蝶を守り抜く日輪 (是非)
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第壱話 しのぶの覚悟、炭治郎の覚悟

あの時、しのぶがカナヲに自身の命を持って上弦の弐を倒す策を聞かせた場面に炭治郎が居合わせた時の分岐点。

感想、評価、質問、誤字脱字報告お願いします。


産屋敷耀哉から手紙を受け取り、冨岡義勇の元に行き、四日間掛かったが、根気強く付きまとった事で漸く義勇から柱稽古に参加しない理由を、その原因となった過去を聞けた。その事で自分がとやかく言えることじゃない。

と思いつつ、だけどどうしても一つだけ聞きたいことがあった。

 

「義勇さんは錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか?」

 

その後に義勇がピクリともしなくなった事に、追いうちかけてしまったのかと考えていると途端に義勇から

 

「炭治郎。遅れてしまったが、俺も稽古に出よう。」

 

 

「……………!…本当ですか!! 義勇さん、ありがとうございます!!」

 

そう聞いた炭治郎は一瞬面食らうもすぐに嬉しくなり、そのまま炭治郎は元気よく頭を下げて言った。

 

 

その後に炭治郎は、柱稽古に出る前に胡蝶しのぶにも挨拶に行く事にした。

冨岡義勇が出る事と自分も柱稽古に出る事を伝える為に。

 

そしてしのぶの部屋に近づくと話し声が聞こえて来た。

 

「やはり良い頃合いだわ。私の姉、カナエを殺したその鬼の殺し方について話しておきましょう。」

 

 

それを聞いて盗み聞きする事に罪悪感を抱くも、内容の方が気になったため炭治郎は恐る恐る聞いてみる事にした。

 

 

「もし姉を殺した上弦の弐と巡り合い、私とカナヲの二人で戦うことが出来たなら、まず第一の条件として、私は鬼に喰われて死ななければなりません。」

 

(……………え?!)

 

聞いた炭治郎は耳を疑った。

 

その後も自分の命を懸ける根拠として、「上弦の弐は女を喰うことに異様な執着がある」という姉・胡蝶カナエの情報があった事。

身体能力が高く優秀な肉体を持つ「柱」、加えて「女」であればまず間違いなく喰うだろう、という推測を戦略に組み込み、自分の命を戦術の中に組み込む……。

 

そこまでしなければ勝てないという理由として、上弦の強さは少なくとも柱三人分の力に匹敵する。

 

更に1年以上、体内に藤の花の毒を摂取し続けることにより、自身の体全体、血液・内蔵・爪の先に至るまで高濃度の藤の花の毒が回っている状態を作り、全身を毒の塊にしていた事。

しのぶの刀で一度に打ち込める毒の量がおよそ五十ミリ。(50ミリリットルと仮定)

しのぶを喰らった場合の毒の量は、しのぶの全体重三十七キロ分。(37キログラムと仮定)

 

他の柱と協力して戦うとかではなく、しのぶとカナヲの二人だけでも上弦の弐を倒せるように、という戦略……。

しのぶの姉の仇討ちに自分自身の全てを懸けているその姿勢には炭治郎は、言葉を失った。

 

「仮に毒が効き始めたとしても油断なりません。

やはり確実なのは頸の切断。

必ず私が鬼を弱らせるから、カナヲが頸を切ってとどめを刺してね。」

 

その痛ましいまでの使命感と悲しげな言葉を言うしのぶの言葉に炭治郎は遂に我慢が出来ず身を乗り出した。

 

「ふざけないでください!!」

 

突然の大声にしのぶとカナヲがびっくりして見ていると

 

「炭治郎君……?」

 

「炭治郎……?」

 

と呆然としていたしのぶとカナヲに炭治郎は

 

「何で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

と怒鳴り散らすとしのぶが冷静に

 

「炭治郎君、これは私の姉である胡蝶カナエの仇の鬼を殺す為の唯一の方法なの。分かって 「分かりません!!」んな?!」

 

冷静に言うしのぶの言葉を炭治郎は遮った。

 

「ふざけるのもいい加減にしてください!!」

 

その言葉にしのぶは激怒する。自分は大真面目だ。一寸たりともふざけてなどいるものか。

 

「ふざけているのは、どっちなんですか!! 君には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

それを聞いた炭治郎は絶句する。

 

「ま、まさか!! あの時の夢を託すという話は、自分はもうすぐ死ぬから、後は頼んだという話だったんですか!!……………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()

 

「!!!」

その言葉に怒り狂ったしのぶが立ち上がって炭治郎の側まで近づいて炭治郎を睨みつけた。

 

「今何と?」

 

「聞こえなかったんですか!? 俺は引き継ぎません、頑張りませんと言ったんですよ!!」

 

「!!!」

 

途端にしのぶは炭治郎に平手打ちした。

それに驚いたカナヲが止めようとする。

 

「下がってくれ!! カナヲ!!」

 

炭治郎の言葉にカナヲは動けずにいると炭治郎は尚もしのぶを毅然とした態度で睨み返す。

 

「しのぶさん!! 貴方のそれはただの()()です!!」

 

「!!!」

 

その言葉にしのぶはもう一度炭治郎に平手打ちした。

 

()()……………ですって……………取り消しなさい!! 炭治郎君!!」

 

その言葉に炭治郎はむん! と毅然とした態度で言う。

 

「取り消しません!!」

 

そう言ってしのぶの勧告に断固として拒否した。

 

その後も

 

「取り消しなさい!!」

「取り消しません!!」

「取り消しなさい!!」

「取り消しません!!」

「取り消しなさい!!」

「取り消しません!!」

 

カナヲがオロオロとしている間にも炭治郎としのぶの口論は続いた。

 

そして、怒りが限界点に達したしのぶは、炭治郎に最後通告とも言える質問をする。

 

「……………どうしても、取り消す気はないと?」

 

炭治郎は尚もしのぶに毅然と大声で断言する。

 

「はいっ! 貴女は間違っています、絶対に取り消しません!!」

 

言い切るとしのぶは、ため息を吐いて炭治郎を睨み付ける。

 

「……………分かりました。いいでしょう!! だったら私について来なさい!…………………」

 

そう言うとしのぶは、部屋を出て行く。炭治郎は言われたようにしのぶに付いて行き、カナヲもまた困惑を隠せないまま二人の後を追った。

 

そこは炭治郎達が初めて機能回復訓練で使用した訓練場であった。訓練場にあった木刀をしのぶは二本持って、一本は炭治郎に投げ付けた。それを見た炭治郎はその木刀を受け取った。

炭治郎が木刀を受け取ったのを見て、しのぶは木刀を構える。

 

「来なさい!! 炭治郎君!! 言って分からないなら、力尽くでも取り消させてもらいます!!」

 

それを見た炭治郎も構えた。

「望むところです!! しのぶさん!!」

 

そして、炭治郎としのぶは向かい合い、次の瞬間!!

 

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

「だああああーーーーー!!」

「はああああーーーーー!!」

 

両者は激突した!!

 

 

 




原作でもう少し早ければこんな展開になっただろうと確信してこの話にしました。

ではまた次回はしのぶ対炭治郎!!
ご期待ください!!


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第弐話 竈門炭治郎 対 胡蝶しのぶ

本誌ではありえた展開でしたが、無かった展開ですのでこの物語ではありえた展開になりました。
本誌では、死んでしまうしのぶさんでしたが、この物語では、炭治郎が事前に知れたからこそ違う展開が見えてきます。

それでは、思いのぶつかり合いをどうぞ。



神崎アオイは、しのぶから仰せつかった通りに来る決戦の為に医療関係の事務仕事と医薬品の整理をしていた時に

 

「取り消しなさい!!」

「取り消しません!!」

と言う普段なら聞くはずのないいつも優しいしのぶと穏やかで素直な自分の思いを持ってくれると言った炭治郎の怒声と口論が聞こえた。

それに胸騒ぎを感じたアオイは、すぐにしのぶの部屋に向かって行くと、しのぶと炭治郎とカナヲが一緒に機能回復訓練で使用した訓練場に向かっているところだった。

 

騒ぎを聞きつけたなほ、すみ、きよも来ていたので四人で後をついていくとそこで

 

「な、何がどうなって?!」

 

神崎アオイは我が目を疑った、いつも仲良しそうに笑っている炭治郎としのぶが機能回復訓練で使用した訓練場で睨み合い木刀で本気の決闘を行っている事に………

 

水の呼吸 壱ノ型 水面斬り

 

両腕をクロスさせて首の後ろまで回し、勢いをつけて繰り出される横薙ぎの一撃。

しのぶはそれを見てすぐに頭を下げて、躱してすぐに炭治郎に木刀を向けて

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ(ちょうのまい たわむれ)

 

複数の練撃を放ち、炭治郎はそれに対し

 

ヒノカミ神楽 烈日紅鏡(れつじつこうきょう)

 

左右両方から斬りつける水平斬りでいくらか掠ったが、しのぶの攻撃を弾いた。

弾かれ間合いをとったしのぶは、内心炭治郎の成長に驚愕した。

 

(前に初めてあった時より前に此処で預かった直後よりも技が格段に練り上げられている!!

それに私の技を弾いた?!

凄い………炭治郎君……………君のその技はもう柱である私に届いて、いえ、私と渡り合っている!!

あの日、那田蜘蛛山で初めてあった君は、とても小さく、妹である鬼を庇っていてかわいそうだと思い優しい毒で殺してあげようと言ったらすぐに逃げ出すような、弱い子供だった。

柱合裁判では、

 

「妹は俺と一緒に戦えます!!

鬼殺隊として人を守るために戦えるんです!!」

 

あの時の言葉で姉の理想を叶えそうな人物に出会えたのだと、この人物ならきっと姉の望んでいた理想を実現できるだろうと思えたからこそ。

君ならば成し遂げてくれると確信できたから―――。

 

 

そんな彼に託せば悔いなく姉の元へ行けると思えた……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()())

しのぶは、歯軋りをして目の前の炭治郎を強く睨んだ。

 

(()()()()()()()()() ()()()()()()()()()

君は私の……何より()()()()()()()()()()()

挙句に上弦の弐を殺すために私の命を持って殺す策を、()()、と言った……………?!

ふざけないで!! ふざけないで!! ふざけないで!! ふざけないで!! ふざけるなーーーーー!!!!!)

 

しのぶは、憤怒を剥き出しにして渾身の突きを放とうと炭治郎に向かう。

 

 

 

一方の炭治郎は、先程の攻防で突き技をいくらか食らい、改めて蟲柱たる強さと速さを感じるしのぶに対して驚愕していた。

 

(予想よりもいや、予想を遥かに超えて強いし速い!!

刀鍛冶の里で、小鉄君と緑壱零式に鍛えてもらって、手に入れた''動作予知能力''が無かったら、しのぶさんの速すぎる突き技でとっくに倒されていた。

しのぶさん……………そこまで繊細で速い技を手に入れるために貴方がどれほどの血反吐を吐くほどに鍛えてきたかが、分かるような気がします。

俺は、貴方に憧れていた。

最初に会った時に禰豆子を殺そうとした時には、恐怖しました、それでも、柱合裁判の後に俺達を自分の屋敷に預かってくれて鍛えてくれた時には、嬉しかった。

それに俺が修行をしている時に俺に自分の夢を託したいと言った時に怒りの匂いの他にもありました。

でも、まだ屋敷に居たばかりの俺がそれを貴方に言うのは、失礼だと思い、自重しました。

だから、貴方と貴方のお姉さんの夢を話してくれて、そんな貴方が言ってくれたからこそ

 

''頑張ります''と応えたんです。

そうして、何度も何度もこのお屋敷で住まわせもらい、より貴方がどんな患者にも分け隔てなく接する貴方を見て、()()()()と思い頑張りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それなのに!!

あの''夢を託したい''というのが、自分はもうすぐに死ぬからという意味だったなんて!!

ふざけるな!!

上弦の弐を殺すために自分の命を代償ににするなんて……………

だからこそ、貴方を行かせる訳にはいかない!!)

 

しのぶの

 

蟲の呼吸 蜂牙ノ舞い 真靡き(ほうがのまい まなびき)

一瞬の間に間合いを詰めてきた突きが炭治郎に迫るもすぐに掠りながらも紙一重で避けた瞬間に隙をついて

 

ヒノカミ神楽 炎舞(えんぶ)

一刀目を避けられたが、ニ刀目は避けられずにしのぶに当たったものの木刀で防がれ後ろに飛んだ。

 

その後にしのぶと炭治郎は間合いをとって睨み合い炭治郎が、口を開き

 

「しのぶさん、貴方のふざけた策を、命を捨てる行動を止めます!!」

 

それを聞いたしのぶは更に顔を怒りで歪めて

 

「……………隙をついて攻撃が当たったくらいで調子に乗りすぎですよ。炭治郎君。」

 

 

そして、新たに炭治郎としのぶは、目を閉じて息を整えて

 

「倒させていただきます!! しのぶさん!!」

「倒されるのは、貴方です!! 炭治郎君!!」

 

 

 




本誌が悲惨な分この物語では、みんなが幸せになれるそんな物語を目指していますのでよろしくお願いします。


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第参話 日輪と共に在ることを選んだ蝶達

UA 2,743
お気に入り 37件
……………すげー!!
それと短編と書きましたが、思いの他長くなりましたので連載になります、どうぞよろしくお願いします。

前回の続きであり、炭治郎対しのぶとの決闘の決着です。
そして和解です。
感想、評価、質問、誤字脱字報告お願いします。


「うおおおおーーーーー!!!」

「だああああーーーーー!!!」

 

それぞれの攻防は続いていた。

そして、その最中に炭治郎が叫んでいた。

 

「そこまでしてっ! 自分の命を犠牲にしてまでっ! そんな方法は間違っていますっ! 貴方のお姉さんもそんなのは望んでない!!

他の人を頼って別の方法で復讐を成し遂げる方法を一緒に考えましょうっ! 微力ながら、俺も禰豆子もカナヲもしのぶさんの力になりますっ! 必ずお役に立ってみせますからっ!」

 

それを聞いたしのぶは怒りで顔を歪めて青筋を立てる。

 

「知った風な事を言うんじゃないわよー!! 何も知らない癖にっ!

姉さんの事を姉さんの笑顔の事を何も知らない癖にっ!!」

 

叫び返すしのぶに炭治郎も叫び返す。

 

「ならっ! 教えてくださいっ!」

 

炭治郎の言葉に触発されたしのぶは、血が滲むほどに唇を噛んで大声で生前のカナエについて語る?

 

「ええっ!! 良いわよ!!

カナエ姉さんはおしとやかで優しくてちょっと呑気なところもあるけど、気丈で意思の強い最高の姉さんで、普通なら五年かかる柱の地位を半年足らずで昇進してみせたっ!! 「歴代の女の柱の中でも最強」「鬼殺隊最強の女隊士」と言われてきたほどの姉さんなのっ!

あの頃の私は、姉さんには、たとえ十二鬼月の上弦だろうと倒せない鬼なんていないと思っていたわよっ!!

……………それが……………あんな形で……………なんてっ!!……………とつ……ぜんに、ゔっゔぐぅぅゔ、ゔああああーーーーーああああーーーーー!!!」

途端にしのぶは、木刀を落として泣き叫んでいた。あの時の、姉が惨殺された時のことを思い出したからだった。

それを見た炭治郎も涙を流してすぐに動きを止めて、アオイも涙を流して、両手を握りしめていた。カナヲは、心苦しそうに見つめていた。

その後にもしのぶは、泣きながらも木刀を持ち、炭治郎を睨みつけて嗚咽を混じりながらも続きを語る。

 

「いつも一緒にいてくれると……必ず帰ってくると約束した姉さんを……………私達と同じ思いを他の人にはさせないためにと誓った強いカナエ姉さんを……………私達から奪い、あんな地獄を味わわせた上弦の弐を……………私は絶対に許さないっ !!!」

 

自身の今までひた隠しにしていた憎悪を炭治郎に吐き出しにして更にしのぶは語る。

 

「それでも……………大切な姉さんが願ったことだから、私は一生懸命に探したわよっ!!

人と鬼が共にいられる未来をっ!!

頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!!頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!! 頑張ってっ!!……………それでも、どうやっても……………鬼はどうしようもなく嘘吐きで人をただの餌としか思ってないのよっ!!

非力な私じゃどうやっても鬼の頸は切れないっ !

私じゃ……仇を討てないっ!! だからこの方法しかなかったのよっ!!

この……方法しか………私は仇……を討てないっ!!

それに……………貴方なら姉の理想を……………私達の夢を叶えてくれると思ったからっ!!

それを貴方は裏切ったーーーーー!!」

 

そう大声で言い放ちながら木刀を向けてくるしのぶに炭治郎は、心臓が握り潰されたが如くに胸が苦しくなった。

それでもこのままじゃいけないと炭治郎は静かに涙を流してしのぶを諭す。

 

 

「……………しのぶさんがそのやり方にこだわる気持ちは分かりました、ですが、やはり俺は、そのやり方に賛同できません。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

しのぶは泣くのを止め、キッ!と炭治郎を睨み付けるが、炭治郎は微笑みながら話を続けた。

 

「それじゃ、しのぶさんが死んでしまいます。しのぶさんが死んだら、カナヲとアオイさん、なほちゃん、すみちゃん、きよちゃんといった蝶屋敷のみんなが悲しみます。」

 

炭治郎のその言葉にしのぶはハッとして周りを見渡す。そこには血の繋がりは無くとも、かけがえのない妹達がいた。

 

 

カナヲが辛い気持ちで見ている姿が、

アオイが涙を流して両手を握りしめている姿が、

なほ、きよ、すみが三人で涙を流して抱きしめ合う姿が、

そこにはあった。

 

 

呆然とした様子でいるしのぶに炭治郎は言う。

「しのぶさん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それをみんなにも味わわせるおつもりですか?!」

 

それを聞いたしのぶは泣きながら(うつむ)抗弁(こうべん)する。自分の決断は間違っていないと。

 

「それでも私が上弦を倒せば、この先……」

 

「それでもと言うなら、全力で来て下さいっ!! 俺が貴女の全てを受け止めますっ!!」

 

と言う言葉にしのぶは、能面の如く無表情になる。

 

「………るな…」

 

「?」

 

しのぶが声が小さかったので炭治郎は耳を傾けてくるとしのぶは怒り狂いながら立ち上がる。

 

「ふざけるなーーーーー!!!」

 

怒り狂ったしのぶが技を使ってくるのを見た炭治郎は受けて立つように向かい合う。

 

瞬間

 

蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞い 複眼六角(せいれいのまい ふくがんろっかく)

 

ヒノカミ神楽 灼骨炎陽(しゃっこつえんよう)

 

しのぶが一瞬の間に六連撃を放つに対し炭治郎は前方広範囲を炎が渦を巻くように斬りつけた。

そして両者がすれ違い様に負傷した。

 

「ぐはっ!!」

 

炭治郎は強烈な刺突撃を身体の六ヶ所に一度に喰らい、痛がるもそのまま立っていた。

 

「ぐっ!!」

一方しのぶは左肩を切られ膝をついていた。

 

「しのぶ様っ! 炭治郎さんっ!」

「師範っ! 炭治郎っ!」

「「「しのぶ様っ!! 炭治郎さんっ!!」」」

 

蝶屋敷の面々が心配して声を上げる。

 

「な、なんで?!」

 

しのぶが自身が斬られたことに動揺していると炭治郎その疑問に答える。

 

「何故、俺に斬られたのか?!

……………それはしのぶさん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ?!」

 

炭治郎が言うとしのぶは驚愕した。

 

「ふ、ふざけないで!! 私がそんな事を思うわけがないでしょうっ!!」

 

それに反論する様に叫ぶしのぶを炭治郎は冷静に諭す。

 

「貴方は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()

だから、本来なら当たらない俺の攻撃が貴方に当たったんだっ!!」

 

「!!!」

 

それを聞いたしのぶは、歯噛みする。炭治郎はそれを見ながらもはっきりと言い放つ。

 

「それじゃ、仇の鬼にっ! 上弦の弐を相手に手も足も出ませんよっ!!」

 

言われてしのぶは呆然としたが、直ぐに炭治郎を睨みつけながら反論する。

 

「私が勝てなくても、私が鬼に喰われた後に他の人に「死なないでくださいっ!」えっ!」

 

しのぶの言葉を遮ったのはアオイだった。

 

「しのぶ様っ! 私達にとっては貴方は恩人で家族ですっ! 死なないでくださいっ!!」

 

アオイの言葉を皮切りになほ、きよ、すみも一斉に声を張り上げる。

 

「嫌だっ! 死なないでっ!」

「大切な人が死ぬのは嫌ですっ!」

「お願いしますっ!」

 

「みんな……………」

 

しのぶはそれを呆然としながら聞いていると思いも寄らぬ声を聞く。

 

「師範っ!」

 

突然の声に顔を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには'涙を流しているカナヲ''が居た。

感情を出さないカナヲが、涙を流している今までにない姿を見てしのぶが驚く。しかしカナヲは泣きながら言った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それを見たしのぶの心は遂に……………………折れた。

木刀を落として、泣き崩れた。

 

「ゔゔぅぅぐぅ……………ゔあああっ、私は……それじゃ……どうすれば……いいのよっ!」

 

その悲痛な叫びを聞いて、訓練場は途端に空気が重くなった。

皆が何も言えない中で、炭治郎は木刀を落としてそのまましのぶの側に行き、抱きしめた。

 

突然の事で驚いているしのぶに炭治郎は抱きしめたまま優しく微笑み語る。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ゔ……ゔぅ……………ゔわあああああああーーーーー!! 炭治郎君っ!!」

 

そう言われたしのぶはそのまま、炭治郎の胸元に抱きついて泣き叫んだ。

 

それを見た蝶屋敷の

「しのぶ様あああーーっ!!」

「師範ーーーっ!!」

「「「しのぶ様ああーーー!!」

 

 

そうしてみんなで抱きしめ合って一日中みんなで泣いた。

 

ーーーーーー

 

その後に夕方になり、しのぶと炭治郎は縁側に居た。しのぶは頭を下げて

 

「ごめんなさい、炭治郎君。」

 

「いいえ俺の方こそ色々と失礼な事を言ってしまい申し訳ありませんでした。」

 

と頭を下げる炭治郎にしのぶはクスッと笑い、空を見上げて

 

「今はどうすればいいのか、まだわからないの。姉さんの夢のことも……………」

 

「分からないなら一緒に考えましょう!! 一人より二人、二人より三人で考えれば、より良い考えが浮かびますから!!

それと夢のことは今度は''託す''じゃなく''一緒に叶えましょう''!!」

 

炭治郎の言葉にしのぶは

 

「………炭治郎君、君はどうしてそんなに強く優しくいられるの?」

 

言われて炭治郎は微笑んで答えた。

 

「俺は長男ですから。」

 

と言う言葉にしのぶは、面食らうも炭治郎は続ける。

 

「俺も家族を惨殺されて、妹を鬼にされて、鬼殺隊に入ってからも大切な人が亡くなって心が折れていました。

……………それでもっ ! そんな俺を叱咤激励してくれる頼りになる仲間達みんなが居てくれる、多くの人が俺に思いを残して繋いでくれる。それだけでも俺は俺のままでいられるんです!!」

 

「炭治郎君らしいですね。」

 

と微笑むしのぶに炭治郎は顔を近づけて

 

「もちろん、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ?!」

 

驚いているしのぶに炭治郎は続ける。

 

「貴方が俺や禰豆子を信じてくれて、善逸や伊之助と共に蝶屋敷で迎えて鍛えてくれた、そしてここでの平穏な日々、それが俺達にとっては救いで大切なものなんです。」

 

言われたしのぶは、目から涙が出ていた。それを見た炭治郎は慌てふためく。

「あっ!! ごめんなさいっ! 気に障り「違うのっ!」 えっ?!」

 

慌てる炭治郎をしのぶは遮って

 

「……………うれしいのっ! とても嬉しくてっ!」

 

と言うしのぶに炭治郎は微笑み抱きしめ、気が付けば、しのぶの頭をそっと撫でていた。

 

抱きしめられ撫でられていたしのぶは、気持ちよくなり

「えへへ、もっと撫でてください。落ち着きます。」

「はい。」

そう言ってくれる炭治郎の顔を見て胸が熱くなり

 

ドクンッ

 

(ーーああ……胸が熱くなってる…………それに今……ドクンッて…そうか……私は……………ずっと前から……………炭治郎君の事を……………)

 

そうして、そのまま撫でられていた最中にしのぶは、自身の心の奥底から芽生えて花開いていた恋心の確かな存在感を認めると、心中に抱えていたものがストンと落ちて心身が軽くなったような気がした。

 

 

そして、しのぶは笑う。嬉しくて、楽しくて。

 

「……………ふふふ、本当に凄いですね。炭治郎君。嬉しい。」

 

「?」

 

と満面の笑みを浮かべるしのぶはキョトンとしていると炭治郎に言った。

 

「炭治郎君、私も貴方に何かしてあげたいです。言ってください。」

 

そう言うしのぶの頬を赤らめたそれを見て炭治郎も頬を赤くしてしのぶに言う。

 

「そ、それじゃ、しのぶさんがやりたい事を俺にお願いしますっ!」

 

「……………はい、分かりました!! そ、それじゃっ!」

 

炭治郎の言葉にしのぶは、そのまま炭治郎の顔を両手で優しく添えて炭治郎はキョトンとしているとそのまましのぶは、

 

 

 

炭治郎に口付けをした。炭治郎はそれを見て顔がボッと熱くなった。

 

「えっ?! えっ?!」

 

「炭治郎君、私は君が好きですっ!!」

 

しのぶも赤面のまま満面の笑みを炭治郎に向け、そのまま炭治郎に告白した。その笑顔は今まで見たどの笑顔よりも美しかった。

 

 

 

 

 

 

 

胡蝶しのぶは、無限城において姉を殺した仇敵の上弦の弐の童磨と健闘の末に敗れ、そのまま吸収されるが、自身を藤の花の猛毒と化して童磨を弱体化させて後から来た栗花落カナヲと嘴平伊之助の手で仇討ちを果たさせて死んだ後にあの世にて童磨を待ち、童磨に告白されたもののキレて笑って突っ張ってその後に姉の胡蝶カナエと共にしのぶが幼い少女に戻って両親に会いにいき、カナヲと伊之助は仇討ちを果たして、その嬉しさと悲しみに涙する。

 

それが彼女達の本来の運命だった

 

だが、本来この場にいなかった者、''竈門炭治郎''によって正史とは違う変化が起こった未来である世界線

 

今ここに彼女達の運命は変わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




年が明ける前に間に合った!!
この世界線ではしのぶは違う道を歩きました。

これからもこの物語をお願いします。


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第肆話 修羅場・蝶屋敷

明けましておめでとうございます。

評価バーがいつの間にか赤に‼️
しかもお気に入りが初の166に‼️
初日間ランキングになってる‼️

やっぱりみんな、胡蝶しのぶさん大好きなんですね!!

前回とは打って変わり、此処からはしのぶさんが恋心に目覚めたことで他の子達も動きます。
タグ追加します。

本誌では悲惨な分この物語では救済を‼️



いきなりの告白に炭治郎は呆然としていた。

 

「えっ?! しのぶさん?! 今、何て?!」

 

炭治郎の疑問にしのぶは笑顔で応えた。

 

「炭治郎君、私は君が好きです。」

 

炭治郎の困惑を余所に、しのぶは直ぐにその場を離れて笑顔で応えてからスッと歩き出した。

 

「……………さあっ! そろそろ夕食の時間ですよっ! 行きましょうかっ!」

 

炭治郎はそんなしのぶの様子を見て、匂いを嗅いですぐにしのぶの手を引いて引き留める。

 

「しのぶさん……どうしてまた隠そうとするんですか?」

 

真剣な表情を浮かべる炭治郎にしのぶは悲しげに笑い

 

「……………気づかれましたね。簡単ですよ。生きる決意はしましたけど、私には炭治郎君は勿体ないと思ったからですよ。」

 

「!!!」

 

炭治郎の疑問に応える様にしのぶは寂しそうに笑う。

 

「ほら、私よりも炭治郎君に相応しい子達、カナヲとアオイなら炭治郎君にはピッタリだと思うんです。

二人とも良い子達ですよっ!……………何より私はもう自分の子を抱けない……………」

 

そう自重するしのぶは続けて語る。

 

「私の中に蓄積された藤の花の毒は、かつて避妊薬であり堕胎薬としても用いていました。……………まぁ効能はともかく、つまり毒塗れの私は……………私は仇を討っても、この戦いに生き残れても、もう子供を産む事はきっと出来ない。何よりも毒に蝕まれた私は……………何時どんな風になってしまってもおかしくないのだから……………」

 

悲しげに、寂しそうに言うしのぶに炭治郎は、静かにしのぶに近づいてしのぶの目を見て両手で肩を掴む。

 

「勝手に諦めないでください!! しのぶさん、貴女の身体がどう言う状態でも生きていて欲しいっ! 俺が傍にいます!!」

 

「えっ?!?!」

 

炭治郎の言葉にしのぶは頬を染めて狼狽した。そして炭治郎はそのまましのぶに優しく笑いかけた。

 

「俺も貴方が「しのぶ様ーっ! 炭治郎さーんっ! ご飯ですよー!」って、えっ?!」

 

炭治郎の言葉をアオイの言葉により遮られ更に家の中からアオイが来ていた。炭治郎は思わず顔を赤くする。

 

「あっ! もうそんな経っていたんですね、しのぶさん……………!!」

 

炭治郎が見るとしのぶは笑顔だったが、よく見ると青筋を浮かべており更に怒りの匂いがしていた。

 

「……………炭治郎君、行きましょうかっ!」

 

「は、はい……………」

 

そうしてそのまま重い空気の中でアオイと共に屋敷の中に入った。

 

(……………しのぶさんからあんな重大な事を言われている時に俺は何を……………)

 

炭治郎は自分の迂闊な言動にしのぶが怒っていると思い落ち込んでいた。

 

一方のしのぶは憤慨して発狂寸前になっていた。

 

(後もう少しだったのにっ!!……………アオイっ! 本当に間の悪い事を!!)

 

しのぶは思わず原因となった美少女の背中を睨み付ける。睨み付けた視線の先には、髪の両横に青い蝶々の髪飾りをつけている、鬼殺隊と隊服の上から白衣を着ている一人の美少女のアオイが居た。

其処にはいつもの生真面目な顔でそのまま二人を食堂に案内した。

 

「……………しのぶ様、炭治郎さん、もう夕食ができましたので探しましたよ。」

 

「すいません、アオイさん。」

 

「……………ごめんなさいね、アオイ。」

 

それに炭治郎は少し落ち込んでから、しのぶは笑顔だが青筋を浮かべながら謝罪した。炭治郎はしのぶから嘘の匂いを嗅ぎ取る。事実、しのぶは心から謝罪などしていなかった。

 

返事した後に行く途中に炭治郎は、アオイの匂いを嗅いで一人で焦燥していた。

 

(アオイさんから悲しみと動揺の匂いがしているっ! もしかして昼間の事で俺としのぶさんの事を心配していた?!

……………確かにあんなことがあったら、恩人で家族でもあるしのぶさんを心配していてもおかしくないな。

俺も家族が突然死ぬかもしれないと思ったら……………)

 

炭治郎はアオイのことを気にかけなかったことに反省し、そして決意した。

 

(…………よしっ! 後で元気付けに行こうっ!)

 

炭治郎は、アオイが昼間の事で落ち込んで悲しんでいると思い、後でもう一度会いに行こうと決心したが、実のところアオイが落ち込んでいたのは、昼間の事もあるが、先程の炭治郎としのぶの話を聞いていたためだった。

 

(しのぶ様、まさかあんな事を考えていたなんて、炭治郎さんがいてくれなかったら……………本当に彼には感謝しきれない!! でも、あの時炭治郎さんは何を?! もしかして炭治郎さんもしのぶ様の事を……………

 

ズキンっ!

 

うっ! 胸が痛いっ!

それに私は何故いきなりあんな事を?!

……………何やってるんだろう、私……………)

 

その後に蝶屋敷でみんなと炭治郎とで夕食を迎えた後、炭治郎としのぶは昼間の決闘で傷ついた為に、柱稽古にはまだ行かずに数日間は蝶屋敷にて療養することになった。

炭治郎がそのまま柱稽古へ参加しようとして、しのぶ達に阻止されたためだ。

 

「大丈夫ですよ、これくらいっ!」

 

そう言って柱稽古に翌日向かおうとしたが、しのぶからは何時もの笑顔が消えており、激怒して青筋を浮かべていた。

 

「ダメに決まってます。私が貴方を怪我させてそのまま行かせるなんて、医者として柱として認められるわけないでしょう?!」

 

アオイも何時もの生真面目な顔を怒りの色で染めて炭治郎の柱稽古参加を阻止する。

 

「炭治郎さん、そんな身体で行かせるなんて、私達蝶屋敷の者に恥をかかすおつもりですか?! 私も責任を持ってお世話させて頂きますので此処にいて下さいねっ!」

 

「炭治郎っ! 行かないで、お願い!!」

 

カナヲも目を潤ませて炭治郎の手を自分の両手で包んで目をじっと見つめながら嘆願した。

 

なほ、すみ、きよも口々に炭治郎を蝶屋敷に留める為に説得する。

 

「行かないで下さいっっ!」

 

「怪我を治しますっ!」

 

「お世話します。」

 

みんなからの説得により炭治郎は「わ、分かりました。」と言いそのまま頷いた。炭治郎が蝶屋敷に留まる決意をした事に皆が安堵した後、しのぶが炭治郎に急接近した。あまりに唐突な行動に全員が反応に遅れた。

 

「炭治郎君、貴方にはご迷惑をおかけしました。それに……こんな怪我を負わせてしまった償いと、私に大事なものに気づかせてくれたお礼がしたいんです。」

 

しのぶは、自分が叩いてしまった炭治郎の左頬に手を添えて後に自身が傷つけた炭治郎の身体に抱き寄せた。

しのぶが炭治郎に言うとなほ、すみ、きよは興奮したように見ていたが、カナヲとアオイはそうは見なかった。

 

「師範、私も炭治郎にお礼したいです。」

 

「しのぶ様、殿方にあまり抱き付きすぎです。」

 

カナヲとアオイは炭治郎をしのぶから引き離すとしのぶはむくれたが、そのまま夕食を再開させて、みんなで楽しんだ。

 

ーーーーー

 

そして時間は真夜中になり、就寝時刻になったアオイの自室にて、アオイは未だに先程の事で落ち込んでいた。

 

「私、何やってるんだろう? さっきも炭治郎さんとしのぶ様の邪魔をして……………」

 

そう呟いた後に窓から夜空を見ていた。

 

コンッ、コンッ

 

「アオイさん、ちょっといいかな?」

 

ドアからノックの音がした後に、炭治郎の声にアオイが驚く。

 

「な、なんでしょうか?」

 

「ずっと心配させた事を改めて謝ろうと思って……………」

 

「!!!」

 

突然の言葉にアオイは驚いたが、すぐにアオイはそう言いながら自室のドアを開けて炭治郎を招いた。

 

「立ち話もなんですから、中にお入りください。」

 

そして炭治郎は、いつもの隊服の上に白衣を着た姿ではなく、寝巻きに着替えているアオイを見て、内心ドキドキした。

 

「ここへどうぞ。」

 

アオイが自分の寝台に座るように促し炭治郎が座るとアオイも炭治郎に並ぶように横に座って聞いた。

 

「謝るとは?」

 

「アオイさんはもう俺の一部だと言いながら、アオイさんに心配をかけてしまった事を。」

 

「!!!」

 

アオイの質問に炭治郎が答えて、その答えにアオイが内心驚いていた。

 

「俺も昔、家族を禰豆子以外を亡くなってしまったから、家族を失う辛さを知っているのにアオイさんの事を気にかけていなかったから。」

 

そう言う炭治郎の言葉にアオイは驚いたが、そのままいつもの生真面目な顔で答えた。胸中はドキドキしていたが。

 

「もういいんですよ、炭治郎さんとしのぶ様が無事でいるだけで私は嬉しいですから。」

 

「ううん、それでもアオイさんを気にかけていなかったのは事実だよ。だから俺にできることがあったら遠慮なく言って欲しい。なんでもやるから!!」

 

アオイは優しい声でそう言ったが、炭治郎の言葉にアオイは再び驚き、今以上に胸中はドキドキしていた。

 

「何でもですか?!」

 

「うん、なんでもっ。」

 

そう言う炭治郎を見てアオイは緊張しながらも自身の願望を伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、今夜は眠れないので添い寝してくださいますか?」

 

アオイは言った後にすぐに自身の失言に後悔した。

 

(きゃーーーーーーー! 恥ずかしいっ! 一体何考えてるのよ私っ!?)

 

アオイは直ぐに言い直そうと、炭治郎の顔を見てみると炭治郎は面食らいながらも優しげに微笑んでいた。

 

「良いよ、俺なんかで良ければ、アオイさんの傍にいるよ。何でもすると言ったからね。」

 

それを聞いたアオイの心は羞恥心と願望が叶ったことによる歓喜に満ち溢れていた。

 

「は、はい、お願いします。」

 

そのまま、ベッドにアオイと炭治郎は向かい合い横になった。

 

「なんか、急に緊張してくるね。」

 

「わ、私もです。」

 

炭治郎は顔を赤らめ、アオイも顔を赤らめて、でも嬉しそうにと言った。炭治郎は

 

「前にも言ったけど、アオイさんの思いはもう俺の一部だから、無理しないで頼って欲しい。」

 

「分かりました。」

 

アオイを見て炭治郎がそう言うとアオイは頬を赤く染めた生真面目な顔になる。しかしその行動力が何時もと違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アオイが炭治郎に抱きついたからだ。これには炭治郎も狼狽する。

 

「ちょっ?! アオイさん?!」

 

「頼って欲しいって言ったじゃないですか?」

 

それを見たアオイはクスクスと楽しそう笑う。炭治郎は顔をボッと赤くしつつ抱き付き返した。

 

「う、うん。」

 

アオイは嬉しくなってそのまま炭治郎の顔に自分の顔を近づけて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アオイは炭治郎に口付けをした。

 

炭治郎は更に顔をボッと赤くした。

 

「えっ?!」

 

それを見てアオイは、普段の生真面目な顔から一転、頬を赤く染め、してやったりと笑いかけた。

 

「私、神崎アオイは竈門炭治郎をお慕いしております。」

 

 

 




最後まで読んでくださりありがとうございました。

それと宣伝したい作品があります。
pixivでの鬼滅の刃のオススメのSSの宣伝です。

紅蓮様

優しき日輪と蝶屋敷の三美蝶

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12016373

蝶を守り抜く日輪の一部描写は上記の作品を参考にしております。作者様からは許可を頂いています。



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第伍話 神崎アオイと栗花落カナヲの恋愛模様

遅れてしまい申し訳ありません。
アオイとの添い寝からはカナヲとの触れ合い。


突然のアオイの言葉に炭治郎はボッとなった。

 

「えっ!アオイ…さん……?」

 

それを見たアオイは顔を赤くして

 

「返事はまだいいです。ですが、これから覚悟してくださいね。これから毎日アタックしますので!!」

 

アオイはそう宣言した。それに炭治郎がしどろもどろになりながら

 

「ど、どうして俺なんかを?」

 

アオイは頬を赤く染めて炭治郎を真っ直ぐに見て

 

「貴方が戦えない私の思いを戦いの場に連れてってくれると、もう私の思いは自分の一部だと言ってくださったからです。」

 

「えっ?!」

 

 

炭治郎が尚も顔を赤くしているとアオイは続けて

 

「私は両親を殺した鬼を倒そうとカナエ様としのぶ様から呼吸法を学び強くなりました。

ですが、最終選別では、鬼と相対した瞬間にあの時の恐怖が蘇り、戦えなくなりました。

……………それからは私は自分が情けない存在だと思い知りました。けれども、炭治郎さんがそんな私の思いを戦いの場に持って行ってくれると、もう俺の一部だからと言ってくださいました。

あの時から少しずつあなたのことが気になって、そして今日のしのぶ様との一件でようやく分かりました。私が貴方のことを好きだと。

……………本当はこの気持ちは貴方に伝えないつもりでした。」

 

アオイは炭治郎から顔を赤くして逸らしながら言っていたが、すぐに炭治郎に視線を戻し真剣な表情で

 

「……………ですが、昼間でのしのぶ様の覚悟を聞いてしのぶ様が死ぬつもりだと言うことと、そんなしのぶ様を炭治郎がしのぶ様を止めて救ってくれた。

そんなお二人を見て、私も微力ながら貴方達と共にと戦いたいと、大切な人達を守りたいと思いました。そして夕方のしのぶ様との一件もありますから。」

 

「聞いてたの?!」

 

アオイの言葉を聞いた炭治郎は驚愕した。

 

アオイは申し訳なさそうに苦笑して

 

「ごめんなさい。お二人の話を盗み聞きしてしまいました。あの時は本当に夕食ができたのでお二人を呼びに行ったんです。そしたら、あの時の会話を聞いてしまいました。………それでも貴方のことが好きなのは変わりません。」

 

アオイはそう言うと尚も炭治郎の体を抱きしめた後にアオイは

 

「今夜は、寒くなりますから炭治郎さんも私のことを抱きしめて下さいね。……………炭治郎さん、貴方になら私は……………」

 

羞恥心を含めた笑顔で耳元でアオイにそう囁かれて炭治郎は、ドキリとした。

 

「いや、でも……………」

 

炭治郎にアオイは悲しそう顔をして

 

「私じゃダメですか?」

 

と言われて炭治郎は

 

「そ、そんなことは……………」

 

炭治郎がそう言うもアオイはそのまま悲しみと不安の匂いを漂わせていた。

それを知った炭治郎は覚悟を決めてアオイを抱きしめた

 

瞬間に炭治郎はアオイの寝巻き越しからでも分かる豊満な乳房を自分の体から体温と共に自分の胸のあたりに感じて内心炭治郎は興奮した。

 

(アオイさん……大きいっ!)

 

そしていつも鍛錬していたのであろう市井の娘にはない鍛えられた、されど女性らしさを損なっていない健康的で細身の美しい筋肉質の芳体と同時に抱き締めたら折れてしまいそうな括れた腰に手を回した時にアオイからも興奮の匂いが出たと同時に

 

「あっ……!」

 

という吐息が炭治郎の耳元に吹きかけられ、炭治郎は顔を更に熱くした。

 

「ありがとうございます。炭治郎さん。」

 

とアオイは炭治郎にお礼を言うとそのまま炭治郎の頬に口付けをした。

炭治郎はドキリっとした。

それを見てアオイはクスッと笑う。

そのまま二人はお互いの体温と体を感じ合って眠りについた。

 

ーーーーー

 

翌日……………早朝の皆が起きる時間帯に一人の少女が寝巻き姿で竈門炭治郎の部屋の前にいた。

 

右側のサイドポニーテールが特徴の少女の名は栗花落カナヲ。

鬼殺隊・蟲柱である胡蝶しのぶの継子であり新人隊士でありながら最も柱に近いと言われる天才美少女剣士。

 

そんな彼女は今竈門炭治郎部屋の前にて顔を赤くして体をモジモジとしていた。

 

カナヲは小さい頃から両親に虐待されてきたために心が壊れ、全く表情が変わらない何も感じることが出来なくなってしまった。

人買いに連れて行かれた時に胡蝶姉妹に救われたのだが、その自己判断出来ない指示待ちの性格は直らず、他人からの指示以外は、今は亡き元花柱・胡蝶カナエから渡された表裏の字が片面ずつ刻まれた銅貨による銅貨投げで全てを決めて行動することしか出来なかった。

そんなカナヲだったが、炭治郎との出会いが彼女の冷え切った心に激変を齎した。カナヲは部屋の前にてその時の様子を回想していた。

 

『この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ きっと』

 

『よし!投げて決めよう!』

 

『カナヲがこれから自分の心の声を良く聞くこと!』

 

『表が出たらカナヲは心のままに生きる!』

 

『頑張れ!! 人は心が原動力だから 心はどこまでも強くなれる!!』

 

『偶然だよ それに裏が出ても表が出るまで何度でも投げ続けようと思ってたから』

 

あの時の事を思い出して、カナヲの心は熱を持ったように、陽の光が差し風が舞い込んだように温かく轟いた。

あの両親との地獄の日々で壊れた心は胡蝶姉妹により少しずつ動いていき、炭治郎との触れ合いにより光が差したのだ。自身の奥底に追いやっていた心はしっかり陽を浴びて花開いたのだ。

それ以降、カナヲは少しずつ変わり、見ても気づかないようなものであったが。どうでもいいと思ったことにも目を向けるようになり、特に炭治郎の事が何時も気になった。

 

それがつい先日のしのぶとの一件によりしのぶを含めた蝶屋敷を救ってくれた炭治郎のことを、いつかの胡蝶カナエの言葉の

 

「好きな人が出来れば、変わるわよ。」

 

この言葉を思い出し、一晩寝てようやく自分の気持ちに気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私……………()()()()()()()()()()()()()()()

 

そして朝早くから起きたカナヲは頬を赤く染めて決心した。

 

(炭治郎に好きって言う!!)

 

 

そうして、自身の興奮する心を落ち着かせるために息を整えて、ドアをノックしてからドアに手をかけると、鍵がかかっていなかった。

 

「……………えっ?!」

 

そうして部屋の中を見てみると、そこに炭治郎はいなかった。

 

「!!!」

 

驚愕したカナヲは瞬時に炭治郎がもう柱稽古に行っていると理解して、膝から崩れ落ちた。

 

「……………そんな……行かないでって言ったのに……………」

 

そうしてカナヲは呆然自失となってヨロヨロと歩いて廊下に出て自分の部屋に戻ろうとしていると

 

「カナヲっ!」

 

「どうかした?!」

 

自分を呼ぶ声を聞いて顔を向けるとそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「炭……治郎…………?………アオイ……………っ?」

 

「どうしたんだ? 顔が真っ青だぞ?!」

 

カナヲの思い人の炭治郎とアオイが居た。カナヲは、涙を流してすぐに炭治郎に抱きついて

 

「……………居たのっ……………」

 

「えっ?」

 

カナヲの突然の行動と言葉に炭治郎が戸惑っていると

 

「今までどこに居たのっ! 心配したんだからっ!」

 

カナヲから今まで聞いたことのない大声で炭治郎に泣きついた

 

「ご、ごめんなさい!! 昨日はアオイさんの部屋で一緒に寝ていたからっ!」

 

炭治郎はすぐに謝罪し、カナヲの疑問に答えた。

聞いたカナヲはアオイに顔を向けるとアオイは顔を赤くして目を逸らして

 

「ごめんなさい。」

 

アオイも謝罪するがカナヲは、少し怒ったようにジト目を向けて

 

「何で?」

 

炭治郎がすぐさまにアオイを庇おうと、しどろもどろになりながらも言おうとするがそこにアオイが

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

アオイがいつもの生真面目な顔で頬を赤く染めて言い放つ。いつもなら絶対に言わないが、炭治郎に対するカナヲの好意を前々から知っていたために先手を打とうと思い口に出した。

 

「ちょっ?! アオイさん!!」

 

「……………えっ?!」

 

炭治郎が慌てるとカナヲが驚愕した。アオイは尚も

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

言い放つと炭治郎が顔を赤くして狼狽して

 

「えっ!!!」

 

カナヲも顔を赤くしていた。それを見てもアオイは冷静に

 

「それだけですよ、カナヲ。では私はそろそろ朝食の準備に行きますので。」

 

アオイが行った後にカナヲは炭治郎をすぐ様に問い詰めた。

 

「炭治郎、どういうこと?!」

 

「ご、ごめん。すぐに話すよ。」

 

カナヲに炭治郎は、昨夜のアオイから悲しみの匂いがしたこととアオイはもう自分の一部だと言いながら、アオイに心配をかけてしまった事を謝り、その後に眠れないアオイを心配して一緒に添い寝をしたことを話した。

流石にアオイから告白されたことは黙っていたが、聞いたカナヲは顔を赤くしながらも最後まで聞いた後に悲しそうに

 

「……………炭治郎、私の思いは貴方の一部じゃないの?」

 

「何言ってるんだ? もちろんカナヲの思いも俺の一部だよ。」

 

炭治郎がキョトンとして言うとカナヲは尚も

「じゃあ、何で、私じゃなくてアオイのところに行ったの?」

 

それに炭治郎は

 

「あの時は、アオイさんの方があの場に居たみんなよりも悲しみの匂いが強かったから……」

 

聞いたカナヲは炭治郎は自分ではなくアオイを選んだと勘違いして悲しそうに

 

「……………そうなんだ……………」

 

その後にカナヲはシュンとしてそのまま部屋に戻ろうとしていると炭治郎はすぐにカナヲの腕を掴んで

 

「ど、どうしたんだカナヲ?! 俺何かまずいことを言ったのかい?! そんな悲しみの匂いを漂わせて……………」

 

炭治郎が慌てるとカナヲは悲しそうに笑って

 

「何でもないよ……………」

 

と言いそのまま部屋に戻ろうとするが、炭治郎は考え、不意に理解した。

 

(そうか、あの時にはカナヲもしのぶさんのことで悩んでたのか!! それなのに俺はカナヲを強いと勘違いして蔑ろにしてしまった!!……………カナヲも女の子なのに!!)

