暁と天帝で00世界を駆ける。《完結》 (どこかのシャルロッ党)
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その名はアカツキ

 

西暦2307年―――突如として現れた私設武装組織ソレスタルビーイング。MSガンダムによる武力介入を宣言。世界のあらゆる内乱や戦争などの武力紛争に武力をもって介入し戦争根絶を目指す組織。そのソレスタルビーイングが所有するMSガンダムはユニオン・人革連・AEUの従来のMSを遥かに越える性能を有し、ガンダムは徐々にその高い性能を3大陣営に見せつけた。しかし武力介入をしながらもその最中に、人命救助を行うなど矛盾した行動を取る彼等に世界は混乱する―――――

 

 

そんな最中、彼等とは別にガンダムを所有する"チーム・トリニティ"が現れる。トリニティはソレスタルビーイングのガンダムマイスターズ達とは違い、民間人を巻き添えにしてまでの過激な武力介入が日に増してゆき、やがて市民達の増悪がソレスタルビーイングに向けられる。だが―――ソレスタルビーイングやチーム・トリニティとは別に、新たなガンダムが姿を現す。

 

 

「全武装正常、システムオールグリーン――――"アカツキ"出る!」

 

 

 

何処かの施設。カタパルトが開いてゆき金色の装甲を持ち、ガンダム特有の顔を持つ機体"ORB-01 アカツキ"。繋がれていたケーブルを次々とパージしてゆきアカツキを操る青年は機体を発進させる。大気圏内航空戦闘装備のオオワシを装着し、アカツキは空高く舞い上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤い粒子を撒き散らすガンダム3機――――チーム・トリニティは次の任務の為に上空を駆けていた。

 

『ラグナから次のミッションが入った。次の目標ポイントに向かう』

 

『あぁ!?またかよ』

 

「やだー!ここのところ、働らいてばっかりじゃない!」

 

 

次の任務の為に目的地へ向かうトリニティ。だがガンダムスローネドライのパイロットのネーナは最近休めずに疲れていた。兄であるヨハンの通信が切れ、ネーナは駄々をこねる。だがネーナはあるものを視界に捉え、モニターを拡大する。

 

 

「なぁにそれ!?こっちは必死でお仕事やってんのに、呑気に遊んじゃってさ!アンタ等分かってないでしょ?世界は変わろうとしてるんだよ?」

 

 

ネーナが操るスローネドライがパーティーが行われている会場に近付く。会場にいた人々が不安に駆られ、その中にいた"ルイス・ハレヴィ"もまた突然のガンダムに驚く。

 

 

「―――――死んじゃえばいいよ☆」

 

 

 

GNハンドガンを向けるドライ―――――しかし、本来ならば存在しない"金色の機体"がドライの前に現れる。

 

「な、なに!?」

 

『―――ソレスタルビーイング・・・いや、チーム・トリニティだな』

 

「くっ!?」

 

「ネーナ!」

 

「(あれはガンダム・・・なのか?)」

 

 

 

会場を庇うように現れた金色の機体――――アカツキは双型ビームサーベルを構える。対するスローネアイン・ツヴァイ・ドライはアカツキに警戒を強める。

 

 

 

「ヒロト・カザネ・・・アカツキ、対象を撃退する。さて・・・修行の成果試させてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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対チームトリニティ

「関係のない民間人を襲うことが、戦争根絶に繋がるのか!」

 

『ミハエル!』

 

『ちぃ!?』

 

アカツキはスローネツヴァイにぶつかり、そのままツヴァイやドライ・アインを会場から遠ざける。しかしミハエルは黙ってはいなかった。

 

 

『なんだよテメーは!行けよ、ファング!』

 

 

ツヴァイからファングが放たれ、アカツキに一斉に飛来――――しかしアカツキは双刀型ビームサーベルで迫り来るファングを撃破し、残りのファングには72D5式 ビームライフル"ヒャクライ"で対抗する。

 

 

『あれもガンダムなのか』

 

『けど、GN粒子は発してない!』

 

『・・・見過ごす訳にはいかんか・・・ネーナ』

 

『了解☆』

 

「させるとでも思ったか!」

 

ツヴァイに対してシールドを投げつけ、すぐさまビームライフルを射つ。するとシールドに当たったはずのビームは反射してアインとドライに向かう。そしてすぐにシールドを回収したアカツキはドライから放たれるビームをそのまま弾く。

 

『ビームが反射しただと!?』

 

『嘘!』

 

『ち・・・舐めるなァ!!』

 

 

ツヴァイがバスターソードを振り回す。しかしアカツキは紙一重で交わす。やがて3機はアカツキを包囲し集中砲火を開始する。だがビームをいくら発射してもビームを弾くアカツキに次第に苦戦を強いられるチーム・トリニティ。

 

 

「(なるほど・・・ヤタノカガミはちゃんと作動してるみたいだな)」

 

『くっ!ネーナ、ミハエルドッキングだ!』

 

『今がチャンスね!』

 

『は、消し炭にしてやるぜ!』

 

 

