、阿求ちゃんが登校出来るまでには平均で3日くらいかかるから、明日始めるとだいたい2日間ずっと戦争になるし。

 

「さて、まずは恐らく水飲み場で昼食をとっているだろう明久に事情を説明する。その後は島田と姫路がここに戻って来次第作戦を始めるぞ。姫路や島田が戻って来た時のために俺は教室に残りつつDクラス戦の準備を行う。ムッツリーニは情報操作を、古明地には明久への説明を頼む。」

 

「うん、わかったよ~。」

 

「・・・了解。あと、説明の簡略化にこれを持っていけ。二番目のデータに今の会話の録音がある。」

 

そう言いつつムッツリーニ君が渡してきたのは小型録音機だね。

それに今の会話のデータがあるみたいだから、それを聞かせればいいってことかな?

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?古明地さん、僕に何か用なの?」

 

「まあ、今大変なことが起こってるから、ちょっと吉井君の力が必要なんだよね。とりあえず、これを聞けばわかると思うよ。」

 

不思議そうにする吉井君の前で、小型録音機を取り出して、再生する。

 

『・・・土屋君、明久君のセーラー服写真を売っているって本当ですか?』

 

『・・・1枚100円。二次配布は禁止。』

 

『二次配布は禁止ですか・・・。でも、私個人で楽しむだけでも充分に』

 

「(ブツッ)あ、ごめん、ファイルこれじゃないみたい。」

 

「ちょっと待って古明地さん!僕の女装写真をムッツリーニは売ってるの!?そっちの方がよっぽど僕にとって大変なことなんだけど!?」

 

そういえば二番目のファイルだった。

というか、音質が悪くて声からはわかんないけど、これ姫路ちゃんだよね・・・。

 

「まあそれはあとでムッツリーニ君に聞いてね。それで、今度こそ正しいよ。」

 

もう間違えないでファイルを再生する。

Bクラスが戦争の準備をしていること、それを凌ぐために美波ちゃんと吉井君がつきあってるふりをしてもらうこと、お姉ちゃんが非開戦派なことを伝えたら、吉井君も困った様子だけど、一応はやってくれるみたいだね。

吉井君を連れて教室に戻る。

美波ちゃんと姫路ちゃんはもう帰ってきてたみたいで、坂本君が早速要件を伝えてるね。

 

「それで、ウチにどうしろって?」

 

「明久と付き合ってる演技を頼みたい。それもベタベタで、見ている者が怒りで血管が切れそうになるくらいのな。」

 

「絶対イヤ。ウチがそこのバカと付き合ってるフリなんて。」

 

まあ、当然断るよね。

今朝あんなことがあったのに付き合ってるフリをしろなんて、人によっては坂本君を殴ってもおかしくないんじゃないかな。

 

「そこをなんとか頼みたいのじゃ。島田だけでなく姫路も。」

 

「え、私もですか?」

 

「うむ、明久と島田だけでは現実味に欠けるからの、おぬしには2人の仲を妬む役をやってもらいたい。」

 

あれ、木下君いつの間に?

さっきはいなかったけど、既に話してあったのかな?

 

「どう言われようともイヤよ。」

 

「島田よ、よく考えるのじゃ。確かに色々思うところはあるとは思うが、これはおぬしにしかできん役割じゃ。静観し、良くない結果になった時、おぬしは自分を責めずにいられるかの?例えば・・・姫路の転校とかの。」

 

「うっ・・・。」

 

そういえば、学祭の時に転校は免れたから忘れてたけど、設備が悪くなれば姫路ちゃんの転校の可能性もあるんだった。

ならなおさら守らないとね。

 

「あのさ、だったら彼氏役が僕じゃなかったらいいんじゃないかな?ほら、例えば雄二とかさ。」

 

「ほほう、お前は俺に死ねと言うのか。」

 

代案を提示する吉井君だけど、坂本君がもしやったら、多分「・・・浮気はダメ。」って言われてスタンガンとアイアンクローで制裁を受けるんじゃないかな・・・。

作戦立てる人いなくなっちゃったら、Dクラスを挑発出来ても、結局負けちゃうよ。

 

「でも吉井君、今朝あんなことがあったのに、他の人と付き合ってるなんて無理があるよ?」

 

「そっか、確かに・・・。」

 

少なくとも私なら嘘って思うよ。

キス、しかも唇と唇なんて好きな人にしかしないと思うし。

 

「あのっ、やっぱり私転校なんてしたくないですっ!すごく個人的な理由ですけど、お願いしますっ!」

 

「う・・・。わ、わかったわよ!とりあえず形だけでもやればいいんでしょ!でも演技の内容次第じゃ、どうするか知らないからね!」

 

