もんむす・レビュアーズ! (両生金魚)
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堕ちた勇者ルカ
祝福無き勇者ルカ。持って生まれたるは並外れた才。旅を始めてから彼の者は剣・槍・弓・斧・棍・刀・拳など汎ゆる武技を収め白・黒・時の三色の魔法を使いこなし、女神イリアスの祝福により聖なる力すらをも自在に操ると人々に伝わる。生まれ育った村から旅立つと瞬く間に人々を救い、数多の困難を乗り越え遂には戦争すら止めてしまった。そして今も尚人々のために戦い続けているという。
そして、そんな勇者は今
「アヒィイイイイイイイイイイイイイイイッ!!」
ポケット魔王城で魔物たちの餌食になっていた。
「ん~、やっぱりルカちゃんの精は極上よね♪」
とてもいい笑顔をしながら個室から出てくるアイドルサキュバスのサキちゃん。ルカにとってはこんなものは日常の一コマに過ぎない。何せこの城には魔物娘が多すぎる上に彼女たちにとっては極上とも言える精の持ち主なのだ。隙有らば押し倒されて過剰過ぎる快楽と引き換えに精を根こそぎ放出してしまう。ついでに城内のマッドサイエンティスト共の実験体にされたり我儘な女神様を筆頭に腹ペコ共の為に料理を振るったり嫉妬した幼馴染に無理やり搾り取られたりその後経験値稼ぎに出かけさせられたりと毎日が忙しい。
端的に言えば、ルカはとても疲れていたのだった。
「あ、空、綺麗」
早朝一人、村からずっと共に戦ってきた愛用の剣をぶら下げ、一人散歩する。もはや数少ない一人の時間だ。鍛錬を終えて、何となくのんびりしたこの時間がいつの間にか好きになっていた。
今日はどの用事から済ませようかなぁなあなんて思っていると、落ちた。いきなり落ちた。落ちし穴でも有ったのかとそれはもう見事に一瞬で姿がかき消え――いつの間にかその姿は消えていた。
「――――――――ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!」
訳も分からずいきなり浮遊感を感じたかと思うと暗闇で落ち続ける感覚。思わず叫び声を上げ、視界が急に開けた。
ふと見渡せば見知らぬ森の中。世界を旅してきた自分も見たことのない植物。そして……
「GRUAAAAAAA!!!」
「な、何なんだコイツは!?」
今まで見たことも無い様な化け物。人外の者、といえば基本魔物娘しか知らないルカは理外の光景に一瞬身体が硬直する。
だが、襲って来ようとするそのバケモノを迎撃しようとした時、突如として矢が飛翔してきた。
「やれっ! スタンク! ブルース!」
「オウッ!」「承知!」
声のする方を見ると耳が長い。エルフなのに……男!? そして斬りかかった剣士は良いとして、もうひとりの毛むくじゃらの獣人も男の様だ。一体、ここは何処だ? とりあえず、実力は確かなようだ。人の数倍も有るバケモノがあっという間に切り刻まれ、叩き伏せられる。
「大丈夫だったかボウズ……剣もロクに使えねえのに街の外に出るんじゃねえよ……って何か前にもこんな事有ったな」
「お前ら、こうやってクリムも助けたのか」
「ん? コイツ人間か……? 魔力の匂いが何か人と違うぞ」
「あ~、99.9%人間の獣人って奴か?」
「いや、この匂いはむしろクリムに近い気がする……」
と、良く分からない会話をする3人。ただ、悪い人?達では無さそうだ。
「あ、あのっ、ここはイリアスヴィルの近くでしょうか!?」
兎も角現状確認だ。一縷の望みを賭けて聞いてみるが……
『はぁ?』
「イリアスヴィル? 聞いたことねぇぞそんな街」
帰ってきたのは案の定の答えであった。
「や、やっぱり……」
ガクッと項垂れるルカ。その様子に訝しむ3人。
「何かクリムとはまた別に厄介な事情抱えてそうだな」
「そうだな、話してみろよボウズ」
「ワシらで良ければ力になるぞ。まあ出来る範囲でだが」
「はい、実は……」
カクカクシカジカマルマルクワクワ
「「「はあああああっ!?別世界いいいいいいっ!?」」」
