NEXT Rainbow!! (A×K)
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1話

新作!!

虹ヶ咲スクールアイドル編です!!
温めてきたネタをやっと解放できる…!!

なんとなく予測できて人も居たかな?
Aqoursな日々同様こちらも頑張って投稿します!


…そこは…まるで母親の羊水の中のような。

大海原のようなところだった。

 

浮くことも無く…

沈むことも無く…。

 

ただただ、ゆらゆらとさまよってるような感覚だった。

 

(…死の境界線…って、やつか…?)

 

意識はあるような…ないような…。

目は開いている感覚はする。

しかし、周りは真っ暗でどこにいるのかすら分からない。

 

声も出ないし…ただただ自分の中で分かってることは…。

 

(…ドラマとかで言う…生と死の間を…さまよってるのか…)

しかし、自分の中でどこか諦めていた気持ちがあった。

 

(……きっと、もうすぐ…この意識も遠のいて…俺は…)

……あぁ、せっかくなら…みんなの顔を…最後に見たかったな…。

自虐そうに笑う……最期なんてこんなもの、か……と。

 

 

 

「……き……………よ…………」

 

─────声がする。

…生き返れるのか…俺は…………。

…出来ることなら……俺、は………!

 

 

「起きてよ!峻くん!」

「…………………………………」

 

 

見知らぬ天井。

そして知らない部屋と…知らない女の子。

…ここは…どこ、だ…?

 

「……………誰…?」

「もうっ、何を寝ぼけてるの?歩夢だよっ?」

「……あー……」

「朝ごはん出来てるってお母さんが言ってたから…着替えて来てね♪」

「…………うん」

 

そう言うと歩夢という女の子は部屋を出てしまった。

ベットから体を出すと…違和感はすぐに気がついた。

 

明らかに身長は違うし…顔も、力も違う。

携帯を開く。

幸運にもロックの解除はフェイスIDだった。

…多分、パスコードなら分からなかっただろう。

 

自分の連絡帳を開く。

「…宮之原…峻…(みやのはら しゅん)」

こいつの名前はそういう名前なのか。

そして、さっきの子の名前が…上原歩夢、と言うらしい。

 

「…しまった、早く向かわないと」

右も左も分からないまま、部屋を出ることにした。

 

 

────────────────────

 

洗面台にある鏡を見て吃驚した。

「…前髪は目にかかってて暗い印象だし…

何より…体はひょろひょろだし…」

 

髪の毛をおでこの上まであげる。

…普通に髪の毛切ればそこそこ顔は整ってるのに…。

と言っても…この宮之原という男の素性は全く分からない。

 

もちろん、母親と挨拶したが…全く違う人だった。

何が起こっているのか…自分でも分からなかった。

 

 

怪しまれないように、普通に朝ごはんを済ませて上原と言う女の子と学校に向かうことに。

恐らく、この子は…宮之原って奴の幼馴染なのだろう。

 

「…なぁ、歩夢?」

「あっ、歩夢っ!?///」

「……え、なんか変な事言ったか…?」

「う、ううん!なんでもないよ!(…お、おかしいな…峻くん…前までは歩夢ちゃんって呼んでたのに…それに…いつも通りなはずなのに…どこか顔が男らしくなったというか…///)」

 

「……うーん………」

携帯をまた開く。

あの意識が無くなったのが…6月12日だったはず…。

しかし、携帯の日付は4月5日を指していた。

 

「(2ヶ月も違いがある…)…と、すれば…」

検索サイトで…パラレルワールドと検索してみる。

 

【パラレルワールドとかwww】

【厨二乙ww】

【シュタイ〇ズ・ゲートですか?w】

 

掲示板のようなサイトにはそのようなコメントが書かれていた。

…まぁ、そうなるよな。

こんなの漫画の世界だけって思うよな。

 

…しかし、俺は確信が持てた。

今…俺は冴木 悠という意識だが…、宮之原 峻という男の中に居る。

…転生…って、やつか?

………でもまたなんで…。

 

「峻くん、電車来たよ!」

「(ゆりかもめ線…どこに向かうんだ…お台場、か?

…まぁ、善子達と行ったから土地勘はあるけど…)あぁ、乗ろう」

 

電車の中でも、検索を続ける。

冴木 悠という男。

そして、あの日に死亡した…または事件事故にあった人。

…しかし、全然ヒットしなかった。

 

(そもそも…俺という存在が…無い…?)

つまり…俺がこの姿のままで…Aqoursのみんなと会っても…誰?となるということだ。

…それって…残酷すぎないか…。

 

「峻くん?降りるよ?」

「あぁ、分かった」

 

 

電車を降りて歩くこと数分…。

大きな建物の前に着いた。

 

「(これ…学校か…?)…虹ヶ咲…学園」

見た目は…まんま東京ビッ〇サイト……。

 

 

 

 

 

しかし、校舎の前には虹ヶ咲学園と書かれていた。

(俺…一体どうなっちまうんだ…?)

 

 

ただただ…校舎の前で立ち尽くす俺だった…。




今回はこの辺で!
次回から色々出てきます!!

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2話

さっそくお気に入り登録ありがとうございます!!

虹ヶ咲学園スクールアイドルのライブの日に投稿できたのは…たまたまです!!!←


授業中、俺はノートを取らずに

今起きてる事と分かってる事を書き留めた。

 

自分の名前 宮之原 峻

年齢 高2(17)

部活は何も入ってない。

 

Aqoursの皆は冴木 悠と言う男の存在を知らない。

あの事故の2ヶ月前に遡っている。

そもそも、あの事件のことが公にされていない。

 

(…つまり…2ヶ月後に何か起こるってことか…?)

 

「峻くん、峻くんっ」

隣の席の歩夢が突っついてくる。

 

「どうした?」

「ノート…取らなくて大丈夫なの?」

「ああ、予習してきたから大丈夫」

「そ、そうなんだ…(勉強…苦手なはずだったのに…予習なんて珍しいな…)」

 

…そもそも、今やってるのは高校2年生の授業。

意識的には高校3年生に上がった俺には…既にやってる事の繰り返しである。

 

教える順番や内容にあまり遜色は無い。

それよりも今自分の身に起きてる事の方が大事である。

 

 

 

────────────────────

 

 

授業後…。

書き留めたメモは多かったが…抜本的な解決には至らなかった。

 

「峻くん、次…体育だよ?」

「とと…そうだったな…」

 

周りを見ると明らかに少ない男子生徒の後を着いていく。

…まあ、浦の星に比べたら全然良いけどな…。

 

 

体操着に着替えると…さらに違和感を覚える。

(身長は俺よりも少し低いけど…それだけで感覚はこんなにも変わるのか…)

 

ちなみに今日の体育はソフトボールらしい。

さっき男子生徒が話していた。

 

 

 

グラウンドに出て真っ先に体を動かす。

…これならできるかな?

 

「…よっ…」

その場でバク転をしてみる。

…そう言えば、MIRACLE WAVE以来だなぁ…。

 

「…峻くん…いつの間にそんなことできるように…?」

心配そうに歩夢が見つめる。

 

「……んー…イメチェン?

というか…高校生デビュー?」

「もう高校生2年生だけど…

と言うか、そんなことしてたら…また''目を付けられちゃうよ?''」

 

「…?」

この時、歩夢が言ってた言葉の意味が俺にはわからなかった。

 

 

【峻~打てるのか~?】

【ちゃんとボール見て振れよ~】

 

ギャハハと数少ない男子生徒達が笑う。

…なるほどね。

まぁ、こんな容姿だし…納得いく部分もある。

 

 

「ほっ…!」

快音残してボールはグングンと伸びていき…7メートルはあるだろうか防護用のネットの真ん中辺りまで飛んだ。

 

「はは、もう少し筋力あれば越えてたのになぁ」

【……】

【…すげー……】

 

「…しゅ、峻くん…まるで別人みたい…」

楽しそうに体育を受ける峻を見て、歩夢が思わずそう呟いた。

 

 

───────────────────

 

「峻くんっ、帰りに出掛けない?」

放課後、歩夢が遊びに誘ってきた。

 

「いいよ、どこに行くのかな?」

「新宿!…ほら、この前お揃いのパスケース…探しに行こうって約束したし…」

「…ん、そうだな…じゃあ、行こうか!」

 

心の中で、歩夢に謝りつつ…俺は歩夢と一緒に新宿に向かった。

 

 

 

着いてからは、これといった事も無く…2人でパスケースを選んで買ったくらいだ。

 

「良いパスケース、見つけて良かったね♪」

「ああ、大事に使わないとな」

 

その時、通行人が何かを食い入るように見ていた。

「あっ…何かやってるのかな?」

「都会だしな、有名人が何か──────────」

 

見た瞬間、俺は言葉を失った。

そこに映っていたのは…何度も声を聞いた……あの子だった。

 

【皆さん、こんにちは!

スクールアイドル Aqoursの…高海千歌です!】

(千歌…っ…!)

 

それだけでは終わらなかった。

他のメンバーもしっかり映っていた。

しかし、さらに驚く事が…。

 

【そして、スクールアイドル μ'sの高坂穂乃果です!】

(えっ…穂乃果…さん…?)

 

そこには…同じような衣装を着たAqoursとμ'sのメンバーが…映っていた。

 

【今日は、今度開催される…スクールアイドルフェスティバルのお知らせをしに来ました!】

「スクールアイドル…フェスティバル…」

 

もちろん、初耳だった。

そんなイベントがあるなんて全く知らなかった。

…いや、知らされてない?

…まさか…千歌に限ってそんなこと……それに、μ'sの人たちも…。

 

(……ああ、そうか…)

俺はこのイベントに…この子達に…何も携わってない、のか…。

 

そう思うと…どこか、距離が遠く感じてしまった。

たくさん話して、たくさんの道のりを歩いて…一緒に頑張ってきたことが…全く覚えてない。

それがどんなに辛いことか…。

 

 

(……っ…………)

逃げ出したくなった。

…だけど、彼女達は悪くない。

そして、庇う訳では無い、が…俺自身も…悪くない。

 

「…峻くん、すごい見てるけど…ああいうの…興味、あるの…?」

不安そうな顔で歩夢が覗き込む。

 

「…あぁ、なんでか知らないけど…すっごく…無視できないって言うか…頭から離れないって言うか…」

「…ふふっ、虹ヶ咲学園にもあるかもね、スクールアイドル部♪」

 

その言葉に俺は我に返った。

たとえ相手が何も覚えてなくても…伝えられることは、あるのじゃないか、と。

そう思うと居てもたってもいられなかった。

 

「…歩夢」

「ん…なぁに?」

「俺…他の人達にも誇れるくらいの…スクールアイドルを虹ヶ咲学園から…届けたい!」

「…うんっ♪

私は…峻くんのすることなら、何でも応援するよ♪」

 

こうして、俺のスクールアイドル部活動という目標が密かにスタートしようとしていた。

 

 

 

「…峻くんがアイドルする訳では…無いよね?」

「…一応、雑務中心ってことにして…」




次回はあの子が出てきますよ!


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3話

虹ヶ咲学園スクールアイドルのアニメ化だああああ!

すごい…いや、なんかもう…すごい…!

そして作者は17日・18日と沼津でパワー貰ってきます。


【放課後】

 

そんなこんなで虹ヶ咲学園でのスクールアイドル部の捜索が始まった。

 

「峻くん、私も何か手伝おうか?♪」

「いや、大丈夫だよ。

自分で決めたことだし…それに歩夢今日は日直だろ?」

「あっ…そうだった…じゃあ、終わったら向かうね!」

「ああ、連絡くれよ」

 

そう言って俺は自分の居た教室を後にした。

 

 

 

──────────────────

 

しかし、すぐに困難に直面した。

 

「…いっけね、部室棟ってどこだ…?」

ただでさえだだっ広い学園内。

そんでもって右も左も分からない状態の俺。

 

…無理もないよなぁ…この学園に通って(悠として)一週間経ってないんだもんなぁ。

 

部室棟…部室棟…あ、ここかな?

 

「うげぇー……何個部活あるんだ…?」

野球、サッカー、ハンドボール、バレーボール、バスケットボール、剣道、卓球………………挙げるとキリがない…。

 

 

「えっーーーと…スクールアイドル…スクール……あっ…」

 

ドンっと何かにぶつかった音がした。

目線を前に戻すと女の子にぶつかっていた。

 

「おっと…すまない、前方不注意だった」

「もーっ!危ないですよ~!」

 

背のちっこい女の子がぷんぷんと怒っていた。

「ごめんごめん…どこか怪我しちゃった?」

「怪我はしてませんけど~…かすみんのチャーミングな顔に傷がついたらど~するんですかっ!」

 

……んん??

この子は……''そういう子''か?

 

「…えーーっと…ごめん、許してくれ…」

「まぁ、かすみんみたいなキュートで可愛いアイドルに見とれてたんですよね~♪

分かりますよ~♪そんな照れなくても~♪」

 

「あ、あはは……前を見てなかったんだけ………えっ?」

 

アイドル?………まさか…?

 

「…えっと…アイドルっていうのは…もしかして…」

「はいっ、もちろんスクールアイドルの事ですよ♪」

「…そう!スクールアイドル!」

「え、ええっ…!?」

 

びっくりしたような恥ずかしそうな顔を浮かべる女の子。

 

「俺、スクールアイドル部を探してたの!」

「……え、貴方が…?」

 

じーーーーっと怪訝な目でこちらを見てくる。

しまった、完全に怪しまれた…。

 

「えっとですね、スクールアイドルっていうのは基本的に女の子が……って、男の人のスクールアイドルもいるかもしれませんが……怪しいですね…」

「あ、いや、違うの!…スクールアイドルをしたいんじゃなくて…その…サポートをしたいというか…」

 

「…んー、マネージャーってところですか?」

「まぁ…そんなところ?」

 

そう言うと女の子の表情が少し緩む。

「わぁ~♪かすみんにマネージャーができちゃいました~♪」

「あ、あはは…君専属のマネージャーになったわけでは…」

 

「…でも、ごめんなさい

スクールアイドル…''同好会なんです''」

「…………えっ?」

「あっ、自己紹介がまだでしたね。

1年の中須かすみって言います♪かすみんって呼んでくださいね♪」

「えっと…2年の宮之原 峻」

「じゃあ、宮之原先輩ですねっ♪

…実は、あと一ヶ月後に…スクールアイドル同好会はワンダーフォーゲル部に部室を明け渡す事になっていて…」

 

 

…ワンダーフォーゲル?

何だそれ?あれか、お水を1リットル買うことに海外に10リットル送られるって…あれはボ〇ビックか。

 

「な、なんでそんなことに!?」

「い、色々あって…今はかすみんだけが部員なのです…」

「…そ、そんな……」

 

「あっ、峻くん~っ!」

日直の仕事が終わったのか、歩夢が部室棟に到着した。

 

「見つかった?スクールアイドル部」

「…えっと……」

「スクールアイドル…同好会です…」

 

「あれっ、この子は?」

「あっ、1年の中須かすみって言います♪」

「私は2年の上原歩夢、よろしくねっ」

「じゃあ、歩夢先輩ですねっ♪」

 

あれ、下の名前?

俺信頼されてない?

 

「…実は…………」

歩夢にさっきまでしていた話を話した。

 

 

 

「ええっ、スクールアイドル同好会…無くなっちゃうの?!」

「このまま…だとな」

「うぅ…かすみん…そんなの嫌です…」

「…だな…出来ること、とすれば…」

 

「…?

峻くん、なにかアイデアがあるの?」

「あるっちゃある」

「本当ですか!宮之原先輩っ!」

 

「善は急げだな…よしっ、行くか」

考えを決め、数歩先を歩こうとしたら…。

 

「先輩、そっち空き校舎ですよ!!」

「しゅ、峻くん…?」

「…あはは…失敗失敗…」

 

 

学園内も場所も覚えないとなぁ…。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

やってきたのは生徒会長室。

 

「案内してくれって言うからまさかとは思いましたけど…」

「峻くん、生徒会長室知らなかったんだ…」

 

「うぐっ…立ち寄ることなんかないからな…」

「それで、どうするつもりなんですか?」

「''直談判!!''」

 

「「えぇ~!?」」

2人の驚きを他所に俺は生徒会長室のドアをノックする。

 

【どうぞ】

「失礼します!」

 

「あ、ちょ、先輩!」

「峻くん、待ってよ~っ!」

 

 

中に入ると、後ろ姿で立っている人物が1人。

 

「…貴方は…」

「2年の、さえ…じゃ無かった」

「宮之原 峻さん…ですね?」

 

「…えっ、あ、はい…」

自分の失言と生徒会長の食い気味の返答に思わず面をくらってしまった

 

「あの生徒会長、学園内の生徒の名前と顔を覚えてるんですよ」

耳打ちをする中須さん。

 

「まじかよっ、漫画みたいな設定かよ!?」

「…あの、漫画では無いのですが」

「あ、すいません、失言でした…」

 

コホンと咳払いをし、話が再開された。

 

「…それで、今日はどのような要件で?」

「スクールアイドル同好会の明け渡し期限を延期してください」

 

「それは出来かねます」

…やっぱな、でもそんなん想定済み…。

 

「なら、どうしたら…認めて貰えますか?」

「そうですね…''10人''部員が集まったら…認めましょうか」

 

「じゅ、10人ですか!?」

驚いた声を上げたのは中須さんだった。

 

「…そ、そんなっ…5人じゃダメなんですか…っ?」

歩夢も慌ててフォローをする。

 

「そ、それに…っ…今はお休みをしている部員だって…せつ菜さんだって…!」

「…せつ菜…?」

「あっ、はい…!

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の中でも…群を抜いて実績のある…っ」

 

「その優木せつ菜が、同好会に亀裂を生んだのですよ…!!」

バンっと机を叩く生徒会長。

怒り方からして、当時は余程のことがあったのだろう。

 

「た、確かに…あの時はそうでしたが…今は…違…い…っ」

ぐっと力こぶを作り、涙を堪える中須さん。

…ダメだな、見てらんねーや…。

 

「…くっ…くくくっ…あっはははっ…!!」

突然笑いだした俺には3人が困惑の表情を浮かべる。

 

 

(部員10人だってよ…っ…千歌が聞いたらなんて顔するだろうなぁ…っ!

知らない場所に来てまでこんな事になるなんて…くくっ…笑っちまうな…!)

「な、なんですか、急に笑ったりして…っ

要件は──────────」

「分かりました、集めますよ10人…1ヶ月でね」

 

「なっ……!!」

「宮之原先輩………」

「峻くん…」

 

「で、出来もしないことを言うものでは…!!」

「出来るか出来ないか…じゃなくて、やってみるかどうかですよ

…俺は、できると信じてこの言葉を言っています。

何事も、やって見なければ分からない

問題を一つ一つ解決すれば…絶対に上手くいく、と」

 

…あぁ、そう言えば…千歌も昔…こんな事言っていた…な。

 

「…っ…分かり、ました…」

そんな馬鹿な…みたいな顔で俯く生徒会長。

 

「すいません、長々と……失礼します

行こう、中須さん、歩夢」

 

「あっ、先輩っ!」

「ま、待ってよっ!」

 

 

(そんな……そんなこと…あるわけ……)

最後まで…生徒会長が顔を上げることはなかった。

 

 

 

──────────────────

 

 

「本気ですか、先輩!?」

「出来もしないことを軽はずみになんか言わないよ、俺は」

「で、でも10人なんて…っ!」

 

「いや、1人は居るじゃん?」

「……え?」

 

向けられた目線に歩夢が思わず口元をぴくぴくと動かす。

「わ、私には無理だよ…っ!」

「歩夢先輩~…かすみんの為だと思って…助けてください~…」

泣きつく中須さん。

それを見て助けを求める歩夢。

 

 

「中須さんの為…なのかはそれとして…

俺は見てみたいよ、歩夢がスクールアイドルとして…輝いてる姿……なんなら、1番近くで」

「しゅ、峻くん…っ…///

…もぉ…しょうがないなぁ…出来るか不安だけど、峻くんの言う通り…やって見なきゃ分からないもんねっ」

 

「えっ、ホントですか!?」

「うんっ、色々教えてね、かすみちゃん!♪」

「わぁああ~っ…ホントに部員が増えました~…♪」

 

 

 

 

 

 

抱き着く中須さんとそれを宥める歩夢。

…良かった、とりあえずこれで2人、だな。

 

 

…あと8人か……。




このお話を書いてる時に彼方ちゃんのお誕生日通知が来て

うぉおおっ…ってなりました笑

スクスタとはまた違ったお話展開にしていきたいと思ってます!

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4話

無事、沼津聖地巡礼2日間の旅から……堕天!!(帰還)

びゅうお行ったり
スタンプ集めたり沼津バーガー食べたり大変充実した2日間でした。

…さぁ、明日から7連勤だ(白目)


「えっ…ええええー!?」

 

それは歩夢も悲鳴にも近い叫び声から始まった朝の事。

 

「しゅ、峻くん…その髪…どうしたの!?」

「えっ…ああ、切りに行った、昨日」

「昨日行ったの…?」

 

それは遡ること昨日の事。

いい加減この髪の毛に慣れないって言うのもあり、美容院に行った。

……まぁ、峻本人がどう言うかは分からないが自分がやってたヘアースタイルに変更した。

この方が落ち着くんだよな…。

 

「…変だったか?」

「う、ううん!むしろかっこいいよ!

…ただー…皆が珍しそうな顔で見てるから…」

 

通学路で会う人達が確かにこちらを何回か見てくる。

…そんなにイメージ変わっただろうか?

 

「(しゅ、峻くん…髪型変えるだけで…こんなかっこいい人になるなんて…ああ、目なんか見て話せないよ~…///)…きょ、今日はスクールアイドル同好会に行くんだよね?」

「ああ、放課後な…具体的な案を出さないといけないし」

「うんっ、じゃあ…放課後向かおうねっ♪」

「…なんで歩夢はあっち向きながら話してんの?」

「い、いいから!///」

 

その後、歩夢は授業中も昼飯の時も…顔を合わせてくれなかった。

(……なんか怒らせるようなことしちゃったかな…)

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

【放課後】

 

俺と歩夢はスクールアイドル同好会の部室の前にいた。

「おつかれーっす」

「こ、こんにちは~…」

 

「あっ、やっと来てくれました~♪

歩夢先輩と、宮之……うええええっ!?」

「元気なやつだな…」

「だ、だだだ、だって、宮之原先輩…その髪型!!」

「…変か?」

「…あ、いえ…変では…ないです…」

頬を掻きながら答える中須さん。

…と言うか、堅苦しいのは苦手なんだよな…。

 

「(怒られたら直せばいいか)…よし、かすみちゃん」

「は、はいっっっっ!?!?!?///」

後ずさりしながら壁にもたれ掛かるかすみちゃん。

 

「…どうしたの?」

「あ、いえっ、な、なにもっ!!///」

見かねたのか、歩夢が近づく。

 

「か、かすみちゃん…大丈夫?(ごめんね…なんか峻くん…高校生デビューっていって…イメージがガラッと変わっちゃって…)」

(変わりすぎにも程がありますよっ!…あ、あの眼差しは…正直…反則と言いますか…)

(うん…私も…そう思うよ…///)

 

「…なーに2人でこそこそ話してんの…早速具体的な案を出していくよ」

「う、うんっ!」

「は、はいっ!」

 

どこか落ち着かない2人と作戦会議を始めるのであった。

 

 

「…よし、まずは…このスクールアイドル同好会には、かすみちゃんの他に4人、居たんだよね部員が」

「は、はいっ…そうです」

「詳しく聞かせてもらえるかな?」

「…え、えっと…かすみんの他に居たのは…生徒会長の前でも言ってましたが、優木せつ菜と言う部員と

他の高校から転入して来た、桜坂しずく・近江彼方・エマ・ヴェルデの3人です」

 

「…優木せつ菜って人のことはちょっと分かったけど…他の3人は初めて聞く名前だな…」

「来なくなったのは…喧嘩とかしちゃったの?」

「あ、いえ…むしろ喧嘩なんかしないくらい仲は良かったんですよ?」

 

「ん、じゃあ……なんでこんな状態に?」

「''方向性の違い''というもの…でしょうか」

 

方向性…か…。

 

「みんな、ライブに取り入れたい要素が多くて…まとまりきらなくて…」

「その、優木せつ菜って子は…?

実績があるって言ってたんだし…まとめることも…」

 

「…いえ、むしろ…優木せつ菜先輩が、一番遠慮をしていたと言いますか…」

「…遠慮…?」

 

「…なるほどね」

周りに合わせなきゃいけない自分と、本当にやりたいことが言えないもどかしさと…。

そしていつの間にか消えかかっていたやる気という名の情熱の火が小さくなって言った…って所か。

 

 

「…しっかし、参ったな…」

ここはその前まで入っていた3人に話をするだけしてみるのが手…か?

 

(や、やっぱり…考える姿もかっこいいですね…)

(うん…ホントに別人みたい…)

 

(…こんな時、千歌ならどうする…?)

同じ状況を千歌に置き換えて考えてみる。

…すると、答えは簡単だった。

 

「…よしっ、1人1人話に行ってみるか!」

「え、ええぇ~っ!?」

驚きの声を歩夢が上げる中、直ぐにかすみちゃんが止めた。

 

「そ、そんなの無理に決まってます!

…また、同じことに…」

 

「なるなんて誰が決めたよ?

…それに、ここまで来て…スクールアイドル同好会は潰させない

…かすみちゃん、いっぱい練習してたんだろ?」

 

「…えっ…?」

「足首見れば分かるよ

…それに、そういう手当とか、まとめる人が…必要だろ?」

「…それって…」

 

「……へへっ……ドーンと大舟に乗ったつもりで任せてみてよ!」

 

敬礼ポーズをする。

まるで昔…あの子がしていたように。

 

「宮之原先輩…そんな所まで見てくれて…///」

「ふふっ、確かにそうだね♪

峻くんなら…何かしてくれそうって思ってるよ♪」

 

「おうっ!じゃあまずは桜坂さんから、話に行ってみるか!」

 

その言葉の後俺としずくちゃんと歩夢は部室を後にした。

 

 

─────────────────

 

 

 

着いたのは演劇部の練習場だった。

今は壇上で芝居の練習をしている。

 

 

「本格的だな」

「そりゃ、しず子は役者を目指してますからね」

「…しず子?」

「かすみんが呼んでるあだ名です♪

…というか、なにも部活中ではなくお昼休みとかの方が話を聞いて貰える確率が高いのでは…」

 

「そう言うなって…思い立ったらすぐに行動するのも悪くないよ?」

「そ、そうですけど~…」

「うっ……うぅっ…」

 

「あ、歩夢先輩っ!?…泣いてるんですか?!」

「凄い…凄いよ…あの演技…何度も見てるけど…熱が…感情がここまで伝わってくるみたい…っ…」

 

「(歩夢は感受性豊かだな…)…つまり、スクールアイドルの活動も…演劇部に通ずる…ってところか」

「正解です、宮之原先輩。

…最初はスクールアイドル活動が演劇に役立つんじゃないかって思ってる同好会に入ってくれてたんです」

 

「…じゃあ、早速…」

「でも…しず子は…スクールアイドル同好会ではなく…演劇の方を…っ…!」

「か、かすみちゃんっ…峻くんもう連れてこようと…!」

 

「………えっ…………」

 

目線の先にはこちらに向かってくる宮之原先輩としず子の姿が。

私は咄嗟に後ろを向いた。

 

「…ごめんな、部活動中に…しかも疲れてる中」

「いえ、大丈夫です……かすみさん、同好会以来…ですかね?」

 

そんなに話してなかったのか…この子は。

「ごめん、単刀直入に聞くね……何があったのかな?」

 

「ちょ、先輩…っ!!」

「そ、そういうのは順序が…っ」

 

「回りくどいのは無しだよ…俺は桜坂さんの本音が聞きたいだけ」

「…私も…本当はスクールアイドル活動に打ち込みたかったのです

…スクールアイドルに…憧れていた、ので…」

 

「…でも、そうじゃなくなった原因があった…ってこと?」

「…最初はすごく楽しく活動していました。

自分自身もやり甲斐があって…お芝居にプラスになるような事ばかりでした

…特に、せつ菜さんの演技はすごくて…勉強になることばかりでした」

 

…ここでも出るのか、せつ菜って人。

 

「でも…せつ菜さんが向いてる道に…私は立てなくて…

こうしたい!こうです!って……上手く言えなくて

だから…演劇部で、さらに技術を磨こうと思って…スクールアイドル同好会と距離を置いてしまって…」

 

「そ、それならそうと言ってくれれば…!!」

焦るかすみちゃんを手で制す。

 

「本人も色々考えたり頭の中整理したかったってことだよ

…こっちが無理にどうこうさせようったってこれは本人の問題だからな」

「はい、おっしゃる通りです…私自身も…余裕がなくて…その…ごめんなさい!」

 

「…つまり、スクールアイドルの為に…演技の練習をしていたってこと…だよね?」

「はいっ、それはもちろん」

 

「と言うことだよ、かすみちゃん」

「…えっ……ど、どういうことですか?」

「桜坂さんはスクールアイドルの情熱が無くなった訳じゃない…と言うかスクールアイドルに憧れてここに来たのに無くなると思う?」

 

「…あなたは…面白い人、ですね」

「ああ、宮之原 峻だ。面白い人って認識で覚えてていいよ

…ごめんね、桜坂さん

脅す訳では無い…けど…このままじゃスクールアイドル同好会…無くなるよ」

 

「ええっ…!?…あっ……」

最初は驚いていた桜坂さん。

しかし、なぜそうなっているのかはすぐに分かったようだ。

 

「…その…本当にごめんなさい!」

 

「謝らなくていいよ……ただ、こちらから聞きたいことは1つだけ

…スクールアイドル同好会…戻ってきてくれる、かな」

「…もちろんです!」

 

「ほ、ほんとっ…!?」

「やったねっ、かすみちゃん!」

 

「よっし、交渉成立だなっ

…あー、お礼になるか分からないけど俺も演劇の手伝いしてもいいか?…こういうの俺も好きだから」

「えっ、峻くん…初耳だけど…」

「あれ、言ってなかったっけ?(まさかAqoursの振り付けとかダンスとかやってたとか言えないしな…)」

 

「もちろんですっ!…宮之原さん、ヒロイン向きの顔をしていますし…♪」

 

「「………え?」」

硬直する歩夢とかすみちゃん。

 

「…ま、まぁ…よろしくね、桜坂さん」

「はいっ、こちらこそ…若輩者ですがよろしくお願いします♪」

 

 

 

こうして同好会3人目のメンバーが無事に揃った。




今回の心残りといえば松月に行けなかったことですかね…
定休日とは…。

淡島の周りをぐるっと歩くのは中々無い体験で身も心も沼津に染まりました。
ここでスクスタの主人公は曜ちゃんと青春ヨーソローしたのか…いいなぁ…。

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5話

曜ちゃんのグッズを買いすぎて財布や携帯のキーホルダーの所がなかなか凄いとこになってます。

でも曜ちゃん可愛い!!

合言葉は曜ちゃん可愛い!!

「…これ、虹ヶ咲の物語…だよね?」
「もちろん、Aqoursもμ'sも出てくるよ!」


今日は約束通り、桜坂さんの演劇部の手伝いをしに来た。

 

…部員集めも少し難航してきていた。

心当たりある人も居ない…と言うか、俺は分からないからなぁ…。

 

「お疲れ様、桜坂さん」

「あ、峻さん、待ってましたよ♪」

「…本格だなぁ」

「ええ、今回の演劇はかなり気合を入れているので

…あと、せっかくなんですし…しずく…でいいですよ?」

「ん、本人がそう言うなら…そうするね、しずくちゃん」

「はいっ♪

…それでは、せっかくなんですけど…」

 

演劇の説明を受けようとしたら…思わぬ人物が居た。

 

「あら、こんにちは」

「げっ…生徒会長…」

「げっ…とはなんですか…まぁ、いいでしょう

部員集めは順調ですか?」

 

どうやら、演劇の視察に来たのだろう。

演劇部が気合いが入ってるのも分かる気がする。

 

「えぇ、お陰様で…1ヶ月後、楽しみにしててくださいね」

「……無駄だと、思いますが…」

「無駄かどうかは他人が決める事じゃないですよ

…''無理を押し通せば道理が引っ込む''…ってね?」

「っ……!」

「すいません、お時間取らせて…失礼します」

 

(……そんな、簡単に……っ

貴方は…なんで…そんな自信があるのですか…?)

「あ、峻さん~、説明しますよ~?」

「うん、今行くね」

 

どこか表情が暗くなった生徒会長に会釈をし、その場を後にする。

しずくちゃんによると、今回の演劇は某有名アニメを題材にした内容のようだ。

 

「…峻さんには、ヒロイン役の代役をして欲しいんですっ」

「え…っ、ヒロイン…居ないの?」

「あ、いえ…本来なら居るのですが、今…知恵熱を出してお休み中なんです」

「…だ、大丈夫なのか…それ…」

「台本あるのですが…大丈夫ですか?」

「それってアドリブでもいいの?」

「い、いいですが…難しいですよ…?」

「ううん、そっちの方がやりやすいから」

 

(め、珍しいな…そんな人、初めて見た…)

まぁ、Aqoursのおかげだよな…思えばこんなステージでライブしたし…。

 

「…では、始めますよ…」

壇上に立つ俺としずくちゃん。

…なるほど、相手役はしずくちゃんなのか。

 

「たまには…僕らしくないことをしろ…!!」

「ひっ!?」

 

ガシャンとバインダーが落ちる音が響く。

落とした張本人は…。

 

「し、失礼しました…!」

───生徒会長だった。

慌てながらバインダーを拾い、落ち着きを取り戻す。

 

「…えっと、しずくちゃん…どうだった?」

「えぇ、大丈夫でしたよっ

…むしろ、凄い演技と言いますか…」

 

「…ん?」

「い、いえっ!続きを!」

 

「…ん

…ずっと逃げてきたんだ。

でも、今こそ僕は僕をさらけ出す!」

「峻…私を使って…」

「…しずく……!」

「峻…私はもうあなたの……」

 

「だ、ダメー!!」

中を割って入ったのは生徒会長だった。

 

「こ、こんな内容はいけません!!」

「あぅ…そ、そうですよね…ごめんなさい…」

「…あ、いえ…その、完成度、は…すっごく、高いって…なんと、なく…思ったのですが…」

 

目線を泳がしながら喋る生徒会長。

…こういうものに耐性がないのだろうか?

 

「…でも、確かに峻さんの演技、お上手でしたよ♪」

「あはは、ありがとうね」

「またお願いしても…いいですか?」

「俺で良ければもちろん構わないよ」

「ありがとうございますっ!」

 

「あ、峻くん~」

歩夢が演劇部の練習場に顔を出した。

 

「歩夢?」

「スクールアイドル同好会に入ってくれそうな人、1人見つけたよ!」

 

「ホントに!?」

「うんっ、名前がね──────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 




ギルテ〇クラウンはいいぞ。

善子、梨子、鞠莉が反応しそう…ギルティだけに…!

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6話

「今回は太ももが美味しそうな子です」
「宮之原先輩…なんてことを…」


「やっほ~♪愛さんに何か用かな~?」

「……なぁなぁ、歩夢…マジか?」

 

思わず耳打ちをしてしまう。

 

ド派手な金髪に大きく晒し出してる太もも…。

ゴクリ…JKの太もも……。

 

「……………峻くん?」

「宮之原先輩、さすがのかすみんも~……引きます」

「な、なんのことかなっ?……え、えっと…ゴホン」

 

目の前にいる女の子はニコニコ笑いながら話し出すのを待っている。

 

「宮下さん…だよね、同じクラスの」

「そうだよ~♪

いやぁ、最初誰かと思ったよ~、しゅんしゅん!」

 

「…しゅんしゅん?」

「あ、愛ちゃんはこういう子だからねっ」

 

「…これ、ギャル…だよな?」

「み、見た目だけで凄くいい子だからね!もちろんっ、良い意味でっ」

 

…ならいいんだけどなぁ…。

 

「…えっと、歩夢から話は聞いてる?」

「あー、なんか部活をしようってやつ?」

「そうそう…それ」

「んー、愛さんはこれと言った部活は決めてないんだよなぁ~…楽しければなんでもOK、的な?」

 

「そ、そうなんだ…」

言葉に迷っていると後ろからかすみちゃんにど突かれた。

 

(なに後ずさりしてるんですかっ、ここは押しの一手ですよ!)

(…うぅ、こういう役柄は俺だよな…とほほ…)…1度でいいから、やってみない!?」

 

「えぇ~?でもなぁ…」

「絶対宮下さんならスクールアイドルとして輝けるよ!

俺はその可能性があるって信じてる!」

 

「えっ…ちょっ…君…なかなか押しが強いねぇ~…///」

「あっ…ごめん…つい…」

「んーーーーー……もし合ってなかったら直ぐに辞めちゃうかもよ?」

「構わないよ。

…というか、そんなこと絶対させないけどね」

 

「自信家だなぁ~、分かった!愛さんもいっちょやってやりますか!」

「ほ、ホントですかぁ~っ!?」

 

「嘘はつかないよ、かすかす♪」

「ぎゃあーー!!!なんでそんな呼び方するんですかぁ~!!」

「良かったね、峻くん♪

これであと6人だよっ♪」

 

「あ、そうそうっ…しゅんしゅん、愛さんのことは愛って呼んで、い……

…ん?あと6人って…どゆこと?」

頭にハテナマークが浮かぶ宮下さん。

 

「あぁ…実は、スクールアイドル同好会は部員10人集めないと部として認められないんだ」

「えぇっ、それを早く言ってよ~!

愛さん、そう言うの''闘争心''が燃えて''逃走''したくないって言うか…!」

 

「…?」

「…ぷっ…くくっ…闘争と逃走…愛さんっ…天才…っぷぷっ…あははっ…!!」

 

「…えっと…歩夢?」

「あ…愛ちゃんはこういう…ダジャレ?が好きで…笑いのツボが浅いというか…」

 

「へぇ~…ダジャレ…ねぇ…

…えっと、''愛''さん?…''あい''にく俺にそんなギャグセンスは持ち合わしてな……」

 

「ぷっ……あははっ…!!

しゅんしゅんやる~!♪」

「…えっ?」

「…へへっ、スクールアイドル何だか楽しんでいけそうだよ!」

「…な、なら良かったけど…」

 

(歩夢先輩、今のはウケたって事で良いんですかね…?)

(峻くんは多分…天然で今のを言ったんだと思うよ…ここは合わせていこう…?)

 

「あ、そうだ!…私も1人部員として紹介していいかな?」

「心当たりあるのか?」

「1人ねっ♪

連れてくるよ!」

 

そう言うと愛さんはそのまま教室を後にする。

 

 

「…というか同学年にさん付けもおかしいか」

「なんか…宮之原先輩って…たらしですよね」

「か、かすみちゃん…っ!」

 

「…?

俺は団子はあんこの方が好きだけど…」

「はぁあああー……」

「あ、あはは…峻くんはこういうとこあるから…」

 

 

「連れてきたよー!!」

グイグイと引っ張られて来たのはピンクのパーカーを着た……仮面???

 

「えっと…ウケ狙い?」

「違う違う、この子人見知りでこういうスタイルで話をしてるの」

「…マジ?」

「マジマジ♪…私も最初は驚いたんだけどねぇ~♪

あ、因みにこの''アイ''デアを出したのは''愛''さんだよっ♪」

 

…2つのワードを強調したのはダジャレに掛けたからだろうか…?

 

「…えっと、名前は?」

「あっ…私、天王寺璃奈…1年」

 

1年生ということは、しずくちゃんとかすみちゃんと同学年か。

 

「あー…かすみんも見た事ありますよ

最初は奇抜な子がいるなぁって思ってましたが…」

 

「その仮面は…?」

「璃奈ちゃんボード……''きらんっ''」

「…お、おう…」

 

しまった、面を喰らいすぎて言葉が出てこない。

Aqoursにはいなかったタイプだな……いや、愛さんもだけど。

 

「…えっと、話は聞いてる?」

「うん、愛さんから聞いた

愛さんと一緒なら…してみたい、かも」

 

「ホントに!?」

「でも、最初は分からないことだらけだから…色々…聞いちゃう…かも」

「それは構わないよ……歌って踊る時も…それをするの?」

「…そ、そのつもり……璃奈ちゃんボード…''むむむ…''」

 

…これは前途多難…だけど、部員数には変えられないな。

 

「分かった、よろしくな……えっと…」

「璃奈、でいいよ」

「OK、よろしくな、璃奈ちゃん」

 

 

 

 

こうして、歩夢の心当たりのある愛さんこと、宮下愛。

そして愛さんが入ってくれるかもと話してた天王寺璃奈と2人の部員を入部させることが出来た。




次回は少しスクスタのお話とはズレます!
歩夢ちゃんが何やらアプローチを…???


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7話

URの限界突破させたい…
しかしスクールアイドルの輝きが…(((


【歩夢 視点】

 

【土曜日の朝】

 

 

「おはようございます♪」

 

いつもの時間、私は幼馴染の峻くんの家に来ていた。

特に用事はなかったんだけど……。

 

「あら?歩夢ちゃん…今日は土曜日よ?」

「はいっ、峻くんに用があって…峻くんは?」

 

「まだ寝てるけど…大丈夫かしら?」

「分かりました、起こしてきますね♪」

 

パタパタと峻くんの部屋に向かう私であった。

 

 

 

 

 

「…あらあら、青春かしらねぇ…」

 

 

 

────────────────────

 

 

「おーい、峻くん…??」

部屋から顔を覗かせる。

すやすやと寝息を立てている峻くんが居た。

 

「ふふっ、寝てる…♪」

こっそりと寝顔を見てみる。

 

(…こうして見てると…ホントに逞しくなった顔つきになったなぁ……ほっぺは柔らかいままだけど…♪)

 

ツンツンと頬を突っついてみる。

もちろん、本人は起きる様子はない。

 

(……峻くん…の顔…もっと近くで見ても…いい、かなぁ…?///)

吸い込まれるように顔を近付ける。

…もう、少しで……唇がくっつきそうになる……///

 

その時だった。

 

「うぅーーーん……タスマニアデビル~…!!…みたいな…デビルガンダム…ぅ…zzz」

 

「ひ、ひやぁっ…!///」

いきなりの寝言にびっくりして尻もちをついてしまった。

…で、デビル……?

 

(何の夢を見てるんだろう…)

じーーーっと見つめてみる。

ま、まだ峻くんは寝てる………の、かな…っ?

 

 

(…起こしちゃ…ダメかなぁ…)

ホントに用はなかったんだけど…。

ただ…峻くんの顔が見たかったって言うか…。

って、私何言ってるんだろ…!

 

「(そ、そろそろ起こそうかな…!)…峻くん~…?」

ユサユサと身体を揺らしていると…。

 

 

「うぅーん…νガンダムは…伊達じゃ…なぁい……」

「わ、わわっ…!///」

 

腕を引っ張られて…そのまま、私もベットに…。

結果、峻くんに抱きしめられるような形になった。

 

「(う、ううぅ…顔が近いし…色々…当たる…///)…峻くん…っ…起きて~…!」

「…へへへ~…ぁ…」

「ど、どこ触って…っ///」

 

「爆熱…ゴッドフィンガー…~…ぁ」

「こ、こ~らぁ~…!!///」

 

ジタバタ動くと流石に峻くんもまぶたを少し開いた。

 

「…んぁ…………あ…?

…歩…………夢…?」

「……は、離して…くれる…?///」

「う、うえええええ!?

ご、ごめん!!!??」

 

急いで私を離す峻くん。

…でも、少し寂しい様な気がしたのは…気のせいかな…?

 

「えっ…あ、お、俺一体…?」

「もう…起こしに来たのに…急に引っ張ってきたんだよ?」

「…うわ、マジか…ごめん、歩夢…」

「…べ、べつに大丈夫だったけど…///」

 

「…それで、なんの要件だったんだ?」

「おでかけしよ!」

「…おでかけ?」

 

「うんっ!…あ、もしかして…急すぎたかな…?」

「ううん、せっかくの休みだしな

一緒におでかけしようか、着替えるから待ってて?」

「うんっ、待ってるね♪」

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

「ふふっ、峻くん相変わらず朝弱いのは変わらないね♪」

「えっ?……あぁ、こればっかりはね…(そっか、今はあくまでも宮之原 峻のつもりでいかなきゃダメなのか…危うく忘れるところだった)」

 

「峻くんはどこか行きたい場所ある?」

「んー、これと言ってないし…どこかブラブラ散策する?」

「そうだね、そうしよっか♪」

 

 

しばらくして、俺と歩夢は街を散策し、買い物と食べ歩きを楽しんだ。

 

「あ、峻くんっ何か飲む?」

「そうだな、少し歩き回ったから休憩しようか」

「うんっ、じゃあ飲み物買ってくるね♪」

 

そう言うと歩夢は飲み物を買いに行った。

「…アイツは絶対に良妻になるな…」

 

ふふっ、と1人微笑むと前から1人の女の子が走ってきた。

 

(うっわ、すごい派手な格好…アイドルか?)

赤を基調とした服を着た女の子がどんどんとこっちに向かって…。

 

(えっ、俺の方に向かってきてる?)

しかし、その目の前で……。

 

「いたっ…!!」

───────コケた。

 

そして、その女の子の後ろからは多数の男が追いかけていた。

 

「(何かただ事じゃないな)…君、立てる?」

「えっ……あっ、すいません…っ…助けてください…っ!」

「うん、言わなくてもただ事じゃないのは分かるよ…とりあえず……こっち!」

物陰に女の子を隠し自分の体で壁を作る。

…格好的には抱きしめるような格好にはなってしまったが。

 

「…あれ、何?」

「…追っかけと言うか…なんというか…」

「追っかけ?…って事は君は…?」

「あっ、いけない…ライブの時間に遅れちゃう…っ!」

 

「(ライブ…やっぱりアイドルなのかな、年はおなじくらいに見えるけど)…この裏の道から行けば多分さっきの男たちには会わないで抜けられるよ」

「あ、ありがとうございますっ!

なんのお礼もできなくてすいません…っ…!」

 

ぺこりとお辞儀をして立ち去ろうとする女の子を呼び止める。

「待って!」

「えっ…?」

「…じっとしてて」

 

財布から絆創膏を出す。

こういう時があるかもと俺はいつも持ち歩いてる。

 

「…膝、擦りむいてる」

「こ、これくらい大丈夫ですっ!」

「こら、女の子がそんな事言わないの…あんまりひどくは無いけど…放っておくのはいけないよ」

 

「…あ、ありがとうございます…っ」

「ん、ライブ…?…頑張ってね」

「は、はいっ!!」

 

そう言うと女の子は立ち去った。

 

 

「…あ、いけね、名前聞いてなかった」

「あ、峻くんやっと見つけた~…もー、どこに行ってたの?」

「いや、男どもに追われていた」

 

「えっ!?……え?」

飲み物を持ちながら首を傾げる歩夢だった。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「ふぅ…どうにかライブ会場には間に合いました…」

 

怪我をした場所を見る。

ライブの時はテーピングで隠さないと…。

 

(あの人…スクールアイドル同好会を復活させるって言ってた…宮之原さん、ですよね…まさかこんな所で会うなんて…)

 

【女の子がそんな事言わないの】

(うぅ、やっぱりあの笑顔と言い方は…反則です…)

 

1人、顔を赤くして先程の出来事を思い出す女の子だった。




潜 影 蛇 手


(特に意味はない)


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8話

スーパーに買い物に行くと、お正月の曲が流れるようになってきました。

【お正月には鞠ついて】って歌詞が【お正月には鞠莉突いて】に聞こえてしまう私は多分AqoursのR版小説に毒されています。


【朝 授業前】

 

「なんだかんだ言って…集まってきたね」

 

「最初はどうなるかと思ったけど…良かった~…♪」

「これも歩夢のおかげだよ、ありがとうね」

 

「ひゃっ…!?///

しゅ、峻くん…っ???///」

「あ、悪い…っ!!!」

 

昔の癖でつい頭を撫でちゃった…。

「あー!歩夢先輩だけずるいです~!

峻先輩っ、かすみんにもしてください~!」

「わ、分かった分かった!ちゃんとするから!」

 

…ん?

今かすみちゃん…峻先輩って言った気が…。

 

「そ、それより!…今日は近江さん?を呼び戻すんだよね?」

「ええ、放課後そのようになっていますよ♪」

 

こうしてみると…しずくちゃん、秘書みたいな役職になってるような気が…。

「?

…どうか、しました…?///」

顔を赤くして持っていたファイルで顔を半分隠すしずくちゃん。

 

「な、なんでもっ…!!」

気まずくなって俺も目を逸らす。

 

 

「むー…峻先輩のバカ……」

「じゃ、じゃあしずくちゃん、かすみちゃん…また放課後ね?」

「分かりました、歩夢さん」

「峻先輩~!ちゃんと約束覚えててくださいね~!」

「わ、分かったから!」

 

 

──────────────────

 

 

 

 

【昼休み】

 

「ふあぁ……」

「眠そうだね、峻くん」

「ん、なんだか最近寝付けなくてな…」

 

Aqoursのみんなと過ごした日々が夢に出てくる……

………なんて、言えないしな…。

 

「悪い、中庭で少し寝てくるわ」

「うんっ♪起こしに行くよ~♪」

「すまん、ありがとうな」

「ううん、大丈夫だよ♪」

 

 

 

そして、教室を出て1人中庭で横になる。

 

(ん……太陽の光が心地いい…)

ここ最近の生活にも慣れてきた。

…とはいえ、まだ解決しなきゃいけない問題も多々あるが…。

 

(気は乗らないけど…1回、沼津に……Aqoursのみんな、に…………会い……いか……)

 

そのまま俺は眠りについた。

 

 

 

 

【15分後】

 

 

(ん、んん…っ…歩夢が起こしに来ないってことはそんなに時間は経ってないって事か…)

 

体を起こそうとした時…何かが乗ってる。

 

(なんだ…よ…………って…!?)

ひ、人の頭!?

…いや、よく見たら…女の子が俺の腹を枕にぐっすりと寝ていた。

 

「すや……すやぁ…」

(…えっ、なんて状況…?)

 

知らない女の子が

俺のお腹の上で

ぐっすりと寝息を立ててる?

しかも制服を掴んだまま?

 

「あ、あの~…」

「むにゃ……っ…ん~…っ…???」

 

肩をトントンとすると、女の子は瞼を開いた。

 

「あれ…彼方ちゃん…ここで寝ちゃってたのか~…」

「ね、寝ちゃってたのか~って……」

「む~…ここ、彼方ちゃんのお気に入りお昼寝スポットなのに~……先客がいるなんて初めてだぞ~…?」

 

「…あ、そう、なの…?」

「その姿見てたら~…なんだか寝やすそうなお腹だったから……枕にしちゃった~…♪」

「しちゃった~…って」

「あっ……もしかして君…怒ってる…?」

「いや、怒ってないよ…ビックリはしたけど…」

「ふふっ…なら良かった~…

あっ、私…近江 彼方…3年生~…♪」

「せ、先輩なのっ!?…えっと、宮之原 峻…2年です」

「お~…宮之原くんかぁ~…お昼寝仲間として良い友達になれそうだよ~♪」

 

「あ、ありがとうございます……って、近江……彼方…

…も、もしかして──────────」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

「やっほ~、お久しぶりだね~しずくちゃん~♪」

「彼方さん、お久しぶりです♪」

 

「しゅ、峻先輩…どうやって彼方先輩を…っ!?」

「えっと…枕にされて?」

「……え?」

 

「そ、それでね!彼方さん!」

「彼方ちゃんでいいよ~♪…要件は言わなくても分かってるよ~…」

「じゃ、じゃあ…!」

「でも、彼方ちゃん……今は無理って言うか~…ピンチというか…」

「…どういう事?」

「テストが~……酷い点数で~…主に数学…」

 

つまり勉学に励みたいってことか。

(これは……流石に攻めあぐねるな…無理強いも出来ないし…)

 

「あっ、私は理数系専攻してるから教えよっか!?♪」

「璃奈も…理数系…」

 

「むむっ、それは本当か~い…?」

「…それなら…戻ってこれる?」

「教えてくれる人がいるなら彼方ちゃん、心強いよ~♪

…まぁ、元々…スクールアイドル同好会は抜ける気は無かったしね~…♪」

 

「「やった~!!♪」」

喜ぶ愛さんと璃奈ちゃん。

ほっと胸を撫で下ろす歩夢。

 

そして、キョロキョロと当たりを気にするかすみちゃん。

 

「あれ?しず子見てません?」

「そう言えば…見てないな」

「どこ行っちゃったのかな?」

 

そうすると、部室のドアが開いた。

「ふふっ、こんな展開になると思って、連れてきましたよ♪」

「あっ、彼方ちゃんにしずくちゃん~♪」

 

どこかほんわかした………。

「じ、G級…!!!???」

「…峻くん?」

 

…コホン、気を取り直して…。

多分外人なのかな?…すごい…よ、うん…。

 

「エマ・ヴェルデって言います♪…君は?」

「宮之原 峻…2年です」

「あっ、じゃあ峻くんだね~♪」

 

「え、エマ先輩…今までどこに…!?」

「……?」

 

何言ってるの…?みたいな顔でかすみちゃんを見るエマさん。

 

「スイスに一時帰国してたんだけど…あれ、置き手紙見てなかったのかなぁ~…?」

スイス…なるほど、通りで…。

 

「お、置き手紙…?」

かすみちゃんが部室の引き出しを開ける。

 

「…あ、あれっ…これライバルからの怪文書かと思ってた…」

「…どんな内容が書かれてたのさ…」

「と、とにかくっ!エマさんも戻ってきてくれるんですよね?」

「もちろんだよ~♪

そもそも辞めたつもりもないし♪」

 

「…すげぇ…なんかどんどん集まってくる…」

「しゅんしゅんの人徳じゃなーい?♪」

「璃奈ちゃんボート…''うんうん''」

 

「そ、そんなことないって~………ん?」

「どうしたの…峻くん?」

 

人の気配……。

 

 

 

ガラッ。

「誰だ!!」

 

……シーン…。

(いや、そこの曲がり角か!)

 

走って追いかけるも見失った。

「…誰、だ…?」

 

 

 

──────────────────

 

 

 

(はぁ…はぁ…まさか気がつかれるとは…これで…7人…目…まさか、本当に…?)

 

彼に手当されたところを押さえる。

…どうして、彼のことを…私は追っているのだろう…?




青ジャンの衣装来たー!
曜ちゃんの衣装は秒でゲットするぜ!


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9話

今年もついに最後…皆さん2019年もご愛顧ありがとうございます。
来年も引き続き頑張っていくので、よろしくお願いします!!


それはさておき!!URせつ菜ちゃんが来るぞぉぉぉぉー!!
ゲット…する…!…せつ菜ちゃんと…デート…するんや…!!


「エマ先輩…しず子…彼方先輩…前にいた同好会のメンバーが揃ってきました~♪」

 

嬉しそうにかすみちゃんが呟く。

 

「勘違いがあったけどな…」

「あーん、峻先輩~…そんなこと言わないでくださいよ~!」

「ごめんごめん……それで、あとは…優木せつ菜…って子だっけ?」

 

「はいっ…1番難しい…と、言いますか…」

「…?…どういうこと?しずくちゃん」

「せつ菜ちゃんはね~…この学園で見たことが無いって言う噂があるんだよ~」

 

「…えっ?……あぁ、確かに…」

こんなにも実績があり、目立つスクールアイドルなら…見てもおかしくないし、話題になっても不思議じゃない。

 

…そもそも、何年生なんだ?

…それすら謎に包まれている…。

 

「…まず、さ…どんな子なの?…俺顔とか知らないんだけど…」

「あ、写真ありますよ♪…えーっと……あ、ありましたっ♪」

 

かすみちゃんがジャーンと写真を取り出す。

そこには赤い服を着て…笑顔の…………。

 

「あっ………………」

「…?

どうしたんですか、峻先………」

「あぁああああ!この人!!」

 

「わ、わぁ!」

「峻さん…っ…ど、どうしたんですか…っ?!」

「実は…この人、数日前に見た……いや、見たというか…会った」

 

「え、ええっ…!?

…ど、どこで…っ???」

「ダイバーシティ…」

「あっ…ら、ライブ…かな?」

 

「ソロ活動してるのか?」

「かすみん達はむしろそっちをメインにしようかと思ってまして…もちろん、グループでも活動したいですよ?」

 

…なるほど、確かに個々の個性を活かすなら…ソロライブっていうのもあり、か…。

千歌とか曜も…そういう話したら…賛成してくれた、かな…。

 

「それで優木せつ菜って子は…どんな特徴なんだ?」

「んー…可愛いダンプカー…ですかね…?」

 

…ダンプカー…?

聞こえはあまり良くないが…。

 

「あ、もちろん悪い意味ではありませんよ?

グイグイ皆さんのことを引っ張ってくれるという意味で…」

「なるほど…確かに想像つくかも」

「ただ~…誰も姿を見たことがないから~…どうしたらいいか分からないんだよね~…」

 

「…せつ菜ちゃんの居場所は分からないけど~…1人、心当たりあるよ~…?」

と、眠たそうに近江さんが呟く。

 

「ん、近江さんの心当たりが…ある人?」

「ん~……毒藻…?」

「彼方さん、それを言うなら読者モデル…読モですよ」

「お~♪そうだった~♪」

 

「……ど、読モ…?」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

そんなこんなで俺と歩夢とかすみちゃんとしずくちゃんとエマさんと近江さんでお台場海浜公園に来た。

 

そこで撮影をしている…長身の女性。

 

「ま、まさか…あの人って言わない…よね?」

「あの人だよ~♪…名前がね~…」

 

「あら、珍しい見学者ね?」

「お久しぶりだね~♪…果林ちゃん~♪」

 

明らかに高身長の女性がこちらに近づいてくる。

…鎖骨の下に…セクシーほくろが3つ…。

 

そして、高校生らしからぬ抜群のプロポーション…。

これは果南や絵里さんと負けず劣らず…。

 

「(って、ちがうちがうー!!)…あの…俺たちと一緒に…スクールアイドル…やりませんか!!??」

 

「…へぇ~…スクールアイドル…かぁ

色んな部活に誘われてたけど~…そんなこと言われたの初めてよ?」

だろうな…多分前の同好会のみんなじゃ誘う勇気がなかったんだろう。

 

「絶対に朝香さんが見た事ないような…輝くステージが見れます…!!」

「ふふっ、すごい熱意ね…分かったわ…ただ」

「…?…ただ?」

 

「ソロライブを中心にしてもいいかしら?

…私の魅力を…存分に披露したいの

衣装とかもフリフリなのより…セクシー系で行きたい…それでもいいかしら?」

 

「え、こ、高校生でそれは…」

しずくちゃんが困惑している。

まぁ、セクシー系ってあんまりいないもんなぁ…。

 

「…ふふふっ、もちろんですよ…もう満足させまくりますよ」

「しゅ、峻先輩っ!そんな出来もしない約束を…!」

「…いや、峻くんなら…出来ると思うよ、私は」

「あ、歩夢先輩まで~…」

 

「交渉成立ね、明日以降部室に顔出すわ

…そ・れ・と、キミ…中々面白いわね?…気に入ったわ♪」

 

そう言うとおでこに口付けをして朝香さんは撮影に戻った。

 

 

「…い、今…俺何され…た?」

「…しゅ、峻くん…」

 

落ち込む歩夢を慰めるしずくちゃんとエマさんだった。

そして、俺に対して怒るかすみちゃんとベンチでうたた寝をする近江さんだった……。

 

 

────────────────────

 

 

「…あと、2人…かぁ…

結局、せつ菜さんの有力な情報が入ってないしなぁ…」

「んー、私も手がかりなしだよ~…

愛さん、もうお手上げで音を上げちゃうよ~…」

 

「これは…対策本部を設立しなきゃ~…ダメかなぁ~…」

「か、彼方先輩…それはさすがに…と、言いたいですが…本当にそんな勢いですよね…もう」

 

「んー…あの時に色々と分かっていたら…声掛けてたのに…」

「峻くん、あの時って…?」

 

と、話を続けようとした時…だった。

 

【2年A組の宮之原 峻さん…至急生徒会室に来てください

繰り返します、2年A組の────】

 

「峻先輩…何したんですか…」

泣きそうな手で縋るかすみちゃん。

 

「いやいや…同好会延長の期限があと数日だから…だろ?

とりあえず行ってくるよ」

 

みんなに別れを告げ1人、生徒会室に向かう。

 

 

「…峻さん、大丈夫ですかね?」

「彼方ちゃんの直感が…波乱を呼んでると…告げて…すやぁ…」

「か、彼方先輩!寝ちゃダメですよ~!」

 

 

 

───────────────────

 

 

コン、コン、コン

【宮之原です】

 

【入ってどうぞ】

 

 

中には……生徒会長ただ1人。

 

「部員集めはどうですか?」

「お陰様であと2名です」

 

「そうですか」

「…気になるんですか、スクールアイドル同好会の動向が」

 

…あ、今の後で愛さんに聞いてもらおう。

別に狙った訳じゃないけど。

 

「…いえ、ただ…分からないのです」

「分からない…とは?」

 

「なぜ、根拠も…確証も無いのに…貴方は出来ると言い切れるのですか?」

「出来るか出来ないかは…やってみないとわからない、からです

やる前から…出来ないというのは…俺にとっては一番嫌、ですから」

 

「…ですが、あと数日ですよ?

…策は、あるのですか?」

「…それは……まだ……」

 

そして、ふと…前に歩み寄った生徒会長の…''膝''に目がいった。

 

「………………」

「な、なんですか…っ!

急にしゃがんで…っ!」

 

「…あの、生徒会長」

「……な、なんですか…っ」

 

「…ここ、いつ怪我しました?」

指をさしたのは…生徒会長の膝に貼ってある絆創膏。

まさか…とは思うが…。

 

「い、いつでもいいじゃないですか…っ!」

「…生徒会長」

「…な、なんで…っ…す…かっ…!」

 

じりじりと近寄る。

生徒会長に逃げ場が……無くなった。

 

「…別に、言いふらしたりしませんよ

…と言うか、そんな事より…怪我の具合が気になるだけですよ」

「……っ……バレ、ました…か…」

「…生徒会長…が……優木せつ菜…さん?」

 

「中川菜々です…そして、あなたと同じ…2年生です」

「…中川…会長…なんで、スクールアイドルを隠して…?」

 

「…すいません、色々と…事情がありまして…

学校では…スクールアイドルをやってる事を隠しているのです」

「だから…学園で姿を見た人が居ない…のか」

 

「……はい、ただ…貴方に知られたら…もう、隠していても…バレ…」

「分かりました、このことは…内密に」

「…えっ………?」

「隠す理由があるんですよね?

…だったら、俺も協力させてください」

 

「…な、何故…ですか?

そんなことしても…貴方に利はありませんよ…?」

「別に損得の問題じゃないですよ

…こうして、また会えたので…せめても、と」

 

「…ほんとに…貴方は不思議な人…」

「ただ…無理強いではありません…が

…スクールアイドル同好会…戻ってきて、くれませんか?」

「…えっ…で、ですが私が戻っても…また…皆さんに自分の好きって気持ちを…無理に共有させて…」

 

「…………………」

「あはは…怖いです、またスクールアイドルを始めたら…大好きって気持ちが爆発しちゃうんじゃないかと…」

 

「そんなことない!!」

「っ……!」

「いいんですよ、大好きって気持ち…全面に出して

…俺が、全部受け止めるから!」

「…ぁっ……///」

(まるで…好きなキャラクターに言って、貰ってるみたい…っ…///)

 

「……だから、また…本気でやろうよ、スクールアイドル

俺も本気でサポートするから!」

「……は、はいっ…………!」

 

「…へへっ、やっと笑ってくれた」

「…あり、がとうございます…///」

 

「じゃあ、後は部室でみんなに顔合わせ…だなぁ

生徒会長の状態から優木せつ菜の状態にできるか?」

「はいっ、放課後なら人気のない所で着替えて行くので!」

 

「よしっ、ならOKだな…善は急げだ、今日のうちにでも行こうか」

「わ、わかりましたっ!

……あの、おこがましい…相談、なのですが…」

「…ん、なんだ?」

 

「…く、口封じという言葉を使いたくないのですが…

あなたを………''生徒会長補佐''に任命します…っ!!」

「………え?」

 

「あ、別に貴方が言いふらすとは思ってませんが…!

…その、傍にいて、サポートしてくれると嬉しい、なって…」

「…副生徒会長とか…風紀委員とかじゃダメなのか?」

「…そ、それでもいいんですが……ダメ、ですか…?」

 

「うっ……………」

普段見ない生徒会長の表情にドキッとしてしまう。

 

「…わ、分かりました…交渉成立…ですね」

「はいっ!よろしくお願いしますね!」

 

峻の姿になっても女の子の涙に弱いな…と肩を落とす俺だった。




お台場って昔仕事で行ってたからどこか虹ヶ咲学園とは思い入れがあるんですよねぇ~…。

…あ、作者こう見えて(?)も22歳なので(今更感)

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作者:ぶそんさん(@buson0120)
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10話

せつ菜ちゃんのURがきたああああ!
(善子のURも来ました)

これが青リンゴ農園の底力…。
くっくっくっ…(良い子はマネしないように)


次の日の放課後、俺は部室に行く前に生徒会室に向かおうとしていた。

 

会長さん(せつ菜ちゃんだけど)に呼び出しを受けたからだ。

 

もうすぐ、生徒会室に着くと言うところでせつ菜ちゃん…いや、中川会長が出てきた。

 

「今到着しましたよ、会長さん」

「あ、宮之原さん!お待ちしていました!♪」

「ん、会長さん……堅苦しいのは嫌だし、上の名前で呼ばなくても…」

「では、真名である峻さんと呼ばせてください!」

「…ん、んん…それでいいよ」

 

本当の姿を知った瞬間…中川会長のアニメ愛が随所に伝わってくる。

本人曰く、なかなかそういう話をできる人が居ない+学校内ではそういう話が出来ないから…との事。

 

(色々あるんだな…生徒会長っていうのも)

「…とりあえず、着替えて部室に向かうか?」

「はいっ、着替えが出来そうな空き教室があったので、そこの前で見張っててもらっても…よろしいですか…?」

 

「ん、会長さんのお願いなら断りませんよ」

そう言うと俺と中川会長は2人で空き教室に向かうことにした。

 

 

───────────────────

 

 

着いた空き教室はスクールアイドル同好会の部室からわずか2つほど離れた所だった。

 

偶然にも、空き教室が出来たらしい。

その教室の前で中川会長の着替えを待つ俺。

 

 

(あの後、優木せつ菜ってスクールアイドルについて色々調べてたけど…ファンも多いし、結構注目されてるみたいなんだよな)

あの時の一件は特に問題はなかったらしい。

無事にライブも出来て、手当てのことも何度もお礼をされた。

 

…それに気がついた事があった。

 

(本当の姿って…なんかこう…可愛らしいというか)

ぶっちゃけた事を言うと、生徒会長の姿とはかけ離れていた。

笑顔もよくするし、なにより眼鏡を外すと…めちゃくちゃ可愛い。

本人には伝えられてないけどね。

 

「ともあれ、スクールアイドル同好会に戻ってくれてよかったよかった」

「何が良かったんですか?♪」

 

ひょこっと顔を出して俺の目の前にぴょんっと姿を出した…中川会長、いや、いまはせつ菜ちゃんか。

「…可愛い」

「えっ……あっ、ありがとうございます…っ!///」

 

しまった、本音が口から漏れた。

しかし、嘘ではない。

いつもの生徒会長の姿とは一変。

眼鏡を外し、髪型もイメージとは真逆だった。

 

生徒会長の時は真面目でキリッとした顔つきだったのが

今の姿はどこか幼く、可愛らしさで溢れていた。

 

「…これが、優木せつ菜の姿、だね?」

「はいっ♪…なんだか、学校でこの姿をするのが久々で…緊張、しますね…」

「似合ってるよ」

「ありがとうございます…っ!

では、早速部室に…!」

 

「あ、待って!…さすがにいきなり部室に突撃したら、みんな驚くと思うから…俺が話を振ってくるから、中川会長…じゃなくて…せつ菜ちゃんはこの空き教室で待ってて?」

「そ、そうですねっ…分かりました!」

 

そう言うとせつ菜ちゃんは空き教室の中に再び入った。

 

 

──────────────────

 

 

「みんな、お疲れ様~」

 

何事も無く、部室に入る俺。

 

「あ~っ!峻先輩遅いですよ~!」

「ごめんごめん、道草を…こう、あむあむあむって食ってて」

「…?…そ、そうなんですか?」

 

かすみちゃんがプンプンと怒り、しずくちゃんが不思議そうに呟いていた。

 

 

「峻くん、帰りのホームルームが終わった瞬間どこかに行っちゃったから心配してたよ?」

「さーてーはー?…新しい子でも勧誘…してたのかしら~?♪」

 

ほっとする歩夢とぐいぐいと肘で突っつく果林先輩。

 

「彼方ちゃん…待ちくたびれて…寝ちゃいそうだ…よぉ…すやぁ~…」

「か、彼方さん…っ…寝ないで…っ…」

「峻くん、お菓子食べる?♪」

「愛さんが愛してやまない、ぬか漬けもあるよ~♪」

 

うたた寝をする彼方さんを起こす璃奈ちゃん。

そして、お菓子と…ぬか漬け?を勧めるエマさんと愛さん。

 

「ん……えっと、みんなに報告がある」

「「…???」」

 

咳払いをし、話し始めようとする俺を見ていつもと違うと感じるメンバー一同。

 

「…今日が、部室の明け渡し日…なんだ」

「「…あっ…」」

 

現実に直面した顔をする。

顔を俯かせたのは、かすみちゃんと歩夢。

 

「…あと2人…です、よね…」

「……うん」

 

「……ああ、今日までに…あと2人、だ」

「…さすがに…2人は…」

「部活動に入ってない子に一時的に入ってもら……いえ、さすがにそれは…ダメね」

 

「ここで…ゲームオーバー…?

璃奈ちゃんボード…しゅん…」

「ま、まだ終わったわけじゃないよ!りなりー!」

 

 

「…ん、あと…これは良いニュース」

「「……え?」」

 

「ちょっとまってて」

良いニュースと言い残して、俺は部室を後にする。

 

 

「…えっ、えっ???

良いニュースって…なんですか、峻先輩…?…って、もういない…」

「峻くんの事だから、きっと何か案があるんだよっ……って、そう言えば峻くんって…同好会の部員…だっけ…?」

 

「そう言えば…彼、部員なのかしら?」

「いえ、私が演劇をしてる時にお誘いをしてくれた時は…あくまでも自分はお手伝いだ、と……」

 

「つまり、峻先輩が部員になってくれたらあと一人ってことじゃないですかっ!」

「すやぁ……好転…したぁ…?」

「ま、まだ分からないけど…好転に…あぁ、色々あって愛さんのダジャレが決まらない~!」

 

 

──────────────────

 

 

「…準備は、いい?」

「はいっ…まだ、ドキドキしています、けど…」

 

「ふふっ、手でも握る?」

「そ、それは…っ!!」

「なんてね、リラックス出来たし…行こうか」

「……はいっ!」

 

──────────────────

 

 

スクールアイドル同好会のメンバーがワーワー言ってる中…扉が開かれた。

 

「お待たせ、みんな……そして」

「…お、お久しぶり…です…そして…はじめましての方は…はじめまして…優木せつ菜…です!」

 

「「…え……えええええ!!!」」

しずくちゃんとかすみちゃんとエマさんが驚いた声を上げる。

その声に反応した彼方さんが起きる。

 

「こ、この人が…優木せつ菜…ちゃん?」

「凄いよ、しゅんしゅん!…一体どこで…声を…?」

 

「んー……道端に拾ってくださいって箱に入ったせつ菜ちゃんを見つけた?」

「ち、違いますよ…!!

…えっと、訳あって…スクールアイドル同好会に戻ってくることになりました…もちろん、皆さんがOKを出してくれれば…ですが」

 

そうか、生徒会長が実は優木せつ菜でしたって言うのは誰一人として知らないからこうなるか。

 

 

「も、もちろんですよ~!待ってたんですよせつ菜先輩~!」

「おかえりなさい、せつ菜さん」

「戻ってきて嬉しいよ~♪」

 

「ふふっ、峻の人脈は侮れないわね♪」

「これで…9人目だぁ~♪」

「ということは……後1人?」

 

 

「…ねぇ、峻くん」

「ん、どうした?」

「峻くんも…スクールアイドル同好会に入って!

部長として!」

「…えっ?」

 

歩夢からの思いもよらぬ発言に固まる。

…部長?俺が!?

 

「い、いや、でも…っ」

「歩夢ちゃんだけじゃないわ、私達も同じ意見よ」

「峻先輩の働きぶりを見れば当然のことですよ!♪」

 

「峻さんほど、相応しい部長はいませんよ♪」

「璃奈ちゃんボード…うんうん」

「私も同感~♪」

「同好会唯一の男の子~っ…彼方ちゃんも…良いと、思うなぁ~…♪」

 

「…ふふっ、皆さんから好かれてますね♪」

「せ、せつ菜ちゃんまで……分かったよ…

それに、俺で10人目…だよな…」

 

「「「よろしくね、部長!♪」」」

「…あはは、これから大変そうだなぁ」

 

「じゃあ、これで部活動が出来るんだね!

生徒会長に伝えてこよ!♪」

「あっ………!」

 

あわあわと慌てて俺に助けを求めるせつ菜ちゃん。

「ああ、それは明日俺が言ってくるよ…部活動の届出もしないといけないしな」

「そ、それもそうですね♪」

 

「それに、いまは今後の活動について話そう?」

「え~っと…今はスクールアイドルフェスティバルに出る…んですよね、歩夢先輩?」

「うんっ、峻くんと一緒に決めた事だからね!♪」

 

「ああ、まずは…今の力量を知りたいから…ライブに出ようと思ってる……1ヶ月後…9人、ソロとして」

「えっ……ソロって珍しいんじゃないかしら?」

「そうでもないですよ、今はソロやデュオ…色々部門がありますし♪」

 

「俺のわがままだけど…今は個々の特徴を知りたい、から」

「えっえっ…でも、作詞や作曲はどうするんですかっ?」

「それなんだけど……俺が担当するよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「えええぇ~!?」」」




せつ菜ちゃん成分多め!

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11話

スクスタの2章2話前のオリジナル展開です!


「うーーん……みんなのイメージかぁ…」

 

ノートにびっしりと言葉を書き込む。

…例えば、歩夢は…真心溢れる…とか。

せつ菜ちゃんはスクールアイドルに対して…熱い、とか。

 

「せーーーんぱいっ♪…何してるんですかっ?♪」

ひょこっと顔を覗かせるかすみちゃん。

 

「ん?…あぁ、ソロライブに向けて作曲をな」

「わぁ~♪先輩の作詞、期待してますっ♪」

 

「かすみさん、峻さんのことを焦らせてはいけませんよ」

「はぁーい……でも、峻先輩…手こずってるみたいですね…」

「ん、まぁ9人分だしな…まぁ、少しずつ進めるよ」

 

とはいえ…正直、眠いっちゃ眠い。

睡眠時間が少なくなってるのも事実。

 

「…峻さん、無理…してませんか?」

きゅっと胸の辺りで小さく握りこぶしを作るしずくちゃん。

 

「…大丈夫だよ、ありがとうね…しずくちゃん」

「…いえ、大事な…部長ですから♪」

「むむむ……しず子と峻先輩…仲良しになってませんか~ぁ?」

 

「そ、そんなことないですよ!///」

「俺も…普通なんだけど…」

 

「ふんっ!いいですもーんっ

峻先輩っ、かすみんの曲はかすみんがスクールアイドルで一番かわいいって事を知らしめるようなのにしてくださいね!♪」

 

こ、ここは…合わせておいた方が…いいか。

「ん、んん…それは…もちろん、かすみちゃんは宇宙一可愛いスクールアイドルだからね」

 

「う、宇宙一…っ…!♪」

その言葉にぱっと明るく笑うかすみちゃん。

やっぱり可愛いって言われるのが一番嬉しいみたいだな…メモメモっと…。

 

「も、もー…峻先輩の為なら…かすみん一肌脱いじゃいますよ~…///」

 

そう言うとちらっとお腹を見せて脱ぐ素振りを見せるかすみちゃん。

 

「ま、待った待った!それはスクールアイドルとしてダメだから!…お気持ちは嬉しいけど!」

…いや、凝視はしちゃったよ?

嘘はつけないし…。

 

「私にも協力できることあるなら遠慮なく言ってくださいねっ♪」

「あ、ああ…ありがとうねしずくちゃん」

 

「そ、その……こんなこと言った後に…相談しにくいんですが…今度、劇の練習相手…して、くれませんか…?///」

「もちろん、そういう約束だからね」

「……ち、ちなみに…せ、接吻のシーンが…あり、まして…///」

 

「……え?…そ、それを…俺が…練習相手…で?」

「い、嫌なら…いいですよ…っ?」

「…む、むしろ…役得というか…」

「…ふふっ…やっぱり峻さんに頼んで…正解でした♪」

 

 

 

「えっと…何か言った?」

「なんでもありません♪」

「あー!またしず子と峻先輩仲良くしてるー!ぶーぶー!」

 

 

 

 

─────────────────

 

 

(…結局…しずくちゃんとかすみちゃんの話し相手になってたから…あんまり進まなかったな)

 

家に帰ってきて…しばらく机の上で唸る。

さっきっからボールペンの先端を出したり閉まったりを繰り返している。

 

 

「峻~?…歩夢ちゃんが来てるよ~?」

「えっ…歩夢?」

「あっ…ごめんね、夜遅くに…峻くんのこと…心配で顔出してみたんだけど…」

 

「ん、体は大丈夫だよ…作業自体はあまり進んでないけどね」

「そっか…♪

…何かあったら、すぐに言うんだよ?」

 

そう言うと、歩夢が手を重ねてきた。

「…峻くん、私ね…峻くんが…一番頼れる人…で、いたいの」

「どうしたのさ、急に」

 

ふっと笑う俺に歩夢が静かに話し続ける。

「…最近の峻くんを見てる、とね…どこか遠くに行っちゃいそうで…心配…なの…」

「何言ってんの、俺はここにいるよ」

 

「……そう、だよね…」

それでも腑に落ちない顔をする歩夢。

……あんまり、こういう手は使いたくなかったけど…。

 

「歩夢…っ!」

「きゃっ…!!///」

立ち上がり、歩夢をベットに押し倒す。

 

「…しゅ、峻…くん…?///」

あまりの出来事に目を丸くする歩夢。

 

「…俺が…ずっと一緒にいるって…証拠…あげるって言ったら…どうする?」

「…えっ、えっ……???///」

「…無理やり…口付けとか…する、かもよ?」

「あっ……わ、私…は…っ…///」

 

顔を赤くし、口元を隠す歩夢。

上から覆い被さる俺の事をじっと見たまま…言葉を失っていた。

 

「…どう、する…?」

「…あっ……んっ…っ…///」

 

「……なんてな、驚かし過ぎた、ごめんな

俺は居るから…大丈夫だよ」

 

そう言うと俺は歩夢から離れた。

 

 

 

「あっ…………………うん………………」

(私は………………峻くんに……何もかもしてあげたい…って…思ってるのに…どうして、言えないの…?)

 

 

 

 

 

その後、歩夢はずっとベットに腰掛けたまま俺の作業風景を眺めていた。

…顔を赤くしたまま。




今回はかすみちゃんとしずくちゃんと歩夢ちゃんの絆メーターが上がりました!

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12話

ねぇえええええええ!!!(唐突)

なんで曜ちゃんのURまた出るのぉぉぉぉ!!!
年明け早々金がなくなる…。

まぁ、ピックアップが終わっても…ガチャ出でるはずだよな…ちくしょう…ちくしょう…(血涙)


ソロライブに向けて各メンバーが練習を初めて数日。

…とはいえ、ストレッチや基礎体力作りがメイン。

 

後はリズムに合わせてステップを踏んだりと簡単な練習をメインにしている。

…俺はその練習風景を横目に作詞活動を進めている。

それと同時にメンバーの特徴を逐一メモしている。

 

(璃奈ちゃんは…あのボードを何とかしてあげないと…ライブ中に支障が出るな……かすみちゃんは…少し振り付けが主張しすぎてるな…なるほど)

 

 

「…………はぁ」

練習の合間に何度かため息をつくエマさん。

…何かあったのかな。

練習が祟って…疲れちゃったかな。

 

「…何かあったの、エマさん?」

「あ、ううん、大丈夫だよっ……ただ、ね」

「…うん?」

「…私の、目指す…スクールアイドルって何かなぁ~…って」

 

…え、それって………つまり…。

 

「あ、ううんっ。

峻くんが思ってるようなことじゃないよ!」

「み、見透かされた…じゃあ、どういう…?」

「…峻くんは、私の個性って…なんだと思う?」

「エマさんの、個性……かぁ…」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「…って、話があったんだけど…」

「ん~…エマちゃんの個性かぁ~……?」

「そう言われてみると…皆さんの個性を言葉で表すのは難しいですね」

 

練習終わりに彼方さんとしずくちゃんに話をしてみた。

 

「…どうしたらいいかなぁ…」

「(峻さん……悩んでる…私が力にならないと…っ)…な、ならっ…個性探しと息抜き…しませんか?」

「おぉ~…しずくちゃんがやる気になってる~♪」

「なるほど…個性探しか…確かに親睦も深めたいしな…それで、息抜きって何をすれば…?」

 

「あ、それなら私に良い考えがあります♪」

「良い……」

「考え~…?」

 

 

 

【そして週末………………】

 

 

「ん~!良い天気~!♪」

「…な、なぁ…しずくちゃん…ここって…」

「はいっ、公園です♪」

 

俺としずくちゃんとエマさんと彼方さんの4人で来たのは…緑広がる公園、だった。

 

「んー…故郷を思い出すなぁ~…♪」

「故郷…スイスだっけ?」

「うんっ♪

故郷の牧場がこんな感じだったからね♪」

「ぼ、牧場……馬とか牛が沢山いた、とか…?」

「ウチは羊やヤギが多かったよ♪

ヤギのミルクってすっごく美味しいんだよっ」

 

…なんか、容易に想像できるなぁ…。

でも、エマさんは動物に懐かれそうだしなぁ。

 

「動物のお世話は大変じゃなかった?」

「ううんっ、むしろスクールアイドルの振り付けとか見ててもらったりしてたから楽しかったよ!」

 

「エマちゃんらしいね~♪」

「ふふっ、本当ですね♪」

 

 

自然と笑顔になるエマさん。

…よかった、少しは息抜きになったかな?

 

「あ、そうだ!バードウオッチングしていい?」

「バードウオッチング~…?」

「それって、鳥を観察する…というものですか?」

 

「うんっ、ここは木々が多そうだし…良いかな?♪」

「いいね、面白そう」

 

こうして、俺と3人はバードウオッチングをする事となった。

 

 

────────────────────

 

 

そして、歩いてる道中。

 

「あっ、あそこにアカゲラ!♪」

「み、見えませ~ん……うぅ、双眼鏡があればもっと見えるのでしょうけど…」

 

「…彼方さん、大丈夫?」

「あ、歩きにくい~…彼方ちゃん…ピンチ…」

「…えっと、手…握りましょうか…?」

 

その言葉に彼方さんの顔がバッと赤くなる。

「な、ななっ…そ、そんな…っ……いいの…?」

「転んで怪我しても嫌ですし…彼方さんが良いならですけど…」

「えっと……あ、ありがと~…彼方ちゃん…嬉しいよ~…///」

 

そう言うとそっと手を取る彼方さん。

少し握る力が強くなったり弱々しくなったり…。

目は合わせてくれないけど……少しは頼りになってるの…かな。

 

 

「そうだっ、そろそろお昼にする?」

「わー、お昼にしよ~♪」

「えっ、と…峻さん…お昼ご飯は…」

 

「ふふん、俺が作ってきた力作だぞっ」

「おぉ~♪彼方ちゃん楽しみ~♪」

 

再び芝生の上に戻りお昼ご飯を食べる事にした。

 

 

 

 

 

「…というわけで…俺作の…サンドイッチ~」

「わ~♪」

「す、すごい…これ、峻さんの手作りですか…!?」

「ほうほう…彼方ちゃんも驚きのクオリティだなぁ~…」

 

とりあえず…手応えは良しのようだ。

美味しそうにエマさんも彼方さんもしずくちゃんも食べていた。

 

…まぁ、梨子によく作ってたサンドイッチなんだけどね。

料理する姿が意外なのか母親には驚かれたけど。

 

 

 

 

昼ご飯も終わりのんびりと日光浴をしていた。

ちなみに彼方さんは眠くなりしずくちゃんの膝枕でうたた寝をしていた。

…と思ったらしずくちゃんも少し眠りかけていた。

 

「…まぁ、確かに…こんなに心地よかったら…眠くなる、よな」

「ふふっ、峻くんも少し寝る?♪」

「…そう、させてもらおうかな……ごめんね、エマさん…」

「せっかくなら、私のここで…寝る?♪」

 

そう言って指さしたのは…エマさんの膝。

…いい、のか…?

考えるよりも先に…眠気が勝ち、俺は静かにエマさんの膝枕の上で眠りについた。

 

 

 

「…なんか…歌いたくなっちゃったな…♪」

静かに歌い出すエマさん。

その風が吹く中…優しいエマさんの歌声が俺を心地いい眠りに誘った。




エマちゃんって166cmあるんだよね…たけぇ…


ここでニジガクメンバーの主人公の呼び方を掲載っっっ!!


歩夢ちゃん→峻くん
かすみちゃん→峻先輩
しずくちゃん→峻さん
せつ菜ちゃん→峻さん
果林ちゃん→峻
彼方ちゃん→峻くん
愛ちゃん→しゅんしゅん
璃奈ちゃん→峻さん
エマちゃん→峻くん

掲載した理由は特にない!!

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13話

やっぱり単発じゃ当たらないよな…くそ…くそ…。
課題とイベント頑張って何とか当てる…ぞ…(血涙)

前半はせつ菜メイン!
後半は愛と璃奈メイン!



「すいません、手伝って貰って…」

「これくらい大丈夫だよ、なんせ会長さん公認の会長補佐だからね」

 

生徒会室に資料を運ぶだけの仕事。

それだけのために呼んだことをせつ菜ちゃん…いや、中川会長か。

申し訳なさそうな顔で謝る。

 

「それに中川会長が力仕事なんてすることないよ」

「そ、そう言ってもらうと…ありがたいです…///

…あ、あの…っ…2人、しか…居ないんですし…せつ菜…で、いいですよ…っ?」

「えっ…でも………」

「…2人きりの時は…そう、呼んで欲しいんです…///」

 

「…っ……」

「…ダメ……ですか?///」

「…せつ菜…ちゃん…」

「ちゃ、ちゃんもいりませんっ…!///」

「…せつ菜…」

「…はいっ……♪」

 

なんだかこそばゆい。

生徒会室に2人しかいないからだろうか俺もせつ菜も気まずくなって視線を外す。

 

「…あ、そうだ…頼まれてた…これ」

俺はカバンの中から漫画を数冊取り出した。

 

「ああああ~…!♪

これですっ、ありがとうございます…っ!」

「あはは、本当にアニメとか漫画大好きなんだね」

 

中川会長が優木せつ菜と知ってからよく漫画を買ってきて欲しいと頼まれる。

しかも、生徒会室にこっそり置いている…らしい。

 

「はいっ、それはもちろん!自分の名前にアニメのキャラクターの名前を入れるくらい大好きなんです!」

「…優木…せつ菜…なるほど、そういうことか」

「あぁ…見たい…っ……け、けど…スクールアイドル同好会の活動もある…うぅっ、見たい…っ」

「あはは、漫画は逃げやしないよ…それにしても…本当に生徒会室に隠してるとは…」

 

引き出しを開けると…そこには漫画が何冊もあった。

「…実は、両親がアニメや漫画を禁止してて…」

「は?!いつの時代だよ…」

 

「門限もありますし…何より、スクールアイドルの活動も…ダメと言われてて…」

「えっ…じゃあ、今スクールアイドル同好会に入ってることは…」

 

その投げかけにせつ菜はゆっくり頷いた。

「…いつか、わかって欲しいんですが…なかなか言えなくて…

それで、生徒会長という役職をしてて…スクールアイドル活動もしているんです

お休みの日も生徒会の活動といえば怪しまれませんから」

 

「…無理、してないか?」

「…正直なところを言うと…無理、してるのかも…しれません

…けど、私はスクールアイドルが大好きなんですっ

この大好きって気持ちを…もっともっと広めたいんです!」

 

…彼女の熱意は十分伝わった。

それに、俺としても…スクールアイドル 優木せつ菜を見れないのは嫌だ。

 

「…なら、とことんサポートさせてくれっ

せつ菜が大丈夫なら…説得も協力するよ」

「ほ、本当ですか…っ!?

…で、ですが…甘えてばかりでは…」

「甘えまくっていいんだよ、優木せつ菜が輝けるなら」

 

頭をくしゃくしゃと撫でてニッとはにかむ。

「…峻さんは…本当にずるいです…///」

「ん?ずるい?」

「な、なんでもありません!……あ、あの…でしたら…

1つだけ…お願いがあるのですが…」

「おうっ、言ってみ?」

 

「…あ、明日やる深夜アニメを録画してもらってもいいですか…!?」

「…えっ…あ、うん?」

 

 

せつ菜はどこまでいってもせつ菜のままのようだ。

 

 

 

──────────────────

 

 

せつ菜が着替えてる間に先に部室に顔を出した。

 

「そんじゃ、今日もやりますか!♪

りなりーを笑わせる会!」

「どんどん、ぱふぱふー」

「…あ、あはは……」

 

何やら愛さんと璃奈ちゃんと歩夢が何かやっている。

 

「お疲れ…なにしてんの?」

「おっ、しゅんしゅん~♪

いいところに来たね~♪今ね、りなりーを笑わせる会をしてるとこ!」

 

「…璃奈ちゃんを笑わせる?」

「ほら、璃奈ちゃん…ボードだと笑ってるけど、素顔は見えないよね?

だから、愛ちゃんが笑わしてみようって…」

 

「…ああ、なるほど」

「そんじゃ、愛さんのスペシャルダジャレセット行くよ~!♪」

 

「璃奈ちゃんボード…''キリリ''」

「このハイテクシューズ、履いてく?♪

サッカー見ちゃうよ、坂道で♪

参考書みたいし、さ、こーしよー♪」

 

「璃奈ちゃんボード…''くすくす''」

「くっ…璃奈ちゃんボードだと大絶賛なのにりなりーの顔は普通だ…!」

「…峻くん、笑いこらえすぎ」

「ぷっ……あ、あははっ……!!」

 

「愛ちゃん、峻くんはツボに入ったみたい…」

「あははっ♪しゅんしゅんはノリノリだからなぁ~♪

じゃあ次は歩夢!♪」

「わ、私は無理だよ~っ…」

 

「えぇ~…?

こういうのって案外やってみると出来るものなんだけどなぁ~…じゃあ、しゅんしゅん…やってみる?」

「え、俺?」

「ぶちょーの底力を見せてよ!♪」

「璃奈ちゃんボード…''ワクワク''」

 

しまった、何かハードルが上げられてるし…強制でやらされることになってるし…。

 

「お疲れ様です~……あれ?」

「ヒュイゴー…ヒュイゴー…

運動は~大事~、坂東は英二!

ななななな~ななな~7の次、8~。」

 

「…璃奈ちゃんボード…''ぽかん''」

「天王寺~大惨事~、今何時、4時~!

いきなり出てきてご~めん、誠にすいまメ~ン!」

 

「くっ……くくっ…あははははっ…!!

しゅんしゅん最高!!♪」

「はぁ…はぁ…やり切った…」

「峻くん…すっごく、おもし、ろいんだけど…せつ菜ちゃんが…後ろで固まって…ぷっ…あははっ…!!」

 

「えっ、せつ菜!?」

「あ、え、えっと…芸人を目指している…感じですか?」

「そうそう!♪愛さんとしゅんしゅんでコンビ組むことにした!♪

ソロライブでも漫才披露する~?♪」

 

「ちょ、愛さん!近い近い!」

肩に腕を回され、思い切りボディタッチが激しい中

愛さんの笑い声がずっと部室に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

(……あ、危なかった…璃奈ちゃんボード無しでも…笑う所だった…)

 




とりあえず果林は回収しました…水着…えちち…。


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14話

スクールアイドルの輝きが集まります。
とってもとっても嬉しいです(白目)


「よしっ、今日の部活もおしまい!みんなお疲れ様!」

 

「「お疲れ様でーす♪」」

時刻は6時、部長(と言っても俺だけど)の掛け声とともに本日も無事に練習が終わった。

 

俺の作詞作曲活動も順調に進んでいた。

 

「うぅ~…彼方ちゃん、もう疲れて動けな~い…」

「家までお腹すいてもたないよ~…」

「愛ちゃん、キャンディあるよ…食べる?」

「おぉー、歩夢ありがと~!♪」

 

「ねぇねぇ、峻?」

「ん、どうしたの…果林さん?」

「スカートが踊ってると…少し落ちてくるんだけど…何かアイデア…あるかしら?♪」

「いっ……!?」

 

す、スカート…って…!

じっと凝視すると果林さんが近寄ってきて……。

 

「…あらあら、何を想像してたのかしら?♪」

「な、なにも!!……あ、あぁ、そうだ!サスペンダーとかどうかなっ!

とりあえずスカートの腰周り直すまでそれで…!!」

 

「ふふっ、なるほどね♪サスペンダーかぁ…その発想はなかったわ♪

…あとー…居残り練習ってあり、かしら?」

「…ん、居残り練習…?

…あぁ、先生に申告して、書き物すれば…8時まで…」

 

「じゃあ、私も今日は残ろうかしら…

かすみちゃんもせつ菜も頑張ってるみたいだし♪」

「あの二人はここ最近ずっと残ってるからな…」

 

もちろん、俺も2人が練習終わるまで残ってる。

2人が夜遅くに帰るのも…危ないしな。

練習を見つつ、俺も作詞作曲活動を進めていた。

 

「かすみちゃんが残るのは~…分かる気がするわ

彼女の伸びしろはいっぱいあるもの…見てて分かるわ

でも…せつ菜が残るのはちょっと意外な気がするわ」

 

「そうかな?……俺は何となくせつ菜が残る理由は分かる気がするな」

「あら……そうなの?

峻に分かって私に分からないのは癪ね…聞いてみるわ」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「せつ菜、ちょっといいかしら?」

「ん…果林さん?どうされたんですか?」

 

「最近、よく居残り練習してるって峻が言ってたのだけど…ホント?」

「はいっ、イベントに向けて色々試したいことがあるので!

時間がいくらあっても足りないくらいですよ!

…まぁ、峻さんにはいつも付き合ってもらって少し申し訳ない気がしますが……」

 

「…それは、何故だか…聞いてもいいかしら?

私からしてみれば…パーフェクトに見えるのだけど…」

「あははっ、全然パーフェクトじゃないですよっ

まだまだ模索中ですし、それを峻さんに全部言ってあれこれ受け止めてもらってますし…」

 

「あ、あれだけのパフォーマンスが出来て…模索中なの…!?

自分が出来てるって自覚は……」

「もちろん、良くなってきてるなって思うところはありますよっ

…ただ、この振りで良いのか、ここはもっと上手く…新しい振りができるんじゃないかって試行錯誤の毎日ですよっ」

 

「…わ、私にはせつ菜らしいパフォーマンスができてると思ってたのだけど…実際、せつ菜自身は満足してなかったのね…」

「わぁ…♪果林さんにそんな風に言って貰えて凄く嬉しいです!

…まだ、理想論ですが…自分自身の着地点をつけると…私も見てる人も飽きてしまうんじゃないかって

だから、ギリギリまで伸ばせるところは伸ばしたいんですっ!

そうしたら、もっともっと新しい優木せつ菜になれるんじゃないかって」

 

 

「…さすが、って感じね…」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「ほら、かすみちゃん…お水」

「あっ、峻先輩ありがとうございます~♪」

 

せつ菜と果林さんが話してる間にかすみちゃんの練習に付き合っていた。

 

「あの二人はどうしたんでしょうかね?」

「あはは、切磋琢磨してるんだよ」

 

「むむっ、先輩…いつの間にか色々な人と仲良くなってますね~…?」

「ん、そうか…?」

「元はと言えば、スクールアイドル同好会で最初に出会ったのはかすみんなんですよ~!」

 

「あはは、分かってるよ

…まぁ、かすみちゃんが1人しか部員がいないのに頑張っていたから今の光景があるんだよな…ありがとうな」

「な、なななっ…!

…か、かすみんはスクールアイドルが大好きだから…ただ、それだけで…!///」

「そうそう、俺は何もしてないさ…かすみちゃんの情熱があったからこうなったんだよ」

 

「……峻先輩…が…居てくれたから…ですよ」

「ん?どうした?」

「な、なんでもありません!ストレッチ手伝ってください!」

 

そう言うと足を広げるかすみちゃん。

居残り練習の時からストレッチにはよく付き合わされてる。

 

「ほいほい…背中押すよ?」

「…んっ…くぅ…っ…///」

「…その声は…わざと?」

「ちっ…がい…ます…よ…ぉっ…///」

「…そ、そうか…」

 

「…あ、今かすみんの事…変な目で見てましたね?」

「…見てたって言ったら?」

「え、ええええっ!?///

…そ、それは…あの……困ります…///」

 

「…うん、なんか俺も…ごめん」

「まぁ、かすみんは可愛いから当然ですよねっ!♪」

「ん、確かに可愛いよな…かすみちゃんは」

「ふ、ふふーんっ!さぁ、練習練習!♪」

 

ご機嫌な様子でかすみちゃんが練習を再開した。

「…ふふっ、好かれてるわね、峻」

「お、話し終わった?」

 

「ええ、彼女の向上心には脱帽だわ…ただ、暴走癖があるから…居残り練習もし過ぎないようにしっかり見て……」

「果林さん、それは俺の仕事だよ

…それに、果林さんもたくさん練習したくてうずうずしてるんじゃない?」

 

「…峻にはなんでもお見通しなのかしら?♪

そうね…凄く練習したい気分よ。

…私も暴走し過ぎないように…しっかり見ててね、峻?」

「ああ、もちろんだ」

 

 

 

3人で居残り練習をする風景を見て…なんだかんだ言いながらお互いを刺激し合いながら…伸びていくんだなと思った。

 

…よし、とりあえず何かの記録になるし…ムービー撮っておくか!

携帯のカレンダーがふと目に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────5月15日

あの日まで…あと1ヶ月を切った。




はー!当たんねー!
イベントランキングは順調なのになー!
はー!曜ちゃんはー!

(しばらくスクスタ本ストーリーより、キズナエピソード系を取り入れます)

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15話

今回はキズナエピソードに基づいたお話!

相変わらず曜ちゃん出ません(憤慨)


【お昼】

 

 

「んー、今日は購買で何買おうかな~…」

「あっ、峻くん!ちょっと待って!」

「…歩夢?どうしたの?」

 

「…はいっ、これ!♪」

渡されたのはお弁当箱。

これは…………歩夢の手作り弁当…?

 

「…は、早起きしちゃったから…峻くんの分も作ったの!♪」

「まじかっ!嬉しい~!」

「ふふっ、じゃあ、学食行こっか♪」

 

俺と歩夢は学食で昼ごはんを食べることにした。

 

 

 

その道中…。

 

「あっ、峻くんっ!そう言えば衣装はどんな感じ?」

「今日やっと煮詰まった感じ…さすがに9人分は他の人の手を借りないとキツかったわ…」

「…しずくちゃんと、だっけ?」

 

…ん、なんか暗い顔をしている…どうしたんだ?

「あぁ、演劇部で衣装作りをしてるって言ってたし」

「わ、私の衣装はどんな感じなのかなぁ~…」

 

「気になるなら、夜着に来るか?」

「えっ…いいの…っ?」

「似合いすぎて可愛すぎて襲っちゃうかも」

「も、もぅ!こんな所で恥ずかしいよ…っ!///」

 

(なにあれ…)

(夫婦じゃん…)

(リア充……)

 

そうこうしているうちに学食に着いた。

相変わらず連日満席に近いくらい埋まっていた。

 

「どこか空いてるかな?」

「あ、窓際に空き席発見!」

「あっ、峻くん待ってよ~!」

 

歩夢を手招きし、我先にお弁当を開ける。

「おぉー!すっごい美味そう…!」

「気合い入れたんだ…どう、かな…?」

「見た目からして美味そう…いただきまーす!」

 

まず先に玉子焼きに手を伸ばす。

玉子焼きって奥深いよなぁ…焼き方とか味付けとか。

あ、ちなみに俺は塩派。

 

「ん、美味い!」

「よ、良かった~…」

「絶対歩夢は良い奥さんになるね、うん間違いない」

「…なるなら…峻くんの奥さんがいいなぁ…///」

「ん、食べないのか?」

「た、食べるよ食べる!峻くんも沢山食べてね!///」

 

手をブンブン振って何かを否定する歩夢。

…変なやつだなぁ…。

 

 

──────────────────

 

【放課後】

 

俺は部室に行く前にとある場所に寄った。

 

「おっす、アレ出来てる?」

やってきたのは…メカニック部。

機械を作ったり分解したりする部活らしい。

 

(まさか、生徒会長補佐にこんな権限があるなんてな…)

自分の知らないところで意外と生徒会長補佐の名が知られていた。

…なぜかせつ菜が鼻を高くしてるのは不明だが。

 

 

「…おぉ、思ってたより…本格的なものだな…」

手にしたのは…電子的な仮面。

もちろん、使う人は…決まっている。

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様、みんな」

「「お疲れ様でーす♪」」

 

「…あっ、璃奈ちゃん、ちょっといい?」

「峻さん…どうかしたの?」

「璃奈ちゃんボード…アップデートしてみない?」

「…璃奈ちゃんボード…''はてな?''」

 

「こっちに来てごらん?」

「……こ、これは………」

 

 

みんなの前に璃奈ちゃんを連れてくると驚きの声を上げた。

「り、りなりー!?…そのボードどうしたの??!」

「峻さんからの…プレゼント」

 

「峻先輩、これってどういうことですか~っ!」

「ん?…ああ、ちょっとツテがあったからな

練習もしにくそうだったし、ソロライブに向けて、ね」

 

「凄い…表情がちゃんとボードに伝わってる…」

「んー、詳しいことは俺も分からないけど

オートで…エモーションな…コンピュータ?を使ってるみたい」

 

「へぇ~…りなりー、一気にハイテクって感じだね~…」

「さっ、練習始めるよ!」

「「はーいっ」」

 

 

「あ、峻さん…っ」

「…ん、どうしたの璃奈ちゃん?」

「その…色々考えてくれて…あり、がとう…///」

 

 

 

 

その後の璃奈ちゃんの練習は見違えるほど、良くなっていた。

本人曰く…動きやすくなったとの事。

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「よしっ、今日の練習もおしまい!

明日からはライブに向けてみんなに作詞した用紙を渡すからね!」

「「お疲れ様でした~!♪」」

 

「わーいっ、かすみんのかすみんだけの曲が出来た~!♪」

「彼方ちゃんもワクワクしてるよ~…♪」

「9人分の作詞…大変じゃなかった、峻くん?」

「あはは、ありがとうエマさん…まぁ、大変だったけど良い経験だったよ

その曲でみんなが輝いてくれたら言うことなしさ」

 

「峻~、私今日も残りたいのだけど、いいかしら?」

「OK、じゃあ俺は部室にいるから居残り練習終わったら部室に顔出してな」

 

こうして、せつ菜とかすみちゃんと果林さんは居残り練習をする事となった。

 

 

「…あ、歩夢っ」

「ん…峻くん、どうしたの?」

「母さんには歩夢が泊まるって伝えてあるから…

俺が帰ったら部屋に来いよ、衣装の着心地とか聞きたいし」

「え、ええっ…!?///

…いい、の…?///」

 

「むしろお願いしたいくらいなんだけど…」

「わ、分かった!峻くん帰ってきたら直ぐに行くね!///」

「あっはは!歩夢~待ってよ~♪」

「峻さん、お疲れ様です」

 

恥ずかしそうに歩夢は帰った。

それを笑いながら追いかける愛さんと璃奈ちゃんだった。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

居残り練習メンバーを待つ間、衣装の最終チェックをしていた。

 

「んー、実際着て貰ったほうが丈とかみやすいんだけど…」

着てもらうとしても明日だな。

とりあえず、衣装を部室の衣装ケースの中に………。

 

 

 

コンコンっ。

 

 

「ん、せつ菜か?かすみちゃんか?…それとも果林さん?」

「あ、峻さん、しずくですっ」

 

「ん…しずくちゃん?」

「すいません遅くに…」

「帰ったんじゃなかったの?」

「いえ、実は…峻さんに劇の練習相手を…と思いまして…」

 

「ああ、なるほどね

言ってくれれば時間作ったのに」

「すいません、あまりに忙しそうだと思ったので…今は…大丈夫ですか?」

 

「うん、ひと段落ついたし、居残り練習メンバー帰って来るまでまだ時間あるし…大丈夫だよ」

「良かった…♪

それで、劇の練習なんですが…」

 

ここで重大な事に気がつく。

…あれ、前回しずくちゃん…練習に恥ずかしいシーンがあるとか言ってたような…。

 

「えっと…しずくちゃん…?」

「…は、はい…多分、峻さん…いえ、先輩が思ってる事…合ってます///」

「…えっと、あくまで…練習、だから…な?

ホントに付ける気は…ない、よ…?」

 

「は、はいっ!///

もちろん、分かってますよ…っ♪

それで、今回の役なんですが…私がバスケ部の先輩に憧れる…マネージャー役で、先輩がそのバスケ部の役ですっ」

 

「これまた、恋愛漫画ならではのような展開…

…それに、本来の役の人って…男、だよね…大丈夫なの?」

「あ、いえ…今回は先輩役も…女の子です

……峻先輩じゃない人と…そんな事…出来ません…///」

 

「…えっと、しずく~…ちゃん?」

「は、はいっ!早速練習お願いします!!///」

 

「えっと………''どうしたの、話って?''」

「先輩…私、先輩にずっと言いたかった事があります…っ!」

 

…なんかこれ、俺自身に言われてるような気がする。

って、いかんいかん…練習に集中しないと…。

 

「言いたいこと?」

「…私…先輩のことが…ずっとずっと前から…好き、でした…っ///」

「…ありがとう、でも俺はバスケに集中した……」

 

「…だったら……気持ちだけでも…受け取って…ください…っ!///」

そう言うとしずくちゃんが一気に近づいてきた。

本当に鼻と鼻が触れるくらい…近くに。

口から漏れる吐息が自分も口元に当たるくらい。

…このまま、本当に触れるんじゃないかと錯覚してしまうくらいに。

 

 

「……しずく…」

「っ……こ、こんな時に…そんな呼び方…ずるいです…っ…///」

「ごめん、でも……」

「…そんな事されたら…本当に…我慢できなく…なりますっ…!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────────っ…!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言うと…しずくちゃんはそっと俺の唇を塞いだ。

目を瞑り、顔を真っ赤にして…縋るように服の襟元を掴み。

 

 

「…っ…し、ずく…っ…!」

「……先輩……ごめんなさい…っ…でも、隠しきれません…っ!

わたし、先輩のことが─────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「峻……さん……っ…?」

 

 

後ろで声がした。

振り返ると………そこには、せつ菜が居た。

 

 

「………ぁ…ご、ごめんなさい…っ!」

そう言うとせつ菜は走り去ってしまった。

 

 

 

 

「せ、せつ菜…っ!!!」

我に返り、急いでせつ菜のあとを追った。

 

 

 

 

(…私…先輩と…本当に、キス…しちゃった……///)

ただ1人、呆然と部室に残るしずくだった。




次回は峻とせつ菜が本音でぶつかり合います。

そろそろ好意を見せ始める段階です。

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16話

ぐっばい…曜ちゃん…。
しずくちゃん…こい…こい…っ!(乗り換えが早い)


「はぁ、はぁ…っ!せつ菜…どこだ…っ!?」

 

せつ菜の後を追って走ってきたが、姿を見失った。

確認のため、練習してた場所に顔を出してみる。

 

「せつ菜…っ…は…いない、か…」

「あれ、峻先輩?」

「せつ菜なら部室に行ったはずよ?」

 

「…そう、か…うん、ごめん…なんでもない」

そう言うと俺は2人の顔も見ずに足早にその場を去った。

 

 

「…峻先輩、なんだか怖い顔してましたね」

「ふふっ、青春かしらね~♪」

 

 

 

 

 

…部室にも、居ない

練習してた場所にも居ない………となると、残りは…。

 

 

 

「……ここ、しかないよな…」

行き着いた場所は…生徒会室。

普通なら鍵がかかってるはず……だけど。

 

「…開いた」

生徒会長だから、鍵を持ってても不思議じゃないと思ったのだ。

 

 

「…見つけたよ、せつ菜」

「っ………峻…さん…」

 

顔を背けるせつ菜。

窓からの月明かりが入るだけで、せつ菜の姿は完全に見えない。

 

「…なんで、追いかけてきたんですか…」

「…せつ菜の顔を見たら…居ても立ってもいられなくて」

「…馬鹿、ですよね…私…」

 

「…せつ菜…………」

少し、せつ菜の声が震えている事に気がついた。

……泣いて、いるのだろう。

 

 

「…貴方となら…大好きって気持ちを…共有できるって思ってて…会長補佐って言う名目で…峻さんがそばに居てくれるって思ってました…っ…」

「…せつ菜……」

 

「と、当然…ですよね…っ…峻さんに…彼女が居ても…不思議じゃ…」

「…せつ菜…っ!」

 

気がつくと俺はせつ菜の前に立っていた。

これ以上泣く姿を見たくなかったからだ。

 

 

「…えっと、まず…これだけは言わせて

しずくちゃんと…その…口付けはした…けど

付き合ってはいない」

「…えっ?」

 

 

「…その、こんな事言うもの…男が廃るって言うか…言い訳にしか聞こえないけど…

俺は正直、優劣なんか付けられない

みんなのことは好きだ…」

「…峻さん…」

「…せつ菜のことだって…初めて見た時から…気になっていた、し…」

 

「…私…だって……ずっと…峻さんのこと…目で追いかけて…て…

でも、でもっ…!…スクールアイドルだから…好きになってるって気持ちに嘘ついて…っ…!

好きになっちゃダメって…分かってても…気持ちが抑えられなくて…っ!」

「…せつ菜…っ!!」

 

 

震えた声で喋るせつ菜を抱きしめる。

もう、聞いてるのも辛かった。

 

 

「……せつ菜…好きだ」

「…っ………!」

「…こんな俺が…せつ菜を好きになっちゃ…ダメ、か?」

「…そんな、事…ない…です…っ!」

 

「本当に?」

「…私は…峻さんのそばに居て…峻さんと大好きを分かちあって…峻さんの笑顔が見れれば…それで幸せなんです…っ!」

 

「…そっか、ありがとうな…せつ菜」

「…好きって…証拠……もらえ、ますか…?///」

「でも…スクールアイドルにキスするのは…」

 

「…なら、こうしましょう…♪」

 

せつ菜が引き出しの中から取り出したのは…眼鏡。

「予備の眼鏡です…っ

今…峻さんの目の前にいるのは…優木せつ菜ではなく…中川…菜々です…///」

「…良いんだな?」

 

「……私だって…この気持ちは…本気、です…っ///」

 

窓際まで近寄り抱きしめ合う俺と…菜々。

静かに唇を交した時…涙が零れた。

 

「…やっと…言えました…///」

「いつからそう思ってたの?」

「…分かりません、もしかしたら…部活動を認めて欲しいとここに話に来た時から…気になってたのかもしれません…///」

 

「…そっか、落ち着いた?」

「はいっ……峻さんの…中…落ち着きます…///」

 

そう言うと愛おしそうに何度も抱きしめ合う俺と菜々だった。

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

【次の日の朝礼】

 

「皆さん、おはようございますっ

生徒会長の中川菜々ですっ!」

 

「峻くん、なんか生徒会長、笑顔が増えたと思わない?」

「さぁ…そうかな?なんかいいことでもあったんだろ?」

 

 

 

「んー…なんか怪しいなぁ~…」

「な、なんだよジロジロ見て…」

 

 

ちらっとせつ菜の方を見るとこちらの視線に気がついたのかニコッと笑った。

 

…あの子と昨日…キスしたんだよなぁ…。

夜も寝る前にメッセージ来てたし。

【峻さんのそういう所…すごく頼りにしてますっ

…だから、好きになっちゃったのかもしれません…】

 

(…まさに、王道……いや、せつ菜はそういうタイプだと思ってたけど…)

 

 

 

 

 

 

【時間が経ち、放課後】

 

 

「お疲れ様~…あれ、せつ菜としずくは?」

「何やら練習について話に行きましたよ~?

…って!峻先輩っ!

今しず子のこと呼び捨てにしましたー?!」

 

「…後輩なんだから…呼び捨てにしても不思議じゃないだろ?」

「そ、そうですけど~!」

「あら、かすみちゃん…もしかして羨ましいのかしら?」

「か、果林先輩っ!からかわないでください~!」

 

「ほらほら、衣装お披露目するよ~?」

「わー出来たんだ~♪」

「本当に9人分作るなんて彼方ちゃん感心~…♪」

 

「って、歩夢は昨日の夜見せたから分かってるけどね?」

「うんっ!サイズ感ピッタリで驚いちゃった」

「しっかり、計らせてもらったからな」

 

「峻先輩~!もったいぶってないで早く見せてください~!」

「あはは、じゃあ行くよ──────────」

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

「せつ菜先輩…ごめんなさい!」

「し、しずくさん!謝らないでくださいっ!」

 

「…大変、恥ずかしい場面をお見せしてしまい…なんと言っていいか…」

「…しずくさんも…同じ気持ち、なんですね?」

「…えっ?」

 

「私もあの後…峻さんに…思ってる気持ちを全部ぶつけました

…貴方のことが好き、と……」

「…あっ………」

 

「…嫉妬しましたか?」

「…いえ、同じ気持ちの方が居てくれて…嬉しいです♪

もちろん、峻先輩が…誰が1番なのか…分かりませんが…

…いいえ、あの方なら…きっと1番とか2番とか…決めないでみんなの気持ちを受け取ってくれるって…私は思います」

 

 

「…同じ、気持ちですねっ」

「…はいっ♪」

 

 

 

「…ふふっ」

「…えへへっ…♪」

 

 

 

 

何か通じ合ったかのように…笑い合う2人だった。




取り合いなんかさせない!ハーレムだから!

しずせつはいいぞ、いいぞ!
峻くんがこういう場面で少し情けないような感じですが、そこに母性を擽られる方もいるようです。

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17話

CHASE!のサビは
【走り出した思いは強くするよ】

に対して
MELODYだと
【走り抜けた思いが心染めて真っ赤っか】

走り出して走り抜けるせつ菜を想像してちょっとふふっとなった今日この頃。


「しゅんしゅん!デートしよ~♪」

 

「藪から棒に何を………で、デート!?」

昼休み、愛さんからの突然のお誘いに飲んでたお茶を吹き出しそうになる。

 

 

「峻くん…愛ちゃんとデート行くような仲…なの?」

「ち、違う違う!愛さんがそう言ってるだけで…!」

 

「歩夢~、もしかしてヤキモチ~?

それにしゅんしゅんもタメなんだからさんなんか付けなくったっていいんだよ~♪」

 

「べ、別にヤキモチなんか…っ…もにょもにょ…///」

「…えっと、愛…歩夢が困ってるから」

「あははっ!歩夢も一緒にデートしよっか!♪」

 

「…いいの?」

「大勢の方が楽しいっしょ?♪」

 

 

確かに、今日は部活動がお休みだし…。

せつ菜は生徒会の仕事があるし、果林さんはモデルの仕事があるし…しずくは演劇部の方に出るし…。

 

「じゃあ、3人で行こっか!…それで、場所は?」

「原宿!」

「これまた若者の町を…」

「ひ、人多そう…大丈夫かな…?」

 

心配してる歩夢に向かって何やら耳打ちをする愛。

 

(そこはほらっ、しゅんしゅんの手でも握っちゃいなよっ♪)

(あ、愛ちゃんっ…!私はそんな…///)

(あれっ、愛さんの勘違い?…''てっきり''しゅんしゅんの事

好きだと愛さんのレーダーが''はっきり''告げてたんだけど…)

 

(そ、そそそっ、そんなこと…!///)

 

 

「…あの、2人とも…俺が置いてけぼりなんだけど…」

「しゅんしゅん~、置いてけぼりでしょんぼりしちゃった~?」

 

「…あ、あはは…///」

苦笑いをうかべる歩夢の顔はどこか恥ずかしそうだった。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

【放課後】

 

「2人とも~、ついてきてる~?♪」

「はぁ…はぁ…分かっていたけど…こんなに人が多いとは…」

「うぅ…人混みで酔っちゃいそう…」

 

「…大丈夫か、歩夢…?

…ほら、はぐれないように…」

「あっ…///」

 

ぎゅっと手を握ると歩夢は嬉しそうにありがとうといった。

その様子を見て愛がニヤニヤする。

 

「お熱いですな~♪」

「茶化すなよ……それで、どこに行くの?」

「着いてからのお楽しみ~♪」

 

「…なんか、嫌な予感しかしないんだけど」

「あ、あはは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー…しゅんしゅん、どっちがいい?」

「…な、なんでよりによって…」

 

 

連れてこられた先は…女性のマネキンに付けられた…赤や黒やピンクの…。

 

「…し、下着屋さん…?」

「…峻くんっ、あんまり見ちゃダメっ///」

歩夢が慌てて目を隠す。

…うん、見るなって言うのが無理なんだと思うよ、歩夢…。

それに、周りからなんかすごい視線感じるし。

 

…まぁ、女の子2人連れて下着屋に来たらそうなるよな…。

「しゅんしゅん~黒とピンクならどっちがいい~?」

「…えっと、愛のイメージなら…黒、かな…」

 

目を隠されながら俺は答える。

…正直、どんな柄なのかとか全然わからないけど…。

 

「んー、そかそか…あっ、歩夢はこれ似合うんじゃないっ?♪」

「こ、これは…さすがに恥ずかしいよ…っ!///」

 

「いーじゃん、いーじゃん♪」

そう言うと歩夢の手が離れた。

目にしたのは…明らかに攻め攻めな下着だった。

…これを歩夢が付ける…。

 

 

「…ごくり」

「しゅ、峻くんっ!今変な想像したでしょ…っ!///」

「あ、ごめん、つい…」

「あははっ!じゃあこれに決定~♪」

 

そう言うと愛はレジに向かってしまった。

「……ほんとに似合うと思うの?」

「…えっと、歩夢スタイルいいし…似合うと思うよ」

「……そ、そっか…///」

 

取り残された2人は同じタイミングで気まずそうに頬を搔く。

 

 

 

 

 

 

【その後】

 

「んー、クレープ美味し~♪」

「…The・女子高生って感じだな…」

「うん、でも…こうやって遊べたのも久々だったから楽しかったな♪」

 

クレープを頬張りながら俺たちはゲームセンターに来た。

「あっ、愛さんプリクラ撮りた~い!♪」

「あはは…はしゃいでるし」

「ふふっ、でも愛ちゃんが良い人って…峻くんも分かってきたんじゃない?」

 

「……だな」

クレープを完食し、プリクラコーナーに向かった。

 

 

 

 

「…とは言え、撮るの初めてだからなぁ…」

…あ、峻として初めてって事、だけどね。

聖良とは撮ったりしたけど…。

 

「愛さんに任せてよ~♪」

慣れた手つきで操作をする愛。

 

「色んなポーズ指定とかあるんだね…っ」

「んー、3人バージョン…あっ、あった!♪」

 

画面には俺達が映し出された。

…何故か俺がど真ん中だけど。

 

「最初は真ん中の人に抱きついてだって~♪えーいっ♪」

「あ、愛っ…!?」

 

恥ずかしがることなく、愛が抱きついてくる。

「いーじゃん、減るものじゃないんだし♪」

「そ、そうだけど…っ!」

 

大きい2つの感触が体の右半分を刺激する。

「あっ、愛ちゃんずるい…っ…私だって…!」

後を追うように歩夢も抱きついてきた。

…歩夢も結構大きかった…。

 

 

 

 

 

「ふ、2人とも…落ち着いて~!!」

プリクラマシーンの中で1人、男の声だけが響いていた…。




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18話

オードリーめっちゃ良い曲ですよね
ほぼ毎日聞いてる…。


「よしっ……みんな、休憩にしよ~」

 

手を叩き休憩を促すと、みんな力尽きたように床にへばりつく。

「は~…疲れた~…」

「でも、だんだん上達してるって分かるね…っ!」

「はいっ、皆さんのスクールアイドルへの愛が増しているのが目に見えてわかります!」

 

「そうね、これならソロライブも上手くいくと思うわ」

「''愛''さんの気''合''もめちゃくちゃ上がってるよ~!♪」

「璃奈ちゃんボード…''くすくす''」

 

「みなさ~ん、かすみんからの差し入れで~す♪」

休憩中に席を外していたかすみちゃんがパンをごっそり持ってきた。

 

「わ~、パンだ~♪」

「むむっ、美味しそうな匂いで彼方ちゃん、おめめしゃっきりんだよ~…っ♪」

「これ、かすみさんが作ったのですか?」

 

「かすみんは~、お料理も上手なスクールアイドルなのですよ~♪

さぁさぁ、皆さんどうぞどうぞ~♪」

 

「へぇ、なんか意外だな」

「むーーっ、峻先輩っ、意外ってなんですかー意外ってー!」

 

 

 

──────────────────

 

 

【かすみ 視点】

(ふっふっふ…かすみんの考案した他のメンバーを陥れる作戦その1…激辛パンを食べて口から火を吹いて貰いましょうかね……さてさて、誰が食べ……)

 

「ん……辛っ…!」

「しゅ、峻くん!大丈夫…っ!?」

 

(なっ…よ、よりによって…峻先輩が食べちゃった…!?

ど、どうしよう…っ!?…あああ、完全に怒って……)

 

「…かすみちゃん、結構ピリ辛なパンを作った…?」

「あ、あれ~ぇ…?…かすみん…ドジしちゃったかなぁ~…?

ごめんなさい~……てへへ…」

「ん…でも、これはこれで…美味しいよ、かすみちゃん」

「……へ?(お、美味しい訳ないですよ…っ!!デスソース入れたんですよ…っ!?)」

 

「ありがとうね、かすみちゃん」

「い、いえ~…♪(うぅ、峻先輩の顔が見れない……ごめんなさい、峻先輩…後でちゃんと謝ります…)」

 

 

その後は他のメンバーも普通にパンを食べてました。

…峻先輩も、特に怒ってる様子では無かったのですが…。

かすみんも心がこんなにも悲しくなってるのは…何故でしょうか…。

 

 

──────────────────

 

 

【練習終わり】

 

 

「あっ、かすみんは今日も居残り練習しますね~♪」

「じゃあ、私も!」

「あ、せつ菜…ここの振りなんだけど…」

「はいっ、ここはですね───────」

 

いつもの居残りメンバーの練習を見つつ…俺は先程の出来事を振り返る。

 

…あれは絶対かすみちゃんが仕掛けたトラップだ、と。

しずくから聞いたけど、かすみちゃんって結構いたずら好きらしい。

 

…多分、辛いってなってる顔を見たかったのだろう。

たまたま俺が取って食べたのが誤算だったみたいだけど。

 

(…これはおしおきが必要かな…?)

意地悪したくなる性格は恐らく悠の時から変わらないのだろう。

曜や梨子はSだ…とか言ってたけど俺はあんまり自覚はない。

 

 

 

「あ、かすみちゃん…ちょっといい?」

「はい?峻先輩…どうしたんですか?」

 

先程の出来事を忘れているのか、普通に接するかすみちゃん。

…感づかれないように…。

 

「衣装のサイズ…少し調整したいんだけど…いいかな?」

「ええっ…!?…かすみん…そんな太って…」

「ああ、違う違う…むしろ逆

かすみちゃんの体型良いから、衣装が少しブカブカなんだよ

せっかくなら可愛いかすみちゃんには可愛い衣装の方がいいだろ?」

 

「ま、まぁ~そりゃ~かすみんは可愛いですけどね~♪」

この子は可愛いという言葉にとことん弱い。

鼻歌交じりで顔を赤くするあたり分かりやすい。

 

「も、もうっ…峻先輩はそういうこと平気で言っちゃうんですから…!

…ま、まぁ…そこが先輩のいい所ですけど…///」

 

「じゃあ、ちょっと部室行こっか?」

「はいっ♪」

 

せつ菜と果林先輩に声をかけ、俺とかすみちゃんは部室に向かった。

 

 

──────────────────

 

部室に着いた俺は…かすみちゃんに気が付かれないように鍵を閉めた。

 

…さて、どう意地悪してやろうかな…?

「…それで…先輩?サイズの調整ってかすみんは何をすればいいんですか?」

「ん、俺がメジャーで測るから…じっとしててね?」

「はーいっ♪」

 

そう言うと真っ直ぐ立ち、手を横に置くかすみちゃん。

メジャーで上から順に計測していく…フリをして、ボディタッチを敢行。

 

「せ、先輩…っ…?///」

「ん…?…ごめん、触ってた?」

「あ、いえ…気にせず…どうぞ…っ///」

 

ふむ、ここまでやっても感づかないか。

……なら。

 

「んー、かすみちゃんってスリムで可愛いよね~」

「ひゃっ…!!///」

 

お腹の辺りをぷにぷに触ってみる。

「あ、ごめん…くすぐったかった?」

「あ、か、かすみん…あまりくすぐったくならない方…なんですけど…///

峻先輩…っ…手つきが…その…変です…よ…?///」

 

「そんなことないよ~」

思いっきり棒読みで喋る俺にさすがに違和感を覚えたかすみちゃん。

 

「…さ、さっきのこと…怒ってるんですか…っ?///」

「…そうだ、と言ったら?」

 

ぐいっと引っ張り強引に抱きつかせる。

…いや、傍から見たらコンプライアンス無視の事件ものだよ、これ。

かすみちゃんって知ってる人だから許されるけど知らない人ならただの痴漢よ、ほんと。

 

「ゆ、許してくださぁ~い……」

泣きそうな声で許しを乞うかすみちゃん。

 

「んー…辛かったのは事実だけど…かすみちゃんが可愛いから俺をその気にさせたんだよ?」

「え、えええ~…っ??!!」

 

あわあわと動揺する姿がなんとも可愛らしい。

…この辺でやめにしておこう。

そう思って離そうとすると……。

 

「…ほ、ほんとにかすみんの事可愛いって思うなら…とことん…やってください…よ…///」

「……っ…………」

 

突然しおらしい態度を取るかすみちゃんに思わず面を食らう。

…正直、めちゃくちゃ可愛かった。

 

「…かすみんの中で…1番は…峻先輩なんですよ…っ///」

「…本気?」

「…か、かすみんだって…覚悟くらいできてます…っ!///」

 

そう言うと、俺の顔を持ち…ゆっくりと自分の胸の辺りで包み込んだかすみちゃん。

 

「…聞こえ、ますか…かすみんの…ドキドキ…///」

「……かすみ…ちゃん…っ」

 

「先輩……っ…かすみって…呼んでください…よ…///

しず子のことばっかり…呼び捨てで…ずるいです…///」

「…分かった……かすみ…」

 

「…これからも、かすみんの事…可愛いって…言ってくれますか…?///」

「言うよ、かすみは可愛いからな」

 

「…えへへ……もっと…こうしてて…いいですか…?///」

「どちらかと言えば俺が抱きしめていたいんだけどな」

「むっ…峻先輩からのお願いなら無下には出来ませんね……どうぞ…///」

 

両手を広げ無抵抗になるかすみ。

その状態のまま…俺は抱きしめる。

抱きしめた時の手の位置が悪かったのか、かすみの腰の下辺りに俺の手がある。

 

「んっ…峻…先輩…っ…!///」

「……今のかすみ…めちゃくちゃ可愛い」

「ずる、い…そんな言葉…囁かないでくださ…ぁい…///」

 

我慢の限界が来ないように自分に何度も言い聞かせた。

正直、押し倒すのも時間の問題だと思っていた。

 

「…んっ…そろそろ戻らないと…2人とも心配、しますよ…?///」

「…あ、あぁ…」

 

「…また、したくなったら…いつでも…していいですよ///」

 

 

 

最後にそう呟いたかすみはいつもの小悪魔的な笑みに戻っていた。

…唯一変わったところといえば…俺に素直になったとこ、だろうか。




ん?R-17.9?…気のせいだよ(目を逸らしながら)

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19話

しずく→せつ菜→かすみ…………。

と来たらあの子しかいねぇよなぁ!←


わくわくアニマルせつ菜ちゃん…どこ…どこ?


ソロライブ間近、俺は今日も練習メニューを作成したり

ライブに向けての確認作業に追われていた。

 

 

(…っ……危ない、あぶ…ない…寝るとこだった)

 

ここ最近、睡眠時間は結構削っている。

3時間寝れれば良い方だろうか。

 

「峻くん…?部室に行くよ?」

「(…とは言え、みんなが輝くためだ、俺ももうひと頑張りしないとな…っ)えっ…?…あっ…!いけねっ!練習の時間に遅れる!」

 

歩夢と急いで教室を出る。

いつの間にかボーーっとしていたようだ。

 

教室から出て数歩、歩いた時だった。

(……あ、れ……………?)

 

──────視界が揺らぐ。

まるで、自分が船に乗って波に揺られているようだった。

 

一気に脱力感に襲われ、その場で立ち尽くしてしまう。

力を入れようにも入らない……喋るのもしんどい。

 

 

「…?…峻く──────────」

 

 

 

歩夢の言葉が最後まで耳に入ることなく……俺は意識が遠のいた。

 

 

 

 

ドサッと言う音と共に、周りの人の悲鳴が廊下に響いた。

歩夢が直ぐに峻の元に駆け寄った。

 

「峻くんっ!!大丈夫っ!?…峻くん!!」

呼びかけても反応がない。

 

事態を聞きつけた先生が直ぐに峻を保健室へと運んだ。

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

「ん………んんっ………は…っ…!!!」

意識が吸い込まれるように戻ってくるのを感じた。

…俺は横になっていて、天井を向いていた。

 

(…ここ、は…………)

「峻くん…!!!」

 

すぐ横で座っていた歩夢が血相を変えて俺の名前を呼ぶ。

「…ぁ…歩夢…?」

「よかった…目を覚ましてくれた……」

 

心から安心したのか、歩夢が大きく胸を撫で下ろした。

「…ここ、は…」

「…保健室だよ。

峻くん、教室から出たら…突然倒れて…」

 

「……………」

その辺りの記憶はかなり曖昧だ。

…頭が痛むってことは倒れた際に…頭を打ったということだろう。

 

「…保健室の先生は、過労でしょうって…」

「……あはは…」

 

「あはは、じゃないよ!!!…本当に、心配したんだからね…」

泣かないように、泣かないように…と我慢していた歩夢だったが

じわじわと目頭に涙を浮かべていた。

 

 

「…ごめん、俺…張り切りすぎちゃった…」

「…ううん、私の方こそ…ごめんなさい

峻くんのSOSに…気が付かなくって…」

 

「…歩夢…」

「体、辛くない…?…何か出来ることあるなら…遠慮なく言ってね…?」

「…うん、ありがとう」

 

「…でも、もう無理はしちゃ…ダメだからね…私との約束…だよ?」

ぎゅっと手握り、真っ直ぐ見つめる歩夢。

 

「…ああ、約束するよ…」

そう言って歩夢の頭を撫でた。

 

「…峻くんの支えに…私はなりたいの…」

「…じゃあ、これからは…沢山頼っちゃうかもな」

「峻くんのためなら…なんだって!」

 

いつものようにニコッと笑う歩夢。

その姿が…すごく愛おしく思えた俺は歩夢を自分の方に引き寄せた。

 

「…ありがとう、な…歩夢」

「…ううん、小さい頃は…私が峻くんに助けて貰ってばかりだったから…今度は私が峻くんを助ける番だよ…♪」

「(…ごめんな、歩夢…その事を知らない…ままで……でも、こうしてあげるのが…今俺ができる精一杯の行動だから…許してくれ)…他のみんなは?」

 

「…まだ、峻くんが倒れたって知らないよ

きっと、伝えたら…部活どころじゃないし…峻くんも安静にしてる方が良いと思ったから」

 

「…そっか、何から何までありがとうな」

「…じゃあ、峻くんも目が覚めたし…他のみんなに伝えてくるね?」

 

抱きしめていた歩夢が離れようとするのが…俺にはすごく寂しく感じた。

 

 

「待って…!!」

つい、呼び止めてしまった…。

 

「…?…どうしたの?」

「…行かないで…」

「…えっ…?」

「…もう少し…このままが…いい…」

 

初めて聞くわがままだったのか歩夢も恥ずかしそうに頷いた。

 

「…峻くん…可愛い…♪」

そう言うと今度は歩夢が頭を撫でてきた。

 

「…ん、歩夢の撫で方…好きかも」

「これからは…もっともっと…してあげるからね♪」

「…うん…」

 

ふと、腕が胸に当ってしまった。

もちろん、わざとでは無いが…歩夢が少しビックリした声と甘い声が入り交じったような声を漏らした。

 

「んっ……しゅ、峻くん…っ…?///」

「ご、ごめん…っ…!」

「…いいよ、しょうがないなぁ…♪」

 

笑顔で許してくれた歩夢。

……この笑顔をずっと見ていたいと思った…俺だった。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

歩夢が部室に向かい、30分が経過した。

時刻は17時過ぎ…そろそろ練習も終わりに差しかかる頃だろうか。

 

…その時…。

 

「しゅ、峻…っ!」

「果林ちゃん、保健室では静かに~…」

「あ、あぁ…ごめんなさい、彼方…」

 

「…2人とも…?」

「あぁ、良かった…歩夢から倒れたって聞いた時は本当に驚いたわ……これ、お茶よ?」

「あ、あぁ…ありがとう…果林さん」

 

「無茶は良くないよ~峻くん~?」

「…ごめんな、大丈夫だって自分では思ってたんだけど…」

 

「…ダメよ、そう思ってても頭と体は正直なのよ?

…それに、もっと私たちに頼りなさい?

部長は貴方じゃなきゃ、私たちもついて行かないわよ?」

「…肝に銘じておきます」

 

「おやおや~…?

果林ちゃん、さっきまで慌てふためいていたのにな~…?

峻に無理をさせていたのは私の居残りに付き合ってもらったからかしら…!?…って~」

「こ、こらっ…彼方…!」

 

「あはは…そんなことないよ、果林さん

…まぁ、みんなが初めて行うライブイベントだからね…俺もつい…絶対成功させるんだってシャカリキになっていたよ」

 

「…もう…ちゃんと私達にできることがあるなら言いなさい?

…あなたは1人じゃないのよ?」

「…うん、ありがとうね」

 

「とにかく~…無事そうでよかったよかった~…

彼方ちゃんにとって…君は弟みたいなものなんだからね~…♪」

 

バサーっと横になる彼方さん。

…あの、場所的には彼方さんの頭の部分が俺の下腹部に…。

 

「こ、こら彼方!…もう、私たちは戻るわ?

…今日はしっかり休んで、明日から元気な姿を見せてちょうだい?」

「ああ、約束するよ」

 

 

そう言って果林さんと彼方さんは保健室を後にする。

 

 

 

 

「彼方…貴方少し節操というものを…」

「えへへ~…峻くんは彼方ちゃん専用の枕ですから~…♪

…でも…峻くんも彼方ちゃんが寝そべった時にドキドキしてたみたいだし~♪」

 

「…どういうこと?」

「さぁ~ね~?♪」

「おかしな子…」

 

寝そべる位置も全て彼方の計算のうち……かどうかは不明である。

 

 

 

──────────────────

 

 

【あ、歩夢さんから聞きました!!…大丈夫なんですか?】

【帰りは普通に歩けたし大丈夫だよ…まぁ、若いからって無理はいけないって思い知らされたよ…菜々】

 

家に帰ったあと、メッセージを入れていた菜々(せつ菜)に電話をしていた。

 

【…会長補佐は、貴方しかいないんですよ…っ

…とは言え、もし何かあるようなら…遠慮なく言ってくださいね?

最近、お仕事を手伝って貰ってばかりですし…】

 

【ああ…その件なら大丈夫だよ…報酬は菜々の寝顔ってことで】

【…えっ…?……あっ!】

 

なんの事かすぐに分かった菜々は、''あああぁ~…''と恥ずかしそうな声を出した。

 

それは2日ほど前のこと。

菜々の資料まとめの手伝いをお昼休みにしていた時。

一通り終わったのを確認して菜々に渡そうとして…視線を向けると。

 

菜々が机に突っ伏して寝ていた、ということがあった。

その時の寝顔が可愛くって写真撮ったのは内緒だけど。

 

 

【お、お恥ずかしいところを…】

【俺の心配も嬉しいけど、菜々もしっかり休みなよ?

…たまには休日にリフレッシュしないと】

 

【…な、なら…ライブイベントが終わったら……私と…一緒に出かけてくれませんか!?】

【…俺でいいのか?…他に愛とか歩夢とかいるんじゃ…】

【こ、これは会長命令です!…それに、報酬が寝顔というもの私は腑に落ちません!決定事項です!異論は認めません!!】

 

【ぷっ…あははっ!それもアニメのセリフ?】

【は、はいっ!……って!誤魔化さないでください~!】

 

 

 

 

こうして、俺と菜々(せつ菜)の出かける約束が出来た。

 




ニジガク可愛い!!(挨拶)

ニジガクメンバーの寝そべりとか出ないのかな?
…せつ菜としずくはゲットしておきたいなぁ…(既にA・ZU・NA推し)

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…なんかYouTubeっぽくなった(笑)


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20話

いよいよソロライブ!
そろそろAqoursが出てくるなぁ…。


「みんな…心配かけてごめん!」

 

体調が万全になった俺は練習場に向かい、すぐさまニジガクメンバー全員に謝った。

 

「もー、心配したんですよ~峻先輩~!」

「先輩、無理してませんか…?

…無事でしずくは安心しました…♪」

 

「ちゃんと休養はとるんだよ~しゅんしゅん!」

「おやすみしてる間もちゃんと私たちは練習してたから大丈夫だよ♪」

「もう明日はライブイベントだけど…大丈夫…?

璃奈ちゃんボード…''おろおろ''」

 

「ほんとごめん…自分で大丈夫って思ってて…無理してた

もう、無茶はしないよ…みんなに頼ることあると思うけど…その時は…力を貸してね?」

 

「「もちろんです!♪」」

…よかった、みんなに信頼されてる、のかな…。

 

「あ、そうそうっ!しゅんしゅんこれ見てよー♪」

愛が持ってきたのは…携帯だった。

そこに映っていたのは…。

 

「Aqoursとμ'sの新しい衣装だって~♪」

「……っ………………」

 

赤や青や緑を各キャラで割り振ったような衣装。

…みんな、笑顔で写真に写っていた。

…この衣装を作ったのは…恐らく、曜とルビィ…かな。

 

(…こんなこと言う…のは、変だけど…声が聞きたいよ…みんな…)

ブンブンと首を振り、考え直す。

 

 

(ううん!俺にはここでやるべきことがある…!!)

その日はソロライブに向けて最終確認を行った。

 

 

 

 

──────────────────

 

【その日の帰り道】

「峻さん…何かあった…?」

「ん…璃奈ちゃん…俺の顔…そんな変だった?」

 

「…さっきっから…凄く、思い詰めてるような顔してた」

「…そっか」

 

「…何か悩みあるなら…話、きくよ?

璃奈ちゃんボード……''にっこり''」

「あはは、ありがとうね……んー…悩んでるって言うか…

Aqoursやμ'sのみんなを見てると……なんだか燃えてくるっていうか…」

 

「…燃える?」

「そ…いつかニジガクメンバーのみんなも…あの2組に肩を並べるようなスクールアイドルにしたいって」

「峻さんなら…きっと大丈夫だよ

璃奈ちゃんボード……''にぱー♪''」

 

「…璃奈ちゃんも、いつか素顔が見れたらいいな」

「…ん…見たい、の…?///」

 

ううう…と悩むような顔をした璃奈ちゃん。

…さすがにタブーすぎたか?

 

「…いつか、ちゃんと…峻さんにも…本当の私を見せれたら…な…って思ってるよ…?」

「…ん、なら…約束だね…?」

「うん…っ…約束…っ」

 

指切りげんまんして、俺は自分の家に帰った。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

夕飯も食べて、風呂にも入って…。

いつも通り過ごしていた…けど…。

 

(落ち着かないな…明日が本番だからかな…)

 

寝れる感じもなく、心無しかそわそわしていた。

 

(…今から、誰かに連絡しても…大丈夫かな…?)

 

 

 

おもむろに俺は携帯を取りだした……………。

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

※ここからは各キャラのメッセージのやり取りです。

お気に入りのキャラのメッセージをお楽しみください!

 

 

 

─────────────────

 

 

 

【歩夢、今起きてる?】

【峻くん?どうしたの?】

 

【…いや、なんだか寝付けなくって】

【そうなんだ…実は、私も…】

【緊張してる?】

【緊張…してるけど…一番は驚いてる、かなぁ】

【驚いてる…?】

【私がスクールアイドルをしてるって…今思うとすごくびっくりするって言うか…

最初はね?…峻くんに誘われたけど無理だよって思ってたの…でも、峻くんの想いや言葉でやってみようって思えたの!

…今はすごく、やりがいを感じているよ!】

 

【…それは、俺じゃなくて歩夢が頑張ったからだよ】

【ううん、峻くんのおかげだよ…!

だから…ありがとうね、峻くん!

明日のライブ、楽しみにしててね!】

 

 

 

──────────────────

 

(さて、と…しずく…しずく…)

 

prrrrrr…

 

「おわわわっ!携帯落とすとこだった……も、もしもし?」

「あ、先輩っ♪

…今、大丈夫ですか?」

 

「うん、俺もしずくに連絡入れようとしてたところだよ」

「私に…ですか?」

「明日のライブ、楽しみとドキドキで寝れなくて…しずくも同じなのかなーって」

 

「わぁ……♪

…実は、私もそうなんです…緊張を落ち着かせたくて…先輩のこえが聞きたくなっちゃいました…♪」

「…しずく…」

「私達…気が合いますね…♪」

 

「…な、なんか恥ずかしくなるからやめて…」

「ふふっ、照れてる先輩…なんだか可愛いですっ♪」

 

「…しずくには敵わないなぁ…その様子だと、緊張もほぐれたかな?」

「はいっ、先輩の声を聞いたら…安心して落ち着きました…♪」

「ん、そっか……明日はしずくのライブ楽しみにしてるよ」

「はいっ、ありがとうございます♪」

 

 

──────────────────

 

 

「…流石に彼方さんは寝てるかな…?」

起きてから見れるようにメッセージを送っておく。

 

これで返事が来たら面白くって笑っちゃいそうだけど。

 

 

ピンポーン。

 

 

「って、ほんとに来たし!?」

【むむむ…彼方ちゃんが寝ようとした時にメッセージ送ってくる不届き者は誰だ~…!!

…なんて、冗談だよ~

彼方ちゃんも珍しく寝付けないというか…】

 

「あはは、彼方さんらしくないなぁ」

【明日のソロライブ…楽しみ?】

【楽しみだし…やっと彼方ちゃんらしいスクールアイドルになれるって思うと…もう楽しみすぎて明日が待ち遠しいよ~♪】

 

【明日は一番近くで見させてね】

【うんっ、彼方ちゃん…峻くんの作ってくれた曲を…頑張って歌うよ~…♪】

 

 

──────────────────

 

「…なんでだろ、せつ菜に連絡するの…緊張するな…」

特別視…と言う訳では無いが、せつ菜とは何かと接点が多い。

…その度にドキドキするのは…俺だけだろうか?

 

(いかんいかん…自意識過剰になりすぎだぞ…)

【せつ菜、起きてる?】

【はいっ、起きてますよ!どうしたんですか?】

 

【…えっと、明日のソロライブ…期待してるからね】

【もちろんです!…あ、でもそう思うと…峻さんが私のライブを見るのは初めてって事になりますね!】

 

言われてみればそうだ。

この前の出来事はライブの前の事だし…。

せつ菜のライブかぁ……。

 

【なんか熱そうなライブになりそうだね】

【峻さんが作ってくれた曲を私が最高の出来にします!】

【あはは……いつも通りのせつ菜だね】

【…それに、ライブイベントの後は…峻さんとの…お出掛けも待ってると思うと……い、いえ!なんでもありません!

…そろそろ、私は寝ますね?】

 

【…う、うん…おやすみなさい、せつ菜】

【はいっ!】

 

 

…まだ心臓ドキドキしてる。

(…こりゃぁ、完全に彼女の虜だな…俺)

 

 

──────────────────

 

 

【霞ヶ関~】

【ちょ、峻先輩!霞ヶ関って何ですか~!!】

【あはは、ごめんごめん】

【いくら峻先輩でもかすみんそんなこと言われたら泣いちゃいますよ~(><)】

 

【…その様子だと、緊張もあんまりしてないって感じだな】

【…いえ、本当は…結構緊張してます】

【そうなの?…まぁ、初めてのライブだからなぁ…】

 

【いえ…それもありますが…

…正直、スクールアイドル同好会がここまで来るのが…夢みたいで…】

【かすみちゃんの情熱がなし得た事だと思うよ】

【そ、そんな…峻先輩が頑張ってくれたから…かすみんは何も…】

 

【俺が来る前からかすみちゃんが1人で守ってくれたんだろ?】

【…峻先輩……】

【とは言え!…まぁ、まだこれからだよ

…もっともっと…輝いて欲しいからね、かすみには】

 

【も、もちろんです!!…って!峻先輩…今かすみって…】

【それじゃ、早めに寝ろよ?】

 

【あっ、は、はい……っ!!】

 

 

アイツ…部室で2人きりになってから…なんか俺にだけ丸くなったような気が。

 

 

────────────────

 

(果林 視点)

 

……あら、もうこんな時間?

ストレッチをしてただけなのに…結構時間経っちゃったわね。

 

 

(いよいよ明日…かぁ)

何気なく始めたスクールアイドルだったけど…。

ライブに出るまでのめり込むなんて、私自身驚いてる…。

 

「…ま、彼のおかげ…かしらね?」

あんな熱意のある目で誘われたら…断れないわ。

それに………………。

 

「彼といる時のこの胸の高鳴り……どうやったら本人に伝わる…かしら…」

もちろん、そんなこと本人の前では言えない…。

言えたとしてもあの子は…恥ずかしそうに抵抗するわね…♪

 

「…ふふっ、ほんとに不思議な子…♪」

携帯を開き、通知を見て思わず笑ってしまった私。

まるで、話を聞いていたかのように…彼から連絡が来ていた。

 

 

──────────────────

 

 

【しゅんしゅん!衣装着てみた~♪】

 

メッセージと共に写真が送られてきた。

我ながら…キワキワの攻め攻めの衣装だなぁ…と思った。

 

さすがに愛も気がついていたのか…?

 

【しゅんしゅんって~…太もも好きな感じ?♪】

【んなっ……!!!】

【あっはは!図星なの~?

…まー、愛さん視線には気がついてたけどね~♪】

 

【…えっと、ごめん…そういうつもりで見てたわけでは…】

【いいっていいって~♪減るもんじゃないし~♪

…ただ、みんなの前じゃ恥ずかしいから…2人きりの時に、ね?♪】

 

【…愛……】

【なーんてねっ、明日はアゲアゲで行くからよろしくね~!♪】

【お、おうっ!楽しみにしてるからな!】

 

 

────────────────

 

 

【…そう言えば、今回のソロライブの映像をスイスの家族に見せるんだっけ?】

【うんっ、そうだよー♪】

【きっと、エマさんのスクールアイドル姿見れて喜ぶと思うよ】

 

【えへへ…まだ衣装には慣れてないけど…ライブ、頑張るね!】

【…やっぱりスカートとかは慣れない?】

【うーん…短いのは…まだ慣れないかな…

…あと…少し胸の部分がキツい…かな】

 

【……次回の参考にさせていただきます…】

【ふふっ、次回も期待してるよ、部長さんっ♪】

 

 

────────────────

 

 

【璃奈ちゃん、ライブ用のボードの調子は大丈夫?】

【うん、いい調子だし…これならライブに集中できると思う(´˘` )】

 

(なんか璃奈ちゃんのメッセージもいつも通りって感じだなぁ)

【あ、今いつも通りとかって思ってた?(?ω?)】

【…お見通し?】

【璃奈ちゃんにはなんでもお見通しなのだ( *¯ ꒳¯*)】

 

【じゃあ、明日のライブの成功するかどうか見通せる?】

【そんなの決まってるよ、峻さんが考えてくれてプロデュースしてくれたんだから…大丈夫に決まってるよd(˙꒳˙* )】

【璃奈ちゃんがそう言ってくれるなら期待しようかな】

 

【うん、期待しててね◝︎(*´꒳`*)◜︎】

 

 

───────────────

 

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の第一歩まで…あと少し。




どこでR版を出そうか悩んでます…!

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21話

今年スクスタのガチャ30回くらい引いてるんですけど虹色が1回も来ません…。
今年本厄だからかな……助けてラブライブ!!


評価3件付いてました!
本当にありがとうございます!!


そして、ついにソロライブのイベント当日を迎えた。

 

 

…結果は……

 

歩夢「やっぱりせつ菜ちゃんの優勝か~…」

愛「さすがだよねっ!♪」

 

「…でも、みんな…気がついてる?

TOP10に…みんなが入ってるんだよ?」

 

果林「初めてにしては…上出来って事ね!♪」

エマ「こんな素敵なライブができて…ほんと良かったよ~♪」

しずく「もっともっとライブ…したいです!♪」

かすみ「かすみんだってもっともっと見てる人にかすみんの可愛さをアピールしたいもん!」

 

璃奈「私は緊張して胸がずっとドキドキしてたよ…」

彼方「遥ちゃん…見ててくれたかな~?♪」

 

 

みんな手応えを口にする。

…正直、9人のソロライブがどれもこんなに輝いて見えるなんて…思ってみなかった。

 

「(…Aqoursのみんなも…ソロライブしたらどうなるのかな?)……あとね、これは良いニュースで……」

 

「「「………………?」」」

「特別枠で…スクールアイドルフェスティバルに出場…決定したよ!!」

 

「「「…え?」」」

「「「……ええええええ!!!???」」」

 

 

9人が声を揃えて驚きの声を上げる。

「あ、あはは…打ち明けるタイミング…間違えた、かな?」

 

歩夢「ど、どうして…っ!?」

せつ菜「出場できるなんて…初めて聞きましたよ…?!」

 

「俺も開催者から聞かされた時は驚いた…でも、せっかくなんだし…出場したい、なって…

…でも、ここからは…少し悪いニュース」

 

「「「………………?」」」

「スクールアイドルフェスティバルは…グループでライブ、するから…今度は9人揃ってダンスとか歌をしなきゃいけないんだ」

 

愛「…それのどこが悪いニュースなの~?」

果林「聞いた感じ…悪いニュースだとは思わないけど…」

 

「…いや、俺的には…みんなの個性がすごく光っているから…みんなの個性を伸ばしていきたい、なって」

 

しずく「…でも、私は…せっかく9人いるなら…グループライブもしてみたいです!!」

かすみ「かすみんもです~!♪

もちろん~…センターはかすみんですけど~♪」

 

「…あはは、俺の考えすぎだったのかな…

うん、俺も…みんなの輝くライブを…もう一度作りたい!」

 

 

「「はいっ!!♪」」

 

 

 

次への目標と…充実したライブが出来たと思った俺とニジガクメンバーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

その日の夜……。

 

 

(…ん、んん……なんだ…夢…か?)

 

ぼんやりとした風景が自分の前に広がっていた。

…ここは…病室?

 

…誰かが寝てるみたいだけ、ど……。

 

 

「…うっ…うううっ……!」

「…千歌…」

 

(千歌…っ…それに、果南…!!)

ベットに泣き崩れるように千歌が座っていた。

その様子を見て暗い顔をする…果南。

 

…つまり、このベットで横になっているのは…。

 

 

(そんな…俺…なのか…っ!?)

夢にしてはリアルすぎる。

…それに、俺は…死んで、いるのか…?

 

反応もなければ…ずっと目を閉じたままだった。

…何が起きているのか分からない…。

 

「悠…く、ん……お願い…目を覚まして…よぉ…!!」

「千歌…やめよ…それ以上は…もう…」

「悠……くん…っ……ぁ…ああああっ…!!」

「……千歌…」

 

(やめてくれ……千歌…っ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「──────────はっ…!!!」

 

目覚めると…いつもの自室だった。

……時刻は…5時半を過ぎていた。

 

起きてみると、自分でも驚くくらい…汗をかいていた。

気持ちが悪いくらい…動悸もする。

 

「…はぁ……はぁ………千歌…」

何かに取り憑かれたかのように…大きめのバッグに服やバッテリー…その他もろもろ…準備を進めていた。

 

これ以上…自分の考えを抑え込むのが出来なくなっていた。

…ニジガクのみんな…怒る、かな…。

 

(…でも、ごめん…これは俺のわがまま…だから)

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

今日は半日で学校が終わりである。

部活は…せつ菜も生徒会の仕事もあるし、しずくも今日は演劇部…。

 

まぁ、ソロライブ後だし…今日は休養日ってことになっている。

 

「峻くんっ、この後予定ある?」

「ん、みんなのグループライブのアイデアを作ろうと思ってるよ」

「そっか…じゃあ、1人の方がいいねっ」

 

歩夢は俺が作業する時は1人でいる方が捗るのはよく知っている。

…もちろん、アイデアを作るのは…間違ってはいないが…。

 

 

 

 

 

 

 

(…さて、と)

1人、部室に入る。

…明日明後日は…土曜日曜だから…部活は無いと思うけど。

 

「こんな行動したらみんな驚くかな…」

机の上には…置き手紙。

 

 

書いてある内容は…ただ一言。

 

【輝きを見つけに…沼津に行ってきます】と

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

学校から帰ってきて直ぐに支度をする。

母には既に話をしてある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電車を乗り継ぎ…2時間半。

沼津の地に…足を踏み入れた。

 

「懐かしい…こんなにも…沼津の地が恋しくなるなんて…」

 

迷うことなく…俺はそのままバスに乗りこんだ。

…千歌のいる…旅館に向かって…。

 

 

 

 

 

 

 

 

バスを降りると…伊豆三津シーパラダイスや淡島がすぐに見えた。

…そして、千歌が居る…十千万。

 

…しかし、ここで重要なことに気がつく。

(…そもそも、今の時間…いるのか?)

 

部活中の可能性もある…。

…そして、何よりも……''俺のことを覚えてない…知らない''という事。

 

 

(行き当たりばったり…だったかなぁ…)

突然冷静になり…十千万の前にある砂浜に座り込む。

目の前で寄せては返す波をみて…少し泣きそうになった。

 

「……………はぁ」

気も晴れないし……気分転換に…歌でも歌う…か。

 

 

(Aqoursのみんなと…ライブをした…曲にしようかな…)

人知れず…海に向かって口ずさむ俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「だーかーらー!μ'sさんとのライブの時はバク転以上のことしようよ~!」

?「バク転以上…?…具体的には何をするの~千歌~?」

 

?「んー………あ、そうだ!組体操とかしようよ!」

?「What's?…組体操??」

?「そんなのぶっぶーですわ!」

 

?「あ、あはは…残念だったね………?…千歌ちゃん?」

?「…あそこに…誰かいる……」

 

?「えっ…?………あ、ホントだ…珍しいね…男の子?」

?「歌ってる………すごい、綺麗な歌声…」

?「…うゅ…ずっと聞いていられる…」

?「沼津の高校の子かな?…初めて見るけど…」

?「……声掛けてくる!」

 

?「あっ、ち、千歌ちゃん!?」




次回、峻くんとAqours…初対面!

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22話

昨日、一昨日ってフェスだったんだよなぁ~…
仕事頑張ってたなぁ~あはは~…(血涙)

行けた人いるのかな?


※評価4件ついてました!ありがとうございます!
色づくまであと1つ!


「………はぁ」

 

「…あの~…貴方…だあれ?」

「えっ………?…あっ……!!!」

 

目の前で様子を見に来た女の子…

オレンジ色の髪の毛で…くせっ毛の目立つ…。

 

「(千歌…っ…!!)…えっと……俺は…」

「観光…に、来たの?」

「…うん、そんな所…」

 

「千歌ちゃ~ん!」

「もう、先に行かないでよ~」

「あはは、ごめ~ん」

「はぁはぁ…いきなり走り出したと思ったら…何事ですの…?」

「うゅ…びっくりしたぁ…」

 

「(曜…それに、果南も…ダイヤもルビィも…)……っ……うっ…ぁ…」

「えっ!?ち、千歌ちゃん…泣かした!?」

「え、えええっ!?

千歌何もしてないよ!?」

 

「ご、ごめん…違うの…Aqoursの人達に会えたのが嬉しくって…」

「えーーっと…とりあえず、話聞いてみようよ?」

「そうだね、ここじゃなくてウチの旅館で話、聞くよ?」

 

「…あり…がとう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も見た旅館…十千万の前。

しかし、どうしてだろう…。

この埋まらない溝は…。

俺の中では…千歌や曜…果南との思い出が蘇るのに…。

 

 

「わんわんっ!!」

「う、わわっ…!?」

 

「しいたけが初めての人にこんなに懐くなんて珍しい~…」

「し、しいたけ…?」

「そうっ、ウチのペットだよ!…いつもは番犬みたいな役割してるんだけど…あはは、貴方って動物に懐かれるタイプなのかな♪」

 

 

「(…しいたけ…もしかして…俺のことを覚えて……いや、そんなこと…あるわけないか…)……分かってたとしても…犬じゃ喋れないしなぁ…」

 

「わんっ!」

ぼそっと話した言葉にしいたけは返事をしてしっぽを振るだけだった。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「えっと、改めまして…スクールアイドルAqoursの高海千歌ですっ♪」

「宮之原 峻って言います…東京でスクールアイドル同好会の部長してます…」

 

「渡辺曜であります!…って……お~…?

東京のスクールアイドルだって、千歌ちゃん!」

「私は松浦果南だよ、よろしくね♪

その宮之原くんが…沼津にどうして来たの?」

「(本当はみんなの声が聞きたいから…とは言えないから…)…Aqoursとμ'sのスクールアイドルフェスティバルって言うのを聞いたら…いてもたってもいられなくて…」

 

「あははっ、貴方もスクールアイドルの輝きを追いかけてる人なんだねっ♪」

「……えっと…1つ、質問してもいいですか?」

 

「ん?なぁに?」

「…Aqoursの皆さんの高校って…」

「…''浦の星女学院''って言うよ?」

「そこに…男子生徒って…」

「あははっ、いないいない!そんなことあったら生徒会長がぶっぶーですわ!って言うよ~♪」

「あ、今の千歌ちゃん少しダイヤさんに似てたよ♪」

 

「(そう、だよな…)作詞は…」

「私!高海千歌が担当してまーす!♪」

 

「曲作りは…」

「ここにはいないけど他のメンバーが作ってるよ♪」

 

「……あの、何で初対面の俺にそこまで教えてくれるの?」

「んー…疑うような所はないから、かな?」

 

即答で果南が答える。

…まぁ、確かにスパイなんてスクールアイドルじゃ無さそうだし…熱狂的なファンは居そうだけど。

 

「それに……」

少し俯き気味に千歌が答える。

 

「何だか…言葉に表せないけど…はじめまして…って…感じがしないって言うか…あはは、何言ってるんだろ、私…」

「(…千歌………………)……あ、あのっ……!」

 

 

──────でも、言葉が出てこなかった。

俺は、悠で。

Aqoursのみんなと部活動して。

衣装作ったり、作詞作曲したり。

時に喧嘩したり、泣きあったり笑いあったり。

…好きになって…好きを受け止めて。

想いを重ねた日々があった、と。

 

───────言ったところで何になるんだろう。

思い出す訳でもないし…。

それに、変なこと言ってる人なんて…思われなくない。

 

 

「…………………………」

無意識のうちに俺は立ち上がっていた。

 

 

「…?」

そして、部屋を出て…迷うことなく、自分が使っていた部屋の前で立ち止まる。

その様子を見ながら千歌が後をついてきた。

 

「……ここ、なんの部屋?」

「えっ…?…もうしばらく使ってない…物置部屋だよ?」

「…そっか…ごめん、変なことして」

 

 

荷物を持って帰る支度を始める。

…これ以上居ても…精神的に辛いだけだ…。

 

 

「えっ、もうバス無いよ!?」

「…しまった…」

千歌たちと会えてすっかり忘れていた…バスはもうとっくに終車が終わっていた。

 

 

「…泊まっていきなよ!明日明後日休みなんだし!」

「えっ…でも、そんな急に…」

 

「志満姉に聞いてくるー!」

そう言うと千歌がすぐ部屋を出た。

 

「………あはは、千歌って昔からああいう所あるから…」

「…そ、そうなんですか…」

 

「ねぇねぇ!そっちのスクールアイドルの事について教えてよ~♪」

「う、うん…これがこの前やったライブの動画なんだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

結果、部屋の空きがあった為…俺は泊まることとなった。

そして、今はというと……。

 

 

 

(またここにいるし……)

砂浜で大の字になっていた。

……携帯を見ると…歩夢から連絡が入っていた。

今は…そんな気がないが…連絡返しておかないと大変なことになりそう。

 

【あっ、峻くん!?お母さんから聞いたよ!?…今…沼津に居るの?】

「…あぁ、悪い…」

 

【…峻…くん…?】

明らかに様子がおかしい事に歩夢が直ぐに気がついた。

 

「…Aqoursと会って…俺と…ニジガクみんなの方向性を確かめたくて……なんか悩んじゃって…無理を承知で他のスクールアイドルの人達に聞きたいなって…悪い、身勝手な行動して…」

【う、ううん!大丈夫だよっ!…良かった…無事で…

じゃあ、日曜日には帰ってくるんだね?】

「ああ、みんなにもそう伝えて……」

【…帰ってきたら…ギュッてしてね…?///】

 

「…歩夢?」

【みんなには私の方から伝えるから大丈夫だよ!じゃあね!///】

 

そう言うと電話は切れてしまった。

(…歩夢……前までそんなこと言う子じゃなかったのに…)

 

 

揺れる気持ち。

…Aqoursのみんなと過ごした日々を忘れられないだけに…

ニジガクのみんなを意識しても…大丈夫なのだろうか、と…。

 

(…って、それは俺が勝手に言ってるだけだよな…やめよ……)

「こんなところで横になってたら…風邪、ひきますよ?」

 

「えっ……?……あっ…梨…っ…!!…だ…誰?」

「…?…あ、千歌ちゃんから聞いたのっ

東京でスクールアイドルやってる部長さんが来てるって♪

私は桜内梨子…貴方は?」

「宮之原 峻…」

 

「峻くん、だねっ♪

私も作曲してるんだけど、峻くんの作る曲も…なんだか聞いてて懐かしくなる感じがしたから…どんな人なんだろうなぁって見に来たの♪」

 

「(…峻、か……昔から変わらないな…梨子は)…そっか…ありがとうね」

「ふふっ、千歌ちゃんが言う気持ち…分かるかも♪」

 

「…ん、なんか言った?」

「何でもっ…あと、千歌ちゃんが呼んでたよ?」

「…呼んでた?」

「私の家と千歌ちゃんの旅館…隣同士だから」

 

「…あ、そう…なんだ…うん、ありがとう…行ってみるよ」

 

 

 

 

────────────────

 

 

「あ、きたきた!♪」

「(…千歌の人懐っこさも相変わらず…だな)…俺に…何か用事…?」

「せっかく沼津まで来たんだし…明日案内するよ!

…と、言っても千歌は仲居のお手伝いがあるから…曜ちゃんが教えてくれるんだけど…迷惑だったかな…?」

 

「…ううん、ありがとう。沼津の事もっと知っておきたいって思ってたの」

「そっか、良かった!♪」

 

 

…曜と一緒にお出かけ…か。

(運命って…皮肉なものだね…)

 

 

 

 

 

 

 

 

【その日の夜…】

 

 

 

俺は静かに起きて部屋を出た。

本来、旅館客と千歌達がいる部屋は離れていて…普通の人なら見つけられない。

…しかし、俺はいとも容易く千歌の部屋の前に着いた。

 

(…そりゃ悠の時は何回も歩いたからな…)

ドアを開けると…静かに千歌が寝ていた。

 

「……千歌…俺だよ…悠だよ…?」

そんなこと言っても千歌は思い出してくれないだろう。

…それに、今の状態だと…部屋に忍び込んでる状態。

 

何をしに来たんだろ…俺…。

「…っ……おやすみ…千歌」

「ううん…もう食べられ…ないよぉ…~…♪」

 

 

 

 

「……ふっ…」

その夢に…果たして俺は映っているのか…と疑問に思うのは

野暮だと思った俺だった…。




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23話

いよいよせつ菜のわくわくアニマルがくる!
ってガチャかよ~!!!どぉしてなんだよぉおおお~!!(藤原竜也風)


明日からは最大90連無料のガチャが始まりますね…!
(当たればいいなぁ)


………目が覚めると、悠の時に何度も見た十千万の天井が目に入った。

 

「………落ち着く…」

しかし、のんびりもしていられなかった。

…こうして峻の姿でも曜と一緒に出かけられることを今は純粋に楽しもうと思う。

…それが俺の心を癒してくれると信じているからだ。

 

 

 

「…おはよ、千歌ちゃん」

「あ、おはよう!♪よく眠れたかな?」

「うん、おかげさまで」

「曜ちゃんそろそろ来るってよー!」

「じゃあ、そろそろ支度するか」

 

…あれ、今の俺と千歌の会話…いつもの悠の感じで話してた…。

って…千歌は鼻歌交じりでお手伝いしてるし…俺の思い込み…だよなぁ…。

 

 

 

─────────────────

 

 

「おはヨーソロー!」

「…お、おはよう…」

 

十千万の前で曜が敬礼していた。

 

「待たせちゃった?」

「ううん、時間ぴったりだよっ♪流石だね~♪」

「あ、あはは…それで今日はどこに案内してくれるの?」

 

「まずは沼津駅周辺かな♪

それじゃあ、早速着いてきて!♪」

そう言うと曜は上機嫌でバス停に向かった。

 

「沼津駅周辺…あ、ゲームセンターかな?」

「あれっ、なんで分かっちゃったの!?」

 

「(あ、いけね…)…あ、あはは…事前に携帯で調べていたから…」

「お、そっかそっか~♪

行く場所が一致するなんて私たち気が合うね~♪」

「…気が合う…か…」

 

…出来ることなら…悠の時みたいに…抱きしめたいよ、曜…。

 

 

 

 

 

 

「ここが、沼津駅!そしてこっちが商店街だよ~♪」

「(やば珈琲にマルサン書店…やっぱり何も変わってないよなぁ…)…ん…?」

「…?…峻くん、どうしたの?」

 

 

「…いや…なにも…」

 

 

────────────────

 

 

「ちょ、ちょっとマリーっ…気が付かれちゃうじゃない…!」

「ソーリーソーリー…あれが東京からきた男の子ね~…なかなかのナイスガイじゃな~い?♪」

 

「…そうかしら?

ヨハネにはAqoursの事を筒抜けにしに来た天界のスパイにしか見えないわ…」

「……………………………」

 

「…ずら丸?黙り込んでどうしたのよ…」

「なんでもないずら~♪…あ、行っちゃうずらよ?」

「おうっ、急いで後をつけましょ!♪」

 

 

─────────────────

 

 

「ここが商業施設の中にあるゲームセンターだよっ

私もよく千歌ちゃんと梨子ちゃんと来るんだけどね~♪」

「(そういや、曜達とこういうとこ来たこと無かったな…)…あ、このウサギのストラップ…」

「あ、可愛い~!♪」

 

…うん、俺も曜に似合うなって思ってたよ…。

「…取ってあげようか?」

「おっ、クレーンゲーム自信あるの?♪

ふっふっふ~曜ちゃんもクレーンゲームには少しうるさいでありますよ~?♪」

 

「…お手並み拝見…だね…」

 

 

 

「うううっ…曜は下手くそであります…」

「あはは…まぁ…どんまい…」

 

笑いながら1枚100円玉を入れる。

…まぁ、曜に上げれたらこれ以上ない結果になるからな…。

 

「お、おお~?…おおおー!」

「…マジ?」

 

がっちりつかんだピンクのウサギのストラップ…だったが…。

何故か(?)青いウサギも付いてきた。

…まさかとは思うが…。

 

「すごーい!1回で2個取れた~!!♪」

「…ふ、ふっふっふ…流石だろ~?」

 

…いや、ほんとにたまたまなんだけど…。

「…ほら、曜ちゃん…これ」

「い、いいのっ?!」

 

「…俺とお揃いになっちゃうけど…」

「う、ううん!むしろ…嬉しい!♪ありがとね!♪」

 

眩しすぎる笑顔で曜は笑った…。

俺にとっては…まるで初恋に落ちたかのような感覚になった。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「ここが沼津港名物のびゅうおだよ!♪」

 

「おぉー…なんかこう…ポーズ取りたくなるね…」

「…?…ポーズ?」

「こう…ガシャーンって…分かるかな…」

「……あ、あはは……?」

「…うん、登ろうか…」

 

 

曜と一緒に…沼津…そして内浦の景色を眺める。

 

「…今日の案内はどうだった?」

「すごく楽しかったよ、Aqoursや沼津の事…すごく知れた気がする」

「それは良かった~♪」

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「み、見失ったわ…!」

「オーマイガー……!!」

 

「2人とも諦めるずら~…あむあむ…」

 

「な、なんでずら丸はそんなのんびりしてるのよ!」

「明日会う予定を千歌ちゃんに入れてもらったずら~♪」

「そ、そうなら最初から言いなさいよ!」

「イエース!ヨハネの言う通りよ~!!」

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

「…なん、かね…」

「…ん?」

 

曜の密着する距離が……近い。

 

「こうやって…峻くんと話してると…何だか…落ち着くの……えへへ、変…かな…?」

「…曜…ちゃん…」

 

「…おかしい、よね…初めてあって…出掛けたのに…そんなふうに思うなんて…」

「(…曜…俺は…っ!)…変じゃないよ…これは…俺と曜ちゃんだけの…秘密、ね…?」

「…ぁ……うんっ!///」

 

少し触れた指と指の感覚は…俺と曜の心を温かくさせた気がした…。




次回 花丸と峻


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24話

会社のボウリング大会でサクッと優勝してきました。
…あ、かすみんの誕生日編作ってない…。

後日改めて投稿します!!


何だかんだで沼津に来た週末も最終日を迎えた。

 

今日の夕方には東京に戻る。

…まぁ、またいつでも来れるんだけどね…。

 

「あ、峻くん!お客さんだよ!」

「…お客さん?」

 

玄関先に行くと……花丸がいた。

「…えっと、君は…?」

「Aqoursの国木田花丸…ずらっ」

 

「あ、花丸ちゃんはこういう喋り方なんだよ~♪」

「…そ、そうなんだ」

 

「千歌ちゃん、ちょっと峻さん借りるずら~♪」

「は~い、行ってらっしゃ~い♪」

 

そう言うと花丸が歩いていく…。

俺も慌ててその後をついていく。

 

 

 

─────────────────

 

 

 

向かった先は…急な階段が何段もある…。

(ここは…弁天島神社…?)

 

なぜこんな所に花丸が俺を連れてきたのだろうかと考えてるうちに…頂上に着いた。

 

 

そよ風で木々が揺れる中…。

花丸が境内の前でこちらを振り向いた。

 

 

「─────いつまで下手な猿芝居してるずら?」

「……え?…な、なんのこと…かな?」

 

「隠しても無駄ずら」

「…え、えっと……花丸…ちゃん?」

 

「……こう言えば…分かるずら?…''冴木 悠''さん」

「…なっ────────」

 

 

…なんで…花丸が…その名前を…!?

「…な、なんで……花丸……お前…っ!!」

「…ルビィちゃんから聞いたずら

初めて会った人の歌ってた歌が忘れられないって…

…何で、No.10…歌ってたずら?」

 

「…そ、それは…」

「千歌ちゃんも果南ちゃんも…みんなこの曲は知らないずら」

「……な、何で…花丸は俺のことを…」

「…まるも…''こちらの人間''…ずら」

 

「…は?」

「悠さんと同じく…こちらの世界を知ってる人間ずら

…そして、悠さんのあの出来事が起きてから…1年前に遡ってるずら

…ただ、悠さんが入学してから2ヶ月経った…のに、その曲を歌ってるのを知ってるのは…まる一人ずら」

「じゃ、じゃあ…花丸がみんなに言えば…!!」

 

「そんなことしても誰も信じないずら

…まさか、はじめましての人が自分の初めて好きになってキスして…身体を交わせた人…なんて、誰も信じないずら」

 

「…っ…………」

あまりの出来事に言葉が出なかった。

花丸も…悠の時のことを知っている…。

しかし、花丸自身もどうして悠と言う人間が居なくなった世界にいるのかは…分からないらしい。

 

 

「…まるは…お寺育ちだから…そういった境遇に会ったのかもしれない…ずら」

「…………………………」

 

「…ただ…1つ言えることがあるとすれば…

悠という存在から…今の姿になってる事に…何か意図があると思うずら

……東京のスクールアイドルを…導くという…意図が…」

「……それが…終わったら…どうなるんだ?」

 

「…悠さんとして…再び目覚めるかは…分からないずら」

「…そん、な……」

 

「…ただ、まるも協力するずら

少しでも…悠さんを思い出してくれると信じて…」

「花丸……………」

 

 

 

「あっ、こんな所にいた~!」

「花丸ちゃんがこんな所に誘うなんて…珍しいね?」

「はぁ…はぁ…私疲れちゃった…」

 

「あ、千歌ちゃんに曜ちゃんに梨子ちゃん~♪

ごめんずら~…♪」

「……………………」

 

花丸にアイコンタクトをすると、ただただ頷いた。

(急がば回れ……か……今はこの距離感を…ううん、この距離感になってる意味を…考えないと…)

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【夕方】

 

 

 

「…ありがと、わざわざ見送りに来てくれて…」

「せっかくだからね!♪

今度はそっちのスクールアイドル同好会のメンバーにも会いたいな♪」

 

「うん、もちろん来てよ…歓迎するよ」

沼津駅の前でお見送りをしてくれたAqoursのメンバー。

……花丸はにこやかに微笑むだけ、だった。

 

「…峻くん!」

曜が俺の手を握る。

その様子を見て花丸も少し驚いた顔を浮かべる。

 

「…また、ね…!」

「…うん、また会おうね…曜ちゃん」

 

(…さすが悠さんずら。

見た目は変わっても…異性に惹かれる所は変わらないずら)

 

「…俺も、また…沼津に来るから…」

「うん!待ってるよ!♪」

 

千歌達全員の顔を見て…俺はそのまま改札の中へと入っていった。

 

 

────────────────

 

 

「…行っちゃったね」

「うん…少し…心細い…気がするよ」

「…でも、また本人は来るって……って、果南さん…っ!?」

 

「な、泣いてますの…っ!?」

「へっ……?……あれっ…私…なんで泣いて…」

(今辛いのは…みんなだけでは無いずら…まるも…悠さんも…みんな辛いずら…でも、少しの辛抱だって…分かってるずら)

 

 

 

 

電車に乗って、歩夢に連絡する。

…今は…ニジガクみんなの…支えにならないと。

 

…Aqoursの、みんなの為でも…ニジガクみんなの為でも…そして、俺自身の為でもあるから…。

 

 

 

────────────────

 

 

「…ただいま、歩夢」

「あっ…峻くん!!」

 

家の前に着くと歩夢が玄関前で待っていた。

 

「…おわっ!」

「……寂しかったんだから…ね…」

「…ああ、ごめん…身勝手な行動して…」

「…今度行く時は…私も一緒じゃなきゃ…嫌だよ…///」

「…うん、もちろんだ」

 

そう言うと歩夢が頬にキスをした。

 

「…あっ、歩夢…?」

「…寂しかったんだから…これくらい…良い、よね?///」

「…あ、あぁ…」

「…だって…私は…峻くんの事が─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっとずっと前から…好き、だもん…///」

 




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25話

せつ菜が出ない悲しみでせつ菜のわくわくアニマル衣装の胸元をびゃっと下げてやってぽろりさせたい(危険思考)


「おはよ、峻くん♪今日もいい天気だね♪」

「ああ、そうだな」

 

昨日の夜、俺は歩夢から''好き''と伝えられた。

…けど、特に答えも出せないままいつも通り歩夢と接している。

歩夢の方もいつもと変わらない感じだった。

 

(……好き、か)

よもや峻の姿でも異性から好意を寄せられるなんて…な。

…いや、考えるのはこれくらいにしておこう。

自意識過剰なのはよくないからな。

 

(…でも、歩夢の好きは…今の俺…なのか…それともずっとずっと前から…好き、なのか…)

聞きたいけど…聞けないのが本音だった。

傷つくのが怖いから…打ち明けるのが…怖いから。

 

 

 

─────────────────

 

 

 

【放課後】

授業中も変わった事はなく、そのまま放課後を迎えた。

部室に行くとすぐにかすみが反応した。

 

「あーーー!!!峻先輩心配したんですよ!!」

「ごめんごめん…その…なんだ…思い詰めててな」

 

「歩夢から沼津に行ってAqoursに会いに行ったって聞いた時は流石に言葉を失ったわ…」

「ごめんなさい、果林さん…」

 

「それで…なにか収穫は…?」

「うん、Aqoursの皆にも会えて話も聞けたし…今度虹ヶ咲学園にも来てってお誘いしておいたよ…みんなとも顔を合わして欲しいからね」

 

「えっ…!?Aqoursの皆さんがここに来るんですか…!?

なんという峻先輩の人脈…っ!!」

「まぁまぁー♪どちらかと言えば人脈って言うよりしゅんしゅんの人徳って感じだよね~♪」

 

「…ははっ…人徳…か」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

【しずく 視点】

 

峻先輩…優しそうに笑ってるけど…何故か顔が曇ってる…。

 

「…何か…あったのかな…」

「?…しずくさん…どうしたんですか?」

 

「えっ!?…あっ、せ、せつ菜さん…大丈夫ですっ、なんでもありませんよっ♪」

「…そう、ですか?」

 

 

…後で…峻先輩に話を聞きに行こう…。

 

 

 

──────────────────

 

 

「峻さんっ!お約束…忘れてません…よね?」

練習の小休憩中…せつ菜がこちらに顔を覗かせる。

 

「あはは、デート…でしょ?」

「は、はいっ…!///

恥ずかしいし…皆さんには内緒で…峻さんを独り占めしたい、ので…内緒、でお願いしますね…♪」

 

「…っ…う、うんっ…!」

「行き先はもう決まってますのでっ♪」

「…せつ菜の事だから…なんとなく予測はつきそうだなぁ…」

「あっ、せ、詮索はダメですよっ…!」

 

「はいはい、当日のお楽しみにね?」

「はいっ♪」

 

 

 

「…………………むー…………」

「あれ…?かすみちゃん、どうしたの?」

「むっ、りな子…なんでもないっ

練習始めよーっと♪」

 

「…あっ……かすみ…ちゃん?」

(…どうして…峻先輩の事を…目で追っちゃうの…っ

どうして…こんなにも…心が苦しくなるの…)

 

 

 

 

─────────────────

 

 

部活終わり…俺はしずくにお茶に誘われた。

 

「珍しいね、しずくが帰りに寄り道しようって言うなんて」

「今日は両親の帰りが遅くなるので…家に帰った1人でも寂しいので」

「あはは、俺でよければ家帰ってからでも話し相手になるのに」

 

「だからこそ、峻先輩をこうしてお茶に誘ったんですよ♪」

「それはそれは大変光栄です」

「……さて…峻先輩…何か、ありましたか?」

 

「…突然だね、どうしてそう思ったの?」

「部室に入った時から…顔が曇りがち…でしたので」

 

「…しずくにはお見通しか…」

「私でよければ…話してください…っ!」

 

 

「………ああ、実はな…」

 

 

 

─────────────────

 

 

昨日の夜のことを打ち明けた。

歩夢から好きと言われた事。

そして、俺自身の気持ちについて。

 

「………………」

 

少し黙り込んで俯くしずく。

……初めてのキスをしたのはしずく…。

確かに聞いたらショックは大きいだろう。

…しかし。

 

 

「歩夢さんの気持ちは…私も、分かります」

「…それって…」

「私も…峻先輩の事が大好き…ですから…///」

「…しずく…」

 

「だからこそ、譲れない部分もありますし…

共感できるところも…沢山あります…っ」

 

「…そんなに好かれるような要素…俺にあるのかなぁ…」

「ふふっ、自分では分からないものですよ♪

例えば峻先輩の場合ですと…優しくて、かっこよくて…頼りになって…時にする真剣な眼差しがとても印象的で────」

 

「…ま、待った…流石に聞いてて恥ずかしい」

「ふふっ…そういう照れた顔も…魅力的ですよ♪

…だから…私も…峻先輩の色んな一面…これからもずっと…見て、いたいです…///」

 

「…しずく……」

「他の皆さんが聞いたら…嫉妬しちゃいますね…///」

「…2人だけの…秘密…だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうな、なんだか話したら気が楽になったよ」

「いえ、お役に立てて良かったです」

「しずくはやっぱり頼りになるな」

 

「…あ、頭ポンポンは…恥ずかしい…です…///」

「…ごっ…ごめん…」

 

 

「…あのっ…!///」

「…ん、どうした?」

 

「…最後に…キス…しても…良いですか?///」

「…こっちの方がよっぽど恥ずかしいのにな…」

「そ、それは言わないでくださ…っ!!///」

 

言い切る前にしずくの口を塞ぐ。

 

「…満足?」

「…き、気持ちがふわふわして…覚えてるセリフ…全部忘れちゃいそうです…///」

「あはは、それは困ったな」

 

 

 

 

 

と、2人で笑いあったが…やっぱり心細くなってもう一度キスをする俺としずくだった…。




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26話

せつ菜ちゃんきたあああああ!!
交換楽しいなぁああああ!!!(白目)


「あ、峻さん!こっちですよ!♪」

「悪いな、せつ菜…待った?」

 

「いえ、私も少し前に来たのでそんなに待ってませんよ♪」

 

約束通り、俺とせつ菜は週末デートに出かける。

集合場所は駅だったけど…地図アプリあって良かった…。

 

「…私服可愛いな、せつ菜」

「えっ、あっ、そ、そんなこと…っ!!///

……えへへ…ありがとうございます…///」

 

「…ん、うん…」

開始早々気まずくなり目線をそらす俺とせつ菜。

 

「…そ、それで今日はどこに行くのかな!?」

「あ、は、はいっ!大好きなスクールアイドルのライブに行きます!」

「…ぷっ…わかってたけど…せつ菜らしいや」

 

なんとか切り出した話で俺は吹き出した。

その姿を見て頬を膨らますせつ菜。

 

「だ、大好きなんですよ!仕方ないじゃないですか…っ!///」

「あはは、俺はせつ菜とだったらどこでも嬉しいよ…さ、行こう?」

手を差し出すとせつ菜は少し迷った後…手を握り返してきた。

 

「…デート…ですものね…///」

「あぁ、緊張する?」

「…すごく…意識してしまいます…///」

 

「そんな姿も可愛いよ…菜々」

「なっ……そ、その呼び方はダメです…っ…いけません…///」

「今は俺の知ってる中川菜々も優木せつ菜も独り占めだからな

呼び方も俺が決める…それに、本当の菜々の姿を知ってる俺には菜々って呼ぶ権利あるからな…呼び捨てで言われるの、学校じゃなかなか無いだろ?」

 

「…もぅ…強引なんですから…///」

そう言いつつも嫌そうではない菜々だった。

 

 

─────────────────

 

 

「えへへ、ライブ…楽しみです!♪」

「やっぱりそういう物なの?」

「はいっ!自分でするライブも好きですが、見るのも同じくらい好きです!」

 

「菜々は生粋のスクールアイドルって感じだよなぁ」

「…でも、優木せつ菜として輝いていられるのは…峻さんのおかげ、です…///」

「…ははっ…菜々が可愛いからだよ」

「ちゃ、茶化さないでください…っ!///」

 

「…ごめんごめん、これで許して?」

人もあまりいないので菜々を引き寄せて頭を優しく撫でる。

 

「うぅ……峻さんの…バカ…///」

「…キス、してもいい?」

 

「…拒否するわけ…ないじゃないですか…///」

「だよな」

 

ふっと笑い…菜々の口を塞ぐ。

「…峻さんって…時々、意地悪で…色んな人を困らせますよね」

「…ん、そうか?」

 

「…ホントならこんな風にキスするのも…いけないこと…ですよ…?…ましてや、しずくさんとも…」

「げっ…」

「…峻さん…私、負けませんから…」

 

「…え?」

「峻さんを思う気持ちは…1番ですから!」

 

いつもの垢抜けた笑顔で菜々は言い切った。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

菜々とライブを見終わって会場を後にしたその時…。

 

「デート楽しかったな」

「はいっ!…ですが…」

 

「ん、まだ物足りないのか…?」

「いえ、これからが…本番と言いますか…///」

「…どういう事?」

 

「…すいません、ずっと言えませんでした…けど…

今日は…親に…嘘をついて…峻さんの家に泊まるつもり…でした…///」

「えっ…!?…泊まる…嘘…?」

 

「…今日は…友達の家で勉強会…と…」

「…菜々……」

「…もちろん、峻さんが断るなら…泊まるのは無しですが…」

 

「…いいよ…ウチに…おいで?」

 

 

 

 

 

菜々の手を引き…俺の家に呼んだ。

母は家に居なかった…好都合だ。

 

 

「……あっ…服…どうしよう…」

「…ん、持ってきてないのか?」

「いえ、持ってきたのですが…少し、肌寒いと言いますか…」

 

「…ほら、これ…着なよ」

「あっ……っ…ありがとう…ございます…///」

 

「あ、そうそう!菜々が録って欲しいって言ってたアニメ録っておいたよ!…えっと確か…」

 

「スカ〇ガールズとRe:ゼロから〇める異世界生活ですね!!ありがとうございます!!」

「…ほんと好きだなぁ…これ全部見るのか?」

 

リモコンを操作してると菜々の目が輝く。

「はいっ!そのための泊まりですから!」

「…あはは、飲み物持ってくるね…」

 

 

早速部屋を出る直前にチラッと菜々を見ると既にアニメを見始めていた。

 

 

(…よくよく思ったら…菜々と2人きりか…)

勢いで泊まっていいと言ったが…2人きり…。

 

(……な、何も起きない!大丈夫!俺の意識しすぎ!!)

しかし、コップを持った手はどこか震えていた。

 

 

─────────────────

 

 

「う、うぅ…泣ける…」

「…菜々…?」

 

感動的なシーンを見てるのか、菜々が泣きそうな顔をしてるの……だが…。

 

「…なんで俺の服持ってるの?」

「…はっ……あ、あっ…そ、そのっ…!!///」

 

急いで一時停止を押す菜々。

そしてあわあわと弁解をする菜々。

 

「…ごめん、めちゃくちゃ可愛い」

「んっ……あぅ…っ…!///」

 

菜々を押し倒す。

内心、俺の理性の線がどんどんすり減ってることに俺は見て見ぬふりをしていた。

 

(ああやって言い聞かせていたけど…やっぱり無理だ…菜々の事が…俺は…)

 

「…だ、め……ですよ…///」

「…ごめん、でも……俺…もう…っ」

「…ぁ……峻…さんっ…!///」

 

「…っ……ご、ごめんっ…俺…っ!!」

突然怖くなった俺は…急いで菜々のそばを離れた。

 

 

「あっ………い、いえ…私は…大丈夫です…///」

「…………うん……………」

 

結局、そのままお互い無言のまま…時間だけが過ぎていった。

 

 

 

───────────────

 

 

 

母が帰ってきたため、事情を説明。

ちなみに菜々は今風呂に入ってる。

 

(…歩夢に知られたら…歩夢へそ曲げるかな…)

チラッと隣の部屋を見てみる。

…あれ、電気消えてる?

 

気になった為、メッセージを送ることに。

 

【歩夢、どこか出かけてるのか?】

【あっ、今ね!愛ちゃんの家にかすみちゃんと私で泊まりに行ってるのっ

それでね、愛ちゃんが今度カラオケ行こって!】

 

【そうだったのか、カラオケいいね。

今度行こうか】

【うんっ、約束だよ!】

 

「…峻さん?」

「あっ…菜々、出たのか」

「はい、一番先に入ってすいません…」

「う、ううん…大丈夫だよ…」

 

風呂上がりの菜々は…どこか色っぽくて…また俺の理性が限界を迎えそうだった。

 

(それに菜々…風呂上がりだからって…胸元見せすぎ…っ)

「…あの…峻さん…?」

「あ、あぁ…俺も入ってくるよ」

 

逃げるように俺は部屋を後にした。

 

 

 

─────────────────

 

【菜々(せつ菜) 視点】

 

「…はぁ…私ってば…根性無し、ですよね…」

 

あんなに…峻さんの事が好きって言ってるのに…。

いざ、こういう状況になったら…怖くなって…。

 

「…あっ…峻さん…このアニメ…消さないように…ロックかけてる…?」

 

目に入ったのは…1本のアニメ。

「こ、これって……To L〇VEる…?」

 

や、やっぱり峻さんも…こういうの好き…なのかな…。

 

「……も、もう少し…積極的にならなきゃ…!」

食い入るようにそのアニメを見る私だった…。

 

 

 

───────────────

 

 

時間も更けて…寝ようとした時、その提案は突然言われた。

 

「…峻さん…一緒に…寝て…下さい…///」

「……いい、のか…?」

 

「…今は…峻さんの体温を…感じてたいので…///」

「菜々…」

 

「…その…峻さん…」

「…ん?」

 

ベットに2人で入った時、菜々が小さく呟いた。

 

「……私…今、すごく…ドキドキしてます…///」

「…菜々…うん、俺も…」

 

「…その…確かめて…下さい…///」

「な、菜々…っ!?」

 

抱きついてくる菜々。

鼻息が首元に触れる。

 

「…菜々…っ…胸…っ…!」

「…もう、そんなこと…気にしなくて…いいんですよ…///」

 

「…えっ…?」

どういう意味なの…?と聞こうとしたが菜々の方から口を塞がれ、言葉が出なかった。

 

「…こうやってキスした時から…私は…峻さんの物です…///」

「…菜々…っ…」

 

「…もっと…触れて…ください…///」

「…いいんだな…?」

「…大好きな…峻さんになら…私は…♡///」

 

 

 

にこやかに笑った菜々。

その姿は恥じらいの表情と信頼の眼差しをしていた。




あー、せつ菜可愛い…繋がりたい(危険思考)

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27話

あ、あなたちゃぁん…(大蛇丸風)

色々賑わいますね、ラブライブ!!嬉しい限り!!


「あ、しゅんしゅんこっちこっち~♪」

「わっ、峻さん…私服オシャレ…」

「…そうかな?歩夢が選んでくれ─────」

 

「わー、わー!!」

「むむむ~…?彼方ちゃんレーダー…怪しいって言ってるよ~…?」

「あ、あはは…///」

 

週末、俺と愛と歩夢、璃奈と彼方の5人でカラオケに来た。

…そう言えば、カラオケって…聖良と来て以来…か?

 

「峻くん…カラオケに誘ったけど…歌うの大丈夫…?」

「えっ……歌うのは嫌いじゃないよ?」

「…そ、そうなの…?…いや、峻くんの歌って…こう…''独創的''っていうか…」

 

…むっ、今の言葉で何となく勘づいたぞ。

(峻って……音痴…なのか?)

 

となると…本気で歌うのはダメか?

…いや、でも本気で歌いたいし…。

 

「まー、まー♪

カラオケなんて楽しんだ者勝ちっしょ!♪」

いつものテンションの高さで部屋に向かう愛だった。

 

 

 

──────────────────

 

 

「彼方さん…何歌う…?」

「うーん…遥ちゃんが~…好きな曲にしようかな~♪」

 

「おっ、じゃあ愛さんの十八番、最初に入れちゃおうかな!♪」

「え、ええっと…私は~……」

 

 

…女子4人に俺1人。

(……いかんいかん、歌って気を紛らわさないと)

 

先陣を切って曲を入れる。

GRee〇eNはいいぞ、G〇eeeeNは。

特に愛唄なんかよく歌うぞ。

 

 

「おっ、しゅんしゅんそういう系も歌うのか~♪」

「…は、初めて聞くけど…」

 

 

 

「あはは、ちょっと挑戦してみ─────」

 

話の途中で歌い出しが始まった。

すうっと息を吸い、紡いだ歌声に周りがしんっと静まる。

 

「上手い…璃奈ちゃんボード…''キラキラ''」

「何だか心地よい眠りに付けそうな歌声~…♪」

 

「しゅ、しゅんしゅん凄~い…!歌手みたいじゃん…!♪」

「…カッコイイ…///」

 

周りをシャウトするこの感覚……なるほど、嫌いじゃねぇな…。

 

「…ふぅ、初っ端だったけど…どうだったかな?」

「凄い凄い!愛さんビックリしちゃったよ~!♪」

 

「歩夢ちゃん…なんで携帯出してるの~…?」

「えっ、いや、あのっ…む、ムービー撮ってて…!///」

「盗撮……ダメ、絶対……」

「そ、そんなのじゃないよぅ!!///」

 

「ねぇねぇ!今度は愛さんとデュエットしようよ~!♪」

「わ、分かったからそんなに体引っつけるな…!」

 

「わ、私も峻くんと一緒に歌いたい…!!///」

「分かったから~!!!」

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

結局、ほぼほぼ半分くらいの時間はデュエットか俺の歌う時間に費やした。

 

…まぁ、みんなが満足してくれたならそれでいいんだけどね

俺もいいストレス発散になったし。

 

「はー、すっきりした~♪」

「また来ようね♪」

 

「うぅ~…ん……すやぁ…」

「彼方さん、寝ちゃ、ダメ…」

 

 

終了の時間となり…部屋を出ると…。

 

 

?「さっすが、にこちゃん~歌うの上手いよね~♪」

?「アンタは合いの手入れすぎ!歌うのに集中出来ないじゃない」

?「うふふっ、それが穂乃果ちゃんのいい所だから♪」

 

?「と言うけどにこもノリノリだったじゃない」

?「え~り~…?余計なこと言わないの~!」

 

 

 

 

「…あれっ…あの人たちって…」

「……μ's…だ」

 

「「「…えっ?」」」

 

真剣なトーンで話し始めた俺に対してみんなが驚いた。

そして、俺は…今目の前で起きてる状況に驚きを隠せなかった。

 

 

「…あ、あのっ…!!」

────つい、声をかけてしまった。

 

 

 

?「…?…はい?」

穂乃果が振り向いた。

 

?「貴方たち…虹ヶ咲学園のスクールアイドルの人達よね?」

そして、にこがすかさず質問をしてきた。

……ん?なんで俺たちのこと…。

 

「…知ってるんですか?」

?「虹ヶ咲学園のことは私達、音ノ木坂学院も一目置いてるの…あぁ、紹介が遅れたわね…私は───」

 

「絢瀬絵里…さんですよね」

「え、ええっ…そうよ…貴方は?」

「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会…部長の宮之原 峻って言います」

 

「へぇ、男の部長ね~…その割にはいいライブするじゃない」

「に、にこちゃん…っ…い、言い方が悪いよ…っ」

「いえ…まぁ、男の部長は珍しいですからね」

 

 

 

「…しゅんしゅん…いとも簡単に話しかけてる…」

「μ'sって…Aqoursの人達と並ぶくらいのトップスクールアイドルだよね…」

「峻くん…知り合い…なのかな…」

 

 

 

「…ふぅん、じゃあそれが本当か…私たちが確かめてあげるわ!」

「に、にこちゃん!?」

 

「…いいんですか?…お忙しいのでは…」

「いえ、それは本当よ

…生徒会でも、一度虹ヶ咲学園の事は視察に行きたいと思ってたところなの」

 

「…じゃあ…約束…ですよ」

「ええ、すぐにでも視察に行くわ♪」

 

「貴方たちスクールアイドル同好会の事もビシバシ鍛えてあげるから覚悟しなさ~い♪」

「あ、あはは…」

 

こうして、μ'sのメンバーが虹ヶ咲学園に来る事となった。

…せつ菜やかすみが聞いたら驚くだろうな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ことりちゃん、さっきから静かになって…どうしたの?」

「あの人……すごく…かっこよかった…♡///」

「…こ、ことりちゃん…???」




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28話

よっし、この投稿の後に
ニジガクR版作るか!(超名案)


「あ''ゆ''む……おはよ…ぅ」

「…しゅ、峻くん…?」

 

カラオケに行った次の日…見事なまでに声が枯れた。

…張り切りすぎたわ。

 

「い''まのお''れ…大蛇丸み''たいだろ…?」

「…む、無理に喋らない方が…いいよ?」

「……………………」

 

その気遣いに俺はただただ頷いた。

 

 

──────────────────

 

「へぇ~それじゃあ、りな子は峻先輩とカラオケに行ったんだ~」

「うん、すごく上手かった」

「う、羨ましいな~…♪(しゅ、峻先輩ってそんなに歌が上手いんだ……い、一緒にミュージカルとかしてみたいなぁ…そ、そしたら峻先輩がロミオで…私が…ジュ、ジュリエット…!?///)」

 

「…しず子~?…顔赤くしてどうしたんだろ」

「なんか…怖い…」

 

「へっ!?…あ、いや、なんでもありませんよ!!///」

 

「「…怪しい」」

 

 

─────────────────

 

 

昼休み、俺は菜々に呼び出された。

久々になる生徒会長補佐の仕事らしい。

 

「すいません、お昼休みにお呼びしてしまって」

「菜々の''…お願い''ならな…」

 

「…だ、大丈夫ですか…?

歩夢さんからカラオケに行ったとお聞きしましたが…」

「…あぁ、大丈夫…」

 

「…今度…私とも…一緒に行ってください…ね?///」

「…ざみじいのか…?」

 

菜々に抱きつく。

顔を赤くするが抵抗はしなかった。

 

「あっ……ぅんっ…///

…あははっ、その声じゃ…ムードも台無し…ですね…///」

「…うっさい…」

「…それは今度…また、たくさん…ですよ?///」

 

「っ……」

かすみのように悪戯っぽく笑う菜々。

 

「私はどこにも逃げませんから…♡///」

「…う、うん…っ」

「…さて!お手伝いして欲しいことがありました…」

 

咳払いをし、本題に話が戻った。

 

「…実は、体育倉庫を点検して欲しいんです」

「点検?」

 

「すいません、そういうことは本来生徒会がするのですが…」

 

チラッと菜々が机の上に目をやると、そこには大量の書類の山が…。

 

「…ご覧の通り、副会長も書記も…作業に追われてまして…

今は職員室に提出に行ってるので不在ですが…」

 

「おやずい…御用…だよ…」

「ありがとうございます!

それで…こちらがリストになります!」

 

渡されたのは何個かチェック項目がある紙だった。

 

「記入したら私に提出してくださいね!」

 

 

 

 

───────────────

 

…と言われて体育館に来たはいいものの…。

 

 

「あれ~峻くん?」

「エマさん?」

 

体育館にはエマが居た。

 

「あ、この後体育の授業なの~♪

それで苦手だから少し練習しておこうかなって♪

…峻くんはどうしてここに?」

 

「生徒会のお''仕事の手伝い…ゴホゴホ…」

「わっ、凄い!生徒会のお仕事も手伝ってるの?」

 

…まぁ、菜々の為だしな…。

 

「俺には気にせず…練習始めなよ…?」

「はーい♪」

 

そして俺は体育倉庫の点検。

エマが倉庫に入ってボールを取ろうとした。

 

(…ん、ここの鍵…取り付け甘そうだな…)

「ええーっと…ボールボール…」

 

(何回か開閉して大丈夫そうなら要注意に…)

 

「あった!」

 

ガチャ。

 

「…ガチャ…?」

「…?」

 

明らかに閉ざされたような音がした。

冷や汗が出そうな状態で何度かドアを開けようとする…が。

 

「…あ、開かない…!!」

「え?…どうしたの、峻くん?」

 

「……開かなくなっ''ちゃった…」

「ええっ!?…ん、んー!!…ほんとだ…」

 

まるでホラーゲームの初回のようにドアが完全に開かない。

 

「…ど、どうしよう…!!」

「まぁ、待ってれば助けが来るよ~♪」

 

そう言うとエマはその辺に置いてあったマットの上に座った。

 

「そ、そうだ…携帯…!」

が、圏外の文字。

 

「なっ……」

「ほら、峻くんも座りなよ~♪」

 

のほほんと手招きするエマに諦め半分で座る。

 

「授業始まったら誰かしら開けるから大丈夫だよ~♪」

「…ははっ、それもそうか…」

 

突っ込む元気もないのでとりあえず目を瞑る。

「…峻くん…風邪…?

ほら、こっちおいでよ♪」

 

そう言うとエマが身を寄せた。

「えっ''、お、俺は風邪じゃ…!!」

 

どうやらこの枯れ声を風邪と勘違いしたようだ。

…ちょうどエマの胸が…枕のような格好になった。

 

「ふふっ、ホント峻くんって弟って感じだよ~♪」

「…あ、あ''りがとう…」

「…んー…こうしてると落ち着くな~…♪」

「あ、あの…エマ…さん''…?」

 

ぎゅーっと抱きしめる度にエマの胸に埋もれる。

ついにはエマが頭まで撫で始めた。

 

「…このまま食べちゃおうかな~♪」

「……えっ?」

 

顔を見ようとした時だった…。

 

 

ガチャ。

 

「「…あっ…!!」」

 

鍵が開くような音がした。

その音を聞くや否や、すぐに身を引き離す俺とエマ。

開けたのは体育の先生だった。

 

中に閉じ込められてた二人を見て首を傾げ…

中にいた俺とエマは苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

 

──────────────────

 

 

「…す、すいません…あの扉は…外から鍵をかけるタイプでして…」

「まぁ…授業には間に合ったし…大丈夫だよ…」

 

「鍵は直ぐに新しいものに変えますから…!」

点検の手伝いをお願いした菜々が何度も廊下で頭を下げる。

…一応学校ではこういう関係なんだよなー…。

まぁ、せつ菜って知ってる人がいないから無理もないけど…。

 

「あ、じゃあ…私着替えてきますね!」

「部室で待ってるね''…」

 

もうみんな集まってるだろうな~…と部室のドアを開けると…。

 

 

「…え?」

「………え?」

 

暑いのか胸元を仰ぐ…果林さんが居た。

思いっきり下着の色とか見えた…黒でした…。

視線に気がついたのか一気に顔を赤くする果林さん。

いつもの余裕な感じはどこにも無い。

 

「な、なななっ…峻…っ!?///」

「ご、ごめん…!わざとじゃ…!」

 

しかし、こちらが劣勢と見るといつもの果林に戻る。

 

「…いけない子、ね…?」

「あ、いや…すいません…ほんとにわざとじゃ…」

「…ふふっ、どうしましょうかしらね…?♪」

 

「…んっ……」

「…見た、でしょ?」

 

嘘をついてもすぐにボロが出ると悟った俺は静かに頷く。

 

 

「あら、認めるのね…♪」

「…嘘ついても…仕方、ありませんし…」

「…みんなにバラしちゃおうかしら…♪」

「…っ………………」

 

「なんてねっ…そうねぇ…マッサージで手を打つわ♪」

「…ほっ……………」

「ふふっ、ごめんなさい♪

峻、可愛いから意地悪したくなっちゃって…♪」

「悪趣味ですよ…果林さん…」

 

「あら、いけないかしら?」

「…いえ、別に…」

 

椅子に座った果林さんは自分の肩をポンポンと叩いた。

…マッサージなんて自信ないんだけどな…。

 

「んっ…い、がいと…上手いじゃない…♪」

「…そう、か?」

 

「…ぁ…そこ…っ…気持ち…いいわ…っ…♪」

「…だいぶ凝ってる?」

「そりゃ、ね…分かる…でしょ?///」

「…ええ、何となく…」

 

「…あっ…峻…もっ、とぉ…♪」

「これは1回2回じゃほぐれない様な凝りだな…しっかりほぐしますよ…っ」

 

「んっ…んんんっ…!///」

色っぽい声が出ることに今更気がつく。

……なるべく視線を下にさげないよう注意しつつ…マッサージを続ける。

 

 

───────────────

 

(ど、どどど…どうしましょう…!?)

