BanG Dream! ワーカーホリック少女が奏でるオト (あこ姫)
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#000 人物紹介

えっと、はじめまして・・・・。

・・・でいいのかな?
今回はバンドリ!の二次創作に挑戦してみました。

楽器知識皆無なのでクオリティなどが著しく低くなるかもですがそこは温かい目で見てくれると幸いです。

今回は初回なのでオリ主の紹介となります。

2020/01/10 使用楽器追加
2020/06/10 設定手直し、RASメンバー繋がり追加
2021/02/22 趣味追加


 御神(みかみ) 亜麻音(あまね)

 

 

 容姿:栗色のロングヘアー(ヘアスタイルは日やその時の状況に応じて変わるが、編み込みがデフォ)

 アクアブルーの瞳(此処は母方の祖母譲り)

 

 イメージCv:水樹奈々さん

 

 身長:158cm

 体重:46kg

 3size:83-56-85

 

 誕生日:7月25日

 星座:獅子座

 血液型:AB型

 

 

 

 所属→学校:羽丘女子学園

 学年:高校2年生(開始時)→高校3年生

 クラス:A組→A組

 

 バンド:Sublimatum

 

 パート:キーボード(メイン)・ギター・ベース

 

 使用機材:IBANEZ(アイバニーズ)/ RG7421PB-SBF

 ROLAND ( ローランド ) / FA-06 61鍵キーボードシンセサイザー

 KORG ( コルグ ) / Pa1000 (作曲用)

 EDWARDS ( エドワーズ ) / E-AM-160QM Black Aqua

 

 

 好きな食べ物:甘い食べ物、ミルクティー

 苦手な食べ物:トマト、辛い食べ物

 

 

趣味:料理、裁縫、編み物、アクセサリー作り

 

 

 生徒会副会長、演劇部所属(裏方が主だけど……)

 

 性格は基本、「優しい」と分類される。

 故に怒らすと超怖い。

 他者からの頼み事に断りづらい一面がある。

 不満があると最初は愚痴を零すも、なんだかんだで最終的には引き受ける。

 特に「涙目+上目遣い」。このコンボには耐性がないと思われる程滅法弱い。

 それ故か振り回される事も少なくはない…………寧ろ多い。

 それもあってか、同じ境遇(ツッコミ役)のメンバーと共にいる時が本人の癒しであったりする。

 その際には「あぁ……癒しだ……」と呟いている。

 つぐみと居る時はそのセリフが「あぁ……癒しの天使か…………」と何気にグレードアップしている。

 

 

 

 

 Sublimatumというバンドに所属しており、バンドリーダーを務める。

 パートはメインがキーボードだが、ドラム、DJ、バイオリン以外全て出来る。

 実はそれらも練習中の模様。

 

 他バンドのヘルプで入ることもある。(赤点の友希那の代理でRoseliaのVo.してたり)

 

 単独ライブをする事は「神音(しおん)」という名義で活動する。

 どちらも衣装のカラーは赤のアクセントの物か青のアクセントの物が多い。

 故に彼女のライブ時のサイリウムは「レッド」「ブルー」の2色である。

 

 CiRCLEに専用ルームがあり、そこに篭って楽曲演奏していたりする。

 Sublimatumの作曲と編曲は彼女の担当。(作詞も出来る)

 

 

 バイト先はコンビニ・羽沢珈琲店・CiRCLEのフロント・カフェ業務(偶にヘルプでバンドに入ることもある)・ファーストフード店・ファミレス

 バイトを複数掛け持ちで多忙なので、「アネる」ので心配される事も……

 

 モカに会う度に「アマネ先輩はもっとモカればいいのに…………」と言われている……。

 

 また、「アネる」という言葉が存在する。(度合いは『アネる』>>>>『ツグる』>>『モカる』)

 

 なので、母親である御神鈴音(すずね)が発端となって、紗夜が陣頭で「休日包囲網」が形成されつつある。

 

 それに加えて日菜の推薦に乗ったスタッフのスカウトによって半ば強引にパスパレのチーフマネにされる。

(スタッフは全然反対しなかった模様。(←しろよ))

 最初は渋るも周囲の後押しに折れた。

 

 その後のパスパレの復活ライブの一件の際の千聖の策略で女優デビューを果たす。(なお、その際に外堀は既に埋められていた)

 これに関し、燐子が亜麻音のマネージャーに就任し、日菜がファミレスでバイト始めた。

 

 

 日菜・紗夜の姉妹とは家がお隣で幼馴染。

 また、薫・千聖も幼馴染で「あーちゃん」「ちーちゃん」「かおちゃん」とお互い呼んでいた。

 それ故か、千聖には弱みを握られていてそれを盾にされることもある。(稀に勝利)

 逆に薫の場合は優位に立って誂う事の方が多い。(負けない)

 

 リサは中等部の時にクラスメイトで仲良くなる。

 友希那はリサ経由で知り合う。

 この時に同じバンドメンバーの湊由愛(ゆあ)が友希那の妹だということを知った。

 

 燐子&あこはNFO仲間でオフ会の時に初めてリアルで出会う。

 あこからは「ソラ姉」(NFOのアカ名『Sola』由来)と慕われる。

 よく一緒に買い物とか行ったりしてる。

 燐子は前述の通り、共に行動している事が多い。

 それ故にお互いがかなり信頼しているフシがある。

 

 

 モカ・つぐみ・巴・彩・イブ・花音はバイト仲間。

 つぐみとは生徒会でも一緒である。

 麻弥は同じ部活動の所属でもある。同じ裏方でもあるので何かと話が合う。

 演劇部では「現場助監督」を務める。

 

 こころは母親経由で知り合った。(詳細は不明)

 何度か会って行くうちに姉の様に慕われる様になった。

 その証拠に偶に「亜麻音姉様」・「姉様」と呼ばれることがある。

 亜麻音と居る時のこころは何時もと違う一面が見られる。

 

 

 蘭はバイト先に羽沢珈琲店があったり、同じ学校の先輩後輩だったり、親同士が友人だったりと何かと親交が深い。

 アフグロメンバーの中で一番親交が深い。

 

 ポピパメンバーは「休日のとある出来事」によって知り合う事になる。

 関係は…………振り回される事確定。

 なので、有咲と何かとウマが合う。

 

 はぐみ・美咲とはこれまた「休日のとある出来事」キッカケで知り合った。

 3バカの一角を成すはぐみには制御しつつも振り回される。

 美咲とは有咲の時と同じ境遇でなのか何かとウマが合うようになった。

 

 

 RASメンバーとの繋がりは結構深い。

 亜麻音はRASのマネージャーであり、良き相談相手である。

 

 レイヤとマスキングはSublimatumのメンバーであるので言わずもがな。

 RAS加入後も何かと一緒に遊びに行ってたりする。

 レイヤとマスキングと亜麻音の3人でライブしたりサポートに入ったりしている。

 

 マスキングと新作のスイーツ作りをしていることが度々ある。

 それを記したレシピノートはかなり多い。

 そして、クオリティもプロ顔負け。

 周囲からは「製本化して売ったら絶対完売する」とのこと。

 弦巻家がバックでそれを進めているとかいないとか。

 

 ロックは同じ学校の先輩後輩で亜麻音のバイト先に旭湯とライブハウスGalaxyが存在し、一週間に出会う頻度はRASメンバーの中ではダントツ。

 彼女のギターテクを昇華させてるのは亜麻音だったりする。

 

 

 チュチュとの出会いはPastel✽PalettesとSublimatum、W復活ライブ終演後。

 楽屋に訪れた彼女との話の末に、プロデュース等に関する師匠を引き受けることに。

 大体、亜麻音が女優や芸能活動をする際、何時も居る。

 

 チュチュ曰く、「アマネはSISTER(姉の方)みたいで安心するけど、超えるべきRival」らしい。

 

 パレオは長い間、Pastel✽Palettesと並ぶSublimatumのファンである。

 Sublimatumメンバーの中で亜麻音が最推しだったとか。

 Sublimatum休止後も神音の単独ライブの訪れるほど。

 亜麻音の愛を語りだしたら止まらない。

 それはもう亜麻音が顔真っ赤で止めるほどである。

 亜麻音の傍にチュチュが居る時は大体彼女もセットで居る。

 亜麻音のスタッフ公認メイク・衣装担当でもある。

 最近は、亜麻音に料理やキーボードの演奏練習等、2人っきりの時も多い。

 彼女曰く、「その時間は至福の刻なんです!」とのこと。

 

 

 

 

 巻波彩汀さんに書いて戴きました亜麻音ちゃんのキャラデザです。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 




回を重ねるうちに設定が増えれば追加していくつもりです。
次回から本編となります。


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#000 人物紹介②&設定集①

今回は
追加のオリキャラとバンドの設定集です。

機材系の設定は無知な状態で設定してます。

それではどうぞ。


 大和(やまと)萌々(もも)

 

 花咲川女子学園高等部2年A組(初期)

 所属バンド:Sublimatum

 担当パート:Gt.&Ba.&Key.&Dr.

 

 誕生日:11月27日

 星座:射手座

 血液型:O型

 

 身長:160cm

 体重:43kg

 3size:86-56-86

 

 イメージCV:茅野愛衣さん

 

 好きな食べ物:杏仁豆腐

 嫌いな食べ物:魚系全般

 趣味:ファッション、ガーデニング、旅行

 

 使用機材:GODIN GUITAR ( ゴダンギター ) / LGXT Trans Blue AA

 SCHECTER STILETTO EXTREME-5 STBLK

 YAMAHA MOXF6 61鍵キーボードシンセサイザー

 TAMA IE58H6HC-HLB(ドラムセット)

 TAMA/M-NYANにゃんごすたーシグネチャースティック

 

 

 Pastel✽Palettesのドラム、大和麻弥の双子の姉。

 体格的には麻弥とほぼ同じ。

 麻弥からは「姉さん」と呼ばれている。

 性格は天然。で自信家。

 なんていうか……麻弥ちゃんと正反対。

 偶に姐御肌な所もあったりする。

 リサとはウマが合って仲が良い。

 

 亜麻音がリーダーを務めるSublimatum(スブリマトゥム)のギター&キーボード担当。

 亜麻音がボーカル&ギター、キーボード担当の際はリードギターを、

 由愛がボーカルで亜麻音がリードギターの時はキーボードを担当する。

 

 

 また、アフグロメンバーにも慕われていて(特に蘭・モカ)、彼女達の技術指導を行っている。

 言うなれば、アフグロのマネージャーである。

 

 また、亜麻音の要請でPastel✽Palettesの指導に行く時もある。

 その際には妹・麻弥の指摘も(ドラムをしていないとは言ってないしある程度叩けるので)行う。

 ぶっちゃけ言えば麻弥がドラムを始めたキッカケでもあったりする。 

 

 

 

 (みなと)由愛 (ゆあ)

 

 花咲川女子学園高等部1年A組(初期)

 所属バンド:Sublimatum

 担当パート:Vo.&Gt.&Key.

 

 誕生日:9月29日

 星座:天秤座

 血液型:A型

 

 身長:153cm

 体重:40kg

 3size:78-55-80

 

 イメージCV:南條愛乃さん

 

 好きな食べ物:珈琲・抹茶(それを使用したスイーツ)

 嫌いな食べ物:春菊

 趣味:音楽鑑賞、カフェ巡り、お菓子作り

 

 使用機材:SCHECTER Sun Valley Super Shredder FR S Satin Black

 KORG KROME-61EX 61鍵キーボードシンセサイザー

 

 Roseliaのボーカル、湊友希那の実妹。

 身長は153cmと姉より少し低い。

 姉の友希那は「お姉ちゃん」と呼び、友希那からは「由愛」と呼ばれている。

 性格は結構しっかりした性格。

 香澄・おたえ・こころ・はぐみの抑制もなんのその。

 そういった意味では有咲・美咲からは感謝されている。

 特に美咲とは仲が良い。

 あと、姉の操縦を行っていたりする。

 リサ曰く、「逆でも違和感が無い」

 試しに日菜・薫と面会したところ、亜麻音顔負けの対応をしたとか。

 故に紗夜・千聖も驚きを隠せていなかった。

 

 成績は姉とは対照的で優秀。

 同級生の香澄・たえ・こころ・はぐみに勉強会を行っていたりする。

 しかも、前述の4人がおとなしく勉強していた為、有咲・美咲に一目置かれている。

 と、いうか絶対に呼ばれる。

 

 亜麻音がリーダーを務めるSublimatum(スブリマトゥム)のボーカル&ギター&キーボード担当で自身がメインでボーカルを担当するときがある。

 亜麻音がボーカル&ギターで萌々がリードギターの際はキーボードを、

 それ以外の際はリードギターを務める。

 

 主に指導するバンドはポピパ。

 偶に姉に言われてRoseliaも行う。

 また、モルフォニカに呼ばれることもある。

 

 姉と同じくボーカル担当なので姉に対して対抗心はある。それは姉の友希那も同様。

「姉(妹)だからって手加減しない」これは姉妹で似た者同士なところがある。

 

 

 ★巻波彩汀さんからの由愛ちゃんの支援絵です。

 

【挿絵表示】

 

 

 青葉(あおば)帆乃香(ほのか) 

 

 羽丘女子学園高等部2年A組

 所属バンド:Sublimatum

 担当パート:Dr.&Ba.&Gt.

 肩書:マネージャー

 

 誕生日:5月28日

 星座:双子座

 血液型:B型

 身長:161cm

 体重:46kg

 3size:80-57-80

 

 イメージCV:水瀬いのりさん

 

 

 好きな食べ物:パン(特にやまぶきベーカリー)・チーズケーキ

 嫌いな食べ物:なめこ

 趣味:アロマオイル作り、温泉巡り、天体観測

 

 使用機材:TAMA IE58H6HC-HLB(ドラムセット)

 TAMA(タマ)/H-YKB(スティック)

 Sire V7 5ST Alder Lake Placid Blue 2nd Generation

 LEGEND LST-Z Blue Black Sunburst

 

 

 

 Afterglowギター担当 青葉モカの実姉。

 性格は真面目で頑張り屋。亜麻音曰く、「紗夜とつぐみ足して2で割った感じ」。

 その性格故か風紀委員を務めている。

 取り締まられる側のリサ・(友希那・)日菜には苦手意識を持たれている。

 そんな彼女だが、妹のモカに対しては超甘い。

 要はシスコンなのである。

 制限解除されると、本能の赴くまま妹を堪能する。

 これを見た面々はドン引きだったとか。

 そして……止めた者に敵意剥き出しになる。

 なので、周囲は唯唯彼女の行為を見守るだけなのである。

 これについては必ずモカが「おねーちゃんなんて……嫌い」と彼女に言う事によって

 真っ白に燃え尽きる事で終息する。

 なお、これが毎回起きるので皆は誰も気に留めていない模様。

 

 亜麻音がリーダーを務めるSublimatum(スブリマトゥム)のマネージャーを務める。

 バンドのライブ日程・メンバーの体調管理等を一手に担う。

 また、偶にドラム・ベースでライブに参加することがある。

 レイヤ・マスキングのRAS加入後はリトムのメインドラマーを務める。

 

 モカがギターを始めたキッカケでもあったりするので、ギターの腕前も高い。

 

 主に指導するバンドはアフグロ。

 亜麻音に誘われてRAS・ハロハピの指導も行う。

 

 

和泉(いずみ) 亜璃珠(ありす)

 

容姿:セミロング(アッシュ+インナーブルー)

 

身長:161cm 体重:43kg 3size:83-57-82(D)

 

誕生日:10月15日 星座:天秤座 血液型:B型

 

 

所属:花咲川女子学園高等部1年C組(初期)

 

所属バンド:Sublimatum

担当パート:Ba.Vo. Gt. DJ.

 

イメージCV:竹達彩奈さん

 

 

好きな食べ物:肉、甘いもの、林檎、蜜柑、米菓、ジャンクフード

嫌いな食べ物:魚系、トマト、辛すぎるもの、酸っぱい物、苦いもの

趣味:旅行、読書、ゲーム

 

使用機材:ESP / M-II 45th Limited Bondi Blue

     FUJIGEN / J-Standard JMJ5-ASH-M See-through Blue Burst

 

 

Sublimatumに中途加入のメンバー。

SublimatumのRe:BirthLiveの直後に花咲川女子学園に転入した。

転入前は石川県に住んでおり、親の都合で引越ししてきた。

高校受験前に一度バンドを組んでいたが高校進学と同時に疎遠となっていた。

 

越してくる一週間前にRe:BirthLiveを見に行った際にライブの熱狂感に触発され、再びバンドをやろうと決意し、花咲川の屋上でギターを弾いてたところを香澄とおたえに突貫され、戸惑う彼女を救い出してくれた由愛と有咲に好感を持つようになる。(その代償で香澄とおたえに苦手意識を持った)

 

由愛と話しているうちに仲良くなって由愛からSublimatumの加入を持ち掛けられる。

その際、ある種の憧れのバンドであった為に即座に了承する。

Sublimatum加入後は帆乃花に次ぐマネージャーとなる傍らメインでベースやギター担当になったりする。

 

 

交友関係としては由愛、有咲、沙綾、りみ、美咲、イヴが主である。

美咲や由愛と居ることが割と多い。

美咲と共にこころと居ることもあり、大抵こころに振り回されている。

 

部活動は弓道部に所属しており、紗夜とは同じギター担当ということもあって仲が良い。

 

 

 バンド設定。

 

 バンド名

 Sublimatum(スブリマトゥム)

 

 ラテン語で「理想に向かって高める」という意味。

 各々が「自分の理想に向かってお互いが高め合って突き進む」という目標のもと、決定した。

 

 略称は『リトム(Litm)

 

 このバンドの特色はなんといってもVo.が3人居ること。

 誰かがVo.固定じゃなくてその日のライブによって変動性である。

 故にこのバンドの方向性は多彩。

 それに併せてのメンバーの演奏技術も高い仕上がりになっている。

 FWFでも好成績を残している程のバンドである。

 

 そのバンドの人気は凄まじいものであり、他のバンドの箱を潰してしまう程。

 故にそれを妬むバンドも多かったりする。

 それに薄々勘付いていたバンドリーダーである神音(亜麻音)の意向によって活動休止。

 意外にもメンバーからの反対意見は出なかった。(メンバー全員も大体勘付いていたから)

 以降はソロで活動している。

 が、ファンからの復活要望も多いので稀に何度かライブを行っている。

 ネット民からは人気が衰えないので「不死鳥バンド」と呼ばれていたりする。

 

 

 




如何だったでしょうか。

また追加設定あれば、どんどん増えてく予定です。

楽器等でアドバイスあったら受け付けますんで、感想欄までお願いします。


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#000 人物紹介③&バンド紹介②

そういえば、出てたのに設定がなかったオリキャラの紹介です。


галактика(ガラークチカ)

 

 

主人公の先輩にあたる5人が結成したバンド。

Sublimatumの結成を後押しし、Sublimatumのメンバーが目標とするガールズバンドで、バンド名のгалактикаとは、ロシア語で『銀河系』『星雲』を表す語句である。

 

 

 

 

 戸山茜( AKANE TOYAMA )

 

イメージCV:高橋ミナミさん

 

身長:157cm  体重:44kg 3size:81-58-80

誕生日:11/8

所属:花咲川女子学園高等部3年

担当パート:Vo. & Gt.

好きな物:キャラメル、レアチーズケーキ  嫌いな物:ニンニク、レーズン

趣味:天体観測、読書

 

 

Poppin'Party 戸山香澄と妹である戸山明日香の姉。

髪色は妹達と同じだが、長さはロングヘアー。普段は後ろで三つ編みにしている。

香澄と同じ花咲川女子学園高等部に通っており、Glitter*Greenの牛込ゆりとは幼い頃からの腐れ縁。

галактикаではVo.とGt.を担当している。

メンバーの中で一番背が小さいことを気にしており、指摘されるとかなり怒る。

 

彼女の趣味である天体観測が間接的にではあるが香澄のバンドを始めるキッカケとなった。

妹である香澄のアドバイスとかも行っている。

香澄が亜麻音に懐いているのは正直気に入らないらしい。

 

 

 

 

 

 花園めぐみ( MEGUMI HANAZONO )

 

イメージCV:高橋李依さん

 

身長:165cm  体重:44kg 3size:80-56-81

誕生日:2/5

所属:月ノ森女子学園高等部3年

担当パート:Gt.

好きな物:唐揚げ、おにぎり 嫌いな物:タピオカ

趣味:家庭菜園、ガーデニング

 

 

Poppin'Party 花園たえの姉。

髪色は同じで長さはショートカット。

性格は「流石、おたえのおねーちゃん」と言わしめるほど。

学校は庭園が気に入ったという理由で月ノ森女子学園高等部に通っている。

学校内ではある意味な有名人。

趣味は家庭菜園とガーデニングで家で飼っているウサギの餌は彼女の自家栽培で賄っている。

галактикаではGt.担当でメンバーの中で一番人気が高い。

妹とセッションを行う事があり、その時間が彼女にとって至福の時間でもある。

亜麻音にギターを教えたのは彼女である。

彼女と同じ月ノ森所属で結成されたMorfonicaに強い影響を残している。

特にGt.担当の透子にとっては憧れそのものである。

 

 

 

 

 

 今井香織( KAORI IMAI )

 

イメージCV:雨宮天さん

 

身長:162cm  体重:43kg 3size:86-55-84

誕生日:5/10

所属:都立芸術学院高校音楽科3年生

担当パート:Ba.

好きな物:肉じゃが、和え物 嫌いな物:野菜ジュース

趣味:押し花作り、料理

 

 

Roselia 今井リサの姉。

髪色は妹と同じ色で長さはロングでウェーブパーマをかけている。

見た目はお淑やかそうに見える……けど、ギャップが凄い。

学校は校風が気に入ったという理由で都立芸術学院高校音楽科に通う。

同じ学校の後輩であるレイ(レイヤ)とは仲が良く、相棒的な感じで見られることもある。

その際、レイヤの方が年上に見られることがある。

その場合、2人仲良く凹んでいる所を目撃されている。

галактикаではBa.担当でメンバーの中のギャップ枠。

妹がベースを始めたキッカケは彼女である。また、亜麻音にベースを教えたのは彼女である。

妹のリサやレイヤにとって憧れであり、最大のライバルでもある。

 

 

 

 

 

 松原陽向( HINATA MATSUBARA )

 

イメージCV:高野麻里佳さん

 

身長:159cm  体重:45kg 3size:83-59-87

誕生日:6/16

所属:白雪学園高等部3年生

担当パート:Dr.

好きな物:ビーフジャーキー、ポテト 嫌いな物:湯葉

趣味:オンラインゲーム、散歩

 

 

 

ハロー、ハッピーワールド! 松原花音の姉

髪色はピンクブロンドでショートヘアである。

性格は妹と正反対で活発である。また、学力面も正反対で赤点の常連。

故に七菜のお世話になっている。

趣味は散歩だが、方向音痴が酷い。

姉妹で出掛けた日には捜索隊が出されるほど。

試しにGPS付けてみたら軽く県境を超えていた。

その度にお土産が凄い事になっている。

好物はビーフジャーキーでチュチュと話が合い、ビーフジャーキー同盟なるものを結んでいる。

галактикаではDr.担当でメンバーの中の元気枠。

妹がドラムを始めたキッカケは彼女である。また、ますき、帆乃花、萌々にドラムを教えたのは彼女である。

ますきの最も憧れる存在でもある。

 

 

 

 

羽沢栞( SHIORI HAZAWA )

 

イメージCV:花澤香菜さん

 

身長:161cm  体重:46kg 3size:86-55-83

誕生日:7/10

所属:羽丘女子学園高等部3年生

担当パート:Key.

好きな物:珈琲、紅茶、ケーキ 嫌いな物:辛いもの、ジンジャエール

趣味:カフェ巡り、料理

 

Afterglow 羽沢つぐみの姉。

髪色は妹と同じでロングヘアーである。

性格はほぼ妹と変わらない。

彼女の在籍する羽丘女子学園では生徒会長を務めており、結構な優等生でもある。

そんな彼女ではあるが、存在感……影が薄くメンバーに忘れられることもしばしば。

偶に妹のつぐみにさえも忘れ去られることがあり、その際は毎度決まって暗いオーラで体育座りしている。

日向曰く、「クソめんどいATフィールド」らしい。

彼女の目標は「妹に頼られる存在になること」である。

現状、妹のつぐみは姉<亜麻音である為、亜麻音が理不尽な言いがかりを受けることもある。

その際はつぐみにお説教されるのがお約束。

галактикаではKey.担当でメンバーの中の常識枠。

妹と亜麻音がキーボードを始めたキッカケは彼女である。また、亜麻音にキーボードを教えたのは彼女であり、亜麻音から「師匠」呼びされることも。

現状、亜麻音の最大の目標である人物である。

 

 

 

 

 

 

 




出番はこれから増えていくと思うよ。

設定が増えればどんどん追加していくのでよろしくなのですよ。


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Collaboration
beat 001 With その全① 私にとっての旧友との再会といふものは


お久しぶりです。
今回は特別編としまして、希望光様の「その日、全てが始まった」とのコラボ回になります。

希望光様の作品 「その日、全てが始まった」はこちら→https://syosetu.org/novel/196831/


このお話の洸夜君サイドはこちら→https://syosetu.org/novel/196831/1.html



 Side Amane_Mikami

 

 とある日の日曜日。

 私、御神亜麻音は自宅の自室に居た。

 今日は(包囲網の効力もあって)バイトは全て休み。女優業もオフ日だし、神音としてのライブ予定もない。更にポピパやハロハピを始めとするガールズバンドの指導もない。

 要は

 

「暇だ…………~(#゚ω゚ #)~」

 

 な、状態なのである。

 母さんは母さんで仕事が忙しくて居ないし、父さんは……何処に行ったか知らんけど居ない……そう、「私、一人で留守番なう」状態なのである。

 このまま、NFOにのめり込んでも良いとは思うんだが個人的にはそういうのは「夜のお楽しみ」にしておくのが良いだろう。幸い、明日は振替休日で学校は休みだし。

 ……と、なると問題が発生するわけで。……………………やること、何もない。

 本当にどうするかな。唯々( ゚ ρ ゚ )ボーっとしてんのも性に合わんっていうか、何か(´・д・`)ヤダ。

 何処かに遊びに行きたい気分である。

 とはいえど、一人で行くのも寂しいものである。何が楽しくて一人で行かなくてはならぬのだ。

 やはり、誰かを誘うべきか。となれば、誰にしよう。

 いきなりでも文句言わない人がいいよね。やっぱ。…………あ、そうだ。日菜にしよう。

 日菜ならなんとなくだけどノってくれそうだし。まぁ……アポなしでも構わんよね。別に。何時もコッチがされてるし。偶にはこちらがしても問題はないだろう。

 そうと決まれば善は急げ。

 私は今まで着ていた部屋着から外出用の服装に着替える。今日の服装は真っ白のワンピースに薄いピンク色の羽織である。春になって大分暖かくなってきたので大丈夫だろう。

 着替え終わった私は自宅のお隣、氷川家に赴くのであった。

 

 氷川家に到着した私は呼び鈴を押す。

 呼び鈴の音が響く。だが、誰も出てこない。

「もう一度押せば出てくるだろう」と思い、呼び鈴を再び押す。

 すると、今度は玄関の扉が開く。

 

「どちら様ですか……」

 

 その言葉と共に扉から顔を覗かせたのは翡翠色の双眸にちょっとぼさっとした感じの茶髪で黒縁メガネを掛けた青年だった。

 その青年に私は見覚えが有る。確証に近い推測で私は彼の渾名を呼んだ。

 

「もしかして…………コウくん?」

「その呼び方って事は…………亜麻音?」

 

 向こうもどうやら私の事に気付いたらしい。

 

「うん。そうだよ」

 

 私は彼に対して満面の笑みで答えた。

 彼の名前は氷川(ひかわ)洸夜(こうや)。私の家のお隣に住んでいる日菜・紗夜の同学年の兄。(要は三つ子)

 幼い頃はよく4人で遊んだ仲の所謂、幼馴染である。

 

「久しぶりだな」

「そうだね」

「とりあえず、上がる?」

「そうさせてもらうわ」

「ん」

 

 会話の後、私はコウくんの案内で氷川家に通される。

 

「コーヒーか紅茶ならどっちが良い?」

「紅茶かな」

「はいよ」

 

 そうコウくんと言葉を交わした後、コウくんの姿は台所へ消えていった。

 2分後、カップを2つ手にしたコウくんは、ダイニングテーブルの前に座る私の向かい側に腰を下ろした。

 

「はい。おまっとさん」

「ありがとう」

「俺が普段飲んでる奴なんだが……亜麻音の舌に合うといいな」

 

 そう呟いたコウくんは、自身の手にしたカップに入ったミルクティーを口に運んだ。

 

「ミルクティーは私の大好物だから、そうそう合わないってことは無いよ」

 

 私は“甘いもの”が好みなのでミルクティーはTop3に入る好物である。もう二つはキャラメルマキアートとマッカンである。

 

「それならいいんだが。それにしても本当に久しぶりだな」

「だね。最後に会ったのはいつだったっけ?」

「中学上がる手前ぐらいじゃないか」

 

 カップを置きながら、コウくんは答える。

 

「多分そうかな。中学上がってからは基本日菜としか話した記憶しかないし」

「俺も中学上がってからは、基本日菜からの話聞いてるだけだったかな」

「だよね。私も日菜伝いで軽く聞いてただけだったよ。でも、元気そうで良かった」

 

 そう言って私は微笑む。

 

「亜麻音の方こそ、変わりないみたいで……」

 

 そこまで言ったコウくんは、1度視線を逸らす。

 その様子に気付いた私は首を傾げる。どうしたんだろう。コウくん。私の姿見るなり視線逸らしたりして。

 

 まさか、私のその……む、胸を見てた!? そう思ったら凄く顔から火出るくらいに(/ω\)ハズカシーィんですけど。うん……まぁ……男子高校生としては普通の反応だと思うよ。うん。直ぐに視線逸らしてくれたし良いものの、も、もし……注視してたら「アイアンクローの刑」確定してたわ。

 

「どうしたの?」

「いや……うん。前言撤回。見た目は変わりなさそうだが、大分……その……仕事中毒になられたそうで……」

「それって私のこと?」

「うん……」

 

 歯切れ悪く答えたコウくん。

 そんなコウくんに、私はこんな返しをするのだった。

 

「そんなことないよ。寧ろ普通でしょ?」

「いや、普通じゃないから。じゃなきゃこんな心配しないから」

 

 コウくんは首を傾げる私に全力で反論する。

 

「フフッ、やっぱコウくんは優しいね」

「え……?」

 

 突然の私の言葉に、コウくんは驚いていた。それと同時にコウくんの顔が紅くなってる。意表を突かれたのか、相当恥ずかしがってるね、コレ。

 そんなコウくんは恥ずかしさを紛らすため、私に問いかける。

 

「……で、今日はどうしたんだ?」

「うん、実はね……」

 

 コウくんの問いかけに、私は少し間を置いてからこう答えた。

 

「一緒に出かけたいと思って」

 

 どうやら、コウくんにとっては予想外の言葉だったようで、硬直していた。そんなに…………衝撃の事実なこと言ってないと思うんだけど。

 どうしてこうなっているのだろう。私には今ひとつ解らない。

 

「おま、え、正気?」

 

 しどろもどろ状態に陥っているコウくん。そんなコウくんに畳み掛ける様に私はこう返した。

 

「うん。それとも、私じゃダメ……?」

 

 涙目と上目遣いというコンボを仕掛ける私。私がそれをされると凄く弱いし、コウくんにも効果覿面な筈だ。

 

「いや、そういうわけじゃないけど……」

「ならいいじゃん。行こうよ?」

「いや今日は予定が……」

「どんな?」

「自宅警備……」

 

 コウくん……それは家から出たくない人が使う常套句だぞ。それに「自宅警備」は予定としてはノーカンだ。よって……

 

「暇だね。よし、行こっか」

 

 私はそう言って立ち上がった。

 

「…………分かったよ」

 

 お手上げ状態のコウくんは素直に私の提案を呑む事にしたようだ。そして立ち上がりながら、私にこう告げる。

 

「準備してくるから少し待っててくれ」

 

 それだけ言うと、コウくんはリビングを出て自室に向かうのだった。

 

 

 

 氷川家を後にした私達は駅前のショッピングモールを目指していた。勿論、デートなので二人で仲良く会話をしながら……である。

 

「そういえばコウくんは、中学時代なにしてたの?」

「部活か?」

「うん」

「部活はバレーやってた」

「踊るやつ?」

 

 そう言って首を傾げる私。それに対してのコウくんは「違う、そっちじゃない…………」と言いたげな表情だった。

 

「バレーボールの方だ」

「あ、そっちね」

「なんか、俺のイントネーション悪かったかもな…………」

「そんなことなかったよ。それで、成績の方は?」

「一応全国まで行ったよ」

「すごいじゃん」

「ベンチだったけど」

 

 目を逸らしながら答えるコウくん。

 …………? 何か言いにくい事柄でもあるのだろうか。だったらそれは本人の為にも聞かずに居た方がいいだろう。

 そう私が考えていたらコウくんから質問される。

 

「急だけどさ、ショッピングモールに何しに行くんだ?」

「決まってるじゃん」

「……え?」

「デートだよ」

 

 私はさも当たり前の様に答えたが、コウくんにとっては衝撃の事実だったようで…………その証拠に硬直しているし。

 どうやら「聞き間違い」と思っているっぽいね。これは。

 

「ごめん、もう一回だけ言って?」

「デートだよ」

 

 私はコウくんに言われたので今日の大切な事項を言った。

 

「…………そうなんだ」

 

 どうやら、コウくんは自分の予想の範囲を大幅に超える私の回答に思考が回らなくなっているらしい。そこに何かを察した私は小悪魔的な笑みを浮かべつつ、ある事をコウくんに尋ねることにした。

 

「もしかして、照れてる?」

「あ、え、まぁ…………/////」

 

 既に思考が恥ずかしさで正常の範囲内から振り切れているせいか、照れながらも正直に答えるのだった。その後のコウくんは…………時間的には少しだけど、相当悩んでいた。

 

デート…………ね

「……? なんか言った?」

 

 小声で何か呟いていたコウくんを私は覗き込むように見つめた。

 すると、思考放棄によるものなのかは私は知らないけれど、答えに辿り着いた模様のコウくんは

 

「いや、なんにも」

 

 と、私の言葉を否定した。これを聴いてすぐに納得する私ではない。

「本当にそうなのかな…………??」と若干の疑いの目をコウくんに向ける。

 だが、コウくんの何処か吹っ切れたような表情を見て、私はそれを止めた。

 そして、私は微笑んでコウくんにこう言った。

 

「そう。じゃあ──―早く行こ」

「はいよ」

 

 軽く返事を返したコウくん(幼馴染)と共に目的地であるショッピングモール目指して、歩くのだった。無論、恋人繋ぎをして…………である。

 コウくんはポーカーフェイスを貫いていたが、此方から見れば、恥ずかしがっている事がバレバレだった。かくいう私も、実際には内心は動揺しまくっていた。

 それは無理もない。誘うときは何も感じてなかった。けど、私は今、初戀の人とデートをしている。そう意識した途端に恥ずかしさがこみ上げてきたのだ。

 幾ら、幼馴染だからって人見知りは発動せずとも、恥ずかしいもんは恥ずかしい。

 

「この先、無事にボロを出さずにデートを終えることが出来るのか」

 

 この心配を抱えながら…………。

 

 Side_Out……

 

 To Be Continued……

 




如何だったでしょうか。
甘酸っぱいねぇ・・・・やっぱり。
などと書いてて羨ましい思いで一杯だった作者なのは別の余談。
動揺しすぎて「別」を「ばえつ」と何度もタイプミスするくらいに(苦笑)
このお話の続きは洸夜君サイドの後に投稿したいと思います。

最後にですが、此方から持ちかけたコラボ企画を快く引き受けてくださった希望光さん。誠にありがとうございます。
また次回以降も宜しくお願いします。

それではまた次回のお話でお会いしましょう。
ばいばいっ( ´・ω・`)ノ~バイバイ


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beat 002 With BTC① 対バン決まったってよ?宜しい。叩き潰す。

》対バンを控えたメンバーの皆さんに質問してみた。

》Q1,今回の4バンド合同ライブ決まった時の感想は?

A1.憧れのバンドやライバル達と共に盛り上がれるいい機会だし、ワクワクしてるよ。(回答者:大和萌々【Sublimatum】)

A1.妹や可愛い愛弟子に輝く私たちの演奏を聴かせる機会が出来て嬉しいって思ったよ(回答者:花園めぐみ【галактика】)


》Q2.それぞれのバンドについてはどのようにお考えで?

A2.ガラクの皆さんは私達の目標であり、憧れですかね。Beatの方々や4Mの方々には絶対に負けたくありません!(回答者:湊由愛【Sublimatum】)

A2.リトムの皆は可愛い妹みたいな存在……かな? Beatは個性派揃いで面白そうと思ってるよ。4Mは妹の彼氏(馬の骨)が居るし絶対に負けたくない。(回答者:羽沢栞【галактика】)


》Q3.会場がさいたまスーパーアリーナで3万人規模の予定です。それについては?

A3.この場所は今の私が在るキッカケとなった場所なので、その場所でSublimatumの一員としてライブが出来ることを大変嬉しく思います。(回答者:和泉亜璃珠【Sublimatum】)  
  
A3.キャパが多い会場ほどあたし達の音楽を届けられる人が多いし燃えてきちゃうのが一番だけど、まっすー達が再出発した場所でライブが出来るのが嬉しくてたまんないんだよね!(回答者:松原陽向【галактика】)


》Q4.常にライブで心がけていることはありますか?

A4.私達が持てる全てを出し切ってライブのファン達を楽しませることかな。それと次のライブは今以上の力を出し切ることも心がけてます。(回答者:青葉帆乃花【Sublimatum】)
  
A4.『アタシ達がライブと一体となってファン達も他バンドのファン達もアタシ達という銀河に巻き込んでやる!』っていう心意気でライブをやることかな。(回答者:今井香織【галактика】)


》Q5.ライブの意気込みを

A5.今日のライブでも伝説を再来させて新たに誕生させるような最高のライブにしたいと思ってますのでよろしくお願いしますっ!(回答者:御神亜麻音【Sublimatum】)
  
A5.今日のライブで共演する皆と今日という日が皆の心に刻まれてずっと忘れられない……そんなライブにしていきたいですっ!(回答者:戸山茜【галактика】)



》回答ありがとうございました!


「由愛、貴女何も解ってないようね」

「そういうお姉ちゃんこそ解ってないんじゃないの?」

 

 ある日の休日に『暇だから集まろうよ!』的なノリで私の家に集まって行われていたのは『Roselia』のボーカル、湊友希那と私の属するバンド『Sublimatum』のメインボーカル、湊由愛の姉妹喧嘩だった。

 

「そういうのは家でやれよ、負けず嫌い姉妹共」

 

 というのが、私・御神亜麻音の正直な感想であるが、口にすると仲良く襲ってきそうなので言わない。まぁ、そうなったら返り討ちにしてやるけども。

 

「なんでこうなったんだっけ……」

 

 Sublimatumのメインドラマー、青葉帆乃花が溜息混じりに呟いた。

 

「えっと好きなデジモンの話になってこうなったんだと思いますよ、帆乃花さん」

 

 帆乃花の問いに答えたのはAfterglowのベース担当の上原ひまりだった。

 

「ハカ●モに出てくるのだったら、ひまりはどのデジモンが好きなの?」

「私ですか? うーんと……マリンエンジェモンですかね? そういう帆乃花先輩はどのデジモンなんです?」

「私はカイゼルグレイモンかな? なんか格好良いし。あこはどうなの?」

「あこはベルゼブモンブラストモードかな~? 如何にも闇の力感じるし! ソラ姉はどうなの?」

「私? そうだなぁ……ミラージュガオガモンバーストモードかなぁ……?」

 

 私は「それで……」と言いつつも絶賛喧嘩中の湊姉妹に視線を向ける。

 

「確か、友希那がブラックテイルモンで、由愛がテイルモンだっけ」

「ですね。どっちも見た目は猫ですから友希那さんと由愛ちゃんが好きになっても違和感はありませんよね……」

「違うとしたら身体と手の部分の色ね。そんな事言ったらミケモンとかもあるのは置いといて。ぶっちゃけ、友希那と由愛の好きなデジモンって一体のデジモンに落ち着くんだよね」

「え、どういうことですか? 帆乃花さん」

「あー、察した。そういう事か」

「え、どういう事、ソラ姉」

 

 帆乃花の納得に賛同する私。その理由が解らないひまりとあこは揃って首を傾げていた。

 

「ひまり、テイルモンが進化すると何になる?」

「エンジェウーモンですよね?」

「あこ、ブラックテイルモンが進化したら何になる?」

「え、ブラックテイルモンが進化したらレディーデビモンだよね?」

「じゃあ、その2体がジョグレス進化したら……?」

「エンジェウーモンと……」

「レディーデビモンのジョグレスって……あ」

 

 あこはどうやらピンときたらしい。

 暫くしてひまりも察したようだ。

 

「「「「マスティモンで良くね……??」」」」

 

 そうなのだ。結局のところ、進化を重ねるとマスティモンに落ち着くのだ。

 進化先の分岐は色々だから一概には言えないけどと注釈がいるが。

 そんな呆れ成分多分で湊姉妹の喧嘩を見守っていると一通のメールが届いた。

 相手は……タクか。えっと何だ?? 

 

「ふーん。面白いじゃん」

 

 私が不敵な笑みを浮かべて居ると帆乃花が詰め寄ってきた。

 

「タクヤからのメール?? 告白とかじゃないでしょうね?」

「何でそうなるんだよ! 違うわ。とりま、説明するから萌々と亜璃珠呼んで」

「解ったわよ……」

 

 タクからのメールに帆乃花からありもしない嫌疑をかけられたのは不満マシマシだが、必死に堪えて萌々と亜璃珠を呼び出し依頼を出す。

 帆乃花は納得行かない顔でメールで萌々と亜璃珠を呼び出すのだった。

 この間、湊姉妹の喧嘩はまだ続いていた。

 

 

 20分後、帆乃花の呼び出しを受けたSublimatumのメインギターリストの大和萌々とメインベーシストの和泉亜璃珠が到着した。

 

「またやってるの?」

「相変わらず仲が良いんですね。この姉妹」

 

 萌々と亜璃珠の第一声がそれだった。

 何故なら港姉妹の喧嘩はまだ続いているからである。かれこれ45分くらい続いていたと思う。正確な時間は知らんけど。

 

「「誰の仲が良いって? そんな訳無いじゃない!!」」

 

 亜璃珠の言葉で綺麗に揃って反論する湊姉妹。

 何処がだよ。めっちゃ仲良いじゃねぇかよ。説得力皆無だよ。

 

「で、今日は何で喧嘩してるの、この姉妹」

「あぁ、それはね……」

 

 萌々が喧嘩の理由を尋ねると帆乃花が説明を開始した。

 

「「マスティモンで良くね……??」」

 

 説明を聞いた萌々と亜璃珠の返答がそれだった。

 うん。やっぱりそう思うよね! 

 本当にくだらない姉妹喧嘩だと思うよ。うん。

 

「そういえば、亜麻音先輩どうしたんですか?」

「そうだよ! いきなり呼び出すって。 何かあったの? Sublimatumの事で」

「そうね。実はね、タクから対バンの申し込みが来たのよ」

「へぇ……Beat the clockとねぇ……燃えるね」

「確かに。対バンとか久しぶりだしね」

「久々に全力でやれますね……!」

 

 久々に本気でセーブなしのライブが出来るだけあって皆燃えていた。

 あとは由愛なんだけど……

 

「受けちゃっていいですよ。久々に全力で叩き潰せますもん、おそらくですけど、галактикаと4MCOPEも出るでしょうしね」

 

 フツーに承諾していた。

 叩き潰す気満々で意気込んでもいる。

 それくらいの気概でやってもらえるのは有り難い限りなのだけども。

 

「ってか、良くわかったわね。галактикаと4MCOPEも出るって」

「え、マジなの? 亜麻音」

「うん。マジもマジだけど……」

「叩き潰そうか。亜璃珠」

「そうですね。徹底的にフルボッコにしましょう。萌々先輩」

「箱潰しの異名を特と見せつけてやろうじゃないの」

「………………」

 

 なんか皆がやる気──いや、殺る気だった。

 正直ついていけないリーダーの私である。

 なんでこうなってんだよ。何かしたのか、アイツ等。

 取り敢えず承認の返信を送っておく。拒否なんて事はないだろうし。

 

「なんか、すごく燃えてますね。皆……」

「うん。ソラ姉、いっつもこんな感じなの……?」

 

 ひまりとあこはあまりの豹変っぷりにドン引きだった。

 あこよ、そんな訳無いわ。常にこんな剣呑なわけあるか。初期の友希那じゃないんだから。

 

「待って。どうしてそこで私の名前が出されるのかしら?」

「たまたま」

「解せないのだけど」

 

 知るか。気まぐれだし仕方ないでしょ。

 そうして考えているうちに湊姉妹の喧嘩は再開された。

 それを止めるために皆でハ●メモで対戦することになるのだった。

 

 その結果、あこのベルゼブモンブラストモードと私のアルファモン王龍剣が無双したとだけ言っておこう。

 因みに由愛は帆乃花のドルゴラモンに、友希那は亜璃珠のスレイプモンに蹂躙されていたのだった。

 

 

 その頃のгалактика(茜視点)

 

「あっ……カイゼルグレイモンの才能足りない」

「ヴリトラモンに退化させたら??」

「面倒じゃん。また進化させるの」

「プラチナヌメモン居るし問題ない」

「でもなぁ……」

「じゃあ、極上肉とかでいいと思うんだけど」

 

 私ことгалактикаのボーカル担当、戸山茜の自室でгалактикаのメンバー達──今井香織、花園めぐみ、羽沢栞は普通にハカ●モやってた。こういう時に便利な『歩く攻略Wiki』松原陽向は不在である。

 

「そういや、陽向何処いった」

「熊本じゃない? 一昨日博多だったし」

「辛子蓮根楽しみ……!」

「めぐみは土産目当てなのかい……」

 

 栞がめぐみの天然さに突っ込んでいた。せめて心配はしてあげようよ……。

 確かにいっつも迷ってはお詫びにその土地の名産品買ってくるけども。

 個人的にいつ陽向の迷子が国境を越えないかが心配なのだが。

 

「そういえば、茜の所に対バンの申し込み来てたって言ってなかったっけ」

「あぁ……そうだった」

 

 忘れるところだった。ナイスだよ、香織

 

「……で、誰から来てて相手バンドは?」

「えっと、差出人は拓也君になってるわね。それで、相手バンドはBeat the clockと4MCOPEとSublimatumだって」

「うわ、スゴい豪華。負けてらんないね」

「だねぇ~。本気出しちゃおっか★」

「当然です。4MCOPEは特に叩き潰さないといけません」

 

 栞がかなりの殺る気だった。文字は決して間違っていない。

 間違っても本当に殺さないといいのだけれど……。それだけが本当に心配だ。

 

「大丈夫だって。いざとなったらアタシが物理で黙らせるから」

 

 香織!? 有難いけど穏便に済ませてね!? 

