デート・ア・オルタナティブ (雪花ウサギ)
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デート・ア・オルタナティブ黎編
黎デュアル上


黎デュアル上

僕達の母は早くに他界した。

それからの日々は地獄だった。

父から殴られ蹴られもう僕達はいつからか生きる気力を無くしていった。

僕は思った。

どうして自分達が傷つかなくてはならないのか。

どうしてこんな辛い思いをしなければならないのか…。

???「やめて…殴らないで…お父さん」

父「うるせぇ!黙りやがれ!」

父は娘を殴り続けた。

そして………………娘を殺した。

???「ただいま…」

数分後もう1人の娘が帰ってきた。

父「おい!こっちに来い!」

???「はい…」

娘は声が聞こえた方へ歩いて行った。そこで娘が見たのは頭からを血を流し倒れている妹の姿だった。

???「お父さん…× × × に何したの…」

父「俺の顔を見ると睨みつけてきやがったから躾をしたんだよ!」

娘が駆け寄り妹の腕に触れると脈は無く氷のように冷たかった。

父「お前そいつを庭に埋めてこい」

娘はその一言を聞くと父に殴りかかった。

しかし、当然のように返り討ちにされた。

父「まさか親を殴ろうとするなんてな!」

あぁ…僕も× × × みたいに殺されるんだ。

娘がそう悟った時、結晶が現れそれに触れた娘は次の瞬間、父を肉塊に変えた。

だが悲しみも怒りもわかなかった。

妹が死んだことにさえ涙すら浮かべ無かった。

六喰が仲間になってから丁度1ヶ月たった。

授業も終わり学生は皆帰る時間帯、雷禅高校に通う五河士道はスーパーに夕飯の買い出しに向かっていた。

士道「さーて今日はどうすっかなー。今日は美九は来ないし二亜は仕事だから6人か…じゃあ久しぶりにちらし寿司にでもするか」

士道はそんな独り言を言いながらスーパーに入って行った。

士道「すし酢すし酢…あったあった…後は海鮮だけだな。あ、そういえば前に手巻き寿司をやった時に残ったやつがあるから買わなくてもいいか」

士道は会計を済ませスーパーを出て行った。

とある家では小学生くらいの娘が虐待されていた。

娘「痛い!痛い!髪を引っ張らないで!」

母「あんたのせいで…あんたのせいで私が近所の人から笑われるのよ!あんたなんて産まなきゃよかった!」

???「やめなさい。その子を離しなさい」

母親が後ろを振り向くと15歳くらいの少女が立っていた。

母「あんた何処から入って来たのよ!」

???「もう一度だけ言う。その子を離しなさい」

母「はぁ?私がこいつに何しようが勝手じゃない」

???「そう…」

その少女は一瞬で娘の母親の首を切断し、上半身と下半身をバラバラにした。

少女は娘の顔を見ると返り血がかかったままの姿でその家から出て行った。

士道「さぁてもうみんな帰って来てるかなー。そういえば、今朝ニュースで天宮市で殺人事件が多発してるって言ってたな。世の中物騒だなー」

そんなことを言っていると携帯が鳴り出した。電話の相手は琴里だ。

士道「もしもし琴里か?」

琴里「士道、精霊よ。今からフラクシナスで拾うからそこから動かないで」

士道「わかった」

士道はフラクシナスに回収されメインルームで話を聞いた。

琴里「今回の精霊は多分これまでで1番厄介かもしれないわ」

士道「どうゆうことだ?」

琴里「さっきフラクシナスの衛生カメラにその精霊が一瞬写ったのだけど…」

士道「だけど?」

琴里「その衛生カメラを一瞬で破壊したのよ。それにどれだけカメラの映像を遅くして見ても見えなかった」

士道「はぁ?でもフラクシナスの衛生カメラはそもそも普通は見えないだろ?」

琴里「その通りよ、でも破壊された。相当敏感なのか、それとも見られたくないものでも見られたとか…。とりあえず識別名は<アサシン>になったわ。まだ天使の力も分からない精霊よ。警戒しながらコンタクトを取りなさい」

士道「わかった。じゃあその精霊の場所に転送してくれ」

琴里「あーそのことなんだけど…。そのーねあははは」

登山用具とテントを令音さんから受け取り転送してもらったのはいいが、場所が森!!見つかる気が……しない!

士道「来てみたもののもう日がくれそうだし、とりあえず川探さないと……。俺精霊を探すんじゃなくて、ただキャンプしに来てるだけじゃないか?」

士道は1人寂しく森をさまよい続けた。

士道「今何時だ?あれから、かれこれ2時間は歩いてるぞ。もう喉カラカラなんだけど」

ん?水の音?

士道は水の音の方へ走り出した。

意外と近いなもう見えてきそうだ。

士道「ついた…」

???「え…?」

士道「え…?」

士道の前には生まれたままの姿で月光のもと川に入っている銀色と金色の瞳をした少女がいた。

俺はこの状況が読めず数秒立ち尽くしていた。

???「いつまで僕の裸を見てるだい?今すぐ立ち去るか。死ぬか選んで」

士道「し、失礼しましたぁーー!」

叫びながら走っていく士道を睨みつけながら川から上がった。

あれ?なんで女の子がいるんだよ。

士道は疑問に思いインカムで今の状況を琴里に説明し川のほうに戻った。

少女は濡れた肌を拭かず岩の上に座っていた。

???「何故こんな所に人が…。もしかして昼間の浮遊物の持ち主とかかな?」

士道「あ、あの…もういいか?」

少女はその声を聞くと金色の衣装を身にまとった。

その姿はまるでくノ一だった。

???「どうぞ…」

士道「さっきはごめぶふぇお!!」

急に腹を殴られた。

???「ん?僕に殴られに来たんじゃないの?」

士道「いってええ。そんな訳ないだろ!」

士道はその少女の姿を見て確信した。彼女は精霊だと。

???「そう…。それで君はここに何しに来たの?」

士道「俺は…君に会いに来た」

???「僕に?」

士道「そうだ」

???「ストーカー?」

士道「違う」

???「盗撮魔?」

士道「違う」

???「変態?」

士道「違う!」

???「じゃあなんなの君は?」

士道「君と話をしに来たものだ

???「嫌」

琴里「即答ね。士道選択肢が出たわ。総員選択」

1・俺と一晩テントで語り明かさないか?

2・とりあえずお茶でも入れるから一緒にどうだい?

3・髪の毛拭いてあげるからその間だけ話さないかい?

琴里「ま、2が妥当ね」

神無月「私はー…」

琴里「士道2よ」

士道「とりあえずお茶でも入れるから一緒どうだい?」

???「僕は名前も知らない人からのお茶なんてもらえない」

士道「そういえば自己紹介してなかったな。俺は五河士道、君は?」

???「僕は名乗らないよ。君に教えても教えなくても僕の勝手だから」

士道「俺は君のことを知りたいのだけど…」

???「君は犯罪者か?それにくどい、僕は教えないと言っている」

士道はリュックからコッヘルを取り出し水をいれ火にかけた。

士道「そうか。君はなんでこんなとこにいるんだ?」

???「さっき僕の裸をみただろう?それでわかるでしょう」

士道「そ、そうか」

琴里「不味いわね。このままこんな話を続けてたら飽きて逃げだすわよ」

士道「じゃあどうすれば?」

???「次は僕から質問しよう。君はなんでこんなとこにいるの?」

士道「君を探しにきた」

???「君はストーカーだね。もう警察に突き出してもいいかも」

士道「冗談でもそう言うこと言うのやめてくれないか!?」

???「沸騰してるよ。それ」

彼女はコッヘルを指先しらせてくれた。

士道「あぁ、そうだな」

???「君とのおしゃべり多少の暇つぶしにはなったよ。お礼に僕の名前教えてといてあげる。僕は黎。じゃあね」

琴里「結局逃げられてるじゃない」

士道「すまない…」

琴里「ま、いいわ。とりあえず今日はフラクシナスで…」

士道「いや俺は残るよ。また多分会うかもしれないし」

琴里「わかったわ。皆には私から伝えておく」

士道「よろしくな」

僕が父を殺したあと自分の力の強大さを知った僕は、森に身を隠した。

このまま誰にも見つからず終わるのもありかなって考えてた。

でも、僕は元の自分の様な、力もない子供を助けたいと思った。

妹の様にただ殺されるだけの命はあっていいはずは、ないから…。

僕は決めた。

虐待されている子供を助けたいたとえ親を殺してでも…。

僕がやろうとしている事が悪でも、僕だけが罪を背負えば多くの子供を助けられるのなら…それでいい。

黎「にしても……あいつなんで僕のことを知ろうとしたんだろう…。まあいっかあいつとはまた近いうちに会う気がするし」

黎はそんなことを言いながら森を歩いていた。

???「きっひひひひ」

黎「誰だい?」

黎が振り返るとそこには自分より少し背が高く片目が懐中時計になっている女性がいた。

狂三「初めまして。わたくしは時崎狂三と申しますわ」

黎「あ、ご丁寧にどうも。それでなんだい?僕に何か用かな?」

狂三「とりあえずあなたも名乗ってもらえます?」

また、めんどくさいやり取りやるよりはマシか。

黎「僕は黎」

狂三「では黎さん、わたくしと手を組みませんこと?」

黎「・・・・・。なんで?」

狂三「あなた、見た限り相当な実力者とお見受けしましたわ」

黎「それはどうも。それで君の目的は何?内容次第では僕も手を貸そう」

狂三「わたくしの目的は始源の精霊を殺すことですわ」

やばい、この時崎狂三って人に絡むと面倒事に巻き込まれそう。

黎「悪いけど興味無いから手は貸さない。またね」

狂三「え?ちょっとお待ちになってくださいまし!」

狂三は黎を止めようとしたが立ち去られてしまった。

精霊マンションでは令音が十香の部屋に精霊を集めて手料理を振舞っていた。

令音「どうだい?口に合えば良いが」

十香「うむ!士道の手料理と同じくらい美味しいぞ!」

四糸乃は机をバンバン叩き令音にピースサインを送った。

令音「耶倶矢と夕弦は来ないのかい?」

十香「なんか2人は「久しぶりに料理対決する」とか言ってたぞ!」

七罪「十香、口の食べ物入ってるんだから喋らない行儀が悪いわよ」

そう言われると十香は食べ物を飲み込み話を始めた。

七罪「ちゃんと噛みなさいよ…」

十香「士道は何故1人でキャンプをしているのだ?」

令音「私がたまには1人でゆっくりするのもいいだろうと思ってキャンプを勧めた」

六喰「主様はいつ戻るのじゃ?」

令音「明日の昼には戻ると言っていた」

六喰は、「ご馳走様」といいそのまま十香の部屋を出て行った。

令音「どうだろうね…。十香、六喰が食べなかった分食べて貰えるかい?」

十香「うむ。わかったぞ」

翌日六喰は、朝早くから大きなリュックサックに飲食物を詰めていた。

むくは、一秒でも早く主様に会いたいのじゃ。皆には悪いがむくは、一足先に会いに行くのじゃ。

六喰が部屋から出ると扉の前には七罪と四糸乃が立っていた。

七罪「なに1人行こうとしてるのよ。それに危ないし」

よしのん「六喰ちゃん、よしのん達を除け者にするなんてひどいなぁー。よしのん達もいれてよー」

四糸乃「私も…行き…ます」

六喰「むん、そうかでは、3人で主様に会いに行くのじゃ」

七罪「それで何処にいるのか知ってるの?」

六喰・四糸乃・よしのん「あ………」

七罪「とりあえず折紙の所に行くわよ。あいつならいる場所がわかると思うし」

折紙「話は聞かせてもらった」

七罪と四糸乃の後ろからにゅるっと折紙が姿を現した。

七罪「あんたいつから居たの!?」

四糸乃「びっくり……しました」

よしのん「いやー。折紙ちゃんって忍者のまつえなの?」

六喰「それで、十香は呼んだのか?」

折紙「まだ寝ていた」

よしのん「あれ?ホントにいつからいたの?」

折紙「わりとはじめから。時間が推してる。早く行くべき」

六喰、七罪、四糸乃、折紙、4人は森に向かって歩き始めた。

士道が朝、目覚めると隣にいたのは可愛い寝息を立てながら寝ている狂三だった。

なんで俺の隣で狂三が寝ているんだよ。あれここ俺のテントだよな?