 

部室の前で慌てる菜々…いや、せつ菜。

 

(か、果林さんと…峻さんがっ…いけないことを…っ?!)

聞き耳を立てると、確かにそれらしい声が聞こえた。

 

(な、中に入った方がいいのかな…っ?

いや、でも…邪魔をするわけには…ああぁ、でも他の人が来たらどうしよう…っ?)

 

獣となった峻さんがなりふり構わず私や他のメンバーを…っ…!?

 

「あ、せつ菜ちゃ~ん♪」

「あ、あああああ、歩夢さん!?!?」

 

「…?…どうしたの、ドアにくっついて…」

「い、いえ、な、なにも!何も無いですよ!!??」

 

「…?

部室、入るよ…?」

「…あ、だ、だめ…っ!!!」

 

しかし、時すでに遅し。

 

「お疲れ様で~す♪…あれっ、峻くんと…果林さん?」

(お、終わった…!)

 

「あら、歩夢…お疲れ様♪」

「お疲れ様、歩夢」

 

「いいなぁ、果林さんマッサージしてもらって」

「あはは、おかげで手が痺れたよ…」

 

「歩夢もこの後やってもらいなさい♪」

「はいっ!♪」

 

「えっ、ま、マッサージ…!?」

「…なんでそんな覗くように見てるの…せつ菜…」

「い、いえ…!!なにも…!!///(ううう、峻さんのせい…峻さんのせいなんだから…ぁ!!///)」

 

 

──────────────────

 

 

「うう、練習疲れよりも…手が痺れた…」

「あ、あはは…峻くんありがとうね…マッサージ…」

 

「まさか、かすみや彼方さんまでせがむとは…」

「それだけ峻くんのマッサージが上手かったって事だよ♪」

 

「…なのかねぇ……」

「…あれっ?…ねぇ、峻くん…あれって…」

 

「…ん?」

 

校門の前に立つ…1人の女の子。

 

「あっ、こんにちは~♪」

「…えっと…確か…(なんで…ことりさんがここに?)」

 

「あの時自己紹介出来てなかったよねっ…μ'sの南ことりです♪」

「あ、これはご丁寧に…宮之…」

「峻くんだよねっ♪」

 

「…えっ、あ、はい」

「良かった~♪

ちょっと用事があって近くに来たらから…せっかくなら見ていこうかな~って♪」

「そうだったんですね…ほかの方たちは?」

 

「絵里ちゃん達は明後日行くって!♪」

「あ、分かりました…ほかの部員に伝えておきますね」

「うんっ♪」

 

 

 

「─────峻…くん…?」




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29話

ニジガクを盛り上げるぞい!(R版も含めて!!←)

今回のガチャから水着の曜ちゃんやしずくちゃんが追加とりました。
双方から挟まれたいですね(危険思考)


【璃奈 視点】

 

「珍しいわね、璃奈がお昼一緒に食べよって言うなんて」

「それも部室で~…何かあったの~?」

 

「…その…教えて、欲しい…大人の…女性になるには…どうすればいいのかなって…」

 

「「…大人の女性?」」

「うん、2人とも…すごく大人っぽいから…何か秘訣があるのかなって…璃奈ちゃんボード…''じーっ''」

 

「秘訣…ねぇ…スタイル維持くらいしか思い浮かばないわ」

「彼方ちゃんも…沢山寝る事くらいしか思いつかないなぁ~…」

 

「しっかりとした食生活と睡眠が…この結果…なの?」

「ちょ、り、璃奈っ…どこ触って…!///」

「璃奈ちゃんがそんなに積極的になるなんて…珍しいね~♪」

 

「…やっぱり…峻さんも…胸が大きい人の方が…いいのかな…」

「…?…峻くん?」

 

「…な、なるほどね…///

璃奈が悩んでいるのは…峻絡みの事、ね…っ…///」

「…別、に…悩んでなんか…璃奈ちゃんボード…''むすー''」

 

「別に大丈夫よ…彼ならどんな見た目だろうが関係ないわ」

「彼方ちゃんもそう思うなぁ~♪

…それが峻くんのいい所でもあり…みんなが好きになる要素だと思うよ~♪」

 

「…そう、なのかな…?」

「璃奈は峻の事…好き?」

「…わかんない…けど……峻さんと居ると…心がポカポカする…///」

 

「それは好きってことなんだよ~♪」

「…好き……私は…峻さんの事が……///」

 

「あらあら、顔赤くしちゃって♪

…ゆっくりと話しながらお互いを知るのも大事よ?

急げば急ぐほど…周りが見えなくなるものよ?♪」

 

「…うん、分かった…」

「ふぁあ~…お昼ご飯食べたら眠くなっちゃったよ~♪」

「はいはい、起こしてあげるから少し寝てなさい?」

「ありがとう~♪」

 

 

「…さっ、璃奈は思ってることはなんでもぶつけなさい?」

「…うん、それでね…」

 

お昼休みが終わるまでの間…ずっと果林さんが話を聞いてくれた。

…ボード越しからでも…この体温…伝わる…のかな…?

 

 

 

 

─────────────────

 

 

「…さて、今日は練習は無しだ」

「ええええ~!?」

 

放課後、いつもの様に部室に集まった俺たちニジガクメンバー。

俺の発表にかすみが驚きの声を上げる。

 

…とは言え、事情を知ってる歩夢や愛は笑っているけど。

 

「ん、と言うのも…」

理由を話そうと思った時…部室のドアがノックされた。

 

「…あっ、はーい!」

1番近くにいたせつ菜がドアを開ける。

 

 

 

「──────なっ……!!!!」

その直後…フリーズ。

体も口も全く動かなかった。

それもそうだろう…ドアの先に居たのは…。

 

 

「はぁーい♪来ちゃったわ♪」

「おぉー!広いにゃー!♪」

 

「おっ、お邪魔します…っ!!!」

「いきなり連れてこられたと思ったら…ここはどこなの?意味わかんない…っ」

 

「わーい!歩夢ちゃんに峻くんー!」

「穂乃果っ…あまり大きな声を出すものでは…!」

 

「えりちが来てみたいっていう理由…何となくわかった気がする♪」

「とはいえ、ここは敵の陣地よ!気をつけなさい!」

 

「えへへっ、来ちゃった♪」

「まさか全メンバー来るとは…」

 

「な、ななな…っ…!!!」

「み、みゅ、みゅー…μ'sのみなさん…!?!?!?」

 

 

この後、かすみとせつ菜の見事なハモりの絶叫が部室内に響いた。

 

 

 

──────────────────

 

 

「…と、言うことで…視察も兼ねて、μ'sの皆さんが見学をしに来た。」

 

「そ、そんな経緯があったとは…」

「まさかトップスクールアイドルの人たちと顔を合わせるなんてね…驚いたわ…」

 

「あらっ、私達も貴方達のことはちゃんと知ってるわよ?

この間のライブの映像も見たし♪」

 

「ほ、ほんとですか!!??」

嬉しそうに食いつくかすみ。

それはまるで餌を貰う前の犬のようだった。

 

「(あ、あのっ!私中須かすみって言います!μ'sの皆さんに見てもらえてすっごく光栄です!!)ふっふっふ、このままμ'sの人達とお近付きになってスクールアイドルの秘伝を聞き出して…」

 

「おいおい、本音と心の言葉が逆になっとるよ」

「だーーめーーよ!!」

 

その言葉に食いかかってきたのが…にこさんだった。

 

「あなた達は一応敵!そんな簡単にスクールアイドルの極意なんか教えるわけないじゃない!」

「ええっ、なんでですかー!可愛い後輩スクールアイドルの為に一肌脱いでくれたっていいじゃないですかー!」

 

「可愛いのはにこにーよ!」

「かすみんですぅー!!」

 

「…なぁ、あの二人って似てると思わない?」

「あ、あはは…」

「はぁ…子供みたい…」

 

身長も…うん、慎ましさも瓜二つだな。

 

 

「「むっ!!!」」

…前言撤回。需要のある可愛らしい子達です。

 

「じゃあ、いいわ!こうなったらμ'sとニジガクで勝負よ!!」

 

「また、勝手なことを…」

「いいんやない?楽しそうやし♪」

 

「見届け人はアンタ!」

「…え、俺?」

 

「そうよ!そうすれば9人対9人になるから先に5回勝った方が勝利よ!」

「むむっ、燃えてきました…!!!やりましょう、峻先輩、みんな!!」

 

「…えっと…かすみがこう言ってるけど…みんなはどう?」

「いいんじゃないかしら?…見てるだけで得るものもありそうだし♪」

 

「わ、私も…っ…μ'sの皆さんと戦えるなんて…光栄です!絶唱しちゃいそうです!!」

 

「決まりね、じゃあ一回戦は今度の土曜日!

音ノ木坂学院で待ってるわ!」

 

「行っていいのか?」

「ええ、どの道虹ヶ咲学園の視察終わりにお誘いするつもりだったのよ♪…想定外は起きたけど…」

 

「まー、にこたちの全勝は目に見えてるけどね~♪」

「負けませんよ~!!」

 

「………………」

「……………あ、穂乃果…ちゃん?」

「うん、多分…同じ事…考えてると思うよ…ことりちゃん」

 

((μ'sに極意なんか…あったっけ?))




次回 μ's vs 虹ヶ咲!!!

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30話

「特に書くことがないのでかすみんのスカートをめくります」

「ちょ、発言が危険思考なんですけど!!??
あ、今回の投稿はキャラの名前がカッコの前に入りますよ~♪」

「よくできました、さっスカートめくりますか」
「だーかーらー!!」


約束の土曜日。

 

俺を筆頭に虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーは音ノ木坂学院に向かった。

 

「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会です!」

部室をノックすると早速…μ'sのメンバーが揃っていた。

 

穂乃果「いらっしゃ~い♪」

せつ菜「あ、改めて見ると…生μ's…ですよね…」

エマ「なんか感動的だな~…♪」

 

ことり「勝負って言うことだけど…楽しんでいこうね♪」

かすみ「むむむ!ですが負ける気はありませんよ!」

 

希「気合が入っとんね~♪

まるでにこっち見てるみたいやわ♪」

にこ「にことはオーラが違うわ!オーラが!」

 

かすみ「そんなことないですよ~!」

にこ「ぬぅなにを~!?」

かすみ「なんですか~!?」

 

「…あ、あはは…毎度毎度すいません…」

海未「いえ、部室が賑やかになるのもいいものですね♪」

歩夢「…それで…勝負って一体…」

 

にこ「まずは一回戦の勝負の場所に移動するわ!!」

「………どこ?」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

にこの後を着いていくと…到着したのは…。

 

「中華屋さん?」

 

にこ「一回戦のお題は…''大食い!''」

璃奈「…大食いって…スクールアイドルに関係…あるの?」

 

「確かになさそうだけど…」

にこ「ぬぅわに言ってんよ!今のスクールアイドルは大食いのスキルの一つや二つ持ってて当たり前よ!」

絵里「にこったらまた大袈裟なことを言って…」

 

せつ菜「いえ…っ…確かに、いっぱい食べて美味しそうに食べるスクールアイドルは素敵だと思います!」

「って、共感した!?」

 

凛「μ'sからは、かよちんが出るにゃー!♪」

花陽「が、頑張ります!」

 

…花陽ちゃん…か。

見た目は食べなさそうだけどな…しかし、ウチで食べる人…と言えば…。

 

 

エマ「じゃあ、私出るよ~♪食べるの大好きだし~♪」

果林「そうね、異論はないわ」

「…分かった、エマ…初めが肝心だからな…頼むぞ」

エマ「はーい♪」

 

にこ「勝負は至ってシンプル!どちらが多く餃子を食べれるか!」

「また口の匂いが気になりそうなものを…」

 

にこ「あ、にんにく不使用の物を頼むわよ♪」

「…用意がいいことで…」

 

にこ「じゃあ行くわよ~よーい…スタート!」

 

にこさんの掛け声とともに花陽さんとエマが餃子が口に運ぶ。

 

花陽「ん~…美味しい~♪」

エマ「ホントだ~美味しい~♪」

 

凛「うぅ…見てたら美味しそうに見えてきたにゃ…後で凛もラーメンと餃子たのもーっと!♪」

穂乃果「あ、私もー!♪」

 

「…ここまではほぼ互角だな…」

果林「…でもμ'sの花陽ちゃん…細いからあんまり食べなさそうだけど…」

 

真姫「…いえ、花陽の本当の食べっぷりはここからよ」

「…え?」

 

確かに…1皿リードはしていたがそんなに大差はついてなかった。

…その時だった。

 

花陽「あ、追加でご飯いいですか~?♪」

「「えええっ!?」」

 

じ、自分から食べる量増やした…だと…?

確かに餃子だけでは味に飽きてしまうけど…!

 

 

花陽「わ~…つやつやご飯…いただきまーす♪」

そう言うと餃子を1個…口に運び…ご飯を……。

 

 

(…ん?)

 

花陽さんが口にご飯…を……。

 

(き、消えた…っ!?)

確かにご飯の量は減ってる…しかし、食べるスピードが早すぎて目が追いつかない。

 

真姫「…ね?花陽はご飯が大好きで何杯目も食べられるのよ」

「い、いや…それにしても…これは…」

 

かすみ「え、エマ先輩っ!負けちゃいますよ!」

愛「とか言ってる間にどんどん餃子のお皿空になっていくよ!?」

 

「…ひぇー…俺には無理だわ…」

ことり「峻くんは、あんまり食べない方なの?」

 

「意外と食わないかも」

ことり「へ~…そうなんだ♪」

歩夢「むっ……で、でも!私が作る料理はいつも沢山食べてくれるもん!」

 

「歩夢の手料理美味いからな」

歩夢「え、えへへ…///」

ことり「いいなぁ~♪」

 

歩夢「…む~…っ」

ことり「うふふ~♪」

 

…こっちでも…鍔迫り合いが…。

 

エマ「…へぇ~…餃子にご飯、か…いい事聞いちゃったかも♪」

 

しずく「…まさか、花陽さんに対抗して…ご飯を頼むのでしょうか…?」

「…ま、まさか…それは─────」

 

エマ「ふんふふーん♪」

手提げ袋から取り出したのは…。

 

穂乃果「パ、パン?!!?!」

絵里「しかも何個も出てくる…!!」

 

「ぎょ、餃子にパン…」

エマ「意外と合う~♪ボーノ♪」

パン一口に対して…餃子を一気に2個食べるエマ。

その勢いは凄まじく、どんどん花陽さんとの差を縮めていく。

 

 

 

 

 

 

 

にこ「…そこまでーーー!!!」

 

エマ「えっ?」

花陽「も、もうおしまい?」

 

にこ「はい!集計係!」

 

希「んー、と…こっちは7皿やね~」

璃奈「エマさん…8皿」

 

にこ「くっ……一回戦の大食い対決…虹ヶ咲学園の勝利…っ!」

 

「お、おお…勝った感ないけど…よっしゃ…」

花陽「いい勝負だったよ~エマさん♪」

エマ「私もだよ~♪美味しいから勝敗なんか考えてなかったけど…♪」

 

花陽「私もっ♪あっ、ご飯おかわり良いですか~?♪」

真姫「ま、まだ食べるの!?」

 

エマ「私もパン追加しよ~っと♪」

かすみ「いや、どんだけ出てくるですかっ!」

 

 

にこ「…これじゃあ勝負じゃなくてお食事会じゃない!」

希「まぁまぁ、食事を通して固い絆が生まれたって事やん?♪」

 

「…だな、俺も同意」

歩夢「私もっ♪2人を見てると美味しそうに食べてるし♪」

にこ「くっ……あ、明日二回戦やるわよ!!」

 

「えっ、明日?」

急すぎないか?と言おうとしたが…絵里さんに肩を叩かれた。

 

絵里「ダメよ…峻…あれは完全に燃えるスイッチが入ったにこよ…」

「…あ、あぁー…」

 

 

恐ろしいくらい納得をしてしまった俺だった。




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31話

かすみんのスカートをめくったおかげかURかすみ来ました。

「って!めくったからは余計です!」

あと、初期曜ちゃん来ました。
…あの謝ってる時の曜ちゃんの谷間がけしからんよな…?

「先輩!その発言はどうかと思いますよ!!
と言うか更新滞ってどうしたんですか!?」

いや、仕事忙しいよね…まじ社畜…。


にこ「第2回戦よ!!」

 

「…テンション高いなー…」

翌日…俺達虹ヶ咲学園のメンバーとμ'sのメンバーはゲームセンターに集合した。

 

にこ「第2回戦は…ダンス対決よ!!」

「お?今回はスクールアイドルっぽい対決だな」

 

にこ「μ'sからは絵里が出るわ!!」

絵里「えっ、わ、私っ?」

「出たな、エース…」

 

まさか自分が選ばれると思ってなかったのだろう…絵里さんは驚いた顔をしていた。

 

「ウチ…からは…」

やはりここは…せつ菜か?

 

果林「…私が出てもいいかしら?」

「…果林…さん?」

 

歩夢「…せ、せつ菜ちゃんじゃなくて…?」

璃奈「…いや、果林さんの目…本気、だよ…」

 

果林「…私…この戦いが始まった時から…考えてたの」

「えっ…何を?」

 

ゆっくり目を見開いた果林さん…そして、絵里さんと対峙する。

果林「…絶対に…絵里ちゃんに勝ちたいって!」

絵里「…あら、燃えること言ってくれるわね…っ?

ええ、それなら全力勝負よ!」

 

 

「…絵里さんって…ああいうので燃えるタイプ?」

希「あ、あはは…えりちにしては…珍しいんよ…?」

にこ「このダンスゲームのスコアで対決してもらうわ!」

 

凛「わー!愛ちゃんクレーンゲーム上手いにゃー♪」

愛「よくゲーセンは行くからね~♪」

 

穂乃果「次これ取って~!♪」

愛「愛さんにおまかせあれ~♪」

しずく「あ、あのっ、みなさん待ってください~!」

 

「…あ、あはは…相変わらずだな…アイツら…」

絵里「先攻は私が貰うわ」

 

いざ、先陣を切って絵里さんがゲーム台に立つ。

…その姿が…なんというか…。

 

海未「あ、あのっ…なぜ私の後ろに隠れるのですか…?」

「…いや、その…目に余るのと言うか…凄い…と言うか…」

 

ホットパンツは…ダメだよ…絵里さん。

いや、果林さんもホットパンツだけど…。

 

2人の対決が気になるが…その私服姿も気になってそれどころでは無い。

 

…これならしずくたちとゲームセンターを見回っていれば良かった…。

 

せつ菜「あ、あのっ…峻…さんっ?」

他の人にバレないように…せつ菜が話しかけてきた。

 

「ん、どうした…せつ菜?」

せつ菜「あのっ…もし…良ければ…一緒にプリクラ…と、撮ってもいいですかっ…?」

 

「…俺でいいのか?」

せつ菜「…峻さんと…撮りたいのです…っ」

「…わかった、じゃあバレないように撮りに行こうか」

 

俺とせつ菜は勝負が始まる中…こっそりと抜け出した。

後ろの方で…絵里さんのプレイに歓声が上がっているのが聞こえた。

 

 

────────────────

 

 

せつ菜「…えへへ、こうして撮ってると…デートみたいですね…///」

「…なんか緊張するね」

 

せつ菜「…もっとくっついて…いいですか?///」

「そ、そんなに近づいたら…っ!」

せつ菜「近づいた…ら?」

 

「…その…我慢が出来なくなるというか…」

せつ菜「…欲しがりな峻さん…♪」

「…っ……~…!」

 

せつ菜「…ここじゃない場所で…ですよ?♪」

「わ、わかっ─────」

 

ことり「あっ、ここにいた~♪

プリクラ撮ってるの?♪」

せつ菜「こ、ことりさんっ!?」

 

「どうしたの?」

ことり「2人の対決が終わったから探しに来たの~♪

でもまだ撮り残してるみたいだね?♪」

 

「あの…1枚だな」

ことり「ことりも入っちゃお~♪」

せつ菜「え、えええっ~!!??」

 

ことり「…だめ、かなぁ…?」

せつ菜「うっ…だ、大丈夫ですっ…!」

 

…と、口では言うが…せつ菜の顔はどこか寂しそうだった。

 

 

────────────────

 

 

にこ「勝者 絢瀬絵里!」

絵里「いい勝負だったわ、果林♪」

 

果林「いえ、完敗よ…絵里ちゃん

…すごくいい経験になったわ」

 

ほぼ…ほぼ僅差で…果林さんが負けた。

これで一勝一敗になった。

 

「…果林…さん?」

果林「…あっ、ごめんなさい…峻

大丈夫よ、少しこのゲームにハマっちゃったわ♪もう少しやっていくわ♪」

 

「…ん、うん…わかった…」

歩夢「峻く~ん!こっちこっち~!」

「あ、わかった今行く~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

果林「……自信…あったんだけどな…」

絵里「その自信…しっかり伝わってきたわよ」

果林「…絵里ちゃん」

 

絵里「私でよければ…アドバイスさせてもらえないかしら?」

果林「…敵に塩を送ることになるわよ?」

絵里「そんな事ないわよ?…貴方はもっと…良くなるって分かるから」

 

果林「…トップスクールアイドルのμ'sの絵里ちゃんから言われたら断れないわね…よろしくお願いするわ」

絵里「ええっ、任せてちょうだい♪」




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32話

後半ガチャスタート!!

せつ菜の新衣装欲しいな…。
残る虹ヶ咲学園のURは…愛と彼方と璃奈の3人ですね!
UR確定チケット付きセットとかやっぱり出るのかなぁ…


「先輩!特訓しませんか!?」

 

「…うぇ?」

昼飯…学食に来てた俺と歩夢とかすみとしずく…。

そんな中、かすみがパンを食べながらグイグイ詰め寄ってきた。

 

 

「…特訓って…また急な…」

「かすみさん…どうしてまた…」

「このままじゃμ'sの皆さんに負ける気がしちゃうんです~!

今週末の3回戦以降もどうなるかわからないので…」

 

「うぅーん…確かに一理あるけど…」

確かに…今は一勝一敗だけど…たしかにスクールアイドルらしい対決なら…勝てる確率は高いわけではないからな…。

 

「…でも、どこで?…部室じゃ難しいよ?」

「確かに…生徒会長さんはそういうところ厳しいと思いますし…」

 

「(いや、菜々ならむしろ…''アニメの世界みたいですね!是非!!''って思いそうだけどな…)…果林さんやエマさんに頼んで寮に…と、言いたいが寮にもルールがあるしな…」

 

「ふっふっふ~…」

秘策があるのか…かすみがパンを食べる。

 

「な、なんか嫌な予感がするよ…峻くん…」

「(まさか俺に家とか言わないよな…)…かすみ?言ってみ?」

 

「しず子の家で特訓しよ!!」

「えっ、わ、私の家…でっ!?」

 

「おいおい…それはさすがにしずくに迷惑じゃないか?

…しかも一方的に決めて…」

「いえいえっ、これにはちゃんも理由があるんです!

しず子、さっき言ってたよね?両親が出張で家に居ないんだって」

 

「…い、言ってたけどぉ…」

チラチラとこちらを見るしずく。

…これは助けを求めてる、のか…?

 

「…まぁ、かすみの言うことは置いとい───」

「わ、分かりました!4人くらい大丈夫です!!」

 

「えっ…しずくちゃん…っ!?」

「…本気か?」

 

「えぇ、大丈夫です!任せてください!!」

…何故か変なスイッチが入ったしずく。

その目は炎が燃えてるようにも見えた。

 

(せ、せっかく峻先輩が泊まってくれるなんて…あぁ、どうしよう…パ、パジャマ…可愛いのにしようかな…っ?///)

 

「…おーい、しずく~?」

「あ、あはは…(峻くん…どんな服装が好きかなぁ~…?)」

「(ふっふっふ~…ひとつ屋根の下…何も起きないはずもありません…楽しみです…♪)では明日の放課後、しず子の家の前で集合ですよ~!♪」

 

(大丈夫かな…)

 

どこか不安を覚えながら泊まり特訓の話を聞き続けた俺だった。

 

 

 

──────────────

 

 

そして、金曜の放課後。

 

「……で、なんでせつ菜もいるんだ?」

「水臭いですよ~!特訓の為にお泊まりなんて素敵じゃないですか~!」

 

「…まぁ、せつ菜ならそう言うと思ってたよ…」

「それにしても…大きいね…しずくちゃんの家…」

「しず子の家はお金持ちですからね~…あ、当の本人は今準備してるみたいですよ~」

 

「…というか、俺一人男って…大丈夫なのか、君たちは…」

「何言ってるんですか!!」

「そうですよ!峻先輩がいないと、ですよ!!」

「しゅ、峻くんが居なきゃ…せっかくのパジャマが…っ!///」

 

「…え、えーっと…とりあえずOKってことなのね…?」

 

各々が照れて顔を赤くするが…俺にはその真意が分からなかったが…。

 

 

───────────────

 

 

「お待たせしました~♪」

「ホントに大人数で押しかけて大丈夫だったのか?」

 

「はいっ、それに賑やかな方が寂しくないので…っ」

「そっか、それで…この後どうしようか?」

 

「あ、私お夕飯の食材買ってきたから作るよ!♪」

「かすみんもお手伝いしま~す!♪」

「じゃあ、キッチンにご案内致しますね♪」

 

「わ、私も手伝いますよ!」

「…いや…せつ菜…やめておけ…」

「あ、あはは……お料理苦手なの…バレました?」

「何となく…俺の第六感がそう告げた…」

 

 

「あ、おふたりはお部屋にご案内致しますよ♪」

 

そう言うと、しずくを先頭に部屋に案内された。

…明らかに大きな部屋だった…多分これはみんなで泊まる部屋だろう…ホテルみたいだった。

 

 

─────────────

 

 

 

「ふぁあああああっ!!???」

 

部屋に着くなりせつ菜が悲鳴に近い声を上げた。

 

「な、なんだぁっ!?」

「あ、ご、ごめんなさい!!

前から欲しいキャラが復刻ガチャで登場したので…!」

 

「…あ、あぁ…なるほど…」

「くぅ…貯めておいた石を…使うわけには…っ…

ですが…このチャンスを逃すと次はいつかになるか…っ!」

 

「えいっ」

「あ、ああああああっ!!!峻さんっ…!?!?」

 

悩んでるせつ菜を後目に俺は1回ガチャのボタンを押した。

ダメでも1回くらいなら許されるやろ。

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴ………………パカーーーーン!!!

 

超激レア!! ★★★★★★★★

 

「き、きっ、来たあああぁー?!」

「おわっ、せ、せつ菜っ??」

 

嬉しさのあまり、せつ菜が飛びついてきた。

なんとかキャッチしたが、手が胸の辺りに触れてしまって。

 

 

「あっ……あり、がとうございます…っ///」

「…えっと、俺の方こそ…ありがとう…?」

 

「あ、あはは…すいません…我を忘れてしまって…///」

「…いや、まさか俺も出るとは思ってなかったけど…」

 

「…んっ…峻さん…///」

「…なぁ、せつ菜…そろそろさん付けなんかしなくても…」

 

「えっ…?…で、ですが…」

「…1回試しで言ってみ?」

 

「…うぅ…分かり、ました…///

………峻……///」

「…うっ……………」

 

「い、言わせたんですから…何か言ってくださいよ…っ///」

「…めちゃくちゃ可愛い」

「…うぅ………///」

 

 

「お待たせしました~!♪

ご飯できましたよ~………あれ?」

 

「「あっ………………」」

「───峻くん…?」

 

「そ、そのこれは…事故で…」

「あ~!ずるいです~!かすみんだって峻先輩ともっとそういうのしたいです~!」

「わ、私だって…もっとぎゅーってしたいもん…!///」

 

「ま、待て!落ち着け…な!?」

「皆さん、どうしたんですか?…あらら…」

 

しずくが様子を見に来たら…すでにもみくちゃにされてる俺が映った。

 

 

「あ、あはは…」

「ふふっ、皆さん峻先輩のこと大好きなんですね♪」

 

「「「はい!!(うん!!)」」」

「か、隠さないんだね…君たち…」

 

 

「私も大好きですけど♪」

「…むっ!」

「うぅー…!」

「ライバル…ですからね!」

 

 

「あ、あはは…………」

この後、夜はどうなることやら…




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33話

Guilty KissのNew Romantic Sailorsを聞きながら作品投稿!

ギッッッッッッラン★


「……さて、ご飯も食べ終わって…お風呂も済んだ…が

特訓って何をするんだ、かすみ?」

 

「ふっふっふ~…皆さん、今後の対決でどういう項目が出てきそうだと思いますか~?♪」

 

「項目…ですか?」

「大食い…ダンス…うーん、あとは…」

 

かすみの質問にみんな頭を悩ます。

…まぁ、にこの事だから…突拍子もないこと言いそうだしな…。

 

「…まぁ、無難に考えて…歌とか、ファッションとか…知識とかじゃない?」

「確かにっ♪いかにもスクールアイドルらしい勝負になりそうだねっ♪」

 

「ということは…全部に通ずるところがあると思いませんか~?♪」

「ん…全部に通ずるところ?」

「前もって予習復習する、ということでしょうか?」

 

「それもいいのですが…それだと闇雲過ぎますっ

かすみんが言いたいのは…全てにおいて…''平常心''がものを言うと思います!!」

 

「…平常心?」

しずくがんん?というような顔をする。

歩夢もうーん…と頬に手を当てて考える。

 

「はいっ!♪

どんな場面でも自分らしさと自分のペースがあれば勝てるってことです♪」

「…まぁ、焦ったり緊張しないって言うのは重要だよな」

 

「ですですぅ~♪ということでそれが第一の特訓です!♪」

「…でも、どうやって特訓を…?」

 

「それには~…♪

峻先輩の協力が必要で~す!♪」

「…え、俺?」

 

みんながこちらを見る。

「…まさか、怒ったフリとか…μ'sの真似をしろとか…そういうこと?」

「いえいえ!違いますよ~♪

峻先輩には…あることをしてもらいま~す♪」

 

そう言うとかすみは…しずくの腕を掴んで身動きが取れないようにした。

 

「…えっ?」

「か、かすみちゃんっ…何をっ…?」

「…ま、まさか…」

 

「はいっ♪峻先輩には今からくすぐりをしてもらって皆さんには耐えてもらいま~す!♪」

「え、えええぇっ…!?!?」

 

「そ、それは特訓にならないかと…!!」

「そ、そうだよ…っ…そ、それにくすぐりなんて…っ///」

 

「かすみさんっ…はな、して…っ」

さすがに嫌なのか…しずくも解こうとするが…

かすみが耳元でなにか囁く。

 

「…いいの、しず子?

これって対決だけじゃなくて…演劇の時も平常心は役立つとかすみんは思うんだけどなぁ~…?」

 

「うぐっ……そ、それは…///」

「…何こそこそ話してるんだ~…?」

 

「…わ、わかりましたっ…峻先輩…どうぞっ…!」

「いいのか、しずく?」

 

少し俯いてもごもごするが…決心を決めたしずくは意志が固いようだ。

 

「…じゃあ…遠慮なく…」

「しゅ、峻くん…っ…ホントにやるの…!?」

「うぅ…この後私たちも…されるんですよね…?///」

 

 

優しく…しずくの脇腹をなぞる。

足を少しばたつかせるしずく。

 

「っ……ぁ…///」

なんとも言えない…いやらしい声が出るしずく。

それを見て面白がるかすみ。

 

そして、見てはいけないと思いつつもチラチラと見てしまう歩夢。

せつ菜はじとーっと見ている。

 

「(ふっふっふ~…かすみんはくすぐり効かないから…せいぜい皆さんはくすぐられてあられもない姿を見せるのです…♪)」

 

「…あっ…しゅ、ん…さぁん…///」

「脇腹、弱いんだ?」

 

「そ、そこはっ……いけま、せ…んっ…!///」

口元をきゅっと紡いで耐えるしずく。

…さすがにこれ以上は可哀想に思えてきた。

 

「…ほい、よく耐えたなしずく」

パッと手を離し…頭を撫でる。

 

「ほぇ……ぁ……は、はいっ…///」

 

「…つ、次っ…私する!///(峻くんに撫でて貰えるなら…頑張る…っ!)」

「え、ええっ…歩夢…?」

 

俺の困惑した表情も、ものともせず…歩夢が近づく。

 

「…じゃ、じゃあ…」

大きくさらけ出した太ももを指でなぞる。

 

「ひゃうぅ…!!///」

案の定くすぐったい声を出す歩夢。

…これって…ホントにくすぐったいだけ…だよな?

 

「う、うぅ…でもっ…もっと…し、てっ…///」

「…えっ……もっと?」

意外と…歩夢って欲しがり?…と言うか…攻められるのが…好き、なのか?

 

「…わかった」

してと言われてしないのも申し訳ないので…とりあえず強めにくすぐる。

 

「ぁ……うぅっ…んっ…ひゃ、んっ…!///」

「…歩夢…可愛いな」

「そ、れっ…はっ…いまっ…いわなっ…ひゃん…っ!///」

 

…いかん、俺の方が限界を迎えそうだ…。

せつ菜やしずく…面白がって見てるかすみも居るし…この辺でやめておくか…。

 

「…お疲れ様、歩夢…大丈夫か…?」

「はーっ……はーっ…♡///」

 

…いかん、事後みたいになっとる…。

ちらっと横目でせつ菜を見るが…ポケーっと口を開いて見ている。

 

「…せつ菜…?」

「………………はっ…!

だ、大丈夫です!…これもスクールアイドルとして備えておかないといけないスキルです!!」

 

なんだか変なスイッチが入ったせつ菜。

…ん、まぁ…受け取り方は…人それぞれだからな…。

 

「…じゃあ…行くぞ?」

「はいっ!」

 

どんと来いと構えるせつ菜。

「…まずは…脇腹…」

「んっ……くっ…///」

 

…お、耐えるな?

なら、首元とか…。

 

「ぁ……やっ…///」

ここが弱いのか、くすぐる腕に触れるせつ菜。

しかし、解こうとする力は弱く…むしろその顔は光悦に浸っていた。

 

「…ぁ…峻…さ……んっ…ぅ…///」

「せつ菜…そんな声出すんだな…」

「…峻…の、せい……です、よ…っ…///」

「……っ…」

 

ここでそれは反則だろ…という気持ちもあったが…考えないようにしてくすぐりを続けた。

 

「っ…んんっ……い、やっ……!///」

いや、という言葉に反応してしまった俺は急いで手を離した。

 

「わ、悪い!やりすぎた!」

「ぁ……い、いえっ!そういう意味では…///」

 

「ふっふっふ♪皆さんくすぐりには弱いようですね~♪

まぁ、かすみんはくすぐりきかな────」

 

話終わる前に…しずくがかすみを捕まえた。

 

「さぁ、峻先輩っ…どうぞ!」

「えっ、えっ?…しず子?」

「かすみさんだけ何もしないのは不公平です!」

 

「…ごめんね、かすみちゃん…でも今回は私もそう思うよ…」

「あ、歩夢先輩まで…っ!」

 

「くすぐりが効かなくても…他の方法があります!///」

「せつ菜先輩も~…!」

 

「…と、言うことだから…ごめんよ、かすみ」

「え、ちょ…っ…峻…先輩…っ?

…や、やめっ……きゃああああっ!!」

 

 

かすみの叫び声が部屋に響いたのでした……。

 

……あ、ちなみに怖い映像を見せただけだよ?

見せ終わったあとポカポカ殴られたけど。

 

 

───────────────

 

 

「さてっ、皆さんそろそろ寝ましょうか♪」

「…なんでベットが置いてある…」

「知りませんか?移動式の折りたたみベットなんですよっ♪」

「…えっと、うん…初めて見た…と言うかなんで…5個も?」

 

「峻くんも一緒に寝ないの?」

「…あ、やっぱそういうこと?」

「当たり前です!」

 

「…あ、あはは…(千歌に聞いたら…是非はないよ!!とか言いそうだからやめておこう…)」

 

 

じゃんけんの結果…俺の両隣は歩夢とかすみになった。

そして、向かい合うようにせつ菜としずくというような形に。

 

電気が消え、皆が眠りにつく。

…が、寝れない俺はふと、こんなことが頭をよぎる。

 

(…これって…Aqoursのみんなとお泊まりした時と似てる…)

 

あの時は確か…隣にいた曜が…こっちの布団に入ってきて…。

 

「…んっ…峻くん…っ?」

「…っ……!……あ、あぁ…歩夢…どうした?」

 

「…眠れないの?」

「…あぁ、何だかな…」

「ふふっ、峻くんって…昔から知らないところだとなかなか寝付けないもんね…旅行とか一緒に行った時そうだったなぁ…なんだか懐かしくなっちゃった♪」

 

「…あ、あぁ…変わらないよな…」

「…でも、こうすると…不思議と落ち着いたよね…私も峻くんも…♪」

 

そう言うと歩夢はこちらのベットに手だけ伸ばした。

そして、俺の手を握った。

 

「…ふふっ、子供の頃に戻ったみたい…♪」

「なんだか恥ずかしいけどな…」

「そう、だね……///

…も、もう寝るねっ、おやすみっ♪」

 

と言って眠りについた歩夢…だが、握った手は…離さなかった。

 

 

(昔…か……ホントにこの男は…どんな人物だったのだろうか…)

何かの参考に、と…携帯の写真ファイルなどを開いたが…これと言って参考になりそうなものがなかった。

かと言って歩夢から聞くのも違和感あるしな…。

 

「うぅーん……かすみんランドですよぉ…~♪」

「んっ……なっ…!」

 

……蹴られた。

考え事をしていたというのもあって…思い切りクリティカルヒットした。

 

「にゃへへ~…かすみんランドへ~…ようこそ~♪」

「ん、ななっ…!?」

 

驚くことにかすみがゴロゴロ転がって…こちらのベットに忍び込んできた。

それはまるで…海苔巻きのようにくるくると。

 

(ん、んな展開あるか…っ!?)

起こそうにもなかなか起きない。

 

「くっ…かすみってこんなに寝相わるいの、かよっ…!」

起こそうとした……が。

 

「…ふへっ…♪」

「っ……はぁ…」

こんな心地の良さそうな寝顔みたら…そんな気もなくした。

 

「…いい夢見てんだろうなぁ…かすみ」

そっと頭を撫でてこちらに寄せて抱きしめる。

小さく…彼女が俺の名前を呼ぶのだけが聞こえて…俺も眠りについた。




次回はここに出てこなかった5人が出てきます!

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特別編!

バレンタインデー特別編です!

詳しくは下の本文をずぼぼぼぼぼ…(溺れた)


せっかくのイベントなので特別なお話を投稿しようかなと思いました!

 

テーマはバレンタインデー!

という事は…もちろんニジガクのメンバーがチョコをプレゼントします!

 

渡す相手は……読んでくださってる読者様をイメージして作ります!

(その間、峻くん・悠くんには淡島神社の階段をダッシュしててもらいます)

 

自分の推しキャラからこんなシチュエーションで貰えたらな、というのを想像しながらお読みいただけると幸いです!

 

セリフは脳内で自分が言ってる風にお楽しみ下さい!

 

 

───────────────

 

(歩夢編)

 

「あっ、いたいた!探したんだよっ♪」

────歩夢?どうしたんだ?

 

 

「ふふっ…今日…何の日か…分かる?♪」

────今日……なんかあったっけ?

 

「やっぱり忘れてる~…ほら、これ♪」

────これって…チョコ?

 

「ほら…今日…バレンタインデー…だから…///」

────……俺に?

 

「あ、貴方にしか渡すつもり…無かったもん…///

それに…久しぶりのお菓子作りだったから…上手く出来たか分からないけど…///」

────嬉しいよ、ありがとうね…歩夢

 

「ぁ……うんっ!♪」

 

─────────────────────

 

(かすみ編)

 

「せ~んぱいっ♪」

────…あれ、かすみちゃん?

 

「これ、かすみんからの気持ちです♪」

────これって………。

 

「はいっ、チョコレートです♪

…あっ、変なものとか入れてませんからね!?」

────付け加えて言うあたりが怪しい…。

 

「そんなことしませんもん!!…だって…先輩には…一番美味しいチョコ…食べて欲しいです、から…///」

────…かすみちゃん…。

 

「…いっ、今のは聞かなかったことにしてください!

それと…っ…お返し、期待してますからね…!」

 

 

────────────────

 

(しずく編)

 

「あ、先輩っ…今お時間いいですか?」

────しずくちゃん?何か用かな?

 

「えっと…その~……///」

────……ん、なにか…言いにくいこと、かな?

 

「いえっ、そういうことではなくて…っ!」

────えっと…じゃあ、どういうこと?

 

「その…こ、これっお渡ししたくて…っ!!///」

────…クッキー?

 

「…はい、バレンタイン…の…プレゼントです…///」

────すごい…しずくちゃんから貰えるなんて…!嬉しいよ!

 

「…そ、その…初めて男の方に…プレゼントするので…味の保証は出来ませんが…///」

────ううん、気持ちだけでも十分嬉しいよ、ありがとうね!しずくちゃん!

 

 

───────────────────

 

(愛 編)

 

 

「やっほ~!…って、なんか辛気臭い顔してるね~…?」

─────う、うるさい…。

 

「あっ……もしかして……バレンタインのチョコ…貰えなかったとか?!」

─────すぐに図星をつくな!!

 

「あっはは!♪

なんだなんだ…ほいっ♪」

─────んぐっ……!……これって…キャンディー?

 

「ってことは愛さんが一番乗りって事だ♪」

─────こ、これって…。

 

「愛さんのお手製キャンディーだよ♪

あ、でも…気合入れすぎてたくさん作りすぎちゃったから…いっぱい食べてくれる…かな?」

─────…食べる食べる!毎日でも食べるよ!

 

「おっ、嬉しいなぁ~♪…って、それ愛さんが食べてたキャンディー…!そのまま口に入れちゃった!///」

─────そ、それって…間接…。

 

「わ、わーー!!!!言わないでー!!//////」

 

 

─────────────────────

 

(果林 編)

 

「はいっ、お姉さんから…貴方にバレンタインのチョコのプレゼントよ~♪」

─────…って言っても…お手製じゃないんだね。

 

 

「あら、お手製が全てじゃないわよ?

…私の場合は~……♪」

─────…っうぇっ?…果林さん…何を?

 

「ふぉら…たべひゃへてあへる…?♪」

─────な、なななっ……!!??

 

「…ぷっ……あははっ!冗談よっ、可愛いわねぇ♪」

─────か、からかわないでくださいよ!!

 

「でも、食べさせてあげるのは…嘘じゃないわよ?

はい、あーん♪」

─────……あ、あーん…。

 

「ふふっ…いつものチョコより…甘く感じちゃうかしら?」

─────食べた瞬間…鼻血出そうです…。

 

「あらあら、刺激強すぎたかしら?♪」

 

────────────────

 

(彼方 編)

 

「すや…すやぁ……♪」

─────様子を見に来たら…調理実習室のキッチンの上が散乱してるし…

 

「…んっ…むにゅ…♪」

─────彼方ちゃんは寝てるし……おーい!彼方ちゃん~っ!

 

「…ん、んんっ……?…あっ…!

彼方ちゃん…寝てた…?」

─────おはよ、思い切り寝てたよ。

 

「う、うわわわっ…!チョコ…どうなったかな…っ!?」

─────…チョコ?

 

「……ほっ、よかった~…ちゃんと出来てる…♪

一生懸命チョコ作ってたんだけど…途中で冷蔵庫に入れたあと…眠くなっちゃって…」

─────そう、だったんだ…ありがとうね、彼方ちゃん。

 

「遥ちゃんや…部活のみんなとは違う…好きって気持ち…込めて作ったから…食べてみてね~…♪」

─────それってどういう……。

 

「すや…すやぁ…♪」

─────って、また寝てるし!

 

 

────────────────────

 

(エマ 編)

 

 

「日本のバレンタインって他の国とは違うよね~♪」

─────スイスでは何かするの?

 

 

「スイスのチョコは有名だけど…バレンタイン自体そんなに浸透してないんだよ~♪

日本とは違って、男の人が女の人に花を送るくらいかな?」

─────へぇ…なんかオシャレだね。

 

 

「でも、ここは日本だし…私にもチョコあげたい人が…いるから…///」

─────…???

 

 

「はいっ、私からの…チョコだよっ♪」

─────えっ…いいの、ホントに!?…ってこれは…?

 

 

「マロングラッセ♪…その…ずっと好きって意味が…込められて…ごにょごにょ…//////」

─────エマさん?…エマさーん?」

 

─────────────────

 

(璃奈 編)

「璃奈ちゃんボード…''ギランっ''」

─────…ん?…俺の事探してた?

 

「璃奈ちゃんボード…''うんうん''」

─────何かあったの、璃奈ちゃん?

 

「その…これ…さっき彼方さんと一緒に…作ったの…♪」

─────わっ!チョコだ…俺に…?

 

「貴方…が…いいの…うぅ、上手く作れたか…不安だけど…気持ちはいっぱい込めたから」

─────あはは、だろうね…何となくわかるよ。

 

「えっ……どうして…???」

─────ほら、指にチョコつけっぱなしだよ。

 

「ひゃう……!?///」

─────うん、甘くて美味しい。これは期待できるよ!

 

「そ、そっか…良かった~…♪」

─────ありがとうね、璃奈ちゃん…よく味わって食べるよ。

 

「は、恥ずかしいから…後で食べてね…?//////」

 

 

──────────────────

 

(せつ菜 編)

 

「貴方だけにバレンタイン特別ライブを開きたいと思います!」

─────いかにもせつ菜らしいなぁ…。

 

「熱いライブでチョコも貴方の心も溶かしちゃいますよ~!」

─────いやいや!チョコはちゃんと食べるからね!?

 

「えっ………あ、その…ごめんなさい…チョコは…無いんです」

─────…?…作るの、忘れちゃった?

 

「いえ、ちゃんと作ったのですが……その…溶けまして…」

─────そりゃあ…チョコだから溶けるよね…?

 

「やり方を間違えたのか…お湯の中にチョコを入れたら…溶けまして…」

─────それは溶けるよ!!

 

「う、ううっ…料理…苦手で…ごめんなさい!」

─────…あははっ!それならそうと言ってくれればいいのに。

 

「……えっ?」

─────ほら、一緒にチョコ…買いに行こうか?

 

「えっ…で、ですが…っ!」

─────女の子が男の子にチョコを渡すのがバレンタインデーって訳じゃないからね?…俺はせつ菜と一緒にチョコ食べたいし。

 

「…ぁ………」

─────それとも、俺じゃ不満?

 

「そ、そんなことありません!…えへへ、私も貴方とチョコ…食べたいです…///」

 

 

 

 

 

 




この後の展開は読者様次第です!
チョコを味わってお返しを考えたり…。

チョコもいいけど君も欲しいと押し倒したり…。

作者ですか?もちろん後者です。


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35話

5人で女子会in峻くん!!

更新遅れてすんません…


青ジャンの曜ちゃんゲトしました!
月一ペースでの運営の曜ちゃん推し…。


「……ってことがお泊まりした時にあってさ…」

 

「あははっ、なにそれ傑作だよ、しゅんしゅん~!♪」

「でも、羨ましいわね~♪」

 

「かすみちゃん…相変わらず、だね…」

「あはは…まぁ、特訓には…なったのかな?」

 

「…すやぁ…すやあ…♪」

「…ところで…彼方さんが俺の膝で寝てるんだけど…何とかしてくれない…?」

 

「あらあら、懐かれてるんじゃないのかしら?♪」

「そうそう!役得だよ~しゅんしゅん♪」

 

…普通こういうのは逆じゃないのかな…俺が膝に寝るのでは…。

 

「はーい、パン出来たよ~♪」

「おー!エマっちすごーい!」

 

「果林ちゃんにも優しい糖質を抑えたパンもあるよ~♪」

「気を遣わせてごめんなさいね…エマ」

 

「んん~…?……美味しそうな匂い~♪」

「あ、起きた」

「あいたたた…………」

 

「おやおや~?……峻くん…どうしたの~?」

ビリビリと足が痺れた…。

 

「あ、あはは…彼方さんに膝枕してたからね…」

「ふっふっふ~…♪

峻くんのお膝を…彼方ちゃんのお気に入りお昼寝スポットに認定しよ~♪これからは週一で寝かせてね~♪」

 

「ええっ、週一かよ!?」

「あらあら、彼方からも懐かれちゃって♪」

 

「か、果林さん…茶化さないでよ」

「あら、本当のことよ?…実際、気になる子とかいるのかしら~?♪」

 

「うぇえぇええっ…!?」

頬杖をしながら果林さんが面白そうに返事待ちをしている。

…気がつけば愛や璃奈ちゃんもこっち見てるし…。

 

「……い、居ないよっ!だって、スクールアイドル同好会のサポートに全力を注ぎたいし…」

 

…ごめん、嘘ついた…。

いや、でもしずくやせつ菜と…なんて言えないし…。

 

「じゃあ、愛さんの事はどう思う?」

「えっ……あ、その…健康的な…いやらしさがあると言いますか…」

 

───何言ってんだ、俺。

 

「あっはは!なにそれ~♪」

と言って笑ってるけど、愛さん…胡座をかいたりするそういうところだよ…。

 

「あら、私の着替えを見てたのにその反応は冷たいわね~?♪」

「えっ…」

「璃奈ちゃんボード…''うわー''」

 

とんでもないことを暴露した果林さん。

その発言を聞いた彼方さんと璃奈ちゃんが白い目で見てくる。

 

「た、たまたまだから!!悪意も故意も何もないから!」

「ふふっ、そういうことにしておきましょうかね♪」

「ほんとに勘弁して…」

 

「そ、それなら私だって!峻くんと体育倉庫で2人きりになったもん!!」

 

「…えっ?」

「何その王道展開…璃奈ちゃんボード…''やれやれ''」

 

「え、エマさん…?」

何の対抗意識か、エマさんまで暴露を始めた。

そして、果林さんより優位だぞと表さんばかりに腕に抱きつく。

 

 

「…峻くんは…私の事どう思うの…?

……って、こんなそばかすがあるような子…嫌だよね…あはは」

自虐的に笑うエマさん。

 

「そんな事ないよ、それもエマさんの個性だしチャームポイントだから」

「峻くん……えへへ…嬉しいなぁ~…♪」

更に力を込めて腕に抱きつくエマさん。

…すごい…ね、うん。

 

 

「あ、そう言えば…」

「…???」

 

突然、何かを思い出したかのようにトーンを下げる愛。

「せっつーって…結局何者なのかな?」

「(やべっ…)…どうして、それが気になったの?」

 

「いや、あんだけ有名で実績もあったら…学校内で見かけてもおかしくないな~って…それに、部活中はあの衣装だし」

「確かに…クラスの注目の的になってもおかしくないわね」

 

「それに、学年すら分からないし…璃奈ちゃん…''もやもや''」

「3年生~…じゃないと思うけど~…どの学部なんだろうね~…?」

 

「…う、うん…確かに…気になるよね~…」

…言えないよな、生徒会長だなんて…。

それに、その事は…せつ菜本人から…いつかみんなに打ち明けないと、な。

 

「それに…最近、変な人がせっつーの事について聞いてくるんだよ~」

「…変な人?」

「2年の別のクラスの男の人なんだけどさ、優木せつ菜ちゃん、知ってるよね?…どんな子?って

私も普通に答えてるんだけど、何かニヤニヤ笑ってて…少し不気味というか…」

 

「…熱狂的なファン…かしら?」

「なんかちょっと…怖いね」

 

「せつ菜ちゃんはその事を知らないんだろうけど…部活中はそんな人見かけてないもんね~…?」

「…うん、確かに気になる…」

 

…変な人、か。

ストーカーか…ただのファンか…。

1度調べてみる必要ありだな…。

 

(なるべくせつ菜に気が付かれないように…補佐として裏から調査しないとな)

 

「あっ、もう下校時間だよ!」

「やばっ、帰ろっ、カナちゃん、りなりー、しゅんしゅん!」

 

「うん、エマさん、果林さんお邪魔しました」

「いいえ~♪」

「色々、峻の事が聞けて楽しかったわ~♪」

 

「果林さんまだその事言うか…」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

そして、帰り道…。

璃奈ちゃんと彼方さんと別の道で別れ、俺と愛の2人で帰ってた。

 

「…ね、ねぇ…しゅんしゅん?」

「…ん、どうした?」

 

「…さっき言ってたの…ホント?」

「…あぁ、愛の事をどう思ってるか、か?」

「う、うん…そう、それ…」

 

「正直、最初は…めちゃくちゃ太ももに目がいってた」

「…あ、あはは……何となくそんな気はしてたよ…」

 

「でも、人は見かけじゃねぇなぁって思った

愛は面倒見もいいし、情に厚いし」

「……そ、そうかな…?///」

 

「だから……まぁ、その見た目だから勘違いされることもあると思うけど…」

「…うん、実際…見知らぬ人から声を掛けられたことも…何度か…」

 

「…今後、そういう事がないように、さ」

ぎゅっと愛の手を握る。

 

「ひっ……!?//////」

「俺に守らせてよ、愛の事」

 

「ふぁ……ぁ……は、はいっ…///」

顔を真っ赤にして目を丸くする愛だった。

 

「…き、君って時々する真剣な表情…愛さんドキドキしちゃうよ…///」

「意外と乙女なんだな」

「しゅ、峻の前だけだよ!!///」

 

「…あれっ、今…」

「べーーーっ!守られなくても愛さんは大丈夫だしっ!///」

 

そう言うと2歩3歩前を歩く愛。

その姿を見て…やれやれと笑う俺だった。




「あの…何故作者の私が縛られているのですか?」

かすみ「更新遅れた罰です、当然の報いです。しず子~」
「…な、なんでしずくちゃん?」

しずく「ガっっっデム!!!」
「…は?」

かすみ「今しず子はプロレスラーになりきってるそうで」
「…この展開ってまさか…」

しずく「いくぞおー!!!」

バシーーン!!

「いたーー!!!」
歩夢「…えっと…どういう状況かな、これ…」

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36話

今日の夜…R版も更新するぞ…(フラグ)


【3回戦は 歌唱力対決よ!!首を長ーーくして待ってるから放課後、ちゃんと来なさいよー!!】

 

「…だってさ?」

「なんか、にこ先輩…物語中盤のボスみたいなこと言いますね」

「あっ、かすみさん分かります!モン〇ンで言うところのイャンガ〇ルガ、ポケ〇ンで言うところの4個目のバッジ辺りですね!!」

 

いや、その例えはすごく分かりずらいと思うぞ、せつ菜。

 

「ふっふっふ…やっぱり特訓の成果、出そうですね!」

「怖がってたくせに」

「あ、あれは峻先輩が卑怯なんですもん!!べーーだ!!」

 

そう言うとかすみはそっぽを向いてしまった。

まあ、時間が経てば放っておかないでください~ってすがってくるのが関の山だが。

 

「…とりあえず、放課後…そのお店に行こうか」

「「はーーいっ」」

 

 

歌唱力か…となると…せつ菜のカードを切るべき、か…?

いや、歩夢の歌もなかなかだからな…。

 

(そもそも、μ'sからは誰が出るのだろう…?

歌となると…やっぱり真姫ちゃんあたりかな…)

 

「へーい、峻~!♪何悩んでんの~っ?♪」

「あ、愛っ!くっつきすぎ!」

 

「お、照れてるのか~?可愛いなぁ~このこの~♪」

「だあああ、離れろーー!」

 

「…………………」

「…歩夢?」

 

「…な、なんでもないもん…っ…ぷいっ!」

「…???」

 

(峻くんの…バカ……私だって…峻くんの事…独り占めしたいのに……はぁ、私ってワガママなのかな……)

「…ねぇねぇ、峻…後で歩夢と2人で話、してみてよ?」

「えっ……あ、あぁ…その方がいいよな」

 

(そろそろ…歩夢も素直になりなよ…でも、私もその気持ちは負けない、よ…)

 

 

 

 

─────────────────

 

 

【放課後】

 

「来たわね~!」

 

「…相変わらずテンション高いね…にこさん」

「は~い、峻♪」

「今日もよろしくね~♪」

 

にこにこ笑う絵里さんとことりちゃん。

…うん、後ろの視線が痛いよ、すっごく。

 

「…それで、歌唱力対決…ってとことで…」

「ええ、そうよ!2曲歌ってもらって合計の点数で勝敗を決するわ!」

「ああ、なるほど…それでμ'sからは誰が───」

 

 

「そこの隅っこで影を潜めてる海未よ」

そう言って指を指すにこさん。

振り向くと確かに一番端の椅子で縮こまる海未さん。

 

「うぅ…なぜ私なのですか…」

「海未ちゃんなら大丈夫だよ!穂乃果が応援するよ!!」

 

「ほ、穂乃果っ!そういうことではなく…!!」

「大丈夫よ、歌ってしまったらもう海未の世界になるんだし」

「ま、真姫まで…!…もぅ、わかりました…」

 

諦めたようにマイクを握る海未ちゃん。

 

「…で、虹ヶ咲学園からは?」

「…はいっ!」

 

「えええっ、しずくっ??」

まさかの人が手を挙げた。

 

「特訓の成果…は、あるかどうか分かりませんが…

演劇で鍛えた歌唱力を…全力でぶつけます!!」

 

「なるほどね、確かにしずくの歌唱力はなかなかだからいい勝負になると思うわ」

「しず子、頑張って~♪」

 

「じゃあ、まずは1曲目よ!」

 

先攻は…海未ちゃん。

正直、あの様子じゃ緊張して上手く歌えない気がするけど…。

 

 

「いぇーーいっ♪」

「「………えっ???」」

 

虹ヶ咲学園メンバー…絶句。

明らかにスイッチが入ったように別人になる海未ちゃん。

 

「あはは、海未ちゃん…完全に自分の世界入っちゃったね」

「これは……あれが出るかしら?」

 

「…あれって…?」

 

「貴方の心に…ラブアローシュートッ♪」

「…え、えっと…あれ本当に…海未ちゃん?」

 

「うんっ、むしろあれが本当の海未ちゃんだよ♪」

微笑みながら答えることりちゃん。

…えぇ、まじかぁ…。

 

 

 

 

「…ふぅ、緊張しました…♪」

「いやいやいや…かなりハイレベルだったよ…」

 

「しず子、負けてられないよ!」

「はいっ、頑張ります!!」

 

 

後攻のしずくのハードルが上がったが…彼女なりに一生懸命歌う。

その歌声に静かに耳を傾ける。

 

「素敵な歌声ね」

「はいっ、歌詞に気持ちがしっかり伝わって聞く人にも歌ってる人の感情が伝わります…♪」

 

絵里さんや海未ちゃんが賞賛の声を上げる。

…確かに、しずくの歌唱力…上がった気がする。

…でも、俺の方を見て歌うのは恥ずかしいからやめてくれ…。

 

 

 

 

「1曲目が終わって、海未 92点 しずく89点よ」

「うぅ、やはり海未さんの歌唱力には敵いません…」

「いえ、しずくの歌唱力もなかなかですよ♪」

 

「2人が2曲目を選んでる間……………ん、ほらっ」

 

ずいっと俺の方にマイクを差し出すにこさん。

 

 

「…え?」

「アンタ、歌いなさいよ」

「え、でもそれは勝負に関係ないのでは…」

「いーから!スクールアイドルの社交辞令よ!」

 

「なんだそりゃ……」

「にこちゃんはね、この前聞いた峻くんの歌がまた聞きたいんだって!♪」

「穂乃果ぁ!余計なこと言わないの!!」

 

「…じゃあ、1曲だけ…」

 

曲が流れると一気に視線がこちらに向く。

…歌いにくい。

 

(………また歩夢は携帯こっちに向けてるし…)

 

少し緊張しつつも…虹ヶ咲学園メンバーとμ'sの前で歌い切った俺。

 

ぱちぱちと何人かが拍手をしてくれた。

「峻の歌ってるところ…初めて見たけど…なかなか上手じゃない!」

「さすが、スクールアイドル同好会の部長です!」

 

「果林さんもせつ菜も買い被りすぎだよ」

 

「ううん、やっぱり安心する歌声だよ!ね、ことりちゃん!」

「うんっ♪何だかずっと聞いていたいな~…♪」

 

「…満足かな、にこさん」

「ま、ままままっ、まぁ及第点ね!!」

 

「にこったら嘘つくの下手ね♪」

「絵里ぃ~!!」

 

「今度、私が演奏するから…歌って欲しいわね」

「あ、俺もピアノなら出来るよ」

「ホントに?…じゃあ、連弾しながら…歌って欲しいわ」

 

「うん、今度しようね」

 

 

「…こ、こほん!勝負の本質を忘れちゃいけないわ!

2人とも2曲目スタートよ!」

 

咳払いをして仕切るにこさんを見て苦笑いをうかべる絵里さんと穂乃果ちゃんだった。

 

 

 

 

 

「結果は…海未ちゃん 186点 しずく 184点で海未ちゃんの勝ちか」

「うぅ…悔しいですが…すごくいい経験ができました!」

「しずくの歌声…私は好きですよ♪」

 

ガッチリと握手をする2人。

「これで、μ'sの勝ち越しね」

「まだまだ勝負はこれからだよ」

 

 

「…………………………やっぱり…峻くんって…モテるんだなぁ…」

「あれ、歩夢さん…どうしましたか?」

 

「あっ……ううん、なんでもない!」

「…………?」

 

 

 

─────────────────

 

 

【その帰り道】

 

「歩夢~…なんでそんな先歩くんだよ…」

「知らないっ」

 

「(明らかに…怒ってるよなぁ…)…カラオケの時なんかあったのか?」

「…なんもないもんっ」

 

そう言うと少し急ぎ足で階段を駆け上がる歩夢。

そして、ドアの前で少しこちらを見て…。

 

「………………………バカ…」

とだけ言った家の中に入ってしまった。

 

「バカって……はぁ、一体なんの事だよ…」

 

 

──────────────────

 

 

【歩夢 視点】

 

「………はぁ」

帰ってきて一目散にベットにダイブする。

 

枕に顔をうずめて…ため息をつく。

 

(私…やっぱり悪い子だな…峻くん困らせて…)

あんなこと言いたいわけじゃない…。

 

ただ単に…峻くんを独り占めしたい、だけなのに…。

 

(やっぱり…好きなんて伝えたのが…迷惑、だったのかな…)

そう思うとじわっと…目に涙が浮かびそうになった。

 

「………峻くん」

小さく…好きな彼の名前を呼ぶ。

 

すると…………………………。

 

 

 

ガラガラガラ………。

 

「不用心だなあ…窓開けっ放しじゃん」

「…えっ!?!?」

 

 

──────────────────

 

 

【峻 視点】

 

 

「…やっぱり歩夢から訳を聞かないとスッキリしないな…」

 

けど、家の鍵は閉めてたし…。

「…ベランダか…」

部屋が隣同士だし…ベランダからベランダへ…移り込めば…。

 

「…って、ここ5階だし…」

誤って落ちたとか言ったらシャレにならないし…そもそも鍵がかかってるだろうし…。

 

 

「…えぇい!悩んでても仕方ない!」

 

ベランダから身を乗り出し歩夢のいる部屋に…侵入。

傍から見たら空き巣犯とかに見られるのかなぁ…。

 

カーテンがかかってるベランダのガラスドアに手をかける…すると…。

 

 

ガラガラガラ……

 

「不用心だなあ…窓開けっ放しじゃん」

「えっ…!?!?」

 

鍵がかかってなかった。

その注意は後からするとして。

 

「何暗い顔してんの…歩夢」

「ぁ、な、なんで……っ???」

 

「心配だから様子を見に来た」

「ベランダからこっちに来たの…?!

ここ5階だよ…!?」

 

「だから?」

「…ぁ……べ、別に峻くんには関係ないもん…っ」

 

「…まだそれを言うか」

 

頭を掻きながら歩夢に詰め寄る。

「歩夢…」

「…あっ…峻くん…っ」

「ちゃんと目を見て…思ってること…言って?」

 

見つめながら…静かに歩夢を押し倒す。

すると…少し籠ったような声で話し始める歩夢。

 

「だっ、て…言えない…よ…っ!

峻くんの事を…独り占めしたい、なんて…っ!!」

涙を流しながら喋る歩夢。

…なるほど、そういう事か。

 

「…あーーー…ごめん、気がつかなくて」

「峻くん…がっ…謝ること、無い…よっ…

私の…ワガママ…なんだし……峻くんに、迷惑かけちゃうし…!」

 

しゃべり続ける歩夢の口を……俺は自分の口を合わせて…塞いだ。

「──────っ……!!!//////」

「…あっ…もしかして…歩夢の初めて…貰っちゃった?」

 

「…あ、っ…峻…くんっ…?///」

「ごめんな、でも俺…歩夢の初めて…欲しかったんだ…迷惑だった?」

「そ、そんなこと…っ!!///」

 

「…そっか、よかった」

優しく頭を撫でるといつもの歩夢に戻っていった。

 

「あー…その、ごめんな…俺も歩夢との時間…作ってあげないとな…」

「そ、そんなっ…!私は……」

「そうやって遠慮しないの、それじゃあ歩夢が俺に好きって言ってくれたのが嘘みたいなるじゃんか」

 

「……嘘じゃない、けど…峻くんにとっては…迷惑なんじゃ…」

「んなわけあるかっ」

 

弱くデコピンをする。

「ひゃうっ…!///」

「歩夢が俺のことを好きって思い続けてくれるなら俺もその気持ちをずっと受け止めていたい」

 

「…峻くん…」

「だからそんな寂しいこと言うなよ…俺は歩夢にそばにいて欲しい」

 

「…いい、の…?///」

「居なかったら怒る」

 

「…もぅ、ずるいよ…峻くん…そんなこと言ったら…もっとそばにいたくなるよ…///」

「ん、居てよ…歩夢」

 

「……うんっ…♡///」

 

今度は嬉し涙を流す歩夢。

その日、俺はずっと歩夢のそばにいて…歩夢のわがままを聞いていた。

 

甘えたい、ぎゅーしたい…色々リクエストする歩夢が何だか無邪気な子供のように感じた。




ぽむぅううう…かわいいよぉ…

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37話

虹ヶ咲学園のメンバーでまたしても野球チームを考えようとしてる今日この頃



※途中、微シリアスです


「すいません、書類運んでもらうの…手伝ってもらって」

 

「そのための補佐だろ?気にすんなや」

「ですが……」

 

職員室を後にした俺と菜々会長。

ほとんど書類を持っていった俺に対して申し訳なさそうな顔をする。

 

…まぁ、重かったのは確かだけど…。

 

「力仕事は男の役目!…それより、俺は菜々会長が根詰め過ぎてる気がしてそっちが心配だよ」

「わ、私は大丈夫ですから!!」

 

「嘘つけ、最近また生徒会室で寝てる回数多いの知ってるからな」

「そ、それは……///」

 

その度に俺の上着を掛けてあげて午後の授業の時には上着無しでワイシャツ姿で授業を受けてるのがしょっちゅうだ。

 

「…だから何かあったら遠慮なく言えよ?」

「は、はい……って、ど、どこにいくのですか?」

「いーから」

 

校舎とは違う道を進む俺に戸惑いつつも…着いてくる菜々会長だった。

 

向かった先は…自動販売機。

流石に生徒会長補佐を続けてれば菜々会長の好みだってわかる。

 

「ん、ほら」

「お、お気になさらず!!」

「買った後にそれ言っても手遅れだろ…いいから、少し肩の力抜いて…な?」

「…あ、ありがとう…ございます…///

…好きな飲み物…覚えててくれたんですね///」

 

「補佐だからな、多分生徒会長の事なら一番知ってるんだしじゃない?」

「あははっ、そうかもしれませんね!♪」

 

メガネを掛けて、髪型も違うけど…こうやって笑う姿はせつ菜そのものなんだよなぁ…。

 

 

「…ふふっ、何だか…学校デート…みたいですね…♪」

「手でも繋ぐか?」

「は、はいっ!……あ、いえ…その…それは2人きりの時が…いいです…///」

「今から…2人きりになって…甘えてもいいんだよ?」

 

耳元で小さく呟くと菜々会長が顔を赤くして距離を取る。

 

「な、ななななっ!だ、ダメですっ!!///」

「あれ、キスはしたのに?」

「そ、それは雰囲気というか…!!///」

 

「うそうそ…また今度、な?」

「…はぁ…峻さんには敵いません…」

「菜々会長のこともせつ菜のこともなんでも──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時…………''何か''気配を感じた。

 

 

ふと、上を見上げると……そこには……………。

 

 

 

 

 

 

「危ないっ!!!」

「きゃっ…………!!!」

 

 

 

 

咄嗟に菜々会長の体を庇って倒れ込む。

その直後、パリンっという割れる音がした。

 

「っ……大丈夫か…菜々」

「は、はい…っ……一体…何が……か、花瓶…?!」

 

 

落ちてきた方向を見る…誰か…居る。

 

 

 

「……畜生…っ!!」

菜々会長を置いて俺はすぐ後を追いかけた。

 

 

「…峻…さん…………」

菜々会長は…ただ呆然としてるだけだった。

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

(はぁ…はぁ……ここの窓が…空いてる…)

しかし、流石に犯人は既に姿を消していた。

 

「愛が言ってた…菜々の事を付け回す奴か…?」

【やっぱり追いかけてきたよ…ふふっ…はははっ…!】

 

 

「…逃げねぇなんて随分余裕なんだな…お前、何者だ?」

【僕はね…知ってるんだよ…中川菜々は…優木せつ菜だって】

 

「…何が目的だ」

【欲しいんだよ…中川菜々…いや、優木せつ菜が

でもね…邪魔なんだよ…お前が…】

 

つまり…花瓶は菜々ではなく俺に向けて落としたって事か…。

 

「…ふんっ…クソ野郎だな…はい分かりましたとでも言うと思ったか?」

【やっぱりそう言うよねぇ…でも、それも想定内なんだよねぇ…】

 

「…しゅ、峻さん…!」

様子を見に来た菜々が後ろにいた。

 

「菜々っ、来るな!!」

振り返った瞬間……背後から重い衝撃が肩から背中にかけて伝わった。

 

 

「…っ……!!!」

奴が手にしていたのは…警棒だった。

 

 

【これ以上近づいたら…コイツはタダじゃ済まないよ~?】

「…な、何が目的なんですかっ…!」

 

怯むことなく…立ち向かう菜々。

しかし、それが男を更に怒らせる。

片膝をついた状態の俺をまた殴る。

 

「ぐっ……!!」

「峻さん!」

 

【簡単な事だよ…私は貴方の物になります…そう言えばコイツは解放するし、優木せつ菜だってことも…バラさない

…でも、ずっと僕を満足させてくれなきゃ、だけどね~…?】

 

高笑いをしながら俺を何度も殴る男。

「だ、めだ…菜々…っ…言う、な…!!」

「峻さん……っ……ごめん、なさい…でも…貴方だけは…助けたいんです…っ!」

 

その言葉に男の手が止まった。

【へぇ…じゃあ…どうするの?】

「私は……貴方の物に─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菜々の言う言葉が…スローに聞こえる…。

俺の身体の痛みが…そうさせてるのか…それとも、感覚が薄くなってるのか、分からない…。

 

 

でも、ただ1つ…言えることは…。

菜々は……俺が……守る……っ!!!

 

 

決意を……力に変えて…男の足を掴む。

 

【…あ?…まだ動くのかよ】

ため息混じりで大きく腕を振りかぶる。

トドメを刺す気だ。

 

 

…しかし……………。

ガシッと…その警棒を掴み…そして……''折った''

 

【…ん、なっ……!!】

「…そう…易々と倒せると思うなよ……」

 

プチンと何か…黒い感情が俺を覆った気がした。

…コイツは…許せない……何があっても…!!

 

 

【ふざけっ──────────】

話終わる前に回し蹴りが側頭部にヒットする。

 

大きく吹っ飛ばされる男。

しかし、攻撃の手は止めない。

 

 

「…俺も人がなっちゃいねぇな…」

ふうっと息を整え胸ぐらを掴み…右ストレートを叩き込む。

 

【ぁ…がっ…歯、がっ…!】

「…峻…さん…」

 

菜々は恐怖のあまり…立ち尽くすのがやっとだった。

そんなことを全く気にせず…俺は何度も殴った。

 

【ゆ、るし……】

「黙れ」

 

顔を鷲掴み…そのまま床に叩きつけた。

すると、騒ぎを聞きつけた先生たちが駆けつけた。

 

俺も……その場で倒れ込み…そのまま意識が無くなった…。

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

 

 

「……う、ううーん………」

「…ぁ…っ…峻さん!!」

 

目が覚めると…そこは保健室だった。

体中が痛い…よく見ると腕とかアザだらけだった。

 

「…アイツは…」

「…先程、先生と…警察の方が取調べをしました

…盗撮などが浮き彫りになって…書類送検、されました」

 

「…そう、か…」

「…助けて、くれて…ありがとうございます…私、なんと言ったら…」

 

「なんも言わなくていい…キツい言い方になるかもしれないけど…菜々、お前は…黙って俺に守られていろ」

「…で、ですが……」

 

「どんな事があっても…俺のそばを離れることは…許さないからな」

「…峻さん…」

「…でも、無事でよかった…」

 

「ぶ、無事でよかったじゃありませんよ!!

峻さんも先生方から厳重注意と2週間の停学処分なんですよ!?」

「……えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えええええ~!!??……いっ…いっっっったあああ!!!」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「…っ、つつ…」

「峻くん…大丈夫…?」

 

あの事件の後、俺は虹ヶ咲学園メンバーに事情を話した。

 

みんな俺の体の怪我を見て心配をしてくれた。

…もちろん、菜々がせつ菜って事はまだ知られてないけど。

 

おかげで音ノ木坂学院まで行くのも一苦労だ…。

幸運にも…骨は折れてはいなかった。

 

 

「こんにちは~…って、峻くんどうしたのその怪我!!??」

「…あ、あはは…穂乃果ちゃん、声大きい…」

 

明らかに喧嘩後っぽい姿を見て穂乃果ちゃんが驚いた声を上げた。

 

「…明らかに…ただ事じゃない気がするわ…大丈夫?」

「う、うん…少しな…」

…まさか停学処分中なんて言えないしな…。

それに、これは放課後だし…セーフだよな?

 

 

「峻の怪我が気になるけど…4回戦よ!

お題は…度胸試し!」

「…鋼のメンタルってこと?」

 

「そう!スクールアイドルたるもの、どんな時でも自分のアピールをすることが大事よ!」

「…まあ、理にかなってる?」

 

「そして、今日使うのがこれ!」

にこさんが手にしたのは…DVDと…スマホ。

 

「こ、これって…怖い…DVD…!?」

「ふふっ、そうよー!このDVDを見ながら心拍数を計るアプリでどっちが怖がったか測定するわ!」

 

「…虹ヶ咲学園メンバーからは…誰が出る?」

「か、かかかか、かすみんはそういうのNGなので…!!」

「きゅ、急に外も曇り始めてきたよ…!?…璃奈ちゃんボード…''ガタガタガタガタ''」

 

「…えっと…抜擢するようで悪いけど…彼方さん、お願いできるかな…」

「お~…任せろ~う」

 

「μ'sからは希が出るわ!」

「スピリチュアルパワー、見せたるよ?」

 

代表の2人は余裕感があるが…ほかの人たちは…。

 

「こ、こここ、怖くないけど…かすみんは峻先輩の後ろに居させてもらいますからね!!」

「わ、私も…!!璃奈ちゃんボード…''おろおろ''」

 

「…わ、私も…ちょっと…後ろからちらちら見させてください~…っ!」

「花陽さんまで…それに俺の背中なんてそんな大きい訳では…」

 

 

流れてるDVDから女性の悲鳴が聞こえると、怖がりメンバーたちも悲鳴をあげる。

 

「「「きゃああああ!!」」」

「な、殴れば幽霊だって…!!」

「真姫ちゃん…それはスクールアイドル発言としてどうなの…」

 

 

そんなメンバーを後目に…希さんと彼方さんは微動だにしない。

 

希さんは…食い入るように映像を見つめる。

…彼方さんは……。

 

 

(あれ……なんか…肩が少し上げ下げしてる……まさか…)

 

…寝てる?

…いや、まさかな……。

 

 

 

 

 

 

 

「しょ、勝者……近江彼方…!」

…これは…勝ちでいいのだろうか…。

 

彼方さんの心拍数果は…ほぼ変動が無い。

「…いぇ~…い…」

 

「ね、寝てたのー?!」

「い、異議ありー!!」

 

真姫さんと穂乃果ちゃんが異論を唱えた。

…まぁ、彼方さん自身も寝てたのを認めてるしね…。

 

「…んー、敵に塩を送る訳では無いけど…

あの状況でも寝れるのは…ある意味メンタル強いやん?」

「うっ…」

「そ、それは……」

 

 

「これは希さんに1本取られたな」

「で、でもこれで五分よ!…5回戦…覚えてなさい!」

 

「あはは…」

「峻、大丈夫?」

 

「あっ…絵里さん…大丈夫ですよ、さすがにまだ痛みますが」

「貴方がそんな姿だと…私も心配だから…早く良くなってね♡」

 

「…うっ…はいっ」

「…そうだっ、今度お出かけしましょ?…2人きりで…♡」

「…えっ…?」

「考えてちょうだいね♪

それじゃあね♪」

 

 

 

ウィンクをしてその場を立ち去る絵里さん。

……さすがにあの顔は…反則だろ…。




峻くんが怒る姿が書きたかった…。

どこかで峻くんとμ'sメンバーの掛け合いを書きたい!!

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38話

「えー、桜坂裁判所 裁判長の桜坂しずくです
被告 作者 貴方はまたしても更新を滞らせてしまいましたね?」

【勤務先が人が居なくて…休日返上をば…】

「ですが…UMAのイベントは…やりこんでましたよね?」
【あ、それは…あの…】

「異議ありです!!作者もプライベートの時間が欲しいはずです!!」
【せつ菜ちゃん……!】

「…なるほど、情状酌量の余地もある、とのことですね
…では、判決………主文 死刑」

【なんでだよ!!】

こんな感じで始まります…。


5回戦の前…俺は絵里さんにお出かけに誘われた。

 

その道中。

 

(…これって、明らかに…デート…だよなぁ…?)

男と女が2人で出掛けるのをデートというのは俺の考えすぎだろうか?

 

…でも、誘ってきたのは…絵里さんの方だし…。

本人はそう思って……いやいや!考え過ぎだよな…。

 

 

「あっ、峻~こっちよ♪」

「お待たせしました、絵里……さ、ん…?」

 

────待ち人は…1人ではなかった。

 

「…あ、あの…何故希さんと…にこさんも?」

「お出かけの話をしたら2人も一緒に行きたいって…ダメかしら?」

「い、いえ!むしろ光栄です!」

 

「ふふっ、ウチも峻の事…知りたくって♪」

「…の、希さん…」

 

面と向かって言われると…さすがに照れる。

 

「μ'sのことを引き出すんじゃないかって…私は偵察に来たのよ!別に一緒に出掛けたい訳じゃないわ!」

「ふふっ、分かった分かった…さっ、行きましょ?♪」

 

ムキーーっと怒るにこさんを宥めつつ…絵里さんを先頭に東京の町を練り歩く事となった。

 

「…この後…5回戦ですよね、大丈夫なんですか?」

「…まぁ、むしろ本人は好都合って言ってたわ」

「好都合?」

 

「次の対決…スタミナ対決らしいんよ?」

「スタミナ…」

「μ'sからは凛が出るわ、勝負の前に少し体を動かしたいそうよ?♪」

 

…となると、虹ヶ咲からは…

残ってるのが…歩夢とせつ菜とかすみと璃奈と愛…。

 

無難に行けば…愛になるのかな。

 

「…ふふっ」

「…?…あっ、すいません…変な顔してましたか?」

「いいえ、そうじゃないわ♪

貴方…本当にスクールアイドルのことが好きなのね♪」

 

その言葉に俺は呆けてしまう。

言われてみれば…いや、言われてみると…確かに俺はスクールアイドル中心の生活を送ってるような気がする。

 

…それも、元はと言えば…Aqoursに携わることになったから、だよな。

「…ええ、そうかもしれませんね…ですが、俺にとっては充実してます」

「…ま、その言葉に嘘は無いみたいね」

 

「にこっちも、素直に認めてあげればいいのに♪」

「勝負が終わるまでは認めるわけにはいかないわ!」

 

「にこったら…でも、男の子の部長さんなんて斬新よね」

「あ、それウチも思った!♪」

 

 

 

「(Aqoursの時も居ましたけどね…)…ま、まぁ…確かに他には…なかな──────────」

 

このとき、俺は…3人にはぐれてしまってる事に気が付かないで…そのまま歩いていた。

 

 

その時。

 

 

ドンっと誰かに肩がぶつかった。

「きゃっ…!!」

 

「あっ、ご、ごめんなさ──────────」

 

顔を見ると………その人は…。

 

「…曜ちゃん!?」

「あっ…峻くん!!」

 

…曜と千歌と梨子…だった。

 

「すっごーーい!偶然だね!」

「び、びっくりした~…!」

「今日は、お買い物?」

 

「うん!他の3人と…あれ?!」

後ろを見ると、その3人が居ない。

 

「(…は、はぐれた…!?)…え、えっと…」

この歳になって迷子なんて笑えない(場所は知っているけど)

 

「…???」

「あ、あはは…はぐれたみたい…」

「ええっ…!?」

「連絡、してみたら?」

 

「…連絡先聞いておいてよかった~…」

電話をすると、すぐに繋がった。

 

【Aqoursの3人にばったり遭遇した?】

「うん、というか3人とはぐれた事に気が付かなくて…」

 

【私たち…もう学校に戻る途中なのだけど…】

「えっ!?俺置いてけぼり!?」

 

【ぬぅわぁにやってんのよー!…はぁ、こっちはスクールアイドル対決してるから…Aqoursの3人、エスコートしてあげなさい?】

【にこっち優し~♪】

【うっさい~!!!】

 

 

「…あ、あはは…」

静かに電話終了のボタンを押す。

 

「…俺もご一緒して…いいかな?」

「もちろんであります!」

「峻くんは何をしてる途中だったの?」

 

「…実は……」

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

「だったら、私たちも用事済んだし!」

「スクールアイドル対決見に行くであります!」

「…急に押しかけて迷惑じゃないかな?」

 

「ううん、むしろ虹ヶ咲学園メンバーも喜ぶと思うよ」

 

こうして俺と曜と千歌と梨子の3人は音ノ木坂学院に向かうこととなった。

そして、その時の会話が……。

 

 

「…そう言えば、梨子ちゃんって…元々音ノ木坂学院だったんだよね?」

「あれっ…私…話したっけ?」

 

「(あっ、いけね…)…絵里さんから聞いたんだよ~…」

「あ、そうなのね♪」

 

「…ねぇねぇ、峻くん…」

袖をくいくいと引っ張る千歌。

…やばい、可愛い…抱きしめたい…。

 

 

「…な、なにかな?」

「峻くんが…Aqoursの部長になったら…どうなるのかなぁ…って♪」

 

顔を赤くしながら…微笑んだ千歌。

「あっ、曜もそれは同感であります!♪」

 

(2人とも…)

「…じゃあ…いつか…いつかだよ?

Aqoursとμ'sと…虹ヶ咲学園…3グループが一緒にライブする時があったら…それに全力で協力したいな」

 

「ほんと!?約束だよ!」

笑顔で指切りげんまんをした俺と千歌だった。

 

 

 

─────────────────

 

 

 

 

音ノ木坂学院に着くと、既に凛ちゃんと愛が走っていた。

 

「おー、ここが音ノ木坂学院でありますね~!♪」

「μ'sの人達を見ても驚かないんだね」

 

「ほら、スクールアイドルフェスティバルで一緒だったからね~♪」

「ああ、それもそうか」

 

「あっ、峻くん!……って…えええっ!?」

「な、なんですか歩夢先輩…突然大声を……ってえええー!?!?」

 

「か、かすみさん…っ!μ'sさんの前でなんて大声を……あ、ああああ!!」

「3人とも、はしたないわよ………え、えええっ…???」

 

 

「峻…っ…さん…!??!」

 

各々が…困った顔をして…固まった。

 

「…固まったけど…どう思う?」

「いやぁ~…人気者は辛いですな~♪」

「千歌ちゃん…」

 

「ふふっ、相変わらずだね♪」

 

 

「な、なんで峻先輩がAqoursの方々と一緒なんですか!?」

「そ、そこまで人脈が…!?」

 

(いや、俺の記憶上は一緒に活動してたんだけどな)

「…実は……」

「待った!」

 

事情を説明しようとしたところ…にこさんに止められた。

「決着が…つくわ」

 

あ、忘れてた…愛と凛ちゃんが対決してるとこだった。

「……っ…はっ…!!」

 

ゴール寸前で凛ちゃんを交わした…愛。

「はぁ…はぁ…あー、危なかった…!!」

「負けたけど…楽しかったにゃ~♪」

 

「…おお…ガチだねぇ…」

「曜も参加したかったでありますっ」

 

「勝者…宮下愛!」

「やりぃー!♪…って、あれれ?…峻、この人達…だれ?」

「あ、説明まだだったね…実は」

 

 

 

───────────────

 

 

「へぇ~…すご~い!」

「あ、あああああ、あのっ!私千歌さんの大ファンなんです!!」

 

「せつ菜先輩…圧がすごい…」

 

「あ、あはは…」

手をぶんぶん振って握手をするせつ菜に思わず苦笑いする千歌。

 

 

「…む、むむ…」

「あら、にこ…なんか不服そうね?」

 

「絵里…あの男を中心に…仲良しこよしになってる気がしない?」

「…まぁ、確かに…言われてみれば」

「…どこかで面影が…ううーん、思い出せないわ…!!」

 

 

一人悶々と頭を抱えるにこを心配そうに見つめる絵里だった。




更新頑張らないと…頑張らないと…


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39話

10連ガチャどうでしたか?(地雷)
初期URルビィちゃん来ました!(限界突破ですが…)


「峻くんっ、起きてっ?」

「うぅーん…」

 

「…もぅ、また起きない…」

 

朝、私はいつもの様に峻くんを起こしに来たんだけど…。

 

「あっ、またお腹出して寝てる…もぉ~…風邪ひくよ~…?」

…かれこれ…15分は起こせないで峻くんの寝顔を見たり突っついたりしている…。

 

「…峻くん…///」

髪をかき上げ…口を近づける…。

少しくらい…良い、よね…?

 

「…ん、んんんっ……ふぁ…ぁ」

「しゅ、しゅしゅしゅっ、峻くんっ!?」

 

「しゅかしゅー…?

…あれっ、歩夢…?」

「お、おはようっ、峻くんっ!///」

 

「…なんか…怪しい…」

「な、何でもないよ…?///」

 

 

 

─────────────────

 

 

眠け眼で歩夢を見ると…思い切り顔を赤くし、ブンブン手を振って否定を続けている。

 

…いや、何か隠してるな…これ。

 

ちらっと時計に目をやる。

時刻は7時30分過ぎ…。

まだ時間はあるな…。

 

「嘘は良くなーーーい!!」

グイッと歩夢を引き寄せ…ベットの中に入れる。

 

「きゃっ…ぁ…!!//////」

突然の出来事に…歩夢は為す術もなく、ベットの中に入らされた。

 

「しゅっ、峻くん…っ…///」

「歩夢~…可愛いなぁ…ん?」

 

腰の辺りを摩り、首元をクンクンと鼻で嗅ぐ。

 

「んっ…ぁ…っ…///」

くすぐったいのか、ピクンと反応をする歩夢。

 

「…あっ…峻くん…ダメ…っ…スカート…めくれ、て…///」

「めくれてる…から?」

 

「そ、それ以上…っ…手を下にしちゃ…///」

しかし、その忠告を聞かず…手をどんどん下に下げる。

 

「…あぁ、ほんとだ…触れちゃった」

「峻くん…っ…だ、めっ…!!///」

 

「…ねぇ…歩夢…このまま……」

「だ………だめ…ぇ…!!!!///」

 

目を瞑り、思い切り伸ばした歩夢の拳が俺の頬にクリーンヒット。

 

「ぐはっ…」

そのまま、歩夢が逃げるようにベットから出た。

 

「も、もうっ!…そういうのは…もっと、ムードが出てから……あぁ、でも…峻くんがそうやってグイグイ来るのは…すごく、好き、かも…///」

 

「…い、痛い………」

朝から頬のヒリヒリと戦いながら学校に行く準備をする俺だった…。

 

 

──────────────────

 

 

「おはよ、愛」

「おはようっ、愛ちゃん!」

 

「ちぃーすっ♪2人ともアツアツですなぁ~♪」

「そ、そんなんじゃないよ!///」

 

(朝から右フック喰らわせられるしな…)

「峻~?なんか歩夢の顔が赤いけど…なんかあったの~?」

「あ、あはは……」

 

「あっ、愛先輩と歩夢先輩と峻先輩発見~!♪」

「おはようございます、璃奈ちゃんボード''ぺこり''」

 

「おはよう、2人とも」

「えへへ~、峻先輩の右腕も~らいっ♪」

「か、かすみちゃん!///」

「おっ、かすかすやるね~♪」

 

「かすかす言わないで下さいよ~!…峻先輩もぉ、嬉しいですよねっ♪」

「霞ヶ関の雄大さを感じるよ」

「あ?」

 

「…すいません、光栄な限りです」

 

 

 

──────────────────

 

そして、何事もなく…放課後。

部室に行くと、果林さんしかいなかった。

 

 

「あれっ…果林さん?」

「あら、峻…お疲れ様」

「みんな居ないですね」

 

「彼方は…お昼寝ね。

エマは…家族に電話してから部室に来るって言ってたわ」

 

「歩夢は日直で…せつ菜は……生徒…っ…すぐ来ると思うし…愛は今日はお家のお手伝いだし

 

璃奈とかすみとしずくは図書室に行くって言ってたし…」

 

「ふふっ、みんなの事…熟知してるのね♪」

「あはは、これでも部長だからね」

 

「でも…私、部長に1つ…不満があるわ」

「えっ…な、何…?」

 

「…ねぇ、峻…?…そろそろ、私と対等でいいんじゃないかしら…?」

「…えっと、それはどう言う…」

 

「名前」

「……えっ?」

 

「な・ま・え♪」

「…果林…さん?」

 

「……………(プイッ」

あれ…そっぽ向かれた…。

 

「…か、果林…」

「……ふふっ、やっと言ってくれたわ♪」

「…やっと?」

 

「ずっとね、そうやって言って欲しかったのよ」

「は、初めて知ったよ…!?」

「私にだって言い難い事もあるわよ?」

 

「…ま、まぁ…年上でも堅苦しくなくって言うなら…俺はさん付けなくても…いいかなって思うけど…」

「嬉しいこと言ってくれるわね♪…何かご褒美でもあげようかしら…?♪」

 

そう言うと、果林は胸を抱え…少し得意げに笑った。

 

「…からかわないでくださいよ」

「あら…ホントって言ったら…どうするのかしら?」

 

グイッと顔を近づける果林。

その差…わずか2~3cm。

 

「………っ………………」

「…ふふっ、顔が赤いわよ…峻?♪」

「…果林はずるいよ…でも……」

 

「…でも…?」

「俺も男だから…されっぱなしは…嫌だからな…!」

 

そのまま近かった2~3cmの距離を…ゼロにした。

一瞬触れた唇の感覚に…果林は目を丸くした。

 

「なっ……な、ななっ…!!///」

「…果林が…そういう風に誘ったんだからな…」

「わ、私は…別に…っ!!///」

 

押しに弱いのか…果林が口をパクパクして言葉を失っている。

「…おぉー…峻くん~…やるねぇ~…」

 

 

枕に顎を乗せて眠たそうに…彼方さんが…。

 

「か、彼方ぁ!?///」

「い、いつからそこに…!?」

 

「ん~…と……峻くんが~…果林って呼んでるあたりから~…?

入っても2人とも気がつかなかったし~…」

 

「け、気配が無さすぎなのよ!///」

「…も、もしかして…見てた…よね?」

 

「ん~…ばっちり~♪」

 

「う、うう…!///」

「果林ちゃんの赤くなってる顔…初めて見た~♪」

 

「…あんまりいじめるなよ、彼方」

「おぉ~…?…峻くん…さん付けやめたんだね~♪」

 

ゴロンと彼方が俺の膝で寝始めた。

「んふふ~…やっぱりここが落ち着くな~…♪」

 

胸元ゆるゆるなのか…谷間が見える。

「…彼方…あのな…」

「峻くん…目線バレバレだよ~…?///」

サッと手で胸元を隠す彼方。

 

「…でも…彼方ちゃん…寝てる時は…寝相いいから…触っても…バレないかもよ~…?///」

「…うぐっ………」

 

「…えへへ~…いけない事…言っちゃったかな~…?///」

「か、彼方…」

 

じっと見つめあってる中…後ろから柔らかい感触が。

 

「か、彼方の方ばっかり…ずるいわよっ///」

「か、果林まで~…!!」

 

ぷくっと頬を膨らませた果林がどこか新鮮で…。

子どもっぽく見えたのは…俺だけが知る表情だろうか…?

 

 

 

 

 

「「「お疲れ様で~す!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…峻くん…?」

「あ、あはは……お疲れ様…歩夢…………」




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40話

めっちゃ更新遅れてすいません…!!
R版も何とか更新していきたいのですいませんが気長にお待ちいただけると幸いです…


凛「愛さーんっ、一緒に外で運動しよ~♪」

愛「おっ、りんりん乗り気だね~いこいこ!♪」

 

凛「わーい!愛さんと遊ぶにゃー!♪」

穂乃果「2人とも姉妹みたいだね~♪」

 

仲良く遊びに行った愛と凛を眺めながら穂乃果が呟いた。

…しかし、にこの顔は険しく…。

 

 

にこ「むむむ……」

絵里「にこ、顔にしわがよってるわよ」

にこ「そんなこと~…!!…ぬぬぬ…!!」

 

絵里が後ろから諭すが…それでもにこの表情は変わらない。

そこに、まるで火に油を注ぐ用に…。

 

 

「こんちには~……あ、ぬぅあんでるたーる人」

彼が顔を出した。

 

にこ「ぬぅわにが、ぬぅあんでるたーる人よ!!殴るわよ!」

絵里「……………ぷっ……」

 

にこ「絵里も何笑ってるのよ!…って、私が気にしてるのはそこじゃなくて…」

(あ、ぬぅあんでるたーる人はいいのね)

 

にこ「対決なのに仲良くしてどーすのよ!って話!」

「…うーん…絵里、どう思う?」

絵里「…そうねぇ……仲良きことは美しきかなって思うけど…って、絵里…?」

 

「…あ、いけね…え、絵里~…さん?」

絵里「…ふふっ、絵里でもいいわよ♪」

歩夢「……峻くん?」

せつ菜「峻さん?」

にこ「あんた達まで仲良くしてどーするのよ!

…もー!早く対決するわよ!!」

 

「ほいほい…それで対決内容は?」

にこ「知識対決よ!」

 

穂乃果「知識?クイズって事?」

にこ「そうよ!イントロクイズ…って所かしら?」

果林「虹ヶ咲からは…誰が出るかしら?」

彼方「うぅーん…せつ菜ちゃんにする~…?」

 

せつ菜「わ、私ですか!?」

「…うん、俺もせつ菜ならできる思うよ!!」

せつ菜「わ、分かり…ました!///」

 

これでもかと顔を近付けると顔を赤くしたせつ菜。

その姿を見て穂乃果がわぁ~と嬉しそうな顔をして

歩夢が果林の胸元でおよよと嘘泣き(?)をしていた。

 

「えっと…μ'sからは…?」

にこ「あぁ、それなら……」

 

花陽「にこちゃーん!連れてきたよ~!」

真姫「な、なによ!急に部室に来てって…ピアノ弾いてた所なんだけど…!!」

 

にこ「μ'sからは真姫が出るわ!」

「これは…強敵だね…」

 

せつ菜「相手にとって不足なしです!…いざ…一子相伝の兄弟子対決です!」

 

そう言うと何かの拳法のような構えをするせつ菜。

それを見て真姫がやれやれと肩を落とした。

 

「…せつ菜、真姫が困ってる」

せつ菜「あっ…す、すいません、つい!!」

真姫「…いいわ、私もそう簡単に負けるつもりは無いし」

 

にこ「じゃあ、対決の説明するわね─────」

 

 

そう言うと知識対決の説明が始まったが…。

誰かが俺の肩を叩く。

 

「ん?」

希「やっほ♪…対決中?」

「うん、今からね」

 

希「見てるだけっていうのもアレやし…占い、やって見る?」

そう言うと胸ポケットからカードを取り出す希先輩。

…揺れたのは見て見ぬふりをしよう。

 

希「こーやって……ふふっ、視線が釘付けになっとるよ?

見るのはカードの方だよ?♪」

「あっ…す、すいません…」

希「ええよ、男の子やもんね♪…じゃあカードを1枚選んでみ?」

 

そう言うとキチンと並べられたカードの中から1枚を選ぶ。

 

希「''運命の輪''…」

「意味合いとしては…」

希「んー…異性からの印象が良くって~…運命的な出会いや一目惚れ…新しい恋の芽生えとか…かな?」

 

(…言えない…正解だとか…)

希「気になる子、いるん?♪」

「え、あー…あはは…」

 

笑って誤魔化すしか無かった…。

 

───────────────────

 

 

にこ「勝者…優木せつ菜!」

せつ菜「いい勝負でした!」

真姫「イントロクイズって…スクールアイドルのって聞いてないんだけど…!!」

 

「お、勝負終わった?」

果林「ええ、せつ菜の圧勝、だけどね」

 

穂乃果「チョコミントなんてスクールアイドルグループがいるんだねぇ~」

「俺はバニラ派だけどね」

歩夢「えっと…峻くん、アイスの話じゃないんだけど…」

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

その対決の帰り道…。

それとせつ菜は2人で帰っていた。

 

せつ菜「あの…ほんとに送ってくれなくても…」

「俺の身勝手でやってるだけだから気にしないで」

せつ菜「…ありがとう、ございます」

 

「…まぁ、あの一件以来、少しせつ菜の事に関しては俺も神経質になっているというか…」

せつ菜「……あのっ!」

 

せつ菜の足が止まった。

声の様子からして…ただならぬ様子だった。

 

せつ菜「…私、皆さんに…伝えようと思います。」

「…それって…」

せつ菜「はい、やっぱり…このまま隠し続ける訳には…いかないので…」

「…大丈夫、なの?」

 

せつ菜「…ごめんなさい…意を決したのに…少し、怖いです…」

「…大丈夫、俺がついてるから」

 

優しくせつ菜を抱きしめると…確かに抱きしめ返してくる力が伝わってきた。

 

 

 

せつ菜「…はい、ありがとうございます…峻さん」

「……うん」

 

 

 

──────────────────

 

 

【翌日】

 

 

歩夢「あれ、せつ菜ちゃんは?」

しずく「確かに居ませんね…?」

かすみ「むー!せつ菜先輩1人でこっそり練習をしてるのでは…!!」

 

果林「考えすぎよ、かすみちゃん…峻、何か知ってる?」

「いや、特には……彼方さん、そろそろ膝枕やめてもいい…?」

 

彼方「あと、45分~…♪」

「いや、微妙に長いな!」

 

みんなで談笑をしていると…部室にノックの音が響く。

 

璃奈「んっ…誰だろう…?」

愛「せつ菜じゃない?ノックするなんて珍しいけど…」

 

扉が開くと…そこにいたのは…。

 

菜々「失礼します」

かすみ「げっ、生徒会長…!!」

 

「げっ、とか言うなよ…かすみ…」

かすみ「な、何か用ですか…!部活動の件なら…!」

果林「はいはい、突っかからないの…」

 

菜々「…その…ごめんなさい!!」

突然頭を下げる生徒会長に皆が困惑する。

 

しずく「ど、どうしたんですかっ!?」

愛「と、とりあえず頭を上げなよ!」

 

「あー、こほん…いや、みんなに伝えたい事があってな……」

歩夢「…峻くん?」

「…な、''せつ菜''」

 

「「「えっ!?!?」」」

みんなの驚きを他所に…菜々が眼鏡と髪留めを外した。

すると…いつも見慣れたせつ菜の姿に早変わりした。

何度見ても…ドキッとするのは俺だけだろうか?

 

かすみ「あー!!!せつ菜先輩!!」

エマ「えぇ~…!どういうこと…??!!」

果林「峻…知ってたの?」

 

「ん、まぁ…試すような事をしたのはすまない…ただ、少し訳があってな」

歩夢「…えっと、どういう事?」

 

「確かに菜々がせつ菜だったのは隠していた…けど

家の問題とか…色々あって隠しながら活動していたんだ」

 

かすみ「どうして、峻先輩は知っていたんですか?」

「前に転んだせつ菜の手当をした時の絆創膏が菜々会長と同じ場所にしていたから、もしやってね」

 

愛「んー、全然気が付かなかったよ~!」

璃奈「見事なステルススキル…」

しずく「あんなに朝礼で姿見ていたのに…全然分かりませんでした…」

彼方「学校内で見た事ない人がいるのも納得だよね~」

 

せつ菜「…あ、あのっ…皆さん、怒ってないんですか…?」

歩夢「怒る?…どうして?」

せつ菜「だ、だって…皆さんを騙すようなことして…」

果林「驚いてはいたけど…皆それぞれ事情はあるわ…ね、かすみちゃん?」

 

かすみ「…む、むー……確かにビックリしましたけど…せつ菜先輩もきっと、悩みながら活動していたと思うと…怒る気にはなれません」

「おっ、かすみは大人だな~」

かすみ「あ、頭を撫でないで下さい~!///」

 

「…な?言った通りやろ?」

せつ菜「…皆さん…本当にすいませんでした…!!

これからは全精力をかけてスクールアイドル活動に邁進します!!」

 

彼方「張り切りすぎはダメだよ~」

しずく「これからは皆さんで力を合わせて行きましょうね!」

エマ「峻くんの力があれば大丈夫だよ~♪」

 

「えっ、俺!?」

果林「そうねぇ~…隠していた共犯として…峻には飲み物でも買ってきて貰おうかしら?」

「パシリかよ……いいよ、何がいい?」

 

果林「お茶ね♪」

彼方「紅茶~♪」

しずく「カルピスで!♪」

愛「コーラ宜しく~!♪」

 

「君たち…」

歩夢「峻くんっ、私も行こうか?」

果林「だーめ、歩夢も甘やかさないの」

 

歩夢「えっ、で、でも…」

「大丈夫大丈夫…行ってきまーす」

 

 

1人、部室を後にする俺。

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

果林「さて、行ったわね」

歩夢「果林さん、一体……」

 

果林「そろそろはっきりさせましょ?…みんなは峻の事をどう思うか」

 

「「「「えっ………………」」」」

 

その言葉にみんなが言葉を失う。

 

しずく「ど、どうって…」

愛「それは~………」

 

歩夢「…私は…峻くんの事が…好き…」

かすみ「あ、あああ、歩夢先輩っ!?」

果林「そう、歩夢は素直ね♪」

 

彼方「彼方ちゃんも好きだよ~…♪」

璃奈「私も…峻さんの横にいると…心がポカポカする…この気持ちは…一体…」

エマ「それを恋っていうんだよ、璃奈ちゃん♪

……んー…私は峻くんの事、弟みたいで甘やかしたいなぁ~って思う時が多いかなぁ…♪」

 

せつ菜「わ、私だって…!!峻さんのこと、が…///」

かすみ「み、皆さんに負けないぐらいかすみんも峻先輩の事を想ってます!…スクールアイドル同好会を続けようって言った時からずっと!」

 

しずく(この状況で…初めてのキスをしたって言うと…地雷を踏むことになるのかな…)

せつ菜「は、初めてのキスはしずくさんに取られましたが2番目は私が…!!」

しずく(せつ菜先輩ーーーー!!!!!…あぁ、バレた…)

 

歩夢「わ、私は朝峻くんの事起こしているもん!おでこにキスだって何回もしてるし抱きしめられたりしてるもん!」

 

 

璃奈「峻さん…罪な男?」

愛「えぇ、りなりー…それ今更?」

 

果林「ふふっ、この先どうなるか楽しみね♪」

彼方「果林ちゃん、楽しんでない~…?♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっと…後はカルピ………ふぇっくしゅん!!!」

 

 

間違えてドクターペッパーのボタンを押す峻だった…。

ちなみにかすみに渡したら怒られて再び買いに行く事となってしまった。




久々だから…アレ、やな…笑

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41話

内容の濃い作品が沢山出来そう!!
お楽しみにしていてください!


「おはよ、歩夢」

「おはよう、峻くん!」

 

いつも通り、俺と歩夢は朝の挨拶を交わす。

…いつもと違う、といえば…。

 

「おっはよーございまーす♪」

「おはようございます、峻先輩♪」

 

学校に向かうに連れて…俺の横に一緒に歩くメンバーが増えていく。

みんな思い思いの話に花を咲かせる。

 

…周りの目が痛いんだけどなぁ…。

 

「おーーっす!…って、峻…モテ期?」

「茶化すなよ…」

「いや、両手に花どころか…両手足に花って感じだよ?」

「…身体中に花って感じだよ」

 

「あははっ、鼻が高くなるんじゃない~?♪」

「ならないよー!!」

 

いつも通りの雰囲気で学校へと向かう…が。

 

 

「…………………っ……………???」

ふと、後ろが気になり振り返る。

しかし、当然人なんか居ない。

 

「峻くん、どうしたの?」

「いや………なんか見られているって言うか…」

 

「峻先輩、ファンでも居るんじゃないんですか~?♪」

「あはは、いないいない」

 

「峻さんのファン…っ!?

ま、負けませんよ……!!」

「しずくちゃん、せつ菜ちゃんみたいになってきたね…」

 

「ほら、みんな行こ?俺の気の所為だから大丈夫だよ!」

?「………………………………」

 

 

しかし、俺の感じる違和感は拭えなかった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

にこ「さあ、勝負の時間よ!」

「テンション高いんだよなぁー…もう、見慣れたよ」

 

ことり「にこちゃんもこの対決楽しみにしてるんだよ♪」

「そういう所は素直じゃないよな…」

 

にこ「そこ!聞こえてるわよ!…なんかこんなやり取り、初めてじゃないような感じね…!

こほん!次の勝負は…!」

 

「なぁ、にこ…そろそろ残りの勝負内容について教えてくれないか?」

にこ「何よ、勘ぐるつもり?」

希「ええんちゃう?減るものでもないし♪」

にこ「希まで…いいわ、教えてあげるわ…今回のテーマが衣装対決。

その後がカリスマ力とアイドル力対決よ」

 

…後、ニジガクメンバーで残ってるのが…歩夢とかすみと璃奈ちゃん、か。

 

「…璃奈ちゃん、お願いしてもいいかな…?」

璃奈「うん、いいよ……でも、相手は絶対に…」

 

ことり「ことりだよ♪勝ち負けとかこだわらないで楽しもうよ~♪」

璃奈「よ、よろしくお願いします…っ」

 

にこ「勝負の服を用意するから、5人代表を選ぶのよ!まぁ、コスプレ対決って名前でも間違いじゃないかしらね?

審査員の判断で勝ち負けを付けるわ!

μ'sからは希と真姫、ニジガクからは…誰か2人と…アンタも入りなさい」

 

「え、俺!?…でも…」

にこ「今回は特別よ、審査員は別に対決に入らないんだし」

「…わかった、しっかり判断するよ」

 

 

────────────────────

 

 

 

 

にこ「じゃあ、コスプレ対決始めるわよ~♪

μ'sからの一番手…先発は…穂乃果!」

 

(璃奈ちゃん、手伝おうかって言ったけど…今回は自分の力で頑張るって言ってたし…大丈夫かなぁ…)

 

穂乃果「こーらー!キミー!余所見してると、逮捕しちゃうぞ♪」

 

考え事をしていたらミニスカポリス姿をした穂乃果が目の前に居た。

 

「えっ、あ、ご、ごめん!」

穂乃果「言い訳は聞きませーん、逮捕しちゃうぞー!♪」

 

ウキウキしながら手錠を手に取る穂乃果。

「どちらかと言えば、手錠をさせて身動きが取れなくなったところをこう……」

 

しずく「峻さん、一体何を……?」

歩夢「分からないけど、変なことを考えているのは…確かだと思うよ…」

 

穂乃果「いやーん、峻くんダメだよ~///」

と言いつつも、満更でもないような顔をする穂乃果だった。

 

にこ「論点がズレてるわ!次!虹ヶ咲学園からは…果林!」

「ウチのプロポーション番長だから大丈夫だ…………ろ?」

 

しかし、出てきた果林さんはいつも通りの格好。

その手に持っていたのは…。

 

果林「じゃーん♪」

璃奈ちゃんボード…いや、この場合…果林さんボードなのか?

困惑する両チームのメンバーを他所に、にこが口を開く。

 

にこ「こらぁ、天王寺璃奈…!」

璃奈「なに?」

 

にこ「コスプレ対決って言ったでしょ?!

これじゃあコスプレになんかなってないわよ!」

 

璃奈「果林さんは何を着せても果林さん自身が目立つから、敢えて斬新なことをしてみた…っ!」

果林「不思議な安心感があるわね~、これ♪」

 

いや。果林さんもノリノリなんかい。

 

璃奈「峻さんの分も作ってきたよ」

と言って渡されたボードに書かれていた顔は…。

 

「何じゃい、この…愛を捨てて十字陵を作らせてそうな人の顔は…」

璃奈「付けてみて?」

 

「んん…こうか?」

着けた瞬間、歩夢とせつ菜とかすみ

μ'sの穂乃果とにこが吹いた。

…後でわしわしの刑だな。

 

 

 

 

 

 

 

にこ「勝者…南ことり!」

ことり「ふふっ、楽しかったよ♪」

 

璃奈「やっぱりことりさんは凄いなぁ…」

 

「俺的には絵里さんの格好が…こう、手をかけてびゃって下げたくなるような…な?」

歩夢「………………………………」

 

無言で歩夢から背中を叩かれた。

男が居るのにあんな格好は反則だと思うの、僕。

 

ことり「もし良かったら一緒に衣装作ってライブとかしてみたいな♪」

穂乃果「あ、それ賛成!」

海未「また勝手なことを…」

 

「いいじゃん、Aqoursも誘ってさ…三組のスクールアイドルがやるライブとかめちゃくちゃワクワクしない?」

 

絵里「Aqoursは、もうスクールアイドルフェスティバルで一緒にライブすることになってるけど…いいわね、それ♪」

 

 

 

 

 

希「…って、話が進んどるよ?」

にこ「悔しいけど、あの男を中心に出来事が回ってるような気がするわ…」

 

希「ふふっ、彼は特別、なんかもね?♪」

にこ「……ほんっと、不思議な奴」

 

μ'sとニジガクのメンバーと話彼を見て、どこかそんな気持ちになる2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

 

 

 

【─────別次元???】

 

 

「…今回、彼の場合は…直撃雷と言って、かなり珍しい事案になります」

果南「…助かるんですか?」

 

「…致死率は70%以上、と言われています。

正直、この状態なのが奇跡と言っても過言ではありません」

ダイヤ「そんなっ…!!」

 

「この先、どうなるかは分かりませんが……最悪の事態は…覚悟しておいて下さい」

果南「…わかり、ました…」

 

鞠莉「…あの子には、言わないでおきましょ…多分、本当に立ち直れなくなるわ…」

ダイヤ「…分かりましたわ…」

果南「…悠………………」

 

 

彼女は目を瞑ったままの彼の頬に優しく手を添えた。

 

千歌「……悠くん」

 

もう名前を呼んでも…返事してくれないのかな…。

そんなの…嫌だよ…。

 

毎日そんな考えが頭をよぎる。

勉強も手につかないまま、ただただ日にちだけが過ぎていく。

 

 

梨子「…あっ…曜ちゃん、悠くんの様子は…」

病室のドアの前で立っていた曜が静かに首を横に振る。

その横で椅子に座っていた花丸・善子・ルビィも顔を俯かせた。

 

 

…なぜ、彼なのだろうか。

なぜ、彼に直撃したのだろうか。

帰る時間がもう少し早かったり遅かったりすればこんなことには…。

 

重い空気だけが辺りを包む。

 

 

 

 

 

 

千歌「……信じ、てるよ…私は…悠くんの事を…ずっと…絶対に…」

誰にも聞こえない声で…そう呟いた千歌。

 

…その時、彼の指がピクっと反応した事には…気が付かず…。




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42話

皆さん、体調はいかがでしょうか。
こんな世の中ですが少しでも楽しくなって貰えるよう投稿、頑張っていきます。

※作者は接客業をやってる為、こんな状況かでなかなかリアルが厳しいのでなるべく頑張るのでご理解ご協力よろしくお願いします。


「………また、千歌の夢を見た…」

 

どんよりとした雲がかかった朝、俺は目が覚めた。

見た夢は病室で千歌が何度も俺の名前を呼び、涙する夢だった。

 

「…くそっ、妙にリアルな夢を見させやがって…」

しかし、これが夢なのか…それとも本当の悠としての意識の中で起こってることなのかは…俺には分からなかった。

 

「…俺…泣いてる…?」

ふと、自分の目頭を抑えるとツーーと涙が流れた。

 

「…くそっ、忘れよう…今は…忘れよう…!」

 

半ば逃げるように制服に袖を通した。

…外はどんよりとした雲から雨が降り始めていた。

 

 

──────────────────

 

 

「天気予報、外れちゃったね」

傘を差しながら歩夢が苦笑いする。

 

「だな…雨は………俺も嫌いだな」

「……峻くん?」

 

天を見上げ、傘を何度も打ち付ける雨を見て思い詰める俺を見て…歩夢は少し心配そうな顔をした。

 

「…ん、ごめん…変な顔してたか?」

「ううん!違うの!…ただ、少し怖い顔…だったから」

 

「…ごめんな、歩夢…でも俺は大丈夫だから」

手を差し伸べ、ポンと歩夢の頭を撫でる。

袖口が濡れたがそんなことはどうでも良かった。

 

 

(…俺は…今はあくまでも宮之原 峻だ。

目的を…見失うな…)

いつか、千歌とまた笑って……会えるように…。

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

【昼休み】

 

 

「うーん…前世の記憶がある少女…か」

昼休み、俺は自分の置かれてる状況について調べていた。

しかも、調べてる場所は…。

 

「何か真剣な顔をしていますが…調べ物ですか?」

────生徒会室で調べていた。

 

昼休みは菜々会長しかいないからだ。

ここなら気兼ねなく調べ物に没頭できる。

 

「…ん、ああ、少しね」

「あ!もしかして、お昼から始まったゲームのイベントの事ですか!?」

 

「違う違う……あのさ、変なこと聞くけど…」

「……………?」

 

「もしも…さ、もしもだよ?…自分が死んだと思ったら…別の世界で生きてたら…どうする?」

「…そ、それは……!!!」

 

 

 

あぁ、やっぱり動揺するよな…こんな話されたら…。

「異世界転生ってやつですか!?それはもうむねあつですよ!!」

 

「…うん、やっぱり菜々は菜々のままでいいよ」

しまった、この子はこういう類は食いつくんだった…。

 

「…でも、やっぱり少し…怖い気もします…

自分が…自分じゃないような気がした…」

「………あっ……………………」

 

──────自分が……自分じゃないような気がする…。

(……ぐうの音も出ないな…)

 

「ふふっ、急にどうしたんですか?♪」

「好きな人に趣味が似たのかもな」

 

「えっ……そ、それって…///」

「…さっ、教室に戻ろうかな」

 

「あっ……………」

「……あ、そうそう……また後で会おう、な?」

 

「…はいっ!///」

嬉しそう笑顔を浮かべる菜々会長だった。

 

 

────────────────────

 

 

【放課後】

 

 

「かーすみっ、何聞いてるの?」

 

部室に行くとかすみがイヤホンをしていた。

「あっ、峻先輩!♪

えへへ、今好きなスクールアイドルの新曲を聞いています!♪

峻先輩も聞きますか?」

 

「お、いいのか?…じゃあ…」

差し出されたイヤホンを耳に装着をすると……。

 

「…これ……Saint Snow…」

「あっ、知ってますか!?

さすがですねっ♪」

 

「……………………ああ…」

流れていたのは…Saint Snowの…歌だった。

……聖良の声が…いつになく、心に刺さった。

 

「…あれ、峻先輩、もういいんですか?」

「…うん、ありがとう…ごめんな…」

 

イヤホンを返して…俺は自分の作業に集中した。

(……くそっ、聖良の声が聞きたくなってきた……)

 

そんな中で集中できる訳もなく…ミスが続いた。

「…あっ、ここ改行してねぇ…スペルも間違ってる…」

 

ため息が何度も出る。

……ダメだな、これは…。

 

「峻さん、大丈夫ですか?」

マグカップにコーヒーを入れたしずくが歩み寄ってきた。

 

「…ん、ああ、ごめんな…」

「いえ、時には休養も必要ですよ♪」

 

…確かに…少し肩に力が入ってたかもな。

ぐるぐると、肩を回す仕草を見て、しずくが俺の肩に手を置いた。

 

「…しずく?」

「肩…揉んであげますね♪」

「え、いや…大丈…………」

 

と言おうとしたがしずくは俺が言い切る前に肩を揉み始めた。

 

「…ん、意外と…上手いんだな」

「本当ですか?ありがとうございます♪」

上機嫌になったのかしずくのマッサージが、更にエスカレートする。

 

「…し、しずく?」

「峻さんの…っ、背中…大きいですね…///」

 

「あ、あの………」

「あーーー!しず子ずるいー!!」

 

「峻くん……」

「2人とも…そんな目で見るな…」

 

「なになに、なんの騒ぎ~?」

「いつもの…峻さん争奪戦…?

璃奈ちゃんボート…''やれやれ''」

 

「ま~ま~…彼方ちゃんは峻くんの膝で寝かせてもらうね~…♪」

「…えっ、何この状況…」

 

膝枕で寝ている彼方に、マッサージをしてくれるしずく。

そしてその様子を呆れた顔で見る璃奈ちゃんと歩夢だった。

 

 

 

─────────────────

 

 

【その日の夜】

 

「………………………」

1人、部屋で携帯とにらめっこ。

 

そこには11桁の電話番号。

………よし…かけよう……。

 

少し震える手で電話ボタンを押す。

 

 

数コールの後、少し不信そうな声が電話口から聞こえてきた。

 

【…はーい?もしもし…?】

「…あ…千歌…ちゃん?…俺、峻」

【あっ、峻くん?!…えっと、どうして電話を?

それに電話番号も…】

 

…あ、いけね…言い訳考えなかった…。

「ほ、穂乃果から聞いた!」

【あ、そうなんだね!…それで…何かあったの?】

 

 

「…凄く、変なこと言うけど…千歌ちゃんの声が聞きたくなって…って言ったら…変かな」

【…………………………ぁ………】

 

さすがに黙り込む千歌ちゃん。

そりゃいきなり電話かかってきて声が聞きたいとかおかしいよな…。

 

【…い、今ね…あなたに会いたいなって…私も思ってたの…///】

「千歌ちゃん…」

【ご、ごめんね!変だよね!あ、あはは!】

 

【……ねぇ、今度…また沼津に来て…ね?】

「うん、約束するよ」

 

【うんっ!みんな待ってるよ!】

…今は……今はこの距離感を…大切にしなきゃ…。

 

【…あ、そうだ…ねぇ、質問していい?】

「…ん?」

 

【昨日の夜ね、変な夢を見たの……私が…病院の病室で泣いてる夢…】

「………っ!!!!」

 

【えへへ、変な夢だよねっ、忘れてね!】

そう言うと通話終了のボタンが押されていた。

 

天井を見上げる。

途方もない焦燥感に苛まれる。

 

 

気がつくと俺は…そのまま眠りについていた。




次はμ'sとの対決!

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43話

スクスタのイベントすっかり忘れてました。
むしろスクフェスの曜ちゃんをゲットしないと…


それは、突然の事だった。

 

【ごめんっ、明日空いてる…!?】

「…えっと、曜ちゃんから電話してくるなんて…珍しいね?」

 

電話の相手は曜だった。

…大方、千歌から電話番号でも聞いたのだろう。

 

【じ、実は…困ったことがあって…】

「困ったこと?」

【出来るなら、明日沼津に来て欲しいの…お願い…っ!】

 

声の様子からすると本当に焦っているようだった。

…曜の頼みなんだ…見過ごす訳にはいかない、よな…。

 

「わかったよ、何時に行けばいい?」

【ほんとっ!?ありがとう~…!

えっとね、10時とかで大丈夫だよ!】

 

「わかった、着いたら連絡するね」

【あ、私迎えに行くから大丈夫だよ!】

 

 

 

そのまま通話は終了した。

…電話を切った後に気がついた。

 

「……あっ…明日ってμ'sとの対決の日だった」

 

 

 

─────────────────

 

 

 

次の日、俺は歩夢に謝って沼津に向かった。

μ'sのメンバーには歩夢の方から伝えておいてくれるそうだ。

……よく出来た幼馴染だ、頭が上がらないよホント。

 

 

「あっ、峻くんー!」

「お待たせ、曜ちゃん」

 

長時間電車に乗ってた体を伸ばすと曜ちゃんが手を振っていた。

 

「本当にごめんね、急に呼び出したりちゃって…」

「曜ちゃんがそんなに慌てるってことは余程な事態なんだろ?」

 

「…えっとね、バス乗りながら…説明していいかな?」

「ん、どこか向かうのか?」

「……………それが………」

 

 

 

 

 

 

 

「……千歌ちゃんと梨子ちゃんが喧嘩してる~?」

「そ、そうなの…昨日から……」

 

…確かに珍しい…。

元々、Aqoursのメンバーでの喧嘩はそんなに見た事がない。

ましてや、千歌と梨子に限ってそんなこと…。

 

 

「喧嘩の内容は?」

「…次のライブ用の曲についての方向性が違うって…

でも、私音楽のことはよく分からないから誰に相談したらいいのかなって…」

 

なるほど、それで俺に白羽の矢が立ったのか。

確かに、作曲と作詞をする人で意見が食い違うのは問題だし、このままにしておくとグループにも亀裂が入りかねない。

 

「…おっけ、俺がなんとしてみるよ」

曜の頭にポンと手を置く。

 

「…あ、ありがとう…でも、峻くん…少し恥ずかしいかも…///」

「…あっ、ごめん…」

 

 

少し気まずい雰囲気の中、俺と曜は十千万旅館へと向かった。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

十千万に着くと、千歌が出迎えてくれた。

…………が。

 

 

「むーーー…いらっしゃい…」

腰に手を当てて明らかに怒ってますムード満載の千歌。

少し新鮮で笑っちゃいそうになったが我慢して平然を装う。

 

「お邪魔します」

「曜ちゃん~、なんで峻くん呼んだの~…」

「あ、あはは…頼れる人、峻くんしか居ないから…」

 

…そっか、頼れる人…か。

 

「まぁ、いいや…上がって?」

「お、おう…」

 

…む、これは予想以上に只事では無いな?

部屋に案内されると、梨子も座っていた。

……が、そっぽを向いて全然会話にならないような感じだった。

 

 

「……よっと…んで、方向性の違いが出てるんだって?」

その言葉に梨子がピクっと体を反応させる。

そして、横顔しか見えないが…物凄くバツが悪そうな顔をしている。

 

「千歌ちゃん、作詞ノート見せて?」

「……え、ええ…恥ずかしいけど…わかった…」

 

1冊のノートを受け取る。

付箋をしてあるページを開くと。

 

【ポップな明るい曲】

【感動的な心に響く曲】

 

この2つしか書かれて無かった。

 

「…なるほど、ね」

パタンとノート閉じて机の上に置く。

 

「んーーーーーーーー…………………………」

長い事考える俺を心配そうに見つめる曜。

しかし、どうしたものかな…虹ヶ咲のメンバーのライブが直近では無いとはいえ…。

Aqoursのライブに俺が加担するのもなぁ…。

 

 

「……………なぁ、千歌…ちゃ、ん…ライブまで…あとどれくらい?」

 

危ねぇ、呼び捨てで言うところだった。

「えっ………1ヶ月…」

 

…しゃあねぇ、これも悠として戻れる方法…かもしれないしな。

 

「……''作詞と作曲、俺に任せてもらえないかな''」

「「……えっ…!?」」

 

その言葉に千歌と梨子が驚いた表情でこちらを見てきた。

そしてお互いの顔を見直した2人が顔を俯かせたり目線を外したりした。

 

「正直言って今のままじゃどっちの作業も進まない!」

「…………うぅ」

「そ、それは……」

 

「作詞と作曲は俺が担当するから…2人はちゃんと仲直りする事!!いいね?」

 

「………うん」

「……はい」

 

「…えっと、曜ちゃんには衣装のことで色々伝えるかもしれないけど…」

「うん!ルビィちゃんにもすぐ伝えるから安心して!♪」

 

 

「じゃあ、一通りのアイデアを俺と曜ちゃんで出すから…2人はまず話す事から始めなよ?」

 

「「…分かった」」

 

そのまま俺と曜は十千万旅館を出た。

…後はあの2人ならすぐにでも仲直りするだろう。

 

 

「…ありがとう、峻くん…やっぱり峻くんに頼んでよかった」

「あのAqoursが喧嘩なんか似合わないからな」

 

「へへっ、そうだよねっ!♪

…それで、どこに行くの?」

「とりあえず喫茶店で少しイメージをかきこんでおこうかなぁ」

「曜もお供するであります!♪」

 

「元からそのつもりだったよ」

2人で笑い合いながらまた沼津にとんぼ返りするのであった。

 

 

─────────────────

 

 

「それで、どんな感じの曲にするの?♪」

向かい合った曜が紅茶片手にこちらを見てくる。

…なんか、恋人同士みたいだな…。

って、違う違う…。

 

「んー、笑顔で歌えて…尚且つ感動的なフレーズをメインにしたいなぁって…い、言いたいこと…伝わってるかな?」

「いいね、それ!♪」

 

「お、おうっ、伝わってよかった…」

「じゃあまずは曲のタイトルかな?」

 

「…うーん…」

携帯のメモ帳機能に…カタカタと打ち込む。

 

「…どれどれ…」

身を乗り出して携帯を覗き込む曜。

 

その行動に俺が動揺をする。

「よ、曜ちゃん!近い!!」

「えっ?…あ、あぁ…っ…ご、ごめん!!///」

 

胸元とか強調強いんだから刺激が…強めなんだよ…。

 

「なんか英語のタイトルだったけど…」

「か、完成までのお楽しみだから!」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【時同じくして】

 

にこ「あれ、峻は居ないのね?」

にこに指定された場所に来たμ'sと虹ヶ咲のメンバー。

…と言うか指定された場所は…。

 

せつ菜「ここは…牧場、ですか?」

キョロキョロと辺りを見回すせつ菜。

辺り一面緑が生い茂る、紛れもない草原だ。

 

璃奈「今回の対決は…カリスマ性、だよね…?」

果林「ええ、でも想像がつかないわね…」

 

うーんと、考える璃奈と果林。

そんな時、不敵な笑みを浮かべるにこ。

 

にこ「ふっふっふ…カリスマ性とは生きとし生けるものを魅了する大事な要素よ!」

しずく「生きとし…」

彼方「生けるもの~…?」

 

首を傾げるしずくと彼方の横でポンと手を叩く愛。

何か閃いたようだ。

 

愛「動物に懐かれてるかって事か!」

にこ「その通り!人だけじゃなくて動物に懐かれて初めて真のスクールアイドルよ!」

 

ことり「…そ、そうなのかな?」

絵里「…さ、さぁ…初めて聞いたわ」

 

絵里に耳打ちすることり。

流石の音ノ木坂学院生徒会長でも苦笑いを浮かべるしか無かった。

 

にこ「さ、そっちは…歩夢とかすみのどっちが出るのかしら?」

かすみ「歩夢先輩~!お願いします~!(ど、動物触れないとか…言えない…!)」

 

歩夢「わ、分かった…私、やってみるね!」

にこ「まぁ、無難なところね…ウチからは、穂乃果!頼むわよ!」

穂乃果「はーい、頑張りまーす!♪」

 

 

 

制限時間は1時間、歩夢はと言うと…。

 

歩夢「ヤギさん、こっちにおいで♪」

せつ菜「さすが、歩夢さんです!」

果林「動物たちも警戒心なく近づいているわね」

エマ「なんかスイスの牧場思い出しちゃうな~♪」

 

絵里「それに比べて…」

海未「穂乃果はどこに……」

 

穂乃果「だあああああれかあああああ!!」

 

小高い山の上から穂乃果が猛然とダッシュしてくる。

────その後ろには…。

 

真姫「な、なにあれっ…ヒツジの…郡!?」

凛「いっぱい居るにゃー!♪」

 

せつ菜「って、こっちに向かってきてますよ!?」

かすみ「ぎゃー!しず子どうにかして~!!」

しずく「ど、どうにかって…!!」

 

歩夢「あ、あれっ!?ヤギさん達もあっちに行っちゃった…!」

ことり「あれって……」

海未「ええ、追いかけられてますね…」

 

穂乃果「ぎぃやあああああ…!!」

そのままポカンとするメンバーの前を猛ダッシュで通り過ぎる穂乃果だった…。

 

 

 

────────────────────

 

穂乃果「はぁ…はぁ…疲れた…」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん…お疲れ様…」

 

希「餌やりをするつもりが…どうなったらあんな風になるん…?」

にこ「…えっと、虹ヶ咲のみんな穂乃果の勝ちで異論は無いわね?」

 

その質問にみんな苦笑いで頷くしか無かった。

かすみ「ま、まぁ!かすみんは最後まで勝負が縺れるって分かってましたけどね~!♪」

 

にこ「もっちろん、にこへのお膳立てよね~♪」

かすみ「なにを~!」

にこ「なによ~!」

 

バチバチと火花を散らす2人。

因みにこの対決の事をその日の夜に峻に伝えた歩夢。

 

彼からの【牧羊犬じゃん…】という言葉に歩夢が大爆笑していた。




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44話

お待たせして大変申し訳ございません。
本当は更新したかったのですが仕事が多忙でなかなか上手く行かなかったです…。

過労ですが辛うじて生きてます(上手いこと言ったつもり)

あなたちゃんの名前が侑ちゃんに決まりましたね。
…悠くん……せつ菜ちゃんが呼ぶとしたら侑さん…悠さん…うーん…既出感。


「…んー…どうしよう…」

砂浜の護岸壁に腰かけて作詞の続きをする。

しかし、どうにも進まない。

 

ちなみに沼津には週末に何度か行き来してるような状態だ。

千歌と梨子は少しずつ話をしているようだ。

…まぁ、そっちの方は2人なら解決するだろう。

 

「んー……んんんー………」

ペンの先をおでこにコンコンと当てて唸る俺。

ちょっとずつではあるが進んでいるが…なんかこう…これって決め手がないよなぁ…。

 

 

「作業はすすんでるずら?」

「………花丸」

 

悠の時と同じように名前を呼ぶが花丸も気にもせず話を続ける。

「…みんなの意識が少し変わってきてるずら」

「どういうことだ?」

 

作詞ノートに目を向けながら口は花丸の方に向いていた。

「みんな完全ではないけど…なんだか懐かしいって言うような感情な渦巻いているずら」

「…懐か…しい?」

 

その言葉に俺のペンを走らせる手が止まった。

「…まだ、断定的じゃないけど…ルビィちゃんや果南ちゃん、曜ちゃんも…峻さんが何だか他人に思えないと言ったりしてるずら」

 

「…それって、もし…俺が悠として目覚めた時になにか変化があるのか…?」

「それは分からないずら…ただ、この状態が…なにか良い方向に行く気がするずら」

 

「…なんだか、花丸が言うと現実味が増すなぁ…」

「そーれーにー…」

 

気がつくと、花丸の視線がめちゃくちゃ近くなっていた。

「…えっ、な、なに?」

「そんな姿になってもモテモテになってるずら~…?」

「…あはは…」

 

「全く…そこが悠くんのいい所でもあると思うずら」

「お、おう…?」

 

「見つけたわ、謎の人物X!!!」

しんみりとなった空気の中、打ち破るように宣言された謎の人物呼ばわり。

 

「…謎の人物って俺の事だよな…花丸」

「善子ちゃぁん……」

やれやれと肩を落とす花丸。

…もちろん、その呼び方をしたのは…。

 

「ふっふっふ…見つけたわよ…!!」

俺の頭上、護岸壁の上に立つ善子。

…普通にスカートの中が見えるんだけど…。

 

「…黒だ」

「えっ…?……ぁ…な、何見てんのよ!!///」

急いでスカートを押え、護岸壁を降りる善子。

そのまま大急ぎで俺の元に走ってくる。

 

「み、見てんじゃないわよ…!///」

「いや、見てたというか…普通に見えたというか…」

「よ、善子ちゃん…待ってよぉ…」

 

はぁはぁと息を切らしながら後を追いかけていたルビィも追いついた。

「あ、ルビィちゃんも一緒だったずら~♪」

「善子ちゃんに謎の人物を追うって言われて付いてきたんだけど…謎の人物どころか、峻さんの事だし…」

 

「私とマリーはまだ顔見てないから!」

「……あ、あはは……」

 

「お久しぶりです、峻さん♪」

ニコッと笑うルビィちゃん。

それは、まるで悠の時と同じような笑顔だった。

 

「あぁ、久しぶりだねルビィちゃん」

「えへへ…また顔が見れて嬉しいです♪」

「えっと…それはどういう意味で…」

 

「あっ…べ、別に深い意味は…っ!

な、なんというか…懐かしいっていうか…心地いいって言うか…」

「あはは…そりゃどうも…」

 

「…それで、聞いたわよ…千歌から」

花丸から抑えられながら善子が話を始める。

 

「あぁ、作詞と作曲のこと?」

「お人好し過ぎないかしら?…貴方はAqoursとは関係ないのに」

「んー、お人好し…かぁ…確かにそうかもしれないけど…放っておけないしな」

 

「…そう、不思議ね…貴方ならそう言うと思ったわ」

「善子ちゃん…」

 

少し困ったような顔で花丸が善子の顔を覗く。

「な、なんでもないわよ!行きましょ、ルビィ!」

「あ、ま、待ってよ~っ!」

 

チラッと最後に俺の顔を見た善子。

…気のせいか、クスッと微笑んだ気がする。

それが杞憂なのか…それは本人しか分からない。

 

 

「…ごめんずら、善子ちゃんが…」

「んいや、いいんだ…なんかやっぱり懐かしい気がしたよ

…俺も悠として戻りたい、し」

 

「できる限りサポートするずら…何時になるか…それは分からないけど…」

「地道に、な……焦ったりなんかしてないさ」

 

 

 

────────────────────

 

「善子ちゃん、なんか嬉しそうだね?」

「そうかしら?…まぁ、そうね…機嫌はいいかと言われたらいいかしらね」

 

「それは…峻さんに会えたから?」

「なっ、ななっ、そ、そんなわけないでしょ…!?」

 

「ふふっ、そっか♪」

「な、なによルビィのくせに~!」

「わああああっ、ご、ごめんなさい~っ!」

 

 

────────────────────

 

 

「ふぅ…」

沼津から帰ってきて自室で一人ため息をつく。

 

概ね…作詞と作曲は順調だ。

もちろん、虹ヶ咲のみんなの練習を見るのも順調である。

 

 

ピロロロロロロロロロロロロ…。

…電話か?こんな時間に。

 

掛けてきた相手は…。

 

「…果林?」

意外な人物だった。

 

【こんばんは、こんな時間にごめんなさいね?】

「ううん、大丈夫だよ…なにかあった?」

 

【大した用事じゃないけど…明日放課後…時間あるかしら?】

「放課後?…あぁ、部活もないし…特に予定は無いけど…」

【ふふっ…お姉さんと…デート…しない?♪】

 

「…無駄に艶めかしい声で言うなや…いいよ、荷物持ちくらいならしてあげるよ」

【あら、割と本気だったのだけど…お姉さん悲しいわ】

「…………………………………」

 

この手の人の本気やからかいの具合が分からない。

と、思ってる時点で俺は手玉に取られているのだろうと自覚している。

 

【あら、照れちゃったかしら?♪】

「ち、違うし!」

【あははっ、からかい甲斐があるわね♪】

「…と、とにかく!…明日の放課後ね?」

 

【ええ、楽しみにしてるわ♪…あ、言い忘れてたけど

私とエマの2人だから、よろしくね?】

「えっ!?……そ、そういうのは最初に──」

 

 

ツーツーツー。

 

 

「…切れた」

一方的すぎる…。

「うぅ…出掛けるので理性保つかな…」

悶々とする想いを秘めたまま…俺は眠りにつくのだった。




スクスタ最近力を入れてない…。
恋になりたいAQUARIUMも解放してない…。

頑張らないとなぁ…。
助けてせつ菜ちゃんの膝枕…。

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45話

歩夢ちゃんの今回の衣装…すっごく…アレですよね。

早く曜ちゃんのブラメロの衣装でないかな…。


「あっ、2人ともー!」

 

「峻、時間ピッタリね♪」

「今日はお出かけ楽しみにしてるよ♪」

「お、おおおう…」

2人の服装は…なんとも刺激的だった。

特に果林。

読者モデルだからなのか…かなりオシャレしてるように見える。

これは他の人たちが果林をチラチラと見るのも納得だ。

 

 

…いや、エマも肩出しの服とか着るんだね…。

新鮮というか…逆に色気がムンムンというか…。

 

「何をしてるの?行きましょ?」

「あ、ああ…行くよ」

 

と言うと、果林とエマは何の躊躇いもなく…。

両腕に抱きついてきた。

 

「……あ、あの…2人…とも?」

「…?何かしら?」

「どうしたの、峻くん?」

 

「…いや、何してるのかなーって」

「あら、嫌だったかしら?」

「果林ちゃんから教わったんだけど…」

 

…なんと言う知識を教えこんでるんだ、果林…。

俺の腕が…埋もれてるぞ…。

(周りの視線が…痛い…)

 

主に男からの視線。

それもそうか…両手に花というか…両手に花束って所か…。

 

「あ、お、俺…飲み物買ってくる!!」

多分顔真っ赤なんだろうなぁと思いつつ俺はその場を離れた。

 

 

「あらあら…刺激強めだったかしら?」

「でも、そこが峻くんの可愛いところだよね~♪」

「ふふっ、そうね♪」

 

 

そんな会話を2人でしてる時…近寄る1人の人物…。

【君たち…今暇?】

 

ピクっと驚くエマ。

しかし、果林はまるでその人物が見えてないくらいスルーをして。

 

「峻~遅いよ~♪」

「か、果林…っ!?」

「そ、そうだよ~っ…!」

 

急いで後を追って空いてる腕に抱きつくエマ。

…結局、さっきと同じ光景に。

 

【…も、モテ男だ……勝てねぇ………】

がっくりと肩を落とすその人物を峻は目で追っていた。

 

「…どうかしたの?」

「なんでもないわ♪さ、行きましょ?」

「そういえばどこに行くの?…私も何も聞かされてないのだけど───」

「しーっ、行ってからのお楽しみよ♪」

 

「なんだか嫌な予感がするんですけど、果林さん…」

「そんなことないわよ?至って、一般的な場所よ?」

 

 

 

────────────────────

 

 

と言っていたが……。

「どこが……至って…………」

プルプルと震える俺を宥めるエマ。

 

 

「あら、健全じゃないかしら…?……''水着屋さん''」

「どこがじゃあああああっ…!!」

 

「夏を先取りよ?」

得意げに笑う果林。

…夏ったって…誰も夏に海行くとか言ってないし…。

 

「あら、私は行く気だったわよ…海」

「あっ、私も行ってみたい~♪」

 

ここにエマも参戦してさらにややこしい事になってきた。

「今度歩夢やせつ菜に話通しておかないとね~♪」

「俺の是非は…」

 

「峻くんは…私たちと海に行きなくないの…?」

「えっ……い、いや…そんな事は…」

「決まりね♪…それで峻はどんなのが好きなのかしらね?」

「なっ!?……い、いや、俺は…っ!」

 

視線を外そうにも周りには水着だらけ。

…しかも、かなり際どいやつ。

 

「峻くん…こういうのがいいんだ…」

手に取り…ゴクリと生唾を飲むエマ。

 

「い、いや、そうじゃなくて…!!!」

「エマだとそのサイズじゃ合わないんじゃないかしら?」

「も、もー!果林ちゃんそんな事言わないでよ~!///」

 

そう言って自分の胸を持ち上げるエマ。

突然の出来事に俺は咳き込んだ。

 

「な、何してんの!」

「峻はセクシー系の水着が好きなのね~♪

…なら、私は貝殻にでもしようかしら?」

 

「昭和すぎるよ!」

…一瞬でも想像した自分が恥ずかしい…。

 

「ふふっ、冗談よ♪

とりあえずエマと試着してくるわね♪」

 

そう言うと何着か持って果林とエマは試着室に入ってしまった。

 

「マジかよ………」

1人取り残された俺。

正直居心地が悪い…。

 

「…ん、携帯が鳴ってる」

ポケットから携帯を取り出すと…。

 

「…しずく?」

【あっ、峻さん!…今、大丈夫ですか?】

「うん、大丈夫だよ」

 

【…あの、その……】

「う、うん…落ち着いて…でいいからね?」

【あ、ありがとうございます…】

 

何回か深呼吸すると、しずくから告げられたのは…。

【今度…お出かけ…しませんか…っ!?】

「…えっ?」

 

歩夢といい、愛といい…。

エマや果林…そしてしずく…。

 

お出かけしたがりすぎない…?

「…俺でいいの?」

【峻さんと…一緒に思い出作りたくて…】

「しずく…」

【お、おこがましくてすいません!!】

「大丈夫だよ、凄く嬉しい」

【あ、ありがとうございます…!

じゃあ…来週の土曜日でいいですか…?】

「うん、楽しみにしてるね」

 

 

しずくとお出かけか…なんか緊張してきたな…。

「誰と電話かしら~?」

「か、果林…!!」

 

振り返ったが果林の姿は水着だった。

「な、なんて姿なんだ…」

「似合ってるかしら…?」

「…すごく似合ってるよ」

「エマの方が凄いわよ~…♪」

「…え?」

 

エマの方を向くと…恥ずかしそうに胸元を隠すエマが居た。

「うぅ…生地が少ないよぉ…///」

「…どう?♪」

「2人とも…めちゃくちゃ可愛いです」

 

「あら、なら決定ね♪」

「ほ、ほんとに…?///」

「ほんとほんと…すっごく可愛いよ…」

その言葉を聞くとエマの表情が晴れた。

 

「じゃ、じゃあ私これにするね!」

「お会計してくるからちょっとまっててね~♪」

 

そう言うと2人はまた試着室に戻った。

買った水着を手に2人は上機嫌だった。

 

 

────────────────────

 

 

 

一方その頃…鼻歌交じりでパンを作る子が…。

 

「明日しず子持っていこ~♪」

…あー、でも…辛いパンとか入れてもすぐ気がつかれちゃうし…やめておこ…。

 

「あ、そうだ!来週の土曜日しず子とりなりー誘ってお出かけしようかな?」

スクールアイドル同好会の活動が忙しくなってあんまり行けてないから…きっと2人も賛成してくれるよね!

 

「どこ行こうかな~、水族館とかがいいかな~?♪」

 

1人、出かけの予定を立てるかすみ。

……ダブルブッキングになるとは露知らずに…。




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46話

ハロー!!ラブライブ……( ✪ω✪ )ピコーン
閃いた!…このネタを温めておかないと…!
(あとはどんな物語か分かったら新作として投稿したいです…!)

※どっかのタイミングでアンケート取ります。
皆さんの参加、よろしくお願いします。


【夢の中】

 

「う、うぅん……ここは…」

ぼんやりとした白い世界に俺1人立っていた。

 

「よっ、目が覚めたか?…と言っても、夢の中だけどな」

「…えっ…?……あっ、ゆ、悠!!」

 

見間違えるわけが無い、俺自身が目の前に立っていた。

「悠って、お前も悠だろ…」

「お、俺は峻で…!…悠、か……」

「はは、自問自答してるし」

「な、なぁ!!俺は…どうなるんだ!?」

「んー、まだ答えられない、な」

「なっ………」

 

こ、答えられないって…どういう事だよ…っ!!

「ん、少し語弊があるな…答えられないんだよ

正直、俺も意識がない…あっちの世界ではな」

「……………………………」

 

「かと言って、峻…だっけ?

峻に頼んでも…そっちの世界には俺という存在はいないってことだろ?…答えられない理由はそういうことだ。」

「じゃ、じゃあ…俺は…」

「…ん、1つ言えることは…お前は姿が違えど俺だ

自分の思う通りにやってれば…それは間違いじゃないってことだよ」

「…説明になってないぞ」

「ははっ、かもな……ん、そろそろ…か」

 

チラッと上を見る悠。

その瞬間、白い世界がさらに光を増した。

 

「うっ…………………!!!」

「大丈夫だ、お前なら…な」

 

その言葉を最後に…俺は目が覚めた。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「…今の夢は…」

すごく現実的で思い出したくもない。

「…俺に出来ること…」

…虹ヶ咲学園のみんなと…1つの目標に向かって…。

 

「…Aqoursのみんなとも、か…」

途方もない目標に少し不安になった。

 

【自分の思う通りにやってれば、それは間違いじゃないってことだよ】

(…俺のするべき…こと…)

「…考えても仕方ない、か」

 

ベットから出る…ふと、目覚まし時計に目がいった。

「ん…9時…25分…?」

…えっと、しずくとの約束は…。

「…10…時…」

 

確か待ち合わせ場所まで電車で25分くらいかかるから…。

「………………………遅刻だあぁぁぁぁ!!!」

 

 

────────────────────

 

 

「もー、しず子~…峻先輩と出かけるならそう言ってくれればいいのに~」

「…あ、あはは…ホントにたまたまだったんだって…(はぁ…まさか、かすみさんからお出かけのお誘いを貰うなんて…断ることも出来なかったし…峻さんと出かけるってバレたら…うん、何となく予想できちゃうし…)」

 

「まぁ、大人数でお出かけした方が楽しいよ」

「あっ、りな子分かってる~♪」

「そ、そうだね~…(まぁ…今度…2人きりでお出かけできるようにお願いしよ…って、私なんで顔赤くなってるんだろ…っ!///)」

 

「それより、峻先輩遅いね?」

「もしかして…遅刻?…璃奈ちゃんボード…きょとん」

「確かに…もう15分過ぎてるね…?」

 

「かすみん、連絡入れてみますね~♪」

「あ、あれかな?」

「むーっ!かすみんが連絡するって言ってるのに~!」

 

「はぁ…はぁ…ごめん!!遅くなった…!!」

「やっと来た」

 

ぷくーっと頬を膨らまして拗ねるしずく。

…ってあれ?…しずくの喋り方…それにかすみと璃奈も居る?

 

「ご、ごめん…寝坊しちゃって…」

「正直者でよろしい」

「…あ、あはは…ごめん…それで…なんで2人も居るの?」

 

「しず子にお出かけしようって言ったんです~♪」

「大人数で出かけるの楽しいと思って」

 

「…………………ぷーーーいっ」

…あ、それでしずくは拗ねてるのか…可愛いやつだな。

「…しずく、今度は…2人きりで、な?」

そう耳元で呟くと顔を真っ赤にさせるしずく。

 

「へっ!?…あ、も、もちろんですっ!!

峻さんったら、そんなこと言われたくても……っ!!//////」

 

「それでどこ行こうか~」

「って、き、聞いてない…!!///」

 

「それが決めてないの」

「かすみんも無計画です~♪」

 

「…行き当たりばったりも悪くは無いか…じゃあ…水族館とかいいかな?」

「あ、賛成ですー!♪」

「しずくちゃんも、水族館でいい?」

「へっ!?…あ、う、うんっ!///」

 

「峻先輩~、遅刻した罰でパフェご馳走してくださいよ~♪」

「はいはい…」

 

こうして、4人で水族館に向かうことになった。

 

 

────────────────────

 

 

その道中だった。

 

「あれ、何かやってますね?」

「これは…ライブ?」

「スクールアイドルのライブやってるみたい」

 

「へぇ…実はμ'sのメンバーとか居たりして」

「まっさかぁ、峻先輩そんなことあるわけ……」

 

 

「へっくしゅ…っ!!!」

「「「「…………えっ?」」」」

 

「…あっ……ぬぅうぁんで、あんた達が…!!!」

「いや、俺たちは…」

 

「あっ、こ、こんにちは…!」

「虹ヶ咲学園のみんなだにゃー!♪」

 

ライブを見ていた、にこと花陽ちゃんと凛ちゃんが居た。

 

 

 

 

「…ふぅん、水族館にねぇ…」

ジロジロと俺を見るにこ。

 

 

「…ぬぅぁんで、あんたの周りには常に女の子がいるのかしら?」

「…あ、あはは…」

 

ごもっともです…。

 

 

「凛達はもう少しライブ見てるにゃー♪」

「じゃあ、私たちは水族館に行きましょうか」

 

「ちょっと待ったー!」

突然去り際にかすみが呼び止めた。

 

「…どうした、かすみ」

「…にこ先輩、勝負しましょうよ」

「…はぁ?あんた何言ってるのよ?」

「スクールアイドル9番勝負…まだ私たちの勝負はまだ残ってますよね?」

 

…あー、なんか…かすみに変なスイッチ入ったな…。

「ふっふっふ…いいわ、受けて立つわ!!

スクールアイドル9番勝負…場外編よ!!」

 

「…どうする、しずく?」

「…正直、この勝負を見逃して2人で水族館に行きたいのですが…」

「…しずく、本音が漏れてる」

「…あっ、ご、ごめんなさい…///」

 

「えっと…にこちゃん?

最後の対決って…アイドル力だよね?…どうやって勝敗をつけるの?」

「いい質問ね、花陽……それは…この後、そこで観客に向けてアピールするの!」

 

「はぁ!?…そこのって…別のスクールアイドルのライブを見ていた観客にか!?」

「ええ、変かしら?」

「……はぁ、俺にも手が負えない…」

「じゃあ、クレープ食べて待ってますか?♪」

「そうだな…あの二人はもう居ないし…」

 

にことかすみは既にステージに上がっていた。

俺としずくと璃奈と花陽ちゃんと凛ちゃんでクレープを頬張っていた。

 

 

 

 

 

 

【……10数分後】

 

「はぁはぁ…………」

「はぁ……はぁ……やる、わね…」

「に、にこ先輩の方こそ……!」

 

「終わったかー?」

「勝負なんかつかないわよ!」

「そうです!峻先輩が優劣つけて下さいよ!」

 

「…え………」

おいおい……見てないとか今更言えないぞ…。

 

「…えっと…2人とも違って2人とも良い…と、思うよ…

そもそも…優劣なんかつけるものじゃ…

ほら、μ'sにも虹ヶ咲スクールアイドルにもいい所はあるはずだよ」

 

「…………………そ、それは………」

「むぅ…………………」

 

「…それに、2人の対決が同点なら…丸く収まるじゃん?」

 

「……わ、分かったわよ…」

「峻先輩がそう言うなら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、峻さんの一声で事態が収まりましたね♪」

「ねぇ…しずくちゃん…水族館は?」

「…………………あっ」




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47話

愛ちゃん…可愛い…ぐほっ…。

最近網タイツ推し強くない?気の所為?


「……よし」

 

作詞したノートと、作曲をしたUSB持って…と。

俺は身支度をして家を出た。

 

結局、昨日のお出かけは…μ'sのメンバーと会って

ライブ見てご飯食べて終わってしまった。

 

しずくは拗ねてたけど、今度必ず埋め合わせするからと言ったら何とか許してくれた。

 

そして、次の日には沼津に行こうとするんだから俺は中々の行動派だな…と自分に笑ってしまう。

 

「…さて、千歌や梨子は喜んでくれるかな…」

今回はアポ無しで訪問する予定だ。

新幹線の中でパラパラと作詞ノートに目を通す。

 

(…なんだかんだ言っても…千歌と梨子なら仲直りしてそうだけどな)

底なしの明るさがいい所の千歌と面倒見のいい梨子。

普通に考えれば合わないわけが無い。

 

(…それに、曜だって果南だっているしな)

着くまでの間、しばらく眠りにつくことにした。

…また夢の中で…悠に出会える…なんて、期待をしながら。

 

 

────────────────────

 

 

「…なんて、あるわけないよな…」

沼津駅に着いた俺は1人でツッコミを入れていた。

…いや、下手したら乗り過ごす所だった。

 

「あれっ、峻さんっ?」

「んっ?……あぁ、ルビィちゃん!」

 

聞き慣れた声に振り向くと、黒澤姉妹が居た。

「お出かけ?」

「うんっ!♪」

「お久しぶりですわね、峻さん…今日はどのようなご用件で?」

「あぁ、千歌に作詞したノートと作曲したデータを渡しにね」

 

そう言うとダイヤの顔が一気に明るくなった。

「まぁっ…!それは関心ですわっ!♪

せっかくですので、お茶でも飲みながら見せてくださいます?」

「あ、ルビィも見たい!」

 

…まぁ、隠すものでもないし…ゆくゆくはAqoursのみんながライブで披露するから…いい、か。

(少し恥ずかしい気もするけど…)…いいよっ!」

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

喫茶店でノートに目を通す2人。

 

「わああぁ…♪」

「この歌詞は…どう言った経緯で思いついたのですか?」

「ん、まぁ…なんだかんだ言っても…友達って大切だよって…そんな所?

なんか、千歌や梨子を見てるとそんな気がしてきて」

 

「…千歌?」

「…り、梨子……???」

 

俺の発言に2人は大きく首を傾げる。

…しまった、普通に呼び捨てにしていた。

 

「そ、それよりっ…!

曲の方も聞いてみる…っ!?」

「あ、聞きたい!」

「ええ、ぜひ♪」

 

…危ねぇ、やり過ごせた…。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

黒澤姉妹と喫茶店で別れ、俺はそのままバスに乗った。

ぼーっと、外の風景を見ていると。

 

(……淡島だ…果南や鞠莉…いるかな?)

自分が辿った記憶が蘇る。

…そういや、このバスも…みんなで乗ったっけな。

 

「…いや、今は信じよう…悠として…戻れるために」

1人…心に誓う俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十千万の前に着くと…千歌が砂浜の所にいた。

 

「よーしっ!しいたけ~次はムーンサルト!」

「いや、さすがに犬にムーンサルトは難しいよ!?」

「…じゃあ…三点倒立?」

「犬にどこまで可能性求めてるのっ!」

 

…何やら千歌と曜…あと、しいたけがワイワイ騒いでいる。

「わんっ!」

「あぁっ、しいたけ待っ─────あっ…峻くん!?」

「おっす」

 

「久しぶりー!どうしたのっ?」

「これ、渡しに」

バックから作詞ノートとUSBを渡す。

それからしいたけの頭を撫でまくる。

 

「おーしおし」

「わんっ!」

 

「そんなっ…わざわざ持ってきてくれなくても…」

「2人の様子も気になったしな」

「…む、むぅ…とりあえず、上がって!」

 

そう言われ、俺は十千万の中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

【5分後………………】

 

「…こ、こんにちは…っ」

まるで怖いものを見るかのようにおずおずと入ってくる梨子。

 

「そんな畏まるなって…元気か?」

「う、うんっ…私は…元気だよ?」

しかし、目線が落ち着かない。

…むしろ、千歌と合わせないように何とか泳がせてるような気がした。

 

 

「…私、飲み物取ってくる!♪」

「ああああっ!曜ちゃん!?」

 

千歌の制止を無視し、曜が席を外した。

…あれは空気読んでくれたんだな…。

 

「…ん、2人とも…とりあえず…作詞ノート見て」

「「…う、うん…」」

 

パラパラとノートに目を通す2人。

「はっきり言う、そんなの2人らしくない!」

 

「……………っ…」

「あっ……………」

 

「そりゃ、友達だし同じグループのメンバーならぶつかる事もあるけど…いつまでも引きずってるのは似合わないよ!」

 

「…うっ……」

「そ、それは…………」

 

「特に千歌!」

「えっ…うぇええっ!?」

あ、また呼び捨て…まぁ、いいか、止められないし。

 

「お前のいつもの明るさはどこいった!2人の時は借りてきた猫みたいになってるし!」

「…ううっ…」

「あと、梨子!」

「は、はいっ!」

「作詞を担当してる千歌を支えられるのは作曲のしてる梨子だけだから!

もうそんな気まずいな…見たいな、表情や雰囲気は辞めること!」

 

「…は、はい…っ」

「ほいっ、じゃあ仲直りの握手!」

 

「……あ、の…梨子ちゃん…」

「……ごめん、なさい!」

「わあああ、謝らないで!千歌も悪いんだし…!」

「そ、そんなこと…っ!私の方が悪いし…!」

「い、いやっ、千歌の方だって…!」

「わ、私…っ!」

 

「「…ぷっ…あはははっ!」」

(やれやれ、一安心だな)

 

「ありがとう、峻くん…その迷惑かけて…ごめんね…」

「仲直りできたならそれでいいんよ」

「…でも、さすがに呼び捨ては…恥ずかしい…かなぁ…///」

「…そ、それは…咄嗟で出て…すいません」

 

「お待たせー!………む?取り込み中?」

「な、なんでもないよ!///」

「そ、そうそう!///」

 

と、言うが曜には何かすぐに察しがついたようで。

「…ありがとね、峻くん」

「知ってたのか」

「途中からだけどねっ…あーぁ、私も呼び捨てで呼ばれたいなぁ~」

「うっ……よ、曜…」

「はーいっ!♪」

 

嬉しそうに笑う曜。

…どうしてだろう、曜と呼ぶ時だけは…こんなにも胸が高鳴るのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…じゃあ、ライブ…楽しみにしてるから」

「うんっ!絶対見てね!」

「峻くんが作ってくれた曲…絶対に大切にするから!」

「うん、いい返事…っと、バス来たから…また連絡するよ!」

 

そう言って俺はバスに乗った。

3人はバスが発車するまで手を振ってくれた。

 

 

 

 

 

 

「…行っちゃったであります」

「でも、会いに来てくれて嬉しかったっ!♪」

「なんか、峻くんらしいけどね…♪」

 

「あっ、そういえば!」

曜が何か思い出したのように声を上げた。

 

「その曲の名前ってなんて言うの?」

「えーーっとね……確か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「''Thank you FRIENDS!!''…だったかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

沼津駅前に着き、これから新幹線で東京に戻ろうかと思った時だった。

 

 

「ん、電話か?…歩夢かな?」

しかし、画面には桜坂しずくと表示されていた。

 

 

「もしもし、しずく?」

「もしもし、先輩っ!…今、大丈夫ですか?」

「大丈夫だけど…どうしたの、急に」

 

「その…先輩が言ってた埋め合わせ…今日して欲しいんです!」

「え、今日!?…いや、今からどこ行くのさ…」

「どこにも行きません!…あ、いえ私は行きますが…」

 

「…えっと、どういうこと?」

「今から先輩の家にお泊まりしに行きます!」

「えっ、ええええっ!?」

 

「というか、もう家を出ました!」

「な、なんで急に…!」

「ふんだっ、先輩が水族館に連れていかなかったからですよっ」

 

……ああ、これは電話の先で頬をふくらませて拗ねてるな…ほんと可愛いやつ。

 

「…わ、分かった…あのな…」

 

 

今の事情を説明して…俺は東京に急いで帰るのだった。




読み上げ機能を使ってみました。
自分の小説が朗読されるって少し不思議な感じですね。

峻くんが峻(たかし)くんって読まれた時は少し吹きましたがw

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48話

スクスタフェス始まって単発4回引きました。

2回虹色が来ました。


ふおおおおってなりました。

初期花丸と、アザラシ穂乃果ちゃんでした。

な''ん''て''や''ね''ん''


急いで家に帰ると、正面入口の前でしずくが………膨れっ面して待っていた。

 

「遅いですっ!」

「ご、ごめん…」

「待ちくたびれて、帰るところでしたよっ」

 

と、言ってはいるが…明らかに大荷物を持っている。

「(泊まる気満々じゃん…そこは女心ってやつかな…)ほんとごめん…許して…」

 

「……ふふっ、冗談ですよ♪

先輩の顔が見れて嬉しいです♪」

そう言うとしずくはいつものように笑った。

 

「…ここじゃなんだろ、部屋案内するから」

…と、家の中に入れようとした時に思い出した。

 

(しまった…母さん居なかったんだ…)

こうもタイミング良く家の中に誰も居ないなんて事あるのだろうか?と自問自答しながら家に入るのであった。

 

 

────────────────

 

 

「あれ、親御さん…居ないのですか?」

「出払っててね…俺と2人は嫌か?」

「そ、そうではなくて…!(せ、先輩と2人きり…ど、どうしよう…っ…こういう時は…!)」

 

「夕飯、俺が作るから…しずくはくつろいでて?」

「わ、私もお手伝いします!」

「いや、でも…」

「…その…今日は…先輩に…わがままを、聞いて欲しいんです…///」

 

…妙にドキッとさせるような言い方をするしずく。

心無しか…距離も近い。

 

「…あっ、でも…隣の家って…歩夢さんの家、でしたよね…?」

「…え、そ、そうだけど…」

「…じゃあ…少し静かに…甘えることにしますね…♪」

 

そう言うと、しずくは俺の腕に持たれるように頭を擦り付けてきた。

「…しずく…」

「…今日は…先輩を独り占め…したいです///

ホントは…あのお出かけの時だって…///」

 

「…しずく…」

「…もっと…名前、呼んでください…///」

見つめ合う俺としずく。

夕飯を作ると言ったが…その手は全く料理には進まなかった。

 

「…先輩…ぎゅってしてください…///」

「…うん、こう…か?」

 

「……はい…♡」

心地良さそうに目を閉じるしずく。

 

「…その…俺、そろそろ夕飯作るから…」

「じゃあこのまま抱きついてますので…♪」

「い、いやいやっ、危ないよ!」

「嫌ですっ、異論は認めませんもんっ!」

 

ずっと背中に抱きついているしずく。

…彼女は抱き着くのが好きなのだろうか?

 

 

────────────────

 

 

結局、いつもの倍近く時間がかかったが…夕飯が無事に完成した。

 

…しかし、今度は食べる時に問題が発生し…。

 

「…あの、しずく…?」

「はいっ、なんですか?先輩♪」

「…なんで俺の横にピッタリくっついて……」

「…今日は先輩の横にずっと居たいから…です…///」

顔を赤くして俯くしずく。

…そろそろ俺の方も限界を迎えて襲っちゃいそうなんだけど…。

 

「…あっ……先輩、凄く美味しいです!♪」

隣で食べるしずくは嬉しそうに箸を進めていた。

良かった、有り合わせで作ったけど喜んでもらえた。

 

「…でも、1番は…先輩と一緒に食べるから…そう思えるのかも、しれません…///」

「…なぁ、しずく…」

「ぁ…は、はいっ、なんですかっ!///」

 

「そんなに独り占めしたいなら…さ…先輩って呼ばなくても…いいんじゃない?」

「…で、でしたら…峻…さん…?」

「さん付けもちょっと…」

 

「…峻…くん…///」

「いいね、年下感が出てきた」

「…お兄ちゃん…///」

「それは飛躍しすぎだよ!?」

 

今頃ルビィがクシャミしてるかな…。

 

 

────────────────

 

 

夕飯も食べ終わり…一息ついてると。

「…峻くん…お風呂…///」

俺の服を引っ張るしずく。

 

「あ、あぁ…沸かしてあるから入りなよ」

「…………………………」

 

むーーーーっと目を細めるしずく。

………え…っと…なんか間違ったこと言ったかな…。

 

「…これじゃあ…意味が通じませんでした…?///」

「…えっと…間違ってたら…ごめん……一緒に…入りたいって…こと?」

「…ダメ、ですか…?///」

 

「……だ、ダメじゃない…むしろ…めちゃくちゃ嬉し…って、違う違う!!」

「…ふふっ、先に…入っててくださいね…///」

 

そう言うとしずくは持ってきた荷物が置いてる部屋に行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザーーーーーっと気持ちがいい温度のシャワーを浴びながら…俺は湯船に腰掛けていた。

 

(落ち着け…相手は高校生になりたての…なり、たての…)

とは思いつつも…やっぱり年頃の男。

そんなこと考えるなと言うのも無理な話である。

 

「そ、そうだ!しりとりでもして気を紛らわせて…!

えっと…しりとり…りんご…ゴリラ…ランチ…」

 

「峻くん…?

入りますよ…っ///」

「な、なああああっ!?

あ、う、うん!?」

考えも虚しく、風呂場のドアが開く。

 

「…お待たせ…しました…」

しずくがタオル………では無く…?

 

「…う、う……ん?…水着…?」

「さすがに…恥ずかしいので…///」

「…あ…そ、それもそうだよな!」

少しでも期待した俺を今すぐひっぱたきたい…。

 

「峻くんっ、私が背中を流しますね!♪」

「(ここで断ったらまた拗ねるよな…)…お、お願い…します…」

「はいっ♪

…峻くんって…や、っぱり…背中…大きいですね…♪」

「そう、かなぁ…」

 

やはり、女の子が洗うからか力を込めてスポンジを動かすしずく。

時々色々な感触がするが…俺は気にしないようにしていた。

 

「…し、しずくって…かすみや璃奈ちゃんと話す時は…敬語じゃないよな…」

「そ、そうですけど…どうしたんですか、急に…?」

 

「…いや、敬語じゃないしずくって…なんか新鮮だなって…」

「そ、そんなこと…っ!…ない、もん…///」

「…今のは…狙ってやった?」

「違う…もん…その方が…峻くんが喜ぶかなって…///」

「……ごめん、やっぱり限界だった」

 

 

そう言うと俺は振り返りしずくの唇を奪った。

「んっ…、んんんっ…!?///」

突然の出来事に身動きが取れないしずく。

もはや水着姿が丸見えだが、それどころでは無い。

 

「…ごめん、家に来た時から…こんな展開になるのを期待してた」

「峻…先輩…///」

「…ただ、そのまま俺の胸の内に留めておこうと思ってたけど…無理だった」

 

「…先輩の好きなようにして…いいですよ…///」

「…しずく…」

「ただ…1つお願いがあります…っ///」

「………………え?」

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

風呂上がり、部屋着に着替えて…俺のベットにいるのは…もちろん、俺と…。

腕枕をされてる…しずく。

 

 

「一緒に寝たいって言うのは…何となく予想つくけど…腕枕って…」

「…ちょっとだけ…憧れてたんです…///」

「ピュアだな、しずくは」

 

頭を撫でると嬉しそうに密着してくるしずく。

「はぁ…先輩とずっとこうしていたいのに…」

「あはは、明日は学校だもんな」

「むぅ…///

でも…朝起きたら…先輩の顔が見れるなんて…嬉しいです…///」

 

「寝起き悪いから許してな」

「あんまり起こしても起きなかったらイタズラしちゃいます…♪」

「…えっ?」

「なんでもありませんっ♪

先輩、おやすみなさい♪」

「ああ、待ったしずく」

「……はい?」

 

 

こちらを見つめたしずくの唇をもう一度塞ぐ。

「んっ…///」

「おやすみのキス…嫌だったか?」

「逆です…寝れなくなっちゃいますよ…///」

「あはは、寝不足になったら俺のせいかもな」

「も、もうっ…!

からかわないでくださいっ!///」

 

と言いつつも…しずくの顔は幸せそうな顔そのものだった。




ん、R17.9?
気のせいさ!あとは読者様の想像におまかせするぜ!



【次回予告!】

「生徒会に殴り込み?一体誰なんだ?」
せつ菜「な、何でも1年生の生徒らしくて…」
かすみ「あっ、かすみんも知ってます!正直、変わった子だなって思いました…!」

果林「一寸先は闇…って、所かしら?」
「まぁ、俺らには関係が…」
しずく「ない、とも言いきれませんよ…」
「………えっ?」


次回: 1年生と生徒会と八重歯と同好会


「…ところで、なんでアニメ風の予告の仕方なんだ?」
歩夢「作者さんのネタ不足だよ、峻くん♪」


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宮下愛 誕生日 特別編!

今日中に投稿!
これからはちゃんと誕生日編も投稿しないとな…。


「やっほー、しゅんしゅん~!♪」

 

とある休みの日…俺は愛に誘われてお台場にやってきた。

「おっす、待った?」

「ううんっ、今来たとこ~♪」

 

にししと笑うと愛は腕に抱き着いてきた。

「じゃあ、早速行こっか!♪」

「行くついでにだけど…どこに行くか教えて?」

「ん、言ってなかったっけ?…今日のしゅんしゅんは愛さんのお出かけに付き合うのだ!♪」

「…つまり…デートってこと?」

 

「えっ、ぁ…ま、まぁっ、そういう事になる…かな…?///」

「…楽しみだな、愛とのデート」

 

「も、もーっ、早く行こ!」

顔を赤くしながら慌てて目的地に向かう愛だった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

「そーいえばさ?」

「ん?」

 

電車に乗ってる時、愛が話し始めた。

 

「しゅんしゅんって、宮之原って言う苗字だよね?」

「うん、そうだよ」

「で、愛さんも宮下って言うから…2人のイニシャルがMで一緒だな~って思ってさ~♪」

 

「宮之原 峻…MS…宮下愛…MA…ちょっと惜しいけどね」

「…って…ことは、だけどさ…///」

「…ん???」

 

「愛さんが…仮に…仮にだよ?…しゅんしゅんと…結婚したら…イニシャル変わらないねって…///」

「…あ、あぁ…そうだな…」

 

そう答えると愛は小さく宮之原 愛…と呟いてニヤニヤしたり恥ずかしがったり繰り返していた。

 

「…じゃあ…なんかお揃いの物欲しいな」

「えっ!?…あっ…うんっ、欲しい!♪」

 

「じゃあ~…無難にペンダントとか?」

「あ、それなら愛さんは~─────」

 

こんな話をしていると、直ぐに目的地に着いた。

それまでの間…気がつけば俺と愛は手を握っていた。

でも、お互い…意識することも無く…むしろそれが普段通りかのように…。

 

 

 

────────────────

 

 

「…まぁ、だいたいどこに行くかは予想がついてたけど…」

「まっ、渋谷や原宿は愛さんの庭みたいなもんだからね~♪」

 

「…俺には程遠い場所だよ~…」

「え~?…しゅんしゅんスタイルいいし…着飾ればもっとかっこよくなると思うけど…」

 

「そ、そんな褒めすぎだって…」

「そうだ!愛さんがコーディネートしてあげよう~♪

コーディネートは、こーでねーとってね~♪」

 

「え、ちょ、愛?!」

有無を言う前に愛がファッションショップに連れていく。

俺はただただ、されるがまま着いていくしか無かった。

 

(こ、こういう時の愛って積極的だよな…っ)

「うーん、しゅんしゅんって足意外と長いんだね~…」

「…そ、そうかな…確かにそんな気はするけど…」

 

「なら~…これと~…うーん、あっちかなぁ~…?」

愛がうんうんと悩んでる中…俺もとある服に目がいった。

 

女物の服だけど…何故だろう、言い表せないけど…愛に凄く似合う気がした。

 

 

「よし、決まった!……って、しゅんしゅん~っ?」

「あ、ごめんごめん…」

 

「どこ行ってたのさ~?」

「…うん、これ、さ…愛にすごく似合うな~って」

「…え、えええ…これぇ~…?///」

 

自分が着るのを想像すると恥ずかしそうに頬を掻く愛。

「…その、さ…俺がプレゼント…するから…今度良かったら着てみてよ」

「い、いいって、そんな…!///」

 

「その…誕生日…プレゼントってことで…」

「えっ…愛さんの誕生日知ってたの?!」

「うん、璃奈ちゃんから聞いたよ…それに…この服きて…また愛と…デートしたいし…」

 

「…しゅんしゅん……///」

 

結局、服屋を出る時は愛が俺に似合うと選んでくれた服を俺が持ち…愛に似合うと思って選んだ服を抱きかかえていた。

 

「…峻…っ!///」

「…っ……愛…?」

 

突然名前で呼ばれて俺もビクってしてしまった。

 

「…その…今日は…すっごく楽しかった…///

良かったら…また…一緒に…デート…して…?///」

「…おうっ、約束だぞ!」

 

お互い笑いあって次のデートの約束をした。

次のお出かけプランも考えておかないとな…。




今回のスクスタフェスのガチャで愛さん良いんじゃね…?と思い始めたA×Kです。

愛さんお誕生日おめでとう!!


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50話

ついに来ました!あの子が…出る…!


「……おはようございます、先輩っ♪」

「…うぅん…まだあと…5分…の…5回リピート…」

 

「…ふふっ、ほんとに可愛い寝顔…♪」

「…ん…んんっ…あれ…しずく…っ?」

 

眠い目を擦ると…そこにはしずくがいた。

 

「おはようございます、先輩♪」

「…ぁ…おはよう…しずく…」

「…ふふっ、可愛い先輩の寝顔見ちゃいました♪」

 

「…許すかーーーっ!」

そのまましずくをこちらに寄せ、抱きしめる。

「ひゃん!!…せ、先輩…っ…?///」

「このまま…しずくを…」

 

「だ、だめですっ…歩夢さんが…来ちゃいますよっ…///」

「…冷静だな、しずくは」

「…んもう…これで我慢してくださいね…?///」

 

そう言うとしずくは軽くキスをした。

「私、今日は日直なので…先に、行きますね…?///」

「夕方、荷物もって帰るんだろ?」

「はい、少々寂しいのですが…」

「また来いよ」

「…はいっ♪」

 

そう言うとしずくは制服に着替えて家を後にした。

 

 

 

────────────────

 

 

「おはよ、峻くんっ♪」

「おはよ、歩夢」

横に並んで登校する歩夢。

もうこの光景も見慣れてきた。

 

「…えへへっ…♪」

「ご機嫌そうだね」

「だって、峻くんがパスケース出す度に嬉しくなっちゃって♪」

 

確かに、俺と歩夢はお揃いのパスケースを買った。

…やはり、女の子はそういうのの方が嬉しいのだろうか?

 

「大事に使うさ、例え高校を卒業してもな」

「峻くん…///」

 

「おはようございます~!!」

「わわっ!」

「朝から元気だな~…菜々」

「はいっ、一日の始まりは元気な挨拶からですよ!!」

 

「…ふふっ、ホントに同じ人物だと思えないよね♪」

「なっ、あ、歩夢さんっ、そこは触れてはダメですよ!!」

「…まぁ、事実そうだしなぁ…」

「しゅ、峻さんまで~…っ!」

 

こうして、3人で話に花を咲かせながら虹ヶ咲学園まで向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、また部活で♪」

「うん、またね菜々ちゃん♪」

 

そう言って、菜々が自分のクラスに入っていた。

「さ、俺らも向かおうぜ?」

「そうだねっ……あれっ…?」

歩夢が視線を下に落とす。

…生徒手帳?

 

 

「…って、菜々のじゃんか…仕方ない、ちょっと届けて……」

キーンコーンカーンコーン。

 

 

「…予鈴のチャイムも鳴っちゃったし…後ででも大丈夫なんじゃない?」

「それもそうだな…とりあえずメッセージ入れておいて…」

 

 

すぐに返信が来た。

【うわあああ、すいません!お昼休みでも部活の時でもいいので渡してくれると助かりますっ】

 

(じゃあ、昼飯食った後にでも…届けに行くか)

こうして、俺は昼休みに生徒会室に向かうのであった。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【昼休み】

 

 

「えーーっと、菜々会長~居ますか~?」

中から返事がした。

…昼休みまで生徒会の仕事をするなんてほんとに頑張り屋さん、だよな…。

 

「ごめんね、仕事中に」

「いえっ、今日は仕事ではなくて…」

ちらっと机を見ると…スマホゲームを開きながらアニメの本を読んでいた。

 

「はははっ、相変らずだな!」

「ゆ、唯一の楽しみなんですよ~!

今日は他の生徒会メンバーも居ないので…」

 

「ま、それが菜々のいい所だもんな…じゃあ俺も少し横でお供させてもらおうかな?」

「はいっ、もちろんですっ!♪

あ、この本はですね────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菜々会長のアニメやゲームの話し相手になっていたら…気がついたら午後の授業が始まる直前だった。

 

「っと、話し込んでしまいましたね…すいません」

「ううん、大丈夫だよ…じゃあ、俺は教室に戻るね?」

「私も片付けたら戻りますねっ」

「おうっ、また放課後な!」

 

そう言って、生徒会室のドアを開けると…。

 

 

「………………………………」

「…………………?」

1人の女の子が立っていた。

…しかし、目つきはどこか鋭く…まるで警戒心の塊のようだった。

 

(……とりあえず、俺に用があるって感じじゃなさそうだな…)

俺は気にせず、その場を後にした。

 

 

「…あの人は…確か、スクールアイドル同好会の……」

彼女はその姿をずっと目で追っていた。

 

 

────────────────

 

【そして放課後】

 

 

 

「あれ、せつ菜はまだ来てないのかしら?」

「急遽生徒会の仕事が1件入ったからそれ終わらせてくるってさ」

「むむむ…いつも思いますが…せつ菜先輩は凄いですね…

生徒会のお仕事をしながらスクールアイドルをこなすなんて…可愛さナンバーワンのかすみんでも、さすがにそのハードなスケジュールはこなせません…」

 

「まぁ、本人が大好きでやってる事だからな…それが活力になってるんだろ」

「確かに…私も、演劇のことなら例え多忙でも頑張ろうって思えます!」

「凄い…見習わなくちゃ…璃奈ちゃんボード…''むむむ''」

 

 

その時、扉が開く音がした。

 

「あっ、せっつー、おっつー!」

「…えっと~…愛ちゃん、今のは…ダジャレ~…?」

「待ってたよ、せつ菜ちゃん♪」

 

「お、遅くなってすいません!」

「いいよ、大丈夫

…さて、今日も練習────────」

 

しかし、その直後…思わぬ来客がもう1人やってきた。

 

 

「失礼します」

「「「…???」」」

 

みんなが頭に?を浮かべながら来客者を見る。

…あれ、この子…さっきの…。

 

「こちらに中川会長がはいるのが見えたのですが」

 

その言葉を聞いた直後みんな取り乱す。

「え、えええっ~し、知らないなぁ~っ???」

「あ、愛さんっ、ダジャレが出てませんよ!」

 

「か、会長なら…すぐに出たわよ!」

「いえ、どう見ても…会長、貴方ですよね」

 

なんの疑いもなく、せつ菜を見る…女の子。

 

「ち、違うよ、この子はせつ菜ちゃんだよ!」

「そうそう~全然似てないよ~…?」

 

みんなが必死にフォローするが…それを辞めさせたのは…あろう事か、せつ菜本人だった。

 

「皆さん、ありがとうございます…ですが、大丈夫です

…はい、そうです…私が…中川 菜々です」

「………あっ…あの子…っ!」

 

かすみが何か思い出したように声を上げた。

「知ってるのか?」

「三船栞子!」

「…後輩だったのか」

 

「はぁ、まぁ…会長がスクールアイドルをやってるなど…私にとっては至極どうでもいいことなので他言など致しません」

 

…む、少し癪に障る言い方をするな。

 

「ですが、これだけは言わせてください

中川会長、貴方はスクールアイドルの活動のせいで生徒会長としての威厳が損なわれてと思います」

 

はっきりと言い捨てた…三船という後輩。

 

「つきましては、私が生徒会長に立候補します

…そして、就任した暁には…スクールアイドル同好会を廃部します!」

 

 

 

 

「…は?」

「「「「ええええ~!?」」」」

 

 

 

事態が飲み込めない俺と、スクールアイドル同好会のメンバーの悲鳴だけが木霊した。

 




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【次回予告!】

かすみ「廃部なんて、かすみん嫌ですよ!」
果林「そもそも、あの子はなんでそこまでスクールアイドルを毛嫌いしてのかしらね?」

歩夢「どうしよう…峻くん…」
「このまま泣き寝入りなんかしてたまるかよ、どうにかしてやるから安心しろ」

せつ菜「…どうしよう…このままじゃ……」

【次回:せつ菜の葛藤】


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51話

今回イベントの曜ちゃんとせつ菜ちゃん。
秒でゲットしました。

2人とも可愛すぎて、仕事帰りの電車の中で変な声が出そうになりました、やばいですね!☆

投票がかなり接戦になってます…!
みなさん、ありがとうございます!引き続きよろしくお願いします!

今回からカッコの前に名前を入れて分かりやすくします!
タグに台本形式とか入れた方がええでって方はコメントください!



「おーい、そこの男子!廊下は走るなー」

 

【あ、す、すいませんっ!】

「…ったく、注意してもキリがないな…」

菜々(せつ菜)「………………………」

 

俺と菜々は校内の見回りを行っていた。

…と言っても俺は菜々の付き添いでやってる、けど。

 

(…どうも、せつ菜がこんな姿のままじゃな…)

 

それは、遡ること…数日前。

 

 

────────────────

 

栞子「スクールアイドル同好会を…廃部します」

 

「「「ええぇ~ー!?!!?!」」」

「…待て、納得がいかねぇ」

栞子「そもそも、こんな同好会をやってるよりも、各々伸ばせる個性があると思います」

 

「……つまりは何だ?適性で全て物事を決めようって言うのか?」

栞子「それが皆さんのためです、合わない部活動をするよりもよっぽど良いかと…それに、宮之原 峻さん

あなたも、あんなに運動神経がいいのに…なぜ運動部に入らないのですか?」

 

「…はっ、愚問だな…聞いてて欠伸が出そうだ」

ズカズカと三船 栞子という1年生の女の子に近づく俺。

怯えた表情でしずくの影に自分の姿を潜めるかすみ。

 

「…俺がやりたいからやってるんだ、アンタにどれがいいこれがいいなんて言われる筋合いは…ない

…分かったなら部室から出ろ」

 

至近距離でそう言葉を吐くと、三船栞子はため息をついて部室を後にした。

栞子「いつか分かりますよ、生徒会長の再選挙を含めて…ね…」

 

 

 

 

 

 

【次の日】

 

 

愛「ねぇねぇ!生徒会長の再選挙の告示見た!?」

かすみ「かすみん達も今見てます~!」

 

果林「あの子…仕事相当早いわね…」

彼方「手加減なしって感じだね~…」

 

せつ菜「…すいません、皆さん…私の騒ぎに巻き込んでしまって…」

「…いや、せつ菜は悪くねぇよ…悪い、少し席を外す」

 

 

 

そう言うと、峻は部室を出てしまった。

 

しずく「…峻さん…怒ってましたね」

歩夢「あんな峻くん…初めて見た…」

エマ「あんなことがあったから、無理はないよね…」

 

璃奈「それも、ある……けど……」

歩夢「けど…?」

 

かすみ「聞くところによると、三船栞子の賛成派も結構いるみたいで…」

しずく「実際に、助言されて部活動を変えて頭角を表す生徒もいるみたいで…」

 

果林「…峻のことだから…焦ってなければいいのだけど…」

せつ菜「……………………」

愛「…あれっ?…せっつー?」

 

せつ菜「…あっ…ご、ごめんなさいっ!…とりあえず…生徒会の皆さんにも説明しに行かなきゃいけないので…」

 

そう言うとせつ菜も着替えを持って部室を後にした。

 

 

エマ「…大丈夫…かな…」

果林「見てるのも辛いけど…私たちにはどうしようも…」

しずく「…峻さん…せつ菜先輩…」

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

【屋上】

 

 

【スクールアイドル同好会を廃部します】

 

「……くそっ!!!」

殴ったところで何も始まらないが、むしゃくしゃする気持ちを抑えられず、金網を殴る。

 

「……どうすりゃ、いいんだ…」

せつ菜「…峻さん…」

 

「せつ菜っ…!!」

せつ菜「…ごめんなさい、私のせいで…」

「…お前は…何も悪くない、大丈夫だ…俺が何とか…」

 

せつ菜を何も言わずに抱きしめる。

気がつくと利き手の甲からは血が流れていた。

 

せつ菜「…ありがとう、ございます…」

どうしたらいいのか分からないのはせつ菜も同じだ。

…せめて、こうやって励ましてあげるくらいしか、今は…。

 

せつ菜「…でも、ごめんなさい…もうダメかもしれません…」

「…どういう事だ?」

 

せつ菜「生徒会長の再選挙もそうですが……スクールアイドル活動をやってるのが……親にバレちゃいました…」

 

 

 

 

 

 

「……えっ…………………………」

 

 

 




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推薦も欲しい!!(ヨクバリス)



【次回予告!】

エマ「せつ菜ちゃんがスクールアイドル同好会と生徒会長をやめちゃう!?」
かすみ「そんな、悲しいですよ…せつ菜先輩!」

歩夢「峻くん、どうしたら……?!」
「…どうにかする、必ず…」




【次回 負のスパイラル】


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52話

今日初めてAqoursのライブ映像を動画で見ました。
映画の時もそうでしたが、まさか泣くとは思いませんでした…。

再度Aqours、そしてラブライブが素晴らしい作品だと実感しました。

そんなこんなで始まります。


千歌「おまたせっ、峻くん!」

「…あぁ、悪い…Aqoursのメンバー総出で呼んじゃって」

 

ダイヤ「どうしたのですか?…いつものように顔に覇気がありませんわよ?」

「…それは…」

果南「待った、μ'sのみんなや虹ヶ咲学園のみんなが来てから話始めよう?…なんか只事じゃ無さそうだし…」

 

「…ありがとう、果南…さん」

いたたまれなくなった俺は…どうすることも出来ず、Aqoursとμ'sのみんなに話を聞いてもらおうと呼び出した。

 

千歌「…じゃ、じゃあ…!これだけ言わせて!」

「…っ…千歌…ちゃん?」

 

そう言うと真っ直ぐ俺を見つめる千歌。

千歌「…そんな姿…峻くんらしく…ない、よ?

千歌にはこれくらいしか出来ないけど…峻くんの事が心配だから…っ!」

「…ありがとう、千歌ちゃん」

ぎゅっと包んでくれた手を俺は目を細めながら見つめた。

 

曜「そうそうっ、峻くんは峻くんだもん!」

鞠莉「心配ならマリーがハグしてあげるわよ~?♪」

善子「よ、ヨハネのリトルデーモンに手を出さないの~!」

 

花丸(…峻さんは気がついてないけど…今この時間は…まるで悠さんの時みたいな感覚がする、ずらよ…)

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

穂乃果「生徒会長の再選挙~!?」

海未「一体、どうしてまた…」

ダイヤ「普通、再選挙など無いはずなのですが…」

 

絵里「何かあったのかしら?」

せつ菜「…実は………」

 

 

せつ菜は三船栞子が売ってきた喧嘩とその人物像…そしてスクールアイドル同好会が廃部するかもしれないという事を伝えた。

 

凛「は、廃部なんてあんまりだにゃ~!」

にこ「何か心当たりはあるのかしら?」

「それが全く分かんねぇんだよ…」

 

ガックリと肩を落とす俺に手を掛けてくれる曜とことりさん。

 

果南「なるほどね、それでみんな元気がないってことね…」

希「…ね、絵里ち?」

絵里「そうね、微力ながら私達も協力するわ」

 

璃奈「でも、相手は…強敵…」

かすみ「八方塞がりなんですよ~!」

 

穂乃果「…千歌ちゃん」

千歌「うん、私も同じ考えだよ…穂乃果ちゃん」

 

千歌&穂乃果「峻くんなら大丈夫!!」

「…っ…いや、俺は…」

 

ダイヤ「そうですわね、同感ですわ♪」

ことり「だから、そんなに暗い顔しないで♪」

 

「……………………………」

…確かに…俺がこんな状態じゃ…ダメ、だよな。

…ええい、らしくねぇ!

 

 

「……よしっ!吹っ切れた!!」

海未「その意気ですっ♪」

梨子「いつもの峻くんに戻ったみたいね♪」

 

「…あー…とは言え、問題はそれ以外にもあったんだった…」

 

「「「「「え???」」」」」

せつ菜「……実は、スクールアイドルをしてるのを…親に秘密にしてて…今回、それがバレてしまって…」

ダイヤ「…秘密にする理由がありまして?」

せつ菜「………その……」

 

 

今度はせつ菜のスクールアイドル活動についての説明を始めた。

ダイヤ「親御さんのお気持ちも分かります、が…それは容認してもいいと思いますが…」

真姫「今どき、珍しいわね」

鞠莉「んもう、マリーならスクールアイドルは遊びじゃないって言っちゃうわ~っ」

 

にこ「にこだったらとてもじゃないけど…耐えきれないわね…」

絵里「せつ菜ならしっかりオンとオフを切り替えることが出来ると思うのだけど…」

せつ菜「私も、どうしたらいいのか分からなくて…」

 

穂乃果「そうだ!!!!」

千歌「わ、わわわぁっ!…穂乃果ちゃん、どうしたの…!?」

穂乃果「えっとね、千歌ちゃん…ちょっと耳を貸して…?」

千歌「ふむふむ……おおっ……えええっ!?」

 

何やらとんでもないことでも言ったのだろうか…千歌が凄く驚いた表情をした。

そして、その答えを待ちわびている他のメンバー。

 

穂乃果「今度スクールアイドルフェスティバルやるでしょ?」

「…ああ、Aqoursとμ'sのみんなが出るってやつ…」

 

穂乃果「そこに、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会も出てもらおうよ!」

「……………………………」

 

 

………ん?

…………んんん???

 

 

穂乃果「そこで、せつ菜ちゃんのご両親にライブを見てもらって、納得をしてもら────────」

 

 

「「「ええええええ!?!?!?」」」

 

叫んだのは、かすみとせつ菜。

俺も叫びそうになったが…ぐっと堪えた。

 

「いやいや…そんな…急には無理だろ…」

穂乃果「そこはどうにかする!でもそれくらいしかないよ!」

千歌「私も賛成!せっかくスクールアイドルしてるのに…もったいないよ!」

せつ菜「千歌さん…穂乃果さん…」

 

「…はぁ、やっぱりぶっ飛んでるな…あの二人は…」

穂乃果「えへへっ♪」

千歌「それほどでも~♪」

 

「褒めてないけど…頼むよ、2人とも」

穂乃果「うんっ!…あ、でも…峻くんも手伝ってよ?」

千歌「そうそう!3組のスクールアイドルのリーダーとしてっ♪」

「…は?」

 

千歌「はい、異論ない人ー!!」

 

そう言うとみんなが手を挙げた。

千歌「じゃあ、決定ね!♪」

「…あ、あはは…足でまといにならないように頑張るよ…」

 

 

こうして、スクールアイドルフェスティバルに虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が出るという形でせつ菜の親への説得は話が進められた。

 

三船栞子のことについては…もう少し情報や時間を要すると答えが出せないまま話が終わってしまった。

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

【その帰り】

 

 

 

 

「…すぐ帰らなくて…良かったのか?」

曜「うんっ、まだ大丈夫だよ♪」

 

俺は曜と居た。

ほかのメンバーはまだカラオケ行ったり遊びに行ったりしていた。

 

俺は曜からのリクエストで…お台場の観覧車に向かっていた。

 

「それにしても、観覧車に乗りたいなんて…急にどうした?」

曜「あっはは…沼津じゃ乗れないからね…それに…」

「…?」

 

曜「峻くんと一緒に乗りたかったから…じゃ…ダメ、かな…?///」

「…曜…」

 

 

その時、俺の中で…何か…崩れそうな気がした。

────もう、この子には……曜には打ち明けてもいいかな、と。

 

────いや、ダメだ…そんなことしたら…。

────でも、伝えたい……この子にだけは…。

 

 

 

「……あの、さっ!!!」

曜「……?……観覧車、乗るよ…?」

 

「………あぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【観覧車の中】

 

 

曜「うわぁ~、たか~い!♪」

「………………………」

 

 

曜「…ん、峻くん…?

もしかして、高いところとか…ダメだった?」

「…んっ?…あぁ、大丈夫だよ

喜んでもらえてよかったよ」

 

曜「…峻くん…?」

「…なぁ、曜ちゃん…」

曜「…う、うん…?」

 

ついに俺は抑えきれなくなった。

枷が外れた俺の口から次々と言葉が出てくる。

 

 

「…もし、だよ?これはホントにもしもの話…

俺が…曜と会ったとこがあって…Aqoursのみんなとも…ライブを一緒にやったことがあるって言ったら…どうする?」

曜「………っ……あっはは!ないない!

だって、浦の星は女の子しか居ないし!」

 

「っ……曜は俺の事を好きって言ってくれたんだよ…っ!」

焦るように曜の手を握る。

 

 

曜「……ぁ…………………」

突然の出来事に固まる曜。

しまった…これじゃ虚言を言ってる男にしか見えない…。

こんな個室じゃ恐怖でしかない…。

 

今すぐ手を離さなきゃ…と、思った時だった。

 

曜「…………''悠''くん………?」

「…っ…曜…!?」

聞き間違えるわけが無い。

曜が…確かに、悠と言った。

 

曜「……ぁ……悠…く、んっ…なんで…っ!!」

手を握り返して…ボロボロと泣き始めた曜。

「…ごめん、俺も何が何だか…」

曜「ぁ…悠くん、だ……ほんとに…悠くんだ……!!」

嬉しくなったのか曜が躊躇わず抱きついてきた。

 

曜「会いたかったよ……っ…悠くん…!!」

…花丸と、同じ状態になった…のか?

 

「…全部分かったのか?」

曜「…うん…悠くんが…手を握ってくれた瞬間…記憶が…すごい勢いで流れてきて…」

「…そっか」

曜「…でも、悠くんは…病室で眠ったままじゃ…」

「…俺もどうしてこうなったのか分からない…けど…

見た目は…宮之原 峻って男で…中身が…冴木 悠って事になってて…」

 

曜「今すぐ…千歌ちゃんたちに言わなきゃ!」

「ま、待って!!…気持ちは嬉しいけど…

曜みたいに思い出してくれるとは限らないし…それに…あまり大事にしたくない…」

 

曜「…悠くん…」

「ごめん、曜…俺のわがままだ…このままの状態にしておいてくれないか…?」

曜「…わかった、悠くんには…悠くんなりの考えがあるんだね」

「…ありがとう、曜」

曜「でも、約束してね?…絶対、悠くんとして…目を覚ましてね…千歌ちゃんも…待ってるから」

「…ああ、約束するよ…曜」

 

 

 

 

この時、俺と曜は2人きりの時は…昔のように呼び合おうと二人で決めたのだった。




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53話

自分が撮った沼津の写真やてくてくAqoursを見てるとホントにラブライブっていいなって思います。

ラブライブという作品に出会えたことに奇跡と感謝をしていきたいと思います…!!

と、いうモチベーションを持ちながら6連勤頑張ってます
( ´ཫ` )


「…あれ、せつ菜は?」

 

しずく「あ、今休憩って言って屋上に行きましたよ?」

果林「と言っても…あの様子だと、休憩もままならないと思うけど…」

 

エマ「やっぱり、あのことが気になるのかな…」

歩夢「再選挙の動きが凄く活発になってるからね…特に三船さん…」

 

「休み時間には同学年の生徒に話しかけてるって言うしなぁ…」

かすみ「じゃじゃ~ん!かすみん探偵の登場ですよ~っ!♪」

 

どこからか持ち込んだ手帳と虫眼鏡を持ったかすみが来た。

「…また変なこと始めてるし…」

 

かすみ「かすみんの情報によりますと~…」

しずく「結構、三船さんの賛成派はいるようで…実際、演劇部に来た放送部の子が居まして…確かに、頭角を現してまして…」

「…演劇部的にそれはどうなの?」

しずく「演劇が良くなると思う反面…確かに驚きは多いですね…」

愛「愛さんもテニス部の子にダブルスからシングルに転向した子がいて、最初は猛反対して…結局シングルになって良い成績を取るようになったけど…本人に聞いてみたらやっぱりまたダブルスに戻りたいって本音を言ってたけどね…」

 

「…それを2ヶ月少々でか…凄い行動力だな」

かすみ「あーん、かすみんの手柄が~っ!」

「悪い悪い、でも一生懸命動いてくれてありがとうな」

 

そう言って、かすみの頭を撫で…立ち上がる。

しずく「峻さん?」

「当の本人はどう思ってるか、ね…」

 

そう言って部室を後にした。

 

 

 

 

果林「…峻も気苦労が絶えないわね」

歩夢「…うん、無理してなきゃ…いいんだけど…」

しずく「峻さん、視野が狭くなること多いですからね…」

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

せつ菜「……………………………………」

「……やっと、見つけた…」

せつ菜「あっ……峻さん……っ」

「…って、漫画やアニメじゃ屋上は定番スポットか」

 

せつ菜「……そう、ですね…」

「…今のは笑うところなんだけど…

…まぁ、いいや…やっぱり思い詰めてるだろ?」

せつ菜「………………………」

 

せつ菜は口をキュッと結び、少し悔しそうな顔をした。

「………図星、だな」

せつ菜「…私が…絶対に、勝たないと…でないと…同好会が…っ…」

 

泣きそうな顔に変わった。

「…1人で背負い込み過ぎだ」

せつ菜「ですがっ…!」

「ですがじゃない、部長命令だ」

せつ菜「…わ、私のために…峻さんに迷惑掛けたくないんです…っ!!」

 

俺の横を通り過ぎようとするせつ菜の腕を掴む。

「…待てよ…っ!」

せつ菜「…っ…!」

少し痛かったのか、苦悶の表情を浮かべるせつ菜。

 

「……そんな寂しいこと…言うなよ…

頼られないのは……守れないのは…辛い…」

せつ菜「…峻…さん…」

抱きしめて今にも消えそうな声でそう呟いた俺。

 

「…俺はいつだってせつ菜の味方だ…

話せば…少しは楽になるし…なにか答えが見つかるかもしれない…だから…っ」

せつ菜「…ありがとう…ございます…

…じゃあ…あなたにだけ…話しても…いい、ですか…?」

「…あぁ、もちろんだ」

 

暫しの間、俺とせつ菜は屋上で抱きしめ合っていた。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

その後、連れてこられたのは…生徒会室。

 

せつ菜「…実は…生徒会長になろうって強い思いは…無かったんです」

「じゃあ…なんで生徒会長に?」

 

せつ菜「両親の影響…ですかね…

自ら先頭に立ってリーダーシップを取れる人になれ、と」

「……まぁ、確かに…学校でぱっと思いつく物って言ったら…学級委員長か生徒会長だよなぁ…」

 

せつ菜「えへへ、これで小中高とストレートで生徒会長になりました…♪」

「…じゃあ、生徒会の事務的な物は苦手?」

 

せつ菜「ああ、いえ!そんな事は!

やり甲斐もありますし、何より…両親が何も言ってこないので」

「…でも、生徒会長じゃなくなったら…」

せつ菜「今回のスクールアイドルの事もありますし…もうずっと学業に専念することになる、かと…」

 

「…それは、避けたいな…せつ菜…いや、菜々が居てこその生徒会長 補佐だからな」

せつ菜「峻さん…」

「とは言え…何か…こう、三船栞子に勝つぞってコンセプトが欲しいよなぁ……

せつ菜は、どういう学園にしていきたい?」

 

せつ菜「わ、私は…!

……ええっと、みんなが過ごしやすい学園を作りたい、ですかね…」

「…まぁ…無難だな…正直」

せつ菜「こ、これでは勝てませんよね…」

 

「…うーん、こんな時は~…」

ガサゴソと携帯を取り出す。

タップしたのはビデオ通話のアイコン。

 

「出るかな…」

せつ菜「…?」

 

ダイヤ【もしもし…峻さんですか?】

「あ、ダイヤ!…さん、こんにちは…」

ダイヤ【突然お電話してきて…どうしたのですか?】

「あ、いや…ちょっと相談事があって…」

ダイヤ【その前に…峻さんにお礼をしなくてはいけませんね

千歌さんと梨子さんの件、ありがとうございました

まさか他の学校の方に作詞と作曲をお手伝いしてもらうなんて…】

「いいのいいの、それでね…相談事が……」

 

 

 

ダイヤ【そうですか、生徒会長として……。

私の場合は、まず生徒同士で話し合いをしてもらうようにしています

生徒会が先頭に立つのも、もちろん大事ですが…

生徒の自主性を阻害してはいけませんからね】

「なるほど~…この前聞けばよかったな、それ…」

 

鞠莉【やっほ~♪】

ダイヤ【ま、鞠莉さんっ…!?】

鞠莉【困り事なら小原鞠莉にご一報~♪】

ダイヤ【ご、ごめんなさい、峻さんっ!鞠莉さんが急に…っ】

「あはは、なんだか見てると安心するので大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

絵里【あら、峻?デートのお誘いかしら?】

「…あのねぇ…」

絵里【ふふっ、冗談よ♪

後ろでふくれっ面してる子がいるからこのくらいにしておいて…】

「?」

せつ菜「…っ…//////」

急いでブンブンと首を振るせつ菜。

 

 

絵里【それで、要件は何かしら?】

「…えっと、実はな…」

 

 

 

 

 

 

絵里【生徒会長として…ねぇ…

やっぱり、小さい意見でもしっかり聞いてあげるって言うのが大事かしらね?…ほら、生徒会長って難しいイメージとか厳しいイメージあるじゃない?

だから、大きなの器で…こう、門戸を開くように…】

希【えりち~、峻くん困惑してるよ~?】

絵里【あっ、ご、ごめんなさいっ…伝わったかしら?】

 

「それはもう…ヒシヒシと…」

絵里【ふふっ、お役に立てたなら良かったわ♪】

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

「…ってな訳で…こうなったな」

ホワイトボードに言われたこと、2人して共通してる点を上げる。

 

せつ菜「もっと…生徒の意見を聞いてるってアピールが必要ですね!」

「じゃあ、意見箱の設置を増やすか?」

せつ菜「はいっ!…あっ、お手伝いしてもらっても…」

「もちろん、そのつもりだよ」

 

せつ菜「ありがとうございます…っ!

…良かった…峻さんみたいな頼れる人が近くにいてくれて…///」

「言ったろ、味方だって」

せつ菜「…峻さん…///」

「…せつ菜…」

 

しかし、見つめるだけで何事もなく終わった。

せつ菜「…この続きは…また、後で…///」

「……う、うん…楽しみにしてる…?」

 

最後が疑問形になり、2人で笑い合うのだった。




無敵級!!
かすみん!!!