美波ちゃんが結局折れたように見えるね。

役得かもしれないけど・・・。

 

「うむ、そうと決まれば早速開始じゃな。三人とも、この台本を受けとるのじゃ。」

 

「お前らはそいつを持って屋上で演技開始だ。ムッツリーニ、清水の盗聴器はどうなってる?」

 

「・・・さっき明久に頼まれた時は接触不良を装っただけだから、今はまた動くようにしてある。」

 

「そうか。だとしたら演技以外の会話は一切しないようにするんだ。演技がバレたら元も子もないからな。」

 

「・・・カメラには死角がある。台本を読みながらの演技でいい。」

 

確かに、演技だってバレたら意味ないもんね。

でも、木下君はどんなことを台本に書いたんだろ?

気になるけど、まあ実際に3人がやるのを見ればわかるよね。

ちなみに、キスシーンみたいなのは入ってみないみたい。

盗聴対策にみんな無言で屋上へと続く廊下を歩く。

たてつけが悪いドアを開き、屋上に出る。

どうやら誰もいないようだね。

カメラの死角に移動して台本を開く2人。

 

「「・・・・・・」」

 

あれ、なんか固まってる。

なにが書いてあるのかわかんないけど、なんか大変なことが書いてあったのかな。

まあ、余計な言葉が入らないよう、私達はFクラスに戻る。

ムッツリーニ君が持ってる受信機で音声はその場にいなくても聞けるからね。

 

「・・・ねぇ、アキ。」

 

あ、始まった。

 

「ん?なに、美波?」

 

「今さらなんだけど・・・あ、アキにきちんとウチの気持ちを伝えておこうと思うの。」

 

ちょっと詰まりながらだけど、美波ちゃんはセリフを続ける。

抵抗はあるみたいだけど、このくらいなら問題は多分ないと思う。

・・・ないよね?

 

「え?そんなの、今更言われなくても・・・。」

 

「それでも聞いて欲しいの。・・・・・・こういうことは、ハッキリさせておきたいから。」

 

あれ、少し不自然な間がある気がする。

 

「う、うん。わかった。それなら聞かせてほしい。美波の、本当の気持ち。」

 

お、多分ここから告白始まるかな。

 

「わ、わざわざ・・・・・・わざわざこんなところに呼び出してごめんね、アキ・・・。あのね、ウチは、アキのことが・・・・・・。」

 

しおらしく言葉を紡ぐ美波ちゃん。

一瞬言葉を区切り、その後のセリフを告げるために大きく息を吸う。

さて、どんな風に告白を・・・

 

「・・・アキのことが、嫌いなのっ!!」

 

んん?

何を言ってるのかな、美波ちゃんは。

 

「み、美波・・・?」

 

「始めて会った時から、ずっとアキのことが嫌い!あれから友達として側にいるのがずっと辛かった!本当は友達でいるなんて、我慢できなかったのに!」 

 

これは酷い。

わざわざ屋上まで呼び出して嫌いって言われるなんて。

こんなの漫画や小説とかでも見たことないよ?

 

「美波・・・。」

 

「アキ・・・。」

 

美波ちゃんと吉井君が見つめあってるような気配がする。

さっきのセリフを受けて、吉井君はどうフォローするのかな?

 

「・・・僕も、ずっと、同じ気持ちだった。」

 

・・・多分吉井君、台本のセリフをそのまま言ってると思う。

見てないから断定は出来ないけどね。

・・・あ、美波ちゃんが吉井君を殴った音が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったくお主らは、なんという失態を・・・。」

 

「美波ちゃんはセリフをちゃんと言わないと。吉井君は考えよ?」

 

「だ、だって仕方ないじゃない!あんな台詞言えるわけないもの!しかも録音されてるかもしれないのよ!?」

 

「そうだよ!美波があんな可愛い台詞言えるわけがあれ?右手の感覚がなくなってきたような?」

 

「美波ちゃんストップストップ!吉井君の手酷いことになってる!」

 

まあ、美波ちゃんの気持ちはわからなくはないけどね。

でもあれはね・・・。

あと、吉井君はいい加減学習した方がいいと思うな。

 

「それなら、木下君かこいしちゃんがお手本を見せるのはどうですか?」

 

「うーん、私でもいいけど、こういうのはやっぱ演劇が上手な木下君がいいと思うな。」

 

木下君は演劇に関しては校内でも多分トップクラスだと思うしね。

 

「んむ?別に構わぬが。」

 

そう言うと木下君は吉井君の手を取る。

さて、どんな感じになるのかな?