「は、はい、そうとしか言えなくて……」
自分にとっても衝撃だったようだが、当然相手にとっても衝撃だったようだ。
「まあ、時々流れてくる奴も居るみたいだからな」
「大抵ひょろい奴じゃ無かったか? このボウズはかなり鍛えてるぞ」
「まあ、また別の世界から飛ばされたんじゃろ」
どうやら自分の様な立場の人間すら珍しい事は珍しいが居ないわけでも無いらしい。
「でも、これからどうしよう……」
異世界に立った一人、お金も無いし持っているのはこの剣だけ。とても心細い。そしてそんな悩む様子を見て……
「よし、まあとりあえず近くの街に案内してやるよ」
「折角だし奢ってやるぞ少年」
「おう、ワシら3人が金を出してやる」
スタスタと歩き出す3人について行きながら首を傾げるルカ。
「おうよ、サキュバス店だ」
「サキュ、バス――いえいえいえいえっ! 別に良いですっ!?」
顔を青くして、ブンブンと横に首を振られる。照れるなら兎も角、その予想外の反応に首を傾げる3人。
「なんだなんだ、ひょっとして男が趣味だったりするのか?」
「い、いえそうでなくてですね!?」
ただ事ではない慌てようだ。一体何なのだろうか。兎も角、カクカクシカジカとまた話を聞いてみる。
「あ~……そりゃ」「なるほどのう……」「毎度毎度低級淫魔の店に放り込まれてるようなもんか」
この少年の居た世界の女は随分と男から搾り取るのが好きなようだ。バトルファックという文化も大概おかしく感じるが、男が負けっぱなしというのも情けないし、楽しみになってないのも頂けない。
このままでは、いけない。そんな思いが、スケベ3人の胸に吹き抜ける。色々な嬢との出会い。一方的ではなく、お互いに与え合い楽しみ合うのがスケベだ。この少年に、そんな楽しみを教えてやらねばと。もはや使命感に近い。
「安心しろ、ボウズ! こっちにはそんなプレイを望まなけりゃそんな目には遭わねぇ!」
「よっし、一番いい嬢を見繕ってやるか!」
「ワシらに任せておけ! この辺の嬢の事はかなり知っておるからな!」
「え?え?ええええええっ!?」
笑いながらルカを先導する3人。そして着いたのは、定番のお店ニャンニャン天国。来るまでに街を見たが、魔物娘でなく男の異種族も沢山居る街の有様に、心底びっくりするルカ。何もかもが珍しくてキョロキョロを視線を彷徨わせているうちにたどり着いた。
「んでさ、あの子割と大変な目に遭ってきたようでさ……」「特に感じやすい子見繕ってくれ」「いい思い出にしてやりたいからのう」
多めのお金を握らせ、嬢を紹介してもらう。
不安ながらも案内されたお部屋、そこで待っていたのは大きくふかふかでもふもふしたオオヤマネコ科のヤマネちゃんである。
「優しくしてあげてくれって言われてるニャ~」
大きな体でルカをナデナデ、ムギュムギュとその身体で包み込む。
「は、はい……あの、じゃあよろしくおねがいします……」
照れつつも、不安8割期待2割でもふもふされるルカ。
「それじゃあ、一緒にシャワー浴びるかにゃ?」
「はい……」
もし例えるとするならば。それは初めて楽器を買ってもらった時の高揚に似ている。未知の体験に、どきどきわくわくする。初めは音が上手く出ないけれど、楽器と対話をするかのように少しずつその手に馴染ませ、音の引き出し方が分かってくるし、それに応えてくれるかのように相手も心地よい音色と感触で返してくれる。
その日、少年は初めて少年はそれはお互いにとって楽しいものだと知ったのだ。
「スタンクさん、ゼルさん、ブルースさん、僕、決めました!」
『ん?』
異世界の勇者が仲間になった
「サキュ嬢をレビューするために、僕、頑張ってお金を稼ぎます!」
『その意気だ!』
堕ちた
ハーフ天使:ルカ
10
とっても良かったです! ふわふわして、むにむにして、優しくしてくれて、ここを触られると良いって導いてくれて気持ちいいって言ってくれたんです! 肉球とか、尻尾とか、爪を立てないで痛くもしないで丁度いい感じに調整してくれるのが、なんだか凄いなって思いました! また行きたいです!