……ごほん、楽しみですね。

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54話

挿絵が欲しい…!と思うA×Kさんですが、画力がありません。いい天気ですね←

誰か曜ちゃんとせつ菜ちゃんから迫られるイラスト…書いて…ください(吐血)

というか表紙や応援イラストがあったらガチの本になりそうな気がする…。


「お疲れ~…って、愛と璃奈ちゃん…何してるの?」

 

愛「あ、しゅんしゅん!今ね、せっつーの再選挙のポスター作ってるとこ~♪」

璃奈「上手く…出来たかな…?」

 

「みんなで作ろう…みんなの学園…か、いいね

せつ菜ならそう言うと思うよ、きっと」

 

かすみ「大変大変~っ!新情報です~っ!」

果林「今度は何かしら?…もうお嬢様で成績優秀で運動神経抜群なのは分かったけど…」

かすみ「それに上乗せして茶道や華道も一流でコンクールでも優勝するくらいで…まさに完璧人間ですよ!」

 

エマ「これはファンが出来るのも納得だよね~」

「…完璧っていうのも…人として味気ないと思うけどな…俺は…」

 

せつ菜「すいません…遅くなりました…っ!」

「あ、せつ菜……って、凄い疲れた顔してるじゃん…どうしたんだよ…?」

歩夢「そこで会ったんだけどね、お昼休みとかに…三船さんみたいにアドバイスをしたり、話を聞いて回ったりしたんだって」

せつ菜「ですが…上手くいかなくて、逆に困り顔をされたり…」

 

「焦るなよ、せつ菜にはせつ菜なりのやり方があるよ

…何もアイツに合わせる必要は無いよ」

 

せつ菜「…はい…」

歩夢「せつ菜ちゃん、大丈夫だよっ

μ'sやAqoursのみんなも応援してくれてるだし!」

「……ほんと献身的で頭が下がるよなぁ…」

 

特に絵里とかはほぼ毎日状況を知りたいと連絡をくれる。

穂乃果とことりは差し入れ持ってくれるし

千歌や曜、ダイヤも色々考えてくれて…これはどうかとかメッセージをくれるし。

 

しずく「そう言えば…スクールアイドルフェスティバルの件でμ'sやAqoursの皆さんが集まりたいと言ってたのでは…?」

「……あ、いけね…」

 

─────すっかり忘れてた。

同時進行のような形でせつ菜の両親を説得しなくちゃいけないんだった。

 

(過密スケジュールだな…少し気合いを入れ直さないと…)

生徒会の資料をまとめて、待ち合わせ場所に向かう俺たちだった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

穂乃果「あっ、まっふぇたよ~っ!…モグモグ…」

海未「こらっ、穂乃果…っ!!」

 

着くなり…穂乃果がハンバーガーを頬張っていた。

「…えっと…お待たせ…?」

穂乃果「大丈夫大丈夫~っ♪

新作のバーガー食べてたから~っ!♪」

海未「すいません、お行儀の悪い子で……穂乃果っ?そんな食べてばかりいると…また太りますよ?」

穂乃果「…はっっっっっ!!!!!」

 

しまった、という顔のまま凍りついた穂乃果。

…過去に経験でもあるのだろうか。

 

千歌「さてさて~、じゃあ始めようか~?」

ダイヤ「えぇ、まずはこちらの表を虹ヶ咲学園の皆さんにお渡ししておきますわ」

 

そう言って渡された10枚の紙。

 

「……音響、駅前・ネットでの告知…それに衣装や舞台の配置って…どんだけな量の作業量だよ…っ!?」

ダイヤ「皆さんで手分けしてやればそれほどではありませんわ、それに今回が初めてって訳ではありませんので苦ではありませんよ」

「お、俺何もしてない…」

 

絵里「峻はそっちの問題片付けたらいっぱい働いてもらうから安心しなさい♪」

「…ごめんな、みんな…」

穂乃果「ふぁーふぁー、ふぁだいっふぁげついじょうふぁるし~(まぁまぁ、まだ1ヶ月以上あるし~)」

海未「ほ、穂乃果…っ…!!!!」

絵里「まぁまぁ……」

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

【次の日】

 

愛「ほいっ、いっちょあがり~♪」

かすみ「わぁ~♪可愛いです~っ♪」

 

彼方「すやぁ…」

璃奈「彼方さん、また寝てる…」

エマ「ふふっ、これは相当お疲れだね~♪」

 

歩夢「…あれ、せつ菜ちゃんは?」

「……そう言えば…まだ来てないな…またなんかあったのかな?」

 

 

部室をキョロキョロしてると扉が勢いよく開かれた。

 

せつ菜「もう無理ですー!!!我慢の……我慢の限界です!!!堪忍袋の緒が切れました……っ!!!!」

 

「「「「「「……え?」」」」」」

眉毛をピクピク動かして鬼の形相をするせつ菜。

メンバー一同初めて見る表情に戸惑いの顔を浮べる。

 

「…えっと、せつ菜…どうした?」

せつ菜「どうしたもこうしたもありません…っ!!

峻さんも聞いてくれれば分かってくれるはずです!!」

「…う、うん、聞くから…ほら、飲み物…少し落ち着いて」

せつ菜「あ、ど、どうも………ふぅ…」

 

果林「落ち着いた…かしら?」

せつ菜「はい…大丈夫です」

 

歩夢「一体…どうしたの?」

せつ菜「両親に…スクールアイドルが大好きだって事を伝えたんです。

もし、生徒会長じゃなくなってもスクールアイドル同好会を続けられると思ったので…」

「…まぁ、確かに…廃部になるのは確定じゃないからな…

それで、ご両親は?」

せつ菜「全く聞く耳すら持ってくれなくて…それどころか、習い事の量を増やしてそんなことにうつつを抜かさせないと言ってきて…!!」

 

せつ菜の言葉がヒートアップしてきた。

今なら背後から炎でも出そうな勢いだった。

 

せつ菜「両親がその気なら…私にだって譲れない想いがあります…!!!

だから…だから、家出してきてやりました!!!」

 

「……は?」

「「「「「「ええええぇえええ~っ!!??」」」」」」

 

「…本気なのか?せつ菜」

せつ菜「本気です!スクールアイドルは絶対に譲れません!」

「…仮に家を出たとして…泊まる宛ては…?」

せつ菜「…それは~…これから、決めるところで…」

 

果林「もう外は夕暮れよ…?」

せつ菜「…な、なら…部室に泊まりま…」

「却下、部長として認められません

…エマや果林の寮は…」

果林「ダメね、寮の生徒以外は宿泊禁止だし」

 

「…かすみやしずくは…」

かすみ「か、かすみんの部屋はダメです!トップシークレットなのです!!」

しずく「…あの~…先輩の家に泊めたらどうでしょう?」

 

せつ菜「…えっ…!?///」

歩夢「だ、だったらウチに来なよ!!峻くんだって隣なんだし!!///」

 

「…えっと……とどのつまり…歩夢の家ってことで…いいの、かな?」

せつ菜「よろしく…お願いします!」

歩夢「うんっ、ウチはいつでも歓迎だよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、部室の中では話が纏まったが…。

 

 

 

「…なんで二人共…ウチにいるの?」

せつ菜「2人で峻さんの家に…泊まろうって!」

歩夢「それなら間違いもない、し…///」

 

(既に間違いな選択肢だと思うんだよな~…)




次回:せつ菜と歩夢、峻の家に泊まる。

曜「ルビィちゃんと同率トップだ!♪」
ルビィ「これ…ホントになぁに?」

「まぁ、お楽しみに…ちなみにこの作品の最終話が投稿されるまでずっと募集してたりする」

千歌「ゼロ票!?みかんの刑に処す~!!!
あ、みかん、じゃなくて、みかん!だからね!?」
かすみ「ついでにコッペパンの刑にも処しますよ!?」
「…うん、落ち着いて…」


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55話

次回ガチャ、かすみちゃんですね。

出てきてもらうためにスカートめくっておきましょう。
かすみ「なんか、恒例行事になってませんっ!?!?」



せつ菜「あっ、これが峻さんですね!今と全然感じが違う…!」

歩夢「ふふっ、昔はかっこいいと言うよりも可愛いの方が似合う子だったんだよ♪」

 

「……………………………」

 

 

皆さんこんばんは、如何お過ごしでしょうか。

僕はのんびりアッサムティーを嗜んでるところです。

ところで、アッサムってなんですかね。

 

 

「って!なんで2人して卒業アルバム見てるの!」

せつ菜「せっかくなので!!!」

「そんな元気よく言われたらなんも言い返せないよ…

…というか、早く2人ともお風呂入って来なよ」

 

せつ菜「そんな!一番先は峻さんじゃないと!」

歩夢「ま、まぁまぁ!…峻くんもこう言うんだし…ね?」

せつ菜「あ、歩夢さんがそう言うなら…分かりました

峻さん、ありがとうございますっ、お先にお風呂入らせていただきます…っ!」

 

「おう、のんびり入ってこい」

 

 

……あ、決して…女の子が入った後のお風呂に入りたいとかそんなんじゃないからね?決してね?

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、と…」

せつ菜と歩夢が見ていた卒業アルバムに目を通す。

 

「…あはは、確かに…イメージとかけ離れてる、な…」

でも、見る写真見る写真…全部隣には歩夢が写ってて…。

 

「…少しの変化でも気がつくのは…納得だなぁ…」

そう思ってた時だった。

 

 

 

 

prrrrrrrrrrrrrrrrr。

────電話だ。

掛けてきたのはきっと…。

 

 

「やっぱりそうだった」

曜【へ?やっぱりって?】

「曜からかなぁって思ってたから」

曜【さっすが、悠くん!……って、今その名前で呼んで大丈夫…?】

「あぁ、大丈夫だよ…むしろ、そう呼んでもらわないと時々自分を見失いそうになるからな…」

曜【そっか!♪…で、花丸ちゃんから話は聞いたよ…

なんだが、不思議な出来事に曜も巻き込まれた気分だよ…】

「巻き込んで悪かったな…まぁ、普通ならそう思う、よな…」

曜【…でもね、今…悠がどうなっていて向こうの世界で千歌ちゃん達がどうなってるのかは…曜も花丸ちゃんも分からないんだ…

ただ、分かるのは…峻くんの中が悠くんだって事と…それを知るのが、曜と花丸ちゃんだけってこと…】

「…だよなぁ……早くどうにかしたい、けど…のんびりしてると、大変なことにもなりそう、だし…」

曜【そう、だね……】

「って、曜はなんで電話を?」

曜【悠くんの声と顔が見たかったから♪】

「…………」

曜【昔の悠くんならそんな事普通に言ってたんだよ~♪】

「…返す言葉もございません…」

曜【あっはは!お話はそんだけ!また電話するねっ♪】

「うん、ありがとうね曜」

 

 

 

 

……………………しかし、八方塞がり…か。

何かきっかけが必要…なのか…?

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

【お風呂】

 

 

せつ菜「…ほんとに良かったんでしょうか…」

歩夢「えっ…?何が…かな?」

せつ菜「峻さんにとことん頼ってしまって」

歩夢「ふふっ、そう思っちゃう気持ちは分かるけど…峻くんはそんな風に思ってないと思うよ♪」

 

せつ菜「…歩夢さんは、凄いですね…私も…もう少し…背伸び…出来たら、なぁ…」

歩夢「ご両親に反旗を翻して家出する辺り…背伸びしてると思うけど…」

せつ菜「いえ、そうではなくて…」

 

 

うかうかしてたら…峻さんが遠い存在になりそうな、気がして………………

 

とは、言えなかった。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

【1時間後】

 

 

 

「…………で、俺も風呂から上がった訳だけど…」

 

 

いや、もう突っ込まないよ?…突っ込まない…けど…。

「…なんで…2人はベットに横になってるの?」

2人で動画サイトでアニメを見ていた。

おそらく、せつ菜オススメのアニメだろう。

 

せつ菜「峻さんも見ますか!!マク〇スFですよ!マ〇ロス!!」

「良い作品だけどね、そこじゃないのよ…せつ菜」

歩夢「3人で一緒のベットで寝たいの……ダメ…?///」

「…………うっ…………わ、かった……」

 

まさかの歩夢からの上目遣いの攻撃にクラっと来てしまった。

こういう時にする顔は恋する女の子って感じなんだよな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢「…ふふっ、やっぱり3人で寝るとなると…狭い、ね…♪」

「…歩夢、言うな……気にしないフリをしてるんだから…」

せつ菜「……でも、峻さんの心臓の音…早くなってますよ…?」

「……ふ、風呂上がりだから…」

 

せつ菜「ふふっ、そういうことにしておきますね…♪

では、お二人ともおやすみなさい」

歩夢「おやすみっ、せつ菜ちゃん、峻くんっ♪」

「あ、あぁ……おやすみ」

 

 

と言って、目を閉じたが……案の定。

(寝れるわけねぇ!!!!!)

彼方から教えてもらった安眠方法を試してみるもまるで効果がない。

というか、千歌や曜と一緒に寝た時とは違う良い匂いがして、それどころじゃない(いや、そんな発言する事自体がアレだけど)

 

 

「…………………………………………………」

…このまま、起きてよう…そのうち眠く、なるだろう…。

頭の中で千歌がミカンを追いかける個数を数える事にした。

なぜ羊じゃないかって?……いや、深い意味は無いけど…。

 

 

 

 

 

せつ菜「…峻さん………起きて、ますか…?」

「……………っ……………!!!???」

 

小声で囁かれて思わず声を上げそうになる。

せつ菜「ふふっ、やっぱり起きてたんですね…っ♪

歩夢さん、は……もう寝ちゃいました、か……」

「…寝付き、良いみたいだな……………」

 

昔からそうなのかは分からないが…歩夢は静かに寝息を立てていた。

 

せつ菜「…ありがとうございます…」

「…え?」

せつ菜「……こんなに、良くしてもらって…」

「…せつ菜の為にやってることだ、遠慮なんかするなよ」

せつ菜「ですが…っ……!」

 

せつ菜と目が合う。

少し、目が潤んでるのが分かった。

 

「…怖い、のか?」

せつ菜「…っ……そんな、事…っ…」

「…せつ菜は嘘が下手だなぁ…」

せつ菜「……少し…怖い、です……」

「…ん、そっか……」

せつ菜「……ぁ……峻…さ、ん…っ…?///」

 

こちらに寄せてせつ菜のおでこの辺りにキスをする。

「怖かったら…俺の横に居ればいい

寂しかったら…俺が寂しさを無くしてやる

頼りたいって思ったら…俺がいつでも力になってやる

…だから、せつ菜…お前は俺の前では飛び切りの笑顔のままでいてくれ

悲しい顔はもう見せないでくれ」

せつ菜「…峻さん………」

「なんて、カッコつけかな?」

せつ菜「…いえ……もう…益々…峻さんから…目が離せなくなっちゃいますよ…///」

「…ん、じゃあ…約束、な?」

 

せつ菜「…はいっ…!///」

 

 

 

 

 

 

 

その後、静かに俺の胸の中で寝息を立て始めたせつ菜。

その寝顔を見て安心したのか…俺も直ぐに眠りについた。




次回:朝と寝起きと歩夢と峻!


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56話

割と本気で絵師さんに依頼をしようとお話を進めてるA×Kさんです。
挿絵っていいよね……。


ところで、かすみんのスカートをめくったら
初期の鞠莉が来ました、不思議ですね。
せつ菜「うおおおおおおお!!かすみさん!!!」
かすみ「って!!なんでせつ菜先輩までスカートを目掛けて追いかけてくるんですかー!!!」


【次の日の朝】

 

「んっ……んんんん~……朝、か…」

ここ最近の中で一番ぐっすり寝れたような気がする。

隣を見ると、せつ菜はまだ寝ている。

 

「…5時過ぎか…」

アラームは6時半にセットしておいたから…まだ早いな…。

(二度寝しよう…っと…)

 

しかし、ここで違和感に気がつく。

「…あれっ、歩夢は…?」

隣に歩夢の姿がない。

…一度、家に帰った?…それとも、御手洗か?

 

でも、すぐに答えがわかった。

「…おはよ、歩夢」

歩夢「あっ、峻くん…おはよう♪」

歩夢はベランダにいた。

 

「…随分、早いお目覚めだね」

歩夢「えへへ、なんだか…目が覚めちゃって…♪」

「二度寝…たって、俺ももう目が覚めちゃったしな…」

 

歩夢「…じゃあ……こうしようよ!!♪」

「………………???」

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

歩夢「峻くんっ、背中洗ってあげるよっ♪」

「……な、なんで朝風呂…???」

歩夢「峻くん、鏡見た?…寝癖とか凄いよ?

それに、寝汗もすごくかいてたし…」

「い、いや…そうかもしれないけど…っ

なんで2人で…なの…っ?」

 

歩夢「…………むーーー…………」

無言のシャワー攻撃を食らう。

ちなみに、歩夢はバスタオルを巻いてるので大丈夫……とは限らないだろう。

普通にバスタオルがあるとはいえ、ボディラインがくっきりと…見える時も、ある…。

 

 

歩夢「知ってるんだからねっ…しずくちゃんと、一緒だったことっ」

「え、ええええっ!?…あ、それ、はっ…」

 

────って、そりゃそうか…隣の家なんだし気が付かない方がおかしいわな。

「ご、ごめん…っ!!」

歩夢「…もう…っ…峻くんを独り占め出来ないのは分かるけど……もう少し、私にも…構って欲しい、な…」

そう言うと歩夢は思いっきり寂しそうな顔をした。

 

「…ごめん、歩夢…」

歩夢「…ふふっ、峻くんはモテモテだねっ♪」

「そ、そんなこと…っ!!!」

否定しようと振り返ったら……歩夢のバスタオルがはだけた。

 

歩夢「……ぇ……っ……?///」

「…あっ……………」

 

はらりと床に落ちるバスタオル。

────つまり上は……………。

 

歩夢「…き……きゃあああああ!!!!///」

「お、俺が悪いのか…っ!?!?」

せつ菜「歩夢さん、どうしたんで…………え、ええええっ!!!???///」

「まてまてまて!!せつ菜違う!!誤解なの!!」

 

せつ菜「あ、朝からお取り込み中すいませんでした!!!///

私、朝ごはん作ってますね!!!//////」

「そ、それはそれで待てー!!!」

 

すっかり忘れてたよ…せつ菜がもともと保健体育的な事が苦手だったってこと…最近積極的すぎて…。

あと、料理はあかん…色々と。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【昼休み】

「だあああああ………っ…」

飯を食ったが…どういう訳か、食った気がしなかった。

────と言うのも…。

 

 

歩夢「……………えっち……///」

「ま、まだそれ言うのかよ!」

かすみ「先輩?何の話ですか~♪」

「な、なんでもないよ!」

かすみ「怪しいですね……本当ですか~?」

「なんでもないよ!なんでも!!!」

 

璃奈「すごい早口……」

しずく「自白してるようなものですね…」

「ほんとになんにもなかったってば~!」

 

 

 

 

…と、言うようなやり取りが。

その度に歩夢が顔を赤くして頬を膨らましてくる。

(…トホホ、これは当分こんな調子だな…)

愛「よっ!色男は色々と大変だねぇ~♪飴食べる~?」

「…愛…うん、もらう…」

 

愛「んでんで、どうしたのさ~、お兄さん~♪」

「…色男って、どうやったら卒業出来るのかな…」

愛「うっわ、それ他の生徒が聞いたらパンチとキックのプレゼントが来るよ?」

「…だよなぁ」

愛「…ははーん、さてはスクールアイドル同好会の誰かと何かあったな~?♪」

「な、何も無いよ!?」

愛「歩夢とみた!」

「ゔ、ゔえええぇっ!!?」

 

…って、バレバレか…。

 

「…えっと…はい、そうです…」

愛「やっぱりね~、どれどれ?愛さんに話してごらんよ♪」

「…………………えっとー……………」

 

 

 

 

──…( ・8・)…(( ・8・)…((( ・8・)

 

 

 

 

 

愛「……いやぁ~…愛さんには、ちょっとハードル高すぎたわ~…///

…というか、峻…そういうのに興味あるの…?///」

 

わざとらしく……なのか、自分の体を抱きしめる愛。

…ワイシャツ姿だからか、色々と目がいく。

 

「いや、その…あれは成り行きで…」

愛「……ま、まぁ…女の子なら誰しも好きな男の子の背中を洗ってあげたいとか思わなくもないし……け、決して愛さんもしたい訳じゃない……し…///」

「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

愛「って、何言わすのさー!///」

「い、痛い痛い!!」

ばしばしと背中を叩く愛。

…やめてくれ、歩夢…視線が痛い…。

 

 




次回:特製ドリンクでテンアゲしていこ!!!


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57話

曜ちゃんが先頭!!すぐ後ろ追いかけるルビィちゃんに歩夢ちゃん!
機を伺うせつ菜ちゃん!最後方待機する彼方ちゃん!!

…って訳で投票お待ちしております。


璃奈「璃奈ちゃんボード…''コポコポ''」

「お疲れ様~って、璃奈ちゃん…それは…?」

璃奈「あっ、峻さん♪お疲れ様っ

これは璃奈ちゃん特製栄養ドリンク♪」

 

「…えっと…」

色合いからして紫色をしている…。

ところで、みんなドクターペッパーって飲める?

あれって試される清涼飲料水だよな、俺飲めないけど。

 

璃奈「峻さんの分もあるよ♪」

じゃーんと取り出す璃奈ちゃん。

…今度は…オレンジ色だった。

 

「…えっと…」

璃奈「峻さん、最近忙しそうだから、これ飲んだらすぐ元気になるよ♪」

「…あ、ありがとう」

 

ここまで言われたら飲まない訳にはいかない。

……と、決めたところまでは良かったけど…。

 

「…これ、何が入ってるの…」

璃奈「変なもの入れてないよ?全部自然の物、オールオーガニック♪」

「そ、そうなんだ…」

…凄く、匂いがキツいんだけど…。

 

「…ええい、ギュネイを呼べ!!」

璃奈「?」

 

その言葉の直後、一気に栄養ドリンクを飲み干す…が…。

「うっ……………」

強烈な味で目の前が真っ暗になった。

最後に聞こえたのは…。

 

璃奈「やっぱり、試作品じゃダメみたい…璃奈ちゃんボード…''よよよ…''」

なんて危険な子なんだ、璃奈ちゃんよ。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

彼方「お疲れ様~♪

今日の彼方ちゃん、おめめパッチリだよ~♪」

エマ「もう、彼方ちゃんっ

それはさっきまでぐっすり寝てたからでしょ~♪」

彼方「えへへ~、そうだった~♪…って、あれあれ~?

峻くん…寝てる~…?」

 

璃奈「あっ、彼方さんにエマさん…お疲れ様

…寝てる、というか…気を失ったというか…」

彼方「…んん~?…どういうこと~?」

エマ「ぐっすり寝てるような感じだけど…」

 

 

「……………………はっ………………!」

璃奈「あっ、起きた」

彼方「峻くん、おはよ~♪

二度寝するなら彼方ちゃんオススメのお昼寝スポット紹介するよ~♪」

エマ「に、二度寝はダメだよ~っ!…な、なにか飲む?」

 

 

「……………あん?」

彼方&エマ「……………えっ?」

璃奈「特製ドリンクの…副作用…璃奈ちゃんボード…''ふむふむ''」

彼方「栄養……」

エマ「ドリンク…???」

 

 

かすみ「お疲れ様でーすっ♪さぁさぁ、今日もかすみんの自分磨きが始まりますよ~!♪」

しずく「どうせ失敗するんだから…」

かすみ「あっ、なんか言った?!しず子ー!」

 

彼方「お、おたすけ~…………っ!///」

エマ「しゅ、峻くんっ…落ち着こ、ねっ!?///」

 

かすみとしずくが見た先は…2人を抱きしめてこれでもかと匂いを嗅いでる峻の姿だった。

 

しずく「…ぎ、ぎゃああああああ!峻先輩が遂にスケコマシに………っ!!!」

かすみ「えっ、ス、スケコマシ…っ???

というか、りな子!これどういう状況??!!」

璃奈「栄養ドリンクの、副作用

多分、しばらくすれば…元に戻ると思うけど…

今は眠ってた欲求が解放されてるような状態」

 

「2人の抱き心地…いいな」

エマ「く、くすぐったいよ~ぉ…///」

彼方「ちょっ、と…そこは触っちゃ…っ…///」

 

しずく「…って!これじゃただの色魔ですよ!?」

かすみ「…し、色魔……????」

 

果林「騒がしいわね~、一体なんの騒ぎ?」

愛「スクープの予感っ!」

 

 

 

 

果林&愛「……え、えええっ…?///」

今度は2人にキスをする光景が飛び込んできた。

 

彼方「ん、んんっ…!!??///」

エマ「峻くんっ…激しい、よ…っ…///」

「ごめん、キス魔だから」

 

そういえば、Aqoursのみんなと居た時からそんな風になっていたか、と分かるのは峻本人だけだった。

 

璃奈「峻さんは本能のままに動くと獣のようになる、と」

かすみ「なんで冷静にメモしてるの!!」

 

果林「こ、こらっ、峻…っ!離れなさ…いっ…!///」

「じゃあ、果林が相手してくれる?」

果林「そ、そういう事じゃ…っ…き、きゃっ…!!///」

 

抵抗虚しく、彼の体に収まる果林。

その代わりにエマと彼方が開放された。

 

彼方「た、助かった…///」

エマ「びっくりしちゃったよ~…///」

 

 

「んー…果林…また細くなった…」

果林「そ、そういうことは言わなくていいの!!///」

 

 

しずく「…り、璃奈さん…これは一体…」

璃奈「栄養ドリンクで元気にしてあげようと思ったんだけど…薬…じゃなかった、体に合わなくてご覧の通り…」

かすみ「あっ、かすみんも後で飲みたい!…って、そうじゃなくて…!」

 

果林「ちょ、ちょっと…!見てないで助けなさいよ…っ!///」

と、言うが解放されてもうこりごりといったような感じで捕まった果林を見るエマと彼方。

 

そして冷静にメモを取る璃奈。

恥ずかしそうに見て見ぬふりをするかすみとしずく。

 

…………………愛はと言うと…。

 

 

愛「あ、あーーー!今は見ない方がいいよー!!」

歩夢「愛ちゃん、どうしたの?…部室で何かあったの?」

せつ菜「なんだか、果林さんの声が聞こえますが…」

 

愛「…えーっと、あ、む、虫が入ってて!しゅんしゅんが今取ってるとこ!」

歩夢「そ、そう…なんだ…?」

せつ菜「では、峻さんのお手伝いをしましょう!」

 

愛「あっ、ちょっ、せっつー…!!!」

と、止めようとした時だった。

 

 

「……………………………」

歩夢「あれっ、峻くん…?」

せつ菜「どうしましたか?…侵入者Xは…」

 

「…………歩夢…」

歩夢「えっ、あ、は、はいっ…?//////」

 

その直後…歩夢をお姫様抱っこする峻。

歩夢「…え、ええええっ!!!???///」

「このまま…地平の果てまで2人で行くぞーーーー!!!」

歩夢「しゅ、峻くんっ!?…な、なにか様子が…っ!///」

「…あ、忘れてた」

 

そう言って唇を近づける峻。

突然の出来事に目を閉じる歩夢……だったが。

 

歩夢「……は……………恥ずかしいよー!!!!//////」

そのまま飛んできたのは右の拳だった。

 

 

「ふぐぅ…!!!!」

クリーンヒットしたまま、彼は倒れた。

そして、そのまま馬乗りになるように歩夢が跨っていた。

 

歩夢「そ、そういうのは…っ…2人きりの時に…っ!!///」

愛「あーーー……と、とりあえず…歩夢?…保健室連れていこ?」

歩夢「えっ、あ、う、うんっ!…そ、そうだねっ…!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後目が覚めた彼は何も覚えてないと言うのであった。

…ただ、部室に戻ると……果林が。

 

 

果林「…………スケベ…///」

と言ったり、彼方やエマが目を合わせたりしない理由に頭を抱える峻だった。




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58話

日間ランキング37位!
これからも爆進していきますよ!
せつ菜「うおおおおおお!!かすみさん!!!!!!」
かすみ「またですか!?!!しず子ー!助けてー!」
しずく「せつかすはあり…せつかすはあり…」
梨子「分かる」

かすみ「な、なんで梨子先輩がっ!!??」


「…公開討論?」

せつ菜「まぁ、簡単に言ってしまえば、全校生徒の前でやる政見放送みたいなものです」

 

「なるほどね…そこでマニフェストを言って…生徒の反応で投票にも影響が出るってことか」

せつ菜「…ホントは…すごく、緊張もしてますし…峻さんには…見せたく、ないんです…」

「…せつ菜…」

 

せつ菜「…いえ、大丈夫です!私は私らしく…頑張ります!!」

「うん、その意気だよ、せつ菜」

 

頭を優しく撫でると、せつ菜はとびきりの笑顔を見せてくれた。

────────この時までは、良かったんだ…。

 

 

 

 

 

 

 

話し合いの結果、校内放送で公開討論は流れていくのだと言う。

歩夢を筆頭に、みんなで見ようという話になり、お昼に部室で見ることとなった。

 

 

 

(せつ菜…………………)

愛「しゅんしゅん、顔っ♪怖くなってるよ~?」

「えっ、あっ…ごめん、そんなつもりは…」

果林「心配なのも分かるけど、部長なら部長らしくドーンと構えてなさい?」

「…う、うん…………………」

 

 

 

 

 

 

【放送室】

栞子「今日は、お話し合いの場を設けていただき光栄です

…ですが、私の意思は変わりありませんのでそこは履き違えないでください」

せつ菜「…はい、よろしくお願いします。三船さん(…大丈夫、しっかりしないと!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

【部室】

 

 

司会の進行のもと、公開討論が始まった。

最初は三船栞子のようだ。

 

栞子「皆さん、こんにちは…この度新しく生徒会長に立候補しました、1年の三船栞子です

さて、当然の再選挙で驚いてる方も多いと思いますが…私はこの学園をもっと良くしていきたい理由で再選挙を申し出ました。」

 

「…やっぱり、こいつ苦手だな…俺は」

昔のダイヤを見ているようだ。

 

栞子「語弊がありましたが、今の段階で良くない、という訳ではありません

しかし、もっと…良くなると私は知っています

皆さんの成功と確かな経験を積める学園になる、と」

 

エマ「1年生なのに堂々としてるね~…」

栞子「高校生活は3年間です…その3年間で秘めている可能性を最大限に発揮できるよう、生徒会長としてサポートしていきたい所存です

この先、将来への糧となることをお約束します

自分の特性を…是非、一緒に伸ばしていきましょう」

 

 

 

スラスラと流れるような三船栞子の放送に少し圧倒される部室内。

「…いや、せつ菜なら大丈夫だよ」

歩夢「そう、だよね…っ!」

 

そして、そんな空気感の中…せつ菜の番となった。

 

せつ菜「……………………………………」

しかし、せつ菜の口から言葉が出ない。

司会も心配して様子を伺う。

 

「………………………」

せつ菜「…いえ、大丈夫です。

皆さん、こんにちは現生徒会長の中川菜々です

私は生徒会長の続投を望みます

 

昨年、皆さんからの信任でなった生徒会長。

生徒会のメンバーと一緒により良い学園にしていきたいと思っています」

 

最初は躓いたかと思ったが、その後は自然体で話し続けるせつ菜。

 

 

 

 

せつ菜「私が目指す、虹ヶ咲学園は大好きを打ち込める学園にしていきたいです。

高校生活3年間…だけど、たった3年間…それをかけがえのないものにしていきたいと思っています

皆さんが思ってる…大好きなことを…全力で追いかけて欲しいです

生徒会はそのサポートを…いえ、生徒会長はそのサポートを出来るように精一杯務めようと思っています!」

 

 

 

「…うん、良かった…いつもの生徒会長だな」

果林「流石、と言ったところね」

 

 

そして、今度は討論に移った。

すなわち、現生徒会長せつ菜(菜々)と三船栞子による直接対決となる。

 

栞子「まず、このように再選挙という形でバタバタさせてしまった上、このような席まで設けてもらったことにお礼を申し上げたいと思います

もちろん、今の生徒会も安定して運営してる点は及第点と言えるでしょう」

せつ菜「及第点…ですか…」

 

その言葉にせつ菜の顔が曇る。

栞子「それを踏まえた上で申し上げたいと思います

貴女の…中川会長の目指す、大好きを打ち込める学園

これは本当に生徒の成長をサポートするという本当の意味にはなりかねません

 

ひとつ例えてみましょう

才能はない、けど好きな部活だから続けたいという人が居たらどうするのですか?

スポーツ進学で進学できる訳でもないのに」

 

 

……イラッ…。

気配を感じとったのか、歩夢が手を重ねる。

 

せつ菜「思い切り、好きな部活をしてもらいます!

大好きで頑張れた事はきっと自信に繋がると思います!」

栞子「その自信、とはどんなものですか?

どこで役に立つというのですか

辛い時にその自信は解決への糸口とはなりませんよ」

 

せつ菜「…効率で物事を決めるのは…寂しいと思います…」

栞子「寂しい?そんな問題では無いのです

将来のためにも、この3年間で個々の特性を示すのが大事だと言っているんです」

 

せつ菜「そんなっ…!!それは、味気のないつまらない学校生活になってしまいます!!

大好きな力は時に大きな力になります!!」

栞子「…お言葉を返しますが、今貴女は…大好きなことをちゃんとやれていますか?」

せつ菜「……えっ……………」

 

栞子「生徒会も、その大好きなことも…中途半端になってませんか?…そんな貴女が一体何を語ろうと」

せつ菜「そ、それは……っ…」

 

 

栞子「生徒会長とは、生徒の先頭に立つ存在ですよ?

そのような姿では説得力に欠けます

…さて、今の私の言葉に…なにか反論はありますか?」

せつ菜「…………っ………………」

栞子「どう返されても…あなたの言葉に力はありませんが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………っ………!!!!!」

果林「待ちなさい、峻!!!」

 

強い怒りに駆られた俺は部室を飛び出そうとした。

しかし、それを果林が制した。

 

果林「…気持ちは、分かるわ…でも、こればっかりは…私たちでは、どうしようも…」

「…っ…………くそっ……………くそっ!!!!!!!」

 

 

 

扉が壊れるんじゃないかと言うくらいの勢いで開けてバタンと閉めて部室を後にした。

 

 

歩夢「……峻くん…………………」

果林「多分…放送室には行かないわ、峻もそこまで馬鹿じゃないし怒りに身を任せて行動するようなタイプでもないわ…今は、そっと…1人にしておきましょう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…………………………………」」」

他のメンバーも…どうすることも出来ずに、ただ校内放送の音だけが部室に流れるだけだった。




次回:友情CHASE


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友情CHASE(第59話)

Aqoursの友情ヨーソローならぬ友情CHASE回です。

せつ菜と峻くんが幾度となくぶつかる本音と本音のお話になっています。


かすみ「あの~…」


かすみ「かすみんへのいじりは…今日はなしですか…?」
……既に欲しがってる?

かすみ「そ、そんなことありません!!」


女子生徒1【ねぇねぇ、この前の公開討論見た?】

女子生徒2【見た見た、1年生なのに生徒会長にあそこまで堂々と言えるなんて…流石、三船家のお嬢様って感じだよね】

 

女子生徒1【なんか…今の生徒会長が小さく見えちゃうね】

女子生徒2【名前なんだっけ?…なが多い…】

女子生徒1【中川菜々だよ!生徒会長の名前も覚えてないの~?】

 

 

 

「………………………………………」

 

女子生徒1【…やばっ、会長補佐だ…っ!】

女子生徒2【い、行こ…!!】

 

 

「…………ちっ」

明らかに俺の虫の居所が悪い。

その場を去る生徒を目で追っていた。

 

「あんな奴に付いて行ったって答えなんか分かるわけないのに」

俺はあのやり方には真っ向から反対だ。

例えそれが会長への反発だとしても…最後の一人になっても反対を貫き通すだろう。

 

 

「……お前はどうなんだよ…せつ菜…」

いつもは校内を見回る隣に居ない人の名前を呼ぶ。

…せつ菜も、部活には顔を出していない。これでもう1週間だ。

 

バツが悪いのか…泊まるのも俺の部屋ではなく、歩夢の部屋に泊まっている。

…っても、俺も馬鹿じゃないし、歩夢も察してくれての対応だろう。

 

(…確かに…今はそっとしておいてもらった方が…いい、よな…)

この苛立ったままの感情だとどうなるか自分でも分からない。

生徒会長の所に殴り込みに……いや、ダメだ。

せつ菜の悲しむ姿なんか見たくない。

 

 

「………………せつ菜……………」

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

【屋上】

 

 

せつ菜「………………………」

 

【そのような姿では説得力に欠けます】

せつ菜「…やっぱり、三船さんは凄いです…私は…完全に…あの討論会で…負けたなって…思いました…」

 

1人、誰もいない屋上でそう呟いた。

聞きたくなくても聞いてしまう…討論会の優劣。

実際…目の前にいた私が…そう感じずにはいられなかった。

 

せつ菜「…生徒会長には…三船さんの方が…適任、なんでしょうか…

…でも、そうしたら…同好会は……」

一瞬、顔が強ばった。

────────そんなのは、嫌だ…と。

 

 

せつ菜「私は……中途半端……なのでしょうか……峻さん…」

いつも隣に居てくれた彼の名前を呼ぶ。

……返事なんかするはずもないのに。

 

 

確かに…スクールアイドル同好会に戻ってから…生徒会メインでは無くなった……けど、決して手を抜いていたつもりは…なかった。

それは、会長補佐だった彼も…よく知っている。

だからこそ…今回の公開討論は…彼にも堪えたのだろう…。

 

 

せつ菜「こんな時は……………」

彼が紹介してくれた伝手に連絡を入れてみる。

 

 

せつ菜【絵里さん、ダイヤさん…突然連絡を入れて申し訳ございません

…実は…以前お話した公開討論が…上手くいかず…正直苦しいところ、なんです…

私…何も言い返せなくて……真剣さが全然足りてませんでした

ですが、できる限りの事はします!】

 

ダイヤ【何かありましたら、すぐに連絡してくださいね

出来ることはなんでもお手伝い致します】

絵里【ダイヤの言う通りよ?…貴方は1人じゃないのよ

困った時は、遠慮なく言ってちょうだい?】

せつ菜【はいっ、ありがとうございます!】

 

 

せつ菜(…やっぱり、峻さんの人脈は…頼りになります…

…お二人共…スクールアイドルと生徒会を両立してるんだ…私も頑張らなくちゃ…!)

 

そう思った私は…部室へと歩を進めるのであった。

 

 

 

 

────────────────

 

璃奈「生徒会のポスター、別パターンも作ってみた…どうかな?」

しずく「とってもいいと思います!♪

早く掲示板に貼りに行きましょう!」

 

歩夢「大好きが打ち込める学園…凄く、良い言葉だよね」

かすみ「かすみんは名刺を作りました!これで売り込みバンバンできますよー!♪」

エマ「細かいプロフィールまで書いてある~!♪

え、ええっ!こんな所まで?」

 

かすみ「パンチは重要ですから!」

果林「そうね、これくらいはしないと…三船さんには抵抗できないわね」

愛「えーっと、じゃあ今日やることは…ポスターの張替えと…」

彼方「名刺を配ることだね~♪よーし、頑張ろ~っ♪」

 

歩夢「じゃあ、どこからやるか決めよっか?」

せつ菜「すいません!遅くなってしまいました!」

 

「「「せ、せつ菜(ちゃん)!!」」」

部室に現れたせつ菜の姿を見て皆が驚いた。

 

愛「今ね~、皆でポスターの新バージョンや名刺作ってから配りに行こうって話をしてたんだよ!」

せつ菜「み、皆さん…ありがとうございます…!」

 

かすみ「あれっ、そういえば…今度のAqoursとμ'sの皆さんと話し合うのはいつでしたっけ…峻先……あっ……」

 

この名前に皆がシン…と静まり返る

せつ菜「…やっぱり、峻さん……来て、ないんですね…」

愛「きょ、今日は来てないだけだよ!!」

 

果林「そんなこと言ってもすぐに気が付かれちゃうわよ…ええ、来てないわ…1週間ほど」

せつ菜「…私のせい、ですよね…」

しずく「そ、そんなことありません!!!…きっと峻先輩は峻先輩なりに考えがあるんですよ…!」

 

せつ菜「…皆さん…本当にありがとうございます…ですが…私決めました……私、スクールアイドル同好会を…退部します

生徒会長選挙は…私1人で戦います」

 

「「「え、えええー!!!???」」」

果林「か、考え直しなさい!せつ菜!」

せつ菜「いいえ、もう決めたんです…私が作りたいのは…大好きが打ち込める学園。

そして、大好きなスクールアイドル活動をしてる皆さんが…大好きなんです」

 

歩夢「せつ菜ちゃん…っ…」

せつ菜「だから…皆さんには…この学園でスクールアイドル活動を安心してやってほしいんです

その為の場所を…私は守りたいんです」

 

エマ「そん、な……」

せつ菜「…本当に…ありがとうございました」

 

 

そう言うと、せつ菜は部室を出てしまった。

かすみ「…果林先輩…」

果林「…今すぐ峻を呼んで!!」

 

 

その言葉だけ、部室に響くのであった。

 

 

 

 

────────────────

 

【生徒会室】

 

 

栞子「失礼します…今後の生徒会選挙の行動予定を提出しに……誰もいない?」

 

生徒会室に入った三船栞子…だか、生徒会室はもぬけの殻だった。

栞子「これは…中川さんの公約?…こんな所に置いてあるなんて…」

 

捲ってみると、そこには。

栞子「学園限定のソーシャルアプリによる大好きを実現する場所作りをする……アプリ共有での投書…なるほど、口だけでは無いようですね」

 

しかし、すぐに公約を机に戻す。

栞子「…しかし、それだけでは…根底的に間違ってます」

 

そう言うと彼女は生徒会室を後にした。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

歩夢「はぁ…はぁ…!!…見つけたよ!峻くん…っ!!」

中庭の噴水の前…で、腰かけている彼を発見した。

 

「…どうした、歩夢…そんな息切らして」

歩夢「たい、へんなの…っ!!…せつ菜ちゃんが…っ…せつ菜ちゃんが!!」

「…せつ菜が、どうしたんだ?」

 

その様子にただ事では無いと分かった峻だが、顔色は変えない。

歩夢「実は────────」

「……………………えっ…?」

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【夜 学園入口】

 

「……やっと来やがった…」

せつ菜「あれっ…峻さん…っ…どうしてここに…?」

 

「…待ち伏せしてた、つったら…引くか?」

せつ菜「い、いえっ…そんな、ことは…っ!」

「どういう事だよ、スクールアイドル同好会を辞めるって」

せつ菜「それは………」

「ちゃんと話そうぜ…そんな去り方、みんな心配するし…あんまりだと思うぜ」

 

淡々と話す峻。

…しかし、どこか言葉には今までと違う怒りが込められていて…。

 

せつ菜「…分かります…あの後…部室を出たあと…たくさん、電話が来ましたから…」

「Aqoursやμ'sのメンバーからも、だろ?」

 

せつ菜「…はい」

「俺はせつ菜にはスクールアイドルを辞めて欲しくない…

生徒会の選挙とせつ菜がスクールアイドル同好会を辞めるのは別問題だ

…それが、本当に正しい事だと思っているのか?」

 

せつ菜「それが……それが問題なんです!!

皆さんが…惜しみなく私に協力してくれてるのは分かってます!!

……だから、だからこそ…私は同好会を辞めなければと思ったんです」

「…どういう事だ?」

せつ菜「Aqoursとμ'sの皆さんが…スクールアイドルフェスティバルに参加しようって…言ってくれたじゃないですか…

そんな大事なイベントが控えてるなか…余計なことに首を突っ込ませたくないんです…」

「…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はメンバーが9人いてこその…スクールアイドル同好会だ」

 

せつ菜「ですが…っ!!…かすみさんが言ってました

確かに、フェスティバルに向けて…計画が滞ってる、と

…Aqoursやμ'sの皆さんと…話し合いをする場も決めていなかったりと…それは、峻さんが…私の手伝いをしているからです…」

「……………………………」

せつ菜「だから、生徒会のことも…両親への説得も…私1人で何とかします…から……ありがとう…ございました…」

 

そう言って横切ろうとしたせつ菜を言葉が止めた。

 

 

「言いたいことは……それだけか…」

せつ菜「…………………えっ………」

 

「…正直、うんざりだ…そんな言葉をつらつらと並べられるのは」

せつ菜「峻…さん……………」

 

「お前…本当にそれでいいのか」

せつ菜「…ですが…これ以上迷惑をかける訳には───っ」

「……ふざけんなよ!!!」

せつ菜「…………っ…!!!」

 

突然出した大声にビクッと体を反応させるせつ菜。

「お前…っ…逃げんのかよ…!!!

お前にとっての大好きは…っ!…スクールアイドルって言うのはそんなもんなのかよ!!!」

せつ菜「それは…っ…!!…っ……私のやり方も…認めてくださいよ…!!

貴方まで私を否定するんですか…っ!!!

私は…守りたいんです…っ!スクールアイドル同好会を…」

 

ポロポロと涙を流し始めるせつ菜。

 

「俺は…俺はスクールアイドル活動をしてるお前を見たいんだよ…っ!!!

それなのに…っ…簡単に辞めるなんて言うんじゃねえょ!!

お前にとってのスクールアイドルへの大好きはそんなもんじゃねぇだろ!!…お前だけが…犠牲になる必要なんか…ねぇだろ…」

せつ菜「…三船さんに勝つには…それくらいの犠牲が付き物…なんですよ…っ…

スクールアイドル同好会を守るのも…簡単な事じゃ…ないんですよ…っ!」

 

「…俺は嫌だ。

スクールアイドル同好会をお前と一緒にやりたい

…それに、生徒会選挙活動も…お前に協力したい」

せつ菜「……お節介…なんですよ…っ!

そんなこと…したって…っ…」

「……忘れたのかよ…俺は…お前の…中川菜々の…会長補佐、だぞ…」

 

 

せつ菜「…………っ…………………!!!!」

「…言っただろ…怖かったら…俺の横に居ればいいって…

頼りたかったら…俺が力になるって…」

せつ菜「そん、な……………」

「…だから、一緒に…乗り切ろうよ……お前は1人じゃない」

せつ菜「…峻…さんっ……ぁ………あああああっ…!!」

しがみつくように胸で泣き始めるせつ菜。

…きっと、1人で色々抱えていたんだろう。

 

「……大丈夫だ…不安なのは…せつ菜だけじゃない

俺も…不安だった…先の見えない道で…どうすることも出来なかった…多分、ここ一週間くらい…怖い顔してたと思う」

せつ菜「峻……さん…っ…」

「…さぁ、帰ろうよ

何だか、せつ菜が俺の部屋に居ないと…不思議と…寂しいから、さ…」

せつ菜「…は、いっ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

俺はその日…ずっと、せつ菜を抱きしめ続けていた。

もう、1人じゃない…そんな気持ちを抱いて。

 

 




スクスタでは1人で何とかすると告げてその場をせつ菜が去りますが。
このお話では、峻の本気の言葉をぶつけた結果により…2人で道を探ることとなりました。


次回もお楽しみに

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60話

そういえばなんだかんだで60話目です。
この先何話までやるかわかりませんが…みなさんのおかげで続けていられます
本当にありがとうございます。

投票も58票入ってました。ありがとうございます。


「…いよいよ、生徒会長選挙の…投票日、だな…」

せつ菜「…はい…」

 

朝起きて洗面台に行くと、せつ菜が既に歯を磨いていた。

もうこんな風景にも慣れてきた。

 

…あの日の後…スクールアイドル同好会に顔出した。

みんな少し身構えたり顔色を伺ったりしてたけど…せつ菜や歩夢…みんなのおかげで、いつも通り過ごせるようになった。

 

…この、選挙当日まで、は…。

 

 

せつ菜「勝ったら…今まで以上に両立させて三船さんをあっと驚かせますよ!」

「うん、その意気だよ!」

 

ニカッと笑い合いながらグータッチをする俺とせつ菜だった。

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

せつ菜は一足先に学園へと向かった。

俺は歩夢と一緒に学園に向かうことに。

 

「…歩夢、もし俺が…前みたいになったら…」

歩夢「分かってるよっ…安心して、しっかり見ててあげるから♪」

 

…まぁ、最後の演説があるみたいだけど…。

目に見えて苛立つのが分かる。

…前もって、歩夢に言っとかないと…って感じだし…。

 

 

 

そうこうしてるうちに…選挙前最後の演説となった。

 

選挙運営員会【では、選挙前最後の演説を行います

まずは、現職・中川菜々さん、お願いします】

 

せつ菜「はい」

 

 

かすみ「先輩、自信に満ちた顔をしてます…っ!」

しずく「うんっ、大丈夫そうだねっ!」

 

せつ菜「私が目指す…学園は、公開討論の時にお話したのと変わりありません

皆さんの大好きなことを実現出来る学園作りを目指します!

…まずは、その1歩としてアプリなどを活用しようと考えています

皆さんの…3年間、充実したものにできるよう…私にお手伝いさせてください!

…これで、私の演説を終わります…最後まで聞いてくださり、ありがとうございます」

 

(…すげぇな、せつ菜じゃねぇみたいだ…まるで初めて会った時みたいだ…)

その拍手は…まさに現職の生徒会長に相応しい位鳴り続けていた。

 

そして、次は…三船栞子の番。

まるで鳴り続けた拍手を物ともせずに演説をし始めた。

 

栞子「皆さん、おはようございます。三船栞子です

私から言いたいことは……ただ一つです」

 

その言葉に周りが少しザワザワする。

…余程の自信、なのだろう…。

 

栞子「虹ヶ咲学園で過ごす時間が将来に直接繋がる成長であるよう、成功体験をお約束します」

 

「…これまた、デカく出たな…」

愛「少しでも不平不満が出ないって踏んでるのかな…」

歩夢「でも…その成功体験が…学園生活で全部、なのかな…」

「…………………」

 

 

栞子「私は、皆さんの未来がより確かなものになるよう、全ての生徒に全ての指針を示します」

「…全て、か…」

 

あくまでも、アリ1匹の反逆も許さないってところか…。

それとも、愛が言うように不平不満が出ないとでも思ってるんだろうか。

……しかし、それじゃあ…いつか…糸がほつれると思う。

どこかで、何かが崩れると思う。

そして…一度崩れたら…何もかも崩れていくと思う。

 

しかし、俺の考えとは別にせつ菜と同じくらい拍手が起こっていた。

……縛られるだけ、だと思うのは…俺だけだろうか。

 

 

しかし、次の瞬間…予期せぬ出来事が起きた。

 

栞子「中川さんの公約は、ある意味では理想的と言えます」

なんと、三船栞子がせつ菜に牙を向けたのだった。

…そう、彼女の演説はまだ終わってなかったのだ。

 

「…っ…アイツ…っ!!」

歩夢「峻くんっ…待って!」

手を掴む歩夢。

…冷静になった俺だった。

(そうだ、ここは…落ち着いて…っ…)

 

栞子「前回の討論会であやふやだった部分を立体的、かつ、明確にした部分は私自身も感銘を受けました」

 

…あの三船栞子が…せつ菜のやり方を認めた…?

いや…そんなはず…。

 

栞子「私の目指す学園生活とは違いますが…もし実現すればそれは楽しい学園生活となるでしょう」

 

俺はある一言が引っかかった。

────もし?……何故そこで…もし、をつけたのだろうかと。

 

栞子「ですが、中川さんの公約は…実現不可能だと、断言できます」

「なっ……!!!」

 

実現困難…どころか、不可能だと…っ!?

しかも、断言するなんて…っ!!

 

「あの野郎…っ…何が足りないって言いたいんだ…っ」

愛「峻…」

 

栞子「なぜなら、中川さんの姿勢には、根底から齟齬が生じているからです」

──────齟齬…?

意見や事柄が食い違ってるって…意味だけど…。

そんなことは無いはずだ。

 

栞子「大好きが実現出来る学園を作る、大好きは力になる

そう…中川さんは言いました」

栞子「…しかし」

 

三船栞子がせつ菜の方をじっと見る。

栞子「中川さん、貴女の本当に大好きなことはなんですか?

…生徒会の仕事が一番大好きだと言えるんですか?」

せつ菜「……っ」

 

「っ……なん、だよ…これ…っ!」

誘導尋問だろ!!と言いそうになったが…歩夢が泣きそうな顔で服を掴んでいた。

……抑えろ…っ…そう言い聞かせて…強く、拳に力を込めた。

 

栞子「答えはノーでしょう

…大好きな事が他にもあるのに、その大好きな事からも…逃げようとしました」

 

…それが…スクールアイドル同好会の事って…言いたい、のかよ…っ…!

せつ菜は……せつ菜は逃げてなんかねぇ……!!

 

栞子「無理してまで生徒会長としての仕事をしてるのは…理想とは矛盾してると思いますが?

そんなちぐはぐな気持ちで生徒会長の仕事をしたところで…結果なんて目に見えています

私は言いましたよ、中途半端なんじゃないか、と」

 

せつ菜「そんな…っ…!私は…っ…生徒会の仕事が…なにより…っ…!」

栞子「中川さん、私の主張は間違ってますか?」

 

ひとつ、ため息をし更に攻めたてる。

栞子「そこが断言できないことが、明確な答えですね

…私は、生徒会長として学園のみなさんのために働くことが…''一番大好きな事''と考えています…でも、貴女は違うのでは?」

 

せつ菜「……っ…………」

栞子「だから改めて言わせてもらいます。

貴女の考える公約は夢物語です…反論、出来ますか?」

せつ菜「………………………………」

 

 

場の空気を感じ取ったのか、選挙運営員が演説を止めた。

【時間となりました、生徒の皆さんはそれぞれ生徒会長に相応しいと思う氏名を記入の上、投票してください】

 

 

かすみ「…峻先輩…今頃怒ってます、よね…」

しずく「…こうしてはいられません!先輩のところに行きましょう!」

璃奈「う、うんっ!」

 

かすみ・しずく・璃奈が峻の所に向かった。

かすみ「…先輩っ!せつ菜先輩…大丈夫ですよねっ…!?」

しずく「壇上であんなこと言うなんて…あんまりです!…酷いですよ…っ!!」

璃奈「せつ菜さん…すごく顔色悪かった…」

 

すると、3年生3人も峻の方に向かってきた。

彼方「最後の演説でああいうのは…ルール違反なんじゃないかな~…?」

エマ「あんなの、演説でもなんでもないよ…っ…ディベートでも無い…一方的すぎるよ…っ!!」

果林「あれは……決定打になりかねない、わね…」

 

愛「…せっつーのところにいこうよ!!」

歩夢「う、うんっ!…早く行こう!」

 

 

「待てよ、みんな」

そう言って、投票用紙を取り出す。

「…まずは、するべきことをしよう」

 

その言葉にみんなが立ち止まる。

「…それに…あいつだって生徒会長だ、プライドだってある…結果が、出てから…会いに行こう」

愛「でもっ……!!!」

 

「愛……頼む…」

深々と頭を下げる峻。

こんな姿を見たのはスクールアイドル同好会のみんなも初めてだ。

 

愛「峻………………うん、分かった…」

…悔しさで唇を噛む。

なんで…こんな時に…俺は、何もしてあげられなんだ…っ…。

何が……会長補佐だ……!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…結果、大差で…三船栞子が新生徒会長となった。

せつ菜を探したが…どこにも居なくて…今、スクールアイドル同好会のメンバーと探しているところだった。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

【屋上】

 

 

せつ菜「…負けちゃいました…」

分け目も振らずに地面に座り込む。

せつ菜「皆さんに…合わせる顔が…ありません…」

 

ここ数日…1週間、2週間の出来事が一気に蘇る。

せつ菜「私は…何をしてきたんでしょうか…」

 

皆さんをお騒がせして…迷惑をかけて…。

せつ菜「…わたしにできること…まだ、何があるの…かな…」

 

 

 

 

 

その瞬間、屋上の扉が勢いよく開いた。

「やっぱりここか…っ!!

居たよ、せつ菜!!」

愛「せっつーーー!!探したよー!!!」

 

せつ菜「えっ…………………あっ…あ、愛さん…っ!!」

かすみ「もー!!なんでこんな所で座り込んでるんですかー!!せつ菜先輩らしくありませんよ!!」

しずく「はぁ…っ…はぁ…!!

…良かった…っ…このまま、せつ菜先輩に会えなかったら…どうしようかと…っ!」

 

「…ごめんなさい…皆さん…」

エマ「私たち…せつ菜ちゃんの気持ちが落ち着くまで待とうと思ってたんだけど…」

その言葉でせつ菜が一気に現実に引き戻された。

 

せつ菜「わ、私のせいで…同好会が…!

すいませんっ…三船さんには、私の方から交渉しますので…!」

しかし、謝罪の言葉が…峻の抱擁で途切れた。

 

「…そんなことは…どうでもいいんだよ」

歩夢「そうだよ、せつ菜ちゃん!…今は全然関係ないよ!」

愛「学園中、隈無く探し回っちゃったよー!せっつー探しだけにっ!」

璃奈「せつ菜さんに…会いたくて…っ!」

彼方「もう彼方ちゃん…1年分のエネルギー使って走り回ったよー」

果林「せつ菜…みんな、貴女の傍に居たいと思ってるのよ」

 

「…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は!…9人いて、初めて成り立つんだからさ…せつ菜、部室に戻ろう」

かすみ「峻先輩っ!10人目が居るじゃないですかっ♪」

「…っと、そうか…10人居て、スクールアイドル同好会…だろ?」

 

せつ菜「それは…無理、ですよ…」

「……せつ菜…」

せつ菜「やっぱり、私にはその資格がありません…

生徒会長選挙も負けて…スクールアイドル同好会も廃部になってしまって……峻さんにも…あの時、あんなに言いたい放題言って…」

 

エマ「…あの時?」

果林「エマ、詮索しないのっ」

 

 

「…ふーーーーっ……………」

……あぁ、今日はいい夕日だなぁ……まるで学園ドラマで夕日眺めるシーンを思い浮かべるよ。

 

 

「せつ菜のバカぁ!!!!」

「「「「えっ……!?」」」」

せつ菜「……えっ…?」

 

「おうおう、何度も言ってやるよ!バカだって!

俺がやっと怖ーーーい顔が直ったって言うのにせつ菜が自分にウソをついて…せつ菜らしくねぇよ!」

せつ菜「なっ……い、いやっ…それはっ…」

 

「せつ菜はいつだって大好きを正面から受け止めてきただろ!

いつだってバカみたいに明るく大きな声でさ…!!!

 

…って、今のバカはそう言う意味でのバカって訳じゃなくて…」

 

頭を掻きながらビシッと指を差す。

「せつ菜はスクールアイドルが大好きなんだろ?

…だったら、俺たちの答えはこうだよ

''大好きな事にいつだって全力なせつ菜が大好きなんだよ''

だから、これからも近くで見させてくれよ!…そして、俺に応援させてくれ」

せつ菜「…でも…負けたから…スクールアイドル同好会は…」

 

かすみ「ふっふっふ~…ここに、廃部の危機を救った事がある人が居るのをせつ菜先輩はお忘れですか?♪」

 

歩夢「ふふっ、無理だと思ってた条件を…乗り越えた人、いるよね♪」

果林「あ、もちろん…かすみちゃんの頑張りも分かってるわよ?」

かすみ「そこでフォローされても遅いですよ!」

果林「…まぁ、だったら同じことをすればいいだけ、よね?」

 

「………最初っからそのつもりだっつーの」

せつ菜「皆さん…っ」

エマ「三船さんがどんな風に思ってても私達も負ける気は無いよ!♪」

しずく「生徒会長と戦うなら、1人より多い方がいいですよ。せつ菜先輩っ♪」

愛「そうそう、せっつーの味方はいつだってここにいるからさ♪」

彼方「彼方ちゃん達の大切な場所をそう簡単には無くさないよ~…!!」

璃奈「だから、せつ菜さん…資格が無い、なんて言わないで…」

 

「…せつ菜だって、分かってるだろ?

同好会が一番好きな場所だって…ずっと前から」

せつ菜「……皆さん…っ…

私…皆さんと…一緒に居たいです…っ…!!

スクールアイドルを…一緒に…やりたいです…!!」

 

泣きながら、抱きついてきたせつ菜。

やれやれと、溜め息をつきながら頭を撫でた。

 

「…おかえり、せつ菜」

「「「おかえりなさい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せつ菜「……ただいま…っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

【後日 部室】

 

 

 

せつ菜「…やっぱり、この格好が一番落ち着きますね…♪」

「俺も、その格好の方に見慣れてるから安心感があるよ」

 

果林「それにしても、今回も大活躍だったわね、部長さん?♪」

かすみ「やっぱり、先輩部長は頼りになりますねっ♪」

 

「ったく、そんなみんなして部長部長言うなや、照れんだろ?」

せつ菜「ふふっ、皆さん…ありがとうございます♪」

 

かすみ「って!せつ菜先輩!!何しれっと先輩の横に座ってるんですかー!!明日はかすみが隣ですからねー!」

彼方「おやおや~?…そんな簡単に峻くんの隣は譲らないよ~?」

かすみ「えええぇーー!!??」

 

せつ菜「ふふっ、やっぱり同好会はこうでなくてはいけませんね!♪」

「…だな」

 

璃奈「2人とも笑顔が戻った♪」

「ん、そう…だな」

果林「さて、部長?…同好会継続はどうするの?」

歩夢「三船さんは理論的だから…同好会が必要だってアピール出来たら続けさせてもらえるんじゃないかな?」

 

「…だとするなら…スクールアイドルフェスティバル、か」

しずく「ですね…」

「あれだけ多いなステージに立ってライブしたら…認めざるを得ないよな」

 

Aqoursの時も…そうだった、しな。

 

せつ菜「そうですね、三船さんの場合なら…学園の為という事なのであれば認めると思います」

愛「うーん…あの子の前でライブするのが手っ取り早いと思うけど…」

せつ菜「もし、見てもらうのであれば…スクールアイドルフェスティバルで、ということになりそうですね…」

彼方「そういうとこ、シビアだよね~」

 

しずく「では……まず、今までの活動をまとめてみますか?」

「うん、そうしようか…俺も手伝うよ」

 

と、話しているときだった。

 

栞子「失礼します」

「なっ……三船栞子…っ!?」

 

部室に来たのは意外な人だった。

栞子「声、廊下まで聞こえてましたよ

声量はスクールアイドルといったところでしょうか」

かすみ「…嫌味な言い方ですね…」

エマ「かすみちゃん…っ…落ち着いて…」

 

大丈夫、かすみ…俺も同じ気持ちだよ。

…っと、そうじゃなくて…。

 

栞子「残念ですが、あなた方の茶番はここまでにしてもらいます…スクールアイドル同好会は廃部、それは変わりありません」

 

「「「ええぇーーー!!??」」」

栞子「では、私はこれで」

 

そういうと、三船栞子は出てってしまった。

せっかく、目標が決まったのにまたもや部室内は静まり返ってしまうのであった。

 




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61話

物語は、またまた佳境に!
スクスタとは一味違った物語をどうぞ!


しずく「…いきなり、生徒会長になった途端…廃部宣告なんて…横暴がすぎます…!」

歩夢「私も…嫌…っ…同好会が…無くなるなんて…!」

 

かすみ「そうですよっ!…先輩と…私達が築き上げてきた同好会そんな簡単には…っ!!……って、あれ?…峻先輩は…?」

果林「そういえば…居ないわね…」

 

せつ菜「…あの…まさか、とは思うんですが…」

愛「…?」

かすみ「…あっ……そういえば…っ!!」

 

昔の出来事を思い出す。

彼が…迷いなく、生徒会室に…直談判をしに行った時の事を。

 

「「「…生徒会室!!」」」

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

【生徒会室】

 

 

栞子「…ご要件は?」

「要件も何も…俺が言いたいことは一つだけだ

スクールアイドル同好会を…潰すな」

 

栞子「何度も言いますが、スクールアイドル同好会など需要も無ければ…将来に何に役立つと言うのですか?」

「…そうか、お前の言い分は、わかった…………が」

 

バンと机を叩き、顔を詰寄る。

顔色一つ変えずにじっとこちらを見る三船栞子。

 

「…あんたはそう言う…が…果たして本当にそうだろうか?」

栞子「…何が言いたいんですか?」

「じゃあ…言い方を変えよう…誰、が…スクールアイドル同好会が要らない…と、言った?」

栞子「…誰がなんと言おうと、私…三船栞子がそう断言したんです」

 

「…それは、何の説得力にも効果も無いと思うが?

それとも、生徒会長の権限で廃部にするのか?強制的に」

栞子「…………………………」

 

「…少なくとも、早計だと思うが」

栞子「…少し時間を下さい」

「…ふん」

 

所詮は成り上がりの生徒会長…と言ったところか。

完璧な人なんかいやしない。

…どこかに付け入る隙はあるはずだ。

 

「…最後に言っておく」

思い切り三船栞子を睨みつける。

 

「…お高くとまってるようだが…俺はアンタのやり方には真っ平反対だ」

栞子「……やはり、あなたは会長補佐としての素質があります」

「言っただろ、俺はアンタのやり方には反対だ

…それに、俺は…せつ菜…いや、中川会長の補佐だ」

 

そう言って俺は生徒会室を立ち去る。

 

 

 

 

 

 

 

栞子「…………やはり、あの人は…必要な人材…」

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【部室】

 

 

「お待たせ~」

かすみ「あー!先輩どこいってたんですか〜!探しに行こうと思ってたところですよー?!」

 

「…いやぁ、人生の道に迷ってさ~…」

せつ菜「あっ、分かります!イチャイチャコミックですね!」

 

果林「…えーーっと…せつ菜の言うことは分からないけど……生徒会室に行ってた、わね?」

「…さすが、みんなにはお見通しか……ん、まぁ少し…相手の牙城を攻め立ててきた、って所かな?」

 

「「「………………?」」」

「…まぁ、直に分かるさ」

かすみ「…先輩、やっぱり頼もしいですね…」

歩夢「うん…やっぱりスクールアイドル同好会に、峻くんは欠かせないね…」

しずく「……ですが、勝負となれば…別ですよ…っ!」

エマ「あ~、すっかり忘れてたね~」

 

 

 

 

「…………来たな」

せつ菜「…峻さんって、ニュータイプな所ありますよね…」

璃奈「そのうち、背中からファンネルとか出てきそう」

 

 

栞子「失礼します」

かすみ「み、三船栞子っ!」

 

栞子「廃部の件でお話があります」

果林「今すぐに、ということかしら?」

栞子「廃部は……見送りましょう」

 

 

「「「………えっ!?!?」」」

栞子「ですが、条件があります

学生の本分は…勉強である…そこは貴方達も異論は無いですね」

「ああ、勉強が疎かじゃ部活なんかしてられないからな」

栞子「………っ………」

 

悔しいのか少し俺を睨む三船栞子。

所詮は後輩、人生経験が違うんだよ…色々と。

 

栞子「話を戻しましょう…率直に申し上げて…中須さん、朝香さん…お2人は全ての教科で足りてません」

 

かすみ「うぐっ…!!」

果林「えっと………」

「お前ら………」

 

栞子「ヴェルデさん、天王寺さんは出来ない教科の点数が酷く、中川さんも同好会を始めてから大きく点数を下げています」

せつ菜「お恥ずかしい話ですが…その通りです」

 

栞子「……この中で…申し分無いのは、宮之原さんだけです」

かすみ「えっっっ…先輩…頭良かったんですか…っ!」

栞子「この前の学年テスト…2位でしたし」

かすみ「ええええ!?」

「順位なんかこだわってねぇよ(…と言っても2学年の勉強は復習してるだけ、だしな…)

…つまり、次のテストで…良い成績を取れば廃部を見送るって事だろ」

 

栞子「端的に言えばそうです

…次のテストで全員、全教科で60点以上取ってください

もし、1人でも…1教科でも取れてなかったら部活動は禁止、学業に専念してもらいます…良いですね?」

「言ったな?…約束だからな」

 

栞子「約束しましょう…では、失礼します」

 

 

そう言うと三船栞子は部室を後にした。

…すると、泣く様な素振りを見せるかすみ。

 

かすみ「無理無理無理かたつむり……全教科60点以上とか…一生分の学力使っても無理ですよ…うぇええん…」

「…一体どれだけ酷いんだ、かすみ…」

 

果林「…ねぇ…テストでいい点取るって…人生に必要なこと、かしら?」

「核心を突くな、核心を」

 

 

 

 

 

 

 

皆の顔色が明らかに曇ってる。

…ここは…あれ、だな…………………。

 




次回:助けて、μ's・Aqours!

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62話

曜ちゃんが1歩リード……うーん、素晴らしい結果だあ…(歓喜)


かすみ「じーーーーーっ……」
歩夢「か、かすみちゃん、怒ってるオーラ出てる出てる…」



【部室内】

 

 

 

「…って事で…生徒会長は三船栞子になった」

絵里「そう…残念だったわね、せつ菜…」

ダイヤ「お力になれず、申し訳ございません…」

 

せつ菜「いえいえ!!そんなお2人が謝る事なんて無いですよ!…実際、生徒会長としては三船さんの方が適任だと思いますし…」

 

千歌「…じゃあ…電話で言ってた、廃部って件は…」

穂乃果「やっぱり、無くなっちゃうの…っ?」

 

 

「それが、その件はそうでも無くてさ」

千歌&穂乃果「えっ???」

 

しずく「三船さんが、今度のテストで全員60点以上取れたら部活動は当面続けてていいと仰ったんです…なんで急にそんな事言ったかは分かりませんが…」

「学生の本分は勉強ってことだろうな(…まぁ、多少脅しも入れちまったが…)」

 

絵里「…確かに、私も同じ立場なら、まずそこの成績を見てから答えを出すわね」

ダイヤ「そうですわね、テストの点が悪い中、部活動…となるとやはり印象が違いますから…」

 

「まぁ、テストで60点以上は努力すれば取れる点数だから大丈夫だよ……一部を除けば…」

かすみ&果林「……………………………」

 

絵里「なるほど…だいたい目を逸らした感じで分かるわね…」

にこ&穂乃果「……………………………」

絵里「貴方たちもよ…にこ、穂乃果…」

 

ダイヤ「…あの、果南さん?千歌さん?…何を空を見て…」

千歌「…あの雲~…しいたけに似てるね~…♪」

果南「あっちの雲はワカメみたい~♪」

ダイヤ「……お、お2人とも……っ…」

 

……あ、カウントダウンが始まった。

って言うか、果南は俺に勉強を教えてた気が……あぁ、エマや璃奈と同じパターンなのかな…。

 

「…これは…前途多難、だな…」

絵里「…ちなみに……全員、前回の点数を聞こうかしら…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

6人「………………え~~…っと………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・8・)…(・8・)…(・8・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里「貴方たち…そこまで酷かったの…?」

「…あ、あはは…俺も具体的な点数まで聞いてなかったから知らなかったけど…こいつはヤベェな…」

ダイヤ「………っ………っ…!」

 

「だ、ダイヤさん…とりあえず、落ち着い───」

と、宥めようとしたが…遅かった。

 

ダイヤ「ぶっぶーーーーーですわぁ!!!!!!!!」

千歌「ちかぁっ!?」

穂乃果「ほのっ!!??」

にこ「にこぉっ!?!?」

 

…なんか久々に聞いたなぁ…。

って言うか、μ'sのメンバーにも伝染してるし。

 

 

にこ「あ、アイドルに学力なんか関係無いわ!!」

お、言い返した……でも、これでは火に油を注いでるようなもんなのでは…。

 

果南「にこちゃんの言う通り!!」

果南まで加勢したか~…今のうちに逃げておこ…。

 

絵里「学生なんだからあるに決まってるでしょ!」

何とも冷ややかな目をした絵里がそう告げた。

ごもっともな返答である。

 

 

ダイヤ「これは……これは、全員見直しますわよ!!」

「え、全員???」

 

絵里「どうせなら、ここにいるメンバー全員60点以上にしましょう」

……あ、鬼の絵里さんになった。

 

穂乃果「え~…ふぁたしたちも~???」

パンをもぐもぐしながら絵里の方を見る穂乃果。

…いつの間に……。

しかし、そんな姿を海未が見ていた……顔を怖ーくしながら。

 

海未「このままだと、μ'sのリーダーが留年ですね」

穂乃果「……………はっ!!!!!!!!」

しまった!!!みたいな顔してもぐもぐしていた口を止める穂乃果。

たぶん、海未が怒ってるのを察知して…留年した自分の姿を想像したのだろう。

……シャレにはならんよなぁ…。

 

穂乃果「ううぅ~…ことりちゃん~…」

ことり「一緒に頑張ろっ、穂乃果ちゃん♪」

海未「全く…ことりは穂乃果に甘いのですから…いいですか、みっちり仕込みますからね!」

 

果林「峻~……」

「猛勉強するしかないな…って、俺に助けを求めるなよ…3年生の勉強はまだ分からないし…」

ダイヤ「果林さんと果南さんは私が面倒見ますわ!

…ダブルバカですし」

果林「ダブル…っ!?」

果南「バカぁ!?…ダイヤっ、酷いよ~っ!」

「どちらかと言えば、おばかりん。とおばかなん。って所かな?」

 

果林「峻まで~…っ!」

果南「…間違っては…いないけど…」

「多分学力に回るはずだった分が胸に回ったのかなぁ」

果南「って!どこ見てるのバカっ!!///」

 

かすみ「うぅ~…かすみんも峻先輩に教えてもらおうと思ったのに…」

しずく「どうせ甘えて勉強を疎かにするのが目に見えてます…かすみさんは私と善子さんで面倒を見ます。」

善子「迷えるリトルデーモン3号のために…ヨハネが施しを与えてあげるわ♪」

かすみ「…え、いつの間に3号になったんですか…」

 

 

にこ「う~~………人に優劣つけるなんてどうかと思うわ!!」

にこによる最後の悪あがき。

 

真姫「そんなこと言って、自信が無いだけなんじゃない?」

にこ「な、ななな!そんな事ないわよ!!にこがちょっと本気出せばよゆーよ!よゆー!!!」

しかし、真姫によって簡単に論破された。

 

 

希「じゃあ、一番点数の低い人はおバカ王って事になるんね♪」

傷口に塩どころかアルコールを塗りたくる希。

痛いなんてもんじゃないぞ…。

 

千歌「嫌すぎる……美渡姉に知られたら…バカにされる…!」

あ、美渡さんの名前久々に聞いたなぁ…。

 

 

曜「…ねぇねぇ、悠くん?」

小声で曜が話しかけてきた。

「どうした、曜?」

曜「余裕そうだけど…悠くんは大丈夫なの?」

「って、ほら…俺はとりあえず2年生の授業を受けてるわけじゃん?…だから、日々の授業も繰り返しって感じになるし…」

 

曜「あ、そっかっ♪

…まぁ、元々悠くんは頭良かったしね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで全員で勉強会をする事となった。

ダイヤ「えっと…峻さんは、すいませんが全体的なフォローをお願いしてもよろしいですか…?」

「…いいけど、出来る範囲はあるよ?」

 

 

 

 

絵里「そうじゃないわ……多分頭パンクしてもう無理~ってなりそうな子ばかりって事よ…」

「………ああ…………」

想像は容易にできた。




次回:分岐その1


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朝香果林 誕生日特別編

お誕生日おめでとぉおおお!


果林「はぁい、峻♪

突然だけど…今度の土曜日…デートに付き合って頂戴?♪」

 

「…えっ…」

果林「あら…っ…私が誘うの、そんなにおかしい?」

「いや、そんなことは無いけど…!!」

 

部室内で急にお出かけに誘われた。

どういう訳か皆もニヤニヤしながら俺の答えを待っていた。

 

「…うん、いいよ?」

果林「ありがと♪…じゃあ、前日までに連絡はするわね♪」

 

そう言うと練習着に着替えに部室を後にした果林。

愛「いや~♪…しゅんしゅん気がつくかな~?」

璃奈「あの様子だと…無理そう」

しずく「でも、果林さん…プレゼントが欲しいって訳では無さそうでしたよ…?」

彼方「果林ちゃんの事だからちゃんと考えてるんだよ~…♪」

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【そんなこんなで土曜日】

 

 

「…駅前に集合って言われたけど…」

果林の事だから…迷ったり…しない、よな?

 

「…しょうがねぇなぁ…」

約束の時間の1時間半前に家を出る俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【虹ヶ咲学園 寮前】

 

「…さて、果林は…っと…」

【果林、今まだ寮か?】

果林【えぇ、そうよ?…まさか、寝坊…?!】

 

【…………………………】

果林【えっ、本当に…?】

【寮の前にいるから、用意出来たら来いよ】

果林【えっ……え???】

 

 

その直後、窓から顔を出す果林。

俺の顔を見ると酷く驚いた顔をしていた。

 

 

「待ってるからな~」

果林「わ、分かったわ…!!」

「…焦る果林ってやっぱり新鮮だな」

 

 

 

────────────────

 

 

【果林 視点】

 

「び、びっくりした~…」

まさか峻が来てくれてるなんて…。

 

「…お迎えなんて…恥ずかしいじゃない…///」

じっと、鏡に向かって自分のコーディネートを確認する。

 

「…も、もう少しセクシーなのでも…い、いいかしら…?///」

着替え直すと同時に部屋の中に目がいく。

 

「…少し、片付けて…おこうかしら…

って、何言ってるの私…!!///」

赤くなった顔を振り払うように着替え直して部屋を後にするのだった。

 

 

──────────────

 

 

 

果林「おまたせ…峻…」

「お、待って………っえええっ!?!」

 

寮から出てきた果林の姿を見てびっくりした。

まさに芸能人…ってオーラがすごい。

っていうか…色々と大人っぽい雰囲気がする。

 

「…すっごい綺麗…」

果林「…そんな感慨深く言われたら…照れるわよ…///」

「いや、パーティーに行く時の格好だし…果林だと凄く似合ってるし…」

果林「…そ、そう…///」

 

小さくガッツポーズをしたのは…気の所為だろうか?

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

「それで、どこにお出かけするの?」

果林「…その前に!」

「…え?」

 

果林「…なんで、寮前まで来たの…かしら?」

「…ああ、言ってなかったね

って言っても…大した理由じゃないんだけどね」

果林「…?」

 

「果林が迷わないように……まぁ、お出かけに誘われたのは俺だけど…男ならエスコートしてなんぼ、だろ?

…それに、楽しみ過ぎて…待ってられなかったっていうか…」

果林「…峻…///

…ふふっ、私も…楽しみ過ぎて…気合い、入れちゃったのかしらね…///」

 

そう言って頬にキスをする果林。

 

「…か、果林…っ」

果林「…実はね、お出かけって言っても…どこに行くのか決めてないの」

「…そ、そうなの…?」

果林「…誕生日に…思い出、欲しいかったから…」

「誕生日…?…っ、い、言ってくれればプレゼント用意したのに!」

果林「いいの!……その代わり…今日1日…峻に甘えちゃおうかしら…?♪

少し大人なデート……し、て?♪」

 

「…果林…あぁ、分かったよ果林…しっかりエスコートしてやるからな」

果林「えぇ、期待してるわ…峻♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

最後、一日の終わりは…寮の果林の部屋で内緒に過ごしたい…とまでは今は言えない果林だった。

 

 




ちょい短め!すいません!!

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64話

…ここすきボタン?(困惑)
読者様、ぜひ使ってみてくださいね(どこ目線)
裏作についてて驚きましたw


かすみ「お待たせした件については何かないんですかー!!」
面目ねぇ…

スクスタストーリーより!分岐その1!


「さてさて、部室で勉強してるのは…っと」

 

愛「あれっ、しゅんしゅんどうしたの?」

しずく「もしかして…勉強を見に来てくれたんですか!?」

璃奈「だとしたら、嬉しい」

彼方「彼方ちゃん達、今理数系を勉強中だよ~」

 

「うん、見に来たというか…お手伝い?しに来たよ」

 

とは言え、教えられると言っても璃奈ちゃんやしずく、愛の分からない部分だけど…。

 

(今頃、俺が悠のままなら彼方がやってる部分を勉強してたのかなぁ…)

「…って、違う違う…」

彼方「理数系って眠くなるんだよね~…」

しずく「私も、理数系はどうしても…」

 

「まぁ、難しいよな…数字の勉強とはいえ…って、あれ?

ルビィちゃん達はビデオ通話で勉強会をするんじゃなかったっけ?」

愛「あー…それが、ね…」

 

ちらっと愛がスマホに目をやると…ビデオ通話の先でルビィは確かに勉強していた………が。

 

ルビィ「うぅ…後ろが気になって集中できない…」

千歌「怖い…ダイヤさん、今までで1番怖い…!」

果南「な、なんで私まで…」

 

ダイヤ「御三方~……?♪

手、を動かしましょうね?♪」

ニコリと笑い…座禅の時に叩く棒を手に三人を見るダイヤ。

 

「…なんであんなの持ってるんだ、ダイヤさん…」

花丸「まるのうちにあったから、持ってきたずら~」

 

勉強を見つつ花丸は、のっぽパンを食べていた。

「…とりあえず、そっちは…大丈夫そうだね」

ダイヤ「ええ、そちらも精進してくださいまし」

 

そういうと、ビデオ通話は切れた。

頑張れ…ルビィ、千歌、果南…。

 

 

「…さて、こちらの面々には…まぁ、俺からアドバイスってことで…とりあえず難しく考えすぎるのも良くないぜ?

パズルやゲームとかと思えば簡単だよ」

 

璃奈「んぅ…そうは言っても…」

しずく「要点が分からないと言いますか…」

 

「…じゃあ、1問…例題ね?」

そう言ってホワイトボードにペンを走らせる。

 

 

「例えば…この式を使ってこの問題の答えを導きたいってなったら…まず、どこを見る?」

彼方「え~~~~っと…問題文…?」

「ん、まぁそれも正解だけど……まぁ、公式が必ず載ってるからそれを問題文と、照らし合わせて紐解いていけば自ずと答えは出てくるよ…ほら、例えばしずく、ここはどうなると思う?」

 

しずく「は、はいっ!…えっと、この問題は…ここの公式を使って…それを…この分に当てはめれば…こ、答えはこれですかっ!?」

「そう!正解だよ。

難しく考えないで要点さえ分かれば案外数学とかもいい点取れるよ」

愛「さっすがしゅんしゅん!なんか家庭教師みたいだったね♪」

 

「セクシー家庭教師?」

璃奈「…セク、シー…?」

「…ん、ごめん忘れて…」

しずく「(……しゅ、峻先輩が…家庭、教師…っ…///

全問正解したら、いい子いい子してもらえるかも…っ!?///)…よ、よーし!やる気出てきました!」

彼方「しずくちゃん燃えてるね~♪

彼方ちゃんも張り切っちゃうぞ~♪」

 

璃奈「…多分、別のこと、考えてると思う…」

「…あはは…」

しずく「とりあえず、峻先輩!今日は付きっきりで見てくださいね!」

「いいよ、遠慮なく聞いてね」

 

 

愛「じゃあ、愛さんも聞いちゃおうかな~♪」

「上手く教えられるか分からないけど、いいよ!」

 

 

こうして、下校時間ギリギリまで勉強会を開く5人だった。

皆、最初は苦戦していたが…段々理解してきたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【その日の夜】

 

「…ん、ビデオ通話?…しずくからだ」

しずく「あっ、先輩!夜分遅くにすいません!」

 

「大丈夫だよ、どうかしたの?」

しずく「実は…自宅でも勉強してるのですが…分からないところがありまして…」

「ん、感心感心…それで、どこが分からない?」

 

しずく「ここなんですけど…」

ビデオ通話で分からない問題文を映すしずく。

…しかし、それは数学ではなく…。

 

 

「…って!なんで保健体育なの!」

しずく「先輩、好きな人って…いるん、ですか…?///」

「…っ……!」

 

その質問に俺は言葉を飲んでしまった。

正直なことを言えば…分からない、からだ。

ただ、分からないなんて言えるだろうか?

…いや、無理だな…それに俺は…峻ではなくて…悠、だし…。

 

しずく「…すいませんっ、数学の勉強に戻りますね♪」

「……ごめんな、しずく」

しずく「いえっ、私の方こそすいませんでした!おやすみなさい、峻先輩♪」

 

そう言って、しずくからのビデオ通話は切れた。

 

 

 

「…好きな…人……」

………俺は、悠として戻れるのだろうか?

…それとも、このまま…峻として生き続けるのだろうか?

 

 

「…ドラえもんが居たら…解決するのにな」

なんて、自虐ネタを1人呟いて天井を見続けるしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しずく「……勉強も恋も…頑張らないと…っ」

私にとっての…初恋、なんだから…っ。

 

しずく「見ててくださいね…先輩

桜坂しずく…先輩に相応しい後輩になって見せますから!」

そう言って再び勉強に勤しむ私だった。




さて(さて?)プロ野球が開幕したと言うのでまたこれをやりたいと思います。

【デン!!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会で打線を組んでみた】分かる人にはわかるやつっ!!(大蛇丸風)


1番 (中)宮下愛
2番 (二)中須かすみ
3番 (三)朝香果林
4番 (投)優木せつ菜
5番 (一) エマ・ヴェルデ
6番 (捕)近江彼方
7番 (遊)上原歩夢
8番 (左)天王寺璃奈
9番 (右)桜坂しずく


Aqoursの9人と野球対決してくれないかな…←

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65話

恋になりたいAQUARIUMの衣装きたー!!

果南ちゃん可愛すぎませんか…!?
出ない…白しか出ない…。
これはかすみちゃんのスカートの中は白と言うのが断定できますねぇ。

かすみ「いや、金や虹色の下着ってなんですか!!」


今日、俺は絵里にお呼ばれして音ノ木坂学院にやって来た。

 

【あれ、別の高校生かな?】

【かっこいい~】

 

「…浮き足立つな…」

絵里「あらあら、人気者ね♪」

「絵里さん!……って!茶化さないでくださいよ!」

絵里「冗談よ♪

みんなは屋上で練習してるから見に来るといいわ♪」

 

「分かりました!…って……屋上で…練習?」

俺が勉強は…?みたいな顔をすると絵里は困ったように頬を掻いた。

 

絵里「…あ、はは…見れば…わかるわ……」

「……………???」

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

【屋上】

 

 

穂乃果「さあー!スクールアイドルフェスティバルの練習するよーっ!!」

凛「穂乃果ちゃん、気合い入ってるにゃ~!♪」

 

にこ「勉強のストレス発散したいだけでしょ」

真姫「それは…にこちゃんもでしょ」

にこ「だ・い・た・い!テストで60点以上取らなきゃいけないのは虹ヶ咲学園のメンバーであってなんで私たちまで勉強しなきゃいけないの!」

 

「…あはは…お耳が痛いです…」

にこ「んげっ!?…しゅ、峻…!!」

絵里「もう決まったことなんだし、今更蒸し返さないの」

 

花陽「でも、練習の後に週末の勉強会って…疲れる、よね」

「…確かに…タイトな日程になりかねないよな…」

花陽「そ、その分…エネルギーを使うからご飯が美味しく思えるけど…っ♪」

希「じゃあ、勉強会を先にしてみる?♪」

ことり「ん~…あんまり、変わらないかも…」

 

「どの道、集中力の欠如は否めないな…」

海未「そもそも、穂乃果もにこも日頃から勉強を疎かにしなかったら─────」

「…始まった…」

 

海未「毎日授業を受けて宿題をやれば赤点を取る事なんてないのです」

…手厳しいかなぁ…。

って言っても、2人のことを思って言ってるんだよなぁ。

 

穂乃果「だって、先生の話聞いてると眠くなるんだもん~」

…あ、一瞬海未さんの顔がピキっとなった気がした。

 

にこ「いくら勉強したって社会で役立つのは、ほんの一握りじゃない」

希「勉強嫌いな子が言う常套句やね」

絵里「大事なことを伝え忘れたけど…このままじゃにこ…2回目の3年生をやる羽目になるわよ?…社会なんてまだまだ先になっちゃうわよ?」

穂乃果「わーい!にこちゃんと同じクラスになれるー!」

海未「穂乃果も人の事言えないですよ」

 

「…あはは…気苦労が絶えないね…」

ことり「ふふっ、それがμ'sの良さかもしれないね♪」

 

 

穂乃果「留年……それは、さすがに……」

にこ「嫌よ…大銀河スクールアイドルのにこが留年だなんて!」

 

絵里「その為の勉強会、よ?…まぁ先生も呼んだことだし♪」

俺の肩にポンっと手を置く絵里。

「…えっ、俺?」

絵里「あら、だから呼んだのだけれど…」

「…あ、あぁ…そういう事ね…」

 

ここでようやくお呼ばれした理由が分かった。

海未「峻さん!…すいませんが…穂乃果を''重点''的に!見てくださいますか…!?」

穂乃果「…海未ちゃーん…なんか言い方に悪意があるような~…?」

海未「事実を言ったまでです!」

穂乃果「そ、そんな~!!」

 

 

 

 

 

 

結果、練習の後に部室で勉強会を開いた。

教えるが何度も小休憩を挟む穂乃果とにこに注意をしつつも何とか勉強は進められた気がした。

…帰る時間は…遅くなったけど…。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

「ただいま~……」

せつ菜「あっ、おかえりなさいです!!!!!!」

「…忘れてた」

 

せつ菜がウチに泊まってるんだった。

「歩夢は?」

せつ菜「部屋着を取りに行ってるそうです!」

「て言うことはまた3人で寝るのね…」

 

せつ菜「はいっ!」

「歩夢が来たら2人で風呂に入りなよ?」

せつ菜「ありがとうございます!!」

 

 

そんな話をしていると部屋着を持った歩夢が部屋に入ってきた。

歩夢「峻くん?どうしたの?」

「……いや、なんでもない…」

 

 

歩夢よ、さすがに生脚が出てるショートパンツスタイルは…直視できないよ…。

「お風呂はいってきなよ?」

歩夢「うんっ、ありがとうね♪」

せつ菜「すいません、お先にお風呂いただきます!」

 

 

「…さて、と」

2人で話しながら風呂場に向かい部屋には俺一人となった。

 

「…………………」

携帯を耳に当てる。

 

曜「もしもし?悠くん?」

「曜は相変わらずだな…」

曜「あはは、やっぱり悠くんって言う方が慣れ親しんでて……それで、今日はどうしたの?」

 

「Aqoursの勉強調査でーす」

曜「あっはは!♪

悠くんってば、三組のマネージャーみたいになってる~!♪」

「総監督って言うやつもいたけどな…」

にこだけど。

 

 

曜「んー、こっちは…まぁ…あはは…」

「なんか歯切れが悪いな…なんかあったのか?」

曜「…えっと……まぁ、あった…ね?」

 

 

 

─────────────────────

 

 

【今日の昼過ぎ Aqours】

 

 

 

果南「ほらほら!!スピード落ちてるよー!!

これじゃあランニングじゃなくて散歩だよ、散歩ー!」

 

千歌「か、果南ちゃ~ん…飛ばしすぎだよ~っ!!」

ルビィ「も、もう…ルビィ…む、りぃ…」

善子「た、太陽熱が…っ…ヨハネの体を…蝕むっ…!!」

 

花丸「ま、まるも…まるまるしてしまう…ずらぁ…っ」

梨子「お、お願いだからちょっとペース落として~…!!」

 

果南「揃いも揃ってだらしないな~!

それでもみんなはAqoursか~!」

鞠莉「お、おぅ…スポ…根…ね~…!」

ダイヤ「た、体力つく前に…潰れてしまいますわ…っ!」

 

曜「このペースじゃ…みんなへばっちゃうと思うんだけど…」

果南「…仕方ないなぁ…じゃあちょっと休憩ね?」

 

 

花丸&ルビィ&善子「た、助かった~……!!」

ダイヤ「このやる気を…勉強にも向けて欲しいのですが…」

果南「べ、勉強とコレは関係ないし…っ!!」

 

鞠莉「果南ってば、練習の時はアグレッシブなのに

勉強の時になると茹でられたほうれん草みたいになるのよね~」

梨子「…し、しなしなってこと…?」

鞠莉「おぅっ、That's Right♪」

 

果南「わ、私だってやる気を出せば…静岡で1位くらい造作も…!!」

ダイヤ「では…目標を60点から80点に上げましょうか…?

今まで以上に…ビシバシ!と教えこんであげますわ…」

 

果南「…さ、さー!少しペース落として練習再開~!

無理は良くないよね~うんうん!!」

 

千歌「あはは、果南ちゃんったら~♪」

曜「…えっと、千歌ちゃん…」

梨子「自分のことはまるで自覚してない…」

 

 

 

 

────────────────

 

 

曜「…ということがありまして…」

「あはは、果南らしいなぁ…まぁ、フラストレーション溜まってたんだろう」

 

曜「おかげで曜もくたくたであります~…」

「そっか…電話してごめんね、今日はゆっくり休みなよ!

…どっかのタイミングでAqoursのみんなの様子も見に行かないとね…」

曜「曜を始め、Aqours9人、ぜひぜひお待ちしてるであります!」

 

「あはは、ありがとうね曜」

 

 

 

 

 

 

そして、2人ともおやすみと声を掛け合い電話を切った。

風呂場の脱衣場が騒がしい。

たぶん、2人とも出てきたのだろう。

 

 

「…さて、俺も風呂に入りますか」

今日一日の出来事を振り返るように俺もこの後風呂に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

【悠の世界】

 

 

 

 

 

 

聖良「千歌さんっ…!!!!」

千歌「…ぁ……聖良…さ、ん…」

 

聖良「…ぁ……っ…」

久々に見た千歌の姿に絶句した聖良。

無理もないだろう、目からは生気が無くなっており、心無しか痩せた気もしていた。

 

理亞「…ルビィ…」

ルビィ「…見ない方が…良い、と思うよ…」

 

聖良「……っ………」

しかし、それではここまで来た意味が無い、と聖良は病室に入るのだった。

 

 

理亞「……悠」

聖良「そん、な…っ…!」

 

意識がないボロボロの体を見た聖良は膝から崩れ落ちた。

話に聞いたが…想像を上回ったからだ。

 

聖良「…助かる、です…よね…っ!?」

その質問に3年生3人は…静かに首を横に振った。

 

ダイヤ「…奇跡を、信じるしかありません…」

果南「…………………」

鞠莉「マリー達には…どうすることも…」

 

聖良「…ぁ…ああああああっ…!!!!」

理亞「…姉さま…」

 

病室は彼女の泣く声だけが響いていた。




そう言えば鹿角姉妹アンケートにいれてないやんけ!!
って気がついたのでアンケート追加しました。

(もう投票したけど、鹿角姉妹推しなんですけど!!って人は再び鹿角姉妹の方にもご投票お願い致します)

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66話

65話にここすき投票がされてたのでどこだろう?って
見てみたらせつ菜ちゃんの、おかえりなさいです!!!!!で吹きましたw


「わざわざ来てもらってごめん」

ダイヤ「定例会兼勉強会ですから来て当然ですわ」

絵里「そうね、やっぱり危うい子は危ういままだし…」

 

にこ「一気に現実に引き戻された感じ…」

果林「そうね…」

果南「60点かぁ…赤点回避で合格にしてくれないかなぁ…」

 

ダイヤ「泣き言を言っても始まりませんわよ、さぁ勉強会ですわよ」

絵里「というわけで分科会ね、みんな得意分野に別れましょ?」

 

しずく「国語系の方はこちらでーす♪」

花丸「ルビィちゃん、一緒に国語を勉強するずらっ」

ルビィ「う、うんっ!」

 

エマ「教えてくれるのは…しずくちゃんと花丸ちゃんと峻くんかな?」

「とりあえず、ね」

しずく「峻先輩の教え方上手いからすぐ覚えちゃいますよ!♪」

花丸「流石ずら~峻さん~♪」

「花丸…」

 

璃奈「私…文章系苦手…」

「ん、どこが分からない?…例えば…ここは?」

指をさしたのはこの時主人公はどう思ったのか答えよ。という問題だった。

 

璃奈「あ、分かった。璃奈ちゃんボード…''ピンポーン''」

「お、分かった?」

璃奈「もうやだ、締切に間に合わない…」

ルビィ「え、えええっ…っ!?!?」

「いや、どこの漫画家だよ…」

 

璃奈「作者の心の声が聞こえた…''キラン''」

ルビィ「聞こえちゃったんだ…」

エマ「文章に出てくる人物の気持ちを読み取るのって結構難しいよね~…」

 

「…んー、そうか…じゃあ、こうしようか…しずく、ちょっとこのセリフ読んでみて」

しずく「えっ、あ、その…っ…先輩の好きな人のタイプって…どういう人、ですか?」

「タイプ…かぁ…俺はお前じゃなきゃ嫌だけど…な」

しずく「~…っ…///」

 

「はい、この時の主人公…しずくの気持ちはどんな感じ?」

璃奈「嬉し恥ずかしいって感じ…?」

ルビィ「照れてるようにも見えるね…♪」

エマ「なるほど~、わかりやすい~っ」

花丸「峻さん…」

「あれ、なんか違った?」

 

花丸「…悪どいずら…」

「…?」

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

結局、しずくから

【もうっ!先輩が居ると嬉しく……い、いえっ!勉強に集中出来ないので別の勉強会の様子を見に行ってください!!//////】

 

と、追い出されてしまった。

「…何も顔を真っ赤にしてまで言わなくても…」

 

 

と言いつつ俺の足は部室へと向かった。

…ここは、危険地帯…だからなぁ…。

 

 

「失礼しま~す…」

ダイヤ「かすみさん、果林さん、穂乃果さん、にこさん、果南さん…貴方たちは…と・く・に!成績が悪い方々ですわ」

 

「…あちゃ~…」

タイミング悪い時に来てしまった。

 

果林「全般的にって~…間違いではないけど…本当にやるの?」

絵里「やるわよ、冗談なわけないでしょ?」

 

しかも、絵里まで居た。

これは…スパルタ勉強会になりそうだ…。

 

にこ「じゃあ夢ね!絵里、ほっぺを抓なさい!」

歩夢「ごめんなさい、現実なんです…」

お、歩夢も居た。

 

海未「いくら現実から目を背けても物事は変わりませんよ」

ひええ…海未までいる…。

 

ダイヤ「あら、峻さん来てくれたんですの?♪」

「…なかなか…な、状況だね…」

ダイヤ「ええ、中々な状況…ですわ」

 

果林「…勉強って…そんなに大事…かしら?

他にもっと大切なものがあるんじゃ…」

「勉強嫌いの常套句…」

 

穂乃果「うんうん!友情・努力・勝利!勉強は教えてくれないもんね~♪」

…勝利は関係あるのだろうか…。

 

にこ「全くよ~!スクールアイドルの授業がない時点で教育システムがおかしいのよ~!」

果南「まぁまぁ、言い争っていても仕方ないよ大人しく現実を受け入れよう…」

 

「…お?素直だな…果南…」

果南「あはは、私はいつでも素直だよ♪」

 

………凄まじく、怪しい…。

そして、果南は窓から外を見ていた。

 

果南「ところで、ほら…外を見てみなよ

こんなに良い天気なのに…勉強なんて勿体ないよ?♪」

かすみ「あ、かすみんもそう思いますー!」

果南「だよねー!♪

この現実を受け入れてみんなで遊びに行かない?

その方がずっと健全だよっ♪」

 

穂乃果「賛成~っ!息抜き息抜き~!♪」

かすみ「わ~いっ、気分転換~っ♪」

果林「あら、私オススメの場所知ってるわよ~♪」

穂乃果「えーっ、どこどこ~?♪」

 

絵里「…峻」

「お前ら…やれば出来る奴らばかりなんだから…頑張ろうぜ?

そうだな……60点以上取れたらご褒美やるよ」

果南「ほんとっ!?」

果林「安請け合いしすぎじゃないかしら~?」

穂乃果「じゃあ~和菓子の詰め合わせ~!♪」

 

絵里「はぁ…峻は相変わらずっていうか…愛想が良すぎるというか…まぁ、いいわ…いい加減諦めなさいね?」

にこ「諦めず継続することが大事なのよ!私は最後まで抗い続けるわ!!」

 

にこはご褒美という言葉には見向きもせずに抵抗を続けていた。

絵里「成績の悪さ、に抗って欲しいわね」

しかし、絵里によってすぐによって打ち破られていた。

 

ダイヤ「あまりこういう事は言いたくありませんが…現実を知ってもらうためには致し方ありませんわ」

「……ダ、ダイヤ……?」

ダイヤ「貴方たち…5人は…最も!おバカ王に近い5人ですわ!」

 

その言葉にみんながみんなの顔を見合わす。

にこ「い、いや…穂乃果に比べたら…私はまだいい方でしょ?」

穂乃果「え~?そんなことないよ~」

絵里「どっちもどっちよ…まさにどんぐりの背比べね…」

かすみ「…はうぅ~………」

 

歩夢「あの…気分転換って言ってたけど…練習でストレス発散してるって言ってような…」

歩夢の言葉が引き金となった。

 

ダイヤ「そう言えば、果南さんも…同じような事言ってましたわね」

絵里「にこと穂乃果…もね、つまり気分転換は必要ないってことよ」

穂乃果「そ、そんな~……」

 

海未「確かに苦手な事に挑戦するのは大変です

気が進まないのは理解できます」

ニコッと微笑む海未。

 

海未「ですが、峻さんも言った通り、皆さんは乗り越えられる力を持っていると私は知っています」

絵里「それに、みんなは1人じゃ無いでしょ?

みんなで力を合わせて乗り越えましょ♪」

「…だな、俺らも全力で力になるからよ」

 

ダイヤ「まさに、友情と努力…ですわね♪

それに…勝利も間違ってはいませんわよ?」

にこ「はぁ~…分かったわよ~…やればいいんでしょ~?」

穂乃果「うう~…仕方ないか~…」

果南「やらなきゃいけないなら…さっさと終わらせた方が楽かもね」

かすみ「いつまでも終わらない無限ループは嫌ですからね…」

果林「いつか勉強がこの世から無くなるのを願うわ…」

 

 

ダイヤ「では、始めましょう♪」

にこ「あーーーーっ…ホントに最後のお願い!」

ダイヤ「…どうしたのですか?」

 

にこ「やるのはいいんだけど…少し休んでからにしない?

定例会で頭使っちゃったし…今勉強しても、頭に入らないわよ」

 

絵里「…どうする、峻?」

「まぁ、そりゃそうだよな

アイスでも食うか?」

 

かすみ「わーい!かすみん、アイス食べたいです~!」

ダイヤ「全く…峻さんと来たら…」

「多少の譲歩も必要だろ?」

 

絵里「…まぁ、押し付けても…反発されるだけ、よね…」

「んじゃ、30分後だな…購買で買ってくるよ…あぁ、ダイヤや絵里の分もな?」

 

絵里「えっ…?///」

ダイヤ「ダ、ダイヤって…///」

 

 

 

この後、アイスを食べた後…教える方だった絵里やダイヤに身が入ってなかったのに違和感を覚える俺だった。




今週末にお台場ゲーマーズに行く予定のA×Kです。
このご時世で沼津に行きにくいので…せめてグッズ位は…。

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67話

Twitterで読者様と絡めるの大変嬉しく思います…!
ありがとうございます…!!


そんなこんなで勉強しては滞ってはを繰り返して…

テスト当日を迎えた。

 

 

(…アイツら…平気かな?)

テスト中、俺はおバカ王候補…いや、不安要素が残る6人のことが気がかりだった。

 

(…いや、信じよう…あれだけつきっきりで勉強教えたんだ…きっと、大丈夫…!)

既に彼の答案用紙は全て答えが書かれていた。

……開始15分での出来事である。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【部室】

 

かすみ「やっと終わった…頭使いすぎて…かすみんもうダメです~…死んじゃいます~……」

璃奈「燃え……尽きた…」

 

しずく「あの…お二人共?…明日もテストはありますよ…?」

かすみ「む、無理無理無理~っ!頭空っぽになっちゃうよ~しず子~…!!」

 

果林「こんなに頭を酷使して明日もあるだなんて…ここは~…地獄かしら…?」

エマ「ああっ、果林ちゃんの目が遠いところに…!!」

 

彼方「彼方ちゃんも~いつもより頑張ったから~…

寝ま……すやぁ……」

果林「私も眠い~…」

 

 

「…なんじゃあ、こりゃ…」

彼方と果林はお互いの体を支え合うように眠り始めたし…

かすみと璃奈ちゃんは机に突っ伏して寝てるし…。

 

それを困った顔で見るしずくに…苦笑いする歩夢…。

部室内が混沌としていた。

 

「…そ、それで…みんな手応えは?」

せつ菜「ありました!」

「おっ、せつ菜はさすがってところだな」

 

しずく「私も勉強会のおかげで今回は良い点数が取れそうです!♪

ふふっ、先輩の教え方が上手かったんですかね…?♪」

「最初はどうなるかと思ってたけどなぁ…」

 

愛「あー、確かに!誰かに教えるって復習にもなるからね~」

 

果林「…今から同好会のメンバーの点数で平均60点で合格にして貰えないかしら?」

「だとしても得意な分野あるのかよ…果林は」

 

かすみ「そこは、峻先輩のお力で~♪」

「他力本願かよ!」

 

しずく「また、絵里さんやダイヤさんに怒られてしまいますよ?」

かすみ「げっ、それは…勘弁…」

 

璃奈「60点がこんなにも高すぎる壁だったなんて…」

果林「あーぁ、なんで語群とか選択肢が無いのかしらね~…

スタイリングの科目とかあったらすぐ100点なのに…」

 

歩夢「あ、そっか!専攻してる科目によってスタイリングのテストとかあるんだね」

果林「あとはデザインとかファッションに関するテストとか…ね」

かすみ「へ~凄いですね!」

 

「…あれ、彼方もデザイン科じゃなかったっけ?」

彼方「彼方ちゃんは~デザインはデザインでもご飯の方なのです~♪」

「あー、フードデザインってやつ?」

歩夢「彼方さんはお料理得意だから納得しちゃうな♪」

 

「…やっぱり専門教科は得意なんだな…」

彼方「理数系は苦手~…」

璃奈「理数はいけたけど…国語はやっぱり苦手~…」

 

「結局、苦手って言う話題に戻っちゃうね…

まぁ落ち込んでてもしょうがないよ!

…えっと、しずくとエマは…国際交流学科…だよな?」

 

しずく「はいっ、日本語の他に外国の言葉を覚えたくて…

将来のためになる、と思いまして…!」

エマ「言葉を覚えたいってところは私も同じかな~

日本語って難しいから~」

 

彼方「じゃあ~明日に備えて~…彼方ちゃんはお昼寝を~…」

愛「寝るなーーーカナちゃんー!!!」

彼方「…ふぇ?」

 

愛「明日に備えて!やるのは追い込みでしょー!

ほらー!かすかすも逃げるな~!」

かすみ「に、ににに、逃げてなんかないです~ぅ!!

って、しず子も腕掴まないで~!」

 

愛「さー、やるよー!

果林も後一息だよ!」

果林「…ちょ、ちょっと休憩してからにしない…?」

愛「だめだめ~!時間は有限だよ~!」

しずく「愛さんの…スパルタモード…!」

璃奈「鬼に…見える…」

 

愛「これもスクールアイドル続けるため!やるよー!!」

「…こりゃ、俺の出る幕はないかな?」

歩夢「…じゃあ、お願いが…」

 

かすみ「ひぇーーん!もうかすみんの頭には何も入りませんよー!峻先輩助けてください~!」

愛「おっけ、入る隙間くらい作ってあげる!」

かすみ「た、助けて~~!!」

 

 

「……えっと、話の続きは?」

歩夢「…私も勉強を教えて欲しいなって…」

「…歩夢に?」

歩夢「…ダメ、かな…」

 

「いいよ、じゃあ今日の放課後に俺の部屋…でな?」

 

 

────────────────

 

 

 

【その日の夜 峻の部屋】

 

 

歩夢「実はあの時言えなかったけどね…明日のテスト少し自信が無いんだ…」

「ん、そうだったのか…なら、力になってやらなきゃな」

 

歩夢「うん!♪」

「…って言ってて…おやつ持ってきてるのはいかがなものかと…」

歩夢「えへへ…捗るかなって…」

「歩夢らしいな」

 

「…さてさて、お喋りはこれくらいにして…古典から始めようか?」

歩夢「うんっ!頑張っちゃうぞ~♪」

 

教科書とノートを広げる俺と歩夢。

「範囲は…このページから…ここまでっと…」

歩夢「……峻くんって、ノート取るの上手くなったね?

すっごく綺麗で見やすい…!」

「ん、そうか…?」

 

…って、危ねぇ…悠の時のノートの取り方してたから違和感したのかな…。

歩夢「まるで先生みたいなお手本みたい!」

「褒めすぎだって~」

 

歩夢「何だか懐かしいな~…昔もこうやって一緒に勉強してたっけ」

「…あぁ、そうだな…」

 

かりそめの姿で悪いな…歩夢…。

嘘をついてる自分が少し嫌になった。

しかし、それでも歩夢はこちらに笑顔を向けてくれる。

 

歩夢「…ずっと…このままいたい、な…」

「…ん、そうだな…」

少し気まずい中…俺と歩夢は2人きりで勉強に励むのだった。

 

 

歩夢「…もう少し…くっついていいかな?」

「…ん、誰も見てないんだし…いいよ、おいで」

歩夢「…うんっ///」

 

肩と肩が触れ合う距離で…勉強を再開するのだった。




歩夢ちゃん可愛い!

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68話

曜ちゃんがリード広げてるなぁ…。
(と、言いつつ顔がニヤけてる作者です)


果林「今度こそ…終わった…わ……」

「と、思いきや……???」

 

果林「えっ、えええ~っ!!??」

「なんてな」

果林「しゅ、峻にからかわれるなんて…」

 

せつ菜「長い戦いでしたね…皆さん…

これで…自由の身です…っ…」

「まだ油断は出来ないけどね…」

 

彼方「彼方ちゃんの頭には…単語しか浮かびません…寝かせてください…すやぁ…」

璃奈「なら・なり・に・なり…なる…なれ…りな、りー?

…りなりー???」

愛「り、りなりー!!」

 

エマ「沢山勉強したから…お腹すいちゃったね~…」

果林「一生分の勉強をした気がするわ…」

「まだ定期テストは何回かあるけどね…」

 

かすみ「かすみん…自分で自分を褒めてあげたいです…」

しずく「かすみさん、よく頑張りましたね…ナデナデ」

かすみ「しず子~っ!!!」

 

璃奈「しばらく…勉強したく、ない…」

「……あ、あはは…」

 

各々、ダメージは大小受けたみたいだけど…まぁ、何とか乗り切れた。

「あとは結果待ちだな」

かすみ「結果なんか知りたくないです…考えるだけでも…恐ろしい…」

「おいおい!」

 

そんなに手応え無かったのか!?

かすみ「もちろん…勉強会のおかげでいい点数が取れると思いますが…

今までテストに自信がなかったので…」

 

…まぁ、無理もない…か?

璃奈「私も…大丈夫かな…?」

「もちろん!教えた人が太鼓判押すんだから大丈夫だよ!」

せつ菜「貴方が言ってくれると自信になりますね!!」

璃奈「うん、何とかなりそうな気がする」

 

果林「はいはい!もう勉強のお話はやめましょ?

遊びに行きたいわー!」

かすみ「いいですね!自分へのご褒美ですー!♪」

エマ「みんなでお出かけ!楽しそう!」

璃奈「うんっ、楽しそう!」

 

果林「じゃあ、決まりでいいわね?」

愛「ストーーープ!ストップストップ!」

 

「「「……………げっ」」」

嫌な予感がする…みたいな感じの声を出す数名。

…いや、俺も…いいよ。って言おうとしてたんだけど…。

 

愛「もしかして、テスト終わったらおしまい!って思ってる?」

かすみ「……ま、まさか…」

果林「まだ…鬼軍曹…っ?!」

 

エマ「…違うの?」

これにはエマも困り顔をしている。

 

愛「自己採点と、出来なかったところの復習!

せっかく勉強したのにそれじゃあ身にならないよ!」

歩夢「そうだね、せっかく今回のテストが良くても次がダメじゃ意味無いもんね」

 

「…ま、確かに三船のやつじゃ…また何言い出すか分かんねぇからな」

愛「辛い思いして勉強したんだから、このまま忘れるのも…勿体なくない?

自分のために覚えてた方がきっと役に立つって!」

 

果林「これが…優等生の思考なのね…」

眩しい…みたいな顔をする果林。

 

歩夢「ちゃんと覚えてた方がお得だよ?」

璃奈「どうお得なの…?」

 

歩夢「だって、今覚えてること忘れたらまた1から勉強だよ?

…それって大変だし…面倒じゃない?」

 

かすみ「ひええぇ~…それってまた地獄に逆戻りってことじゃないですか~!!」

しずく「かすみさん、継続は力なり。ですよ♪」

 

果林「…分かったわ、ここで駄々を捏ねたら子供みたいになっちゃうじゃない…付き合えばいいんでしょ?」

「お?物分りいいね、果林」

果林「今回の勉強でかなり思い知らされたわ…」

 

かすみ「えーーん……お出掛け中止ですかぁ…?」

愛「かすかす~、誰が中止って言った~?」

かすみ「えっ?」

せつ菜「自己採点と、復習が終わったら…お出掛け、ですね!」

 

愛「そういうこと!…んで、しゅんしゅんは出掛け先決めておいて~♪」

「えっ、俺!?」

愛「ウチの唯一の安牌だからね!」

「…ん、んん…分かった…」

 

璃奈「愛さん…本当にいいの?」

愛「愛さんもそこまで鬼じゃなーーーーい!!

それに、みんなが頑張ってたのしってるし!」

しずく「それもこれも教えてくれた皆さんのおかげですっ

ありがとうございます!♪」

 

「…ええ子やなぁ…しずくは…」

愛「ほ、ほんとほんと~!照れるじゃんかよ~っ!」

 

エマ「よーしっ、やる事やって…気持ちよくお出掛けに行こ~!」

かすみ「そうと決まれば、ささっと片付けてしまいましょう!」

 

「かすみって…現金だね…」

かすみ「むっ、聞き捨てなりませんね!峻先輩っ!」

歩夢「ほらほら、かすみちゃんっテスト用紙出して♪」

愛「分からない事は分からないままにしないようにっ♪」

 

「…さて、俺はどこにしようかな…」

みんなで行ける場所…うーん…どこだろう…。

 

歩夢「あっ、峻くん!♪

…言いそびれたけど…2人きりで勉強したからか…私も、凄く手応えあったんだ♪

…ありがとうね///」

「いーえ、これくらいなら毎回教えてあげるよ」

歩夢「うんっ!♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

(…ホント、歩夢や愛は頼もしいな…同好会に入ってくれて…良かった…)

楽しそうに復習をする皆も見てそう思う俺だった。




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69話

ついに迎えたテスト返却!
そしてお出かけ先発表!

さらにさらに!せつ菜ちゃんとイチャイチャする?お話です!


「さて、みんな…テストの結果は戻ってきたかな?」

かすみ「かすみん…緊張しすぎてあまりよく眠れませんでした…」

 

璃奈「分かる…」

 

果林「もし自分の点数が60点以上じゃないと…って思うと全然眠れなかったわ…」

愛「泣いても笑っても結果は変わらないからなるようにしかならないって♪」

 

せつ菜「…では…峻さん、確認してもらえますか?」

「えっ、俺?」

せつ菜「はいっ、ここは部長として皆さんの点数を確認して欲しいんです!…って言っても…見るのが怖いって言うだけなんですがね…」

 

「…そういう事か、まぁ…かすみや果林も見るのが怖いって顔してるからな」

かすみ「お願いします…峻先輩」

果林「そうね…お願いするわ…峻…」

 

 

「…じゃあ、まず…安全そうな人から…」

歩夢、愛、せつ菜…の順で点数を見ていく。

 

「愛も歩夢も…せつ菜もか、平均点80点以上なんだな」

愛「へへーん、愛さんは真面目だからね~♪」

歩夢「峻くんのおかげだねっ♪」

せつ菜「スクールアイドルの為なら全力を尽くしました!」

 

「エマと彼方としずくもよく頑張ったね」

エマ「勉強会が凄く役に立ったよ~♪」

彼方「苦手な理数系が何とか乗り越えられたよ~♪」

しずく「これも峻さんのおかげですねっ♪」

 

「…さて、問題の3人…」

璃奈「…璃奈ちゃんボード…ごくり…」

かすみ「お願いします…お願いします…!」

果林「……………………………」

 

「…おっ、璃奈ちゃん70点以上取ったじゃん!」

璃奈「ほんと…?……璃奈ちゃんボード、バンザーイっ!」

 

「…果林…は…危なかったな…っ…

平均点、62点だ…」

果林「ま、まままま、まぁ…越えてれば問題ないわ…っ」

愛「…と言うわりには…体震えるよ?」

果林「む、武者震いよ…!!」

 

「最後はかすみ………あっ……………」

かすみ「…えっ……あってなんですか…あって…!!??」

歩夢「…まさか…かすみちゃん…」

愛「そんな……かすかす……」

 

しずく「かすみさん…………」

かすみ「そんな事無いですよ!!!ねぇ、峻先輩?!」

「……かすみ…お前…逆にどうやったらこうなるんだ…」

 

俺は静かにテストの用紙を机に置いた。

「…全部…60点……………」

かすみ「………えっ…………」

せつ菜「せ、セーフじゃないですか!」

かすみ「……ぁ……も、もーーー!驚かせないでくださいよー!」

しずく「…かすみさん、泣いてます?」

かすみ「な、泣いてないもん!!」

 

「…あはは、これで全員クリアーだな」

歩夢「…ちなみに、峻くんは何点?」

「ん、全部95点以上」

 

愛「…保健体育が100点なのが気になるけど…」

「…あはは…」

茶を濁すように俺は話を切り替えた。

 

「…さて、三船の奴にも見せに行きますか」

せつ菜「お供します!…元生徒会長として見守りたいので…!」

 

と言うわけで俺とせつ菜……いや、着替えたから菜々と一緒に生徒会室に行く事にした。

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

その途中で……………………。

 

 

【ねぇねぇ!スクールアイドルの優木せつ菜ちゃんって知ってる?】

【知ってる知ってる!あのライブの曲凄くノリノリになれるよね~!】

 

【…でも~知ってる?優木せつ菜ちゃんってこの学園にいるみたいだよ?】

【スクールアイドル同好会に居るらしいけど…何年何組なんだろうね?】

【もしかして、先生とか?!】

【ないない~w】

 

「…………ぷっ…」

菜々「わ、笑わないでくださいよっ…峻さんっ!」

「わ、分かってるって…でも…っ……ぷっ…くくっ…」

菜々「も~…忘れてますけど……両親に説得するの…忘れてませんよね?」

「分かってるよ、あと少しだ…ライブまでもう少し辛抱だよ…それより、両親は何か言ってるか?」

 

菜々「…いえ、何も……昔から両親はこういう時は…何も言わないんです…放っておく…と言いますか…」

「…そんな状態にはさせておかないよ…ま、俺に任せろよ……菜々の力になりたいからな」

 

菜々「…峻さん…」

「…そんな目で見るなよ…もっと顔見続けていたくなるだろ…」

菜々「…好き、です…♡///」

「…こんな所でそんなこと言うなんて…いけない子だ…」

菜々「…あっ……///」

 

人気の無いすみっこで菜々を抱きしめる。

擦り付くように肩や首筋をなぞる。

 

菜々「…ぁ…っ…峻さ、んっ…」

「……ん………………」

菜々「誰か…来ちゃい、ますよ…っ…///」

「……ん、なら……見せつけてやろうぜ…」

菜々「んんっ…!///」

 

逃げようとする菜々…しかし、後ろが壁のため…。

すぐに捕まりキスをした。

俺の手には菜々から外した眼鏡があった。

 

「………っ…」

菜々「だ、めです…っ…本当に…っ!///」

「…そんな顔も可愛いけどな」

 

しかし、辞めることなく俺はキスを繰り返した。

口と口から銀色の糸が伸びる。

 

菜々「…もぅ……好きにして、ください…♡///」

「…ん、じゃあ…お楽しみは最後に取っておこうかな」

菜々「…ほんとに…仕方の無い人です…///」

 

眼鏡を掛け直し、恥ずかしそうに俺の顔を見る菜々だった。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

【生徒会室】

 

栞子「…ふむ、どうやら口だけでは無かったようですね」

菜々「…約束は守りました。これで廃部も休部も無しでいいんですよね?」

 

栞子「そうですね、今回のところは見送ります

…まぁ、これも部長さんのお力添えがあったことをお忘れなく」

「…持ち上げてくれるところ悪いんだけど、みんなの頑張りにも目を向けてやれよ

それに、俺は当然のことをしたまでだ…俺の力添えをどう発揮させたから個々の努力が物語ってるだろ?」

 

栞子「…そういうことにしておきましょう

ですが、一度クリアしたら全て終わりになる訳では無いので悪しからず」

「何度でも来いよ、何度でも乗り越えてやるよ」

 

栞子「何度も言いますが…私はスクールアイドル同好会は学園生活に有益なものと考えていません。

…いずれ、必ず廃部にさせます」

 

「言ってろ。

…と、あくまでも生徒会長相手だから言い方には気をつけろってか?

────その考え、180度変えさせてみせますよ」

 

 

栞子「…素直に今回の結果は受け入れましょう…おめでとうございます」

菜々(あの三船さんが言い負けた…っ!?)

 

「ふんっ……行くぞ、菜々」

菜々「あっ、は、はいっ!」

 

栞子の顔を見ることなく俺は翻し、生徒会室を後にした。

 

 

 

 

 

栞子(まるで動じる事ない真っ直ぐな心を持っていて…揺るがない自信………そしてあのカリスマ性………あの人は、一体………………)

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

【部室】

 

「やーやー諸君~」

 

かすみ「あ、遅いですよー!」

歩夢「三船さん、なんだって?」

「どうもこうもないよ~、今日のところはおめでとうございます…ですが、いつか必ず廃部させます…だとさ」

 

愛「うわっ、感じ悪~…」

果林「どんな手で来ても…戦うまでよ?…ね、峻?♪」

「ん、言われっぱなしも癪だからきちんと言い返してきてやったよ…なぁ、せつ菜?」

 

せつ菜「はいっ、あの三船さんを言い負かす当たり、流石でした!」

しずく「それで、廃部や休部が無くなったのはいいんですが…おでかけの件…どこになったんですか?」

かすみ「あっ!かすみんもそれ聞きたいです~!」

 

果林「では、部長の口から発表してもらいましょ?♪」

「…君たちそれが目的だったな?…まぁいいや

来週の連休を使って…海にいきまーーす!」

 

エマ「えっ、海!?すご~い!」

彼方「これまた意外だね~」

 

かすみ「わーいっ、海で遊べる~!」

せつ菜「青い空、青い海!これはアニメにもある展開ですね!!」

 

しずく「水着…どうしようかな…っ?」

果林「あらぁ?…峻ってば、この前付き合ってもらった水着を早速拝見したいのかしら?♪」

歩夢「この前…?」

 

「あ、あれは果林が半強制的に連れ出したんじゃ…!」

歩夢「わ、私だって一緒に下着屋さん行ったもん!///」

愛「…愛さんも居たんだけどな~……」

 

歩夢「そ、その気になれば下着で海に入っても…!///」

「わーわー!!!歩夢!今週末買いに行くよ!」

 

 

 

 

 

璃奈「なんか…峻さんって…みんなから好かれてるよね…」

しずく「きっと…かっこいいからですよ…///」

かすみ「何うっとり見てるの…しず子…」




次回!ニジガク、海に行く!!


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70話

新SRのせつ菜ちゃんとスケート編のせつ菜ちゃんゲットしました!!!

俺が……せつ菜ちゃん推しだあああ!(トランザム)


「……やっぱりわかんないな」

歩夢「えっ?…何が、かな…峻くん?」

 

買い物途中、俺がぽつりと呟いた言葉に歩夢が首を傾げる。

 

「いや、普通なら俺がガツンと言ったりテストの約束も待ったんだから…スクールアイドル同好会の廃部なんて諦めるんだけどなぁ…」

歩夢「うん…そこまでして無くしたい理由とか、あるのかな…」

「…まぁ、どういう手立てで来ても押し返すのみだけど………さぁ、歩夢…」

歩夢「…?」

 

「腕にがっしり抱きつくのは少し…」

歩夢「だ、ダメだったかな…っ!?」

「いや、腕が…挟まれてるというか…」

歩夢「わ、私だって少しは成長したもん!///

…確認、してみる?///」

 

「ん、んんん!!…ほら、水着コーナー着いたよ?」

歩夢「むーー…///」

 

そう、俺と歩夢は約束通り水着を買いに来た。

…まぁ、一応俺のも…ということで…。

 

歩夢「峻くんって、どういう好き?」

「どういうのって…」

 

と、答えに困っているとまた歩夢が頬を膨らました。

歩夢「…果林ちゃんやエマちゃんには言ったのに…///」

「あ、あれは2人が強引に…!!」

歩夢「じゃあ、私の水着も選んでよ!///」

 

「え、えええっ…!!??」

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

【試着後…】

歩夢「…どう、かな…?///」

何着か候補を選び、試着を繰り返す歩夢。

 

「…良い、けど…布面積が…」

歩夢「んー…じゃあ、最後はこれ、かなぁ…」

そう言うと、カーテンを閉める歩夢。

 

「…とほほ、役得なのか苦労が絶えないのか…」

…まぁ、でも…悪くは無い、よな。

 

歩夢「峻くん…?」

「ん、ああ、悪い悪い…歩────」

 

 

歩夢が着ていた水着を見て言葉を失った。

めちゃくちゃ可愛かった。

 

歩夢「おーい、峻くん…?」

「えっ、あ、ああああっ、そ、そのっ!!」

歩夢「…ふふっ、これに決めた♪」

「………うん」

 

見透かしたように上機嫌で着替えて買い物を済ました歩夢だった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【さらに1週間後】

 

愛「おぉーーーー!海だーー!」

かすみ「わーい!行きますよ~!!」

エマ「ふ、2人とも待って~…!」

 

 

せつ菜「照りつける太陽!そして目に余るくらいの皆さんの水着姿!これぞ海ですね!!」

彼方「峻くん、よくこんな場所知ってたね~」

「まぁ、ね」

 

果林「峻~、オイル塗って~」

歩夢「あっ、わ、私も!///」

 

「…えっと……はい」

 

しずく「峻さんっ、それが終わったら皆さんでビーチバレーしましょうっ♪」

「うん、少し待っててね」

 

 

……ってな感じで…みんなの相手をしつつ…何故か…何故か果林と歩夢の背中にオイルを塗ることに…。

2人とも既に上の水着を取り…落ちないように手で押さえていた。

 

(…もちろん、普通の行為…なんだけど…)

なぜこんなに興奮してしまうんだ…!?

いや、歩夢が恥ずかしそうにこっちを見てきたりするから…!!??

 

果林「ふふっ、照れちゃって…峻は可愛いわね♪」

「なっ…う、うっさい!」

果林「ひゃんっ…!///」

 

一思いに果林の背中にオイルを塗る。

柔らかい肌の感触が手に広がる。

 

果林「横、のっ…ラインもやってね…?///」

「……………………………」

 

聞いてはいるが…あえて受け答えはしない。

(意識しちゃうからだよおおおお!)

 

果林「んっ…塗るの、うまいわね…峻…///」

「あ、ありがとうございます…」

 

息付く間もなく…歩夢の方も背中にオイルを塗る。

歩夢「…峻くん…手つき…変な気がする、よ…?///」

「き、気のせい!だから!!」

 

…もう、まともに前なんか見れないよ…。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

かすみ「しず子~、行くよ~!」

しずく「どこからでもどうぞ!!」

 

 

2人のオイル塗りも終わり…俺はしずく達とビーチバレーで遊んでいた。

チーム分けはエマ・愛・かすみ。

そして、俺としずく。

 

…まぁ、男がいるから当然のハンデっちゃハンデだよな。

 

かすみ「そぉーーれ!」

勢いよくサーブをしたかすみが放ったボールは俺の元に。

 

「ほっ、と」

しずく「流石です、峻先輩!」

 

続いてトスをしようとしたしずく…だったが。

しずく「…あ、あれっ…!?…ひゃん!」

何故頭にポツンとボールが当たってヘディングのような形になりボールは砂浜に落ちた。

 

かすみ「しず子~、それじゃサッカーだよー♪」

しずく「か、かすみさん!今のはミスです、ミス!

…すいません、峻先輩」

「あはは、しずくらしいミスの仕方だね、可愛かったよ」

しずく「…つ、次は頑張ります!///」

 

そのまま、かすみチームのサーブ。

愛「愛さん~…サーーーブ!」

今度はしずくの方にボールが行った。

 

 

「しずくっ!」

しずく「今の私は…バレーボール選手…!

完全になりきった私に、愛さんのサーブは効かない…!」

 

…あ、なんかすごく嫌な予感がする。

バスっ。

 

しずく「んにゃっ……!!」

案の定、しずくの顔面にボールがヒット。

 

そのまま砂浜に倒れるしずく。

「し、しずくー!!」

愛「ご、ごめんごめん!大丈夫~!?」

 

さすがにビーチボールだからそこまで痛くはないと思うが…。

 

しずく「えーん!峻先輩~!しずく、痛かったです~っ!///」

と、言いつつ抱きつくしずく。

 

「し、しずく?」

しずく「…てへっ♪///」

 

かすみ「あーーーー!今かすみんの真似したー!」

エマ「ま、まあまあ…」

 

「あ、あぁ…かすみの真似だったのね、通りで…」

しずく「でも、抱きつくのは…私がしたかったからしたんですよ♪」

「…っ………」

しずく「ふふっ、峻先輩も嬉しいみたいですね♪」

「…ノーコメントで……」

 

と言っても目線を合わせないで唇を噛んでるあたり、自白してるようなもんだけどね…。

 

愛「おーい、いつまで抱きしめ合ってるの~」

愛さんが目が横棒みたいになってる。

あれかな、アン〇ーテールの主人公かな。

 

「わ、悪い悪い!再開するよー!」

と、ボールを持ったが…すぐ横でしずくがボソリと…。

 

しずく「また後で、してあげますね…♪」

「……え?」

 

この後、このコメントが影響したのがボロ負けした。

 

 

 

───────────────────

 

 

 

「おーい、2人とも~そろそろ休憩するよ~」

璃奈「あ、峻さん」

 

「…そう言えば、よく水場で璃奈ちゃんボードを使えるよね…」

璃奈「うん、撥水紙」

「撥水…紙…?」

璃奈「水に濡れない紙…今日のために作ってきた」

「気合いの入れどころが違うよ!?」

 

彼方「すやぁ…」

「って、彼方も海に来て相変わらずか…」

 

ボートでぷかぷか浮いてると思ってたけど…。

璃奈「彼方さんが流されたいように監視してた」

「ありがとうね、璃奈ちゃん…もっと遊びたかったろ?」

璃奈「ううん、こうして空を見ながら海の景色を眺めるの、好き」

「そっか、じゃあとりあえず彼方を連れて…戻ろうか」

 

ボートを押しながら砂浜に着くまで璃奈ちゃんと話す俺だった。

 

 

────────────────

 

「お疲れ、せつ菜…疲れてないか?」

飲み物を差し出すとせつ菜はそれを笑顔で受け取った。

 

 

せつ菜「ありがとうございますっ!♪

えへへ…少しはしゃいじゃいました…♪」

「こういう時のせつ菜は子供っぽいのに…同好会作る前の会長と来たら…」

 

せつ菜「そ、その話はしないでくださいよ~…っ!」

「うそうそ…っ…まぁ、せつ菜も変わったよな」

せつ菜「変わるきっかけをくれたのは峻さんですよ

…こんなにも…私以上に真っ直ぐな気持ちで向き合ってくれて…」

 

「…ん、俺は当然のことをしたまでだよ」

せつ菜「その当然のことが優しすぎるんですよっ!

…もうっ、アニメだったらチートキャラですよ、チート…!」

「…そ、そうなの?」

 

せつ菜「はいっ、ですから…これからも…もっと…」

頬に口付けをするせつ菜。

 

せつ菜「…私が知らないこと…たくさん、教えてください…ね?///」

照れくさそうに彼女は立ち上がり…他のメンバーの輪に入っていった。




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71話

「今年の目標として、更新ペースを維持するのと…ハーメルン内でラブライブ作者で面白い人の中に入ることです」

せつ菜「素晴らしい向上心です!!」
かすみ「ほんとですっ……って!読者になりすまして推薦書こうとしてますー!運営さんーー!!」
「そ、そんな事してないよ!!」

かすみ「せつ菜先輩からも何か言ってやってください!」
せつ菜「承認欲求ですね!!!!!」
かすみ「そうじゃなくて!!」

※そんなことしてないですよ?


海での息抜きをした数日後。

部室でくつろいでいると電話がなった。

 

歩夢「峻くん、千歌ちゃんからだよ~」

「…?…もしもし?」

 

千歌【おぉ~…峻くんかのぉ~…?】

「……え?」

 

浦島太郎のような声を出す千歌。

……あぁ、心当たりあったわ。

 

「…勉強、お疲れ様…」

千歌【いやぁ~…大変だったよ~…おかげで60点以上は取れたけど…】

「そっか、Aqoursも無事にクリアしたんだね」

 

千歌【とりあえずダイヤさんも一安心ですわっていつも通りになってくれたから良かったよ~……あ、そうだ…それでね?】

「うん?」

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

「合宿~~~~???」

千歌【そうっ!♪

スクールアイドルフェスティバルに向けて三校で合宿しよって!】

「…んー…確かに、それは大事だけど…」

千歌【急だったかな…?】

 

「いや、悠長には言ってられないからな…ちょっとこっちでも議案として出して結論を出すよ」

千歌【分かった!じゃあ返事待ってるね♪】

 

そう言って千歌との電話は切れた。

歩夢「千歌ちゃん、なんだって?」

「あぁ、実はな……………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「合宿???」」」」

「あぁ、スクールアイドルフェスティバルも近いからな…更なる結束を高めるためにも、だ」

 

果林「いい事だけど…急ねぇ」

「あぁ、行ける人と行けない人が居るかもな…」

愛「連休があるとはいえ~…厳しいかなぁ…」

 

「…とりあえず、行けそうな人…誰がいる?」

 

そう言うと手を挙げたのは…5人。

「歩夢とせつ菜と果林と…エマと…彼方、か」

 

かすみ「かすみん、門限とかありますし…」

しずく「私も親が許可出さないと思うので…」

璃奈「私も…」

 

愛「うーん…お店のお手伝いがあるからなぁ~…」

「いや、無理強いはしないよ、合宿に行けなかった分しっかりサポートするから」

 

せつ菜「私は峻さんとならどこまででもお供します!」

歩夢「わ、私だって…!!」

果林「となると…合宿先は…沼津になるのかしら?」

「みたいだね」

 

エマ「沼津行ってみたかったんだ~♪」

彼方「行けない4人にもお土産買っていくからね~♪」

かすみ「わーいっ、楽しみにしてまーす♪」

 

「…じゃあ、6人で行くって千歌に伝えておくね」

千歌にメッセージを送るとすぐに返事が来た。

 

千歌【分かった!後で詳細を送るね!】

こうして虹ヶ咲学園・μ's・Aqoursの三校で行う合同合宿の予定が立った。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

「…ちゅーことで…合宿って話になったんだけど…」

曜【そうそう、話は急に出たんだけどね…】

 

その夜、俺と曜は電話で合宿の件について話していた。

 

「…そっかぁ…沼津…」

曜【えへへ、悠くんが来るの楽しみにしてるよ♪

…あっ、そうだ!久々にヨキソバ食べる?♪】

 

「ヨキソバも良いけど曜も欲しいかな」

曜【…ま、またそういうこと言うんだから…///

…別に…嫌じゃ、無いけど…///】

「あはは…ごめんごめん、からかっちゃった…」

曜【も、もー!!!///

悠くんなんて知らない!!おやすみ!!///】

 

少し怒りながら曜は電話を切ってしまった。

…あれは照れ隠しだろな。

 

 

 

────────────────

 

【そして、約束の日】

 

 

 

電車の窓から外を眺める希さん。

希「虹ヶ咲学園からは…峻くんと歩夢ちゃんとせつ菜ちゃんと果林ちゃんとエマちゃんと彼方ちゃんの6人なんだね♪」

 

「あぁ、μ'sからは、穂乃果ちゃんとことりちゃんと希さんと絵里さんなんだね」

絵里「ええ、そうよ♪…って…穂乃果は食べるの少しやめなさい」

穂乃果「ふへぇ~…????」

 

ことり「穂乃果ちゃん、はいお茶♪」

穂乃果「んぐんぐ…ありがとう~♪」

 

「…こっちはいつも通りって感じだな」

希「虹ヶ咲学園のみんなもそうやん?」

彼方「電車…揺れる~…すやぁ…」

エマ「彼方ちゃん、寝ちゃダメだよ~…!」

果林「…いや、今は大丈夫じゃないかしら…?」

 

「…あ、あはは…確かに…」

絵里「それにしても、何も言わなくても峻と一緒に合宿出来るなんて…運命の糸かしらね?♪」

歩夢「……むーーーーーーーーーーーーーー…」

 

絵里「あら、歩夢…妬いた?」

歩夢「そんなことないです…っ!!」

「うん、歩夢…腕抱きつくの力いっぱいしないで…痛い、痛い…」

 

せつ菜「峻さんは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の大事な部長ですよっ!

誰にも渡しません!」

歩夢「せ、せつ菜ちゃんの言う通りだよっ!!」

 

絵里「ふふっ、好かれてるのね♪」

「…絶対からかわれてる…」

 

 

少し余裕そうな絵里とそれをふくれっ面しながら見る歩夢だった。




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72話

「せつ菜ちゃんの寝そべりどこおおおおっ!?!?!?」

かすみ「うわあああ!作者が壊れた!」
せつ菜「元からですね!!!!!」


電車での長旅の末…俺たち虹ヶ咲学園・μ'sの合同メンバーは沼津駅に着いた。

 

(…って言っても…俺にとっては帰ってきたって印象…だけどな)

既に駅には千歌と曜がお出迎えに来ていてくれた。

 

 

果林「ここが沼津ね~…いい所だわ~♪」

絵里「本当ね~…っ」

穂乃果「何もないね~…っ」

せつ菜「そうですねっ…あっ、でも商業施設とかありますよ!」

 

「いやいや、他にもちゃんと良いところとかいっぱいあるから!

バス乗れば美味しい海の幸が食べられる沼津港とかあるから!」

歩夢「…詳しいね、峻くん?」

「ま、前もってリサーチしてたからな…!」

 

…あ、曜のやつ笑ってるな?

千歌「みんな長旅お疲れさ~………ん?今完全に沼津のことディスったよね?よね???」

曜「そ、そそそ、そんなことないよ!ねっ!?」

 

歩夢「う、うんっ!とっても素敵な場所!」

彼方「あ、あああっ…く、空気がとっても美味しいよ!」

エマ「この、のっぽパンってすっごくボーノ~…っ!」

 

…ほら、君らが思った事をすぐ口にするから…千歌が怒りんぼ大会してるよ…。

希「東京から2時間のところにこんな良い場所があるなんてな…?♪」

 

「それに、2時間ったってゲームとかしてたらすぐだったけどな」

千歌「えー、楽しそうだなぁ~、なんのゲームしてたの?」

「脱衣トランプ」

 

千歌「……えっ…///」

「と言うのは嘘で普通にダウトとか大富豪をしてたよ」

 

………痛い、曜ちゃん、正拳突きは痛い、腰が悲鳴をあげてる。

 

絵里「もっとも…穂乃果とせつ菜の1本負けだったけどね」

海未「穂乃果はすぐ集中力が無くるのでわかりやすすぎますっ」

穂乃果「あはは、だって~…」

 

彼方「せつ菜ちゃんは隠さないところが良いところだからね~…」

せつ菜「皆さんとトランプできるのが楽しくて、つい!!」

 

希「…その点、峻の1人勝ちだったけどね?」

「ふふん、遅れなんかとるもんか」

 

 

千歌「さぁさぁ!積もる話はたくさんあるけど~っ、内浦行きのバスが来たよ!乗ろ!」

「みんな、料金は後払いだからな…あとICカードは使えないからね」

千歌「…本当に峻くんは色々調べてきてくれたんだね~」

 

…やばい、千歌が感心してる…。

曜にちらっと目を向けると、口の辺りで指でバッテンを作っていた。

…悟られないように、か…迂闊な行動だったな。

 

 

「あ、ICカードで改札出られなくて困ってる奴らがほとんどだったからな…前もって…だ」

千歌「あははっ、新幹線で来れば良かったのに~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

【バスの車内】

 

 

「…ん、んん…」

曜「どうしたの、峻くん?」

「…いや、あのな…」

せつ菜「バス酔いしちゃいましたか?」

 

「…そう、じゃなくて…」

歩夢「喉乾いちゃった?」

「それも大丈夫…」

 

穂乃果「なになに、どうしたの?♪」

「……いや、あのなぁ…」

 

1番後ろの長椅子に…密集してる…っ!!

別にどこに誰が座るとか考えてなかったけど…俺が真ん中なのはいいけど…右に曜と歩夢…左に穂乃果とせつ菜…。

 

(…うう、頼む…他のお客さん…こっちに目を向けないで…)

傍から見たらかなり異様な光景だろう…みんなが俺の名前呼んで会話してるんだから。

 

「…そもそも、女の子12人に対して…男が俺だけって…」

せつ菜「まるで、イン〇ィニット・ストラ〇スですね!!」

「……間違っちゃいないけど…っ!!!」

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【十千万旅館前】

 

 

 

穂乃果「着いた~っ!♪」

海未「あっ、こら、穂乃果!」

 

彼方「ここが内浦か~♪」

ことり「海の匂いと…風が気持ちいい~♪」

果林「綺麗…素敵な海ね」

 

彼方「ぷかぷか浮いてたらぐっすり寝れそうだね~♪」

「いや、彼方はこの前やってただろ」

彼方「あはは、そうだった~…♪」

 

千歌「海の中はもっと綺麗なんだよ♪」

果林「1度潜ってみたいわね♪」

 

…おばかなんとおばかりんのコンビ復活…か?

絵里「そうね、もう少し温かくなったら1度潜りたいわね♪」

おっと、絵里さんが入るなら話は別だ…。

 

穂乃果「こんな近くに海があるなんてうらやましい~♪

毎日海の音聞けて泳ぎ放題じゃん~!♪」

歩夢「虹ヶ咲の近くにもあるけど泳ぐって感じじゃないもんね」

 

千歌「でもでも、楽しみ方は泳ぐ以外にもあるのですっ♪」

穂乃果「えー、なになに!?」

 

…と、話が盛り上がってる中…俺は1人海を眺めていた。

 

「……ただいま」

曜「おかえり……なんてね♪」

「…曜」

 

曜「…大丈夫、私の目は…ちゃんと悠くんとして映ってるよ」

「…あぁ、ありがとうな」

曜「何年、何十年経っても…私は…この砂浜で…待ってるから」

 

「あはは、そんなことしていたら曜は誰かのものになっちゃうよ」

曜「…ならないよ……って言うか…なる気、ないよ…///」

「…曜…」

 

曜「…さっ、みんなのところに戻ろ?♪」

「…あ、ああ」

 

 

今の言葉…全く嘘偽りない声だったな…。

(何年、何十年…か)

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【旅館内 千歌の部屋】

 

 

虹ヶ咲学園・μ'sの合同メンバーが千歌の部屋に入った時だった。

 

善子「幾星霜の時を駆け、我が召喚によく応えてくれたわね。

リトルデ────」

 

「PUSH!!」

善子「んぎゃっ!」

 

…あ、懐かしいなこのやり取り。

「て言っても、善子は分からないか」

善子「ヨハネ!!」

 

絵里「みんな、早速だけどこれに目を通してくれる?」

…あ、さりげなく絵里さんスルーした。

 

ダイヤ「これは…なんですの?」

絵里「スクールアイドルフェスティバル実現に向けた具体的な進行管理計画表よ」

 

梨子「さすが絵里さん♪」

「一瞬何言ってるか分かんなかった…」

俺としては前途多難だなぁ…もっと気を引き締めないと…。

 

絵里「まず、運営に当たって明確な役割分担を決めるわ

大きく分けると全体の管理役の本部運営

ステージ企画やタイムテーブル決めをするステージ班」

ダイヤ「本部運営は…峻さんが適任かと」

「えっ、俺!?」

 

ダイヤ「この私、黒澤ダイヤが全面的に推奨致しますわ!」

絵里「そうね、ゆくゆくは峻に本部運営の中心になって欲しいわね」

「…わ、わかりました……」

 

絵里「後は、模擬店や出店系を管理する出展班

プロモーションを担当する広報班

…まだ、会場が決まってないから決められないことも多いけど…担当部分は明確に決めておきましょ」

ダイヤ「ええ、異議なしですわ」

 

果南「さすがだね!話がトントン拍子で進んでいってる!♪」

…ほぼ、絵里とダイヤだけどな。

 

 

鞠莉「perfectな絵里が居て助かったわね~♪」

絵里「何言ってるのよ、私に出来るのはこういう事で他の物はみんなの力が必要よ?」

ダイヤ「そうですわね、みんなで力を合わせてスクールアイドルフェスティバルを実現させましょう!」

 

曜「うぅ~…!エンジンかかってきた~!全速前進、ヨーソロー!」

 

絵里「まずは、いちばん大事な…スクールアイドルフェスティバルをどんなイベントにするか…イメージを共有したいわ」

 

「イメージかぁ…」

ルビィ「どんなイベントにするか…???」

「…凄く、抽象的だけど…スクールアイドルと…スクールアイドルが好きなみんなで作る文化祭…みたいな?」

 

絵里「そうね、でもそれだとふわふわしてる感じがするわね?

もっと、明確なイメージを共有したいの」

 

花丸「それじゃ、まずはみんなが思ってるイメージを言っていくずら♪」

 

 

 

…よくよく思ったけど…千歌の部屋にこんなに人が入ると…密着が凄いな…。

まぁ、千歌と梨子と曜はベットに座ってるけど…。

 

 

こうして、千歌を先頭にみんなが思うスクールアイドルフェスティバルに対するイメージを言い合う会が始まった。




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73話

恋になりたいAQUARIUM、皆さん見ましたか?

マジで胸きゅんだった……9月に沼津に行く予定があったけど断念したけど…行きたくなっちまう…!


沼津に虹ヶ咲学園の選抜メンバーが向かってる中…

 

しずくは公園で1人演劇の練習をしていた。

 

しずく「ふぅ、この演技はやっぱり難しいですね…ですがこれもスクールアイドルの為!

…それに、峻さんにももっと見てもらいたいんですし…!」

 

 

一人拳をぐっと握り、再び練習に精を出す。

 

しずく「…あっ、もうこんな時間…そろそろ帰らないと」

手荷物をまとめて帰路に就こうとした時だった。

 

 

しずく「………あれっ…?」

そこには見覚えのある顔が…………………。

 

 

しずく(……三船さん…?)

子供の相手をしてる三船栞子の姿があった。

 

栞子「…貴方は…」

しずく「み、三船さんっ!!……えっと…何をされてるんですか?」

栞子「ボランティアですが…桜坂さんは?」

しずく「私は、演劇の練習を……」

 

栞子「……そうですか、せっかくでしたら少し遊んでいきませんか?」

しずく「……えっ…?…あっ、は、はいっ!(いつもの三船さんじゃない…?)」

 

優しく微笑んで子供の頭を撫でる栞子。

…そこには、スクールアイドル同好会のメンバーにも…学校では見せたこともないような姿を見せる栞子。

 

栞子「………この事…他の人には、言わないでくださいよ…?

………特に…あの人、には…」

しずく「……………あの人………?」

 

しずくの頭の中には…1人しか浮かばなかった。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

【沼津・内浦】

 

 

彼方「わぁ~…お布団ふかふか~♪」

果林「ホント、温泉で火照った体に丁度いいわ~♪」

エマ「果林ちゃん、長湯してたもんね~♪」

 

せつ菜「皆さんで温泉!これもまた定番ですね!!」

果林「温泉はたくさん入るものだものね~♪」

 

歩夢「…あれ、峻くんは?」

せつ菜「そういえば…曜さんと果南さんと走りに行くって…」

千歌「走った後に入るお風呂は最高だからね~♪」

穂乃果「みかん美味しいね~♪」

 

海未「2人は食べてばっかですね…」

梨子「ウマが合いそうだね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

果南「はっ…はっ、はっ……峻くん、ついてきてるー?」

「こんなんじゃ根をあげないぜー!」

 

曜「あ、はは……はしゃいでるねー…」

3人で走ること10数分…ペースが下がらない3人の走る先は…浦の星女学院の方へと向かっていった。

 

 

「……ぁ………」

突然、峻の走る足が止まる。

この道……この風景…っ……。

 

果南「…んっ、峻?」

曜「…峻くん…?」

 

ただならぬ気配に2人も気がついた。

…俺の額から冷や汗が流れているのが気がついたが…胸が苦しくなった。

 

(こ、こっ……俺が…っ…!!!)

────よく覚えている……悠だった時の最後の記憶がある…っ…!

呼吸が……苦、しい…っ…

 

「…はぁ…っ…はぁ、はぁ…っ…はぁ…!!!」

過呼吸…だろうか。

胸が苦しくて、必死に胸を抑えるが…止まらない。

 

果南「ちょっ…峻っ!?…峻────────」

曜「峻くん…………………!!!!」

 

 

必死に名前を呼ぶ2人の声が遠のいていった…。




今回短めです!すいません!

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74話

そろそろ果林さんからスリーパーされそうなので更新します

果林「あら、そんなことしないわよー?
するとしたら…こう…パイプカット?」
彼方「…ガクガクブルブル…」


………遠くで…誰かが…声をかけている。

 

太陽の光で…顔は見えない…。

声も…口の動きしか、分からない。

…なんて、言ってるんだろう…。

 

 

(……待って、る……………?)

近づこうとした矢先…俺の視界は真っ暗闇に覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ…………ぁ……!!!!!」

 

目が覚めると…そこは見慣れた…旅館の屋根だった。

「…俺、は…」

花丸「気がついたずら?」

「……花丸…俺は…」

 

花丸「過換気症候群…過呼吸だと思うずら」

「…過呼吸……っ!曜と果南は!?」

花丸「心配してたけど…ここはまるが任されて悠さんの様子を見てたずら」

「……そっ、か…」

 

花丸「そっか、じゃないずらよ~

いきなり前の記憶で最後に残ってる場所に行くなんてどういった了見ずら?」

「いや、まさか俺もこうなるなんて…」

 

花丸「…まぁ、まるもこれ以上はなんとも言えないずら……それに…」

襖に手をかける花丸。

そして、勢いよく開けると……。

まるで雪崩のように数名が部屋に流れ込んできた。

 

千歌&穂乃果&せつ菜「だあああああっ…!!!」

花丸「盗み聞きはよくないずらよ~」

 

しまった、聞かれたか…っ!?

千歌「あ、あっはは~…いや、上手く聞き取れなくて…つい、襖に耳を…」

穂乃果「まぁ、聞こえなかったんだけど…」

 

せつ菜「ともかく峻さんが目覚めて良かったです!」

「あ、あぁ…過呼吸って言われて驚いたけど…大丈夫だよ」

 

歩夢「あっ…!…峻くんっ、大丈夫!?」

「…歩夢…うん、大丈夫だよ…少し無理しちゃったかもね」

歩夢「…あんまり、心配かけないで…」

「…うん、ごめんね…歩夢」

 

果南「ふ~…上がった上がった…花丸ちゃん、峻の様子は~?」

絵里「あぁ、ちょっと果南!」

彼方「もう遅いと思う~…」

曜「止めたんだけど聞かなくて…ごめん」

 

部屋に様子を見に来た果南の格好は…バスタオル1枚だった。

 

「…ぶっ……」

穂乃果「あああああ!峻くんが卒倒したあああ!?」

曜「…な、何だか笑顔だけどね…」

果南「…あ、あはは…いつもの癖で…」

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

絵里「…さて、具合はどうかしら峻?」

「おかげさまで…クラクラしてましたが大丈夫です」

絵里「ふふっ、災難だったわね♪」

 

ダイヤ「果南さんには後できつーく叱っておきますわ」

「お、お手柔らかにね…」

 

絵里「本題に戻すわ…皆でイメージを出し合ったんだけど…峻の意見だけを聞いてなかったわ」

「…俺の…イメージ…」

 

ダイヤ「抽象的でも構いませんわ、ぜひお聞かせください」

「……………………………」

 

 

【輝きたい!】

…なんで…千歌の言葉が…。

 

絵里「…急だったかしら?…もう少し休んだら聞かせてちょうだい?」

ダイヤ「そうですわね、体が1番ですから…」

 

そういって席を外そうとする絵里とダイヤ。

 

「…待って!!」

絵里&ダイヤ「………え?」

 

 

 

…そうだよ。

イメージなんて……言いたいことなんて、1つしかない。

俺にとっては…Aqoursは…スクールアイドルは…。

 

「……夢」

絵里「夢…?」

ダイヤ「それは、どう言う…」

 

「…集え、みんなの夢……なんて、どうかな」

絵里「…集え…」

ダイヤ「みんなの夢…」

 

「スクールアイドルをやろうとしてる人もさ、今やってる人もさ

絶対なにか心に夢や憧れを持ってるはずだと思うだよ

輝きたい…とか…大好きって気持ちだったり」

 

絵里「…………」

ダイヤ「峻さん…」

 

「…だから、俺たちは…その夢を…与えたい

みんなに見せてあげたい…μ'sやAqours…虹ヶ咲学園のみんなが…見てくれてるみんなに届ける夢を」

 

絵里「………ふふっ、決まり、ね」

ダイヤ「ええ、どこかのリーダーによく似てますわ♪」

「……あはは…」

 

 

こうして、絵里とダイヤがほかのメンバーに意見を問いかけた所…満場一致でテーマが決まった。

 

【集え!みんなの夢!】

これが…スクールアイドルフェスティバルのテーマ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

【虹ヶ咲学園 部室】

 

 

「…ということで合宿の報告は以上」

愛「集え!みんなの夢!かぁ~、鶴の一声でテーマを決めるなんて…流石、我らが部長さんだなぁ~」

かすみ「それも凄いですけど…倒れたって大丈夫なんですか?」

 

「うん、過呼吸だって…あはは、Aqoursの練習に着いて行ったらそうなるよね~…」

…あの後、曜が申し訳なさそうな顔をしてたが…俺は頭を撫でた。

倒れたことよりも、Aqoursとしての日常を少しでも感じれたからだ。

 

 

しずく「…あのっ、峻先輩…」

「…ん、どうした?」

しずく「いえっ、まず…合宿お疲れ様です…それで…少し耳に入れておきたい事が…」

「…ん?」

 

 

少し話すのを戸惑ってるしずくの姿に俺たち合宿組はただならぬことだと感じた。

 

しずく「実は────────」

 

 

「……三船栞子が…そんなことを?」

しずくから言われたのが…三船栞子が子供と遊んでてその間すごく笑っていたということ。

この学園ではまるで見せないような…笑顔を。

 

 

果林「意外ね…そんな一面があるなんて」

「…少し、裏がありそうな気もするが…

まぁ、本人から聞こうにも口は割らないと思うけど」

 

しずく「やはり、悪い人ではないと思うんですが…」

「…明らかにスクールアイドル同好会を目の敵にしてる部分に対して、か…」

しずく「正直、スクールアイドル同好会にだけ、なのかは分かりませんが…」

 

「…もう少し、三船栞子について知りたいな

スクールアイドル同好会が無駄という理由も知りたいし…」

 

璃奈「私…リサーチしておく?」

「すまない、少し裏を取っておいてくれないか?」

 

 

果林(…本気ね、峻…)

せつ菜(…やっぱり…真っ向から対立する気、ですかね…)

歩夢(…峻くん………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【その日の放課後 一年生の教室】

 

「これから生徒会か?」

栞子「…また貴方ですか」

 

顔色を変えないで栞子が横を通り過ぎようとした。

「しずくから聞いたぞ」

栞子「…………………………………………」

 

 

栞子の歩く足が…止まった。

 

「ボランティアに参加するのは大いに結構…実に素晴らしい事が

…んだが、俺が言いたいのはそこじゃない」

栞子「スクールアイドル同好会を廃部にしたい…という点ですか?」

「ニュアンスが違うな

…どうして無駄だと言う?…いや、言いきれる?」

 

栞子「簡単な事です…特に、貴方…宮之原 峻さんの場合」

「…どういうことか、御教授願おうか?」

 

そう言うと栞子は俺の目の前まで近づいて顔を近づけてきた。

栞子「…私の生徒会長補佐になれば…もっと自分の可能性が見い出せますよ」

「…またそれか」

栞子「事実、貴方には人を引きつける力があります

…カリスマ性、というものでしょうか。

私が生徒会長ではなく…あなたがなればもっと学園はいいものに──────」

 

「……ふっ…買いかぶりだな

…それに、自分の可能性は…自分で決めるさ

俺のその力とやらは…スクールアイドル同好会の為に使わせてもらう…俺の夢、だからな」

栞子「…夢…ですか」

 

「そのうち分かるさ……頭の固いアンタでも分かるくらいにな」

栞子「…何故そこまで…スクールアイドル同好会に固執するのですか?」

「スクールアイドルには…アイツらには人に夢を与えられる存在になる、俺はそう信じてる

アイツらのやってる事は…なんにも無駄じゃないってな

…ま、今の言葉そのまま返したいけどな」

 

 

 

 

そう言って俺はその場をあとにしようとした。

「…あ、そうそう」

栞子「…………………………………」

 

「余計なお世話かもしれんが…調子乗って爪伸ばしすぎたら…いつか剥がされるぞ?」

栞子「…ご忠告、どうも…」




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千歌ちゃんのお誕生日編も、書くよ!!


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75話

スクスタ17章、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

自分なりの見解も…周りの見解も色々あると思いますが

このNEXT Rainbow!!におきましては僕なりの展開でお話を進めておこうと思っています。

もちろん、スクスタのストーリーに添ってはいきますがオリジナリティもしっかり含んでいきたいので


「…え?」

歩夢「…せつ菜ちゃん…今なんて…?」

 

せつ菜「…親から、直ちに家に戻ってくるようにと…連絡が…」

その一言に部室がシン…と静まる。

 

愛「強制は愛さん納得いかないな~…」

果林「それで、せつ菜はなんて?」

 

せつ菜「…いえ、いいんですっ。

元々…こうなるんだと薄々感じてたので…」

 

彼方「…どうする、峻くん…?」

「俺がご両親に直談…」

 

せつ菜「そ、それはっ…!!」

果林「気持ちは分かるけど、あらぬ誤解を招くわよ?」

「…それも…そうか」

 

せつ菜「スクールアイドル活動については、もう一度両親と話してみます

…期待は薄い、ですが…」

かすみ「そんなぁ!せつ菜先輩がスクールアイドル辞めちゃったら、かすみんの好敵手がいなくなっちゃまいます~!」

 

しずく「そうですよっ、何とか方法はあるはずです!」

璃奈「…あれっ、峻さん…どこに…?」

 

「………………………(ブツブツブツブツ…」

エマ「…行っちゃったね…」

果林「…峻の事だから策もなく行動なんかしないわよ」

彼方「おぉ~…果林ちゃん、随分と峻くんに関してお詳しいようで~…♪」

 

果林「か、彼方~…っ!///」

愛「…まっ、果林の言う通りっしょ♪

せっつーも峻に任せておきなよ♪」

 

せつ菜「で、ですが…」

歩夢「多分ね、せつ菜ちゃん…止めても峻くんはそれを押しのけて突き進むと思うんだ…だから、今回の件もどうにかしてくれるはずだよ」

せつ菜「…はい」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【生徒会室】

 

 

コンコンコン

 

 

栞子「どうぞ」

「失礼します」

 

 

栞子「…あなたは…」

「今日は1つ…ご相談があって来ました」

 

栞子「…廃部の件なら、当面の間は白紙で手を打ちましたが」

「…講堂を貸し切らせて欲しい」

 

栞子「…はい?」

「…1時間…でいい…頼む」

頭を下げる俺を見て栞子はため息を漏らした。

 

栞子「頭を上げてください、何があったか知りませんが貴方らしくありません」

「………………………………」

 

栞子「では1つ…聞かせてください

どうしてそこまで…スクールアイドル同好会に一生懸命になれるんですか?」

「俺は…誰かの力になりたい…ただそれだけ

スクールアイドルには…虹ヶ咲学園のスクールアイドル同好会には…人を動かせる力があるって知ってるから…

だから…その可能性を…ここで失いたくない!!!」

栞子「………………………」

 

 

無言のまま、栞子が書類の束を纏めた。

栞子「…1週間後、1時間なら講堂をお貸しできます」

「本当かっ!?」

栞子「貴方の言う可能性に免じて…お貸ししましょう」

「ありがとう、栞子!!」

 

安堵したのか手を握る俺。

栞子「…っ……は、話はそれだけですかっ…?」

「あぁ、忙しいところ悪かった、ありがとう!」

 

そう言って直ぐに部室に戻る俺だった。

栞子「……栞子…か……………」

握られてた手を見つめる栞子。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……貸しを作っちまったな」

頭を掻きながら生徒会室に一度目をやる峻だった。

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

【部室】

 

 

「みんな!!ライブしようよ!!」

「「「…えっ???」」」

 

息を切らしながら部室を開けて開口一番に放った言葉にみんなが戸惑っていた。

 

果林「ら、ライブって…スクールアイドルフェスティバルまではまだ時間があるわよ?」

「そうじゃないよ!虹ヶ咲学園内でやるミニライブ!!」

 

かすみ「そんなこと言ったって場所なんかありませんよ~」

「大丈夫!講堂を貸し切った!!」

しずく「ええええぇ~っ!?」

璃奈「行動力の…化身…」

 

 

せつ菜「で、ですが…そんなことしても…っ」

「せつ菜」

せつ菜「ぁ、は、はいっ!」

「そのライブに…ご両親を呼びなよ」

 

せつ菜「えっ…!?」

「そこでせつ菜のライブを見せようよ

私の大好きなスクールアイドルはこういうものなんだって」

せつ菜「…峻さん…」

 

果林「…せつ菜、峻もここまでしてくれたんだし…スクールアイドル、辞めたくないんでしょ?」

せつ菜「…はい…私、スクールアイドルを続けたいです!」

 

愛「なら、やることはひとつだね!♪」

かすみ「よーしっ、かすみん達で虹ヶ咲学園ライブを盛り上げますよ~!」

しずく「宣伝活動をしなくてはですね!」

 

「ああ、1週間忙しくなるよー!」

「「「頑張るぞーっ!♪」」」




ふと、思うことがあって
読者から見て作者(A×K)ってどんなイメージなのかなーって思う時があるんですよ。
もしお手数でなければ教えていただけるとありがたいです…!


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76話

かすみ「大変大変ー!しお子がー!!」
「あぁ、知ってるよ、ニジガクに入るだろ?」

果林「随分と余裕ね?」
「まぁ、独自の解釈をTwitterでツイートしてるからね
あ、よかったら見てください
こういう考えの人もいるんだなーくらいに思ってもらえれば嬉しいです」









「…あ、特徴を捉えられてないのでせつ菜のご両親は喋りません、悪しからず」


【ライブ当日】

 

歩夢「…わぁ…」

舞台裏から客席を覗く歩夢。

 

しずく「結構集まりましたね…」

「みんな知らないだけで結構スクールアイドル同好会は注目されてるんだよ

よく話しているの耳にするし」

果林「だとしても…この数は…」

「あとは俺がやった宣伝もちーっと、な?」

 

かすみ(あ、あのっ…峻先輩っ…!)

グイグイと袖口を引っ張るかすみ。

「どした?」

栞子「………………………………」

 

かすみ(な、なんでしお子が……っ!?)

「ああ、俺が呼んだからだ」

かすみ「え、えええええっ…!!??」

栞子「先程から、聞こえてます

…なぜ、私が…」

 

「まぁ、見とけって…別に考えを変えさせるとかそんなつもりで誘ったわけじゃねぇよ

…ただ、見えれば何か変わる…かもなって

昔そういう人を見たからな…」

 

栞子「…昔?」

「んいや、こっちの話だ…さぁ、みんな!

順番…だが…」

かすみ「はいはーーい!かすみんオープニングアクトやりたいでーす!♪」

しずく「そういうと思ってました…」

璃奈「張り切りすぎて転んだりしないでね…」

 

かすみ「そ、そんなことしないもん!」

果林「かすみちゃんなら…」

エマ「ありえそうだね~…」

 

かすみ「そ、そんなぁ…!」

「あはは、かすみいじりはいつも通りってことで…トリはせつ菜にしようと思っている」

せつ菜「わ、私ですか…っ!?」

そう、これも直前に順番を言いたかった理由。

…せつ菜の事だから辞退するんだろうなぁって思ってたし。

 

「異論はないね…せつ菜?」

せつ菜「…はい、そのためのライブ…でも、ありますもんね…」

「ご両親は?」

せつ菜「…それが…返信が来なくて…」

歩夢「まぁ、念の為ライブ映像を撮っているし大丈夫だよっ♪」

愛「そうそうっ、楽~にライブしよーよ♪」

せつ菜「…皆さん…はいっ、ありがとうございます!」

 

彼方「そろそろ始まるよ~♪」

「よしっ、じゃあみんな…行ってらっしゃい!」

 

「「「はいっ!」」」

舞台に向かい客席の皆に挨拶に出た9人。

 

 

「…さて、と…俺は裏方の続きをしますかね…」

ビデオカメラを栞子に差し出す。

 

栞子「…何故私が撮影係を…」

「ここまで来たら乗りかかった船だ

1番近くで彼女達の眩しいライブを見てやってくれ」

栞子「…………………………」

 

何も言わずにビデオカメラを受け取る栞子。

 

「ありがとな、栞子」

そう言って俺は講堂を後にした。

 

 

 

 

 

 

栞子(…分からない…あの人の事…まるで、常識に囚われない…あの生き方…考え方が…)

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

【学園前】

 

 

「…あれか」

こちらに向かってくる…明らかに大人の男女。

 

 

「初めまして

…わざわざ足を運んでいただきありがとうございます」

【────────】

 

「…と、そんな怪訝な顔をしないでください

…彼女は彼女なりの考えがあるんです…それを今日見せたいんです」

【────────、────────】

 

 

「…申し遅れました、僕は…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長…宮之原 峻と言います」

 

自己紹介も済み、講堂を案内する。

少し離れた位置から後を追うせつ菜のご両親。

 

「…学園での彼女の姿を見るのは初めて、ですか?」

父親の方が頷いた。

 

「…なるほど、そうでしたか」

講堂の扉を開けると…。

 

 

せつ菜「みんなー!今日はライブを見に来てくれて…ありがとう!

みんなの大好きって気持ちと…私のスクールアイドルが大好きって気持ちを…届けたい!!

聴いて下さい、Chase!」

 

「…ちょうどいいタイミングだな、せつ菜

あれが…せつ菜…中川菜々さんですよ」

【…………………………】

 

言葉を失うご両親。

しかし、すぐに出たのはくだらないと言ったような卑下する声。

 

「本当でしょうか?」

【……─────?】

 

「見てください、彼女の顔…

少なくとも…中川菜々の時は俺はあんな弾けるような笑顔見た事ありません」

【…………………………】

「それだけ、彼女はスクールアイドルが大好きなんです

…学業を優先したいお気持ちも十分分かります

しかし、彼女の…今の原動力になってるスクールアイドルを…取らないでやってください

スクールアイドルを続けさせてくれるなら…俺はどんなことでも協力します」

 

深々と頭を下げる。

ライブが熱狂してる中、ここだけは違う空気感だった。

 

少しせつ菜のライブを見たご両親は…その場を後にしようとしていた。

【……───────】

「…えっ?…ただ、俺は…夢や憧れ…輝きを追いかけるあの子たちの手助けがしたいだけです…自分の利なんか考え事も…でも、俺も好きなんだと思います、スクールアイドルが…菜々の事が」

 

 

 

最後に聞いた言葉は…あんなとびきりの笑顔で嬉しそうにライブする菜々の姿を初めて見た…だった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【ライブ終わり】

 

 

「みんな、お疲れ様~!」

かすみ「あー!先輩~!どこいってたんですか~!」

「ほれ、冷たいの」

かすみ「ひゃぁ!!!」

 

ほっぺに飲み物を当てるとかすみが猫みたいに毛を逆立てた。

「みんなの分もあるよ~」

果林「ありがとう、ちょうど欲しかったのよ」

彼方「峻くん、みんなのライブ見てくれてたかな~?」

 

「もちろん、最後尾で腕組み彼氏風に」

エマ「……????」

「と、まぁそれは冗談として…」

 

歩夢「…やっぱり、来なかったねご両親…」

せつ菜「…はい」

 

「…そう、かな?」

せつ菜「…えっ?」

「ご両親に連絡してみ」

せつ菜「で、ですが…」

「いーからいーから、中辛~……大辛?」

愛「上手っ…い???」

「あはは、ダジャレはもう少し磨かないとなぁ」

 

 

少し困った顔で電話するせつ菜。

心配そうにその様子を伺うほかのメンバー達。

 

「…約束通り、撮ってくれたみたいだな」

栞子「…あなたは人使いが荒いです」

「悪い悪い…んで、感想は?」

栞子「…私の知ってる…中川さん、ではありませんでした…」

「…それは、褒め言葉?」

栞子「……………………………」

何も言わずにビデオカメラを返して、その場をあとにする栞子だった。

 

 

 

「…効果あり…かな」

せつ菜「お父さん…お母さん…っ…」

「こっちも終わったかな」

 

電話切ったせつ菜の手が震えている。

「なんだって?」

せつ菜「あんな…笑顔の菜々を初めて、見た…って…

私たちは…菜々から笑顔を奪ってたのかもしれませんね…って…

これからは…勉学に支障がない程度にスクールアイドルを…大好きなことをしてくださいって…!!」

 

「…そっか……ああああああああ、緊張した~…」

分け目も振らずその場に大の字になる俺。

 

歩夢「しゅ、峻くん!?」

彼方「ここはお昼寝ポイントには少し硬いと思うよ~…?」

「めちゃくちゃ気を使ったんだも~ん…」

 

しずく「…それって…」

せつ菜「峻さん…まさか…」

「せつ菜のご両親を案内して…思いの丈を全部ぶつけた

…あ、飲み物はそのついでって訳じゃないからね?」

 

せつ菜「……そこまでしてもらって…」

「そこまですることに意義があるんだよ、今日はライブは

…と、まぁ終わりよければすべてよし…っと!!」

 

ハンドスプリングで立ち上がる。

…MIRACLE WAVEを思い出すなぁ…。

 

「…さ、打ち上げでも行こうかー!」

愛「そういうと思って、愛さん場所押えて置きました~!」

かすみ「わーい!打ち上げ打ち上げ~!♪」

 

 

せつ菜(…お父さんとから言われた…最後の一言って…///)

【良い彼氏さんに出逢えたな】

せつ菜(…ど、どういうこと…??///)




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77話

いよいよ…15時に栞子が登場…!

見たいけど仕事終わるまで…SNSなども見ないでネタバレを防ぎつつ楽しみにしてます…!


この日、俺たち虹ヶ咲学園のメンバーとμ'sのメンバー

Aqoursのメンバーで集まって定例会が行われた。

 

…場所は…虹ヶ咲学園の食堂。

と言ってもこの時間帯は使う人もいないからほぼほぼ貸切だ。

 

なのでμ'sやAqoursのみんなが色々買い込んできて…。

 

穂乃果「新作お菓子美味し~!♪」

千歌「あっ、私も欲しい~っ♪」

 

「…えーーーっと……さて、具体的なことを…詰めておこう、か?」

穂乃果「そうだねっ、今日中に全部決めちゃうくらいの気持ちで、ばーーーっと!」

 

エマ「えっと、広報と~…イベント運営と~…出展関係…?」

愛「はいはーい!質問~!♪」

 

「はい、愛!」

愛「広報は何となくどんなものか分かるんだけど~…

出展でどゆこと?…あと運営って…すこーしイメージわかないって言うか…」

希「あぁ、ソレ沼津の合宿でも保留にしてた話やね」

 

ことり「そう言えば話が盛り上がっちゃってそこまで話せなかったもんね」

しずく「出展って…出店…のようなものですか…?」

せつ菜「確かにそのような意味合いですが…文化祭とは規模が違いますので

今回は自分たちで申請したり注文したり外部とのやり取りも多くなりますね」

 

にこ「なんか面倒ね~」

「おいおい…」

花陽「みんなでやったらきっと楽しいよ」

真姫「にこちゃんより峻や花陽がずっと大人ね」

にこ「な、なんですって~っ!?」

 

凛「でも、やることが多くなると頭が混乱しちゃうにゃ~…」

しずく「苦あれば楽あり、ですね」

千歌「その事なんだけど…私たちに任せてくれないかな?」

「…千歌?」

 

果林「任せるって…どういう事?」

千歌「イベント運営についての色々!」

海未「お任せしていいならありがたいですが…大丈夫なんですか?」

梨子「ええ、この間の合宿のあと…Aqoursのみんなで話したの

運営に参加したことある私たちが中心になってやった方がいいんじゃないかなって」

 

ダイヤ「経験があるので多少お役に立てるかと」

ルビィ「ルビィたち、イベントのお手伝い頑張ったんだよっ♪」

「少しどころじゃないよ…すごく役立つよ!」

 

そう言って俺はルビィの頭を撫でた。

ルビィ「えへへ…何だか、嬉しい…♪」

 

善子「もちろん、貴方にも協力してもらうわよ?♪」

「ああ、総監督だからな」

千歌「…と、言うわけで!みんなどうかな?」

 

絵里「それなら心強いわ。お願いできるかしら?」

善子「このヨハネに大船に乗った気持ちで任せておきなさい!♪」

「沈没しそう…」

善子「なんですって~!?」

 

ダイヤ「…こほん、まず予想来場者数と必要な飲食店の数を決めないといけませんわ」

曜「日本全国からスクールアイドルが集まるだから日本の美味しいものを集めたいよね、峻くん!」

 

「…あぁ、そうだな」

俺らは今…途方もない…そして想像もつかない壮大な計画を立てているんだ…と思うと、胸の高鳴りが抑えられない。

 

 

……ドックン!!!

 

「…っ…はっ…!!」

…いや、この高鳴りは…ドキドキやワクワクから来るものじゃねぇ…っ…!

 

(体が…暑い…っ…!!)

曜「…峻くん…っ??」

「わ、悪い…水…くれ、ないか…?」

曜「う、うんっ…」

少し慌てた様子でキャップを外し、水を差し出す曜。

受け取るやいなや、半分くらい一気に流し込む。

 

「…はぁ、はぁ…落ち着いた…」

曜「…大丈夫、峻くん?」

「…あぁ、平気…へっちゃら」

 

まだ鼓動が早いけど…見て見ぬふりをしよう…。

まるでコナンくんみたいだな…なんて笑える余裕があるってことは…平気なんだろう。

 

歩夢「特別メニューって作っちゃダメなんですか?」

ダイヤ「もちろん、構いませんよ♪」

鞠莉「なら、シャイ煮を更にリニューアルさせましょうかしら~?♪」

善子「くっくっく…堕天使の涙を降臨させる時が来たわね…!」

 

ルビィ「ぴぎぃっ…!

ルビィ…それはたべたくない、よぅ…」

善子「お子様用の味付けも…用意する、わよ…?」

「目を逸らしながら言われても説得力無いな…」

梨子「会場に設置する案内板も必要なるね」

千歌「あと~…迷子センター?

ほら、迷ったりする人とか居るかもだし」

 

「…………………」

果林「な、なんで私を見るのかしらっ!?」

「いや、何となく…?」

 

果南「じゃあ、迷子センターに必要なぬいぐるみとかオモチャとか必要かな?」

ルビィ「アナウンスの原稿、花丸ちゃんとルビィで作るね♪」

 

ダイヤ「せっかくのイベントですので、限定グッズがあってもいいかもしれませんね」

穂乃果「これが…Aqoursの力…っ!?

リストアップが止まらないよ~っ!」

 

愛「運営さんの支えってほんと有難いものなんだね~…

もう、うんうん、イエーイ!なんてお気楽なこと言ってられないな~」

彼方「さすがの愛ちゃんもダジャレのキレがない~…」

愛「あぁーもーっ、キレがないって言わないでよ~っ」

 

絵里「虹ヶ咲学園のみんなも話し合いに参加してちょうだい~?

Aqours主導だけど、任せきりは良くないからみんなで一緒に考えましょ?」

ダイヤ「よろしくお願い致しますわ」

 

 

かすみ「はいはーいっ、かすみんのアイデアを聞いてくださ~いっ」

さっきまで凄い勢いでメモを取ってたかすみが元気よく手を挙げた。

 

 

かすみ「皆さんの顔をモチーフにしたパンを販売するなんてどうですか~?♪(にしし…まぁ、かすみんのが売れ行き1位ですけどね♪)」

「…それ…食うんだよね…頭からガブリと…」

かすみ「…あっ…」

 

見た目以上に食べる方はダメージでかいと思うぞ…。

 

ことり「じゃあ峻くんの顔をケーキにしようよ~♪」

「まって、それって切るんだよね!?見たくないよ!?」

ことり「大丈夫~♪中はストロベリーソースにするから♪」

「いや、余計にリアル!!!」

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

【次の日の放課後】

 

 

「じゃあ、みんな今日もお疲れ様!」

「「「お疲れ様で~す」」」

 

歩夢「…峻くん、今日も残り?」

「自分のやる事とか…スクールアイドルフェスティバルの広報とか…まぁ、色々あるからね」

歩夢「そっか…あんまり遅くならないでね?」

「うん、なるべく早く切り上げるよ」

歩夢「ご飯作ってるね♪」

 

そういうと急ぎ足で歩夢が部室を後にした。

「…そっか、せつ菜も自分の家に戻ったんだもんな」

 

あの一件以来、せつ菜はご両親と和解。

…したんだけど…せつ菜が家に来て欲しいと催促するようになった。

理由は知らないけど。

 

「…飲み物でも買ってこようかな」

そう思って部室を出た時だった。

 

 

栞子「あっ…」

「あ………」

たまたま前を通り過ぎようとしていた栞子に遭遇した。

 

「見回りか?」

栞子「…えぇ、終わって生徒会室に戻るところです

貴方は……見たところ、居残りで作業してると見受けられますが」

「まぁ、スクールアイドルフェスティバルが近いからな」

栞子「…よくそこまで、労力を惜しまないですね」

 

「…なぁ、ここじゃなくて部室で話さないか?」

栞子「………………………」

 

その言葉に栞子はただただ黙って着いてきた。

 

「…まぁ、座って」

自分の座ってた前の座席に座る栞子。

 

「…えっと…なんの話しだったっけ…あ、そうだ労力を~…か」

栞子「…直談判の時にも思いましたが…貴方の自信は一体どこから来るのですか」

「…んーーーーー………」

 

パソコンを閉じて首を抑えながら俺は言葉を続けた。

「人ってさ……突然の覚醒したりするじゃん?

隠れた才能が…とか、メキメキ頭角を…って」

栞子「……………」

 

「もちろん、みんながみんなそうなる訳じゃないよ?

ただ、変われるきっかけってさ案外些細なこと…かもって俺は思うんだよ

誰かの影響だったり、励ましだったり、支えだったり…

可能性は無限大!だからね

上手いとか下手は二の次三の次。

本人が楽しくてやってるのが好きならば…俺はそれでいいと思う」

栞子「…私のやり方が…真っ向から間違ってる、と…?」

「そうは言ってないさ

栞子には栞子なりの考えがあってそういう行動をしてるのも俺は発言してるからな……まぁ、あん時は大人げなかったなって…今思えば後悔してるけど…」

 

栞子「…貴方は…」

「…ただ、あいつらは…スクールアイドル同好会のみんなは…もう少し長い目で見てやってくれないか?」

栞子「………失礼します」

 

「待っ────────」

その言葉の前に栞子が俺の前へ立った。

 

栞子「……貴方のその考えは…まだ私の中では思ってる物とかけ離れ過ぎて…よく分かりません

……ただ、悪くない…かなと思いました」

 

「…そっか、うん、そう言って貰えると嬉しいよ」

栞子「…明日…部室に来てもいいですか」

「…いい、けど…どうして?」

栞子「……いえ、良いと言って貰えただけで構いません

また明日…部室で会いましょう……''峻さん''」

「えっ…!?」

 

 

最後にクスッと笑ったのは…俺の見間違い、だろうか…?




次回:ニジガクメンバーと生徒会長、再び


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78話

栞子が入ってから推し変!…とまではいきませんが
栞子とせつ菜だけのSP特技を見てエモい…っ!!ってなってます。

水着は皆さんゲットしましたか?えちちですよね。


部室でカタカタとパソコンを打ち続ける。

開いていたのはスクールアイドルフェスティバルのホームページ。

 

 

「まさか、ホームページを作り方が役立つ時があるのは、なっと…」

Aqoursの頃にやっていたから特に苦でもなかった。

 

「…おっ、評価は急上昇ってところだな!」

まぁ、3グループでローテーションして更新してるからな

こういうのはこまめな更新が大事だし。

 

エマ「こうしてみると~…峻くんって文章書くの上手いよね~」

「まぁ、嫌いじゃないからな」

歩夢「にこちゃんたちからも太鼓判押されるくらいだしね♪」

 

「…噂をすればなんとやら、だな」

携帯にはにこからホームページの返事を添えたメッセージが。

 

にこ【さっすが峻ね!飽きさせないように工夫してるのがしっかり伝わってるわ!♪】

愛「しゅんしゅんも抜け目ないからね~」

「そうかぁ?俺にも苦手なものとかあるぞ?」

 

果林「へぇ、意外ねぇ?」

かすみ「ちーなーみーに、峻先輩の苦手なものってなんですかぁ~?♪」

しずく「あっ、かすみさん…また悪さしようとしてる…めっ!」

 

「キノコと…雷、かな」

かすみ「かっ、雷はかすみんも苦手ですぅ…っ!!」

彼方「キノコ…食べられないの~…?」

「どうしてもね…」

 

泳ぐこと…もあったけど、それはもう克服したし…。

せつ菜「応援メッセージも沢山届いてますよ!♪」

璃奈「やっぱり規模が規模だから…かな?」

「まぁ、Aqoursとμ'sが一緒にやるライブだしな

…ただ、喜ぶ反面、頭を悩ますこともあるけどな」

 

果林「…んん?…何かあるかしら?」

「…ほら、これ」

 

メッセージ欄を果林に見せる。

「応援メッセージも確かに多い…けど、心配する声も少なからずあるって所」

エマ「ええっ、そんなのが来てるの…?」

「端的に言うと…スクールアイドルフェスティバル…とは?ってところだな」

せつ菜「どんなイベントかがイマイチ伝わってない、ということですか…」

 

「…こまめに更新して伝えてるつもりだったんだが…まだまだ未熟だったかな…」

歩夢「そ、そんなことないよっ!」

 

愛「なになに~…集え!みんなの夢!叶えよう!みんなで!と言うスローガンですが、一体どんなイベントなんですか?……か」

璃奈「スローガンの意味が…わかってもらえて、ない…?」

せつ菜「…こういうものおかしいですが…分からないって言うのが分からないんです…」

果林「伝えたい事が伝わってないということかしらね…」

 

「あはは…真姫ちゃんからも抽象的なのよって言われちゃった」

しずく「雰囲気は伝わると思うんですが…」

かすみ「かすみんも初めて聞いた時すごいワクワク感がしたんですが…」

 

 

「…いくら良いとこちらが思ってても…興味のない人に伝わらなければ意味が無い、かぁ…」

ペンをポイッと机の上に投げ捨てる。

 

「何かしっくり来るような物~……うぅーん……」

歩夢「…スローガンを変える必要は…ないと思う、私は」

「……だとしても…何か伝えられる方法…」

 

かすみ「あっ!峻先輩~、女装してPV撮りませんか~?♪」

しずく「………………」

かすみ「あいたっ!」

 

しずくが何も言わずにかすみをデコピンをした。

しずく「ダメです、峻先輩のイメージが崩れてしま……あっ、でも……それはそれで…恥ずかしがる峻先輩を見れるチャンス…っ???」

 

「おーい、しずく~、戻ってこーい」

とりあえず、女装は却下。

えぇーとか言われたけど気にしないでおこう。

 

「…まぁ、答えは分かりきってるけどな」

「「「えぇ?」」」

「難しく考えないで、いつも通り俺ららしくやればいいんだよ

多分、穂乃果や千歌もそう言うと思う」

彼方「…いつも通りって?」

 

「…その点、かすみは半分正解、だったかな」

かすみ「えっ、かすみん何か言いましたっけ?……あっ、女そ────────」

「じゃなくて、PVだよPV」

 

せつ菜「それは…イベントの魅力が伝わるPVを作る…ということですか?」

「それが一番手っ取り早いだろ?文面だけでワクワク感が伝わらないなら目や耳に伝わる方法がある」

 

歩夢「確かに…見てもらった方が、早いよねっ」

「と言うわけで絵里さんやダイヤさんにメッセージいれて優勝することにするわ…」

 

歩夢「あっ、私のヘビのぬいぐるみ!」

「…というか、部室にこんなに私物持ってきて良かったの…今更だけど」

せつ菜「私が生徒会室に漫画持っていってるので説得力無いので!!……ってあああああ!漫画そのままだった!!」

 

「…栞子のことだから…捨ててるかもな…」

せつ菜「悪・即・斬!!!」

 

かすみ「は、はやっ!!!」

「あいつホントに漫画とかアニメになるといつもの3倍は早く動くよな…

さて、PVの内容は練習風景や作業風景…来てくれる人へのメッセージ…っと、Aqoursとμ'sのみんなにメッセージも入れたし…せつ菜の様子を見に行きますか」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

放課後ということもあってか、人気はあまり無い。

「せつ菜の姿のまま生徒会室まで突っ走るってどういうつもりだよ…」

せつ菜「す、すいません…つい…っ」

 

栞子「もっと言えば、他の生徒会役員が居たらどうしたんですか」

せつ菜「あ、あはは…面目ない…」

栞子「心配なさらずとも、勝手に捨てたりなんかしませんので

…が、そろそろ別に場所に移してもらえると助かるのですが」

せつ菜「…あ、あはは…探すので…もう少しお時間下さい…」

「…あれ、これ…逆さまになってる」

 

栞子「………………っ…」

「(読んだな、これ…)…と言うかせつ菜も、ご両親が分かってくれたなら持って帰ってもいいのでは…」

せつ菜「…ぁ…そ、それもそうでした…っ!!」

 

 

こうして、少しずつ持ち帰ることとなった。

「…読んでたことは内緒しておいてやる」

栞子「…な、なんのことでしょうか…っ…」

「あくまでもしらを切るか…まぁ、それが栞子らしいけどな」

 

せつ菜「…?どうしました、お二人共?」

「なんでもないよ、部室に戻ろうか」

せつ菜「はいっ!♪」

 

 

最後栞子の顔は少し見たが…心無しか顔が赤かったような気がする。




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優木せつ菜誕生日特別編!

自分の誕生日(8月7日)の次の日という事で勝手に親近感わいてせつ菜ちゃん推しになりました。

今回はリアタイ仕様で、現イベントを峻くんと行ったら…?という風で行きます!


せつ菜「…ふぅ、部屋の片付けもこれくらいかな」

最近、漫画の他にもグッズも増えてきたし…。

 

せつ菜「何よりも峻さんの部屋が綺麗だったから…それくらい自分の部屋も綺麗にしなくちゃ!」

もしかしたら峻さんが私の部屋に…。

 

せつ菜「って、ないない!!片付けしなくちゃ……っ…あっ!」

机の引き出しから見つけたのは────────

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【後日】

 

 

「おーい、せつ菜~」

せつ菜「あっ、おはようございます!!!」

「……相変わらず元気いいなぁ…

そんで、急に呼び出してどうしたんだ?」

 

せつ菜「じゃじゃーん!これですっ!」

取り出したのは…チケットだった。

 

「…スポーツテーマパーク?」

せつ菜「はいっ、最近できた30種類のスポッチャが出来るテーマパークです!…実は、期限が今日までで…」

「…俺以外でも良かったんじゃ…?」

せつ菜「ダメです!ペアチケットですし…それに!峻さんこういうの好きかなぁって!」

「まぁ、スポーツは好きだから…実は結構楽しみにしてる」

 

せつ菜「えへへ…じゃあ、早速行きましょう!」

「…って、せつ菜?…この腕は…」

せつ菜「…何か、おかしかったですか?」

「……いや、ううん…なんでもない」

 

肘の辺りにフニフニと柔らかい感覚とせつ菜の笑顔が相まって悶々とする俺は思わず天を仰いだ。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

せつ菜「着きました!」

「でかいなぁ~……」

せつ菜「さぁさぁ、峻さん!何からしますか!?」

 

「…テンション高くなるのはわかるが…落ち着いて…

そうだなぁ…あっ、アーチェリーがあるじゃん!」

せつ菜「やったことあるんですか?」

「いや?でもやってみたいなって思ってたんだ」

せつ菜「ならばやりましょう!…なんなら、勝負…しますか?♪」

 

「…燃えてるね、せつ菜…」

せつ菜「ふ、ふふっ…峻さん相手なら不足はありません!!」

 

 

 

こうして、俺とせつ菜によるアーチェリー対決が始まった。

3回投射して当たったポイント数で競う。

 

「負けたら何か罰ゲームでもするか?」

せつ菜「むっ、ハードルをあげましたね?…ですがそんなことで動揺する私ではありませんよ!!」

 

ふぅと息を吐くせつ菜。

…どこか表情が変わった。

 

せつ菜「正射必中…曇り無き心で放つ矢に…貫けぬもの、無し!!…いざ!!!」

「…いざ?」

 

…侍風?

…って、あぁー…最近やってるアニメのキャラのセリフか。

 

せつ菜「我が命を燃やし、暗き深淵に光明をもたらしたまえ!

ダイヤモンドクリスタルアロー!!!!!」

「…声が、でかい…」

 

しかし、セリフとは(?)裏腹に放った矢は真っ直ぐ5点の縁を貫いた。

 

せつ菜「まだだっ…!!金剛水晶の守護法の御加護はこんなものでは無い!!

走れ紅の閃光!!ガーネット…ルビーアローー!!!!」

 

ざわ、ざわ……。

大きな声と一言一句間違っていないセリフに観客が増えてきていた。

 

「…恥ずかしい…」

しかし、せつ菜は絶好調なのか、2回連続5点を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里「…何か聞いた声がすると思ったら…」

鞠莉「あの子たち、何やってるのかしら?」

 

璃奈「…そっとしておこう?」

花丸「まるも同感ずら…」

 

凛「でも、あの2人楽しそうだにゃー♪」

鞠莉「…ははーん、さてはデートねぇ~…?♪

小原グループが新しく開園したスポーツテーマパークでデートなんて抜け目ないわね~!」

絵里「…感心するところ…そこ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せつ菜「これで…ラスト…っ!

希望の電撃…っ!レインボートルマリンアロー!!!!!」

「…もう好きにしてくれ…」

 

 

せつ菜「ふぅ、結果は14点ですかっ!

でも、結果よりも満足してます!」

「…まあ、好きなキャラのセリフを言いながら高得点取れればそうなるわな」

 

せつ菜「次は峻さんの番ですよ!…期待してますよ?」

…む、これは…同じようなことをやれってことか?

でも、恥ずかしいし…。

 

せつ菜「ふふっ、躊躇してると負けちゃいますよー♪」

「むっ………やってやんよ!!!」

変なスイッチが入ったがもう後戻りはできない。

 

 

「なら俺は……こっちで勝負するぜ…!!

破を念じて…刃となれ!!天上天下…念動破砕剣!!!」

…うん、特に意味は無いけど…好きだからこれにした。

 

せつ菜に負けず劣らず、俺も5点を射抜いた。

せつ菜「なっ…!!」

「ふっ…そう簡単には負けないぜ」

 

 

ふっと目を細めて一点を見つめる。

「思いだけでも…力だけでも…

戦わなきゃ守れないものがあるから!!」

せつ菜「…私はデスティニー派です!!」

 

…うん、聞いてないけど…俺も好きだよデスティニー。

と、そんな会話とは別にまたしても俺の矢は5点を射抜いた。

 

「…これで俺が5点をもう1回射抜いたら勝ちだな」

せつ菜「…むむむ…っ…」

 

「いっけえええ!オクスタンランチャー!」

せつ菜「オクスタンは槍って意味ですよ!?」

 

もはや、アーチェリーの原型を留めていない。

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

「…うぅ、最後が1点て…」

せつ菜「槍を使ったらそうなりますよ~…」

「…さ、負けたし…罰ゲームは何にする?」

 

せつ菜「…で、では…この後…ウチに来ませんか?///」

「…えっ?」

せつ菜「今日はまだまだ…長い、ですよ…?♪」

「…こりゃ、帰してくれなさそうだな」

せつ菜「帰す気なんてありませんよ…今日だけは私だけの峻さんですっ♪」

 

 

 

こうして、夜はせつ菜の家にお邪魔することとなった。

……次の日。

 

 

 

 

璃奈「旦那…昨日はお楽しみだったようですな…璃奈ちゃんボード…''ニヤニヤ''」

「え、ええええっ!!??」

 

…火のないところに煙は立たない…???




せつ菜ちゃんお誕生日おめでとう!!
これからも推していくよ!!

本気でついて行くから本気のせつ菜ちゃんをこれからも見せてね!!

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80話

どうもどうも、A×Kです。

23になった今年の目標はラブライブの声優に小説を見てもらうことです(超無理難題)


「…さて、PVを作るとして…曲は真新しいものがいいよな?」

ダイヤ「そうですわね、こんなイベント!…という象徴するような曲がいいかと」

 

絵里「となると…作詞は~…」

真姫「峻がいいんじゃないかしら?」

梨子「うんっ、私も賛成♪」

 

「…えええっ!?」

千歌「そーーだよっ!Aqoursの曲だって書いてくれたんだし!」

「あ、あれは喧嘩を止めるために…っ!」

穂乃果「えっ、何それ!μ'sも書いて欲しいー!」

「そ、それは…また今度…っ!」

 

絵里「ふふっ、じゃあ峻で決定ね♪」

ダイヤ「よろしくお願い致しますわ」

 

歩夢「峻くん、また作詞作業中に音楽室にお邪魔してもいいかな?♪」

「…どうせ、ダメって言ったてみんな来るんだろ?」

愛「さっすが、しゅんしゅん~分かってる~♪」

しずく「それだけ、峻さんの作詞した曲が待ち遠しいんです♪」

 

 

 

真姫「…ふふっ、なんだかあっちも私たちに似てきたのかしらね?」

凛「あーっ、真姫ちゃん顔が赤いにゃー♪」

花陽「ホントだ、ふふっ♪」

真姫「そ、そんなことない!///」

 

「…イメージとしては…誰かの背中を後押しするような…応援…ソング…みたいな?」

真姫「いいじゃない、ノープランの私よりもずっと」

梨子「なんだか峻くんらしいね♪」

 

穂乃果「はいはーい!穂乃果が元気になる時は──」

海未「元気なのか節操がないのか時々分からなくなりますが…」

 

果南「応援かぁ…体動かしてる時に聴きたくなる曲になるといいなぁ♪」

果林「そうね、私は…誰かに話を聞いて欲しい時に聞きたい曲になるといいと思うわ」

 

「なるほど…うん、みんなの意見でイメージ湧いてくるよ」

エマ「後は甘い物を食べたりかな~♪」

「それは部室でいつもしてるだろ~?」

エマ「あはは、そうだった♪」

 

にこ「にこにーの~…ドマラチックなアイデアは~…」

「あ、もう大丈夫です」

にこ「ぬぅあんでよーっ!!!聞きなさいよー!!

いいわねっ!?…あれは私が────」

 

 

 

 

 

 

 

「…まぁ、みんな少なからず落ち込んだ時や失敗した時の解消法はあるって事だね」

しずく「人それぞれですが…方向性は同じって事ですね」

 

「…まぁ、黒歴史な人も…中には…」

にこ「……赤裸々に言いすぎたわ…」

かすみ「うぅ…にこ先輩ひどいです…かすみんにまでキラーパスするなんて…」

 

希「えりちも、やけどな?♪」

絵里「…お願い、忘れてちょうだい…!」

「あ、あはは…まぁ人間色々あるってことで…」

 

にこ「そういう峻は何かないの!?」

かすみ「そ、そうですよー!峻先輩の恥ずかしいエピソード聞きたいです!」

 

「…え、俺?」

絵里「…そ、そうよ…ここまで来たら道連れよ…!!」

趣旨が変わってるよ、趣旨が…。

 

「…えっと、アイスと弁当買って…アイスを温めてくださいって言った時?」

愛「…ぶっ…」

にこ「え、何そのエピソード…乙女過ぎないかしら」

絵里「…許せるエピソードね…くぅ…」

 

かすみ「そういうのじゃなくて〜!」

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

【次の日 ( ・8・) 】

 

 

「よし、じゃあ5分休憩ね。水分補給は忘れずにね」

かすみ「つ、疲れた~…っ…!」

彼方「ハードだったねぇ~……」

 

しずく「峻さん、気合が入ってますね」

歩夢「あんなに大きなイベントだもん、峻くんも成功させたいって一心なんだよ♪

…しっかりついていけるように、私達も頑張らないとねっ」

せつ菜「まさに理想のヒロインですね…っ」

しずく「…うっ…どうしてでしょう、視線を感じます…」

 

エマ「でも、体力ついてきたよね~♪」

愛「体力大量~っ!」

璃奈「愛さんのおかげで涼しくなった」

愛「な、何を~っ!?」

 

果林「目指すはμ'sやAqoursみたいな…」

「何言ってんの、果林」

果林「えっ…?」

「μ'sやAqoursよりも!最高のスクールアイドルを目指す!」

彼方「野心家だねぇ~」

「それだけ、みんな魅力に溢れてるってことだよ」

せつ菜「その通りです!ここにいる十人…正しく十人十色です!」

かすみ「まぁ、かすみんは皆さんの魅力は全部知ってますもんね~♪」

 

しずく「私も、自分の魅力をもっと磨きたいと思います!」

エマ「しずくちゃん、頼もしいねっ!♪」

しずく「夢のためですから!♪」

 

かすみ「あっ、夢で思い出したんですけど、三船栞子の生徒会活動…上手くいってないみたいですよ?」

愛「あー、愛さんもそれ聞いたよー」

せつ菜「なにかトラブルでもあったのでしょうか…」

 

 

「…すでに休憩時間は過ぎてるけど…まぁ、いいや続けて?」

かすみ「(やった!)…ええっと、三船栞子のアドバイスで部活を移ったり選手からマネージャーになった部員が、やっぱり夢を追いかけたいって元のポジションに戻ったりしてるみたいですよ?」

果林「そりゃ、普通に考えればそうでしょ

部活なんて好きでやるものなんだし、強制的に他の部活や立場をやってたら納得いかない部分の方が多いわよ」

 

「…ま、原点回帰って所なんだろうな」

彼方「やっぱり好きな物はやめられないよね~…」

「好きだからこそ部活でもなんでも打ち込めるからな

上手い下手じゃなくてやっているそれが自分の好きならそれでいいと俺も思うし」

 

愛「…まー、峻を筆頭にみんなの言う通りなんだけどさー

せっかく将来に向けて正しい道を進んだのに、戻るなんて良くないって説得して回ってるみたいだよ?」

「…これまた途方もないことを…」

せつ菜「それが、反発を呼んでいると…?」

 

愛「とどのつまり、そーゆーこと

愛さんの友達も【親身になってくれるのはありがたいけど、少ししつこい】って」

「距離感って大事だよな」

 

かすみ「かすみんのクラスの子は【自分の言う通りちゃんとやってるか見張られてるのは少し怖い】って言ってました」

「…もともと自由な校風の学園だから…そういうテコ入れは生徒にとっても衝撃が大きいんだろう…普通はそうなるよ」

 

愛「絶賛三船株ガタ落ち…って感じなんだよなー」

(…せつ菜と生徒会室に行った時はそんな表情見せなかったけどな…)

 

歩夢「スクールアイドル同好会どころじゃなかったんだね…」

璃奈「それはそれで…ありがたい?」

 

せつ菜「…私は…三船さんは三船さんなりに頑張ってると思いますが…」

彼方「えっ…せつ菜ちゃん、同情してるの…?」

果林「あ、あれだけやられて…人がよすぎるんじゃないのかしら…?」

 

「…まぁ、俺も少し分からなくもないな」

果林「しゅ、峻まで…っ!?」

「あ、違うぞ?…ただ、本人も悩んだりするんだなって

…自分では出来ると思っててもそれが間違ってたり、分かんなかったりして…相談出来るやつも居ないのかなぁって」

せつ菜「…私も同じような意見です。

素質も情熱もあるから…報われてほしい、と…」

 

果林「2人とも…せつ菜は生徒会長の座を奪われたじゃない

一生懸命やってもそれが報われるとは限らないじゃない」

せつ菜「それはそうですけど…」

「…………………」

 

「…ん、まぁ心配なんだよ

なんだかんだ言っても」

せつ菜「そうですね…心配です」

しずく「お二人共…優しいんですね」

「…俺も壁にぶち当たったことは何度もあるから分からなくないからな」

せつ菜「私も…空回りして思うようにいかなかった経験があるので…」

 

せつ菜「…それに…今だから言えますが、生徒会長は三船さんの方が素質があると思います…」

「生徒会長がどうこうってもう関係なくなったからな」

 

エマ「そんな三船さんでも…上手くいかないなんて…相当難航してるのかな…」

かすみ「どんな優秀な人間でも、人の心は自由にはできないってことですよ!…いいえ、自由に操ってはいけません!」

「お、かすみ良いこと言ったな」

かすみ「か、かすみんだって良いことくらい言えます!」

 

せつ菜「…三船さんは本当に人の事を考えてアドバイスをしてると思うんです…押し付け、などではなく…」

「…ま、要はさじ加減ってことだよな…やりすぎは良くないぞってことだよ」

 

歩夢「…私も三船さんは他人のために努力して…一生懸命頑張ってると思う」

彼方「彼方ちゃんも…ちょっとそんな気がしてきたよ~」

璃奈「私も…」

 

果林「みんないい子ちゃんなんだから~…全員、悪い人に嵌められちゃうわよ~…?」

「そんときは守るさ」

果林「やれやれ…まっ、確かに努力は報われて欲しいものね

それが無いなんて夢も希望もないわよね」

 

かすみ「…かすみんは…三船栞子のこと、まだ嫌いな方ですが…ですがっ、頑張る人を応援するのは…スクールアイドルの使命、だと思います!」

愛「…峻、新しく作る曲…三船さんにも…聞かせようよ」

「…だな、俺も同じこと考えたよ」

果林「でーもっ、スクールアイドルへの対応だけは納得しないけどねっ?」

「…だな…んじゃ、まずは行動…だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

【生徒会室】

 

 

コンコンコン…

 

(んっ…留守か?)

しかし、ドアノブを回すと…扉が開いた。

 

「入る…ぞ?」

中には…生徒会長…栞子がいた。

「なんだ、居るじゃ…」

 

近づくと、栞子は静かに寝息を立てていた。

「……ったく、そんな詰め込みすぎて自分の身がおかしくなったら元も子もないぞ」

 

とりあえず上着を被せる。

伏せてる机の上に目を移す。

そこには…部活のアドバイスを送った生徒たちの名前がずらりとリストアップされていた。

 

「…こんなに…居たのか」

栞子の顔に視線を戻し…頭を撫でた。

 

「あんま無理すんなよ」

そう言って生徒会室を去ろうとした時だった。

 

栞子「…っ……まっ、て…っ」

「…ん、悪い…起こしたか?」

うつらうつらな表情でこちらを見てくる栞子の元に再び戻った。

 

栞子「…いつから…」

「ほんの5分前くらいだ」

栞子「…お恥ずかしいところを…」

「無理、してんだろ?」

栞子「…いえ、そんなこ………」

 

その時、栞子が自分にかけられた上着の存在に気がついた。

栞子「…これ…」

「生徒会長が体調管理って言って矢先に風邪なんか引いたら困るからな」

栞子「…何から何まで…」

「ん、まぁ気にするな」

 

 

 

2人の間に何十秒か沈黙が流れた。

先に口を開いたのは…栞子の方だった。

 

栞子「…私の…何がいけないんでしょうか…」

「…さじ加減だよ。やりすぎは良くないぞって事だ」

栞子「私は…ただ、皆さんのために…」

「そこだよ、もう少し柔軟に考えようぜ」

栞子「ですが………………」

 

 

視線を泳がす栞子を見兼ねた俺は頭をかいた。

「…しょーがねぇなぁ…少しなら手伝ってやるよ」

栞子「なっ、何故ですか…っ!?

貴方にはそのような事してもらう義理は…っ!」

「…いつの日かの借りを返すだけだよ」

 

栞子の頭にポンと手を置きその場を後にした。

「…とりあえず、後日また来るよ」

栞子「あっ…………………はい…………」

 

ただただ、栞子は小さく呟くだけだった。

 




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81話

曜ちゃんに追いついてきた彼方ちゃんとせつ菜ちゃん…!?

栞子ちゃんの寝そべりが出ないかとそわそわ待ってるA×Kです。


「…知名度アップ?」

 

今日は部室でビデオ通話による定例会。

千歌「そうっ!…って言っても…Aqoursの方は浦の星女学院から見に来てくれる人とかいるし…μ'sは音ノ木坂学院から来てくれるんだけど…虹ヶ咲学園からは?」

 

絵里「って言うところで、話が止まってるのよ」

「…何か聞いてるか?せつ菜」

 

せつ菜「…いえ、特に…」

絵里「だとすれば、虹ヶ咲学園の方でもスクールアイドルフェスティバルをやりますって告知をして知名度アップを図って欲しいの」

 

「…確かに、そこを見落としてたな…」

かすみ「あっ、だったらかすみんライブしたいです~っ!♪」

歩夢「この前ライブした時も見に来てくれた人達いっぱい来てくれたし私たちスクールアイドルはライブが1番だよねっ♪」

しずく「そうですよねっ…確か、部活動紹介が近日開催されますよね?」

彼方「なら~、そこで知名度アップだ~♪」

 

絵里「ふふっ、これなら心配いらなそうね♪」

千歌「そっちは任せたよ~っ!♪」

「…あぁ、どうなったか分かったら連絡するね」

 

…と言ってビデオ通話は切った…が。

 

「…その、部活動紹介なんだけどな…」

「「「…………?」」」

 

「案内が来てないんだ…同好会だからかなのかは不明だが…」

せつ菜「い、言われてみれば確かに…っ!!」

かすみ「なんですか、それっ…また三船栞子の嫌がらせですか!?」

果林「決めつけるのは早計よ…かすみちゃん

…まぁ、直接交渉…するしかないわよね、峻?」

 

「…あぁ、でも…本当に同好会だから呼ばれてないのだったら…」

…身の回りのことが忙しくて…見落としてた?