 

そして炭治郎はすぐにカナヲの腕を引っ張った。

 

「えっ?!」

 

カナヲはびっくりしていると炭治郎はそのまま抱き寄せた。それにカナヲが混乱と羞恥心で赤くなっていると炭治郎は

 

「ごめんな、カナヲ。君のことを蔑ろにしてしまって………」

 

炭治郎の謝罪を聞いてカナヲは混乱して

 

「い、いや、もう別に良いって! どうでも「どうでも良くないっ!」えっ?!」

 

カナヲの言葉を遮った炭治郎はそのまま真剣な顔つきでカナヲと向き合って、

 

「この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ。きっと」

 

その言葉を聞いたカナヲは硬直した。炭治郎は、真剣な顔から優しげな顔をして

 

「前にも言ったこの言葉を覚えていてくれたんだな。ありがとう、カナヲ。」

 

その言葉を聞いたカナヲは嬉しくなり

 

「………こちらこそ覚えていてくれたんだね。炭治郎。」

 

そのままカナヲも抱きついた。それを受けた炭治郎はカナヲを抱いたまま撫でて

 

「カナヲ、前より心の声を聞いてくれたんだな。俺も嬉しいよ。これからカナヲの心の赴くままにいてくれ。俺が受け止めるから。」

 

その言葉を聞いたカナヲは先程よりも嬉しくなって、

 

「受け止めてくれる?」

 

「ああ、受け止めるよ!!」

 

カナヲの言葉を聞いた炭治郎がそのまま了承すると、カナヲは少し離れて炭治郎の頬に両手を添えて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口付けをした。

 

「??!」

炭治郎が突然のことで動揺しているとカナヲは笑顔で

 

「炭治郎、大好きっ!」

と言い抱きついた。

 

それを廊下の角でしのぶが寝巻き姿で驚愕して見ていた。

 

「ライバルが増えた!!」

 

 

 

そうしてここから胡蝶しのぶと神崎アオイと栗花落カナヲによる炭治郎争奪戦が始まった!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて遂に蝶屋敷の炭治郎を巡る修羅場勃発!!

ではまた次回で!!


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第陸話 蝶屋敷の女の戦い

皆様一週間以上お待たせしまい申し訳ありませんでした。
お待たせしたにもかかわらず

UA 16,967
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五話でここまでとは驚きました‼️
これも一重に皆さまのおかげです。

気を取り直して
ではいよいよ修羅場開幕!!



炭治郎にカナヲが告白する数刻前………………

 

 

 

胡蝶しのぶは、その日の朝に起きた後にすぐに炭治郎に会いに行こうとしたが、部屋を出る時に昨夜の決闘、その後に炭治郎に抱きついて号泣したこと、告白したことを思い出した瞬間、急に顔を赤くして羞恥心に襲われた。

 

「………………どうしよう、炭治郎君の顔を見れないっ! 恥ずかしいっ!」

 

今までは自分はいずれ死ぬからと、誰に対して平等に優しく礼儀正しくあろうとしてきた。

しかしながら、しのぶは、18歳の少女であり、今は恋する乙女。

 

そして、しのぶにとっての人生初の初恋であり最も愛する者、炭治郎に対してはただ側にいるだけで胸が熱くなり、早く彼に会いたいと思ったが、本人は気にしていていないと言っているが、色々と酷いことを言ったり、叩いたりしたから余計に躊躇った。

まずは火照ってしまう自分の顔を洗い、頭を冷やすために呼吸を使い落ち着かせて自分の髪型を直して、ちゃんと服装を直す等をして、彼の前に出る時に恥ずかしくない様にする為に時間がかかり、その後にようやく炭治郎のところに向かうとカナヲと炭治郎がそこに居て

 

「炭治郎、大好きっ!」

 

と言って抱きついたカナヲが満面の笑顔で炭治郎に抱きついた姿だった。しのぶは驚愕した後に胸中は焦燥、そして嫉妬した。

 

「ライバルが増えた!!」

 

と言った後に心から嫉妬心と闘争心を燃やした。

 

「………………カナヲ、やりますねぇ………………でも、私だって負けませんっ!!」

 

しのぶは内心決意した。

今までいずれ自分は死ぬと思って黙っていたが、生きる決意をした今では、妹だからと自分の愛する者を渡すなどと言う考えは全くなく、何としても炭治郎を自分だけに振り向かせようと決意した。

 

「………………炭治郎君は渡しません!!」

しのぶは宣言して、二人の方に向かう。

 

 

ーーーーー

 

一方で炭治郎は、突然のカナヲの告白に顔を赤くして内心驚愕した。

 

「えっ!? カナヲ……?」

 

「炭治郎…………」

 

炭治郎の疑問にはカナヲは答えなかったがカナヲは顔を上げて、潤んだ目で、炭治郎を見る。

 

その瞬間に炭治郎とカナヲは互いがお互いの心臓の音を聞けるほど、二人は密着し、そして興奮していた。

炭治郎もカナヲの豊満な乳房を体に密着して当たり更に興奮していた。

 

(落ち着けっ! 落ち着けっ! 俺は長男だっ! だから我慢できるっ! 抑えろっ! 抑えろっ!)

 

炭治郎は理性で己が欲望と戦っているとカナヲが頬を染めて炭治郎の耳元に

 

「今なら………誰もいないから………炭治郎………()()()()()()()()❤️……………」

 

期待と興奮の匂いを漂わせた後に顔を蒸気したカナヲが言うと炭治郎はゴクリと喉を鳴らして二人は見つめ合う。

 

其処へ

 

「炭治郎君、カナヲ、何をしているんですか?」

 

「「!!!」」

 

しのぶが来ると炭治郎とカナヲは慌てて離れた。

しのぶは笑顔だが青筋を浮かべ

 

「もう一度聞きます? 人目のある廊下で、な・に・を・し・て・い・る・ん・で・す・か?」

 

静かな圧をかけるしのぶの声に炭治郎とカナヲは顔を青くして

 

「えっいやっ! しのぶさん、これは?!」

 

「師範っ! な、何でもないですっ!」

 

炭治郎とカナヲは慌てて言うもしのぶは笑顔のままで

 

「ほほう、そうですか? 廊下の真ん中で二人で抱き合うことが何でもないと?」

 

しのぶの追及に炭治郎とカナヲは頭を下げて

 

「「申し訳ありませんでした!!」」

 

それを見てしのぶは少しスッキリとした様に落ち着かせて

 

「まあいいでしょう………………()()()()()()()()()()()()()。」

 

しのぶが許すのを見た二人はまだ申し訳なさそうに頭を上げた。

 

「それと………」

 

しのぶが突然炭治郎の側に立つとびっくりしている炭治郎の頬に口付けをした。

 

「えっ?! しのぶさん?!」

 

「へっあっ?!」

 

それを見てカナヲも驚愕した。それを見てしのぶはいたずらが成功した子供の様に笑い

 

「これでおあいこですね❤️ さあっ! 二人ともっ! そろそろ朝食の準備を手伝いますよっ!」

 

しのぶはそう言って、そのまま軽やかに歩いていく。

炭治郎はそのまま口付けの余韻に浸っていると、それを見たカナヲが嫉妬心で炭治郎の背中を

 

  バンッ 「いたっ!」

 

思い切り叩いた。その後に

 

「行くよっ! 炭治郎っ!」

 

歩いていくカナヲを見て炭治郎は顔を赤くして反省していた。

 

(俺はカナヲになんていうことをっ!! しかもカナヲから羞恥心と怒りと嫉妬の匂いがしていたっ!。いきなり抱きついちゃったから怒っているだろうなぁ……………何をやっているんだろう。それにしてもしのぶさんが俺の頬に口づけを………………)

 

カナヲは先程のことで胸中は混乱していた。

 

(さっきの私は炭治郎に廊下の真ん中でなんて恥ずかしいことを!! しかも師範が炭治郎の額に口づけを?! それに口づけされた炭治郎を見て急に怒りがっ! もしかして師範も炭治郎のことを?)

 

カナヲは複雑な表情でしのぶの背中を見ていた。

 

因みに当のしのぶは顔を赤くして内心、自分を叱責していた。

 

(いくら炭治郎君が取られたくないとはいえ妹の前で何てことをっ!………)

 

こうして気まずい空気の中でしのぶとカナヲと炭治郎はそのまま、台所に向かう…………

 

 

 

ーーーーー

 

その後に朝食の時間になり、みんなで食卓を囲んでいると

 

「うわぁ!! タラの芽の天ぷらだっ!」

 

炭治郎が喜んでいると

 

「ふふふっ!」

 

アオイが普段の生真面目な顔から得意げな顔で微笑していた。

 

「炭治郎さんの好みのものにしました。如何ですか?」

 

「うん、とっても美味しいよっ! 流石アオイさんっ! 他の煮物と味噌汁もよく味付けされていてとても美味しいっ!」

 

アオイの言葉に炭治郎は興奮しながらも料理に舌鼓を打つと不意にアオイから、

 

「炭治郎さん。」

 

「んっ?! 何だい?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ん?!?!」

 

「ア、アオイっ! 何言ってっ?!」

 

突然のアオイの言葉に炭治郎とカナヲが赤くなって固まっていると

 

「アオイ、食事中に何を言っているんですか?」

 

しのぶが笑顔だが青筋を浮かべた表情で言うとアオイは少し顔を赤くして

 

「す、すいませんっ! 失礼しましたっ! そうではなくて炭治郎さんっ! 少しお願いがっ!」

 

アオイは謝罪した後に再度炭治郎に向き直ると

 

「私のことはアオイと呼んでください。それと敬語ではなく普通の喋り方でお願いします。」

 

アオイがそう言うと炭治郎は面食らう

 

「えっ? で、でもアオイさんはおれより二つ年上だから………………」

 

炭治郎の言葉にアオイは優しげに笑いかけて

 

「私の思いが炭治郎さんと共にあるなら、貴方の思いも私と共にあります。だから私達は対等なんです。

それにカナヲとは、敬語ではないじゃないですか?」

 

と言うアオイの言葉に炭治郎はぐうの音も出ない様子で目を閉じてから

 

「………うん、わかったよっ! アオイっ! それなら俺のことも炭治郎でいいよっ!」

 

聞いたアオイは満足した様に嬉しくなり

 

「はい、これからもよろしくお願いします。炭治郎っ!」

 

それを見たしのぶは内心憤慨していた。

 

(くっ! アオイっ! まさか炭治郎君の好物を把握していたとはっ! ぬかりましたっ!……………ですが、まだチャンスはありますっ! 見てなさいっ! アオイっ!)

 

一方でカナヲの方は落ち込んでいた

 

(アオイはすごいなぁ。炭治郎の好物を分かっているし、家事と炊事と掃除も私よりも上で、行動力もあって、お嫁さんになるならやっぱり戦う女よりも料理の出来るアオイの方なのかな?……………ダメダメっ! 私だって炭治郎が好きなのっ! 渡したくないっ!」

 

とカナヲは頸を振って自分を叱責した。

その修羅場の様子をすみ、なほ、きよは

 

(どうなるんだろう?)

 

と思いながら見ていた。

 

そうして朝食が終わるとしのぶが炭治郎に話しかけた。

 

「炭治郎君、診察の時間ですよ。」

 

「はいっ! 分かりましたっ!」

 

そして、蝶屋敷の診察室へ炭治郎を中に入らせた後にドアの鍵を閉めた。

それに炭治郎が訝しむとしのぶは、にこやかに笑い

 

「では、服を脱いで寝台で仰向けになってください。」

 

「は、はい。」

 

しのぶはようやく二人っきりになると内心喜んでいたが、炭治郎が服を脱いで仰向けになるのを待つとしのぶは、炭治郎の体に所々に自分がつけた青くなった痣を見ると悲痛な気持ちになり、自分を恥じた。

 

(何をやっているんだろう、私は、ようやく恋を自覚しても炭治郎君を傷つけたことには変わりないのに……………)

 

静かに手を置いてゆっくりとさすった。それを見て炭治郎は急なしのぶの代わり様に心配になり、

 

「あのしのぶさん、怪我のことなら、気にしないでください。それに俺もしのぶさんに怪我をさせてしまったから」

 

と言われたしのぶは、左肩に手をやり、苦笑して

 

「こんなの大した傷じゃないですよ。それに私は蟲柱の胡蝶しのぶ、これくらいの怪我ならなんともないんですよ。何より貴方が許しても私は私を許せない……………」

 

と言うしのぶは聴診器を使い炭治郎を診察してからは、異常がないことを確認して湿布を貼るなどをして

 

「はい、終わりましたよ。炭治郎君。」

 

しのぶは炭治郎を着替えさせた。

炭治郎は何かしのぶを納得する方法を考えようと思い、不意に思いついた。

そして炭治郎は微笑んで

 

「それじゃ、代わりにお詫びとして一つ良いですか?」

 

しのぶは微笑んで

「ええ、良いですよ。何ですか?」

 

そして炭治郎は

 

「俺の隣に座ってください。」

 

と言うとしのぶは微笑んで

 

「ええ。」

 

と了承した。その後に炭治郎の隣にしのぶが寝台に座るとそれに炭治郎は、そのまましのぶに抱きついた。

「えっ! ちょっとっ! まっ! 「チュッ!」きゃっ!」

 

「えっ! ちょっとっ! まっ!「チュッ! チュッ! チュッ! チュッ! チュッ!」きゃっ!」

 

其処へ炭治郎がしのぶの両頬と額に三回に口づけをして

 

「これでお詫びということで❤️」

 

という炭治郎にしのぶは先程の罪悪感と悲壮感は消え去り、悔しげになり、今まで本から得た知識を持って今度は自分の番だとしのぶは

 

「うぅ〜〜〜〜〜っ!」

 

と唸り、次の瞬間に今度はしのぶが炭治郎の耳を

 

「うんん! ❤️んん! ❤️ちゅるるっ! ❤️ぢゅるるる! ❤️ぢゅる! ❤️うんん! ❤️んん! ❤️ちゅるるっ! ❤️ぢゅるるる! ❤️ぢゅる!❤️」

 

「うわぁーーー!❤️」

 

「~~~!!」

 

(炭治郎君が悶えている!!❤️ 可愛い!!❤️」

 

そのまま数分しゃぶり続けて、おもむろに耳をしゃぶるのをやめたしのぶが

 

「今度は炭治郎君、お願いします❤️」

 

と言われた炭治郎は今度は自分でしのぶの耳をしゃぶろうとすると、

 

「しのぶ様っ! 何をしているんですか?」

 

「しのぶ様っ! 何をしているんですか?」

 

というアオイの声が聞こえて、聞いたしのぶと炭治郎は急いで起き上がる。

 

「ではそろそろ出ましょうか?」

 

顔を赤くしたしのぶに促されて炭治郎も

 

「あっはいっ!」

 

と言い外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




女の戦い、修羅場は始まったばかり!!

これからもよろしくお願いします!!


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第漆話 それぞれの決意表明

本誌はもう本当に悲惨な展開に……………

所変わっての此処「胡蝶しのぶが生きる世界線」の物語をお楽しみください。

修羅場真っ最中!!

因みにこの話に神崎アオイが、「水の呼吸」及び「蟲の呼吸」を会得していると言うオリジナル設定があることを最初にお知らせします。


一緒に外を出たしのぶと炭治郎はアオイに小言を言われた。

 

「診察室で何をしていたんですか? 炭治郎の声が突然響きましたし………………」

 

アオイがジト目で二人の方を見ると炭治郎が狼狽して

 

「へっ、いや。」

 

其処へしのぶが炭治郎に頬を赤く染めた笑顔のままで

 

「炭治郎君、もう診察は終わりましたから、なほ、すみ、きよの手伝いをお願いします。」

 

「えっいやでもっ!」

 

炭治郎が尚も迷っていると今度はアオイが

 

「私からもお願いします。炭治郎、私はしのぶ様とお話があるので。」

 

「でも、俺のせいだからっ!」

 

炭治郎が自分のせいでこんな事になったから言うとしのぶとアオイが笑顔のままで

 

「お願いします、炭治郎君。」

 

「女子の会話に男子が割り込むものじゃないですよ。」

 

と言う言葉に炭治郎は渋々と廊下を歩いて行った。

それを見届けてアオイは再度しのぶに

 

「此処で何を?」

 

という問いにしのぶは笑顔のままで

 

「別に、ただ彼の怪我を見ていただけですよ。それとも他に何かあるとでも?」

 

とアオイに静かな圧をかけるが、アオイは動じずに毅然として睨み返した。

 

「御言葉ですが、診察だけだと言うのに部屋から炭治郎の大声が響いて何もないなどと誰が思うのでしょうか?」

 

アオイが生真面目な顔で返すとしのぶは笑顔のままでいたが、青筋を浮かべて反論した。

 

「柱として彼の怪我の手当てをしたと言っているでしょう? 神崎アオイ。私が此処で炭治郎君にどの様な診察をしようと、それを一介の隊士であるアオイにとやかく言われたくありませんっ! これ以上はこの件に関して詮索しない様に、これは上官命令です。」

 

しのぶの鬼殺隊の最高位である柱の命令は一隊士如きでは逆らう事など絶対に出来ない。

組織である以上、上下関係は絶対だった。

聞いたアオイは悔しげに

 

「分かりましたっ!………………」

 

言われたしのぶは、笑顔のままで

 

「それにアオイこそ、こんな所で何をしているんですか? 私が炭治郎君を診察している間にまさか盗み聞きでもしたんですか? 趣味が悪いですね。」

 

「いえいえっ! 滅相もありません。私はただ、業務が区切りをつけたので炭治郎の昨日の怪我の治療の手伝いをしにきました、私も蝶屋敷の薬師であり医者見習いですからね。それだけですよっ! そんな簡単なことを賢いしのぶ様ならすぐにわかるのでないですか?」

 

「何を言うのですか? 炭治郎君の怪我は元はと言えば私が傷つけたせいです。それを私が診察して治す。其処に何故アオイがでしゃばるのですか? 暇なんですか?」

 

「炭治郎は、我が蝶屋敷の一員も同然っ! その方の治療の手伝いをするのを何故咎められ無ければならないのですか? と言うか、しのぶ様こそ炭治郎の事を昨日の夕食時に人目のある所で抱きつく等という恥ずかしい事をしておいてよくいえますね?」

 

「あれは私に大切なことを気づかせてくれたお礼とお詫びの気持ちですよ。食事中に夫婦の話を持ち出すなどと言う事をしたアオイに言われたくありませんね。」

 

しのぶとアオイの口論は、もはや上官と部下、などという関係ではなくまるで姉妹喧嘩のように内心に怒りを蓄積させ合いながらしのぶは笑顔のままアオイは生真面目な顔のまま青筋を立てて激しく毒の混じった言葉の応酬を繰り広げる。

そして遂には

 

 

「しのぶ様、確かに先程の件は失礼しました。それに御言葉ですがそれを言うなら夕食直前に殿方に恋応募していた女に比べれば、私などまだまだ健全かと。」

 

しのぶはその言葉に、昨日の現場を見られたと思い顔を赤くして狼狽した。

 

「覗いていたんですかっ! アオイっ!」

 

それにアオイは申し訳なさそうに頭を下げて

 

「申し訳ありません。夕食ができたから、呼びに行ったら、たまたまあの時に遭遇しただけですよ。」

 

そう言われてしのぶも確信した。

あの時の炭治郎の言葉を遮ったのはわざとだと。

しのぶはアオイを睨みつけて

 

「趣味が悪いですね、確かにあの時の私達は夕食時だと忘れていましたが、それもとやかく言われる程………………」

 

しのぶが言葉を濁すとアオイは畳み掛ける様に

 

「御言葉ですが、夕食ができたから呼びに行くことに、何か問題でも?」

 

「うっ………」

 

アオイの正論にしのぶは、ぐうの音も出なかった。

そして、しのぶは目を逸らして、恥ずかしそうに呟いた。

 

「………なった……」

 

「? 何か?」

 

しのぶの声が小さいからアオイがもう一度促すとしのぶは頬を赤く染めて

 

「好きになったから、しょうがないでしょうっ!!」

 

言い放つ。これには聞いたアオイは面食らう。しのぶはその後にも

 

「ええっ! ええっ! そうですよっ! 私は炭治郎君が好きで堪らないっ! あんなに立派で素直で私のことを受け止めてくれると言った人を惚れるなっ! って言う方が無理でしょうっ! そもそも蝶屋敷に住んでもらった時から炭治郎は優しげで大人びたカッコいい人っ! あんな男の人は日本中探して見つかりませんっ! それ程に私は炭治郎君を愛していますっ!」

 

それを見てアオイは、目を一瞬逸らしてすぐに向き直り頬を赤く染めて

 

「それには、同感ですね。私自身、炭治郎の懐の深さと働き者な所やその他のいい所や悪い所を含めて私は本気で炭治郎を愛していますっ!!」

 

「!!!」

 

突然の生真面目な顔で頬を赤く染めたアオイの言葉にしのぶも驚愕した。

聞いたしのぶは真剣な表情で静かな圧をかける

 

「本気なんですね。」

 

「はいっ! 私は本気で炭治郎を愛していますっ!!!」

 

アオイの精一杯の宣戦布告にしのぶはアオイを睨みつけてアオイも挑む様に睨み返した。

 

「言うじゃないですか、アオイっ! 成長しましたね。流石は私と同じ恋する乙女ですねっ! 私も炭治郎君が好きですっ!……………だからこそ、私は負けませんっ!」

 

「私だって負けませんっ!」

 

そうして両者が睨み合う。

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

そんな状況を離れた場所で見ていたのは、同じく炭治郎に思いを寄せている栗花落カナヲ。

 

普段は生真面目な顔でいるアオイが、普段は笑顔でいるしのぶが、お互いに憤怒の形相で睨み合う姿を見てカナヲは戦慄して見ていた。

 

(二人とも、怖いっ!!……………でも、私だってっ!………………)

 

カナヲが恐怖しながらも二人の様子を見てみると事態が動いた。

火花を散らして睨み合うしのぶとアオイは、

 

「「ふんっ!」」

 

と言い合いすぐに背を向け合う。

 

「アオイ、覚悟しなさい。」

 

「しのぶ様こそ、負けませんからっ!」

 

と言い合いそのまま二人は背を向け合ったまま歩いて行った。それを見届けてカナヲ

決心し、呟いた。

 

「……………私だって負けないっ!!」

 

だがカナヲは同時にどうすればいいか悩んだ。

 

アオイは、家事全般が得意でいつもキリッとした美少女。

 

しのぶは、年上の大人の女性の医者。

 

そんな彼女達と対等に戦える自分の女としての武器は、戦うこと。

 

(どうしよう………………)

 

考えていると、其処に炭治郎の声が

 

「アオイっ! 布団はかけ終わったよっ! 何かやることはあるかい?」

 

それにアオイの声が

 

「でしたら炭治郎、お買い物に行くので手伝ってくださいますか?」

 

それに炭治郎は元気よく

「うん、いいよっ!」

 

という声が聞こえた後にしのぶも

 

「アオイは、蝶屋敷の業務をお願いします。さあ、炭治郎君、一緒にいきましょう。」

 

それにアオイが

 

「しのぶ様、怪我があるのに無理をしてはいけませんよ。」

 

「それを言うなら炭治郎君は怪我人ですから、アオイが一人で行くべきじゃないですか?」

 

という口論に炭治郎は元気よく

 

「しのぶさん、俺がやりたいから大丈夫ですよっ! それよりもしのぶさんはどうぞ休んでくださいっ!」

 

「炭治郎の言う通りですよっ! しのぶ様?」

 

炭治郎の思いやりのある言葉とそれに乗っかるアオイの言葉にしのぶは、笑顔だが青筋を浮かべて

 

「……………分かりました。」

と言ったが其処に急いでカナヲも

 

「わ、私も一緒に行くっ!」

 

その後にも揉めたが、炭治郎の

 

「みんなで行こうっ!」

 

と言う言葉で渋々と三人で行く事にした。

 

買い物を終えた後にもカナヲは、悩んだ。アオイとしのぶに戦えて勝てる自分の女としての武器はなんなのか?

 

 

「…………………………………………!! そうだっ!」

 

とカナヲは名案を思いついた。

 

 

ーーーーー

 

カナヲは、早速炭治郎を探していると、炭治郎は、アオイに小言を言われている最中だった。

 

「鍛錬しないでくださいっ! ベッドで安静にっ! と言いましたよねっ!」

 

「ごめんなさい。」

 

素直に炭治郎が謝るのでアオイもそれ以上言わずにそのまま生真面目な顔を赤く染めて

 

「鍛錬なら全快した後にて私が付き合いますからっ!」

 

と言うアオイの言葉に炭治郎は俯いた顔から嬉しくなり

 

「ありがとうっ! アオイっ!」

 

そして、そのまま少しの小言を言われてアオイが去った後にいる炭治郎にカナヲは

 

「………………あ、あの………………」

 

「ん!? 何だいカナヲ?!」

 

それに炭治郎がキョトンとしているとカナヲは、今度ははっきりと

 

「時間あるなら炭治郎、私の鍛錬に付き合ってっ!」

 

と言う言葉に炭治郎は面食らいながらも、頷いた。

 

そして場所を移動するとそこは炭治郎達が初めて機能回復訓練で使用した、または炭治郎としのぶの決闘で使用された訓練場であった。訓練場にあった木刀をカナヲは持つと、緊張しながらも炭治郎に

 

「さ、参考になるかはわからないけど、今から花の呼吸を見せてあげるねっ!」

 

「うんっ! 分かったっ!」

 

そうしてカナヲが深呼吸してから技を放つ

 

花の呼吸 弐ノ型  御影梅(みかげうめ)

 

自身の周りを囲うように斬撃を放つ。

 

花の呼吸 肆ノ型  紅花衣(べにはなごろも)

 

下から上にかけて捻れる特殊な軌道をした斬撃。刀の軌跡が紅花のように見える。

 

花の呼吸 伍ノ型  徒の芍薬(あだのしゃくやく)

 

一瞬のうちに九連撃を叩き込む。その刀の軌跡が芍薬の花のように見える。

 

花の呼吸 陸ノ型  渦桃(うずもも)

 

宙で体を捻りながら繰り出す斬撃。

 

実際に花の呼吸を初めてみた炭治郎はただただ見惚れていた。

そんな炭治郎の姿を見て心配したカナヲは途中で花の呼吸をやめて

 

「炭治郎? 気に入らない?」

 

不安で心配そうに言うカナヲに炭治郎は、赤く染めた顔で

 

「ううんっ! 綺麗すぎて見惚れていただけだよっ! 凄いなぁ! カナヲっ! 技の一つ一つが綺麗でカッコよくてまるで花が舞っているように見えるし、体幹も柔らかくて技がそんな風に空中で出せるんだっ! 驚いちゃったよっ!」

 

炭治郎があまりにも褒めるのでカナヲが照れてしまい顔を赤く染めて、恥ずかしがって、そのまま顔を両手で覆い、炭治郎から離れた。

 

「カナヲ? どうかした?」

 

炭治郎がカナヲが顔を赤く染めて離れていくので心配していると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鍛錬でしたら私がお付き合いしますと言ったはずですが?」

 

そこには生真面目な顔で不機嫌な様子のアオイがいた。

振り向いた炭治郎とカナヲは慌てて

 

「ご、ごめんっ! アオイっ!」

 

「炭治郎には、何もさせてないからっ! ただ私の''花の呼吸''を見せただけでっ!………」

 

という炭治郎とカナヲに目もくれずはアオイは訓練所の木刀を一本掴んで

 

「仕方ありませんね。では次に私からもお見せします。」

 

と言った直後に炭治郎とカナヲが面食らうもアオイがそのまま

 

 

壱ノ型 水面斬り

クロスさせた両腕から勢い良く水平に刀を振るう。

 

弐ノ型 水車

垂直方向に身体ごと一回転しながら斬りつけた。

 

水平方向に一回転した横水車も魅せた。

 

参ノ型 流流舞い(りゅうりゅうまい)

水流のごとく流れるような足運びによる、回避と攻撃を合わせた技。

 

肆ノ型 打ち潮

淀みない動きで斬撃を繋げる技を魅せた。

 

伍ノ型 干天の慈雨

相手が自ら頸を差し出して来た時のみ使う慈悲の剣撃。斬られた者に殆ど苦痛を与えない技も魅せた。

 

陸ノ型 ねじれ渦

上半身と下半身強くをねじった状態から、勢いを伴って繰り出す斬撃。水中でこそ本領を発揮でき、発生させた渦は鋭い水刃となって周囲全てを切り裂いた。

 

漆ノ型 雫波紋突き

全ての水の呼吸の技の中で最速の突き。

 

漆ノ型 

雫波紋突き・曲

斜め上から弧を描く様に突き下ろす技

 

捌ノ型 滝壷

怒涛の勢いと共に上段から打ち下ろす技を魅せた。

 

玖ノ型 水流飛沫・乱

動作中の着地時間・着地面積を最小限にし、縦横無尽に駆け巡る事を可能とする歩法を魅せた。

 

拾ノ型 生生流転(せいせいるてん)

うねる龍の如く刃を回転させながらの連撃を魅せた。

 

 

蝶ノ舞 戯れ

複数の練撃を放つ。

 

蜂牙の舞い 真靡き

突きの威力に特化した刺突技。

 

蜻蛉の舞い 複眼六角

敵の複数箇所に高速で撃ち込む技。

 

蜈蚣の舞い 百足蛇腹(ごこうのまい ひゃくそくじゃばら)

一瞬の怒涛の勢いの踏み込みから繰り出される、四方八方にうねる変則的な足運びを魅せた。

 

それに炭治郎とカナヲが驚愕していると不意にアオイは、静かに語る。

 

「………………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「!!!」

 

突然の言葉に炭治郎とカナヲは更に驚愕した。

 

「遊郭から炭治郎が帰ってくれた時にボロボロになっていた時から、自身がどれほど情けなさに打ちひしがれました。

だから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そして、アオイは決意のこもった表情のまま恋敵のカナヲを睨んで木刀を向けて、

 

「カナヲ、貴女に決闘を申し込みますっ!」

 

それにカナヲはびっくりしながらも、同じく恋敵であるアオイを睨み返して木刀を構えて

 

「望むところっ!」

 

それに炭治郎が二人に

 

「いやっ! ちょっと待って二人とも、落ち着いてっ!」

 

炭治郎が言うも、

其処に

 

「いいじゃないですか、炭治郎君。他の人の戦いを見て学ぶこともありますよ」

 

しのぶが笑顔で来て炭治郎にそう言った。炭治郎はそのまま渋々という感じで訓練所の隅にしのぶと二人で並んで座る。

 

そうしてカナヲとアオイは、お互いに構えて、目を閉じて深呼吸してから、瞬間

 

「カナヲっ!」    「アオイっ!」

 

 

 

 

二人の恋する乙女は激突した!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




色々と追加しました。
ですが、後悔はありません。




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第捌話 日輪を巡り対峙する赤蝶と青蝶。そして日輪に癒され戯れる蝶達。

炭治郎争奪戦が激しさを増した''神崎アオイ''対''栗花落カナヲとの戦いが開幕!!
そして、修羅場の後に性的描写もありますのでご注意下さい。


感想、評価、質問、誤字脱字報告お願いします。


蝶屋敷の訓練所にて、数十分間、二人の美少女が対峙して争っていた。

 

「はあっ!」

「ふうっ!」

「てやっ!」

「だあっ!」

「せいっ!」

「うっ!」

 

 

カナヲとアオイが木刀を打ち合わせ攻防戦を繰り広げ互いに睨み合いながら、決して自ら引かずにそのまま技を繰り出した。

 

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

 

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

 

アオイの淀みない斬撃をカナヲが自身の回りに斬撃を纏い捌いた。

 

「くっ!」

 

アオイが悔しがるとカナヲが今度はこっちの番だと空中に飛び上がるとそれを見てアオイも受けて立つように空中に飛び上がって技を放つ。

 

花の呼吸 陸ノ型 渦桃

 

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

 

宙で体を捻りながら繰り出す斬撃に対し蝶のように優雅に複数の部位を瞬時に斬りつける攻撃を仕掛けた。

瞬間に

 

「あっ!」

 

「くぅ!」

 

カナヲは腹と左足に一撃ずつを喰らい、アオイも左肩と脇腹に一撃ずつ喰らった。

 

「アオイっ! カナヲっ!」

 

炭治郎が止めようとするとしのぶが手で制した。それに抗議する様に炭治郎が見るとしのぶが普段の笑顔から一転して真剣な表情で

 

「彼女達の思いを汲んであげて下さい。」

 

というので炭治郎はそのまま座り、カナヲとアオイを心配そうに複雑な顔で見ていた。

 

ーーーーー

 

「はあっ! はあっ! はあっ!」

 

アオイは、カナヲの強さを分かっていたつもりだったが、ただただ予想を遥かに超える強さと速さに驚愕して、何よりそんなカナヲに食らいつくことしかできない自分を恥じた。

 

(強いっ! 流石はカナヲ、しのぶ様の継子に選ばれてその後も前線で戦い、活躍した女の子、私は貴方が苦手でした。私が出来ないことを平然とやってのける貴方を………………でも、今はもう違う!!

こんな私の思いを戦いの場に持っていてくれると、私の思いはもう自分の一部だと言ってくれた炭治郎が見てくれているっ!

だから私の愛する炭治郎の目の前でカッコ悪い姿を見せない為にっ! 私が憧れた貴方にっ! カナヲに勝ちたいっ!)

 

 

「ふうっ! ふうっ! ふうっ!」

 

一方でカナヲはアオイの強さに内心驚愕した。

 

(凄いっ! アオイがこんなに強いなんてっ! アオイ、そこまでの強さを手に入れる為にどんなに修行して来たかがよく分かるっ!

私は貴方が作る料理が好きっ! 私は、戦うことしか出来ないからそんな貴方に尊敬していたっ!

でも、私は炭治郎が好きだから………………炭治郎を好きな気持ちは誰にも負けないっ!!

だから同じ炭治郎を好きだって言う貴方にだけはっ! アオイっ! 貴方に炭治郎だけは渡さないっ! 負けないっ!!」

 

そして、次の瞬間に両者は決めようと渾身の技を放つ。

 

花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬

 

蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞い 複眼六角

 

一瞬のうちに九連撃を叩き込むカナヲに対しアオイは正面からの突進と六連撃を放つ。

本来なら九練撃と六練撃なら、九練撃の方が数が多く、打ち勝てるが、アオイは、あえて、''攻撃''ではなく''捌く''六練撃にしたことでカナヲの攻撃を防いだと同時に捌いた隙を突いて腕を一旦引いた後に

 

水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き

 

水の呼吸の最速の突きを放った

 

「くっ!」

 

カナヲの腹に当たり膝をつかせたものの

 

「うっ!」

 

アオイも先程の攻撃を完全に捌き切れずに何箇所か体に当たり膝をついた。

それでも彼女達は

 

(くっ! 何とか本命の一撃を当てたけど、流石カナヲっ! 全部は捌き切れなかったおかげで身体中が痛いっ!……………だけどっ!…)

 

(うぅ!こんな重い一撃を受けるなんてっ! しかも私の徒の芍薬の九連撃を半分以上捌くなんてっ! アオイ、そこまで炭治郎の事をっ! うぐっ! さっきの突きのせいでまだ身体があまり動けないっ!……それでもっ!)

 

アオイとカナヲは、痛む身体に鞭を打って何とか立ち上がり、炭治郎の方を向いて笑いかけて、その後に相手を睨みつけて、木刀を構えた。

 

(カナヲだけには………………)

 

(アオイだけには………………)

 

 

 

 ((負けられないっ!!))

 

 

それを見てしのぶが片手を上げて、

 

「それまでっ!!」

 

と叫ぶとカナヲとアオイの視線は一気にしのぶに集中して、しのぶは厳しい表情でそのまま

 

「両者引き分けとしますっ!!」

 

それにアオイは、大声で

 

「待ってくださいっ! まだ勝負はついてませんっ!」

 

カナヲを大声で

 

「私もまだっ!……………」

 

と言う二人に対してしのぶは厳しい表情で

 

「黙りなさいっ! ()()()()()()()()()()。二人とも頭を冷やしなさいっ!」

 

「「!!!」」

 

柱として命令は絶対のためにアオイとカナヲはお互いを睨みつけ合いながらも

 

「……分かりました。」

 

「……はい。」

 

渋々と言ったように下がるとそれを見てしのぶは厳しい表情のままだが悲痛そうに見て、炭治郎も悲痛そうに見ていた。

そうしてその場は重苦しい空気の中にいたが、そこへ恐る恐るという感じですみが来て、

 

「あ、あの昼食が、出来ました。」

 

と言う言葉と共にその場は 

 

「では、皆さん昼食の時間になりましたから、行きますよ。」

 

と言うことで空気がいくらか軽くなり、そのままみんなで食堂に向かった。

その道中にアオイがカナヲにボソリと

 

「今回は、しのぶ様の計らいで引き分けになりましたけど、もし機会があれば、カナヲ、もう一度再試合をしましょう。」

 

と小声で言うとカナヲも真剣な顔で頷いて

 

「うん、分かった。」

 

と言い再戦の約束をしてその場はお開きとなった。

 

ーーーーー

 

昼食後……………

 

炭治郎はアオイとカナヲの様子が気になり、しのぶから

 

「二人なら今医務室です。二人とも怪我をしていますから、手伝いをお願いします。」

 

しのぶの言葉に炭治郎は頷き

 

「はい、ありがとうございますっ!」」

 

そうして炭治郎が行った後にしのぶはため息をついて、

 

「まさか、アオイがあんなに強くなっていたなんて、カナヲもあれは本気でしたね。あのまま二人をやらせたら、どちらかが……………理由は炭治郎君でしょうね。まぁ、私も炭治郎君を愛していますから気持ちはわからなくもないですけど………ならば、それを何とかできるのも炭治郎君だけ……今回だけは、「敵に塩を送る」ということで」

 

と言いかけて口を噤んだ。そして、炭治郎が行った方を見て

 

「………………炭治郎君、頼みましたよ。二人を………」

 

そうしてしのぶは、蝶屋敷にいる怪我人の隊士達の診察に行った。

 

ーーーーー

 

医務室では、カナヲとアオイは別々の寝台にて、自身の怪我を治していたものの

 

(うっ! お腹の傷がっ!)

 

(治療の仕方なんて知らないし………)

 

自身の怪我の痛みにより治療がなかなか出来ずにいた。相手に頼もうにも

 

(カナヲに頼むのも………)

 

(こんな時ならアオイなら………)

 

先程の事もあり言い出せずにいると、

 

コンッコンッ  「カナヲっ! アオイっ! 手伝いに来たよっ!」

 

「「炭治郎っ!」」

 

と言う炭治郎の声を聞いてカナヲとアオイは顔を赤らめた。炭治郎が来たことに驚きと共に恥ずかしさが込み上げた。何故なら二人とも上半身は怪我の手当てをするために上着を脱いで(さらし)一枚のみだったため、だが、アオイは、顔を赤らめながらも意を決して

 

「で、では、今着替えますのでお待ち下さい。」

 

と言うアオイにカナヲが慌てて顔を赤らめて

 

「アオイっ!」

 

カナヲの声を聞いてアオイは顔を赤くしながらも真剣な顔で

 

「カナヲっ! もう決戦が近いんですっ! こんな機会を逃したくないんですっ!………………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()………」

 

アオイの言葉とあからさまな挑発にカナヲはムッとして

 

「………いいよ、()()()()()()!」

 

と言う言葉と共にアオイとカナヲはお互いの体を見て、

 

(カナヲ、流石にいい体をしていますね。)

 

(綺麗な体をしているなぁアオイ………)

 

相手の体を見て内心、凄いなぁと思ったがすぐに

 

 

(でも、負けない!!)

 

 

闘志を胸にお互いを睨み合う。

 

一方でそんな事が起こっている知らない炭治郎は、大人しく待っていた。

そして、数分後、

 

「もういいですよっ!」

 

と言うアオイの言葉に炭治郎は喉をゴクリと鳴らし承諾して医務室に入った。

 

「アオイ、カナヲ、手伝いに来たよっ!…………じゃ、じゃあ俺は何をすればいい?」

 

と思い見てみると、其処には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()

 

瞬時に炭治郎は、頭の中が真っ白になって、次に顔がボッと赤くなり息を呑む。

 

流石に胸を見せられないと晒の上から腕で隠していたがその状態からでも分かる猫のようなスラリとした肢体。

所々に青痣があるものの瑞々しく美しい白い肌と

腕から溢れそうな豊満な乳房。

抱き締めたら折れてしまいそうな括れた腰。

二人とも鍛錬により鍛えられた、されど女性らしさを損なっていない健康的で細身の美しい筋肉質の芳体が佇んでいた。

また、二人ともによく鍛えられたようで腹筋が二人とも割れていた。だが、それが一層に二人の色気を増大させた。

アオイとカナヲの裸体を見て、炭治郎は、まるで二人の天女が舞い降りたような神々しいものを見ているような錯覚を覚えた。

 

(えっ?! な、何で二人共、晒姿のままなのっ! いやいやっ! 俺は、長男だっ! だから我慢できるっ!)

 

アオイとカナヲもまた自身の裸体を炭治郎に晒している緊張感と羞恥心からか、何も言わずに黙っていたが、自分達の体を凝視している炭治郎に堪らず声を掛けた

 

「あの…………どうしました?………もしかして嫌でした……?」

 

「炭治郎、私の体、変?」

 

「…………っ! いやいやっ! 逆だよっ! 二人ともあまりに美しくて見惚れていただけだよっ!………」

 

「…………良かったっ! そう言って貰えて私も嬉しいです…………」

 

「炭治郎、嬉しいっ!」

 

そう言ってアオイとカナヲは嬉しそうに笑った。

 

「炭治郎。見ての通り私達二人とも怪我を負っているので代わりに手当てをお願い頂けないでしょうか?」

 

「お願い、炭治郎っ!」

 

「ア、アオイ、カナヲっ! 俺は男だから、それならすみちゃん達を呼んで来てやって貰った方がっ。」

 

「私は炭治郎にっ! やって欲しいんですっ!」

 

「私も炭治郎が良いっ!」

 

アオイとカナヲの必死の懇願に炭治郎は顔を蒸気させて根負けする。

 

「じゃ、じゃあ分かったよ。で、でも、こんな事ほかの人にはやらせないでねっ!」

 

炭治郎が心配する様に言うとアオイは苦笑して

 

「私は、前に言いましたよね。「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」と、こんなことを頼むのは、後にも先にも炭治郎だけですから。」

 

満面の笑みで言うアオイに炭治郎がドキリッとするとカナヲも

 

「私も()()()()()()()()()()()! やってもらうなら、炭治郎だけっ!」

 

と言う言葉に炭治郎は尚も顔を赤らめたが、男として女にここまで言われて何もしないというのは、失礼だと思い

 

「うん、分かったっ! アオイっ! カナヲっ! いつもお世話になっている分二人とも、誠心誠意尽くすからっ!」

 

その言葉にアオイとカナヲは思わず満面の笑顔で嬉しくなり

 

「お願いします❤️」

 

「うん❤️」

 

その後にアオイの

指示通りにまずは汗をかいている為に二人の身体をお湯に濡らした手拭いを持ってアオイとカナヲの身体(もちろん背中、お腹、腕など)を拭き始める。

まずはアオイから

 

「あんん❤…………ふあぁ❤…………んん❤…………はあぁん❤…………ふおおぉ❤️………………ふうっうううんん❤️………えへへっ気持ちいい❤️……………はぅん❤️」

 

次にカナヲ

 

「ふあぁ❤️……………うふふぅ❤️…………ああぁぁん❤️……………おおおうぅは❤️……………ほんとっにき、気持ちいい❤️………………ひぁうぅぅ❤️……………くぅあああ❤️」

 

アオイとカナヲの嬌声を聞いて炭治郎は悶々としてしまう自分の理性を最大にした。

「俺は何も聞こえない…………俺は何も聞こえてない…………こ、こんな感じでどうかな!? アオイ?! カナヲ?!」

 

「ありがとうございます…………でも、まだ拭いていない所は自分でやりますけど、見ても構いませんよ。」

 

「私も炭治郎になら❤️」

 

「ふ、二人とも、き、気持ちだけ貰っておくよ!」

 

そして即座に炭治郎は回れ右をした。そして、拭き終わったことを二人から言われた後に一息ついた後に、今度は濡れていない手拭いで二人の身体を拭く時もまた、アオイとカナヲからの嬌声が響いたので炭治郎は、凄くドキドキした。

アオイとカナヲの身体を拭き終わると、湿布と包帯を巻いたりしながら治療が終わった。そしてアオイとカナヲは顔を赤く蒸気して炭治郎に

 

「ありがとうございます。炭治郎っ!」

 

「ありがとうっ! 炭治郎っ!」

 

炭治郎も顔を赤く蒸気して

 

「いやいやっ! 俺も普段に助けて貰ったから、当然のことをしたまででっ!」

 

そうこうしているうちに、時間が過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は、カナヲ対アオイの本気の戦いはどうでしたでしょうか?

それと後半にカナヲとアオイに炭治郎が手拭いを身体を拭く場面を加える事をお許しください。
原作があまりにも悲惨なので、こちらでは、でき得る限りの幸せをと思った次第です。

因みに次回はしのぶさんのメインの話です。お楽しみにっ!


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第玖話 日輪は蝶屋敷の美蝶と結束する

今回はしのぶさんのメインの話ですが、展開の都合によりアオイとカナヲとの戯れもありますのでご容赦ください。

''本誌''のしのぶの最後と決着の後のしのぶと童磨との会話、愛する姉のカナエとしのぶが幼い姿で両親に会う姿は今でも作者にとってはトラウマです。

その為に、この「鬼滅の刃のもう一つの世界線たる物語」では、しのぶを炭治郎達が共に救い戦う''平行世界のもう一つの物語''をお楽しみくださいませ。


その後にも炭治郎がアオイとカナヲの手当てが終わった後も二人は晒姿のままだった。

それを見て炭治郎は顔を赤らめて

 

「あ、あの……二人とも、そろそろ着替えた方が………」

 

炭治郎が恐る恐る言うと二人は顔を赤くしながら、カナヲは着替えようとしたが、アオイは炭治郎に近づいて自分の腕から溢れそうな豊満な乳房を炭治郎の右腕に押しつけて抱きついた。

それを見てカナヲは驚愕した。

 

「ちょっ?! アオイ?!」

 

「へっ?! アオイ……さん?! 何を………して?!」

 

炭治郎も思わず以前の様にアオイの事をさん付けする程に狼狽した。

アオイは顔を蒸気して緊張しながらも

 

「今度は私が炭治郎にお礼をと………」

 

と言いながら、炭治郎の服を脱がせようとした。

それを見てカナヲも黙ってはいなかった。すぐにカナヲも着替えようとした服を置いて炭治郎を脱がせようとした。

 

「炭治郎のお手伝いなら、私がっ!」

 

それに炭治郎は、

 

「いやいや、俺はいいからっ!」

 

と言う炭治郎にアオイとカナヲは顔を蒸気して

 

「貴方も怪我人である事には変わりありませんっ!」

 

「炭治郎にもいっぱいお世話になったからっ!」

 

と言う二人の剣幕と懇願に炭治郎は

 

「わ、分かった……」

 

二人に身を任せて服を脱がされた後に、炭治郎の鍛えられた体を見て、カナヲとアオイは興奮してゴクリと呑んだ。

 

「凄い体ですねぇ、炭治郎………!」

 

「カッコいいっ!」

 

カナヲとアオイの自分の体を褒める言葉に炭治郎は照れた。

 

「あ、ありがとうっ!」

 

そして次の瞬間にはアオイは蒸気したまま

 

「本当に凄いっ!「チュッ! 」」

 

ギュッ

 

炭治郎の頸筋に口付けをした後に炭治郎の右腕に自分の豊満な胸を押し付けた。それを見て炭治郎は顔をボッと蒸気した。

 

「ア、アオイ、その胸が、」

 

アオイは間髪入れずに耳元で囁いた。

 

()()()()()()()()()………」

 

「!!!」

 

その光景を見てカナヲの闘争心と嫉妬心が一気に燃え上がった。

そしてカナヲもアオイの当てている炭治郎の反対の左腕に

 

「えいっ!」 ギュッ

 

自分の豊満な胸を押し付けた。

 

「オワァァア?!!」

 

炭治郎は思わず声を上げるが、アオイとカナヲは互いの体と炭治郎の腕を凝視して睨み合う。

さらにおもむろにアオイが言い放つ。

 

「カナヲ、私の方が先に炭治郎にキスしています。胸も貴方よりも大きいですから炭治郎は喜んでいますよ。」

 

「何言ってるの? 私の方が大きいし、炭治郎は喜んでいるよっ!」

 

「はっ! 言うじゃないですかっ! 家事と医術も出来ない癖に頭がおかしいんですか?」

 

「おかしいのは、アオイの方だよ、私は目がいいから、正確に目測出来るから私の方が大きいし、家事と医術は確かに出来ないけど、呼吸法と剣術は強いんだよ。アオイには関係ないけどねっ!」

 

「その剣術も私はすでに追いついていますよっ! 今朝の決闘でもしのぶ様の采配があったからこそ、その程度の怪我で済んだんですからっ! なんなら今からでもやりましょうか、カナヲ? それとも臆病風に吹かれたんですか?」

 

「ふふふ、師範の采配に救われたのはアオイの方だよ。あの時に師範が止めなければアオイは、負けていたんだからね。それをさも私が助けられたみたいに言っちゃって馬鹿みたい。」

 

其処にはアオイは生真面目な顔で笑い、カナヲも笑っていたが、二人とも目が笑っていない笑顔で毒を吐きあっていた。

因みに炭治郎は、二人の美少女に挟まれて頭が沸騰していて二人の言葉の応酬に気づいてなかった。

 

 

 

その頃、炭治郎がカナヲとアオイの医務室に行った数十分後……

 

胡蝶しのぶは、なほ、すみ、きよ達の協力により、ようやく隊士達の診察が終わったので医務室に向かっていた。因みにアオイとカナヲは、決闘をした時の怪我により、しのぶから午後から炭治郎と一緒に休んでおく様に言われた。

ただしのぶの内心は、不安と焦燥でいっぱいだった。

 

「炭治郎君なら、上手いことアオイとカナヲとの仲を取り持つことができるでしょうけど、問題は炭治郎君との恋仲の進展があるかもしれないっ!」

 

しのぶは急いで行くと、医務室から何か声が聞こえてくるので入ろうとすると、

 

「お、落ち着いて二人ともっ!」

 

炭治郎の慌てた声が聞こえてすぐにしのぶが中に入るとそこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()

 

突然のことで炭治郎とアオイとカナヲは、呆然としているようだったが、それ以上にしのぶは、一瞬混乱して、そしてすぐに

 

「何をやっているんですか? 三人とも………。」

 

しのぶはいつもの笑顔ではなく、青筋を浮かべた笑顔で聞いた。

それに炭治郎達三人は顔を赤くしながらも狼狽して説明しようとするが

 

「お、落ち着いて下さい。しのぶさんっ!」

 

「し、しのぶ様っ! これには訳がっ!」

 

「師範っ! その、えっとっ!」

 

全く要領得ない説明にしのぶはそのまま

 

「ゆっくりと、落ち着いて話しなさい。」

 

青筋を浮かべた笑顔で、地を這う様な静かな声で言い放つと三人はビクッとなり、そのまま話した。

 

ーーーーー

 

そして、何故こんな事態になったかの話が始まり、話が進んでいく程にしのぶは徐々に笑顔でありながらも怒りが溜まり、そして三人が静かに話終えた後に笑顔で瞬時に三人に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お仕置きですっ!」

 

ガンッ!