 

「わざわざわざわざこんなところに呼び出してごめんね、アキ・・・。あのね、ウチは・・・、アキのことが好きなのっ!始めて会った時から、ずっとアキのことが好き!あれから友達として側にいるのがずっと辛かった!本当は友達でいるなんて、我慢できなかったのに!アキ・・・。あんなことしちゃった後で今更だけど、改めて・・・貴方のことが好きです。ウチと、付き合ってください。」

 

わぁ・・・!

私に言われたわけじゃないのに、なんだかドキドキする・・・!

 

「・・・とまあ、こんな具合じゃ。」

 

スッと手を離す木下君。

吉井君が幸せな夢が覚めた時のような表情してるけどしょうがないよね。

・・・あ、キラキラ光るものが目に。

 

「ともかく、このままでは清水が嫉妬するどころか全く逆の結果になりかねん。次は姫路も参加してもらうが、しっかり頼むぞい。」

 

「はい、頑張ります!」

 

「それはいいけど、もう次の授業が始まっちゃうんじゃないの?」

 

「その点は大丈夫じゃ。今は補充試験なりメンテナンスなりで教員の手が足りんため、今の時間は自習になっとるからの。」

 

あ、ほんとだ。

時計を見たら、もう授業が始まってる時間だ。

 

「次の設定は、授業を抜け出し逢い引きをしておる2人を姫路が注意するというものじゃ。まずは島田と明久は腕を組むのじゃ。」

 

「「・・・・・・」」

 

顔を見合わせる2人。

ハードル高いなって思ったのかな?

 

「あ、あのっ、木下君。腕まで組む必要はないのでは・・・。」

 

まあ確かに、演技とはいっても好きな人が別の子と腕組みなんて、あまりいい気分にはならないよね。

 

「お主の気持ちもわからなくはないが、視覚的な影響は大きいからの。たまたま見かけただけの人がそれを見て、2人が付き合っていると認識すれば、それが清水に伝わるかもしれん。」

 

「わ、わかったわよ。でもアキは変なところ触ったらコロスからね・・・!」

 

「う、うん・・・。」

 

結局2人は折れて、若干ギスギスした感じになりながらも腕を組む。

普段ならこんな姿を見たらちゃぶ台やカッターが飛び交うこの教室も、坂本君があらかじめ事情を説明してたから静かなまま。

まあ確かにリアリティは出たかもしれないけど、作戦がめちゃくちゃになりそうだったもん。

 

「もう、そんなに腕をぎゅっとしてたら歩きにくいじゃないか。」

 

「あはは、いいでしょアキ。ウチらはつきあってるんだから。」

 

気恥ずかしさとか色々あるとは思うけど、二人とも顔に笑みを貼り付けて演技を続けてる。

・・・美波ちゃんの力が少し強すぎるせいで、ギシギシと音が聞こえてきたのは気のせいだよね!

ちなみに、私はさりげなく後をつけて、カメラの死角から指示を出すよう言われてるよ。

 

「でも美波、そのせいでさっきから肘に当たってるんだけど。」

 

「え!?こ、この、スケベっ!」

 

「アバラ骨が。」

 

「うふふふ。アキってば、冗談が好きなんだから。本当に可愛いわね。」

 

「まったく、美波は甘えん坊だなぁ。」

 

2人とも演技を続けてる。

でも多分、美波ちゃん間接技仕掛けてるよね・・・。

 

「ねぇ美波。美波は僕のどこが好きかな?」

 

「そんなの、決まってるじゃない。頭の天辺から眉毛まで、全部好き!」

 

おでこだけ?

そこは爪先だよね?

ちなみに、私はお姉ちゃんのどこが好きかっていうと、お姉ちゃんが存在している宇宙から、お姉ちゃんが誕生する遠いきっかけのビックバンまで、全部好き!

 

「そういうアキはどうなの?」

 

「そりゃあ、もちろん美波と一緒だよ。」

 

「もうっ。アキったら。ホントに可愛いんだから・・・っ!」

 

多分今また間接技かけたよね美波ちゃん。

それでも屋上に行くまで技を決められたまま表情を笑顔のままにしてる吉井君は凄いと思うな。

 

「さあ、屋上に着いたしあっちに行こうか。」

 

「ううん。向こうにしましょ?」

 

「いやいや、あっちの方が日当たりが良くて良さそうだよ?」

 

「日差しを浴びすぎるとお肌に良くないのよ。あっちの日陰にしましょ?」

 

場所を言い合う2人。

吉井君が指してるのはカメラの死角だから、腕組みを続行したい美波ちゃんと腕を解放してほしい吉井君の戦いって言っていいかも。

まあ結局、美波ちゃんの日陰になったけどね。

二人が座ったところで、木下君が合図を送る。

 