アカツキの動きが止まったことを確認し、スローネアインはGNランチャーを展開してドライ・ツヴァイから粒子供給を受け、GNメガランチャーを発射―――――これを受ければひとたまりもない強力なビーム砲だがアカツキはそのまま装甲でビームを弾いてゆく。

 

 

『バカな・・・メガランチャーまでもが・・・効かないというのか・・・』

 

『どうなってんだよ兄貴!?』

 

『ムカつく・・・ムカつくムカつくムカつく!!!』

 

 

ドライがGNハンドガンを乱射する。アカツキはバレルロールしながら3機に近付く。

 

 

「・・・お前達のやっていることは間違いだ。そうなる前に俺が片付けるだけだ!」

 

 

アカツキはオオワシの73F式改高エネルギービーム焔を発射する。この世界のガンダムやMSに対してより一層威力が向上したビーム焔はドライの腕の装甲を焼き尽くす。

 

 

『キャアアアア!?』

 

『ネーナ!』

 

『ここはひとまず撤退する!』

 

『はあ!?けど兄貴『反論は聞かん!』ッ!』

 

 

スローネ達はそのままアカツキがいる戦闘区域から離脱してゆく。アカツキのコクピットで青年は一息付いて会場の方を見た。

 

 

「大丈夫みたい・・・だな。さあて、帰ったらご飯でも食べようかな」

 

 

 

モニターを拡大し会場が無事なのを確認すると区域から離脱する。やがて翌日会場を救ったのは金色のガンダム!?というニュースが世界中を駆け巡ったのは言う間でもない。

 

 

 

 

 

 

 




ひとまずルイスが家族諸々助かりますた。


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対GN-X

ヒロト・カザネ――――のらりくらり自分の平和の為に戦う青年はこの世界の住人ではない。彼はよく二次小説でありがちな神様転生を受けた者で、ヒロトは相棒であるアカツキと共にこの世界へ転生を果たした。

 

 

「はぁ・・・疲れた・・・けど、あのトリニティ達を退けることが出来たし大丈夫だろ」

 

 

トリニティとの戦闘から数日。ヒロトは気ままに上空を飛行していた―――そして、テロや内戦に苦しむ人々を影から救い今日もアカツキと共に空を駆ける。機体の操縦やシステムを完全に把握しつつあった――――

 

 

「ん・・・何か来る・・・そう言えばこのタイミングって・・・」

 

 

アカツキの後方。赤い粒子を散布する機体10機が接近していた。そう、スローネと同じ擬似太陽炉を搭載した量産型MS「GN-X」がアカツキに迫りつつあり、ヒロトは機体を加速させる。

 

『中佐、あの機体は!』

 

『最近噂に聞くガンダムか。ソレスタルビーイングのガンダムであることに変わりはない。各機、ガンダムを包囲し追撃行動に入れ!』

 

 

『『『『了解!』』』』

 

 

「ジンクスって事は・・・指揮官はロシアの荒熊か!?面倒な時に!」

 

 

セルゲイ・スミルノフ率いる人革連の特殊部隊「頂高」操るジンクスが次々とアカツキに迫る。中でも"ソーマ・ピーリス"のジンクスが一足早くアカツキに対してGNビームライフルを射つ。

 

「そう簡単には!」

 

『なに!?ビームを弾いた!?ならば!』

 

「ジンクスめ・・・ビームサーベルは、こう使う!」

 

ソーマ機がGNビームサーベルを抜く。しかしアカツキは双刀型ビームサーベルを投げ放ち、メインカメラに突き刺す。そしてゼロ距離でビーム砲を放ち、ソーマ機の両腕を破壊する。

 

『ば、馬鹿な!』

 

「殺しはしない。くっ!」

 

 

複数のビームを弾き、ビームライフルを発泡するアカツキは戦闘区域から離脱しようとした。だが、そう簡単にはいかない。

 

『捕まえたぞ、ガンダム』

 

「ッ!」

 

セルゲイ機がアカツキの前に現れる。そして複数のジンクスがビームライフルを発泡するもののヤタノカガミによりビームを反射してゆく。

 

 

「邪魔だ!」

 

『がっ!蹴りを入れたというのか!?』

 

 

キラ譲りの蹴りをセルゲイのジンクスにお見舞いし、アカツキはジンクス部隊から離れてゆく。

 

 

『申し訳ありません、中佐・・・機体が・・・』

 

『いや、中尉が無事なら問題ない。しかしあの機体・・・本当にガンダムか?』

 

 

ガンダム特有の粒子は発しておらず、ビームすら弾く金色の装甲を持つガンダム擬きの機体にセルゲイは考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~、危ない危ない・・・さすがにロシアの荒熊と超兵の相手はきつい」

 

 

所有する隠れ家に到着し、機体を格納するとヒロトは自分の部屋にあるベッドに寝っ転がる。パイロットスーツを着用したまま眠りに入るヒロト――――しかしヒロトはまだ知らない。後にあの場面に出くわすことをこの時はまだ知るよしもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ORB-01 アカツキ

全高 18.74m

重量 69.6t
(オオワシ装備 87.82t)
(シラヌイ装備 90.00)