とりあえず狂三を起こすか。

士道「おーい起きろ狂三ー」

狂三「ん……にゃー…」

なんて寝言なんだよ。

こいつ夢で自分も猫になってるか猫に囲まれてるのか?

士道「いいから起きろ狂三」

狂三「んー?ふぁ~・・・・

。おはようございます士道さん」

狂三は小さなあくびをして士道のほうによって行った。

士道「なんで俺のテントの中にいるんだよ!!」

狂三「朝から耳元で怒鳴らないでくださいまし………」

狂三は士道の膝の上に頭を置きまた寝始めた。

士道「いや、また寝ないでくれるかな?!」

狂三「うるさいですわね。はいはい、起きますわ」

士道「それでなんでこんなとこにいるんだ?」

狂三「わたくしは昨晩ここで1人の精霊と話して力を貸してもらうように頼みましたの」

士道「珍しいな。お前が他のやつに協力を求めるなんて。それで?」

狂三「即断られましたわ」

士道「それでなんで俺のテントにいるんだ?」

狂三「それはその後わたくしが、士道さんが近くで1人寂しそうにキャンプしていたと申しておりましたの。ならわたくしが、添い寝して差し上げましょうと思い、添い寝して朝になってみれば士道さんはわたくしを邪険に扱いましたわ。わたくしもう悲しいですわ、泣いてしまいますわ」

士道「それは悪かった。すまん」

狂三「では、これからわたくしに何されても動かないで頂ければ許しますわ」

士道「コロサナイデネ」

狂三「そんなことはしませんわ」

狂三は士道を押し倒し身体を密着させた。

士道「あ、あのー狂三さん?ち、近い…近いって…その…色々当たって…」

狂三「動かないでくださいまし」

士道「はい…」

士道は観念して考えるのをやめた。

狂三は俺の胸の中に顔をうずくめながら何か言ったような気がした。

士道「あのーそろそろどいて頂いても」

狂三は起き上がり士道の上からどいた。

狂三「まあいいですわ。久しぶりに士道さんの可愛いところが見れましたし」

士道「そ、そうか」

狂三「黎さんには気おつけてくださいまし。彼女はわたくしや十香さん達とは異なる存在ですので。それではごきげんよう」

士道「待ってくれ狂三」

狂三「なんですの?」

士道「ありがとな。美九の時や折紙の時も力を貸してくれて」

狂三「どういたしまして。それでは」

そうゆうと狂三は影の中に消えていった。

俺には狂三が消える直前、顔が赤くなっていたように思えた。

士道「さてとテント片付けて下山するか」

そのころ黎は、とある家で人を殺していた。

いつからだろう。

人を殺すことに躊躇いがなくなったのは、10人、50人と殺して行くうちに自分が殺してるのは、人間ではないという認識が強くなっていた。

この世界には正解なんて存在しない、なら僕は僕が思う正義を貫くだけだ。

黎「またか……」

黎の霊装には殺した人の返り血で真っ赤に染まっていた。

黎「死臭が付く前にでよう」

黎は疲れた表情をしながらその家から出て行った。

士道「黎?」

黎「五河士道…」

士道「どうしたんだよその血!怪我でもしたのか?」

黎「君は知らなくてもいい」

士道「お前、まさか!人を…殺したのか?」

士道は恐る恐る黎に尋ねた。

黎はため息をつくとあっさり認めた。

士道「なんで…なんでこんなことしたんだよ!」

黎「君には関係がない」

士道「だとしてもだ!人が殺されているんだぞ!」

黎「君はしつこいんだね。いいよ話してあげる。僕が殺す人は決まっている」

士道「どうゆうことだ」

黎「僕が殺すのは、子供に虐待をしている人間だけだ」

士道「だからって殺す必要は…」

黎は士道の話を遮り話だした。

黎「あるよ。大いにある。あいつらは、ほっとくと子供を殺す」

士道「だったら警察や大人を頼れば……」

黎「そんなことしたって意味は無い」

士道「どうしてそう言いきれるんだよ!」

黎「それで助かるのは1部の子供だけだ!君に…僕の…僕達の何が分かるんだよ!」

士道「どうして…どうして社会を信用しないんだよ!」

黎「話しても何もしてもらえなかったからに決まってるでしょうが!」

士道「殺す前に話し合うことだって出来たはずだ!」

黎「したさ。でも彼らはなんて言ったと思う?「これは俺が作ったものだ何をしようが勝手だ」「こいつが生きていられるのは俺のおかげなんだよ!生きているだけ迷惑してるんだからそれの憂さ晴らしだ」などと言ってきたのさ!」

士道はついに何も言い返せなくなった。

黎は士道の胸ぐらを掴み自分の顔に近づけてこういい放った。

黎「何も知らない……いや表の綺麗な世界しか見ていないやつが知ったような口を聞くな!!」

黎は言い切ると士道を突き飛ばした。

黎「僕はこれからも人を殺し続けるでも1回だけチャンスをあげる。もし、僕を止めたいなら力ずくで止めてみなよ。僕は夜あそこにいるから。またね五河士道」

そう言うと黎は飛び去ってしまった。

さぁ、君は僕をどう止める、五河士道。

END

 

 

 

 

 




初めてオリキャラを使用して作りました
感想待ってまーす


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黎デュアル下

黎デュアル下

士道は、黎と話した後もしばらくその場に立ち尽くしていた。

黎が言っていることも間違えいない。だが歪んでいる。

俺達<ラタトスク>も、精霊を助けるという正義を持っている。

だが歪んでいてもそれが黎が抱く正義なのであろう。

この世界の正義ってなんだ…正解ってなんだ。

士道は空を見上げながらそんな答えがないことを考えていると前方から4人歩いてくるのが見えた。

折紙「いた」

七罪「いた」

よしのん「みつけたよ~士道くん」

四糸乃「見つけました」

六喰「見つけたぞ主様」

士道「おはようってどうしたんだこんなに早く」

折紙「迎えに来た」

士道「別に良いのに…ってこんなことしてる場合じゃない!みんな今すぐフラクシナスで話すことがある。今居ないメンバーを集めてくれ」

六喰「ふんむ。わかったのじゃ」

四糸乃「はい…」

士道はインカムで琴里に頼み七罪と折紙と共にフラクシナスで回収してもらった。

そして3人は先にメインルームに足を運んだ。

琴里「何があったか説明して頂戴」

士道「実は、今朝も黎に会った」

琴里「それで?デートに誘ったの?」

士道「違う。今朝黎に会った時、黎は血塗れだった」

琴里「まさか!!」

士道「多分察してると思うが彼女、黎は人を殺している」

琴里「これで最近の連続殺人事件と繋がったわね。それで理由は?」

士道「虐待をされている子供を助けるためだってあいつは言っていた」

琴里「そう・・・・。被害が出ている以上こちらも場合よっては実力を行使することになるかもしれないわ」

士道「あと、あいつは「僕を止めたいなら力ずくで止めてみなよ。僕は夜あそこにいるから」って言っていた」

その時メインルームに他の精霊全員が入って来た。

琴里「みんな…」

十香「新しい精霊なのだな…」

二亜「なになに?今回の子はどんな子だった少年?」

琴里「話を戻すわ。黎は力ずくで止めろと言ってはいたけれどとりあえず士道は今晩、黎ともう一度話をしてもらうわ」

十香「私達は何をすれば良いのだ?」

琴里「みんなには、士道の護衛をしてもらうわ。場所は、森だからみんなは、木の影にでも隠れて様子を伺って頂戴」

折紙「わかった」

よしのん「四糸乃頑張って全力で士道くんを守ろう?」

四糸乃「うん…!」

耶倶矢「我の力を持ってすれば精霊1人を拘束することなど…痛い!」

七罪は耶倶矢の頭にチョップを落とした。

七罪「悪魔で私達は士道を守る事なんだから」

琴里「話は以上よ。悪いけど士道は残って頂戴」

士道「え?なんで俺だけ?」

黎は、展望台のベンチで小説を読みながら考え事をしていた。

普通の人間が僕を止めるのは無理だと思うけど、とりあえず暇つぶしにはなると思うし。

狂三「あらあらあなたがこんなとこにいるなんて」

本に集中していて僕の背後に時崎狂三が立っているのに気づかなかった。

黎「また君かい?時崎狂三… しつこいんだね。君も」

狂三「わたくしは、ただの散歩ですわ。書物好きなんですの?」

黎「小説は良いよ。色んなことを僕に教えてくれる。あとひとつ聞いていい?」

狂三「なんですの?」

黎「この漢字なんて読むの?」

黎が狂三に本を見せ指さした漢字は漁火だった。

狂三「いさりびですわね」

黎「ありがとう。ねぇ、時崎狂三は漁火って見たことある?」

狂三「わたくし、あまり潮風は好きではありませんので海には行きませんの」

黎「僕には海は本で出てくる物でしかないから」

黎は悲しい顔をしながら言った。

狂三「あなた…1人ぼっちなんですの?」

黎「人間は、誰もがみな1人だと思うのだけれど」

狂三「あなたいつも答えのない答えを求めているんですの?」

黎「そうだね。僕は求めてる、この世界の正義をね」

狂三「あらそうですの。ではわたくしはこの辺で」

黎「時崎狂三、また漢字教えてね」

狂三「ま、考えておきますわ」

狂三は、いつものように影の中に消えていった。

黎「さてと、僕もどこかに行くとしますか」

昔の僕は楽しむ物が本しかなかった。

図鑑、詩、小説色んなものを読んできた。

妹は、僕が学校から帰ると毎日「本を読み聞かせて」って言われていた。

妹が好きだったのは大体がグリム童話だった。

しかも、なんにも変更されていない本家のグリム童話だ。

正直当時の僕は、これを読み聞かせ良いものなのか?