「あぐぅっ!」

 

ゴンッ!

「いぎぃっ!」

 

バン! バン! バン!………………

 

しのぶはまず、アオイとカナヲの頭の上から鉄拳制裁し、炭治郎は、往復ビンタを十発食らった後にしのぶが

 

「反省しなさいっ!」

 

と一括した。

 

「「「申し訳ありませんでしたっ!」」」

 

と三人共が、青筋を浮かべ笑顔で仁王立ちしたしのぶに、土下座した姿だった。

 

その後に炭治郎は自室に謹慎になり、アオイとカナヲの治療と診察はしのぶが受け持つ事になった。

 

ーーーーー

 

夕方頃………

 

アオイがしのぶの治療のおかげで何とか家事ができる様になったものの

 

「うっ! まだ痛みますね。」

 

と呟いた後にも料理を作っていると其処へ

 

「手伝うよ、アオイ。」

 

炭治郎が手伝いを買って出ていた。

それにアオイは、驚いたもののせっかくなので

 

「ありがとうございます、炭治郎っ! では、炭治郎は、こちらの鍋をお願いします。」

 

「うん、任せてっ! 俺は炭焼き小屋の息子なんでっ! 料理の火加減は任せてっ!」

 

アオイの言葉に炭治郎がドヤ顔で言うとアオイは、「ふふっ!」と笑って

 

「はいっ! 頼りにしてますよっ!」

 

そうこうしている内に料理が出来た。そして、テーブルに食器を運ぼうと言う時にカナヲとなほ、すみ、きよ、しのぶが手伝い夕食を開始した後に夕食を片付け終わった後にアオイはカナヲを呼び出した。

カナヲは真剣な顔で

 

「何? 急に呼び出して?」

 

と言うカナヲに対してアオイは、

 

「ごめんなさいっ! カナヲっ!」

 

頭を下げていた。

 

「えっ?」

 

アオイは尚も

 

「色々と酷いことを言ってしまいました。」

 

アオイの言葉にカナヲはすぐに笑顔になって一緒に頭を下げて

 

「アオイ、私の方こそ言い過ぎたごめんなさいっ! 」

 

と言い合い、仲直りした。

尤もその後には

 

「でも、炭治郎は渡しませんからっ!」 

 

「私だって負けないっ!」

 

とお互いの恋心に気づきつつも宣戦布告した。

だが、その後に

 

「ですが、今日のところは、やりすぎましたし、しのぶ様にご迷惑をお掛けしましたから、炭治郎はしのぶ様にお譲りしましょうか。」

 

アオイの言葉に渋々ながらにカナヲも

 

「うんっ! 師範は無理しすぎてるから。」

 

ーーーーー

 

それによりアオイとカナヲは炭治郎に先程の事を謝った後に炭治郎からも謝れた後にしのぶが無理をしてるから、手伝いをお願いされてしのぶの所に行くと

 

「あら、どうしたんですか? 炭治郎君?」

 

ちょうど廊下にしのぶがいたので炭治郎は二人から手伝いをと言われた事を言い、そのまま連れだって行く。

その後に

 

「炭治郎君、診察するので私の部屋に来てください。」

 

「えっ?! 」

 

炭治郎が仰天するとしのぶは笑顔で

 

「診察するだけですよ。」

 

と言うので御言葉に甘えようと炭治郎は思った後に

 

「分かりました。それと大事な話があるので、その後にいいですか?」

 

突然の炭治郎の言葉にしのぶは、ドキッとして

 

「………ええ、いいですよ。」

 

と言った後に部屋に向かった。

 

そして、しのぶの部屋に着くと中は本棚が立ち並んでいる整理整頓されていたが、机と寝台もある部屋だった。

しのぶの部屋という事で緊張しているとしのぶが耳元で

 

「何を想像していたんですか?」

 

と不意に話しかけられて炭治郎がびっくりすると、それをしのぶはクスクスと笑ってから

 

「はい、診察するので服を脱いでくださいね。」

 

そうして診察をして終わった後にしのぶは笑顔で

 

「では、炭治郎君、大事な話とは?」

 

炭治郎は真剣な顔で

 

「単刀直入に言います。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

その言葉にしのぶは驚愕してからいつもの笑顔から一転して険しい顔つきになり

 

「炭治郎君、これは私の姉の敵討ちです。炭治郎君には関係ありません。」

 

しのぶの明らかな拒絶の言葉に炭治郎は臆さずに

 

「関係ありますよっ! 俺は貴方達、蝶屋敷のみんなが好きだからっ!」

 

という言葉にしのぶは尚も厳しい顔つきで

 

「炭治郎君、君にはわかるでしょう? かつて''上弦の参''の強さを見た君ならそれより上の''上弦の弐''の強さは………」

 

という言葉に炭治郎は

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

突然の言葉にしのぶが目を見開くも険しい表情で

 

「それでも勝てるかどうか分かりませんよ………」

 

それに炭治郎は大きく頷いて

 

「確かにそうですっ! ()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()!」

 

その言葉にしのぶは、驚いた。そして、炭治郎は、しのぶの肩を掴み目を見て

 

「今はまだ俺も柱と同格とは言えません。でも、もう少ししたら''柱稽古''があります。そこで鍛え上げて柱以上の強さを手に入れて貴方の元に帰って来ますっ! その時に一緒にお姉さんの敵討ちをしましょうっ!」

 

しのぶは目が潤うと炭治郎が慌てて

 

「ああっ! すいませんっ! 俺なんかが、でも、これだけは譲れませんっ!」

 

炭治郎の言葉を聞いてしのぶは、目を拭うとそのまま炭治郎に近づき、額と額をくっつけて真剣な顔で

 

「分かりました。ですが、条件がありますっ!」

 

「条件?」

 

炭治郎の疑問にしのぶは静かに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()………」

 

と言い放つ。それを炭治郎は真っ直ぐにしのぶの目を見て

 

「その条件を飲む代わり俺からも一つあります。」

 

炭治郎の言葉にしのぶが訝しむと

 

()()()()() ()()()()()()

 

炭治郎の初めての敬語ではない言葉と呼び捨てに対してしのぶは目を見開き、真剣な顔で

 

()()()()()()() ()()()()()()

 

しのぶもいつもの敬語ではない言葉で応えた。

そして、お互いに笑顔になって握手した後に

 

「炭治郎君、いいえ、もう私達は、柱と隊士ではなく、友として敬語は無しにしてください、それと名前もしのぶでいいですよっ! 炭治郎っ!」

 

「えっ? もしかしてさっきの事ですか? いやいや、さっきは俺の本気を伝えたかっただけで………」

 

しのぶの言葉に炭治郎は、狼狽するとしのぶは尚も笑顔で

 

「私達は、一緒ではないのですか?」

 

という言葉に炭治郎は、目を閉じてすぐに、大きく頷き

 

「ああっ! 一緒だよ、しのぶっ!」

 

そうして二人は、笑い合う。

そして、炭治郎は、

 

「それで本題に移ろうっ! その仇の鬼のことに教えてくれ、しのぶっ!」

 

しのぶは大きく頷き

 

「姉からは、頭から血をかぶったような鬼だった。にこにこと屈託なく笑い、穏やかに優しく喋る鬼でその鬼の使う武器は鋭い対の扇と聞いています

。」

 

炭治郎は、それを聞いて頷き返して

 

「これからの''柱稽古''でより強くなろう、しのぶっ!」

 

炭治郎の言葉にしのぶは言いにくそうに

 

「ごめんなさい、私は''柱稽古''に出れないんですよ。」

 

しのぶの言葉に炭治郎が面食らう。

 

「へっ? 何で?」

 

炭治郎の疑問にしのぶは青筋を浮かべた笑顔で

 

「お館様から、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それに炭治郎は驚く、しのぶは、炭治郎もまさか鬼と一緒にという事で驚いたと思ったが、炭治郎の次の言葉で全く違うことだとわかる。

 

「珠世さんっ!」

 

「えっ!」

 

 

そうしてその後に炭治郎は、しのぶに話した。

 

「しのぶ、実は俺には禰豆子以外に仲良くして頂いている鬼の方々がいるんだ。珠世さんと兪史郎さんと言って人を食わない優しい鬼の人達なんだ。珠世さんは嘗て無惨の部下だった鬼だけど、今は無惨の呪いを自ら外して、共に無惨を倒すため、禰豆子を人間に戻すための薬を作る為に協力関係を築いています。因みに兪史郎さんは珠代さんが作った鬼なんだ。」

 

「……珠世という鬼と既に協力?……兪史郎は珠世が作った鬼? え、しかも人を食わない鬼っ?! え?……本当にっ!?」

 

その後にも混乱状態のしのぶに炭治郎は、懇切丁寧に話した。

 

ーーーーー

 

そうして、しのぶは、炭治郎の言葉を最後まで聞いた後に

 

「そうでしたか、私は正直言って鬼は大嫌いでしたから気は進みませんでしたが、炭治郎がそこまで信頼できるなら私も信じましょうっ! それに………」

 

しのぶはいい淀み

 

「それに一緒に協力と連携した方が良いですから。私も禰豆子さんに人間に戻って欲しいですから、それに炭治郎がそこまで言う人なら会ってみたいです。」

 

しのぶの言葉に炭治郎も嬉しくなって

 

「ありがとうございますっ! しのぶさんっ!」

 

その言葉にしのぶは急に不機嫌になり

 

「んっ? しのぶ……さん?」

 

炭治郎は慌てて

 

「ああっ! すまないしのぶっ!」

 

炭治郎からその言葉を聞いて満足したように、

 

「とはいえ、私達だけでなく、ほかのみんなにも知らせましょうっ!」

 

「うん、その方が良いっ!」

 

ーーーーー

 

その後に蝶屋敷の食堂にてなほ、すみ、きよ、アオイ、カナヲと集まり、先程の話をみんなにも話した。

反応は様々でなほ、すみ、きよは、当然驚き、アオイとカナヲも仇の鬼のことで真剣な顔で聞いたが、

 

「えっ? 炭治郎と鬼が協力関係?!」

 

「炭治郎、いつの間にっ?!」

 

炭治郎が鬼の珠世達と協力関係にある事を知って狼狽した。その後にも炭治郎は

 

「俺からも珠世さんに頼んでみるよ。しのぶは信頼できる女性だって事をっ!」

 

炭治郎が言うとしのぶも

 

「でしたら、私も一筆したためますよ。炭治郎だけじゃ悪いですから。」

 

しのぶが紙に書くと

 

「では、私からも、炭治郎の信頼できる人なら信じられます。」

アオイも書き

 

「わ、私もっ!」

とカナヲ

 

「じゃあ私達もっ!」

「どんな人なんだろうっ!?」

「楽しみっ!!」

 

となほ、すみ、きよも書いた。

そして、みんなで書いた紙をまとめると炭治郎は、外に出た、みんなもついて外に出ると炭治郎は説明した。

 

「珠世さん達は無惨に追跡されない為に一つの場所に留まらないから、普通の連絡方法は使えないんだ。」

 

「だったらその……珠世……さんとどうやって連絡を?」

 

「簡単だよ。今はいるかな?……茶々丸っ!」

 

炭治郎がしのぶ達の質問に答えた後、そう叫んだ。

 

 

 

 

みゃおぅ

 

 

 

 

猫の鳴き声と共に、一匹の三毛猫が突如と蝶屋敷の庭に現れた。その三毛猫は背中に箱を背負っており、胸に目の文様を描いた符を着けていた。

 

「きゃっ!?」

 

「うわぁ?!」

 

「へっ!?」

 

「「「きゃあぁ?!」」」

 

しのぶは茶々丸の出現に驚愕して炭治郎の背中に隠れた。アオイとカナヲは驚いて身構えた。炭治郎達は普段のしのぶからは見られない怯える姿に驚くが、炭治郎はするべき事を務めるべく手紙の束を持って茶々丸に近付いて行った。

 

「茶々丸、この手紙を珠世さん達に届けておくれ。」

 

「(コク)……みゃおぅ。」

 

茶々丸が鳴くと再び姿を消してその場を去った。その様子を見てみんなが辺りを見渡すが見つける事が出来なかったが、炭治郎は「頼んだよー!」と声を掛けた。

しのぶ達戻って来た炭治郎に尋ねた。

 

「炭治郎君! あ、あの猫っ。」

 

「驚きましたっ! 何なんですかあの猫は?」

 

「一体なんなの!?」

 

「「「教えてください炭治郎さん?!」」」

 

「落ち着いてみんなっ! 全部説明するからっ!………にしても………」

 

炭治郎は自分の背中に隠れて怯えているしのぶを見て

 

 

「まさかと思うけど、しのぶって猫苦手だったの?」

 

「うぅ、猫だけじゃなくて動物は全般苦手なんです……。」

 

「意外だなぁ…」

 

驚く炭治郎と同意する様にいつもの凛とした姿のしのぶからは考えられない姿を見てほかのみんなも

 

「しのぶ様、動物が苦手だとは………」

 

「師範のこんな姿は初めて……………」

 

アオイとカナヲも驚いていた。

 

「驚きました………」

「しのぶ様にも苦手なものが………」

「意外です………」

 

なほ、すみ、きよ達同様に様々な反応を見せて、しのぶは恥ずかしくなり、顔を赤らめた。

 

 

その後に炭治郎はしのぶ達とそのまま食堂に戻り、茶々丸を始め、兪史郎の血鬼術の事をしのぶ達に説明した。

兪史郎の血鬼術を説明された時はしのぶ達は驚愕と感嘆を隠さず、中でもアオイが一番驚いていた。また採血の短刀は実物を興味深そうに触っていた。本当なのかと、しのぶはアオイに持って来させた輸血用の血を刺した際は本当に採血が出来たので、みんなで驚いていた。

 

「炭治郎。兪史郎さんについては分かりました。因みに珠世さんはどんな方なんです?」

 

「珠世さんは……まず一言で言うなら、凄く美しい女の人だよ。」

 

「……はいっ?」

 

「……はっ?」

 

「……へっ?」

 

炭治郎が珠世の人となりを話す際に顔を赤らめてそう言った。

しのぶは炭治郎のそんな反応に対して青筋を浮かべ、アオイは、イラッとして、カナヲはムッとした。

 

しかし炭治郎はそんな様子のしのぶ、アオイ、カナヲに気付かず珠世の説明を続けた。

 

「美しいだけじゃなくて、知識も豊富で特に医学知識が極めている人で、戦う状況であっても取り乱さない冷静沈着な女傑でもあります。でもその本質は優しくて穏やかな女の人で、大人の女「そこまでっ!!」むぐっ!」

 

「………」

 

「ムスッ……」

 

炭治郎は意識せずこれでもかと珠世を褒めながら説明したが、聞かされたしのぶ、アオイ、カナヲは黙って聞ける筈がなかった。アオイが強引に炭治郎の口を塞いだ為にこれ以上は言えなかったが、それも今更。そこには怒っているしのぶ。炭治郎の口を塞いだが、すぐに手を離して彼女自身もいつもよりも険しい顔つきになっているアオイがおり、カナヲも怒っている姿だった。

そんなしのぶ、アオイ、カナヲ達を見て彼女達から怒りの匂いを察して困惑しながら尋ねた。

 

「あの? しのぶ、アオイ、カナヲ、どうして怒っているの?」

 

 

 

 

「……どうせ私は愚鈍で短気な小娘ですからねっ!!! 穏やかな大人な女性じゃなくて悪うございましたねっ!!! ふんっ!!!」

 

「……ええっ!!! 私なんか、いざ戦う状況で狼狽える臆病な腰抜けですからねっ!!!」

 

「炭治郎なんか、知らないっ!!!」

 

「ちょ!? ええっ!? しのぶ!? アオイ!? カナヲ!? 俺何かしたっ!?」

 

「失礼させて頂きますっ!! 自分の頭で良く考えなさいっ!!!!!」

 

「乙女心を知ってくださいっ!!!」

 

「ふんっ!!!」

 

 

 

 

 

激怒したしのぶ、アオイ、カナヲは嫉妬の果てに拗ねてしまい、炭治郎は大いに困惑したのだった。

因みに炭治郎はこの後になほ、すみ、きよに何故三人が怒っていたのかを懇切丁寧に説明されて、自分のやったことに気づいて

 

 

「すいませんでしたっ!!!」

 

 

しのぶ、アオイ、カナヲの機嫌を直すのに土下座しまくったが、それでも二時間以上かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




色々と誤字脱字をしてしまい申し訳ございませんでした。
それと前回にしのぶのメインと言いながらも結局は、話の半分程度にしてしまい申し訳ございませんでした。


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第拾話 日輪と紫蝶との心身共に繋がる夜

二週間以上お待たせしまい申し訳ありません。
リアルの仕事が忙しくなってしまい遅くなりました。
それでも、お待たせしたにもかかわらずに待っていてくださりありがとうございますっ!

今回の話はお待たせした分、前回出来なかった炭しの回です。
ごゆっくり。


炭治郎が自身の知らなかったとはいえ、みんなに嫌な思いをさせた炭治郎が土下座していた時に

 

「すいませんでしたっ! 俺がみんなの思いを考えずに、他の女の人の事を褒め過ぎた事をお詫びいたします。

しのぶもアオイもカナヲも魅力的で素敵な女性だと分かっているのに………」

 

頭を下げて言ったその言葉を聞いたしのぶ、アオイ、カナヲは炭治郎は、そっぽを向きながらも三者三様に顔を赤くしていた。

 

「魅力的で素敵な女性………❤️」

 

しのぶの呟いた言葉に炭治郎が頭を下げたままで応える

 

「うんっ! 俺にとっては、しのぶはいつも優しく笑い、厳しい時もあるけど、凛とした綺麗な女性で、アオイは、真剣な顔でみんなの支えになって頑張って家事、炊事をやってくれて料理もとても上手で美味しい素敵な女の子で、カナヲも時々見せてくれる可愛い笑顔と戦いの時にはまさに美しく舞って戦う強さを持っているから俺はそう思うよ。」

 

炭治郎の珠世の時と同様に無意識の内に自分達を絶賛してくれる言葉の数々にしのぶ、アオイ、カナヲの中の先程まであった嫉妬心と怒りは、何処かに消え去り、代わりに嬉しさと羞恥心が三人の中に満ち溢れていた。

 

しのぶはもう耐えられないと言った様子で顔を赤く蒸気させて

 

「ま、まぁ本人もこれだけ言ってくれましたし、私達も先程は大人気なかったですから、今回の事は水に流しましょうかっ! アオイっ! カナヲっ!」

 

アオイも顔を赤らめて

 

「そ、そうですねっ! そうしましょうっ!」

 

カナヲも赤くなった顔を両手で覆って

 

「う、うんっ! そうだよねっ!」

 

炭治郎はそのしのぶ達のの言葉に

 

「いえいえっ! 俺の方こそ不謹慎でした。」

 

炭治郎が顔を赤くしていった言葉にしのぶ達は苦笑してその場は許す事になった。

 

ーーーーー

 

その夜、就寝時刻になり、皆が眠りにつこうとして部屋に戻っていた。

かく言うしのぶも部屋に戻っていたが、ふと先程の事を思い出して赤面した。

 

「炭治郎が、あんな風に思っていてくれたなんて恥ずかしいですねっ!……………でも………」

 

しのぶが赤面した顔から一転して暗い顔で苦笑し、

 

「その時には、私はもう………」

 

しのぶが呟いた後に、

 

コンッコンッ

 

とドアをノックする音と共に

 

「しのぶ、ちょっといいかな?」

 

「炭治郎っ!」

 

しのぶは、自分の意中の人の炭治郎が来た事に驚いて内心嬉しくしていると、部屋の外から炭治郎の真剣な声が聞こえていた。

 

「大事な話があるんだ。」

 

それにしのぶはドキドキしながら、

 

「分かりました。」

 

と言い、ドアを開けて部屋に招き入れて、その後に寝台の上に案内して炭治郎を座らせしのぶもその横に座った。

そして開口一番にしのぶが

 

「話とは?」

 

促すと、炭治郎は険しい表情で

 

「俺がさっき一緒に戦うって言った時に最後の、死なないと言う言葉に嘘をついた事についてだよ。」

 

「!!!」

 

しのぶが目を見開き、驚愕すると炭治郎は尚も続けた

 

「俺が''上弦の弐''と一緒に戦うのをお願いした後に了承した事は嘘の匂いはしていなかった、でも、俺が死ぬなって言った時には条件を言った時に俺が了承した後には微かにしのぶから嘘の匂いがしたんだ。

あの時は、俺にも条件をつけた事で分からなかったけど、今思えば思うほどに………………しのぶから、死なないと言われてない。」

 

炭治郎の追及にしのぶは、ため息を吐いて

 

「驚きました………上手く誤魔化せたと思ったんですけどね、凄いですねー炭治郎君の鼻を甘く見過ぎていましたよ。」

 

そう言って炭治郎の言葉に先程の笑顔は影に潜み、疲れた顔へと変わる。

そして、炭治郎は、鋭い視線を向けて

 

「まさかと思うけど、上弦の弐と戦って、俺に何かあれば、すぐに自分が身代わりになろうとしてない?」

 

炭治郎の言葉にしのぶは、何も言わなかったが、悲しげな笑顔のままで頷いた。

それに炭治郎が

 

「何を考えているんだっ! しのぶっ! 君が死ぬとみんながどんなに「分かっていますっ!」ん!」

 

炭治郎の言葉をしのぶが遮り

 

「それでも、私達が命懸けで戦ったとしても上弦の弐がどんな強さか、想像も付かないっ! 何より貴方を失いたくないっ! 炭治郎が死ぬなんて想像したくないっ!」

 

目を潤ませるしのぶに炭治郎は食い下がり

 

「だからそれは、柱稽古で鍛えた俺としのぶ、カナヲの三人で戦えば……………」

 

炭治郎の言葉にしのぶは冷静に

 

「そのような甘い考えは捨てなさい。」

 

「しのぶこそ、その自己犠牲の精神を捨ててくれっ!そして新しい未来を見てほしいっ!

 

しのぶと炭治郎がお互いに睨み合うと不意に炭治郎が、フッと力なく笑う、それにしのぶが納得してくれたと思ったが、次の炭治郎の言葉と行動でそんな考えが消え去った。

 

「だから、俺は此処に来たんだよ、しのぶを止める為にっ!」

 

そう言うと炭治郎がしのぶに近づいた、それにしのぶが身構えていると

 

ギュッ

 

「…………はえっ?」

 

「…………大丈夫だよ、俺は死なないから………」

 

しのぶに待っていたのは、抱擁と炭治郎からの言葉だった。炭治郎の暖かい腕を腰に回され、自分の顔のすぐ横に炭治郎が耳元で囁いた、しのぶは予想外の事態に狼狽する。

その後にも炭治郎はしのぶの耳元に

 

「しのぶ、君は頑張り過ぎだよ、一人で出来る事なんてほんの小さな事だよ。」

 

「でも……………怖いです、私は自分が死ぬよりも貴方に生きてほしいから。」

 

しのぶが炭治郎を抱きしめ返し、そう言うが炭治郎は尚も

 

「俺だって同じだよ、しのぶが死ぬことがとても怖くて仕方がない。今までもそうだった、だからこそ、甘くても、みんなでやれば乗り越えられるっ! 俺はそれを何回も見てきたからっ!」

 

そして、一旦腕をしのぶの肩に置いて、しのぶの目を真っ直ぐ見て、

 

「だから、一人で抱え込むなっ! しのぶっ! 俺達が共にいるからっ! 共に戦うからっ!」

 

「~~~~~~~ゔぅ。」

 

炭治郎のその宣言にしのぶは泣きながら炭治郎の胸元に強く抱き着いた。炭治郎もまた泣きながらしのぶを優しく、強く抱き締め返した。二人は涙が止まるまで、そのままずっとお互いを離すまい、離れまいと抱き締め続けた。

 

ーーーーー

 

「しのぶ、元気が出たかい?! ふふ。」

 

「何を笑っているんですかっ!………ですが、ありがとうございます。」

 

二人は二十分近くお互いに寝台の上で横になって抱き締め続けた。

 

「それとしのぶ。」

 

「はい?」

 

炭治郎は優しげに笑い

 

「しのぶ、これから俺に沢山甘えて欲しい。」

 

「……はい?……な、なんですか!? それ!? 何を恥ずかしい事を言っているんですか?!」

 

 

炭治郎の突然の言葉にしのぶが一瞬惚けた後に驚愕すると炭治郎は優しく微笑んで

 

「しのぶ、良い機会だから、この際はっきり言っておきます。」

 

「な、何でしょうか?」

 

「しのぶは柱として、蝶屋敷の主人として、姉としてカナヲ達を守り、指導しなければならないという気持ちも分かる。それでも辛い時は辛い、苦しい時は苦しいとこうやって俺やカナヲ達に、はっきり顔や態度に出しても、俺達が受け止めるから。しのぶも一人の人間で、一人の女の子なんですから。抱えまないで。」

 

「…………。」

 

「しのぶが泣いたり、誰かを頼ってくれる事に、甘えてくれる事に嬉しいから、何故ならこの蝶屋敷にいるカナヲもアオイも、すみちゃんもなほちゃんもきよちゃんも善逸も伊之助も皆、しのぶが、貴女の事が大好きだから。」

 

「…………だから、炭治郎は私に甘えてもいいと言うんですか?」

 

「俺にカナエさんの代わりが務まるなんて烏滸がましい事は思わないし、それでも俺はしのぶを抱き締め支えられる男になりたい。しのぶが泣いていたらその涙を拭える男になりたい。しのぶに安らぎを与えられる男になりたい。だって俺も…………。」

 

炭治郎は一度深呼吸して、改めて自身の想いを言葉に乗せて告白する。

 

「俺もしのぶの事が大好きですから…………っ!」

 

「~~~~~~~~~~~~❤️❤️❤️」

 

しのぶは歓喜して炭治郎に抱き着いて寝台ベッドに押し倒した。炭治郎は抵抗する事無く、流れに任せる。しかし、しのぶが抱き着いたまま何も言わないので声を掛ける。

 

「しのぶ?」

 

「それでは………一つお願いがあります。」

 

 

しのぶはそう言うと、自身の耳を炭治郎に向けると

 

「この前の続きをお願いしますっ!」

 

しのぶが赤らめて言うと炭治郎も顔をボッと赤くして、

 

「え、いや、その」

 

「甘えていいって言ったじゃないですか?」

 

しのぶの言葉に炭治郎はおずおずとしのぶの耳を

 

パクッ 

 

と咥えて甘噛みした

 

「あんんちゅんあんん❤️! あんちゅるるっ❤️!! あんぢゅる❤️! あんん❤️!」

 

カミカミカミ

 

しのぶは炭治郎が自分の耳を甘噛みしてくれる事に歓喜し、炭治郎の体をより強く抱きしめた。

 

「ゔぅぅぅん❤️!」

 

それを聞いて炭治郎は歓喜の気持ちになった。

その後にしのぶが、

 

「今度は頭を撫でてくださいね❤️!」

 

「はいっ!」 

 

炭治郎はそう返事して、抱き着いて離れないしのぶの腰に左手を回し、右手で頭を撫で始めた。しのぶはその手の温もりに再び涙を流し始める。

 

 

ーーああ、なんて温かくて優しくて尊い人なんだろう。炭治郎、生きていてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。私に勇気をくれてありがとう、炭治郎と出会えて良かった、恋して生きてて良かった。私は…………私は…………嬉しい………。」

 

「すぅ…………すぅ…………すぅ…………。」

 

「…………おやすみなさい。しのぶ、頑張ったね。」

 

そう言うと、炭治郎は眠りに就いたしのぶの頭を寝るまで撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでご覧頂きありがとうございました!!

本当は、三連休の間に出したかったんですが、多くの皆様の作品を見て作り直している内にここまで遅くなってしまいました。申し訳ございませんっ!

では、次回からは、より激しい修羅場になりますのでご期待下さいっ!


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第拾壱話 日輪に攻める美蝶との謳歌

長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでしたっ!
リアルでは忙しくここまで遅くなり大変申し訳ありませんでしたっ!

前回の炭治郎が無意識に、しのぶ、アオイ、カナヲを褒めちぎった言葉により三人が本格的に炭治郎を巡って修羅場と攻めまくります。


竈門炭治郎が胡蝶しのぶと''真の意味''で分かり合えた翌日………

 

「ぅぅん………ふわぁぁ………。」

炭治郎がしのぶの心を覆っていた不安を消し去った後、そのまま互いに抱きしめ合ったまま眠りに就き、朝に目覚めた。

 

炭治郎は目を擦って残っていた眠気を払うと、時間を確認するために時計を見る。

 

「まだ、六時頃か………」

 

 

炭治郎は、自分の横になって満面の笑顔で寝ているしのぶを見る。

 

瞬間に自分が昨日の夜にしのぶに対して色々とやった事を思い出し赤面した。

 

(………俺は何をっ! あの時はしのぶの自己犠牲を止めて安心してもらおうと説得に行っただけなのに………抱きついたり、耳を甘噛みし、頭を撫でていたけど、よくよく考えてしのぶは俺より年上なのに俺はなんて恥ずかしい事を!!)

 

そうして炭治郎が一人で悶々としているとしのぶがいつの間にか起きていて、炭治郎の耳元に

 

「おはよう、炭治郎❤️」

 

「おわあ?!」

 

それを聞いた炭治郎は、びっくりして赤面しているとそれを見たしのぶが炭治郎の素直で可愛い様子に笑みを零しながら、「てへ❤」と舌先を出してから、炭治郎を押し倒して

 

「可愛い❤️、炭治郎❤️!」

 

しのぶの妖艶な雰囲気に炭治郎がたじろぐ、それを見たしのぶは尚も炭治郎の顔に静かに近づいて

 

「炭治郎。私は今、とても爽快で幸せな気分です。それに共に戦ってくれると、死なないと言ってくれてありがとうございました。そのお礼に………」

 

と満面の笑みを浮かべ、炭治郎の頬にキスをした。それをされた炭治郎が顔を赤く蒸気している様子にしのぶは、クスリと、笑い炭治郎もその仕草に身悶えして、しのぶが今度は、炭治郎の頸筋に

 

チュッ

 

キスをした後にしのぶは、舌をチロリッと出して、

 

ツーーーーーー………

 

と頸筋につけた舌を下から上へとゆっくりと味わうように動かした。

 

(うわーーー……………!!!)

 

されている炭治郎は顔を赤くボッとして目を瞑り、胸がバクバクとなっている。更にしのぶの舌が炭治郎の頬で止まった後に

 

「んんちゅっ!」

 

炭治郎の頬に自身の唇を押し付ける不意にしのぶに話しかける。

 

「それは良かった………でも俺、しのぶからここまでさせてもらう程には………。」

 

「…………っ。本っ当に、鈍感というか謙虚なんですねー炭治郎はっ! 私の気持ちは伝えたはずですよっ!」

 

炭治郎の言葉にしのぶは炭治郎の頬に接吻するのを止めて、じっと見つめると先程の満面の笑みは影寂しさを感じる笑みへと変わる。それを見た炭治郎は、しのぶの事を改めて見て

 

「分かったっ!…………それにしのぶ、俺はしのぶに甘えて欲しいっ! もちろん俺も甘えたいっ!」

 

「…………それが炭治郎のお願いですか?」

 

「うん。それが俺の願いだよ。」

 

「………うーーーん、ふふふっ! わかりましたっ! それじゃっ!」

 

炭治郎の言葉にしのぶは少し困りながらも、嬉しそうにそのまま仰向けになっている炭治郎に力強く抱き着いた。炭治郎も優しくしのぶを受け止め、抱き返した。

 

しのぶは抱きついた後に炭治郎の体中を服の上から両手で触りまくり更に普段炭治郎が匂いを嗅いでいるようにクンクンと炭治郎を嗅ぐと、蕩けるような笑みを零した。

 

「炭治郎の体はガッシリとしていてたくましいですね、それに、御日様のような温かくて優しい、良い匂いで炭治郎らしい良い匂いがします❤️。」

 

しのぶからの言葉と服の上からしのぶの柔らかい両手で触りまくられてドギマギしていながらも、顔を赤く蒸気して

 

「なんだか照れるなぁ、しのぶからそう言って貰えたら誇らしくて嬉しい。」

 

「ふふふっ! 幸せって、こう言う事を言うんですね………❤」

 

「まあ、まだ早い時間だからね、だから、しのぶも遠慮なく俺が満足するまで甘えさせてね。」

 

「…………もちろん❤!」

 

二人はそこで会話を打ち切ると、炭治郎は再びしのぶの背中に両手を回して優しく撫でた。それを合図にしのぶも炭治郎の背中に両手を回し、優しく撫でて抱き締め返した。

 

これではどちらが甘えているのか分かったものではないが、炭治郎としのぶは心底幸せそうに戯れ合いを続けて、三十分経った。

 

ーーーーー

 

コンッコンッ

 

「しのぶ様、起き抜けに失礼します。炭治郎を見ませんでしたか?!」

 

「師範、炭治郎の部屋に行ってもいませんでした……………もしかしてここにいますか?」

 

ノックの後に響いてたのは、アオイとカナヲの声だった。

それを聞いた炭治郎としのぶは眠気に襲わりながらもすぐに起きて

 

「ああ、すまないっ!今部屋を出るから、待っててっ!それじゃ、しのぶも………!!」

 

炭治郎が起きようとしのぶを見ると、笑顔だったが、青筋を浮かべ、怒りの匂いを放っているしのぶがすぐ目の前にいた。

 

「………………仕方ありません………」

 

と言い、不満そうに寝台から炭治郎と一緒に出た。

その後に部屋を出たしのぶと炭治郎にアオイとカナヲが

 

「何故此処に二人でいたのですか?!」

 

「……………」

 

アオイが驚き、声を上げて、カナヲが無言で詰め寄ると炭治郎がしどろもどろになりながらも説明して、多少不満そうになりながらもアオイとカナヲは納得したように、上機嫌なしのぶと共に朝食を食べに食堂に向かった。

 

ーーーーー

 

 

そして、その後はしのぶとアオイとカナヲが牽制しあって時間だけが過ぎ、夕方頃になった。その時間に炭治郎が湯に浸かっていると

 

「炭治郎、お背中流しに来ました。」

 

「へあっ!」

 

アオイが入って来て、それに炭治郎がびっくりしていた。

しかも炭治郎がアオイを見ると湯浴み着を着ているアオイがいた。

 

炭治郎の熱い視線を受けたアオイは顔を赤くしながらも、

 

「そんなに見ないでください恥ずかしいので………」

 

「ああっ! ごめん!!」

 

「そ、それではっ! 今からお背中並びに他の部分も洗いますね、炭治郎っ。フーーッ、フーーッ。」

 

「あ、ああ、ありがと………ん? 他の部分も?」

 

炭治郎の疑問に答えずにアオイは興奮しながら、ゆっくりと丁寧に炭治郎の身体の隅々まで拭いて行った。

その最中にアオイは

 

「炭治郎、あなたには感謝しています、貴方のおかげで、私はもちろん、しのぶ様、カナヲ、なほ、すみ、きよ達みんなが前を向いて歩けるようになりましたっ! これはそのお礼と私自身の気持ちですっ!」

 

「こちらこそ、いつも怪我を治してくれたり、美味しいご飯と機能回復訓練をさせてくれるから、俺だけじゃなく鬼殺隊みんなに感謝しているよっ!」

 

と言い炭治郎とアオイとの会話が弾んでいた。

 

そして、後は下半身の一箇所だけは炭治郎が

 

「いやっ! そこはいいから! 自分でやるから!」

 

アオイは渋々ながらも了承した後にそのまま

 

「では、一緒に入りましょうっ! 大丈夫です、私もこうして湯浴み着を着ていますのでっ!」

 

「あ、はい。」

 

アオイの勢いに押されてそのまま二人でお湯に浸かっていると不意にアオイが炭治郎の背中に

 

「えいっ!」

 

ギュムッ!と自身の胸を押しつけた。

 

「ほわああっ!」

 

炭治郎があまり柔らかさにびっくりしているとアオイが炭治郎の耳元に

 

「今は二人きりですので、好きになさっても大丈夫ですよ❤️」

 

と言う言葉に炭治郎は不意に顔を赤く蒸気して口をあんぐり開けると、

 

「何をやっているんですか、アオイ?」

 

「アオイ、ずるいっ!」

 

その声に反応して二人で見てみると同じく湯浴み着を着ていた、しのぶとカナヲがいた。

その後にも三人で炭治郎の取り合いをしていると炭治郎が

 

ブーーーー

 

と鼻血を出して倒れてしまった。

 

「「「炭治郎っ!!!」」」

 

三人の炭治郎を心配する声だけが響いてた……………

 

 

 

ーーーーー

 

 

その夜……………

 

「えらい目にあったなぁ……………」

 

炭治郎がそうぼやいているとドアから

 

コンッコンッ

 

とノックの後に

 

「炭治郎、少しいい?」

 

と言うカナヲの言葉にドキリとしながらも、中に入らせていると

 

「今夜は一緒に寝て欲しい。」

 

「……………え?!」

 

その後には炭治郎が拒もうとするとカナヲが

 

「アオイと師範とは一緒に寝たじゃない。」

 

と目をうるうるさせるものだから、炭治郎も覚悟を決め

 

「分かったっ!カナヲっ!」

 

そうしてカナヲと添い寝することになった炭治郎。

その後に色々と話していると

 

「えっ! 最終選別では、しのぶの許可を得ずに書き置きだけ置いて、カナヲ一人でっ!」

 

炭治郎の突然の言葉にカナヲは苦笑して

 

「後から凄い怒られたけどね………」

 

炭治郎は、真剣な表情で

 

「何でそんな事を………」

 

カナヲは、無表情で

 

「私は、家事も炊事も医術も何も出来なかったから………」

 

「!!!」

 

カナヲは続けて

 

「怖かったの、このままじゃ、何も出来ないままなんて、捨てられたくないと思ったからっ !!」

 

そんなカナヲの真剣で悲壮感溢れる言葉に炭治郎は静かに体を引き寄せて抱きしめた。

 

「カナヲ、辛かったね。泣いていいよ。」

 

「うぅぅゔ……………」

 

カナヲは炭治郎の暖かさに包まれながら、ゆっくり……………涙を流して泣いた。

 

ーーーーー

 

それからも忙しくも穏やかな一日になろうとしていたが、皆が朝食を食べていると鎹烏が来ていた、更に炭治郎達にとって信じられない事を言い放つ。

 

 

 

「緊急任務ッ!! 隣町ニテ鬼ヲ複数確認!! 柱稽古ノ合間二向カッタ隊士達数名ガ行方不明二!  蝶屋敷蟲柱ノ胡蝶シノブ及ビ戦エル隊士達ハ!! スグ二現場二急行セヨ!!

 

 

 

 

 




長らくの平穏から緊急任務へ!!
次回も楽しみに!!


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第拾弐話 緊急任務

急な体調不良により長らく四週間以上もの間お待たせしてしまい申し訳ありません。

更に短いです、すいません。ですが、応援してくださる皆様の為に頑張って投稿しました、どうぞ見ていってください。


隣町にて鬼が複数現れたという鎹烏の報告を聞き、

 

「何て言うこと?!………」

 

しのぶはもちろん蝶屋敷のみんなが驚愕した。何故なら、今まで全く鬼の存在を確認どころかパタリと止んだからこそ柱稽古をやれたからだ。

みんなが沈黙していると其処へ炭治郎が

 

「今すぐに行きましょうっ! こうしている間にも鬼に喰われている人がいるからっ!」

 

その言葉に蝶屋敷の面々はハッとして一様に皆で頷き、

 

「隣町ですから、皆、隊服ではなく、着物を着て向かいましょう。」

 

 しのぶの提案は尤もだった。鬼殺隊は政府非公認であるが故、廃刀令のご時世では刀を持つのは目立つ、それどころか犯罪者に間違われるのである。鬼の存在を知り、鬼殺隊に助けられた経験のある警官や軍関係者も一部にはいるから誤魔化せなくもないが、なるべく騒ぎは起こさないと言うしのぶの指示の後にそのまま身支度を整える為に一旦別れた………。

 

ーーーーー

 

数十分後………

 

「ふうー、何とか身支度を終えた。」

 

集合場所である玄関前に炭治郎が、普段の隊服から普通の着物を着てその上から浅黒波紋様の羽織を纏った姿でいた。

 

其処へ

 

「お待たせしました。」

 

其処にしのぶとカナヲとアオイがいつもの隊服ではなく藤色の着物に普段から着ているそれぞれに、しのぶが紫、カナヲが赤、アオイが青の蝶の羽根を模した羽織を纏い町娘の服を着ていた姿があった。

 三人とも刀は桐箱に入れて、肩に担いでいる。

 

それを見て炭治郎が顔を赤くして、ポツリと、

 

「………三人とも綺麗だ………」

 

と言う炭治郎の言葉にしのぶ、カナヲ、アオイがみんなボッと赤くした。もじもじした。

 

「あ、ありがとうございますっ!」

 

「う、うん。」

 

「ど、どうも。」

 

その後に炭治郎が

 

「あれ?!もしかしてアオイも行くのかい?」

 

「はいっ!、………と言っても私は、戦いではなく、皆さんが怪我をした時にすぐに手当てをすると言う、医療と後方支援担当として共に参りますので、あまりお役に立てませんが、頑張りますっ!」

 

其処へ炭治郎が、優しげに笑いかけて

 

「ううんっ!来てくれるだけでも嬉しいよっ!」

 

その言葉にアオイが照れているとしのぶは炭治郎の元に一瞬で近づいて

 

「私も蟲柱として貴方の力になりますよ………」

 

「ふぁつ! はいっ!」

 

と炭治郎の耳元で(ささや)いた。

それに炭治郎が更に顔をボッと赤くしていた

 

それを見たアオイとカナヲも負けじと、カナヲが炭治郎に腕に、アオイが背中に抱きついて

 

「炭治郎、私、頑張るからっ!」

 

「よろしくお願いしますっ!」

 

その後もやり取りは続いた

 

ーーーーー

 

そうして隣町に着いた其処は大きな街だった。

 

「うわ………凄い大きい街だなあ!」

 

炭治郎が驚いているのを見てしのぶがクスリと笑い、それを見て炭治郎は顔を赤くした。

 

「ご、ごめん、俺って、山と村での暮らししか知らなかったから、あれから2年以上経つけど、未だに慣れなくて………」

 

謝罪する炭治郎を見てしのぶは、ゆっくりと頸を横に振って

 

「いえ、微笑ましいですよ。」

 

それを見てアオイとカナヲも微笑み頷き、その後にしのぶ達がその後に皆で話を聞くと、どうもこの街だけじゃなく周辺の村一帯も壊滅していると言うのが、分かり、

 

「急ぎましょうっ!」

 

 

しのぶの号令の元に皆で隊服に着替え、刀を装備して夜を待った……………

 

ーーーーー

 

そして、夕刻も過ぎて、街を散策していると、其処へ炭治郎が匂いを嗅いで

 

「鬼の匂いがっ!」

 

炭治郎の言葉にしのぶ達も一斉に刀を構えた。

 

「炭治郎、カナヲ、構えてっ!アオイ、貴方はうしろの方へっ!」

 

「「「はいっ!」」」

 

暗闇の中から二人組の男の鬼が出てきた。

 

一人は眼鏡をかけており、着流した黒い着物を着ている鬼で

 

「ん? 何だお前ら?」

 

もう一人の鬼は、左目を髪で隠している青年の鬼。

 

「杭竹、この人達は鬼狩りだよ、ほら、前に僕たちに襲い掛かった奴らと同じ服だし。」

 

「………あー成る程なぁ、確かに諸矢の言う通りだぁ。」

 

更に特筆すべきは、杭竹と呼ばれた鬼の左目にバツ印が付けられた下陸を見て炭治郎達は、

 

「お前達は''元''下弦の鬼達だなっ!」

 

と警戒心を剥き出しにすると諸矢が驚き

 

「へぇー!杭竹はともかく僕のこともよく分かったねぇ。僕たちは二人とも鬼との入れ替わりの血戦に負けたからさ。」

 

と言いながらも今度は諸矢が左目を見せてきた、其処にはバツ印が付けられた下陸の文字を見せてきた。

 

「うーん、僕として大人しく食われてくれるなら優しく痛みなくでやりたいんだけどね。大人しく食われてくれる?」

 

それを聞いて炭治郎達は、睨み付けると、諸矢は、ニコニコと笑い

 

「そっかー、それじゃ、仕方ないね。さようなら………」

 

その薄っぺらさに炭治郎は

 

「ずいぶんと薄っぺらい優しさだな。」

 

それに諸矢が青筋を浮かべて、両手の手のひらから血を流して、その血が、大量に諸矢の周囲を覆い、矢の形になった。

 

血鬼術 矢雨

 

と言い、無数の矢が襲ってきた。

 

其処へ炭治郎が

 

ヒノカミ神楽 灼骨炎陽

 

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

 

 

炭治郎の前方広範囲を炎が渦を巻くように斬りつける技とカナヲの自身の周りを囲うように斬撃を放ち、矢を全て弾くと諸矢は、驚きながらも、

 

「杭竹っ!」

 

そして、見てみると先ほどまでいたもう一人の鬼がいなかった。

 

ーーーーー

 

杭竹は居た。だが、血鬼術で自身の姿を透明と化して炭治郎達の背後に迫っていた。

 

(………元とはいえ俺も下弦の陸だ。こんな雑魚共なら、気配に気づかれずに………」

 

と迫ろうとしたが、

 

「そこだっ!」

 

と言う炭治郎の大声と共に刀を振るまれ

 

「えっ?!」

 

ヒノカミ神楽 円舞

 

上段から渾身の一刀を放ち、両断した後に横に振るい、杭竹の頸を切った。

 

「ギャアアアーーーーーな、何で分かったんだっ!」

 

炭治郎は、

 

「俺は鼻が良いんだっ! だから、透明になっていてもお前の位置は分かるっ!」

 

「そ、そんな………」

 

杭竹が涙を流して灰になるのを見て諸矢は、

 

「く、くそっ!」

と逃げ出そうとするも

 

「逃しませんっ! 多くの人を殺した罪を償いなさいっ!」

 

しのぶの

 

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

すれ違いざまに複数の裂傷を負わせ、毒を注入した。

 

諸矢は、

 

「そ、そんなーーーーー!」

 

と断末魔の叫びを上げて、倒れた。

 

そして、しのぶの技を見て炭治郎は、灰にならないのを見て、

 

「私の毒で倒しましたから灰にならずにあのまま腐っていきます。」

 

と目を閉じて、呟いた後に、炭治郎が、

 

「!!しのぶ、カナヲ、アオイっ! まだ、向こうの方に鬼の気配が?!」

 

「?! すぐに向かいましょうっ!」

 

炭治郎の言葉にしのぶ達が、警戒して現場に向かう……………

 




まだ続きます。


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第拾参話 美蝶達と日輪は、復讐鬼と対峙す

皆様、半年以上もの間お待たせしてしまい申し訳ありません。
そして、お久しぶりです。
これからもよろしくお願いします。


時は満ちた、因縁の交差する時。


元下弦の月達を倒した後………暗闇の中を炭治郎達が走っていると、目の前に、

 

白衣を着ている金髪の鬼の女を出会った、更に、親しげに笑いかけたその顔の左目に''下弐''にバツ印を付けられた数字を刻まれた文字が見えた。

 

「あらあら、杭竹はともかく諸矢もやられちゃったの、まぁ、あいつらは、底辺の鬼と言っても良いくらいの鬼達だからね。

でも、こんなに可愛い子達なら、この私、悦羅(えつら)にとっても役得ねぇ。」

 

と悦羅という鬼がせせら笑い

 

「あの時に下弦を譲ってあげといてよかったわぁ! でも、その鬼もとうの昔に倒されたみたいだけど、それでも十二鬼月にいた時よりも前よりも自由に鬼狩りを殺せるんだもの。」

 

そう言いながら、悦羅が嗤いながら言うと、しのぶが疑問を呟いた。

 

「下弦を譲ってあげといて……?」

 

しのぶの疑問に悦羅は高らかに答える。

 

「ええ、鬼狩りをたくさん狩ってあの方に認められて下弦に入り弐になった当初は、嬉しかったわ! ……………でも、その後のあの方からの命令、任務で鬼狩り達を喰らいつくしたけど、どんどん自由がなくなっていくのが内心嫌になって、あの方にバレないように、心の中まで自分に血鬼術で暗示をかけて、適当に強い鬼からの''入れ替わりの血戦''にわざと負けて、数字をあげたのよ。

その鬼もとうにやられたみたいだけど。最もあの方もそんなやる気のない私ではなく、他の鬼を下弦ににしたんでみたいだけど……………」

 

悦羅の言葉にしのぶを含めた皆は、驚く、それを見て笑いながら悦羅が両手を広げて、悦羅の周りに水が集まって鳥の形と化して周囲に現れた。

 

「さあて、始めましょうか、鬼狩りさん。まずは、そこの可愛い坊やからと言いたいところだけど、彼のもとに貴方達を案内しないといけないから。

最初は軽くで遊んであげる…………」

 

血鬼術 水撃鳥(すいげきちょう)

 

その瞬間に炭治郎に目掛けて水の鳥の群れがきたが、炭治郎が迎撃し

 

ヒノカミ神楽 灼骨炎陽

 

前方広範囲を炎が渦を巻くように斬りつけ、水の鳥の群れをなぎ払う。

 

「あらぁ、ならば直接殺してあげる。」

 

と今度は、自身の手に水が集まって固まって出来た薙刀を持ち、炭治郎に迫る。

それを見て炭治郎も薙刀を受けようとすると

 

「ただの薙刀だと思う?」

 

という不気味な声とともに薙刀の形が変化して、鞭のようになり、炭治郎の背後に攻撃しようとした瞬間

 

「させない!」

 

カナヲが止めに入る。

 

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

 

炭治郎を守る様に炭治郎の背後に立ち、自身の周りを囲うように斬撃を放つと同時にしのぶが悦羅に迫り

 

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

の一瞬にして跳躍し、蝶が舞うように身軽に動き、視認できない程の速度で相手の身体に毒の刃を複数突き刺そうとするが、悦羅は後方に避ける。

 

その後にしのぶとカナヲが炭治郎の側に立つ。

 

「炭治郎は私が守る!!」

 

「私もいますよ、カナヲ」

 

カナヲとしのぶの互いに負けまいとする言葉、二人の本気の技を見て炭治郎は改めて二人の女の人の強さに内心、驚きと高揚した。

 

(二人とも、凄い速さだ、流石だ!)

