刀使ノ巫女RTA 漫画版離反ルート (イナバの書き置き)
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第1回
はい、よーいスタート。
展開が圧縮されたり引き延ばされたりする剣劇RTA、はーじまーるよー。
このRTAを走るにあたってハーメルンで類似の小説を検索したのですが、なーぜーか一つも投稿されていないのでレギュレーションを作成しました。
よって私が世界一位です。
計測開始は「はじめから」を選択してから、計測終了はラスボスであるタギツヒメへのラストアタックによるダメージが表示されるまでとします。
また現在他の走者さんがいないようなのでこのゲームについての解説をさせて頂きます。
刀使ノ巫女と言えば「女子中高生×刀」で話題となった全24話のアニメ作品ですが、これらに加えて小説や「みにとじ」と言った外伝作品を纏めて1つにしたのがこの剣劇アクションゲーム「刀使ノ巫女」です。
その自由度の高さから多数のルートが存在しますが本RTAでは時間の無い皆様にも見て頂ける様に、比較的短時間で完走出来る漫画版離反ルートを攻略します。
まず最初にキャラクリエイトとなりますが、外見はステータスに影響しないのでランダムを選びます。
名前は入力速度を考慮して「
殆ど誤差の領域ですが、名前に「星」や「神」等の単語を入れると初期ステータスが上昇する他特定のイベントが発生する確率を上げられる様なので忘れずに入力しましょう。(8敗)
さて、この作品では開始時に所属校と流派を設定出来るのですが、所属は「鎌府女学院」、流派は「鹿島新當流」を選択します。
理由は後述しますがこれらを選択している場合タギツヒメとの戦闘が大幅に楽になるので可奈美ルートや長船ルート、荒魂ルート以外では必須でしょう。
続いてステ振りですが、このルートではそもそも仲間が殆どいない荒魂ルートやタイマンになりがちな結芽ルートとは違って、仲間の攻撃的も馬鹿にならないので全て敏捷に振り分けておくのが良いでしょう。
さて、ゲームスタートです。
季節は春、中学は3年目に進級した時点から始まります。
開始位置は寮の自室で固定ですが、まずは箪笥を漁ります。ルート分岐の必須アイテムとなるスペクトラムファインダー(旧型)が確定で入っているので必ず回収しましょう。(3敗)
箪笥漁りが済んだら直ぐ様登校します。すると大分タイミングがシビアですが夜見ちゃんと廊下で遭遇出来ます。ここを逃すと今後の好感度稼ぎが大幅に遅れる事になるので失敗したら大人しくリセットしましょう。(22敗)
今回は1発で遭遇出来ましたね。いいゾ~これ。
「……おはようございます」
はい、おはようございます。
この時点ではホモも夜見ちゃんも御刀を持っていない仲間ですので、積極的に会話を行う事で絆を深めましょう。
何れ選ばれるから大丈夫だって、安心しろよ~等と下らない会話を繰り返したり何の面白味も無い筋トレをしながらしばらく待ちますので、
皆 様 の た め に ー
何故鎌府を選択したのかの説明をします。
前述の通り本RTAでは漫画版のシナリオを辿って行く事となるのですが、その都合上本来ならば序盤で仲間にする筈のある人物が終盤まで加入しません。
しかし折神紫暗殺イベントが発生するまでは鍛練や荒魂討伐等でひたすら経験値を稼いで行くしかないので、イベントを発生させれば即戦力になる夜見ちゃんは相方として最適と言えます。運が良ければ「説得」コマンドで暗殺イベント後も味方になる可能性があるので一石二鳥です。
加えて鎌府は折神家と関係が深く人体実験も行っているので、「不信感イベント」を発生させやすく舞草に離反した際の薫達の初期好感度が高くなるのでRTAには最適でしょう。
さて、そんなこんなで数日時間を潰すと御刀ガチャイベントが発生します。
ここではランダムで御刀が入手出来ますが、基本的にどの御刀でも最終的に完走そのものは可能なので、タイム短縮の為になるべく攻撃力が高い一振りが来る事を祈りましょう。
出来れば「鶴丸国永」の様な火力に秀でた御刀だと助かるのですが……。
ヒスおばの長ったらしい話をスキップし、いよいよ御刀とのたいめ──ファッ!?
「小竜景光には星 百重奈を任命する」
……。
とんでもない大当たりを引いてしまいました。
統計によれば小竜景光は出現率0.5%程の激レア御刀で、回避や敏捷値に大きな補正がかかり安定性が一気に上がります。
勝ったな(確信)
さて、御刀を受領した事で夜見ちゃんのイベント発生条件も満たしたので、ここからはひたすら荒魂を討伐します。
効率化の為とにかくモブのパーティーに紛れて高難易度の角鹿型荒魂討伐を繰り返しましょう。走者の腕が試されますが経験値が大変うま味です。
ここで予め流派を鹿島新當流にしておくメリットが表れます。
この流派は攻撃の際、攻撃的と敏捷値に丁度良い感じの補正が乗るので討伐ペースを早める事が出来るんですね。
それでも序盤は攻撃力不足な面が目立ちますが、ここで苦労をしてレベルを上げておかないと後で辛い思いをするのでどれ程ダメージを受けようが死なない程度に続行すると良いでしょう。(46敗)
そのまま1ヶ月程経過すると、何故か(すっとぼけ)髪の一部が白くなった夜見ちゃんが加入するので、2人で荒魂討伐へ行きますよー、行く行く。
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
「小竜景光には星 百重奈を任命する」
あなたまで、私を置いて行くのか。
これまでずっと御刀に選ばれなかった私達。
知り合ったのは進級してからだが互いに励ましあい、努力を重ね、きっといつか選ばれると信じてきた。
僅か数日の浅い交流だが、初めて出会った
「やったよ夜見ちゃん! 私選ばれたよ!」
「……おめでとうございます」
だからこれは良い事なのだ。
友人が一足先に選ばれた。次こそは自分だろう。
きっと、きっとその筈だ。
──だったら、今私は何をしているのだろう。
自分の考えとは裏腹に、私の腕には赤い液体──荒魂を構成するノロが封じられた注射器が刺さっている。
「これ」で何をしようとしているのか、私はよく理解している。理解していて、一体私は何故受けてしまったのか。
顔を横に向ければ、もう取り返しのつかない程注入され殆ど空っぽのアンプルと、その向こうで揺れる高津学長の歪んだ笑みが目に入った。
「力を欲するならば授けましょう」
「……」
「大丈夫。あなたには力を受けるに相応しい資質があるのだから」
なんで、こうして人体実験を受け入れようとしているのだろう。
姑息だ。邪悪だ。
こんなズルをしたって星さんの様になど成れはしない。
それでも諦められない理由があるとするならば──
「どうか置いて行かないで、百重奈さん」
・ホモちゃん
火力は他の人が出してくれるので回避盾でRTAを敢行する黒髪ロング美少女(笑)
盾を名乗るなら金剛身位習得しとかないとマズいと思うんですけど(凡推理)
・皐月夜見
ホモの毒牙にかかってしまった被害者。かわいそう。
・スペクトラムファインダー(旧型)
所有したまま暗殺イベントが発生すると漫画版ルートへ分岐する
こう言う形式の文章に自信が無いからおかしい所、指摘、感想等あったらオナシャス!
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第2回
ひたすら経験値を稼ぐ美少女剣劇RTA、はーじまーるよー。
前回は所々ブラックジャックみたいな髪になった夜見ちゃんがパーティーに加入した所で終わりましたので、早速荒魂討伐の続きをやりたいと思います。
と、その前に夜見ちゃんが加入した前後辺りから校舎の隅で膝を抱えている女の子、糸見 沙耶香ちゃんがいるので強引にパーティーに引き込みます。
沙耶香ちゃんは基本的に無抵抗で加入しますが、ヒスおばからのお小言イベントがランダムで発生する様になりタイムロスとなります。
しかし沙耶香ちゃんはそれを補って余りある程の強さなので損はしないでしょう。
戦闘時以外の沙耶香ちゃんとはなるべく会話をする様にしましょう。
これには今作を象徴するシステムである「理解度」が深く関係しています。
刀使であるキャラと会話すると彼女達の流派に応じた「理解度」が得られ、同流派の刀使と戦う際「理解度」の合計値に応じてこちらにボーナスが入ります。
沙耶香ちゃんとは今後何度か戦う機会があるのですが、ホモちゃんの技量で相手取るのは難しい為理解度を稼いでおくと良いです。
前回から引き続き角鹿型荒魂を討伐していきますが、なるべく相手の攻撃は防御する様にしましょう。
以前はパーティーの火力不足からホモちゃんも攻撃に回らなければなりませんでしたが、現在はむしろ過剰な位なので、防御スキル「金剛身」の取得を目指します。このスキルはダメージカットに加えて即死を防いでくれるので後半はほぼ必須スキルです。
攻撃のガード回数によって解放されるのでここで取得しておく事を強くオススメします。
また、撃破数は程々に留めておきましょう。もう少しすると親衛隊入隊イベントが発生するのですが、あまり撃破数を稼ぎすぎると第五席として無理矢理編入させられます。
親衛隊に入隊すると御前試合予選に参加出来なくなり経験値稼ぎが出来なくなるのに加え、予選中今後加入するキャラへの好感度稼ぎが出来なくなるのでロスに繋がります。(87敗)
じゃあそう言う事なんでパパパッとやって、終わり!
「夜見、お前には紫様の親衛隊に入ってもらう」
イベントが始まりましたね。夜見ちゃんにノロを注入した時の優しさはどこへやら、すっかりいつものヒスおばへと戻った高津学長が辞令を出してます。
一定以上好感度を稼いでおくとこの時夜見がホモちゃんを同席させて部下にする様に要求するので、成功でしょう。
この為に撃破数を抑える必要があったんですね。
親衛隊に入らず、しかし親衛隊の経験値が美味しい任務を味わいたい。その欲を両方満たしてくれる素晴らしいイベントです。
いやーしかし良かったですね。入隊おめでとうございます。
「星 百重奈、お前も第五席として紫様の護衛に当たれ」
なんで? (殺意)
…………(カンペガン見)
……
……
…………
ああああああああああ撃破数まちがたああああああああ!!!
何周もしてんだから普通何かおかしいなとか思うだろレベルアップしちゃったラッキーじゃねえよ馬鹿じゃねえの普通上がる訳ないだろもうちょっと考えろこの無能がああああああああ!!!
いやああああああ結芽ちゃん倒せない詰んじゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
ふぅ、落ち着きました。
本来ならばリセットしている所ですが、ここでオリチャー発動!
折角の小竜景光が惜しいので3周程前に発見した方法を用いてレベル不足をなんとか凌ぎます。
先ずは手入れ用品が欲しいとかそんな感じの理由をつけて東京は原宿、青砥館へ通いつめます。
すると一定確率で赤羽刀「南无薬師瑠璃光如来景光」が行方不明になっていると言う話を店主の娘さんから聞けるので、聞き終え次第返す刀で鎌府へ戻りましょう。
この話をヒスおばにすると、後ろ暗い事ばっかりしている焦りからか調査を命じてくれます。
当然今回も夜見ちゃん、沙耶香ちゃんを連れて行きます。相手は中々強いのでこちらも精神薬等装備を調えてから挑みます。
渡された資料から良い感じの場所を探索するといかにもそれっぽい施設があるので押し入ります。まあ鎌府が放棄した施設なのであって当然なんですが。
道中の荒魂は経験値の面から見てもあまり美味しくないですが少しでも足しにするため全部狩り尽くします。
施設内には夜見ちゃん達と同じ鎌府の
このスルガは倒すと大量の経験値が手に入るので通常攻略する場合でも行くと良いでしょう。
しかも1度限りとは言え、南无薬師瑠璃光如来景光が行方不明になったイベントさえ発生させればいつでも討伐が出来るのが最大の利点でしょう。
スルガは本来なら外伝の「刻みし一閃の燈火」ルートにおける1章のラスボスですが、親衛隊と無念無想にかかればギリギリで仕留められます。(他力本願)
ホモちゃんは取得したばかりの金剛身を使って回避盾をさせます。
……
1度大ダメージを受けてしまいましたが何とか倒せましたね。
いやー良かった。これで何とか御前試合迄に到達したいレベルになりました。
加えてスルガとの交戦はホモと沙耶香が折神家への不信感を抱く切欠となるイベントの1つでもあるので、正に一石二鳥ですね。
さて、ここからは御前試合まで下らない話をしながら筋トレをするだけなのでカットします。
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
「あのさー、ちょっと荒魂討伐手伝ってくんない?」
「……?」
初めて出会った時から、百重奈は「そう」だった。
どんな時も、何をしていても笑顔を崩さない、仮面を被って生き続けている様にしか沙耶香には見えなかった。
百重奈は何も無い、無反応で無感情な私にも楽しそうに話しかけ続けた。
一体何が楽しいのか、と問えば
「んー。なんて言うか、誰かと話す事、そのものが楽しいんだ。コミュニケーションって円滑な人間関係には重要だし」
本当にそうなのだろうか。
そうやって微笑む彼女は、戦闘になると様子が一変する。不自然な程私達への攻撃を庇い生傷が絶えない百重奈は、それはもうつまらなそうな表情をしている。
こんな奴らじゃ相手にならない、足手まといな味方を守ってやっていると言わんばかりの表情なので、百重奈の事が分からない。
今だってそうだ。
「いやー疲れた疲れた。さ、赤羽刀回収して帰っちゃおう」
親衛隊の制服に着いた埃を払いながら百重奈が立ち上がり、一面に散らばった大量の赤羽刀を集めだす。
龍の様な異形と化したスルガを引き付けその尾による一撃を受けたのにも関わらずまるで応えた様子の無い百重奈に、私は
一体、彼女はどんな境地にいるのだろう。
私には分からない。
・ホモちゃん
ガバをオリチャーで挽回するRTA走者の鑑。
(同じ任務を周回するのが)つまらない。なので別に戦闘がつまらないとは思っていない。…思っていない。
・糸見紗耶香
とんでもない勘違いをホモにする。
コイツただ周回めんどくさがってるだけだから安心しろって。
やっぱりRTA形式の文章には慣れないのでご指摘や意見、感想などあればよろしくお願いします。
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第3回
ギャグとか分かんないけどぶちこんでやるぜ!(無謀)
裏切りが裏切りを呼ぶ殺伐美少女RTAはーじまーるよー。
さて、前回はスルガをスルッと倒して(激ウマギャグ)筋トレに勤しんだ所で終わりましたので、今回は御前試合予選からですね。
と言っても予選中にする事は大してありません。実は夜見ちゃん以外の親衛隊と顔を合わせるのはここが初めてなので挨拶しておく位です。
それを差し引いても警備活動で筋トレすら出来ないので、11.4倍に加速します。
が、それでもまだ時間が余るので
み な さ ま の た め に
今後の方針について説明します。
まず本RTAの趣旨である離反ですが、これは折神家に所属、ないしは協力している状態から舞草に寝返る事で達成されます。その為前回夜見ちゃんの部下になって折神家の外部協力者となるのを画策していたのですが、これはまあいいでしょう。親衛隊でも同じ事です。
続いて離反するタイミングについてですが、この後の決勝戦に勝ち上がった十条姫和ちゃんが暗殺を試みるタイミングがあるのでそれを支援する形で裏切ります。
裏切った直後は第一席(笑)さんと戦う事になりますが、比較的パターン化しやすいので適当におちょくってから退散しましょう。(18敗)
そのついでに姫和ちゃんの相方である岩倉早苗さんを人質にして拉致っておきます。岩倉さんは高確率で仲間になる上サポートスキルが豊富なので安定の為に欠かせません。
「──始め!」
さて、説明が終わった所で決勝戦が始まりましたね。
ここからはミスが許されないので私のプレイスキルの見せ所さんです。
姫和ちゃんが対戦相手の可奈美ちゃんを無視して「一の太刀」で紫様に突撃すると同時にこちらも飛び出し、しっかりとガードされるのを確認したら一度待機します。
この時紫様の背後でタギツヒメが目をかっぴらいてるのでそれを目に焼き付けておきます。後々役に立つ行動なので忘れてはいけません。(5敗)
暗殺に失敗した姫和ちゃんを一席(笑)が不意討ちして──夜見さん!? 何してるんですか!? マズいですよ!
……取り乱しました。
何故か不意討ちを仕掛けたのが夜見ちゃんになっていますがやる事は変わりません。
身動きの取れない姫和ちゃんを可奈美ちゃんの方に蹴り飛ばしつつ夜見ちゃんと切り結びます。
夜見ちゃんの強さは荒魂を用いた物量作戦ですが、公の場では使えないから余裕だな!
……
……
…………
押されてない? 何で?(殺意)
……あっ、すっかり忘れていました。
極端に夜見ちゃんの好感度が高い状態で意図的に戦果を譲り続けると、イベント『愛憎の目覚め』が発生して覚醒夜見ちゃん(第一段階)になるんでした。
この夜見ちゃんは攻撃補正がノロアンプルを8本注入している時と同じ倍率でかかっているので殆ど勝ち目はありませんね。
……これは再走案件ですかね(震え声)
いやしかしここは撤退の時間を稼ぐだけなのでどうにかなるはず。
よし。可奈美ちゃんが姫和ちゃんを支えて逃走したのでこちらもトンズラしましょう。
相方の凶行に狼狽える岩倉さんを確保してそのまま全速力で離脱します。
敏捷値全振りなので1度走り出したら誰も追い付けない為、追手を振り切ったら浅草に直行します。
先程の戦闘で大きく消耗しましたがタイムが惜しいのでそのまま走り続けます。安定を取るなら休憩を挟むべきでしょう。
到着と同時にトラックに忍び込んで首都高を移動していた暗殺犯2人が降りてくるので合流しましょう。
姫和ちゃんからは物凄く警戒されますが、タギツヒメの事を話すと可奈美ちゃんが援護してくれるので説得は容易です。
だから目玉を見ておく必要があったんですね。
……すいませーんKNSTですけど、まーだ説得時間かかりそうですかねぇ?
えっ、飛び出してきたホモに注意が逸れて気づかなかった?
そっかあHAHAHA…ふーざーけーるなー!!! 何で余所見してんだよここ超重要な場面だぞふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!
説得出来なきゃ詰んじゃう、詰んじゃうぅぅぅぅぅぅ!!!
あ、岩倉さんが仲裁に入ってくれました。取り敢えずこの件については一旦保留して休息を取る事になった様です。今まで説得を失敗した事が無かったので初めて見るイベントですね。
ガバに助けられた形ですが、3人と合流すると言う目標は達成出来たので再走はしません。
さて、今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
「ハァッ……ハァッ……」
──また、追い付けない。
困惑する岩倉早苗を俵の様に担ぎ上げた百重奈はあっと言う間に姿を消した。最初から追い付けない事などハッキリしていたが、それでも諦められなかった。百重奈に、追い付きたい。
「逃げられ、ましたか……」
最初からそうだった。
私が刀使として活動を始めた頃には既に「鹿殺し」として名を馳せていた百重奈は、明らかに私に遠慮していた。
御刀に選ばれた時期が遅い私に箔をつけさせる為、わざと手柄を譲っていたのだ。
親衛隊に入ってからも追いかける立場なのは変わらなかった。高津学長の差し金で最初から入隊が決まっていた私と違って百重奈は自らの力でその地位を勝ち取った。
『2人揃って親衛隊入りなんて凄いじゃん夜見ちゃん! これからも頑張ろうね!』
『……そう、ですね』
その強さが羨ましかった。
しかし百重奈が私の羨望に気付く事はなかった。親衛隊でも目立つ事を嫌った彼女は私に戦果を譲り続けた。
スルガの一件でもそうだ。調査を進言したのも戦闘で囮を務めて活躍したのも百重奈なのに結局止めを刺したのは私で、功績も私の一人占めとなっていた。
──私では、百重奈さんに勝てないのに
羨望は徐々に歪み、ふと気付いた時には憎悪に掏り替わっていた。
いつでも、どこでも私の先を歩き続ける百重奈が憎くて堪らない。
顔を会わせる度に「勝てない」と言う感情を再認識させられ、益々憎くなる。
心の中に沈殿していた『それ』は百重奈が紫様に牙を剥いた瞬間に解き放たれてしまったのだ。次会った時、この湧き上がる殺意を抑えこめるか等自分自身にも分からない。
あの頃はあんなに好きだったのに、どうしてこうなってしまったんだろう。
どうして。
「カップ麺は2分が一番だなんて私信じないもん」
「実際どうなんだろうね、百重奈ちゃん」
「さぁ……でも3分って言ってるんだから3分待とうよやっぱり」
買い食いとは少々行儀が悪いが、指名手配された以上仕方ない事だろう。可奈美と百重奈は公園のベンチに座ってカップラーメンを啜っていた。
しかしこうして下らない会話を交わしている相手があの親衛隊第五席だと可奈美には信じられなかった。
──百重奈ちゃんの技巧は並大抵の物じゃないけど、それが強さの本質じゃない
刀を握った瞬間「人が変わる」のはまぁある事だが、百重奈は違う。
御刀を振るう顔とこうしてカップ麺をつついている横顔には全く違いが見られない。
つまり百重奈は異常なまでの「平常心」で以て戦いに臨んでいるのだ。それはある意味常在戦場の心構えの極地に到達したと言える。
可奈美が姫和に協力する事を決めたのは、一の太刀を防ぐ際紫が
突撃の瞬間巻き上げられた土煙のせいで、この行為を視認出来たのは姫和と可奈美自身だけである。
しかし百重奈は「大荒魂を見た」から即座に離反を決意したと言う。
「……私には、見えなかった」
当初姫和を止めるために振るわれたのだろう彼女の太刀筋は、あまりに美しかった。
百重奈は、親衛隊の第五席を名乗るだけあって、噂に違わぬ圧倒的な技術の持ち主だと可奈美は感じた。
その美しさに見惚れた一瞬で、可奈美は大荒魂を見逃したのだ。
自分の実力では彼女に遠く及ばないだろう。しかし1度手合わせしてみたいと可奈美は思わずにはいられなかった。
・イベント「愛憎の目覚め」
・好感度一定以上
・プレイヤーのレベルが夜見を上回っている
上記の条件を満たした状態で「プレイヤーがダメージを与えて夜見が撃破した敵」の数が一定数に到達した時発生する。夜見の好感度が僅かに上昇し、敵対ゲージが大幅に増加する。
夜見の筋力値への補正が115%から250%に増加し、それ以外のステータスへの補正が80%になる。
ホモちゃんは写シを貫通して一撃死する。
体調不良と、岩倉さんを登場させるため1度書き直した事で投稿が遅れた事を謝罪させて頂きます。申し訳ありませんでした。
当初は薫orエレンを拉致して舞草と接触するチャートでしたがそれだとつまらないので(正直な告白)変更しました。
感想や評価頂けるとありがたいです。
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第4回
都内を右往左往する放浪剣劇RTA、はーじまーるよー。
さて、前回は浅草で姫和ちゃんや可奈美ちゃんと合流した所まででしたので、今回は原宿に移動する所からですね。
まずは制服そのままだと速攻で居場所がバレるので適当な服を見繕っておきましょう。現在の財布では少し厳しいものがありますが背に腹は代えられません。
着替えたら、可奈美ちゃんに友人の話題を振ります。すると友人思いの可奈美ちゃんは、漫画版で大きくクローズアップされたキャラクターである舞衣ちゃんに連絡を取りますが、なんと彼女は電話越しの防災無線からこちらの位置を特定してきます。
これは一件無用な戦闘を増やす行為に思われますが、舞依ちゃんは単独で現れる上これに勝利すると沙耶香ちゃんの説得が可能となるので必ずやっておくべきです。
ここまでにガバる要素はありませんが、この後は一刻を争うので簡潔に説明します。
可奈美ちゃんが電話をかけるのを確認したら再び岩倉さんを拉致し、浅草に引き返します。するとギリギリのタイミングですが、移動中の外伝キャラである安桜美炎と瀬戸内智恵がいます。
見つけたら即座に叩きのめします。接触時点では聞く耳を持たないので1度倒さないといけません。(7敗)
可奈美を追ってやって来た2人ですが、実は智恵ちゃんは舞草のメンバーです。彼女をおど……交渉して舞草に寝返る意思表示をします。
拉致したのが薫やエレンと言ったメンバーであればこれは必要ありませんが、当チャートではここで舞草と接触しておけばタァイム短縮になるのでやっておきましょう。
それが済んだら原宿にとんぼ返りし、青砥館で装備を更新しましょう。智恵ちゃんと交渉した事で、堂々と買い物をしても黙っていてくれます。つまり青砥館も舞草の組織な訳ですが、ちょっと浸透しすぎとちゃう? ジオン軍残党ですかね……。
さて、のんびりと
「やるよ、沙耶香ちゃん」
「……うん」
……
……
…………
なんで沙耶香ちゃんもいるんですかねぇ? コレガワカラナイ。
いやまあ1度に2つイベントを消化出来てタァイム短縮になるので悪くはないのですが。
戦闘が始まりましたが、基本的には沙耶香ちゃんと相討ちになる事を意識していきます。
沙耶香ちゃんを説得するにはここで彼女を倒す必要がありますが、ホモちゃんを手っ取り早く強化するためわざと相討ちに持ち込んで捕獲されます。
「良いんですか? 今ならまだ可奈美ちゃん達に追い付けますよ」
「貴方達も何の手柄も無しには戻れないでしょ? ちょっとこの状態で逃げ続けるのは辛いし、ここでリタイアかな」
よし、上手く相討ちになりましたね。
捕獲されると直ぐにヒスおばの元に連行されます。即戦力が欲しいヒスおばはホモちゃんにノロを投入しますが、抵抗は止めましょう。
この時投与されるノロは親衛隊の物とは違い、理屈は不明ですが洗脳効果があります。
しかし何回か対抗フェイズがあり1度でも成功すれば正気に返りますので安心です。
現在のホモちゃんの精神値から計算するとおそらく3回チャンスが……あれ?