あまり教育に良くない物だとわかっていたが妹の頼みを断るのが可哀想に思えて仕方なく読み聞かせていた。

ある日、妹が僕にいつものグリム童話ではなくまた別の本を持って来た。

黎「どうしたの?」

妹「これ読んで」

そう言いながら僕に渡したのは

「地底旅行」と表紙に書かれていた小説だった。

黎「珍しいね、グリム童話以外の本を持って来るなんて」

妹は笑みを浮かべながら頷いた。

黎「わかった。じゃあ公園行こうか」

妹「うん!」

僕が本を読み聞かせる時決まって近所の公園に行く。

家にいるといつ父に邪魔されるか分からないからだ。

黎は妹の手を引いて公園に歩いて行った。

それ「地底旅行」は子供の冒険心をくすぐる内容だった。

妹「ねぇ、お姉ちゃんいつか一緒にこの世界の色んなものを見てまわろ?」

黎「そうだね。いつかは…」

しかしそんな未来は来なかった。

妹はもう居ないのだから…。

本を開く度にどうしても思い出してしまう。

でも辛くはないこの思い出が僕に力をくれる…。

怒りや憎悪を忘れないために…。

本を読んでいるうちに街がオレンジ色に染まっていく。

黎「さぁ、いきますか」

僕を楽しませてくれよ?五河士道。

士道は、琴里と1対1の面談をしていた。

内容は、黎をデートに誘う方法である。

琴里「今回、デートを誘う前にこうなってしまったけれど、まだチャンスが無くなった訳じゃないわ。もし戦闘になった場合は十香達が守ってくれるけど、後は士道次第よ。せいぜい頑張りなさい」

士道「なぁ琴里」

琴里「何よ」

士道「正義ってなんだ?」

琴里「はぁ?そんな歳にもなって厨二病なんて勘弁して…」

琴里は残念な人を見るような目で士道を見下していた。

士道「違う!違うから!黎と俺達の正義って同じなのかってさ?」

琴里「さあね。そんなものに答えなんてないわ。少なくとも私達<ラタトスク>は精霊を助けることが正義だと思ってるわ」

士道「そうなのか…」

琴里「士道、そろそろ時間よ」

士道「あぁ。わかってる」

琴里「さぁ、私達の戦争<デート>を始めましょう」

黎は昨日士道と出会った川の近くの岩の上に座って本を読んでいた。

前方から草をかき分けてこっちに向かってくるの足音が聞こえてくる。

あと10m、8、6、来た。

士道「来たぜ。黎」

黎「こんばんは五河士道今夜は綺麗な満月が見られそうだよ」

黎はそんなどうでもいい話を持ち掛けてきた。

士道「本当に争う気なのか?」

黎「できればしたくないかな」

士道「なら…」

黎「でも言動には責任を持たないといけないからね」

黎「よっと」

黎は座ってた岩の上飛び降りこちらに歩いてくる。

黎「一様ルールを言っておこう」

士道「ルール?」

黎「何事もルールが無いと面白くないからね。あと……さっきからか隠れている人達も出てきなよ!」

士道「なっ!?」

理由は分からないが黎は既に十香達が隠れていることを知っていた。

黎「僕が気づかないとでも思ってたの?そんなわけないじゃん。ずっと見てたんだから…」

士道「見ていた?」

黎「そう。見ていたの君達全員を」

ガサガサ音を立てながら全方向から擬似霊装を纏った十香達が出てきた。

黎「それじゃあ説明するね」

この後黎が言い出したルールに全員が耳を疑った。

黎「その1、君らは僕を殺すか、気絶させたら勝ち。僕は君らを全員戦闘不能にしたら勝ち、あと僕がこの中の誰かを殺しても負け」

黎が言っていることの訳が分からなかった。

普通なら自分に有利立てるルールを作るはずだ。

なのに黎が出してきたルールは、自分が死ぬ可能性があるルールを出してきた。

士道「待ってくれ!そんなことをしたら」

黎「そんなことをしたら僕が死んでしまうかも、とでも言いたいのだろうけど」

黎「僕は負ける気はない」

黎「あと」

黎は上を見上げて話し出した。

黎「高みの見物を決め込んでる人達の参加もいいからね」

士道が、付けているインカムから警報の音が鳴り響いた。

黎はコインを胸元から取り出しそれを投げた。

黎「これが地面に落ちたらスタートだから。じゃあね」

黎はそう言うと俺達の前から姿を消した。

コインはキーンと音を立て地面に叩きつけられた。

黎「はじめようか。僕らのゲームを」

ゲームが始まり士道達はいつ襲われてもおかしくない状況の中、作戦会議を行っていた。

士道「どうする?」

折紙「相手は1人、だけど時崎狂三のように分身を使えるのかもしれない。ならこのまま固まって行動した方がいい」

折紙はさっき、黎が言っていた「ずっと見てたんだから」という言葉に違和感を持っていた。

耶倶矢「我はこの森ごと吹き飛ばすべきだと思うぞ」

隣にいた夕弦はすかさず耶倶矢の頭を引っぱたいた。

耶倶矢「あ、痛!何すんのよ夕弦!」

夕弦「否定。耶倶矢は黎と一緒にこの自然を破壊するつもりですか?」

耶倶矢「い、いや、それはー。あはは」

耶倶矢は頬をかきながら苦笑いした。

七罪「んで、結局どうすんのよ?」

士道「とりあえず折紙が言ったようにしよう」

四糸乃「あの…ほんとに…戦わないとダメ…何ですか?」

士道「あいつが言う以上、そうなんだろう」

四糸乃「そう…」

急に四糸乃の口調が変わり忍者刀を構え襲いかかって来た。

十香は士道の前に出てサンダルフォンで忍者刀を抑えた。

十香「く、四糸乃!何故シドーに刃物を向ける!」

七罪「十香そいつは四糸乃じゃない!」

四糸乃「正解、さすがだね」

四糸乃の姿は光を放ち黎の姿になった。

七罪「あんた……。四糸乃をどこにやったのよ!<ハニエル>━カリドスクーペ」

七罪はハニエルでメタトロンをコピーした。

七罪「<メタトロン>━マルアク」

メタトロンから放たれる無数の光線が黎を襲う。

しかし黎はその光線を全て避けて見せた。

黎「あの子には少し寝てもらってるよ」

黎「君も眠ってもらうよ」

俺達が瞬きするより早く動きいつの間にか七罪の真後ろにいた。そして黎は七罪のうなじを手の甲で殴った。

その瞬間七罪の擬似霊装は溶け、落ちていく。

士道「七罪!」

士道は落ちてくる七罪を受け止めその場に寝かせた。

十香「私達もいくぞ!」

黎「頑張れ頑張れー」

早くも七罪と四糸乃が戦闘不能になってしまった。

黎のあの速さは耶倶矢や夕弦より遥かに上だ。

琴里が言っていた「狂三より厄介かもしれない」の意味がようやく理解出来た。

黎はただ速いだけじゃない、今まで多くの戦闘経験を積んできたのだろう。

黎「ほらほらー僕はまだ満足してないよー」

折紙「<メタトロン>━マルアク!」

耶倶矢「いくわよ!夕弦。<ラファエル>━エル・レエム!」

夕弦「承知。わかってます。<ラファエル>━エル・ナハシュ!」

4人は全員天使を構え黎に向かっていった。

黎「良いね良いねそう来なくちゃ。<ウリエル>━」

黎が静かに唱えると黎の周りに光が集まり黎が複数人現れた。

十香「何?!」

黎「数なら数で」

美九「<ガブリエル>━ロンド」

黎「させないよ」

士道「美九危ない!」

美九の背後には黎の分身体が立っていた。

六喰「<ミカエル>━セグヴァ」

黎「な?!」

黎の後ろには穴ができておりそこからミカエルが黎に鍵先を刺した。

刺された黎の分身体は光になりスーと消えた。

黎「マジか…」

黎は自分の分身体が消える瞬間を口を開けながら見ていた。

十香「何よそ見をしている!」

十香のサンダルフォンが黎の胸に当たった途端黎の身体は丸太に変わった。

十香「なに?!」

耶倶矢「忍術…」

耶倶矢は目をキラキラ光らせながら黎達を見ていた。

折紙「本体はどこ」

黎「さぁねー」

背後から黎は折紙を抱きしめた。

折紙「<メタトロン>━カドゥール」

メタトロンは刃に変わり後ろにいた黎を切った。

しかしさっきと同じように光に変わっただけだった。

黎「そろそろ陸も飽きてきたし空中戦といこうか」

そう言うと黎は飛んでいった。

耶倶矢「くくく、我ら八舞に空中戦で勝てると思ってるのか?」

黎「口だけじゃなくて早く来て」

耶倶矢「こんのーー!舐めるなー!」

夕弦「追撃。せいやー」

黎と八舞姉妹が戦っている中士道は妙な違和感を抱いていた。

それは琴里達の指示が一切ない事だ。

士道「インカムの故障か?こんな時に!」

フラクシナスではアクシデントが起きようとしていた。

琴里「なんで士道との通信が遮断されてるのよ!」

令音「分からない、だが意図的なものであるのは確かだ」

琴里「解析を急いで。マリア下の状況はどうなってる」

マリア「はい。今のところ全員黎に遊ばれてます」

琴里は「あーやっぱりかー」というような表情をした。

マリア「あと黎が3人います。忘れてましたが既に七罪と四糸乃は戦闘不能のようです。七罪は伸びてます。大変です琴里」

二亜「あたしの未来の仕事仲間がーー!あいつ何してくれてんだー!」

二亜は肩を落としながら艦長室から出ていった。

琴里・マリア「二亜、うるさい(です)」

琴里「それでどうしたのよ」

マリア「四糸乃の姿を捕らえることが出来ません」

琴里「もっと良く探して頂戴必ずいるはずよ」

十香「このままだと全滅になってしまう」

十香には1つ考えがあった。

それは士道に封印されている自分の霊力を逆流させること。

もし、失敗したらあの時みたいに自分で無くなってしまうかも知れない。

黎に打撃を受け夕弦が物凄い勢いで落ちてきた。

夕弦「ぐっ」

士道「大丈夫か!夕弦!」

耶倶矢「夕弦!大丈夫!」

夕弦「応答。まだ、いけます」

もうやるしかない。

考えろ私が最も嫌いとすること……。

十香の限定霊装が溶け本来の霊装、アドナイ・メレクへと変わった。

十香「これならいけるかもしれない」

十香を見た折紙達も「対抗するには、そうするしかない」感じた。

折紙達も十香と同じように限定霊装から本来の霊装へと変えた。

黎「へー面白くなってきたーー!!」

士道「黎!もういいだろ!!」

黎「僕は最後までやるよ」

士道「黎…」

俺はあいつにただ罪を増やして欲しくないだけなのに何故聞く耳を持ってくれないんだ。

折紙「十香」

十香「なんだ」

折紙「メタトロンとサンダルフォンの同時攻撃をしたい」

十香「わかった」

十香は地面に降り玉座を顕現させた。

黎「少し待ってあげるよ。何か大きなことするんだろう?」

十香「死ぬなよ!黎!」

黎「はいはいわかったわかった~」

折紙「<メタトロン>━アーティリフ」

十香は玉座を破壊しその破片がサンダルフォンに集まって剣の形に変えていった。

十香「ハルヴァンヘレヴ…!」

ハルヴァンヘルヴの斬撃とメタトロンの砲撃が黎に直撃する直前黎はニッと笑った。

折紙「手応えはあった」

数十秒後爆発の煙の間から光が漏れ出した。

だんだん黎の姿が捉えれるようになった。

次に俺達が黎を見た時目を疑った。

その姿は今までの何度も見てきた四糸乃の天使<ザドキエル>のシリヨンだった。

だが本来のシリヨンとは色も形も少し違う。

士道「お前…それは…」

黎「…………………………」

十香「貴様!四糸乃に何をした!」

何を聞いても黎は反応すらしなかった。

黎「<ルシフェル>……」

黎が静かに唱えると目の前に彼女の身長以上ある大きな鎌が現れた。

黎はそれを握りしめ勢いよく振りかざした。

END

 