 私が香織の発言に尚更安心出来ずに頭を抱えていた。

 

「面白いね。たえちゃんもそう言うと思うよ」

「なんで其処で妹が出てくるの? めぐみらしいけどさ」

「だって会話聴かれてるもん。妹’sに」

 

 そう言ってめぐみが指さす方向の扉が僅かに開いていた。

 おそらく香澄とおたえちゃんとリサちゃんとつぐみちゃんだろう。

 

「ま、別にいいんじゃない? 聴かれて不都合なんてないしさ★」

「そうですね」

「うん。どうせ言うつもりだったし」

「だよね」

 

 こういう事なら妹達に姉の勇姿を見せるのもまた一興だろう。

 

「マジで楽しみだな、対バン」

 

 私は小さな声でそう呟いたのだった。

 

 Go To The Next Stage……! 

 




如何だったでしょうか。

頭の中将さんとのコラボ始動でございます。
次の回はSublimatumのターン。
不定期なるかもですが次回をお楽しみに!

このお話を読んで、頭の中将さんの作品も読んでいただけると嬉しいです。
それでは次回のお話でお会いしましょう。

お相手は最近ハカ●モでプラチナヌメモンの偉大さに歓喜した蒼紗改め、あこ姫でした。


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Pastel✽Palettes Ⅰ
#001 Prolog


みなさま、どうも。蒼紗です。
今回から本編となります。
拙い表現ではありますが、楽しんでくれれば幸いです。

それではどうぞ!


 とある日の羽丘女子学園高等部。この学校はこの地域でも有数の進学校である。

 今の時刻は丁度、全ての授業も終わり、放課後である。そのまま帰宅する生徒、部活動に向かう生徒……と様々な事もあってか、高等部の正面玄関から校門へ続く道は行き交う生徒で混雑している。

 そんな中でグレーのブレザーと青を基調にしたチェックのスカート、そして青のネクタイに身を包んだ栗色の編み込みロングヘアーでアクアブルーの瞳をした少女が通学カバンを片手に校門に向かって歩いていた。

 彼女の名前は御神亜麻音。この学園の高等部の2年生でこの学園の高等部ではある種の有名人で、その有名になった事柄はあまり名誉な事ではないであろう。……その本人は何ら気に留めていないようではあるが。

 その事柄とは「ワーカーホリック」である。

 何故、彼女がそう呼ばれる事になったのか。それは彼女のバイトが原因である。

 

 女子高校生がバイト。

 

 それだけ聞けばフツーのできごとに思えるだろう。

 だが、亜麻音はそのバイト数が多い。今の時点でもコンビニ、羽沢珈琲店、CiRCLEのフロント&カフェ業務、ファーストフード店、ファミレスという多さである。それに加えて生徒会役員でも有るから結構な仕事量と言ってもいい。

 それを亜麻音は周囲が何も言わないと休み無しで全ての日程を組んでしまう。その日程を目撃した亜麻音の母親、御神鈴音とバイト仲間代表の氷川紗夜が見るに見かねて「御神亜麻音休日包囲網」なるものを作り上げその奮闘の結果、辛うじて日曜日だけ休日が有るという状態になったという逸話があるくらいだ。

 亜麻音はスマホを取り出してメールの着信をサッと確認し、手帳を取り出して本日のバイト日程を確認し、学校を後にするのだった。

 

 

Non_Side Out……

 

 

 

Side_Amane_Mikami

 

 今日の私の予定はファーストフード店のバイト。確か、今日のシフトは彩、花音、ひまり、巴と同じだったっけ。店長も私のシフトをキッチリ彩達と同じに設定するあたり、ウラがありそうだ。

 

「おそらく、店長は母さんの包囲網に入ってるんじゃないのかな」

 

 そう思えてくる。母さんってばそういう事に関しては非常に頭が回って私以上の策士だし、私が挑んだところで敵いっこない。

 直ぐに返り討ちに遭って丸め込められるのがオチでそれをイヤと言うほど経験済みな私である。

 母さんは

 

「仕事上、そうなんないと継続なんて無理なんだから」

 

 とは言っていたけども。母さんよ……。貴女は一体どんな仕事を請け負っているのですか。

 父さんにも明かしてないし、私が聞いても何時もはぐらかされてしまうし。私にとって「母さんの行う仕事内容」は永遠の謎である。

 …………これ以上考えていたらガチで頭痛してきそうだ。

 

「この話題を考えるのはヤメにしよう。うん。それがいい」

 

 そう思った私は即座に今考えていた事の思考を放棄した。その後、私は校門前で今日のシフトが同じで学校は違うけど同級生の彩……丸山彩と花音……松原花音、この二人と待ち合わせをして、合流後にお喋りしながらバイト先に向かった。

 その時の会話の内容はほぼ、二人のバンド活動の事だった。そこで私は彩が自分の所属しているアイドル事務所でバンド活動をする事になってそのリーダーになったらしい。その話の中でクラスメイトで隣人の氷川日菜の名前が出たのにはビックリした。

 花音の方もこれまた知り合いというか従姉妹のこころ……弦巻こころから強引に誘われてバンド活動を始めたらしく、今はまだメンバー集めの段階らしい。

 …………なんだろう。こころに振り回される事になっている花音が容易に想像出来てしまうんだが……。私がそう思っていたのが伝わったのか、

 

「…………? 亜麻音ちゃん、どうかしたの?」

 

 と、花音に聞かれてしまった。

 

「うぇ……!? な、何でもないよ!! 何でも!!」

 

 私は慌てて誤魔化した。それが花音に不審に思われてない事を祈るばかりだ。……幸い、その後それ以上の言及は無かった。それで結構「救われた感」がある私である。

 

「……今度、相談受けたら乗ってあげよう。そして、私が可能な限り最大限のサポートしよう」

 

 

 そう、内心に誓った私であった。

 ファーストフード店に到着した私達は更衣室でクルーの制服に着替え、バイトのお仕事開始である。先に仕事を開始していた同じ学校で後輩のひまりと巴……上原ひまりと宇田川巴と挨拶を交わして、私は今日の業務に取り掛かる。

 私は調理担当しつつのレジフォローが主である。

 今の時間は16:30。もうそろそろ夕方のラッシュになりかけの時間である。なので、お客様も徐々に増え始める時間帯なのだ。

 今は彩と花音のレジ二人体制だが、お客様が増え始めると捌けなくなる。なので私がレジのフォローする流れとなるのだ。

 そうなると調理班が手薄になりかけるが、もうそろそろ外部研修に赴いていた店長が帰還し、調理班のフォローに回るから問題はないだろう。

 さて……今日も頑張るとしますか。

 

 

 

 それから、2時間半後の19:00。ようやく(?)、シフトが終わって私は彩・花音と更衣室で制服に着替えていた。

 皆、後は帰宅するだけなのだが彩はこれから事務所でミーティングがあるらしい。…………なんでも、「新しいチーフマネージャー」の件についてとのこと。

 

「夜遅くまで御苦労様だ。アイドルって大変なんだな……」

 

 そう思っていた私にスマホのメールが届く。…………相手は…………日菜……? 

 私のバイト終わりを見計らって送ったのだろうか……? 

 私は内容を確認すべく、そのメールを開いた。そのメールには

 

「ヤッホー、あーちゃん! 今、バイト終わったよね? だったら、今から来てね!!」

 

 ……と書かれていた。

 メールの内容はただそれだけ。今日菜が居て、私が行くべき場所が書かれていない。このメールの最重要事項であるはずの場所が全く書かれていなかった。これを見て私は

 

「一体、何処にだよ!?」

 

 と声を大にして突っ込んだのだった。それと同時にその場に居た彩は私が突然大声で叫んだので、かなりビックリしていたのであった。

 

 

To_Be_Continued...

 

 




いかがだったでしょうか。
この文章で上手く表現できていれば良いんですけどね。
そこが不安なんですよ。やっぱり。

こんな感じで続いて行くと思いますので、また次回も読んでくれると嬉しいです。
また、この作品を読んでの評価・感想もお待ちしております。

それが次回執筆時の励みになったりしますのでね(本音)

支援絵もバッチコイです。
来れば自分のテンション「るるるんっ」って感じになりますんでね。
なので絶賛お待ちしております。

それでは、更新時期が不透明で全くの未定ですが、また次回のお話でお会いしましょう!

ばいばいっ!


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#002 私はアイドルのマネージャーになりました。

お久しぶりです。
やっとこの更新です。
どうぞ!


 私は日菜から『重要箇所が一切合切書かれてないメール』を見て大声で突っ込んだ私を同じ更衣室に居て、いきなり私が叫ぶもんだからかなりビックリした彩は「何事か」と私に尋ねた。

 私が日菜からのメールの事を聞いた彩は何かを察したらしく、私を彩や日菜が居るアイドルバンドの所属する芸能事務所に案内してくれる事となった。

 この時の彩の提案は私的に超助かった。救世主(メシア)かと思ったわ。マジで割と。

 

 ……という訳で私は彩と共に彼女が所属しているという芸能事務所に向かっていた。

 

「さっきはゴメンネ。ビックリさせちゃって」

 

 私は隣を歩く彩に謝っていた。謝っておかないと何か気が済まない感じがするかんね。個人的に。

 

「え、あ、全然大丈夫! 気にしてないから。それにあんなメール見たら誰でもそう思うから…………」

 

 彩は必死にフォローしてくれた。

 

「彩ってばめっちゃええ娘やん」

 

 関東出身なはずなのに関西弁が出る私である。

 暫く歩いて芸能事務所に到着した私。

 

 彩と共に事務所の受付へ行くと、何事もなかったかのように通された。

 彩と共に事務所の受付へ行くと、何事もなかったかのように通された。

 

 必要ないかもしれないが大事なことなので二回言った。

 

「え、此処ってそんなにすんなり入れるものでしたっけ……??? もっと警戒されるかと個人的に思ってたわ」

 

 …………などと、私は困惑しながらも彩の後ろに続いて歩いていく。エレベーターに乗って5階にあるオフィスルームに併設されているミーティングルームに到着する。

 

「おはようございまーす」

「お、おはようございます…………」

 

 彩が挨拶をしてミーティングルームに入室し、それに続いて私も挨拶をして入室した。確か……芸能関係者の挨拶は常にこれだったはずだ。

 この時の私の挨拶が緊張してしどろもどろになっていたのは自分で言うのも何だが、私がこう見えて人見知りが激しい方だからだ。

 特に初対面の人には対しては会話が……続かない。致命的に。以前、NFOのオフ会で燐子と二人っきりになった時はもうご想像の通りだった。なんていうか、あの場にあこが居なかったら……気まずい雰囲気のまんまでオフ会が終わっていただろう。

 

 それはさておき、緊張する私を迎えたのは…………

 

「あー! あーちゃんってば緊張してるぅ~。レアだー」

「ふふっ……確かに緊張したあーちゃんは珍しいわね」

「アマネさん、おはようございますっ!」

「亜麻音さん、こんな所でお会いできるとは奇遇ですね!」

 

 クラスメイトに加えて家がお隣さん(妹)の氷川日菜。幼馴染で小学校が一緒だった腐れ縁の白鷺千聖。バイト先が羽沢珈琲店で一緒の後輩、若宮イヴ。学校が一緒でクラスは違えど演劇部仲間の大和麻弥。………………全員知り合いだったわ。緊張しなくてもいいメンバーだったわ。緊張していた私は何だったんだろうな。メンバー見た途端にそう思えてきた。そして知られたくない約2名に知られたのは失敗だな。絶対ネタにしそうだし。あの2名。誰の事なのかは何となくでもいいから察して欲しい。そう思っていたら…………私は思い出した。

 

「ねぇ…………日菜ちゃん、ちょっといいかな?」

 

 私はそう言って日菜に詰め寄った。

 

「…………何か『るんっ♪』って来ない気マンマンなんだけど……あーちゃん」

 

 日菜は何かを察したのか逃げる態勢を取っていた。

 

「アハハ…………。気のせいだよ。多分。きっと。めいびー」

 

 私はそう言って「逃がさないよ♪」アピール。

 そして日菜の頬をグリグリと…………抓りまわした。

 

「いひゃい……いひゃいへば……あーひゃん…………」

 

 私に頬をぐりんぐりんされつつも日菜は反論していた。

 

「q(゚д゚ )ウルセェ。メール送るんなら重要な事ちゃんと書けっての」

 

 私は日菜の訴えを却下し、制裁続行。

 

「えっと……どういう事なんですか……? 彩さん」

 

 麻弥はおそらく事情を知っているであろう彩に尋ねた。

 

「日菜ちゃんが亜麻音ちゃんに送ったメール……重要な事書かれてなかったんだって」

 

 彩は苦笑気味にそう答えた。

 

「それって……どんなメールなんですか?」

 

 麻弥が尋ねると、彩は『亜麻音が彩へ事情説明の為に送った日菜が亜麻音に送ったメール』を自分のスマホに表示させた。

 

「これは…………あーちゃんが怒るのも無理ないわね」

「確かに……これは亜麻音さんがキレるのも無理ないですね」

 

 それを見た千聖と麻弥は納得の表情だった。

 

「だよね~。私もそう思うもん。こればかりは日菜ちゃんを庇えないよ……。……て、アレ? イヴちゃんの姿が見えないんだけど…………」

 

 彩がさっきまでそこに居たはずのイヴの姿がない事に気づいた。

 

「イヴちゃんならあそこよ」

 

 千聖――ちーちゃんが指差した先を見た彩が見たものは…………亜麻音に変わってそれはそれは楽しそうに日菜の頬をぐりんぐりんするイヴの姿だった。

 何時の間にイヴがその輪に加わって、何時の間に亜麻音と攻撃交代してたのか。…………めっちゃ、突っ込みどころ満載である(笑)

 その光景を見せられ、処理が追いつかなくなった彩は

 

「えぇ……」

 

 と一言しか言えてなかった。

 千聖は深い溜息、麻弥は苦笑、日菜は(>△<)、亜麻音&イヴは嬉しそう…………と、まぁ誰がどう見ても「カオスw」な状態が出来上がっていた。

 いつ終わるかもわからない状況はミーティングルームの扉が開いた瞬間に終了し、元通りに戻っていた。それも目に止まらぬ速さで。……切り替えが早いってもんじゃないだろ。これは。

 それはそれでさておいて。

 

「遅れてすいません。皆さん、揃っていますね?」

 

 ミーティングルームに入ってきたのは26歳くらい? の男性だった。首に身分証明証付けているから、おそらくここのスタッフだろうけど。

 

「では皆さん、そこに掛けてください。あ、御神さんもそちらにどうぞ」

 

 スタッフさんは私達に着席を促す。スタッフさんの指示に従い、ミーティングルームの中央に位置するデスクの椅子に座る私達。

 

「では、Pastel✽Paletteの第4回定例ミーティングを 始めます。今回は前回ご説明したチーフマネージャーの件についてです」

「確か……『私達と近い年齢』で『なるべく同性』、『事務仕事出来る』、『バンド経験有りなら尚更よし』っていう条件でしたよね……?」

 

 スタッフさんの説明にちーちゃんがチーフマネージャーの条件を再確認した。

 

 …………アレ? まさかとは思うんだが、私が此処に呼び出された理由って……

 

「はい。その条件で探していたところ、氷川さんからの提案と推薦がありまして」

「彼女…………御神亜麻音ちゃんが最適だという結論に……?」

 

 ちーちゃんがその答えを進行役であるスタッフさんに尋ねた。

 

「はい。その通りです。既に上層部からはGOサインが出てまして、更に御神さんのご両親からも承諾を得ていまして、後は本人次第という段階です」

 

 スタッフさんの答えにちーちゃんは特に反対する気は無く、納得の表情で日菜と彩とイヴは私が引き受けるかの期待の表情、麻弥も気心がしれている相手だからか安堵の表情だった。

 対しての私は

 

「何時の間に外堀埋められてたんや…………」

 

 という困惑(当然)

 後は人見知りな所がある故の不安…………である。それもあって……すっかり青ざめている私である。(驚愕の新事実)

 

「…………、亜麻音ちゃん顔真っ青だけど大丈夫なの!?」

 

 隣に座っていた彩が私を心配して詰め寄った。

 

「アアダイジョウブダヨ、シンパイナイカラ…………」

 

 私は必死に答えた。

 

「全然大丈夫じゃないよ! 明らかに棒読みだよ!?」

 

 彩、困惑。(当然)

 

 進行役のスタッフさんも

 

「少し負担が大きかったですかね……?」

 

 と苦笑気味。

 スタッフさん……少しではないことに気付いてください。(切実)

 

「……てやっ!」

 

 日菜が私にデコ☆ピンを喰らわせた。

 

「っつぅ…………。何すんの、日菜ぁ」

 

 私はデコ☆ピンの痛みで涙目になりつつ、日菜を睨みつける。

 

「もぅ……あーちゃんは考えすぎ! そんなんじゃ全然るんっ♪ って来ないじゃん! あーちゃんなら大丈夫だよ。それは私……ううん。私達が保証するし、何かあったら私達と一緒に乗り越えればいいって思うな」

 

 日菜はふくれっ面で私にそう言った。

 

「日菜ちゃんの言うとおりよ。何でも1人で抱え込むのは貴女の悪い癖よ、あーちゃん。何かあったら私達と一緒に解決すれば良いのよ」

 

 日菜の言葉の次にちーちゃんが続き、

 

「そうそう、私達は仲間なんだし、それに亜麻音ちゃんなら大丈夫だよ!」

 

 ちーちゃんの言葉の次に彩が続き、

 

「その通りです! アマネさんは私より強いブシの心を持ってます! だから大丈夫です!」

 

 更に彩の言葉の次にイヴが続いて、

 

「ジブンが亜麻音さんの負担を減らせるかはさておいて、ジブン的に亜麻音さんがチーフマネージャーになってくれると安心できるのですが……ダメ…………ですかね?」

 

 最後に麻弥のトドメである。

 

「全く…………やられた。もう皆にああ言われたら引き受けるしか他ないじゃないの。…………そのオファー引き受けても宜しいでしょうか?」

 

 私は一度、嘆息してからスタッフさんにオファーの承諾を伝えた。

 

「はい。勿論です。ご承諾ありがとうございます! では詳しいご説明は追々するとして、勤務日ですが…………基本日曜日は全オフとなります」

「え……? マジですか?」

「はい。マジです」

 

 私がスタッフさんから聞いた言葉に私が聞き返すと、肯定の返事が返ってきた。まさか此処にも既に母さんの手が回っていたとは…………。

 

「母↓さん↑!!!」

 

 と、叫びたかったが必死に抑えた。私はそれが不服で反論しようとしたが…………

 

「「「「ダメ…………なの(ですか)?????」」」」

 

 と、麻弥を除く4人に涙目+上目遣いというコンボをされた。私はこれには滅法弱い。それが4連……そんなの即死に決まっている。

 

「うぐぅ……………………そんな訳…………な、ないじゃん…………」

 

 と、結果的には私が折れる事となったのだった。(順当)

 私が悔しそうに彩達の方を見ると……それに気づいたちーちゃんが勝ち誇った表情を見せていた。私の弱点知っててやったんかい…………ちーちゃん。悪魔かよ…………。

 凄くある意味で印象的な始まり方で私のPastel✽Paletteチーフマネージャーの生活は幕を開けたのだった。

 

 To_Be_Continued...

 

 




いかがだったでしょうか。
なんか・・・・今回はギャグっぽい?感じになったなぁ・・と思います。
自分的に。
後は千聖ちゃん、イヴちゃんのキャラ云々・・・・・。
彩ちゃんがヒロインしてるし。
いっそ、パスパレ編のメインは彩ちゃんで行こうかな・・・・?


えっと、こんな感じで続いて行くと思いますので、また次回も読んでくれると嬉しいです。
また、この作品を読んでの評価・感想もお待ちしております。

それが次回執筆時の励みになったりしますのでね(本音)

支援絵もバッチコイです。
来れば自分のテンション「るるるんっ」って感じになりますんでね。
なので絶賛お待ちしております。

それでは、更新時期が不透明で全くの未定ですが、また次回のお話でお会いしましょう!

ばいばいっ!


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#003 私、納得がいかない。だから行動する。

年内最後かもしれない更新。


 私がチーフマネージャーになってから3日。私はその日に行われた今週の土曜日(8日後)に行われる御披露目ステージの事前打ち合わせを兼ねた会議が行われた。

 その会議でこのお披露目ステージの方針が発表された。

 その方針とは、

 

『彩達のメンバーは楽器を弾いてるフリをしてバックでプロの音楽を流す。で、ボーカルは事前収録のものを使う』

 

 というもので、これを聞いた瞬間、私は納得が行かなかった。その時思ったのが

 

「巫山戯んな。バンドを舐めてんのか?」

 

 である。私自身もバンド組んでライブをしている身なのだから尚更である。

 

「はぁ……??? 本気で言っているんですか? それを」

 

 私は不服な感情を顕にして反論した。

 

「はい。本気ですとも」

 

 スタッフは涼しい顔でそう言ってのけやがった。

 

「(´Д`)ハァ……マジですか。……で、誰がそんな『弾いてるフリ』を見て歓喜する奴がいるとでも?」

 

 私は溜息を大きく付いて言った。

 

「余程の事が無い限りは気付きませんし、大丈夫ですよ」

 

 スタッフは何事もないように淡々と答えた。

 

「それが『絶対に』無いとは限らないじゃないですか!!」

 

 私が反論する。

 

「ですが、仮に生演奏をしたとして、失敗したらどうするんです?」

 

 スタッフも私の態度にイラついてきたみたいだ。

 

「そんなもん、カバー方法なんて幾らでも有る。そっちの失敗の方がまだリスクは少ないとは思うけどねぇ……?」

 

 だが私はそんなもの気にせずに自分の意見を述べる。

 

「では、今から方針転換したとしても……あと8日じゃあ時間が足りませんよね?」

 

 スタッフが最もな事を言い放った。それに合わせて周囲も「そーだ、そーだ!」と賛同の声が上り始めている。

 こうやって数で押し切る気なのかよ…………。だったら……抑えずに()()()論破してやる。

 そう思った瞬間だった。

 

「此処でこれ以上争うのはヤメにしないか?」

 

 上座に座っていた専務の一言で私を含めた皆が静まり返る。

 そしてその後は専務が決定事項を次々と発表していくだけの場となったのだった。その発言に反論したかったが…………何故かできなかった。専務……最強(最凶、最恐)かよ。

 

 

 

 会議終了後、私は休憩スペースに一人居た。あの会議内容は納得行かないので気持ちの整理が追いついていない。だから…………整理する時間が欲しい。その感情故なのだ。

 

「隣…………良いかい?」

 

 誰か、私の隣に座って良いのか許可を求めてきた。

 

「ええ、良いですよ。()()。何か私に話したい事が有るんですか……?」

「君は聡いね。ああ。まぁ……そんな所だよ」

 

 私の許可が下りて私の隣に座った専務は私に自分が此処に来た理由を当てられたことに感心し、その後専務は言葉を続けた。

 

「やっぱり……納得は行っていないみたいだね?」

「当たり前です。あの方針だけは絶対に肯定できないです」

 

 専務の質問に私はキッパリ肯定した。

 

「……そうか。それは君自身がバンド活動している故に……だろう?」

「え……はい。その通りです。どうして解ったんですか?」

 

 専務にその理由を言い当てられ、戸惑う私。

 

「紫船……都筑紫船という人物を知っているだろう?」

「あ、はい。それはもう。いつもお世話になっていますし」

「私と彼女は同級生で腐れ縁なんだよ。その伝手で君の事を聞いたんだよ。御神亜麻音君……いや、『()()()』?」

 

 専務が私の実力を見抜き、今の私を作ったといっても過言じゃない人……、ライブハウス『SPACE』のオーナー、都筑紫船さんの名前を出した。

 どうやら、専務は私の事は紫船さん経由で事前に知っていたらしい。その証拠に私のライブ時に使う名義……『神音(しおん)』の名を口にしていた。

 

「そこまで解ってらっしゃったんですね。ビックリです」

 

 私は素直に驚きを口にした。

 

「それだけではないよ。君の所属しているバンドはあまりにも有名だろう?」

「アハハ……それも、そうですね。 随分と休止しているのにも関わらず……スゴイ人気ですよね」

「その知名度は衰える事もなく、まさに不死鳥バンドに相応しい」

「ですよね、専務。……それで、私に何か用があったのでは?」

「聡いね。キミは。……では本題に入ろう。結論から言って私は君の意見に反対はしていない」

「えっ…………本当……ですか?」

「ああ。紫船も同じ事を言うだろうからな。まぁ……あの時はあれ以上火種を拡大させないための措置でああ言ったがな」

 

 私は専務が私と同意見だった事に驚く。

 

「そう……だったんですか」

「ああ。だから…………これを君に渡しておこう。それがないと何も始まらないだろう?」

「これは…………」

 

 そう言って、専務が私に渡したのは今度のライブで演奏する曲のスコアと楽譜だった。

 

「何か在ったら全部俺が責任を取る。だから神音君は後悔のない様に行動するといい」

 

 そう言って専務は休憩スペースを後にした。

 

「はい……! ありがとうございます! 専務!!」

 

 私は専務に笑顔でお礼を言った。専務はそれを右手を挙げて答えたのだった。

 

 

 翌日の昼休みの羽丘女子学園高等部。私は日菜と麻弥を呼び出していた。

 

「ねー、あーちゃん、私達に話って何なの?」

「ジブン達を呼び出すって事はパスパレ関連のことでしょうか?」

「そうよ。正解。今度のライブステージについてよ」

 

 私は日菜と麻弥の質問に肯定し、本題に入る。

 

「え……でもアレって……」

「確か……ジブン達は演奏しているフリだけ……でしたよね」

「一応は。でもそれが失敗したら取り返しつかないことになるし、だからその予防策は講じておかなきゃね」

 

 私は日菜達の質問に答える。

 

「…………とか言って本当はあーちゃん自身納得行ってないからなんでしょ」

 

 日菜が私に指摘する。

 

「……まぁね。私だってバンド活動してるし。当然よ」

「え……、そうなんですか!?」

 

 私の日菜に対する答えに驚愕の麻弥。

 

「ええ。活動時は本名とは別名義で活動してるけれど」

「あの……亜麻音さんがバンド活動してる時の名義って何なのですか?」

 

 麻弥が私の名義を尋ねた。

 

「『神音(しおん)』よ。本名をもじった単純な物だけど」

 

 私はサラっと答えた。

 

「そうですか……『神音』…………って、ええっ!?」

 

 私の答えに大層驚いていた麻弥。

 

「そんなに驚くものかな?」

 

 私はこてん。と首を傾げる。

 

「それはそうですよ! バンド活動する人なら誰でも知っている超有名ガールズバンド『Sublimatum』のリーダーじゃないっすか!!」

 

 麻弥は私の評判を力説していた。私自身にそんな自覚はないけれどね。

 

「話を戻すけど……正直言って二人共納得は行ってないんでしょ?」

「うん。まぁ……面白そうだけどさ、なーんかイマイチるんっ♪ って来ないんだよね」

「ジブンも実を言うと納得してないです。やっぱり、ステージを見に来てくれたファンの方々を騙すことになっちゃいますし」

 

 私の質問に肯定する二人。

 麻弥は元・ストリートミュージシャンだから、私と同じ考えになると思った。日菜は……幼馴染で付き合いの長さからくるカンである。

 

「そっか。良かった」

「『良かった』って……何がですか?」

 

 私の言葉に疑問を持った麻弥が質問する。

 

「さっき、彩とイヴにもその話をしたら二人と同じ答えだったからさ」

「そうだったんだ……。って、千聖ちゃんは?」

 

 日菜が私の言葉に疑問を持つ。

 

「ちーちゃんは最後まで反対してたから強引に押し切った。結果的に折れてくれて助かった」

 

 私は先程、やってのけた事を暴露した。

 

「あの千聖さん相手によくやりますね…………」

「幼馴染の特権ってやつよ」

「ふーん。凄いね。あーちゃんって」

「それ位しないと成功しないもの。さて……ステージまであと一週間。覚える事は覚えないとね」

「『覚える事』は何となく想像できますが、どうするんですか? スコアとか無いのに」

「大丈夫よ。これでしょう?」

 

 そう言って私は楽譜とスコアのファイルを取り出す。

 

「貴女達にはあと一週間でステージに立てるレベルまで達して貰うわよ?」

「大丈夫だよ、あーちゃん! あたしを誰だと思ってんの?」

「任せてください! ジブンもキッチリ仕上げてみせます!」

 

 私の要望に力強い返事を見せる日菜と麻弥。それを聞いた私は「頼んだよ」と言わんばかりに頷いた。

 

 そしてこの日からステージまでの一週間はメンバー全員はライブ曲の練習を、私は自分がカバー出来る様に全パートを練習しつつも、ステージ当日のトラブル対応案を練る事とメンバーの指導等を()()()()()()()()()()()()()()行った。

 そして………………私達はライブ当日を迎えるのだった。

 

 To_Be_Continued...

 

 




専務最強漢説ここに浮上。
以降出るかは未定なんだけど。

今回の話に合わせて結成から初お披露目のステージまでの日数を

パスパレ初顔合わせ(あと20日)
麻弥合流(あと13日)
亜麻音就任(あと11日)
今回の会議(あと8日)


としております。
次回はステージかなと思います。
また次回のお話も読んでくれると嬉しいです。
また、この作品を読んでの評価・感想もお待ちしております。

それが次回執筆時の励みになったりしますのでね(本音)

支援絵もバッチコイです。
来れば自分のテンション「るるるんっ」って感じになりますんでね。
なので絶賛お待ちしております。

それでは、更新時期が不透明で全くの未定ですが、また次回のお話でお会いしましょう!。
ばいばいっ!


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#004 私が飛び入り参加するのはアリだよねっ♪

皆様、お久しぶりです。
12月下旬のイベランを頑張ったら次のイベランの気力が湧かず、そんなに参加しなかった蒼紗です。(※実話)

今回のイベントはどうしようかな・・・・?

えっと、今年一年もこの作品を宜しくお願いします。
それではどうぞ!


私が水面下で進めてきた対策を始めてから8日。今日が「Pastel✽Palettes 初御披露目ライブ」当日だ。

天気はこれ以上ないくらいの晴天。屋内開催だがこれ以上といっていいほどのライブ開催日和だろう。

開場前の楽屋ではライブスタッフ達がライブ運営の最終打ち合わせもあってか忙しなく行き交っていた。

 

「セットの組み換え、間に合いそう?」

「準備できてます!」

 

セット担当の方も最終確認を行っているようだった。

 

「わぁ~っ!すっごい人だねぇ!」

 

日菜が今回のライブ会場のライブモニターに映し出されている模様を見て嬉々とした表情で言った。

 

「ねぇ、あーちゃん。今日の来場者数は何人くらいいるのかしら?」

 

千聖が今日のライブの来場者数を私に尋ねた。

 

「んーと、現状で10,000人くらい居るんじゃないかな?」

 

私がそう返答すると

 

「いっ、1万・・・・・・・・!?」

 

麻弥が来場者数の規模を聞いて大層驚いていた。初ライブでその規模だから驚くのは無理ないと思うんだけど、それで驚いていては身が持たんぞ・・・・・麻弥。

 

「φ(゚Д゚ )フムフム…成程凄い人だねぇ~。この人達全員にあたし達を信じ込ませるって、考えるだけでも面白いよねぇ?」

 

日菜が『(黒笑)』と文末に書かれても可笑しくない発言をしていた。

 

日菜、確かに事実だけどさ!言・い・方!!その言い方は宜しく無いから!!

 

私は日菜にツッコミを心の中で入れたが、日菜の発言は紛れもない事実なのだ。

 

結局、ちーちゃんが中々に納得してくれなかったので、当初の案で行くと言う事で私が折れるということになった。

まぁ・・・・正直納得行かないけどさ、他のスタッフ連中に気取られるのは拙い。だから「仕方無い」と割り切るしかあるまいて。

そういう考えが浮かんでいたので敢えて日菜の発言に声に出して突っ込む事はしなかった私である。

 

日菜の横に座っていた彩は

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

終始無言だった。

 

「アヤさん、緊張していますか?」

 

イブが彩に話し掛ける。

 

「ふぇっ!?な、何!?・・・あ、ヤバ・・・どうしよう。今ので言うこと全部飛んじゃったかも・・・・」

 

かーなーり、緊張している彩がサラっと衝撃の発言をしていた。

 

・・・・・・マジで大丈夫かな????

 

この瞬間、不安ばかりで埋め尽くされる私である。

 

「え?そんなん、テキトーにその場の勢いでやればいーじゃん?」

 

そしてこの日菜の発言である。……日菜、それやって成功するのは場慣れした人だけなの。(経験談)

 

「私、言う事考えておかないと、本番でうまく言えなくなっちゃうから・・・・・!それに、研究性の頃とステージの規模が全然違うから緊張しちゃって・・・・」

 

私は彩が言い終わったのを見計らって彩に(軽い)デコピンをお見舞いした。

 

「あうっ・・・・(><)」

 

私のデコピンに涙目で額を抑える彩。額からは「しゅぅぅぅぅ・・・」と煙が出ている気がする。

 

「な・・・・なにするのぉ・・・・亜麻音ちゃん」

「んもぅ・・・彩は緊張しすぎ!少しは落ち着きなって。最初のライブだから緊張するのは解るけどさ、今日から貴女は『研究生の丸山彩』じゃない。『Pastel✽Palettesの丸山彩』なの。生まれ変わった貴女をファンの皆に見せてあげるのよ。・・・・・・大丈夫だって、何時もどおりやれば、上手く行くから・・・・・ね?」

「う・・・・うん。そう・・・だよね!」

 

私の励ましに彩は納得してくれたようだ。これで緊張も多少は解れてくれるといいのだが・・・・・・。

 

「Pastel✽Palettesさん、まもなく出番でーす!袖の方にお願いしまーす!」

 

私が考えていたらお呼びがかかったようだ。呼ばれた私達全員はステージ袖に移動した。

ステージ袖に移動後、いよいよ出番がやってくる。

 

「何時もどおり。下手に意識しないで思いっきりやって来て!そして思いっきりライブを楽しんで!!」

「「「「「「はいっ!!!!!!」」」」」

 

私が一言かけて彩達をステージに送り出す。

彩達がステージに行った後私は安堵の一息を付いた。……彩達にああ言ったが、私自身もかなり緊張していたからだ。

ライブに出演ならともかく、送り出す方は初だからね。激励の言葉もミスらないかがマジで不安だった。さて、あの娘達の初ライブを最前線で見せてもらいましょうかね・・・・。

最初の彩によるMCは・・・・・難なくクリアできた。そして一曲目が始まる。会場のヴォルテージも上々のようだ・・・・・・。

このままで一曲目が終わってくれる事を私は思っていたが、現実はそうもいかずだった。機材トラブルが発生し、演奏が・・・・・・消えた。ステージ上の彩達も困惑している。

その困惑が観客にも伝わり、次第にざわつき始める。これを打開せねばなるまいと、私はカンペで打開策を彩達に伝えようとする。その前に日菜と視線があった。

 

「(あーちゃん、あたし達どーすればいいの?)」

「(取り敢えず、機材トラブルが発生して一時中断する事と、復旧後のステージで飛び入りゲストが出ること伝えて)」

「(内容はあたしがテキトーにその場の勢いでやればいいよね?・・・で、そのゲストってあーちゃんだよね?)」

「(ええ。そうよ)」

「(おっけー。あたしに任せといて!)」

「(お願い)」

 

アイコンタクトで会話を交わす。こんな業出来るのは幼馴染の日菜かちーちゃん位だ。

 

「皆、ちょっといいかなー?日菜からのお知らせ聞いてくれるー?」

 

日菜がマイクを持ってMCをスタートさせる。観客のザワつきは次第に止んで日菜に注目が集まっていく。

 

「今さー、機材トラブルで音が出なくなってるんだよねー。で、皆には機材が復旧するまで暫く待って欲しいんだ。皆はその間、『るんっ♪』ってこないと思うんだけど、安心して。復旧後のあたし達のステージで飛び入りのスペシャルゲストが参加するんだって!今はまだそのゲストが誰か明かせないけど、皆は青色のサイリウムを用意して待っててね!」

 

日菜が私とのアイコンタクト会話での内容を観客に伝えた。

 

観客たちは

 

「ゲスト・・・・・?誰だろ・・・?」

「青のサイリウム・・・??」

「その色ってまさか・・・・」

 

と、先程とは別な意味でザワつき始めていた。

そして、一旦幕が下りる。

私は幕が下りると同時に楽屋に戻る。そして、非常時に備えて弦巻家の黒服さん達に手配して貰った私のパスパレ風衣装。

デザイン的には彩と日菜のデザインを足して2で割ったような感じだ。色は青色がアクセントカラーだ。

その衣装に私は着替える。

今回の私はベースとボーカルなので、愛用のベースであるEDWARDS (エドワーズ ) / E-AM-160QM Black Aquaを掲げてステージ袖に戻る。

ステージ袖には彩達が待機していた。

 

「あ、亜麻音ちゃん何処行ってたの・・・・?って、どうしたのその格好!?」

 

彩が私の格好(ライブ衣装)を見て驚いていた。

 

「え・・・・・?変かな・・・・??上手く着こなせてると思うんだけど」

 

私は戸惑って衣装の確認を始める。

 

「それは大丈夫だけど、()()()()貴女だったのね、あーちゃん」

「私の性格考えたら解る事でしょう?ちーちゃん?」

「確かに・・・・・そうね」

「ま、あたしはアイコンタクトされた時から解ってたけどねー」

「アマネさんとライブできるなんて私、とっても嬉しいです!」

「ジブンもあの神音さんと一緒にライブ出来るなんて感激です!」

 

暫くして復旧が完了し、彩達が先にステージに戻る。そして、いよいよ私の出番だ。

ボーカルとしても参加するので、ヘッドセットマイクロホン(自前)の装着を忘れない。

私がステージに登場すると

 

『『『ウォォォォォォォォォォォォォォォォーッ!!!!』』』

 

凄い大歓声と赤いサイリウムの波が私を出迎えてくれた。

 

「皆さん、こんにちはーっ!特別ゲストの神音(しおん)ですっ!今回は私がPastel✽Palettesのメンバーと一緒にこのステージを盛り上げて行きたいと思いますので、宜しくお願いしまーすっ!」

 

私が挨拶を兼ねたMCを終えて一礼する。再び観客の大歓声と青いサイリウムの波に会場が包まれる。

 

「それでは聴いてください。曲は――」

 

彩と共に演奏曲を紹介し、演奏が始まる。

1曲目は先程の『しゅわりん☆どり~みん』、2曲目は男性二人組音楽ユニットの楽曲でアニメのEDにもなった曲を披露した。その後、観客からの盛大なアンコールがあり、それに応えた私達は3曲目として中学生が変身して戦う少女漫画の新作アニメのOPテーマを演奏した。

そのアンコール曲も終わり、ちーちゃんの挨拶で私が飛び入り参加したPastel✽Palettesの初お披露目ライブは大盛況のうちに閉幕した。

 

 

これで、先程のトラブルの影響も無く今後の活動を行える。

その時の私はそう信じきっていた。しかし・・・・・・・現実は違った。

このライブ後にネットでは『Pastel✽Palettesエア演奏説』が浮上し、様々な憶測が飛び交い炎上騒ぎに発展。

そして私のゲスト参加も「自分達を欺く為の策略」という根も葉もない憶測が飛び交っていた。

これによって、Pastel✽Palettesのメンバーと私は当面の活動自粛という名の事実上の活動休止を余儀なくされるのであった。

 

 

 

To_Be_Continued...

 




今回のライブで演奏した曲は
2曲目がスキマスイッチ『奏』、
3曲目がももいろクローバーZ『MOON PRIDE』です。
どちらの曲もゲームではPastel✽Palettesのカバー曲に収録されている曲です。
今後の選曲はこういう感じでやっていこうかなって思います。

次回のお話も読んでくれると嬉しいです。
また、この作品を読んでの評価・感想もお待ちしております。

それが次回執筆時の励みになったりしますのでね(本音)

支援絵もバッチコイです。
来れば自分のテンション「るるるんっ」って感じになりますんでね。
なので絶賛お待ちしております。

それでは、更新時期が不透明で全くの未定ですが、また次回のお話でお会いしましょう!。
ばいばいっ!


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#005 私と幼馴染のタッグは最強で最凶(最恐)

お久しぶりでございます。

今日までのイベントでギリちょんで称号獲得できた自分です。
Top100000でも大喜びな自分でございます。

それはさておいて、今回から第1章のクライマックスに差し掛かってきます。
それではどうぞ。


 御披露目ライブから数日後の芸能事務所の雰囲気は…………なんというか、重かった。

 あれから数日経っているにも関わらず、事務所全体の空気がどんよりしてる。

 主に彩・イヴ・麻弥。この3人が居るあたりだ。私と日菜、それにちーちゃんはある程度は切り替えが出来てるし良いけれど。

 私的にこの状況は好ましくない。

日菜も

 

「るんっ♪ って来ないんだよね」

 

って言ってたし、尚更だ。ちーちゃんも表情を見る限り多分同じ考えなのだろう。

 この前の御披露目ライブは結論を言えば、

 

「最悪の状態は回避」

 

出来た。

 しかし、完全回避のハッピーエンドとは行かず、Pastel✽ Palettesと神音(わたし)は活動休止を余儀なくされてしまった。

 エゴサする訳でもないのだが、ネットを見ればバッシングが多い。

 ここでライブを行い、挽回と信頼回復が一度に達成できれば文句はない。

しかし、ライブ以外の仕事も全キャンセル喰らっている状況で出来るはずも無く、そのライブを行う手段も絶たれてしまっている。

 私自身もそれなりにコネはあるのだが、神音(わたし)も活動休止状態なので使えないというのが現状で専務ならばコネはあるだろうし、そのコネを利用するのも一手だろうが、それもそれで難が有る。

 

 結論言えばこの御披露目ライブ以降、私に対する周囲の風当たりが酷く、私自身気にしてないけど

 

「m9(^Д^)9mザマァ」

 

系の陰口多いんだよな。

 

無能共(テメェら)の案に乗った結果がこうなったんだが? 何故にこういう風に言われなきゃいけないワケ??」

 

 と、内心では悪態をつきまくってるのだが。そして憂さ晴らしでNFOで無双劇場しているのは余談である。

 

 

 下手に行動起こして無能共(アイツら)との関係を悪化させるのも好ましくない。今でさえこの状況なのに更に風当りが強くなるとPastel✽Palettesの活動にも支障が出るかもしれない。……となれば元の木阿弥だ。

だから、「専務のコネ利用」は最後の手段に取っておくのが最善だろう。

 ここ数日、ずっと私なりにライブを行う方法を考えているのだが如何せんアイデアが浮かばない。

 

 ……あー、ダメだ。ずっと考えていたら気が滅入ってきた。

 

 これ以上考えていても良いアイデアが浮かぶ気が微塵もしない。

 

 だったら、少し外で気分転換でもしようかな…………。

 

 ……そう思っていたら、スマホに着信があった。相手は……ちーちゃん? 

 何の用だろうか……? 取り敢えず出てみるか。

 

「もしもし?」

『あーちゃん? 今、暇かしら?』

「まぁ……特にやる事もないけど」

『そう。だったら羽沢珈琲店に来てくれないかしら? 話したい事があるの』

「解った……今から向かうわ」

 

 千聖との通話を終えて、スマホや財布……といった貴重品を持って私は羽沢珈琲店に向かった。

 

「いらっしゃいませ。お客様。何名様でしょうか」

「今は1名だけど……待ち合わせだから2名ね」

「そうですか。それでは席に案内いたします」

 

 今日はお客として羽沢珈琲店に来店した私を迎えたのは、Roseliaのギター担当で日菜の双子の姉、そして私の幼馴染の氷川紗夜だった。

 自分が通う学校、花咲川女子学園高等部で風紀委員を務める彼女。それからも解るとは思うが、一見すれば「彼女がアルバイトする」というイメージは湧かないだろう。

 彼女が此処、羽沢珈琲店でバイトをしているのだろうか。

 その原因は…………実は私だったりするのだ。

 中学以降も何かと付き合いがある私と紗夜。一度、私のミスで紗夜が私のバイトシフトを知ってしまったのだ。

 あまりの過密なシフトだったらしく、それを見た紗夜は私の母さん・御神鈴音と結託し「御神亜麻音・休日包囲網」を作り上げ、更に私のバイト先である羽沢珈琲店で自身も私の負担軽減を目的としてバイトをする事となった次第である。

 

「此方はお冷になります」

「アリガト。紗夜」

「珍しいですね。亜麻音さんが此処にお客として来るのは」

「んー……そんな事はないんだけどね。オフの日で1人だったりする時とか結構来てるよ。常連って程でもないけどさ。まぁ……大体私が来る時って言ったらイヴのシフトの日が多いから」

「そうだったのですか。……それではゆっくりお過ごし下さい」

 

 微笑みつつ、そう言った紗夜はカウンターの奥に消えていった。

 

「ごめんなさい。待たせちゃったかしら? あーちゃん」

 

 暫く、席でゆっくりしていると、ちーちゃんが来店した。

 

「別に。そんなに待ってない」

「そう。良かったわ」

「……で、私をここに呼び出すって事は何か用があるんでしょ?」

 

 私はちーちゃんに呼び出された理由を問うた。

 

「ええ。本題を先に言うわ。亜麻音ちゃん、貴女に女優デビューしてもらいたいの」

「え……???」

 

 ちーちゃんの答え(という名の要望)を聞いて固まる私。

 そりゃあ……無理もない。いきなり「女優デビューしろ」って言うんだもの。

 

「なんで……? 話がいきなり過ぎるんだけど」

 

 私は戸惑いつつ答えた。

 

「そうかしら?」

「そうだよっ!!」

 

 すっとぼけるちーちゃんに大声で突っ込む私。

 

「少し落ち着いたら? 理由を話せないじゃない」

「誰のせいなの!? 私が悪いの!? はぁ……もういいよ。さっさと話して」

 

 これ以上やり取りを続けると不毛なツッコミとボケの応酬が続きかねないので、さっさと折れる私である。

 

「今の私達……Pastel✽ Palettesの現状を打破するにはライブをするのが最善手……そうよね?」

「ええ。その通りよ。だけど…………その手段が無いに等しいんだけど」

「だったら、自分で開拓すればいいじゃない」

「簡単に言っちゃうね。実行するのは大変なんだけど?」

「ええ。それは解ってるわ。だからその手段としてあーちゃんが女優デビューするのよ」

「どういうこと……?」

「良い? 女優の仕事はドラマや舞台等多岐に渡るわ。その際にテレビ局やレコード会社……色々なお偉いさんと面会する機会が有るのは解るわよね?」

「大体はマネージャー通したりする事が多いけど、まぁ有るのは解る」

「単純に言うとそのお偉いさんが此方を気に入れば、ある程度のコネができるのよ」

「そんなに簡単にできるものなの……?」

「『単純に言うと』って前置きしたじゃない。実際はその人次第だけどね」

「つまり、ちーちゃんは私が女優デビューしてコネを開拓してそのコネでPastel✽Palettesのライブを開くってこと?」

「そうよ」

「でもさ……私、演技力とか自信ないんだけど…………」

「そこはあーちゃんなら問題無いわ」

「なんで、そう言い切れるのさ」

 

 私はちーちゃんに答えの理由を問うた。

 

「だって、貴女『姫君』と呼ばれてるほど、演劇部で有名なんでしょ」

「確かにそれはそうだけど…………って誰から聞いたのよ」

「かおty……薫よ。あと確証を得るのに麻弥ちゃんにも聞いたわ」

「さいですか…………。で、やるといっても手続きとか……」

「そんなもの、専務も巻き込んで他のスタッフに内密で手続きは完了してるわよ。勿論、貴女の受けるオーディションも決まってるわ」

 

 既に外堀が埋められていた。

 私がこの状況になると断る確率が低くなるって知ってて動いてたな。ちーちゃん、マジ策士。

 昔からそう。私の想像より上を行くんだもん。少し妬けちゃう事もあるけど、だけど……いや、それ故にか。「頼もしい」んだよね。

 そう「私がヒロイン」だとすれば「ちーちゃんが主人公」。いっつも助けられてばっかり。

 今度こそ逆の立場になれるかなって思ったんだけどなぁ……。

 やっぱりこうなるんだね。…………だけど助けられる方にも矜持って物がある。

 ずっと守られているだけじゃない。その隣に並び立つんだ。そして助けてくれたちーちゃんの考えを確証に変える。

 そしてなによりも……私と幼馴染(ちーちゃん)のタッグは最強で最凶(最恐)って事を証明したいから。

 

「あーあ。もう。ちーちゃんてば私が引き受ける事前提で事を進めているのね」

 

 私は自分の心境をちーちゃんに悟られぬよう誤魔化す様に言った。

 

「当然よ。こうする事が最善手だもの。それに何時までも思い悩んでるあーちゃんを見たくないもの」

「そっかぁ……。だったらやるからには手加減しないわ」

「引き受けてくれるのね……」

「ええ。これから一緒に演技練習とか宜しくね、ちーちゃんっ!」

「ええ。時間が取れるときは一緒にやらせてもらうわ、あーちゃん」

 

 

 こうして数日後に行われたドラマのオーディションに合格して女優デビューを果たしたであった。

 そして、仕事を続けていくうちにコネが広がった。

 そのコネを利用し、私達の念願でもあるライブ開催が決定したのであった。

 

 

To_Be_Continued...