「ふっ、2人とも!こんなところで何をやってるんですかっ!今は授業中ですよっ!」

 

ここで姫路ちゃんの乱入。

実際に恋心を抱いてるからか、リアル感あるなぁ。

 

「しかも、そんなに近いなんて!まるで付き合っているみたいじゃないですかっ!」

 

「・・・ええ。ウチとアキはつきあってるわ。ごめんね瑞季。今までこの気持ちを黙ってて。」

 

「そんな、やっぱり美波ちゃんは、明久君のことを・・・。」

 

多分これ、演技じゃないと思うよ。

吉井君は二人の様子に言葉が続かない様子だったけど、なんか言わなきゃと思ったのか、大きく息を吸い込んで言葉を発する。

 

「やめて2人とも!僕のために争わないで!」

 

・・・そのチョイスはどうかと思うよ。

美波ちゃんも吉井君を一瞥もしないで間接外して、何事もなかっように続けてるし。

 

「・・・やっぱりそうでしたか。美波ちゃんも、明久君のことが・・・。」

 

「謝って済むことだとは思わないけど・・・、ごめんなさい。ウチのこと、許せないでしょうね・・・。」

 

「え?許してくれるの、瑞季?」

 

「許すとか許さないとかじゃなくて・・・。その、人を好きになるのは自由だと思いますから。美波ちゃんのことを責めるなんて、私には出来ません。でも、今朝のキスは反則ですっ!あれは許しませんっ!」

 

「あ、あれはあんなメールとか色々あったから、つい!」

 

「つい、じゃないですっ!あんなズルは、神様が許しても私が」

 

ドンッ!

話が脱線してたから、坂本君か誰かが壁を叩いたみたい。

私も話戻してサインは出してたけど、見てなかったみたいだし、正しい判断だったかな。

・・・それはそうと、吉井君が自分の右腕を見ながら、ものすごい焦りと恐怖の表情を浮かべてるのがものすごく気になる。

○ギーでも寄生してるのかな?

 

「あ・・・。と、とにかく美波ちゃんのバカァっ!」

 

そう言って走り去る姫路ちゃん。

今までが素だったし、ここだけ演技っぽく聞こえるけど、しょうがないと思う。

 

「ちょ、ちょっとアキ!?何瑞季の後を追おうとしてるのよ!?」

 

・・・ん?

ちょっ、吉井君、ストップストップ!

美波ちゃんの手を振りほどき、切羽詰まった状況で走りだそうとしてるけど、そんなことしたら台無しだよ!

 

「ま、まさかアキは本当にこういう場面になったらウチじゃなくて瑞季を選ぶって言うの・・・?ね、ねえアキ・・・ウチと一緒にいてくれないの・・・?ウチはアキのことが・・・す、好き、なのに・・・。」

 

「ごめん美波!行かなくちゃいけないところがあるんだ!」

 

あちゃー、吉井君は手を振りほどいちゃった。

そのまま真剣な表情で姫路ちゃんの後を追うように走ってく。

吉井君は美波ちゃんじゃなくて、姫路ちゃんを選ぶつもりな・・・・・・ん?

私の横を通っていった吉井君の右腕、なんか直視できないような色してたような気がするんだけど、見間違いかな?

ちょうど美波ちゃんがつかんでたあたりだけど・・・。

 

「・・・そう、そうなのね。アキは瑞季を選ぶのね。・・・もう演技なんてどうでもいいわ。アキは瑞季みたいな女の子が好きなんでしょ。」

 

美波ちゃんがそう呟いたけど、吉井君には聞こえてなさそう。

木下君が美波ちゃんに迂闊なセリフを言わないよう言ってるけど、効果はナシ。

美波ちゃんの方も気になるけど、正直今は吉井君が気になる。

でも、Fクラスに戻ったけどいないね。

 

「・・・古明地。俺のデジタルカメラがひとつ見当たらないのだが、見なかったか?」

 

吉井君を待っていると、ムッツリーニ君が私に聞いてくる。

 

「デジタルカメラ?見てないよ?」

 

「・・・ならいい。見たら教えて欲しい。」

 

「うん、わかったよ。」

 

ムッツリーニ君はカメラがひとつ、見当たらないらしいけど・・・。

まあ見たらでいいよね。

とりあえず吉井君が帰ってくるのを待つかな。

ところで、さっきから魔理沙を見かけないような気がするんだけど、気のせいかな?