操作できませんね。コントローラーの不調かな?
「百重奈……?」
沙耶香ちゃああああん!?
なんで!? なぁんで邪魔するの!?
……このイベント、ヒスおば以外のキャラが同席してるとそもそもフェイズ自体発生しないじゃん!
……い、いやまだどうにかなるはず。
1人になった時を狙えばまだリカバリ出来る筈です。
洗脳後でも移動自体は出来るので直ぐ様ここから離れましょう。
「……百重奈、何処に行くの?」
ちょっとそこまで。だから離して?
「……嫌」
なんで?(殺意)
「怪我してるから、動いたら駄目。……後は、私がどうにかする」
怪我なんて唾付けときゃ治るって!
まだ間に合う!まだ猶予あるから!自力で正気に戻るからぁ!
お前に、お前1人なんかに負ける訳ねぇだろお前オゥ!
流行らせコラ……流行らせコラ!(刀使ノ巫女) ムーミン野郎お前放せコラ!(髪色類似)
あっ……
「見ておきなさい、沙耶香。これが貴方が到達する境地よ」
結局止める事は出来なかった。
本来私が受け入れる筈だった「それ」は今も百重奈に注入されている。
この短期間で、私の価値観を揺るがす様々な事があった。
何もない、御刀に選ばれた時から他人の言うまま戦い続ける以外知らなかった私にクッキーをくれた舞依。
御前試合で立ち会った時、また試合がしたいと言ってくれた可奈美。
──そして、空っぽの私に初めて「恐怖」と言う感情を与えてくれた百重奈。
荒魂への異様な執着、目立つ事を嫌いひたすら荒魂を殺す事に拘るその姿は「恐怖」と言うピースになって空の私に嵌め込まれた。
けれど、決してそれだけでは無かった。任務の帰り道、皐月夜見と3人で屋台のおでんを食べたあの日を思い出す。確か百重奈の奢りだったと思う。
あの時はまだ何も感じなかった。感じないふりをしていた。
でも、ひょっとしたら──楽しかったのかもしれない。
そうして百重奈がくれた感情が、今の私を構成している。言ってしまえばただの模倣だ。
それでも、彼女の様に「笑う」事が少しでも出来て嬉しかったのだ。優しく笑う百重奈が手本だった。
そんな百重奈はもういない。
私の目の前で薄く笑う彼女は、もう百重奈じゃない。
人格をノロに破壊された、ただの人形でしかないのだ。
──私が、百重奈を壊した
だからその責任は私が取らないといけない。
「いなくなった」彼女に代わって私が使命を遂行するのだ。
「怪我してるから、動いたら駄目」
起き上がろうとする百重奈をベッドに押し戻し、彼女に告げる。
ここからは私の戦いなのだと。
「──後は、私がどうにかする」
・覚醒沙耶香
好感度が一定以上のキャラクターが死亡ないしは戦闘不能にならないと覚醒イベントそのものが発生しないため特に敬遠されがちなキャラ。
とくに覚醒しなくても強いのがそれに拍車をかけている。
防御以外の全ステータスが上昇し、スキル「無念無想」が使用不可能になる。
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第5回
はい、よーいスタート。
故人の遺志を引き継ぐ剣劇RTA、はーじまーるよー!
当RTAを走るにあたってハーメルン内を検索したのですが、なーぜーか1つも類似した小説が見つからなかったのでレギュレーションは作成しました。よって私が世界1位です。
計測開始はホモの洗脳が完了した瞬間から、計測終了はタギツヒメへのラストアタックによるダメージ表示が終了した瞬間となります。
現実逃避もここら辺にしておいて、改めて自キャラの操作すら出来ない博打剣劇RTA 、はーじまーるよー!
前回は諸々のガバにより洗脳解除出来なかった所で終わりましたので、そのまま続きをやっていきます。
正直な所再走も考えたのですが、まだ挽回のチャンスが残っている事、チャートは滅茶苦茶ですがタァイムそのものは好調な事からもう少し粘ってみたいと思います。
まあ失敗した所で次への参考になるから大丈夫だって、安心しろよー(不屈の意思)
さて、洗脳されたホモちゃんは、まだ沙耶香ちゃんが失踪した事を知らないヒスおばによって姫和ちゃん達の追撃に投入されます。
姫和ちゃん達は伊豆半島の石廊崎へと逃走しているのでこちらもヘリで移動する事になりますが、道中するべき事がないので
み な さ ま の た め に ぃ
残り2回となった対抗フェイズについて説明します。初回以外はランダムで発生するのですが、このタイミングは私達ではコントロール出来ません。概ねホモちゃんにとって衝撃的な事があった時に発生する傾向はありますが、あくまでも傾向なのでただの会話中や戦闘中に突然割り込んで来る可能性も十分あります。
姫和ちゃん達の追撃に参加すれば当然戦う機会もあるので、それを切っ掛けにして正気に返るのを狙っていきましょう。
取り敢えずは現地に到着したら親衛隊専属の指揮車に赴き、もしもの為と称してノロのアンプルを貰っておきます。担当の人は半信半疑と言った顔をしていますが、見て下さいよ!ほら!こんな虚ろな目をしてる人が離反なんて出来る訳ないじゃないですか!
と言った感じの事を言えば普通に渡してくれます。
アンプルを受け取ったら即座に姫和ちゃん達の捜索へと向かいましょう。一番技量が高く安定している可奈美ちゃんと接触出来ると良いのですが、姫和ちゃん、岩倉さんと遭遇した場合はリセットします。姫和ちゃんと出会った場合は覚悟を決めた彼女に斬られてGAME OVERですし、岩倉さんの場合では逆にこちらが強すぎて彼女を斬ってしまうので致し方ないでしょう。
また、同じ親衛隊のメンバーと接触するのもなるべく避けましょう。2人がかりとなると可奈美ちゃんでも捌ききれないですし、仮に正気に戻っても復帰直後の硬直を衝かれる可能性が高いです。
お、そうこうしている内に誰かと遭遇しましたね。お前は誰だ!?(AMZNZ)
「誰!? ──って、百重奈ちゃん?」
よし、可奈美ちゃんですね。ホモちゃんは洗脳されたままなので戦闘に突入します。今作のAIはそこそこ賢くどんな相手でもそれなりに戦ってくれのですが、如何せん今回はサイヤ人気質の可奈美ちゃんが相手なので普通に負けるでしょう。戦闘中は彼女から説得を受けますが、その度に対抗フェイズが発生するかの判定をしている様なので、スキル「無意識の手加減」を持っている可奈美ちゃんと戦えば正気に返るチャンスも増えます。
……お、早速対抗フェイズが発生しましたね。ここでミスすると大幅なロスになるので絶対に失敗しないように──
「混ーぜーてーよッ! 千鳥のおねーさん!」
──ほあああああああッ!?
なぁんで結芽ちゃんがこんな所にいるのぉ!? いくら夜見ちゃんが覚醒してるからって親衛隊の配置が入れ替わる訳ないじゃん!
いや落ち着け、まだチャンスは残ってる。ここで可奈美ちゃんが倒されればそのショックで発生するはず。
いくら可奈美ちゃんが化物だからって2人がかりなら……なら……
……
何で普通に戦えてるんですかねぇ? て言うか通常と挙動が違う気がするんですが、一体どういう……あっ、これ(憑依芸)かぁ!
可奈美ちゃんは固有技能「他流習得」を持っていますがこれの習熟度を最大にすると、他者の流派を人格ごと模倣するスキル「憑依芸」が使用可能になります。
きっと憑依芸を使用して自身の「師匠」である藤原美奈都を模倣しているから互角の闘いが出来ているのでしょう。
しかしいつの間に習熟度を最大にしたんでしょうね。私の知る限りでは折神家突入辺りで漸く取得出来る位だと思っていたのですが……(リサーチ不足)
お、3回目の対抗フェイズが発生しました。何か気前が良すぎて不安ですね。
よしよし。何とか正気に戻れました。ここは可奈美ちゃんと協力してサクッと結芽ちゃんを倒してしまいましょう。
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
「いやー助かったよ可奈美ちゃん。あのままだったらどうなってたか」
てへへ、笑って頬を掻く彼女の黒髪は、一部が脱色したかの様な痛々しい白色に変化していた。
聞けば鎌府の高津学長にノロを注入された結果らしく、完全に洗脳されていたと当人は語っているがどうやら堪えた様子はないようだ。
相変わらずの朗らかさに安心してホッと一息ついた。その拍子にずり落ちた結芽ちゃんを担ぎ直す。
このまま石廊崎まで逃げ切れば、舞草の人達が回収に来てくれるらしい。つまりゴールは目と鼻の先なのだ。
「百重奈ちゃんも、この子もノロを体内に入れちゃったんでしょ?」
「まあそうなんだけど。体内から抜く時間があるなら良いんだけど、多分無いだろうなぁ……」
不貞腐れた様子で発せられたその言葉に、違和感を覚えた。
何で、百重奈ちゃんは時間が無いと思っているんだろう。
ひょんな事から湧き上がった疑問はあっと言う間に膨張し、自分自身呆れる程そのまま口に出してしまった。
「ねぇ、百重奈ちゃん。どうして時間が無いと思うの?」
「そりゃあ、ねえ。今私達の体内にあるノロは全部大荒魂由来だぜ。折神紫からすれば、位置情報を全国公開してるような感じでしょ?」
こっちの位置はバレバレなんだよね、と続けた彼女は私の手に「何か」を握らせその場に立ち止まった。まさか、百重奈ちゃんは──そう気付いた時には彼女は山を駆け降りていた。
「じゃ、適当に足止めするから後はよろしくぅ!」
「待っ──」
「バイバーイ!」
手を振って走り去る百重奈ちゃんを、私は見送る事しか出来なかった。担いだままの結芽ちゃんを置いて行く訳にもいかない。
結局、私は2回も同じ人を見捨てる事になった。
──或いは、もっと私が強ければこうはならなかったのかもしれない。
「今度はあなたですか、糸見さん。出来れば知り合いを斬りたくはないのですが」
「それは私のセリフ。そこを退いて」
百重奈は可奈美と十条姫和を守ろうとした。私には理由が分からないが、それが百重奈の意思なら絶対に守り通してみせる。
けれど私は2人の居場所も知らなかったから、舞依に聞こうと思っていたのに──
「今ならまだ戻れますよ。高津学長も許してくれるのでは?」
「関係無い。私にはやる事がある」
そう、
私を突き動かすのは百重奈がくれた心。
私が為すべき事は百重奈がくれた使命。
その前では高津学長だろうが、折神紫だろうが塵に等しい。
故に──
「もう1度だけ言う。そこを退いて」
「退きません。あなたに私は倒せませんから」
──
・ホモちゃん
実質冥加刀使なので髪が一部脱色。ギリギリ正気に返れたけどそうじゃなかったらこのまま人形として使い倒されて終わりです。
感想や評価頂けるとありがたいです。
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第6回
折角脱出した所に舞い戻る剣劇RTA、はーじまーるよー。
前回は可奈美ちゃんにノロのアンプルを握らせ足止めに向かった所で終わったので、引き続き山の中を探索しましょう。
見た所夜見ちゃんがこちらに来ていない為、追撃に参加しているのは一般の刀使になっているようです。此処から先は一切レベル上げが出来ないので、根こそぎ狩り尽くしておきましょう。
システム上、親衛隊の誰かが可奈美ちゃん達を回収するため派遣した舞草の潜水艦を発見まで一般刀使は無限に出現するので、暫くの間好き放題出来ます。以前からのレベリングやノロによるステータスの底上げでまず負ける事もありません。
まれにS装備を着用した輩もいるので、見かけたらそちらを優先します。経験値が美味しいですからね。
「……星、百重奈。結芽を──」
「知ってるけど、聞きたければ私を倒してね?」
「……ッ! 言われなくても!」
大体50人程倒すまでには第一席さんが出現するので、長ったらしい会話をスキップして戦闘に突入します。現在のホモちゃんならハッキリ言って余裕ですが、ここで敢えて敗北しましょう。
すると戦闘終了後に1度ロードを挟み、目を覚ませば折神家の施設で監禁されています。
面倒臭いイベントを全部カット出来る上、以後のスポーン位置がここになるのでいざと言うときに役に立ちます。次にこの施設から脱出する時が本RTAで最難関なので、忘れずにセーブしておきましょう。(452敗)
監禁されている間は稀に折神家及び鎌府所属の人が様子を見に来てくれるのでここはのんびりと待ちましょう。結芽ちゃんとかは回復アイテムを持ってきてくれるので、正直可奈美ちゃんに預けてしまったのは痛いですね……。
お、誰か来たみたいですね。
「お久し振り……と言う程ではありませんか。百重奈さん」
どうやら来てくれたのは夜見ちゃんみたいですね。しかし何でそんなボロボロに……? 多分沙耶香ちゃんと戦った時に負った傷なのでしょうが、全身包帯まみれに眼帯まで付けてるなんてまるでノロの過剰摂取で暴走したみたいだぁ(直喩)
「……お見通しでしたか」
えっ
いやほんの冗談のつもりだったんですけど……何でこんな事になってるのか、これもうわかんねぇな。
さて、夜見ちゃんは基本的にアイテムをくれる事はありませんが、この施設内の人員配置を教えてくれます。配置は周回毎に5パターンの中からランダムで変わるので聞いておいて損はありません。
夜見ちゃん、配置教えて♥️
「嫌です……」
なんで? (殺意)
嫌って言っても教えるんだよ配置を。いやホント教えてくれないと困るのですが……。
まあ、ぶっつけ本番でもどうにかなるとは思うのでいいでしょう。しかしそれなら何で夜見ちゃんはここに来たんですかね。
「……では、失礼します」
あれ、返事せずに帰っちゃいましたね。何だったんでしょうか。特に有益なイベントもありませんでしたし、これはロスなのでは?
まあこれ位なら後で取り戻せる筈なので、このままつづけましょう。
次は金剛身を習得した時以来の、ステータスポイント割り振りを行います。今作はレベルアップで獲得出来るNP(肉体ポイント)と、剣術の使用回数に応じて獲得出来る習熟度の2つがありますが、貯めてきた分をここで一気に使いきってしまいます。
NPは敏捷値が最大になるまで突っ込んだ後、残りは技量値に振ります。防御なんて必要ねぇんだよ!
習熟度に関しては、「他流習得」を獲得した後残りを全て「抜刀術」につぎ込みます。
何故この様な割り振りをするのかと言うと、ラスボスであるタギツヒメ(in紫様)とは3回連続で戦闘するのですが、これが普通にやるとバカみたいに時間がかかるので「鹿島新當流」の効果とクリティカルによる相乗効果でイベント以外は全て一撃必殺します。(感動的な展開が)あーもう滅茶苦茶だよ。
漫画版ルートではタギツヒメ本体が人型になったりしないのでこれでゴリ押しすれば余裕です。龍眼も可奈美ちゃんが破ってくれますし。
だから今までポインヨを振って来なかったんですね。
このまま1週間程待機すれば可奈美ちゃん達が来る筈なので、後は筋トレをして待ちましょう。
すいませーんKNSTですけどぉ、まーだ時間かかりそうですかねぇ?
……おかしいですね。チャート通りならそろそろ折神家襲撃が始まっても良い頃なのですが、うんともすんとも言いません。
確かに本来ならばこんな早々に可奈美ちゃん達が駆け付ける事はないのですが、前回アンプルを渡したので来る筈なんですよねぇ……。
原作だと舞草の拠点で夏祭りをしていたら一斉検挙され、已む無く残った戦力で奇襲をかけると言った流れなのですが、今回は既に発動していたオリチャーによって流れが大きく変わっています。
ノロのアンプルを舞草に提供した上で保有していると所在がバレる事を伝えておくと、舞草は拠点の位置を敢えてバラして囮にし、少数精鋭を折神家襲撃に送り込むと言う超攻撃的なスタイルに変化します。
やってる事は同じなのに殺意の差が凄まじいですね。
しかし何で襲撃イベントが発生しないのか、コレガワカラナイ。条件はもうクリアした筈ですし……。
…
……
………
あっひょっとして夜見ちゃん、沙耶香ちゃんを思った以上にボコボコにしてた?
はぁ────(クソデカ溜め息)
あ ほ く さ
はーつっかえ! 辞めたら親衛隊?
そりゃあ来ない筈ですよ沙耶香ちゃんが復帰するの待ってるんですもん。しかも私が一切関与しない所で発生した戦闘だから介入する余地も無いですしクォレハもうどうしようもありませんね……一刻も早く沙耶香ちゃんが復帰する事を祈るしかないです。祈るついでにやり過ぎた夜見ちゃんは†悔い改めて†
もう1週間経っても来なかったら流石にロスの許容範囲外なので諦めましょう。
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
ハッキリと言って、折神邸に監禁される百重奈を見た時優越感を感じなかったといえば嘘になる。
いつどんな時でも私の上を行く百重奈が、その身にノロを受け入れ同じ所まで堕ちてきたと知った時は心が踊った。
御刀を奪われ、刀使として戦う事すら出来ないと知った時には思わず
──果たしてそれが人として正しいのか、とも思った。
「お早うございます、百重奈さん」
「おはよー」
刀使は御刀を持たねば年相応の少女に過ぎない。百重奈も例外ではなく、こうして手錠もされず施設内を散歩すらしていられるのは誰もがその無力さを知っているからだ。
そうして無力化された彼女を嘲笑いたいのか、或いは友人として心配しているのか、自分自身分からぬまま私は毎日百重奈の元へと通っていた。
それにしても百重奈は本当にどんな時でもマイペースを崩さない。こうして捕らえられていてもヘラヘラと笑うばかりで、それが私を苛つかせる。
──ひょっとして、まだ舞草が奪還しに来るとでも思っているのだろうか。
有り得ない、と頭を振る。もう彼らの拠点は特定されているのだ。明日にでも検挙されて、それで終わりだろう。自分が知る限り最も強かった糸見沙耶香も重傷を負わせたのだからすぐには戦えない筈だ。その、筈なのだ。
「ねー、夜見ちゃん?」
「教えませんよ」
「ケチ! アホ! ちょっと位良いじゃん!」
「……何を言っても、教えませんよ」
──なのに、どうして百重奈は諦めないのだろう。百重奈はマイペースだが、何も考えていない訳ではない。まさかとは思うが本当に来るのかもしれない。だとしたら高津学長に伝達しておくべきだろう。
「兎に角、変な気は起こさないで下さい」
「おっそうだな」
けど
けど、もう少しこの穏やかな時間を続けていたかった。
上段から木刀を振り下ろす。
何度も、何度も、自分が納得いくまでひたすら振り続ける。
これじゃない。私が見た鋭さはこんな物じゃない。
音が、景色が遠ざかっていく。
まだだ、もっと。もっと速く。思い出せ、模倣しろ、成りきれ。
もっと、もっと────
「ち、ちょっと落ち着いて沙耶香ちゃん!」
「落ち着いてなんて……!」
注意が逸れた一瞬で、遠ざかった景色が色彩を取り戻す。どうやらのめり込みすぎていたようだ。額を流れる汗をタオルで拭う。
一息ついた後、なにやら言い争ってる舞依ちゃんと沙耶香ちゃんに声をかける。
「舞依ちゃん、どうしたの?」
「可奈美ちゃん、沙耶香ちゃんが言う事聞いてくれないのよ」
「……時間が無いの」
スッと思考が冷える。事前に説明は受けていた。舞草を囮にして自分達を折神邸に送り込む。準備が整い次第決行されるとの事だが、沙耶香が重傷を負った為延期されていた。
もう大丈夫なのか、と沙耶香を見れば合流当初よりは大分マシだが万全には程遠い様に私は感じた。
「本当に、大丈夫なの?」
「……うん」
「なら行こう。フリードマンさんにも決行を早められないか聞いてみるよ」
「可奈美ちゃん!? 沙耶香ちゃんはまだ無理よ!」
舞依ちゃんの言う事ももっともだろう。今沙耶香ちゃんを戦わせても大した戦力にはならない。
だが急がずにはいられない理由が私にはある。
「
私達の為に戦った百重奈ちゃんを見捨てるなど出来ない。舞依ちゃんだってそれは分かっている筈だ。
木刀を片付けたらフリードマンさんを説得しよう。
──待っててね、すぐ行くよ
・NP(肉体ポイント)
今作ではレベルアップするとステータスの上昇と共に、好きに割り振れるNPが入手出来る。割り振り次第で火力特化にも防御特化にもなれる。
・習熟度
戦闘中の剣術の使用に応じて獲得出来る。消費する事で新たな剣術やスキルを習得出来る。
・可奈美ちゃん
剣術を通して相互理解するやべーやつ。ホモちゃんを模倣して無意識の内にRTAに目覚めるが…?