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黎エタニティー

黎エタニティー

いつからだろうか。

あの日から今までの記憶があまりない。

母といた記憶すらもう覚えていない。だがいたということは分かる。

肉体に刻み込まれた戦闘経験が今までもこれからも僕を助けてくれる。

全ての記憶を失っても僕は今までと同じでいられるだろうか。

黎のルシフェルから放たれた斬撃が士道達を襲う。

士道「みんな避けろーー!」

間一髪全員避けることは出来たが…。

ルシフェルの斬撃が当たった場所はまるで何かに削り取られたかのように綺麗に無くなっていた。

黎「<ザドキエル・リオン>…」

黎が纏っていたザドキエル・リオンは黎から離れ巨大な兎になった。

それに乗り向かって来た。

<ザドキエル・リオン>が黎から離れると黎の霊装が見えてきた。

さっきの黄金の忍者の霊装ではなく銀色でフードを被っていた。

それは死神を思わせるかのような姿だった。

美九「あ、あれってやっぱり四糸乃ちゃんの天使ですよねー?」

耶倶矢「うん…でも、リオンって」

夕弦「危機。黎を戦闘不能にさせることができないかも知れません」

六喰「ならば、こうするまでじゃ!」

六喰はミカエルを使いさっきと同じように黎の後ろに孔を作り出したが。

黎「無駄だよ」

黎はザドキエル・リオンを乗り捨てその孔に入り六喰の目の前に出て来た。

ザドキエル・リオンはそのまま夕弦と耶倶矢と美九のほうに虚空を蹴りながら走っていった。

六喰「わかっておる。だがこの距離なら」

折紙「アーティリフ!!」

メタトロンから放たれた砲撃が黎と孔の先にいたザドキエル・リオンに直撃したが。

黎「いやー今のは驚いたよー。次は僕の番だ<ザドキエル・リオン>…シリヨン」

天使も黎も無傷だった。

折紙の攻撃は回避されたうえにザドキエル・リオンが兎の形から氷の大粒になり目の前にいた耶倶矢と夕弦を襲う。

耶倶矢「なんのこれしき!」

夕弦「返却。お返しします」

2人の暴風で自分達に向かってきた氷の粒を風に乗せて黎に返した。

帰ってきた氷の粒が黎に纏わりつき鎧を形成させた。

黎「<ルシフェル>━━エル・リベリオン!!」

六喰「く…この距離では…」

黎はルシフェルを短く持ち近戦に切り替えて六喰との距離を詰めていく。

もう…むくに出来ることは、せめて可能性を…。

六喰は隣にいた折紙にミカエルの先端を刺し回した後突き飛ばした。

黎は六喰の胸をルシフェルで切り裂いた。そうすると六喰の霊装は溶け元々着ていた服に戻った。

十香「六喰!」

落ちていく六喰を担ぎ士道の元に連れていった。

六喰「後は任せるぞ十香。それとあの天使には気おつけるのじゃ」

十香「うむ!ゆっくり休んでいてくれ」

俺にはあの天使の能力が大体予想がついてきた。

あれは力そのものを奪う天使だ。

その頃フラクシナスの艦長室では通信の復帰に勤しんでいた。

琴里「マリア、モニター復帰した?」

マリア「すいません琴里。モニターへの表示はあと2分位はかかります。それと六喰が黎にやられました」

琴里「わかったわ。解析班、原因はわかった?」

令音「あぁ、いつも通りDEMさ。でも妙だと思わないかい?」

琴里「妙?」

令音「彼らが通信妨害なんて言うまどろっこしいことはしないはず」

琴里「わかって………は!神無月後の指揮は頼むわ」

神無月「はい!司令どこえー!」

琴里は何も言わず艦長室から飛び出して行った。

琴里「やばいやばいやばいやばい!早くしないと…」

もし、私の予想が当たれば今戦えない3人を失うことになるかも知れない。

無我夢中で走っているといつの間にか自分を霊装を纏っている事に気がついた。

あれなんで私霊装を…。

真那「あれ、琴里さん?どうしたんでやがります?てか何で霊装?」

彼女は士道の実妹である崇宮真那、前はDEMに所属していたが今はラタトスクの一員である。

琴里「丁度良かった。戦闘準備をして外に来て!」

真那「え、どういう…」

琴里「早くしなさい!!」

真那「は、はい!」

六喰が戦えなくなりますます戦況が不利になっていく。

十香達も完全な霊装を纏っていても黎には歯が立たない。

もし、この状況でミカエルまで奪われているのであればもう勝てないかもしれない。

黎「あと6人か…。もう少し楽し頑張ってよー」

折紙「<サタン>…シェメッシュ」

木の影から黒色の羽が幾つも飛び出し黎の周りを囲んだ。

黎「あれ?さっきのと色が…ってうわ!?」

羽は回転しながら光弾を放ち出した。

黎は逃げ場が無く光弾をそのまま全て受けた。

攻撃が止むと纏っていたザドキエル・リオンもボロボロになっていた。

黎「これじゃあこっちが分が悪いね。光線ならこっちは…<ミカエル・リオン>…」

囁くとザドキエル・リオンが消え黄金の鍵が現れた。

士道「今度はミカエルかよ」

美九「今度は六喰さんの…」

黎「ラータイブ…セグヴァ…」

目の前に孔を作り孔を全ての羽にも作り刺した。

全ての羽は消滅し、囲んでいた羽が無くなり自由になった。

耶倶矢・夕弦「<ラファエル>エル・カナフ!!」

黎「あ、やばいかも…」

放たれた矢が黎に向かっていく。

黎「でも……<ミカエル・リオン>ラータイブ…」

虚空に孔を開け矢を吸い込ませた。

耶倶矢「ゆ、夕弦…私達って弱いのかなー?」

夕弦「焦燥。そんなこと……ないはずです…」

もう2人のメンタルはもうズタズタである。

それもそのはずウリエルでスピードで圧倒された上に2人の暴風も利用され、トドメに最大の攻撃であるエル・カナフすら簡単に無力化されたのだから。

耶倶矢に関してはもう泣く寸前である。

士道「あの2人もう精神面で負けたな…」

士道は苦笑いしながら2人を見ていた。

黎「2人とも……弱い」

黎はさらに追い討ちをかけた。

耶倶矢「ゆ、夕弦ぅぅう、うぇぇぇぇぇぇぇぇん」

ついに心を折った。

耶倶矢は夕弦に泣き付き夕弦はそれをなだめ始めた。

美九「耶倶矢さぁぁん泣き付くなら私の胸に!」

こんな状況でもぶれない美九にもう嫌気が指してきた。

黎「なんだろう。僕、あれ(美九)には絶対に関わりたくない。というか近寄りたくもないし、てか来ないで」

士道の元に森の奥の方から折紙がきたが…。

折紙「大丈夫だった?五河くん」

士道「あ、あぁって、折紙お前この世界の折紙か?」

士道が見たのは黒の霊装を身に纏った折紙だった。

折紙「うん。多分、六喰さんが私を呼び出したの」

前、六喰を封印したその日にみんなについて全て話していた。なお去年の文化祭のこと以外を、だから反転した折紙と十香がどれほど強いか多少は知っていた。

だから力を奪われる直前に折紙の意識を閉じ、この世界の折紙

の意識を引き出したのだ。

折紙「気づいたら木下にいました」

六喰「済まぬな。突き飛ばして」

折紙「大丈夫ですよ」

士道「折紙、頼む。黎は全員でかかっても倒せないかも知れない。だから力を貸してくれ」

折紙「最初からそのつもりです。行ってきます」

士道「油断するなよ」

折紙「うん」

そう言うと折紙は黎と十香達の方へ向かって飛んでいった。

五河くんの言う通り黎さんの強さは異常。サタンを一瞬で全部処理するぐらいの力、魔王と同等の力か…。

十香「折紙…。その姿は…」

美九「今度は折紙さぁぁんとってもとってもセクシーですぅぅぅ!!」

美九は息を荒らげながら折紙にじりじり寄っていく。

折紙「結構恥ずかしいからあまり見ないでください」

黎「あれ(美九)誰か黙らせてくれないかな~」

美九「可愛い物を愛でるのは女の子の嗜みですよぉ?」

黎「え、そうなの?」

質問したが全員が首をブンブン横に振った。

黎「休憩も終わったしやろうか。なんか姿が変わってる人もいるけど…」

あ、僕もか…。

夕弦「了承。分かりました。耶倶矢そろそろ泣き止んでください」

耶倶矢は未だに夕弦の胸の中で泣いていた。

黎「事実って残酷だな~」

耶倶矢「夕弦ぅぅぅー!あいつが虐めてくるぅぅぅ」

黎「小学生か!あーもう!あの2人抜いてやろうか!<ハニエル・リオン>!」

黎が叫ぶと手の中に黒い箒を形成した。

黎「カリドスクーペ……<ザフキエル>…」

ハニエル・リオンは形をザフキエルに変えた。

士道「なに!?何であいつが…」

銃口を自分の頭に向けた。

黎「あ、彼女とは何回か会ってるからねー。ヘットヘットヘットヘットヘットヘットヘットヘットヘット。これくらいかな」

自分でやって気づいた。これ相当気持ち悪い。

士道達の前には10人の黎が現れた。

狂三より厄介な精霊が…10人しかもウリエルを使ってた時の戦い方を見た限り天使無しでも十分に強い…。

自分でやって気づいた。これ相当気持ち悪い。

士道達の前には10人の黎が現れた。

狂三より厄介な精霊が…10人しかもウリエルを使ってた時の戦い方を見た限り天使無しでも十分に強い…。

美九「いやぁぁぁん可愛い女の子がいっぱいですぅぅぅ」

黎「よーしあれをやっちゃって!」

分身体が全員本体の方に向き一斉に「嫌だ。気持ち悪い。近寄りたくない。襲うどころか襲われて拘束して持ち帰りされそう(性犯罪者みたいなのに)」と口を揃えて言った。

俺の聞き間違いか知らないが誰か性犯罪者て言ったような…。

黎「だよねーー。じゃあ、アレフ…」

背後に出来た白と黒の時計からもやの様なものが銃へ入っていく。

今度は銃口を分身体全員に向け打ち始めた。

次の瞬間黎達は十香達の目の前に出現し、襲い出した。

折紙「<サタン>ーシュメッシュ」

異次元の穴が生まれその中から無数の羽が現れ、光弾をうち初め3秒経たないうちに全員の胸に穴が空けられた。

折紙「<サタン>ーカドゥール」

折紙は黎に対し接近戦のほうが有利だと考えたのか。わざわざ自分から近付きに行った。

折紙「もう、やめませんか。こんなことに意味はありませんよ」

黎「僕もそう思ってるさ。でも僕は、五河士道にチャンスをあげたまでだ。僕を気絶か殺すまで戦い続けるこのゲームというチャンスを」

折紙「何にそこまでこだわるんですか!」

黎「この世界の子どもたちを守るために」

折紙「そんなことをしたってあなたに何の得もありません。だからやめましょ?」

黎「る…さい…」

折紙「え?」

黎「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさぁぁぁぁぁぁい!!君に何がわかる!」

折紙「落ちつい…」

黎「エノクゥゥゥゥゥゥ!」

黎の身体に光が纏わりついていき黄金の霊装を形成していった。

黎「気が変わった。殺す気でいく。<ウリエル>ラスト・ジャッジメント!」

黎の周りに数え切れない程の光の弓兵が現れた。

黎「ギルティ!」

その言葉を言うと同時に光の矢が放たれ始めた。

十香「美九!シドーを守れーー!」

一本一本が高速で動いている為

ガブリエルで防ぐ前に地面に矢が落ちていく。

夕弦・耶倶矢「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ダメじゃん!

