Fate/Grand Order.AnotherStory/O-MA ZI-O (常磐戦兎)
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序章─ 始まり ─

 無性に書きたくなって書きました(後悔はしてない)
稚拙な内容になるかもですが読んでくださると嬉しいです。それではどうぞ


 ─2019年。平成という一つの時代が終わりを告げ、令和という新しい時代が始まった年。数々の歴史が存在した平成には、「仮面ライダー」という人知れず世界を守ってきた存在が居た。

 2000年に仮面ライダークウガが誕生し、平成仮面ライダーという一つの歴史が始まる。クウガから始まった平成仮面ライダーの歴史は途切れる事なく続き、2019年に到るまでに20人の仮面ライダーが世界に誕生した。

 平成仮面ライダー最後の仮面ライダーは、仮面ライダージオウ。その名の通り、時の王となる仮面ライダーだ。ジオウは数々の世界を渡り歩き、かつて世界を守ってきた仮面ライダー、その変身者から力を託される。

 然し、時空を超えようが果てしない旅に障害は付き物。タイムジャッカーと呼ばれる者達の手により、アナザーライダーと呼ばれるライダーであってライダーではない存在が生み出され、ライダー達の歴史が乱される。ジオウはそれ等を倒し、歴史を元に戻す役割も担っていた。

 そして、長らく続いてきた仮面ライダージオウ…常磐ソウゴの旅も佳境に入る。オーロラカーテンをあやつる門矢士、又の名を仮面ライダーディケイド。その力を奪ったタイムジャッカーの一人「スウォルツ」の手により世界は一つにまとめられようとし、滅亡の危機に瀕していた。

 平成仮面ライダーの力全てを内包した力、グランドジオウとなった常磐ソウゴはスウォルツに最後の戦いを挑む。様々な歴史、時間軸からライダー達を呼び出し、スウォルツを追い詰めていく。だが、アナザーディケイドとなったスウォルツがただ単に追い詰められるだけで終わる存在ではなかった。

 門矢士が普段、移動等に使用するオーロラカーテンを用い、かつて、平成仮面ライダー達が倒してきたラスボス達を呼び出してしまった。数は五分五分となったが力の差が歴然となってしまい、ソウゴが呼び出したライダー達はことごとく倒されてしまう。

 ソウゴ一人となってしまった所でスウォルツを含むラスボス達は力を合わせ、最後の一撃をソウゴに向けて放つ。対するソウゴは変身が解け、生身のまま。万事休す、そう思われた時。

 

『SPEEDTIME!』

 

 ソウゴの絶体絶命のピンチを救ったのは、仮面ライダーゲイツリバイブ疾風、明光院ゲイツだった。彼は己の身を挺してソウゴを守り、ソウゴに「魔王になれ…!」と告げてソウゴの腕の中で事切れる。最大の仲間を喪ったソウゴ、涙は見せるがその内には怒りが燃えたぎっていた。

 その怒りに呼応したのか、ソウゴの巻いていたベルトは「最低最悪の魔王であり50年後の未来の自分」、オーマジオウが巻いていた黄金のベルトへと姿を変える。

 ゲイツの言葉に背を押され、意を決してオーマジオウとなる事を決めたソウゴ。スウォルツの前でオーマジオウへと変身し、スウォルツ含むラスボス達へと歩みを進める。

 

「祝え! 時空を超え、過去と未来を超越する究極の時の王者。その名はオーマジオウ! 歴史の最終ページに至った瞬間である!」

 

 オーマジオウの誕生を祝福するウォズ。対するスウォルツはオーマジオウの力すら奪おうと企む。一部は奪われるも、それは不発に終わった。オーマジオウが背負うのは平成仮面ライダーの歴史全て。それを全て奪おうとするのは無理というもの。

 オーマジオウはまず、自らに向かってくるかつてのラスボス達を一撃で葬っていく。その力に圧倒されたスウォルツはオーマジオウから奪った力を持ち帰り、自分の世界で王として君臨しようとした。だが、誤算が一つ。仮面ライダーツクヨミに変身したツクヨミ、本名アルピナがスウォルツを刺したのだ。

 それに対し、スウォルツは激昴。自身の妹ですら、吹き飛ばしてしまう。それを見たソウゴはスウォルツに対して更に怒りの闘志を燃やす。そして、スウォルツに向けて最後の時を伝える。

 

『終焉の時! 逢魔時王必殺撃…』

 