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第7回part1
今回キャラ崩壊が著しいです。
上司の屋敷を荒らし回る剣劇RTA、はーじまーるよー。
前回は折神邸でステ振りをしながら襲撃待ちをする所で終わったので、そのまま可奈美ちゃん達を待ちましょう。
本来なら可奈美ちゃん達がいつ来るか分からない以上、体力はなるべく最大値を維持しておきたいですが、タギツヒメ戦より厄介な御刀奪還に備えて筋トレでNPを稼ぎます。
何故御刀奪還が厄介なのかと言うと、襲撃発生直後に御刀が管理されている倉庫に向かう必要があります。御刀が無ければホモちゃんもただのクソザコナメクジなので仕方ないですね。
しかしこの道中の一般刀使がクッソ強く、かつ多彩な戦闘パターンと配置が用意されているので正面突破は至難の技です。
よって進行に邪魔な刀使を不意打ちで無力化するチャートを採用しているのですが、ここでは筋力値と敏捷値が物を言うので時間が許す限り鍛えましょう。
夜見ちゃんから配置を聞き出せたら大幅に楽になるのですが、今回はダメみたいですね……(ホモ特有の屑運)
お、来たわね。
親衛隊の皆様が動き出すのを確認したら此方も直ぐ様行動を始めましょう。
倉庫までの経路も脳味噌に刻みこんであるので、脇目も振らずインコースを駆け抜けます。
右! 右! 次の突き当たりを左!
3つ目の扉に駆け込んで一旦敵をやり過ごしてから直進し、次の曲がり角で出会い頭にボディブローで沈めます。
次の曲がり角は左折直後に待ち伏せがあるので、ガードされ辛い飛び回し蹴りを叩き込んでさしあげろ。
……よし。ここまではガバも無くタイムも良好ですね。
後はそのまま道なりに進めばゴォォォォォォ────
「やはり来ましたね、百重奈さん」
……
……
…………? (チャートガン見)
どうして夜見ちゃんがこんな所にいるんですかねぇ……いや、しかしまだ諦めるには早すぎます。
以前の検証で判明したのですが、ここの夜見ちゃんは足下からのアプローチに極端に弱い事が発見されました。慢心からなのでしょうが、非常に助かります。
よってスライディングですり抜ければどうにかなる……筈!
どちらにせよここを突破出来なければ先はありません。覚悟を決めて、行きますよー、行く行く。
「やはり来ましたね、百重奈さん」
「あれ? 夜見ちゃん?」
こんな状況でも百重奈のすっとぼけた態度は変わらないらしい。しかし隙を窺いながらじりじりとこちらににじり寄る辺り、やはりすっとぼけた振りをしているだけなのだろう。
──まあ、予想はついていましたが
やたらと折神邸の人員配置を聞いてくるので怪しいとは思っていたが、やはり百重奈は此処に現れた。
百重奈は親衛隊に入隊してからも討伐にでずっぱりだったので此処に出入りした事は無い。ましてや危険物を保管する倉庫など、並の刀使では近付く事すら無いだろう。しかし襲撃発生から殆ど間を置かず現れたと言う事は、百重奈はそこに
奪還の可能性を考えた結果、敢えて刀剣類管理局に返納しなかったのが完全に仇となった訳だ。
「それも、ここで貴方を斬れば無意味になりますが」
「……どうかな。生憎、まだ斬られるつもりは無いよ」
そう言いはなった百重奈は、拳を構えた。私は格闘技に詳しくないが、それは百重奈も同様の筈だ。ならば御刀を持つ私が負けるなどあり得ない。
──なんて油断をすれば足下を掬われる事は間違いない
これまで百重奈は何度も私の予想を上回る行動を繰り返して来た。今回だって、私の想像の上を行く『何か』があるに違いない。だが、負ける訳にはいかない。
改めて百重奈を正面に捉える。
御刀を鞘から抜き、上段で構える。
「夜見ちゃんも加減してくれると嬉しいなー、なんて」
「そうですか。容赦はしませんよ」
「ケチ」
軽口を叩きながらも百重奈は此方の間合いを探っている。抜け目が無いと言えばそうだし、立派な戦術と言ってもそうだろう。
──踏み込めない
百重奈は既にこちらの間合いに入っている。しかし早々に斬りかかれない理由があった。
御刀を手放せば百重奈と同様に無力な一般人となるのは間違いない。そして彼女が狙うとすればただ一点、御刀を握る手以外には有り得ない。軽率に踏み込めば迎撃される可能性は高いのだ。
加えて私自身の戦闘スタイルが攻撃を躊躇させる。私が自ら攻めれば危機を迎えると言うなら荒魂を生み出して襲わせれば良い、とは考えたもののこれも上手くはいかないだろう。荒魂を使役するには、自傷行為によって血中のノロを体外に排出する必要があるのだ。彼女がその隙を見逃すとは思えない。
「あれ? 写シ展開しないんだ」
「必要無いので。あなたなら何がしたいのか分かっているのでは?」
「……ふぅん」
──だが、ブラフにはなる。
百重奈に対しては、自らの意図を読ませない事が重要だ。マイペースだけど他者の心情に敏い彼女は、戦闘でも遺憾無くそれを発揮してくる。親衛隊時代に戦績を放棄してサポートに徹し続けたのがその最たる例だろう。
だから動かず、相手を待つ。それしか勝ち目は無い。
「行くよ」
「……ええ」
──勝ち目は無い?
それは可笑しいだろう。百重奈は私を倒して先に進まねばならない。彼女は御刀を持っていない。戦術も読んだ。
だったら負けない筈だ。どうして──
「はああああああッ!」
「────!?」
気を取り直した時には百重奈は眼前に迫っていた。反射的に構えた剣を振り下ろす。
例え降り遅れたとしても頭を2つに裂く筈の一撃は、百重奈が倒れ込む様に前傾姿勢を取った事で空を斬った。
「く、おおおッ!」
「──外した?」
そのまま倉庫に転がり込む百重奈を背に、私は呆然とした。そもそも彼女は、私を倒すべき相手としてすら見ていなかったのだ。
──いや、本来はそれが自然だ。御刀も持たずに私と戦おうと言う想定自体が馬鹿らしい。どうやら私は思った以上に「対決」に固執しているようだ。
「認めますよ、百重奈さん。私は貴方と戦いたくて仕方がない」
返事は返ってこないだろうが、倉庫の中に向かって呼びかける。何の事は無い、ただの決意表明だ。
「いつも私の先を行く貴方が、刀使として活躍する貴方が羨ましかった」
「その癖私に無駄な気遣いをするのが堪らなく悔しかった。いつまで経っても私は貴方の背中を追いかけるだけ」
「でも、それも今日で終わりです」
「──此処で貴方を越えてみせる」
制服のポケットを漁り
躊躇い無く首に突き刺す。異物が針の先から不快感を伴って液状のノロが流れ込む。
役目を終え空っぽになったアンプルを投げ棄てれば、変化はすぐに始まった。
「がっ……ああああああああああああッ!!!」
全身が痙攣する。右目を突き破って新たな『目』が形成される。
もしかしたら自分で制御出来る代物では無いかもしれない。けど、それでも構わない。私の望みは百重奈を越える事。それさえ叶えば死んだって良い。
震える足に鞭打って、倉庫の中に踏み入れる。
──今までよりずっと景色が良く見える
黴臭くて薄暗い倉庫だって真昼の様に明瞭に見える。気分は上々、障害物だらけのこの倉庫も
ガリガリと引き摺っていた御刀を振り上げる。
「決着を付けましょう、百重奈さん」
・覚醒夜見(第2形態)
ーー彼女の全ては決着の為に
見た目は原作終盤での半分位ノロに侵食された夜見ちゃん。常にスリップダメージを受けているがノロの力で自動回復もする。能力は全部高水準だが、荒魂を生み出す事は出来ない。
大量のノロを取り込んだ影響で精神に異常をきたしている。
原作での高津学長への忠臣振りを全部嫉妬に突っ込んだらこうもなるかもしれない。
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第7回part2
さて、
回収したらそのまま左区画に走ります。止まるんじゃない! 犬のように駆け巡るんだ!
……
障害物多めで手間取っているようなので、何故ここまで急いでいるかについて……お話します。
まぁ端的に言うと大荒魂特効の武器を回収したいんですね。既に条件はクリアされているので左区画にランダムで保管されている筈です。
追っ手の夜見ちゃんは移動速度こそ速くありませんが、常時こちらへの最短ルートで接近します。なので棚を漁っている最中に追い付かれたら即座に詰みです。
さて左区画に辿り着いたホモちゃんが物色を始めました。経験上後30秒は余裕がありますね。なるべく早期に見つけてくれるとありがたいのですがこればっかりは運任せです。
「これって……スルガの時の……」
……お、あっさり見付けてくれましたね(ホモにあるまじき豪運)
ホモちゃんが怪しげな段ボール箱から取り出したのは何と赤羽刀──しかも南无薬師瑠璃光如来景光のです。
この赤羽刀は刀として装備出来ず、投擲出来る消耗品でしかありません。加えて命中しても大したダメージにはならないのですが、驚くべき事に属性「大荒魂」を持つエネミーに命中させた場合短時間のスタンを含む複合デバフを付与してくれます。
だから序盤にスルガを倒す必要があったんですね。
タギツヒメ一形態につき一振使用するので三振回収しましょう。漫画版ルートで無ければ回生して二刀流で殴り込む事も可能なのですが今回は純粋にアイテムとしての用途で使用します。
「ふふ……見付けましたよ、百重奈さん」
丁度夜見ちゃんも到着したのでスムーズに迎撃しましょう。
以前習得したスキル「抜刀術」を発動します。このスキルは発動中一切移動出来なくなる代わりに、一定範囲内に侵入したエネミーに対して確定で先制する事が出来ます。
何度も使用すれば相手も対策を取って来ますが、夜見ちゃんは初見なのでまず大丈夫でしょう。
「……抜刀術? あなたが……?」
「勿論!
ここの夜見ちゃんは煽り耐性も最低クラスなので、それっぽい事を言えば乗って来てくれます。
さあ114!514!胸にかけて胸に!
「どこまでも私を虚仮にして──ッ!?」
「遅い」
バツンッ
よし、上手く左腕だけ切り落とせましたね。ノロの力でまた生えるからヘーキヘーキ、安心しろって。
宙を舞う左腕を回収したらもうここに用はありません。全速力で撤退しましょう。このまま夜見ちゃんを放置するのは心苦しいですが、タァイムの為の犠牲になって貰います。
今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
────あ。
決着は一瞬だった。初めて見る彼女の抜刀術は、私の力に任せた鈍い振り下ろしを容易にすり抜け、左腕を斬り飛ばした。
痛みすら感じない、鮮やかな一閃だった。
──負けた。完膚なきまでに負けた。
クルクルと宙を舞う左腕をぼんやりと眺めながら私は感傷に浸っていた。閉所に誘い込んだのも、手加減を思わせる発言をして冷静さを奪ったのも、全部百重奈の手のひらの上だった。
──結局、私は追い付けないのか。
非道に手を染め、悪事を働き、人間を止めてもなお届かない頂点に彼女はいるのかもしれない。
右目から生えた「目」も徐々に崩れていく。赤みがかった視界を平素の味気無い世界が塗り潰した。
──見えていたのに。
ポツリと思った。見えていたのだ。あの鮮やかな一閃、きっと並の刀使──いや、燕さんや紫様でも見切れるか分からないそれを、私だけは確実に《見えていた》。
初見だから対応出来なかったなど見苦しい言い訳に過ぎないが、次があれば絶対に斬り結べる。
──次があれば、ですが。
仰向けで床に転がったまま誰かに向かって独白を続ける。
腕は何れ再生するだろう。いや、再生と言うよりかは腕の形をしたノロになるのだろうが、御刀は握れる。
けど百重奈は?
きっと失望したに違いない。
人体実験で得た偽りの力。
何が悪か理解していてそれを見過ごした。
挙げ句自分の感情すらコントロール出来ずにこのザマだ。
こんな情けない人間を彼女はどう思うだろうか。飛んでいった腕の行方より、そちらの方がよっぽど気になる。
気が付けば百重奈が私のすぐ横に立っていた。ノロに侵食され、とても人の物とは思えない私の腕を担いだままこちらを覗き込んでいる。
「ごめんね、夜見ちゃん。『コレ』借りてくよ」
「……お好きにどうぞ」
殺そうと思えば殺せたのに態々左腕を狙ったのかも何となく想像はつく。きっとそこからノロを吸収して、自分の力に変えるつもりなのだ。そうやって能力を増強して紫様に挑む気だったのだろう。
……要するに私は前座だったのだ。負けた以上何も言う事は無いが、少し悔しい。
「あぁそうだ」
「……?」
倉庫から出ようとていた百重奈が突如踵を返して戻ってくる。まだ何か言いたい事があるのだろうか。困惑を隠せない私の横にしゃがんだ百重奈は、耳元でポソリと囁いた。
「また、試合しようね」
「────」
私の反応を見る事無く、今度こそ百重奈は走り出す。軽快な足音が遠ざかっていくのを見送った私は、重い体を無理やり引き起こして手近なコンテナに背を預けた。
「──今度こそ、勝ちますよ」
返事が返って来る事は無いが言いたい事は言っておこう。言いたい事も言えず、色々と鬱憤を溜めすぎたのも暴走した理由の1つだ。
次がある。だったらそれで良いじゃないか。
気がかりなのは紫様だ。
今の百重奈なら彼女に勝てないと言うことは無いだろうが、一筋縄で行く相手がではないのは確かだ。
出来る事なら私も追いかけたいが、今の状態では歩く事すら苦痛なので動く事は出来ない。
「出来るのは祈る事だけ……ですか」
本来、百重奈の隣に並び立ちたいなら敵対などするべきではなかった。ノロのせいか、嫉妬がそうさせたのか、そんな簡単な事すら見失っていたとは、情けない限りだ。
「……?」
諦めと共に投げ出した右手が、何かに触れた。金属質なそれを手繰り寄せれば、拾い上げたのは赤羽刀──
南无薬師瑠璃光如来景光の写シの1つだった。
「これは……」
何故だろう。理由は分からないが、この刀に強く惹かれる。
私ではない、
──何と?
得体の知れない感覚に恐怖を覚え、刀を投げ捨てようとした瞬間──視界が暗転する。
──1つに
何も見えない、暗い世界を落下する。何も見えず、体の感覚も無いのに何故か「落下している」とハッキリ分かるのだ。
いつまで落ち続けるのだろう。上手く回らない頭でぼんやりと考える。そもそもどこに向かって落ちているのか、それすら判別出来ない虚無の世界に私は放り込まれたのだ。
──我と1つに
暗いだけ、落ちるだけの退屈な時間は突如として終わりを告げた。遥か遠くで「光」が瞬いている。黄金色の輝きを放つ「それ」が一際大きく光った瞬間────
──我と1つに
・■■
とじともだと殆ど出落ちだったアイツ。ストーリー見直してもアッサリ倒されすぎて一人称すら分からなかったのでオリジナル成分マシマシ。
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第8回part1
何とか文章を捻り出せたので初投稿です。
いよいよ最後の決戦が始まるRTA、はーじまーるよー!
さて、前回は赤羽刀を回収して夜見ちゃんを下した所まででしたので、そのまま続きをやっていきましょう。
本作のラスボスであるタギツヒメin折神紫ですが、ラスボスらしくこの折神邸の最奥部に籠っています。
なので最速で! 最短で! まっすぐに! 一直線に! 駆け抜けてしまいます。
道中には荒魂が出現しますが、もう今更経験値を稼ぐ必要も無いので全部スルーしましょう。
後、この時に回収した夜見ちゃんの腕からノロを吸収するのを忘れてはいけません。
ステータスの加算はうま味ですし、そうとでも考えなければ態々夜見ちゃんを倒した意味が失くなってしまいますからね。
ついでに移動中暇なので最終戦について……お話します。
タギツヒメの攻略についてですが、普通にプレイしていると龍眼による高精度な未来予測と素の圧倒的な技量、そして第三形態の手数の豊富さから鬼畜に感じる難易度ですが、当チャートではそうでもありません。
理由としては、最大に到達した敏捷値と可奈美ちゃんの存在が挙げられます。
基本的に龍眼はこちらの行動を殆ど予知に近い予測で潰してくるクソスキルなのですが、例外として敏捷値が最大の場合はこれを無視する事が可能です。
まあそうでもしないとこっちが詰んじゃうから多少はね?
加えて技能も極まっていて、ストーリー上で龍眼を無効化するイベントを持つ可奈美ちゃんがいる以上敗北は有り得ません。
あっそうだ(唐突)
今更ですがタギツヒメの思惑についても説明しておきます。
何でもタギツヒメは自分の安全確保と無理矢理産み出された復讐の為に、この世界全てを隠世に沈めてしまうのが目的らしいのです。
ほんへから20年前の相模湾岸大災厄も同じ理由で引き起こし、その際に折神紫に寄生した……と言うのがこれまでの経緯です。
が、しかし
背景的には同情出来る余地があるのかもしれませんし荒魂ルートだと頼れる仲間になりますが、今は漫画版ルートですので慈悲はありません。
と、そんな事を話していたら到着しましたね。
特にここでする事もないのでさっさと突っ込みましょう。
のりこめー^^
「まだまだ、やっぱり紫にはまけられないね──これで105勝32敗」
「ありえない……藤原美奈都は死んでいるッ!」
「らしいね。でもこれが現実だよ?」
……?
どういうことなの……(レ)
いや本当に何でこんな事になっているのか見当がつきません。
何で乗り込んだ時にはもう第二形態で、しかも可奈美ちゃんは憑依芸バリバリ使ってるんですかねえ。
(既にぐだぐだのチャートが)あーもうめちゃくちゃだよ。
……まあお陰でタイムは更に短縮されてますし、折角ここまでやってきたのですから最後まで続行します。どうにもならなかったら参考記録にすれば良いですし……。
まだ誰も此方に気付いていない様なので、不意討ちでバッサリ行ってしまいましょう。
イクゾー(デッデッデデデデ)
「──百重奈ちゃん!」
「百重奈だと? ──ッグゥ!?」
おー良い感じに決まりましたね。
て言うかコレ可奈美ちゃんこっちに気付いてましたよね? 覚醒イベントのフラグは満たしてない筈なのにどうしちゃったんですかね……?
まま、ええわ(寛容)
兎に角上手くいっているのでこのまま進めてしまいましょう(投げやり)
さあ、今の一撃で第二形態も終わりなのでいよいよ第三形態ですね。
紫様の頭から荒魂がうにょーんと生えてくるムービーが挿入されて(絵面とタイム的に)これはキツイですよ。
ここからは相手の手数が増え、事故死する可能性も無くは無いので気を付けます。(7敗)
しかしこれが最後の戦いなので、気を抜かずキッチリと──
は?
「何だ? 御刀が……光って……」
「千鳥と……小烏丸が共鳴してる?」
そのどちらも深い物だったが、私の付けた傷からはノロがドロドロと溢れ出す。
何故? 誰がどう見ても同じ刀傷の筈だ。
私達と同様に困惑した様子の
「千鳥と小烏丸……藤原美奈都と柊篝の2人と同じく現世にあらざるもの──何故その可能性が視えなかった」
師匠と──
理屈はよく分からないが、ダメージが通るならそれで良い。
「──おい、可奈美。しっかりしろ。お前さっきから様子が変だぞ」
「──あっ。ご、ごめん」
姫和ちゃんの言葉に我に返る。
思考に耽っている内に、
どうやらまだ戦えるらしい。S装備は既に限界を迎え、疲労で足も良く動かない。
それでも、私だってまだ戦える。戦ってみせる。
「──そうか、お前か。お前が私の中で抵抗していたのか」
「……なんだ?」
突如として折神紫からの威圧感が膨れ上がる。とても人が発する物ではない、自然の猛威を前にするかの如き迫力に身が竦む。
いや、
「折神ッ……ゆか────」
「喧しい」
次の瞬間、天井を突き破って現れた黄金の龍が一瞬の抵抗も許さずタギツヒメを喰い千切った。
「な、何──?」
自分の知る限りいつも飄々としている百重奈が声を震わせる。
けれども、その気持ちは私にもよく理解できる。
「我は──」
「──神である」
・衛藤可奈美(覚醒?)
原作でもバリバリ使ってた模倣芸を最初から全力で使っている。しかも複数人(今回はししょーとホモの2人)を同時にトレースしている。さては人間じゃねーな?
まぁ原作だとスペクトラムファインダー以上の荒魂探知能力持ってるらしいからどっこいどっこいでしょ(雑)
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第8回part2
ハァ────(クソデカ溜め息)
一体全体何をどうしたらこんな酷い事態になるんですかね……。
今頭上で全身から目ん玉おっぴろげてる
原作やとじともには出現しない本作初登場のオリジナル荒魂なのですが、どうしてまた急に出てきちゃったんですかね。(リサーチ不足)
いくらプレイ人口が少ないからと言って攻略wikiにも載ってない裏ルート開拓するとかそんな所に運を発揮しなくて良いから(良心)。
お兄さん許して、RTAの主旨壊れちゃー↑う
しかも面倒な事に、このクソ蜥蜴は常に空中に滞空していやがります。グラフィックの都合上当たり判定がガバガバで、座した姿勢から発動する抜刀術ではまず届きません。
加えてやり込み要素と言う触れ込みに相応しい圧倒的なHPを持っているので、よしんば抜刀術がヒットしても一撃確定ではないです。
だからこんなんじゃ勝負になんねぇんだよ(棒読み)
……
もうタイムが滅茶苦茶とかそう言う次元ではありませんが、完走すれば次回の参考になる気がするのでこのまま続行します。
それに
そう言えば全ての融合体は依代を介して顕現している筈なのですが、今回は一体誰なんですかね? まさか沙耶香ちゃんとかでは無いでしょうし……。
お、融合体の後頭部に何か人みたいなのがくっついてるのが見えますね。他の個体ではその箇所に依代が取り込まれていたので今回も同じパターンですね。
誰が取り込まれてるのか知らずに
おはんの名は!? 名を申せ!
「百重……奈……さん」
夜見さん!?
ちょっと何してんすか! 止めてくださいよ本当に!
どれだけ私のチャートを破壊すれば気が済むんですか!?
て言うか夜見ちゃんが持ってる御刀って南无薬師瑠璃光如来景光じゃないですか!
なんで? なんで? なんで?
夜見ちゃんの手に渡る要素無いじゃーん!
このクソゲー、フラグまでイカれてるんじゃないだろうな!
……。
ま、まさか──
『タギツヒメ一形態につき一振り使用するので、三振り回収しましょう』(第7回part2参照)
あっこれかぁ!