装甲素材 対ビーム防御・反射システム「ヤタノカガミ」

動力源 ハイパーデュートリオンエンジン

武装
MSM5D 12.5mm自動近接防御火器×2
73J2式試製双刀型ビームサーベル
72D5式 ビームライフル(ヒャクライ)
試製71式防盾

《大気圏航空戦闘用装備 オオワシ》

・73F式改高エネルギービーム砲

《宇宙戦闘装備 シラヌイ》

・M531R誘導機動ビーム砲搭×7


ヒロトが転生時に頼んだMS。原作より若干性能が向上しており、動力源はバッテリーではなくデスティニーやレジェンド等に搭載されているハイパーデュートリオンエンジンに変更され事実上半永久的に稼働が可能で、ヤタノカガミもGジェネ仕様となっており00世界でも使えるようになっている。更にこのアカツキは00世界のMS(一部覗く)と対等に戦えるように強化・及び改修してある。






ヒロト・カザネ(18)

容姿 ビルドダイバーズ リライズのヒロトそのまんま


突如として死んでしまい、神によりガンダム00の世界へ転生した。本来ならば戦わない道を選びたかったが、テロに巻き込まれて死んでは話にならないと考え敢えてMSパイロットとして戦うことを選ぶ。転生時に高度な空間認識能力を貰い、一応シラヌイ装備も操れる。


ネーナ・トリニティ


一応ヒロイン。後に綺麗になってゆく・・・多分。


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対スローネツヴァイ(サーシェス)

長らくの間すいませんでした。自分の知識不足で、何度か感想でご指摘頂きました"そもそもアカツキで00世界は無理ゲー"という件につきましては誠に申し訳ありません。これは僕の勉強不足でした、すいません。


アカツキ、更にプロヴィデンスに関しての設定に関しては変えるつもりです。取り敢えず鼻でもほじりながら見て頂けたら幸いです。


それはまさしく突然だった―――――ネーナ・トリニティは目の前の状況にただ困惑するしかなかった。傭兵の男"アリー・アル・サーシェス"によって兄と慕ってしていたミハエル・トリニティを殺され、今現在一番上の兄であるヨハン・トリニティがサーシェスによって奪取されたガンダムスローネツヴァイと交戦していた。だが・・・

 

 

『何故だ!?何故わたし達を!?』

 

 

『生け贄なんだとよ!』

 

『そんなことが!』

 

『同情するぜ!可哀想になァ!』

 

 

『わたし達は・・・ガンダムマイスターだっ!』

 

 

ヨハンの操るスローネアインはGNランチャーを連射するもサーシェスの操るスローネツヴァイは紙一重で交わしてゆく。そしてツヴァイはバスターソードを構えてヨハンのアインに近付く。

 

 

『この世界を変える為にィィィ!!!!』

 

『御託はァァ!!沢山なんだ・・・よォ!』

 

 

バスターソードがアインを斬る――――――そしてアインは空中で爆散する。擬似太陽炉独特の赤い粒子が散布される。

 

 

「ヨハン兄・・・そんなァ・・・イヤ・・・イヤァァァァ!!!!」

 

『GN粒子ってのは綺麗だなァァ!?そうだろ嬢ちゃん!!!』

 

「キャアァァァ!?」

 

 

悲しむ間もなく、スローネドライは地面へと叩き付けられ更にはツヴァイから放たれた赤い弾がスローネドライの腕や脚を破壊する。

 

 

『ご臨終だ・・・!』

 

「(イヤ・・・死にたく・・・ない・・・ヨハン兄・・・ミハ兄・・・)」

 

 

スローネツヴァイのバスターソードがドライの胴体を貫こうと迫る――――しかし、赤いビームがツヴァイの装甲に直撃する。

 

『な、なんだ!?』

 

「・・・あれは・・・金色の・・・ガンダム」

 

『ほう・・・まさか金ピカのガンダムに会えるとはなァ!!』

 

 

一方でアカツキのコクピットシートでヒロトは冷や汗が止まらなかった。数日前に匿名の者からの指示でスローネのパイロットを保護して欲しいというミッションがヒロトに届いた。何故か自分の存在が知られていることにヒロトは騒然としたが、そのミッションを達成すれば自分の秘密は守るという約束の元、ヒロトは仕方なく今回のミッションを受けた。

 

 

「アインはシグナルロスト、ツヴァイは奪取・・・パイロットはもちろん傭兵か」

 

『そのガンダムも、俺に寄越せよォ!えぇ!?』

 

 

バスターソードを振りかざし、アカツキに襲い掛かる―――対するヒロトはオオワシに装備された高エネルギービーム砲を放つ。だがツヴァイに直撃するものの至って無傷だ。

 

「ならば!」

 

『なに!?』

 

 

アカツキは蹴りをお見舞いし、ツヴァイはそのまま地面へ落下する。ヒロトは機体をスローネドライの元へ移動させてドライのパイロットであるネーナに通信を繋ぐ。

 

「無事か!」

 

『・・・!は、はい・・・』

 

「乗れ!」

 

『え・・・』

 

「早く乗れ!奴に殺されたいのか!?」

 

『・・・はい!』

 

 

ネーナは恐怖から我を忘れていたがヒロトの一喝により我に返り、急いでアカツキの掌に乗る。

 