いかがでしたか?
明久の腕はヤバイことになってます。
色はまるでベトベターです。


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四十五話「摩擦!」

 

 

「雄二、演技はどうなったの?」

 

「大失敗もいいところだバカ野郎。」

 

姫路ちゃんと一緒に帰ってきた吉井君が坂本君に聞くけど・・・、当然大失敗。

あれを見て、美波ちゃんと吉井君が恋人だと思う人はいないんじゃないかな。

私だったら、美波ちゃんは吉井君に好意があるけど、吉井君は姫路ちゃんに好意を持っているっていう三角関係だと思う。

 

「このバカが最後に逃げ出してくれたおかげで、今までやってきたこと全てが台無しだ。唯一の救いは島田が明久に好意があると示したことだが、それだけでは開戦には踏み切らないだろう。」

 

「うむ。しかももう一度やろうにも、明久は姫路と一緒に帰ってくるし、島田があの調子じゃからの。」

 

吉井君と姫路ちゃんが戻ってくる前に美波ちゃんが戻ってきたけど、自分の席に着くなり、窓の方を向き、完全に怒ってる態勢になってる。

今もちらりとこっちを見たけど、すぐにそっぽ向いたし。

 

「とりあえず、明久は島田に詫びの一つでも入れた方がいいな。」

 

「うん、そうするよ。」

 

吉井君が美波ちゃんの卓袱台の方に向かう。

でも美波ちゃんは一瞬見たけど、顔を合わせようとしない。

 

「・・・あのさ美波。」

 

「もうアンタなんか知らない。瑞季とよろしくやってればいいじゃない。」 

 

「い、いや、姫路さんとはたまたま会っただけで・・・『言い訳なんか聞きたくない。』あぅ・・・。」

 

取りつく島もない美波ちゃん。

 

「で、でもこのままだと姫路さんが・・・。」

 

「アンタはいつも瑞季ばっかりお姫様扱いして!魔理沙にも正邪にもお空にも阿求にもこいしちゃんにも普通に優しい態度とってるくせに、ウチは何なの!?男とでも思ってるの!?どうしていつもウチにはそんな態度なのよ!?」

 

「い、いや、そんなつもりは・・・。」

 

「瑞季が転校させられそうになったら、ウチが直接家に行って直談判するわ!だからもう話しかけて来ないで。アンタの顔なんて見たくもない。」

 

姫路ちゃんの転校を引き合いに出したのが逆鱗に触れたのか、今までにない剣幕でまくしたてるように感情を叩きつける美波ちゃん。

言い捨ててそっぽを向いた美波ちゃんは多分、今はもうどんなに話しかけても吉井君の方を向かないよね。

でも吉井君、やっちゃったね・・・。

 

「完全に怒らせちゃったよ・・・。」

 

「そのようじゃな。」

 

木下君にも会話は聞こえてたみたい。

まあ、かなり大声だったし、教室中に聞こえてたもんね・・・。

 

「やれやれ・・・。明久、ほとぼりが冷めたら、後できっちりフォローしておけよ?」

 

「うん、そうするよ。」

 

「それならその話は置いといて、だ。まずはDクラスに作戦を仕掛ける前に時間を稼ぐ必要があるな。ムッツリーニ、悪いが須川達と協力してBクラスに偽情報を流してくれ。」

 

「・・・内容は?」

 

「Dクラスが戦争の準備をしているというもので頼む。その相手はBクラスだともな。」

 

「・・・了解。」

 

なるほど、確かにそれなら、私達に宣戦布告したらBクラスは確実に連戦になっちゃうもんね。

少しは躊躇うかも。

 

「それと秀吉。秀吉にはDクラスの清水を交渉のテーブルに引っ張り出して欲しいんだが、頼めるか?」

 

「うむ。じゃが・・・交渉といっても、どうするつもりじゃ?」

 

「決まってる。清水を挑発して敵意を煽るだけだ。その際、島田も同席しているのが理想だが・・・そっちの交渉は俺に任せろ。」

 

確かに、今の吉井君や姫路ちゃんが近づいたら機嫌は悪くなる一方だよね。

さっき私の名前もあがってたから、私だってあまり向いてないし。

 

「古明地は・・・とりあえず、霧雨の捜索を頼む。霧雨に清涼祭の時の胡麻団子(毒)のようなゼリーを作って欲しいからな。」

 

「うん、わかったよ。」

 

でも毒って・・・。

 

「明久はとりあえず俺と一緒に来い。Bクラスへのアピールをするからな。」

 

「アピール?」

 

「新校舎の3階を、いかにも暇そうにうろつくんだ。うまくいけばBクラスには気づいてないと思わせ、Dクラスには開戦に踏み切らせることができるかもしれない。」

 

「わ、わかったよ。」

 

「なら私も、魔理沙を探すのは何気なくした方がいいの?」

 

「出来ればそうしてくれ。呑気に散歩しているように見せられればなお良い。」

 

「うん、じゃあ行ってくるね~。」

 

呑気に散歩か~。

・・・あれ?

