迅雷の軌跡Ⅱ (カオスカラミティ)
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序章・内戦勃発
ノルドに行く前に


前回と同じようにこの小説は台本形式です。


――日常は突然崩れ去った。

 

1204年10月30日12時10分

エレボニア帝国代表ギリアス・オズボーンが銃弾に倒れ、同時に貴族連合による帝都制圧が開始された。帝都は瞬く間に混乱に陥り、その様子をラジオ放送で聞いていた者達もあまりの衝撃に呆然としていた。

 

 

そしてオズボーン宰相を狙撃した犯人は貴族派と組んでいた〈帝国解放戦線〉のリーダー〈C〉こと、トールズ士官学院に所属していたクロウ・アームブラストだという事はごく一部の人間しか知らない。

 

 

宰相狙撃に成功した貴族派は新型人型兵器〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉を用いて次々と正規軍の戦車部隊を撃破し、帝都の各地を制圧。貴族派と革新派による帝国全土を巻き込んだ大規模な内戦は貴族連合の先勝で幕を開けた。

 

 

 

〈10月30日13;00〉

 

アイゼンガルド連峰付近の上空

ミルディーヌ「〈翡翠の騎神スペランザ〉ですか……。」

 

レイ「どうしたミルディーヌ?」

 

ミルディーヌ「いえ、機甲兵と似たような騎士人形なのに機甲兵より強く、それでいて彫刻のように美しいなと思いまして……」

 

レイ「ははっ、翡翠の起動者(ライザー)としては嬉しい限りだな。」

 

ミルディーヌ「ところでレイ兄様、服はそのままでよろしいのですか?」

 

ミルディーヌの指摘に自分の服装を見ると、〈Ⅶ組〉の象徴である赤い制服のままだった。

 

レイ「確かにこのままでは目立つな。それにミルディーヌだって〈聖アストライア女学院〉の制服のままだと目立つし、どこかで調達するか。スペランザ、霊力(マナ)はまだ大丈夫か?」

 

『ああ、大丈夫だ。』

 

ミルディーヌ「それではルーレで新しい服を調達しましょう。ちょうど通るルートですし。」

 

レイ「そうだな。スペランザ、ルーレ郊外に降りてくれ。なるべく貴族派に見つからない場所でな。」

 

『分かった。』

 

 

スペランザはルーレ郊外(閃Ⅱでリィン達が幻獣と戦った場所です。)に降り立ち、レイとミルディーヌ、邪神竜が出てきた。

 

ミルディーヌ「……あっ、でもこのままルーレに向かってしまったら、領邦軍に捕まってしまうのでは?」

 

邪神竜「それは我に任せろ。」

 

レイ「さあ、行くぞ。」

 

ミルディーヌ「は、はい……」

 

 

そして2人と1体は領邦軍が立っている門へと近づく。

 

領邦軍隊員「待て。お前、トールズ士官学院〈Ⅶ組〉の者だな?」

 

レイ「そうですが、それが何か?」

 

領邦軍隊員2「〈Ⅶ組〉の者は捕らえよというお達しだ。詰所に来てもらおうか?」

 

レイ「残念ながらそれは無理だな。邪神竜。」

 

そう言うと透明になっていた邪神竜が姿を現し、すぐさま隊員達に向けて目を光らせる。

 

邪神竜「『よく聞け小僧共。我らは先を急ぐのだ。邪魔をするな。』」

 

隊員達「あ……」

 

邪神竜の言葉を聞いた隊員達は目が虚ろになり、レイが一言。

 

レイ「というわけだ。通っても良いか?」

 

隊員「はっ!あっ、ああ。」

隊員2「引き止めて悪かったな。」

 

レイ「いえいえ、お勤めご苦労様です。」

 

そして2人と1体はあっさりとルーレに入っていった。

 

 

ルーレ市内

ミルディーヌ「凄いですね。こんなにあっさり入れるなんて。」

 

邪神竜「まぁ、これ位は簡単だな。」

 

レイ「俺も使えるように練習中なんだがな。それより、早く新しい服を買おう。」

 

そう言って店に入ってレイは青い服と黒い上着(閃Ⅳでクロウが着ていた物の黒いver)を、ミルディーヌは青いドレスっぽい服(同じく閃Ⅳでミュゼが着ていた私服の青いver)を購入した。

 

そして服を着替えた後、しばらく街を歩いていると武器屋の前で立ち止まるレイ。

 

レイ「ミルディーヌ、少しだけあそこの武器屋に寄って良いか?」

 

ミルディーヌ「私は構いませんが?」

 

ミルディーヌの許可を得てレイは武器屋に入り、剣や銃など色々な武器を見て回る。

 

レイ「ミルディーヌ、お前何か武器は扱えるか?」

 

ミルディーヌ「えっ?そうですね、祖父の狩猟についていったのでライフルは扱えますよ。」

 

レイ「ライフルか……。ショットガンは少し違うしな。だが身を守る為に何か武器があった方が良いしな。」

 

「うーん……。」と唸りながらレイはミルディーヌに合いそうな武器を探すが良さそうな物が無いので……

 

レイ「邪神竜、お前の力でミルディーヌに合うライフルを作れないか?(小声)」

 

と邪神竜に頼んでみる。

 

邪神竜『まぁ、作れない事もないが……。』

 

レイ「なら頼む。(小声)」

 

ミルディーヌ「えっと、レイ兄様?」

 

レイ「気にするな。それとミルディーヌ、後一ヶ所だけ寄らせてくれ。」

 

 

武器屋から出た後、レイ達が来たのはルーレ駅構内にある〈鉄道憲兵隊〉の詰所だった。

 

憲兵隊員「レイ大尉!?」

 

レイ「皆、お疲れ様。すまないが通信機を貸してくれ。」

 

その後、通信機で帝都駅の〈鉄道憲兵隊〉に何かを話した後、レイはミルディーヌと共に詰所を出た。

 

ミルディーヌ「レイ兄様、詰所で通信機を借りてどこに何を話したんですか?」

 

レイ「頼れる仲間、と言っても〈Ⅶ組〉とは違うぞ。そいつらにちょっとな。」

 

ミルディーヌ「フーン?私に隠し事なんて、通用すると思いですか?」

 

ミルディーヌの言葉にレイは冷や汗をかき、「誤魔化しても無駄だな。」と悟ってスペランザの元に戻るまでの間に先ほどの通信の内容を話す。

 

ミルディーヌ「なるほど。万が一の事態が起こった時の為にその方達に“力”を与えておくと。確かに良い一手ですね。」

 

 

そしてスペランザの元に戻ってきたレイは透明化を解除した邪神竜に一言。

 

レイ「それじゃ邪神竜、さっき武器屋で言った通りミルディーヌの為に武器を作ってくれ。」

 

邪神竜「承知した。」

 

そう言うと邪神竜は目を光らせ、目の前の空間に闇を出現させる。

 

 

そして数分後……

 

邪神竜「まぁ、こんなものか。」

 

闇が晴れると、中から一丁のライフルが現れてミルディーヌの手の中に収まる。

 

ミルディーヌ「これは……」

 

邪神竜「私の力で作り上げたそなた専用の武器だ。」

 

ミルディーヌ「ありがとうございます。ただ、アストライアに入ってからライフルは使ってないので上手く扱えるか……」

 

レイ「その点は安心しろ。俺が鍛えてやる。」

 

 

その後、レイは数日間ミルディーヌの射撃訓練を行った。その時のミルディーヌは……

 

ミルディーヌ「レイ兄様って結構スパルタなんですね。出来たらあんな事やこんな事もスパルタで……♥️」

 

レイ「やめなさい!」

 

邪神竜「やれやれ…」

 

弱音を吐かないどころか、いつも通りだった。




雷の軌跡Ⅱ連載開始!!

バイトしてるので不定期更新ではありますが、必ず完結させます!!


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第三機甲師団

レイによる射撃訓練が終わり、〈スペランザ〉に乗り込む2人。(邪神竜はレイの体の中にいます。)

 

ミルディーヌ「それでは当初の予定通り、第三機甲師団が駐屯しているノルド高原に向かいましょう。」

 

レイ「ああ。スペランザ、頼む。」

 

『了解した。』

 

そしてスペランザは飛翔し、ノルド高原に向かう。

 

 

―10分後

 

レイ「あまり霊力(マナ)を消費しないように速度を落として飛翔していたが、それでもこんなに早く到着するとは……。」

 

ミルディーヌ「騎神という存在はとことん規格外なんですね。」

 

『レイ、そろそろノルド高原に到着するがどこに降りる?』

 

レイ「第三機甲師団が駐屯している〈ゼンダー門〉の前で頼む。」

 

『了解した。――むっ?』

 

スペランザがゼンダー門に向かおうとした時、何かを感じ取ったようだ。

 

レイ「どうしたスペランザ?」

 

『これから向かうノルド高原で戦闘音が聞こえた。』

 

レイ「戦闘音だと?」

 

『うむ。砲撃音とローラー音が聞こえた。恐らく砲撃音は戦車の物で、ローラー音は帝都近郊で戦った〈機甲兵〉の物だろう。』

 

それを聞いたレイは驚く。

 

レイ「何だと!?もう〈貴族連合〉の手がノルド高原にまで来ているのか!?」

 

そしてノルド高原に到着すると、そこにはあの光景が――帝都で見たのと同じような光景が広がっていた。

 

ミルディーヌ「装甲車がいくつも破壊されていますね。ですが、戦車の方は何台か無事な様子。さすがゼクス・ヴァンダール中将率いる第三機甲師団と言ったところでしょうか。」

 

レイ「そうだな。まだ機甲兵に対する対策が無いのに被害を最小限にしている。」

 

すると戦闘は終了し戦車部隊はゼンダー門へ、機甲兵部隊は監視塔へと帰還していった。

 

レイ「どうやら戦闘が終わったようだな。」

 

戦闘部隊と機甲兵部隊の戦闘の一部始終を見た後、レイはゼンダー門へと向かう。

 

 

―ゼンダー門前

師団兵「っ!!空から何かが降りてくるぞ!!」

 

師団兵2「貴族連合の飛行艇か!?」

 

師団兵3「いや、機甲兵のような物体だ!!」

 

師団兵「総員戦闘――」

 

レイ『その必要はないぞ。俺は帝国正規軍・鉄道憲兵隊所属レイ・リーヴェルト大尉だ。ゼンダー門の責任者であるゼクス中将にお会いしたいのだが。』

 

いきなり空から現れた翡翠の騎士人形に驚く師団兵達だが、その騎士人形から聞こえたレイの声に別の意味で師団兵達は驚く。

 

師団兵「レイ大尉って確か……」

 

師団兵2「数ヶ月前にトールズの実習で来ていた……」

 

師団兵3「声もレイ大尉に間違いない。了解しました!少々お待ち下さい!」

 

 

―そして数分後、ゼクス中将が出てくるとレイもミルディーヌと共にスペランザから降りてくる。

 

レイ「お久しぶりですゼクス中将。」

 

ゼクス「久しぶりだな、レイ大尉。してこの騎士人形は?」

 

レイ「帝国に伝わる〈巨いなる騎士〉の内の1体。〈翡翠の騎神スペランザ〉です。ところで現在のノルド高原の状況を聞かせてもらっても良いでしょうか?」

 

ゼクス「うむ、部屋に来たまえ。」

 

その後、レイとミルディーヌは司令室でノルド高原の状況を聞く。

 

ゼクス「2日前の事だ。帝都が貴族連合に占領されたと聞いて我々も動こうとした時、共和国が大規模な領空侵犯を犯した。それに対処しようとした時に貴族連合の飛行艇が機甲兵を連れて奇襲を仕掛けてきたのだ。」

 

ミルディーヌ「つまり、貴族連合は一時的に共和国と手を結び、監視塔のメンバーが共和国の飛行艇に気を取られている隙に監視塔を――と言う事ですね?」

 

ゼクス「その通りだ。」

 

レイ「それで被害は?」

 

ゼクス「監視塔が貴族連合の手に落ちてからまだ2日しか経ってないのでそれほど被害は無い。だが、問題が1つあってな。奴らが監視塔を占領してから高原で通信が使えなくなったのだ。」

 

レイ「という事は補給や援軍要請が出来ないと?それはマズイですね。」

 

ミルディーヌ「それにプラスして貴族連合は恐らくアイゼンガルド方面の部隊も動かして両面から攻撃してくる可能性もありますね。」

 

ミルディーヌの言葉にゼクスとレイは頷く。そしてレイはしばらく考えて一言。

 

レイ「なら監視塔方面の部隊は自分に任せて下さい。しばらくは攻撃してこないように痛めつけます。ゼクス中将はアイゼンガルド方面の部隊をお願いします。」

 

ゼクス「うむ、分かった。くれぐれも無茶はせんようにな。それと言いそびれていたが、ガイウスが集落に戻っているぞ。」

 

ゼクスの言葉にレイの顔が喜びに満ちる。

 

レイ「そうですか!良かった……。他には誰かいましたか?」

 

ゼクス「少女を2人、連れていたな。1人は以前の実習で来ていたグエン老のお孫さんで、もう1人は君達と共に猟兵崩れを捕らえた少女だ。」

 

レイ「アリサとミリアムか。ありがたい情報です。」

 

ゼクス「そうか。それでは作戦は明日の正午に始めよう。作戦立案部屋へ来るといい。」

 

その後、レイとミルディーヌはゼクスと共に作戦立案部屋に向かい、明日はどう動くは話し合ってその日はお開きとなった。




なんかレイが監視塔を攻略するような流れに見えますが、ご安心を。レイは敵勢力を少し弱体化させるだけなんで。


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来訪者

新作の『創の軌跡』の情報が開示されましたね。まだ情報は少ないですがなかなか面白そうな予感ですね。


―翌日・早朝

 

食堂にて

ミルディーヌ「おはようございますレイ兄様。お早いですね。」

 

そう言ってミルディーヌはレイの前の席に座る。

 

レイ「ああ、ミルディーヌおはよう。今日は奴らを弱体化させる為の作戦の実行日だからな。」

 

ミルディーヌ「その事なのですが、本当に今回の作戦に私も参加してよろしいのですか?」

 

レイ「もちろんだ。今日の作戦はお前が要だと言っても過言じゃないからな。」

 

ミルディーヌ「そうなのですか?」

 

レイ「頼りにしてるぞミルディーヌ。」

 

ミルディーヌ「はっ、はい!」

 

 

―2時間後

 

ゼクス「レイ君、君に会いたいという人達が来ているのだが?」

 

割り当てられた部屋でミルディーヌとゆっくりしているとゼクス中将がレイに客人だと言って入ってきた。

 

レイ「ありがとうございます。ようやく来たか。」

 

レイが部屋を出るとミルディーヌも後を追って部屋を出る。すると目の前には紫色のロングヘアーの女性と黒い髪に赤いメッシュが入った男性がいた

 

レイ「急に呼び出して悪かったなカレン少尉、ザギ中尉。」

 

2人の男女の正体はレイがルーレ分所の通信で呼び出した直属の部下である鉄道憲兵隊のカレン少尉とザギ中尉だった。

 

カレン「いえ、レイ大尉がご無事で良かったです。」

 

ザギ「帝都が占領されたあの日から、全く連絡が取れなくて心配で心配で……」

 

レイ「すまなかったな。それで君達を呼び出した理由は2つある。1つはこの地にいる貴族連合を弱体化させるのを手伝ってほしい事。もう1つは君達にこの武器を与える為だ。」

 

そう言ってレイがケースから出した物をカレンとザギに渡す。

 

カレン「これは……短剣?でも変わった形ですね。」

 

ザギ「これは棍棒の左右に……発射口?」

 

レイ「邪神竜に作らせたお前達専用の武器だ。この内戦では通常兵器は役立つか微妙だからな。それと……なんだかんだでずっと俺についてきてくれてるからそのお礼というか何というか……///」

 

カレン・ザギ(何かレイ大尉、可愛い。)

 

邪神竜「久しぶりだなカレン、ザギ。」

 

カレン・ザギ「邪神竜!!」

 

邪神竜「その2つの武器はお前達の戦闘スタイルに合わせて私が作った物だ。そんじょそこらの武器などよりはるかに強力だぞ。」

 

カレン「ありがとう邪神竜。」

ザギ「大切に使わせてもらうよ。」

 

レイ「ちなみにカレン少尉の武器は『カイザースラッガー』、ザギ中尉の武器は『カイザーワンド』だ。必要最低限の使い方は後で教えるとして……。ミルディーヌ。」

 

言葉を切ったレイはミルディーヌを呼ぶ。

 

ミルディーヌ「はい。初めましてカレンさん、ザギさん。私はミルディーヌ。ミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエンと申します。今、内戦を起こしている貴族連合の総主宰クロワール・ド・カイエンの姪でレイ兄様の恋人です。」

 

そう言ってミルディーヌは服の裾をつまみ上げて一礼する。

 

レイ「彼女はカイエン公の姪だが我々と敵対する意思はない。むしろカイエン公を捕まえる為に力になってくれる存在だ。」

 

カレン「それは頼もしいですね。よろしくね。」

ザギ「よろしくお願いするよ。」

 

カレンとザギ、ミルディーヌが握手するのを見届けたレイは早速この地の貴族連合の弱体化作戦とカレンとザギの武器の説明を始めた。

 

 

―30分後

レイ「以上だが、ここまで不明な点はないか?」

 

カレン「大丈夫です。」

ザギ「同じく。」

ミルディーヌ「私も大丈夫です。」

 

レイ「では30分後に作戦を開始する。各々、準備を怠らないように!」

 

カレン・ザギ「イエス・サー!!」




カレンの『カイザースラッガー』はウルトラマンゼロのゼロスラッガーの黒いver、『カイザーワンド』はベリアルのギガバトルナイザーのような形状だと思って下さい

それとカレンとザギが邪神竜を知っている理由はレイの部下になった時に見せてもらったからです。その話は幕間にでも書こうかと思っています。


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作戦開始

明けましておめでとうございますm(__)m

新年初の投稿です。まぁ、年開けてから2週間経ってしまいましたが……(汗)

今年もよろしくお願いいたしますm(__)m


―30分後

 

遂に作戦開始の時間になり、レイはスペランザに乗り込み、ミルディーヌとザギとカレンはレイに言われた場所に移動する。

 

レイ「これより監視塔に陣取っている貴族連合の弱体化作戦を実行する!!」

 

ザギ・カレン『イエス・サー!!』

ミルディーヌ『了解しました♥️』

 

すると見計らったように監視塔から5体の〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉がゼンダー門に向かってきた。すると隊長機であるシュピーゲルがスペランザを見て一言

 

隊長『むっ!?あれは…帝都部隊の〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉を退けた翡翠の騎士人形か!?』

 

『どっ、どうしましょう隊長!?』

 

隊長『狼狽えるな!!こちらは私を含めて5機いるのだ!!囲んで叩きのめせ!!』

 

―ズガンッ!!

 

隊長『うおっ!?』

 

銃声が響くとシュピーゲルの顔面に穴が空き…

 

『たっ、隊長!?』

 

―ズガンッ!ズガンッ!