 




如何だったでしょうか。
今回のこういう系は苦手でして結構難産でした。
その割に内容が薄いかもしれませんがそこはご了承ください(苦笑

この作品のオリ設定としまして紗夜さんが羽沢珈琲店でバイトしています。
そしてこの作品で紗夜さん初登場。
当初はつぐみ出すつもりだったんだけど、口調がよく解らなくて断念。
それで、紗夜さんを出す運びになりました。
つぐみファンの方々はお待ち頂けると嬉しいです。
「登場させない」事はないんですんでね。

この話を読んでの評価・感想も絶賛募集中です。
その評価・感想が次回の執筆時の励みになりますんでね。

えっと・・・・それではまた次回お会いしましょう。
ここまでのお相手は蒼紗でした。
ばいばいっ!


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#006 Pastel✽PalettesとSublimatum 復活ノコドウ

お久しぶりです。

前回の最後でライブが決定したといったな?

・・・・アレの「何故?」が解明されるのが今回なの。

それではどーぞ。


 私が女優業を開始し、暫くした頃にとあるレコード会社の社長さんと話す機会があった。その社長さんは強面で厳格な一面もあってか、かなりの気難しい人物とされている人だった。

 そんなお人と話すのだから、人見知りな私もかなり緊張はするのだ。その会談が決まった時から、緊張しない日はないくらいに。

 当日になるまでオフの時、事務所に居れば間違いなく怯えてたわ。その間、千聖と紗夜の策略によって私のマネージャーに起用された燐子に毎日のように励まされていた。そのお陰もあってか燐子と私はかなり仲良くなっており、NFOのオフ会で初対面の時の会話が続かない事は無くなっていた。

 

 その4日後、遂にその日がやってきた。レコード会社の会議室。そこで私はもう戦戦恐恐としていた。

 そして会談が始まる。

 話していく次第に私の緊張感は消えていた。

 そして、社長さんはなんと私の事務所の専務の友人だったことが判明した。そして、私の事も知っていたらしい。そのソース元は……安定の紫船さんだったけども。

 試しにと思って私はPastel✽ Palettesのライブの事を話してみた。すると、拒否られるかと思ったら、話の詳細を求められた。

 社長さんの要求通りに私は今考えているライブのことを話した。私が話し終えると、社長さんは暫く無言で何かを考えたいた。

 社長さんの返事が貰えるまでの間、私は緊張感Maxで待っていた。

 

「亜麻音ちゃん……君の熱意はよく解った。此方も出来る限りのバックアップはさせてもらうよ。但し、条件がある」

「条件…………ですか?」

 

 私は社長さんが提示した条件の内容を尋ねた。

 

「亜麻音ちゃん、君はバンドを組んでいるだろう……?」

「え……、はい。今は休止中ですが」

Sublimatum(スブリマトゥム)……だったね。実を言うと私はそのバンドの大ファンでね。今度のライブで演奏を行って欲しいのだよ」

「ライブ……ですか。私の一存では決められないのですが…………」

「返事を今すぐ……とは言っていない。まぁ……なるべく早い方が好ましいがね」

「解りました……。それでは来週を目処……で宜しいでしょうか?」

「ああ。いい返事を待っているよ。……おっとそろそろ次の会談の予定があるので悪いがこれで失礼するよ」

「はい。今回はありがとうございました」

 

 社長さんが退出したので私も御礼を言って会議室から退出した。会議室の扉を開けると燐子と千聖が私を出迎えてくれた。

 

「会談お疲れ様。結果は……良好のようね」

「んー……まぁ、そうね。条件付きなんだけど」

「条件…………ですか……?」

「ええ。これは私の一存で決められるものじゃないんだけど」

「どういうことかしら? 詳しく教えてもらえるかしら?」

「良いよ。二人共時間はあるよね?」

「ええ。私はこの後はオフだし問題ないわ」

「私も……大丈夫です」

「そっか。じゃあ場所を移動しましょ?」

「そうね。羽沢珈琲店が良いかしらね」

「そう……ですね」

 

 私と千聖と燐子は羽沢珈琲店へ向かった。

 

「いらっしゃいませ! 亜麻音先輩! 打ち合わせですか?」

 

 羽沢珈琲店に到着した私達を出迎えたのは看板娘の羽沢つぐみだった。

 

「ええ。つぐ。まぁ、その通りよ。何処か空席あるかしら?」

「はい。打ち合わせ用の席が空いているのでそちらにご案内しますね?」

「ええ。お願いね」

 

 私はつぐに打ち合わせ用の席に通される。

 私達は席に着席し先程の会談の内容を説明した。

 

「なるほど…………ね。あーちゃん、バンドを組んでいたのね」

「ええ。あんまりにも人気過ぎて妬み買いかねないから休止させちゃったけど」

「そういう……ことだったんですか……。あの当時、私……ファンだったのでかなりショックでした……」

「やっぱり、復活を望むファンは多いのかしら?」

「それは……多いと……思います」

「そっかぁ……。じゃあ復活させる方向で行かないとね」

「そうね。Pastel✽PalettesとSublimatumのダブル復活ライブ……良いじゃない」

「それには……問題も多いと思います……」

「そうなんだよねぇ…………。一つ一つ解決させないとね」

「期間が短いとそうも言ってられないわよね……。仕事もあるわけだし」

 

 そう話しているその時だった。

 

「いらっしゃいませ! お好きな席へどうぞ!」

 

 誰かが来店したようだ。人数は……5名。ん……? なんだろう。あの面々、めっちゃ知り合いなんだが。

 

「あの……あそこの席と相席は大丈夫ですか?」

 

 来店した女性の1人が此方の席を指差しつぐみに尋ねた。

 

「あっ……えっと……」

 

 つぐみは此方にアイコンタクトで相席は良いかと尋ねる。私は千聖と燐子の了承を取ってからつぐみに「是」とアイコンタクトで返す。

 

「あ、大丈夫ですので此方へどうぞ」

 

 つぐみは来店者……私が所属するバンド……Sublimatumのメンバー、大和(やまと)萌々(もも)(みなと)由愛(ゆあ)和奏(わかな)レイ・佐藤(さとう)ますき・青葉(あおば)帆乃花(ほのか)だった。

 

「ヤッホー、亜麻音。偶然だね」

「亜麻音先輩、こんにちはっ!」

「亜麻音ちゃん、久しぶりね」

「リーダー、お久しぶりっス」

「こんにちは。亜麻音。仕事の打ち合わせ中だったんでしょ? 大丈夫なの……?」

「うん。問題ないわ。っていうか丁度良かったし」

「『丁度いい』てどういう事? 何かあったの?」

「発言からして……私達に関係がある事なのでしょうか……?」

「まぁ……そんなところ。貴女達に聞いて貰いたい事があるの」

 

 私はもう一度、Sublimatumのメンバーに先ほどの会談の内容を説明した。

 

「ふーん。復活ライブかぁ……。萌々は良いと思う! 皆は?」

「私も問題ないです。タイミング的にも良いですし」

「私も賛成。やっぱりこのバンドでやるのが最高だもの」

「あたしも賛成。このメンバーでライブって最高だよな!」

「私も賛成。それにタイミング的に最適だもの」

 

 メンバーは全員賛成してくれたようだ。

 

「……で、さぁ」

「ん……? どうしたのよ、帆乃花」

 

 帆乃花が私に質問を投げかけた。

 

「このバンド……Sublimatumのリーダーで有る亜麻音……貴女の意見はどうなのかしら?」

「私?」

「ええ。そうよ。Sublimatumのリーダーの貴女が賛成でない限り、ライブは出来ないでしょ?」

「確かに。その通りよね」

「だから、聴きたいの。亜麻音……貴女の意見を貴女の言葉で貴女の口から」

「私は……私は、このライブには賛成よ。やりたいの。……ううん。やらせて欲しいの。私はここ暫くソロ活動してたけど、Sublimatumの私としてライブするのよりも正直言って楽しくなかった。皆と……Sublimatumのメンバーと一緒にライブするのが一番楽しいの。だから……皆。お願い。私と……バンドを組んでライブして欲しいの。次のライブだけじゃない……これからもずっと!!」

 

 私の意見を聞いた皆は暫く黙っていた。その静寂を打ち破ったのは萌々だった。

 

「もう……亜麻音ってば、バカだよね。そんなの……良いに決まってるじゃん! これからも宜しくね!」

「全く……私が亜麻音先輩の本気の本音を断るとでも? 見くびらないでください。私はリトムの皆とこれからも活動します。寧ろ、リトム以外は有り得ませんね」

「私も……亜麻音と一緒だよ。だからこれからも宜しくね!」

「リーダーの……亜麻音のお蔭であたしは毎日が楽しいんだ。だから、これからもよろしくな!」

「亜麻音……。これが貴女の意見を聞いての私達の意見よ。これからも宜しくねっ!」

「皆……ありがとう……。あ、あれ!? な、なんでだろう? さっきから涙が止まんない……」

 

 私は皆の意見を聞いて……あんまりにも嬉しくて涙が止まらなくなってしまった。

 

「全く……あーちゃんったら、彩ちゃんにそっくりね。もう顔が涙でグシャグシャじゃない。ホラ、顔拭いてあげるからジッとしてて?」

「うん……」

 

 私は千聖に昔みたいに顔を拭いてもらっていた。

 

「ふふっ……良かったですね……。亜麻音ちゃん……」

 

 それを燐子とSublimatumの皆は暖かく見守っていたのだった。

 

 その翌日、私は社長さんに了承の伝え、ライブの開催が2週間後に決定した。そして私達はライブに向けての準備に取り掛かったのだった。

 

 こうして、Pastel✽ PalettesとSublimatum。両バンドの復活ノコドウが脈を打ち始めたのだった。

 

 

 To_Be_Continued...

 

 




如何だったでしょうか。

あれから追加でバンバンオリキャラ作ったりして今回のお話の完成なんですよ。
当初は亜麻音ちゃんソロだったのに「バランス的に良いかな?」ってのと、
レイとまっすーの二人との接点持たせるという意味で結果的に亜麻音ちゃんがバンドを
組んでることになりました。

その詳細設定はこのお話の投稿直後に投稿予定の設定集②をご参考下さいませ。

次回はライブ前の準備という予定です。
このPastel✽Palettes編も終盤に差し掛かっていますが、今後も読んでくれると嬉しいです。

それではまた次回のお話でお会いしましょう!
ではでは!


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#007 わたしたちのライブ前

ご無沙汰です。

3ヶ月ぶりの本編更新でございます。

今回は、とあるお方の作品の主人公が登場します。

それではどうぞ。


 Pastel✽ PalettesとSublimatumのライブが決まった翌日である土曜日。

 私達は各々、ライブに向けた準備を進めていた。

 

「亜麻音ちゃん……一度、休憩してはどうですか?」

 

 芸能事務所のオフィススペースで私はライブに関するスケジュール調整案を作成していた。そこへ燐子がお盆にマグカップを2つ載せて此方にやってきた。

 

「あ、有難う燐子」

 

 私は書類作業を中断し、燐子からマグカップを受け取る。中身は……ホットハニーミルクだ。

 

「いえ、私は……亜麻音ちゃんのマネージャーですから……」

「それでもだって。超助かる」

「ふふっ……喜んで……貰えて……嬉しいです」

 

 ホットミルクの丁度良くて、心地良い甘さが身体に染み渡る。今までの疲れも吹き飛ばされている感じがする。

 

「疲れた時には甘い物が一番とはよくいったものだ」

 

 私はそう思いつつもホットミルクを堪能後、その効力で疲れを回復し再び作業に戻るのだった。

 暫く作業をしてデスクのデジタル置時計を見ると時刻は15:20と表示されていた。確か……、次の個人練は15:40からだったな。

 私は着替えのジャージが入ったカバンを手にスタジオへ向かうのだった。

 

 Pastel✽Palettesの所属事務所のビルを出て徒歩5分の所にあるレッスンスタジオ。そこで今日の個人練が行われる。ビル内に入った私は受付を済ませ、鍵を受け取った。その後、更衣室へ向かいジャージに着替える。今の私の格好は……私服なんだけど、個人練で汗かいちゃうから風邪をひかないための対策である。あと気分の問題でもある。

 着替えを終えて、レッスン場に到着した私。

 さて……と。練習の開始時刻6分前だけど始めちゃおうか。

 先ずはベースの練習からにしよう。

 そう思った私はレッスン場備え付けの私のライブ名義『Shion』とプレートのある鍵付きの扉を受付で受け取った鍵で解錠しスタンドにセットされているEDWARDS ( エドワーズ ) / E-AM-160QM Black Cherryを手に取る。

 このベースの他にもIbanez ( アイバニーズ ) / Prestige RG3327FX TDF 7弦ギター、ROLAND ( ローランド ) / JUNO DS61がスタンドに立て掛けられている。

 この楽器は私の私物で、練習時に一々持ち運ぶのも難があるので、このスタジオのオーナーに相談したところ、此処での練習用の楽器をこのスタジオ内で保管してもらえることになった。

 このレッスン場は私以外のSublimatumメンバーも利用するので、メンバー全員分の此処での練習用の楽器が保管されている。

 

 さて……どの曲から演奏しようか。

 そうだな……この曲にするか。

 

『METANOIA』

 

 

 一曲弾き終えた時にレッスン場の扉が開いて中に入ってきた人物に私は声をかけられた。

 

「精が出るわね、あーちゃん」

 

 復活ライブに向けて練習をしていた私の前に現れたのは、Pastel*Palettesのベーシストである、ちーちゃんだった。

 

「準備は好調に進んでるわよ。復活ライブには間に合わせるから」

「ふふっ♪ 楽しみにしてるわね?」

 

 そう意味あり気な笑みを浮かべたちーちゃんは、私の隣に腰を下ろした。

 

「そう言えば、ダーリンがあーちゃんの事を心配してたわよ?」

「さーくんが?」

「ええ♪ やっぱり、幼馴染の活躍は見たいらしいわ♡」

「そっかぁ……だったら尚更頑張らないとね。 愛する彼の為にも……ね」

「あーちゃんといえど、ダーリンは渡さないわよ?」

「そこから奪うのも臨むところよね。 覚悟しなよ、ちーちゃん?」

「言うようになったわね。人見知りが酷くて何時も私の後ろに隠れていたのに」

「なぁっ……/// なんでそれを言うかなぁ!? やめてよぉ!! 私の忘却したい事を思い出させないでよ!」

「ふふっ……冗談よ、あーちゃん。 でも……」

「『無茶な練習量は厳禁』でしょ? 解ってるわ」

「ならいいのよ。破ったら日菜ちゃんにあなたの小学生時代の事全部バラすから」

「ちょま、日菜に!? マジでか、ちーちゃん」

「マジよ。あーちゃん♪」

「解った。絶対に無茶しないわ。ちーちゃん」

「よろしい。解かればいいのよ」

「敵わないわ。ちーちゃんには」

「あーちゃんには負けてたまるもんですか」

「なにそのプライド。ちーちゃんも練習だっけ?」

「ええ。一緒に練習しないかしら? その方が効率も良いもの」

「え、良いよ。じゃあ、どの曲からする?」

「そうね……この曲、大丈夫かしら?」

「ええ。大丈夫よ。私が彩のパート歌えばいいかしら?」

「そうね。お願いするわ」

「りょーかい」

 

 演奏する曲は『ハッピーシンセサイザ』だ。

 この曲は本来は彩とちーちゃんのツインボーカル曲なのだが、彩は不在なので私が彩のパートを歌うことにした。

 ダブルベースというのも良いが、私はギターに持ち替えて演奏する事にした。

 スタンドからIbanez ( アイバニーズ ) / Prestige RG3327FX TDF 7弦ギターを取り出してチューニングを手早く完了させ、私の合図でちーちゃんとのデュエットで演奏が始まる。

 

 

演奏したは良いのだが、ちーちゃんの指の動きが何処か迷いがある様だった。

 

「ちーちゃん、何か悩んでない?」

「!?……な、何を言い出すのかしら?あーちゃん」

 

私は思い切ってちーちゃんに尋ねた。

ちーちゃんは図星を突かれたのか必死に平静を取り繕おうとしていた。

 

「隠しても無駄よ。話して?」

 

私は語気を強めてちーちゃんに迫った。此処で打ち明けて貰って解決しないと後々の練習に支障が出てしまう。……と、言うのは建前で本音は明らかに思い悩んでるちーちゃん(幼馴染)を放っておけないからだ。

こればかりはちーちゃんが何と言おうとも譲れない。

 

「…………のよ」

 

ちーちゃんの表情に翳りが差し、震えた声で呟いた。

 

「……ちーちゃん?」

「解らないのよ!! ……あーちゃんや彩ちゃん達の行動が正しかったら、今までの自分は何だったのか。これからどうすれば良いのか!」

 

ちーちゃんは普段より大きな声で叫ぶ様に自分の悩みを打ち明けた。

 

「……………」

 

私は敢えて何も言わずに次のちーちゃんの言葉を待った。

 

「あーちゃんはその答えを知ってるんでしょ?! だったら、教えてよ!! 私は……私はどうしたら良いの!?」

 

ちーちゃんは泣きながら、私に縋る様に訴えかけた。

私はちーちゃんを先ずは何も言わずに抱き寄せ、諭すように私なりの答えを言葉にして紡ぎ出した。

 

「何が正解で何が間違ってる……。 そんなの私にも解んないわよ」

「……あーちゃんでも解んないの?」

「ええ。でもね、これだけは自信持って言える。 解んないならさ……同じ目線に立って、一緒に歩んで行けばいいじゃない。 つまずくこともあるかもだけど、でもそれって、相手の事を知る事にも繋がる。 ……ってね」

「『同じ目線で』……私に出来るかしら?」

「大丈夫よ。ちーちゃんなら絶対に出来るわ。1人で無理なら誰かを頼ればいいのよ。私なり、彩達なり……にさ。 その時にはちーちゃんの支えになってあげるわよ」

「本当に……?」

「ええ。ホントのホント。……そうよね? ()()()()

 

私はドアの向こう側でこの一連の会話を聞いていて、このタイミングで入室した彼……Pastel✽Palettesマネージャーで私とちーちゃんの幼馴染のさーくんこと、盛谷(もりや)颯樹(さつき)に話を振った。

 

「あーちゃんの言うとおりだよ、ちーちゃん。 「ちーちゃんが助けて欲しいと思うなら、僕たちは何時でも協力するよ。できない事だって少しずつ努力すれば、いつか身を結ぶはずだから」

 

さーくんはそう言って、ちーちゃんを諭していく。そしてちーちゃんは、さーくんの元へと駆け寄って抱き着いていた。

 

「ダーリン……!ありがとう……私、私……!」

「気の済むまで泣いていいよ。僕でよかったら胸を貸してあげるから」

 

さーくんのその一言で、ちーちゃんは更に泣き始めた。……そう言えば。

 

「さーくん、このタイミングで入ってきたって事は、なにかご用事?」

「あーちゃん、そうなんだよ……って、ああっ!大変だ!彩が今雨の降る中でチケット配り続けててさ!傘もささないでただひたすら配ってんだよ!」

 

しかも雨は増す一方……下手したら、翌日から数日間は風邪っぴき確定路線突入寸前まで来てる!

 

「確かにそりゃあ大変だ。 風邪っぴき確定なんて話になんないわ。颯樹、悪いけど……」

「『先に行って彩のフォロー』でしょ? 了解だよ。あーちゃんはちーちゃんを頼むね?」

「解ってる。 私達も追いかけるから」

「了解。じゃあ、またあとで」

 

さーくんはこの豪雨の中、傘もささずにチケット配りをする彩の下に急いで向かう為、レッスン場から退出した。

 

「ちーちゃん……大丈夫?」

 

私はちーちゃんに尋ねた。

 

「ええ。 私は大丈夫よ。 迷惑かけちゃったわね、あーちゃん」

「迷惑だなんて思ってないから気にすんなって。これ以上言うなら私……怒るよ?」

「ごめんなさい。あーちゃん。 でも…これだけは言わせて頂戴」

「なに?」

「ありがとう、あーちゃん」

「どういたしまして。 ちーちゃん。……ああ、もう!どうして無茶するのかなぁ彩は!?」

「彩ちゃんったら……!ダーリンの手を煩わせて……」

 

そう言ってスタジオを後にした私達は、さーくんの案内を受けて、彩がチケット配りをしている駅前へと向かった。

 

 

……そこでは。

 

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

 

今にも喉が張り裂けんばかりの声で、彩が呼びかけているも……周りの人達は気づく様子すら見えない。

 

……助太刀するかな。

 

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

 

今にも喉が張り裂けんばかりの声で、彩が呼びかけているも……周りの人達は気づく様子すら見えない。

 

……助太刀するかな。

そう思った私達の行動は迅速だった。

 

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

「Pastel*PalettesとSublimatumのライブ、見に来て下さーい!お願いしまーす!」

 

彩の足下のカゴに濡れないように保管されているチケットを手に持って、私達もチケット配りを始めた。

 

「えっ……亜麻音ちゃんに千聖ちゃんに……颯樹君!? どうして此処に!?」

「『 どうして此処に!?』じゃないわよ。 彩。 一言だけでも言ってくれれば良いのに」

「そうだよ。そうすれば何時でも手伝いに行ってたよ?」

「彩ちゃん、私達は同じバンドの仲間よ?助け合うのは当然でしょ?」

「えっ……でも…」

「彩ちゃん、早くチケットを配ってしまいましょ? このままだと私達仲良く風邪をひいちゃうわよ」

「確かにそれは勘弁したいね。ちーちゃん」

「私もさーくんに同意ね。 ホラ、彩。何泣いてるの。泣くのは……配り終わってからでも遅くないでしょ?」

「うん……そうだね!よーし、頑張るぞー!!」

「頑張るのは良いけど、レインコート着るのが先よ。 彩ちゃん」

「うっ…はぁーい……」

 

ちーちゃんの指摘に図星を刺された彩はさーくんが用意したレインコートを羽織ってチケット配りを再開した。

それを見た私達もチケット配りを再開したのだった。

後に私の連絡を受けた日菜、麻弥、イヴ、レイ、ますき、由愛、萌々、帆乃花も合流してPastel✽PalettesメンバーとSublimatumメンバー、それにさーくんの総勢12人で復活ライブのチケットを手渡しで通りゆく人達に配布したのだった。

 

 

それから……5日後。

私達は『Pastel✽Palettes&Sublimatum 復活ライブ』の当日を迎えるのだった。

 

 

 To_Be_Continued...

 

 




如何だったでしょうか。

今回はメッチャ難産だったわ。
もうね、アイデアが降ってこないから書き始めてから2ヶ月かかるっていうね。
書いてたは良いけど、最後の方で悩むっていうね。

実際言って悩み打ち明けとかの人シーン…って言うの?
それが超付くほどに苦手なんよな。

そういうのもあって尚更に難航しましたよ。ええ。


話は変わるけれども、今回のお話で登場したキャラ、盛谷颯樹くん。
このキャラは別作品の主人公なのだけども、その作品の作者さんと意気投合した結果、お互いの作品にお互いの主人公が出演しています。

今回初登場の颯樹君の出番は以降増加していくのでお楽しみに。
この下にその作品・・・咲野皐月様の『新日常はパステルカラーの病みと共に』のリンクを貼っておきますので、どうぞご覧下さいませ。
最新話にて亜麻音ちゃんも登場していますので、是非ご一読くださいませ。

『新日常はパステルカラーの病みと共に』→https://syosetu.org/novel/221842/

では最後に謝辞を。
次回のお話も読んでくれると嬉しいです。
また、この作品を読んでの評価・感想もお待ちしております。

それが次回執筆時の励みになったりしますのでね(本音)

支援絵もバッチコイです。
来れば自分のテンション「るるるんっ」って感じになりますんでね。
なので絶賛お待ちしております。

それでは、更新時期が不透明で全くの未定ですが、また次回のお話でお会いしましょう!。
ばいばいっ!

それでは、また次回のお話でお会いしましょう


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#008 Pastel✽Palettes&Sublimatum Re:Birth Live

お久しぶりです。
この章の最大の見せ場であるライブ回です。
それではどうぞっ!


 Pastel✽Palettesメンバー全員とSublimatumメンバー全員、それにさーくんも加えて、大雨の中駅前でチケット配りをして数日後。

 その間に彩が案の定風邪をひいたりした事もあったりはしたけれども、何とか私を含めた皆が万全の体調で今日、この日を……『Pastel✽Palettes&Sublimatum Re:Birth_Live』当日を迎える事ができた。

 

 会場の……『さいたまスーパーアリーナ』ではスタッフ達は既に会場準備、物販等の作業で忙しく往来している。

 そして開始前の控え室にはPastel✽PalettesとSublimatumのメンバー、それにマネージャーのさーくん、燐子が集まっていた。

 私も含めたSublimatumメンバーは久しぶりのバンドでのライブで少し緊張はしている。けども、全員「ライブをしたい」という高揚感が勝っているようだ。

 私達の方は特に問題はなさそうだ……。

 問題は……彩達の方だ。日菜を除く全員が緊張で萎縮している。

 

「あ、あの~……亜麻音さんちょっと良いですか?」

「どうしたの? 麻弥」

「あの……今日のライブの観客ってどの位居るんですか……?」

「聴かない方が良いと思うんだけど……キャパ満だし、37000人位ね」

「ぇえ!? 前の3倍強っすか!?」

「それにライブビューイングもあるし、もっと多いわね」

「なんすか!? その数!? どうしてそんなに!?」

 

 私の答えに驚愕する麻弥。それを窘めたのは麻弥の双子の姉でSublimatumの今日はキーボード担当の萌々だった。

 

「麻弥ちゃん、私達の復活ライブって事でキャパが多いのもあるから」

「モモ姉は緊張してないんすか!?」

「んー、してるよ? 久しぶりのライブだしね。だけど……」

「『だけど』……??」

「それよりも『思いっきりライブを楽しみたい』って感じが強いかな。私は」

「凄いっすね。姉さんは」

「麻弥ちゃんもきっと大丈夫よ」

「な、何を根拠に……」

「全く、麻弥ちゃんは昔からいっつもそう。物事を考えすぎなの!」

「ね、姉さん……!?」

「こういうのは楽しむことが大事なの! 何も考える必要はないの! だよね? 亜麻音、帆乃花」

「いやいや、萌々さ少しは考えてようね? 感覚だけでライブを乗り切ろうとしないで」

「まー、萌々の言った事は極端だけどさ、的は得ているわ。麻弥」

「はい……」

「こっちが緊張してるとお客さんにも伝わっちゃうからさ、自分もファンとして居る感じで挑んでみたら? そうすると上手く行くからさ」

「亜麻音さん……ありがとうございます!」

「良いのよ。御礼は。それよりも今日のライブ、楽しみましょうね!」

「……はい!」

 

 どうやら麻弥の緊張は解れた様だ。

 それよりも彩の方は大丈夫かな……?? 私がそう思った時だ。

 

「亜麻音ちゃん……今日のライブ頑張ろうね!」

 

 彩が私に声を掛けてきた。

 

「彩、大丈夫なの?」

「え、何が?」

「前みたいにさ緊張でガチガチなのかって思って」

「あー……うん。正直言うと今もすっごく緊張してるよ? でもさ……楽しみなんだ。不思議とね」

「『練習の成果を思いっきり発揮できるから』?」

「うん。それもあるけど、今の私たちには、大好きで凄く頼りになる人がいるから!」

「そっかぁ……。だよね。その人達も今日の思いっきり楽しんじゃお!」

「うんっ♪」

 

 私が彩と会話を終えた直後にさーくんがスタッフに呼び出され、控え室を後にした。

 あのスタッフは確か……以前のライブでエアバンドするように提案した張本人だっけ。

 

「……………………」

「どうか……したんですか? 亜麻音ちゃん」

「あぁ……燐子。ちょっと気になることがあってね」

「『気になること』……ですか?」

「ええ」

「それは……さっきのスタッフさんの事よね? あーちゃん」

「ちーちゃんの言うとおりよ。さっきのスタッフはPastel✽Palettesのエアバンドを提案した張本人だもの」

「えっ……じゃあ……今も……」

「燐子もそう思うわよね……」

「ダーリンが上手く断ってくれればいいのだけれども……」

 

 ちーちゃんの言うとおりだ。

 あのスタッフのことだし、今回は彩を『口パク』でやらせるかもしれない。……というか絶対そうに違いない。

 それだけは……それだけは絶対に阻止せねばなるまいて。そんな事をやらかせば間違い無く……永遠に終わりだ。

 彩だって……必死に練習を重ねてきたんだ。それは私が一番知ってる。だって、SublimatumのVo.陣で徹底的に鍛えたから。

 実力だって前とは段違いだ。そしてメンタルも確実に強くなっている。先程のやり取りで判明はつくだろう。

 だが、あの無能スタッフはそれを知る由も無いだろうし彩の実力がファーストライブの時と然程変わりないと思うだろう。

 だって、Sublimatumのメンバーによる彩の徹底レベルアップはPastel✽Palettesメンバーとさーくん、燐子以外には伝えていない。

 これもあの無能共の鼻を明かす為だもの。……と、思っていたんだけど裏目に出ちゃったか。

 

「大丈夫よ。あーちゃん。ダーリンを信じましょ?」

 

 ちーちゃんが私の表情を察してか私にそう声を掛けた。

 少しすると……

 

「嫌な予感がするわね。あーちゃん、ちょっと来てくれるかしら?」

「どうしたのちーちゃん」

「良いから来て」

 

 私はちーちゃんに手を引かれて、ある所へと向かった。そして向かった所では、何やら言い合いをしているのが聞こえてきた。

 

「(この声って……さーくん?)」

「(そうよ。スタッフさんと話している内容からして、私たちに関係する事ね)」

 

 そう考えた私たちは、会話を集中して聞くことにした。

 

「ですから、彩さんには今回のライブでは口パクで歌って頂きたいと」

「承認できるはずが無いでしょう? そもそも、当て振りのライブをしたせいでどうなったのか、貴方方は知ってますよね? 僕としてもこの前の二の舞は絶対に避けたいんです」

「それは充分わかっています。けど、上からの指示で「全く……パスパレを何だと思ってるんですかね」どう言う意味です?」

「良いですか!? デビューから二週間後にライブだなんて、どう考えても無理に決まってます! そしてライブ方法は当て振り!? 冗談もきついですってば! その後に行なったポスター配りによる宣伝も、全部千聖さんのおかげにして……パスパレは貴方方事務所の道具ですか! 本音を言えば、貴方方が性的処理道具としてパスパレを扱ってるだけじゃないんですか!? 衣装もそう、メンバーのキャスティングにしてもそう……それに、彩なんてラストチャンスって所を抜擢されて、舞い上がってた矢先にこれですよ!? 下手したら再起不能寸前まで来たんですよ!? それもこれもみんな貴方方が考え無しだからこんな結果になったんです! 大切な幼馴染や、大切な仲間……そんなかけがえのない存在がそんな目で見られてたなんて、僕としては到底信じられないんですよ!? 彼女たちの尊厳は、貴方方にすべて委ねられている訳では無いんです! お仕事などの内容は仕方ないにしても、本人たちの意思は僕たちスタッフがどうこう出来る問題では無いんです!」

「ぐ、うぅぅ……」

 

 さーくんの正論に、スタッフさんは酷く狼狽えている様子だ。やっぱり、さーくんはかっこいい。

 

「ちーちゃん、私たちも援護するわよ」

「当然よ。ダーリンの正妻として、旦那様を守り抜かなきゃね」

 

 ……私たちは、無能スタッフに立ち向かうべく、さーくんの所へと向かった。

 

「こんにちは。お久しぶりですね」

「どうして……貴方が此処に居るのかしら? ……松田さん?」

 

 ちーちゃんの言葉にあの全ての元凶であるクソ無能スタッフな松田さんが自身のメガネをつり上げてこう言った。

 

「いえ、ボクが貴女達のライブを成功させる為にひとつ提案させていただいたんですよ」

「……彩を口パクする事がですか……冗談も大概にしたらどうです?」

「そうですよ。あの時に私も表面上は賛成しましたけど、アレは無いですね。欲望を満たしているだけだったじゃないですか」

「な、何を根拠に……」

「どっからどう見てもですよ? 誰もがそう理解しているのではないのですか?」

「そんな出鱈目を……」

「どうでしょうか。被害者の私達が言うのですよ?」

「それって、結構有力な根拠ですよね?」

「う……ぐぅ……」

 

 松田さんは私とちーちゃんに正論をぶつけられて押し黙った。

 ここで論破するのも良いのだけれども、こう言った方がダメージ大きいよね。

 私とちーちゃんは互いに頷き合って松田さんにこう告げた。

 

「松田さん、私達のライブを()()()()聴いていてくださいね?」

「その最後に私達が伝えたい感情を伝えますので」

「……解りました。楽しみにしていますよ」

 

 松田さんは怪しく光るメガネを更に光らせながら去って行った。

 

「さて、戻りましょうか。ダーリン、あーちゃん」

「うん……そう、だね」

「そうね。あの松田さんの事も有るし万全のコンディションで挑みたいものね」

 

 私達は控室に戻る事にした。

 

 

 

 

 Pastel*Palettes&Sublimatumの復活ライブ……それは、開幕から大きな盛り上がりを見せていた。

 

 オープニングアクトを飾ったのは、Sublimatumの『METANOIA』。リーダーである私の歌からライブは始まりを告げた。

 会場が私のイメージカラーである青色のサイリウムの波に包まれ、由愛と帆乃花のギターイントロが鳴り響く。

 最初のラップ部分。ここはSublimatumを知ってくれているファンが一緒にノってくれた。掴みとしては順調だ。

 私はそのまま『METANOIA』を歌い切った。

 それと同時に大きな歓声が湧き上がり、青のサイリウムのビッグウェーブが起こった。

 

「皆、ありがとう。次の曲もブチ上がって行くよ! 次の曲は……『TESTAMENT』」

 

 私のMCを挟んで次の曲に移る。まだまだこの不死鳥の再誕の瞬間は終わらない。

 

 私の『TESTAMENT』の後にレイヤがVo.に代わって私がBa.の補佐に回って、次の曲は『UNSTOPPABLE』だ。

 会場が暗転し、再びステージにスポットライトが照らされる。

 

答えは そう…inside of me

But…But…だけど“UNSTOPPABLE”

I・MY・満たして欲しいと せがみだす

答えは もう…inside of me

But…But…だけど“UNSTOPPABLE”

I・MY・満たして欲しいと せがみだす

S O M E B O D Y H E L P

 

喉が渇いて仕方ないようで 生まれた虚無感

日々を過剰に期待し過ぎ…拗ねた背中

 

(Hurry up)

『Don't let me down.』といつも

(Hurry up)

自分を追い詰めて 口を塞ぎ呼吸困難

Be caught in a trap

 

ウザったいとジレったいが甘えて

Just 承認欲求 every day 止まらない

僕と僕は共犯者さ

偽物と踊れ踊れ(Lullaby)

迷いと不安が舌を出して

コチラを指さし嘲(あざけ)る

Are you enjoying?Are you excited?

…Yes?そう見えるの?

じゃあ…それでいい

 

 

曲が終わり、大歓声が起こる。そのまま熱狂を維持しつつ次の曲へ移る。

『RISE OF SOULS』、その後、由愛がVo.に入り、私がGt.で『Only my railgun』と『sister noize』を披露した。

 

 

「皆、ありがとう……」

 

 由愛のその言葉で私達、Sublimatumメンバーは一礼をした。それと同時に私達にスポットライトが当たり、メンバーのイメージカラーのサイリウムの波とファンの大歓声が沸き起こった。

 やはりこのボルテージを体感するのは最っ高だよ。

 

 会場自体が暗転して、私達はステージを後にしてステージ袖に向かった。

 ステージ袖ではPastel✽Palettesメンバーが迎えてくれた。

 

「御苦労様! すっごく良かったよ!」

「ありがとう。彩」

「私はあーちゃん達……Sublimatumのライブを初めて見たけど、これ程鳥肌立つものだとは思わなかったわ」

「ちーちゃんにそう言ってもらえるって私も嬉しいわ」

 

 私は彩とちーちゃんに、萌々とますきは麻弥に、レイヤと帆乃花は日菜に、由愛はイヴにそれぞれ労いを受けていた。

 暫し会話をしていると会場スタッフからPastel✽Palettesメンバーがステージ袖にスタンバイする様に指示が入った。

 

「亜麻音ちゃん」

 

 彩が私を呼び止めた。

 

「どうしたの、彩」

「行ってくるねっ! 私達の勇姿ちゃんと見ててね!」

「ええ。ちゃんと見てるわ。だから……思いっきり楽しんで来て!」

 

 彩の言葉に私は了承してステージに送り出す言葉を掛けた。

 

「うんっ!」

 

 彩は私の言葉に笑顔で肯定してステージ袖に歩みを進めていった。

 

 

 

 

 そして会場の熱が冷めやらぬままに、次なるアーティスト……アイドルバンド、Pastel*Palettesがステージ袖から姿を見せた。

 

「先ずは、皆さんに謝りたい事があります! この前は当て振りのライブをして、申し訳ありませんでした!」

 

 彩のその言葉を受けて、観客からはブーイングが飛び交う。今にも彩の心は折れかける寸前まで罅が入っていた。……だが。

 

『けど、ここからはもう以前の彼女たちではありません!』

 

 突如として聞こえた声。その聴こえて来た声に、パスパレのメンバーは心の底から安堵する。

 

 その声は、Pastel*Palettesのマネージャーを務めている、彼……盛谷颯樹の声だった。

 

『あのファーストライブを糧に、パスパレは成長を遂げました! しかと、その様を眼と耳に焼き付けて行って下さい!』

「颯樹君……!」

「ダーリンにここまで言わせたのよ。ライブ、必ず成功させるわよ……彩ちゃん」

「うん!」

 

 Pastel✽Palettesのライブが『きゅーまい✽flower』を皮切りに幕を開けた。

 会場全体が緑色のサイリウムの波に包まれた。

 そして『きゅーまい✽flower』、『春擬き』、『ドリームパレード』、『ふわふわ時間』、『MOON PRIDE』と続く。

 会場のボルテージは上がりに上がりきっている。

 Pastel✽Palettesの最後の曲に入る前にちーちゃんが彩の隣に並び立ち、MCが入る。

 

「皆さん、次の曲で私達の最後の曲となります」

「次の曲は私と千聖ちゃん、2人のダブルボーカルになります。それでは聴いてください」

「「ハッピーシンセサイザ!!」」

 

 

好きになる事 理屈なんかじゃなくて

「こじつけ」なんて いらないんじゃない?

時代のせいと 諦めたらそこまで

踏み出さなくちゃ 何も始まらない

 

「ゴメンね夜遅く 寝るところだったでしょ?」

「驚いた 私もかけようとしてた」

心の裏側をくすぐられてるような

惹かれあう2人に 幸せな音を

 

 

 Pastel✽Palettesの最後の曲は彩とちーちゃんのダブルボーカルで披露する曲だ。

 この曲はダブルボーカルとあって会場も盛り上がる分、彩とちーちゃんの息が合ってないと成り立たない難しい代物だ。

 しかし、その辺の問題は無さそうだ。2人の歌が完全に同調して素晴らしい旋律を奏でている。

 

 私達……Sublimatumメンバー、さーくん、燐子はステージ袖から彩達の勇姿をしかとその目に焼き付けていた。

 

「「「「「ありがとうございました!!!!!」」」」

 

 Pastel✽Palettesメンバー全員のその言葉で彩達は一礼をした。それと同時に彩達にスポットライトが当たり、メンバーのイメージカラーのサイリウムの波とファンの大歓声が沸き起こった。

 彩達の反応を見る限りきっと先程の私達と同じ心境なのだろう。

 

 会場自体が再び暗転して、彩達はステージを後にしてステージ袖に戻ってきた。

 

「亜麻音ちゃんっ!!」

「あーちゃんっ!!」

 

 ステージ袖に戻ってきた彩と日菜は私の方に飛び込んできた。

 

「えっ……ちょっ……」

 

 私は戸惑いつつも何とか2人を受け止めた。

 

「もー……いきなりどうしたのよ?」

「えへへ……何かこうしたくって」

「だってさ、あーちゃんにこうして貰うの最近無いんだもんっ!」

「あっそ……」

 

 私は彩と日菜の頭を撫でていた。

 周囲を見渡せば、ちーちゃんとさーくん、麻弥と萌々、イヴと由愛も同様の現象が起きていた。

 ちーちゃんとさーくんのが一番激しい砂糖な気がするのは気のせいだろう。

 気付けば彩と日菜がそれに嫉妬の視線を向けていた。

 彩、日菜……それには私も激しく同意はするけども今は止めてやれ。

 ライブ中に修羅場は勘弁して。収拾つかなくなるし、ライブ自体が崩壊するから。

 

「ホラ、着替える時間無くなるわよ?」

「えー、でもさぁ、あーちゃん」

「うん。あれはちょっと……」

「アンコールの開始遅くなるとさーくんの出番カットされちゃうんだけど……」

「「今すぐ着替えてくる!!」」

 

 あやひなは神速の速さで更衣室に向かった。

 あの二人に『さーくん』はどれだけ重みのあるパワーワードなのだろうか。

 さて、私も着替えてきますか……。

 

 

 着替えの終わった私達のアンコールはサイリウムのビッグウェーブと大歓声に包まれ、幕を開けた。

 最初の曲は由愛がボーカルを務める『LEVEL5-Judgelight-』。

 ファンの熱狂はギアを上げ、次の曲、私がボーカルを務める『月下美刃』で更にギアを上げて、次は彩がボーカルを務める『奏』。これで観客のボルテージを貯めての四曲目は彩と私のダブルボーカルで『DISCOTHEQUE』。

 最初は私と彩のMCから始まる。

 

「次の曲は私達、SublimatumとPastel✽Palettes、2バンド合同での曲となります」

「そしてこの曲は私と亜麻音ちゃんのWボーカルでお送りします」

「それでは聴いてください。 「「DISCOTHEQUE」」」

 

(CHU-LU CHU-LU CHU-LU PA-YA-PA)

(DISCO LADY DISCO LADY DEEP EMOTION DEEP EMOTION)

 

SWEETIE DARLIN' 踊りましょう はじける BEAUTY LADY

生まれ変わって甘い夢 そっと彩りたいの

 

グラマラスなくちびる ピンク色の艶(つや)めくネイル

ガラスの向こう側に映る素顔 シュールなDays

キミだけにso 見せていたい 心の中 瞳の奥

AH 傍にいて欲しいよ 月のMIRROR BALL 照らされて

 

 

 

 その曲の序盤から場の熱狂は相当な物であり、更に限界突破を果さんとしない勢いで彩と共に会場のさいたまスーパーアリーナを熱狂への渦へと巻き込んだ。これぞ不死鳥の再誕に相応しい。

 四曲目の『DISCOTHEQUE』まで終わった後、私はマイクの所に立ってある事を告げた。

 

『会場の皆さん、私たちSublimatumとPastel*PalettesのRe:Birth LIVEは、次の曲でラストになりますが……私の話を聞いてください』

 

 会場がザワついた。

 

 ……無理も無いな。今から言う事は、残酷なる現実。それを突き付けて改めさせないと、後々に大変な事になる。

 

『Pastel*Palettesのデビューライブ……皆さんの記憶には、まだ新しいはずです。当て振りのライブ……それは皆さんに失望の色を与えましたが、そのライブ自体は私たちが決めた事ではなく、ある方の一存によって決まりました』

 

 私が述べた後に、ちーちゃんがマイクを手に取ってこう言い始めた。

 

『その人は私たちの活躍自体も捻じ曲げ、自分たちの思うがままにコントロールしていたんです。それに私たちはただ従うだけの道化師(ピエロ)……こんな現実が、歯痒くて仕方がない』

『そして私たちは、この復活ライブでその者たちに今抱えている思いを全部ぶつけたいと思っています。……これからお届けするのは、私たちの大切な仲間、幼馴染……そして、意思すらも弄び、傷つけ苦しませた元凶への……LAST MESSAGE』

 

 私がそう言った後、レイが自分のベースを肩から提げて現れた。その眼には真意が宿り、敵意剥き出しの情が籠っていた。

 

『私たちの大切な物に手を出した愚か者全てに《終焉》と言う名の宣告をしよう。……《Dead End》』

 

 レイが言い放った言葉で、最後の楽曲《Dead End》が始まった。この曲はさーくんからの提案曲で、何れ私たちSublimatumにも提案すると示されていた曲でもある。……この曲で燐子、さーくん以外の無能スタッフの……心全てをぶっ壊す! 