※初体験の子のレビューにつき参考記録であることに注意
もんむすが好きです。ルカさんも好きです。そう思ったら何か一本書いてました。
好評だったら続けてみようかと思ったけどこんなマイナージャンルを知っている人がどれほど居るか……!
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【人魚専門店】流れる快楽のレポート
「また男の子拾ってきたの。全く、何処からか攫って来たり召喚したりしたんじゃないでしょうね?」
「バカを言うな。いろっぺー女の子なら兎も角なんでわざわざボウズを二人も呼び出さなきゃならねーんだよ」
「「そうそう」」
ここは王都のとある宿屋兼酒場の食酒亭。文字通り飯と酒を出すお店である。今日も雑多な種族の色んな連中が飯を食ったり酒を飲んだり掲示板の掲示物を読んだりと思い思いに過ごしている。ルカも一端の冒険者である。酒場には何度か訪れたことが有ったが旅の目的は常に決まっていたし、仲間は旅の途中で増やしていた。なのでいわゆる"冒険者の酒場"という奴をじっくり堪能することは実は中々に珍しいことだったりもする。まるで昔の、田舎から出てきたお上りさんに戻ったようにキョロキョロと店内を見渡していた。
「まあそうよね……あんたらが女以外に興味を持つとは思えないし……で、えーっと名前は……」
「ルカです」
「ルカ君ね。行く当てはあるの?」
「いえ、全く……」
ふるふると首を振る。異世界に剣を一本だけ持ち込んでの一文無しである。当然当てなど有るはずもない。……まあ、その今手にしている剣が伝説の剣にも匹敵するようなとてつもない剣なのだが(火・水・雷・闇・聖の5属性付与の上希少な素材をこれでもかと盛り込んである)完全にルカ専用にカスタムされているものだし、愛着のある愛剣を手放すなど考えられない。
「一応剣は使えるようだけど魔物とかの知識も全く無いのに討伐依頼とかやらせるのも危険だからな……」
腕を組んで悩むゼル。ドスケベだが冒険者としては英雄にも匹敵する実力を持つ連中である。その辺りの配慮は抜かり無い。
「そもそも、字が読めるかも怪しいのう……」「何かやるとしても代書屋代筆屋とか必須かよ……」
このままほっといたら物乞いにでも落ちるか体を売るか、何処かで野垂れ死ぬか……そんな気分の悪い未来予想がルカ以外の頭を過る。
「なあメイドリー、もう一人位雇ってやれねえか?」
「私に言わないで店長に言って。――まあ、最近あんたらがクリム君をサキュバス店にばっかり連れてってるからもう一人位大丈夫だと思うけどさ」
まったく、とため息を付いてからジロリとスタンクとゼルを睨むが二人はどこ吹く風だ。冷たい視線などにはとっくの昔に慣れきっている。
「よーしよし、そりゃ良かった。じゃあルカの事もよろしく頼むわ。部屋は……クリムと相部屋か?」「まあ、あいつも男だし大丈夫じゃろ」「いや、あいつは確か男もOKなんじゃ……」「あっ、やべ……」
少々顔を青くするスケベ3人と、赤くするメイドリー。目の前のルカもかなりかわいいと言える少年だけに、その手の趣味の人がクロムとの相部屋という事を知ったらそれだけで薄い本(異世界人が持ち込んだ概念)が厚くなりそうである。実際に某異世界の大きいお友達はもんむすでヌイてるのかルカ君でヌイてるのか分からなくなっている人や性癖がネジ曲がった人がいるとかいないとか……