 

『うわっ!?』

 

シュピーゲルが狙撃された事に部下達が驚いていると、その部下達が乗るドラッケンも顔面を狙撃された。

 

『クソッ!一体どこから!?』

 

 

ゼンダー門・屋上

ミルディーヌ「こちらミルディーヌ。隊長機とドラッケン4機のセンサーを破壊しました。」

 

レイ『よくやったぞミルディーヌ。そのまま遠距離からのサポート頼む。』

 

ミルディーヌ「分かりました。」

 

 

ゼンダー門前

レイ「さて、それじゃ行くぞザギ中尉、カレン少尉。俺が与えた武器を使い、機甲兵を倒してみろ!」

 

2人「イエス・サー!!」

 

そう言って2人はレイから与えられた『カイザースラッガー』と『カイザーワンド』を構えて〈機甲兵〉に向かっていく

 

『隊長、鉄道憲兵隊の制服を着た男女がこちらに向かってきます!どうやら生身で〈機甲兵〉に挑むようです!』

 

隊長『何だと!?愚かな、戦車でも勝てなかった〈機甲兵〉に生身で挑んだ事を後悔させてやれ!!』

 

『イエス・サー!!』

 

隊長の命令に2機の機甲兵がカレン少尉とザギ中尉の前に立ち、機甲兵用ブレードを振り下ろそうとするが……

 

2人「フッ!!」

 

2人はスピードを上げ、カレン少尉は飛び上がってブレードを持っている腕の関節部分をカイザースラッガーで、ザギはカイザーワンドにエネルギーを纏わせてそのエネルギーを大鎌状にしてブレードを持っている手首を切り落とした。

 

『なっ、何だとぉぉぉぉっ!?』

『そっ、そんなバカな!?』

 

 

その頃、スペランザに乗っているレイは…

 

レイ「さすが俺の仲間だな。さて、それじゃ俺もやるか。いくぞスペランザ」

 

「ああ、任せろ。」

 

そう言うスペランザの腕には〈魔剣カイザーブロード〉と〈魔槍カイザートライデント〉が握られていた。

 

隊長『おのれ、こうなったらこの翡翠の騎士人形だけでも討ち取るぞ!!』

 

『はっ!!』

 

1機のドラッケンがスペランザに向かって剣を振るい、もう1機のドラッケンは持っていた銃をスペランザに向ける。

 

『『くらえ!!』』

 

レイ「甘いな。」

 

レイはスペランザを操作して最初の剣の一撃を少し横に移動する事で回避し、銃撃に対してはミルディーヌがライフルのエネルギーを最大限解放して放った銃撃で防いだ。

 

そしてスペランザは銃を持ったドラッケンに接近し、カイザーブロードを振って銃を真っ二つにし…

 

『なっ!?』

 

レイ「セイヤァッ!!」

 

―ドガッ!!

 

『グアァッ!!』

 

隊員が驚いてる隙に回し蹴りを食らわせて吹っ飛ばし、戦闘不能にした。

 

レイ「ハッ!」

 

そしてすぐさま剣を持っているドラッケンに接近し、目に見えない速さでカイザーブロードを2回振るってドラッケンの両腕を切り落とした。

 

レイ「さて、残りはお前だけだな。」

 

隊長『くっ、まだだ!まだ、あちらで戦っているドラッケンが奴らを蹴散らしてこちらに来れば……』

 

レイ「残念だが、それは無理だな。」

 

 

カレン「カイザースラッガーアタック!!」

ザギ「カイザージェノサンダー!!」

 

―ズガァァァァンッ!!

 

カレンとザギのSクラフトで2機のドラッケンは戦闘不能になる。

 

 

隊長『なぁっ!?機甲兵相手に生身で勝っただと!?』

 

レイ「さぁ、これで俺とお前の1対1になったな。それじゃ、始めようか?」

 

隊長『くっ……なめるなよ鉄血の狗がぁぁぁっ!!』

 

シュピーゲルは足のローラーを使い、高速でスペランザに接近して剣を突き立てようとする。

 

―ガギィィィンッ!!

 

しかし、レイはカイザートライデントの先端で受け止めていた。カイザートライデントの先端は三つ又に分かれており、その間に機甲兵用ブレードを挟んでいた。

 

レイ「戦場で大切なのは武力もそうだが、冷静な判断力も必要だ。熱くなると勝機が見出だせなくなるぞ。フッ!デヤァァッ!!」

 

そう言ってレイは機甲兵用ブレードを挟んだまま、カイザートライデントを回転させて機甲兵の手からブレードをもぎ取った。

 

レイ「ハアァァァッ!!ヘルライジングスラッシュ!!」

 

―ズバァァァンッ!!

 

そしてカイザーブロードに黒い雷を纏わせて必殺の〈ヘルライジングスラッシュ〉を放ち、シュピーゲルを戦闘不能にさせた。

 

レイ「それと1つ訂正だ。俺は鉄血の狗じゃない。むしろ……(小声)」

 

 

作戦は終了し、レイ、ミルディーヌ、カレン、ザギはゼンダー門に帰還した。

 

ゼクス「ありがとうレイ君。これで貴族連合はしばらくの間、動けないだろう。実習の時もそうだが、世話になりっぱなしだな。」

 

レイ「いえ、自分達に出来る事をやったまでです。それと30分後には物資や備品を積んだ鉄道憲兵隊の高速列車が到着します。量は少ないですが1ヶ月程は大丈夫でしょう。」

 

ゼクス「何から何まですまんな。にしても、もう行ってしまうとは……。ガイウス達に会っていかなくて良いのか?」

 

レイ「ええ。俺達〈Ⅶ組〉はどこにいても、必ずまた会えると信じていますから。」

 

ゼクス「そうか……分かった。風と女神の加護を。くれぐれも無茶せんようにな。」

 

レイ「もちろんです。それでは失礼します。」

 

ゼクス中将に一礼するとレイとミルディーヌはスペランザに乗り込み、カレンとザギはスペランザの手の上に乗る。

 

そしてスペランザは飛翔し、次の目的地を目指して飛び去っていった。




カレン少尉とザギ中尉はこれからちょくちょく出てくるかもしれません。次は幕間です。


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幕間・レイの部下達

本編で言ってた通り、ザギ中尉とカレン少尉が初めて邪神竜に出会う話です。

後、3月にニンテンドーSwitchで閃の軌跡Ⅲが発売されますね。絶対手に入れる!


ノルドでの作戦を終えて次なる目的地へと向かっているレイ、ミルディーヌ、ザギ中尉、カレン少尉。しかし今は紡績町パルムにある食事処で休憩中であった。

 

(ちなみにザギ中尉とカレン少尉は私服に着替えてます。)

 

ミルディーヌ「そう言えば、ザギさんとカレンさんは邪神竜さんを見ても驚きませんでしたね?」

 

ザギ「ああ。実は邪神竜とはレイ大尉の部隊に配属された時に会ってるんだ。」

 

カレン「まぁ、最初は『えっ!?』って驚いたけどね。」

 

邪神竜『懐かしいな。』

 

レイ「ちなみに俺の部隊の者は全員、邪神竜の事を知っている。もちろん他言しないように言ってある。なんだったらその時の話をしてやろうか?」

 

ミルディーヌ「ぜひ、お願いします。」

 

そしてレイはザギとカレン、邪神竜が初めて出会った話を始める。

 

〈回想〉

レイ・あれは、姉さんにやられて宰相の元に行った後に鉄道憲兵隊の詰所に連れていかれてから数年後……姉さんと共に中尉になった頃の話だ。

 

レイ『はぁ~、今日の仕事は終了っと。』

 

クレア『お疲れ様レイ。どう?鉄道憲兵隊の仕事には慣れた?』

 

レイ『何とかね。まぁ、書類仕事はあまりやりたくないが…』

 

クレア『それも重要な仕事なんだから、サボらないようにね?』

 

レイ『分かってるよ。んで、何か用?』

 

クレア『明日、貴方に初めての部下がつくわよ。新人2人だけど、なかなか優秀な人達なの。これが彼らの履歴書よ。』

 

そう言ってクレアは入隊してくる新人の履歴書をレイに渡し、レイは受け取った履歴書に目を通す。

 

レイ『ザギ・ノイドにカレン・メイトか。2人とも帝都の士官学院を上位で卒業……か。』

 

邪神竜(どれほどの力の持ち主か試すのか?)

 

レイ(当然。)

 

 

 

ミルディーヌ・試すって、もしかしてお2人と戦ったんですか?

 

レイ・ああ。その頃の俺はまだ〈狂戦士(バーサーカー)〉時代の癖が残っていたからな。

 

 

 

―翌日

 

鉄道憲兵隊詰所にクレアが言っていた新人2人が来た。

 

カレン『ううっ、緊張するわね……』

 

ザギ『確かにな。義理とはいえ、あの〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉の弟さんが俺達の上司だからな。』

 

その時、扉が開きクレアとレイが入ってきた。

 

クレア『ザギ・ノイドさんにカレン・メイトさんですね?』

 

2人『あっ、はい!』

 

クレア『ようこそ鉄道憲兵隊へ。もう知っているとは思いますがこちらが私の義弟であり、貴方達の上司の……』

 

レイ『レイ・リーヴェルト。階級は中尉だよろしくな。』

 

2人『よろしくお願いします!!レイ中尉!!』

 

レイ『早速だがお前達の力を見せてもらうぞ。ついてこい。』

 

レイが部屋を出るとザギとカレンもその後をついていき、 クレアは『大丈夫かしら?』という顔で出ていく。

 

 

―訓練所

レイ『さて、さっきも言った通りお前達の力を見せてもらう。武器を構えろ。』

 

2人『はいっ!!』

 

レイの言葉に頷いたザギはこん棒を、カレンは短剣を構える。そしてレイは……

 

レイ『ハアッ!!』

 

―ジャギンッ!!

 

赤黒い鉤爪〈カイザークロー〉を装備する。

 

ザギ『えっ!?』

カレン『それって!?』

 

レイ『ボサッとするな!!カイザーリッパー!!』

 

レイが装備した〈カイザークロー〉に驚くザギとカレンに向かって赤黒い斬撃―カイザーリッパーを放つレイ。

 

ザギ『うわっ!?』

カレン『きゃあっ!?』

 

その斬撃を間一髪で避けた2人。

 

ザギ『ちょっ、ちょっと待って下さい!!いくらなんでも、本気の武器を装備したレイ中尉相手は……!!』

 

カレン『それに、急に攻撃するのは……!!』

 

レイ『お前らは戦場でも相手に同じ事を言うのか?』

 

2人『うっ……』

 

レイ『分かったなら、戦闘再開だ。』

 

そしてレイは再びカイザーリッパーを放つ。

 

ザギ『確かに、俺達の言った事は戦場では通用しない事ばかりだな。』

 

カレン『いつまでも学生気分でいるわけにはいかないわね。』

 

2人『ハアッ!!』

 

―バキィィィンッ!!

 

2人は向かってくる赤黒い斬撃を自身の武器で弾き、そのままの勢いでレイに攻撃する。

 

レイ『クッ!』

 

ザギ『よしっ!』

カレン『一撃を与えたわ!』

 

レイ『……。なかなかやるな。正直驚いてるよ。地獄を味わった事のない奴が……俺に一撃入れるなんてな!!』

 

レイは2人の渾身の攻撃を受けたのにも関わらず、全くダメージを受けていなかった。

 

ザギ『そんなバカな……』

 

カレン『ダメージを受けていないなんて……』

 

レイ『俺に一撃入れた褒美だ。俺の真の力を見せてやる。』

 

するとレイは右手で自分の胸を掴み、自分の中にある力を解放する。

 

レイ『ハアァァァッ!!』

 

〈サンダードラコ〉の力を解放したレイは、雷のようなオーラを纏っていた。

 

ザギ『これがレイ中尉の……』

カレン『真の力……』

 

レイ『まだ10%程だがな。さぁ、これで終わりだ。』

 

そう言ってレイは飛び上がって高速回転を始める。

 

レイ『カイザーエグゼキューション!!』

 

―ズガァァァァンッ!!!

 

ザギ『ウワァァァァッ!!』

カレン『キャアァァァァッ!!』

 

 

―戦闘後

ザギ『ううっ……』

カレン『くぅ~……』

 

クレア『大丈夫ですか?』

 

ザギ『はっ、はい……』

カレン『なっ、何とか~……』

 

クレア『全く、少しやり過ぎじゃない?』

 

レイ『生半可な気持ちで戦場に立ったら死ぬからな。これ位はやらないと。』

 

?『我も同感だな。』

 

2人『っ!?』

 

いきなりこの場にいる者とは違う声が聞こえて驚くザギとカレンだが、レイとクレアは平然としていた。するとレイの真横の空間が歪み、邪神竜が現れた。

 

ザギ『えっ!?』

カレン『貴方は!?』

 

邪神竜『我の名は邪神竜。幻獣よりもはるかに上の存在で、レイが〈狂戦士(バーサーカー)〉時代の頃からの付き合いだ。』

 

ザギ『幻獣よりもはるかに上の存在がいたなんて……』

 

カレン『それよりもレイ中尉が〈狂戦士(バーサーカー)〉!?あの強い者との戦いを求めていた、文字通り狂った戦士ですか!?』

 

レイ『それは昔の話だから忘れろ。それより、邪神竜の事は信頼の置ける者にしか話さないからこの事は秘密にしといてくれ。』

 

2人『はい!これからよろしくお願いしますレイ中尉!!』

〈回想終了〉

 

 

ミルディーヌ「なるほど、そんなやり取りがあったんですね。」

 

カレン「最初はびっくりしたわよ。レイ大尉が真の力を解放するし、過去には〈狂戦士(バーサーカー)〉って呼ばれていた事を知るし。」

 

ザギ「トドメには幻獣よりもはるかに上の存在である邪神竜まで登場するしな。まぁ、レイ大尉が〈巨いなる騎士〉の一角と言われている〈翡翠の騎神〉の起動者(ライザー)になっていると聞いた時はキャパオーバーになりかけたが……」

 

レイ「まぁ、とにかくこの内戦を乗り越えるにはトールズの〈Ⅶ組〉と〈灰の騎神ヴァリマール〉、そして俺の〈翡翠の騎神スペランザ〉に加えて帝国正規軍の力が必要になる。頼りにしてるぞザギ、カレン。そしてお前の射撃の腕もなミルディーヌ。」

 

2人「はっ、お任せ下さいレイ大尉!!」

 

ミルディーヌ「お任せ下さいレイ兄様♥️」




幕間終了。さて、次はどこに行ってもらおうかな?


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レイ・リーヴェルト設定

名前:レイ・リーヴェルト(イメージCV・古川(まこと)

 

年齢:20歳

 

性格:冷静沈着

 

髪色:クレアより薄い水色

 

 

武器:◇魔爪カイザークロー(元はただの鉤爪だったが邪神竜の力を注入され魔爪となった)

 

◇魔剣カイザーブロード

レイが扱う漆黒の魔剣。必殺技は剣に暗黒の雷を纏わせて斬る『ヘルライジングスラッシュ』

 

◇魔槍カイザートライデント

レイが扱う三つ叉の刃を両端につけた漆黒の魔槍。必殺技は槍に暗黒の雷を纏わせて放つ『ヘルライジングショット』

 

 

好きなもの:チョコケーキ、猫

 

趣味:読書、料理

 

クレア・リーヴェルトの義弟で若くして鉄道憲兵隊の大尉を勤め、『迅雷(サンダー・クラップ)』の異名を持つ。邪神竜の力を解放して背中に翼を展開し、飛翔する

 

 

クラフト

◇カイザーリッパー

左右どちらかの手、もしくは両手に赤黒い雷のエネルギーをためて放つ斬撃

 

派生技・カイザーインフェルノリッパー

カイザークローにダークネスインフェルノの炎を纏わせて放つ紫色の斬撃。カイザーリッパーよりも威力が数倍上がっている

 

◇デスクローラッシュ

雷を纏ったカイザークローを連続で突き出し、相手を仕留める技

 

◇ダークグレイブ

カイザークローを地面に突き刺して雷のエネルギーを地面に叩き込み、エネルギー状の爪を足下から襲わせる

 

◇カオス・エンド・フレア

右手に闇のエネルギーを、左手に光のエネルギーをチャージした後に1つにして放つ強力な光線

 

◇ダークネスインフェルノ

剣または槍に紫の炎を纏わせて放つ光線。斬撃として飛ばす時は『ダークネスインフェルノスラッシュ』となる

 

※クラフトは魔剣と魔槍を使って放つ事も可能

 

 

Sクラフト

◇カイザーエグゼキューション

赤黒い雷のエネルギーを体に纏い、高速回転で上空から敵に迫り自らが漆黒の光輪となって相手を切り裂く

 

◇デッドスラッシャー

カイザーブロードとカイザートライデントに暗黒の雷を落とし、雷を纏わせた状態でクロス斬りする技。

派生技として雷を纏ったカイザートライデントを相手に突き刺して動けなくした状態で同じく雷を纏ったカイザーブロードで斬る技もある。

 

 

◇邪神竜

レイがレグラムで出会った幻獣よりもはるかに上の存在。自身の闇で暗黒の武器も作れる。

 

◇邪竜吼

レイが邪神竜に相談して〈邪神竜の力〉と〈サンダードラコの力〉を融合させて完成させた身体強化技。完全に解放すると暗黒の炎と雷を纏い、全ステータスが限界まで上がる

(サンダードラコに関しては前作雷の軌跡をお読み下さい。)

 

 

◇翡翠の騎神スペランザ(イメージCV・内田雄馬)

レイが邪神竜の試練を突破して手に入れた騎神。広い場所があればそのまま休眠状態になるが、無い時は体を粒子化してレイのブレスレットの中に入る。

武器はレイが扱うカイザーブロードとカイザートライデント。

(上記の武器はレイが自分の武器を巨大化させた物です)

 

 

◇ミルディーヌとの関係

1年前にレイが〈聖アストライア女学院〉の警備にあたった時に昼食のお弁当をもらい、それ以降良い仲になる。(というか本人達は既に恋人ですね。by作者)

 

――しかし、レイとミルディーヌが出会ったのは偶然ではなかった。とある理由でミルディーヌがレイに声をかけたのである。

 

 

 

―――

とりあえずレイの設定はこれくらいですね。

 

新しい技の設定などが出たらその都度更新していきます。




レイのイメージCVである古川慎さんは〈劇場版フェアリーテイル・ドラゴンクライ〉でアニムスという竜の声をしていた方で、スペランザのイメージCVである内田雄馬さんはウルトラマントレギアの声をしていた方です。


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第1章・翡翠の戦記
ガレリア要塞へ


しばらく更新してなくて申し訳ありませんm(__)m

ノートに下書きして色々考えていたら、物凄く時間が経ってしまいました。


――ノルド高原の戦闘から1ヶ月と少し経ったセントアークのホテルにて

 

レイ「そろそろかな?」

 

ミルディーヌ「何がですか、レイ兄様?」

 

邪神竜「灰の騎神の起動者(ライザー)が目覚める。」

 

ミルディーヌの疑問に邪神竜が答える。

 

レイ「カレンとザギの情報によると灰は〈蒼の騎神オルディーネ〉と戦闘した後、飛び去ったらしい。恐らくどこかへ落ち延びて機を伺う為にな。」

 

邪神竜「だがリィンはその戦いで初めて〈灰の騎神ヴァリマール〉を起動し、戦った。恐らくたどり着いた地でしばらくは動けないだろうな。」

 

ミルディーヌ「もしかして、その動けない期間が?」

 

レイ「約1ヶ月だ。」

 

その時、部屋の扉が開いてレイ直属の部下であるカレンとザギが入ってきた

 

カレン「レイ大尉、〈Ⅶ組〉及びリィン・シュバルツァーの情報が入りました。」

 

レイ「聞かせてくれ。」

 

ザギ「まず、リィン・シュバルツァーについてです。ユミルに潜伏させた仲間からの情報だと、リィン・シュバルツァーはアイゼンガルド連邦で巨大な人型兵器と戦闘後、遊撃士と皇女殿下、自分の妹、紫色の猫と共にシュバルツァー男爵邸に帰還しました。」

 

レイ「人型兵器か。潜伏していた者は姿は見たのか?それと遊撃士と言ったが、特徴は?」

 