 

 

 

『DEAD END』の演奏が終わった。会場は熱狂への渦に呑み込まれた。そして……松田さんを筆頭に無能スタッフ共は顔面蒼白になっていたが、此処で終わるつもりは毛頭ない。

 

「皆さん、本日はPastel*PalettesとSublimatumのRe:birth LIVEにご来場頂きまして、誠にありがとうございます」

 

 さーくんは集まってくれた観客の人たちに、簡単にお礼を述べた。……本番はここからだ。

 

「さて……本題へ。僕は、当て振りのライブを指示した者共を絶対に許さない。そしてそれを見て非難を浴びせた者、それを諦観した者を許す気は毛頭無い」

「ダーリン……」

「颯樹君……」

 

 彼から伝えられる言葉の数々に、ちーちゃんと彩はポツリと彼の名を零す事しかできなかった。

 

 それも構わずにさーくんは続けた。

 

「今回のライブの前も、最悪なライブになる危険性があった。……けど、それは彩たちが頑張ったからこそ回避されたのだと言えます。本当にありがとう!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、観客席から私や彩たちを賞賛する声が響き渡った。

 

「嬉しいわね……」

「だな。表舞台ではアタシたちが動き、裏ではアイツが動く……無能共の企みなんざ最初から潰えてたって訳だな」

「ますき、言い過ぎだよ。でも、私も同じ気持ちだよ」

 

 そんなふうに会話を交していると、さーくんが言葉の雰囲気を強め始めた。……そろそろ準備かな。

 

「無能スタッフ共。アンタらの犯した罪は、到底許される行為では無い! 真に支えるべきPastel*Palettesを性処理道具の様な扱いをし、豪雨の中で行われたチケット配布を全て千聖のおかげにして……彩には()()()()()()と言う……そんな事を言うテメェらに、Pastel*Palettesを支える資格なんてねぇんだよ!」

 

 その言葉を聞いて、私たちは演奏の準備を始める。……頼むわよ、さーくん! 

 

「この曲で、お前らの性懲りも無い心や腐った人間性も何もかもを……ぶっ壊す! 『FEED THE FIRE』!!!」

 

 さーくんが曲名を宣言し、演奏が始まった。

 

 演奏が終わり、観客から大声援とサイリウムの波が沸き起こった。

 そして、私達はさーくんをセンターにして横一列に並んだ。

 それと同時に彩達とレイ達も全員ステージ上に再度登板し、私達と同じく横一列に並んだ。

 並び順はステージの下手……客席から見て左側の端から帆乃花、萌々、ますき、レイ、由愛、私、さーくん、彩、ちーちゃん、イヴ、麻弥、日菜……という並び順だ。

 横に並んだ私達がするのは……

 

『『『『『『ありがとうございましたっ!!!!!!』』』』』』

 

 全員が手を繋いでこのライブの観客達にお礼をすることだ。

 これはSublimatumのライブでは恒例の行事である。今回はPastel✽Palettesと合同ライブなので彩達も一緒だ。

 そして、そのセンターを務めるのは今回のライブでの立役者であるさーくんだ。

 実を言うと事前の打ち合わせで私と彩、ちーちゃんがそのことを提案し、メンバー全員がそれを快諾した。

 だが、さーくん本人がそれを最後の最後まで固辞していた。

 本人曰く、

 

「僕は裏方なんだからセンターは彩かあーちゃんの方が適役だよ」

 

 とのことだった。それを言われて私達は納得するはずも無く、昨日までさーくんを説得し続けた。

 ……が、さーくんは中々に折れてくれず時間も刻限に迫っていたので私達は強硬手段に出ることにした。

 昨日、さーくんが帰った後に結託して外堀を埋めにかかった。おもに私とちーちゃんと彩が主導で。

 これは私が女優を引き受ける事になった時のちーちゃんがとった手段と同様である。

 その奮闘もあってか、さーくんは折れて最後の挨拶のセンターとなったのだった。

 その事を今日のライブ開始前に話した時のさーくんは私がちーちゃんに女優業を始める話をされた時以上の驚きっぷりだった。

 その横でちーちゃんは「計画通り……」と言わんばかりの表情をしていた。その策士っぷりに私と彩は「「うわぁ……」」と軽く引いていた。

 

 そんなひと悶着はあったものの、当初の予定通りさーくんをセンターに据えての挨拶を行う私達は鳴り止まぬ歓声とサイリウムの波を送ってくれているファン達に精一杯手を振り返していた。

 こうして、私達、SublimatumとPastel✽Palettesの復活の第一歩を示すライブは大成功の結果を持って幕を閉じたのであった。

 

 

 

 To_Be_Continued...

 

 

 

 




如何だったでしょうか。
前回のファーストライブよりもパワーアップしてお届けしました今回なのですよ。

歌詞とかも初めて用いた形式でございます。

マジで英語歌詞に(|| ゚Д゚)トラウマーなりそうやったわ。
コピペできないものやから全部入力とかね?
もう暫く英語歌詞は勘弁やわーって思うんよ。


えっと、次回は『Re:Birth_Live』終演後のエピローグって感じになります。
という事で、やっと第一章が完結します。

大体は内容決まってるんやけどまだ文章化するのは時間かかるかなー?って感じなので気長にお待ちくださいませ。

予告すると……ちゆと令王那が登場します。

では最後に謝辞を。
次回のお話も読んでくれると嬉しいです。
また、この作品を読んでの評価・感想もお待ちしております。

それが次回執筆時の励みになったりしますのでね(本音)

支援絵もバッチコイです。
来れば自分のテンション「るるるんっ」って感じになりますんでね。
なので絶賛お待ちしております。

それでは、更新時期が不透明で全くの未定ですが、また次回のお話でお会いしましょう!。
ばいばいっ!




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#009 ライブ後のできごと

お久しぶりです。
久々の本編更新です。
それではどうぞ。


Side_Matsuda

 

『Pastel✽Palettes&Sublimatum Re:Birth_Live』が終了しこのボクに楯突いた餓鬼共は大歓声を浴びている。

……こんな事があってもいいだろうか。

答えは否だ。 このボクがこんな惨めな思いをしていいわけがない。

本来ならば、Pastel✽Palettesに当て振りをしてもらい、ライブは失敗。失意のPastel✽Palettesにボクが救いの手を差し伸べてPastel✽Palettesはボクの意のまま。

そしてこのライブ失敗の責任はあの小娘……御神亜麻音とあのガキ……盛谷颯樹に被せておいて、クビにする。

それに輪をかける様に僕の囁きで小娘の精神をへし折って更に裏工作でSublimatumの悪評を広めてドン底まで墜とすつもりだったのに……

 

それが蓋を開けてみた現実はどうか。

ライブは前回の失敗が払拭されるどころかイメージが上乗せされるほどの大成功。

その証拠にボクの部下達は正直使い物にならない。

顔色が青や蒼白ならまだマシなものだ。大半が白色で中には全身が末白で少しでも衝撃を与えれば跡形も無く崩壊しそうな奴までいる有様だ。

こうなったらボクが直接――

 

「……何処へ行こうとしているのかね? 松田君」

 

ボクを呼び止めたのは涼原専務だった。

 

「少し外の空気を吸いにですよ」

 

専務の質問にボクは本心を悟られまいと涼しい顔で返答する。

 

「そうか。 それならば良いのだがね」

 

専務は何かしら含みを持たせていた。

 

「……専務。 宜しいでしょうか」

「……何かね」

 

ボクは専務にひとつ質問をした。

 

「どうして、専務は此処に?」

「私かい? タダの偶然……かもしれないね」

「…………」

 

専務の返答にボクは何も返さなかった……違う。()()()()()()()()

……なんなんだよ。この《圧》は。

絶対に偶然じゃないだろっ!

必然的に此処に来たのだろっ!!

 

……ステイ・クールだ、ボク。

動揺してはドツボにハマってとっぴんしゃんだ。

そうならぬようにしなければ。

 

ボクは持てる意識をすべて駆使して平静を保つ。

 

「あの、専務」

「何かね、松田君」

「僕に何か伝達事項があるのですか……?」

「……あるといえば、あるね。 それが、どうしたのかい?」

「いえ……なんでもありません」

 

危うく反応しかけた。クッソ危なかった。

こんなの気が抜けないじゃねぇか。

負けんじゃねぇぞ、ボク。

そう己自身に鼓舞しながら専務との応対を行っていく。

 

「松田君」

「……なんでしょう」

「今日のライブ、君から見てどう思うかね?」

「……大成功かと思います」

 

ボクは作り笑顔でそう返した。

結果から見れば大成功だが、個人的には大失敗である。

かなりの悪態をつきたいくらいまでにある。

 

「そういえば、松田君」

「……なんでしょう」

「小耳に挟んだのだが、このライブでもやらかそうとした輩が居たようだね……?」

「……!」

 

ボクは思わず返答できなかった。

なんで、専務がそれを知っているんだ!?

 

「そ、それはとんでもないバカがいたもんですね……」

「ああ、そのとおりさ。私欲に走って彼女達の夢を台無しにする……許されぬ愚行だよ」

「………………」

 

ボクは黙っていた。専務の圧が漏れ出して凄まじい事になっていたからだ。

 

「その圧仕舞って欲しいんだけどっ!」

 

と、内心はそう願う状態しかないボクなのである。

 

「……その点、亜麻音ちゃんと颯樹君、燐子ちゃん……。それに千聖ちゃんはよく頑張ってくれた」

「白鷺さんも……ですか」

「そうさ。 彼女が立案した亜麻音ちゃんの女優デビューがなければ、このライブは開催できてなかったからね」

 

ボクは専務の言葉に虚を完全に突かれていた。

白鷺千聖……彼女は完全にこちら側だと思っていたのに……

あのアマ裏切りやがった……っ!!

 

「それで、松田君続けてもいいかね?」

「……どうぞ」

「彼女は君達の味方にはなってないそうだよ。本人曰く、『彩ちゃん、日菜ちゃん、麻弥ちゃん、イヴちゃん……パスパレの皆、あーちゃん、そしてダーリンを敵に回してまで活動を続ける気はサラサラありません。私を見縊るのも大概にしてください』……だ、そうだよ?」

「…………」

 

なんだと!? あのアマこっちを利用してやがったのか。

いや……それは有り得ない。

まさか……あの餓鬼共が……?

このボクを貶める為にこんな姑息な手を……?

だったら、目に目を歯に歯を……

 

「『ボクが直接手を下してやる』……なんて思ってるのではないかね?」

「……! 何を言って仰るのですか、常務。 このボクがそんな事思っているわけないじゃないですか」

「成程ね……キミはそう言うのか」

 

ボクが否定するとわけのわからないことを常務は言い出した。

 

「ウラは取れているというのに……しらばっくれるのだね」

「ば、バカな……あの無能共白状しやがったのか……」

「( ゚Å゚)ホゥ……その話、詳しく聞かせてもらおうじゃないか」

 

ボクがふと漏らした言葉に専務は眼光を鋭くして問い詰めてきた。

 

「んなっ……専務、全て知っているのでしょう?!」

「いや、詳しい事情聴取はまだこれからさ」

「は? だったら、さっきのは……」

「ただ単なるカマかけだよ。まぁ、こんなにも単純な手に引っかかるとは思ってもみなかったがね」

 

そう言いながら専務は意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

「姑息な手を使いやがる……(・д・)チッ」

「キミのしでかした事に比べたらお遊びだよ。さて……」

 

 

ボクの悪態をサラリと受け流した専務は言い放った。

 

 

さて……これから詳細な話を聞かせてもらおうじゃないか。 言っとくが無事に帰れるなんて愚かなコト思うんじゃねぇぞ?

 

「」(コクコクッ)

 

専務の圧に敗北したボクは逃げられることすら許されず、ただただ頷くことしかできなかった。そして直後、専務に首根っこ掴まれて連行されていくのだった。

 

 

Side_Out……

 

 

 

 

 

 

Side_Amane

 

ライブが終わって私達Sublimatumのメンバーは控え室でちょっとした打ち上げというか夕食会に突入していた。

勿論、食事は私達の持ち込みで手作りである。

 

「タコさんウインナーだぎゃあ!」

 

ますきがお弁当に入っていたタコさんウインナーを箸で持って悪ノリ?していた。

 

「ますき……もうそれ何度目なの?」

「毎度言ってるよね。最早御馴染になってるね」

 

それをレイが少し呆れつつも突っ込んで、帆乃花が同調する。

 

「でも、私達らしくて良いですよね」

ゆはのいふとほりらよ(由愛の言うとおりだよ)

「もぅ……萌々ってば食べるか喋るかどっちかにしなさいよ……」

「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」

 

由愛の言葉に萌々がジャーキーおにぎり(レイ作)を頬張りつつも同意していた。

私が萌々を注意したところ萌々は食べる方を選択したようで、凄い食べっぷりでおにぎりを頬張っていた。

萌々の近くにあった御弁当箱に入ってるおにぎり(私・レイ・ますき作)が凄い勢いで無くなっていく。その食べっぷりにまたほのぼのする私達であった。

 

暫くして御弁当を全員で和気藹々と食べて談笑しつつ偶に今日のライブの振り返りを行っていると控え室の扉がノックされる。

 

「どちら様でしょうか?」

 

私が扉を開けるとくすんだ赤色のロングヘアーとアクアブルーの瞳の少女が立っていた。

学校の……セロシアインターナショナルスクールの制服に身を包み、猫耳のヘッドホンが特徴的である。

 

「突然申し訳ありません。 ワタシ、こういう者です」

 

少女が取り出したのは黒猫の形をした名刺だった。

私が受け取り、名刺を見てみるとそこには『PRODUCER chu²』と書かれていた。

下の方には拠点?の住所が書かれている。

 

「あっ……どうも。チュチュ……さんはプロデューサーなんですね。それで……どういった御用なのでしょうか?」

「余計な前フリはいらないわ。ワタシはこのバンド……Sublimatumのリーダーに話があるの。だから、リーダーを出して頂戴」

 

……どうやら、チュチュさんは私に話があるようだ。

 

「そうですか……でしたら、改めまして。 私がSublimatumのリーダー、御神亜麻音です」

 

私も白猫の形をした名刺を渡した。

え、「名刺持ってたの……?」って?

そりゃ、そうでしょ。Pastel✽Palettesのチーフマネやってるし営業に同行したりするしさ。

その際は名刺は必須でしょ?

 

「アマネ……ね。覚えたわ。単刀直入に言うからよく聞きなさい」

 

チュチュさんはこちらを指差し高らかに宣言した。

 

「ワタシは何れこのガールズバンド時代を終わらせる為の最強のバンドを作り上げたいと思っているわ、そこで貴女のチカラを借りたいの」

「私の……ですか?」

「敬語じゃなくてもいいわ。正確に言うと貴女達のバンドのチカラを借りたいの」

「Sublimatumの……? 私達を貴女がプロデュースするという認識でいいのかしら?」

 

私はチュチュさんの言葉の疑問を投げかけてみる。

 

「最初はワタシもそう思っていたわ。……でも、貴女達のライブを見て考えが変わった」

「『変わった』……??」

「そうよ。正直言って今のワタシに貴女達をプロデュースする実力があると思えない。これじゃあガールズバンド時代を終わらせるなんて夢のまた夢。だからワタシをアマネ……貴女の弟子にして欲しいの」

「え、で、弟子……?」

「Exactly このバンドのスゴさにアマネ、貴女が噛んでいるとワタシは思ってる。だからその技術をモノにしたいの!」

 

私はチュチュさんの言葉を聴いて考え事をしていた。

個人的には引き受けたいのだけれど……。

レイ達が何と言うかなぁ……。

 

そう思った私は控え室の後方にある椅子に腰掛けて会話の行方を見守っていたメンバー達に視線を送った。

私の視線に気付いたレイ、ますき、萌々、由愛、帆乃花は各々違う反応だったが、

 

「「「「「亜麻音(リーダー)(亜麻音先輩)の好きにやればいい」」」」」

 

……と、思っている事は同じだったらしい。

その返答に感謝の意を声には出さないものの視線で私は返した。

そして改めてチュチュさんの方に視線を向ける。

 

「えっと、私なんかで良ければ喜んで」

「アマネ、『私()()()』って言わないで頂戴。 貴女はこの私が認めたメンバーなんだから」

「……解ったわ。 これからも宜しくね? チュチュ」

「勿論よ。 貴女達から技術を盗んでワタシのプロデュースするバンドが最強だって証明してみせるわ。その時は覚悟しなさいよね、アマネ」

「上等じゃないの。 そん時は全力で迎え撃ってあげるわ」

 

 

私とチュチュが固く握手を交わした時だった。

 

「ねぇチュチュ、ちょっと良いかな?」

「えっと……貴女はレイ・ワカナだったわね……。……レイヤ、どうかしたのかしら?」

「(『レイヤ』って私の事だよね……)えっと、あの扉から此方を見てる子ってチュチュの知り合い?」

 

レイがそう言って指差した方向を見ると入口のドアから顔を半分だけ出して恥ずかしそうに此方を見つめるマリンブルーとホワイトのツートンカラーな髪色で紅眼の少女の姿があった。

学年はチュチュと同じくらいだろうか。

チュチュは彼女の姿を見つけるやいなや彼女のもとに行き、

 

「ちょっと、パレオ! 恥ずかしがっていないでちゃんと挨拶しなさいよ!」

 

強引にドアから説教しつつ引き剥がしていた。

 

「だだだだだだって、目の前にナマの亜麻音ちゃんが居るんですよ!? 亜麻音ちゃんと私なんかが会話するなんて恐れ多くて出来ないですよぉ~」

 

少女……名前はパレオちゃんというらしいが随分と抵抗していた。

 

「なぁ……リーダー、もしかしなくともリーダーのファンなんじゃねぇのか?」

「それは……見れば確定だと思います」

「確かあの娘……Sublimatum(わたしたち)のイベントに全部来てたはずだよ」

「あぁ……そういえばそうね。確かに居たわね。それと亜麻音のソロ活動のイベントにも居たような……」

「確かに全部のイベントに来てたね。 亜麻音、貴女の方からあの娘と話してきたら? このままじゃ埓が開かないし」

「え? あぁ……うん。解ったわ……」

 

抵抗するパレオちゃんを見ながら私達Sublimatumメンバーで話し合った結果、私がパレオちゃんと話すことになった。

私、こう見えて人見知りなんだけど……と思いつつパレオちゃんの下に向かう。

 

「あの~パレオちゃんだっけ? ちょっと良いかな?」

「あ、ああああ亜麻音ちゃん!? な、なんでしょうか」

「落ち着いてね? なるべく。えっと、間違ってたら謝るけどもしかして貴女、鳰原令王那ちゃん?」

「えっ……そうですけど……どうして私の名前を?」

「だって毎回イベントとか来てくれるしファンレターとかも送ってくれるし、何よりもファンクラブの名誉会員でしょ?」

「はい!何時も応援させて貰ってます!なんといっても――」

 

どうやら話しているうちにパレオ……令王那ちゃんのスイッチが入ったらしい。

その後延々と私のスゴいところや推しポイントとかを30分くらいノンストップで語っていた。

それを聞いていた私は恥ずかしさであちこちがムズ痒くなったり悶えてたりしていた。

 

「あのぅ……亜麻音ちゃんはチュチュ様を弟子にしたんですよね!? だったら、私も弟子にしてくださいっ!!」

「えっ……」

「ダメですか……?(ウワメヅカイ

 

流石というべきか……令王那ちゃん。私の弱点を心得ている……!

これじゃあ断ったら完全に悪者だよね??

 

「良いよ。これからも宜しくね?えっと……」

「今の私は『パレオ』と呼んでください!」

「じゃあ、改めて宜しくね?パレオちゃん」

 

私はパレオちゃんと握手をしてパレオちゃんに微笑みを返した。

 

「はぅぅぅ……亜麻音ちゃんのスマイル眩しくててぇてぇですぅ~~~」

 

まさかのオーパーフローを起こして気絶してしまっていた。

 

「パレオ!?」

「パレオちゃん!?」

 

私とチュチュは慌ててパレオちゃんの介抱に回り、残りのメンバーはそれを微笑ましく見守っていた。

 

こうして後に時にはライバルとして、時に相棒として長い付き合いになる亜麻音達とチュチュ、そしてパレオは出会ったのであった。

 

 

 

数日後、チュチュとパレオはチュチュのマンションが工事になって居住地が無くなり、私の家で同居することになるのだった。

そして2人は私の補助でPastel✽Palettesの仕事にも同行することにもなるのであった。

 

 

 

Pastel✽PalettesⅠ Fin.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか。
連載がスタートして1年半……ようやく一区切りとなります。
なんかめっちゃ長かったきがしてなりませんわ。
その間に色々とあったわけだけども。
ここまで連載できたのはひとえにモナ様のおかげだと思っております。
まことにありがとうございました。


次回からは第2章としてRoselia編に入っていきたいと思います。
投稿時期が未定ですが、お待ち頂けると幸いです。

それではこの辺で失礼します。
また次回お会いしませう。
ばいばいっ!


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Indennità
Rhythm 001 私のきゃんぱすライフ


お久しぶりです。
突如としてネタが浮かんだので投稿します。
それではどうぞ。

2023.03.09 亜麻音ちゃんの進学先を慶鵬と修正。


私の名前は御神亜麻音。

 今は羽丘女子学園高等部を卒業して、この春から慶鵬女子大学に通う大学1年生。Sublimatumってバンドでリーダーもしてます。

 私は高校の頃からバイトにバイト……って感じで周りから心配される位に仕事漬けだったんだよね……。アハハ

 大学に進学した今は……多少はマシになったよ。多少は。今では週2でオフを取れるくらいまではね……。

 千聖の策略で女優業を始めてから……今年で3年目。女優業がさ、年を追う事に忙しくなっちゃってね……バイトを減らさざる得なくなったったんだよね……。

 受験勉強の時期は『学業専念』って事で休業してたけどさ。その分、高校の卒業式終わったら、もー仕事が舞い込むの何の。

 お陰で卒業旅行行けてないんだよねぇ…………。春休みはSublimatumの全国ライブツアーと女優のお仕事で殆ど潰れてた。

 だから、ツアー後が卒業旅行替わりになってたねwww

 まぁ……不満は有るが、ツアー組めるほどSublimatumが人気なんだから良しとしよう。

 

 えっと……今日の講義はなんだったけな……私は手帳を開いて今日の講義を確認する。

 

「おはよー♪ あーちゃんっ!!」

「( ゚∀゚)・∵. グハッ!!」

 

 確認をしていたら誰かに腰へ突貫された。思わぬ衝撃で腰に大ダメージ。こんな事するのは一人しかいないだろ……。

 

「日菜…………何やってんの」

「だって、あーちゃんと会えて『るんっ♪』ってしてるからだよっ!」

「だからって……勢いよく抱きついてこなくても良いでしょうが!!」

「( ´゚д゚`)エー」

「そんな顔しても許さないから。……で、日菜、紗夜と一緒じゃなかったっけ?」

「お姉ちゃん……? あー、それなら……」

 

 挨拶がわりに抱きついてきた日菜を引き剥がし、説教した直後だった。

 

「日菜……急に走り出さないでちょうだい」

「えへへ……だって、あーちゃんが居たんだもん」

「全く、貴女って人は……。亜麻音さん、おはようございます」

「おはよう、紗夜。珍しいわね、私と講義の時間が一緒だなんて」

「確かに……そうかもしれませんね」

「じゃあ……ここであったのも何かの縁だし、一緒に行かない?」

「解りました。それでは一緒に行きましょう」

「あーちゃん、ねぇ……あたしはー?」

「日菜はどうしよっか……紗夜」

「そうですね……そのまま放置で良いのではないでしょうか」

「お姉ちゃん!?」

「おー、ナイスアイデア。じゃあ、そうするか」

「あーちゃんも!? 酷くない!?」

 

 紗夜が合流し、暫し会話に花が咲く。すると、日菜が会話に割り込んできた。

 なので、冗談で私と紗夜は日菜を放置することを宣言した。

 日菜は私と紗夜の反応に「アリエナイ……」ってリアクションをしていた。

 まぁ……日菜には良い薬になっただろう。これでこういう事も減ってくれるといいが……。

 それにしても……紗夜の対応にも驚いた。まさか、紗夜があんな返しするとは思わなかった。

 紗夜とは幼少時から家がお隣だったこともあって付き合いは長い。しかし、今みたいな反応をするのはここ最近になってからだ。

 それまではこういうのにはまず乗ってこない。冗談言ったら説教が帰ってくる。間違い無く。

 

 バンド活動を……Roseliaで活動をするようになってから紗夜は良い意味で丸くなった。それが少なからず影響しているのかもしれない。

 中学の時くらいから日菜との仲がギスギスしてて、正直私でも戸惑うことが多かった。

 だけど、バンド活動をしているうちに日菜とも和解し、今ではすっかり仲良しだ。この大学でも「仲良しの双子ギターリスト」としても話題になっている。

 私は紗夜のこの変化を「良い意味で成長した」と解釈し受け止めている。個人的に勝手な感じだけどね。

 

「亜麻音さん……どうかしましたか?」

「えっ……あ、ううん。何にもないよ」

 

 紗夜に話しかけられて現実に戻る。

 危なっ……。今、結構自分の世界飛んでたな。相変わらず、飛ぶときは飛んでしまうな。昔からの癖なんだけど……やっぱり抜けないな。

 

「亜麻音さん……貴女、まさかまたなのですか?」

「えっ……ナンノコトカナー?」

「明らかに動揺してるじゃないですか」

「えっ……そ、ソンナコトナイヨー」

「いや、棒読みじゃん…………」

「う……うるひゃい……!!」

「噛んで否定しても説得力皆無ですよ?」

「うぐっ……」

 

 紗夜と日菜にジト目で指摘されたし看破された。

 

「全く……するなとは言いませんけど控えてくださいね?」

「そーだよっ! あーちゃんはそうやって抱え込んじゃうんだから!」

「えっ……何の話なの、日菜」

「日菜の言うとおりです。悩み事があったらちゃんと相談してください」

「紗夜まで……? え、一体何の話!?」

「い、い、で、す、ね?」

「アッハイ」

 

 思わず忍殺語で答えてしまったんだが。

 ホントに何の話なんだろうか。私の性格的なことだろうとは思うんだけどね……。この事で自分の世界に飛んでループするのは止めておこう。

 

「亜麻音さん、そろそろ講義の教室に行きませんか?」

「あっ……そうね。遅刻だけは避けたいし」

 

 紗夜の申し出に時刻が良い時間だったので講義が行われる教室に移動することにした。その道中で日菜が「教室まで競争して最下位が昼飯を奢る」と提案した。

 私と紗夜は反対したものの、日菜はそれを聞かずに勝手に始めてしまった。私と紗夜はふかーい嘆息を吐いてから本気で日菜を追いかけ始めた。

 私も紗夜もこの勝負は乗り気ではない。だが、勝負が始まった以上、負ける事は許さない。そう……私も紗夜も結構な負けず嫌いなのである。

 結果は……私→紗夜→日菜となった。勿論、日菜が昼飯奢りになったのは言うまでもない。

 

 続く? 

 

 

 




如何だったでしょうか。
何故かこんなネタが降りてきた。
高卒で就職して大学生活未経験なのにねぇ・・・・。

今回の続きは未定。


こんな感じで番外編するかどうかも不明・・・。

それでは何時あるかもわからない次回でお会いしましょう。
ではでは。


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Rhythm 002 御神邸お泊まり モカ編

この作品で初の誕生日記念の短編です。

それではどうぞ。


新学期も始まって間もない9月3日。

 私は今日はコンビニのバイトである。相方はSublimatumのマネ・青葉帆乃花の妹でAfterglowのギター担当の青葉モカである。

 バイトのシフトももうそろそろ終わりそうな時だった。

 

「亜麻音せんぱーい、今日と明日って予定入ってますー?」

「え、別に入ってないけど? どしたの」

「では、亜麻音先輩にクイズです。今日はズバリ何の日でしょーか!」

「え、今日……?? あ、モカの誕生日だっけ?」

「せーかいです! ですんで……」

「何?」

「亜麻音先輩の家でお泊まりさせて貰っても良いですか?」

「別に私は構わないけど……私的に姉貴の方が心配なんだけど」

「おねーちゃんが……ですか?」

「そうよ……だってさ、モカが私の所に泊まるって聞いたら、私に奇襲かけてきそうじゃん」

 

 私は嘆息混じりに言った。

 モカの姉……青葉帆乃花は超がどんだけあっても足りない程のシスコンである。

 それは私の後輩でモカと同級生の北条渚も『モカコン先輩』と呼ぶくらいである。

 まー、その帆乃花のモカが絡んだ時の暴走っぷりはもう酷い。人目憚らずに妹を堪能しまくるんだよ? 

 普段は風紀委員で真面目なキャラなのにさ。その時とキャラ違い過ぎんだろ!? 

 しかもさ、私達が止めようにも元々戦闘力高いのに最近、『リーファモード』を会得して更に手が付けられないしさ、私も苦戦する方なんだよねぇ……。

 まぁ、モカの『おねーちゃんなんて嫌い』っていう言葉一つで灰になるんだけどな。

 

「あー、それなら大丈夫ですよ~。絶対にありえないですし」

「え、なんで?」

「既におねーちゃんは灰になっていますから」

「もうなってんのかい」

「はい。案の定、突っかかってきたのがウザかったので」

「あー……ご愁傷様」

「ホントですよ~。復活されたらたまったもんじゃないので、おねーちゃんだった灰を瓶詰めにしておかーさんに預けてきました」

「あー……野乃花さんかぁ、じゃあ安心ね」

 

帆乃花でも太刀打ち出来ない程の最凶さを誇る野乃花さん。流石は母さんの永遠のライバルで相棒なだけあるわ。

 

「で、モカはどうやって私の家まで行くわけ?」

「え、亜麻音先輩は今日バイクで来てますよね~?」

「うん。そうね。つまりは乗ってくんだな」

「ぴんぽんぴんぽんだーいせーかいっ!」

「解ったわ。荷物とか持って駐車場で待ってて」

「りょーかいです~」

 

私は先にウラの駐車場に行ってホンダ CBR1100XX スーパーブラックバードを始動させ、コンビニの入口に付ける。

モカが私からヘルメットを受け取り、それを被って私の腰に掴まって後部に座る。

 

私はバイクを発進させて一路、自宅へと走らせる。

バイクを走らせる事15分。自宅のマンションに到着した。

マンションの前でモカを降ろして私はバイクを駐輪場へと停めに行った。

 

「お待たせ。モカ」

「いいえ~。大丈夫ですよ~」

 

エントランスからエレベーターで5階に上がる。

その5階のフロアの中で一際広いのが私の家である。

なんと、私の家はマンションを3部屋ぶち抜いている。無論、施工は弦巻家。

故に色々と部屋も多いのだ。

 

「お邪魔しまーす。うわぁー、やっぱり広いですね、亜麻音先輩の家」

「アハハ……毎回言われるわ。んでどうするの、モカ?」

「んー?何がですかー?」

「何って……泊まる部屋よ」

「あー……それなら、あたしは亜麻音先輩のお部屋を希望します」

「へ、私の部屋……??まぁ……良いけど」

 

モカの答えを聞いて私は自分の部屋にモカを案内する。

 

「どうぞ。ごゆっくり」

「もうしてま~す」

 

モカは私の部屋のクッションにその身を埋めていた。

 

「アハハ……相変わらずだねぇ~」

「あっ……亜麻音先輩」

「ん……何?」

「今から、モカちゃん私服に着替えるんですけど~……覗かないで……くださいね?」

「解ってるって。モカ、アンタも覗かないでよ?」

「( ´゚д゚`)エー……亜麻音先輩の美しい肢体を焼付けたかったんですけど……」

「……本気でやったらボコるからね?(殺気」

「冗談ですって……そんな事、しませんよ~。ちぇー……超残念

 

何か本音が聴こえた気がするがきっと気のせいだろう。

私は私服に着替えて、着替えが終わったであろうモカに声を掛ける。

 

「モカー、今から夕飯作るからちょっと待っててねー?」

「りょーかいです~。その間、あたしはガサ入れでもしてますね~」

「うん。止めてね?」

「冗談ですって……そんな事、しませんよ~。ちぇー……超残念

 

モカがそんな事をしない事を祈りつつ、私は夕飯を作るため、キッチンに向かった。

私の家のキッチンには先ず……ファーストフード店でポテト等を揚げる2槽式のフライヤーが存在する。

ファーストフード店でバイトするにあたり、練習用にと導入して貰ったものである。

尚、これで私だけではなく彩、花音、ひまり、巴も練習している。

氷川姉妹が泊まりに来た時に『ピラミッド盛りポテト』を作る時になど重宝している。

フライヤーを起動させ、油温を高温で保たせる。

その間に手早く下準備だ。

と、言っても昨日の夜のうちにこうなると予測して粗方の下準備は終えてある。

今日のメインは……ビーフシチューだ。

先ず、昨日のうちに食べやすい大きさに切っておいた肉と野菜。これをフライパンで炒めていく。

その前に肉に塩、胡椒を塗しておくのを忘れない。

油をひいたフライパンで肉を焼いて、その後、人参、玉ねぎ、マッシュルームを加えさらに軽く炒める。

塩、胡椒をしたら炒めたものを電気圧力鍋に移していく。

圧力調理は20分程かかるのでその間にポテトを揚げようか。

私は冷凍庫から冷凍のポテトの袋を取り出す。モカだし……2袋でいいかな。因みに氷川姉妹が揃うと5袋くらいだ。

この冷凍ポテトは予めセミフライ加工がされている。これを使う事で2度揚げされたファーストフード店のあのポテトが出来上がるのだ。

ポテトを揚げている間にキャベツと卵でミモザサラダを作る。

丁度サラダを作り終えたところでビーフシチューの圧力調理が終了し、蓋を開けて自家製のデミグラスソースとケチャップ、砂糖、醤油を加え、ジャガイモを投入し、煮込みモードにセットして更に20分煮込む。

ポテトが揚がったので横のスペースにポテトを移し、調味に入る。

調味を終えて器に移した後にこれまた自家製のバケットを軽くトーストする。

 

「おぉ……超美味しそうそうですなぁ」

「もうちょっとでできるから待っててね?」

「あいあいさー(`・ω・´)ゞ」

 

モカが匂いに釣られてキッチンに顔を出した。

私はそのモカにダイニングで待ってるように促した。

ビーフシチューの煮込みが終了し、器に盛ってブロッコリーと茹で卵を輪切りにした物を添える。

バケットとポテトとサラダを器に盛ってダイニングに配膳する。

 

こうして私とモカ、2人っきりの夕食が始まった。

モカは私の作った料理を満面の笑みで頬張っていた。

この笑顔見ると作り手冥利に尽きるもんだ。

 

夕食が終わりかけに私は作っておいたレアチーズケーキをデザートとして配膳した。

モカはすんごい食べっぷりだ。

 

「すんごい食べっぷりだね、モカ」

「当たり前ですって~。これはおねーちゃんもハマるのも納得ですよ~」

「アハハ……ほのちゃんもすんごい食べっぷりだったねぇ……」

「いやぁ……それでも程でもないですよ~」

「褒めてないんだけどね……」

「本当にそれ程美味しいんですよ~」

「そっか」

「それでですね~、亜麻音先輩」

「何?」

「有るんですよね?あたしの誕生日プレゼント」

「まぁね……。はい。喜んでくれるといいんだけど」

 

私はラッピングされた小箱をモカに渡した。

 

「ありがとうございます~。開けてもいいですか?」

「良いわよ」

 

モカは私の了承を得てプレゼントの箱を開封した。

そこには月の意匠のシルバーアクセサリー……イヤリング、ネックレス、リングが入っていた。

 

「わわ、こんな高い物良いんですか!?」

「まぁ……明かすとね、それ全部さ、私の手作りなんだ」

「え!?これ全部ですか!?」

「ええ。最近はシルバーアクセサリー作るのに嵌っててね?それで作ってみたの」

「凄いじゃないですか~。お店に売っているのと遜色無いじゃないですか~」

「そう?そう言ってくれると嬉しいわ」

 

モカは結構喜んでくれたようだ。良かった、良かった。

その後、食器の片付けを済ませて、モカと2人で入浴となった。

 

……結論、私とモカはめっちゃ乳繰り合った。

もう……なんなん。ほのちゃんと言い、モカと言いさぁ……あの姉妹は。

隙あらば私の身体を堪能しかかるかなぁ!?

こういう所は姉妹なんだなって納得したよ。正直嫌なんだけどさ。

 

それによってすっかり逆上せたモカを私は介抱しておいた。

モカをベッドに寝させておき、私は自室から書斎に移った。

 

暫く私は書斎でマネージャー関係の書類仕事を行っていた。

一段落付いたので、モカの様子を見に行った。

ベッドには寝ていたハズのモカが居なかった。

 

「……何処に行ったのかしら」

 

私はモカを探しに行くことにした。

まぁ……大体解るんだけどね。

私はテラスに向かった。無論、飲み物を用意して。

 

「モカ……やっぱり此処に居たのね」

「あっ……亜麻音先輩。さっきはありがとうございました~」

「気にしないで良いのよ。はい。温かい物どうぞ」

「あ、温かい物どうもです~」

 

モカは私からホットキャラメルを受け取った。

 

「亜麻音先輩~」

「ん?どうしたの?」

「星が……綺麗ですね~」

「あぁ……そうね」

「ホントに毎日この星空を眺められるのって羨ましいですよ~」

「へぇ……モカって天体観測とか興味あったんだ……」

「あ~……もしかして亜麻音先輩、あたしがそういうの興味ないって思ってます~??」

「……ゴメン」

「まぁ……別に構いませんよ。そう思われても仕方がないですし」

「そう……」

 

私とモカは暫くホットキャラメル片手に満天の星空の下で雑談していたのだった。

大分、涼しくなってきていたので夜は冷えるのだ。

そう思った私達は部屋に戻る事にした。

 

「亜麻音先輩……」

「ん……?どうしたの」

「直球で言いますね」

「ええ」

「亜麻音先輩、大好きです」

「……………………ふぇ~~~~~っっっ。な、何言ってんの/////」

「あらら。完全にオーバーヒートしちゃってますねぇ……」

「も、モカが変な事言うからじゃにゃい!」

「おろろ?此処で噛むとか余っ程動揺してます~??」

「そ、そんな事にゃい!!」

「そうですか……。それでは私は先に戻ってますね~」

 

モカが先に部屋に戻っていく。

私は一人テラスに残って、先程のモカの告白の動揺が冷めておらず、滅茶苦茶恥ずかしさや何やらで悶えていたのだった。

それから解る通り、私は一睡もその夜は出来ずじまいだったのだった。

 

翌朝、私は眼の下にクマをたっぷり蓄えて、洗面場でモカと出くわした。

モカも何故か私と同じく私は眼の下にクマをたっぷり蓄えていた。

そこで私とモカは御互いに昨夜の事が脳内にフラッシュバックした。

その結果、私とモカは急速に赤面して御互いに目を合わせる事が出来なかった。

 

それは以降も暫く続いて、蘭達に詰め寄られる事になったのだった。

特にほのちゃん……帆乃花の言及が酷くてひと悶着あったのは全くを持っての余談である。

 

END

 

 

 

 




如何だったでしょうか。
初の誕生日短編でした。
何とか遅刻組にならんくて良かったわ。

ここで書いてて思うのが、亜麻音先輩、ピュアすぎん?
そんな所も可愛いんですけどね。

さておきまして、なんとここでモカちゃんがラバーズ入りしました。
ドンドン百合に加速していく。
ドウシテコウナッタ。
全く意図してないのにねぇ!

次回は本編投稿になると思いますのでお楽しみに。
それではまた次回お会いしましょう。
ではでは。


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Rhythm 003 あるこーる・ぱにっく

お久しぶりです。
なんかぽっと浮かんだんで書いてみました。
それではどうぞ。


冬も深まってきたある日のこと。私、御神亜麻音は自宅のリビングのコタツで蕩けていた。

今日は日曜日だからバイトも全オフなわけで、しかも女優とアイドルの仕事もオフ日である。

大抵の場合、こういう仕事は土日などの休日に地方ロケとかがあって、現に彩達、Pastel✽Palettesの面々は今日は地方ロケで県外に居る筈だ。

……で、あればチーフマネージャーたる私が同行すべきなのだが、制約上それができないのだ。故に今日のロケはさーくん……盛谷颯樹が同行している。

その理由は、私の母さんが紗夜達と作り上げた『休日包囲網』にある。この内容は至って簡単。

 

『日曜日のバイトは全て禁止。絶対に休め』

 

である。

全くもって不服で、内職でもしたいくらいだ。ぶっちゃけ、何もしないって意外にストレスに感じる次第である。

 

「アマネ……どんだけ仕事脳なのよ」

「習性というか無意識レベルまでにはある」

「もうそれ、病気の域に達してるじゃない」

 

私と同じくコタツに入って蕩けていたちゆに呆れられた。

彼女の名前は珠出ちゆ。春先にあった『Pastel✽Palettes&Sublimatum Re:Birth_Live』の開催後に出会ったプロデューサー兼DJ.である。

彼女はあのライブのあとに何故か私に弟子入りを志望してきた。私が教えられる事なんてそうそうないと思うのだが、特に断る理由も無かったので引き受けることになった。

その直後に彼女の住むマンションが大規模な改修工事に入る事になり、その間の住居が無くなった為に私の家に同居する事になったのだ。

無論、本人には恋愛感情とかないであろう。

 

「……当たり前じゃない。ワタシにそんな趣味はないわよ」

「…………私、声に出してないのに何故に解るのよ」

「顔に書いてあったわよ」

「さいですか……」

「まぁ、私としてはそれが亜麻音さんの良い所でもありますけど」

 

………………???

私の気のせいかなぁ?

そう思った私は空席で有るはずのコタツの一角を見る。

そこにはコタツに入って蕩けていた鳰原令王那の姿があった。

 

「「令王那(パレオ)、何時からそこに!!??」」

 

声を大にして突っ込んだ私とちゆは悪くない。

 

「え、今さっきですよぉ~。寒い日にはおこたが一番ですよねぇ~」

 

『さっき』ってどうやって入ったんだよ。施錠してたのに。

 

「勿論、合鍵に決まってるじゃないですか♪」

「私、令王那に渡した覚えないんだが」

「心音さんにお会いした時、二つ返事で作ってくれましたよ♪」

「あの人かよ…………」

「ワタシはもう何もツッこまないわよ…………」

 

令王那の返答にげんなりする私とちゆ。

心音さん……弦巻心音さんならやりかねない。というか、その模様が容易と想像できる。

心音さんの苗字が『弦巻』と聞いて察するだろうが、ハロハピのVo.である弦巻こころの母親である。

また心音さんは私の母親、御神鈴音の妹であり私の叔母にあたる人物である。

心音さんの性格は『あの母有りきの娘』と言っても過言じゃない程のぶっ飛びっぷりである。

あの人自身、病弱であるにも関わらず娘以上のトラブルメイカーでもある。

それは私の母さんが胃薬を常備せざるを得ない状況のみならず、娘のこころがツッコミに回る程である。

 

「で、令王那は今日どうしたのよ」

「それは勿論、今日から此処で泊めて欲しいなと」

「昨日から学校は冬休みだから?」

「はい!」

「両親は反対しなかったの?」

「『正月とかの年末年始は忙しいから寧ろ、助かる!』と」

「…………さいですか」

 

これ以上の言及を諦めた私である。これ以上は沼な気がすると判断したからだ。

それから、私達はテレビを見たり、雑談したり、ミカン食べたり、ジャーキーをつまんだりしてた。

途中で私が内職を始めようとしてそれをちゆと令王那に止められてひと悶着あったのは余談である。

なので、暇を持て余した私は羊毛フェルトとか編み物に勤しんでいた。

 

「姉様ーっ!!遊びに来たわよー!!」

「ちょっと、こころ!?勝手に入っちゃダメだって!!」

 

暫く経った頃、こころと美咲が遊びに来た。

 

「あー、いらっしゃい。こころ、美咲」

「えっ、スルーした!?結構、驚くハズなんだけど」

「どうせ、心音さんから合鍵貰ってるんでしょ」

「ええ、その通りよ!よく解ったわね、姉様」

「まぁ……ねぇ、前例がある訳だし」

 

そう言って私の視線は令王那の方に向いてそれに気付いた令王那は目を逸らしていた。

 

「ミサキ、大体理由は察せたかしら?」

「あー、うん。大体解った。亜麻音先輩も苦労してるね」

「その原因もココネ・ツルマキが原因らしいけど」

「母様が原因なのね……」

 

それを聞いたこころはシュンとしていた。

こころは気にしなくてもいいのに。心音さんが反省すべきなんですよ。まぁ、ムリだけど。

 

「あのー……亜麻音先輩?」

「……??どうしたの、美咲」

「……なんですか、その編みぐるみの数は」

「あぁ……ヒマだったから」

「もう、個人が作る量超えてますよね」

「確かにコレは多すぎるわね」

 

美咲のツッコミにちゆが賛同する。

それもそのはず。今、私の背後には羊毛フェルトで作ったマスコットやら、毛糸の編みぐるみやら、マフラーやら手袋やらが山積みになっていた。

我ながらよく作ったもんだ。

 

「あー……こんなに作ったんだ」

「またアマネは無意識・無自覚で作ってたのね……」

「それでこの量って……」

「アハハ……やっちゃった(ゝω・)テヘペロ」

「「「「………………」」」」

 

一瞬にして起こる静寂

誰かリアクションしてよ。こころまでこういうリアクションなの!?

すっごく心が抉られるんだけど!

 

「皆の分の珈琲淹れてくるわ」

 

私はその場から逃げるようにキッチンに向かうのだった。

皆の分の珈琲を淹れて私がリビングに戻ると……

 

そこにはコタツに突っ伏すちゆ。

こころを抱き締めてる美咲。

美咲の抱き枕にされて涙目のこころ。

令王那の姿は……私に抱き着いている。

 

…………ナニガアッタンダロウネー(現実逃避)

リビングにある別のテーブルに珈琲が載った盆を置く。

 

「えっと……こころ、一体何があったの?」

「それが……皆で母様から貰ったお菓子を食べたらこうなったの」

 

こころに理由を聞くと心音さんから貰ったお菓子を食べたらこうなったらしい。

私は開封した箱のお菓子を確認する。

 

そのお菓子は『ガトーノア』だった。

『ガトー』とはフランス語で『焼き菓子』、『ノア』とは『胡桃』を指す。

つまりはフランスで食される『胡桃の焼き菓子』である。

材料は、卵・粉糖・ハチミツ・強力粉・コーンスターチ・ベーキングパウダー・無塩バター・ラム酒・胡桃……である。

 

お解かりいただけただろうか?