閑話休題。
「僕の事呼びました?」
「えっ、天使!?」
そんな反応は露知らず、ふわふわと2階から降りてくるクリム。ルカの方も男の天使が居ることに驚いているが、クリムの方も何となく知っている様な感覚が混じってるので首をかしげる。
「おう、クリム。このボウズもお前と同じで行き場所が無いんだ。だから相部屋で頼むわ」
「え、ええええええっ!?」
いきなり追加されそうになる同居人にびっくり仰天なクリム。
「い、いきなりそんな事を言われても……」
とルカの方を見る。見た目……かわかっこいい。あ、結構筋肉も有る。強さ……物凄い強そう。魔力……なんだかいい香りがする。性格……とっても優しそう。あ、あれ?ひょっとして凄い良い? なんて思うとドキドキしてきた。
『…………クリム?』
「はっ!? ち、違うんですよ!?」
慌ててぶんぶんと首を横に振るが、4人集まりヒソヒソと顔を突きつけ合わせる。
「お、おい、あいつやっぱり……」「やっぱりクリム君って……」「おいおい、大丈夫か……?」「ルカのトラウマが増えないと良いけどのう……」
4人は不安そうだが、そんな様子にルカは気が付かず「あ、あの……相部屋大丈夫かな?」なんて聞いてくるので思わず「は、はい!」と答えてしまったクリムであった。それからトントン拍子に話は進み、とりあえず女将さんにもOKを貰えた。
「それで……ルカ君は何が出来るの?」
とりあえずメイドリーの面接タイムである。女将さんも忙しい厨房から花を伸ばして音を拾っている。
「えーと……色々と出来ます。冒険に出る前、村で宿屋をやってましたから」
「へー、宿屋! ご両親と?」
「あ、いえ、お母さんは10年前に……お父さんも旅に出て10年はもう……」
『おおぅ……』
割とヘヴィな話に一瞬で周りの温度が冷えた。
「あ、えっと、そんな訳でまあ、掃除も洗濯もベッドメイクも料理も薪割りも一通り出来ますよ!」
「薪割りぃ?」
慌てて空気を変えようとしたが、薪割りという名前を出した時点でまたも怪訝な顔になる周りの5名。
「お前、炎の魔石は……」「えっ、こっちの世界だと魔道具ってそんなに広く普及しているんですか?」
くん、と匂いを嗅げばそういえば厨房からは薪が燃える煙の匂いがしない。その代わり魔力の香りが漂ってくる。異世界ということは覚悟していたが、どうやら想像以上に常識は違うようだ。見えるは難題ばかり。しかし、そんな事にルカは怯まない。何故ならば今のルカには夢が有るのだ。そう、お金を稼ぎ、様々なサキュバス店を巡るという夢が。その為ならば、どんな試練さえも乗り越えてみせよう。そう決意したルカは、とても男の子な顔をしていたのだ。その表情に男3人と両性具有一人は共感し
「……ひょっとしてこの子もスケベ?」
女の子であるメイドリーは一人遠い目をしていたのだった。
その日から、ルカの忙しい1日は始まった。ウェイターの服を貸してもらうと、慌ただしく給仕を始める。メモを取り、皿を配膳しお酒を補充しテキパキと片付ける。会計をすれば一瞬で計算を終わらせる。更に、種族観察も怠らない。店に来る種族はルカが見たこともないような種族もそれなりに見かけるし、何より男の異種族は存在しなかった世界なので、観察するだけでも楽しい。それに、魔物娘のお姉さん方も元いた世界とはやはり何処か違うようで、今から興味が尽きない。