教室出るときにちらりと美波ちゃんの方を見てみたけど、いなくなってる。

どこいったのかな?

まあでも、まずは魔理沙を探すことにして、言われた通りぶらぶらと散歩してると・・・あ、魔理沙の声がした気がする。

この教室かな?

何してるかわからないから、そっと扉を開けてみよう。

 

「・・・から、いい加減にしろって言ってるんだぜ!」

 

・・・あれ、なんか良くない雰囲気・・・・・・。

普段声を荒らげることが少ない魔理沙が珍しいな。

 

「何よ!アイツがウチの扱いだけああなのが悪いんじゃない!」

 

「吉井にいつも間接技仕掛けてるのは誰なんだ!?でも吉井はいくら間接技極められても、いつもお前に普通に接してたんだぜ!」

 

「ウチが間接技かけるのは、アキがペッタンコとか言うのが悪いのよ!」

 

どうやら、魔理沙が言い争ってる相手は美波ちゃんみたい。

止めた方がいいかもだけど、どう止めたらいいかわからないな。

 

「だとしても、お前は吉井がこんなになってるのを見て何も思わないのか!?見ろ、お前の間接技が原因で、吉井の右手が死にかけたんだぞ!」

 

「・・・っ!」

 

「そんなことをされても吉井はお前に何か怒るようなことを言ったのか?言ってないだろ?多分だがむしろお前に謝ったんじゃないのか?」

 

「それは・・・謝られたわよ。でもアキは演技でも恋人だったウチじゃなくて瑞季の方に行って、一緒に帰ってきたのよ!ウチもアキに(演技としてだけど)好きって言ったのに!」

 

・・・・・・どうしよう。

今更だけど、私が聞いててもいいのかな。

美波ちゃんが吉井君のこと好きなのは今更って感じするけど、喧嘩を見られてるって知ったら気まずくなりそう・・・。

 

「吉井に女の子扱いされたいって言うなら、自分の行動を見直すべきだ!あんなことしておいて、それが出来ないなら、吉井と恋人どころか、友人である資格もないぜ!」

 

「うるさいうるさいうるさいっ!ウチとアキの関係に、魔理沙が口出しする権利なんてないのに!」

 

わっ、怒鳴り散らすように美波ちゃんが言葉を発して、教室を出てく。

慌てて隠れたけど、美波ちゃんはこっちを見てなかったから多分バレてない。

・・・バレてないよね?

 

「・・・ふぅ。私らしくなかったぜ。悪いのは美波とはいえ、私も言葉がキツかったな。・・・で、いるんだろこいし?覗き見は良くないぜ。」

 

魔理沙にはバレてたみたいだけどね・・・。

気配は殺してたんだけどな。

 

「ごめんね、魔理沙に用があったんだけど割り込めなくてね。いつから気づいてたの?」

 

「美波が出ていった時にチラッと見えたんだぜ。恥ずかしいとこ見られちまったな。んで、何の用なんだぜ?」

 

「えーっとねー・・・。」

 

坂本君に言われたことを魔理沙に話す。

自分の料理()が暗殺の道具にされるのは複雑だと思うけど、魔理沙は了承してくれた。

 

「ところで、なんで魔理沙はさっき喧嘩してたの?」

 

「美波のせいで右腕が動かなくなりそうだった吉井を見たら、友人としてちょっと我慢の限界だっただけだぜ。こんな色になっててな。」

 

そう言いつつ、魔理沙はデジタルカメラをポケットから取りだし、写真を見せる。

確かに酷い感じになってるけど・・・。

 

「その前に、魔理沙デジカメなんて持ってたの?」

 

「ちょいと土屋に借りただけだ。使い終わったし、返しておいてくれるとありがたいんだぜ。」

 

「まあいいけど・・・ムッツリーニ君そのカメラ探してたよ?」

 

もしかして、勝手に持ってきちゃったのかな?

 

「・・・(ダラダラダラ)」

 

冷や汗かいてる・・・。

 

「ま、まああとで詫びはするつもりだぜ。一応借りたことを書いた紙は入れといたんだがな・・・。それより、暗殺ゼリーは出来たら坂本に渡すのか?」

 

「うん。これが調理室の鍵だって。・・・それと一応言っておくけど、清涼祭の時みたいに、誤って食べる人が出ないようにしてよ?」

 

容器はごく普通のスポーツゼリーの形だから、何らかの理由で紛れこんじゃったら誤飲の可能性あるし・・・。

特に事情をあまり知らないお空が普通に飲んじゃいそうで怖いんだよね・・・。

 