それでは正解発表である。

 

「あー……ラム酒で酔っ払ったのね」

「え?『ラム酒』??どういうことなの、姉様?」

「こころ、このお菓子にはラム酒が含まれてるのよ」

「え、でもあたしも食べたけれど何とも無かったわよ?」

「私とかこころは食べ慣れてるし耐性が有るんでしょうね」

 

私は淡々と自分の立てた仮説を述べていく。無論、現状は無視で。

 

「あのー……姉様?」

「どうしたの、こころ?」

「この状況、突っ込まないの?」

「ツッコミしたって何も変わらないでしょ」

「こころぉー♪」

「亜麻音おねーちゃん♪♪」

 

そう、こころは美咲に……そして私は令王那に絶賛絡まれ中である。

酔ってるせいか頭のネジが……というか理性が吹っ飛んでやがる。

 

「……どうしたらいいの、姉様」

「取り敢えず、撫でとけ。大人しくなるでしょ」

「……解ったわ」

 

取り敢えず私とこころは令王那&美咲(酔っ払い)を撫でることにする。

ナデナデしてると凄く御満悦な表情を見せてスリスリしてくる。

 

「「むふー♫♫」」スリスリ(〃'ω'人'ω'〃)スリスリ

 

うわぁ……もう普段の二人からは想像できないわ。

 

「姉様……美咲と令王那、どうしてこうなったのかしら?」

「多分だけど、酔って理性のタガが外れて秘めてる欲望がダダ漏れしてるんじゃない?」

「そういうことなのね……で、どうするの?」

「うーん……そのままさせたいようにさせときましょ。暫くしたら熟睡するだろうし」

「そうね。姉様の言う方法が一番良いかもしれないわね」

 

こうして私とこころは令王那&美咲(酔っ払い)にされるがままにしていた。

抵抗とかは……極力してない。胸とか触られた時くらいだよ。

こころは高頻度で美咲にセクハラされそうになってるのでもう涙目だった。

私に助けを求めるが、その度に美咲は私に威嚇していた。

それを察知した令王那が美咲に威嚇する状況が発生。

 

ハッキリ言おう。誰か何とかして。

マジでカオスな状態である。どうすればいいの、コレ。

 

「姉様……」

「撫でるか」

 

私とこころは全力で令王那&美咲(酔っ払い)を撫でる事にした。

そうしていると令王那&美咲(酔っ払い)は大人しくなって何時の間にか規則正しい寝息が聞こえてきた。

 

「ようやく……かぁ」

「そうね、姉様……」

「「寝てくれたか、令王那(美咲)」」

「「疲れたわぁ……」」

 

私とこころは歓喜で抱き合っていた。今の私達には底知れぬ達成感があったのは確かである。

 

「こころ、珈琲飲む?」

「ええ。戴くわ。 あたし、疲れたから落ち着きたいわ」

「奇遇ね。私もよ」

 

私とこころは令王那&美咲(酔っ払い)を起こさないように移動し、静かに珈琲タイムを堪能するのだった。

 

この後、酔いが残っていたちゆが目覚めて幼児退行を起こして一波乱が起きるのは別の話。

更にその後、目覚めて酔いが醒めた令王那と美咲を宥めるのに私とこころが物凄く苦労するのは別の話。

そして同時刻にその事実がバレて心音さんに母さんのOHANASHIが執行されたのは全くの余談である。

 

そして、その夜に母娘揃って胃薬を服用する事になるのは関係のない余談である。

 

Fin.

 

 

 

 

 

 

 

 




久々に書いた番外編。
なんだこれ、カオスか()

とか言いつつもこれ書いてる時はサクサク進んだね。
要望があればこのシリーズをキャラ変えて続くかもね


次の投稿は未定ですがお待ちくださいませ。
ではでは。


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Rhythm 004 あるこーる・ぱにっくⅡ

2021年初投稿がここから。

そしてまさかのシリーズ化

それではどうぞ


新年も明けて暫くした日の日曜日。

私は今日もコタツで蕩けていた。

お察しのとおり、ここ最近の休日は確実にコタツで蕩けている。

もう、冬場でコタツの無い生活は考えられないほどのレベルまでにある。その事に後悔や反省は微塵にも無い。

何時もだったらコタツには同居人のちゆ、令王那が居たりするのだが今日はRASのライブがある為に不在。

最近の出来事といえば、母さんと令王那の両親の話し合いによって、令王那がウチの同居人になったのは些細な事なのでスルーしておこう。

そして、RASのマネージャーでさーくん……盛谷颯樹が同行している。

最初は私が名乗り出たのだが、全員に反対された。解せぬ。

そんなこんなで私は今日はコタツ待機となっている。

 

そして今日のコタツの住人は彩・ちーちゃん・イヴ・日菜である。

私達は各々好きな事やっている……というか、私以外全員NFOやってるんだけどな。

この前、仕事絡みでプレイを始めた彩・ちーちゃん・イヴはどうやら、ドップリと沼に嵌ったらしい。

のめり込み過ぎなければ問題ないので、私的にどうでもいいのである。

 

そして、私はというと……ヒマつぶしにテディベアを大量生産していた。

その量はまたしてもというか、何時も通りに個人制作の量を超越しており、山積みだ。

……こいつらはプレゼント企画に回すか。

そう思った私は山積みのテディベアをスマホで撮影し、Twi●terにツイートを載せることに。

 

「えーっと……これでいいかな」

 

私は

 

『気付いたら山積みになっちゃったので、再びあの企画したいと思います。応募の方はリプしてくださいね。締切は今度の水曜日です。 ♯プレゼント企画 』

 

と投稿した。

そしたら、その数秒後には通知が凄い事になってた。

毎週のようにこの企画やってるけど……ってか、前回の企画は昨日だったんだけど凄い応募数だわ。

キッチリ貰い手が見つかるのはありがたいことなんだけどさ。

そのうち、こういう手芸系の仕事が舞い込んできそうな気はある。

あー……、ちょっと眠くなってきた。コタツで考え事してたせいかな。

こういう時は無理しない方が良いよね。うん。

私はそのまま横になって睡眠をとることにした。

 

 

 

 

暫くして私が目が覚ますと……違うわ。起こされました。

誰かが寝ている私に突撃かましたらしい。

 

「アマネさんはあったかいのでずっとこうしてたいです♪」

 

その人物はイヴだった。メッチャ、スリスリ(〃'ω'人'ω'〃)スリスリしてくるんですけど。

何があったんだよ……私の眠ってる間にさ。

 

「あっ……起きちゃったんだね。亜麻音ちゃん」

「あんな突撃されれば誰でも起きるわ」

「だよねー……って、千聖ちゃん!?何処触ってるの!?」

 

彩に状況説明求めたら、ちーちゃんが彩に凄い甘えてた。

普段のちーちゃんは行方不明になったのだろうか。

 

「えへへー、()()()()はいっつも暖かいし最高よねー♪」

 

超ご満悦なご様子のちーちゃんなんだけどさ……うん。

今、彩の事をどう呼んだよ。『ダーリン』!?

それって……さーくんの事だよね!?もしかしなくとも。

 

「ちょっと、千聖ちゃん!? 私は颯樹君じゃないんだけど!?」

 

彩はそう言ってちーちゃんを引き剥がそうとしていた。

だが、必死に抵抗するちーちゃん。余計に抱き締める力が強くなってる気がする。

このままでは拙い。彩が骨折してしまうかもしれん。そうなっては、色々と支障が出てしまう。

そう思った私は1/1スケールのさーくんヌイグルミを彩とちーちゃんの間に挟んだ。

するとちーちゃんはヌイグルミにコアラのように抱きついてご満悦になっていた。

 

 

「……これで暫くは大丈夫かしらね」

「あ、亜麻音ちゃん、いつのまにそんな物を……」

「気紛れで作ったのよ。つか、無意識」

「深くは触れないほうが良いよね」

「その方が良いわね……彩、状況説明」

「亜麻音ちゃんが寝ている間に日菜ちゃんが持ってきた烏龍茶を飲んだらこうなっちゃったの」

 

私の分が飲まれずに残ってたので、少し飲んでみる。

 

…………酒じゃねぇか。これ、ウーロンハイだ。

って事はちーちゃんとイヴは酔っ払ってるな。完全に。

 

「彩は大丈夫なの? 彩も飲んでるんでしょ?」

「うん……。今のところは」

「成程ね……で、日菜(はんにん)は何処にいるのかしら?」

「えっと、さっきまで彼処に……って、居ない!? 逃げちゃったの!?」

「……処すか。イヴ、悪いけど離れてくれない?」

「イヤですっ!」

 

日菜を処す為に抱きついてるイヴに離れてくれる様に私は懇願したが拒否された。

『あまねちゃん Mk.Ⅶ』という名の私の1/1スケールのヌイグルミを試すも失敗に終わった。

此処で時間をかけると日菜が完全逃亡してしまうので……

 

「イヴ、しっかりと掴まってなよ? 振り落とすかもしれないから」

「わかりました♪」

 

イヴを引き剥がす事を諦めてそのまま日菜を処す事にした。

イヴは離さまいとガッチリと私の背後でホールドしている。それ故か偶に首が絞められているんだが。

このままでは窒息もありうるからさっさと終わらせる事にしよう。

 

 

 

日菜のOHANASHIという名のOSHIOKI目的のSHOKEIを終わらせた私がリビングに戻ると……突貫された。

私はなんとか右手で受け止めた。

 

「……安定かよ」

 

私はクソデカ溜息をついた。

突貫してきたのは彩である。

本気で私は言いたいよ。

 

ブルータス(あや)、お前もか』

 

と。

まさか、彩までこうなるのか。

もうちょっと違う方向で酔って欲しかったなぁ。出来れば笑い上戸で勝手に笑ってればよかったのに。

そうすれば完全放置で私の負担が減るというのに。

まさかのイヴ、ちーちゃんと同じく『絡み上戸+抱き締め上戸』だったか。

っていうか……美咲といい、令王那といい、多くね?

残りのメンバーもそうな予感がするしマジで怖い。

 

あっ……そうだ。早いとこさーくんに連絡しとこ。

私はさーくんに早急に連絡を入れるのだった。

 

「もしもし、さーくん? 今大丈夫?」

『その声、あーちゃん? うん。今終わったところだし大丈夫だけど……』

「あぁ……助かった」

『えっ!? どういう事なの!? 何があったのさ!?』

「ちーちゃん酔った。早急に引き取り」

『本当にどういう事……解った。なるべく早くそっちに行くから』

「うん。 マジで頼む」

 

よし、連絡は終わった。

もうそろそろ……「あーちゃん、私のダーリンを出しなさい!」

来ると思ったわ。

 

「居ないぞ。此処には」

「嘘はいけないわ。あーちゃんが隠してるんでしょ!」

「隠して何の得になるんだよ」

「それは私の知らないところで〇〇〇〇(ピー)を熱した✖✖✖✖(ダダダダ)で無理矢理に△△△△(ピヨピヨ)する事によって、◇◇◇◇(バーン)が次の瞬間には✽✽✽✽(カーン)と化して、それに伴って連鎖的に□□□□(ぽよよよ)まで☆☆☆☆(ででーん)になるという惨劇が起こして更には―――(以下自粛(見せらんないよ!))とかヤっちゃうんでしょ!」

 

ちーちゃんは羅列がまともな割に思考回路は壊れていやがったわ。

つか、芸能人が放送禁止用語並べてんじゃないよ。

 

「やらねぇから。 したら私の未来が深淵の闇だわ」

 

私は必死に頭痛を堪えつつ突っ込ませてもらった。

幾ら相手が酔ってるからって、コレだけは否定させてもらおう。

 

「むぅ~~~~~~」

「むむむむ……………」

 

私とちーちゃんの遣り取りを見て不服そうなあやイヴ。

 

「……どうしたのよ、二人共」

 

私が恐る恐る聞く。

 

「「千聖ちゃん(チサトさん)、ズルいよ(です)!! 亜麻音ちゃん(アマネさん)とイチャコラして!!」」

 

想像以上にぶっ飛んだ返答だった。誰もイチャコラなんてしてないんだが。

 

「あら、悔しいの? だったら奪い返してみればいいじゃない♪」

 

ちょままっ!? なんで煽るんだよ、ちーちゃん!?……なんか予想通りの答えしか帰ってこない気がする。

 

「「「宜しい。 ならば戦争だ」」」

 

や っ ぱ り か 。

勝手に人の家で戦争始めんな。

そして、そのペンダント取り出すな!! 私の住む家がなくなってこころのお世話(弦巻家の居候)になっちゃうから!!

 

「やめんか。酔っ払い共」

 

私はイヴにはデコピンを、彩にはチョップを、ちーちゃんには腹パンをお見舞いした。

ちーちゃんにはさっさと沈んで欲しかったのでこの処置である。これ以上波乱を呼んで欲しくないからである。

 

「アマネさん!」

「どうしたの、イヴ?」

「私の頭を撫でてください!」

「あーっ、イヴちゃんズルい! 私も!!」

 

そう言って私に勢いよくダイブをするあやイヴ。

私は受け止めてコタツに座ったあとに2人を両膝に寝させる。

そして暫く2人の頭を撫でていた。

10分後……彩の方から規則正しい寝息が聞こえてきた。

酔いが回って落ちたか……。私はイヴをゆっくり引き剥がす。

イヴが気付くのも時間の問題だ。迅速に行わねば。

私は素早く彩をお姫様抱っこして自室のベッドに運び、寝させた。

寝させた後は即座にリビングに戻る。

リビングに戻った私を迎えたのは不満顔のイヴだった。

 

「ふぁっ!? なんで、そ、そ、そんな格好してんのぉ!?」

 

私の第一声がこれである。そりゃそうだよ。

イヴは何故か上半身が……は、裸だった。

夢か幻想魅せられてるのかと思ったが間違いなく現実だ。

思考が追いつかないや……。

 

「アマネさん!! 私、とても寒いです!」

「当たり前だよ!! 服を着なさいよ!!」

 

イヴの言葉に突っ込んだ私は悪くない。

 

「私、アマネさんの温もりを直に感じたいですっ!」

「えっ、ちょままぁっ!?」

 

先程から有咲のアイデンティティー奪ってる気がするがそんなの些事である。

そりゃそうだよ。 ……だって、服脱がされてイヴに押し倒されてるんだもの。

抵抗? 許してくれなかったよ。 もうされるがままだったよ。

内容は聞かないで欲しい。マジで。

 

 

 

暫くした後にイヴから規則正しく健やかな寝息が聞こえてきた。

や、やっとかぁ~……。

イヴが眠ってくれた事に物凄く安堵する私である。

さて……さっさと服着て、後始末せねば。

そう思った時にリビングの扉が開いた。

 

 

「えっ……あ、あ、あーちゃん……??」

 

リビングの扉に居たのはさーくんだった。

 

 

さーくん(男性)+ 上半身裸の私(女性)

 

=\(^o^)/オワタ

 

 

私とさーくんは暫く思考停止してしまう。

思考が戻った私は急速に顔が真っ赤になって頭から煙が上がる。

 

「な、な、な、な、なんて格好してんのさぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」

「の、ノックしてから入ってきなさいよぉぉぉぉっっっ!!」

 

二人の絶叫が響きあった。

そして、その直後に服を着た私とさーくんで地獄の追いかけっこが開幕した。

それはもう、3時間くらいい続いたそうな。

そしてその後に帰宅した令王那に慰めてもらう私という光景が爆誕したのであった。

 

 

多分続かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




で、できたけどさ……。
超やり過ぎた感はある。

一応R-15タグつけてあるけど大丈夫かな、コレ。
R-18にはならへんよね……??

とは言いつつも、書いてる時は超楽しかった()
もう(・∀・)ニヤニヤが止まんねぇわ(笑)

こんな感じでもよければ御要望あれば次もありますので宜しくなの。

それではまた次回お会いしませう。
バイバイっ。


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Rhythm 005 御神邸お泊まり 薫編

今日は瀬田薫誕生日記念の短編です。


もうそろそろ年度末も近いと感じる2月28日。

 私は今日はファミレスのバイトである。相方はハロー、ハッピーワールドのギター担当の瀬田薫である。

 バイトのシフトももうそろそろ終わりそうな時だった。

 

「亜麻音、今日と明日って予定は大丈夫かい?」

「え、別に入ってないけど? どしたの」

「今日は、私にとって特別な日だから亜麻音と過ごしたいと思ってね」

「結論」

「亜麻音の家で泊まっても良いかい?」

「別に私は構わないけど」

「そうかい。良かったよ。断られなくて」

「で、薫はどうやって私の家まで行くわけ?」

「亜麻音は今日バイクで来てるのだろう?」

「察し。今日だけよ? 荷物とか持って駐車場で待ってて」

「ああ。 解ったよ」

 

私は先にウラの駐車場に行ってホンダ CBR1100XX スーパーブラックバードを始動させ、ファミレスの従業員用の入口に付ける。

薫が私からヘルメットを受け取り、それを被って私の腰に掴まって後部に座る。

 

私はバイクを発進させて一路、自宅へと走らせる。

バイクを走らせる事15分。自宅のマンションに到着した。

マンションの前で薫を降ろして私はバイクを駐輪場へと停めに行った。

 

「お待たせ。薫」

「構わないさ。仔猫ちゃんを待つのも王子の役目だからね」

「さいですか……」

 

これ以上はツッコま無いことにした私はエントランスからエレベーターで5階に上がる。

その5階のフロアの中で一際広いのが私の家である。

説明済みだが私の家はマンションを3部屋ぶち抜いている。無論、施工は弦巻家。

故に色々と部屋も多いのだ。

 

「お邪魔するよ。ああ、亜麻音先輩の家の広さには驚かされるよ」

「こころの家よりはマシでしょうに。んでどうするの、薫?」

「何がだい?」

「何って……泊まる部屋よ」

「あぁ、それなら私は亜麻音の部屋を希望するよ」

「私の部屋……??まぁ……良いけど」

 

薫の答えを聞いて私は自分の部屋に薫を案内する。

時間は丁度ティータイムだった為、そのまま雑談しつつの……突入だった。

今日の珈琲のお供はザッハトルテである。

無論、手作りであり私が薫が遊びに来た際に振舞うお馴染みの品だ。

『キャラ作り』状態での好物だったはずだからね。

……結果は今日も大好評だった。

そのティータイムの最中に同居人である令王那とちゆから今日はスタジオに泊まるからこっちには帰ってこないと連絡があり、母さんも弦巻家に泊まりなので、私と薫の二人っきりになる事が決定した。

 

「どうかしたのかい? 亜麻音」

「え、何でもないわよ。 今夜は私達以外は誰も居ない事が判明しただけよ」

「そうか。 だったら私のお願いを聞いてくれるかい、亜麻音」

「内容にもよるわね」

「ありがとう。その内容なんだが、私のありのままとして接して欲しいのさ」

「……要はそのキャラなしで昔みたいに接して欲しいと?」

「うん。良い……かな?」

「それくらい問題ないわよ。 かおちゃん」

「あ、ありがとう……あーちゃん」

 

その会話の後も私とかおちゃんは昔みたいに会話に花を咲かせていた。

暫くして私は夕飯を作るため、キッチンに向かった。

私が調理を開始して暫くした頃だった。

 

「もうちょっとでできるから待っててね?」

「うん。楽しみにしてる」

 

かおちゃんがキッチンに顔を出した。

私はかおちゃんにダイニングで待ってるように促した。

今日のメニューは和食だ。

お雑煮(岩手風)と胡桃餅だ。それと法蓮草のお浸しである。

誕生日のメニューとしては些か地味なものではある。

だが、かおちゃんの好物が雑煮なので問題はない。

私とかおちゃん、2人っきりの夕食が始まった。

かおちゃんは私の作った料理を満面の笑みで頬張っていた。

この笑顔見ると作り手冥利に尽きるものだ。

 

夕食が終わりかけに私は作っておいた蜜豆をデザートとして配膳した。

かおちゃんは頬を緩ませながら食べてくれた。

 

「あーちゃん」

「どしたの、かおちゃん」

「今日はありがとね。このご飯凄く美味しいよ」

「そう言ってくれると嬉しいわ。かおちゃん」

「ねぇ、あーちゃん」

「何?」

「有るんだよね?私の誕生日プレゼント……」

「勿論。はい。喜んでくれるといいんだけど」

 

私はラッピングされた小箱をかおちゃんに渡した。

 

「ありがとう。開けてもいい?」

「良いよ」

 

かおちゃんは私の了承を得てプレゼントの箱を開封した。

そこには星の意匠のシルバーアクセサリー……イヤリング、ネックレス、リングが入っていた。

 

「わぁ……今年も良いの?」

「良いわよ。かおちゃん似合うと良いんだけど」

「ねぇ、付けてみても良い?」

「うん」

「わぁ……凄い……私にピッタリだよ!!」

「そう?そう言ってくれると嬉しいわ」

 

かおちゃんは結構喜んでくれたようだ。良かった、良かった。

その後、食器の片付けを済ませて、かおちゃんと2人で入浴となった。

ここでもかおちゃんと昔話に花を咲かせた。

それによってすっかり逆上せたかおちゃんを私は介抱しておいた。

かおちゃんをベッドに寝させておき、私は自室から書斎に移った。

 

暫く私は書斎で弦巻家関係の書類仕事を行っていた。

一段落付いたので、かおちゃんの様子を見に行った。

ベッドには寝ていたハズのかおちゃんが居なかった。

 

「……何処に行ったのかしら」

 

私はかおちゃんを探しに行くことにした。

まぁ……大体解るんだけどね。

私はテラスに向かった。無論、飲み物を用意して。

 

「かおちゃん……やっぱり此処に居たのね」

「あっ……あーちゃん。さっきはありがとう」

「気にしないで良いのよ。はい。温かい物どうぞ」

「あ、ありがとう……」

 

かおちゃんは私からホットココアを受け取った。

 

「あーちゃん」

「ん?どうしたの?」

「星が……綺麗だね」

「あぁ……そうね」

「ホントに毎日この星空を眺められるのって羨ましいな」

「かおちゃん、毎回それ言ってるよね」

「だって、本当に羨ましいだもん」

「……そっか」

 

 

私とかおちゃんは暫くホットココア片手に満天の星空の下で雑談していたのだった。

季節はまだ冬。夜は冷えるのだ。

そう思った私達は部屋に戻る事にした。

 

「あーちゃん……」

「ん……?どうしたの」

「あーちゃん、大好きだよ」

「それはどっちでの意味かしら? かおちゃん」

「えっと……それは……」

「『それは』……?」

「……ぁぅ。も、もうちーちゃんみたいな事言うあーちゃんは知らないっ!!」

 

かおちゃんが先に部屋に戻っていく。

私は『揶揄いすぎたか……』と苦笑気味に反省していたのだった。

 

翌朝、私は眼の下にクマをたっぷり蓄えたかおちゃんと洗面場で出くわした。

かおちゃんは昨日の事がフラッシュバックしたらしく、必死に私と目を合わそうとしていなかった。

それは以降も暫く続いて、かおちゃんは存分にちーちゃんから揶揄われる事になり、完全敗北するのはまた別の話である。

 

END

 




今回はギリギリ間に合ったぜぇ……。
今回のお話は幼馴染の一場面でした。
改めて薫さん、お誕生日おめでとう。


それでは次回のお話でお会いしませう。
( ´・ω・`)ノ~バイバイ


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Rhythm 006 御神邸お泊まり 花音編

花音ちゃん誕生日短編です。
それではどうぞ。


 新緑の息吹が感じられる今日この頃な5月11日。

 私は今日はファーストフードのバイトである。相方はハロー、ハッピーワールドのドラム担当の松原花音である。

 バイトのシフトももうそろそろ終わりそうな時だった。

 

「亜麻音ちゃん、今日と明日って予定は大丈夫かな?」

「え、別に入ってないけど? どしたの」

「今日は、私の誕生日だから亜麻音ちゃんのお家で泊まっても良い……かな?」

「別に私は構わないけど……??」

「良かった~。断られたらどうしようと思っちゃったよ」

「花音はどうやって私の家まで行くの?」

「亜麻音ちゃんは今日バイクで来てるよね?」

「荷物とか持って駐車場で待ってて」

「うん。ありがとね」

 

 私は先にウラの駐車場に行ってホンダ CBR1100XX スーパーブラックバードを始動させ、ファーストフード店の従業員用の入口に付ける。

 花音が私からヘルメットを受け取り、それを被って私の腰に掴まって後部に座る。

 

 私はバイクを発進させて一路、自宅へと走らせる。

 バイクを走らせる事12分。自宅のマンションに到着した。

 マンションの前で花音を降ろして私はバイクを駐輪場へと停めに行った。

 

「お待たせ。花音」

「ううん。私はそんなに待ってないから大丈夫だよ」

「そっか」

 

 私達はエントランスからエレベーターで5階に上がる。その5階のフロアの中で一際広いのが私の家である。

 何度も何度も説明済みだが私の家はマンションを3部屋ぶち抜いている。無論、施工は弦巻家。それ故に色々と部屋も多いのだ。

 

「お邪魔します。わぁー……亜麻音ちゃんの家の広さには驚かされちゃうよ」

「こころの家よりはマシだと思うんだけど……。んでどうするの、花音?」

「『どうするの』……って何が?」

「何って……泊まる部屋よ」

「それなら私は亜麻音のちゃんの部屋が良いな」

「私の部屋……?? まぁ……良いけど」

 

 花音の答えを聞いて私は自分の部屋に花音を案内する。

 時間は丁度ティータイムだった為、そのまま雑談しつつの……突入だった。

 今日の紅茶のお供は苺のショートケーキである。

 無論、手作りであり私が花音が遊びに来た際に振舞うお馴染みの品の一つだ。

 ……結果は今日も大好評だった。

 そのティータイムの最中に同居人である令王那とちゆから今日はスタジオに泊まるからこっちには帰ってこないと連絡があり、母さんも弦巻家に泊まりなので、私と花音の二人っきりになる事が決定した。

 ちーちゃんに殺されないといいけど。

 

「どうかしたの? 亜麻音ちゃん」

「え、何でもないわよ。 今夜は私達以外は誰も居ない事が判明しただけよ」

「そう。 だったら私のお願いを聞いてくれる? 亜麻音ちゃん」

「内容にもよる……かな」

「ありがとうね。その内容なんだけど、私と昔みたいに接して欲しいなって」

「それくらい問題ないわよ。 かのちゃん」

「あ、ありがとう……あーちゃんっ」

 

 その会話の後も私とかのちゃんは昔みたいに会話に花を咲かせていた。

 暫くして私は夕飯を作るため、キッチンに向かった。

 私が調理を開始して暫くした頃だった。

 

「もうちょっとでできるから待っててね?」

「うん。楽しみにしてるね」

 

 かのちゃんがキッチンに顔を出した。

 私はかのちゃんにダイニングで待ってるように促した。

 今日のメニューは洋食だ。

 牛肉の洋風煮物、プチトマトのツナ詰めである。

 

 私とかのちゃん、2人っきりの夕食が始まった。

 かのちゃんは私の作った料理を満面の笑みで舌鼓をうっていた。

 この笑顔見ると作り手冥利に尽きるものだ。あと、癒される。

 

 夕食が終わりかけに私は作っておいた抹茶のティラミスをデザートとして配膳した。

 かおちゃんは頬を緩ませながら食べてくれた。

 

「あーちゃん」

「どしたの、かのちゃん」

「今日はありがとね。このご飯凄く美味しいよ」

「そう言ってくれると嬉しいわ。かのちゃん」

「ねぇ、あーちゃん」

「何?」

「有るんだよね? 私の誕生日プレゼント……」

「勿論。はい。喜んでくれるといいんだけど」

 

 私はラッピングされた小箱をかのちゃんに渡した。

 

「ありがとう。開けてもいい?」

「良いよ」

 

 かのちゃんは私の了承を得てプレゼントの箱を開封した。

 そこにはクラゲの意匠のシルバーアクセサリー……イヤリング、ネックレス、リングが入っていた。

 

「わぁ……良いの?」

「良いわよ。かのちゃん似合うと良いんだけど」

「ねぇ、付けてみても良い?」

「うん」

「わぁ……凄い……私にピッタリだよ!!」

「そう? そう言ってくれると嬉しいわ」

 

 かのちゃんは結構喜んでくれたようだ。良かった、良かった。

 その後、食器の片付けを済ませて、かのちゃんと2人で入浴となった。

 ここでもかのちゃんと昔話に花を咲かせた。

 それによってすっかり逆上せたかのちゃんを私は苦笑いしつつも介抱しておいた。

 疚しい気持ちなんてある訳無いだろう。幼馴染に欲情してどうするんだって話よ。

 ……従姉妹(こころ)だったらヤバイかもだけど。

 かのちゃんをベッドに寝させておき、私は自室から書斎に移った。

 

 暫く私は書斎で次のライブ関係の書類仕事を行っていた。

 一段落付いたので、かのちゃんの様子を見に行った。

 ベッドには寝ていたハズのかのちゃんが居なかった。

 

「……何処に行ったのかしら」

 

 私はかのちゃんを探しに行くことにした。

 まぁ……大体解るんだけどね。

 私はテラスに向かった。無論、飲み物を用意して。

 

「かのちゃん……やっぱり此処に居たのね」

「あっ……あーちゃん。さっきはありがとう」

「気にしないで良いのよ。はい。温かい物どうぞ」

「あ、ありがとう……」

 

 かおちゃんは私からホットミルクティーを受け取った。

 

「あーちゃん」

「ん? どうしたの?」

「星が……綺麗だね」

「あぁ……そうね」

「ホントに毎日この星空を眺められるのって羨ましいな」

「かのちゃんもそれ言うんだ」

「だって、本当に羨ましいって思うだもん」

「……そっか」

 

 

 私とかおちゃんは暫くホットミルクティー片手に満天の星空の下で雑談していたのだった。

 季節は春。……とはいえど、夜はまだ肌寒くはある。故に冷えるのだ。

 そう思った私達は部屋に戻る事にした。

 

「あーちゃん……」

「ん……? どうしたの」

「あーちゃん、大好きだよ」

「それはどっちでの意味かしら? かのちゃん」

「えっと……それは……どっちも……かな?」

 

 そう言ったかのちゃんが先に部屋に戻っていく。

 私はその時の笑顔に虚を突かれ、その場で呆然と立ち尽くしていた。

 

 翌朝。

 私は眼の下にクマをたっぷり蓄え、かのちゃんと洗面場で出くわした。

 昨日のかのちゃんとの出来事がフラッシュバックした私は必死にかのちゃんから目を逸らしていた。

 いきなり私に目を逸らされるものだから当然のごとく、戸惑うかのちゃん。

 これを運悪くちーちゃんに見られて私はOHANASHIされたのであった。

 そしてこの後の出来事で暫く私は寝不足が続くのは別の話である。

 

 END

 

 




如何だったでしょうか。
間に合ってよかった。マジでよ。

花音ちゃんにもやられる亜麻音ちゃんでした。
次は誰にやられるんでしょうね?


それを楽しみしてくれると嬉しいかな?
次の更新は翌日なのですよ。

それではまた次回。
( ´・ω・`)ノ~バイバイっ


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Rhythm 007 御神邸お泊まり ますき編

昨日に続いての投稿は誕生日短編恒例のお泊まりシリーズです。


「なぁ……リーダー、ちょっとあたしのお願い聞いてくれねぇか?」

 

 5月12日の昼下がり。

 今日もSublimatumの練習が行われ、その練習後。

 私はドラム担当のマスキング……ますきに話しかけられた。

 

「お願い…………? 良いけど。何?」

 

 私はますきのお願いの内容を尋ねた。

 

「あのさ……今日ってあたしの誕生日だろ? だからさ……今日はリーダーの家に泊めてくれねぇかな……って、思ってさ」

「今日は母さんも父さんも居ないし別に構わないけど。ますきは大丈夫なの?」

「『大丈夫』って何がだ……?」

「両親の許可よ。特に親父さんの」

「あぁ……それなら問題はねぇ。それに準備もバッチリだ」

「早いな……。んじゃ、駐車場で待ってて。私は戸締りとかあるし」

「おう」

 

 ますきはカバンを持って駐車場に向かっていった。

 さて、私も早めに合流しますか……。

 私はスタジオの戸締まりとダブルチェックを済ませ、駐車場に向かった。

 

 駐車場でますきと合流し、それぞれのバイクに跨ってスタジオを後にする。

 

 暫くバイクを走らせ、私達はバイクを発進させて一路、自宅へと走らせる。

 バイクを走らせる事15分。自宅のマンションに到着した。

 駐輪場でバイクを停め、施錠等キッチリ行う。

 

「お待たせ。ますき」

「そんなに待ってないし、気にすんなって」

「そう? じゃあ、行きましょ?」

「だな」

 

 エントランスからエレベーターで5階に上がる。

 その5階のフロアの中で一際広いのが私の家である。

 なんと、私の家はマンションを3部屋ぶち抜いている故に色々と部屋も多いのだ。無論、施工は弦巻家である。

 

「邪魔すんぜ。…………相変わらず広いな、リーダーの家」

「アハハ……毎回言われる。んでどうするの、ますき?」

「あん? 何がだ?」

「何って……泊まる部屋よ」

「あー……それなら、あたしはリーダーの部屋が良いけど…………ダメか?」

「へ、私の部屋……?? まぁ……良いけど」

 

 ますきの答えを聞いて私は自分の部屋にますきを案内する。

 

「どうぞ。ごゆっくり」

「おう。ありがとな」

 

 ますきは私の部屋のクッションを枕にして横になっていた。

 

「その寛ぎっぷりに敬意するわ………………」

「褒めてんのか、それ…………?」

「褒めてるって」

「ホントにリーダーは偶に容赦ないよな」

「普段やられてる分は取り返さないと」

「あたしはした覚えねぇんだけど」

「解ってるよ。そんなの。主にほのちゃんとかほのちゃんとかほのちゃんだもん」

「帆乃花さんしか居ねぇじゃねぇか……」

 

 私の発言にますきはドン引きだった。それくらいほのちゃん──青葉帆乃花に対する鬱憤は凄いのだ。

 あのシスコン……いや、モカコンがっ!!! 

 彼女の妹でAfterglowのギター担当である青葉モカに私が好意を持たれているのもあるかもしれない。

 だけどさ……八つ当たりを私にするんじゃないよ。ふざけんなって。

 

「ますき、私はシャワー浴びてくるわ」

「なぁリーダー、あたしも一緒に良いか?」

「……? 別に構わないけど」

「それじゃあ、行くか」

「あぁ……うん……って何で!?」

「良いだろ、こういうの。憧れてたんだよ」

「そっか。それならいい」

「……ナニを想像してたんだよ、リーダー」

「…………言わない」

「あ?」

「言わないったら、言わないっ!!」

「ちょ、待てって……」

 

 私は恥ずかしさが極限に達して逃げる様に浴室へと向かうのだった。

 なお、シャワー中は恥ずかしくて会話も出来ていなかった。

 

 悶々としていたシャワーを終えて部屋着に着替えた私は夕飯を作るため、キッチンに向かった。

 と、言っても昨日の夜のうちにこうなると予測して粗方の下準備は終えてある。

 今日のメインは……夏野菜のカレーである。

 先ず、昨日のうちにヘタを取っておいたナス1本とへタと種を取った赤パプリカ1/4個、ヘタを取ったししとう4本。

 これをナスは縦に4等分に切り、赤パプリカは縦に4等分に切る。ししとうは爪楊枝で5ヶ所に穴を開ける。

 次に玉葱をみじん切りにする。因みにこの作者は玉葱のみじん切りが出来ない。(※実話)

 中火で熱したフライパンにサラダ油大さじ1を引いて豚ひき肉100gを炒め、色が変わってきたらみじん切りにした玉葱を加え、中火で炒める。

 全体に脂が回ったらカットトマト缶 200g、水 200㎖、コンソメ顆粒小さじ1を入れ中火で5分程煮込む。

 玉葱が透明になってきたら、カレールー50gと中濃ソース小さじ1を入れてカレールーが溶けるまで中火で煮込む。

 次はトッピングの野菜だ。今回は素揚げにしようかと思っているので、鍋の底から3cm程の高さの揚げ油を注ぎ180℃に熱し、ナス、赤パプリカ、ししとうとスライスしたかぼちゃを3分ほど揚げ、油を切る。

 

 ……これでカレーは完成だ。

 あとはお好みでカレーに乘せる目玉焼きを作ってそれと簡単なサラダを作る。

 

 カレーを器に盛ってダイニングに配膳する。

 

 こうして私とますき、2人っきりの夕食が始まった。

 ますきは私の作った料理を満面の笑みで頬張っていた。

 この笑顔見ると作り手冥利に尽きるもんだ。それとこの夕食で使っている野菜はますきの実家である銀河青果店で買った物であり、正しく銀河青果店様々である。

 

 夕食が終わりかけに私は作っておいたティラミスをデザートとして配膳した。

 ますきのお気に召したようだ。

 

「すんごい食べっぷりね、ますき」

「当たり前だろ? リーダーの料理でそうならない奴なんて居ねぇって」

「アハハ……そこまで行くんだ」

「なんだよ、自覚なかったのか」

「正直無いよ。私はフツーだよ」

「………………マジか」

「何その反応」

「察してくれよ。で、リーダー」

「何?」

「有るんだろ? その……あたしの誕生日プレゼント」

「まぁね……。はい。喜んでくれるといいんだけど」

 

 私はラッピングされた長箱をますきに渡した。

 

「ありがとな。開けてもいいか?」

「良いわよ」

 

 ますきは私の了承を得てプレゼントの箱を開封した。

 そこにはパレットナイフが入っていた。

 

「良いのか? コレってMA●FER(マト●ァー)のヤツだろ??」

「そうよ。私も同じもの買ったしさ」

「てっきりアクセサリー系が来るのかと思ってた」

「去年それだったしマンネリ感あるじゃない。だから違う物を……と思ったのよ」

「成程な……」

「そう? そう言ってくれると嬉しいわ」

 

 ますきは結構喜んでくれたようだ。良かった、良かった。

 二人で皆に『スイーツフェス』をするのが楽しみである。

 その後、食器の片付けを済ませて、ますきと2人で入浴となった。

 

 ……結論、私とますきはめっちゃ乳繰り合う──事はなく、平和に終わった。

 青葉姉妹とは大違いである。あの二人だと平和に終わらんしな。

 

 ますきは私の部屋で私自作のレシピ集を読むようなので、私は自室から書斎に移る事にする。

 

「……リーダー、何処行くんだ?」

「んー? 書斎よ」

「作詞か?」

「まー、そんなとこ」

「無理すんなよ?」

 

 

 暫く私は書斎で作詞を行っていた。

 今度のライブでお披露目する新曲である。

 何時もなら曲の作詞は萌々が行うが、今回は私となっている。

 

 一段落付いたので、ますきの様子を見に行った。

 ベッドには寝ていたハズのますきが居なかった。

 

「……何処に行ったのかしら」

 

 私はますきを探しに行くことにした。

 まぁ……大体解るんだけどね。

 私はテラスに向かった。無論、飲み物を用意して。

 

「ますき……やっぱり此処に居たのね」

「リーダー。さっきはありがとうな」

「気にしないで良いよ。はい。温かい物」

「サンキューな」

 

 ますきは私からハニーラテを受け取った。

 

「亜麻音」

「ん?」

「星が……綺麗だな」

「あぁ……そうね」

「毎日この星空を眺められるのって羨ましいよな」

「そうかな? 私には見慣れた景色だけど」

「見慣れると新鮮味薄れてるんじゃないか?」

「あー……それは有り得る」

「なぁ、暫く此処で天体観測やっていかねーか?」

「良いよ。私は」

「決まりだな」

 

 私とますきは暫くハニーラテ片手に満天の星空の下で雑談していたのだった。

 大分、暖かくはなっているが夜は冷えるのだ。

 そう思った私達は部屋に戻る事にした。

 

「亜麻音」

「ん……? どうしたの」

「大好きだぜ、お前のこと」

「……………………ふぇ~~~~~っっっ。な、(にゃに)言ってん(にょ)/////」

「完全にオーバーヒートしちまってるな」

「やっぱお前、可愛いな……」

「きゅぅ……」

「先に戻ってるから、風邪引くなよ?」

 

 ますきが先に部屋に戻っていく。

 

「……ばか。ますきのばか。 あんな風に言われたら意識しちゃうじゃん……」

 

 私は一人テラスに残って、先程のますきの言葉が頭から離れなかったので悶絶していた。

 その時間は気付けば夜が明けていた。

 

 翌朝、私は眼の下にクマをたっぷり蓄えて、洗面場でますきと出くわした。

 そこで私は昨夜の事が脳内にフラッシュバックした結果、私は急速に赤面してますきと目を合わせる事が出来ず、顔を真っ赤にしてその場から脱兎の如く逃げ出した。

 

 それ以降も暫く続いて、私の挙動不審を疑問に思った皆に詰め寄られることとなったのだった。

 それが日菜、ちーちゃんと言った私の天敵に弱みを握られたのは知りたくもない余談である。

 

 END

 

 

 

 




如何だったでしょうか。

どうしてこうなったとしか言いようがないわな。
また百合の花が咲き乱れてくぅ……

今回はますきの方が墜とす方になってもらいました。
亜麻音ちゃんのこの方面のピュアさはこころん以上かもしれん。

今回の作中に登場したカレーのレシピの分量は2人前となっておりやす。
気になる方は調べてみるのもいいかもですね♪

それでは次回お会いしませう。
ばいばいっ。



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Rhythm 008 あるこーる・ぱにっくⅢ 

お久しぶりです。
今回は『頭の中将』さんの作品とのコラボです。
ネタの提供ありがとうございます。
コラボ先のリンクは下から行けますので、是非一読を。
それではどうぞ。


★コラボ先の作品はこちら↓↓★
https://syosetu.org/novel/216482/
https://syosetu.org/novel/226073/
https://syosetu.org/novel/246813/





ある日の昼下がり。

この前のイヴ半裸騒動、狂乱の壊れたちーちゃん、私が剥かれるからの地獄の追いかけっこから数日後であるこの日に私は後輩でほのモカの彼氏であるタクこと池上拓也と2人……じゃねぇわ。4人で歩いていた。

約二名は頭の上だけど。

 

「やっぱり頭の上は落ち着きますなー」(モカ)

「はい~。私もそう思いますぅ~」(令王那)

 

セリフが台本形式なのでお察しかと思いますが、モカがタクの上で令王那が私の上にいます。

 

「亜麻音さん、俺は慣れてるけど大丈夫なんですか、それ」(タク)

「まぁ……今回は1人だし別に問題ないけど?」(亜麻音)

 

その言葉に固まっているタクである。

 

「どったの」(亜麻音)

「サラッと流してるけど、『1人だし』って何?」(タク)

「偶に5人運搬とかあるしそれに比べたら」(亜麻音)

 

これは事実である。5人というのは頭の上に令王那、背中にちゆ、左腕にこころ、右腕に香澄、前にあこである。

あの時は更におたえが来たので近くにいた友希那に始末を頼んだ。その時の手際の良さはまさに仕事人だったね。だって、鮮やかにジャパニーズ・オーシャン・サイクロン・スープレックス・ホールド決めてたし。

 

「それってどこの人外ですか……てか貴女はヒュペリオン体質なんですか」(タク)

「私はただの学生メイドよ? 裏で番長なんかしてないわよ」(亜麻音)

「鉄球ぶん回すあのキャラの事言ってます? てか通じますかね、ソレ」(タク)

「読んでいる人は少ないんじゃないかな……たぶん」(亜麻音)

 

そんな会話をしつつも私とタクは……

 

「モカちゃんを忘れるなんて酷いですよぉ……」(モカ)

「そうですよぉ……アンナコトやコンナコト要求しますよ~」(れおな)

 

あと頭の上のふたりね。それと令王那よ、何する気やねん。

 

「やったらパクチー責めの夕食にするかんね?」(亜麻音)

「」(真っ白れおな)

「さぁ行くか」(亜麻音)

「れおな……大丈夫か?」(タク)

「ダメです……骨はイルカの餌にでも……」(れおな)

「鴨川シーワールドに寄付しろと?」(タク)

 

こんな他愛もない会話を繰り広げつつも弦巻家お手製の地下バー『BAR TSURUMAKI』に向かうのだった。

何故に地下バーが存在するかというと、タクのふとした一言である。

 

「地下室とかあったらバーを作ってみたいよなー」(タク)

 

数日前にこの発言をどうやらこころに聞かれていたらしく、黒服さんの手によって建設されたのだった。

丁度、メイドの仕事をやっていた私はその事を聞いた時、目が点になった。

翌日、その話を聞いたタクも目が点になったのは言うまでもない。

 

「……まさか実現するとは」(タク)

「発言すれば実現するのが弦巻家クオリティーよ」(亜麻音)

 

慣れているタクと私でこの反応である。

他の誰かだともっと違う反応見せるだろう。

 

「……まぁそれを愉しむもありかなと思ってる」(亜麻音)

「あー……でっすよねぇ~わかる」(タク)

 

私とタクは意気投合していた。

 

「標的は……かおちゃんでいいや」(亜麻音)

「まさかの投げやりwwwww」(タク)

 

またもやの意気投合。その間、頭の上の2人はドン引きだった。

だけどこれが私とタクの『何時も通り』なのだ。

 

「蘭が聞いたら怒りますよ? 絶対に」(モカ)

「…………あー、それは勘弁だ」(タク)

「アハハ……私は蘭よりかそこからが怖いわ」(亜麻音)

「あー……帆乃花さんですね」(れおな)

「確かにあの人は……」(タク)

 

どうやらあの人は流石のタクも苦手としているらしい。

まぁ、普段は紗夜以上に真面目だし会う度に説教されているのだろう。

そう私が思っていたら、タクの話の続きが再開された。

 

「俺と会うたびに突っかかってくるんだよなー。なんかしたっけな。俺」(タク)

 

考え込むタクを他所に私とモカはある答えが思い付いたので話し合っていた。

 

「ねぇ……モカ、もしかして……」(亜麻音)

「ですね。亜麻音先輩。 道理で今朝のおねーちゃんとのケンカの理由が解りましたよ」(モカ)

「そっかー、あのほのちゃんについに春が来たか」(亜麻音)

「ちょっと、何言ってるんですか。例えおねーちゃんでもた~くんは渡したくないんですけど」(モカ)

「だったら、もう瓶詰めしとけば良いんじゃないか? 私に失恋の八つ当たりされても困るし」(亜麻音)

「あっ……ナルホド~その手があったか!」(モカ)

 

モカは「盲点だった!」と言わんばかりな表情をしていた。

あー……提案しといてはアレだけどモカ、絶対やりそう。……八つ当たりされないといいけど。それと提案者だってバレないようにしないと。

私はそう思いながらタク達と出会った頃を思い出していた。

 

数ヶ月前にSublimatumとBeat the clockが対バンして仲良くなった。

まぁ……Beat the clockのメンバーの1人、アオきゅん……大森(おおもり)(あおい)が私とレイ以外の愛玩動物(マスコット)化してたけどね。

んで……私は同じ学校+同じ部活(演劇部)の先輩後輩でもある私に助けを求められてはいたけど……無理だった。

何故なら、アオきゅんの可愛さに昇天寸前だった。心がぴょんぴょんしすぎていた。

もう何? 尊死待ったなしだったよ。愛しの天使(こころ)に匹敵するくらいだよ。

あの出来事を名付けるなら『アオきゅんマジ尊すぎ殺人事件』である。

誰も死んでは無いけど。尊死はしたけどね。

その事件は意外なところで燐子の手によって終息した。

あの時の『修羅燐子降臨の儀』はマジで(|| ゚Д゚)トラウマーだったわ。

 

「亜麻音ちゃん、大丈夫ですか?」(れおな)

「あっ。 うん。思い出しただけだから」(亜麻音)

「ナニを思い出したらそうなるんだよ……」(タク)

「『修羅燐子降臨の儀』」(亜麻音)

「「「」」」(全員)

 

私の言葉に全員が青ざめていた。

どうやら『修羅燐子降臨の儀』はみんなのTORAUMAらしい。

 

全員が(|| ゚Д゚)トラウマー発症した状態で『BAR TSURUMAKI』に到着した。

私がBARのクラシカルな扉を開いた瞬間だった。

 

「姉様ーーーーーーっ!!」(こころ)

「タッくんーーーーっ!!」(帆乃花)

 

いきなりの突貫(される)イベント来ました。

お約束っちゃお約束だけどもさ。

私の方は毎度お決まりだし、こころをちゃんと受け止めた。

……のだけども、タクの方は見事に帆乃花に押し倒されていた。

んで、めっちゃスリスリされてる。どんだけ溜まってんだろうね。ほのちゃん。(他人事)

 

「ちょっと、お姉ちゃん? あたしのタッくんにナニしてんの?」(モカ)

「良いじゃん。私のタクヤにナニしても。モカに言われる筋合いはないんだけど?」(帆乃花)

 

直後、青葉姉妹がギスっていた。二人共言葉の一部分がかなり強調されている。

 

「コレは……泥沼の修羅場ですねぇ……」(れおな)

「だよねぇ……。関わりたくないわー。正直」(亜麻音)

「ねぇ、姉様。 モカと帆乃花はナニを喧嘩しているのかしら?」(こころ)

「「……………………」」(れお×あま)

 

こころの質問に押し黙った私達である。

こころの純粋な心を修羅場(あんなもの)で汚したくはない。

 

「こころ、あれは知らなくていいものなのよ」(あまね)

「はい。知っても得にはなりませんから」(れおな)

「そういうもの……なのかしら??」(こころ)

 

こころはなんだか納得がいかないようだったがこれでいいのだ。うん。

 

「こんにちは。亜麻音先輩と鳰原さん」(美咲)

「ねぇ……美咲」(こころ)

「こ、こころ!? どうしたの?」(美咲)

「アレは一体何なのかしら? 姉様も令王那も教えてくれないのよ」(こころ)

 

こころは不満そうな顔で美咲に訴えていた。

美咲が此方を見ると私と令王那は気まずそうに視線を青葉姉妹の方へ。

美咲が促される様にその方向を見ると……

 

「な、なぁ……いい加減にケンカするのやめねぇか……?」(タク)

「「タクヤ(タッくん)は黙ってて!!」」(青葉姉妹)

「なんでそこだけは意気投合してんだよ!!」(タク)

 

まだ続いていた喧嘩を止めようとしたタクが見事に青葉姉妹に論破ァされていた。

その光景を見た美咲は何かを察したらしい。

 

「良い?こころ」(美咲)

「なにかしら? 美咲」(こころ)

「世の中には知らなくたって損しない事があるの。知ったら笑顔じゃ居られないの!解った?」(美咲)

「知ったら笑顔じゃなくなる……解ったわ。笑顔じゃなくなるなら知らないほうがいいわよね!」(こころ)

 

美咲の力説に納得した表情のこころだった。流石は美咲。こころの説得が上手い。

 

「感心するのはいいですけど早くあの姉妹の喧嘩止めてくださいよ、亜麻音先輩」(美咲)

「解ったわよ……これ以上続くのも不毛だし」(亜麻音)

 

美咲に言われ、私は青葉姉妹の仲裁に入る事にした。

最初は邪険にされたものの、少し凄んだらおとなしくなってくれた。良かった、良かった。

まぁ……弊害は出てたけど。些細な事であるから別に良いか。

 

「良くねぇから。そして仲裁条件で俺の首の骨が逝きそうなんだけど!!」(タク)

「まぁ、気合でなんとかなるっしょ。ミクロン、ミクロン」(亜麻音)

「何処がミクロン!? 気合でなんとかなるもんじゃねぇから!!」(タク)

「ギャーギャー煩いな。発情期か?」(亜麻音)

「違うわっ!! ってか、誰のせいでこうなってると!?」(タク)

「タクだろ?」(亜麻音)

「」(タク)

 

私の論破ァで押し黙るタクだった。

さて、時間は有限。さっさと始めないとな。

バーカウンターに入った私は皆に振舞うカクテルの準備を始めた。

 

「姉様っ! 今日はどんなカクテルを作るのかしら?」(こころ)

「そうねぇ……ヴァージン・ピニャ・コラーダ(Virgin Piña Colada)にしようと思ってるわ」(亜麻音)

ヴァージン・ピニャ・コラーダ(Virgin Piña Colada)!! う~んっ、楽しみだわ!!」(こころ)

 

私の答えにこころは満面の笑顔を浮かべていた。

あ゛ーっ!! 最大の癒しで尊死するくらいに心がぴょんぴょんするですけどっ!!