 

『背後を見せたらしめーだろうが!』

 

「ちぃ!」

 

 

迫るツヴァイ・・・だが、タイミングよくガンダムエクシアが助けに入る。その後エクシアはツヴァイと交戦に入る。

 

 

「ふぅ・・・さてと」

 

 

コクピットハッチを開ける。掌に乗っていたネーナは一瞬身構えるがヒロトはヘルメットを取る。

 

「君達の保護を頼まれてね・・・他は?」

 

「・・・ヨハン兄と・・・ミハ兄は・・・殺されて・・・あたしも殺されてかけて・・・」

 

 

ヒロトは"そうか"とだけ告げる。やがて朝日が昇り、それと同時にエクシアは"トランザム"が発動し、ツヴァイを操るサーシェスを苦しめていた。

 

 

「ひとまずコクピットへ・・・」

 

「あんたは・・・一体・・・」

 

「いいからコクピットへ入れ。あまり長くいると面倒だ」

 

 

ネーナをコクピットに入れると、アカツキは空へ上がりそのままアジトへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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ネーナ・トリニティ

ヒロトはネーナを乗せたまま自分のアジトへ帰還し機体をハンガーへ移動させる。一方でネーナ・トリニティは目の前で二人の兄を失ったことで未だに暗い表情をしていた。無理もない、何せたった二人の家族を目の前で殺され、それを今から受け入れろと言われてもネーナには到底受け入れられないだろ。

 

 

「残念ながら、ネーナ・トリニティしか生存していない・・・報告は以上だ」

 

《そう。ご協力感謝致します》

 

「で、アンタは何者なんだ?トリニティを保護しろだなんて、

ソレスタルビーイングの関係者なのか?」

 

《―――ならば逆に聞きますが、貴方こそ何者ですの?》

 

 

音声通信で今回の依頼主にミッションの内容を伝えたヒロト・・・だが、自分の素性に対しての質問にヒロトはしばらく黙る。異世界から来たなど信じるはずもないと分かっている・・・

 

 

「俺は・・・ソレスタルビーイングでもなければ、ユニオン、AEU、人革連でもない。

俺は身近な平和を守る騎士・・・そうとだけ言っておく」

 

 

《あくまでシラを切りますか・・・まあいいですわ。ならば明後日に指定するポイントに来てください。そこで彼女の身柄を私達が保護します》

 

 

「・・・場所が宇宙なんだが?」

 

 

《シャトルはこちらで手配しておきます。MS3機を入れられる程のシャトルですので

MSも持参してもらっても構いません・・・では》

 

 

「最後に一つだけ・・・あんたはネーナ・トリニティをどうするつもりだ?」

 

 

 

通信相手にネーナのことを聞き出そうとしたが依頼主は強制的に通信を切る。ヒロトはため息をついてアカツキの隣にあるMSに視線を移す。そのもう1機のMSはヒロト自身頼んではいなかったがおまけで付いてきた機体がある・・・それはラウ・ル・クルーゼの機体である"ZGMF-X13A プロヴィデンスガンダム"だ。

 

 

「(コイツも動かしてみたいし・・・なら明後日はプロヴィデンスを使うとするか)」

 

 

格納庫から出てリビングへ―――――そこには先程保護したネーナがテレビを見ていた。虚ろな表情で見ていたテレビの内容はソレスタルビーイングを倒すという特集だった。やがて場面は変わり、スローネツヴァイ・ドライ・アインが武力介入する映像が映し出される。

幼き子供を抱きしめた母親がドライの放ったビームにより子供ごと死ぬ場面やチーム・トリニティが引き起こした非道な武力介入が放映され、ネーナは身体の震えが止まらず、涙を流す。

 

「あたし・・・信じてた・・・」

 

「・・・・・・」

 

「ミハ兄やヨハ兄に言われて、ただ武力介入したはずなのに・・・あたし、平気で子供を殺してた・・・」

 

「君たちがやってきた武力介入は、民間人を巻き込んでいた。それは事実だ」

 

「・・・!」

 

「君たちチーム・トリニティの武力介入は、確かに世界を一つに纏めたのかもしれない・・・けど、君達はその手で子供すら殺したんだ」

 

 

「そんなはずじゃなかったの!?でも・・・でも!」

 

 

ようやくネーナは理解した・・・自分の身勝手な攻撃で子供の命すら手にかけていたことを。その中には三兄妹の子供達もいて、ネーナはテレビで改めて自分のやってきたことに悲しみを覚えた―――――そんなネーナにヒロトは

 

 

 

「・・・ネーナ・・・今から出かけるぞ」

 

「え・・・」

 

「早く来い・・・見せてやる。世界の現状を」

 

 

 

ネーナを再び引き連れて、ヒロトはアカツキへ搭乗する。

 

 

「見れば分かるものもある・・・ちゃんと掴まっておけよ」

 

「うん・・・」

 

 

ネーナを抱えながら、ヒロトは操縦桿を握りしめた。そしてアカツキは再び空高く飛翔してゆく。

 

 

 

 

 

 