「さすがにもうあんなことはないと思うんだぜ。じゃあ、私は作ってくるからよろしくだぜ。」

 

「うん、またね~。」

 

魔理沙に別れを告げて、私は教室に戻ろっと。

ここからなら、Bクラスの前を通るのが一番近いかな。

 

「なら、英単語クイズでもやるか。英単語を言うから、その意味を答えるんだ。5問のうち、1問でも答えられなかったら負けというルールでどうだ?」

 

「オッケー、どんと来い!」

 

あ、坂本君と吉井君だ。

そういえば、この辺をフラフラしてるんだっけ。

報告しておこうかな。

 

「ねえ坂本君、魔理沙には頼んだよ~。」

 

「うぉっ、古明地か。霧雨は引き受けてくれたんだな。」

 

「うん、出来たら卓袱台に置いといてくれるって。それより今何してたの?」

 

「暇潰しに英単語クイズをな。古明地もやるか?」

 

「うん、じゃあそうしようかな?」

 

折角だしね。

あと、なんか面白いこと起こりそうな予感がするからね。

 

「よし、それじゃ罰ゲームは『敗者は勝者の言うことを聞く』だ。じゃあ行くぞ。」

 

「えっ、ちょっ・・・!」

 

「『astronaut』」

 

いきなり追加された罰ゲームに慌てる吉井君だけど、問答無用で問題を出す坂本君。

えーと、アストロノートは確か宇宙飛行士だったよね。

 

「どうした?わからないのか?」

 

「私はわかってるけど、吉井君に先を譲るよ。答えられないかもだけどね。」

 

「ふふん、僕をいつまでもバカだと思ってもらったら困るよ。道路に使われているアレだよね?」

 

「俺の勝ちだな。」

 

・・・・・・???

吉井君の考えていることが、私にはさっぱりわからない。

道路に宇宙飛行士が使われていたら、それはもう事件だよ。

 

「ちょっと!どうして答えを言い切ってないのに間違いと決めつけるのさ!」

 

「じゃあ古明地の答えを聞こう。」

 

「宇宙飛行士、でしょ?」

 

「正解だ。で、明久は宇宙飛行士を道路のどこに使うつもりなんだ?」

 

「・・・・・・ケアレスミス、か・・・。」

 

「待って吉井君。どこに注意を損なう要素があった?」

 

私にはさっぱりわからない。(2回目)

 

「まあ、しょうがない。負けを認めるよ。」

 

「今ので認めなかったら、人としてどうかと思うが・・・。」

 

かすってすらいないと思うけどね・・・。

 

「さて、次は霧島さんの番だね。」

 

・・・いつのまに。

いつからかはわからないけど、私と坂本君の横にいた霧島さん。

もしかして、言うことを聞くと聞こえたから来たのかな?

 

「・・・頑張る。」

 

コクリと小さく頷き、手をグッと握る霧島さん。

なんというか、絵になってるよね。

 

「し、翔子!?何時の間にいた!?」

 

「・・・雄二が『何でも言うことを聞く』って言ったのが聞こえたから、来た。」

 

まさかほんとにそうだとは。

耳いいんだね・・・。

 

「それじゃ、出題者が霧島さんで、回答者が雄二ね。それでいい?」

 

「うん、私はいいよ~。」

 

「・・・わかった。」 

 

「待て!翔子が参加するなんて聞いてないぞ!」

 

「あれ?雄二、もしかして逃げるの?男のくせに?」

 

「ぐっ・・・!いいだろう、やってやらぁ!」

 

こういう時の坂本君って単純なところあるよね。

 

「では霧島さん、一問目をどうぞ!」

 

「・・・わかった。えっと・・・『betrothed』。」

 

ダッ(坂本君が身を翻して逃げる音)

 

ガガッ(私と吉井君が坂本君の肩を掴む音)

 

「雄二、どこに行くのかな?」

 

「坂本君、どこへ行こうと言うのかね?」

 

「明久、古明地、テメェら・・・!」

 

問題を聞いた瞬間、わからないと踏んで逃走しようとした坂本君だけど、面白そうだし逃がさないよ。

ム○カ大佐じゃないけど、ちょっとあのセリフ言ってみたかったのもあるし。

 

「まあ霧島さん、一問目からトドメじゃ可哀想だし、問題を変えてあげてよ。見てる方も面白くないしね。」

 

「・・・わかった。なら・・・『prize』。」

 

「えっと・・・賞品か?」

 

今度は正解した坂本君。

 

「・・・『as』。」

 

「~として。」

 

「・・・『engage ring』。」

 

「婚約指輪。」

 

「・・・『get』。」

 

「手に入れる。」

 

「・・・『betrothed』。」

 

ダッ(坂本君が身を翻して逃げる音)

 

ガガッ(私と吉井君が坂本君の肩を掴む音)

 

「だから雄二、どこに行こうとしてるのかな?」

 

「頼む!お願いだから見逃してくれ!今のを聞いたら、俺の恐怖がわかるだろ!」

 

えーと、『賞品』『として』『婚約指輪』を『手に入れる』ってことかな?