 右足に集約された高エネルギー、空中でキックの体勢に入りそれをスウォルツに向けて放つ。

 対するスウォルツも最後の力を振り絞る。真正面からぶつかるが、オーマジオウの方が遥かに上だった。スウォルツは吹き飛ばされ、消滅。ツクヨミも又、ソウゴに世界を託して消えてしまった。

 

 スウォルツの手により一つになりつつあった世界はソウゴ自身が新しい世界へと作り替える事に。その行動を2068年のソウゴは「面白かったぞ、お前に会えて」と告げて消える。

 ソウゴが作り替えた世界はソウゴがジオウになる前の世界。だが、そこには前には居なかった明光院ゲイツやツクヨミ、タイムジャッカーの二人、ウールとオーラの姿があった。

 

 

 ……と、前置きが長くなったが、ここまでの事をしたオーマジオウ、いや、常磐ソウゴの名は地球…人類史に刻まれていてもおかしくない。

 これは、最高最善の魔王になった常磐ソウゴが歩む、アナザーストーリー。人類焼却を解決した魔術師に降りかかるもう一つの災厄、それを手助けする為に呼び声に応じた我が魔王の覇道である。




ほぼほぼジオウ世界の説明だけじゃんか…
じ、次回はちゃんとfateキャラと我が魔王を絡ませますので…

それでは、お読みいただきありがとうございます。ではまた、次回。


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カルデア凍結

……ぐだの性別考えておらんかった
不詳にすると後々困るし、とりあえずソウゴと同じにしておこう、うんそうしよう

ではどうぞ(・ω・)ノシ


 人類史を焼却した元凶、人理焼却式ゲーティアを倒した後の事。焼却された人類史は元通りとなり、消えた物や人達は気がついたら一年の時が経っていた為に大混乱を招いていた。

 人理継続保障機関「カルデア」は、48人目のマスターの存在が表に出ないようにひた隠しにし、48人目の記録改ざん等を行っていた。カルデアにとっても緊急事態とはいえ一般人に近い者を前線に送り出していた、なんて事が知られたら困るのだろう。

 着々とカルデア退去の準備が進む中、前所長「オルガマリー・アニムスフィア」の後任である新所長「ゴルドルフ・ムジーク」が秘書と思われる「コヤンスカヤ」と共にカルデアに来日、即日就任となる。

 それだけならまだいい。それだけなら。この後起こる事は誰も知らない。

 

 

~カルデア~

 

 

 クリスマスと同時にサーヴァントの間でのみ流行したシュメル熱の騒動から一夜明け、カルデアに残された守護英霊召喚システム「フェイト」の停止に伴い、カルデアに召喚された英霊達は一騎、又一騎とカルデアから座へと戻っていった。

 残すは今の今まで所長代理として頑張ってくれたダ・ヴィンチのみ。前はサーヴァント達で賑やかだったカルデアも今は自分と僅かな人数しか居ない職員、謎の生き物であるフォウと俺の頼れる後輩でありデミサーヴァントのマシュ、と少ない人数しか居ない。それ故に静かだった。

 間もなくカルデアから去る事になり、自分が行って来た数々の思い出等も全て、消える。然し、自分とマシュが覚えていさえすれば大丈夫だと腹をくくり、廊下を一歩一歩歩く。

 

 その時だ。向こうからピンク髪の女の人が歩いて来た。確か、と記憶を探る。そうこうしている内にすれ違った。このまま通り過ぎるのもアリかと思ったが、向こうから声をかけられる。

 

「お疲れ様。顔色が悪いわね、仔イヌちゃん」

 

「……どうも、ありがとうございます」

 

「その様子だと彼奴らに絞られたようね、御愁傷様」

 

「別に、大した事ありませんから」

 

 コヤンスカヤ、と名乗ってた事を思い出すも直ぐに頭を振る。どうせ俺の事を覚えて貰わなくても結構だし、絆を結んだサーヴァント(大切な皆)の事を忘れたくなかった為だ。

 要件があるなら迅速に、と促せばしたり顔で要件を話し始める。すらすらと話し始める彼女の話を聞いていれば、気になる点もあれば疑問も増える。何故、ここまでカルデアに関して詳しいのか、何故Aチームの事まで知っているのか、カルデアの事を商品と言っているのか、という点だ。誰が、どこからか情報が漏れたのか、と勘ぐってしまう。しかし、時間の無駄と踏んで諦めた。

 

「…じゃあ、俺はそろそろ戻ります」

 

「あら残念。じゃあね、仔イヌちゃん」

 