 

「また壊れたよ」(ほのちゃん)

「何時もどおりですねぇ……」(れおな)

「蘭にボコられそうですな。タッくんが」(モカ)

「そのりくつはおかしいってばよ」(タク)

「語尾おかしくなってるって。それはヤバくない? 色々と」(美咲)

「大丈夫だ、問題無い」(タク)

「うん。アンタは美竹さんにボコられれば良いと思う」(美咲)

 

うんうん。序でに友希那にキャラメルクラッチ決められてしまえ。

などと黒い事思いつつもカクテル作りを進めていく。

グラスに氷を入れてパイナップルジュース 80ml、ココナッツミルク 45mlを入れて混ぜ(ステアす)る。

その後、グラスにパイナップル 1cut、チェリー 1個を添えてできあがり。

横ではタクがボストンシェイカーを使って同じ物を作っていた。相変わらず手際が良い。

 

…あ、そうだ。アレも作っておこう。

まず最初に飾り用のきれいなミントを取り分けておき、頑丈な別グラスにフレッシュミント(葉のみ)とライム果汁、ガムシロップ、炭酸水大さじ2を入れてフレッシュミントをペストル(潰し棒)でトントンと潰す。液体にミントの香りを移すイメージで行っていく。

それを用意したタンブラーに入れ、クラッシュアイスを2/3程度入れて、全体をバースプーンでかき混ぜる(ステア)

さらにクラッシュアイスを9分目まで入れて炭酸水を適量注ぎ、よく混ぜる

最後に調整でクラッシュアイスを足してからストローを挿して、ミントを飾る。この時ミントは手のひらでパンと叩くと香りが開くのでこの一手間も忘れない。

これで、バージンモヒートの完成だ。

 

さてこれをあとは振舞うだけなのだが……スマホに着信が入った。

私はその場に居た茜に任せる事にした。

この後、大惨劇が起きることも知らずに。

 

 

数分後。日菜が色々とやらかして事後処理を終えて戻ってきた私に衝撃が走った。

 

「あまねしゃぁぁぁぁぁぁんっっっっっっっっ!!!!」(れおな)

 

いきなり令王那にダイブされて、首にダメージが入り「ぺきょっ」っと音がした。折れてないし大丈夫だろう。多分、きっと、めいびー。

 

「ちょっ、ま、令王那ぁ!? どしたのよ!?」(あまね)

「らって寂しかったんれすよぉ!! 私はあまねしゃんとずっと一緒なんれすから!!」(れおな)

「どしたん!? ……って酒臭っ!! なんで酔ってるん!?」(あまね)

 

完全に酔っ払ってらっしゃる令王那ちゃんでした。

前の事(※あるこーる・ぱにっくⅠ)があったから……ってか未成年だけだしノンアルしか無かったはずなんだけどな……。

 

「姉様ぁ……」(こころ)

「あ、こころ無事……じゃ無いわね」(あまね)

「こころのぬくもりマジサイコー」(みさき)

「くっついて離れないのよ……ひゃぅ!! ドコ触ってるの!?」(こころ)

 

こころに美咲(酔)がくっついて離れないようだ。しかもドサクサなのかセクハラまでしてる。

え、どこをって……そこらじゅう。

こころは必死に美咲を引き剥がそうとしていた。

あの美咲が酔っ払って理性のタガが抜け落ちるとこうなるのか。

絶対酔わせたらあかんやつやん。

 

「現実逃避していないで早く助けてぇ!!」(こころ)

 

こころの必死の叫びに私は現実に戻って美咲を引き剥がそうとした。

 

「むぅ……あたしとこころの愛を邪魔しないでくれます? 目障りなんですけど」(みさき)

「容赦なさすぎだからっ!!オブラートに包みなさいよ!!」(あまね)

 

美咲の爆弾発言に私はツッこむ。

 

「やっ」(みさき)

「拒否んな!!」(あまね)

 

即答する美咲を引き剥がそうとするが美咲は必死に抵抗していた。

 

「邪魔しないで!!」(みさき)

 

美咲は私を排除する対象とみなしたのか襲いかかってきた。

ゲーム風に言えば

 

『よっぱらい の みさき が おそいかかってきた!』

 

で、ある。

私が美咲を撃墜する前に

 

「邪魔なのは貴女れす!!」(れおな)

 

なんと令王那がケブラドーラ・コンヒーロを決めていた。

何処で覚えたんやそんなの。

 

「友希那しゃんと由愛しゃんれす!!」(れおな)

「あの姉妹は何を教えてんだよ!!」(あまね)

 

令王那の言葉に突っ込んだ私は悪くない。

本当にあの姉妹は令王那をどうしたいのだろうか。

 

「さて美咲はどうしよ……」(あまね)

「亮さんに引き取ってもらいましょう」(れおな)

「そだね」(あまね)

 

私は亮……Beat the clockのDj及びサブボーカルの石川亮に美咲を引き取る様に連絡した。

電話掛けて用件言ったら物凄く詰め寄られた。仕方ないけど。

なんとか納得してもらえたので美咲を引き取って貰うことにした。

これで一件落着か……令王那も正気に戻っているようだし。

 

「亜麻音しゃんっ!!」(れおな)

「どうしたの」(あまね)

「ぬくもり感じたいので、脱いでっ!!」(れおな)

「嫌だよっ!!」(あまね)

 

前言撤回。全然正気に戻ってなかったよ、この娘(令王那)

全力で拒否る私である。当たり前だろ。

 

「亜麻音しゃんっ!!」(れおな)

「今度は何よ」(あまね)

「私、とても寒いです!!」(れおな)

「でしょうねぇ!!」(あまね)

 

そう突っ込んだ私は悪くない。

だってさ……上半身裸なんだもん。令王那。

いつの間に脱いでんだよ。

 

「私、亜麻音しゃんの温もりを直に感じたいですっ!」(れおな)

「えっ、ちょままぁっ!?」(あまね)

 

数日前のイヴと同じ事になっている令王那だった。

そしてもう一度有咲のアイデンティティー奪う私であるがそんなの些事である。

 

そりゃそうだよ。 ……だって、服脱がされて令王那に押し倒されてるんだもの。

抵抗? 許してくれなかったよ。 もうされるがままだったよ。内容は聞かないで欲しい。マジで。

ガチでもう一度体験するとは思ってもみなかったよ。

もう来ないで欲しい。(フラグ)

その後、令王那から規則正しい寝息が聴こてきたので私は服を着直してから令王那を寝かしつける。

そしてこころを必死に宥める。

余程美咲のセクハラがトラウマになったのだろうか。こころは私にベッタリだった。

決して『役得』とか思ってはいない。断じてだ。

宥めているうちにこころからも健やかな寝息が聞こえてきた。

私はこころをそっと寝かしつける。

そしてひと息つくまもなく次なる衝撃が私を襲った。

 

「亜麻音おねーちゃぁんっ!!」(モカ)

 

その主はモカだった。酔ってどうやら幼児退行を起こしているらしい。

一瞬、その破壊力に落ちかけた私だが必死に抗った。

堪能したら負けな気がしたからだ。

 

「どうかしたの? モカ」(あまね)

「おねーちゃんが怖いのっ!」(モカ)

 

破壊力抜群な涙目のモカちゃん。マジで私は吐血寸前である。尊すぎやろ。

『おねーちゃん』……ほのちゃんか。

酔って頭のネジすっ飛んだのかしら?

 

「モカちゃーーーーーん!!私の私の可愛いモカちゃーーーーんっっっっ!!」(ほのちゃん)

 

その言葉と同時に突撃するほのちゃんであった。

あー……遂に壊れたか。

最早、今の状態は人間と呼べるかも解らんね。『ほのちゃんだったもの』だわ。

……でタクは止めようとして尊い犠牲になったと。

あとで蘇生せねばな。死んでないけど。

できれば自力で復活はして欲しいんだが。

 

そう思ってたらほのちゃん(だったもの)が目前にいた。

 

「邪魔。消えて」(ほのちゃんだったもの)

「やなこった」(あまね)

 

私はそう言って友希那直伝の技、『アイアン・クロー・バックブリーカー』を叩き込んだ。

ほのちゃんらしき何かは一瞬で沈んだ。

良かった。良かった。放置してたらモザイクになりかねないかんね。

 

「ねー、もう大丈夫?」(モカ)

「ええ。もう大丈夫よ」(あまね)

「うんっ!ありがと!!あまねおねーちゃんっ!!」(モカ)

「」(あまね)

 

なにあの反則級はっ!! くっそ御持ち帰りしたいんですけど!!

 

「どしたの?」(モカ)

「( ゚д゚)ハッ! うん。何でもないから安心して」(あまね)

「そっか。モカちゃんね、おねーちゃんに言いたいことあるの」(モカ)

「思いっきり言っていいわよ」(あまね)

「怒ったりしない?」(モカ)

「しないから大丈夫よ」(あまね)

 

私に了承を得たモカは満面の笑顔をほのちゃんに向けていた。

 

おねーちゃんなんてだーーーいっ嫌いっ!!!!(モカ)

 

思いっきりのいいストレートな拒絶だった。

こうしてほのちゃんの身体はお約束通りにサラサラと砂と化したのだった。

私はほのちゃん(砂)を瓶に詰めてしっかりと封印したのだった。

 

暫くするとモカはウトウトしはじめていた。

私が優しく撫でてあげると安心したのか、モカは規則正しい寝息を立てていた。

私はゆっくりとモカを起こさないようにそっとお姫様抱っこして令王那とこころの横に寝かせる事にした。

 

一息つきたかった私は皆を起こさぬように静かにホリデーデライトを作り、1人で休憩していた。

あぁ……この甘さが染み渡るよ。

暫くすると復活のタクがやってきた。

 

「あ゛ーっ。エライ目にあった……」(タク)

「お疲れ様。コレ、飲む?」(あまね)

「『ホリデーデライト』っスか。いただきます。」(タク)

 

タクは私からホリデーデライトを受け取り、一息ついていた。

 

「モカ達はどうなりました?」(タク)

「奥のスペースで寝てるわ」(あまね)

「なんかすいません。迷惑かけてしまって」(タク)

「別に。戦犯は茜だし」(あまね)

「あんの、ヤンデレ……」(タク)

「まー、これ飲んで落ち着こうや」(あまね)

「ですね」(タク)

 

ホリデーデライトで静かな時間を過ごす……ことは叶わなかった。

 

「むぅ……亜麻音先輩もタクも僕の相手してくれないのなんで!?」(アオきゅん)

 

私達に絡んできたのはいつの間にかやってきていたアオきゅんだった。

しかも……どうしてこうなったんだよ!? なんで出来上がってんの!?

 

「……亜麻音さん、アレ……」(タク)

 

タクの指さした方向には空のグラスが……。

どうやらアルコール入りの奴が残っていたらしく、それをアオきゅんが飲んでしまったようだ。

 

「Oh……」(あまね)

 

私は思わず天を仰いでしまった。

 

「それよりも逃げません?」(タク)

 

タクの提案に

 

「そうね。燐子に知られたら……」(あまね)

「私に……知られたらどうなるんですか?」(???)

「ちょ、あ、亜麻音さん……」(タク)

「そんなのナニされるかわかったもんじゃ………………あ」(あまね)

 

私達の後ろには燐子がいた。

しかも笑顔なのに目が笑ってない。それにオーラが不穏だしっ!!

 

「逃げ……」(あまね)

「逃げれるとかそんな甘い考えは捨ててくださいね?」(りんりん)

「俺は無関係なので……サラダバー」(タク)

「逃がさないって言ってるじゃないですか♪」(りんりん)

 

『♪』が仕事してない。

これぞ……「修羅燐子降臨の儀」再び……である。

勝ち目のない私とタクは抱き合って震える事の他の選択肢はなかった。

 

「さて、覚悟はいいですか? 二人共」(りんりん)

「「」」(あまタク)

 

こうして『修羅燐子降臨の儀』が私とタクのTORAUMAに再刻印される事となったのだった。

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか。
今までで史上最強のぶっ飛びっぷりだったな。
書いてる方も楽しかったしさ。


後言っておきますが、
この作品は未成年の飲酒を勧めるものでは決してございません。

飲酒は二十歳を過ぎてから。

これはきちんと守ってくださいね。

それでは次回またお会いしましょう。ではでは。



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Rhythm 009 あるこーる・ぱにっくⅣ

久々の投稿なのよな。
今月投稿できてよかった。


 あーちゃんの話曰く、「アオきゅんが尊すぎた」と言っていたバーでの一件から数日後。

 あたし……氷川日菜はあーちゃんの家にいる。

 理由は明快。今日はメンバー集めて新年会を行うためなんだよね。

 あたし達……Pastel✽Palettesメンバーとあーちゃんは芸能人である為、正月は凄く忙しかった。あたし的にはおねーちゃんと二人きりで年末をゆっくり過ごしたかったんだけにかなり「るんっ♪」って来なかったんだよね。

 だから今日は新年会で憂さ晴らしをしようと思う。

 メンバーはあたしとあーちゃんとこころちゃんと彩ちゃんとリサちーとおたえちゃんだ。

 何かあってもあーちゃんが何とかしてくれるだろーし安心だよね。

 こーいう時のあーちゃんは心強いってのはおねーちゃんとあたしの共通認識なんだよね。

 新年会だからといってお酒が出るわけがない。あたし達は未成年だしね。

 だけど……これまでの経験(その内の一度はあたしが犯人だけど)から行くとその認識も崩れるものだ。

 あたし的に誰かの策略でお酒解禁されそうな予感しかしないんだよねぇ……。

 だからこうなった時の頼みの綱のあーちゃんが酔っ払わないことを祈るばかりだよ。

 今までの話を聞くにあーちゃんとこころちゃんはお酒の……アルコール耐性が超強いみたい。

 

「何処でそんなに強くなったの?」

 

 って聞きたい気がしないでもないけど聞いたら負けな気がする。

 

 

「ホントになんで強いんだろうね? あーちゃん」

「……え、何の話をしてるの、日菜」

 

 あーちゃんが戸惑いの表情をしていた。

 

「え、もしかしてあたし、声に出てた……?」

「そりゃあ、もうバッチリと」

「………………」

 

 あーちゃんの指摘に押し黙ってしまったあたしは暫く時間おいてから恥ずかしさフラッシュバック。

 

「なななななななんでもないのっ////」

「あー、うん。わ、解ったわ……」

 

 あたしはかなりテンパった回答をしてしまい、それにあーちゃんは引き気味に答えてくれた。

 

「「……………………………………」」

 

 その後あたしにとって来て欲しくもない静寂が訪れる。

 あーちゃんの方もすっごく気まずそうにしていた。

 こんな時に彩ちゃんあたりが乱入してくれてこの静寂を破壊(物理)してくれればいいのに。

 今回に限って空気を読んでおたえちゃんとか抑止してるし……!! 

 肝心な時に役に立ってないじゃんっ!! 

 

「リサちゃぁぁぁぁんっっっ!! 日菜ちゃんが苛めるよぅ~~~~~」

 

 彩ちゃんはリサちーに泣きついていた。

 え、まさかこれってあたしの思考を読んだって事?! 普段なら凄く面白そうなんだけど、今は違う。

 全然「るんっ♪」って来ないよっ! どうしてなんだろうねっ!! 

 

「あー……よしよし、泣かないの。 これで涙拭きなって」

「あ゛り゛が ど~~~~~」

 

 リサちーは彩ちゃんの頭を撫でて慰め、彩ちゃんはリサちーから受け取ったハンカチで涙を拭いていた。

 まぁ、ハンカチがあやちゃんの涙を吸収できてなくて仕事放棄しているのは気のせいだと思いたい。

 この光景を見ているうちに余計にモヤモヤが広がって行く気がした。

 

「あーちゃん、ゴメン。ちょっと外の空気吸ってるくるね」

「え、あっ……うん。 解ったわ」

 

 あたしは気分転換も兼ねて外をぶらついてくる事にした。

 時間にして20分くらい位経っただろうか。あたしが新年会会場であるあーちゃんの家に戻ることにした。

 会場であるリビングに足を踏み入れた瞬間、腹部にとんでもない衝撃が襲った。

 

ひーなーぁー

 

 その主はリサちーだった。容赦の欠片もないタックルをあたしにぶつけていた。

 あたしは咄嗟だったので受け止められずに押し倒された。

 

 ……一体どうしてこうなったのさ。

 

 この感情が第一である。

 なんかリサちーが幼児退行起こしてるんだけど。

 あたしにどうしろって。あーちゃんはどうしたの? 

 

 ウダウダ考えてても仕方がない。一つ一つ片付けていこう。

 

「リサちー」

リサちゃんってよんで! 

「リサちー……」

リサちゃんっ! 

「リサ……」

リサちゃんっていってるじゃんっ! 

 

 呼び名一つでかなりの応酬を広げるハメになった。

 コレはこのまま続けるとキリがない。なので……

 

「リサちゃん、あーちゃんとこころんは何処なの?」

あまねとこころはうーんとね、あそこっ! 

 

 あたしは折れることにした。

 リサちーの要求をアッサリ飲むとリサちーは素直にあたしの要求を受け入れてくれた。

 素直に教えてくれるあたりは退行しなくて助かったなってあたしは安堵した。

 

 あーちゃんとこころんを探す途中であたしは絡まれた。

 相手は彩ちゃんだ。

 

「日菜ちゃんっ!」

「な、何? 彩ちゃん……」

「私、物凄く寒いよーっ!!」

「当たり前だからね? 服着たら良いじゃん!!」

 

 あたしの発言は間違っていない。こればかりは非難される覚えはない。

 だって……彩ちゃん上半身裸なんだもん。

 あたし的にブラくらいは着けて欲しかったんだけどなと思う節はある。

 

「私、日菜ちゃんの温もりを直に感じたいのっ!」

「え、ちょっ……彩ちゃんっ????」

 

 あたしは彩ちゃんに服を脱がされていた。勿論上半身だけである。

 必死に下着は死守しようとはしたんだけど抵抗は虚しくも……だったよ。

 

「何してるのさ、彩ちゃぁん!?」

「ナニって……別に普通のコトだよ?」

「絶対に違うよ!? カタカナの時点で可笑しいから!!」

「さぁ……抵抗しないでね、日菜ちゃん?」

 

 ナニ言ってるんだろう、この丸山は。

 明らかにされるがままになるのはあたし的に「るんっ♪」ってくるはずがない。

 

「もー、寝てて!! 丸山ぁっ!!」

 

 苗字呼びをするくらいにイラついていたあたしは彩ちゃんの腹に掌底を撃ち込んで沈めた。

 クソでかい溜息をつきつつも服を着る。

 その時にとある物があたしの視界に入った。その物体は

 

『どなん・クバ巻』の空き瓶だった。しかもあたし以外の人数分。

 

 …………………………。

 は? 『どなん・クバ巻』? 

 なんで酒がここに存在するんだろう。

 あれってアルコール度数60だったよね? 

 そんな高くはないけどそれが空っぽで割る物の皆無ってことは……間違いなくストレートで飲んでるよね。

 ってことはさぁ……

 

「絶対に間違いなく確実に酔っ払ってる」

 

 これに限る。この答えが一番「るんっ♪」ってくるよ。

 テンションは「るんっ♪」って微塵も来ないけど。

 あーちゃんが酔った時の行動は想像できないし、したくもない。

 さて、どうしたものか……。対応がオーバーフローしたらお姉ちゃんに頼もう。

 ってか、丸投げしたい。こんな時になんでつぐちゃんとか居ないのだろうね。

 

 なんて、思案を巡らせていると両脚に二人分の衝撃が襲い、

 

「え、誰なんだろ……」

 

 そう思ったあたしはおそるおそる視線を下に向けた。

 そこには涙目で右脚にギューッっと抱きつくあーちゃんと同じく左脚にギューッっと抱きつくこころちゃんだった。

 2人とも……滅茶苦茶周囲警戒してるっていうかアレだ。威嚇している。

 

「えっと……動けないんだけど、離れてくれない?」

 

 あたしはダメ元であーちゃんとこころちゃんに頼んでみた。

 

「「やっ」」

 

 物の見事に断られた。いい笑顔ですことぉ!! 

 あたしはイラッと来たけどこの笑顔でやられると怒れる訳無いじゃんか。卑怯か。

 仕方ない……二人を連れたまま行きましょうか。

 あたしはあーちゃんを頭の上にこころんを背中に装備して残りのメンバーを寝かせる(沈める)事にした。

 丸山は……どうやらこのカオスの犯人らしいから後回しだ。既に寝てるけど。

 

 先ずは……リサちーだね。

 既にうとうとしてるもん。コレは墜ちるのも時間の問題だね。

 

ひなちゃん……

「リサちー? どうしたの?」

リサね、ねむくなってきちゃった……

「そっかぁ……おふとんに行くなら用意するけど、どうしよっか」

リサね、おやすみなさいする……

 

 そう言ったリサちーはしきりに目をこすっている。

 限界が近そうだと察したあたしはあーちゃんの家の和室に移動し、押入れから来客用の布団を準備した。

 何故あたしがこの布団の存在を知っているかというと、答えは簡単。幼少時に使った記憶があるからだ。

 昔はかなりの頻度でおねーちゃんとあーちゃんの家に泊まりにきては一緒に寝ていたものだけど、まさかその時の記憶がこういう形で役に立つとか昔も今も想像できなかったよ。

 

 そんなことを考え、苦笑しつつも布団の準備が整ったのでリサちーを布団へ誘導。

 吸い込まれる様にお布団inしたリサちーは即座に健やかで規則正しい寝息を立てていた。

 あたしはそれを確認してから何時の間にか夢の世界に旅立っていたあーちゃんとこころちゃんをリサちーの横に寝かした。

 ここで目覚めてしまってナニが起こるかは想像もしたくない。そうとなっては確実に「るんっ♪ って来ない」ルートだろう。

 なので勿論、寝ている全員を起こさない様に細心の注意を払って作業を行うことにした。

 

 作業終了後、あたしは未だにみつかっていないおたえちゃんを探すことにした。

 なんか放置してたら取り返しのつかない事仕出かしてそうなんだよねぇ……。

 この勘が外れて欲しいけれども……大的中な気がするんだよね。

 その時だった。

 

 

 リビング燃えた。

 

 

 もう一度言おう。

 

 

 

 リビング燃えた。

 

 

 

 あまりの衝撃に語彙力が行方不明になったあたしである。

 これが事実であるのは誠に遺憾な感じがするよ。

 

「何やってるのさ、おたえちゃんんんんん!!!」

 

 叫んだあたしは悪くない。悪くないったら悪くない。

 

「何って……火炎放射?」

「今やる必要あるの?!」

「日菜ちゃん、私も居るよ!」

「めぐみさん!? 何時の間に!?」

 

 本気で何時来たんだ、この人は。

 さっきまで居なかったよね!? 

 

「ねぇ、お姉ちゃん」

「何? たえちゃん」

「火炎放射、もう一回やろ?」

「止めて!? もうしないで!?」

「(・∀・)ナイス!」

「じゃないよっ!!」

 

 ただでさえリビングの1/3が現在進行形で焼失してるのにさらに燃やさないで!? 

 あーちゃん目が覚めたら卒倒確定だよ!? 

 

「マジでるんっ♪ って来ないんだよね…………」

 

 これで現実逃避出来たらどんなに「るるるるんっ♪」って来るのに。

 なのに、なのに……

 

「「かえんほうしゃ!!」」

 

 無慈悲にも火炎放射は放たれ、リビングの3/4が燃えた。

 

「ナニやってんだよ、こんのバカ姉妹はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 あたしは燃え盛る炎に向かって消火球((弦巻家開発品))を全力投球。

 無事に火災は鎮火し、消防を呼ぶことに発展しなくてよかったよ。

 まぁ……こころちゃん家の黒服さんに根回しで揉み消して貰うとしよう。

 そして、その元凶たる花園姉妹は火炎放射するのにアホみたいに『スピリタス』飲んでたので撃沈していた。

 急性アルコール中毒で死んでないだけ僥倖と言うべきなんじゃないかなってあたしは思う。

 目覚めてしまっては再びやらかしかねないので簀巻きにして身動き取れないようにしておいた。

 

 次に丸山は妹である桜綾香(さやか)ちゃん(中3)に引き取ってもらった。

 この顛末を聞いた桜綾香ちゃんは綺麗な土下座を決めようとしたので必死に止めた。

 されたらされたでこちらが悪い気がするから妥協点として丸山の処断を話し合う事になり、ねっちょりコースギガ盛りと千聖ちゃんのお説教(5H)が確定したのはここだけの話である。

 

 桜綾香ちゃんが姉をお米様抱っこで回収し帰宅した後、リビングから声が聞こえてきた。

 

「ひっく……」

 

 気になったあたしはリビングへ確認に行った。

 それが運の尽きだった。

 

「あー、日菜ちゃんだー!!!」

 

 …………は? 

 あたしは幻覚でもみているのだろうか。

 

「お、おねーちゃん!? なんでいるの!?」

「遅いからぁー様子見に来たの。そしたらねぇー……喉が渇いたからこれ飲んだらこうなったの!」

 

 おねーちゃんが見せた瓶。それは……

 

 

『どなん・クバ巻』

 

 

 だった。

 まだあったんかい。どうしてそれ呑んじゃうの、おねーちゃん。

 お酒かどうかの判別くらいして欲しいんだけど。

 

「ねーねー、日菜ちゃん」

「な、何……?」

「今から私とイイコトしましょ?」

「ふぁっ!?」

 

 とんでもない爆弾キマシタワー

 おねーちゃんは行方不明になったのかな!? 

 

「日菜ちゃん……私もう我慢できないわ」

「えっ、ちょっ、おねーちゃん!? 正気に戻って!?」

「いただきます」

 

 あたしの懇願虚しくおねーちゃんにごちそうさまされました。

 SAN値は瀕死に直葬であったのでそのままKOするあたしであった。

 

 その後、あーちゃんは無条件で弦巻家の居候と化し、あたしは胃潰瘍で入院を余儀なくされるのであった。

 

 END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前回よりもカオスになりました。
日菜が苦労人になり、彩がやらかす形になりました。


あと前回も言ったけど

この話は未成年の飲酒を進めるものでは決してございません。
飲酒は20歳を過ぎてから。
これ絶対。


それでは次回お会いしませう。ではでは。


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Rhythm 010 出会いは喫茶店から

前回に続いての短期間投稿です。

今回はガイドラインに抵触しそうで削除した作品のうちのセーフそうなお話を投稿していきたいと思います。






 ある日の絶好のお出掛け日和な午前中。

 私、御神亜麻音は今日も今日とてバイトである。

 日菜には文句は……昨日の夜2時間くらい長電話で言われたが、私的に「そんなの知るかよ」である。

 

「てかさ、日菜(おまえ)もバイト(ファミレス)だろ?」

 

 そう指摘してやったわ。

 まぁ……日菜、何も堪えてはなかったよ。畜生。唯唯、私の精神がガリガリ削られただけだった。

 

 やっと日菜が終わったかと思えば……思えばだよ…………? 

 その直後に香澄だよ!? 

 全く一字一句とも違わぬ事を言われたんだよ? 今度は3時間よ? 

 巫山戯んなて。

 

「つかさ、香澄(おまえ)もバイト(ファミレス)でしょ?」

 

 そう指摘したよ? そしたら……香澄、何も堪えてねーし。

 解ってたけど。解ってたけどさ……心折れるわ。

 

 その後、昨夜はこころとの電話で現実逃避して徹夜でNFOに潜って軽く伝説作ったりした。

 

 ……というわけで、私は現在、寝不足気味で羽沢珈琲店のバイトやっているが、なんとかなるレベルなので問題はない。

 それに……寝不足を晒すなんて私のプライドが許さない。

 

 今日のバイトメンバーは私、イヴ、蘭、りみである。

 本来であれば、この場につぐみと紗夜が居るのだが、あの二人は今日は約束があるらしい。

 なので、今日はそっちを優先にしてもらうことにした。

 本当に説得に時間がかかったのは安定でその内容の9割が私のことだったんだけどね。

 

 それはさておきだ。

 今の時刻は午後2時を少し回った所でもうそろそろデート帰りのカップルが此処を訪れる時間帯の筈。

 

 

 からんころん

 

 

 そう思っていたら誰かが来店したようだ。

 

「いらっしゃいませー。…………3名様ですね」

 

 言葉に詰まったのは悪くない。

 もうなんだよ……。

 威圧感を来店と同時に持ってくるんじゃねぇよ。

 私以外、厨房の隅で震えてんじゃねぇかよ。

 なにしてくれてんの…………。

 そう思っていたら……である。

 

「いや、2名といち―『3名で』」

 

 真ん中の男性客が異を唱えるも両端の女性客が異を唱え、押し切った。

 私は……更に威圧感を高めた3人に対し、深く嘆息した。

 

「あのさ……来店と同時にその威圧感止めて?」

「あら……。あーちゃん。その態度はどうかと思うわ」

「そうだよ! すっごく不満なんだけど!! 亜麻音ちゃん!!」

 

 私の発言に女性客が反論する。その主、誰かって? 

 

「私だってしたくないよ? ……でもさ、他の従業員をKOさせるのは止めろって。私の負担と胃薬増やすな。彩、ちーちゃん」

 

 幼馴染の白鷺千聖と色々と付き合いのある丸山彩だった。

 

「あら。何時もの事じゃない」

「そうそう。何時もの事じゃん。亜麻音ちゃん」

「巫山戯んな。お前らって私を勞ってくれないの?」

「「イタワッテルヨ──ー」」

「何処がだよ。明らかに棒読みじゃねぇか」

 

 あぁ……この少しの会話で私の心、SUN値直葬である。

 一瞬、厨房を見ると……イヴ達が私に向けて合掌していた。

 まるで……

 

「ご愁傷様です…………」

 

 と言わんばかりに。

 私はアイコンタクトで

 

「代わるから、相手してよ!!」

 

 と訴えた。

 しかし、全員から全力で拒否られた。

 

 なん…………だと…………!? 

 

 こうなったらやるしかない。もう諦めよう。

 

「では……お席にご案内します」

 

 私は彩達を席に案内する。

 その間に席順でいざこざが有ったが、私が沈めた。(物理)

 男性客は怯えに怯えていたけど。

 

「では、ご注文g『カップル限定ラブラブマウンテンパフェ1つ』」

 

 早いわ。まだメニュー渡して5秒くらいしか経ってないんだけど。

 なにこのあやちさの結束力。

 

「では……しばr『40秒でね! 亜麻音ちゃん!』」

 

 ラピュタじゃねぇんだよ。無茶言うなや。

 

「せめて、5分待とうk『長いわよ、あーちゃん』」

 

 ………………。

 

「あのさ、今からランニングしてこい。町内一周。あやちさ二人で」

「え!? なんで!? 亜麻音ちゃん!?」

「そうよ! 横暴が過ぎるわよ!! あーちゃん!!」

…………いいから行け

 

 私はあやちさコンビの理不尽さにキレました。

 こんなのキレない方が無理だわ。

 

「「アッハイ……」」

 

 あやちさコンビは顔面蒼白で店から一目散に駆けていった。

 

「全く……なんで何時もはマトモなのにこうなるんだか……」

「なんというか…………ごめん」

 

 私の嘆息気味の言葉に謝る男性客。

 

「別に良いって。気にしないで、さーくん」

「そう言って貰えると助かるよ。あーちゃん」

 

 男性客と話が弾んでいた。

 この男性客……今日が初対面ではない。

 彼の名前は盛谷(もりや)颯樹(さつき)

 私の幼少の頃からの幼馴染であり、幼稚園の頃は薫も含め、『さちあかカルテット』とか呼ばれていた。

 私が小学校の頃に両親の転勤で長崎に転校しその後は手紙でやり取りしていたが、つい先日再会を果たした。

 その再会は偶然にもPastel✽ Palettesの所属事務所の廊下である。

 さーくんが私に気付き、声をかける。

 そうして、話に花を咲かせようかと思ったその矢先である。

 邪魔が入ったのだ。

 そう。あやちさひなである。

 一瞬で怒涛の介入で一気に寸断されてしまった。

 こうして、話す機会は先延ばしになってしまったのであった。

 

 だが、ここで千載一遇のチャンスが訪れた。

 そう、邪魔者が居ないのである。

 私は2分でパフェを作り、保存しておく。

 弦巻家お手製の冷蔵庫に。

 

「ねぇ……隣、良いよね? さーくん」

「うん。良いよ」

「よいしょっと。はい、これサービス」

 

 さーくんの許可を得てさーくんの前に座る私。

 私はカフェラテ(甘め)をテーブルに置いた。

 

「え? 良いの? あーちゃん」

「良いの。これで普段の心労癒しなって」

「ありがとう……はふぅ……おいし……」

 

 カップを受け取り、礼を言ってカフェラテを飲み始めるさーくん。

 少し甘いカフェラテを気に入って貰えたようだ。

 

「これ……あーちゃんが作ったの?」

「うん。まぁね。こういうの得意ってか……慣れてるし」

「『慣れてる』って……?」

「まぁ……なんつーか、バイト一杯してるし。掛け持ちで」

「えぇ!? それ大丈夫なの!?」

「うーん……多分」

「多分!?」

「多分……感覚麻痺してるんだと思うよ。いろんな意味で」

「そ、そうなんだ……」

 

 

 私の言葉に引き気味のさーくんだった。

 何か変なこと言ったかな? 

 まぁ良いか。

 私は深く考えずにさーくんとの会話に戻ることにした。

 今までの手紙の文通に書けなかった事とか色々と話していた。

 その瞬間はもう至高の時間でしたよ。

 ずっと続けよというくらいね。

 でもね。終わりが来るんですよ。

 

 それは一瞬だった。

 さーくんの表情が何かを見て蒼白になっていた。

 何事かと私が振り返ると……

 

オフタリハナニヲヤッテルノカシラ……?」(ギギギ……

コレハオシオキガヒツヨウカナァ……??」(ガガガガ……

 

 般若で出刃包丁抱えて窓に張り付くあやちさ(だったもの)だった。

 なん……だよ。あれは。

 もう怨オーラ隠しきれてないんだけど。しかも人間が出す擬音じゃないし。

 周囲の人もドン引きだしさ……皆、一目散に逃げてるし。

 りみ、イヴ、蘭も大泣きなんだけど。恐怖で。

 ヒトってこうも変わるのか……。

 

 なんか……考えることが渦巻いててヤバイナァ……。

 

 私がそう思った時なんか吹っ切れた。

 

「あぁ……ごめん。さーくんは今からの光景見ないで欲しいな」

 

 そう言って私はさーくんに耳栓と目隠しを渡す。

 

「え……なんで?」

「ん? TORAUMAになるから」

「…………う、うん。解った」

 

 私の解答にさーくんは目隠しと耳栓を受け取って装着した。

 私は装着を確認後、日本刀を手にあやちさの下に向かった。

 

「あのさぁ……ちょっと良いかしら?」(ニコォ……

ナニカシラ……??」(〃

ナニカナー……??」(〃

 

 カタコトでのあやちさの質問に……

 

路地裏……行こうや? な?」(ニッコリ

 

 私は殺気満々であやちさに言い放った。

 私の言葉に冷静さを取り戻し、顔面蒼白となった。

 ようやくここで察したのだろう。

 だが、全てがもう遅いのだ。

 

 

 暫くOHANASHIをしたら、あやちさは……

 

 真っ白の屍になっていた。

 

 目隠しを私の合図で外したさーくんは……驚愕だった。

 それは無理もない。こんなあやちさは見た事無いだろうしね。

 この後、さーくんにこの状況の言及をされた。

 正直に答えたら、なんか納得された。

 話を聞くに「あーちゃんの事だし、知ってた」らしい。

 それを聞いて凹んだ私であった。

 

 暫くして私は復活した。

 その直後にまた来客があった。

 

「こんにちはー」

「いらっしゃいませ。奏楽。お好きなお席にどうぞ」

「ありがとね。亜麻音ちゃん」

 

 来客したのは私と同じ様な容姿をした女性だった。

 彼女の名前は結城奏楽。

 隣町の星ノ丘学園高等部に通う2年生で私の親友だ。

 彼女と私は学校こそ違う。

 だが、羽丘と星ノ丘の理事長は実は姉妹であり、互いの学校で姉妹校提携を結んでいたりする。

 その縁で私は星ノ丘に赴く事が多かったりする。

 そして、その時に一緒に行動するのが大抵……必ず奏楽なのだ。

 という事に因る接点の多さから結構仲良くなっている私たちである。

 

「あ……。颯樹君! こんなところで奇遇だね!」

「そうだね……。確かに此処で会うのは少ないね」

「ねぇ、ここに座ってもいいかな? 亜麻音ちゃん」

「ええ。良いわよ」

「ありがとね、亜麻音ちゃん」

「どういたしまして。お冷とか持ってくるから」

「うん。待ってるね」

 

 私はお冷とメニューを取りに厨房へ戻った。

 どうやら、りみ達は無事に復活できたようだ。良かった、良かった。

 

「お冷とメニューになります」

「ありがとう、亜麻音ちゃん。ねぇ……お願いがあるんだけど」

「何かな……?」

「もし……良かったらなんだけど、亜麻音ちゃんも一緒にお茶しない?」

 

 まさかのお願いだった。

 私は厨房の方を見た。

 そしたら、全員が「どうぞどうぞ」状態だった。

 だったら、お言葉に甘えるとしよう。

 

「では、失礼します」

「うん! どうぞ」

 

 私は奏楽の許可を得て奏楽の右隣に座った。

 そして私たちは雑談を始めた。

 

「そういえば、さーk……颯樹と奏楽って、知り合いだったの……??」

「あれ、知らなかったの? 亜麻音ちゃん」

「え、ええ……」

「僕と同じ学校の同級生なんだよ。あーちゃん」

「あっ……そうなんだ。納得」

「ねぇ……颯樹君と亜麻音ちゃんってどんな関係なの?」

「どんな関係って……」

「僕とあーちゃんは幼馴染なんだよ、奏楽」

「ふーん。千聖ちゃんと同じ感じなんだ……」

「まぁ……私はあそこまで愛は重くないけどね」

「そうなんだ……。ねぇ、もっと聞かせてよ!!」

「え?」

「颯樹君と亜麻音ちゃんの事だよ!」

「あぁ……そういうこと。良いわよね? さーくん」

「うん。僕は構わないよ。あーちゃん」

「だったら、決まりね。じゃあ……甘い物食べながら話しましょ?」

「「さんせー!!」」

 

 こうして私達はパフェを食べつつ、雑談に花を咲かせたのだった。

 なお、あやちさは持ち帰りのパフェを持たせたうえで麻弥に引き取って貰ったのだった。

 

 Fin

 

 




如何だったでしょうか。
次回も続きます。


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Rhythm 011 この前のできごと

復活リメイク祭第2弾でございます。
それではどーぞ。


 ある日の芸能事務所。

 此処にこの事務所のアイドルバンド『Pastel✽ Palettes 』のメンバー、そして巷で『不死鳥』とも呼ばれる伝説のバンド『Sublimatum』のメンバー、その両バンドに関わる人物達が集まって打ち合わせが行われていた。

 その内容とは『第4回Pastel✽ Palettes×Sublimatum合同ライブ』である。

 遡ること、1月前。

 その日にPastel✽ Palettesの復活ライブが行われ、同タイミングでSublimatumの復活ライブも行われた。

 どうせならと、同時でやったところ……かなりの大盛り上がりであった。

 こうして、両バンドの復活ライブは大成功を収め、その後、ネットや電話による第2回の開催を希望するファンの声が殺到したのだ。

 その声に応え、第2回を行ったところ、第1回以上のチケット販売数を誇る事態になり、これを好機とみたスタッフは第3回の合同ライブの開催を決定。

 更にファン動員数は増え、大盛況のうちに第3回合同ライブは幕を閉じた……。

 

 この第3回合同ライブがつい10日前のできごとであるが、第4回の開催を望むファンの声が第3回終了直後から殺到した。

 

「この好機逃すわけにはいかないよね!」

 

 そう判断した事務所の決定により、第4回のライブ開催が決定し、次のライブは来月の頭と決定し、今日がその第一次の打ち合わせだった。

 

 この打ち合わせではライブまでの大まかな日程が発表され、セトリ提出の〆切日やレッスン、個別・合同リハの日程などの説明があり、ここからスタッフたちは機材の手配等の班別に打ち合わせに入るのだ。

 

 今しがた、その説明が終わったらしい。

 打ち合わせのメンバーが会議室から出てきた。

 先にリーダーの御神亜麻音を除くSublimatumのメンバーである和奏レイ、佐藤ますき、大和萌々、湊由愛、青葉帆乃花、和泉亜璃珠が出てきた。

 Sublimatumの6人はどうやら一緒に帰宅の途に就いてSublimatumのメンバーでドラム担当の佐藤ますきの提案で6人でラーメン『銀河』へ行くらしい。

 続いて、亜麻音のマネージャーである白金燐子、玉出ちゆ、鳰原令王那が出てきた。この3名は更なる詳細な打ち合わせがあるようで事務所のスタッフとともに別室の会議室へ向かっていった。

 その後、Pastel✽ Palettesのメンバーである丸山彩、白鷺千聖、氷川日菜、若宮イヴ、大和麻弥が出てきた。

 そして、Pastel✽ Palettesのマネージャーである盛谷颯樹、チーフマネージャー兼Sublimatumリーダーの御神亜麻音も出てきた。

 Pastel✽ Palettesメンバーとマネージャー陣はこれからレッスンと営業(収録)に向かうようだ。

 

 

 

 

 

 Side_Amene

 

「あ~~~やっと終わったぁ──ー!!」

「日菜……終わって第一声がそれかい」

「( ´゚д゚`)エー だって、会議とかるんっ♪ ってこないんだもん。あーちゃんどうにかしてよ!」

「無茶言わないの。私がどうにかできるわけないじゃない」

「...(´З`)チェッ。つまんないの」

「…………イラッ」

 

 会議を終えて私の隣を歩く日菜が愚痴っていた。

 日菜は誰もがお察しのとおり、このような真面目な会議を嫌う。

 だが、幾ら嫌いだからって欠席というわけには行かないので毎回私が日菜が引き摺って会議に出席させている。

 私にかかるストレスは半端ないので毎度胃薬のお世話になる故にこういう風に些細な冗談でもイラッと来るときもあるのだ。

 

「だーれーが、使えないってぇ? (グリグリ

「ちょっ……痛い。痛いってばぁ…………助けて、助けて彩ちゃん~~」

「えぇっ……えっとぉ~どうしよう~千聖ちゃぁん……」

「(´Д`)ハァ…… 日菜ちゃん……自業自得よ。あーちゃん。存分にやって頂戴」

「りょーかい。(グリグリ

「痛い。痛い。痛い。(>_<)(>_<)(>_<)」

 

 イラッときた私は日菜にグリグリこうげき。

 日菜はこの状況を終了させるべく、彩に助けを求める。

 しかし、イキナリ振られてもどうしようもない彩は千聖に助けを求めた。

 千聖は何となく察していたかは知らないが、なんと止めなかった。

 その瞬間、私はOSHIOKI継続でニッコリ。

 日菜は顔面蒼白だった。

 彩・千聖は「我、関せず」を貫いていた。

 そして、イヴは目をキッラキラさせていた。

 どうやら参加したいみたいだ。……いつものことだけど。

 

「ねぇ……またこうなったの?」

「日菜ちゃんの自業自得よ」

「「あ、アハハ…………」」

 

 颯樹の呆れた発言に、千聖はバッサリと斬り捨て、彩と麻弥は苦笑い。

 なお、ここまでいつもどおりのお決まりである。

 

「そういえばさ」

「……? どうかしたの、颯樹君」

「颯樹……? なにか気になることでも有るのかしら? もしかして……他の女ジャナイワヨネ……?