霧島さんらしいかな。

 

「あはは、霧島さんの冗談に決まってるじゃないか。僕らはまだ学生だよ?婚約指輪なんて買えるわけが」

 

「・・・あっ。」

 

吉井君のセリフの途中、霧島さんが取り落としたのは、宝石店の案内。

 

「・・・冗談。」

 

そう呟いて、霧島さんは恥ずかしそうにしまう。

うん、冗談冗談。

冗談ってことにしておくよ。

 

「・・・・・・。」

 

「あはは。雄二ってば。そんな僕にしか聞こえないような小さな声で『ヤバい。マジヤバい。』なんて連呼されても困っちゃうよ。」

 

私にはその声は聞こえないけど、目が虚ろなのが印象的かな。

 

「さあ雄二、回答をどうぞっ。」

 

「えーと・・・『betray』が裏切るだから・・・謀反とかか?」

 

確かにありそうかも。

ちなみに私もわからないよ。

 

「・・・雄二のこと。」

 

「死刑囚か!」

 

「・・・婚約者。」

 

へー、知らなかったよ。

私には使う機会ない単語だしね。

 

「さて、答えられなかった雄二の負けだよね。約束通り、霧島さんの言うことを何でも聞いてあげて。」

 

坂本君の顔がどんどん曇ってく。

それを見て満足そうにしてる吉井君が対照的だ。

 

「翔子、さっき冗談って言ったよな?」

 

「・・・うん。婚約指輪は冗談。」

 

「じゃあ、本気の方はなんだ?」

 

「・・・それは・・・人前じゃ、恥ずかしくて言えない・・・。」

 

「なんだ!?俺は何をさせられるんだ!?」

 

人前だと恥ずかしくて言えないことって何かな?

私や吉井君が邪魔なら、どいた方がいいよね。

 

「・・・こんなところで言わせるなんて、雄二はいやらしい。」

 

「死ね雄二ぃぃーっ!」

 

霧島さんの言葉を聞いてから、吉井君が飛び蹴りを坂本君に放つまで、約1秒。

攻撃に入るまでが短すぎないかな?

 

「なぜ俺が狙われるんだ!?俺は何も言ってないだろ!?」

 

「黙れ!今朝聞いた『寝ている霧島さんに無理矢理キスをした』って話を含めて、納得の行く説明をしてもらおう!」

 

吉井君、本当は逆だって。

・・・聞く耳持ってなさそうだけど。

 

「待て!話の内容が変わっているぞ!本当は『・・・キスだけじゃ終わらなかった。』」

 

なんだろ、今の言葉で、吉井君の内部でなにかが解除された音が聞こえたような・・・?

 

「嫉妬と怒りが可能にした、殺戮行為の極致を思い知れっ・・・!」

 

「うぉっ、明久の動きがマジで見えねえ!」

 

坂本君の言葉は誇張でもなんでもなく、吉井君の動きがムッツリーニ君を上回る程、ものすごい速くなってる。

 

「・・・キスの後、一緒に寝た。」

 

また、吉井君のなにかが解除されたと思う。

 

「ごふっ!?明久に力で負けるとは・・・!」

 

その証拠にパワーが膨れ上がってる。

坂本君にパワーで上回るなんて今までみたこと無いもん。

 

「・・・とても気持ちよかった。」

 

「さらに分身・・・いや、残像か!?お前もう人間じゃないだろ!」

 

凄い。

『超人「吉井明久」』なんて言えそうな感じになってる。

でもこんな残像が見えるくらいの動き、魔理沙とやった格闘ゲーム位でしか見たことないんだけど、吉井君はどんな能力してるの?

 

「殺したいほど憎たらしいという気持ちは、不可能を可能にする・・・!」

 

「上等だ!こっちも本気で相手してやらあ!」

 

そんな動きをしてる吉井君に対し、逃げずに立ち向かう坂本君も凄いと思うけどね。

でもそんな騒がしくしてると、鉄人先生とかが来そうだし、私は先に教室戻ってよっと!

靴底が摩擦で焦げてるのか、嫌な匂いもするもんね。

ちなみに、私の読みは当たっていたみたいで、2人は鉄人先生に追いかけられたみたいだよ。

 




いかがでしたか?
魔理沙と美波が喧嘩。
珍しいですね。


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