耶倶矢達も暴風でどうにか仕様とするが全て貫けていく。

矢は森の木々を破壊していき隠れる場所を無くしていった。

黎には一つだけ弓から放たれたものでない光弾が地上に落ちていくが見えた。

その光線の先には士道が立ち尽くしていた。

十香「シドー!そこから離れろ!」

士道「この状況で…」

今士道の中には天使の力が無い。だからあれをに当たれば確実に死ぬ自分だけなら助かるがここに六喰と七罪を置いていくわけには…。

黎「ちっ…………まあいい<イザヤ>…」

弓兵達も消え黄金色の霊装から銀色の霊装へと姿を変えた。

黎「<ミカエル・リオン>…」

士道の目の前には大きな孔が出現し光弾はそれに呑まれていった。

黎「誰だい?僕のゲームを邪魔するのは……ロボット?」

視線を上に向けると大量のバンダースナッチが浮いていた。

士道「こんな時にバンダースナッチかよ!」

黎「残っている人達にお知らせでーす。ゲームは一時中断します。繰り返しお伝えしまーす。ゲームは一時中断しまーす」

黎はこんな状況でもふざけている。確かにあれだけ俺達を圧倒する実力があれば、慢心もするかもしれない。

美九「空気読んでもらいたいですね。折角新しい女の子に会えておしゃべりしていたというのに」

耶倶矢「我らの実力を見せてやろうぞ」

夕弦「応答。やっちゃいます」

黎「さっきまで小学生みたいに泣いていた人が開き直ってる」

耶倶矢「るっさいわ!」

黎「あ、聞こえてた」

あの子と10mくらい距離あるんだけどなー。

ん?なんか人が2人いる。もう一人は精霊?

バンダースナッチ達の前には黒いユニットを纏った真那と琴里がいた。

琴里「<カマエル>ーメギド!」

カマエルが変形し大砲に変わった。

琴里「消え失せなさい…」

カマエルから放たれる砲撃に黎は呆然としていた。

黎「凄いなーあれ」

後で貰うか。

琴里「く……」

メギドは破壊力こそ精霊の中でトップに位置するがその攻撃力の分、反動も大きく使用後一気に膨大な力に飲み込まれてしまい、破壊衝動が抑えきれなくなる。

真那「琴里さんこれ以上は…」

琴里「えぇ、わかってるけど士道に伝えないと…」

十香「琴里、大丈夫か?」

琴里「えぇ、でも…」

耶倶矢「後は我らに任せろ!」

美九「やっちゃいますよぉぉ」

バンダースナッチはメギドで半分以上は消えたが残っているバンダースナッチは約2000体。

折紙「黎さん、一緒に戦いましょう。それと後であなたに何があったのか教えてください」

黎「仕方ない…まあ減るもんでも無いし、いいか」

折紙は黎に手を握り十香達の元に連れていった。

十香「黎、協力してくれるのか?」

黎「一時休戦ってことで」

十香「心強い」

バンダースナッチのうち数体の手の中から数枚の紙がひらひらと飛んで来る。

すると全ての紙が少女の形へと変わっていった。

ニベルコルA「あのおばさん(エレン)私達をなんだと思ってるんだろう」

ニベルコルB「そうだよねー。とりあえず精霊を戦っておけとかあの年増女ほんとに私達対して酷いよねー」

何処にでもいそうな女子高生のような会話をしているニベルコル達の話を聞き琴里は、は!と思い出したかのように十香達に伝えようとしたことを話し出した。

琴里「これは、推測だけど今回のあいつら(DEM)の狙いは黎の捕縛じゃない。戦えなくなった七罪と六喰と四糸乃よ」

黎「どうして僕らがここにいることがわかったんだい?」

琴里「向こう側には魔王を持ったやつがいるからよ」

黎「そう。じゃあ、いこうか。<ザドキエル・リオン>…」

そう静かに唱えると大きな水色の兎が現れた。

琴里「あなたそれ…」

黎「説明…以下略」

この女説明をめんどくさがりやがった。

琴里「十香、私、美九は七罪と六喰と四糸乃を守るわよ」

十香「うむ。ここは頼むぞ耶倶矢、夕弦、折紙、そして…黎」

黎は深いため息をつき八舞姉妹を睨み付けた。

黎「君たち、2人戦力になるの?」

夕弦「提案。マスター折紙、耶倶矢、先にもう一人の敵を排除しましょう」

耶倶矢「その話乗った。あれだけ我ら八舞を愚弄した罪その身で…」

黎「あ、はいそうですか」

耶倶矢「最後まで言わせろゴラァ!」

黎「耳元でうるさいよ。全く」

夕弦「激怒。プンスカです」

折紙「黎さん、それ以上の挑発は…」

真那「私だけ蚊帳の外ですか」

ニベルコルF「ねぇ、私達のこと忘れてない?」

黎「あ、興味無さすぎて、忘れてた」

ニベルコル達「ふざけないで!」

約2000体のバンダースナッチ数体のニベルコルが襲いかかってきた。

士道の元に向かった3人は士道に

例の話を伝えたが。

士道「すまない。琴里、四糸乃の居場所を知ってるのは黎だけなんだ」

琴里「なんですって!?もう黎に聞いている暇はないわ手分けしてさがしましょ」

???「その必要はありません」

上に視界を向けると銀色のリアライザーを纏った20代前半の女性が浮いていた。

士道「エレン・メイザース…」

エレン「久しぶりですね。五河士道」

琴里「どうゆうことよ」

エレン「ハーミットはこちら側で回収させてもらいました。そちらで寝てる2人も渡してもらいましょうか」

士道「ふざけるな!四糸乃を返せ!」

エレン「まぁ、いいでしょう今回の目的は達成したので。あとこれは返します」

エレンがこちらにチリチリにされた布と綿を投げてきた。その中には眼帯だけがはっきり残っていた。

士道「…!!よし……の…ん」

十香「貴様ぁぁぁぁ!」

琴里「十香!」

エレン「プリンセス。あなたに要はありません」

アルテミシア「貰うね…。君の命」

エレンに気を取られて周りの警戒を怠っていたため士道の背後にアルテミシアがいた事に気づけなかった。

不味いこのままだと殺される…。

黎「どいて!」

瞬きをした次の瞬間、誰よりも1番遠くにいたはずの黎が俺を突き飛ばした。

黎「う…!」

俺を庇い黎の左胸をアルテミシアの刃が貫通した。

士道「黎!!」

アルテミシア「何処から現れたの?」

黎「う、う…る……さ…い」

刃からぽたぽたと黎の血が地面に落ちていく。

アルテミシア「そう」

アルテミシアは刃を上に振り上げ黎の肩を切断した。

黎「がはぁ!」

黎は倒れ芝生をどんどん紅く紅く染めていく。

琴里「やめなさい!」

アルテミシア「エレン、そろそろ帰るよ」

エレン「わかってます。ではまた」

2人は十香を無視し飛び去っていった。

十香「待て!」

士道「しっかりしろ黎!」

黎「あ…まり……ゆ…す……るな…流……血が…酷く……な……る」

切られた部分からは肋骨と肺の断面が見えてしまっている

あぁ、なんで僕はこいつを庇ったんだろう。

家族でも、恋人でも、友人でもないこいつを……。

そうか、結局僕も相当なお人好しだったってことか……。

まぁ、殺人鬼としてはマシな死に方なのかな。

やばいな、目の前が霞んできたそれに音もこもって聞こえ始めた。

痛みが感じられなくなってきた上に頭がぼーとする。

こんな感覚だったのかな………黎。

END



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デート・ア・オルタナティブ四糸乃編
四糸乃マインド


四糸乃マインド

目が覚めると知らない天井、知らないベッド、貫かれたはずの肩から胸にかけての傷もなくなってる。

そして何故か裸!!