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ネーナの心/天帝の目覚め

アカツキは国連軍に見つからないように飛行していた。そしてアカツキは目的地である場所に到着する。アカツキから降りたヒロトは機体を隠してネーナと孤児院へ向かった。

ここの孤児院はテロや戦争などによって親を失って身寄りのない子供達がいる・・・ヒロトはあることがキッカケでこの孤児院とは深い関わりを持つようになった。

 

「あ!ヒロトお兄ちゃん!」

 

「ヒロト兄だァ!」

 

「皆元気にしてたか?」

 

 

 

ヒロトを見た子供達は笑顔を浮かべて彼の元へ集まる。どうやら子供達から慕われているトはそれなりに人気がある。そんな中、一人の女の子がネーナに近付く。

 

 

「な、なによ・・・」

 

「お姉ちゃん・・・もしかして!ヒロト兄のかのじょ?」

 

「はぁ!?な、なに言ってんのよ!?あたしは・・・」

 

 

ネーナは否定しようとしたがヒロト以外の来客が珍しいこともあり子供達の興味はネーナに注がれる。子供達はネーナと遊びたがり、ネーナは仕方ないという感じで子供達に付き合う。

 

 

「あらヒロト君、いつも悪いわね」

 

「気にしないでくださいラーナさん」

 

「そういう訳にもいかないでしょ?・・・それより、あの女の子は

ヒロト君のフィアンセかしら?良ければ話を伺いたいわね」

 

「違いますよ。ちょっと色々ありましてね・・・」

 

 

 

ラーナと呼ばれた女性はこの孤児院で子供達の世話をしている。しかし人手は足りておらず、ヒロトは時々ここに来て手伝いをしているのだ。

 

 

「つ、つかれたー・・・はぁ・・・」

 

「お疲れさん。ほら」

 

「・・・あたし、パフェ食べたい・・・」

 

「無理言うなよ。ほら、メロンソーダ・・・いらないなら飲むぞ」

 

「・・・うぅ・・・」

 

 

ネーナは渋々ジュースを受け取る。そして作業を終えたヒロトは空を見上げながらコーラを口に運ぶ。

 

 

「ねぇ・・・あんた、なんで『これが俺の戦う理由だ』え?」

 

「―――ここにいる子供達は親がいない。けど、それでも・・・この子達は生きてる。

例えこんなクソみたいな世界でも、この子達は生きてる・・・だから俺は戦う・・・」

 

「・・・・・・」

 

「ソレスタルビーイングや国連軍だろうが関係ない・・・俺は、この子達の為なら

悪魔でも鬼でもなってやる・・・降り注ぐ災いをこの手で止めることができるなら」

 

 

 

ヒロトの戦う理由はそこで生きる子供達の為。ネーナはヒロトの戦う理由を聞き自身が前に行ってきた武力介入を思い出す。"戦争根絶"の為に武力による介入で戦いを終わらせる・・・しかし自分達はどうだろうか・・・武力介入と言いながらも、無関係な人間を殺してしまっている。思えばいつぞやに出会った"刹那・F・セイエイ"含むトレミーのガンダムマイスター達は民間人を巻き込まずに、狙いを一通り定めて武力介入をしていた。

 

 

「あたしは・・・あたし達は間違ってたんだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・最低・・・今のあたし・・・全然・・・」

 

「・・・・・」

 

 

再び涙を流すネーナにそっと寄り添う――――――やがてヒロトは泣き疲れたネーナを抱えてアジトへ帰投する。そして2日後・・・依頼主が手配したシャトルに"プロヴィデンス"を格納し、ネーナと共にシャトルへ入る。

 

 

「あたし、これからどうなるんだろ・・・ヒロトは・・・一緒に来てくれないの?」

 

「俺は部外者だからな・・・ソレスタルビーイングとは関係ないから」

 

「そう・・・」

 

 

ネーナは窓の景色に視線を移した。ヒロトはネーナを残してプロヴィデンスのコックピットシートに座り機体を起動させていた。

 

 

「(もしもの事を備えて・・・)」

 

 

ツインアイが灯り、天帝の名を持つガンダムが今目覚める―――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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プロヴィデンスガンダム

 

シャトルにはシラヌイを装備したアカツキと、試運転の為に一応持参したプロヴィデンス・・・更にはオオワシパックも積んでいた。宇宙へと出たシャトルは目的地である宙域を目指す。

 

 

「ねぇヒロト」

 

「なんだ?」

 

「このガンダムはなんなの?あたし達のスローネや刹那達のガンダムも少し違うみたいだけど」

 

「・・・ソレスタルビーイングのガンダムと俺のアカツキとプロヴィデンスはまず設計から違うんだ。もちろん動力源だって違う」

 

「GNドライブで動いてるんじゃないの?」

 

「プロヴィデンスやアカツキに関しては核エンジンなんだ」

 

「かく・・・えんじん?なにそれ」

 

「・・・そこから話さんと駄目か」

 

 

ネーナは暇を持て余して機体を整備していたヒロトに話し掛けていた。何も気にせず話してくるネーナに最初は戸惑いつつも、ヒロトは少し安心していた。前までは目の前で家族を失い笑顔すら失っていたネーナだが今は少しだけ笑うようになっていた・・・一息つこうとしたその時、敵接近を知らせるアラートが鳴る。