 

その隙に悦羅は後方の方にそのまま走り去るが、炭治郎達が追いかけていると、そこには、

 

 

 

 

 

 

「連れて来てあげたわよ、壊屠(かいと)様?!」

 

そこには、黒髪で端正な顔立ちの青年であり、笑みを浮かべるトンビと呼ばれる黒いコートに身を包み洋装を纏った男がいた。

 

「遅かったな、また、遊んでたのか? 悦羅。」

 

「ごめんなさいね。」

 

「まぁいい、これで復讐が出来る!! 女三人に、男ひとりか……………楽しみだ。」

 

更に瞳には、バツ印を付けられた''下壱''の文字があった。その姿を見てが炭治郎達が身構えると、アオイが体が震えていた。

 

「あっ!…………あっああ!!……」

 

アオイの様子を見ていた炭治郎達が驚くと同時に見るとその表情は、驚愕そして、

悲しみと怒りに震えている

 

「お、お前は……………」

 

「?、なんだ?」

 

涙を流してアオイが言うと壊屠が訝しみ途端に

 

「私の父さんと母さんを殺した鬼‼️」

 

アオイが叫ぶその言葉に炭治郎達が驚愕して、その鬼を見る

 

「お前が……………」

 

「アオイの両親を……………」

 

「奪った鬼ですか……」

 

瞬間的に炭治郎、カナヲ、しのぶが静かに怒りを表すと壊斗の方は、「んん?」と言いながら、

 

「何処かで会ったか?……………」

 

「巫山戯けないで下さい! そのトンビを纏った洋装の姿! 忘れるはずがない‼️」

 

アオイの言葉に壊屠はそのまま無表情のままにアオイを凝視しながら考えこむと途端に「あっ!」と言い

 

「思い出したー! 何年も前に殺した奴らのところのガキじゃないか!」

 

「………ようやく、思い出したようですね。」

 

壊屠がアオイを見ていうとアオイの方も睨みつける。そして、壊屠が続け様に

 

「忘れてて悪かったな、何せ、何年も経っていたからなあ。あの時の事は俺も悪いと思っているんだよ。」

 

突然の言葉にアオイ、炭治郎達が動揺していると壊屠が静かに話す。

 

「あの時の……おまえの両親がお前だけでも逃がそうと親父の方は、襲い掛かった俺に対して食い止めようとして、お前の母は小さかったお前を連れて一晩中逃げ回り、そして殺した後に見たお前の泣き叫ぶ姿を見て

 

 

 

 

 

……………()()()()()()()()()()()()

 

「!!!」

 

突然の最悪の言葉のアオイだけじゃなく炭治郎達が怒りに震えていると壊屠が嗤いながら

 

「お前のことはもっと追い詰めたかったけどなあ……でも、夜明けが迫って来ていたから引き上げることにしたんだよ。あの時は俺だけが楽しんですまなかったなぁ!」

 

アオイが怒りに震えながらも

 

「巫山戯るなぁ!」

 

壊屠が嗤いながらも突然に無表情になり

 

「本当にあの時は後悔したよ……………お前に逃げられたことを……………お前の親達が邪魔しなきゃやれたんだがなぁ……………ああ……………しかしながら、今となると嫌な記憶だなぁ。」

 

壊屠の自分勝手な言い分に炭治郎達が静かに怒りを見せると壊屠はおもむろにしのぶ達がつけている蝶々の髪飾りを見て

 

「へーその髪飾りは……………というかお前らもかよ。」

 

「お前らも?」

 

壊屠の言葉にアオイが訝しむと壊屠は、嗤いながら自身の纏ったトンビをさらけ出すと、胸元から、あるものを取り出した。

 

「戦利品だ。」

と言い見せてきたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

「!!!」

 

それにアオイだけでなくしのぶが驚き

 

「その髪飾りは何処で手に入れたんです?……答えなさいっ!!」

 

「はっ! 殺して奪ったに決まっているだろう?!」

 

壊屠の言葉にしのぶ達が驚愕して怒りに震えていると

 

「鬼狩りにしちゃ、綺麗な髪飾りをしていたから殺して喰ってから記念品として手に入れたんだよ。

お前たちの知り合いだったのか?」

 

「私の継子で、家族です!!」

 

しのぶの怒りを込められた言葉に壊屠はせせら嗤いながらもアオイを見ると

 

「そうかそうか! 成る程! まさかここでかつて逃げられたお前だけじゃなく、かつて殺した女どもの家族とやらにも会うとはなぁ。それにお前の事を思い出すと、他にも逃げられた女どものことを思い出す、確か、()()()()()()()()だったかな。」

 

「!!! 今、何て?!……………」

 

壊屠の突然の言葉にアオイを始め、炭治郎達が動揺していると壊屠はせせら嗤い

 

「俺は、これまでに襲った奴らは鬼狩りとただの人間を含め全員皆殺しにしているが、逃げられたのは数える程しかいないからなぁ。印象に残っているんだよ小さな女のガキ共だったから、しかも三つ子かよ! ていうくらい似てたから覚えているんだよ。そいつらの親どもが邪魔しなきゃ食えたのによ。」

 

「貴様!」

 

「その反応、お前達は、知っているのか! これは良い、こんな巡り合わせがあるなんてなぁ!! 」

 

炭治郎は激怒しながらも静かに問う

 

「何故、そこまでする。」

 

炭治郎の問いに壊屠は静かに

 

「俺は、()()()()()()()()()()()()()()

 

「!!!」

 

「そ、そんな事で?!」

 

突然の言葉に炭治郎だけじゃなくしのぶ達が驚愕して怒りに震える

 

「貴様!!」

 

アオイは刀を抜こうとしたが、壊屠の睨みつける目を見ると両親を惨殺された事を思い出し、涙が出て体が震えて抜けることが出来ない。

そんな自分が情けなくなり、膝をついて手で涙に濡れた顔を覆い

 

(こんなやつに……しょうもない理由で……………なのにごめんなさい……………お母さん、お父さん、みんな、私は悔しすぎて立てない!)'

 

そんなアオイに炭治郎が、()()()()()

 

驚くアオイに対し炭治郎静かに優しく

 

「アオイ、安心して、よく見ていてくれ。」

 

 

言葉を皮切りに炭治郎達が睨みつけると壊屠は目を細め

 

「お前達を拷問してからゆっくりその三人も探して、そいつらも殺して喰ってやるとするか。」

 

その言葉に炭治郎、しのぶ、カナヲが一斉に刀を構える

 

 

 

「させない!!」んっ?!」

 

其処には怒りを燃やす炭治郎達がいた

 

「お前だけは必ず倒す!! 壊屠‼️」

 

炭治郎が叫ぶとしのぶ、カナヲも並ぶように壊屠を睨みつける

 

「みんなの仇を取らせてもらいます‼️」

 

「お前だけは許せない‼️」

 

今ここに因縁が交錯する

 

 

 




長くなりますので、ここで区切らせる事をお許しください。

次回は死闘!!


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第拾肆話 復讐劇の終わり、そして日輪と美蝶は前へ歩き出す

長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。
詰め込み過ぎて長くなりましたが、どうか最後までお願いします。

しのぶ、カナヲ、アオイの家族を殺した仇敵たる壊屠との決着。
そして新たな始まり
 

感想、評価、質問、誤字脱字報告お願いします。

炭治郎とアオイとの逢瀬を追加しました。


江戸時代

 

愛する者のため、仲間のために戦争をおいて武功を立てた一人の兵士がいた。

 

だが、その兵士は裏切られた。

 

仲間だと思っていた同じ兵士達、上司に疎まれ、憧れを抱いた姫にも裏切られ、商人達には匿うと言われながら欺かれ突き出され挙句の果てに戦争が終わった後に戦争での全ての罪を押し付けられ目の前で家族を惨殺された。

敵討ちのために戦うが多勢に無勢により敗北した。

 

「やりましたね。」

 

「しぶとい奴だったなぁ。」

 

「哀れな奴じゃな。」

 

そう嘲笑われ、そのまま放置された。

そうして放置された兵士はそれでも憎悪を燃やし

 

もし生まれ変われたら

来世があるのなら

 

その時にこそ自分を裏切った奴ら全員を

 

「……あぁ、絶対、お前達の全てを奪って地獄を味わせて殺してやる…」

 

そして、其処に着物を着た男が現れた

 

「ほう、死の間際にいう言葉はそれか……………面白い、お前を鬼にしてやろう。」

 

そうして鬼舞辻無惨により鬼として蘇った壊屠は

 

   ''苦しめて苦しめて苦しめて''

 

' 'コロシテヤル''

 

 

''すぐにじゃない、ただ殺したいんじゃない''

 

 

    ''復讐がしたいんだ''

 

出来るだけ苦しめて苦しめて殺す

 

そうしなければ俺は満足出来ない

 

復讐相手にはもちろん自分に対しては悪口、暴力を振るったものに対して自分への仕打ち以上の地獄を見せてから容赦なく始末してきた。

復讐相手に苦痛を味わわせるために必要な場合は無関係な子供でも容赦なく人質として利用した

 

そしてかつて裏切った兵士達の前に姿を現し

 

「お前、生きてぎゃああー! やめろ! 助けてくれよー! ぎいやあああ!!! お願いしまギイヤアアア!」

 

元同僚達の兵士達が刀で襲いかかって来たが、両腕ともに折り、食いちぎり引きちぎって、その後には家族共々に拷問惨殺した。

 

「金がー! や、やめぎいややあああーー!」

 

欺いた商人達には全財産を焼き尽くして、両足を切り裂いてから嘲笑いながら苦しめて殺した。

 

「嫌! 助け嫌ああーー! お父様! お母様!……ぐい嫌あああーー!」

 

自身を裏切り弄んた姫には、両手両足を折って逃げられない様にしてから、両親、家臣全員を拷問して目の前で殺し顔を食いちぎり嘲笑してそのまま放置して城に火を放った。

 

自身の家族が処刑された時に見ていた町の人達も

 

「誰一人逃さねえよ!」

 

と呟いて女子供も含めて

 

「いやあああー!」

「誰かーー!」

「お母さん! お父さん!」

 

そして、町から様々な場所で大勢の悲鳴と助けを呼ぶ声が響いていたが、壊屠は、それを風流と思い聞きながら、街を焼き、多くの人達を惨殺し食い尽くした。

 

更に自身の復讐を邪魔しようとした鬼殺隊にも復讐しようと決めた。

 

「愉しんで、地獄を味わせて鬼狩り達の全てを殺してやる!」

 

~~30年以上前

 

べん べん べん

 

琵琶の音が聞こえた。

 

あまりに唐突な視界の変化。視界に映る四方八方に階段が伸び、壁が宙を漂うしかしその配置に統一性はなく、空間が捻れ歪んでいて、暗く地平線が見えない。

摩訶不思議な構造の城で床と襖が彼方此方にあって、天井がなく、底もない空間。

 

其処には、鬼の首魁たる鬼舞辻 無惨がいた。

そして、其処には平伏している壊屠の姿もいた。

 

 

「壊屠、お前は下弦で唯一柱を二人殺した……」

 

鬼舞辻無惨は尚も冷徹に言い放ち

 

「そんなお前の働きを期待していたが、だが、貴様は上弦の鬼の縄張りを犯し、童磨の教団の女共を喰らい、玉壺の壺を出している店をも巻き込み、挙げ句の果てには猗窩座が強者と見出し紹介して増やした強い下弦の鬼達をも喰らい尽くした。

それどころか私の隠れ蓑にしていた場所まで破壊した!!」

 

無惨が話を進めるたびに無惨の声が壊屠に何度も突き刺さり、身体が音を立ててきしみ、体中にひびが入りだす。それを象徴するかのように彼の目や鼻や口からはおびただしい量の血が噴き出した。

 

「お前には失望した、本来なら殺してやるところだが、お前には利用価値がある、よって…………」

 

そう言い終わると同時に壊屠の瞳の''下壱''の数字にバツ印が刻まれ

 

「うぐぅぅ?!」

 

壊屠が痛みで呻き左目を痛そうに抑えている壊屠を無惨は冷たく一瞥し

 

「数字は剥奪する、貴様はやりすぎたのだ。」

 

そう言われて壊屠は十二鬼月から追放されても復讐のために鬼狩りを殺し続けた。

その後に一人では限界を感じ''共犯者''たる同じく数字を剥奪された鬼を力で押さえつけ配下として連れ歩く

 

ーーーーー

 

「俺を倒す? 仇を取る? 違うね、いつだって俺が復讐する側なんだよ! 俺は鬼であり亡者そのものだからな!! 鬼狩り達全員を地獄に引きずり込んでやる!!」

 

血鬼術 水銀燈

 

両手に水銀の刀を生成して炭治郎達に襲いかかるが、炭治郎としのぶが前に出て

 

 

ヒノカミ神楽 炎舞

蟲の呼吸 蝶ノ舞 ”戯れ”

 

炭治郎の二連撃を繰り出す技としのぶの突きに対して壊屠は不敵な笑みで自身の二刀流で受け流し、しのぶの突きを食らうが

 

パァン

 

「なっ?!」

 

「俺に斬撃は効かねえ!」

 

壊屠の体全体を水銀が覆い水飴のようにしのぶと炭治郎攻撃を受け流した。其処へカナヲも向かおうとすると

 

「お嬢ちゃん、私と遊びましょう」

 

悦羅が水の薙刀と周囲を水の鳥で囲いカナヲを殺そうとし向かうもカナヲは炭治郎達から引き離し

 

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

 

悦羅の攻撃を受け流しながら襲ってくる水の鳥を切り裂いて防御する斬撃で迎え撃ちながらも炭治郎達から離れていく。炭治郎はそんなカナヲを心配するも戦いの最中に笑顔を見せてきたカナヲを見て信じしのぶも頷き壊屠に集中した。

その光景を見てアオイは、自身の無力を呪い、恐怖で涙が出て強張りガタガタ震える肩を両手でギュッと握る

 

「…………やっぱり……………私は何も……出来な「そんな事はない!」えっ?!」

 

アオイの言葉を壊屠との戦いの最中に炭治郎が大声で遮る

 

「アオイ! 小さくても良い! 自分の出来る事を頑張れ!! アオイはもう俺の一部だから! アオイの思いは俺が戦いの場に持っていくっていったはずだーーー!!」

 

「!!!」

 

その炭治郎の言葉にアオイを先程まで支配していた恐怖が……………消えた。

 

ドクン ドクン ドクン!

 

その時にアオイは炭治郎に熱い視線を向け、心臓が強く動き、体全体が熱くなった。

 

ーーーーー

 

「きゃはははは!」

 

「はああーーー!」

 

悦羅の薙刀と周囲を回る水の鳥にカナヲは花の呼吸で迎え撃つも薙刀の長い間合いと曲がる攻撃に苦戦していた。

 

「どこまで耐えられるかしらね?!」

 

悦羅の言葉にカナヲは無表情ながらも

 

「もう終わるよ……貴方の負けでね!」

 

カナヲの挑発に悦羅は笑い

 

「防戦一方で何を言っているの?! さあ! 私に殺させて絶頂を味わせて!」

 

と言いながら悦羅が薙刀を振るいながらも水の鳥達を襲わせるとカナヲは一旦間合いを取り

 

花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬

 

鋭い九連撃からなる斬撃で水の鳥の群れをなぎ払い更に驚く悦羅が薙刀を横一文字に振るうも更に低く走り

 

花の呼吸 肆ノ型 紅花衣

 

下から上にかけて捻れる特殊な軌道をした目にも止まらぬ速さの斬撃で悦羅の頸を切った。先程まで攻撃出来なかったのは、攻撃の速度を見極めるために探っていたが、水の鳥、水の薙刀の動きをカナヲの類稀なる観察眼により見切り攻撃が出来た。

 

「えっ?! 嘘よ! 嫌あああー!」

 

と叫びながら灰になって消えた。

それを見届けてカナヲは炭治郎達の元に走る

 

ーーーーー

 

壊屠の戦いの最中に炭治郎としのぶは二本の水銀の刀を掻い潜り水銀の鎧を徐々に引き剥がしていたが、途端に炭治郎が一瞬

 

「?! なっなんだ?!」

 

「はは! 遂に来た!」

 

よろけた炭治郎を見て壊屠が攻撃して炭治郎が防御するものの右肩を斬られると其処にしのぶが

 

蜻蛉の舞い 複眼六角

 

敵の複数箇所に高速で撃ち込む技により壊屠から炭治郎を守るも水銀の鎧に対してはあまり意味がなせずにいると壊屠がせせら嗤う

 

「毒が効いてきたなぁ!」

 

「毒?!」

 

しのぶの言葉に壊屠が自身の刀を向ける。

 

「其処の小僧には、俺の鎧に攻撃した時に跳ねた毒がついてんだよ。

何せ毒は経皮毒だ、かかっただけでもう動けねえさぁ、最も女、お前には、かからないように操作したがな!」

 

壊屠の言葉に炭治郎だけじゃなくしのぶが困惑していると壊屠は口角の吊り上げて

 

「お前、その小僧が大切なんだろう? 動けない小僧をどう守る?」

 

「!! この下衆がぁ!!」

 

「な、舐めるなぁ! くう!」

 

壊屠の言葉にしのぶと炭治郎が激昂するも炭治郎が動きが鈍り、それを見て壊屠がせせら笑い追撃しようとしてそれにしのぶが炭治郎を守ろうと迎え撃とうとすると

 

 

「させません!!」

 

壊屠に斬りかかり壊屠を止めた。

其処には

 

 

 

 

 

「「アオイ?!!」」

 

青色の日輪刀を持ち震えながらも壊屠の前に出ているアオイがいた。

鬼に対する恐怖心により戦えないアオイが今目の前の鬼の前に立ち戦おうとしている姿。

そんなアオイに対し炭治郎としのぶは

 

「アオイ、早く下がるんだ!」

 

「何やっているですかアオイ!」

 

その二人の言葉にアオイは

深く息を吐いて大声で

 

「炭治郎、()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「!!!」」

 

アオイは今まで自身が戦う事は''出来なかった''

だが、炭治郎との出会い、言葉何よりも'炭治郎に対する愛''により今まで自身に巣食っていた恐怖心を打ち払うことが出来た。

そして家族の仇鬼の壊屠と睨み合う

 

「女、俺を殺せると思っているのかよ?」

 

「思っていませんよ、ですが……………負けるつもりもありません!」

 

アオイの挑発に壊屠は

 

「ははははははーーー!」

 

嘲笑し

 

「面白え、そいつらと一緒に殺してやる!」

 

二刀流の斬撃に対しアオイは

 

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

 

水流のごとく流れるような足運びの移動により躱し続けた

 

「チッ! ちょこまかと!」

 

壊屠の注意をアオイがしつつその隙にしのぶは胸元から注射器を取り出し

 

「この薬ですぐに治りますからね、炭治郎。」

 

「う、うんお願い。」

 

その間にもアオイと壊屠の戦いの最中、

 

「見切った!」

 

アオイの動きを見て刀で斬りつけるとアオイは左肩を切られるもその際に壊屠の顔に日輪刀で斬りつけた。

 

「はっ無駄……んっ!」

 

勝ち誇るものの途端に壊屠がよろけるとアオイはしてやったりと笑い

 

「私はしのぶ様から色々教わっているんですよ、もちろん鬼に効く毒を!」

 

アオイの言葉を聞いた壊屠はすぐに

 

ズバッ

 

自分の顔を二本の刀で切り裂いた。

それにアオイが驚くと壊屠は尚も嗤い向かうと其処へカナヲがアオイを助けようと

 

花の呼吸 陸ノ型 渦桃

 

空中で回転する斬撃で割って入るカナヲを見て壊屠は

 

「悦羅がやられた?!  ああ、残念だ………」

 

壊屠の様子を見てアオイは、目を鋭くしつつ

 

「そういう割に笑っていますね。」

 

それに壊屠は嗤い

 

「何を言ってやがる………俺は今、怒り狂ってんだよ………お前達全員、奪って殺してやる!!」

 

壊屠が両手の刀を持ってアオイとカナヲの元に斬りかかり、それにアオイとカナヲが一旦間合いを取ると

 

「これ以上奪わせない!!」

 

其処に炭治郎が現れ

 

ヒノカミ神楽 斜陽転身

 

炎の気のオーラを纏い、沈む太陽のように刀を強く振り落とし、壊屠の水銀の鎧を吹き飛ばす

 

「なっ?! 舐めるなあー!」

 

途端に壊屠が水銀の鎧を戻しながら炭治郎に斬りかかるが

 

「終わりです、亡者だというなら地獄の底に永遠に沈みなさい!!」

 

アオイの言葉を皮切りにアオイの

 

水の呼吸 捌ノ型 滝壺

 

怒涛の勢いと共に上段から打ち下ろし壊屠片腕を切り落とした後にしのぶの

 

蜂牙の舞い ”真靡き”

 

相手に反応をさせない鋭い突きを壊屠の顔に突き刺し怯んだ所をカナヲの

 

肆ノ型 紅花衣

 

空中での目にも止まらぬ速さで切るつける斬撃により遂に、壊屠の頸を切った

その後に壊屠は自身が頸を切られた事を一瞬の間に理解して

 

「う、嘘だーーーー! まだ、俺は鬼狩り達を全滅させてねぇ! クソが、こうなったら鎧を吹き飛ばしてお前らも?! も?!」

 

途端に壊屠の顔全体が紫色に染まり吐血した後

 

「無駄です、貴方に毒を打ち込みましたから、もう動けませんよ。」

 

「なっ?!」

 

しのぶが冷たく言い放った後に炭治郎が

 

「下がって、しのぶ。俺が取り返すから」

 

壊屠の体の懐を炭治郎が探りそれをしのぶとカナヲ、アオイは警戒心を緩めずに見守っていると漸く三つの蝶々の髪飾りの無事を確認した後に炭治郎が

 

「やっと会えたね」

 

炭治郎が持ってきた物を確認すると三つの髪飾りは幸い壊れて居なかった。しのぶ達はその事実に安堵し、一筋の涙を流してしのぶ、アオイ、カナヲが髪飾りを優しく抱き締めた。

 

――皆、敵討ちが遅くなってごめんなさいっ。カナエ姉さんや貴女達の御家族と天国で幸せにねっ。

 

ーーごめんなさい、もっと早く戦うことが出来たら、こんな事には……………

 

ーー漸く会えたね、私の姉さん達、ごめんねっ。

 

 

「アオイと蝶屋敷のなほ、すみ、きよ達の家族そして私の継子達を殺した罪の痛みを知りなさい」

 

しのぶが冷淡に言うと壊屠は

 

「なっ! そ、そんなバカなぁーーー!」

 

そう絶叫する壊屠にアオイが無表情で哀れみながら近づいて

 

「哀れですねぇ!」

 

アオイの冷たい言葉に壊屠は尚も嗤い

 

「はっ、其処の紫髪の女も復讐を望んでいたんだろうが、目を見ればわかる、お前も俺と同じだ! 俺と同じ様に復讐を欲して「そんなわけあるか!」ん?!」

 

壊屠の言葉を炭治郎が遮るその後にも炭治郎は

 

「しのぶは確かに復讐を望んでいたけど、それでも多くの人を回りを助けて来たんだ! お前はただ復讐をしている自分が許されると免罪符を掲げていた、ただの大馬鹿やろうだ! しのぶとお前なんか比べ物にならない!」

 

「炭治郎………」

 

炭治郎のしのぶの事を労る言葉にしのぶが涙を流してその間にもアオイは

 

「壊屠、私は貴方に自分の力で復讐をしたかったのは否定しませんが、いつまでも引きずりません。

私にとっては復讐とは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

貴方の様に多くの人を巻き込み()()()()()とするためでは断じて無い!!

これからは私は愛する炭治郎のために生きます!!」

 

アオイの言葉に壊屠が驚き、それに続いて炭治郎が微笑み、しのぶとカナヲが静かにアオイを見つめていると壊屠は涙を流し

 

(……嘘だ……………惨めだ………………ちくしょう今まで………多くの鬼狩り達を殺して……………来たのに最後の最後で……………俺が殺してきた奴らの生き残りに……………俺の復讐が終わらせるなんて………惨めだ…………しかも相手の鬼狩りがすげ幸せそうで……惨めだ……………俺の人生は……………なんだったんだよ………………)

 

そう無力さに打ちひしがれ後悔して壊屠は灰になって消えた。

 

ーーーーー

 

その後に町に戻って皆で治療してもらうが、怪我を負ったのは炭治郎とアオイだったために二人並んでベッドにいるとアオイが不意に炭治郎に顔を向けて笑いかけた。

 

「炭治郎……………」

 

それに炭治郎も顔を向けて笑い

 

「アオイ、助けてくれてありがとう。」

 

それにアオイは頸を横に振る振るして

 

「いいえ、私は家族の仇の鬼に対して恐怖に震えて何も出来ませんでした、でも炭治郎………貴方のおかげで立ち上がって戦えたんです。」

 

アオイの言葉に炭治郎が頸を傾げるとアオイはクスリと笑い

 

「貴方の言葉、貴方の私達を守ろうとすると姿、何より私達の家族の思いを持ってくれる姿を見て私は自身に巣食う恐怖に打ち勝つことが出来ました。」

 

アオイの言葉に炭治郎照れ臭そうに顔を赤くするとアオイは炭治郎に抱き付いた

 

「えっ! ちょっ!」

 

アオイは狼狽する炭治郎の耳元を口を近づけて

 

「そのお礼として私の全てを貴方に差し上げます。

この体全てを貴方に❤️ 」

 

「!!!」

 

尚を狼狽する炭治郎にアオイは

 

「据え膳食わずは男の恥、いいえこの場合は私自身に魅力がないだけですね………」

 

何処かで悲しげにいうアオイに炭治郎は目を閉じて覚悟を決めてアオイの健康的で細身の美しい筋肉質の芳体と同時に抱き締めたら折れてしまいそうな括れた腰を触りまくる。

 

「ああっ ! あっ! あっ!」

 

アオイの胸声に炭治郎は自身の中に芽生える思いに気づくと

 

「良い声を上げるね、アオイ」

 

「………ふふふ、嬉しいですね炭治郎だから」

 

とアオイが静かに炭治郎に口を近づけて炭治郎も顔を赤くして目を閉じていると

 

バタン!

 

「「アオイ!」」

 

其処にしのぶとカナヲが来てそのまま四人 (しのぶとカナヲとアオイが炭治郎を取り合い) で喧嘩しながらも共に寝た

 

そうして町で休んだ後に蝶屋敷に戻り数日程平穏な日々(炭治郎をめぐりしのぶ、カナヲ、アオイが火花を散らし) 過ぎた後に

玄関先にて

 

「ごめんください、珠世と申します」

 

「ふん」

 

其処には珠世と兪史郎の姿があった

 

そして、新たなる始まりへ

 

 




オリキャラ紹介

壊屠 (かいと)

黒髪で端正な顔立ちの青年のトンビと呼ばれる黒いコートに身を包み洋装を纏う鬼。
復讐鬼であり他の鬼の縄張りを犯し、共食いし童磨の教団の女共を喰らい、玉壺の壺を出している店をも巻き込み、下弦の鬼達をも喰らいまくりそのせいで無惨がキレて数字を剥奪された鬼
アオイ、なほ、すみ、きよの両親達としのぶの継子を全員殺害した張本人で過去に柱を二人食らった鬼。

血鬼術は麻痺毒の水銀の鎧で刀を弾き、水銀の刀を二本で戦う。
実力は上弦の陸の片割れ"妓太郎''と同等の実力者。

悦羅(えつら)

壊屠の部下鬼
主に殺戮を楽しんでいた所を壊屠に負けた後に壊屠の異常性を見て心酔して行動を共にする

水を使った血鬼術を使う鬼

次回からは柱稽古です!!
お楽しみに!!


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柱稽古
第拾伍話 しのぶと珠世


メリークリスマス!
短いですが、更新しました。
これからも宜しくお願いします。


ーーーーー珠世が蝶屋敷に来る数時間前

 

「はい、口を開けてください、あーん。」

 

「あーん」

 

しのぶが炭治郎の診察をしており、その後にしのぶが笑顔になり

 

「もうすっかり傷が治りましたね。これなら'' 柱稽古 ''に行けますよ。」

 

「ありがとう、しのぶ」

炭治郎がしのぶの要望通りに敬語ではなく対等に話して、しのぶ呼びがようやく慣れてきた事にしのぶが内心嬉しく思いながらしのぶは炭治郎を抱きしめた。

 

「あ、あのしのぶ?」

 

「炭治郎………」

 

炭治郎が困惑してそれをしのぶが悲しげに笑うしのぶから

 

「私……………珠世さんと仲良くなれるでしょうか?」

 

しのぶが不安を口にして自身を頼ってくれる事に嬉しく思い炭治郎は微笑み抱きしめ返して

 

「しのぶ、今こそ、お姉さんのカナエさんの夢、鬼と人とが仲良くなれる夢が叶う時だよ。」

 

「!!………ふふふ。」

 

炭治郎の言葉にしのぶは、胸の中にあった不安が消え去る。

そして二人は抱き合いながら、しのぶと炭治郎は口づけた。

炭治郎もしのぶの思いに答える。

 

「ん・・あぁん・・炭治郎。」

「しのぶ・・」

 

クチュ・・ピチャ・・チュ。

 

「んん・・はぁん」

 

いやらしく艶めかしい音を立て、唾液を粘らせしのぶ炭治郎は舌を絡め合う。今まではなかったが蝶屋敷での日々により、許されない行為と知りながら。止まらなかった。

5秒あったかどうかの口づけを済ませ、しのぶと炭治郎は離れる。

しのぶはやや複雑そうで蒸気した表情で

 

「ありがとうございます、炭治郎「ずるいですよ!」ってアオイ! カナヲ?!」

 

其処には怒り心頭のアオイとカナヲがいた。

 

「しのぶ様、私たちがようやく仕事の目処が立っている時に抜け駆けするなんて!」

 

「いいじゃないですか? 別に。」

 

アオイの剣幕にしのぶは受けて立つ様に平然としてにこやかに返す

 

二人の間で火花を散らして睨み合いそれに炭治郎がタジタジになっていると炭治郎の顔をカナヲは両手で掴み

 

「炭治郎、私だって………」

 

「ちょっカナヲ?! んん!」

 

口づけた。

それを見てしのぶとアオイが呆然とする中

 

「んん! ちゅうぅぅ!」

 

「うんぅぅ! んんん!」

 

接吻をしてお互いに舌を絡ませているのを見て

 

「「何やっているんですか!!」」

 

と凄い剣幕でしのぶとアオイは炭治郎とカナヲを引き剥がしにかかり、

 

「カナヲ、随分と自分の心を素直になりましたね。

素直になり過ぎです!!」

 

そんなしのぶに対してカナヲは、

 

「私だって炭治郎が好きなんです。」

 

しのぶとカナヲが睨み合いをしていると

 

「んん、ちゅうゔう!」

 

「はん、あんんんん!」

 

その隙をついてアオイが炭治郎が口づけをしていた

それを見て

 

「「アオイ」」

 

 

ーーーーー

 

そして、夜になって珠世としのぶは向かい合い

 

「この度は家にお招きありがとうございます。

ご存知かと思いますが、私は鬼の珠世と申します。

こちらは兪史郎。」

 

珠世に促され兪史郎もまた

 

「兪史郎。」

 

と短い挨拶された後に

 

「手紙を読ませていただきました、私が鬼でありながらも鬼舞辻無惨打倒のために力を貸してくださりありがとうございます。」

 

と珠世が頭を下げてしのぶにいうとしのぶも真剣な表情で珠世に頭を下げて

 

「私は鬼殺隊、蠱柱の胡蝶しのぶ

お会いできて光栄です。

竈門炭治郎からお話を聞いています。彼が信じると言うなら私自身も異論はありません。」

 

「!!!」

 

炭治郎の名前が出て珠世は一瞬驚くもすぐに平静を取り戻しそれをしのぶは油断なく見て

 

「ですが、不躾ながら一つ質問よろしいでしょうか?」

 

「こちらこそ宜しくお願いします。

なんなりと質問をどうぞ」

 

側にいるアオイ、カナヲも緊張して見守る。

珠世は鬼殺隊からどんな事を言われるのか緊張していたが対してしのぶは意を決して

 

「竈門炭治郎、彼の事をどう思っているんですか!」

 

それに対して珠世は

 

「……………はっ?」

 

そして、珠世が想定してどんな事に当てはまらない質問に珠世は一瞬わけがわからなかった。

 




ここでのしのぶさんは ''炭治郎達と生きる事を誓った'' ために珠世さんに対してそれほど鬼として見ていませんが、恋敵かどうか見ています。


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第拾陸話 日輪と美蝶達は結ばれる

今年からも 「蝶を守り抜く日輪」を宜しくお願いします!!

珠世さんとしのぶとのお話、胡蝶三姉妹に対する炭治郎の答えです。
因みに前回接吻する仲までになったかを過去の回想としてしのぶから語ります。


「炭治郎は席を外して家の子達の手伝いをしておりますので炭治郎には聴こえておりません。

ですので答えてください、貴方にとっては炭治郎はどういったご関係ですか?」

 

しのぶの真剣な表情の質問に珠世は困惑しながらも

 

「立派な方でより良き協力者ですね。」

 

「それだけですか?」

 

しのぶのさらなる質問にそれを兪史郎が割って入り

 

「なんだ、貴様ら、さっきから! 珠世様に失礼だぞ!」

 

「良いのです、兪史郎下がっていなさい。」

 

「しかし……………」

 

「兪史郎。」

 

「はっ! 」

 

兪史郎がしのぶの質問に対して声を荒げると珠世が兪史郎を抑える。それを見てしのぶも頭を下げて

 

「いえ、珠世さん私こそ失礼しました。

炭治郎は私達にとって大切な方ですので貴方の気持ちが知りたかっただけなんです。」

 

それに珠世と兪史郎が頸を傾げ、先程の質問を改めて思い出し途端に二人とも顔が真っ赤になった。

 

「そ! その様な考えを! 炭治郎さんには持って……………」

 

「ふ! ふざけるなぁぁぁぁーーーーー‼️ 珠世様が炭治郎に対してその様な事を思うはずがあるかぁぁぁぁーーー‼️」」

 

珠世の弁明に被せる様に兪史郎の怒号が蝶屋敷に響いた。

それを見て珠世が静かに

 

「兪史郎……………」

 

「申し訳ございません、珠世様。(怒っている珠世様もお美しい) 」

 

その後に珠世は顔を赤くしているのを見てしのぶは意を決して

 

「私、いえ! 私達胡蝶しのぶ、神崎アオイ、栗花落カナヲは炭治郎と婚姻を結んで頂いております!!」

 

「「はい!」」

 

「えっ?!」

「何っ?!」

 

それに珠世と兪史郎が驚くもしのぶはその後も炭治郎との日々を語る

 

ーーーーー

 

時を遡り仇鬼の壊屠を倒した後に蝶屋敷に帰った後突然炭治郎から

 

「しのぶ、カナヲ、アオイ! 大事な話があるんだ。」

 

炭治郎が突然のことにしのぶ達が緊張しながらも炭治郎のために時間を作りその後に部屋に集まると炭治さんから

 

「俺は今まで三人から告白された時に返事がまだだったから、今ここで返事しようと思って……………」

 

「「「……………!!!」」」

 

途端にしのぶ、カナヲ、アオイは顔を赤くし嬉しくなりながらも、口をキッと結んである事を考え、確信した。

炭治郎が誰か選ぶということはもしかして、自分が振られるということを。

 

(やっぱり、私みたいな毒濡れの女よりカナヲかアオイを……………)

 

(私はあまり魅力無いし、最近いい所見せてないから、師範かな、それともアオイ?)

 

(……………分かっていました、私なんかよりカナヲかしのぶ様を選ぶという事を……………でも……………)

 

それでも愛する炭治郎が選んだのだから三人は覚悟を決めて従おうと思った

 

そして、炭治郎は、口を開いて

 

「俺、竈門炭治郎は胡蝶しのぶ、栗花落カナヲ、神崎アオイを愛しています。

三人共結婚して俺の嫁になって下さい!」

 

「「「………?……………‼️」」」

 

一瞬炭治郎が言っていることが理解できなかったが、理解した瞬間

 

「な、何を言っているんですか?!」

 

「え? え?! どういうこと炭治郎!!」

 

「正気ですか!! 炭治郎!!」

 

と三人に詰め寄られ炭治郎は申し訳なさそうにしてそれでも毅然として

 

「ごめん、俺は三人のどれかなんて選べないよ、間違っているのは分かっているけど、それでも三人共愛しくて俺は好きなんだーーーーー‼️」

 

「「「……………」」」

 

炭治郎は赤くなった無反応の三人を見て内心ダメかと思った。

其処へしのぶが炭治郎の顔を見て

 

「本気なんですね。」

 

しのぶの静かで真剣な言葉に炭治郎がすかさず

 

「うん!」

 

「!……ふうー……仕方ありませんね。」

 

しのぶはにこやかに笑いアオイとカナヲを見て、アオイも苦笑しながらも頷き、カナヲは

 

「本当に仕方ないんだから……………」

 

と言い三人は炭治郎の前に座り直し

 

「私胡蝶しのぶも竈門炭治郎を愛しています。貴方様の妻にして下さい!!」

 

「同じく私神崎アオイも竈門炭治郎を愛しています。貴方様の妻にして下さい!!」

 

「同じく私栗花落カナヲも竈門炭治郎を愛しています。貴方様の妻にして下さい!!」

 

そう三人は頭を下げて言う姿に炭治郎は涙を流して

 

「良いの? 俺のこんな告白なんかを受けて……………」

 

その姿を見て三人はクスリと笑い

 

「貴方の決めたことなら従います。愛しているから❤️」

 

「私も炭治郎を愛していますから❤️」

 

「大好きな炭治郎が言うことだもん、喜んで従うよ❤️」

 

三人の顔を赤くして決意表明を聞いて炭治郎も涙を流しながら覚悟を決めて

 

「はい! 私竈門炭治郎は、胡蝶しのぶ、神崎アオイ、栗花落カナヲの夫となります! 宜しくお願いします!」

 

そう頭を下げて炭治郎が三人に向けて言い終わった後

 

「三人共、少し目を閉じてくれるかい。」

 

「「「?」」」

 

三人は不思議がりながらも目を閉じていると炭治郎が自分達に近づいて右手に何かをしていた

 

「目を開けて。」

 

そう炭治郎に言われた三人が自分の右手を見て見ると三人の右手には

 

「これは………」

 

「わあ………」

 

「綺麗………」

 

右手の薬指に ''婚約指輪''がはめられていた。それぞれにしのぶには紫、アオイには青、カナヲには赤い指輪がはめられていた。

 

「実は少し前から頼んでいたものがようやく出来たんだ、どうかもらって欲しい。」

 

それに三人は

 

「ありがとう、炭治郎❤️」

 

「大切にしますね、炭治郎❤️」

 

「嬉しいありがとう、炭治郎❤️」

 

そうして炭治郎は胡蝶しのぶ、神崎アオイ、栗花落カナヲと婚姻を結んだ。

 

ーーーーー

 

そうしのぶに聞かされた珠世は顔を赤くして

 

「まあ! まあまあ❤️ それはおめでとうございます❤️」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

珠世の祝福の言葉にしのぶを含めてアオイとカナヲが顔を赤くすると

 

ドタドタ

 

と足音がして其処に目線を向けると

 

「な、何かあったんですか?!」

 

炭治郎が息をきらせて来てしのぶ達に事情を聞いているとその姿を珠世は悲しげに見て

 

「こうして見ると私も夫と子供を思い出してしまいますね。」

 

「珠世さん、夫と子供が?!」

 

炭治郎が座り聞くと珠世は悲しげに笑い

 

「ええ、いましたよ、私が食い殺してしまいましたが……………」

 

「!!!」

 

珠世の突然の言葉に全員に衝撃を受けていると珠世は続けて

 

「最初から分かっていれば鬼などならなかった!!」

 

そう珠世がなきじゃくるとその後にも衝撃的な事実が告げられる

 

「私は夫と共に医者をしており、町に住み多くの友人達と平穏で優しい暮らしが出来ていたし、息子を産んでこれからも幸せになれると信じていました。ですがある日自身でも治せない死病に私は身体を犯され、死の淵にいましたが、其処に無惨がやって来たんです。」

 

『!!』

 

珠世の過去を聞いて、炭治郎達は嫌な予感に駆られ胸騒ぎを覚えた。その予感は、間も無く珠世によって的中する。

 

「『可哀想に私が救ってやろう』と言い……あの時の私は絶対に生きたかった。健康な体を手にもう一度夫と息子を抱きしめたかった。そのままかすかな希望にすがり無惨の誘いに乗ってしまった私は鬼に変えられ、見守っていた夫と息子を喰い殺してしまった……っ。」

 

『あっああっ !!』

 

『嘘っ?!……っ!!』

 

珠世の悲痛な告白に。炭治郎達は言葉を絶句した。

 

――鬼になった者は、体力を消耗して身近に居る者を食料として襲ってしまう傾向がある…。

 

炭治郎はいつか冨岡に言われた言葉を思い出して珠世の話を黙って聞いていた。

 

「自暴自棄になった私は遣り場のない憎悪と悲しみを多くの罪無き人達にぶつけ続けました……あの時、夫と息子か死んだ時に私は潔く死んでおけば良かったと、今でも後悔しています!!…………っっ。」

 

その言葉に炭治郎が向かおうとするとその前にしのぶが珠世の手を取り

 

「貴方は立派ですよ、珠世さん。」

 

「えっ?!」

 

しのぶの言葉に珠世が驚いているとしのぶは優しげに笑いかけ

 

「今まで、多くの鬼達と対話しましたけれども、どの鬼も嘘つきで人を食った事を悔いていませんでした。

でも、貴方は違う! 自分が犯した罪を理解して償おうとしています。

貴方の事を許せないと思うものもいるかもしれませんが、私は貴方が十分罰を受けたと思います。」

 

しのぶの言葉に珠世は涙を流して

 

「ありがとうございます…………」

 

そんな珠世にしのぶは真剣な顔つきになり頭を下げて

 

「悪いのは、鬼舞辻 無惨です、どうか無惨を倒すために貴方の力を貸してください!!」

 

「頭を上げてください、胡蝶さん。

こちらこそ胡蝶さんのお力をお貸しください。」

 

そうしてしのぶと珠世と ''真に'' 協力した。

 

ーーーーー

 

「い、行ってきます……………。」

 

「行ってきます。」

 

そうして、柱稽古に行く日、炭治郎とカナヲが念願の柱稽古に向かう、炭治郎の腕にカナヲが腕を絡めたままで。

それに対してしのぶは笑いながら、アオイも真面目な顔で青筋を立てて

 

「本っ当に! 素直になりましたね、カナヲ!」

 

「カナヲ、炭治郎にべったりしすぎですよ!」

 

「か、カナヲ、これじゃ動けないって」

 

炭治郎の言葉にカナヲは頸を振って

 

「せっかく婚約したんだもん! 柱稽古に着くまではこうさせて、お願い!」

 

「しょうがないなぁ……………はっ!」

 

カナヲの顔を赤くし懇願する様子に炭治郎が顔を赤くするとしのぶがアオイから睨まれて強い怒りが出ているのことに気がついて炭治郎が固まっていると

 

「ほら、行くよ! 炭治郎!」

 

カナヲが炭治郎が引っ張って行き、それに炭治郎が申し訳なさそうに行った後にしのぶはアオイに向き直り

 

「アオイ。」

 

それにアオイはしのぶを見て笑い

 

「今更ですね、しのぶ様。鬼に対しての恐怖なら炭治郎のおかげで克服しました、ですので珠世さんとの共同研究ならば喜んでお手伝いします!」

 

そう決意するアオイを見てしのぶは手を出して握手して

 

「「さっさと終わらせて抜け駆けしたカナヲをとっちめましょう!!」

 

そう宣言する二人

 

ーーーーー

 

 

最初の柱稽古に隊士たちが行うのが基礎体力向上訓練。

ただひたすら走り込みを行い体力の向上を目指す単純な訓練なのだが、単純故に過酷な訓練であり地獄の訓練だった。

 

「遅い遅い! やる気あんのかてめえら!!」

 

 音柱・宇髄天元の両手にある竹刀が風を切って隊士たちに振るわれ、怒声が浴びせられる。

 しごきと言っていい天元の指導に反吐と涙が止まらない状態なのだが、そこに炭治郎とカナヲが合流すると

 

「よォよォ! 久しいな。

お前また上弦だけじゃなく強え鬼と戦ったんだってな! 

……………それに胡蝶の継子もあの時は悪かったなァ!

二人共五体満足とは運の強ェ奴だ!

ここで二人ともなまった体を存分に叩き起こしな!」

 

天元から炭治郎の激励とカナヲへの謝罪を聞いた後

 

「はい、頑張ります!」

 

「………はいっ」

 

炭治郎が元気よく返事してカナヲからも返事をもらってから天元の妻達三人共仲良くなり、走り込みの訓練に合流した。

 

十日程で次の柱の所へ行く許可が下りるが炭治郎はその前に天元にしのぶ達と婚約した事を伝えると

 

「ハハッ! 随分と俺が知らねェ間に派手な事になってるじゃねェか!」

 

天元から激励を受け取った炭治郎は、

 

「はい! ありがとうございます! それで相談なんですが………」

 

「ん? 何だ?」

 

炭治郎の質問に天元が訝しむと

 

「一夫多妻の夫として俺がこれからやるべきことはなんでしょうか? 教えてください。」

 

頭を下げて言う炭治郎に天元は頭を上げさせて肩を掴み

 

「いいか、炭治郎! 男なら、真実とか関係なく自分を慕う女を全員幸せにしてやれェ‼️」

 

「!!!はい!」

 

そう言われた炭治郎は覚悟を決めた表情をした。

 

一方でカナヲも雛鶴、まきを、須磨の三人に相談していると

 

 

「そうねぇ、愛している殿方の為にならば頑張れるそう思えばいいんじゃないかしら。」

 

「私も天元様がいたからここまで来れたんだし。」

 

「あっ! 私もです!」

 

そう三人から言われまだ分からないなりにも

 

「私も炭治郎のためなら頑張れます!!」

 

そう言うカナヲに三人からは

 

「凄い!」

 

「その域よ!」

 

「頑張って!」

 

と激励を受け取ったカナヲも炭治郎と共に次の柱の所へ向かった 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




''原作'' の鬼滅の刃が遂に終わりました。
でも、これからは原作を順守しつつも私なりの''もう一つの''の鬼滅の刃を描いて行こうと思います!!

どうか皆様、今年からも宜しくお願いします。


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第拾漆話 柱稽古と継子

炭治郎とカナヲの柱稽古、 ''カナヲと共にイチャイチャして'' 訓練する事により ''原作''では起こらない事が起きます。
その後にオリジナル要素を入れる事をお許しください。

それとある事情により大幅に改正することをお許しください。
炭治郎とカナヲとの逢瀬を追加しました。


宇髄からの訓練を終えた炭治郎達が次に向かったのは、霞柱・無一郎邸による時透無一郎(ときとうむいちろう)による高速移動訓練に二人で参加した。

 訓練の目的は体の動かし方、体捌きの最適化を二人は教えてもらい行うこととなった。

 いくら体力を向上させようとも人と鬼の間には絶対的な体力差が存在する。

 その差を少しでも埋め強くなる為に効率的な体の動かし方を学び高速で動作を行えるように考え出された。

 筋肉の緊張を滑らかにして弛緩の切り替えや足腰の動きの連動などを無一郎から指導してもらうのだが、無一郎は二か月で柱にまで登りつめた天才であるが故に、指導に一切容赦がなかった。

 

「素振り千回をやりなよ、そうすれば少しは形になるよ。」

 

 青覚めた隊士たちの訓練を見ながらこともなげに言う。

 

『できないならできるようになるまでひたすら素振りして終わったら打ち込み台で練習する』

 

 しごきがあるわけではないが、妥協や甘えを許さない厳しさがあった。

 何せ本人は天才であると同時に努力も人一倍やってきた人間なので……凡人の諦めとか怠惰とかへの配慮などあるはずもなかった。

 

だが、炭治郎達が来てから五日程経った頃

 

「炭治郎、さっきより早くなってるよ! 筋肉の弛緩と緊張の切り替えをを滑らかにするんだ、そうそう! そうしたら体力も長く保つから! 足腰の動きもバッチリだね、次の柱の所に行っていいよ。」

 

「えっ? もういいの!?」

 

「いいよ。」

 

「五日しか経ってないよ?」

 

「だって炭治郎言ったことちゃんとできてるもん。」

 

「ええ~~~~~~~」

 

いつもは無表情な無一郎が笑顔で炭治郎と稽古する様子に他の隊士達がドギマギしているとカナヲが進み出て

 

「霞柱様、私もお願いします。」

 

カナヲの挑戦に無一郎も静かに闘気を表して

 

「いいよ。」

 

とその後にカナヲと無一郎の手合わせでは

 

バシッ! ビシッ! ドガッ! ビシッ! バシンッ!