隣にも裸の変態(美九)がいる。

黎「あ、ここ地獄か………」

どうしよう。大切なものを隣の変態に奪われていそう。

・・・・・・・・・殺るか。

それにしても現代医学でこの傷の治療は僕が知る中では不可能なはず。

でも体の感覚はあるってことは僕は死ね無かったんだ。

黎は自分の肩を撫で下ろしながら考えていると1つ大事な事に気がついた。

黎「あ、負けた」

そう、黎は自分が出したゲームで気絶してしまい負けたのだ。

まぁ、あの子達、異常なくらい五河士道を守るような動作をしていたからなー。

黎「とりあえず、ここを離れないと………………ここどこだっけ?」

とりあえず目の前のテーブルにあった水が入ったボトルとタオルがあったので、タオルに水を染み込ませ、そのタオルで美九の顔を縛った。

そして自分に付けられていた機械を全部外し床に落ちていた入院着を着てその部屋から出ていった。

しかし、思うように体が言う事を聞かない。

頭も痛い上に、立つ事も壁に手を付けながらでしか歩けない。

黎「左腕が上手く動かせない。完全に治った訳ではないのか…」

廊下を歩いていくと曲がり角からパーカーのポケットに手を入れながら不機嫌にしている女の子が歩いてくる。

七罪である。

こちらに気付いたのか何かブツブツ言いながら早歩きで黎の目の前まで来た。

七罪「アンタのせいで…アンタのせいで四糸乃が!!」

胸ぐらを捕まれ、顔を引き寄せられ殴られた。

その後、馬乗りにされ殴られ続けた。

しかし、痛くないとても非力な拳だ。だが、自分が殴られている理由は理解出来た。

今自分の中にあるザドキエル・リオンが安定していないことで器のだけの四糸乃に何かが起きているのだろうと。

殴りながら「アンタのせいで!アンタのせいで!」とずっと言い続けた。

七罪の目からは大粒の涙が黎の顔に落ちていく。

1分くらい殴り続けられたのち黎は右手で七罪の拳を受け止めた。

黎「どいて…」

七罪「離して!」

黎「離すからどいて」

七罪「離せって言ってるでしょ!!」

黎「仕方ない…」

体を丸め両足で七罪の体を固定し自分から無理矢理剥がした。

黎「とりあえず今の状況を教えて」

七罪「嫌だ」

黎「そう…。なら、もう構わないで」

七罪「誰のせいでこうなったと思っているのよ!!」

黎「わかっているさ。僕のせいであの青髪の少女が危ない目にあっているのだろう?だから現状を聞こうとした。だが、君は断った」

さっきの七罪の声が廊下中に響き渡ったせいか士道と琴里が曲がり角から走って来た。

士道「目が覚めたのか!黎」

黎「おはよう五河士道。そして、どうして死なせてくれなかったの?」

琴里「あなた、自分の命をなんだと思っているのよ!?」

黎「そうだね~。例えるなら捨て駒?」

この一言に今ここにいる3人は黎が元々生きる気がないと言っているようにしか聞こえなかった。

士道「お前正気か?!」

黎「僕は正気さ。それで、現状はどうなってる?」

琴里「お陰様でパニック状態よ。今DEMの本部に突っ込もうとしているところ」

黎「そう、わかった。あ、五河士道ゲームの勝ったら何でも願いを聞くって言ってたけどどうする?」

士道「今はそれどころじゃ」

黎「まあ、わかってるよ。じゃあね」

琴里「じゃあねってあなたどこ行く気よ!」

黎「ここを出て行く。出口どこ?あれだったら穴開けて出るけど?」

琴里「じょ、冗談わよね…?」

黎「僕がそんな冗談を言うような人に見える?」

琴里「見えない訳でもないけど…。あなた今自分の体がどうなってるか理解しているわけ?」

黎「左腕が痺れてるくらい?」

琴里「あなたの体はもうボロボロなのよ!?もう、そうやって立っていられるのが不思議なくらいよ」

士道・七罪「……!!」

黎「それだけ?なら、ここから出て行くけど?」

琴里「こちら側としてもあなたを外に出す訳にはいかないわ」

黎「そう、それで?結果的にそれを決めるのは僕だけどね。<イザヤ>……」

静かに唱えると銀色の霊装を纏った。

琴里「わかったわ。ついてきて外に出してあげるから」

士道「いいのか?」

琴里「フラクシナスを壊されるよりはマシよ。黎、ついてきなさい」

琴里は転送装置の所に案内するために長い廊下を歩き始めた。

黎「それで、五河士道さっきの答えを聞こうか」

士道「あ、あぁ、黎、今の一件が終わったらデートをしよう」

黎は士道の言っていることが分からず目を丸くした。

黎「は?」

士道「だから!で、デートをしようって言ってるんだ」

黎の目は一瞬にしてゴミを見るような目に変わり士道との距離をとった。

士道「なんで離れるんだよ!?そしてゴミを見るような目で俺を見ないでくれるかな!?」

黎「いや、ただの女たらしのクズとは思わなかった。あ、ごめんクズに失礼だったね」

士道「俺は更にうえなのかよ!?」

琴里も七罪も士道を見るなり「まぁ、言われて当たり前か」と言うような視線を士道に送った。

士道「2人もそんな目で見ないでくれ!!」

琴里・七罪「いや、だって士道だし」

黎「三対一で五河士道は女たらしのクズ以下であるに決定」

士道「もう好きにしてくれ…」

肩を落としながら士道は3人の後をついて行く。

数分後。

琴里「着いたわ。今開けるから少し待っていて」

周りを見渡すとリアライザーやCRユニットなどが置かれていた。

士道「ほんとに行くのか」

黎「うん。あと、デートは来週の水曜日の朝10時に駅前」

士道「わかった」

琴里「開けてきたわ」

黎「またね」

七罪「もう来るな」

黎「あ、あと、あの変態ほっといたら死ぬから」

そう言うとユニットの専用の出入口から飛び出て行った。

士道「変態?……………………あ!!美九!」

士道は走って黎が眠っていた病室に向かった。

病室の扉を開けると濡れたタオルで顔を縛られた美九がベッドから落ちていた。

士道「あいつ!美九を殺す気かよ!」

黎は「正当防衛」とか言いそうだけど。

黎「いやー。出てきてみたはいいものの。まさか上空数百メートルからのスカイダイビングになるとは」

そう今、僕はフラクシナスから出たあと、そのままスカイダイビングをしている。

黎「とりあえず、あの人探すか」

とりあえず、適当にビルに着陸するか。

黎「よっと」

後ろの水タンクの影に誰かいる…。

黎「いるんだろ?時崎狂三」

こんな都合良く見つかるとは思っていないけど、ダメもとで誰もいない中で話し出した。

黎「例の始源の精霊の討伐手伝うよ」

狂三「あらあら、そう言って頂いき感謝しますわ」

そう言うと狂三は水タンクの後ろから姿を見せてきた。

黎「本体?君」

狂三「違いますわ。今から案内しますのでついてきてくださいまし」

~DEM第二日本部署地下5階~

四糸乃「ん…ん?」

目を開いて周りを見渡すも真っ暗で何も見ることが出来ない。

でも一つだけ、分かることがある。

四糸乃「よし…のん?……よしのん…どこ?よし…の…んよしのん…よしのん…」

四糸乃の目にはじんわりと涙が浮かんでいく。

すると部屋に灯りがつき、天井からモニターが現れた。

部屋の大きさは学校の教室の半分ないくらいの大きさである。

四糸乃「よしのん…よしのん…」

頬を流れる涙を手で拭いモニターに目をやると映像がながれ始めた。

流れる映像は、全て人が殺されるものであり、悲鳴や嗚咽、断末魔が部屋中に響き渡る。

四糸乃「<ザドキエル>!」

しかし、天使も限定霊装も発現しない。

四糸乃「どう…して…」

四糸乃のセフィラの中は空っぽであるのを本人は気づいていないからだ。

四糸乃「やめてください…やめてください…やめてください…やめてください…やめてください…やめてください。十香さん、琴里さん、耶倶矢さん、夕弦さん、美九さん、七罪さん、折紙さん、二亜さん、六喰さん、よしのん、士道さん…助けて…ください…」

四糸乃は両耳を塞ぎ断末魔が響き渡る中「やめてください…やめてください」と訴え続けた。

黎はとある古びているが豪邸と言ってもいいぐらいの二階建ての屋敷に連れていかれた。

狂三「着きましたわ」

黎「でかい」

狂三「わたくしが待っておりますので早く中へ」

黎「わかった」

狂三に案内されながらリビングの前に連れていかれた。

狂三「ここですわ。それではわたくしはこの辺で」

黎「案内ありがと」

ドアノブをガチャりと捻り入って行くとソファに腰をかけている狂三がいた。

狂三「久しぶりですわね黎さん。どうぞお腰をお掛けくださいまし」

そう言われ、向かいのソファに座った。

黎「久しぶり、時崎狂三」

狂三「あなたが来たということは協力して頂けると言うことでよろしいですわね」

黎「うん。でも条件が4つある」

狂三「条件ですの?」

黎「1つ目は、四糸乃?とか言う少女をDEMから救出するのを手伝うこと。

2つ目は、来週の水曜日五河士道とのデートがあるその日は僕に干渉しないこと。

3つ目は、バイトしているからそのままやらせて欲しいということ。

4つ目は、これまで通り僕は暗殺を続けるそれの邪魔をしないこと。これが条件」

狂三「後半2つは別に言わなくてよかったのですが…」

黎「そう。あと、ここってさ君の家?」

狂三「まぁ、拠点ですしそう言われると家ですわね。この拠点を自由に使って頂いて構いませんわ」

黎「ありがと。じゃあ庭弄らせてもらうよ」

狂三「構いませんわ」

黎はリビングを飛び出し庭に向かった。

黎「レンガで囲ってあるのか…。土は」

土を手に取り触る。

黎「ほぐせばまだいけるね。あと、肥料があれば良いのだけど…」

周りを見渡す限り落ち葉の1枚も落ちていない。

黎「どうしたものか…あ!」

黎は庭の縁に木造の倉庫のようなものを発見し、走り出した。

倉庫の大きさは僕と同じくらいか。

黎「開けるか」

開けてみると肥料やスコップに植木鉢、といった具合に必要なものが揃っていた。

黎「これならやれる」

~数十分後~

黎「土もいい具合にほぐしたし、後はこの喫茶店のマスターからもらった薔薇の種を埋めて肥料を撒いて水をかけて終わりっと」

あれ?なんか忘れて~・・・・・あ、あの女の子の救出しなきゃ。

狂三「終わりましたの?」

黎「まぁ、一様は」

狂三「では、さっさと厄介事を終わらせに行きますわよ」

黎「は~い。あと帰りに前の拠点のテント畳んでくるから」

狂三「分かりましたわ」

~フラクシナス司令室~

クルー5人と琴里は四糸乃の安否確認のため詮索を続けていた。

士道達は仮眠室で休息を取っている。

マリア「微弱ですが霊力を感知する事が出来ました」

琴里「それじゃあ、まだ反転はしていないのね。なら…」

マリア「ですが、予想していた本部ではありません」

琴里「なんですって?!じゃあ何処なのよ!」

マリア「数ヶ月前、十香が反転した時に破壊した日本部署の地下です」

琴里「あそこに地下が?」

マリア「はい。あります」

琴里「マリア!目的地を本部から元日本部署に変更!」

マリア「わかりました。それと、必ず戦闘になるので琴里も戦った方が良いのでは?」

琴里「えぇ、最初からそのつもりよ。さぁ、私達のデー…」

マリア「私達の戦争<デート>を始めましょう」

琴里「ちょっとマリア!私のセリフ取らないで!」

マリア「たまには良いでは無いですか、たまには」

琴里「へ~たまにはね~」

半目になりながらモニターを見つめる琴里、しかしマリアはフラクシナスそのもののため何を使用が言おうが意味は無い。

マリア「あと、黎についてなのですが」

琴里「彼女がどうかしたの?」

マリア「はい、映像と黎と言う名前から彼女の素性を知らべた所、彼女は黎ではありません」

琴里「じゃあ誰よ」

マリア「彼女の名前は多加音無月、そして妹に多加音黎という人物がいます。ですが多加音黎も多加音無月も4年前に消息不明になりました」

琴里「あの子に妹がいるなんてね。それに何故、自分の名前ではなく妹の名前を名乗っているのかも気になるわね」

そう言いながら胸ポケットに入っていたチュッパチャプスのビニールを外し口に運ぶ。

マリア「彼女達の家族は、母親は黎を産んだ4年後に他界し、その後は父親と3人暮らしだったみたいなのですが…」

琴里「何か問題でも?」

マリア「はい、2人は父親から虐待を受けていたようです。警察や教育委員会にもこの事は伝えてるようです」

琴里「虐待か……精霊になった原因は多分それね」

なんか、黎いや、無月のやっていることを考えると昔の折紙と近い何かを感じる……。

琴里「とりあえず、士道にこの事を伝えて頂戴、私は少し仮眠を取るわ」

マリア「はい、目的地付近になったら仮眠室のスピーカーを大音量で鳴らします」

琴里「それ!ただの嫌がらせよね!?まぁ、いいわおやすみマリア」

マリア「はい、おやすみなさい琴里良い夢を」

この後大音量でマイ・リトル・シドーの主題歌が流れ、寝ていた全員がベッドから飛び起きたのであった。

~DEM元日本部署地下5階~

四糸乃は、既に感情を閉ざそうとしている。

これ以上、この映像や声を聞いていたら自分が自分でなくなってしまうと思ったからだ。

でも、士道達が自分を迎えに来てくれる、それを信じるしか今の自分が理性を保っていられない。

音が止み目の前のモニターを目をやる。

四糸乃「終わっ……た?……」

モニターの映像が変わりさっきまでいた森が映し出される。

四糸乃「これって………さっきの…」

すると視点が変わり、よしのんを片手にもう片方の手にはレイザーブレイドが握られていた。

四糸乃「や、やめて…ください!それだけは……よしのんだけは…」

目に涙を浮かべる四糸乃。

次の瞬間、エレンは無言でよしのんを切り刻んだ。

よしのんが切り刻まれると同時に四糸乃の中で何かが壊れていく、それが何か分からないでも誰か大切な人から受け取った大切なものを壊されていくような喪失感が四糸乃を襲う。

四糸乃「あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁ、う、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あ、、」