 

 

「何事だ・・・?」

 

 

ヒロトはシャトルの操縦室へ。前方にこちらに向かって来るであろう3機のジンクスが赤い粒子を散布しながら近づいていた。

 

 

『そこのシャトル、すみやかに停止しろ。繰り返す、すみやかに停止しろ』

 

「(まさか・・・国連軍か)」

 

 

本格的に打倒ソレスタルビーイングに動き出した国連軍は既に宇宙へと上がっていた・・・ヒロトは迷うものの、今ここでガンダムを見られたら確実に捕まる可能性がある。急いで機体の方へ向かう。

 

 

「ヒロト!?」

 

「ネーナ、お前は念の為にアカツキに乗ってろ!」

 

「!・・・いきなりどうしたの!?」

 

「敵だ。今ここで捕まる訳にはいかんだろ」

 

 

プロヴィデンスへ乗り込む。シャトルの内側からユーディキウム・ビームライフルを放ち外へ。

 

 

『が、ガンダムか!?』

 

『だがあんな機体、見たことないぞ!』

 

『関係ない!ガンダムならば我々の敵さ!ゆくぞ!』

 

「悪いが、ここで捕まる訳にはいかないのでね」

 

 

ヒロトは意識を集中させる――――プロヴィデンスの背部にあるドラグーン・プラットホームから幾つものドラグーンが射出される。3機のジンクスはビームの雨を交わしてゆくがプロヴィデンスのドラグーンには計43門のビーム砲が備わっており、それ等は大型・小型の端末約11基、総砲門数43門のビームポッドなど到底交わし切れない。

 

 

「粒子によって強化されているかもしれんが、だが!」

 

 

11基のドラグーンが一斉に1機のジンクスを狙う。一ヶ所に集中砲撃し、ジンクスはメインカメラや腕、脚を破壊される。やがて11基のドラグーンは残りの2機にも砲撃する。ジンクスはGNビームライフルを放つが、素早い速さで動くドラグーンを撃墜出来ない。

 

 

『なんだよありゃ!?』

 

『な、なに!うわあああああ!?』

 

『グランク一特務!?貴様ァァ!』

 

「命まで奪おうとは思わん。残りの奴を連れて逃げろ」

 

 

プロヴィデンスは中破したシャトルに残ったアカツキとオオワシを回収してそのまま宙域を去る――――しかし、先程の光景を一人終始見ていた人物がいた。

 

 

「僕の知らないガンダム・・・厄介だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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強襲 偽トリニティVSアカツキ・プロヴィデンス 1

 

 

ネーナを依頼主に引き渡す為に追っ手を退けながらも指定された宙域へやって来たヒロトとネーナ。しかし指定された宙域には国連軍のMSジンクスが幾つも待機していた。ヒロトはネーナを守りながら宙域から離脱する―――――最大規模で展開されたガンダム殲滅作戦によりソレスタルビーイングは壊滅し、それにより世界は急加速で一つになる。

 

 

 

西暦2308年。壊滅作戦でヒロトもネーナと共に巻き添えになりながらもなんとか生きていた。あれ以来ネーナの保護に関する連絡は途絶え、今は取り敢えずネーナと共にいる。ネーナ自身もヒロトの影響で徐々に変わっていた。サイドアップにした髪型をやめ、ストレートヘアにし、服装も年頃の女の子みたいにゆるふわな服を着こなしていた。

 

 

「ヒロト兄!はい、あーん」

 

「ネーナ、恥ずかしいだろ・・・」

 

「もう、ヒロト兄ってば照れ屋さんなんだから☆」

 

「ぐっ・・・だ、大体呑気にパフェ食ってる訳にもいかないんだぞ?」

 

「分かってる!」

 

 

あれ以来すっかりヒロトに懐いたネーナはヒロト兄と慕い、ヒロトもまたネーナに対してなんだかんだ言いながらも愛情を注いでいる。

 

 

「ヒロト兄!それじゃ、行こう!」

 

「ちょ!?引っ張るな!」

 

 

ヒロトはネーナと共に身を隠す為にジャンク屋を始めていた。宇宙へ上がり、高価で買い取ってくれるMSのパーツや他を回収しそれを売るを繰り返している。MS輸送用シャトルに乗り込み、宇宙へ上がる。

 

「ふふーん!」

 

「ネーナ・・・む、胸が当たっ『当ててるの』あのなァ・・・」

 

「もしかして・・・ネーナに欲情しちゃった?」

 

「!?・・・なわけない!いいから、運転に集中してろ」

 

 

ネーナのけしからんおっぱいの感触が腕に伝わる。クールを装いながらネーナを退かすヒロトは運転に集中する。やがて宇宙へ出て、ヒロトはパイロットスーツに着替えて機体へ搭乗。

 

 

《ヒロト兄、あたしはどうすればいいの?》

 

「留守番を頼む。もしもの時は頼むぞ」

 

《・・・OK!じゃあ、ハッチ開けるね!》

 

「了解だ・・・ヒロト・カザネ、アドヴァンスドジンクス発進する!」

 

 