「ち、違うから!」

へー、ホントカナァー??

「違うってば!! イヴの姿が無いんだけど…………!!」

ヤッパリホカノオンナノコトヲカンガエテタノネェ……ダーリン?

コレハオシオキガヒツヨウカナー、ダーリン……??

「ちょまぁ…………なんで!? ねぇ!?」

「……冗談よ。(そんなわけないけど)颯樹。イヴちゃんならあそこよ」

「そうだよ。ジョークだよ。(違うけど)颯樹君。毎度のオチだよ」

 

 千聖と彩が指差した先を見た颯樹が見たものは……

 

やっぱり、見てるだけではツマラナイですよね! アマネさん!

「そうねー(棒)」

「痛い。痛い。痛い。(>_<)(>_<)(>_<)Σ( ;ω;)イタッ! (T~T;)イターッ!!」

 

 亜麻音に変わってそれはそれは楽しそうに日菜の頬をぐりんぐりんするイヴの姿だった。

 何時の間にイヴがその輪に加わって、何時の間に亜麻音と攻撃交代してたのか。

 …………めっちゃ、突っ込みどころ満載である(笑)

 その光景を見せられた颯樹は処理が追いついていなかった。

 

「なんでや……」

 

 と某アニメのトゲ頭の決め台詞しか言えてなかった。

 彩と千聖、苦笑いでそれが終わるのを待っていた。

 当初は彩も颯樹と同じ反応を見せていたが、何度も見せられるうちにどうやら慣れてしまったようだ。

 慣れとはつくづく恐ろしいものである。

 というか、日菜が学習すればいい話である。

 しかしその日は永遠に来ない。(哀しみ)

 

「ねぇ……彩ちゃん……」

「うん。千聖ちゃんもそう思う?」

「ええ。麻弥ちゃんも思うでしょう?」

「確かに……ジブンもそう思います」

「麻弥ちゃんもそう思う? ……で、どうするの、千聖ちゃん?」

「ここは少し不安だけど……」

「……仕方ないよね。うん」

「……ジブン的に彩さんと千聖さんの方が不安なんですが……(ボソッ」

ナニカイッタカシラ、マヤチャン……?

ナニカイッタカナー? マヤチャン……

「いえ、何も。(鋭いっすね……。このヤンデレ共)」

 

 3人の空気、剣呑すぎていた。

 アイドルって一体なんなのさ。

 それを横目にOSHIOKIが終了したようだ。

 日菜は…………真っ白な屍である(死んでないけど)。

 当然といえば当然である。

 

「ねぇ……亜麻音ちゃん、結構疲れてるんじゃない?」

「え、そう見えるかな……彩」

「見えるよ……結構疲れてる風に見えるよ……。ね、千聖ちゃん」

「そうね。あーちゃん自身は隠せてる風に思ってるけれども私たちからすればバレバレよ」

「そうそう! だから今からはここでゆっくり休んでて!!」

「えっ……でも……」

「大丈夫ですよ。亜麻音さん。ジブン達だけでも問題はありませんから」

「そうよ。ライブの時に体調不良なんて言語道断よ。だから、休める時に休んどきなさい。いいわね、あーちゃん?」

「……わかったわよぅ。ちーちゃん」

「それでいいの」

 

 千聖から圧を感じたのでここは従っておくことにした。

 彩は彩で颯樹を私と同じく休むように説得されていた。

 颯樹が顔面蒼白になっていたのは気のせいだと思いたい。

 彩達は日菜(屍)を担いでレッスン会場へ向かうため、私達と別れたのだった。

 

 その場に取り残された私と颯樹は取り敢えずデスクに戻ることにした。

 そうそう。言い忘れてはいたが私と颯樹のデスクは隣同士である。

 この事実を知ったあやちさひなは奇襲を仕掛けてきたが、沈めてやったわ。(物理)

 私、全く安らげねぇじゃん。

 燐子の作るホットハニーミルクを飲んでいる時だけが最近の癒やしであるくらいで…………原因はあやちさひな(あいつら)なんだよなー。

 なんか、気が滅入ってきたんだけど。

 

「(´Д`)ハァ……」

「…………大丈夫? 亜麻音ちゃん」

「んー……あー、大丈夫ー。ちょっと思い出しただけだから……」

「いや、全然そうは見えないんだけど!?」

「大丈夫だって……。だから心配しないで」

「本当に? 無理しないでよ?」

「解ってるって。…………ねぇ、颯樹」

「……? どうかしたの?」

「私と貴方ってこのPastel✽ Palettesの事務所で初対面だっけ……?」

「え、多分……」

「だよねぇ……。でもさ、その前から親交あった気がするんだよね」

「あー確かに。何処でだろう? なんか、忘れてる気がする……」

「うーん……高校は別だよね」

「そうだね。星ノ丘と羽丘は交流あるけど、会った事はないよね」

「そうだね。僕は交流の方に入ったことないし」

「じゃあ……中学の時……?」

「僕はその時は長崎に居たかな……」

「うーん……じゃあ、小学校の時……?」

「あー、そうかも。小4の時まで僕はこっちに居てちーちゃんや()()()()()と仲良かったからね……」

「え?」

 

 今、颯樹は何と言った? 

 どうして、かおちゃん……ハロハピのギター担当、瀬田薫が出てくるの? 

 

「……? どうしたの、亜麻音ちゃん」

「『かおちゃん』って瀬田薫のこと? 今、羽丘に通ってる」

「え? そう……だけど。ちーちゃんと同じで僕の幼馴染だったんだ」

「ねぇ……『さちあかカルテット』って覚えてる?」

「え、うん。覚えてるよ。僕と、ちーちゃん、あーちゃん、かおちゃんを纏めた愛称だよね……。懐かしいよね」

「そうよね。懐かしいわよね」

「え、亜麻音ちゃん……知ってるの?」

「そりゃあ……そうよ。私もその一角だったし」

「え……。亜麻音ちゃん……まさか……」

「何?」

「まさか……だけど、『あーちゃん』なの……??」

「そうだよ。さーくん。やっと思い出した?」

「う、うん……」

「あー……まぁ無理もないか。昔と髪型違うし」

 

 そういって私は結っていた髪を解き、軽いウェーブがかかったロングヘアーになった。小学生の頃はずっとこの髪型だったっけ。

 

「ごめん……中々思い出せなくて。あーちゃん」

「別に良いわよ。私もさっきまでさーくんの事、思い出せなかったしさ。お相子」

「うん……。あー、でも納得だね」

「何が?」

「道理で初対面の時、どこかであったような気がしたんだよね……」

「あー、それね。私もよ」

「僕達って似た者同士かもしれないね」

「かもねー。……って昔もそんなこと言ってた気がする」

「あれ……? そうだっけ」

「そうよ。あっ……そうだ」

「どうしたの? あーちゃん」

「何処かの喫茶店行かない? 二人で」

「良いね。そうしよう……か…………あっ……今日は……止めとこうかな」

 

 私の提案に了承したと思ったら、何処かを見た途端にさーくんは顔面蒼白になって私の申し出を断った。さーくんが見た方向には…………

 

ヤッパリコウナッタノネ……(ギギギギギ

オフタリサンハソンナカンケイダッタンダネー(ガガガガガ

フタリトモショシテイイヨネ? アーチャンハシカエシモカネテサァ……(ルルルルル

 

 妖怪窓ぺったん…………じゃねぇや。

 阿修羅の殺気を纏ったあやちさひな(だったもの)だった。

 顔は般若で両手には出刃包丁。

 これ……アイドル…………いや、人間だよな? 

 つーかさ、なんで邪魔すんねん。もういいや。もう。

 

 ……アイツラガドウナッテモイイヨネ♪ ベツニ。

 

 私は無言で斬馬刀を取り出して片手で持って肩に担ぎ超笑顔で言った。

 

よーし。纏めて相手してやるから表出ようや

「「「あ…………」」」

 

 私の怒気(殺気)に正気に戻り顔がもう青を通り越して真っ白あやちさひな。

 今更謝ったって既に遅い。

 私はあやちさひなの雁首を片手で持ってOSHIOKI☆部屋に向かった。

 

 

 

 

 暫くして、あやちさひなの声にならない叫び声が事務所に木霊した。

 それを聞きつけた麻弥が駆けつけ、そこにはTORAUMAを見事に再燃させたあやちさひな(だったもの)が(瀕死)な光景が。

 それを見た麻弥はふかーい溜息をつき

 

「なんで、このバカ共の回収をジブンがしなきゃいけないんですかねぇ……」

 

 と愚痴りながら手馴れた手つきであやちさひな(瀕死の屍)の回収作業を行うのだった。

 

 Fin

 

 




如何だったでしょうか。
制裁武器が進化するこのお話。
次回はどんな武器になるのかお楽しみに。

ではでは。


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Rhythm 012 この人も大概なシスコン(アレ)

復活連載祭り最終弾。


 ある日のライブハウス・Circle。

 今日は天気も良く、そんなに暑くもない事もあって沢山の練習帰りのバンドメンバーでごった返していた。

 その中で一際存在感を放つテーブルがあった。

 そこに座っているのは二人の男女。

 男の方は名前を盛谷颯樹といい、Pastel✽Palettesのマネージャーであり、女の方は名前を和奏レイといい、「レイヤ」と言う名でSublimatumというバンドで活動している。

 颯樹とレイはかなり話が弾んでいた。

 この二人……互いの演奏パートはBa.であるという共通点がある故に互いに共感できることがあったのだろうか。

 何はともあれ……仲良きことは美しきかな。

 

 私、御神亜麻音はさーくんとレイの二人をカフェのカウンターから遠目で見て和んでいた。

 この言葉で解るとおり、私は今、Circleでバイト中である。今日はカフェ仕事も込である。

 

「亜麻音ちゃん、あそこのテーブルにこれを給仕お願いできるかな? その後休憩に入ってもらっていいから」

「えっ……はい。了解です……。……あれ? 注文入ってましたっけ……??」

「え、入ってないけど? まぁ……サービスよ。あの二人のお陰で集客もバッチシだしね」

「あっ……(察し)了解です」

 

 確かにさーくんとレイのお陰でお客の入りがいいのは事実だ。まぁ……それで奴等が召喚されないといいんだけどな。

 私はそう頭の片隅で思いつつ、『タワーパンケーキ』と『ハニーホットミルク二つ』と自分の休憩用に作った『キャラメルマキアート』をお盆に載せて、レイとさーくんの所に赴く。

 

「お客様。お話途中に失礼します。此方をどうぞ」

「亜麻音……今日は此処でバイトだったんだ……」

「ええ。そうよ。今から休憩だけどね」

「あーちゃん、僕達これ頼んでないんだけど……」

 

想定外の私による給仕に困惑のさーくんにレイ。

 

「これは……サービスよ。サービス」

「でも……」

「良いのっ。ね?」

「解ったよ……」

 

このまま永遠と問答が続きそうな予感がしたので強引に押し切る私。

さーくんは納得してはいないものの、どうやら受け入れたらしい。

 

「ねぇ亜麻音、その飲み物ってホットミルク?」

「そうよ。ハチミツ入りのね。レイはこれ好きでしょ?」

「うん。大好き!」

 

ハチミツ入りのホットミルクを受け取ったレイヤは満面の笑顔だった。

うわ、この尊さに召されそうな私である。こころ以外でココまで召されるのは想定外だったよ。

 

「さーくんも大丈夫よね……?」

「うん。大丈夫だよ」

「そっか。じゃあごゆっくりどうぞ」

「待って。亜麻音」

 

さーくん達のテーブルの給仕を終えて休憩場所へ戻ろうとした私はレイに呼び止められた。

 

「? どうしたの、レイ」

「亜麻音って今から休憩なんでしょ?」

「え……まぁ、そう……だけど」

「だったら、私達と一緒に話さない?」

「え……でも、2人の邪魔になるんじゃ……」

 

私はこの2人のムードを壊したくはなかったのでやんわりとだが断ろうとした。

「大丈夫だよ! ね? 颯樹」

「そうだよ。あーちゃんとも話したいからさ。レイに聞いたんだけど、あーちゃんもベースやってるんでしょ?」

「そう……ね。じゃあ、お邪魔しちゃおうかな。レイ、妬かないでよ?」

「大丈夫。それはないから」

 

 断言したレイは何処ぞのトリオとは大違いである。

 私はそう思いつつもレイとさーくんのテーブルにお邪魔して3人で雑談を始めた。

 この時、私は思ったよ。

 

 雑談に甘い物は切っても切れぬ縁がある! 

 

 と。

 邪魔が入らない雑談の時間はあっという間に過ぎていった。

 もっと時間があったらいいのにと終幕も惜しむほどに。

 しかしそうは言ってられないのも事実だ。

 

「あっ……もうこんな時間。私、仕事に戻らなきゃ」

「ゴメンネ、亜麻音。大切な休憩時間だったのに」

「レイ。構わないよ。私、結構楽しかったしさ」

「そっか。なら良いんだけど」

「じゃあ、ごゆっくりね。二人共。あ、さーくん、レイ泣かさないでよ?」

「大丈夫だよ。そんなこと絶対にしないから! あーちゃん」

「そう。なら安心ね」

 

 私は空の食器を回収し、仕事に戻った。えっと、次はフロントの業務だっけか。

 

 

 

 暫くして、異変が起こった。

 受付をしていた私に誰かが抱きついてきたのだ。

 

「えっと……こころ? どうしたの?」

「姉様ぁ…………(グスッ)」

 

 抱きついてきたのはハロー、ハッピーワールドのボーカル担当の弦巻こころ。私の母親の妹が彼女の母親であり、私の(神級に可愛い)従姉妹である。

 取り敢えず…………かなりグズってるからちゃんと落ち着くまで慰めないと。

 私は優しくこころの頭を撫でてあげる。

 こころのサラサラな髪を堪能とかは考えないからね? そんなに末期じゃないから。私は。

 

 暫くこころを撫でてあげたら、こころは眠ってしまったようだ。

 よっぽどの事があったのだろうか……? 

 

「亜麻音先輩…………こころ知りませんか? 何処かに行っちゃいまして」

「あ、美咲。こころなら此処よ」

「よかったぁ……こころん、あーちゃん先輩のところにいたんだね……」

 

 はぐみは美咲に抱きついていた。

 どうやら怯えているようだ。一体何があったのだろうか。

 

「あのさ……美咲、はぐみ、一体どうしたのよ?」

「あー……それも含めて説明しますね」

 

 美咲による説明を受けて頭を抱えた私だった。

 その直後に花音から電話がかかってきた。

 

「もしもし、花音?」

「ああっ、亜麻音ちゃんが出て良かったよぉ~…………」

「花音…………まさかとは思うだけどさ」

 

花音の口調からするに嫌な予感しかしないんだけど。

 

「うん……。私達じゃ止めらないの……。既に薫さんが……」

「犠牲になったんだな?」

「うん……」

「( ´Д`)=3 今そっちに行くわ……」

「亜麻音ちゃん、ありがとぉ~~~~~」

 

 花音も最後の方が涙声やったぞ。

 なにしてくれてんねん……あいつらァ。

 

「美咲……悪いんだけど、こころを頼むわ」

「は……はい。解りました……」

 

 私は花音との電話を切って、こころを美咲に任せてカフェスペースに向かった。

 そこで見たのは…………修羅というか、地獄絵図だった。

 

 当事者はまたアイツ等……あやちさひなだった。

 

ネェサツキ……ホカノオンナトズイブンオタノシミダッタヨウネェ……??(ギギギギギ……)

ソウダヨォ……レイヤチャンモナニシテルノカナァ……???(ガガガガガガガ……)

ツイデニアーチャントマタオタノシミダッタンダヨネェ……??(ルルルルルルルルル……)

 

 何だよあれ。アイツ等……とっくに人間超越した何かになってるし。

 しかも両手にチェンソーかよ。もう……あやちさひなだった人間の形をした何かだった。

 

「やっぱりアンタ達なのね……(呆れ)」

アー! アーチャンダァ!! ヤッテモイイヨネェ? フタリトモ(ルルルルルルルルル……)

アーチャン……?? エエ、モンダイナイワ! ヒナチャン(ギギギギギ……)

ソウダヨォ……アマネチャンナンテヤッチャエ──(ガガガガガガガ……)

 

 へぇ……私を……いい度胸してるじゃん(暗黒微笑)

 

よーし……オメェら。面ァ貸せや(ニッコリ)

 

 私の可愛い従姉妹……こころを泣かせた罪をキッチリ償ってもらって落とし前つけて貰わんとねぇ……? 

 

ナニカシラ……?(ギギギギギ……)

ナニカナァ……?(ガガガガガ……)

ジャマシナイデヨォ……アーチャン。ヤッチャウヨォ?(ルルルルルルルルル……)

 

 そうか……。私を……。いい度胸してるじゃん(暗黒微笑)←※二度目

 

殺れるもんならやってみな? 相手してあげるからさ……。ひーな?(ニッコリ)

 

 

 身丈の倍以上はあるハルバートを手に私は言い放つ。

 

「あっ……」

「遅ぇわ。覚悟してよね?」

 

 日菜はもう汗が滝のようになって止まらなくなっていた。

 その陰で日菜を生贄にして逃走を図るあやちさ。

 

「逃がさねぇからな?」(ニッコリ)

「「あっ……」」

 

 こうして累計何度目か不明な刑罰執行。

 回数は数えるのを止めた。だって多すぎるもん。

 あやちさひなが屍になったと同時で電話がかかってきた。相手は……麻弥か。

 

「もしもし? 麻弥? どうしたん?」

「えっと……亜麻音さん、あの3人組知らないっすかね?」

「えっと……アイツ等?」

「はい。厄介な3人組です。窓を突き破って脱走しちゃいまして……」

「ふぅーん……。そうなん?」

「ええ。ですから…………見つけたら……」

「あぁ……大丈夫よ。既に処したから」

「あー……やっぱりですか。では今すぐに回収に向かいますね」

「りょーかい。場所はcircleだから」

「了解っす。ではまた」

「うん。またあとで」

 

 麻弥との通話が終わった。

 暫くして回収に来た麻弥にあやちさひな(屍)を引き渡す。

 麻弥はあやちさひなを暴れないように手慣れた手つきで拘束して担いで行った。

 麻弥が退出した後、この現状がどうしようもないので、とりあえずバイトを早退させてもらう私。

 そして……レイとハロハピメンバーを自宅に泊めてあげるのだった。

 

 Fin

 

 




ここで一旦リメイク投稿は終了。
またボツ原案が見つかればやりたいと思います。

何時になるか未定な次回をお楽しみに。ではでは。


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Rhythm 013 あれほど敵に回すなと言ったのに。

リメイク祭り第4弾。


 とある日の芸能事務所。

 その作業スペースで何人かの人物が各々の作業に没頭していた。

 

 通路に一番近い席の私とその前に座る燐子はPastel✽Palettes関係の書類仕事である。その燐子の右隣に座っているのがちーちゃん。

 今日は収録の仕事があるが始まるまでに時間があるので、今はファンからのファンレター等の返信作業を行っていた。

 

 今、私達が居るこの区画には全部で6対12席のデスクがあり使用中デスク全10席のうち、7席が使用者不在となっている。

 私の右隣に座る颯樹、その隣の彩、一つ空いて隣のイヴ、千聖の2つ右隣に座る日菜、その隣の麻弥はレッスンの時間である。

 麻弥の右隣に座るちゆ……チュチュとイヴの右隣に座る令王那……パレオは今、次のライブに向けての打ち合わせでもうすぐ帰ってくるはずだ。

 

…………ハヤクイカナイト

 

 千聖が一言だけ言って仕事を中断して何処かへ行こうとしていた。

 …………巨大なモーニングスター片手で。

 

あ、亜麻音ちゃん……

 

 燐子が私に抱きついて避難してきた。よっぽど怖かったんだろう。

 無理もないか。あんなに殺気ダダ漏れだったちーちゃんを1人で行かせると対象が逝きそうで怖い。

 

 私は千聖……ちーちゃんを追いかけねばならないのだが……現状が怯える燐子に抱き枕の様に抱きつかれている故に動けないんだよ。あと……一部分(立派なお胸)からの圧が凄い。

 このままでは私の恥ずかしさがオーバヒートしちまうわ。

 だから……燐子を落ち着かせるのが先決だ。

 私は燐子の頭を撫でて宥める事にした。

 

 

 あ、燐子の髪……サラサラで気持ちいいかも。

 

 

 …………。

 ………………。

 ………………( ゚д゚)ハッ! 

 何考えてるのよ。私ぃ!! 

 しっかり理性を保つんだよぉ↑

 

 その間、葛藤していたのは内緒である。燐子は私が頭を撫でてあげていたら安心したらしい。

 

 

すぅ……すぅ……

 

 いつの間にか、眠っていた。

 起こすのも気が引けるので、私は静かに燐子を静かに抱き上げて、お姫様抱っこで私のデスクの後ろにあるソファーに移動させた。

 そして、寝冷え防止としてそっとタオルケットを掛けてあげた。

 このまま、寝ている燐子を放置して行くわけにも行かない。

 せめて……誰かが居ればいいのだけども。

 そう思った時だ。

 

 

「今、帰ったわよ。亜麻音」

「只今戻りました~。亜麻音さん」

 

 打ち合わせを終えたちゆと令王那が帰ってきた。

 二人共……ナイスタイミング! 

 

「後よろしく!」

「What!? 亜麻音、いきなりどうしたの!?」

「了解しました~。お気をつけて~」

 

 いきなりでなんのこっちゃと戸惑うちゆ。

 それとは対に何かを察し、私を見送る令王那。

 流石、令王那。何も言わなくても察するとは『キーボードメイド』は伊達じゃないね。

 さて……ちーちゃんを追わねば。

 私は事務所を飛び出した。

 

 ちーちゃんを追って走る私のスマホに麻弥からの着信が入る。

 

 

「もしもし? 麻弥、どうしたの」

「亜麻音さん、ジブンとイヴさん以外のメンバーがまだ来てないんですけど」

「えっ……?? なんでぇ!?」

 

 麻弥からの連絡に困惑の叫びを上げる私。

 なんであやひな居ねぇんだよ。

 

「ジブンにも解んないんですよぉ……。亜麻音さんも知らないんですか?」

「知らないよ……。事務所には居なかったし……あっ……」

 

 ここで私は先程のちーちゃんがモーニングスター持って何処かに行く光景を思い出した。

 

「何か心当たりでもあるんですか?」

「うん。一応ね……麻弥」

「……? なんでしょう」

 

 私は申し訳ない気持ちで一言麻弥に依頼した。

 

「…………準備しといて」

「(´Д`)ハァ……またですか。いい加減にして欲しいんですけど」

 

 電話の奥でクソでかため息の麻弥であった。

 

「そう言わないで。終わったらケーキバイキングしましょ」

「本当ですか!? じゃあ楽しみにしてますね!」

 

 ケーキバイキングの開催を聞いて心なしか上機嫌な麻弥だった。

 これは労う意味でも盛大に開かないとな。

 麻弥との通話を終えた私もまたクソでかため息なのだった。

 

 

 それにしても……彩&日菜(あやひな)…………特に日菜ぁ! ナニしてくれとんねん。

 彩は多分……止めようとして唆されたクチだろうし、軽罪。

 日菜はO☆HA☆NA☆SHIが必要だから先ずはちーちゃんと合流せねば。

 

 ……あ。そう思ってたら居たわ。あの狂戦士(バーサーカー)

 冷静になってもらわねばならないので私は背後から気配を消して改造トンファーでちーちゃんを小突いた。

 

「痛た……。もう何するのよ、あーちゃん」

「ちーちゃん。少しは落ち着きなさいな」

「落ち着けるわけないじゃない! こうしてる間にもダーリンは彩ちゃん(ピンク)日菜ちゃん(水色)にアンナコトやソンナコトされるのよ!?」

 

仮にもアイドルでしょうが。ナニ言ってるんだよ。

 

「だーかーらぁ、そんな状態で突貫したって足元掬われて終わりよ?」

「そ、それは……そうね。ごめんなさい。取り乱したわ」

 

私の一喝で納得したちーちゃんは正気に戻ったようだ。

 

「気にしてないわ。それよりさっさとさーくんとあやひな(脱走犯)を……狩るわよ。ちーちゃん」

「ええ。そうね。全力を持って仕留めましょう。あーちゃん」

 

 あまちさVSあやひなのワンサイドジェノサイドゲームの開幕だ。

 

「それで、ちーちゃん。居場所は解ってるの?」

「ええ。ダーリンに盗聴器仕掛けてあるから内蔵のGPSで割り出せるわ」

「…………」

 

 今のは聞かなかったことにしておこう。下手に私のSUN値削りたくない。

 

「……で、場所は何処な訳?」

「えっと……ピンク……彩ちゃんの家の前ね」

「は……? 道端?? 家の中じゃなくて?」

「ええ。何か心当たりあるかしら?」

「心当たり……ねぇ。…………あ」

 

ちーちゃんに聞かれて自分の記憶を呼び起こし、思い出した。

 

「何か思い出したの?」

「ええ。地下に居るのよ。さーくん達は」

「え? 地下?? どういう事???」

 

ちーちゃんは私の言葉の真意が解らず首を傾げていた。

 

「実は……この町内の地下には弦巻家が作ったシェルターの類が存在するのよ」

「……そんなの初耳なんだけど。なんで彩ちゃんは知ってるのかしら?」

 

ちーちゃんの言い分は最もで普通は弦巻家の関係者だけしか知らないハズである。

私はこころとは従姉妹関係でしかも専属メイドなので関係者だから知っていても可笑しくはないが。

 

「前に『家でもレッスンできる場所が欲しい』って言われてさ。その区画紹介したの。まさかこんな使い方されるとは思わなかったけどさ」

「じゃあ……そこに向かいましょ」

「待って。行くんならさ……奇襲かけない?」

「奇襲……。中々いいじゃない」

 

私の提案に悪い笑顔を浮かべて賛同するちーちゃん。

 

でしょ? これならダメージも内外共に大きいし」(暗黒微笑)

あーちゃん、その通りね。早速やりましょう」(暗黒微笑)

 

 こうなってしまった私達はさーくんを助け出してあやひなを処刑するまで止まらない。

 私達は部屋の所有者も知らないメンテナンス用の通路から乗り込むので先ずは塀に設置されている扉を開いて内蔵のパネルを操作し、メンテ用の隠しエレベータを出現させる。

 このエレベーターは特定の数字を打ち込むと地中から出現する仕組みなのだ。

 何故、私がそのコードを知ってるかって……? んー……ナイショミ^・x・^)☆

 

 エレベーターで地下に降りてメンテナンス用通路を進んでいく。メンテナンス用といえど、キチンと立って歩けるほどのスペースはある。

 しばらく歩いたところで私達は彩達の居る部屋の真上に到着する。

 

 いきなり乗り込むのは色々と厄介なので機を伺うことにした。

 

「ねぇ……日菜ちゃん、本当に大丈夫なの……?」

「も~。心配性だなぁ~彩ちゃんは」

「だってさ……千聖ちゃんとか亜麻音ちゃんが勘付くじゃあ……」

「問題ないって。あたし達はレッスンに行ってるって予定だしさ。それにさ……」

「それに……?」

「いっつも居る邪魔者が居ないんだよ? ……だからさ……」

「だから…………」

サークンヲアタシタチガイタダイテタンノウシタッテイインダヨ?

エ、ホント……??

 

 ほーぅ……『邪魔者』ねぇ……。

 やっぱり主犯格は日菜……お前だと思ったよ。

 彩は唆されただけだと思ってたけどやっぱりか。

 こりゃあ……限度額満タンよね。

 

 お客さぁん……キチンと支払っていただきませうかぁ……?? 

 

 …………日菜のO☆SHI☆O☆KI、ここに開幕しせり……だ。

 先ず、日菜と彩がさーくんに既成事実を作ろうとして服を剥こうとする瞬間にちーちゃんがクロスボウでさーくんの身体中に固定されている拘束具を破壊すると同時に私は改造トンファーに内蔵の分銅鎖を使い、さーくんを回収。

 

「た、助かった…………。ありがとう。ちーちゃん、あーちゃん」

「礼には及ばわないわよ。当然のコトをしたまでだもの」

「そうそう。幼馴染で付き合い長いんだから気にしないで」

「でも……」

 

私とちーちゃんの言葉に何が言いたげそうなさーくん。

 

「それ以上言わなくていいから。もしさ……何か思ってるならさ、この後のケーキバイキングに参加! それでチャラ。良いよね? ちーちゃん」

「ええ。私は問題ないわ、あーちゃん。ダーリンはどうかしら……?」

 

私達はそれを察して強引に押し切る。

対するさーくんはまだ納得していないようだった。

 

「ダメ……かな?」

「……解ったよ。それで二人が満足するのなら、喜んで参加させて貰うね」

ちーちゃんがやれと言うので私が上目遣いで迫ったらさーくんは折れてくれた。

 

「……ありがと。んじゃあ……ちーちゃん」

「ええ。さっさと終わらせましょう?」

 

 私とちーちゃんはそれぞれ、トンファーとモーニングスターを手に降り立った。

 

……スコシオハナシシマセウカァ……??

ハナスコトナンテナインダケド…………??

ソーダヨ!! モウスコシノトコロダッタノニ……!!

ナニガカシラ……??

ナニッテサークントアタシガキセイジジツヲツクルコトダヨォ

ソレトワタシモサークントノキセイジジツモダヨ

ソンナザレゴトガトオルトデモ……??

 

モンクアルナラ、カカッテキナヨォ?

イイドキョウネ、アヤチャン……

 

刹那、ちーちゃんのモーニングスターと彩の偃月刀が交わりあった。

 

アタシノアイテハアーチャンカァ……カクゴシテヨネェ?

ギルティー。カクゴスンノハテメーダヨ。サァ、オウジョウのジカンダヨォ?

 

 

私と日菜も一言言ったあとに笑みを浮かべ数秒後には改造トンファーと戦斧が交わりあう。

 

 開戦から5分後。

 すぐに私とちーちゃんの勝利で片がついた。

 

 全く……この程度でイキってたら痛いしっぺ返し喰らうのに。

 まー、聞こえてないか。今の彩と日菜には。

 

 この後、私の連絡で駆けつけた麻弥にあやひなの身柄を引き渡す。

 麻弥は手慣れた手つきで瞬時に抵抗できないようにあやひなを拘束してレッスン場に強制連行していった。

 これから彩と日菜には脱走分+サボった分が加算された地獄のレッスンが待っている。

 これは……TORAUMA確実案件である。だが、それは完全な自業自得なので私は何も言うまい。

 案の定、私からそれを聞いた時のあやひなは

 

「「えっ……マジで?? 嘘だといってよ!!」」

 

 といった感じで喚いていた。

 彩に至っては唆されて便乗しただけでこうなるのだから。哀れな。

 

「二人共、諦めなさい。大人しく地獄へ旅立ってきなさい(( ^ω^ )ニコニコ」

 

 ちーちゃんが暗黒微笑で投下したド正論によって二人は大人しくなり、色が抜け落ちて真っ白になっていた。

 

「麻弥ちゃん、この二人のこと、頼むわね?」

「任せてください! 千聖さん! このバカは絶対に脱走はさせませんので」

 

ちーちゃんの言葉に敬礼する麻弥。

 

「麻弥、日菜の方は特に念入りで頼むわね」

「あ、はい。確か主犯格でしたので『ねっちょりコース』でしたよね?」

「そうそう。屍になろうとどうだっていいから」

「了解っす。あ、日菜さんは縛って返却でいいんでしたっけ?」

「そうね。終わったら吊るすし、それでいいわ」

 

日菜の扱いがぞんざいな気がするが戦犯なので問題は一切合切ない。

 

「わかりました。それでは行ってきます。皆さん方、また後で」

「「いってらっしゃい。麻弥(ちゃん)。また後で」」

 

 麻弥はあやひなを抱えてレッスン場へと向かっていったので、私達は事務所に戻って残っていた仕事を手早く終わらせることにした。

 事務所に戻ると……私はあれから起きていた燐子に抱きつかれた。

 パレオによると、目が覚めた時に私がいなかったので寂しかったらしい。

 デスクにはげんなりして座っているチュチュの姿が…………。

 

 既に被害に遭ってたか……。

 

 私は苦笑いを本来であれば返すところなのだろうけど、今の私にはそれができない。

 

 燐子に抱きつかれている私は身動き取れない。

 燐子の発育の良い一部分(おっぱい)による圧がパネェ。

 この状態で仕事しろとか無理な話である。

 

 これを見ていたちーちゃんはこの事象の元凶なので気まずそうに目を逸らしていた。

 ちーちゃんからこうなる経緯を聞いた颯樹も苦笑していた。

 

「あのさ、あーちゃんと燐子の仕事は僕がやっておくから、あーちゃんは燐子を慰めてあげて」

「ゴメン。さーくん。書類はデスクにあるから」

「りょーかい」

「燐子……取り敢えず、ソファーに行きましょ?」

「…………コクッ」

 

 私は燐子が復活するまで慰めていた。

 燐子は平常に戻った瞬間に顔を急速に真っ赤にさせて私に謝って私が「気にしないで」と宥めるのにも時間を要したのだった。

 

 その日の夕方、ヘルプとしてますきを呼んで(手作り)ケーキバイキングが私の家で催された。

 今回の下手人である彩は地獄レッスンだけで無罪放免でケーキバイキング参加なのだが、首謀者である日菜については簀巻きで天井から吊るされていた。

 何時、意識を取り戻してケーキバイキングに参加するかわからないので、紗夜の監視付きである。なお、紗夜には日菜監視のお詫びとして手作りのケーキ3ホールを渡してある。

 

 こうして、(手作り)ケーキバイキングは好評のうちに幕を閉じた後に本人の強い希望によって燐子の私の家でのお泊りが決定したのであった。

 そして、NFOでSolaとRinRinのタッグが伝説を作り、その行動原理が日菜に対する憂さ晴らしで何も気づかずにログインしたHinaはSola&RinRinに遭遇し、フルボッコにされて丁度通りかかったサヨに回収されるのも別のお話である。

 

 Fin.

 




前回で終わると思ったらなんか出てきたので今回も投稿。

次回はどうなるかわからん。

武器は進化する。


これだけ言っておく。

ではまた次回。


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Rhythm 014 海だ!海水浴だ!怒らすな危険!

リメイク祭り第5弾。

何気にгалактикаの初登場メンバーがいます。


皆様、おはようございます。 御神亜麻音です。今、私……私達は海に来ています。

メンバーは私、ちーちゃん、さーくん、かのちゃん、陽向さんだ。

 

待ち合わせは8:40に東京駅集合となっているのだが……花音と陽向さんがまだ来ていない。

 

「花音……遅いわね。何かあったのかしら?」

「連絡は……来ていないし、迷子かもしれないわね……」

 

心配するちーちゃんに私は考えられる仮定を口にした。

 

「そうだとして……捜索隊は出ているのかしら?」

「念の為という事で出てる。目下捜索中……だそうよ」

「そう……上手く合流出来るといいわね……」

「それについては祈るしかないね。……そういえば、さーくんは?」

 

私は何時もであれば既に来ているさーくんの不在をちーちゃんに尋ねた。

 

「ダーリンなら日菜ちゃん(みずいろ)彩ちゃん(ピンク)に拉致られてるわよ」

「…………またかよ。どんだけ拉致られてるのよ、さーくんは」

「それについては私がダーリンにOHANASHIしたいくらいよ?」

「あー……うん。ソウダネー」

 

藪蛇だったらしくちーちゃんはドス黒い怨オーラを発しており、私は引き気味に棒読みで答えることしかできなかった。

その内心、こうなった原因の日菜(みずいろ)(ピンク)に殺意を抱かずにはいられなかった私である。

 

「そろそろ移動したほうがよさそうよね、あーちゃん」

「あっ……そうね。ちーちゃん」

 

あやひな(水色ピンク)の怨み節でトリップした私はちーちゃんの一言で現実回帰を果たした。

 

「ねぇ……あーちゃん」

「どした? ちーちゃん」

「私、電車の乗り継ぎが苦手なの知ってるわよね?」

「……知ってる。じゃあ、手を繋ぐ?」

「そうね。それじゃあエスコートよろしくね? あーちゃん」

「あいよ。 お任せあれ。お姫様(ちーちゃん)

 

私とちーちゃんは手を繋いで今から乗る特急が発車する京葉地下ホームの1番線へと向かうと、既に私達の乗る列車は入線しており、車内清掃済みで乗車できるようになっていた。

 

「ねぇ、あーちゃん、私達が乗るのはこの列車なのよね?」

「ええ、そうよ。私達が乗るのはグリーン車だから4号車ね」

「解ったわ」

 

私達の乗る列車……『特急わかしお3号 安房鴨川行』は9両編成で進行方向から9号車、8号車、7号車……一番後ろが1号車となっている。

私達が前から6両目の車両、4号車に乗車して席に座った直後に発車時刻となり、特急わかしお3号 安房鴨川行は定刻の9:00に東京駅京葉地下ホーム1番線を後にした。

ここから私達が赴く海水浴場の最寄駅、『御宿駅』までは凡そ1時間20分の旅である。

それまでの間、景色を楽しみつつ向かうことにしよう。

因みに当初は5人分抑えてあった切符だが、急遽3人分の切符は払い戻しとなりその際の手数料……(5540円×3)×0.3=4986円は彩の給料から天引きされるように仕向けてある。

ちーちゃんから何か言われるかと思ったが、寧ろGoサインを出されたのは言うまでもない。

 

列車は定刻の10時21分に御宿駅に到着した。

ホームから改札を出て、そこから徒歩で10分ほどで目的地の『岩和田海水浴場』に到着。

 

更衣室にそのまま向かい、私とちーちゃんは水着に着替える。ロッカーは隣り合わせだけど、イチャコラとかしてない。

何故かは解らないけどちーちゃんに滅茶苦茶嫉妬の視線を向けられた。

私的にはちーちゃんもスタイルが良いのだし、妬む必要は無いと思うのだけども……。

私の水着は白地に赤のラインが入ったパレオとリストバンドがセットのビキニタイプの水着で、トップスの中央とパレオの左上には大きな赤いリボンがあしらわれている。

 

実を言うとこの水着、私が選んだ物ではなく令王那のチョイスだったりする。

私自身は去年の水着のままで行こうと思っていて、それをポロっと令王那の前で漏らしたら鬼の形相され、そのままショッピングモールの水着ショップに強制連行されて反論許されず令王那の選ぶ水着の着せ替え人形となるしか選択肢はなかったのである。

こうして選ばれたのが今私が着ている水着だという訳だ。

 

「この水着なら何処に行っても恥ずかしありませんね♪」

 

と、選んだ令王那も太鼓判を押しているし大丈夫なのだろう。

 

水着に着替えた私達は最初にビーチパラソルの設営に入ることにした。

こういう時にさーくん()が居ると色々と便利なのだが、居ないもんは仕方ない。

私達で行うしかない。

 

「私達でもできるけど、さーくん居ないと不便だよね……」

「ええ。その通りね。これは今日の昼食代を日菜ちゃんの給料から天引きするしかないんじゃないかしら」

「あー、それいいね。主犯だし良いよね」

 

設営中に日菜の給料が天引きされることが決定した瞬間だった。

 

「横暴すぎるよー、あーちゃんっ!!」

 

とか言われようが、自業自得なので私的には

 

「知るか。(´・д・`)バーカ」

 

この一言だろう。

 

ビーチパラソルの設営が終わり、日焼け対策のケアを入念に行ったあと、私とちーちゃんはひと泳ぎする事にした。

財布などの貴重品は持ち運び用の金庫に厳重保管されている。

この金庫は弦巻家謹製で無理矢理こじ開けようとしたり、20桁の暗証番号を間違えると対象者にスタンガン機能(鬼強)が発動するという鬼畜でスカイツリーの頂上から落としても無事な強度を持っているのに重量は軽くお出かけに便利という謎仕様なのである。

それと、カバンにも金庫と同じスタンガン機能が付いた防止機構が付いている。これで荷物問題は解決なので見張りは要らないだろう。

 

 

 

30分くらい泳いで、一度私とちーちゃんはビーチパラソルの下で休憩を取ることにした。

暫く休憩していると

 

「ごめんね、あーちゃん、千聖ちゃん」

「いやぁ……遅れないように余裕を見て出発したら迷っちゃってさ、捜索隊のお世話になってたわ(笑)」

 

ここで松原姉妹が合流した。

ヒナ先輩……『(笑)』て。微塵も反省の色が見られないんですがっ!

 

「お詫びにこれあげるから許してっ!亜麻音ちゃん、千聖ちゃん」

 

そう言って渡されたのは『月でひろった卵』と『萩ぷりん亭 萩プリン』だった。

 

「「………………………………」」

 

貰った物を見て唖然となる私とちーちゃんである。

え、これって山口県の銘菓だよね?

 

「いやぁ……生で見た秋吉洞は言葉失ったね!」

 

えっ、『秋吉洞』って山口県の美祢市にある鍾乳洞で国の特別天然記念物にしていされていて日本一のスケールを誇る……っていうあの秋吉洞!?

驚愕な私達はかのちゃん――松原姉妹の妹の方、松原花音の方を見る。

私達の視線に気付いたかのちゃんの反応は苦笑だった。

 

本気で山口県行ってたよ、松原姉妹。しかもちゃっかり観光してるし。

最初は群馬、次が山梨、その次が静岡、その次が石川、その次が京都、その次が和歌山、その次が鳥取、その次である前回が高知……で今回が山口。

回を追う毎に見つかる先が遠くなっているのは気のせいだろうか。

次回から九州へ上陸しそうな気がする。そう思うと頭が痛くなりそうだ。

 

そんな私の苦悩を他所にヒナ先輩が泳ぎに繰り出し、それに引き摺られていくかのちゃん。

不安しかなかったのでちーちゃんに付き添ってもらうことにした。

これで失踪はないだろう。きっと多分めいびー。

 

1人残された私は休憩を続けることに。

暫くすると、私の下へ突然誰かが生き倒れて来た。

 

「……ゥ、あ、暑い……」

「ちゆ!? もしかして、この暑さに……」

「Shut Up!!……うるっさいわね……この暑さには慣れてないのよ……それに、ワタシはパレオに無理矢理連れて来られたのよ……」

 

そういえば、ちゆは令王那達と海に行く筈だったよね。

令王那が

 

「チュチュ様は無理矢理引き摺っても連れて行きますので拒否権はありません♪」

 

って言ってたし。

やっぱりか。

 

「全く、パレオってばSublimatumのメンバーに助力頼むなんて卑怯よ!! 拒否することも許されないじゃないっ!」

 

ちゆはおかんむりだった。

ってか、Sublimatumメンバー全員居るんかい。他のバンドメンバーも居そうな気がする。

 

「それにгалактикаのメンバーもいるし更にその姉妹達も居るし、イヴ、リンコやココロも居るし、アコも居てとんだ大所帯だわ!」

 

えっとちゆの発言からにメンバーは

 

萌々、由愛、帆乃花、亜璃珠、レイ、ますき、茜先輩、めぐ先輩、香織先輩、師匠、香澄、明日香、おたえ、つぐ、麻弥、イヴ、友希那、リサ、あこ、燐子、こころ、令王那

 

か……。

総勢18人て確かに大所帯だ。どう考えても移動に弦巻家絡んでるね。コレ。

 

なーんて苦笑気味に考えていると……

 

私に向かって衝撃5連弾が襲った。

全く予想だにしていなかったので簡単に押し倒される私である。

 

「ソラ姉ぇ~~~」

「姉様ぁ~~~~」

「「亜麻音ちゃぁんっっ~~~」

「亜麻音先輩っ~~~~」

 

その人物はあこ、こころ、令王那、燐子、つぐだった。

え、みんな涙目でどうしたの!?

あと(こころ&燐子の胸部で)圧迫されて苦しいからっ!

 

「私の妹を手篭めにしたジゴロの亜麻音ちゃん。遺言はある?」

「出会って早々に言う事がそれなんですか、師匠!?」

「ヽ(`Д´)ノウルサイゾ!さっさと死ねばいいと思う。圧迫死で」

「嫌ですからね!?何故にいきなり罵倒されなきゃなんないですか!?」

 

押し倒された私が会ったのは師匠……галактикаのキーボード担当でつぐの姉でもある羽沢栞先輩だ。

出会って早々罵倒とか理不尽。全くもって遺憾である。

 

「いやぁ、泳いだ、泳いだ……おろ、なんで此処に栞が居るの? 茜達と海水浴に行ってるはずだよね?」

「そうよ。皆で遊んでいる最中に怖いもの見ちゃって……場所が陽向達と一緒だったのは偶然なんだけど」

「? 何を見たのさ」

「アレよ」

「え?」

 

ヒナ先輩が戻ってきた事により、師匠はマトモになった。

師匠がヒナ先輩と会話をしている時に指さした先にあった光景は

 

ワザと誘わなかったあやひなとそのあやひなに拐われたはずのさーくんだった。

あやひなは周囲に近付く人を威圧しまくって、その影響かさーくん達の周囲はモーゼ状態となっている。

渦中のさーくんはナニされたのかは不明だけど、既に(やつ)れていた。

ナニがあったのかは知らない方が僥倖だろう。さーくんはご愁傷様としか言いようがない。

 

それにしても……

 

私の可愛い天使達を怯えさせた罪を清算していただきませうか? その身で♪

 

この感情がふつふつと湧き上がっている私だったが

 

ねぇ……()()()()()()

「か、花音……!?」

 

何時の間にか戻ってきていたかのちゃん……花音の豹変っぷりに冷静になり驚愕の私だった。

 

お姉ちゃん、こころちゃん達の事、お願いね?

「わ、解った……」

 

実の姉であるはずのヒナ先輩でさえこの反応だ。

どうしてこうなったの、()()()()!?