ザギ「人型兵器の方は機甲兵より騎神に近い感じだったそうです。関節部分には怪しく光る球体があったと。そして遊撃士の方ですが、金髪に白い上着で上級魔法(アーツ)をあり得ない速度で放っていました。恐らく魔法(アーツ)に特化しているのではないかと。」

 

レイ「なるほど。人型兵器は暗黒時代の魔導ゴーレム〈魔煌兵〉だな。そして、金髪に白い上着で魔法(アーツ)に特化している……トヴァル・ランドナーか。それでカレンの方は?」

 

ザギの報告を聞き終えたレイは次にカレンの報告を聞く。

 

カレン「はっ。〈Ⅶ組〉のメンバーの行方ですが、帝都知事の息子マキアス・レーグニッツ、クレイグ中将の息子エリオット・クレイグ、西風の妖精(シルフィード)フィー・クラウゼルの3人が今、ケルディックの元締めの配慮で東ケルディック街道の風車小屋にいます。それとザギ中尉の報告に1つプラスさせていただきます。リィン・シュバルツァーが遊撃士及び紫の猫と共にユミルを出発したそうです。」

 

カレンの報告を聞いたレイはしばらく考え込む。そしてミルディーヌに一言。

 

レイ「ミルディーヌ。もしお前がケルディックにいる3人の内の1人ならこの後、どう動く?」

 

するとミルディーヌは「フフッ」と軽く笑う。

 

ミルディーヌ「レイ兄様、この程度で私の能力を試しているのですか?ですが、良いでしょう。私が彼らの内の1人ならリィンさんと極秘に―そうですね、かの怪盗Bのような挑戦状を作って自分の元へ来させて再会し、その後は……」

 

カレン・ザギ「その後は?」

 

ミルディーヌ「ガレリア要塞を目指します。ケルディックからガレリア要塞は少し遠いと行っても歩いていけない距離ではありません。それにガレリア要塞にはエリオットさんのお父上が指揮している正規軍最強の〈第四機甲師団〉がいます。その方に接触出来れば、内戦がどのようになっているか等の情報が手に入ります。」

 

カレン「でも確か、ケルディックとガレリア要塞の間にある〈双龍橋〉には貴族連合がいますよ?」

 

ミルディーヌ「大丈夫です。確かに貴族連合が陣を敷いていますが、それは人が通る道のみ。ならば人が通らない道―線路を使って〈双龍橋〉を突破すれば良いんです。恐らく彼らも何らかの手段でこの事に気づくでしょう。」

 

カレン「す、凄~い……(汗)」

ザギ「さすが数万手先を読む事が出来る〈指し手〉だ……(汗)」

 

邪神竜「それでレイ、我らはどう動くのだ?」

 

レイ「そうだな。〈灰の起動者(ライザー)〉が再び動くなら、〈翡翠の起動者(ライザー)〉である俺も動くか。それに俺の予想通りなら、導力演算器並みの頭脳の持ち主がガレリア要塞にいるばすだからな。」

 

そう言ってレイは立ち上がり、邪神竜はレイの中に戻り、ミルディーヌとカレンとザギはレイの後を追ってホテルを後にした。

 

 

―イストミア大森林にて

 

レイ「スペランザ、状態はどうだ?」

 

スペランザ『ああ、すこぶる良好だ。』

 

レイ「なら良かった。今からガレリア要塞に向かうぞ。〈灰の起動者(ライザー)〉であるリィンと〈Ⅶ組〉のメンバーに会う為にな。」

 

スペランザ『分かった。カレンとザギは先日と同じように私の手の上で良いか?』

 

カレン「ええ、大丈夫よ。」

ザギ「頼むぜ。」

 

そしてレイとミルディーヌはスペランザの中に、カレンは右手に、ザギは左手に乗って一同はガレリア要塞へと向かった。



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一時の再会

YouTubeで創の軌跡の第1弾のCM見ましたが、なかなか個性豊かなキャラが出てきますね。早く夏にならないかな~

今回、リィン達は所々でオリジナルなセリフを言いますが、ご了承下さいm(__)m


ガレリア要塞――ここはクロスベルひいては共和国のすぐ近くの為、どこより強固な要塞になっている。そんな場所に4つの人影と1匹の猫がいた

 

リィン「これは……」

 

エリオット「帝国時報で要塞が消滅したのは知っていたけど……」

 

マキアス「ああ、まさかここまでとはな……」

 

フィー「どうやったらこうなるんだろうね?」

 

彼らはリィン・シュバルツァー、エリオット・クレイグ、マキアス・レーグニッツ、フィー・クラウゼル。トールズ士官学院の特科クラス〈Ⅶ組〉に在籍していた者達だ。

 

リィン「あの奥に見えるのはクロスベルか。しかし、あの青白い障壁のような物は……?」

 

トヴァル「何でもギルド仲間からの情報だと、クロスベルは〈力〉を手に入れたらしい。」

 

リィン「〈力〉……ですか?」

 

リィンの問いに答えたのは帝国遊撃士協会所属のトヴァル・ランドナー。魔法(アーツ)を通常より速く使う為、〈零駆動〉の異名を持っている。

 

セリーヌ「っていうか、ここに来たのは〈赤毛のクレイグ〉とかいう人に会う為でしょ?早く行きましょ。」

 

今喋ったのは紫色の美しい毛並みを持つ猫―セリーヌだ。実は彼女はエマの使い魔なのだ。

 

トヴァル「そうだな。あそこに見える橋を渡れば、第四機甲師団がいるキャンプに行けるはずだ。」

 

マキアス「そうと決まれば早く行こう。クレイグ中将がいらっしゃるといいが……」

 

そう言ってマキアスが一歩踏み出すと、足下で「カチッ!」と何かを踏んだ音がした。マキアスは「ん?」という顔をする。

 

フィー「マキアス、動かないで!」

 

マキアス「へっ?……ぐあっ!?」

 

フィーは地面を蹴って一瞬でマキアスへ突進し、そのままマキアスに体当たりして彼と共に音がした場所から離れる。するとその場所が爆発し、周囲は爆煙に包まれる。

 

マキアス「なあぁぁぁぁっ!?」

 

トヴァル「ゲホッ…ゲホッ…!何だこりゃ!?」

 

フィー「やっぱり改良型の導力地雷(オーバルマイン)。いるんでしょ、2人とも。」

 

?「ははっ、やっぱり気づいとったか。」

 

?2「腕を上げたようだな。」

 

フィーが見上げた方を見るとガレリア要塞の入口の上に2人組の男がおり、細身の男がそう言うと筋肉質の男と共にリィン達の前に降りてくる。

 

リィン「フィーの知り合いか?」

 

フィー「知り合いも何も……士官学院に入るまでは仲間だったし。」

 

マキアス「仲間って……まさか!?」

 

?「いやぁ、久しぶりやな。あれからしばらく経つけど、背も伸びたんちゃうか?」

 

?2「筋力、反応速度、瞬発力……全てが以前を上回っている。これも、時の流れか。」

 

黄緑の髪を後ろで結んでサングラスをかけた男と全体的に筋肉質な体をし、重く低い声に同じくサングラスをかけている男がしみじみした感じでフィーに話しかける。

 

すると、トヴァルは男達の胸元に描かれているマークを見て〈ARCUS(アークス)〉を取り出す。

 

トヴァル「その紋章、〈西風の旅団〉か!!」

 

フィー「変わってないねゼノ。……レオも久しぶり。」

 

?2→レオ「ああ、1年程度ではお前ほど変わりはしない。大人と子供の違いというものだ。」

 

フィー「また子供扱いする……。」

 

先程の地雷は無かったかのように会話する3人だが、トヴァルの顔からは警戒の色は取れていなかった。

 

?→ゼノ「本当はもっと世間話したいんやけど、こっちも仕事で来てるんやわ。」

 

レオ「一応確認するが、退くつもりはないな?」

 

フィー「ん、今は敵同士だから。」

 

ゼノ「なら、しゃーないわな。」

 

フィーの否定の言葉にゼノとレオの2人は少し残念そうにしながらも自身の武器であるブレードライフルと機械化手甲(マシンガントレット)を取り出す。それを見たリィン達も自身の武器を構える。

 

そして戦闘が開始されようとした時……

 

?「まさか大陸最強の猟兵団の片割れである〈西風の旅団〉がこんな所にいるとはな。」

 

誰かの声が聞こえ、そちらを振り向くと3人の黒ローブを羽織った人物達が側の建物に立っていた。

 

リィン「い、いつの間に!?」

 

ゼノ「わいらにも気づかせんとは…」

レオ「なかなかやるな。」

 

?「トールズ士官学院・特科クラス〈Ⅶ組〉そして遊撃士トヴァル・ランドナーよ。我々も加勢しよう。」

 

そう言って3人の謎の人物は建物から飛び降り、リィン達の側に降り立つ。

 

トヴァル「お前ら、一体何が目的だ?」

 

?2「我々の目的はただ1つ。」

 

?3「この世界を救う。ただそれだけよ。」

 

それだけ言うと?2は導力仕掛けの黒いこん棒のような物を、?3は変わった形の黒い短剣のような物を取り出す。そして?は……

 

?「大陸最強の猟兵団の力……見せてもらうぞ。」

 

黒いオーラを纏い、武器も何も装備せずに徒手空拳で挑むようだ。

 

ゼノ「ほう~?見た事ない武器に、しかもリーダー格は徒手空拳でわいらに挑むんか。」

 

レオ「武器を使わない者との戦闘はガルシアさんとの模擬戦以来だが、面白い。」

 

ゼノとレオも武器をしっかりと持ち、戦闘の構えを取る。

 

 

 

リィン達がゼノとレオと戦闘を開始して数分後。

 

リィン「くっ……」

 

エリオット「強い……」

 

マキアス「これが大陸最強の猟兵団か……」

 

黒ローブの3人組とフィー、トヴァル以外は膝をついていた。

 

ゼノ「いや~、思ってたより粘ったからちょっとビビったで。」

 

レオ「だが、そちらの3人はもう立てないようだな。」

 

フィー「仕方ないか。トヴァル、それにそこの知らない人達、私が時間稼ぐからリィン達を回復して。そしてその後は私が殿(しんがり)を務めるから撤退しよう。」

 

その言葉に仲間達は驚き、リィンが叫ぶ

 

リィン「何を言ってるんだフィー!?ここは皆で……」

 

フィー「その状態で戦ったら逆に足手まとい。大丈夫、2人の攻撃パターンは把握しているから。」

 

リィン「ダメだフィー!!」

 

しかしフィーはリィンの言葉を聞かずに双銃剣をギュッと握って臨戦態勢になる。

 

すると黒ローブのリーダーがフィーの前に手を出して進路を塞ぐ。

 

フィー「っ!?何のつもり?」

 

?「時間を稼ぐなら我らがやろう。」

 

?2「君は仲間達に危害が及ばないようにしろ。」

 

そう言って黒ローブ達はゼノとレオに向かっていく

 

フィー「ちょっ!?」

 

ゼノ「ははっ。今度はあんたらが前衛やな!!」

 

レオ「先程の戦いではサポートに徹していたが、これでお前達の力が存分に見れる!!」

 

ゼノはブレードライフルを振るい、レオは機械化手甲(マシンガントレット)を振りかぶるが……

 

?・?2「フッ!!」

 

―ガギィィィンッ!!

 

?3「ハアッ!」

 

なんと?2はこん棒でブレードライフルを、?にいたっては素手で機械化手甲(マシンガントレット)を受け止めており、そして?3はその一瞬を見逃さずに自身の武器をゼノとレオに投げる。

 

ゼノ「うおっ!?」

レオ「むっ!?」

 

しかし2人が間一髪のところで避けてしまい、投げた武器は外れてしまった。

 

ゼノ「なかなかええ作戦やったけど、おしかったなぁ。」

 

レオ「これでお前は武器を失った。」

 

?3「フフッ、それはどうかしら?」

 

レオ「なに?」

 

ゼノ「っ!!レオ、後ろや!!」

 

ゼノの言葉にレオが後ろを振り返ると?3の武器がこちらに向かってきていた。それを見た2人は慌てて回避する。

 

ゼノ「危な~、間一髪やったで。しかし、武器を回転させながら投げとったのは見たけど、まさかブーメランみたいに返ってくるとはな。」

 

レオ「ゼノの反応がもう少し遅れていたら、くらっていたな。だが妙な軌道だったな。」

 

?3「当然よ。だってこの武器を投げた後は、私の意志で自由自在に動いてくれるんだから。」

 

?「さて、もう少し楽しみたかったが……時間切れか。」

 

?がそう言うと、リィン達が入ってきた要塞入口から巨大な人型兵器―〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉が数体入ってきた。



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翡翠の騎神再び

Nintendo Switch版の閃の軌跡Ⅲを手に入れたぁぁぁっ!!!

当時、閃の軌跡Ⅲが携帯ゲームで出来ないと知った時は絶望したけど、まさかNintendo Switchで出るとは……。嬉し過ぎる……(泣)


隊長『何をやっとるか貴様ら!!』

 

ガレリア要塞の入口から男の声が聞こえ、全員がそちらの方へ顔を向けるとそこには4体のドラッケンと1体の隊長機であるシュピーゲルがいた。

 

マキアス「あれは……機甲兵!?」

 

エリオット「大陸横断鉄道方面に行ってたんじゃないの!?」

 

?3「恐らくそれは囮ね。第四機甲師団の注意をそちらに引き付けておいて、ガレリア廃道から挟み撃ちにする予定だったのよ。」

 

リィン達がそんな話をしていると隊長機であるシュピーゲルがゼノとレオの方に機体を向ける。

 

隊長『貴様ら、合流しないと思ったらこんな所にいたのか!これだから猟兵は信用ならん、下がれ!』

 

ゼノ「あ~あ、折角これから盛り上がるっちゅうタイミングで……。」

 

レオ「興が削がれたな。」

 

隊長機の説教など意に介さずゼノはあからさまにガッカリし、レオも少しガッカリした様子を見せながら武器を下ろす。

 

ゼノ「ほななフィーに黒ローブの兄ちゃんに嬢ちゃん、また会おうや。」

 

レオ「他の者達も次に会うときは楽しみにしている。」

 

そう言って2人はガレリア要塞の塀を乗り越えて姿を消した。

 

トヴァル「西風は去ったが、新たな問題発生だな。」

 

?2「一難去ってまた一難だな。」

 

隊長『それにしても貴様ら、一体何者だ?』

 

隊長がそう言うと後ろに控えていた4機のドラッケンが前に出て武器を構える。それを見たエリオットとマキアスは怯える。

 

マキアス「さ、流石に逃げた方がいいんじゃないか?」

 

フィー「出来たら苦労しないよ。」

 

エリオット「トリスタの時は一機でも苦労したのに……。」

 

戦車すらも圧倒する機甲兵が目の前を埋め尽くしている光景に一歩、また一歩と後ずさるが、ただ1人だけは違った。

 

リィン「皆、下がっていてくれ。」

 

リィンだけは機甲兵に向かって一歩踏み出し、勢いよく右手を上げる。

 

リィン「来い―――灰の騎神ヴァリマール!!」

 

彼が力強く呼んだ数秒後、ルナリア自然公園から太陽の光を反射させながら人型の飛行物体がガレリア要塞に飛んできた。

 

マキアス「あ、あれは!?」

 

エリオット「旧校舎で見た……本当にリィンが起動者だったんだ。」

 

灰の騎神はリィンの前に降り立ち、片膝をつく。そしてリィンとセリーヌが目の前に立つと光に包まれ、騎神の胸部に付いている(ケルン)へと吸い込まれていった。

 

隊長『バカな……報告にあった灰色の騎士人形だと!?まさか貴様ら……。』

 

リィン「ここから先は俺が相手だ。。皆は下がっててくれ。」

 

そう言うとリィンとセリーヌを乗せたヴァリマールは武器を持たない八葉一刀流〈無手の型〉を構える。

 

?2「八葉一刀流〈無手の型〉か。」

 

?3「でもあの構え、なかなか洗練されてるわ。起動者である彼が素手でもかなりの手練れの証ね。」

 

?2「だが領邦軍もそれなりのプライドを持ってるからな。このまま引き下がらないだろうな。」

 

?2の言う通り、領邦軍はヴァリマールを見て一瞬怯んだがすぐに武器を構え直した。

 

隊長『相手は武器も持たない木偶だ!1機程度ならなんてことはない!』

 

?「残念ながら、1機ではない。こちらは2機いる。」

 

隊長『何……!?』

 

?の声に隊長機がヴァリマールから視線を下げると、そこにはⅦ組の面々から一歩出てヴァリマールの横に立つ?がいた。

 

リィン「一体……何を?」

 

?「出でよ、翡翠の騎神スペランザ!!」

 

?は左手をギュッと握って拳を作って先程のリィンと同じように力強い声で叫びながら、掲げると左手に着けているブレスレットが光って空間が歪み〈翡翠の騎神スペランザ〉が?の背後に現れた。

 

隊員『翡翠の騎士人形だと!?』

 

隊員2『帝都の機甲兵部隊を退けたあれか!?』

 

隊長『あり得ん……なぜ灰と共にいるんだ!?』

 

新たな騎神の登場に領邦軍は驚愕するが、それはリィン達も同じだった。

 

リィン「翡翠の騎神!?セリーヌ、知ってるか?」

 

セリーヌ「なっ、何よあの騎神!?私、聞いた事ないわよわよ!?」

 

?「驚いてる暇は無いぞ。こちらに向かってくる機甲兵は4体。ならば1人2体を相手にするぞ。」

 

リィン「わっ、分かった!」

 

リィンのヴァリマール、?のスペランザは肩を並べるように立ち、目の前にいる5体の機甲兵を見据えて互いに構える。

 

隊長『所詮は同じ人型兵器、数の差には勝てん!機甲兵の恐ろしさを見せてやれ!』

 

隊員達『イエス・サー!!』

 

隊長機の号令で機甲兵4体が2手に分かれ、2対1×2となった。

 

 

?「さて、スペランザ。今回は武器無しで戦う事になるが大丈夫か?」

 

『問題ない。速攻で片づけよう。』

 

隊員1『舐めるなぁぁぁっ!!』

 

隊員は機甲兵ドラッケンを操り、スペランザへ接近しブレードを振り下ろすが……

 

?「フッ!」

 

―ガッ!ドガッ!

 

隊員1『うおっ!?』

 

?「もう一発!」

 

―ズガンッ!

 

隊員1『ぐうっ!!』

 

?はスペランザを操り、ブレードをギリギリで避けてがら空きになったドラッケンの脇腹にパンチをくらわせ、よろめいた所にもう一発――今度はボディにパンチをくらわせた。

 

隊員1『くっ……さすが帝都部隊を退けた騎士人形か……。』

 

隊員2『なら自分が援護しよう。』

 

そう言って隊員2が乗るドラッケンが導力銃を構え、スペランザめがけて撃とうとするが……

 

―ドギュンッ!ズガァァンッ!!

 

隊員2『ぐっ!?なっ、何だ!?機甲兵用の導力銃が……!』

 

リィン達のはるか後方、くり貫かれたガレリア要塞の屋上に黒ローブを羽織ったスナイパーが機甲兵用の導力銃の銃口めがけて撃ち、暴発させたのだ。

 

?4「上手く命中しましたね。」

 

?「まぁ、導力銃相手でも問題なく戦えたが、ここは礼を言っておくぞ。」

 

?4「ウフフ。そう言っていただけると特訓を頑張った甲斐があります。」

 

?「さあ、戦闘再開だ!」

 

―バキィィィッ!!

 

隊員2『グハッ!!』

 

?「セェェェヤッ!」

 

隊員2『うおおおっ!?』

 

―ドガァァァッ!!