 今の自分にはとある一室のみ立ち入りを認められている。査問会による命じられた一室だ。つまり、監禁状態である。暫くは行動を制限されるとの事。不便だが仕方ない。査問会にとって俺やマシュ、その他職員達は重要参考人。逃げられる訳には行かない、という事だろう。

 そんな風に部屋で待機していた時。突如カルデアの警告音が大音量で流れた。それと同時に何者かが侵入したとのアナウンスも流れる。送られてきた映像を見ると、驚くべき出来事がそこにはあった。

 

 サーヴァントのようでサーヴァントではない、不可思議な存在がカルデアの中心部にあるカルデアスの前に居たのだ。査問会の人達が抵抗を試みるも、表情一つ変えぬままそこに鎮座している。それと同時にサーヴァントの魔力反応もあった。

 サーヴァントの魔力反応があると同時に謎の存在は姿を消し、代わりに現れたのは銀髪の女性。服装から察するに何処かの国の王女、だと思われる。それが何処なのか、までは流石に分からなかったが。

 サーヴァントと思われる存在は何も躊躇う事なくカルデアスを凍らせた。この光景を見て、マシュの盾を通じてカルデアに召喚されたサーヴァントであれば即座に立ち向かっただろう。然し、俺にはマシュを除いて誰も居ない。サーヴァント一人居ない己はなんと無力なんだろう、と思っていた矢先。又も反応がある。

 

 サーヴァントのようでサーヴァントではない存在が姿を消した時にチラッと見えた、黒服に身を包んだ仮面の兵士達がカルデアを襲撃したのだろうか。部屋の外では肉を斬られ、何かが吹き出す音が微かに聞こえる。

 少しして静かになった所で外に出てみようと思ったのが間違いだった。廊下には鉄の匂いが充満しており、あまりにも濃い匂いに噎せ返る。

 

「……不味…でも、皆が心配だ…」

 

 鼻を押さえながら廊下を歩けば、数分前のカルデアの廊下とはまるで違う様子に困惑せざるを得ない。壁には刃物で斬られた跡、斬られた人の血、と思われる血痕が赤々しく残っている。今、俺が歩いている廊下にも同様のものがあちこちに見受けられた。

 前に進む事だけを考えてた俺は、注意を怠った。それ故に目の前に接近する「死」に気づかなかった。

 

「……先輩っ!!」

 

「…え?」

 

 ガキン、と金属同士がぶつかる音に我に返る。前を向けば、大盾を持ったマシュの姿があった。敵の攻撃に気づかなかった俺をその身を挺して守ってくれていた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、又もこうして、俺を守ってくれた。

 

「先輩、大丈夫ですか…?」

 

「…う、うん。ごめんマシュ。又君を…」

 

「いいえ、これは私が望んだ事なんです。だから自分を責めないでください、先輩」

 

 望んだ事。マシュは確かにそう言った。それは又マシュを危険に晒す事と同義だ。俺は又、誤った選択をしてしまったのだろうか。否、誤った選択などあのゲーティアを倒すまでに何度だってしてきた。でも、今回はそれとは訳が違う。

 俺が無力だから、大事な人を危険に晒してしまっている。それは紛れもない事実だ。でも、マシュが決めた事を否定する訳には行かない。震える足を強引に止め、しっかりと、両足で立つ。

 

「……マシュ、行ける?」

 

「はい。以前のようには行きませんが、行けます!」

 

 そう言い、マシュは敵を吹き飛ばす。ピクリとも動かなくなった敵を見て一安心…と行きたかったが、そうも上手くいかないのが現実。

 あの時、カルデアスを凍らせたサーヴァントが此方に来ていたのだ。何も言わず、ただただ無言で。マシュだけでは太刀打ちが出来ない。寧ろ俺もマシュも命を落とす危険がある。そう思った時だ。

 

「……はぁっ!!」

 

 黄金と黒の二色が目立ち、顔に「ライダー」と書いてある仮面の人物が、そのサーヴァントと俺達の間に割って入った。

 一体何事、と思っていた時。後ろから聞き慣れた声が俺の名を呼ぶ。振り向けば、ダ・ヴィンチちゃんだという事に安堵を覚えた。

 

「藤丸君、マシュ、無事かい?」

 

「あ、はい。俺もマシュも無事です、けど…あの人は誰、なんですか?」

 

「それはここから逃げる時までお預けといこうか。さぁ、後は彼に任せよう! なぁに、彼は直ぐに追ってくるよ」

 

「え、あ、はい」

 