 

全ては彩ちゃんと日菜ちゃんが悪いんだよ? 良いね?

「アッハイ……」

 

遂に忍殺語のお決まりの返しでしか返答できなくなった私である。

今の()()()に逆らったら確実にや、殺られる…………!!

 

彩ちゃんと日菜ちゃんの御仕置きに付き合って欲しいんだけど、良いよね?

「仰せのままに!!()()()!!」

 

今の花音様に拒否の答えなぞ言えるはずもなく私は花音様に従うしか選択肢は残されていなかった。

 

花音様は身丈の倍以上ある大鉈を肩に担いであやひなの下へ。

私は花音様を追ってデスサイズを携えてあやひなのもとへ赴くのであった。

あやひなはそれぞれ、蛇腹剣とパイルバンカーを携えて殺る気マンマンである。

 

 

 

 

 

 

花音様と私があやひなの所に赴いて40秒後……。

簡単にケリがついた。

あやひなが完全にフルボッコされる形で。

フルボッコにされたあやひなは

 

「「カノンサマコワイ、カノンサマコワイ、カノンサマコワイ、カノンサマニコロサレル、カノンサマニコロサレル・・・・・・」」

 

と、相当に TO☆RA☆U☆MA を植え付けられたらしく譫言で呪詛めいていた。

多分殺しはしないと思うんだけど……

 

あのさ、いい加減に黙らないと本気で殺っちゃうよ?

 

前言撤回。本気で殺害予告付きの脅迫をしやがっていましたよ、花音様。

 

「「」」(チーン)

 

花音様の脅迫は効果覿面だったらしく、あやひなは天に召されたかのように気絶した。

それを尻目に花音様はヒナ先輩達の下へ帰っていく。

私はというと、この受け入れがたい現実に全力で逃避したかったので唯唯遠い目で立ち尽くしていたのだった。

 

 

30分後、なんとか復活した私は皆の所へ帰還した。

 

「あっ、遅かったね、あーちゃん?」

 

私を迎えたのは何時もどおりの花音様……ではなくて、()()()()()だった。

 

「あ、うん。ただいま……」

 

しどろもどろに答えた私は内心は安堵していた。

かのちゃんが花音様のままだったら本気でどうしようかと思ったわぁ……。

 

「あれ? なんか疲れてるね、あーちゃん。 少し休んだほうが良いんじゃない?」

「あぁ……うん。そうするわ……」

 

私はかのちゃんの提案を受け入れてビーチパラソルで休むことに。

 

 

暫く休んで復活した私は皆と合流し思いっきり海水浴を楽しみ、ひと夏の思い出が胸に刻まれる事となった。

 

そして、数時間後。

思いっきり遊んだ私達は皆で仲良く、帰宅することとなった。

 

まず徒歩で御宿駅へ。

そこから18:20発の『特急わかしお20号 東京行』で帰還した。

勿論、帰りもグリーン車利用である。

一番騒ぎそうなメンツは皆、疲れたのか眠りに落ちており車内はわりかし静かなものだった。

私は眠るこころを膝枕できたから役得だったけれど。

 

あやひなは黒服に頼んで回収してもらった。

そのまま海に放置しても良かったんだけど、環境問題的にアレだしね。

ゴミはちゃんと持ち帰らないと。

それと被害者のさーくんはそのまま病院直行となり、数日大事を取って入院するらしい。

ちーちゃんは東京到着後、病院に直行し泊まり込みとなるようだ。

私としてもさーくんの快復を願うばかりである。

 

 

 

それから数日後。

あやひながかのちゃんの事を『花音様』と呼び、平伏すことになるのは別のお話。

その状態に戸惑いを隠せないかのちゃんが私に助けを求め、全力の現実逃避を決意したのは別のお話。

極めつけに翌月のあやひなのお給料が天引きに天引きされて薄っぺらくなるのはまったくもっての余談である。

 

END

 




リメイク前はSAOネタ満載でヤヴァイやつだった。
……けど、今回は違う意味でヤヴァイやつになりますた。

作中に登場している列車等は2021年3月ダイヤ改正の時刻を参考にしております。
また、この世界感にコロナなどという物は存在してないのでこご安心を。

また次回があればお会いしませう。
ではでは。


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Rhythm 015 御神邸お泊まり リサ編

誕生日記念恒例のお泊まりシリーズ リサ編。



 新学期が始まるまで後わずかな8月25日。

 私は今日はコンビニのバイトである。相方はRoseliaのベース担当の今井リサである。

 バイトのシフトももうそろそろ終わりそうな時だった。

 

「亜麻音、今日と明日って予定入ってる?」

「え、別に入ってないけど? どしたの」

「亜麻音は今日は何の日か知ってるよね?」

「え、今日……?? 確か、リサの誕生日だっけ?」

「その通り! だから……」

「何?」

 

 想像できそうだけど、一応聞いておこう。

 

「亜麻音の家でお泊まりさせて欲しいんだけど、良いよね?」

「別に私は構わないけど……リサはどうやって私の家まで行くわけ?」

「え、亜麻音は今日バイクで来てるよね?」

「うん。そうね。つまりは乗ってくんだな」

「そういうこと!」

「解ったわ。荷物とか持って駐車場で待ってて」

「りょーかいっ」

 

 私は先にウラの駐車場に行ってホンダ CBR1100XX スーパーブラックバードを始動させ、コンビニの入口に付ける。

 リサが私からヘルメットを受け取り、それを被って私の腰に掴まって後部に座る。

 

 私はバイクを発進させて自宅へと走らせ、バイクを走らせる事15分。

 自宅のマンションに到着し、正門前でモカを降ろして私はバイクを駐輪場へと停めに行った。

 

「お待たせ。リサ」

「大丈夫だって。 そんなに待ってないし」

 

 エントランスからエレベーターで5階に上がる。

 その5階のフロアの中で一際広いのが私の家である。

 なんと、私の家はマンションを3部屋ぶち抜いている。無論、施工は弦巻家。

 故に色々と部屋も多いのだ。

 

「お邪魔するね……って、うわ。やっぱり広いね亜麻音の家」

「アハハ……毎回言われるわ。んでどうするの、リサ?」

「んー? 何が?」

「何って……泊まる部屋よ」

「あー……それなら、アタシは亜麻音の部屋が良いなっ」

「へ、私の部屋……?? まぁ……良いけど」

 

 リサの答えを聞いて私は自分の部屋にリサを案内する。

 

「どうぞ。ごゆっくり」

「もうしてるよー☆」

 

 リサは私の部屋のクッションにその身を埋めていた。

 

「その寛ぎっぷりに敬意するわ………………」

「褒めてんの、それ…………?」

「褒めてるって」

「マジで亜麻音って容赦ないよね」

「普段やられてる分は取り返さないと」

「ちょっとー、亜麻音? アタシはそんなことした覚えはないんですけど?」

「解ってるよ。そんなの。主に友希那とか友希那とか友希那だから(笑)」

「友希那……マジで何やらかしてんの……」

 

 

 私の発言にリサはドン引きだった。それくらい友希那──湊友希那に対する鬱憤は凄いのだ。

 主にファミレスのバイトでねぇ! 御蔭で胃薬が手放せないったらありゃしない。 

 

「リサ、私はシャワー浴びてくるわ」

「ねぇ、アタシも一緒に良い?」

「……? 別に構わないけど」

「それじゃあ、行こっか」

「あぁ……うん……って何で!?」

「良いじゃん。こういうの」

「………………ソウダネ」

「……ナニを想像してたの、亜麻音」

「…………言わない」

「え?」

「言わないったら、言わないっ!!」

「ちょ、待ってってば!アタシを置いていかないでよ!!」

 

 恥ずかしくなって逃げるように浴室に向かう私であった。

 追いついたリサとシャワーを浴びるのだが、その最中にも揶揄われたのは言うまでもない確定事項である。

 悶々としていたシャワーを終えて部屋着に着替えた私は夕飯を作るため、キッチンに向かった。

 

 キッチンに着いた私は夕飯の準備を始めることにした。

 今日のメインはリサが主役なので筑前煮だ。

 

 材料は、鶏もも肉125g、板こんにゃく1/2枚、れんこん1/2節(約100g)、にんじん1/2本(約75g)、ごぼう細1/2本(約50g)、ゆで絹さや2~3枚、酒大1/2、みりん大3/4、砂糖大3/4、水50mL、醤油大1+1/2 である。

 

 先ず、こんにゃくはスプーンを使って適当な大きさにちぎり、下ゆでをする。

 次にごぼうは2~3cm幅の斜め切りに、れんこんは半月切りにしてどちらも変色防止の為に水の入ったボールに入れておく。

 にんじんは小さめの乱切りにして……とこれで野菜の下ごしらえは終わり。

 

 次に鶏肉は室温に戻し、余分な脂を取り除いてフォークなどで数カ所穴をあけてひとくち大に切る。

 

 下拵えも終わったので調理に入っていこう。

 

 鍋に油を熱し、鶏肉を入れ、中火で表面の色が変わるくらいまで炒める。

 鶏肉は炒めた方が普通に煮るよりも肉のくさみが飛んで香りも立つうえに、焼いたほうが食感も良くなるのだ。

 次にこんにゃく、野菜を入れ、全体に油がまわるよう炒め合わせる。

 野菜も炒めることでコクが出て、旨味や甘味も引き出されるし味のしみ込みもよくなるのだ。

 

 炒め終わったら酒・味醂・砂糖・水を入れてふたをして煮立たせ、煮立ったらふたを取り醤油を加えて、クッキングシートで作った落としぶたをして20分煮込む。

 この落としぶたは水分が飛びやすいように多めに切り込みを入れてあるのがポイントだ。

 

 

 さて……煮込んでいる間に何品か作りますか。

 まずメインに『ガーリック醤油チキンステーキ』を作る。

 鶏肉づくしになるけどまだまだ暑いのでスタミナつけるのには良いよね? 

 

 それと汁物にお味噌汁を作る。

 具材の小松菜を細かく切ることによって時短が可能なのだ。

 

 そろそろ煮込みも終わるので、ある程度煮汁が少なくなったら落としぶたを取って全体をかき混ぜる。こうすると具材に照りが出て、見ためもおいしく仕上がるのだ。

 最後は、鍋底に煮汁が少し残るくらいまで煮込む。

 器に盛って絹さやを飾れば……完成だ。

 

 筑前煮とガーリック醤油チキンステーキと新生姜と油揚げの炊き込みご飯、お味噌汁と菠薐草のおひたしをダイニングへと配膳する。

 こうして私とリサの二人きりの食事が始まった。

 

「うわ、凄いね。これ亜麻音が全部作ったんでしょ?」

「まぁ……ね。リサのお気に召すと良いのだけど」

「いやいや。アタシより上手なのに何言ってんの」

 

 などと、談笑しつつも夕食は進む。

 リサのお気に召したようで良かった。良かった。

 

 デザートは夏なので冷やし白玉ぜんざいだ。

 これも私の自信作である。

 リサはご満悦だったので一安心な私である。

 

「それで、亜麻音」

「何?」

「有るんだよね? アタシの誕生日プレゼント」

「まぁね……。はい。喜んでくれるといいんだけど」

 

 私はラッピングされた小箱をリサに渡した。

 

「ありがとー☆ 開けて良い?」

「良いわよ」

 

 リサは私の了承を得てプレゼントの箱を開封した。

 そこには太陽の意匠のシルバーアクセサリー……イヤリング、ネックレス、リングが入っていた。

 

「これ、亜麻音の手作り? 良く出来てるねぇ」

「最近はシルバーアクセサリー作るのに嵌っててね? それで作ってみたの」

 

 リサは結構喜んでくれたようだ。良かった、良かった。

 その後、食器の片付けを済ませて、リサと2人で入浴となった。

 

 ……結論、私とリサはめっちゃ乳繰り合った。

 もう、なんなん。 香織先輩と言い、リサと言いさぁ……あの姉妹は。

 隙あらば私の身体を堪能しかかるかなぁ!? 

 こういう所は姉妹なんだなって納得したよ。正直嫌なんだけどさ。

 

 それによってすっかり逆上せたリサを私は介抱しておいた。

 リサをベッドに寝させておき、私は自室から書斎に移った。

 

 暫く私は書斎でマネージャー関係の書類仕事を行っていた。

 一段落付いたので、リサの様子を見に行った。

 ベッドには寝ていたハズのリサが居なかった。

 

「……何処に行ったのかしら」

 

 私はリサを探しに行くことにした。

 まぁ……大体解るんだけどね。

 私はテラスに向かった。無論、飲み物を用意して。

 

「モカ……やっぱり此処に居たのね」

「あっ……亜麻音。さっきはありがとね☆」

「気にしないで良いのよ。はい。温かい物どうぞ」

「ありがと☆」

 

 リサは私からホットキャラメルを受け取った。

 

「亜麻音」

「ん? どうしたの?」

「星が……綺麗だね」

「あぁ……そうね」

「ホントに毎日この星空を眺められるの羨ましいよねぇ」

「へぇ……リサって天体観測とか興味あったんだ……」

「ちょっとー亜麻音ってばアタシがそう言うのに全く興味がないっておもってるでしょー?」

「……ゴメン」

「まぁ……別に良いけど。そう思われても仕方がないしねー」

「そう……」

 

 私とリサは暫くホットキャラメル片手に満天の星空の下で雑談していたのだった。

 大分、涼しくなってきていたので夜は冷えるのだ。

 そう思った私達は部屋に戻る事にした。

 

「亜麻音……」

「ん……? どうしたの」

「亜麻音、大好きだよ」

「……………………ふぇ~~~~~っっっ。な、何言ってんの/////」

「あちゃぁ……完全にオーバーヒートしちゃってるねぇ……」

「り、リサが変な事言うからじゃにゃい!」

「ん? 此処で噛むとか脈アリってコト??」

「そ、そんな事にゃい!!」

「そっか。それじゃあアタシは先に戻ってるね」

 

 リサが先に部屋に戻っていく。

 私は一人テラスに残って、先程のリサの告白の動揺が冷めておらず、滅茶苦茶恥ずかしさや何やらで悶えていたのだった。

 それから解る通り、私は一睡もその夜は出来ずじまいだったのだった。

 

 翌朝、私は眼の下にクマをたっぷり蓄えて、洗面場でリサと出くわし、リサの方も何故か私と同じく私は眼の下にクマをたっぷり蓄えていた。

 そこで私とリサは御互いに昨夜の事が脳内にフラッシュバックした結果、私とリサは急速に赤面して御互いに目を合わせる事が出来なかった。

 

 それは以降も暫く続いて、皆に詰め寄られる事になったのだった。

 特に友希那と由愛の湊姉妹と香織先輩からの言及が酷くてひと悶着あったのは全くを持っての余談である。

 

 END




如何だったでしょうか。
間に合ってよかった。マジでよ。

リサ姉に揶揄われに揶揄れる亜麻音ちゃんでした。

『からかい上手の今井さん』

ここに開幕……?

次は誰にやられるんでしょうね?

次は誰のお泊りかは未定だけど期待知って待っていてください。
それではまた次回。
( ´・ω・`)ノ~バイバイっ


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Rhythm 016 ちーちゃんが暑さのせいで壊れる件

お久しぶりです。

リメイク祭りの真の最後となりやす。


 色々とやりすぎた彩と日菜が花音様の愚民と化した海水浴から3ヶ月が経ち、そろそろ時期的に秋も深まっていて過ごしやすくなる日のPastel✽Palettes芸能事務所。

 

 今日も今日とて私・御神亜麻音は女優のお仕事とデスクワークである。

 体力には自信ある私だが、正直今はグロッキーに近い。

 何故って……この時期には似つかわしくない程の酷暑が続いているからだよ。

 もう、何なん? この時期で夏物がまだ現役って。いい加減に秋物に交換したい気はある。

 このままだと秋物が箪笥の肥やし同然ジャマイカ。今年買ったやつもまだ着てないってのに──などと、文句を言っても涼しくなるわけじゃないし言うだけ無駄なのだろうが、言わせて欲しい感はある。

 そう思うあたり、暑さでボケてるのかもしれん。

 今の私は額にアイスノン装備で書類仕事に勤しんでいた。

 こういうデスクワークは問題ないのだけど、外回りとかの仕事は……

 

「禁止だからね? 先週やっと退院したばっかりじゃん」

 

 私の思考を読むかのごとく次の番組収録の紹介文を考えていた日菜──氷川日菜から注意が入る。

 そう、私は海水浴の四日後の誕生日の二日後に交通事故に遭って死にかけになったのだ。

 それから全治3ヶ月の入院生活を経て先週、日常生活に復帰した……のは良いのだけど松葉杖状態であるから、普段の動ける状態はありがたいと思えたりはする。

 

「解ってるって。まだ満足に動けないんだしやんないわよ」

 

 私は日菜に嘆息しつつも答え、

 

「ならいいけど。あたしはおねーちゃんにあーちゃんの事任されてるんだからさ、ちゃんと言う事聞いてよね?」

 

 日菜が珍しく私に説教をカマしてきた。

 

「解ってるっての……」

 

 私は拗ねつつも日菜に返答する。

 ……どうやら、私は説教されるのは超苦手みたいやね。

 と、いうかされるのが大好物な人はドMだろう。

 

「……間違いない」

「……何が?」

「……何でもない」

 

 日菜に突っ込まれたので私は話を終わらせようとする魂胆満載でそっぽをむいた。

 

「そーいえばさ、あーちゃん」

「何?」

「松田さんって人居たじゃん」

「……居たね、そんな奴。で? その人がどうしたのよ」

「噂だとMに目覚めたっぽいよ?」

「どうでもいいね。そんな事」

 

 思わず真顔になった私である。

 何故に其処でクビになった無能(元)スタッフが出てくるんだよ。

 

 真顔になったところで仕事を再開する事にした。

 再開する動機が些か可笑しい気がするが、気にしたら負けである。

 その間、事務所でファンレター整理をしていたちーちゃん──白鷺千聖が暑さのせいかぶっ壊れた。

 

 …………………………。

 

「暑さで人は壊れることもあんだね?」

「現実逃避してるね、亜麻音ちゃん」

 

 私が遠い目をしていると、レッスンから帰ってきた彩──丸山彩が苦笑しながらも会話に参入した。

 

「おかえり。彩」

「ただいま。亜麻音ちゃん、今日も暑いよね」

「そうだねぇ……秋とは思えないよね」

「うんうん。あの千聖ちゃんが壊れるくらいだもんね」

 

 私と彩は再びちーちゃんの方へ視線を向けた。

 

「日菜ちゃん、スライムにならないの?」

「ならないよ!? え、あたしがスライムになって需要あると思ってるの!?」

「え、無いかしら?」

「どうして有ると思ったの? 千聖ちゃん」

 

 はい。絶賛ちーちゃんは壊れてやがりました。

 日菜のキャラが迷子になってるってよっぽどなんじゃないかな。

 

「す、凄いね亜麻音ちゃん」

「そ、ソウダネ。彩」

 

 私と彩は見なかったことにする事にした。

 あんなちーちゃんはちーちゃんじゃない。

 

「あ、そうだ。亜麻音ちゃん」

「どうしたの? 彩」

「今日、神社で秋祭りあるんだけど一緒に行かない?」

「え、私こんな状態なんだけど……」

 

 私は視線を自分の手の届く範囲に立てかけてある松葉杖に向ける。

 

「あ、そうだよね……一人だと無理だよね……」

 

 松葉杖の存在で察した彩は明らかに寂しそうだった。

 うーむ……こういう状態の彩を見ていると罪悪感が込み上げてくる。

 どうしたものか……

 

「じゃあさ、あたしも一緒に行けば問題ないんじゃないかな?」

 

 私の思考に割り込んできたのは日菜の一言だった。

 何時の間にちーちゃんから抜け出したんだ? 

 

「千聖ちゃん? それならさっくんに丸投げしてきた」

 

 ……ああ、そういうこと? それならば安心だ。

 さーくん──盛谷颯樹ならば、ちーちゃんの事は大抵どうにかなるからね。

 あと、今の状態で出来るならさーくんと関わりたくない。

 なんか……過干渉されそう。

 それに限る。だから私的にさーくんはちーちゃんとイチャコラしてくれた方が有難いのだ。

 

「ねぇ、彩」

「どうしたの? 亜麻音ちゃん」

「日菜も一緒だけど行かない? 秋祭り」

「えっ、良いの!?」

 

 私の提案に彩は先程とは打って変わって満面の笑顔だった。

(ある意味で)スゴイよ、彩は。

 そこに憧れは多分するけど痺れたりはしない。

 

 

 私達はやる事も一段落していたので壊れたちーちゃんを放置して早退することにした。

 これについてのお咎めは特に無かったとだけ言っておこう。

 

 三人仲良く私の家に向かう。

 無論かどうかは知らないけれども徒歩では時間がかかるので、弦巻家の黒服さんに送迎をしてもらってである。

 申し訳ない気はするが、『時は金なり』とも言うし仕方無い。

 

 数分後。

 私の家に到着した私達はまず浴衣に着替えることにした。

 浴衣は黒服さんの手によって、サイズもぴったりな物がある。

 だけど、問題がある。

 今の私って、一人で浴衣着れなくね? 

 松葉杖なしで立っていることも困難なのに無理だろ……。

 

「日菜、浴衣着るの手伝って欲しいんだけど」

「あっ、そうだね。あーちゃんは難しいもんね」

 

 日菜はちゃんと察してくれたみたいで私の補助を引き受けてくれた。

 日菜の補助もあって浴衣を着終えた私は髪を結おうとした。

 

「亜麻音ちゃん、髪結ぶの? よかったら、私がしようか?」

「ありがと。じゃあ、お願いしようかな?」

「うんっ。任せて!」

 

 私のお願いに大分乗り気な彩である。

 

「はいっ。これで完成っ! どうかな? 亜麻音ちゃん」

「うん。いい感じ。ありがとね、彩」

「どういたしましてっ!」

 

 私は彩に髪を結ってもらった。

 ヘアスタイルはシンプルにアップテールにして簪で纏める感じである。

 

「さてと、そろそろ行こっか。 亜麻音ちゃん、日菜ちゃん」

「そうね。余裕持って出たほうが良いわね」

「あーちゃん、くれぐれも走ったりしないでよ?」

「しないわよ。そんな事。ガキじゃあるまいし」

 

 そんな会話を交わしつつも、白ベースに桃色と薄緑色の桜模様の浴衣と緑色の帯を組み合わせた彩と、瑠璃色ベースに白色の朝顔模様の浴衣に黄色の帯を組み合わせた日菜と、蒼色ベースに白色の水仙模様の浴衣に山吹色の帯を組み合わせた私は秋祭りの会場である河川敷近くの神社へ向かってゆっくりと歩を進め、私の家を後にしたのだった。

 

 

 To_Be_Continued...

 




如何だったでしょうか。
リメイク祭りの最終弾でした。

リメイクにあたって時系列整理しました。
これは後に投稿する話と整合性を合わせるためです。
時空列を現すと……


7月21日頃 海水浴(Rhythm014)

7月25日 17歳の誕生日

7月27日 香澄庇って交通事故に遭う


10月20日 退院(※日菜の補助が要る)

10月27日 秋祭り(←イマココ)


11月12日 文化祭の実行委員の仕事をつぐみに止められる

あるこーる・ぱにっくの時期は12月~1月

3月下旬  復帰ライブ


以上のようになります。
この辺の伏線回収もしっかりやっていきたいと思ってますので、お楽しみに。
投稿時期未定の次回の番外編は秋祭り編となりますのでそちらもお楽しみに。

この話を読んでの感想とかあると嬉しいです。
それだけ言って締めたいと思います。
また次回のお話でお会いしましょう。ではでは。


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Rhythm 017 病室の夏 ①

突如始まったシリーズ。



皆様、どうも。 御神亜麻音です。

今日は8月2日。

私は今――絶賛入院中でございます。

 

事の発端は自身の17歳の誕生日の2日後に交通事故に遭って大怪我しました(笑)

いやぁ……笑って宣言する事項でも無いんだけどさ。

なってしまったモノは仕方ないし、悲観的になるのもアレだと思うんよね。

 

つーか、私自身がナーバスになっていると香澄が余計に自分を追い込みそうだしさ。

タダでさえバンド活動継続もヤバい心境だというのに更に悪化されても個人的に困る。

 

香澄のメンタルケアは私がどうこう言うよりも有咲達Poppin'Partyメンバーに委ねるのが最良だろう。

それか茜先輩とか親近者の方でもいいかもしれないけど。

ぶっちゃけ、私が下手に介入することでもないだろうとは思っている。

 

 

閑話休題。

 

 

 

暇だ。

 

 

もう一度言おう。

 

 

 

すんげぇ暇だ。本気で暇だ。

逆に疲れてくるって位に暇だ。

 

 

 

 

そりゃあ、そうだよ。

普段の健康体ならバンド練無い時はバイト入れまくってるもん。

それがな? 唯々病室のベッドで寝ているだけで1日が終わる。

これを暇と言わないで何と言うんだ。

 

そんな私の癒しは他のバンドメンバーがお見舞いに来てくれる事だ。

令王那は夏休みだからか、もう来ない日は無いくらいにお見舞いに来てくれている。

他にもあこやこころ、つぐみ達が日替わりにお見舞いに来ている。

 

そんな感じで回想に物耽っていると、病室のドアのノック音がして私の思考は現実に戻る。

 

「どうぞ」

 

私が入室を許可すると入って来たのは

 

「おはよう!姉様!! 調子はどうかしら?」

 

可愛い可愛い私の従姉妹の弦巻こころちゃんでした。

ヤベェ。あまりのスマイルの破壊力に昇天しちまいそうだぜぇ……。

病院だし蘇生措置も可能だろうし。

幾らでも昇天しても問題は無い!!

 

「いやいや、どうしてそういう思考になっちゃうんですか?亜麻音先輩」

 

私の思考にツッコミを入れたのは美咲。

 

「いや、普通じゃない?」

「全然普通じゃないですよ!? ホントこころが絡むと暴走しますよね」

「………………」

 

美咲の言葉に図星すぎて何も反論できない私である。

言わないでくれ。美咲よ。こころの尊みが反則級なのが悪いんじゃァ(責任転嫁)

さてと、こころ達が来たのは多分のカンだけど何かあるだろう。

 

「姉様!! 今から流し素麺をしましょう!!」

「え」

 

こころの提案に目が点になって間の抜けた声を出す私である。

え、『流し素麺』!?

あの半分に斬った竹を水路に見立てて水で素麺を流すやつ!?

え、ここ病院だよね!?そんなのどうやってやるんだよ!?

 

「あー……亜麻音先輩の気持ち凄く解ります。あたしも思いましたもん。でも諦めてください。もう既にセッティングは済んでいますから」

「………………」

 

えぇ……まさかのセッティング済みで開催決定なのかい。

しかもいつセッティングしたんだよ!?

 

ん……?そういえば今日日付変わった頃に何か物音がした気がしたけどさ。

まさか……ねぇ?

 

「ねぇこころ、一つ良い?」

「何かしら? 姉様」

「いつセッティングしたの?」

「今日の深夜よ」

「………………」

 

こころの言葉に無言になる私。

やっぱりだった。

まさかの予想大当たりで草しか生えないんだけど。

つか、病院関係者が何故止めなかったんだろうか。

 

あ、此処は弦巻グループの系列だったわ。

そりゃあ、誰も流しそうめん準備工事してても誰も止めないわな。

だって、こころの提案だもんな。

 

 

そう思うとなんか納得した私である。

 

「それじゃあ、ポチッとな」

 

こころが何かの装置のボタンを押すと床が開いて竹製の水路が出現し、あっという間に接続されて、その水路の終着点である私の病室には真ん中がせり上がったスペースが出現し、中央には大きめの木製の桶が鎮座していた。

 

その突然の出来事に驚く間に水路には水が流れ始めていて、最早素麺待ったなしである。

 

そういや、この水路普通に病室の壁ぶち抜いてるんだけど、何処が始点なんだろうか。

 

「はぐみー。流して始めてもいいわよー」

『オッケー! こころん!!』

 

こころがトランシーバーではぐみに連絡を取っていた。

所々でトランシーバーから風の音が聞こえてくるんだけど……。

まさかとは思うが、屋上に居るんじゃないんだろうな!?

 

「ねぇ、美咲」

「どうしたんですか? 亜麻音先輩」

「はぐみ何処に居るのよ」

「お察しとは思いますが、屋上です」

「……マジか」

 

美咲の返答にコレしか言えなかった。

私の病室って1階だ。

確か、この病棟は屋上ノーカンで10階建てだったはず……。

 

いや、マジでどんだけ大工事してんの!?

それを2時間ちょいで騒音も無く完遂て。

どんだけ規格外なのさ。弦巻家の技術力。

こればかりは弦巻家メイドの私でも驚愕である。

 

「ささ。姉様、これを使って!」

「え」

 

戸惑う私をよそに渡されたのはめんつゆが入った器と漆塗りの箸。

その直後に

 

びゅぅん

 

桶にシュートされる素麺。

 

びゅぅん

 

桶にシュート×2される素麺。

 

………いや、何今の。

クッソ思ってた以上に速いんだけど!?

流しそうめんってこんなに神速だっけか!?

私聞いたことなんだけど!?こんな流しそうめん。

 

困惑する私は右横にいる美咲&こころ(みさここ)に視線を向けると、2人はフツーに神速で流れる素麺を箸で掬って堪能していた。

 

え、マジでか。

取れないの、私だけ……??

 

………………………。

 

あぁ、そうか、そうか♪

なんか、すんげーイラッときた♪

やってやんよ、こん畜生が。

 

もう負けず嫌いな私はスイッチが入ってしまいましたよ、ええ。

ガチで素麺を掬いまくっていた。

この時は、味は覚えていない。本気で必死だったから。

 

「「……………………」」

 

尚、私がガチで素麺掬いに挑む姿を見ていたみさここはと言うと……

 

「亜麻音先輩……」

「姉様…………」

 

 

ドン引きしていた。

 

「…………あ」

 

現実に戻った私だけれどももう遅い。

どうやったって取り繕うのは不可能に近しい。

 

『OTL………(・ω・`)』

 

こころにドン引きされた私の心は崩壊していた。

もう砂化現象待ったなしである。

 

「えっと……だ、大丈夫ですよ。あたしもこころも特に気にしてませんから」

「そ、そうよ! ほら、はぐみのコロッケを食べて元気出して!!」

 

こころが高速で流れるコロッケを掬い、私に渡してくれた。

こころから受け取ったコロッケをめんつゆに浸して食べる。

 

あ、美味い。

なにこのめんつゆと合うの。

めんつゆ用に調整ってスゲェな。

私は北沢精肉店謹製の牛肉コロッケを堪能。

 

その後も素麺は勿論の事、饂飩だったり蕎麦だったり冷麦だったり棊子麺だったりの色々な麺類、かしわ天、芋天、イカ天、エビ天、シソ天、かき揚げ等の麺類のお供にピッタリな揚げ物も堪能していた。

 

〆に心太を皆で食して『病室DE☆流しそーめん大会』は幕を閉じたのであった。

その後、こころは疲れたのか私の横で眠りについている。

 

お腹も心も満足した私はこころの髪を撫で(堪能し)ながらふと思い出した事を美咲に尋ねることにした。

 

「ねぇ、美咲」

「……?どうかしましたか、亜麻音先輩」

「花音と薫は何処に居るのよ」

「あー……花音先輩と薫さんなら今()()に居ますよ」

「え」

 

美咲の言葉に絶句する私である。

 

え、青森!? あの本州最北端のAOMORI!?

何で其処まで行ってんだよ!?

どうなってんだ、花音の迷子スキルは!

そしてさぁ、気になるのが――

 

「美咲、なんで薫が巻き添えになってんの??」

「えっと……薫さん屋上に居て高所恐怖症を発症しまして、花音さんに頼んだんですが……」

 

なんだろうか、この後の返答スゴい予想できそう。

 

「花音さんが薫さんを気分転換を兼ねて羽沢珈琲店に連れて行こうとしたらしいですよ?」

「そしたら何故か青森に到達してたと……」

「はい。正確には白神山地のど真ん中らしいですけど」

 

あの二人大丈夫か……!?まさかの遭難とかしとらんよねぇ!?

 

「あ、遭難はしてないですよ?なんやかんやで青森駅前にたどり着いたらしいですし」

 

え、寧ろそっちのほうが怖いんやけど!?

物理法則色々と無視しとらんか!?

 

「突っ込んだら負けですよ。コレについては。あたしはもう何も言いませんよ」

「あぁ……そう」

 

美咲にこう言われては何も言えない私である。

納得してなくても納得するしかあるまいて。

 

「……で、何時帰ってくんのよ。花音と薫は」

「話によると、盆過ぎてからだそうです」

 

もう青森観光する気マンマンやん。

青森ねぶた祭りとか参加できるやん。

うわ、私も超行きたいんですけど。

ま、こんな状態じゃ無理やけどね。

 

「林檎、お土産に買ってこないかな」

「亜麻音先輩、林檎好きなんですか?」

「うん。飾り切りとか楽しいってのもあるけどね」

「へぇ……あ。亜麻音先輩お願いがあるんですけど良いですか?」

「『お願い』……?」

 

美咲の『お願い』ってなんだろう……。

こんな状態だからハード(意味深)な事はないだろう。

 

「それはないです。あと、『意味深』ってなんですか、『意味深』って」

 

美咲に見透かされていたのか先に否定された。

 

「言わない。言ったら墓穴掘りそうだし」

「『御神式多段階墓穴掘削法』とか言われてますんもんね」

「言うな。ってか、誰だ!?そんなこと言った奴」

「え、亮からですけど?」

 

石川ァ!!テメェ何吹き込んでやがんだよ!?

退院したらソッコーで〆る。

もう決定事項だよ。序に池上も加担してたら〆たるわ。

 

「まぁ、死なない程度でお願いしますね?」

「まぁ、うん。前向きに善処する事を検討するわ」

「それしないやつの常套句じゃないですか」

「(ゝω・)テヘペロ」

「それ、巴さんの(中の人の)持ちネタじゃないですか」

 

話が脱線し始めた。

誰だ、こんな事にした張本人は。

 

 

あ。

って……私でしたァ!

 

「あの、お取り込み中すいませんが、茶番はその辺にしてくださいね?」

「(゚Д゚)ノ ァィ」

 

と、言う訳で。

本気で茶番は終わりにして本題に入ろう。

 

「亜麻音先輩、あたしに林檎の飾り切りを教えてくれませんか?」

「別に良いよ。私で良ければ」

「本当ですか? ありがとうございます」

 

その後はこころが起きるまで美咲と談笑しつつもしっかりと堪能していた私である。

 

 

その後、盆過ぎて8月25日。

突如として帰ってきた薫と花音は私の御土産として『恋空』を5箱買って来た。

その林檎を使って飾り切り教室が催されたのは別の話。

 

 

そして石川亮と共犯者の池上拓也が退院後に処されたのも別の話である。

 

続……く?

 

 

 

 

 

 

 

 




病室で過ごす1日はマジで暇。
病室のベッドで1日過ごしていると普段よりも疲労貯まる。
それを1度ならず2度ならず……という実話。
入院経験はあるんだよ、これが……。

このシリーズはネタさえあれば続きます。



しれっと『頭の中将』さんの作品のキャラが登場しています。
中将さん、キャラの出演許可ありがとうございます。


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Rhythm 018 気分転換鉄旅(冬) 零

「冬のバンドリ祭」参加用のシリーズです。
話の都合上、想像9割以上となっております故ご了承願います。

それではどうぞ。


Side_Shiori

 

どうも。私の名前は羽沢栞。

羽丘女子学園の3年生で生徒会長を務めている。あと、私はキーボードやっていてгалактика(ガラークチカ)というバンドに加入している。

バンドの活動やメンバーの事を語るとラノベ15冊分位になるので割愛するとしよう。

 

そんな私だが、人気の割に存在感が薄い。生徒会長なのに後輩で副会長で弟子でSublimatumのリーダーである御神亜麻音の方が目立っている。

偶に……本気で偶に(※重要)私の超可愛い妹でAfterglowのキーボード担当である羽沢つぐみにも忘れられる事がある。

そうなった暁にはA●フィールドを展開する事を躊躇なく実行するまである。その度にメンバー全員から『面倒』と一蹴されるのだけは一生納得できない。

私の絶望を解んないからそんな事を言えるんだよ。皆が妹から忘れられた事無いからってさ。

この嫉妬と絶望を亜麻音ちゃんで憂さ晴らししてやりたいよ。なんでつぐちゃんから姉である私よりも亜麻音ちゃんの方が慕われてるんだよ。

故に八つ当たりしても問題は……大アリだ。光景がつぐちゃんに見つかって説教されよう物なら絶対に嫌われる。そんなの死と同様だ。真っ先に砂化するわ。

 

……と、まぁ私の個人的な怨念と紹介は置いておくか。

 

今の時期は12月8日。

あと2週間くらいで2学期も終わろうとしている今日この頃。

卒業後の進路も定まって一段落した私は生徒会室で書類作業に追われていた。

この時期って学期末とか冬休み中とかの生徒会主催イベントが目白押しで書類量がハンパない。ヘタしたら前が見えなくなる位だよ。

今日はまだ視界が良好だしマシな部類か。

生徒会役員全員が頑張ってくれている事で滞りなく進んでいるのはとても良い事だ。

だけどさ……

 

「副会長、こっちの書類台車持って行っても大丈夫ですか?」

「あ、うん。もう終わっているから大丈夫だよ」

「亜麻音先輩、ここの予算編成なんですけど……」

「えっと……これをこうしてくれるかな?」

 

……副会長(亜麻音ちゃん)が最早中心な件。

可笑しいよね。生徒会長である私より他の役員に慕われているし。

え、何?私って単なる置き物(マスコット)扱いなん!?

それはそれで会長としての矜持がズタボロなんですけど!?

 

……………あれ?そういえば、亜麻音ちゃんの担当する書類ってあんなに多かったっけ??

確か、亜麻音ちゃんには負担軽減の為に()()書類量減らしてあったはずなんだけどな……

 

「お姉ちゃん、珈琲を淹れたんだけど飲む? 休憩も必要だよ?」

「あ、ありがと。つぐちゃん。戴くわ」

 

会計である私の妹のつぐちゃんが珈琲を淹れてくれたので有難く戴く事にする。

一口飲む。やっぱりつぐちゃんの淹れた珈琲は美味しいし癒されるわぁ……。

 

あ、そうだ。つぐちゃんにも亜麻音ちゃんの書類量尋ねてみるか……。確か割り振り時に関与していたからね。

 

「ねぇ、つぐちゃん」

「どうしたの、お姉ちゃん」

「亜麻音ちゃんの書類あんなに多かったっけ?」

「えっ……ううん。お姉ちゃんの指示通りだからもっと少ないはずなんだけど……」

 

つぐちゃんも驚いた表情をしていたという事は実現したらダメな案件が確定事項になって私達の配慮――違うな。『策略』が失敗を意味している訳だ。

 

正直、そうなるんじゃないかと思ってはいたけれども。

それでもなるとならないじゃ落胆の差は大きいよ?

 

亜麻音ちゃん……仕事量が減らされているからって自分から増やしに行かないでよ。

何処までワーカーホリックなのさ。そうだとしても限度ってものがあるでしょ?

見ている筈の此方が精神疲労起こすって可笑しいよね? どうしてそうなるの。

解決法は亜麻音ちゃんが仕事をしない事なんだけど、どうしたら仕事を止めてくれるのさ。

 

「ねぇ……どうすれば亜麻音ちゃんは仕事をしなくなるんだろうね?」

「えっ……うーんと、学校自体公休にさせるとか……は、どうかな? お姉ちゃん」

「確かにその方が良いかもしれないね……」

 

無意識に出てた私の呟きの打開策はつぐちゃんが答えてくれた『学校自体を公休にさせる』のは良い案かもしれないけどなぁ……監視付きでも亜麻音ちゃん、なんやかんやで内職してるよね?それじゃ意味無いじゃん。

もういっその事、亜麻音ちゃんが旅行とか行ってくれれば平和解決で良いんだけど事前準備が大変なのが難点なんだよなぁ……。

誰か、手っ取り早く手配出来る有能さんは…………あ、普通に居ったわ。

そうだ。その手があったよ。

『善は急げ』とも言うしさっさと現実にしちゃおう。

 

私はななちゃん――花咲川女子学園高等部生徒会長であり、Glitter*Greenのキーボード担当の鰐部七菜から貰った弦巻家の黒スーツ軍団のメアドで相談し、亜麻音ちゃんの7泊8日鉄道旅行を組む事にした。

 

相談のメアドを送ってから5分後。

黒スーツ軍団の代表、汐留(しおどめ) 心愛(ここあ)さんから旅程と利用切符の手配が完了したとメールに着信があった。

流石と言うべきか仕事が早すぎるね、弦巻家。

 

旅行が確定してしまえばこっちのものだよね?

亜麻音ちゃんは外堀を埋められた事案に対してだと極端に弱いから、さっさと埋めてしまおう。

 

「つぐちゃん、この書類にある案件を通して」

「これって『亜麻音先輩と日菜先輩の公休届』……? どうしてなの、お姉ちゃん」

「亜麻音ちゃんを強制的に休ませるから。日菜ちゃんは付き添いで」

「え、何か亜麻音先輩と日菜先輩を休ませる宛てあるの? お姉ちゃん」

「もう確定で亜麻音ちゃんを旅行に行かせるから」

「もう確定なの!? 何時の間に!?」

 

つぐちゃんが驚きのあまり、怒涛のツッコミだった。

そりゃそうだろうね。私も慣れで何も言わないけれども、慣れてなかったらつぐちゃんと同じ反応をするよ。絶対に。

 

「思い立ったが吉日だしね」

「それで確定までしちゃうの!?」

「だって、弦巻家協力だし……」

「あっ……(察し」

 

私が出した『弦巻家』というワードで納得するつぐちゃんだった。

もうね、このワードが出た時点で納得する以外選択肢ってないと思うんだよ、私的に。

そう思っているのはつぐちゃんも同様で、直様に案件の可決に取り掛かっていた。

 

数十分後、無事に案件が可決して全ての外堀が完全に埋められた。

最後は通告するだけ。

あとは亜麻音ちゃんが戻ってくるの待つだけだ。

 

 

Side_End

 

 

Side_Amane

 

私が業務を終えて生徒会室に戻ると栞先輩に呼び出された。

何かあったのかは全く心当たりないんだけど。更に日菜も一緒に呼び出されているし尚更解らん。

 

「ねぇ、あーちゃん。なんであたしも呼び出されたの?」

「私も解らん。理由もさっぱりよ」

 

日菜が呼び出された理由を私に質問してくるが解んねぇって。

 

「業務ご苦労様。亜麻音ちゃん。 貴女と日菜ちゃんの二人にお願いがあるの」

 

神妙な面持ちで言葉を紡いだのは栞先輩。

珍しく存在感がある。

 

「『お願い』……ですか?」

 

栞先輩の発言にある『お願い』に嫌な予感がするのは気のせいなんだろうか。

寧ろ、そうであってほしい。偶にえぐい事言ってくるんだよな。

 

「今夜の新幹線で出発して旅行行ってきてね。7泊8日で」

「「は……???」」

「だから、亜麻音ちゃんと日菜ちゃんで旅行行ってきてね☆」

 

え、旅行? しかも、今夜出発ぅ!?

色々と急すぎやしないか!?

準備もへったくりもしてないでどうやって行けと!?

 

「諸々の心配事は弦巻家の皆さんで解決済みだから安心して行ってきて良いよ」

 

まさかの弦巻家だったよ!?

安心出来ねーんだけど!?何時の間に組み上がっているんだよ!?

 

「えっと、栞先輩……外堀は……」

「埋まってないと思う?(ニッコリ」

 

ですよねぇ!?

私が絶対に断らない様に埋めているよね! そうだと思ったよ!

 

「日菜ちゃんはどうかな?」

「良いよー♪ あーちゃんと旅行ってるんっ♪って来るし!」

 

日菜はあっさり了承していた。

いや、軽いな!?もうちょっと悩んでよ!?

 

「……で、亜麻音ちゃんはどうする?」

「いや、『どうする』って……」

 

もう、私に拒否権無いやろ!?

それ解ってて質問するのか。

 

「い、行かせて貰います……」

良し(ベネ)

 

栞先輩はいい笑顔だった。

こん畜生がぁ……嘆いても仕方ないんだけどな。

それでも嘆かずにはいられない。

 

「……あーちゃん、行こっか」

「……うん」

 

日菜に促されて私は生徒会室を後にする。

凄くいい笑顔で私達を見送る栞先輩の顔面を殴りたいと思ったのは気のせいではないだろう。

そんな黒い感情を抱きつつも下校し、取り敢えず自宅に戻る。

 

自宅に到着すると予想通りというか、弦巻家の黒スーツ部隊の1人で私専属担当の心愛さんが控えていた。

宿泊準備も既に二人分完了されている。

 

心愛さんに補助してもらいながらも私服に着替え、17時40分に自宅出発。

今回の私は基本は車椅子移動となるらしく、それに伴って心愛さんも今回の旅に同行するようだ。

二人で行くよりは私の補助だったり日菜の負担が減るから妥当な判断だろうね。

 

心愛さんの運転する車で東京駅に到着した私達は夕食を調達してから北陸新幹線の発着ホームである22番ホームに向かう。

余裕を持って移動するのは大切だよね。

 

 

私達の乗る便は『3515E かがやき515号 金沢行き』。

今回は車椅子なので、普通車指定席かグリーン車の二択になるのだが、平日で混雑は無いだろうという判断で指定席での移動となる。

 

私達は車椅子専用のフリースペースが有る7号車に乗り込んだ。

暫くして発車時刻となり、定刻の18時24分に『かがやき515号』は東京駅を発車。

 

途中、車内販売で菓子類を買ったりしたりしたが基本は3人で雑談をしていた。

車窓はトンネルが多いから仕方ないね。

雑談をしていると時間が過ぎるのは早いもので、列車は上野、大宮、長野、富山と停車して行き、20時54分に終点の金沢駅14番ホームに到着した。

 

改札を出て、本日宿泊予定の駅前にあるホテルへ向かう。

金沢駅周辺は新幹線金沢延伸後の需要に併せて新しくホテルが多く開業し、選択肢は結構多い。

その中で私達は東側出口である『兼六園口』から徒歩3分のホテルに宿泊だ。

 

ホテルに到着し、チェックインを済ませ、其々の部屋に向かう。

3人1部屋ではなくて1人1部屋であり、明朝に合流する形となる。

 

日菜と心愛さんと別れ、上着を脱いでラフな格好になった私は即座にベッドへdive。

 

明日から本格的に旅が始まるので、しっかり休養することにしよう。

いきなり過ぎて最初は戸惑ったが今はとても楽しみである。

 

私はこれから始まる旅に期待を寄せつつ眠りにつくのだった。

 

 

気分転換鉄旅(冬) 壱 に続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回から旅が本格的に開始。

リアルの仕事の都合上、投稿がかなり空きますので気長に待ってくれると助かるなとは思っております。

来年も今年以上にこの作品をよろしくお願いします。
ではでは。



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