栞子に限ってそんなこと…ないとは思うけど。

 

せつ菜「いえっ、同好会だからダメという決まりはありません

…ここは、果林さんの言う通り…直談判がいいかと…」

「よし、なら善は急げだっ!」

そう言って俺は足早に部室を出た。

 

 

─────────────────

 

 

【生徒会室】

 

「入るぞ、栞子」

栞子「…峻さん、それにみなさんも…今日はどうされましたか?」

 

かすみ(あれっ…今、三船栞子…峻先輩のこと…?)

しずく(え、えぇ…聞き間違い…では無いですよね?)

果林(ふふっ、手が早いわねぇ、峻も♪)

 

「部活動紹介についてなんだが…」

栞子「ぁ…っ…!」

その時、栞子はしまったという顔をした。

 

栞子「…す、すいません…お伝えしようとしてたのですが…忘れてしまって…っ」

「んいや、なんとなく見当はつくから大丈夫だ

…まだ、間に合うか?」

栞子「はい、部活動紹介の件についてはこの書類に必要事項を書いていただき明後日までに提出していただければ…」

 

栞子「来週の火曜日に部活動紹介の件でミーティングがあるので代表者2名を選出して出席するよう、に…」

一瞬、栞子の顔が困った顔をしたように見えた。

 

(…やっぱり、問題が山積みって感じの顔だな)

栞子「…用件、は…以上ですか?」

「あぁ、押しかけて悪かった…みんな、戻ろう」

 

最後に栞子の顔を見たが…やっぱり困り顔は戻らないままだった。

 

 

────────────────

 

果林「…すんなり、許可が下りたわね」

「…まぁ、今回は生徒会の落ち度だしな…生徒会長もそこまで鬼じゃないよ」

 

かすみ「…峻先輩、なにか企んでます?」

「そんな…かすみとは違うんだから企んでなんかいないよ?」

かすみ「って、かすみんもそんなことしませーん!」

「…まぁ、共存はしようかと…思ってる」

 

しずく「共存…ですか?」

「そのうち分かるさ」

 

 

────────────────

 

【生徒会室】

 

 

栞子「…………はぁ」

 

日が暮れて夕日の光が生徒会室に差し込む。

誰も居ない中1人、私はため息をついた。

 

栞子「…一体、どうすれば…」

説得も虚しく、アドバイスをした部員たちは元鞘に戻ってしまった。

そんな状態で…ミーティングなんて…。

 

栞子「……………………………」

峻【少しなら手伝ってやるよ】

 

彼の言葉を思い出す。

…しかし、すぐに首を振り、言葉をかき消した。

 

栞子「…ダメ、あの人に…頼ってばかりでは…」

誰にも聞こえない声で私はそう呟いた。

……私は、生徒会長…なのだから…。




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82話

スクスタストーリーから少し外れたお話!
…今回はしずくちゃんが大活躍?




しずく「うぅーーーーん……」

 

台本片手にしずくが唸っている。

「どうした、そんな声出して」

しずく「あっ、峻先輩っ!♪」

 

俺の顔を見るなり、しずくはいつも通りの笑顔で台本をみせてきた。

 

しずく「…実は…次の役柄が難しくて悩んでいたんです」

「どんな役なんだ?」

しずく「主人公に片思いしてる…けど、主人公は別の女の子にベッタリしてて…その2人を応援したいけど、自分の想いも伝えたい女の子…そんな役柄です」

 

 

せつ菜「これは…っ…あなたと合体したい系アニメですね!?うおおおーー!太陽の子が黙ってませんよ!!」

璃奈「あなたと…合体…?」

果林「その発言はあらぬ誤解を生むわよ…せつ菜…」

 

「…うぅーん…手伝い…けど…」

しずく「…けど?」

「芝居とはいえ…しずくが誰かに告白する…のか」

かすみ「先輩って独占欲強いですよね」

彼方「まあ…今に始まった話じゃ…ないよね~…?」

 

しずく「あぁ、大丈夫ですっ

私は峻先輩しか見てないので♪」

歩夢「し、ししし、しずくちゃんっ!?!?!?///」

ものすごい勢いで机を叩き立ち上がる歩夢。

その顔は真っ赤だった。

 

果林「あらあら、これは大胆な宣戦布告をされたわね♪」

愛「かり~ん…絶対楽しんでるでしょ、この状況」

果林「何でも賑やかな方が楽しいじゃない♪」

エマ「賑やか…なのかな?」

 

しずく「先輩、少しでいいのでお手伝いしてもらってもいいですか?」

「あぁ、いいよ」

しずく「ありがとうございますっ!……では」

「あ、待って…俺からのわがまま…じゃないけどやってみたいシチュエーションあるんだけど…いいかな?」

 

しずく「もちろんですっ!♪

これもお芝居の練習になりますからねっ」

「…今しずくの役柄が三角関係の一角、だろ?

…んで、しずくが振られけどもう1人の仲がいい男の子から迫られるってシチュエーションなんだけど…」

せつ菜「まるっきり、ア〇タとミ〇ノとゼ〇カじゃないですか!!!」

 

「…そ、そうなの???」

しずく「…で、では……コホン」

役者のスイッチが入ったしずくは悲しそうな顔をし始めた。

 

「…どうしたの、しずく…話って」

しずく「…あっ、先輩……えへへ、私…振られちゃいました」

「…そっか」

 

しずく「…でも、いいんです…あの二人は…お似合いですから…私は…潔く…手を引くことに、します…」

「……うん、そうか…」

しずく「こ、こんなこと先輩に言うなんて変、ですよね…っ!

すいません、私…これで失礼しま……」

「…俺じゃ、ダメかな」

 

しずく「…えっ…///」

手首を掴まれたしずくは顔を赤くした。

演技とはいえ流石にやりすぎただろうか?

 

愛「これってさ~…しずくちゃんも役得じゃない?」

頬杖を突きながら愛がのほほんと呟いた。

 

せつ菜「うおおおおぉ!アニメと同じ展開です!!」

歩夢「な、なるほど…こういうもの…男の子は好きなんだね…っ///」

シャッターを押すせつ菜とメモを取る歩夢だった。

 

 

しずく「…な、何言ってるんですか…っ

先輩には、私なんかじゃなくて…もっと…」

「…その答えを出すのは今じゃなくていいよ…ただ、今は…しずくの悲しい気持ちを癒したい」

しずく「…っ…………///」

「……ダメ、か?」

しずく「…峻…先輩…っ…///」

 

璃奈「はわわ~…///」

エマ「演技ってこと忘れちゃうね~…」

彼方「というか…何もここでやらなくても~…」

 

しずく「…あっ……せ、先輩っ…!

も、もう大丈夫ですから…っ!!」

「…もう少し、こうさせて…」

しずく「い、いえっ…!!

演技とかではなくホントに…っ…恥ずかしくておかしくなっちゃいますから…っ!!///」

 

…いけない、完全に演技を忘れてしずくに抱きついていた。

「…悪い、少し調子に乗った」

しずく「…い、いえ…私も…その…嬉しかったというか…幸せというか…///」

 

かすみ「しず子ばっかりずる~い!!

峻先輩っ、かすみんにもなにかして下さいよ~っ!!」

「…何かって…何を??」

かすみ「…むっ、直ぐに思い浮かばないなんて…っ

何でですかー!……あっ、ここの差ですかっ!?」

しずく「ひゃああああっ!!///」

 

むきーっと怒りながら、かすみがしずくの胸を鷲掴んだ。

「…お、落ち着け…な?」

頭を撫でるとかすみがしずくから離れた。

 

しずく「…び、びっくりした…///」

かすみ「えへへ~…もっと撫でてくれていいんですよ~…♪」

果林「こうして見ると、峻ってみんなのお兄さんみたいな感じよね~」

歩夢「確かにっ!…同い年でも大人っぽく見えるから…そう見えるね♪」

 

その瞬間、しずくとかすみが同じことを思い浮かんだようで…

かすみ&しずく「お、お兄ちゃん!!!///」

「………なんかデジャブだなぁ…」

 

 

────────────────

 

【内浦 黒澤家】

 

ルビィ「はっ……は……ぴぎぃっ!!」

ダイヤ「あら、ルビィ…風邪ですか?」

 

ルビィ「うぅ…なのかなぁ……誰かが噂していたり…」

ダイヤ「全く…お腹出して寝てるからですよ?」

ルビィ「そんなことしてないよ!?!?」

 

 

───────────────────

 

 

 

「…とりあえず、その呼び方はやめてくれ、な?

…ホントにあらぬ誤解を生みそうだから…」

 

かすみ「えぇ~…なんでですかぁ」

「…いや、学校内じゃ色々やばいでしょ…」

 

しずく「(と、ということは…2人きりの時とか…いいの、かな…っ!?///)…そ、そうですよね~♪」

彼方「しずくちゃん~…なにか企んでる顔だね~…?♪」

しずく「そ、そんなことっ…!

って、なんで彼方先輩は私の膝を枕に…っ!?」

彼方「んー…しずくちゃんの膝枕は…96点かなぁ…♪」

しずく「あ、ありがとうございますっ……じゃなくて!」

 

 

「……えっと、歩夢…?

なんで頭をこっちに差し出してるの?」

歩夢「…むーー……」

 

「…あ、はい」

何も言わずに頭を撫でる。

歩夢「……えへへ……///」

「…女の子って頭撫でられるの好きなのかなぁ…」

 

その質問にせつ菜が頷いた。

せつ菜「峻さんの撫で方が上手いですよ♪

…とはいえ、これだけいるメンバーを虜にしてしまうなんて…峻さんはハーレム系アニメの主人公ですねっ♪」

 

 

 

「…喜んでいいのかなぁ…それ…」

 

 

─────────────────────

 

 

【放課後】

 

 

「…よしっ」

 

1人、部室の鍵を返しに行く途中…。

 

栞子「…あっ…」

「お、今帰りか?」

栞子「いえ、最後に校内の見回りをしてお終いです」

「偉いな生徒会長は」

 

 

さっきまでのノリが消えなかったのか俺は栞子の頭を撫でた。

 

栞子「…えっ………?///」

「あ、わ、悪い…嫌だったよな…」

栞子「…い、いえ…その……っ///」

 

「じゃ、じゃあ俺はこれで!」

栞子「…あっ……待っ……!!」

 

しかし、その言葉を聞く前に…俺はその場をあとにした。

 

(やっべ~…完全に変な目で見られたよなぁ…)

栞子「……もっと…してくれても良かったのに…///」

 

1人、撫でられた部分を触る栞子。

夕陽のせいか、顔は赤く気まずそうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、何故かこの日の夜…歩夢が俺の部屋まで来てもっと頭を撫でてと催促された。




たまにはこんなほのぼの系日常編もいいよねっ!


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83話

風雲急を告げる投票争い…っ!!
中を割ってきたのは…聖良さん…っ!?!?


「…部活動紹介のミーティングに歩夢とせつ菜が出る?」

それは突然の提案だった。

 

歩夢「うんっ…峻くん、絵里さんから言われた仕事もあるし…それに頼りっきりじゃ駄目かなって」

せつ菜「元生徒会長ですし、これくらいは造作もないです!」

 

「…ありがたい、けど…大丈夫なのか?」

せつ菜「はいっ!♪(…というのは…半分本音で…半分建前…多分、滞りなくなんていかないし…峻さんの機嫌が悪くなるのは目に見えてる…)」

歩夢「仕事しつつ、かすみちゃん達の子守りよろしくね♪」

 

かすみ「えっ、かすみん達のってどういう意味ですかー!?」

しずく「…かすみさん、そういう所かと…」

 

 

 

 

─────────────────────

 

【次の日】

 

 

栞子「それでは部活動紹介についての第5回ミーティングを始めます」

各部の代表が揃ったミーティング。

…ここで、歩夢があることに気がつく。

 

歩夢「…せ…な、菜々ちゃん…スクールアイドル同好会の代表って立場で出て大丈夫だったの?…バレちゃうんじゃ…」

小声で呟くとせつ菜(菜々)は笑い

 

せつ菜「大丈夫ですよ…それが証拠に」

 

【…中川会長…なんであの同好会の代表に…?】

【生徒会長補佐が部長でしょ?…その人の代わりらしいよ】

【あぁ…納得…そういう繋がりあったもんな】

 

せつ菜「…ね?♪」

歩夢「あはは、いらない心配だったね」

 

 

栞子「…こほん、スクールアイドル同好会の部長が欠席で代理として中川さんが来た事に関しては異論はありません…続けましょう」

せつ菜「はい、ありがとうございます」

 

栞子「(…来て、くれなかったんだ…)…こほん、では手元の資料に目を通してください

…こちらは、前回のミーティングの際でた指摘事項を修正した改訂版です」

 

いざ、ミーティングが始まった…と思いきや…。

 

【あの、すいません】

栞子「…バスケットボール部の部長さん、なんでしょうか?」

【また資料を読まなくてはいけないんですか?】

栞子「はい、前回の修正に加えて新たな改善点も盛り込んでありますので」

【いや…改善点って…本決定はいつになるんですか、これ

生徒会長さんはミーティングが大事かも知れませんけどこっちだって部活があるんですよ?】

 

明らかに不服そうな顔をするバスケットボール部の部長に対して栞子は軽く頭を下げた。

 

栞子「貴重なお時間を貰ってることは重々承知です

その点に関しては申し訳ありません

…ですが、新入生のためにも少しでも実りの多い説明会にしたいのです」

【そちらの要件や思惑が優先されててこっちの希望が通ってないようにも見えるんですが】

 

 

見かねた歩夢が資料で口元を隠し、せつ菜に問いかける。

歩夢「なんか…ギスギスしてるって言うか…険悪な雰囲気、だね…」

せつ菜「…この手のミーティングは1、2回ほどで終わるはずなので…皆さん気が滅入っているのかと…」

 

なるほど、と歩夢は納得した。

ただでさえ、部活…物によっては大会を控えてる部活もあるだろう。

そんな中ご足労頂いた上、話が進まないのではミーティングそのものが億劫になってしまう。

 

せつ菜「…とにかく、私たちは…資料に目を通しましょう

峻さんにもお伝えしなければならないので…」

歩夢「うん、見てる………んだけど…この資料…情報量が…多い、よね」

せつ菜「えぇ…ですが、ただ多くて煩雑な訳ではなく…非常に見やすくまとまってます」

 

歩夢「…これ…三船さん1人でやったのかな?

…だとしたら、ものすごい労力だと思うけど…」

せつ菜「…だからこそ、完璧にしておきたいのかもしれません

…やはり、三船さんには生徒会長としての素質があります

…あの一件以来、生徒会長という肩書きを楽観視してみるとますますそう思えてきます」

 

歩夢「私は…三船さんの時よりせつ菜ちゃんの方が好きだったよ」

せつ菜「ふふっ、ありがとうございます♪」

 

 

栞子「ひとまず、整理しましょう

今回、初めてミーティングに来る部活動の方たちもいますので

…あくまで、これは私が重要視する点を述べさせていただきます」

 

栞子「…この部活動紹介では生徒たちの将来に向けてはっきりとした道筋を見つけてもらいたいのが大前提です

…そのためには、何が自分に向いているのか?自分はどんな適正があるのか?そういった事を見つけやすい環境作りが大切だと思っています」

 

 

歩夢「…部活動紹介って…こんな感じ…だったっけ?

私が思ってるのより…イメージがかけ離れている気が…」

せつ菜「い、いえ…少なくとも私の知る限りではそんなことは…」

 

もっと、楽しく…新入生の前で試しに何か披露したりするものだと思っていた…。

しかし、提案されていたのはあまりにも堅苦しすぎて…見てる方もやる方も辛い様な内容だった。

 

我慢の限界に達したのか、ある部活が猛反論した。

【悪いんだけど…部のことは部に任せてくれない?

正直、部活動紹介はあくまで部活をしてる人達が新入生に部活動を紹介するって言うのが目的でしょ?

そこに生徒会が口を挟んで、あれこれやれって言うのはおかしいと思うんだけど】

 

【私達も賛成かな

確かに分かりやすくて受けは良いけど…面白みもないし

何をしてる部活でどんな雰囲気でどんな練習をしてるかなんて言葉だけじゃ伝わらないし

ここは、自主性を重んじて任せて欲しいだけど】

 

 

その時、思いもよらぬ言葉が出てきた。

 

栞子「それは出来ません」

 

 

 

せつ菜「…………………………………えっ?」

 

 

 

前会長のせつ菜…いや、菜々からしてみたら信じられない発言なのだろう。

あまりの出来事に言葉が出なかった。

自分なら和気あいあいと…部活動の部長が提案する意見に頷いて了承して良い形の部活動紹介をしようと話が進むはずなのに…と。

 

栞子「そんな紹介ではでこぼこして綻びが生じます

全ての部活がフォーマットで行わなければ平等ではありません」

 

火に油を注ぐ様に栞子が言葉を続ける。

栞子「加えて述べるなら…興味のある子に入部して貰いたいとおっしゃってましたが…それも遠慮していただきたいのですが」

せつ菜「あ、あのっ…!!!…それは、どういうこと…ですか…っ?」

 

栞子「入部希望者には試験を受けてもらいます

試験に合格した方のみ部への入部を認めます」

歩夢「えっ、えええっ!?…合格しなかったら入部出来ないってこと…!?」

 

【…バカバカしい…もう付き合ってらんない】

【いくら生徒会長の指示だからってそれは度を超えてる…こっちはこっちで好き勝手やらせてもらうから】

 

 

 

 

もう話す気もなくなったのか、部長達はこぞって生徒会室を後にする。

栞子「…はぁ。なぜ1番成功するルートが示されるというのに賛成してくれないのでしょうか」

 

せつ菜「…………………………………」

歩夢「…………………………………」

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【部室】

 

 

 

「おっ、おかえり~……って…どうした?なんか死んだ魚のような目をしてるぞ?」

 

1年生3人と寝ている犬を起こさないように骨を取るゲームをしてる中、歩夢とせつ菜が帰ってきた。

 

がぉぉぉぉっ!

かすみ「ひゃーっ!!!???」

しずく「かっ、かすみさんの声に驚きましたよ…っ!!!」

璃奈「璃奈ちゃんボード…チーーーン…」

 

 

せつ菜「…実は………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……入部するのに適性試験を、か…」

歩夢「…うん、それで…みんな感情的になって…話は結局…」

 

「…確かに、それは反対だな

誰だってその部活…まぁ、スポーツでも音楽でも絵でも良いや

少なからず…みんな憧れや夢や目標があるはずだからな

それを適性がないからやるなって言われたら…」

 

せつ菜「…はい、峻さんのおっしゃる通りです…」

「…ただ、この資料といい…その発言と言い…なんか裏はありそうな気がするな…ただ自分がこうしたい、虹ヶ咲学園をこういう学園にしたいってだけの話じゃないような気がするな…」

 

歩夢「…そう、なの…?」

「…ん、少し俺も単独で裏を取ってみるよ

…あぁ、このことは…同好会のみんなには内緒にしておいてくれ

…特に、1年の3人…かすみには、な」

 

チラッとかすみ達に目をやる。

せつ菜「…はい、分かりました…」

歩夢「ミーティングに行ったのは私たちなのに…任せちゃってごめんね」

 

「ううん、気にしないでくれ…俺もその場にいたら…ちょっと、危なかったかもしれないしな」

 

 

こうして、俺は1人…生徒会長とミーティングの件と部活動紹介の件について話に行くこととなった。




次回:峻と栞子。


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84話

スクスタとは一味違った世界をお楽しみ下さい…!


【屋上】

 

彼女は1人、そこからグラウンドを眺めていた。

片手には…携帯電話。

 

栞子「…はい、理事会の要望は把握しています

今回の部活動紹介で新入部希望者を300人…ですね

そちらの方は私の方で何とか致します」

 

神妙な声と表情のまま通話は終了した。

 

栞子「300人…ですか、早急に対策を練らないと…

改革は簡単でないと思ってましたが…こうも難航するなんて…」

 

携帯電話を握る手にも力が入る。

栞子「しかし、諦める訳にはいきません…

虹ヶ咲学園の理念を…そして、皆さんの将来を成功へと導くためにも…ここは妥協は…」

 

その時だった。

「いやぁ~、素晴らしい理念も持ち主だ

拍手しちゃうね、これは」

拍手をしながら…彼はこちらに歩み寄ってきた。

 

栞子「…盗み聞きとは悪趣味ですね」

「別に盗んでもないし聞きたかったわけでもねぇよ

ただ、栞子が先に屋上に来てたってだけだ

…んな事より、俺だから良かったけど…その要望とやら…そんな簡単にいくのか?」

栞子「…そこまで聞いていましたか」

「…ミーティング、難航してたんだって?」

 

栞子「どうして…こうも上手くいかないのでしょうか…」

「…あのさ」

栞子「はい…?」

 

「とりあえず…だけど

自分のやり方はこうなんだ!!絶対合ってるんだ!って思って今までミーティングとかやってきた?」

その言葉に栞子は頷いた。

 

「…んー…栞子って、なんかやってる?部活以外で」

栞子「日本舞踊や…茶華道を…」

「じゃあ、茶華道でいいや

…もし、栞子が茶華道の部活に入りたい…って思ってて入部試験受けてさ

お前は向いてないー!やめろー!って言われたどー思うよ?」

 

栞子「………………………」

「日本舞踊だってそう、別にただ意味もなくやってる訳じゃないだろ?

尊敬するこんな人の表現方法に近づきたい!

見てる人を感動させたい!って何かしらも目的や意思があると思うんだけど」

栞子「それは……………」

 

「全面からその対策や改革を否定はしない…けど、もう少し融通の聞いた方法があるんじゃないか?」

栞子「………なぜ…そこまで…」

「何ででもいいだろ」

 

栞子「…最初の頃から…貴方も…峻さんも変わりましたね…」

「…なんか、俺が丸くなったみたいな言い方だけど…栞子がもっと素直でいい子なら初めからそんな関係性になってなかったんだからな?」

栞子「……………わ、私は素直です…っ!!!」

 

 

コホンと咳払いをし、再び神妙な顔つきに戻る。

栞子「…ただ、楽しいだけだなんて…間違ってると思うんです」

「…と言うと?」

栞子「……………私は…今まで…そんな人を見てきましたから…」

 

「んー…………過去を詮索する悪趣味は無いけど…俺は違うと思うな」

栞子「…では、峻さんの思う理想をお聞かせ願いますか」

 

「…まず初めに…部活動をやるのに上手い下手は関係ないと思う

野球だってサッカーだってバスケットボールだって吹奏楽だってスクールアイドルだって…何でやってるの?って聞かれたら大好きだからに決まってるだろ!って答えるのが正解だと思う

本人がその大好きなものをやり続けた先に何か自分のためになるものが見つかる気がするんだ」

 

栞子「それでは…っ…将来後悔することが…っ!」

「栞子、お前の理想もそれに近いものがあると思うぞ」

栞子「……………えっ……………」

 

「アドバイスして転部させた…所までは良かったが結局元鞘に戻ってしまった…

つまり、その人たちも元の部活への情熱や大好きだからって気持ちを取ってしまってた

そのまま、転部したままだと…俺は縛られたままになってると思う

やりたい事が~…とか、やっぱりあれがやりたい~…って事を

…縛られたままの鳥は急には飛び立てないよ

それは人も同じ」

 

栞子「…私は…ただ、わかりやすい判断材料を提示しただけです…っ」

「わかりやすい部活動紹介にしたいって気持ちは…部活のみんなが1番わかってるのでは?」

 

栞子「…では、どうして…受け入れてくれないんでしょうか…このままでは…部活動紹介を中止せざるを…」

「おいおい…中止って大丈夫なのか?前代未聞じゃ…」

栞子「…そう、ですが…このまま不完全なままでやっても…結果なんて分かりきっています…むしろ新入生達に不信感を与えてしまう恐れも…」

 

「(中止にする方が不信感を与えそうだけどな…)それは断固として阻止してぇなぁ…同好会のライブもある事だし」

栞子「私だって困ってます…貴方たちとは違い学園の運営に関わることですから…」

「まぁ、まだ決まったわけじゃないしな」

栞子「ですが、このままだと中止になる可能性が徐々に高くなっていくのが現実です」

 

「…どうにかしないと…更に他の部活から反感を買うぞ」

栞子「どうにかできるならとっくにしています

中止だなんて不本意極まりない…ですが、私にも譲れない物があります……」

 

「おっ、弱気な栞子…珍しい~」

栞子「別にっ…弱気になんて…」

 

 

「………しょーがねぇーなぁー…手伝ってやるよ、とことんな」

栞子「…ですが、貴方はっ…貴方たちは私の事を目の敵にしてるのでは…っ」

「うるせぇ、先輩の言うことくらい素直に聞き入れろや」

 

栞子「せ、先輩なのは確かですが…っ…私は生徒会長ですっ」

「生徒会長補佐としても先輩なんだから俺の方が上!

…いいか?ギブアンドテイクだ、これは

あくまで、スクールアイドルフェスティバルに向けたライブを俺たちは部活動紹介でしたい、それだけだ」

栞子「…別に、聞いてもらっただけで結構です

手伝って欲しいなど…誰も…」

 

「嘘だ!!!!!…っと、まぁそれは良いとして…困ってんのは事実なんだろ?」

栞子「………」

「はーい、素直になる~」

栞子「………はい」

「なら、協力しあおうよ、な?

まずは視野を広く持とうぜ、そうすれば対策案なりなんなり浮かんで来ると思うぜ」

 

栞子「…本当、ですか?」

「ああ、そのためには…まず…」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【部室】

 

かすみ「峻先輩、遅いですね?」

璃奈「なんか…最強のグラップラーになって帰ってくるって言って部室飛び出したけど…」

 

せつ菜「競うな…持ち味をイカセ…!!!!」

 

 

「おっすー…あれ、せつ菜?なんでファイティングポーズを?」

彼方「おかえり~峻くん~♪」

果林「あら、お客さん?誰かし………」

 

栞子「………………っ」

かすみ「あぁーーー!!三船栞子!!」

しずく「きょ、今日は何の御用でしょうか…っ!?」

 

栞子「…………っ……………」

何故か峻を睨む栞子。

 

「んっ…ほーら!!」

しかし、その睨みをものともせず顎をクイクイさせて何を催促する峻。

 

栞子「…そ、その……その節は…嫌な対応をして…申し訳ございませんでした…」

かすみ「…えっ……えっ!?!?」

身構えるかすみ。

 

 

璃奈「こ、怖い…」

璃奈ちゃんボードを震わせる璃奈。

 

歩夢「…峻くん、どういうこと?」

「ミーティング、行き詰まってたんだろ?

…まぁ、ギブアンドテイクってことで助け舟を出した」

せつ菜「それは…何となく予想がついてましたが…

三船さんが部室に来るのは…いったい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ~れ~は~………………''体験入部''だ!!!!」

「「……………………………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「えええぇえぇぇぇえぇえ~!!!???」」

栞子「……………………………………は?」




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次回:栞子、同好会の地に立つ!


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85話

Twitterの~…方にも…動画上げたんですけど…

寝そべり曜ちゃんがガチャ引いてくれたら…単発でオモチャ曜ちゃん出たんですよ…

ほんと、奇跡だよ…1回見てほしい…


栞子「…どうして私が、スクールアイドルの真似事をしなくてはいけないんですか」

 

「ぷっ……くくっ…似合っ、てるぞ…栞…子っ…」

栞子「…どう見ても、部長の自己満足にしか思えないのですが」

 

「…そんなこと言うなって…スクールアイドルが1番無駄だと思うんだよな?」

栞子「はい」

 

かすみ&愛「即答(かーい!)(ですかー?!)」

「…まぁまぁ…2人とも…おちけつおちけつ…まぁ、要はあれだ

百聞は一見にしかず…郷に入っては郷に従え…なんなら永井豪…って感じ?」

 

栞子「…つまり、この経験が…私の直面している問題の解決に繋がると?」

「そゆこと~……な、せつ菜?」

 

せつ菜「はいっ!きっと三船さんも新しい自分をアンロック出来ると思いますよ!!」

「んー、さすがせつ菜だね~…」

せつ菜「えへへ、ありがとうございますっ」

 

栞子「…ここだと、せつ菜さんは部長さんの飼い猫…」

歩夢「あ、あはは…」

 

栞子「…ともかく、私がスクールアイドル同好会の活動をやってみた所で…どうしてあなた方が一生懸命やってるのか理解するのは不可能かと」

「やってみなくちゃ…?」

 

栞子「分からない…と言ってほしいようですが

無駄に時間を割く事は建設的では無いと思います

…と、言いたいですが…藁にもすがりたい時…不本意ですが受け入れましょう」

「うんうん、その考え直ぐに改めさせてあげよう」

 

しずく(峻さんの目が……っ!!)

果林(怒ってる…というか、本気ね…あれは)

 

「それと、1つ条件だ」

栞子「面倒なのでこの際なんでも言ってください

ただし応じる保証はありませんが

…まさか、体とか言い出すんじゃ…」

 

「そんなこと…」

しかし、みんなが目線を外す。

「君たち…どんな目で俺のことを…」

 

かすみ「むっつり」

璃奈「変態紳士」

彼方「インサキュバス~」

歩夢「…えっと…健康的な…色気?」

 

果林「セクシーサンキュー?」

 

「……………………………………」

栞子「……それで、条件とは?」

…聞き流して、くれたのか?

 

「…ん、んん…俺は会長補佐の仕事を引き続きやるよ

…だから、栞子にはみんなのレッスンを見ていてほしい」

栞子「…なんだ、その程度のことでしたら」

「よし、交渉成立だな!

…さっそく練習、始めるよー!」

 

 

エマ「三船さん三船さん、最初は大変だし無理はしないでねっ♪」

栞子「いえ、やる以上は全力を尽くします」

 

 

かすみ「あっ、その前にー!!!」

「へ?」

かすみ「あのあの、かすみん思うですっ

一緒に練習するのに…三船さんって呼び方…堅苦しくありませんか?」

しずく「つまり…呼び方を変えたいってこと?」

 

彼方「確かに~親近感湧くと思うな~♪」

かすみ「なーのーで…かすみんがぴったりのニックネームをつけてあげます♪」

栞子「はぁ、好きにしてください」

 

かすみ「そうだな~………塩対応のしお子!どうどう?♪」

璃奈「璃奈でりな子…しずくでしず子…なんか捻りがない…」

かすみ「これがかすみんらしさなの~っ!」

栞子「お好きにどうぞ」

 

愛「おっ、好きに呼んでいいなら~…しおってぃーって呼ぼー!♪」

栞子「し、しおってぃー……ですか?

そのような呼ばれ方…初めて…いえ、しお子も初めてですが……まぁ、いいでしょう」

 

 

果林「峻も何か考えたら?」

「そうだな~………じゃあ、俺の女で」

栞子「ぶっ…………………!!!!!」

 

珍しく栞子が噎せた。

その瞬間顔を赤くした。

 

栞子「なっ……………ば、馬鹿なんじゃないんですか!?///」

歩夢「…えっと…峻くん?」

せつ菜「峻さん…………」

 

「ちょ、ちょっとした冗談だって~…そんな言い方1回もした事ないわ」

あははと笑って誤魔化し、練習を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【数時間後】

 

外はすっかり赤く染まり、時刻は夕刻を指していた。

栞子「はぁ……はぁ…やはり、イメージ通りは踊れないものですね…」

「そんなことねぇよ、初めてにしては出木杉君だ」

 

しずく「はいっ!所作が美しく見入ってしまいそうでした…!

栞子さん、何か経験されていたのですか?」

栞子「日舞を少し…」

 

しずく「なるほど…優雅たる所以がわかった気がします!

是非、私にも教えて欲しいです!」

栞子「ひ、人に教える程でもありませんので…」

 

彼方「これならライブでもパフォーマンス出来るんじゃないかな~?」

栞子「いえ、私では人様にお見せできるレベルには到底達する事は出来ないかと」

 

「…ん、いや…そんな否定的になる必要ないくらい出来てたよ」

頭をぽんと叩く。

 

栞子「…トップスクールアイドルは…もっと厳しく…妥協せずに…上を目指しています」

「…お前からスクールアイドルの話が出るなんて…珍しいな…知ってるのか?」

栞子「昔、姉が…………っ!!!」

 

言いかけた瞬間、我に戻った栞子が俺に背を向けた。

栞子「あ、あのっ、最後のステップもう一度教えて貰えますか?」

愛「おっ、しおってぃーやる気満々だね~♪」

歩夢「そこはね────────」

 

 

 

 

 

 

 

 

(何か…………隠してる?)

みんなのアドバイスにしどろもどろしている栞子を見ながら…俺は疑念を抱いていた。




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86話

18章…皆さん、プレイしましたか?
いつもと違う髪型や水着姿……ものすごく…いやらし…ゲフンゲフン


「……ってことがあってな?」

 

ポテトを頬張りながら絵里に話した。

絵里「まぁ……そんなことがあったなんて…」

 

果南「峻……同好会を潰そうとした敵に手を貸すなんて…」

せつ菜「意見の相違はありましたが…敵、という認識はありませんよっ

少なくとも、峻さんも私達も悪い人とは思ってませんから」

 

「やり方が~…って所だけだからな

本人は本人なりに悩んでるみたいだし」

果南「全く~…峻はお人好しだな~…」

 

「は、ハグをするな~っ!」

果南「おっ、照れてるな~?♪」

 

「「「…………………」」」

…いや、みんなの視線が痛いのよ…。

 

 

かすみ「ホントですよ!お手伝いまでは分かりますが…しお子まで一緒に練習するって聞いた時はマジか〜!って思いましたよ!」

希「確かに…思い切った行動やね?」

 

「ふっ、時として大博打するもの手ってな…ま、俺の中では違和感のない流れだったけどな…ある意味チャンスだし」

 

ルビィ「チャンス?」

「うん、これを機にスクールアイドルの事にも触れて欲しいし…何より、三船栞子って人物の事も分かるしな」

 

そう言って隣にいるルビィの頭を撫でる。

ルビィ「えへへ~…♪」

真姫「でも…大丈夫なの?相手はスクールアイドルは無駄なんていう子なんでしょ?」

善子「仲間になったのもつかの間…内部破壊を敢行するかもしれないわよ!?」

「だとするなら…相手にする人を間違えたな」

 

果南「うっわー、悪い顔してる~…」

つんつんと頬を突く果南。

…ゲン〇ウさんみたいな顔してたつもりなんだけど…。

 

海未「素朴な質問なのですが…スクールアイドルに対して良い印象を持ってないとすると…練習も身が入って無いのでは…?」

花陽「うん、嫌々やるのは楽しくないもんね」

 

にこ「スクールアイドルフェスティバルは近いのよ?

モチベーション下がったどーするのよ?」

「それは────────」

エマ「それは大丈夫♪

むしろモチベーション凄く上がってるよ♪」

 

「……ん、んん…」

花丸「ふえぇ?どういうことずらっ?」

 

「なんだかんだ言ってアイツも真剣に練習やってるからな

この前も言ってもないのに朝練一番乗りだったし」

鞠莉「わぉっ、アメージング…エクセレントね~しおしお♪」

歩夢「それに、分からない事はちゃんと聞いてくれるし

見た歌や振付を覚える姿を見ると、私達も頑張らなくちゃってなるんだよ♪」

 

ダイヤ「聞いてた話よりも…違いがあって驚きですわ…

ですが、いい化学反応が起きているなら素晴らしいことですわ♪」

「何をするにも真剣なんだよな

…まぁ、視野が狭いような気もするけど…なんだかんだ言って嫌いって切り捨てられないんだよな」

歩夢「うんっ、もっと分かり合いたいよね♪」

 

彼方「ほんとほんと~、もっと仲良くなりたいよね~♪」

しずく「ええ、最初は近寄り難いイメージでしたが…今は印象がガラリと変わりました!」

愛「そうそう、聞き分け良いんだよね~これが、また」

エマ「実は…栞子ちゃんもスクールアイドルが嫌いなんじゃなくて好きなんじゃないかって思うときもあるんだよね」

 

璃奈「でも…本人は否定してる…璃奈ちゃんボード【はてな?】」

(…ま、思ってても言えないことはあるだろうからな…)

時折練習中に見せる寂しそうな顔を俺は見逃さなかった。

 

 

(…ゆっくりで良い、その事について話してくれるのは…)

クスリと笑いドリンクを手に取る。

 

「ん、まっずい!!!!」

かすみ「あっ、かすみん特製ミックスジュースが!」

「…これ、何入れたの…」

 

かすみ「あっ、これですか~?♪

フ〇ンタと野菜ジュースと~…後、コーヒーを少々♪」

鞠莉「まさにファンタスティックね…」

愛「あっはは!鞠莉上手~い!♪」

 

…残すのはまずいと思い…とりあえず完飲した。

「…新しいの入れてきなさい、かすみ」

かすみ「かすみんを顎で使うなんて~…峻先輩だけにしか許しませんからね~?♪」

「…顎で使うとは…」

 

 

ダイヤ「…なんだかんだ言って…部長が一番物事の要因になっているのかもしれませんね」

絵里「あら、奇遇ね?

私も同じことを考えていたわ♪」

 

果南「峻のいる所に出来事ありって感じだね♪」

海未「良いことも悪いことも降り掛かってきてるような気もしますが…」

 

 

「…あっ、そう言えば絵里?

スクールアイドルフェスティバルの告知はどう?」

絵里「ええ、順調よ…って言うのも」

 

千歌「ふっふっふ~…千歌による秘密兵器を使ったのだ~!」

「…秘密兵器?」

千歌「あっ、当日は会場に襲来?するからよろしくね!」

「…えっ、来るの?…秘密兵器が」

千歌「うん!」

「………………??????」

 

 

絵里「…ひ、秘密兵器呼ばわりは別として、千歌のお陰で認知度が大きくなったって言うのは間違っていないわ」

千歌「へへ~ん♪」

 

ダイヤ「もちろん、峻さんたちの更新も認知度アップに繋がってますわ♪」

かすみ「そろそろ峻先輩もホームページに写真載っけます?♪」

歩夢「だ、だーめー!///」

 

「…あはは……」

波紋を呼びそうなので……却下で。

 

 

 

「…と、とにかく…まず俺らは…学校の説明会でライブを成功させないとね」

絵里「顔出しに行くわね♪」

千歌「あっ、千歌達も~!」

 

「うん、ありがとね。

2組来てくれるなら心強いや!

ライブも楽しんでいってね」

梨子「…そう言えば、会場ってどこになったの?」

にこ「あー、それね~…なかなかいい条件の場所が見つからないのよ」

 

ダイヤ「場所が決まらないと進まないことが多いですし…早めに何とかしたいですわね…」

「んー…こっちとしても意見を投げかけたり…提案したり──────」

と、言いかけたところで真姫に肩を叩かれた。

 

 

真姫「そんなに、あれもこれもって背負いすぎると…自分の身が持たないわよ?」

「…いや、でも……」

 

曜「真姫ちゃんの言う通りだよっ、みんながいるんだから…ね?♪」

「…曜……あ、あはは…ごめんごめんっ

なんか無意識に焦ってたみたい…」

 

彼方「まず峻くんは学校説明科の話し合いを良い方向に持っていく事を考えてれば大丈夫だよ~♪」

歩夢「ミーティングは私とせつ菜ちゃんで出るから気負わないでねっ♪」

せつ菜「はいっ!♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…みんな……ありがとうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時は

まだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物事の歯車が少しずつ…狂っていた事に…。

誰一人として……。




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87話

せつ菜ちゃんの寝そべりを無事にゲットしました
これからはどこに行くにしても一緒だからね…(ニチャァ)(違う)

今回はとある人からリクエストを頂いたのでそちらを!


週末、俺は曜のもとを訪ねて沼津に向かっていた。

 

「…さすがに何も連絡しないで来るのは迷惑だったかなぁ…」

メッセージアプリを開いては連絡しようか迷ってると曜の家の近くまで着いてしまった。

 

「…居る、よな?」

インターホンを押しても居なかったらどうしよう…なんて考えてると…。

 

「あっ…曜…?」

見覚えのある後ろ姿が…。

 

「…あ、そうだ……」

ちょっと驚かしてやろうかな?…後ろからそーーっと……。

 

「えいっ!」

曜「う、うわぁああああっ!?///」

 

…あ、しまった…後ろから抱きついたつもりだったけど手が胸の辺りに…。

「…ふむ…」

曜「…い、いやあああああ!!!!///」

 

「……………………えっ?」

俺の頭…逆さまになってない…?

 

 

バターン……。

「いっっっっっ………!!」

曜「へ、変態!この、このっ!!!!///」

 

目を瞑って一心不乱に蹴り続ける曜。

…うん、俺がいけなかった…素直に謝らないと…。

 

「よ、曜…っ…タンマタンマ!!」

曜「…へっ……?

……ゆ、悠くん!?!?!?」

「…あ、あはは……ぁ…」

 

 

ガクッ

 

曜「うわあああああっ!?悠くーん!?!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

曜「も、もう…いきなり悠くんが変なことするから…///」

「いっつつ…うん、ごめん…反省してる…」

 

まさか曜に一本背負いされるとはな…。

背中のあたりが全体的に痛い…。

 

曜「…そ、それで…要件は?」

「…実はな…裁縫を教えて欲しくて…」

曜「へ?そんなこと…?」

 

「……う、うん…」

曜「こ、ことりちゃんに教えてもらった方が良かったんじゃない…?

近いんだし…」

「それも思ったんだけど…曜に教えて欲しいなぁって…」

 

曜「なっ……///

そ、それならそうって連絡してよねっ!///

も、もー…仕方ないんだから…っ…///」

裁縫道具を用意しつつ顔を赤くしながら早口で喋る曜。

 

曜「…でも…なんで急に?」

「いやぁ…ニジガクのみんなに何か送ろうと思ってさ…ぬいぐるみなんかいいかなぁって」

曜「……………………むー………………」

 

あ、拗ねてる…こういう時は…。

 

「でも、教えてくれた曜にも真っ先に送りたかった…なんて……あはは…」

曜「…調子いいんだから…///」

「…なぁ、曜?」

曜「……うん?」

「…もっと近づいていいか?」

曜「………うん///」

 

ピッタリと隣同士つっついて曜の裁縫を見ていた。

「…やっぱり上手いなぁ」

曜「そりゃAqoursの衣装担当だよー?♪」

「あはは、これは失礼」

 

曜「とはいえ…悠くんもなかなかだよ?

いやぁ、天才肌はやっぱり違うなぁ~♪」

「よせやい、教えてる人が上手いんだよ」

 

ものの1時間程で一体のぬいぐるみが出来た。

曜「…これは…私?」

「どうかな?…本人を似せた…ぬいぐるみ」

 

まぁ、目とかまでは忠実にって訳じゃないけど…可愛らしい寝そべった曜のぬいぐるみを手渡した。

「…教えてくれたお礼…と、約束の…プレゼント」

曜「…悠……大好きっ!///」

 

嬉しさのあまり抱きついてきた曜をあやしつつ何だか嬉しい気持ちを隠せない俺だった。

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

【自宅】

 

 

「さて…5体目…っと…」

ニジガクメンバーのぬいぐるみを作り一息つく。

 

「……気分転換にみんなにプレゼントって思ったけど…喜んでくれるかなぁ…」

ゴロゴロと作ったぬいぐるみを横に転がす。

 

「…あはは、1人で何やってるんだ俺は…」

残りの人数分も作ろうと気合いを入れ直し作業を再開させた。

 

 

「…あ、そうだ…」

その途中、あることを思い浮かんだ俺。

気がつけば時刻は4時を過ぎていた。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

【虹ヶ咲学園】

 

 

「ふぁ~…ぁ…」

歩夢「眠そうだね、峻くん?」

 

「んー、ちょっとな~…」

しずく「その手提げ袋…どうしたんですか?」

「あとのお楽しみに~」

 

しずく「…???」

かすみ「あっ、かすみんと同じパン入れですね!?ほらっ♪」

「…それ、全部食べるのか?」

かすみ「皆さんの分もありますよ~♪」

 

「あっ、俺部室寄ってから教室行くね~」

歩夢「うんっ、分かった♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【生徒会室】

 

「朝早くからご苦労さん、生徒会長」

栞子「……なんなんですか…朝から」

 

「ん、餞別~」

栞子「…これは…」

「ぬいぐるみ…一応手作りだから」

栞子「どうしたんですか、急に…」

「ま、気まぐれってやつ?…話はそんだけ…じゃーねー」

 

 

そう言うと峻は生徒会室を出てしまった。

栞子「……………………………可愛い……………///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【放課後 部室】

「という事でみんなのぬいぐるみを作ってみた!」

しずく「わあああああっ、すっごく可愛いですっ!///」

果林「これ、峻の手作り?…凄いわね…」

 

エマ「大事にするね~っ♪」

歩夢「寝不足の原因はこれだったんだね…ありがと、峻くんっ///」

 

かすみ「ま、まぁ…かすみんだってぬいぐるみくらい作れますけどっ!」

璃奈「指に針が刺さると思う…」

彼方「かすみちゃんなら有り得そうだね~…♪」

 

愛「みてみて!超映える~♪」

せつ菜「これ、グッズ化しませんか!?!?」

「んーー…そこまでの労力はちょっとな…それに、みんなにだけ持っていて欲しいし…」

 

 

 

 

感想は人それぞれだったが、喜んでもらえて何よりだった。




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88話

いよいよ虹ヶ咲学園のアニメが始まりますね!
アニメまでに自分の体も仕上げる為に投げ込みを行います…!(全く関係ない)


「おっす、栞子」

栞子「…またあなたですか…」

 

生徒会室に入ると栞子はため息混じりで呟いた。

「ついに俺もおじゃま虫扱いかな?」

栞子「…そうではなく、その逆です」

「…ふむ、逆…とは?」

 

栞子「あなたも物好き…と言う意味です

そこまでして……あなたにメリットがあるとは思えないのですが…」

「んー…まぁ、ほら…お節介だからさ、俺?」

栞子「答えになってませんよ…」

「あはは、まぁそんなことは置いといて…早速、本題に入ろうか?」

 

栞子「…本題、とは?」

「今後のミーティングの方針について、だ

俺なりの意見を言わせてもらうぜ」

栞子「…ぜひ、お聞かせ下さい…」

 

「(普段からそんな風に素直ならいいんだけどな…)…まず資料見させてもらった

すごく見やすかったし、伝えたいことも丁寧に書いてあった……………が」

栞子「………が………なんです?

褒めてくれてますが…結果としては納得してくれる部はどこ…」

「栞子の本質は学園を良くする事

これには相違がない。

…ただ、中にはそうじゃない部分もある…強引…とも言うべきかな?」

栞子「……………………………」

 

「まぁ、どの部でも譲れない線引きはあるさね

…と、栞子にも譲れない部分はあるわな」

その質問に栞子は、こくんと頷いた。

 

「それは大いに結構…だけど、ちゃんとした話し合いになってなかったというところが問題なんだ」

栞子「…それは、一体…どういう事、ですか?」

「…代理人2名に話聞いたけど…まぁ、ミーティングの時はぶつかりにぶつかったと聞いたよ?」

栞子「………………………」

 

 

「会話はキャッチボール…なんてよく聞くよね?

私はこう思うけど…どうですか!?って投げかけられて

こうしませんか?って返す…これが普通だと俺は思う

ただ、栞子はミーティングの時…相手の意見を深く聞かないで自分の考えを押し通そうとしたよな?」

栞子「…意見があれば…発言するよう、私は言いました…」

「…その時、意見はでてきた?」

栞子「…はい」

 

「ちゃんと受け取って考えた?」

栞子「検討に値する意見ならきちんと耳を傾けます」

「だー、そこそこ…栞子にとってはそうかもしれないけど…相手はどう思って発言してるか分かってないんだよ」

栞子「…ですが、全員の意見なんて聞いていたらまとまるものもまとまりません

みんな好き放題言って、あとはこちらに丸投げ…なんですから…」

 

今まで生徒会長の席に座っていた栞子が立ち上がった。

栞子「私は学園にとっても生徒個人にとっても最も効率良く結果を残せるプランを提示したつもりです。

不満を感じてる方々も後から手のひらを返すように私の意見に賛同してくれるはずです」

「…人間、そんな単純な単細胞生物じゃないぜ?

非効率って分かってても…無理だ無茶だって分かってても…馬鹿みたいに真っ直ぐ突き進んで道をこじ開けて…明るくて…輝いてる道を作る…俺はそんな人を見てきた。

''無理を通して通りを蹴っ飛ばす''…なんてな?」

 

栞子「…すいませんが、大変理解に苦しみます」

「だろうな、今の栞子ならそう言うと思った

でも、理解できないからってそこで終わったら皆に栞子のことをわかってもらえないぞ?

栞子には栞子なりの考えがあるならそれを分かってもらわないと…俺はもったいないと思う」

栞子「…………………」

 

「少なくとも、俺は出来ると思うよ…なんてったって無駄だって言ってたスクールアイドル同好会の練習に真面目に取り組んでるし」

栞子「そ、それは…」

「まぁ、全ての意見を聞いてまとめるとなると途方もない時間と労力がかかるのも分かる。

ただでさえミーティング重なって皆カリカリしてるしな

だから、まずは優先順位をつけよう」

栞子「優先順位…ですか?」

 

「まず大事なのは栞子の譲れない部分

…相手方の要望を全部聞くのは無理だからな」

栞子「そう、ですね…まずは…部活の魅力を分かりやすく伝えられるプログラムになっているか…

次に入部した人へのメリット…将来にどう繋がるかの情報…」

「おーい、話聞いてたかー?

ここだけは譲れないって部分だぞ?」

 

栞子「…っ…ひ、ひとつでしたら…

''適性を重視し、試験結果によっては希望の部活に入れない可能性もある''…これだけは絶対に譲れません」

「強く出たね~…一番納得してもらうのが難しいものを持ってきやがった」

栞子「と、言われましても…私の絶対に譲れない部分ですので」

「どの部だって新入部員は欲しいと思うよ?

そんなこと言ってたら入部する人いなくて寧ろマイナスになるかもよ?」

栞子「…………………………」

 

 

「…というか、入部テストって生徒会長の権限でもさすがに…MAJ⚫Rじゃないんだから…」

落ちたヤツは夢島行きってか?

 

栞子「説得してみせます」

「…んー…少し整理させて?

まず…栞子はなんで適性って事にこだわるの?

生徒会の選挙の時も言ってたけど…」

栞子「…自分の適性に合ってない事をしても…幸せにはなれないから、です…」

「………………えっ?」

 

栞子「好きなことをしてれば幸せだとか…今が楽しければいい、とか…一時の感情に任せて行動しても、ろくな事にはなりません

私は、そうやって不幸になる人を見たくないんです」

「(あの目……あの時と…同じ目だ…やっぱり昔になにか…)…過去になんかあったのか?」

 

栞子「はい、ここにリストが」

「リスト…?…うわっ、なんだこの厚さ…それに、リストって…」

栞子「例えばこの方…テニス部の山口さんという部員です

彼女はとても努力していました。

3年生ですからこの前の大会も実質的最後の大会と言えるものでした

…しかし、大会に選ばれたのは新進気鋭の1年生部員でした

皆の前では明るく振舞っていた山口さんが裏で泣いてるいるのを私は見ました」

「………」

 

栞子「他にも吹奏楽部の矢部さん、陸上部の七海さん…それから……ぁ…」

「………?…どうした?」

栞子「い、いえ…っ…それはともかく…虹ヶ咲学園の生徒の適性を最優先させます

その事を入部希望者に伝えないのはフェアではありませんからそこだけは…絶対に譲れません…」

「栞子……………」

 

 

 

この時、栞子の後ろ姿を見た俺は…。

(どうして…話したがらないんだ………………)

と、少し心にズンと響く物を感じた。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

【部室】

 

 

せつ菜「その条件はおかしいと思います!」

「…だよなぁ」

愛「言いたいことは分かるんだけど…だからってこれはちょっとね~…」

「そうだよなぁ~…」

エマ「入部したいって言ってくれる人に貴方は適性が無いので入部出来ませんなんて、とてもじゃないけど言えないよ~…」

「……はぁ~~……………」

しずく「私も…絶対に嫌です…好きなことをさせてもらえない方の気持ちを思えば言えるはずもありません」

「……うーーーーん…………」

かすみ「最近ちょーっと丸くなってきたかな~って思ってたけど本性を現しましたね~……しお子はハリセンボンです!」

「はい、かすみ頬を膨らましてみ?」

かすみ「ぷくーっ!!…って、何やらしてるんですか~!///」

 

歩夢「…なんだか、本当に難しいね…」

「…とはいえ…悠長に考える時間もない、か…正直俺も手詰まりな感じがしてるんだ…みんな、力を貸してくれないか?」

彼方「もちろんだよ~♪」

果林「ここを乗り切らないとライブなんて夢のまた夢…だものね」

璃奈「私、いいアイデアが無いか考えてみる」

 

「…ありがとう、みんな」

せつ菜「峻さんは少しお休みになってて下さいっ

…肩の力…入りっぱなしですよ?」

「…さすが、見抜かれたか……無理はするのもじゃないな…」

ソファーに横になり、腕で視界を覆う。

 

「…………………すぅ………………」

歩夢「…寝ちゃったね」

しずく「ここの所、学園内を駆け巡ったり、部室でも作業に追われてましたからね…」

 

愛「それに加えて、授業や自宅での作業でしょ?

体いくつあっても足りないよ~…」

彼方「彼方ちゃん愛用の毛布をかけてあげて~…少し寝かせておいてあげよう~♪」

 

かすみ「はいはーいっ♪

かすみん横で峻先輩の安眠を監視してまーす!♪」

エマ「はい、かすみちゃん…この手に持ってる物は何かな~?」

かすみ「あぐっ……ペ、ペンです…水性の」

璃奈「そんな事だと思った」




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※誤字報告、いつもありがとうございます。
色々見るに堪えないところもあるとこ思いますがこれからもよろしくお願いします。


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89話

100連チャレンジ!!(唐突)


皆さんのご武運をお祈りしています…!


「…さて、と……」

 

手帳をパタンと綴じ、生徒会室に向かった。

(文芸部…天文部、科学部に演劇部は今の条件で大丈夫…と…まぁ、演劇部はしずくの助力もあったからだけどな…)

 

各部に話し合いに出向き、何とか条件を変えなくてもいい部活がチラホラと出てきた状況だ。

「営業の仕事かっつの…」

 

…と、愚痴を言っても始まらないし…何より…。

(あいつのあの顔の真意について知りたいしな)

 

いつもより、生徒会室に行くスピードが早かったような気がした。

 

 

 

──────────────────

 

 

 

【一方、部室では】

 

 

かすみ「う~…たーいーくーつー!」

果林「はいはい、練習するわよ?」

 

歩夢「…これ、峻くんが書いてくれたんだよね?」

スクールアイドル同好会のメンバーはホワイトボードに目を向けた。

 

そこにはぎっしりと今日の練習メニューと各自改善するところ、気をつける点が書いてあった。

 

しずく「本当に峻先輩はよく見てくれてますね…」

エマ「その分、私たちは期待に応えないとねっ♪」

彼方「おぉ~、そう思ったらやる気出てきた~♪」

 

愛「それじゃあ、練習始めますか!あいあい、おー!」

せつ菜「それいいですね、愛さん!あいあい、おー!」

 

 

かすみ「あの2人、いつも以上に暑苦しい…」

璃奈「モタモタしてると、置いてけぼりになっちゃうよ?(ボソリ)」

かすみ「なっ……か、かすみんだっていつも以上に練習出来るもん!!!」

 

 

 

─────────────────────

 

 

【生徒会室】

 

 

「ふー……戻ったぞ」

栞子「おかえりなさい、それでどうでしたか?」

「…おかえりなさいって言われるのも新鮮でいいなぁ」

栞子「か、帰ってきた人におかえりなさいというのはごく自然のことですっ///」

 

「あはは、それもそうか

…とりあえず、文芸部と天文部、科学部に演劇部は今の条件で大丈夫と返事を貰ったよ」

栞子「…ほ、本当ですか…っ!?!?」

「こんな状況で嘘はつかないんだけどなぁ…

色々譲歩はしたけど…まぁ、栞子の伝えたいことをしっかり話したらわかってもらえたよ」

栞子「良かった…………」

 

目を細め、安堵の息を漏らす栞子。

「…んが、バスケ部とソフトボール部はまだ…というか、ラスボスはこの2つなんじゃない?」

栞子「……………………」

 

「…はぁ、まぁこんな展開になると思ったよ…ほい、これ」

栞子「な、なんですか…手帳なんか見せて…」

「生徒会の頑張りを認めてくれて、向こうから譲歩案を出してくれたんだよ…見てみ?」

栞子「…ありがとうございます…」

 

「まぁ、今はそれを元に落とし所を見つけるしかないのかなぁ」

栞子「…いえ、大進歩です…今までは話し合いにすらなりませんでしたから…」

「形はどうであれ、みんな学校を良くしたいのは変わりないさ

誠意を持って真摯に付き合えば皆も分かってくれる

…これなら、何とかなりそうかもな、学校説明会」

 

栞子「…はい、しかし…驚きの連続です…

あなたにこんな調整力が……いえ、会長補佐としての素質があるのは分かっていましたが…私の予想を遥かに上回ってました…

見誤ってしまって、申し訳ありません」

「今更何堅苦しくなってんだよ、それに俺は全然さ」

栞子「いいえ、誇っていい事だと思います」

「褒めても何も出んよ」

栞子「会長補佐の席は…峻さんに取っておきます…だから、いつでもいいので…来て、くださいね…?」

「じゃあ、報酬は栞子がいいなぁ」

栞子「えっ………///」

 

「うそうそ、もっと白々しい目で見ないと、そこは」

あ、別に軽蔑されるのが快感って訳じゃないからね?

 

栞子「…そ、その時が…来ましたら…///」

「…え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな会話の後、なんとも言えない空気の中、2人で部室に向かった。

栞子「お待たせしました」

…当の本人はケロッとしてるし…さっきまでの表情はどこへやら…

 

「ごめんごめん、遅くなっちゃった」

エマ「おかえり~♪

ちょうど一区切り着いたところだよ♪」

彼方「まだまだ頑張るよ~♪」

 

「…えっと、その事なんだけどね?」

璃奈「うぅ…嫌な予感…璃奈ちゃんボード…ブルブル…」

「あ、そこまで大事じゃ……いや、大事か?」

栞子「…残念ですが、時間の関係上披露する曲は1曲しか…」

 

あ、言われた…まぁ、うだこだしてた俺が悪いわな、今のは。

「「「えっ………えぇ~!!!!????」」」

…うん、まぁこういう反応になるよね。

 

「こちらも何とかしたかったんだけど…学校説明会は出る部も多いし…5分が限界だった」

璃奈「5分…璃奈ちゃんボード…ガーン…」

「…すまない!!!」

 

頭を下げる、俺にはこれしか出来なかった。

しずく「か、顔を上げてください!…どうにかならないんですか?」

栞子「峻さんの大きな尽力もあったので…それに伴った利益を還元したいところですが…不公平は出来ないので…」

 

かすみ「せーーっかく、かすみんのパーフェクトでプリティーなライブができると思ってたのにぃ~!」

愛「なーに、自分が歌う前提で話してるのさー?」

かすみ「だってだって~代表で歌うのはやっぱり一番可愛いかすみんに決まってますよ~、ねっ先輩♪」

 

せつ菜「いえっ、ここは私のスクールアイドル愛を入部希望者に惜しげも無く披露したいと思います!」

果林「やっぱり、セクシーなダンスで魅了した方が映えると思うのよねぇ…どう思う、峻?」

 

彼方「何を~っ???彼方ちゃんだってやる気にみなぎってるんだぞ~っ??」

愛「注目度で言ったら愛さんでしょー♪

MCもダジャレ大会もなんでもござれっ!♪」

 

しずく「そ、それならっ私だって朗読をしますよ!

癒されたって評判なんですから!…あっ、今度、峻先輩にもしてあげますからねっ!♪」

彼方「あ~っ、彼方ちゃんにも~♪」

愛「かなちゃんが聞いてどーするのさ!」

 

エマ「あーっ!私の日本の童謡100曲チャレンジやってたんだった…!

100曲目は説明会で披露したいなぁ~…?」

璃奈「なら、私はライブと一緒にホログラムやプロジェクションマッピングを使った近未来ライブを…」

「………うーん、どうするべきかねぇ…」

 

 

 

 

 

歩夢「…………………あのっ…」

1人、口を閉ざしていた歩夢が話し始めた。

 

「…歩夢?」

歩夢「今回は……私にやらせてほしい!

私に譲ってほしいの!!!!」

 

かすみ「…ぁ…歩夢…先、輩…?」

突然の大声に呆気に取られるかすみ。

無理もないだろう、俺も驚いている。

 

果林「歩夢が自己主張するなんて珍しいわね…」

せつ菜「は、はい…驚きました…」

 

栞子「私も上原さんが適任かと思われます」

「…と、言うと?」

栞子「学校説明会はまだ見ぬ部活へのイメージが大事です

長くスクールアイドルをやっていたり、演劇で培った技術を披露するのもいいですが…まだ日が浅くひたむきに一歩一歩頑張ってる上原さんのステージが1番伝わるかと」

 

愛「むーーーん……言わんとしてる事は理解できる…」

エマ「たしかに…自分に近い人を見せてあげるのがいいのかも…」

 

「…決まり、だな…歩夢、今回のライブは君に決めた!

…みんなも、それでいいよな?」

彼方「賛成~っ♪」

かすみ「仕方ないですね~…埋め合わせはきちんとしてくださいねっ、峻先輩♪」

「俺がするのかよっ」

 

果林「歩夢がやる気になってる以上応援しない手はないわよ?♪」

歩夢「みんな…ありがとう!!」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、ライブは歩夢のソロステージになることが決定した。




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90話

スクスタストーリーとは違う番外編です

※作者得です(ぇ


真姫「付き合ってもらうわよ?」

「…………え?」

 

 

 

 

遡るに4日ほど前の合同ミーティングの時に真姫から告げられた言葉。

片手を腰に当て、誇らしげに言い放った彼女はどこか自信に満ち溢れていた。

 

「付き合うって…何を?」

真姫「もう、レディにそんなこと聞くものじゃないわよ?」

「(レディって…)…えっと…」

真姫「なによ、不満?」

 

……困った、もちろん嫌な訳では無いが…ここまでグイグイ来る真姫も珍しいと言えば珍しい。

「た、助けてよ…にこ~…」

困った俺はにこに助けを求めた。

 

にこ「無理よ、こうなった真姫は止められないわ」

「そ、そんな~…」

果林「男の子ならしっかりエスコートしなさい?♪」

「……………あい、分かりました…」

 

こうして俺は真姫の誘いの元…出かけることとなった。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「(…で……………)なんでここに君たちが…?」

曜「水泳大会の帰りだったんだけど偶然2人の姿を見かけちゃって♪」

せつ菜「私はアニメショップの帰りです!」

 

…まるで導かれるように遭遇した俺と真姫と曜とせつ菜。

「…あ、あはは…突然の参加者が入ったけど……真姫、大丈夫?」

真姫「…別に、大丈夫よ」

 

と、言うものの真姫の目はジトーっと俺のほうを見つめていた。

真姫「貴方の周りって女の子しかいないのね」

「ど、どういうことぉ!?」

真姫「そのままの意味よ」

 

そう言うと真姫は1人でスタスタと歩いてしまった。

「あ、待ってよ~!!」

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

着いた先はショッピングモールだった。

 

「ここ?」

真姫「買い物と……………あと…」

「?」

 

チラッと掲示してあるポスターを見る真姫。

「…アイススケート?」

真姫「ちょっ、べ、別に私は…っ!」

曜「わぁー、これって滑れるの!?」

せつ菜「はいっ、そうみたいですよ!♪」

 

「…珍しいね、真姫がこういうのしてみたいって言うの」

真姫「そ、そんなんじゃないってば…」

「よし、買い物終わったらみんなで行きますか!」

 

曜&せつ菜「おーっ!」

真姫「………………………………」

「素直に楽しもうぜ?」

真姫「……………うん…///」

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

程なくして買い物も終わり…何故か曜やせつ菜…真姫の服を買ってあげたが…まぁ、喜んでくれた顔をしてくれたから良しとしよう。

 

俺たちはアイススケートリンク場に着いた。

「ひっろー……」

曜「靴取りに行こーっ!♪」

真姫「こらっ、はしゃがないのっ!」

せつ菜「何だか…燃えてきました!」

 

「(アニメの影響かな…)…ところで、せつ菜?」

せつ菜「はいっ、どうしましたか?」

「…スカートのまま滑るの?」

せつ菜「…?…そう、ですが…?」

「……そ、そうか…気をつけろよ?」

せつ菜「…?

ありがとうございます!」

 

知らぬが仏…か?

いや、よく見張っておかないとな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、スケートリンクに足を踏み入れた瞬間…。

「おわああああー!!」

 

ド派手にコケた俺。

…まぁ、初めてだし…多少はね?

 

曜「おー、運動神経いい峻くんの珍しい場面見れたかも…」

「…これは、なかなか苦労しそうだ…」

曜「ほら、手に掴まって?♪」

 

と言って手を差し出す曜。

…でも、こういう時はお約束で…。

 

曜「うわああっ!?」

「おわっ…!!」

 

2人して、ずっこけた。

「いつつ…」

曜「峻くん……手…///」

「えっ……?……………あっ!」

思い切り曜の胸に触れていた。

 

曜「…そのー…嬉しいけど…ここじゃ…ねっ?///」

「よ、曜……………」

 

真姫「…何してんのよ…」

やれやれと呆れ顔で見下ろす真姫。

 

「…なんでそんな簡単に滑れてんの…」

真姫「そうね…センスがあるのかしらね?♪」

「むっ……………」

勝ち誇ったかのように言う真姫に対抗心を抱いた。

 

「…まーてー!」

と、スケート鬼ごっこが始ま……………。

 

「あいたっ!?」

らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

せつ菜「あのアニメのキャラは…初めてアイススケートをして…トリプルアクセルを決めた……今の私なら…!」

謎の燃えるオーラを纏うせつ菜。

 

曜「えっ…せつ菜ちゃん!?」

真姫「ジャンプはさすがに無理よ…!」

せつ菜「…えぇーい!」

 

 

スピードをつけて飛んだ…が。

せつ菜「わ、わわっ…!!!」

よろめきながらも何とか着地したせつ菜。

 

せつ菜「…アイススケート系スクールアイドル目指します…!!!」

「…いや、どんなスクールアイドルだよ…」

 

とりあえずスカートの中が見えそうで見えなかったことに安堵する俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

小休憩がてら、俺は人数分の飲み物を買っていた。

3人はまだ元気に滑走中。

 

 

「…さすがスクールアイドル…スタミナ有り余ってるな…」

自分が買った飲み物に口を付けようとしたその時だった。

 

 

 

「……………栞子?」

遠くに見覚えのある人物がいた。

 

 

 

「おーい、栞子」

栞子「えっ!?……な、なんだ…峻さんでしたか…」

「…私服姿の栞子…初めて見たかも…」

栞子「じ、ジロジロ見ないで下さい!」

「可愛いじゃんか、似合ってるよ」

 

栞子「~~~~~~…………っ//////」

「そんで、今日はどうしたの?」

栞子「か、買い物に……」

「そっか、俺たち今アイススケートやってるんだけど…良かった一緒にどう?」

 

その問いかけに栞子は首を横に振った。

栞子「お気持ちは嬉しいですが…買い物を終わらせたらすぐに帰らないといけないので…」

「ん、なら仕方ないね

気をつけて帰るんだよ?」

 

栞子「はい、ありがとうございます」

短い会話をした後、俺はその場を後にした。

 

 

 

────────────────────

 

 

【栞子 視点】

 

(…ごめんなさい、峻さん…嘘をつきました…)

本当はすぐに帰る予定なんてなかった。

…むしろ、じっくり買うものを選定したかったくらいだった。

 

 

「峻さん…どういう物なら喜んで貰えるかな…」

言えるわけない…あの人に…感謝の気持ちを込めて贈り物がしたかった……なんて。




はい、アイススケートイベントですね。

個人的に各グループで推しをあげるなら
真姫ちゃんと曜ちゃんとせつ菜ちゃんですね。
つまり、このイベントは優勝。

この3人から迫られる人生を送りたかった…(^p^)

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91話

そろそろ裏作も更新していきます…


その日からというものの……。

 

 

果林「1、2、3、4……ほらっ、腕下がってきてるわよ!」

歩夢「は、はいっ…!」

「…スパルタだなぁ…」

 

果林「1、2、3、4…うん、いい感じね」

歩夢「わ、わかった…!」

 

歩夢も練習に精を出し、果林もそれに応えたいようでマンツーマンで熱血指導をしている。

 

栞子「…私が上原さんを推薦しておいて…こんなこと言うものあれですが…」

「お?…どうした改まって」

 

栞子「…いえ…また、挫折する人を出してしまったな…と

上原さん以外のスクールアイドル同好会のメンバーだって出るように努力していたのに…」

「…俺にはそうは見えないなぁ…誰一人挫折なんかこれっぽっちもしてないと思うけど…」

栞子「…えっ…?」

 

そんな馬鹿な…みたいな顔して練習しているメンバーの顔を見る。

 

 

 

果林「はいっ、ここまでーっ。

…10分間休憩にしましょ?♪」

歩夢「はぁ…はぁ………」

エマ「はい、水分っ

…落ち着いて、ゆっくり飲んでね?♪」

歩夢「…あ、ありがとう…はぁ…はぁ…」

 

璃奈「汗拭いた方がいいから…私、拭いてあげるね」

歩夢「わ、わわっ…!

…ありがとう、璃奈ちゃん…」

彼方「疲れた時には甘いもの~♪

ハニーレモンあるよー♪」

歩夢「うん、じゃあもらうね♪ありがとう彼方ちゃん」

 

せつ菜「今回の衣装は私とかすみさんの2人で考案しますね!」

かすみ「かすみんが飛びっきり可愛い衣装を作りますからね!全力でサポートしますっ♪」

 

愛「かすかすって歩夢の事ライバル視してたから、なんか意外~♪」

かすみ「何言ってるんですかっ!

愛先輩、かすみんのことどういう目で見てるんですかっ」

愛「どういう目でって…このアイ!で?…ぷっ、あははっ!」

 

かすみ「……面白くないし、あと、かすかすじゃないですから…」

「…あれ、今回は俺も衣装作りに手伝わなくていいのか?」

せつ菜「峻先輩には同伴で大事な仕事があるじゃないですか!」

かすみ「そうですよーっ、スクールアイドルフェスティバルを蔑ろにしてはダメです!」

 

歩夢「それに、スクールアイドルフェスティバルの私たちのライブ関係は全部峻くんにやってもらって大変な思いをしてるの…私、知ってるよ?

だから、私がせつ菜ちゃんとかすみちゃんにお願いしたの♪」

「…歩夢…分かった、ありがとうな」

歩夢「うんっ♪」

 

果林「仲良しこよししてるとこ悪いんだけど…練習再開するわよ?」

歩夢「わ、わあああっ!分かってるよ!///」

 

 

「あはは、歩夢は相変わらずだなぁ」

栞子「…見たところ、表面上取り繕ってるという可能性も無きにしも非ず、と思いますが…」

「そう思う?」

栞子「そういう事もあると思います…

でも…皆さんの顔は…嘘で無理して笑顔してるようにはとても見えません…」

「…素直じゃないねぇ…栞子も」

栞子「…私には…分かりません

上原さん以外…挫折したのにどうしてあんなに楽しそうに協力できるのか……

残念だ…とか、悔しい…って思わないのか…と」

 

「ない…と言えば絶対嘘になるだろうな

残念だ、悔しいなって気持ちはある…みんな仲間だけどライバルなようなものだしな」

栞子「…では…なぜ………………」

 

「けど、それは挫折とは言わないぜ、栞子

俺が同じ立場でも挫折した…って思わないよ

たしかに選ばれたのは歩夢だけだ

だけどそれは、同時に嬉しいって思えるし

それはそれで楽しいって思う部分もあると思う

無駄だけど無駄じゃない事がたくさんあるのがスクールアイドル…なのかもしれないな

 

挫折じゃなくて…乗り越えないといけない壁とか…俺はそんな風に捉えているよ

どんなに無理難題でも…どんなに小さい1歩でも…歩き出せたなら前に向かってネガティブにならずに歩き続けられる…ってな」

 

栞子「…スクールアイドル…私には…まだよく分かりません」

「…まぁ、まだスクールアイドルって物に触れて時間が浅いからな

いきなり理解しろとは言わんさ…ただ、栞子がみんなを見て何か感じ取ってくれれば、それでいいさ」

 

栞子「感じ取る…ですか」

「前を向いていく姿勢とか…めげない反骨精神とか

…まぁ、自分にプラスになる部分があると思うよ、必ず」

栞子「………………はい」

 

「よっ、と……こらー!歩夢ー!」

歩夢「へっ!?…な、なにっ…峻くん…っ??」

「練習に集中しすぎて靴紐解けてるの気がついてないぞー!」

歩夢「えっ?……あっ!本当だ…っ!」

 

「…ったく、こんなんで怪我したらどうするんだよ…っと」

屈んで歩夢の靴紐を結び直す。

歩夢「い、いいよっ!///

自分でできるから…っ!///」

「いーから……こんな事で代役なんて俺は嫌だからな?

…あ、なんなら代役ってなったら俺が出ようかな?」

 

かすみ「え''っ…そこはかすみんじゃないんですかー?!」

愛「しゅんしゅんがスクールアイドル…?…アリかも」

しずく「大ありです!!!」

 

果林「ある意味、人気が出るかもね?♪」

彼方「歩夢ちゃんがヤキモチ妬いちゃうから…多分実現はしないと思うよ~…?♪」

歩夢「そ、そんなことないもん!!///」

 

 

 

ドッと笑い合う一同。

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子「………………感じ取る……………か………」

 




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92話

コットンキャンディー、えいえいおー!!!!!!!!


「…本当に大丈夫なのか、歩夢?」

歩夢「うんっ、峻くんは部室で作業してて良いよ?」

「そっか…なんかあったら、遠慮せず言えよ?」

歩夢「うん!ありがとうね♪」

 

歩夢に休憩を入れるように促したが…彼女はこれを拒否。

1人練習場に籠って自主練を開始していた。

 

(…後で飲み物持っていくか)

そんな彼女の姿を見つつ…俺は部室に向かった。

 

 

歩夢「1、2、3、4……1、2、3、4…」

頭では分かっていたが…後半になるとどうしても動きが鈍くなってしまう。

 

歩夢「…基礎体力を付けないとなぁ…頑張らなくちゃ!」

そんな中、練習場に1人の姿が…。

 

栞子「上原さん」

歩夢「えっ!?…し、栞子さんっ!?…びっくりした~…」

栞子「…まだ残っていたんですか?」

歩夢「うんっ、本番も近いし…♪」

 

栞子「それは分かりますが…オーバーワークはかえってコンディションを低下させてしまいますよ」

歩夢「ありがとう、でも私は大丈夫だよ!」

栞子「…声をかけそびれて練習内容を見させて頂きましたが…

足運びがいつもに比べて疎かになっていました

あれでは、ダンスではなくただ足を動かしてるだけでした」

 

彼女はショックを受ける……のではなく…。

歩夢「栞子さん…やっぱりスクールアイドルの事…詳しいよね?」

栞子「…い、一般論です」

歩夢「そ、そうなの?…あのね、みんなの分も頑張らなきゃって思うと…なかなか練習の終わらせどきが分からなくて…」

栞子「みんなの分…ですか

上原さん、あなたは自分が出る事で他のメンバーに申し訳ないと思っているのですか?」

 

歩夢「えっ?…それはやっぱり…少し思うかな?」

栞子「そう思うのに…やりたいという思いは抑えきれ無かったのはなぜです?」

 

歩夢「どうしてかな…これから入学してくる中学生に部活動はこんなに楽しいんだよって伝えられるのは…私じゃ無いかなって思ったからかも」

栞子「…だから、私こそがステージに立つのが相応しい、と?」

 

歩夢「…ねぇ、栞子さん

私は…ひとりでステージに立つんじゃ無いんだよ

私のためにサポートしてくれる、峻くんや…

ライブが成功してくれるように応援してくれる同好会のみんな

私はみんなと一緒にステージに立ってるんだって…1人だけど…1人じゃない…そう言う感覚なの」

栞子「1人だけど…1人じゃない…」

 

(んっ…練習場に誰かいる…?)

飲み物を片手に練習場の前に行くと、中から誰かが話す声が聞こえた。

…聞き耳を立てると歩夢と栞子だった。

 

(…あの2人だけで話すなんて…珍しいな…)

 

歩夢「私の思う感覚には…峻くんや栞子さんもちゃんと入ってるんだよっ」

栞子「峻さんは分かりますが…私も、ですか?」

歩夢「だって、今だってこうやって声をかけてくれたでしょ?」

栞子「それは…その…上原さんは頑張りすぎるところがあるので…生徒会長としては気をつけて見ていなければと思っただけです…」

歩夢「ふふっ、それならそれでいいよ♪

私が勝手に思ってるだけだからっ」

 

 

「(…なんだかんだ…栞子も馴染んできてるんだな…これも歩夢の人徳かな…)…おっす、休憩中か?」

歩夢「あっ、峻くんっ!♪」

栞子「…どうも」

 

「ほら、歩夢…水分補給…何か作戦会議中だったかな?」

歩夢「ふふっ、思い出話…かな?♪

栞子さんはどう?私たちと一緒にスクールアイドルの練習をやってみて、何か気づいた事とか…あった?」

 

「おっ、それは俺も聞いて見たいかも」

栞子「…うっ……私は…スクールアイドル活動に意味があるとは思えません…」

峻&歩夢「…あはは…」

 

栞子「…けど…」

峻&歩夢「…けど…?」

栞子「皆さんが…同好会を守りたい気持ちが…少し…分かった気がします

他の部の人達が、どうして無駄だと思える事をやろうとしているのか…あくまでも…少しですけど…」

 

歩夢「そっか…栞子さんにも楽しいって思ってもらえたんだね、私たちとの練習」

栞子「別に、楽しいとは思っていません

…それに、無駄だと思っていることは変わりありません」

 

「…頑固だねぇ…」

栞子「事実を述べてるだけです。

もっと有意義な事に時間を使った方が良いという考えも変わってません」

 

栞子「…ただ、峻さんの言い分や…立ち振る舞いを見ていて…この同好会の活動の過程にある全てのことを無意味と否定するのは間違っているかも…とも思っています」

歩夢「…ふふっ、栞子さんって優しいんだね♪」

「…ああ、同感だな」

 

栞子「…あ、あの…どこをどうしたらそんな結論に行き着くのですか…?///」

「…そりゃあ…なぁ?」

歩夢「話してたら…自然に…だよね?」

 

栞子「…や、優しいなんて間違ってますよ…

私はただ、皆さんに間違った選択をして欲しくなくて…」

歩夢「…ふふっ…♪」

 

栞子「な、何故笑うんですか…っ」

歩夢「多分、峻くんも同じことを考えてると思うな♪」

「…あぁ、栞子が居ると心強いなってな」

歩夢「うんっ!♪」

 

栞子「心強い…?……どうしてですか?」

「俺でも見抜けないようなところを見てくれてたりするからな

…なんだかんだ言って…見守ってくれてるんだなぁって

こうやって、歩夢が悩んでいたら相談にも乗るし…一緒に進むべき道のアドバイスをしてくれるし」

 

歩夢「間違ったら正しい道に呼び戻してくれる…

そう思うとなんだか心強いなって」

「ま、同好会の皆もそう思っているかもな」

栞子「…そんな…こと……皆さん、私のことを煙たがってるはずです…」

歩夢「ふふっ、ここに正面からぶつかり合っても…分かり合うように向き合って今こうやって2人でおなじ場所に立っている人が…ここにいるよ?」

 

「…まぁ、俺もぶつかりたくてぶつかった訳じゃないけど…

人間、ちゃんと話し合ったりすれば分かり合えない人は居ないって事だ

その前に人は諦めたり遠ざかったりするからそこまで至らない人が多数なんだけどな

…だから…もう少し…ほんの少しでいいんだ…みんなのことを信用してもいいんじゃないか?」

 

栞子「…信用…する?」

歩夢「あっ、さっき栞子さんも言ってたね…っ!」

「あぁ、無駄かもしれないように見えるけど全部無駄なわけじゃない…そういうことはたくさんあるから…な

…こう、部長がお願いするのも…なんだかおかしいけど…もう少し、見守ってやってくれ………頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子「……頭をあげてください……少し…考えてみましょう…」

その時見た栞子の顔は…とても複雑そうな顔に見えた。




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誤字報告ありがとうございます!!


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93話

アンケ欄に栞子ちゃんと月ちゃんを加えました。
鹿角姉妹同様「ワイは栞子ちゃんが好っきゃねん…!」って方は投票よろしくお願いいたします。


「…さて、と…そろそろミーティングだけど…大丈夫?」

いつになく、深く呼吸をする栞子…その顔は強ばっていた。

栞子「…大丈夫です、貴方と話して…私なりに考えを深めて見ました…」

 

「…そっか、それはそれで嬉しいよ」

栞子「これなら…という結論が出たので…それを今からミーティングで発表したいと思います」

「期待してるぜ、生徒会長」

 

栞子「…あと…もうひとつ…いいですか?」

「ん?」

答えを待って首を傾げると…栞子が俺の胸元に飛び込んできた。

「…栞…子?」

栞子「…すいません…何故か…凄く…安心したくて…///

…峻さんと…こうすれば…安心できるかも…と…///」

 

「…そっか……いいよ、気が済むまでしてて」

栞子「………ありがとうございます///」

 

こうして顔を見ていると…栞子も普通の女の子なんだなぁと実感する俺だった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

そして、ミーティングの時間となった。

俺は栞子の様子も気にしつつ、指示された準備等々に追われていた。

 

(…アイツ…1人で大丈夫かな?)

…まぁ、そう聞いたところで…【大丈夫です、信じてください】…って言われそうだけどな…。

 

 

 

栞子「それでは、学校説明会についての第7回のミーティングを始めたいと思います」

栞子の一声でミーティングが始まった…が。

 

【生徒会長補佐だ…】【なんでいるんだろ…】

【生徒会長変わっても役職辞めてなかったんだ…】

 

チラホラと俺がいる事に違和感を感じる人が居た。

歩夢&せつ菜「………………っ…」

 

歩夢とせつ菜も苦虫を噛み潰したような顔をうかべる。

しかし、俺は片手でOKサインを作り…一言。

 

「準備を手伝っただけだ、余計な口出しもしないしミーティングを妨害もしない…ま、いないものだと思ってくれ」

 

…………シーーーン………。

その一言で生徒会室内が静まり返った。

 

歩夢(な、なんか…峻くん…生徒会長みたいだったね…)

せつ菜(え、えぇ…言葉に重みがあるというか…迫力があると言いますか…)

 

咳払いをし、話を切り出したのはバスケットボール部だった。

【こ、この前ウチが出した譲歩案は見てくれた?】

栞子「はい、頂いた譲歩案は全て拝見致しました」

 

【…検討は?】

栞子「順を追って説明します

まずは手元の資料をご確認ください」

 

その声と同時に他の部活の代表者も資料に目を通す。

俺は壁にもたれかかったまま腕を組んで目を瞑っている。

 

【…あら?】

栞子「どうかされましたか?」

【…ここに書いてあることは…本当?】

栞子「えぇ、本当です」

 

栞子「細かい調整は後で私や生徒会長補佐の宮之原さんの方で各部にお願いすることもあると思いますが…基本的にはステージ上で行う事はお任せ致します

各部、伝えたい内容や見に来てくれた人が入りたいと思うような発表にしてください」

 

せつ菜「…こ、ここまで変えてくるなんて…峻さんが力添えをしたとはいえ…これまでとはまるで別のようです…っ」

歩夢「これって…峻くんが説得した結果…なのかな…?」

 

せつ菜「えぇ…これなら各部とも異論はないはずです…」

 

 

しかし、俺は聞いてしまった。

【最初からこうすればいいのに…】

 

 

「…ちょっといいか?」

片目を開け、小さく手を挙げる俺。

 

栞子「…自分の口から口出ししないと言いましたよね…

…まぁ、いいでしょう…どうぞ」

 

「今誰かが…最初からこうすればいいのにって言ったのが聞こえた」

その問いかけに同好会以外の部活が目を逸らした。

「言うのは勝手だし思うのも勝手

なんなら、結論が原点回帰した事は確かに紛れもない事実だ。

…でも、部活のみんなが譲れない部分があるように…生徒会長にだって譲れない部分はあった。

そこがお互い反発して…結果的にミーティングの回数も増えて紆余曲折、右往左往してここに至った

 

その点だけは考慮してやってくれ

その他の異論や不満は全部、生徒会長補佐の俺が聞く」

 

 

………………………………………………

 

「…喋りすぎたな、進めてくれ」

【…こ、これなら…ウチの部の魅力が伝えられるわ】

 

栞子「…こほん、ただこの資料にあるように

この情報だけは必ず入れてください

その人自身の適正によっては…他の部を勧める可能性もある…という事を」

【えっ!?……あっ……って、これじゃ何も変わらないじゃない!】

 

栞子「そうでしょうか?…要望通り、発表内容は各部の自由にといたしましたが

…それに、こちらが譲歩してるのに…そちらは何ひとつとして譲歩しないというのはフェアでは無いと思いませんか?」

 

【だからってそんなの…】

栞子「こちらからの要望はひとつ

ステージの上で今言った事は絶対に伝えさせてもらいます」

 

せつ菜(ど、どんどん空気が重苦しく…)

歩夢「…そんな事ないよ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「…歩夢さん?」

歩夢「今日はいつもと違う…そうでしょ?♪」

せつ菜「…ぁ……は、はいっ…峻さんが居ますし…!」

 

歩夢「それにね、この間、栞子さんが私に言ってくれたの

無駄だと思う活動をしていても、その過程にある全てを無意味だと否定するのは…間違っているかも、って」

せつ菜「…栞子さんが…そんなことを…?」

歩夢「同好会の活動を見た事もあるけど…私は、峻くんが真摯に向き合って話してくれたからそこまで考えを改めてくれたんじゃないかなって思うの」

 

せつ菜「…分かりました!歩夢さんがそこまで言うなら…信じてみます!」

 

【…適正によっては他の部を勧めるなんて…一番伝えたくないことなんだけど…】

栞子「適正によっては他の部を勧める…この一文だけは外せません

…ですが、だからといって入部希望者にそれを押し付けたり入部を拒否することはありません」

 

【…え?…ってことは…結局は希望すれば入部出来るってこと?】

栞子「はい、おかしいですか?」

「ま、新入部員が入ったからには自分らできっちり育てんしゃいってことだよ、つまり

適正、適正って言うけど…そんなのまだ誰も知らないし分からないんだから

そこを伸ばしたりするのは今いる部員の日々の活動や練習にかかってるってこと」

 

【…そういうことなら…ウチは異論はないわ】

 

歩夢「…あっ……!」

せつ菜「良かった…っ…納まるところに納まったという感じですね…!」

歩夢「栞子さんのやり方と…後は峻くんの考えが一番いい形に話をまとめたんだよ…!」

せつ菜「やはり…生徒会長は栞子さんが相応しいですね

…生徒会長補佐に峻さんを推薦したのも、自分のことのように誇らしいです」

 

 

 

 

こうして、何とかまとまった話を最後にミーティングは終わりを告げた。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【放課後】

 

「お疲れ、栞子」

栞子「ありがとうございます…ですが、私は何も…貴方が各部に説得してくれたからここまで来れたようなものです」

「なんか怖い雰囲気出しちゃった感もあるけどな、あはは」

 

栞子「…それに…」

「それに?」

栞子「同好会活動をして…貴方としっかり話し合って…得た物もありますし…///」

「お?…じゃーぁー…スクールアイドル…やってみる?」

栞子「…スクールアイドルに対しての考えは変わってませんよ」

「…さいですか」

 

栞子「…ただ…言葉にはできないけど…感じる事も多かった…ということです」

「ま、それがいいのかもな

下手に学ぼうとか分かろうってするよりも、自分の肌や頭に感じたインスピレーションが大事ってことだろ」

 

栞子「毎度思うのですが…貴方は少し、楽天的すぎませんか?」

「まーくん、神の子不思議な子」

栞子「……はあ?…ま、まぁ…そういう度量の大きさも大事だと思いますが」

 

「あはは、ドーンと構えてるだけだよ…実は意外と精神的に脆かったりするかもよ…?…なんてね、同好会の様子でも見に行くか!」

 

栞子「待ってください!!」

「…どうした、そんないきなり大声を出して…」

栞子「…その…お礼がしたいのですが…///」

「お礼?」

栞子「…貴方の…峻さんの協力があって…ミーティングも無事おわれたので…出来ることなら、なにかお礼がしたいと…///」

「そんな大層なことしてないって」

栞子「そ、それでは私の気がすみません…!」

「…うーーーん…困ったなぁ……あ、じゃあ…デートしようぜ、今週」

栞子「で、デート…っ!?!?!?///」

 

アワアワと口を動かす栞子…こんな要求は想定外だったのだろうか?

「ダメか?」

栞子「…………わかりました…///」

そう言って携帯を出す栞子。

 

「…?」

栞子「連絡先…交換しないとダメじゃないですか…///」

「…あ、あぁ…」

 

いつもと違う雰囲気にドキマギする俺だった。

 

 

「そ、それよりも同好会に行こうぜ!」

栞子「…まだミーティングの書類整理がありますので」

 

いつも通りの表情に戻った栞子を見て俺は思わずコケた。

「…あ、あはは…ですよねー…」

栞子「…早く終わらせて、一緒に行きましょう…生徒会長補佐…///」

 

…いや、俺は栞子が赤く頬を染めた顔を一生忘れないだろう。




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次回!栞子とデート!


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94話

既に目先の目標は来年の一番くじになっています。
大人の力見せたる!!


「おっ、時間ピッタリだな栞子」

 

栞子「いえ、誘われた身として粗相のないように1時間前から居ます」

「いや、そこは私も今来たところですでしょうがー!……ま、そっちの方が栞子らしいわな」

栞子「…?…どういうことでしょうか…?」

 

「んいや、こっちの話……察するに栞子は誰かとあんまり出かけたことないべ?」

栞子「あんまりどころか…初めてです…もちろん、デ、デート…も…///」

 

「…恥ずかしがられるとこっちも恥ずかしいんだけど…」

視線を泳がせるように栞子の私服姿を上から下まで見る。

 

栞子「…な、なんですか…っ…///」

「いやぁ、栞子の私服姿は可愛いなあって」

栞子「…なにか裏がありそうな言い方ですね…」

「普段は頑固で堅物で笑顔とかそんなに出さないクールビューティなのにこんな可愛らしい格好見れて幸せだな~って思ってるだけだよ」

 

栞子「…貴方だって…いつも同好会のメンバーから好かれてるじゃないですか…///

…たらし……///」

「……いや、別に…たらしてるわけじゃないけど…」

栞子「…でしょうね、同好会の皆さん見てれば何となく分かります」

 

 

「…そ、そんなことより…早く行こ?

どこか行きたいところある?」

 

こうして俺と栞子は歩きながらどこに行くか考えるのであった。

 

栞子「…と言っても…私は特にここと言うところは…」

「でもせっかく2人で出掛けられたから…なんか思い出に残るようなものにしたいよなぁ」

栞子「…既に、新しい発見の連続、ですが…」

 

「ん?どうした?」

栞子「なんでもありませんよ」

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

栞子「…う、うぅ……///」

「…あ、あはは…………」

 

地下鉄りんかい線に乗り、都市部に向かおうとした俺と栞子…だったが…。

 

 

「…結構、混んでるね…」

栞子「…は、はい…」

「苦しくない?」

栞子「…峻さんが…支えてくれてるので…///」

 

そう、問題はこの体制。

思い切り栞子の腰に手を回しているのである。

 

「…も、もう少し…だから、な?」

栞子「………………///」

その言葉に栞子は小さく頷くしか無かった。

しかし、そんな姿が新鮮で可愛いと思ってしまった。

 

 

「……………おわわわっ…!!!」

栞子「………………きゃっ…!!///」

電車が揺れたからか…栞子との距離が一段と近くなった。

 

(やばっ…顔…触れそう…!)

栞子「…あ、のっ……///」

「…ごめん、栞子…っ」

栞子「…だ、ダメです…っ…口付けなんかしたら…子供が…っ…///」

「…え?」

栞子「…ち、違うんですか…?///」

 

(……なんというか…分かってはいたけど…)

栞子って…超初心なんだな…………。

 

 

 

───────────────────

 

 

「あっつー…」

電車から降りた俺は首元をパタパタと扇いだ。

 

栞子「す、凄かったですね…」

「暑いからアイスでも食べようよ…あっ、生徒会長の前でアイス食べ歩きながらウィンドショッピングなんて怒られるか?」

栞子「い、いけませんよ!虹ヶ咲学園の生徒たる者…そこはしっかりして頂かないと!」

「まぁまぁ…じゃあ、俺と栞子の秘密って事でどう?」

 

栞子「で、ですから…!!」

しかし、反論を他所に俺はアイスを買いに行った。

 

「栞子は~…抹茶かな、なんか似合いそうだし」

俺はストロベリーと抹茶のアイスを購入した。

所で、アイスの最高峰はレディーボーデンだと思うんだけど分かる人居るかな?居ない???

 

「ほら、栞子」

栞子「そ、そんな!ご馳走してもらうなんて…!」

「硬いことは今日は無し!…それくらいさせろって、な?」

栞子「……あ、ありがとうございます…///」

 

少し照れくさそうに受け取り、一口アイスを頬張る栞子。

栞子「…美味しい」

「だろ?…あ、これで共犯だね、ふへへ」

栞子「…むっ……かすみさんみたいでしたよ、今の笑い方」

「別に何も企んでないよ…俺も一口もーらおっ」

 

栞子が持っていたアイスに口をつける俺。

その様子を見て、栞子の目が丸くなった。

 

栞子「なっ、ななななっ…!///

いつもこんなことを普通にするんですか…っ!!??///」

「…あれ、変だった…?」

栞子「…あなたは要注意人物としてみる必要がありそうです…///」

ジト目をしながらアイスを食べる栞子を見て俺は何のことを言われてるのか分からなかった。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

ウィンドショッピングも終わりかけの頃、栞子があるお店で足が止まっていた。

 

「…ん?どうした?」

栞子「この子…峻さんに似てると思いませんか…?」

指をさしたのは…クマのぬいぐるみ。

 

「…く、クマ?…クマ…クマ…」

俺のどこら辺がクマっぽいんだろう…と考えてる中、栞子は。

 

栞子「ほらっ、この目の辺りとかそっくりだと思いませんか?」

「…うーん…?…うーん………」

男にはわからない見てるポイントがあるのだろう。

とりあえず俺は栞子の話に合わせることにした。

 

 

「…なら、買うか?…なんか気に入ってるみたいだし」

栞子「そ、そこまでしてもらう訳には…っ」

「嫌か?」

栞子「……嫌、というより…」

 

見ていたぬいぐるみの隣を見る栞子。

 

栞子「な、なんだか…このペア一緒じゃなきゃ、ダメなような気がして…」

「なら2つとも買おうよ、ちょうど青は俺でピンクは栞子ってとこでさ」

栞子「わ、ワガママすぎませんか…私…???」

 

「ちょっとくらいワガママな方が女の子らしいよ

それに栞子がそんなふうに言ってくれるのもなんだかありがたいしな」

そう言って俺は店の中に入り、栞子が言っていたぬいぐるみを購入した。

 

受け取った栞子は大事そうに抱きかかえていた。

「ぬいぐるみとか、好きなのか?」

栞子「いえ、これが初めてです…ですが、なんだか凄く気になってしまって…」

「お気に召してくれてよかったよ」

栞子「…ずっと…大事にしますね///」

「…う、うん…!」

 

突然向けられた笑顔に俺は思わず恥ずかしくなって顔を背けた。

栞子「それに、峻さんが最初に仰っていた事も叶いましたし」

「えっ?……あっ、確かに…」

 

…これもデート(?)の思い出の品…に、なるのだろうか?

栞子「………ふふっ♪」

 

 

 

…ま、本人が喜んでるならそれでいいかもな。




栞子の登場回数が多い?
まぁ、章の核となる人物の一人だからね!ご自愛ください!!

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95話

アニメが遂に始まりましたね!
スクスタともアニメとも違った展開をお届けするNEXT Rainbow!!も引き続きお楽しみください!

そういや、明日は栞子の誕生日やな…


いよいよ、学校説明会を明日に控えた。

俺と歩夢は最後の特訓にとりかかっていた

 

歩夢「はぁ、はぁ……どう…だったかな…っ???」

「どうもこうも完璧だ…歌も踊りも…魅力されるくらいに」

歩夢「えへへ…峻くんにそう言って貰えると安心するね…♪」

 

「いや、ここまでの領域に行けたのは歩夢の努力と更に上を目指すんだって向上心の賜物だよ」

歩夢「だって、同好会の代表として出るんだもんっ

中途半端なんて嫌だもん……それに…」

 

「…ん?…それに?」

歩夢「新入生にスクールアイドルって楽しそうって思って欲しいから!♪」

「…あぁ、今の歩夢なら間違いなく伝わるよ、俺が保証する」

 

…スクールアイドルをする前とは見違えるくらい目が輝いてるからな…

言葉なんかにしなくても十分伝わってくる。

 

栞子「…お話中すいませんが…いつまで残ってるのですか…

灯りの消し忘れかと思いましたよ」

「あぁ、悪い悪い…明日への総仕上げって所だったからさ」

歩夢「ごめんなさい、栞子さん…ここまで引き止めてたのは私なの…」

栞子「まったく…上原さんが練習熱心なのは知っていますが、そろそろ切り上げた方がいいですよ

部長もそこはしっかり指示をしないと」

 

「…よく見てるねぇ~、歩夢の事」

栞子「あ、貴方が居ない時は私が見ていましたから!///」

歩夢「栞子さんは、生徒会のお仕事?」

栞子「学校説明会は明日ですから…やり残しが無いか確認してました」

 

「…こちらも仕事熱心なことで…」

栞子「いえ、これも峻さんのおかげです

貴方が手伝ってくれたおかげで私の仕事は当初の半分くらいで…かなり楽をさせてもらいましたから」

「役に立ったなら何も言うことは無いさ」

 

栞子「つきましては、是非生徒会に入ってもらえないでしょ───」

「あー、無理無理」

栞子「な、何故ですかっ…貴方ほど人をまとめることに長けてる人が…」

 

おれは喋るよりも先に歩夢を、こちらに抱き寄せた。

「俺は歩夢達の面倒を見たいからな」

歩夢「あ、あわっ…あわわっ…しゅ、峻くんっ…!?!?///」

栞子「…け、兼任でも構いませんよ…っ?」

 

目の前で躊躇いもせず抱き寄せたことに栞子も驚きを隠せないようだ。

「んー、評価してくれるのは嬉しいけど…俺は生徒会って言うのはあんまりなぁ…

縛られたくないし…それに俺は優秀じゃないよ

ただ努力してるだけだ…やれることを精一杯やるだけさ」

 

栞子「…では…またお手伝いしてもらうことは…」

「生徒会長補佐だしな、それくらいなら」

栞子「ありがとうございます、助かります…///」

 

歩夢「…むーっ…///」

抱き寄せてた歩夢が服をグイグイを引っ張る。

歩夢「…峻くんの、ばか…///」

「…えぇ…」

 

歩夢「同好会の自慢の部長を取っちゃヤダよ、栞子さんっ///」

栞子「じ、自慢の部長なのは知ってましたが…っ…決して取ろうなんて…!///」

……仲良きことは……かな???

 

 

歩夢「…えっと…栞子さん、お願いがあるんだけど…」

栞子「なんでしょう、上原さん」

歩夢「…もう一回だけ…踊ってもいい、かな?」

「まだ踊るのぉ!?」

 

歩夢「な、なんか急に不安になっちゃったんだもん~!」

「…えっと…栞子…?」

栞子「…仕方ありませんね、本当に最後ですからね」

歩夢「うんっ、ありがとう!」

 

 

曲が流れて始めて歩夢がもう一度ステップを踏む。

…その様子を見ていた栞子が。

 

栞子「…明日は期待出来そうですね」

「ご自慢の部長の太鼓判付きだからな~…なんて、冗談で…栞子もそう思うか?」

栞子「そうでなければ、彼女の努力が全て無駄になってしまいます

……あの、ひとつ聞きたいのですが…」

 

「なんざんしょ?」

栞子「上原さんをスクールアイドルに誘ったのは…貴方と聞きました…なぜ、ですか?

…率直な感想を言わせてもらうと…練習を一緒に始めた時は一番スクールアイドルに向いてないのは上原さんだと思ってました」

 

「…まぁ、言い表せないけどな…あいつにはすごい力があるって思ったんだ」

栞子「…私でも見抜けないような素質がある、と…?」

「俺はそう思ってる」

 

…ただでさえ、幼馴染…だけど俺はその過去を知らない。

けど、この短期間でそう思えるくらい彼女の想いや努力は伝わってきた。

きっと、俺が知る前から彼女は本当に優しい女の子だったのだろう。

 

栞子「…貴方がそう言うなら、そうなのかもしれませんね」

歩夢「…はぁ、はぁ…っ…よしっ…!

…あれっ?2人で何を話してたの…?」

 

「歩夢は可愛いなって話をしてたんだよ」

歩夢「えっ、ええええっ!?!?///」

栞子「いえ、明日のライブは成功間違いなしという話です」

歩夢「あっ、な、な~んだ……///」

「…栞子…そういう所だぞ…」

栞子「その言葉、そっくりあなたにお返しします」

 

 

 

 

 

────────────────────

 

【次の日】

 

 

かすみ「スクールアイドルフェスティバルを開催しま~す!

よろしくお願いします~!」

せつ菜「今日の学校説明会でライブもしますよー!

ぜひ見に来てくださ~い!」

 

「あの二人は宣伝上手いな~」

その時、感心する俺の背後から謎の攻撃が…

 

 

?「どぉーーりゃーーー!!!」

「いったあああああ!!!」

思い切り肘打ちをくらった、おのれ何やつ。

 

穂乃果「わ!当たった!」

「…いつつ…ほ、穂乃果…?」

 

にこ「手伝いに来たわよ~」

愛「お~!いらっしゃ~い!」

「…なぜ、俺は肘打ちを…」

 

海未「すいません、峻……穂乃果が今度の和菓子のアイデアに…と言って聞かなくて…」

肘打ちがヒントになる和菓子ってなんだ…。

 

穂乃果「ガツンとくる和菓子だよ!!」

…ガツン…と???

 

ことり「すごい人数が集まってるね~♪」

「…そりゃ…μ'sが来るって…こうなるだろ…」

 

周りがザワザワし始めた。

無理もないだろう、あのμ'sが居るんだもん。

 

?「後ろから~……ハグぅ~!!!!」

「のぉああああああ!!????」

 

いつの間に俺はエベレストに来たんだろうと言うくらい背中に伝わる柔らかい感触。

…そして…この声は…。

「か、果南っ!!??」

果南「あれっ、歩夢ちゃんは?

もう準備してる感じ???」

 

「え、無視…っ!?」

果南「うそうそっ、ちゃんと見えてるよ~♪」

「…はぁ……歩夢は集中したいからって」

曜「おー、気合入ってるねー!」

花陽「ライブ、成功するといいね!」

 

穂乃果「歩夢ちゃんなら大丈夫だよ!」

千歌「見に来てくれたみんなを楽しませてくれるはずだよ!」

真姫「スクールアイドルフェスティバルに向けたいい弾み、つけてよね」

 

「…おぉ、そう言われると緊張してきた…果南、もう1回ハグして」

果南「えぇ?…もー、欲しがりさんだな~♪

いいよ、ハグぅ~♪」

 

かすみ「…………………………………ていっ」

「いったぁ!!!!」

 

目の前の光景を見たかすみが持っていたチラシの束で叩いてきた。




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三船栞子 誕生日特別編

栞子の誕生日編です!!
新しいメンバーですので暖かい目で見てくださいね!


「よう、明日暇か?」

栞子「薮から棒にどうしたのですか…」

 

「いーから、いーから……暇か?」

栞子「………………………」

 

栞子が自分の手帳に目を通す。

栞子「…特に、何も予定はありませんが…」

「よし、なら俺がその日は予約済みな」

 

栞子「…突然過ぎて追いつけないのですが…」

「ま、話はそんだけだ」

栞子「あ、ちょっ…!!!」

 

まだ理解出来てない栞子を他所に俺は生徒会室を後にした。

 

 

(…さて、と…これで第一段階は完了っと…)

この間、偶然見たんだけど…アイツ明日誕生日なんだよな…。

 

(予定ないって言ってたけど…祝ってもらったりしてなかったのかな?)

気になるところではあったが…とりあえず準備に取り掛かることにした。

 

 

 

────────────────────

 

【部室】

 

「…よし」

せつ菜「あの~っ、峻さん?

この装飾で大丈夫ですか~?」

「OKー、そんな感じ~」

 

歩夢「まさか峻くんから突然こんな提案があるなんて…」

「アイツも知らない仲じゃないからな…せめて祝ってやろうかなって」

愛「そういうとこ、しゅんしゅんって…律儀だよねぇ…」

 

「ん、そうか?…まぁ、誕生日とかは特別だからな」

かすみ「あっ、かすみん~…パン作ろうかな~?」

璃奈「怪しい…」

しずく「えぇ…手に隠したあれはまた辛い物でしょう…」

 

彼方「峻くんの頼みだからね~、腕によりをかけてケーキ作るよ~♪」

果林「なら、私とエマで買い出しに行こうかしら?」

「すまないな、みんな」

 

歩夢「みんな同じ気持ちだよ、栞子さんのお祝いしようねっ!♪」

 

こうして、着々と栞子の誕生日パーティーの準備が進められた。

 

 

 

────────────────────

 

 

【次の日】

 

 

栞子「…あの…何故放課後に私は部室に向かってるのでしょうか…」

「今日の放課後は俺が予約済だからな、俺の言うことを聞いてもらうぜ?」

 

栞子「ち、近いですっ…顔…///」

「っと、ごめんな………さて、と」

 

部室の前で1度立ちどまる。

「心の準備はいい?」

栞子「…えっ、心の…準備…??」

 

首を傾げる栞子を他所に…俺は扉を開けた。

………………すると。

 

 

 

パンパーーーーン!!!!

栞子「…………へ?」

 

勢いよく打たれたクラッカーの紙が栞子の頭の上に降りしきる。

「……そんなデカいクラッカーを使わなくても…」

愛「えぇ~?…大きい方が良いでしょ?なんでも」

 

…そう、か?………………まぁ……そう、なのか…???

 

 

歩夢「さっ、栞子さん!こっちこっち!♪」

栞子「ええっ、あのっ………………」

 

かすみ「ほらほら、呆気にとられてないで~♪」

栞子「い、一体何事ですか…っ??」

 

せつ菜「今日、栞子さんのお誕生日ですよねっ?」

栞子「な、何故それを…っ??」

「ふふーん」

 

栞子「あ、貴方…っ!!」

「生徒手帳の生年月日が見えただけだよ…だから昨日予定聞いたの

…って、誕生日なのに予定なかったのか…?」

 

栞子「…毎年、祝ってもらったことは…」

「…お堅いお家だねぇ…まぁ、今日はパーッと行こうぜ!」

栞子「…で、ですが…っ………」

「ほらほら!いーからー!」

 

栞子「わ、わわわっ…!…押さないで…くださいっ…!」

彼方「ほらほら~…彼方ちゃん特製のケーキだよ~…♪」

 

真っ白なイチゴがたくさん乗ったショートケーキを目の前に…栞子は黙り込んだ。

栞子「…………………//////」

「…もしかして…甘いの好き、だった?」

 

栞子「そ、そんなことっ…………あ、あります……///」

「じゃあ、遠慮なく食べな!」

 

果林「ほらほら~栞子さ~ん?…あーん♪」

栞子「じ、自分で食べれますから…っ!///」

 

エマ「はいっ、これ私からのプレゼントだよ~♪」

栞子「…あ、ありがとうございます…///」

 

 

スクールアイドル同好会のメンバーからお祝いされて

どこか気恥しそうに対応する栞子だった。

 

 

歩夢「喜んでくれたみたいだね♪」

「だな、お祝いした甲斐もあるって事だ」

 

栞子「……あのっ」

「おう、主役どうした?」

 

栞子「…………ありがとう…ございます…///」

そう言うと、栞子はまた同好会のメンバーの輪の中に戻って行った。

 

歩夢「…ふふっ、嬉しそうな顔だったね♪」

「…あんだけ素直ならいいのになぁ」

 

そんな本音は本人に聞こえるはずもなく…。




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97話

Hey girl in the mirror!(特に意味は無い)


栞子「す、すいません…お取り込み中お手伝いしてもらってしまって…」

「栞子がそこまで慌てるってことはそれくらいの事態なんだろうな」

栞子「部活説明会の列が凄いことになっていて…整理をお願いしたくて…」

 

…まぁ、チラシ配りはμ'sとAqoursのみんなにも手伝ってもらってるし…大丈夫だけど。

 

 

「…さて、と…もう一仕事…頑張りますか」

栞子と共に俺は手伝いを進めていた。

…頭の中は歩夢のライブが成功するようにと考えるので精一杯だったが…。

 

 

 

────────────────────

 

【部活説明会】

 

 

歩夢「入学希望者のみなさん、父兄のみなさん私たちスクールアイドル同好会です!」

衣装に身を包んだ歩夢が辺りを見渡し、いつも通りにMCを始めた。

 

歩夢「スクールアイドルは、学校ごとにスクールアイドル活動をしていて…ここ虹ヶ咲学園でもスクールアイドル同好会が活動してます」

「…ま、間に合った…」

栞子「…す、すいません…まさか立て続けに雑務が増えるなんて…」

 

息も絶え絶えで俺は部活説明会が行われてる体育館にやってきた。

歩夢「まだ発足して間もないですが…どの部活…同好会に負けないくらいみんな一生懸命で…それを支えてくれる人が居てくれて…スクールアイドルが大好きな部員ばかりです」

 

栞子「…ふふっ、支えてくれる人、ですか…♪」

「…な、なんだよ…」

 

歩夢「毎日の練習はきつい時もあるけど…少しずつ自分の力になっていくのが実感出来て…凄く充実しています!

同じ夢を持つ仲間と肩を並べて目標に向かって歩いていくのは…勉強だけでは味わえない感動があって…私はこの同好会に入って良かったと思ってます!」

 

「…歩夢……」

栞子「立派、ですね…」

 

歩夢「適性試験はありますが、それは強制ではありません

皆さんの意思を尊重し、温かく迎えます…きっと、ここに居ない同好会の部長も同じことを思っています…♪

虹ヶ咲学園はとってもいい学園です!一緒に素敵な思い出を作りましょう!」

 

愛「愛さんが一緒に考えたスピーチ、最高じゃない?♪」

せつ菜「はいっ、スピーチしてる歩夢さんも堂々としていましたね!」

璃奈「あとは、ライブを成功させるだけ」

エマ「うぅ~…なんだか緊張してきちゃったよ…」

 

「大丈夫、歩夢ならバッチシ決めてくれるさ」

愛「しゅんしゅん!」

せつ菜「待ってましたよっ」

「ん、遅れてごめんな…さ、始まるよ」

 

 

歩夢「……本日は…この場を借りて…一曲披露させていただきます

聞いてください……''夢への一歩''」

 

曲が始まり…いつも見ていたステップと共に歩夢の笑顔が弾けた。

愛「お、おぉ~…っ…歩夢、いつもより優雅に見える…!」

しずく「はいっ、凄くいい出だしです!」

果林「今までで1番の出来ね…!」

 

彼方「気持ちよさそうに歌ってていいな~」

愛「まぁまぁ、今回歌えなかった分の想いはスクールアイドルフェスティバルにぶつけよーよ!」

せつ菜「はいっ、今まで以上に練習、頑張りますよ…っ!」

かすみ「かすみん…うずうずしちゃいます~…!

早くスクールアイドルフェスティバルで歌いたい…!」

 

「…早く…か…」

歩夢のライブを見つつ…俺は栞子の手伝いを行く前の話が気になっていた。

 

 

【…ライブ会場が見つからない?】

ダイヤ【えぇ…コンサート会場もイベント会場も全滅ですわ】

【ドームは?】

絵里【あまり現実的ではないわね】

【…そうか…それは早急に決めないとな…お台場の近く…どこかあったかな…】

 

 

栞子「…さ、んっ……峻さんっ…?」

「っ…ど、どうした…っ?」

栞子「…上原さんのライブ…見とれてましたか?」

「…ま、まぁ…そんなところだ」

栞子「ふふっ、その気持ち分かる気がします…♪」

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【ライブ後】

 

中学生「さっきのライブ凄かったね!」

中学生2「スクールアイドルって初めて知ったけど…素敵だったなぁ~」

中学生「私、ここ第一志望にする!」

中学生2「私もそうしようかな…!!」

 

 

絵里「…ふふっ、大成功みたいね♪」

穂乃果「あんないいライブ大成功以外の言葉見つからないよ~!!

私もステージに行きたいくらいだった~!!」

海未「ホントに行く気でしたからね…穂乃果」

真姫「全くよ…抑えるの大変だったんだからね?」

 

梨子「でも、誰もがそう思っちゃうくらいの熱気だったわねっ」

にこ「この私を熱くさせるなんて…歩夢…なかなかね…!!」

曜「ホントホント!私も歌いたくなっちゃうよ~!」

 

歩夢「み、みんな…買いかぶりすぎだよ~…///」

希「ううん、本当のことを言ったまでやん?

私達も中学生の子たちも同じことを思ってるはずだよ♪」

鞠莉「それにしても~、歩夢って面白い子よね~♪

不思議な魅力…かしら~?…あっ、それを見出したのは…峻かしらね~?♪」

 

歩夢「ま、鞠莉ちゃんっ!///」

「これはファンクラブでも作るか~?」

歩夢「ファンクラブ1号は…峻くん、だからね…?///」

「…当たり前だろ?」

 

絵里「ふふっ、熱いわね♪

これは私もうかうかしてられないわね?」

ダイヤ「ええ、私達も頑張らないといけませんわ」

 

「さて、と…積もる話はあるけど…このまま定例会をしようか?」

穂乃果「さすが総監督っ!♪」

千歌「お疲れ様会もやろうね~!♪」

 

「よし、じゃあ後片付けしたら向かうから買い出しとかして部室先に向かっててね?」

穂乃果「はーいっ!」

 

 

 

 

────────────────────

 

「お疲れ、栞子…何とか形になった学校説明会だったな」

栞子「あっ…峻さん…何を言ってるんですか、半分…いえ、半分以上はあなたのおかげです…改めてありがとうございました」

 

「俺は何もしてないさ

全ては栞子が生徒のことを信じてたから…だろ?」

栞子「そ、そんな…私は…///」

 

「ところで、歩夢のライブの感想でも聞こうかな?

途中から反応無いくらい見入ってたけど…」

栞子「そうですね、上原さんのライブを見てこの学園に興味を持ってくれた子もいましたし…成功だったと思います」

 

「そっか、そう言ってもらえると助かるよ」

栞子「上原さんには……いえ、同好会の皆さんには人を惹き付ける魅力があると思います……特に、峻さん…あなたは…」

「この際、虹ヶ咲学園のマスコットでも目指そうかな?」

 

栞子「ふふっ、アリだと思いますよ…♪

…今後、学園祭などのライブ公演も内容の確認はしますが…頭から反対はしませんよ

学生の本分はさえ忘れなければ、ですが」

「おっ、勿体なきお言葉~…ってか?」

 

栞子「ふふっ、では…私はこれで」

「あ、ちょっと待って」

栞子「…なんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お前さ、やっぱりスクールアイドル…やってみないか?」




最近投稿する度に誤字報告が…
確認はしてるんですが…すいません…ぴえん


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98話

アニメ2話…皆さん見ましたか?

色々言いたい事は山ほどあれど…ひとつ言えるのはラブライブ最高
もうずっとついてくぞ…


栞子「…すいません、私は…生徒会の仕事に専念したいので」

「…これは掛け持ちでも…とは誘えなさそうだな」

栞子「………すいません」

 

そう言うと栞子は足早に去ってしまった。

(…あと一歩だったんだけどな…しょうがない…スクールアイドル同好会に入って貰うことは…諦めよう)

 

廃部という話が出てこなくなっただけでも…良しとしよう。

 

 

 

穂乃果「こぉーらー!峻く~ん!?」

「あ、ああああ、はいっ!?…なんですか?」

穂乃果「せっかくのお疲れ様会なのに上の空だぞ~!?」

「…あ、ああ…ごめん!…えっと、みんな…手伝いとかありがとう…おかげですごく助かった…乾杯!」

 

「「「かんぱーい!」」」

慌てて音頭をとり乾杯の挨拶をするとみんながグラスを高々と上げた。

 

 

絵里「改めて、お疲れ様」

曜「それにしても、凄い参加人数だったね~

これが都会なのかぁ~…♪」

鞠莉「内浦に半分くらい来てくれないかしらね~?」

果南「…なんか考えたら…それはそれで凄いことになりそう…」

ダイヤ「ふふっ、静かで落ち着いてる内浦が賑やかな雰囲気に変わってしまいますわね」

 

真姫「だけど確かに…ニジガクって規模が違うわよね

音ノ木坂とは比べ物にならないくらい」

海未「えぇ、学校説明会と言い…運営側の本気を見ましたね」

穂乃果「各部の気合いも凄かったよね~!」

凛「文武両道ってこういうこと…なのかにゃ?」

 

「…えっと、縁もたけなわ…じゃなくて…ご歓談中悪いけど…さっき栞子から言われてな」

 

俺が話を切り出すとみんな話をやめて、俺の方を向いた。

「これからは文化祭とかでライブしていいってさ」

花陽「それって…認められたってこと!?♪」

にこ「やっぱりスクールアイドルに触れれば…人間みんな変われるのよ!

これで廃部の心配もなくなったんじゃない?」

 

果南「あっはは、練習に参加してるって聞いてたからなんとなーく期待はしてたけど…」

ことり「きっと、歩夢ちゃんのライブが後押ししてくれたんだよ♪」

歩夢「えっ、えええっ…!?…そ、そんなこと…ないよっ…」

千歌「いーやっ、なくない!歩夢ちゃんのパフォーマンス…最高だったもん!」

 

歩夢「千歌ちゃん……うんっ、ありがとう!♪」

「俺も同感だな、歩夢のライブが栞子の気持ちを動かしたんだと思う」

 

 

そして、俺はパンっと手を叩いた。

「んならさ!…スクールアイドルフェスティバル…虹ヶ咲学園でやらない!!!?」

 

「「「…えっ………………」」」

 

 

「「「ええええええっ!?!?!?!?!?」」」

 

 

 

 

ルビィ「に、ににににっ、虹ヶ咲で~っ!?!?」

「伊達や酔狂で言ってるわけじゃないよ?…今日の学校説明会を見て思ったんだ…ここには…スクールアイドルフェスティバルに必要なものが揃ってる…ライブ会場や中庭での露店…それを調理する家庭科室…」

 

千歌「…お、おお…言われてみれば…」

花丸「学校全体をライブ会場にするなんて…目から鱗ずら~…」

善子「さすがはリトルデーモン、目の付け所か鋭いわね!」

 

かすみ「ふへへ、灯台もと暗しって感じですね」

絵里「…うーーん…面白いアイデアだと思うけど…」

ダイヤ「…そう、ですわね……」

 

「…ん、生徒会長二人から見たら…やっぱり厳しいか?」

絵里「…そう、ねぇ…音ノ木坂と虹ヶ咲じゃ規模が違うからなんともは言えないけど…」

ダイヤ「自分の学校で、と考えると…難しいですわね…」

 

「………ぐぬぬ…」

絵里「でも、君の言ってることは筋が通ってるわよ?

…あとは、三船さんを説得出来れば…だけど」

「そうか…」

 

難しい顔をしてると、希が肩に手を置いた。

希「いいやん、ウチは賛成!♪

何事も当たって砕けろの精神やね♪」

梨子「ふふっ、出来れば砕けたくないけどね♪」

 

愛「学園で開催出来たらそれだけで話題になって盛り上がること間違いなしっしょ!」

果林「スクールアイドルフェスティバルが成功すれば学園の宣伝にもなるわね」

歩夢「それで入学希望者が増えるなら…?」

 

「間違いなく…win-winだな」

エマ「きっと、栞子ちゃんも喜んでくれるかも!」

彼方「半分は同好会の仲間みたいなものだし…喜んでくれるよ~♪」

(半分…か…俺は…ほぼ仲間だと思ってたんだけどな…)

 

せつ菜「学園でやるとなれば…ステージに上がってくれるかも…!?」

歩夢「ぁ……うんっ、それいい!」

 

「なら、善は急げだな…早速相談しに行くか」

かすみ「峻先輩はドSだから善では無いですけどね~♪」

「はい、行くよ~」

かすみ「い、いひゃいいひゃいれす~!!!///」

 

 

 

 

────────────────────

 

【生徒会室】

 

「……………と、言うことなんだ」

栞子「スクールアイドルフェスティバル……」

 

「単刀直入に言うと…虹ヶ咲学園でスクールアイドルフェスティバルをやりたい」

愛「宣伝にもなるし~…しおってぃーのダンスを見たいから一緒にステージ上がろうよ~!」

 

栞子「…私が?」

彼方「栞子ちゃん、ダンス綺麗だし大丈夫だよ~♪」

しずく「1度味わったら忘れられない高揚感ですよ…!」

エマ「それに学校説明会でスクールアイドル同好会の評判良かったんだよ…!♪」

 

栞子「よろしくありません!」

しずく「えっ、えええっ…ステージに上がるのが嫌ということですか…?」

かすみ「も~、しお子ってば恥ずかしがり屋さんなんだから~♪」

 

栞子「よろしくないのは…学園をスクールアイドルフェスティバルの会場にするという点です」

愛「え、えぇ~っ!?」

 

……だよなぁ…そうは問屋が卸さない…ってか。

 

かすみ「な、なんでなんで~っ!?意地悪言わないでよ~っ!」

肩を揺するかすみ。

栞子はあうあうと首を振っていた。

 

栞子「い、意地悪で言ってる訳ではありません

認められないものは認められない…それだけの話です」

歩夢「で、でも…私たちの事は認めてくれたんじゃ…」

 

栞子「もちろん、あなた方のスクールアイドルへの思いやひたむきな努力をする姿勢には一定の評価をしています

でも、それとこれとは別の話です」

せつ菜「…どういうことでしょう?」

 

栞子「スクールアイドルフェスティバルは…普通のライブやイベントとは違いますよね?」

かすみ「そりゃ~、スクールアイドルのお祭りだもん♪」

彼方「全国のスクールアイドルから参加したいってメールも来てるんだよ~♪」

栞子「それだけのスクールアイドルが一堂に会するイベントならさぞ来場者も多いでしょう」

 

「…まぁ、想定は出来ないが…多くはなるだろうな」

栞子「ですから、許可が出来ないのです」

「…ダメな理由は?」

栞子「学園は…あなた方だけのものでは無いのですよ」

 

後ろを向いて言葉を続ける栞子。

栞子「連休を使ってイベントを開催するとしても…練習してる部活等もあります

中には大事な試合や大会が近い部活もあります」

 

「…それを開催するイベントを行うとなると…学園全体を開放しなくてはならない、か?」

その言葉に栞子は頷いた。

 

栞子「つまり、練習場所が無くなるわけです」

「…確かに、俺らに全面禁止にする力も無いし

かと言って貴重な時間を奪う筋合いは当然無いわな」

栞子「付け加えると、私はあなた方は運営など到底出来ないと思います…責任問題も付き物です…ただ、歌って踊る…だけでは無いのですよ」

 

「…だな、おっしゃる通りだ…さ、みんな行こうか?」

かすみ「えっ、しゅ、峻先輩っ!?」

 

反論すると思ってたのか狼狽えるかすみを他所に俺は生徒会室を後にした。

 

 

栞子(……あの目…やっぱりまだ諦めてない…言葉じゃどうすることもできないって感じの雰囲気だったのに…)

 

 

 

────────────────────

 

歩夢「峻くん…最初から無理だと思ってて生徒会室に行った?」

「ダメ元でな…ま、こんな展開になる気はしてたよ」

 

かすみ「ぐぬぬ…しお子めぇ~…仲間だと思ってたのにやっぱり敵のままだったか…!」

彼方「賛成してくれると思ったんだけどな~…」

せつ菜「そう簡単に許可は出せませんよね…私が生徒会長でも同じようになるとは…少し思ってましたが…」

 

愛「だとしても…取り付く島もなさすぎだよ~…」

(……とも、言いきれない…が…しばらく様子見だな)

 

果林「せめて、一緒に考えてくれるくらいはして欲しかったわね…」

璃奈「諦めちゃうの…?…璃奈ちゃんボード…''ズーン''」

 

歩夢「でも…学園を会場にするのは…絶対に良いと思うの!」

しずく「私も歩夢さんに賛成です!

栞子さんを説き伏せる対策を練りましょう!」

 

「ま、大きな問題点は他の部への影響と俺らの運営能力って所だけだからな」

せつ菜「つまり…それをクリア出来れば…」

「…あぁ、みんなで考えよう」

 

 

 

 

決意を新たに俺らは必死にアイデアを考えていた。

絶対にスクールアイドルフェスティバルを成功させるために…。




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99話

同じ小説家同士の読みましたや話したりするのでモチベ上がりまくりで走り出しそうなA×Kです

せつ菜ちゃん可愛い


まずは栞子が指摘してきた問題点への対策を練っていた。

 

しずく達1年生と果林達3年生…そして俺たち2年生で各生徒たちに話を聞き署名活動をしに行った。

 

 

しずく「ただいま戻りました」

「おかえり…どうだった?」

 

璃奈「…惨敗…」

かすみ「たくさんお願いしたんですけど…みんな反応が薄いっていうか…」

 

ため息混じりで愛がもたれかかる。

愛「そっちもかー…」

 

それに続くように…果林も。

果林「私達も…上手く集められなかったわ…

楽勝だと思ってたけど…甘かったわね…」

 

せつ菜「…うぅーん…スクールアイドルフェスティバルをニジガクで!っていうアイデアはいいと思うんですが…」

歩夢「うんっ、スクールアイドルフェスティバルのことを知ってる子は協力的だったし…」

 

エマ「うぅーん…知ってる人と知らない人の温度差がねぇ~…」

「…やっぱり…そういうこと、か…」

エマ「話を聞いてるとね?…スクールアイドル同好会の事やスクールアイドルフェスティバルのことを知らない子も結構いて…」

 

彼方「えぇ~そんなぁ~…」

せつ菜「虹ヶ咲は…生徒数も多いですからね…知ってる人は…ひと握り…と言ったところでしょうか…」

 

璃奈「とんだ誤算……璃奈ちゃんボード…がーん…」

かすみ「かすみんのクラスの子達はみんな応援して署名してくれたのに~…!」

 

「…とんでもねぇ…今まで見落としてたからな…学園内の評価とか…認知度って…」

歩夢「この前見に来てくれた子とか…SNSの反応で知られてるなって思ってたけど…まだまだだったんだね…」

 

「…まさかせつ菜の親に見せたライブを入れてもこれ程とは、な…」

せつ菜「多分…あれでも一割に満たないかと…」

 

愛「なーるほどねー…知らない同好会がイベントしたいから署名してくださいって言ってもスルーされる訳だ…」

果林「…完全に足元をすくわれたわね…」

 

彼方「まさか学園内でこんな知られてないなんて思わなかった~……」

璃奈「井の中の蛙…だったね…璃奈ちゃんボード…しゅん…」

 

エマ「…うん、反省だね…」

「……………………………………………………」

 

みんなが一生懸命に署名してるのに見向きもされないことに…すごく悲しい気持ちになった。

このままじゃいけない…でも、焦る気持ちばかりだった。

 

 

しずく「…大……で……峻…さんっ…」

「えっ…?」

ぼんやりしてたのか上手く聞き取れなかった。

しずく「だ、大丈夫ですか…っ…峻さん…?」

「…悪い、そんな顔してたか?」

しずく「いえ……ものすごく顔が悲しみに満ち溢れてたので…」

「…あぁ、悪い…」

 

彼方「問題はどーやって知ってもらうかだね…一斉にゲリラライブとかする~?」

かすみ「わ~っ、それはいいアイデアですね~っ!♪

かすみんのファンも同時に獲得しちゃいますよ~!」

 

せつ菜「…あ、あのっ…それは栞子さんを怒らせてしまうかと…

何事も許可が必要…って事です!」

果林「でも…誰にでも見てもらう…かぁ…」

 

しずく「興味が無い人にも…アピールする方法…ですね…」

エマ「うーん…興味のない人を振り向かせるって難しいよね~…」

 

「…何か………あっ…」

俺は天井を見上げた。

 

歩夢「峻くん…?」

果林「天井に何かいるのかしら?」

 

「校内放送…これだよ!」

彼方「なるほど…これなら自然に耳に入るね…」

「放送部に相談してみる価値はある…!」

しずく「それに、毎日繰り返せば覚えたくなくても覚えると思います!」

かすみ「それっ、それだ!しず子~!♪」

 

せつ菜「スクールアイドル同好会による…虹ヶ咲学園お昼休み放送部…ですね!!」

エマ「うん、やってみようー!♪」

「よし、それじゃあ明日放送部にかけあってみる!」

 

 

 

 

────────────────────

 

【その日の夜】

 

鞠莉「はぁ~い?」

「おっす、鞠莉…夜遅くにごめんな」

 

鞠莉「珍しいわね~♪

どうかしたのかしら?」

「スクールアイドルフェスティバルの準備についての連絡事項なんだけど…」

鞠莉「オフコース♪

峻となら朝までだっていつだって電話できちゃうわよ~♪」

「はは…ちゃんと寝なよ…?

鞠莉の玉のような白い肌が傷ついちゃうからね…」

 

鞠莉「うそうそ~♪…それでそれで?連絡事項は~?」

「…うん、実はな…」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー…………………………

 

 

 

 

 

鞠莉「へぇ~、そんなことが…」

「明日放送部に、掛け合うって言ったけど…待ちきれなくて部活終わりに相談して何とか明日の昼休みから放送できるようになったんだけど…」

 

鞠莉「エクセレント♪さすが峻ね~♪

なら~…明日は飛び入り参加しようかしら~?」

「…え?…平日だよ?…あっ、電話か?」

鞠莉「まぁ、明日のお楽しみよ~♪」

「…………?」

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【次の日の昼】

 

歩夢「そろそろ放送室に行こ、峻くん?」

「おし、行こうか」

 

 

 

ブロロロロロロロロ……………………

 

 

「…何の音だ?」

歩夢「…ねぇ…あれって…」

 

歩夢が指さす先に…。

「…ヘリコプター…?」

歩夢「…こっちに…向かってきてない…?」

 

「…向かってきてない…じゃなくて…ぶつかるぞ…っ!?」

急いで歩夢を抱きしめて庇う。

 

 

鞠莉「はぁ~い!♪」

「…ま、鞠莉~ぃ!?」

 

 

…ん?鞠莉の口が動いてる?

 

鞠莉「あ・け・て~♪」

…窓を…か?

歩夢の頭をポンポンと叩いて俺は窓を開けに向かった。

 

「こうか~?!」

鞠莉「いえ~す!離れて~!♪」

 

 

 

…な、何する気だ?

鞠莉「鞠莉ぃ~……ジャ~ンプ!!!♪」

 

…と、飛んだ!?ヘリコプターから!?

「…ま、回った…?!」

その後…数回転した後…教室に転がりこんで来た

 

 

鞠莉「パーフェクトっ!♪」

歩夢「…え、えええ~………っ………」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

【部室】

 

鞠莉「えっへへ~、怒られちゃった~♪」

果林「そりゃそうよ…沼津からヘリコプターで乗りつけて来るなんて…普通ないわよ…」

 

エマ「うん、教室の窓から見てたけど…ヘリコプターから鞠莉ちゃんが出てきた時はびっくりしたよ~…」

「しかも飛んだし…」

 

愛「さすが鞠莉~、やることがビッグ~♪」

かすみ「注目度はバッチリ集めましたね!」

彼方「知り合いなの?って質問の嵐だったよ~♪」

 

せつ菜「Aqoursのメンバーだってはしゃぐ子も居ましたよ!」

璃奈「来てもらえてすごく嬉しかった」

しずく「よ、予想とはだいぶ違いましたが…目標は達成出来ましたね!」

 

「これぞ秘策…ってか…」

鞠莉「うふふ、内浦から来た甲斐があったわね~♪」

 

 

 

 

 

実際…この後…部室に署名したいと言う生徒たちが押しかけた。




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100話

虹ヶ咲をこの作品で知った・好きになったという人が多くて
恐縮しております…・*・:≡( ε:)


かすみ「署名、たくさん集まりました~♪」

「予想以上に好意的な声だらけだったな…」

 

鞠莉が来てから…部室には結構な人の列ができた。

それも全員署名したいという人達だった。

 

彼方「鞠莉ちゃんの掴みは完璧だったね~♪」

エマ「面白そうなイベントだねって言ってくれる人も居たし…本当、鞠莉ちゃんには感謝だよ~♪」

 

愛「問い合わせ殺到で感動~!♪」

璃奈「…署名じゃなくて…問い合わせ…?」

愛「そそっ、みんなの夢を叶える場所?すごく素敵だから裏方で手伝いたいって結構言われたんだよね~」

 

果林「私の方も言われたわよ、主にライフデザイン科の子から」

しずく「私の方も、国際交流学科の皆さんが海外の方が来るならぜひ案内を…と!」

 

せつ菜「なんだか…こうしてみると…徐々に学園中から応援してもらっているって感じがしますね…!」

「感じ…じゃなくて…そうなんだろうな

みんなが協力してくれてる…それがこの声ってことさ」

 

歩夢「あっ、生徒会長補佐に恩返ししたいって声もあったよ!♪

ふふっ、峻くんが学校説明会の時に橋渡しになったから、かな?」

せつ菜「わぁ…好意が好意で返ってくる…とっても素敵ですね!!」

 

かすみ「峻先輩っ、しお子に協力して正解でしたねっ♪」

璃奈「このままなら…栞子ちゃんが驚くくらい署名が集まりそう…♪」

彼方「なんだかやれそうな気がしてきたよ~♪」

 

果林「気じゃないでしょ、やるの。

これまでの頑張りを無駄になんかしないわよ?」

愛「もう絶対にニジガクでの開催以外考えられないし♪」

 

 

「……………………………………すぅ…………………」

歩夢「峻…くん…?」

しずく「寝落ち…してますね…」

 

エマ「疲れが祟ったのかな…」

かすみ「ど、どうしましょう~…?」

 

 

穂乃果「やっほ~!峻くん、来たよ~っ♪」

せつ菜「ほ、穂乃果さんっ……!?…し、しーーっ、しーっです!」

穂乃果「ほえ?……あれっ、寝てる…」

 

果林「お疲れのようよ…穂乃果達は…どうしてここに?」

海未「すいません、穂乃果が……えっと、峻さんからお手伝いを頼まれまして…本来なら来れるメンバーは来てもらう予定でしたが…」

ことり「私たち3人だけってことになっちゃって~…」

 

穂乃果「ほわぁ~…ぐっすり寝てる…」

海未「ほ、穂乃果っ」

穂乃果「あはは、ついつい…それで、話はどこまで進んだのかな?」

 

せつ菜「えっと、ですね…」

 

 

 

────────────────────

 

 

穂乃果「そ、そんなことが…さすが鞠莉ちゃん…やることが違うねぇ♪」

ことり「署名も順調そうで良かった…♪」

海未「会場の手配等…任せきりですいません……と言いたいところですが…本人は寝てますし…」

 

歩夢「後で起きたら伝えておくよ♪」

しずく「峻さん…張り切ってましたからね…挽回するんだって…」

 

果林「とりあえず…穂乃果達の意見を聞かせてちょうだい?

ニジガクが会場になった場合、どこでどうしたいか…とか」

穂乃果「そういうことなら~っ、ニジガク探検しゅっぱーーつ!♪」

海未「ほ、穂乃果っ…遊びに来たわけじゃ…

改めて…一通り学園内を見学しましょう…案内、お願いできますか?」

 

歩夢「じゃあ、私と…」

愛「りなりー、行く?」

璃奈「うん、行く」

 

ことり「Aqoursのみんなにも報告したいから…写真撮っても大丈夫かな?」

せつ菜「はいっ、構いませんよ」

 

穂乃果「じゃあ、いってきまーすっ♪」

 

 

 

────────────────────

 

 

【しばらくして】

 

 

「…ん、んん………………………」

ソファーの柔らかい感触とは違った感触が頭に広がった。

 

「……………しまった……俺…っ」

彼方「あ、起きた~…?…ふっふっふ~…今日は彼方ちゃんが膝枕をしてあげたのだ~…♪」

 

「……………………………………」

彼方「ひ、ひっ………峻…くん…怒ってる…っ?」

 

「…いや、ごめん…重かったよな…」

彼方「そ、そんなことないよ~…それより…もう少し横になっていたら…?

目の下とか…クマが凄いよ~…?」

「…穂乃果達は…?」

 

果林「寝てる間に部室に来たわよ、今は歩夢と愛と璃奈の3人が学園内の案内をしてるから…峻は寝てなさい」

「…悪い……………………」

 

短い言葉と共にまた俺の意識はプツリと切れた。

 

 

 

彼方「…びっくりした~…峻くんのあんな目付き…初めて見たよ~…」

果林「…バカね…こんなに背負い込んで…」

しずく「…………峻さん…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【中庭】

 

 

 

 

ことり「ふぅ~…やっぱりニジガクって広いね~…」

海未「えぇ…正直…予想外でした…」

穂乃果「特別教室もたくさんあったし…学食も素敵だったな~…♪

グラウンドも野球とか出来るくらい広かったし!」

 

ことり「あんな素敵な学食なら毎日入り浸っちゃうね~♪」

穂乃果「うんうん、ずっとおしゃべりしてそうだよ~♪」

海未「不思議ですね…簡単に目に浮かびます」

 

歩夢「ふふっ、3人とも仲良しなんだね♪

…それで…ステージとか…どうしたらいいとか、あったかな?」

愛「しゅんしゅんが言ってた案は…講堂をメインステージにして…後はサブステージを2つくらい…って言ってたけど…」

 

穂乃果「講堂をメインステージにって言うのは穂乃果も賛成っ

…あとは~、各ステージにテーマを決める…とかかな?」

海未「ええ、全国からスクールアイドルが集まるのですから…みんなが触れ合える場所があるのもいいと思います」

 

ことり「じゃあ~…スクールアイドル毎にスペースを振り分けてそれぞれ好きなことしてもらう?」

歩夢「な、なるほど…メモ、メモっと…」

璃奈「3人とも…凄い…アイデアがどんどん出てくる…」

 

海未「あの…歩夢?…せっかくですから来場者のための設備について話してもいいですか?」

歩夢「うんっ、峻くんも助かると思うしお願いっ」

 

海未「まずは…御手洗ですかね

大きな目印などが必要かと……それと、階段は道譲りが必要な場合がありそうなので対策が必要かと」

愛「おお、なるほど…」

 

ことり「ニジガクは広いから…手に持って歩ける地図とか…大きな看板が欲しいかなぁ?」

穂乃果「生徒のみんなが見ていた大きな学内掲示板!

当日のタイムスケジュールに使えないかな?」

 

璃奈「多分、大丈夫だと思う」

穂乃果「よかった~っ!♪」

 

ことり「こうやって形になっていくのってなんかいいね~♪」

海未「ええ、とても素晴らしいことだと思います

今日の事は、次の定例会でしっかり報告して…皆さんの意見も聞きましょう」

 

歩夢「じゃあ、峻くんに伝えてちゃんとまとめておくね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【部室】

 

 

歩夢「戻りました~」

愛「あれっ、しゅんしゅんは?」

 

しずく「何だか体調が悪いようで…」

果林「さっき保健室に連れていったわ」

 

璃奈「そんな…大丈夫なの…?」

彼方「熱はなさそうだし…過労だと思うんだけど~…」

 

穂乃果「…次の定例会は…峻くん無しでやる?」

海未「でも、それだとまとめてくれる方が…」

 

 

 

 

 

 

 

「「…………………………………………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普段声を出して引っ張ってくれる峻がいない部室で

誰にもどうすることも出来ない中

ただただ、部室内が重苦しい空気になってしまった。




そう言えばこれが100話目…長いようであっという間の100話です

これからもよろしくお願いします


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101話

U(うわ)A(あああああああああ!)が100,000越えました
ありがとうございます。


かすみ「ねぇねぇ、作者さん…最近、かすみんに意地悪してくれませんよね…」
「せつ菜ちゃんしか勝たん…」

かすみ「…ぐぬぬ…おのれ、作者め…」


※今回は暗い話ばかりだったのでニジガクメンバーと峻くんの絆を確かめ合うお話となっております


「…ふぁ……」

歩夢「眠そうだね…峻くん…」

「…あぁ…ごめんな…最近こんな調子で…」

歩夢「ううん!大丈夫だよっ!…あっ、もし寝るなら言ってね、起こすから♪」

「…ごめんな、何から何まで…」

 

歩夢「もう、困った時はお互い様でしょ?

…それに…私には…これくらいしか出来ないから…」

「…いや、すごく嬉しいよ…ありがとうね、歩夢」

歩夢「…私は…いつもの峻くんが好き…だから…元気になるまで…ずっと、支えるからね…///」

「…ん?…何か言った?」

歩夢「ううん!なんでもないよっ…あ、なにか飲む?♪」

「じゃあ……」

 

ポチッ

 

「…あっ」

歩夢「はいっ、ミルクティー♪

峻くん、いつもこれ飲んでるもんね♪」

「…さすがだな、歩夢は…」

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

果林「おはよ、峻♪」

彼方「おはよ~…♪」

エマ「ふふっ、彼方ちゃんも峻くんも…お眠なようだね~…♪」

 

「…今すぐにでも寝れそうだよ…」

エマ「はい、おいで~♪」

「…え?」

 

エマが両手を広げて待っている。

「…えっと…」

エマ「ん?…いや、だった…?」

「…嫌じゃない…けど…人目が…」

 

果林「いいじゃない、エマのハグってマイナスイオンが出てるの?って思うくらい癒し効果あるのよ♪」

彼方「彼方ちゃんもすぐ、すやぴしちゃうよ~…♪」

 

「…じゃ、じゃあ…」

…エマの胸の中に抱きつくと…なんとも言えない…柔らかい感触が頭に広がる。

 

エマ「…よしよーし…♪」

「………寝れそうには…なさそうだ…」

エマ「なら、落ち着くまで…こうしてていいよ?♪」

「…じゃあ、ずっと…」

エマ「あははっ、それは恥ずかしいよ~…///」

 

果林「ほらほら、おしまいよ~…エマの顔も真っ赤になったところで…教室行きましょ?彼方、エマ」

彼方「は~い♪」

エマ「じゃあ、また後でね、峻くんっ」

 

「…あ、ああ」

少し残念な気もしたが…部活の時にお願いすれば…してくれるかな?

 

 

 

 

 

────────────────────

 

【教室】

 

愛「おっす~!しゅんしゅん~♪」

「…愛…なんで俺の机の上に座ってるの」

 

愛「細かいことはいいじゃ~ん♪」

「…あの…見えてる…」

愛「…?」

 

黒い…のが…。

 

「………」

愛「ひゃっ!?///」

他の人に見られたくないと俺は愛のめくれたスカートを手で隠した。

 

愛「あっ、しゅ、しゅんしゅん…っ…///」

「…スカート…めくれてるから…」

愛「ええっ!?……あ、あー…ごめんね…///」

「…いや…眼福だった…」

 

愛「…えっち…///」

「お、俺のせいなのかっ?」

愛「……じゃあ…もう少しだけ…///」

 

そう言うと俺に向けて少しだけスカートを捲ってきた。

「…………………………」

言い返すことも出来ずに…俺はただただ見入ってしまった。

 

愛「…峻にだけ…こんなことするんだからね…///」

「…愛」

 

愛「…も、もー!…恥ずかしいよー!///」

「わ、悪い…っ」

 

照れた顔を見られないように足早に自分の席に戻っていた愛。

……チラチラ俺の方を見て…スカートに視線を落とすのだけはやめて欲しい…。

 

 

────────────────────

 

 

【昼休み】

 

 

しずく「先輩っ、一緒にご飯食べましょうよ!♪」

かすみ「私たち3人からのお誘いですよ~♪」

璃奈「眠そうだけど…大丈夫?」

 

「あ、ああ…じゃあ食堂行こうか?…歩………」

 

歩夢がいなかった…あぁ、そういえば…生徒会の手伝いをするって言ってたっけ…。

 

 

「…よし、行こうか」

かすみ「わーいっ、峻先輩ゲットー♪」

璃奈「ポケモンじゃないんだから…」

しずく「かすみさんなりの照れ隠しですよ♪」

かすみ「しず子っ、余計なこと言わないで~!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【食堂】

 

 

 

しずく「明日定例会ですが…大丈夫そうですか?」

「絶賛寝不足だけどな…何とか」

 

璃奈「もし、手が必要になったら遠慮なく言ってね」

「ありがとう、璃奈ちゃん」

 

かすみ「あ、そうだ!かすみん、マッサージしてあげましょうか?♪」

「…えっ、かすみ…マッサージなんてできるのか?」

かすみ「むーっ、かすみんだってマッサージくらい出来ます!」

 

俺の後ろに回り込むと肩を掴みそのままマッサージを始めるかすみ。

「…もう少し…強くてもいいかも…」

かすみ「さすが、男の人の肩ですね~…かすみんの何倍も大きいです…」

しずく「……///」

「…しずく?…どうしたの、体をこっちに預けて…」

しずく「…すいません、こうしたかったので…///」

璃奈「演劇部の部長さん、見てるよ?」

 

しずく「えっ?……ぁ、あああああっ!…ち、違うんです、これは…っ!///」

かすみ「…否定しても遅い気がするんですが…」

 

2つ先の席でクスクスと笑う女性がいた。

あれが演劇部の部長さんなのだろうか。

 

しずく「うぅ~…最近、峻さんに甘えられなかったので…///」

「…ごめんな、みんなとの時間もつくらないとな…」

璃奈「峻さんのペースで、大丈夫…みんな分かってるよ」

「…あぁ、ありがとうな」

 

 

 

かすみ「…先輩って…ほんとにどうなってるんですか…モテ期」

「…いや、俺の名前…茂手木じゃなくて…宮之原だよ…?」

かすみ「…絶対わざとですよね?」

「……???」

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【放課後】

 

俺は屋上にいた。

同好会に出なくちゃ…と思いながらも…つい、うたた寝してしまった。

 

せつ菜「…あっ、やっと見つけました」

「……………………ん、んっ………」

せつ菜「ふふっ、いけない人ですね…♪」

 

そう言うと、せつ菜は俺の隣に座った。

「…すぅ…っ…………すぅ………」

せつ菜「寝てる時は…子供みたいな顔するのに…いつもは凛々しくて…かっこよくて…///」

 

「…んっ……………」

気がつくと、せつ菜は峻の事を抱きしめていた。

 

せつ菜「だからこそ…あなたが居なくちゃ…あなたがそばにいてくれなきゃ…私は…悲しいんです…苦しいんです…」

「…………………………すぅ………」

せつ菜「…なんて…寝てる人に言っても…伝わりませんよね」

 

彼の胸に耳を当ててたせつ菜が耳元に口を近づけた。

せつ菜「ずっと、ずっと…大好き、ですから…///」

「んっ……っ……ぁ、れっ……?」

せつ菜「あっ、起きましたか…?♪」

 

「…俺…寝てたのか…」

せつ菜「自分の体は正直なんですよ…峻さんは疲れが溜まってるんです」

「……だましだましやってたけど…やっぱりボロが出ちゃうか…」

せつ菜「自分の体…もっと大事にしてくださいね…」

 

そう言うと、せつ菜は立ち上がり…くるりとこちらを向いた。

せつ菜「あなたの事が…大好きな…私からの…お願い、ですからね…っ」

「…えっ」

せつ菜「……くすっ

…さぁっ!いつまでもおサボりしていてはいけませんよっ

いきましょう峻さんっ!♪」

 

いつも通りのせつ菜に戻る前…ほんの一瞬…スクールアイドルではない…優木せつ菜…いや、中川菜々の素顔が見えたのは……気のせいだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

【部活 終了後】

 

 

睡眠不足ではあったが、問題なく同好会の活動は終了した。

…先にニジガクメンバーが帰ったあと、俺はスクールアイドルフェスティバルの資料をまとめて…部室を出た。

 

 

栞子「あっ……………」

「ん…、あぁ…栞子か」

栞子「…いつもの覇気がありませんね」

「そんなことないさ…はは…」

 

栞子「…少し、良いですか?」

そう言って、栞子が連れてきたのは…自動販売機だった。

 

栞子「…どうぞ」

「後輩からご馳走になるなんてな…ありがとう」

栞子「寝不足なのは…スクールアイドルフェスティバルの件…ですか?」

「さすが生徒会長…見抜いたのね」

 

栞子「…顔つきや雰囲気を見れば分かります……1つ、よろしいですか?」

「どうぞ」

栞子「…今回の件は…あまりにも…無謀だと思えます

スクールアイドル同好会の存続の一件で貴方や…同好会の皆さんの力量を見直すことにはなりましたが…今回の件はさすがに…どうしてそこまで頑張ろうと思えるんですか?」

 

「…さぁな…ただ…」

目線を落とし…静かに俺は言葉を紡いだ。

 

「どうなるかも分かんない…無理…無茶な道のりなのかもしれない…

だけど…それが俺がしたいこと…俺のしなくちゃいけないこと…だから…」

栞子「…と、言いますと…」

「アイツらを…ニジガクのスクールアイドルを輝かせることが出来るのは…俺だと思ってるから…かな

だから多少の無理も出来る…アイツらのためなら、な」

 

栞子「………………………………」

「''身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ''…だ」

 

飲み物を飲み干し、ゴミ箱にポイッと捨てる。

綺麗な放物線を描きながら吸い込まれるようにゴミ箱に入った。

 

「…………余計な心配かけたな、栞子」

栞子「…待ってください!」

 

「…まだ…なにか?」

栞子「………………………………すいません…なんでも…」

「…そっか、お前も早く帰れよ…夜道は危ないからな」

栞子「…………ありがとうございます…」

 

 

 

 

 

栞子が何を言いかけたのか分からないが…きっと本人の事だ…。

何か思うところがあったのだろう。

そう思いつつ俺は大きなあくびとともに家路に向かうのであった。




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102話

明日のニジガクアニメ!!!うおおおおぉ!!!!!!です!!(語彙力)


【次の日】

 

 

千歌「こんな感じのことを考えてきたんだけど…どうかな?」

バサーっと資料を広げる千歌。

 

ことり「すごい、こんなに~っ!?」

曜「ことりちゃんが送ってくれた写真を見てたらどんどんアイデアが浮かんじゃって~♪」

 

梨子「使えるものがあればいいんだけど…」

歩夢「…すごい…どれもいいアイデアだと思う!♪」

穂乃果「ほんとほんと!イベント運営をしてたAqoursならではってアイデアですごくいいと思う!」

 

善子「ヨハネ一押しのアイデアはこれよ!」

愛「…いやぁ~…これは…善子なだけに…よしとこ~……なんつって?♪」

善子「善子じゃない!ヨハネ!……というか、ダジャレが言いたかっただけじゃない…?」

璃奈「言いたいだけだったかも……でも、この案は~…無い、かも」

 

花丸「マルたちも…無理だと言ったずら…」

真姫「そうかしら?…私は着想はいいと思うわよ?…少しいじる必要はあると思うけど…」

凛「なんか…一気にイメージが固まってきたにゃ!」

 

 

ルビィ「これが全部実現出来たらきっと楽しいよねっ♪」

穂乃果「ここまで来たら…やりたいことは全部やっちゃおうよ!」

千歌「うんっ!スクールアイドルフェスティバル…お祭りだもんね!♪」

 

果南「これだけ盛り沢山だと…1日じゃ終わりそうにないね」

彼方「1日で終わらせなくてもいいのでは~…?」

にこ「ちょっと、ちょっと~…大銀河スクールアイドルのにこにーがそんなスケジュール空きまくりなわけないでしょ~っ?」

 

絵里「確かに盛り沢山だわ♪

実現できたら本当に一生の思い出になるわね」

にこ「スルーしないでよっ!」

希「はいはい♪

にこっちには別途スケジュール調整お願いするからね♪」

 

にこ「ふんっ、早めに言ってよね♪」

希「さてさてっ、にこっちのスケジュールは大丈夫そうだし…

どれも素敵なアイデアだけど…詰め込みすぎかな?」

ダイヤ「…私もそう思いますわ」

 

鞠莉「んー…お祭りなんだし…詰め込みすぎるくらいが良いと思うんだけど…」

ダイヤ「いいえ、きちんとした運営・管理が重要です

アイデアを整理しないといけませんわ…途中でつまづかない為にも…」

 

彼方「…何が心配なの…?…忙しくなること?」

せつ菜「一番の問題は…人手、ですよね…峻さん」

「……あぁ…(こうもやることが多いと…人手もかなり必要だな…困ったな…)」

 

絵里「そうね…この規模でやるならかなりの人手が必要なのは確かだから…そこはしっかり精査しないと…それに、ステージを作るための資材や制作についても…調べないと…」

(…問題は山積…か、頭が痛くなるな………そんなことも言ってられないが…)

 

果林「…たしかに…そこまで行くと…私たちにも限界があるわね…」

海未「人手に関しては…このメンバーでは完全に不可能ですね…」

愛「でも、Aqoursは運営経験があるんだよね?」

 

ダイヤ「ここまでの大掛かりなブースの設計や施行は経験無し、ですわ」

かすみ「人手が足りないなら…集めればいいのでは…?」

せつ菜「…集まるかもしれませんが…10~20人…といったところでしょうか…

専門的な知識がある人も…欲しいですね」

 

しずく「そこをクリアしないと…栞子さんに話を持ち込むのは難しいですね…」

「…専門知識…か」

 

絵里「…峻?」

「アテがあると言えば…あるんだけど」

絵里「…えっ?」

 

「学校説明会の時さ、各部の説得をして…その後もまあまあ話す事もあってさ…スクールアイドルフェスティバルの事も話題に出たりして話す事も多かったんだよね」

歩夢「私も隣に居たけど…各部の人達に部活動の時間を邪魔しちゃうかも…って伝えたら…」

「真っ向から否定されるどころか…部活として協力したいって言ってくれる部が沢山あってな…例えば、美術部は看板とかの制作したいって言ってたし…ステージの設営は演劇部の大道具をやってる子達がやってみたいって言ってたし…」

 

 

ダイヤ「その話…っ…本当ですの…っ!?」

歩夢「みんな、生徒会長補佐に恩返ししたいって言ってたもんね♪」

「…まさか部活動紹介の手伝いをした恩がこんな形で帰って来るなんてね…身を粉にした甲斐があったよ…」

 

歩夢「音響は放送部と…軽音楽部、吹奏楽部…

あとね、調理部やライフデザイン学科の子は屋台の運営をやってみたいって言ってたから私と峻くんでお願いしちゃった」

希「…これが…生徒会長補佐の力…」

梨子「凄すぎて言葉が出ない…」

 

曜「な、なんか…問題を次々と…しかも、皆が知らない間に解決しちゃった感じ…?」

ダイヤ「貴方の行動の早さと的確さには本当に頭が下がりますわ…」

「…あはは…その結果がこんな状態だけどな…」

 

にこ「さっきまでにこ達の話を半分寝ながら聞いてたでしょ…?」

愛「まぁまぁ、しゅんしゅんも頑張ってくれてるんだし…ね?」

 

絵里「これで希望が持てる展開になったわね」

穂乃果「こうなったら、もっとたくさんの部活や委員会に頼めないかなっ!?」

千歌「さんせー!浦女のみんなにも声をかけてみ………あっ、ちょっと待って!」

携帯を確認すると、千歌が急ぎ足で席を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「…いやぁ~、ごめんごめん」

「…なんかあったのか?」

千歌「ううん、秘密兵器の話だった♪」

「…なんか危険な匂いしかしないけど…ほんとに大丈夫なの?」

千歌「大丈夫っ、順調だよ!♪」

 

「……………………………」

ミサイルでも落ちてこなければいいけど…。

 

 

 

 

凛「なら、凛達は音ノ木坂のみんなに声をかけてみるにゃ!♪」

真姫「賛成ね、早速行動に移しましょ」

 

「…んなら、次の定例会までにそれぞれの学校の部活や委員会に勧誘をかけてみるってことで…」

「「「「「はーいっ!♪」」」」」

 

 

こうして、定例会は解散となった。

…そして、その日の夜。

 

 

 

 

 

「…眠いし…少し早めに寝よう…」

 

ピロリロリンっ♪

 

「…メッセージ…?…曜からだ」

 

曜【ごめんね、こんな夜遅くに…

定例会の時には言えなかったけど…曜の目から見たら…悠くん…かなり疲れてるように見えたよ?

無理して頑張るのは悠くんのいい所でもあり…悪いところでもあるから…誰でもいいから頼ってね?

 

話なら曜はいつでも聞くでありますっ

それじゃ、おやすみっ!ヨーソロー(*> ᴗ •*)ゞ】

 

 

「…曜」

ちゃんと見てくれてるんだな…と思うと自然と顔が綻んだ。

「…寝るか」

無理をしてないと言ったら嘘になるが…気が付かないうちに…頑張りすぎてたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…ただ、それでも…こうやって順調に物事が運んでくれてるなら…俺は頑張りすぎても…それで構わない…)

………そう、この時はそう思っていた……ずっと。




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103話

皆さん、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ…3話見ましたか?

やっぱりせつ菜ちゃんが大好きを追いかける姿は…見てて胸を打たれるシーンが多かったです。
自分は夢を追いかけて志半ばで断念したので…せつ菜ちゃんにはこれからも大好きを追いかけ続けて欲しいと思います。


ここで一句
せつ菜しか
せつ菜ちゃんしか
勝たんのだ

NEXT Rainbow!!始まります



【後日】

 

 

「失礼するよ、栞子」

 

栞子「…皆さんお揃いで…今日はどのような要件ですか?」

「決まってるだろ?…スクールアイドルフェスティバルの事について…だ」

栞子「またですか…」

「どうしても会場として使いたいからな…今一度検討してもらえねぇか?」

 

ドカッと生徒会長の椅子に座り窓の外を見る栞子に問い質す。

栞子「その件については許可できないと何度も言いましたが」

「…あの時は、な…まぁ…策もなしにやりたいって言ってたから栞子が無理って言うのは当たり前だよな…でも、Aqoursやμ'sのみんなと話しててもそう思ったよ」

 

栞子「…でしたら、学園を使うのは諦めてください

どんなに素晴らしい理念の元開催されるイベントであろうと…他の生徒や部に迷惑がかかる以上──────────」

「ほい、他の部や同好会からの賛同してくれる署名」

 

生徒会長の机の上に何束もまとめられた資料を置く。

栞子「えっ……???

…全ての、ですか…っ?」

 

ニヤッとする俺の後ろから愛の声が続いた。

愛「それと、これも見て」

栞子「…………これは…」

愛「スクールアイドルフェスティバルに賛同してくれた…虹ヶ咲学園外の皆の署名!♪」

 

「虹ヶ咲学園の9割…プラス、学園外からの署名も多数…ってところだ」

しずく「峻さんを筆頭に…お願いして回った結果です」

 

栞子「こんな短期間で…これだけの支持を…」

「その代わり、寝不足だけどな…ふぁ…ぁ」

 

栞子「…あなたが…旗振り役を…つくづく、生徒会に欲しい人材です…」

璃奈「あのっ…学園…使ってもいい…?…璃奈ちゃんボード…''じーっ''」

栞子「…あなた方の熱意を見誤ってました…これは、見直さなければいけませんね」

 

エマ「それじゃあ…っ!」

栞子「勘違いしないでください?

あなた方の熱意と成果を認めるという意味です

学園を会場に使うという嘆願については認められません」

 

彼方「ここまで頑張っても…ダメなの~…?」

栞子「交渉能力は高く評価します。

ですが、運営に必要なスキルは別物なんです…あなた方だけでは立ち行かなくなりますよ」

 

栞子「…失敗すると分かってることを…生徒会長として後押しするのは出来かねます」

かすみ「ふっふっふ~……しお子…今運営って言ったよね~…?

かすみん達…ちゃーんと対策してるんだよ~…?♪」

 

栞子「…………え?」

歩夢「μ'sやAqoursのみんなの力も借りて、運営計画書を作ってみたの。

こっちも確認して?」

栞子「…拝見します」

 

差し出された資料を受け取る栞子。

…その顔は…まさか…といった困惑の眼差しだった。

内容を確認してる間も俺は説明を続けた。

 

「校内のどこで何をするか…動線について…必要な運営人員や緊急時の対応方法…過去の同規模のイベントはどうだったか…その辺をまとめた資料さ

…あ、警備とかその辺は流石の一般生徒じゃ分からないから教えてよ?」

 

栞子「なるほど…美術部、演劇部が施行を担当…

放送部、軽音部、吹奏楽部が音響まわり…料理部とライフデザイン学科が飲食…そして他の学校からも手助けがあるとなると…

各部にとっては合同練習や対外試合みたいなもの…」

 

栞子「…各委員会や部活を話し合いで説得した…というより…引き込んだ…という事、ですか」

エマ「そうじゃないよ、栞子ちゃん」

せつ菜「全員自発的に申し出てくれたんです!」

 

愛「そうそうっ、みんな楽しい事やるなら混ぜて~っ、って…ね?♪」

「あぁ、みんな楽しいことは好きだからな」

果林「補足だけど…次のページには…ライフデザイン学科以外の学科の子も有志で集まってるわよ?」

 

栞子「……こんなに……大勢の生徒が…」

「これだけの人達がスクールアイドルフェスティバルのためにって思ってくれてるってことさ…例えるなら…スクールアイドルフェスティバルは…ニジガクの生徒みんなの夢…かな?」

栞子「…ニジガクの生徒たちみんなの、夢…?」

 

「あぁ、だからこそ…虹ヶ咲学園でスクールアイドルフェスティバルを開催したい」

栞子「…………………………」

 

…一瞬、ため息をしたのは…俺の聞き間違いか?

 

「どう思ってるか…聞かせてくれ、栞子」

栞子「この計画表はとてもよく出来ています

あなた方の…いえ、虹ヶ咲学園の生徒たちの本気さも伺えます」

 

璃奈「じゃあ…っ!」

栞子「ですが…私は認める訳にはいかないのです!」

愛「もーっ…何が足りないの~!?

しおってぃーがウンって言ってくれるまで諦めないからさ!!」

 

しずく「そうですね、足りない部分は埋めます」

栞子「たとえ、運営計画がどんなに完璧に見えても…

それは机上の空論でしかありません

実際、その通りに進むことなどありません…」

 

「…なるほど、イレギュラーは付き物だと?」

栞子「例えば、イベントを開催するにあたって…必要な当日のボランティアの数…」

 

「…前回…は、1000人だな」

栞子「はい、そう書いてありますが…1000人なんて、どう集めるんですか?」

果林「どうって…この学園の1学年くらいの人数でしょ?」

 

…え、そんなに居たのか…この学園。

 

かすみ「スクールアイドルが好きな人って考えたら…余裕で集まるんじゃない?♪」

栞子「でしたら、はっきりさせましょう…期日までに1000人、集められたら私も腹を括ります。

全面的な協力をお約束致します」

 

彼方「えっ、本当に!?」

栞子「しかし、もし出来なかったら…スクールアイドルフェスティバルを諦めてもらいます…この条件、飲みますか?」

 

「………………………」

栞子「それは出来ない、なんて言いませんよね?」

 

「…………はっ……とことん盛り上げさせてくれるじゃねぇか

たかだか1000人…余裕で集めてやるよ」

エマ「そうだね、私も峻くんを信じてるよ」

せつ菜「私もです!…私たちの…自慢の部長ですから!」

 

栞子「…約束、しましたからね?」

「…ああ、約束…しっかりしたからな」

 

がっちりと、握手をする俺と栞子だった。

 

 

 

────────────────────

 

 

【部室】

 

 

 

「…さて、と」

 

もはや、いつも通りとなってしまったかのように俺はせつ菜の、膝枕の上で休んでいた。

 

 

「…ごめんな、せつ菜…なんか啖呵切って疲れちまったわ」

せつ菜「いえっ、私はいつでも大丈夫ですよっ♪」

 

しずく「でも…どうしましょうか…1000人」

「とりあえずμ'sやAqoursのみんなにもこのことは伝えよう…みんな、もうひと頑張りしてもらうけど…付き合ってくれるよな?」

 

果林「ええ、もちろんよ」

エマ「ここまで来たんだもの♪」

しずく「どこまでも一緒ですよ!」

 

歩夢「…うんっ、峻くんと私たちなら…きっとできるよ!♪」

「…ああ…頼もしいよ、みんな…」

 

こうして、ボランティア集めが始まった…。

……………………………………………始まりと同時に…不穏な空気が近づいて来るのを…誰も、知らなかった…。




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104話

せつ菜ちゃん可愛い
めちゃくちゃ可愛いのなんでだろうね、可愛いね(末期)


栞子「…スクールアイドルフェスティバル…か」

 

じっと…机の上に置かれていた資料が目に止まる。

栞子「…まさか、こんな形で関わることになるなんて…」

 

悔しそうな…寂しそうな表情で唇を噛み締める栞子。

その時、生徒会室にノック音が響いた。

 

栞子「はい、どうぞ」

歩夢「失礼します」

栞子「…上原さん?…何か言い忘れたことでも…?」

歩夢「栞子ちゃ……栞子さんにね、おめでとうって言い損ねちゃったから…」

 

その言葉に栞子は首を傾げた。

栞子「おめでとう、ですか…?…何に対しての…」

歩夢「今更だけど…学校説明会、無事に終わっておめでとう。

入学希望者も凄い人数が集まったって聞いたよ♪」

 

栞子「えっ……あっ、はい。

手助けしてくれたあなた方には感謝しています」

歩夢「それで、ね……さっきの話なんだけど…

スクールアイドルフェスティバルだけど…本当にいいイベントなんだよ?

スクールアイドルの学園祭って言われてて…」

 

話を全て聞く前に栞子が話を切り出した。

栞子「知っています」

歩夢「えっ?」

 

栞子「スクールアイドルフェスティバルこそ…

適性のないことにしがみつき続けた結果ですから…」

歩夢「…どういうこと???」

 

栞子「あのイベントは…スクールアイドルに挫折した私の姉が

…………………………………………………いえ、そんな話どうでもいいのです」

歩夢「どうでもいいって…栞子さんにとっては何か深い意味があるんじゃ…」

栞子「だから、本当にどうでもいいのです

スクールアイドルフェスティバルがいいイベントが、どうかも私には興味がありません」

歩夢「…そうは見えないよ?」

 

栞子「あなたにどう見えていようと関係ありません

私のことは放っておいてくれませんか?」

歩夢「放ってなんかおけないよ!」

 

栞子「なぜです?…ありがた迷惑なだけです」

歩夢「ありがた迷惑だったとしても、栞子さん

スクールアイドルフェスティバルのことになると…苦しそうなんだもん…峻くんも同じこと言ってたよ…?

放っておけないよ…」

 

栞子「私のことにかまけている暇はないと思いますよ?

あなたには、同好会の仲間たちとやるべきことがあるでしょう」

 

栞子「期日までに、スクールアイドルフェスティバルのボランティアを1000人集めること

学園でスクールアイドルフェスティバルを開きたいならこの条件は絶対ですから」

栞子「1人でも欠ければ…スクールアイドルフェスティバル自体無くなるのですよ?」

 

歩夢「もちろん、分かってるよ」

栞子「分かってません

私の経験上、個人のボランティア運営というものは…非常にあやふやな信頼関係の上に成り立っているのです」

 

栞子「1000人集めると決めたからと言って

ポンと集まるものではありませんよ

限りなく不可能に近い事だと私は思いますよ」

歩夢「…栞子さんの考えはわかった…だけど、私はそうは思わない

それを証明するためにも…峻くんと…みんなと一緒に…ちゃんと、集めてみせるね」

 

ニコッと笑いながら歩夢は、真っ直ぐ栞子を見つめた。

 

歩夢「スクールアイドルフェスティバルは…私たちの…峻くんの…ニジガクのみんなの夢だから、絶対に叶えてみせる」

栞子「そのみんな…の中に…私は含ませれません

私は…そんな夢なんて見ない…」

 

歩夢「…そう、かな……少なくとも…峻くんは、そんな風に思ってないと思うよ?

…だって、峻くん言ってたよ?…栞子さんはスクールアイドルの事が好きだって」

栞子「別に、好きなんかじゃ…」

 

歩夢「ふふっ、峻くんなら嘘って答えるね♪」

栞子「…なぜ私が嘘をつく必要があるんですか?」

 

歩夢「だって嫌いな人が、あんな風に一生懸命練習できるわけないもん」

栞子「それはっ……!

…そういう取引だったからです…そうでなければ誰が…」

 

歩夢「ふふっ、じゃあ…そういうことにしておくね♪」

栞子「これから先も…私の主張が変わることはありません」

 

歩夢「栞子ちゃ……あっ、え、えっと…っ…栞子さんの主張がどうでも

私は栞子さんが優しい人だって分かってるから」

栞子「と、突然何を…っ…意味がわかりません…」

歩夢「だって、教えてくれたんでしょ?

イベントするんだったら1000人って必要な人数なんだよね?

それをわかってて…集めるようにいってくれたんだよね?」

 

栞子「…違います。そういうわけでは!」

歩夢「うん、じゃあ…そういうことにしておくね

でも、楽しみにしててね…絶対に必ず1000人集めてみせるから」

 

栞子「全く…上原さんも意外と見かけによらず…頑固ですね…」

歩夢「えへへっ、栞子ちゃ……栞子さんも一緒でしょ?」

栞子「…あの、先程から思ってたのですが…私は誰になんと呼ばれても気にしません」

 

栞子「しお子、しおってぃー、鬼の生徒会長、冷血漢…色々な名前で呼ばれてます

ですので、あなたもお好きに呼べばいいのでは?」

歩夢「…俺の女?」

 

栞子「なっ、なぜっ…峻さんの言い方が出てくるんですかっ!!!///」

歩夢「ふふっ、その呼ばれ方は慣れてないみたいだね♪」

 

栞子「全く…頑固な上に…意地悪な部分があるのですね、上原さんには…」

歩夢「気にしてたなら、ごめんね?」

 

栞子「…あ、あくまで…呼びやすい名で呼んでくださっていいのですよ」

歩夢「ふふっ、じゃあそうするねっ、栞子ちゃんっ!♪」

 

 

「おーい、歩夢~…って、ここにいたのか…」

歩夢「あっ、峻くんっ!♪」

 

 

栞子「…………………」

歩夢「じゃあ、またねっ!栞子ちゃん!」

 

 

そういうと、歩夢は峻の傍に駆け寄り…生徒会室をあとにした。

 

 

「栞子ちゃんって呼ぶことにしたのか?」

歩夢「うんっ、呼んでもいいって言われたから♪」

「そっか、嬉しそうだな歩夢」

歩夢「うんっ♪」

 

 

そんな会話を耳にした栞子は1人ため息をつく。

 

栞子「………ふう」

 

 

 

栞子「スクールアイドルに夢中になってる人は…なぜ皆あんな感じなのでしょうか…

訳が分かりません」

 

栞子「…だけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資料を手に取る栞子。

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子「本当に理解できないのは…私自身…ですね

…あのイベントを…無くしたいはず…

勝手に復活するくらいなら…自らの手できちんと…終わらせてあげたい………なのに、なぜ…あんな条件を提示してしまったのか…」

 

 

 

 

【無駄だけど無駄じゃない事がたくさんあるのがスクールアイドル…なのかもしれないな】

栞子「……………あっ………………」

 

それもこれも……峻さんの…為…?

 

栞子「私は…一体…」

 

栞子「峻さんの思いや…姉さんが残したもの…って…」




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105話

いよいよ物語は15章に…


栞子との約束の後…俺たちはすぐに準備に取り掛かった。

 

 

愛「ねぇねぇ、みんな…こんなのどうかな?」

しずく「あっ、ボランティア募集のページですねっ!

もう完成したのですか…?」

 

愛「りなりーと一緒に、ね♪」

エマ「璃奈ちゃん、こういうの得意だもんね…尊敬しちゃうな~」

彼方「璃奈ちゃんのおかげでWeb関係は安心だね~…いい子いい子~♪」

 

璃奈「あわわ…璃奈ちゃんボード…''ぽぽぽ''」

「…八尺様?」

せつ菜「どちらかと言えば、某アニメのような感じがしますね…ほら、黄色いアフロ頭の…」

 

かすみ「見せて見せて~!…ま、まぁ…かすみんだってこれくらい出来るけど~…いいじゃん、すごくかわいい!♪」

歩夢「見てるだけでワクワクしちゃうね♪」

「確かに、見やすいもんな」

果林「伝えたいことも明確にしてあるし…やるじゃない、2人とも♪」

 

璃奈「えへへ…」

「ごめんな、仕事丸投げしちゃって…」

愛「これくらいお安い御用だよっ、ね、りなりー?」

璃奈「璃奈ちゃんボード、''ぶいっ''」

 

果林「ふふっ、愛と璃奈ちゃんだからこそ、ね♪」

愛「おっ、2人の愛の共同作業って~?!愛だけにっ!♪」

 

その言葉に璃奈ちゃんボードが何枚もペラペラ捲られている。

…まぁ、この2人はいつも一緒だからね…みんなそう思うよね。

 

愛「じゃあ、アップしちゃうよ?」

「あぁ、お願い」

 

エマ「…な…なんか、こういうのって投稿したあとってすこく緊張しちゃうよね…」

歩夢「大丈夫ですよっ、みんな応援してくれてましたし!♪」

 

せつ菜「ふふっ、学園のみなさんだけじゃありませんよ」

しずく「穂乃果さん達μ'sのみなさん…千歌さん達Aqoursのみなさんのおかげで…スクールアイドルフェスティバルはスクールアイドル好きの中では大きな話題になってますからねっ」

 

果林「そうね、SNSでも話題になってるのを見かけてるわ」

彼方「あっ、それ彼方ちゃんも見たよ~♪

みんな楽しみにしててくれてるよね~♪」

 

「スクールアイドルフェスティバル…だけじゃなくてニジガクのことも話題になってるしな」

愛「学校説明会の時の歩夢のステージ、良かったもんね!」

歩夢「えっ、えええっ…そ、そんなことっ…う、うぅ…///」

 

愛「あー…夢だったぁ~…って?歩夢だけに?」

歩夢「も、もうっ…愛ちゃんったら…!///」

 

「でも、あれが大きなきっかけになってるように俺は思うけどね」

果林「何言ってるのよ、峻がこまめに更新してくれた同好会のホームページだって…知ってくれたり応援してくれる人を集めた要因の一つじゃない?」

「俺は、そんな…」

 

彼方「何言ってるの~、もう峻くんは欠かせないんだよ~?」

しずく「はいっ、居ないなんて考えられません!」

 

かすみ「ま、まぁ!かすみんは初めて会った時から見抜いてましたけどね!」

「泣きそうな顔してたけどな」

かすみ「そ、そんなことないですーっ!!」

 

せつ菜「集めましょうね、1000人!」

「ああ、絶対集まるよ…1000人」

 

エマ「うん…そうだよね…きっと大丈夫!」

かすみ「1000人なんて余裕で集めて、しお子に土下座させましょうよ~最近話題のドラマみたいに♪」

 

果林「…許可を貰うだけ…だったような気がしたけど…?」

しずく「あっ…峻さん、これっ!」

袖口をクイクイと引き寄せ話の会話の輪から抜け出させたいしずく。

 

「ど、どうしたの?」

しずく「ボランティアの参加希望者が…100人を越えてます!」

彼方「えっ…えええっ…???雑談してた…10分くらいの間に…???」

璃奈「すごい…どんどん数が増えていってる…」

 

愛「ひゃー…凄いねぇ…バグってオチ…無いよねぇ?」

璃奈「ちゃんと動いてるから大丈夫だよ」

 

エマ「スクールアイドルフェスティバル…改めて凄いイベントなんだなって感じがするね…」

せつ菜「はいっ!!スクールアイドルファンの大好きを感じます!!」

 

歩夢「うん…みんな、こんなに楽しみにしてくれてるし…応援してくれてるんだね…!」

 

 

ピロリンっ。

 

果林「あらっ…私の携帯ね?」

携帯の画面を見た果林が微笑んだ。

 

果林「いつも応援してくれてる子から、ボランティア募集のページ見たってメッセージ来たわ♪」

そのまま画面をこちらに見せてきて。

 

果林「ふふっ、すぐに登録しちゃった、ですって♪」

愛「愛さんも仲良いクラスメイトのみんなから来たよ!♪」

かすみ「あっ、かすみんもですーっ!♪」

 

彼方「彼方ちゃんも…遥ちゃんの友達から沢山来てるよ~♪」

「まずは…1/10…だな」

 

歩夢「でも、まだまだ増えてくよ!♪」

「期待されてるな、スクールアイドルフェスティバル…」

かすみ「だから言ったんですよ~、1000人なんて楽勝って♪」

 

彼方「これならほぼ大丈夫だね~♪」

しずく「まだ気は抜けませんが…順調な滑り出しですね!」

 

 

「よしっ、このまま一気に1000人集めよう!」

「「「「おーーっ!♪」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、この時は…楽勝だ…順調だって思ってた……。

でも、俺たち同好会は知ることになる…。

 

1000人…という数が…果てしなく難しい人数の壁になる事を。




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106話

せつ菜ちゃんから毎朝起こして欲しい人生でした。

せつ菜「おはようございます!!
起きてください!!!!!!!!!!!!」


1000人の条件が出された後、初めての定例会。

 

穂乃果「ボランティア募集のページ見たよ!♪」

梨子「すごく楽しそうなイベントだって見てて伝わってくるねっ♪」

 

花丸「素敵なほ~む~ぺ~じ…?ありがとうずら~♪」

 

璃奈「えへへ、みんなに褒められて、嬉しい♪

やったね、愛さん」

愛「そりゃりなりーと一緒に作ったんだから褒めてもらえて当然だよ~っ、可愛いな~このこの~♪」

 

璃奈「愛さんっ…抱きつかないで~///」

 

かすみ「ボランティア希望者もどんどん集まってきますよ~!♪」

海未「とても素晴らしいですね♪

どのくらい集まっているのでしょうか?」

 

せつ菜「定例会前に見てきたのですが、300人弱と言ったところですっ」

花陽「すごいっ、そんなに!?」

 

しずく「お陰様で、音ノ木坂の方からも参加表明が来ましたよ♪」

凛「凛のお友達も参加するって言ってたにゃ~♪」

 

ルビィ「ルビィのお友達も予定が合えば参加したいって言ってたよ!」

ダイヤ「浦女の各部活動も正式に協力したいそうです

生徒会の方にもたくさん問い合わせが来てますよ」

 

真姫「へぇ~、いい感じじゃない」

絵里「でも、残り700人…まだまだ道のりは長いわね」

彼方「きっと大丈夫だよ~」

 

絵里「そうね。だけど後悔しないよう…やれることは全部やりましょ?」

「…だな、油断はしてないが…やれることはとことんやってやろう

…と、その前にボランティアの件も含めて…相談事が多いからな…」

 

にこ「ふふん、にこが人声かければ数百人なんて余裕だから大船に乗ったつもりで任せなさいっ」

「…ホントかなぁ」

 

にこ「ちょっとちょっとぉ…疑ってるの!?」

絵里「…あ、あはは…」

 

希「あ、ウチは神社でスクールアイドルフェスティバルが成功しますようにって絵馬を見たよ?」

果南「なんか、すごく注目して貰えるようになったんだね」

 

千歌「すごいコメント来ることも多くなったからねぇ~、いやぁ感慨深いなぁ」

善子「私も生配信…じゃなくて、悪魔の会議をしてる時…ボランティアに登録したってリトルデーモンがいたわよ?♪」

 

愛「愛さんも生配信の時に今登録してきた~ってコメント見たなぁ」

ことり「スクールアイドルフェスティバルのチラシを配ってても最近はすぐに無くなっちゃうからね」

 

鞠莉「音ノ木坂も~?

浦女もそうなのよねぇ~♪」

 

果林「読者モデルの撮影しててもその事で話しかけられるの多くなったのよね~…

これも、スクールアイドルフェスティバルの注目度が上がったからね♪」

歩夢「あっ、果林さんの雑誌読んでます!♪」

 

曜「歩夢ちゃんも配信したら?♪

最近、歩夢ちゃんのファンだーって人も多いよ?」

歩夢「わ、私に配信なんか…っ…

でも、私なりに出来ることを発信していくね!♪」

 

(…みんな、手分けして…頑張ってくれてるんだな…)

 

 

自分の両頬を思い切り叩く。

せつ菜「しゅ、峻さんっ!?」

 

「俺も、頑張らないと……な!」

せつ菜「はいっ、もちろんです!♪」

「絶対に期待に応えような、みんな!」

 

にこ「もちろんよ!みんなが思ってる以上に素敵ですごいスクールアイドルフェスティバルにするわよ!」

彼方「とにかく、まずは1000人!

残りの人数を集めるためにも、どんどん発信していこ~♪」

 

愛「じゃーぁ…これから募集サイトに載っける動画撮りにニジガクに来る~?♪」

せつ菜「いいアイデアだと思います!」

 

ダイヤ「当初はここまで反響があるとは思ってたなかったので考えてなかったのですが…スクールアイドルは何組くらい参加していただくのですか?」

「もちろん、上限なんか決めてないよ

全員参加できるなら参加してもらう!」

 

 

絵里「そうなると…タイムテーブルの管理とか、必要ね…」

千歌「あ、それなんだけどね!…あ、そろそろ秘密兵器が来るよ!」

 

「…は?」

思わず身構えた俺の後ろから…。

 

?「なんですか、兵器って…」

?「こんなところに…スクールアイドルがたくさん…」

 

千歌「遠路はるばる、ありがとうねっ♪

聖良さん、理亜ちゃん♪」

「えっ!?!?」

 

聖良「いえ、これもスクールアイドルのためのお祭り…スクールアイドルフェスティバルのお手伝いでしたらいつでも♪」

理亜「…この人は?」

 

「2人…とも…」

かすみ「え、えええっ…!!??

Saint Snow…!?」

せつ菜「あの、Aqoursの皆さんのライバル…Saint Snowのお2人が何故ここに…っ?」

 

千歌「私が呼びました~♪」

聖良「秘密兵器よばわりされてるのは初耳ですけど…」

理亜「………」

 

「あ、あぁ…初めまして…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長…宮之原 峻だ」

聖良「はじめまして、宮之原さん…千歌さんから話は聞いてますよ」

理亜「なんかこの人…不思議…」

 

聖良「理亜?」

理亜「ううん、なんでもない…姉さま」

 

千歌「Saint Snowの2人に!タイムテーブル管理をしてもらうよ!♪」

聖良「えぇ、お任せ下さいっ!」

 

理亜「………(じーーーっ」

「…な、何かな…」

理亜「別に…」

 

聖良(…理亜が男の人と初めて会って警戒してない…千歌さんが言うように…面白い人、と言うのは間違っていないようですね)

 

 

 

真姫「これでますます忙しくなるって事ね」

にこ「もしかして、無理って言うんじゃないわよね?」

 

真姫「まさか、心地のよい忙しさ…って言うべきかしらね?♪」

梨子「うんっ、なんかワクワクしてくるね…♪」

 

鞠莉「はーいっ、マリーやってみたいことあるの!聞いてくれる?」

花陽「あ、それなら私も!」

璃奈「私も、挑戦したいこと、ある…っ!

璃奈ちゃんボード…''むんっ''」

 

「あはは…こりゃ、とんでもないイベントになりそうだなぁ…」

せつ菜「ですが、皆さん…目は輝いてますよ!」

歩夢「期待してるよ、総監督っ?♪」

 

にこ「ふふん、峻も総監督って言葉が似合う存在になってきたわね♪」

「水着大会でもしてやろうかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌「………あぁ~…」

ことり「そ、それは~……っ」

果林「ない、わね…」

 

「…すいません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖良「…いつも、あんな感じなんですか?彼は…」

ダイヤ「えぇ、ですが…」

絵里「不思議と憎めないのよね…なんでかしら?」

 

 

理亜「………………………むー…」

花丸「どうしたの、理亜ちゃん?」

曜「さっきっから…峻くんの方ばっかり見てる…」

 

理亜「なんかあの人と話すと…心がもやもやする」

曜&花丸(……気がついて……いる?)




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107話

せつ菜ちゃんのニーソになりたい人生でした(平常運転)


「…………………zzzz」

 

 

授業中、俺は分け目も振らず…爆睡していた。

全然起こしに来ないんだよな…歩夢もだけど…。

 

 

(…あれ…ここは…夢の中…?)

また千歌たちの夢を見たりして…。

 

昔の歩夢「あゆぴょんだぴょん♪」

あまりの可愛さにむせて目が覚めた。

「んぐっ、ぐはぁっ…!!!…はっ…夢…っ?」

 

歩夢「あっ…峻くん、起きた?…お昼休みになったから起こそうかと思ってたんだけど…」

 

「…あゆぴょん…」

歩夢「えっ!?…え、えええっ…?///」

「頼む!手を上にあげて、あゆぴょんってやって!」

歩夢「…え、えええぇっ…!?

きゅ、急にどうしたの、峻くん!?///」

 

「頼む!」

歩夢「……う、ううぅ…///

…あ、歩夢だ……ぴょん…///」

 

「ヨシっ!!!!!!」

歩夢「な、何がヨシっなの~!!!///

…もー…部室、行くんでしょ…?」

「ボランティア希望人数も気になるしね」

朝見た時は…850人?もいたからな…もしかしたら1000人越えてるかも…。

そんな期待を胸にそっと閉まって…

俺と歩夢は弁当箱を持って部室に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【部室】

 

 

「一番乗り~…と、言うわけにはいかないよな」

エマ「ふふっ、みんな揃っちゃったね♪」

 

愛「考えることは、みんな同じっと♪」

彼方「2人とも、ボランティアの募集が気になって来たの~?♪」

 

歩夢「うんっ!みんなも、同じかな?」

せつ菜「はい、今朝からずっと気になってしまって」

 

歩夢「あはは、そこはみんな一緒だね♪

…あ、峻くんだけは違う…かな?

寝ちゃってたし♪」

「あゆぴょん」

歩夢「そ、それはもういいから~!!//////」

 

璃奈「まだ、見てないけど…ボランティアの数、見てみる?」

「そうだな、全員揃ったし…見るか」

 

かすみ「こ・こ・は~…最初に部室に来たかすみんが見る権利、ありますよね!♪」

「…いいよ?」

かすみ「……や、やっぱりみんなで見ましょうよぉ~!!」

 

果林「だからみんな来るはずだから来たら見ようって言ったじゃない…」

「何も言わないで揃うなんて…ね」

 

かすみ「虫の知らせってやつですかね?」

璃奈「ちょっと、違うと思う…」

 

しずく「どちらかと言えば…以心伝心、と言うべきじゃないでしょうか…」

果林「気が合うってことよね♪」

 

彼方「みんな仲間~…って感じだよね~♪」

「俺にとってはみんな家族みたいな感じだけどね」

 

愛「パパ~♪」

「ちょ、その言い方はあかんから!!」

歩夢「お、お兄ちゃん!!///」

「それもそれで…!!」

 

果林「はいはい、見るわよ~?」

かすみ「えーーーっと、ですねぇ~……お、おおおお?!」

 

璃奈「…982人…っ!?」

歩夢「えっと…栞子ちゃんとの期日って…」

「まだまだ猶予はあるよ」

 

しずく「…み、見間違いでは…ありませんよね???」

彼方「もしかして……全員夢の中…?」

 

愛「ほっ!」

パシーーーン!

 

「いっったぁ!!!!」

愛「夢じゃないみたい♪」

「…愛…なぜ、俺の背中を…」

愛「えへへ、ごめんごめん♪」

 

そう言って肩を回してくる愛…まぁ、柔らかい感触がするし…チャラにしよう。

 

せつ菜「これなら…今日中にでも…達成…あっ!3人…そして4人…増えました…!!」

「μ'sやAqoursのみんなも宣伝にかなり力入れてくれてるからね…ありがたいよ、ほんと」

果南が舟盛り持って淡島とスクールアイドルフェスティバルの宣伝をした動画が送られてきたけど…あれも効果あったんだな…。

 

愛「5人追加!…これであと6人だよ!」

果林「もしかして、お昼休み中に1000人行くかしら…!?

すごいタイミングに来ちゃったわね!♪」

 

璃奈「可能性…大…璃奈ちゃんボード…''ぷるぷる''」

しずく「あうぅ~…気になってお弁当食べれませーん…!」

 

エマ「1人増えた!…あと5人…!!」

「ここまで来たら、目標達成するまでみんなで見るしかないよな」

 

せつ菜「スクールアイドルフェスティバル…本当に実現できるなんて…!」

歩夢「いつか言ってた…μ'sやAqoursと同じステージに立つ…その夢が叶うなんて…!♪」

 

かすみ「叶う、じゃなくて叶えるんですよ!♪

私たちみんなで、私たちの夢を!♪」

彼方「うんっ!♪」

 

愛「大変大変!あと一人だよ~!!」

璃奈「うぅ…緊張で胸が痛い…」

 

かすみ「お願い~~っ、あと一人来て~!!」

「……おっ」

 

見つめていた画面の桁数が…4桁になった。

 

「「「「……やったーーーー!!!!!」」」」

かすみ「くっくっく…これが…同好会の本気!!

見たか、しお子~!!」

 

せつ菜「放課後、報告しに行きましょう!!」

「だな、これで条件クリアだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

【放課後】

 

 

栞子「…そうですか、集まりましたか」

「あぁ、期日までまだあるが…大丈夫だよな?」

 

栞子「はい、おめでとうございます

…では、近々応募してくれた皆様を招いて説明会を開きましょう」

かすみ「…随分素直ですね?」

 

栞子「…他に何か?」

かすみ「もっと驚いたり悔しがったりするのかな~って思ってんだけど…」

栞子「取り乱して欲しかったのですか?」

 

かすみ「ま、まぁ…見てみたかった…というか…」

「かすみ~、それじゃダメだよ~…こうしなきゃ」

 

むぎゅーーーーっ。

 

栞子「な、なななななな、なにしてるんですかっ!?///」

「嬉しさのハグ~っ」

 

栞子「は、離してくださいっ!!!///」

「んー、すりすり~…」

栞子「ちょっ……い、やぁ…っ!///」

 

かすみ「おぉ…さすがたらし…」

せつ菜「しゅ、峻さんっ!…そ、その辺でいいのでは?

こうして認められた訳ですし…!」

 

「それもそうだな」

パッと栞子を離す。

 

栞子「はぁー…はぁー……///」

 

果林「これで会場問題も無事に解決ね♪」

愛「ここまで来たらあとは全力疾走だーっ!♪」

 

「それじゃあ、説明会の案内を出すか」

せつ菜「はいっ、行きましょう!♪」

 

 

栞子「………………………」

「それじゃあ、失礼するよ…栞子」

栞子「…はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パタンと扉が閉まり…栞子は静かに生徒会長の席に座った。

栞子(……何故でしょう…嫌な予感がするのは…私の…杞憂…でしょうか…)




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108話

4話!!皆さん見ましたか?

みんな可愛い!
せつ菜ちゃん…可愛い…もうハグしたい…


ボランティアへの説明会段取りが決まった中…

歩夢は自分の部屋でとある人に電話をかけていた。

 

歩夢「もしもし、栞子ちゃん?

こんばんは、歩夢です…今、大丈夫ですか?」

 

…まぁ、峻くんから電話番号聞いたんだけどね。

栞子は帰り道なのかコツコツと靴の音が聞こえてきた。

 

栞子「こんばんは、歩夢さん…どうしましたか?」

歩夢「えっと、ね………」

栞子「もしかして、また練習メニューの事ですか?

私は専門では無いので…的外れなアドバイスになってしまうので…峻さんに聞いた方が…」

 

歩夢「あ、ううん…今日はそういうのじゃなくて…もちろん、練習メニューについて相談したい気持ちはあるけど…今日はね…えっとね…」

栞子「……………なるほど、峻さんの事…ですね?」

歩夢「えっ!?…どうして分かったの…!?」

 

栞子「上原さん…貴方は少々無自覚なところがありますね?

スクールアイドル以外の話題といえは…峻さんの事がほとんどのような気がしますが…」

歩夢「…私って…そんなに峻くんのこと話してた?」

 

栞子「ええ、本当に仲がいいですね」

歩夢「…えへへ、なんか恥ずかしいな…///」

 

栞子「さて、ご用件は何でしょうか???

結婚式場探しですか?」

歩夢「ち、違うよぉ!!///」

栞子「すいません、からかってしまいました」

歩夢「し、栞子ちゃんも冗談とか言うんだ…」

 

栞子「…どこの誰かさんの影響…ですかね」

歩夢「えっ…?」

栞子「なんでもありませんよ…さて、本題は…」

 

歩夢「…峻くんって…どんな時でも…私たち同好会のメンバーの先頭に立ってくれて…頑張ってくれて…今回も…もちろん頑張ってくれてるんだけど…」

栞子「そうですね、今回…学校説明会でかなり助けられました」

 

歩夢「だからね、日頃の感謝も込めて…何か贈り物がしたいなって」

栞子「…きっと、喜んでくれますよ」

 

歩夢「それでね…何にしようか考えてたんだけど…考えがまとまらなくて…

栞子ちゃんにも一緒に考えて欲しくて…」

栞子「上原さんが選ぶものなら、なんでも喜んでくれると思いますが…いいでしょう、私もお世話になりましたし…ご一緒しましょう」

 

 

歩夢「やった!

じゃあ、今度のお休みに一緒に買い物に行かない?

もちろん、栞子ちゃんがいつもやってるボランティア活動が無ければだけど…」

 

栞子「土曜なら空いてますよ、その日で大丈夫ですか?」

歩夢「うん!ありがとう、栞子ちゃん!」

栞子「こちらこそ、峻さんに改めてお礼が言いたかったので…では、土曜に」

歩夢「うんっ、楽しみにしてるね!」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【同じ時間 峻の部屋】

 

 

「……………………………」

カチカチとマウスを動かす…俺が見ていたのはスクールアイドルフェスティバルのホームページ。

 

 

(…人数は集まってる…だけど…)

ホームページに寄せられたコメントを見ると…。

 

【なんだか難しそう…】

【思ってたのと違う…】

【説明会ってどんなのだろ…】

 

と、消極的なコメントも目立っていた。

「…やる前から見るもんじゃなかったな…段取りも決まったって言うのに…」

 

ピロリロリン。

 

「もしもし?」

せつ菜「こんばんは、峻さん!」

 

「せつ菜…どうしたよ?」

せつ菜「今度の土曜日!一緒にお出かけしませんかっ!?

アニメのコラボカフェがやってまして!!」

 

「スクールアイドルフェスティバルの説明会準備が…」

せつ菜「お気持ちは分かります…けど、少し羽休めも必要ですよ?

…峻さん、その事になると…周りが見てないので…」

「…うぐ…図星…だな」

 

せつ菜「ですから、リフレッシュしましょう!」

「わかった…じゃあ、土曜日な?」

せつ菜「はいっ、楽しみにしてますね!♪」

 

 

…土曜日…か。

(そういや、ここんとこ出掛けたりしてなかったな…)

1日くらいは…ハメを外しても…大丈夫…かな?

 

 

「って!もう結構な時間じゃん!…寝なきゃ…」

灯りを消して布団の中に潜り込む。

 

 

(…スクールアイドルフェスティバル…かぁ…)

峻として…目の前でμ'sとAqoursのスクールアイドルフェスティバルっていうステージを見て…悠とは違う環境で…よくここまで来れた…な。

 

(先行きが見えない不安はあるけど…やるしかないよな…なるようになれ…だな)

そう自分に言い聞かせて…俺は眠りについた。

 

 

 

 

────────────────────────

 

【土曜日】

 

 

 

歩夢「あ、栞子ちゃん!…待たせちゃったかな?」

栞子「いえ、まだ待ち合わせ時間前ですよ」

歩夢「…でも…栞子ちゃんはもう居たってことだよね?」

 

栞子「…だ、誰かとお出かけって…1回くらいしか…ないので…お待たせしては行けないと思い…このような有様に…っ」

歩夢「ええぇっ~!早く着いたなら連絡してよ~っ!」

 

栞子「…つ、次…ですか…わかりました…」

歩夢「よろしいっ!…って事で、改めてよろしくね?」

栞子「峻さんに感謝してるのは私も同じですから」

 

歩夢「あのね、あの電話の後…何を選んだらいいのかなって

考えたんだけど…どうしても思い浮かばなくて…」

 

栞子「とりあえず、お店を見て回りましょう

物を見ればピンと来るものがあるはずですよ」

 

歩夢「う、うん!そうだよね!」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【時同じくして…】

 

 

せつ菜「ここですよ、峻さん!」

「…一面アニメだな…」

 

せつ菜「これぞファンなら1度は足を運びたいコラボカフェですよ!」

「…それで…卓上にあるこの飲み物や食べ物は…」

せつ菜「コラボメニューです!特典付きですよ!♪」

「…あはは…胃もたれしそう……それに、この飲み物…ストローが…」

せつ菜「…ひ、ひとつ…だけ…ですね…っ///」

 

 

「どうするかはせつ菜に任せるよ~…ん、美味い」

せつ菜「え、ええぇっ!?…峻さんは…どうしたいんですか?///」

「口移しで飲みたい」

せつ菜「も、もうっ!そういうのは…2人きりの時に…ですからね…///」

 

そう言うと恥ずかしそうにストローに口を付けるせつ菜だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

歩夢「あっ、このペアチャーム可愛い!…けど~…栞子ちゃんに付き合ってもらってるのに…ペアじゃ私個人の贈り物になっちゃうね…」

 

栞子「…本当に峻さんのこと、好きなんですね」

歩夢「え、えええっ!?…ち、違うよぉ!///」

栞子「ふふっ、否定してるところがますます怪しいですよ♪」

歩夢「…栞子ちゃんは…どう、なの…?///」

 

栞子「…私…ですか……なんと言いますか…調子を狂わされます…あの人には…いつもいつも…でも…居ないと居ないで…落ち着かないと言いますか…///」

歩夢「…ふふっ、栞子ちゃんも同じだ♪

…あっ、似顔絵ってどうかなっ?」

 

栞子「…同じ…です、か…///

…って、似顔絵…ですか…???」

歩夢「ペンダントも捨て難いなぁ…

峻くん、ペンダントとかすごく似合いそうだし…」

栞子「…一応、補足しておきますが…校則違反…ですよ?」

 

歩夢「だ、だよね~…んー…没収されたら悲しいし…ダメか…」

栞子「やはりここは…高級海苔かタオルセットがいいかと」

 

歩夢「…お歳暮?」

栞子「い、言われてみれば…な、なら…健康を気遣って…野菜ジュースの詰め合わせなどは?」

歩夢「あははっ、それも同じだよ~♪」

 

栞子「…プレゼント選び…こんなに難しいとは…」

 

栞子「…あっ…閃きました!!

愛用の品など、どうでしょうか?」

歩夢「愛用……あっ、同好会ノート!!!」

栞子「それですよ!いつも同好会の時に、持ってましたよね!」

 

歩夢「うん…その日の練習でに気になったとことか…その都度細かく書いてくれるんだよね」

栞子「なら、それで────────」

歩夢「だけど…安すぎる…かな…?」

栞子「こういったものは値段よりも気持ち、ですよ

…1ページ目に同好会メンバーから峻さんへメッセージを書いてみたらいかがでしょうか?」

 

歩夢「あっ…それいい!凄くいいよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、無事に歩夢と栞子の買い物は終わった。

 

歩夢「今日はありがとう、栞子ちゃん!」

栞子「お役に立てたのなら何よりです」

 

歩夢「待ちきれないなぁ…♪」

栞子「スクールアイドルフェスティバル…成功すると、いいですね…」

歩夢「……?………うんっ♪」

 

 

どこか意味ありげな表情に一瞬歩夢の顔も不思議そうな表情になったが…いつも通りの笑顔に戻った。

 

 

 

…一方、峻とせつ菜はと言うと…。

 

せつ菜「うおおおおぉ!!!」

「…な、なんで9種類しか無い特典の狙ってる一種類が出ないんだ…うっぷ」

 

せつ菜「これも試練ですねっ…!!」

「か、勘弁してくれ~…………………………」

 

…こっちはもう少し、時間がかかりそう…(?)

 




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109話

分岐ルートですが、最終話での虹ヶ咲学園キャラのアンケート上位順から作らせていただきます!(そのためのアンケートでは無いのですが…)

彼方
せつ菜
歩夢
璃奈
栞子
果林
エマ
しずく
かすみ


現在こんな順番になっております!!!


【部室】

 

「μ'sやAqoursのみんな…集まってくれてありがとう」

にこ「なーに言ってんの、峻の頼みとあらばすぐに来るわよ」

果南「そうそう、三組のリーダーなんだから遠慮なく言ってよ♪」

 

穂乃果「皆でやるからこそのスクールアイドルフェスティバルなんだよ!♪」

「…そうだな、三組みんなの夢、だからな…」

 

真姫「全くもう…リーダー、しっかりしなさいよね?」

ダイヤ「そうですわ、今や押しも押されもせぬ私たちの…みんなのリーダーなんですから♪」

 

花陽「ふふっ、話も固まったところで…♪

何から始めようか?♪」

「とりあえず…資料作りだな…テキストは仮が出来てるけど…」

 

絵里「1000人分の資料のコピーと…ホチキス止めね」

希「資料作りって~…意外と重労働なんだよね~…」

かすみ「な~ら~…♪

誰が1番早く資料作れるか競争しましょうよ~♪」

 

曜「競争…むむむ…そう言われると…っ!」

凛「凛だって負けないにゃーっ!」

 

「はいはい、競いたい気持ちも分かるけど…急いでミスったら元も子もないよ?」

ダイヤ「そうですわ…こういう時は効率が大事ですわ」

 

にこ「それはそうだけど…気分が乗るのはやっぱり競争じゃないかしら?」

果南「じゃあ、罰ゲームかご褒美がないとね~♪」

 

花陽「に、ニジガクの学食で好きな物食べられるってご褒美は…どうかなっ?♪…ニジガク丼…美味しそうだったな~…♪」

…ニジガク丼って…毎日10色限定の…丼やないか…。

花丸「まるはスイーツセットがいいずら~♪」

…学食のスイーツで一番高いメニューを選ぶとは…。

 

エマ「ニジガク丼を賭けて…負けられないね…!!」

え、乗るの…エマ…。

 

かすみ「ぐふふ~…みんな欲に素直ですね~…♪

これは効率も上がりますって!やっぱりご褒美を賭けて競争しましょうよ~♪」

絵里「みんなのやる気が上がるのならいいけど…せめて…コピーだけは取らせてちょうだい…」

果林「そうね、コピーはちゃんとやって…まとめる所から競争…に、しましょうか?…なんだか私も乗り気になっちゃったわ♪」

 

愛「みんなやるなら、愛さんも負けられないな~♪」

ことり「…罰ゲームは…無し、だよね…?」

善子「罰…いい響きね…罰無くして…ゲームは語れないわ…そう…罰とは…!!」

 

花丸「善子ちゃんは、学食で何食べたいずら?♪」

善子「厚切りトースト!!…はっ!…よ、善子じゃなくてヨハネ!!」

 

しずく「大丈夫ですよ、ことりさん♪

罰ゲームをやるなんて言ったら峻さんが止めてくれますよ♪」

ことり「そ、そうだよね…♪」

 

ルビィ「罰ゲームが無いなら…自分のペースでがんば~ルビィっ!♪」

ダイヤ「ふぐぅっ!!!………し、仕方…ありま…」

 

海未「ことり、ルビィ…最初から諦めてはいけません!