体からどんどん力が抜けていき、その場に膝まづく。そして頭の中が真っ白になっていく。

四糸乃の周りに黒い雪が降り始め、黒い雪が四糸乃の体にも振り積もっていく。

そして、意識が遠ぞいていく。

黒い雪はやがて四糸乃が見えなくなるまで積もりちょっとした黒い雪山ができた。

~元日本部署モニタールーム~

エレン「あまり期待していませんでしたが、予備電源が起動してよかったです」

半目をしながらウェストコットを見つめる。

ウェストコット「始まったようだね。後は頼むよ2人とも」

エレン・アルテミシア「はい」

ニベルコル達「お父様、私達は~?」

ウェストコット「そうだね。ラタトスクの精霊とナイトメアとアサシンの足止めを頼もうかな」

ニベルコル達「はい~。お父様はどちらへ?」

ウェストコット「少しアサシンと話してみようと思ってね。いくよ我が娘達」

さぁ、どうするイツカシドウ今回はプリンセスの時みたいにはいかないよ。

END



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四糸乃リバース

狂三と黎は、元いた拠点を離れ四糸乃が囚われている元日本部署、上空にいた。

黎「便利だね。君の分身能力」

狂三「黎さんもウリエルでやっていましたわよね?」

黎「見てたんだ。確かにウリエルで分身体を作ることはできる。でも、ウリエルは夜にしか本来の力を出せない」

狂三「時間限定の力ってことですわね。でも、あなたはもう1つ天使があるでは無いですか」

黎「ルシフェル…か。あれは、力と引き換えに記憶が奪われる」

狂三「記憶…」

わたくしの様に誰かから貰うというようなことが出来ないと…。

黎「でも、消えて辛い記憶なんてあまり無いから別にいいんだけど」

狂三「あなた、軽すぎませんこと?!」

黎「そんなことよりお出迎えが来たよ」

ニベルコルA「へー気づいてたんだー」

ニベルコルB「見られてたってこと?ストカーみたいでキモーい」

黎「その言葉、そっくりそのまま返すよ。<ウリエル>!!」

狂三「面倒ですわ。空間震で一掃しますわ。黎さん、わたくしを含めて防御できる…」

黎「あるわけないでしょ」

黎は何おバカなことを言っているんだといわんばかりの目で狂三を見つめる。

ウェストコット「いやぁ、はじめましてだね。アサシン」

黎「狂三、アサシンって何?」

狂三「あなたの精霊としての識別名ですわ」

黎「人として見られてないことだけはわかった。それで君は何用だい?」

ウェストコット「いや、何少し提案をね」

黎「提案?」

あーまたこの流れか、これで2度目か。話に入る前に浮いてる子達(ニベルコル)を消し炭にして中に入ろ。

狂三「黎さん、あなた顔が怖いですわよ?」

黎「よし。決めた時崎狂三、離れてて」

狂三「え?」

黎「あの浮遊してる奴らごと消し炭にする。<ウリエル>……ラストジャッチメント!」

黎の後ろに光が集まり数千人くらいの光の弓兵が出現した。

狂三「ちょ……」

黎「ギルティ!!」

~フラクシナス司令室~

士道達は仮眠室のスピーカーで大音量で流され叩き起こされた後、司令室に集められた。

琴里「今回、四糸乃奪還作戦は私、十香、士道、折紙、耶倶矢、夕弦、美九、真那で乗り込むわ」

士道「大丈夫なのか?琴里」

琴里「えぇ、大丈夫よ」

六喰「むくが、力になれなくてすまぬ」

士道「気にするな。あれは仕方無いから」

ピーピーと艦内にアラームが鳴り響く。

令音「強大な霊波を観測した。この霊波は恐らく黎だろう」

琴里「あの子もあそこにいるってこと?」

令音「そうなるね。マリア、映像をモニターに出して貰えるかね?」

マリア「分かりました。こちらになります」

モニターに映し出されたのは体を穴だらけにされたニベルコル達と黎、狂三、ウェストコット、の3人だった。

士道「まさか、黎がいるなんてな。あいつもあいつなりに責任を感じてるんだな」

折紙「どうだろう。黎はただ魔王を手に入れようとしてるだけかもしれない」

琴里「それもありえるわ。でも、映像からすると今は黎と狂三はこちら側に手を貸してくれるはずよ」

チュッパチャプスをピコピコ動かしながらそう言う琴里に対して、ついに七罪が口を開いた。

七罪「そんな訳ない」

士道「七罪?」

七罪「そんな訳ない!!あいつは、あいつは!」

琴里「確かに七罪が思っていることは分かってるわ。でも、これを見てもそう言えるかしら?」

琴里は、上着のポケットからバラバラになったはずのよしのんを取り出した。

士道「琴里が直したのか?」

琴里「違うわ。直したのは黎よ。マリア映像を」

マリア「はい」

士道達には、その言葉が嘘のように思えたが映像を見たら琴里の言う通りだった。

フラクシナスから出る直前、リアライザやCRユニットの所にある、机の上に置かれていたバラバラにされたよしのんを銃で打ち修復した。

それは、以前士道が見たことがあるザフキエルのダレットであることが分かった。

ダレットは対象の時間を戻す。それならよしのんの修復も可能だと黎は思ったのだろう。

令音「彼女も、彼女なりに責任感じているのだろう」

士道「七罪、黎にも自分が原因でこの状況を引き起こしてしまった。それが分かっているからここを出る前に現状を聞き、四糸乃を助けに向かった」

琴里「七罪、信じられないかもしれないけど今、目の前に映し出されてるのが事実よ」

頭を思いっ切り掻きむしりため息を一つついた。

七罪「分かった。でも、私も行く」

琴里「何を考えているの!今のあなたには天使も限定霊装を纏える霊力もないのよ!」

七罪「だとしても!私は行く。四糸乃の所に、後悔なんてしない!!」

七罪の四糸乃を助けようとする意志と覚悟はここにいる全員の中で1番強いであろう。

二亜「カッコイイこと言ってくれるね~なっつん」

琴里「だとしても!行かせる訳には…」

七罪「ラタトスクは、精霊の積極的な要望は叶えるって言ってたわよね」

琴里「それは、それよ!」

士道「琴里…もう、諦めよう。今の七罪は誰にも止められない」

琴里はため息を一つつき話し出した。

琴里「いいわ。私、十香、折紙、士道、七罪で地下に、美九、耶倶矢、夕弦、真那は狂三と黎の援護それでいいわね」

耶倶矢「え~また、あいつ(黎)と一緒なの~?」

夕弦「拒否。彼女とは協力したくありません」

琴里「文句言わない!緊急事態なんだから!」

士道「じゃあ、行くぞ」

~地上~

黎の天使の攻撃が地上に降り注ぎ、建物が崩壊したり、至る所にクレーターができた。

黎「よし!終わった!」

狂三「馬鹿じゃありませんの?!軽く数千人が死ぬレベルの災害を起こすなんて…。もう、頭が痛いですわ」

この方、そのうちわたくし以上に人を殺す気がしてきましたわ。

黎「いや、もう多分君以上に殺してるよ」

狂三「人の考えていること読まないでくださいます?」

黎「まぁ、それはいいとして悪い知らせが一つある」

狂三「なんですの?」

黎「ザドキエルの権限が完全に離れた」

狂三「反転しましたわね」

黎「だね」

その時、地面からドーンと大きな音を立てながら黒い氷柱が生えてきた。

狂三「黒い氷柱…」

ウェストコット「そろそろ私も入れて貰えるかね?」

黎「まさか。今ので生きてるなんて、しぶといね」

まぁ、生きてても死んでても関係ないけど。

黎「それであれは、どうすればいい?」

狂三「どうしろと申されても士道さんが再度封印して止めるか、それかいつも通り殺すか」

再び地面から大きな地鳴りのような音が鳴ると地下からエレンとアルテミシアが出てきた。

黎「時崎狂三、僕は先にあの青いヤツ殺してくるからここ任せていい?」

嫌気が指したのか狂三は、「好きにしてくださいまし」と短く答えた。

その言葉を聞き届け、アルテミシアのもとに向かった。

エレン「プリンセスの時より攻撃は軽いですがかなりトリッキーな攻撃をしてきますね」

アルテミシア「でも…」

黎「はあぁぁぁぁぁ!!」

アルテミシア「え?」

後ろを振り向くと鎌を長く持ちこっちに向かってくる黎がいた。

そしてレイザーブレイドとルシフェルが激しくぶつかり合う。

アルテミシア「生きてたんだ」

黎「君に恩返しをしようと思ってね!」

そう言いながらルシフェルでアルテミシアを押し返した。

その時、地面から黒く大きい何かが飛び出してきた。

???「君達、消えてくれないかなぁ~?」

その姿を見た途端、黎の背筋は凍りついた。

それもそのはず、それは見た目こそ四糸乃であるが髪は白く衣装は黒く不気味な笑みを浮かべていた。

まるで狂人でも目の当たりにしているようだ。

士道「黎!」

振り返るとそこには士道、七罪、折紙、十香、琴里の5人が立っていた。

黎「あ、たらし」

士道「・・・・・・」

琴里「それより、あれは四糸乃?」

???「やっほー琴里ちゃ~ん?」

今の口振りからここにいる5人が今の四糸乃は四糸乃では無いことがわかった。

そしてそれが誰なのかも。

士道「まさか!よしのんなのか?」

よしのん「そうだよ~?よしのんだよ~」

十香「よしのん、なら四糸乃は!」

よしのん「いるよ~。こ・こ・に」

そう言うと黒いモヤのようなものがよしのんの手に巻き付きよしのんの手の中に小さなパペットが現れた。

士道「それが四糸乃なのか?」

よしのん「そうだね~。でも、もう、士道くん達は四糸乃達に関わらないで」

士道「え?」

よしのん「士道くん達は、四糸乃を守ってくれなかった。よしのんもあの姿だから何も出来なかった。けど、今ならよしのんだけでも四糸乃を守れる」

士道「あの時は…」

よしのん「士道くんが言いたい事は分かるよ?でも、よしのんならいつでも四糸乃を守れる。それと君~」

よしのんは黎を指さし、その指先から氷柱を形成させ、黎に向かって放った。

黎「なんの!」

黎は向かってきた氷柱をルシフェルで斬った。

だが、斬ったルシフェルは段々凍りついていった。

黎「どうして?!僕は氷柱を確かに斬ったはず!」

ルシフェルから手を離すも凍る速度が早まり数秒で右半身を凍らせた。

黎「く…動けない…」

どうあがいても、体は1ミリも動かせない。

よしのん「黎ちゃん?とか言ったよね~?四糸乃を虐めた罪、償って」

今度は巨大な氷柱を放った。

士道「よしのんやめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

黎「ミカエル…」

ダメだ、間に合わない!!

琴里「<カマエル>!!メギド!」

炎の弾は氷柱に当たり粉砕した。

琴里「あなたにしては、少し暴虐的過ぎないかしら?」

よしのん「も~邪魔しないでよ~琴里ちゃ~ん」

琴里「そういう訳にもいかないわ。精霊の保護がラタトスクの仕事だから」

士道「あの時は、悪かった。お前が俺達を恨む気持ちも分かる。俺だって後悔した、だから……次に活かす、だから俺を、俺達を信じてくれ。よしのん」

よしのん「……………」

エレン「それは、無理ですね。私達がその魔王を頂くのでついでにアサシンも」

十香「貴様は、私が相手だ!」

エレン「久しぶりですね、プリンセス。あなたとやり合うのは、あなたを始末してからでも遅くはないので」

黎「僕はついでか。ほんとに動けない、なら<ウリエル>」

黎は左手に黄金色の忍者刀を形成した。

アルテミシア「させない」

折紙「<メタトロン>ーマルアク!」

アルテミシア「邪魔しないでくれないかな?」

折紙「あなたの相手は私」

黎「<ウリエル>…クリッシュテ!」

これは僕が、引き金を引いてしまったから始まった。だから、これは、僕の問題なんだ!