 

 

と言う激しい音と戦いが起こり、その数分後

 

「うん、いいよ。

君も次の柱の所へ行っていいよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

カナヲと無一郎の戦いを呆然としながら見ていた炭治郎を含めた隊士達は、内心

 

(すげ〜〜!)

 

と思い、カナヲののような美少女に自分達も追いつきたいと男子隊士達は黙々と打ち込み台で打ち込み稽古した。

その後に炭治郎とカナヲが向かおうとすると

 

「其処の髪飾りの君、待って。

あ、炭治郎は行っていいから。」

 

無一郎が追いつきカナヲを呼び止めて炭治さんを先に行かせた、炭治郎は最初は何の話か聞こうとしたが、

 

「大丈夫だよ、霞柱様と少し話すだけだから、先に行って。」

 

カナヲに言われ渋々炭治郎は先に進んだ。

その後にカナヲと無一郎の間に緊張感が流れ

 

「炭治郎と婚約したって本当かい?」

 

無一郎が訪ねるとカナヲは右手の薬指にはめている婚約指輪を見せて

 

「本当です。」

 

カナヲの返答に無一郎は頷き

 

「炭治郎は僕にとって大切な友人だ、幸せにしないと許さない。」

 

無一郎の静かだが圧のある言葉にカナヲは力強く頷き

 

「心得ております。」

 

カナヲの言葉に無一郎は笑顔を見せて手を差し出して

 

「頑張れ。」

 

「はい。」

 

そうして無一郎とカナヲは笑顔で別れた。

 

ーーーーー

 

次に炭治郎達が向かった甘露寺蜜璃(かんろじみつり)が担当する訓練は地獄の柔軟訓練。

 

其処では

 

「炭治郎君、カナヲちゃん久しぶりー!」

 

「ご無沙汰しております! お元気そうで良かった」

 

「ど、どうも宜しくお願いします。」

 

「宜しくね二人ともー! 訓練の前に食事にしましょう。」

 

その後に二人ともが巣蜜を乗せたパンケーキを食べて舌鼓を打つと訓練が始まった

 

 関節の柔軟性を高めることで怪我をしにくい体になり、身体の可動域を広げることで技のキレが上がるなどの効果を期待した訓練なのだが、何が地獄って訓練内容そのものが辛いという一言に尽きる。

 蜜璃の指導自体は優しく、専用の服を着て、音楽に合わせて踊るのは、まだいい、肝心の柔軟の方法自体が地獄。

 

 膝が持ち上がらないようにお互いの両腕を掴み、押さえつけながら強引に股割りされてほとんど力技によるほぐしにより股関節の可動域を広げられていくのだ。

 悲鳴を上げるほどには痛いので、後から見るもの達は恐怖した。

 

だが、カナヲは、女性であるためかすぐに柔軟訓練がスムーズに出来た。

その後に蜜璃から次の柱に行く許可ももらえたが、カナヲが笑顔で

 

「愛する炭治郎を待ちます。」

 

と言う言葉により蜜璃から

 

「きゃー! キュンと来たわ! うん、良いわよ!」

 

と言う言葉に滞在許可が出た後は訓練は十分を続けながらも

 

「あーん❤️」

 

「あ、あーん。」

 

と食事の間には炭治郎とのイチャイチャして夜には

 

「炭治郎、少し部屋までいいかな?」

 

寝巻きを着たカナヲが炭治郎を自身の部屋に誘い

 

「う、うん!」

 

そしてその後に柔軟訓練の分かりやすい仕方の後にカナヲから那田蜘蛛山での炭治郎の顎を蹴り砕いた事を謝られ炭治郎が

 

「ああ! そう言えばあの時に俺の顎を蹴り砕いたのはカナヲだったんだ。」

 

「今じゃなきゃ言えないと思ってごめんなさい!……っっ……っっ……っっ……。」

 

カナヲが今にも失神しそうな程に頭を下げて青褪めながら、カタカタと身体を震わせて謝罪した。

そんなカナヲを見て炭治郎はオロオロして

 

「い、いいんだよ、カナヲ、すぎた事だから。」

 

「……………ありがとう、炭治郎……………でも炭治郎を傷つけたのは事実だから………お詫びとして今夜は()()()()()()()()()()()()()()()

 

炭治郎の言葉に救われながらもカナヲは目を伏せて恥じらい贖罪をする為に炭治郎に言うと炭治郎は顔をボッと赤くする

 

「え!? え!?」

 

「ん……………」

 

そう言ってカナヲは覚悟を決めた様に軽く目を閉じて寝巻き姿で横になる。

そんなカナヲを見て炭治郎も覚悟を決めてカナヲの両腕を自身の両腕で掴み匂いを嗅ぎ、匂いからカナヲから羞恥心、そして歓喜を感じとるとそれにカナヲが恥ずかしそうに身を狼狽している

 

「この足がねー、触ってもいいかい?」

 

炭治郎はカナヲに了承を取るとカナヲは恥ずかしそうにしながらもコクリと頷いた

それを見て炭治郎はカナヲの女性の身でありながらも鍛え抜かれそれでいて柔らかい太腿を撫で回した。

 

「うわー、スベスベで柔らかくてそれでいて弾力があって鍛え抜かれているのが分かる、気持ち良い❤️」

 

「う❤️ うー❤️」

 

炭治郎がカナヲの太腿を絶賛しながら撫で回しにカナヲが目を閉じて心地良さそうにしていると炭治郎がそれを見て今度は触るのでなく揉み出すと

 

 

「あっ! あっ! あっ!」

 

と声を上げるカナヲに炭治郎はゴクッと唾を飲みまずは首筋を軽く甘噛みしてその後に敏感になった肌を舌でなぞる様に舐めていると

 

「ひっ!? ひああああーー!」

 

カナヲから嬌声を上げると炭治郎は驚いて

 

「だ、大丈夫? やっぱり止めた方が…ぐむっ!」

 

炭治郎の自身を労る言葉にカナヲは両腕で炭治郎の体を抱きしめて

 

「だ、大丈夫……止めるなんて言わないで、続けて………」

 

カナヲの懇願(こんがん)する声にに炭治郎は続けようとすると

 

ドタタタ!

 

という足音がしたので二人は慌てて寝台から飛び起きていると扉を開けて来たのは

 

「大丈夫! 悲鳴がしたから来たんだけど……………」

 

蜜璃が来ていたのでカナヲが真っ先に立ち上がって応対した。

 

「恋柱様、ご心配なく妙な気配を感じて驚いただけです。

炭治郎もここにいますので大丈夫です。」

 

そういうと蜜璃は安心した様に胸を撫で下ろし

 

「そうだったの、良かった。」

 

そしてそのまま解散となったが、部屋の近くにいた隊士達から妬みが滲み出ていた。

その後に炭治郎とカナヲはそのまま添い寝して睡眠についた。

その後も一生懸命に昼も夜も炭治郎を励ましお世話をしてイチャイチャしていた。

だが、そんな様子を見て他の隊士達は血の涙を流して

 

「くぅー! 羨ましい!」

「野郎………」

「………くそぉぅ……」

 

徐々に隊士達の妬み嫉みが大きくなっていく。

そして、ある日の夜………

 

炭治郎が寝ようと寝室に向かおうとすると他の隊士達が集まっていた。

 

「何だ? みんな寝ないのか。疲れてるだろう」

 

 首を傾げ訪ねるとと、密会中の彼等は一斉にうんざりした顔になった。

 

「は? お前何、幸せで良いですねぇー!」」

 

「疲れてるからこそだろ。地獄の柔軟……しかもあんな恥ずかしい格好までさせられてさ、百歩譲ってそれは許せるけどなぁ………お前らはイチャイチャしすぎなんだよ! 当て付けか! モテない俺達に対する当て付けか! いいご身分だなぁ。」

 

妬みが混じる隊士達の言葉に確かに今まではカナヲに甘え過ぎたと感じた炭治郎は

 

「ごめんなさい………」

 

と謝るも隊士達は炭治郎を無視し

 

「まぁ、俺達はやるべき事を見つけたからいいけどさ。」

 

「やるべき事?」

 

炭治郎の純粋な疑問に嫉妬心を全開にした隊士達は炭治郎を睨みつけ

 

「俺達はなここに修行に来ているんだよ! それなのにお前達がイチャイチャして、しかもあんな美少女まで連れてな・・・」

 

「え? 皆ちょっと待って・・・」

 

「俺達の青春を返せよぉぉぉ!!! 俺は!! 俺達はな!! お前が毎日修行中どころか夜の間中にもアハハのウフフで女の子といちゃつき、あまつさえヤりまくるためにがんばったわけじゃない!! そんな音と光景を見る為に俺達は地獄の修行に合わされているのか?」

 

目を血走らせ涙を流しながら、隊士達は炭治郎を指さし激昂する。炭治郎は色々と聞かれて恥ずかしくて他の隊士達に申し訳訳ない気持ちでいっぱいになった様子で隊士達をなだめようとした。

しかし隊士達は聞き入れず、あろうことか各々で臨戦態勢刀をとる始末だった。

 

「鬼殺隊はなあ! お遊び気分で入るところじゃねえ! 」

「そうだ! お前のような奴は粛清だよ! 即粛清!! 鬼殺隊を舐めるんじゃねえ!!」

「ぶっ殺してやるよ!」

「いひゃいひゃけけけ!」

「八つ裂きだ!」

 

そうして隊士達は、嫉妬に狂いゾンビの様に炭治郎にゆっくりと迫るそれを見て炭治郎は

 

「え!? なにこれ!? めっちゃくちゃ怖い!?」

 

炭治郎はとりあえず騒ぎを起こさない様に隊士達に向き直り抑えようとしていると

 

「何をしているの?」

 

其処には丁度入浴が終わったのか、浴衣姿のカナヲで木刀を持っている其処にいた。

 

「……………ねぇ、何をしているの?」

 

カナヲは困惑しながらも自身の持つ優れた視力を持って状況を把握して炭治郎が襲われようとしているのを確認してカナヲも臨戦態勢に

しているとそこに

 

「カナヲちゃん! 待って! どうしたの!?」

 

蜜璃も浴衣姿だが、急いでいたのか''はだけた姿''で走る姿を見て隊士達は一斉に振り向き

 

「「「うおおおおー! カナヲちゃん!!! 恋柱様!!!」

 

全員がカナヲと蜜璃に群がって行く、それを見て

 

「嫌!? 何をしている!」

 

怒った炭治郎は隊士達を頸に手刀を叩き込み、腹に蹴りを入れて気絶させていたが、全員では手が回らずに何人かカナヲ達の方に向かうも次の瞬間

 

「ぎいややああ!」

 

「お助けー!」

 

という隊士達が悲鳴を上げ隊士達が辺りに散らばりその中心には

 

 

 

 

 

「炭治郎と私達に襲おうとするなんて最低!」

 

 怒り心頭のカナヲが隊士達を薙ぎ払った。

 

「カナヲ! 甘露寺さん!」

 

 そうして事件は解決した。

 

ーーーーー

 

その後に炭治郎に暴行及びカナヲと蜜璃の浴衣姿を見て襲おうとした隊士達はカナヲと共に後から来た隠達により連行されていった。

カナヲは甘露寺邸での騒ぎを起こしたことと (蜜璃は良いと言ったがカナヲが遠慮したため)、しのぶから聞いたかつて柱合会議にて炭治郎を傷つけた伊黒に挑戦する為に先に次の柱の所に向かった。

 

その後に炭治郎は引き続き蜜璃の訓練を受ける為に残ることとなった。

その後炭治郎はと言うと土下座をしたまま蜜璃に謝罪していた。

 

「申し訳ありませんでした、甘露寺さん。

俺がちゃんと止めていれば………」

 

オロオロとして蜜璃は炭治郎をなだめる

 

「良いのよ、炭治郎君。」

 

その後には蜜璃は、炭治郎の緊張をほぐそうと自身を過去、鬼殺隊に入った頃を昔話の様に話していると不意に炭治郎から

 

「ええ!? 甘露寺さんが煉獄さんの継子だったんですか!!」

 

「うん、そうなの!」

 

その後も蜜璃は煉獄との修行の日々を過ごしてきた事を話してくれた。

そうして話し終えた蜜璃に炭治郎は意を決して蜜璃の正面に立ち

 

「甘露寺さん。」

 

「なあに?」

 

「俺を、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ!? ちょっ!? 炭治郎君!?」

 

急に土下座をする炭治郎に困惑した蜜璃は炭治郎を起こそうとするが、

 

「俺は煉獄さんを尊敬しています!!」

 

「!!!」

 

炭治郎は続けて

 

「煉獄さんは、下弦の壱から俺達含めた二百名もの乗客を守り抜き! 俺が怪我している時には呼吸法について的確に教え導き! 上弦の参相手にも戦って! 最後の最後まで負けませんでした!」

 

「!!!」

 

瞬間蜜璃は理解した、自身の師である煉獄の最後の任務において生き残り、煉獄が守り抜いた者達の一人が目の前にいる少年だと。

 

「あの時のことは今でも忘れていません! ですが、煉獄さんの言葉、勇姿は今でも俺の心にいて俺の心の原動力になっているんです! だから、あの人の言葉に助けられて来ました!」

 

蜜璃は確信した。

 

(ああ、この子も私と同じ様に煉獄さんに見出された子なんだ! それも煉獄さんに守られて、煉獄さんの思いが託され宿っているのが伝わってくる! なんて愛おしくてかっこいいの! そんな彼の思いを無下になんて出来ない!)

 

そう思うと同時に覚悟を決めた蜜璃は

 

「頭を上げなさい、竈門炭治郎君」

 

炭治郎が頭を上げると蜜璃は自身も膝をつき真剣な顔つきになり

 

「私、恋柱、''甘露寺蜜璃は竈門炭治郎を継子として認めます''。」

 

 

そういうと炭治郎と蜜璃はお互いに立ち上がって固い握手を交わした。

こうして煉獄という同じ人を尊敬している者同士の師として、弟子として関係が生まれた。

 

 

 

 

 

そして、この選択で少しずつ運命が変わって行く

 

 

 




甘露寺さんが煉獄さんの弟子と聞いてこの展開を思いつきました。
次回からは甘露寺さんとの炭治郎の師弟として話です。
お楽しみください。


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紫乃雪あおば様
pixivユーザーID
https://www.pixiv.net/users/3487152
秘蜜の香り

炭蜜のR18であり、炭治郎×蜜璃のの作品です。
炭治郎が蜜璃を救い、そのお礼と炭治郎に密かな恋心を持った蜜璃が夜這いをする話です。
炭治郎が自身が汚れていると言ってもそんな炭治郎を諭して蜜璃が優しく導いていきます。



美蝶と日輪の日々の謳歌

https://syosetu.org/novel/249258/

「蝶を守り抜く日輪」に載せられなかったR18版の鬼滅の刃です。
婚約した夜にしのぶが炭治郎を情行に誘う話です。






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第拾捌話 桃蝶の継子として日輪との日常

長らくお待たせして申し訳ございません。
更に話が長くなっておりますのでご容赦ください。

前回のあらすじ。

煉獄が育手として育て上げた者が甘露寺蜜璃だと知った炭治郎が継子としてお願いしてそれを蜜璃が快諾した後の修行の日々。
それとここで甘露寺蜜璃に対する独自解釈を入れる事をお許しください。



甘露寺蜜璃の継子となってから、翌日、甘露寺邸の中にある柔軟訓練で使用されている道場にて師範となった甘露寺蜜璃と継子の竈門炭治郎がいつもの鬼殺隊の隊服ではなく道着を着て相対していた。

二人の側にはそれぞれに一本ずつの竹刀が置かれている

炭治郎は頭を下げて

 

「柱稽古で忙しい中で急なお願いに応じてくださりありがとうございます!」

 

それに蜜璃は慌てて

 

「い、良いのよ、私にとっては煉獄さんが守り抜いた子なんだし、何より煉獄さんの意思を受け継いでいるんなら、私にとっては君は弟弟子(おとうとでし)みたいなものだから、気にしないで。」

 

「ありがとうございます!」

 

そうして炭治郎と蜜璃に竹刀を持って向かい合い、

 

「はい、ではこれより稽古を始めます! 宜しくね! 炭治郎君!」

 

「はい、宜しくお願いします!」

 

そうして始まった稽古だが、問題が浮上した、それは……………

 

「はい! ここをボカーンと、ぐああ~~でスパーでトドー! と更にメキメキ、ビューンってなれば!!」

 

「……………」

 

指導の説明力の無さ、擬音だらけで聞いたら何を言っているのか分からず誰もが頸を傾げ絶句するか挙句の果てには帰ろうとする輩もいる始末になってしまう。

炭治郎が無反応なのを見て蜜璃は気がつき、ハッ!となり、そのまま土下座して

 

「すいませんで「はい! ここをボカーンと、ぐああーですね!」っえ?!」

 

蜜璃が土下座の姿勢から驚くもその後も炭治郎は竹刀を奮っていた

 

「ここでスパー、トドー! メキメキ! ビューン………ん?! 甘露寺さん?! どうして土下座を?!」

 

実は炭治郎も蜜璃と同じ感覚持ちのために蜜璃の擬音だらけ言葉と手振り身振りだけでも自身の持つ人並み外れた嗅覚と多くの戦いを切り抜けてきた感覚により伝わっていた。

先程の無反応なのは蜜璃の言葉を理解し脳内で初動の再確認をしていただけだった。

それを見て蜜璃は

 

「うっぅぅ!」

 

「えっ?! 甘露寺さん?!」

 

涙を流した。それを見て炭治郎は自分が何かをして泣かせたのかと思い

 

「す、すいません! 粗相を「違うの!」っえ?!」

 

「嬉しくて、伝わっていたんだって思って嬉しくて………」

 

「? いえ伝わりましたよ! というより涙を拭いてください!」

 

「うっぅぅ! ありがとう炭治郎君………」

 

蜜璃がなきじゃくっていたので炭治郎がハンカチを渡して一旦二人は竹刀を置き休憩となってからも蜜璃は涙を流し落ち込んだように体操座りになり今までの悩みを炭治郎に打ち明けた。

 

「今までも出会う人達には、柱になったからには色々と………教えてあげようとしたんだけど………私って説明下手だから、あまり相手にされなかったの………だから、嬉しくて………」

 

「……………」

 

それを聞いて炭治郎も最初は黙って聞いていたが、静かに涙を流した。

そして、炭治郎は静かに蜜璃の手を取り、驚く蜜璃に涙で濡れた自分の顔を近づけ

 

「甘露寺さん、俺も同じです。仲間や鎹烏に何度か説明したんですが、俺自身の語彙力の無さのせいで何にも力になれなくて、説明が伝わらずにいました。それがとても不甲斐なかったんです。」

 

「炭治郎君………」

 

「甘露寺さん………」

 

「「うわああぁぁ!」」

 

二人は、

こうして同タイプの二人はすぐに打ち解けた。

その後の稽古でも

 

「ここをドゴォ、バーン! ズバッゴオォってなって、ズドォンだよ!」

 

「はい、ここをドゴォ、バーン! ズバッゴオォってなって、ズドォン! ですね。」

 

傍目からは何を言っているのか分からない稽古をしていたが、着実に炭治郎は蜜璃の指導の元に強くなっていた。

そして、昼食時となり蜜璃の腹の音が鳴り、同時に炭治郎の腹の音も鳴り

 

「はい! 稽古はここまでにして昼食にしようか!」

 

「はい! 俺は炭焼き小屋の息子なんでっ! 料理の火加減は任せてください!」

 

「うふふ、ありがとうね!」

 

こうして二人は、昼食を囲い二人で食べていた。

 

ーーーーー

 

因みにこの間に甘露寺邸には、炭治郎と蜜璃以外誰もいなかった、件の騒ぎを起こしたことで隊士達は強制的に蛇柱の伊黒小芭内に連行後に罰として地獄の訓練を味わい、皆が悲鳴が絶えず、時透の方も炭治郎が襲われた事を知りその隊士達に対し静かな怒りを見せ、件の隊士達を叩きのめせそうと乗り込もうとしていたが鎹烏から

 

''こいつらに地獄を見せてやる!''

 

と伊黒が言っていたのを知り、怒りを収めたものの

 

「半端な奴を行かせるわけにはいかない………」

 

という静かな怒りの言葉の後に甘露寺邸に行く隊士のハードルが上がった為に今いる隊士達もただでさえ厳しい訓練が更に厳しくなり次の柱の所へ行けなくなってしまった。

そのためにもう数日間は甘露寺邸には、誰も来ない状態となり、炭治郎と蜜璃の二人きりの生活となった。

 

ーーーーー

 

そうして炭治郎と蜜璃の昼食中、炭治郎はすでに食事を終えて蜜璃は、皿を山のように積みながらもまだ食べ続けいたが、それを炭治郎は優しく見ていると

 

「んぐ! えっと炭治郎君? やっぱり変かな私………」

 

「はい? 何がですか?」

 

蜜璃は恥ずかしそうにもじもじして

 

「こんな量を食べているから、女としてどうかなって?」

 

それに炭治郎は目をパチクリして

 

「えっ? 俺はただ甘露寺さんは本当に美味しそう嬉しそうにご飯を食べているんだなぁって見ていただけですけど?」

 

「えっ?!」

 

「俺としては自分の作った料理を美味しそうに食べてくれているから、これからも美味しい料理を食べて欲しいと思っただけですよ。」

 

炭治郎の言葉に蜜璃は、突然の言葉に顔をボッと蒸気させて両手で自分の頬を添えて

 

「い、いきなりそんな事を言われても照れるよ………」

 

「えっ?! 甘露寺さん?」

 

途端に炭治郎が心配して蜜璃に顔を近づけるもそれにびっくりした蜜璃はのけぞり、炭治郎は

 

「顔が赤いですよ! 何かの病気なんじゃ?!」

 

「も、もう違うったら! 近づいちゃダメ!」

 

照れた蜜璃が炭治郎から隠れるように距離を置いて炭治郎がそれを追いかけると状態が続いた。

その後に午後からの稽古となり

 

「はっ! やっ! とおっ!」

 

「そう! その調子よ! そして、ここをドゴォッ! でズバッと! ズン!だよ」

 

「はい、ここをドゴォッ! でズバッと! ズン!」

 

そして蜜璃は自分の言葉通り以上に炭治郎が稽古している姿を見て

( 炭治郎が竹刀を振るう姿、かっこいいわぁ、きゅんとしちゃう! ………といけない、師範として彼を教えなくちゃ! 私を育ててくれた煉獄さんみたいに!)

 

「じゃあ、次は私が技を出すからよく見ててね。」

 

「はい」

 

炭治郎が見守る中、蜜璃は緊張しながらも深く静かに呼吸をして

 

「行くわよ!」

 

「はい!」

 

そして次の瞬間

 

恋の呼吸 壱の型 初恋のわななき

 

蜜璃は炭治郎の目の前で大きく踏み込んで飛び上がり目にもとまらない程の速さで庭に並べてあった多くの丸太を斬りつけ真っ二つにした。

 

それを見て炭治郎は感嘆として

 

「す、凄い! 流石甘露寺さん!」

 

それに蜜璃は照れ臭いというように頬をポリポリとかいて

 

「えへへ、なんだか照れちゃう! それじゃ、次は私と手合わせしよう! 炭治郎君! 」

 

「宜しくお願いします、甘露寺さん!」

 

そして、お互いに向かい合い

 

「行きます!」

 

「来なさい!」

 

お互いの掛け声を合図に炭治郎が駆け出した

 

ヒノカミ神楽 円舞

 

蜜璃の上から下へ円を描くような円を描くように振るうも蜜璃は難なく受け止めて

 

「遅い!」

 

次に蜜璃は炭治郎受けるだけではなく吹き飛ばす

 

「うわぁ! おっとっと!」

 

炭治郎は吹き飛ばされながらもすぐに態勢を整えて向かい合う

 

「私の持つ呼吸法、足捌き、筋肉の使い方、空中での柔軟な戦法、剣術……私が教える限り以上の事を教えてあげる。」

 

そう言って蜜璃は双眸を閉じて一旦沈黙する。そして再び眼を見開いて話を続ける。

 

「貴方は煉獄さんの意思を受け継いでいるからこそ手加減はしません! 貴方を死なせないために私が貴方を本気で指導します!」

 

蜜璃のいつものふわふわとした雰囲気から一転して本気の威圧感を感じ炭治郎の緊張度が上がると同時に炭治郎は興奮していた。かつて煉獄の教えを受けその技を極める柱から直接指導して貰える好機など、まずあり得ないのだから。

 

「分かりましたっ! 宜しくお願いします!」

 

ーーーーー

 

「ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

 

水の呼吸 拾ノ型 生生流転

 

炭治郎は何度か蜜璃と鍔迫り合いを繰り広げた後、今までの上弦の鬼達との戦いの経験によって研ぎ澄まされた流流舞や滝壷などと言った水の呼吸による剣技を繰り出して来たが、蜜璃の手加減された剣技の前に防がれ弾かれ、遂に"水の呼吸"の奥義である生生流転を繰り出して蜜璃に仕掛けた。

炭治郎の周りに水龍神が浮かび上がり、蜜璃を襲う。この剣技は使用中の間、他の剣技に直ぐには切り替えられないと言う弱点があるが、繰り出す連撃が多ければ多い程、威力が上がると言う長所を持った奥義。

 

"水の呼吸"の奥義を繰り出された蜜璃だったが、彼女は静かに構えながらも炭治郎を見て

 

( 炭治郎君、諦めずに向かってくる、勇ましいわあ! でも………)

 

炭治郎の姿にきゅんとしながらも一撃、二撃、三撃と炭治郎の生生流転を往なし、そして四撃目で蜜璃は「ヒュゥゥゥゥ」と呼吸して自身の剣技を繰り出した。

 

恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風(ねこあしこいかぜ)

 

炭治郎の放つ攻撃ごと自身の周りに纏わせるようにはしらせ弾いた。

 

「ぐあっ!」

 

「炭治郎君!」

 

「平気です!」

 

吹き飛ぶ炭治郎を心配するも炭治郎が受け身を取りすぐに起き上がるのを見て安堵し炭治郎の呼吸法や剣技の評価を始めた。

 

「炭治郎君の"水の呼吸"を受けてみたけど、正直に言うわね? 貴方自身も分かる通りやはり貴方は"水の呼吸"と体質が合っていないのよ。私の見立てでは、今までの戦いの経験で頑張って使いこなせるようになっているけど、剣技の威力は冨岡さんの半分程度っていう所かしら。」

 

「そう……ですか。やっぱり上弦の鬼達と戦っている時も実感しましたが、面と向かって言われるとちょっと残念ですね。」

 

落ち込む炭治郎を見て蜜璃は炭治郎の両肩に手を置いて顔を近づけ

 

「ほら、落ち込まないの! 炭治郎君には、もう一つ"ヒノカミ神楽"があるでしょう?! さっきも見たけれど、使って貰えるかしら?」

 

「分かりましたっ!…………行きますっ!!」

 

炭治郎は"水の呼吸"の使用するのを止めて、"ヒノカミ神楽"を使って蜜璃に挑む。蜜璃もまた"ヒノカミ神楽"を見極めようと真剣に炭治郎を見詰める。

"水の呼吸"とは比べ物にならない威力を誇る"ヒノカミ神楽"の剣舞を前に、蜜璃も先程より威力を上げた"恋の呼吸"の剣技で"ヒノカミ神楽"の剣舞を受け止め、往なし、切り払い、相殺して行く。

炭治郎は蜜璃のそんな様子に、驚愕と焦燥を隠せない。

 

 

 

ーーーーー甘露寺さんに斬り込めない! 柔軟な体を使った変幻自在の技! 動作予知能力を使ってやっと回避できる程の凄い速さ! 凄まじい腕力! これが鬼殺隊の最強の柱の一人の女隊士!………っ! これがあの煉獄さんが育て上げ認めた恋柱の甘露寺さんの実力……っ!!

 

炭治郎が余計な考え事をしていたせいか、"ヒノカミ神楽"の剣舞が鈍る。炭治郎が自ら作った隙を見逃す程、指導中の蜜璃は甘くはなく、蜜璃は覚悟を決めて炭治郎に隙を作った代償を直接その肉体に支払わせるべく、蜜璃は"恋の呼吸"の剣技を使う。

 

恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ

 

 

甘露寺が持つバネを生かして猫のように飛び跳ねながら斬りつける剣撃、炭治郎が"ヒノカミ神楽"の剣舞をもってしても捉えられず''ヒノカミ神楽''を吹き飛ばして炭治郎を襲う。咄嗟に竹刀で受け止めようとする炭治郎だったが、蜜璃の変幻自在の剣撃が炭治郎の全身を打った。

 

「がはっ!?」

 

炭治郎は全身を竹刀で打たれた激痛に悶えながら、竹刀を手放しくの字になって倒れ込みそして炭治郎のそんな様子を見て駆け寄り蜜璃は炭治郎に静かに語りかける。

 

「ごめんなさい、炭治郎君。

私は貴方を死なせないためとはいえこんなに傷つけて………」

 

蜜璃は心配するも炭治郎は笑顔を見せて静かに立ち上がって

 

「いいえ、むしろ、甘露寺さんが本気で指導してくれたと感じました! これからも宜しくお願いします!」

 

力強い返事をする炭治郎を見て蜜璃も先程まで抱いた心配する気持ちは消え代わりに

 

( なんて強い子なの、かっこいいわぁ!)

 

炭治郎を''尊敬する煉獄の守り抜いた子供''から''立派な男''だと再認識した。

炭治郎自身刀鍛冶の里での戦いの時も蜜璃と半天狗の戦闘でも柱と上弦の実力差を思い知らされた炭治郎だが、蜜璃との訓練で改めて身に染みる結果となるも、敬愛する煉獄そして、今目の前で自分を信じてくれる蜜璃を見て倒れてられないと自身を鼓舞して意気込む。

 

その数時間後

 

「ゼェーハァ! ゼェーハァ!……………」

 

炭治郎は大汗をかいて大の字になって悔し気にして息切れを起こしていた。数時間もの間蜜璃との打ち込みにより体力が底をついたからだ。

 

「大丈夫? 炭治郎君?」

 

蜜璃も汗をかいて数時間もの間打ち込みしつつも若干疲れた様子を見せて駆け寄ると

 

「大丈夫……です………流石……甘露寺さん………強いですねー」

 

炭治郎の言葉に蜜璃はクスリと笑い

 

「まだ一日目よ、焦らずにいきましょう! 今日はもうこの辺にしてお風呂に入って寝ましょう。」

 

「はい!」

 

その後に夕食を取り、寝る時間になってしばらく経った頃炭治郎がトイレに行き部屋に戻ろうとしていた時、

 

( ん? 何だ? ''怯え''と''悲しみ''の匂いがしてくる?)

 

訝しんだ炭治郎はその匂いのする方に行くと蜜璃の寝室に着いて、罪悪感を抱くも部屋にドアに聞き耳を立てていると

 

「ゔうぅぅぐぅうう!………」

 

蜜璃の泣いている声を聞いた瞬間、意を決して静かにドアを開けて

 

「甘露寺さん?」

 

そこには()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()

 

 

「炭治郎君!」

 

炭治郎の姿を見て慌てて立ち上がろうとするもののその前に炭治郎が静かに近づいて

 

「どうしたんですか? 具合悪いんですか?」

 

炭治郎の自身を労る言葉に顔を赤くして背けて

 

「だ、大丈夫よ!」

 

「大丈夫には見えませんが………」

 

炭治郎が尚も心配するものの蜜璃はいつもの笑顔を浮かべて

 

「気にしないで、もう夜も遅いから先に寝てて。」

 

蜜璃の悲しみを隠し笑顔でいる様子に炭治郎は、意を決して静かに近づいて蜜璃を抱きしめた

 

「えっ?! ちょっ?! 炭治郎君?!」

 

いきなり抱きつかれ狼狽する蜜璃に炭治郎は静かに諭す様に

 

「甘露寺さん、俺は貴方の継子です。

ですから、悩み事や嫌なことを一人で抱え込まずにどうか話してください。」

 

炭治郎が蜜璃の頭を撫でながら優しげな言葉に蜜璃は静かに涙を流し

 

「炭治郎君……ゔうぐぅうううああーーーーー!」

 

まるで赤子の様に炭治郎に抱きついて泣き叫んだ。

 

ーーーーー

 

「前にも……言ったけれど……私が鬼殺隊に……入った理由は、添い遂げる殿方を見つけるためなの………」

 

ポツリと蜜璃が炭治郎に自身の思いを吐露する。

 

「でも………」

 

悲しみに沈んだ様に

 

「''痣者は例外なく二十五歳までしか生きられないだって………」

 

「?!」

 

聞いた炭治郎は驚愕し、蜜璃は尚も涙を流し悲しげに言う。

 

「十九歳の私じゃ………後六年しか生きられない!………もう、添い遂げる殿方を見つけることが出来ないよ! でも! それでも! しのぶちゃんや伊黒さん達みんながそれを受け入れて………最後の戦いに命がけで戦っていくって決めたから………私も命をかけて戦おうと決めたの! 私だけが弱音を吐けるわけないじゃない!………その最後の戦いの中には、私の師範の煉獄さんを殺した上弦の鬼も居る! 私も煉獄さんみたいに自分の責務を持って戦いたい! それでも………私は………」

 

激情。

 そうとしか表現し得ない、苦しみとも怒りとも、哀しみ、絶望と恐怖の慟哭。

それを黙って聞いた炭治郎は静かに蜜璃の顔を正面から見て

 

「甘露寺さん………怖いのは、みんな一緒なんです………だから、一人で抱え込まずに………」

 

「止めて!!」

バシィィィィッッッ!!!!!

 

 

炭治郎の言葉に対し、蜜璃は悲しみから振り払う様に炭治郎の左頬に目掛けて重い平手打ちを喰らわせた。

炭治郎は瞬時に呼吸法で頸回りを強化して歯を食いしばり蜜璃の剛腕に耐えた。

それでも衝撃を殺しきれず蜜璃の平手打ちで思い切り顔を背け口の中は血が出たが、両手を寝台に押し付けて座っていた。

そのため咄嗟に両手に力を込めて吹き飛ぶのを防ぐ事が出来た。

 

炭治郎はこの時、口の中を斬ったのか口内が血の味で埋め尽くされたが、蜜璃に殴られた衝撃で茫然自失としていた。

左手で熱くなった左頬を抑えながら炭治郎は蜜璃に視線を戻す。そこには涙を流しながら悲壮感漂う蜜璃

 

「やっと………やっと覚悟を決められそうなの! 自分の命を捨ててでも最後の戦いに行く覚悟が! それを邪魔しないでよ!」

 

そんな自暴自棄の蜜璃を見て炭治郎はそれでも近づいていこうとし蜜璃は、

 

「こ、来ないで!」

 

後退りをして両手で炭治郎を押し留めようとするもその手は震えて弱弱しく炭治郎はその手を取り

 

「甘露寺さん、貴方は一人じゃない!」

 

突然の言葉に蜜璃がびっくりするも続けて炭治郎は蜜璃の両肩に手を置いて言葉を紡ぐ。

 

「貴方の回りにはしのぶ、伊黒さん達鬼殺隊のみんながいます。

貴方が死ぬのが怖いと言うなら、みんなで立ち向かいましょう。

貴方が悲しみにくれるなら一緒に泣いてくれますよ。

六年しか生きられないのなら後悔しない様にみんなと一緒に生きましょう。

煉獄さんもそんな事を望んでなんかいません! あの人は最後の最後まで上弦の参に負けなかった! 煉獄さんの事を長く見ていた貴方なら分かるはずです。

貴方自身その笑顔で多くの人達の救いになっています、そんな貴方の命はもう貴方一人のものなんかじゃない! 貴方が死ぬとみんなが悲しみます!だから一人で抱え込まず相談してください。」

 

炭治郎の言葉を聞いて蜜璃は涙を止めて

 

「………そのみんなの中には炭治郎君は居るの?」

 

「勿論! 俺は貴方の継子で大事に思っていますから!」

 

炭治郎の言葉に蜜璃はクスリと少し残念そうに笑い

 

「継子か………少し残念だなぁ………」

 

そういってポロポロと涙をこぼしながら泣き笑いの表情を作る蜜璃

その表情は憑き物が落ちたかのようにスッキリしていた。

蜜璃は炭治郎を抱きしめ

 

「今夜は一人じゃ眠れないから一緒に寝て。」

 

甘える様に言う蜜璃に炭治郎は大人の女性と一緒に寝ることに緊張しながらも顔を赤くして優しく笑い

 

「はい………」

 

「それと私のことは、''甘露寺さん'' じゃなく''蜜璃''で………」

 

「は? えっ?! ですが!………」

 

「貴方は私の継子でしょう? お願い!」

 

蜜璃の懇願に炭治郎は折れ

 

「はい、蜜璃さん!」

 

「うん!」

 

「一緒に生き残りましょう!」

 

「うん!」

 

こうして、お互いをより深く知り蜜璃と炭治郎の絆が単なる師弟関係から逸脱しつつ、何日も甘露寺邸での修行と安らぎの日々を過ごした………

 

ーーーーー

 

十日後………

 

道場に蜜璃と炭治郎が道着を着て相対し、お互いに竹刀を持ち剣呑とした雰囲気で向き合っていた。

 

「蜜璃さん! 貴方から受けて頂いた恩義に今報います!」

 

炭治郎の言葉に蜜璃も応じる様に頷いて

 

「うん! 来なさい! 炭治郎君!」

 

そして、両者がぶつかった。

 

「「ヒュゥゥゥゥゥゥゥ!」」

 

先手は甘露寺蜜璃の

 

壱ノ型 初恋のわななき

 

炭治郎に向かって猛烈な速さで駆け抜けながら斬りつけるも

 

ヒノカミ神楽 烈日紅鏡

 

左右両方から斬りつける水平斬りでほぼ360度を切り裂き蜜璃の斬撃を切り返した。

次に炭治郎が

 

ヒノカミ神楽 炎舞

 

素早く研ぎ澄ませた二連撃に対して

 

恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風

 

蜜璃は竹刀を自身の周りに纏わせ二連撃を弾いたもののそれを見て炭治郎は飛び上がり

 

ヒノカミ神楽 火車

 

飛び上がって前宙しながら蜜璃を飛び越えながら攻撃を避け、その勢いのまま蜜璃を斬りつけ様とするもそれを察知した蜜璃も応じる様に飛び上がって

 

恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋(おうのうめぐるこい)

 

竹刀を螺旋状に纏わせ炭治郎の斬撃を防いだ。

 

「くうっ! まだまだ!」

 

炭治郎が悔しがるも蜜璃は間髪入れずに

 

恋の呼吸 伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪(ゆらめくれんじょう・みだれづめ)

 

縦横無尽に飛び上がり、竹刀を炭治郎に向けて広範囲から斬りつける。

 

「うおおおおぉぉぉぉ!」

 

迎え撃つべく炭治郎は

 

ヒノカミ神楽 日暈の龍 頭舞い(にちうんのりゅう かぶりまい)

 

蜜璃の指導のおかげでより柔軟に龍がうねるように移動し、回避力を上げ蜜璃の斬撃を紙一重で往なしてすれ違いざまに蜜璃にとうとう斬撃を与えた。

 

「くうっ!」

 

自分の体に攻撃を与えられ痛がり目を見開くも口元が緩み

 

「凄いわぁ! 炭治郎君!」

 

「はい、おかげさまで!」

 

その後も、数時間に及ぶ稽古の後に昼食後……

 

「えっ?! もう行くの?!」

 

「はい! 蜜璃さんとの修行のおかげで強くなれましたし、何よりまだ次の柱の所に行かないいけないので。」

 

そう元気そうにしながらも寂しそうに言う炭治郎に蜜璃は慌てた様に

 

「も、もう少しここに居て!」

 

「えっ?!」

 

突然の言葉に炭治郎が驚き蜜璃も内心驚いていた。

 

( な、何を言っているの私?!)

 

混乱しながらも蜜璃はしどろもどろになって

 

「ほ、ほら私にとっては最初の継子だから万全の状態で送り出したいのよ! 炭治郎君、修行ばかりで休めてないから!もう一日休んでいって!そうしないと次の柱の人に迷惑をかけちゃうし! そ、それにこれは師範としての命令です!」

 

蜜璃の言葉を聞いて真剣な顔つきになり

 

「はい! 分かりました!」

 

「うん! よろしくね!」

 

こうして、午後は休みとなりもう一泊甘露寺邸にて泊まり、いつものように一緒に夕飯を作っていると

 

( なんだかこうやってると夫婦みたい……………ってなに考えているの! 炭治郎君にはしのぶちゃん達がいるでしょう!………でも、今夜だけなら)

 

そして、夜になって寝台の上でお互いが横になっていると

 

「蜜璃さん、ありがとうございます、無理言ってくれたにも関わらずにここまで良くしていただき、おかげでこんなに強くなれました。」

 

炭治郎の感謝の言葉に蜜璃は笑い

 

「ううん、私の方こそありがとう! 私はね、二十五を過ぎたら死んじゃうなら最後の戦いで精一杯戦って死のうと決めたの、でも、貴方は私に大事なものに気づかせてくれた。」

 

蜜璃の言葉に炭治郎は優しげな笑みを浮かべて蜜璃はそんな炭治郎の顔を近づけて

 

「だから、これは私からのお礼と嘘偽りのない気持ち❤️」

 

そうして、蜜璃はゆっくりと目を閉じて

 

炭治郎に口付けをした。炭治郎はそれを見て顔がボッと熱くなった。

 

「ほわぁっ!」

 

「貴方の気持ちは分かってる、だから今夜だけは私のことは''蜜璃''と呼んで、お願い………」

 

蜜璃の今まで見たことのない悲しげながらも美しい笑顔に炭治郎は覚悟を決めて優しく笑い

 

「蜜璃。」

 

「うん、炭治郎。」

 

「「おやすみなさい。」」

 

そうして、お互いにとっての特別な夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

だがこの時。

炭治郎と蜜璃は気付くべきであった。

甘露寺邸の庭の木の上…蜜璃の部屋の前の木の上に。

鎹烏が気配も無く立っていた。

 

ーーーーー

 

そして、翌日となり甘露寺邸を出る時になり、炭治郎と蜜璃はお互いに顔を見合わせて握手して

 

「私達も煉獄さんの意思を継いで共に生き残りましょう! 炭治郎君!」

 

「はい!生き残りましょう! 蜜璃さん!」

 

そうして甘露寺邸を出て次の柱の所に向かった。

 

次の柱訓練は蛇柱・伊黒小芭内が担当する太刀筋矯正訓練だ。

 

そして、炭治郎がここに来ると伊黒邸の前に待ち構えるように

 

「竈門炭治郎俺はお前を待っていた。」

 

「よろしくお願いしま「黙れ、殺すぞ。」えっ?!」

 

そこには嫉妬心全開にした伊黒がいた。

 

「甘露寺からお前の話は聞いた。

身の程知らずにも甘露寺の優しさに付け入り継子となり

随分とまあ楽しく稽古をつけてもらったそうじゃないか?」

 

その言葉に炭治郎は冷静に言い返す。

 

「いいえ、甘露寺さんの指導は厳しいものでした、俺も何度か吹っ飛ばされ、滅多打ちにされました。それでも甘露寺さんは俺を継子として信じ本気で向き合ってくれました。

何より俺は、甘露寺さんが煉獄さんの元継子だと知り、煉獄さんが認めた人に本気で教わりたいと思い継子にさせていただいただけです。」

 

炭治郎の理路整然とした言葉に伊黒はしばし閉口し、

 

「成る程、つまり煉獄の元継子なだけで継子を打診したと? 随分と手前勝手な理由だなぁ? というか恥ずかしくないのか? ただでさえ甘露寺は柱訓練で忙しいというのに? そういうの考えなかったのか? 甘露寺に無駄な時間を取らせて? 考えなかったのならどう償う貴様?……」

 

伊黒のネチネチとした言葉に炭治郎は堂々と

 

「甘露寺さんから教わったことを実践して無駄じゃないと証明します!」

 

炭治郎の言葉に目線を鋭くさせて

 

「ほう、ならば来い。」

 

そうして伊黒邸に共に行く。因みに炭治郎がいつもは、蜜璃さんというのに伊黒の前で甘露寺さんと言ったのは、流石に人前で名前呼びは恥ずかしいと思ったことと本能的に言ってはダメだと感じた為である。

 

 鬼を倒すには頸を斬る正確性の向上を目指す為にこの訓練では部屋内にある板で作った障害物を避けながら正確に刀を振る訓練を行うのだが、小芭内の指導は容赦がなかった。

 すぐに諦めるような心の弱い者や覚えが悪く何度も同じ指摘をされて手間をかける者など、彼をイラつかせた者は障害物に括り付けられるという憂き目にあっている。

 彼らの間を木刀が空を切り、小芭内と挑戦者の攻撃が体をかすめ、挙句に木刀が当たる恐怖と痛みに耐え忍ぶ空間と化していた。

 

「お前にはこの障害物を避けつつ太刀を振るってもらう。」

 

( 処刑場?」

 

炭治郎が絶句して

 

「この…括られている人達は何か罪を犯しましたか?」

 

「…まあ、そうだな。

弱い罪、覚えない罪、手間を取らせる罪、イラつかせる罪、何より其処にいる大馬鹿者達は甘露寺を襲うという大罪を犯した!! という所だ。」

 

見ると明らかに他よりもボロボロにされている数人が居て炭治郎も気付いて

 

( ああ………だから、やめろって言ったのに……………)

 

炭治郎が同情を禁じ得ない程に彼等からは嫌な程に

 

(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんごめんなさい……………)

 

深い後悔と懺悔の匂いがしていた。

そして始まる伊黒との世にも恐ろしい訓練では、伊黒自身は狭い隙間でもぬるりと異様な曲がり方で木刀を当てにきたが、蜜璃との修行のおかげで伊黒の攻撃をよけれるようになったものの隙間を狙おうとした時の仲間の心の声から

 

(頼む! 当てないでくれ!!)

 

これが聞こえてきて精神を抉り今までにない緊張感で手がブルブルと震えそうになるも蜜璃の教えを思い出し自分を信じ少しずつ打ち込める様になる。

 

二日後………

 

その修行が身を結びより柔軟障害物を避けつつ正確な太刀筋て打ち込める様になり、攻撃を当て続け伊黒の羽織りだけでなく、体の方にもいくつか当てることが出来た瞬間に訓練終了と言われた。

伊黒は睨みつけ

 

「でかい口を叩けるだけはあるな、だが、調子に乗るな、さっさといけそして死ねゴミカス。

継子になったからとあまり馴れ馴れしく甘露寺に喋るな。」

 

炭治郎は最後まで嫌われていて悲しかったが、そのまま次の柱に行こうとすると

 

「待て。」

 

伊黒の声に炭治郎が振り返ると

 

「お前、甘露寺と何かあったのか?」

 

炭治郎は面食らうも

 

「えっ? 修行と家事手伝いだけですけど?」

 

伊黒は尚も睨みつけ

 

「手紙の内容に以前の手紙よりもお前に関する言葉が増えている何もないわけないだろ!」

 

「えっ? それだけですか?」

 

内心炭治郎は伊黒の事を

 

( 何だろ、この人、怖い!)