 ダ・ヴィンチちゃんに勧められ、謎の仮面の人物に「すみません、頼みました…!」とだけ伝えて逃げる。

 その人物の声は低く、緊急事態というのも相まってよく聞こえなかったが、「嗚呼、任せといて」とだけ聞こえた気がした。

 

 

~VS.謎のサーヴァント戦/ソウゴside~

 

 

 逃げる手伝いを頼まれた俺は、謎の敵と対峙していた。今回は何故か傍にウォズが居ない。俺だけが此処に呼ばれた、という事だろう。

 室内で戦うのも不利な気もするが、外は猛吹雪だ。幾ら俺でも寒さは耐えられない。そんな感じで無言を貫いていると、向こうから声をかけてきた。痺れを切らした、という事だろう。

 

「……貴方、誰かしら」

 

「語る名など、生憎持ち合わせが無い。ただ一つ言えるのは、俺はお前の敵だという事だけだ」

 

「……そう。なら、凍りなさい。貴方には用がないの」

 

「悪いが、それも無理な話だな。俺は俺を呼んだ者にあの魔術師を守ってくれ、と頼まれた。呼ばれた以上それ相応の仕事をしなければな」

 

 そう言いつつ、地を蹴る。先ずは様子見、というのも兼ねてマッハの力を使った超加速で翻弄。続いてドライブの力で超高速の乱打を浴びせる。

 だが、相手も相手で容易くやられるという事ではないらしい。氷像という名の盾を大量に作り出し、防御していた。流石にやるか、と思い、直ぐに距離を取る。

 

「……貴方、サーヴァントではなさそうね?」

 

「さて、それはどうかな。俺はサーヴァントという存在は知らない。だが、人類史にはまだまだ可能性というのは沢山あるが?」

 

「…無意味な話ね」

 

 尚も攻撃を続ける敵に対してはいそうですか、と手の内を晒す訳にも行かず、ドライブの力のみを使って対峙する。幾ら謎の存在とはいえ、人の姿をしている以上疲れには勝てない。先に足をついたのは向こうの方だった。

 止めを刺す必要は無い。これで終わり、と思った俺は踵を返す。悠々と去る俺の背後を攻撃しない所を見る限り、一定の礼儀は弁えているようだ。だからこそ、こう言う。

 

「…何れ又相見える。その時を楽しみにしているがいい。名を知らぬ者よ」

 

 それだけを言い残し、俺はダ・ヴィンチちゃんとやらが逃げた方向へ向かう。向こうで何が起きているのかは俺にはよく分からない為だ。

 

 

~その後。藤丸side~

 

 

 カルデアから脱出した俺達カルデアの生き残りは、謎の戦士の事を二代目ダ・ヴィンチちゃんに聞く事にした。後から追ってくるとは聞いてたけど、その前にあの戦士の事を知りたかったのだ。

 

「……藤丸君。仮面ライダー、という存在は知っているかい?」

 

「…えっ、あ、はい。姿を変えながら、怪人達から世界を守り続けている戦士の事…ですよね?」

 

「その通り。彼はその仮面ライダーの一人だ。名をジオウ。文字通り、時の王となる仮面ライダー…」

 

「仮面ライダー、ジオウ…」

 

 仮面ライダーの歴史、それは断片的に知っていた。それならば、此方側にもその仮面ライダーの力が宿った何らかの物があってもおかしくはない筈だ。

 そう思っていたら、二代目ダ・ヴィンチちゃんことロリンチは前のダ・ヴィンチちゃんから託されていたある物を取り出す。それは、天辺にボタンが付いた機械。よくよく見れば、時計に見えなくもない。

 

「……これは?」

 

「ジオウの力の源らしいよ。まぁ、詳しくは…彼に聞くとしようかな?」

 

 そう言い、ロリンチがおいでおいでのジェスチャーをする。すると、一人の男性がシャドウ・ボーダーの奥から姿を現した。見た目から、俺と同じくらいの歳…だろうか。

 

「貴方は…?」

 

「俺? 俺は、常磐ソウゴ。宜しくね、藤丸君」

 

 

 これが俺と時の王《ジオウ》、その変身者である常磐ソウゴとの出会いだった…




我が魔王の口調定まんねぇ…()
一応、ソウゴの口調は通常とオーマジオウの二つを使い分けています。…多分、無双になると思うので手加減してますよ、多分。オーマジオウはスペック上、際限なく力が上がって行く+全ライダーの力のバフが常にかかった状態ですからね…