これは完全にやらかしましたね……。
どうやらカイは私が回収せず放置した南无薬師瑠璃光如来景光を媒介として顕現したみたいです。必要な分だけと言わず、全部持ち去っておけばこんな事態にはならなかったんだよなぁ……。
なんだってテメェはそう後始末に対して根性がねえんだ(自戒)
しかし終わった事を悔やんでも仕方ありません。誰が依代でも基本的にやる事は変わらないので、このまま戦闘に突入します。
ベストを尽くせば結果は出せる(格言)
「待ってて、夜見ちゃん。今そこから引き摺り出してあげるから……」
「百重奈ちゃん……」
何やら可奈美ちゃんがドン引きしていますが、そんな事はスルーして戦闘を始めましょう。
戦法ですが、実の所これまでと大して変わりません。鹿島新當流の固有効果を活かした高速戦闘で相手からのヘイトを集め、回避盾としての務めを果たしましょう。
幸いにもこのステージは足場になる障害物が多めで移動さえ出来れば相手の上を取る事も可能なので、兎に角被弾しない事を念頭に動きます。
隙を見つけ次第赤羽刀を投げつけてスタンを取ってやると、可奈美ちゃん達も攻めやすくなるのでここで使いきってしまいます。
それではイクゾー! (デッデッデデデデ)
酷い。
「神」を自称するその大荒魂の頭部から生えた
だがその肌は蒼白と言う領域を超えて最早紫色にしか見えない程であり、右手に刀こそ握っているものの大荒魂の動きに合わせてぐにゃぐにゃと振り回されるその姿は、見る者全てに死体を想起させた。
私だって例外じゃない。
あれは、どう見たって死んでいる。
「夜見、ちゃん?」
愕然とした様子の「それ」に向かって声をかけた。
まさか、と思った。
しかし百重奈ちゃんと夜見さんはとても仲が良かったと聞く。だったら友人が原型を留めない程に変貌しても判別出来るのかもしれない。
「待ってて、夜見ちゃん。今そこから引き摺り出してあげるから……」
「百重奈ちゃん……」
幽鬼の如き形相で百重奈ちゃんは御刀を抜いた。続いて空になった鞘も投げ捨てる。
まさか。
まさか────
「──ッ!」
「待って百重奈ちゃん!」
間に合わなかった。私が制止するより一瞬早く、彼女は飛び出してしまった。最初で最後のチャンスを私は逃してしまったのだ。
もう百重奈ちゃんは止まらない。誰にも止められない。今の彼女には
「可奈美、私達も加勢するぞ! ……おい、可奈美!?」
「止められなかった……私、止められなかったよ姫和ちゃん……」
「一体どうしたんだ。何を止めようとしたんだ、可奈美」
「だって、だって──」
涙が溢れる。姫和ちゃんがこちらを心配して駆け寄って来るが、次々流れる涙で何も見えない。
さっきまであれだけあった戦意も、後悔に塗り潰されて何処かへ行ってしまった。
だって、鞘を捨てるって事はもう御刀を戻すつもりは無いって事で、それはつまり──
「百重奈ちゃんは、ここで死ぬつもりなんだ──!」
涙を服の袖で拭ったその向こう、咆哮する大荒魂に三振りの赤羽刀が突き刺さる。
私達にとって全ての終局が、始まった。
多分次回位で終わるんじゃないんですかね(投げやり)
ホモはエクバみたいな挙動で赤羽刀投げてます。
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第8回part3
早速突撃──と行きたい所ですが、その前に鞘を捨てておきましょう。これが最終決戦なのでもう御刀を収める事はありませんし、抜刀術も使えないのでデッドウェイトにしかならない鞘は必要ねぇんだよ!
只でさえ重い赤羽刀を三振りも所持してるせいで重量超過しかかっていますから、とっとと捨てておくに限ります。
融合体ですが、戦闘能力としては取って付けた様なほっそい6本の腕に保持された巨大な刀と、口から発射される着発タイプの火球、そして全身から電撃を放射する範囲攻撃を持ちます。
お前マジシャンみてぇだな(風評被害)
何れも攻撃範囲が広い上に火力が高く生半可な装備や育成だと瞬く間に蹴散らされてしまう、正に高難易度ボスに相応しいスペックを保有しています。
特に電撃放射は極悪で、自身は空中でとぐろを巻いているくせに融合体より下方ほぼ全てが射程内と言う回避盾泣かせな攻撃範囲で此方を苦しめます。
では剣術や火球が楽なのかと言えばそんな事は全くなく、どちらも予備動作無しで使用してくる上にコンボに組み込んできたりする鬼畜さを持つので、真にやり込んだ者にのみ攻略が許される裏ボス、と言うのが
が、しかし一見非の打ち所も無いこのボスにも1つだけ弱点があります。
なんと戦闘開始直後は電撃放射しか使用せず、しかも分かりやすい予備動作で隙を晒してくれるオマケまで付いてきます。
なのでこの間に上を取るのが攻略の定石とされていますが、私もこの戦法に倣い戦闘が始まり次第足場を使ってひたすら上を目指します。
「──上! 取ったぁ!」
「我を見下すか……!」
ミスも無く融合体の頭上まで一気に駆け上がれたので、軸を合わせて──
ジャベリンはぁ! こう使う!
いやまあ全然ジャベリンでは無いのですが、隙を見つけたので赤羽刀を投擲します。赤羽刀は左右への誘導は壊滅的ですが上下はそこそこ優秀な軌道で飛んで行ってくれますので、軸さえ合えば後は適当に投げても当たります。
「■■■──────!」
第1投は無事頭部に命中しましたね。しかも眉間のど真ん中とはおっp、おっぱげた……。
耳障りな悲鳴を上げながら
ここで大切なポイントは、融合体の体表でおっぴろげてる目玉を片っ端から潰していく事です。
どうやらこの目玉は放電器官を兼ねているらしく全て破壊すると電撃放射の威力が下がるので、取り零しが無い様丁寧丁寧丁寧に潰しておきましょう。
「我にィ……近寄るなァ!」
「おおっと……」
暴れんなよ……暴れんなよ……(懇願)
1回で全て破壊するのは間に合いませんでしたか……。
潰せた目玉は凡そ半分です。が、しかしこちらの手元には後2本も赤羽刀が残っていますので倒しきるには十分でしょう。
なのでこのまま攻撃を続行します。ここで退いて相手に主導権を渡したら大幅なロスに繋がりますからね。
では第2投、振りかぶって──
そぉい!
よしよし、ちゃんと胴体に当たりましたね。流石にこれを外したら話になりませんから、一安心です。
再度融合体がスタンしたので、このまま一気に畳み掛けましょう。計算通りなら今回の攻勢でHPを削りきる事も可能な筈!
大荒魂、お覚悟を──
「──ダメ! 百重奈ちゃん!」
ファッ!?
いきなり可奈美ちゃんが組み付いて来て──流行らせコラ!
「いや! 絶対に逝かせない! 百重奈ちゃんに殺らせる位なら私がやる!」
何か勘違いしてますよこの子!
別に死ぬつもりはありませんし夜見ちゃんもちゃんと救出しますから!
って言うか力強っ。全然引き剥がせないじゃないですか!
ちょっと姫和ちゃんもそこで見てないで助けて!
「いや、その、すまん。可奈美を焚き付けたのは私だ」
お前味方じゃないのかよぉ! (驚愕)
あーもう、流行らせコラ(琉球剣風録)……流行らせコラ!(みにとじ)ムーミン野郎お前放せコラ!(人違い)
いやマジでスタン切れちゃうから離して下さいよ!
「──寂滅せよ」
ほらー!
スタン時間終わっちゃったし、アイツの事無視するから怒って放電してるじゃないですかぁ!
ね、だから1回離そう?まだ間に合うから──
「──邪魔」
「なんと──!」
さ、沙耶香ちゃん!?
確かに時間経過によって、仲間にしたキャラ達が救援に来てくれる仕様にはなってますけど、いくらなんでも早すぎるんとちゃう?
て言うかこの子、雷を斬っちゃいましたよ……。いくら覚醒してるからってどんなレベルになってるんですかねこの子は。
可奈美ちゃんじゃあるまいし、(キャラとルートが)違うだろぉ!?
「百重奈」
「は、はい……」
「──後で怒るから」
なんで?
何も悪い事してないじゃーん!
と言うより、沙耶香ちゃんが此処に来てるって事は──
「お待たせ、可奈美ちゃん!」
「Oh,アレがタギツヒメ……デスか薫?」
「いや、どう見たって違うだろエレン。オレでも分かるぞ」
「十条さん、遅くなりました!」
他の人達も来たみたいですね。今回は岩倉さん以外はデフォルトのメンバーですのでこれで全員でしょう。
ここのボイススキップ出来ないからこれ以上来られても困りますし……
「夜見……今僕が助けるからな」
「あら、それを言うなら『僕達』でしょう、真希さん?」
「ふぅん。アレが大荒魂? 1番強いって言うし、楽しめると良いなぁ」
は?
冗談はよしてくれ(タメ口)
既に過剰戦力なのに親衛隊まで駆け付けるとか、お前のチャートガバガバじゃねーかよ。
今走ってるのは本当に漫画版か?
実はとじともルート走ってたりしないか?
これもう何もわかんねぇな(CPU使用率100%)
「皆の力を合わせれば夜見ちゃんだって助けられる! 百重奈ちゃんが1人で死ぬ覚悟をする必要なんて無い!」
「……うん!」
そうだよ(全面的に肯定)
だから最初から死ぬ気は無いって言ってるダルルォ!
可奈美ちゃんが滅茶苦茶やる気を出しているようですし、もう何から何までしっちゃかめっちゃかですが最後までやり遂げるしかありません。
取り敢えず可奈美ちゃん達に頭部への集中攻撃を指示して、その間にホモちゃんにはトドメの準備をしてもらいます。
先に赤羽刀をパージします。事ここに至ってはこれに頼る必要はありません。
「……また、
今回は先程捨てた鞘を拾い直して、抜刀術の一撃で止めを刺します。やっぱり頼れるのは君だけなんやな…って(全幅の信頼)
いくら融合体でも数の暴力の前では無力なので、地上に墜ちてきた所を思う存分痛め付けてやりましょう。
「■■■──────!!」
「よっしゃ、行ったぞ白黒女!」
お、今回決めてくれたのは薫ちゃんですか。まあ彼女の一撃はほぼ全てスタン値高めなので妥当でしょう。
それにしてもホモちゃんの美貌を見ても白黒女呼ばわりする辺り、薫ちゃんはノンケですね、間違いない(悪意のある決め付け)
冗談はここまでにして──融合体にはここで往生してもらいます。
ここでタイマーストップ
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最終回/Circle of life
「──」
揺蕩う。何も無い、暗いだけの空間をどこまでも果てしなく、流されてゆく。
ここが隠世なのだろうか。荒魂達が本来「在るべき」とされる場所。光も無く、自分が浮いているのか、沈んでいるのか、或いは立っているのかすら分からない。
本当に、何も無い場所だ。
「────────見!」
だとすればあまりにも寂しい。孤独と静寂だけが支配するこの世界を生きる荒魂達は、きっととても寂しいだろう。
他者との会話も、笑い合う事も、触れ合う事の楽しさも知らずに生きるなど、私にはとても出来ない。
「──い!──かり──見!」
それもこれも全て百重奈が教えてくれた事だ。御刀を受領出来ず腐っていただけの私の世界に、彼女が色彩を与えてくれたのだ。
一緒に食べるおでんは美味しかった。共に戦う任務は心が馳せた。悪い事も沢山あったが、同時に生きる事の楽しさを知った。
だからまだ
まだ死にたくない
「──夜見! 夜見! しっかりしろ!」
これはきっと真希さんの声だろう。誰よりも強くあろうとしているけど、優しさを捨てられない。
そんな声がどこからか響く。
「──救護班はまだですの!? もう鎮圧は済んだ筈でしょう!」
焦りの中でも気品を感じさせるこの声。きっと寿々花さんに違いない。
舞草の刀使との戦いは熾烈だった筈だが、どうやら無事だったらしい。
「──夜見おねーさん、私より先に死んじゃやだよ……」
不安気な幼い声色。
ああ。どうやら結芽さんまでこの場にいるらしい。不治の病に冒された彼女の、具合が悪そうな様子は何度も見てきた。
だから舞草に捕らえられたと聞いた時には心配したものだが、どうやら無事だったらしい。一安心だ。
「──夜見、早く戻ってきなよ」
そして、彼女の──
いつも通りの飄々とした、耳触りの良いあの声が聞こえる。
そうだ、こんな所で漂流している場合ではない。それでは約束を果たせない。私は彼女と試合をすると、そう誓ったのだ。
手を伸ばす。ここが何処でも、何でも関係無い。
戻ろう。私のいるべき──いや、私がいたい場所に。
「──ぅ、あ」
目が、覚めた。
「良かった……生きてる。生きてるぞ、夜見!」
飛び込んで来たのはボロボロと涙を流しながら喜ぶ真希さんだった。普段は仏頂面の癖にこう言う時は感情的になるのも、如何にも彼女らしい所だ。
地面に横たえていた体を少し起こし周りを見渡すと、かつての敵味方問わず皆集まっているようだった。更には切断されたと思わしき大荒魂の頭部と胴体が遠くに鎮座しているのも視界に入る。
何を言えば良いのか困り果てていると、右手を誰かに握られている事に気付く。
持ち上げて見れば、それは百重奈さんと繋がっていた。
「やっほ。生き返って良かったよ」
「……ええ。お陰様で」
「これで試合出来るね?」
そう言ってニヤリと笑った彼女は、手を離して立ち上がる。
優しい温もりが遠ざかってしまい、少し残念に感じた私の口から思わずあっと声が漏れた。
「何? 寂しいの?」
益々ニヤケ面になった彼女から顔を隠す様に手で覆う。恥ずかしい、なんて物ではない。羞恥のあまり顔から火が出そうだ。
和やかな雰囲気が場に流れる。
舞草の刀使達や緊張状態だった親衛隊の皆も気が抜けたのか、穏やかに会話をしている。
「これで、全て終わったんですね」
この状態の始末、今後の対応など前向きな話が聞こえ、私は漸く事態の終結を認識した。
私も前に進もう。先ずはゆっくり休息を取って、その後罪の清算を行うのだ。人体実験やノロを1ヶ所に集める理由と言った一連の事件の原因を知りながら見逃したのは私だ。ならばその罪はちゃんと償わなければいけない。
試合をするならそれからだ。前途多難な、けれども明るい未来を思い描く私に百重奈さんは苦い笑みで返した。
「どうしたんです?」
「──
──何が?
「
突如として大荒魂の胴体がのたうち回る。大樹の幹程もある蛇の体が壁に衝突し、大きな衝突音を立てた。
パラパラと天井から端材が落ちてきて、私の頭を直撃する。
少し前までの穏やかな空気は瞬く間に雲散霧消し、皆御刀を構え直す。
一方私は、立ち上がる事すら出来ず体を起こして睨む事しか出来ない。
「ヤバ……ここ壊れるかもね……」
が、1人余裕を崩さない百重奈さんは何処か他人事の様に呟き、「それ」を肩に担ぎ上げる。
南无薬師瑠璃光如来景光
私が握っていたそれを、百重奈さんがいつの間にか手にしていた。彼女はその御刀に選ばれていないので、振るったとしても刀使としての力を発揮する事はない。
それを一体何に使うつもりなのか──
「確かさぁ、
もう一振の御刀──小竜景光も引き抜いた百重奈さんは、二刀を正面に構える。
それは紛う事なく、二天一流の構え。紫様が得意とする流派を、彼女は寸分違わず模倣していた。
──否
その状態から更に半身を引く、異様な姿勢へ百重奈は移行した。
それは凡そ一切の流派で見たことも聞いたことも無い、奇怪な構えである。
「──ッ! まさか、
姫和は驚愕のあまり、怒声に近い声でその剣技を叫んだ。
一の太刀。それは十条姫和が折神紫暗殺の為に鍛え上げた奥義であり、通常三段階が限度とされる迅移より更に高次元の迅移による突きである。
この段階に至った人間は極限の加速により、永遠に引き延ばされた「一瞬」の世界である隠世から帰還出来なくなる。
要するに百重奈は、本来姫和以外に会得した者の存在しないその技を以て大荒魂を道連れにしようとしているのだ。
「……止めて下さい、百重奈さん」
夜見は震える声で懇願した。
それは現在の夜見にはそうする以外に術が無かったからである。
もし立ち上がる事が出来るなら、いや、或いは這うことが可能でさえあったなら、夜見は百重奈に組み付いて一の太刀を妨害しただろう。
必死の懇願が届いたのか、百重奈は夜見の方へ振り返り、満面の笑みを浮かべた。
「大丈夫。──必ず戻ってくるよ」
「待っ──」
今度こそ振り返る事は無かった。
一瞬の内に百重奈の姿は世界から消え失せた。
同時に壁際をのたうち回っていた大荒魂が突如「く」の字に折れ曲がり、そのまま百重奈と同様に消失する。
何も無い虚空だけがその場に残り、静寂が場を支配した。
あまりに呆気ない、幕切れであった。
いやーどうにかなりましたね。
何度かダメかもしれないと思いましたが挫けずに走れて良かったです。
タァイムは……6:27:48.37です。
まあガバガバだった割には良好ではないでしょうか。
しかしそもそもラスボスがタギツヒメではないので、今回は参考記録とするしかないでしょう。
完走した感想ですが──
まだまだ未熟者だな、と言う事を痛感しました。
リカバリー策としてスルガ討伐を導入した事の弊害、分岐条件や覚醒条件のリサーチの甘さ。
そして些細な物から重大な物まで、焦りから来る操作ミスが多発していた事も課題の1つだと思います。
意図しないイベントに助けられてなんとか完走できた、と言うのが実情ですので反省して次回に活かしたいと考えています。
プレイ内容では、やはり小竜景光を引けたのが最大のアドバンテージでした。
序盤から最終戦まで隙の無い活躍をしており、これ無しでは完走も難しかったと思います。
また、「鹿島新當流」を選択した事もこのエンドへの一端を担っています。直接攻略には関係しないので説明を省いていたのですが、実は鹿島新當流を選択した場合のみ、十条姫和とは遠縁の親戚である、と言う設定が付与されます。
これによって、本来姫和ちゃんの役割である「大荒魂へのトドメ」をホモちゃんが代替する事になりました。
可能な限り死者を出したくない、と言う独り善がりな考えから組み上げてしまったこのチャートですが、やはりこれで良かったのかもしれません。
紆余曲折してきましたが、生きるべき人が生き本来死ぬ筈だった人も生きる。そうした「ご都合主義」もこのゲームの醍醐味ですから、視聴者の皆様にもこれを味わって頂けたら幸いです。
それではそろそろエンディングも終わりそうなので、私はここで失礼します。
ですが、この後のムービーをどうか見逃さないで下さい。一流の悲劇を三流のハッピーエンドに変えてしまう、そんな物かもしれませんがそれでも彼女に笑って欲しい。
これだけはハッキリと真実を伝えたかった。
8年が経った。
「カーネーション、アイリス、キンセンカ、アネモネ。ご注文のお花、これで全部です」
「……ありがとうございます」
花屋の店員から受け取った花束をバケツに入れ、桜並木を1人歩く。
あの頃の桜も、同じ位綺麗に咲いていたのだろうか。記憶と言うのは思ったよりずっとナマモノらしく、8年も経てば百重奈さんと見たあの日の桜の色もすっかり薄れてしまった。
そう、8年だ。
今となってはあの場にいた人間で刀使として活動しているのは私だけだ。舞草の研究者であるリチャード・フリードマンによれば、私の身体の37%を構成するノロによって刀使としての能力が維持されているらしいが、詳しい事はよく分からない。タギツヒメに寄生された折神紫と同じ理屈なのだろう。
皆、各々の道を進んでいる。
真希さんと寿々花さんは荒魂対策の更なる一手として政界への進出を決め、結芽さんの治療も未だ続いている。
特に結芽さんは当初宣告された寿命など当の昔に過ぎているのに、むしろあの頃より生き生きとしているのだから驚きだ。
他では、益子さんが刀剣類管理局の局長を継ぐ事になったと言えば百重奈さんは驚くだろうか。仕事に追われてんてこ舞いだとぼやいていたが、彼女にはそれくらいが丁度良いだろう。糸見さんも敏腕補佐として活躍している。
そうやって1人物思いに耽っていると、目的地に辿り着いた。
様々な墓石が並ぶ霊園の中で、「星家ノ墓」と刻まれた石と相対する。
「──結局、あなたとの繋がりもここ以外に失くなりましたね」
何の温かみも持たない、眼前の墓石だけが「星 百重奈」と言う人間が存在した唯一の証拠だ。
両親を早くに亡くし、天涯孤独の身として生きてきた彼女は殆ど何の私物も持っていない。鎌府の寮にもあるのは精々布団程度で、生活感を感じさせる家具類は一切持っていなかった。
事件終結以後紫様の計らいで部屋はそのままにしてもらっていたが、入寮者の増加に伴って昨年遂に撤去されてしまい、百重奈さんは帰る場所を失ったのだ。
「──」
私は百重奈さんが約束を守ると信じている。だからこうして待ち続ける事だって苦ではない。
だが、だが──
「……止めましょう」
後悔していたって何も始まらない。
3ヶ月振りの墓参りなので、墓石は相応に汚れている。
早く綺麗にしてやろう、そう思ってバケツを置いた瞬間、私の視界に「何か」が映った。
「──?」
墓石の裏から、何か細長い物がはみ出している。「それ」を手に取ってみれば、鞘に納められた刀だった。
引き抜く。
「──────ふふっ」
思わず笑ってしまった。
刀の根元、ハバキに彫られた倶利伽羅龍は、この御刀が小竜景光である事を如実に示している。
ああ、なんだ。帰ってきたのか。
途端に気分が軽くなった。
今は、彼女に繋いでもらった手を他の誰かに繋ぐ。それが私のやるべき事──やりたい事だ。
同じ空の下で生きているならいつか、どこかで会える。試合はその時にすれば良い。
人生何が起こるか分からない。それが醍醐味なのだから。
「──そうでしょう? 百重奈さん」
見上げる青い空に、桜の花びらが舞った。
・模倣芸(イベント専用)
ホモはエピローグや特定のイベントで「模倣芸」技能を使用している。それは柊の縁者だからか、それとも他の理由があるのか、考察班の議論の対象になっている。
無事完結しました。
最後は劇場版仮面ライダーキバの主題歌流せば良い感じに終わる気がします。
それはさておき、ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
現在「タギツヒメ最速暗殺RTA」を検討していますが、如何せん形になるか分からないので一先ずこの作品は完結したものとして考えて頂けるとありがたいです。
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【ver1.1】1話暗殺ルート 第1回
1/29 19時頃 そこそこ加筆しました。
はい、よーいスタート(棒読み)
アップデートされた剣撃アクションRTA、はぁじまるよー!