 

「特にお前が旅立った日からお前に関する心配事も出ているぞ!」

 

伊黒の追求は続くも炭治郎は冷静に

 

「えっ? そりゃ俺が甘露寺さんの継子だから、その心配しているだけかと。」

 

そして伊黒は静かにゆっくりと近づいて

 

「では聞く、竈門炭治郎……………修行と家事以外には()()()()()()()()()

 

炭治郎は冷静に考えてある考えに行きつき言ってはいけないと思い、

 

「何もありませんでした。」

 

炭治郎は嘘をつく時に変顔になる。

そんな嘘が伊黒に通じるはずが無く

 

「下手な嘘をやめろ、何をした………」

 

静かに殺意と威圧を持った伊黒の言葉に炭治郎は観念して

 

「……………はい………」

 

洗いざらい話した。

数分後……………

 

 

 

 

 

 

 

 

「前言撤回だ!!! 次の柱の所へ行かせん!!! 殺す!! 殺してやるぞ!!! 竈門炭治郎!!!」

 

「お、落ち着いてください! ぎゃあー!」

 

「待てーーー! 殺してやるーー!!!」

 

「ぎゃあああああぁぁぁぁーー!」

 

 

木刀を持ち般若の形相で炭治郎を追いかける伊黒がいた。

その後一晩中に木刀で打ち合いながらも命がけの鬼ごっこが続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




竈門炭治郎×甘露寺蜜璃になりました。
次回は、蜜璃としのぶの回です。
お楽しみに。


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第拾玖話 紫蝶と桃蝶はぶつかり合う

炭治郎の ''婚約者'' 胡蝶しのぶさんと ''師範'' 甘露寺蜜璃さんとの会話と譲れない思いのぶつかり合いです。


時は炭治郎が甘露寺邸から出て伊黒邸に向かおうとした頃………

 

蝶屋敷では、珠世としのぶ、愈史郎、アオイ達が、対鬼舞辻無惨に投与する新薬開発に勤しんでいた。

当初は鬼に懐疑的なしのぶとアオイだったが、炭治郎のおかげで早くから珠世と愈史郎と和解 (愈史郎は嫌々だったが )結束した事により作業は好調に進み、予定よりも早く鬼舞辻無惨に対する ''四種の新薬''が出来上がった後にアオイからも''あるアイデア''が浮かびそれを踏まえて実行に移した物をしのぶ達に見せて説明していた。

 

「切っ掛けは以前に蝶屋敷に来ていた不死川玄弥さんの日輪刀の材質を使った南蛮製の銃と弾丸です。

鬼を斬る刀と同じ威力を持つ弾丸の存在、しのぶ様の持つ鬼に効く毒、これらから発想を得られ、【猩々緋砂鉄】と【猩々緋鉱石】でできた日の光を吸収する鉄の粉末を使い薬を作る事を思い付きました。

鬼は、日輪刀を食いません、恐らく鬼舞辻無惨も同様にならば、この ''日輪刀の粉末のみの薬'' を使えば弱体化を見込めるかと思いました。」

 

アオイからの鬼舞辻に対する新たな新薬を見て

 

「成る程! 成長しましたね、アオイ。」

 

「日輪刀の粉末を使った薬ですか………アオイさん、こんな事を思い付くとは! これなら鬼舞辻を更に追い詰められますよ!」

 

「ふん、珠世様に褒めてもらえるとは………幸せな女め!」

 

しのぶと珠世がアオイを褒めているとそれに愈史郎が嫉妬混じりの祝福の言葉を言われ、それにアオイが照れ臭そうにしていた。

そうして、それからも皆で協力して、鬼化の血清及び人間薬の増産に入り、努力の甲斐あり当初の予定の倍以上の血清と人間薬が出来上がった。

其処で

 

「しのぶさん、そろそろ柱稽古に参加なさった方がよろしいかと。」

 

「は? 何を?」

 

珠世の進言にしのぶが驚いているとアオイもそれに乗っかる様に

 

「私もそれが良いと思います、新薬開発の目処が立ち、後は増産するだけですし、後は私達がいればいいかと……………それに早く炭治郎の所へ行った方がよろしいのでは?」

 

「んな?!」

 

アオイがしのぶの柱稽古参加を後押しし、最後の方は小声で言い、それを聞いたしのぶが驚いて赤くしていると

 

「貴様は柱だろう? 薬作りも結構だが、もう後は珠世様と俺とアオイで十分だ。

最終決戦も近い、今のうちに少しでも鍛錬しておけ!」

 

愈史郎の後押しもあり、しのぶ自身も本格的に柱稽古に向かう事にした。

炭治郎に会うのも楽しみにしながら。

そして、もう夜は遅いからと皆が、寝室に戻っているとしのぶの部屋の窓辺に

 

 

「報告! 報告! カァ!」

 

「しー、静かに!」

 

鎹鴉が居ており声を上げた。その声にしのぶは人差し指を自身の唇に一度当ててから、静かにに話し掛ける。

鎹烏も状況を察して声を潜めてしのぶに話す。

 

「カア…… 竈門炭治郎についテ報告……しのぶ! しかト……聞くべシ!」

 

「何かあったんですね? 炭治郎の身に………」

 

鎹烏はしのぶに柱稽古での炭治郎の様子を話した。

時透の所を突破したと聞いた時は、

 

「流石! 未来の私の旦那様ですね!」

 

報告を聞いて喜んでいたが、甘露寺邸での事件及び其処で炭治郎と蜜璃がどの様に暮らしていたか小さな事も含めて報告させていた。

その間に鎹烏は、しのぶの様子を見て戦慄して炭治郎が伊黒の所まで行った事を話終えるとしのぶは静かに笑うも青筋を浮かべ

 

「………へー甘露寺さんと……其処までとは………あのお人好しめ………まぁ、炭治郎に関しては後でするとして、甘露寺さんに会いに行かねばなりませんねーふふふふふふ………」

 

そこにはいつもの様に笑うも青筋を浮かべたしのぶが夜空を見つめていた。

 

ーーーーー

 

 

甘露寺邸では、ようやく次の隊士たちが来ていて柔軟訓練をしていたが……

 

 

「ぎゃあああぁぁぁぁ!!」

「さあ! もうちょっとだよ!」

「わ、分かりました………」

「次は俺もお願いします!」

「は、はい!」

 

蜜璃の柔軟訓練により悲鳴が湧き起こっていたが、時透によりハードルが上がった訓練を潜り抜けたことにより根性が付いた隊士達もおり、少しずつだが、柔軟訓練に耐えられる者も出てきたが、蜜璃自身は時折うわの空で一抹の寂しさを覚えていた。

それに隊士達は心配しながらも、あまり深入りするのも悪いと思いそっとしておくことにしていた。

 

ーーーーー

 

その夜、蜜璃は夜空の月を眺めていた。

その顔からはいつもの笑顔ではなく、哀愁感漂う姿でため息を吐いていた。

蜜璃の脳裏によぎるのは、自分の最初の継子にして最愛の竈門炭治郎。

その自身の思い人との思い出を振り返っていた。

 

ある時は、一緒の寝台に寝た後にこっそりと自分は起きて炭治郎の寝顔を見てカッコいいと思い寝ている炭治郎の頬に口づけをしたり、次に耳をしゃぶり寝ながら反応する炭治郎を可愛いときゅん! としながらもほくそ笑んだりとした事を思い出し赤面していた。

 

ある時は、一緒に横になっている時に自分の匂いを嗅いで

 

「桜餅が好きなんですね!」

 

と言い当てた時に恥ずかしかったが、その後に 

「俺も好きなんですよ!」

 

と言って場を和ませてくれたり、その後も自虐めいた風に自分の髪色は小さい頃から桜餅を食べ過ぎたのでこうなったと言うと

 

「成る程! だから蜜璃さんは綺麗な桃色の髪なんですね。」と自分の髪色を褒めてくれたり、「蜜璃さんといると桜餅の良い匂いに包まれている様で幸せな気持ちになります。」

 

と自分をどこまでも、きゅんきゅん! とさせまくる炭治郎の言動により密かに悩んでいた自分の髪色を気にしなくなる所か誇れる様になった。

 

その後も

 

( そうだわぁ! それに修行中にうっかり転んだ時に炭治郎君が抱きしめてくれて暖かったなぁ………その後にちょっといたずらしようとして彼の頸筋に甘噛みしたっけ、その後の彼の顔を赤くして我慢している反応がとても初々しくて、今度は舌で舐めてあげてたなぁ………その後に、口を大きく開けて感じていて私もドキドキしていたなぁ………その後も丁寧に頸筋の端から端まで舐めてあげてたら気持ちよさそうにしていたなぁ………ああ、早く、炭治郎君に会いたい……… )

 

炭治郎との思い出を振り返り顔を赤面し身悶えた後に月を見上げて

 

「炭治郎君がこの場にいてくれたらどう思うかしら」

 

蜜璃がポツリと呟いた瞬間、其処へ背後に誰かの気配がしたので振り返ると

 

「こんばんは、今日も月が綺麗ですね、甘露寺さん。」

 

そう声を掛けたのは、自身の大好きな友人であり、''今は'' 会いたくなかった自分と同じ鬼殺隊の女隊士で蟲柱の胡蝶しのぶがいつもの笑顔で佇んでいた。

蜜璃は急に来た事により若干笑顔が引きつるもの応対した。

 

「こんばんは、こ、ここに来れたと言うことは用事が終わって柱稽古に参加できたんだね、良かった………」

 

「ええ、教え子と協力者のおかげで参加出来ました。」

 

それに蜜璃はしのぶに対して深い負い目と申し訳ない気持ちでいっぱいでぎこちなくだったが、しのぶも内心を悟らせない様に快活に応え

 

「良かった! しのぶちゃんも来てくれて嬉しいよ!」

 

「ええ! 私の''婚約者'' の炭治郎がお世話になりました。」

 

「……………えっ!?」

 

しのぶの言葉に蜜璃の顔が固まるもしのぶは気づかないかの様に会話を続けた。

 

「私は炭治郎の優しさに救われましたから。

私は鬼の頸を斬れない代わりに鬼を殺す毒を作り''蟲の呼吸"を編み出し柱になりましたが、結局は、それだけなんです。

上弦の鬼達と戦った人達からその強さを聞いて、改めて私には、姉の仇をとれるなどと思えませんでした…………それが悔しくて悲しかったです………………」

 

しのぶはいつもの笑顔ではなく疲れた様な表情で語る。

それを見て蜜璃は、初めてしのぶが抱えていた闇を垣間見て後悔した。

今まで自分を励ましてくれた友人がこんな葛藤を抱えていたのに自分はしのぶの事を見ていなかった事を。

そんなしのぶの姿を見て何か言おうとしたが、

 

「………ですが、そんな私を変えていいえ! 救ってくれたのは炭治郎でした。」

 

しのぶの突然の言葉に蜜璃が驚いていた、其処には、いつもの否、いつもより明るく幸せそうに笑うしのぶの姿があった。

 

「炭治郎は言ってくれました! 

''一人で抱え込むなっ! しのぶっ! 俺達が共にいるからっ! 共に戦うからっ!''

とあの時は、驚きましたよ仮にも私は柱だと言うのに、上弦の強さを知っていても尚私と共に姉の仇を倒そうと言ってくれるんですから。

しかも、私の事を守ると言ってくれました。

更に私自身も炭治郎に、 ''夜の方も''色々とふふふ………」

 

しのぶの蜜璃に自慢する様に嬉しそうな声で顔を赤く染めながら、左手を左頬に添えてうっとりとしていた。その幸せそうな表情は、蜜璃には、困惑させた。

 

( その反応、何? 炭治郎君と? 夜の方も?!)

 

しのぶの言葉に蜜璃は、自分でも良く分からない嫌な気持ちが溢れて来ていた。

 

( 炭治郎君と話してる最中に感じたのは、温かくて良いきゅんとする気持ちだった。でも、今は違う。とても嫌な気持ち。炭治郎君の事を嬉しそうに話すしのぶちゃんを見ていると、胸がズキンズキン! とする感じがする。この気持ちは……)

 

「……炭治郎君が優しい事なんて、私はとっくに知ってるもん……しのぶちゃんよりもずっと。」

 

「……………へー…言うじゃないですか…………」

 

「あ……」

 

 ( 私、今何を? 炭治郎君に救って貰ったと嬉しそうに話すしのぶちゃんに? )

 

蜜璃は無意識に、そんな事を言っていた。小声で呟いたので、聞こえないかと思ったがしのぶには聞こえていたらしく、しのぶは口は薄く笑っているものの目が笑っておらず鋭い視線で蜜璃を見ていた。

 

「ご、ごめんなさい! そ、そうだ! もう今日は遅いし、泊まっててよ、しのぶちゃん!」

 

「いいですよ、甘露寺さん。」

 

誤魔化す様に言うとしのぶも先程の表情はなりを潜め明るく返事をした。

 

蜜璃はもう一度同じ言葉を、今度は大きな声で言いたいと思ったができなかった。蜜璃は結局、誤魔化して口をつぐんだ。どうしてあんな事を言ったんだろう。自分の気持ちには諦めをつけた筈なのに、ただ、胸が重苦しい。

 

この気持ちは知っている、炭治郎が旅立ったあの時と似ている。

蜜璃自身はあの時はただ辛くて、悲しくて胸が苦しかった。心に穴が空いた様な。

 

炭治郎が旅立った晩は、部屋で一人で静かに泣いた、自分の気持ちに整理をして吹っ切るために。

でも、今はしのぶに対して対抗心の炎が胸の奥から湧いてくる感じだった。

 

( 私の方が、しのぶちゃんより炭治郎君の事を知ってる。私の方が、しのぶちゃんよりも炭治郎君と仲が良い。)

 

胸の中で、そんな言葉が繰り返し再生されていた。

 

「……もう行こうかしのぶちゃん。」

 

「………ええ、そうします。」

 

これ以上しのぶと話したくなくて、蜜璃はそう言った。自分でもびっくりするくらいに、発した声が低い。しのぶも微笑を浮かべながらも気配は剣呑とした様子で、まるで蜜璃のことはお見通しだと言っているみたいに、それを見て、蜜璃はさらに嫌になる。

 

「……早く行こう、しのぶちゃん。」

 

「……………いいですよ、私も今夜は泊まらせていただきますからね。」

 

これ以上、しのぶと話していたくなくて、蜜璃は早足で歩き始める。蜜璃の後ろを、静かにされど早足で追い掛けてくるしのぶ。

この気持ちは知りたくなかった、そう、それこそが

 

 

 ''嫉妬''

 

蜜璃はそう思った。しのぶのことは大好きな友達の筈なのに、一緒にいたくないと思ってしまう自分を汚れていると恥じた。

 

こんなに嫌な気持ちは、知りたくなかった。これが炭治郎に感じていた気持ちから湧き出しているという事に気付き、蜜璃はこの気持ちを諦め、遮断しようとした。けれど、結局それはできずに、屋敷に帰るまで消えなかった。

 

いや、帰ってからも、ふいに思い出して嫌な気持ちになった。それは自分なりにけじめをつけて諦めた気持ちを急に掘り起こされまるで焦げのように蜜璃の心にこびりついて、中々取れなかった。それもその筈、この屋敷にしのぶが居る。

それが諦めけじめをつけたはずの ''炭治郎を愛する気持ち'' に拍車を掛けた。

 

夕食の間も当たり障りのない会話をしてしのぶの顔を見ない様にしてその後も拒絶する様に睡眠についた。

 

もし振り返ったら、きっとしのぶを睨んでた。

そんな自分を責めていた。

胸が苦しい。しのぶが来たことで処理しきれない感情に、蜜璃は振り回されていた。それは蜜璃の心の奥底に生まれた気持ちから発生した物だったのだから。

 

 

 

一方でしのぶも悩んでいた。

炭治郎と濃密な関係に蜜璃に対して ''ある決意表明''をしに来たはずが夜も遅いという事で明日にする事にした。

蜜璃と顔を合わさずに屋敷に着いて部屋に案内され一人で入浴の後に食事中にも当たり障りのない会話をして顔を合わさず、そのまま部屋に通され、寝室に入り着替えを済ませて寝台に横になり胸に渦巻く黒い気持ちを吐き出したくて大きく息を吐いた。

色んな出来事が起きて処理しきれない感情に、しのぶ自身も抑えるのに精一杯だった。それはしのぶの心の奥底に生まれた気持ちから発生した物だったのだから。

 

「ふー、落ち着きなさい、しのぶ………感情の制御が出来ない者は未熟者です……………」

 

しのぶは甘露寺蜜璃のことは大好きだ。

だからこそはっきりとさせておきたいと思い、此処に来た。

 

翌日………

 

甘露寺邸での柔軟訓練にしのぶも加わることとなった。

最初は、緊張していた隊士達も蜜璃の指導とそれをより分かりやすく言うしのぶにより飛躍的に皆成長した。

それに蜜璃は昨日の事は忘れようと心の奥底に押し込めようと明るく振る舞い、それにしのぶも明るく返した。

 

「ありがとう! しのぶちゃん!」

 

「いえいえ! このくらいお安い御用ですよ。」

 

その夜………柔軟訓練が終わり、皆が寝静まる頃

 

蜜璃は、しのぶから

 

「大事な話があるので十一時頃に道場に来てください。」

 

蜜璃はしのぶの ''大事な話'' というのが気になり、鬼殺隊の隊服を着た上で十一時丁度に到着するようにしのぶが指定した場所に到着した。柔軟訓練や鍛錬で使用される甘露寺邸の道場にて其処にはしのぶが正座して待っていて、側には木刀が一本置かれて、道場の端の周辺には適当に何十本もの木刀が散らばっていた。

 

「甘露寺さん、今から私と手合わせして貰います。」

 

「しのぶちゃんと手合わせ……ああ、なるほど柱稽古の一環ね! 分かったわ!」

 

蜜璃も柱稽古の為だと思い、しのぶの目の前に立ち、蜜璃も一番側にある木刀を持ち、素振りをしてから、改めてしのぶに向き直るも

 

「まあ、焦らずにお話をしましょう、甘露寺さん………」

 

「えっ? う、うん………」

 

静かに圧をかけるしのぶに蜜璃もしのぶに習う様に静かに正座する。

 

「それで話って?」

 

開口一番に蜜璃が言うとしのぶは嗤い

 

「''私の'' 炭治郎と何をしているんですか?」

 

しのぶの言葉にドキッとするも蜜璃は平静を装い

 

「えっ?………ああ! 継子としての修行の事! あれは炭治郎君から打診されたからには、生半可な修行じゃ彼に悪いと思ったからだよ! 炭治郎君には、生きてて欲しいから! そ、それに煉獄さんの意思を受け継いでいるんだもの! そんな人の思いを踏みにじれるわけないじゃない。」

 

蜜璃が顔を赤くしてまくし立てるもしのぶは尚も静かに嗤い

 

「そうでしたか、失礼しました。

では、後もう少しだけ質問させてください。」

 

「う、うん………」

 

「甘露寺さん、貴方は炭治郎に色目を使いましたよね?」

 

その言葉に蜜璃は一瞬固まりしどろもどろになりながら

 

「な、何言ってるの! 使ってないよ! 修行をして家事手伝いをしてもらっただけで……」

 

「修行と家事手伝いの話ではないですよ、分かってますから。」

 

しのぶの追求に蜜璃は冷や汗を流すも誤魔化そうとして

 

「!!! さ、さあ何のことかなぁ……………」

 

蜜璃は作り笑いをするもしのぶは目を細くして

 

「私は三日前の事を言っているんですよ、三日前。

実は、炭治郎の事が心配で鎹烏をこっそり炭治郎の様子を見てもらってたんですよ。

全部知っているんですよ、甘露寺さん………」

 

しのぶの衝撃の事実により蜜璃は顔を真っ青になるもしのぶは冷ややかに見ていると蜜璃はポツリと

 

「ど、どこまで知っているの?………」

 

蜜璃の言葉にしのぶは嗤いながら

 

「一人で泣いていた時に炭治郎に抱きしめてもらいましたよね!」

 

「はう!?」

 

しのぶの言葉に蜜璃はドキドキしているもしのぶは続けて

 

「寝ている炭治郎の頬に口づけしてあまつさえ耳をしゃぶりましたよね、炭治郎に髪色を褒めてくれたり、修行中に転んで抱きとめられた時に炭治郎の頸筋を甘噛みして舌でチロチロと舐めたり………」

 

「も、 もう止めてーーー!!!」

 

しのぶから炭治郎との事を赤裸々にされ蜜璃の羞恥心は爆発して大声を上げた。

蜜璃は大声を上げた後に、ハッとなり口を両手で塞ぐもしばらくしても何も起こらず、大声を上げられた当のしのぶは冷静に

 

「ああ、大丈夫ですよー他の隊士達には、食事に薬を処方して深い眠りに入ってもらっていますので、大声を上げた所で来ませんよ。

邪魔者は来ませんよ。」

 

それに蜜璃が安堵して改めてしのぶを見て戦慄した。

 

其処には、怒気を纏い目を細くして口元を歪む様に嗤うしのぶの姿だった。

 

初めて見るしのぶの姿を見て蜜璃が驚いている間にもしのぶはゆっくりと蜜璃に顔を近づけ

 

「大丈夫ですよ、甘露寺さん、私は、確認をしているだけですよ。」

 

「確認?」

 

蜜璃の言葉にしのぶは、

 

「私としては、炭治郎を死なない様に強くしてくれた甘露寺さんには感謝しています。

ですので、甘露寺さんが、 ''わたしの'' 婚約者である炭治郎に手を出した事を謝罪して、更にこれから一生炭治郎の側に二度と近づかない様にしてくれれば幸いです。」

 

「えっ?!」

 

しのぶの突然の言葉に蜜璃が愕然となるもすぐに蜜璃は黙っていられず

 

「手を出した事についてはごめんなさい! で、でも、彼は私にとっての最初の継子だから指導した後もちゃんと導いてあげなくちゃいけないから………」

 

蜜璃の必死な言葉にしのぶは涼しい顔で

 

「指導でしたら、私が教えますので大丈夫ですよ、甘露寺さん……………それとも私じゃ力不足だとでも?」

 

しのぶの静かだが圧のある言葉に蜜璃は言葉を失う。

そして、考える。

 

( 確かにしのぶちゃんの言う通りかも、私よりも指導力があるしのぶちゃんなら炭治郎君を安心して任せられるから、私は必要ないかも……

 

ズキン!

 

うっ!………何今の! )

 

蜜璃は、しのぶの言う通りにしようとしたが、心の奥から痛みにより躊躇しているとしのぶは畳み掛ける様に

 

「何度も言う様に炭治郎は私の婚約者ですから、彼とは、心の底まで一緒ですからねー甘露寺さんに付け入る隙はないですよ。」

 

「はっ?! えっなっ?! ちょっとどう言うことよ!」」

 

しのぶの言葉に蜜璃は、驚愕の表情を向けて問いただすとしのぶは蜜璃に勝ち誇る様に

 

「おやっ? そんな知りたいんでしょうか?……でしたら答えてあげますよ。それはもう、お互いの全身を裸で見せ合い、交わりましたよ❤ 私の身体も、炭治郎君の身体も、お互いに見せてない部分などありませんっ。」

 

「は? はわああっ?!」

 

しのぶの思わぬ発言に、蜜璃は驚愕と仰天の混じった声を上げる。しかし、徐々にその顔を染める赤色は徐々に収まり遂には無表情へと変化する。

そして蜜璃の目から涙が流した。

しのぶはそれを見て自分のした事を悔いて居た堪れない気持ちになるも、蜜璃を静かに見る。

蜜璃は、ぼんやりとしながら考える。

 

 

( ああ………分かっていた……しのぶちゃんと炭治郎君の仲に私が割って入るなんて……………出来ない………身を引くべきなんだ………そうだ、このまましのぶちゃんの言う通りに……………)

 

そう決意した蜜璃は、目を閉じた瞬間に思い浮かんだのは、甘露寺邸での炭治郎とのかけがえのない日々、そして、指導の最終日での稽古の時に見せた炭治郎の自分を本気で倒そうとする姿と遂には自分の技を躱して一撃を入れた時にこの胸に響いた瞬間にある思いが込み上げた事を思い出した。

 

ああ、ようやく見つけた………

 

そう蜜璃は、刹那の時に改めて自身の思いを確認、実感し、しのぶに頭を下げて

 

「しのぶちゃん、ごめんなさい。

貴方の婚約者の炭治郎に手を出して、言い訳はしない…………」

 

蜜璃の突然の謝罪に面食らうも

 

「甘露寺さん、その事はもういいですから、こちらも言い過ぎました。」

 

そして蜜璃は、力強い目でしのぶを見て、自分の思いを伝える。

 

「でも、やっぱり、炭治郎君の事は諦めきれない!」

 

「!!!」

 

蜜璃の言葉にしのぶは驚くも構わずに蜜璃は自らに芽生えた思いを叩きつける。

 

「私は炭治郎君が好き! この思いだけは確かなの! いつもは毅然としているのに時々抜けていて可愛い所もあるけど私が食事している時にも優しい目を向けてくれて、稽古の時に私の全力を受け止めてくれた強さを魅せてくれた最高にかっこいい人だから!!」

 

蜜璃の思いを知りしのぶは驚愕するもすぐに視線を鋭くして蜜璃も負けないという風に睨み返す。

 

蜜璃は、ようやく気付いた

 自分の想いを認める事が出来た"だけ"では、何の解決にもなっていない。

 

 目の前の大好きで最も尊敬している最強の恋敵'' 胡蝶しのぶ'' に、自分と同じく竈門炭治郎と恋しており、炭治郎の婚約者の彼女に勝たなくてはいけない。

 

 戦いも、恋も、である。

 炭治郎は胡蝶しのぶ達と婚約している。

それは覆り様のない事実、だがそれでも今ある自分の気持ちだけでも、諦めたつもりだったかけがえのないこの気持ちを今此処に掘り起こし、目の前の相手にぶつけたい。

 

しのぶも自身が最も尊敬し大好きな'' 甘露寺蜜璃 ''が恋敵として自分と真っ正面から向き合ってくれた事に歓喜した。

同時に自分にとって誰より大切な'' 竈門炭治郎 ''に恋している事に心の奥底から対抗心が湧き上がる。

 

(これを待っていました!)

 

しのぶは最初から蜜璃に''決闘'' を申し込みに来た。

だからこそ、''わざと'' 炭治郎との事を暴露し、挑発し蜜璃の本当の気持ちを引きずり出すために、そして蜜璃が、本気なら''ある提案'' をするつもりだったが、今はそれよりも……………

 

 

 

( 鎹烏から、今炭治郎は般若の形相の伊黒さんに追われている様なので彼に対するお仕置きは ''保留'' することにして、今は私の炭治郎に手を出した貴方を倒す!!………)

 

 はらわたが煮え繰り返るような、凄まじく強烈な嫉妬心と対抗心がしのぶの全身を支配する。

だが、それは蜜璃も同じだった。

蜜璃は、決意の炎を目に宿らせ宣戦布告する様に立ち上がり

 

「炭治郎君が好きだから、しのぶちゃんに負けない!」

 

しのぶも応じる様に立ち上がり、目の笑っていない笑顔で蜜璃に鋭い視線を投げかけ

 

「そうですか、では、手合わせを、いいえ………」

 

 

両者に静寂が訪れ、次の瞬間しのぶが静かにだが力を込めて

 

 

 

「''決闘 ''で!!」

 

「!!!」

 

しのぶはそう言うと木刀を拾って構えて、蜜璃も黙って手元にある木刀を一本掴むとしのぶに向けて構える。そんな蜜璃に対し、しのぶは嗤うのを止め、真剣な表情で蜜璃を睨みつける。

そして、両者共に踏み出す一歩に力を込める。

そして駆け出した瞬間にそれぞれの剣技を相手に向ける。

 

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

蜜璃よりも速く近づきすれ違いざまに複数の裂傷をを当てようとするも

 

( 速い!)

 

弐ノ型 懊悩巡る恋

 

それを察知した蜜璃が木刀を螺旋状に斬りつけしのぶの剣撃を防ぐ。

衝突から間を置かず、両者は互いに跳び退って距離を取る。

 

「来なさい、甘露寺さん!!」

「負けないわよ! しのぶちゃん!!」

 

大切な者を譲らぬためにしのぶと蜜璃の二人が激突した。

 

「「はあああああーー!!」」

 




お待たせして申し訳ございません。漸く投稿出来ました。
はい、遂に始まりました、甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶの炭治郎をめぐる戦い。
最も炭治郎はすでにしのぶさんと婚約していますが、それについても考えがありますので、これからもよろしくお願いします。
次回は乙女の死闘です。


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第弐拾話 紫蝶と桃蝶の決闘

竈門炭治郎を愛するが故に柱として強さを極めた乙女達の死闘の本番です。
胡蝶しのぶ 対 甘露寺蜜璃をどうぞご覧下さい。


十一時頃………皆が寝静まる頃

 

ガッ! ドッ! ギンッ! ドガッ! シュッ!

 

甘露寺邸道場内では二人の美少女''甘露寺蜜璃''、''胡蝶しのぶ''が睨み合い戦っていた。真っ暗な空間の中で幾度となく、お互いの木刀が交わる衝撃が響き渡る。

蜜璃の剛腕に対してしのぶは腕力が劣るものの木刀で受け流すことで渡りあっていた。

 

「「ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」」

 

お互いに全力の呼吸法、剣技を用いて。

先手では蜜璃が、''恋の呼吸'' の

 

恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき

 

しのぶに向かい猛烈な速さで駆け抜けながら斬りつけるもそれに対し持ち前の軽やかかつ俊敏な足捌きで蜜璃の斬撃全てをギリギリ避けつつ次は自分の番だとしのぶが構えて、それに蜜璃も構えて警戒するも

 

蟲の呼吸 蜂牙ノ舞い 真靡き

 

一瞬の間に間合いを詰め、蜜璃の額を突こうとするもすぐに蜜璃は反応して頸を僅かに動かして避けた。

それに対ししのぶはすぐに後ろに跳躍し間合いを取り、蜜璃は追いかける様に木刀を振るうもしのぶの木刀に受け流されて終わる。

次に蜜璃は自身の剣技の

 

恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ

 

蜜璃が持つ自身のバネを生かして猫のように飛び跳ねながら斬りつけようとする蜜璃にしのぶも対抗する様に

 

蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞い 百足蛇腹

 

蜜璃の猫の様に飛び跳ねる攻撃に対して、しのぶはムカデのように左右にうねる足捌きで的を絞らせない様にした。

蜜璃の空中からの攻撃にしのぶは避けた後に攻撃するもすぐに蜜璃は飛び跳ねて躱し、お互いがお互いに木刀の攻撃を受けて、流し払うなどをやってその衝撃に木刀が耐えきれずに折れてはすぐに別の木刀を取りに行く膠着(こうちゃく)状態が続き、

 

「しのぶちゃん! 凄い!」

 

「そちらも流石ですね! 甘露寺さん!」

 

お互いを褒め称え力を認めて、しかし互いにこう思った。

 

 

((でも、絶対に負けられない))

 

 

 

認め合いながらもこの''女の戦い'' を制するのは自分だと鼓舞する。

そして、膠着状態が数分続いて拉致が開かないと蜜璃はすぐに技を切り替えた

 

恋の呼吸 伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪

 

体をしならせ縦横無尽に飛び上がり、広範囲を木刀で斬りつけしのぶに迫り、しのぶも応じる様に

 

蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞い 複眼六角

 

空中から向かって来る蜜璃に対して一瞬の間に六連撃を加えた攻撃を繰り出した

 

「だああああーーーーー!!!」

 

「はああああーーーーー!!!」

 

蜜璃の広範囲を意識しふるった攻撃としのぶの六連撃が激突した瞬間に

 

「がはっ!」

 

「ぐっ!」

 

蜜璃はしのぶの刺突撃を腹と脇腹に数カ所食らい、しのぶも蜜璃の攻撃を左肩にかけて当たってしまう。

その時にこの数分間の剣劇で互いの木刀に罅が入っていた時に先程の激突による衝撃で遂に折れた。

二人は驚くもすぐに手近の木刀の元へ駆け出し木刀を拾い相手に向けて構えた。

 

そうして、お互いに相手を睨み合いをして警戒しながらも改めて剣技を交えて柱にまでなった相手の強さに驚愕する。

 

蜜璃は、しのぶの並外れた脚力による足捌きと蠱惑的な動きと鋭い刺突技腹に数カ所食らい痛がるも顔には出さずにしのぶに目を見張る。

 

( 痛っ! しのぶちゃんの突きがこんなに痛いなんて! それにしのぶちゃん、速い! 私の剣技を使っての攻撃にも即座に対応して避けて攻撃を仕掛けてくる! 何度か当てようとしたけど、私以上の速さと私の攻撃を全てひらりひらりと躱して行く足捌きのせいでしのぶちゃんに当てられない! さっきの攻勢で何とか当てられたけど、手応えがあんまりなかった。

寸前で回避したんだ! これがしのぶちゃん……………''蟲柱'' にまでなったしのぶちゃんの実力!!)

 

一方でしのぶも蜜璃のその人並外れた筋力と、女性特有の筋肉の柔さ・可動域の広さを生かした攻撃に左肩が当たるものの真剣な顔つきで内心、焦っていた。

 

( くっ! 流石甘露寺さん! 攻撃が当たる直前に体を僅かに逸らしただけでも何とか免れるだけでも、この威力! まともに当たったらひとたまりもない。………更に柔軟な動きから来る変幻自在の動きと攻撃に何度か当たりかけた! しかも、先程の私の六連撃の刺突技を持ってしてもあそこまで斬り返せるなんて! 流石に''恋柱''にまでなった実力は伊達ではありませんね!)

 

同じ女性隊士として極めて柱にまでなった二人だが、手合わせなどで試合をすることはあれど、お互いに''全力'' で戦うのは今日が初めてだった。

改めてお互いがお互いに対して敬意を表する様にしのぶと蜜璃は笑い、

 

「絶対に負けない!」

 

「貴方を倒す!」

 

蜜璃の言葉にしのぶも呼応する様に宣言すると次の瞬間に両者は再び動き出した

しのぶは左右に蜜璃を翻弄する様に駆け出し、蜜璃もそれに追いつこうと追いかけてその後にしのぶはすぐに方向転換し、

 

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

蜜璃に迫り複数の裂傷をを当てようとするも

 

恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風

 

蜜璃の木刀を自身の周りに纏わせるようにはしらせる攻撃にしのぶの攻撃は弾かれる。

 

二人の木刀での応酬は二人の足捌きは次第に目に見えぬ速度へと昇華して行き、まるで強風が吹いているかの如く空気を引き裂く音が響き渡り続ける。

だが、少しずつその差が開き初めていた。

蜜璃が戦っている最中にも速くなっていた。

 

( しのぶちゃんに攻撃を届かせるためにもっと心拍数を上げなくちゃ! もっと柔らかく! もっと靱やかに! もっと血の巡りを速くして! あの時よりも速く強く! もっと!……………)

 

徐々に蜜璃がしのぶの速さに追いついているのを感じ、しのぶは内心焦る。

 

( 戦い始めた時は、速さなら私の方が上だったのに、少しずつ速さが

増している!………!!)

 

戦闘の最中にしのぶは柱として多くの戦いを潜り抜けた経験と観察眼と前に柱訓練に入る前にあまねと無一郎の話から推測し、確信して蜜璃を観察してはっきりと見えた。

 

蜜璃の左の首に発現し、ハートマークと木の葉を2枚ずつ重ねたような形を成した''痣''を。

 

そして、痣者は鬼に匹敵する身体能力を得られる。

それを実感したしのぶは驚愕する。

 

「くっ!」

 

そして、遂には蜜璃がしのぶに対して全力で勝負を決めようと自身の剣技を、しのぶも全力の剣技をお互いにぶつける。

 

恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき

 

蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞い 複眼六角

 

蜜璃がしのぶに向かい猛烈な速さで駆け抜けながら斬りつける攻撃、蜜璃に向かってしのぶの一瞬の六連撃のお互いが最も速い呼吸が交差し激突した。

気がつけばお互いが背を向けるように立っていた。

 

 

 

 

 

「ぐはっ!」

 

「あぐぅ!」

 

 

 

しのぶの六撃中、蜜璃は四連撃を捌ききり、しのぶは蜜璃の''痣'' により強化した速さと力による攻撃をまともに左肩から袈裟懸けの様に受けてしまい…一瞬の静寂のうちに蜜璃は痛がるも何とか立ち、しのぶは膝をつき倒れた。

 

( 斬られた?………そんな………私が…………負けた!……………)

 

しのぶがそう自覚した瞬間にしのぶの目から涙が溢れていた。

蜜璃はしのぶの技を捌ききり勝った事に内心歓喜した。

 

( ………勝った………しのぶちゃんに勝ったーーー!!!)

 

そして、蜜璃は申し訳ないと思いつつ これが''女の戦い''なんだと覚悟を決めてしのぶの方を静かに見つめて

 

「恨んでもいいよ、しのぶちゃん。

だけど、炭治郎君の事を恋して愛するこの気持ちに嘘をつきたくない! 炭治郎君と一緒に食べるご飯が一番美味しいの! だから炭治郎君の事を同じ様に愛している貴方に勝ちたかったから!」

 

蜜璃の決意表明と炭治郎への思いを込めた言葉を聞いたしのぶは蜜璃の言葉を静かに聞いている間も''何故自分は負けたのか'' 俯瞰していた。それは、しのぶ自身が認めたくなかったため。

だが、考えれば分かってしまう。

 

( ……………敗因は、''痣者''以外にもある、甘露寺さんは私より上背があり、常人の6倍の筋肉密度の筋力と彼女自身の筋肉の柔さ・可動域の広さ、彼女の思いの強さ。

そして何より私と甘露寺さんとでは身体能力の面で差が縮まらない!……………)

 

しのぶは顔を静かに蜜璃の方に向けて

 

「炭治郎の事、本当に本気なんですね、甘露寺さん………」

 

「うん! もう誤魔化さない!」

 

そして、蜜璃はしのぶに対して

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そんな蜜璃の姿をしのぶは唇を噛み、心の底から悔しさと同時に畏敬の念そして、最後には自分の心を諦念の気持ちが支配していた。

そして、悟ってしまう。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう思うと同時に目を閉じていると其処に愛する''竈門炭治郎''の姿を見た途端に耳元で

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

今は亡き'' 胡蝶カナエ'' の声が聞こえて来ていた。

 

( 姉さん何を言っているの? 甘露寺さんは私よりも上背があって、腕力も強くて、何より唯一勝てそうだった ''速さ'' も上回っていた。甘露寺さんの一太刀が当たっただけで…………体の芯に響き体ももう動けない程に気が失いかけて、もう心は完膚なきまでへし折られたの。)

 

『関係ありません、立ちなさい。

蟲柱そして、()()()()()()()()()()、胡蝶しのぶ。』

 

(!!!)

 

『この決闘は貴方が望み、そして彼女も貴方と炭治郎が婚約しているのを理解してもなおも、彼に対する恋心を捨てずに貴方に挑んだ。

そんな彼女に、甘露寺蜜璃に炭治郎を渡してもいいというのですか?』

 

(!!!)

 

『頑張って! 負けないで!』

 

そうカナエに諭され、しのぶの混濁していた意識は、覚醒した。

 

()()()()()()()()()()

 

「!!!」

 

先程蜜璃の攻撃を受けて目から力が失っていたはずのしのぶが、すぐにその目に力が宿ったしのぶが蜜璃に対して大声を上げていた。

 

「ふざけないでください!! この決闘!! 私達にとっても大切な炭治郎の思いの雌雄を決する''女としての勝負!!'' 絶対に負けませんから!!」

 

そして、改めて蜜璃を見て

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう決意と覚悟の宣言をした瞬間にしのぶは自身の奥底から芽生えた思いに体を突き動かした。

 

( 今までの私だったら医者として柱稽古だと無意識のうちに危険な事はしなかったろうな、でも今は違う!! これはただの戦いじゃない! 女としての存在! 炭治郎を賭けた絶対負けられない戦い! 後の事は考えずに今はただ目の前の甘露寺さんに勝つ事だけを!!)

 

そしてしのぶ自身は、意識的に体を熱くさせ、心拍数が上げた。

 

( 何?! 体が熱い?! いやそれよりも呼吸を速く! 今までよりも強く!)

 

そうしていくうちに重傷を負っているというのにどんどん身体から力が漲り、彼女の左頬に

 

 

数羽の蝶の形を成した''痣''が発現した。

 

そして蜜璃は驚愕し、そして今のしのぶを理解した。

 

「しのぶちゃん、左頬…」

 

「えっ?!」

 

蜜璃はしのぶに''痣'' 発現した事を明かしてしのぶはそれに驚いていた。

 

「……本当ですか?」

 

「うん! しのぶちゃん、蝶なんだ………可愛いよ!」

 

しのぶの疑問にも答えて蜜璃はしのぶの''痣'' を見て微笑んでいた。

しのぶは自分が ''痣者'' に目覚める事は無いと思っていた、だが、現にこうして''痣'' が出ている。

 

( 何故? 私はただ、炭治郎の事を……!!!)

 

しのぶは自問自答してすぐに答えにたどり着いた瞬間に、

 

「炭治郎………」

 

しのぶが思い起こす様に涙を流して言葉に蜜璃は目を見開きしのぶが''痣''を発現した理由を直感で理解した。

 

( しのぶちゃんも''痣'' を! 炭治郎君への思いのためにそこまで!! だったら余計に負けられない!! )

 

しのぶと蜜璃は静かに向き合い構え直した。

 

「「ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ!」」

 

瞬間に駆け出した。

 

「わあああああーーー!!」

「はあああああーーー!!」

 

恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ

 

蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞い 百足蛇腹

 

蜜璃の猫の様に飛び跳ねる攻撃に対して、しのぶはムカデのように左右にうねる足捌きでのお互いの全力の速さだが、

 

( 速い! 私も同じ''痣者'' なのに?!)

 

先程と違い蜜璃の攻撃は次第にしのぶを捉えられず、しのぶの速さは先程とは段違いの速さとなっていく。

 

( 体が軽い! これが''痣'' の力そして、炭治郎を思うから芽生え手に入れた力! でも、足りない! もっと速く!)

 

そして、しのぶと蜜璃は目が合い間合いを図り、一旦距離を取り、お互いに止まり、息を整える。

 

「甘露寺さん、力なら貴方の方が上です、でも、速さなら私の方が強い!!」

 

「速さでも負けないよ! しのぶちゃん!!」

 

しのぶの挑発に蜜璃も受けた瞬間に構えて相手を見定め、次こそ勝負を決めようとする。

 

そして、少しの静寂の後

 

 

 

ダン!!

 

両者は駆け出した。

 

恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき

 

蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞い 複眼六角

 

そして、再度、蜜璃の駆け抜けながら斬りつける攻撃としのぶの一瞬の六連撃がぶつかった。

 

 

 

 

静寂の後、立っていたのは………

 

 

 

 

 

 

「ああっ!」

 

「っ!」

 

()()()()()()()

蜜璃の駆け抜けて斬撃より先にしのぶの六連撃が決まり、蜜璃は身体の六箇所の突きを喰らうも直前に全身の筋肉を硬直させたものの激痛により静かに倒れた。

 

六連撃を放った後もしのぶは蜜璃の方を振り返って蜜璃が倒れたのを見て心の中でつぶやく。

 

(か…………勝った?…)

 

しのぶは呆然としながらもう一度よく見て蜜璃が倒れているのを見て

 

「か………勝ったんですか?… はあっ…! 甘露寺さんに勝ったんですねー!」

 

しのぶの瞳から涙が出てあふれる、それは、大好きな人を倒した事への申し訳無さと自身が最も尊敬していた女を倒した事の歓喜の涙だ。

 

しのぶはゆっくりと仰向けに転がった、朦朧とする意識の中で勝利の余韻に浸った。

蜜璃の方は自分が負けて倒れたのを理解して静かに泣いていた。

 

「嘘? 速すぎだよ……………私の炭治郎君への恋心は…………しのぶちゃんのより…………よわいの…?」

 

''女の決闘'' に負けた絶望が重くのし掛かり、視界が真っ黒になっていく中。納得しようとしていた。

 

( 考えてみれば当然だよね…………しのぶちゃんの方が先に炭治郎君と結ばれているんだから、私が間に入るなんて……………出来ないよ………)

 

そう思い静かに負けを受け入れようとするも

 

(無理だよぉ……そんなの……………いやだよぉ………)

 

蜜璃の瞳に涙があふれるそれは悔しさの涙だ。

それが正しいとして納得したくなかった、そのまま諦めたくないからこそ、しのぶに挑んだ。

それでも追い詰めたものの負けたとしても自分の中で芽生えた思いを捨てることなど出来なかった。

 

だが、そう思い立ち上がろうとするも徐々に意識が遠くなり、痛みで痙攣していた全身から力が抜け始める。手足からも力が失われ、木刀を握りしめていた指先が開き始めた時。

 

 

()()()()()()()()()()

 

( えっ?)

 

蜜璃の耳には、聴こえてきたのは

 

 

 

『諦めるな! 甘露寺! 君なら出来る!』

 

今は亡き煉獄の声だった。

 

( もう限界……………なんです…………それにしのぶちゃんは………先に炭治郎君と………結ばれているから………もういいんです)

 

たとえ煉獄の声が聞こえたとしても立ち上がろうと思わなかった体と同じで心も諦めようとしていたが、煉獄は

 

『だが、それでもその身の内に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(!!!)

 

そして、煉獄は蜜璃の前に膝をつき

 

『自分を信じろ! 甘露寺!」

 

そう言われた瞬間に蜜璃の目に力が宿る。

 

( そうだ、たとえしのぶちゃんが先に炭治郎君と結ばれているのは分かっている……………それでも…………私は!……)

 

離そうとした木刀を握り直し、

 

「うっくうぅぅ!」

 

「えっ?!」

 

少しずつ、蜜璃は腕を立てて、上半身を持ち上げてゆっくりとしのぶの方に振り向いた。

蜜璃はしのぶに

 

「はあっ…!はあっ…!はあぁっ…! まだ、負けてないわよ、しのぶちゃん!」

 

しのぶはそんな蜜璃を見て苦笑いして呆れる様に

 

「どんだけ、丈夫なんですか? 力いっぱい叩き込みましたから、倒したと思ったんですがね。」

 

しのぶの言葉に苦笑して

 

「ふふ、これでも鍛えているからね、私は! ()()()()()()()()()()()()

 

蜜璃の言葉にしのぶは面食らうもすぐに炭治郎の顔を浮かべてクスリと笑い。

 

「本当に()()凄いですよね!甘露寺さん!」

 

「うん! 本当にかっこいいよね!」

 

そして、お互いに微笑んだ後にゆっくりと立ち上がり構える。

 

「甘露寺さん、いいえ! 蜜璃さん! 次の技が私の出せる最後の技です! 確実に貴方を勝ってみせます!」

 

「うん! 私もこの全力の技でしのぶちゃんを倒すよ!」

 

そして、体がよろよろで息も絶え絶えになりながらも二人はお互いによく見て自分の全てを全身全霊を込めて最後の技を繰り出す。

 

蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ

 

恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風

 

しのぶのひらりと蝶の様に舞ながら複数の連撃と蜜璃の自身の周りに纏わせるようにはしらせる攻撃がぶつかり合う。

 

バキっ!

 

そうしてお互いの木刀が折れてしのぶと蜜璃はお互いに攻撃を捌ききれずに喰らい倒れた。

 

「もう動けないよ………しのぶちゃんは?」

 

「はあっ! 私ももう動けませんよ………」

 

蜜璃としのぶは倒れながらも会話して

 

「引き分けだね………しのぶちゃん……悔しいなぁ……」

 

「ええ………私だって悔しいですよ…………甘露寺さん………」

 

そう息も絶え絶えなしのぶに蜜璃はむくれた。

 

「むー!」

 

「なんですか?」

 

むくれる蜜璃を見てしのぶはきょとんとしていると

 

「しのぶちゃん! さっきは私の事を蜜璃と呼んでくれたじゃない! なんで名字に戻すの!」

 

蜜璃の言葉にしのぶは、ハッ! として

 

「あ、いやさっきのは勢いでして…………」

 

「蜜璃って呼んでよ! その方が良い!」

 

蜜璃の勢いにしのぶはため息を吐いて

 

「……蜜璃さん……」

 

「!! うん! 今度は蜜璃ちゃんって呼んで!」

 

蜜璃の言葉にしのぶは顔を赤くなり、ええいもうヤケだとかぶりをふり

 

「うー! 蜜璃ちゃん!」

 

「きゃー!! 良いわよしのぶちゃん! 素敵だわぁ!」

 

「もう! ………くす、ふふふふあはははーーーーー!!」

 

「えへへあはははーーーーー!!」

 

そして、先程まで決闘を繰り広げたとは思えない程に蜜璃としのぶは笑い合った。

 

 

 

 

 




お疲れ様様でした。
女の戦いはどうでしたか?

では、また次回で。


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第弐拾壱話 日輪と蛇、美蝶達の答え

遅れてしまい申し訳ありません、最新話の更新です。

胡蝶しのぶとの決闘、甘露寺蜜璃の継子として修行により原作より大幅に強化した炭治郎が伊黒小芭内との死闘? の続きです。

恋心に目覚めた二人の柱、胡蝶しのぶと甘露寺蜜璃との炭治郎争奪戦の後の答えです。


甘露寺蜜璃'' 対'' 胡蝶しのぶの決闘が起こっていた時より時間を遡り……………伊黒邸付近の森の中では、二人の剣士達が命がけの鬼ごっこをしていた。

叫び声を上げ満身創痍の竈門炭治郎と般若の形相で伊黒小芭内の二人。

 

「竈門炭治郎! 貴様だけは殺す!! 殺す!! 殺す!! 殺す!! 殺す!! 殺す!! 殺す!!」

 

「ぎゃあああーーーーー!!」

 

そしてしばらくして

 

「………………遂に追い詰めたぞ………竈門炭治郎、今日という日が貴様の命日だ!! 死んで後悔しろ!!」

 

「ううぐっ…………」

 

 

追い詰められた炭治郎は覚悟を決めて木刀を構えるとと追い詰めた小芭内も般若の形相で木刀を構えて向かい合う二人であるが、炭治郎は落ち着いてどうしてこうなったのかを追いかけながらも考え改めて小芭内の匂いを嗅ぎ

 

「あのー、伊黒さん、もしかして、蜜璃さんの事好きですか?」

 

「!!! な、何を?!!」

 

炭治郎の問いに小芭内が顔を赤くし言葉を濁すのを見て炭治郎は確信した。

炭治郎がそう思ったのは蝶屋敷で胡蝶しのぶ、栗花落カナヲ、神崎アオイと婚約した後の夜に胡蝶しのぶと''夜の営み'' をした後にカナヲ、アオイとも''夜の営み'' お互いの裸を見せ合って子作りに励んだことにより三人との生活では、抜け駆け、妨害などの日々が続きその都度、三人から''幸せ'' ''嫉妬'' の匂いがしていたために炭治郎が嗅ぎ慣れていた。

その匂いが小芭内からもしていたために、確信した。

炭治郎は意を決して

 

「伊黒さん! なんで黙ったまま「黙れ!!」えっ?!」

 

そして小芭内は怒りと悲しみの匂いを立ち上らせる。

 

「俺は甘露寺に言うつもりは無い。

''無惨を倒して死んで、自分の血が浄化されるように願い、そして鬼のいなくなった平和な世界でまた人間に生まれ変われたら、その時こそ必ず彼女に好きだと伝えるためだ!!''」

 

その言葉に炭治郎は唖然として怒りの声を張り上げた。

 

「何を言っているんですか! 今世で告白する勇気も無く、そんな言い訳をするなんて ''腰抜けの臆病者'' ですよ、伊黒さん!」

 

「………!! 腰抜け? 臆病者?………………俺が? …………ふざけるなぁぁぁぁーーーー!!!」

 

炭治郎の言葉に小芭内は愕然とし瞬間に怒りに身を任せて叫び返し技を繰り出す

 

蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)

 

蛇のようにうねる動きとそれによる広範囲で繰り出す斬撃の炭治郎は持ち前の優れた嗅覚による''動作予知能力'' そして蜜璃との修行により動きを読んで迎撃する為に技を繰り出す。

 

ヒノカミ神楽 火車

 

飛び上がって前宙しながら伊黒を飛び越えながら攻撃を避け、その勢いのまま小芭内を斬りつけた。

小芭内は激情したままに奮ったために技を繰り出すものの繊細さと冷静さを欠いたために避けられた炭治郎により易々と攻撃を受けてしまう。

 

「ぐっ?! まだだぁ!」

 

蛇の呼吸 弐ノ型 狭頭の毒牙(きょうずのどくが)

 

次に小芭内は蛇のようにうねる斬撃を仕掛けたが、炭治郎はそれを'' 動作予知能力''により嗅ぎ分け捌き切ろうとするも伊黒の速くうねる斬撃に押された。

 

「ぐっ! あっ!」

 

「どうした? 竈門! 俺を臆病者と罵って置いてこの程度か!!」

 

「! うおおおお!!」

 

小芭内の言葉に覚悟を決めて小芭内の攻撃に耐えて、瞬間、

 

ヒノカミ神楽 飛輪陽炎(ひりんかげろう)

 

小芭内に斬りつける瞬間、刀の刃先が陽炎のように揺らがせそれにより小芭内の目算を狂わせ、避けさせずに小芭内の体を袈裟懸けに切り裂いた。

 

「ぬっ? ぐう!……柱である俺をここまで………」

 

「伊達にしのぶの修行、蜜璃さんの継子として修行してきてませんよ!! 伊黒さん、貴方が来世に告白なんてそんな考えを持たずにいれば………」

 

お互いに間合いを図り炭治郎の言葉の後に

 

ブチッ!