だから、僕がこの事を終わらせる。

光が集まり数体の分身が生まれた。

黎「直ぐに、この氷を破壊して!」

分身は、静かに頷き光のハンマーを形成し、数秒で氷を破壊し、抜け出した。

黎「あの時は悪かった。許してくれ、なんて都合の良いことは言わない。だけど、その子の仲間を信じてあげてくれ」

そう言うと黎はウリエルを消滅させ、その場に膝まづいて、土下座した。

士道・琴里「黎……」

確かに、四糸乃が反転してしまった原因は黎にもある。

でも、ここまでするとは、考えていなかった。

黎「僕に何をしようが構わないだけど、今の僕も五河士道も君を助けるためにここに来たんだ。それに君は五河士道の意思を無視して、自分だけでその子を守るのか?」

よしのん「…………」

黎「君はその子の意思を無視して、そんなことができるの?黙ってないで答えて!」

黙り込むよしのんに対して、黎は強気な口調でそう言い放った。

よしのん「言いたい事はそれだけかーい?じゃあ、さよならー」

黎「この!わからず屋がぁぁぁ!ウリエ…」

急に肺を締め付けるような痛みがはしりその場に膝まづいた。

ここで動けなくなるなんて…僕は運が悪いな…。

黎はアルテミシアから受けたダメージが完全に回復しきってないのに戦闘をしていたため、左半身が上手く動かなくなったのだ。

士道「黎!!」

~上空~

狂三達がニベルコルと戦闘を繰り広げていた。

狂三「全く…きりがありませんわね」

ウェストコット「素晴らしい戦いぶりだねー。ベルセルク、時崎狂三」

耶倶矢「あいつ、いちいち腹が立つ言い方をするわね」

夕弦「同感。夕弦もです」

美九「えぇ~。私はこのままでもかまいませんよぉー?」

美九に関してはニベルコルと戯れたいだけである。

いっその事美九だけをこの場に置いて士道達のところに向おうか悩んだ3人であった。

十香「はぁぁぁぁぁぁ!!」

エレン「流石ですね。プリンセス」

エレンは一度、十香と距離を取った。

十香「お前達に四糸乃は渡さん!!」

十香は、更に追撃をしていく。

その時、よしのんがいた場所から全方向に向けて巨大な氷柱が放たれた。

耶倶矢「なんかきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

夕弦「回避。危ないです」

アルテミシア「おっと」

折紙「ちっ」

向かってきた氷柱は見事に避けたが、上空を浮遊していたフラクシナスに直撃し煙が出ていた。

狂三「わたくし達はよけれましたけれども、船の方は当たりましたわね」

~地上~

よしのんの1番近くにいた黎は今の攻撃で倒したとよしのんは思った。

爆風によって起こされた煙が晴れていくと、そこにいたのは黎では無く、七罪であった。

黎は数メートル離れた所に倒れていた。

だが、七罪の横腹を氷柱が貫通してしまっていた。

黎「どう…して…」

七罪の元に駆け寄る士道と琴里。

士道「七罪!しっかりしろ!」

琴里「今すぐ、フラクシナスで回収を…」

何度もフラクシナスに対話を試みるも繋がらない。

琴里「こんな時に故障?ふざけないで!」

黎「どうして助けた…。訳が分からない」

頭を抑えながらとぼとぼ七罪のところに歩いてくる。

黎「どうして助けた…?」

七罪「あんたが…初めて会った時のこいつ(士道)に似てたから…」

黎「馬鹿か!君は。君は死なせない。五河士道、僕はこの子を助けたいだから力を貸してほしい」

士道「あぁ、わかった!」

黎「本来のあの子の意識を引き出す」

琴里「それじゃあ、七罪が…」

七罪は、琴里の袖を掴み「大丈夫…だから」と答えた。

どうやって四糸乃の意識を引き出すつもりなのか。

黎「直ぐに終わらす。<イザヤ>…<ミカエル・リオン>!」

確かにミカエルでなら引き出すことが可能かもしれない。

でも、一か八かの賭けね。

よしのん「どうしたのー?七罪ちゃんを諦めるのー士道くぅーん?」

士道は、無言でよしのんの方に歩いていく。

そして、閉ざしていた口を開き話始めた。

士道「いや、諦めない。だからみんなで帰ろう」

よしのん「ほんと士道くんてばしつこいんだからー」

黎「トランスウェーソ!!」

よしのんの背中に孔が形成され鍵先がよしのんの背中に刺され回された。

その瞬間、よしのんの髪が白から水色になっていき、霊装も共に空気に溶けていき元の四糸乃に戻った。

士道「ここからどうするんだ?」

黎「再び僕の方にザドキエルの権限が戻ったから後は…」

黎は七罪に近づき、無くなった横腹に触れるとそこを凍らせた。

黎「表面は凍らせて、血管が無くなっている部分は、血液が通るように道を作って切られて方に繋いだ。余り冷たいとほんとに死ぬから凍らせた場所は長くて2分しか持たない。だから早く連れていって」

そう言うと黎は背を向けた。

士道「黎…。ありがとう」

黎「いや、君に礼を言われても困るんだけど」

その時の黎は少し顔を赤くしていたように思えた。

~上空~

ウェストコット「引き上げるとしよう。ハーミットも元に戻されてしまったようだし、またの機会にしよう」

ニベルコル達「はーい」

まさか、アサシンがイツカシドウに協力するとは、ベルゼバブにも記されていなかった。

魔王に匹敵する力を持つ天使いや、あれは堕天使と言う方がいいかな。

エレン「アイク、まだ反転体を回収できておりませんが」

ウェストコット「構わないさ。チャンスなんていくらでもある。それに、あの魔王は余り強いとは言いがたい」

エレン「そうですか。引き返しますよアルテミシア」

アルテミシア「わかった」

アルテミシアはエレンとウェストコットの元に行くが十香と折紙がそれを許すわけもなく追撃する。

十香「サンダルフォン!」

折紙「メタトロンーシュメッシュ!」

だが、ニベルコル達が肉壁となり、攻撃は防がれた。

その後、ウェストコット達はその場から去ったが、フラクシナスとの連絡が着かなく、琴里が抱き抱えながらフラクシナスに連れていきそれを追うように士道達もフラクシナスに向かった。

黎「長いようで短い戦いだったね」

狂三「そうですわね。でも、もうすぐ夜が開けましてよ」

黎「だったら、日が昇るまで話さないかい?」

狂三「いいですわよ」

黎「君は、なんで精霊になったの?」

狂三「また、急な質問ですわね。まぁ、共に戦う以上知る権利くらいはありますし…」

黎「早く話してよ」

狂三はため息を一つつき自分の過去の事を話した。

黎と同じように大切な人が死んでしまった過去を…。

黎「ごめん…。傷口を抉り返すような話させて…」

狂三「構いませんわ」

2人はボロボロになった街を見渡し、そのまま日が昇るのを言葉を交わさず待った。

end

 

 



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無月ウィズデート

#デート・ア・オルタナティブ

無月インデート上

四糸乃をDEMから奪還し、約1週間が過ぎた。

今日俺は、多加音黎もとい多加音無月とデートする。

狂三からの入れ知恵が少し怖いが仕方ない。

『士道。黎いや、無月をあまり刺激しないことまた前みたいに逃げられたら探しようが無いんだから』

いつも通り、右耳につけてある、インカムから琴里からの注意事項を言われ、待ち合わせ場所である、駅前にきた。

「まだ、来てないのか?」

10分後。

無月は、まだ来ない。

まさか、寝坊か?約束を破るような奴には思えないし。

『士道!無月が見つかったわ』

「場所は?」

『あー、それがね?駅は駅でも、天宮市のじゃないのよ』

「え?じゃあ、どこに?」

「名古屋駅よ」

「は?・・・・は?!名古屋?!」

場所が遠すぎて理解が追いつかなかった。

「なんで、名古屋なんだよ!あ…」

そう言えば、無月は「駅前に10時ね」としか言っていなかった。

『常識の斜め上いったわね。とりあえず、フラクシナスで回収して名古屋まで送るから』

「もともと、デートする気無いのか?あいつ」

懐かしい、何度も見てきた街並み、変わらず美味しいモーニングセット。

駅の中にある、喫茶店で朝食を取る黎。

「あ……名古屋って言うの忘れた。ま、いっか」

久しぶりに戻ってきた故郷。まぁ、たった3年しかたっちゃいないけど。

交通機関なんて利用しなくても飛んで行けばどこでも行けるし天使って便利だなぁ~。

「さてと、混んできたし出ますか」

出入口前のレジ行き会計している最中後ろから、「見つけた!」と聞き覚えのある声がし、振り向くとそこには、息を切らせた様子の五河士道が立っていた。

「あ……」

とりあえず、会計を済ませ店を出た。

「ストーカー?」

「んなわけあるか!」

「何も言わずにここに来たんだけど?」

琴里『士道。選択肢が出たわ』

1お前が何処に居たって俺はお前を見つけ出せる。

2フラクシナスで送ってもらった。

3狂三に行先を教えてもらったんだ。

「ちょっとマリア!もう少しマシな選択肢を…」

マリア「出ませんでしたので私が出来る限りで考えました」

「まぁ、100歩譲って1はいいわ。問題は2と3よ!」

インカム越しで、マリアと琴里の選択肢の言い争いが今の俺にとってそれが一番困る。

「あ、あれ?黎さん?」

目を離したら今まで目の前にいたはずの黎はいなく電車の切符を買いに行っていた。

「おーい、待ってくれよー黎ー」

「はい、君の切符」

「あ…ありがとうってどこに行こうとして…」

黎は目の色を変えこちらを睨みつけた。

「黙れ」

黎の気迫に押され黙り込むことしか出来なかった。

そのまま、黎の後をついて行き

電車に乗り込んだ。

「最初に言っておく。僕は君みたいな理想だけでしか物事を見ることが出来ない君が嫌いだ」

「あぁ、分かってる」

『士道、とりあえず機嫌でも取っておきなさい?今の好感度美九の時より低いから』

「あと…」

黎は士道の右耳からインカムを取り上げ、自身の右耳に付けた。

「ウザいよ?それと次は君だから」

それだけを言い、インカムを破壊した。

次は君だからの意味は既に分かっていた。ザドキエル、ハニエル、ミカエル、に続きカマエルを奪うつもりなのだろう。

「いつから知ってたんだ?」

「初めて会った時から」

そんな前から……いや、良く考えればそうだ。初めて会う前から黎が見えないはずの衛生カメラを破壊した。

多分、インカムも同じ仕組みで作られてるから分かったんだろう。

電車に揺れながら一時間、俺達は言葉を交わすことなく目的地の場所の到着を待っていた。

うとうとしていた時、電車が止まり、黎が電車から降りた。

「ちょっ…待てよ!」

電車の出入口から出ようとした時。

「早く、多加音 無月を殺しなさい。でないと、君はこの世界と大切なものを全て失うことになる」

「え…?」

言葉を返そうとしたが電車は閉まり動き始めた。

窓越し、ではあったが出入口付近にはフードを被った人がいたのは見えた。

「全て失うって…」

電車の人に夢中になってる場合じゃない!早く黎を…。

「見失っちまった…」

インカムは破壊されたし、見つけるの時間かかるぞこれ…。

駅のホームから出ると複数の野良猫に群がられている黎の姿があった。

黎がぷるぷる震えている。なんか、見てて面白いからこのままでも…。

黎もこちらに気づいたようで鋭い視線をこちらに向けてきた。

今にも殺してやろうかと言わんばかりの目をしている。

「あ…なんか、すいません…」

その場から遠ぞこうとしたところ。

「見ていないで助けろ。猫だらけで足場が無い」

「あ、はい」

こうして、移動だけで一日のうち半分が終わって行った。

 

 

 



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