ニューゲームを選択するのと同時にタイマースタート。ストップはタギツヒメの消失が確認された瞬間とします。
キャラクリ画面では躊躇い無く性別を女性にします。
この世界で男性なんて選択しても物理的な戦闘力はショッカー戦闘員以下なのに加えて、当チャートでは頻繁に対人戦闘を強制されるので余程のマゾヒストで無い限りないお奨めは出来ません。
次に名前の設定ですが、以前述べた様に天体や神に関する漢字を入れるとステータスに多少の恩恵を得られます。
それを鑑みた上で諸々の事情と入力速度を考慮し「
さて、ここからが追加要素となります。
以前走らせて頂いた「漫画版離反ルート」ではこの後流派と所属校だけ選択して後はランダム生成だったのですが、今回はver.1.1にアップデートされた事で追加された詳細設定を行ってからスタートします。
さて、先ずは流派ですが今回はアニメ、漫画の主人公である衛藤可奈美ちゃんが修めているのと同じ「柳生新陰流」を選択します。
柳生宗厳(石舟斎)が創始した歴史ある流派であり、柔道の動き等を取り入れた技が特徴です。「無刀取り」と言えば視聴者の皆様にも分かりやすいでしょうか。
ゲーム内ではややカウンター中心のオールマイティな戦闘スタイルとなっており、初心者向けと言えるでしょう。
所属校は「美濃関学院」にしておきましょう。
すると年齢設定が13才で固定されますが、これは原作キャラと絡みやすくするための措置でしょう。
同じ新陰流を修める可奈美ちゃんがいるので熟練度上げに打ってつけですし、舞草と協力している美濃関であれば無理無く琉球剣風録に介入出来るメリットもあります。
さて、ここからは詳細設定ですが、今回設定するのは「所属組織」、「交友/血縁関係」の2項目です。
試走と検証を行った結果、所属組織を「舞草」、血縁関係を「十条姫和と親戚」にする事で両者の接触イベントを安定して発生させる事が可能であると判明しました。
折神紫(を乗っ取ったタギツヒメ)の暗殺と言う目的が一致しながら接触が無かったのは姫和ちゃんにそれなりの事情があるからなのですが、今回はタイムの為の犠牲となってもらいます。
では張り切って、イクゾー!(デッデッデデデデ)
(刀使饅頭生成中……)
OPをスキップし、ランダムで設定される初期スキルを確認します。
実はアップデート前から初期スキルは存在するのですが、一部を除いて序盤にしか作用しないしょぼいスキルばかりです。大方序盤のスタートダッシュをやりやすくする開発からの粋な計らいなのでしょうが、前回はタァイム短縮の為確認せずに進めていました。
が、しかし今回は「相互理解」を引き当てた場合のみ大幅にチャートを変更する事になるので避けては通れません。
……
今回引き当てたのは「邪推」ですか。種類を問わずイベントの発生率を小アップする効果を持ちます。
文字通り種類を問わないので、プレイヤーに悪影響を与えるイベントも発生しやすくなると言う諸刃の剣的側面もありますが、ままええやろ。(4敗)
ついでに御刀も確認しておきましょう。大抵の物なら問題は無いのですが、カウンターのリーチが致命的に短くなる短刀が装備されていた場合はリセット確定です。(17敗)
今回は……「山鳥毛」ですね。
鎌倉時代中期に作られたとされる太刀で、姫鶴一文字や鉄砲兼光と同じく上杉家御手選三十五腰の一口ではないかとされる名刀です。反り返った刀身が美しいですね。
刃長も約80cmとリーチも申し分ないので、特に問題はありません。
お前中々……良い引きしてるじゃねぇか(自画自賛)
さて、スキルと装備の確認も終わったのでシナリオを進めていきましょう。
序盤は可奈美ちゃん(と舞依ちゃん)との強制イベントが多発するので、暫くはボタン連打ばかりで見所さんがありません。
ですので
当RTAの目的、今後の目標について説明します。
まず当RTAの目的ですが、アニメ「刀使ノ巫女」第1話で姫和ちゃんが行った折神紫(に寄生するタギツヒメ)の暗殺を成功させる事です。
アニメ、漫画、とじともの全てで失敗している暗殺を成功に導くのは至難の技ですが、不可能と言う訳ではありません。
舞草を率いて御前試合の決勝戦を滅茶苦茶にしつつ親衛隊と警備から姫和ちゃんを守り、その上で折神紫のHPを0にするだけなので出来ます(443敗)
当然並大抵の戦力では太刀打ち出来ないので、此方も相応の装備と面子を調える事になるのですが、これが中々……難しいねんな。
ざっと書き出すと
・ 姫和ちゃんの舞草加入、ないしは協力関係を築く
・ 稲河暁のパーティ加入
・ 沖縄に派遣される
・ DARPA研究員リディア・ニューフィールドの説得及び伊南栖羽と朝比奈北斗のスカウト
・ 柳生新陰流の習熟度カンストと、その派生スキルである憑依芸の取得
・ 御前試合決勝戦への進出
・ 可奈美ちゃんに勝つ
が攻略の最低条件となります。
その為何度も試走を繰り返し、洗練された当チャートでも相当ギリギリの勝負を強いられ、ガバが許されない極限の戦いを繰り広げる事になってしまいます(287敗)
残念な事にのんびりとやっていられるのも4月の間だけなので、今の内に青酸っぱい学生生活を堪能しておきましょう。
「じゃあ依奈ちゃん、また放課後ねー!」
──お、丁度イベントも終わりますね
一頻りガールズトークに花を咲かせた可奈美ちゃんが去った後、こちらも動き出しましょう。
2週目に入るまでは荒魂討伐と試合に参加出来ないので、ひたすら木刀の素振りをします。離反ルートでは敏捷値と筋力を上げる為に筋トレ一辺倒でしたが、今回は技量カンストを目指すので此方をやって行きます。
お前をテクニシャンに仕立てや……仕立てあげやんだよ
お前をテクニシ(噛み)……シャンにしたんだよ(過去形)
お前をテクニシャンにしてやるよ(妥協)
と言う訳で、4時間程ひたすら木刀を振っていきましょう。
今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
「──舞衣ちゃん、こっちこっち!」
「か、可奈美ちゃん!そんなに急がなくても……」
日も沈み、夜の闇に漬け込まれた校舎を2人の少女が疾走する。
美濃関学院は刀使の育成、荒魂の討伐を目的として設立された学園なので、常に出動出来るよう必ず刀使達が待機している。その為、学舎の明かりが消えると言う事は無いが、日中の活気は見る影もない。
「もう7時半も過ぎてるのに、本当に練習しているのかしら……」
「昨日も一昨日もやってたんだから、今日も絶対やってるよ!」
舞衣の疑問に、可奈美はさも当然とばかりに答える。
正直な所、舞衣は可奈美の事をそれはそれはもう心配していた。何処でも明るく、ムードメーカー的存在である可奈美の交遊関係は広いが、それにしても彼女の剣術バカっぷりは凄まじい。
文字通り寝ても覚めても剣術の事しか考えていないその姿勢には周囲もやや引いており、舞衣も「本当に大丈夫なのか」と思う事も少なくない。
(可奈美ちゃんが言うからには、よっぽどなのね……)
そんな可奈美が、「話の合う友達が出来た」と喜色満面に話すのだ。
ひょっとして益々「沼」に沈んで行くのではないか、と危惧した舞依は1度直接会ってみたいと可奈美に話した。
するとあれよあれよと言う間に話が進み、気が付けば何故か「友人」の練習風景を道場に見学しに行く事となっている訳だ。
「──!まだやってるみたい!」
「ちょっ、ちょっと待って……!」
道場の中から、何かが空を裂く音がする。一気に加速した可奈美は、勢いそのままに道場の扉を開け放つ。
舞衣の視界に、艶やかな黒髪が映り込む。
思わず見惚れるが、頭を振って正気に返る。
「ん?誰?──って、可奈美じゃん。どしたの」
「見学させてもらおーかなって!」
「別に良いけど──その人誰?」
「友人」の緋色の瞳が、舞依の視線と交わる。
此方を値踏みする様な、何とも言えない視線を舞依は毅然として押し返す。
「柳瀬 舞衣と申します。いつも可奈美ちゃんがお世話になってます」
彼女の視線に負けてはならない。舞衣は強い意思を込めて「友人」を見つめ直した。
その様子に少し驚いたような顔になった彼女は、やがて表情を満面の笑みに変え、手を差し出した。
「私、星切 依奈──よろしくね」
お久し振りです。初投稿なので短めですがもしかしたら加筆するかもしれないです。
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第2回
岐阜羽島の人、ごめんなさい!
何ととじみこRTAを綾小路武芸学舎で走る強者が現れたようです。嬉しいなぁ…(感涙)
https://syosetu.org/novel/213405/
全然戦わない剣撃アクションRTA、はぁじまるよー!
前回は素振りをしていたら可奈美ちゃんと舞衣ちゃんが見学に来た所で終わりでしたので、そのまま続きをやっていきたいと思います。
いやー、それにしても舞衣ちゃんにはビックリしました。まだパーティに加入していないので確認出来ませんが、あれは相当初期の精神値が高いですね。
精神値はパリィの受け付け時間や異常耐性に影響を及ぼすステータスなので、高ければ高い程良いです。そして初対面の時に威圧をかける事で、相手の初期精神値がどれくらいなのか判断出来ます。好感度が少し下がりますが、この程度誤差だよ誤差!
舞衣ちゃんの実力はメインとして使うなら1線級とは言い難いですが、サポートとしてなら活躍が期待出来るので一応やっておきました。が、今回は大当たりですね。
もしここで目を逸らしたり圧に屈したりするようだったら、精神値が低い証拠なのでベンチ入り確定でした。
さて、良い収穫もあったのでそのまま進めて行きましょう。
前回のパートで述べた通り、最初の1週間は他人との稽古や荒魂討伐が出来ないので基本的には素振りをします。
が、しかし水曜日の放課後だけは鍛練ではなく高等部の学舎をうろつきます。すると大分端の方に赤いバイクが停めてあるので、それをよーく目に焼き付けておきましょう。
「なんだろ、あのバイク。派手だなぁ……」
「あれは稲河さんのバイクね……毎日乗り回してるのよ。って、中等部の子が何でこんな所に?」
よし、ちゃんとイベントが発生しましたね。
あれは前回攻略の為の最低条件として挙げた
彼女は特化した能力こそありませんが全ステータスがハイレベルで纏まっており、漫画1巻~アニメ12話に相当する第一部で仲間に出来るキャラの中ではトップクラスに優秀です。
基本的に、日中の彼女はツーリングしている為遭遇する事は出来ませんが奇数週の水曜日、偶数週の金曜日は美濃関に戻ってきています。
今回は初回なので直接会話する機会はありませんが、次回以降は周辺をぶらついているので積極的に会いに行きましょう。
美炎ちゃん関連のイベントから友好度を上げる方法もあるにはあるのですが、如何せんそちらは手間取る上に長ったらしい物ばかりなので今回は此方の手法を使います。
そんな訳で美炎ちゃんのファンには申し訳ないのですが、今回彼女の出番は少なめです。御前試合予選で必ず当たる以上対策はしますが、そこまで深い関係に至る事はありません。
さて、高等部の見回りも終わったので鍛練に戻ります。効率はあまり良くありませんが、これも今週の間だけです。
鍛練!食事!就寝!って感じでパパパッとやって、終わり!
(刀使饅頭素振り中……)
おはようございまーす!
今日は折角の日曜日なので1日中自室でゴロゴロ──と言う訳にもいきません。(RTAなんだから)当たり前だよなぁ!?
それでは早速鍛練──ではなく先ずはスマホの連絡先を漁りましょう。
……
えーっと、ありましたね。姫和ちゃんの連絡先です。
これが前回行った詳細設定のメリットですね。これで「友人」や「親戚」に設定すると、相手の連絡先が最初からスマホに登録されています。
アップデート以前の仕様だと、行動範囲の問題からどうしても同じ組織の中で固まりがちだったので、素直に嬉しい追加要素ですね。
じゃあサクっとかけてしまいましょう。
「はい、十条です──」
──ハイ、もしもし。すいません、あの、折神さん家にぃ
「は?──いや待て。どういう事だ。詳しく教えろ」
──あ、さ、じゃあ美濃関来てハイ、ヨロシクゥ!
「だから待てと言って──」
よし!上手く呼び出せたな!
「折神紫が荒魂に乗っ取られている」と言うのは舞草内部の人間であればそこそこ知られている話ですので、当然末端のほよが喋ったとしても問題はありません。
また、折神紫とチョコミントに関する話題なら姫和ちゃんは必ず食い付くので、今の様な適当な会話でも態々奈良県からやって来てくれます。
とは言ってもいきなり呼び出されて大分不機嫌なので、好物のチョコミントを与えましょう。このファーストコンタクトに失敗すると大幅なロスに繋がり今後の予定がどんどん苦しくなるので、有り金全部叩いてでも買い占めます。
夢の片道切符を買おうぜ!
(刀使饅頭購買中……)
いやー、30分で5万!の買い物は中々財布に効きますね。お陰で最高級チョコミント菓子とか言う意味不明な物がタワーになって自室に積まれています。
さて、奈良から岐阜まではそこそこ距離があるので、姫和ちゃんが来るまで少し時間が出来ました。
ですのでその時間を使って、ちょっとした裏技を使います。
──ヘイ可奈美ちゃん!ちょっと「良い事」しない?
「柔道の特訓?良いよー!」
……走る度に思うんですけど、なんで「良い事」で此方のやりたい事を理解してくれるんですかね。コレガワカラナイ。
兎も角、可奈美ちゃんを巻き込んで柔道をやりましょう。
柳生新陰流は柔道の動きを取り入れた流派の為、特訓する事でステータスだけでなく熟練度も上昇します。そこに弱冠13才にして流派を極めている可奈美ちゃんを合わせれば、一気に熟練度を稼ぐ事が出来てうん、おいしい!
まぁそんな上手い話ばかりではなく、技量値が一切増加しない等、当チャートを進める上での問題も発生するので一長一短と言えるでしょう。
「……」
おや、舞衣ちゃんが物陰からこちらを窺っていますね。何してるのかよく分かりませんが、どうせなので一緒に巻き込んでしまいましょう。
特に人数が増える事でデメリットがある訳でもないですし。
「柳瀬さん何してんのー?」
「──ッ!?い、いえ何でも……」
「ははーん。さては混ざりたかったんだなぁ?」
「ち、違います!」
うわぁ千切れそうな位首を横に振って否定してますね。
ですが勢いで押せばやってくれる筈です。嫌って言ってもするんだよ柔道を……
「えー。舞衣ちゃんも特訓しようよ、特訓」
「可奈美ちゃん、違うの……!私、そう言う事じゃなくて……!ちょ、ちょっと袖を掴まないで……!」
「ほらほらー。やろうよー」
ああ^~
美少女が絡み合う様はいつ見ても堪らねぇぜ(ノンケへの転身)
レズはホモとも言うし、まあ多少はね?
(刀使饅頭柔道中……)
よし、丁度良い時間になったので特訓を切り上げて姫和ちゃんを迎えに行きましょう。
このゲームの岐阜羽島は、構内にコンビニすら無いだの無能駅だの罵られている現実と違って、美濃関学院のお陰でそこそこ栄えています。年頃の少女が集う以上娯楽は必須ですから、需要があれば供給もあるって、はっきり分かんだね。
なので駅前のカフェにでも行けば心行くまで話が出来ますし、なんだったらディナーも楽しめるでしょう。
姫和ちゃんをもてなすにはピッタリと言う訳です。
チョコミント菓子を抱えて改札で待機しましょう。
今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
「か、可奈美ちゃん……いくら何でも止めようよ……」
「うぅーん。やっぱり気になっちゃうよ……」
「あのさ、2人とも何の話してるの?」
チョコミント菓子が無理矢理詰め込まれた紙袋を両手で抱える少女は、柱の陰に隠れた
「いやほら、やっぱ気になっちゃうよ……だって、日課の特訓してないみたいだし……」
「可奈美ちゃんじゃないんだから……きっと星切さんも休みたいのよ」
「だから何の話してるの……」
3人──衛藤可奈美、柳瀬舞衣、安桜美炎は揃いも揃って出歯亀を敢行していた。
遡る事1時間、日課の素振りをせずに何処かへ向かう依奈を発見した可奈美は、その興味の赴くままに尾行を開始した。
道中で奇行を訝しんだ舞衣と
「可奈美ちゃん、今日は出直し──」
「あれ、平城の子じゃない?」
流石に度が過ぎるのでは、と可奈美を嗜めようとした舞衣はしかし美炎の言葉に閉口した。
見れば確かに依奈と濃緑の制服──平城学館のそれを着用する少女が親しげに話す様子が舞衣の視界に入る。
(──なんで平城の子がここに?刀使として出向と言う訳でも無さそうだし……)
怪しい。あからさまに怪しい。
こんな時期に他校の、それも見る限り中等部の生徒との接触をただの友人付き合いだと割り切る事が舞衣にはどうしても出来ない。
初対面の時にいきなり威圧された事も合わせて、舞衣の中の言葉にし難い疑問がどんどん膨らんでいく。
「──もうちょっと、見守りましょう」
結局、彼女が自らの探求心に屈するまでに大して時間はかからなかった。
・美炎ちゃんとは深く関わらない(あちらが絡んで来ないとは言っていない)
・舞衣ちゃんのほよに対する不信感がデカすぎる、訴訟。
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第3回
やっとこさ戦えないRTA、はぁじまるよー!
「──で、何で折神紫の真実を知っているんだお前は」
「なんでってそりゃあ──私ら、舞草だぜ」
「舞草?」
「そう、舞草。荒魂との共存を図るクリーンで平和な組織さ」
おや、いきなり剣呑な雰囲気ですね。まぁ姫和ちゃんの事情からすれば仕方のない事ですが。
と言う訳で、今回はまず姫和ちゃんの説得をやっていきたいと思います。
まぁ話す事は単純です。折神紫を乗っ取った荒魂の存在、相模湾岸大災厄の真相については彼女も承知しているので、此方は舞草のアピールを徹底します。
いきなりバラしてしまって大丈夫なのか、と疑問に思われる兄貴もいらっしゃると思いますが、これは
頭がカチカチの
取り敢えず丁寧丁寧丁寧に舞草をプロデュースしてあげれば理解はしてもらえる筈です。
「嘘だな。隠蔽された全てを知っていて、ここまで何の行動も起こさない組織がクリーンとは笑わせる」
「そこはこっちとしても耳が痛い所でねぇ。まぁ世間の目を考えれば仕方ない所もある」
あっそうだ(唐突)
しばらく味気ない会話ばかりで暇なので、未プレイや未視聴の兄貴の為に「相模湾岸大災厄」について……お話しします。「刀使ノ巫女」における全ての事件の発端なので何となくで良いから理解していってくれよなー、頼むよー。
事が起こったのは20年前の1998年9月。
突如として相模湾に観測史上最大の大荒魂「タギツヒメ」が出現。
タギツヒメは相模湾岸から上陸し、藤沢市等に壊滅的な被害をもたらしながら北上しますが機動隊、自衛隊の奮闘によって江ノ島へと追い込まれ、特別祭祀機動隊の中でも指折りの精鋭で構成された特務隊によって鎮圧されました。
この作戦から生還した折神紫を始めとする
が、しかし研究試料として大量のノロを持ち帰ろうとしたアメリカの輸送船が事故を起こし、海中に流出したそれらが結合して大荒魂の出現を引き起こした、と言うのが実情であり謂わば「人災」であると言う事実が隠蔽されています。
また、実際に特務隊に参加していたのは8人であり2名分の記録が抹消されています。
本来は可奈美ちゃんの母である「藤原 美奈都」と姫和ちゃんの母である「柊 篝」も所属していて、この戦いにも参加していました。
篝さんは自身の命と引き換えに大荒魂を鎮める封印術を継承しており、鎮圧に当たって隊長と言う立場から彼女に人柱になる事を強要しなければならない紫様は、徐々に精神を磨り減らしていきます。そして、その事情を知らない美奈都が儀式を止めようとした結果揃って隠世に飛び込んでしまった事で、いよいよ心の限界が来たのです。
封印の危機にあったタギツヒメは「2人を現世に呼び戻す」などと甘言で失意の紫様を惑わし、そのまま同化してしまいました。
要するに紫様も被害者の1人なんですね。
紫様は同化されてからどれ程自我が残っているのか分かりませんが、全国のノロを折神邸に集めさせる一方で
話を本筋に戻しますが、前述の甘言でタギツヒメが提示した通り美奈都も篝さんも現世に戻って来ました。
しかし刀使としての力を失い儀式の反動も半分ずつ返った結果、2人共寿命を大きく削られてしまい、家庭を築いた後に亡くなってしまいます。
残された姫和ちゃんは篝さんの遺品整理の中で真実が記された手紙を発見し、折神紫への復讐を決意した──と言うのが此処までの大まかなあらすじです。
原作ではこの思いを岩倉さんにちょっと見抜かれながらも1人で抱え続け、御前試合の決勝で遂に暗殺を決行してしまうのですが──このチャートでは必要ねぇんだよ!(暴言)
「成る程、言わんとする事は理解した。要するに舞草に加担しろと言いたいんだろう」
「そうそう!力を貸してくれるとありがた──」
「断る」
なんで?(殺意)
嫌って言ってもするんだよ協力を……。
「手助けなんて必要無い。これは私が始めた復讐なのだから、私が決着を付ける」
「それは──」
冗談は止してくれ(タメ口)
好感度が低い訳では無さそうですけど、だからと言って協力する気すら無いのはおっp、おっぱけた……。
……て言うか、これってまさか──
「……だが、そちらの事情は理解した。何か情報があれば『利用』させてもらう」
ですよねー!
本当にビックリさせないで下さいよ!
簡単に説明させて頂くと、これは大体0.5%程度の確率で発生するレアパターンです。ほぼ全てのキャラクターに「レア反応」が設定されているのですが、姫和ちゃんは特にツンケンした感じで来るので驚いてしまいました。
それにしてもこんな所で運を使ってしまって大丈夫でしょうか。後で反動が来ないかとても心配です。
さて、大量のチョコミント菓子を貰ってホクホク顔の姫和ちゃんを見送ったらやる事も無いので、速やかに就寝しましょう。夜更かしなんてお肌に悪いだけだから早寝早起きが美容の秘訣だって、はっきり分かんだね。
(刀使饅頭睡眠中……)
おはようございまーす!
さぁ2週目が始まりましたが、今週から荒魂討伐が解禁されます。
一気に出来る事が増えてこれもうわかんねぇな、となる兄貴もいるかもしれませんがやる事は単純です。
今日から5月末まで荒魂を斬って斬って斬りまくって合間に可奈美ちゃんと鍛練するだけ、つまり稽古!暴力!就寝!と言うクッソ地味なサイクルが約2ヶ月続く事になります。
と言うのもこれにはゲームシステムが密接に関係しており、こうせざるを得ないと言うのが実情です。
ver1.1では荒魂討伐任務の達成数に応じて行動範囲と難易度が拡大していきます。実力を認められた刀使がより激戦区に派遣され、全国をたらい回しにされる現象を再現したのでしょうがこれが曲者で、鎌府以外の伍箇伝は関西に存在します。よって関東、特にイベントが多い東京都に行きたくても行けない、苦しい運命を背負う事になります。
最初は鎌府スタートも検討しましたが、そうすると可奈美ちゃん対策が取れず御前試合で敗けてしまうので泣く泣く美濃関を選んだ、と言う悲しい経緯もありました。(27敗)
なのでなるべく急がないと東京に行けない、と言うのが理由の1つです。
期限を5月末までとしたのも、琉球剣風録キャラへの干渉を考えたギリギリのラインがそこだっただけで、決して何となくと言う訳ではないです。
何しろ6月に入ったら『単独で』スルガを『鎮圧』したり、拉致を行ったり、事と次第によっては折神邸への単身殴り込みも視野に入って来るので、今がステータス底上げのラストチャンスです。
(やる事が多すぎて)狂いそう……!
と言う訳で、早速討伐に赴きましょう。
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
通販で注文したコンセプトワークスを待てずに投稿する二次創作者の屑。
まぁホモはせっかちだし、しょうがないね。
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第4回(前編)
※今回やや過激な描写があるのでご注意下さい
大胆な犯罪行為でゴリ押すRTA、はぁじまるよー!