 

炭治郎の言葉にキレた小芭内が

 

「だったら教えてやる!! 俺がどうしてそう思ったか!!」

 

 

自分の口元の包帯を引きちぎろうとして白蛇の鏑丸が

 

「シャー! シャー!」

 

「いいんだ、鏑丸、こいつだけには見せてやりたい!」

 

その様子を見て炭治郎は、

 

「伊黒さん、鏑丸も貴方にとっては人に見られたくないのなら………」

 

炭治郎がいうも小芭内は炭治郎を睨みつけて

 

「黙れ! 俺が何故そう思わずにいられないか教えてやる!」

 

そして小芭内は包帯を全て引きちぎり素顔を見せた。

そして包帯を引きちぎり見せた姿は

 

 

その顔は口の端を裂かれた傷が刻まれていた。

 

驚く炭治郎を小芭内は睨みつけて語り初めた自らの忌まわしい過去を………

 

ーーーーー

 

伊黒小芭内は、女ばかり生まれる一族の三百七十年ぶりに産まれた男児だった。

生まれた時からずっと座敷牢の中で暮らしていた。母、姉妹、叔母たちは猫撫で声で、小芭内から気持ち悪い程に親切を向けて、毎日毎日過剰な量の料理を運び、その料理の匂いで牢の中が充満していた。

座敷牢では夜になると、まるで巨大な蛇が這い回るような音と、そして粘りつくような視線を感じ恐怖していた。

 

十二歳になると座敷牢から出され、きらびやかな装飾が施された豪華な部屋へと連れて行かれた。

 

そして、御神体のように鎮座していたのは――下半身が蛇のような女の鬼。

 

小芭内の一族は、蛇鬼が殺した人の金品で生計を立てていた人殺しの一族だった。その代わり赤ん坊が好物の蛇鬼に、自分たちが生んだ赤ん坊を生け贄として捧げていた。

小芭内は一族では珍しい男であり、風変わりなオッドアイだったため、蛇鬼に大層気に入られており、成長して喰う量が増えるまで生かされていた(後に右眼の視力が殆どないことが発覚した為、先天盲だと思われる)。

蛇鬼は口の形を自分と揃えると言って、伊黒の口の端を裂いて、そこから溢れた血を器に入れて飲んだ。(口元を隠していたのはこの時の傷痕が原因)

 

再び座敷牢に戻された小芭内は口を傷つけられた痛みと生贄にされる恐怖により逃げること、生きることだけを考えていた。何時か発覚するのではないかと、神経を擦り減らしながらも、盗んだ簪で木の格子を削り続けた。鏑丸はその時に座敷牢に迷い込んだ蛇であり、小芭内の心の拠り所となっていた。

 

やがて、小芭内は外へ脱出する事に成功。それに気付いた蛇鬼が追いかけてきたが、当時の炎柱の愼寿郎に間一髪で救出された。

 

愼寿郎は小芭内と生き残った従姉妹を引き合わせてくれたが、従姉妹は小芭内を一方的に罵る。

 

「あんたのせい………あんたが逃げたせいで皆殺されたのよ!! 五十人死んだ! あんたが殺した! 生贄のくせに!! 大人しく喰われてりゃ良かったのに!!」

 

全く以て正当性の欠片もない言い分。しかし、まだ幼かった小芭内の心を抉るには十分だった。

そして小芭内は、自分が「汚い」「屑」だと卑下を通り越して自分自身を罵倒した。

 

この辛辣な言葉は彼の心に深い傷を負わせるに至り、もはや普通の人生を歩む事など当然できなかった自身は、鬼殺隊に入って鬼に感情を全てぶつけた。

そうして鬼を倒し続け、時に鬼から守った人間に感謝された時は、自分が“いいもの”へなれた気がした。

されど、いつまでも五十人の恨めしい眼と腐った手が小芭内の身体を掴んで離さない。

 

そうした今までの経験から女性全体に対して強い恐怖心と嫌悪感を抱くようになってしまっていた。

だけどそんな小芭内も、いつの日か出会い恋をした。

 

それが甘露寺蜜璃との出会いで、一つの決意が小芭内に生まれた。

彼女の為に、無惨を倒して死んで、自分の血が浄化されるように願い、そして鬼のいなくなった平和な世界でまた人間に生まれ変われたら、その時こそ必ず彼女に好きだと伝えようと。

 

ーーーーー

 

小芭内の過去を聞いた炭治郎は沈黙していた、小芭内は、自分の過去を聞いて炭治郎が見下しているのだと思い見ると炭治郎は優しい目で

 

 

 

「伊黒さん、貴方は優しい人ですね。

自分を苦しめた者達の事を思うなんて、とても優しいですよ。」

 

「!!!」

 

小芭内は炭治郎からその言葉の意味、それを認識し、理解できずに問い返すには数秒の時を有した。

 

「自身の血筋と、過去の苦行に苦しみながらも、正しくあろうとするその姿は人が持つ強さの一つですよ。

そしてあなたは自分だけでなく他の人を救おうとしている。

本来ならあなたは救うよりも、救われる側の人間なのに、人として柱として強く在るが為に人を救おうとする為に前に歩いて行こうとするあなたは、もう立派な人間ですよ。」

 

「こんな穢れた血の流れているこの身が立派だとっ?」

 

 小芭内は炭治郎が、

 

(何を言っているんだこの男は)

 

と思い、その顔を凝視する。

 

「はい! 伊黒さんは立派ですよ!」

 

 

 炭治郎と小芭内との会話はこれまで重くのしかかっていた、小芭内の心のわだかまりの多くを軽くすることになった。

 本当にこの身は立派だと言っているのか?

 単純に考えれば、自身に対して何らかの嘘をついて油断させようとしている?

 だが、目の前の男の目は純粋で真っ直ぐで嘘をついているとは思えなかった。

 

 

「……炭治郎、お前は、一体俺に何を言っている……」

 

「別に何も、ただ罪を犯してそのままにする最低な人もいれば、自分の犯した罪に向き合い苦しみながらも背負っていく人もいることも知っているだけですよ。」

 

 その言葉に、嘘はない。

 今までの多くの経験から確信して小芭内は、目の前の炭治郎の真っ直ぐな人間性を改めて理解した。

 今までは''鬼の妹'' を連れているのを見て、自身にとっては到底受け入れられない存在だと思っていた。

 しかし、今やその炭治郎の人間性を疑うなどと考えられなかった。

 

「お前の在り方、それは、およそまともではないな」

 

 確信を持ち。僅かに皮肉をこもらせた声で小芭内がつぶやく。 

 その言葉に反応するように、炭治郎はただ苦笑しながら答えた。

 

「そうかも知れないですね。それでも俺はそう思います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして炭治郎は静かに怒り

 

「それにしても許せませんね! その従姉妹の人! この戦いが終わったらすぐに頭突きにしに行きます!」

 

「はっ?!」

 

「シャー?」

 

炭治郎の言葉に小芭内だけでなく鏑丸も唖然となる。

炭治郎の言葉に面食らうも少しだけそんな炭治郎のおかげか気持ちが軽くになるもののふと疑問に思った事を聞いてみた。

 

「そう言えば、炭治郎、甘露寺の事をどう思っている?」

 

「蜜璃さんですか? そりゃ………」

 

小芭内は目を鋭くさせて、嫉妬心を出して

 

「…………いつのまにか下の名前で呼んでるようだがまさか、甘露寺の事を?……」

 

小芭内の追求に炭治郎は

 

「えっあっいや……俺はすでにしのぶ達と婚約していますから………」

 

「何?!」

 

小芭内の言葉に炭治郎があたふたしていると小芭内はズイと

 

「では! 甘露寺の事を女としてどう思っている………炭治郎!!」

 

先程よりも圧のある言葉に炭治郎は改めて蜜璃に対して思いなおし

 

ドクン

 

かあああと顔を熱くなっていた。

 

(えっ?! な、何を俺は?!)

 

炭治郎の様子を見て確信した小芭内は、

 

( つまりなんだ? こいつはしのぶ達と婚約しておいて甘露寺に無自覚に手を出した?………)

 

 

 

 

ブチッ

 

 

 

「この下衆野郎がああああ!!!」

 

「ギャアアアーーーーー!!!」

 

ーーーーー

 

そして、その後の数十分後、小芭内はボロボロになっている炭治郎を憎しみを込めた目で睨みつけ

 

「柱稽古では強くなり、最終決戦で必ず死なずに生き残れ! お前を殺すのは、この伊黒小芭内だ!! 分かったら、さっさと次の柱へ行ってこい!!……………竈門炭治郎、お前は俺が必ず殺してやる!!」

 

小芭内に最後まで嫌われ挙句の果てに自身の殺害予告をされた炭治郎は生きた心地がせずに気落ちして次の柱の所へ向かった。

そんな炭治郎の後ろ姿を見てある考えを巡らせ決意する。

 

(話を聞く限り、甘露寺の心は炭治郎に傾いているようだが、だからといって諦めるつもりはない!!)

 

そして小芭内は決意する。

 

''甘露寺蜜璃の前で正々堂々と竈門炭治郎をぶちのめす‼️ そして、彼女に告白して自身の手で取り戻す‼️''

 

 

炭治郎は小芭内からの強烈な殺気のこもった視線を背中に受けながら

 

「な、何とか生き残った……………」

 

ーーーーー

 

そして、次の柱である風柱の不死川の元へと向かおう道を歩いて角を右に曲がろうとすると

 

 

 

突然善逸が、飛び出した

 

「うわあああ!! ああああ善逸!?」

 

そして必死な形相の善逸は

 

「にににににに逃がしてくれェェェ炭治郎炭治郎何卒!! もう足が立たないんだ!! 体中がボロボロになって無理なんよ!!」

 

「逃げる? 何から? ………まさか?!」

 

炭治郎も先程まで追いかけられたので心当たりがあった。

そうこうしていると善逸の背後から

 

ガシッ

 

と善逸の頭が鷲掴みにされた

 

「また、にげやがってェ………選べェ……訓練に戻るか俺に殺されるかァ?」

 

「ギャアアアーーー!!」

 

(ああ…………ここでもかぁ………)

 

「大丈夫、俺がついているよ善逸………」

 

こうして風柱の柱稽古も始まった

 

 

ーーーーー 

 

甘露寺邸…………

 

其処では真夜中に炭治郎を巡り、''甘露寺蜜璃'' 対 ''胡蝶しのぶ'' の女の戦いがあった。

 

その決闘の時にしのぶの強靭な脚力で床が砕ける衝撃が走り、蜜璃の剛腕による木刀により道場は半壊していた。

 

後日、隠の人達により甘露寺邸の道場の修復作業が始まり、訓練は、蜜璃の怪我により自習となってしまった。

 

隠達に何があった聞かれたときには

 

しのぶと蜜璃二人共が柱稽古の一環と言った為のを聞いた者達は改めて柱の凄さに戦慄した。

 

その後には、決闘の怪我により数日間療養することとなり、しばらくすると、蜜璃の部屋の扉からノック音の後に

 

 

「もしも~し」

「っ!?」

 

 ふと聞こえてきた声にドキリと肩を跳ねさせてそちらに顔を向けてから、扉を開けてしのぶの顔があった。彼女の顔を視認した瞬間、招き入れ

 

(し、しのぶちゃんっ……!?)

「ごごめんねっ……! 何かあったの!」

「いえいえ、ただ話をしたいだけですよ、竈門炭治郎について」

 

蜜璃は心臓を早鐘のように打たせながら、何とか謝罪を述べる。やんわりと許してくれた彼女に、蜜璃は胸を撫でおろすも、心中は穏やかではない。何せ大好きだが恋敵が眼前にいるのだから。

 

「は、話って……?」

「蜜璃さん」

 

蜜璃の嘆願により今では名字ではなく下の名前で呼ぶようになったしのぶがそういって身体を震わせる蜜璃に近寄り、耳元で囁いた。

 

「蜜璃さん、貴方に改めて聞きます。私は炭治郎君の一番である正室を、誰であろうと絶対に譲るつもりはありません……ただし、貴女が側室でも良いと言うのなら、これからも私と一緒に炭治郎君を支えませんか?」

(っ……!?)

 

そして蜜璃はしのぶの提案に驚きながらも

 

「うん! 分かった!」

 

蜜璃のその言葉にしのぶは笑い

 

「即断するとは、さすが、蜜璃さんですね。」

 

しのぶの言葉に蜜璃は

 

「炭治郎君をみんなで共有するなんて、素敵じゃない、それに………」

 

 

 

 

「正室よりも側室の方がより愛されるって聞いた事があるもの。」

 

「………本当に素直ですねー蜜璃さん…………ふふふふふふ………」

 

「ふふふ」

 

 

 蜜璃としのぶの全身から闘気が溢れ出す。しのぶのいつもよりも冷えた声色と、笑っているようで笑っていない目、対する蜜璃はそれに屈さずにその目に炎を宿し睨み合う。

 

「怒ってる? しのぶちゃん?」

「別に怒っていませんよ、ただ………調子に乗らないでくださいね。」

 

 

 しのぶの言葉に蜜璃は確信した。

先ほどからしのぶの笑っていない目。これが蜜璃のはじめて見るしのぶの嫉妬だと言う事に。

 

 しのぶは蜜璃が炭治郎に手を出した事については''決闘'' で十分償ったのでその事に咎めているわけではない。だが嫉妬で詰問しているのならば全部説明がつく。

 

「まぁ、蜜璃さんとの仲のよしみです。大目に見てあげましょう……ですが」

 

 

 

 

 「――あまり炭治郎くんに近づかないでくださいね?」

「っ……!」

 

 より一層冷えた声に、蜜璃は全身が凍るような感覚に襲われた。そして言いたいことを言ったのか、しのぶはニコリと笑っていた――牽制された? 蜜璃は考えその身体から闘気を表にして

 

「私だって負けないから!」

 

蜜璃はしのぶを涙目で睨みながら言い放つとしのぶも受けて立つ様に睨む。

 

「ふふふ、本当に素直になりましたね。」

「うん!負けない!」

 

そう言い合うと、しのぶはつま先立ちで背を伸ばしと蜜璃は背を屈めて同時にお互いの額をくっつけて両胸を突き出して睨み合う。

 

だが、相対するしのぶと蜜璃はどこか嬉しそうであった。

全力でぶつかっていける好敵手の存在に歓喜を噛み締めているようであった。

 

 

互いの顔の近さと睨み合っても変わらない美しさに驚き、

まだ二人とも生きていることを実感する。

 

 

「そうですね。今日のところはこのあたりにしておきましょう」

 

「前の決闘では引き分けだったね」

 

「そうですね」

 

「全身全霊で喧嘩しても、心のモヤモヤはなくならないし、残ったのは傷とより強くなった嫉妬心ぐらいかな」

 

「スッキリしませんでしたね。続きは傷が完治した後にいたしましょう」

 

「炭治郎君にとっての一番を巡る戦いも続きそうね」

 

「宇髄さんの所の妻の皆さんと違い、私達はこれからもこの関係性なのでしょうか」

 

「さあ、どうかな………ただ、絶対にしのぶちゃんには負けたくないからね。」

 

「私だって蜜璃さんには負けませんよ。」

 

「そうね、次こそは決闘に勝ってみせるよ。」

 

「負けませんよ、せっかく大切な思いに気づき ''痣'' 発現して対等な立場を得ましたから」

 

 

互いの生に敬意を払うかのように笑顔になり、握手した。

 

 

互いを讃え、今日のところ勝負は持ち越しとなった

 

 

 

「負けないから!」

 

「私もです!」

 

 




柱三人からの本気の修行と死闘という経験により炭治郎ならここまで出来るようになると思いました。


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第弐拾弐話 日輪は荒ぶる風兄弟達を繋げる

2ヶ月もの間お待たせして申し訳ございません。風柱の不死川実弥との柱稽古編です。



風柱邸での修行が始まった

 

風柱の不死川実弥の柱稽古は無限打ち込み。 

ひたすらに実弥に斬りかかっていくだけの単純な打ち込み稽古だが、反吐をぶちまけて失神するまでが一区切りでそれまで休憩は一切なしという鬼仕様となっている。

 

当初それに参加した炭治郎も同様に実弥の凄まじい剣撃の前に失神すると思われた、善逸と実弥達だった。だが…………

 

 

ドガッ! バシッ! ドゴォッ! ヒュン! ドフッ!

 

「てめえ! ここまで!」

 

始まった風柱の実弥との稽古の激闘の最中で何とか実弥の剣に炭治郎捌き食らいついていた

 

(ええーーーーー!! 炭治郎、いつの間にそんな強く! しかもあの血も涙もない男と渡りあってやがる!!)

 

実弥が驚き、善逸も内心驚愕していた。

他の隊士達も

 

「すげー!」

「食らいついている!」

「あいつは一体?!」

 

隊士達から称賛の声が上がる中

 

「しのぶ、宇髄さん、蜜璃さん、時透君、伊黒さんから稽古してもらい、特にしのぶから本気の指導、蜜璃さんに継子にして頂いた後の修行と伊黒さんからも本気の修行させてもらいましたから!」

 

「伊黒が!?」

 

自分と同じで ''鬼'' を連れている炭治郎を嫌っていた小芭内が認め柱稽古だけでなく''本気の修行'' を施していた事に実弥が驚く。

最も当の小芭内本人は炭治郎を認めたつもりはなくただ単に蜜璃に手を出した炭治郎を殺す事だけを考えて'' 本気の殺意'' の本気の戦いの結果により炭治郎が強くなっただけであり、もしこれが小芭内の耳に入ったらまた炭治郎を般若の形相で追いかけて来るのは間違いないが、実弥が知る由もなかった。

 

ーーーーー

 

夕方頃………

 

「ううゔう痛っ!」

 

柱稽古中に実弥が炭治郎と渡り合いそして実弥に''一撃を入れた'' 後にも続行となり、その為に他の隊士達と善逸が挑んだものの一方的に叩きのめされた。

そして実弥との稽古でボロボロになった炭治郎が自身にあてがわれた部屋まで歩いていると、知っている匂いを感じ取り、気持ちが明るくなってすぐに向かうと

 

 

「玄弥! 久しぶり!」

 

「炭治郎!」

 

玄弥と再会した。

話を聞くと玄弥の方にも炭治郎達と同じ様に緊急任務があった為に丁度ここまで玄弥が柱稽古に来た所だった。

その後にもお互いの近況報告をしていると玄弥が思い出した様に

 

「すまねぇ、炭治郎……兄貴は今どこに?」

 

「風柱のお兄さんなら今向こうの廊下に行っているけど?」

 

「そ、そうか! なら……いや、禁止されているんだった、でも………」

 

「禁止?」

 

玄弥がしどろもどろになっているので話を聞くと玄弥は以前に酷い事を言った兄の実弥に謝りたかった。

だが、兄には

 

「てめえなんか弟じゃねぇよ」

 

と言われてしまい、だから、行冥の元で修行して来たが、トラブルを避けるために実弥と会うのは行冥から禁止されているのを話すと炭治郎は

 

「風柱のお兄さんのことなんだけど、あのひとはさ玄弥が鬼殺隊に入った事を話した時には怒っていたのは確かだよ。

でも憎しみの匂いは少しもしなかった

だから怯えずに確かめよう!」

 

「確かめる?」

 

炭治郎の言葉に玄弥が頸を傾げると炭治郎は頷き

 

「お兄さんは玄弥の事がずっと変わらず大好きだから!」

 

そう炭治郎に笑顔で諭され、玄弥も微かに笑顔になる。

 

ーーーーー

 

その後に炭治郎は実弥に会いに来ていた。

 

「あ? 何しに来たんだてめぇ、今日の訓練は終わったからさっさと寝ろやぁ!」

 

実弥に怒鳴られ炭治郎は縮み上げかけるも勇気を振るい

 

「不死川さん、貴方には弟がいると聞いたのですが、本当ですか?」

 

炭治郎の言葉に実弥は苛立ちながら

 

「俺に弟は居ねえ!」

 

そう実弥が怒鳴ると炭治郎はあっけらかんとして

 

「そうですか………残念ですね、謝ろうと思いましたが仕方ないですね。」

 

「謝る?」

 

炭治郎の言葉に実弥が訝しむと

 

「実は俺、"最終選別"を玄弥と一緒に参加したんですが……終わった後に少し喧嘩をしてしまいまして。で、その刻に玄弥の右腕を俺が圧し折ってしまったんですよ。」

 

『っ!?』

 

 

炭治郎の思わぬ過去の暴露話に、実弥は炭治郎の事が一瞬、理解出来なかったのか双眸を見開かせて驚愕した。

 

「喧嘩とはいえ玄弥の腕を圧し折った事に後悔や罪悪感はあります。

それに骨を折るのは遣り過ぎたと思いまして………玄弥に謝る前にお兄さんに謝罪しようと思ったんですが………」

 

「……テメェ……今何つったァ?……玄弥の腕を、圧し折りやがっただァ?」

 

実弥は炭治郎の言葉を、もう一度尋ねた。すると炭治郎は内心怯えてごくっと唾を飲み、実弥の気迫に恐れながらも、左腕を前に出してから右手で掴んで説明を始めた。

 

「そうです、こうやって俺が玄弥の右前腕部分を掴んでからミシッ!……って感じで圧し折りました。玄弥は痛そうに腕を抱えてました、内心やり過ぎましたと思いまして、謝ろうと思ったんですが………」

 

炭治郎が体験した、嘗て起きた出来事を冷や汗をかいて懐かしそうに語ると、実弥は静かに炭治郎を睨みつけた。

 

「……っ。」

 

この挑発的な炭治郎の態度が、実弥の堪忍袋の緒を引き千切る事になる。

そして実弥がそうなると予想した炭治郎はもまた、匂いで実弥の気配が変わったのを察知した。

 

――やばいっ! 凄い怒りの匂いだっ!……っとまた不死川さんの右腕っ!!

 

「てめぇぇーーーーー!!」

 

実弥が炭治郎を殴りかかると炭治郎は咄嗟に避けてすぐに逃げるも実弥が追いかける

 

「よくも、()()()の腕を折やがったなぁーーー! ぶっ殺してやるぞオラァァァー!」

 

「ひえっ!」

 

怯える炭治郎に実弥殴りかかろうとすると

 

 

「待ってくれ! 兄貴! 炭治郎は悪くねぇ! 悪いのは俺なんだよぉ!」

 

玄弥が炭治郎の前に飛び出すと

 

「はぁっ?!」

 

すぐに実弥は困惑していた。

 

「実はあの時は兄貴にすぐに会いたくて焦って白い髪の女の子に俺が殴って、それを止めようとした炭治郎と喧嘩になっただけなんだ!」

 

「なっ?!」

 

驚く実弥に尚も玄弥は涙目で訴える

 

「だから、炭治郎は悪くねぇ!」

 

玄弥の言葉に実弥は驚愕して

 

「お、お前………!……白い髪の女の子を殴っただと? かなた様に?………そんな狼藉を……っ。」

 

実弥は玄弥から"最終選別"でしでかした愚行を聞かされたせいか、炭治郎への憤怒は当の昔に霧散し、その心中は動揺を中心に怒りや罪悪感などがぐちゃぐちゃに混在していた。

 

「なんで………そんな事をしやがったああぁぁぁぁ!! かなた様は俺が敬愛するお館様のご息女なんだぞっ! しかも女を殴るなんて………何やってんだ玄弥! ()()()がそんな事をしているなんて!」

 

「あ、兄貴………ごめんよ………俺は早く兄貴に追いつきたかったんだ…………かなた様にもちゃんと謝ったけど、それでも忘れた事は無ぇんだ………」

 

玄弥に掴みかかる実弥を見て炭治郎は、

 

「今、俺の弟と認めましたね、不死川さん!」

 

「っ!?」

 

炭治郎の言葉に言い淀むも炭治郎の強い眼差しと玄弥のすがるような顔を見て観念したように

 

 

「はあー……ああ………玄弥は俺の弟だ………玄弥は本当にどうしようもねぇ弟だゼェ。」

 

そんな実弥に炭治郎は食ってかかる

 

「だったら、最初になぜ弟じゃないなんて「鬼殺隊にいたら玄弥が死んじまうかもしれねえだろうが!!」っ!」

 

炭治郎の言葉に実弥が怒鳴り、そして顔を玄弥に向かって

 

「何の為に俺がァ母親を殺してまで玄弥を守ったと思ってやがる!

お前はどっかで所帯を持って家族増やして爺になるまで生きてりゃあ良かったんだよ。

お袋にしてやれなかった分も

 

弟や妹にしてやれなかった分も

お前がお前の女房や子供を幸せにすりゃあ良かったんだ。

其処には絶対に俺が鬼なんか来させねぇから……」

 

「兄貴…………」

 

実弥の言葉に玄弥は涙を流し、炭治郎は実弥に

 

「最初からそう言えばいいじゃないですか!! そもそも、大前提から貴方は大間違いを犯しています。」

 

「!!! 俺がいつ間違ったんだって言うんだ?」

 

しかし炭治郎は一切構わず、実弥に怯む事無く実弥を見る。そしてゆっくりと話を始めた。

 

「先ず……貴方が本当に玄弥の事が大切なら、分かった段階できちんと話して止めるべきでした。

何時、どの任務で玄弥が命を落とすか分からないから尚のことすぐに話し、口で説得して鬼殺隊を辞める様に促す、せめて剣士としてではなく『隠』として仕事してくれと説得するとか……最悪、極端な話ですが玄弥の手足を圧し折って再起不能にして、戦えない身体にするとかして鬼殺隊そのものを辞めさせるべきだったんです。」

 

「っ!……っ。」

 

炭治郎の手厳しい言葉に、実弥は沈痛する他無かった。

だが、玄弥は

 

「悪いが、炭治郎! 俺はどんなことがあっても鬼殺隊を辞めるつもりは無え! 両手がなくても口を刀で咥えてでも戦い抜いてやらあああぁぁぁぁ!!」

 

「えっ?!」

 

玄弥の突然の言葉に炭治郎だけじゃなく実弥も言葉を失う。

 

「俺も兄貴には死んで欲しく無え!!」

 

炭治郎は玄弥の言葉を受けた実弥の様子に胸を痛めたが、それでも炭治郎は言葉を止める積もりは無かった。

 

「玄弥もこう言っています、鬼殺隊の柱の一人として、御多忙な日々を送っている事は勿論分かっています……ですが、残されたたった一人の家族の命の大切さを考えれば、そんなものは何の理由付けにもなりません。

不死川さんは玄弥について、何一つ自ら知ろうとはしなかった。玄弥がかなた様に暴行を働いた事も、鬼喰いの能力についても、今日の今日まで貴方は何も知らないままだった。」

 

「鬼喰い?! お前……玄弥! 鬼を喰っただと?!」

 

実弥の鋭い視線に玄弥を俯くも炭治郎に肩に手をかけられて頷き、ゆっくりと実弥を見て

 

「そうだよ、俺は鬼を喰ってでも兄貴に追いつきたかったから………」

 

「玄弥………」

 

「それなのに貴方は玄弥に会っても暴言だけ吐いて突き放して、分かって貰えない身勝手で独り善がりな願いを押し付けるだけ……そんなもの、無意味な自己満足を満たしているだけで何もしていないのと一緒です!

冷たく突き放して邪険にされ続けたからって、たったそれだけの理由で玄弥が言う様に鬼殺隊を辞める訳が無いっ!! それだったら最初からお兄さんを追い掛けて鬼殺隊へ入隊なんてしませんよ!! 大切なお兄さんが命懸けで鬼と戦っているのに、自分だけのうのうと玄弥が平穏を謳歌出来ると思いますかっ!!!」

 

「兄貴! 分かってくれ! 俺は何があっても兄貴に謝りたい! 一緒にいたいんだ!!」

 

炭治郎と玄弥の言葉に実弥は呆然としつつも辛うじて言葉を絞り出した。

 

「テメェに何の利が有って玄弥のために此処まで……っ。」

 

「俺にとっても玄弥は大切な仲間だからです! 利益とか見返り欲しさにやっている訳でも無い……そもそも、禰豆子の一件についても昼の稽古で十分返しましたから!」

 

「っ!」

 

実弥が疑問を浮かべて益々困惑する様子を見て、炭治郎は語り始めた。

 

「俺は人の一面だけを見て、その人の全てを否定する様な恥ずかしい真似はしたくない……そんな小さい人間になりたく無いんです。たとえ俺が嫌いな人でも苦手な人であっても、その人達の凄いところは凄い、良いところは良いとちゃんと認められる、そんな人間になりたいと思っています。」

 

『っ!』

 

炭治郎は恥ずかしそうに赤くなった頬を人差し指で掻きながら淡々と、されどはっきりと断言した。

炭治郎は顔から赤が引いてから、続きを語る。

 

「家族とは仲が良くて当たり前だと思ってました。でも故郷を出て、それが当たり前の形では無い事を知った。血が繋がっているからこそ憎しみ、啀み合う悲しい家族の形も存在すると知ってとても悲しかった……。」

 

「だけど貴方と玄弥は違います。お互いに想い合っているのに、擦れ違い続けているのはとても悲しいと思います……折角、血が繋がった家族として生まれて来たんです。どんな最期がこの未来に待っているにしても、やっぱり仲良しで居て欲しいじゃないですかっ。」

 

「っ!」

 

「炭治郎………」

 

炭治郎の言葉に、実弥は双眸を見開かせて炭治郎を見詰めた。玄弥も目に涙を浮かべていた。炭治郎は実弥を真っ直ぐ見ながら言う。

 

「良いですね、不死川さん。ちゃんと玄弥と仲直りして下さい。「良くやった。」とか「頑張ったな、偉いぞっ。」って玄弥を褒めて上げて下さいね。約束ですよ?」

 

「……」

 

炭治郎が子供を注意する親の様にそう言って釘を刺すと、実弥は思わず視線を炭治郎から逸らし玄弥を見つめた。

五つ数える程の沈黙が過ぎた後、実弥はゆっくりと玄弥のそばにより

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抱きしめた。

 

突然の事に玄弥が驚くと実弥は静かに

 

「すまなかった、玄弥。」

 

「あ、兄貴……」

 

実弥の言葉に驚いて実弥を見ると実弥が涙を流していた。

 

「俺は、ずっとお前から逃げていた! お袋を殺したと思った瞬間にお前のそばにはいられないと思った! だから今まで向き合えずにいた! すまねえ、玄弥!!」

 

「兄貴………俺も………ずっと兄貴に謝りたかったんだ………」

 

 

 

 

 

「ゔぅああぁぁーーーーーー!」

 

玄弥が大きく泣いて、実弥も力いっぱい抱きしめ、そうして実弥と玄弥はすれ違いながらもようやく仲直りした。

それを見て炭治郎も静かに嬉しそうに涙を流した。

 

その後に実弥と玄弥は炭治郎に促されてそのまま兄弟二人で部屋に帰った

 

ーーーーー

 

その翌日

 

改めて実弥と炭治郎と向き直る。

玄弥が見守る中で二人は会話する。

 

「弟のことで世話になった、礼を言う。

……………炭治郎!」

 

「はい!」

 

実弥の言葉に炭治郎が返事すると実弥は静かに頭を下げて

 

「お前の妹を傷つけて悪かった、すまねえ!」

 

実弥の突然の行動に驚くもすぐに微笑んで

 

「その件に関してもすでに返しましたから、それと禰豆子が完全に人間に戻ったら今度は禰豆子にも謝ってください。」

 

炭治郎の言葉に少し驚くもすぐに微笑み返す。

 

「………ああ………伊黒がお前を認めた理由がよく分かったぜ………それじゃ行くぜ、竈門!」

 

「はい! よろしくお願いします!」

 

そして、柱稽古の続きが始まった

 

 昼頃になり、昼食後に

 

「竈門、もうお前なら大丈夫だ、次の柱に行ってこい!」

 

「はい!」

 

「ああそれと、竈門、胡蝶の奴と婚約したそうじゃねえか! しかも、妹二人を含めて。」

 

「えっ?」

 

赤くなる炭治郎を見て実弥はニヤリと笑い

 

「噂になってるぞ、竈門、所帯を持つからには、女房達を泣かせんなよ! 泣かせたらぶっ飛ばす!」

 

実弥の言葉に炭治郎は力強く頷き

 

「はい!!」

 

「それと竈門お前に伝えたい事が………」

 

実弥が炭治郎に言おうとすると

 

 

 

 

 

「おい……………炭治郎………」

 

とまるで地の底から聞こえる低い声で言われ炭治郎が恐る恐る振り向くと

 

「お、お前! こ、婚約?! しかもしのぶさんだけじゃなく妹二人ってことは、もしかしてアオイちゃんとカナヲちゃん?!」

 

「えっ?! そ、そうだけど………」

 

炭治郎が返事すると善逸はゆっくりとした動作で木刀を構えると

 

「て、てめえ! 俺が………こんな所で………血も涙もない………ムサいおっさんと………地獄にいた時にお前は美少女達とキャッキャッウフフな極楽にいたって言うのかよーーー! しかもさ、三人もこ、こここここ婚約!! ゆ、許せねえ! 死ねええええええええっ!!」

 

「ちょっ善逸?!」

 

瞬間に炭治郎に襲いかかろうとする血涙を流した善逸は駆けると

 

 

「炭治郎に手を出すんじゃねえ!!」

 

「ひでぶっ?!」

 

其処へ玄弥が善逸の腹に拳を入れられて悶絶していると善逸の頭を実弥が鷲掴み

 

「血も涙もないムサいおっさん? 挑戦状として受け取ったぜ………あっちへ行くぞオラーーーーー!!」

 

「いやあああああーーー!!!」

 

青筋を浮かべ怒り心頭の実弥が泣き叫ぶ善逸を連れ去る。

 

「おい! 竈門! さっさといけ!」

 

「は、はい!」

 

そうして善逸に悪いと思いつつ足早に次の柱稽古に行った。

 

ふと実弥は言い忘れていたことを思い出した。

 

( 胡蝶の所から炭治郎の手伝いに一人来るっていってたなあ。)

 

 

 




遅くなり申し訳ございません。
それでもお待ち下さいました皆様には感謝のいたりでございます。


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日輪は巌と青蝶との日常

ギリギリになってごめんなさい!
ようやく投稿します。
岩柱稽古編に突入と同時に炭治郎の嫁が再会。
因みに女性隊士が岩柱の訓練受ける場合について独自解釈することをお許しください。


そうして不死川兄弟達との修行を終えた炭治郎はようやく次の柱稽古の場所についた。

その後には伊之助と合流したものの

 

( な……なんて厳しい訓練なんだ…… )

 

炭治郎が内心そう思うほどに厳しい訓練、伊之助も修行の厳しさに気絶していたのを助けたりとした。

 

岩柱・悲鳴嶼行冥の担当する柱稽古は筋力強化訓練。

 

 強靭な足腰を得ることで体が安定し、攻撃・防御共に安定することを目標にする過酷な訓練だ。

 その強靭な足腰を得るための修業はまず水に浸かり、冷たさに慣れてからの滝行、

 

そして、滝の下の岩に座ってみると、途端に強い水の重さと冷たさが襲ってきた。この状態で滝の中に入り念仏を唱えながら丸一日打たれ続けた。

最初の丸一日に及ぶ滝打ちが終わり、次は丸太数本を担ぐ修行になった。

その間に村田達と合流して一緒にご飯を食べていたり、炭焼きで育った経験を活かして焼き魚やおにぎりを作っているとみんなから「お袋」と呼ばれたりとした。

 

 最後は岩を押し運ぶ修行。

いままでの地獄を突破してきた者たちからすれば滝業と丸太運びは耐えられないものではないが、大岩を動かす修行だけは炭治郎も未だに出来ずにいた。

 

「私の修業は……強制ではない。……辞めたい者はいつでも辞めてよい」

 

と言われてやめて山を降りた者たちが多くいた。

 

ーーーーー

 

その後にも炭治郎と伊之助達が修行を続けて二日間いると炭治郎の元に善逸も合流していたが、

 

「炭治郎を傷つけるな炭治郎を傷つけるな炭治郎を傷つけるな炭治郎を傷つけるな炭治郎を傷つけるな炭治郎を傷つけるな………」

 

何かに怯え何度も呟き

 

「善逸!」

 

「お、おい! どうしたんだよ文逸!」

 

炭治郎と伊之助の言葉に善逸はハッとなり

 

「炭治郎と分かれた後に………風柱様に今まで以上の……地獄の訓練をされて……しかも! 他の皆と違って俺だけが失神した後にもすぐに水をかけられて意識を強制的に戻され訓練をやらされて………それも何度も何度も………ひえっ! すいません! もう炭治郎に理不尽な嫉妬をぶつけませんので! どうか! ひいいいいい!!」

 

よほど恐ろしい目に遭ったようで善逸のあまりの憔悴ぶりに炭治郎と伊之助は絶句していた。

その後には炭治郎と伊之助を含めた他の人の励ましにより少しずつ善逸は自分を取り戻し、泣き叫びながらも訓練に復帰した。

そして数日後にもう一人炭治郎の知った匂いが近づいて来たので行くと其処には

 

「アオイ! 来てたんだね!」

 

「おお! お前も来たのか!」

 

「アオイちゃん!」

 

「お久しぶりです、炭治郎! 伊之助さん! 善逸さん。」

 

 

炭治郎の婚約者のアオイがいて炭治郎に抱きついた。

それを見て善逸は歯軋りしたが、

 

「………ハッ! 俺は何も見てない! 俺は何も知らない!」

 

すぐに何かを思い出し頸を振り無表情になった。

 

その後にはアオイと炭治郎と伊之助と善逸はお互いに近況報告し合い、ようやく薬の開発と増産に目処が立ったので炭治郎達を手伝いに来たこと教えられた、さらにアオイは炭治郎と協力して伊之助や村田達のために共に食事を作り、応援もした。

 

その結果、蝶屋敷の美少女が自分達を応援してくれることと美味しい食事作りアオイ自身も滝業と丸太運びなどの修行をした。

因みに女子だということで岩を押す修行は許可が出なかったがアオイにどうしても言われた行冥は代わりに砂袋を両手両足に付けたままの戦闘訓練をして見事に合格した。

その姿を見て皆の ( 特に善逸) やる気が出て以前よりも山を降りる者は少なくなっていたが、炭治郎の婚約者でしかも他にもいるということで皆からは炭治郎達を「夫婦」「羨ましい!」「チクショー! 代われ! ハッ! いや何でもない!」などと言われた

 

ーーーーー

 

その夜………炭治郎とアオイは静かに皆のいる小屋から離れた所で

 

「こ、ここでいいかい……アオイ?」

 

「も、もちろんですよー婚約者として当然です!」

 

 

静かに見つめ合い静かにお互いを抱きしめ合う

アオイと炭治郎の脈拍が跳ね上がる。鏡を見ずとも分かるほど急速に血が昇っていくのが感じられた。間違いなく今の自分達は真っ赤な顔をしているだろう。

 

 

炭治郎の唇が静かにアオイの唇を塞ぎ、柔らかい感触と温かい湿り気が2人の間を行き来した。

 2人は、久しぶりに砂糖が解けたお湯を啄んだかのような不思議な錯覚を覚える。

 そして、唇が離れても、その感触は残り続け、2人の仕草も艶めかしいものへと変わっていく。

 

 そして、知らず知らずのうちにアオイの瞳は潤む。

 その瞳を見て、炭治郎もまた衝動的に唇を再びアオイへと近づけていく。

 

「アオイ………ちゅ……じゅる………ぅ……」

「んん……。炭治郎……ちゅぅ……ぴちゅ……ん…ぁぁ……」

「……ちゅぱ……れろ……んちゅじゅ…じゅる…」

「…ん……ぁぁ……ふっ……ふぁ…はぅ…あぁ…」

 

 相手の舌先から根元までなぞるようにして、互いの舌は動き、そのまま絡まり合う。

 唾液は段々と熱くなり、息もまた温かさを増す。

 粘り気が特にあったわけではないのに、何度も絡み合う事で、舌は湿り気を増し、相手の舌にぴったりと張りついていく。

 そうすると、2人は、段々と自分の舌と相手の舌の境目を見失っていった。

 

「ん…ちゅぅっ…じゅっ…ぅぅあぁ…れろ…ふぁぁ…れろ…ぅぁ」

「ふぁぁ…ぅ…ふぁ…ちゅ…ぁ……ちゅぅ…う…あぁ…っ…ぁぁ」

 

 漏れる息が荒くなり、唇と唇の隙間から涎がこぼれていく。

 その涎を恥ずかしいと思う余裕もないまま、アオイの身体から力が抜けていく。

 そして、炭治郎はそんなアオイの身体を後ろへと押し倒す。

 アオイの足は投げ出され、綺麗にそろえられた。

 炭治郎はそんなアオイの身体にまたがるように股を広げ、彼女の脇腹の横に膝を突く。

 その間も、2人の唇は離れず、2人の両手も離れず、2人の視線も離れなかった。

 まるでそれが世界の全てだとでも言うように、2人は相手の口内を味わい続けていたのだ。

 長い長い間、2人の舌の絡まる音が静かに鳴り続ける。

 

「……ぷはぁっ……はぁはぁ…………」

「……ふぁぁ………はぁ……ん………」

 

 やがて、息が続かなくなり、2人の唇は離れた。

 炭治郎の顔は火照り、その額からは汗が滲んでいる。

 それに対して、アオイの瞳はとろんと潤み、その口元には涎の跡が残っていた。

アオイと炭治郎は恍惚とした表情をして今まで会えなかった分をこの日に費やした。

 

ーーーーー

 

そして大岩を動かそうと二日間炭治郎達が悪戦苦闘して一旦を頭を冷やしているアオイが炭治郎達を休ませて自身のおにぎりを持って休憩していると炭治郎の顔を見て

 

「炭治郎、貴方の額の痣、濃くなってません?」

 

「えっ?本当?!」

(良かった、嬉しいぞ。)

 

 

「岩の訓練してたんですね、でしたら''反復動作''を試してみたらどうですか?」

 

「反復動作?」

 

「なんだそれ?」

 

「なにそれ? アオイちゃん」

 

「はい、玄弥さんから教わりました。」

 

大岩を動かすことが出来ず落ち込んでる炭治郎にアオイは解決策を言う。

 

「集中を極限まで高めるために予め決めておいた動作をするんだそうです、因みに玄弥さんの場合は念仏を唱えると。」

 

「悲鳴嶼さんもやってる!」

 

「はい! 南無南無言ってますよね!」

 

その後にもアオイから炭治郎は教えてもらった ''反復動作'' 全ての感覚を一気に開く技で ''全集中'' また異なる技であり悲鳴嶼さんと玄弥はこれを使う時は怒りと痛みの記憶を思い出す。

因みにアオイも ''反復動作'' を教えてもらい、自身の仇である元下弦の壱の壊屠と戦えたのも ''炭治郎への愛する想い''と''優しかった両親と蝶屋敷の家族への想い''を''反復動作''したからと言った。

 

それを炭治郎は念頭に入れて自身の反復動作はまず大切な人達の顔を思い浮かべ、煉獄の言葉

 

    ''心を燃やせ'' を思い出すこと。

この流れで極限まで集中を高めた。

最初は出来なかったが、

 

「頑張って下さい! 炭治郎!」

 

アオイの応援により何度も自身を鼓舞して繰り返している内に体が反復動作から全力の工程を覚え始め遂に

 

ズズズ……ズズズズズズズズ!

 

岩を動かした。それを見て奮起した伊之助も

 

「天ぷら! 天ぷら!」

 

と言い岩を動かすことに成功した。

因みに善逸は

 

「チクショー! 羨ましい! 炭治郎め!」

 

炭治郎への嫉妬心で徐々に岩を動かした。

 

「いきました! 炭治郎! でも、気を抜かないで!! 頑張れ!! 炭治郎!!」

 

(ア、アオイの言う通り……まだだ!! 一瞬でも気を抜くと脱力して押し負ける。

アオイの見ている前で負けたくない!! 一秒でも長く岩を押し続けるんだ!! 腕だけじゃない足腰だ……足腰で押す!! 

上半身より下半身の方が筋肉量も多い!!)

 

そうして炭治郎はアオイの応援を背に岩を一町先まで押し続けた。

 

 

ーーーーー 

 

「はーーーーーーー! はーーーーーーー!」

 

(一町動かせた!! これで悲鳴嶼さんの訓練は終わりだ!!………アレッ? あら? だっ…脱水症状だ!! 急激に…滝のように汗をかいて水を飲んでなかったから!!)

 

炭治郎が息も絶え絶えにして倒れようとするとアオイがすぐに傍にいき、倒れかかっていた体を腕で抱きかかえた。

 

「炭治郎!! 頑張りましたね!! 後は休んで下さい!!」

 

まずは体を動かすことができない炭治郎を水分補給をアオイが手伝い、自身の柔らかい膝の上に頭を乗せてやり、用意しておいた瓢箪を炭治郎の口元に持っていきゆっくりと水を飲ませた上で次は濡れて冷えたタオルで包んだで体をゆっくりと冷やし、鈍くなった意識を無理やり覚醒させてやる。

 

炭治郎の安らかな表情を膝の上から眺めてアオイ一安心しているとようやく炭治郎は静かに上半身を起こした。

 

「ありがとう………」

「炭治郎! 無理しないで下さい! もう少し休んで下さい!」

 

「ええ………もう大丈夫……」

 

「や・す・ん・で・く・だ・さ・い」

 

「は…はい……」

 

青筋を立てたアオイの剣幕に炭治郎が怯めばそのまま横になった。

其処へ行冥が来て

 

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。」

 

(あれ? 俺って死んだ?)

 

そんな行冥にアオイが静かな怒りを見せて

 

「すいませんが、悲鳴嶼さん縁起でもない言わないでください!」

 

「むっ! 失礼した………それと其処の君。」

 

「はい、何でしょう?」

 

行冥はアオイに謝った後に炭治郎に向き直り

 

「岩の訓練も達成した。

さらに加えて里での正しき行動。

わたしは君を認める…」

 

「里?」

 

「刀鍛冶の里での鬼の禰豆子さんの命よりも里の方達を優先したことについて言っているのですね?」

 

混乱している炭治郎に分かる様にアオイが説明すると炭治郎は慌てて

 

「いえ…それは………」

 

「恥じることはない。

君は剣士の鏡だ。

自分の正しき行動を誇るといい……それにアオイと言ったかな?」

 

「はい、アオイです。」

 

「緊急任務の時に恐怖を克服し元とはいえ下弦の壱を倒した強さと勇気とさらに岩の訓練では少年に反復動作をわかりやすく教えて他の者達を勇気つけたくれた感謝する。」

 

そういう行冥に炭治郎とアオイは改めて

 

「いいえ、違います。

決断したのは禰豆子であって俺ではありません、俺は決断出来ず危うく里の人が死ぬ所でした。

認められては困ります。」

 

「私もそんな大したことをしておりません。

先の任務でも炭治郎としのぶ様、カナヲがいてくれたからこそ恐怖に打ち勝ち、仇を取れました。

私一人では敵いませんでした、みんなのおかげです、それに修行についても私はただ炭治郎達のお手伝いをしていただけです。」

 

炭治郎とアオイのその言葉に行冥は沈黙し、炭治郎とアオイはその後も静かにされど力強く自身達がどれほど多くの人に助けられてはきたのかを話し静かに体を起こして居住まいを正して頭を下げ、アオイを同じように頭を下げた。

 

「だから俺のことを簡単に認めないでください。

訓練を今日までありがとうございました。勉強になりました。」

 

「私も炭治郎と同じ気持ちです。

微力ながらにお手伝いをさせていただきありがとうございました。」

 

そんな二人を行冥は静かに

 

「疑いは晴れた。

誰が何と言おうと私は君達を認める竈門炭治郎、神崎アオイ。」

 

「ええっ…わ………わからない……どうしてですか?」

 

「説明してください?」

 

いきなりの言葉に頸を傾げる炭治郎とアオイに行冥は自身の過去を振り返っていう。

 

ーーーーー

 

かつて、行冥はとある寺に住み、盲人の身ながら、何人もの孤児を引き取って育てて暮らしていた。

そんな時、日が暮れる前に寺に戻るという言いつけを聞かなかった孤児の一人が、鬼と山中で遭遇する。

だがその子供は、事もあろうに自分が助かるために命乞いをし、自身の代わりに悲鳴嶼と寺の子供たちを差し出してしまう。

 

 

「そんな………」

 

「酷い!………」

 

その事に炭治郎とアオイが絶句した。

 

鬼と取引したその子供は、夜になると普段は鬼がお堂の中に入ってこれないようにするために焚いていた鬼が嫌う藤の花のお香を消し、中に簡単に入れるよう手引きした。

四人の子がたちまち殺される。異変に気づいて残る四人の子供を守ろうと、必死になって自分の側を離れない様に訴える行冥だったが、そんな彼の言葉を聞いたのは一番幼い沙代という女の子だけであり、それ以外の子供達は行冥の言葉を無視して、「目の見えぬ大人など当てにはならぬ」とばかり逃げ出した末に、鬼に喉を掻き切られて死んでしまった。

 

そうして最後に残ったのは行冥と沙代だけだったが、そこで彼は生まれて初めて『守る為に戦い』、呼吸も何も使わない素手の力だけで鬼を殴り殺し、自分の強さを初めて自覚する。盲目のために今までそのような機会がなかっただけで、彼の中には恐るべき力が眠っていたのだった。

だが、その時の鬼を殴る度に気持ち悪い感覚は今でも忘れられなかった。

 

途中まで顔面の傷の再生をしながら、怒り狂い襲いかかろうとした鬼も次第に生傷を増やしながら

行冥は殴るのをやめない。

 

これをやめれば殺されると直感で感じていたからだ。

恐怖と怒りで

「守らなければ!!