 

ヒロト操るアドヴァンスドジンクスはデブリ帯の方へ進んでゆく。そこにはかつてガンダム殲滅作戦により、破壊されたジンクスなどのパーツが漂っている・・・ジンクスの装甲などは高価で売れる代物であり、ヒロトはそれを回収しようと機体を近付けさせる。

 

 

「さあて・・・。ッ!?」

 

アドヴァンスドジンクス(以降はAジンクス)が手を伸ばす――――しかし、何かを察知したヒロトは機体を反転。すると赤い粒子ビームがAジンクスの前を通過する。

 

 

「(今の粒子ビームは・・・!)」

 

 

―――PPPPPP

 

 

「(敵!?何か来る・・・これは!?)」

 

 

Aジンクスに近付く2つの機影――――その機体にヒロトは見覚えがあった。それはスローネアインとスローネツヴァイだ・・・しかし2機共黒くペイントされており、更には"違和感"を感じたヒロトは警戒する。

 

『殲滅する。ミハエル、応戦しろ』

 

『はん、了解だぜ・・・いけよォォォォォ!!ファング!!』

 

「なんだと!?ちぃ!」

 

黒いツヴァイからファングが放たれ、Aジンクスはビームサーベルを抜く。

 

 

『マスターの命令だ。イレギュラーな貴様には消えてもらう』

 

 

黒いアインがビームサーベルを抜き、Aジンクスに襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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強襲 偽トリニティ対アカツキ・プロヴィデンス 2」

 

 

「―――!ヒロト兄・・・!」

 

ネーナは咄嗟に席から立ち上がる。ヒロトに危機が迫っていることを察知するとすぐに格納室へ向かう。そしてヒロトから譲り受けたZGMF-X13A プロヴィデンスへ乗り込み機体を起動させる。

 

「(ヒロト兄・・・無事でいて!)」

 

 

その頃・・・ヒロトは黒いツヴァイとアインと交戦していた。更にパイロットはアリー・アル・サーシェスによって殺されたはずのヨハン・トリニティとミハエル・トリニティだ。だが何故二人がいるのか・・・ヒロトは様々な思考を巡らせる。一応00に関しては熟知しているし、前世では外伝漫画も読んでいるくらいに知識は豊富だ。

 

 

だが、この黒いスローネアインとツヴァイと死んだはずのパイロットに関してはヒロトも予想外なことだ。様々な考えにより、ヒロトはある答えを導き出す。

 

 

「まさか・・・イノベイド!?」

 

『よそ見とは呑気だなァァ!?』

 

「ちぃ!?」

 

 

ミハエルの駆るツヴァイがバスターソードを振りかざす。Aジンクスの腕が破壊され、アインがとどめと言わんばかりにビームサーベルを振り下ろす。だが・・・

 

 

「ヒロト兄ィィィィ!!!!」

 

「ッ!?プロヴィデンス!?ネーナか!」

 

 

ネーナの駆るプロヴィデンスがドラグーンを放つ。二機のスローネが回避し、プロヴィデンスは半壊したAジンクスに近づく。

 

「ヒロト兄!大丈夫!?」

 

《心配ない。気を付けろネーナ・・・アイツ等は》

 

「アイツ等?・・・にいにいずの機体・・・!?」

 

《だが!》

 

「―――――分かってる。にいにいずはもういない。ヒロト兄は早くアカツキを!

ここはあたしが食い止めてあげるから、ね?」

 

《・・・分かった。すぐに戻る・・・だから無事でいろよネーナ!》

 

 

 

Aジンクスが宙域から離脱する。ネーナ操るプロヴィデンスは黒いスローネアイン・スローネツヴァイの方へ振り向く。警戒するネーナ・・・そんな中、黒いスローネアインから通信が届く。

 

《ネーナ、無事だったのだな。さあお前もわたし達と共に来い》

 

《へへ、お兄ちゃん達がいればお前はもう安心だぜ?》

 

「・・・・・・」

 

近づくスローネ達。だがネーナは機体を動かし、ユーディキウム・ビームライフルを発泡。そしてドラグーンを放つプロヴィデンスはスローネ達に集中砲火を仕掛ける。

 

「どれだけ姿や声が似ていても、所詮は偽物。大体、ミハ兄やヨハ兄は

あたしのことを"お前"呼ばわりしないわ・・・」

 

《くっ!?》

 

《くっそ!いけよ、ファン・・・何!?》

 

「あたしもみっちり仕込まれたんだよね、ドラグーンの操作。だから・・・」

 

 

《――――だから何さ?取り敢えず死んじゃいなよッ!》

 

 

「!?・・・スローネ・・・ドライ・・・!」

 

 

プロヴィデンスとスローネ達の間に割って入って来た機体・・・それはかつて自分の愛機であったスローネドライ。しかも黒くペイントされ、パイロットの声もよく知るものだ。それはそうだ・・・何せ"自分自身"の声なのだから。

 

 

《あたしね、あんたを殺して本物になるの。だから消えてよ☆》

 

 

「上等じゃないの・・・」

 

 

 

 

 

 



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翼は夢、そして空へ

 

「キャアァァァァ!?」

 