前回は姫和ちゃんと接触し、説得を試みた所で終わったので、そのまま続きをやっていきたいと思います。
現在5月の中旬頃となっていますが、前回の最後で言った通りひたすら鍛練と荒魂討伐を繰り返した結果、遂に東京都まで出張出来るようになりました。お陰で美濃関内では「全国飛び回ってたまに中等部に現れるへんなの」扱いされていますがガン無視して刀剣類管理局の犬になりましょう。
加えて一緒に稽古をしている可奈美ちゃん、毎週水曜日にバイク談義で駄弁っている暁ちゃん以外とは殆ど接触が無いので、舞衣ちゃんからの好感度はズタボロだと思いますがそれはもう仕方ない事と諦めます。
そんな訳で今週も東京にやって来た訳ですが、任務の合間に原宿に行って物資調達をします。
「ロングコート、か。似合うかなぁ」
衣類店に行けば、ありきたりなロングコート(フード付き)が売っているので購入しましょう。
これを装備する事で所謂「フードの刀使」状態になれます。防御力には何の変化もありませんが一定の隠蔽効果が付与され、面識のある者が至近距離まで接近しない限り正体を看破されなくなります。
(風景と)合体してるから(犯罪を行っても)安心!と言う訳ですね。
続いては刀剣商「青砥館」に足を運びましょう。
美濃関学院の刀匠専科等ショップ的な役割をする場所はそれなりにありますが、やはり青砥館の品揃えに勝る物はありません。
視聴者諸兄もRTAを走るに当たって拵えを変えたい、と思った時は先ずここに行ってみる事をオススメします。
まぁ買い物はしないんですが。
先程のロングコートと、チョコミント菓子の買いすぎで財布の中が素寒貧になってしまったので、無駄遣いしてる余裕は無いです。
では何をしに来たのかと言えば、盗み聞きです。今回もスルガに対して殴り込みをかける訳ですが、捜索イベントを発生させるには「南无薬師瑠璃光如来景光が行方不明になっている」と言う会話を聞かなければいけません。
これを満たさない限りどれだけ捜索してもスルガに辿り着く事は出来ないので、不審者扱いされようが厄介客だと思われようが何時間でも粘ります。
(刀使饅頭張り込み中……)
……よし、イベントが始まりましたね。
2時間近く待ってようやくとは、お前……中々焦らすじゃねぇか。
イベントを聞き終わってしまえばもう用はありません。さっさと移動してしまいましょう。
スルガが潜んでいる鎌府の施設は大まかには決まっているようですが、具体的な場所は毎回ランダムになっています。仲間を用いた人海戦術が使えない場合はしらみ潰しに探していく事になるので、戦闘も合わせて大変時間がかかります。
11.4倍速しても相当に時間が余るので
何故リディア・ニューフィールドを
彼女は新型のS装備を開発したDARPAの研究者ですが、その実態は『琉球剣風録』における黒幕です。新型ストームアーマーには珠鋼が密かに搭載されており、着装者に圧倒的な力を与える代わりに精神が汚染されると言う致命的な欠点があります。
加えて刀使としての力を失った人間でも迅移や写シを使えるようになる、と言う奇妙な能力もあり、彼女はこれを用いて折神紫への反抗を企てていました。
しかし、舞草と親衛隊の活躍によって決起は失敗。自らもS装備を使用した事によって精神に異常をきたし、現在は都内の精神病院に収容されています。
と言う訳で、彼女の折神家への敵愾心は相当な物です。
紫様とは1つ下の世代の刀使だったらしいので、恐らく嫉妬から来る物だと思われます。今回はこれを利用して彼女にほよ専用のS装備を作ってもらいます。
「三角形になって、3人で復讐しねえか?」とでも言えば割とアッサリと協力してもらえますが、万が一と言う言葉もありますので命の手綱を握ってやると良いでしょう。
なので三角形になるためにスルガを先に落としに来た、と言うのがここまでの経緯です。
「終わりだね」
「馬鹿な……吾レが、吾レが負ける……?」
さて、そうこうしている内にスルガを撃破しました。技量全振りに勝てる訳無いだろ!
この程度の相手に苦戦していたら可奈美ちゃんには勝てないって、はっきり分かんだね。
取り敢えず良い感じに床に這いつくばっているので、適当に縛り上げて吊るしておきます。
それでは早速──
「おい、待て。何をする!止め──」
──今回調教する荒魂は、スルガっ。
何とも表現し難いマスクと、均整の取れた体(嫉妬)
この年齢不詳の人っぽい荒魂は、私の交渉術に耐える事が出来るでしょうか。
それでは、ご覧下さい。
■■■
何と情けない事だろうか。
鎌府の者共に身体を弄くり回され、打ち捨てられ、挙げ句の果てに縛られて宙吊りとは、情けないにも程がある。
それもこれも、眼下で赤羽刀の山にはしゃいでいる女のせいだ。
「赤羽刀がひぃ、ふぅ、みぃ……鎌府もすんごい事をするなぁ」
今日の今日まで、折神紫への復讐心だけを礎に生きてきたと言うのに、このフードの刀使によって吾レの怒りはアッサリと打ち砕かれてしまった。
「なんだったのだ、吾レの戦いは」
「ん?」
悔しさよりも、悲しさよりも先に、空虚が襲いかかってくる。何も成せず、何も残せず、一体吾レの戦いに何の意味があったのか。
なまじ人の形を取っているが故に、鎖から抜け出す事も抵抗する事すら出来ない。
完全に、詰んでいた。
かくなる上は──
「──ッ!」
「あぁーっ!待った、待った!」
舌を噛みきって自害する。
もはやそれしか吾レに道は残されていないだろう。
最も、人では無いから死ぬ事も出来ないが。しかし人としての形を失えば、吾レの身体を構成するノロは
女が大慌てで駆け寄って来るが、もう遅い。
人としての死を迎えれば、まだ再起出来る。まだ戦える。まだ──
「だから、駄目だって!」
「ムグゥッ!」
口の中に指を突っ込まれ、無理矢理抉じ開けられる。指ごと噛み切ろうとしても、皮膚が鋼鉄の様に硬く変質し、まるで歯が立たない。
そう、八幡力と金剛身の合わせ技が、たった一つの選択肢すら吾レから奪い取ったのだ。
「ううーん。抵抗を止めるまで腕突っ込んどこうかな。ずっと口を開けっ放しなのも中々辛いと思うよ?」
「──!」
「大人しくする?」
誰が、誰がそんな事をするものか。
決意を籠めて睨み返せば、フードから覗く女の唇が吊り上がる。
と同時に吾レの舌を弄んでいた女の指が、喉奥にまで突き込まれる。
異物感が体を支配し、条件反射的に逃れようともがくが、じゃらじゃらと鎖を鳴らすだけに留まる。
それは真綿で首を絞めるかの様な穏やかな拷問。自分の中に異物が存在すると言う快感と苦痛の矛盾が、消える事なく吾レを苛む。
かつての実験ですら感じた事の無い、おぞましい「何か」が行われていた。
「ね?苦しいでしょう?大人しくしてくれたら、すぐに止めるんだけどなぁ」
「──!」
「ね?『トモダチ』になろうよ」
なんだ、この女は。
底知れぬ恐怖が体を突き抜ける。何を考えているのか。何がしたいのか。まさか、まさか吾レが屈服するまで弄び続けるつもりなのか。
ただその表情は間違いなく愉悦に歪んでいて、どうしようもなく楽しいのだと言う事が窺える。
「大人しくする?」
苦しい
「大人しくする?」
苦しい
「大人しくする?」
苦しい?
「大人しくする?」
──本当に?
「おとなしくする?」
吾レ、は────
・ほよ
やべーやつ。刀剣類管理局はこんなサイコを野放しにしちゃいけないと思うんですけど(名推理)
・スルガ
かわいそうなやつ。
鎌府の実験で苦痛には慣れてると思うんですけど、緩やかなのはどうなんでしょうかね。
・リディア・ニューフィールド
剣風録のやべーやつ。重傷を負って入院中だったけど現在は都内に移送されている。
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第4回(後編)
結論から言えば、吾レの心は空が白み始める頃に折れた。
朦朧とする意識の中で、「自分」と言う最後の砦がボロボロと崩れ去っていくのを自覚するのが、吾レの限界だった。
「──する!大人しくする!だからもう止めてくれ!頼む!」
「本当に?」
「ああ。何でもするから、お願いだから、許してくれ……!」
あぁ、言った。遂に言ってしまった。人の形をした悪魔の甘言を受け入れてしまった。
吾レの言葉に満足したのか、悪魔はニッコリと笑みを浮かべて口からふやけた手を引き抜いた。
鎖をほどかれ、数時間振りに地上に降ろされた吾レに悪魔は手を差し伸べる。
「そっか!いやー良かった良かった!分かってくれたんだね!」
「吾レはお前に逆らわない。それで良いのだろう?」
「──違うよ?」
腕をガッシリと掴まれ、力強く引っ張られた事で吾レは勢いそのまま悪魔の胸に飛び込んでしまった。
抱き締める──と言うよりは絡めとる様な抱擁に包まれ強ばった吾レの耳元で、悪魔が囁く。
「私とキミは『トモダチ』だ。私は鎌府の奴らみたいにキミを使い捨てたりしないし、キミも私を裏切らない。ね?簡単でしょう?」
「ほ、本当か──?」
──「トモダチ」になれば吾レは1人にならない?害されもしない?
それは崩れかかった「吾レ」へのトドメの一撃に等しかった。
そんな筈は無い。コイツも鎌府の奴らと何も変わらない。そう思おうとしても「裏切らない」の一言が脳の中に突き刺さって強く主張する。
「勿論。キミが私を裏切らなければ、私は絶対にキミを裏切らないとも」
ただし、と悪魔が歪んだ笑みで此方を覗く。
吾レを嬲っていた時とはまた別の、ネットリとした湿度を持つ笑顔が視界一杯を埋め尽くす。
「もしキミが私を裏切ったら、分かるよね?」
鼻と鼻がぶつかる程の至近距離から突き刺す視線に、堪らず目を逸らして──その先に、吾レの口に突っ込まれていた手が写り込む。
「──!」
瞬間、あの悪夢としか言いようがない時間がフラッシュバックする。
幻聴だと理解していても、脳に刻まれた悪魔の哄笑が想起される。
『うーん。全然大人しくならないなぁ。それならこっちもとことん付き合っちゃうゾ!』
『あはははは!粘る粘る!ホントスゴイよキミ!』
単純な苦痛では無い、苦しみも快感も一緒くたに纏めてぶつけられ、自分から自分が欠落するおぞましい感覚が全身を走り抜ける。
アレは、アレだけは嫌だ。
またあんな目に遭うくらいなら──
「そう、そうだ。吾レとお前は『トモダチ』だ。だろう?」
あんな目に遭う位なら、「トモダチ」で良い。
いや、
それは強い自己暗示となって、吾レ自身の心を塗り替えた。「トモダチ」になる事で苦痛と孤独から解放される。そう心の底から思い込む事で、自らの安定を図ったのだ。
「うんうん! 分かってくれて嬉しい!」
吾レの返事に気を良くしたのか、トモダチは軽いステップで距離を取り、此方へ右手を差し出した。
「じゃあ改めて。私、星切 依奈!キミの名前は?」
「吾レは、スルガ。──お前のトモダチだ」
躊躇う事なく差し出した吾レの手と依奈の手が繋がれる。
もう後戻りは出来ないが、これで良いのだ。
しかし、それはそれとして面白くない事もある。
吾レは荒魂で、依奈は刀使。そして吾レが依奈に敗北した以上、折神紫への復讐はもう叶わない。
「トモダチ」の方が余程楽しいが、だからと言って怨みが消える訳でも無いのだ。
「どうしたの? 何か悩みがあるなら相談してよ」
「──良いのか」
「勿論。だって、それが『トモダチ』だから」
どうやら傷心が顔に出ていたらしい。
先程の愉快そうな表情から一転、心配する素振りを見せた依奈が吾レの頬に空いた手を添える。
『トモダチ』とは困った時に相談出来る者。即ち依奈の事に他ならない。だったら包み隠さず言ってしまおう。
「実は──」
思い返せば、苦しい時に話を出来る相手など何処にもいなかった。
常に孤独で、言葉を交わすどころか生命体として見てくれる相手すらいなかったのだ。
それに比べてトモダチがいる事の何と幸せな事か!
「ふふ。なぁんだ。そんな事かぁ」
「そんな事とは何だ。吾レの生きる理由だったのだぞ」
一通り話し終えると、依奈は何故かうんうんと頷きながら吾レの肩をバシバシと叩いてきた。
──何だか、バカにされてるみたいで不愉快だ。
「じゃあ、一緒にやろっか」
「──へ?」
ハイ。と言う訳で工事完了です……。
殆ど洗脳と言っても過言では無い程の過酷な交渉によって、スルガを仲間にする事が出来ました。
以後彼女は従順な戦力としてあちこちで活躍してくれます。滅多な事では離反したりはしませんが、過度なストレスを受けたり再度拷問に掛けたりすると正気に戻って裏切ってしまうので、基本的にはスルガの言う事やする事は全肯定してあげましょう。血気に逸って折神邸に突撃したりしなければ問題はありませんが、稀にとんでもない事をやらかすのでそこは注意が必要です。
「ね、ね。ちょっとノロ分けてくれない?」
「別に良いが、何故だ」
「好きな相手の一部を取り込むってステキだと思うなぁ。分からない?」
「そうか?いや、吾レには分からん……」
さて、折角スルガを仲間に出来たので、彼女から少量のノロを注入してもらいます。お前精神状態おかしいよ……。
彼女もドン引いていますが、必要な事なので多少無理矢理でもお願いしましょう。
と言うのも、スルガのノロを接種すると両者の間でテレパシー的な物が可能になり、一々端末で連絡を取る必要が無くなります。美濃関に戻らなければいけない時も遠隔で指示が出せるので大変有用です。
少量であれば他の刀使にバレる事も無いので、やらないと言う手はありません。
それが終わり次第、今度は鎌府女学院を襲撃してS装備を1セット奪取します。いくらリディア・ニューフィールドが優秀な科学者だからと言って、無から有を作り出す事は出来ません。なので彼女を
まぁ実際に襲撃するのはスルガが生み出した荒魂で、ほよは防衛網に「穴」を作って手引きをするだけです。
確かにほよ単独で実行する方がタァイム的には正しいのですが、万が一ヘマをしてバレてしまった時に再走が確定してしまうので、より安全な選択肢を選んでしまいました。(18敗)
ビビりスギィ! と思われる方もいるかもしれませんが、ここでガバると後が全部ガバガバになるので石橋を叩いて砕く位の心持ちで挑むしかありません。
では張り切って、イクゾー!(デッデッデデデデ)
今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
誰もいない学舎を、1人の少女が駆け抜ける。
『正門前は押し返しています!このまま大型を抑え続けて下さい!』
『専科の安全確保はまだ終わらないんですか!もう保ちませんよ!?』
『先行している刀使は1階から撤退して下さい。2階に防衛線を張り直します』
「──」
耳に装着したインカムから聞こえる戦況は一進一退の様相を呈していて、それが少女の足を一層早めさせた。
窓の外から覗く中等部の学舎は所々から火の手が上がっており、伍箇伝の一校としての誉れ高い姿は黒煙に霞んでいる。
少女の名は伊南栖羽。鎌府女学院中等部の2年生である。
(速く──もっと速く!)
事態の発生から1時間と30分が経過しても、未だ学院内に侵入した荒魂の掃討は為されていない。
突如出現し学舎を我が物顔で荒らし回る異形に対して、高津学長は折神紫親衛隊の投入で決着を図ったが、荒魂の津波とも形容出来る程の物量に苦戦を余儀なくされている。
そんな中、比較的被害が少ないと思われた研究棟に荒魂が侵入したとの情報が仮設司令部に舞い込んだ。
先端技術が集中する研究棟が破壊された場合、損失と世間からの批判は厳しい物となる。
しかし、やや外れた位置に存在する研究棟に構っている余裕も無い。
司令部が出した結論は、遊撃手として奔走する栖羽を態々呼び戻し、たった1人の救援として差し向ける事だった。
昨年の沖縄での一件から実力を見込まれた──と言われれば聞こえは良いが、実際に期待されているのは時間稼ぎである。
栖羽自身も勿論それを承知しており、故にこそ必死になって走っているのだ。
何だかんだ言って困っている人を助けてしまう、彼女らしい一面の発露でもある。
(──でも)
しかし、栖羽はどうしても1つの疑問を解消出来ずにいた。
(ホントに、
星切依奈。
その名前を今の鎌府で知らない者は1人としていないだろう。
半月程前から鎌府に出向し、恐ろしいまでのペースで荒魂を狩り尽くすその少女。
曰く「鬼神」。曰く「機械刀使」。
荒魂を倒す事以外に何の興味も示さない、戦闘マシーンの様な「問題児」がこの学院には存在している。
そして任務において幾度か行動を共にした事もあって、栖羽は依奈の実力もそれなりに理解しているつもりなのだ。
だからこそ、そんな彼女が
どちらも依奈らしくない、何か意図があるのではないかと言う疑念が栖羽の中に渦巻いている。
それとも彼女の手に余る程の強敵──即ち大荒魂が出現したか。
(……それは無いよね)
質の悪い冗談に、普通に考えて有り得ないと栖羽は思い直す。
(兎に角、確かめないと始まらないかな。うん、変な事考えるのは止めよう)
悩んでいても仕方ない、と頭を振った栖羽はようやく視界に捉えた灰色の建物──研究棟へと走り続けた。
・ほよ
サイコテロリスト。コイツ精神状態おかしいよ…。
・スルガ
めでたく「トモダチ」が出来た。
・伊南栖羽
琉球剣風録の主人公の1人。実力は平均以下らしいけどガッツがやべーやつ。
既に剣風録から半年以上しており人間的にも実力的にも成長。
だからこそほよを疑う事もする。
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第5回(前編)
いよいよ犯罪もクライマックスのRTA、はぁじまるよー!
前回は荒魂に鎌府を襲撃させた所で終わったので、そのまま続きをやっていきましょう。
もうS装備の強奪には成功したので、ほよには研究棟で時間稼ぎを演出してもらいます。
迫真であればあるほど増援の人達にも疑われ辛いので、荒魂さんには本気で襲ってもらいましょう。
既に技量がカンストしているので、何体で掛かってこようが捌くのに必要な時間は大して変わりません。
なんだったらスルガとテレパシーで会話をする余裕だってあります。
つい先月まではひよっ子だったのに、お前いつからそんなテクニシャンになったんだ……(呆れ)
『それなりの量のノロを取り込んだと言うのに、既に順応しているのだな』
「相性が良かったって事でしょ、そりゃあ」
ここで重要なのは、増援が来るまでにHPを半分以下にしておいて、彼女らとポジションを交代してもらう事です。
それを言い訳にして拉致に赴く事になるのですが、HPに余裕があると受け入れて貰えないので、大幅ロスとなります。
事と次第によっては再走も検討するレベルなので、しっかりと調整しておきましょう。
「──無事ですか!?」
「やぁ。伊南さんだっけ。お勤め御苦労様」
来たわね。
今回は──栖羽ちゃん1人ですか。
学長からの評価で増援の人数や面子が変わるのですが、結芽ちゃんか沙耶香ちゃん辺りが来ると荒魂を押し付けるのが楽になります。栖羽ちゃんでも舞草勧誘をしやすくなるのでまぁ良いでしょう。
栖羽ちゃんに交代を持ち掛ける時は、断定口調で話すと説得が容易です。
「私は1度司令部に後退するから、ここを任せても良い?」
「……分かりました。1人で持たせられるかなぁ」
「大丈夫大丈夫。期待してるよぉ」
SU姉貴ありがとナス!
弱気の栖羽ちゃんを励ましつつ研究棟から一歩踏み出して──迅移で都内へ向けてダッシュします。
姫和ちゃんでもない限りいきなり3段階迅移等出来る筈も無いので、予め戦闘中に体を暖めておきました。
だから荒魂と戯れる必要があったんですね。
それでも行って戻ってを40分以内に済ませないとヒスおばに怪しまれるので、ギリギリの勝負になります。
レズはせっかち。はっきり分かんだね。
幸いにも病院自体が比較的神奈川県に近い場所にあるので、道を間違えたりしなければ間に合う筈です。(4敗)
「……」
ハイ、到着しました。
記録は11分45秒と自己ベストを更新したので、しみじみと眺めております。こういうのを専門用語でロスと言います。
……何て言うか、今回はやけに上手く行きますね。逆に不気味な位です。
「……行かないと」
気を取り直して、(元)DARPA研究員拉致を敢行します。(計画とかそう言うのは)無いです。
ここからは力に任せたゴリ押しです。
「お待たせ!アイスティーすら無いけど良いかな?」
「──驚いたな。本当に間に合わせるのか……」
取り敢えず付近で待機しているスルガと合流したら、突入──はしません。
リディア氏が監禁されている場所は記憶しているので、刀使としての力を用いて外壁をよじ登り窓から侵入します。
「ヒィッ!な、何よお前!?」
「オロナイン、抑えろ!」
「え、吾レもこの茶番に乗らねばならんのか……」
後は腹筋ボコボコにパンチ食らわせて、気絶した彼女を担いで帰還するだけです。今晩は寮の自室に置いておく事になりますが、まぁ仕方ないでしょう。
スルガに運ばせるのもアリですが、万が一にも目撃や逃走されたりした場合リカバリーが非常に難しくなるので、今回はほよの手で直接お持ち帰りする事にしました。
では帰りも来た道を全速ダッシュで戻るだけなので、11.4倍速に甥のKMR、加速します。
(刀使饅頭移動中……)
ハイ、無事自室に帰還する事が出来ました。
「──ッ!──ッ!」
「だぁれも助けに来ないよここ。すっげえ防音性だからさ」
先ずリディア氏が抵抗出来ないように両手足を拘束し、猿轡を噛ませたらクローゼットに放り込んでおきます。お前もう生きて帰れねぇな?(誇張表現)
こうしておく事で部屋に侵入されない限り、彼女の存在を秘匿する事が出来ます。クローゼットは他人の会話を盗み聞きする時と言い、大変便利なアイテムですね。
さて、本来ならこのまま戦線に復帰する所ですが、少し時間に余裕が出来たのでステータスの確認をします。
……何か、技量カンストまでにかかった期間や今回のタイムアタック等、身に覚えの無いバフがかかっている気がするんですよね。おそらくキャラメイク時にランダム設定にした項目の何かが作用した物だと思われます。
思い過ごしだったら楽なのですが、どうにも気になって仕方がないので確認しておきましょう。
(刀使饅頭確認中……)
別に異常無い様ですけどねー。どの辺がおかしいんですかぁ?(AKYS)
うーん、絶対何か変なんですけどねぇ……。
…
……
あっ、これかぁ!(発見)
どうやら詳細設定から弄る事が出来る項目の1つの、「経歴」がステータスに作用しているようです。
この項目は、文字通りゲーム開始時までの経歴を設定する項目です。
例えば「名家のお嬢様」と設定すると所持金が増えたり、「問題児」と設定すると初期好感度と引き換えに精神が上昇しやすくなったりします。
技量がやたら上がり易いと言う事は、おそらく「専科志望」がランダムに選択された──んん?