スクールアイドルをやってる時のような強い気持ちをみせてください!」

…なんか趣旨違くなってない?

 

ルビィ「ふええぇ~!?」

せつ菜「向上心は大事ですからね!」

海未「はいっ、さすがせつ菜ですねっ♪」

 

「……この2人って気が合うんだな~…」

彼方「…あれ、歩夢ちゃんは?」

かすみ「なんか遅れるって言ってましたね?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【部室棟 廊下】

 

歩夢「お、遅れちゃった~…!!」

私ったら集合時間1時間、間違えるなんて~…っ!!

 

歩夢「…あれっ、栞子ちゃん?」

栞子「こんにちは、上原さん

ボランティア説明会に向けての準備は順調ですか?」

 

歩夢「うんっ!♪

今日はみんなで最後の準備なのっ

栞子ちゃんは…生徒会のお仕事?」

栞子「えっ?……あ、あぁ…えぇ…もちろん、生徒会の仕事ですよ

その…明日の説明会…上手くいくといいですね」

 

歩夢「ありがとう♪

きっと上手くいくもん、そのためにみんなでの準備だからねっ」

栞子「必ずしも……………いえ、水を差すものではありませんね

明日は、私も生徒会長として参加しますので」

 

歩夢「うんっ、栞子ちゃんもお仕事頑張って!♪」

栞子「はい、ありがとうございます♪」

 

 

 

 

栞子「………………………………………っ」

急いで部室に向かう歩夢の姿を見て…どこか言葉を濁しながら複雑そうな顔を浮かべる…栞子だった。

 

 

 

 

─────────────────────────

 

【講堂】

 

かすみ「せ、せんぱ~い…全部の椅子に資料を置き終わりました~…

はあぁ…1000人分…壮観ですね…一番置いたのは…かすみんだと思いますが…」

璃奈「かすみちゃん…最後失速してた

私の方が沢山置けたはず…璃奈ちゃんボード''むんっ''」

 

かすみ「えーっ、そんなことないもんっ」

「2人とも、お疲れ様…ほら、飲み物?」

頭を撫でると…2人は嬉しそうに飲み物を取りにいった。

 

愛「ねぇねぇ、スライドのプロジェクター借りてきたけどスラーっと移動させてこの辺でいいかな?」

「おっ、場所もダジャレもバッチグーって感じだな!」

 

愛「も~愛さん絶好調だよ~!♪」

希「ねぇねぇ、講堂って…みんな靴下?スリッパとか用意しなくて大丈夫?」

 

「あ、靴下じゃなくてニーソックスじゃなきゃダメだよ?

…希みたいにね…」

じーっと見ると希がにやにやしながらスカートの下を隠した。

 

希「やーん、ダメやん…///」

「と、まぁ…冗談はさておき…職員室行って借りないとね」

千歌「あ、じゃあ千歌お願いしてくる~!」

 

梨子「千歌ちゃん…すごい体力…私、もうヘトヘトだよ~…」

千歌「まだまだ元気だよ~♪みかんパワーだねっ!♪」

 

しずく「先輩っ、受付の設営も見てくれますか?」

「OK、歩夢も一緒に見てくれるか?」

 

歩夢「はーい♪…あっ、峻くん?」

「ん、どうした?」

 

歩夢「…いよいよ、だね」

「あぁ、なんか柄にもなく緊張してきたよ」

歩夢「さっき栞子ちゃんに会ってね、上手くいくといいねって言ってくれたんだ」

「栞子が?…珍しいね、明日雪でも降るんじゃないかな」

 

穂乃果「そしたら私が晴れにしてあげるよ!」

海未「穂乃果は晴れ女ですからね…」

ことり「それも雨でも雪でも晴れにする…」

穂乃果「褒めなくても~♪」

 

海未&ことり「…ん、んんん………」

穂乃果「な、何その顔~っ!?」

 

 

 

(みんな盛り上がってるな…俺も、気合い…入れないとな)

 

…そう、ここまで…誰も気が付かなかった。

俺が緊張した予感が…的中してしまう事を…。




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110話

ついに来ました…不穏回…

作者から言えることはただ1つ…。

【丸太は持ったな!?】
※心して読むこと!という意


【説明会当日】

 

この日の天気は…生憎の曇り空だった。

しかし、そんな天気とは裏腹に俺の心は晴れ晴れしていた。

 

ここまで準備してきた説明会…絶対に成功させて、スクールアイドルフェスティバルに繋げる…その一心だったからだ。

 

「おはよう、歩夢」

歩夢「おはよう、ついに説明会当日だね」

エマ「緊張して…あんまり寝れなかったな~…ふぁ…ぁ」

 

璃奈「私も…少し眠い…」

彼方「逆に彼方ちゃんは…お目目しゃっきりさんだよ~♪」

果林「ほらほらっ、みんなどーんと構えましょうよ?」

 

愛「そうそう、あとはせっつーを応援するって事だし~♪」

せつ菜「今更ですが…私が進行役で…いいのでしょうか?」

「当たり前だよ、俺はせつ菜にやって欲しいからな」

せつ菜「峻さん…///

はいっ、分かりました!」

 

かすみ「せつ菜せんぱ~い♪

いざとなったらかすみんが代役を買って出ますよ~♪」

「よし、なら一発ギャグでもやってもらおうかな?」

 

愛「おっ、かすかすの一発ギャグ見てみたいかも~♪」

かすみ「かすかす言わないでくださいよー!」

 

愛「えー、可愛いのに~?」

かすみ「うぐっ…か、かすみんが可愛いのは知ってますが…かすかすはダメです!」

せつ菜「あっ、そういえばμ'sとAqoursの皆さんからメッセージが来ましたよ!…説明会、期待してるよ!と!」

彼方「今更だけど…スクールアイドルフェスティバルの為に1000人来てくれるって…凄いよねぇ♪」

 

エマ「一緒に頑張ってくれる…新しい仲間だね♪」

果林「せっかくなら、説明会の後に交流会とか開きたかったわ~♪」

「あはは、椅子とか追加しなきゃいけないからさすがに今からは────────」

 

 

ゴロゴロ………ピシャァ!!!

 

しずく「わっ!!!」

かすみ「ひっ…!!」

愛「きゃ、きゃーーーっ!!」

 

歩夢「かみ、なり…?」

せつ菜「近かったですね……峻さん?」

 

「はぁ、はぁ…っ…大丈夫…だから…」

璃奈「すごい汗…」

彼方「お水…飲む…?」

 

「あ、あぁ…貰うよ…」

水を半分ほど飲み干し…俺は一息ついた。

 

「…よし、そろそろ行こうか…」

歩夢「大丈夫…?」

「柄にもなく緊張してる時に雷なんて…な…大丈夫だから、行こ?」

歩夢「う、うん…」

 

 

そして俺たちは部室を出て行動に向かうのだった…

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

【講堂】

 

 

重い扉を開けた先に見えた光景は────────

 

 

 

 

 

思ったものと違う景色だった。

 

 

 

 

エマ「……えっ…どういう…こと?」

彼方「…ガラ、ガラ……………」

 

 

 

 

果林「1000人どころか…100人も居ないじゃない…」

璃奈「…えっ、と……ま、まだ…開始時間…じゃない…?」

 

その質問にしずくが首を横に振った。

しずく「いいえ、時間通り……です」

歩夢「それじゃあ……そ、そうだっ

ボランティアの人達に開始時間を伝え間違えたとか…っ?」

 

 

 

 

せつ菜「今来てる人達もいるので…その可能性は薄そうです…」

かすみ「電車が止まってたり…渋滞が起きてるって可能性は…っ?」

 

 

 

 

 

愛「調べてみたけど…遅延も渋滞もないね……」

「………………………………………………………………」

 

講堂の景色を見て怪訝な顔をしているのは自分でもわかっていた。

俺は言葉を発することなく携帯のメールをチェックしようとした…その時だった。

 

 

栞子「みなさん、おはようございます」

「…………栞子」

 

栞子「誠に残念なお知らせですが…本日の説明会参加人数は…ご覧の人達で全員です」

かすみ「そんなことないもん!!もっとくるよ!!」

 

歩夢「そ、そうだよ!1000人の人達がボランティアに協力するって登録してくれたんだよっ!」

しずく「遅れてるだけですよ!…これで全員なはずありません!」

 

愛「…あっ、み、みんな…これを見て!」

璃奈「どうしたの…?」

 

 

 

愛「峻の代わりにメールチェックしたんだけど…説明会には行けませんが頑張ってくださいって感じのメールがこんなに…」

 

彼方「……みんな…協力してくれるって言ってくれたのに…どういう事なの……」

「…………………………ちっ…」

 

 

 

自分の杞憂なら…なんて思ってたことが現実になり…俺はただ舌打ちをするしか無かった。

栞子「…峻さんも同じことを…思ってますね

私も…杞憂だと思ってました…しかし、これが現実なんです」

 

「…説明してみろ、栞子」

 

栞子「…はい

ボランティアとは…こういったことがよくあるんです

これは私の経験でもあります

応募した時の熱意は本気でもよくよく考えると割に合わない

面倒だと思う人が…圧倒的に多いんですよ」

 

歩夢「……そんな……」

栞子「応援したいという気持ちは本物でしょう

でも、実際に苦労が伴うともなれば消極的になってしまうものです」

 

栞子「…誰かにやって欲しい、きっと誰かがやってくれる

私ひとりが参加しなくても大丈夫……誰しもがそんな風に思ってしまうのです

 

気持ちだけで、熱意だけで人を動かすことが出来たらどんなにいいでしょう

…ですが、しっかりと受け止めてください

これが現実なんです」

 

「……………………………………………………」

栞子「そんな顔しないでください…あなた方の想いに応えてこれだけの人がわざわざ集まってくれたんです

私からすると…これだけの人数が集まってくれたことに驚きです」

 

「…あぁ、説明会は…きちんとこなす」

栞子「忠告しておきますが…ボランティア集めについては期日まできちんと待ちます

ですが…諦めるという選択肢も…頭の中に入れて置いてください」

 

「……あぁ、ボランティア集め…してやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて、威勢のいいこと言っていたけど…。

見栄を張ってるだけだった。

 

 

 

 

 

 

本当は策も何もないのに…………俺は…………………。




ここから峻くんのちょいワル感と主人公つえー感が増していきます


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111話

…20章に関して色々言いたいことはありますが…
NEXT Rainbow!!は今まで通り変わらず行きますよ!

…その前にこっちの問題が…


「……はい、ええ、はい………」

 

ここ数日、俺の行動はワンパターンになっていた。

片手に手帳を持ち肩で携帯を押えてもう片方の手でペンを走らせる。

 

ここ近辺のスクールアイドル部がある学校に片っ端から電話をし

足りない分のボランティアの人を集めていた。

 

「……はい、失礼します」

結果は………芳しくないが。

 

 

 

 

────────────────────────

 

【部室】

 

果林「…いつになったら戻ってくるのかしら?」

エマ「ちょっと……いや、結構…長い、よね?」

 

せつ菜「説明会の後…一言言い残して部室に戻ってこないなんて…

あんなに大好きだった部活が…」

歩夢「………1000人近い人とプラス出れそうな人に電話してるんだもん

…時間が欲しくてしょうがないんだよ…」

 

かすみ「…今何人くらい連絡取れたんですかね…

きっと……明日は…来てくれます、よね…」

歩夢「…どう、かな…」

 

愛「しゅんしゅんの頑張りに水差すようで言いたくなかったんだけどさ…

それだけの人数に1人で連絡するなんて…やっぱり無茶だよ…」

彼方「彼方ちゃん達にも…なにか出来ないのかな…」

 

璃奈「その方が効率的なのにね…」

歩夢「私も昨日ベランダでそういったんだけどね…''自分に任せて欲しい''って……歩夢達は自分のやるべきことと向き合って、って…」

 

果林「そんな事言われても、あの子のこと気になってそれどころじゃないわよね…」

かすみ「…水くさいですよ…峻先輩…」

歩夢「………うん」

 

せつ菜「頑張ってくれてることに関しては感謝しかありません…

ありません…が…」

果林「もっと頼りにしてくれても良いのに……

私たち、そんなに頼りないかしら…?」

 

しずく「頼って貰えないのは…少し…寂しいですね…」

愛「…ぶっちゃけていいのか分からないけどさ~…

しゅんしゅんが居ないと張り合いないんだよね~…」

 

かすみ「分かります…かすみんも頭なでなでして褒めてもらえなくて…寂しいです…」

エマ「私たちの練習見てくれてる時凄く楽しそうだもんね

その姿見て私達も嬉しくなって…」

 

璃奈「練習…峻さんが居たらあっという間な感じだった…

今すごく…長く感じる…」

 

彼方「彼方ちゃんも心にポカンと穴が空いた感じだよ~…」

愛「少しでいいから顔出してくれると嬉しいんだけどなー…」

 

歩夢「…………………………そう、だね…………」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【昼休み】

 

 

 

歩夢「………………はぁ」

栞子「…上原さん?」

 

 

歩夢「……………………………はぁ」

栞子「上原さん!」

 

歩夢「………えっ?……あぁ、栞子ちゃん…」

栞子「一体どうしたのですか…そんな今にも飛び降りそうな顔をして…」

歩夢「………ごめん」

 

栞子「…意気消沈なのは見て取れますが…ボランティアの集まりが悪かったのがそんなにショックでしたか?」

歩夢「……………ううん、違うの」

 

栞子「…?…違うのですか…?」

歩夢「……ごめん、うまく説明できない…」

そう言って手すりに顔を俯かせた歩夢。

栞子も困り果てた顔をしていた。

 

 

栞子「…話、聞きますよ…

上手く言えなくても大丈夫です、思ったことを…言ってくれれば…」

歩夢「…ありがとう、栞子ちゃん」

 

栞子「…少し、場所を変えましょうか」

歩夢「…うん」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【屋上】

空は今にも雨が降りそうなくらい暗い雲が広がっていた。

歩夢は説明会の後の同好会の現状と峻のことについて全て話した。

 

栞子「…そんなことになってたのですか」

歩夢「…あの子が…峻くんがあんな風になるの…初めてだから…

どうすればいいのか…分からなくて…」

 

栞子「この前のプレゼントは?」

その質問に歩夢は首を横に振る。

 

歩夢「…まだ、渡せてないの…

説明会の後…お疲れ様会をして…その時にって……でも、あんな状況じゃ渡せないし…部室にも、全然顔出さないし…」

栞子「まずはプレゼントを渡しましょう

あの方は聡明な方なので…今は周りが見えなくなってるだけです

上原さんたちの気持ちを受け取ってくれれば…何が感じてくれるはずです」

 

歩夢「…そう、かな」

栞子「きっとそうです…良ければ、私が場を用意しましょう」

歩夢「そ、そんなっ…迷惑じゃ…」

 

栞子「決して。

むしろ…こうなってしまった原因の一端は私にもあります…やらしてください」

歩夢「…ありがとう、栞子ちゃん」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【放課後】

 

 

女生徒「楽しそうだから、もちろん応援はしてるけど…ボランティア活動ってなると…やっぱり…

あ、で、でも!お客さんとしては必ず参加するから!」

「…あぁ、分かった…ありがとうな」

 

会うというところまで漕ぎ着けたが…ご覧の有様である。

(…あって説得したところで…何も変わらないわな…これをあと何回繰り返すんだろ…)

期日までの日数と残り人数を考える度に焦燥感が押寄せる。

その度に見て見ぬふりをして自分を奮い立たせていた。

 

「お客さんとして参加…か…

この言葉、これでもう5件目か…」

ぐっとスマホを握る手に力が入った。

 

「…いや、弱音を吐く暇があるなら頑張るしかねぇよな…次は、っと…」

電話番号を打ち込もうとしていた時だった…。

 

 

穂乃果「あっ!やっぱり居た居た~!」

「穂乃果?…それに、千歌も…」

 

千歌「μ'sのみんなと練習してたんだーっ♪

…って、元気ないよ?…どうしたの?」

「…なんでもない。大丈夫だよ」

 

穂乃果「ねぇねぇ、ちょっとお話できないかな?」

千歌「あ、千歌甘い物食べたーい!」

 

「…悪い、ちょっと手が離せなくて…」

穂乃果「まあまあ」

千歌「いいから、いいから~♪」

 

半ば強引に俺は千歌と穂乃果に喫茶店に連れ込ませた。

 

穂乃果「ごめんね、話は全部聞いてるんだ…ボランティア説明会の事とか」

千歌「こんな形じゃないと…話ができないんじゃないかって…」

「………」

 

 

千歌「ねぇ、千歌達に…手伝えること…ない?」

「…そんな泣きそうな顔するなよ、可愛い顔が台無しだぜ?

気持ちは凄く嬉しい…でも、大丈夫

何とかなりそうだからさ」

 

穂乃果「私たちだって、力になりたいよ…っ!」

「大丈夫、十分力になってるよ

…μ'sのみんなも、Aqoursのみんなも…SNSで呼びかけしてくれてるでしょ?…結構、それを見た人たちからも連絡あるんだ」

 

穂乃果「それならいいけど…顔が暗いから…心配だよ」

「っと…顔に出てたか…総監督が情けないな~…」

あはは、と笑う俺…しかし、電話が鳴った瞬間に顔つきがまた険しくなる。

 

「悪い、ちょっと席を外す」

そう言って俺は机の上に2000円を置いて店を出た。

 

 

 

穂乃果「…峻くん…」

千歌「………なんか…千歌ね…峻くんが…すごく遠い存在になってる気がするの…」

穂乃果「千歌ちゃん…」

千歌「か、考えすぎだよね!あ、あはは…っ!」

 

 

 

 

 

ぐっと、膝の上で拳を握る千歌。

……峻の表情が気になって…頼んだデザートの味はよく分からなかった。

 

 

 




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待ってまーす!

かすみ「あれ、なんか変わりましたね?」
せつ菜「承認欲求ですね!分かります!!!!!」

果林「ちょっと欲張りなんじゃないかしら~?」
「…応えん(ボソッ」
果林「そ、その話はぶり返さなくていいでしょー?!///」

エマ「違うよ、峻くん♪
応暖(おうだん)だよっ♪」
果林「え、エマまで~っ!!//////」


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112話

我慢できなくて書きました。
峻と歩夢の思いがぶつかる…。


穂乃果と千歌と話した次の日。

今日も空は雲が広がっていた……が。

 

「…雨か…」

電話をしつつ、ちらっと外を見ると雨が降り始めていた。

次の瞬間、空が光り…どこかに雷が落ちた。

 

 

「…………っ…!」

逃げるように視線を元に戻す。

嫌な汗が額から流れているような気がした。

それに反応するかのように…数コール鳴るが…電話は繋がらなかった。

 

「…くそっ……次か…」

栞子「…あの、少しいいですか」

 

「栞子?……今、忙しいから後ででいいか?」

栞子「…お時間は…取らせませんから」

 

その一言に俺は構わずに電話をしようとしたが…何度か耳に携帯を当てようかという素振りをした後…複雑そうな顔で栞子に言い放った。

「…手短にな」

 

栞子「では、来てください…今日お話があるのは…私ではなく上原さんです」

「…歩夢が?…なんで?」

 

栞子「それは、これから…分かりますよ…中で上原さんが待ってますよ」

 

 

 

生徒会室の中に…歩夢は居た。

嬉しそうな顔をしながらニコッと微笑んだ。

 

歩夢「何だか…久しぶりだね…元気にしてた?」

「…あぁ…歩夢がこんな誘い方するなんて珍しいな…今日は…どうしたんだ?」

歩夢「…最近、朝も放課後も部活に来ないから…栞子ちゃんに協力してもらって…峻くんと話す時間を作ってもらったの」

 

「…同好会に顔を出せないのはすまないと思っている

その連絡すらしてないことに関しては…本当にごめん

だけど…今は有事なんだ…時間が惜しい…分かってくれ…」

歩夢「…無理…してない?…体を壊したら…無意味なんだよ…?

同好会のみんなも…心配、してるよ…?」

 

「…安心して、そんなにヤワじゃない

スクールアイドルフェスティバルが開催…いや、終わるまでは…歯食いしばって頑張るから…安心して」

歩夢「安心なんか出来ないよ…っ…峻くんだって休まなきゃ……もっと…私たちを頼ってよ…」

「何言ってんの…スクールアイドルフェスティバルに向けて…練習を続けないと…本番でミスしたりスタミナ切れたりしたらそれこそ無意味なんだよ…?

その為に今の時間を使って欲しいんだよ…こっちは」

 

 

歩夢「も、もちろん…練習はちゃんとやってるよ…!

μ'sやAqours…Saint Snowのみんなと同じステージに立つんだもん…恥ずかしくない…峻くんのためにも、完璧なパフォーマンスをしなきゃって…思ってる……だけどっ…!

今は…ボランティア集めが先、でしょ?

…峻くんばっかりに…任せきりにしたくない、私たちも手伝いたい!」

「…………………………………………」

 

 

歩夢「…私たち…同好会の仲間…でしょ?…力を合わせようよ…」

「…ありがとう…歩夢の気持ちはよく分かった」

歩夢「なら…っ!」

「でも、ボランティア集めがこんなことになったのは俺の体たらくが原因だ…自分の責任は自分で取る

これは俺がやらなきゃいけない事だ……

そのせいで…同好会のみんなに迷惑かけてるのは重々承知してる

でも、これはみんなの為に必要な事だから」

 

歩夢「……みんなの…ため…?」

「…あぁ」

歩夢「…本当に…みんなのためって思ってるなら…部室でも、電話…出来るんじゃないかな…

みんなだって…顔出してくれた方が…嬉しいに決まってるよ…?」

「………………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに、言われればその通りだ。

何も学園内を歩き回って電話する必要なんかない。

でも…なんで………それを頑なに認めたくない自分がいるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もちろん…俺もそうしたい…だけど、やるべき事をやらないと…スクールアイドルフェスティバルがダメになる…それだけは…避けたいから1人になりたいんだ…」

必死に出た言葉……何言ってんだろ…と思う自分が居た。

 

 

 

歩夢「ダメになっちゃうのが…そんなにダメ?

こんな風に…峻くんがボロボロになってまで…成功しなくちゃいけないの?

諦めたって…」

 

 

────────諦める?

その言葉に俺は妙に傷ついたような気がした。

 

「…諦めるって何…諦めることなんて絶対にしない!!

そんなに弱い気持ちじゃ、何とかなるものもどうにもならなくなる!!」

歩夢「そうだけど…っ…!

スクールアイドルフェスティバルって…そんなに大事なのっ!?

峻くん、約束したよね…っ…

同好会が認められた時…どんな事があっても味方…全力で応援するって…!」

「……っ………でも、みんな楽しみにしてるんだよ!?

スクールアイドルフェスティバルを!同好会のライブを!!!

俺は無理してまで叶えたいんだよ!!みんなの夢を!!!」

 

 

歩夢「…それは…私も分かるよ…」

「だったらなんで…!!」

歩夢「分かるけど…''気持ちがついていかないよ!''」

「…………………えっ…」

 

 

 

【気持ちがついていかない】…その言葉に俺の頭は考えることをやめた。

それと同時に…沸き立つ感情が…抑えようと必死に抵抗していたが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────決壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢「私がわがままなのかもしれない…ううん、わがままなんだと思う…

あなたの言ってることは正しいよ…ここまで来て…中止なんてあんまりだし…ありえないよね…それくらい、私だってわかるよ…」

 

…歩夢が何を言ってるのか分からない。

頭が真っ白になっていた。

 

歩夢「今…寂しくて仕方ないの…」

「…歩夢…」

ダメだ…抑えろ…俺…っ。

 

歩夢「みんなだって同じだよ…っ

峻くんが居ないと…寂しくて…部室が静かで…物足りないって…」

分かってる…そんなことくらい…俺だって…っ!

 

唇を噛み締めていると…生徒会室に電話が鳴り響いた。

「…っ…昨日電話した学校から…っ!

ボランティア参加の件で折り返してくれたんだ…

悪い、席を外────────」

現実に戻された俺は急いで電話に出ようとした。

こんな所でうつつを抜かす訳にはいかない────────。

 

 

 

歩夢「ま、待って!これだけ渡させて…!」

「…えっ?」

歩夢「これっ…峻くんへのプレゼント!

日頃の感謝を込めて…栞子ちゃんと一緒に選んだの

最初のページに…同好会みんなからのメッセージが載ってて…!

電話が終わったらでいいから…プレゼント持って…部室に行こうよ…!」

 

「…悪い、こっちに集中させてくれ」

いつもより低い声で歩夢に伝えたあと、俺は電話に出ようとした。

 

歩夢「…でも…」

タップしようとした直前…電話が切れた。

 

歩夢「…あっ…ご、ごめん…電話…切れちゃったね…」

「急いで掛け直す、後にしてくれ」

歩夢「ま、待って!このプレゼントだけ受け取って!お願いだから!」

 

そう言って歩夢はノートと一緒にこちらに体を密着させてきた。

頭に血が上ってた俺は…歩夢の体とノートを…咄嗟に振り払ってしまった。

 

 

「…こっちが大事っつってんだろ…幼馴染なら…

それくらい分かれよ!!」

ノートが落ちた瞬間に自分がしたことを目の当たりにして冷静になった。

 

 

 

「…っ」

歩夢「…わかんないよ…」

「…歩夢」

 

外の雨音がより一層強くなり…雷の音も近づいてきた。

そして…歩夢の声が生徒会室に響いた。

 

歩夢「峻くんのこと…何にも分かんないよ!!

峻くんだって…私の気持ち全然分かってくれないじゃない!!」

「…っ…!」

 

歩夢「私は…っ…みんなの夢とか…どうでもいいの!!

ただ、峻くんと…っ…峻くんと一緒に部活がしたかったから…!!

峻くんに誘われたから…スクールアイドルを始めたの!!!

それなのに…峻くんは今、全然私たちのことを見てくれてない!!

今の同好会がどうなってるかも知らないじゃない!!

…そんな峻くん…大っ嫌い!!!」

 

 

 

 

 

 

そう言って歩夢は泣きながら走り去った。

…ただ、俺は呆然と立ち尽くしていた。

 

「…は、はは…っ…なんで、分かってくれないんだよ…

みんなの夢は…スクールアイドルは…歩夢にとって…俺はそんなもんだったのかよ…!!」

頭の中がぐちゃぐちゃになっていた俺は魂が抜けたかのように笑うしかなかった。

 

栞子「…あの、私が口を挟むことでは無いと思いますが…

上原さんにあそこまで言わせたのは…峻さん、貴方ですよ」

「…何が言いたい…栞子」

栞子「彼女の顔…ちゃんと見てましたか?」

「……………………」

 

 

栞子「上原さんが…どんな顔してたか…よく思い出してください」

「………………………………………………」

 

 

 

 

失意の中…俺はただただどうすることも出来ないまま…立ち尽くすことしか出来なかった。




…あれ、書いてたら涙が…


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113話

ここら辺からスクスタのストーリーと少し変わった内容が入ってきます
峻くん、荒れます


「…………………………………」

 

歩夢【大っ嫌い!!】

「…………………くそっ……………」

1人、部屋の中で明かりもつけずに…壁にもたれかかっていた。

 

「…一週間、母親が出張…とはな…空気読んでやがるよ…ほんと…」

そう、今俺は家に1人…。

そして…学校に行かなくなって3日目だった。

やる気も起きないまま…気がつけば心に穴が空いたようだった。

 

 

「………」

何を思ったのか…立ち上がり、身支度をし家を出る…時刻は既に20時30分…。

隣の家の玄関をチラッと見るが…気にも止めずに俺はそのまま家を後にした。

 

 

 

────────────────────────

 

【歩夢 視点】

 

バタンっ。

「…えっ?…今の…峻くんの家の音…こんな時間に…どうしたんだろう…」

 

確か…峻くんのお母さん…一週間家を空けるって言ってたけど…。

 

「…って、もう峻くんのことなんか…どうだっていいのに…」

 

頭の中で考えた彼のことを忘れるように顔を振り、ベッドで寝る

 

 

 

「……………………………なんで…」

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

俺は訳もなく…お台場に来た。

こんな時間だから当然やってる店も少ない…というか、人もそんなにいないし…。

 

「…何しに来たんだろ…」

あてもなく歩いていると…。

 

 

ドンッ。

 

【い、った~…】

【おいおい、大丈夫か?】

【お兄さん、どうするの~…?

うちのダチ怪我しちゃったじゃんかよ~?】

「……………………」

 

正直、相手にする気もない。

無視してその場を立ち去ろうとするが…。

 

【何逃げてんだよ】

さすがに3対1…不利…だが…。

 

「…うっせーよ…機嫌悪いんだ…関わんな」

【あ、やんの?】

【程々にしとけよ~w】

【こいつ、言っとくけど空手の段持ちだ─────】

 

 

 

次の瞬間、土手っ腹を蹴りあげた俺。

八つ当たりのように殴り…そして、蹴りかかる。

 

「くそが…………くそが…っ!!!」

【や、やめっ…】

【ば、化け物…っ……】

 

我を忘れて喧嘩をしてたからか…。

【喧嘩か?】

周囲がざわつき始めた。

 

「…ちっ…」

これ以上は面倒事になりそうだ…そう判断した俺はその場をあとにしようとした。

 

 

 

 

「…お騒がせして…すいません」

騒ぎを気にしていた野次馬に頭を下げ…俺はその場を去った。

 

 

 

────────────────────────

 

【歩夢視点 23時頃】

 

バタンっ。

 

(あっ…帰ってきた…こんな遅くに…どこに行ってたんだろ…)

ベランダから隣の部屋を見てみるが…明かりはついてない。

 

 

「…知らないっ」

そう言って私はすぐに眠りについた。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日 虹ヶ咲学園】

 

愛「今日も峻と歩夢は欠席…か…」

2人が来なくなって…もう3日か…。

 

愛「…2人の分のノート取っておこっ」

そう思い、ノートを取り始めた時だった。

 

 

【なぁ、知ってる?…昨日この近くで喧嘩があったんだってよ】

【あ、知ってる…しかもウチの学園の生徒が起こしたって噂だよ…?】

 

愛「……………………(まさか…ね…)」

そう思いつつも…ペンを走らせていた手は少し震えていた。

 

 

──────────────────────

 

 

【部室】

 

せつ菜「はいっ、ボランティアの件でお電話をしたのですが…!」

同好会のメンバーは峻の言ったことを無視してボランティア希望者への電話をしていた。

 

峻に怒られてもいい、その覚悟で全員が協力して電話をしていた。

 

璃奈「…峻さん…今日は来てくれるかな…」

愛「…多分、授業にも出てなかったから今日も…」

 

 

果林「…峻…」

エマ「歩夢ちゃんも…」

 

その時、部室の扉が開かれた。

 

かすみ「せ、せんぱ────────」

栞子「失礼します」

 

かすみ「…なんだ、しお子か…」

栞子「…その様子だと、来てないようですね…上原さんと峻さん」

 

彼方「連絡入れても返事こないし…」

しずく「…今何してるのか気になるのですが…」

璃奈「どうすることも出来なくて…」

 

栞子「…あの人のことですから…無理して…多分あまり食事もとってないのでしょう…」

かすみ「…ありえそう…しお子、鋭いね…?」

栞子「見てれば分かります…体を壊してなければいいのですが…」

 

彼方「それに歩夢ちゃんも…」

栞子「…連絡は?」

璃奈「何も無い…」

 

かすみ「かすみん達…峻先輩と歩夢先輩の様子を見に行ったんですけど…ホームルーム終わったら…歩夢先輩、直ぐに出ていったらしくて…」

エマ「どこか具合が悪いんじゃいかって思って…保健室に行っても居なくて…」

 

愛「…んー…サボり…な、訳ないよなぁ~…歩夢だし…」

果林「かすみちゃんじゃあるまいし…連絡も無しにサボることなんてしないと思うわよ」

愛「そーだよねー…」

 

かすみ「ちょ、ちょっとーー!!

かすみんだって、サボりませんよー!」

エマ「…栞子ちゃんも…心当たり、ないよね…?」

 

栞子「心当たり………」

愛「あるみたいだね……しおってぃー、話してよ」

 

いつになく、真剣な表情の愛を見て…ため息をついて栞子は話し始めた。

 

 

栞子「実は…数日前に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果林「…そう、そんなことが…」

栞子「お互いの気持ちが…ぶつかってしまった…という所でしょうか…」

 

愛「んー…歩夢の方もショックはあるだろうし…しゅんしゅんの方も…ショックは大きいよね…」

かすみ「でもでも…かすみん…どっちも間違ってることは言ってないと思います…」

 

エマ「…うん、歩夢ちゃんの気持ち…私は分かるよ…」

璃奈「私も…そう、かも…」

 

しずく「ですが…諦めてもいいという中途半端な気持ちでは…出来ることも出来なくなってしまう…というのは確かにその通りです」

 

果林「えぇ…イメージは大事だと思うわ

妥協を良しとしまう気持ちが少しでもあれば…無意識に引っ張られちゃうもの…」

彼方「今がその頑張りどきってこと…だよね…寝てなんか居られないよ~…っ」

 

栞子「皆さん…」

せつ菜「難しい問題ですね…

峻さんの言ってることも…歩夢さんの言うことも分かります…

ただ、私個人の本音を言わせてもらえば…歩夢さんも峻さんもいない部室は…張り合いがこれっぽっちも感じられません…」

 

エマ「うん…ここ数日…気が散っちゃってたね…」

愛「ちゃんと見てくれる人が居ないと…これでいいのかって迷っちゃうよね…」

かすみ「かすみんも…相談したいこと…沢山あります…

邪魔しちゃ悪いかなって…ずっと、自分の心にしまい込んでいました…」

 

栞子「…それは、峻さんが1番わかってると思いますよ…

皆さんの声が聞きたい…顔が見たい、と…今は気持ちが追いついてないだけです…きっと、直ぐに戻ってきてくれますよ」

 

せつ菜「…はい、私たちのことを思っての行動だ…ということは皆さん理解しています

でも…やっぱり…峻さんが必要です」

果林「歩夢も…同じ気持ちよ」

 

栞子「…きっと、峻さんが聞いたら…自分を責めるでしょうね…」

璃奈「謝ることなんて…ない、のに」

 

しずく「私たちは…どんな事があっても先輩を信じて、許します

…今は、建設的な前向きな話をしましょう!」

栞子「…そう、ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

机に置かれた部長ノートを手に取り…そっと表紙を撫でた栞子。

…彼女の頭には…1つの考えがあった。




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114話

修羅場回、感想多くて驚きましたw


今日も学校には行かず………と、言いたいところだが…今日は土曜日。

学校自体は無い…が。

 

 

(同好会のみんな…集まってんだろうな…)

一瞬、みんなの顔が目に浮かんだが…直ぐに考えるのをやめた。

 

(…はぁ…なんか気が進まない…)

まだ家に一人の時間は長いし…テレビも…見る気ないな…

携帯も…みんなからの連絡を見ると…やるせない気持ちになるし…。

 

(…シャワーでも浴びよ…)

そう思って立ち上がった時だった。

 

 

 

 

 

ピンポーーーーーーン

 

 

「…誰だ……?」

心当たりもなく、出るつもりもなかったので無視をすることにした。

…しかし。

 

 

 

ピンポーーーーーーン

 

 

「2回目…歩夢じゃないようだな…」

あいつなら一回やって出なかったら諦めるもんな…。

 

 

「………はい」

栞子「三船です」

「栞子…なんで…」

栞子「…中に入れさせて貰えないでしょうか?」

「…………………………………」

 

俺はただ、無言でドアの施錠を解除した。

「…………」

栞子「失礼します」

 

俺の様子を見て特に何も言うことなく…栞子は家の中に入ってきた。

 

「…誰から…聞いた…」

栞子「優木さんからです」

「…しまった」

栞子「…その件につきましては…不問に致しましょう

優木さんのご家庭の問題も関係しているので」

 

そう言って机の上にガサガサと物を置いた栞子。

栞子「…あまり、食べてないようなので…お節介ですが、色々買ってきました…差し入れです」

「…そんな、気を使うなよ…」

 

栞子「まだ、分からないのですか…」

「…えっ?」

栞子「あなたがそんな様子だと…こちらも調子も狂うんですよ…

あなたは…私も優木さんも認めた生徒会長補佐であり…スクールアイドル同好会の部長なんですよ…っ!

もっと胸を張って…堂々としてください!」

 

「……なんだよ、急に来たと思ったら…説教かよ…」

栞子「ち、違います!これは…っ」

「俺だって…そんなことくらい…分かってるよ…!

でも…でも、俺は無力だった…!

なんにもしてやれなかった…詰めが甘いから…こんなことに…っ!」

 

悔しくて拳を握り締める。

俺だってスクールアイドルが好きだ、スクールアイドル同好会のみんなが好きだ。

…でも、こんな姿じゃ…。

 

栞子「…大嫌い…ですか?」

「……っ!!!」

栞子「…その言葉が…更にマイナスの思考に拍車をかけてたのですね…」

「そ、んな、こと…っ…」

 

栞子「…同好会の皆さんの…今の状況…知ってますか?」

「………………………」

 

静かに俺は首を横に振った。

知らなきゃ…と思いつつも…遠ざけていた自分がいたからだ。

 

栞子「無理もありませんね、連絡入れても見てないようですし

…今、同好会の皆さんは…峻さんに余計な事するなと怒られたりしても構わない…だから、私たちにできるボランティア希望者を集めようと頑張って各方面の方々に話をしています」

 

「………………ほら、やっぱり俺が役立たずだから…」

栞子「そうではありません、皆さん貴方の事が大好きだから…できる行動なんじゃないんですか?」

「………………………」

栞子「…まぁ…こんなことしている私も例外ではありませんが…」

 

そう言って自虐的に笑う栞子。

そして、優しく俺の事を抱きしめた。

 

栞子「…ゆっくり…自分のなりの考えと答えで結構です…

ですが、貴方は1人ではありません…月曜日、学園で待ってますよ」

「…………………栞子…」

 

そう言うと栞子は家の後にした。

「………………俺は…」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【栞子 視点】

 

 

 

「……あとは…貴方が決めることです…峻さん」

 

 

閉まるドアを目で確認し…そう呟いた私。

 

「…さて…次、は……」

そのまま…歩き始めた方向は…迷うことなく隣の家へと向かった。

 

 

「上原さんのご自宅でしょうか?…私、虹ヶ咲学園生徒会長の三船と言います…実は、上原さんにお話があり…」

 

こうして、私は上原さんの家に上がらせてもらった。

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

歩夢「し、栞子ちゃんっ!?…な、なんでうちに…っ!?」

栞子「お見舞いに来ました…あぁ、家の場所は…優木さんから」

歩夢「……ご、ごめんなさい!……実は…ず、ずる休みで…どうしても学校に足が向かなくて…」

 

 

栞子「ふふっ、上原さんの事だからそんな事だと思いました♪」

歩夢「…怒ら、ないの?」

栞子「…お説教されたかったのですか?」

歩夢「…うぅ、それは…やだけど…」

 

栞子「上原さんなら数日学校に行かなくても勤勉なので大丈夫でしょう

…私には、あまり分からない気持ちですが…」

歩夢「学校に行きたくないし、部活も黙って休んで…私ってダメな子…」

 

栞子「…」

歩夢「ねぇ…栞子ちゃん…私、どうしたら…いいのかな…」

落ち込む歩夢を他所に…栞子は少し微笑んだ。

 

栞子「…少し…外に出ませんか?…私が見るからに…気が滅入ってるように感じますよ」

歩夢「…でも……」

栞子「…嫌、でしょうか…?」

歩夢「…ううん、せっかく誘ってもらったし…行くよっ」

 

 

 

 

しかし、歩夢が家を出た瞬間…口から「あっ」という言葉が出た。

歩夢「…………」

 

峻の家を前を通るのが…少し複雑なのだろう。

栞子「…さ、行きましょう♪」

そう言って栞子は歩夢の手を握り…そのまま足早に峻の家の前を通り過ぎた。

 

歩夢「あ、ま、待って栞子ちゃん…っ!」

チラッと峻の家を見たが…少し俯きながら歩夢も栞子の後を追うよう足早に歩き去った。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

歩夢「…なんだか…ここに来るのは久しぶりだな…

前は用もなく遊びに来てたのに…スクールアイドル活動してから…あんまり来なくなっちゃったな…」

栞子「いい気分転換になりそうですか?」

 

歩夢「何となくだけど、なりそうな気がするよっ

…あっ、久しぶりに編み物やろうかなっ!

栞子ちゃん、ちょっとお店覗いていいかな?」

栞子「はいっ♪」

 

 

 

………………………………

 

 

歩夢「は~…っ…たくさん買っちゃった~…♪」

栞子「ふふっ、見ていて気持ちのいいくらい買いっぷりでしたよ♪」

歩夢「なんだか欲しいものがあれもこれもってなっちゃった…♪」

 

栞子「歩夢さんは本当に多趣味ですね」

歩夢「…そう、かな?……うん、そうかも…♪

私、やりたい事や好きな事が沢山あったみたい♪」

栞子「…上原さん…不躾な質問ですが…本当にそれでいいのですか?」

歩夢「…?…それでいいって…なにが?」

 

 

栞子「スクールアイドルの事です…もう、やらないのですか?」

歩夢「…もう、いいんだと思う

だって…もともと好きなわけじゃ無かったし…やりたかったわけじゃないから…」

 

そう言ってニコッと歩夢は笑った。

歩夢「これでいいんだよ、いつもの私に戻っただけなのっ♪」

栞子「…そう、ですか…私には、スクールアイドルをしている時の上原さん、とても楽しそうに映ってましたよ」

歩夢「…そう?」

 

 

栞子「…それに、同好会活動中はあんなに練習熱心でしたし…」

歩夢「…あ、あれは、みんなの代表だって…自分で思っていたから…」

栞子「…嘘、ですね…」

 

歩夢「…………………………どうして…」

栞子「…はい」

歩夢「…………どうして………バレちゃうのかな………」

栞子「私でよければ…胸の内の本音…聞きますよ」

 

そう言われた歩夢は買った物が入った紙袋をぎゅっと抱きしめた。

歩夢「………私…やっぱり峻くんの事…大嫌いになんて…なれないよっ…

やっぱり…気になっちゃう…諦めるなんて…嫌…っ

峻くんに…会いたい、よ…」

 

 

ポロポロと涙を零す歩夢。

 

 

栞子「…きっと…あの人も…同じことを…思っていると思いますよ」

歩夢「……えっ…?」

栞子「月曜日になれば…きっと、分かりますよ」

 

 

 

 

歩夢「……………峻くん………っ」




次回:叱咤と仲直り


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115話

スクスタストーリーより早い仲直り回?


(…あれ…)

 

目を開けると真っ白な世界に居た。

…確か…俺…あぁ、栞子からの差し入れ食べて…シャワー浴びて寝ちゃったのか…。

 

 

【そーゆー所は冷静に考えられるのにな~…】

「…誰だ?」

悠【おっす、久しぶり】

「…悠…」

 

悠【悠って…お前も悠だろ…】

「…そうだった」

悠【意気消沈って感じだな~…らしくないぞ?】

「…って言われても…」

 

悠【あのな、確かに自分の思うように行動しろとは言ったけど…なんか視野が狭まっていないか?】

「…そんな、こと…」

悠【いーや、あるよ…現に…同好会…だっけ?

信頼もしてないし…1人で背負い込むなや】

 

「…じ、自分だってそうだったじゃんかよ!」

悠【…ん】

 

そう言って悠は自分の手首を見せてきた。

「…あっ」

悠【これが仲間を信用してる証拠】

 

手首には…リストバンドが嵌められていた。

「……」

悠【…また千歌のやつ…綺麗に洗って付け直してくれて…

…お前も貰ったんだろ、同好会のメンバーから大事なもの】

「…貰ってない」

悠【…言い方を変えれば、貰うのを拒んだ…か

1人で全部どうにかしようと思って張り切るのは結構…だが

お前にも俺にも…周りには大事な仲間が居るんだ、そこだけは分かってあげろよ】

 

「……」

悠【…ま、見栄を張るのが男…なのかもな】

「…まだ…」

悠【ん?】

「まだ…間に合うかな?」

悠【あぁ、全然間に合うさ…だから、いつも通り…な?】

「…分かった」

悠【ん…じゃあ、そろそろ現実世界にでも戻ろうか】

 

そう言うと辺りが眩しく光り…俺は静かに目を開けた。

「…ホント、変な夢…」

ポツリと呟いた俺…時計を見ると時刻は8時半。

 

「…俺が俺に説教されるとか…ぷっ…変なの…」

普通に誰かに話したところで到底信じて貰えないような話だろう。

 

「…俺らしく…でも、仲間を信じて…か」

難しい事じゃないのに…なんで分かんなかったんだろう…。

「…それだけ…追い詰められてたってこと…か」

────情けない。

と、思ったが…そう考えるのもこれで最後にした。

 

 

「…まずは…謝ろう、みんなに…」

頭を冷やすために、俺はベランダに出た。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

歩夢&峻「………あっ」

隣のベランダには既に先客が居た。

 

服装を見るからに…お風呂あがり、と言った所か。

 

 

「…………………………」

歩夢「……………………………」

しかし、どちらも話を切り出せずに…そのまま空を見上げるしか無かった。

 

 

────────────────────────

 

【歩夢 視点】

 

峻くん…まだ、怒ってるかな…。

話したいのに…なんで、こんなに緊張しちゃうの…。

 

言わなきゃ…ちゃんと…っ。

 

 

ガラガラ…ピシャッ。

 

「…あっ…」

部屋に…戻っちゃった…。

 

 

「……そう、だよね…まだ…怒ってる…よね…」

心が痛むのか…私はベランダの手すりに顔を伏せた。

 

「…もう、峻くんは…私のこと…」

その時、またベランダの窓が開く音がした。

 

──────────────────────────

 

 

【峻 視点】

 

 

「……ほら」

俺は歩夢の体にパーカーを渡した。

 

歩夢「えっ……?

…い、いいよ、こんな…っ…!」

「ダメ……それに…歩夢に風邪ひいて欲しくないから…」

 

恥ずかしいのか俺は頬を掻きながら視線を外す。

歩夢「…ほん、とに、っ…ばかっ…!」

「…泣くなよ」

歩夢「ばかっ…ばかぁっ…!」

「…ごめん、俺…ほんとにどうかしてた」

歩夢「…っ……う、ううっ…!」

「…こっちに…来てくれるか?」

歩夢「…私だって…行きたかった、もんっ…!

ホントに嫌いになんて…なれないよ…っ!」

 

感極まった歩夢はベランダを去り…急いでこちらの部屋に来た。

歩夢「峻くん…っ!!」

泣きじゃくったまま…歩夢は俺の胸に飛び込んできた。

 

 

歩夢「私…っ…峻くんに、酷いこと…言っちゃった…っ…!」

「…それを言ったら…俺だって…手を振りほどいた時…痛くなかったか?」

歩夢「…痛く、ない…けどっ…ずっとずっと…心が痛くて…っ…寂しくって…っ…!

もう、峻くんと…離ればなれになるって思うと…悲しくって…!!」

 

…俺はただただ…歩夢を抱きしめた。

この数日…彼女には辛い思いをさせてしまった。

こんなことで、傷を癒せるか…分からないけど…。

 

「…歩夢」

歩夢「峻…くん…///」

そのまま…どちらからともなく…俺と歩夢は唇を合わせた。

 

歩夢「…やっぱり…好き、なの…峻くんの事…///」

「…歩夢…」

歩夢「…今日は…離さないで…///

峻くんの…傍に…いたいの…///」

「…あぁ、分かった…俺も…人肌恋しいや…」

 

そう言って歩夢の頭を撫でた。

歩夢「峻くんの手…なんだか懐かしいや…///」

「…歩夢の匂いも…なんか懐かしいや」

歩夢「えへへ、気がついたら…いつも通りになってるね…♪///」

「…だな」

 

 

 

歩夢「…明日…」

「うん、一緒のこと考えてると思う」

歩夢&峻「謝りに行こっか(♪)」

 

 

 

月夜の下俺と歩夢は同じことを言って同じように笑いあった。




雨降ってなんとやら…
結局この2人は仲良しが似合うんです!

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116話

密かにアニガサキの10話は侑ちゃん回なのでは?って思ってる自分がいます。


【朝】

 

 

「…ん、んん…っ」

歩夢「…おはよ♪」

 

目が覚めると…横で歩夢が微笑んでいた。

「…あ、そうか…昨日…」

歩夢「ふふっ、峻くんったら…ずっと抱きしめていたんだよ?♪」

「…恥ずかしいな、なんだか」

歩夢「私は…嬉しかったよ♪

凄く落ち着いたし…よく眠れた、かな…♪」

 

「…朝飯…食べてく?」

歩夢「うんっ♪」

数日前の険悪なムードが嘘のように…俺と歩夢は一緒に朝ごはんを食べた。

 

 

歩夢「…あっ、そうだっ」

「…ん?」

歩夢「…ううん、なんでもないよっ♪」

「…そう、か?

…もうお互い隠し事は…無し、だからな?」

歩夢「えへへ…じゃあ言うねっ…好きっ♪」

「…な、なんだそりゃ…」

歩夢「思ってること言っただけだもん♪」

 

「…あははっ、歩夢らしいや」

歩夢「…やっと笑ってくれた♪」

「えっ…?……あっ…」

歩夢「笑った方が峻くんらしいよ♪」

「…う、うっさい…!」

歩夢「ふふっ、困った顔も可愛いよ♪」

「わ、わかったから…!

ほら、食べて学校行くよ!」

歩夢「はーいっ♪」

 

と言ってるが…ニコニコしてる歩夢を見てると…安心するのは俺も同じだった。

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

【通学路】

 

 

かすみ「あっ……せ、先輩!…それに、歩夢先輩も!!」

しずく「しゅ、峻さん~っ!!」

 

「おわっ…あ、危ないよ…しずく…」

愛「やっと登校したと思ったら~…仲良しですな~♪」

歩夢「そ、そんなんじゃないよ!///」

 

菜々(せつ菜)「良かった、いつも通りの2人ですね♪」

「…みんな、朝…部室に少し集まれるかな?」

 

「「「はいっ♪」」」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【部室】

 

 

「…ごめん!」

俺は集まってくれた同好会のメンバーに頭を下げた。

 

 

エマ「おかえりなさい、峻くん♪」

彼方「待ってたよ~峻くん~♪」

果林「穴開けた分…しっかり働いてもらうわよ~?」

 

璃奈「居なかった間、寂しかった」

しずく「ようやく部室も賑やかになりますね♪」

かすみ「先輩先輩っ、かすみん達もボランティア集めしてたんですよっ褒めてくださ~い♪」

 

せつ菜「巻き返しはここからですよ!」

「…あぁ、俺には…みんなが居るからな…最後まで出来ることをしよう!」

「「「おーーっ!♪」」」

 

 

 

愛「…ねぇ、峻…ちょっといい?」

「…愛?…あぁ、分かった」

 

俺と愛は部室を抜け出し2人きりになった。

 

 

 

 

 

かすみ「あれ、そういえば歩夢先輩は?」

せつ菜「あぁ…なんか生徒会長のところに行ってくるって言ってましたね?」

果林「生徒会長…?…歩夢がなんで…」

 

彼方「もしかして…期限の引き伸ばしをお願いしに行ったとか~…?」

エマ「もう期限まで…5日しかないもんね…」

しずく「峻さんも…気がついたら…また焦りますかね…」

 

璃奈「…あ、れ…峻さんは?」

同好会のメンバーがキョロキョロ見渡すが既に峻の姿は無かった。

 

 

 

────────────────────────

 

愛「…話があるの」

「…うん」

 

愛「…峻…歩夢以外の人と…喧嘩…した?」

「……」

 

隠す訳にも…いかない、よな。

「…ごめん…あの時は…完全に頭に血が上ってた…」

愛「…そっか」

「…怒らないのか?」

 

愛「正直に話してくれたから…許す

…でも、これだけは約束して…峻が傷つくの…私は見たくない」

「…愛」

 

静かに俺を抱きしめた愛。

愛「峻は私の……ううん、私たちにとって…必要な人、なの…

だから…ずっと居て…」

「…あぁ、ありがとうな…愛」

 

おでことおでこを重ねた俺と愛。

愛「…辛かったんだからね」

「ごめんな、寂しい思いさせて」

 

少し笑いながら…俺は愛のおでこにキスをした。

愛「…こういう時、口にするものじゃないの?///」

「して欲しかったのか?」

愛「…言いたくない…///」

「…そろそろ、戻ろうか?

みんな気がついてる頃だろうし…」

 

愛「…待って!///」

「…愛?」

愛「…っ!///」

 

一思いに唇を合わせた愛。

よろめきながらも何とか受け止めた。

 

愛「…おかえり、しゅんしゅん…っ♪///」

「…あぁ、ただいま…愛」

 

いつも通りの明るい笑顔で話す愛。

それを見て…自分も同好会に戻ってきたんだなと実感した。

 

 

────────────────────────

 

【生徒会室】

 

歩夢「ありがとう、栞子ちゃん」

栞子「いえ、やはりお2人は仲が良いのがお似合いですので」

 

歩夢「…差し出がましいんだけど…もうひとつ…お願いがあるの」

栞子「…それを言いに…こちらに?」

 

その質問に歩夢はこくんと頷いた。

 

歩夢「…私も…私なりに…ボランティアの人たちを集めたいの!

…だから…私1人でライブしたいの!…作詞も作曲も…全部…!」

栞子「…上原さん」

 

歩夢「わかってるの…本当は峻くんにもいって一緒に考えてやった方がいいって……でも、私も…峻くんの役に立てるって証明したいの!」

栞子「…くすっ、分かりました…撮影係ならお手伝いしましょう」

 

歩夢「ホントにっ!?…あ、でも……講堂ってそんな簡単に使えないよね…」

栞子「…あぁ…それなら…ちょうど3日後…講堂の空きがありますが…流しそうめん同好会が使うと申請してきてたのですが…」

歩夢「な、何とかならないかな…っ!?」

 

栞子「…15分で大丈夫ですか?」

歩夢「うん…っ…やってみるよ!」

 

栞子「分かりました。

…ですが…作詞は今からでは…」

歩夢「作詞はできてるよ♪

…ズル休みしてる時に…私が思ったことをそのままフレーズにしてみたの

曲は…Aqoursの梨子ちゃんにお願いしたの」

 

栞子「なるほど。

…3日で準備…出来ますか?」

歩夢「出来るよ…栞子ちゃん…だって、私にはみんながついてるから!♪」

 

 

 

 

 

真っ直ぐ栞子を見た歩夢の目には…決意がみなぎっていた。

 




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117話

せつ菜ちゃんの胸に顔を埋めて鼻からCHASEしたい。


【3日後の部室】

 

「…足りない、か…」

パソコンの画面を見て…俺は顔を曇らせた。

 

エマ「ごめんね…役に立てなくて…」

「謝らないで…みんなの協力はほんとに心強かったよ」

エマの頭を撫でながら…俺は部室を見渡した。

 

「…歩夢…は?」

せつ菜「先程までいましたが…状況を察して…生徒会室に行ったかと…」

「…そうか、か…」

 

かすみ「………っ…」

しずく「かすみさん…泣かないでください…」

「…」

俺は静かにかすみを抱きしめた。

 

「…よく頑張ってくれた…みんな

でも、俺は絶対スクールアイドルフェスティバルを…いつか、開催させる…だから…今回は…」

そう、俺と同好会のメンバーで…今回は''諦める''と言う話で結論付いた。

…栞子が言うように…学生が1000人ものボランティアを集めること自体が…無謀、だったのだろうか…。

…認めたくは…無かったが…。

 

「…生徒会室に…行こう」

その言葉の後…ゆっくり俺たちは部室を出た。

 

 

────────────────────────

 

【時同じくして】

 

 

栞子「…配信の用意、完了しましたよ」

歩夢「何から何までごめんね、栞子ちゃん」

 

栞子「気にしないでください、生徒のために尽力するのが生徒会室の仕事ですから」

歩夢「うん…今の私の気持ち…精一杯伝えるね!」

栞子「はい、時間はこちらで指でお伝えするので…15分でお願いします」

 

歩夢「うんっ…私…伝えるよ…スクールアイドルフェスティバルのことも…峻くんの事も!

峻くんの頑張りを…皆に伝えたい!♪」

栞子「貴方ならきっとうまく伝えることが出来ますよ

…では、カメラを回します…いいですか?」

 

歩夢「うんっ!♪」

 

 

カメラが向けられる直前…歩夢は深呼吸し…一言…呟いた。

歩夢「…峻くん…」

 

 

栞子からOKサインが出た。

歩夢「皆さん、こんにちは

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の上原歩夢です

…今日は…私の気持ちを伝えたくて生配信を開催しました」

 

栞子「……」

歩夢「私、ずっと…やりたい事とか夢とか持ってませんでした

それでも、毎日…友達と遊んだり、お菓子を作ったり…編み物したり…普通に楽しかったです。

そんな自分に…不満があった訳ではありません」

 

栞子(上原さん…)

歩夢「けど、スクールアイドルを始めて…一緒に活動する仲間が出来て…毎日が本当に楽しくて充実した特別な日々になりました

もちろん、それまでの高校生活もそれなりに満足でしたが…スクールアイドルと出会って…胸を張って、充実してると言えます!」

 

歩夢「私をスクールアイドルに誘ってくれたのは…大好きな幼馴染みのほんの些細な一言でした」

 

歩夢「誰よりもスクールアイドルのことを大事に思ってて…スクールアイドルが大好きで…

いつも私たちの事を応援してくれる私の、大切な大切な幼馴染です」

 

歩夢「…今思うと…誘われた時は…軽い気持ちで…今いる同好会のメンバーの熱意に比べたら…無かったと思います」

 

歩夢「でも…大好きなあの子が…嬉しそうにアドバイスをしてくれたり…笑ったりしてくれる姿が…私は大好きで…私は、またその笑顔が見たいなって…頑張って…」

 

歩夢「気がついたら…練習が…楽しくって…仕方なくなってしまいました

その成果を…ライブで見せて楽しいって言ってもらえて…本当に幸せでした」

栞子(…やはり、峻さんのこと…心から信頼してるのですね)

 

歩夢「…でも…私は…そんな大好きなあの子と…喧嘩をしてしまいました

…本当に…些細な事で…私も…あの子も…感情的になって…

心にもない事を言ってしまったり…スクールアイドルなんか好きじゃない…やりたくてやってる訳じゃないって…」

 

歩夢「…でも…やっぱりあの子の事を嫌いになったり…スクールアイドルの事を辞めたりなんか…私は出来なかった

そう考える度に…心が寂しくなって…苦しくなって…」

 

歩夢「私は…スクールアイドルが大好きなんです!

そして…あの子と見た…大きな夢を…叶えたい!

スクールアイドルフェスティバルを絶対に…開催したい!」

 

歩夢「スクールアイドル同好会のみんなも…あの子も…みんな頑張って、開催に向けて…頑張ってます!

来てくれた人に喜んでもらえるように…みんなでアイディアを出し合って…」

 

歩夢「中でも…あの子は…スクールアイドルではないですが…いつでも真面目で…ずっと…寝る間も惜しんでスクールアイドルと向き合って…」

 

歩夢「スクールアイドルフェスティバルは…参加してくれたみんなを笑顔にしてくれる場所なんです!

…私は、みんなと一緒にスクールアイドルフェスティバルに出たいです!

ニジガクの皆や、Aqoursの皆…μ'sの皆や…Saint Snowの2人とも…

そして、世界中のスクールアイドルが大好きなみんなと!」

 

栞子(…同好会のみんな…か…)

歩夢「スクールアイドルフェスティバルは…私の夢です!

だから…一緒に叶えてくれませんか…っ?

みんなの夢、私にも一緒に叶えさせてください!…お願いします!」

 

 

歩夢「…私の想いを…精一杯伝えたいと思います!

…自分で…今の気持ちを歌詞に込めました…聞いてください──」

 

 

 

────────────────────────

 

【歩夢が生配信を初めてしばらくした時】

 

 

「…なんか、騒がしいな?」

彼方「みんな…どこかに向かっている?」

果林「…ねぇ、そこの貴方…どこにいくのかしら?」

 

【えっ!?スクールアイドル同好会の皆なら知っているかと思ったけど…】

「…俺らに関係があることなのか?」

 

【同好会の歩夢ちゃんが講堂で生配信やってるんだって!】

そういうと女生徒はそのまま講堂に向かっていった。

 

「…歩夢が、生配信?」

エマ「…ねぇ、峻くん」

愛「行ってみようよ、部長♪」

璃奈「私も……その方がいい気がする…」

 

「…みんな、講堂に行こう!」

生徒会室に行く足を…講堂に切り替えたのだ。

 

 

 

 

 

 

【講堂】

 

 

「歩夢…!」

講堂のステージには歩夢が立っていた。

…栞子がカメラを回していた。

 

「…栞子…」

栞子「…………………」

 

俺らの存在に気がついたのか会釈をする栞子。

…事情は…この後、聞こう…。

 

歩夢「聞いてください───── Say Good-Bye 涙」

「…………えっ」

 

初めて聞く曲の名前…。

一体…いつ、どこで…っ。

 

 

────────────────────────

 

 

 

歩夢「…とってもワクワクする…一生の思い出になる…トキメキいっぱいのイベント…みんなで楽しみましょう…!」

「…歩夢!」

 

俺は生配信ということを忘れて歩夢の元に駆け寄った。

「…歩夢…お前…っ」

歩夢「…私も…ボランティア集めをしたかった…けど…私には…これくらいのやり方しか…出来なかったから」

「…バカ…やっぱりお前は最高だよ…」

歩夢「…あっ…///」

 

抱きしめると…歩夢は俺の腕の中に収まった。

歩夢「しゅ、峻くん…っ!

これ、生配信だからっ…!///」

「…あっ…!」

 

愛「へっへっへ~…イチャイチャしてる部長と歩夢のシーンが収められちゃったね~♪」

かすみ「かすみんだって、峻先輩とイチャイチャしたいですー!」

せつ菜「ま、待ってください!抜け駆けはズルいですよー!」

 

 

クスッと微笑んで撮影終了のボタンを押す栞子。

栞子(…どうやら…効果は覿面…と言ったところでしょうか…)

 

チラッと配信画面を見た栞子…。

閲覧者数は…1万人を越えていた。




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118話

せつ菜ちゃんが可愛くって仕方ないです


【次の日 生徒会室】

 

「…歩夢が学校に行ってないのは何となく知ってたけど…

まさか、自分で作詞するとは…」

歩夢「ううん、峻くんへの気持ちや自分の想いを書き留めたら…あんな感じになって…」

 

栞子「何はともあれ…仲直りもしたわけですし、良かったじゃないですか」

「…今回の件で、色々未熟だって気付かされたよ」

 

栞子「…でも、安心しました

峻さんは完璧な人物だと思ってましたから…こんな一面もあるんですね」

「よせやい…俺だって弱い部分くらいあるさ…」

 

栞子「…ですが、失敗から学びを得られるのは素晴らしいことです

本来、峻さんは学校説明会の事で私と対立していた部長たちときちんと話してまとめることが出来る人ですから」

 

栞子「今回は、気心知れた相手だからこそ感情的になってしまったのかもしれませんが…それはきっと上原さんも同じ

そこはお互い様ということでしょう」

歩夢「…うん、これからは…心の言葉にしっかり耳を傾けるね」

 

 

栞子「それに、生配信もコメント…凄いことになってましたよ」

「…あー…あんな姿を見せたらな…」

栞子「…いえ、そうではなくて…」

 

歩夢「…違うの?」

栞子「代読させていただきますと…部長の男の子がかっこよかった。

彼もスクールアイドルフェスティバルに出てくれないかな…など」

 

歩夢「しゅ、峻くんは…同好会のみんなの峻くんなのっ!///」

「…歩夢、抱きついてくれるのは嬉しいけど…痛い」

歩夢「わあああっ!ご、ごめんねっ!///」

 

栞子「ふふっ、すっかりいつも通りですね…それに学園宛てにボランティア希望のメールなども殺到してましたよ…理事長も感服していました」

「…それじゃあ…」

栞子「はい、学園としても…スクールアイドルフェスティバル、容認致します」

「……はああああぁ…良かったぁ…」

 

栞子「素晴らしい幼馴染がいて羨ましいです」

「歩夢は世界一だからな」

歩夢「そ、そんなことないよっ!…もうっ…♪///」

 

恥ずかしがる歩夢。

そんな光景を心から安堵したように息を吐く俺。

…ふと、外を見ると…。

 

「…あれ、虹だ…」

栞子「晴れてるのに虹とは…珍しいですね」

歩夢「ふふっ、峻くんの成せる技…だったり?♪」

「まさか、そんな…なぁ?」

 

栞子「いえ、あるかもしれませんよ?…貴方はそれだけの人格者…ということです」

歩夢「…あ、そうだ!

今からパーティやるのっ、栞子ちゃんもどう?」

 

栞子「せっかくのお誘いですが…生徒会の仕事が残ってますし…

何より、スクールアイドルフェスティバルの事についても…整理しておきたい、ですしね」

そう言うと栞子は俺の顔を見て微笑んだ。

 

「…ありがとうな、栞子」

手を差し出す。

 

栞子「…いえ、こちらこそ

私も…今回は色々考えさせられました…凄くいい経験になったと思います」

歩夢「ふふっ、じゃあ早く終わったら来てね♪」

栞子「はい、そう致しますね」

 

そう言うと俺と歩夢は生徒会室を後にした。

 

 

 

栞子「…ありがとう…ございます」

虹を見た栞子の顔は…どこが清々しいように見えた。

 

栞子「これで…また私の好きな…スクールアイドル同好会に戻ってくれました…」

しかし、次の瞬間自分の発した言葉に耳を疑った。

 

栞子「私の…好き、な…?

…スクールアイドル…同好会……スクールアイドル…」

 

栞子(…夢は逃げない…一歩一歩…歩き続ければ…

スクールアイドル……私も………同じ…なのでしょうか…)

 

 

心には理解できないモヤモヤが残る栞子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【部室】

 

 

穂乃果「それじゃあ、モテ男くん!音頭よろしく~!♪」

「だああああ!それをもう引き合いに出すなー!」

 

海未「…全く、見てる方がよっぽど恥ずかしかったですよ」

「…すいません、あの時は色々と…」

 

絵里「まぁ、仲直りしたのなら良かったじゃない?

…歩夢もより一層峻の事を思ってるみたいだし♪」

歩夢「えへへ…///」

 

そう、歩夢は俺の隣を陣取って微動だにしない。

それを見て、ぐぬぬ…と悔しがる同好会メンバー数人。

 

歩夢「あ、峻くん♪

飲み物ついであげるね♪」

「ああ、ありがとうな歩夢」

 

愛「なんか以前に増して…イチャイチャしてな~い?///」

かすみ「負けませんよ~…!///」

 

「…えっと…じゃあ…とりあえず…みんな、乾杯」

「「「かんぱーいっ!♪」」」

 

何はともあれ、無事にボランティア1000人を突破したパーティーを部室で開催した。

 

千歌「締切前日に集まったって凄いよねぇ~♪」

凛「歩夢さんの生配信の力にゃ!」

花陽「あの曲、何度も泣いちゃったなぁ~…♪」

 

果南「未だにあの放送の事、話題になってるみたいだよ?♪」

愛「そうそう!ホームページのアクセス数も爆増って感じ~!」

 

梨子「飾らない…ありのままの気持ちを伝えのが見てる人に響いたんだと思うわ♪」

にこ「でも、最後に見てる方が恥ずかしい思いをしたわ~…」

 

ダイヤ「ですが、どんな人達がどんな思いで取り組んでるのか…見せられたことが良かったと思いますわ」

絵里「そうね、虹ヶ咲のみんなとスクールアイドルフェスティバルを作りたい!って思ってくれた人達があの動画について語ってくれたおかげで、一気に話題になったものね」

 

「…そういえば、SNSでもトレンド入りしてるって言ってたっけ…実感湧かなすぎて若干身震いしてきた…」

千歌「Saint Snowの2人も広報活動してくれてるし…みんながあってのスクールアイドルフェスティバルだよねぇ…♪」

 

善子「いよいよ、大詰めね…大リトルデーモン?」

「え、大つくの?」

善子「今回の起点は貴方によるものが大きいからよ

…さすが、私の認めた唯一無二のリトルデーモンね♪」

 

希「会場の問題は解決したし…後は、本番…やね?」

真姫「中途半端なパフォーマンスは見せられないわね…俄然燃えてきたわ」

 

鞠莉「That's Right!そのために明日からハードモードよ~♪」

海未「そうですね、今日は英気を養いましょう」

 

「…ああ、一生忘れられないスクールアイドルフェスティバル…俺たちの手で作ろう」

歩夢「ふふっ、少なくとも…私はもう参加して良かったと思ってるよ♪」

せつ菜「私もです!ここにいるみんながそう思ってますよ!」

歩夢「あははっ、それもそうだねっ♪」

 

 

絵里「ほらっ、部長さん?…ここで一言っ」

「え、ひ、一言?」

絵里「アレよ、アレ♪」

 

「あっ……えっと…スクールアイドルフェスティバル…に」

 

 

 

 

 

 

 

 

────────集え、みんなの夢!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────叶えよう!みんなで!




次回:部室で栞子と2人。



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119話

ここら辺スクスタストーリーとは全然違いますが
その点も楽しんで貰えたらなと思います!


【パーティー終了後 部室】

 

栞子「失礼します……あら?」

「あれ、栞子?」

 

栞子「パーティーは…」

「あぁ…英気を養うって感じでパーティーしてたんだけど…早めに切り上げて練習したいってみんな始まって…お開きになったよ?

俺は片付けと自分の仕事をやってるとこ」

栞子「そ、そうだったんですか…」

 

少し残念そうな顔をする栞子。

「…よしっ!仕事一段落ついたし…やろうっか?」

栞子「…やるって…何を…ですか?」

「パーティーだよ…って言っても、あまり大層な物じゃないけど…2人で…な?」

栞子「…いいんですか?」

「俺も栞子も手を取り合って頑張ったからな…俺は一緒にパーティーしたいよ」

 

栞子「峻さん…わかりました、ありがとうございます…♪」

そう言って俺は飲み物やお菓子を何個か用意した。

 

栞子「…こ、このような事は…初めてですが…こ、これでいいんですか?」

「合ってるよ…それじゃ、栞子…乾杯」

栞子「は、はいっ…!」

 

そう言って俺と栞子は紙コップを合わせた。

 

「…ありがとうな、栞子」

栞子「いきなりどうしたんですか…お礼を言いたいのは…こちらの方ですよ…」

「…いや、本当に…今回の件は…色々と俺も自分のダメなところを洗い出せたし…歩夢に協力してくれたし……この埋め合わせはどこかで必ずするからな」

 

栞子「…その言葉、本当ですか?」

立ち上がって俺を見下ろす栞子。

……もう既に…して欲しいことは決まってる…の、だろうか?

 

「…あぁ、本当だよ…聞かせて?」

栞子「…あの…その前に…1つ…思ったことを…喋ってもいいでしょうか?」

「……ん?…あぁ、いいよ…?」

栞子「…ありがとうございます♪」

 

そう言うと窓の外を見る栞子。

夕暮れの中…帰ろうとしている生徒たちを見て微笑む栞子。

 

栞子「…私…変なんです」

「…変?」

栞子「…どこか…安心してるんです…この、同好会の雰囲気に」

「…雰囲気…?

スクールアイドル同好会の…か?」

 

その言葉に栞子は頷いた。

栞子「どうしてなんだろうって…自分の言葉に疑問を持ったのですが…どうしても…確信が持てないのです」

「…うん」

 

栞子「…峻さん」

「…は、はい…」

歳も学年も下の栞子に敬語を使って…こっちも調子を狂わされていた。

 

栞子「…こんな…お願いをするのは…おかしいし…最初の頃を考えたら…ありえない話だと思います…ですが…今の気持ちを…正直に伝えたいんです」

「…栞子」

 

栞子「…私は…っ」

「待って!」

栞子「………っ」

 

何となく…察することができた。

それもそのはず…栞子の目が潤んでいたからだ。

 

「…栞子…前の事なんて…もう、忘れよう…俺はな…確かに最初はこいつ…なんだ?…って思ってよ、はっきり言って

けどな、心が打ち解けあった今…俺はちゃんと栞子の事は仲間だって認識してるいる……そして、栞子が好意を持ってくれてるってことも…な」

栞子「…お見通し、なんですね…峻さんには…///」

 

「…これでも、同好会のみんなのことを見てるからな…なんとなくだが、分かるさ」

栞子「…はい、私は…峻さんの事が…好きです…///

…こんな私のことを…これからも仲間として…見てくれますか?」

「…ああ、約束するよ」

 

そう言って俺は栞子の頭を撫でた。

 

栞子「…あと、もう一つ…これは、お願いに近いことなんですが…」

「ん?」

栞子「私を……スクールアイドル同好会に入部させてください!」

 

「…えっ…?…栞子、今なんて…」

栞子「気がついたんです…夢を追いかける大事さ…

一歩一歩…歩んでいくひたむきさ…仲間と感動を分かち合う瞬間…同好会の皆さんを見てると…私には…それが羨ましくて」

 

「…栞子」

栞子「雑用でも庶務でも…なんでもやります…だからっ…」

「…うん、栞子の気持ちはよく分かった…それに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────俺は勝手にだけど、栞子の事は同好会の一員って思ってたし」

栞子「……あっ………………」

「へへっ、入部届けを書いてないけど…ようこそ、栞子…スクールアイドル同好会へ」

栞子「ありがとうございます…っ!

……あ、でもっ…他の人たちには…どう説明しましょう…?」

 

 

「……せっかくなら、さ?

スクールアイドルフェスティバルまで…みんなには秘密にしておかない?」

栞子「えっ?…ですが…」

「それにさ!栞子もスクールアイドルフェスティバル…出ようよ!」

栞子「ええええっ!…な、何を…っ!」

「あれ、ダメか?」

栞子「わ、私は…っ!」

「栞子のステージ…きっと似合うと思うよ…俺は見てみたい」

 

栞子「峻さん……はぁ、押しが強いですね…相変わらず…」

「あはは、それが俺らしいからな」

栞子「…私も…出たい、です…」

「ん、なら決定だな!…衣装は…服飾同好会に頼んで…作詞と作曲は…よし、俺がやろう!…やれるな、栞子?」

栞子「はいっ、精一杯頑張りますっ!」

 

 

力強く答えた栞子を見て…どこか安心する俺だった。




はい、という事で栞子ちゃんが秘密裏に同好会の仲間になりました!

そして秘密裏にスクールアイドルフェスティバルに向けてこちらも準備が進めまられて…!

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天王寺璃奈 誕生日 特別編!

13日の!金曜日!
璃奈ちゃんボード''ババババババババッ''

「…チェーンソーじゃなくて…なんで鉈?」
璃奈「それはね、圭一く…「峻です」


「おーい、璃奈ちゃんいるか~?」

 

【あ、あれって…】

【スクールアイドル同好会の部長さん…っ?!】

【かっこいい~…】

 

「お、いたいた…って、璃奈ちゃん?」

璃奈ちゃんを見つけて机の前で膝立ちになる。

…しかし、今日の璃奈ちゃんはちょっと違っていた。

 

「…璃奈ちゃん…''ボード''は…?」

璃奈「…ちょっと…挑戦、してる…」

「…挑戦?」

璃奈「…ボード、無くても…皆に、私の思いや感情、伝えたくて…」

 

…なるほど、いつまでもボードに頼らないで…自分の足で一歩踏み出そうと頑張ってるんだな。

「…そっか、なんか出来ることあったら言ってな?」

璃奈「…あり、がとう……峻さん、今日は…なんの、用?」

「あ、そうそう!…これなんだけど…」

 

俺は制服のポケットからチケットを取りだした。

「これさ、ジョイポリスのアトラクションのチケットなんだけど…璃奈ちゃん、一緒に行く?…みんな予定があるらしくてさ」

そのお誘いに璃奈ちゃんはすぐに首を縦に振った。

璃奈「この、アトラクション…行きたかった」

「ホント!?なら決定だなっ!」

 

そう言って俺は璃奈ちゃんの手を取りチケットを大事そうに握り締めさせた。

「待ってるからなっ!」

璃奈「あっ……うん」

若干嬉しそうに教室を後にする峻を見て…璃奈はその姿を目で追っていた。

 

璃奈(峻さん、と…お出かけ…2人でって…初めて、かも…)

ほのかに自分の頬が赤くなってるような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

【約束の日】

 

「お待たせ、璃奈ちゃ……」

彼女と顔を合わせた時…俺は驚いた。

 

「…璃奈ちゃん、ボードは…?」

璃奈「…峻さんと、2人きりの…時は…本当の、自分…出したい

だから…ボードは…持ってこなかった」

 

変かな…と、璃奈ちゃんは無表情のまま首を傾げた。

「ううん、変じゃないよ…それに璃奈ちゃんの気持ち…凄く嬉しい」

無表情のまま見つめてくる璃奈ちゃんの手を取り…俺は歩き出した。

 

 

「…さっ、今日は思い切り楽しもう!」

璃奈「うん」

 

 

 

────────────────────────

 

【ジョイポリス】

 

 

「うひゃー…初めて来たけど…すっげー…」

近未来的な作りのテーマパークのようだった、テンション上がるな~…。

 

「璃奈ちゃん、やりたいのある?」

璃奈「…あっ」

目に泊まったのは…VRを使ったシューティングゲームだった。

 

「VR…また、最先端なものを選ぶね~…」

璃奈「初めて、やる…前から…やってみたかった」

「なら、やるしかないね!…えーっとね、ペアで迫り来る…鳥を倒す…って言うんだけど…」

 

璃奈「武器、いっぱいある」

「俺は何にしようかなぁ…」

璃奈「…私、これ」

手に取ったのは…スナイパー…。

「…じゃあ俺はこれかな…なんかかっこいいし」

璃奈「双銃…峻さん、らしい」

「そうかな?…なんかバトル系の物語の主人公になったみたい」

 

璃奈「…このゴーグル、付けるみたい」

「おぉ…本格的なやつ…」

S〇Oみたいなゴーグルを付けると…廃墟みたいなステージが目に広がった。

 

「うおぉ!…リアルだな…」

さっきまで何も無い部屋だったのが…こうもリアルな景色が広がるなんて…。

 

璃奈「峻さん、こっち」

「えっ?!…お、おうっ…璃奈ちゃんか」

見た目は中年のような男性プレイヤーの感じだけど…。

 

「どれどれ…おぉ、自分の手もしっかり映るんだな…」

試しに目の前に立つ璃奈ちゃんの頭を撫でてみた。

璃奈「…ん…敵、来る…」

「えっ?…う、うわっ…!」

 

いくらヴァーチャルとはいえ…鳥が迫り来る姿はさすがに驚く。

「く、うっ…倒してもキリがない…!」

その時、1匹の鳥が俺目掛けて襲ってきた。

 

「あ、ぶっ…!」

その時だった。

 

璃奈「任せて」

璃奈ちゃんがそう言った次の瞬間…襲ってきた鳥は目をバッテン印にしながら…サラサラと消えた。

 

「…り、璃奈ちゃん…」

璃奈「峻さんのことは…私が、守る」

(…普通、それは俺が言うんだけどなぁ~…)

 

 

 

────────────────────────

 

 

【アトラクション終了後】

 

「だあああ…遊んだ遊んだ…」

璃奈「楽しかった」

 

「…璃奈ちゃん、シューティングゲームとか得意なんだね…」

璃奈「ゲームは、得意…それに、峻さんも…敵に襲われる回数多かったのに…ノーダメージなの…すごい」

「…あ、あはは…俺だけ逃げるゲームになっちゃったね…」

 

飲み物飲みながらシューティングゲームの感想を言っていると…

璃奈ちゃんは別の方向を見ていた。

 

「…どうかした?」

璃奈「…あれ、欲しいなって」

「…さっきの敵の鳥?…あはは、プレイしていくうちに愛着湧いた?」

笑いながら質問すると璃奈ちゃんは小さく頷いた。

 

「…じゃあ、記念だし…買ってく?」

璃奈「えっ…でも…」

「いいから、いいから!……確かにこいつ…怖そうな顔してるのに…妙に愛着湧く顔してるな…えい、えい」

璃奈「…ありがとう、その…お詫び…」

「…お詫び?…そんなんいいって…な?」

璃奈「…でも…」

 

「…あ、じゃあ…1個いいかな?」

璃奈「…?」

「璃奈…って、呼んでいいかな?」

璃奈「……そんなことで、いいの?」

「うーん、俺としては結構背伸びしたんだけど…」

璃奈「…うん、いいよ

峻さんにそう呼ばれるの…なんだか、嬉しい」

「そっか、じゃあ…はい!プレゼントだよ璃奈!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳥のぬいぐるみを渡すと…大事そうに抱き抱えた璃奈。

…後日談だけど…璃奈が2人きりの時はボードを付けてないけど…。

無表情なのに表情が分かるようになったのは…俺の気の所為、だろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

璃奈「……♪」

「ん……今、少しはにかんだ?」

璃奈「そんなこと、ない」

「…そう、か」

璃奈(…ありがとう、峻さん…♪)




ぶっちゃけて言うと素顔の璃奈ちゃんの方が好きです


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121話

お久しぶりです!一週間ぶりです!
はい!体調崩してくたばってました!てへ!!!
とりあえず充電も出来たのでこれから更新頑張ってきますよ!


スクールアイドルフェスティバルに向けた設営も完了し…外を見ると

夕方……いや、もう日も暮れていた。

 

(…………………何か、思い出すな)

講堂で一人、明日から行われるスクールアイドルフェスティバルのステージから客席を眺める俺。

 

「…まさか、ここまで来るなんて…な…」

色々あった。

決して楽な道のりではなかった………でも。

「俺一人の力じゃない…よな…」

 

歩夢がスクールアイドルへの道を一緒に歩き始めてくれて…。

かすみが一人きりでも、同好会を守ってくれて。

せつ菜も、色々葛藤があったけど…同好会に戻って来てくれて…。

愛や璃奈は…あはは、かすみから何とかしろって言われて同好会に入ったんだっけ。

 

エマや彼方…しずくも…一度は同好会を離れたけど…戻ってきてくれたし…。

果林も…読者モデルをやってたのにも関わらず同好会に入ってくれたし…。

 

「…あっ」

一人、忘れてたな…栞子もだ。

最初はぶつかりあってたけど…どちらからともなく…息が合って…仲間として認知しあって…。

 

「あいつも…明日、ここでライブするのか…」

今頃、歌詞を再確認してるかな。

……みんなが居てくれたから…今この場所がある。

 

「…何か、みんなに会いたくなっちゃったな…同好会シックってか」

1人笑いながら歩夢に電話をかけた。

 

歩夢【もしもし、峻くん?】

「今、どこにいる?」

歩夢【えっとね、それがね……】

「────────えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【屋上】

 

 

 

 

 

 

 

「お、お前ら…!」

屋上のドアを開けると…同好会のメンバーはみんなそこに集まっていた。

 

 

「まだ帰ってなかったのか…?」

果林「それはお互い様でしょ?…こんな時間まで動き回ってて…」

そう言うと果林は俺の襟袖を直してクスっと笑った。

 

しずく「そうですよ、ホントに…ここ数日働き詰めだったじゃありませんか…

明日、朝起き上がれないとか…嫌ですからね?」

 

「あはは、じゃあ倒れるのはスクールアイドルフェスティバルが終わってからにするかな」

璃奈「そもそも、倒れちゃダメっ」

彼方「…ちゃんと栄養あるもの食べてるの~?

睡眠も取らないとダメだぞ~?」

せつ菜「もし、手が欲しいなら私が栄養のあるものを作りますね!」

 

「ありがとうね、彼方……と、せつ菜…」

せつ菜「何だか、歯切れが悪いですね…怪しい…」

「…いや、せつ菜が作るものは…栄養がありすぎると言うか…」

せつ菜「…???」

 

かすみ「眠りすぎて遅刻とかしないでくださいね?♪」

愛「それは無いでしょ~、歩夢が起こすんだし」

歩夢「に、にゃ、にゃにをっ!?!?!?///」

愛「あははっ、歩夢自白~♪」

 

「…俺よりも彼方とかの方が…」

彼方「大丈夫~♪明日は特別な日だしね~♪

峻くんのこと考えたら…ちゃんと起きれるんだ~♪」

歩夢「にゃ、にゃんですとっ…!?//////」

愛「…お、おーい…歩夢…?」

 

「…だからか、俺がミーティングの時に頑張るって言った日は彼方が一番乗りなのは」

彼方「峻くんの力になりたいからね~♪」

 

「…ところで、みんなは屋上で何を?

…居るなら言ってくれればいいのに…」

愛「…いやー…何か、外の空気が吸いたいな~…って思ったら…みんながここにいてね?」

璃奈「顔が火照っちゃって…冷やしに来たら、みんな居た」

 

しずく「ふふっ、特に何も言ってないのに、自然に集まっちゃった感じですね♪」

果林「…そーれーで?♪

峻も何か理由あるんじゃないの?」

「あはは……うん、講堂で一人で考えてたんだけどね…

何か、みんなに会いたくなっちゃったな…って」

 

全員「「「あっ…」」」

「俺一人の力じゃないからさ…ここまで来れたのも…困った時も助けてくれた時も…俺も、考えることはみんなと一緒…なのかもね?」

 

せつ菜「はいっ!私たちと峻さんは引き付け合う何かがあるんですよっ♪」

エマ「不思議な力…だね、でも…分かる気がする♪」

 

(…あとは、ここに…栞子が来れば…な)

その事は俺以外のメンバーは誰も知らなくて…。

 

 

 

 

「…あっ、流れ星?」

かすみ「えっ?…わ、わーっ!…え、えーっと!!!」

果林「珍しいわね…」

 

しずく「ふふ、これも同好会の力ですかね?♪」

「…さあな?」

歩夢「…ふふっ、私はお願いしたよ」

せつ菜「はいっ、私もです!」

璃奈「私も」

 

愛「ここはみんな同じお願い事で決まりでスターってね~♪」

エマ「星もお祝いしてくれてるのかな~?♪」

彼方「…そう思うと、いつもより星も綺麗に見えるね~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺も…今は…悠に戻るとか…そう言うのは忘れて…明日の事を考えよう…)……さっ、帰ろっか!」

「「「はーいっ!」」」




しずく回!
いかがだったでしょうか?
まだ見てない人もいるかもなので感想あれこれは感想欄で…。

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122話

11月22日
いい夫婦の日なんて呼ばれてますが、僕はせつ菜ちゃんと同棲したいです(おい)

始まります。


【朝】

 

 

歩夢「…おはよ、峻くん♪」

「…歩夢……ぁ、学校!?」

時計の時刻8時を見て流石に俺も血相を変えた。

 

歩夢「ふふっ、今日は学校じゃないよ♪」

「へ?…あっ…」

そうだった…今日は休みだし…スクールアイドルフェスティバルだった。

 

歩夢「やっぱり起こしに来て正解だった♪」

「わ、悪い…今すぐ起きるよ…」

歩夢「楽しいことの前の日は寝れないのが峻くんだもんね」

「…あ、あはは…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【虹ヶ咲学園に向かう途中】

 

 

 

「バルーンアートの道…昨日までなかったのに…」

歩夢「ボランティアと衣装・装飾同好会のメンバーが朝からやってくれてるんだって♪

アイデアは愛ちゃんなんだって♪」

 

「へー…何か、凄いなぁ…」

歩夢「ふふっ、その凄いことの中心人物にいる人が隣にいるなんてね♪」

「茶化すなよ…」

歩夢「ホントの事だもーん♪」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

【スクールアイドルフェスティバル 控え室】

そこには既に、衣装に身を包んだメンバーの姿が。

 

希「お、来た来た♪

…難しい顔してるけど、もしかして緊張してる?」

「…歩いて向かうにつれて…胃痛が…」

 

にこ「今更緊張しても仕方ないでしょー?

ここまで来たら、楽しむのよーっ」

「…これからステージに立つみんなの方が普通は緊張するのに…なんでぇ…?」

果南「私達は、場数が違うからね~♪

ほーらっ、肩の力抜いてっ」

鞠莉「滅多に出来ない体験なんだから楽しまなきゃ損よ~?♪」

 

「…堂々としてるなぁ…」

ルビィ「ルビィは何度経験しても…ドキドキしちゃうなぁ…すごく、緊張してる…」

「…そういう時のリラックス方法ってあるの?」

ルビィ「…想像、かなぁ?」

「想像?」

ルビィ「んっとね、目を閉じて…想像するのっ

この緊張の先にある…楽しいことをっ♪」

曜「ふふっ、あれはAqoursオリジナルのリラックス方法だよね♪」

(…そういえば、みんなよくやっていたな…)

 

凛「ドキドキの先にはキラキラがあるにゃ!」

善子「えぇ、いつ聞いても…あの歓声は身震いするわね」

 

梨子「純粋に嬉しいわね…こうやって努力の成果を披露できるのは…♪」

花陽「それに、ライブで頑張った後のご飯は格別だもん!♪」

 

しずく「…しかし…今更ですが…オープニングアクトは…私たちでいいんでしょうか?」

真姫「本当に今更ね…いいと思ってるから任せるんでしょ?

…それに…彼が…」

「あぁ、オープニングアクトは絶対虹ヶ咲学園のメンバーにして欲しい」

 

…栞子のこともあるからな。

かすみ「そうそうっ、オープニングアクトで視線を総取りですよ~♪

かすみんがファンを総取りするから、しず子はいつも通りやりなよ~?」

愛「意気込みすぎてコケるなよ~♪」

 

璃奈「かすみちゃんなら…ありえるかも…」

かすみ「無いもん!かすみんの伝説がこれから始まるんだもん!」

「…えっと、アンスコ使うか?」

かすみ「使いませーん!」

 

果林「かすみちゃんのズッコケ伝説ね」

かすみ「どんな伝説ですかっ!?」

 

ダイヤ「はいはいっ、みなさん!

泣いても笑っても間もなく開演ですわ!

どうせなら笑いましょう、溢れる笑顔でいきますわよ?」

エマ「うんっ、楽しみにしてくれるみんなの顔を見たら…

どんな不安でも自然と笑顔になっちゃうよ!」

 

彼方「そうそう、スクールアイドルは笑顔が1番~♪」

にこ「その通り!ほら、スマイルスマイル~♪

はい、そこ!にっこにっこに~!♪」

 

璃奈&しずく&花丸&ルビィ「に、にっこにっこに~…っ?」

にこ「声が小さい!もう1回!」

 

璃奈&しずく&花丸&ルビィ「にっこにっこに~!」

にこ「やれば出来るじゃない♪」

 

「(…鼻血出そうだった…)…会場見てくるね?」

歩夢「行ってらっしゃい♪」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【スクールアイドルフェスティバルステージ上】

 

「…うわぁ…」

目の前に広がるのは、人、人、人…。

観客で埋め尽くされた会場を見て俺は固唾を呑んだ。

 

「…夢じゃないんだな」

?「あれっ、君…」

「えっ!?」

 

声をかけられると…そこには…赤いメッシュを入れた…いかにもロック系な女性が立っていた。

 

「あ、あのっ…関係者以外は…」

?「あ、ごめんごめん!私は…」

栞子「峻さんっ!」

「栞……っ…」

 

振り返ると…ステージ衣装に身を包んだ栞子の姿が。

その姿に一瞬心を奪われそうになった。

 

「えっと…知り、合い?」

栞子「…姉の…薫子です」

「姉……あっ!」

 

この前、栞子が挫折したとかって話をしてた…あの、お姉さん?

薫子「改めて、薫子よ?よろしくね♪」

「宮之原 峻です、来てくれてありがとうございます」

 

薫子「スクールアイドルフェスティバル…本当に開催したんだね…すごいよ、本当に」

「…えっ?」

薫子「それに君が峻くんか…なるほどね…」

「…えっ?」

栞子「わ、わわわわ!…ちょっとこっちに来てください!!///」

 

そう言うと栞子は、薫子の手を取って歩き去ってしまった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【控え室】

 

栞子「…姉さん、どうしてここに」

薫子「過去に関わってた人として…来ないって訳にも行かないでしょ?

…それに、気になってたの…無理だって分かってて…それでも努力して開催まで漕ぎ着けた…理由、がね」

 

栞子「…」

薫子「それに、メールしたのに…返信ないのはお姉ちゃん寂しいぞ~?」

栞子「……」

 

薫子「…その衣装、似合ってるわよ…スクールアイドル嫌いだった貴方が…ね…」

栞子「…えぇ、嫌いでした…とても」

薫子「スクールアイドルは…無駄の象徴…だったかしら?」

栞子「…それは…」

 

薫子「でも…彼に出会って…変わった、ところかしらね?」

栞子「…はい」

薫子「そっか、それだけ聞けたならお姉ちゃんは満足だよ」

栞子「…あのっ」

 

薫子「…一番近くで…貴方の想い、見させてね?」

栞子「…っ…!」

 

そう言うと、薫子はその場を後にした。

 

 

 

 

 

「おぉーい!栞子!」

栞子「あっ…しゅ、峻さんっ」

「あんまり衣装来てウロウロして欲しくないんだけど…あれっ、薫子さんは?」

栞子「…あ、か、観客席に…それに、衣装は誰にも見られてません」

「…そうか、なんか話をしてたみたいだけど…そろそろ、準備できた?」

 

その問いに栞子は静かに頷いた。

「虹ヶ咲のみんなステージ袖に居るから!」

そう言って峻は栞子の手を取った。

栞子「…あっ…///」

その瞬間、何かにときめきを感じた…栞子だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【ステージ袖】

 

 

「みんなー!」

かすみ「あ、遅いですよー!」

彼方「みんな待ちきれないって顔てるよ~♪」

果林「さぁ、行くわよ?」

 

「ちょっと待って!…ステージには…10人で出るよ!」

歩夢「えっ?…峻くんも出るの?」

「俺じゃないよ…10人目って言ったら…こいつしかありえないだろ?」

 

栞子「…あ、のっ…///」

しずく「栞子さん!」

璃奈「その衣装…」

 

栞子「…すいません、今まで黙ってて…実は…1000人集まってフェスティバルが開催すると決まった時に…私は…スクールアイドル同好会に入部することを…峻さんに言ったんです…///」

「で、せっかくなら当日にみんなに伝えようって俺が考えたの」

 

栞子「そ、そんな私が…一緒にステージに立つなんて…」

愛「ううん、すっごく良いよ!その衣装めっちゃ可愛いし!♪」

せつ菜「はいっ!栞子さんはもう同好会の一員ですから!」

エマ「楽しむ気持ちにダメなんてないからねっ♪」

 

彼方「かすみちゃんにライバル出現だね~♪」

かすみ「な、ななななっ…!?

…しーおー子~…!!」

栞子「え、えええっ…!?」

 

歩夢「栞子ちゃん」

栞子「…歩夢さん…」

歩夢「何となくね、生配信の時から…栞子ちゃんはこんな風にするんじゃないかなって心のどこかで思ってたの…だから、来てくれて本当に嬉しい…ありがとうね」

栞子「…歩夢さん…」

 

歩夢はそのまま栞子の手を取り…一緒にステージへ向かった。

歩夢「私たちの夢を…そして、みんなの夢を叶えようっ!」

栞子「…っ…はいっ!」

 

 

 

 

そして、俺の方を最後に見て…。

栞子「…私の初舞台…見てくださいっ!///」

そう言って10人はステージへと歩んで行った。




次回:スクールアイドルフェスティバル①


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123話

嵐を呼ぶ!スクスタフェス!!

…というわけで皆さん、進捗いかがでしょうか


ステージに虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーが上がると…会場のボルテージは一気に上がった。

 

歩夢「こんにちは!私たち、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会です!」

愛「お~っ?…皆、μ'sやAqoursはどこ~っ?って顔してるな~?♪」

エマ「大丈夫っ、この後ちゃんと登場するよっ♪」

 

果林「私たちは、まだ出来たばかりの同好会で…μ'sやAqoursの足元にも及ばないけど…部長を先頭に…このイベントにかける気持ちは負けてないわよ~!」

璃奈「やる気、満々!…璃奈ちゃんボード''むんっ!''」

 

しずく「はいっ、一生懸命頑張らせていただきます!」

かすみ「たくさん個性豊かなメンバーがいますが~…きっと、このオープニングアクトが終わる頃には、かすみんの可愛さにきゅーん!ってなっちゃいますからね~っ♪」

 

彼方「名前だけでも覚えていってね~♪」

せつ菜「さぁ!お祭り騒ぎを始める…その前に!新メンバーの発表ですよ!」

 

その一言に会場がざわついた。

恐らく、虹ヶ咲学園の生徒だろう。

 

【会長…?】

【だよね、だよね!生徒会長だよね!】

【すっごく綺麗…】

 

せつ菜「さぁ、栞子さん!」

栞子「えっ、あっ、わ、私ですかっ…?」

せつ菜「はいっ、自己紹介をどうぞ!♪」

 

普段のせつ菜よりもテンションが増していることに驚きつつも…

栞子は、ふぅと息を整えて口を開き始めた。

 

栞子「皆さん、初めまして…虹ヶ咲学園の生徒会長…そしてスクールアイドル同好会の三船 栞子です

まさか…私が同好会に入って…スクールアイドルをして…こんなステージに立つなんて想像もしてませんでした

…ですが、一緒に頑張れる仲間と…私にときめきを教えてくれた…部長のおかげで…私は今、ここに立てています…皆さん、スクールアイドルフェスティバル…一緒に楽しみましょう!」

 

堂々たる自己紹介に更にボルテージは上がった。

せつ菜「素晴らしい自己紹介でしたね!

それでは…スクールアイドルフェスティバル、開幕です!!!!」

 

「…流石だな、ダブル生徒会長…」

盛り上がる会場を見て感無量だった。

…まぁ、ステージに立っているみんなもそう思ってるよな。

 

栞子「…ここで…私のライブをしたいと思います!」

歩夢「えっ…!?」

果林「貴方っ、ライブって…」

エマ「もしかして…曲とかは…」

 

栞子「…はい、峻さんのアイデアで…」

せつ菜「…わかりました!トップバッターお願いします!」

しずく「ステージから見させていただきますね!」

かすみ「あんまりかすみんの美味しいところ持ってっちゃダメだよ、しお子!」

 

璃奈「期待してる」

彼方「栞子ちゃんの顔つきを見てれば自信に満ち溢れてるから大丈夫そうだよ~♪」

 

 

ステージの照明が薄暗くなり…次第に観客も何か起こるのかと…静まり返った。

 

 

栞子「──────決意の光」

その言葉とともに火柱が上がった。

 

 

「…ありゃ、火力間違えたかな……まぁ、これはこれでありだな…インパクト的に…」

栞子(…聞いていて、ください…峻さん…!

私の…同好会への…決意を…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同好会やμ's、Aqours…Saint Snowが見てる中…栞子は堂々たるライブを披露した。

ライブ終了後には割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。

 

 

せつ菜「…素晴らしいライブでした!見ていて私も心が熱くなりました!」

果林「ゲームやフードコートのお知らせする前に…そんなライブされちゃ私達もうずうずしちゃうじゃない…」

 

彼方「まぁまぁ、私達の番はちゃーんと取っておいて~♪」

かすみ「是非皆さん!食べ歩き等も楽しんでくださいね~!♪」

 

しずく「では、ルールを守ってみなさんで楽しみましょうね!」

愛「それでは、また後ほど~!♪」

 

 

かすみ「あーーーーーーーっ!待って待って~!

かすみん、スローガン言いたいです~!」

エマ「ええっ?……あー、それもそうだねっ♪」

 

彼方「''ある人''が考えてくれたスローガンを言わないなんて勿体ないもんね~♪」

せつ菜「ですねっ…では、会場の皆さん…いきますよ!」

 

「「「集え!」」」

 

 

─────────────────みんなの夢!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会によるオープニングアクトは無事に終わった。

 

 

「みんな、お疲れ様!」

栞子「…峻さん…!」

「おわっ…!?」

嬉しそうに栞子が飛び込んできた。

 

栞子「…見ていてくれましたか?///」

「…あぁ、予想以上だったぜ、栞子…さすがだよ」

 

かすみ「ぶーぶー!先輩、いけずです~!

そういう事は教えてくれてもいいじゃないですか~!」

果林「…まぁ、峻らしいっちゃ、峻らしいわね」

愛「それはともかく、しおってぃー最高だったよ~!♪」

 

せつ菜「はいっ!これぞスクールアイドルという感じでした!」

璃奈「これは…かすみちゃんのライバル?」

かすみ「な、なにぉー?!

しお子には負けないもん!」

栞子「えっ、ええっ…?…これは勝ち負けあるんですか?」

「あはは、無いよ…切磋琢磨って意味なら間違ってないけどね」

 

 

穂乃果「もしもーしっ、いつまで抱きついてるの~?」

「ほ、穂乃果…っ!?…あ、こ、これは!」

栞子「す、すいません…!///」

 

穂乃果「あはは、冗談冗談♪

それより、凄いライブだったよ!本当に初めてなのって思っちゃうくらい!」

栞子「あ、ありがとうございます…!」

 

海未「これも峻の頑張りと彗眼による賜物ですね」

「俺は何もしてないさ、栞子の頑張りが全てさ」

 

ことり「新しいスクールアイドルの子ができて自分の事のように嬉しいな♪」

栞子「これからよろしくお願いします…!」

 

 

「…ん、Aqoursのみんなは?」

ことり「各ポジションに分散して催し物をやってるよ♪」

海未「せっかくなので、同好会の皆さんも見て歩いてはいかがでしょう?」

穂乃果「ファンの子から声かけられるかもよ~♪」

 

かすみ「えーーーっ!?かすみん、いってきます!」

しずく「ああっ、待ってください!

そんなに急ぐと、転んじゃいますよー!」

愛「あっはは、元気だな~かすかすは♪」

果林「やれやれ…子守りも一苦労ね…」

 

先陣を切って4人が講堂を後にした。

 

彼方とエマと璃奈はと言うと…。

【か、彼方先輩だ~!】

【私たち、遥ちゃんと同じスクールアイドル部です!】

彼方「わ~、遥ちゃんがいつもお世話になってます♪」

 

【エマさんの衣装、素敵ですっ!】

【素敵な歌声にいつも癒されてます!】

エマ「えへへ、ありがとうね♪」

 

【璃奈ちゃんボードかっこいい~!】

【オンラインのライブ、いつも見てるよ!】

璃奈「あ、ありがとう…璃奈ちゃんボード…''てれてれ''」

 

 

「…早速ファンの子に捕まってる」

彼方「彼方ちゃん達は後で歩いて回るから先に行ってていいよ~♪」

「わかった、何かあったら連絡してな?」

 

 

こうして、3人とも別行動となった。

 

 

「さて、とで…俺達も見て回ろうか?」

せつ菜「はいっ、お供します!」

歩夢「何か食べ歩こ、峻くんっ♪」

栞子「わ、私も…っ…良いでしょうか?」

 

「おし、じゃあ…行こうか?」

 

こうして、4人でスクールアイドルフェスティバルを見て回ることにした。




次回、イベントに乱入?

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124話

第9話!見ましたか!?
果林さんも弱いところを見せる時もあるよね…
でも、仲間がいる!これが虹ヶ咲!!!
素敵だね…ウルッてくるよ…


さて、スクールアイドルフェスティバルを見て回ることになったが…問題が起きた。

…いや、俺にとっては問題ではないんだけど…3人にとっては問題らしい。

 

歩夢&栞子&せつ菜「むむむ……っ」

「「「最初は、グー………じゃん、けん──────」」」

 

 

 

 

…そう、俺の腕に誰が抱きつくかで揉めた。

…というか、3人とも引かなかった。

 

…結果…。

 

 

せつ菜「…うぅ、なぜこういう時の勝負は弱いのでしょうか…」

とぼとぼと二歩後ろを歩くせつ菜…。

 

せつ菜「…はっ!これは他のライバルを倒すアニメに似てますね!

キルラ〇ルです!突き上げたこの手に握りしめた!!」

 

栞子「…私たちは倒させるのでしょうか?」

「あはは…せつ菜の事だから、いつもの事だよ…」

 

歩夢「峻くんっ、どこから見て回る?♪」

「そうだなぁ…まずは~…」

 

果南「さぁ、どんどんいくよ~っ♪」

「あれ、果南だ…なにやってるんだろ?」

 

ダイヤ「名付けて!スクールアイドルあれこれナンバーワン決・定・戦、ですわ!!」

「…ダイヤテンション高いな~…」

 

栞子「スクールアイドルあれこれナンバーワン決定戦…ですか?」

果南「様々なお題で競い合ってどちらが優れてるか…雌雄を決するコーナーだよっ♪」

 

歩夢「なかなか面白そうな企画だね?♪」

せつ菜「私も飛び込みたいです…!」

 

「…なんか、名勝負の予感…」

ダイヤ「ええっ、間違いありませ……あらっ、第一観客発見ですわ!」

そう言ってダイヤは俺を指さした。

 

「…俺?」

ダイヤ「はいっ、ぜひステージに!」

「…えっと…」

栞子「指名されたのですし…行ってみたらどうですか?」

歩夢「私たち、ステージの1番前で見てるよ♪」

せつ菜「これも総監督のお仕事ですよっ」

 

「…わ、分かった…」

ダイヤ「ゲストは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長、宮之原 峻さんですわ!!」

その一言に見に来てた観客が歓声を上げた。

 

「…お、おぉ…」

ダイヤ「では、ゲストも迎えたことですし…第一回戦はダンス対決ですわ!」

「ダンス…スクールアイドルには欠かせないね」

果南「はいはーいっ、どうやって勝敗付けるの?」

 

ダイヤ「勝敗を決めるのは…観客の皆さんですわ!

どちらがより優れているダンスか…拍手で決めさせていただきますわ!」

「なるほど、拍手が多い方が勝ちって訳だ…対戦者は…?」

 

ダイヤ「赤コーナー…μ's、絢瀬絵里~!」

絵里「はぁ~い♪…あら、峻…居たの?♪」

「あぁ、飛び入りでな」

 

ダイヤ「青コーナー…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、朝香果林~!」

果林「ふふっ、さっきぶりね、峻♪」

果南「これは一瞬たりとも目が離せない~!」

 

せつ菜「これは…あの日のリベンジ、ですね…!」

栞子「…あの日?」

歩夢「あ、実はね…」

 

 

…………………………………………

 

栞子「なるほど、そんなことが…」

 

果林「昔の私じゃないわよ、絵里?」

絵里「ふふっ、気合が入ってるわね、果林?♪」

 

せつ菜「確かに…絵里さんのことを意識して練習してた時期がありましたね…」

歩夢「絶対に負けないんだって言ったもんね…」

 

絵里「ふふっ、楽しめそうね♪」

栞子「…ですが、絵里さんも余裕に満ちた表情が…」

 

「…2人とも…本気、だな…」

絵里「今回も…私が勝たせてもらうわ?♪」

果林「そう簡単に思い通りになるとは思わないでよね♪」

 

果南「おぉ…バチバチですね…!

ゲストの峻さん、どちらが勝つと思いますか!?」

「えっ?…あ、あぁ…果林もすごく練習してて…見違えるくらい上達したから…好勝負が期待できると、思います…?」

 

ダイヤ「なるほど、さすがですね!

…ではっ、ダンス対決…スタートです!」

 

 

────────────────────────

 

【ダンス終了後】

 

果南「これは…どちらが勝ってもおかしくない好勝負だったね!」

ダイヤ「正しく…名勝負ですわ!」

 

絵里「…流石ね、言葉に偽り無しね…凄いわ、果林」

果林「成長出来たのは…絵里のおかげよ、その成果を披露できて…嬉しいわ…でも、さすが絵里ね…まだまだ私も頑張らなくちゃ」

 

「まさにノーサイド…だな」

果南「勝敗を付けるのが惜しいけど…勝負だからね、ジャッジするよ~!♪」

ダイヤ「絵里さんの方が良かったと思う方は拍手をお願いします」

 

 

【パチパチパチ…!!】

果南「うんうん、なるほど…じゃあ、果林ちゃんの方が良かったと思う人~?」

【パチパチパチパチ…!!!】

 

「…これは…果林の方が少し、多いかな?」

果南「そうだね、よって…勝者、果林ちゃん!」

 

果林「…ふぅ、まぁ…一勝一敗ね」

絵里「負けたわ…あなたの勝ちよ、果林

私もおちおちしてられないわね?♪」

 

ダイヤ「一回戦から名勝負でしたね♪」

果南「私も一番前で見ているせつ菜ちゃんも踊りたい衝動を押さえるのが大変だったよ~!」

 

せつ菜「はいっ!」

歩夢「せつ菜ちゃん、嬉しそうに足踏みしてたもんね…」

 

ダイヤ「では、二回戦ですわ!」

「…二回戦は?」

 

ダイヤ「ずばり、平常心対決ですわ!」

果南「なるほど、スクールアイドルには度胸も必要だからね…ハートの強さ…かぁ」

ダイヤ「そして~…この対決には…」

 

ガシッ。

「…えっ?」

ダイヤ「峻さんにも参加してもらいますわ!♪」

「…お、俺っ?…そんな、打ち合わせを…っ?」

ダイヤ「打ち合わせなんか要りませんわ!」

 

果南「おっ、面白い勝負になりそうだね~♪

それで、対戦者は?」

ダイヤ「赤コーナー…」

「それ、毎回やるの…?」

 

ダイヤ「お、お黙りなさいっ!///

…赤コーナー…μ's、東條希!」

希「やっほ~♪」

 

ダイヤ「青コーナー…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、近江彼方!」

「おはよ~…♪」

 

(…これも…リベンジ対決、だな)

希「あれからウチもスピリチュアルパワーを貯めたから負けへんよ♪」

彼方「彼方ちゃんも動揺なんかしないよ~♪」

 

果南「おっと、彼方ちゃん…早速余裕そうだぞ~!」

ダイヤ「それでは、二回戦の説明です!…今回は峻さんのするアプローチに耐えられるか…ですわ!」

「…うわー…」

 

歩夢「えぇーーっ!?」

栞子「こ、抗議します!!」

せつ菜「変わってくださいー!」

 

果南「こらこら、そこ、そんな事言わないの」

 

ダイヤ「では、早速…希さんの番ですわ!」

希「なになに、峻くんは何をするん?♪」

「…えっと…じゃあ…」

 

ひょいっと、お姫様抱っこをする。

希「しゅ、峻くん…?///」

果南「これは希ちゃん、効いてるぞ~!♪」

ダイヤ「果南さん…嬉しそうですね…」

 

希「…ひゃぅ…/////

……お、おしまい!もうやめー!///」

ダイヤ「これは大ダメージ!彼方さんの方に分がありそうですが…?」

 

彼方「ふっふっふ~…峻くんの手の内なんて…分かってるよ~♪」

「…あ、もしもし?」

彼方「…あれ、峻くん~…?」

「…じゃあ…テレビ電話にするね?」

彼方「誰と電話して………」

 

遥「お姉ちゃん…私…峻さんとの子が…」

彼方「…………………………………………………………………」

 

 

 

彼方、卒倒。

慌てて受け止める。

 

 

「…やりすぎたか?」

彼方「…あ、あわ…あわあわあわ…?//////」

遥「じょ、冗談だから、お姉ちゃん~!!///」

 

果南「…ちょっと、卑怯じゃない~…?」

ダイヤ「これも勝負ですが…果南さんからの異議と…」

 

歩夢&栞子&せつ菜「むむむ…っ!!!」

ダイヤ「凄まじい視線を感じるので…両者、引き分け!」

果南「…まぁ、実際、どっちも平常心なんかなかったしね…」

 

ダイヤ「というわけで!スクールアイドルあれこれナンバーワン決定戦…ゲストは宮之原 峻さんでした!」

「あ、ありがとうございました~…」

 

 

 

 

 

 

 

ステージから降りた俺を待っていたのは…。

 

 

歩夢「…たらし」

栞子「…不埒…」

せつ菜「…変態…」

 

「………………………………………………………」

 

言われようの無い罵詈雑言だった。




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125話

せつ菜ちゃんしか勝たん
A×Kさん、今年の流行語大賞です


Aqoursのライブステージ前に控え室に戻ってきた。

…あ、3人には何とか機嫌を戻して貰えたよ…。

 

(…女心は…分からん)

穂乃果「Aqoursの、ライブ~、Aqoursの、ライブ~♪」

「元気だなぁ、穂乃果は」

穂乃果「もちろんっ!♪

ことりちゃんと海未ちゃんも見に行こうよ~♪」

 

ことり「行こ行こ~♪」

海未「この機会に、Aqoursのライブも勉強させていただきましょう」

 

愛「峻も、行こうよ~♪」

「ん、Aqoursの控え室行ったらすぐに向かうよ」

 

璃奈「分かった、愛さん…行こ?」

愛「見逃せないよ~!♪」

歩夢「Aqoursのステージ、きっと凄いんだろうな~♪」

 

穂乃果「凄いよ~!だって、スクールアイドルフェスティバルが開催する直前までお台場の砂浜で練習してたんだよ~!」

「…えっ、千歌達が?」

 

穂乃果「エマさんが見たって言ってたよ♪」

(…あいつら、大事なライブの前にする早朝練習は変わらないんだな…)

 

海未「Aqoursのフォーメーションダンスが息ぴったりなのも納得ですね」

愛「Aqoursが白亜の砂浜でフォーメーション練習…なんちゃって♪」

「…(何故だろう、ストライクショットって脳内で…)」

璃奈「お台場の砂浜は…白亜って呼べるのかな?」

愛「もー、細かいことはナシナシっ!♪」

 

穂乃果「んん~…っ…早く見たーい!!♪」

海未「あ、穂乃果!走るのはおやめなさい!」

ことり「…あはは…」

 

「……さて、と…俺は…」

 

 

───────────────────────

 

【Aqours 控え室】

 

「気合十分って感じだな」

千歌「あっ、峻くん!♪」

曜「ようこそであります!♪」

 

ダイヤ「激励に来てくれたんですか?♪」

「様子が気になったからね」

 

果南「私たちは大丈夫だよっ♪」

「頼もしいなぁ…」

 

千歌「そりゃあ、もう!スクールアイドルフェスティバルだもん!♪」

Vサインをする千歌。

 

「…曲リストはどうなってるんだ?」

千歌「1曲目は私が作詞したんだけどね…2曲目は…」

チラッと千歌が曜の方を見た。

 

曜「私が作詞したんだよ!♪」

「…曜が?」

曜「ふふっ、期待してね?♪」

「……???」

 

花丸「まるがこう言うのも変だけど…素晴らしい曲ずら♪」

「…そう、なのか?」

 

聖良「皆さん、そろそろ出番ですよ?」

「…なぁ、聖良は出ないのか?」

聖良「えっ?…い、いえっ…私たちはあくまでお手伝いなので…」

理亜「…姉さま…」

 

「…出ないか?聖良」

聖良「………………私…たちは…」

「…目の前でライブしてるのに…我慢なんか出来ないだろう…2人だってスクールアイドル、なんだから…」

聖良「…で、ですが…衣装なんて…!」

 

千歌「…やっぱり、峻くんって考えること同じだよねっ?♪」

「…えっ?」

千歌「はい、曜ちゃん!」

曜「こんなこともあろうかと~……じゃーん!」

 

曜がバックから取り出したのは…

「…これ………」

曜「えへへ、持ってきちゃった♪」

梨子「聖良さん達も、ライブしたいもんね?」

ルビィ「ルビィ…理亜ちゃんとライブしたい!」

 

理亜「…ルビィ」

聖良「……ふぅ…貴方って…強引ですね」

「よく言われる」

聖良「…私達も…ライブ、出たいです!」

 

千歌「よーし!無理くり1曲目と2曲目にSaint Aqours Snowのサプライズライブだーー!!」

「「「おーーっ!!」」」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【ライブ会場】

 

 

愛「峻、遅いね~…?」

璃奈「もう、一曲目…始まっちゃってるのに…」

歩夢「…きっと、私たちの時みたいに…舞台袖で見てるんだと思うよ♪」

 

穂乃果「わあぁ…これが…」

海未「Aqoursのライブ…」

ことり「素敵な曲…」

 

千歌「一曲目 ''Wake up Challenger!!''でした!」

果南「続いての曲は~…?」

ダイヤ「ぶっぶーーーですわ!…ここで、サプライズライブですわ!」

 

璃奈「…サプ、ライズ…?」

愛「わわっ、暗転したよ!?」

歩夢「い、一体なにが…?」

 

穂乃果「…あっ!」

海未「あの方々は…!」

ことり「すごい…っ」

 

 

ライブステージに上がったSaint Snowを見た観客のボルテージが上がった。

千歌「ここからは!」

聖良「Saint Aqours Snowによるライブです…!」

 

理亜「私たちの…本気のライブ…」

ルビィ「聞いてください!」

 

 

「「Awaken the power!!」」

「…まさか、ここでこの曲が聞けるなんてな…」

 

その、ライブは…俺にとっては凄く眩しくて…

全身を…駆け巡る衝撃と…感動が込み上げてきた。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

千歌「最後の曲は…みんなの為に作りました」

曜「…この曲は…10番目のメンバー…そう、ここにいるみんなの為に作りました」

 

(…おい、それって…)

鞠莉「しっかり聞いてってね~っ?♪」

善子「ヨハネからのメッセージ…リトルデーモンのみんなに届けるわ♪」

 

「「…''No.10''」」

「…っ……………………」

曲名を聞いた瞬間…俺は膝から崩れ落ちた。

 

 

(…あれ……俺、泣いてるのか…?)

曜(…悠くんに…届け…この曲…!!)

花丸(貴方は1人じゃない…ずらよ…♪)

 

2回目なのに…この時は…初めて聞く時より…この曲は胸に響いた。

…それと同時に…心から…Aqoursに感謝した瞬間だった。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

【ライブ終了後】

 

璃奈「最後の曲…とっても良かった」

愛「うんっ!心に染みる素敵な曲だった!」

歩夢「…まるで、大事な人に贈る曲…みたいだったね…♪」

 

穂乃果「いや~…Aqoursもすごいライブするね~…」

海未「これは私達も頑張らないといけませんね♪」

ことり「うんっ、頑張っちゃうよ~♪」

 

 

 

 

 

 

【控え室】

 

 

 

「…曜…花丸…」

曜「…ごめんね、内緒にしてて…」

花丸「…でも、みんなの前で言ったら…動転するって思ったから…」

 

「…ううん、ありがとう…2人とも……なんだか、懐かしい気分になったよ」

曜「…へへっ♪」

花丸「良かったずら♪」

 

 

2人と固く握手して…俺はその場を後にした。

…泣いてた姿なんか…見せれない、しな…。




Aqoursメインになりましたね!

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126話

書いたら…出てくれるよね…サンタせつ菜ちゃん…!!
(お知らせ見て今年一荒ぶってた奴)


【μ's 控え室】

 

真姫「みんな、峻からの差し入れよ」

凛「えっ、峻くんからっ?…わああぁ、たくさん美味しそうな物があるにゃ~♪」

 

曜「峻くん、Aqoursのみんなにも買ってきてくれたんだよ~♪」

しずく「…あれ?その峻さん本人は…?」

かすみ「あぁ…この後の流れを確認するって手短にご飯済ませて行っちゃいましたよ?」

 

真姫「ふふっ、峻も舞い上がってるのね♪」

鞠莉「さすが頼れるマネージャーね~♪」

善子「マネージャー?…峻はリトルデーモンよ?」

 

梨子「えぇっ?…総監督だったんじゃ…?」

かすみ「それだけ、ウチの部長は優秀って事ですよ~♪」

凛「でも、峻くんの事についても…さっきファンの子から聞かれたにゃ~」

しずく「なっ………!?!?!?」

 

曜「峻くん、モテるからね~…自覚ないところが…可愛いんだけど…(ボソッ)」

真姫「モテる…ねぇ…でも…不思議よね、あの人」

 

善子「さすが、私が認めた唯一無二のリトルデーモン…カリスマ性の塊ね」

かすみ&しずく「ぐぬぬ…っ!!!」

 

曜「ま、まぁまぁ!…お昼、食べよ?」

しずく「そうですね…争っても仕方ありません…」

かすみ「あっ、かすみんは~…これた~べよっ!」

 

梨子「あっ、それ!…堕天使の……」

かすみ「っ……か、からぁ~……!!!!

し、しず子~!!!!!」

 

しずく「…なんだか、普段してるイタズラのお返しが来たような…

って、違った…はい、お茶…」

かすみ「ひぃ~ん!!!!」

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

【中庭】

 

「は、はっ……くっしゅ!!!!!」

せつ菜「わっ!…おっきなくしゃみですね…」

「…噂してるのかもな…かすみあたり」

せつ菜「ふふっ、有り得そうです♪」

 

…俺は各イベントや露店の点検やこの後のスケジュール管理も兼ねて各会場を見て歩いていた。

せつ菜とは、偶然鉢合わせになったのだが…せっかくならと一緒に行動することに。

 

せつ菜「あっ、これ美味しそうですね!」

「食べるか?」

せつ菜「い、いえっ、そんな…!」

「遠慮すんなって」

せつ菜「…あ、ありがとうございます…///」

 

…あ、決してさっきのお詫びとかじゃないよ?…うん。

 

せつ菜「…っ…美味しい…!」

「俺もさっき食べたけど…レベル高いよな…ほんとに料理研究同好会なのか?って感じ…」

せつ菜「…ですが…もう少し…スパイスを…」

「…え、スパイス?…クレープなんだけど…」

せつ菜「はいっ!例えば、このクレープにガラムマサラ等を…」

「…カレーじゃないんだから…」

 

今度せつ菜に料理の勉強もさせないとな…。

 

 

「…今思ったんだけどさ?」

せつ菜「はいっ、なんでしょう?」

「口にクリームついてるよ…いや、なんか…デートっとぽいなぁって」

せつ菜「わわっ!///…えっ?…あ、あぁ…そうですね…///」

 

「…虹ヶ咲学園でデートってなんか新鮮だね?」

せつ菜「…そう、ですね…しかも…私はこの格好で…///」

「あはは、今日はせつ菜はこの格好じゃなきゃ違和感しかしないもんな?」

せつ菜「そうですね…なんだかこの格好で歩いて…ファンの子達と触れ合うなんて…不思議です…」

 

「俺はいつも通りだから見慣れてるけどね?」

せつ菜「…なのに、菜々モードの時は笑顔で菜々って言うのに…///(ボソッ)」

「なんか言ったか?」

せつ菜「な、なんでもないですっ!///」

 

 

千歌「さぁさぁ!次のコーナーは…スクールアイドルプレゼン大会で~す!♪」

せつ菜「あれっ、千歌さん…?

…お昼休みだったはずでは…」

「Aqoursは交代制で昼休憩に入ってるよ

千歌達は前半…んで、曜達は後半…かすみやしずくも後半だよ」

 

せつ菜「あっ、そうでした!…良かったら、見ていきませんか?♪」

「だな、千歌達の勇姿も見ておきたいし…」

せつ菜「…と言うか…凄いですね…先程ライブしたのに…あの元気…」

「千歌の取り柄だからな」

 

花丸「あの~…千歌ちゃん?」

千歌「はい、花丸くん!」

花丸「ずらっ!?…プ、プレゼン大会って…なんずら?」

 

千歌「よくぞ聞いてくれました!…これは、自分の好きなスクールアイドルや、その曲の素晴らしさ…好きなところとかを皆に照会するんだよ!」

せつ菜「自分の持ってる大好きを…ぶつけ合うんですね!」

 

千歌「あぁー!せつ菜ちゃんと峻くん居るじゃん!

…決めた!せつ菜ちゃんも参加しよーよ!♪」

花丸「えぇっ~?!…だ、大丈夫なんずら!!??」

千歌「このステージは私がルールだっ!♪」

 

千歌の独特のMCに会場は笑いに包まれた。

にこ「せつ菜が飛び入り参加?…なかなか面白い展開になったじゃない

ま、にこの右に出る者は居ないけどね~♪」

花陽「私だって、スクールアイドルのことなら負けないよ!」

 

ルビィ「ルビィだって、自信あるもんっ♪」

エマ「スイスの想いも背負って…私も頑張るよ~!♪」

 

(…こ、これは…30人居るスクールアイドルの中でも…よりスクールアイドルに詳しい選ばれた5人による戦い…熱くなりそうだ…)

千歌「んー、誰からやる~?」

 

にこ「最後はにこって相場が決まってるのよ!」

千歌「じゃあ…エマさん?」

エマ「私は~…μ'sの星空 凛ちゃん!

いつも元気に飛び跳ねてて見ているだけで笑顔になっちゃうんだよね~♪」

エマが自分の事のように嬉しそうに話してると…花陽が手を握りブンブンと振っていた。

 

花陽「わかるよ~っ!!」

エマ「ぴょんぴょんしてる凛ちゃんを見ると、なんだか故郷のスイスで飼っていた子ヤギのネーヴェちゃんを思い出すよ~♪」

花陽「わかっ……えっ????」

エマ「思わず抱きしめちゃいたくなっちゃう♪」

花陽「だ、だだだだっ、抱きしめるのは分かるけどっ!

…い、いきなりはダメだよっ!?」

 

せつ菜「凛さんと言えば…並外れた身体能力ですよね

あれは元々の素質…なのでしょうか?」

花陽「そうっ!凛ちゃんのダンスは凄いんだよ~!♪」

にこ「ダンスの基本は…リズム感とバランス感覚…つまり、凛は体幹を鍛えた結果…という事ね?」

 

エマ「体幹かぁ…今度から意識してやってみようかな?」

にこ「って!敵に塩を送ってどーするのよ!!」

千歌「あははっ、みんな凛ちゃん推しってことかな?♪」

 

花陽「だって凛ちゃんは凄いんだもん…!!」

千歌「花陽ちゃんの凛ちゃんに対する想いも聞けたところで!

次のプレゼンは誰にする~?♪」

 

せつ菜「はいっ!!」

千歌「おぉー!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の元気印!

せつ菜ちゃんどうぞ~!」

 

せつ菜「もちろん、μ'sやAqoursの皆さんも大好きで…挙げたらキリがないですが…私がプレゼンしたいのは、峻さんです!!」

「ぶふーーーっ!!!!!」

千歌「おおっと、せつ菜ちゃん!これは意外なプレゼンだ~!?」

花丸「…何となく、予想ついてたずらよ…」

 

せつ菜「峻さんはですね…!

私たち同好会みんなのソロ曲の作詞や作曲をしてですね…!

練習も細かく見てくれたり、相談に乗ってくれたり…それはもう…!!」

「せ、せつ菜ーー!!!

それ以上にしておいてくれー!!!」

 

せつ菜「いえいえ!まだまだありますから!!」

「ま、まだまだあるの!?」

 

にこ「あー…これは長くなるわよ、峻」

ルビィ「嬉しそうだもんね、せつ菜さん♪」

エマ「せつ菜ちゃんのことなら…分かるよね、峻くん?♪」

 

「ひ、ひぇ~…っ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

【あまりの長さに割愛】

 

 

 

 

せつ菜「…と、こんな所でしょうか!」

にこ「…お、思いのほか…ガチね、あんた…見なさいよ…峻が珍しく顔真っ赤よ…」

千歌「あ、ほんとだ…珍しいかも」

花丸「まるも初めて見たずら~♪」

 

 

 

「…煮るなり焼くなり好きにしてくれ…」

とりあえずせつ菜は後でこちょこちょの刑にすることにした。




せつ菜ちゃんしか勝たんのだ。


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127話

今日のアニガサキでせつ菜ちゃんの可愛いところが出る度に作者は尊死してるとおもってくだ(吐血)


薫子「あぁ、居た居た…ちょっといいかな?」

「…薫子さん?」

 

控え室に戻ろうとした時…俺は薫子さんに呼び止められた。

薫子「少し話せないかな?」

「…俺は大丈夫ですが…どうしたんですか?」

薫子「まずは…素直に君には頭が下がるよ…」

「…えっ?」

 

一瞬、薫子さんが何を言っているのか分からなかった。

薫子「私もね、スクールアイドルしてたんだ…もう昔の話だけどね?

…だから、こういうイベントを一から…自分たちの手で作る…そんな事が出来る中心人物になっている君には…本当に凄いの一言に尽きるよ」

 

「…薫子さんも…スクールアイドルを?」

薫子「ははっ、見事に失敗して栞子に悪い印象持たれちゃったけどね」

「…そうだったんですか…」

 

薫子「…でも、さっき…見て回ってた時に栞子を見かけたけど…弾けるくらいの笑顔でさ、凄く目が輝いていたよ、あんな姿…初めて見た」

「…栞子の笑顔…」

薫子「こんな事言うのも変だけど…栞子の事、よろしく頼むよ

あの子も…きっとこの先、自分じゃどうすることも出来ない問題が出てくるはずだから…君の力が必要になる時が…」

「…俺でよければ」

 

薫子「頼もしいよっ……後、これは個人的な質問なんだけど…」

「…はい?」

薫子「君にとって…スクールアイドルは何…かな?」

「…何…ですか…」

薫子「抽象的でもいい、君の思う事を聞きたいんだ」

「…そうですね…''輝かせたい存在''…ですかね」

薫子「…へぇ」

 

…うん、これはAqoursの悠だった時も

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の峻としても…変わらないよな。

 

「…俺は彼女たちが自分の憧れや夢に向かって輝くサポートをするだけですよ

…そして、彼女たちの精一杯の輝きを…一番近くで見たい…それだけです」

薫子「…自分に負担がいくらかかっても…かい?」

「負担なんか全て背負いますよ…彼女たちの一番の理解者で居たいので」

薫子「…なるほど、栞子がああも惹かれるのが…分かった気がするよ」

「…えっ?」

薫子「なんでもない、すまないね

引き止めちゃったりして」

「い、いえいえ…っ!」

 

 

 

 

軽く会釈をすると薫子さんは手を上げて反応した。

 

薫子「…宮之原 峻…か………なるほど、面白い子だ

……あの子なら…あの問題も…どうにかしてくれる…だろう」

天を見上げる薫子。

小さく天を舞う飛行機を目で追いながら。

 

 

 

────────────────

 

【控え室前】

栞子「あっ…峻さん、どちらにっ?」

「薫子さんと話してたよ」

栞子「姉さんと…?…すいません、失礼なことを言われませんでしたか?」

「いや、もうその逆だよ…なんか改めて実感させられたというか…」

 

栞子「…と、言いますと…?」

「ん、まぁそっから先は内緒。

…今度薫子さんからあの髪型どうやってやるのか聞こうかな?」

栞子「…い、いくら自由な校風とはいえ…あの髪型は些か問題が…」

「あ、やっぱり?…かっこいいと思ったんだけどなぁ…」

 

栞子「あの…峻さん…1つ、お願いがあります…」

「お、栞子からお願いとは珍しい…どうした?」

栞子「それは、その…この後の閉会式の後で…」

「…?」

 

もったいぶった言い方をする栞子に俺はただただ、首を傾げるのだった。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【閉会式後】

 

「…あの、栞子…なんで俺はステージに立たされてるんだ?」

 

大歓声とはアンコールライブが終わった後…俺は栞子に手を引かれて

ステージに上がっていた。

 

栞子「…改めて、お礼を言わせてください…っ」

「なんだよ、急に…」

栞子「ふふっ、峻さんが控え室に居ない間…皆さんと話し合ったんですよ♪」

「…?」

 

愛「しゅんしゅんにだけ見せる10人のライブだよっ!♪」

せつ菜「逆サプライズですよ~っ!」

歩夢「栞子ちゃんが同好会の練習参加してる時に…振り付けとか覚えたの…知ってるかな?♪」

 

「…えっ…10人で…っ?」

 

果林「そうよ、しっかり目に焼き付けておきなさい?」

彼方「フルパワーで頑張るよ~っ♪」

エマ「普段のお礼も兼ねて…ね?♪」

 

「…みんな」

かすみ「ほらほら~っ、可愛いかすみんを間近で見るチャンスですよ~っ♪」

しずく「μ'sやAqoursの皆さんは控え室で一足先にお疲れ様パーティーをしてもらってますよっ♪」

璃奈「終わったら、一緒に行こう、峻さん」

 

栞子「では、特等席で…見ていてくださいね?」

「…皆…ありがとう」

 

歩夢「じゃあ、栞子ちゃん…タイトルコールお願いっ♪」

栞子「はいっ、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会で…」

 

 

 

 

 

 

「「「────TOKIMEKI Runners!!」」」

 

 

 

 

 

 

……あぁ…そうだよ、薫子さん…俺が見たかった景色は…輝きは…。

「……ここに、あったんだ…」

10人で行うステージ…その輝いてる姿を…1人、しっかりと目に焼き付けるのだった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【控え室】

 

 

穂乃果「あっ、皆やっと来た~!…って、えええっ!?

峻くん、めちゃくちゃ泣いてるんだけどっ!?」

果南「ど、どうしたの~っ!…かすみちゃんに、いじめられた?」

 

かすみ「かすみん、そんな事しませんよ!!!」

歩夢「…あはは、ちょっと深い事情があって…」

 

海未「きっと、感動による嬉し涙でしょう…見てください、あの同好会皆さんの暖かな光景を」

ことり「ふふっ、逆サプライズライブは成功だったみたいだね♪」

 

千歌「峻くん~!泣いてる暇あったら私のグラスにお酌しろ~!」

鞠莉「…ジュースよね?…それ…」

梨子「というか、千歌ちゃん酔ってる!?」

千歌「わーーーはっはっは~♪」

 

「…やれやれ、感傷に浸れないくらい明るいな、皆は…」

しずく「ですが、この光景が峻さんが見たかった景色…なんじゃないんですか?♪」

「…ああ!」

 

 

 

 

同好会のみんなと…μ'sとAqours…Saint Snowと…みんなで叶えた夢。

しばし、その余韻に浸る事にした俺。

…最初の頃には、想像もしてなかった。

バラバラだった同好会が…敵視してた生徒会長が…。

 

「…みんな、成長したな…」

そう思う度に…胸が暖かくなる俺だった。




戦争まであと2日…っ!!!


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128話

戦争前、最後の総仕上げです(????)

せつ菜ちゃんのお山をCHASEしたい


「…さて、と…」

 

Aqoursのみんなは先に帰った。

…まぁ、今は夕方だし…沼津だからね…。

バスとかの心配もあったけど…聞いてみたら。

 

千歌【美渡姉が車で迎えに来てくれるって!】

って言ってたから大丈夫だろう。

 

…μ'sはμ'sで。

穂乃果【今後の予定はまた今度話そうね!】

と言って颯爽と帰っていった。

…まぁ、でも…顔は充実に満ちた顔をしてたし…。

 

「…大成功ってところだな」

愛「違うよ~、しゅんしゅん!…大、大大成功だよ!」

「あはは、なんかの合成みたいだね」

せつ菜「2倍!2倍ですよーっ!!!」

 

栞子「それもこれもボランティアの皆様の献身的なお手伝いのおかげですよ」

「なーに言ってるんだ、栞子が裏で指示出したり見て回ってくれてたからだろ?」

果林「そうそう、本番前のミーティングの時だって…」

 

 

栞子【ここに集まってる誰もが…スクールアイドルを愛している人たちです!…私も、例外ではありません…いいえ、スクールアイドルが…大好きです!

だから、皆さんで夢を叶えましょう!】

 

「…しかもその後に衣装を着てるなんてな?」

栞子「…う、うぅ…///」

 

かすみ「しお子もスクールアイドルへの熱いものを持ってるんじゃ~ん♪」

栞子「や、やめてくださいって…あれは、自分でも熱がこもり過ぎたと…///」

 

しずく「いいえ、熱くなるのは恥ずかしがることじゃありませんよ!」

エマ「そうだよ、栞子ちゃんっ

すっごく胸に響いたよ♪」

 

栞子「…わ、私の方こそ…迎え入れてくれて…ありがとうございます…っ」

歩夢「うんっ♪

改めてよろしくね、栞子ちゃん!」

 

彼方「10人でやるライブ…楽しかったな~♪」

璃奈「峻さん、号泣してた」

「や、やめろ…お、俺だってなぁ…泣く時くらい…」

せつ菜「ふふっ、またライブしましょうね!♪」

 

栞子「…ですが…峻さんはしばらくの間…」

「…え?」

しばらくの間?…俺補習でも受けるのか?

 

「…な、なんの事?」

栞子「ご、ご存知ないのですか!?…''短期留学''の事…」

「………………………へ?」

歩夢「峻くん…それが魅力的だって…今の学科をえらんだような…?」

(…しまった…俺は峻じゃないからボロが出ちゃう…!)

 

栞子「えぇっと…峻さん…何を…?」

「…いぎだくない~っ!!!」

果林「しゅ、峻…っ!!///」

 

俺は駄々をこねる子供のように果林の足にしがみついた。

というか短期留学なんかしたらホームシックが発動するに決まってる。

 

歩夢「わ、私たちだって…頑張るからっ…ぐすっ…!」

「…歩夢~…今更行きたくないよ~…つ!!」

栞子(い、今更…)…ですが、学科の決まりですし…2ヶ月間は短期留学を…」

 

「栞子の権限で!」

栞子「職権乱用はあまり…」

「じ、持病の癪が…!!」

しずく「…元気そうですが…」

 

果林「…出発まで…後どのくらいなの?」

栞子「5日後です」

「よし、5日後に風邪を引けばいいんだな…」

璃奈「もはや…意地…」

 

彼方「彼方ちゃん、音楽科に短期留学があるなんて知らなかったよ~…」

しずく「…2ヶ月間…短いようで…長いですね…」

 

かすみ「次のステージのこと…相談したかったのに~…」

エマ「…私も、相談したいこと…沢山あったんだけどな~…」

 

「大事な時に…同好会に居られないなんて…ごめんよ、みんな…」

愛「謝んないのっ!音楽科の年間行事なんだし♪」

璃奈「うん、それに…辛くても寂しくても…心は一緒だよ?」

「……あぁ、そうだな」

 

果林「歩夢、私達も笑顔で見送らなきゃ…よ?」

歩夢「…う、うん…私達…待ってるからね!気をつけて…行ってきてね!」

 

「ありがとうな、歩夢」

そう言って俺は歩夢を優しく抱擁した。

「…みんなの為にも…いっぱい学んできて…これからの同好会に活かしていくよ」

 

せつ菜「パワーアップした峻さんに期待してます!」

かすみ「かすみん達もパワーアップしますよ~っ!♪」

しずく「先輩が帰ってきたらびっくりするくらい成長してみせますね!♪」

 

愛「おっ、みんな良いこと言うね~♪」

果林「そうね、お互いに成長した姿を見せ合いたいわね」

彼方「彼方ちゃんも、お昼寝我慢して勉強と練習…頑張るよ~…っ!♪」

 

エマ「ふふっ、彼方ちゃんが寝そうになったら起こしてあげるね♪」

彼方「お手柔らかに~♪」

「…やっぱりみんながいると心強いね…俺も留学中は勉強に専念しよう!」

 

璃奈「うん、それがいいと思う♪」

栞子「私も、スクールアイドルとして…しっかり、研鑽を積みますね」

「ああ、期待してるよ…栞子」

歩夢「………」

 

 

 

 

 

歩夢の顔は…先程から晴れないままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

【自宅 ベランダ】

 

 

「あれ、先客が居た」

歩夢「…あっ、峻くん」

 

「どうしたんだ、浮かない顔して」

歩夢「…ごめんなさい!」

「……謝るようなこと…歩夢したっけ?」

 

歩夢「短期留学は…音楽科の人はみんな行かなきゃいけないのは…分かってる…

峻くんも、同好会で過ごす日々が楽しくて…忘れちゃってたんだよね…」

(……違うん、だけどな…)

 

歩夢「頭では分かってるんだけど…峻くんと2ヶ月も会えないって思うと…心の整理がつかなくて…」

「俺もだよ…下手したら初日からホームシックになるかもな」

 

歩夢「…ねぇ、峻くん…これだけは…言わせて?」

「…改まって…どうした?」

歩夢「…2ヶ月間…頑張ってきてね?♪

貴方らしくいれば…きっと、どんなことがあっても大丈夫だから

そして…その間…私も頑張るっ

帰ってきたら、峻くんがびっくりするくらい…成長してみせるから!」

 

「……あはは、元気付けるつもりが…逆に元気もらっちゃったな」

そう言って俺は部屋へ戻った。

歩夢はぽかんとしたまま俺が部屋に戻るのを見続けていた。

 

「…ほら、これ」

手渡したのは…いつも使っている白のパーカー

 

歩夢「…えっ?…これ…」

「ちょっとカッコつけかもしれないけどさ…2ヶ月間…俺だと思って…持っててよ?…もちろん、着てもいいし…さ?」

歩夢「…峻くん…///」

 

手渡したパーカーを歩夢は大事そうに受け取った。

歩夢「…うん、峻くんの匂いがする…///」

「それは良かった…のか?」

歩夢「…うん、だって……すごく安心する…///」

 

「…じゃあ…もっと安心する方法教えようか?」

歩夢「…えっ?」

「…その…一緒に寝てくれよ…なんか今日は…人肌恋しいから、さ…」

歩夢「…ぁ………うんっ!///」

 

 

 

 

お互い寂しい気持ちはある。

けど、その寂しい気持ちは…半分こ。

離れてたって心は繋がっているから。

その想いが…一緒に寝た歩夢の握った掌から伝わった。




いよいよ峻くんが海外に…!!!

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129話

せつ菜ちゃんとニジガクの風を感じてきました。
CHASEを披露したステージの前に行った時に一瞬風が吹いたのですがせつ菜ちゃんからの風ですかね(違う)


【空港】

 

「…着いてしまった…」

振り返り、出てきた空港を目にした。

 

「…いくら入学時に希望短期留学先を書いたとはいえ…」

…いや、書いた記憶は俺は無いんだけど…。

 

「イタリア…かぁ」

…よもやよも…いや、違うか。

まさかイタリアを書く、なんてな…。

 

「…えっと…緑色の旗持ってる人が…ホームステイ先の人って言ってたっけ?」

…いなくね?

…えっ、俺異国の地で…ひとりぼっち?!?!

 

「…ま、まさかなぁ…」

?「Ehi, come stai?(やあ、元気かい?)」

「Chi è?(誰!?)」

?「お、凄い…日本人なのにイタリア語話せるんだ?」

 

「…つ、月さん!?」

月「あれ、なんで私の名前を…」

「…あっ、そ、その…っ!」

月「…あー…そちらの生徒会長さんから聞いたのかな?」

「あ、そ、そうですっ…って…なんで俺が留学生だって分かったんですか…?」

 

月「んー?…そりゃあ…空港でキョロキョロしてる日本人が居れば…目立つよね?♪」

「…あ、あー…なるほど…」

月「ってな訳で、ホームステイ先で留学中の君のお世話役…渡辺 月だよ♪

よーろしくねっ♪」

 

そう言うと月さんは敬礼ポーズをした。

 

「…あの、つかぬ事を聞いてもいいですか?」

月「早速質問?…いいよいいよ~♪」

「曜ちゃんって人知ってます?」

月「曜ちゃん?……えええぇ!?なんで知ってるの!?」

「…あ、実は…」

 

 

 

────────────────

 

 

【イタリア街中】

 

月「…へぇ~…スクールアイドルやってるんだ?」

「僕はサポート役ですけどね…そこで曜ちゃんとも話して…なんか似てるなーって思ってて…(…まぁ、悠の時に知ってるんだけど)」

 

月「じゃあ、今回の留学はいい勉強になるんじゃない?♪」

「そうですね…ははっ…」

月「む、早速ホームシックになってるな?」

「そ、そんなこと!!…あります…」

月「まぁ、そうなるよね~♪

でもさ、前向きに前向きに!…ね?」

 

「…はい、くよくよしてても…仕方ありませんよね」

月「そうそうっ、それにここは音楽の街…イタリア!

カルチャーショック受けるよ~?♪」

 

「…す、凄いですね…確かに…」

タイムスリップしたような街並みに…俺の心も弾んでいた。

月「それに君さ…イタリア語…喋れるの?」

「あ、はい…少しですが…(悠の時の母さんの影響かな…)」

 

語学には堪能であれ。それが母の教えだった。

月「…んー…じゃあさ?」

 

月さんが指さしたのは…レストランにあるピアノだった。

「…え?」

月「ご飯でも食べながらさ?…君のピアノ…聞かせてよ?」

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【レストラン内】

 

 

「…じゃあ、月さんはイタリアに来て長いんですね」

月「うん、まぁ…曜ちゃんに会うのは年に1回か2回かなぁ」

 

「へぇ~…」

月「ふふっ、さて…世間話はこれくらいにして…」

「…ホントに引くんですか?」

月「あのピアノは誰でも弾けるからね♪

ちょうど今は誰も弾いてないし…どうかな?」

 

「…自信ないですが…それでもいいなら」

月「ん、大丈夫大丈夫!♪」

そう言って月さんは俺をピアノの方に送り出した。

座った途端…周りのお客さんも俺の方を見てきた。

 

 

【Sei giapponese?(日本人かな?)】

【Stai guardando cosa stai giocando.(どんな演奏するのか見物だね)】

 

「… Scusate se interrompo il vostro pasto.(お食事中失礼します)」

「────── Wings of Piano.」

【※Deemo内楽曲】

 

 

ピアノの弦を奏でた途端…周りがシン…っと静まったのを感じた。

それと同時に…ここは今…俺のステージなんだと気付いた。

 

(この感覚……ニジガクの練習風景と…似ている…)

みんながピアノを囲んで…声を出して…いい曲だねって笑い合って…。

…そうだよ、俺が音楽を頑張ってこれたのは…みんなのおかげなんだ。

 

 

…そんなことを考えてたら…いつの間にか弾き終わっていた。

聞いていたお客さんからは拍手が沸き起こっていた。

 

「… Grazie mille(ありがとうございます)」

頭を下げると…1人の紳士風男性が手を差し出してきた。

 

【È stato fantastico.(素晴らしかったよ)】

「… Mi dispiace.(恐縮です)」

そう言うと握手した男性はその場を後にした。

 

月「…凄いね、あの人確か有名な音楽家だった気がする」

「…えっ、ホントですか?」

月「うん、そうだよ…あの人に握手してもらえるなんて…君、すごいね…?

…一体、何を想って弾いてたんだい?」

 

「…''応援したい…みんなの笑顔''…かな?」

月「へぇ…見てみたいね、君が応援している…スクールアイドルのみんな」

「いい子達ですよ…眩しくて…明るくて…いつも前を向いて…何があっても下を向くことなく、協力してお互いを高めあって…」

月「ふふっ、大好きなんだね、その子達のこと♪」

 

「…えっ?…あっ」

自分の言ってる事に恥ずかしくなって耳を赤くする俺だった。




翻訳はガバガバです。
ご了承ください…!!!

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130話

いざ、合宿!!


【峻が留学に行って1ヶ月が経った】

 

せつ菜「さぁ、皆さん!今日も張り切って練習に励みましょう!」

…シーーーーーーーーーン………

 

せつ菜「…あ、あれ?」

愛「はりきって、ね~…なんかやる気がね~…」

エマ「スクールアイドルフェスティバルが成功したし、もっともっとってなるかと思ってたんだけどね~…」

 

かすみ「かすみんも…ファンの為に頑張らないと…とは思ってるんです…頑張らないと、とは…」

果林「…言葉とは裏腹で…かすみちゃんも元気ないじゃない…」

 

璃奈「心、ここに在らず…」

かすみ「そ、そんなこと…」

 

しずく「あるよね?」

かすみ「……なくは、無い…」

 

彼方「やっぱりみんな…寂しいよね~…」

せつ菜「…分かってはいましたが…峻さんの存在は…こんなにも大きいと改めて思い知らされましたね…」

 

果林「本当にそうね…あの子が留学に行って…1ヶ月かぁ…」

璃奈「早いような…早くないような…」

 

エマ「峻くんが居ないだけで…こんなにも元気なくなっちゃうんだね…」

かすみ「…んんんんん~…!!

やっぱりダメです!峻先輩の為にも皆さん元気だしましょうよ~!」

 

しずく「…って、言ってるかすみさんの声が既に元気が…」

かすみ「…だってだって~…!寂しいよ~…!!」

しずく「…うん、寂しい…」

 

歩夢「…私、まだ峻くんが留学に行って1ヶ月なんて信じられない…」

彼方「思った以上に長い~…」

愛「…後、どれ位で戻ってくるんだっけ?」

歩夢「1ヶ月と…3日」

 

璃奈「改めて日数を言われると…まだそんなに」

彼方「…ということは…みんな後1ヶ月は…このまま…?」

しずく「さすがに、それは良くないですよね…良くないと分かってはいるのですが…」

 

愛「…もしかして…私たち…燃え尽き症候群…なのかな」

エマ「…燃え尽き症候群…?…病気…なの?」

愛「目的を達成したら心にぽっかり穴が空いて力尽きる…みたいな」

エマ「…なるほど、確かにそういうところはあるかもね…」

 

せつ菜「…では、新しい目標を立てませんか?」

璃奈「…新しい、目標?」

 

せつ菜「はい!…例えば…テストを頑張る…とか?」

果林「嫌」かすみ「です」

 

愛「…わっかりやすいな~…」

栞子「嫌かもしれませんが、成績によっては…ですからね?」

かすみ「わ、分かってるよ~…!

でも、スクールアイドルの目標ならスクールアイドルらしいことじゃないと…」

 

栞子「……っ………閃きました」

栞子の意味ありげな顔にみんなが視線を栞子に寄せた。

 

 

栞子「────────というのはどうでしょう?」

せつ菜「なるほど、それはいい案です!」

かすみ「…えっ、でもでも…出来るんですか?…そんなこと」

栞子「然るべき申請をすれば大丈夫ですよ」

歩夢「なら、峻くんをビックリさせようよ!」

しずく「賛成です!」

 

栞子「…では、そちらは少しずつ計画を練りましょう…

後、先程…絵里さんからご連絡がありまして」

せつ菜「…絵里さんから?」

 

栞子「…しばしお待ちを…もしもし、三船です」

絵里【あら、連絡ありがとう…今平気かしら?】

栞子「はい、スピーカーに変えますね」

 

そう言うと絵里の咳払いの音が部室に響いた。

絵里【みんな、すっかり峻くんロスって感じね?】

かすみ「うぐっ…」

歩夢「そ、そんなこと…」

 

絵里【大丈夫よ…ほら、アニメとかでもあるでしょう?

パワーアップして帰ってくるとか】

せつ菜「分かります!!アレ○クス・ザラですね!」

絵里【えぇ…っと、まぁそんなところね】

果林「それで…絵里ちゃんがどんなご用件かしら?」

 

絵里【今度ね、μ'sで合宿をすることになったの…そしたら、にこが────────】

にこ【血肉の争いをした中よね!?しかも、まだ決着付いてないじゃない!

あなた達も来なさいよね~!】

絵里【あぁ、もう、にこ!…って、話になってね…】

にこ【峻が居なくたってμ'sと対等に渡り合えるとこくらい、しょーめーして見せなさいよね~!】

絵里(…にこらしい、気遣い…かしらね?)

 

果林「…OKよ、むしろありがたいくらいだわ」

エマ「うんっ、すごくレベルアップしそう!」

栞子「…では、皆さん…賛成ということで大丈夫ですか?」

その質問に全員頷いた。

 

絵里【じゃあ、連絡は追ってするわね?】

そう言って電話は切れた。

…切れてから直ぐに…。

 

かすみ「うぅ~……練習したーい!!」

しずく「わぁっ!…ふふっ、いつものかすみさんに戻りましたねっ」

せつ菜「ええっ、峻さんを引き合いに出されましたからね!

負けられませんよ!」

 

 

 

歩夢「練習、頑張ろっか?♪」

「「「おーっ!」」」




ちょい短めです、すいません…!!


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近江彼方 誕生日特別編

彼方ちゃんとおやすみなさいしたい(意味深)


「彼方、今度の水曜って…」

彼方「…ごめ~ん…家族で集まる用事があるの…」

「そっか、ごめんな変な事聞いて」

彼方「それより~、峻くんの、お膝貸して~♪」

「…はいはい、どーぞ?」

 

…家族で集まる…か。

水曜が彼方の誕生日って知ってたから…お祝いしたかったけど…。

 

(…何かプレゼントを渡そうかな)

とはいえ…彼方が喜ぶ物…。

(…ピンと来ないな…)

 

既に寝息を立てている彼方の頭を撫でる。

「…ホント…彼方は…」

その時、ふと思いついた。

彼方らしい…プレゼントを。

 

 

 

────────────────────────

 

【次の日】

 

「付き合ってくれてありがとうな、歩夢」

歩夢「ううん、全然大丈夫だよっ♪

私も彼方ちゃんへのプレゼント選びたかったし♪」

 

「…後、は…っと…」

歩夢「…峻くんは、何をプレゼントするの…?」

「秘密…っつっても…物でバレちゃいそうだけどな…。」

 

裁縫糸に薄紫の生地…それにコットン。

 

歩夢「…お裁縫?」

「うん、手作りで…枕作ってあげようかなって」

歩夢「あっ、いいかも!♪」

「だろ?彼方らしいプレゼントかなって」

歩夢「私は何にしようかな~…料理道具とかどうかなっ?♪」

「いいね、大事に使ってくれそうだね」

 

こうして俺と歩夢は各々考えるプレゼントを選ぶのであった。

 

 

────────────────

 

【さらに次の日】

 

学園の前に思わぬ人物が待っていた。

遥「…ぁ…峻さんっ!」

「…遥…ちゃん?

どうしたの虹ヶ咲学園になんか来て…」

 

遥「ウチの学校、今日は午前中のみなんです…

それで、お姉ちゃんが良かったら虹ヶ咲に来ない?って…」

「…あぁ、なるほどね…通りでルンルン気分だったわけか」

 

遥「…すいません、部室まで…案内してもらっても…」

「いいよ!広いもんね、ここ…」

 

……歩き始めて少し経った時…遥ちゃんが口を開いた。

遥「…お姉ちゃんから…何か聞いてませんか?」

「…彼方から?…いや、何も…」

遥「…そう、ですか」

 

「…家で同好会の話でもしてたのか?」

遥「…いえ、どちらかといえば…峻さんのお話を…」

「…俺の?」

 

遥「…今度の水曜日…何の日か分かりますか?」

「…彼方の誕生日…だろ?」

遥「…はい、実はその件で……っ…」

 

なにか言おうとした遥ちゃんだったが、唇を強く噛み締めた。

「…何かあったのか?」

遥「…お姉ちゃんには…ナイショですよ?

実は…お姉ちゃん、峻さんを誘いたかったらしいんです」

 

「…俺を?…でも、数日前に聞いたら…家族で集まるって…」

遥「…お姉ちゃん、その事で家で後悔してたみたいなんです

本当は峻さんにも来て欲しかったのに…恥ずかしくて断っちゃったって…」

「…そうだったんだ…」

遥「…あのっ、峻さんさえ良ければ…来て、くれませんか?」

「…奇遇だね、同じこと言おうとしてた」

遥「…あっ…お、お姉ちゃんも喜びますよ!」

「なら、サプライズだな?」

遥「はいっ!」

 

遥ちゃんと秘密のサプライズを計画し…俺と遥ちゃんは部室に入った。

 

 

──────────────────────

 

【水曜 当日】

 

部室では既に同好会のメンバーが彼方へプレゼントを渡していた。

彼方「…………………」

果林「彼方?」

彼方「…ぁ…っ、ど、どうしたの~…?♪」

 

エマ「ずっと上の空だから…」

果林「もしかして…プレゼント…お気に召さなかった?」

彼方「ち、違う違う~っ…大丈夫だよ~っ♪」

 

…と、言いつつも…視線は峻の方ばかり向いていた。

 

 

 

【放課後】

 

「悪い、今日は先に帰るわ!」

足早に峻は、部室を出た。

 

エマ「…珍しいね?」

歩夢「ふふっ、予定でもあるのかな?♪」

せつ菜「…愛さんはおウチの手伝いで」

しずく「果林さんは…モデルの撮影、でしたね?」

 

彼方「…彼方ちゃんも…帰るね…」

璃奈「…こっちは…元気、なさそう…」

かすみ「せっかくの誕生日なのにそんな顔しないでくださいよ~!」

 

彼方「…だって…峻くん…彼方ちゃんの誕生日…覚えてくれてないから…」

「「「「………」」」」

 

部室に残ってたメンバーはみんな黙っていたが…内心では。

((((峻(くん・さん)がそんなことするとは思えないけど…))))

と考えていた。

 

 

───────────────────────

 

【彼方視点】

 

…結局、何も無く…おウチに着いちゃった…。

 

「…ううん、遥ちゃんの前で…こんな顔、ダメだよね…っ

せっかくの誕生日なんだし…」

 

よしっ…と勢いよくドアを開けた時だった。

峻「…おっ、やっと来た」

「…えっ…」

 

 

───────────────────────

 

ドアを開けた彼方は正に鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。

 

「…何固まってるの?」

彼方「…え、ええええっ~!!??…しゅ、峻くん…?」

遥「私が呼びました~♪」

「呼ばれました~」

 

彼方「えっ…は、遥ちゃん……あっ…あああぁ~っ…///」

自分の発言を思い出したのか…彼方は手で顔を隠した。

 

「ほらほら、主役が入らないと?」

遥「お姉ちゃん、こっちこっち!♪」

彼方「わ、わかったから~っ///」

 

恥ずかしそうに部屋に入る彼方…しかし、追撃が…。

近江母「彼方ってば、こんなイケメンくんと同好会して羨ましいわね?」

彼方「…うぅ…///」

遥「あははっ、お姉ちゃん顔真っ赤~!///」

彼方「そ、そんなこと無い~っ!///」

 

こうして賑やかな誕生日会が始まった。

 

遥「ほーらっ、峻さん?」

「…えっ?…あ、あぁ…その…彼方

今日が彼方の誕生日だってことは…知ってたんだ」

彼方「そう、だったの…?

…でも、プレゼントは…」

 

「…これ…」

丁寧にラッピングした赤い袋を手渡した。

 

「…なんか、みんなの前で渡すのは…恥ずかしかったし…それに」

遥「私がサプライズで渡そうって考えたんだよ~♪」

彼方「…遥ちゃん…峻くん…」

 

大事そうに彼方は赤い袋を抱きしめた。

彼方「…開けて…良い?」

「もちろん」

 

中を開けると…そこには…

彼方「わぁ~…っ、枕だ~…!♪」

「この前膝枕してた時に枕が無いことに気がついたからね」

遥「えっ!?…お姉ちゃん、峻さんに膝枕してもらってるの!?」

近江母「あらあら…」

 

「…ん、んん…まぁそれは追々…」

彼方「フカフカで気持ちい~…っ♪///」

「良かった、喜んでもらえて」

彼方「…これ、峻くんの…手作り?」

「そだよ」

 

遥「え、ほんとに!?…お姉ちゃん、お婿さんに来てもらったら…?」

彼方「ななな、なんでそうなるのっ!?///」

遥「いやいやいや…なんでも出来るし…性格もよし…好立地すぎない?」

「俺は都内の一等地か」

 

彼方は全力で否定してたけど…枕は決して離さなかった。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

【数日後】

 

 

しずく「ここ最近、彼方さんのお昼寝が…」

彼方「すやぴ~…っ♪」

しずく「心無しか嬉しそうな感じがするんですが…」

エマ「確かにっ、いい夢見てるのかな?♪」

 

歩夢「…良かったね、峻くん♪」

「きっと夢の中で誕生日会の続きをしてるの…かもな?」

 

 

彼方「すぅ…っ…峻…くん…大…好きだよ…~…///」

彼方の寝言は…いつもの賑やかな部室の声にかき消されるのであった。




彼方ちゃん誕生日おめでとう…!!
無自覚の…色気…!(違う)


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132話

創作意欲、限界突破中です
優木せつ菜の輝きですね(????)


月「…君はさ?」

「…はい?」

月「…いや、なんでもないよ」

 

「…え、気になるんですが…」

月「…今オーケストラを聞いてたけど…表情豊か…なんだよね…

どんな事を考えてたの?」

…確かに、勉強も兼ねて…月さんとオーケストラを聞いた帰りだった。

 

「…どんな…上手く言えないんですが…感情移入しちゃうですよね

嬉しいとか悲しいとか熱いとか虚しいとか…色々と」

月「…なるほど、君は面白い感覚の持ち主…なのかもね?

さすがは音楽学科の生徒なだけあるよ」

「…まぁ、端くれみたいなものですけどね…」

 

月「またまた謙遜して……さて、お昼だけど…何食べる?

リクエストとかある?」

「…そうですね、なら────────」

 

ふと、月さんの方を見た時だった…。

''自分によく似た…いや、まるで…''

(悠…っ!?)

と、見間違える程に…見ている人を見つけた。

 

「…待って…!!」

月「えっ、ちょっ…!!」

 

人混みを掻き分けて…その人物を追った。

しかし…見失ってしまった。

 

 

「…はぁ…はぁ…」

月「はぁ、はぁ…急にどうしたの…っ?」

「………いえ…すいません」

 

思い詰めた顔を見た月は…何かを察したような顔をした。

月「…そうか、まぁ…詮索はしないよ…君にも事情がありそうだし」

「…ありがとうございます」

 

月「…ミラノのドゥオーモ…」

「…えっ?」

月「…偶然かどうか分からないけど…音楽の大聖堂と言われてる…ミラノのドゥオーモってところだよ…ここ」

「…あっ…」

 

目の前に立ちそびえる…立派な聖堂に初めて目に入った。

月「…中に…入ってみるかい?」

「…えっ?」

月「顔に書いてあるよ、見てみたいって♪」

 

「…はい、入ってみたいです」

月「よし、じゃあ…行こうか?♪」

 

 

 

───────────────────────

 

【大聖堂内】

 

「………わぁ……………………」

入った瞬間、中の神秘に思わず生唾を飲んだ。

迫力に圧倒された…ただその一言だった。

 

月「…目、輝いてるよ?♪」

「…あっ…そ、そうでしたか?」

月「スクールアイドルのみんなを…思い出したのかな?♪」

「…そうですね、なんか…みんなへの新しい歌の…イメージが湧きました」

 

…みんなどうしてるかな…。

歩夢は…あはは、パーカーずっと持ってるんだろうなぁ…。

…多分、同好会内が静かで寂しいって…なってるのかなぁ…。

 

「…あっ、国際電話…でもなぁ…」

結構高額だし…ビデオ通話…。

 

「…1回くらい…良いよな?」

歩夢を呼び出すが…

 

「…あれっ、出ない…」

月「どうしたの?」

「幼なじみが電話に出ないんです…」

月「峻くんのお母さんなら何か知ってるんじゃないの?」

 

「…あ、なるほど…」

電話の相手を自分の母親に変えた。

 

「………えっ?」

返ってきた答えは…予想外の物だった。

 

「…同好会と…μ'sが無人島合宿?」

月「…これはまた壮大な合宿だね…」

「…いったい、どうしてそんな事に…」

月「それは土産話として…聞くとして…そろそろ帰るよ?」

「あっ、はい…!」

 

…発案者は…μ'sなら絵里かにこかな。

同好会だとしたら…栞子…?…まさかな。

 

 

 

───────────────────────

 

【家の前】

 

「…ここって…」

月「…私の家…だけど…」

「えっ、俺ここに!?」

月「ホームステイなんだし、不思議なことは何も…」

 

「…えええええっ…………………」

 

月「…もしかして、嫌だった?」

「あぁ、そうじゃなくて!…月さんと俺の2人って…」

月「イタリアじゃ普通だよ?…って、日本の感覚だとそうなるよね

…うーん、イタリア色に染まっちゃったのかな~、私も」

 

「…えっと、月さんが大丈夫なら…」

月「あはは、まぁそう緊張しなさんな♪

何事も経験、経験!♪」

「…は、はい…」

 

笑いながら案内する月さんを見て…この人には敵わないなぁと思う俺だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【キッチン】

 

 

月「…おぉ~…慣れた手つきだね…」

「料理は得意なんで」

 

せめてものお返しと、俺は昼飯を作ることにした。

月「これは素敵な旦那さんになると思うよ~♪

好きな人とか居ないのか~?このこの♪」

 

「好きな人…か」

月「お、悩める少年よ…お姉さんで良ければ相談に乗るよ?」

「…えっと、好きな人ってのが…10人いて…」

 

月「…ほう?」

…うん、まぁこうなるよね…

「…えっと」

 

月さんに自分の思ってることや今までの経緯を話した。

…まぁ、悠の時に知ってるからか…不思議と違和感なく喋れた。

 

月「モテ男だね~♪」

「…あはは…それはどうなんですかね…」

月「…まぁ、時間はあるんだしさ?

自分なりに考えればいいんじゃないかな?」

「…そうですね、ありがとうございます」

 

 

 

 

…自分なりに…か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

【オマケ】

 

※もしも、同好会に侑ちゃんと峻くんが居たら?

(時系列や今後の展開とは全く関係ありません ただ作者が描きたくて描きましたw)

 

 

侑「おーい、峻」

「…どうしたんだ、侑?」

 

侑「ちょっと生徒会室行ってくるから…みんなの練習、見てて貰っていいかな?」

「あいよ、見ておくよ…って、リボンズレてるよ…ったく」

 

侑「…あ、あははっ…ありがとっ///」

歩夢「…むーっ…///」

「歩夢、どうした?」

 

歩夢「…ほんっとに峻くんって…たらしだよね…///」

「昔洗濯物を洗う時に使ってた?」

愛「それは、タワシっ!」

 

「水辺に生息している…」

しずく「それは、タニシなのでは…」

 

「あっ、胸に巻く…!」

果林「…さらし、かしら…」

 

侑「…っ…ぷっ…あ、はっははははは!!

はーっ、はーっ…ひー、お腹痛い~…っ…!」

「…めっちゃウケてるけど…」

歩夢「…ゆ、侑ちゃん…」




次回:いざ、同好会メンバー…無人島に!


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133話

はい、アニガサキ前にNEXT Rainbow!!

という事で始まります


【明け方…秋葉原駅前】

 

海未「皆さん、こちらですよ」

歩夢「おはよう、みんな時間通りだね」

 

ことり「むしろ余裕があるくらいっ♪」

かすみ「だから大丈夫って言ったのに~」

 

花陽「…何かあったの?」

愛「あ、ううん大したことじゃないんだけど…

かすかすの荷物が多すぎて手間取っただけだよ?」

 

かすみ「かすかすじゃなくて~っ、かすみんです~っ!」

真姫「…これ、本当に3泊分?…明らかに多すぎると思うんだけど…」

 

かすみ「何を言ってるの、まき子!

3泊も、だよ!…ほらぁ~、女の子ってこれくらい必要だし~?

…それに、しお子も多いよ?」

希「…確かに、栞子ちゃんも大荷物やね?」

 

栞子「…すいません、合宿というものは初めてで…何を持ってきたらいいのか分からなかったので…気がつけば大荷物になってしまい…」

穂乃果「なら、初めての合宿…目一杯楽しもうね!

…って、歩夢ちゃん…白いパーカーって珍しい~!似合ってるよ!」

愛「あれ、本当だ…おニュー?」

 

歩夢「…そう、かな…?

…ふふっ、そっか…うんっ…そう、だよね…♪///」

嬉しそうに自分を抱きしめる歩夢。

 

しかし、事態をこの2人は察知していた。

希「…えりち?」

絵里「…す、筋金入りね…まぁ、峻らしいわ…本当…」

 

かすみ「μ'sのリーダー、期待してますよ~っ♪」

穂乃果「えへへ~、期待してくれたまえ~っ♪」

海未「かすみ、あまり穂乃果を調子に乗らせないでくださいね?

…合宿先で孤立とかしかねないので」

 

穂乃果「……あれっ、穂乃果微妙にディスられてる?」

しずく「…それにしても…こんな早い集合時間になると言うことは…行先は遠いんですか?」

 

果林「…寝不足は…お肌の大…敵…ぐぅ…」

彼方「彼方ちゃんも~…まだ眠い…よぉ~…すぴ…」

 

せつ菜「お2人とも、起きてくださいっ♪!!!!!」

果林「わあああっ!?」

彼方「ひゃぁああっ!?」

 

せつ菜「起きましたねっ♪」

真姫「大丈夫よ、電車に乗ったら少し寝れるから」

愛「船にも乗るし…睡眠時間は沢山取れるよ?」

絵里「そうね、みんな無理はダメよ?」

 

凛「凛は楽しみすぎて全然眠くないにゃ!」

栞子「ええ、私もですっ」

にこ「(パンパンと手を叩き)さぁさぁ、そろそろ行くわよ、みんな?」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

【数時間後】

 

目の前には内浦の海と引けを取らないくらいの景色が拡がっていた。

 

凛「うーみにゃー!!!」

愛「うみーのー!こうみんかーん!!!」

かすみ「やーっほーーー!!!!」

しずく(山では無いのですが…)

穂乃果「海未ーちゃーーーーん!!!」

 

海未「ここに居ます!!」

 

 

果林「んん~…っ…分かってはいたけど…ほんとに遠かったわね~…」

エマ「ふふっ、果林ちゃん…私の肩で静かに寝てたもんね…気持ちよかった?♪」

 

果林「…もぅ…///

…でも、すごくリラックス出来たわ…エマの側だから…かしらね?」

彼方「はいは~いっ!彼方ちゃんも元気10.2倍だよ~!」

果林「ちゅ、中途半端ね…」

 

花陽「こ、ここで、本当に合宿するんだよねっ?

…ワクワクしてきた~っ♪」

凛「かよちん、かよちんっ♪

何して遊ぶ~っ?」

花陽「う~んっと…どう、しようかな…?」

 

愛「まず荷物を置いて…それからだ~っ!」

真姫「…一応、合宿なんだけど…まぁ、いいわ行きましょ?」

 

 

【別荘前】

 

海未「…これはまた立派な…」

希「…わぁ、想像以上…」

にこ「…ほ、本当にここ貸切?」

 

真姫「ほら、鍵…ふふっ、私がオーナーになったみたい♪」

かすみ「はいはいはーい!ちょっといいですか~っ?♪」

穂乃果「はいっ、かすみちゃん!」

 

かすみ「かすみん、探検したいでーす!」

凛「賛成にゃ~!よ〇このサバイバル生活みたいだにゃ~!♪」

絵里「…先に休んでからの方がいいんじゃ…」

 

璃奈「みんな、元気でそれどころじゃ無さそう」

果林「ま、こういうのも含めて…合宿の醍醐味、かしら?」

穂乃果「絵里ちゃ~んっ、いいでしょ?ねっ、ねっ???」

 

絵里「ふふっ、穂乃果ったらはしゃぎすぎよ?…お手」

穂乃果「はいっ!」

絵里「…じゃあ、荷物を置いたら周囲を見て回りましょ?」

「「「はーい!」」」

 

穂乃果「……………………………………あれ???」

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

【探検中】

 

穂乃果「わっ!洞窟洞窟~!」

海未「穂乃果っ、急に走ると危ないですよ!」

穂乃果「大丈夫、大丈夫~!!♪」

 

海未「もう、穂乃果ったら…」

ことり「昔から、ああいうところは変わらないよね~♪」

 

璃奈「島の中に…こんな洞窟が…」

彼方「結構続いてそうだね~…」

絵里「…先に進むのは危険そうね

何の準備もしてないし…サンダルの子もいるし…足場も相当悪そうね」

 

希「そうやね、怪我したら大変だもんね」

せつ菜「……これは…っ」

希「せつ菜ちゃん、どうしたの?」

せつ菜「ここに…長靴や衣類が……しかも、まだ新しいのが…」

 

 

凛「かつての住民が残した物…?!

本格的な無人島っぽくなってきたにゃー!!」

真姫(…おかしいわね、この無人島…誰も住んでた記録なんかないんのだけど…)




多分途中から合宿編が続くと思います
ご了承ください!!


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134話

アニガサキの12話でオレの中の熱いパトスが限界突破したので書きます。

せつ菜ちゃんをずっ推しします


「…~♪」

月「お、ご機嫌だね?」

 

「月さん、どうしたんですか?」

イヤホンを外し…月さんの顔を見る。

 

ちなみに今は留学先の学校にいる。

月「心寂しくしてないかって様子を見に来たのさ♪」

「わざわざありがとうございます…でも」

 

【Buongiorno Shun(おはよう、峻)】

「Buongiorno(おはよう)…とまぁ、なんとか慣れてはいるよ」

 

一学年上の月さんが様子を見に来るのは無理もないだろう。

留学初日なんて…

 

【Miyanohara, che studiava dal Giappone. Tutti vanno d'accordo.(日本から留学してきた宮之原だ、みんな仲良くな)】

 

…シーーーーン…

まぁ、日本人だからな…イタリア語も分からないと思われても無理はないだろう…が。

 

「Piacere. Sono Miyanohara. Sono qui per studiare musica per le persone che amo.(はじめまして、宮之原です。大好きな人たちのために大好きな音楽を勉強しに来ました。)」

 

話し出した瞬間、先生を含めて驚嘆の声を上げるクラスメイトたち

そこからは仲良くなるまでに、そう時間はかからなかった。

 

月「…ところで、そのイヤホン…ピンク色だね

男の子がピンク色って、珍しいね?」

「…あぁ、これは…歩……っと、大事な人のイヤホンなんだ

預かっててって言われたし…何より、俺が持っていたかったからね…」

 

月「…ほほーう、彼女…ですかい?♪」

「ち、違うよ!」

月「あっはは、慌てて否定するあたり怪しいぞ~?♪」

「う、うるさいなぁ、もう!」

 

…彼女…か。

…いやいや、勉強に集中しないと…。

 

【Hai sentito? Un musicista famoso darà una lezione speciale.(そう言えば、聞いた?有名な音楽家の人が特別授業してくれるって)】

【È l'ora della prossima classe, no?(あー、この後の授業だよね?そろそろ行かないとね)】

 

「…って訳で…俺も移動教室だから」

月「おっと、大事な要件を忘れていた」

「…?」

月「Volete pranzare con me, signori?(お昼一緒にいかがかな、紳士?)」

「… Ehi, ehm.(…へいへい)」

 

こういう時にイタリア語で言われてもな…まぁいいか。

 

 

 

────────────────

 

【音楽室】

 

 

中に入り…特別講師の登場を待っていた。

俺は相変わらずイヤホンをしてノートを取っていたが。

 

 

(…ここは…せつ菜らしく…こう、と…

歩夢は…花がいいな…花…うーん…ローダン…)

アイデアを思い浮かべてる時だった、イヤホン越しでも分かるくらいの拍手の音がした。

 

登壇に目をやると…。

 

「……あっ!!!!」

そこには…ランチの時にピアノを弾き、それを聞いてた音楽家の人だった。

 

【… Cos'è quello?(…おや?)】

勢いよく立ち上がったものだから…当然、相手にはバレバレだった。

そして…その音楽家の…今は先生か…は、近づいてきた。

 

【Salve da pranzo.(やあ、ランチ以来だね)】

「… Esatto(…どうも)」

 

握手をすると周りのクラスメイトたちがざわついた。

まぁ、そうだろう…有名な音楽家と日本人の留学生…掛け合う訳が無い。

 

【Hai studiato qui, vero? Non è vero?(ここに留学してたんだね?)】

俺はその質問に頷いた。

 

【Allora ti accompagnerò. Canti.(ふむ、では私が伴奏しよう。君が歌ってみてくれ)】

「… Cosa?(…えっ?)」

 

伴奏?…俺が歌う?

俺の疑問を他所に…音楽家の先生はピアノの方に向かってしまった。

 

【Sì, puoi cantare lì.(あぁ、そこで歌ってくれ)】

(…ったく、是非は無いのかよ…)

 

頭を掻きながら…俺は歌い出した…。

その瞬間、世界が変わった気がした。

 

…いや、正確に言えば…その場の空気を俺が支配したような感覚だった。

【………(Hymn. Divertente.)(賛美歌か、面白い)】

 

 

…歌い終わると…音楽室は静寂に包まれた。

 

しかし、音楽家の先生は違った。

何度も何度も…拍手を繰り返した。

 

【Bene. Mi piaci sempre di più.(素晴らしい、君の事ますます気に入ったよ)】

 

その後、音楽家の先生からとんでもないアイデアが要求された。

【Vorresti andare a un concerto la prossima settimana?

(良ければ、来週のコンサートに出ないか?)】

 

 

「………………………………………は?」

そのアイデアに俺は気の抜けた日本語しか出なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

【おまけ 侑×峻】

 

 

侑「あぁ、間違えた…っ」

「ここの弾き方は…こう」

 

音楽室で俺は侑の横でピアノを弾いていた。

侑「…さっすがだな~…尊敬しちゃうよ」

「…というか…どうして、急にピアノを…?」

侑「…弾きたいんだ、私が伝えたいことを…音楽にして…それに…大好きな…スクールアイドルをはじめた…あの子の為に」

 

「…それって…」

 

 

ガラガラっ。

 

歩夢「あっ、峻くんに侑ちゃん…ここに居たんだ?♪」

侑「…ここから先は…まだ、秘密ね?♪」

「…だな、これは俺も真剣に教えないとな」

侑「よろしくねっ、せーんせっ♪」




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135話

・……はい!ってな訳で今後の詳細をちょっとだけ公開!
(NEXT Rainbow!!こそこそ噺!)

実は、エンディングは2ルートあります!(ハッピーとバットじゃないよ!)

その片方のルートに侑ちゃんは出てきます!
(察しのいい人は分かるかな?)


絵里「…じゃあ、部屋割りは各学年別ね?

虹ヶ咲の1年生は4人部屋よ」

 

穂乃果「海で泳ぐよー!」

海未「穂乃果?…私たちは遊びに来た訳では無いのですよ?水遊びは練習が終わってからです」

 

穂乃果「水遊びしたーい!」

海未「犬かきの間違いなのでは…」

穂乃果「海未ちゃん!?!?穂乃果、なんかした!?」

海未「いえ、なにも」

 

栞子「本来の目的はスキルアップの為の合宿ですからね」

穂乃果「…うぅ~…長旅で疲れたよ~」

真姫「疲れたのに泳ぐって…逆効果じゃないかしら?」

 

穂乃果「…うぐっ…じゃ、じゃあ…3日間もあるんだし…

初日は親睦を深めるって事で…!」

愛「愛さんたち、十分仲良しじゃん?♪」

 

穂乃果「…くぅ~ん…」

海未(うっ…)

にこ「海未も素直じゃないわね~…ま、あんな綺麗な海を目の前にして泳ぐなって言う方が酷じゃない?」

 

希「…って、事で…いいよね、絵里ち?」

絵里「…えっ?」

 

既に絵里は服の下に水着を着てて脱ごうとしていた。

希「…絵里ち…」

絵里「あ、明日からは…ビ、ビシバシ行くわよ!!??///」

 

穂乃果「やった~!」

にこ「…絵里…あんた新しい水着まで買って…1番楽しみにしてたんじゃない?」

絵里「……うぅ~…///」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【海】

 

 

愛「愛さんのスペシャルハイパーサーブを受けてみよー!♪」

花陽「きゃっ…!」

 

かすみ「ひ、ひぇええ~っ…あんなのまともに受けたら腕がもげそう…しず子だったら…うん、味方で良かった…」

しずく「…まさに、殺人サーブ…(私だったら顔で受けていたな…)」

 

凛「なかなかやるにゃ…!…でも…」

愛「どんどん行くぞー!無双だ無双だ~!♪」

 

凛「かよちんニャンニャンレシーブ!!」

花陽「な、何そのネーミングっ!?」

 

エマ「凛ちゃんすごいっ、綺麗に受け止めた…!」

凛「かよちん、トス!」

花陽「う、うんっ!」

 

凛「真姫ちゃんヴェエエアターーック!」

(遠くから)真姫「聞こえてるわよ!!」

 

凛が放ったアタックはしずくの真横を通過し…砂浜に回転をしながらめり込んだ。

しずく「きゃーーーっ!!!」

かすみ「しず子!生きてる!?」

 

しずく「…何とか生きてる…」

ことり「さすが凛ちゃん~♪」

海未「ええ、いつにも増して動きにキレがありますね」

 

穂乃果「海未ちゃ~ん、ことりちゃ~ん!スイカ割りしよ~!」

璃奈「私達も一緒に行っていい?」

穂乃果「もちろんだよ!…って、スイカ持ってきたの栞子ちゃんだし!」

 

栞子「も、持ってきて正解でした…!」

せつ菜「トップバッターは私にやらしてください!

剣の扱いは小説から学んだので!」

 

そう言うとせつ菜は…何故か棒を2つ持った。

穂乃果「凄いっ、二刀流!?」

璃奈「…どこかで見た事あるような…」

 

せつ菜「…はぁああああっ!

スターバースト…スカーレット…!!」

璃奈(あ、名前変えた)

 

スカッ、スカッ。

しかし、気合いとは裏腹にどちらとも大ハズレだった。

 

せつ菜「…くっ、まだレベルが足りませんか…!」

穂乃果「…あ、あはは…」

 

凛「次、穂乃果さんやってみたら…?」

穂乃果「やるやるー!……んー…くん、くん…」

歩夢「えっ、嗅覚…!?」

栞子「…本格的に…犬、ですね…」

 

穂乃果「あっ、ここだ!…えーい!」

 

コツン

せつ菜「しかも当たりましたよ!?…なるほど、仮想空間育ちですか…!」

璃奈「…多分、違うと思う…」

 

歩夢「…ねぇ、栞子ちゃん?やってみない?」

栞子「わ、私ですかっ!?」

歩夢「初めてって…言ってたもんね?」

栞子「…ですが…」

 

せつ菜「やってみましょう!栞子さん!」

璃奈「楽しいよ」

栞子「わ、わかりました…えっと…っ」

 

 

 

 

希「みんな、楽しそうやね」

絵里「えぇ、峻がいないのが惜しいわね」

希「居たら居たで取り合いになっちゃうもんね♪」

絵里「…あ、有り得そうね…」

 

 

果林「絵里ちゃ~ん、遊びましょう~?」

絵里「さぁ、私たちも行きましょう?」

希「そうやね♪…にしても…果林ちゃん、モデル体型…流石やなぁ~」

果林「の、希…っ!?///」

 

お腹の当たりをワシワシする希を見てクスッと笑った絵里。

果林「…でも、2人もスタイルいいじゃない…良かったらモデルの仕事紹介しましょうか?」

絵里「…せっかくだけど、遠慮しておくわ」

 

希「絵里ちはもっと人前に出るのもいいと思うけど…」

果林「私も賛成ね」

 

絵里「ありがと…でも、私はスクールアイドルで手一杯よ?

…もし、やるとしたら…カメラマンは峻がいいわ、なんてね?♪」

果林「ふふっ、気が向いたら何時でも言ってね?」

 

 

 

真姫「…はい、塗り終わったわよ…ってなんで私が…」

にこ「雑用がこの合宿に居ないからよ」

 

真姫「…峻の事ね…」

にこ「でも助かったわ~、スクールアイドルは日焼け禁物だからね~

日焼け止めはしっかり塗っておかなきゃ♪」

 

真姫「…余念が無いわね」

にこ「ほら、真姫の背中にも塗ってあげるわ、そこに寝なさい?」

真姫「えっ?…わ、私はいいわよ」

にこ「良くないわよ~っ、せっかく綺麗な肌してるんだからシミなんか出来たら大変よ!…まっ、にこに任せるにこ~っ♪」

 

真姫「…もぉ、なんなのよ…」

にこ「はいはい、じっとしてなさい」

真姫「きゃっ…冷たい…っ!」

にこ「動くんじゃないわよ~」

 

真姫「そんな事言われても…っ…!!

…っていうか、こんな事を…雑用…じゃなくて峻にやらせるつもりだったの…!?」

にこ「あら、真姫も峻にやって欲しかった?」

真姫「…ち、違っ…!///

もーーー!意味分かんな~い!!!!!」

 

 

砂浜に真姫の、息切れと叫び声だけが響いた。

 




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136話

虹ヶ咲ロスがすげぇです
…が、小説頑張ります。

見てくれる人(待ってくれてる人)のために…!
NEXT Rainbow!!の中の虹ヶ咲メンバーはまだ走り始めたばかりです!

(今回も海合宿編!)


【夕方】

 

しずく「それにしても…本当に綺麗な海…

夕日に照らされて…なお綺麗に見えますね…」

 

ことり「脚の間をお魚さんたちがスイスイ泳いでるよ♪

可愛いね~♪」

穂乃果「ことりちゃん!しずくちゃん!見て見て~!♪」

 

しずく&ことり「……???」

両手を後ろに回した穂乃果が小刻みに左右にステップしながらとある物を取り出した。

 

穂乃果「出来たらば、タラバガニ~!!!♪」

…多分、違うと思うが…

 

しずく「きゃああああ~!!!!」

海未「こら!穂乃果!!」

穂乃果「…えっ、か、可愛くない…???」

 

海未「その基準は人それぞれです!…特にそう言う生き物は尚更です!」

穂乃果「そ、そうなの?!…あーん、ごめんなさーい!

カニはみんな友達だと思ってました~!」

 

と言いつつも、カニを手放さなかった穂乃果だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【別荘前】

 

 

歩夢「…あれっ、いつの間にか結構暗くなっちゃったね?」

せつ菜「本当ですね…遊びに夢中で気が付きませんでした」

歩夢「あはは、なんだかお腹すいてきちゃったね」

せつ菜「…確か、今日の夕食は…!」

 

彼方「みんな~、ご飯だよ~♪」

璃奈「バーベキューだよ~♪璃奈ちゃんボード…''BBQ♪''」

穂乃果「やったー!美味しそう~!」

海未「…あれっ、あのカニ…焼かれてる…?」

 

彼方「花陽ちゃんがおにぎりたくさん作ってくれたし…たくさん食べてね~♪」

花陽「いっぱいお米さんを推したよ!♪」

エマ「流石、花陽ちゃんだね~♪もう食べて…いいかなっ?」

 

凛「早く早く~っ、早く食べよ~!♪」

絵里「じゃあ、いただきましょ?」

 

「「「「いただきまーーす!」」」」

 

 

 

────────────────────────

 

 

かすみ「あ~~んっ……んー!美味しい~♪」

栞子「バーベキューだからでしょうか…こんなに美味しいお肉は初めでです……あっ、も、もしかして高級なお肉、とか…っ?」

 

彼方「…あ~~…それはね~…」

説明しようとした彼方よりも先に…あるメンバーの声が別荘前に響く。

 

希「さぁさぁ!みんな沢山食べな~♪

…あっ、そこのお肉はあと12秒!そっちはもうええよ~♪」

彼方「お肉奉行が居まして…」

 

栞子「…な、なるほど…っ

お肉に対する適性があるのでしょうね…」

かすみ「お肉に対する適性って…もぐもぐ…」

 

彼方「それに、みんなで食べると…なお美味しいからね~♪」

花陽「うんっ、みんなと一緒なら普段のご飯も何倍も美味しいからね!」

 

しずく「学校のランチとは一味違った美味しさ、ですね♪」

栞子「…ええ、一人で生徒会室で食べてた時とは…大違いですね(…途中からは…峻さんが…来てたりしてましたけど…)」

 

希「ほらほら!そこの2人~っ、たくさん食べて大きくなり~?♪」

かすみ「はっ!!!成長の秘訣は焼肉にあり!?…かすみんも食べます~!」

栞子「…大きくなるのは…体じゅ────」

歩夢「…ま、まあまあ…ね?」

 

 

 

かすみ「お肉たくさん貰ってきました~♪

…あ、しお子にはピーマン♪」

栞子「…かすみさん、好き嫌いは…いけませんよ?♪」

かすみ「…うぐっ…た、食べられないわけじゃないし…っ

ただ、あんまり食べたくないって言うか…」

 

栞子「…全く、仕方ありませんね…

一つだけ特別ですからね?…もぐもぐ」

凛「ご飯もお肉もモリモリ食べるにゃ~!♪」

希「みんないい食べっぷりやな~♪」

 

にこ「そりゃ遊んだ後でこんな豪華なバーベキューなんだし…箸が止まらないのも納得よ~」

果林「今日は食べすぎちゃっても…仕方ないわよね?」

 

エマ「みんなーっ、花火持ってきたよ~!やろやろ~っ♪」

ことり「エマさんも持ってきたの~っ?!」

エマ「…ことりちゃんも?」

 

真姫「…私も…」

にこ「真姫も楽しみにしてたんじゃなーい♪」

真姫「…べ、別にそんな…!」

 

海未「まぁまぁ、3泊するのですし…明日用に残しておくのも手では無いですか?♪」

エマ「そうだねっ、明日もやろう♪」

 

絵里「楽しむのはいいけど、本来の目的を忘れちゃダメよ?

私たちはここに合宿に来てるのよ?」

愛「分かってるって~♪

だからこうして栄養取って、明日からえいえいよー!ってな感じで~♪」

 

かすみ「…相変わらずいつも通りですね…愛先輩…」

せつ菜「こんなにリフレッシュしたんです!

明日は120%増しで頑張りますよー!」

 

絵里「ふふっ、そうでなくっちゃね♪」

花陽「なら…明日のエネルギー用に…おにぎり10個追加~っ!」

 

にこ「ちょっ、花陽…!?

まだ食べるの~っ?!」

花陽「おにぎりは別腹だよ!」

彼方「デザートも用意してたんだけど…」

 

花陽「なら、デザートと一緒に食べるよっ!♪」

エマ「じゃあ、私はパンと一緒に…!」

 

 

「「「……あはは…」」」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【入浴後】

 

歩夢「いいお湯だったね~♪」

しずく「はいっ、とても大きくて立派なお風呂でしたね!」

 

璃奈「ジャグジーまであって、びっくり」

愛「これはもう、マッキーに感謝感謝だね~♪」

 

真姫「ありがと、両親に伝えておくわ」

花陽「素敵な島で、たくさん遊んでたくさん美味しい物食べて…」

凛「花火もやって、大きいお風呂にも入れて最高だにゃ~!♪」

 

かすみ「…せつ菜先輩は花火の時にはしゃぎすぎですよ~?」

せつ菜「なっ…!

…だ、誰でも花火を両手に持ってツインバスターライフルとしたくなるものでは!?」

かすみ「…あー、せつ菜先輩もいつも通りだ…」

 

果林「強いていえばテレビやネットが無いのが寂しいわね…ね、歩夢?」

歩夢「な、なななな、なんのことっ!?///」

果林「峻とそろそろ電話したくなる時かな~って?」

 

歩夢「だ、大丈夫だもんっ!///」

栞子「…ふふっ、楽しいですね…♪」

 

愛「おっ、しおってぃーが笑ったね♪」

栞子「私としては…驚きの方が多いですが…

こんなに他校の人や学年の違う人と…寝食を共にするなんて

しかも、スクールアイドルの合宿ですよ?

存在を遠ざけてた私が…スクールアイドルをしている…」

 

かすみ「もー!そういうのはもうなしなしっ!

かすみん達は仲間ですよっ!」

愛「そうそう、水に流そうよ~♪」

 

歩夢「それもこれも、峻くんのお陰だね♪」

果林「改めてお礼を言わないとね」

栞子「そう、ですね…感謝しても、しきれません…///」

 

かすみ「あ、でもでも…しお子ってさ、峻先輩が怒ってたりしてた時ってどう思ってたの?」

愛「愛さんも気になる」

 

栞子「怖かったですよ、すごく……でも、それと同時に…真剣なんだと伝わってきました…不思議な人です

…あの方は、普段から怒るとあんな感じなんでしょうか?」

歩夢「1つの物事になると…ね、真剣だから…そこがいいんだけど…って、あははっ…人の事言えないね…♪」

 

かすみ「今頃~、くしゃみとかしてますよ?♪」

しずく「もう、かすみさんったら…」

 

せつ菜「さてさて!合宿と言えば!枕投げ大会ですよー!」

愛「おっ、いいねいいねー!」

 

 

にこ「はいはいっ、枕投げの前に~!」

手を叩きながら虹ヶ咲2年生部屋に来たにこ。

 

部屋の中に居たメンバーは不思議そうに、にこの方を見た。

 

にこ「枕投げも良いけど、定番があるでしょ?

…それは~……怪談話!!!」

 

 

 

「「「ええぇ~!!??」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

【おまけ 峻×侑】

 

 

侑「……うぅーん…」

「今度は何に唸ってるんだ?」

 

侑「あっ、峻くん…いや、転科試験がね…」

「あぁ…そろそろだったな」

 

侑「…なんかね、柄にもなく…緊張しちゃって…

何か…きっかけが欲しいなって…考えたら余計に分からなくなっちゃって…」

「…んだよ、そんなことか」

侑「…えっ?」

 

「安心しろよ、侑には背中押してくれる仲間がいるだろ

挫けそうなら支えてるから、なっ!」

侑「あ、頭を撫でないで~っ!…もう…」

 

侑「でも…そういうとこ…好きだよっ、峻♪」




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137話

あけましておめでとうございます
今年も今年とて、自分らしく行きます
せつ菜ちゃんしか勝たん


留学編です!


【昼休み】

 

月「えぇっ!?コンサートに?!」

「…はぁ、勢いで返事したけど…どうすれば…」

 

月さんに話をした後、俺は思いっきり頭を抱えた。

コンサートに出るのもそうだが…あの音楽家の顔よ…。

 

「…めっちゃ期待される気が…」

月「いいじゃん!またとない経験だよっ?!

コンサート見に行くからさ!♪」

「そんなっ!急な物なのに…!」

 

しかし、遠慮した俺を他所に月さんは見に行くと言って聞かなかった。

「…はぁ…とりあえず、出るよ…ドタキャンしたら後が怖いし…」

月「そうそう!…あ~っ、夜のコンサートが楽しみだな~♪」

「…やれやれ…」

 

こっちは楽しんでる余裕なんか無さそうだけどな…。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

あっという間に夜が来てしまった。

月さんの案内の元…大きなコンサートホールに着いた。

 

「… Ho un invito da parte di questa persona

(この人から招待状を預かったのですが)」

 

【Prego, entrate.(どうぞ中へ)】

招待状を確認した警備員が中へと誘導した。

もちろん、中は関係者入口…周りの人との服の違いなどに少し戸惑った。

 

「…いやいや、スーツなんか用意してる訳ないっつの…」

【Sei venuto come promesso.(約束通り来てくれたね)】

「Grazie per avermi invitato(ご招待ありがとうございます)

Certo, te lo prometto.(もちろんお約束なので)」

 

【C'è un costume qui. Seguitemi.(こっちに衣装を用意してある、ついてきてくれ)】

(衣装まで用意してくれてるとは…本気だな、この人は)

 

衣装に着替えてる時だった…更衣室の外から声がした。

 

【La tua esibizione è una grande gentilezza.

(君の演奏は言うなれば優しさの塊だ)

Qual è la radice di questa gentilezza?

(その優しさの根源は一体なんだい?)】

 

「……根源、か…」

スーツに袖を通し、更衣室のカーテンを思い切り開いた。

 

「È una ricompensata al sostegno dei miei colleghi che ci seguiranno.

(夢を一緒に追いかけてくれる仲間の支えへの恩返しです)」

【… Capisco, è divertente.(なるほど、面白い)】

 

 

 

────────────────

 

【コンサート会場】

 

一足先に月は客席にいた。

有名な音楽家のコンサートともあって、客も大勢居た。

 

 

月「…あっ、そうだ!」

近くに居たスタッフに月は声をかけた。

 

月「Puoi registrare questo concerto, vero?

(このコンサートって録画出来るんだよね?)」

 

【Sì, posso farlo con la volontà dell'ospite.

(はい、主催者の意向で出来るようになってますよ)】

月「Capisco, grazie!

(そっか、ありがとう!)」

 

そう言って月はポケットから携帯を取りだした。

月(私だけ独り占めって、勿体ないよねっ

曜ちゃんと…あっ、動画サイトとかにあげようかな?!)

 

本人の知らないところで密かに計画が実行されようとしていた。

 

 

─────────────────────

 

 

【コンサート本番】

 

 

ピアノの前に立った俺を見て…観客は少しざわついていた。

 

 

(…そりゃ、そうか…知らない演奏者、それに日本人…しかも高校生…ったく、アウェイったらありゃしないな…そんな状況で30分も時間与えるなんて…)

と、内心は思っていたが…実際のところは…ワクワクしていた。

 

(…でも、おかげで…この先の道がなんだが見えて来た気がするよ)

着席し、向かい合ったピアノを見て…俺は少し微笑んだ。

 

「…っ…!」

勢いよく弾き始めたピアノの演奏に周りの観客の顔つきが変わった。

 

【Sei entrato nel tuo mondo

(早速自分の世界に取り込んだか)】

【Sensei, non credo che stia suonando e non credo che lo stia suonando.

(先生、あの子は一体…それに、あの演奏…とても素人がやってるようには思えないのですが…】

 

【La gente chiamerebbe il suo talento, genio.

(人は彼のような才能をこう呼ぶだろう…天才、と】

【Geniale?(天才、ですか…?)】

 

【Sì, non mi interessa diventare musicista.

(あぁ、音楽家になる気がないのが非常に勿体ないくらいだ)】

(…この音、この感じ…!!

求めてた…音楽だ!)

 

スクールアイドルフェスティバルの時に感じた…10人に奏でさせたい音…。

その足がかりをようやく手にした気がした。

 

弾き終わる頃には、惜しみのない拍手を観客たちがしていた。

月「…すごい、すごいよ…っ!

こんなの、他の人に見てもらわないなんて…勿体ない!」

 

そう言った月は少し震える手で録画した演奏動画をネットに投稿するのであった…。




本来のコンサートは動画の撮影などは禁止ですが小説の設定上
OKにしました、ご了承ください。


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138話

せつ菜ちゃんはせつ菜ちゃんでも
食べれないせつ菜ちゃんってなーーーんだ?


(答え)せつ菜ちゃんは全部食べられるぞ?


エマ「…私の怖い話は、こんな感じだよ?♪」

 

希「スイスの怖い話って新鮮やね!面白かったよ!♪」

絵里「あ、あわわわわわわ…」

 

絵里は布団にくるまりながらワナワナと震えていた。

歩夢「絵里さん、具合悪そう…大丈夫なのかな?」

 

絵里「……え、ええ…大丈夫よ、ハラショーよ…」

そう言って親指を立てたが震えていた。

 

凛「大丈夫じゃないみたいにゃ…」

しずく「海未さんも…大丈夫ですか…?」

 

海未「清めの塩ーーー!!」

そう言って海未は窓を開いて塩を撒いた、何故か。

 

にこ「素直に怖いっていえばいいのに~♪」

かすみ「あ、あああ、あの程度の話で怖がるなんて…海未先輩ってば、意外と子供ですね~っ!」

果林「…かすみちゃん、全然説得力が無いわよ?」

 

愛「そうそう、それに引きかえ…りなりーは顔色ひとつ変えてないよ?」

璃奈「璃奈ちゃんボード…チャッキー♪」

絵里&かすみ「ぎゃあああああ!」

 

彼方「さてさて、怪談も終わりに近づいたし~…後は修学旅行の定番って何かあるかな~?」

歩夢「トランプ、とか?」

穂乃果「いいね、ババ抜きやろ!!負けた人は秘密を暴露ね!♪」

 

海未「(穂乃果…アナタババ抜きは弱いのですから…)…七並べの方がいいのでは?」

果林「ちょっとぉ、もう10時よ?」

栞子「そうですね、夜更かししたい気持ちは分かりますが明日に響いてしまいますよ」

 

穂乃果「え~っ、もっと遊びたいよ~

怪談だってまだ物足りないし~…」

果林「明日からみっちり練習なのに、乗り越えられるのかしら~?」

 

栞子「名残惜しいのは分かりますが、明日に備えて寝ましょう」

穂乃果「え~………」

 

彼方「まぁまぁ、まだ2泊もあるんだし…トランプは明日にとっておこ?♪」

果林「はいはい、寝る支度するわよー?」

穂乃果「は~い」

 

 

────────────────────────

 

【一方、別室では】

 

 

愛「はー、楽しかった~…!」

せつ菜「先程までは全然感じませんでしたが

部屋に戻ると昼間の疲れを感じますね…」

 

歩夢「はい、海未ちゃん…濡らすと冷たくなるタオル

持って行ってあげて?」

海未「甘やかしてはいけませんが…ありがとうございます

全く、穂乃果ったら自分で取りに行けばいいものを…」

 

愛「穂乃果、何かあったの?」

歩夢「うん、お風呂で逆上せちゃったらしくて…

元気そうだったんだけど、やっぱり引きずってるみたいで…」

 

海未「歩夢は優しいですね

ですが、穂乃果の事なのでたまに調子に乗るところがあるので…」

歩夢「ふふっ、海未ちゃんは穂乃果ちゃんの事なんでも分かるんだね♪」

海未「まぁ…長い事一緒にいますからね」

 

せつ菜「3人は幼馴染みなんですよね?…小さい頃はどんな感じだったんですか?」

愛「あっ、愛さんもそれ気になるー!♪」

 

海未「ふふっ、期待外れかもしれませんが…穂乃果もことりも昔からずっと、あのままです♪」

愛「へへっ、なんかなんか…ふか~い愛を感じる言葉だね~♪」

海未「良いか悪いかは分かりませんけどね…そちらこそ、峻さんは相変わらず…ですか?」

 

歩夢「えっ!?///…いや、そうでも無いよ?///

小さい頃は泣き虫で私がお姉ちゃんって感じ…だったかな?

でも、高校生になってから…大人っぽくなって…かっこよくなって…///」

愛「惚気けるね~♪」

歩夢「も、もう!///

そんなのじゃないよっ!///」

 

せつ菜「こういう話はなかなか聞けないので…いいものですね♪」

愛「だったら毎月やらない?合宿♪」

 

せつ菜「…ふっふっふ…実は栞子さんと裏で計画を練ってますよ…♪」

愛「えっ、そうなの!?」

せつ菜「峻さんが帰ってきたら教えてあげますね!♪」

愛「もー!せっつー気になるじゃんよー!」

 

歩夢「わ、私も気にな──────」

 

 

その時だった。

ことり「きゃ────────!!!!!!!」

 

歩夢「な、なにっ!今の悲鳴!」

海未「…ことりっ!!!」

 

我先に、と海未が部屋を飛び出た。

愛「只事じゃないよ!早く行こう!」

 

 

 

部屋を出た先には果林も居た。

果林「ことりちゃんっ!?」

希「一体、何があったの!?」

せつ菜「お怪我はありませんか!?」

 

ことり『み、みんな…っ…穂乃果ちゃん、が…!』

海未「落ち着いてください、ことり!

穂乃果がどうしたんですかっ!?」

 

ことり『いっ……』

絵里「…い?」

ことり『息をしてないの!』

 

「「「「ええぇぇぇえぇーーー!?」」」」

エマ「…ほ、本当なの!?寝てるだけじゃなくて…っ!?」

彼方「寝てるだけなら、ことりちゃんがこんなに驚かないよ!

救急車…呼ばなきゃ…!」

 

ことり『穂乃果ちゃんが…穂乃果ちゃんが…っ!』

絵里「…ことり、下がってなさい…」

愛「うん、それがいいよ…あたし達で確認しよう」

 

海未「…え?」

果林「…これって…」

絵里「…血、がっ…!!!

穂乃果…っ!!」

 

赤い血を見た瞬間、絵里の体から力が抜けた。

 

歩夢「え、絵里さーーーん!!」

ことり「絵里ちゃんっ!?しっかりしてー!!」

 

彼方「と、とりあえず…絵里ちゃんをベットに…!」

歩夢「ど、どうしよう…っ!…怖いよ、峻くん…っ!」

泣きそうな顔で歩夢が着ていた白いパーカーを抱きしめる。

 

せつ菜「ま、まずは心音です!…そして、誰か救急車を!」

エマ「ことりちゃん、何があったの!?

一体、なんで穂乃果ちゃんが……!!!」

 

焦ってるのか、みんなの話すスピードが早くなっている。

その時、勢いよくドアが開かれた。

 

にこ『な、何事なのよー?!』

花陽『…はっ!そこに倒れているのは…っ!』

凛『ほ、穂乃果…ちゃぁーん?!』

 

かすみ『…えーっと……な、なんですかーっ…な、何があったんですかー!?』

璃奈『穂乃果さんっ、すごい血…!…コレハ、モウ…っ』

 

真姫「はぁっ!?…そんな訳…っ」

ことり「『部屋に来たら、こんな事になってたの!うわーん!』…ねっ、そうだよね!海未ちゃん!」

 

海未「………………はぁ」

何かを察した海未ちゃんは気の抜けるような声を出した。

 

ことり『うぅ、海未ちゃん…ショックで言葉も出ないみたい…!