『あっははははは!!死んじゃえばいいよ!!』

 

「全く・・・女の子のくせに、乱暴ね。まあ、"あたし自身"だから言っても仕方ないか」

 

 

ネーナの操るプロヴィデンスは黒いスローネ達に包囲されていた。ネーナが警戒する中で黒いスローネドライを操る偽ネーナが襲い掛かる。だが・・・プロヴィデンスは、それを避けると複合防盾からビームサーベルを出すと、そのままコクピットを貫く。

 

『え―――』

 

 

驚く間もなく黒いスローネドライは爆散し、偽ネーナも炎に包まれて死んだ。爆発した擬似太陽炉の赤い粒子が宙域に舞うなかで黒いスローネツヴァイが動き出す。

 

『よくもネーナをォォォ!!いけよォ!ファン・・・がッ!?』

 

『ミハエル!・・・あれは!?』

 

「!・・・ヒロト兄!」

 

 

ツヴァイが蹴り飛ばされ付近に漂う鉄にぶつかる――――黒いスローネアインの先には黄金のMS"アカツキ"がいた。シラヌイパックからドラグーンが放たれ、プロヴィデンスのドラグーンもそれに続く。

 

 

『ミハエル!』

 

『くそったれがァァ!!』

 

 

 

ドラグーンのビームが二機を追い詰める。アカツキとプロヴィデンスは息の合ったコンビネーションで黒いスローネ達を追い詰める。やがてビームの雨が二機の装甲を貫き、腕、脚、武装などを破壊する。

 

『バカな!?我々は・・・!』

 

「所詮は作り物・・・操り人形であるお前等に用はない」

 

 

―――アカツキが双刀型ビームサーベルを抜く。

 

 

『ちきしょう!ちきしょうがァァ!』

 

「さようなら・・・」

 

 

―――プロヴィデンスがドラグーンを向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

アカツキは双刀型ビームサーベルをふりかざし、スローネアインのメインカメラを斬る。そしてプロヴィデンスはハイマットフルバーストと言わんばかりにツヴァイに向けて一斉砲火。

 

『何故だ・・・!ネーナ・トリニティは過去に色々な罪を作っているのだぞ!?なのに貴様は何故ネーナ・トリニティを・・・!』

 

「人間は変われる。ネーナはあの日から変わったんだ・・・それにな」

 

 

アカツキは双刀型ビームサーベルでアインのコクピットを貫く。

 

 

「守りたくなったんだ。ネーナをな」

 

 

 

アイン・ツヴァイ共に爆発し、辺りに敵はいない。ヒロトは機体をネーナのプロヴィデンスに近付けさせる。

 

 

「大丈夫か、ネーナ?」

 

「・・・・・あたし・・・ミハ兄を・・・でも・・・」

 

「・・・ネーナ」

 

 

いくら偽物といえどネーナにとっては精神面に影響をきたしていた。涙を流すネーナ・・・するとプロヴィデンスのコクピットハッチが開く。ヒロトはそっとネーナを抱き締める。

 

「よく頑張ったな、ネーナ」

 

「ッ!・・・うぅ・・・うわあァァァァァァン!!!!」

 

 

ネーナの泣き声が宙域に響く―――――――それから月日は流れ西暦2312年。独立治安維持部隊アロウズによる武力による虐殺がおこなわれていた。しかしそんな中で"ソレスタルビーイング"は復活した。このニュースはすぐに世界を駆け巡った。

 

 

「ねぇおかーしゃん!」

 

「あら、どうしたのリーナ?」

 

 

淡い赤い髪が特徴的な女の子は、既に第二子を身籠っている"ネーナ"のスカートの裾を引っ張る。リーナと呼ばれた女の子は片手にネーナが作ったアカツキのぬいぐるみを持っていた。"リーナ・カザネ"・・・あの偽スローネ襲撃戦後にネーナが身籠った第一子。今では二歳となり、言葉もなんとか喋れる。

 

 

「どうしておかーしゃんは、おとうしゃんのことを好きになったの?」

 

「いきなり何を言い出すかと思えば・・・まあ簡単な話が、ヒロトに一目惚れしたから」

 

「ひとめぼれ?」

 

「そう!それに・・・ヒロトはこんなどうしようもないあたしを大切にしてくれた。

優しくて、ちょっと不器用だけど・・・お母さんはそこに惚れたの」

 

 

 

窓の景色に視線を移す。上空には空を駆け巡る黄金のMS。ソレスタルビーイングとは違う行動で、ヒロトは今日も身近にある平和を守っていた。そして、アカツキは地上へ着地するとネーナとリーナを回収する。

 

 

「おとうしゃん!」

 

「元気にしてたか、リーナ」

 

「うん!」

 

「そうか。ネーナしばらくの間空けて悪かったな」

 

「全然大丈夫よ☆それより行きましょうか・・・アナタ」

 

「だな。リーナ、掴まってろよ」

 

「はーい!」

 

 

アカツキは雲を掻き分けて飛行する。向かう場所は何処かは分からない・・・何故なら、そこからは三人・・・いや、四人だけの物語なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




取り敢えず完。短い間でしたが、ありがとうございました。


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