想定に比べて経歴が悲惨すぎるだろ……。
「刀自」と言うのは「刀使ノ巫女」における刀使の初期設定です。
古来より自らに御刀の神性を降ろし荒魂を討ち果たす神薙の巫女の通称として用いられ、体内に
この設定と上記の「被験者」と言う経歴から考えると、ほよは何らかの実験によって体内に珠鋼を保有する事になった一般刀使であると推測されます。
スルガの
荒魂の特徴の1つとしてノロが結合して擬似的な脳を形成する事が挙げられます。より多量のノロが結合する程思考能力が上昇する訳ですが、恐らくスルガに手を突っ込んだ時にノロを吸収して彼女の思考能力を奪ってしまったのでしょう。
ノロと御刀は元々1つの物質であったが故に本来の状態に回帰しようとするのは自然な事と言えますから、スルガを責める事は出来ません。
しかし現在ほよの体内には両者が独立して存在するので、「刀自」にして「冥加刀使」と言う大変ややこしい状態になっています。
敏捷値の上昇や技量値のカンストが異様に早かったのもこれが原因です。
……
…………
もう止めたくなりますよRTAぇ……。
ドウスッペ……ドウスッペ……(優柔不断)
この「被験者」は舞草やDARPA、果ては親衛隊等の組織から身柄を狙われやすくなると言うとんでもないデメリットがあります。
また、各組織のトップは程度の差こそあれ最初からほよの経歴についての情報を所持しており、直接接触するような事があれば滅茶苦茶警戒されます。あーもうチャートが滅茶苦茶だよ……(ぼやき)
ぶっちゃけ縛りプレイ専用の「経歴」なのですが、何でこれを本走で引いてしまうのか、私には理解に苦しむね(ペチペチ)
しかし本当なら再走する所さんなのですが、割と調子良く進んでいるのでぶっつけ本番で走り続けようと思います。(心機一転)もう再走したくないし…
今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
「……全国振り回されて、やっと休暇だってのにまた任務かよ」
「安心しろ。今回の相手は荒魂じゃない」
「マジか。それならもっと早く言えよブラック学長」
「……お前がそれで良いなら良いんだが、少し現金すぎないか?」
「良いの良いの。荒魂相手じゃないって事はアレか?サボって良いヤツか?」
「ダメに決まってるだろう。今回はコイツの監視だ」
「……ふぅん。冴えない顔してるけど、コイツが何かしたのか」
「何って訳じゃないが、兎に角不審だ。まぁ資料は後で渡すから、移動中に見とけ」
「分かったよ。ほらねね、起きろ。任務だぞ」
「ねー」
・ほよ
やべーやつである事が発覚したやべーやつ。
人体実験の被験者だけど、それをやったのは一体何神紫なんでしょうかね。
・リディア・ニューフィールド
哀れ
・???
身の丈より遥かに長い御刀を背負ってるアイツ。
正直めっちゃすき
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第5回(後編)
「ハイ、元気ー?」
「──ッ!」
「うんうん、元気そうだねぇ」
何も見えない。何も喋れない。
手も足も縄で縛られて、リディア・ニューフィールドは一切の行動を封じられていた。30も越えた女が息を荒げて芋虫の様に這いずる姿と言うのは、きっと恐ろしく醜いのだろう。或いは悪趣味な見世物として笑い飛ばすか。
彼女を拉致し、今地面に転がした上で放置している「何者か」はどうやら後者のようだが。
「あー、リディア・ニューフィールドさーん?1度しか言わないからよーく聞いてねー!」
「──!」
目隠しをされる直前にリディアが目撃したのは、人にあって人にあらざる者。
──荒魂。そう、間違いなくあれは荒魂だった。ヒトの形を取ろうが、言葉を話そうが、長年研究として荒魂と付き合ってきたリディアの目を誤魔化す事は出来ない。俄に信じ難いが、その様な特異個体も存在するのだろう、とリディアは心の中で結論づけた。
(それより、コイツは一体ナンなのぉ……?)
それよりも重要な事がある。
この女は何者か。荒魂を従え、終始人を馬鹿にしたような、ヘラヘラした態度で拉致と言う凶行を行ったコイツは何なのか。
混乱するリディアの脳に、少女の呪詛が滑り込む。
「抵抗したら指を1本ずつ落とす」
「──」
「指だけ斬るとかやった事無いから、とっても痛くなると思うよ」
剥き出しの狂気が平坦な言葉に乗せられて耳の中に木霊する。
言葉と同時に、重い鋼の感触がリディアの指に伝わった。間違いない。今、少女はリディアの手に御刀を当てているのだ。
慌てて抵抗を止めれば、玉を転がすような笑い声が降ってくる。
「うんうん。聞き分けが良くて助かるよ。ねぇスルガ?」
「──そうだな、気の毒だが」
(何なの、コイツ──!)
なんだこの少女は。
異常だ。狂っている。
この局面に於いて何の意味も無い感想だけが溢れていく。そう、こんな事を考えていても事態は解決しない。
コイツの目的は何だ。要求は何だ。
考えろ。自分の命が尽きる最後の一瞬まで、足掻くしかない。此処で死ぬ訳にはいかないのだ。折神紫への復讐も、何も果たせずに死ねるものか──!
「ようし、本題に入ろう!」
必死に打開策を考えるリディアの事等お構い無しに、少女は次の議題へと舵を取った。
不気味なまでの快活さを感じる声と共に彼女の目隠しが外され、久方ぶりに感じる光の鋭さに堪らず目を閉じてしまう。
次いで猿轡も外れ、リディア・ニューフィールドは自身の首から上に於いて一切の自由を取り戻した。
「やっほ!初めまして!」
徐々に強い光に慣れてきた目を開けば、此方を見下ろす黒髪黒目の少女と視線が交わる。
何か言わねばならない、と彼女は考えたが、長時間閉じられなかった口からは掠れた音だけが発せられた。
状況から考察するに、まだ高等部に進級すらしていないこの幼い少女が
次いで目に飛び込んだのは、降着装置を展開し鎮座する小型の航空機──いや、コレは。
「リディア先生、貴女には──
「コレ、は──」
ああ、間違いない。
その輪郭だけで昨年の屈辱が思い出される。舞草、親衛隊、朝比奈北斗に伊南栖羽。何もかもが彼女の想定を越え、計画の一切合切を滅茶苦茶にしたその装備。
DARPAの技術の粋を結集した、妄執の結晶。そして荒魂から人類を守護する剣の鞘。そう──
「また、
「そう言うコト」
リディアにとって計画の象徴である珠鋼が搭載されていようがいまいが、紛れもなくそれはS装備の輸送用コンテナだった。特別祭祀機動隊と刀剣類管理局の管理下にある筈のそれを、何故この少女が保有しているのか。疑問が脳を埋め尽くす。
「ハイリスクノーリターンなんて真っ平ご免さ。この為だけに鎌府を襲撃したんだから、嫌とは言わせない。それに逃げようったってそうはいかないよ。こうして私達に拘束された以上、
──力を合わせるしかないんだよ
紡ぐように、歌うように少女が語る。リディアの想定していた逃げ場を塞ぎ、意思をへし折り、無力を痛感させる。もう私達に協力するしかない、諦めろと強い口調で
どの口が言うのか、と罵倒の1つでも返したかったが、指1本が代償と考えるとそれも憚られる。
澄んだ瞳が、リディアのさ迷う視線を捉え、絡めとり、離さない。ただの眼球に、リディアは捕獲されてしまった。
「勿論勝機はあるよ。折神紫が無防備に姿を晒し、隙を突いて強襲出来る機会が1度だけあるんだ」
「へぇ……?」
此方を覗き込むその瞳。
幾万の人々と何ら変わらない筈の眼に、この瞬間リディアは狂気を見出だした。
「御前試合、あるでしょ?アレの決勝が私達の起死回生。
正気で語れるものか、人を殺すと言う事が。正気で為せるものか、
それを当然のように語るこの少女、正に外道。正に狂人。
リディア・ニューフィールドはこの名も知らぬ少女の狂気をその
「私達──私と、あなたと、スルガは持てる限りの全技術を、能力を、精神を総動員して折神紫をぶち殺す」
恐るべき計画が、まるで明日のおやつを楽しみにする幼子の如き純粋さで、詳らかにされる。
それは剰りにも大胆不敵。剰りにも単純明快。ただ力を重ねて、打ち込むと言う無理、無茶、無鉄砲の全てを兼ね備えた暗殺計画が、少女の口から刃となってリディアを貫く。
だが──リディアは感極まった。この少女は、凶行を語っているのではない。かつてリディアが成し遂げられなかった
憎んで妬んで、追いかけて追い付けなかったあの背中。この少女はそれに飛びかかり、牙を突き立て、食いちぎろうと言うのだ。
「上手く行けば英雄。失敗すれば希代のテロリスト。さぁ、選んで?」
「──そう、そう。そう言うワケ?」
リディアは嗤った。
彼女がただ平穏を享受する人間なら、この提案を一蹴しただろう。
ただ生きる事に身を任せる獣ならば少女に斬られたであろう。
だが、この女もまた理性と狂気を同時に宿す、常軌を逸した存在である。
「イイわぁ。やってやろうじゃない」
狂気を完全に理解出来るのは狂気のみ。
たった今、彼女の中の
リディアは自らの手足に絡み付き、動きを妨げる概念の一切合切から解き放たれたのである。
その爽快感たるや!リディアは先程まで恐れていた少女に感謝すら覚えた。
気付かぬ内に、リディアの体を戒める縄は外されていた。
「じゃあ、改めて初めまして。私、星切依奈」
「えぇ、えぇ。初めまして。私はリディア・ニューフィールド」
2つの狂気が、固い握手によって結ばれる。人にあって人にあらず。獣にあって獣にあらず。女達は人の皮を被った『鬼』へと変貌を遂げたのである。
・ 『現人鬼』星切依奈
もう分かってる方も多いと思われますが、モチーフの1人が散様(覚悟のススメの方)です。いよいよブレーキがぶっ壊れます。最終的には『装甲軍鬼 依奈』とかやるんじゃないすか?(適当)
・ リディア・ニューフィールド
よく考えれば珠鋼を動力にしたS装備を作る人が正気な訳無いと思うんですけど(凡推理)
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第6回(前編)
今回は大分短めです。
昔から、剣術が好きだった。
それは
試合はもっと好きだ。
相手と技術を、努力を、発想をぶつけ合うその一瞬が他の何より楽しい。
色んな流派があって、色んな刀使がいる。皆の剣術を見るのが楽しくて、わざと試合が長引くようにする事だってあった。
それは相手にとって何よりの無礼だって分かってるけど、打ち合いから伝わる「心」は何より綺麗だった。
そう、剣術は人を語る。
油断があれば無意識に加減してしまうし、迷いがあれば太刀筋も揺らぐ。
反対に、気を引き締めて迷いを断てばそれは必勝の一太刀になる。
その時の健康状態、コンディション、全てが反映される以上剣は口より雄弁だ。
だから──
だからこそ、彼女の心が分からない。
美濃関学院中等部2年、星切依奈──依奈ちゃんは、私の理解を超えた人間だった。
初めに会った時は溌剌とした、裏表の無い人だと思った。それは打ち合いからも簡単に読み取れた。
基本を徹底した鮮やかな剣筋には惚れ惚れしちゃった。初志貫徹って口で言うのは簡単だけど、そうそう出来る事じゃない。
それだけ積み重ねた努力が感じられたから、きっと悪い人じゃないって思ったんだ。
……まあ、ちょっとおどけた喋り方をするからビックリする事もあったけど。
『ダメだなぁ、私。これじゃ満足出来ない』
『依奈ちゃん……?』
1ヶ月位一緒に鍛練して何かがおかしいって思った。
依奈ちゃんは、不気味な位に基礎的な事しかしていなかった。ただ振って、振って、それで終わり。
試合の時も、悪く言ってしまえば「つまらない」物だった。仕方無くやっていると言う雰囲気がありありと伝わる、侮辱行為ですらあった。
何でそんな事をするのか、と聞けば適当にはぐらかすばかりで、私には何も教えてくれなかった。
全く何を考えているのか分からなくて、私もただ困惑するだけだった。
『よ、依奈ちゃん!もう止めようよ!3日連続でなんて無茶だよ……!』
『……別に。それより、こんなんじゃ足りない。もっと、もっと斬らせてよ』
でも、1度荒魂を斬ったあの日からもっと依奈ちゃんはおかしくなった。
毎日毎日、授業が終われば先輩達にくっついて荒魂討伐に向かった。休みの日も関係無く、昼夜問わず荒魂と聞いただけで飛び出していっちゃう。
刀使の使命は
だけど依奈ちゃんは違う。
まるで機械のように、ただ淡々と荒魂を斬る。斬って、斬って、そうして足りない「何か」を埋めている。
なのに斬った後は満面の、いっそ不気味な位明るい笑顔になる。
どれだけ傷付いても、どれだけ苦しくても。
依奈ちゃんは何も語らない。
自分の事も、他人の事も。
全てに線を引いて、その向こう側から此方を眺めている。
いつも浮かべている薄い笑みだって、他人を誤魔化す為の仮面でしかない。
だから。
だから────
「
「ふぅん。なるほどねぇ」
午後10時、美濃関学院の武道場で私と依奈ちゃんは相対していた。
鎌府での一騒動が終わり、戻ってきていた依奈ちゃんを呼び出したのは私。
こんな時間だから巡回の警備員以外が通らないし、それもついさっき行ったばかりだ。
──つまり、思う存分闘える。
「バレたら1発でアウトだね。御刀返納の上退学処分間違いなしだ」
「勿論!よく理解した上で言ってるよ」
夢で
『んー。私に覚えは無いけど、可奈美は私の娘なんだよねぇ?』
『そ、そうだよ。それが何か──』
『だったらぶつかってみるしかないでしょ』
『え──』
『私も可奈美もさ、多分器用な方じゃない。手先が、とかそう言う話じゃなくて生き方がかな。そんなに賢くあれる訳じゃないのよ』
『まあ、そうかも……』
『なら自分に出来る方法でぶつかって、本音を引き出してみるしかない。それが私達には
右手で
確かにそうだ。剣は言葉以上に雄弁だ。怒りも喜びも悲しみも、人の意思は刀に乗る。
なら剣で問いかけよう。ちょっと野蛮かもしれないけど、これが私のやり方だ。
私が迷えば迷うだけ依奈ちゃんは遠くに行くから、もう何も考えない。思ったままをぶつけるだけ。
「さあ、やろうよ。2人だけの決闘」
「……分かったよ」
依奈ちゃんが
この2ヶ月で、依奈ちゃんは変わった。最初の穏やかな雰囲気は消え失せて、もっと鋭い、それこそ刀のような抜き身の気迫を漂わせている。
だけど、それはねえ?
──落とし下段で余裕ぶって、思ったより頑固って事?
良いよ、分かった。
どこまでも隠し通そうって訳だ、依奈ちゃんは。でも構えで分かっちゃうよ、それ。
それならもう言葉なんていらない。最初から全力全開、どの道喧嘩なんだから後先なんて考える必要もない。
問答無用で依奈ちゃんの鉄仮面ひっぺがして、その下の素顔を拝んでみせる。
「────覚悟してよね、依奈ちゃん」
・衛藤可奈美
落とし下段で余裕こいて、思ったよりヒゲです!(人違い)
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第6回(中編)
何でもしますから!
「──やぁっ!」
「──ッ!」
観客はおろか、明かりすら無い武道場に鋼が閃く。模擬戦ではない。
写シを展開し迅移を用いた、
攻める少女、名を衛藤可奈美。
守る少女、名を星切依奈。
両者の力量は一見して互角──のように見える。
「どうしたの依奈ちゃん!こんなものじゃないでしょ!?」
「……言ってろ!」
技術なら勝っている、と可奈美は確信した。
思い返せば依奈は「基礎」に異様なまでの執着を見せていた。寝ても覚めてもただ無心で、自らに基礎を徹底させていたのだ。
2ヶ月前は不安を抱いているのかと思った。基礎を完遂せずに応用を学ぶ事への恐怖が彼女を練習に駆り立てるのだと、そう勝手に思い込んでいたのだ。
だが、違う。
(間違いない。依奈ちゃんは基礎から先を
依奈は歪だ。剣術の応用という言葉にまるで興味を示さなかった。
荒魂を効率的に討伐する事を望みながら、何故か頑なに成長を拒んでいる。例えるなら、地震でもビクともしない基礎を作っておきながらその上に態々掘っ立て小屋を建てるようなモノだった。
普通に考えてもおかしい事なのだから、剣術に熱心な可奈美が理解出来ないのは無理もない話と言える。
基礎しか用いてこないと言う事は、剣筋のパターンが少ないと言う事だ。そして滅茶苦茶に振り回した所で相手に通用する筈もないのだから、可奈美は自らの優位を確信したのだ。
が──
(──でも、押し切れない)
もう何合打ち合っただろうか。
可奈美は最初からカウントするつもりが無かったし、恐らく依奈もそうだ。ただ思いを乗せて、打ち込む。それが何十分も続いているのだが、勝負が付く気配は一向に見当たらない。
既に攻守も決まっていて、幾度となく打ち込んだのに何故か攻めきれないのだ。
可奈美はそれを「経験」の差だろう、と推測した。
実際の所、依奈が討伐任務に従事するようになってからまだ2ヶ月も経っていない。しかしながらその僅かな期間で渡り歩いたのは特に過酷な戦場である。中型から大型の、複数の刀使で対処するのが当然とされる任務を単独でこなす様は誰がどう見ても異様だった。
つまり荒魂との過酷な闘争に進んで身を投じた事で、人並み外れた危機察知能力を手にしたのだ。
その証拠に────
「──やっぱり」
逆袈裟が空を裂く。
踏み込む直前で、つんのめるようにして依奈が立ち止まったからだった。
試合なら、姿勢を崩せばそこで終わりだ。しかし実戦ならまだ悪足掻きには繋がる。
とことん頑固で、諦める事を知らない少女の1面が発露した瞬間である。
「コレも、避ける」
「──くぅぅっ!」
そして、立て直しも素早い。
前傾姿勢から獣のように飛び退った依奈は、5間程の距離を空けて再び下段に構え直した。
此方に踏み込ませず、踏み込まない。無理に踏み込んだらその分下がって、そしてまた距離を取らされる。
掴み所が無い依奈の生き方そのものだ、と可奈美は思った。2ヶ月程度の付き合いしかない可奈美でも、剣を重ねればすぐに分かる事だった。
剣術でも人間関係でも、距離の取り方に於いては達人の域に到達しているに違いない。
──だから、逃げる前に押し入ってみせる。
これは喧嘩だ。
譲れない「何か」の為に互いの本心をぶつける儀式なのだ。そこには道理も善悪も関係なく、剣術すら相手の主張を引き出す為のツールに過ぎない。
口で言うより
が、依奈からすれば不本意な事この上ないらしい。
「──ち、気色悪いんだよ!」
「酷い事言うなあ」
他人の心を剣で読み取るなど常人のする事じゃない、と依奈は吐き捨てるように言った。しかも可奈美の「悪い癖」は最大限発揮されている。相手の底を見透かし、もっともっとと飽くなき強さへの探求を見せるその様が依奈は気に食わないのだ。
「ホントは終わらせられる癖に手加減なんかしてッ!」
「そんな事してないッ!」
「嘘を言うなぁっ!最初に会った時からずっとそうだ!」
最早剣術とは呼べない、独楽のように半回転した依奈の薙ぎが可奈美を急襲する。
「──ッ!」
可奈美の首を両断する筈だった一閃は、しかし彼女が残像と共に消失した事で空を裂いた。
「2段階か──」
可奈美は迅移の段階を引き上げ、一気に加速して剣閃を回避したのだ。
そして御刀を振り抜いた事でがら空きとなった依奈の背後から──
「貰った!」
流れ星である。
闇夜に沈む道場に、剣と言う星が流れたのである。
正に神速と呼ぶしかない速度で放たれた可奈美の「突き」が依奈の左脇腹を食い破った。
「うぐうううっ!」
「獲った──」
写シを展開していれば、肉体に損傷を負うことはない。
が、痛みに限ってはそうではないのだ。腕を落とされればその痛みを感じ、全身を切り刻まれれば同等の苦痛を体感する。
故にこの瞬間、星切依奈は自身の胴体が真横から串刺しにされる苦痛を余すことなく受け止めているのだ。
「──いいや、まだだ!」
しかし濁った咆哮と同時に、依奈の全身が黄金色に光り輝く。
咄嗟に飛び退こうとした可奈美は、想定外の固い手応えに驚愕した。
「千鳥が抜けない……!?」
そう、金剛身である。
肉体を瞬間的に硬化させる能力を御刀が突き刺さった状態で発動し、千鳥を自らの体内で固定したのだ。
(御刀を奪うつもり──!?)
一瞬の内に可奈美は依奈の戦術を看破した。
刀使の能力は全て御刀を介して発動する。迅移も八幡力も、御刀をその手に握っていなければ行使する事は出来ないのだ。もし御刀を手放してしまえば、そこに残るのは非力な少女である。
依奈は最初からこの一瞬を狙っていたのだ。
(引き抜くのも、間に合わない──)
依奈は既に山鳥毛を振り上げている。
回避不能、防御不能の一撃必殺が打ち込まれ────
一見依奈と可奈美の他には誰もいないかに見えた道場だったが、しかし問答無用、情け無用の決闘を傍観する者達があった。
「おいおい……!ヤバいなアイツら」
「ねー……」
頓狂な声を上げたのは舞草の刀使「益子薫」と守護獣「ねね」である。
今、1人と1匹の視線の先では、可奈美が振り下ろされた御刀を左手で受け止めた所であった。
たとえ無理な姿勢でも、刀使の強化された筋力による一撃はバカにならない。
この場に於いてもそれは例外でなく、可奈美の腕は肘まで真っ二つに裂けてしまっていた。
しかし可奈美は苦痛に顔を歪めているものの戦意は衰えず、互いに押すも退くも出来ない膠着状態に陥っているのだ。
とても正気とは思えない、と薫は1人ごちた。
「て言うか何で決闘してんだコイツら……。バレたら停学どころの騒ぎじゃ済まないだろうに……」
そもそもからして薫がこの場にいるのは単なる偶然である。夕刻頃に美濃関に降り立った薫は、羽島学長への挨拶もそこそこに寮舎へと向かっていた。
その途中本当に偶々、しかし彼女にとっては不幸な事にこの異様な剣戟音を聞いてしまったのである。
そうして興味の赴くまま道場に忍び込み、物陰から決闘を観察しているのだ。
しかもなまじ監視対象が当事者であるが故に見なかった事にも出来ず、立ち往生しているという訳だ。
そして観察者はもう1人いた。
「可奈美ちゃん……」
胸の前で祈るように両手を重ね、親友の名を呟く少女あり。
柳瀬舞衣である。
彼女がこの場に現れたのは、決して偶然ではない。
「最近思い詰めてると思ったら、こんな事をするなんて……」
ここ1ヶ月程、可奈美は「異様」であった。
表面上は普段通りの笑顔を絶やしていなかったが、時折思い出したように複雑な表情をするのだ。
やりきれないような、憧れのような、何とも言えないその表情を見る度に、舞衣の心は締め付けられた。
何か出来ないのか。何か支えになれないのか。
そうして悩み続けたまま、「その日」を迎えてしまったのである。
今日、いつにも増して「異様」な表情を浮かべた可奈美は放課後になると同時に姿を消した。
彼女らしからぬ行為に不安を覚えた舞衣は学舎中を探し回り、そうしてようやくこの道場に辿り着いたのだ。
(私は……私はどうすれば……)
決闘の終わりは見えない。
そして舞衣が己の苦悩に解答を見出だすのも、今ではないのだ。
「……はぁ」
かちかち、きちきちと機械を弄くり回す音が静寂な空間に響く。
「……はぁ」
「ちょっとぉ、そんな溜め息吐くなら手伝って頂戴」
「吾レに機械弄りをしろと?」
馬鹿も休み休み言え、と荒魂スルガはぼやいた。
何もかもが、この数日の内に起こった。
突如現れた少女に折神紫への憎悪をへし折られたと思えば焚き付けられ、口車に乗せられて鎌府を襲ってみれば
全く思考が整理出来ていないのだ。異常事態の嵐が過ぎ去った後で、ぽかんと呆けているのがスルガの現状である。
「何がどうなっているのだ……」
「何だって良いじゃない。私達の行動原理は折神紫への復讐だけでしょぉ?」
「それはまあ、そうだが……」
しかもこのぶっとんだ狂人と2人きりである。
気が滅入るとかそう言う次元ではない。いっそ自分を限界まで分割して思考能力を喪失してしまおうか、と思う程にスルガはげんなりしているのだ。
せめて依奈がいれば──と、既に大分歪められた思考でぼやきつつ、この倉庫に鎮座する航空機へと向き直った。
「で、これはどう改造するのだ。刀使専用の装備を輸送する物だとは聞いているが、ミサイルにでもするのか?」
「──あらぁ」
まあそんな訳ないか、と苦笑したスルガだったが、少し意外そうなリディアの表情に底知れない不安を抱いた。
「よく分かったわねぇ」
「
どうやら想像以上に
確かに人間相手には有効な手段だが、本当にそんな事をしようとする輩がいるとは──!