 

?は武器が無くなったドラッケンに向かっていき、がら空きのボディにひじ打ちをくらわせた後、その場で回転し裏拳をヒットさせてダウンさせた。

 

隊員1『くっ、この……!!』

 

仲間が倒されたのを見て隊員はブレードを横凪ぎに振るおうとしたが……

 

?4「私がいるのをお忘れなく。ハアッ!」

 

―ドギュンッ!

 

隊員1『なっ!?関節部分が!?』

 

?「ハアァァァッ!!」

 

―ドゴォォォッ!!

 

隊員1『ぐあぁぁぁっ!?』

 

?4がブレードを持った関節部分を撃ち抜いて腕が動かなくなり、それを見た?はすかさず接近してボディに掌底をくらわせて吹き飛ばし、吹き飛ばされたドラッケンは要塞の壁に激突した。

 

?「さて、灰の方はどうなっているかな?」

 

2機のドラッケンを倒した?はヴァリマールの方を見ると、あちらももう終わる所だった。

 

リィン「うおおおっ!」

 

―ズガァァンッ!!

 

隊員『うおぉぉぉっ!?』

 

?「そちらも終わったか。お疲れ様だったな。」

 

リィン「そちらの方こそ。」

 

そして2騎の騎神は残った隊長機の方を見る。

 

リィン「これで残りは貴方だけだ。」

 

?「たった1機でこの2騎を相手にするか?」

 

隊長『くっ!こんな予想外な事が……。』

 

「そこまでだぁぁぁぁっ!!!」

 

突如野太い声が響き、全員がそちらを振り返ると第四機甲師団の戦車がこちらに走ってきた。その中の1台に立つという危ない乗り方をしている男――彼こそが第4機甲師団の中将、〈赤毛のクレイグ〉ことオーラフ・クレイグだ。

 

そして第四機甲師団は機甲兵に向けて砲撃しながら近づいてくる。

 

隊長『だっ、第四機甲師団だと!?バカな、あちらは大陸横断鉄道の部隊が相手をしていたはず……!』

 

クレイグ中将「そちらは一機残らず片付けた!貴様らもその木偶もろとも立ち去るがよい!さもなくば、第四機甲師団・主力部隊が相手になろう!!」

 

帝国の主力戦車をいとも簡単に破壊する機甲兵をあっさりと片付けた第四機甲師団に恐れる隊長だが、そう簡単には退こうとしなかった。

 

隊長『くそっ、こうなったら後づめの部隊に連絡して――』

 

―ズガンッ!

 

隊長『ぐおっ!?』

 

その時、隊長機が?4以外の何者かに狙撃され、頭部に搭載されているメインセンサーを破壊された。

 

リィン「狙撃!?」

 

?2「彼女じゃないな。」

 

?3「ええ。銃弾の軌道からすると……」

 

?2と?3は銃弾が飛んできた方向に視線を向けるとそこには?4と同じように要塞の屋上に超長距離対物ライフルを構える鉄道憲兵隊の大尉――〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉クレア・リーヴェルトがいた。

 

クレア「敵隊長機のセンサーの破壊を確認。西風の様子は?」

 

『2時の方向に。動き出す気配はありません。』

 

クレア「ではそのまま監視を継続して下さい。」

 

『イエス・マム。』

 

側に置いてある通信機でやり取りを終えると、クレアは再び機甲兵と騎神の戦闘の場にライフルを向ける。

 

一方、クレアの姿を確認した?は……

 

?「やはりここにいたか。」

 

と呟き、どこか安堵した雰囲気を出す。

 

そして領邦軍の隊長は状況が不利となると分かると……

 

隊長『くっ……全軍撤退!!双竜橋まで戻るぞ!!』

 

隊員達『イ、イエス・サー!!』

 

部下を引き連れて撤退していったのだった。




クレアがシュピーゲルを狙撃するシーンは個人的に気に入ってますね。何か女スナイパーってカッコいいし。


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戦闘を終えて

〈同日・17:00〉

 

―ガレリア要塞跡地

 

戦闘が終わって1時間もしないうちに空が暗くなっていく頃、機甲兵部隊を退けた〈Ⅶ組〉と黒ローブ達はクレイグ中将に司令室へ通され、クレアと共に現状整理を行う事になった。

 

?「なるほど。やはり、こちらの正規軍も上手く立て直しが出来ていないのか。」

 

黒ローブのリーダーである?がそう言うとクレイグ中将は深刻な顔で首を縦に振る。ちなみ今リィン達がいる司令室はプレハブで作られた簡易的な物で、その中央にある机を囲むように座っていた。

 

クレイグ「情けない話、対機甲兵戦術があっても補給面などで不利になっておってな。しかもナイトハルトや他の機甲師団となかなか連絡が取れんのだ。」

 

エリオット「そうなると帝都にいる姉さんが心配だよね……」

 

マキアス「僕の父さんは逮捕されてしまったし……」

 

?2「だがレーグニッツ帝都知事は重要人物だから、それなりの待遇のはずだ。」

 

?3「クレア大尉の方は何か掴んでいないのですか?」

 

クレア「……?」

 

?3がクレアに話しかけると彼女は何故かじっと?3を、いや正確には黒ローブ達をじっと見ている。

 

?3「どうかしましたか?」

 

クレア「いえ……。残念ですが、鉄道を封じられてしまっているので我々も思うように動く事が出来ていないんです。貴方達の方は何か掴んでいないのですか?」

 

?「そうだな。俺達がつい最近掴んだのは皇族の情報だ。」

 

?4「ユーゲント皇帝陛下、プリシラ皇后陛下、ゼドリック皇太子殿下につきましては貴族連合による帝都制圧後、帝都外へ連れ去られたそうです。さすがにどこに連れ去られたかは分かりませんが……。ですが恐らく保護という名目で軟禁されているのは確実でしょうね。」

 

マキアス「あの…オリヴァルト皇子の行方は?」

 

?「そこまでは分からん。未だに行方不明だ。」

 

エリオット「そうですか……。」

 

すると黒ローブ達は立ち上がり、司令室から出ていこうとする。それを見たリィンは黒ローブ達に問いかける。

 

リィン「ど、どこへ行くんですか!?」

 

?「知りたい情報は聞けたのでな。我々は次の場所へ向かう。」

 

フィー「次の場所?」

 

?4「それでは皆さん、ごきげんよう。」

 

?4がそう言うと黒ローブ達は司令室から出ていき、スペランザの元へ来た。するとスペランザの目に光が灯り、?達に話しかける。

 

『情報交換は終わったか?』

 

?「ああ。これから次の場所へ向かうが霊力(マナ)は大丈夫か?」

 

『問題ない。』

 

?「それじゃ――」

 

セリーヌ「ちょっと待ちなさいよ!!」

 

スペランザの力で次の目的地へ行こうとした一行は紫色の猫――セリーヌに呼び止められる。

 

?3「何かしら、可愛い猫ちゃん?」

 

セリーヌ「可愛いって……コホンッ。聞きたい事があるのよ。その〈翡翠の騎神スペランザ〉って何なの?帝国に伝わる騎神は全部で七体。八体目がいるはずがないのよ。」

 

セリーヌの問いに?は顎に手を当ててしばらく考える。

 

?「どう答えたら良いのか。強いて言うなら……」

 

セリーヌ「言うなら?」

 

?「光と闇は表裏一体って事かな。」

 

セリーヌ「なっ、何なのよそれ!?ワケわかんないわよ!!」

 

?「じゃあな。」

 

セリーヌは?の言葉に食って掛かるが、?はそのまま騎神が持つ能力〈空間転移〉を発動し、その場から消えた。

 

 

 

―おまけ

 

クレア「……。」

 

リィン「クレア大尉、どうかしましたか?」

 

クレア「リィンさん。いえ、あの黒ローブの人達どこかで会ったような……」

 

フィー「恋人?」

 

クレア「ちっ、違います!///」

 

エリオット「実は僕達もその黒ローブの内の2人。リーダーの人と遠くから狙撃した人に会ったような気がするんだ。ねっ、マキアス?」

 

マキアス「ああ。だが、誰だったかまでは……」

 

5人「うぅ~ん……。」




次はどこに行こうかな~。原作通りだとつまんないんで、帝国西部に行ってもらおうかな。


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帝国西部

ガレリア要塞でクレイグ中将やクレアと情報交換した?達いや、レイ達はスペランザの〈空間転移〉で帝国の西部に来た。

 

レイ「フゥ~、無事にクレイグ中将や、姉さんと情報交換が出来たな。」

 

ミルディーヌ「途中で正体がバレないか、ドキドキしちゃいました♥️」

 

そう言って、腕に抱きついてくるミルディーヌをレイは「あはは……」と苦笑いしながら頭を撫でる。

 

カレン「ところでレイ大尉、なぜ帝国西部に来たんですか?」

 

レイ「ああ。帝国西部は東部と違って激戦が続いているだろ?実際、何度も機甲師団を返り討ちにしている。」

 

ザギ「確か……機甲師団を返り討ちにしている機甲兵部隊を率いているのは……」

 

ミルディーヌ「〈黄金の羅刹〉オーレリア・ルグィンと〈黒旋風〉ウォレス・バルディアスですね。2人とも貴族連合の顔とも言える人物です。」

 

レイ「そう、その2人だ。俺は今からその2人に会ってこようと思う。」

 

レイのとんでもない発言にカレンとザギは「えっ!?」っと驚いた顔になり、しばらく考え込む。そしてある結論に至った2人は一言ずつ言葉を発する。

 

カレン「えっと、まさかと思いますけど……。」

ザギ「そのお2人と戦うつもりですか?」

 

レイ「その通りだ。」

 

カレン「いやいや!!レイ大尉もご存知かと思いますが、オーレリア将軍は〈ヴァンダール流〉と〈アルゼイド流〉の二大流派を修めた人物ですよ!?はっきり言って人間やめてますよあの人は!!」

 

ザギ「そしてウォレス准将も軽く人の域を超えてますよ!!もしかしたらもう、オーレリア将軍と同じように人間やめてるかも……」

 

レイ「カレン、ザギ。それ本人の前で言うなよ?半殺しにされるぞ。」

 

カレン・ザギ「す、すいません……」

 

ミルディーヌ「レイ兄様がお2人に挑むのには理由があるんです。……『あの計画』の為に〈黄金の羅刹〉と〈黒旋風〉の力が必要なんです。」

 

 

その後、レイ達4人はオーレリアの住まいであり、要塞でもある〈ジュノー海上要塞〉来た。

 

カレン「うわぁ~、データでは知っていましたが実物を見ると本当に難攻不落の要塞ですね。」

 

ザギ「この要塞を落とすのは至難の技……いやほぼ不可能だろうな。」

 

レイ「さて、それじゃ早速オーレリア将軍とウォレス准将に会いに行こうか。」

 

ザギ「ちなみにどうやってお会いになるので?」

 

ミルディーヌ「そこは私にお任せ下さい。先代イーグレット伯のおかげで多少なりともご縁がありますから。」

 

そしてミルディーヌを先頭にレイ、カレン、ザギは〈ジュノー海上要塞〉の門へ歩いていく。

 

隊員「待て。お前達、ここに何しに来た?」

 

隊員2「ただの観光客ならとっとと去れ。」

 

ミルディーヌ「いえいえ、実はオーレリア伯爵が強者との戦いを求めていると伺ったものですから、あの方のお眼鏡に叶う人を連れてきました。」

 

隊員「むっ、確かに将軍は強者との戦いを求めているが……」

 

隊員2「どんな身分か分からない者が連れてきた者を通すのはな……」

 

ミルディーヌ「あっ、申し訳ありません。自己紹介が遅れましたね。私は……ミュゼ・イーグレットと申します。この名前を伯爵にお伝えになってから今の事を話して下さい。」

 

そう言われた隊員2人は困った顔をしながらも1人が通信機を取り出して一言二言話す。

 

隊員「そっ、そうですか……分かりました。すぐに……」

 

隊員2「何だって?」

 

隊員「通して構わないと。どうやらこの娘はカイエン公の相談役の孫らしい。」

 

隊員2「なっ!?」

 

隊員「失礼しました。どうぞお通り下さい。」

 

隊員は扉を開け、4人に入るように促す。

 

隊員「入ったら真っ直ぐ進んで格納庫になっている所がありますのでそこでお待ち下さい。そこにオーレリア将軍とウォレス准将がお越しになりますので。」

 

ミルディーヌ「ありがとうございます。」

 

4人は扉を潜り抜け、格納庫になっている所まで来た。そして最初に目にしたのは……

 

カレン「これは……物凄い機甲兵の数ですね。」

ザギ「装甲車もかなりの数がある。」

 

ところ狭しと並んだ大量の機甲兵と装甲車だった。

 

?「ふむ、お主らか?私に挑むという強者は?」

 

カレンとザギが目の前の機甲兵と装甲車の多さに圧倒されていると、要塞へ続く扉が開いて〈黄金の羅刹〉オーレリア・ルグィンと〈黒旋風〉ウォレス・バルディアスが現れた。



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〈迅雷〉VS〈黄金の羅刹〉

閃Ⅳでは内戦終戦直後にミルディーヌがコンタクトを取ったとオーレリアは言っていましたが、この小説では独自のルートでコンタクトを取るのでご了承下さいm(__)m


レイ「〈黄金の羅刹〉オーレリア・ルグウィン将軍と〈黒旋風〉ウォレス・バルディアス准将ですね。自分は帝国正規軍・鉄道憲兵隊所属〈迅雷(サンダー・クラップ)〉のレイ・リーヴェルトです。」

 

オーレリア「ほう~、あの〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉の義弟か。確か鉄血宰相直属の部下である〈鉄血の子供達(アイアン・ブリード)〉に仮とはいえ、所属していると聞いている。」

 

レイ「ええ、その通りです。」

 

ウォレス「それで、将軍と戦いというのはどう言った理由かな?」

 

レイ「理由も何も……武を学ぶ者なら将軍とは一度は対戦したいと思うもの。それ以上の理由が必要でしょうか?」

 

するとレイの言葉を聞いたオーレリアはフッと笑い、黄金の大剣〈宝剣アーケディア〉を取り出し、レイに向ける。

 

オーレリア「そのような建前の理由を聞いているのではない。本当の理由を述べよ。」

 

レイ「アハハ。さすが〈アルゼイド流〉と〈ヴァンダール流〉を修めたお方だ。そうですね、本当の理由は貴方達の力が必要なんですよ……『ある計画』の為にね。」

 

レイがそう言うとミルディーヌが前に出てくる。

 

ミルディーヌ「私達が勝てば、『ある計画』に協力してもらう。貴方達が勝てば……そうですね、レイ兄様を貴族連合に加えても構いませんよ。」

 

ウォレス「ほう。」

 

オーレリア「なかなか良い条件だな。」

 

レイ「では戦っていただけますね。」

 

そう言ってレイはカイザークローを両腕に装着するが……

 

オーレリア「ああ。だがその武器はいただけぬな、私は我が家に伝わる宝剣で挑むのにそなたは本当の武器で挑まぬのは失礼ではないか?」

 

レイ「っ!!……フッ、まさか俺の本当の武器の事を見抜くとは……。なら、ご希望通りにしましょう!!」

 

オーレリアに自身の本当の武器の事を見抜かれたレイは〈カイザークロー〉を外し、両手を目の前にかざすと空間にヒビが入り、穴が開く。

そしてその中に両手を入れて引き抜くとレイの手には漆黒の魔剣〈カイザーブロード〉と魔槍〈カイザートライデント〉が握られていた。

 

オーレリア「ほう、それがそなたの本当の武器か。禍々しいオーラを感じる。」

 

レイ「それだけじゃありませんよ。フウゥゥゥ、〈邪竜吼〉!!」

 

オーレリア「そんな技も隠していたのか、なら私も本気で行こう。ハアァァァァッ!!」

 

魔剣と魔槍だけでなく、邪神竜の力を自身に付与して力を上げる〈邪竜吼〉を発動したレイ。それを見たオーレリアも自身の黄金の闘気を爆発させる。

 

レイ「さあ、始めましょうか。〈黄金の羅刹〉オーレリア・ルグウィン将軍!!」

 

オーレリア「来るがよい。〈迅雷〉のレイ・リーヴェルト!!」

 

2人「ハアァァァァァッ!!」

 

―ガギィィィンッ!!

 

2人は真正面から相手に向かっていき、オーレリアはアーケディアを振り下ろすがレイはそれを左手に持ったカイザートライデントで受け止める。

 

レイ「セイッ!」

オーレリア「フッ!」

 

オーレリアの攻撃を受け止めたレイはすかさず、右手に持ったカイザーブロードを振るうがオーレリアは後ろに下がった。

 

レイ「ヘルライジングショット!!」

オーレリア「四耀剣!!」

 

レイは後ろに下がったオーレリアに向けてカイザートライデントから雷を纏った赤黒い光弾―ヘルライジングショットを放つが、オーレリアはクラフトの1つ―四耀剣でレイの光弾を消し飛ばし、しかも斬撃はそのままレイに向かってくる。

 

レイ「チッ!ヘルライジングスラッシュ!!」

 

レイは咄嗟にカイザーブロードを振るい、雷を纏った赤黒い斬撃―ヘルライジングスラッシュを放ってオーレリアの四耀剣を相殺した。その後、2人はそのまま何合も打ち合いをする。

 

 

カレン「うわぁ~……さすがレイ大尉。あのオーレリア将軍と互角ですよ……。(汗)」

 

ザギ「考えてみたらレイ大尉も半分以上人間やめてたな。(汗)」

 

ウォレス「はは…。まぁ、私も昔は将軍は人間じゃないんじゃないかと思ったものだ……(苦笑)」

 

ミルディーヌ「あっ、どうやら決着をつけるみたいですね。」

 

ミルディーヌの言う通り、先程まで打ち合っていた2人は互いに距離を取り、必殺技の構えを取っていた。

 

 

レイ「さすが〈黄金の羅刹〉。俺の技も攻撃も全てさばいてくる。」

 

オーレリア「それはそなたにも言える事だがな。ここまで熱くなったのは〈アルゼイド流〉の師との対決以来よ。」

 

そして2人は必殺技を放つ為に武器を振るう。

 

レイ「デッド・スラッシャー!!」

オーレリア「王技・剣乱舞踏!!」

 

レイの魔剣と魔槍から放たれた斬撃が、オーレリアの宝剣から放たれた無数の剣が中央でぶつかり、大爆発を起こした。

 

そして爆煙が晴れると……

 

レイ「クッ……。」

 

オーレリア「フフッ。」

 

お互いが片ひざをついていた。

 

カレン・ザギ「レイ大尉!!」

 

レイ直属の部下である2人はレイの状態を見て慌てて駆けつける。

 

カレン「大丈夫ですか?」

 

ザギ「ケガなどは?」

 

レイ「ああ、大丈夫だ。やはり〈黄金の羅刹〉は強いな。」

 

オーレリア「フフッ、そなたも十分に強いぞ。なんせ私の服に傷をつけたのだからな。」

 

そう言うオーレリアのマントはレイのSクラフトによって少し切れていた。

 

オーレリア「よって対決は引き分け。だがここまで熱くさせてもらった礼だ。そなた達の『計画』とやらを聞こうか?」

 

ミルディーヌ「その事なのですが、今は内戦の真っ最中なので内戦が終わり次第、また迎えに上がります。」

 

ウォレス「我々は別に構わないが、それで大丈夫なのか?」

 

レイ「ええ。俺達の『計画』は内戦が終了してから始まりますから。」

 

オーレリア「分かった。どのような『計画』か、楽しみにしているぞ。」

 

それだけ言うと、オーレリアとウォレスは要塞内部に続く扉へと向かう。だがオーレリアはその足を止め、レイの方を振り返って一言。

 