わあーーん!!』

真姫「海未っ!突っ立ってないで救命措置するわよ!

…って、何この匂い…」

 

かすみ「あ''っ『…ち、近づいたらダメだよ!まき子!』」

にこ『馬鹿っ!ここは犯行現場よ!?

迂闊に物に触れるなんてダメよ!』

 

真姫「………はぁ、そういう事ね…

何かと思って駆けつけて見れば…」

海未「気が付きましたか…真姫も…」

真姫「むしろ気が付かない人でもいるとでも?」

 

せつ菜「皆さん!!!何をしてるんですか!?

AEDは…どこかにあるんですよね!?

救急車の連絡は!?」

真姫&海未(…ええぇ~っ………)

 

にこ『せつ菜ぁー!!…穂乃果は、もう…もう手遅れなのよー!』

エマ「ううん!そんなことないよ!にこちゃん、どいて!」

 

エマによる胸アタックで、にこが飛ばされた。

にこ「だつっ…」

 

真姫「…本気で気がついてないのかしら?」

歩夢「な、なんでみんな冷静なのっ…!?」

栞子「…歩夢さん…本気で言ってるんですか…?

…冗談です、よね…?」

 

歩夢「冗談なんか言えるわけないよ…っ!

穂乃果…ちゃん…目を、覚まして…!」

真姫「…いや、これどう見ても…トマトソー…」

希「まぁまぁ、楽しそうなんだし…もう少し…ね?」

真姫「…はーっ…なんなの、もう…」

 

しずく「…こう言ってはあれですが…仕掛け役の皆さん…大根役…」

にこ「ぬぅわんですってぇ!?」

 

 

 

 

 

 

…後半に続く。

 




次回、疑心暗鬼。

次回は鉈のアニメのセリフとか設定がちらほら出てきますが
ネタとして見てくださいね。

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139話

せつ菜ちゃんのモチモチもちかー。


「…は…はっ…はっクレモラータ!!」

月「今食べてるよ?」

「…う、うん…美味しいねこのソース…じゃなくて」

 

月「あははっ、余韻覚めやらぬ…と言ったところかな?♪」

あのコンサートの後…俺と月さんは一緒に夕食を食べていた。

 

月「もしかしたら…今頃噂してたり!?♪」

「…茶化さないでくださいよ…」

月「そうそう!あの時の演奏の動画…送っておくね?」

「…えっ、動画撮ってたんですか…著作権とか…」

月「まーまー、虹ヶ咲学園…だっけ?…皆にも見せてあげなよ~♪」

「…まぁ、いただきます…」

 

そして携帯で動画を確認しようとした時だった…。

prrrrrrrrrrrrr!

 

月さんの携帯が鳴った。

月「おっ、噂をすればだ!♪」

「…え?」

月「もしもし~っ?♪」

曜【こーんばんはっ!♪

月ちゃん!】

「…よ、曜~っ!?」

 

曜【はれっ…その声…峻くん!?…なんでここに?】

月「…おっ、待て待て~…こーしてっと…」

 

携帯を立てかけるとビデオ通話になった。

「…えっと、今俺…イタリアに短期留学してるんだ」

曜【そうだったの!?…あー…通りで虹ヶ咲学園のみんなと連絡が…】

「…えっ?」

 

曜【あ、別に変な事じゃないよ?…ただ、μ'sのみんなと合同合宿するって】

「…そっか、アイツらも頑張ってるんだな」

曜【って言う私たちAqoursも今…鞠莉ちゃんの所有する無人島で合宿してるんだけどね♪】

「…なんかみんながいつも通りで安心したよ」

 

月「あっ、顔がホームシックになってる」

「な、なってなんか…!!!…うぐ…っ」

曜【みんな帰りを待ってるよ~♪

……あ、月ちゃん!変なことしたらダメだからね!】

 

月「…信用されてないのかなぁ?」

「むしろそのセリフは俺に言うべきなのでは…」

曜【………あっ、それもそうか…】

 

いや、そこで納得するなよ…。

 

 

 

月「…ところで、虹ヶ咲学園のみんなから連絡は来ないのかい?」

「…合同合宿…どこでやってるんだろうな」

…まぁ、μ'sのみんなが一緒だし…安心だろ。

 

月「…ふふっ、リーダーって顔してるね」

「…ん、そうか?」

月「きっと君のことだから…多くの困難を乗り越えてきたんだろうね

そして…これから先も……ね?」

「なんだいそりゃ…」

月「ふふっ、なんだろうね?♪」

 

…この時、俺も…μ'sもAqoursも虹ヶ咲学園のみんなも知らなかった。

新たな刺客が…ヒタヒタと…近寄ってきているのを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【???】

 

?「準備は……無問題ラ♪」




しばらくは合宿編を立て続きに投稿します
そして今回の分量が少ない…申し訳…!!!

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140話

…せつ菜ちゃん…(トゥンク)


しずく「こう言ってはなんですが…他殺か自殺か分からない状態で…

他殺と決めつけていました…ただでさえバレバレなのに…」

 

果林「…確かに、バレバレ…よね」

彼方「な~んだ、びっくりした~…

彼方ちゃん、もうお部屋に戻って寝てもいいかな~…?」

 

にこ『…な、何言ってるのよ…!

これは非常事態、よ…っ!?

間違いなく……これは…絶対に…事件よっ!!!』

エマ「ええっ、事件っ!?」

 

にこ『間違いないわ…事件である以上…犯人がいるわ!!』

その言葉に…周囲はざわついた。

…信じてる人だけ、は…だが…。

 

歩夢「犯人っ…!?…ま、まさかっ…!」

その言葉を聞いた歩夢は…海未の方を見た。

 

海未「…歩夢っ…!?」

ことり「あ、う、ええぇっ…????」

台本に無い展開にことりも狼狽えていた。

 

歩夢「…だ、だって…穂乃果ちゃん…さっき言ってたもん!

海未ちゃんが楽しみにしてた…和菓子の詰め合わせ…全部食べちゃったって!…それが引き金に…っ!」

その言葉に歩夢から見えない角度でピクっと反応する穂乃果。

 

海未「………………………へぇ、それはそれは…

ことり、火葬しますか?」

ことり「ま、待って待って~!!」

 

せつ菜「で、ですが…海未さんと私たちは一緒にいました!

アリバイは完全にありますし…ここは密室…しかも無人島ですよ!?」

 

 

真姫「…凄いわね、気がつかないどころか…話がどんどん進んでくわ」

果林「…きっと、純粋なのよ…歩夢のアレは…穂乃果ちゃんにとっては思わぬ誤算…でしょうけど…」

真姫「…心配になる純粋さね…」

 

にこ『と、とにかくーっ!…第二、第三の被害者を出さないように…

みんなで考えましょ!?』

せつ菜「まずは…警察!あとは救急車!

…それと、穂乃果さんの親御さんと音ノ木坂…あと、和菓子屋さんにも!」

 

にこ『そ、そうね…?…でも、ここは圏外よ!』

歩夢「…あっ!リビングに電話、あったよね!?」

にこ『…あ………あーーーーー…

あれは…』

璃奈『掛けてきたけど…ノイズ音がするだけだった…』

 

真姫「…やるなら打ち合わせもっとして…説得力持たせなさいよ…」

希「まぁまぁ、穂乃果ちゃん達も頑張ってるんやし…

ちょっとくらい、手伝ってもええんやない?♪」

 

愛「そーそー♪

穂乃果が死体役やりたいって張り切ってたし~♪」

希「いつから計画してたん?」

愛「合同合宿の事を決めた時…くらいからかな?」

 

海未「…なるほど、だから私や他の方を除いた数名で打ち合わせをしたんですね…」

愛「…あ、あはは…」

 

にこ『ここは……私、名探偵にこが…必ず謎を解いてみせるわ…!』

絵里「……は、話は聞かせてもらったわ…」

「「「絵里(さん)!」」」

 

ふらふらと立ち上がる絵里…血(トマトソース)の方は見ないようにしてるが…。

絵里「…それで、これからどうしようっていうの?」

果林「…絵里ちゃん…顔色、まだ悪いわよ…?

もう、にこちゃん達に…やめるように言った方が…」

絵里「言っても聞かないわよ…やるだけやらして…後で言うわ…

じっくりとね……」

果林「なら、私も付き合うわ…みんなその気のようだし

…3人を…除いて、ね…?」

 

果林がせつ菜の方を見たが…せつ菜は顎に手を当てて推理を始めていた。

せつ菜「…一体、何が目的で犯人は穂乃果さんを殺害したのでしょう…」

にこ『…きっと恨み…怨恨の線ね!』

歩夢「そんなっ!歩夢ちゃんが恨みを買うようなことするはず…!」

にこ『…さっき、和菓子の件の事…まぁ、それはそれとして…きっと殺人までするな相手だし…普通じゃないのかもね!』

 

エマ「…ここ、私たち以外には誰もいないんでしょ?

犯人はどこから来たんだろう…」

にこ『…捕まえてみないと…分からないわね…』

 

せつ菜「つ、捕まえる気なんですか!?…私達だけで!?」

にこ『じゃないと…安心して過ごせないでしょ

迎えの船が来るのは…明後日…それまではこの島から出られないのよ…!』

 

歩夢「…峻くんみたいな男の子がいない…ただの高校生ができることなんてないよ!

穂乃果ちゃんを安全なところに移して私達も隠れようよ!」

にこ『甘いわね…攻撃は最大の防御…

構えとは防御の型…私たちにあるのは、制圧前進のみよ!!!」

 

真姫「…趣旨がズレてない?」

希「なんや、演技上手くなってるやん!

このままいけば…騙しきれるんやない?」

絵里「…はぁ、そんなわけないでしょう?

いくらあの3人だって気づくわよ」

 

彼方「…どうだろうねぇ~…

歩夢ちゃんやエマちゃんは純粋だし~…

せつ菜ちゃんは…ちょっと妄想癖が強めだから…どう、かな?」

海未「…後でエマと歩夢とせつ菜…この3人にはしっかり注意しましょう

あの演技で騙されるようなら…将来が心配です…」

彼方「…仰る通りです~…」

 

せつ菜「…分かりました!」

何かを決意し…立ち上がるせつ菜。

 

せつ菜「…危険かも、しれませんが…

穂乃果さんをあのような目に遭わせた犯人を許す訳にはいきません

捕まえて…罪を償わせなくては!」

にこ『せつ菜!…その意気よ!

まず、何組かに分かれて建物の中を見回りましょう

一瞬たりとも気を抜くんじゃないわよ!』

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

せつ菜「…くまなく探したのですが…犯人を見つけることは出来ませんでした」

にこ『…一体、どこに隠れてるのかしら…』

 

海未「よくもまぁ…あんな嘘を…歩夢達が可哀想です…」

絵里「見回るって言うから…何か仕掛けがあると思ってたけど…何も無かったわね…」

果林「でも、ドラマで言ったら…次の展開になる頃じゃない?」

希「ふふっ、だとしたら楽しみやね♪」

 

にこ「みんな、少し疲れたでしょ?…少し休憩しましょ?

こういう時は…気持ちを落ち着かせないとね…ことり、ココアでも入れてくる?」

ことり「うん、今入れてくるね」

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

ことり「はい、ココアだよ♪」

凛「ありがとうにゃ~」

 

にこ「…ちょっ、凛…花陽…っ!役割があるでしょっ!」

凛「あ、そうだったにゃ…『…こんなの、飲めないよ!』

花陽『そ、そうだよ…っ…毒が入ってるかも…っ!?』

 

ことり『えぇっ!?…ことりの事…疑ってるの…!?』

愛『…だ、だってだって…ことりが第一発見者だし…同室だし…』

かすみ『一番怪しいじゃないですか~っ!』

璃奈『私、死にたくない~っ!』

 

栞子「…あ、あのっ…皆さん…っ?」

かすみ「ほらほら、しお子も…死にたくないーっ!」

栞子「…し、死にゃたくにゃいーっ!!

…うぅ、噛んでしまいました…///」

かすみ「OKOK、どんまい!」

 

凛『ことりちゃん…今ならまだ遅くないにゃ…!

しっかり罪を償って欲しいにゃ!』

花陽『きっと、穂乃果ちゃんもそれを望んでいるよ…』

 

希「…おー…そ、そう来たかぁ…」

彼方「みんな、棒読みだね」

 

ことり『そんな…私が穂乃果ちゃんを殺すなんて…絶対にないよ!

…みんな…ひどい、よぉ………ぴえん……』

しずく「…果たして、そうでしょうか?…ことりさん

この世に…絶対は存在しませんよ…

例えば…スパ〇ボの命中率92%…とか…」

 

希「…いや、しずくちゃん…別格やん…」

しずく「…こういう事はありませんか、海未さん!」

海未「えっ、私!?…まぁ、ことりは穂乃果に甘いですからね…」

 

しずく「…そうです!

どんなに小さな雪の結晶も、降り積もれば全てを覆い尽くします!

殺意とは…そのように生まれて…っ!」

真姫「…女優の卵の底力…凄いわね…」

 

しずく「さぁ、どうです…ことりさん!?」

ことり「しずくちゃんも…私の事…疑ってるの…っ?」

俯くことり…何だか、様子がおかしくなってきた。

 

しずく「勘違いしないでください…ことりさんだけを疑ってる訳ではありません…なぜなら、ここにいる全員…容疑者なのですから!」

 

海未「…震えるほどの演技力なのに…周りとの温度差で…プラスマイナスゼロですね…」

希「にこっち達が…もう少し頑張ってくれればね…」

果林「…まぁ…最初の頃よりは…マシになった方じゃない…?」

彼方「彼方ちゃん…もぅ…寝そぅ…」

 

しずく「…全員が疑わしい中…誰も信じる訳には…いきません

…皆さんには、アリバイを証明してもらいます!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことり「……………………………くすっ……」

不敵な笑みを浮かべる…ことりだった。




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中須かすみ誕生日特別編

かすみんの胸は大きいと思うんすよ、おk?


かすみ「きょっ、う、は~…峻先輩とデ~~ト~~♪」

 

ルンルン気分で服を試着しているかすみ。

半ば強引に峻とのデート(?)を約束したのだ。

 

…というのも…

 

 

────────────────────────

 

 

かすみ「先輩!来週の日曜日!空いてますよね!空いてるに決まってます!!」

「…ちょ、えぇ…?

空いては…いるけど…」

かすみ「はい、決定!!!かすみん予約しましたから~♪」

「………え?」

 

 

────────────────────────

 

と言った具合に…。

しずくからは「素直に誘えばいいのに…」と呆れられた。

 

 

かすみ「…あっ!この前買った化粧品…使ってみようかな~…?」

少し背伸びしても…いいよ、ね?

 

かすみ「…そしたら…峻先輩が…」

峻【かすみ…綺麗だよ…】

かすみ「…はぅ…先輩~…♪///」

 

にやにやしながら…化粧水のボトルに手をかけた時だった…。

バッシャアアアア!!!

 

勢いよく、ボトルの中身が飛び出た。

きっと、力配分を間違えたのだろう。

 

かすみ「ぎゃあああ!新作の化粧水が~…!!

…って!服が~!!ああぁ、時間が~…!!!」

 

涙目になりながら大急ぎで支度をするかすみだった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【集合場所】

 

「…遅いなぁ…かすみ」

かすみ「……お、お待たせ…しまし、た…」

「おお、待ってたぞ…かす………み?」

 

振り返ると…そこには…オシャレをしてきたのだが…

明らかに着崩れた格好をしていた。

 

「…おいおい、どうしたんだ?」

かすみ「…すい、ませんっ…せっかく…オシャレ…したかったのに…

かすみん…ドジ、しちゃって…っ…」

 

今にも泣きそうな声でスカートの裾をぎゅっと掴むかすみ。

…張り切ってたんだな。

 

「…よし、行こうか!」

俺はかすみの手を引いて歩き出した。

 

かすみ「ちょ、ちょっと!…行くって…どこに…っ???」

「いーから!」

かすみ「ま、待ってください~っ!」

 

 

 

────────────────────────

 

 

着いた先は…洋服屋。

かすみ「…え、えぇっ?」

「…さて、かすみ…ちょっとの間…着せ替え人形になってくれるかな?」

かすみ「…それって…どういう…」

 

「…えっと…言いやすくするならば…もっと…かすみには可愛くなって欲しい、から…俺が可愛くコーディネート…してあげたいな…って」

かすみ「…先輩…」

「…ごめん、今言うことじゃない…けど…俺も今日の出掛けるの…楽しみだった」

 

恥ずかしそうに俺は頬をかいた。

かすみ「…えへへっ…なんかモヤモヤしてたのが…どこかに行っちゃいました♪///」

「…やっと笑ったな、かすみ」

かすみ「先輩のおかげですよ!…あっ、これが終わったら…パフェ良いですか?♪」

「はいはい、仕方ないなぁ」

 

 

俺が選んだ服を手に…かすみが試着室に行く直前…こちらを振り向いた。

 

かすみ「…先輩のそういう所、かすみんは大好きですよっ!///」

舌をぺろっと出して悪戯に笑うかすみであった…。




かすみん、誕生日おめでとう!!!

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142話

もうすぐ総合評価が1000になる!
なったらゲッタンします(違う)


栞子『ア、アリバイなんて…答える義務はありません!

私はやってないのですから…!』

上手く言えたのか、かすみのほうを見て笑顔でOKサインをした栞子。

その様子を見たかすみも、うんうんと頷いていた。

 

かすみ『…えーっと…かすみんだって、やってませんよ~っ!

穂乃果先輩を襲う理由なんてないですもん!』

花陽『そ、それは~…どう、かな~っ?

しずくちゃんが言う通り、動機は些細な事…かも、しれないよー?』

かすみ『そ、そんなこと言うなら、かよ子だってそうでしょ~っ!』

 

凛「かよちんは違うよー!!」

かすみ『ど、どうしてー、そう言いきれるのさー!?』

問い詰められた凛は花陽に抱きついた。

 

凛「こんっなに可愛い、かよちんがそんな悪い事するはずがないにゃ!」

花陽「…凛ちゃん~♪」

かすみ「いや、そんなの理由にならないでしょ!

…と言うか、可愛いのが理由になるなら…

ハイパーエクセレントギャラクティカエボリューション可愛いかすみんが犯人なんて、もっと有り得ない~!」

 

愛「確かに~…かすかすに完全犯罪は…ねぇ?」

かすみ「愛先輩!アドリブ多すぎ!…と言うか、かすみん!!」

『…全くもう…そういう愛先輩が犯人なんじゃ…!?』

 

愛「おっと、愛さんを疑うのは無理があるかな~?

愛さん、ことりちゃんの悲鳴聞くまで…歩夢とせっつーと一緒に居た、し……ね?」

 

歩夢「そうだよっ!愛ちゃんはずっと一緒に居た!

だから………だから、愛ちゃんは犯人じゃない!」

せつ菜「ええ、それは私も保証します!」

 

しずく「なら、かすみさん、璃奈さん、栞子さん…そして、私

ニジガクの一年部屋でずっと居ましたから…白ですね」

璃奈「うん、かすみちゃんの自慢話、聞いていた」

かすみ「り~~な~~子~~!!」

 

 

喧騒の中…マグカップを持った果林が部屋に入った。

果林「…終わったかしら~?」

絵里「ありがとう、果林…まだしばらくかかるかしら…ね…」

果林「峻が居たら…直ぐにこの場も収まるのにね…」

絵里「そうね、ことりも別の部屋に行っちゃったし…それに、真面目だった栞子まで…ああなるなんて…」

 

彼方「…まぁ、本気でやれば…茶番も楽しいってことだよ~」

真姫「でも、にこちゃんたちの演技…もう少し、どうにかならないかしら?

…聞いてるこっちが…恥ずかしいんだけど…」

希「まあまあ…暖かく見守ろう?」

彼方「それにしても…穂乃果ちゃん、あの格好のまま…だよね?

毛布とか…かけた方がいいのかなぁ…?」

 

海未「お心遣い…ありがとうございます…ですが、穂乃果はあのままで…」

そう言って海未は穂乃果の顔にティッシュを1枚置いた。

 

真姫「…ま、まぁ…寂しくなって起き上がってくるわよ」

果林「さすが、μ'sの絆ね…よく分かってるのね、穂乃果ちゃんの事」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

愛『…とりあえず、一旦冷静になろう?

…疑心暗鬼になるのは…良くないよ』

栞子『そうですね

みんなで相手の事を疑いだして孤立でもしたら…それこそいい標的になりそうですね…』

 

凛『標的って…凛たち、また誰かに殺されちゃうの…!?

…いやぁー!』

エマ「お、落ち着いて凛ちゃん!

みんなで気をつけてれば…きっと大丈夫だよ!」

 

しずく『いいえ、そう言う油断が隙を生むんです

今晩のうちは…誰であれ…被害に遭う可能性があると考えた方がいいと思います…

敵は…私たちを生かしておかないでしょう…』

せつ菜「…しずくさんの言う通りですね…

クローズドサークルだなんて…

連続殺人事件の定番シチュエーションですから…」

 

花陽「…クローズドサークル…?」

せつ菜「孤島や吹雪が吹く山荘のように外部との連絡や行き来が遮断された状況を指す言葉です」

花陽「そうなんだ、教えてくれてありがとうっ」

 

愛『第二、第三の殺人が行われるかもしれないから…

全員一箇所に固まってる方が安全かもね…』

かすみ『どうしてですかー、殺人犯がいるかもしれないんですよ?

危ないじゃないですかー』

 

しずく『それを逆手に取るんだよ、かすみさん

みんなでいたら…犯人も行動しにくい…という事…』

璃奈『お互い、監視し合えば…安心』

 

歩夢「…そんな…みんな仲間なのに…監視なんて…」

栞子『言葉だけ聞くと抵抗はありますが…今取れる最大の安全策…でしょう』

 

愛『…思ったんだけどさ、アリバイを証明し合うのは…意味、無くない?』

しずく『…どうしてでしょう?

無実を訴えるにはアリバイを証明するのが一番だと思いますが…』

 

愛『…怖がらせるつもりは無いんだけど…さ…犯人が単独犯…じゃない可能性は?』

せつ菜「…えっ…」

愛『複数犯の可能性もある…そうなれば口裏を合わせる事も…だよ』

エマ「えぇっ…複数犯…っ!?」

 

愛『可能性は…ゼロじゃない…ってことだよ

まぁ、そもそも…犯人がこの中にいるって決めつけるもの良くないけど』

璃奈『どの可能性も…まだ、消えてない…』

 

にこ『………………………………』

凛「にこちゃん?さっきっから黙ってるけど…どうしたの?」

にこ『…ふっ…本当に、犯人なんかいるのかしら…ね?』

花陽『…どういうこと?』

 

にこ『つまり…生きた人間の仕業とは限らないじゃないか…ってこと…』

「「「…………え?」」」

にこ『さっき話してたでしょ?…この島で亡くなった…』

 

穂乃果「ぎぃぃぃやぁああああああ!!」

にこ「へぇ、えええええっ!!!?!?!?

…な、なによ穂乃果~!!!」

 

歩夢&せつ菜&エマ「ほ、穂乃果ちゃん!?(さん!?)」

にこ「ほ~の~か~!!!

まだ、早いわよ~っ!!」

穂乃果「そ、それどころじゃないだよ~!!」

にこ「なんなのよ~!!??」

 

その時、バンっと扉が開かれた。

「「「「………!!??」」」」

ことり「ふ…ふふっ……ことりが…みんなを…守らないと…

じゃないと…みんな…みんなが……!!!!!

あはははははははは!!!」

何故か手には…大きなナイフを持っていた。

 

せつ菜「目の焦点が合ってませんよ…!?」

海未「…ことり…っ!?」

ことり「…あれ?…もうドッキリ終わっちゃった?」

しかし、次の瞬間にはいつものことりに戻っていた。

 

にこ「…へ?」

ことり「えへへ~…驚かせようと思って…♪」

穂乃果「…あ、ああぁ…」

真姫「やっと終わった…長かっわたわね…この茶番…」

花陽「大丈夫、穂乃果ちゃん?」

 

穂乃果「…あ、あぁ…ゾンビーー!!??」

穂乃果が窓を指を指すと…

そこには…血しぶきと…手形が…くっきりと付いていた。

 

「「「……………………きゃーーーーーーーー!!!」」」

まだまだ…祟りの夜は…続きそうだ…。




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143話

リエラは平安名すみれちゃん推しになりそうです。
ニーソックスですね、やっぱり。


ゾンビ?「み~~つけた~!」

ゾンビ?「あっははははは!」

 

穂乃果「ど、ドッキリどころじゃないよ~!!

ゾンビだよ、ゾーンービー!」

にこ「ちょっ、ど、どういうことよ!?」

 

凛「それは凛たちが聞きたいにゃ!!」

璃奈「こんなの、打ち合わせに…無い…」

 

ゾンビ?「どうして逃げるのかな、かな?」

花陽「ひいぃ~っ!中に入ろうとしてるよ~っ!」

にこ「あっ、そうね…外は暑いものね、中に…っ

って、おバカ~!入れるわけないでしょー!」

 

ゾンビ?「絶対に…逃がさないよ~…」

ことり「いやぁあああ!」

果林「どっ、どどどど…どうせっ、仕込みなんでしょっ!?

…ねぇっ、ねぇっ!?」

 

にこ「んなわけないでしょ!全員ここに居るわよ!」

海未「…では、あれは一体…」

にこ「だーかーらー!本物だって言ってるじゃな~い!!」

 

しずく「…これは、芝居がかってるようには到底見えませんね…」

栞子「…しかし、ゾンビなどという非科学的なものが居るはず…」

 

ゾンビ?「あけてよぉ~…あははっ!」

彼方「うぅ~…あれは何なの~…っ?」

栞子「…ぞ、ゾンビ…ですね…」

 

希「絵里ち、面白い展開に─────」

絵里「清めの…塩…清めの…っ」

希「…めっちゃ鷲掴みで塩を構えてても…」

 

せつ菜「この無人島は…昔原因不明の風土病が流行っていた…とか!?

という事は…外には徘徊してる亡霊が…!」

愛「えぇーーーっ!?…って!

せっつーテンション上がってるし!?」

 

にこ「あ、あれは作り話で…っ!?」

真姫「待って、聞いた事…あるわ」

 

「「「…えっ?」」」

真姫「…遠い昔だけど…ここは小さな集落で…

子供にしかからない風土病があって…感染すると、発狂したり…する…とか…」

せつ菜「ほら、やっぱり!」

 

かすみ「ど、どうするんですか~っ!」

にこ「知らないわよ~!」

 

穂乃果「落ち着こうよ!とりあえず…ゾンビが襲おうとしてるのは間違いないことだけど…!」

璃奈「でも、ここには入ってこられないみたい」

穂乃果「絶対に入ってこられないようにしなきゃ!」

 

希「にこっち、本当にあのゾンビとは無関係なんやね?」

にこ「何度も言わせないでよ~!知らないわよ~!!」

真姫「まずはどうにかしましょ…このままって訳にもいかないわ」

にこ「どうにかって…」

 

ゾンビ?「そこで何してるのかなぁ~…?」

栞子「まずは、身の安全を確保しましょう

家の中に入られたら…一巻の終わりです」

海未「戸締り!万全ですか!?」

 

凛「凛、玄関見てくる!」

せつ菜「お供します!1人では危険です!」

 

愛「んじゃ、愛さんは…窓をチェックしてくるよ

りなりー、ついてきてくれる?」

璃奈「ラジャーっ」

 

真姫「万が一に備えて、バリケードも必要かしら?」

栞子「そうですね、テーブルなどで入口を塞ぎましょう」

果林「そうだ、電話!電話は…っ!」

海未「スマホは…圏外です」

 

穂乃果「固定電話は!?」

果林「にこちゃん、電話繋がるようにしてくれる?」

にこ「……………………無理」

 

 

「「「………えっ?」」」

果林「む、無理って…」

絵里「どういうこと…かしら…」

 

にこ「だってだって!ドッキリのためにって説明したら…オーナーが面白がって電話線抜いちゃったのよ!

まさかこんなことになるなんて…えぇーん!」

希「よしよし…」

 

彼方「オーナーさんのノリの良さが…裏目に出ちゃったね…」

ことり「じゃあ…明後日の迎えが来るまで…連絡の取りようが無いってこと…?」

にこ「…ぐすっ…非常時の…無線機があるって聞いたわ」

穂乃果「なら、それを使って!」

 

にこ「無線機は…外の倉庫の中よ

ゾンビが居る外を出歩くのは…流石に無理よ」

穂乃果「…峻くんがいてくれたら…」

 

 

「「「…………」」」

栞子「……あのっ、こんな時にする話ではないと思うんですが…

峻さんって…そんなに強いんですか?」

 

歩夢「うん、多分この状況だったら…1人で外に出向いてゾンビなんか全員倒しちゃうくらい」

栞子「…そんなに怒った彼は怖い…と?」

 

せつ菜「…あはは」

穂乃果「確かに…すっごーく、怖い…かも」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

しばらくすると、ゾンビたちの声がしなくなった。

 

穂乃果「…静かになったね…諦めてどこか行ったのかな…?」

彼方「家に帰ってすやぴしてるのかも~…♪」

にこ「いやいや、ゾンビの家って…」

 

彼方「あっ、それじゃあお墓になっちゃうかな?」

海未「油断は出来ませんよ、近くにいないだけで…狙われたら逃げ切れる保証はありません」

 

希「そうやね、どこかに身を潜めてるかもやし」

愛「…こんな状況だと、おちおち寝てもいられないね…

…カナちゃんも起きてるくらいだし」

彼方「…触れないでおくれ…これでも平然を装ってるのだ…」

 

花陽「本当は寝たいところだけど…流石に…」

ことり「目が冴えちゃった…」

 

歩夢「…あの」

絵里「どうしたのかしら、歩夢?」

歩夢「ゾンビの件をどうにかしなきゃならないのは分かってるんだけど…」

エマ「歩夢ちゃんとせつ菜ちゃん…それに私…

さっきから何が起こってるのか全然分からなくて…」

 

せつ菜「…そもそも…穂乃果さん、生きてます…よね?

実はゾンビとかって事…」

海未「大丈夫ですよ、穂乃果は生身の人間です…それが証拠に」

 

そう言うと海未は穂乃果の頭を叩いた。

穂乃果「いっっっっったぁーーいっ!!

酷いよ、海未ちゃん!」

海未「…和菓子の分です♪」

穂乃果「………あっ……すいません」

 

何か得体の知れない気迫を感じたのか穂乃果は小さくなった。

ことり「え、えっとね、ごめんね…3人とも混乱してる、よね?」

愛「すっかり忘れてたよ~…」

穂乃果「ごめんなさい!あれは嘘です!!!」

 

かすみ「…すいません、かすみん達で考えたドッキリです…

まさかこんなにも引っかかる人がいるとは…」

にこ「わ、私よ…っ…私が発案者よ!面白いんじゃないかって、つい…!!」

 

エマ「んー…っと、全員元気で怪我もないって事、だよね?」

栞子「そうです。

すいません、止めなければいけない立場なのに…」

歩夢「良かった~…!!

みんな無事ならいいの!…本当に良かった~…!」

せつ菜「いたずらなら、それでいいんです!」

 

にこ「お、怒らないのっ!?」

エマ「怒らないよ♪

それより、ゾンビの事に集中しよ?」

 

海未「穂乃果には、後で個別にお話を…」

穂乃果「ひぃいいぃ~っ!!!」

 

 




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エマ・ヴェルデ 誕生日特別編!

今回は趣向を変えて?


「…なぁ~」

エマ「…ん?」

 

「いいのか、こんなのんびりな感じで」

エマ「いいの~♪

それに、私はこうしてるの…楽しいよ?♪」

「ならいいけどさ…」

 

今、俺はエマの部屋で…ぬいぐるみのように抱きつかれてる。

お茶をしに来たのだが…エマが落ち着くとのことで暫くこんな状態が続いている。

 

エマ「はぁ~、スイスの弟たちを思い出す~…♪」

「…そんなに年近かったっけ?」

エマ「ううん、全然だよ?

まだまだ小さくて…日本で言うなら小学三年生くらいかな?」

「…俺とエマは一学年しか違わないんだけどなあ…」

 

エマ「それでも私にとっては峻くんも弟だも~ん♪」

…頼むエマ…それ以上の密着は…体に毒だ…。

 

 

テレビ【蜜です!!!】

エマ「ひゃぁっ!?…あっ、て、テレビか~…」

「犯人が使った凶器は…はちみつだったのか…」

いや、どんなサスペンスだよ。

 

エマ「せっかく峻くん独り占め出来てるんだし…テレビ、いらないよね?」

「だな、消して大丈夫だ」

 

テレビの音が無くなると…部屋の中はシーンと静かになった。

 

 

エマ「…えへへ♪」

「ん?」

エマ「ううん、なんでもないの♪

…でも、何だか…嬉しくって…♪」

「変なエマ」

 

エマ「だってだって!峻くんの事をね!

ぎゅってすると皆こうなるんだよ!?」

「…そ、そうなの?」

エマ「彼方ちゃんや歩夢ちゃんが言ってたもん!」

 

…知らぬところで…全く…。

「エマにはもっと相応しい人が出来るよ」

エマ「む~…なんかそれはそれで…嫌かも」

「…えぇ…?」

 

その時、エマの携帯から着信音が鳴った。

「んげっ!?」

エマ「あっ、そうだった…スイスの家族と電話する約束だった…」

「忘れるなよ…」

エマ「そうだっ、峻くんも出よ!♪」

「えっ、ちょ!?」

 

答えを聞く前にエマは電話を繋いだ。

…抱きついたこの状態のまま。

 

【…!!??】

「い、いや、そりゃそうなるよ!…御家族、固まってるって!」

エマ「Mom, diese Person hat es schon einmal gesagt, es ist schwer.

(お母さんこの人が前に言ってた峻くんだよ)」

 

…しまった、ドイツ語か…分からないな…勉強しないと。

とりあえずエマの母親?に頭を下げた。

そして、エマに耳打ちする。

 

「…え、エマ…これは一体…っ?」

エマ「ふふっ、今なら…良い、かなって…♪」

…良い?

………………な、何が?

 

俺が頭に?を浮かべてる間に…エマは頬にキスをしてきた。

もちろん、俺を始め…エマの家族もテレビ電話越しで…驚いた表情を浮かべていた。

 

エマ「… Ich liebe dich! Eines Tages gehe ich mit dir aus und grüße dich dann richtig!

(私が大好きな峻くん!いつか付き合うからその時にはちゃんと挨拶するからね!)」

 

「…えっ、ちょっと…エマ…なんて言ったの?」

エマ「ふふっ、内緒♪

…………だけど…峻くんの事、私は諦めないよっ!

…大好きだよ、峻くん♪」

そう言うと再びエマはキスをした。

…今度は口に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エマ&峻「「…………あっ」」

テレビ電話の存在に気がついたのはその後だった。




エマちゃん!誕生日おめでとう!!!!


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145話

峻くんの事を忘れてた?…い、いやいや、そんなはず(震え声)


「はっ、はっ、はっ……」

 

イタリア留学も残り少しとなった朝。

俺はいつものように朝のランニングを行っていた。

 

 

「はぁっ…はぁ…」

川の水面を見つめて…深呼吸を繰り返す。

 

「…そうだ!」

 

 

 

────────────────────────

 

【学校】

 

月「…ええっ、イタリアファッション?」

「ファッションと言うか…まぁ、イタリア土産にって思って」

月「お土産ならいっぱい買ったじゃないか」

「あぁ、物じゃなくて…さ?」

月「…んん~…?」

 

俺の考えに月さんは首を傾げるだけだった。

その日の放課後、俺は月さんがよく行く美容院に案内してもらった。

 

月「なるほど、もっと大人のような紳士的な姿になりたい…と言ったところかな?」

「まぁ、そういうこと…イメチェンってやつ?」

月「君って人は…唐突だね、相変わらず」

「思い立ったが何とやら…って感じかな?」

 

月「それで、どうするんだい?」

「髪の色を変えてもらおうかなって!」

月「へぇ、どんな風に?」

「それは見てもらってからのお楽しみ~」

月「はいはい、先に帰ってるからね?」

「うん、ありがとうね!」

 

…と、言ったものの…実際はどうしようかなんて決まってない。

薫子さんみたいに赤のメッシュ入れるのもかっこいいしなぁ~…。

 

 

 

 

「…あっ」

その時、1つの考えが頭に浮かんだ。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【月の家】

 

 

「た、ただいま~…」

月「おかえ………おおっ!」

「…どう、かな…」

イメチェンした時のしおらしさや見た時の反応って男も女も同じだよな…あれ、俺だけ?

 

「…思い切って…グレーにしてみた」

いや、思ったよ?

最初は、なんやこれっ!?って…でも、ね?

 

月「…曜ちゃんみたい~っ!♪」

指をさしながら月さんは笑った。

「…あ、あはは…やっぱり?」

髪型は違えど…色的にはそう見えるのかぁ…やっぱり。

 

月「虹ヶ咲学園のみんなが見たらなんて言うかな?」

「…不良になったとか言うんじゃないかな?」

月「あっはははっ!ありえるね!!!」

気に入ったのか、月さんはしばらくゲラゲラと笑っていた。

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

【一方その頃】

 

歩夢「…ん、んんっ…峻…く、んっ…あっ…!?」

ガバッと歩夢が起きる。

 

愛「おはよ、歩夢」

歩夢「あれっ…私…あぁ~…夢見たの…?」

せつ菜「みたいですよ、パーカー持ってずっと魘されてましたから」

愛「そりゃ、こんな状況下だったら、そうもなるよね…

峻の助けが欲しいよね…」

 

歩夢「…あっ、ぞ、ゾンビは…!?」

にこ「居ないわよ」

ガチャっとドアを開けたにこ…その姿は。

 

歩夢&せつ菜「「きゃああぁああ~っ!!??」」

にこ「…みんなこの反応するのね」

愛「ただのパックだよ~…キュウリ…だけど」

にこ「ゾンビ居てもお肌のケアは欠かさないわよ」

絵里「そういう所は筋金入りなんだから…」

 

しずく「おはようございますっ

…とりあえずゾンビが外にいないのことを確認できたので

朝ご飯を頂いた後、外で見回りをする人を募っていたところですよ」

絵里「無理に、とは言わないわ」

 

愛「よーし!愛さん、こんなこともあろうかと~…」

ガサゴソと取り出したのは…。

 

希「…そ、それって~…」

愛「メリーケンサックで~けんさっく~!なんつっって!♪」

絵里「女子高生が持ってる物じゃないわよ、それ…」

かすみ「あ、ああああ、愛先輩が…武闘派に…っ」

 

愛「人聞き悪いな~…これ、峻と出かけた時に選んでもらったんだよ~護身用に」

歩夢(峻くんのセンス…相変わらず独特だなぁ…)

愛「何も無いよりかはマシっしょ!♪」

 

絵里「そうね…現に私も…外に出てゾンビが居たら傘で殴打する予定だったわ…」

「「「…あはは…(震えながら言っても…)」」」

 

彼方「みんな~、ご飯できたよ~♪」

空気が一気に和むような彼方の気の抜けた声が聞こえた。

 

せつ菜「まずは腹ごしらえです!

腹が減っては何とやらですよ!」

にこ「そうね、まずは食べながら作戦会議をしましょ?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【朝ご飯中】

 

真姫「…って事は…みんな、騒ぎ疲れて寝たという感じかしら?」

璃奈「固まって部屋に戻ってからは…あんまり覚えてない」

凛「凛も寝ちゃってたにゃ~…」

花陽「はいっ、凛ちゃんおにぎりだよ♪」

 

栞子「無理もありません、ですが特に何事も無くて一安心です」

エマ「やっぱり見間違いだったのかなぁ~…?」

果林「だと、いいわね…でも窓ガラスの血の跡…無くなってるわよ?」

 

穂乃果「ほんとっ!?…わぁ、無い!」

海未「穂乃果っ、食事中ですよ!!」

ことり「…太陽の光で…消えたってことは~…?」

彼方「あるの、かなぁ~…?」

 

絵里「とりあえず、外に出てみない事には…何も分からないわ」

愛「じゃあ、先ず…二手に分かれて…無線機と周囲の散策ってことで大丈夫かな?」

 

にこ「そうね、散策の方に人手をかけた方がいいわね…とは言え、気は抜けないわ」

彼方「…やっぱり、あの洞窟が怪しいよね~」

せつ菜「ですね、あそこは…」

 

絵里「最後に合流してから行きましょ、危険すぎるわ」

希「そうやな、後ろも確認してもらわないとやし…」

 

こうして、朝ご飯兼作戦会議は滞りなく進んだ。

 

 

 

 

 

 

───────────────────────────

 

 

【???】

 

 

?「へっ…へっ…みっかん!!!」

?「何その、くしゃみ!?」

 

?「えっへへ~…みかん!が好きだからかなぁ?」

?「今日も行くの?」

?「だって、だって~!みんな気付いてくれないんだもん~っ!」

 

?(…勘違いされてるような気もするのは…私だけ、かしら?)




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146話

せつ菜ちゃんのラボ…

???「皆さん、戦争が始まりました」


穂乃果「美味しかった~っ♪」

歩夢「いっぱい食べたら元気になったね!♪」

 

凛「今ならソンビが相手でも楽勝にゃー!」

せつ菜「いえ、もしかしたらゾンビもパワーアップしてウロボロスのような…!!」

かすみ「えぇーーっ!!??」

ことり「…出会わない事に越したことはないんだけど~…」

 

真姫「…さ、これからどうする?」

栞子「やはり、無線機で外部と連絡を取るのが一番ですかね…」

絵里「えぇ、今できる一番の安全策ね…」

 

せつ菜「食料なども備えておいた方がいいでしょうか?

…考えたくは無いですが…長期戦になることも…」

にこ「大丈夫よ~、外部と連絡が取れればそんな事にはならないし

…さっ、向かいましょ?」

 

杞憂ならいいけど…と思うせつ菜だった。

 

 

────────────────────────

 

【外】

 

絵里の様子がおかしい。

 

絵里「…い、いな、いない…わよ、ねっ…アレ…っ」

エマ「あ、後ろに」

絵里「いーーーやぁーーーーー!」

 

希「怖がりな絵里ちにはちょっと荒療治やと思うんよ…」

エマ「えへへ…♪」

絵里「…くぅ…」

希「大丈夫大丈夫、何かあったら絵里ちはウチのところに来るように育ててあるから♪」

絵里「育てられた覚えは無いのだけど!?」

 

 

海未「しっ…なるべく、手早く済ませましょう

…鳴りを潜めている可能性もあります」

絵里「うぅ…はぃ……」

 

 

にこ「…こう暗いと分かりにくいわね…」

かすみ「ん~~……あっ、あれじゃないですかねっ?」

果林「ええっ、これ~…?…なんというか…」

 

希「年季の入った…おじいちゃんみたいやね…?」

璃奈「これ、かなり古いタイプ」

栞子「…あの、興ざめする事言うと思いますが…

扱える人は…いますか?」

 

 

 

……………………しーーーーーーーん…。

 

 

せつ菜「り、璃奈さんはどうでしょう!?」

璃奈「こう古いと、お手上げ…」

愛「おっしゃ、愛さんがやってみるよ!

なんかあったら叩けば直るっしょ!」

 

そう言って肩をぐるぐる回す愛を制する果林と彼方。

にこ「こんなのテキトーよテキトー…ほら、2本のどちらかの線を切ったら…みたいなシーンもテキトーなのよ、実際」

しずく「ええっー!?!?」

かすみ「いや、しず子…鵜呑みにしすぎ!

…このボタンなんかそれっぽいですよね?」

 

彼方「じゃあ~、ポチ~っ」

(((((躊躇なくいった!?))))

 

 

花陽「つ、つつ、繋がったかな?!」

歩夢「…何も聞こえない…ね」

かすみ「あんまり適当にいじると壊れそうな気も…」

 

愛「パルプ〇テ!!」

ガンッ…と、チョップをした愛。

その行動を見た一同は驚きの声を上げた。

 

「「「「あぁーーーっ!!」」」」

海未「ゾンビに気づかれてしまいます…っ!!」

ことり「あっ、動いた!」

海未「えぇ~っ…!?」

 

かすみ「さすが愛先輩っ!」

愛「ふふっ、皆の衆…愛さんは、やる女だよ~…?

…でもおかしいなぁ…繋がらない~…っ」

 

歩夢「頑張って、愛ちゃん!」

愛「…だめだあ~…愛さんお手上げだあ~~…」

にこ「…ぐぬぬっ…結局助けを呼べないじゃない!」

 

しずく「…やはり、明後日まで待つしか…」

真姫「…ねぇ、やっぱり昨日のアレは…見間違いなんじゃないかしら?

こんなに影も形もないなんて…おかしいと思わない?」

 

ことり「でも、真姫ちゃんも…」

真姫「見たけど…はっきりとでは無いわ

はっきり姿形を見た人、いる?」

 

この質問に…一同静かに首を横に振った。

穂乃果「…言われてみたら…ちゃんと見てないかも」

彼方「彼方ちゃんも~」

にこ「でも、はっきり見てないとはいえアレをどう説明するのよ?

音や声は聞いているでしょう?」

 

歩夢「…うん、音は確かに聞いた…ね」

真姫「音だけなら、他の可能性も考えられなくないかしら?」

璃奈「可能性って、例えば?」

真姫「…それは~…」

 

せつ菜「実は、なにかの事故で流れ着いた遭難者…なんて事は…

それで、私たちに助けを求めてた…とか」

花陽「…遭難者」

絵里「少なくともゾンビよりかは現実的な話ね…」

穂乃果「探しに行こうよ!」

 

にこ「どう考えたらそんな考えに行き着くのよ!?」

穂乃果「でも本当に居たら大変だよ!困ってる人は見過ごせないよ!」

海未(…これは穂乃果のお人好しが…)

ことり(出てるね…穂乃果ちゃんらしいけど…)

 

 

 

────────────────────────

 

 

【砂浜】

 

穂乃果「そーなんしてる、そーなんですかー!?」

愛「そーなんよーーー!!!」

 

穂乃果&愛「あっはははっ!」

海未「全く2人は完全に気が緩んでますね…

私がゾンビなら背後からすぐにやれそうです…」

歩夢「…あ、あはは…えっと…遭難してる人は見つかった?」

 

果林「探した範囲内では遭難者もゾンビもまるで見えなかったわ」

せつ菜「岩場の方も居ませんでした」

希「洞窟はどうやった?」

かすみ「不気味だからかすみん達スルーしてきちゃいました…」

 

愛「んじゃ、みんなで見に行く?」

エマ「ちょっと怖いけど…みんなが一緒なら!」

絵里「そうね、固まって行きましょう」

 

彼方「…な、なんか…昨日来た時よりも…不気味に見えるよ~…」

にこ「ね、ねねね、ねぇ…昨日…あんな物…あ、あったかしら…?」

 

花陽「ううん、長靴や服はあったけどあんなのはなかったよ」

かすみ「かすみんアイが可愛いのは分かりますが…アレ…斧っぽいような…?」

絵里「そ、そそそ、そんな訳…っ!…こ、これは…鉈…ね…」

 

せつ「…もっと、近くで見てみましょう」

希「なんか…や~な感じするね~…」

穂乃果「そんな鉈?なんかあるわけないよ~!!…んーと、どれどれ~?」

 

見に行った穂乃果の動きがピタリと止まった。

何やら少し震えていた。

 

栞子「ほ、穂乃果さん?…見間違いですよね?…木の枝とか…そういう…」

穂乃果「え、ええっ…ええっとぉ…」

絵里「穂乃果ぁ、違うって言って~!」

 

穂乃果「な、なんか奥にいっぱいあるな~…って…みんな、見に行こ…?

ほら、海未ちゃん、ことりちゃん」

海未「な、なぜ私たちを呼ぶのですかっ!」

ことり「穂乃果ちゃん…もしかして既にそっち側に…」

 

にこ「ほらほら、見てきなさいよ~っと!」

海未「そ、それならにこも一緒に!」

せつ菜「うぉおおおお!せつ菜、行きまぁす!♪」

 

しずく「あぁ、ちょっ、せつ菜さんっ!?」

果林「やれやれ、みんなで行ってみない?」

かすみ「か、かすみんは現場待機してますぅ!

何かあった時の逃げ道を確保しますぅ!」

 

と、言ったが璃奈から手を掴まれたかすみ。

璃奈「いいから、みんなで行くの」

歩夢「かすみちゃん、私の背中壁にしていいから♪」

かすみ「あ~ん、歩夢先輩~~…っ」

 

ことり「お、奥の方は…空気がひんやりしてるね…」

エマ「スマホのライトで照らしても…全然見えないね…」

彼方「暗くてひんやりしてて…彼方ちゃん寝そう~…」

にこ「そーは、ならないでしょうよ~っ!?」

 

真姫「うるさっ…!

…もーっ、にこちゃん反響するから大きな声出さないでっ」

穂乃果「あ、みんなあそこ!!」

真姫「穂乃果まで~っ!」

 

凛「な、なんか…色々落ちてるにゃ…それに、それに…」

かすみ「全部ボロボロじゃ無いですか~っ!

赤いのとか付いてますよ…っ!?」

 

せつ菜「スーツケースに…本、それにコート…!?」

花陽「遭難した人って考えたら…ボロボロすぎる、よね…?」

 

栞子「この場合は…遭難した人よりもゾンビの方がしっくり来ますね…」

しずく「じゃあ…これはやっぱり…」

 

栞子「それだけではありません…何点もあることから…ここはゾンビ達の塒(ねぐら)なのでは…?」

絵里「…い、いやぁあああああ!」

 

 

 

血の気が引いたような声を出した絵里は一目散に出口に向かって走り出した。

にこ「絵里~っ!?」

希「ま、待ってよ~っ!!」

 

 

慌てて後を追って出口に向かうメンバー達だった。

 

 

せつ菜(…あの場にいたら…負けイベントだったのかなぁ…)

穂乃果(…鉈に赤いのが付いていたような…気のせいだよねっ!)

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【おまけ 峻×侑】

 

 

 

侑「いや~2人で出掛けるの楽しいねっ」

「…つっても、俺はどうせ荷物持ちだろ~?

両手使わせやがって…」

 

侑「あっはは、頼りにしてるよっ?♪」

「むー…なんか癪だな……ん、ほら」

 

俺は軽い方の袋を侑に差し出した。

侑「ええっ、女の子に持たせるの~…?」

「そう言うんじゃねぇよ…」

侑「じゃあ何~?」

「…手、繋ぎたいから…軽い方持てよ

両手塞がってたら…侑の手握れないだろ」

聞いた侑は耳から湯気が出そうなくらい顔を赤くして

侑「……………はい…///」

 

とだけ答えた。




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147話

【教えて!センシティブマスターA×K先生!】

Q.なぜアンケートに侑ちゃんがいな
A.君のようなカンのいいガキは嫌いだよ(BANG!!)


絵里以外のメンバーが別荘に戻ってくると絵里は何故か水着に着替えていた。

 

 

にこ「え、絵里~っ!?」

絵里「おうち帰る!!」

 

希「で、でもなんで水着…なん?」

絵里「泳いで帰るもん!

穂乃果、荷物よろしくね!」

 

穂乃果「…あ、あはは…」

しずく「今まで隠してましたが、もう私も無理です!

悠長になんか待ってられませんよ!」

 

璃奈「…しずくちゃん、その涙…演技?」

しずく「ほんとに怖くて泣いてるんですよぉ!」

 

愛「おぉー、迫真の表情だね~」

かすみ「そんな呑気なこと言ってないで、愛先輩も真面目に脱出方法考えてくださいよ~!」

 

かすみがすがりつくと愛は手のひらに拳を突き合わせ…。

愛「よし、殴るか」

かすみ「だあぁああああ!既に武闘家の考えに~!」

 

真姫「無線も電話も使えないのにどうやって脱出するのよ~!」

絵里「…ほ、他に…案はないのかしら…?」

 

穂乃果「ん~…もう思いつかないよ~」

にこ「1回まとめましょ?

…ここまでどんな案が出たかしら?」

 

絵里「泳いで脱出!」

愛「殴る!」

にこ「…あんった達ね~…」

 

希「旗を作って飛行機や船に信号を送る

砂浜にSOSの文字を作る…くらいやん?」

海未「あとは狼煙をあげる…くらいでしょうか?」

 

真姫「冷静に考えると有効性に欠けるわね」

花陽「うーん…遭難した時の定番っぽい気がするけど…」

真姫「ここ、そんなに飛行機なんか通らないわよ…ましてや船なんかも」

 

しずく「…やはり、洞窟に近づかないで…迎えが来るまで隠れてるしか無いのでしょうか?」

絵里「そうかもしれないけど…他に何かないかしら…?」

 

ことり「何かしてないと想像して色々不安になっちゃうから…できる事を探したいな…」

彼方「う~ん…少し早いけど…寝る~?

目が覚めたら明日の朝になってるのでは~?」

 

かすみ「寝てる間に峻先輩のように襲われたらどうするんですか~!

誰もが彼方先輩みたいに秒で寝れるわけじゃないんですから~!」

凛「峻くん…?」

 

にこ「…あいつ、いつもそうなの?」

歩夢「…あ、あはは…ちょっかい出してるのは確かだけど…」

 

果林「でも、確かにそうね…

何もかも忘れて寝れたらどれだけいいことかしら…テスト…はぁ…」

しずく「あぁ…いつも冷静な果林さんが急に現実に戻されている…」

 

エマ「果林ちゃん、よしよし…大丈夫だからね

何があっても私がずっとそばにいるよ」

果林「エマ~ぁ!!!」

せつ菜「これがバブみですね!!!!!」

璃奈「…バブ…み?」

 

愛「何かしてないと落ち着かないなら…トランプしてる?」

にこ「この状況でよくそんなことを…」

穂乃果「そうかな?私もいいなぁって思うんだけど…」

 

歩夢「じゃあ、私テレビゲームする!…えへへ、色々ソフト持ってきたんだ~♪」

せつ菜「いいですねっ!何を持ってきたんですか?」

歩夢「クレ○ジーバスに~…スペ○ンカー!

あと、た○しの挑戦状!♪」

せつ菜「…?????」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

凛「全然揃わないにゃ~…

あっ、あった!はいっ、愛さん引いていいよ~♪」

愛「うーーー…ん?あった~♪

ほいっ、次かすかす~」

 

かすみ「かすみんですー!!

…ふっ、運ならかすみんだって負けませんよ~?…がっ!!!」

花陽「ふふっ、わかりやすい反応♪」

 

海未「それが、かすみの良いところなのでしょう…はっ、はぁっ!!!!」

かすみ「海未先輩も同じじゃないですかー!!」

 

穂乃果「あははっ、海未ちゃん思いっきり目が泳いでる~♪」

璃奈「ババ抜きは、ポーカーフェイスが大事」

海未「わ、分かっていますが…!」

 

かすみ「って、りな子はボードがあるから

ポーカーフェイスと………か……っ…ぴ、ぴゃーーーーーっ!!!!!」

 

真姫「な、なにっ!?」

せつ菜「ちょっと、見てきます!」

希「ウチも行く!」

愛「待ってろ、愛さんも~!!」

 

 

 

────────────────────────

 

 

せつ菜「どうやら突風が吹いたようですね」

愛「何にも居なかったよ?」

 

にこ「本当に?…なら良かった~…」

歩夢「私…声が聞こえた気が…ひた、ひた…って」

にこ「嫌なこと言わないでよ~!」

 

歩夢「こ、怖い怖いって思ってたから風の音がそう聞こえちゃっただけ…だよ、多分…」

ことり「…やっぱり、気になっちゃうよね」

希「…ハイリスクやけど…洞窟の前で見張るってどう?」

 

かすみ「いや、もうそれ…フラグ立ちまくりの展開ですよ!!」

希「そう?…自分の知らないところでゾンビが徘徊してるかもしれない

もしかしたら、ここにも侵入してくるかもしれないって思うと不安なんよね?

 

…それなら、目で確認できる方が安心なんやない?」

栞子「私もそう思います」

 

かすみ「ぜーーーったい、反対です!!

ドラマとか映画で1番最初に死んじゃうパターンじゃないですか~!」

にこ「そーよ、そーよ!」

 

海未「とはいえ…洞窟が気になって仕方ないのは事実です…

ここは、希の言う通り、見張りも必要なのでは?」

せつ菜「では、洞窟まで見張りに行く組と残る組で別れましょう」

 

かすみ&にこ「はいはーい!!残りま~す♪」

せつ菜「…だけ…の、ようですね♪」

にこ「えっ、2人だけっ!?

絵里、あんた今手を上げかけたでしょっ!?」

 

絵里「そ、そうだけ…どっ…

な、なんか…ゾンビに良い様に弄ばれてるのかもって思ったら…

何だか、腹が立ってきたわ…」

穂乃果「おぉ、PSYCHIC FIREだねぇ!」

 

栞子「では、2人ともお留守番よろしくお願いしますね?」

にこ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

かすみ「バランスが悪すぎますよ!

2対17ってなんですかー!」

 

 

穂乃果「えへへ、結局みんなで行くことになるね♪」

にこ「し、仕方なくよ…!」




さて、作者は戦争のため、しばらくドロンします(大嘘)

俺、帰ってきたらせつ菜ちゃんと結婚するんだ(大マジ)

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148話

せつ菜ちゃんの彼氏になりてぇ(ステージ20の超絶末期)


意を決して洞窟に入ったが…すぐ愛の足が止まった。

 

 

愛「…ストップ、みんな隠れて」

その言葉にことりがドキッとしながら小声で呟いた。

ことり「…ど、どうしたの?」

 

愛「…あれ…っ!」

凛「…な、なになに…?」

穂乃果「焚き火を囲んで…ゾンビが踊ってる…!?」

 

かすみ「…や、やだあぁあああっ!

別荘に戻って鍵掛けてリモート爆弾設置しましょうよ~~~!」

海未「…ま、まさか本当にいるなんて…!

にわかに信じ難いですが…あれは、確かに…!」

 

にこ「信じ難いも何も、目の前にいるじゃない!」

ことり「気付かれないように、気をつけなきゃ…」

 

真姫「そうね、でも幸い…踊りに夢中のようよ?」

彼方「…なんか、楽しそう~」

かすみ「ゾ、ゾンビのくせに…ダンスのキレがいいですね…っ」

 

穂乃果「いいなぁ~」

そう言うと穂乃果はふらふらと踊りの方へ歩いていった。

 

果林「ほ、穂乃果ちゃんっ!?」

璃奈「見つかっちゃうよぉ~っ!」

 

せつ菜「ほぅ、最近のゾンビはレベルが高いですねぇ…」

絵里「…ど、どこからメガネを…」

歩夢「…あれっ、あのゾンビ達…制服着てない?」

 

穂乃果「制服で踊るゾンビ…昨日言ってた怪談話に出てきた子達かな?」

エマ「事故で亡くなった音楽学校の子?」

にこ「あ、あれは架空の話よ…」

 

栞子「ですが、1…2…ちょうど9人いますよ?

偶然にしては出来すぎな気が…」

絵里「…でも、穂乃果の気持ち、分かる気がするわ

だんだん…怖さが薄れてきたわ」

 

にこ「…ま、まぁ…確かに目を惹くわね…にこの方が上だけど…」

かすみ「かすみんはまだ怖いです~…ぅ」

 

希「ふふっ、みんなで見入ってるね」

愛「それだけ伝わってくるものがあるって事だよ」

 

穂乃果「きっと、歌や踊りが好きだったんだろうなぁ」

歩夢「パフォーマンスするのが好きって伝わってくるね」

穂乃果「あははっ、まるで私たちみた~い!♪」

 

花陽「言われてみると…スクールアイドル…っぽい?」

真姫「…確かに」

凛「きっと、スクールアイドルの始祖だにゃ!」

せつ菜「な、なんですって…!?」

 

穂乃果「だったら…穂乃果も一緒に踊る~!!♪」

そう言うと穂乃果は一目散に走っていった。

 

にこ「ちょ、ちょっと~!!」

真姫「ダメね、手遅れみたい」

にこ「お、襲われるわよ~っ!!??」

 

せつ菜「穂乃果さんには仲間に見えて仕方ないんでしょう!♪」

にこ「なんでアンタも嬉しそうなのよ!?」

絵里「ほ、ほほほ、穂乃果がゾンビの仲間になったら…どうしましょう…っ!?」

穂乃果「大丈夫大丈夫~っ!!」

 

果林「…ホントに大丈夫…そう?」

穂乃果「そりゃ、同じスクールアイド…あぁ~っ!!」

 

璃奈「ほ、穂乃果さ~んっ!?」

栞子「やっぱりゾンビだったのでしょうか…っ!?」

 

彼方「い、急いで向かおうよ~っ!」

愛「穂乃果~っ、待っててね~!!」

かすみ「あぁっ、待ってくださいよ~っ!!」

 

 

 

???「な~に~や~つ~ぅ!!??」

せつ菜「へ、へぇぇえっ!!?!?」

愛「あっ…あのアホ毛は…!!」

 

千歌「だーれがアホ毛だぁ~っ!

あ、そこっ!露骨に嫌そうな顔した!」

真姫「ゔぇえぇっ!?…し、してないわよ!(みかん娘…!)」

 

穂乃果「千歌ちゃん!どうしてここに~っ!?」

千歌「私だけじゃないよ、Aqoursのみんなも!」

善子「くっくっく…サクリファイスの儀式により…導かれたリトルデーモン…そう、私こそ闇の王…またの名を、堕天使ヨハ───」

 

愛「ヨッシーじゃーん!♪」

善子「よ、ヨッシーぃ!?」

絵里「はぁ…一体、なんの騒……え、ええっ…!?」

ダイヤ「皆さん、ご無沙汰しておりますわ」

 

歩夢「…ゾンビ…じゃ、ない…よね?」

ダイヤ「…は?」

梨子「わ、私たちは…私たち…だよ?」

曜「…あ~、なるほど合点がいったよ」

 

ポンっと手を叩く曜。

せつ菜「どういう事…ですか?」

曜「峻くんとビデオ電話してた時にね、μ'sと虹ヶ咲学園のみんなが合同合宿してるって話したの

それで、Aqoursのみんなも─────」

 

歩夢「しゅ、峻くんと!!??」

曜「…あ、う、うん?」

 

鞠莉「ま~、とにかくっ♪

マリー達はベリーベリーグッドな体調よ~♪」

かすみ「じゃ、じゃあ!ここにある散乱した服とかはなんですか~っ!」

 

梨子「あ、昨日着てた服かも…もう、果南ちゃんったら…」

しずく「…ど、どうやら…大丈夫そう、ですね」

「「「「…はぁあああぁ~……」」」」

 

ヘナヘナと地面にへばり込むメンバーたち。

花丸「だから、驚かすのはダメって言ったずら~」

千歌「あははっ、ついつい~」

希「いや、まぁ…ウチらの勘違いもあるし」

真姫「と言うか、ここ…私有地なんだけど」

 

ルビィ「ルビィ達もそう思ってたんだけど~…」

鞠莉「oh!PVの撮影よ?♪」

花陽「えっ、ええぇっ!?」

 

鞠莉「ズバリ、テーマはホラーっぽいPVよ!♪

あっ、マッキーのオーナーさんにも許可は貰ってるわ~♪」

真姫「…あの人は…本当にぃ~…っ!」

 

にこ「って、どうやったらここにたどり着くのよ!?」

ダイヤ「えっと…海の声が聞こえると、ある方が言ってここに…」

曜「後は、有名なPVを見たりして決めたんだよね~」

 

かすみ「も~っ!紛らわしいですよ~っ!!」

エマ「でも、謎が解けたんだし、もう怖がらなくていいんだよ、かすみちゃん♪」

しずく「かすみさん、疲れたでしょ?手、握ろうか?♪」

璃奈「私も、支えてあげる」

栞子「飲み物、飲みますか?」

 

かすみ「…っ…えっ~~~~ん!しず子、りな子、しお子~!」

鞠莉「オーナーが別荘に近寄るな~って言ってたのはこういうことだったのね~♪」

ダイヤ「まさかμ'sと虹ヶ咲学園の皆さんがそこにいらしたとは…」

 

曜「昨日窓からみんなの姿見えた時はビックリしちゃったよ~」

栞子「やはり、あれは皆さんが…」

ルビィ「声をかけて呼んだんだけど…」

花丸「いきなりカーテン閉められてびっくりしたずら~」

梨子「…で、千歌ちゃんが」

 

千歌【にっしっし…これで驚かしてあげよう~♪】

曜【って、血糊!?ダメだよぅ!】

梨子【いや、もう遅いみたい…】

千歌【あっははははははは!】

曜【うわぁ…楽しそ~…】

千歌【あっ、他のところにもかかっちゃった!】

梨子【も~っ、ちゃんと拭いておいてよ~?】

 

 

梨子「…って事に」

善子「戯れが過ぎたようね…」

 

花陽「…ってことは…Aqoursのみんなは…サバイバル?」

千歌「いやいやいや…!」

鞠莉「近くの島にホテルがあるのよ

そこからここまでボートでビューンっとね♪」

曜「ちなみにそっちの島なら電波通るけど…(ちらっ)」

歩夢「わ、私…今日の夜だけそっち行っていいかな!?」

 

 

(((((言うと思った…)))))

かすみ「かすみんも行きま~~~ぁ、あぁ…!!!!!!!」

言葉を言いかけてかすみの口が止まった。

 

しずく「…かすみさん?どうしたんですか?」

璃奈「…バッテリー切れ?」

かすみ「ぁ、ぁあ、ああ、がっ…あがっ…!!」

震えながら指を指すかすみ。

一同が後ろを振り向くと…。

 

 

???「…ふっふっふ~っ…」

ワカメで顔が見えないが…大量にワカメを持った…。

 

「「「「「で、出た~………!!!!!

ワカメゾンビぃいいいいぃ~!!!!!!」」」」」

 

果南「…えっ、ゾンビぃ~?

…どこ、どこにいるの?」

「「「「「「…だああぁあああ」」」」」」

 

盛大にズッコケる一同を見て首を傾げる果南だった。

歩夢(…峻くんと…話せる…えへへ♪)

パーカーを愛おしそうに抱きしめる女の子だけ、除いて…。




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149話

実はもうすぐ150話(驚愕)


歩夢「…」

さっきから歩夢がそわそわしている。

その理由は…。

 

曜「あはは、時差が8時間あるからねぇ」

そう、今は夜の19時…イタリアはお昼の11時なのだ。

連絡を入れたが、峻は今授業中だったので昼休みにテレビ電話すると返事が来た。

 

その昼休み待ちという所だ。

 

歩夢「…って…なんでみんなもいるのーーーっ!」

そう、何だかんだでみんなAqoursの泊まるホテルに来ていた。

 

果林「あらぁ、私たちも峻の顔見たいわよ?」

かすみ「抜け駆けなんて許しませんよ~!」

歩夢「…むぅ…///」

これ見よがしにパーカー(畳んであるやつ)を抱きしめる歩夢。

それを見て、ぐぬぬ…と悔しがるかすみ。

 

希「…そう言えば、峻くん争奪戦はどうなったん?」

曜「…あ、その話題は…」

 

かすみ「ぜーーーーったい、かすみんが勝ち取ります~!!」

しずく「あっ、かすみさんずるい!私だって負けませんよ!」

 

果林「ふふっ、2人とも…大人の魅力に勝てるのかしら~?♪」

歩夢「わ、私だって峻くんのこと一番知ってるもん!///」

 

愛「愛さんだって、負けてないと思うけどな~?」

璃奈「ニーソックス好きは網羅済み…''ぶい''」

エマ「ふふっ、峻くんは私の胸枕好きだから大丈夫だよ~♪」

栞子「わ、私もお慕えしております…っ!!///」

 

彼方「…おや、せつ菜ちゃんはこの論争に参加しないのかい?

よもやよもや…余裕の表れかなぁ~?」

せつ菜「それもありますが…」

 

((((…あ、あるのね…))))

 

せつ菜「…その、以前…同好会の活動を見回ってたんです

峻さんと私で」

栞子「…私が生徒会長になる前、という事ですね?」

せつ菜「はいっ、その時にですね…手相同好会を視察しに行ったんです」

 

穂乃果「本当に色々な同好会があるんだね~」

千歌「あっ、千歌分かったかも!

峻くんにモテ線があったとか?」

 

せつ菜「は、はい…そうなんですが…」

そう言うとせつ菜は自分の手を見せてきた。

せつ菜「真っ直ぐな線の横に…右斜めに下がる線がモテ線と言うそうです

長かったり、線が多ければモテると言われています」

 

そう言うと各々自分の手を確認し始めた。

梨子「…2本…かな?」

にこ「…い、1本…ということは…」

真姫「な、なんで私を見るよのっ!///」

 

果南「…な、無い…」

せつ菜「あ、あくまでも手相上は、ですから!」

善子「それで、峻にはどのくらいあったのよ?」

 

せつ菜「7本」

善子「………え?」

せつ菜「7本だそうです

手相同好会の皆さんも物凄く驚いていました

そこからはもう、手の写真撮り大会が始まって…」

 

曜「…あー、ここにいる虹ヶ咲学園のメンバーたちなら…言われて納得感、あるんじゃない?」

「「「「……………………」」」」

皆、ただただ頷くだけだった。

 

 

鞠莉「そう思うと、たらしよね~?」

海未「えぇ、それにあの人の性格だったら誰かを選ぶなんて…と言いそうですね」

ことり「ヒトリダケナンテエラベナイヨー!…って?」

 

愛「うわぁ~…しゅんしゅん、言いそう…」

かすみ「実際、無自覚の塊みたいな所ありますからね…」

歩夢「とりあえず…学園内で抱きつくのは…ちょっとなぁ…///」

 

曜(…あ、そっちの方でもやってるんだ)

花丸(相変わらず過ぎるずら…)

 

prrrrrrrrrrr…。

 

 

噂をすれば…何とやら…曜の携帯には 月ちゃん の文字が。

 

曜「おっ、きたきた!…おーいっ、もしもし~!」

月「ほら、繋がったよ?」

「…い、いや…この格好のこと…すっかり忘れてた…」

 

歩夢「…曜ちゃん、この人は?」

曜「渡辺月ちゃん!曜の従姉妹だよ~♪」

梨子「えっ!?曜ちゃん従姉妹居たの!?」

曜「はれ、言ってなかったっけ?」

 

歩夢「峻くん~っ!」

歩夢が呼びかけるが…何故かピースサインだけを画面に写す峻。

 

歩夢「…?」

月「ほーらっ!」

「うわぁっ!!?!?!?」

 

画面に移った峻…その姿は…。

 

「…あ、あはは…ども」

「「「「「「「「「………………………」」」」」」」」」

 

 

 

 

「「「「「「「「「…ええぇぇえぇええぇえぇえ~っ!!!!??」」」」」」」」」

 

日曜の夕方6時半からやるアニメのように家が揺れるんじゃないかと言うくらい一同驚きの声を上げた。

 

かすみ「だ、誰ですかっ!!??」

歩夢「…かっ、こいい…///」

しずく「尊いです……///」

 

せつ菜「一方通行ですよ!!!アクセラ〇ータです!!!」

愛「思い切ったイメチェンしたね~…?」

 

エマ「…あれ、果林ちゃん…目を背けて…どうしたの?」

果林「な、なんでもないわよ!///(一瞬でもドキッとした自分が…恥ずかしい…っ!///)」

 

彼方「…ヤンキーデビュー…?」

「違うよ!…えっと…染めてみた…似合うかな~…って」

 

璃奈「すごく似合ってる」

栞子「…あ、あの…自由な校風とはいえ…流石に、これは…」

かすみ「本音は?」

栞子「…かっこいいです///」

 

 

ワイワイと賑わうテレビ電話を見ていた曜と花丸が耳打ちしていた。

花丸「曜ちゃんを意識した髪型にでもしたずら?」

曜「んー、分からないけど…多分、悠くんの事だから無自覚なんだと思う」

花丸「は~…またモテ線が増えそうずら…」

曜「あははっ、体が変わっても災難続きだね~」

 

 

 

────────────────────────

 

 

「そっか、合同合宿は順調なんだね」

歩夢「峻くんも、短期留学順調そうだね」

「うん、みんなのために作詞も進めて…早く披露したいよ」

しずく「あと3日ですからね!♪」

「あはは、だね…なんか緊張してきちゃうよ」

 

エマ「お菓子とか用意して、部室で待ってるよ!♪」

せつ菜「それに、帰ってきたら────」

栞子「せつ菜さんっ、それはっ…!」

せつ菜「あっ、そうでした…!

とにかくっ、待ってますからね!」

 

月「あれっ、あの出来事言わなくていいの?」

「また余計な事を…」

 

かすみ「えっ、なんですかなんですかっ?♪

気になります~っ!」

 

「…は~…えっと、な…実は…」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

かすみ「えええぇ~っ!?コンサートデビューぅ!?」

「成り行きでな」

 

真姫「ちょっと、その人…物凄く有名な人よ?」

「みたいだね…後から知ったけど…」

 

歩夢「イタリアでも有名人になっちゃったね♪」

「それもこれも同好会に入ったからかも…な?」

 

穂乃果「じゃあじゃあ、将来は音楽家っ!?

今のうちにサイン貰っておこ~!♪」

海未「穂乃果っ!」

 

「あはは、まだそんな事考えてすらいないよ~…あっ、歩夢ちゃんとパーカー持っててくれたんだね?」

歩夢「もちろんだよっ…えへへ、峻くんの匂い…まだ残ってるよ///」

「おかしいなぁ、歩夢の匂い付けて返してもらおうとしたのに」

歩夢「も、もぉ~っ!//////」

 

かすみ「ぐぬぬ…っ!」

しずく「これが…幼なじみポジション…っ」

 

せつ菜「…何だか燃えてきました~!!!」

絵里「その心意気は明日の練習に活かして、ね?

明日からはビシバシ行くわよ?♪」

 

「あはは、絵里すまないが、みんなのこと、よろしく頼むな?」

すると、後ろからチャイムの音が鳴った。

 

 

「じゃあ、授業戻るね?」

愛「OK~!♪」

彼方「帰ってくるの待ってるよ~…♪」

 

「…歩夢!」

切る直前に歩夢の名前を呼ぶ。

 

歩夢「…峻くん?」

「…いい子で、待っててな?」

歩夢「…ぁ…うんっ!♪///」

 

 

 

こうして、テレビ電話は切れた。

月「見せつけてくれちゃって~♪」

「あ、あのなぁ…」

月「モテ男は辛いねぇ~」

「…う、うむ…」

 

反論ができない峻だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【?????】

 

 

ヘッドホンを置いた少女は…一言呟いた。

???「can not understand…(理解できない)

シット!!!」

 

そう言って、膨らましたガムを破くのだった。




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150話

遂に新章に突入しま……………………せん!!?!!?!?!?


なんだかんだでμ'sと虹ヶ咲学園の合同合宿は

Aqoursとの三校合同合宿となり終わりを迎えた。

 

……そして、数日後。

 

「ただいま、みんな」

部室の扉を開けると……。

 

歩夢「おかえりっ、峻くん!!♪」

「おわっ!!」

勢いよく歩夢が抱きついてきた。

 

かすみ「あーっ!歩夢先輩ずるいですよ~っ!」

しずく「わ、私も~!」

彼方「おやおや、これじゃあ抱きつき大会だぜ~♪」

果林「モテモテね~、峻♪」

 

「……見てないで、助けてくれ…」

エマ「微笑ましいからこのまま~♪」

愛「峻がしゅーんって困ってる~♪」

璃奈「それだけ皆、寂しかったってこと」

 

せつ菜「さてさてっ、リーダーが戻ってきたところで……栞子さん!」

栞子「お知らせが私たち2人からあります」

 

「……ん?」

「「「「…お知らせ?」」」」

 

せつ菜「やっぱり峻さんがいる合宿も必要だと思うんですよ!」

栞子「そこでせつ菜さんと一緒に相談した結果…学園に泊まって合宿をしようと言う話になりました」

 

 

「……へ?」

「「「「「……え、ええええっ!!?!?」」」」」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【1週間後……】

「…まっさか、こうなるとは……」

歩夢「ごめんね、峻くん…私達も知らなくって」

「歩夢は謝るなよ……あ、そうだこれ」

 

俺はピンク色のイヤホンを差し出した。

歩夢「それ……峻くんが、持ってて…?///」

「えっ、でもいいのか……?」

歩夢「…ずっと峻くんに持っていて欲しいから…///」

「……歩夢」

 

かすみ「はいはーい、そこまでですよ~」

俺と歩夢の間に割り込んできた。

歩夢「か、かすみちゃんっ!?///」

かすみ「歩夢先輩ばっかりずるいですよ~ぶーぶー!」

「……よしよし、かすみは今日も可愛いから、な?」

頭を撫でるとかすみは目を細めて体をくねらせた。

 

かすみ「えへへ~峻先輩、大好きです~♪///」

歩夢「……むぅ~///」

 

「…ほ、ほら……行くぞ?」

バチバチと何故か2人はバトルを展開していた。

もちろん、俺はなぜそうなっているのかは分からなかった…。

 

 

───────────────────────

 

【虹ヶ咲学園 宿泊棟】

 

せつ菜「ここが今日から泊まって合宿する部屋です!」

「おぉ……大部屋だなぁ」

 

しずく「なんだか、ワクワクしてきました!♪」

彼方「ふかふかお布団だぜ~♪」

果林「……それで、どうするのかしら?」

せつ菜「ふっふっふ……それは~…♪」

 

「……ん?」

愛「そう言えば…せっつー…練習着だね?」

せつ菜「まずは練習ですよ~!」

そう言うと、せつ菜は明るい表情で校庭に向かった。

 

 

せつ菜「今回の練習は……鬼ごっこです!」

「……なんと?」

せつ菜「鬼ごっこですよ!……鬼は峻さんです!」

「えっ、俺?」

せつ菜「あっ、捕まった人は……峻さんからのお仕置が…」

「「「……えっ、えええっ!?!?!?」」」

歩夢「……いい、かも……///」

果林「歩夢は相変わらずねぇ…」

 

せつ菜「では……スタートです!」

栞子「峻さんは目を瞑って100秒数えてくださいね?」

「……へいへい」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【100秒後……】

 

「……まるで逃走中みたいだな…」

さて……みんなが逃げそうなところ…。

 

「意外と灯台もと暗しってこともあるからな~………ん?」

茂みの影に……誰かいる?

 

「……そ~~~っと………あっ」

彼方「……はっ………………す、すやぁ……zzz」

「…えっと……彼方?」

彼方「……すやぁ……」

俺は彼方の肩を叩き。

「捕まえた」

彼方「……あぅ」

「……ということでお仕置…」

そう言って、俺は彼方の胸を枕にした。

 

「……おぉ」

彼方「…えっち~……///」

「無自覚な色気に気がついてないな?」

彼方「な、なんの事やら~…」

「……ま、いいや…えーっと…捕まえたら…」

彼方「部室がプリズンになってるよ~♪」

「プリズンって……」

いつからそんな物騒なゲームになったんだ……。

 

 

──────────────────────

 

【それから……】

 

「これで、7人目か」

かすみ「うぅ…先輩のお仕置が……///」

「なんもしてないけどな……」

かすみ「ゆっくり服をめくりあげてなんて変態ですよ!///」

「かすみが可愛いからな」

かすみ「……そ、そんなこと……言ったって…ぇ……///」

 

……かすみ、そろそろ疑うことを知ろうか…。

 

 

「……そういや、栞子見ないな」

せつ菜「あっ、生徒会の仕事が入ったので抜けましたよ?」

「そうか、それは仕方ないな」

せつ菜「……所で……これは?」

「手錠」

せつ菜「……え?」

「ふふふ……」

せつ菜「えっ、ちょ……ちょっと……しゅ、峻さん?」

「よいではないか、よいではないか~」

せつ菜「……い、いやああ~っ!」

 

手をわしわししていると頭の上にチョップが落とされた。

歩夢「ダメだよ♪」

「……うぅ…はい」

笑顔が怖いよ……歩夢。




次回、波乱万丈ニジガクキッチン!!!

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上原歩夢 誕生日特別編!

ぽむしゅんぽむしゅん!(腕を大きく振って)


歩夢「…ごめんね…」

「バカ、謝る必要なんかねーよ」

 

布団を掛ける際、歩夢がボソッと呟いた。

歩夢「…でも」

「気持ちは分かるけど、俺は辛そうな歩夢を見るのはもっと嫌だ」

歩夢「…峻くん…」

そう、今日は歩夢の誕生日。

2人で出かける約束をしていた…が…。

 

歩夢「…練習、頑張りすぎちゃったかなぁ…」

「…気付いてやれなくて、ごめんな」

頭を撫でると子猫のように歩夢が擦り付いてきた。

歩夢「…えへへ…///」

「…なんか飲み物とか…いるか?」

歩夢「…じゃあ…もう少し…このままで、いいかな…?///」

「…もちろんだ」

 

俺は歩夢のすぐ横に腰かけて何度も頭を撫でた。

歩夢「…私って…わがまま、かな…?」

「バーロー、女の子はこれくらいわがままなくらいが可愛いんだよ」

歩夢「…じゃあ…もうひとつ…わがまま…///」

「ん?」

 

歩夢「…風邪…治ったら…出かけてくれる?///」

「言われなくてもそうするつもりだったよ」

そう言って俺は歩夢にキスをした。

 

歩夢「う、移っちゃうよ…っ!?///」

「歩夢の風邪なら免疫あるから大丈夫~」

歩夢「ど、どういうことなのっ、もぉ~!///」

「……zzz」

歩夢「……ね、寝ちゃった……」

 

……もぉ、心配してるのに…。

歩夢「……でも、ありがとうね……峻くん…♪」

 

こうしてる間も……手を握ってくれてるの…私は知ってるよ♪

歩夢「……早く、治さなきゃ…っ!」

そしたら、峻くんと手を繋いで…。

 

歩夢「……寝てる、よね?///」

前髪を少しかき上げて……歩夢はキスをした。

歩夢「……なんか、熱…上がってきた、かも…///」

 

……これは、恥ずかしさで…顔が赤くなってるだけ…だよ、ね?///

「……ん、ん…っ…あ、ゆむぅ……zzz」

歩夢「もぉ…どんな夢見てるの…?///」

 

嬉しそうに寝る峻くんを見て自然と笑顔になる私だった。

 

 

────────────────────────

 

 

【数日後】

 

歩夢「ほらほら、峻くん!早く早く~っ♪」

「あ、歩夢~!待ってよ~!」

 

歩夢が風邪を引いた数日後…何事も無かったかのように歩夢はすっかり元通りになっていた。

……いや、むしろ…少し機嫌が良さそうだった。

 

そんな俺と歩夢は遊園地に来ていた。

 

歩夢「次は何に乗る?♪」

「え、っと~……どうしようか?」

キョロキョロしてアトラクションを見ている。

 

歩夢「……♪」

「あ、歩夢…っ!?」

嬉しそうに歩夢は腕に抱きついてきた。

 

歩夢「…あっ…♪」

その時、歩夢が何かを見て微笑んだ。

 

「……歩夢?」

歩夢「何だか…ああいう光景、良いね♪」

「…あぁ、確かにな」

 

2人の目の前に見えた光景は……子供の手を取って嬉しそうに笑う親子の姿。

 

歩夢「なんか、あのお父さん…峻くんに似てるね?♪」

「えぇっ、そうかぁ~?」

歩夢「うんっ!笑った顔なんかそっくりだよっ♪」

「笑った顔……むむむ…?」

自分の顔を手で探っていると歩夢が笑いだした。

 

歩夢「もーっ、変な峻くんっ♪」

「…むむぅ、自分の笑った顔は分からないからなぁ」

歩夢「とっても素敵だから大丈夫だよっ?♪」

「……」

歩夢「あ~っ、恥ずかしくなって目、逸らした~♪」

「う、うるさーい!……あ、歩夢は…何人くらい子供欲しいの?」

歩夢「えっ、えええぇっ!?!?!?///」

 

予想もしてない質問が来たのか歩夢は顔を赤くしながら目を大きく見開いた。

「…なんてな?」

歩夢「…ふ、ふた……り……///」

「……え?」

歩夢「男の子と…女の子がいたら…楽しいだろうなぁ……って…///」

「…ん、そ、そうか」

歩夢「だから……///」

 

ぎゅっと腕に抱きつく力を強める歩夢。

顔は赤く俯いたままだった。

 

歩夢「…これからも…デートの回数……増やして、いこうね…?///」

「……ん……ん、んんん???

…ごめん、どういうこと?」

歩夢「……だ、だから…家で2人きりで居る時の…そのっ、ムードも……良い、けど……///

デートからの流れでって……ムードも……って、な、何言わせるの~も~っ!//////」

「痛い痛いっ!」

 

 

ポカポカと力の籠ってない攻撃を受け止めながら

今日の夜は長い夜になるなと感じる峻だった。




おめでとう歩夢ちゃん!!!!!
ポムりゅぅぅぅぅぅぅううう!!!

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152話

更新遅くなり申し訳ありません!!
仕事とか色々あってこうなりました!

しずく「ダメですよっ、めっ!」
「…ナイス…ネイチャ…っ!?」
しずく「…は?」


【家庭科室】

 

「…ん、味付けはバッチグーだな」

かすみ「つまみ食いも~らいっ!♪」

「あ、お前っ…」

かすみ「んん~っ!おいひい~♪」

歩夢「は~…料理してる峻くん…」

果林「歩夢…携帯で動画撮らないの…手が止まってるわよ」

歩夢「…あ、あはは~…」

 

璃奈「…あれっ…独創的な匂い…」

せつ菜「こちらも出来ましたよ!♪」

「「「「「………………えっ?」」」」」

 

鍋の中を見た同好会のメンバーは顔を引きつらせていた。

火を止めた俺もエプロンで手を拭いて鍋の方を覗いて見た。

 

せつ菜「お味見いかがですか?♪」

「「「「「「「「あぁ~………えっと…」」」」」」」」

みんなは互いの顔を見合いながら…最終的には俺の顔を見た。

 

「…栞子…お前まで…せつ菜、味見させてくれ」

せつ菜「はいっ、どうぞ!♪」

受け取った小皿には…紫色のスープが…。

 

「…ポイズンクッキング…」

せつ菜「どうかしましたか?」

「なんでもないよ…ごくっ…」

 

…うん、これは…………。

 

「美味しい、よ…」

せつ菜「本当ですか!?♪」

と、せつ菜が喜んだのもつかの間…。

 

「紫芋のスープ」

せつ菜「…シチュー…なん、ですけど…」

「「「「「…あっ」」」」」

 

 

 

同好会メンバーと俺が気がついた時には…時すでに遅しだった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【中庭】

 

 

せつ菜「…うっ、うぅっ~………」

せつ菜は椅子の上に体育座りをして、いじけていた。

 

果林「せつ菜~、機嫌直しなさ~い?」

せつ菜「どうせ私は料理ができませんよぅ…」

ちなみにシチュー(?)は俺と彼方で味を整えた。

味見した彼方は親指を立てながらマーベラスと呟いてたが…。

 

「まあまあ、今度俺が教えてやるよ料理」

せつ菜「…ほんと…ですか?」

「あぁ、みっちり教えてやるよ?」

かすみ「なーんか、峻先輩の事だから…変なエプロン着てとか言いそーですね~…?」

「…どんな風に見てるんだ」

 

歩夢「…ありえそう」

しずく「そういえばこの前猫耳カチューシャを持っていたような…」

「き、気のせいだろ?」

…いや、買ったよ…部費で。

 

栞子「…ですが、せつ菜さんにも苦手な分野があったのですね…少し意外です」

「まぁーなー…前までは保健体育も苦手だったからなぁ」

せつ菜「そ、それはその…っ!!!///」

 

かすみ「…そういえば気がついたら…克服してましたよね?」

しずく「…これは、もう…ねぇ?」

果林「峻のおませ~♪」

「…う、うるさい」

 

栞子「…やれやれ、この様子では生徒会長補佐の威厳が…」

「…えっ」

栞子「いえ、十分あるのでご安心を」

「…な、ならいいけど…」

 

璃奈「この後って、どうするの?」

彼方「ふっふっふ~…峻くんはまだ見てないからねぇ~…?」

「えっ、見てないって…何を?」

 

愛「まーまー、食べ終わったら分かるから!♪」

エマ「あっ、でも…峻くんのって…?」

歩夢「私、用意したよ♪」

「…は、はい?」

 

よく分からないまま夕食は食べ終わった。

 

────────────────────────

 

 

そして、夕食後…連れてかれたのは…。

「…プ、プール?」

果林「あらぁ、峻は嫌い?ナイトプール」

愛「ほらほらっ、パシャパーシャってね!♪」

 

「…そ、そう…だな…」

歩夢に言われるまま水着に着替えたが…これは。

 

「…ごくり」

歩夢「この水着ね、合同合宿の時に着ていた水着だよ♪」

かすみ「おニューですよっ、おニュー♪」

しずく「…先輩、似合ってますか?」

 

前かがみになるしずくを見て思わず目を隠した。

「わー!わー!!似合ってる!似合ってるから~!!」

彼方「ほほう、少年よ素直になれよ~?」

「…今日は寝れん」

栞子「…そ、そこまでですか…?」

「魅力しかないからな…お前たちは」

エマ「ストレートに言われると…照れちゃうね~///」

 

その時俺の背後に水鉄砲が発射された。

「冷たっ!!」

かすみ「かすみんのマニューバーを喰らってくださ~いっ!♪」

「ちょっ、お前っ…!

俺はボールドマーカー使いだっつの!!」

 

彼方「おっ、早速始まったね~♪」

果林「子供みたいにはしゃいじゃって…」

歩夢「ふふっ、無邪気な所も峻くんのいい所なんだけどね♪」

せつ菜「私も混ぜてくださーい!」

 

栞子「歩夢さんは本当に峻さんの事が好きなんですね」

歩夢「うんっ!峻くんとならね、なんでも出来そうな気がするし…安心するの///」

栞子「…そう、ですか」

歩夢「…栞子ちゃん?」

 

 

────────────────────────

 

【遡ること 鬼ごっこの最中】

 

 

栞子「えっ、転校生ですか?」

理事長「そう、貴方の耳にだけは入れておこうと思ってね」

栞子「…しかし、なぜ転校生の事を私に…」

 

理事長「あら、親交のある転校生だから…よ?」

栞子「…親交…?…まさ、か…っ!」

理事長「そう、そのまさかよ♪

多分3日後には来るからその時にまた呼ぶわ♪」

 

栞子「…あの二人が…虹ヶ咲学園に…?

…一体…なんのために…」

 

 

得体の知れない嫌な予感が頭をよぎる栞子だった。

 

 

────────────────────────

 

 

歩夢「…栞子…ちゃん?」

栞子「…っ……あっ、い、いえっ…なんでもありませんよっ」

歩夢「…ん、そう?」

「どうした、2人とも?」

 

歩夢「あっ、峻くん!♪

……って、びしょ濡れだね~…」

「3対1は無いわ…流石に…」

歩夢「あははっ、一緒に浮き輪乗る?♪」

「おっ、いいね」

 

歩夢「栞子ちゃんもどう?」

栞子「…あ、は、はいっ!」

栞子の顔は曇っていたが…今はそんな事を考えてても仕方ないと

いつもの顔つきに戻るのだった。




次回:夜は大波乱!?

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153話

彼方「…すやぁ~♪」
「…セイウンスカイ…っ?!」

彼方「クラッシュタイプの刑~♪」
「ぎゃああああ!」


【夜】

 

せつ菜「あれっ、峻さんは?」

歩夢「そういえば、居ないね…私、探してくる!」

せつ菜「あっ、私も!」

 

峻の携帯が部屋に置きっぱなしになっている事に気がついた歩夢は部屋を後にした。

そして、その後をせつ菜が追いかけて部屋を出た。

 

果林「あらあら、忙しないわね~」

エマ「…ふふっ、これも青春だね~♪」

彼方「…」

愛「カナちゃん?どったの?」

彼方「あ、ううんなんでもないよ~♪

…って、1年生組も…居ないよ~?」

 

 

────────────────────────

 

 

 

【学園内 廊下】

 

「…………………………………」

俺は一人、月を眺めていた。

…後ろには、ピアノ。

月が雲に隠れたのをその目で確認し…俺はピアノの椅子に腰かけた。

 

 

「……………すぅ……」

小さく息を吸い、ピアノの旋律を奏でる。

(…少しでも…悠としての…Aqoursとの時間を忘れないためにも…)

 

 

奏でる一音一音に自分の思いを乗せながら…演奏を続けた。

 

 

────────────────────────

 

 

【同時刻 廊下】

 

 

しずく「な、ななな、なにかピアノの音が…っ!?」

かすみ「ば、馬鹿なこと言わないでよ、しず子~っ!」

栞子「…そういえば、虹ヶ咲学園には昔から七不思議があると聞いたことが…」

璃奈「逃げなきゃ……………くる………」

 

かすみ「ぎゃ、ぎゃああああああっ!」

しずく「あっ、か、かすみさん待って~!」

栞子「…おかしいですね、当初の予定では…私たちが皆さんの事を驚かせるという事で変装をしたのでは…」

 

そう言って自分の着た変装姿を翻しながら確認する栞子。

 

璃奈「まぁ、部屋に戻っていったから結果オーライ」

が、しかし…。

 

かすみ「ぎゃ、ぎゃああああああっ!

顔パックお化け~!!」

しずく「か、かすみさっ…きゃぁっ!」

部屋から勢いよく出てきたかすみを抱き留めたしずくだったが勢いのまま押し倒された。

 

愛「だーれが、顔パックお化けだと~…っ?」

果林「失礼ね~、私たちよ~?」

 

かすみ「ごめんなさい、ごめんなさい!

果林先輩の化粧品使ったのはかすみんです~っ!」

果林「あら、いい事聞いたわ?」

かすみ「あ''っ…」

しずく「い、今のは完全に自爆だよ、かすみさん…」

 

かすみ「って、違いますよー!

勝手に音楽室のピアノから音が!」

果林「あら、はぐらかしたつもり?」

かすみ「ほんとですってば〜!」

 

彼方「きっと、峻くんが引いてるんだよ~♪」

しずく「えっ、峻先輩が、ですか?」

璃奈「彼方さん、なんで分かったの?」

彼方「何となくね~♪」

 

ピアノの音に耳を傾けながら、彼方は静かに微笑んだ。

 

 

────────────────────────

 

 

【同時刻 別の廊下】

 

せつ菜「…先程の声…かすみさん、ですよね?」

歩夢「…また、イタズラを企んでいたのかな?」

 

せつ菜「…ですが、このピアノの音は…やっぱり」

ちらっと音楽室の中を覗くせつ菜。

 

歩夢「…峻くん」

「………………ふぅ」

 

せつ菜「音楽室の使用許可は取りましたか?」

「…えっ?…あぁ…せつ菜…それに歩夢も」

せつ菜「ふふっ、まぁ生徒会長補佐の顔に免じて許してあげましょう♪」

歩夢「…峻くん、今の曲って」

 

「…Aqoursの曲だよ…特に意味は無いけどね」

ゆっくりと立ち上がりまた空を見上げた峻。

 

せつ菜「…素敵な音色でした…私は、大好きですよ…峻さんのピアノ」

歩夢「…うん、私も!」

 

「…そっか、ありがとうな2人とも」

…2人の目を見た俺は…思わず口から言葉が零れそうになった。

 

「…あのさ」

せつ菜&歩夢「…?」

 

────────何か得体の知れない焦燥感が俺の胸の奥と頭を混乱させた。

 

「……いや、ごめん…なんでもない」

せつ菜「…そう、ですか?」

歩夢「…峻くん?」

 

「あははっ、Aqoursの曲もいいけど、みんなのソロ楽曲も作らないとね!」

そして、峻はいつも通りの笑顔を見せた。

 

せつ菜「はいっ、期待してますよ!」

歩夢「…う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

音楽室を出て、部屋に戻ろうとした時だった。

 

 

 

…ぎゅっ。

いきなり…そう、いきなり2つの腕が押さえつけられた。

 

 

「…せ、せつ菜…、歩夢…っ?」

2人がこれでもかと言うくらい俺の腕に抱きついていた。

 

せつ菜「…無理、してませんか?」

「…お、俺は別に…」

歩夢「…もし、言いにくいなら無理には聞かない…けど、峻くん…1人で抱え込んだら…私、悲しいよ…」

「…歩夢」

 

せつ菜「…貴方は、1人じゃないんですから!」

俺の目の前に立ち、拳を突き出すせつ菜。

 

「…ごめん、俺怖い顔してた?」

歩夢「…うん、少し…」

「…そっか、ごめんな2人とも…心配かけて」

せつ菜「助け合いましょうよ!仲間なんですから!」

「…あぁ、ありがとうなせつ菜」

 

拳と拳を突き合わせた俺とせつ菜。

……そうだ、今の目的は…見失わない。

 

 

────────────────────────

 

【部屋】

 

 

せつ菜「全く…皆さんお揃いで何してるんですか!」

部屋に戻ってきたのも束の間…せつ菜によるお説教タイムが始まった。

…対象者は…。

 

果林「そんなに目くじら立てなくても~…」

かすみ「そうですよぉ~、ちょ~っと遊んでただけなのに…」

せつ菜「何か、言いました…か?」

 

果林&かすみ「うぅ…いえ、何も…」

…遡ること…俺とせつ菜と歩夢が部屋に戻ってきた時に戻る。

 

かすみ&しずく&璃奈「う~らめ~しや~!」

「あ、窓に血の手形が」

 

かすみ&しずく&璃奈「きゃあああああ!」

栞子「…う、うらめ…///」

歩夢「栞子ちゃん、ちょっと遅れてる…」

 

 

 

 

 

 

せつ菜「…良いですか!この合宿はスクールアイドルとして更なるレベルアップを目的とした…!」

「(…あ~、これは長くなるな…)…まぁまぁ…そろそろ寝よ?

…というかどうやって寝るよ?」

 

その言葉に…全員が反応した。

 

かすみ「しず子!」

しずく「はい、こちらに!」

 

手際よくしずくが、用意したのは…くじだった。

「…これは?」

しずく「くじです!寝る場所を決めるための!」

 

…えっ、そんな重要なん?…あぁ、Aqoursのみんなと寝た時もこんなんだったっけ?

 

「…んじゃ、トップバッターは俺か──────」

かすみ「あぁ、先輩は固定です、真ん中で」

「…へ?」

…あぁ、つまり俺の隣争いってことか…学園天国かよ。

 

 

かすみ「では、いきますよ~…っ!!!!!」

各々が選んだくじ引き棒を手に取り…一斉に取り出した。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

「…んじゃ、おやすみ~」

かすみ「うぅ、こんなはずでは…しくしく…」

歩夢「…あ、あはは…私も同じ気持ちだよ…かすみちゃん」

 

結局…くじ引きの結果。

 

 

歩夢 愛 果林 エマ しずく 栞子

かすみ 彼方 俺 璃奈 せつ菜

 

となった。

(…ま、いいや…寝よ寝よ…)

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【1時間後…】

 

かすみ「…ふっ」

カチッとライトが点いたかと思えば…布団を勢いよくめくったかすみ。

 

かすみ「…まだまだ夜はこれからですよ~…!!!」

するとせつ菜が寝たまま…むくりと起き上がった。

 

次の瞬間…。

せつ菜「……!!!」

思い切り枕を投げてきて…かすみに直撃する…かと思いきや。

 

 

「…んん…ナムコ…ナンジャ…」

峻が腕を天井の方に伸ばして枕の勢いを止めた。

 

かすみ「ひぃっ!」

愛「2人とも…尋常じゃないね~…」

しずく「…もぅ、かすみさん?大人しく寝ましょ?」

かすみ「…うぅ…はぁい…」

 

 

彼方「……」

ちらっと峻の方に目をやった彼方…。

そして、そのまま…誰にもバレないように峻の布団の中に入った。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

「…ん、んん…っ?」

…今、何時だ…?

…えぇっと…携帯…携帯…。

 

ふにゅっ。

 

彼方「…っ///」

「…なんか、柔らか…」

彼方「…峻…く、ん…っ?///」

「……えっ?……っ、か、彼方…っ!」

彼方「シーっ…!」

「…あ、ん、んんん…」

 

突然の事で訳が分からなかったが…何故か、彼方が、俺の布団の中にいる…それだけは確かだ。

 

「…な、なにしてるの…っ」

彼方「…峻くんの中で寝るの…暖かくて…気持ちいいから…///」

「…だ、だからって…こんな…」

彼方「…彼方ちゃんだって…峻くんとこういうこと…したい、もん…///」

 

そう言うと…彼方は抱きついてきた。

 

「…彼方…」

彼方「…んっ…」

そして、そのまま…彼方は目を閉じて…顔を近づけてきた。

「…かなっ…」

 

言葉は…彼方の唇によって塞がれた。

彼方「…///」

俺もただただ…目を閉じて…彼方とのキスを続けていた。

 

 

彼方「…っ…彼方ちゃんの…ファーストキス…どんな味だったかな~…?///」

「ど、どんなって…」

彼方「冗談、冗談…///

…さあ、寝るよ~、おやすみ~…♪」

 

そして、彼方はそのまま俺の胸の中で…寝てしまった。

 

 

「…ファーストキスって…あはは…この事実は俺の心の中にしまっておこう…」

 

次の日、朝起きて絶叫する歩夢とかすみが居たのは…言うまでもない。




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桜坂しずく 誕生日特別編

冷静に考えたらしずくちゃん、ちょっと前まで
中学生だったとか…摂理やん(?)


しずく「…わぁ~…♪」

舞台を見ながら嬉しそうな声を漏らすしずく。

俺は隣でしずくの様々な表情を見ていた。

 

 

(…って、これじゃあ舞台を見に来たんだかしずくを見に来たんだか分からないな)

このお誘いは、数日前に遡る。

 

 

 

────────────────────────

 

しずく「先輩っ!舞台見に行きませんかっ?♪」

「…舞台?

どうしてまた…」

 

しずく「部長から舞台のチケットもらったんです、2枚!」

「…あぁ、演劇部の部長さんから?

…でも、俺じゃなくてかすみとかと…」

 

しずく「ダメですっ、かすみさん始まって早々寝てましたもん!」

「…ありえそ~…」

かすみ「な、なんですかっ、そのジト目は!」

 

「じゃあ…璃奈は?」

しずく「…それが…隣で璃奈ちゃんボードを高速でめくって…私もそっちに気がいってしまって…」

「…あ、あはは…じゃあ、栞子は?」

 

栞子「すいません、その日は日本舞踊のお稽古が…」

「そっか、なら仕方ないな…」

かすみ「も~、先輩って相変わらずニブチンですね~♪」

「…え?」

かすみ「しず子は''先輩と''一緒に行きたいんですよ~♪」

 

しずく「なっ────────///」

「あはは、そういう事ね?」

しずく「も、もーっ!得意げな顔しないで下さいよ~!///」

ポカポカと叩くしずくだったが、抱きしめたら大人しくなった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【舞台終了後】

 

しずく「はぁ~……満足です…♪」

「さっきから満足そうな顔してるもんね」

しずく「もちろんです!感動的でもあり自分への活力になりますから!

…先輩は、どうでしたか?」

 

「やっぱり舞台は良いもの…だけどしずくがする舞台の方が見たい、かな?」

しずく「…も、もーっ…からかうんですから…///」

(事実なんだけどな…)と苦笑いする俺。

 

(…でも、今日見た舞台の内容…何だか…)

恋愛モノだったからか…ある疑念が頭に浮かんだ。

 

(…しずく…こういうデートとかに…憧れてるのかな?)

目の前で笑顔で話す彼女を見ていると…行動せずにはいられなかった。

 

「…よしっ!」

しずく「ふぇっ!?…せ、先輩…?」

「あ、ううん、ごめんごめん、なんでもないよ?」

しずく「…あ、は、はい…?」

 

こうしてしずくを喜ばせる計画が秘密裏に進んで行った。

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【また後日】

 

 

しっかりと服装も決めた俺は鎌倉に来ていた。

しかも、しずくには何も言わずに。

 

「しれっと今日何も予定入ってないって聞いたし…大丈夫だろ?」

と、思いつつも念の為携帯を取りだした。

 

 

【しずく、今いいか?】

しずく【はいっ、どうしましたか?】

【いや、今何してるかなーって】

しずく【台本の読み込みをしてたところですよ】

【よしっ、なら駅に来てよ!】

しずく【…え?…駅、ですか?】

【いいから、いいから!】

 

しずくからわ、分かりました…。とだけ連絡があって俺は駅前で待つことにした。

 

 

 

 

【数十分後】

しずく「せ、先輩っ!?」

「お、きたきた」

しずく「な、何してるんですか!?」

「んー、来ちゃった?」

しずく「く、来るなら来るって言ってくださいよ…っ!

…そ、それならもっとお洒落して来たのに…っ///」

 

自分の格好を気にするしずくを俺はただただ黙って抱きしめた。

「大丈夫、しずくは可愛いから何着ても似合うよ?」

しずく「…せ、先輩ぃ~…///」

 

クスクス…。

ハッと我に返り周りの人達に見られているのに気づいた。

 

「…じゃ、じゃあ…今日一日俺に付き合ってよ?」

しずく「…ぁ…は、はいっ…///」

そうして、手を取って俺はしずくと一緒に街に繰り出した。

 

 

 

────────────────────────

 

 

その後はショッピングにスイーツ巡り

カラオケに映画と色々見て回って…俺としずくは砂浜にいた。

 

「ひゃー、やっぱり鎌倉っていいなぁ」

しずく「はいっ、先輩今日は一日ありがとうございました♪」

「…ん、喜んでもらえて良かったよ…あんまり舞台っぽく出来なかったけどな」

しずく「…舞台?……あっ、も、もしかして…!」

「…うん、あの舞台見てて…しずくってああいうのに憧れるのかな~って

だから、ちょっとでもそれを感じて欲しいなって思ってお出かけに誘ったんだけど…」

 

急に恥ずかしくなったのか、俺は頭をかいた。

 

 

しずく「そういう事だったですか…もぅ、決まってるじゃないですか…///」

そう言うと手を握り、肩に頭を乗せてきたしずく。

 

しずく「…先輩とならどこに行ったって…私は嬉しいですよ///」

「…しずく」

しずく「先輩との思い出…また、できちゃいました///」

「…そうだな」

 

そう言って俺はしずくの前髪にキスをした。

しずく「ひゃん…っ///」

「あ、ごめん…くすぐったかった?」

しずく「…もぅ…覚えてたセリフ…全部忘れそうです…///」

「あはは、なら読み込みのお手伝い、しようかな?」

しずく「…えっ、それって…///」

「…なんてな、嘘──────」

 

しずく「…はい、とことん…お手伝い、してくださいね///」

砂浜を吹き抜けた風と照れ笑いをしたしずくの顔を俺は忘れないだろう。

 




しずくちゃん、ハピバだよ…(号泣)


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155話

物語は新章へと……………………


「………っくしゅっ!!!!!」

 

1人モゾモゾと布団の中で息も絶え絶えな中眠りについていた。

というのも……数日前、虹ヶ咲学園内での合宿で皆と特訓に励んでいた。

 

最後はみんなでプールに入ったが…それが原因か定かではないが

俺は風邪を引いて見事に寝込んでいた。

 

風邪を引いてから3日間…俺は家で安静にしていた。

(…バカは何とやらと言うが…あはは、あー…しんどい…)

 

歩夢は心配してたが…移すと大変だから…と、携帯のメッセージのやり取りだけにしておいてある。

 

……の、だが。

 

(…何も来ない?…珍しいな)

やりとりをすると寂しさで会いたくなるから…か?

 

「…早く治して…学校に行かないとな!」

学園では…異変が起こっているのに…峻はまだ気がつかなかった。

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【更に2日後】

 

「んーー…!!全開…っ!」

大きく伸びをしながら俺は学園へと向かっていた。

病院行ってからの登校なので歩夢も隣にはいない。

 

「こりゃ重役出勤ってやつか?」

実際、着くのは昼休みの時間帯だし…重役出勤と言うよりも不良のしそうな行為である。

 

「とりあえず着いたら…部室、だな」

皆にお詫びしないと…あ、かすみは頬膨らましそうだから頭を撫でないとな。

 

 

かすみ「…あっ…!!!!」

「噂をすればかすみじゃん、何して────」

かすみ「せ、せ……先輩~っ!!!!!」

俺の姿を見たかすみは一目散に抱きついてきた。

周りの目も気にせずに…。

 

「…ず、随分盛大なお出迎えだな…」

かすみ「…先輩…先輩~…」

…と、思ったが…どうやら違うようだ。

 

 

【ねぇねぇ!スクールアイドルのライブやるんだって!】

【どこどこっ!?】

【講堂だって!】

 

「…ライブ?せつ菜達か?」

かすみ「…先輩」

さっきまでとはまるで真逆な真剣な声を出すかすみ。

 

「…な、なんだよ」

かすみ「…先輩は…峻先輩は、絶対にかすみん達の…味方、ですよね…?」

「………え?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【講堂】

 

 

???「この中に…ランジュのこと、嫌いな人いるかしら?」

「…ランジュ…?…一体誰だ?」

歩夢「あっ…しゅ、峻くん!」

「歩夢!…これは一体…」

 

???「…無問題ラ、1分後にはファンになってるわ」

果林「今日も派手にいくわよ!」

栞子「盛り上がる準備はよろしいですか?」

愛「愛さんの元気も~…充電!準備!じゅんちょーーーっ!♪」

 

「…愛、果林…それに…栞子……?」

明らかに様子がおかしい。

そもそも、センターのランジュとかいうやつしか歌ってない。

 

「…かすみ、歩夢」

かすみ「は、はいぃっ!」

歩夢「……うん」

 

「分かるように…説明してくれ」

かすみ「…あ、あの人は…っ…峻先輩が…」

声が震えてるかすみを制して…歩夢が続きを喋った。

 

歩夢「峻くんが風邪でお休みしてた初日に…あの子が急に転校してきたの

…そして…スクールアイドル部を作ったの」

「……………………………」

 

歩夢「峻くんがお休みだったこの数日間で…大変なことが起こっちゃったの…」

「どうして、言ってくれなかった

……いや、答えなくて大丈夫だ、何となく気を使ってくれたのは分かった」

歩夢「…ごめんね、私も連絡したかったんだけど…」

 

歩夢の言葉を聞き終わると同時に…俺はステージに向かって歩いていた。

 

 

かすみ「せ、先輩っ!?」

歩夢「かすみちゃん、多分もう遅いと思う…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

「随分、好き放題やってくれたみたいだな」

 

ランジュ「?…貴方、勝手にステージに上がらないでもらえるかしら?」

愛「しゅ、峻!」

果林「も、もう体調は大丈夫なのかしら…?」

 

ランジュ「峻…?…あぁ、貴方が同好会の部長…へぇ…普通ね」

「悪いがこいつらは連れて帰らせてもらうぞ」

ランジュ「何を言ってるのかしら?3人はもう部の一員よ?」

「知るか。

行くぞ愛、果林」

 

申し訳なさそうな顔をしてランジュの前を横切る愛と果林。

「お前もだぞ、栞子」

栞子「………………………………」

 

「栞子!!」

栞子「ぁ、は、はいっ!!」

一瞬体をビクッと跳ねさせた栞子が急いで後を追ってきた。

 

ランジュ(ふぅん…あの栞子が男の言うことを聞いて行くなんて…普通って括りの中じゃ上位ってことかしらね)

突然の出来事に講堂内がザワついた。

 

ランジュ「無問題ラ!ライブにハプニングは付き物よ

でも大丈夫…ランジュに全てを委ねなさい?」

こうして、ライブは再開された。

 

 

 

???「…へぇ、ステージに上がって宣戦布告…やるじゃん

…That's Right…やっぱり…」

ステージのすぐ近くでは携帯片手に風船ガムを膨らます子が嘲笑っていた。




活動報告にお知らせがあります
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156話

表紙絵をいただきました。
これからもっとNEXT Rainbow!!を発展させていきたいですね。


俺は果林と愛と栞子を連れて屋上にやってきた。

かすみ達も恐る恐るであったが…その後をつけてきた。

 

「…さて」

段差に腰かけ俺は3人を見上げた。

 

愛「………っ」

果林「そう目くじらを立てないで?…一から説明するから」

「と、言われてもな…これは事によっては……だぞ?」

 

かすみ「……あ、あのっ…!!」

しずくの後ろに隠れていたかすみが声を上げた。

 

「…どうした、かすみ?」

かすみ「…あの、ランジュってやつ…同好会なんかじゃ完璧なものは出来ない…最高の環境、スタッフ…全て揃えたスクールアイドル部で同好会で出来なかった事をする…って」

せつ菜「…栞子さんが、ランジュさんを連れてきたんです

スクールアイドルフェスティバルを見てスクールアイドルに興味が出たと…」

 

「…栞子、そりゃどういう了見だ?」

栞子「……ご、ごめんなさい!」

ただただ頭を深く下げた栞子。

 

栞子「…ランジュと私は…幼馴染なんです

あの人の行動は何をするのか…幼馴染である私には予測がつくので…

暴走しないよう…見張るという意味で…部に…

ですが!!同好会を見捨てたつもりは…これっぽっち…も…」

 

俯いた栞子。

…なるほど、幼馴染…か…。

近い存在じゃないと…分からないこともある…か。

 

歩夢「…?」

「…いや、なんでもない…」

彼方「でも、彼方ちゃん達…部室を追い出された身になっちゃったよ~…」

「…追い出された?…まさか、それも…」

栞子「…本当にすいません…まさか、あれほどまでに強硬手段に出るとは…思ってもなくて…それに、同好会の活動は部に入らなければ活動禁止…とまで言ってて…」

 

 

部室の利用禁止…更には活動禁止…これは横暴が過ぎるな…。

かすみ「しかもしかも!監視委員何てものも作ったんですよ!」

「…なあ、歩夢…どうして報告しなかったんだ?」

歩夢「…ごめんなさい、でも…事態を知った峻くんなら…体調悪くても学校に来そうだったから…」

 

俺の身を案じて…か。

過ぎてしまったことを考えてもしょうがない。

 

「…栞子」

栞子「…は、はいっ!」

「アイツのところに案内しろ」

栞子「…っ…で、ですがっ!」

 

せつ菜「峻さんの必殺技ですよ!」

「そんな聞こえがいいものでは無いがな…ま、常套手段の1つって事だな」

愛「なら…愛さんたちも案内するよ」

 

「悪いな、みんな…少し待っててくれ」

かすみ「かすみん達だって────────」

と、言いかけたがしずくに肩を叩かれた。

そして、しずくは小さく首を振った。

 

かすみ「……ぁ……分かり、ました…」

「ごめんな、かすみ」

頭をポンッと叩いて俺は屋上を後にした。

 

 

かすみ「…今回ばかりは…相手が悪すぎますよ…」

歩夢「…大丈夫だよ、峻くんなら…きっと、解決してくれる」

エマ「…だといいんだけど…」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【向かう途中】

 

 

俺の足が止まった。

 

 

果林「…峻?」

「お前ら3人の考えは何となく想像はつく

それに、どうするかこうするかは自分らの勝手だから俺は何も言わない」

 

愛「……………」

栞子「…峻さん」

 

すれ違いざまに俺は呟いた。

 

「だけどな、俺は3人が同好会の仲間のままだと…信じてる

絶対に同好会に迎えに行くからな」

 

 

果林「………ぁ…………」

呆然と眺める3人をよそに俺は歩き始めた。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【新部室前】

 

栞子「ここです…」

果林「本当に1人で大丈夫…?」

 

「心配すんな、それに…」

愛「…っ…!」

「怖がってる愛のこと、よろしく頼むな」

 

そう言って俺はドアを思い切り開けた。

 

 

 

「邪魔するぜ、インチキ野郎」

ランジュ「あら…誰かと思えば…ステージにいきなり上がり込んでくる不躾さんじゃない」

 

「同好会の部長がステージに上がっちゃいけなかったか?」

ランジュ「…ふぅん…それで、なんの用かしら?

私は忙しいからサインやツーショットは後にして欲しいわ」

 

「鬱陶しいから、手短に話をさせてもらう」

ランジュ「立ち話もなんでしょ?座ったら?」

「いい」

ランジュ「可愛げ無いわね…それで、話って何かしら?」

 

「単刀直入に言う、部室を返せ

そして、同好会の活動を続けさせろ」

ランジュ「…へぇ…いいわよ?」

 

あっさりと了承…が、しかし裏がありそうだ。

ランジュ「あら、何となく察した顔ね?

スクールアイドル部に入ればすぐにでも活動出来るわよ?」

 

「同好会は同好会だ…部なんぞに興味はない」

ランジュ「ふぅー…ほんっとに訳が分からないわ

なぜランジュが用意した素晴らしい完璧な環境を利用しないのかしら?」

 

「簡単だ

お前らの完璧は''足りないんだよ''」

ランジュ「はぁ?…アンタ、何言ってるのかしら」

 

「いいか?スクールアイドルにプロなんか要らねぇんだよ

1から作り上げて切磋琢磨して協力して時には泣いたり笑ったり怒ったり…俺が求めてるのはそんなスクールアイドルだ!!!!!」

ランジュ「…はぁ、とんだ理想郷ね、ため息が出るわ

こんなリーダーについていく同好会のメンバーが分からないわ」

 

「いつかお前にも分かんだろうな、プロじゃ届かない輝きってモノにな…」

そう言い捨てて俺は部室を後にした。

 

ランジュ「…なんなのかしら、ホント」

???「あれ、大きな声出してたBoyはもう帰ったの?」

ランジュ「ミア…えぇ、帰ったわよ」

ミア「ふぅーん…なんか冴えない感じって顔してる」

 

ランジュ「そうね、同好会のリーダーなんてあんなもんかしら」

ミア「What's up…なんであんなのが有名な音楽家の人の目に止まってコンサートの舞台に立ってたのか…僕には分からないね」

 

ランジュ「まぁ、いいわスクールアイドル部の魅了を最大限に披露してやりましょ!

………同好会の好きになんかさせないわよ…」

ミア「…めんどくさ」




ミアの口調が安定しない…()

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157話

更新…頑張ってる…偉い…偉い…(CHASE色の吐血をしながら)


(………………………………)

 

 

1人、中廊下で考え込む。

 

ランジュ(貴方…曲なんてプロに作ってもらった方が良いに決まってるじゃない)

(…違う、なんにも分かってない…)

 

千歌や穂乃果達が聞いたらどう思うだろうか。

…いや、答えなんか分かりきってる。

…アイツらにも話は伝えておこう。

 

「…くそっ」

隠せぬ苛立ちに拳を握る力も強くなる。

 

栞子「…あの」

「…栞子か、部室に戻ったんじゃなかったのか」

栞子「…すいません、どうしても…貴方の様子が気になってしまって…

隣………………いい、ですか…?」

「…あぁ」

 

栞子「…私…生徒会長失格ですよね…

ランジュの部の設立も…同好会の活動禁止も止められなくて…」

「…………………」

栞子「あの子の我が強いところ知っていて…こんな体たらく…

貴方に…峻さんにとても顔向けなんて…」

「謝るな、お前は悪くない」

栞子「ですがっ…!」

「それに、まだ俺は諦めてもないし納得もしてない、降参もしてない

…絶対に解決させる

だからお前はそんな泣きそうな顔すんなよ、俺とぶつかった時だって泣きそうな顔なんかしなかっただろ?」

 

栞子「…ごめんなさい…」

「それより、アイツは一体何者なんだ?…偵察みたいにするのは癪に障るが…」

栞子「…華やかな外見、有り余る才能に…裕福な家庭

まさに…非の打ちどころが…いえ、そう思ってるのは彼女だけかも知れません

まだ足りないものも…沢山あります…本人は自覚してませんが」

 

「…自己中心的で強引で人の神経を逆撫でするところ…とかか?」

栞子「…流石ですね…峻さんは

彼女とは大きく違います…やはり、貴方こそ…」

「よせよ、俺はそんな大したもんじゃない」

栞子「…ただ、あの子にも悪気が…………………いえ、なんでもありません」

(…恐らく、俺の事を案じて言うのを辞めたのだろう)

 

…しかし、こうも野放しには…してられないのが現状、だがな。

栞子「…正直、歩夢さんと峻さんが羨ましいです」

「…幼馴染として、か?」

栞子「…はい…こうも違うのか…と

私も…峻さんの幼馴染だったら…な…と」

「…栞子」

栞子「あ、い、いえっ!忘れてください!///」

 

「…なぁ、栞子」

栞子「…はい?」

「…お前は…正直なところ…部と同好会…どう思ってる」

栞子「…えっ?」

「…はは…正直さ…あんな啖呵切ったけど…愛や果林…栞子が同好会に居なくなって…勝ち目があるのかなって…心のどこかで思ってる…自分が居てさ…どうすればいいのか…なんてな」

栞子「…それは…」

 

「…はぁ…ダメだ…頭ん中こんがらがってきた」

実際、どうすればいいのかが分かってるわけでないし

打開策がある訳でもない…かと言ってこのまま指をくわえて相手の出方を待つのもしたくない。

…考えれば考えるほど…分からなくなってくる。

 

栞子「…っ…!

そんな事言わないでください!!

貴方なしでは成し得なかった事がいくつあると思ってるんですか!?」

突然の大声に周りにいた生徒たちもこちらを見てきた。

 

栞子「…ぁ…ご、ごめんなさいっ!

部に行ってしまった私なんかが言っても…説得力なんか…」

「……」

栞子「…覚えていますか?

…私が…同好会を廃部にしようとしたこと…あんなに大人気ない真似までして…」

「…………………」

栞子「…廃部にしようとしていた私が…今ではスクールアイドルです

その道に導いてくれたのは…貴方ですよ、峻さん」

「……………」

栞子「滑稽って笑ってくれてもいいです…けど

私は…貴方には感謝しても…しきれないんですよ

こんな頭でっかちで頑固な私を…変えてくれたんですから

少しは自信を持ってください」

 

「…栞子…」

栞子「それに、あなた言ってくれたじゃないですか

…絶対に迎えに行く…と…貴方が作った同好会が私は大好きなんです」

「…俺が…作った…同好会…」

栞子「多分…いえ、絶対に同好会のメンバーもそう思ってますよ

それは武器であり、同好会の良さです

その中心にいる貴方は…いつだって素敵なのですよ」

 

「…栞子」

菜々「あっ、ここにいたんですか!…っと、栞子さん?」

栞子「さぁ、行ってください」

「…あ、あぁ…」

 

促されるまま…俺は菜々と合流した。

 

栞子「…信じてます…峻さん」

その光景をずっと目で追ってる栞子だった。

 

 

────────────────────────

 

 

 

菜々「…そう、でしたか」

「らしくないよな…」

菜々「いえっ、誰しも気が落ち込んだり悩んだりする物です!

…ですが…相談、してくださいね…?」

そう言って手を取る菜々。

 

「…せつ…ん、菜々…」

菜々「はいっ!私の元気を分けてあげます!

…さてっ、皆さんが屋上で待ってますよ!」

「…話さなきゃ、いけないよなぁ…」

 

少し足取りが重いが…俺は屋上へと向かった。

 

 

────────────────────────

 

【屋上】

 

かすみ「むぅうぅうう~!!!

先輩のことや同好会のことをそんな風に言うなんて~!!」

「俺も俺なら相手も相手…ってところだな」

 

かすみ「先輩が居たから同好会が出来たのに!

先輩が居たからスクールアイドルフェスティバルが開催されたのに!!

なーんにも知らないなんて頭の中エレクトリカルパレードなんじゃないんですか~っ!?」

彼方「彼方ちゃんも同感だな~、エレクトリカルパレードは別として…」

エマ「峻くんが作ってくれた曲…どれも素敵で大好きなんだけど~…」

 

歩夢「…峻くんは、みんなにとって特別な…大好きな人なのに…

そんな風に言うなんて許せない…っ!」

「…あ、歩夢…」

しずく「そうですっ!先輩が部長だから今までで頑張れてこれたんです!」

菜々「はいっ!峻さんが居たから乗り越えられたこともたくさんあります!」

 

「…ありがとう、みんな」

かすみ「同好会のリーダーは何があっても峻先輩ですからっ!」

歩夢「大丈夫、私たちが着いているよ」

 

「……はぁ……ああああぁあああーっ!!!!!!

なんか吹っ切れた!!考えるのバカバカしい!」

エマ「わぁああっ!?」

「やっぱり部の思い通りになんかさせられねぇ!」

 

菜々「目に活力が戻りましたね!♪」

「…よし、じゃあ…反撃開始といこうか!」

そう言って俺は携帯を取り出すのであった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【部室】

 

 

ランジュ「どこへ行ってたのかしら?」

栞子「…いえ」

 

ランジュ「なんか入れ知恵してきた…そんな訳ないわよね?」

栞子「……………」

 

ランジュ「まあ、いいわ…何があってもランジュがナンバーワンであり…オンリーワンなんだから」

栞子「…そう、でしょうか?」

ランジュ「…栞子、どういうことかしら?」

栞子「…いえ、何も」

 

 

栞子(…ランジュ…貴方は何も分かってない

あの人の…あの人たちが紡ぐ音は…心が揺さぶられるくらい感動することを…

それはプロには出来ない…完璧なんかじゃなくていい

みんなで協力して…努力してきた形なんだということを…)




次回:つかの間の安住


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158話

今日も推しが居れば生きていける(名言)


【ファストフード店】

 

事前に打ち合わせした場所でAqoursとμ'sのみんなを待っていた。

 

かすみ「先輩、今日はなんの集まりなんですか?」

「まあ、定期報告会って事で」

 

せつ菜「そう言えば…合宿以来ですね」

「あ、そうだったな、その件も聞きたかっ─────」

 

その瞬間、俺の背中になにか衝撃が加わった。

 

穂乃果「峻ーくーん!!会いたかったよ~!♪」

かすみ「あぁー!穂乃果先輩何してるんですか~!」

海未「こらっ、穂乃果…!…すいません、峻さん…」

あはは…まぁ、穂乃果はこういう子だからな…。

と思いつつ、背中に広がる柔らかい感触を堪能していた…が…。

 

 

果南「やっほー♪ご機嫌いかがかなん?♪」

…更に柔らかい感触が腕を襲ってきた。

歩夢「…むぅ」

しずく「…むーーーっ…」

彼方「…よよよ…」

 

…いや、視線が…痛いよ…。

 

千歌「あいっかわらず、モテモテだね~♪

…って、あれ?ニジガクはこれで全員???栞子ちゃん達は?」

「…あ、あぁ…それがな…」

千歌からの助け船でやっと話が進められる…。

 

 

────────────────────────

 

 

穂乃果「…えぇー!!??」

海未「穂乃果っ、周りの人に迷惑ですよ!」

穂乃果「あああ、ごめんなさい…っ…で、でもでも!

そんなことになっちゃってるの!?」

 

歩夢「…うん、そうなの」

かすみ「この間も大変だったんですよ!」

「…あぁ、早速監視されたってやつか…悪いな、俺が部室で話つけてる間にそんなことになってたなんて…」

 

どうやら、屋上にいると嗅ぎつけて俺が席を外したしばらく後に監視委員の2人が来たようだ。

 

 

かすみ「先輩は悪くないですよ~っ!!」

海未「監視委員…そんな人たちまで…」

穂乃果「…だから、峻くんの顔も険しくなってるんだね」

ことり「ほ、穂乃果ちゃんっ…!」

 

「…あはは、大丈夫大丈夫

本来は生徒会の書記の2人なんだがな、部長様の頼みで兼任してるみたいだ」

海未「…悩ましいですね…」

かすみ「それだけじゃないんです、スクールアイドルフェスティバルの成功も手柄もぜーんぶ部のものになっちゃってるんですよー…」

 

「…ま、それは今の状況を知ってるヤツらはそう思ってるってだけだがな」

曜「…でも…ゆ……しゅ、峻くんは…どう、するの?」

「諦めたりなんかはしないさ…ただ、野放しにさせすぎるのも癪に合わないから…早急になんとかするさ」

曜「…悔しい、もんね…」

「俺の頑張りなんかは認められなくていいのさ

…ただ、みんなが築き上げてきた頑張りがなかったことにされるのは…悔しいな、凄く」

 

かすみ「先輩は良い人過ぎますよー!

オマケにランジュ相手に策無しだって、弱気になってたくせに…」

「…なんだと~?」

かすみ「いひゃいでひゅ、いひゃいでひゅ~っ!」

果南「うーん…パワープレイってダメなのかな…?」

「あはは、今はコンプライアンスがあるからなぁ」

果南「…でも、今の峻…覇気が全く無いよ?」

 

千歌「…そう、だよ?」

手を添えてくれる千歌。

かすみ「はぁ…はぁ…先輩ったら…珍しく弱気で落ち込んでたんですよ~…」

「…らしくはなかったな…まぁ、アイツらが抜けたことに対するショック…だろうな」

曜「…その上…活動を制限って…大丈夫なの?」

 

「…その件でお願いがあるんだ…穂乃果達に」

穂乃果「えっ?」

海未「私たちに…ですか?」

 

「しばらく…音ノ木坂で練習させてくれないか?…頼む」

立ち上がり深々と頭を下げる。

 

穂乃果「えっ、ええええ…っ!?

ちょ、ちょっとちょっと…峻くん、顔を上げてよ~…っ!」

海未「そうですっ、そんな事しなくても…っ!」

歩夢「峻くん…」

「悪い、監視委員のヤツらが来なくて静かに練習出来る方法って…考えたらこれしか無かったんだ

…それに、みんなが練習してる間に…俺の方で蹴りをつけておきたい」

 

海未「…私達と峻さんの仲じゃないですか」

ことり「…うん、うんっ…分かった、ありがとうねっ♪

絵里ちゃん達もOKだって!」

「…手が早いな…ことりは」

 

かすみ「じゃあ、かすみんたちもみんなに報告してきまーす!♪」

ホッとした顔を浮かべた歩夢を見て俺も少し心の重りが取れたような気がした。

 

 

曜「…ねぇ、悠くん?」

曜が耳打ちしてきた。

「ん、なんだ?」

曜「ホントに大丈夫…?

…目の下に少しクマ…出来てるよ?」

「…さすが曜だな…大丈夫、無理はしてないさ」

曜「ならいいけど…話くらいなら、聞くからね?」

「あぁ、ありがとうな…曜」

 

 

実際、寝不足なのは否めない…が…寝付けないのも事実。

…正直、あの10人でしたいライブがたくさんあった。

そして、あの10人のための作曲を俺は続けていた。

…また、ライブができるって信じ続けて…。

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日】

 

絵里「はいっ、終了!」

璃奈「璃奈ちゃんボード…''へ、ヘロヘロ~…''」

花陽「絵里ちゃん…なんだか…いつもより…ハードだった…?」

 

絵里「あら?そうだったかしら?

…ニジガクのレベルが上がってきてるから、それに合わせただけよ?」

しずく「天下のμ'sの…絵里さんからそんな風に言ってもらえるなんて感激です!!」

絵里「…て、天下のって…」

「はは、将軍エリーチカってか?」

絵里「…峻~…?」

「おっと、いけね」

 

真姫「騒がしさはいつもの2倍ね…」

にこ「これくらい騒がしいくらいの方が楽しいわよ~

それに、リーダーもいるし大丈夫よ、ね?」

 

希「なんなら、次からのプランは峻くんが考える?♪」

「えっ、俺?」

絵里「こーら、希…峻の負担を増やさないの」

希「あ、そっか!ごめんごめん♪」

かすみ「はいはーい!かすみんが考えたいでーす!」

にこ「どーせ、周りのライバルを蹴散らすプランとかでしょーよ?」

かすみ「なにぉー?!」

にこ「なによぉー!?」

 

せつ菜「ふふっ、こんな賑やかで楽しい練習は久々ですねっ♪」

歩夢「そうだねっ、μ'sのみんなと…峻くんには感謝しかないよ♪」

凛「凛たちも楽しいから大丈夫にゃ~!♪」

花陽「うん、そうだね!♪」

 

絵里「貴方たちさえ良ければ、いつでもいいわよ」

「ありがとうな、絵里…1番の悩みが解決できて俺もホッとしてる」

真姫「…でも、スクールアイドルの本質はライブよ?

…その点はどうするのかしら?」

 

しずく「…そうですね、そこは…」

「…考えてはいる…が…ちょっとこれはな…」

絵里「許可無しにするって顔をしてるわね…峻」

「あぁ…それ───」

にこ「ゲリラライブ…ね!!」

 

「…ん、んん…そうだ」

かすみ「ゲリラライブ…?」

「いきなりライブをするんだよ、街とかで」

歩夢「あっ、よく駅前とかで見たことある!」

 

彼方「それ、かっこいい~」

かすみ「やりましょうよ~!」

せつ菜「みんなの支持があれば、学園側も無視はできないでしょう!」

(……その点はこっちで話をつけといてやるよ…安心しろ)

 

彼方「でも、ランジュちゃんに真っ向から太刀打ちするってことだよね~…?

火に油にならない~…?」

「なったとしても、その時は全力で守ってやるよ」

希「そうやね、それを上手く使えば立場が逆転すると思うよ」

穂乃果「やる価値はあるよ!」

 

エマ「みんなの前で歌える…楽しみ~っ!」

かすみ「あのわがまま女に…見せつけてやりましょう~!!」

せつ菜「そうと決まれば、作戦会議です!」

にこ「参謀はにこに任せるにこ!♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…さて、俺も動き出すかな…。




評価・感想・アンケ投票・お気に入り登録・推薦などなど
よろしくお願いしまSUPER NOVA。

果林「えっ?」
「えっ?」
愛「え???」
「…え????」


よろしくお願いします


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159話

生きてます:( •ᾥ•):


せつ菜「さて!ゲリラライブを行うにあたってクリアしなければならないことが沢山ありますね!」

璃奈「もちろん、監視委員会にバレないよう…する」

せつ菜「はいっ、私達は監視されていますから…警戒されるようなことは出来ません」

 

かすみ「かすみん達、何も悪いことしてないのになんでですかね~」

しずく「如何に悟られず…水面下で準備を行うか…」

 

エマ「今、ライブのことを決める?…それとも、囮で嘘のライブ告知をする?…それとも…当日いきなりやる?」

せつ菜「…うぅーん…秘匿性の高さだけを考えればそうしたいところですが…別の問題が発生しそうですね…」

 

歩夢「…別の問題?」

せつ菜「せっかくのライブをしても…誰にも見て貰えない可能性があるということです」

 

あー…と声を漏らす一同。

 

せつ菜「いくらゲリラライブとはいえ''その時間に何が起きるらしい''

という空気が無ければ人は集まりません

 

だからといってあまりに露骨にやりすぎると…監視委員の横やりが入る可能性もあります」

 

彼方「ゲリラライブをやるよ~って言ったら…格好の標的だよねぇ~…」

エマ「でも、私たちのライブを見たいって思ってくれる人に

それを届けられないのは嫌だよね…」

 

かすみ「…宣伝しないと人が集まらない…

でも宣伝したらを邪魔される…

…どうすればいいんですかね…?」

 

歩夢「全校生徒は無理でも…スクールアイドルフェスティバルに来てくれた人や…応援してくれてる人達だけでも来てくれたらね…」

彼方「ホームページとかで…お知らせする~…?」

璃奈「潜伏してる可能性も…」

 

しずく「つまり…どうやっても宣伝には危険がはらむ…ということですね」

かすみ「あっ!暗号とかどうですか!」

エマ「…パスワード…って、事かな?」

歩夢「…噂を流すって…どう、かな?」

 

せつ菜「…噂、ですか?」

歩夢「うん!ほら、人の噂も七十五日って言うじゃない?」

せつ菜「なるほど…噂が分散していけば浸透していくかもしれませんね」

彼方「でも、それって…監視委員にも伝わっちゃうんじゃ…」

 

しずく「監視委員は二人ですし、噂を流す場所を多くすれば特定なんか出来ませんよ」

かすみ「でも、その噂をどうやって流しますか?

かすみん達が発信源ってバレたらまずいですよねぇ?」

 

 

うーーーん…と考えてる一同がポロッと言葉を漏らした。

 

 

「「「「…あれ、峻さんは…?」」」」

 

 

────────────────────────

 

 

 

【???】

 

 

「失礼します」

?「…貴方…誰かしら?」

「スクールアイドル同好会部長の宮之原 峻です」

?「あぁ、同好会…そういえばスクールアイドルフェスティバル、ご苦労だったわね」

 

「…理事長だからまぁ、俺も特に触れませんが…まぁ、ありがとうございますと受け取っておきます」

理事長「それで、何か用かしら?」

「単刀直入に簡潔に手短に言わせてもらいます

…あの転校生2人は一体なんですか?」

 

理事長「…あぁ、あの2人?」

「流石に同好会を潰してスクールアイドル部を作るとか認められませんが」

理事長「自由な校風よ、どうこうしようが本人たちの勝手よ」

「…なら、俺がどういう対抗措置を取ってもいい…って事、ですよね?」

理事長「…理事長相手に噛み付いてくる…あなたも喰えないわね」

「褒め言葉として受け取っておきます

…俺だって、指をくわえて眺めてるのは真っ平御免なので」

 

くるりと翻して部屋を後にする。

 

 

理事長「…宮之原…峻…ねぇ

ふふ、どうなるのか…この先、楽しいになってきたわね」

くすっと笑う理事長の顔はどこか玩具を見つけた子供のようだった。




今回は短め!
モチベーションが上がるまでしばしお待ちを…:(´◦ω◦`):

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160話

新衣装のせつ菜ちゃんの胸元をびゃっとしたいですなぁ。
失踪?ナニソレオイシイノ?


璃奈「いいお天気~」

「そりゃ、晴れ神様にお願いしたからね」

 

かすみ「えぇっ、晴れ神様ってなんですか~っ!?」

「穂乃果の事だよ…それはそれはすごい効力が…!」

かすみ「…ぐぬぬ…スクールアイドルには隠された能力も必要と…!」

彼方「…メモすること…なのかな~…?」

 

しずく「いよいよ今日ですね…峻さんが色々提案してくれましたが…大丈夫でしょうか?」

「まとまってない考えを整理して提案するのも部長の仕事だ

…それに、あの場に居なかったのも申し訳なかったしな」

 

…理事長に会っていたなんて言えないが。

 

かすみ「どうであれ…これ以上屈辱の日々は送らせません!

みんなにどっちが本物か教えてあげますよ!」

 

エマ「うんっ、今日のために…たくさん練習してきたもんね」

歩夢「でも…ゲリラライブだから…緊張、しちゃうね」

「でも、ワクワクもしてるだろ?」

歩夢「…うんっ♪」

 

せつ菜「くっくっく…秘密組織の活動ですよ…

リーダーの鳳凰院凶真さんっ…!」

「…それって、俺の事だよね?」

 

でも、せつ菜さん…あなたがしてるのはジョジョ立─────。

 

彼方「彼方ちゃん、いつにも増して早起きだよ~…♪」

「とは言え!…放課後まではいつも通りな?」

しずく「い、いけないっ…ポーカーフェイス…ポーカーフェイス…」

 

かすみ「じゃあ、峻先輩にくっついてまーす♪」

歩夢「あっ、ずるいっ!///」

 

「…これがいつも通りなのか?」

璃奈「間違ってないと思うっ♪」

「…あのなぁ」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【昼休み】

 

 

ランジュ「あら、貴方もランチ?」

「……………………」

 

絡まれた、しかしここは相手にしないでおこう。

ランジュ「もしかして…同好会のみんなも一緒?」

「…だったら何か?」

 

ランジュ「ちょうどいいわ!ランジュのランチビュッフェに───」

「断る」

 

ランジュ「そう言わないで、今日はよく行くホテルのフレンチを用意してるのよ!すっごく美味しいの!」

「フレンチだかボランチだか知らんが…」

 

すっと弁当箱を突き付ける。

「俺は幼馴染の作る弁当の方が安心出来て美味しいからフレンチは却下だ」

 

そう言って俺はその場を後にした。

…よくよく考えれば、幼馴染に弁当作ってもらってるって…凄いよな。

歩夢に改めて感謝しないと。

 

 

 

 

 

 

ランジュ「…ランジュの誘いを断るなんて…妬ましいわね…」

嘲笑うかのように口を尖らせた。

ランジュ「あれじゃあ、一流は程遠いわね」

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

【教室】

 

 

 

「…はぁ、面倒な目にあった…」

エマ「あっ、峻くん!今見てきたらね、結構集まってくれてたよ!」

しずく「作戦、大成功のようです!♪」

彼方「彼方ちゃんも、噂のたくさん聞いてきたよ~っ」

 

璃奈「噂、広まるのすっごく早い…それだけ、みんな待っててくれたって事、かな?」

「虹ヶ咲学園のスクールアイドルはみんなが元祖であり本物だ

みんなそれを分かってるって事だよ」

 

歩夢「…うん…すごく、支えてもらってる気がする」

かすみ「お二人共~っ、喜ぶのはまだ早いですよっ!」

せつ菜「ええっ、ステージが全てですから!」

 

「…だな、よしっ…じゃあ…行くか!

部のヤツらが手を打って来ると思うが…今はみんならしくいつも通り楽しんでこい!」

 

 

 

 

「「「「おーっ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【屋上】

 

ゲリラライブの先陣を切ったのはかすみ。

 

かすみ「みんな、お待たせー!

スクールアイドル同好会のゲリラライブにようこそー!」

 

いつも通り、かすみワールドに観客を誘っていく。

 

かすみ「トップバッターは、かすみんだよ~っ♪」

しかし、出だしと共に…観客がざわつき始めた。

 

しずく「…な、なんでしょう?」

彼方「どうしたのかな?」

 

俺は校舎に戻ろうとする観客を尋ねた。

 

「何があった?」

女生徒A「スクールアイドル部が緊急ライブをするって!」

 

かすみ「……えっ…」

せつ菜「スクールアイドル部のライブなんて聞いてませんよ…っ!?」

 

璃奈「あぁ…っ…みんな、行っちゃう…っ」

エマ「そんな…」

歩夢「みんな…部のライブに…行っちゃうの…?」

 

(…これがお前のやり方か…ランジュ…)

 

かすみ「え、えーーっと……

なんだか、スクールアイドル部のライブもあるそうですが

同好会のライブだって、負けてませんよー!」

 

ハプニングがあっても、かすみは言葉を続けた。

 

かすみ「かすみん達、みんなと楽しい時間を過ごすために今日まで頑張って来ました!

それを確かめてくださーいっ!」

 

しずく「…たった、これだけの人しか残らないなんて…」

しずくが事実をポツリと呟いた。

 

「言うな。残ってくれた人に失礼だ」

せつ菜「スクールアイドル部の魅力の方が…同好会よりも上なんでしょうか…」

「そんなことない!!!」

璃奈「………………」

 

 

かすみも俺たちの方を見て少し…いや、かなり困惑していた。

かすみ「かすみんを、見てくださーーーーい!!」

 

しかし、いつも通りのかすみに戻り…。

かすみ「ふっふっふー、今見てる人たちはラッキーですよ~っ!

パワーアップしたかすみんを余すことなく!一番最初に見れるんですから!♪」

 

しかし、その目には少し涙が浮かんでいて…。

 

しずく「…どうして…そこまでして…」

「そこまでじゃない…あれがかすみの良さであり…強さだ

めげて下向いて…歩くのを止めたりしない…骨の太いやつだよ」

 

しずく「…かすみさん…凄いなぁ…」

「感心してるとこ悪いが…しずく、お前の番だ…楽しんでこい」

 

しずく「えっ?…あっ!!!」

急いだのか、バランスを崩したしずく。

慌てて受け止めたが…。

 

しずく「……ぁ……」

「…しずく?大丈夫か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しずく「…あっ…は、はいっ…」

その目は少し…曇っていた。




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161話

せつ菜ちゃんのフェス限が来なくて切れるカナリアになりそう。



?????????????
(The X Files が流れる)


とぼとぼと、中庭の方に歩く同好会一同。

その道中会話は全くと言っていいほど無かった。

 

璃奈「大大大…反省会…」

せつ菜「観客のほとんど…部の方に見に行ってしまいましたね…

悔しいですが…部の人気は本物のようです…」

 

歩夢「…うん…で、でもっ

私たちと一緒に楽しんでくれる人達がいてくれて嬉しい

とっても力になるよね」

彼方「うんっ、みんな一緒に楽しめたもんね~」

 

エマ「そうだよ~っ、私たちのことを応援してくれる人にライブを届けられたんだよ~っ」

かすみ「だからこそっ、かすみんたちは…もっともっと!頑張らないとです!」

 

 

 

 

璃奈「…ところで…峻さんと…しずくちゃんは?」

歩夢「えぇっ?…さっきまで一緒に歩いていたのに…」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【食堂外】

 

「…ほら、飲みなよ

…みんなのところ行かなくていいのか?」

しずく「…ありがとうございます…」

 

「…なんか訳ありって感じだな…よっと」

しずくの隣に腰かけ…缶の栓を開けた。

 

「……聞くよ、話」

しずく「…あの」

 

受け取った飲み物をぎゅっと握り…しずくが呟いた。

 

しずく「…私…スクールアイドル部に…行こうと思ってます」

「…そっか」

 

しずく「そっかって……せ、先輩は引き止めてくれないんですかっ!?」

演技でも何も無い…本当のしずくのまま怒ってきた。

しかし、俺にはこの発言の意図が目に見えてわかった。

 

「…しずく、お前がランジュなんかに誘われて行くようなやつだなんて思ってもない

そして、その発言をする意味や考えは充分分かっている

…かすみ、だろ?」

しずく「…………っ…!」

 

自虐そうに笑うしずく。

しずく「…あんな…真っ直ぐで…一生懸命な…かすみさんを見てたら…不甲斐ない…なって…」

「…………………………………」

 

しずく「何が違うのか…どうしたらいいのか…分からなくなって…」

「…部と同好会の違いを確かめに行くんだろ?自分の目で」

しずく「…えっ…」

 

図星を突かれたように、きょとんとした顔を浮かべるしずく。

「なんとなくわかるよ、言いたい事はね」

しずく「…失望…しましたか?」

「…お前の意見だし考えだ、俺は尊重する…だけどな」

 

いつも通り、笑ってしずくの方と向き合う。

本当は笑ってもいられない状況なのは重々わかっている。

 

「俺はしずくが同好会に戻ってくるって信じてるから!」

しずく「……っ………!」

 

「気の済むまで自分の目で確かめてこい!

こっちは俺の方で何とかしてくるからさ」

しずく「…先輩…卑怯ですよ…っ

嫌われるの…覚悟で…言ったのに…そんな…事言われた…っ…」

 

飲み物を落とし、抱き着くしずく。

胸の中ですすり泣く声がした。

 

「大丈夫、俺はしずくの味方だ

部にいる期間でも…何かあったら相談してこい」

しずく「……先…輩…っ……ぁ、あああああっ!!」

わんわん泣くしずくを俺はただただ抱きしめいた。

 

 

 

しずく「…先輩…」

「…ん?」

 

しずく「……キス……して、下さい…///」

「…あぁ」

 

静かに俺はしずくに口付けした。

しずく「…お別れのキス…です、かね…///」

「何、すぐにおかえりのキスが出来るさ」

しずく「…先輩…///」

2度3度キスをする俺としずくだった。

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

【屋上】

 

「…………と言うことだ、分かってくれみんな」

かすみ「…嘘です…っ!!!!

しず子が…そんな…っ!!!!」

 

せつ菜「しずくさんなりの考えなら尊重しますけど…」

璃奈「私も…寂しい…」

 

エマ「…峻くん……………」

「みんな、冷静になってくれ

このタイミングでの発言…確かにショックは受ける…けどな

果林や愛…栞子の時も言ったが…俺はあいつら4人が絶対に同好会に戻ってくるって信じてる

だから…今は事実だけを受け入れてくれ……頼む」

 

深々と頭を下げる…周りのメンバーは困った顔でお互いを見合っていた。

無理もない、部長失格のような発言をしている訳だからな。

 

歩夢「…分かった」

「「「…えっ…」」」

 

「…歩夢…」

歩夢「部に行ったしずくちゃん達のこと…そして同好会にいる私たちのこと…全部全部知っているのは…峻くんだもん

その峻くんが信じるなら…私も信じる!

だって、大切な仲間だもん!」

 

璃奈「…あっ…」

彼方「…うんっ、そうだよね

彼方ちゃんも信じるよ~♪」

 

せつ菜「しずくさんの事ですから、成長して戻ってきてくれますよね!」

エマ「やっぱりしずくちゃんも果林ちゃんも居なきゃ…やだよ、峻くん!」

「…ありがとう、みんな」

 

かすみ「…かすみん…は…っ!」

何か言いたげだったが…かすみはその場を後にした。

 

歩夢「…かすみちゃん…」

「…大丈夫だ、俺の方で話をつけてくる」

 

 

 

 

 

 

 

 

…大方、しずくの方も…

部に行ったあいつらに連絡を入れている事だろう。




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162話

朝起きたらせつ菜ちゃんが
裸ワイシャツで寝てたんですが(強めの幻覚)


歩夢「…しずくちゃん…そんなこと考えてたんだ…」

「あぁ、アイツなりの決断だから俺は止めなかった」

 

湯船に入りながら俺はドア越しに居る歩夢に話しかけた。

 

歩夢「しずくちゃんはどこに行っても仲間だもんねっ♪」

「部に行こうが俺は応援するよ、前と変わらずに…な」

 

歩夢「ふふっ、峻くんらしいね♪」

「そうかぁ?…まぁでも…歩夢が言うならそうなんだろうな」

歩夢「…でも、かすみちゃんや…エマさんは大丈夫かな?」

「…そこなんだよな」

 

特にかすみは…ショックがでかいだろうな。

 

歩夢「…大丈夫かな…」

「寂しいのは無理もない…落ち込むのも、な…」

歩夢「…考えは、あるの?」

「ちょっとな…それより歩夢達も頑張らないとな」

 

歩夢「…そう、だよね…っ!

…でも…フォローはするから…1人で悩まないでね…?」

「……頼もしいな、歩夢は」

 

歩夢「…いつまでも峻くんに頼ってばかりじゃ…嫌だから…」

「なんか言ったか?」

歩夢「ううん、なんでもないっ!」

 

 

 

 

………ばっちり聞こえてたけど…聞こえなかったふりをしておこう。

(…ありがとうな、歩夢…気が楽になったよ)

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【次の日】

 

「は~…食べた食べた…」

歩夢「ふふ、眠くなっちゃうね…でも、峻くん…食べた後に

14キロの砂糖水を飲みたいって…どういう…?」

「…あ、あはは…何となく言ってみた…?」

 

歩夢「変な峻くんっ、えっと…次の授業は…」

璃奈「た、大変大変~っ!璃奈ちゃんボード『あわわ』」

 

歩夢「璃奈ちゃん?…こっちの学科に来るって…珍しいね?」

「なんかSOS出してるな」

 

璃奈「2人とも、助けて~っ!」

「落ち着いて、何があった?(何となく予想はできるが…)」

 

璃奈「い、いいから着いてきて…じゃないと…大変なことになる…!」

歩夢「…え、えぇ~っ!?」

「……やれやれ」

 

手を打つ前に先越されたか…俺とした事が。

「かすみとしずくだろ?…食堂か?」

璃奈「えっ?……あ、う、うんっ」

「んな、すぐ行かないとな」

 

教室を出て一目散でダッシュをする。

璃奈「は、速いっ…」

歩夢「もう見えなくなっちゃった…」

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

【食堂】

 

 

「…はぁ、ドンパチやってんな…」

しずく「だから、言った通りだよ!私は部に行くの!」

かすみ「口が滑っただけならまだ許すって言ってるのになんでそんなに頑固なの!ケチ!アスパラガス!」

 

…アスパラガスって悪口に入るのか?

 

かすみ「あんなとこに行ったって、しず子はへっぽこのままだよ!」

しずく「へっ…!!!

…か、軽い気持ちで決めたことじゃないの!

そんな風に言わなくたっていいでしょっ!?」

 

かすみ「だって本当の事だもん!」

しず子が変なこと言い出すから、かすみん昨日からずっと頭痛が痛いんだから!」

しずく「頭痛が痛いなんて日本語ありませーん!頭痛がするでしょ!

かすみさんが言ってるのは、天井を見上げると同じくらい有り得ない間違いだからね」

 

かすみ「へっ!?…そ、それのどこが間違いってるの?合ってるじゃん!」

しずく「…もうっ!この間、現国の小テスト用の対策でやったとこだよ!」

 

璃奈「…2人が…ずっと喧嘩してる…助けて、峻さん」

「…いや、俺の出る幕は無さそうだな」

歩夢「…え?」

 

しずく「正確には、天井を見るだよ

天井を見る時点で目は上を向いてるんだから見上げなくていい

これはよくあるひっかけ問題だって、言ってたでしょー!」

かすみ「…あぅ…聞いた…それ…」

 

しずく「…も~っ!小テスト大丈夫だったの!?」

かすみ「い、いつもよりは良い点数だったし!……2点くらい…」

しずく「もう!また特訓するからね!」

かすみ「やだー!しず子厳しいもーん!」

 

「…な?最後はいつも通りだろ?」

璃奈「…なんで?」

「同好会と部に別れたくらいじゃ、2人の仲は終わらないさ

璃奈ちゃんだって、愛とご飯一緒に食べるし…

歩夢だって、一緒に出かけたりするもんな?」

 

歩夢「昨日は栞子ちゃんも一緒だったよ♪」

「…かすみは部に行って欲しくない一心でああ言ってるんだろう

…ったく、素直じゃないし…スマートじゃないねぇ…」

璃奈「…もう少し見守ってて…大丈夫なの?」

「まあ、見てなって」

 

 

 

かすみ「…あれれ~…?

しず子ってば、お茶?…ダメだなぁ~、スクールアイドルはイメージを大事にしないと~♪」

しずく「…むっ…わ、私が何を飲もうが勝手でしょ…っ!?」

 

そうだな、それはラブアローぶっぶーですわー!されるぞ、かすみ。

「(…というか…しずくも煽られ耐性低すぎ…まぁ、そこが可愛いんだけど)…さて、そろそろ助け舟を出すか」

 

俺は2人の傍に近づき、軽く頭にチョップした。

 

「…はいはい、やめやめ」

かすみ「ひゃっ…!」

しずく「きゃんっ…!!」

 

「…まったく、周囲の目を気にしなさい」

かすみ「せ、せんぱーい!しず子が~…っ!」

しずく「なっ…か、かすみさんが…!」

 

「はいはい、そこまで!」

かすみ「…む~…な、ならっ!

最強スクールアイドルかすみんVSぽんぽこりんアスパラガスしず子の勝負のジャッジをしてください!」

 

「…勝負~ぅ?」

しずく「かすみさん、いきなり先輩を困らせる事言っちゃダメだよ?」

かすみ「とか言っといて~、負けるのが嫌なんでしょ?

アスパラガスから豆苗になっちゃうね~♪」

 

しずく「…負ける…?

…私は負けないし、逃げない!」

「…やれやれ…」

 

しずく&かすみ「「先輩、ジャッジを!!!!!」」

「…へいへい」

とんだ貧乏くじを引かされたな…。

 

歩夢「…な、なんだか…見守るの…難しいね…」

璃奈「…同感…」

 

かすみ「勝負内容は…学食悪魔のメニュー!

辛さ10倍ホットドック早食い対決ね!」

「…それはスクールアイドルにどう影響が…」

しずく「それ以前に、食べ物で遊ぶのはダメだからね」

かすみ「…あぅ…そ、そっか…」

 

打たれ弱すぎるぞ、中須。

 

かすみ「じゃ、じゃあ!お弁当早食い対決は!?」

しずく「せっかく作ってもらったお弁当をそんな風に食べていいの?

…あ、先輩良かったら卵焼き食べません?♪」

かすみ「…ダメ、だよね…うん………って!ちゃっかりなにしてんの!」

 

「はいはい、とりあえず勝負は置いといて、飯食べなさい

腹が減ってはなんとならだぞ……あ、美味い」

かすみ「ぐぬぬ…せっかくかすみんの無敵級の強さをしず子に見せるチャンスだったのに…」

しずく「…ふーん…じゃあ、無敵級のかすみさん?小テストの結果はどうだったの?」

 

かすみ「…げ、現国はアレだったけど…

古典の方はしず子に教えてもらって…できた、もん…」

しずく「…え、そうなの?」

 

かすみ「…し、しず子がしてくれたお話…面白かったし…分かりやすかった…」

しずく「…そ、そうなんだ…良かった…♪」

 

 

 

 

 

 

璃奈「…この2人の関係は…分からない…璃奈ちゃんボード『ぐるぐる』」

「喧嘩するほど…ってやつ、だな」




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163話

せつ菜「がおーっ!お菓子をくれないといたず…」

むにぃっ。

せつ菜「ひゃっあああぁあああっ!?//////」



………………はっ!!!!!!なんだ、夢か………………。


しずく「きょ、今日からお世話になります

桜坂しずくです!よろしくお願いします!」

 

ランジュ「歓迎するわ、しずくー!♪」

しずく「きゃ、きゃっ!」

 

愛「あははっ、相変わらずランジュは情熱的だな~♪

大丈夫だよ、しずくっ

愛さんたちも最初来た時も同じことされたから♪」

果林「ふふっ、アツいハグだったわね」

しずく「…そ、そうだったんですね」

 

ランジュ「そう緊張しなくていいわよ?

ランジュの元ならしずくはスクールアイドルとして確実に成長できるわ!無問題ラ!」

しずく「…は、はいっ…!」

 

愛「しずく、改めてよろ~っ!♪」

果林「しずくちゃんが来てくれるなんて心強いわ

こらから一緒に頑張りましょう」

 

しずく「はいっ!こちらこそ、また一緒に出来て嬉しいです!

よろしくお願いします!♪」

栞子「…あの、しずくさん」

 

しずく「あっ、は、はいっ…どうしました?」

栞子「…同好会の方は…大丈夫なんですか?」

 

しずく「私がそう決めたなら…応援する…と、峻先輩が…」

栞子「…そう、ですか…」

 

しずく「…もしかして…栞子さん、私が移ってきた事…歓迎できない?」

栞子「いえ!決してそういうわけでは!」

 

しずく「…私ね、ここで改めて…自分のスタイルを見つめ直したいんだ」

栞子「…えっ、しずくさんが…ですか?」

 

しずく「…うん、かすみさんのゲリラライブ見てね…

悔しいけど…今の私じゃ、かすみさんと同じところにいけないって…」

しずく「何をどうしたらいいのかはまだまだ考え中だけど…

とにかく、このままじゃダメ

その為に、環境を変えることにしたの」

 

しずく「…ランジュさんみたいな圧倒的存在から学べば…私も成長できるかなって…」

栞子(…私は、峻さんのそばに居ることが…しずくさんの成長に繋がると思いますよ……いえ、しずくさんだけではありません…

果林さんも愛さんも…………そして、私自身も…)

 

しずく「…どうかしましたか?」

栞子「いえ、なんでも」

 

ランジュ「もー、栞子ってば、それってつまり…しずくはすっかりランジュの虜って言いたかったのよね?♪♪♪」

栞子「ランジュは口を挟まないでください」

ランジュ「なぁにぃ?嫉妬かしら?」

 

栞子「ずっと前からの友達に対して嫉妬なんかする事ありません」

しずく「…え、っと…」

栞子「あ、失礼しました

私も、しずくさんと一緒に活動できるの心より嬉しく思ってますよ

改めて、よろしくお願いします」

 

愛「そんじゃ、早速練習する?それとも今日はやめとく?」

しずく「やりますっ、その為にここに来たんですから」

 

果林「分かったわ、驚かないでね、しずくちゃん」

しずく「……………えっ?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

部の練習を初めて間も無く…しずくの肩が上がっていた。

しずく「…はぁ…はぁ…まさか、これ程とは……」

果林「ふふっ、すっかり息が上がってるわね」

 

しずく(こんなにも…同好会と…違うなんて…っ)

一言で言えば…スパルタ。

何もかも同好会とは違う練習に、既にしずくの心は折られそうだった。

 

しずく(もっと…峻さんなら…楽しく練習してた…のに…)

愛「プロの考えたメニューは凄いよね~」

しずく(…プロ…が、考えた…か…)

 

ランジュ「これくらい普通じゃないかしら?」

しずく「…わた…し…」

ランジュ「無問題ラ!ランジュが見込んだ貴方たちならすぐに出来るわよ」

 

栞子「…しずくさん、大丈夫ですか?」

しずく「…はい」

栞子「すいません…昔からランジュのやる事は隙がなくて…

ついて行くのが大変なんですよ」

 

しずく「…でもっ、今は3人ともこれが普通なんですよね…?」

果林「1週間もすれば慣れるわよ」

しずく「…クオリティが違いすぎる…けど…何か…」

栞子「…しずくさん…?」

 

ミア「Hey、スクールアイドル同好会からきた新入りって君?」

しずく「は、はいっ!桜坂しずくと申します!」

 

ミア「挨拶はいい、聞こえてたから」

しずく「…あっ…は、はい…」

 

ミア「それより、声量あるんだね…声も悪くない

何オクターブ出る?」

しずく「…す、すいません…分かりません」

 

ミア「は!?…自分の音域を知らないなんて…

What this…ありえない…」

しずく「…すいません…」

 

ミア「はぁ…まぁいい、後で調べるよ」

ランジュ「作曲ルームから出て新入りの顔を見るなんて珍しいわね、ミア」

ミア「僕の作る曲に合うレベルか見に来ただけ」

ランジュ「…で、どうだったのかしら?」

ミア「及第点ギリギリ…かな…ま、僕のレベルの曲を歌うにはまだまだだけどね」

 

しずく「…は、はいっ!精進します!(…峻さん…私、ついていけそうにありません…)」

栞子「…………………………」




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164話

無事、せつ菜ちゃんを救い出し
アイスを垂らして舐め回しました(あかん)


【学食】

 

そこに招かれざる客…いや、普段来ないであろう生徒がやって来た。

 

ランジュ「へぇ、ニシガクの学食ってコンパクトなのね」

女子生徒A【見て、ランジュさんだ…】

女子生徒B【珍しい~…】

 

ランジュ「ニーハオ、それは何かしら?」

迷うこと無く…ランジュは俺らの席に来た。

 

 

ランジュ「…これ、日替わりランチってやつかしら?」

話しかけてきたが…俺は無視を貫いた。

 

ランジュ「貧相ねぇ…2、3品くらい足りないんじゃないかしら?

って、そんなことはどうでもいいわ…うちの部に入ったしずく…最近すごく伸びてるのよ?まぁ、ランジュの親友だから当然だけど♪」

「………………………………………」

 

ランジュ「愛も果林も栞子も…みんな凄い成長スピードよ

最新の設備と最新のメニュー…なにより、このランジュがいるんだもの」

「…………………………」

 

ランジュ「…話、聞いてるのかしら?」

「…………………………………」

 

ランジュ「…っ!!!!!」

癪に障ったのか…ランジュは置いてあったグラスをこちらに放った。

 

歩夢「峻くん!!!」

エマ「……やりすぎ、じゃないかな…」

 

「…エマ!歩夢!」

俺の声に肩を上げて驚く2人。

 

「…大丈夫だ、構わねぇよ」

ぽたぽたと雫が滴り落ち…ワイシャツの肩の部分が濡れていた。

 

かすみ「先輩を怒らせたら怖いですからね…知りませんよ…」

彼方「しゅ、峻くんっ…タオルタオル…!」

 

ランジュ「…ふんっ」

愛「おっ、なんかお話中?…って、峻!?」

果林「ちょっと…ランジュ、これは一体…!?」

 

止める果林を他所に…そのままランジュは食堂を後にした。

「…まっ、水も滴るいい男ってやつだろ?」

かすみ「確かに先輩はいい男ですけど…風邪引かれたら困りますから~!」

 

愛「…大丈夫?峻…」

「あはは、喧嘩売ったら売り返されたわ」

 

果林「まったく…そういう所は峻らしくないんだから…」

菜々「色んな意味で…パワフルな方でしたね…」

 

エマ「峻くん…着替える?」

歩夢「私、食器片付けてくるね!」

 

果林と愛を見ないようにか…エマと歩夢はその場を後にした。

 

愛&果林「……ん、んん…………」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

愛「…ちょっと、アレはないって…」

ランジュ「ランジュをコケにするからよ、当然の報いよ」

 

果林「…よく峻も怒らなかったわね…」

愛「…………………」

 

ランジュ(しずくも栞子も…愛も果林も…口を開いたら、峻…峻って…気に食わないわね…)

 

 

────────────────────────

 

【スクールアイドル部 練習場】

 

しずく「…ランジュさん達、遅いですね」

栞子「えぇ、どこで道草を食べてるだけだと思いますが…

それより、しずくさん…何か不自由してる事、ありませんか?」

 

しずく「不自由だなんて!ここは何でも揃ってますし────」

栞子「そうではなく…同好会の事についてです」

 

しずく「……………………………」

栞子「いつも聞こえる…あの人の声が聞こえない…そんな風に思ってませんか?」

 

しずく「…お見通しなんですね……はい、少し…思っています」

栞子「2人きりの時くらい…胸の内に秘めた思いくらい、聞きますよ?」

しずく「ありがとう…栞子さん

…栞子さんは…寂しくないの?」

 

栞子「…寂しくない…と、言ったら嘘になってしまいますね」

しずく「………………」

 

栞子「あの方の存在は…太陽のような物…でしたから」

しずく「…栞子さん…」

 

愛「あーっ、何か内緒話~?」

栞子「…ふふっ、内緒話なんかじゃありませんよ

何か不自由してないか、聞いてるだけですよ♪」

 

果林「ここにそんな物あるわけないわよね?」

しずく「えっ?……あ、は、はいっ…そう、ですね…」

 

ランジュ「当たり前でしょ、ランジュが揃えたのよ?

ここ以上に優れた環境があると思う?」

しずく「そ、そうですよね!」

 

ランジュ「それに、完璧なパフォーマーがいるし、最高じゃない!」

しずく(…峻さんの歌声…聞きたいな…)

 

 

ランジュ「…さて、栞子?ライブの許可証書きに行くんでしょ?」

栞子「それを待ってたんですよ…全く、道草ばっかり食べるんですから…」

 

そう言って2人は練習場を後にした。

 

しずく「…ライブ…」

果林「しずくちゃんの言いたいことは分かるわ」

愛「…んー…ランジュにも言ってるんだけど…ねぇ…」

果林「ランジュの1番は…同好会の皆が部に来るのが1番…らしいわ」

しずく「…そう、ですか…」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【放課後】

 

彼方「ほえ~…スクールアイドル部のライブ…入れないくらい人気なんだね~…」

せつ菜「えぇ…それに、今後ライブの回数も増やす…との事です」

歩夢「何だか…本当に、すごいね…」

 

「敵も本腰入れてきたってことだろ」

かすみ「悔しくないんですか…」

 

「かすみ」

かすみ「…ぁ…っ…は、はいっ…」

 

「…俺が悔しくないとでも?」

かすみ「…ごめんなさい」

 

「…はぁ、いやごめん…そんな風に言うつもりは無かったんだ

それに…俺は負けたとか負けるとかこれっぽっちも思ってないさ

必ず勝てるし…同好会が1番だ」

せつ菜「ですが…今のままでは同好会の存在自体が忘れ去られる可能性も…」

 

歩夢「私たちにできること…ゲリラライブの回数を増やす…?」

彼方「あとは…部の方が何で人気なのか…詳しく考えてみる必要もあるよね~…

彼方ちゃん達になくて…向こうにあるもの…峻くん、なんだろ…?」

 

「設備とか…プロのサポート…だろうな

んだけど、それがあれば完璧だし絶対ではないと思うけどね」

 

せつ菜「ですが、舞台装置や演出は流石の一言でしたね…」

「あんなん、邪道さ…スクールアイドルらしさもない」

 

歩夢「パフォーマンスのレベルの高さも…」

「そうか?俺は見てて飽きるけどな」

 

エマ「あ、あはは…峻くん…全否定だね…」

「自信の表れ…って言ったところか?」

 

彼方「事実…彼方ちゃんは今の同好会と峻くんが好きだしね~…♪」

歩夢「うん!峻くんが居てこそのスクールアイドル同好会であり私たちだもん!」

 

璃奈(今頃…部がライブ中なのは…ううん、言わない方がいいかも…)

かすみ「って!しれーっと腕に抱きついてないで、離れてくださいよ~!」

エマ「まあまあ…」

エマによるハグ攻撃を受けつつ、かすみはじたばたと暴れた。

かすみ「もが、もがが~!!!」

 

 

────────────────────────

 

 

【講堂】

※しずく視点

 

ランジュ「今日のライブはこれでおしまい!

でも、無問題ラ!直ぐに次のライブをやるわよ!♪

いい子で待ってなさいっ」

 

しずく(…先輩…見に来てくれて…無い、よね…)

…ねぇ、先輩……先輩から見て…私は…成長してますか?

…私のライブは…もっと…もっと…。

 

 

しずく(私の声は…ちゃんと…届いてるのかな…

…はぁ…なんでこんなこと考えてるんだろ…部に移ったのに…こんなこと…ばかり…)

違う…私は…成長してる…。

私の進んでる道は…間違って………ない…。




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165話

せつ菜ちゃんしか勝たん


しずく「えっ……前回使った曲…使わないんですか!?」

ミア「ん、だから忘れて」

 

しずく「…ど、どうして…っ!?」

ミア「もっといい曲を作るから、アレはいらない」

 

しずく「…そん、な…」

ランジュ「何かしら、事切れるような声を出して…」

しずく「…あ、いえ…まさかソロ曲を1回しか歌わないんだって…」

ランジュ「あぁ…その事?無問題ラ、ミアがとびきりの新曲を作ってくれるわ」

 

ランジュ「後で聴かせるけど、いい感じの曲が上がったのよ

あのクオリティならパフォーマーの血が騒ぐと思うわ」

ミア「…あ、それ?…デリートしたけど」

 

ランジュ「…は?」

ミア「一晩いじってみたけど、納得いかない…だからデリートした」

しずく「…あ、あのっ…それでも聞いてみたかったのですが…」

 

ミア「…完璧なもの以外、存在意義のないメッキの物」

ランジュ「…ま、ミアの好き勝手にしなさい」

 

ミア「じゃ、そう言う事だから」

そのまま、作業スペースに籠ってしまったミア。

そして、ため息交じりで練習に戻ったランジュ。

しずくは一人…取り残されてしまった。

 

しずく「…なんだか…色んなことのスケールが違う…

やっぱり、この環境で活動することは…特別だよ、うん…きっとそう…」

しずく(…でも…)

少し震える手で、しずくはメッセージを送った。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

せつ菜「さてっ、ゲリラライブに向けての作戦会議ですよ!」

かすみ「…あれ、峻先輩は?」

 

歩夢「何か携帯を見ながら怖い顔して席を外したけど…」

エマ「…すぐに帰ってくると思うけど…」

 

彼方(…ちらっと見えたけど…メッセージの相手は…しずくちゃんだったような気が…)

璃奈「…彼方さん、どうしたの?」

彼方「ううん、なんでもないよ~♪」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【カフェ】

 

 

しずく「…あっ」

先に到着して座っていたしずくはこちらを見ると姿勢よく立ち上がった。

 

「あぁ、いい…そのままで」

しずく「…はい」

 

弱々しく座り直すしずく。

俺も対面で座り…飲み物を注文した。

 

「…しずくが呼び出すなんて、久しいな」

しずく「…すいません…突然…」

 

話の途中で運ばれてきた飲み物を俺はかき混ぜながら話を続けた。

「…苦しい…って?」

しずく「…っ…」

 

しずくから来たメッセージの内容はこうだった。

【スクールアイドルをするのが…苦しい…】と。

 

「…その顔、なんかあったんだな?」

しずく「…はい」

「…聞かせてくれる?」

しずく「…分かりました」

 

 

────────────────────────

 

 

 

かすみ「監視委員に負けない秘策を講じます!」

璃奈「既に偽の情報を流し済だよ」

 

彼方「情報って…見たけど…沼津でゲリラライブをやるって…監視委員の人たちも嘘ってバレんじゃないかな~…?」

璃奈「でも、本当にやったら…?」

彼方「…なるほど、ライブ前日の朝とかに押し入ってくるかも…」

璃奈「色々情報を錯綜させてるとこだよ♪」

 

歩夢「もっと見に来てくれたファンのみんなのために真ん中でステージするってどうかなっ?」

かすみ「あ、面白そうですー!♪」

 

エマ「賛成賛成!皆で輪になって歌いたい~!♪」

せつ菜「エマさんにピッタリのアイデアですね!」

 

彼方「じゃあ、彼方ちゃんは真ん中で寝ちゃおうかな~?」

歩夢「みんなに見守られながら?」

彼方「お姫様みたいでいいかも~♪」

 

せつ菜「なら、私は来てくれた人達のハートを熱く────」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

「…そうか、そんなことが…」

しずく「…すいません、部の事なのに…先輩に話を聞いてもらうなんて…」

 

「…なぁ、しずく?」

しずく「…あっ、は、はいっ…?」

 

「1度さ、ゲリラライブを見に来てくれない?」

しずく「ゲリラライブ?…同好会の…ですか?」

「あぁ、しずくが求めてる答えがそこにあると思っている」

 

小指を差し出し…俺はしずくと指切りげんまんをした。

「…来る来ないは…もちろん、しずくの判断だ

…だけど、俺は来てくれるって信じてるからな」

 

そう言って俺は1000円札をテーブルに置き、立ち上がった。

「…話してくれてありがとうな、しずく」

しずく「…先輩…」

 

 

────────────────────────

 

 

「おまたせ、みんな…話し合いは進んだ?」

 

せつ菜「あっ、お待ちしていましたよ!」

かすみ「先輩先輩っ!シャゼリアキッスをもじって~…

ニジガサキゼットって戦隊モノはどうでしょう!?♪」

 

「うん、却下だね」

かすみ「えぇ~っ!?」

 

彼方「じゃあ~…彼方ちゃんステージですやぴするから…膝枕して~…♪」

「…寝込み襲うぞ」

彼方「きゃ~っ♪///」

 

歩夢「峻くん…」

璃奈「峻さん…」

 

「う、嘘だからな!?」

エマ「じゃあ、皆で手を繋いで歌おうよ!♪」

「お、それはいいね」

 

次のゲリラライブの提案をしつつ…

俺はしずくが見に来てくれるのを心待ちにするのであった。




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166話

Twitterでは予告したんですが

リエラの新作小説
【We are The Super STAR!**】

頑張ります。


そして、ゲリラライブ当日がやってきた。

(…しずくはまだ来ていないな)

 

もしかしたら……いや、アイツはきっと来てくれるはず。

かすみ「先輩、キョロキョロしてどうしたんですか?

…あっ、もしかして監視委員が来るか見張ってるんですか?」

 

「それもあるけど……ライブ終わり…おっもしれぇ事になるぞ」

かすみ「…???」

 

首を傾げるかすみを他所に…俺はニヤリと笑った。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【屋上】

 

 

???「前回よりは…見に来てくれる人いるみたい…良かったぁ…」

「そうだな、しずくも来てくれてるしな」

 

???「ひゃんっ!!!…せ、先輩っ?」

「…約束、守ってくれたんだな」

 

しずく「…先輩との、約束ですから…

ですが、部の環境やその中で経験を積んだライブより…ゲリラライブは…」

「疑ってる?」

しずく「…よく、わかりません…」

 

「ん、まぁ見てあげなよ…親友のライブをさ」

しずく「…えっ…?」

 

 

かすみ「はーいっ、みんなお待たせしました~っ♪

みんなのお姫様!

そして、かすみんワンダーランドお姫様、かすみんだよ~っ♪

今日は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のゲリラライブに来てくれてありがとう~!」

 

しずく「…かすみさん…」

かすみ「あっ、そこの貴方!前回も来てくれましたね!♪

他にも見たことある人がたっくさん!本当にありがとうございます!♪」

 

しずく「………………」

かすみ「はじめましての人も!顔覚えたので、次来てくれなきゃ

かすみん泣いちゃいますよ~♪

かすみんは今日も、みんなのために精一杯歌います…!

声を出して、一緒に盛り上がりましょうね~!」

 

しずく「…かすみさん…前よりMCが上手くなっている…」

かすみ「それじゃあ、最初の曲は~!」

 

 

かすみがライブを始めようとした時…俺の背後に人の気配を感じた。

「…まっ、来るよな…そりゃ」

 

右月「…こちらの言いたいことは…分かりますね?」

左月「…桜坂しずくさん、貴方まで…」

 

しずく「……………」

「…はい、そうですか…と、こちらも素直に応じる訳にはいかないんだ…分かるよな?」

 

右月「…そうですか、なら…実力行使をさせていただきます」

監視委員の片方が首にかけたホイッスルに、口を付けようとした瞬間だった。

 

しずく「…待ってください!」

右月「…っ…!?」

 

しずく「…私の顔に免じて…ここは…引いてください、お願いします」

右月「…その発言…どういう意味か、お分かりですか?」

しずく「…はい」

 

右月「…行きましょう、左月」

左月「えっ、あ……わ、分かりました…」

 

最後に睨まられたが…監視委員の2人はその場を後にした。

 

「…お前…」

しずく「…えへへ、ちょっと…忙しくなっちゃいますね…」

「お前、監視委員の2人がランジュの耳にでも入れたら…」

しずく「…その時は…先輩…」

 

ギュッと抱きつくしずく。

しずく「…先輩が…守ってくれます、か?」

「…当たり前だろ…」

 

しずく「…ありがとう、ございます…♪

…では…私は…ゲリラライブの続きを見ますね」

 

じっとステージを見るしずく…。

しずく(…今、音外れた…ダンスも…私の方が上なのに…)

 

「…部のやり方が間違ってるとは思わない…けど…だろ?」

しずく「……」

静かに頷くしずく。

 

しずく「私だって…上手くなったんです…

できるようになった事だって…沢山あるんです…」

「…でも、その目は…」

 

しずく「…どうして…それなのに、どうしてこんな気持ちになるんですか…」

かすみ「ありがとー!

かすみん、みんなからのカワイイ、いーーーっぱいもらったので

ますます可愛くなりますよー!」

 

しずく「…うん、今のかすみさん…凄く可愛いよ

かすみさんにはわかってて、私には分からないこと…あるんだ…」

 

「…しずく…」

しずく「…かすみさんって、すごいな…」

 

「しずく、お前は…」

しずく「…ライブ中…かすみさん以外見えなくなっちゃった…」

 

「…そばに居るのに愛おしいって…こんな感じなんだな」

しずく「…私、かすみさんの心の声が聞こえたんです

もっと、もっと可愛いって言っていいんだよーーーって…

見て見て、構って~って…」

 

「…なんか分かった顔してるな?」

しずく「ふふっ…かすみさんはワガママってことが分かりました♪」

 

しずく「…先輩…どうして、同好会のライブは凄いんですか…?」

「''想いの力''…かな?」

 

しずく「…想いの…力……っ…!!!」

何かを言いたげだったしずくは、グッと堪えて…走ってその場を後にした。

 

 

「…さ、あとは本人の気持ち次第…だな」

 

 

────────────────────────

 

 

【部室】

 

 

ランジュ「……それ、本当なの?」

 

右月「は、はいっ…確かに!」

左月「しずくさんが…そう言ってました…」

 

ランジュ「…そう…いいわ、下がりなさい」

右月「…し、失礼します…」

 

栞子(しずくさん…やっぱり…)




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167話

29章が配信されましたが…ぼっかぁ、せつ菜ちゃんとにゃんにゃんしてます


右月「あの、ランジュさん…」

 

ランジュ「あら、どうしたの?ゲリラライブの抑止に失敗したのかしら?」

右月「いえ…そうではなく…少し小耳に挟んでおきたい事が…」

 

ランジュ「なによぉ、改まって…」

左月「………………」

 

栞子「…左月さん、どうしましたか?」

左月「い、いえっ、なにも!」

 

愛「なになに?井戸端会議~?」

果林「話からすると…同好会の事のようだけど…」

 

右月「…実は…………」

 

 

 

─────────────────

 

 

ランジュ「…ふぅん、しずくがねぇ」

 

話を聞いていくにつれ…ランジュの顔が険しくなっていった。

 

右月「ま、まだ断定出来た訳では!

それに、あの同好会の部長にそそのかされているだけかも…!」

ランジュ「しずくは1人で物事を判断することくらい出来るわよ」

 

栞子「…ランジュ…一体、どうする気ですか?」

ランジュ「日本で言うところの…腹を割って話す、それだけよ?

2人とも、しずくを探してきてちょうだい」

 

右月「は、はいっ」

左月「………………」

 

 

愛(しずく…いよいよ、手を打ってきたって感じだね…)

果林(気持ちは分からなくはないわ…でも…今は悪手としか思えないわ…)

 

 

────────────────────────

 

 

その日、監視委員がしずくを探したが…しずくは見つからなかった。

それもそのはず…先を見越して…峻はしずくを連れて学園の外を歩いていた。

 

「…思い詰めた顔してるな」

しずく「…なんだか…今日は眠れそうにありません」

 

「…なぁ、しずく?一つ質問、いいか?」

しずく「…はい、なんでしょう?」

 

「しずくの望む…''スクールアイドル''って、何?」

しずく「…私の…望む…………………」

 

その質問に、しずくは答えられなかった。

しずく「…ごめんなさい、分かりません…」

「だろうね、そう言うと思った」

 

しずく「…ミアさんも…素敵な曲を作ってくださって…

…でも、何かが違う気がするんです…完璧なんか…要らないんじゃないかって…

私がどう表現して…見てくれる人達にメッセージを届けるのかが…重要なんじゃないかって…

 

そう思って…かすみさんのライブを見てると…何だか、自分がちっぽけに見えてきて…」

 

「…正解だ、しずく…何なら、大正解だ」

しずく「…えっ?」

 

「完璧なんか要らねぇよ…求めるものでもないさ」

しずく「…で、ですが!完璧だからこそ、パフォーマンスも…っ!!」

 

「完璧な曲、歌、振り付け、演出…確かに見てる人達は凄いと思うだろう…だけど、それで人の心は動くと思うか?」

しずく「…それ、は…」

 

「結局はな、しずく…ここなんだよ、ここ」

そう言って俺は自分の胸を叩いた。

 

「ゼロからイチに努力して積み上げたものに人は感動するし共感もする…最初から完璧に出来るやつなんていないだろ?

みんな努力をするもんさ

こだわらなくていいんだよ、そんな固い考えに

俺はそんな努力してるみんなの姿を見たいし、支えたいんだ」

 

しずく「…先輩は…曲を作る時…どんなことを考えてるんですか?」

「…俺?…そりゃ、皆のことを考えながらに決まってるだろ?」

 

しずく「…もっと、具体的に言うと…?」

「具体的に…かぁ…んでも、同好会のメンバーのことは…誰よりも知ってるからこそ、考えて書けるって言うことくらいしか…

ほら、歩夢は頑張り屋さんとか」

 

しずく「…それは、そう…ですが…」

「ああやって、コツコツ努力し続ける所が俺は好きだ

例え時間がかかっても諦めない心がな」

 

しずく「…」

「かすみはさ、一歩進んで五歩くらい下がる時もあるけど

なりたいものに向かって頑張って真っ直ぐで…そんな目を見たらさ…頑張りたくなっちゃうじゃん?」

 

「…んで、しずく…お前だが」

しずく「…わ、私…ですか?」

 

「一途だよな、しずくは」

しずく「…え?」

 

「自分の中にある理想を大事にしてる…それがいいときもあれば悪い時もある…けど、自分で考えて動けるのはしずくの武器だと俺は思っている

…ただ、前から見てる身とすれば…頑張りすぎてるところが心配かな」

しずく「…そ、そうでしょうか…?」

 

「俺といる時も敬語を崩すクセに」

しずく「…そ、それはっ…!」

 

「…ん、話が逸れたな……まぁ、とにかくそれだけ皆のことを知っていて思ってるから…俺は曲が書けるんだ」

しずく「……腑に落ちませんが…」

 

「…もっと言うなら、あんな…ミア~…だっけ?

あんな風に曲を作る方が無理よ、無理無理…10年かかっても無理だわ

理論とかセンスとか…どうも性に合わなくてな

俺にあるのはスクールアイドルが…同好会のみんなが好きって気持ちだけさ、それだけは誰にも負けんよ」

しずく「…先輩」

 

「それにさ?曲ってもんは皆の各々の魅力を詰め込んで

やりたい事とか聞いて、どんな風にするのか考えて作るもんじゃん?

しずくにも、聞いた事とかあったけど」

しずく「あっ…そうでした…!

先輩はどんなわがままもいっぱい聞いてくれました…!」

 

「…まぁ、あん時は…インタビューじゃなくてしずくの事ばっかり聞いてたけどな…」

しずく「…私を応援してくれる人の…先輩の気持ちに…私の全力で応えたい…」

 

「…ん?」

しずく「…分かりました…先輩…」

 

「…うん?」

しずく「…先輩は、本当に私のことを思って曲を作ってくれたんだって…」

 

「俺はそれしか出来ないからな」

しずく「…今になって…それが、すごく嬉しくて…」

 

しずく「…一緒に楽しむ…これが、大切なこと…!」

「…あぁ、かすみは、自分の想いを真っ直ぐにぶつけてきて…

それが、見てる人の心動かして一生懸命応援したくなる…そんな思いでライブをしてるんだ」

 

しずく「…私、皆の声を…聞きたい…

自分の想いを…伝えたい…っ!!!」

「…しずく」

 

しずく「…ありがとうございました…先輩」

学園へ戻ろうとするしずく。

 

「ど、どこに行くんだよ…!?」

しずく「…自分で蒔いた種です…自分で、けじめをつけてきます」

「…けじめって…」

 

 

歩き始めるしずくを…峻は止めることは出来なかった。

…いや、止めなくても大丈夫…と、思っていたのだろうか…?

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

【部室】

 

 

ランジュ「…わざわざしずくの方から来るってことは…何か言うことがある…って、ことかしらね?」

 

しずく「…身勝手な行動…すいませんでした!」

深々と頭を下げるしずく。

 

ランジュ「…何か考えがあるって顔、してるわね?」

しずく「…考えは…ありません」

 

ランジュ「…へぇ?」

しずく「…ですが、次のライブへの…ヒントは…見つけることが出来ました」

 

ランジュ「…そ、なら今回は不問にするわ

次のライブで自分が見つけた答えを出しなさい」

しずく「…はい、ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【部室の外】

 

愛「ちょっ…しずくしずく!」

しずく「愛さん…それに、果林さんに栞子さんも」

 

果林「…私達には…隠さずに言って欲しいわ」

栞子「何か…思ってることがあるのでは…?」

 

しずく「……ふふっ…」

愛「…ぁ…しずく…?」

果林「しずく…」

栞子「しずくさん…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しずく「…私は────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口を開いた瞬間…3人は言葉を失ったのだった。




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168話

スクスタのホーム画面でせつ菜ちゃんの水着が流されたようで
手で隠しているんですが、バクですかね?ご褒美ですかね?
(かなり強めの幻覚)


歩夢「今日もスクールアイドル部のライブがあるみたいだね…」

かすみ「ふんっ、いつも通りかすみんたちもゲリラライブに勤しみますよ!」

 

「…あ、璃奈ちょっといいか?」

璃奈「どうしたの、峻さん?」

「今日の音源のリスト…見せてくれない?」

璃奈「…これだけど…どうしたの?」

 

「…よし…ここにこの曲を…っと…」

璃奈「…えっ、峻さん…これって…」

「…しーっ、まだみんなには内緒だ」

 

…さて、お膳立ては整ったぞ…しずく。

 

 

────────────────────────

 

 

【一方部活の方は】

 

 

ランジュ「さっ、今日もランジュの完璧なライブでファンを虜にしてやるわ♪」

 

右月「た、大変です~!」

ランジュ「本番前よ、どうしたの?

…あぁ、同好会のライブかしら?いつものように────」

 

左月「し、しずくさんがいません!」

ランジュ「…しずくが?どうして?」

 

右月「わ、分かりませんが…」

ランジュ「…果林、愛、栞子…何か知ってるわね?」

 

栞子「…いえ」

ランジュ「はぁ、まぁいいわ…ライブにはイレギュラーは付き物よ

今回はしずく抜きでやるわ」

 

果林「…………」

愛「…………」

 

 

────────────────

 

【前話に遡る】

 

 

しずく「…私は──────」

 

栞子「…ライブを…」

愛「ボイコット…」

果林「するですって…!?」

 

 

しずく「…はい、もう決めました…

私は…私のしたいこと…成長する場所は…同好会しかないと

気づきましたから…」

 

愛「そ、そんなことしたらランジュが黙ってないよ~…!?」

しずく「もちろん、承知の上です…ですが、決めた以上…私にも譲れない物は…ありますから…」

 

果林「…しずく」

しずく「…はい」

 

果林「貴女が決めた事なら…アタシは背中を押すわ」

愛「か、果林も~…!」

 

果林「何かあるかもしれないから…峻に守ってもらいなさい?」

しずく「…はいっ、ありがとうございます」

 

栞子「…しずくさん…(やはり、峻さんの影響力は…いえ、しずくさんだけが思ってることではないはずです…果林さんや…愛さんも…)」

 

 

──────────────────────

 

 

愛「ラ、ランジュ…っ!」

ランジュ「どうしたの、愛?そんなに深刻そうな顔をして」

 

愛「…実は…しずくは…っ!」

果林「…ボイコットしたそうよ、ライブを」

 

ミア「What's up?!ボイコットだって?!」

ランジュ「…ふーん…同好会の…さしずめあの男ね、なるほど…」

 

栞子「…どうするつもりですか?ランジュ…」

ランジュ「反撃よ、同好会のライブに出向いてやるわ

半端なライブしてたら、しずくをまた連れ戻すわ」

 

愛「…あちゃ~…っ!…か、果林~…!」

果林「大丈夫よ、愛…既に勝負はついてるわ」

愛「…え?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【同好会ゲリラライブ前】

 

彼方「…部の方のライブの音…聞こえないね?」

エマ「急遽中止…とか?」

 

「はいはい、部の方は気にしないの!…さて、今日のトップバッター…だが…」

 

かすみ「はいはーい!かすみんこそ────────」

「ダメ」

かすみ「えぇ~っ!!??」

 

せつ菜「なら、私ですね!情熱の赤い炎でボルテージ上げてきま──」

「ダメ」

せつ菜「な、何故ですかっ!?」

 

「と、言うのもな…トップバッターは決まってるんだ」

「「「……えっ?」」」

 

しずく「…………………みなさん…」

かすみ「し、しず子…!!」

 

彼方「しずくちゃん…ど、どうしたのさ~…???」

エマ「峻くん、これって…」

 

「本人なりに気がついた…それだけだよ

部なんかより、同好会の方に…大事なものがあるってな」

璃奈「それでしずくちゃんの曲を一番最初に入れたって事だったんだ…」

 

「どうせ、招かれざる客も来てるしな」

ランジュ「……………………」

 

かすみ「げぇっ、ランジュ!!」

ランジュ「随分と派手な事してくれるわね」

「俺は相談に乗っただけだ、唆すことなんてこれっぽっちもしてないさ」

 

ランジュ「…ふんっ、見なくても結果なんか分かってるわ

しずくを部に連れ戻すわ…必ず」

「…果たして、できるかな?」

 

栞子「…すいません、事を大きくしてしまって…」

歩夢「栞子ちゃんが謝ることじゃないよ」

 

エマ「……………」

果林「…エマ…」

愛「…い、行こ…果林…」

 

 

 

「…さて、こんな状況だけど…しずく、ライブできるか?」

しずく「…はい、大丈夫です!」

かすみ「ま、待って!」

 

しずく「…かすみさん…」

かすみ「…まだ…戻ってくるのを…許したわけじゃない…けど…

ライブ見て…かすみんは答えを出す…から…」

 

しずく「…うん、それでいいよ…でも、これだけ言わせて

峻先輩に相談乗ってもらった事もあるけど…

大事な事に気付かせてもらったのは…かすみさんのおかげだよ」

かすみ「…えっ?」

 

しずく「…だから…私の全力を…見ててね、かすみさん」

そう言うと、しずくはステージに上がった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

しずく「みなさん、こんにちは…桜坂しずくです

私は演劇が大好きで、表現が大好きで…

まるでお芝居を見てるかのようなステージを作りたいと思っていました

 

私自身が…物語のヒロインになって、みんなに最高の物語を届けたい

そう思いながら…ずっと、やってきました

 

…でも、私…分かったんです!

私はただ、物語のヒロインになりたかったわけじゃないって

私は…''あなたのヒロイン''になりたいんです!」

 

ランジュ「…しずく」

栞子「しずくさんが、ずっと胸に留めていた想いです」

 

ミア「……」

栞子「本人のやりたい事や個性…それをハナから否定するのではなく

峻さんは聞いて…考えて…一緒に表現する

それが同好会の強みであり…魅力なんです」

ランジュ「…そんなこと…」

 

「…璃奈、音の用意」

璃奈「いつでもいけるよ」

 

しずく「…聞いてください、私の想いを…

そして、聞かせてください…あなたの心を…!

''あなただけの理想のヒロイン''!!」

 

 

 

────────────────────────

 

 

大歓声の中…息を切らしながら…しずくは見てくれていたファンにお辞儀をした。

 

ランジュ「………………」

栞子「ランジュ?しずくさんがステージを下りますよ?」

 

ランジュ「……………………………」

栞子「ランジュ?」

 

ランジュ「…っ!……わ、分かってるわよ!」

栞子(…惹き込まれていた…?…あのランジュが…)

 

愛「…あっ、ちょ、ミア!どこ行くの!」

ミア「BE QUIET!どこだって勝手でしょ!」

 

果林「…焦ってるように見えたのは…アタシだけかしら?」

愛「…うん、なんか…握った拳が震えてたような…」

 

ミア(…くそっ…何でだ…何で…こんなにも胸が熱くなってるんだ…!!)

 

 

────────────────────────

 

【ゲリラライブ終了後】

 

 

「お疲れ様、しずく…最高だったよ」

しずく「あ、ありがとうございます!」

 

かすみ「………」

しずく「…かすみさん…」

 

目を逸らしながら…手を差し出すかすみ。

かすみ「…やっぱり…」

しずく「…えっ?」

 

かすみ「やっぱり…同好会に1番のライバルが居ないのは…寂しいし…

それに、しず子のライブ…もっと見たいし…」

しずく「…かすみ…さん…っ!!!」

 

握手よりも先にかすみに抱きつくしずく。

かすみ「ちょっ、しず子~!!」

 

エマ「しずくちゃん、期待して…いいんだよね?」

歩夢「同好会に戻ってきて…くれるの?」

 

しずく「…あっ…もちろん…同好会の皆さんが許してくれるなら…ですが…」

彼方「水臭いよ~!大歓迎に決まってるじゃん~!!

おかえり、しずくちゃん!」

 

せつ菜「こんな素敵なサプライズ…流石、峻さんです!」

「昨日な、しずくから部のライブをボイコットするって聞いてな

なら、見せつけろよって同好会のステージに立って部のヤツらにってな

…あ、璃奈には曲を入れる時にバレたけどね?」

 

歩夢「それならそうって教えてくれればよかったのに…!」

「…ま、タイミングを見計らってたってのもあるけどね?」

 

 

 

 

ワイワイとしずくを中心に話す輪ができてる中…かすみが俺の横にピタリと張り付いた。

 

かすみ「…ありがと、先輩」

「…え?」

 

かすみ「本当はね…心のどこかでかすみんも思っていたんです

同好会には…かすみんの横にはしず子が居て欲しいって

でも、考えれば考えるほど…涙が出そうになって…

見て見ぬふりして…振舞ってた」

「…そっか、泣いてもいいんじゃない?雨降って地固まるって言うし」

 

かすみ「…先輩………ぅ…ああああっ…!!」

「…よしよし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子「…同好会の方に顔を出さなくて良いのですか?」

ランジュ「過去は振り返らないわ…しずくが同好会に戻った…それだけの事よ」

 

栞子「…そう、ですか…」

ランジュ「それより、もっとトレーニングを重ねるわ

今の2倍…いや、3倍はやり込むわ

…これ以上、負けてられないのよ…ランジュは」




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169話

???「セツナチャンヲアイスルヤバイヒト~…♪」

「はっ!!!!!…なんだ夢か」


ランジュ「曲が書けないって…どういうこと!?」

ミア「BE QUIET!!書けないものは書けないの!」

 

愛「お、落ち着いて~…っ!」

ここの所、部の様子がおかしい…どこかミアの機嫌が優れないのだ。

ランジュ「そうね、時間の無駄だし…走ってくるわ」

栞子「あ、待ってください、ランジュ!」

 

ミア「…部屋に籠ってる、作曲はしないけど…」

果林「ミア…」

 

愛「…最近、ミア…痩せた?」

果林「あの子はまだ…14歳よ…食べなかったり無理したりして倒れたりでもしたら…!」

 

愛「なんか…果林、お母さんみたいだね?エマっちに似てきたかも」

果林「ええっ!?…も、もう!茶化さないで!」

 

愛「…でも、様子を見守るしか…出来ないよね、愛さん達は…」

果林「…えぇ…」

 

 

 

──────────────────────

 

【校庭】

 

栞子「待ってください、ランジュ!」

ランジュ「なによ、ランニング付き合ってくれるの?」

 

栞子「…あの、焦ってませんか?」

その一言に、ランジュの顔が険しくなった。

 

ランジュ「アタシはランジュよ、そんな事あってたまるものかしら?」

栞子「…あ…いえ…」

 

ランジュ「…少し1人にさせてちょうだい」

栞子「…ランジュ」

 

ランジュ(演出家との打ち合わせも完璧…ミアもランジュが選んだ超天才…一点の曇りもない、はずなのに…どうして…!!)

 

 

 

────────────────────────

 

 

【一方その頃】

 

かすみ「しゅーんせーんぱいっ!♪

この前のゲリラライブのSNS、凄いことになってますよっ♪」

ここぞとばかりに膝の上に座るかすみ。

 

「…大多数はしずくのこと書かれてるよ?」

かすみ「そ、それはトリを取られたから~!!」

 

しずく「はいっ、という事で峻先輩の膝の上はかすみさんの座るところではありませんよ♪」

そう言ってかすみをどかすしずく。

 

かすみ「あーんっ!」

彼方「いいのかい、歩夢ちゃんや」

歩夢「な、なんで私の方を見るのっ!?」

 

せつ菜「相変わらずのモテモテっぷりですね!」

璃奈「周りの目が…すごい…」

 

忘れていたが、ここは普通の飲食店…いつからこんなアグレッシブになったのだろうか?

 

エマ「同好会の方がいいかも…か…

うんうん、そうだよねっ!♪」

かすみ「当たり前じゃないですか~!峻先輩がいるんですよっ!♪」

 

「俺はなにもしてないけどな」

しずく「もう、謙遜しすぎだよ?」

「え?」

しずく「へっ?」

 

 

彼方「まあまあ、この調子で活動するぜ~♪」

せつ菜「でも、スクールアイドル部とはまだまだ比較されますね…」

 

璃奈「スクールアイドル部の方がクオリティが高い…

同好会は素人同然…璃奈ちゃんボード…''ガーン''」

「物事の善し悪しが分からない奴の言い分なんか放っておけ?」

 

歩夢「でも…クオリティが高いのは本当だよ?

やっぱり、部はすごいもん…」

かすみ「歩夢先輩もしょんぼりしちゃダメですー!

こんなこと書かれて悔しくないんですか?かすみんは悔しいですよー!

かすみん達が部の方に負けてるなんて思えませんもん!!」

 

「不安になるのは分かるよ、人間だしな

でも、俺がいる限りそんな不安は吹き飛ばしてやるよ

大船に乗ったつもりで信用してみ?」

歩夢「…峻くん…///」

 

彼方「…おや、エマさんや…彼方ちゃんはストレートティーを頼んだはずなんだが?」

エマ「ストレートティーだよ、彼方ちゃん」

 

 

しずく「それに、伸びしろがあるっていう風にも取れますしね♪」

せつ菜「なるほど、アドバイスと捉えると批判的なコメントも見て見ぬふりしなくていいですね」

 

しずく「どんな内容であれ、コメントしてくれてるということは

ちゃんと私たち同好会を見てくれている証拠ですよ」

かすみ「…なんか…しず子…変わった?…熱ある?」

 

しずく「ないよぅ!…もうっ…かすみさんのせいだからね?」

かすみ「えっ、かすみんのせいなの???」

しずく「…ふふっ、分からないなら…いいや///」

 

 

彼方「…エマさんや、やっぱりこれは…」

エマ「ストレートティーだよ」

彼方「…ぐぬう…」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日】

 

「ん、んん~…ありがとな、歩夢…起こしてくれて…」

歩夢「もう、あんまりお寝坊さんはダメだからね?

…ペンで突っついても起きないんだから…♪」

 

「…そんなことしてたのか」

歩夢「…えへへ、可愛くって…つい…///」

 

菜々(…なんですかこのラノベ展開…周りの人達が頭抱えてますよ…///)

 

「あ、璃奈だ」

璃奈「峻さん達、一緒にご飯食べよ」

 

「もちろんだ、行くよな歩夢?」

歩夢「うんっ♪」

 

 

 

 

菜々(せつ菜)も誘い…俺たちは学食に来た。

入口に入ろうとした時…中から大きな音が聞こえた。

 

歩夢「な、なんの音…っ?」

璃奈「何かを落としたような音がしたけど…」

 

菜々「と、とりあえず入ってみましょう!」

中に入ると…そこには…。

 

 

ミア「いきなりグラス落として…どうしたのさ」

ランジュ「…あら、自覚、ないのかしら?」

栞子「心配する気持ちは分かりますが…やり方というものが…っ!」

 

ミア「別に誰も心配してくれなんて言ってないんだけど」

ランジュ「あら、あくまでも悪態をつくのね?

でも残念、アタシはアタシのやり方でやらせてもらうわ

それより、曲はいつになったら出来るのかしら?

…まさか…出来ないとか言わないわよね?」

 

ミア「…曲なら、出来てる…」

ランジュ「あら、そうなの?それなら後で聞かせてちょうだい?」

 

ミア「…っ!」

ふと、俺と目が合ったミアは…怯えるような顔をして逃げるように学食を後にした。

 

栞子「ミア!」

ミア「…部室で食べる…」

 

 

「…取り込み中みたいだし、アッチで食べるか?」

歩夢「え?…あ、う、うん…」

 

菜々(まるで気にも止めない峻さんはいつも通りで安心しましたが…

ミアさんのあの顔は…峻さんを見てなったもの…なのでしょうか?)




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170話

タイツ!タイツ!白ニーソ!白ニーソ!!!(平常運転)


ミア「こんな時間…はぁ…ありえない時間の使い方した…」

 

パソコンをそっと閉じるミア。

ミア「…徹夜で同好会の動画を見続けるなんて…

それに…アイツの目が…あんなにも輝いてるなんて…」

 

その目から…僕は逃げた…?

学生が作った曲にしてはまあまあだけど…所詮素人。

技術もなんもあったもんじゃない…それなのに…どうして…。

 

スっと立ち上がって窓から空を見るミア。

ミア「僕は誰だ…?

僕はミアだ…ミア・テイラーだ!テイラー家の一員でプロの作曲家だ

世界のトップアーティストに曲を提供し続けたんだ!」

 

…それなのに…っ!

なんで、なんでアイツも…世界で有名な音楽家と肩を並べてる…!?

あんな奴の演奏なんて…何にも響かないのに…!

 

ミア「…でも…しずくは、あの曲を選んだ…アイツが作った曲を…」

クオリティの差は歴然…。

誰が聞いたって、僕の方が洗練されている…。

 

ミア「…なのに…なのに、どうしてだよ…!