いよいよ頭を抱えそうになったスルガを他所に、リディアは語り始めた。
「まあそれだけではないけど。どうせ2度目はないのだからコンテナ部分は使い捨てるとして本来の輸送手段としての目的も果たす必要があるわええ絶対に何がなんでも是が非でも折神紫を殺して潰して斬り捨てて誅殺して解体して晒して勝利する為の最終装備を作り上げるの──ところで」
「うん?」
「S装備の『S』は
「ああ、それが?」
「それってぇ、おかしいとは思わない?ストームなんて、刀使には全く関係ないじゃない。不適切な事この上ないわぁ」
「まあ、そう──いやそうなのか?」
「だからぁ、私が作るのは本当の『S装備』。目的と手法を洗練した究極の支援装備にして、機械と刀使と荒魂、三位一体が織り成す究極の
「故に刀使と言う抜き身の剣を納める
「──そう思わない?スルガ」
・5間
約9mらしい。
・スルガ
頭が狂ってしまった人と2人きりの相対的常識人。
かわいそう。
・S装備(シースアーマー)
コンセプトワークスより。正直こっちの方がネーミングセンス良いと思うし沙耶香ちゃんの五連装村正見てみたかった。
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第6回(後編)/超越
随分久し振りなRTA、はぁじまるよー!
はい、大変御無沙汰です。
ここ数回はストーリー的に重要なシーンが多く、出来るだけゲームの雰囲気に没入して頂けるよう黙っていました。
解説役なんて必要ねえんだよ!
──と、言いたい所ですが流石にRTA走者の端くれを名乗っている以上、自らの使命を放棄する訳にはいきません。
早速、前回までの解説を始めましょう。
まず突然可奈美ちゃんが決闘を挑んできた件についてですが、これは偶然の棚ぼたです。
本来は「可奈美ちゃんから最も好感度が高いキャラが『自己犠牲』に類する行為を行った時」発生するイベントであり、ただの特訓仲間でしかないほよでは条件を満たせません。
ほよの行動もただの鬼畜ですしね。
が、しかし実際は御覧の有様です。
互いの体に刀めり込ませたまま力比べとかこいつらすげぇ変態だぜ?
……
……
現実逃避も此処までにしておきましょう。
ぶっちゃけてしまうと、可奈美ちゃんは既に「覚醒」しています。
「覚醒」は特定の条件を満たしたキャラクターのステータスや精神面が大幅に成長する、ある種のボーナス要素です。
例えば夜見ちゃんだったら「嫉妬」の感情を増幅させ続ける。
例えば沙耶香ちゃんだったら「当人の目の前でHPを1割以下に減らした上で『理不尽な状態になる』」など、それぞれ設定された条件は非常に複雑かつ曖昧で、システムの存在にすら気付かずクリアされた兄貴達も多いでしょう。
しかし「覚醒」に至ったキャラクターは例外なくゲームバランスをぶっ壊すレベルの強さを誇り、早期の覚醒に成功すれば大きなアドバンテージを得られます。
さて、話を戻しまして可奈美ちゃんの覚醒条件ですが、実は意外と簡単です。
と言うのもこれにはゲームの仕様が深く関わっており、もしシナリオを波瀾編(TV2クール目に相当)まで進めると彼女は必ず覚醒します。
イチキシマヒメと融合し、タギツヒメを吸収した後自決を選んだ姫和ちゃんを止めようとする──と言う原作再現なのですが、何とこの仕様はゲーム開始時点で既に適用されているのです。
要するに「姫和ちゃんが自殺しようとする」のと同じ位のストレスを掛ければ可奈美ちゃんは勝手に覚醒してしまう、という事です。
ええ、きっと何にも知らされず、相談されず、ほよに「置いてかれた」認識が彼女を覚醒させてしまったのでしょう。
本当に、本当に──
あ ほ く さ
あのさぁ……(棒読み)
可奈美ちゃんの安易な覚醒は防げってチャートにイワナ、書かなかった?(自戒)
だから
勝てれば経験値モリモリの習熟度モリモリですが、負ければ当然企みを全部吐かされゲームオーバー待った無しです。
『依奈ちゃん、こんなに壮大で、無鉄砲な計画吐いちゃって……ダメじゃないか!こんな無謀なことしちゃ!』
とか言われながらお縄に付く羽目になる事間違いなしです。
それはよくない。
よくないのでどうにかしたいのですが──これもうわかんねぇな(痴呆)
いや、我ながら覚醒可奈美ちゃん相手によく粘ったとは思うんですけどね。
如何せん体を斜めに裂かれた状態での操作は初めてなので、今後どうなるのかは想像もつかないのです。
一応レバガチャで抜け出そうと試みてはいるのですが、ガッチリ固定されてて動けない以上なるようにしかならないでしょ──ファッ!?
「んぐっ、ぎぃぃぃッ!」
「うぅっ、あああぁぁぁぁッ!」
いや、互いの体を蹴りつけて抜け出すとかコイツら精神状態おかしいよ……。
あーほら、写シも解けてるじゃないですか。
これはもう終わり!閉廷!以上、皆解散!って事で良いですかね。
「──ッ!まだ、だよ……まだ終わりじゃない……!」
えぇ……?
まだやるんですか?
こっちは写シの張り直し1回しか出来ない上、もうスタミナカツカツなんですから止めましょうよ!ラブ&ピース!愛だよ愛!
「ううん、まだ終われない。何も話してもらってないのに、終われる訳がない。友達が悩んでるのに放っておける訳、ない────!」
おっそうだな。
こんな頼もしそうな事を言っていますが、現時点での可奈美ちゃんを暗殺に巻き込もうとしても拒否されますし、何なら止める側に回られます。
(端から見ればただのテロリストだから)当たり前だよなぁ!?
可奈美ちゃんは、御前試合なりで決定的な証拠を目撃するまで原則中立という絶妙に扱い辛い立ち位置をしています。
ですので、ほんへ前ですと戦闘員以外の目的ではあまり当てにはなりません。
はーつっかえ、と感じる時もありますが基本的に当てにしてるのは戦闘能力だし多少はね?
「ねぇ、答えてよ依奈ちゃん。私と依奈ちゃんは、友達だよね?」
「……そうだね」
「だったら話してよ!辛い事があるなら、苦しい事があるなら頼ってよ!それが友達なんじゃないの……?」
お太い友情感じるんでしたよね?
いよいよ可奈美ちゃんも涙声ですが、ここで妥協してはいけません。
1度可奈美ちゃんに気を許すとガッツリ踏み込んできてチャートを滅茶苦茶にされてしまいますから、しっかりと突き放しましょう。
「……友達さ、絶対」
「なら────!」
「でも友達だからこそ話せない事って、あるよ。ましてや可奈美や舞衣みたいに察しが良すぎるのが相手だとやり辛いんだ」
「私だから、ダメ……?」
(可奈美ちゃんは兎も角、舞衣ちゃんは絶対に)ダメです。
電話で話しただけで居場所特定される相手にバレたら、洞察力と行動力の暴力で計画壊れちゃー↑う!
実際不審者スレイヤーたるヤナセ=サンが関わってきたら我々走者は潔くセプクするしかありません。スゴイコワイ!
「……大体、可奈美みたいに純粋な気持ちで御刀振ってた訳じゃないしな」
「え……?」
まぁ確かに、ほよ(と走者)の目的は折神紫への復讐ただ一点なんで、可奈美ちゃん程ロクな物じゃありません。
ですが方向性は違えど剣術への執着は同じです。
一緒に鍛練した思い出も、タギツヒメに対する怒りの炎に変えて両足に込め、己を支える礎にすべきだってはっきり分かんだね。
「なら、何であんな熱心に稽古してたの?あれは何の志も持たない人間がしようと思える鍛練の量じゃない。何か目的があるんでしょ?」
まあ流石に勘づかれますよねぇ。
RTAという目的がなければもう少し穏やかなペースでやれたのですが、最短最速を目指す以上仕方ない事です。
ゆるして亭ゆるして、(このままだと)お計画壊れるわ。
「……」
「どうしても、話せない?」
「……そうだね」
「だったら、
えぇ……(困惑)
可奈美ちゃん脳筋過ぎ……脳筋すぎじゃない?
と言うか今まで色んな可奈美ちゃんを目撃してきましたが、こんなに頑固なのは初めてです。
普段の察しの良さはどこ……ここ……?
「今の依奈ちゃんは私には勝てない。言葉にすら出来ない迷いが乗った剣じゃ、何にも斬れない」
「可奈美、私は斬れるよ。絶対に、何があっても」
「……なんで?」
「────それだけ。さぁ、闘ろうよ」
当然のように言い切った依奈ちゃんは御刀を正眼に構え、写シを展開した。
釣られて私も写シを展開し、9間の距離を保って睨み合う。
「──」
黒い、深い黒の瞳に視線が吸い込まれる。
一体依奈ちゃんは何を考えているんだろう。何の為に鍛練を重ね、何の為に刀使を志したんだろう。
依奈ちゃんは自分を語らない。勝手に1人で納得して、完結して迷いは無いと思い込んでいる。
でも、剣筋には間違いなく迷いがあった。もし本当に何の憂いも無かったら、私は既に負けている。
技量の差など簡単に引っくり返せる気迫を依奈ちゃんは持っている筈なのだ。
「──ッ」
視界の全てを置き去りにして、私の全てを投げ捨てて。
もう言葉なんていらない。邪魔な五感も削ぎ落として、少し身軽になろう。
だって依奈ちゃんの心の壁を打ち破るには、この身体だって重すぎる。
2段階迅移じゃ遅すぎる。
3段階でもまだ足りない。
もっと速く。もっと先へ。
加速して加速して──────
ただ上へと、何処までも続く石の階段に落ちた千鳥がカランと乾いた音を立てた。
私は階段の真ん中で御刀を取り落とした姿勢のまま、ただぼんやりと突っ立っていた。
「──?」
何処だろう、ここは。
何で、こんな所にいるんだっけ。
上手く頭が回らない。
ただ漠然とした疲労が私の全身を苛んでいるけど、ずっと留まっている訳にもいかなかった。
1歩踏み出そうとして──
「────やるじゃん、可奈美」
満面の笑みで此方を見下ろす、
べしゃり、と2人の少女が道場の床に倒れこんだ。
決闘の結末はあまりにも壮絶で、同時に呆気なかった。
人の理を超越した領域に踏み込んだ可奈美の突きは依奈に瞬きする事すら許さずその胸を貫いた。
しかし同時に中段に構えた依奈の山鳥毛も可奈美の胴に突き刺さっていた。
完全無欠に相討ちだった。
だが────
「相討ち……?んなバカな……」
愕然とした面持ちで益子薫は呟いた。
最後の突きは間違いなく避けられる物ではなかった。並の刀使はおろか、薫自身ですら視認不可能な領域に踏み込んでいた。
見てから避ける、なんて到底不可能な一撃だと刀使としての直感で理解したからこそ可奈美の勝利を確信したのだ。
「アイツ……
それが、相討ちに終わっている。
見えなかった。
追い付けなかった。
益子薫が、舞草内でトップクラスの実力者ですら理解出来ない駆け引きが一瞬の間で行われていた。
「なぁ、ねね……」
「ね?」
何があったらその領域に
この2人は一体何なのか。
「……アイツらヤベェな」
「ねー?」
自身の背筋に冷たいモノが走るのを感じながら、薫は隣ではしゃぐ無邪気な守護獣に語りかけた。
・ほよ
口下手過ぎるっピ!
・可奈美ちゃん
(覚醒が)早すぎィ!
(美奈都さんの所に辿り着くまでも)早すぎィ!
多分メンタルだけTV終盤位まで成熟してる。
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第7回(前編)/狂騒
一時的に二重投稿してました。
申し訳ありません。
「直球で言うぞ。お前、何を企んでる」
「はい?」
午前4時──まだ陽も昇らない、暗い部屋でオレは
コイツと衛藤可奈美の決闘をボケっと眺めていたのが悪かったのか。
或いは気絶したコイツを部屋まで運んだのが悪かったのか。
どちらにせよこうして接触してしまった以上、監視等とは言っていられない。
それに────
「決闘沙汰なんて、御刀返納の上退学処分でも文句は無いレベルなんだがな。羽島学長にチクってもいいんだぞ?」
「……ひょっとして、それは脅しですか?」
「興味津々と言ってくれよ、人聞きが悪い。ただお前が何をしたいのか知りたいだけなんだがな」
そう、オレは星切に興味が──いや、危惧を抱いている。
呆けた顔で無害感を演出しているが、コイツがつい数時間前にしでかしたのは間違いなく決闘だ。
衛藤可奈美との関係性は分からんが、
出来ない。出来るワケがない。
御前試合でもねーんだから、御刀握って対人戦なんて正気の沙汰とは思えない。
「知りたいって、まさか口説いてるんですか? 私そういう趣味は無いんで……」
「ンな訳無いだろ。どんな形にしろ、労働の対価を得られなきゃやってらんねーからだよ」
と言うか、オレが読んだ調査報告書と色々違い過ぎる。
刀使として目立った技能はナシ、目立った経歴もナシと平々凡々。
加えて舞草に所属こそしているものの何の役割も持たない、ただの「いるだけ」構成員だった筈だ。
だけどこれじゃ殆ど別人じゃねえか!
あの
「ほれ、はよ言え」
「……」
「チクるぞ?」
そんな詰まらない事でタギツヒメ討伐計画をおじゃんにされない為にも、ここで全部吐かせるしかない。
「……」
「……」
しばし、沈黙。
余程口に出すのが憚られる「何か」を抱えているのか、星切はしかめ面を隠す事すらせずに天井を仰いでいる。
そんなに言いたくないなら決闘なんかするなっての。
「分かった、分かりましたよ」
「おー、やっと言う気になったか。これで1限までは寝れるな」
「あのぉ、決闘騒ぎは睡眠以下ですかぁ……」
そりゃそうだろ。
大体今を何時だと心得てるんだ。
4時だぞ、4時。それも午前の。
普通の人間なら寝てるだろうが。
それもこれもお前が1時間近く抵抗したからだぞ。
気絶してたってのに、ホント生命力に溢れてんだな。
……いや、だからそんな物悲しげな顔すんなよ。何かこっちが悪いみたいじゃん。
「……で、何の為にあんな決闘してたんだ」
「ちょっと人に言いづらい悩みがありまして……その相談の一環ですね」
「相談?」
「そうです、相談です」
ポリポリと頬を掻きながら、照れ臭そうに星切はカミングアウトした。
成る程、人に言えない悩みと来たか。
……で、それが何で決闘に繋がるんだ?
痴情の縺れとかならまあ分からなくはないが、どうもそう言う雰囲気でも無いようだ。
「あ、今『それが何で決闘に繋がるんだ?』って顔しましたね!? コッチはそれに必死だったのに!」
「お、おお。すまん」
「全く! 反省して下さいよぉ!」
「あ、ああ……」
読心術でも使えるのかよ。
……それにこの、掴み所の無い感じがなんか気色悪いな。
ただ怒ったり考えたりするだけでも妙に芝居がかった、この粘性の不快感。
まるで
「て言うか御刀持ち出す位人に言えない悩みって、一体何なんだよ」
けど、オレは
それがオレの使命だし、やりたい事でもある。
中途半端はダメだ。
やると決めたなら最後まで、面倒事から目を逸らすな。
「……答えろよ」
「それは────」
さあ、言え。
何を企んでるのか、何を考えてるのか全部吐き出しちまえ。
「人に言えない悩み」とやらが笑い話で済むようなら、それで良い。
或いはとんでもない──それこそ人の生き死にに関わる事なら、相談に乗ってやっても良い。
さっさと面倒事を片して、久方ぶりの休暇と────
「折神紫をどう殺してやろうかと悩んでまして」
……は?
「折神紫を殺す……? お前、正気で言ってるのか!?」
「当たり前です。
大胆な犯行予告が飛び出すRTA、はぁじまるよー!
前回は可奈美ちゃんと相討ちになり気絶した所まででしたので、そのまま進めていきましょう。
いやーしかし目が覚めるなり益子薫とご対面とは焦りました。
どうやら自室までほよを運んでくれたらしいですが、そんな事はどうでもいいんだ。重要じゃない。
さて、早速
最初は薫が美濃関にやって来た理由です。
まあ聡明な視聴者兄貴達はもう分かっていると思いますが、薫の任務は間違いなく「ほよの監視」です。
幾ら最終的な目的が同じとは言え、舞草の方針に背いて1人で暴走しているんだから当たり前だよなぁ!?
そして監視されている最中はほよの行動が逐一報告されてしまうので、今までの様な自由行動が出来なくなってしまいます。
やめてくれよ……(絶望)
「そうかよ。そんな馬鹿みたいな事を考えたなら、衛藤が止めようとするのも納得だな」
「益子先輩は馬鹿げてると笑いますか」
「組織立ってやるのならまだしも、お前1人でどうにかなる話じゃないだろ」
本来なら御前試合予選直前でバラす予定でしたが、イベントの発生が大幅に早まっていますね。
これは恐らく「経歴:被験者」のせいでしょう。
この「経歴」を持つキャラクターは舞草や親衛隊等の組織と接触しやすく、かつ組織トップが他の「経歴」をゲーム開始時点から把握していると言う特徴を持っています。
つまり最初から屑運だったと言う事ですね。
……
──と、言いたい所ですが!
そんなんじゃ甘いよ(棒読み)
今回はこれを逆手に取って早い内から舞草を巻き込んでしまおうと思います。
『どうせ折神紫を暗殺する方針は一致してるんだから仲良くしまょうよ! ラブアンドピース! 愛だよ愛!』
と、言った感じで結果的に舞草の利益になる行動を繰り返せば彼女達も此方の行動を追認するしかなくなる筈ですからね(28敗)
そしてその為に活用するのが──
「
「お前……ッ! いや、そもそも末端でしかないお前がどうして日高見派の事を知っている!?」
今日交渉するのは、日高見派っ!
まだ純粋な理想を掲げるこの組織は、私の交渉術に耐える事が出来るでしょうか?
……と言う冗談はここまでにしておいて、今回は舞草のマジキチ集団こと日高見派を利用していきたいと思います。
日高見派は奥州を拠点としている舞草の一派閥であり、長船女学園高等部3年の「
荒魂による刀使の損耗を防ぐ為に様々な「活動」を行っている──と言えば聞こえは良いですが、その内実は狂気の一言に尽きます。
だって普通は
やっている事は折神派の冥加刀使となんら変わらず、寧ろ確立されてもいない技術で無理矢理実験しまくって失敗作を量産するやべーやつらです。
しかも彼女達はこの凶行を100%善意で行っており、本気で人々を救うと思っているのが質の悪い所です。
お前ら精神状態おかしいよ……
「益子先輩が私を止めるなら今、この瞬間が最後のチャンスです」
「なんだと……!?」
「それも生半可なのじゃあ止まりませんよ、最低でも手足を全部へし折る位はやって貰わないと」
まあそれでも利用するんですが。
何だかんだ言って組織としての地力はそこそこありますし、今のほよが人体実験に志願すれば喜んで協力してくれるでしょう。
「まあ、舞草にとって悪い話ではありませんから、ゆっくり待ってて下さいよ」
「お前……! お前は一体何を企んでんだ……!」
「──友情、努力、勝利って言ったら、納得します?」
いくらリディアを拉致ったからと言って資材も限られる中でS装備の改修なんて夢のまた夢ですから、ガッツリ力を借りにイクゾー! (デッデッデデデデ! カーン!)
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
「なるほどなぁ、可奈美も中々に青春してんじゃん」
「これって青春なのかな……」
「青春だよ。ヘトヘトになるまで喧嘩するなんて最たるモノじゃん」
そう言って隣に座った師匠はけらけらと笑う。
師匠の言う事は、分かるような気もする。
この決闘がなければ私はずっとモヤモヤしたままだろうし、依奈ちゃんとちゃんと話す事も無かったと思う。
けど、何か腑に落ちない。
まだ胸の痞えが取れていない。
「
「可奈美はどう思ってるの?」
「どうなんだろ……正直分からない」
口じゃなくて刀で語るって、普通は可笑しいよね。
言いたい事があるなら直接口に出せば良い話で、態々打ち合わないと会話も出来ないなんて、回りくどいにも程がある。
それでもこの方法しか選べない私と依奈ちゃんは、きっと似た者同士なんだ。
──でも、それで良かったの?
「まあそうだね、正しい答えは無いんじゃないかとアタシも思うよ」
「無いの?」
「『何が正しい』じゃなくて『何がしたい』が答えだから、正解は千差万別なんだろうなぁ」
ああ、そっか。
人の「正解」は千差万別。
だからもっと良いやり方があったんじゃないかって、私は思ってるんだ。
御刀を突き付けなくても、もっと何かあったんじゃないかって。
それしか無いって分かってても「もしも」が脳裏にこびりついて離れない。
そうだ、私は依奈ちゃんと喧嘩がしたかったんじゃない。力になってあげたかったんだ。
何かに取り憑かれたみたいに荒魂を狩って、それでどんどんやつれる様を見ていられなかったんだよね。
それなら私は────!
「多分、間違えちゃった……」
「可奈美がそう思うなら、そうかもね。それで、どうする?」
どうする?
勿論、答えなんて最初から決まってる。
「仲直りする! ちゃんと伝えたい事を口で伝えて、今度こそ依奈ちゃんの隣に立つ!」
「ならば良し! 今からでも立ち合うかい?」
「うん!」
無駄に燻るのはもう止めだ。
御刀で語り合うのももう止めだ。
ちゃんと言葉で伝えて、心で聞こう。
これが私の見つけた「答え」だから、もう迷わない。
さあ、第一歩として────
「しっかし、あの星切の娘にしちゃ凄まじいなぁ」
────────え?
次章予告
「本州に13体の凶禍が上陸しました」
「
「東京の『霊角』活動開始!」
「依奈ちゃんはそれで良いの?」
「我はタギツヒメ。神である」
「刀使の本懐を果たせ、十条姫和」
「辛いモノを見る事になるかもしれないが良いのか」
「日高見派が今更止まるものかよ」
「吾らは一体何の為に生まれてきたのだろうな」
「お前が
「諸々の柾事 罪穢れ」
「拂い賜え 清め賜え 聞食せとーーーー」
「恐み恐み申すーーーーーー!」
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