オーレリア「ところで先ほどの〈邪竜吼〉という身体強化技だが、全て出しきっていなかったな?どれ程の出力だったのだ?」

 

レイ「そうですね。50%~60%と言った所でしょうか?」

 

それを聞いたオーレリアは軽く笑い一言

 

オーレリア「次は100%の力を纏ったそなたと戦ってみたいものだな。」

 

そう言ってオーレリアは要塞内へと帰っていった。

 

ミルディーヌ「さて、計画の始まりとしては上々の成果を得られましたし、帝国東部に戻りましょうか?」

 

レイ「そうだな。なら四大名門の1人であるアルバレア公が治める地―バリアハートへ向かうぞ。」




レイとオーレリアの対決は引き分けです。

さすがのレイもオーレリアには圧勝出来ませんね。(というかオーレリアの師匠であるヴィクターとも引き分けてるから勝ったら色々と、ね。)

そもそもオーレリアに勝ったら〈鋼〉にも勝てるという事になるから、ちゃんと調整しました。

設定にSクラフト・デッドスラッシャーの事を追記しました


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オーロックス峡谷道にて

1ヶ月程更新してなくてすいませんでした。

今日から再開します。なるべく空けずにします


この話でレイのライバル的な結社の人間を出します。簡単に言えばリィンの力に興味を持ったマクバーンみたいな存在です。


〈12月9日・オーロックス峡谷道〉

 

マクバーン「ちっ、期待はずれだったなぁ~」

 

そう言ったのは〈結社・身喰らう蛇〉に所属する執行者No.Ⅰ〈劫炎〉のマクバーン。彼はどんなものでも焼き尽くしてしまう〈焔〉を操る異能の持ち主だ。そして……

 

マクバーン「っていうか大丈夫かよ?」

 

デュバリィ「も、問題ないですわ……!」

 

と言いつつ、片膝をついて満身創痍な甲冑を着た女性は〈身喰らう蛇〉の最高幹部である〈使徒(アンギス)第七柱〉直属の部隊―〈鉄機隊〉の筆頭を務める〈神速〉のデュバリィである

 

マクバーン「そうかい。ならあいつらの捕縛はお前に任せるぜ。」

 

マクバーンの目線の先には内戦直後に離ればなれになったトールズの〈Ⅶ組〉と協力者―リィン、ラウラ、エマ、ユーシス、マキアス、ミリアム、クレアの7人が膝をついていた

 

 

なぜこんな事になっているのか?話は数時間前に遡る。

 

〈Ⅶ組〉の仲間達と離ればなれになったリィン。しかしヴァリマールのおかげで仲間達の居場所が判明しケルディック、ノルドへと向かい仲間と合流した後、最後の目的地であるレグラムへ向かったのだ

 

しかしそこにいたのはラウラとエマだけであり、ユーシスは実家に戻っていた、つまり〈Ⅶ組〉とは袂を別ったという事だった。

 

だがリィンは全員一緒に内戦を切り抜ける事を目標としている為、譲れないようだった。そこでユーシスが出した案は馬と導力バイクのレース勝負、そしてゴールした場所での一騎討ちだった。これでユーシスが負けたら再び〈Ⅶ組〉として行動すると約束した

 

そして結果はレース勝負も一騎討ちもリィンが勝利し、これで残りはサラとレイのみとなり、ユミルへ帰るつもりだったのだが……

 

そこに〈身喰らう蛇〉の執行者であるマクバーンと鉄機隊筆頭のデュバリィが現れ、戦闘が始まる。結果はデュバリィは何とか倒したが、マクバーンには傷1つ付けられなかった

 

そして今――

 

 

デュバリィ「ちょっ!?私1人でやるんですの!?あなたも少しは手伝って――」

 

マクバーン「だからメンドクセェんだって。手負いならお前だけでもやれるだろ?」

 

デュバリィ「あ、あなたという人は~~!!」

 

デュバリィの怒りのボルテージがMAXになり、マクバーンに食って掛かろうとした時……

 

?「まぁまぁ、落ち着きなさいデュバリィ。彼がこんな性格なのは今に始まった事ではないでしょ?」

 

シャロンともヴィータとも違う女性の声が周囲に響き、マクバーンとデュバリィの目の前に白銀の転移陣が出現すると冷気を纏って1人の女性が転移してきた

 

デュバリィ「なっ!?なぜ貴女様がここに!?」

 

マクバーン「お前、この計画には参加しないんじゃなかったのか?」

 

?「そのつもりだったけど、盟主が仰ったのよ。『今回の幻焔計画で貴女の求める人間が現れるでしょう』ってね。なら行かないわけにはいかないでしょ?」

 

マキアス「なっ、何者だあの女性は?」

 

クレア「彼らの話から察するに〈身喰らう蛇〉の構成員である事は確かですが……」

 

すると?は〈Ⅶ組〉の方に振り向き、一言

 

?「ああ、ごめんなさい自己紹介がまだだったわね。結社〈身喰らう蛇〉の使徒第(ゼロ)柱〈氷姫(ひょうき)〉ロヴィーナよ。盟主の側近を務めているわ。よろしくねトールズ士官学院〈Ⅶ組〉、そして〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉」

 

エマ「し、使徒第(ゼロ)柱!?」

 

ユーシス「という事は使徒のトップか……」

 

ロヴィーナ「別に使徒のトップとか興味ないんだけど、盟主がなってくれって仰るなら『まぁ、良いか』と思ってね。それより、盟主が仰った私の求める人間はどこにいるのかしら?見た感じ全員マクバーンにやられたみたいだけど……」

 

そう言ってロヴィーナは〈Ⅶ組〉の面々を見渡し、リィンを視界に捉えると「フッ」と軽く笑う

 

ロヴィーナ「貴方かしら?マクバーンや私と同じように混じってる(・・・・・)みたいだし。」

 

リィン「っ!?という事は貴女もマクバーンのような異能を?」

 

ロヴィーナ「ええ。なんだったらその身で味わってみる?」

 

するとロヴィーナは右手に自身の持つ“力”を収束させ、リィンを攻撃しようとする

 

ラウラ「まずい!!」

ミリアム「ガーちゃんが動ければ……!」

 

そして“力”が集まり、リィンめがけて攻撃を放とうとした……その時!!

 

2人「デェェェヤッ!!」

 

ロヴィーナ「っ!!フッ!」

 

―ズガアァァァンッ!!!

 

青年と女性が崖から飛び降り、ロヴィーナめがけて黒い槍と剣を突き下ろす。しかし、ロヴィーナは間一髪でそれを避けてマクバーンとデュバリィの側に立つ

 

マキアス「君は!!」

 

リィン「レイ!!」

 

エマ「サラ教官まで!!」

 

ユーシス「ようやく来たか…」

 

ラウラ「まさかユーシスが?」

 

ユーシス「ああ、極秘裏に連絡が取れてな。だが、まさかレイまで来るとは……」

 

サラ「レイとは偶然出会って、そのまま一緒に来たのよ。」

 

レイ「皆、それに姉さん無事で何よりだ。」

 

クレア「レイ……」

 

間一髪で駆けつけたレイとサラ、反撃が始まる!

 

 

――――

ロヴィーナの設定

 

◇名前・ロヴィーナ

 

◇異名・氷姫(ひょうき)

 

◇所属・身喰らう蛇の使徒第零柱

 

◇能力・冷気と氷を操る

 

◇性格・マクバーンよりは協力的だが強者がいるとそちらを優先する

 

 

とりあえず、簡単な設定を書きました。詳しい設定はオーロックス峡谷道の戦いが終わってから書きます。




〈氷姫〉ロヴィーナの姿は魔法科高校の劣等生の七草真由美っぽい感じで髪色はダークブルーです



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VS〈氷姫〉ロヴィーナ

ロヴィーナ「フフフ、なるほど。貴方が盟主が仰った者なのね。良いわ、貴方も私達同様混じっている(・・・・・・)しそこの満身創痍の黒髪の少年より楽しませてくれそうじゃない。」

 

そう言ってロヴィーナはレイに向けて殺気を飛ばす

 

サラ「ったく、急いで駆けつけてみればこんな人外が待ってたなんて……。」

 

レイ「サラはリィン達を頼む。どうやらあの女の狙いは俺だけのようだ。」

 

サラ「分かったわ。」

 

レイ「念のため、お前達も頼むぞ。」

 

ザギ・カレン「イエス・サー!!」

ミルディーヌ「お任せ下さい。」

 

そしてサラはリィン達を守る為に下がり、レイは念のために自身の配下とミルディーヌを守りに立たせた後、ロヴィーナと戦う為に前に出る

 

ロヴィーナ「倒れてる子達にはもう自己紹介したけど、改めて名乗らせてもらうわ。結社〈身喰らう蛇〉所属、使徒第(ゼロ)柱〈氷姫〉ロヴィーナよ」

 

レイ「鉄道憲兵隊大尉、〈迅雷〉のレイ・リーヴェルトだ」

 

ロヴィーナ「それじゃ始めましょう。冷めきった私の心を昂らせてよね」

 

 

そして始まった〈迅雷〉のレイと〈氷姫〉ロヴィーナの戦い。その戦いは一言で言えば激戦だった。

 

ロヴィーナ「行きなさいフェンリル!!」

 

狼の形をした冷気が大口を開けてレイに食らいつこうと向かっていくが……

 

レイ「ハッ!」

 

―ザシュッ!!

 

レイはカイザーブロードで真っ二つに切り裂き、すかさず反撃に転じる

 

レイ「ダークネスインフェルノ!!」

 

カイザートライデントから紫色の炎の光線をロヴィーナめがけて放つが……

 

ロヴィーナ「フッ!」

 

―キィィンッ!

 

ロヴィーナは手をかざして冷気のバリアを展開し、炎を凍らせて防いだ

 

レイ「まさか炎を凍らせるとは……」

 

ロヴィーナ「ウフフ。マクバーンの焔がどんなものでも焼き尽くすように、私の冷気はどんなものでも凍てつかせる。さあ、次はこれよ!氷の弾丸(アイス・ブリット)!!」

 

ロヴィーナが手を横に振るうと無数の氷で出来たつぶてが出現し、レイに向けて飛んでいく

 

レイ「ハッ!」

 

最初に飛んできた氷の弾丸(アイス・ブリット)を蹴り飛ばすレイだが、その瞬間に足に違和感を覚えて見てみると、足が少し凍っていた

 

レイ「これは!?」

 

ロヴィーナ「言ったでしょう?私の冷気はどんなものでも凍てつかせると。当然この氷の弾丸(アイス・ブリット)も当たったらその場所を凍りつかせるわ」

 

レイ「ちっ!!なら……ハアァァァッ!!」

 

レイはカイザーブロードを地面に突き刺し、カイザートライデントだけを持つ。そしてトライデントを自分の目の前で回転させて無数の氷の弾丸(アイス・ブリット)を防いでいく

 

そして全ての氷の弾丸(アイス・ブリット)を防いだ後、レイはトライデントに赤黒い雷を落としてロヴィーナめがけて投げた

 

ロヴィーナ「そんな簡単な攻撃、当たらないわよ!」

 

そう言ってジャンプしていとも簡単に避け、真下ではトライデントが地面に命中して爆発が起こるが、レイの狙いは別にあった。

 

レイ「もらった!!」

 

ロヴィーナ「っ!?」

 

なんとレイはトライデントを囮にしてロヴィーナが避けた所へと一瞬で移動したのだ。そしてロヴィーナの目の前に現れたレイの手にはカイザーブロードではなく、カイザークローが装備されていた

 

レイ「カイザーエグゼキューション!!」

 

ロヴィーナ「キャアァァァァッ!!」

 

漆黒の光輪―〈カイザーエグゼキューション〉をまともに受けたロヴィーナは地面に叩きつけられ、Sクラフトを放ったレイは着地する

 

デュバリィ「ロヴィーナ様!?」

 

マクバーン「心配すんな。あの程度でやられるような奴じゃねぇよ」

 

ロヴィーナ「ええ、心配無用よ」

 

叩きつけられた事で起こった砂煙の中からロヴィーナは立ちあがり、姿を見せる

 

レイ「やっぱりこの程度じゃダメか。」

 

ロヴィーナ「でも、まぁまぁ効いたわ。お礼に私の最強の技を見せてあげる。」

 

そう言ってロヴィーナが両手を真横に伸ばすとその手に冷気が集まってくる。そして両手を胸の前に持ってくるとすかさず前に突き出して技を放つ

 

ロヴィーナ「くらいなさい!!アイシクル――」

 

「貴様ら、そんな所で何をやっている!?」

 

ロヴィーナがレイに向かってSクラフトを放とうとすると高台の下の道から誰かが叫ぶ

 

ロヴィーナ「はあ?」

 

全員がそちらを見るとそこにいたのはユーシスの父親であり、〈四大名門〉の一角であるアルバレア家の当主ヘルムート・アルバレアがいた

 

ロヴィーナ「ちっ!せっかく昂ってきたのに……無粋な奴ね。まぁ、良いわ。今日はここまでのようね。じゃあね〈迅雷〉、トールズ〈Ⅶ組〉とその協力者。」

 

戦いを邪魔され白けたロヴィーナはマクバーン、デュバリィと共に転移でこの場から去った。しかしまだ問題があった。アルバレア公が新たな〈機甲兵(パンツァー・ゾルダ)〉を呼び出したのだ

 

レイ「あれが話に聞いていた新型――重装機甲兵〈ヘクトル〉か。リィン、ここは俺が行かせてもらうぞ?」

 

リィン「ああ、頼む!」

 

レイ「出でよ、翡翠の騎神スペランザ!!」

 

レイが左腕を上げると装着されていたブレスレットから光が出現し、翡翠の騎神スペランザが現れた。それを見た面々は驚く

 

リィン「この騎神は!」

 

マキアス「ガレリア要塞に現れた……!」

 

クレア「レイが……起動者」

 

レイ「さて、行くぞスペランザ。相手は新型だが、お前の敵じゃないよな?」

 

「ああ、もちろんだ。」

 

そして武器はカイザーブロードのみで戦うようだ

 

レイ「いくぞ!!」

 

するとヘクトルはいきなり肩にある砲台を撃ってきた

 

レイ「おっと!?」

 

何とか間一髪で避けたスペランザはすぐに間合いを詰めてカイザーブロードでヘクトルのボディを切りつける。そして……

 

レイ「もう一発!!」

 

―ズガンッ!!

 

砲台の先端を切り落として使えなくした

 

隊長「おのれ!!こうなったら!!」

 

砲台が使えなくなり、焦った隊長はヘクトルの右腕にエネルギーをチャージし、スペランザへ接近して拳を繰り出す

 

レイ「甘い!!」

 

しかしレイはヘクトルの拳をカイザーブロードで受け止め、すかさず拳を弾いてヘクトルが体勢を崩した瞬間に技を放つ

 

レイ「ダークネスインフェルノスラッシュ!!」

 

紫色の炎を纏った斬撃を放ち、それを受けたヘクトルは火花を散らして動かなくなった

 

レイ「よし、このまま〈精霊の道〉を開く!いけるなスペランザ?」

 

「ああ」

 

そしてスペランザは高台に降り立ち、〈精霊の道〉を起動し〈Ⅶ組〉、クレア、サラ、セリーヌ、ザギ、カレン、ミルディーヌと共に温泉郷ユミルへと転移した




レイの新技、『ダークネスインフェルノ』と『ダークネスインフェルノスラッシュ』については設定に追記しました


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幕間・氷姫のお茶会

設定を書く前に久しぶりの幕間を書こうと思います。




オーロックス峡谷道から貴族連合の旗艦であるパンタグリュエルに帰還したロヴィーナ、マクバーン、デュバリィの3人

 

ロヴィーナ「2人ともご苦労様。良かったら私の部屋で紅茶でも飲んでいく?」

 

デュバリィ「よっ、よろしいのですか!?では、ありがたく……」

 

マクバーン「っていうかいつの間に自分の部屋を貰ったんだよ?」

 

ロヴィーナ「ヴィータに頼んでおいたのよ。それより貴方はどうするの?」

 

マクバーン「まぁ、久しぶりに付き合ってやるか。」

 

 

そして2人はロヴィーナの部屋に入り、ソファーに座って寛ぐ

 

ロヴィーナ「はい、お待たせ。良かったらこちらもどうぞ。」

 

そう言ってロヴィーナは紅茶とガトーショコラを2人の前に出す

 

デュバリィ「あっ、ありがとうございます!」

 

マクバーン「まぁ、あんまり甘いもんは好きじゃねぇが久々の〈氷姫〉のお茶会だ。食ってやるよ。」

 

ロヴィーナ「貴方は相変わらず一言余計ね。」

 

しばらく3人は黙々とガトーショコラを食べ、紅茶を飲んでいく。

 

 

―数分後

お茶会を終えた3人。それを見計らったようにデュバリィが質問を投げかける

 

デュバリィ「あの、ロヴィーナ様。少しよろしいでしょうか?」

 

ロヴィーナ「何かしらデュバリィ?」

 

デュバリィ「結社内ではロヴィーナ様と我らのマスター、そしてここにいるマクバーンの3人で『三軍神』と言われていますが、誰が言い始めたのですか?」

 

ロヴィーナ「ああ、それは〈盟主〉が言い始めたのよ。結社内で『最強』と言われているのは私、アリア、マクバーンの3人でしょ?だから『〈三軍神〉というのはどうですか?』って言われてね。私は勿論、アリアも受け入れたわ。でもこの男は……」

 

マクバーン「いやぁ、どう考えても『軍神』って感じじゃねぇだろ?」

 

そう言ってマクバーンは紅茶を飲み干す

 

デュバリィ「確かに貴方は『自由人』という言葉が似合いますね。」

 

そしてロヴィーナは紅茶のおかわりを3つのカップに入れてから話を再会する

 

ロヴィーナ「それで、そこにカンパネルラが現れて『なら使徒と執行者の多数決で決めたら?』なんて子供じみた事を言ってね。まぁ、それしかないから集めたけど……」

 

デュバリィ「全員ですか?」

 

ロヴィーナ「勿論。私、アリア、ヴィータ、カンパネルラが転移であちこち飛んで活動してる執行者を捕まえたわ。」

 

マクバーン「んで多数決の結果、俺も三軍神入りになっちまったんだよ。全く、めんどくせぇな。」

 

ヴィータ「とか言いながら、満更でもない感じだったじゃない。」

 

ロヴィーナの部屋に蒼い転移陣が出現し、ヴィータが現れた。

 

ロヴィーナ「あらヴィータ、もう帰ってきたのね。」

 

ヴィータ「ええ。リィン君達が拠点にしてるユミルへ偵察に行ってきただけだから。私にも紅茶貰える?」

 

ロヴィーナ「ええ。」

 

マクバーン「おい〈深淵〉、適当な事を言ってんじゃねぇぞ?」

 

そう言うマクバーンは体に少し焔を纏っており、それを見たデュバリィは少し離れた

 

ヴィータ「まぁ、でも三軍神になって良かったんじゃない?執行者である貴方は〈使徒〉と同等の権利をいつでも使用出来るっていう特典付きなんだから。」

 

マクバーン「それはありがてぇけどよ。」

 

ロヴィーナ「私に感謝してよね。それを進言したのは私なんだから。っとそろそろお開きね。」

 

紅茶のカップを片したロヴィーナは転移陣を発動させる。それを見たデュバリィは一言

 

デュバリィ「ロヴィーナ様、どこへ?」

 

ロヴィーナ「クロスベルよ。あちらの進捗状況を見てこなきゃいけないの。アリアに伝言があるなら伝えるけど?」

 

デュバリィ「いっ、いえいえ!!ロヴィーナ様に伝言を頼むなんて恐れ多いですわ!!」

 

ロヴィーナ「そう?それじゃヴィータ、こちらで何か進展があったら連絡よろしくね。」

 