I just don't get it!!」

 

苛立ちのままに、携帯をベットに投げるミア。

ミア「………………………」

 

ひとつ、大きくため息をつくミア。

ミア「分かりきってる事で悩むのはバカがすることだ…

僕の価値は僕が作る…それだけだ」

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

【屋上】

 

「ゲリラライブの回数を、もっと増やそうかと思ってるんだ」

せつ菜「賛成…ですが、監視委員の目をすり抜けられるでしょうか…?」

 

彼方「それに、ライブが出来る場所も…結構限られちゃうよね~…」

エマ「でも、見に来てくれる人も増えてるし…出来ることなら、やりたいよね…」

 

「あぁ、監視委員なら…大丈夫だよ」

せつ菜「えぇ?」

 

「ま、それは俺の仕事ってことで…な?」

せつ菜「あっ…は、はぁ…」

 

(それだけ形勢も動いてきてるって事だよな…

と言うか、栞子が部の行動をこちらにリークしてる辺りで部の方もバランスが崩れてきてるってことだろうな)

 

「…さて、んじゃライブする場所を押さえる…か

少し待ってろ?」

電話片手に俺はその場を離れた。

 

 

しずく「…敏腕プロデューサーになってきましたね、峻先輩」

彼方「へい、ガール…プロデューサー発言は色々引っかかるぜ…スクールアイドル的に…」

 

かすみ「仕事のできる先輩、かっこいいです〜ぅ♡」

歩夢「か、かすみちゃん!見ちゃダメ~!」

かすみ「うぇえぁああ!?何するんですか、歩夢先輩~っ!」

 

 

「…あ、ちょうどこっちに連絡するつもりだった?OKOK

こちらとしては喉から手が出るくらい欲しかったお誘……なんか騒がしいな…」

 

 

 

 

───────────────────────

 

そして、週末…俺達は都内某所の広場にいた。

 

千歌「今日は来てくれてありがとう~っ♪」

「そりゃ、天下のAqoursさんの東京ライブだからな、来ない手はないさ」

 

善子「そんなにヨハネの声が聞きたいなんて…仕方の無いリトルデーモンね…♪」

「そうだな~…俺的には善子のプンプンした声が聞きたかったんだけど~」

 

善子「いひゃい、いひゃい~!!!あと、ヨファネ~っ!」

花丸「善子ちゃん、頬を引っ張られてジタバタしてるの何だかアホっぽいずら」

善子「ひどっ!?」

 

ルビィ「喜んでもらえて、嬉しいなぁ♪」

梨子「ルビィちゃん、たくさん練習したもんね♪」

 

果南「ところで、そっちは大丈夫なの?最近またゴタゴタがあったって」

ダイヤ「…あの、果南さん…腕に抱きつきながら聞くのは…いえ、もうツッコミませんが…」

 

歩夢「い、良い方向に行ってるので大丈夫です~っ!!」

彼方「もう片方の腕にしがみついて対抗するでないよ、歩夢氏」

 

千歌「まっ、今日はたくさんライブしていきなよ!」

「ホントに飛び込み参加していいのか?」

 

かすみ「Aqoursの人達が言ってるから大丈夫ですよ~!

かすみん、いってきまーす!」

 

鞠莉「ちょいちょい、峻?」

「…なんすか?」

 

鞠莉「部に居るのって…あのテイラー家のミア・テイラー?」

梨子「あ、それ…私も聞きたかった

あのミア・テイラーが日本のスクールアイドルに楽曲を提供するなんて…」

 

せつ菜「ミアさんのこと…ご存知なのですか?」

鞠莉「むしろ知らない方が驚きよ?

若き一流作曲家とか天才楽曲インフルエンサーって呼ばれてるくらいだし」

 

「…その口ぶりだと、鞠莉さん…ファンやな」

鞠莉「あら、バレた?♪

マリーはその彼女のお姉さんのファンなのよっ♪

CMソングとかもやってるし」

せつ菜「へぇ~…まさに音楽一家って感じですね…」

 

しずく「…あの、言い損ねましたが…ミアさんのお母さんは…ミュージカル俳優です…それも、有名な…」

梨子「あっ、そうそうブロードウェイにも出ていたりするよ♪」

鞠莉「オマケにパパも100年に一度のテノール歌手!音楽に関しては非の打ち所がないわね~♪」

 

「……………………」

鞠莉「あ、ここにも負けない才能の持ち主が居たわね♪

ねっ、情熱の若きピアニストさん♪」

「えっ?…は?…俺の事?…梨子じゃなくて?」

 

鞠莉「あら、知らない?…早めに教えてあげれば良かったかしら…?

ほら、これ」

スっと携帯の画面を見せてきた鞠莉…そこには一枚の写真が。

 

「…これは?」

鞠莉「貴方、短期留学してたのよね?

多分、その時のことだと思うんだけど…」

「…あっ、この人!」

 

鞠莉「…ミアのパピーに負けないくらい有名な音楽家の人よ?

まさか一緒のステージに立つなんてね♪」

 

そこには、こう書かれていた。

 

 

【Ricordo il suono di un giovane pianista giapponese e ora mi manca.

(ふと、思い出す日本から来た若きピアニストの音が今はどこか懐かしく感じる)

 

Amo la musica quanto lui, e non dimentico di provare per nessuno.

(彼ほど音楽を愛し、誰かのために努力する姿を私は忘れないだろう)】

 

「…味なことしてくれるな」

鞠莉「やーねー、峻ったら、人気者~♪」

「…た、たまたまですよ…」

梨子「たまたまでここまで自体が大きくなるとは思えないけど…」

 

果南「しゅん''~…海外に行っちゃ嫌だよ''~…」

「な、なんで泣いてるんですか!」

 

歩夢「そうだよ''~っ!!!」

「…あ、歩夢まで…!!」

 

 

 

せつ菜(…もしかして…ミアさんもこれを見て…峻さんに対して焦りを隠し切れていない…?……いや、まさか…そんな)




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171話

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…いえ、特に深い意味は??????????


「…静かだな…休日の学校って」

 

忘れ物を取りに学園に来た。

小学校の時とかは休日の学校って一部しか入れなかったのに比べると高校生ってなんか成長出来たな~って気がするのは俺だけだろうか?

 

「…って、部活もあったりするから当然か」

しずくは確か演劇部にいるって言ってたっけ?…後で顔でも出そうかな。

 

 

「…ん?…あれは」

倒れてる………人!?

 

「ちょっ、マジかよ…っ!」

人気の無い廊下で人が倒れてるとか恐ろしすぎるだろ!

…じゃなくて、声を掛けないと!

 

「…おいっ!…って、お前は…!」

倒れているのはスクールアイドル部のミアだった。

 

「病気か?!…いや、救急車か!?…ええい!」

四の五の言ってる暇はなさそうなので、とりあえずお姫様抱っこをし保健室に駆け込む。

 

「…誰かいてくれよ!」

ミア「余計な…お世話…」

「お前っ…!」

ミア「別に…大丈夫…だし」

 

「うるせぇ!人を助けるのに理由なんかいるか!」

何か言いたげなミアを半ば強引に黙らし、保健室に連れ込んだ。

幸い、保健室の先生は居てくれたので事情を説明し、ベットに寝かせた。

 

 

…そして、倒れていた理由というのが…。

「…腹へり~?」

ミア「…なんか悪いの」

 

「…はぁ…でかい口叩けるなら心配なさそうだな…んで、何が食いたいんだよ?」

ミア「別に…何もいらない」

「…お~ま~え~な~」

 

ミア「…ハンバーガー」

「…はいはい、ハンバーガーね…」

って、学園から歩いて10分くらいかかるじゃんか…はぁ、しゃあないか。

 

「ちょっと待ってろ」

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

…息を切らしてオーダーをする人は初めて見たんじゃないか?

すいませんね、店員さん…急ぎだったもんで…。

 

「…って、回想は良いか…ほら、ハンバーガー」

ミア「…Thank you…うん、アメリカのに比べたらサイズは小さいけど…やっぱりハンバーガーがNO.1だね」

 

「んな事言ってるから、大きくならねぇんだよ、成長期だろ?」

ミア「…まさかこんな形で同好会の部長に会うなんてね」

「無視かよ…いや、無視していいんだけどさ」

 

ミア「…さっきまで、演奏聞いてたし」

「…やれやれ、もうそんな事まで嗅ぎつけてるのね」

 

ミア「…流し見てただけだし…勘違いしないでよね」

「はいはい、分かってますよ…んで、なんで腹へりで倒れてたんだよ?」

 

ミア「…言わなきゃダメ?」

「ダメ」

ミア「はぁ…部室に買い置きしていた食料が無くなって学食行ったら休日でやってなかったから…それで…」

 

「…ずっと篭ってたのか…それじゃあコモルーだぞ」

ミア「…は?…いや、だって…作曲したり、ベースボール見たり、ゲームしたり、寝たり…」

「…………それって、引きこ─────」

 

言いかけた所で食べ終えたハンバーガーの包み紙が丸めて飛んできた。

ミア「ゲームも遊びに入るから」

「…いや、たまには外の太陽の光とか浴びたりとか…」

ミア「めんどい」

 

…なるほど、今どきって感じだな…そんなに歳離れてないけど。

「…ま、何にせよ動画を見たのは事実だし…それくらい気に止まってたんだろ」

ミア「だから、たまたまだってあれほど…」

 

「あぁ、なんでこいつの楽曲は人とは違うんだ!部の方が最高で一流で完璧なのに…っ!…ってところか?」

ミア「………………」

「嘘や隠し事はバレるんだよ、いつかはね」

 

…あ、別にさとり妖怪やヨハネアイの持ち主って訳じゃないけどさ。

「だったら、自分が歌って見りゃいいじゃん、対抗心燃やなら」

ミア「…ホント、思ったことポンポン口に出すの、ありえないんだけど」

 

「…悪くないと思うんだが…まぁ、いい

俺はこれで失礼するよ…飯も食えて元気になったみたいだし」

ミア「…………………………」

 

「…まぁ、何考えてるかは人それぞれだけど…あくまで敵対してくるなら俺も追い返すから

今日のことは部や同好会関係なく、俺のお人好しなだけ、んじゃな」

 

そう言って俺は保健室を後にした。

ミア(…くそっ…なんで…焦ってるんだ…僕は!

アイツの方が…音楽家としての才能があるって思ってるからなのか…っ!)

 

 

 

────────────────────────

 

 

【その日の夜】

 

「…って、事があってな?」

歩夢「へぇ…ミアちゃんが…」

歩夢は俺の部屋でクッションを抱えながら話を聞いていた。

 

「…まっ、俺は意識してないけどね」

歩夢「…でも、何かあったのかな?…そんなに焦ってるなんて…」

「うーん…俺は心当たりないし…部の事だからどうでもいいんだけど」

 

歩夢「あっ、そういえばね!さっきこんな書き込みみたの!♪」

「どれどれ…スクールアイドル部より同好会のライブの方が楽しいよね…か…まぁ、分かってるけどな」

歩夢「この調子でゲリラライブも頑張ろうね、峻くん!♪」

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

【寝る直前】

 

「…部のライブはプロみたいで凄いけど

同好会のライブは一緒に楽しんでる感があっていいよね…か」

歩夢に教えてもらったサイトの書き込みを見ていた。

 

「…なるほどな、これが焦ってる理由か…」

…もしかして、ランジュの考えとミアの考えが不一致してるのか?

 

部のライブは凄いけど、同好会のライブも負けてない。

そんな言葉が散見された。

 

曲とメンバーのシンクロ率の高さ…と書かれてるものまであった。

確かに、俺も同好会の方がそのメンバーの個性と曲がマッチしていると自負している。

部にその人に合った曲ではないとは思っていたが…。

 

「…これは探りを入れてみる方が良いのか…?」

俺はある人にメッセージを送り、眠りについた。




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172話

せつ菜ちゃんで致した(通算75329回目)



その日、またもスクールアイドル部のランジュの機嫌は悪かった。

ランジュ「今日のライブ…明らかに前回のライブより観客が少なかったわ!!!」

 

悔しさからか、わなわなと身体を震わせるランジュ。

そこ怒りの矛先は…。

 

ランジュ「それもこれも、せっかくライブの回数を増やしたのに…

新曲が披露されないからよ!どういうこと、ミア!!」

 

ミアはため息を交えて、睨むように言葉を吐き捨てた。

ミア「自分の力不足をボクのせいにするのはやめてよね」

ランジュ「なん…ですって…っ!!??」

 

愛「まーまー!言い合いはダメだよ~っ!…あっ、愛だけに…言い合い、的な?♪」

ミア「こんな時にふざけてるのもどうかと思うけど」

 

果林「それだけ落ち着いて欲しいってことよ、ね?

イライラしてても始まらないわよ?」

ランジュ「失敗の理由は明確よ、話し合うことすら要らないわ

ランジュはいつも通り、完璧なパフォーマンスをしただけよ?

それなのに、盛り上がらないのは飽きられてる証拠よ!」

 

愛「あ、いや…だから~…」

ランジュ「悔しくないわけ!?」

 

果林「悔しい………どちらかと言えば…不甲斐ない…かしら、ね」

愛「ランジュは比べたくないと思うけど…同好会だって、毎回新曲を含めたライブをしてる訳じゃない…けど、勢いは明らかに上だし…」

 

ランジュ「…ランジュの魅力が同好会に劣ってるって言いたいわけ?」

ミア「最も、このメンバーで誰一人手を抜いてるなんて思えないけど」

面倒くさそうにガムを膨らましながら言うミア。

 

果林「あれだけ毎日ハードな練習をしてるのだもの、手なんか抜けないわ」

愛「今回の事は、素直に受け止めて…前に進む糧にしようよ」

 

 

ランジュ「………………」

愛「燃えてくるものもあるし、ね?♪」

 

ランジュ「それって、意味があるのかしら?」

ミア「………」

ランジュ「なんでみんな同好会のやり方を褒めるの?

向こうは今は敵なのに!」

 

愛「…う、うーん…愛さんは同好会を敵って思った事はないんだけど…」

果林「部に移ったからって繋がりが消えた訳では無いわ」

 

愛「かすかすからは裏切り者ー!って言われるけどね~♪」

果林「……………そう、ね……………エマ………」

 

ランジュ「…なんでランジュが責められるのよ」

ミア「建設的な話なだけな気がするけど」

ランジュ「だったら、早く新曲を…っ!」

ミア「…言われなくても、そうするよ」

 

ランジュ「…見てなさい、こっちのやり方が正しいって証明してやるわ……同好会のメンバーだって…必ず部に呼び込むんだから…」

ミア(…なら、その性格をまず直すべきだね)

 

果林(…あら、そういえば…)

愛(しおってぃー…居ないね?)

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

【生徒会室】

 

「呼び出して悪いな」

栞子「いえ、そろそろ……来ると思ってました」

 

「…そっか、何となく状況は理解出来たよ」

栞子「…峻さんには、全てをお話します…だから…

─────''助けてください''…!!」

 

「……OK、栞子の想いは分かった…聞かせてくれないか?」

栞子「……はい、今の部は………………」

 

 

 

………………

 

 

 

「…そっか、いよいよ歯止めが効かなくなってきたな…ランジュは」

栞子「あんなに酷い目に遭った峻さんに助けを求めるなんて…おこがましいにも程があるのは…重々承知の上です…ですが…」

 

「ん、安心しろ、間違った方向なんかにはいかせないよ

それに、栞子や愛…果林は同好会の仲間だ…困ってたら助けるさ」

栞子「…あっ、ありがとうございます…!」

 

「…しかし、どうしたもんかな…」

栞子「…あの、私に考えがあるのですが…聞いてくれませんか?」

「いいよ、聞かせて?」

栞子「…実は…ランジュよりも…ミアの方が心配で……かなり悩んでるようでして…それで…」

 

「…んーーーー…それは思うんだよなぁ…確かに…」

栞子「えっ?」

「いや、俺もその…ミア?って子に会ってるからさ」

栞子「そ、そうだったんですか?!」

 

「…ま、いいや…言ってはくれないだろうけど…本人のとこ行ってみるか」

栞子「い、行くって…今からですか!?」

「行くよー、栞子~」

栞子「あっ、ちょ、ちょっと待ってください!」

 

 

 

────────────────────────

 

【ミアの部屋】

 

ミア「わかんない…わかんないよ…どうすりゃいいのさ…」

1人、座りながら頭を抱えるミア。

 

ミア「今まで…ボクはどうやって曲を作ってきた?

どうやったらいい曲を作れる?」

自分の作る曲全てが歪に感じたのは…しずくの同好会復帰ライブを見てからだった。

自分の作る曲が駄作としか思えなくなった。

 

ミア「ボクは…天才なのに…っ

作曲は…誰よりも優れていないといけないのに…!」

ぐっと近くにあった目覚まし時計を手にかけた。

 

ミア「わかんない…わかんないよ…っ!!!!!」

投げつけようとした時だった。

 

 

 

 

 

ガチャ…。

────────カギを掛けてたドアが…開いた。

 

「お、開いた」

栞子「しゅ、峻さんっ!!!!!いくらなんでも…っ!!」

「悪い悪い…いや、まさかピッキング出来るとは…ね?

今回は不問に………………あ、やっぱり出来ない?

反省文でも停学でも何でもすっから…とりあえずこっちを、な」

栞子「………あ、あなたという人は…っ!」

 

 

ミア「な、ななな、何しに来た!!!」

「物は大事に扱えよ、それ…投げるつもりだっただろ」

栞子「…あの、人のことは言えないかと…」

「…………う、うむ…………すまん…」

 

ミア「お、お前…何しに来た…っ!」

「何悩んでんだよ」

ミア「ひ、人の言うことを聞…っ!!」

「俺の質問に答えろ」

 

ミア「ぼ、僕は悩んでなんかいない!ボクは天才だ…っ!!」

「…………………」

 

こりゃ答えてくれそうも無いな…と、感じた峻は一言だけ呟いた。

「…楽しいか?」

ミア「…えっ…」

 

「曲、作るの楽しいか?」

ミア「…た、楽しくなんかない…作曲は…ただの作業だ…」

「…そっか、でも…作る人が楽しいとか…作ってあげる人の事を考えなきゃ…良い物は出来ないよ」

ミア「…なっ…せ、説教か…っ!!!偉そうに!!!」

 

「そんなんじゃないよ」

ミア「………っ!!!」

「言ったろ、人を助けるのに理由なんか要らないって…ま、それだけ言えばあとは自分で解決できるだろ……突然押しかけて悪かったな」

 

 

ミア「…………ま、待てよ!!」

「…ん?」

ミア「…な、何が…お前をそうやって動かすのさ…!

自分のエゴも業も何も持たないで…!!!」

 

「好きだからさ、音楽も同好会もスクールアイドルも」

ミア「そ、それだけの理由で…っ!」

「それだけありゃ十分なんだよ

誰かの為に頑張る…それはとても幸せな事さ…んじゃな」

 

 

 

 

 

 

 

 

ミア「…っ………!!!」

栞子「…ミア…」

ミア「………これが…」

栞子「…えっ?」

ミア「これが…認めるってこと…なの…っ?!

これが…負けたって…感じたって…こと…なの…………」

栞子「…ミア……………」

ミア「…悔しい…けど…考えや器は…あいつの方が…上だった…」

栞子「…その悔しさは…きっと貴方を成長させてくれますよ」

ミア「……宮之原…峻…………」




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173話

???「アンタのグソクムシをギャラクシーしてあげるわよ♡」
「ちょっと何言ってるか分からない」

???「ギャラクシッ…」
「そんなことよりかのんちゃんは?」

かのん「えっ…あたし呼ばれたの…こわっ」
「何たる無慈悲!」

千砂都「あれはね、照れ隠しだよ」
かのん「ちーちゃん!!!///」



それは、峻とミアが対峙してしばらくの事だった。

 

 

果林「…今日、ミアが新曲持ってくる日…よね?」

愛「でも…作曲ルームにもいないし…最近、授業にも出てないみたい」

 

栞子(…やはり、あの言い方は…ミアには悪影響ですよ、峻さん…)

愛「メッセしても全然返信こないし…こうなったら、寮に行くしかない…よね?」

 

ランジュ「無問題ラ。ミアが音沙汰無いのは今に始まった話じゃないわ

心配しすぎよ」

栞子「ですが、確認も含めて…」

 

ランジュ「あら、曲作りしてるなら邪魔したくないってランジュなりの配慮なんだけど…

ランジュは次のライブの打ち合わせに行くわ。

自主練習、しといてね。拜拜。」

 

愛「ランジュのミアへの信頼は凄い…けど、どうする…?」

栞子「ああは言ってますが…私は気になります」

果林「私もよ、確認するべきよ」

愛「なら決まり!ミアのところに行かなきゃ!」

果林「その前に、何か買ってから行きましょ?…食事も取ってなかったら…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【ミアの部屋前】

 

愛「着いた着いた~っ!ミア、入るよー!」

果林「あ、ちょっと、愛!」

 

愛「…カギかかってない…ミア~~?」

栞子「…いませんね」

 

果林「ちょっとぉ、ここにもいないって…大丈夫なの?!」

愛「と、とにかく探さなきゃ!」

栞子「そうですね、手分けして探しましょ

…果林さんは、部屋で待機しててください、ミアが戻ってくるのかもしれないので」

 

果林「えっ?!……あ、あぁ、そう、、、ね…あ、あはは…」

愛「とはいえ…愛さん、心当たりなんか…あぁー、もう!」

栞子「ひとまず、私たちは冷静になりましょう」

果林「…同好会のメンバーには…頼めないわね」

愛「…いや、峻なら…っ!!」

栞子「あっ、愛さん!!」

果林「お、追いかけましょ!」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【音楽室】

 

 

ミア「…見つけた」

「珍しい来客だね…って、俺も無断で入ってるんだけどな」

 

ミア「………………………」

「悪いな、少し演奏が終わるまで待っててくれ…と、言っても聞きたくないなら出てていいけど」

 

ミア「…いい、座る」

「そ、じゃあ少し待っててよ」

 

一度止めてた手を再び動かす峻。

穴が空くくらいその姿を見るミア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふぅ、こんなもんかな」

ミア「…今のは、Original?」

 

「えっ?…あぁ、うん…そうだよ」

ミア「…タイトル、あるの」

 

 

「…''Hopes and Dreams''…珍しいね、タイトルまで聞くなんて」

ミア「…アンタの言ってた事が…少し分かった気がする」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【中庭】

 

愛「居た!みんなー!」

かすみ「げっ、スパイ!!!」

 

栞子「すいません、急を要する要件が…!峻さんは…!」

 

歩夢「峻くん?…それなら音楽室だけど…」

栞子「音楽室…なら、もしかして…っ!」

 

その時、栞子にしずくが耳打ちをした。

しずく「…それが…ミアさんから私の方に連絡が来て…峻先輩が今どこにいるか聞かれて…音楽室と答えたんです」

栞子「…ミアが、峻さんの居場所を…?」

 

せつ菜「一体、何が起きたんですか?」

愛「それが………」

 

 

 

 

……………………………

 

 

彼方「それって、ちーーーっと…まずくないかい?」

愛「愛さん達は音楽室に向かうね!ごめんね!!」

璃奈「待って、私も行く!」

しずく「璃奈さん、待ってください!」

かすみ「ああっ、2人とも~っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果林「…………エマ」

エマ「今は多くは言わない…けど、私は果林ちゃんの選んだ道を今でも悔やんでるよ」

 

果林「私は…もっとレベルアップを───」

エマ「ねぇ、果林ちゃん…それっ……''楽しい''?」

 

果林「…えっ?」

エマ「言わないだけだけど…彼方ちゃんも同じ事…考えるんだよ」

そう言うと、エマも音楽室へと向かった。

 

 

果林「楽しいって…………そんなの…………」

果林「……………………っ」

その先の言葉は出なかった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

ミア「………………………」

「どうした、今にも死にそうな目をして」

 

ミア「新曲が出来ないミア・テイラーは…死んでるも同然さ」

「そんなこと言うなや、何かあったのか?」

 

ミア「…僕には…それに見合った価値が必要なんだ…」

「…隣、失礼するよ」

俺はミアの隣に座った。

 

ミア「…なんで座るんだよ」

「俺が座りたいから…ダメか?」

 

ミア「…なんだよ…変な同情なら辞めてくれ」

「俺には分からないよ、音楽一家の考えとか…お前の考えてることとか悩んでることはさ」

 

ミア「…」

「だからこの際、教えてくれよ?…部と同好会の関係じゃなくて

俺とミアって関係でさ」

 

ミア「…嫌だね」

「…そうか」

 

ミア「……ここからは、あくまで僕の独り言

何か口出ししたら…その先はもう話さない…」

椅子の上で体育座りをし…静かにミアは話し始めた。

 

ミア「…急に曲が作れなくなった

どう頑張っても…僕の理想の音楽にはならない」

「………………」

 

ミア「今までは全てが呼吸するように上手くいってた」

「……」

ミア「…データを集めて、匂いを探して

自分の理論に基づいて組み立てる

そうすればいくらでもバズりそうな曲を生み出せた」

 

ミア「…それが…ダメになった…

しずくが同好会に戻って………そして、アンタの曲や演奏を聞いてから…全てがおかしくなった」

「………………」

 

ミア「全然大したこと無いのに…荒削りで…チープで……

僕が作った曲の方が何倍も完成度が高い…」

ミア「なのに…心に響いた…何度も何度も…

曲が作れないなんて、僕にはそんなことがあっちゃならないのに…」

 

「……気持ちだよ、何でも」

ミア「黙っててって、言ったでしょ!」

「いや、もう黙ってられなかった」

ミア「またそうやって、簡単に励ますんでしょ!

アンタには分からないよ!音楽に愛されてると言われてるテイラー家への世間の期待や重みが!」

 

ミア「僕だって…音楽なんか枷でしかない…大っ嫌いだ!」

「嫌いなのに…作るのか?」

ミア「…僕は天才だからね」

「…いや、それはおかしいな

音楽は好きなのに…楽しいと思えてないだけだと思う」

 

ミア「…そんな悠長な気持ちで音楽に関わってたら…僕はまた置いていかれる…」

「…なんでだ?」

ミア「…あぁ、そうか…言ってなかったっけ…僕は昔曲を作るだけじゃなくて…歌ってたんだ

歌うのが大好きで…毎日歌ってて…」

「…そうだったのか…」

ミア「…家族はみんな褒めてくれた…

いつか…みんなでステージに立てたら良いね…そんなことまで言っていた」

「………」

 

ミア「その時はすぐに来たよ

テイラー家のリサイタル…そこで僕は歌うことになった

本当に楽しみだったよ、あのステージに立つまでは…」

「……までは?」

 

ミア「…ワクワクした気持ちは…一瞬で消え去ったよ、本当に脆いくらいに

何千もの目が僕を見ている

テイラー家の新しいディーヴァを待ち望んでる…

ただ音楽を楽しむことしか出来なかった自分が…そんな期待に応えられると思う?」

「…それって…」

 

ミア「…あぁ、歌えなかったよ

足が震えて…荒い呼吸しか出来なくて…ステージから逃げるように降りたよ

僕はテイラー家に泥を塗った」

「それで今の道に…」

ミア「あくまで、汚名を返上するためにやってる…それだけだ」

 

「…そうか、お前の心の内の言葉はよく分かったよ」

ミア「…笑いたきゃ笑えばいいさ、滑稽だって」

「…頑張った奴を笑い飛ばしたりなんかしないさ」

ミア「……目の前で倒れてたのに、か?」

「…それだけ頑張ってるって事だろ?ならなおさらだろ」

ミア「…アンタ…バカだよね…お人好しだし」

「…はは、言い返せねぇ」

ミア「………」

 

スっと立ち上がるミア。

「…?」

ミア「……こんなこと…僕がするなんて僕自身がありえないって思ってる…けど…」

 

頭を下げてきたミア。

 

ミア「お願いだ…力を貸して…!!」

「…………」

ミア「都合のいい事なくらいなのは分かってる!…だけど…!」

「分かったよ」

ミア「…えっ…!?」

「ただし、俺が作るのは…ミア、お前のための曲だ、部のための曲じゃねぇ」

ミア「………なんで、僕に曲を作るのさ…」

「いいだろ、俺の勝手さ………とにかく、これで貸し1つな?」

 

 

 

 

 

ミア「(……僕には…こんなカリスマ性…無いな…

いいな…同好会のみんなは…僕も…アイツと…いや…峻と手を組めたら…もっと成長出来たのかな…)………………ありがとう」

 

その声は少し、涙ぐんでるようにも聞こえた。




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174話

かのん「…あ、の…」
「んー?」

かのん「…なんで私は抱きしめられてるの?///」
「はぁ~…スバラシキダキゴゴチノヒト…」
かのん「…いや、あの…///」

可可「それは、可可のネタで~す!喰らえ~!」
「あっづいっ!!!!!!!」
千砂都「…た、たこ焼きを口にねじ込んだ…」


すみれ「私の出番はっ!!??」
恋「まだです、座ってなさい」
すみれ「えっ!!!???」


「ほら、まず言うことは」

ミア「…心配かけて、ごめんなさい…」

首根っこ捕まえて俺はミアを部室に戻した。

愛「こっちこそ、ミアの悩みに気づけなくてごめんっ!!

アタシたち、ミアに甘えてたホントのホントにごめんっ!!」

ミア「いや、歩み寄ろうとしてくれた方を…僕が突っぱねただけだから…」

 

果林「ミアがこうして戻ってきてくれただけでいいのよ…それに」

「?」

果林「…ありがとうね、峻」

栞子「そうですね、やっぱり峻さんは…頼りになります」

「…ったく、我ながら甘ちゃんだと思うぜ…やれやれ」

 

愛「………ごめんね、峻…同好会は関係ないのに…」

「貸しって事でいいよ…いつか必ず返してもらうからね…色々、と」

果林「…………………っ……………」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【ファミレス】

 

「…って事があってな」

かすみ「先輩は甘々ですー!!!その甘々は、かすみんにだけしてればいいんです〜!!」

しずく「まぁまぁ、かすみさん、飲み物でも飲んで…」

かすみ「…もうっ!………………って、にっがーい!!!」

しずく「独り占めしようとした罰だよ♪」

かすみ「…お、おのれ…しず子ぉ~」

 

歩夢「ミアちゃん、無事で良かったね♪」

「…全く、家出ごっこなんかするなよ…って、14歳じゃそんなもんか」

歩夢「峻くんも昔やってたよね、家出ごっこ♪」

「…え?」

歩夢「あれ、覚えてない?幼稚園の頃、鍵を持って家を出たとか…

峻くんのお母さんが洗濯中にベランダの鍵を閉めたとか…」

「…あ、あぁ…っていうか…みんなの前でそんな話するな、恥ずかしいだろっ」

歩夢「ひゃんっ!!!///」

 

そう言って俺は突っついた、どことは言わんが。

 

 

「はいはい、次のライブについて考えるよ」

彼方「あ、なかったことにしようとしてる」

「…か、考える…ぞっ!」

 

璃奈「璃奈ちゃんボード''提案っ!''」

「お、なんかアイデアある?」

璃奈「オンラインライブとかどうかな?」

歩夢「オンライン…いいんじゃないかなっ!」

しずく「なるほど…そういう手もありますね…」

 

せつ菜「つまり、ハプニングも込みでって事ですね!!

配信切り忘れとか!!!」

「エマー、ちょっとせつ菜の口を塞いどいて」

エマ「はーい♪」

せつ菜「んぐぐーーーっ!!!」

 

彼方「オンラインライブってライブとは違った一体感があるよね~

終わったら彼方ちゃんのおやすみ配信にする~?」

かすみ「いや、どこに需要があるんですかっ!」

「…需要しかないと思うが…」

かすみ「えっ…じゃあ、かすみんもするぅ~っ!!!」

切り替え早いな、こいつ。

 

 

 

 

(…さてと、それならそこにむけて俺も色々作らないとな…

とはいえ…部では一悶着あるのかな…やれやれ)

 

 

────────────────────────

 

 

【部室】

 

ランジュ「ミア、やっと戻ってきたのね」

栞子「はい…声をかけないんですか?」

ランジュ「リフレッシュしたならそれでいいわ、新曲への活力になるんだし……ただ…」

栞子「……ただ…?」

 

ランジュ「………いえ、何でもないわ、ただの杞憂よ…ランジュらしくないわね」

栞子「…あの…ランジュ、ひとつ忠告しておきますが…」

ランジュ「なに?」

 

栞子「…今のままだと…後悔、しますよ」

ランジュ「愚考ね、そんなことありえないわ」

栞子「…………私は、言いましたからね…………」

ランジュ「何か言ったかしら?」

栞子「…いえ、何も」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【そしてしばらくして…】

 

 

「…部にアイツが居ないタイミングを見計らって来るのも一苦労だな…

邪魔するぜー」

愛「あっ、峻!どうし────────

って、いきなり作曲ルーム行くの!?」

果林「今のミア、ちょっと気が立ってるわよ…っ!」

 

「Hey、中坊」

ヘッドホンをしてるミアの首をくすぐった。

ミア「わ、What's up?!//////」

「お、意外と弱い?」

様子を伺って笑っていたらミアが、ものっすごい怪訝そうな顔した。

 

ミア「…ハンバーガーの具材にされたい?」

「じゃあ、ピクルス抜きで…って違うわ、何怖い顔してるんだよ」

ミア「…今、息詰まってるだけ」

「…んー…ここのフレーズに詰め込みすぎな気がするけどな…こうして…っと」

ミア「あ、ちょっ…!!!」

「…こんなもんかな…あと、これ」

 

何枚か印刷した紙を作業スペースに置く。

ミア「…これは?」

「出来たぞ、お前の曲……後、振り付け

5日で物にできるか?」

ミア「僕を誰だと思ってるんだ…っ!!」

「おけおけ、愚問だったな…………あぁ、それと…」

ミア「今度はなに…」

 

「その曲、今度の同好会のオンラインライブで披露するから、じゃ」

ミア「はぁっ!?…ちょっと…Wait!!!」

 

しかし、ミアの言葉を聞かずに峻は作曲ルームから出てしまった。

 

 

 

愛「…な、何を話してたの?」

「…井戸端…バタバタ会議?」

果林「答えになってないわよ…」

「まぁまぁ、週末になれば分かるよ」

 

 

そう言って俺が部室に出ようとした時…ふと、足が止まった。

 

「ねぇ、2人とも?」

愛&果林「…?」

 

「部の練習やライブ…楽しい?」

愛「…えっ?」

果林「………っ!」

 

「楽しい?」

愛「…う、うん…」

果林「…………………………」

 

「自信があるから上からな質問するようで申し訳ないけど…俺や同好会がいる練習やライブ…よりも?」

愛「…そ、それは…」

果林「…………………………」

 

「あはは、意地悪な質問したね、こりゃまたそっちのリーダーに喧嘩売られちゃうよな」

そう言って笑いながら2人の頭を撫でて俺は今度こそ部室を後にした。

 

 

 

愛「…果林…」

果林「…………同じ言葉を…エマからも言われたわ」

愛「………………」

果林「……らしくないわね…」

愛「……果林…正直になったら?」

果林「…えっ?」

愛「知ってるよ、同好会の自分のライブ映像、見てるの」

果林「………………まだ…私の心の中で考えさせて」

愛「……分かった、2人だけの秘密にしておこう」




ちなみに峻くん幼少期エピソードは作者の小さい頃にやらかした実体験です(どこ需要?)

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175話

色々スクスタもパワーアップしてますが
NEXT Rainbow!!はNEXT Rainbow!!らしく
続いていきまっせ、マロングラッセ。


【そして、ゲリラライブは当日を迎えた】

 

歩夢「オンラインで見てくれてるみんな、こんにちは!

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の上原歩夢ですっ

 

今回はこれまでと違った試みで、みんなに私たちの歌を聴いてもらいたいと思います!

それじゃぁ…続きは…かすみちゃん!お願いねっ」

 

かすみ「はいはーい!みんなのかすみんですよー!♪

あっ、今歩夢先輩とかすみんの居る場所が違うって気づきました?♪

実は今回は…みんな別々の場所にいまーす!♪」

 

コメント欄はみんなハテナが浮かんでいた。

かすみ「んんー?どういうことかって?

それはですね…同じ時間に別の場所でライブしちゃおうって事なんです!♪

という訳で、せつ菜先輩っ、パスでーす!♪」

 

せつ菜「くっくっく……摩訶不思議な虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のゲリラライブの世界へようこそ…」

彼方「どうしてこんな形になったのか、気になるよね~

答え合わせはもう少し先だから待っててね~」

 

せつ菜「って、私のノリは無視ですかっ!?」

彼方「突然アドリブ入れるから〜」

せつ菜「こ、こほん…ただ言えるのは、今日こそは思いっきりライブができる…という事です!

最後まで一緒に盛り上がっていきましょう!」

彼方「じゃあ…しずくちゃん、よろしく〜〜」

 

 

しずく「はいっ、バトンいただきました!♪

桜坂しずくです!それでは、皆さん…聞いてください!

''あなただけの理想のヒロイン''!!」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

ミア「…ねぇ、ホントにやるの…?」

「当たり前だろ?…さて、お膳立てはしてやるよ」

 

ミア「…しかも、衣装まで作ってるし…」

「こう見えても伝手は結構あるからな…似合ってるぞ」

ミア「…でも、ランジュが止めに…」

「来ねぇよ…むしろ、カンフル剤にでもなるんじゃないか?」

ミア「…え?」

「まぁ、自分の出番までゆっくりしてろよ…同好会のメンバーにもサプライズのライブだけど、な」

 

 

────────────────────────

 

右月「監視委員です!即刻ライブをやめてください!」

しずく「見つかってしまったので、私は撤収します!

エマさん、よろしくお願い致します!」

 

右月「…なっ!?」

 

 

 

エマ「ふふっ、どうして私たちがバラバラの場所にいるのか分かったかな?

そう、途中で妨害されても…直ぐに他の会場にバトンタッチ出来るからだよっ♪」

エマ「そして妨害された人もすぐに違う場所に移動して次の出番を待つんだよ♪

これなら最後までライブを続け──────」

 

左月「こらー!中止しなさーい!」

エマ「えぇっ!?そんなこと言ってたら来ちゃった!

えぇーーっと…璃奈ちゃん、よろしく〜〜!!」

 

 

璃奈「…あれっ…電波…が…っ……回線が…おか、しい…」

突然ブラックアウトした画面に視聴者もざわついた。

 

 

 

 

歩夢「えっ…?」

せつ菜「璃奈さん、どうしました!?」

彼方「もしかして…」

 

 

 

ランジュ「…ふん、オンラインでのゲリラライブなんて考えた事してくれるわね」

かすみ「げぇっ!ランジュ!」

ランジュ「ようやくしっぽを捕まえたわ…ライブは終了よ」

かすみ「中止になんかさせません!」

ランジュ「無理よ、電波は妨害したから」

 

璃奈「…そんな…」

コメント欄も落胆の声が上がっていた。

 

果林「…やりすぎよ、ランジュ…」

愛「そうだよ…ここまでしなくても…」

ランジュ「部の敵は見過ごさないわ…正義を執行したまでよ」

栞子「………あれほど言ったのに…」

 

 

 

「…なるほどな、つまりこれはブラックアウトではなくて…ただ部屋が暗いってのに気が付かなかったってわけか」

講堂のステージに1つのスポットライトが当たり、椅子に座った俺が映し出された。

 

「部による妨害を妨害してやったよ

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長、宮之原 峻だ

視聴者のみんなには驚かしちゃったな、すまんすまん」

歩夢「峻くん!」

かすみ「どうして峻先輩が…っ?」

 

「ホントは順序よく…と、言いたかったが

そう上手くは居ないのがオンラインライブの良さでもあるよな

…ここからは」

椅子を蹴り飛ばし、一気にステージのライトが照らされた。

 

「サプライズライブさ!!」

ミア「………………」

ランジュ「…ミア…っ…!?」

 

 

「大丈夫だ、やり遂げて来い」

ミア「…Hi. I’m Mia Taylor

今日は…特別に同好会のライブに出してもらったよ」

 

ランジュ「…なん、ですって…!」

 

ミア「…峻って言う、最高におせっかいで最高にクールな…ライバルのおかげで…ボクはこうして自分の足でステージに立てた」

ミア「…ボク、今まで…ステージで歌を歌ったことがないんだ

…でも、今日で…ボクも歌えるんだ…それを、証明したい!」

 

 

愛「…ミア…」

果林「…知ってたの、栞子ちゃん」

栞子「…知っていた、と言ったら」

果林「…いえ、それ以上は…追及しないわ」

栞子「…分かりました」

ランジュ「……………………………っ」

 

 

 

 

ミア「…それじゃあ聞いて…作詞・作曲 峻

曲…ミア・テイラーで……''I'm still…''」

 

 

 

誰もいない広い講堂に透き通る歌声が響き…

コメント欄…更には学園内までミアの歌声は聞いてる人の心をしっかりと掴み取っていた。




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176話

かのん「最近私たちの出番…多くない?」

可可「作者サーンの熱が凄いのです~」
すみれ「いっその事、新作出せばいいのに」
???「そういうわけにはいかないだろ…順序ってもんがあるし…」

かのん「あっ、め────────」
千都砂「ストーーップ!かのんちゃん、ストップ!」

恋「…あのー……私は?」


かすみ「もー!どういうつもりですか、峻先輩~!

部の敵であるミア・テイラーをゲリラライブに出すって!」

しずく「かすみさん、峻先輩もきっと考えがあってした事だから…あまり責めないの」

 

「黙ってたことはすまなかった、とは言え部に聞き付けられても困るだけだから伏せておいたんだけどな」

歩夢「…じゃあ、今回の件は…」

 

「あぁ、ミアの悩みを聞いて…助け舟を出しただけだ…つっても、貸し1つ、だけどな」

かすみ「部に助け舟出してどーするんですかー!」

「はいはい、ハグハグ」

かすみ「………うぅ~!///」

 

「部に出した訳では無いよ、あくまでミア本人に出しただけだ」

しずく「…でも、それでミアさんの悩みが解消されたら…また部にとっていい曲が何個も出来てしまいますよ…?」

彼方「それはちょっと、困り物だよ~…」

 

「…んー…俺はそんな気がしなかったけど…」

せつ菜「どういうことですか?」

「多分そのうち分かるよ……何か小さな亀裂が…どんどん大きくなってることに…な」

 

────────────────────────

 

 

それは、突然の宣言だった。

 

ミア「ボク、部を抜けるから」

ランジュ「…分かるように説明してくれるかしら?」

 

ミア「言ったとおりの意味さ、部を抜ける」

ランジュ「認めないわ」

 

ミア「ボクのやりたいことが見つかった…それを止める権限がランジュにはあるの?」

ランジュ「…あの男に感化されたってこと?」

 

ミア「そうじゃない…けど、なにか新しい自分が見つかる気がした

今までと一緒さ、匂いがしたから…ボクはその道を進む…それだけ」

ミアの発言に…ランジュはピクっと眉を動かした…が、直ぐにため息を漏らした。

 

ランジュ「…そ、ならいいわ…ミアじゃなくても一流の曲は作れるし」

ミア「…随分すんなりなんだね、ちょっと意外かも」

 

ランジュ「いいえ、決めたわ……こうなったら徹底的に同好会に宣戦布告するわ……栞子達を呼んで、ランジュは話し合いをするわ」

そう言って、ランジュは作曲ルームを去った。

 

ミア「…さて、と…ボクも1からのスタートになっちゃった…か

…All right!ボクの見立てが間違ってるはずないさ!」

少し自信に満ちた表情で、ミアは同好会のメンバーがいる所に向かった。

 

 

────────────────────────

 

愛「同好会とトーナメント形式のライブバトルをする~っ!?」

果林「思い切ったことを言うのね…ランジュ…」

 

ランジュ「部の4人で、同好会に引導を渡すわ」

栞子「…4人…で?」

 

ランジュ「あぁ…ミア、部を辞めたわ」

愛「えぇっ!?」

果林「な、なんで急に…!」

 

ランジュ「同好会に感化されたようよ、全く…理解に到底苦しむわ」

栞子「……………」

 

ランジュ「あの子がどうこうしようが、もうランジュには関係ないわ」

果林「…………ぁ…………」

愛「………そ、それでっ…ライブバトル…勝ったらどうするの?」

 

ランジュ「決まってるわ、全員部に入れるわ…あの男以外、ね」

栞子「…到底承諾するとは考えにくいのですが…」

 

ランジュ「あら、どうかしらね?…まぁ、すぐにでも分かるから、無問題ラ」

 

 

 

────────────────────────

 

 

歩夢「ゲリラライブが終わってからというものの…」

せつ菜「…峻さんが…」

璃奈「廃人に…」

 

「……思い浮かばん…」

かすみ「燃え尽き症候群じゃないですかー!しっかりしてくださいよー!」

彼方「パソコンに突っ伏して…あしか打ってないよ〜〜…」

「…次の曲、これにしない?」

 

しずく「…絶対に嫌です」

エマ「わぁ、しずくちゃんが凄い目で見下してる…」

「何も思い浮かばない……助けて、ドラ○もん〜〜!」

彼方「あ、現実から逃げた…」

かすみ「…ダメだこりゃ…」

 

ミア「騒がしいね…Partyでもしてるのかい?」

かすみ「ミ、ミア・テイラー!?」

しずく「ミアさん、どうしてここに…?」

 

ミア「…僕がゲリラライブに出た経緯は…聞いた?」

かすみ「…き、聞きましたけど…それがどうしたんですか」

 

ミア「I'm sorry……ごめんなさい」

かすみ「な、なんですか、急に!」

 

ミア「…自分が、一流で…なんでも出来るって思ってた…

でも…そんなことは無かった…今回の件で初めて自分が無力だって気付いた…」

しずく「…ミアさん…」

 

ミア「勝手にテイラー一家の一員だって、自分に重荷を担がせて

目的を見失って…彷徨って…挙句の果てに八つ当たりまでして…

まだまだ、自分は足りない物だらけだった…そう今回のゲリラライブで気づけた…」

かすみ「…ミ、ミア…テイラー…?」

 

ミア「だけど、初めて自分で歌って…初めて、ここなら…この場所なら自分に足りない物が何か分かる気がした…!

一流なんて言葉に縛られない、本当の自分が何か分かる気がした!」

歩夢「…ミアちゃん」

 

ミア「…だから…ボクを同好会に入れて欲しい!」

かすみ「……………………」

エマ「…………………」

せつ菜「…………どう、しますか?」

 

かすみ「どうって…」

しずく「それは………」

彼方「…えっと……………」

 

 

璃奈「──────入れてあげよ?」

かすみ「…りな子?」

しずく「璃奈さん…」

 

璃奈「私、ちょっと分かったかも

ミアさんが、色々な事を考えて…乗り越えて、それを自分の中で溜め込んでた

私も…前までそうだったから…分かる気がする

溜め込んでた気持ちを全部出すもの、ミアさんなんだと思う

ミアさんも、溜め込んでて何かを抜け出したいって頑張って

音楽一家だからとか、天才だからとか…そんなこと全部無しにして、楽しそうに歌ってた

 

だから…きっと、それがミアさんが溜めてた気持ちが現れたんだと思う

だって、私には…あの曲の中に…ミアさんの心の声が聞こえたから

見えないものだけど…たしかに詰め込まれていた

 

私も…こうやって顔を出してライブに立って…自分の心の声を出せた気がするから…何となく、分かる気がするんだ……だから…私からも…お願いします」

 

ミア「……キミの名前は?」

璃奈「天王寺 璃奈…璃奈でいいよ」

ミア「…璃奈…か…いい名前だね」

 

「……だってよ、しずく、かすみ…それにみんな?」

しずく「……私も賛成します」

かすみ「…しず子…」

 

しずく「ミアさんがここまで頼み込むんだもん、今更部に戻るとも思えないし……それに、あの真っ直ぐな目は…何かを決意した…そんな風に私には見えた」

エマ「…うん、そうだよね

スクールアイドルを楽しみたいって人に悪い人は居ないもんね!」

 

せつ菜「…私も、歓迎します、ミアさん!」

彼方「また騒がしくなるぜ~♪」

歩夢「け、けど…大丈夫かな?…部が黙ってないような気も…」

「それをどうにかするのは、俺の役目だろ?…みんなはスクールアイドルを楽しんでれば、それでいいんだ」

 

かすみ「……」

「最後は…かすみ、お前の意見だけだ」

 

かすみ「…………1つ」

ミア「…えっ?」

 

かすみ「1つだけ…条件」

ミア「…条件?」

 

かすみ「…そっちは3年生かもしれないけど…歳はかすみん達と一緒だから…タメ口でいいなら」

ミア「…それは…どうだろう?」

かすみ「むーーー!!かすみん達の方が、スクールアイドルとしては先輩なのに~!!」

 

ミア「…一応、学年は上だからね?」

かすみ「ぜーーーーーーったい、先輩なんて呼ばないもん!!

ミア子でいいよ、ミア子!」

ミア「…へぇ、悪くないかも♪」

 

「…って事で、決定だな」

彼方「いぇ~い♪」

せつ菜「これで、あだけの曲を歌わなくて済みます!」

「…それ、まだ気にしてたの?」

 

 

 

 

 

ミア「…ありがと、璃奈」

璃奈「ううん、仲間が増えて…私も嬉しい」

ミア「…そっか、仲間………か

…悪くない…………ううん、むしろ…良い気分だね」

 

 

────────────────────────

 

 

 

【愛の家】

 

美里「ねぇ、愛ちゃん?」

愛「うん?どうしたの?」

 

美里「最近、峻くんって来ないけど…もしかして、喧嘩でもした?」

愛「あー…いや、別になんもないんだけど…何かこう…誘いづらくなっちゃって…」

 

美里「…スクールアイドル部に行ったから?」

愛「…………………」

美里「ね、愛ちゃん…こんな聞くのは…野暮かもしれないけど…

それだけ同好会のみんなが好きなのに…どうして同好会を離れちゃったの?」

 

愛「…ごめん…でも…理由は、色々あるんだ

部の事をよく知らないで…飛び込んじゃったなって思うことはあるけど…

拒絶したくなかった…し、同好会のみんなにも…ランジュのことを知って欲しかったし…

でも…一番の理由は…挑戦したかったから」

 

美里「…挑戦?」

愛「……あーー…うん、なんか挑戦って言葉が合ってるのか難しいけど…

一緒に楽しむのも…もちろん楽しいよ

…けど、心のどこかで…みんなと本気で勝負し手見たいって気持ちもあった

勝負して…勝ちたいって

同好会の応援サイトにある人気投票とかもさ、かすかすやせっつーが強くて…負けてられないなーって

だからね、上を目指して…ぶつかって勝ちたいって!

…それで、新しい場所でパワーアップしたいって思ったんだけど…変、かな?」

 

美里「そういうことだったのね

昔から、愛ちゃんは周りが楽しければ良いって感じで、自分の事は二の次なところがあったから、そういう風に思えるようになったのは、凄くいいと思う

本当に素敵なお友達が出来たんだね」

 

愛「…でもね」

美里「…?」

 

愛「……ううん、なんでもない

今は最高に楽しいよっ♪」

美里「…愛ちゃん」

 

 

何かを隠してる…そう見抜いたが美里だったが

それ以上聞くことは…出来なかった。

 

 




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177話

「俺のギャラクシーがっ!!!!!!」

恋「もしもし警察ですか?」
かのん「…あ、あはは…」


ランジュ「栞子、もう監視委員は解散させていいわよ」

「…えっ?」

 

ランジュ「解散、させていいわよ」

栞子「…わかりました、そう致します」

 

愛(なんか…最近のランジュ…おかしいよ)

果林(言ってはいけないわ、愛…もう少し…もう少しだけ見守ってあげましょう)

愛(…うん)

 

 

 

 

────────────────────────

 

【屋上】

 

「はい、とりあえず一旦休憩ね」

 

璃奈「…新しい…トレーニングメニュー…物凄く…ハード…

璃奈ちゃんボード…''へにゃり''」

ミア「…はぁ…はぁ…これ、僕に対する当てつけのような気がするんだけど…」

 

かすみ「…そ…そうですよっ!峻先輩の横暴です!

鬼!悪魔!ドS!俺様系!人でなし!ほうれん草!!」

「かすみ、あと5セットね」

かすみ「ひぃーーーっ!」

 

「…とはいえ、今の同好会のメンバーなら乗り越えられると思ってあえてハードにした

…案の定、みんなやり遂げてくれた…流石だね、みんな」

彼方「レベルアップした証拠だぜ~♪」

しずく「はいっ、格段に体が動くようになりました!」

 

エマ「大変だけど、自分が成長できると分かると頑張れるよね♪」

かすみ「…な、ならば…かすみんだって…

もっと成長して…ますます可愛いかすみんになりますよ~…っ!!」

せつ菜「全員で最高を目指しましょう!」

歩夢「わ、私も頑張ってついていかなきゃ…!」

 

栞子「…皆さん、今…よろしいでしょうか?」

かすみ「げっ、しお子!…それに、監視委員まで!

…ま、まさか、練習まで監視するとか言い出すんじゃ…!」

 

栞子「あぁ、いえ!違います!

今日は、皆さんにご報告がありまして…この度、監視委員を解散することになりました」

彼方「…これは思わぬ展開~…」

 

「…栞子、どうして急に?」

栞子「ランジュがもう監視委員が必要ないと…

なので、これからはどうぞご自由にライブを…」

かすみ「…つまり、かすみん達の…勝ち?」

 

栞子「…すいません、要件はそれだけです…では」

「…」

ミア「…Babyちゃん、どう思う?」

「Babyちゃんって俺の事かよ……まぁ、いいや

裏があるな…完全に…どうするつもりなんだろうな…相手方は」

 

栞子「…同好会のライブは…私も楽しみです…どうかこれからも…精力的にライブを行ってください」

右月「…あ、あのっ…!」

左月「今まで本当に…すいませんでした…!」

 

「……この口ぶりからすると…やりたくもないのにやらされてたって感じがするんだけど…」

右月「…あの、私達…本当に同好会のファンで…」

左月「でも…ランジュさんの任命で断れなくて…」

 

「…横暴だな、生徒会長でもないのに」

栞子「…すいません、私が止められなかったばっかりに…」

ミア「嫌気がさすのも無理は無いよ…ボクがそうだったからね」

 

栞子「…では、私たちはこれで…同好会の事、応援してますから」

歩夢「栞子ちゃん、同好会に戻ってくる気は…無いの?」

栞子「…すいません…」

歩夢「…そっか」

 

エマ「理由だけでも…聞いちゃダメかな?」

栞子「…ランジュとは古くからの付き合いですが…

ご覧の通り、かなりのわがままでやりたい放題する所があるので…

放っておけないんです…」

歩夢「…何となくわかるな…私」

 

彼方「見られてるぜ、Babyちゃん♪」

「お、俺かよっ?」

 

ミア「…峻…そういうとこだよ」

「……え、えぇっ……」

 

 

 

────────────────────────

 

 

愛「…ふぅ」

果林「お疲れ様、愛」

 

愛「あ、果林…うん、お疲れ様…」

果林「それにしても、ランジュはやっぱり凄いわね

自分の成長を感じれば感じるほど、ランジュの凄さが分かるわ」

 

愛「…でも…なんだろう…どこかで…せっつーを追いかけてるのと…似てる気がするんだよね」

果林「愛も?…私もなのよね…あの底知れない感じ…

自分も同じことしてるはずなのに…追いつけそうにない…

2人は似てるのかしらね?」

 

愛「ランジュは完璧なパフォーマンス…せっつーは…情熱溢れる野生的なスクールアイドル…正反対なのにね」

果林「そうね、せつ菜はスクールアイドルをやるとなると…自分がスクールアイドルそのものなんだって所があるから…わかる気がするわ」

 

ランジュ「あら、内緒話?」

愛「そそ、ランジュは凄いねって話!」

ランジュ「当然よ、なんならもっと質問に答えてあげてもいいわよ?」

果林「…質問?」

 

ランジュ「…なんかあるでしょー?」

愛「…うーん」

果林「……あると言えば…ある?」

 

ランジュ「ま、いいわ、決まったら聞いてちょうだい」

愛(なんで同好会を敵視するのとは…)

果林(さすがに聞けないわね…)

 

────────────────────────

 

 

 

愛「…………あっ」

「…どうした、身構えて?」

 

愛「…あー、いや…その…」

ばったり峻と出会った愛。

先日の美里との話が蘇る。

 

愛(…ダメダメ、変に意識しないで…)

愛「…同好会の調子は…どうかい?…なんつって」

「…それより、部の方は大丈夫なのか?

ミアが抜けて…監視委員も解散させて…いよいよ路頭に迷ってるようにしか見えなくなってきたが」

 

愛「…あはは……ちょっと…ね」

「…少し、話そうか?」

 

 

「…ほら、何飲む?」

愛「…あっ…えっと…じゃあ、これ…」

「ん、分かった」

 

 

愛「…あの、さ…」

「ん?」

愛「この前…峻から楽しいかって聞かれたじゃん?」

「あぁ、言ったな」

 

愛「…なんか…分からなくなっちゃってさ…」

「…分からなく?」

 

愛「他の部の助っ人とかさ…楽しくて…頼まれたら断れなくて…

でも…今の部はさ…何がしたいのかなって分からなくなっちゃって…」

「…愛…」

愛「こんな事言っちゃ…ホントはダメなの分かってるんだけど…」

「…ううん、言ってくれてありがとう」

愛「…それだけ、飲み物…ありがとうね!」

 

 

そう言うと、愛は飲み物を持ったまま…その場を去ってしまった。

「…何がしたいのか…分からない…か」

このままにしといておいて…いいはずが……無いよな。

「…………さて、どうするべきかな……」

 

 

 

────────────────────────

 

 

愛「…ただいまー…」

美里「あら、おかえりなさい」

 

愛「………………」

美里「愛ちゃん?」

 

愛「ね、お姉ちゃん…ちょっとダンス見てくれない?」

美里「え?」

愛「…イマイチ自分のダンスっていうのが分からなくってさ…

練習…見てもらっていいかな?」

美里「もちろんよ、元気に踊る愛ちゃんを見れるならお姉ちゃんも付き合うわよ♪」

 

愛「えっへへ、じゃあ何時間でも付き合ってもらっちゃおうかな~♪」

美里「愛ちゃん…本気でやってね?」

愛「…えっ?」

美里「…目、なんか迷ってるよ?」

愛「…そ、そんなこと…」

美里「…あるよね?」

 

愛「…ねぇ…お姉ちゃん…」

美里「ん?」

愛「愛さんが…同好会に戻りたい…かもって言ったら…どうする?」

美里「どうするもこうするも…答えは決まってるでしょ?」

愛「………」

美里「愛ちゃんの選んだ道なんだのも、私はその選択を応援するわ」

愛「…そっか…ありがと、お姉ちゃん!」




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178話

前書きで書くことが無くなった
誰かネタをくれ。


???「じゃあ、モノマネする!すずめっ…(・8・)」


……………………ヨシっ!!!!!!!!


「…愛から呼び出し…何なんだ?」

かすみ「…同好会に戻るとか!?」

 

「…ないな、それは」

ミア「…Babyちゃん、分かるのかい?」

「何となく、な」

 

彼方「でも、戻ってくるなら大歓迎なのにな~」

「それは皆同じ思いさ」

せつ菜「その時は、温かくお迎えしましょう!」

 

ミア「…いいね、この雰囲気…ランジュもそれを分かれば…こんな事には…」

「なんか言ったか?」

ミア「NO、何も」

 

 

ランジュ「…同好会も…って、どういうことかしら?」

かすみ「…ランジュ…!」

ミア「…っ」

「後ろに隠れてな、ミア」

 

ランジュ「ミアが部を抜けた事なんてもう水に流すわ

ランジュは過去は振り返らないの…ま、ランジュが興味あるのは同好会の部長じゃなくて同好会のメンバーなの…それをハッキリさせるわ」

愛「…バチバチやってるね~…」

 

「…愛、これは一体」

果林「提案があるのよ、愛から」

栞子「まずはお話を聞いてください」

 

「果林…栞子…わかった」

愛「まずは、集まってくれてありがとう

…みんなに聞いてほしい提案があるの」

 

歩夢「…提案…?」

愛「スクールアイドル同好会とスクールアイドル部による…ライブバトル!」

かすみ「ば、バトルですか…っ!?」

 

愛「部と同好会のメンバーでトーナメント形式のライブ対決がしたいの!

1対1でライブ対決してどっちのライブがより心にグッと来たかを見に来てくれたファンの子に決めてもらうの!」

 

「…ほう」

愛「題して、''宮下愛プロデュース、ファンのハートをハントするライブを1番盛り上げられるのは誰だ! トーナメント''…なんつって?」

璃奈「…トーナメント?…一番を決めるの?」

 

愛「…愛さん、今一番ライブパフォーマンスでファンの気持ちを掴めるか…勝負したいの、わがままだと思われても…これだけは譲れない」

歩夢「…誰が一番、気持ちを掴めるか…」

 

ランジュ「まぁ、それはもちろん…ラン─────」

果林「いいんじゃないかしら?これまでやってきた事の試しの場が欲しいと思ってたところよ」

ランジュ「…むぅ」

 

せつ菜「…バトル…私も面白そうだと思います!」

しずく「ニジガクらしくていいと思いますっ、ね、先輩っ♪」

「…普通のライブじゃダメなのか?」

 

もっとも、愛が良いと言っても…隣にいる問屋が卸さないと思うが。

愛「…ごめんね、峻…でも、どうしてもこのイベントをやりたい理由は…愛さんが部に移籍したのにも関係してくるからさ…」

 

「…え?」

愛「…同好会のみんな…すっごく素敵で…みんな大好きで…その度に思ってたの…負けたくないなって…そして、勝ちたいって

 

…愛さん、普段はそんなに勝ち負けとか気にしないタイプなんだけど…

初めてスクールアイドルでは…勝ちたいって思えて…あはは、おかしい…よね…?」

せつ菜「…分かります、その気持ち…仲間であり…ライバルですから!」

 

「…やれやれ、ウチの切込隊長がこういうなら…やるしかないな」

かすみ「い、いいんですか!?」

「優劣を付けるものでもなさそうだし…それに、ライブを披露できる場が用意されたんだ…いいよな?」

かすみ「…峻先輩が良いって言うなら…いいですけど…」

 

ランジュ(…なるほどね…乗じるなら…ここ、かしらね?

…見てなさい…宮之原…峻っ!)

 

 

────────────────────────

 

 

ランジュ「ふふっ、素晴らしい提案だったわ、愛♪

多くのファンの前でライブをして、みんなのパフォーマンスが見られるなんて…素晴らしいじゃない♪」

愛「へへっ、ならよかったよ!♪」

 

果林「自分の今の力を…同好会に見て貰えるし、ね?」

愛「…うん、愛さん達が…部で何をしてきたのか…見て欲しい、から」

ランジュ「そういうことなら…ランジュは全面的に協力するわ♪

バトルライブ…絶対に勝ちましょ?♪」

 

栞子「(…ランジュのあの笑い方…何かを考えてる…一体…)…ですが…同好会は誰を代表として出すんでしょうか…?」

 

 

────────────────────────

 

 

「…それで、選考メンバーだけど…」

せつ菜「…私は真正面から対決してみたいです

部でパフォーマンスを磨いている…愛さんに、本気でぶつかってみたいんです

ですから…このチャンス、逃したくありません!」

 

かすみ「かすみんだって、勝負を挑まれたからには逃げたくなんかありません!!

かすみんは果林先輩をけちょんけちょんにしますよ!

…今のかすみんなら果林先輩のセクシーさなんか目じゃないです!」

エマ「………………………………」

 

しずく「私も、参加したいと思っています

部の人達にはお世話になった分、同好会に戻った私のライブを見て欲しいんです!」

 

璃奈「…ミアさん、どうする?」

ミア「パス、対決とか…好きじゃないんだよね」

 

エマ「…私も…不参加かな…」

「……エマ」

エマ「…ランジュちゃんたちと同じイメージが共有できないし…

満足のいくパフォーマンスなんて…出来ないと思うんだ」

 

しかし、かすみの手を取り…エマは一言だけ呟いた。

エマ「…お願い、かすみちゃん……勝って…」

かすみ「えっ?……………あ、はい…」

多分多くは言えないが…エマの中でも言いたいことや思ってる事もあるのだろう…だが、それを胸にしまい込んでの一言なのだろう。

 

彼方「彼方ちゃんもパスかな~…今は勝負した~いとかって気持ちじゃないかな~……

もちろん否定もしないけど…今回はいいや」

歩夢「…私も応援する側にいようかな…?…ダメ、かな…?」

「俺はみんなの意見を尊重するさ…ってことは…」

 

せつ菜、かすみ…しずくに璃奈の4人が出ることとなった。

かすみ「…みんなで出たかったなぁ」

彼方「おっ、寂しいのか~?かわいいやつめ~♪

出なくてもサポートは任せろ~♪」

エマ「そうだね、今回は私たちサポート係を頑張るよ」

歩夢「私も何でもするから、遠慮なく言ってね♪」

 

 

 

「え、じゃあ、歩夢…」

ミア「Stay!…Babyちゃん?」




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179話

……お、俺がせつ菜ちゃんだったのか…。

せつ菜「…そ、そうです」
しずく(そうなんだ…)


愛「…そっか、同好会からはその4人が…」

「部のみんなを倒すって燃えてるよ」

 

愛「…やっぱり、ライブバトルはこうじゃなくちゃね!」

「…なぁ、愛?」

 

愛「…ん?」

「…そのライブバトルの結果次第で…お前、何か考えてる事、あるんじゃないか?」

愛「…その話は…イベントが終わってからで…いいかな?」

「…あぁ、分かった」

 

愛「もったいぶってごめんね…でも、愛さんの中でも少し考えたいっていうか…」

「急ぎはしないよ、愛が考えて行動するものだし…俺はその考えて出した答えを尊重する」

愛「…うん、ありがとうね…峻」

 

 

そう言って俺と愛の電話は終わった。

 

 

「…ふぅ」

歩夢「電話?」

「…あぁ、愛と少し…な」

 

歩夢「私の方にもメッセージが来たよっ

バトルライブイベント、楽しみだねって!」

「…あぁ、そうだな」

歩夢「…心配?」

「…心配…と言うよりも…怖い、かな…愛がこのイベントを通して…どういう答えを出すのかが…ね」

 

歩夢「…役に立つか分からないけど…イベントの司会は、私がやるから…峻くんはその事だけ考えてて、大丈夫だよっ」

「ありがとうな、歩夢」

 

少し触れた手から歩夢の温かさが感じられた。

 

 

 

────────────────────────

 

次の日、俺達はスクールアイドル部に呼ばれた。

 

 

栞子「どうぞ、こちらです」

「あぁ、ありがとう」

かすみ「ここが…スクールアイドル部!?」

しずく「私も最初はビックリして言葉が出なかったんだ」

 

璃奈「…ホテルみたい…」

かすみ「これ、部活にかけていい予算なんですか!?せつ菜先輩、しお子!?」

せつ菜「基地みたいでテンション上がります!」

かすみ「…ダメだこりゃ…」

 

ランジュ「なぁに、騒がしいわ………っ……」

目が会った瞬間、怪訝そうな顔で俺の方を見てきたランジュ。

しかし、それも一瞬、他の同好会のメンバーの方へと目線を移した。

 

ランジュ「きゃあ!同好会のみんなじゃない!

なになに、どうしたのっ???

分かったわ、意地を張るのを辞めて、部に入る気になったのかしらっ???」

栞子「あの、いえ…」

ランジュ「正しい判断よ、歓迎するわ~っ♪」

 

歩夢「あの~…今日はその…」

「愛の手伝いに来た、愛はどこだ?」

ランジュ「さぁ?自分で探したら?」

…こいつ…いや、待て…落ち着け…俺。

 

ランジュ「そもそも、手伝いなんて必要ないわ

ここには最高のイベントスタッフがいるんだから素人のアナタに手伝ってもらわなくても結構」

「…あ、そう」

ランジュ「分かったなら速やかに帰りなさい」

 

かすみ「…峻先輩は帰しませんっ!」

かすみが噛みつきそうな顔をして唸り声を上げた。

 

愛「…お取り込み中?」

歩夢「愛ちゃん!」

ランジュ「…ふんっ」

 

愛「来てくれて、ありがとうね~♪」

ランジュ「愛?イベントのことならスタッフに任せればいいのよ?

最高のスタッフ達なんだから」

愛「もちろん、分かってるよ!…でも、愛さんアットホームな…手作り感のあるライブがしたいんだ!」

ランジュ「…愛がそう言うならいいけど…」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

「…話の途中で抜け出させるなんて…行動も大胆になったな、果林」

果林「茶化すのは無しよ…私は峻と話がしたかっただけよ」

 

「…愛のことか?…それとも、スクールアイドル部のこと…か?」

果林「…どっちもよ…特に…愛の方」

「…そうか、果林も勘づいてたか」

果林「彼女…同好会の時のライブ映像見て…ため息ついてたの…何か聞いてるかしら?」

 

「……本人からは他言しないようにって言われたけど…」

俺は愛の心の内に秘めた悩みを果林に言った。

 

果林「…そう…愛が…」

愛(…あれっ…2人とも…?)

 

「今回のライブバトル…俺は本気で挑む」

愛(何話しているんだろ…聞こえない…)

 

「やっぱり、愛も果林も栞子も大事だから

俺の近くにいて欲しいから」

愛「………………っ…」

 

「…だから…連れ戻すよ、絶対に」

果林「…今は部にいるから…多くは語れないけど…相手はあのランジュよ?

…何か策や考えがあるの?」

「ない!」

果林「ええっ…?」

「でも何とかなるよ!心は繋がってるんだから!」

 

愛「…峻…」

「事実、部にいたミアも…その想いに共感して、同好会に来てくれた

話せば分かり合えるし…出来ないことなんて無い!」

果林「…ほんと、お人好しね…峻」

「…へへっ、俺にはこれしかねーからな」

果林「…もし…」

「…?」

果林「…もし、私が迷ったら…その時は…」

「当たり前だろ、手、貸してやるよ…いつでもな」

果林「…峻…」

「さて、抜け出したのがバレたら怪しまれるから…行くよ?」

果林「…え、ええ…分かったわ」

 

 

「………あっ」

愛「…っ…」

 

聞いてたのか…愛と出会い頭で体がぶつかりそうになった。

「…………んっ」

愛「…へっ…」

何も言わず俺は愛の頭をポンポンと撫でて俺はその場を後にした。

 

 

愛「…峻…」

果林「近くにいて欲しい…か…」

 

 

 

────────────────────────

 

【夜】

 

曜「ええっ、ライブバトルっ?!」

「あぁ、成り行きでそんなイベントが開催されることになってな…Aqoursのみんなには審査員として来て欲しいんだけど…」

 

曜「私たちは大丈夫だと思うけど…平気なの?悠くん…」

「…え?」

曜「もし勝てなかったら…」

「曜」

曜「えっ、な、なにっ?」

 

「俺が勝ち目のない勝負でも諦めたりしないのは昔から知ってるよな?」

曜「…そう、だけど…」

「大丈夫だ、俺は負けないよ…絶対に」

曜「…そっか、その様子だと大丈夫そうだねっ!」

「あぁ、突然電話してごめんな」

曜「ううん、こちらこそありがとうねっ!♪」




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180話

ワクチン接種、1回目終わりました。

副反応としてはせつ菜ちゃんを見ると
今まで以上にドキッとするようになりました。


「…とりあえずライブバトル…他の部活の人も手伝ってくれるってよ」

愛「やった!頼もしい~!」

 

栞子「スクールアイドルフェスティバル以来、各部活間での交流が盛んになってますからね…これも、峻さんのおかげですね」

「言い過ぎさ、元はと言えば部活動紹介の時に、栞子が各部の部長との対話を諦めなかったからだろ?」

 

愛「流石、しおってぃー!」

せつ菜「栞子さんが、粘り強い交渉をしたからですよ!」

栞子「そ、そんな…それでも結局うまくいかず…皆さんの力を借りたんですから…」

 

愛「それはそうかもしれないけど、やっぱりしおってぃーが粘ったって事も関係あるんだよ!頼りになる生徒会長だねっ♪

あ、もちろん今回も頼りにしちゃうよっ♪」

 

 

────────────────────────

 

【作曲ルーム】

 

ミア「…どう、かな?この曲…」

璃奈「とても…素敵な曲だった…!

私、ミアさんの曲…本当に大好き!

璃奈ちゃんボード…''ぽわわん''」

 

ミア「良かった…なんでだろう…璃奈には色々話せちゃうんだよね…

峻に似てるから…かな?」

璃奈「私と…峻さんが…似てる?」

 

ミア「うぅーん…なんて言うんだろう…ねぇ、璃奈?

僕の曲と…Babyちゃんの曲…どっちが好き?」

璃奈「…うぅーん…」

ミア「あぁ!もしかして…難しいこと聞いちゃった!?」

 

璃奈「あのね、ミアちゃん

私…ミアちゃんの曲も、峻さんの曲も…どっちも大好き…だから、比べられない…かな?」

ミア「…そっか…うん、でも…それが正解なのかもしれない…ね」

 

璃奈「この曲…どうするの?」

ミア「この曲は……ふふっ、まだ内緒♪」

璃奈「…内緒…?」

ミア「いつか…そう遠くない未来…この曲を披露する日がすると思うんだ…」

璃奈「…えっと…タイトルは…」

ミア「STOP!…まだ、仮だから…秘密のままでいい…かな?」

璃奈「うん、分かった。ミアさんがそう言うなら秘密にしておくね」

ミア「Thank you.璃奈」

 

────────────────────────

 

ランジュ「しずくはいるかしら?」

しずく「はい、なんでしょうか?…って、ランジュさん?!」

 

ランジュ「ちょっと聞きたいことがあるの…いいかしら?」

しずく「私でよければ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランジュ「…単刀直入に言うわ、ランジュとアイツ…何が違うのかしら?」

しずく「…アイツ…?…峻先輩の事ですか?」

 

ランジュ「…ええ、そうよ…気に食わないの、ランジュの方が…勝ってるのに…何故、人はアイツに惹き付けられるのか」

しずく「…ランジュさん」

 

ランジュ「現に、しずくも部から同好会に戻った

その要因の一つとして…アイツがいたから…何故?」

しずく「上手くは表現出来ないですが…温かいんです、峻先輩って」

 

ランジュ「温かい…?」

しずく「歌もそうですけど…人柄も…話していても…表情ひとつ取っても…心が温かくなって…幸せな気持ちになれるんです」

 

ランジュ「…アイツが…そんな人間には見えないのだけど」

しずく「今はそう思ってるだけですよ

…でも、話を聞いてくれたり…力を貸してくれたり…一緒に手を取って歩いてくれたり…気がついたら一番の理解者でもあり…頼れる人になってるんです」

 

ランジュ「…しずく…貴方」

しずく「…私、恋しちゃってるです、そんな峻先輩に…心から…♪」

嬉しそうな笑顔を浮かべて…しずくは去っていった。

 

 

ランジュ「…心が…温かく…?

…でもそれじゃ…完璧になんか…なれない

 

…それなのに…どうして…ファンは同好会のライブを望むの?

…どうして…あんなに心から嬉しそうな表情するの…っ…!?

アイツにあって…ランジュに無いものなんて…ないのに…っ!!」

 

 

1人悔しそうに握りこぶしを作るランジュだった。




裏作頑張ったから表作はこれくらいにして…(許せ、サスケ)

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181話

すみれ「きぃーっ!なんで私達の出番(小説)が来ないのよ~っ!!」

かのん「…お、落ち着いて…っ」
ね…年内には…投稿できるようにするから…。

可可「ホントーでーすかー?」
千砂都「…ま、まぁ…作者さんもこう言ってるんだし、ね?」

恋「…あのー…」
「…なした?」
恋「…いえっ」

恋「…あのーーーー…」
「…?」
恋「…いえっ」

千砂都(…恋ちゃん、あのやり取り癖になってない?)


果林「ねぇ、峻?ちょっといいかしら?」

「…果林?どうした?」

 

果林「ちょっと相談事があって…この後、いいかしら?」

「…いいけど…」

果林「…じゃあ、ちょっと場所変えない?…ここだと少し…ね?」

「…あぁ」

 

 

────────────────────────

 

 

【ファミレス】

 

「…んで、どうしたよ?」

果林「…その…同好会の事について…なんだけど…」

 

「嘘だね」

果林「…え?」

 

「…同好会も同好会だけど…エマのことだろ?」

果林「…っ」

「バレバレだよ、顔に書いてあるもん」

果林「…エマ…怒ってるかしら?」

「怒ってないとでも?」

果林「…そうよね…」

 

果林「…やっぱり…部に行ったことが…原因かしら…

私としては…どこに所属してても…前みたいに仲良くしたいのだけど…」

そう言ってクルクルとストローを回す果林。

 

「…エマがな」

果林「…えっ?」

「部に行った果林は同好会に居た頃の魅力を感じないって…俺に言ってきてさ」

果林「…エマが…?」

「あんなのは果林ちゃんのライブじゃないし、果林ちゃんらしくないって…口をこーんなにとんがらせて言ってたよ」

 

果林「……………………」

ショックの大きさからか…果林は言葉が出なかった。

 

果林「…自分では…上達してるつもり…だったのだけど…」

「…そりゃ、プロみたいな部に行ったからな…歌やダンスが上手くなるのは当然だろ?

…でも、エマが言いたい事は…そういうことじゃないんじゃないか?」

果林「…そういう事じゃない…か…

なんだかずーっと…勘違いしてる…気がするの」

 

「…なら、果林はさ…エマがすごいって言うようなパフォーマンスをすればいいんじゃないかな?

そうすれば…エマも部で果林がどんな事をしたのか…分かるんじゃないか?」

果林「…そうね、今度のライブで今の私を見せつけてエマを納得させるしか…ないわよね…」

 

「…それはいいけど、そうなったら…ちゃんと2人で話をするんだぞ?

…俺がエマに少し掛け合ってもいいが…」

果林「…いいわ、これは…私が解決しなきゃいけない問題だから…」

「…そうか、なら…俺ができることはこれくらいだな」

 

そう言って俺はテーブルに紙幣を置いてその場を後にしようとした。

果林「待って!」

「…まだ、何か?」

果林「…私…峻が信じてくれる気持ち…分かったわ

…私も…峻の事を…信じたいわ…今はそう思えてきて…」

「それ以上先は…ライブ終わりに、な?

…まぁ、俺は果林の味方さ…いつでも相談に乗るよ…あ、ランジュには内緒で、な?」

果林「……峻…」

 

 

────────────────────────

 

 

【スクールアイドル部 部室】

 

ランジュ「…やり直しよ!こんなんじゃ満足なライブに相応しくないわ!

前回のライブ演出を担当したチームから話を聞いて作り直してちょうだい

…あ、照明はいっそパリにいる知り合いにオンラインで聞くのもありよ」

 

栞子「それは舞台袖に設置しましょう

使用する回数を考えるとそこに置くのが一番効率的でしょう」

電話が鳴ると、栞子が直ぐに電話を取った。

 

栞子「スケジュールに遅延が…?

こことここを一緒に片付ければ問題ありませんから

焦らず、落ち着いていきましょう」

愛「うんうん、いい感じだねっ!♪」

 

せつ菜「…進んでるようですね…やはり、栞子さんがいると…こうも違うんですね…」

「指示する適性があるんだろうな…俺がやったら…あー、前みたいにピリピリするんだろうなぁ…」

せつ菜「大丈夫ですよ、もう峻さんが悩まないように私たちが手を貸しますから!」

「…あぁ、ありがとうな、せつ菜」

 

 

 

ランジュ「……………………っ」

栞子「…ランジュ」

 

────────────────────────

 

 

【次の日】

 

愛「ねね、果林っ♪」

果林「どうしたの、愛…3年生の教室まで来て…」

 

愛「今週末さ、空いてる?♪」

果林「…空いてるけど…」

愛「ならさ、一緒に合宿しない?二人で追い込みプチ合宿!」

果林「…愛ってば、ホントに急ね~…」

 

愛「だってだって、思いついたんだもーんっ♪

ねぇねぇ、やるよねっ???♪」

果林「はいはい、やらせていただきます」

愛「やったー!夜は語ろうぜ~っ♪」

果林「嫌よっ、そんな青春映画みたいなこと!

恥ずかしいじゃない!」

 

愛「…なんか恥ずかしい事を言うつもりだったの?」

果林「…そ、それは…///」

 

 

────────────────────────

 

 

【なんだかんだで週末の夜】

 

愛「…ぐぅ……すやぁ…♪」

果林「…愛?…あーいー!」

愛「…はっ…寝てたっ…?」

果林「…もう、これから峻の事について話そうとしてたのに…」

 

愛「えぇーっ!聞きたいよー!」

果林「だ、ダメよっ///

…ほ、ほら寝るなら布団に入ってちょうだい?

そんな所で寝たら…風邪を引くわよ?」

 

愛「…むう…まぁ、プチ合宿頑張っちゃったからなぁ

流石の愛さんも疲れちゃったよ~…」

果林「目一杯詰め込んだものね

早朝ランニングに…午前中は基礎トレーニング…午後は歌唱とダンス…夕飯の後には…エクササイズ…」

愛「充実したね~…」

 

果林「…寝る前に…どうして急に合宿したいって言い出したの?」

愛「…うーん…闘志を燃え立たせる為!」

果林「…闘志…ね…それは、前に話してた事に通ずるのかしら?」

愛「前?」

果林「野生のスクールアイドルの話」

 

愛「果林ってこういう時鋭いよね~…」

果林「分かるのよ、今なら私も…いつか追いついて…追い抜きたいって

せつ菜は私の理想だし…峻は私にとって恩返しとして参ったと言わせたい」

愛「…あれ、前はランジュみたいになりたいって言ったような…?」

果林「お手本はランジュ…ってところ…かしらね?」

 

愛「…そっか、でもお手本も大事だからね…愛さんも分かる気がするよ」

果林「そうね、ランジュには追いつけると思うの

そのくらいの自信は持っているわ」

愛「…果林…」

 

果林「でも…せつ菜は違うのよね…

なんて言うか…歌もダンスも客席の煽り方もせつ菜は飛び抜けてるのよね…」

愛「…うん、でも…本当にすごいのは…そこじゃない

言葉で表現出来ない…せっつーにしか作れない…世界がある…」

果林「峻が太鼓判押すのも分かるわね」

 

愛「ねね!峻にも電話して一緒に語るのに混ぜよーよ!♪」

果林「って、愛が起きてたらね?♪」

 

と、言ってテレビ電話をしたが…数十分後に峻が見たのは可愛く寝息を立ててた愛の姿だった。

 




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182話

恋「葉月アナです(メガネくい)」
「…こんなキャラだったけ?」

可可「いちごミルク渡すので早く辞めるデーす」
恋「いちご!ミルク!?」

すみれ(…あれ、ぽんこつ枠が危うい…っ!?)



歩夢「みんな、今日は集まってくれてありがとう!♪」

彼方「今日は1週間後に行われるバトルライブの公開組み合わせ抽選会をするぜ~♪」

 

エマ「1~4の札が2つの箱に用意されてるから番号が合ったメンバーが対決するよー♪」

歩夢「組み合わせが決まったら、各メンバーの意気込みを聞きたいと思います~♪」

 

彼方「では…まず1番手は~…」

かすみ「ぐっふっふ…かすみんがトップバッ─────」

しずく「残り物には福があるって言うよ?」

かすみ「あぁ!それもそっか♪

りな子~せつ菜先輩~譲ります~♪」

 

せつ菜「私は何番でも大丈夫ですが…」

璃奈「じゃあ、私引いてくる」

 

 

 

彼方「璃奈ちゃんの番号は~…」

璃奈「あ、1番だ」

 

かすみ「嘘つきっ!」

しずく「…ご、ごめんごめん…」

 

歩夢「続いて、スクールアイドル部のメンバー、どうぞっ♪」

愛「よーしっ、愛さんに任せなさいっ!♪」

果林「何となくそう言うと思ってたわ」

栞子「よろしくお願いします、愛さん」

ランジュ「…………………」

 

愛「んんんー…とぉーっ!」

エマ「愛ちゃんは…1番!」

 

愛「…っ…」

璃奈「愛さん…良かった、同じ組み合わせになれた」

 

愛「…りなりー…奇遇だね、愛さんもそう思ってたよ」

璃奈「私…愛さんと真剣な勝負がしたかった…勝ちたい」

愛「…うん、うん!サイコーだよ…りなりー!」

 

歩夢「早くも闘志が燃えています…!」

彼方「次、同好会からは~?♪」

 

かすみ「しず子!」

しずく「えっ、わ、私っ?…わ、わかったから押さないで~っ!」

 

エマ「しずくちゃんだね♪」

しずく「…もう、かすみさんったら…えーーっと…2番?」

彼方「はい、しずくちゃんは2番でした~♪

気になるスクールアイドル部の2番手は~?」

 

ランジュ「…」

栞子「あっ、ラ、ランジュ?」

果林「思ってたのだけど…ランジュ、さっきから大人しいわね」

愛「…何かあったのかな?」

栞子「………」

 

 

ランジュ「…………………」

歩夢「…ラ、ランジュ…さん?」

ランジュ「無問題ラ、すぐ引くわ」

歩夢「ラ、ランジュさん…2番です!」

 

栞子(…今…箱の中身を…見ていた?…ランジュ、貴方は一体…)

しずく「…ランジュさん」

ランジュ「…成長した姿、期待してるわ」

しずく「…あっ」

 

 

ミア「Babyちゃん」

「なんかしようとしてるよな、アイツ」

ミア「…うん、僕もそんな気がするよ…少し注意が必要かもね」

ミア(…それに…さっきからBabyちゃんの方を見ているし…狙いはBabyちゃんなのか?)

 

歩夢「…さてっ!3番手は~…?」

かすみ「1/2!ここしかない!せつ菜先輩、トリはお譲りします!では!」

せつ菜「あぁっ、ちょ…かすみさん!?」

 

かすみ「ぐぬぬぬぬぬ…!!!!」

彼方「かすみちゃん、すごい気合いだぜ~♪」

かすみ「こっち~っ!」

エマ「はい、3番ね♪」

かすみ「なんでぇえっ!」

 

歩夢「部からはどっちが出るかな?」

栞子「…では、私が…」

かすみ「しーおー子ー……」

栞子「…えぇ…」

かすみ「分かってるよね?よね???」

 

栞子「…これから先、こんなに睨まれてくじを引くことがあるでしょうか…」

彼方「恐怖のくじ引き…栞子ちゃんの番号は~…?」

栞子「…ほっ」

エマ「4番でした~♪」

 

かすみ「よしっ!」

果林「それだけ私と戦いたかったってこと…かしら?」

かすみ「当たり前ですよ!…今の果林先輩なんて相手じゃないってところを見せてやりますよ!」

果林「…っ…言ってくれるじゃない…」

 

 

栞子「…面白い因果関係ですね」

せつ菜「…えぇ、私と同じ気持ちです…ですか、ライブとなると…絶対に負けられない物があります!」

栞子「負けを覚悟して勝負を挑む者はいません!

…私も、全力で行かせていただきます!」

せつ菜「望むところです!…ですか、簡単に勝てると思わないでくださいね!」

 

彼方「という事で、対戦カードが決定しまし────」

ランジュ「ちょっといいかしら?」

彼方「おぐぅ…ランジュさん、どうした~…?」

ランジュ「提案があるのだけど」

歩夢「…提案?」

 

ミア「ランジュ…」

「何を言うつもりだろうか」

 

ランジュ「対戦カードは4カード…つまり2勝2敗なら勝ち負けがつかない…それなら、トーナメント式が良いんじゃないかしら?」

エマ「…トーナメント…?」

彼方「…っていう提案があったけど…同好会はどうする~…?」

 

かすみ「ま、まぁ…確かにそれはそう思いますが…」

せつ菜「やるなら1番を決めたい気持ちは分かります…」

しずく「…はい」

璃奈「私も…」

 

ランジュ「じゃ、決まりね

トーナメント表の順番も決めましょ?」

歩夢「えぇっと…は、はいっ」

 

彼方「…で、でも…勝ち上がったのが同好会同士や部同士だったらどうするのさ~…?」

ランジュ「あら、1番を決めるバトルライブならそれでも良いんじゃないかしら?」

彼方「えぇ~…っ」

 

エマ「……」

エマは峻の方を見た。

峻は黙って頷いた。

 

 

 

 

 

ミア「Babyちゃん、まずいよ…ランジュのペースになってる」

「………………………」

ミア「…Babyちゃ………ひ…っ」

「…あぁ、悪い…大丈夫だ」

ミア「…………う、うん…」

 

 

 

 

 

こうして、ランジュの唐突な提案により…バトルライブはトーナメント形式になった。

組み合わせはこうなった。

 

 

      ┌─  かすみ

    ┌─┤

    │ └─  果林

  ┌─┤

  │  │  ┌─  しずく

  │  └─┤

  │    └─  ランジュ

─┤

  │    ┌─  璃奈

  │  ┌─┤

  │  │ └─  愛

  └─┤

     │ ┌─  せつ菜

     └─┤

        └─  栞子

 

 

 




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(トーナメント表、見にくいと思いますが悪しからずご容赦ください)


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183話

かのん「13…」
…ちょ、かのんさん?

かのん「よっしゃ…」
かのんさん????

かのん「好き…」
かのん????


【部室】

 

愛「ねぇねぇ、見た見た!?お客さんすごく入ってるよ!」

ランジュ「このランジュの圧倒的なパフォーマンスが見れるのよ?当然よ、当然……ふふっ、うふふふ…」

 

果林「…ランジュ?」

ランジュ「これでケリがつくわ…部の方が優れているって

そして、同好会のメンバーもランジュの魅力に気づいてくれるはず!

 

愛も果林もコンデションは万全よね?

半端なパフォーマンスしたら許さないわよ!」

 

果林「あら、いつも私たちはコンデション万全よ?」

愛「最高のライブにするよ~!」

ランジュ「ふふっ、それは楽しみね」

 

栞子「………………………」

ランジュ「栞子?」

栞子「…すいません、集中してました」

ランジュ「いいのよ、期待してるわ」

栞子「…………峻さん…………」

 

 

 

────────────────────────

 

【控え室】

 

「おはよ、みんな」

かすみ「あーんっ、峻先輩~っ!♪」

 

顔を見るなり、すぐに抱きついてきたかすみ。

かすみ「早くサイッコーなかすみんを見て欲しくて~♪」

「…よしよし、気負いしてないな」

かすみ「かすみんのパフォーマンスで部の事なんて圧倒してやりますよー!」

しずく「す、すいません…かすみさん、ずっとこんな調子で…」

 

「…って言ってるけど、みんな燃えてるって感じだね?」

せつ菜「はい!もちろんです!♪」

ミア「璃奈もやる気満々だね」

璃奈「うん、負けたくない…!」

 

かすみ「すごいお客さん入ってるって聞きましたよ~っ♪」

しずく「そ、そんなにっ!?」

「それも、今日が初めてライブに来た人も多いって噂だよ」

せつ菜「…それも、部と同好会が一度のライブに出るから…でしょうか?」

 

「だな…だけど、俺はお前たち4人が勝つと信じてる」

かすみ「はいっ!大ボートに乗ったつもりでいてくださいね!」

しずく「…それを言うなら大船に乗ったつもりで…じゃない?」

かすみ「そ、そうとも言うだけだも~ん!!」

 

「…さて、本番前に…ちょっとまってて?」

璃奈「峻さん、どこへ?」

「イスカンダルへの旅へ…」

せつ菜「えぇっ!?」

「というのは嘘で物取りに行くだけだ」

 

 

璃奈「峻さんが波動砲のエネルギーになると思った…」

せつ菜「闇堕ちの峻さんというのも…ありかと!」

璃奈「…胸熱」

せつ菜「ですよねぇええっ!!」

 

しずく「…あ、あの2人…盛り上がってるね」

かすみ「もー!緊張感持ってくださいよー!」

 

「おまたせ」

しずく「…峻さん、それは…?」

 

「開けてみて」

かすみ「小箱……びっくり箱とか嫌ですよ!?」

「そんな事しないよ!」

 

璃奈「…ブローチ…」

せつ菜「…これは…チョーカーですか?」

 

しずく「あっ、チェックのリボン!」

かすみ「ええっ?!…あっ、ブレスレット…!」

 

「…今日のライブに向けて…少し、な?」

璃奈「…高かったんじゃないの…?」

せつ菜「そ、そうですよ…こんなに…綺麗なアクセサリー…」

 

「?…作ったんだけど…」

しずく「作ったんですか!?」

 

「うん、手芸同好会に寄って」

かすみ「…ってことは…世界に一つだけの…峻先輩からのプレゼント!?

やーん、かすみん一生大事にします~っ!♪」

 

しずく「…峻…先輩からの…プレゼント……///

あ、あのっ!付けて貰っても…よろしいでしょうか…?///」

せつ菜「わ、私も付けて欲しいです!///」

かすみ「あ、ずるい!かすみんだって~!」

 

「…あー、順番ね?ちょっと待ってな…」

璃奈「先手必勝…///」

ピースをする璃奈を見て3人は頬を膨らました。

 

「「「璃~奈~(子・さん)!!」」」




次回1回戦ということで裏話としてはこのくらいにして…
(短めですんません)

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184話

おっす、オラA×K!

出来心でせつ菜ちゃんとのイチャイチャ妄想を書き込んだ
ハッシュタグが界隈で浸透してどんどんやる人が増えちまった!

次回:語れ、推しを、心から…ッッッッッッツ!
ぜってぇ見てくれよなっ


「璃奈、そろそろ出番だ……が?」

 

控え室に入ると、璃奈が俺に背を向けていた。

「…どうした?…やっぱり、緊張してるのか?」

璃奈「ううん、そうじゃない」

 

振り向いた璃奈は…ボードをつけてなかった。

「あれ、ボードは?…あぁ、本番前につけるってこ────」

璃奈「…峻さん、預かってて」

 

そう言うと、璃奈はボードをコツンと俺の胸の辺りに当てた。

「…えっ?」

璃奈「…今日のライブバトルは…素顔で…私の今の力を全部ぶつけてる…だから…ボードには、頼らない」

「…璃奈」

 

璃奈「…ダメ、かな?」

「ううん、璃奈の気持ち…ちゃんと受け取ったよ」

璃奈「峻さん…ありがとう」

 

愛「あーあ…見せつけてくれるね…りなりー」

璃奈「愛さん…」

愛「調子はどう?りなりー」

璃奈「悪くない…愛さんは?」

 

愛「今までに無いくらい…絶好調かも♪」

そう言って愛はピースサインを浮かべた。

 

璃奈「でも、私も、負けない」

愛「目に闘志が宿ってるりなりーなんて初めて見るかも…そう来なくっちゃね!♪」

 

璃奈「今までのありがとうを込めて…愛さんに全力でぶつかる」

愛「…まっじかぁ~…愛さん、泣きそう…」

 

(…なんだかんだ言ってもこの2人はこうでなくちゃな)

そこに同好会と部の遺恨は無く、全力でぶつかり、ライブを楽しむ親友の姿があった。

 

 

────────────────────────

 

 

エマ「私たち、司会の方に行っちゃうけど…大丈夫?」

「あぁ、監視委員だった2人も手伝ってくれるし、バッチグーだ」

彼方「あの2人、働き者だよね~」

歩夢「うん、かなり助けられちゃってるね」

「と、言うことだ…すまないけど、司会の方よろしく頼むね」

 

彼方「はーいっ♪」

歩夢「任せてっ」

エマ「いってきまーす♪」

 

ミア「…しかし、Babyちゃんは人の扱い方が上手いというか…」

「褒めてるのか?」

ミア「…一応?」

「なんで疑問形なんだ…」

 

 

 

エマ「大変長らくお待たせしました!

ライブバトル1回戦 宮下愛ちゃんVS天王寺璃奈ちゃん!」

彼方「これから2人にはライブをしてもらって、いいなと思う方に投票してねー」

 

歩夢「まずは先攻!スクールアイドル部、宮下愛ちゃんのライブです!」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【ライブ終了後 控え室】

 

璃奈「…悔しい」

「…僅差、だったな」

 

璃奈「でも…やっぱり愛さんはすごい

大好きな愛さんに全力で勝負を挑めて、私、嬉しい」

愛「…りなりー…」

 

璃奈「…愛さん」

愛「ううん、りなりーの方こそ…凄かったよ!

愛さん、めちゃくちゃ刺さったもん!

りなりーのいい所がすっごーく詰まった最高のライブだったよ!

素顔でライブできるまで成長して…愛さんホントに泣きそう…!」

 

璃奈「…愛さん…ありがとう」

愛「…それに…やっぱり同好会って……」

何かを言いかけて…愛がこちらを向いた。

 

愛「…峻、ライブバトルが終わったら…言いたいことがあるの」

「あぁ、分かった…しっかり愛の口から…聞かせてくれ?」

愛「…うんっ!」

 

璃奈の手を握ってしっかりと答えた愛。

何となく言いたいことは分かったが…俺は敢えて聞くのを辞めた。

今は2人の時間にさせてあげたかったから…。

俺は静かにその場を後にして…観客席に戻った。

 

 

────────────────────────

 

ミア「どうだった?」

「ん、問題なさそうだよ」

 

ミア「そっか、フィルダースチョイスにならなくて良かったね」

「なるわけないだろ?…あの二人だしさ」

 

ミア「それにしても…1ステージ目から凄かったね」

「ミアが心からそう言うなんて珍しいね」

ミア「僕だって思ったことくらいは口にするよ…それくらい凄かった」

「…あぁ、このまま行ってくれればいいんだけどな」

 

 

第1ステージ

【スクールアイドル部】宮下愛VS天王寺璃奈【スクールアイドル同好会】

 

勝者 宮下愛 準決勝進出




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185話

ここはどこ?
私は誰…?
優木せつ菜…?
そうか!私は優木せつ菜だったのか!!!!!!!!


ランジュ「まずはスクールアイドル部の愛が勝ち上がってくれたわね♪

まぁ、ランジュの元にいるのだから当然なんだけど」

 

しずく「…それを同好会の控え室で言うということは…余程自信があるのですね、ランジュさん

ですが、璃奈さんもパフォーマンスは劣っていたとは思えません」

 

ランジュ「あら、負け惜しみかしら?」

しずく「いいえ、事実を言ってるまで…ですよ

ランジュさんの目には…璃奈さんのパフォーマンスはどう写りましたか?」

 

ランジュ「あら、璃奈のパフォーマンスはランジュだって好きよ?

…ただ、このままだと勿体ない…それだけよ」

しずく「そうでしょうか?」

ランジュ「…何が言いたいのかしら?」

しずく「璃奈さんや皆さんにとって…同好会は大切な場所…

そこで頑張れたからこその…あのパフォーマンスなんです」

 

ランジュ「…ふんっ、意味が分からないわ

しずく?もう一度忠告しておくわ、部に戻ってきなさい…いいえ、必ず戻してみせるわ」

 

 

 

────────────────────────

 

 

歩夢「それでは、第2ステージの開始です!」

エマ「まずはスクールアイドル同好会!桜坂しずくちゃんです!」

彼方「しずくちゃんの世界に酔いしれてね~♪」

 

 

 

しずく【…私は、正々堂々とランジュさんと対決がしたい

…だから、今まで以上のライブを…ここで披露するっ!!】

 

愛「しずく…すごい…っ!」

ミア「こんなに表現力豊かに…歌えるんだ…」

「それだけしずくも学んだって事だよ…この期間」

 

璃奈「見入っちゃう…」

「…立派になったな…しずく」

ミア「…でも、ランジュが黙ってる訳…ない、よ?」

「…だな」

 

 

エマ「桜坂しずくちゃんのライブでした~!」

歩夢「続いては、スクールアイドル部よりショウ・ランジュちゃんのライブです!」

 

ランジュ(ふーん…流石、ランジュに挑戦状を叩きつけるだけあるわね…でも、しずくには悪いけど…ランジュも本気、出させてもらうわ!)

 

 

 

ミア(…ランジュ、本気で勝ちにきている…Babyちゃんの顔は…っと、あんまり見ない方が良さそうだ)

「……………………………」

 

 

────────────────────────

 

 

【控え室】

 

「しずく、お疲れ様」

しずく「先輩!ありがとうございますっ!」

 

優しく抱きしめると…しずくは小さな声で呟いた。

しずく「…でも、ごめんなさい…負けちゃいました」

「それでも、しずくが1番だったさ、俺が保証する」

しずく「…やっぱりランジュさんは凄いです…」

 

愛「そんなことないって!」

しずく「あ、愛さんっ!」

璃奈「しずくちゃん、とっても素敵だった」

ミア「僕も、しずくの表現力を見直さないといけないね

それくらい見入っちゃったよ」

しずく「皆さん…っ!…ありがとうございます…っ!!」

 

「今回は相手が悪かったさ…しずくの場合、ライブは見ている観客と一緒に舞台を作り上げていく

片や、アイツの場合は雰囲気を1人で変えてしまう…そんなライブだからな」

ミア「Babyちゃん、That's Right

正しくその通りさ」

 

「…だから、こそ…目には目を…だな」

愛「…峻?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランジュ「(しずくとのバトルは勝てた……なのに、どうしてこんなにも腑に落ちないの…っ!?)こんな)…っ… 身体工作【体たらく】っ!!」

もどかしい表情を浮かべたまま飲み物をゴミ箱に投げ捨てるランジュだった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【またもや控え室】

 

「さて、これでウチとしては後が無くなったわけだ」

しずく「ご、ごめんなさい…」

璃奈「面目ない…」

 

「2人のせいではないさ」

かすみ「そーですよー!!!!大エースのかすみんがいる事をお忘れなく~っ!!!」

 

「この様子だし、むしろ後の2人はこれくらいの逆境の方が燃えるだろ?」

せつ菜「もちろんです!!部に易々と倒される訳にはいきません!」

かすみ「果林先輩なんてちょちょいのちょーいですよ!」

 

果林「私が…どうかしたのかしら?」

かすみ「げぇっ!?果林先輩っ!?」

 

果林「視察に来たわ~♪」

かすみ「しず子!塩持ってきて!」

しずく「そんな無茶な…」

 

果林「その様子だと緊張はなさそうね」

かすみ「当たり前じゃないですか!かすみんはかすみんらしくライブするだけです!」

 

果林「…そう」

…ん?今ちらっと俺の方を見た…?

 

果林「敵は大人しく退散するわね…それじゃ、またステージで会いましょ」

璃奈「…行っちゃった」

「…かすみ」

 

 

かすみ「は、はいっ、なんですか?」

「このライブバトル…かなり大きな意味を持つ気がする」

かすみ「…は、はぁ…」

「気負いさせるつもりは無いが…よろしく頼むぞ、かすみ」

かすみ「はいっ!先輩のためにも勝ってきます!!」




スタコラサッサのエイエイサー

しずく「ちっがう!!!!!」

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186話

せつ菜ちゃんのLLL衣装が出たら魂が85回くらい抜けます
って事で、せつ菜ちゃんで致します(通算27,655,342,852回目)


かすみ「まったく、だらしないですねぇ…しず子もりな子も~…」

しずく「もう、また調子に乗って…」

 

かすみ「そりゃ、先輩からの後押しもありましたからね~♪」

璃奈「…でも、私達も後押ししてもらったよ?」

かすみ「えっ、そなの!?」

しずく「…あの、私もですが…」

 

かすみ「ぐぬぬっ……かすみんは絶対絶対負けないもん!」

 

果林「あらあら、燃えてるわね」

「…果林」

かすみ「げぇっ、果林先輩!」

 

「ライブ前に来るとはな」

果林「ふふっ、部は連勝よ?…このまま勢いに乗らせて貰うわ♪」

かすみ「三度目の~~~~~………えーっと……八起?」

「…正直な」

 

かすみ「正直!三度目の正直!!

今度はこっちが勝つ番です!」

果林「二度あることは…………えっと……繰り返す?」

しずく「三度ある…なのでは…」

果林「そ、そうよ!二度あることは三度あるって言うじゃない!」

 

璃奈「…バカばっか…」

 

かすみ「そんな余裕ぶっこいていられるのも今のうちですからねー!

かすみんのこと甘く見てたら痛い目みますよー!」

果林「あら、かすみちゃんが私のことを上回った事とかあったかしら?」

そう言って自分の胸を持ち上げる果林。

 

かすみ「ぐぬぬ…先輩は形の整った胸が好きなんですーっ!

でっかいのが全てだと思わない方がいいですよー!」

しずく「…そうだったんだ、先輩」

璃奈「…まぁ、知ってたけど…」

 

「やめろ、そんな目で見るんじゃない、違うぞ、違うからな」

 

果林「とにかく!今日は全力で挑んで勝たせてもらうわね?」

かすみ「それはこっちのセリフですよーっ!」

 

「…なんだかんだコイツらって仲良いよな…」

しずく「喧嘩する程なんとやら…ですかね?」

璃奈「むしろ…微笑ましく見えてくる…」

 

かすみ「なにをぉー?!」

果林「何よぉーっ?」

 

 

 

「……あれっ」

しずく「どうしたんですか、峻先輩?」

 

「…いや、今ドアの付近に…誰かいたような…」

璃奈「…………誰もいないよ?」

「…そっか」

 

 

 

エマ(…果林ちゃん…やっぱりこうしてる方が…いつもの果林ちゃんの笑顔に戻ってるよ…)

 

エマ(…気づいてるんでしょ…?

同好会に居た時の方が…楽しくって…毎日頑張れたって…)

 

 

────────────────────────

 

 

歩夢「さあ、どんどんいきましょう!

第3ステージ、先攻はスクールアイドル同好会より、中須かすみちゃんです!」

 

かすみ「やっほ~っ!みんなお待たせ~!♪

スクールアイドル同好会のかすみんだよ~~~~♪」

 

 

「…やっぱりアイツ、ああいう所は凄いんだよな…」

ミア「暑苦しさはあるけどね…」

 

右月「あっ、いた!」

「…?…右月さんか、どうした?」

 

右月「すいませんが、トラブルが起きて…!

ヘルプに来たんです!」

「そうか、分かった…ミア、すまんが席を外す」

ミア「OK、早く行ってあげな」

 

 

 

────────────────────────

 

 

右月「すいません、大したトラブルじゃなかったのに呼び出して…」

「解決したならそれでいいさ、じゃあ俺は戻るね」

 

 

…とはいえ、時間は結構かかったな…かすみと果林のライブ…終わっちゃったかなぁ。

 

かすみ「あーーーっ、いた!!」

「かすみ?」

かすみ「もー、先輩どこに居たんですか!徘徊する年齢じゃないですよ!」

「…お前の目に俺はどう映ってるんだ?」

 

かすみ「せーーーっかく、かすみんの最高に可愛いパフォーマンスで会場を盛り上げたって言うのにー!」

「ごめんな、スタッフとしてヘルプに出されちゃってさ…パフェご馳走するから許してくれよ?」

かすみ「もー、仕方ありませんね~♪」

 

「…それで、結果は?」

かすみ「あ、結果ですか?……結果は───」

「…………え?」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【果林 目線】

 

 

ステージに貼られた結果表には…

中須かすみ(92票) ・ 朝香果林(8票)

との記載が…。

 

果林「……8票…か」

 

差なんてない…むしろ、自分が勝ってる部分はあると信じてた。

 

果林「驕りかしら…ね…」

ランジュ「ここに居たのね」

 

果林「ランジュ…」

ランジュ「…この結果…どういう事かしら?」

 

果林「……………」

ランジュ「説明できないってこと、かしら?」

果林「少し…1人で考えさせてもらえないかしら?」

ランジュ「…そう、分かったわ」

 

その場を離れようとする果林にランジュが一言だけ呟いた。

ランジュ「この落とし前は…どうするのかだけ、考えておく事ね」

果林「……………………」

 

 

 

果林(落とし前…か…)

こんな時…峻ならどうするのかしらね…。

迷った挙句……私は峻にメッセージを送って自分の部屋に戻るのだった。




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187話

スクスタフェスの次のキャラがせつ菜ちゃんの可能性が……
う、うわぁああああああああぁ!!!


彼方「いやー、午前中あっという間だったね~♪」

かすみ「ふっふっふ、みんなかすみんに釘付けでしたね~!」

 

せつ菜「はいっ!かすみさん本当に素晴らしかったです!」

歩夢「ふふっ、今日のステージでファンの子が増えたかもね?♪」

かすみ「あったりまえですよー!♪」

 

エマ「ライブをするにつれてお客さんも多くなっていって驚いちゃったよ~」

愛「うんうん、発案した甲斐があったよ!♪」

 

かすみ「まっ、提案したのは愛先輩ですが

今日のイベントで1番輝いてたのは、かすみんですけどね!♪」

璃奈「みんな負けてないと思う、璃奈ちゃんボード''きっぱり''」

 

かすみ「なぁにぉー!?」

せつ菜「わ、わぁっ、落ち着いてください……!」

 

しずく「まぁ、これがかすみさんらしいからね♪」

かすみ「もーっ、しず子まで~っ!」

 

ミア「でも、事実……果林と、ああまで差がつくとは思ってなかったよ」

しずく「かすみさんには悪いのですが……確かに意外でした」

かすみ「それだけかすみんが神がかってたってことだもーん!」

 

彼方「…果林ちゃん、大丈夫かな~…?」

愛「果林は負けず嫌いな所があるから……こっそり練習とかしてそうだけど…愛さんは大丈夫だと思ってるよ…頼れる人がいるし…ね」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【果林の部屋】

 

果林「…ごめんなさいね、急に呼んで」

「何となく想像はつくさ、上がるぜ、果林」

 

果林「……結果…見た、わよね」

「あぁ、勝ってたな…かすみが」

 

果林「…驕り……かしらね」

「……」

 

果林「……ランジュにね…負けた落とし前をどう付けるんだって…言われて……」

「そんなことが…」

 

果林「……ねぇ、峻……私、どうしたらいいのかしら……」

憔悴しきった声で膝を抱えながら果林は呟いた。

 

「……よっ、と……隣、邪魔するぜ」

肩に手を回して…静かに果林の頭を自分の方へ寄せた。

 

「戻ってこいよ、果林……落とし前をつけるにはもってこいの言い分が出来たじゃねぇか…部に居ても私らしいライブが出来ない…成長なんて出来ない……ってさ?」

果林「……なんで……私は、負けたのかしら…」

 

「……俺はライブ…見れてないんだけどさ

多分果林の事だから…色々考えながらステージに向かっちゃったんじゃない?

部の環境は万全、努力してきた物も全部出し切るんだって」

 

その言葉に果林は頷いた。

 

「それが間違いだと、俺は思う」

果林「……えっ?」

「ほら、同好会の時はいつもどう考えてた?」

果林「……えっと……それは…」

 

「お姉さんのセクシーなライブで皆を魅了するわ〜〜っ……ってさ?」

果林「そ、そんな言い方じゃないわよ!」

「あはは、ごめんごめん…………でもさ、それが果林らしいじゃん?」

果林「………………」

 

「余裕のあるさ……大人っぽいライブがさ、俺は見たいよ…果林」

果林「……」

 

「今のままで……それが出せると思うか?」

果林「…それは…………」

 

「分かってるんだろ、自分の想いにさ

見て見ぬふりして遠ざけようとしてるの、俺は分かるよ?」

果林「………………ダメね……」

 

「……え?」

果林「これじゃ、年上のお姉さんらしくないわね…峻にそこまで心配かけさせて……」

「そんな事ないよ、俺は果林の味方だし、心配して当然だ」

 

果林「……まだ…戻れるかしら…」

「戻れるも何も、同好会のお前の場所は無くなってないよ、果林」

 

果林「…………ごめんなさい……もう少し……このまま居させて……」

「……あぁ、誰も見てないよ、今はな」

 

果林「……うっ……ぁ……っ!!」

堰き止めていた感情が溢れたのか、果林は泣きじゃくった。

それほど悔しく…思い込んでいたのだろう。

 

「……おかえり、果林」

果林「ごめんなさい……私…」

「謝らなくていいよ、戻ってきてくれるって信じてたから」

果林「いつも…トレーニングをしてる時から……思ってたの…

トレーニング中に声をかけてくれる……峻の声が聞こえないって…

それがこんなにも……辛くて寂しいなんて……思ってなくて…」

 

「あはは、信頼されてるなぁ」

果林「エマにも…ホントに酷い事して…」

「大丈夫、エマならちゃんと許してくれるから…だから、ちゃんと謝りに行こう?」

果林「…わかったわ……でも……峻もそばに居てくれる…かしら?」

「もちろん!」




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188話

侑ちゃん寝そべりきちゃぁああぁあああぁあああああ!!


せつ菜「……よしっ」

靴紐を結び直して気合を入れるせつ菜。

 

「……まだ同好会の方が劣勢なのは変わらないが……せつ菜らしく、やってくれ…な?」

せつ菜「はいっ、もちろんです!」

 

…果林はもう少し1人にさせてと言ってたから部屋を後にしたけど…

あの顔つきなら大丈夫だろう。

 

 

コンコンっ。

 

栞子「失礼します」

かすみ「あーっ!しお子!」

しずく「本番前ですが……どうしたんでしょうか?」

 

栞子「すいません、こんな時に……ですが」

せつ菜の前に対峙する栞子。

 

栞子「改めて……よろしくお願い申し上げようかと」

せつ菜「栞子さん…」

 

栞子「生徒会選挙の時は……正直、酷いことをしてしまったと…今でも後悔しています…ですが、今日の対決は正真正銘、本気の戦いをしたいのです」

せつ菜「もちろんです!生徒会選挙の事はもう水に流しましょう!

…それに、あの出来事があったから、私が強くなれたのも事実、ですからっ」

 

そう言って俺の方をチラッと見るせつ菜。

確かに、あそこで折れかかった心を再び強く前に歩き出せたのはせつ菜の強い想いがあった証だ。

 

栞子「……せつ菜さんなら、そう言ってくれると思ってました

お互いに、全力を尽くしましょう」

会釈をすると…栞子は控え室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

栞子「……私の動向も…この勝負の後に決まりそうです」

そう俺に向かって小さく呟いて……。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

歩夢「1回戦、第4ステージはスクールアイドル部

三船栞子ちゃん対スクールアイドル同好会優木せつ菜ちゃんによる

対決です!」

 

彼方「可憐な栞子ちゃんのライブが勝つのか

熱いせつ菜ちゃんのライブが勝つのか、注目だぜ〜〜っ♪」

 

エマ「では、先攻のスクールアイドル部、三船栞子ちゃん、どうぞ!♪」

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

【ライブ終了後】

 

彼方「集計結果……せつ菜ちゃんの勝利〜〜!♪」

歩夢「どちらも素晴らしいライブでしたっ!」

 

 

栞子「……やはり、せつ菜さんの壁は高く……険しいですね

…ですが、いつか必ず……!」

せつ菜「栞子さん…いいライブでした!♪」

 

握手を求めると栞子も笑いをこぼし…握手に応じた。

 

栞子「かすみさんや果林さんがせつ菜さんを目標にする理由が分かった気がします……私も、もっと精進します」

せつ菜「はいっ!一緒に高みを目指していましょう!」

 

彼方「これにて1回戦は終了だぜ〜〜♪」

 

 

 

 

 

 

ランジュ「────────待った!」

舞台袖から出てきたのは……ランジュだった。

 

「……っ」

ミア「Babyちゃん、Stayっ(……ランジュ、いったい何を…?)」

 

ランジュ「これで勝ち上がった4人が決まったわね」

歩夢「えっ?……あっ、う、うん…」

エマ「愛ちゃん……ランジュ…ちゃん……かすみちゃんに…せつ菜ちゃん」

 

彼方「それがどうかしたの〜……?」

ランジュ「そのままライブバトルをしても……興冷めするだけよ!」

 

突然の発表にザワつく観客。

 

ランジュ「部対部……同好会対同好会をしてもしょうがないでしょ?」

彼方「そ、それは〜〜……」

 

ランジュ「そうね…………愛対せつ菜…ランジュ対かすみ、なんてどうかしら?」

観客にそう煽ると…何人……また何人と困惑しながらも手を叩いた。

 

ランジュ「決まりね、そうでもなきゃイベントが盛り上がらないわ♪」

栞子(……ランジュ…)

 

 

ミア「…Babyちゃん、どこに?」

「聞くな」

 

ミア「ひっ………………ご、ごめん…」

やるせない気持ちを抱えたまま…これは会場を後にした。




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189話

予言者A×Kです
今月末、スクスタフェスでせつ菜ちゃん来ます


「…………くそっ!」

 

乱雑にペットボトルをゴミ箱に投げ捨てた。

とても会場に戻る気は起きない。

 

「…………アイツ………………」

横暴にも程がある……とても許し難い問題になってきた。

 

「自分の力を誇示したいのか?……にしても…」

考えれば考えるほど分からなくなってきた。

……俺は一体……どうすれば…。

 

 

しずく「……ぁ……峻…先輩?」

話しかけるタイミングを見失ったのか、しずくが恐る恐る声をかけてきた。

 

「……あぁ、しずくか……どうした?」

しずく「……あ、いえ……その……準決勝の組み合わせが決まったので……知らせに」

「……そうか、聞かせてくれ」

 

もっとも、内容が入ってくるかは微妙だがな…。

しずく「……準決勝1回戦は────────」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

ランジュ「愛、調子良さそうね♪

準決勝のパフォーマンスも期待してるわ♪」

 

愛「……ねぇ、ほんとに良かったの?……急に組み合わせを変えるなんて…」

ランジュ「なによぉ、不満?」

 

愛「そうじゃないけどさ……ちょっとやりすぎなんじゃないかなって」

ランジュ「そんな事ないわ♪

だってファンの子達も楽しんでるじゃない♪」

愛「………………………………うん」

 

ランジュ「もちろん、勝てるわよね?……準決勝」

愛「断言は出来ないけど……最高の自分で、せっつーに勝ってみせるよ」

栞子「…………………………」

 

 

 

───────────────────────

 

 

【控え室】

 

愛「……せっつー、峻は?」

せつ菜「……先程から、姿は見えません」

 

愛「……そっか」

せつ菜「……あ、の────────」

愛「やっぱりさ」

せつ菜「……はい?」

 

愛「提案して……イベントを盛り上げようって思ってた……けど

こんなの……本当にいいのかなって、愛さん……思えてきちゃって」

せつ菜「……愛さん」

 

愛「……んーん!やっぱり真剣勝負しないとせっつーに失礼だよね!

……愛さん、負けないからね!」

せつ菜「……はいっ」

 

愛(……こんなの、楽しくないよ……ランジュ

愛さんは……やっぱり……)

 

────────────────────────

 

 

歩夢「色々ありましたが、準決勝のスタートです!」

エマ「準決勝第1ステージは優木せつ菜ちゃん対宮下愛ちゃんです!」

 

彼方「では、先攻は宮下愛ちゃんで〜〜す!♪」

 

 

 

かすみ「……あっ、しゅ、峻先輩……」

「…準決勝は?」

 

かすみ「これからですが……大丈夫ですか?」

「……俺にはこれを見届ける義務があるからな…それに、あんな泣きそうな顔されちゃ、部長の面目丸潰れだからな」

 

しずく「…………峻先輩…」

 

 

 

 

死力を尽くしたとも言える愛とせつ菜のライブバトルは……

僅かな差ではあったが……せつ菜の勝利となった

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

「……愛」

愛「あっ、しゅんしゅん!あはは、愛さんも完敗だよ〜〜」

 

何も言わずに俺は愛を抱きしめた。

愛「……えっ、しゅん……しゅん?」

「よく頑張ったよ、愛」

 

愛「……やっぱり、峻には隠し事は出来ないね……」

せつ菜「愛さん…」

 

愛「もー、せっつーの壁高すぎ!もう反則レベルって……やつ、だ……よ……!」

せつ菜「愛さん……泣いてるんです、か……?」

 

愛「えっ?…………あ、あれ……ホントだ…なんで愛さん……泣いて……」

「……愛……」

 

愛「負けたのに泣くとか格好悪いよね……!

あーぁ、それほど悔しいってことなのかな……っ!」

「……愛、お前…」

 

愛「こんなに、心の底から勝ちたいと思う日が来るなんてな〜〜…

でも、勝ちたいとか負けたいって思うより……やっぱりこの楽しいライブが……同好会の楽しいさが愛さんは欲しかった……!」

「……戻ってこいよ、愛」

 

愛「……やっぱり、愛さん…同好会の事……最っ高に愛しちゃってる……!」

そう言うと愛の抱きしめる力はより一層強くなった。

 

愛「………ただいま、峻!」

「……あぁ、おかえり……愛」

 

しかし、この時……同好会に愛が戻ってきた……で話は終わらないことを

俺たちはまだ知らなかった……。




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190話

探し物はなんですか

せつ菜ちゃんですか、ええそうですか、分かりますよ
僕もせつ菜ちゃんを探して52万2千里歩き続けましたから(早口)


愛「……みんな…ただいま!」

璃奈「おかえりっ、愛さん!」

 

拍手で迎えられる中、璃奈と愛が抱きしめあった。

愛「はぁ〜〜……やっぱりこの雰囲気だよ、愛さんが求めてたのは!」

かすみ「まったく、勝負する前から分かってたくせにー!」

 

愛「あははっ、ごめんごめん、かすかす!」

かすみ「かーすみんですーーーー!!!」

愛「でも、愛さんの中でも……はっきりさせたかったから…

やっぱり、同好会が良い!……そう改めて気付けたから」

 

しずく「これで同好会も賑やかになりますねっ♪」

「……それで済めばいいんだが……な」

ミア「……そっか、ランジュが何を考えてるか……分からないから、か……」

 

────────────────────────

 

 

【スクールアイドル部 控え室】

 

ランジュ「ふぅん……愛も同好会に戻ったのね」

栞子「……驚かないんですか?」

 

ランジュ「興冷めしたわ、過去は振り返らない主義なの

部はランジュ1人残ってでも続けさせるわ」

栞子「……そう、ですか」

 

ランジュ「貴女はどうなのよ、栞子?」

栞子「……っ…………わ、私は…」

ランジュ「この際だからはっきり聞かせてちょうだい?

貴女は……どちらの味方なのかしら?」

栞子「……そ、それは……」

 

ランジュ「……まっ、どっちだっていいわ

勝つのはランジュ、1番はランジュ……それは譲らないし、変わらないわ」

栞子「……ランジュ」

ランジュ「そして私は…………アイツの鼻を折ってやるんだから」

栞子「………………」

 

ランジュ「準決勝、見てなさい……目に物見せてやるわ」

 

 

────────────────────────

 

 

彼方「いよいよライブバトルも大詰めを迎えたよ〜〜♪」

歩夢「準決勝第2ステージはスクールアイドル部よりショウ・ランジュちゃん!スクールアイドル同好会より中須かすみちゃんです!」

 

エマ「先攻は同好会のかすみちゃんからだよ~」

 

 

 

 

【舞台袖】

 

「いけるか、かすみ?」

かすみ「任してくださーいっ♪

タイタニックに乗ったつもりで居てくださいね♪」

しずく「……それじゃあ、沈んじゃうんだけど…」

 

かすみ「えっ?……そ、そんな事ないもん!

かすみん特製のタイタニックなら沈まないもん!」

ミア「……ホントかなぁ…」

かすみ「なにぉーっ!?」

ミア「あはは、かすみなら大丈夫そうだよ」

「だな、気負いするタイプでもないと思っていたが……安心したよ」

 

 

かすみ「見ててくださいね、峻先輩っ!♪」

腕に抱きついてウィンクするかすみ……だったが、直ぐに離れることになった。

 

歩夢「……あのー……かすみちゃん、出番だよ~……?」

かすみ「う''げっ……」

困ったような顔で目を細めながら歩夢が舞台袖に顔を出してきた。

 

かすみ「い、いいい、いってきまーす!」

「……だ、大丈夫か?」

 

しずく「…ま、まぁ、あれがかすみさんらしいですから……」

璃奈「同意……」

 

ミア「転ばなきゃいいけど……」

(信用ないなぁ〜〜……)

 

 

────────────────────────

 

 

結果、準決勝第2ステージはランジュの勝ちとなった。

 

かすみ「………………」

「……あー…惜しかったな、かすみ」

 

しずく「で、でも!同好会の中ではNO.2ですよ!素晴らしいですよ!」

愛「ランジュはちょーっと強すぎたからねぇ~」

 

かすみ「……や……い……」

「え?……やい?」

俺が耳を近づけると……。

 

かすみ「く''や''し''ぃ''〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」

「うぉっ!?」

 

今にも噛みつきそうな顔で悔しさを滲ませるかすみ。

……てっきり悔しくて泣くのかと思ったけど…。

 

かすみ「せつ菜先輩っ!!!!」

せつ菜「は、はいっ!?」

 

肩を掴まれ困惑するせつ菜。

 

かすみ「ぜっっっっっっっっったいに決勝であんなポンポコリンをけちょんけちょんにしてやって下さい!」

せつ菜「……あ、は、はいっ!」

 

しずく(ポンポコリン……)

璃奈(けちょんけちょん…)

ミア(言葉の選び方のクセが強い……)

 

「……あはは、良かったいつも通りのかすみだった」

かすみ「もー!呑気に笑ってますけど、大丈夫なんですかー!」

「大丈夫……じゃない?」

かすみ「疑問形ーっ!?!?!?」

 

歩夢「……あのー…声がすごい聞こえてきたんだけど…」

彼方「吠えてるね〜かすみちゃん」

 

しずく「3人とも!」

璃奈「お疲れ様っ」

エマ「決勝の前に少し休み時間があったから控え室に来ちゃった♪」

 

歩夢「あっ!……愛ちゃん!」

愛「3人とも、ちぃーっす!」

 

彼方「戻ってきたんだね~!おかえり~!♪」

愛「……ごめん、本当に!」

エマ「あ、謝らないで~!……それに、戻ってくるって信じてたから!」

 

「……だな、これで…後は…」

 

 

 

ガチャッ。

 

 

 

果林「……………………」

しずく「か、果林先輩っ!」

 

果林「……ごめんなさい、場違いだったわね……帰るわ」

エマ「待って!」

 

果林「……っ……エマ」

エマ「……言いたいことがあって来た……そう、だよね?」

果林「……エマには何でもお見通しね……」

 

果林「……愛…アナタも…」

愛「……うん、やっぱり自分の気持ちに嘘ついてた

正直になれたらさ…素直になれたら……すっごく楽になれた

失ってから……初めてこの同好会っていう大きな存在に気付くことって……あるんだな、って…」

 

果林「………………」

彼方「……果林……ちゃん?」

 

果林「……エマ……彼方……それに、みんな……ごめんなさい……私…」

言葉を言い始めようとした時だった……果林の視界が突然の覆われた。

 

エマ「…………」

果林「え、エマ……っ!これじゃ、何も見えな……」

 

エマ「……おかえりなさい、果林ちゃん」

果林「……っ……!」

 

ただ抱きしめて……エマは一言……そう呟いた。

 

エマ「ダメなのは……私の方だった……

果林ちゃんに冷たくして…もっと親身になってあげれば……果林ちゃんの悩んでる事とか……全部分かってあげれたのに……」

果林「……私の方こそ……感情的になって、せっかく歩み寄って来てくれたエマを追い返すような事しちゃって……!」

 

エマ「ううん、果林ちゃんが……きっと上手くいかなくて焦ってたのに……私も何も出来てあげれなくて……!」

果林「……エマ……」

エマ「……私、もっと果林ちゃんの為に何でもしてあげたい!

……だから、弱音も悩みも喧嘩しても……隠し事は無しにしよう!」

 

果林「……エマ……彼方……ごめんなさい……私…っ」

彼方「……果林ちゃん…」

「行ってあげなよ、彼方……3年生同士分かることもあるだろう?」

彼方「……うんっ!」

 

 

 

ミア「……一応、僕も3年生なんだけど……」

「お前はここでお留守番」

ミア「Shit!なんでだよー!」

 

 

 

 

彼方「これで……仲直り……だよ、ね……っ?

いつもの果林ちゃんで居てくれる……よね?」

果林「当たり前よっ……もう、寂しい思いは……したくない……っ」

 

彼方「……良かった……ぁ……ああぁっ……!」

エマ「ごめんね……本当に……っ」

果林「謝らないで……エマ……もう、私は大丈夫よ……っ」

 

 

 

歩夢「……っ……」

しずく「……歩夢さん、これを…」

歩夢「しずくちゃんも……泣いてるけどねっ……」

しずく「……です、ね……っ」

 

 

せつ菜「……絶対に勝たなければいけない理由ができましたね」

「……あぁ、これが俺たちの───────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

''スクールアイドル同好会だ''




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……あれ、目から汗が……。


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191話

あれ、買い物に行ったせつ菜ちゃんが帰ってこないな????


【決勝前】

 

「……大丈夫か、せつ菜?」

せつ菜「……大丈夫です、むしろ……燃えています!」

「……そっか、いつも通りのせつ菜だな」

 

愛「せっつー……勝ってね…!」

果林「こんな事言うのも変だけど…せつ菜のライブ……心から楽しみにしてるわ」

 

せつ菜「お任せ下さい!皆さんの想いも全部ステージにぶつけます!」

しずく「せつ菜先輩っ、そろそろ!」

 

せつ菜「……では、行ってきます!」

かすみ「せつ菜先輩っ!」

せつ菜「……はいっ?」

かすみ「同好会のNO.1は……今回は、悔しいですがお譲りします

ですが……絶対に勝つと約束してください!」

せつ菜「……はいっ、もちろんです♪

負ける気なんてこれっぽっちもありませんから!」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

歩夢「いよいよ決勝ステージの開始です!」

エマ「ここまで白熱したライブバトルもいよいよ決勝を残すのみっ」

彼方「まずはお互いステージに上がって意気込みを聞くよ~♪」

 

 

ランジュとせつ菜がステージに立ちお互いの目を見合った。

 

ランジュ「……くすっ……それでこそランジュの相手に相応しいわ」

せつ菜「……貴方には謝って欲しい事だらけです

スクールアイドル同好会の……そして、峻さんを慕う1人の異性として、貴方に全力でぶつかります!!」

 

観客からも……俺たちからも見えるくらい、せつ菜の周りには火が灯ってるように見えた。

 

かすみ「な、なんて気迫……っ」

しずく「本気だよ……せつ菜先輩」

璃奈「あんなに真剣な表情……初めて見た」

 

栞子「……………………」

「来たか、栞子」

 

栞子「……ああは言ってますが……ランジュの本当の目的は…」

「……え?」

栞子「……いえ、決勝のステージに集中しましょう」

「……あぁ、分かった」

 

何か言いたげな栞子だったが、口にしようとした時…一瞬、悲しそうな顔をした。

 

ランジュ「そうね、貴方の思ってる事は分かったわ

……でも、残念……勝つのはランジュよ。

ランジュが1番……その事実は変えられないわ」

せつ菜「……負けません……絶対に!」

 

 

───────────────────────

 

【決勝ライブ ランジュ】

※ランジュ視点

 

 

結果なんて覆せないのに……

なぜそこまで真っ直ぐな目をするのかしら……せつ菜は。

 

(いいわ……お望み通り……圧倒的なパフォーマンスで魅了してあげる!)

 

ふふっ、見なさい?……ファンの子がみんな言葉を失ってるわ。

スクールアイドルでもランジュが1番なの、1番でなくてはいけないの。

 

万が一、せつ菜に足元をすくわれるよう事……ふふっ、ありえないわね……考えすぎよ。

……それに、真の目的は……ライブバトルなんかじゃないのよ…っ!

 

 

 

(本気になったランジュは……誰もかなわないのよ!!)

天高く拳を突き上げると、観客から大きな歓声が沸き起こった。

 

 

─────────────────────────

 

 

【決勝ライブ せつ菜】

※せつ菜視点

 

 

……流石ですね、圧倒されてしまいます。

ですが、私にもスクールアイドルが大好きという気持ちと

背負った想いがあります……簡単に負けるつもりはありません!

 

(……それに、峻さんにしてきた……様々な失礼に対して…謝ってもらわないと!)

 

 

……………………だからっ……私が……っ!!!!

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【決勝後】

 

せつ菜「…………………………」

「……せつ菜」

 

集計をした結果……勝ったのは……ランジュ……だった。

受け入れられないのか…せつ菜は顔を俯かせたままヨロヨロと歩いてきた。

 

「……せつ菜!」

力なく飛び込んできたせつ菜を抱きしめた。

……小さくではあるが…啜り泣くような声がした。

 

せつ菜「……ごめん……な…さい……

私……勝てません……でした……悔しくて……悔しくて……っ!」

「……あぁ、良い……無理に言うな……お前はよく頑張ったよ」

 

かすみ「嘘……同好会が……負ける、なんて……!」

しずく「せつ菜先輩……」

果林「……せつ菜…」

栞子「………………」

 

せつ菜「ごめん……なさい……っ……峻さん……っ」

「俺の方こそごめん……お前に余計な重荷を負わせて……ごめん」

せつ菜「……っ……うっ……ぁ……っ!」

 

ステージにはランジュがまだ立っていた。

…………………………すると。

 

 

 

 

 

ランジュ「上がりなさい、宮之原 峻」

「…………………………」

 

ランジュ「聞こえなかったのかしら?ステージに上がりなさい宮之原 峻

このバトルに勝ったのはランジュよ、それくらい聞き入れなさい?」

せつ菜「……峻……さ、ん……」

「…………せつ菜の悔しさは何倍にしてでも、アイツに返してくる

だから、まずは俺や同好会の為に頑張ってくれたせつ菜にお礼を言わせてくれ……ありがとうな、せつ菜」

せつ菜「……あっ………………!」

 

 

 

 

せつ菜の肩に両手を置いた直後……俺はステージへと登った。

 

 

 

 

ランジュ「正直なことを言うわ……このライブバトル…途中から興味なくなってたの」

「……あぁ、だろうな……大方、果林や愛……ミアが同好会に入った事への制裁目的……ってところか?」

 

ランジュ「あら、勘だけはいいのね?そこだけは褒めてあげる」

そう言うと、ランジュはマイクをこちらに向けてきた。

 

 

ランジュ「勝負しなさい、宮之原 峻……ランジュが勝ったら同好会を抜けなさい」

その一言に会場がザワついた。

進行にない展開に司会の3人も困惑していた。

 

 

 

「……はぁ、やることが奇想天外なんだよ、お前は」

ランジュ「あら、逃げるのかしら?……まぁ、ランジュ相手じゃ無理ないわね」

「……あ?」

ランジュ「……っ……」

「上等だ、蹂躙してやるよ」




次回:スクールアイドル部対スクールアイドル同好会最終回
ランジュ対峻


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192話

A・ZU・NAランド 行き方 ディズニーの地下 【検索】


「……なぜ、こうまでして同好会を狙う?」

ランジュ「同好会を狙ってるんじゃないわ……アンタを狙ってるの」

 

「……何故だ?」

ランジュ「なぜ?……言わなくても分かるでしょ

貴方は同好会のとってイレギュラー…いなくても良い存在なの

それを証明するためのバトルよ」

 

「……えらく自信たっぷりだが…俺が勝ったらどうする?」

ランジュ「無いわね、100%…いいや、120%ね。

ランジュが1番よ、アンタなんか足元にも及ばないわ」

 

その一言に俺の中で表現しづらい激情が走った。

(……こいつは……俺が倒す!)

 

「なら、はっきりさせようぜ…俺対お前……真剣勝負だ」

ランジュ「やっと目が本気になったわね……そうでなくちゃ

────────さぁ、ランジュを楽しませなさい!」

 

 

マイクを握ったランジュは声高らかにライブを始めた。

俺はステージから降りずに、じっとライブを眺めていた。

 

 

〜間奏中〜

 

ランジュ「どう?ランジュのステージは……見惚れちゃったかしら?」

「馬鹿言え、ため息しか出ねぇよ」

 

ランジュ「あら、感嘆の意味を込めたため息……かしら?」

「……いいか、よく聞け?1回しか言わないぞ

……お前、楽しいのか?」

 

ランジュ「……は?楽しい?……何が?」

「……はぁ、わかっちゃいないな……お前

完璧なライブ…それのどこがいいんだ?」

 

ランジュ「そこに対して疑問を持つことからして愚問ね

ハイパフォーマンスで観客の心を鷲掴みにする…ランジュはもっともっと高みを目指していくんだから!」

「そこにお前のハートは入ってんのかよ!!!」

 

ランジュ「……っ!」

キーンっと講堂にハウリングが響いた。

 

「いくら完璧なライブをしてたってな、お前の気持ちが歌や歌詞に込められないと観客にはなんも伝わらないんだよ!お前のハートは!何を、信念にライブをする?!」

ランジュ「なっ……ラ、ランジュはランジュよ!

誰にも負けない圧倒的なライブをするだけ!!」

 

「違う!!!!」

ランジュ「……っ!?」

 

「いいか……想いを乗せて歌うってな……こういうことだよ!」

 

マイクを握り、天に向かって指を突き立てた。

 

 

 

「─────俺の歌を聞けぇえぇ!!!!!!!」

会場をシャウトする声量にランジュもファンも息を飲んだ。

 

せつ菜「峻さん……っ!」

ミア「……すごい……っ……」

 

 

 

 

ランジュ(何よ……あの真っ直ぐな目……全然歌も振りもランジュの方が全然上なのに……っ!!

なのに……っ……なのに、この身震いは……なんなのよっ……!!)

「…大体なぁ…そんなスクールアイドル部で遊んでるヒマがあるんなら、同好会に来て俺の歌を聴けってぇの!本当に心に来るライブでなきゃな、本物のサウンドは伝わんねえんだよ!」

 

指をクイッと曲げてランジュを煽る。

ランジュは悔しそうに俯いた。

 

ランジュ(…なんで…勝てないっ……ランジュの方が……圧倒的なのに……っ…勝てる気が……全くしないっ!)

「俺の歌で、お前のハートを動かしてやる!!

────────いくぜ、突撃ラブハートっ!!!!」

 

ランジュ(…………なんで、こんな……男に…ランジュが負けたなんて思わなきゃいけないのよ……こんなの、間違ってる……っ)

……しかし、悔しい気持ちとは裏腹に…ランジュのマイクを握る力は……徐々に無くなってきた。

 

そして、力なくランジュは膝から崩れ落ちた。

栞子「ランジュ……!」

「はぁ……はぁ…」

 

ランジュ「…………」

「……あ''ーっ……喉やったかも…」

歩夢「峻くんっ、大丈夫!?」

 

「……悪いな、歩夢…」

ランジュ「……煮るなり……焼くなり……好きにしなさいよ

滑稽でしょ、アンタをバカにしてたランジュが……こんな姿で…」

 

「……………………」

その言葉に俺は背を向けた。

 

ランジュ「情けをかけるつもり!?……そんな同情いらないわ!」

「分かっちゃいねぇなぁ、お前も」

ランジュ「……なに、よ…」

「お前も心からスクールアイドルを楽しむ場所があるはずだ

……どこかは…自分で探すんだな」

 

栞子「……ランジュ」

ランジュ「……………………」

 

ランジュ「……………………待って!!」

「……………………なんだ?」

 

ランジュ「……同好会のみんなも聞いてるのでしょ?

………………峻も、聞いて……お願い」

「……名前、初めて言ったな……どういう風の吹き回しだ?」

 

ランジュ「……ごめん…なさい」

「……え?」

 

意外だった、ランジュが床に這いつくばったまま……頭を少し下げてきた。

「………………………………」

ランジュ「……怒ってるわよね……あんなに酷い仕打ちしたんだもの…」

 

ランジュ「……許してくれなんて……とても言えないわ…

あなたが羨ましくて…妬んで…嫌がらせばっかりして………

本当のライブの良さを知って……手のひらを返すように……謝って……ランジュ……最低よ…」

栞子「……ランジュ」

果林「…………」

愛「……峻」

ミア「……Babyちゃん……」

 

「…顔、上げろよ」

俺は自分の膝に片手を当てて、ランジュに手を差し伸べた。

 

ランジュ「……えっ?」

「何となく分かってたよ、部には無くて同好会にあった物がお前には羨ましいんだろうなって

…………はぁ、もうさ…辞めようぜ?不毛な戦いなんかさ

スクールアイドルはライブを楽しんで仲間と一緒に輝いてくのが大事だからさ……な?」

 

かすみ「もーっ!峻先輩、お人好しすぎですよ!!詐欺にあいますよ!!」

しずく「か、かすみさんっ!どうどう!」

 

ランジュ「……なんで、そんなこと言えるのよ……ランジュは……アナタに……」

「……んー…まぁ、同じような態度をした人を過去に知ってるから……な?」

 

栞子「あ、あれは……っ!」

ランジュ「……栞子も?」

栞子「……はい、恥ずかしながら……

ですが…峻さんと出逢って……自分の未熟さや見えないところが見えて……私は後悔なんかしてません……むしろ、感謝しかありませんよ……ランジュ」

 

ランジュ「…………」

「さ、俺が出した手を……お前はどうする、ランジュ?」

 

ランジュ「……また、裏切ったり……するかもしれないわよ……?」

「そんな事ないよ」

 

ランジュ「酷いことしたりするかもしれないわよ……?」

「無いよ、だって今のランジュの目は輝いてるから……さ?」

 

 

ランジュ「……っ…………うっ……ぁ……っ!」

袖で目元を押さえながら、ランジュは俺の手を握った。

自然と観客からも拍手が起こった。

 

「……さてっ、これで一件落着だな!」

彼方「一時はどうなるかと思ったよ〜〜……」

エマ「お疲れ様、峻くんっ」

 

果林「本当に色々面倒事や迷惑かけて……ごめんなさい」

愛「愛さんも……」

「もう謝るなよ、これで良かったんだよ

みんなの気持ちも知れたし、結束も深まった……俺はその手伝いをしただけさ……それに、それが部長の仕事でもあるからな!」

 

栞子「峻さん……」

しずく「やっぱり峻さんは頼もしいです!」

かすみ「あーっ!かすみんが言おうとしたセリフー!」

璃奈「あ、あわわ……」

 

せつ菜「新・同好会のRe:スタートですね!!」

歩夢「ふふっ、なんだか賑やかになりそう♪」

 

 

 

 

 

 

ランジュ(……………………)

ミア「………………………………ランジュ?」

ランジュ(私は……)

 

 

 

────────────────────────

 

 

同好会の部室に戻ってからランジュが口を開いた。

 

ランジュ「……ねぇ」

「ん、どした?」

 

ランジュ「……ランジュは…やっぱり……スクールアイドル同好会には、入れないわ」

「「ええっー?!」」

 

「……どうしてだ?」

ランジュ「……やっぱりランジュがいるべき場所は……ここじゃないわ」

栞子「じゃあ……どうするんですかっ?!」

 

ランジュ「……香港に帰るわ」

ミア「What?!どうしてさ、ランジュ!」

 

ランジュ「ミアはこのまま日本にいなさい……貴方にはやるべき事が見つかったはずよ」

ミア「……ランジュ」

 

「ダメだ」

歩夢「……峻くん」

 

「それに、ランジュ……お前のやるべき事は見つかったぞ……たった今さっきな」

ランジュ「……えっ?」

「俺にお前をプロデュースさせろ!…………あ、言い方が違うか……お前をもっともっと輝くスクールアイドルにさせるって想いがさ!」

ランジュ「……峻……」

「逃げんなよ、俺が身震いするくらいとんでもないスクールアイドルになってくれよ」

 

ランジュ「…………………………」

「お前はもう仲間だ、お前の場所はここにある!」

ランジュ「…………………………栞子、ミア…」

栞子「そうですよ、ここからがスタートなんですから」

ミア「1人だけ逃げるのはノンノン、ご法度だよ?」

 

ランジュ「……果林……愛……」

果林「そうね、ランジュが居ないのは寂しいわ」

愛「仲間を想う気持ちは愛さん達も負けてないよ〜!♪」

 

ランジュ「……同好会のみんなも……ごめんなさい……っ」

かすみ「……許してあげます……かすみんは

だから、せっかく分かり合えたんだから、居なくなるなんて言わないでくださいよ!」

しずく「私も、ランジュさんに成長した姿を見せるまでは離れて欲しくないです!」

璃奈「私も……!」

 

ランジュ「……何一つ……ランジュは勝ててなかったのね……驕りね……恥ずかしいわ」

「焦って周りが見えてなかったんだろ?…過ぎたことはいいよ

これから先の事を見ていけば」

ランジュ「……本当に怒ってないの?」

「…………ん、まぁ…少しだけ、な?……でも、これでそれもチャラ」

 

 

そう言って俺はランジュと半ば強引に握手をした。

「ようこそ、同好会へ」

ランジュ「…………ええ!」

 

 

 

 

こうして、波乱に満ちたライブバトルイベントが終了して

同好会に新たなメンバーが加わったのだった。

 

 

 

 

ランジュ「あ、そうだ!同好会の部室を装飾しましょ!♪」

かすみ「ぎゃー!なんでもう用意してるんですかー!」

 

ミア「……ホントに大丈夫?」

「……上手いこと慣らしていく」




次回:峻とランジュの通ずる点

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193話

優木せつ菜になる方法 フジテレビからの転落からの転生 【検索】


「ふぁ…………ぁ……」

 

朝の学校…まだ生徒の数も疎らな中…俺は登校していた。

(忘れてたわけじゃないけど…書類、進めなきゃなぁ…)

 

ライブバトルイベントで講堂を使った際の報告書と

後、何故か校内放送で俺の歌が流れてしまったことによる始末書…。

 

(いや、最後のは俺のせいじゃないだろ!?)

と、ツッコミを入れても仕方ない……やれやれと部室に向かうと…。

 

(……あれ、開いてる?)

ドアを開けると、机にはカバンが置かれていた。

 

(……せつ菜かな?…あ、果林が朝練してるって可能性もあるか?)

いずれにせよ練習場に行けば分かる事なので行くことにした。

 

 

 

────────────────────────

 

【練習場】

 

???「ハッ、フッ、ハッ────────」

「おはよう、朝から精が出─────」

 

???「ん???」

「……えっ……ランジュ!?」

 

ランジュ「あら、早上好(おはよう)、峻♪」

意外な人物が練習場には居た。

ランジュが汗を拭きながらこちらに近づいてきた。

 

「……お前、いつも朝練とかしてるのか?」

ランジュ「えぇ、スクールアイドル部の時も、いつもランジュが一番乗りだったわ」

「……何時からここにいたんだ?」

 

ランジュ「……7時、だったかしら?」

「7時……!?」

 

俺が来たのが7時半だから30分も朝練を……?

確かランジュもミアも寮だから来れないことはないけど……。

 

ランジュ「ジロジロ見て……どうしたの?」

「あ、いや……!……あ、そうだこれ……俺が飲もうとしたんだけど……いるか?」

まだ口の空いてない飲み物を渡す。

 

ランジュ「あら、気が利くのね♪

そういう所、ランジュは好きよ♪」

「はいはい……隣、いいか?」

 

練習場の壁にもたれかかったランジュの横に座る。

ランジュ「意外だった?」

「えっ?」

 

ランジュ「ランジュが練習してるの」

「……うん、まぁ」

 

ランジュ「今までは練習も少し……いや、それなりにやってれば大丈夫だと思ってた」

「……うん」

 

ランジュ「でも……もっと努力をしないと、いけないって気づいたの

天才や完璧なんかじゃない想いや熱意が篭ったライブをするためには……このままじゃいけないって」

「……ランジュ」

 

ランジュ「同好会を知れば知るほど……峻を知れば知るほど、自分が未熟だったと痛感してるわ」

「……いや、その発見がランジュにとっては大きな存在になるんじゃないかな?」

 

ランジュ「……えっ?」

「天才な人は確かにいる……が、努力しないで自分の才能だけ信じてやってる人の伸び代なんかたかが知れてる

それに比べて努力して叩き上げた人の伸び代は無限大だと俺は思っている

ランジュもその一歩を踏み出せたんじゃないかな?」

 

ランジュ「……へぇ、峻からそんな風に言ってもらえるなんてね」

「偉そうだった?」

ランジュ「いいえ、説得力の塊のようだったわ

ランジュも……高みを目指したい

そのためにしっかり練習を見なさいっ?♪」

 

ニコッと胸に手を当てて笑うランジュ……いや、そこまではいいんだけど……さ……。

(……よくよく見たらこいつ……練習着の格好……結構際どいような…)

 

スポーツブラのような……下着のようにも見えなくもない格好。

愛や果林も同じような格好をすることがあるが……それとは違った変な色気がある。

 

(……よくよく思えば、同い年にしては……大人っぽすぎるというか……)

すると、視線に気づいたのか……ランジュが笑った。

 

ランジュ「あら、ランジュの姿に見蕩れたのかしら?♪」

少し練習着をずらして舌を出すランジュ。

完全にからかわれてるのは分かっていたのだが、上手く言葉が出なかった。

 

「な、何言ってんだよ!そういうのいいから!!」

ランジュ「もっと見てもいいのよ?♪」

 

た、確かに見たくないと言えば嘘になるが……っ!

ってか、こいつ……下に何も……っ!!

 

「だ、ダメだって!」

距離を取ろうと手を伸ばすと……。

 

ランジュ「ひゃんっ!///」

「……あっ……!!」

 

ペットボトルが落ちる音ともに手に柔らかい感触がした。

思い切り掴んでいたのだ、ランジュ山を。

……何故か練習着の中から。

 

(!!!?!?!?!?!?!?!?!?!)

ATK25000くらいのダイレクトアタックをした俺が何故か思考回路が停止した。

そしてダイレクトアタックを受けたランジュも抵抗出来なかった。

 

ランジュ「……ちょっ、と……っ///」

「うわぁあぁあぁあああああ、すいません!!!!!!」

Bダッシュの如く、後退りをする俺。

ランジュは自分の体を抱きしめてこちらを見つめた。

 

ランジュ「……っ……峻のくせに…生意気だわ…///」

その表情は今まで見た事ないような顔を赤くした子供のようなランジュの顔だった。

 

ミア「………………なにやってんの」

「あ、ミ、ミア!」

 

ミア「飲んでるウィ〇ーインゼリー…プレーンなのに凄く甘く感じるんだけど……」

「……す、すいません」

 

ミア「ランジュも黙ってないで何か言ってよ」

ランジュ「………………〜〜//////」

ミア「……ダメだこりゃ」




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194話

いい夫婦の日ということでせつ菜ちゃん下さい(サンチンの構え)


今日は同好会の部室に思わぬ来客が来た。

 

 

???【色々ありましたが、結束が深まって13人で活動するスクールアイドル同好会を新聞部が突撃取材しちゃいまぁす!】

 

若干テンション高めな新聞部の部員がレコーダー片手に部室に来た。

かすみ「やーん、かすみんの取材ですかぁ〜〜?♪」

ランジュ「ランジュの取材に決まってるでしょ?」

かすみ「なにぉー?!」

ランジュ「なによぉ……!」

 

果林「……まぁ、お陰様でご覧の通りよ

雨降って路面固まる……部も同好会も関係なく今は仲良しよ」

新聞部【おおっ、さすが先輩の風格ですね朝香さん!】

 

しずく「……ちなみに固まるのは地面ですよ、果林先輩」

果林「……そ、そだったかしら???」

 

新聞部【あれ、部長さんはご不在ですかね?】

歩夢「峻くんなら音楽室に行ってるよっ」

 

新聞部【なんとっ、盲点でした……ちょっと失礼します】

ポケットから携帯を取り出す新聞部員。

 

新聞部【コードミュージックルーム!ターゲット宮之原!QED!】

せつ菜「……ええっと…取材です、よね?」

新聞部【はぁい、もちろん!今回の取材のメインですから!】

璃奈「……峻さんが?」

 

新聞部【もちろんですよ!スクールアイドル部にも真っ向から勝負したり生徒会長をすらもスクールアイドルにしてしまう……そんな彼の手腕を是非取材したいと!】

ミア「……人気者なんだね、Babyちゃん」

栞子「本人は自覚が無いようですが……」

 

新聞部【ってな訳で!宮之原部長の印象を各メンバーから聞いていきたいかと!】

「「「「…………ええぇぇぇえええっ!!??」」」」

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

【音楽室】

 

 

「……あのー……入口で覗いてないで入ってきても良いんですよ?」

カメラを構えた……パパラッチ?らしき人物達が俺の方をじっと見ている。

何か手招きをして音楽室へと入ってきた。

 

新聞部【はじめまして!新聞部です!】

「……あ、どうも…?」

テンション高いなと……峻は苦笑いを浮かべた。

 

新聞部【本日はスクールアイドル同好会の取材をしたく!

特に宮之原部長の取材中心で!】

「えっ、俺???」

取材されるような事は何も無いと思うが……。

 

新聞部【あれ、ご存知ないんですか?】

「……えっ?」

しまった、色々心当たりがありすぎる……っ。

バレたのかな……それとも内部告発─────。

 

新聞部【宮之原部長、生徒たちから

範馬…勇次郎?とアクセラレータ……と司波達也?を混ぜたような出で立ちだしイメージだと!】

……せつ菜が聞いたらテンション上がりそうな印象だな。

と言うか偏見が強いような気もするが???

 

 

新聞部【では、本題に移りまして……まずは─────】

 

 

 

────────────────────────

 

 

新聞部【では、まず1年生メンバーから聞いてみましょう!】

しずく「えっと……その……」

しずく(初めてキスしたとか言えないっ……どうしよう!?)

しずく「……私の理想のヒーローです!!」

新聞部【ほうほう……】

 

かすみ「かすみんは〜〜……うーん

旧知の仲です!かすみんと峻さんからスクールアイドル同好会が始まりましたからね!」

新聞部【なるほど……】

 

璃奈「峻さんは……太陽……」

新聞部【太陽……ですか?】

璃奈「笑った顔も性格も言動も……明るく照らしてくれる」

新聞部【なるほどなるほど……】

 

栞子「…生徒会長になった時…彼がいなければ私はどうなっていたかを考えたら……身震いしてしまいます

私にとって彼はターニングポイント……ですかね」

新聞部【…………んん???】

 

 

────────────────────────

 

新聞部【つ、続いて2年生にお話をお聞きしましょう!】

 

 

せつ菜「はいっ!峻さんは正しくアニメキャラを移り変わりの様な人です!かっこよくてリーダーで素晴らしい人です!

特にですね、話しかけてきた時の────────」

新聞部(長くなりそうだなぁ……それにこれ、スクールアイドルフェスティバルの時に聞いた気がした…)

 

歩夢「峻くんはね、普段はかっこいい横顔してるのにね

寝てる時は子供のように可愛い顔してるし寝起きの甘えた声はすっっごく可愛いの!」

新聞部(なぜそれを知ってるんだろう……)

 

愛「んー、しゅんしゅんかぁ

パートナーっていうかバディっていうか……隣に居心地いいんだよねぇ」

新聞部【……ぐっ……なんだろう、胸が…】

 

ランジュ「峻?……不思議よ、何考えてるか分からないし

言ってることはめちゃくちゃだし、突然おかしな事言い始めるし

……でも…嫌いじゃないのよね……ああいうタイプの人

こんな事言うのは初めてだけど……」

新聞部(あのランジュさんが……顔を赤めている……っ!?)

 

 

────────────────────────

 

【音楽室】

 

新聞部【続きまして、今後のスクールアイドル同好会の目指す道をお聞きしたいのですが……】

「……道……すか」

 

新聞部【そもそもスクールアイドルは宮之原部長にとってどういう存在なんですか?】

「……存在……かぁ」

 

新聞部【スクールアイドル同好会に居るたった1人の男子……

もっと言えば虹ヶ咲学園には男子生徒が数少ないのですが……その中でスクールアイドル同好会を選んだ理由とは……?】

「無いですよ、理由なんて」

 

新聞部【……え?】

「俺はスクールアイドルに心を奪われたし

俺がスクールアイドルを導きたいと思った……それくらい輝く眩しい存在なんだよ」

 

新聞部【……なるほど】

「……道……か……」

 

 

 

その言葉に、俺の心は酷くざわついた。

俺の目指す道ってなんだ?

……それは峻として進む道か?……それとも悠としての道……か?

そして、それを本当の峻は望むのか?

 

………………俺は、一体何を目指せばいい……?

 

 

 

────────────────────────

 

 

新聞部【最後に3年生にお聞きしま……えっと……】

ミア「……なんで僕を見るの?一応、僕も3年生なんだけど」

 

新聞部【失礼しました!では、宮之原部長の印象をどうぞ!】

ミア「僕、Babyちゃん苦手」

新聞部【おや、意外ですね!】

ミア「……だって、僕の心を騒がせるんだもん

変なノイズ……でも、嫌いじゃないノイズだから余計気になっちゃって……」

新聞部(…それは恋というのでは……?)

 

果林「峻ねぇ……多分同好会の中で1番精神年齢高いんじゃないかしら?

凄い信頼置けるのよね、彼」

新聞部【確かに、ライブバトルイベントの時もその片鱗を見せつけていましたからね!】

 

彼方「峻くんの膝枕、凄く寝やすくて彼方ちゃん大好きなんだ~♪」

新聞部【なんだろう……DNAに甘さが届きそう……宮之原部長ってたらしなのかな……】

 

エマ「でもね、峻くんは私の胸を枕にして寝るのも好きみたいだよ♪

弟みたいで可愛いの!♪」

新聞部【うわぁああああぁ!】

 

 

 

胸を押さえてレコーダーを落とす新聞部員だった。

次の日のニジガク新聞には、でかでかと宮之原部長はマジパネェという一面が飾られていた。




次回:道を探せ!

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195話

せつ菜ちゃんURで天井を迎えました
おもしれー女……(ニチャァ)


「……突然呼び出して、ごめんな」

 

曜「いきなり沼津に行くからって言われた時はびっくりしたよ〜…」

花丸「それで、用はなんずら?」

 

「……実は……」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【一方、虹ヶ咲学園】

 

ランジュ「んーーーーー!美味しい!

同好会のメンバーで一緒にスイーツ食べるなんて、これってアオハルってやつね!♪」

ミア「青春ね、一体どこで覚えたのさ、そんな言葉」

 

ランジュ「あら、せつ菜が貸してくれた本にはそう書いてあったわよ?」

せつ菜「はいっ!青春と書いてアオハルです!

私たちは今、アオハルを体感してるんですよー!♪」

 

しずく「……随分せつ菜先輩のテンション高いけど…?」

璃奈「同じ漫画を語れる同士ができたって」

しずく「……あー……」

 

かすみ「あーぁ、峻先輩も来ればよかったのに……」

歩夢「何かね…訳は話せないけど……旅に出るって」

 

彼方「山篭りでもする気なのかな~?」

ランジュ「……つかぬ事を聞くけど……峻って強いのかしら?」

 

腕を組みながら、少し頬を膨らましながら質問をするランジュ

その質問にみんなが苦笑いを浮かべた。

 

しずく「えーっと……」

璃奈「……かな、り?」

 

愛「んー、参考になるか分からないけど…この前ゲームセンターに行ったらね?」

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

愛【おっ、パンチングマシンじゃん!♪】

【ちょっと、やってみようかな】

 

愛【あはは、しゅんしゅん壊さないでね~】

璃奈【ハイスコアは……158kg……みたい】

 

【へぇ……まぁ、そう言われてもピンと来ないけど…………よっ!】

 

 

ズガァーーン!!!

 

【……へ?】

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

愛「そん時の記録が334kg!後から調べたら日本人チャンピオンと同じくらいあるって!いやー、めっちゃウケたよね~!♪」

 

ミア「……ランジュ、落としてる」

ランジュ「ベ、ベベベベベ、別にそれくらい普通よ普通!」

 

 

歩夢「そう言えば私も……」

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

歩夢【……峻くん、何やってるの?】

【ん?……あぁ、筋トレだよ】

 

歩夢【さっきから凄い音がしてるんだけど…】

【……風が強いのかな?】

 

歩夢(……えっと、峻くんが手を突き出してる瞬間に風が来るんだけど……)

【あ、白なんだ】

歩夢【ば、バカぁっ!//////】

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

歩夢「……ってことが……///」

ランジュ「……なんか……ランジュ…とんでもない人を相手にしてたのね……今更だけど身震いしてきたわ」

 

果林「あら、まだあるわよ?この間……」

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

???【オラァ!金をだせぇ!】

 

果林【ひっ……!】

【……マジかよ、強盗…?】

 

???【モタモタすんなぁ!】

果林【……しゅ、峻~…】

【果林とのデート用の金下ろしに来ただけなのにな……】

果林【ちょっ、危ないわよ!】

 

???【なんだぁ、クソガキ!!】

【あっ、ハエ】

 

???【!!!!!!!!!!????????】

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

果林「デコピンをしたら犯人が10mくらい吹っ飛ばされて気絶してたわ…」

エマ(と言うか、果林ちゃん……峻くんとデートしてたんだね)

 

せつ菜「……あぁ、それで学校に来るのが凄く遅い日があったんですね」

ランジュ「人間じゃないわ!未確認生物よ!未確認生物!」

ミア「ランジュ、カップを持つ手が震えてる……」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

曜「……元に……」

花丸「戻り……たい?」

 

 

「ああ」

 

曜「ちょっ……ど、どうしちゃったの、急に……

ニジガクのみんなと何かあったの?」

花丸「曜ちゃん……何か理由がありそうずら」

曜「……え?」

 

「……俺は……悠だ

本当にこのまま峻という人格で生きていていいのかって……思えてきたんだ

もちろん、ニジガクメンバーとの思い出が要らないとかそんな事を思ったわけじゃない

……ただ、今こうしているのを……本当の峻は望んでいるのかなって……………………それに………………」

曜「……それに?」

 

 

「……悠としての目覚めを……待ってる人が、いるから…」

花丸「……………………」

 

「2人に話して解決策が見つかるなんて思ってないけど……一応、話しておきたくて…」

花丸「その考えに……後悔はないずら?」

「……あぁ、無い」

花丸「……………………分かったずら、まる達の方でも調べたりするずら」

「いいのか?」

花丸「……悠さんに戻って欲しいと思うのはまる達も同じずら」

曜「……うん……そう、だよね……このままじゃ……いけない、もんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……2人とも……ありがとう」

 

 

────────────────────────

 

【次の日】

 

 

ランジュ「お、ぉぉお、おはようございますっ!」

「……え?」

 

ミア「ランジュ、かしこまりすぎ……気にしないでBabyちゃん

ちょっとした癇癪だから」

「……あー……うん???」

 

かすみ「先輩……また悪さしたんですか……」

「え?え???」

 

しずく「あの……栞子さんが…」

ピンボンパンポーーーーーン

 

栞子「普通科2年 宮之原 峻さん

至急、理事長室までお越しください……繰り返します」

 

「……は?」

彼方「ついに峻くんも……ヤンキーデビュー」

せつ菜「リベンジャーズになってしまったのですか……っ!」

歩夢「……峻く~ん……」

 

「絶対誤解だから!!着いてこなくて大丈夫だから〜〜!」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【理事長室】

 

栞子「あっ、ようやく来ま………………何だか、賑やかですね?」

「……止めても無駄で…」

 

愛「峻は何もしてないよ!」

果林「そうよ!ちょっと人より強いだけで!」

璃奈「どうか、退学だけは……!」

 

理事長「……えぇーっと……ちょっと待ってね?事態が呑み込めないわ」

「大丈夫です、俺もですから」

 

理事長「まぁ、スクールアイドル同好会のみんなが来てくれたならそれはそれで好都合よ

実は……オファーが来たの、ライブの」

「ライブ……ですか?」

 

かすみ「ライブ〜〜っ!!!???

どこですか、どこですかっ!♪」

理事長「それがね、すぐに答えが出せるようなとこじゃないのよ」

 

しずく「……まさか、海外?」

エマ「……山とか?」

せつ菜「となれば、海も有り得ますね!」

 

理事長「ドームよドーム」

「「「「「「「「………………え?」」」」」」」」

 

 

璃奈「上上下下左右左右BA!」

「それはゲームね」

 

愛「サ〇エさーんは愉快だな~♪」

「それはホームね」

 

エマ「わ、私の名前は……!」

「それはネーム」

 

ランジュ「ふふん、ランジュの実力を考えれば当然ね!」

「……ブレないなぁ……お前は」

 

「「「「「「「えええぇーーー!!!???」」」」」」」

「うわ、時間差で驚きが来たし」

 

 

理事長「どうする?」

「……どうすると言われても……」

 

 

 

 

 

 

 

……………………答えなんか……決まってるよな?




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196話

時代は、かのせつようです。
ここ、日本国憲法に出ます。


ランジュ「それで、二つ返事でライブの承諾をしたけど、何か考えあるの?」

ミア「……Babyちゃんの事だから、考えもなしに言ったとは思えないけど……Babyちゃん……???」

 

「………………」

歩夢「峻くん、どうしたの……?」

 

「……えっ?……あぁ、ごめんな、考え込んでた」

ランジュ「ドームライブよ?一体どうするのよ」

「もちろん、最高の曲を作る……安心してくれ(……これが、虹ヶ咲にとっての最後の作曲になるかもしれないし……な)」

 

かすみ「とはいえ、今からみんなで行動しても……間に合いますかね〜〜……?」

「大丈夫、助っ人を呼んでるよ……多分もうすぐ、着くはず」

 

 

ガチャッ。

 

薫子「やっほ、お邪魔するよ♪」

栞子「ね、姉さん……どうして、ここに……っ!?」

「俺が呼んだの、まとめ役として手伝いしてもらおうかと」

 

薫子「スクールアイドル同好会の部長さんからの頼みなら無下に出来ないからねぇ♪」

「……さて、曲の事なんだけど……俺はやっぱり12人でのライブが見たい」

 

 

同好会メンバー「「「「「…………っ!」」」」」

「色々あったけど、みんなスクールアイドル同好会の仲間だし……ライバルだし……楽しさも悔しさも全部分かってると俺は思っている

そんな12人でしか出せない……最高のライブをしたい」

 

せつ菜「峻さんらしいですねっ!♪」

ランジュ「もちろん、ランジュがセンターよね!」

「いや、違うよ」

 

ランジュ「ち、違うの!?どうしてっ……!」

「センターは……12人全員だ。

みんながみんなスポットライトを浴びて……一人一人輝いて欲しいからな」

 

しずく「私は、賛成です!……峻さんの曲なら……誰でも輝けますから

♪」

薫子「うん、スクールアイドルファンの私も賛成だよ……いい事言うね、部長くん」

 

「……さぁ、俺は作曲で忙しくなるな……」

栞子「作業分担をしましょう

歌詞と曲が出来次第、振り付けを私とランジュと姉さんとせつ菜さんの4人で

作曲などの細かな点はミアさんとしずくさんと峻さんで大丈夫でしょう

あとは衣装などの担当ですが…………」

 

 

 

 

 

こうして、役割とこの後の流れが決められていって

その日は終了となった。

 

 

 

───────────────────

 

 

【その日の夜】

 

 

「…………っ……あぅ……」

睡魔と戦いながら……俺はノートに向き合っていた。

 

既に学園内でもスクールアイドル同好会によるライブの噂は広まるに広まり……期待度が高くなっていった。

 

 

「……っ……それに……」

悠に戻る……そう決めたんだ……悔いのない曲を作ら……ない……と……。

 

 

「………………少しだけ……仮眠……」

そのまま、机に突っ伏して俺は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【????】

 

 

 

峻「……あれ……ここは……」

悠【目覚めたか?】

 

峻「……あれ……俺……か?」

悠【と言っても、ここは夢の中だけど……】

 

峻「……あっ!……俺……!!」

悠【ストップ】

峻「……え?」

 

悠【何が言いたいか……だいたい分かるから、俺だったらそうするっていうのは……よく分かってるから】

峻「……………………」

悠【後悔は……ないんだな?】

峻「…………あぁ」

 

悠【……そうか、まぁ……俺は目を閉じたままだから……どうすることも出来ないが……】

峻「……もし、戻ったら……どうなるんだろうな?」

悠【……さぁな……ただ……】

峻「……ただ?」

悠【思ってるような酷い展開には……ならないかもな?】

峻「……なんだそれ」

悠【何となく、だ】

 

峻「…………」

悠【とにかく、今は目の前のことを楽しめよ

なるようにしかならないんだからよ】

峻「……あぁ」

悠【……まぁ、こうして話せるのも……最後かもって事、か……】

峻「……そう、だな」

悠【楽しかったぜ、自分と話すなんてよ】

峻「あぁ、俺もだ」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

歩夢「……くんっ…………峻くんっ!」

「……あれ……俺……」

 

歩夢「おはよ、もう朝だよ?」

「……あっ、俺そのまま寝落ちしてたんだ……」

 

歩夢「ふふっ、峻くんらしいね♪

……あれ?……でも、タイトルとか……書いてあるよ?」

「……えっ?……ほんとだ……それに…なんだこのメッセージ……」

 

ノートの端には……。

【お前ならやれる】の一言が……。

 

「……まさか……な」

歩夢「……???」

「……ううん、なんかやる気出たわ!作曲頑張るぜ!」

歩夢「もうっ、その前に朝ごはん食べて、学校だよ?」

「……あ、なら……授業中に?」

歩夢「だーめっ……ふふっ♪」

「あはは……だよなぁ」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【そんなこんなで1ヶ月後】

 

「衣装、出来たんだって?」

彼方「自信作だぜ〜〜♪」

果林「ふふっ、彼方ったら物凄いやる気だったわよね」

璃奈「この衣装、とっても素敵♪」

 

「……あれ、かすみや愛は?」

せつ菜「待ちきれなくて、試着しに行きましたよ?」

「……あはは、なんか2人らしいね」

 

しずく「……いよいよ……来週、なんですね」

ミア「緊張してる?」

しずく「いえ、むしろ……胸の高鳴りが収まりませんっ」

ランジュ「観客のハートを鷲掴みにするわっ♪」

 

栞子「姉さんの話によると、テレビにも流れるそうですよ?」

かすみ「えぇーっ!?なら、かすみんの知名度アップ間違いなしですね〜〜!♪」

 

「……かすみ、テンション高くなってるとこ悪いんだけど……

スカートのファスナー締め切れてないから見えてるよ」

かすみ「え?…………あっ……///

ば、バカ!変態!団子!!!」

「……バカと変態は分かるけど……団子って何???」

 

せつ菜(バカと変態は認めるんですね……)

エマ(団子……?)

ランジュ(たらしってことね……)

 

 

「と、とりあえず!……試着も大丈夫そうだし……来週まで体調とか崩すなよ?」

「「「「はーいっ♪」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かすみ「……なんか、無かったことにしようとしてません?」

「……バレた」




次回:(分岐ルート 前 最終話) 12人での輝き!!


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197話

分岐ルート前に一言。

197話も続くとは思いもしなかったです
これもひとえにファンの皆様のおかげです。
ありがとうございます。
残り少ないNEXT Rainbow!!をお楽しみください。


遂に、ドームライブの当日を迎えた。

待ちわびた観客が続々と入場して行く姿を見て俺は息を吐いた。

 

「……いよいよ、か」

これが最後のライブ……に、なるだろう。

俺は…………いや、まだそれを考えるのは辞めよう。

 

「……そろそろ、着替えが終わった……かな?」

携帯を見ると……歩夢からのメッセージが入っていた。

そのメッセージを見て、クスッと笑い……俺は控え室に戻った。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【控え室】

 

かすみ「あっ、来ました!♪」

ミア「……むっ……遅いっ」

 

「ごめんごめん……おぉ、似合ってるな…みんな」

黄色をメインとした制服のような衣装とスカート……まるで学校の制服のようだ。

……うん、似合ってる……すごく。

 

ランジュ「……でも、せっかくのドームライブなのに…少し地味じゃないかしら?」

栞子「良いじゃないですか、私達らしくて」

せつ菜「はいっ!落ち着く衣装で同好会らしさを感じます!」

 

ランジュ「……そうね、確かに……良いわ、すごく」

果林「ねぇ、峻?……今日のライブの合言葉は何かしら?」

「合言葉?……それはな…」

 

俺は人差し指と親指を広げてLの文字を作った。

エマ「……L???」

「そ、L!」

彼方「……どういう意味~?」

 

「まずはLove!」

しずく「……まぁ、それは何となく分かりますが」

 

「次はLife!……まぁ、もうスクールアイドルは俺たちの生活の一部になってるからね?」

璃奈「なるほど……」

 

「んで、最後がLive!このドームライブにふさわしいライブにしたいって願いから付けた!」

愛「あっはは!しゅんしゅんってば、安直~♪」

「い、いいだろ~?」

せつ菜「Love the Life we Live……ということ、ですか…

素晴らしいです!ぜひこのライブを成功させましょう!!」

 

かすみ「……せ、せつ菜先輩が今まで以上に燃えている……」

璃奈「炎柱みたい……」

 

スタッフ【すいません~、スクールアイドル同好会の皆さん

そろそろ準備の方をよろしくお願いします~!】

 

歩夢「あっ、じゃあ……そろそろステージに向かうね?」

「あぁ、一番近くで見てるからな」

 

かすみ「行ってきますね、せ~んぱいっ♪」

「とちんなよ~?」

かすみ「むぅ、そんなことしませんから〜!」

 

一人一人……思いを馳せながらステージへと向かった。

控え室に取り残されたのは……俺一人だった。

 

「……さて、俺も向か────────」

悠【行くのか?】

 

「……えっ?」

姿は見えない……でも、確かに…悠の声がした。

 

「……悠……?」

悠【そろそろ答えを出す時間だ……みんなとの時間を楽しめ……な】

 

「……あぁ……」

悠【………………ありがとう……】

「…………え?」

 

聞き間違えなのか……そのまま、悠の声は聞こえなくなった。

……疲れてるのだろうか……。

 

 

「……ダメだな、しっかりしないと……」

 

 

 

────────────────────────

 

【ステージ】

 

 

歩夢「皆さん、はじめまして!

スクールアイドル同好会です!!今日は初めてのドームライブに来てくれてありがとう!」

 

愛「とことん楽しませちゃうから、最後まで目を離さないでね~!♪」

 

かすみ「後はぁ~、きゃすみんのファンになって帰ってくださいね!♪」

しずく「……噛んでるよ、かすみさん」

かすみ「……むーーっ!」

 

ランジュ「かすみの事は置いておいて……ランジュのファンになりなさいっ!」

ミア「……ちょっと何言ってるか分からないね」

ランジュ「……み、ミアぁ!?」

栞子「……こちらもいつも通りですね」

 

果林「はいはいっ、ライブに行くわよ?」

彼方「はっ!寝かけてたぜ~……」

エマ「お昼寝はライブ終わりに、ね?」

 

せつ菜「では、行きましょうか!」

璃奈「初めて12人でやるライブ……しっかり、見ててね?」

 

 

 

 

「「「「「「Love the Life we Live!!」」」」」」

 

 

 

────────────────────────

 

「……みんな…輝いてるな……くそ……なんかステージが見にくくなってるな……汗、のせい……だよな……」

 

 

大盛況の中……スクールアイドル同好会のドームライブは大成功を収めた。

……強いて言えば、ランジュがアドリブで司会をしたりしたが……。

 

栞子やミアが突っ込んだりして、場を盛り上げたりしたので結果オーライだった。

後は彼方が寝そうになって寝言で俺の名前を言って歩夢が対抗するという、ほんわか(?)な雰囲気を作りあげた。

 

……何人かは甘さによって胸を押さえていたらしいが……。

 

 

 

そして、ドームライブから月日が過ぎ……。

 

 

 

同好会メンバー「「「「「「……ぽけー……」」」」」」

「……空気が……ゆるゆるだな」

 

かすみ「いやぁ、終わったら燃え尽き症候群と言いますか……」

愛「余韻が凄くて……ねぇ……?」

せつ菜「今でも、ドームライブが昨日のようです~……」

 

ランジュ「ねぇ、もっとドームライブしましょ!♪」

栞子「そんな滅茶苦茶な……」

ミア「ランジュはいつも通りだね……」

 

「……じゃあ、そんなほのぼのムードを一蹴する発言をしようかな……」

しずく「……え?」

璃奈「嫌な予感……」

 

「……そろそろ、俺も意中の人を決めようかな……ってさ」

同好会メンバー「「「「「「……!!!!」」」」」」

 

ガタッと立ち上がる者もいれば……。

握りこぶしを作る者もいた。

 

しずく(……いえっ、ですが……先輩の決めた人に異論はしません……)

果林(……誰、なのかしらね……)

彼方(……すやぁ~……)

 

 

 

メンバーが気になってそわそわしていたが……。

俺はしばらく時間を置いてから、その答えを出すと約束をした。

……それに、まだ……少しでも峻として……居たいし……な。

 

 

────────────────────────

 

 

 

Next Stage:分岐ルート 【歩夢編】




分岐ルートの順番ですが

歩夢→彼方→せつ菜→璃奈→栞子→しずく
果林→かすみ→エマ→愛→ミア→ランジュ

の順でお届けします。

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上原歩夢 分岐ルート
分岐ルート 上原歩夢編 その1


あ、やせいの分岐ルートだ!!!



歩夢「ふふっ♪」

 

 

なんも無い休日の日……歩夢は笑いながら漫画を読んでいた。

「珍しいね、漫画読むなんて」

歩夢「あっ、これ?……えへへ、せつ菜ちゃんから借りたんだけど……面白くって♪」

 

「へー……どんな漫画なの?」

歩夢「えっとね……幼馴染の女の子を助けようと何度も歴史をして繰り返す主人公の男の子がヤンキーになって頑張るお話なんだけどね?」

「……まさか、その漫画って……」

歩夢「……えーっと……東京リベ……」

「うん、分かった、それ以上はええよ」

歩夢「……?」

 

なんつー漫画渡してんだ、せつ菜め……。

 

歩夢「……でも、いいなぁ……こういうの……」

「……そう、か?」

歩夢「えへへ、幼馴染はやっぱり好きの対象になるのは難しいの……かな?♪」

「……まぁ、よく小さい頃にお嫁さんにーとかはありそうだしな」

 

歩夢「峻くんは泣いてばっかりだったけどね♪」

「……っ…………む、昔のこと……だろ」

歩夢「そんな峻くんを、いつも守ってたのにな~」

「…………………………」

 

いたたまれなくなって顔を背ける俺の髪の毛を歩夢はいじり始めた。

歩夢「でもそんな峻くんが、こんなにかっこよくなって……妬いちゃうな……///」

「……歩夢……」

 

歩夢の顔を見ようとした…………が、俺には出来なかった。

だって、歩夢が思い出してるのは……昔の峻……だから。

 

(……俺は……歩夢に触れる権利が……あるのだろうか?)

今、歩夢が見ている峻の姿は…………猫を被った姿。

そんな誰かも分からない人に……触れられたくは無いだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

歩夢「……峻、くん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと、俺は歩夢を押し倒していた。

「……俺は……最低だな」

歩夢「……え?」

 

「気がつくと、こんなことばっかりしてる」

歩夢「……峻くん……」

「……嫌、だよな……」

その言葉に……歩夢は両手を広げて答えた。

 

歩夢「……きて……///」

「……でも……」

歩夢「……お願い……///」

「……歩夢………」

 

歩夢「私は……最低だなんて、思わない……

大好きな峻くんにされるなら……私、どんなことだってするよ……?」

「……歩…………夢…………」

歩夢「……ねぇ……わがまま……言っていい……?///」

「……え?」

 

 

歩夢「……でも……これは、私の独り言だから……聞き流してくれて……いい、よ……///」

そう言うと、歩夢は抱きしめて……俺の頭を優しく撫でた。

 

歩夢「─────私だけの……峻くんになって……

私は……峻くんだけの……私になりたいよ……」

「……っ……!」

 

体の芯まで、響くような言葉……。

俺は目を大きく見開いたまま……何も言葉が出なかった。

 

 

歩夢「……っ……な、なーんてねっ!?///

えへへ、漫画の女の子に感情移入しちゃったっ♪///」

慌てて、距離を取り否定をする歩夢。

そして、そのままドアの方に向かった。

 

歩夢「の、飲み物取ってくるね……っ!」

「……待って、歩────────!!」

 

言葉の途中で、歩夢は部屋を出てしまった。

 

「……違うよ……お前が求めてる……峻は……こんな性格じゃないだろ……」

死んだと思って……目を覚まして……別の人間になって……。

今までの自分の通りにしようと……髪型も口調も変えて……。

一気に罪悪感が込み上げてきた。

 

俺は……今、色んな人を騙している……。

そう思うと目の前が真っ暗になった。

 

(……最低だ……俺は……)

今までの行動は全て間違っていたのか?

……答えを聞いても……誰も答えてはくれない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………ん……」

歩夢「……おはよ、峻くん♪」

「……あれ……俺……」

歩夢「寝ちゃってたよ……随分、魘されてたけど……大丈夫?」

「……夢……?」

歩夢「……???」

 

「……そんなわけないか……」

歩夢「なにか……悩み事……?」

「ううん、大丈夫……ありがとうね、歩夢」

歩夢「……そっか……」

 

「……あっ、もうこんな時間なんだ……」

歩夢「結構寝ちゃってたけど……大丈夫?」

「……夜寝れないかもな……」

歩夢「……なら……泊まって……いく……?///」

「……いいのか?」

歩夢「……私も……今日はなんだか、寂しくって……///」

「……そっか……じゃあ……そうするよ

俺も……寂しいし……なんか心が落ち着かないっていうか……」

 

歩夢「えへへ、同じだ……♪」

「…………」

 

歩夢「……///」

「あ、ごめん……目ばっか見てた」

歩夢「……その……布団……入ってから……だよ?///」

「……いや、まだ……何も言ってないんだけど……」

歩夢「むぅ……今日は寝るまでたくさん抱きついちゃうもん」

「……い、いいよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

【夜】

 

 

 

歩夢「えへへ……暖かい……♪」

「……近いな……」

 

歩夢「……懐かしいなぁ……昔はこうやって2人で寝てたね♪」

「……だな……」

 

歩夢「昔は、私の方が身長高かったのに……いつの間にか抜かされちゃった♪」

「……男だからな……」

 

歩夢「……こうすると峻くんすぐ寝てたんだよ?♪」

そう言うと、歩夢は自分の胸に俺の顔を埋めた。

 

「わぷっ……!?」

歩夢「……どう?///」

「…………良い……」

歩夢「…………///」

 

結局、2人とも気まずい雰囲気のまま……眠りにつくのだった。




次回:自分に出来る事。

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分岐ルート 上原歩夢編 その2

スクスタフェス、歩夢ちゃん
開始しました。
歩夢ちゃん推しの方々……息してますか?


グラグラ……。

 

「……ん、地震か…?」

ベットの上で壁にもたれかかって本を読んでいると……地面が揺れた感じがした。

 

「……結構大きいな……って、あわわ……!」

揺れは収まったものの……本棚にあった本が何冊か落ちた。

 

「……歩夢は大丈夫かな……えーっと、この本は…」

落ちた本を元の場所に戻そうと手に取ると……写真が落ちているのに気がついた。

 

「……写真?……09' 06 19……12年前か…」

写真には俺と歩夢の幼き姿が映っていた。

「……そうか、確かに歩夢の言う通り……身長も小さいし前髪で目は隠れてるし……いかにも守ってもらっていた感がするな……」

 

写真を戻そうとした時……裏に何か書いてあったことに気がついた。

「……?……これは……」

「────────────────っ……!」

 

歩夢「峻くんっ、地震大丈夫だった……!?」

ドアから顔を覗かせる歩夢。

俺は平然を装って写真と本を元に戻した。

 

「あぁ、本が何冊か落ちたけど……大丈夫だよ

心配してくれてありがとうね」

歩夢「ほっ…………良かった…」

 

「……なぁ、歩夢」

歩夢「……ん?どうしたの?」

「デートしようぜ」

歩夢「えっ、い、今からっ???」

「今から……じゃ、ダメか?」

歩夢「で、でもっ……洋服選びとか……っ!」

「何着たって歩夢は可愛いよ、ほら行こ!」

歩夢「えっ、ま、待ってよ~!」

 

こうして、状況の呑み込めない歩夢を連れて……俺はデートへと繰り出した。

 

 

────────────────────────

 

【お台場】

 

歩夢「……もぅ、デートするなら言ってくれれば用意してたのに…」

「ごめんな、でも、歩夢とデートしたくなってな」

歩夢「……峻くんだから……許す///」

「ん、ありがとうな」

 

そして、俺はふと……観覧車を見つめた。

「……歩夢、あれ乗ろうよ」

歩夢「えっ……観覧車?……いいけど、峻くん高いところダメなんじゃ……」

「歩夢と乗りたい」

歩夢「……わ、わかった……」

 

キョトンとする歩夢の手を引き……観覧車に乗る列へ並び……

2人分のチケットを買った。

 

 

 

────────────────────────

 

【観覧車内】

 

歩夢「わぁ~ぁ……♪」

窓に張り付き、外を眺める歩夢。

俺も歩夢と目を合わせず……外を眺めていた。

 

歩夢「やっぱり、高いところ大丈夫でも

乗ってみると、怖いね……」

「………………だな」

 

歩夢「……峻くん……?」

「……歩夢は、さ……」

歩夢「…………?」

「幼馴染は距離が近いから……恋愛対象にならないって……言ったよね」

 

歩夢「ならないって言うか……難しいのかなって……

も、もう、どうしたのそんな話急にして────」

「……俺は、そうは思わないよ」

 

歩夢「…………えっ?」

歩夢とは目を合わさずに……ただ、沈んでゆく陽を見て……俺は呟いた。

 

「………………俺は、歩夢と居たい……ダメか?」

歩夢「……それって……」

 

「…………………………歩夢と、ずっと居たい……って事」

歩夢「……峻……くん……」

 

「……………………答え、聞かせて欲しいんだけど……」

スカートの裾をぎゅっと掴みながら、俯く歩夢。

 

歩夢「……こち、ら……こそっ……よろしく……お願い、します……っ!///」

「……泣くなよ……」

 

歩夢「だって……だってぇ……っ!///」

「……こっち、来てくれる?」

 

歩夢「…………っ……峻くんっ!///」

ガバッと抱きついた歩夢……しかし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタッフ【あのー、到着なんですが……】

歩夢&峻「「……あっ…………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

歩夢「……なんか、恥ずかしい思いしちゃった……///」

「周りが見えてなかったな……」

 

歩夢「……でも……幸せ///」

「……そっか、それなら……良かった」

 

 

歩夢「……ねぇ、私にした要因って……何かあったの?」

「……ん?内緒」

歩夢「えぇっ!教えてよ~!」

「昔の決め事だから、さ」

歩夢「……???」

「さ、帰ろ」

歩夢「も、もーっ!待ってよ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真の裏には……

【あゆむちゃんをまもれるひとになる】

 

と書かれてあった。

 

 

(今だけでも……俺は、峻の意志を受け継ぐ

お前が守りたかった歩夢を……俺が絶対に守ってみせるよ)




次回:恋人?夫婦?


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分岐ルート 上原歩夢編 その3

歩夢「あ、峻くんっ、ほっぺにご飯粒ついてるよ?♪」

「え、どこ?」

 

歩夢「……あーん……取ったよ♪」

「……あ、歩夢……っ」

 

口で頬に付いたご飯粒を取った歩夢の姿をかすみがパンを齧り取りながら見ていた。

 

かすみ「ぐぬぬ……距離近くないですかぁ!?」

ランジュ「そう?いつも通りな気がするけど」

しずく「お付き合いしはじめたんですし、あれが普通なんですよ♪」

かすみ「ぐぬぬぬ……っ!」

 

果林「……ところで、歩夢……それって…」

歩夢は制服とシャツの間に白いパーカーを着ていた。

 

歩夢「えへへ……似合うかな?♪」

栞子「えぇ、自由な校風ですし……歩夢さん、白い服はよく似合います♪」

歩夢「ありがとうっ、栞子ちゃん!」

 

せつ菜(……最も、μ'sさんとの合同合宿の時にも見ましたが……

歩夢さんの顔は幸せに満ちた顔をしてましたからね……)

彼方「さっきファンの子にも似合ってるって言われてたもんね~」

 

歩夢「えへへ……峻くんと一緒に居れるような感じがするの…///」

「……ほ、本人隣に居るのにそういうこと言うなよ……」

歩夢「あっ、ご、ごめん……っ!!///」

 

周りの生徒【【今日の昼食……甘いなぁ……】】

 

 

────────────────────────

 

 

【その帰り】

 

歩夢「~♪」

「ご機嫌だね、歩夢」

 

歩夢「こうやって一緒に帰れるのが……嬉しくて……♪」

「……これからは、ずっと一緒だ、安心して?」

歩夢「……うんっ!♪」

「あ、待って歩夢!」

家に着く直前に俺は歩夢を呼び止めた。

歩夢「……?」

 

俺はカバンを開けて…………1本の花を差し出した。

歩夢「……えっ……これって……」

「……ローダンセ……その……歩夢にプレゼントしたくて……」

 

歩夢「……峻……くん」

「……花言葉があってね……''変わらぬ想い''……俺の気持ち……だから」

 

大切そうに……差し出した花を持つ歩夢。

そして、胸の中で抱きしめたまま……愛おしそうに目を細めた。

 

歩夢「……嬉しい……///」

「……良かった……」

 

そのまま微笑んだ歩夢は階段を駆け上がった。

事態が飲み込めない俺は一番下から歩夢を見上げていた。

 

歩夢「……ホントはね、もう少ししてから……披露したかったんだけど……峻くんに内緒で……曲を作ってたの」

「……えっ?」

歩夢「……聞いて……くれる?」

 

贈ったローダンセを自分の髪の毛に付けた。

「……歩夢……」

歩夢「……これは……スクールアイドルの上原歩夢じゃなくて…

1人の…峻くんの恋人として送りたい……曲……

聞いてね……峻くんっ」

 

 

 

歩夢「──── Awakening Promise!」

 

 

歩夢が歌う歌詞からは……自分の気持ちや進みたい道……。

そんな内容が歌とダンスに込められていた。

 

歩夢「……私は……峻くんとの道を歩きたい

愛を込めて……歩いていきたい!」

「…歩夢……ありがとう、俺も……歩夢と共に歩いていきたい」

 

階段を数段登り……俺は歩夢に膝まづいて手を差し出した。

その手を……歩夢は確かに握りしめてくれた。

この曲と……歩夢の気持ちを受け止めて……俺はこれからも一緒に歩いていく。

……守ってみせるよ……絶対に、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日の朝】

 

 

「…………朝、か……」

歩夢「おはよ、峻くん♪」

 

隣に居た歩夢がゆっくりと起き上がって、クスッと笑った。

 

「……なんか、幸せだな」

歩夢「ふふっ、分かったから……朝ごはん、食べよ?♪」

 

「……やだ、歩夢が良い」

歩夢「も、もーーっ……ダメだよ……///」

 

「……えーーー……」

歩夢「……私がいいなら……その……もう少し、早く起きないと……ダメ、だよ……?///」

 

そう言って歩夢は俺にキスをした。

……恋人になってから初めてのキスだな。

 

「……そういうとこだよな、歩夢って」

歩夢「……え?」

「無自覚に誘惑してくるとこ」

歩夢「そ、そんなことないから!///」

 

 

 

 

 

 

 

と、言いつつも笑ってくれる歩夢。

これからは朝から幸せな彼女の姿を見れると思うと……自然と俺も笑ってしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回:分岐ルート 近江彼方編

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近江彼方 分岐ルート
分岐ルート 近江彼方 その1


新年あけましておめでとうございます
今年もかのようせつを推していきます
おつんつん教へ刮目せよ。


「さて、今日の予定はだが─────」

彼方「あっ、ごめんなさい…今日は用事があるから帰っていいかな…?」

 

メンバーが集まる中…彼方が申し訳なさそうに手を上げた。

「……ん、用事……か?」

ランジュ「いいんじゃない?栞子も生徒会の仕事があるんだし果林もモデルの仕事でいないんだし」

 

「……ん、じゃあ……今日は急遽オフってことで」

躓いてしまったが……こういう日も悪くは無い……かもしれない。

 

かすみ「わーい!しず子パンケーキ食べに行こー!♪」

しずく「もう、かすみさんったら……では、すいません、失礼しますね……」

 

せつ菜「では、私は自主練を……」

愛「愛さんもやるー!」

璃奈「私も……」

ランジュ「じゃあ、このランジュが指導してあげるわ!♪」

 

……なんか気になるな……彼方の奴……急いでいたっぽいし…。

「悪い、俺も上がるわ、ごめんな」

 

そう言って、俺は彼方の後を追うことにした。

……なんもなければ、いいんだが……。

 

 

────────────────────────

 

 

…………と、思って…彼方の後を追いかけてるけど…。

(これじゃあ、怪しい人だよな……)

 

ただ単に心配だから見に来たんだけど……。

(もしかして、遥ちゃんと何か待ち合わせがあったとか?)

 

何かキョロキョロしているが……。

(ま、まさか……変な事とか……してないよな…?)

怪しい男とかと落ち合ったら俺は飛び出すぞ……。

 

 

「……って、あれ?…今入っていったのって…」

……スーパー……?

買い物に来ただけ……なのか?

 

(ここで引き返して帰ってもいいんだけど……偶然を装って店内で会うか……?)

それに荷物持ち位はできるし……な……。

 

「……と、思って店内に入ったけど……どこ行ったんだ?」

店内は広く……探して回ったが、彼方の姿は見えなかった。

(まさか……もう店内を出ちゃったとか…?)

 

仕方ない……と、引き返そうと出口に足を向けようした時……。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ。

 

 

 

 

 

???「いたっ……!」

「あっ、ご、ごめんなさい!」

 

よそ見をしていたせいで誰かとぶつかった。

急いで謝ったが……格好からするにどうやら店員のようだった。

 

???「しゅ…………峻くんっ……!?」

聞き覚えのある声がして、顔を上げると……。

 

「か、彼方っ……!?」

そこには、店員の格好をした彼方が居た。

 

彼方「ど……ど、どうしてここに~っ!?」

「え、えっと……それは……!」

俺も言葉を詰まらせていたが……周りの目に気づいて小声になっていた。

 

「……と、とりあえず……後で……で、いいか?」

彼方「……う、うんっ……9時に…終わるから……」

 

そう言うと彼方は仕事に戻っていった。

……店員の格好…エプロン姿……似合っていたな……。

 

 

────────────────────────

 

【9時過ぎ……】

 

彼方「あっ、峻く~ん……」

商業施設も近くにあった為、俺は時間を潰しながら彼方の終わる時間を待っていた。

仕事が終わった彼方からメッセージが入り……指定された集合場所で落ち合った。

 

 

「……ごめんな、仕事中だったのに」

彼方「ううん、びっくりした彼方ちゃんも悪いから~…」

 

「……えっと、どうして……スーパーなんかに…?」

彼方「彼方ちゃん、あそこでバイトしてるんだ~♪」

「えっ!?」

 

初耳だった、彼方がバイトをしてるなんて……。

スクールアイドルもしながら……バイトも……?

 

「そんな大変なスケジュールをこなしていたなんて…」

彼方「家計の足しにしたいし……遥ちゃんの為だし、彼方ちゃんは大丈夫だよ~♪」

 

「……でも、彼方は奨学金のために勉強を家で頑張ってるって……

だから、学校では眠いからいつも寝てるって聞いたはず……なんだけど……」

彼方「あはは……峻くんには全部バレバレなんだね~…♪

でも、彼方ちゃんは、大丈夫だよ~♪」

 

「……彼方…」

彼方「それが、彼方ちゃんの幸せでもあるから~♪」

 

 

 

 

 

 

(……それって、ホントに彼方の幸せなのか……?)

その言葉は俺には出なかった。

大変だけど…楽しいから……そう言う彼方の笑顔を見ると……

俺は何も言えなかった。

 

 

彼方「……ところで、なんで峻くんはここに?」

「……えっと、彼方のことが気になって……あとを追いかけていた

その……ごめん」

正直に訳を話して、俺は頭を下げた。

 

彼方「あ、謝らないで~!……その、ありがとうね、気にかけてくれて……///」

「当たり前だろ……でも、無理するなよ……なんかあったら頼れよ?」

彼方「……うん、ありがとうね、峻くん……♪」




次回:彼方は遥の為に峻は彼方の為に

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分岐ルート 近江彼方 その2

せつ菜ちゃんの!!!
LLL衣装が!!!!!!!!
イベ報酬ですわ!!!!パクパクですわ!!!!!!
ウッヒョオオオォオオオオイェエァアアアアァ!!!!!


「……うーん…」

歩夢「峻くん?唸りながらノート書いて……どうしたの?」

 

「……いや、なんかさ……胸騒ぎが朝からして……

嫌な予感がするんだよ……上手く言葉に出来なんだけどさ……」

 

…………ぴとっ。

 

歩夢「……うーん、心臓の音は普通だよ?」

「……歩夢ねぇ……」

 

まぁ、俺の杞憂なだけかもしれないしな……考えす──────

 

 

かすみ「大変、大変!大変です~~~!!!」

息を切らしながらかすみが部室のドアを開けた。

その様子を見た峻が勢いよく立ち上がった。

倒れた椅子には目もくれず……かすみの方を見ていた。

 

かすみ「か、彼方先輩が……彼方先輩が倒れて、保健室に……!」

(…………彼方……っ……!!)

 

震えた手はノートをくしゃくしゃにし、俺はかすみの横をものすごいスピードで走り過ぎた。

かすみ「────────えっ……」

 

そして、部室を出て2階から……飛んだ。

 

かすみ「ちょっ、ここ2階────────」

着地と同時に前転、そして人目をかき分けて走り去った。

 

かすみ「あ、ありえない……」

果林「人間じゃない事するわね……峻……」

歩夢「って、私たちも行こう!」

 

果林「いいえ、峻だけ行かせましょ……何か訳ありって感じみたいだし」

しずく「そのよう、ですね……」

 

くしゃくしゃになったノートには、時給の計算と彼方の名前が書いてあった……。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【保健室前、廊下】

 

 

「……彼方っ……!!!」

栞子「あっ、峻さん…………しっ」

 

栞子が静かにと指でジェスチャーしてくれなかったら

多分、保健室ということを忘れて思い切りドアを開けて彼方の名前を呼んでいただろう……。

 

「……悪い、取り乱した」

栞子「それより……どうしたんですか、そんなボロボロな姿で……」

「……我先にって思ったら……こう、な

それより……彼方の様子は?」

 

栞子「まだ、分かりません……私も生徒会室に戻る時に

目の前に彼方さんが居て……いつもの眠そうな様子とは違い

顔色も悪く……フラフラしてるなと思った次の瞬間には……」

「……分かった、ありがとうな……栞子」

 

そう言って、ふぅ……と息を吐いてから俺は保健室に入った。

 

「……失礼、します……」

養護教諭「……あら、貴方は?」

 

「普通科2年の、宮之原 峻です……」

養護教諭「あぁ……貴方が……」

「……えっ?」

 

知り合い……か?と頭を悩ませたが、答えはすぐに出た。

養護教諭「さっき倒れて運ばれた子がね……峻くん、峻くんって……呟いてて……」

「……彼方……それで、彼方の様子は……っ!?」

 

養護教諭「ただの過労ね……目の下にクマはあるし……

顔色も相当悪いわね……一体、どんな激務をしてたのかしら?」

「……彼方……」

 

養護教諭「……ただ、貴方が来て、目が覚めたようね……」

「えっ?」

そう言った養護教諭はカーテンを開けた。

 

彼方「んぅ……峻……くん…?」

「か、彼方っ……!」

 

俺は彼方に近づき、抱きしめた。

彼方「わ、わわっ……峻くん……っ」

「ごめん、気づいてあげられなくて……お前の大変さ……分かってあげられなくて……」

 

彼方「……峻くん……泣いてるの……?」

「……泣いて、ないよ……」

彼方「……よしよし……」

彼方は泣いてる俺を優しく撫でてくれた。

 

彼方「……あはは、彼方ちゃんも……すこーし無理しちゃったよ~……♪」

「……彼方……」

 

力なく笑う彼方を見て……俺は改めて決意した。

 

 

 

 

 

 

「────────────────俺……」

 

 

────────────────────────

 

【数週間後】

 

(……はぁ、とは言ったものの……)

「……なんで、みんな見に来てるんだ」

 

歩夢「だ、だって心配だし!」

せつ菜「似合ってますよ、峻さん!」

しずく「これから毎日通いますね!」

 

「……ホストじゃないんだから……」

俺は、虹ヶ咲学園の隣の駅にある……アニメショップとアニメカフェの店員のバイトを始めた。

せつ菜は、前に来たことあるからか俺がバイトを始めると言ったら喜んでいた。

 

歩夢は心配していたが……俺の頼みを聞いてくれて納得してくれた。

彼方「……峻くん……」

 

ただ1人、納得してない人がいたが……。

 

 

 

【遡ること、保健室での会話】

 

「彼方、お前はバイトをするな」

彼方「……ごめんね、峻くんの頼みでも……それは受け入れられないよ」

 

「俺はもっと彼方に自由な時間があってもいいと思うんだ

遥ちゃんと過ごすのだって、勉強するのだって……それが俺の願いだし……幸せなんだ」

彼方「……できないよ」

「できる……その為に、俺にも協力させてくれ」

 

彼方「……協力?」

「あぁ…………俺、バイト始める!」

彼方「え、ええぇっ……っ?!」

「んで、バイト代を全部彼方にやる!」

彼方「だ、ダメだよ~!ほんとに、そういうのはダメだから~!」

「やらせてくれ、頼む!!」

 

彼方「……な、なんでそこまでしてくれるの……っ!」

「……なんでって………………」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

(……そういや、あの時に答えは出せなかったな……)

俺はカフェのテーブルに座る彼方の元に行き……。

 

彼方「……………………」

「彼方」

 

彼方「……ぁ……」

「彼方が言ってた……なんでそこまでするのって答え……分かったよ」

彼方「……えっ?」

 

「好きだ、彼方……俺はお前に尽くしたい」

彼方「………………えっ……///」

 

かすみ「~~~~~!//////」

しずく「ご、ごほんごほん……っ///」

 

「お前の幸せは……俺の幸せでもある

……けど、ちょっと彼方も抜けてるとこあるし、無茶しちゃうとこもあるから……これからは俺にもその大変な部分を負担させてくれ……ダメか?」

 

彼方「………………ぁ……///」

果林「彼方、峻が答え待ってるわよ?」

エマ「自分の気持ち、言ってあげよ?♪」

 

彼方「……か、彼方ちゃんも……そんな風に……気にかけてくれる……峻くんが…………その…………///」

せつ菜「……ごくり……っ///」

 

彼方「だ、大好き……だよっ……!///」

ギュッと袖を掴み、か細い声で想いを伝えた彼方。

その言葉を聞いて……俺も決意をした甲斐があると実感できた。

 

歩夢「……あの~…お取り込み中、ごめんね……?