それでは又次回。


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異聞帯

アクセス数とお気に入り数がもの凄い事になってる…だと……?
本当、感謝の極みです。ありがとうございます
ではどうぞ(・ω・)ノシ


~シャドウ・ボーダー内.藤丸side~

 

 謎の襲撃者から逃れた俺達と、俺達を助けてくれた常磐ソウゴさんはシャドウ・ボーダーで虚数空間を潜航していた。

 その間、俺はソウゴさんに色々聞く事に。個人的に仮面ライダーには興味が無い訳ではなかった。

 

「あの、ソウゴさんは何で俺達を助けてくれたんですか?」

 

「んん…さん付けは少しむず痒いな。見た所、歳は同じくらいだよね? なら、俺の事は呼び捨てで構わないよ。俺もそうするからさ」

 

「それは…まぁ、追追って事で……」

 

「ん、ならいいか。で、何で俺が助けたかと言えば、頼まれたという事もある。でも、一番の理由は助けられるのに助けなかったら絶対後悔する。そう思ったから…かな?」

 

「な、なるほど…?」

 

 イマイチピンと来なかったが、ソウゴも誰かを救おうとしていた、というのは分かった。対する俺の場合は消去法…というのが妥当だろう。

 兎に角色々聞きたいがそれは又追追聞く事にして、さっきの黄金の仮面の戦士について、恐る恐る聞いてみる事に。

 

「……そう言えば、さっきの姿は…?」

 

「…オーマジオウ。俺の、もう一つの姿。かつて、というか50年後の未来では最低最悪の魔王…だなんて呼ばれてて、俺は絶対そうならないって決めてたんだけどね」

 

「オーマ、ジオウ…」

 

「そう。クウガから始まった平成ライダー達の王。仮面ライダーは平成だけじゃないんだけど、大先輩達を語るとなれば時間が足りないから割愛するよ」

 

 などと、軽く話すがそれはそれで大変な事なのでは…とふと思った。恐らく、何かの陰謀によって世界が消える…といった出来事でもない限りはそんな決意を表明するのも難しい上にいざ、となった時に迷いは生じる。

 俺よりも辛く苦しい戦いを乗り越えてきたんだな、と心の中で感心してしまった。

 

「それより、聞いてて分かったと思うけど俺は別の世界から君達カルデア…だっけ? を手助けする為に来たんだ。遠慮なく、頼って欲しい」

 

「え、あ、はい。ありがとうございます」

 

 思わず敬語で握手をしてしまう。なんというか、貫禄があった。そう表現せざるを得ない。

 

 

~シャドウ・ボーダー内.ソウゴside~

 

 

 流れでこの世界に来てしまったものの、助けを必要としているなら助けずに見捨てるような真似は出来ない。そこに居るちびっ子があのダ・ヴィンチだとしたら、この世界は人類史に名を残す偉人達が何らかの形で身体を得て活動している世界、という訳だ。

 かつて出会った仮面ライダーゴースト、その変身者である天空寺タケルさんが聞いたら羨ましがられるんだろうな、とふと思った所で藤丸君と握手を交わす。続いて、あのちびっ子が俺と話したがっているようだから其方にも声をかけた。

 

「そういや、何か託されていたって言ってたけど。何を託されたの?」

 

「嗚呼、コレの事かい?」

 

 そう言い、ダ・ヴィンチ(仮)は俺に前の自分から託された物を見せる。それを見た時にピン、と来た。俺が普段使用しているライダーの力が内包された物とは大きく違い、何も入っていない。だけど、確かに俺の世界にあったものだ。

 タイムジャッカー達はそれを使い、契約者にライダーの力を付与させる。それはライダーであってライダーではない存在、アナザーライダーとなる。

 俺やゲイツ、ウォズが持つのは正規の方法でライダーの力を受け取ったもの(ウォズの場合は違う未来から来たもう一人の自分がもう一つの未来で生まれた未来のライダー達の力を奪ったものだが)、ライドウォッチになる。

 

「解析しようと思ったんだけど、明らかに文明レベルが違い過ぎるんだよね。コレ。仮に解析が終わって実際に再現しろ、って言われても無理だね…」

 

「…うん。戦兎も言ってたから。『コレは俺でも、俺の時代の技術でも作れない代物だな』って。俺もなんでコレが身近にあるのかも分かってないけどさ」

 

「……ふむふむ。聞けば聞くほど、謎が深まるねぇ」

 