ヴィータ「ええ。グリアノスを飛ばすわ。」

 

そしてロヴィーナは転移でクロスベルへと向かった




パンタグリュエルでのお話でした。

三軍神やマクバーンが使徒の権利を使えるというのは当然オリジナルです。

次はロヴィーナの設定を書きます。


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〈氷姫〉ロヴィーナ・設定

ロヴィーナの設定も新しい技などが出たら追加していきます


名前・ロヴィーナ

 

異名・氷姫

 

所属・身喰らう蛇第零柱

 

能力・冷気と氷を操る

 

性格・冷静でマクバーンよりは協力的だが強者がいるとそちらを優先する

 

見た目・『魔法科高校の劣等生』の七草真由美

 

髪色・ダークブルー

 

服装・『魔法科高校の劣等生』の一科生の制服が黒ずんだVer

 

武器・魔剣ディザスター

 

 

結社〈身喰らう蛇〉の使徒第零柱であり、〈盟主〉の側近を務める。本来なら〈幻焔計画〉に参加しない予定であったが、〈盟主〉の『貴方の探し求めている人物がいる』という言葉を聞いてエレボニアに現れた。

 

マクバーンやリィン、そしてレイと同じように混じっている(・・・・・・)為、どんなものでも凍てつかせる冷気と氷を操る事が出来る。

 

口癖は『私の冷めきった心を昂らせてみせなさい!』、『昂らせてくれそうね!』

 

 

◇ロヴィーナの本気

マクバーンと同じように強者との戦いを望むロヴィーナだが、その理由は冷めきった自分の心を昂らせてほしいから。そして、相手が自分の心を昂らせてくれる者だと分かると自分の力を『全部』解放する。

 

その際、髪はダークブルーから白銀になり、瞳は青に、その瞳の周囲は黒くなる。そして体の至る所に氷を思わせるような模様が浮かび上がり、終始冷気を体に纏う。

 

 

◇クラフト

 

氷の弾丸(アイス・ブリット)

手を振るうと何も無い空間から氷のつぶてが出現し、弾丸のように相手を襲うクラフト。命中した所は瞬く間に凍りつく。

 

氷剣(ウェイルブ・ブロード)

左右どちらかの手を指先まで自身の能力で凍らせた後、その状態のまま振り抜けば片刃の氷の剣を形成する。(両手に形成する事も可能)

 

フェンリル

冷気で作った狼。一度に複数作る事も可能。

 

アイスシールド

その名の通り、氷で作った盾。(冷気で作る事も可能)並大抵の攻撃では破る事は叶わず、逆に攻撃してきたものを凍らせてしまう。

 

 

◇Sクラフト

 

アイシクルテンペスト

ロヴィーナの最強の技。真横に伸ばした両手に冷気を集め、限界までためる。その後、胸の前に持ってきて冷気を圧縮すると両手を前に突き出して氷の竜巻を放つ。

 

 

◇魔剣ディザスター

盟主より授かった〈外の理〉で作られた美しい銀色の魔剣。ロヴィーナが本気になった状態の時に使用する武器で冷気を纏わせると刀身が青黒くなり、冷気も青黒くなる。

 

 

◇三軍神

〈盟主〉が言い出した使徒第零柱〈氷姫〉ロヴィーナ、使徒第七柱〈鋼〉のアリアンロード、執行者No.Ⅰ〈劫炎〉のマクバーンの3人の最強の事。〈鋼〉と〈鉄機隊〉、〈氷姫〉、〈深淵〉、〈道化師〉など気に入っている者も多くいる。〈盟主〉が3人を同時に呼ぶ時は『三軍神』と呼ぶ

 

 

―――

ウェイルブ・ロシア語で氷の意味




新作・創の軌跡で盟主の側近や使徒第零柱が出たらどうしようと思っています。


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温泉郷ユミル、再び

〈同日、夕方〉

 

使徒第零柱〈氷姫〉ロヴィーナとの戦闘、そして新型機甲兵ヘクトルとの戦闘を終えた〈Ⅶ組〉と協力者達はレイが駆る〈翡翠の騎神スペランザ〉の転移能力でリィンの故郷である〈温泉郷ユミル〉へと戻ってきた。

 

リィン「どうやら無事に戻ってこれたようだな。」

 

ラウラ「しかし、まさかレイもリィンやクロウと同じような騎神を持っていたとはな。」

 

レイ「まぁ、その話はユミルに着いてからな。」

 

そして一行はユミルへと続く雪道を降りていき、目の前にユミルの集落が現れると残っていた〈Ⅶ組〉のメンバーが駆け寄ってきた。

 

アリサ「リィン!皆、お帰りなさい!」

 

エリオット「皆、無事で良かった~。」

 

ガイウス「どうやらサラ教官とレイとも無事に合流出来たようだな。」

 

シャロン「皆様、ここでは冷えますから凰翼館へ向かいましょう。」

 

シャロンがそう言うと〈Ⅶ組〉メンバー全員と協力者達は同意し、凰翼館へと向かう。

 

 

ー凰翼館にて

クレア「それじゃレイ、何もかも全て話してもらうわよ。」

 

レイ「スペランザの事もかな?」

 

サラ「当然でしょ。いきなり1人で帝都に行って行方不明になって、約1ヶ月後に現れたと思ったらリィンやクロウと同じような〈騎神〉に乗ってるんだから。さぁ、素直に白状しなさい。」

 

そう言いながらクレアとサラはレイに詰め寄る。

 

トヴァル「サラ、それじゃ尋問だ……(汗)」

 

リィン「クレアさんも抑えて抑えて……(汗)」

 

するとレイは「ふぅ~……」と軽くため息を吐いてからスペランザを手に入れた所から話し始める。

 

 

レイ「まず、スペランザを手に入れたのは姉さんに会う数年前――邪神竜と初めて会った時だ。その時、〈雷の幻獣サンダードラコ〉を倒したんだが、そのすぐ後に幻獣よりも上位の存在の邪神竜が現れたんだ。」

 

邪神竜「そして我はレイに〈翡翠の騎神スペランザ〉を得る為の〈試練〉を行った。と言っても〈Ⅶ組〉の面々が行ったようなものではなく、我と戦ったのだがな。」

 

クレア「前に邪神竜に会って戦った事は聞いたけど、まさか〈騎神〉を得る為の試練だったなんて……」

 

レイ「前にも話したが、かなりギリギリで勝てたんだ。カイザートライデントとカイザーブロードが無かったらと思うとゾッとする。」

 

すると今まで黙って聞いていた〈Ⅶ組〉だが、代表でマキアスが気になる事を聞いてきた。

 

マキアス「ちょっと良いかレイ?」

 

レイ「何だマキアス?」

 

マキアス「幻獣を倒した後にそれよりはるかに上位の存在である邪神竜が現れたんだよな?」

 

レイ「そうだ。」

 

マキアス「そしてそのまま戦闘に突入したんだよな?」

 

レイ「そうだ。」

 

マキアス「そしてギリギリだが何とか勝利をもぎ取ったんだよな?」

 

レイ「そうだ。」

 

マキアス「何という危ない事をしてるんだ君は!!一歩間違えば死ぬかもしれないだろ!!」

 

レイ「と言ってもな、故郷が無くなってからずっとそんな感じだったし……。それに命かけなきゃ倒せないような相手だったし……。」

 

レイの言葉にクレア以外は「はあぁぁ~……」と呆れるようなため息を吐いた

 

レイ「安心しろ。どこかの誰かみたいに自己犠牲癖がある訳じゃない。」

 

そう言いながら、『どこかの誰か』をチラッと見るとその『誰か』は目をそらす

 

ユーシス「ならばあの日、帝都に行った後の話をしてもらおうか。」

 

レイ「ああ。」

 

その後、レイは帝都に行った後、ミルディーヌと合流しヒンメル霊園に転位したが機甲兵に見つかり、生身で戦闘を開始した事。

 

絶体絶命のピンチに邪神竜の試練を突破した時に受け取ったブレスレットから〈翡翠の騎神スペランザ〉が現れ、機甲兵を倒した事。

 

そのままミルディーヌをスペランザに乗せて〈第三機甲師団〉がいるノルド高原に向かい、そこにいた機甲兵の軍団を弱体化させた事。

 

そして1ヶ月後、ガレリア要塞へ向かいリィン、マキアス、エリオット、フィー、トヴァルと共に〈西風の旅団〉の連隊長ゼノとレオと戦った事。

 

レイ「――でカレンとザギの報告を受けて4人でバリアハートに向かっているとサラにばったり出会ってあの場面にってわけさ。」

 

フィー「なるほどね。っていうかあの黒ローブ達はレイとその仲間だったんだ。」

 

クレア「それじゃ次は……カレン少尉とザギ中尉から話を聞きましょうか?」

 

と言ったクレアの顔は笑顔だが怒りのオーラを纏っている為、物凄く怖かった

 

カレン「ク、クレア大尉……?」

ザギ「あの……笑顔がこわいんですが……」

 

しかしクレアは2人の言葉を聞かずに〈Ⅶ組〉から少し離れた場所で説教を始める

 

クレア「全くあなた達は!!いきなり誰かから通信を受けてノルドに向かったとドミニクから聞いた時は驚きましたよ!!しかも、その後は自分達が所属している部隊以外には連絡しないなど言語道断です!!せめて私には連絡するべきではありませんか!?」

 

カレン・ザギ「す、すいません……」

 

正座させられて説教を受けていた2人はシュンと頭垂れる

 

ミルディーヌ「クレアさんて普段は温厚な人なのに、怒ると怖いんですね。」

 

レイ「うん。俺も鉄道憲兵隊に入りたての頃に色んな人に、大佐クラスの人にまで戦いを挑んだ事がばれて4時間の説教を受けた事がある……(汗)」

 

 

そして、カレンとザギはクレアの説教を3時間受けた後、解放された。

 

 

―凰翼館・露天風呂

レイ「フゥ~、相変わらずいい湯だよな~」

 

ザギ「そうですね。体の疲れが溶けていくようですよ。」

 

カレン「交通の便は悪いですが、それを帳消しにする温泉と食事、さらには冬限定ですがスノーボードなる遊びもある。最高ですね~」

 

ミルディーヌ「ウフフ、それにしてもこうして凰翼館のお風呂に入っていると思い出しますよね。オリヴァルト皇子からいただいたユミルの小旅行。あの時、レイ兄様と一緒に入ってあんな事やこんな事を――♥️」

 

レイ「してません。あの時はどれだけ兵力が集まったか等の話をしただけだろうが。」

 

ミルディーヌ「もうレイ兄様ったら照れちゃって♥️」

 

レイ「頭がクラクラしてきた……」

 

カレン・ザギ「あははは……(汗)」

 

その後、露天風呂から上がった4人は用意されていた夕食を食べ、それぞれに割り当てられた部屋に戻った。



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〈翡翠の騎神〉VS〈灰の騎神〉

〈12月10日温泉郷ユミル・早朝〉

 

レイ「フッ!ハッ!」

 

レイは早朝からユミル渓谷道の最奥―2騎の騎神を置いてある所で両腕にカイザークローを装着し、魔剣カイザーブロードと魔槍カイザートライデントに持って鍛練に励んでいた。

 

レイ「ハアァァァ……シェヤアァァァッ!!」

 

そして最後に一振りして魔剣と魔槍を下ろす。すると背後からパチパチと拍手が聞こえ、そちらを振り向くと腰に太刀を携えたリィンがいた。

 

リィン「凄いなレイ。流れるような剣捌きでありながら力強い一閃。思わず見入ってしまったよ。」

 

レイ「ありがとう。それより、太刀を携えているという事はお前も鍛練か?」

 

リィン「ああ、子供の頃からやっている事だからな。」

 

レイ「なら今度は俺がお前の鍛練を見させてもらおう。」

 

そう言ってレイは今までいた場所から離れ、リィンに場所を譲る。

 

リィン「あはは、迅雷(サンダークラップ)に見せれるような剣じゃないんだが一生懸命やるよ。」

 

苦笑しながらリィンは鞘から太刀を抜き、構えを取る。そして自分が会得している〈八葉一刀流〉の技を次々と放っていく。

 

レイ(初伝・中伝クラスの技と奥義は一応モノにしているようだが――)

 

リィン「ハッ!ハアァァァッ!!」

 

レイ(今の心のままでは“鬼の力”の制御は難しそうだな。何かきっかけがあればいいんだが……)

 

そしてリィンが一通りの技を終えると、ミルディーヌとセリーヌが渓谷道最奥に現れた

 

リィン「セリーヌ、それにミルディーヌさん。どうしてここに?」

 

ミルディーヌ「ウフフ、リィンさん。私は貴方より年下なんですから呼び捨てで結構ですよ。」

 

リィン「はっ、はあ善所します……。」

 

セリーヌ「私はあんた達2人に用があって来たの。そしたら偶然この子とバッタリ渓谷道入口で会ってね。そのまま一緒に来たのよ。」

 

レイ「そうだったのか。それで用事というのは?」

 

セリーヌ「あんた達2人には騎神に乗って戦ってもらうわ。」

 

その言葉にリィンは驚くが、レイはすぐにセリーヌの言葉の意味を理解したようだ。

 

レイ「なるほど。〈灰の騎神〉が今どれだけの力を使えるか、そして〈翡翠の騎神〉はどれ程の力を持っているのか。それを見定める為の戦いという事か。」

 

リィン「そういう事か。」

 

セリーヌ「話が早くて助かるわ。まあ、鍛練の後だから休んでからで――」

 

ミルディーヌ「いえ、それには及びませんよ。」

 

そう言ってミルディーヌは一歩前に出てレイからもらっていた〈ARCUS(アークス)〉を構える

 

ミルディーヌ「ARCUS駆動。――ティアラ。」

 

水系の中級治癒魔法をかなりの早さで発動したミルディーヌ。そしてレイとリィンの鍛練による疲労はあっという間になくなった。

 

レイ「相変わらず駆動が早いな。」

 

ミルディーヌ「トヴァルさん程ではありませんが。」

 

セリーヌ「それじゃ、早速騎神に乗ってくれる?」

 

リィン「分かった。」

 

レイ「ああ。」

 

2人はそれぞれの騎神の前に立つと光に包まれ、騎神の内部――操縦席へと座る

 

レイ「リィンとの戦闘か。今までは機甲兵ばかりだったからな、楽しみだ。」

 

スペランザ『ああ、私も〈灰〉との戦いは楽しみだ』

 

リィン「俺達もだよ。だが手を抜く気は無いからな」

 

ヴァリマール『フフッ、オ手柔ラカニ頼ムゾ。』

 

そしてヴァリマールは機甲兵用ブレードを、スペランザは武器無しで戦いの構えを取る。

 

セリーヌ「私が声をかけるまで好きなように戦って。それじゃ、始め!!」

 

レイ「ハアァァァァッ!!」

リィン「オォォォォォッ!!」

 

セリーヌの開始の合図で2騎は同時に距離を詰める。そして最初に攻撃を仕掛けたのはリィンだった。

 

リィン「ハアッ!」

 

レイ「おっと。セイッ!」

 

ヴァリマールはブレードを横凪ぎに振るうがスペランザは一歩下がって回避し、すぐに間合いを詰めて掌底を相手の腹めがけて放とうとするが……

 

―ガギィィィンッ!!

 

ブレードの刀身を使ってギリギリ掌底の攻撃を防いだ。しかし、衝撃までは防ぐ事が出来ずに少し後退する。

 

レイ「まだまだぁっ!!」

 

そしてスペランザは更なる追撃の為、手を手刀の形にして迫ってくるが……

 

リィン「八葉一刀流伍の型・残月!!」

 

―ズガァァァッ!!

 

レイ「ぐっ……。その技があったか。」

 

八葉一刀流の中でもカウンター攻撃に秀でた伍の型・残月を使用し、スペランザの攻撃を防いだ

 

その後、数分間2人の戦いは続いた。

 

レイ「さて、そろそろトドメといこうか。ハアァァァァ……」

 

レイがそう言うとスペランザは片手に光のエネルギーを、もう片手に闇のエネルギーを集めると胸の前に持ってきて1つにする。

 

リィン「なら俺達も。オオォォォォ……」

 

リィンの方はブレードに気を纏わせて八葉一刀流七の型の奥義を放とうとする。

 

レイ「カオス・エンド――」

リィン「無想――」

 

セリーヌ「そこまで!!」

 

お互いに今放てる最強の技を放とうとした時、セリーヌから待ったがかかり、ヴァリマールとスペランザは動きを止めてリィンとレイが出てきた

 

セリーヌ「全く、こんな場所でそんな規模の技を放ったら地形が変わりかねないわよ?」

 

リィン「す、すまない……。」

 

レイ「つい熱くなってしまったな……。」

 

ミルディーヌ「それでお2人の戦いはどうでしたか?セリーヌさん。」

 

セリーヌ「そうね。リィンの方はこの間乗り始めたばかりにしてはまあまあ良い感じじゃない。この調子で頑張りなさい。」

 

リィン「ああ。必ずクロウに追いついてみせる。」

 

セリーヌ「それでレイの方だけど……。」

 

レイ「ん?何か悪い所でもあったか?」

 

セリーヌ「その逆よ。リィンどころかあのバンダナ男よりも乗りこなしてるじゃない。一体どんだけこの騎神に乗ってるのよ?」

 

セリーヌの疑問にレイは額に手を置いて考えて一言

 

レイ「多分だが……3~4年じゃないか?」

 

リィン「クロウと同じかそれ以上だな。」

 

レイ「暇な時は趣味に当てるか、騎神に乗るかだったからな。」

 

セリーヌ「趣味と騎神の搭乗を同等に扱うんじゃないわよ……。まあ良いわ。ありがとね2人とも。」

 

ミルディーヌ「それじゃ皆さん、ユミルに戻ったら冷えた体を暖める為に一緒に混浴に行きませんか?」

 

その言葉に3人はというと…

 

リィン「い、いやいや!年頃の女の子と混浴は……!」

 

セリーヌ「私は水が苦手だからパスで。」

 

レイ「そうやってからかうのはやめろと言ってるだろ?」

 

と三者三様の答えが返ってきた

 

 

ちなみにリィンとセリーヌは本当に温泉は辞退したがレイはミルディーヌに無理やり凰翼館へと連れていかれた。



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〈氷姫〉再び

創の軌跡発売まで後25日……。待ち遠しいっ!!