休憩時間にはクリムやメイドリーや女将さんやルカをかわいがってくるお姉さんと一部お兄さんおじさんに文字を教えてもらいつつ、この世界の地理・風土・文化・魔物などの知識を吸収していく。普通ならば物凄い時間がかかるだろうがそこはルカ。勇者と王族と天使の超サラブレットで有る基礎スペックを活かし、エンシェントエルフの髪に魔力が吸収される勢いで急速に知識をため込んでいった。
そして一週間後、待ちに待った給料日である。
「はい、ルカ君今週のお給料」
「ありがとうございます!」
この世界で貰う初めての給料に満面の笑みを浮かべるルカ。本当に嬉しそうだ。隣のクリムもメイドリーも、お給料日はほっこり笑顔である。
「よし、じゃあ早速……」「ど、何処へ行きます……?」
いつものドスケベ冒険者組が居ないが、レビューをすればお金が入る。だからクリムもルカと一緒にサキュバス店を巡る気満々である。
「僕はニャンニャン天国しか行ったことが無いから何処へ行くのも興味があるけど……」
「……そうですね、僕も新しい所試してみたいですし……」
見た目は超美少年二人が一緒に並んで歩いているのに話している話題が不健全甚だしい。しかしサキュバス街で行う会話としては極めて正しい。ケモエロパーク・ティンカーベル・熟樽天国・種牛の宴など、様々なエロい看板を眺めて街を巡る。どうせなら、今まで入ったことがない様な店がいいと思うと、途端に悩ましくなる。
「う~~~ん」「う~~~ん」
うんうん二人が悩んでいると、大きな水路沿いのエリアに来た。水路と直結し、また水中にかまえている店もそれなりに多い。
「……クリム君、この辺りのお店は入ったことが有る?」
「いえ、何時もは他の皆さんと一緒なので水中のお店は……」
一人耐性が高いと、どうしても周りとズレる事がある。クリム自身は水中は平気だが、他の仲間はそうでもない。だから普段は遠慮していたが……
「僕も水中は大丈夫だから、挑戦してみる?」「……はい!」
ルカの提案に喜んで賛成するクリム。前々から気にはなっていたのだ。ルカは海神の加護とウンディーネの加護の効果により水中でも地上と同等に活動できるし、クリムもまた水中での活動に支障はない。ざぷんとそのまま水に入ると、地上とはまた違う光景に二人は目を奪われる。
水中は深く、それ故に様々な高さに店が雑多に並んでいる。人魚やダゴンやスキュラなどの水中種族があちこちを行き交い、地上とは違う音の通りが体中に賑やかさを届ける。
「おおおおおお……」「凄いですね……」
感動しつつキョロキョロしている二人。しかしここはサキュバス街、早速声がかかる。
「そこのボクたち~、水の中は初めてかしら~? それじゃあ忘れられない思い出、作らない~?」
そちらを見ると、マイクロビキニで胸を隠したどたぷんな人魚さん。母性に弱いルカ、「は、はい……」とふよふよと釣られてしまう。
「あ、う、そ、その……じゃあ、僕も……」
「は~い、2名様、ごあんな~い♪」
胸に釣られてしまったが、人魚の店はとても大きい。人魚専門店・流れる快楽は水中の底から地上までぶち抜きでそびえ立っている。
「な、何でこんなに広いんだろう……?」
クリムは不思議そうに店を見渡す。そんなにたくさん居るのだろうか?