 謎が深まるのは此方も同じだった。何故ブランクライドウォッチが此方の世界に流れ着き、ダ・ヴィンチが持っていたのも。偶然にしては出来すぎている。

 裏で何か陰謀が渦巻いているのか、とふと思ったが俺の世界とは違って此方の世界も又、人類の危機だと俺を呼んだ人はそう言ってた事を思い出す。恐らく、その事件の黒幕が何かやっている、と見ていいだろう。

 

「さて、これからの事なんだけど。今、俺を含めて謎の仮面の兵士とあの…なんだっけ、サーヴァント? から逃げる為にこうして虚数空間…に居る訳で、いつまでもこうしてる訳にも行かないでしょ?」

 

 俺がそう言えば、皆して頷く。それから直ぐにダ・ヴィンチ(仮)が虚数潜航(ゼロセイル)を実行する、と指示を飛ばす。それに合わせて皆が衝撃云々に備える動きを見せる。

 

「…あ、シートベルトとかは私達の分しかないけど…常磐君は大丈夫かい?」

 

「俺? 大丈夫だよ、いざとなったら変身しておくから」

 

「分かった。じゃあ行くよ!」

 

 内部にアナウンスが流れ、それと同時に身体に変化が訪れる。ノーモーションでジオウへと変身し、それに備えた。

 

 

~A.D.1570? Lostbelt.No.1~

 

 2017年12月31日。その日、未来は跡形もなく片づけられた。ソラからの侵略の手で人類史は白紙に戻された。

 カルデアの功績は不正解だったと断定され、汎人類史は過去にすら計上されず、天文台は凍結し、世界は七つの異聞に分断された。

 そして───

 三ヶ月の沈黙を経て、虚数の海から最後の人類が浮上する。

 彼らが挑むは極寒の歴史に閉ざされた新世界。

 新たな仲間と共にいま、全てを取り戻す戦いが始まる。

 

 

~??? 藤丸side~

 

 

 ────どれだけ、気を失っていただろう。

 ふと気がついて目を開けてみる。皆は俺が起きるのを待っていたらしく、それぞれ様子を見ていた。マシュとソウゴの二人は俺が目を覚ました事に気づくとそれぞれ「おはよう」と声をかける。

 身体に起きた変化は既に無く、いつも通りの身体だった。それだけを確認すると、外を見てみる事にする。シャドウ・ボーダーには最低限の窓しか無いが、それでも外を見るだけなら十分だ。

 そうして見てみた外はというと……猛吹雪だった。カルデアの窓から見えていた吹雪より更に酷い事が伺える。外は正に極寒の地、という事だろう。

 

「コレは…」

 

「凄い吹雪だね、これ。まともな対策無しに外へ出るのは無謀だよ、藤丸君」

 

「…ダ・ヴィンチちゃん。新しい礼装、出来てる?」

 

「もっちろん! 極地適応の新礼装。半袖だけど魔力でそこら辺はカバー出来る筈さ」

 

 そう言い、ダ・ヴィンチちゃんが俺に礼装を手渡す。早速それに着替え、今後どうするか、といった会議を始めた。勿論、主催は新所長だ。

 

 

~とある城/???side~

 

 

 ─────どのくらい、目を閉じていただろうか。揺さぶられる形で起きた僕は、僕の目を覚まさせた張本人…キャスターに質問をふっかける。

 

「……おい、なんで起こした? 皇帝(ツァーリ)はまだ寝ているだろう」

 

「…彼等が来たわ」

 

「……彼等? 嗚呼、カルデアか。そりゃそうか、今の彼奴らには殺戮猟兵(オプリチニキ)共との縁しか知らないからな、何れ来るとは思っていた。然し、随分早い到着だな」

 

「……それと、例の」

 

「嗚呼、お前が一方的に敗走した奴か。魔力反応が無いから人で間違いない筈だが、サーヴァントと同等、いや…それ以上の力を持つ奴、か」

 

「分かりやすく顔にライダー、と書かれていたわ」

 

「……ライダー? サーヴァントじゃないとしたら、そいつは一体……まぁ、いいか。どの道この異聞帯(ロストベルト)を守らなきゃならない。迎撃に出るぞ」

 

「……分かったわ、マスター」

 

 誰が来ようとこの世界と■■■は守らなきゃならない。それが例え()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、僕は彼奴らの敵だ。それは向こうも同じだ。そう思い、極寒の地に足を付けた。これから行われるのはカルデアが守り通した人類史代表との死闘だ。




まぁ、最初と言えば彼ですよね
なんとか書ききれてよかったと思ってます。さて、次も書かなきゃ…

それでは又次回、お会い出来たら嬉しいです。


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