〈12月12日〉早朝・渓谷道最奥

 

レイ「さて、今日はどういう訓練をするか……。」

 

ミルディーヌ「なら私とあんな事やこんな事の訓練を♥️」

 

レイ「しません。」

 

邪神竜「ミルディーヌはどこにいても通常運転だな。しかし、そういう事なら我が相手になろうか?」

 

その言葉にミルディーヌは驚き、レイは懐かしそうに頬笑む

 

ミルディーヌ「レイ兄様と邪神竜さんがですか!?確かに昔、レイ兄様が翡翠の騎神を手に入れる為の試練を行う時に戦った事は聞きましたが……」

 

レイ「懐かしいな。そういえばあれ以降、お前とは戦ってなかったから丁度良いかもな。フッ!!」

 

邪神竜「ああ。久々にあの時は遅れを取ったが、今度は負けんぞ。ムンッ!」

 

そう言ってレイは空間に開けた穴に手を入れて〈魔剣カイザーブロード〉と〈魔槍カイザートライデント〉を取り出して構え、邪神竜は目を赤く光らせて巨大化する

 

ミルディーヌ「えっ、えっと~……」

 

唐突に始まった〈迅雷〉のレイ・リーヴェルトVS邪神竜の戦いにミルディーヌはどうすれば良いのか分からず、混乱していた。そこに1人の女性が現れる。

 

?「大丈夫ですよ。私が何とかしましょう。」

 

ミルディーヌ「あっ、よろしくお願いします。」

 

 

レイ「さあ、行くぞ邪神竜!!今度も俺が勝たせてもらう!!」

 

邪神竜「フフッ。邪神とはいえ神である我がそう何度もやられてたまるか!!」

 

そして1人と1体は真正面から突っ込もうとするが……

 

?「いい加減にしなさい!」

 

女性の声が響いたと思ったら邪神竜の下半身が氷付けになり、それに驚いたレイが立ち止まると背後から後頭部を導力銃のグリップでおもいっきり殴られた。

 

邪神竜「ムウッ?これは確か、『フリジットレイン』だったか?」

 

レイ「ぐっ……うぅっ……。ね、姉さん……一体何を?」

 

邪神竜は下半身が凍っているが大した事はなさそうだが、レイの方は導力銃のグリップで殴られたので後頭部を押さえてうずくまっている

 

クレア「一体何を?じゃないわ!!貴方達の方こそ何をやってるのよ!!こんな所で本気で戦ったら雪崩が起きかねないし、里の人にも迷惑がかかるでしょ!!」

 

レイ「はい……申し訳ありません。」

邪神竜「確かに思慮が足りなかったな。」

 

その後、レイは武器をしまい、邪神竜はいつもの40センチのミニサイズに戻り、雪の上で正座させられてクレアの説教を受けた

 

クレア「反省した?」

 

レイ・邪神竜「はい……」

 

クレア「よろしい。それじゃ凰翼館に戻り――っ!!」

 

「凰翼館に戻りましょう」と言いかけたクレアだが、ある一点を見つめて止まってしまった

 

レイ「姉さん?一体どうし――っ!!」

 

邪神竜「あれは確か……」

 

ミルディーヌ「貴族連合軍の旗艦、〈パンタグリュエル〉ですね。」

 

そう、中立地帯である温泉郷ユミルの上空にパンタグリュエルが現れたのだ。しかもそれだけでなく……

 

邪神竜「むっ。今、〈蒼の騎神〉がパンタグリュエルからユミルへと降りたぞ。」

 

レイ「という事は貴族連合は、いやカイエン公の狙いはリィンの〈灰の騎神〉と俺の〈翡翠の騎神〉か。ミルディーヌの予想通りだったな。」

 

クレア「とにかくユミルへ急がないと!!行くわよレイ!!」

 

?「悪いけど〈迅雷〉にはここに残ってもらうわ。」

 

3人「っ!?」

 

3人が声が聞こえた方に振り返ると、そこには〈氷姫〉ロヴィーナがいた

 

レイ「〈氷姫〉ロヴィーナ……」

 

ロヴィーナ「ウフフ、3日ぶりね〈迅雷〉」

 

レイ「お前がここにいるという事はユミルにも?」

 

ロヴィーナ「ええ。〈劫炎〉に〈神速〉に〈怪盗紳士〉、〈黒兎〉、〈西風の旅団〉そしてなんと貴族連合の参謀であるルーファス・アルバレアがユミルに降り立ったわ。」

 

ミルディーヌ「とんでもない顔ぶれですね。クレアさん、ここは私達に任せてユミルへ。」

 

クレア「えっ?で、ですが……」

 

邪神竜「クレアがこちらにいてはユミルに残っている者達の苦戦は目に見えている。」

 

レイ「このとんでもない化け物は俺達に任せて早く。」

 

クレアは一瞬どうするか考えたが、レイ達の言葉に甘える事にした

 

クレア「分かりました。ですがレイ、邪神竜、ミルディーヌさん無理をしないように。」

 

そしてクレアはユミルにいる者達の加勢に向かう為に渓谷道を降りていく

 

レイ「さて、それじゃ始めるか〈氷姫〉。こちらの方が人数が多いのは多目に見ろよ。」

 

ロヴィーナ「構わないわ、むしろ大歓迎よ。カイエン公の姪に幻獣よりも上位の存在がどれだけ私を昂らせてくれるか、見せてちょうだい!!」



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パンタグリュエルへ

いきなりユミルの空に現れた貴族連合の旗艦〈パンタグリュエル〉。そしてユミルの地には貴族連合に協力している〈結社〉のメンバーや〈西風の旅団〉、さらには貴族連合参謀まで現れ、〈Ⅶ組〉とその協力者は何とか迎え撃っていた

 

その頃、渓谷道最奥でレイとミルディーヌと邪神竜は〈氷姫〉ロヴィーナと対峙していた

 

レイ「……」

ミルディーヌ「……」

邪神竜「……」

 

レイはカイザークローを、ミルディーヌはライフルを構えて、邪神竜は人間大の大きさになってロヴィーナを睨む

 

ロヴィーナ「フフフ。いつまでそうやって様子見をしてるつもりかしら?まぁ、そちらから来ないなら……」

 

するとロヴィーナは右手を左手の上にかざし、自分の左手を凍らせていく

 

ロヴィーナ「こっちから行くだけだけどね!!」

 

そして一気にレイ達に急接近し、凍らせた左手を振るう。それを見たレイは少し動いて回避しようとするが……

 

レイ「っ!!ちっ!!」

 

突如、レイはミルディーヌを抱いて一緒に大幅にロヴィーナから距離を取った

 

ミルディーヌ「レ、レイ兄様!?」

 

邪神竜「間一髪だったな。」

 

そう言って邪神竜は2人の側に飛んできた。しかし、ミルディーヌは邪神竜の言葉を理解出来ていなかった

 

ミルディーヌ「えっと、どういう事でしょうか?」

 

レイ「奴の凍った左手を見てみろ。」

 

ミルディーヌ「凍った左手……。っ!?あれは……」

 

彼女が驚いたのも無理はない。ロヴィーナの左手を覆っている氷が今は剣のように鋭くなっているのだ

 

ロヴィーナ「さすが〈迅雷〉に邪神竜。小娘と違って私の技を初見で見抜くなんてね。」

 

ミルディーヌ「氷の……剣?」

 

レイ「それもお前の能力か?」

 

ロヴィーナ「ええ。自分の腕を凍らせて作る剣――氷剣(ウェイルブ・ブロード)よ。異能の力で作る氷の剣だから切れ味は抜群。ハアッ!」

 

するとロヴィーナは〈ウェイルブ・ブロード〉を振って白銀の斬撃を飛ばしてきた

 

レイ「カイザーリッパー!」

 

―ズガァァァンッ!!

 

レイの赤黒い斬撃とロヴィーナの白銀の斬撃が真正面から激突して爆発が起き、雪が舞い上がって視界がゼロになる

 

レイ「くうっ!視界が……」

ロヴィーナ「ウフフ、良いわね。ん?」

 

―バシュンッ!

 

ロヴィーナ「フッ!」

 

―キィィンッ!

 

ミルディーヌ「うーん、最高のタイミングで狙撃したんですけど……まさか銃弾を剣で真っ二つにするなんて。」

 

ロヴィーナ「いや、なかなかのタイミングだったわよ。でも、今度こんな場面に遭遇したなら爆発が起きた瞬間にする事ね。その方が相手は防御体勢をとっているから防ぎにくいし……ねっ!」

 

ミルディーヌに狙撃のタイミングを教えたロヴィーナは自分の右側に向かって〈ウェイルブ・ブロード〉を振ると『ガギィンッ!』と何かを弾く音が聞こえ、いまだに舞い上がる雪の中からレイが現れる

 

レイ「デェェェヤッ!!」

ロヴィーナ「ハアァァァッ!」

 

―ギィィィンッ!!

 

邪神竜「くらえ!!アトロスフレア!!」

 

ロヴィーナ「ちっ!アイスシールド!」

 

邪神竜の残酷なる赤黒い炎をアイスシールドで受け止めるロヴィーナだが……

 

ロヴィーナ「くっ……ううっ……。ウアァァァァッ!!」

 

シールドごと押されていき、渓谷道の壁に叩きつけられた

 

ロヴィーナ「あっ…かっ…。なかなか良いコンビネーション見せてくれるわね。これは……“本気”出さないといけないかもねぇぇっ!!」

 

レイ「させるか!!」

 

光と闇のエネルギーを両手にためた後、胸の前で1つにし――

 

ヴィータ『そこまでよレイ君。』

 

両腕を突き出してクラフトの1つ『カオス・エンド・フレア』を放とうとしたがヴィータの幻影が現れ、ストップをかけた

 

ミルディーヌ「あれは、〈蒼の歌姫(ディーヴァ)〉ヴィータ・クロチルダ?どうしてここに?」

 

ヴィータ『フフッ、初めましてお嬢さん。私は結社〈身喰らう蛇〉の使徒第二柱〈蒼の深淵〉ヴィータ・クロチルダよ。』

 

ミルディーヌ「彼女まで結社の使徒だったんですか。」

 

レイ「そうじゃないかとは思っていたが……」

 

レイ、ミルディーヌ、邪神竜は新たな〈使徒〉の登場に警戒するが、本人は意に介さずロヴィーナの方を向く

 

ロヴィーナ「ヴィータ、貴女が来たって事は成功したのかしら?」

 

ヴィータ『ええ。つい今しがた〈灰の騎神〉とその起動者(ライザー)であるリィン君をパンタグリュエルに招待したわ。』

 

その言葉にレイ、ミルディーヌ、邪神竜は驚愕する

 

ロヴィーナ「ご苦労様。さて、それじゃ翡翠の起動者(ライザー)である貴方もパンタグリュエルに来てもらえるかしら?嫌だと言うなら……」

 

ミルディーヌ「キャアッ!!」

 

レイ「ミルディーヌ!?」

 

背後からミルディーヌの悲鳴が聞こえ、振り返ると彼女は赤い戦闘服に身を包んだ猟兵男に捕らえられ、銃を向けられていた

 

?「ハーハッハッハ!!さぁ、ロヴィーナ様の言う通りにしないと君の彼女がどうなるか分からないぞ!!」

 

レイ「貴様――」

 

ロヴィーナ「氷の弾丸(アイス・ブリット)!!」

 

?「アギャァァッ!?」

 

レイ・ミルディーヌ「えっ?」

 

なんとロヴィーナが仲間であろう男に向かって氷の弾丸(アイス・ブリット)を一発撃ち、吹っ飛ばした

 

ロヴィーナ「ギルバート、貴女は結社に入ってからずっとセコい事で成り上がってきたわね。まぁ、別にどう成り上がろうが私は興味ないわ。でもね……」

 

どうやら男の名前はギルバートというらしい。そしてその男に対してロヴィーナは大層お怒りのようだ

 

ギルバート「ロ…ロヴィーナ様?」

 

ロヴィーナ「私の獲物とその関係者に手を出すのは許せないわね。カンパネルラにまたおしおきしてもらう?ああ、それとも私がおしおきしようかしら?言っておくけど、カンパネルラみたいに優しくないわよ。」

 

そう言ってロヴィーナは右手に冷気の塊を出現させながらギルバートを睨む

 

ギルバート「ヒィィィッ!!ごめんなさいロヴィーナ様!!もうしませんから、お許し下さい!!」

 

ロヴィーナ「次やったら容赦しないわよ。ごめんなさいね迅雷、それに迅雷の彼女さん。それで話を戻すけど貴方もパンタグリュエルに来てもらえるかしら?」

 

ヴィータ『リィン君と貴方が来てくれたら、カイエン公は内戦の間ユミルに手を出さないと約束するそうよ。』

 

レイ「……。良いだろう。」

 

ヴィータ『それじゃ、行きましょうか。』

 

レイ「少し待ってくれ。」

 

するとレイはミルディーヌの元に向かい、一言

 

レイ「ミルディーヌ、これを持っていてくれ」

 

ミルディーヌ「レイ兄様、なぜこれを私に?」

 

レイ「無くすなよ。」

 

用事が終わるとレイは翡翠の騎神スペランザを起動させて乗り込み、パンタグリュエルへと向かいヴィータとロヴィーナも転位でパンタグリュエルへ戻った



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幕間・招待された『翡翠』と『灰』
〈氷姫〉と〈迅雷〉


創の軌跡発売まで後1週間!

8/27にロヴィーナの部屋でのお茶会参加者を増やしました


―貴族連合軍の旗艦・パンタグリュエルの貴賓区画にて

 

レイ「………」

 

貴族連合総主宰であるカイエン公に“招待”されたレイは貴賓区画にあるイスに座っていた。ただし、1人ではないが……

 

ブルブラン「いやぁ、君にも見せたかったよ。リベールの至宝と言われたクローディア姫の驚いた姿や困った表情を。」

 

レイ「そうか……」

 

ブルブラン「ちなみにリベールでの『福音計画』が完了した後はどこに向かったと思う?」

 

レイ「知るか……。」

 

ブルブラン「帝国と共和国に挟まれた魔都クロスベルさ。そこでクロスベル警察に新たに発足された『特務支援課』という者達に興味が湧いてね。力量を計る為にささやかな謎解きをプレゼントしたんだよ。」

 

レイ「帝国だけでなく、各地でお前の名を聞くからもしやと思ったが……。リベールとクロスベルでも同じ事をやってたのか……。やはりあれか?若者が必死に何かを探す姿は美しいとかそういう理由か?」

 

ブルブラン「まぁそうだね。私の“美”を理解してくれて嬉しいよ迅雷」

 

レイ「あんまり理解したくないがな……。というか今さらだが、何で俺はお前と話している?」

 

ブルブラン「ああ、実は〈氷姫〉殿に頼まれたのだよ。君と話をする席を作る為のセッティングに時間がかかりそうだから、話し相手になってあげてくれとね。」

 

レイ「そうか……(苦笑)どうせなら“美”関係以外が良かったが……」

 

ブルブラン「フフ、何を言う?私から“美”を取ったら何も残らないじゃないか。―っとそうこうしている内に準備が整ったようだね。」

 

そう言ってブルブランが向いた方へレイも顔を向けるとロヴィーナがこちらに歩いてくるところだった

 

ロヴィーナ「ブルブラン、ありがとう。準備が出来たわ。」

 

ブルブラン「フフ、本来なら氷姫のお茶会に私も参加したいが、君にとっては長年探してきたライバルとなりうるかもしれない者とのお茶会だ。ここは空気を読んで辞退するよ。」

 

ロヴィーナ「悪いわね。それじゃ迅雷、行きましょうか。」

 

レイ「分かった。」

 

 

―ロヴィーナの部屋にて

ロヴィーナ「さぁ、どうぞ。」

 

彼女に促され、部屋に入るとデュバリィと同じ甲冑を着た女性が2人いた。

 

レイ「彼女達はまさか……」

 

ロヴィーナ「そうよ。デュバリィと同じ〈鉄機隊〉のメンバーよ。」

 

すると2人は立ち上がり……

 

アイネス「お初にお目にかかる。私は〈剛毅〉のアイネス」

 

エンネア「初めまして。〈魔弓〉のエンネアよ。」

 

とそれぞれレイに自己紹介する

 

レイ「〈迅雷〉のレイ・リーヴェルトだ。」

 

ロヴィーナ「さて、自己紹介も終わったし皆座って。」

 

ロヴィーナに促され、イスに座ると目の前に彼女が用意した紅茶とお茶菓子が置かれた。

 

レイ「それで?俺をここに呼んだ理由は何だ?〈Ⅶ組〉や正規軍の今後の動向を探る為か?」

 

ロヴィーナ「ああ、今の所は別に貴方達や正規軍がどう動こうと興味ないわよ。今興味あるのは貴方だけだし。」

 

そう言うロヴィーナの顔は恋人を見つけたような顔になっており、それを見たレイはちょっと引く

 

レイ「悪いが俺にはすでに恋人がいるからな……(汗)」

 

ロヴィーナ「いやいや、別に恋人関係とかになりたいわけじゃないし……(汗)貴方は私やマクバーンと同じように混じっている(・・・・・・)からね。どういう力かな?という興味だからね」

 

アイネス「ロヴィーナ様、言い方が紛らわしいですよ……(汗)」

 

レイ「俺の力を話すなら、それ相応の対価が必要だ。」

 

エンネア「フフッ、なら私達3人のスリーサイズでも教えてあげましょうか?」

 

レイ「いりませんから(汗)」

 

ロヴィーナ「エンネアは相変わらずねぇ。(笑)そうね、私達のスリーサイズは後のお楽しみとして……カイエン公が何の目的で内戦を起こしたか。それが対価にならない?」

 

レイ「っ!?それは願ってもない対価だが、なぜお前がそれを知っている?」

 

ロヴィーナ「この艦に乗ってから時々カイエン公の為にお茶会を開いてね。その時に聞いたのよ。それで、どうする?」

 

レイ「……。聞かせてもらおう。」

 

ロヴィーナ「カイエン公はね、帝都にある〈緋の騎神〉を手に入れてようとしているのよ。」

 

レイ「〈緋の騎神〉か。確かそれは……」

 

邪神竜「確かヘクトル帝が駆り、偽帝オルトロスが暴走させた騎神だ。ヘクトルが暗黒竜討伐の為に駆ったが、その暗黒竜を倒した時に奴の血を浴びてしまい呪われた存在になったのだ。」

 

ロヴィーナ「さすが幻獣よりも上位の存在だけあってよくご存知ね」

 

レイ「それでその〈緋の騎神〉はどこにあるかは聞いたのか?」

 

ロヴィーナ「興味ないから聞かなかったわ。あのオッサン、口を開けば『貴族が支配する古き善き時代を取り戻すのだ!』とか『必ず〈緋の騎神〉を我が手に!』しか言わないんだもん。ウザったいったらありゃしない(怒)」

 

レイ「そ、そうか……(汗)」

 

アイネス「さて、ロヴィーナ様が対価を支払ったからお前の“力”の事を聞かせてもらおうか?」

 

アイネスの言葉にうなずいたレイは“邪竜吼”をどういう経緯で手に入れたか話し始めた

 

ロヴィーナ「へぇ~、そんな経緯で。フフッ、レグラムで会ったのが〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉じゃなく盟主様や私だったら〈結社〉にスカウトしてたのに残念だわ。」

 

レイ「俺は〈結社〉にスカウトされなくて良かったと思ってる。おかげで最愛の人に出会えたからな。」

 

エンネア「あらあら、お熱い事で♥️」

 

そしてロヴィーナが出した紅茶とお茶菓子を食べ終わったレイは立ち上がり、部屋を出ていこうとする。しかし、その足を止めてロヴィーナの方を振り向き一言

 

レイ「最後に1つ。お前やマクバーンはどれだけ混じっているんだ(・・・・・・・・)?」

 

ロヴィーナ「ああ、それなら――全部よ(・・・)

 

不適な笑みでそう言ったロヴィーナにレイは「そうか。」とだけ答えて部屋を後にした

 

 

再び貴賓区画に出ると丁度リィンが貴賓区画の上階から降りてくる所だった

 

レイ「リィン、なぜ上階に――ってアル?なぜここに?」

 

リィン「レイ、殿下に失礼だろう!?」

 

アルフィン「良いんですよリィンさん。公以外では出来るだけそう呼ぶようにと。それに敬語も不要と言ってあります。」

 

リィン「殿下がそう仰るなら……。」

 

レイ「それで何でアルがここに?しかもリィンと一緒に?」

 

リィン「実は部屋を回った後、自室に戻ったらクロウが現れてな。自分の過去を話した後、上階に特別ゲストがいると言ったから向かってみたら殿下がいらっしゃったんだ。」

 

レイ「……。」

 

リィンの話を聞いたレイはリィンをジッと見る

 

リィン「なっ、何だ?」

 

レイ「いや、アルに何か言われたおかげでお前のその“鬼の力”をちゃんとモノにしたんだなと」

 

リィン「分かるのか?」

 

レイ「俺も人外の力を持ってるからな、お前の力がどう変わったかは分かる。だが、それなら丁度良いな。」

 

アルフィン「丁度良いというのは?」

 

レイ「ここから脱出する。俺はロヴィーナとしか話さなかったが、それ以外のメンバーはリィンが話をしたみたいだしな。」

 

リィン「しかし、どうやってここから脱出するんだ?貴賓区画の出入口は貴族連合の兵士が見張っているし……」

 

レイ「問題ない、方法はある。ついてこい」

 

するとレイはリィン達に背を向けて自分に割り当てられた部屋へ歩き始めた。そして到着すると扉を開いて中に入る。遅れてリィンとアルフィンも中に入ってきた。

 

アルフィン「それでレイさん、方法はあると仰いましたがどんな方法なんですか?」

 

レイ「あれだ。」

 

彼が指差した先にあったのはダクトだった。確かにダクト前を見張っている者などいるはずがないので絶好の脱出口になるのだが……

 

リィン「いやいや、殿下をこんな所に通すわけにはいかないだろう!?」

 

とリィンは猛反対する。しかし、レイは自信満々で一言

 

レイ「それは大丈夫だ。なぁ、アル?」

 

アルフィン「ええ。スパイ小説みたいでドキドキしますね♥️」

 

リィン「え…えぇ~(汗)良いのですか殿下?」

 

アルフィン「はい、もちろん。さっ、早く行きましょう♥️」

 

リィン「分かりました。それじゃ俺が先に行くから次にレイ、殿下の順で。」

 

レイ「了解した。」

アルフィン「はい♥️」

 

そして2人がダクトに入ったのを見届けたレイは部屋から出て別のルートからパンタグリュエルからの脱出を開始した




このまま書いていくと物凄い字数になるので分けます


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〈魔弓〉&〈剛毅〉VS〈迅雷〉

創の軌跡、めっちゃ面白い!!もう少しで最終章近くまで行くけど、どんなラストが待っているんだろうか?