峻くん、バイト中だよ~……?///」

「……あっ、い、いらっしゃいませ~!」

 

ランジュ「…………///」

バタンっ。

 

「ち、違うの、ランジュ~!」

ミア「何も違わないでしょ、Babyちゃん」

かすみ「って、あぁ~!かすみんのケーキ食べてる~!」

ミア「隙だらけだよ、かすみ」

 

しずく「ふふっ、一件落着のようですね」

せつ菜「はいっ、ほんわかしてしまいました!」

 

彼方「……その……ありがとう、峻くん……///」

賑やかな声の中……俺は彼方が言ってくれたお礼をしっかりと聞こえていた。




次回:その後というもの

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よろしくお願いしMargaret

かすみ「えっ」
「えっ」


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分岐ルート 近江彼方 その3

峻「虹ヶ咲学園を、壊しますっ」

せつ菜「きゃぁああああああっ!!!(バシーーーーン!)」


「ただいま~……」

 

夜9時過ぎに帰宅……と、言っても自分の家に、では無い。

彼方「あっ、おかえり~♪」

エプロン姿で出迎えてくれる彼方。

手にお玉を持ってるあたり……ちょうど帰りに合わせて夜ご飯を作ってくれてたのだろうか。

 

「今日は何かな?」

彼方「今日はね~、峻くんの好きな生姜焼きだよ~♪」

「おっ、食べたいって思ってたんだよな~!」

 

2人で談笑しながらリビングに向かう。

と言うのも、俺はここ最近彼方の家に泊まったり顔を出したりしている。

……今日で7日目である、もう既に自分の家と化していた。

 

遥「あっ、峻さんおかえりなさい♪」

「遥ちゃん、ただいま」

 

遥ちゃんも彼方と交際した事と俺が働いて彼方との時間を増やしてくれと話すと泣いて喜んでくれた。

 

彼方の母親はと言うと……。

 

「あ、その前に……はい、彼方」

封筒を渡すと、彼方は少し気まずそうな顔をした。

 

彼方「……あ、う、うん……あ、ありがとう……ね?♪」

やっぱりまだ給料を貰うことに抵抗を感じているのだろう。

 

「遠慮するなよ、彼方の美味い料理食べれてるんだし……な?」

彼方「で、でも……悪いよ~…っ」

「彼女のために頑張るのは彼氏の務めだろ?」

彼方「…………///」

 

遥「……何か、カップルって言うよりも……2人とも新婚さんみたいだね?」

彼方「なっ────────///」

「……確かに」

彼方「しゅ、峻くんまで~っ!//////」

 

因みに、彼方の母親にも事情を説明した。

そして、自分の考えと気持ちをしっかりと打ち明けると

「大事な娘のためにそこまで考えてくれる人が悪いはずがない

それに、彼方の幸せそうな顔を久しぶりに見た」と交際をOKしてくれた。

 

 

「んじゃ、いただきまーすっ」

彼方「食べて食べて~♪」

「……ん、美味い!はぁ~…染みるわ~……」

彼方「お、大袈裟だよ~……っ」

「いや、ホントにホントに……いい奥さん貰ったわ……」

彼方「だから、気が早いよ~っ!///」

遥「あはは、仲良しだな~、ホントに」

彼方「は、遥ちゃんまで~……///」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【夜……】

 

「彼方、寝ないのか?」

時刻は夜の23時……彼方はまだ勉強机と向き合っていた。

 

彼方「あっ、うん、もう少し起きてるよ~♪」

「……そっか」

彼方「勉強終わった彼方ちゃんが、熟睡できるように布団を温めておいてね~♪」

「……わ、分かった…」

 

泊まる度に、彼方は必ず俺の腕枕を所望してくる。

そして、部室に居る時も……エマや歩夢に膝枕をしてもらうが……。

彼方「な~んか、違うんだよね~……♪」

 

そう言って、トボトボと俺のところに来て膝枕で眠りにつく。

それを見て果林やしずくが、微笑んでその姿を見てくる。

 

 

彼方「おじゃましま~す♪」

そんな事を思い返していると、彼方が布団をめくってきた。

 

「おいで、彼方」

彼方「は~い♪」

 

嬉しそうに彼方が身を寄せてくる。

大きな山がこれでもかと接触してくるが、それももう当たり前になってきた。

 

彼方「……目線がエッチだよ~……///」

「……悪い」

彼方「もう、逃げないんだから……ゆっくりたっぷり…味わって良いんだからね~……//////」

「……か、彼方……」

 

下で遥ちゃんが寝てると言うのに、俺と彼方はキスを何度も繰り返した。

口を塞ぐだけで、彼方の思ってる事が伝わってくる。

 

 

彼方「……ぁ……そうだ、峻くん……///」

「……ん、どうした?」

 

彼方「明日から……お昼は用意しなくて、いいからね?」

「えっ……どうして?」

 

彼方「お弁当用意するから~♪」

「えっ、お弁当っ?」

 

彼方「あっ、峻くんが思ってる事は無いから大丈夫だよ~…?」

「うぐ……っ」

彼方「朝早くおきるって訳じゃないし、遥ちゃんの分も彼方ちゃんの分も作ってるから1人分増えても大丈夫だよ~♪」

「……彼方のお弁当……」

 

昼休みに2人でお弁当を食べる……。

うん、凄くカップルらしい……アーンとかしてもらったりして。

 

彼方「もちろん、膝枕のお礼もあるし、彼女だし、してあげるよ~……♪」

「ぜひ、お願いしたい……!」

彼方「はぁーい♪」

「あ、そうだ……じゃあ、俺もワガママ言っていい……?」

 

彼方「……んー?」

俺は自分の頭の位置を少し下げて……彼方の胸に頭を当てた。

 

「彼方の胸枕~……」

彼方「しゅ、峻く~ん……///」

「……めっちゃ柔らけぇ……」

彼方「も、モゾモゾするよ~……///」

 

「…………zzz」

彼方「…ホントに寝ちゃった……///」

 

峻が寝たのを確認した彼方は……峻のおでこにキスをした。

彼方「大好きだよ……峻くん、これからもずっと一緒にいてね…///」

 

その言葉に、峻は少しだけ微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回:分岐ルート 優木せつ菜

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分岐ルート 近江彼方 その4

ニジガクの旅は、終わらねぇ!!!!


彼方「じゃじゃ~んっ♪

彼方ちゃん特製お弁当だよ~っ♪」

 

お昼休み、食堂で意気揚々とお弁当を手渡す彼方。

その様子を、他のメンバー達も見ていた。

 

かすみ「どれどれ~………っわ、凄い!」

しずく「色鮮やかで、どれも美味しそうです!♪」

 

「当たり前だろ、彼方が作る物は何でも美味いんだから」

彼方「おっ、やっぱり峻くんは大好物の玉子焼きからいくんだね~♪

と言っても、歩夢ちゃんから教えてもらったんだけどね~♪」

 

歩夢「ふふっ、彼方さんが料理上手なだけだよっ♪」

果林「栄養もしっかり考えてるし…ダメよ峻、悲しませたりなんかしちゃ」

「しないわ!」

 

せつ菜「確かに、よく見ると量もあって野菜もしっかり入ってますね」

彼方「ふっふっふ~、峻くんの体調管理や食事バランス全部網羅しているのです♪」

 

エマ「こういうのって、日本では良くできた奥さんって言うんだよね~♪」

栞子「あの、まだ高校生なので気が早いかと…」

ランジュ「もしそうなったら、ランジュがウエディングプランを考えるわ!」

ミア「言うと思った…」

 

彼方「おやおや、本人たちを他所に賑わってるね~」

「ん、美味い美味い」

 

璃奈「こっちはこっちで、自分たちの世界に入っちゃってる…」

愛「何かこう、のほほーんとした雰囲気がいいんだよねぇ~2人って」

歩夢「ふふっ、長年一緒に居るカップルみたい♪」

 

「…まぁ、のんびりってのもたまにはいいよな」

彼方「ちょっと目を離すと、すーぐに頑張り過ぎちゃうのが峻くんの悪いところだもんね~♪」

「だ、だって…それくらいしないと…」

 

彼方「バイトも頑張ってくれて、彼方ちゃんに時間を作ってくれて…もう十分だよ~…♪

そのおかげで、こうやってお弁当もどんなのにしようか考える時間も出来たしね~…♪」

 

かすみ「しず子ぉ!ナポリタンが甘いよ~!!」

しずく「だ、大丈夫…私のも甘く感じてるから…」

 

果林「ラブラブね~」

エマ「うんうん、ラブラブだよ~♪」

 

栞子「…あの、仲睦まじいのは良い事なのですが…」

「ん?」

彼方「おや~?」

 

栞子「…いえ、少し近寄りすぎなのではと思いまして…」

彼方「良い質問だね~、栞子ちゃん」

栞子「…え?」

彼方「彼方ちゃんが、S極だとしよう

峻くんがN極…つまり、そういう事なのです」

 

栞子「……???」

果林「離れたくないってことよ」

ランジュ「隙あらば峻の膝枕で寝てるものね

最近は抱っこされながら寝てるのも増えてるけども」

 

 

ミア「That's right…見てて恥ずかしくなるよ…」

かすみ「はいはーい!でもでも、家ではどんな感じなんですかっ?」

璃奈「それ…聞いちゃう…?」

 

彼方「普段通りだよ~♪」

「まぁ…バイト帰ってきたら…彼方がご飯作ってくれてる…って感じかなぁ」

 

彼方「昨日は一緒にお風呂にも入ったけどね~♪」

しずく「ぶーーーーーっっっ!!!!」

栞子「し、しずくさんっ!?」

 

しずく「す、すいません…口からSolitude Rainが…」

愛「まあ、よく良く考えれば相手は、しゅんしゅんだしね」

果林「想像はすぐ出来るわね」

「……………あかん、何も言い返せない」

 

 

彼方「峻くん、今度は何が食べたい?

彼方ちゃんがリクエストを聞いてしんぜよう~♪」

 

かすみ(どうせ彼方先輩を…とか言うんだろうなぁ)

ミア(彼方は彼方で、恥ずかしくなっても否定はしないんだろうし)

ランジュ(と言うか、言う前に目が物語ってるわよ…)

 

「オムライス」

かすみ「ずこーーーっ!!!」

 

「えっ、な、何…」

かすみ「何でそんな子供っぽいのをチョイスするんですかぁ!!」

「…えっと…ごめん?」

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

【その日の夜】

 

彼方「峻く~ん、味見して~♪」

「どれどれ…うん、美味しい!」

 

彼方「峻くん好みの味付けにしてみたんだ~♪」

「…やっぱりエマが言ってたことがよく分かるなぁ…」

 

彼方「ちょ、ちょっと…峻くん、危ないよ~…っ///」

「はーーーーーー……………っ」

 

彼方「……?///」

「めっちゃ、好き」

彼方「…あぅうぅ…///」

 

遥「私達も居るんだけどなぁ~…///」

彼方母「若い頃を思い出すわね~…♪」

遥「お母さんは順応し過ぎ!」

 

「あ、そうだ、彼方」

彼方「な、なんだ~い…?///」

「明日出かけよ、バイト休みになったから」

彼方「休み?…突然の休みとは、珍しいね~…?」

 

「いや、何か店長曰く…キミ目当てのお客さんが多すぎて売上がめちゃくちゃ好調だからたまには休みをって」

彼方「へ、へぇ~…///」

 

遥(あ、お姉ちゃん、そのお客さんの1人だ)

彼方母(あの顔は絶対そうね)

 

 

「どこ行こうか~…?」

彼方「しゅ、峻くんと一緒ならどこでもいいよ~…っ?///」

「ホントに?」

彼方「えっ…う、うん…?///」

 

 

「彼方のお母さん」

彼方母「は、はい?」

 

「自分の母親に挨拶しに行っていいですか」

彼方「ど、どこでもとは言ったけど、そ、そうじゃない~っ!///」

彼方母「娘をよろしくお願いします~♪」

彼方「お、お母さんまで~!!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【就寝前】

 

彼方「はぁ…峻くんのせいで恥ずかしい思いをしたよ~…///」

「ごめんって」

 

彼方「ああやって、突拍子もない事言うのは、悪い癖だぞ~…っ?///」

「……な、直すよ…」

彼方「直りっこないくせに~…もぅ…///」

 

 

「でも、本気だけどな」

彼方「…えぁ…っ?///」

「こんないい女手放すわけないじゃん」

彼方「…2人きりになった時に…そういう風に切り替えるの…禁止…///」

「とか言いつつ、こっちに体寄せてるくせに」

 

 

彼方「…むぅっ…そ、そんな事言う子には、こうだぞ~…っ!///」

「んがっ、は、鼻をっ、つまぁむなぁっ!」

彼方「ほれほれ~っ、参ったか~っ♪///」

「な、なら俺だってつまみ返してやる…っ!」

彼方「わゎっ…!///

か、彼方ちゃんのお鼻、つ~ま~ま~な~い~で~…っ!///」

 

 

 

 

 

遥「……もーーーーっ!甘ーーーーいっ!!!//////」

彼方「は、遥ちゃんっ!?///」

「どうしたの急にっ!?」

 

 

 

 

 

遥「このっ…あ、歩く砂糖水カップルめ!!///

なんてラブコメですか!?なんて少女漫画ですかっ!?//////

そんな羨ま……ごほんごほん!!

ラブラブ過ぎます!もっとやっちゃえ!!//////」

彼方「うわわっ!ごめんよ、遥ちゃ~んっ!//////」

「遥ちゃんがキャラ崩壊をおこして本音が飛び出てる…」

 

 

 

 

 

遥「では、寝ます!!///」

彼方「あ、う、うん…おやすみ~…?///」

「すっかり遥ちゃんも毒されたな」

彼方「…平然と言い切ってるけど、峻くんのせいだからね~…?///」

「彼方が可愛いのがいけない」

 

 

 

彼方「それを言ったら、峻くんがかっこいいのが…///」

遥「だからそういう所ですってばーーーっ!!////」

彼方「うわあぁああっ!?///」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【そんなこんなで次の日】

 

 

彼方「どこに連れて来るかと思えば…遊園地だったか~…♪」

「ちょっと定番過ぎたかな?」

 

彼方「ううん、遥ちゃんと前に来たのを思い出しただけだよ~♪」

「…そっか、じゃあ今日は彼氏と初めて来た遊園地の思い出を絶対に心に残して欲しいな」

 

彼方「…違う、でしょ~…?///」

「…えっ?」

 

彼方「今日も…これからも…でしょ?///」

「あっ……も、もちろんだよ!」

 

彼方「これから先…峻くんは彼方ちゃんを色んな所に連れていってくれるって知ってるから~…♪///

…期待してる…ぞっ?♪///」

「あぁ、すやぴしてる暇ないくらい楽しい思い出ばっかりにしてやるからな」

 

彼方「やったぁ~っ♪

じゃあじゃあ、早速…しゅっぱ~つっ!♪」

「か、彼方!手を引っ張らないでよ~!」

 

彼方「ほらほら、峻くん、早く~っ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼方ルート

TRUE Fin




彼方ちゃん可愛い
まみむMärchen Star(?????)

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優木せつ菜 分岐ルート
分岐ルート 優木せつ菜 その1


全国8億5200万人のせつ菜ちゃんファンの皆さん、お待たせしました。
……え、そんなに人口いない?
僕が作るんですよ(マッドサイエンティスト)


【部室】

 

「あれ、せつ菜?もう部室の鍵閉めるよ?」

夕方、練習場を見終わり……部室の戸締りをしに来たらせつ菜が居た。

既に格好はいつもの菜々の状態だった……が……。

……何かを隠した?

 

 

せつ菜「す、すいません!……その、もう出ますね……」

「……なんかあった?」

せつ菜「な、なんにもないですよ……っ?」

「……ホントに?」

せつ菜「……は、い……」

 

いや、絶対嘘でしょ……とは、言えなかった。

何故なら、せつ菜の目は酷く悲しそうな目をしていたから。

 

せつ菜「……あ、の……」

「ん?」

せつ菜「……っ…………お、お先に失礼します!」

 

机に何か置くと、せつ菜は小走りで部室を出てしまった。

「……なんだったんだ?」

 

机の上に置かれたものを見ると……。

「……なんも書いてない」

丁寧に包まれた長方形サイズの紙には……何も書かれてなかった。

 

(サイズ的に……チケットサイズ……手紙にしては横長だな……)

ただ、右端には……日付と時間が書いてあった。

 

「……22日…14時……」

……2週間後?……一体何があるというんだろか……。

 

 

 

 

────────────────────────

 

【廊下 せつ菜視点】

 

「はぁっ、はぁっ……!」

い、急いでて……逃げるように出てしまいましたが……峻さんに怪しまれたでしょうか……?

 

(……今から戻るのも……得策では無さそうですね)

それに……もう決めたんだ…この考えは、変わらない……。

 

 

【遡ること1週間前 生徒会室】

 

せつ菜「……折り入って、相談があります」

栞子「珍しいですね……そんなに真剣な表情でここに来るなんて」

 

せつ菜「……要件が……要件なので」

栞子「聞きましょう」

 

せつ菜「……──────、────────」

栞子「……っ!?……本気、ですか?」

せつ菜「はい、このままでは……いけないので」

栞子「……峻さんには、話したのですか?」

せつ菜「…………いえ」

 

栞子「……そう、ですか……分かりました

日程を取り繕っておきます」

せつ菜「ありがとうございます、栞子さん」

 

栞子「……本当に本気、なんですね?」

せつ菜「はい、大好きのため……ですから」

栞子「……わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せつ菜「……後は、当日まで…峻さんに感づかれないようにしないと」

……私が、私らしく居られるために……。

 

 

 

────────────────────────

 

【夜 自室】

 

「……………………」

天に向かって、せつ菜が置いていった紙を照らしてみる。

 

「……ま、何にも見えないよな」

そんな凝った仕掛けをするとは思えないしな……。

 

歩夢「峻くん?何してるの?」

「ん、歩夢か……いや、実はさ」

 

何か心当たりがあるのか……歩夢にも話をしてみた。

歩夢「せつ菜ちゃん……うーん、いつも通りだと思うけど……」

「……そっかぁ」

 

歩夢「峻くんは何か心当たりあるの?」

「無いけど…何となく、変なことをしそうな気がするんだよね」

歩夢「変なこと?」

「……いや、上手く言葉に出来ないけど……何となく、ね」

歩夢「ふふっ、峻くんらしいね」

「……え、そう?」

 

歩夢「せつ菜ちゃんが何を考えてるか私も分からないけど……

結果がどうであれ、峻くんが本気で心配してるのを知ったらせつ菜ちゃんも安心するし、嬉しいんじゃない?」

「……そういうもんかなぁ」

歩夢「そういうものだよ♪」

 

「……何を考えてるか……かぁ」

本人に聞く訳にも……いかないよなあ。

 

結局、そのままどうしていいか分からずに次の日になってしまった。

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日】

 

「おはよ、せつ菜」

せつ菜「あっ、おはようございます!♪」

 

うん、確かにいつも通りだな……俺の杞憂だった……のか???

かすみ(……なんか、せつ菜先輩…いつもより峻先輩の傍に近づいてる気がするんですが……)

果林(そうかしら?せつ菜も犬っぽい所あるから不思議じゃないわよ)

 

しずく(……いや、あの顔つきは完全に蕩けきってるような……)

ミア(気付かないのは峻らしいね)

 

ランジュ「ランジュ、ライブしたーいー!!!」

せつ菜「……っ!」

「せつ菜?」

 

せつ菜「……ぁ、な、なんでもないです!

ラ、ライブしたいですよねっ!!」

……一瞬、せつ菜が体を大きくビクつかせたけど……何か驚くようなことがあったのだろうか?

 

 

栞子「………………………………………………」

歩夢「栞子ちゃん?」

 

栞子「あっ、すいません、なんでしたっけ……?」

歩夢「……何か、考え事?」

栞子「……いえ、考え事では…………」

 

と、言いかけて栞子は息を吐いた。

 

栞子「歩夢さんに隠し事は出来ませんね……ちょっと、部室の外まで来てくれますか?」

歩夢「……えっ、う、うん……」

 

 

 

【部室前】

 

 

歩夢「……せ、せつ菜ちゃんがっ……!?」

栞子「他言はしないで欲しい……との事です」

 

歩夢「……そんな…でも、どうして……っ?」

栞子「分かりません……ただ、本人の考えがある、そう判断して私もスケジュールの承認しました」

 

歩夢「……だから、峻くんが……」

栞子「……やはり、勘づいていましたか?」

歩夢「少しだけ……でも、私もその時は何も知らなかったし

何も話してないけど……」

 

 

 

栞子「そうでしたか、では……これはせつ菜さんと歩夢さん……そして私の3人の秘密ということにしましょう

……事が大きくなってはいけませんから」

歩夢「……わ、分かった……っ」




次回:そのライブの名は「S」

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分岐ルート 優木せつ菜 その2

……ここは、どこ?
私は?優木せつ菜?そうか……


そして、紙に書いてあった22日…当日となった。

 

せつ菜が隠していた物が何だったのか、答えはすぐに分かった。

「……ソロライブ……S?」

 

そこにはポスターが貼れられていた。

せつ菜の写真と……大きくSと書かれたポスター。

 

「……サプライズライブって、事か?」

かすみ「かすみんも今、初めて知りました~」

ひょこっと出てきてポスターを覗くかすみ。

 

歩夢(……栞子ちゃん)

栞子(あの事は何も知らされてません、もう少しの我慢です、歩夢さん)

 

果林「いいんじゃない?ソロライブなんていつもやってる事なんだし」

ランジュ「ラーンージューもー!」

エマ「よしよし……」

ランジュ「えへへ~♪」

 

ミア「……なんか気になる…」

「なんか言ったか?ミア」

ミア「何にも、ライブ……行くんでしょ?」

「あぁ、もちろん」

 

しずく「14時から……今日は授業、お昼まででしたよね?」

彼方「放課後にソロライブなんて青春だぜ~♪」

璃奈「それで、せつ菜さんは……?」

愛「あー、何か準備があるから席外すって言ってたよ?

ライブ楽しみにしててくださいねって」

 

「……ライブ前に様子見て置いた方がいいかな?」

歩夢「あ、だ、大丈夫だよ!」

「……えっ、なんで…???」

歩夢「え、えっとー……それは……」

栞子「峻さんには生徒会の仕事の手伝いをして欲しいので」

 

「あ、そういう事ね……歩夢、そういう時に使う言葉は大丈夫じゃないよ?」

歩夢「あ、あはは……ごめんね…(うぅ……峻くんに隠し事は出来ないよぉ……)」

 

栞子「では、行きましょうか」

「じゃあ、みんなまた後でね」

 

かすみ「はーいっ」

しずく「……あれっ、ライブまであと15分しかないんだけど……」

歩夢「……峻くん…栞子ちゃん……」

 

 

────────────────────────

 

【生徒会室】

 

「……あれ、手伝う内容は?」

栞子「それは嘘です」

 

「……え?」

栞子「……峻さん」

 

カチャッと鍵を閉める音と共に……栞子はこちらを向いた。

栞子「……もし、貴方が…全てのことを話す覚悟が出来たら…どうしますか?」

「…………え?」

 

栞子「例えば、そう……今まで自分の秘密にしていた事を話す……そんな時です」

「……それって…」

……俺の事、か?

……いや、まさかな……そんな訳……。

 

栞子「私だったら……とても勇気がいることだと、思います」

「……俺も、そう思う…不安になるし勇気がいると……思う」

 

栞子「……でも、その不安を背負って…''彼女''は打ち明けることを決めました」

「……彼女……?…………おい、それってまさか……」

栞子「それでも打ち明けると決めたのは……何故だと思いますか?」

「……何故って……そんなの…」

 

栞子「彼女が同好会にその事を打ち明けた時も私と真っ向からぶつかった時も……そばに居たのは、貴方じゃないですか」

「……っ……」

栞子「彼女は胸を張って、打ち明けたいんです……だから私は生徒会長……いえ、1人の仲間として彼女のライブを承認しました」

 

「……………せつ菜……っ!!」

鍵を開けて、ライブ会場に向かおうとした、が……俺の足は止まった。

その前に……栞子にもお礼を言わないとな。

 

「……隠すのは反則だっつーの」

栞子「すいません、貴方の事だから……止めると思いまして」

「かもなっ……でも、ありがとうな…栞子

……だけど、勇気と優木をかけるのは、少し寒いぞ?」

 

そう言って俺は走り出した。

栞子「……愛さんから教えてもらった駄洒落でしたが……なかなか難しいものですね……」

右月「会長?」

左月「優木せつ菜さんのライブ始まっちゃいますよ?」

 

栞子「……えぇ、行きましょう♪」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【ライブ会場】

 

 

かすみ「もーっ、峻先輩まだですか~っ?」

果林「すぐ来るわよ、それにライブ始まるから静かにしてましょ?」

 

歩夢「…………」

彼方「歩夢ちゃ~ん?」

歩夢「えっ?……あ、ど、どうしました…?」

彼方「お眠?それとも悩み事?」

 

歩夢「い、いえっ!大丈夫です!(…峻くん、ショック受けなきゃいいけど……)」

ニジガクメンバーが談笑する中……会場の照明が暗転した。

他の生徒達からも歓声が上がる。

 

そんな中……出てきたのは……。

 

 

しずく「……せつ菜……さん?」

エマ「……でも、あれって……」

 

そう、ステージに立っているのは、せつ菜の姿では無く菜々の姿だった。

その状況にニジガクメンバーも勘づく。

 

果林「……まさか、せつ菜……」

彼方「多分……そうだと思う……」

 

菜々「……皆さん、お集まりいただき、ありがとうございます」

事態を知らない生徒たちは口々に【元生徒会長だよね?】や【ライブ中止?】と漏らしていた。

そんな、ざわつきをシャウトするように……せつ菜のCHASEのイントロが流れた。

その始まりと同時に……菜々が眼鏡と結わっていた髪を解いた。

 

せつ菜「これが……決別です……っ!!!!」

一瞬の出来事に、生徒達は言葉を失った。

 

せつ菜「……今まで、黙っていたことがあります

それは……私は優木せつ菜として活動してました……

でも、本当の姿は……元生徒会長…そして虹ヶ咲学園の生徒……中川菜々……」

 

かすみ(い、いいんですかっ、この状況っ!?)

果林(かすみちゃん、しっ)

歩夢(まだなの、峻くん……)

 

せつ菜「ですが…もう、秘密にするのはおしまいです!

今まで皆さんに言えなかった事……心よりお詫び申し上げます……!」

 

深々と頭を下げるせつ菜。

きっと、幻滅される…批判もされると思っていた……が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せつ菜!!!!!」

 

 

後ろから声とともに開かれたドアから光が差し込んだ。

 

「はぁ、はぁ…………」

まともに顔を上げられない彼は、肩で息をしていた。

 

せつ菜「……私が、こうしようと決めたのは…スクールアイドル同好会を復活させ…生徒会長として、そして……スクールアイドルを続ける為に力を貸してくれ続けた……峻さんへの想いです」

 

そう言うと、せつ菜はステージを降り……そのまま峻の方へ歩いていった。

 

せつ菜「馬鹿だと罵ってくれても、構いません

嫌いになっても、構いません…………ですが、これだけは伝えさせてください」

峻の目の前に立ち……片膝をつくせつ菜。

 

せつ菜「……大好きです、峻さん

スクールアイドルとしての大好きではなく……1人の中川菜々として……貴方に好きという感情をぶつけさせてください」

「……せつ……菜……」

 

せつ菜「……私は、貴方に……ずっと、心を惹かれっぱなしでした

だから…こうしようと……いつからか、決意してました

貴方と隣に……胸を張って居れるようにするために……

そんな事をする私は……嫌、ですか……?」

「…………馬鹿野郎……一言くらい相談しろよ……」

 

せつ菜「……ごめんなさい、貴方に頼りっぱなしになるのは……ダメかと思って……」

「……お前が俺に夢中な事くらい、知ってるっつの……

だったら……もうその言葉……取り消せないからな?

俺の物になれ……せつ菜」

せつ菜「……はいっ!///」

 

そう言って抱きしめてくるせつ菜。

 

かすみ(な、なんて壮大な企画……っ)

しずく(……あの、つかぬ事をお伺いしますが、ライブ名のSって……どんな意味だったんですか?)

歩夢(多分、せつ菜ちゃんのSと峻くんのS……後は、最後のS……)

 

ランジュ(最後の?)

ミア(優木せつ菜としての……最後のって意味じゃない?

これからは、中川菜々として優木せつ菜としてのリスタート……って、事じゃない?)

 

歩夢(……後は、幸せ……の、S……かな?)

 

 

一部始終を見ていた生徒達からは拍手も湧き上がり

それを見たせつ菜はクスッと笑った。

 

 

せつ菜「……さてっ!それならば話は早いですよ!

ライブの再開です!!」

「って、なんで俺の手を引くの!」

 

せつ菜「峻もライブに出るからです!!」

「はぁっ!?……それに、峻って!」

せつ菜「いっきますよー!!!!」

 

 

栞子「……上手くいったみたいですね」

右月「もぉ、会長……秘密なんて酷いですよーっ」

左月「結果的にライブは間に合いましたが……」

 

栞子「ふふっ、内緒事も……悪くはありませんね♪」




次回:ライブ後の反響

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分岐ルート 優木せつ菜 その3

お待たせしました、お待たせしすぎたかもしれません
お待たせしすぎて渡良瀬になったちゃったわ……(?)


あのライブの後……それからと言うのものの……。

 

 

 

せつ菜「峻さんっ!今日お家に行ってもよろしいでしょうか?!」

歩夢「ぶーーーーーーっ!!!!」

 

昼飯の時、せつ菜が身を乗り出してお願いしてきた。

それを見ていた歩夢はお茶を吹き出した。

虹ヶ咲なだけに虹がかか……いや、やめておこう。

 

歩夢「せ、積極的すぎないかなぁっ!?」

せつ菜「……そう、ですか?」

「……俺はダメとは言わないが……休みの日とかにした方が良くない?」

 

せつ菜「……ヤダ!」

「……え?」

せつ菜「ヤダっ!」

「や、ヤダって……お前なぁ……」

 

正体が明かされた後……せつ菜は菜々の姿よりもせつ菜の姿でいる回数が増えた。

そして……駄々を捏ねる回数も増えた。

 

せつ菜「……むぅ……峻さん、意地悪です!」

「……ど、どうにかしてくんない?」

 

果林「あら、リア充の悩みは聞こえないわね?」

かすみ「そーでーす!聞こえませーん!」

「……おんまえら……」

 

そして他のメンバーはこの様にドライな対応(?)をする事が増えた。

せつ菜「どうしてもな頼み事があったのに……」

「……え?そういうことなら早く言ってよ……いいよ、おいで?」

せつ菜「さすが峻さんですっ、大好きです!!♪」

 

彼方「……暑いなぁ…」

エマ「11月だよ、彼方ちゃん」

彼方「……むぅ」

 

しずく「……なんか、せつ菜先輩……幼稚化してるような────」

ミア「しずく……それ以上は、いけない」

しずく「え、あ、は、はい……」

 

ランジュ「じゃあ、ランジュは二人の間にお邪魔す─────」

璃奈「百合とカップルの間に挟まるのは……重罪」

ランジュ「……こ、怖いわよ、璃奈ぁ……」

 

 

────────────────────────

 

【峻の家】

 

「さあ、上がって……って言いたいところなんだけどさ」

せつ菜「……?……どうしましたか?」

 

「家に寄る前に買い出ししてたけど……何用?」

俺の手には2つの大きなレジ袋があった。

 

せつ菜「それはですね~……」

自分のバックを漁るせつ菜……そして取り出したのは……。

 

「……?」

せつ菜「料理を教えてください!!」

エプロンだった。

 

「……りょ、料理……?

それに、そのエプロンは……」

せつ菜「彼方さんと作りました!ペアエプロンですよ!」

 

「……あぁ、なるほどね…形から入るタイプね」

しかし、またどうして料理なんか……。

 

せつ菜「……その、私は……料理が…出来ませんから」

「……あー……」

 

多分合宿の時のことをまだ根に持っているのだろう(152話 参照)

 

「……良いけど、手厳しいよ?」

せつ菜「はいっ、スパルタでお願いしますっ!」

「OK、せつ菜がそこまで言うなら教えるよ」

せつ菜「ありがとうございますっ!」

「でもその前にそんなにタバスコは使わないからね」

せつ菜「えぇっ!?」

 

 

────────────────────────

 

【料理中】

 

せつ菜「えぇっと、ここは……」

「違う、その切り方は怪我するよ」

せつ菜「は、はいぃ……」

 

ことごとく指摘されたせつ菜がどんどんと落ち込んでいく。

せつ菜「……ここまで出来ないなんて……」

「誰でも不得手はあるもんだよ……だけど、なんでまた料理を……」

せつ菜「……その……」

 

包丁で野菜を切るスピードを遅くしながらせつ菜が言葉を詰まらせた。

 

「……言いたくないこと?」

せつ菜「……絶対に、笑いませんか?」

「笑わないよ、聞かせて?」

せつ菜「……その……ゴニョゴニョ……///」

「え?」

せつ菜「…………は、花嫁修業…………です……///」

「…………………………」

せつ菜「な、何とか言ってくださいよぉ…///」

 

「……ごめん、聞いてる俺の方が照れるわ……」

せつ菜「…………///」

 

「……よ、よし!続けるか!」

せつ菜「は、はいっ!///」

 

気まずい雰囲気の中作ったオムライスは…少し恥ずかしくて優しい味がするのだった。




次回:恋人でありパートナーであり……。

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分岐ルート 優木せつ菜 その4

過労でぶっ倒れてましたが無事復……グボログボロ!!!(吐血)


かすみ「峻先輩、せつ菜先輩居ますか?」

「ん?居るよ、おーい''菜々''ー」

かすみ「え''っ……」

 

せつ菜「はいっ、なんでしょうか?」

「かすみが呼んでるよ?」

せつ菜「あ、そうでした……!すいません!かすみさん、すぐ向かいます!」

 

かすみ「……(ポカーン)」

「かすみ?」

かすみ「はっ!!!……い、いえ何も……(おっかしいなぁ…?)」

 

しずく「多分おかしいと思ってるのは、かすみさんだけじゃないと思うよ」

かすみ「しず子!」

しずく「さっきからあんな調子だもん」

 

「予定を忘れるなんて菜々もおっちょこちょいだなぁ」

せつ菜「えへへ……すいません♪」

 

かすみ「……な、なななな、なんか違和感しかしないんだけどっ?」

ミア「でも正体バレてるんでしょ?ならノープロブレムなんじゃ…」

 

璃奈「でもせつ菜さんの姿なのに菜々さんって呼ぶの、不思議」

果林「そうねぇ…………ねぇ、菜々?」

 

せつ菜「えっ……あっ、は、はいっ?」

彼方「あからさまに焦ってる様子だぜ~……」

せつ菜「すいません…この姿で呼ばれるのは峻さんからしか呼ばれ慣れてないので…」

 

果林「……そう思うと峻って独占欲強いわよね」

「ブーーーーーーっ!!!」

口に少し含まれたお茶を俺は思い切り吹き出した。

向いた方向が悪かったのか、ランジュに思い切りかかった。

 

ランジュ「……峻?果たし状と取るわよ?(ゴゴゴ……)」

「不可抗力だ、ち、違うんだ……」

ランジュ「アイヤーっ!!!」

「うわぁあああ!」

 

追いかけられる峻を目で追うせつ菜。

エマ「でもせつ菜ちゃんも満更じゃない顔してるね♪」

せつ菜「……その…独占されるのも……嫌いじゃ、ないので…///」

 

彼方「……(ピッ)」

歩夢「えぇと……彼方ちゃん、なんでクーラーを付けたのかな?」

彼方「いやぁ、暑くて……」

 

果林「峻も罪な男ねぇ……あんなに元気なせつ菜をこんなに大人しい乙女にさせちゃうのだから」

せつ菜「そ、そんなことありませんよ!……あ、いえ…そんなことある……かも?///」

果林「……ダメね、これは」

 

ランジュ「つ、捕まえてきたわ!」

「コケるとは……とほほ……」

 

せつ菜「だ、大丈夫ですかっ、怪我は……っ?」

「あぁ、大丈夫大丈夫……体だけは頑丈だから」

せつ菜「ダメですっ、見せてください!」

 

かすみ「……なんか将来尻に敷かれる峻先輩が目に見える…」

「そ、そんなの分からないだろっ!?」

 

 

ランジュ「じゃあ素直にどう思ってるのか言いなさいよ、男でしょ?」

「……そ、そう言われても……」

ランジュ「いいから言いなさいよっ!」

ドンッとせつ菜との距離を詰めさせるランジュ。

 

 

「……せ、せつ菜がパートナーとしてそばに居てくれるなら…俺にはこれ以上ない幸せになる……よ

その……菜々……は?」

せつ菜「あ、当たり前じゃないですか!///」

 

彼方「………………」

エマ「彼方ちゃん、塩を撒くのはやめよ?というかどこから持ってきたの?」

彼方「清めなければ……」

ミア「キャラじゃないよ、彼方」

 

せつ菜「……で、でも…その言葉…ずっと覚えてますからね…?///」

「……な、なんだよ急に…」

せつ菜「……その…その手の事は苦手ですが……子供は2人欲しいかなぁと……///」

 

「……何言ってるの、せつ菜さん?」

せつ菜「最初は男の子で……///」

「うわあああ!せつ菜が壊れた!!みんなどうにかして!」

 

 

 

 

 

シーーーン…………………………。

 

 

 

 

 

「いねぇ!!!???」

慌てふためく峻だったが、恋する乙女の顔をする菜々も悪くは無いなと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

将来の未来予想図が完成する日は…………そう遠く…ない???

 

 

 

 

 




次回:璃奈編 ありのままを

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分岐ルート 優木せつ菜 その5

同級生【あっ、せつ菜ちゃんおはよ~っ】

せつ菜「はいっ、おはようございます!♪」

 

同級生【ねぇねぇ、あのアニメ見た?】

せつ菜「はいっ!もちろんですっ!

特にあのシーンでの主人公の~─────」

 

「…すっかり溶け込んだなぁ」

元生徒会長 中川菜々が優木せつ菜と分かってしばらくが過ぎた。

今ではすっかり、せつ菜で居るのが当たり前となってきていた。

 

(ま、菜々が気楽で楽しいならそれでいいんだけどな)

熱く語るせつ菜の姿を見て、ぼんやりとそんなことを考える峻だった。

 

 

 

歩夢「どうしたの、峻くん?」

「んー?…いやぁ、せつ菜で居るのが普通の光景になっててすごいなぁーって」

 

歩夢「あはは、でも先生から呼び出される時とかは眼鏡かけて菜々ちゃんに戻るけどね?」

「切り替えの速さ…プロ並かよ…」

 

歩夢「でも、確かにせつ菜ちゃん…すっごく楽しそう」

「歩夢もそう思うか?」

 

 

 

─────────────────────

 

【その日の帰り道】

 

せつ菜「……不思議です」

「ん?」

 

帰り道に、ふと…せつ菜が言葉を漏らした。

 

「……不思議…とは?」

せつ菜「昔は…想像できなかったんです

こんな風に…大好きなアニメや漫画の話をしたり…

スクールアイドルを続けられたり出来る毎日が…私にとっては不思議で……」

 

「あぁ、なるほどね…まぁ、確かにそうかも…な?」

せつ菜「あの日…あの時、峻さんが直談判に来なかったら……と考えると……」

 

「あはは、運命かもな?」

せつ菜「……そう、ですね…こうやって…か、彼女になっています……し……///」

「そこで恥ずかしがるなよ…」

せつ菜「ま、まだ慣れないんです!///

……もぅ、何で峻さんはそんなに堂々としているんですか…///」

 

「えっ?

……いや、こんな可愛い彼女が居たら鼻も高くなるだろ?」

せつ菜「自然にそういう事言うの……本当にずるいですから…ね?///」

 

カバンで顔を隠すせつ菜。

耳まで赤くなってる姿を見て、峻は吹き出した。

 

「俺はもっとそういう菜々見たいけどなっ」

せつ菜「……付き合って最初に、菜々って呼んでくれた時……本当に嬉しかったんですよ?///」

 

「知ってる、言ってる俺も呼んでて嬉しかったから」

せつ菜「……敵いませんね、峻さんには」

 

ふぅ、と息を漏らしたせつ菜が峻の前に立つ。

 

せつ菜「でも…私も峻さんの事をもっともっとドキドキさせたいんですからねっ?♪」

メガネをかけたせつ菜がニコッと笑いかけた。

 

「……っ」

せつ菜「あっ、今ドキッとしてましたね?♪」

「う、うっせーっ!!してねーよ!!」

せつ菜「ふふっ、そういうことにしておきますね♪」

 

 

せつ菜「これからも……一緒に歩んでいきましょうね!」

元気いっぱいに笑うせつ菜を見て、自然と笑みがこぼれる峻だった。




せつ菜ちゃんキュンキュンメモ:6話も書く


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天王寺璃奈 分岐ルート
分岐ルート 天王寺璃奈 その1


微ンフルエンサーに、俺はなるっ!!!!!!!(ドンッ!!)


【放課後】

 

(璃奈 視点)

 

ランジュ「ほらほらっ、このランジュに勝てるかしらっ!」

「負けるわけないだ……ろっ!」

 

ランジュさんと峻さんはテニスコートにいた。

その理由は遡ること少し前……。

 

ランジュ「あの日のリベンジよ、峻!」

「そのセリフ…もう12回目だし……というか今まで俺の勝ち越しなんだからもう諦めたら……?」

ランジュ「嫌よ!」

「……さいですか」

 

愛「ランジュー、しゅんしゅんー、ギャラリーもたくさん集まってるんだから対決しなよー♪」

「げっ、いつの間に……」

 

ミア「Galleryも物好きだよね……毎回毎回」

璃奈「………………」

 

愛「……?、りなりー……どうしたの?」

璃奈「……ううん、なんでも」

 

ミア「口ではそう言ってるけど……、いつものボードを下げてるよ?

素顔を出すのはまだ慣れないって言ってた気がするんだけど……」

璃奈「……ホント、だ……」

 

自分でも気付かない内に…璃奈ちゃんボードを下げて峻さんを見ていた。

愛「……りなりーって、しゅんしゅん見る時素顔の時が多いよね?」

璃奈「……そう……???」

 

愛「この前だって、わざわざ璃奈ちゃんボードを机に置いて目を見て話してたし…しゅんしゅん相手なら素顔でも慣れちゃった?」

璃奈「………………………………」

 

その答えは……分からない……。

ただ、峻さんの前だと……素顔でも安心出来るというか…自然と喋れるというか……。

 

ミア「……あぁ、なるほど…そういう事ね」

璃奈「……ミア、ちゃん……?」

 

ミア「何でもないよ、璃奈」

愛「……何か、ミアチ……嬉しそうだね?」

ミア「……ん、まぁ……嬉しいかな」

 

 

ランジュ「くぅーーーーーっ!!後ちょっとなのにーっ!!

もう1回よ、峻!」

「タ、タンマタンマ……1回休憩させて……」

 

璃奈「……っ……」

休憩を催促する峻の元に……タオルを持った璃奈が近づいた。

 

璃奈「峻さん、これ」

「あぁ、ありがとう璃奈……気が利くね」

璃奈「すごい汗だったから…」

「まぁね、ランジュのやつが────────」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

(峻 視点)

 

 

 

 

 

 

ミア「ねぇ、愛」

愛「ん、どしたのミアチ?」

 

ミア「今もさ、このボードを置いてBabyちゃんの元に向かったよね……璃奈」

愛「あぁー……そうだね」

ミア「僕が思うに……璃奈は峻の事が好きなんだと思う」

愛「……りなりーが?」

 

ミア「うん、多分……本人もその気持ちに気がついてないんだと思う」

愛「じゃあ……ミアチが嬉しそうな顔だったのは……」

 

ミア「うん、僕だったら…あの2人がそういう関係になるなら心から喜べるなって

その為なら、璃奈の応援もしたいし……サポートもしてあげたいって」

愛「……ミアチ、そこまで……」

 

ミア「それに、Babyちゃんも鈍感だから気がついてないかもね」

愛「……よーしっ!愛さんも一肌脱いじゃうよ!♪」

ミア「ちょっ、あんまり勘づかれないようにしてよ?」

 

 

「……アイツら何盛り上がってんだろ?」

璃奈「……分からない」

 

ランジュ「ちょっとー!早く再開しなさいよー!」

「……って、騒がれちゃってるから……ありがとうな、璃奈」

頭にポンっと手を置き目を見ると……璃奈が元の場所に戻ろうとしなかった。

 

「……璃奈?」

璃奈「……あっ……う、うん…///」

 

ワンテンポ遅れて顔を赤くした璃奈が戻った。

「……なんだったんだ?」

 

 

璃奈「…………///」

ミア「……大丈夫、璃奈?(これは重症だね……早く何とかしないと)」

 

璃奈「……変なの…///」

愛「変?峻が?」

璃奈「ううん……私の胸の奥が……熱くなるような……そんな感じ……///」

愛「りなりー…………」

 

その後、璃奈ちゃんボードを付けて俯いて峻の方を見なかった璃奈……。

璃奈ちゃんボードも恥ずかしそうな顔をした表情のままだった……。




次回:検証という名のデート

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分岐ルート 天王寺璃奈 その2

更新しな過ぎて峻くんにぶん殴られたんで頑張っていきます。


璃奈(クイクイ)

「ん、どうしたの、璃奈ちゃん?」

 

璃奈「私……デートしたい」

かすみ「で、ででで……デート!?」

しずく「璃奈さん……どんどん積極的に……」

 

璃奈「デートコースは……任せて……っ」

「……お、おう……」

 

愛「峻ってさ、絶対尻に敷かれるよね」

せつ菜「激しく同意です」

歩夢「一生頭上がらなきゃいいのに」

 

果林(というかみんな気が付かないけど……峻、外堀固められてるわよ)

彼方(そのうち胃袋とかも掴まれそう……)

エマ(これが花嫁修業……!)

 

ランジュ(璃奈って……策士?)

ミア(Amazing……さすが璃奈!)

 

 

 

────────────────────────

 

 

【そしてデートの日】

 

璃奈「峻さん、お待たせ」

「あぁ、待ってたよ……璃奈……ぶほぉ!!」

 

集合場所に着いた璃奈を見て、俺は吹き込んだ。

「な、何その格好……っ!?」

 

明らかに攻めた格好をした璃奈。

普段の大人しめの雰囲気には……大変似つかわしく無い。

 

璃奈「峻さんの好みは……リサーチ済み……''ぶいっ''」

一体どこから……という詮索は辞めておいて……俺は自分のジャケットを璃奈に羽織らせた。

 

璃奈「……?」

「確かに魅力的……だけど、その……他の人には見られなくない……って言うか……」

璃奈「峻さん……」

「正直ニーソックス見れただけでも眼福っていうか……」

 

璃奈「峻さん、いつも私かせつ菜さんのニーソックス見てるの、バレバレだよ?」

「……うぐ、気をつけます……」

信頼されてるから済んでるが……不審者だったら一発アウトやな。

 

「それで、今日のデートは?」

璃奈「……今回のデートはね……検証したいの」

「……検証?」

璃奈「うん、デートで……私や峻さんの感情がどう高鳴るのか……

峻さんが、私の隣に歩いて……何を考えてくれてるのか……私は、知りたい」

 

「……そっか、それで……」

璃奈「デートの前に説明してればよかった……''しゅん''」

「そう言うなって……でも、俺もちょっと嫌かも」

璃奈「……え?」

 

そう言って、俺は璃奈の手を引いた。

「デートはなんも考えずに楽しむのが1番だから!

考えるのは後にしよ!」

璃奈「あ……っ!」

 

璃奈の言うことも分かる……けど、俺は今こうやって璃奈と過ごす時間が大事だから。

 

璃奈(……やっぱり……峻さんの方が上手だった……

だって……既に私の心は…ドキドキしっぱなしだもん……///)

 

 

 

────────────────────────

 

【デート後】

 

「……どうだった、璃奈?」

璃奈「やっぱり……わたし、峻さんと一緒に居るのが……楽しい!」

「そっか、それなら良かった」

 

璃奈「……これからも、デート……して、くれる……?」

「もちろん!」

璃奈「……じゃあ、デートの続き……しよ?///」

「……え?まだ行ってない場所あったっけ?」

 

すると、手を取り……璃奈は小さく呟いた。

璃奈「……私の、家……///」

「……ぁ…………」

 

 

 

 

 

 

 

璃奈「……///」

無言のまま……俺たちは歩き始めた。




次回:これからの事と

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分岐ルート 天王寺璃奈 その3

せつ菜ちゃんやっぱり可愛い、むり、辛い(語彙力)


璃奈「…………………………」

 

鏡の前で指で口角を上げる璃奈。

「……なにしてんの?」

璃奈「笑顔の練習」

 

「既に十分笑えるようになったと思うけど」

璃奈「まだまだ、峻さんの前だけだし…」

「……でも、どうして急に?」

璃奈「……まず、峻さんの家に挨拶行く時に……無愛想な子って思われたくない」

 

……話が何段かすっ飛んでる気がするが……突っ込まないでおこう。

璃奈「それに……笑った方が可愛いって……言われたし…///」

「……誰から?」

 

愛「そーーーだよぉーーーー!りなりー、笑った方が可愛いって~!!」

後ろからワシワシと髪の毛を撫でる愛。

璃奈はされるがままに、グワングワンと揺れていた。

 

 

「はいはい、そう言ってもらえるのは嬉しいけど

璃奈は俺のだからなー」

愛「くぅ……これが目の前で大好きな子を取られる感覚……悪くない…」

「何言ってんだお前」

 

璃奈「愛さんも、峻さんも……仲良く、だよ?」

愛「アイアイサー!!!」

「現金なヤツ……」

 

 

────────────────────────

 

 

【その日の夜】

 

璃奈「峻さん、ゲームしよ」

「ん、いいよ……って、新作のゲーム機じゃん……もうGETしたの?」

璃奈「最速予約……璃奈ちゃんボード…………は、無いけど…

ぶいぶいっ」

 

「よーし、じゃあ明日は休みだし…とことんやるか!」

璃奈「RTA……興味あるの?」

「いや、全然……」

璃奈「裏技、一緒に探そう?」

「見つけてどうするのさ……」

璃奈「ワザップ……」

「それ以上はいけない」

 

 

璃奈「……でも、こうやって峻さんとゲームするの楽しい」

「俺も楽しいよ?」

璃奈「……だから、ずっとこうしてたい」

「……璃奈?」

璃奈「…………………………」

 

 

ぎゅっと袖を掴む璃奈。

少し俯き加減で寄り添って来た。

 

璃奈「……ずっと一緒にいれる……かな……?」

「言えるよ、俺が断言してやるよ」

璃奈「…ほんと?」

「あぁ、ホントだ」

璃奈「他の子に目移りしちゃダメ」

「しないって……もしかして、あんま信用されてない?」

 

璃奈「過去の経験を元に……」

「……痛いとこ突くな、反論できん」

 

璃奈「……峻さん追跡GPS開発しなきゃ…」

「いや、ほんとに作れそうだからやめときな!?」

璃奈「……ふふっ、冗談♪」

「…………あ……っ」

 

 

 

話を聞いてクスッと笑う璃奈を見て

愛の言う事が何となく分かった気がした俺は璃奈の頭を撫でた。

 

 

璃奈「………………?」

「璃奈って、ホント可愛いなぁって」

璃奈「……そういうの普通に言うの……反則///」

「事実なんだけどな」

 

 

 

 

 

時折見せる笑顔は眩しくて

もっともっと彼女を笑わせてあげたいと思う俺だった。

 

 

 

 

 

 




次回:栞子編


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三船栞子 分岐ルート
分岐ルート 三船栞子 その1


せつ菜「あぁあーーーーいっ!!!!!」

せつ菜「えー、球審の優木です
作者を退場処分とします」

「なんでや……」


栞子「………………………………」

 

黙々とキーを打ち込む栞子。

俺はその様子を隣で見ながら作業をしていた。

 

 

「……なぁ、栞子?」

栞子「どうしましたか、峻さん」

「……なんか、視線を感じるんだが……」

栞子「気のせいでしょう、手、止まってますよ」

「……あ、あぁ……」

 

いや、どう見たって毛先赤い人がこっち覗き見てるんだけど。

 

薫子「もーーっ!栞子~、冷たい~!」

栞子「……何しに来たんですか、姉さん」

 

薫子「教育実習中だったけど栞子達の姿見えたから遊びに来た!♪」

栞子「……見ての通り、職務中なのですが」

 

薫子「ちょっとぐらい良いじゃないの~、ね、生徒会長補佐くん♪」

「あれ、どうしてそれを……?」

薫子「栞子ってば、最近その話ば────────」

栞子「姉さんっ!///」

 

薫子「うひゃーっ、逃げろ~っ!!♪」

「……えっ」

 

そう言って俺の首根っこを捕まえてそのまま生徒会室を後にする薫子さん。

その様子を唸るように睨んでいた栞子だった。

……顔が赤いような気もしたが……。

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

薫子「いやー、ごめんごめん♪」

「ほんとですよ……けほけほっ……」

 

薫子「これでも飲んで落ち着きたまえ、少年♪」

そう言って飲み物を薫子さん。

 

 

「…………あの、それでさっきの件って……」

薫子「あぁ……やっぱり気になるんだね?♪」

「そりゃ……もちろん」

 

薫子「結論から言おう……ありゃぁ、栞子の奴、好いてるね」

「……えっ?」

 

薫子「さっきも言ったけど……栞子の奴、よく話をするんだよ

生徒会の事……スクールアイドルの事」

「……へぇ」

 

薫子「そして何よりも……よく笑うようになったよ、ほんとに」

「…………………」

 

薫子「さっ、今度はこちらのターンだよ、聞かせてみ、馴れ初めをさ♪」

「馴れ初めって……そんな大したことは……」

 

俺は栞子とのいがみ合いや、ぶつかりあった事を全て話した。

途中笑っていた薫子さんも、最後の方は真面目に耳を傾けてくれた。

 

薫子「……なるほどねぇ、そりゃ好くわけだわ」

「……え?」

 

薫子「あの子は今までそうやって噛みつかれたり、真っ向から対立する人とか出会ってないからね……キミが初めてだったんじゃないかな?」

「……そんな、俺はただ……」

 

薫子「言い変えるなら!あの子の考え方をキミがそっくり変えたって言い方も出来るね~♪」

「……俺が?」

薫子「さ、大人のお姉さんからの小言はこれでおしまい!

……キミは、どうしたい?」

 

「……俺は……」

薫子「空き缶、代わりに捨てておいてあげようか?♪」

「……ありがとうございますっ!」

 

俺は空き缶を渡して生徒会室へ走り出した。

薫子「うんうん、青春かな青春かな♪」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【生徒会室】

 

 

「ごめん!遅くなった!」

栞子「問題ありませんよ……それより、姉さんからなにか言われませんでしたか?」

 

「……ごめん、聞いた」

栞子「……えっ……///」

「その、聞いた上で俺の方からも……聞きたい

……栞子は……俺の事……好き、なのか?」

 

栞子「……///」

「好きなら……その……俺と──────」

栞子「……ごめん、なさい……///」

「…………えっ?」

 

栞子からの予想もしない言葉に俺は唖然としてしまった。

栞子「……気持ちは嬉しいのですが……その……///」

なにか言いたげだった栞子だったが……口をぎゅっと閉じ、何事も無かったかのように振舞った。

 

栞子「この話は……これでやめましょう

作業の続きをしましょう」

「………………あ、あぁ……」

 

正直、作業どころじゃないのは……言うまでもなかった。




次回:嘘


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分岐ルート 三船栞子 その2

ポニーテールせつ菜ちゃんで寿命が150年伸びました。


「………………………………はぁ」

 

久しぶりに食事が喉を通らなかった。

それだけ振られた事がショックだった。

 

「……なんでだろ……」

実際、断れる理由なんてないと思ってた。

……と、考えても仕方ないのでそのまま横になる事にした。

 

(……栞子……)

 

 

 

────────────────────────

 

【三船家】

 

栞子「ただいま帰りました」

薫子「おかえり~っ、こんな時間に帰ってくるってことは、あの子と放課後デートってことかな~っ?♪」

 

栞子「……いや、あの…………」

薫子「いやぁ、栞子が遂に恋人を作るなんて、姉さんとしては感心感心っ♪」

 

栞子「……あの、姉さん」

薫子「おっ、早速相談?

いいよいいよ~っ、人生の先輩である姉さんになんでも話してご覧っ♪」

 

栞子「……盛り上がってるところ……失礼ですが……

その件は……お断りしました」

薫子「うんうんっ…………………………………………は???」

 

栞子「……ですから、NOと答えました」

薫子「……はっ?いや、ちょっ……なんの冗談?嘘でしょ?」

 

栞子「……冗談では……ありません」

薫子「な、なんでさ……あんなにも嬉しそうに話してたじゃん!

それに、私が冗談半分で茶化しても否定しなかったじゃんか!」

 

栞子「……その……峻さんには、もっと良い人がいるはずです

元々、いがみ合っていた仲です……私には、その隣にずっと一緒にいるという資格は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

──────パシンっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

栞子「……………………………………えっ……………………」

薫子「……見損なったよ!栞子!」

 

 

栞子「……姉……さん……?」

薫子「前の生徒会長から栞子になって……あの子が補佐役を降りなかった理由は栞子の事をサポートしたいって思いでずっと手伝ってきたんじゃないの!?

 

さっきだって、私と話して栞子の事を考えて脇目も降らずにアンタの元に駆け出した!それだけあの子は本気だったって事だよ!?」

 

 

栞子「………………………………」

薫子「それに……アンタが今こうやって笑えてなんでも話せるようになったのは、紛れもなくあの子のおかげじゃないの!?

 

あの子だって、栞子に隣にいて欲しいって思って心の内の想いを喋ったのに、自分は逃げて、恥ずかしくないのっ!?」

 

栞子「……………………っ……」

薫子「……ぁ……ご、ごめんっ!そんなつもりじゃ……!」

 

 

栞子「……っ……峻……さんっ……」

薫子「……栞子……」

口元を押えて、ポロポロと大粒の涙を流す栞子。

 

栞子「……私だって……あんなこと言いたく……ありませんでした……っ!

でも……自信がなくて……っ!」

薫子「……その言葉、本人にちゃんと伝えた?」

栞子「言えるわけ……ないじゃないですかっ……!

そんな事を言ってしまったら……彼の優しさに甘えてしまいます……!」

 

 

薫子「……あの子はむしろ、それを望んでるんじゃないかな

支え合うものでしょ、好きな人の為なら」

栞子「……まだ……間に合いますか……?」

 

薫子「……よしっ!来な!」

栞子「……えっ、ね、姉さん……っ!?」

 

家を出ると、薫子はある物を栞子に投げた。

栞子「……えっ、ま、まさか……っ」

薫子「乗りな!道案内は任せたよ!」

 

ヘルメットを付けて後ろを指さす薫子。

その顔は真剣そのものだった。

 

栞子「………………っ!」

同じくヘルメットを付けて後ろに跨り薫子の腰に手を回す栞子。

 

 

 

 

 

 

 

【その道中】

 

 

 

 

薫子「……アタシさ、栞子になんもしてあげれなかったからさ

……アンタの幸せくらいは……手伝わせてよ」

栞子「……姉さん……」

 

 

薫子「あんな子、またとないと思うよ

……正直、凄くお似合いだと思う……だから、2人にはずっと幸せでいて欲しい」

栞子「……………………………………」

 

返事をすることなく……また、大粒の涙を流す栞子だった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【その後……】

 

薫子「……ここか?」

栞子「はい、そして……ここが……」

 

彼の家に来るのは……いつぶりだろうか……。

そうだ、歩夢さんと喧嘩して学校に来なかった時以来だ……。

 

 

栞子「……思えば、あの時から私は彼のことを気にかけていたのかもしれませんね」

薫子「……?

インターホン押しちゃうぞ?」

 

栞子「ま、待ってください!いきなりは失礼なのでは……!」

「……………………はい?」

 

薫子「おっ、出てきた!」

「……薫子さん…………それに……」

栞子「………………」

 

 

「……どうしたんですか、こんな夜遅くに」

薫子「宅配便!」

「……は?」

 

そう言うと薫子は栞子を峻の家に押し込んだ。

栞子「……ね、姉さんっ!?」

薫子「では、配達完了したので帰りまーす!♪」

 

そう言うと数分後にバイクの走り出す音がした。

栞子「……姉さん……」

「……中、入りなよ……立ってても仕方ないし」

栞子「……あ、はい……」

 

 

栞子「……あの、お家の方は……」

「夜勤、俺一人だよ」

 

栞子「……そう、ですか」

「……それで、どうしたの、急に家に来て」

 

栞子「……その……」

「……………………………………」

 

栞子「……っ!」

「…………はっ?……栞─────」

思いのままに、峻を押し倒す栞子。

 

「……驚いたな、完全に不意をつかれた」

栞子「……ごめん、なさい……」

「……夕方の事か?……もう忘れたさ、気にするな」

栞子「そうではなく……っ!!」

 

顔を見上げた栞子は、目を見開いた。

峻の目から……涙が流れていた。

 

「……諦めさせろよ……なんでこんなタイミング悪く来るんだよ……」

栞子「……峻さん……」

「……栞子……」

栞子「……私……峻さんに……最低な嘘をついていました……」

「……えっ……」

 

栞子「……私だって……峻さんの隣に居たいですよ!

……でも……自分に自信がなくて……っ……」

「……栞子……」

栞子「峻さんには、もっと良い人がいるはずだって……自分の気持ちに嘘をついて……峻さんの想いを断って……っ……」

「…………馬鹿野郎……」

栞子「……ごめん、なさい……」

 

「自信が無いから、隣にいて欲しくないとか……思うわけないだろ

俺は栞子にいて欲しい……自信とか誰が相応しいとか……関係ない

俺は栞子が良い」

栞子「峻さんっ……!」

 

「……もう1回……告白、してもいいか?……好きだ、栞子」

栞子「……………………………………はいっ!!!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んで、どうしようか……こんな時間だが……」

栞子「………………あっ…………」




次回:まだ慣れないけど

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分岐ルート 三船栞子 その3

Emotion……!!


【朝】

 

チュン……チュン……(・8・)

 

栞子「……朝ですよ、峻さん」

「……ん、んん……あと5分……」

 

栞子「ダメですよ、規則正しい生活が──────」

「……って、なんでいるの!?……ああ、そうか…」

栞子「……お、思い出さないで貰えますか……?///」

「……と、言われてもなぁ……」

 

眠い目をこすりながら、俺は上半身を起こす。

栞子「……あの、峻さんは、その……いつも上は何も着ないのですか……?///」

「着ないよ?変かな?」

栞子「……いえ、そうではなく……///(こんなの毎日なんて……耐えられません……///)」

「そんなことより、朝飯食べようぜ」

栞子「わ、分かりましたから!服を着てください!///」

 

……なんか心配性の姉みたいだな……と思う峻だった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【その日の昼休み】

 

栞子「……ふう」

「栞子、居るか?」

 

栞子「ひゃっ!///」

「なんだよ、ひゃって……」

栞子「な、なんでもありません……っ!!///」

「……変なの、生徒会の仕事一段落ついたろ?昼飯にしようぜ」

栞子「わ、分かりました……っ!」

 

薫子「私も混ーぜてーっ!♪」

栞子「ね、姉さんっ!?」

「……だってよ、栞子?」

栞子「……良いです、よ///」

「ありゃ、今日は素直だね?」

 

栞子(姉さんには、返せない恩がありますから……///)

薫子「ほら、栞子もデレ期ってやつ?彼氏が出来たからさ~♪」

栞子「ね、姉さんっ!///」

「……あぁー、なるほど…」

栞子「峻さんも納得しないでくださいっ!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薫子「んで、どこまでいったの?」

「ぶっ!!!!!!」

 

栞子「姉さん……デリカシーというものが……」

薫子「減るもんじゃないし言ってもいいでしょー?」

栞子「あの、それ以前に……」

「まだ誰にも打ち明けてないんすよ」

 

薫子「えぇっ、マジで!?」

「と言っても昨日の今日のことですし……」

栞子「どのタイミングで言えばいいのか分からず……///」

 

薫子「……いや、多分言わなくてもわかると思うよ」

「え?」

薫子「その……視線的に?」

「どういう事すか……?」

 

薫子「栞子、アンタ自覚ないようだけど目がハートだからね?」

栞子「そ、そそそそそそ、そんなことありませんっ!///」

「栞子、動揺しすぎ、落としてるから」

栞子「あ、ご、ごめんなさいぃ……///」

 

薫子(こりゃあ、しばらくはこんな感じかねぇ……)

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【部室】

 

 

かすみ「えぇー!?しお子に先越されたァ!?」

しずく「先を越されたというか……かすみさん、何もアクション起こしてないような気が……」

 

かすみ「ぐぬぬ……」

せつ菜「ですが、おめでたい事です!」

栞子「報告が遅れてしまい、すいません……」

 

彼方「峻くんのリードにならないようにしっかりするんだよ~♪」

「ちょ、待てい」

 

果林「そうねぇ、栞子は押しに弱そうだし……」

栞子「…………///」

「否定しないのかよ」

 

薫子「そこが可愛いんだよ、そこが!」

「薫子さん、少し口にチャックしてもらっていいですか?」

 

栞子「……しょ、正直……まだ実感がなくて……///」

璃奈「……実感?」

栞子「峻さんが恋人になった……という実感が……なくて…///

まだ心がふわふわして……変な気分なんです…///」

 

「……栞子」

栞子「……ですが……これからもっと……峻さんと一緒に幸せを噛み締めて行きたいです……///」

「……もちろんだ、約束するよ」

 

 

 

薫子「やば、ウチの妹可愛すぎ……峻くん、やっぱり恋人関係解消して私のものにしていい?」

「ダメです」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【数ヶ月後】

 

 

「ただいま~…」

栞子「おかえりなさい、峻さん」

 

「遅くなって悪いな、栞子」

栞子「生徒会が終わって連絡したら先に帰っててと言われて先に帰っては来ましたが……何か買ってきたんですか?」

「ん、ちょっとな」

 

 

俺は、栞子の家に上がる回数が増えた。

一緒にいたいと言う気持ちもあるが……いてくれた方が、栞子の習い事も身が入るのだと言う。

……て言うのは建前で本音は、めちゃくちゃ甘えたいらしい。

 

 

「…………」

栞子「あ、あの……峻さんっ……黙って抱きしめるのはやめてください……恥ずかしいです……っ///」

「……はぁ……好き……」

栞子「わ、わかりましたから……っ……///」

 

「……っと、本題を忘れるとこだった」

そう言って俺は、買ってきた物を開けた。

 

 

「じゃじゃーーーーんっ」

栞子「……鳥、ですか……?」

「うん、カナリア」

栞子「わぁ……っ……♪

……でも、どうして急に……?」

 

「この前言ってたろ?鳥飼ってみたいって」

それは、他愛もない話で出た話題だった。

昔は、習い事もありそれどころでは無かったと。

そして、自分に鳥を飼うなんて似合わないと気持ちに嘘をついてた時期があったと。

その時の彼女は自虐風に笑ったが……俺はその言葉が引っかかってた。

 

「俺と付き合ったからには、したいこと何でもして欲しいなって」

栞子「そ、そんな……っ、峻さんのお手を煩わせてしまいます…っ」

「いーんだよ、ワガママ言って」

栞子「…………あの………………ありがとうございます……///」

「ん、良かった気に入ってもらえて」

 

栞子「可愛いですね……///」

「こうしてみると鳥とはいえ我が子みたいだな」

栞子「……わ、我が……子……っ!?///」

「あれ、気が早かった?」

栞子「……そういうのは……良くないです……///」

「本音は?」

栞子「……いずれかは……//////」

 

 

 

 

 

 

そう言ってぴっとりと肩を寄せる栞子。

彼女が素直になるにはまだ時間がかかりそうだが

ゆっくり隣でその姿を見続けていたいと思った俺だった。

 

 

 

 




次回:分岐ルート 桜坂しずく編

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分岐ルート 三船栞子 その4

やっぱりニジガク…ええなぁ…。


薫子「栞子っ、貴女には積極性が無い!!」

 

和室の扉を思い切り開けて開口一番予想だにしない言葉を発する薫子。

栞子「…どうしたんですか、そんな藪から棒に」

 

最初は驚いてた栞子だったが、すぐにいつもの顔つきに戻った。

薫子「そりゃあね?お姉ちゃんとしても

栞子に彼氏が出来て、お出かけしたり一緒に勉強したりして

とっても微笑ましいな~って思ってるよ?」

 

頷きながら腕を組み、1人で語り始める薫子。

薫子「でも!それじゃあ、いつかマンネリ化しちゃうよ!」

 

話し終えた薫子を見て、栞子は溜め息をついた。

栞子「それはありえません

私は、峻さんと一緒に居ると嬉しいですし

私がまだ見てない世界を峻さんは見せてくれます…そぐわないことなど…」

 

薫子「甘いねっ…!!」

栞子「え、えぇっ…!?」

 

薫子「今までの彼を見てご覧なさいよ、よーく分かるでしょ?」

栞子「そ、それは…」

 

薫子「少ししたら、彼から…」

 

 

峻【歩夢~っ!せつ菜~っ!】

歩夢【も~っ、ダメだよ~っ♪】

せつ菜【峻さんってば、いけませんよ~っ♪///】

 

 

 

薫子「…って!!」

栞子「あ、ありえません!そんな事は…っ!///」

と言う栞子だったが、流石に少し焦っていた。

 

薫子「大丈夫、お姉ちゃんに任せなさい!」

栞子「…な、なんだが嫌な予感がするのですが…」

薫子「いいの?飽きられても」

栞子「い、嫌です!///」

薫子「じゃあじゃあ……ゴニョニョ~~…」

 

栞子「え、えぇっ…!?///

む、無理です!出来ません!!//////」

薫子「もっと積極性にならないと!」

栞子「…うぅ~…っ!!///」

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日の朝】

 

 

「……………zzz」

栞子「……きて……さい……///」

 

「栞……子~……?…ま…だ…眠…zzz」

栞子「…しゅ、峻さん…起きて…下さい…っ!///」

 

 

「…ん、んんっ……わかっ…たよ~…っ」

眉を顰めながら、目をゆっくりと開ける峻…。

しかし、眠気まなこだった目は眼前の景色により一気に覚める事となった。

 

「…って、な、何その格好!?」

栞子「あ、あぅっ…み、見ないで下さい…っ!!//////」

 

恥ずかしいのか、顔を背けて栞子は自分の体を抱きしめていた。

「…め、メイド…服???」

起きてすぐの頭は、中々目の前の状況を理解出来ずにいた。

もしかして、まだ夢なんじゃないかと思うくらいだった。

 

栞子「(うぅっ、だから恥ずかしいから無理だと姉さんに言ったのに…///)…あ、あの…ご主人様…///」

「ご、ご主人様ぁ!?」

 

栞子「お、起きて下さいましたか…?///」

「お、起きたけど…どうしちゃったんだよ、栞子」

心配そうに顔を覗く峻を見て、栞子は言葉を塞いでしまった。

…しばらくして、諦めたかのようにか細い声を出した。

 

栞子「…私は…ご主人様に幸せになって欲しくて…///」

「…幸せに?」

 

栞子「その…私も、もっと積極性にならなければと…指摘がありまして…///」

「…ああ、なるほど…」

恐らく、薫子さんからの入れ知恵だろう。

 

「…いや、栞子な?

そんな事をしなくても、俺は十分幸せだよ?」

栞子「…これからも、ですか…?///」

 

「心配?」

栞子「…///」

隠すこと無く、栞子は頷いた。

 

「あはは、気が付かないうちに心配させちゃってたんだね、ごめんな

…でも、大丈夫だよ…俺は絶対に栞子の横にいるよ…何があってもね」

栞子「…峻さん…///」

薫子「よく言ったねぇ!!」

栞子「ね、姉さんっ!?///」

 

聞き耳を立ててたのか、満面の笑みで扉を開ける薫子。

薫子「これで2人の仲もさらに深くなったね、うんうんっ♪」

栞子「なっ……あ、アナタという人は…っ!!//////」

薫子「あ、いけない、学校行かなくちゃー!!♪」

栞子「姉さんっ!///」

 

 

嵐の如く、薫子は家を飛び出てしまった。

「…何だったんだ…?」

栞子「…し、知りません…っ…///」

恥ずかしそうに、顔を手で覆う栞子だった。

 

 

 

 

【虹ヶ咲学園】

 

 

かすみ「あっ、おはようございます、先輩っ!♪」

「おはよ、かすみ」

 

かすみ「…~っと、あと、しお子も!♪」

栞子「はい、おはようございます」

 

しずく「もう、かすみさんったら…知ってて付け加えるように挨拶したでしょ?」

かすみ「ど~かな~?♪」

 

栞子「ふふっ、私は気にしてませんよ」

「栞子は大人だな~」

栞子「も、もうっ!皆さんの前で頭を撫でないでください、ご主人様…っ!///」

 

璃奈「…ご主人…」

ランジュ「様ぁ~…っ!?!??!///」

 

栞子「あっ、これは、そのっ…!!///」

せつ菜「まさか、峻さんがもう既にそこまでしているとは…///」

彼方「ミアちゃん、その手に握ってる携帯を一旦離そうか」

ミア「POLICE…Come here POLICE…!!///」

 

「違くはないだろ、俺がご主人様は」

かすみ「なんで先輩も平然と答えてるんですかぁ!?///」

愛「見せつけるね~…でも、みんなの前だよ、大丈夫なん?しおってぃー」

栞子「…えっ?……あ、あぁっ!!///」

 

照れてる姿を一般生徒にも見られた栞子は早歩きで校内に行ってしまった。

 

ランジュ「ランジュの大切な栞子に何を…っ!!///」

「いや、知らんし…」

ランジュ「そうでもなきゃ、あんなにメロメロな目をするわけないでしょ!あの栞子よっ!?」

「あのとか言うなや!あのとか!」

 

歩夢「この後の全体朝礼…大丈夫かなぁ?」

彼方「既にどうなるのか、見当が着いちまうぜ…」

 

 

 

────────────────────────

 

【その後】

 

栞子「皆さん、おはようございます

さて、まずは朝礼でお伝えしたい事が────────」

 

愛「おっ、普通じゃない?」

歩夢「良かった~…もう、あんまり栞子ちゃんを困らせなきゃダメだよ?」

「…俺か、俺がいけないのか…」

 

ランジュ「そうよ、栞子が0.2割…峻が12.8割悪いわっ」

「オーバーキルじゃねぇーか」

 

愛「…ちなみに、なんでしおってぃーが0.2割なん?」

ランジュ「平然を装ってるけど、目はしっかりと峻を追ってるからよ」

歩夢「えぇっ!…全然分からなかった~…」

 

ランジュ「ランジュの目は誤魔化せないわよ」

「…羨ましいとか思ってる?」

 

ランジュ「な、なんですってぇー!?///」

「ちょ、朝礼中だから~っ!!」

 

栞子「もう…そこのお2人、静かにしてください

(峻さんと目が合った…それだけで、こんなにも嬉しくなるものなのですね…///)」

 

 

 

ランジュ「はい、峻13.8割ね」

「なんでだよ~っ!!」

 

 

 

 

 

 

分岐ルート

TRUE Fin




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桜坂しずく 分岐ルート
分岐ルート 桜坂しずく その1


沼津に行きてえなぁ……。


しずく「あぁ、私は何故─────」

 

今日は演劇部に顔を出している。

と言うのも、しずくの付き添いなのだが……。

 

近いうちに、演劇部で大きな舞台をやるそうだ。

今日はそのリハーサルらしい。

 

(しずくも気合い入った顔してるな)

割と重要な役柄を貰ったしずくは、スクールアイドル同好会の部室でも台本に目を通す時間が多かった。

 

 

演劇部部長「ストップ、一旦ここで止めようか」

その時、演劇部の部長さんが手を叩き、リハーサルを止めさせた。

 

しずく「……部……長?」

部長「しずく、気合入ってるのは分かるけど…途中から声が上ずってる」

しずく「えっ……あ、す、すいませんっ!」

 

気合が空回りしてるのか、しずくは指摘されて少し焦ってるようにも見えていた。

 

部長「じゃあ、さっきの続きから」

再開されたが、明らかにしずくは声を質を気にするが……少し動きが小さくなっていた……気がした。

 

部長「ストップ!……しずく、気になるのは分かるけど…

それが元手に全部ダメになったら意味が無いよ?」

しずく「……はい…」

部長「少し、クールダウンしよう、しずく」

しずく「だ、大丈夫です!まだ出来ます!」

部長「しずく、気持ちは分かる……けど、焦ったらダメだよ」

しずく「……はい…分かりました……」

 

肩を落として、リハーサル組の輪から外れるしずく。

様子を見ていた俺は、しずくに近づいた。

 

「そんな時もあるよ」

しずく「先輩……お気遣い、ありがとうございます…」

「見てて思ったんだが、ここは──────」

 

その時、演劇部の部長の視線が俺に止まった。

部長「代役なんだけど、同好会の部長さん、やってみない?」

「……は?俺すか?」

部長「なかなか目の付け所が良いからね、物は試しでどうかな?」

 

「……でも……」

チラッとしずくに目を移すしたが、特に何も言い返して来なかった。

 

「……分かりました、今日だけですよ」

しずくの頭に手を置き……俺はリハーサル組の輪に加わった。

 

 

 

────────────────────────

 

【リハーサル後】

 

 

部長「お疲れ様、なかなかの演技力だね?」

「どうも……あんまり褒められても良い気はしないけどな」

 

しずくはあの後、結局1人で台本読み込むと言って席を外してしまった。

 

「……あの、なんでしずくを……」

部長「言いたいことは分かるよ、それに、私もああいう形で降ろしたくは無かった」

「……じゃあ、なんで……」

部長「あの子はセンスに溢れている

それに、もっと成長して欲しいし、これから先こういう経験もあると思う……だから、今のうちにこういう経験もさせておきたいなって

もちろん、演技に迷いがあったのは嘘じゃないし、もっと演技力を高めて欲しいと思っての行動だけどね」

 

「……なるほどね」

部長も色々考えての事……って事か。

 

部長「……ふふっ」

「……?」

部長「いや、自分が代役で演劇部のリハーサルに立っているにも関わらずしずくのことを心配するなんてね♪」

「……ああ、いや……それは…」

 

部長「しずくもキミのアドバイスを貰ってる時の目は輝いてたしね♪」

「……そう、でしたか?」

 

部長「もしかしたら、しずくの原動力は……」

「……え?」

部長「いや、なんでもないよ」

 

何か言いかけた演劇部の部長だったが……ニコッと笑って誤魔化した。




次回:波乱の演劇

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分岐ルート 桜坂しずく その2

リエラの新作は?
という声をよく聞きます。

なるべくなら……2期始まる前に投稿できるように頑張りますので
よろしくお願いします。


それは突然の報告だった。

 

 

「練習のしすぎで声が枯れた~????」

しずく「………………」

 

小さく頷いたしずくは携帯にメッセージを打ち込んだ。

しずく【症状は軽いので1~2週間ほど安静にしてれば大丈夫です】

「つったってお前……演劇は……」

 

しずく「……………………」

黙り込んでしまったしずくの後ろから足音が聞こえる。

 

部長「良かった、2人とも探してたよ」

「……部長さん」

しずく「………………」

 

姿を見るなり、しずくは頭を下げた。

部長「しずくから話は聞いたかな?」

「はい、大体は」

 

しずく「………………」

部長「……全く、焦るとすぐ自分を追い込むんだから」

しずく【すいません、返す言葉もありません……】

部長「比喩表現じゃなくて、本当に返せてないけどね

……っと、それもそうだが……今日はそれとは別の話があるんだ」

 

「……俺にってこと……ですよね」

部長「単刀直入に言うね、代役だったキミに……そのまま演劇に立って欲しいんだ」

 

「……でも、それはしずくが……」

ちらっと横目で見ると、しずくは顔を俯かせた。

 

部長「しずくの顔も立てて欲しい、もちろん、無理強いはしないけど……」

しずく【先輩が代役なら……私、応援します!】

 

「……分かった、でも、素人なんで過度な期待はしないでくださいね?」

部長「大丈夫、大丈夫っ♪

しずくも太鼓判を押していたし♪」

 

「そうなの?」

しずく「…………///」

俺が視線を送ると、しずくは恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【演劇 リハーサル中】

 

 

部長「次、ここのセリフなんだけど……」

「……えっ、この台本…最後部長さんのことを抱き寄せるの?」

 

部長「有名な演劇をベースにしてるからね……あっ、やりにくい?」

「いや、そういう事じゃなくて……」

 

しずく「……………………இ」

(しずくが膨れっ面で、こっち見てるんだよな……)

 

いくら演技とはいえ、流石に良いもんでは無い……ということなのか?

(……でも、たしかに……しずくが相手だったらなぁ……)

 

いつか、一緒に演劇を……なんて、無いかな。

部長「おーい、部長くん?しずくに視線送りすぎ♪」

「えっ、あっ……すいません!」

 

演劇部の部長が指摘すると、他の部員もクスクスと笑い始めた。

その様子を見て、しずくも恥ずかしそうに頭を抱えた。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【そんなこんなで演劇発表当日】

 

 

部長「さあっ、皆!準備はいいかなっ!」

「……お、おー……」

 

場違い感がすごい。

しかも、キチッとした衣装が正直少し苦しいような感じ。

 

しずく「……………………」

当日の欠場となってしまったしずくは、観客席から見る事となった。

 

かすみ「もー、しず子!せっかくの大役だったのにー!」

彼方「まあまあ、それは本人が1番分かってるだから~」

果林「そうよ、かすみちゃん、察しましょ?」

 

かすみ「でもでもっ、代役が峻先輩だったなんてー!」

歩夢「びっくりだよね~…峻くん、演技とか出来たなんて……」

せつ菜「でも、峻さんってパーフェクトだから出来るって言われても納得できますよね」

 

ミア「たしかに……」

ランジュ「悔しいけど、このランジュが認めただけはあるわね…」

栞子「天才肌、というものですかね……」

 

璃奈「あ、始まるみたい」

エマ「楽しみ~っ」

愛「かすかす、静かにね?」

かすみ「わ、分かってますよっ」

 

 

 

 

 

【その後、演劇は続き……】

 

 

部長「自信とか、覚悟なんてない……それでもっ!!」

(……えっと、確かこの後……部長を何も言わずに抱き寄せるんだよな……)……ぁ……」

 

 

その時、ふと両手を握りしめて祈るように見るしずくが目に入った。

 

(……しずく……)

この期間、ずっとしずくのことを考えてた。

もちろん、代役になったから……と言うのもあるけど…。

どうしてしずくが演劇部に俺を付き添わせたのか。

どうして俺を応援してくれてるのか……。

 

(……きっと、答えは……)

部長「………………?(セリフ、飛んだのかな……?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪ぃ、やっぱ無理だわ」

緊迫したシーンの中……素っ頓狂な声が響いた。

 

 

 

 

部長「……えっ?」

「しずくの代役だから、気合い入るなーって思ってたけど───」

 

そう呟きながら、俺はステージを歩いて降りていった。

「目に見えるものが真実とは限らない……つまり…」

 

俺はしずくの目の前に立ち、手を差し伸べた。

しずく「…………先……輩……っ」

「声出すなよ、辛いんだろ?」

 

困惑した顔で、しずくは恐る恐る俺の手を取った。

「俺はしずくの事が大好きで大事なんだなってこと!」

そう言って俺はしずくを抱き上げた。

しずく「……っ!///」

 

観客からは、お姫様抱っこだとか素敵とか色んな声が上がった。

部長「……全く……アドリブを入れるなんて、してやられたね」

「悪いな、勝手なことして

でも、俺自身の拭えない考えに決着を付けたくてさ」

 

 

 

部長(……いや、感心したよ……既にこの演劇は……キミの独壇場だ)

「……んで、ごめん、しずく……答え聞きたいんだけど」

しずく「…………//////」

 

 

何も言わずに、しずくは涙を流しながら……俺の頬に口付けをした。




次回:演劇の反響?

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分岐ルート 桜坂しずく その3

ニジガク茶番劇を商標登録します。
使用料はせつ菜ちゃんか侑ちゃんのニーソッ…………


ぎゃあああぁああああぁああぁあああ!!!!


女生徒「あっ、王子!」

演劇部員「ホントだ、王子~!」

 

「……………………」

しずく「あ、あはは……」

 

 

あの演劇以来、困ったことが起きた。

それは、かなりの人数から王子……と呼ばれる事が増えた事だ。

 

聞くところによると、あの演劇のアドリブのセリフや立ち振る舞い……しずくを抱き上げたりするのが、さながら王子様みたいだ……との事らしい。

 

しずく「……でも、王子って言うのは……間違ってないと思いますよ?」

「え?」

しずく「……だって、私の……王子様、ですから……///」

「……しずく…」

 

あの後、俺としずくは晴れて恋人同士になった。

なったからと言って、特に今までと変わりはない……はず。

 

 

……いや、1つ変わったことがあるとすれば……。

 

 

 

 

 

【演劇部】

 

 

 

部長「よしっ、今日はここまで!」

しずく「もう少し……やらないと……っ」

「こーら、しずく……やりすぎ」

 

 

しずく「峻さんっ!……で、でも……っ」

「ほら、飲み物とのど飴……続きは夜、マンツーマンでしてやるから、な?」

しずく「むぅ……分かりました……♪///」

「ん、偉いぞ、しずく」

しずく「えへへ~……っ♪///」

 

 

 

 

 

 

 

 

部長「……次の演劇、恋愛漫画をベースにしよっかぁ……」

演劇部員「部長、そのセリフ……今週で18回目ですよ……」

部長「……お茶、甘いなぁ……」

演劇部員「あぁ、上の空だ……」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【帰り道】

 

 

「部活長引いたし、今日はウチに泊まるか?」

しずく「はいっ!この間、泊まる時用の衣類、沢山持って来ておいて良かったです♪」

 

「……いや、それは良かったんだけどさぁ……」

しずく「……?……どうしたんですか?」

 

「平気で下着を俺の衣類ボックスに入れるのは……その……」

しずく「……ダメ、ですか……?///」

 

「俺も、年頃の男だぞ……?」

しずく「私の王子様はそんなことしませんもーん♪///」

「…………………………」

しずく「……えっ、し、しません……よね?///」

「してないけど、今後は自信ないかも……」

しずく「もぅ……しっかりしてください!

これからは……その、先輩には色々目指してもらうんですから!」

 

「目指す?何を?」

しずく「…私の願い……聞いてくれますか?」

「……あぁ、聞かせて欲しい」

 

しずく「今まで、私は……先輩の理想のヒロインになりたいと思ってました

もちろん、先輩にその事を告げたことはありませんが……

……でも、結局は理想のヒロインになれたのは……先輩のおかげでした」

「……俺は何もしてないよ」

 

しずく「いいえ、先輩と出逢えたから……私の物語は始まりました

先輩という存在は太陽のようで……いつしか先輩の理想のヒロインになりたい、そう思いました」

「……しずく」

 

しずく「私も、まだまだ未熟ですね……♪」

「そんな事ないよ、それに……俺もしずくのおかげで……物語が始まった、かもな……と言ってもまだ序章に過ぎないけどな」

 

しずく「……私と先輩の物語……ずっと、描き続けてくれますか……?///」

「あぁ、そのためには……俺もしずくの理想の王子様にならないと、な?」

 

しずく「……その必要は、ありませんよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────だって、先輩は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────出会った時から私の王子様だったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しずく「……ふふっ♪」

「……えっ?」

 

 

しずく「なんでもありませんっ♪早く帰りますよ?♪」

「あ、待ってよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから続く、2人の物語。

色々な出来事が起こり、描き悩む事もあるだろう。

でも……2人なら乗り越えられる。

憧れと理想と想いが2人を紡いだのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回:分岐ルート 朝香果林編


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朝香果林 分岐ルート
分岐ルート 朝香果林 その1


侑ちゃんが可愛くて頭抱えるレベル


果林「ごめんなさいね、峻」

「最近、エマじゃなくて俺に頼む回数増えてないか?」

 

果林「エマも忙しいみたいなのよ……それに、道案内兼ボディーガードの役割もして欲しいし♪」

「……だからってさぁ……駅から5分のところを迷うなよ……」

 

果林「地図って不思議よね……携帯傾けても辿り着かないのよ」

「ダメだこりゃ」

 

ここ最近、果林のモデル業の道案内をする機会が増えた。

と言うのも、部室で唸ってる所を見かけて声をかけたら子犬のように縋りついてきたという経緯だ。

 

「マネージャーとか居ないのか?モデルなんだろ?」

果林「まだまだ駆け出しのモデルにそんなものは無いわよ?

事務所は名の知れたところだけど……」

 

「そんなもんなのかねぇ……」

果林「……そ・れ・に~っ…峻がマネージャーやってくれても、いいのよ?♪」

 

俺の唇に指をつける果林。

こういう事を平気でやってしまうのだから俺の内心も冷や冷やだ。

 

「はいはい、俺にマネージャー業出来るわけないでしょ」

果林「そうかしら?スクールアイドル同好会の部長として

みんなのスケジュール管理もしてるんだし…悪くないと思うんだけど?」

 

「んなら、マネージャーになったら最初に直して欲しいところ言ってやるよ」

果林「そ、そこを支えるのもマネージャーの仕事でしょ!///」

 

……だからってなぁ…毎朝起こして欲しいって言うから

モーニングコールしてるけど、寝ぼけてビデオ通話にするのはホントにやめて欲しい。

果林は部屋の中だと色々無防備すぎるから……。

 

果林「……ま、その話はそのうちゆっくり話しましょ?」

「本気にしてんのかよ、別に俺は……」

果林「そう言ってなんだかんだやってくれるのが、峻の良い所って知ってるわ♪」

「………………………………」

 

こういう所はお姉さん感がするし、果林の方が上手のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

【撮影終了後】

 

 

果林「お待たせ、峻……外で待ってなくてよかったのに」

「中に居ても場違いだろ?」

 

果林(モデル仲間か俳優さんですか?って聞かれたことは……黙っておきましょ)

「さて、夜飯食うか?ご馳走するぞ」

果林「あら、餌付け?」

「……あのなぁ…」

果林「冗談よ、それに──────」

 

 

その時、話を遮り…果林が俺を引っ張った。

「────────っ!?」

果林「自転車が来てるわ、危ないわよ?」

「……あ、あぁ……悪ぃ」

果林「意外とドジねぇ?♪」

「……うるせ、それより…」

 

普通に当たってる、何ならからかうかのように腕を絡ませてくる。

果林「あら、嬉しくないの?」

「……嬉……う、っ……」

果林「ふふっ、可愛いわね~っ♪」

「う……っ……っさい!飯行くよ!」

果林「はいはい、行くわよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか、この何も無い普段の出来事が、後に大事になるなんて

俺たちは知る由もなかった……。

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【数日後】

 

 

 

何やら部室の前が、騒がしい。

かすみが覗くように中を見ていた。

 

「どした?」

かすみ「~っ!!!!……って、先輩ですかっ……

……ちょっと、こっちに!」

 

そういうと、階段のところまで連れてかれた。

かすみ「果林先輩が、ものすっごーーーくご機嫌ななめなんですっ」

「……果林が?」

 

しずく「そうなんです、受け答えも端的で……少し角があるというか…」

「……うぅーん……ほら、あれじゃない?女の子─────」

ミア「BE QUIET……それ以上はいけないよ、Babyちゃん」

「……あ、はい…………つっても、埒あかんしな……俺聞いてくるよ」

かすみ「えぇっ、大丈夫ですかぁ?」

「大丈夫大丈夫、案外なんてことないかしれないしな」

 

 

 

そう言って、俺は部室に入っていった。

 

 

中に入ると、果林が腕を組みながら……怪訝そうな顔をしていた。

目の前には……雑誌があった。

 

「果林?」

果林「……あぁ、峻……」

確かに、端的ではあった……が。

角が立つどころか、少し困った顔をされた。

……雑誌が関係あるのだろうか?

 

 

「何かあったのか?……それに、その雑誌…」

果林「……話すより、見てもらった方が早いわね」

そう言うと、果林は雑誌を手渡してきた。

 

「あ、もしかしてアレか?この前撮ったモデルの写真がイマイチだったとかそんな────────────────」

 

 

 

 

 

そこには、こう書かれていた。

【モデル兼業の人気急上昇スクールアイドル、熱愛発覚か】

【路上で堂々と腕組み、飲食店に消えてゆく】

 

 

 

 

 

「…………え?」

果林「言わゆる、パパラッチってやつよ」

「……え?これ……えっ?」

あまりに予想外の展開に俺は狼狽えた。

 

果林「私なんかじゃそんな物に載らないと思ってたけど……迂闊だったわね……」

頭を抱える果林。

しかし、この内容は…………。

 

 

「誇張しすぎてないか?別に腕組んだのだって危ないから俺の身を寄せただけだし……」

果林「証拠もない、目撃者もいない……相手方はそんな中をそれっぽい写真を撮って容赦なく書き込むのよ」

「……そんな……」

果林「とりあえず事務所の方が対応してくれてるわ

峻も変な気を起こして、雑誌の編集社に行くとかしないでちょうだいね

相手の思う壷よ」

 

「……わかった」

果林「…そんなに重く受け止めないで♪

これくらいのほとぼりなら、すぐ冷めるわ♪」

「……………………」

 

そう言う果林の表情は、どこか曇っていた……。




次回:前途は多難で災難で

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分岐ルート 朝香果林 その2

7月に完結させたい一心で投稿頑張る侍


ヒソヒソ…………ヒソヒソ……。

 

 

 

「………………」

いたたまれない、非常にいたたまれない。

 

今回の件、思ったよりも広まっているらしく、生徒間でヒソヒソと話している。

もちろん、事実無根だし、俺の方からも違うと否定はしている。

 

……が、そんな事で納得し収束することは無い。

 

 

歩夢「私も何人からか聞かれたよ~、もちろん違うって答えたけど……」

かすみ「かすみんも、聞かれたから''峻先輩はかすみんの物ですよ~♪''って答えたら鼻で笑われたんですけど~…」

 

ミア「果林と同じステージに立ててないだけだよ」

かすみ「きいぃ!!これが格差社会なのぉ~っ!?」

 

「…みんな、ゴメンな変な苦労かけさせて」

愛(2人似合ってると思うけどね~って声もちらほら聞こえるけど…

でも、果林はモデルだし…スクールアイドルでもある…

簡単には解決しない問題なのかな…)

 

 

一方の果林はと言うと…。

果林「……………っ」

芳しくないのか、ため息混じりで電話を切る。

 

「やっぱり厳しいか?」

果林「そうね、事が大きくなってるわね…」

 

事務所で1回話をしに行くと言う。

「俺も行かせてくれ、当事者だしな」

果林「でも…」

「ここまで来て、一般人だから関係ないとか言わないよ」

それに、果林1人に背負わせたくない」

 

果林「…分かったわ、行きましょ」

こうして、学校終わりに果林の所属する事務所に行くこととなった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【事務所】

 

 

果林「ここよ」

「…分かってはいたが、すげぇなぁ…」

 

【朝香さん、来てくれたんですね】

果林「えぇ……それと…」

 

目が合い、俺も頭を下げる。

【…貴方も来てくれたんですか、そうですよね

当事者もいなくては話は進みませんものね、どうぞこちらへ】

 

担当者について行き、応接室へと入っていった。

 

【…さて、今回の件ですが…】

「すいません、こんな出来事にしてしまって…」

 

【なってしまったものは仕方ありません、それに…

貴方方は、けして不純な関係性ではないと、目を見れば分かります】

「……」

果林「…でも、これから先、どうすれば…」

 

【…ふむ……すいません、お名前を伺ってもよろしいですか?】

「峻です、宮之原 峻といいます」

 

【宮之原さんですね、あなたは今まで通りにしていてください

狼狽えたり、周りをキョロキョロするようになると相手が有利になるので…朝香さんは…】

 

その時、果林が手を挙げた。

果林「…その件で、私の方から提案があるの」

【…提案、ですか?】

 

果林「…私、モデルを辞めるわ

こんな事になったケジメはつけないと」

「…なっ、お前…っ!!」

 

つい立ち上がってしまったが、事務所の担当者が手で制した。

【気持ちは、分かります…が、そう判断するのは早計です

…特に、宮之原さんはそれを望んではいません…そうですよね?】

「…はい」

 

【朝香さんも、しばらくはお休みをしましょう

…今はそれが賢明な判断です】

果林「…分かりました」

 

グッと堪えるかのように、果林は呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

【その帰り道】

 

 

果林「…怒ってるわよね、峻」

「あぁ、すげー腹立ってるよ」

 

果林「……」

「あの記者の野郎、ぜってぇー許さねー!!」

果林「えぇっ、そ、そっち??」

「当たり前だろ!なんでそんな奴にビクついて過ごさなきゃいけねーんだよ!それに果林を辞めさせるって言わせるまで追い詰めて!絶対許さない!」

 

果林「…ぷっ…あははっ!相変わらずね、峻は

…でも、少し気が楽になったわ」

「…果林…」

 

果林「私も、自分が気が付かないくらい色々抱え込んでたみたいね…

らしくないわ…」

「一人で抱え込まんでくれ、俺にも責任はある」

 

果林「峻らしいわね……でも、今は…その言葉に、甘えようかしら」

気付くか気付かないか分からないくらい…触れた指。

握り締めたい…そう思った時だった。

 

 

 

【…あのー、モデルの朝香果林さん、ですよね?】

果林「…っ…そう、ですが…?」

 

【例の記事について、詳しく聞かせてもらえませんか?】

手帳とカメラを持った…いかにもな人物が現れた。

 

果林「…行きましょ、峻…っ」

【また、色々と書かせていただきますよ?】

 

果林「…っ!」

どうやら、あの記事を書いた張本人のようだった。

 

果林「…あなっ────────」

「…………」

 

果林を落ち着かせて、俺が果林の横に並ぶ。

 

【ちょうど良かった、貴方にもお話を─────】

その瞬間、俺は果林の肩に手を伸ばして抱き寄せた。

 

 

【…えっ?】

「悪いけど、果林は俺の女だ、文句あるか?」

果林「…峻…///」

 

【いや、文句も何もですね、相手はモデルで─────】

「モデルだろうが、スクールアイドルだろうが関係あるか!!!

果林は一人の女だ!女が幸せを求めて何が悪いんだよ!!!!

人の幸せの邪魔をすんじゃねぇよ!!!!」

 

周りに居た人達にも聞こえるくらいの声で叫んだ。

でも、事実を言ったまでだと自分に言い聞かせた。

 

 

【……………………………】

峻「…行くぞ、果林」

果林「…ま、って…っ!」

 

その場を立ち去ろうとする…その前に。

 

峻「これ以上、果林の幸せを邪魔するなら…手段は選ばねぇぞ」

【…っ】

 

峻「…行くよ、果林」

果林「峻…」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

「…やっちまった…」

果林「バカね、あんな啖呵切るなんて…」

 

「いや、でも…あんな弱った果林見てたら、いても立っても居られなくて…」

果林「…ほんと、優しすぎるわね…」

 

「…………」

果林「…ねぇ、さっきの言葉…嘘じゃないのよね?///」

「…えっ?」

果林「責任取るって…話…」

「…あ、あぁ…男に二言はないからな…」

 

果林「…なら、取ってちょうだい…///

私は、貴方の女…なんでしょ?///」

「…か、果林…」

 

果林「…私、貴方になら…全てを委ねられるわ…///」

「………」

 

果林「なんてね、帰りましょ?♪」

バツが悪そうな顔をして、果林は歩き始めてしまった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【次の日】

 

かすみ「せ、せせせ、先輩いいぃいぃ~!!!!????」

朝からかすみが後ろから猛スピードで追いかけてきた。

 

「な、なになになに!?」

かすみ「街中であんなことしたんですかぁ!?」

 

「…へ?」

かすみ「これですよ、これぇ!!」

 

携帯を差し出されて、見てみると…昨日の光景が映されていた。

「えっ、これ…!!」

かすみ「モデルの朝香果林の彼氏、付きまとう雑誌の記者に対して真っ直ぐな想いで告白し賞賛の声ってありますよっ!?」

 

「…は?」

色々と誤植があるようだが、それよりも1番気になった点が…。

「賞賛?なんでだ?」

かすみ「よく分かりませんけど…よく言ったとかかっこいいとか…そんな声が相次いでるみたいです」

 

果林「……///」

「…げっ、果林!」

 

果林「…朝イチ、事務所の人から連絡があったわ…///」

「…お、おう…っ」

 

かすみ(か、かすみんはこの辺りで退散しよーっと…)

 

果林「記者から謝罪の言葉があったと…

あと…おめでとうって…///」

「…えっ、えっ?????」

 

果林「…だ、だからっ!公認になったってこと!///

も、もう戻れないわよ…っ?///」

「…そ、そうか…」

 

果林「…それで、改めての言葉が…欲しいんだけど…///」

「…ん、んん……分かった…

好きだ、果林…モデルとかスクールアイドルとか関係無しで…俺と付き合って欲しい」

 

果林「…えぇ、喜んで…///」

パチパチと拍手が起こる。

学園の前ということをすっかり忘れていた。

 

 

「…あっ…」

果林「…ふふっ、私たちは注目を集めるのが好きなのかしらね…?♪///」

 

笑いながらも、あの日握れなかった手をしっかりと握りしめてくれた果林。

その表情は安らかだった。




次回:色々あったけれども…。

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分岐ルート 朝香果林 その3

虹ヶ咲が虹ヶ咲で虹ヶ咲だったんで、虹ヶ咲します(?)


果林「ねぇ、峻。

今週の予定ってどうなってたかしら?」

 

「ちょっと、待てよ…えーっとな…」

慣れた手つきで携帯と手帳とペンを出す峻。

 

「土曜の14時に撮影が1つ、んで、日曜日が────」

 

かすみ「…完っ全にマネージャーですね」

しずく「そうでもないかもよ?」

かすみ「えぇっ!どういうこと~っ?」

 

愛「噂のモデル兼スクールアイドル 朝香果林の恋人

モデルデビューで人気急上昇。ほら、この記事読んでみ?」

そう言って愛は携帯を差し出した。

 

かすみ「えぇっ~!!峻先輩、なんて格好してるんですか~!!」

「…いや、まぁ成り行きで…」

 

璃奈「…因みに、歩夢さんとせつ菜さん…あと、ランジュさんがその雑誌を3冊買ったことは既にリーク済み」

 

歩夢「ぽむぅっ!?///」

ランジュ「ラァっ!?///」

せつ菜「な、なななななっ、なななんのことでしょうっ!?///」

 

璃奈「あと、彼方さんと栞子さんが写真撮ってるの知ってる」

彼方「…す、すやぁ~…///」

栞子「えぇっと、それはぁ…///」

 

果林「モデルになって、さらにモテモテになったんじゃない~?♪」

「茶化すな、果林」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

こうなった経緯は、パパラッチに物申した後のこと。

俺は、果林の事務所に呼び出された。

 

 

 

 

 

 

(色々やりすぎたからな…何言われて受け入れよう)

【まずは……ありがとうございます】

「…えっ?」

 

【朝香さんを、守ってくれたんですよね?】

「…はい、それはもちろん」

 

【正直、どう対処しようか、手探り状態だったんです

対処の仕方を間違えると、更に事が大きくなるので…】

「そうだったんですか…」

 

【それに、貴方の言葉…あの言葉には真意がありました

朝香さんのこと、よろしくお願いしますね】

「…えっ……あ、は、はいっ!」

果林と言っていたが、事務所から公認され、つい声が上ずってしまう。

 

【そして、これは相談なのですが…どうでしょう、朝香さんのマネージャー…してみませんか?】

「…えっ…えええっ!?」

 

【朝香さん、あなたといる時はすごく安心した顔をしてるんです

それに、あなた…マネージャーの素質があると私は思いました

もちろん、お給料も出します】

「そ、そんな…俺がマネージャーなんて…」

 

 

 

その時、俺は自分が言ったことを思い返した。

(…でも、俺が…果林を守らないと

その為には…近くにいてあげないと…)

 

「…分かりました、やらせてください!」

【あなたならそう言ってくれると思ってました

それでは、仕事の説明等をするので後日またいらしてください──】

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

という経緯があり、俺は果林の事務所所属のマネージャーとなった。

 

 

そして、初の仕事で果林の撮影について行った時だった。

 

 

 

 

カメラマン【はーい!果林ちゃん、お疲れ様でーす!】

果林「ありがとうございました~」

 

カメラマン【あ、ちょ…うーーーーん…ごめんなさい!最後に1枚取り直させてくださーい!】

果林「はーい、分かりました」

 

カメラマン【うーん、このままでも十分良いんだけど…そうだ!】

そして、カメラマンは俺に向かって手招きしてきた。

 

(…俺?)

カメラマン【キミ、果林ちゃんのマネージャーさん、だよね?

ちょーーーーーっと、隣に立ってくれないかしら?】

「…俺が、ですか?」

 

果林「良いんじゃないかしら?」

「果林まで…」

 

カメラマン【おぉーー!!美男美女のツーショット!捗るぅ!】

若干テンション高めに写真を撮るカメラマン。

そして出来た表紙が、あの雑誌だったということだ。

 

その後、雑誌を見た事務所の担当者が…。

【モデルも…やってみない?】

と、言われたが流石に断った。

と言うのも…。

 

果林「ダメよ、峻が注目されるのは嫌よ」

「…果林…ヤキモチ?」

果林「そ、そうよっ!悪いのかしらっ!?///」

 

というやり取りを、微笑ましく担当者は眺めていた。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

「…しかし、あん時の記者がいる編集社が雑誌を作るとはな」

果林「それも、峻の人徳なのよ」

 

「記者の人、すごく視線泳いでたけどね」

果林「睨み効かしすぎよ、峻」

 

「…気をつけます」

果林「そうよ、貴方はマネージャーであり、時にモデルであり…」

 

ぐいっと俺を引っ張り、頬にキスをする果林。

もちろん、みんな見ている中で。

 

 

 

果林「…私の自慢の彼氏なんだから///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モデルでもスクールアイドルでもない、柔らかい表情。

それを見れるのは、俺だけの特権だと思うと

自然と胸の鼓動は高鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回:分岐ルート かすみ編

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分岐ルート 朝香果林 その4

こいつ毎日ニジガクのお話投稿してんな?????


「も、モデルを辞める~っ!!?!?!?」

果林「…話は最後まで聞いてちょうだい」

 

昼休み、突然の告白に周りの目も気にせず峻は立ち上がった。

 

果林「一時的に、よ

昨日事務所の人から提案されたの」

「な、なんでまた…」

 

果林「…正直な事を言わせてもらうと、モデルは何時でも復帰出来るわ

…でも、スクールアイドルで居られる時間は残り少ないでしょ?

だから、今はそっちに尽力して欲しいって…でも、雑誌にはスクールアイドルとしての姿を載せてもらえるし…そんなに私は困ってないわよ?」

「…果林…」

 

果林「…それに……」

「……???」

 

果林「何でもないわっ♪

私の考えは言ったわよ?後は頼れるマネージャーくんが…決めてちょうだい…ね?♪」

「決めるも何も…」

 

果林(後は…彼との今という時間をもっと大切にして欲しいって言われたのは…さすがに、言えないわね…///)

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

「………うーん…」

果林が載っている雑誌を、ペラペラとめくる峻。

その様子を、ニジガクメンバー達が覗き込んできた。

 

エマ「それ、果林ちゃん?」

「うん、そうだよ」

 

ランジュ「やっぱり映りがいいわね~…あっ、ランジュも負けてないわよ?♪」

かすみ「かすみんの方が上ですからっ」

ランジュ「な~によぉ~?」

かすみ「なんですか~っ!」

 

「…こうして見ると、遠い存在だよな、果林って」

彼方「どうしたんだい、物思いに耽って」

「いや、モデルでもスクールアイドルでも人気が出始めて…何だか凄いな~って」

 

ミア「良い事じゃないか、もっとBabyちゃんも誇らしげにしていいと思うけど」

「うん…まぁ、そなんだけどね…」

 

しずく「…でも、果林先輩も変わったと思いますよ?」

「そう?」

しずく「なんと言うか…顔付きが安らいでいると言うか…

ほらっ、この写真とかも笑顔が素敵じゃないですかっ」

「言われてみれば…そう、かも?」

 

愛「果林も変わったって事だよ~っ♪」

歩夢「でも、峻くんの前では甘えん坊だけどね♪」

せつ菜「未だにあの動画、見かけますもんね」

 

「…あれなぁ…ネット社会…ホント怖いわ…」

璃奈「でも、あんなに幸せそうな果林さん見てると…こっちも嬉しい」

栞子「一時的ではありますが…同好会を離れてたので尚更そう思いますね」

 

かすみ「…………」

ランジュ「わ、悪かったわよ~っ、あの時は!」

かすみ「問答無用ですっ!こうしてやりますから~!」

ランジュ「く、くすぐるのは聞いてないわよ~っ!!」

 

 

彼方「…アレは置いといて…」

(置いとくのか…)

 

彼方「でも、果林ちゃんも果林ちゃんなりに頑張ってるのだよ

峻くんが知らないだけで」

「…俺が、知らないだけで…?」

 

彼方「もっともっと、果林ちゃんの事を知るべきさ、少年よ」

「…果林の…事を…」

 

果林「お疲れ様~…って、みんなしてどうしたのよ…?

特にランジュとかすみちゃん…」

 

かすみ「今いい所なので!!」

ランジュ「ひゃ、ひゃははっ!!わ、分かった!分かったわよ~っ!///」

 

 

果林「ねぇ、峻?」

「ん?」

 

果林「ちょっと、部屋まで来てくれない?」

歩夢「っ!?///」

せつ菜「なっ…!!///」

愛「……お、おぉ~…///」

 

「いや、何を考えてるの、そこは」

栞子「今までの峻さんの立ち振る舞いがそうさせたのですよ」

「………」

璃奈「あ、クリティカルヒットした」

ミア「Over kill…容赦ないね…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【果林の部屋】

 

 

 

「…そんで、どうしたんだ?

何か話したい事でもあったのか?」

果林「ちょっと、写真を撮って欲しいの」

 

「…写真?部室でも良かったんじゃ…」

果林「…2人きりじゃないと、撮れない写真もあるの…よ?♪」

 

峻をベットに腰掛けて…果林は距離をゆっくりと詰めていった。

 

果林「…ねぇ、峻…」

「な、なんだよ…」

 

果林「…柄にも無いことを言うかもしれないけど…聞いてくれるかしら?」

「…き、聞く、けど…」

 

果林「私、もっと峻との時間を…大事にしたいの

スクールアイドルでもモデルでもない…峻と一緒に過ごす時間が」

「い、今も十分時間は出来てると思うけど…」

 

果林「…もう…っ、そこは女の子の心を理解してあげなきゃダメよ?」

「…う、うぐ…ごめん…」

 

果林「…もっと甘えたり…一緒にドキドキしたり…手を握って…笑ったり…私だって、したい…のよ?///」

「…果林…」

 

果林「これはモデルでもスクールアイドルでも出来ない事よ?

…出来るのは…峻…アナタと居る時だけ…よ?」

「………………」

 

果林「事務所の人にも言われたの…もっと彼との時間を大切にしなさいって」

「そ、そうだったの…!?」

 

果林「確かに…言われてから気づいたわ

峻と居る時だけは…私は本当の私で居られるんだって

でも…中々恥ずかしくて言えないじゃない?」

「…だから…あの話を…」

 

果林「…でも、私はアナタの意見に賛成するわ?

峻なら、間違った選択をしないと知ってるもの♪」

「…お前、そういうとこ本当に不器用だぞ」

 

ゆっくり仰向けに寝っ転がりながら、果林の髪を撫でる峻。

果林「し、仕方ないじゃないっ、初恋だもの…!///」

「でも、そんな姿を見られる俺はすっごい幸せ者だよ」

果林「…///」

 

「大好きな彼女が、ここまで考えてくれてるんだもんな

俺も、その想いを汲み取らなきゃ男じゃねーよな」

果林「じゃ、じゃあ…っ」

 

「果林」

果林「…えっ…あっ、は、はいっ…!///」

 

「もっと幸せにすっからよ」

果林「…ふふっ、期待してるわよ…っ♪///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一方その頃の部室】

 

 

 

 

かすみ「い、今突撃すれば…スクープ激写出来ますかね…っ!?///」

栞子「出来るかもしれませんが、何故バランスボールを持って行こうとするのですか…!!変な集団だと思われてしまいます!バランスボールは却下です!」

 

しずく「あ、行くこと自体はいいんだ…」

愛「帰ってきたら、しゅんしゅんに尋問する」

エマ「しなくても自分から言ってきそう…」

 

ミア「Babyちゃん…Crazyだから有り得るね」

せつ菜「果林さんも峻さんに甘いですからねぇ…」

歩夢「暇だからって、果林さんのホクロを突っつくのやめて欲しいんだけどな~…///

見てる方が恥ずかしいもん…///」

 

璃奈「最近、よく見る…」

ランジュ「そんな事してるのっ!?」

彼方「罪な男だぜ…峻くんよ…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【しばらくして】

 

 

果林「峻、次はこっちよ~っ!♪」

「はしゃぐな…っていうのは無理そうだな、ただ迷わないようにだけしろよ~?」

 

果林「しゅ、峻が一緒なら大丈夫よっ!///」

「行先間違えそうになったくせに…」

果林「あ、あれはたまたまよ!たまたま!///」

「はいはい、見るんでしょパンダ」

 

果林「…う~っ…私の方が、お姉さんなの…忘れてないでしょうね?///」

「昼も夜も甘えるような人はお姉さんと見た覚えは無い」

果林「こ、声が大きいわよ…っ!!///」

 

「あっ、果林」

果林「こ、今度は何よ…っ///」

 

振り返った果林の表情を携帯のカメラに収める峻。

果林「…と、撮るなら言ってくれればいいのに…っ!///」

「それじゃあ、いつもの撮影とかと変わんないだろ?

俺は素の果林を見たいんだよ…こうやって笑う果林とかさ」

果林「…ホント、敵わないわね…峻には」

 

 

話し合いの結果、果林はしばらくの間、モデルを活動休止という形になった。

しかし、SNSや雑誌で取り上げるスクールアイドルの写真や

オフショットはかなり人気なのだとか。

下手したらモデル時代よりも知名度が上がっているとか。

 

 

果林「頼れるマネージャーが付いて…私は幸せ者ね~…♪」

「おいおい、今は彼氏だろ?」

果林「そうね、とっても頼れる…とっても大好きな彼氏…ね♪///」

 

くすっと笑う果林の表情は、誰にも見せた事ない…柔らかく全てを包み込んでくれるようなそんな笑顔だった。

 

「そう言えば…俺らってツーショットの写真って撮ってないよな」

果林「モデルしてた時は撮ってたでしょ…?」

 

「いや、カップルとしてだよ…こう…自撮り?とかさ」

果林「と、撮れるわけないじゃない!///そんな…恥ずかしい…っ!///」

「いーから、いーから!」

果林「ちょっ、ちょっと峻…っ!!///」

 

肩に手を回し、シャッターを切る峻。

撮り終わった後、果林が横目でこっちを見てきた。

 

果林「…強引なんだから///」

「嫌じゃないだろ?」

果林「…ひ、秘密よ、秘密っ///」

「はいはい、そういう事にしておくよ」

 

果林「…は、早く行くわよ!///」

「おう…って、そっちは逆だっつーの…」

果林「わ、わざとよ!わざと!///」

「どうだか…」

 

 

恥ずかしそうに口を尖らせた果林が先に歩き始めた。

…が、数歩歩いた所で止まった。

 

 

 

 

 

果林「……その…ありがとう…ね…峻…///」

モデルとして…そして、スクールアイドルとして見せない…。

1人の女の子…朝香果林としての表情がそこにはあった。

 

 

 

 

朝香果林編

TRUE Fin




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中須かすみ 分岐ルート
分岐ルート 中須かすみ その1


トキメイチャッテルヨーーーー!!!!(犬神家)


※かすみ分岐ルートは、かすみ視点のみです。

その点をご了承の上、お読みください。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

峻先輩は──────

 

 

「先輩~、肩凝りました~」

峻「はいはい、マッサージね」

 

「あ、先輩!新作の飲み物出たんですよー!♪」

峻「はいはい、ご馳走してくれーだろ?」

 

 

────────優しすぎます。

 

 

 

 

(いつか、騙されそうです…)

 

 

 

 

わがままを言っても…困った顔しても、良いよと言ってくれる…、

何でそこまでしてくれるんだろうって思っても…未だに聞けずにいる…。

 

 

「はぁ……」

峻「でけぇ溜め息なんか似合わねぇぞ」

「せ、先輩っ!」

峻「なん、なんかあった?」

「…いえ、別に…」

峻「らしくねぇなぁ…」

 

そう言って峻先輩は皆さんのところに行ってしまいました…。

 

 

「はぁ…」

しずく「どうしたの、ずっとため息ばっかり…」

「あ、しず子……ねぇ、峻先輩ってさぁ…なんであんなに優しいんだろう」

しずく「…えっ、真剣な悩み…っ?」

「いや、かすみんだって真剣な悩みくらいするよぉ!」

 

しずく「うーん……でも、それが峻先輩の良いどころなんじゃないかな?」

「…か、なぁ…」

しずく「でも、なんで急にそんなことを?」

「いや、何か…かすみんがワガママ言っても…嫌な顔せずにOKしてくれるからさ…」

 

しずく「あはは、かすみさんのわがままはいつもの事だからね」

「むーっ、そんな事ないもん!」

 

峻(何話してんだ、あの2人…)

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

【帰り道】

 

 

「んーーー、美味しいっ♪」

峻「そりゃ何よりで」

 

「もー、峻先輩ってば太っ腹ですねぇー♪」

峻「あんまりあれこれ頼むと後でお返し求めるかもよ」

「えっ、ええええっ!!?!?!?」

峻「冗談だよ」

「……………//////」

 

 

正直、峻先輩の冗談はどこからどこまでが本気なのか分かりません…。

でも、そう言われても…拒絶しないのは…何故なんでしょうか…。

 

 

「…あ、あのっ!!!」

峻「?」

 

「き、聞きたいことがっ!///」

峻「…聞いた事?何だ???」

 

「…あの、なんで…かすみんのワガママを聞いてくれるんですか?」

峻「何で?何でって………うーーーーん…何で、なぁ…」

腕組みをして考え込む峻先輩。

しかし、口から出た言葉は…。

 

峻「分からん」

「…あ、はい…何かそんなふうに言われる気がしてました…」

 

 

かすみんが聞きたいのは、そういう事じゃないんだけどなぁ…。

そう思いつつ、峻先輩の後を追いながら残り少ない飲み物をズルズルと吸い込んだ。




次回:徹底追求!

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分岐ルート 中須かすみ その2

ときめいちゃ……たぁ…っ!!!!
(君と、夏の終わりー将来の夢ー大きな希望わすれーないー)


「ん、しょっ…と…」

お風呂の後の柔軟体操は、念入りにしますっ。

 

…って、これも峻先輩からのアドバイスなんですけどね…。

 

(…最近のかすみん…ずっと峻先輩のことばっかり…)

かすみんにとって、1番大事なのは、ファンであり…スクールアイドルであり…。

 

(…でも、そのファンの中に…峻先輩はいるのかな…?)

部長であり…良き相談者であり……かすみんの…。

 

(ち、違う、違うもん…っ!!///)

1つの想いが、胸を過ったけど…すぐに否定します。

だって、かすみんなんかじゃ…峻先輩は手を焼いちゃうし…。

 

(…はぁ、もっと素直にならないと…)

…峻先輩は、どう思ってるんだろう。

分からないって言ってたけど…それじゃあ、かすみん…納得しない…。

 

「…聞こう!思い立ったが……えーっと…?…ま、まぁいいもん!」

 

ポチポチと携帯をいじるかすみ。

数コールの後…彼は電話に出た。

 

峻「かすみ?どうしたよ、急に」

「こんばんはぁ~っ、かすみんですよぉ~♪」

峻「いつもの様子なところ悪いけど、部屋着…着崩れてるからな」

「えっ?……あっ…!!///」

 

こういうとこは、平気で言ってくるところ…かすみんは惑わされてしまいます…。

 

峻「まさか、その様子を見て欲しいって事だったのか?」

「ち、違いますよぉ!///」

峻「…なんか要件ありって感じだな?」

「…えっと、ですね…」

 

 

────────峻先輩にとって、私は何ですか?

 

 

(…聞きたい、けど…)

聞いた先を考えるのが…怖い。

正直、果林先輩のようなスタイルの良さもないし…。

エマ先輩みたいに…大きくないし…。

しず子のように…可愛くないし…。

 

 

峻「おーい?」

「へっ?…あっ、な、なんでもないですよぉっ!」

峻「なにか隠してるよな」

「…ぅ…」

峻「正直に言わないと……どうなるか、分かるよね?」

 

こういう時の峻先輩は…ずるい…。

でも…かすみんは…そんな発言にも…ドキドキして…聞いてしまいます…。

 

「…その…峻先輩は…」

身を捩り…前屈みになりながら問い詰める。

 

「…峻先輩にとって…かすみんって、どんな存在ですか…?」

目を瞑り、答えを待つ。

 

峻「大事な存在だよ」

「…えっ…?」

峻「しずくから聞いたよ、かすみが悩んでるって

もう見てられないから…先輩力になってあげてくださいってさ」

「…しず子…」

 

峻「そんなん大事な存在に決まってるだろ?

俺とかすみは同好会設立時からの仲じゃんか」

「そうではなく…っ!!!!

そのっ…大事な存在って…部員として…です…か…?///」

 

峻「…それって…」

「かすみんはっ…峻先輩のこと…好き、です…っ///

意地悪なところも…かっこいいところも…全部全部…大好きです…///」

 

峻「…かすみ」

「…その…ずっと、その事ばっかり考えてて…///」

峻「…あーー…そうだったのか…ごめん、気が付かなくて…」

「そういう鈍感なところも好き…です///」

峻「…その、ありがとう…かすみ

俺で、いいのか?」

「かすみんは峻先輩じゃなきゃ嫌です!!///」

峻「…そうか、じゃあ…これからよろしく頼むね…かすみ?」

 

「…ぁ…は、はいっ!!///」

峻「その、泣いて喜んでるところ悪いんだけど…見えてるよ…」

「…見えてる?どこがですか…?///」

峻「…………」

 

 

 

 

 

私は、無言で鎖骨の下辺りを押さえた。

「………!!!//////

ば、ばかぁーーーっ!!!!!//////」

 

 

 

 

 

恥ずかしさのあまり、そのままの勢いで電話を切った…。

その日の夜は、恋人になれた嬉しさと見られた恥ずかしさで少し寝不足でした…///




次回:恋人と言うより…。

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分岐ルート 中須かすみ その3

カウントダウンが近づいてきました…。


かすみ「先輩せーんぱーいっ♪」

「くーーーっつくなっ!」

 

かすみ「えへへ、あっ、なんか飲みますか?なんでも買いますよっ♪」

「小遣い少ないんだから背伸びすんなっ!」

かすみ「えっへへーーー♪」

 

しずく「かすみさんって、将来絶対甘々で何も言わずにパチンコ代とか渡しそうですよね」

璃奈「…どちらかと言えば…お酒代?」

しずく「あぁ、それもそうですねっ♪」

 

ミア「僕から見たら兄にベタ甘な妹に見えるけどね」

かすみ「ベタ甘…お兄ちゃんー!///」

「感化、されん、なっ!!!」

 

歩夢「見てるこっちが、恥ずかしいよぉ~///」

せつ菜「部室に来るまでずっとこうでしたからね…」

愛「フツーに食堂でキスするのは~…愛さんどうかと思うな~///」

 

かすみ「先輩とかすみんの仲ですからっ!///」

「別に学校じゃなくてもいいのに…」

かすみ「えっ…それって峻先輩…もぉ~…っ

昨日も沢山してくれたのに~…っ//////」

 

エマ「…峻く~ん…?///」

「ち、違うから!」

彼方「何が違うんだい、旦那~っ?」

「…そ、それはぁ…」

 

果林「諦めなさい、峻」

「…ぐぬ…」

 

かすみ「あ、でもちゃんとしてますよ、避────」

「あかーーーーん!!!」

 

 

ランジュ「…なんか、かすみ…アグレッシブになってないかしら?」

栞子「完全に峻さんの影響ですね…」

「えぇ…」

 

かすみ「かすみんは幸せなので大丈夫です!」

「…まぁ、俺もかすみが幸せなら…良い、かな」

かすみ「先輩ぁぃ~っ///」

 

(((((そういうところなんだよなぁ~…)))))

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【数ヶ月後】

 

かすみ「先輩先輩っ!見ててくれましたかっ!♪///」

「うん、最高に輝いてたよ!」

 

かすみ「わーい、わーいっ!///」

ライブ終わりでも気にせず抱きつくかすみ。

もう周りもその様子に慣れてしまった様子。

 

かすみ「先輩は、かすみんワンダーランドのオーナーですからっ♪」

「…オーナーなの…?」

かすみ「…その…ずっとこの先も面倒を見てくれるって意味を込めての…オーナーって事、なんですけど…///」

 

「(かわいいな、そういうかすみも)結婚しよう」

かすみ「っ!?!?!?!?!?!?/////////」

 

 

 

 

しずく「わーーーー!!!かすみさんが倒れたぁ!!」

せつ菜「俗に言う尊死ってやつですね!!」

ミア「やれやれだよ…」

果林「かすみちゃんって、こういうのに弱いとこあるわよね」

「…あはは…」

 

苦笑いしながらお姫様抱っこをし、かすみの表情を見る。

不思議と、恥ずかしそうにしつつも…その顔は笑っていた。

 

 

 

 

 

 




次回:エマルート!

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エマ・ヴェルデ 分岐ルート
分岐ルート エマ・ヴェルデ その1


今月でアニガサキが終わる…?
おごと…????(IKKO感)


ある日、俺はエマに相談したいことがあると言われて呼び出された。

神妙な面持ちのエマの前に、俺は座っている。

 

 

「…それで、相談したいことって────」

エマ「…まず、この話を他のメンバーには言わないで欲しいの」

「…うん?いいけど…」

 

こういう前置きをするってことは…ホントに大事な話なんだろうな。

 

エマ「…日本でスクールアイドルをして、結構な時間が過ぎたなって思ったの」

「まぁな、年月が過ぎるのは早いよな」

 

エマ「毎日がすごく楽しくて…ずっと続けばいいなって思ってた…けど…」

「…けど?」

 

エマ「…私、ね…''故郷に帰ろうと思ってるの''」

「……えっ…?」

 

エマ「日本でやりたい事をやり切って…高校卒業したら、母国に帰る…それが日本に来る条件だったの」

「…そう、だったのか…でも、それは…」

 

エマ「分かってるよ…この判断が…私にも、みんなにも苦しい事を…

でも、もう決めたの…弟たちに寂しい思いさせたくない、し…」

「…エマ」

 

エマ「峻くんには、その思いを聞いて欲しかったの」

「俺は…」

エマ「ありがとうね、峻くん

今までのスクールアイドルとしての毎日は…峻くんのお陰だよ

改めてお礼を言わせて」

「………………………」

 

 

エマが…国に帰る?

確かに…いつかはそうなるのは…薄々思ってはいた…が。

いざ目の前で言われると…何も言えなかった。

 

でも…エマの安心した顔を見たら…。

(何も言い返せるわけないよ…)

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【部室】

 

 

エマが母国に帰るまで…まだ時間はある…。

それまでに…何とかできないのか…考えるんだ…。

 

 

かすみ「…先輩~?…おーい…先輩~???」

「えっ!?!?」

かすみ「ひゃぁっ!!」

「…あ、あぁ、ごめん…なんだ?」

かすみ「…すごい汗ですよ…大丈夫ですか?」

「…えっ?」

 

しずく「心無しか、顔色も悪いですし…何かあったんですか?」

「…あ、あぁ…何でもないよ、ごめんごめん」

 

 

…いや、他のみんなには余計な心配かけたくない。

それはエマも望んでいることだろう…。

 

チラッとエマの様子を見ると…いつも通りの表情で

母国に帰ると言う事実を、まるで感じさせないようだった。

 

(俺がここで打ち明けたら…みんなは止める

エマにも家族がいるし…帰る故郷がある…それを止める権利は俺には…)

 

どうすればいいのか分からず…。

平然を装っていても…顔はどんどん曇っていってしまう。

 

果林(………………)

しかし、果林は腕を組んだまま…峻を睨むように見つめていた。




次回:やることはひとつ


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分岐ルート エマ・ヴェルデ その2

せつ菜「峻さんのチ──────」
「流行りに乗ろうとするなぁ!!」

ミア「なんで寺院に機械があんだよ」
「おいぃ!」

果林「嬉野くぅん」
「ローカルなんよ!!!!!」


昼休み、俺は果林に強引に手を掴まれて人気のない校舎裏に来た。

 

 

「…っつ、なんだよ…急に」

果林「知ってる事…全て言ってちょうだい」

その顔は怒ってるようにも…心配してるようにも見えた。

 

「…無いよ、何も」

果林「嘘よ!!」

 

急に発した怒号に俺の体はピクっと反応してしまった。

 

果林「峻と私…どれだけの付き合いだと思ってるの?

…隠し事なんて…お見通しよ」

「…………………」

 

果林「…エマの事ね?」

「…………っ」

無力さで…俺はつい、首を縦に振ってしまった。

 

果林「…お願い、みんなにも話してちょうだい

貴方1人に背負わせなくないの…」

「…果林…」

 

そして、俺はそのまま…部室へと向かった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【部室】

 

 

練習前ということもあり…みんな集まっていた。

…エマだけが居なかったが…。

 

果林「…エマは?」

かすみ「エマ先輩ですか?…なんか用事あるから先に練習しててって言ってましたよ?」

 

帰国の打ち合わせか…はたまた、荷造りなのか…。

「…ごめん、みんな…聞いてくれ」

しずく「…峻さん」

歩夢「どうしたの、顔が怖いよ…?」

 

「…エマの事なんだが────────」

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

かすみ「えええぇええええ!!!?!?!?」

ランジュ「…エマ…」

 

せつ菜「…ど、どうすることも出来ないんですかっ…!?」

愛「エマっちにはエマっちの考えがあるのは分かるけど…でも、それでも…」

璃奈「寂しい…」

 

 

彼方「…峻くんは、どうしたいの…?」

「…俺は…」

 

止めたい…でも、その選択は…エマが望むのだろうか?

俺が…俺のわがままがエマの気持ちを阻害させてしまってないか…そんな考えばかりが頭の中を駆け巡る。

 

ミア「…らしくないよ、Babyちゃん」

「…えっ」

ミア「いつもの自信満々なのが鼻につく位の顔はどうしたのさ」

「…いや、だって…」

 

ランジュ「そうよ、貴方は貴方の思った行動をすればいいと思うわ!ランジュが太鼓判を押すわ!」

「…ランジュ」

 

かすみ「…先輩、指をくわえて…目の前の出来事を見逃して…それでいいんですか?…やってみなくちゃ、分かりませんよ!」

「…かすみ」

 

歩夢「まだ、間に合うよっ…それに、峻くんがしたい事…分かるし

私も応援したい!」

せつ菜「そうです!自分の考えを貫き通すまでです!」

「歩夢…せつ菜も…」

 

璃奈「峻さんらしい顔になってきた」

「璃奈ちゃんも…」

 

しずく「そうと決まれば、行動あるのみですね!」

愛「愛さんたちもフォローするよ~!♪」

 

「しずく…愛…」

彼方「…ここまでが、果林ちゃんの想定だったのかな?」

果林「さぁ…でも、峻とみんなの絆ならこうなるのは普通のことだと思うわよ」




次回:それでも、別れは突然で…。


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分岐ルート エマ・ヴェルデ その3

アニガサキ…あと2回で…終わり、なのか…???


────────エマに想いを伝えるんだ。

 

そう決めてから数日が経った。

エマの姿を見てないが気がかりだが…。

 

 

(…ん、携帯が鳴ってる…)

授業中に見るのは宜しくはないが…俺はチラッと携帯を開いた。

メッセージの送り主は…果林からだった。

 

果林【峻、大変よ…エマが…予定が早まってもう国に帰るって…!】

(………は?)

果林【峻には言えないけど、せめてみんなにはって…!】

 

「………っ!」

ガタッ!

 

 

先生「み、宮之原さん…どうしたんですか…っ?」

「…………………すいません、ちょっと…っ!!」

先生「あっ、ちょっと…!!!」

 

いきなり席を立ち、視線が集まったが俺は気にすることなく…急ぐように教室を出た。

先生も他の生徒も呆然とその姿を眺めていた。

 

歩夢(…峻くん、怖そうな顔…でも、すごく寂しそうな顔してた…)

菜々(…峻さん…)

 

 

────────────────────────

 

 

【空港に向かう途中】

 

 

エマ(……………これで良かったんだよね…。

峻くんに…申し訳ない事…しちゃったかなぁ…)

 

…でも、峻くんに相談したら…。

峻くんの優しさに甘えちゃう…。

 

エマ(……でも、まさか……ね…)

空港に向かう途中…何度も後ろを振り返る…。

彼なら…きっと…と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ…電車乗って向かうとか…間に合うのか…っ!?」

走って向かうにも限度がある、最短距離で俺は空港へと急いだ。

 

「あいつらも…向かってきてくれるだろうか…

いや、授業がある…俺が、連れて帰るんだ…」

決意を新たに…開いたドアを勢いよく飛び出した。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【空港】

 

エマ「……あと30分…かぁ」

腰掛けて景色を眺めるエマ。

携帯に通知が入ってるけど…今は見る気はしない…かな…。

 

エマ「…やっぱり急だったよね…」

学校側には必要書類出した…けど…。

エマ(果林ちゃんと峻くん以外のメンバーには言えなかった…な)

 

きっとみんなに怒られちゃうな…。

 

 

「エマぁ!!!!!!!」

その時、空港内に聞き慣れたこえが響いた。

 

エマ「…えっ………………」

「…はぁ…はぁ…間に合っ……たぁ…」

エマ「…な、なんで…っ…」

「…決まってんだろ…帰るぞ、エマ」

エマ「…言ったよね、私は…国に帰るって…」

 

「それでもっ!!!!俺はエマに居て欲しい!!!」

エマ「…どうして…そこまでするの…?」

「…最初は、同じ同好会のメンバーだから……仲間だからって思ってた

でも、違ったんだ

…俺は男として、エマに惚れた

そんな惚れた女を何もせずに帰すことなんて出来ない!」

 

エマ「…峻…くん」

「…だから、それだけを伝えに来た

好きだ、エマ」

 

エマ「………………」

「何日でも、何年でも何十年でも待つ…だから…!」

エマ「…そっか」

 

そう言うと、携帯を取りだし、電話をするエマ。

エマ「──────Hallo, Mama?」

会話の内容は分からなかったが…話すエマの顔は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

エマ「……ごめんね、峻くん…実は………」

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

【部室】

 

 

かすみ「ええええぇ~っ!!?!?!?辞めるんじゃなくて一時帰国ぅ~!?!?!?!?」

 

「…入院したお母さんの世話と下の子達の面倒を見るために…だそうだ」

机に突っ伏しながら俺は力なく答えた。

授業を抜け出した件で、こっぴどく怒られたのもあるが。

 

 

果林「それじゃあ、書類を出したとか私たちに帰るって言ったのは…」

「一部嘘…一部本当ってところだ」

しずく「な、なぜそんなことを…」

「…エマ曰く……」

 

 

エマ【…みんなを、びっくりさせたかった…から…♪】

【笑えない冗談を言うやつにはこうだ~っ!!!】

エマ【いひゃい~っ、ひゅんくんっ、いひゃいよ~っ!】

 

 

彼方「エマちゃんらしいね」

歩夢「でも、帰ってくるんだし良かったっ」

ミア「それで?Answerは?」

 

「…Nothing…」

ミア「…え''っ」

「YESともNoとも答えてくれなかった…」

かすみ「…先輩、それ振られてますよ」

「違う!!断じて俺は認めん!!」

ランジュ「しょーがないわね~っ、代わりにランジュが~……」

せつ菜「そ、それはダメです!」

愛「そーだそーだ!」

 

ランジュ「なぁっ!反乱軍めっ…!」

ワイワイ騒ぐ姿を見て、俺はやれやれと笑いながら眺めていた。

 

 

 

璃奈「峻さん」

「ん?どうした?」

璃奈「…多分、エマさんの事だから…」

「うん、俺もわかってるよ」

栞子「…では、峻さんも…」

「約束したからね、待つって」

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【1ヶ月後】

 

俺は部室に一足先に出向いた。

と言うのも、部長の仕事が溜まっていたからだ。

 

「…ぐぬぬ、書類にハンコ…あっ、これ間違えてるし!…はぁ~…」

他のメンバーが手伝おうか?と言ってくれたが…部長のメンツが無くなるわよと言うランジュの一声で手伝いは却下となった。

 

「…ランジュめ~…」

ガラガラっ。

 

その時、部室のドアが開く音がした。

「ランジュか?誰かさんのせいで手が離せないから、練習は────」

???「…だーれだっ♪」

 

「……えっ」

持っていた書類が机に落ちる音がした。

この声…この暖かさ…。

 

???「…帰ってきたよ、峻くんっ♪」

「…え、エマ…っ!!」

 

驚いた様子で手を離すと…そこには、私服姿のエマがいた。

エマ「予定よりも少し早く帰って来れるようになったのっ♪」

「…い、言ってくれれば迎えに行ったのに!」

エマ「もー、言ったでしょ?驚かせたかったって」

 

クスッと笑うエマ。

その様子を見て俺も心の底から安心した。

 

エマ「お母さんと弟たちにね、峻くんの話をしたの

そしたら、早く顔を見せてあげなって…弟たちも任せておいてって…立派になってたなぁ~…」

「…エマ」

 

エマ「…落ち着いたらでいいから、スイスに遊びにおいでって、言ってたよ?」

「…あぁ、そうだな…ちゃんと行かないとな…その、彼氏…なんだし、な?」

エマ「…ふふっ、まだ気にしてたの~?♪」

「そりゃYESかNoかも言われなかったら気になるよ!」

 

エマ「…答えなんて…決まってるのにっ」

「うわっ…!!!」

抱きつくエマを慌ててキャッチした。

 

エマ「私も、峻くんの事、大大だーいすきだよっ!♪」

「…あ、う、うん…ありが、とう」

エマ「…あっ、照れてる?♪」

「う、うるせー!!」

 

 

かすみ「あぁーー!!エマ先輩帰ってきてる~!!」

しずく「お帰りなさい、エマさん!」

せつ菜「会いたかったですよぉぉ~っ!!」

エマ「わわっ、みんな落ち着いて~…っ!!」

 

 

 

果林「…知ってたんでしょ、エマが今日帰ってくるの」

ランジュ「さぁ、なんの事かしら?」

 

果林「ランジュ、演技する時って目線泳ぐから分かりやすいのよね

あんなこと峻に普段言わないなら余計に、ね?」

ランジュ「…ま、もう良いでしょ?…あんなに素敵な光景が見れたんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回:分岐ルート 宮下愛編

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宮下愛 分岐ルート
分岐ルート 宮下愛 その1


3日後はアニガサキ12.1話ですね


「愛のもんじゃが食いてぇ」

愛「…ほ?急にどうしたん?」

 

「いや、食いてぇなぁって」

愛「あはは、変なしゅんしゅんー♪

いいよいいよ、食べにおいでー♪」

 

こんなやり取りは、いつもと変わらないのだが…。

でも無性に愛がつくるもんじゃが食いたくなってしょうがなかった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【その日の夕方…】

 

 

「んまっ!!!」

愛「あはは、急いで食べないのー♪」

 

「これだよ、これ!」

愛「いやぁ、食べっぷりいいねぇ…愛さんも作ってて嬉しくなっちゃうよ~♪」

美里「あら、愛ちゃん?…それと、あなたは~…」

 

「あ、お邪魔してます」

愛「おねーちゃん!今帰り?」

美里「少し長引いちゃったけど今帰ってたところよ

…それより、お邪魔な雰囲気…だったかしら?」

愛「へっ!?///」

 

「あはは、普通にもんじゃを頂いてただけですよ」

美里「あら、そうなの?愛ちゃんがこの前あんな事を言ってたからてっきり────────」

愛「わー!わー!!!」

 

「…?愛、なんか言ってたのか?」

愛「い、言ってないから!おねーちゃん、ちょっとこっちに!///」

美里「あ~ら~♪」

 

 

愛に押されてクルクル回りながら厨房奥に入ってく美里さん。

「…え、えぇ~…?」

 

明らかに愛が焦っていたが…。

なにか聞かれたくないことなんてあっただろうか…?

 

愛(お、おねーちゃん!その話は本人の前ではやめてよぉ!///)

美里(あら、愛ちゃん…もう話してるのかと思ったわ?)

愛(そ、そんな簡単に言うわけないじゃん!///恥ずかしいし…///)

美里(初心ねぇ、愛ちゃん……じゃあ、私も手を貸そうかしら?)

愛(…えっ?///)

 

美里「ねぇ、峻くん?良かったら今日泊まっていかないかしら?」

「えっ…?俺は大丈夫ですけど…」

愛「ちょ、ちょっとおねーちゃん!///」

 

美里「ちょうど手伝って欲しいことあったのよね~♪

男手が必要だったのよ~」

「は、はぁ…俺は大丈夫っすけど…」

 

愛「……あう、あうぅ………///」

(愛、何があったんだろう…)

 

恥ずかしそうに俯いたままもんじゃを焼く愛と

その後ろで嬉しそうに手を合わせて微笑む美里さんだった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【その日の夜】

 

成り行きで愛の家に泊まることになったが…。

押し入れの整理などを手伝って…今は風呂上がり。

 

そして、そのまま愛に手を引かれて…部屋に連れてかれた。

 

「…あ、愛?」

愛「…今日、峻が寝るのは…ここ、だから///」

「…いや、ここって…愛の部屋じゃん」

愛「…///」

 

何故か?恥ずかしそうに頷く愛。

既に部屋着に着替えてたあたり…俺が来るのを待っていたのだろうか?

 

 

愛「…ね、寝てる時にこっち向くの、禁止だからっ!!///」

いつもとは様子が違い…若干ツンデレっぽく注意をして布団に入る愛だった。

 

 

(…へ、変な愛…)

特に気にかけることも無く…俺も一緒の布団に入り…背中合わせで眠りについた。




次回:愛、仕掛ける

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分岐ルート 宮下愛 その2

曜ちゃん…結婚式…いいよねぇ…フーっ、フーっ…
おじさんと未来の僕らの結婚式しよっか…(ニチャァ)


【峻が寝た後…】

 

 

 

愛(いや、何でふつーに寝てんの!?)

悶々とした感情を抱きながら、愛が目を開けた。

 

愛(そ、そもそも!おねーちゃんが勝手な事言うから…!)

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【遡ること、峻が来る三日前】

 

愛「はーっ…」

美里「あら、愛ちゃん…ため息?」

 

愛「…あ、おねーちゃん…うん、うーーーん…ちょっと、ね」

美里「その顔…スクールアイドル絡みじゃなさそうね…?」

 

愛「…その…おねーちゃんだったら、好きな人が出来たら…どうする?///」

美里「あ、峻くんの事?」

 

愛「ち、ちがっ…!!///……く、は…無いけど…///」

美里「もう、そこは普段とは違うガッツリとした一面を見せるのもありよ!こう、愛ちゃんの体の…たゆんってした所を惜しげも無く…!」

愛「で、できっこないからー!//////」

 

 

────────────────────────

 

 

 

愛「…はぁ、なんか愛さんだけ思い悩んでるみたいじゃんか…///」

チラッと背中越しで寝てる彼の寝顔を見る。

 

 

愛「峻のせいだぞ…この、このっ…」

ほっぺを突っつくと少し困った顔をした。

 

愛「…可愛い…///」

「……う、うぅーーーん…」

 

寝返りを打った峻は愛の方に抱きつくような格好になった。

愛「~~~っ!?!?!?!?///」

 

 

 

「…すぅ…んどぅぶ…ちょげっぴぃ…」

愛(ち、近い…っ!///)

 

見た目とは真逆で押されるとパンクしてしまう愛。

しかし、峻が相手だと…それでもいいと思ってしまう愛。

 

愛「…離れ、ないで…峻…///」

「…ん、うう…」

 

愛「…ずっと、言えなかったけど…好きだよ、峻…

本気で…スクールアイドル部に行った時…引き止めて信じてくれて…おかえりって迎え入れてくれた…峻の事が…大好き…///」

「……すぅ……」

 

愛「…もっと、愛さんのことも見て欲しいんだよ…だから…愛さんは…///」

口を近づける愛…その時…。

 

「…………んふっ」

愛「…えっ?///」

「…………ごめん…途中から…起きてた」

愛「~~~っ!?!?!?///」

恥ずかしさからか逃げようとする愛を峻が抱きしめて捕まえた。

 

「ま、待って!…その、ありがとう…愛」

愛「き、気のせいだよ!聞き間違い!///」

「…俺も…もっと、愛のこと見たいって言ったら…怒る?」

愛「お、怒るわけないじゃん…っ!///」

 

「…そっか…じゃあ…もっと見させて」

愛「…しゅ、峻~…///」

「恥ずかしがってる愛、めっちゃ可愛い」

愛「も、もう勘弁してよ~…///」

 

「多分、もんじゃ食べたくなったのも愛が作ったのだからだと思う」

愛「そ、そんなこと…ないってぇ…///」

「これからも作ってくれる?」

愛「…えっ…これ、からも…?///」

「なんもない、おやすみ!」

愛「……ぁ…///」

 

 

結局、話が締まらないまま…峻はまた眠りについてしまった。

愛「………//////」

さっきの言葉の意味を思い出して…1人キュンと目を蕩けさせる愛だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日の朝】

 

美里「まぁ、じゃあこれからお手伝いに来てくれるってこと?」

「はい、俺で良ければ」

 

美里「愛ちゃんも喜ぶわ~♪」

「…そう、ですか?」

 

美里「愛ちゃん、きっと峻くんの事が好きなのよ」

「…あ、あぁ…やっぱり…そう、なんですね」

美里「ってことは、まだ…告白もしてないって感じ…かしら?」

「…まぁ、これと言ったのは…ですね」

 

美里「でも、幸せそうな顔してる愛ちゃん見てると私まで嬉しくなっちゃうのよね」

「…幸せそうな顔…ですか」

 

美里「…続きは、2人で話して…ね?♪」

「…えっ?」

 

愛「…お、おはよ…♪///」

「…お、おはよう…愛」

 

愛「………///」

「………」

 

愛「…えっと…///」

「付き合ってくれ、愛」

 

愛「!!!!!!//////…ひゃ、ひゃい…///」

「…ぷっ、何その返事」

 

愛「そ、そう言う強引なところずるいよ~っ!!///」

ポカポカ叩きながら…最終的に俺の胸の中に納まる愛。

 

愛「…好き…///」

「嬉しい」

 

愛「めっちゃ大好き…///」

「素直な愛も可愛いよ」

 

愛「………//////」

美里「はぁ~…見てて羨ましくなっちゃうわ~…♪

私も彼氏作ろうかしら…?♪」

 

愛「え、えぇっ~っ!?///」

美里「ダメかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛「…峻取らなかったら…良い…///」

美里(…可愛い…///)




次回:二人で歩いて


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分岐ルート 宮下愛 その3

アニガサキ14話、楽しみですね


「はいよ、おまちどう」

 

【いやぁ、若いのによく働くねぇ!】

【愛ちゃん、いい旦那さん捕まえたねぇ!】

 

愛「まぁ~ね~♪」

「はいはい、愛も手を動かす動かす」

 

愛「いやー、しゅんしゅんの働きっぷりを見てたら手につかないよ~♪」

【よっ、さすが愛ちゃん!】

 

「そら、どうも……というか馴染みすぎでしょ」

【この亭主関白なところがいいんだよなぁ】

 

「……俺って亭主関白か?」

愛「だとしてもしゅんしゅんへの想いは変わらないよ!♪」

 

【愛ちゃんもメロメロね~】

愛「でもでも!峻目的でお店に来てもダメだからね~!♪」

「……慣れてるなぁ、愛」

 

 

 

俺は手伝いと言う名目で愛の家に度々訪れている。

と言うよりも、美里さんからお願いされた。

 

そして、その場で交際という流れになった。

愛は「もっと前から告っておけばよかった~」と言ってたが握られた手は離さなかった。

 

 

 

 

 

【閉店後……】

 

 

「お疲れ、愛」

愛「おつおつ~♪

……ねね、峻!久々に打ち上げしない?♪」

 

そういうと、ヘラを2枚持ってニコッと笑う愛。

夕飯はまだだったので、今日は愛と一緒にもんじゃ焼きといこう。

 

「……んじゃ、ご相伴に預かろうかね」

愛「愛さん特製もんじゃだぞ~♪」

 

慣れた手つきで鉄板の上に具材を並べて調理する愛。

「……なんかさ」

愛「んー?」

 

「こういうの、いいな」

愛「……だね♪」

「おじいちゃんやおばあちゃんになっても、こうなってたりして」

愛「……愛さんは、そうしてたい、よ?///」

「……愛……」

 

愛「……な、なんてね!ほらほら、食べよ?♪」

そう言って、愛はもんじゃを乗せたヘラを口に近づける。

 

「お、おうっ…………っあつ!!!」

タイミングと距離感が合わなかったのか……見事に俺の口の横に当たった。

 

愛「ご、ごめんっ!大丈夫っ!?」

「た、大したことないから大丈夫だよ」

愛「冷まさなきゃ……えっと……!///」

 

火傷したであろう場所に愛は口付けをした。

「……あ、愛……?」

愛「…………火傷したら、大変……だから……///」

 

「……あ、ありがとう……」

愛「……うん///」

美里「……あらぁ~……///」

 

愛「うわあぁああぁ、おねーちゃん!?///」

「……えっとー…」

 

美里「……婚姻届出、必要かしら……?///」

愛「き、気が早いよぉ!///」

「……でも、気が早くなければ…?」

 

愛「……それは…内緒……///」

「……愛」

美里「宮之原 愛ちゃんになる日も近いのね……お姉ちゃん嬉しいわ……よよよ……」

 

愛「……も、もー!!食べるよ!///」

と、口では言いつつも……宮之原と愛を交互に口ずさみ……笑う愛を見て大事にしないとな……と思う峻だった。

 

 

 

 

 




次回:分岐ルート ミア・テイラー編

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分岐ルート 宮下愛 その4

6thお疲れ様でした
暫くは虹フィーバーです。


バレーボール部員「お願い、愛さん!助っ人に来て~!」

 

愛「うぇっ!?……あ~…今日?」

いつもの様に、助っ人のお願いをされる愛。

しかし、今日は直ぐに即決…という訳ではなさそうだった。

 

愛「……えーっと…ごめんっ!今日はちょっと……」

バレーボール部員「そっかぁ~…

まぁ、唐突だったもん────」

 

話の途中だったが、愛の目線が横に逸れた。

そして、小走りで移動していった。

 

愛「しゅ~~んっ!♪」

「おわっ!……愛、相変わらず情熱的だな…」

愛「あっ、相変わらずと愛さんの名前をかけたね~?♪

うんうん、峻もダジャレのセンス上がってきてて愛さん嬉しいよ~♪」

 

 

峻の顔を見るなり、顔が明るくなる愛。

そして、思い出したかのようにバレーボール部員の方を見た。

 

愛「……って事なの、ホントにごめんっ!」

バレーボール部員「あ、う、うん!平気だよ!」

バレーボール部員(愛さん…あんなに女の子の顔することあるんだぁ……初めて見た…)

 

 

部員の子がその場を去った後、峻は愛の顔を見た。

「いいのか?」

愛「ん~…ホントは体も動かしたかったけど……ね?」

「俺は助っ人で試合に出て活躍する愛も見たいけどな…今からでも助っ人に行ったら?」

愛「えぇ~っ?……でもでもっ…………む~…っ」

 

何か言いたげだった愛の顔が少し不貞腐れてるように見えた。

愛「……む~~~…っ!!」

そして、少し怒ったような顔をした。

 

「……あ、愛?」

愛「べーっだ!りなりーのとこ行ってくるもん!」

「えっ、あっ……愛!?」

スタスタと早歩きで峻の元を離れる愛。

そのまま取り残される峻。

 

「…………俺、なんか言っちゃったかな…?」

しかし、愛を怒らせてしまった原因は分からないままでいた。

 

 

 

………………………………………………。

 

 

【次の日】

 

「愛、昨日の────」

愛「……………………ぷいっ」

 

 

 

「……………………あちゃ~…」

取り付く島も無さそうだった。

それを見兼ねたかすみと果林が脇を小突いてきた。

 

かすみ(先輩、何してんですかっ…!)

果林(さっきまで普通だったのに…峻が来た途端これよ?説明しなさい。)

(……えっと……)

 

 

 

 

果林とかすみを部室の外に連れ出して訳を説明する峻。

話の途中だったが、果林が頭を抱えた。

 

 

果林「…薄々…分かってはいたけど、本当に峻って鈍感ね」

「……えぇ……」

かすみ「早いところどうにかしないと、大変なことになりますよ」

「…………う、うぐ…」

ごもっともすぎて何も言い返せない。

見かねた果林が提案をしてきた。

 

果林「仕方ないわねぇ…愛を呼び出すから、峻は先にそこに行ってなさい

そこでしっかり謝ること、良いわね?」

「……恩に着る」

果林「お返しはモーニングコール1週間分でいいわよ」

かすみ「じゃあじゃあ、かすみんは食堂のスイーツの~…!」

「………わ、分かったから…!」

 

果林「ふふっ、早く謝りたくてしょうがないって感じね」

「そ、そりゃ……愛にはたくさん笑ってて欲しいし…」

 

かすみ(そう言う気持ちは人の何倍もあるのに…女心が分からないなんて…アンバランスですねぇ……)

果林(そう思うと、神様って不親切よね)

 

 

 

 

 

 

【部室】

 

出ていった3人を目で追いかけて、ドアをずっと眺める愛。

 

愛「……………………峻の……ばか」

プクッと頬を膨らめて小さく呟く愛。

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

【食堂】

 

 

「………………(まだかな……愛)」

あの話し合いの後…果林に言われた通り、食堂で待っていた。

果林は、ランジュと璃奈と果林と愛の4人で話したい事があるという名目で連れ出すと言っていた。

 

(それで着いたら俺が居る……って、座らずに帰ったりしたらどうしよう……)

愛「……………………あ……っ」

「……あ、愛……!」

 

席に着く前にこちらを発見した愛。

俺も思わず立ち上がった。

 

 

愛「…………な、なんで峻が居んのさ…」

「えっと……果林が、2人で話す場を作るって言って…」

愛「……あ……はは~…愛さん、まんまと騙されたって事か~…」

「……とりあえず、座って欲しい」

愛「…………うん」

 

 

どこかぎこちなく座って向かい合う2人。

口を開いたのは──────

 

愛「……ごめん」

「…えっ?」

愛「愛さん…ちょっとワガママになってた」

「ワガママ…?」

 

予想だにしないフレーズに、思わず固まる峻。

何かワガママな事言ってただろうかと思考を巡らせたが…見当たらなかった。

 

愛「その…彼氏って、初めて出来たから、さ?

色々求めたり…2人だけの時間を増やしたいなって思ってて…

だから、峻が助っ人に行ったらって言われた時…愛さんは2人の時間も欲しいのになって思っちゃって……その、機嫌損ねちゃって…」

「……あ…………い、いや!俺の方こそごめん!気が付かなくて…」

 

愛「……へへっ、鈍いのはいつもの峻だもんねっ♪」

いつもの様に笑う愛。

それを見て、こちらも肩の力が抜けた。

 

「ホントにごめ──────」

愛「ん!♪」

 

言葉の途中で、小指を出す愛。

「……えっと、これ……は?」

愛「約束!

もっと愛さんの事を構ってくれるよねっ?♪」

「……もちろん!」

 

グッと指切りげんまんをする。

そして、どちらともなく笑い合う。

 

愛「あーぁ!ホッとしたら何かお腹すいちゃったな~♪」

「何か食べる?飲み物持ってこようか?」

愛「じゃあ、ホッとしたから……ホットの紅茶!なんつって~!♪」

「おっ、だったらホットケーキとかいっとく?」

愛「あっはは!峻さすが~!♪」

 

 

いつの間にか、元通りになった2人。

ただ、愛が甘えたりするのは増えた……が、それでいいと思う峻だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【数日後】

 

愛「しゅ~~~~~~~んっ!!♪」

「い、今まで以上……にっ……腕に、抱きつく……ね…!」

愛「これが愛さんの愛情表現!なんつって~!♪」

 

かすみ「……何だか、前よりイチャイチャしてませんか?」

果林「そうかしら?」

かすみ「いやいや、なんで果林先輩は見慣れたって感じで見てるんですか……」

果林「これが大人の余裕よ、かすみちゃん♪」

 

かすみ「……あの、クッキー持つ手が震えていますけど…」

果林「…み、見てて恥ずかしいわよ!///」

かすみ「ですよね~……」

 

 

愛「もーっ、峻の事もっとメロメロにさせちゃうぞ~!♪」

「もうなってるけどな」

愛「……ぅぐっ……///」

果林「そ、外でやりなさいっ!///」

かすみ「やっぱり神様って不親切ですね……」




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ミア・テイラー 分岐ルート
分岐ルート ミア・テイラー その1


いよいよミアとランジュ……のみとなった……。


「……え、ミアの父さんから電話?」

 

ミア「そ、出てくんない?」

そう言ってミアは電話を差し出してきた。

受け取って耳に電話を当てると……。

 

ミアの父【Hello?】

「……は、Hello……」

 

凄いな……声の厚みというか……音楽家ならでは、ということか?

 

ミアの父【I've heard about your success as well as Mia.

(君の活躍はミアから兼ねて聞いているよ)】

「…… No, I didn't do anything(いえ、僕は何もしてませんよ)」

 

ミアの父【Hmm, he's an interesting boy... Well, let's get down to business. Can you go to the concert? With Mia...

(ふむ、面白い少年だ…さて、早速本題に移ろう。コンサートに出てくれないか?ミアと一緒に……だ)】

 

「……えっ?」

一瞬言ってる意味が分からなかったが……ミアに目をやるとミアも困惑した顔をして首を横に振った。

 

 

ミア(父さんはいつも思いつきでの行動が激しいんだ、許して欲しい)

(……いや、ミア……そんな反対の耳に囁かれると……こそばゆいんだけどな……)

 

ミアの父【What are you going to do?(どうするんだい?)】

「I understand. I'll appear with Mia.

(分かりました、ミアと一緒に出ます)」

 

ミアの父【I thought you would say that, so I'll be waiting in Japan.

(君ならそう言うと思っていたよ、では日本で待っている)】

「……はっ、えっ????」

 

その言葉を最後に、電話は切れてしまった。

ミア「……パパはなんて?」

「……い、いや……日本で待ってるって…」

 

ことの真意が分からない俺はミアに尋ねた。

すると、彼女はさも当然かのように……。

ミア「あぁ、来てるよ日本に」

「……え、えええぇっ!?」

 

ミア「ほら、コンサート……ちなみに明日だから」

「はぁっ!?明日ぁ!?」

 

ミア「声が大きいよ……既存の曲で衣装とか大丈夫でしょ」

「い、いや……曲とか衣装もそうなんだけど……よく慌てないね」

ミア「僕を誰だと思ってるの?」

「……ご、ごめん……」

 

ミア「……それに、Babyちゃんも無事にこなせると思ってパパに推薦したんだから……///」

「……ミア」

 

ミア「……ほ、ほら!分かったなら準備するよ!

スクールアイドル同好会のみんなも招待するんだから!」

「ちょ!今それ聞いたんだけど!?」

ミア「今言ったから今聞いたんでしょ!」

 

 

こうして、バタバタの中、リハーサルと打ち合わせは行われた……。




次回:心に刻む音楽(メッセージ)を

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分岐ルート ミア・テイラー その2

ミア編です。


【コンサートホール】

 

 

かすみ「おぉ~、大きいですねえ~!」

果林「こらこら、かすみちゃん大きな声を出さないの」

 

かすみ「でもでも、すごいじゃないですか~!

あーぁ、かすみん達もこんな所でライブしたいですーっ」

しずく「もう、ドームライブもしたでしょ?」

 

彼方「それに、コンサートホールでライブは私達らしくないよ~」

かすみ「そんなことないですよー!ね、歩夢先輩っ?」

 

歩夢「うーーん、私もそう思うな……だって…」

かすみ「……?」

 

歩夢「ここは、峻くんの晴れ舞台だし……峻くんの為のステージだから」

かすみ「……あぁ、な、なるほど…」

せつ菜「しかし、私達場違いじゃないですかね……?」

 

周りにはスーツ姿やドレス姿の観客だらけだった。

ランジュ「あら、そうかしら?」

 

エマ「ランジュちゃんは慣れてるからだよ~……」

愛「……なんか、愛さんまで緊張してきた~…!」

 

璃奈「本人たちは、もっと緊張してそう」

栞子「どうでしょうかね……?」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【控え室】

 

ミア「驚いたね、スーツなんて持ってるなんて」

「まぁな……って、俺が短期留学でコンサートに出てたの知ってるだろ?」

 

ミア「その時から驚いてたよ、高価なスーツ持ってるなんて」

「……貰ったんだよ、あん時の音楽家の人に」

 

ミア「へぇ……Babyちゃんが遠くに行っちゃう日が来るのかもね」

「お前なぁ……」

ミア「冗談だよ……って、ちょっとこっちに来て」

 

俺の事を屈ませたミアは襟元に手を伸ばした。

ミア「……シャキッとしなよ、これからコンサートだよ」

「……なんかお母さんみたいだな」

ミア「……あのねぇ、僕はまだ14歳だよ?///」

 

ミアの父「I'm ready...oops, did I bother you?

(用意は出来……おっと、お邪魔だったかな?)」

 

ミア「パ、パパ……っ!///」

ミアの父「I invited a special guest today.

(今日は特別なゲストを招かせてもらったよ)」

 

そう言ってミアの父親は控え室にとある人物を招き入れた。

その人物は……。

 

「Oh, you are...!!(あ、あなたは……!)」

短期留学でコンサートに招待してくれた音楽家だった。

 

音楽家【I missed you again, young genius Japanese

(また会いたかったよ、若き天才の日本人)】

 

その言葉にミアがクスッと笑った。

 

ミア「……若き天才……か」

「ちゃ、茶化すなよ…」

 

音楽家【I'll watch today's concert from the special seat, I'm looking forward to it.

(今日のコンサートは特等席から見させてもらうよ、楽しみにしているよ)】

 

そう言うと、音楽家の人は控え室を後にした。

ミア「……さぁ、僕達も行こうか…楽しませるよ、見てるものを全て……僕たちの世界に誘うんだ」

「……あぁ、やってやろうぜ」

 

グータッチをして、俺とミアはステージへと向かった。

 

 

ミアの父(Mia... with such a happy face... I wonder if meeting him has changed my mind about music... I'm glad.

(ミア…あんなに楽しそうな顔をして…彼との出会いが音楽への考えが変わったのだろうか……喜ばしい事だ))

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【コンサート中】

 

 

 

ニジガクメンバーがピアノを弾く峻とステージの真ん中で歌うミアを見てひそひそ話をしていた。

 

 

歩夢(な、なんか……いつもの雰囲気とは違う音みたい)

せつ菜(えぇ、ミアさん……気持ちよさそうに歌ってます)

 

ランジュ(あの尖ってた頃のミアとは…大違いね……峻と出会ったから……かしらね)

 

 

ミア(……楽しい、歌うことが……こんなにも楽しいなんて……

もっと……早く峻と出会いたかった……そうすれば、あの時も……)

(昔の事は気にしなくていい…今から始まるんだよ、ミアの音楽への道が……)

 

 

万雷の拍手のもと……俺とミアによるコンサートは大成功を収めた。

その光景を見たミアの父親も…惜しみない拍手を送っていた。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【コンサート後……】

 

 

控え室にミアの父親が来た。

 

ミアの父「It was a wonderful concert, I was impressed

(素晴らしいコンサートだった、感動したよ)」

 

がっちりと握手した後……ミアの父親は驚く提案をした。

 

ミアの父「It revived Mia's feelings for music... I don't know, can you take care of Mia?

(ミアの音楽に対する気持ちを蘇らしてくれた……どうだろう、ミアの事を貰ってくれないだろうか?)」

 

「……それって……」

ミア「……峻は嫌なのかい?///」

「そんなことない!」

ミア「でも、僕はまだ14歳だよ……?///」

 

 

「関係ないよ……俺はミアと共に歩みたい…音楽の道を…」

ミア「……うん///」

 

 

 

 

 

ミアの手を取り……笑った。

これからの未来…2人で紡ぐ音色を響かせながら。




次回:鐘嵐珠編


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分岐ルート ミア・テイラー その3

ミア「Babyちゃん、ちょっとこれ耳にかけて」

 

ヘッドホンを差し出すミア。

耳にかける前に、大きなため息を漏らす峻。

 

「だから…Babyじゃないし、ちゃんでも無いし…」

ミア「はいはい、分かったから。峻って呼んで欲しいんでしょ?

Babyちゃんらしいね」

 

「……年下のくせに、からかいやがって…」

ミア「学年は上だから、ボクの方が先輩だぞっ♪」

「わーったよ…そんで、ヘッドホンがどうしたんだよ?」

 

耳にかけると、音楽が流れた。

英語の歌詞で、歌っていたのは……。

 

「……ミアの歌声だな、これ」

ミア「……そ」

「新曲か?なかなか良いな、これ」

ミア「………………」

 

聞き入る峻を尻目に、ミアは頬杖をついて、そっぽを向いていた。

 

「……ミア?」

ミア「新曲……だけど、新曲じゃない」

「どういう事だ?」

ミア「Babyちゃんって、ホント鈍感だよね」

 

ため息と共に、頭を抱えるミア。

その様子を見て、うーんと考え込む峻。

 

ミア「どうせ考えたって思い浮かばないの、知ってるからね?」

「うぐっ……」

返す言葉も無い……と、峻は苦笑いを浮かべた。

 

 

ミア「……この曲は…ボクからの日頃からのお礼…///」

「……お礼?」

ミア「だから…Babyちゃんだけに…峻だけに、聞いて欲しい曲」

「……えっと、つまり…俺のために作ってくれた曲ってこと?」

 

ミア「べ、別に嫌なら聴かなくて良いからっ!///」

「……これ、音源貰えるか?」

ミア「い、良いけど…どうするつもりなのさ?」

「決まってんだろ?毎日聴くんだよ」

 

ミア「……あぅ……///」

「可愛い、可愛い可愛い彼女が作ってくれた曲を聴かない彼氏が何処に居るんだよ?」

ミア「可愛いって言い過ぎっ!///

……ホントに、Babyちゃんってば…ホントに……///」

 

何か言いながら、携帯にデーターを転送するミア。

その様子を、後ろから眺める峻。

 

「あの曲、タイトルってあるのか?」

ミア「あるよ、聞きたい?」

「せっかくならな」

ミア「───stars we chase」

「stars we chase……か」

 

ミア「Babyちゃんの事を想って……書いた曲、だから…///

凄く、楽しくて…スラスラ歌詞が浮かんで…こんな事、今まで無かった…」

「……ミア…」

 

作業が完了したのか、何も言わずにミアが抱きついてきた。

 

ミア「……Thank you……Babyちゃん」

「何言ってんだよ、俺だって幸せを貰いまくってるっつの」

ミア「ボク……もっともっと、Babyちゃんと一緒に輝きたい

……協力、してくれるかな…?」

「せ、責任重大だなぁ…」

ミア「そこは男らしく任せろって言って欲しいところなんだけど」

「……あい、すいません…」

 

ミア「まっ、そこがBabyちゃんの良さだけどね

ボクは全部知ってるからっ!♪」

「この前まで、甘えん坊だったくせに」

ミア「い、良いだろうっ!?///」

「こうやって、抱きついてきて、これがアメリカンスタイルだ~とか言ってきて~」

ミア「お、怒るよ!Babyちゃん!!///」

 

「はいはい、悪かった悪かった」

ミア「生意気……っ……でも……///」

「好き、だろ」

ミア「…………///」

 

 

「ありがとうな、ミア……この曲、ずっとずっと大切にするよ」

ミア「All right…当たり前だろ……馬鹿…///」

 

 

 

────────────────────────

 

 

【数日後】

 

「~♪」

歩夢「峻くん、最近その鼻歌ばっかりしてるね?」

 

「良い曲があってな~」

歩夢「へぇ~」

 

かすみ「ミア子?顔赤いよ?」

ミア「き、気のせいだしっ!///」

 

璃奈「何だか……必死…」

ミア「What's?!そんな事ない!///」

 

 

栞子(ミアさん…幸せそうですね)

ランジュ(もう少し素直だと可愛げがあるのだけれどもね)

栞子(その辺は、峻さんがリードしてくれますよ)

ランジュ(まっ、それもそうね)

 

 

 

 

ミア「Babyちゃん、みんなが意地悪してくるっ!///」

「あんまりからかいすぎるなよ~?」

 

ミア「Yesっ!ほら見たか!Babyちゃんもこう言って─────」

「からかうのは俺の役割だから」

ミア「べ、Babyちゃん……っ!?!?!?///」

 

かすみ「あー、それもそっか?」

歩夢「否定できないなぁ…」

 

 

ランジュ「…ほ、ホントに大丈夫よね?」

栞子「お、恐らく…」

 

 

 

 

 

 

 

ミアルート

TRUE Fin




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鐘嵐珠 分岐ルート
分岐ルート 鐘嵐珠 その1


もしもし、auですか?
通信障害で目の前にせつ菜ちゃんが出てくれないんですけど……。


【夢の中】

 

ランジュ【……話、聞いてるのかしら?】

 

ランジュ(……あれ、これは……夢…?)

 

ランジュ【……っ!!!】

 

ランジュ(……あぁ、昔の…峻にやってしまった…最低なこと……

あの時の……ランジュは……)

 

 

 

 

 

その夢の続きを見ることなく……ランジュは目を覚ました。

ランジュ「……最低よ、ランジュ…」

峻はあの件を振り返らないけど……どう思ってるのか、気になって仕方ない。

……もし、峻と出会わなかったら……同好会に入らなかったら……香港に帰ってたら……と、想像すると……怖くなった。

 

 

ランジュ「……どう思ってるかしら…峻は…」

気になるところではあるが…学校に行く支度をしなければ……と、ランジュはベットから起き上がった。

 

 

ランジュ「…………」

着替える最中……胸に手を当てる。

 

ランジュ「……ドキドキしてる……」

こんな事、初めてだった……。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【廊下】

 

 

栞子「おはようございます、ランジュ」

ランジュ「……えっ?……あ、お、おはよう…栞子」

 

栞子「……?」

ランジュ「な、なんでもないわっ!」

 

栞子「……そう、ですか?……あっ、峻さん、歩夢さんおはようございますっ」

歩夢「おはよう、栞子ちゃん、ランジュちゃん♪」

 

「はよー…………」

ランジュ「お、おはよっ……峻!♪」

「……元気だなぁ、ランジュは…」

ランジュ「ランジュはいつでもパーフェクトよっ」

「はいはい、元気で結構」

 

頭にポンっと手を置くとランジュは激しく体を飛び上がらせた。

ランジュ「……っ!!!///」

「……んだよ、くすぐったいのか???」

 

ランジュ「ち、違うわよ……っ!///」

栞子「……んん……???」

歩夢「栞子ちゃん、どうしたの?」

栞子「……いえ……」

 

 

 

様子がおかしいと首を傾げる栞子だった。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【昼食時……】

 

 

栞子「ランジュ……何か隠し事してませんか?」

ランジュ「えっ!?……し、してないわよ!///」

 

栞子「話す時に腕組みをする時は嘘をついてる時ですよね?」

ランジュ「……あぅ……///」

栞子「話してみてください、なにかお力になれるかも知れませんよ」

ランジュ「……笑わないで……聞いてくれる、かしら……?!///」

 

栞子(こんなにも弱々しいランジュ…珍しいかもしれませんね…)

ランジュ「……ふと、思うのよ…私は……同好会に入らなかったら…峻に出会わなかったら……どう、なってたのかって……」

 

栞子「……なるほど…」

ランジュ「……それに、峻には酷いことばかりしてたから……峻はどう思ってるのかなって……」

 

栞子「……それは……峻さんに聞いてくるのが、一番なのでは無いでしょうか……?」

ランジュ「む、無理よっ!答えてくれるわけないわ!」

栞子「峻さんはお優しいのでそんなことありませんよ♪」

ランジュ「むぅ……///」

 

 

意を決して、放課後の部活内で……峻に聞くことを決心したランジュだった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【部室】

 

 

 

ランジュ「……しゅ、峻~……?」

おずおずと、部室に顔を出すと……峻が寝ていた。

 

ランジュ「……寝てる……呑気なものねぇ…」

気が抜けたランジュは起こさないように、峻の横へと座った。

 

ランジュ「……子供っぽい寝顔……」

つんつんと頬を突っつき……様子を伺うランジュ。

峻と同じような体勢になり……机に突っ伏したランジュ。

 

ランジュ「……ねぇ、峻……貴方は……///」

ガラガラガラ……。

 

 

彼方「お疲れ様だぜ~……おや~?」

ランジュ「し、しーーーっ!!」

 

彼方「おやおや、峻くん……寝てるのかい?」

ランジュ「そうよ、起こしちゃダメよ」

 

彼方「……おやおや、ランジュさんや優しい顔になってるね」

ランジュ「……え?」

 

彼方「好いてるのかい、峻くんの事を」

ランジュ「……えっ?……そ、それは……///」

 

峻の寝顔を見て……気まずそうな顔をするランジュ。

自分が峻の事を好きになっても……峻は迷惑なんじゃないのだろうか、と。

 

それだけの事を過去にしてるから……と、後ろめたくなってしまった。

ランジュ「……わからないわ」

彼方「分からないままでいいのかい?」

ランジュ「……そ、それは…///」

彼方「じゃあ、彼方ちゃんも…すやぴするぜ~♪」

 

そう言うと、彼方はソファーで寝てしまった。

ランジュ(……///)

どうすればいいか分からないランジュは……ただただ、峻に体を添わせることしか出来なかった。




次回:辿り着いた真実


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分岐ルート 鐘嵐珠 その2

これがラストです、ホントのホントにラストです


ランジュ「……ねぇ、峻…今日って暇かしら?」

「んあ?……あー……」

 

昼食を食べようとした峻にランジュは話しかけた。

食べる手を止めて峻が視線を上へと泳がせた。

 

「今日は…栞子にお茶に誘われてたんだった」

ランジュ「そ、そう……なら…いいわ」

「んだよ、大事な要件だったのか?」

ランジュ「……な、なんでもないわよっ」

 

ふと、机の上を見たランジュは気まずそうにその場を後にしてしまった。

「……変なランジュ…」

歩夢(何だか思い詰めた顔してたような……)

ミア「(やれやれ、裏方も楽じゃないね……)Babyちゃん、生徒会から貰う大事な書類って貰ったの?」

 

「あ、やべっ!!!」

ミア(……って、本当は貰ったけどボクが隠したんだけどね)

 

慌てて食べる手を早めて、峻は食堂を後にした。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【生徒会室】

 

 

「し、失礼します!」

栞子「……峻さん?どうしたんですか、息を切らして…」

 

「しょ、書類……!」

栞子「……あぁ、あの書類ですか…?先程、部室に置いておいたはずですが…」

「……えっ???」

 

 

ミアのやつが勘違いしてたのか……?

栞子「(ミアさんが仕向けたのでしょうか……)……さて、峻さん放課後のお茶なんですが…」

「えっ……あ、あぁ」

 

栞子「すいません、急用が出来てしまったので……申し訳ないのですが、無しで良いでしょうか?」

「…急用なら、しょうがないよな」

 

栞子「その代わり、ランジュとお茶でもしてあげてください♪」

「……えっ?なんでランジュ?……さっき誘われたけど…」

 

栞子「……あっ」

「なんか隠してるな?」

 

栞子「……そ、そのようなことは……!」

「言いなさい、栞子」

 

栞子「……うぅ、はい…実は、ランジュに相談されたことがあって…」

「……相談?」

 

栞子「……相談の内容は、ランジュ本人から聞いてあげてください

お願いします」

「ちょ、ちょ!謝って欲しくて問い詰めたわけじゃないから!

……わ、わかったから!」

 

栞子(……さて、バトンは繋ぎましたよ……ランジュ)

 

 

 

────────────────────────

 

 

【放課後 ランジュの部屋】

 

ランジュ「……はぁ」

 

1人でベットに横になるランジュ。

制服姿でスカートもめくれてるが……気にも留めてなかった。

 

ランジュ(今頃、峻は栞子と楽しくお茶かしら……

平然を装ってランジュも合流しようかしら……)

でも、話すなら…峻と2人きりが……。

 

 

 

 

コンコンっ。

 

 

 

 

ランジュ「(……ノック?誰かしら……)はーいっ」

果林かしら、それともミアかしら……。

 

 

 

 

ガチャ……。

 

 

「おっす、部屋にいてよかった」

ランジュ「しゅ、峻……っ!?///」

 

「部室に居ないからここかなって思ったけど……」

ランジュ「し、栞子との約束はどうしたのよっ!///」

 

「いや、あいつがさ急用出来たからランジュとお茶してくれって」

ランジュ「……し、栞子……?///」

「……とりあえず、中入っていいか?」

ランジュ「…………//////」

 

何も言わずに頷いたランジュだった。

 

座るなり、峻が用意をしているランジュに問いかけた。

「……何か相談したんだってな?」

ランジュ「……っ!//////」

 

「……何かあったのか?聞いて欲しいんだったら言ってくれれば良かったのに……」

ランジュ「……む、無理よ……!///」

 

紅茶を置いて……ランジュは峻の向かいに座った。

その姿は弱々しく……何度も自分の太ももをなぞっていた。

 

「……いや、無理って……そんな内容なのか?」

ランジュ「……///」

「……ランジュ?」

ランジュ「……笑わないで……聞いてくれる…?///」

 

顔を上げると……ランジュは何故か目に涙を貯めていた。

驚いていたが……ランジュはそのまま言葉を続けた。

 

ランジュ「……水、かけたこと……覚えてるかしら…」

「あ、あぁ……そんなことあったな」

ランジュ「……昔のことって言ってたけど…峻は怒ってないのかしら……?」

「怒ってると思ったのか……?」

 

ランジュ「だ、だって!ランジュは今まで酷いことばかり……!

それでも、許してくれて同好会に入れてくれたり香港に帰るのを止めてくれた峻が居なかったらどうなってたのかって考えると怖くて……!」

「……ランジュ」

 

ランジュ「……最低よ、ランジュは……」

「……んなことねぇよ、俺は怒ってもないし……気にもしてないよ」

ランジュの隣に座り直し……頭を撫でた。

 

ランジュ「きゃ……っ……///」

「んでも、どうして急にそんなことを考え始めたんだ?

……前までそんな雰囲気出してなかったのに」

 

ランジュ「……分からないのよ、でも…貴方の事を考えると……胸が苦しくって……///」

「それって……」

ランジュ「……峻……」

 

 

「……好き、ってことじゃないかな……?」

ランジュ「……えっ……!?//////」

 

まさかという顔でランジュは目を見開いた。

「……い、いや、俺の思い過ごしかもしれないが」

ランジュ「……ううん、言われて気付いたわ……ランジュ……貴方の事が大好き!好きなのよ!//////」

 

そう言うと抱きつくランジュ。

ポロポロと涙か垂れてくるのが分かった。

 

ランジュ「……でも、ランジュ…貴方にわがまま言っちゃうかもしれないわ」

「前から言われても俺が困った顔したこと、あったか?」

 

ランジュ「……同好会には他にも可愛い子はいるし……///」

「好きって言ってくれたランジュの気持ちを、俺は汲み取りたい」

ランジュ「……峻……っ!///」

 

 

 

 

 

わんわんと泣きながら抱きつくランジュを宥める峻。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ランジュの部屋の前】

 

 

 

ミア「……やれやれ、手が焼けるランジュだ」

栞子「でも、幸せになれたんだから良しとしましょう」

ミア「……ランジュのこと、悲しませたら許さないんだから」

栞子「大丈夫ですよ、あの二人は……とってもお似合いですから♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回:エピローグ



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分岐ルート 鐘嵐珠 その3

虹ヶ咲の道は……終わらねぇ!!


ランジュ「……んぅ~……」

部室に入ったら、ランジュが難しそうな顔をしながらペンを咥えていた。

 

「何してるんだ?」

ランジュ「あら、峻っ!♪」

パタンとノートを閉じて、飛びつくランジュ。

見慣れた光景なので、特に栞子やミアも突っ込むことはなかった。

 

 

ランジュ「ちょっとスクールアイドルの勉強をしてただけよっ♪」

「ランジュも勉強熱心になったなぁ」

ランジュ「ふふんっ、もっと褒めてくれてもいいのよっ?♪」

 

得意げに胸を張るランジュ。

その様子を見ていたミアがため息混じりで何かを言い出そうとしていた。

 

ミア「ランジュ…見苦しい言い訳なんかしてないで正直に言えばいいのに」

ランジュ「なによぅ、言い訳なんかしてないわよ」

「……なんかあったのか?」

栞子「えぇ……っと、まぁ……はい。」

 

「そっか……まぁ、ランジュが話したくない事なら無理には聞かないけど……」

ランジュ「……話したくないって訳じゃないわ。ただ……話すのが恥ずかしいと言うか……///」

「?」

ランジュ「なんでもないわっ、気分を変えて屋上で続きするわね!

峻、再见♪」

 

結局、ノートを持ってランジュは部室を後にしてしまった。

「……何だったんだ?」

ミア「さぁね、Babyちゃんが直接聞くのが1番じゃないかな」

栞子「ミアさんに同意ですね」

 

「うぅーん……聞きにくいこと?」

ミア「''今は''……うぅーん、むしろ今が聞きやすい…かも」

「どういうことなんだ…」

栞子「そんなに深刻な問題では無いですよ、普段通りで大丈夫ですから」

 

「……まぁ、そういう事なら…様子見に行ってみるよ」

何か力になれることがあるかもしれない、と峻も部室を後にするのだった。

 

 

 

ミア「……言わなくてよかったの?次のライブの事」

栞子「皆さんの意向ですから…それに、ランジュが歌うのは…」

ミア「……あのランジュが…ねぇ」

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【屋上】

 

 

ランジュ「ここの歌詞は、もっと情熱的に……難しいわね~…。

でも、無問題ラ!ランジュに出来ないことなんてないわ!♪」

 

ランジュ(もっと言えば、実際峻が横にいてくれたら……捗るのだけれど……恥ずかしくて頼めそうにもないわね)

 

ふと、部室をそそくさと出ていってしまったことを憂いているランジュ。

その時、頬に何かが当たった。

 

ランジュ「きゃあっ!!」

「お、わりぃわりぃ…驚かせちまった?」

 

飲み物を持った峻がそこに居た。

ランジュ「しゅ、峻……!どうしてここに?」

「様子見に来た」

ランジュ「謝謝っ、ちょうど喉が渇いてたのよっ♪」

 

飲み物を受け取り、ごくごくと飲むランジュを見ながら……峻は隣に座った。

 

「……何か手伝えそうなこと、ある?」

ランジュ「……っ……」

その一言に、ランジュの目が少し丸くなった。

 

「隠しててもバレっバレ……って、まぁ…ミアや栞子から少しヒントはもらったけど」

ランジュ「……そのぉ……」

「言いにくいなら良いよ、でも…力になれそうなことあるなら言ってな」

 

ランジュ「……笑わないで聞いてくれるかしら?」

「ん、もちろん」

ノートをギュッと握りしめて小さく呟くランジュ。

 

ランジュ「……次のライブの歌詞を……作ってたの…。」

「いいね、それで悩んでたの?」

ランジュ「……その…テーマが恋愛と言うか…峻をイメージして作ろうってランジュは考えたの…///」

 

「……あぁ、それで……」

ランジュ「ミアからも言われたわ、ランジュは恋愛の事分かってないって

でも、ランジュはそんなこと無いって思ってたわ。

峻は居るし、ランジュは毎日楽しいものっ。

……でも、いざペンを走らせると…言いたいことや乗せたい言葉がありすぎて……困ってしまったの」

 

「……いいんじゃない?ありのままを乗せれば」

ランジュ「で、でもっ……!」

「いつもみたく、強気でどんどん前に走ってくランジュの思いを乗せれば伝わるよ…それに、俺はそんなランジュが見たいし」

ランジュ「……峻……」

 

「って、今ここで伝えたらライブまでの楽しみが無くなっちゃうから勘弁な?」

ランジュ「……ふふっ、分かってるわっ♪」

 

いつもの様に、悪戯っぽく笑うランジュ。

吹っ切れたのか…元気よく立ち上がった。

 

ランジュ「やっぱりランジュは、もっともっと峻の目を釘付けにさせるわ!」

「その意気だよ」

ランジュ「いつまでも、峻ばっかりにリードされてたらランジュのプライドが許さないわっ!」

「夜は弱いくせに」

ランジュ「な、なによぅ…!///

それとこれとは関係ないわっ!///」

 

 

照れながらも、両手を広げて笑いかけるランジュ。

ランジュ「……だから、完成して…ライブで大成功したら…

ランジュの事、好きって……沢山言ってほしいわっ♪//////」

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

【ライブ当日】

 

 

ランジュ「きゃはっ!♪

峻、どうだったかしらっ?♪」

「答えなんて決まってんだろ?……最高!」

 

ランジュ「そうよね、そうよねっ♪

さすがランジュよねっ!♪」

 

ミア「全く……相変わらずの歌詞なんだから…」

栞子「ふふっ、ランジュらしさが出てましたね♪」

 

ランジュ「でも、好きでしょう?♪」

「好き?大好きに決まってんだろ」

ランジュ「……峻ってば、嬉しいこと言ってくれるじゃない♪///」

 

ミア「Good grief…こっちはこっちで相変わらずだし…」

栞子「仲睦まじくて喜ばしいことですよ」

ミア「ホント…Babyちゃんの前では子供になるんだから…」

 

ランジュ「さぁっ、ランジュともっと色んな景色を見に行くわよ~!♪」

「わかったから!ここで抱きつくな~!」

ランジュ「嫌よ~っ!♪///」




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エピローグ
エピローグ ~答え~


これは、分岐ルートに入る前の……お話……。


「…よし」

 

身支度をし、俺は家を出た。

時刻は既に18時。

 

向かう先は…………。

 

 

 

 

 

「これが俺の出した答えだ……ごめんな、みんな……」

 

 

 

 

 

そう言って、家を出た。

財布も、携帯も、持たずに…。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

電車に揺られること1時間半…。

 

 

東京から…俺は静岡に向かっていた。

 

 

(考えたけど…結局、戻れる方法なんて見つからなかった…

…だったら、これくらいのことを…試すしか、無い…よな)

 

 

峻として居続ける事…そこに罪悪感を感じ…俺は何としてでも戻る方法を考えていた。

もちろん、この後する事を…俺は曜や花丸には告げていない。

…ニジガクメンバーにも、だ。

 

 

(…悠として…帰りを待ってる人がいるんだ…もう、寂しい思いなんて、させたくない)

その決断に、俺の迷いはなかった。

正しい選択かどうか、とか…自信なんてない…けど。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【沼津駅】

 

 

「…着いたな、沼津…」

 

改札機に入っていった切符を見てボソリと呟いた。

帰りの切符は………無い。

 

 

「…さて、と…」

時刻は20時過ぎ…駅前にいる人も疎らだ。

 

「…バスなんかは走ってない…し…

タクシーなんかは…使わないし…な…」

ふっと一息ついて、俺は歩き始めた。

向かう先は…もちろん…。

 

 

「…ふっ…長い道のりになるな…」

自虐的に笑い…俺はグッと手に力を込めた。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

30分…1時間と歩き進めて…誰もいない道を1人…ただただ歩く。

歩き進めて…今までの思い出を振り返る。

 

(…夜の海、か……暗くて…なんか怖いな…)

遠くに見える淡島のホテル…ここに、鞠莉が居る。

 

そして、果南もいる、曜も…。

…後は…千歌も…居る。

 

(…千歌…)

???【────────待ってるから────】

「…っ!!??」

 

声がして後ろを見るが…誰もいない。

…気のせいかと思い…頭を何度か振った。

 

 

 

「らしくない、らしくない…気のせいだ」

…今の声…聞いたことも無い声だ…一体…。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【内浦 十千万旅館前】

 

何時間歩いたのだろうか…俺は砂浜の上に寝っ転がってた。

 

「…足痛え…それなのに…空はバカみてぇに綺麗だな…」

雲ひとつない…月も満月だった。

 

 

「…千歌…いるんだよな」

この時間だと…もう寝てるか?

…結局、1人ともすれ違ってないし…通った車も2台くらいしか無かったな…。

 

 

「…さて、とっ…」

そんなこと考えてる暇はない…。

気持ちが揺らがない内に…行動に移そう…。

 

 

立ち上がり……靴を脱いだ。

そしてそのまま…水面に足を踏み入れる。

 

 

「…つ、めた…っ」

夜風のせいもあり、体を少し震わす。

しかし、もう一歩…もう一歩と体を進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、神さま…もし居るんなら…

…元の世界に…戻させてくれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────もう

 

 

────────他人のフリは

 

 

 

───────────────辞めにしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま、俺は海に身を投じた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

【???】

 

 

 

 

─────暗い。

まるで、峻として目覚める前のような暗さ。

 

 

(…死んだのか、俺は…)

???【そんなこと、ないよ】

 

(…誰だ…?)

???【誰…かぁ…ごめん、名前は言えないんだ…】

 

 

でも、この声…さっきも聞いた…。

 

 

(…悠、じゃない……千歌…でも、無い…)

???【千歌…?…誰かわからないけど…話を進めるね】

 

 

???【…キミも無茶な事するよね、ホント】

(…だって…)

 

???【……でも、キミの確かな意志…感じたよ】

(俺は…どうなるんだ…?)

 

???【詳しくは言えない…けど…時計の針は…確かに動き始めたよ】

(…えっ?)

 

???【…それに、言ったよ?待ってるって】

(待ってるって…俺は君のことを知らないし…)

 

???【大丈夫、すぐに会えるよ】

(…すぐ…?)

 

???【うんっ、すぐ!…だから、待ってるよ

そう、キミが過ごした────────────────】

(待っ…………ご…ぁ…っ…!)

 

 

暗い闇に手を伸ばしたが…。

体は重く…息もしずらくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

─────それでも…。

 

 

 

 

 

 

───────────────それでも、俺は…!!

 

 

 

 

 

 

???【……さあ、もう一度……悠くんとしてのトキメキを見せてよ

私も……待ってるから……あの場所で……】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

???「NEXT Rainbowを見てくれた読者の皆さん、本当にありがとうございました」

 

 

???「今は正体は明かせませんが……代弁したいと思います」

 

???「正直、こんな終わり方はどうかなと思ったんですけど…

でも、これが答えなんだと思います

本当に欲しいものは…何かを犠牲にしなくちゃいけないんだって」

 

???「これも、1つの選択肢……でも、後悔はないと思います」

 

???「彼なら…峻くん…いや、冴木 悠くんなら…そんな奇跡だって起こせる

…その奇跡の続きは…そう遠くない、未来に…」

 

 

 

 

 

???「…私も、もう行かなくちゃ

元いる世界に…戻らないと…ね♪」

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

NEXT Rainbow!!は以上で完結となります。

そして、Aqoursな日々も…同様に完結となります。

ですが、物語はまだまだ続きます。

 

Aqoursの気持ちを…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の想いを受け継いだスクールアイドルが、またきっと…輝いてくれるはずです。

 

200話以上のお話と600件以上のお気に入り。

感想も沢山くれた読者には感謝しかありません。

 

新作の「ラブライブ!!スーパースター!」もぜひお楽しみに…。

 



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もう1つのエピローグ

────────これは、峻のままだった世界線…。


「………………」

 

 

────体が、重い。

体調が悪いわけでは無いが…体が酷く重たく感じた。

 

「…学校、行かなくちゃ…」

こうなる原因は自分でも、はっきりと分かっていた。

 

(寝不足だな…少し足取りがふらつく…)

最近、まともに寝れていない。

悠に戻れる方法を考えていると…刻々と時間だけが過ぎていくからだ。

 

「…余計な心配、かけられないからな…」

歩夢「峻くん…?」

「ん…歩夢、おはよう」

歩夢「起こしに来たんだけど…大丈夫…?」

 

「……うん」

歩夢「顔…何だか、怖いよ…?」

「平気平気っ、少し怖い夢を見てな…」

歩夢「…そう、なんだ…」

(………………ごめん、歩夢)

 

自分の心に嘘をついた俺は、歩夢とまともに目を合わせられなかった。

 

 

────────────────────────

 

 

【通学途中】

 

歩夢「…ねぇ、やっぱり何かあったの?」

「えっ?……あぁ、いや…なにも」

 

歩夢「顔色優れないみたいだけど…何かあったらすぐに言ってね?」

「…ああ、ありがとう」

(……言ったところで…何が変わるんだろ…

信じてもらえない…だろうし、今までみんなに嘘をつき続けてきた…それをただ自分で告白して自滅してるだけ…だと思うし)

 

 

………それでも…言わなきゃ、始まらないことも…あるのだろう、か…。

 

 

 

 

「─────────────あのさ」

 

 

────────────────────────

 

 

【放課後 部室】

 

「………………」

 

せつ菜「あの、峻さん…どうしたんでしょうか?」

しずく「改まってお話なんて…」

栞子「それに、顔つきが何だか険しいですが…」

 

 

 

「………………」

みんなの前に立ったまま身動きを取らない峻を全員が見つめていた。

 

 

「…………俺、みんなに嘘をついている」

かすみ「……嘘、ですか?」

彼方「これまた急な話だね~……」

ミア「Babyちゃんらしくないよ、とっとと打ち明けたら?」

 

「………………実は……」

 

 

「……俺は、峻じゃないんだ」

エマ「……えっ?」

果林「どういう……事、かしら?」

 

「みんなには……順を追って…全てを話す」

ザワつく部室内を落ち着かせて峻(悠)は話を続けた。

 

「……俺は元々、Aqoursの部長だった

でも、ある日突然……雷に打たれて意識が無くなったと思ったら……目が覚めて、宮之原 峻になっていたんだ」

 

愛「ちょ、ちょいちょい!そんな事ありえるの?!」

璃奈「あまりに、非科学的すぎるよ……」

ランジュ「でも、冗談で峻がこんな事を言うとは思えないわ」

 

「俺自身も信じられない……けど、事実……前の記憶があるまま……今日まで峻として生きてきた

……歩夢にも、みんなにも嘘をつきながら……皮を被って生きてきた」

歩夢「……………………」

 

「話をしたところで……何も変わらないことも分かってる……

けど、これ以上隠し続けるのも……辛い

そして、何より……みんなに嘘をつくのが辛い……だから、話させてもらった」

 

 

ニジガクメンバー「「「「「………………」」」」」

「信じられないよな……幻滅した、よな…………ごめん」

 

ニジガクメンバー「「「「「…………」」」」」

信じられない出来事に、みんなが口を閉ざしてしまった。

 

「……ごめん、ここにいる資格……無いよな」

そう言い残し、峻は部室を去ってしまった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

せつ菜「……漫画等ではこういった事はありましたが……まさか、本当に起きるなんて……」

 

ランジュ「気の利いた事なんて、言えるはずないわね」

しずく「はい……なんと言い表していいか……分かりません」

 

果林「………………」

彼方「1人で悩んでたかもしれないけど……嘘は良くないからね~……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩夢「────────私は、そうは思わないよ」

 

 

 

かすみ「えっ……」

愛「歩、夢……?」

 

 

歩夢「確かに、信じられないし……峻くんが峻くんじゃなかったってショックはある……けど、峻くんじゃ無かったからこそ…出会えたものもあった、から」

 

せつ菜「歩夢さん……」

 

歩夢「みんなと出会えたもの……スクールアイドルに出逢えたもの……峻くんの中の男の子が、思い立ってここまで導いてくれたから

だから、私はこれまでの事を……感謝したい」

ミア「……まっ、幼馴染が言うんだから、説得力があるね」

 

かすみ「た、確かに…かすみんは元々の峻先輩がどんな人かは分からないから……違いとか分かりませんけど……うぅ、確かに…峻先輩が居なかったら…スクールアイドル同好会が無くなってたかも、しれません……し……」

せつ菜「……私も、悩みや困った事……不安や家の事……誰にも相談出来なかったかも、しれません……」

 

ランジュ「そうね……ランジュも出会ってなかったら……どうなってたか考えたくもないわね」

栞子「私もです……ここまで変われたのは、峻さんのおかげですから……」

 

しずく「……明日もう一度、峻先輩を呼び戻しましょう!」

彼方「まぁ、そうなるよね~」

果林「えぇ、唯一無二……?の部長だもの」

愛「そそっ!アタシたちが居るのに、水臭いんだからウチのぶちょーはっ!♪」

 

 

────────────────────────

 

 

【次の日】

 

 

「……はぁー……何してんだろ……俺…」

1人膝を抱えて、海を眺める俺。

ここは沼津……当てもなく、俺は沼津へと足を向けていた。

 

「……居心地悪いからって……逃げて…はぁ、打ち明けたのに…これからどうしよう……」

 

どうすることも出来ずに、肩を落としていると…………。

 

 

???【まーた落ち込んでるし】

「えっ……!!??」

 

声がする方を振り返ると……そこには、確かに自分がいた。

「ゆ、悠……!」

悠【そのままでいい、手短に話すぞ】

 

「……ごめん、俺……元に戻れる方法、思い浮かばなかった…」

悠【だろうな、まぁ普通じゃ絶対ない事が起きてるからな

思い浮かばないのも無理は無い……それに、これが運命だと思えば、案外受け入れられる……かもな】

「…………………………」

悠【それに、見た目が宮之原 峻……という男でも俺の意志を引き継いでくれた……だろ?】

「でも……本当の峻は…そんな事望んてないかも知れない…

俺が勝手に行動して……好き勝手やって……そんなの、まかり通るわけ……!!」

 

悠【どうかな……少なくとも''アイツら''は理解してくれてると思うぞ】

「……えっ?」

悠【……まぁ、それは本人たちの口から聞くのが早いよ

……さっ、もう時間だな……お前の信じる事をすれば物事全部救われるはずだ】

「ま、待ってく────────」

 

 

 

突風が吹き荒れ、目を瞑った瞬間に……悠からの言葉が聞こえた。

悠【ま、たまには沼津に来てくれや、それくらいのお願いするくらいバチは当たらないだろ?】

 

 

「……くっ……」

目を開けると……そこに悠の姿は無かった。

 

 

「……信じる事をすれば……か……」

こうなった事には……必ず何か意味がある……だから、俺は……もう……!

 

 

 

千歌「あれー?峻くんがいるっ!」

「ち、千歌!」

 

曜「あ、ホントだっ!やっほーっ!」

「よ、曜も……!」

 

梨子「こんにちは、お出かけ?」

「うん、まぁ……そんなとこ」

 

話の最中、俺は曜を呼び出した。

「……あの、さ…曜に打ち明けたあの話のことなんだけど…」

曜「……?なんの事?」

「えっ……いや、俺が悠で……って」

曜「悠……?……だぁれ?」

「……えっ?」

曜「もう、峻くんは峻くんでしょ?おかしなのっ♪」

「……あっ……う、うん…」

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

帰宅後、俺は自分の本棚を漁った。

「もう悠としての記憶が……曜にはなかった……恐らく、花丸にも…」

 

悠が言ってた……時間だって一言は……。

「……っ……」

 

唇を噛み締め、俺は作業を続けた。

これ以上は言ってはいけない……それに、知ってる人もいない……からだ。

 

「……これ……日記……?」

古びたノートには……僕の日記というタイトルが書かれていた。

 

「……小学生5年生…5年くらい前の日記だ…」

 

パラッとページをめくると……細い字でこう書かれていた。

 

【いじめなんて無くなればいいのに】

 

「……いじめ…峻は、いじめられていたのか…」

そう思うと、自分が峻として学校に行った時のクラスメイトの会話が蘇る。

 

茶化されていたし……体も細く、根暗な印象だったのにも頷ける。

 

【歩夢ちゃんにも言えない……お母さんにも言えない……】

(歩夢もその事を知らなかったのか……)

 

そう言えば、いつか言ってたな……私の方が峻くんを守ってあげるお姉ちゃんみたいだった、と。

 

 

そして、年月が飛び飛びだった日記の最後が…高校2年生になる直前の日付だった。

 

【小学校も…中学校も高校も……なにも変わらなかった…

こんな世界……もう……】と。

 

「………………」

(お前が絶望した日々の続きを……俺は変えてみせるよ、絶対に)

 

「……あれ、最後…なにか書いてある……」

【歩夢ちゃんに、好きって伝えたかった】

 

「…………そう、か……」

 

 

どういう因果かは置いておいて……。

意識を失った俺が、自分の手で意識を無くしたかった峻になった…という事、か…。

 

 

「……まだ、やる事……あるはず、だよな…」

俺は、これからも峻として……生きよう。

 

 

────────────────────────

 

 

 

「……って、言ったものの……」

部室、顔出しずれぇなぁ……。

 

「もう部長としての立ち位置も無いようなもん、だもんな……」

はぁ……と溜め息をつきながら、学園に向かおうとしていると…。

 

 

かすみ「どこ行くんですか……っ!!」

「……っ…………!!……か、かすみ……っ?」

 

かすみ「まさか……部室に顔出さないつもりですか……っ!?」

「いや、だって……俺は……」

かすみ「先輩は先輩です……っ!!何を今更迷ってるんですか…!」

「……えっ?」

 

かすみ「先輩が居たからこそ……ここまで来れたんですよ…っ!!

その事に胸を張ってください!」

「…………っ……かす、み…」

 

せつ菜「そうですよ、あなたは1人じゃないんです」

「せつ菜……」

 

愛「水臭いぞー、ぶちょー♪」

栞子「貴方がした事は何にも変え難いものですよ」

「愛……それに、栞子…」

 

果林「貴方無くしてスクールアイドル同好会は語れないでしょ?」

エマ「このままお別れなんて寂しいよ~…」

彼方「何か困ってたり聞いて欲しいことあったら遠慮なく話していいんだからね~……?♪」

 

「果林……エマ、彼方……」

 

しずく「皆さん、心配してますよっ?」

璃奈「お願い、戻ってきて……!」

「しずく……璃奈……」

 

ミア「はいはい、男なんだからハッキリさせようよ、Babyちゃん」

ランジュ「どんな姿でもランジュは峻が好きよ!」

 

「2人とも……」

 

ニジガクメンバー達の顔を見渡すと…歩夢が歩み寄ってきた。

「……歩夢…」

歩夢「みんな…答えは同じだよ」

「…………」

歩夢「確かに、そんな出来事があったって…不思議な出来事だけど…でも、私たちの部長は峻くんだよ…それは絶対に変わらない」

「……歩夢…」

 

歩夢「……戻ってきて……くれ、る?」

「……あぁ、こんな俺で良ければ……戻らせてくれ」

我慢できずに涙を流した俺を、歩夢は優しく包み込んでくれた。

 

 

 

──────────────────────

 

 

【後日……】

 

「何だか、全部話したら…肩の荷が軽くなったよ」

歩夢「少しお疲れ気味だね……休む?」

 

「……ごめん、そうさせてもらうよ」

歩夢「はいっ、じゃあ膝枕っ♪」

「……あ、ありがとう…」

歩夢「もう、遠慮しなくていいからね?♪」

 

歩夢の膝を借りて……俺は目を瞑った。

 

歩夢「ねぇ、目を瞑ったまま……聞いてくれる?」

「……ん、どうしたの?」

 

歩夢「私ね……嬉しいし……とっても感謝してるのっ。

昔は心配しちゃうくらい弱々しくて……いっつも泣いてた峻くんが……かっこよくなってくれて、逆に私や他の子達を守ってくれるようになってくれて……私ね?峻くんって髪の毛目のところまで隠さない方がかっこいいのになーってずっと思ってたんだよ?」

「……そう言って貰えると……救われるよ」

 

歩夢「それに……スクールアイドルとして峻くんと一緒に歩めた事が嬉しいの

いつか、峻くんと一緒に何かしたいなって……思ってたから」

「……歩夢……」

 

歩夢「……だから、お礼を言わせて?

……峻くんの中にいた…男の子に」

「……中にって…」

 

歩夢「見た目は峻くんでも……心は違う男の子なんだよね?

一言でいいの……お礼が言いたいの

こんなにも毎日が楽しくて…峻くんとの思い出が増えていった……これまでの事を」

「……悠だ…冴木 悠……それが俺の名前」

 

歩夢「……悠くん……か

ありがとうねっ、悠くん!」

目を瞑ってても分かる…きっと、今の歩夢は弾けるような笑顔を浮かべている、と。

 

「……じゃあ、俺からも……いいかな」

歩夢「……?」

 

「好きだ、歩夢」

歩夢「……え…っ?」

 

「こんなこと言っちゃ……ダメ、だったかな…?」

歩夢「……ううん…すっごく…嬉しい…!」

頬に何か落ちる感覚がした。

それは暖かく…何度も頬を打ちつけた。

 

「色々迷惑かけちゃうけど……隣にいて欲しい」

歩夢「うん……うんっ……!!」

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

【数年後……】

 

 

歩夢「峻くんっ、起きて~?」

「……まだ6時半じゃん……休みなのに…」

 

歩夢「もう、自分から言い出したのに…そこは前から変わらないね、ふふっ♪」

「……起きないからって頬を突っつくのはやめてくれ…」

歩夢「起きるまでやめませーん♪」

 

 

高校を卒業してから、俺と歩夢は実家の近くで同棲を始めた。

過去の事は変えられない……が、歩夢は気にせず接してくれる。

 

歩夢「でも、本当に見に行くの……式場……///」

「気が早かったか?」

歩夢「うぅん、そうじゃなくて……!!///

なんだか、実感がわかなくて……夢なんじゃないかなって…///」

「夢であってたまるか、せっかく歩夢とこうして過ごしていられるのに」

 

歩夢「うん……そう、だよね…///」

「ほら、朝ごはん行くよ?」

 

キスをすると、歩夢が名残惜しそうに腕を掴んできた。

 

歩夢「……もう、少し…///」

「……はいはい、遅くならない程度にな」

2人の愛を確かめ合うように……俺と歩夢は口付けを交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(峻……約束通り、歩夢の事は絶対に幸せにするからな

お前が見たかった景色を……俺はこれからと守り続けるよ)

 

 

1人、心に揺るがぬ想いを誓う俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NEXT Rainbow!!

Fin




悠が目覚めたAqoursな日々を書き終わった後
NEXT Rainbow!!の方はどうすればいいのか
実を言うと結構迷ってました。

どの流れが1番平和になるのか
色んな考えや構想があるかと思いますが
作者としてはこれでいいのかなと思っています。

これでこの作品は本当の本当に終わりです。
長きに渡り、お読み頂き本当にありがとうございます。
心からお礼を申し上げます。

A×K


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