ルカ共々、大きいおっぱいの人魚さんを指名する。薄緑色の鱗がすべすべで艶めかしいお姉さんだ。部屋に案内されると、地上のお店と違ってベッドが無い。代わりに、魔法で水流が作ってあるのか部屋の外周を回るかのように流れがある。
「ふふっ、人魚と交わるのは初めてなのよね? 不思議に思っちゃう?」
「は、はい……」
こくこくと素直に頷く。エッチの前の情報収集はとても大事だ。このお店にはつい勢いで入ってしまったが事前に知っておけば不測の事態にも対応しやすい。
「人魚はね、泳ぎながら交わるの。そうするとあそこがうねうねと動いてとっても気持ちいいのよ……」
耳元で囁かれると興奮が止まらない。変わったエッチの前はすごくドキドキする。
「それじゃ、早速始めちゃいましょうか……♪」
「はい……」
そうして、クリムは誘われるままに人魚さんと一つになった。
一方その頃、ルカはおっぱいに溺れていた。普段は搾精器官の一つにしか思えないほどの凶悪な責めを受けているのだが、こちらの世界では安らかな癒やしを与えてくれるのである。
「ふふっ、赤ちゃんみたいね……♪それじゃあ、まずは胸だけでイッてみましょうか♪」
その日、クリムとルカは色々な意味で溺れてしまったのだった。
ハーフ天使:ルカ
9
人魚は水の中で交わるんだけど、ヒレも水かきも無い種族は基本的に水の中で抱きついてるだけかな? 身体の大きいお姉さんに抱きついていると凄く安心して、水流や泳ぎ方によって刺激が変わってとても気持ちいいんだけど自分から積極的に動いたり主導権を握りたい陸上種の人には向かないかも? 後、鱗がとてもすべすべして気持ちいのだけれど、これは体毛が薄い種族が感じられる特権かな?……あ、そうそう、最後はやっぱり中に出すほうが良いです。胸でしてもらうときも、できれば口の中に。外に出すと……その、ね?
天使:クリムヴェール
9
僕は天使なので普段から浮いているんですけど、水中は空中とはまた違ったん感覚です。重力を感じなくて、自分が何処を向いているのか分からなくなって、ただ気持ちよく流されて夢見心地になっちゃいました。基本的に人魚のお姉さんに抱きついて泳いでもらって、僕自身はあまり動かないんですけど、羽を使って流れや方向を少し変えると、刺激が不規則に変わってそれがまたお互いに気持ちいいんです。ちょっと高いですけど水中呼吸のオプションも有るので、水中に適正が無い種族の人も試してみて欲しいですね。お金がない人様に一応水面から顔を出せる部屋も有るんですけど、やっぱりこの感覚は水の中じゃないと味わえません
レビューが貼られると、早速世のスケベ共が掲示板の前に群がる。サキュバス街での遊びはお金がかかる。誰だって外れは引きたくない。だからこそ、レビュー見る目にも熱がこもる。
「ほう、水中用……」「ラミアだけど水中で巻き付くのも良いかもな」「水中呼吸の魔法は別料金かよ」「……毛、有るとダメか」「お前毛が長いから水の中だとエラい事になりそうだな」
どうやら評判も上々の様である。
「お前ら、俺達が仕事ででかけてる間に楽しみやがって……」
呆れ半分不満半分のスカンクがジト目で働いているルカとクリムを見る。
「だ、だって僕まだ依頼受けれませんし……」「い、良いじゃないですか仕事ですし!」
「全く、クリムもすっかり堕天したし、ルカも一気にドスケベになったな」
意地悪な顔をしながらジョッキを片手、レビュー紙を片手にゼルが笑う。水中とは、自分達がまだ試したことの無い領域だ。早速行こうと算段を立てる。
「あ~、ワシはパスしとくかのう」「お前毛深いもんな」
そして残念そうなのはブルーズ。毛が長い種族と水中は相性が悪いのだ。
「……全く、男ってのはどいつもこいつも……」
最後に、そんな男共を呆れる目で見るメイドリー。こうして、ルカのドスケベ性活が本格的に始まったのだった。
ちなみにルカ君は経験値稼ぎまくっているので無茶苦茶な量の職業をマスターしています。
……他にもルカ君を快楽攻撃してくる奴が一切出てこないダイの大冒険とかに放り込むのも面白そう……
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