リィンとアルフィンがダクトから出た頃を見計らってレイはARCUSを取り出し、リィンに通信する

 

レイ「リィン、聞こえるか?」

 

リィン『レイ、お前今どこにいるんだ!?ダクトから出たらお前がいないから心配してたんだぞ!!』

 

レイ「悪いな。だがこれは最初から考えてた事でな。俺はお前達とは反対の通路を通って脱出する。その方が敵の戦力も分散するだろ?」

 

リィン『た、確かにそうだが……。』

 

レイ「それじゃ切るぞ。いつまでも話していて見つかったら元も子もないからな。」

 

そう言ってリィンが何か言う前にARCUSの通信を切り、〈カイザークロー〉を装備して甲板を目指して走り始める

 

 

レイ「カイザーリッパー!!」

 

「ウワアァァァッ!!!」

 

脱走者を捕らえようと貴族連合の兵士が軍用魔獣や人形兵器を引き連れて現れるが、レイの攻撃に呆気なくやれていく

 

レイ「この程度の奴らならまだ〈Ⅶ組〉の方が強いな。」

 

もう敵が現れる気配が無いのを確認すると再び甲板への道を走ると甲板まで一直線の通路に出た。

 

レイ「よし、後はここをまっすぐ走れば甲板に出るな。」

 

そして一直線の通路を走っていると上から気配を感じ、後方へ下がるレイ。するとさっきまでいた場所に矢が放たれた

 

エンネア「ウフフ、さすが〈迅雷〉ね。」

 

アイネス「我らの気配を察知するとは。」

 

通路の上にある連絡橋に〈鉄機隊〉の二隊士――〈魔弓〉のエンネアと〈剛毅〉のアイネスがいた

 

レイ「そう簡単に行くわけがないと思っていたが、まさか〈結社〉最強の部隊である〈鉄機隊〉のお前達が来るとはな。」

 

アイネス「フフッ、お茶会を始める前にロヴィーナ様からお前の事を聞いてな。」

 

エンネア「使徒のトップであるロヴィーナ様と互角の力の持ち主。私達もどれ程のものか確かめたくなってね。」

 

レイ「良いだろう。だが〈邪竜吼〉は20%までしか出さない。お前達相手ならその程度で十分だし、何よりそのキレイな顔に傷をつけるわけにはいかないからな。フウゥゥ、〈邪竜吼〉!!」

 

そう言ってレイは〈邪竜吼〉を20%だけ解放して戦いの構えを取る

 

エンネア「あら、嬉しい事を言ってくれるわね。でも……」

 

レイ「分かっている。手を抜くつもりはない。」

 

 

そしてアイネスは斧を、エンネアは弓を取り出して構える

 

3人「行くぞ!/行くわよ!」

 

 

アイネス「剛烈斬!!」

 

アイネスは斧を地面に叩きつけ、レイに向かって衝撃波を放つ

 

レイ「おっと。」

 

エンネア「そこよ!」

 

アイネスの剛烈斬を避けたレイに、今度はエンネアが矢を放ってきた

 

レイ「っ!!」

 

目の前まで迫ってきた矢をレイは体をひねる事で、ギリギリ避けた

 

エンネア「あらあら、今のを避けるなんて。」

 

レイ「かなり危なかったがな。今度はこちらの番だ!!」

 

するとレイは2人になり、エンネアとアイネスに向かっていく

 

アイネス「分け身のクラフトか。だがどちらかが本体でどちらかが分け身だ。そんなものでは我らは突破出来ん!!ハアッ!!」

 

アイネスは斧を真横に振り、本体と分け身同時に攻撃するが2人のレイはそれを避け、エンネアとアイネスに〈カイザークロー〉を振り下ろす

 

アイネス「ぬうぅぅっ!!何と重たい一撃……。だがこれで本体はこちらだと――」

 

エンネア「クウゥゥッ!!腕が痺れそうな一撃ね。」

 

アイネス「なっ!?まさかエンネアの方にもダメージが!?」

 

エンネア「えっ!?まさかアイネスの方にも!?という事はまさか……。」

 

アイネス「ああ、間違いない。これはただの分け身のクラフトでなく“実体のある分け身のクラフト”だ。」

 

エンネア「〈結社〉の執行者No.Ⅱ〈剣帝〉レオンハルトさんが得意だったわね。」

 

アイネス「まさか彼以外の者が使っているのを見る事になるとは思わなかったが。」

 

レイ「へぇ~、〈結社〉にも同じクラフトを使う奴がいたのか。どんな奴か聞きたいが、それはまた次の機会だな。」

 

そう言ったレイはARCUSを駆動し始め、それを見たエンネアとアイネスも各々の武器を構える

 

レイ「スパークアロー!!」

 

アイネス「ハアァァァッ!!」

エンネア「ヤアァァァッ!!」

 

レイの魔法―スパークアローとエンネア、アイネスが全力で放った斬撃と矢が真正面からぶつかる。そして……

 

―ズガァァァンッ!!

 

お互いに相殺し、辺りは爆煙によって視界が塞がれた

 

アイネス「しまった!!」

 

レイ「トドメだ!!カイザーインフェルノリッパー!!」

 

アイネス「フッ、今回はここまでか。次なる邂逅までにもっと精進せねばな。」

 

エンネア「〈邪竜吼〉の力。正直、少し侮ってたわね。まさかたった20%でここまでの力があるなんて。」

 

そしてレイの〈カイザーインフェルノリッパー〉が着弾すると、アイネスとエンネアは気絶していた

 

レイ「さすが〈結社〉最強の部隊だな。今度会った時はどれ程強くなってるか、楽しみにしてるぜ。」

 

そう言うと再び甲板を目指して走り始めるレイ




アイネスとエンネアって閃Ⅳの、しかも〈塩の杭
〉攻略でしか今の所、操作出来ないんですよね~。

リィン達みたいに操作したいな~

新技カイザーインフェルノリッパーを設定に追加しました


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〈迅雷〉VS〈劫炎〉

創の軌跡、面白かった~。そして身喰らう蛇の盟主と共和国の新大統領の邂逅。

次は共和国が舞台で間違いないけど、どんなキャラが出るのかな?楽しみだな~


甲板に続く通路で〈剛毅〉のアイネス、〈魔弓〉のエンネアを倒したレイは甲板を目指して走っていた。そして通路が終わり、目の前の扉を潜ると……

 

レイ「ここは飛行艇の発着場か。パンタグリュエルのだいたいの構造を考えると……」

 

?「ああ。ここを登ってけば甲板に出れるぜ。」

 

男の声が聞こえたと思うと、背後から炎の玉がレイ目掛けて飛んできた。それを感じ取ったレイは振り返る事なく屈んで避ける。

 

レイ「まさかここでお前が来るとはな。〈劫炎〉のマクバーン。」

 

マクバーン「ククク。本当なら甲板で灰の小僧を待って奴の“力”を確認するつもりだったが、〈氷姫〉の奴がそれを引き受けてくれてな。ならもう1人の混じってる(・・・・・)お前の“力”を見せてもらおうと思ってな。」

 

レイ「なるほど。なら結社の三軍神の1人〈火焔魔神〉の力、どれ程のものか見せてもらうぜ。」

 

 

そしてパンタグリュエル艦内の発着場で〈迅雷〉と〈劫炎〉の戦闘が始まった

 

マクバーン「焼き尽くせ!!ヘルハウンド!!」

 

レイ「カイザーリッパー!!」

 

―ズガァァァンッ!!

 

マクバーンが放った炎の犬とレイの赤黒い斬撃がぶつかり、爆発が起きるが2人はそれを気にする事なく、次の攻撃に移る

 

マクバーン「ギルティフレイム!!」

 

レイ「ダークグレイブ!!」

 

闇の炎と暗黒の鉤爪がぶつかり、お互いに相殺する。それを見たマクバーンは「ハッ」と軽く笑う

 

マクバーン「なかなかやるな。レーヴェや〈鋼〉と良い勝負だぜ〈迅雷〉」

 

レイ「〈鋼の聖女〉アリアンロードと今は亡き執行者No.Ⅱ〈剣帝〉レオンハルトか。その2人と良い勝負だと言ってもらえるのはありがたいな。」

 

マクバーン「ククッ、剣においては最強のレーヴェ、〈使徒〉の三軍神の1人の〈鋼〉、そして執行者No.Ⅰの俺と並ぶ程の実力者。そろそろお前の“力”を見せてくれよ。」

 

レイ「良いだろう、見せてやる俺の“力”を!!邪竜吼!!」

 

身体強化技―邪竜吼を発動するとレイの目は赤くなり、赤黒いオーラを纏う。

 

マクバーン「ハハハ!!良いねぇ!!やっぱ思った通り、灰の小僧よりも混じり具合が高いじゃねぇか!!さぁ、第2ラウンドと行こうか!!」

 

そう言ってマクバーンも“力”を解放し、レイと同じように赤黒いオーラを纏う。

 

レイ「行くぞ火焔魔神!!」

 

マクバーン「来な迅雷!!」

 

レイ「ハアッ!!」

 

赤黒いオーラを纏った鉤爪を振り下ろすレイだが、マクバーンはいとも簡単に片手で受け止め、鉤爪を止めてない方の手に炎を出現させる

 

マクバーン「くらいな!!カオスフレイム!!」

 

レイ「くっ!!」

 

ゼロ距離で放ったカオスフレイムがレイに命中し炎に包まれる。

 

マクバーン「何だ?もう終わりか?」

 

そう言ってマクバーンは掴んでいたレイの腕を離す。そして腕を離されたレイは地面に落ちるが、すぐに体勢を立て直し、マクバーンに斬りかかった。

 

マクバーン「なにっ!?」

 

間一髪でレイの攻撃を避けたマクバーン。しかし、そんな事より彼はなぜ『ゼロ距離で攻撃を受けたのにレイが無事なのか』が疑問に思っていた。

 

レイ「危ない危ない。間一髪だったぜ。」

 

レイがそう言うと彼の周囲で燃えていたマクバーンの炎が霧散し、炎の中から現れたレイは背中に邪神竜の翼が生えていた

 

そう、彼はマクバーンの炎が直撃する寸前に翼を出して結界を展開し、マクバーンの炎を防いでいたのだ。そしてそれを見たマクバーンは……

 

マクバーン「ククク……クハハハハハ!!まさかここまでとはな!!俺の炎を受け止めた奴なんざ、〈氷姫〉と〈鋼〉しかいなかったのによ!!やっぱお前は最高だぜ!!」

 

レイ「そりゃどうも。だがそろそろ決着といこう。早く甲板に行って仲間達と合流したいからな。」

 

そう言ってレイはSクラフトを放つ為の構えを取る。

 

マクバーン「ククク。」

 

そしてマクバーンの方も同じくSクラフトを放つ為の構えを取った。

 

2人「オォォォォォッ!!!」

 

2人が真正面からSクラフトを放とうとした時、2人の間に転位陣が出現し光が収まると大剣を持った男性が現れ、2人はSクラフトを放つを中断した

 

レイ「ヴィクター殿!?」

 

ヴィクター「久しぶりだなレイ。無事で何よりだ。」

 

マクバーン「ほう~、あんたが〈光の剣匠〉ヴィクター・S・アルゼイドか。」

 

ヴィクター「そなたが結社で三軍神の1人に数えられている〈火焔魔神〉だな?悪いがこの戦いはここまでだ。もし、まだやると言うのなら私が相手をするが?」

 

そう言って〈宝剣ガランシャール〉の切っ先をマクバーンに向けて話すヴィクター。しかし、マクバーンはそれに怯む事なく軽く笑って一言

 

マクバーン「まぁ、今回はここまでで良いか。迅雷が俺や〈鋼〉に並ぶと分かっただけで十分だしな。だが、次はその〈邪竜吼〉を全開で挑んできな。そうすればもっと面白くなりそうだからな。」

 

レイ「それはお前も同じだと思うがな。さっきの〈火焔魔神〉状態だって本気じゃなかっただろ?」

 

マクバーン「まぁな。」

 

ヴィクター「行くぞレイ。」

 

ヴィクターがそう言うと2人の足下に転位陣が出現し、2人を包んで消えた。そして残されたマクバーンの元にロヴィーナが現れて一言

 

ロヴィーナ「どうだった?〈迅雷〉は?」

 

マクバーン「ククク、灰の小僧に〈光の剣匠〉と同じように俺をアツくしてくれそうだぜ。まぁ、〈迅雷〉は〈氷姫〉の獲物だからあまり手は出さねぇが。――次会う時が楽しみだぜ。」

 

と獲物を見つけた獰猛な獣のような雰囲気を出していた



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第2章・紅き翼カレイジャス
紅き翼再び


しばらく更新してなくて申し訳ありませんでしたm(__)m

リアルでバイトが忙しいし、そんな中で下書きしなきゃだし、新しいウルトラギャラクシーファイトも見なきゃいけないし(おいっ!)


貴族連合艦〈パンタグリュエル〉からヴィクターと共に転位術で脱出したレイは紅き翼〈カレイジャス〉の甲板に転位した

 

ヴィクター「フム、どうやら〈Ⅶ組〉の面々とは少しずれて転位されたようだな。」

 

レイ「ええ。あいつらの気配は船倉にありますね。」

 

?「レイ兄様ーー!!」

 

レイ「ん?――グハッ!!」

 

〈Ⅶ組〉の気配を感じて油断しきっていたレイの元にミルディーヌが突撃してきた

 

ミルディーヌ「ご無事で良かったですレイ兄様!!レイ兄様に何かあったら私……!!」

 

ヴィクター「あ~、ミルディーヌ嬢。レイは先ほどまで確かに無事であったが今は……」

 

ミルディーヌ「えっ?」

 

レイ「グッ……ウッ……」

 

お腹を押さえて苦しそうにしているレイを見てミルディーヌは慌てる

 

ミルディーヌ「あっ、ごめんなさいレイ兄様!!心配で気が気じゃなかったもので、レイ兄様のご無事な姿を見たらホッとしてつい!!」

 

レイ「ああ……分かってる。確かに心配させてすまなかったな。」

 

ミルディーヌ「本当ですよ!!あっ、忘れない内にこれをお返ししておきますね。」

 

そう言ってミルディーヌがレイに渡してきたのは〈翡翠の騎神スペランザ〉を呼び出す為のブレスレットだった

 

レイ「預かってくれてありがとうな。」

 

ミルディーヌ「でも意外でした。そのブレスレットに〈起動者(ライザー)〉の居場所を探知する機能があるなんて……」

 

ヴィクター「ほう、そうなのか?」

 

レイ「ええ。何かあった時の為に邪神竜とスペランザが作ったらしいですね」

 

ヴィクター「邪神竜か。レグラムでそなたと本気の戦いをした後に出会って以来だが壮健か?」

 

レイ「もちろんです。出てこい邪神竜。」

 

邪神竜「久しいな最強の剣士の1人、〈光の剣匠〉ヴィクター・S・アルゼイドよ。」

 

レイの呼び掛けに答え、邪神竜がヴィクターの前に現れる

 

ヴィクター「ああ、そうだな。ところで素朴な疑問なのだが、邪神竜に名前は無いのか?いつもそなたは彼の事を『邪神竜』としか呼ばないが?」

 

ミルディーヌ「そういえば、私も聞いた事がありませんね。」

 

レイ「いや、というか俺もこいつの名前なんて聞いた事がない。」

 

そう言って3人の視線は邪神竜を捉え、その視線を受けている邪神竜はしばし無言になった後、一言

 

邪神竜「そういえば名乗るのをすっかり忘れていたな。我が名は〈邪神竜ケイオス〉。邪なる(よこしま)神竜なれど光と闇の双方を司る存在なり。」

 

レイ「マジか……」

 

ミルディーヌ「邪神と名乗っているから女神の聖獣クラスの存在とは思っていましたが……」

 

ヴィクター「まさか光と闇を司る存在とはな。」

 

ケイオス「それよりもレイ、〈Ⅶ組〉の仲間の元へ向かわないのか?」

 

レイ「そうだったな。リィン程では無いが、心配かけただろうし。」

 

ヴィクター「では船倉に向かおう。」

 

そしてヴィクター、レイ、ミルディーヌ、ケイオスはブリッジに向かう

 

 

―カレイジャス・船倉

オリヴァルト「いや~レイ君、無事で良かったよ!」

 

レイ「ご心配をおかけしましたオリヴァルト皇子」

 

トヴァル「全く、リィンどころかお前さんまでパンタグリュエルに“招待”されたって聞いた時は焦ったぜ。」

 

レイ「まぁ、結果的には相手の目的も分かり、皇女殿下も救出出来たから良かっ――」

 

クレア「良くないわよレイ。(怒)」

 

レイ・ザギ・カレン「ヒッ!!」

 

背後からの全てを凍てつかさんとする視線にレイと直属の部下であるザギとカレンは悲鳴を上げ、他の者達は体を震わせる

 

そして振り返るとそこには笑顔だが目は笑っていないクレアが腕を組んで立っていた

 

レイ「ねっ、姉さん。た、ただいま帰還しま…した(汗)」

 

クレア「お帰りなさいレイ。それじゃ、報告してもらいましょうか?色々と(怒)」

 

ザギ(ヒィィィッ!!〈氷の乙女(アイス・メイデン)〉がマジギレしたぁぁぁっ!!)

 

カレン(レイ大尉、何とかして下さいよぉぉぉっ!!)

 

レイ(無理!!あの状態の姉さんはいくら俺でもどうする事も出来ない!!)

 

クレア「さあ、来なさい!!」

 

ミルディーヌ「皆さん、御愁傷様です。」

 

クレア「あっ、ミルディーヌさんにも後でお話を聞きますから。」

 

ミルディーヌ「えっ!?」

 

その後、4人はクレアにこってり絞られたのは言うまでもない




いつまでも邪神竜のままだといけないと思い、「ケイオス」という名前をつけました


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