せめて紗世だけは!!」

 

沙代だけは守り切った行冥であるが、事が全て終わり夜も明けた後に駆けつけた人々に、今まで行冥に守られていたその沙代は無情にも、

 

 

「あの人は化け物 みんなあの人が みんな殺した」

 

と証言したのである。

恐怖で錯乱しての言葉とはいえ、鬼の屍は太陽の光を浴びて塵となって消えており、子供達の惨殺死体だけが残されていたとあっては、行冥の弁明を信じる者など誰もいない。彼の決死の行動は全てに裏目に出てしまい、彼は死刑囚になってしまう。

そんな時に鬼殺隊のお館様である産屋敷耀哉に出会い、産屋敷の力によって死刑囚の身の上からも解放されて鬼殺隊に誘われ、柱となったのだった。

 

柱合裁判においての炭治郎と禰豆子に対しての慈悲の心を持ちながらも、一方的かつ独善的に処刑しようとした態度はこの過去に起因することを炭治郎とアオイは理解した。

しかし、最後に自分を裏切った沙代の事も「あの緊迫した状況の中で気が動転してしまったが故の行動であろう」「子供はいつも自分のことで手一杯だ」と擁護もしており、ショックで上手く話せない為に誤解される言い方しかできなかった事と。

それでも行冥は「せめて沙代にだけは、ありがとうと言って欲しかった」「その一言さえあれば救われた」と痛々しい姿で述懐している 行冥を見て炭治郎とアオイは静かに見つめる。

 

そして最後に

 

「君達が道を間違えぬようこれからは私も手助けしよう………」

 

「頑張ります!……ありがとうございます………」

 

「これからも精進します………」

 

そして行冥は炭治郎とアオイの頭を静かに優しく撫でて

 

「私の訓練は完了した…よくやり遂げたな……」

 

「へへへ………」

 

「ふふふ………」

 

ふと行冥は撫でる手を止めて

 

「それと聞けば炭治郎………アオイだけでなくしのぶその継子と婚約しているんだったな、しのぶは私にとっても大切な仲間だ。

必ず幸せにしてやってくれ……」

 

行冥の言葉に炭治郎は力強い声で

 

「はい!! この命を懸けて!!」

 

 

そうして静かな日常が流れた……………

 

 




岩の訓練は終わり、次は水の訓練と行きたい所ですが、次回はしのぶさんとの再会です。
お楽しみに。


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水と胡蝶達の試練

三ヶ月もの間お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。

岩柱の訓練を突破して次の柱稽古の相手は冨岡さん、そしてしのぶさん達です。

明けましておめでとうございます!
今年からもよろしくお願いします。


無事に岩柱稽古を終えた炭治郎とアオイは次の柱稽古へ向かう前に伊之助と善逸に会いに行くと

 

「おう! 炭八郎! チビ!」

 

「伊之助! 岩を動かせたのか!………それとチビじゃなくてアオイだよ。」

 

「さすがですね、伊之助さん………というかチビではなくアオイです。」

 

伊之助の名前間違いを二人して指摘すると

 

「細かいことは気にすんな! 次の柱の所へ行くぞ! アオイ! 炭治郎!」

 

「……今、俺の名前を呼んでくれた?!」

 

「私のことも………」

 

名前を呼ばれて密かに頬を赤く染める炭治郎とアオイ。

次に善逸に会いに行くとそこでは動かせた大岩の側で行冥から貸してもらった瓢箪の水をごくごく飲み善逸がぐったりとしていた

 

( あー生き返る………俺はこんな大岩を動かせたんだなぁ………)

 

感慨深くなっていると足音が聞こえてそちらを見ると其処には伊之助と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()を見て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チクショーーーーーー! 俺が!! こんなに苦しんでいる時にお前らは! 炭治郎! 夜中までアオイちゃんとイチャイチャしやがって! ウオオオオオーーーーーーン!」

 

 

と善逸は嫉妬心を燃やし泣きながら一人で次の柱の所へ走って行き炭治郎達が困惑していると

 

「えっ!? 善逸?!」

 

「紋逸の野郎! 親分である俺より先に一人で行きやがって! 待ちやがれ!」

 

伊之助も駆け出しそれを呆然としつつ見ていると

 

「先を急ぎましょう、炭治郎。」

 

「確かにそうだね ( 善逸大丈夫かなぁ……それに禰豆子。

ずっと預けたままでいいんだろうか? 寂しがってないかな………)

 

物思いに更ける炭治郎を見てアオイは炭治郎を心配して

 

「どうしました? 炭治郎?」

 

「ああ…… 禰豆子はどうしているかなぁと思って………」

 

そんな炭治郎を見てアオイは思案してすぐに笑顔になり

 

「禰豆子さんでしたら後ほど柱稽古を終えた後につれてくる予定ですよ。」

 

「えっ!? 本当かい!」

 

アオイの言葉に炭治郎が嬉しくて言うとアオイが頸を縦に振る

 

「最終決戦が近いからこそ禰豆子さんと合わせてあげようと言うしのぶ様達のお計らいです。」

 

にこやかに笑いかけるアオイの言葉に嬉しくなり炭治郎も 足早に二人を追いかけた。

 

ーーーーー

 

「水柱様の居られる所はこちらです。」

 

アオイの案内の元に善逸達を追いかけていると途中で伊之助と静かに目の前を食い入るように……善逸の方は恐怖でガタガタと体を震えてじっと立っていた炭治郎が訝しみ一緒になって目の前を見ると其処には

 

 

 

冨岡義勇と不死川実弥が二人が剣呑な雰囲気で対峙して瞬間に実弥が飛び出し

 

 

風の呼吸 壱の型 塵旋風・削ぎ 

 

螺旋を描きながら直線に伸びる斬撃を義勇に向かって行き義勇が木刀でビシッと亀裂を入れられ紙一重で躱した。

 

それを見て内心炭治郎達は感嘆としていた。

善逸だけはつい最近まではしばかれていたので恐怖していた。

 

( はっ…速っ!!! でも見える!! 動きを追えるぞ…!!)

( 凄い! 私の目でも追いきれない!!)

( 風のオッサン速えっ !! 半々羽織もあんな風に避けてやがる!!)

( イヤアアァァ!! なんでこんな所に血も涙もないあの人がいるのををを?! これは夢? いや、悪夢だああああ!!)

 

そうこうしている内に

 

「オラオラァどうしたァ!! テメェは俺達とは違うんじゃねぇのかよォ!!」

 

実弥の言葉の後に炭治郎は内心

 

(あっ…それはそういう意味じゃ…)

 

その後にも義勇の変幻自在の斬撃の

 

水の呼吸 肆の型 打ち潮 

 

が打ち、その後に激しい打ち合いの後にお互いの木刀が壊れた後に実弥が素手でやり合おうとすると

 

そこで激しい闘いが起こっていたので

 

「待った待った待ったァ!! 二人とも待ってください!」

 

それを見て義勇と実弥は一旦止まり

 

「うるせェんだよ炭治郎…テメェはァ……先刻から盗み見やがって……」

 

その後も炭治郎は止まらずに

 

「おはぎの取り合いですか? もしそうなら俺が腹一杯になるまで作りますから…」

 

その後もみんなが呆然とする中で炭治郎が実弥に話しかけ続けると義勇が静かに一言。

 

「不死川………おはぎが好きなのか……」

 

「………」

 

実弥は静かに手を置いて静かに力を込めてそれに炭治郎が恐怖していると

 

「いいか、炭治郎………お前には弟の件で世話になっているからぶっ飛ばさずに言うけどなぁ……」

 

 

 

 

実弥は怒りを貼り付けた顔で炭治郎を睨み

 

「よりによって冨岡の前でいきなり俺のおはぎ好きを言うんじゃねぇよ……」

 

「す、すいません………」

 

炭治郎を黙った後には二人から話を聞き誤解は解けて

 

「えー!! 喧嘩じゃなくて手合わせだったんですか?!」

 

「そうだ、柱稽古の一環で柱は柱同士で手合わせしているんだ。」

 

「俺としては今まで気にくわねぇ態度の冨岡に対しては喧嘩のつもりだったんだがなぁ……」

 

「えっ?!」

 

実弥の呟きに義勇が内心ショックを受けていると

 

「違うんです、不死川さん! 義勇さんがみんなと違うといったのはそういう意味じゃないんです!」

 

「あァ?」

 

その後炭治郎は義勇が言った意味と義勇に許可をもらってから改めて義勇の過去を話して誤解を解き

 

「………つーことは何か! あの時のは、俺達とは違って、てめェ自身が水柱には相応しくないっていうことか?」

 

「そうだ。」

 

義勇の言葉を聞き実弥は静かにため息を吐いて

 

「ハー………おめェよ……最終選別で何も出来なかったんならなぁ………」

 

実弥は義勇の胸ぐらを掴んで義勇の額に自分の額を当てて

 

「救えなかった分これから先の命を守るようにすればいいだろうがァ! それに炭治郎を助けたんだろうが!! それも含めて俺は少なくとも俺を剣技を受けきったおめェの強さを認めてんだよォ!! それでも自分が柱に相応しくねェっていうんなら俺の言葉を否定してんのと同じだろうがァァ!!」

 

「!!!」

 

「冨岡よぉ!! 俺は今までは自分はあなたたちとは違いますみたいな感じが鼻につく態度は気に食わなかったがそういうことなら話は別だが………それでもおめェはお館様から柱に任命されたんだろうがァ!! それでも自分は柱に相応しくねェって言うんならぶっ飛ばす!!」

 

「不死川……」

 

そうして実弥は義勇の胸ぐらを掴んでいた手を離して静かに離れて

 

「後はてめェに任せる!! そもそも今回の柱稽古はてめェの番だ!!」

 

実弥の力強い視線を受けて

 

「わかった。」

 

( ……………柄でもないことを言っちまった!! 俺も影響を受けてんのかなぁ………炭治郎に………)

 

義勇は頷きそれを見て実弥はそれを見て内心呟き静かに離れていこうとしたが炭治郎達をを見て

 

「頑張れよ、おめェら!!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「それと善逸……」

 

実弥は静かに怯える善逸に近づき

 

「炭治郎に理不尽な真似したら地の果てまで追い回してぶっ飛ばすからなぁ………」

 

「はい………分かりました……」

 

実弥の言葉に善逸は心底恐怖で震え上がりガタガタと震えた。

 

ーーーーー

 

予定通りに炭治郎は水屋敷にて冨岡義勇との柱稽古を始めた。

水柱の柱稽古は今までの柱稽古で培った力と技と呼吸法を義勇に全力でぶつける最終試験。

 

「行きますよ!! 義勇さん!!」

 

「半々羽織!! あの時出来なかった決着をつけようぜ!!」

 

「よろしくお願いします……」

 

炭治郎達を見て義勇は

 

「来い。」

 

と一言だけ言い構えた後に炭治郎達と先に水屋敷に来ていた隊士達が全力で向かって行くが義勇は

 

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

 

「「ギャアアア」」

 

変幻自在の動きカウンターの攻撃により水の呼吸により隊士達をなぎ倒したが、

 

「はぁっ!」

 

「オラァ!」

 

「危なっ!?」

 

 

炭治郎達三人はそれぞれに柱稽古で鍛えた肉体と優れた嗅覚、触覚、聴覚を駆使して義勇の剣技を受けきった後に再度向かう。

 

 

ーーーーー

 

そして二日後………

 

「炭治郎、伊之助と善逸と言ったかお前達は合格だ。」

 

と義勇に言われたが

 

「ハァッ! ハァッ! ハァッ!……ありがとうございました。」

 

「ゼェッ! ゼェッ! ゼェッ! 半々羽織の野郎強えっ!」

 

「ハァッ! ハァッ! ハァッ! 説明して欲しかった………」

 

義勇は言葉足らずのために説明不足により実弥の無限打ち込みと同等以上のしごきにより心身共に疲弊していた。

その後に皆が休みようやく動けるようになり水屋敷に戻る玄関先にてアオイがいたが………

 

「炭治郎………お話がございます。伊之助さん達はお先に戻ってください。」

 

「えっ?!」

 

「おう……」

 

そうしていつもは炭治郎を優しく出迎えてくれるはずが静かに威圧し炭治郎の腕を引っ張り裏手の林のなかに入るとそこには二人の人影があった。

青筋を浮かべた炭治郎の婚約者達の胡蝶しのぶと栗花落カナヲがいた。

 

「あっ! カナヲ! 見当たらなかったから心配したよ………」

 

炭治郎は嬉しくなるもののカナヲからただならぬ空気を感じ押し黙る。

 

「水柱様の柱稽古が終わったから師範と柱稽古していたの………」

 

そこには笑っているものの怒っているカナヲがいてそしてしのぶが静かに威圧して

 

「炭治郎君、これより私胡蝶しのぶによる蟲柱の柱稽古を始めましょうか?!」

 

その後に怯える炭治郎に恋屋敷での蜜璃との事を言われて悟り、その後に炭治郎は

 

「何やってんですか!! お仕置きとしてしばらくは炭治郎君と直します!! わたしのこともしのぶさんと呼びなさい!!」

 

「ぶちのめすから!!」

 

「お仕置きです!!」

 

「す、すいませんでしたーー!!」

 

その夜にしのぶ達の怒声と共にしのぶ達からの木刀での滅多打ちによる炭治郎の悲鳴が響いた。

 

ーーーーー

 

その翌日には

 

「う、ううぅぅん? 暖かい?………」

 

炭治郎は訝しむと傍にはしのぶ、アオイ、カナヲが一緒ベッドで横になっていた。

 

「お寝坊さんですね、蜜璃さんから話は聞いてただの戯れだと分かっていましたから昨日の時点でお仕置きはほぼしましたけどもう悪い虫がつかないように四六時中側にいますからね。」

 

「炭治郎……これからの時間は私達と一緒だからね。」

 

「全くしょうがない人ですね、いろんな人達に心を救うのが貴方だからこそ許しますけどその分はこれから私達を目いっぱい幸せにしてくださいね。」

 

そう言って静かに美しい笑顔で笑う彼女達を見て炭治郎は涙を流して

 

「みんな! ありがとう!!」

 

そう言って炭治郎は三人を抱きしめた。

 




ここまでお読みくださいましてありがとうございました。
そして年明けにまでお待たせしてしまい申し訳ございません。
ようやくしのぶさん達と合流しました。
これから炭治郎達を宜しくお願いします。


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胡蝶達との日々

半年間以上お待たせして申し訳ありません。
しのぶさん達と合流しての蟲柱の柱稽古開始と同時にそれぞれの妻達との日々。


この度は皆様に不快な表現をして申し訳ありません、改変いたしましたのでなにか至らぬならすぐに教えてください。


蟲柱の胡蝶しのぶの柱稽古は、速度回避訓練。

今回の柱稽古では、しのぶからの攻撃に対して回避防ぎ切ることを目的とした訓練である。

他の訓練と違うのは、今回の訓練では''攻撃''ではなく''回避''を重点を置いており胡蝶しのぶの蠱惑的で速く鋭い攻撃にどう対処するかを隊士達との訓練となる。

人間の場合は呼吸法による傷を塞ぐことを行えるものの鬼相手に大きな傷を負えば致命傷になるため。

さらに傷を治すために医療道具の使い方などをしのぶのわかりやすい説明により隊士達が少しずつ学んでいく。

その合間にアオイ及びなほ、きほ、すみからの按摩が隊員達にされるとあり、おかげで隊員達のやる気は上がった。

 

「さあ、始めますよ! 善逸君、伊之助君」

 

「よ、よろしくお願いします。」

 

「おう! しのぶ! やってやるぜ!」

 

しのぶが善逸や伊之助達と柱稽古をしている間はカナヲと炭治郎は一対一で戦う。

カナヲからはいつもの笑顔から真剣な表情で炭治郎に言い放つ。

 

「炭治郎、鍛錬では全力で行くね!! ………恋柱様にうつつを抜かした分も叩き込むから……」」

 

「は…はい…よろしく……改めて俺も受けて立つよカナヲ!!」

 

そして二人は激突した。

 

花の呼吸 弐ノ型  御影梅

 

カナヲは自身の周りを囲うように斬撃を放ち炭治郎に迫ると炭治郎は迎え撃つように 

 

ヒノカミ神楽 円舞

 

木刀で円を描くように振るう舞いカナヲの斬撃を受け止め切り結び

 

「はっ!」

 

「やぁっ!」

 

 

ガッ! ドッ! ドガッ!

 

数回打ち合った後にカナヲと炭治郎は一旦距離を取りまずカナヲの先手の

 

花の呼吸 肆ノ型  紅花衣

 

カナヲの下から上にかけて捻れる紅花の如く特殊な軌道をした斬撃に対して炭治郎は

 

ヒノカミ神楽 火車

 

木刀を両手で握り、カナヲに向けて跳び上がって身体ごと垂直方向に回転して上段から打ち下ろしと激突した後にカナヲと炭治郎の木刀がぶつかり合うもすぐに

 

「きゃあっ!」

 

膂力の差によりカナヲを弾いた後に炭治郎は畳み掛けるように 

 

「だあっ!」

 

ヒノカミ神楽 炎舞

 

木刀を両腕で握り振り下ろした後、素早く振り上げる高速二連撃に対しカナヲは人並外れた視力で即座に反応し後ろに飛んで回避して後に

 

花の呼吸 伍ノ型  徒の芍薬

 

間合いを詰めての一瞬のうちに九連撃を叩き込む攻撃に炭治郎もいなすものの

 

「ぐうっ!」

 

炭治郎は捌くもののいくつか体に当たりその後にカナヲに木刀を当てようとするが対してカナヲは薄く笑い避け続けての膠着状態が続くがすぐにカナヲの

 

 

花の呼吸 陸ノ型  渦桃

 

跳び上がって宙で体を捻りながら繰り出す斬撃に対して炭治郎は持ち前の''動作予知能力''により回避した後に

 

 

ヒノカミ神楽 幻日虹

 

高速の捻りと回転による速度だけでなく残像による撹乱よる舞で視界を惑わせたカナヲに遂に

 

「うぐっ!」

 

一撃を当てた後にカナヲは

 

「流石だね、炭治郎………」

 

「カナヲのおかげだよ………」

 

 

そうしてお互いを褒めた後に炭治郎を見てカナヲは優しく笑うもののすぐに

 

「でも、恋柱様にうつつを抜かしたことは許してないから………」

 

カナヲが怒りをあらわにして

 

「ヒィイ!!」

 

 

怯える炭治郎にカナヲは追撃に向かいその後も訓練したが……………

 

「さ、流石に……強いね……カナヲ……」

 

「師範から鍛えて貰ったからね。それと恋柱様の件の罰!」

 

其処にはカナヲから木刀でボコボコにされた炭治郎がいた。

 

 

ーーーーー

 

カナヲとの鍛錬が終わった後は炭治郎はアオイから他の隊士達も使う部屋に呼び出された後に按摩を受けていた。

 

「あぁあぁ気持ち良い‥…アオイぃ。」

 

「ふふふ! 練習した甲斐がありました妻たるもの夫のを癒すのは当然ですと言いたいとこですが………」

 

「んっ?! ウゴッ?!」

 

その後も按摩を受けた後に炭治郎はアオイからつねられた。

 

「恋柱様の件は許してませんから!!」

 

「はい………分かりました………」

 

「よろしい!!」

 

その後も按摩が終わった後は炭治郎とアオイは向かい合い

 

「アオイこれからはもっと頑張るよ!」

 

「ええ! 私も按摩だけじゃなく医術ももっと勉強して最終決戦で炭治郎のために頑張ります!!」

 

そうして二人は改めて誓いあった。

 

 

ーーーーー

 

「ふうー良かったぁけど二人共怒ってたなぁ………」

 

炭治郎がカナヲとアオイからの叱責を終えた後に気を引き締めて次はしのぶの元に行くと

 

「た〜〜ん〜〜じ〜〜ろ〜〜う〜〜!」

 

そこに嫉妬心を燃やし血涙を流す善逸がいて

 

「俺が地獄にいた時にテメェだけカナヲちゃんとアオイちゃんとどこまでもイチャイチャイチャイチャしやがって!!」

 

「ちょっ?! 善逸?! 何言っているんだ!! カナヲからもアオイからも怒られただけで……………」

 

 

炭治郎の前で全力の呼吸をして木刀を構えると

 

「言い訳すんじゃねぇ!! 今こそモテない男達の無念をお前に叩きつけてやらァァーーーーーー!! 出来る! 今の柱稽古を乗り越えた俺なら! 炭治郎、そしてあの血も涙もない風柱にも勝てる!! 炭治郎! 覚悟しやがれ!!」

 

善逸の嫉妬、怒りに支配された姿を見て炭治郎は後退りして善逸の後ろにいる人物を見て恐怖で体が震えて顔を青くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「面白えことを言うじゃねぇか…善逸。」

 

「あらあら何をやっているんですか? 善逸君?」

 

一瞬の内に顔を青くした善逸がギギギと首を動かし背後を見ると、怒り心頭に発ていた実弥がポキポキと鳴らし、青筋を浮かべたしのぶがいた。

 

「善逸君少しお話が「待ちな胡蝶。」んっ?」

 

しのぶが拳をシュッ! シュッ!としながら進み出ようとすると実弥が遮り

 

「実は前々から根性のあるこいつを継子にしようと思ってたんだぁ。」

 

「えっ?! 何を言って?!」

 

狼狽する善逸に実弥は顔を近づけて

 

 

「選べェ………継子になるかァ俺に殺されるかァ?」

 

「継子になります」

 

善逸に拒否権は無かった。

 

「そんじゃ早速稽古と行くかァ?!」

 

「えっ?!」

 

了承した善逸の頭を鷲掴み引きずり

 

 

 

「そのねじ曲がった魂に消えねェを恐怖を刻みつけてやらァァ!!」

 

「嫌ああァァーーーーーー!!」

 

その後に青い顔をして前に出ようとする炭治郎をしのぶが腕に自分の胸に抱き寄せて止める間にも実弥は善逸を物陰に引きづり込む

 

「ヒィイィィーーーーー!! お助け………」

 

と善逸がすぐに物陰から出ようとするが実弥の手が善逸の頭を鷲掴み、まるで罪人を引きずり込む獄卒のように連れ去る様子を見てその場には静寂が立ち込めた……………

 

ーーーーー

 

そして胡蝶しのぶとの対戦において炭治郎は緊張しているとしのぶがニコリと笑い

 

「いつかの決着をつけましょう炭治郎君。

こう見えて私は負けず嫌いなんですよ。」

 

「お、お手柔らかにお願いします。」

 

瞬間にしのぶは自身の痣を浮き出させた

 

「しのぶさんも?!」

 

「ええ、炭治郎君のおかげですよ。」

 

 

そしてしばらくしてしのぶの体を見て

 

「しのぶさんなんだか体が前より綺麗になっていますね!」

 

「ええ、もう毒を飲まなくなりましたし上半身が骨と皮だけだったのにアオイが凄い頑張って私に体に良い食事を作ってくれてそのおかげで痩せていた体が戻ってきました。

ですからあの時のように負けはしませんよ。

蜜璃さんの件の罰を与えなくてはいけませんからねぇ?」

 

「よ…よろしくお願いします。」

 

青筋を浮かべたしのぶの発言に炭治郎は怯えながらも木刀を構えて

 

 

「では参ります! しのぶさん!」

 

「来なさい! 炭治郎くん!」

 

そして二人にとっての濃密な時間が流れた。

 

 




半年間もの間遅れて申し訳ありません。
ここまで読んでくださりありがとうございます。

これからも拙作を宜しくお願いします。


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日常の終わり、戦いの始まり

ここから日常回から遂にここから決戦が始まります!!


その頃炭治郎を襲った罰として実弥にしばかれボコボコにされて泣いている善逸の側で実弥が玄弥のことも行冥から許可をもらって修行をつけてもらっている兼善逸が逃げようとしない様に見張りについてる玄弥が覚めた目で見ていた。

 

「し、信じられねぇよ………あんなに殴るなんて、そのせいでまだ体中が痛むよぉ……………」

 

「信じられないのはオメエだろうが、柱稽古で兄貴にきつい罰受けた後に性懲りもなく炭治郎を襲撃するなんて呆れてものも言えねえよ………」

 

そんな善逸を玄弥は冷めた目で善逸を見ていた後に善逸は喚き散らして

 

「あ゛あ゛!? 炭治郎が謝れ!! 炭治郎だけが詫びれ!! あいつが天国にいたのに、俺たち地獄じゃねぇぇぇぇえが!! 女の子と毎日キャッキャキャッキャしてただけのくせに、しかも幸せそうな顔してみせたんだよ!! 土下座して謝れよ、切腹しろぉ!!

 

「ハァ?! お前何言って?」

 

「黙れこの堅物デコ真面目がぁ!!黙って聞けいいかァ!? この柱稽古の最中にに炭治郎だけあんな美人柱に快方されて!! しかもカナヲとアオイちゃんと訓練中にイチャイチャイチャイチャと女の子に触れるんだぞ! 訓練中にはうっかり体を触れて!! 按摩で体揉んでもらえて!! しのぶさんとの稽古でも時は体触れるだろうがァァァァ!! 女の子一人につき、おっぱい二つお尻二つ、太もも二つついてんだよ!! 訓練中でもいい匂いするし、見てるだけでも楽しいじゃろがい!! そんな幸せをあの野郎はぁァァァァ!!」

 

善逸の血走った形相と大声に玄弥は顔を歪めて

 

( コイツ……イカれてやがる)

 

そして尚も喚く善逸に対して玄弥はため息を吐いてゆったりと立つと拳を構えて

 

「おっぱいだのお尻だの女に失礼なことを言ってんじゃねえ!!」

 

「もう理不尽?!」」

 

チュン チュン チュン

 

「んっ?!」

 

「えっ? 何? 手紙…?」

 

その後善逸と玄弥は手紙を読み進めると二人は唖然として青ざめた……………

 

 

 

ーーーーー

 

「よお…善逸、玄弥………休憩は終わりだ………」

 

そこに実弥が来ると手紙を読んでいた善逸と玄弥はゆっくりと立ち上がり

 

「はい、お願いします! 風柱様!!」

 

「兄貴! 俺もお願いします!!」

 

今まで自分に対して恐怖していた善逸が目を腫らして決意を込めた表情と玄弥からも同じ表情をしているのを見て実弥は訝しむ

 

「何があった?」

 

「…………風柱様、これは俺がやらないといけないことなんです。」

 

尚も理由を言わず毅然とした善逸達を見て実弥は険しい顔をして

 

「俺はテメェらの師範だ!! そんなテメェ二人共のことはきちんと面倒を見る義務があるんだよ!! 他人事みたいに言うんじゃねぇ!!」

 

「………」

 

 

実弥の言葉に善逸は尚も無言でいると実弥は静かに近づき善逸が身構えるが玄弥に背中をおされてそのまま実弥の近づくと実弥は

 

「そんな今にも泣くのを我慢するくらいならさっさと泣けェェ!!」

 

力強く善逸を抱きしめる実弥、驚きながらも胸元で善逸は見る見るうちに涙を流して

 

「じ…爺ちゃんがあぁァァァァーーー!」

 

そうして実弥の胸元で善逸は泣き止むまで泣き続けた………

 

その後、実弥の元で善逸と玄弥はメキメキと修行した。

 

 

 

 

ーーーーー

 

一方で時刻は朝の時間帯の頃の炭治郎は

 

 

「やっぱりしのぶさん強い………あんなに速くなるなんて………」

 

炭治郎の方は痣者に目覚めたしのぶからの稽古兼お仕置き後に休憩を言い渡されてボロボロになって部屋の中にいた

そろそろしのぶとの修行の再開のために起き上がるために動こうとすると

 

「炭治郎くーん!」

 

そこに蜜璃が上から覗きこむ。

 

 

「うおあ! 蜜璃さん!」

 

びっくりした炭治郎が驚愕している姿を見てキュンとしながらもクスクスと笑う蜜璃はモジモジしながらも口を開こうとしては恥ずかしそう赤くなる頬に両手を添える。

 

 

実は蜜璃も側室に加える話はしのぶは炭治郎に一切話していなかった。

しのぶは笑って

 

「え? 何で私が言わないといけないんですか? 自分で言ってください。

振られないといいですね。」

 

しのぶの発言を思い出し蜜璃は怒りに打ち震える

 

(ま、まあ私が勝手に惚れたから悪いのよねっ! でも………当たり前だけどしのぶちゃんの意地悪っ!)

 

「ちょっと炭治郎君の強さの確認のために早く来たの、手合わせしてもらえるかしら?」

 

「はい! 喜んで!」

 

そして炭治郎と蜜璃は外に出て木刀を持ち向かい合う。

 

「行きます!」

 

「来なさい、炭治郎君!」

 

………………その後の激戦の後に床の上で

 

「流石、俺の師範ですね………痣を持っていてもこれだけの差があるなんて………」

 

「ううん! 何回か私も危なかったからね。

凄い成長しているよ炭治郎君は………かっこいい所も増していてキュンと来ちゃった!」

 

そして蜜璃は正座した後に膝をポンポンと手を叩き

 

「炭治郎君、おいで。」

 

「蜜璃さんでも………」

 

「今は師範としてです!」

 

「……はいっ!」

 

 

 

 

蜜璃は炭治郎を自分の膝枕に乗せた後に思い出す自分を救ってくれた夜のことを………………

 

「覚えてる、炭治郎君?」

 

「?」

 

「私が幸せを諦めて死地に向かおうとした時に ''貴方の命はもう貴方一人のものなんかじゃない!'' って言ってくれた時のことを…」

 

「はい…。」

 

「あの時に私は貴方に救われたから時から貴方のことを………」

 

「はい?」

 

そして言葉を濁して蜜璃は笑顔で

 

「生き残ってね………炭治郎君。」

 

「蜜璃さんも一緒ですよ。」

 

そうして二人の師弟の時間が流れた………が

 

 

 

 

「何やっているんですか? 炭治郎君? 蜜璃さん?」

 

其処に笑顔ではなく無表情のしのぶがいて炭治郎と蜜璃は慌てた

 

「し、しのぶ……さん」

 

「あ、ああ……これはねしのぶちゃん、頑張っている炭治郎君のために膝枕しているだけだよ………」

 

「全くせっかく炭治郎君にびっくりさせてあげようと思いましたのに………」

 

そういうしのぶの後ろからヒョコッと出てきたのは………炭治郎にとっても会いたかった

 

 

 

 

「禰豆子!」

 

その後にしのぶが側に来て蜜璃を立たせて不適に笑い

 

「炭治郎君、これから蜜璃さんと稽古しますので待っていてください。」

 

瞬間にしのぶが拳をぶんぶんと蜜璃の前で振り回す

 

 

「えっと稽古なの? あっごめんなさい。」

 

しのぶから漂う剣呑な雰囲気に蜜璃がたじろいでいる間にしのぶが蜜璃を連れて姿を消して後に残されたのは炭治郎と禰豆子だけだった

 

「どうしたんだろう………とても怖かった………………」

 

炭治郎は身震いした後に禰豆子に頭を撫でてもらいそうして兄妹二人は笑い合い抱き合った。

 

ーーーーー

 

「もうそろそろ行かなきゃ…… 禰豆子、ありがとう。」

 

そうして禰豆子が隠達に連れて行かせようとすると禰豆子は炭治郎の裾をギュッと掴み涙を流して

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄……ちゃん」

 

「禰豆……子………」

 

そうして感極まった炭治郎は禰豆子を抱きしめた。

 

 

その後に禰豆子が帰った後も炭治郎が素振りをしていると其処に怒り心頭に発していた小芭内が佇んでいる。

 

「炭治郎! 甘露寺に膝枕してもらったそうだなあ!」

 

「えっ?!」

 

「今ここで殺いや……柱稽古の成果を見せてもらう!! 

 

「お許しくだギャアアアアアッ!!」

 

 

その後炭治郎は小芭内にボコボコにされた。

そうして数日もの間平穏な時が流れた………

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…初めましてだね。

鬼舞辻……無惨…」

 

「何とも醜悪な姿だな………産屋敷。」

 

「ついに…私の…元へ来た…今…目の前に…鬼舞辻…無惨…!!」

 

 

 

緊急招集ーーーーッ!! 緊急招集ーーーーッ!! 

産屋敷襲撃ッ….産屋敷襲撃ィ!!

 

柱達が急ぎ駆ける。

 

「「「お館様!!!」」」

 




お待たせしてしまい申し訳ありません。
鬼舞辻と産屋敷との語らいは原作通りですので端折ることになりました。


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日輪と紫蝶は因縁の氷鬼と対峙

大変申し訳ありません。
年が明けてしまいました。
ですがその分思いを込めました。

今年からも
拙作の鬼滅の刃をお願いします!!
ここからは原作であり得た

しのぶと炭治郎対童磨そして甘露寺蜜璃と伊黒小芭内の方でも因縁の仇。


 

「鬼舞辻無惨!! おまえを必ず斬る!!」

 

「やってみろ!! やれるものならな、竈門炭治郎!!」

 

そうして無限城に落ちていく中で炭治郎としのぶはお互いの近くにいた。

 

「炭治郎君!」

 

「はい! 大丈夫ですよ。」

 

 

 

 

 

その後には無言で無限城の中を二人で歩いていると襖がありしのぶと炭治郎の表情が険しくなる。

 

「私が先に「いいえ俺が先にやります。」

 

炭治郎が先に戦う

 

しのぶの言葉を遮り押し除けて炭治郎は慎重に引き戸を開けた。

引き戸の奥に今まで感じたことのない恐怖とむせ返る血の匂いを嗅ぎながらも感じつつしのぶを守るために炭治郎が前を向く。

 

ボリボリ・・・ボリッ・・・ボリ・・・・

 

そこは蓮の花が咲き乱れる、広い水場の回廊。

 

しのぶの目線の先には、大量の人間の死体。

 

そして中央には、裾の長い、赤い服を着た男。

 

「ん?」

 

男がぐるりと振り向く。

 

「あれえ? 来たの? わあ女の子だね! 男の子もいる!」

 

男の目には、上弦 弐 の文字。

 

口周りは血まみれ。

 

手には噛み切られた人間の腕が握られている。

 

「若くて美味しそうだなあ。後で鳴女ちゃんにありがとうって言わなくちゃ」

 

しのぶの全身に怒りが沸き上がるのを炭治郎は匂いを嗅いで戦慄して感じた。

 

 

ーーーーー

 

しのぶは、カナエとの記憶が鮮明に蘇った。

 

「しのぶ、鬼殺隊をやめなさい。あなたは頑張っているけれど、本当に頑張っているけれど。多分しのぶは・・・・・・・・・」

 

カナエは言いかけた言葉を止める。

 

「………………普通の女の子の幸せを手に入れて、お婆さんになるまで生きて欲しいのよ。もう・・・十分だから・・・」

 

「嫌だ!!絶対辞めない!!姉さんの仇は必ずとる!!言って!!どんな鬼なの?どいつにやられたの・・・・・!!」

 

しのぶは涙をこぼしながら訪ねる。

 

「カナエ姉さん言ってよ!!お願い!!こんなことされて私、普通になんて生きていけない!!姉さん!!」

 

カナエは観念したように目を閉じ、話す。

 

頭から、血をかぶったような鬼だった」

 

 

ーーーーー

 

 

「やあやあ初めまして。俺の名前は童磨。いい夜だねえ」

 

にこにこと屈託なく笑う、帽子をとり自身の血の色をした頭を見せながら穏やかに優しく喋る

 

「た・・・たす、助けて、助けて・・・!!」

 

倒れていた女性が涙を流しながらしのぶ達に助けを求める。

 

童磨「しー!今話してるだろうに・・・」

 

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

 

 

その隙をつき炭治郎は鬼に、しのぶは女性に、同時に飛んだ。

 

 

ヒュガッ!

 

「ぐっ!」

 

「大丈夫ですか?」

 

しのぶは女性を抱きかかえ、避難させる。

 

「わあ! 速いねえ柱なのかな?」

 

「あっさり避けられた・・・」

 

女性「はっ・・・はっ・・・」

 

ゴフッ・・・ドシャ・・・

 

女性は体をバラバラに斬り刻まれた。

 

「うわああああ!!」

 

水の呼吸 流流舞い

 

それを見た炭治郎は叫び、童磨に斬りかかるも童磨は飄々と

 

「おっと! 危ないねぇ、坊や。

あ大丈夫!そこにそのまま置いといて。後でちゃんと喰べるから。よいしょ」

 

童磨は立ち上がり、右手の扇を広げる。

 

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

 

キン!

 

右手の扇であっさりと炭治郎の斬撃をいなす童磨。

 

「くっ!」

 

炭治郎はしのぶの隣に着地する。

 

「いいねえ君」

 

にこにこと屈託なく笑う童磨。

 

炭治郎は切り刻まれた女性を見て悲しみの表情を浮かべる。

 

しのぶの姿を見た後に後から入ってきた炭治郎も日輪刀を構える姿を見た童磨は目を向けて

 

「ん? 君はもしかして……竈門炭治郎かい?」

 

鬼は体をしのぶから炭治郎に向ける。

 

「そうだ、俺は竈門炭治郎だ!」

 

童磨の疑問に炭治郎が応えると童磨は

 

「驚いた! あの方から他の柱同様に必ず殺せと命令されている男の子が俺の目の前に連れてきてくれるなんて! この事についても鳴女ちゃんにありがとうって言わなくちゃ」

 

童磨は嬉しそうに手を叩き笑顔をになったが

 

「それに俺が紹介した妓夫太郎の仇でしかも半天狗殿もを殺してしかも猗窩座殿が次に会ったら脳天をぶちまけると言いしかもまだ会っていない黒死弁殿が君を必ず殺すと言っていたからね! 興味があったんだ。 

それに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目がとても綺麗だから食べてあげるね。」

 

言葉を締め括った童磨を見た炭治郎訝しみ匂いを嗅いでみると

 

(コイツから何の感情の匂いもしない………顔は笑っているのに感情が何も伴ってない?!)

 

 

 

「俺は”万世極楽教“の教祖なんだ。信者の皆と幸せになるのが俺の務め。その子も残さず綺麗に喰べるよ」

 

童磨の言葉にしのぶ達は怒りをあらわに

 

「酷い…! それを救済とは言わない!! ただの人殺しだ!」

 

炭治郎の言葉を聞いても童磨は尚もニコニコと嗤い

 

「君はまだ坊やだから分からないんだよ。」

 

童磨はあまり相手をせずにその態度に

 

 

「・・・・・・皆の幸せ?惚けたことを。この人は嫌がって助けを求めていた」

 

「だから救ってあげただろ?その子はもう苦しくないし、つらくもないし、怯えることもない。誰もが皆死ぬのを怖がるから。だから俺が喰べてあげてる。俺と共に生きていくんだ、永遠の時を」

 

童磨は右手を胸に当て、目を閉じる。

 

「俺は信者たちの想いを、血を、肉を、しっかりと受け止めて救済し高みへと導いている」

 

童磨の言葉に炭治郎は即座に

 

「ふざけるなぁ!! 童磨!!」

 

「………………」

 

炭治郎の言葉に童磨は尚もニコニコと憐れむ。

 

「正気とは思えませんね。貴方頭大丈夫ですか?本当に吐き気がする」

 

炭治郎はこれまで嗅いだことのない怒りの匂いを感じた。瞬間に炭治郎もね冷静になって確信した目の前の鬼こそがしのぶから聞いていたしのぶの姉を殺した仇の鬼。

 

「しのぶさん、冷静になって下さい」

 

しのぶの手を掴みそれにしのぶは深呼吸して落ち着く。

 

「えーっ。二人とも初対面なのに随分刺々しいなあ。あっそうか。可哀想に。何かつらいことがあったんだね・・・聞いてあげよう。話してごらん」

 

童磨に対してしのぶは睨み

 

「つらいも何もあるものか。私の姉を殺したのはお前だな?この羽織に見覚えはないか!!」

 

「やはりおまえが!! この鬼が・・・」

 

「ん?・・・・・ああ!花の呼吸を使ってた女の子かな?優しくて可愛い子だったなあ。朝日が昇って喰べ損ねた子だよ。覚えてる。ちゃんと喰べてあげたかった」

 

ブシッ!!

 

 

 

最後まで聞かずにしのぶは童磨めがけて刀を突き立て

 

蟲の呼吸 蜂牙ノ舞 真靡き

 

「おっと」

 

「速い!!」

 

「凄い突きだね。手で止められなかった」

 

目を貫かれながらも、童磨は扇を振る。

 

血鬼術 蓮葉氷

 

(マズい!!)

瞬間、炭治郎自身の嗅覚が警報を鳴らした。

 

( これは吸ってはダメだ!!)

 

童磨の血鬼術に対してしのぶを庇って後ろを向けて後退する炭治郎。

 

「冷たい!!肺を裂くような冷たい空気」

 

「氷の血鬼術!?」

 

「うーん速いねえ。速いねえ。だけど不憫だなあ。突き技じゃあ鬼は殺せない。力がある坊やの方はそこの女の子よりも遅いから届かないね。頸だよ。やっぱり頸を斬らなきゃ」

 

「突きでは殺せませんが、毒ならどうです?」

 

 

キリキリ、バチンッ

 

「ぐっ・・・」

 

童磨の顔がどす黒く染まる。

 

「毒が入った!」

 

「上弦にこの毒が通用するかどうか。今分かる」

 

しのぶの炭治郎の額が汗で湿る。

 

「(姉さん、お願い・・・姉さん)」

 

童磨は膝をつき、吐血するが炭治郎すぐに構える。

 

 

「ガハッ・・・これは・・・累君の山で使った毒より強力だね。

それに坊やの方もさっきの動きを見た限り半天狗殿と戦った時よりも速いね。

俺よりも遅いけどね。「

 

「(やはり情報は共有されていた・・・毒は諸刃の剣)」

 

「調合を・・・鬼ごとに変えてると・・・あの方も仰ってたなあ・・・」

 

童磨はさらに吐血する。

 

「ゲホッグッ」

 

口を押える童磨。

 

「あれぇ?毒分解できちゃったみたいだなあ。ごめんねえ。せっかく使ってくれたのに」

 

童磨は立ち上がり、屈託のない笑顔を浮かべる。みるみる内に顔色も回復していく。

 

「そんな・・・藤の毒が・・・」

 

「その刀。鞘にしまう時の音が特殊だね。そこで毒の調合を変えているのかな?」

 

童磨は両手を合わせ、子供のようにはしゃぐ。まるで玩具を見つけたかのように。

 

「うわーっ楽しい!!毒を喰らうのって面白いね。癖になりそう。次の調合なら効くと思う?やってみようよ!」

 

「・・・・・そうですね。いいですよ。まあこのあたりまでは想定内ですから」

 

しのぶは刀を振りながらも構えると横に立つ炭治郎も

 

 

「しのぶさん、俺も忘れてもらっては困ります。

それと童磨の血鬼術は吸わないでください。

多分あれは肺を傷つけます。」

 

「へぇっよくわかったね坊や。

そうだよ、俺の血鬼術は吸えば吸うほどに肺の中で傷つけるからさぁ。」

 

 

しのぶに語りかけるように言ったが童磨にも聞こえたらしく嗤いかけながらも炭治郎はしのぶに続けて

 

「雪山育ちの感覚でわかりました、童磨の言う通り血鬼術は少し吸っただけも肺を傷つけるものです。

吸わないように戦ってください。」

 

 

しのぶは頷き、炭治郎も頷き返す。

瞬間にしのぶも痣を浮かび上がらせた。

 

「共に生きましょう、炭治郎君!!」

 

「はい!!!」

そして戦いは激しくなる。

 

 

ーーーーー

 

「あはは!! 凄いねぇ!!

俺の血鬼術もすぐによくわかったね坊や!!

二人共速く激しい攻撃だね!! 俺には届かないけどね。」

 

童磨が嗤いながらもしのぶと炭治郎は深く息をしながらも童磨の血鬼術を吸わないようにしていた。

 

(あれからも調合を変えた毒を刺したのに未だ健在だなんて………痣のおかげで速度を上げてもこれでは………)

 

(くそっ!

鼻を使って攻撃を読もうととしても氷の血鬼術のせいで働かない………このままじゃジリ貧だ………)

 

その後もしのぶは攻撃を繰り出しそれを踏まえた炭治郎が続き

 

 

蟲の呼吸 蜻蛉ノ舞い 複眼六角

 

ヒノカミ神楽 円舞

 

童磨に対して一瞬の間に六連撃を加えた攻撃を繰り出した後に炭治郎はしのぶの周囲を守るように刀を円を描くように振るうが

 

「わあ!! 速いね!!」

 

ブシュっ!!

 

「ぐっ!!」

 

「炭治郎君!」

 

身体に浅いが袈裟懸けに斬られて膝をついた炭治郎に駆け寄るしのぶに対して童磨は嗤いかける。

 

「いやー驚いたよ!! 女の子を斬ろうとした直前に坊やが刀を使って割り込むなんて凄い無茶するね。」

 

「えっ?!」

 

「ハァッ! ハァッ! 大丈夫………ですよ………しのぶさん。」

 

「痩せ我慢してるね。

さっきからそこの女の子を守っていたから体が切り刻まれてボロボロで限界も近いのに。」

 

「!!!」

 

その言葉にしのぶは改めて見ると

 

炭治郎の体中は切り刻まれ致命傷に至らないが血まみれになっていた。

 

自分のせいで炭治郎が傷ついたことを知りしのぶは膝をつき炭治郎が強がるも童磨に嗤われ

 

「というかさっきから思ったんだけど君よりも坊やの方が勝ち目がありそうなのに邪魔ばかりしているよね。

君は柱の中でも速さは一番だけど頸を切る力ないよね。

君身体小さいし、坊やと違って。」

 

瞬間にしのぶは呆然としながらも

 

(お姉ちゃん、どうして私の手は小さいの………悲鳴嶼さんは大柄で頼りになるなぁ………それにここに私ではなく私よりも上背があって、腕力も強い蜜璃さんがいたならば………私のような足手纏いよりも蜜璃さんなら炭治郎君を守りながらも互角以上に渡り合えただろうなぁ……………私なんかじゃやっぱり…………)

 

 

『二度も言わせないで、立ちなさいしのぶ』

 

今は亡き'' 胡蝶カナエ'' の声が聞こえて来ていた。

 

( 姉さん何を言っているの? …………私のせいで炭治郎はこんなに切り刻まれて………)

 

『関係ありません、立ちなさい。

蟲柱、胡蝶しのぶ。』

 

(!!!)

 

『彼は自分がボロボロになっても弱音を吐かずに貴方を死なせないためにここまでやってきたのにそんな彼を見て敵を前に膝をつくのは許しません。

貴方を信じてくれた彼のためにどんなことがあっても勝ちなさい。』

 

『頑張って! 負けないで!』

 

 

 

 

 

混濁した瞳と意識を覚醒させてしのぶは覚醒し覚悟を決めて童磨を睨み

 

「しのぶさん?」

 

「炭治郎君……貴方を死なせない!!」

 

「え 立つの?立っちゃうの? えーーー…

君ホントにわかってる?

君じゃ切れないから坊やは傷ついたから諦めて楽になりなよ。

君の体の大きさ…その小さな腕で俺の頸を切れないけど…」

 

心から心配しながら素直に諦めて死を待つよう提案するも

 

「ハァっ!!!」

 

一蹴され、

 

蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞い 百足蛇腹

 

しのぶは全力の速さでムカデのように左右にうねる足捌きを見た童磨を

 

(速い!!)

 

翻弄し、遂に

 

(痣による身体能力の全てを!!!

自分身体全てを一本の刀に!! 鬼の急所は頸!!

届け!!)

 

頸に毒の一撃を叩き込んだ。

持てる力のすべてを駆使したしのぶの渾身の一撃を受けたが

 

 

童磨は嗤いながら立ち。

 

(ほんと頭にくる ふざけるな馬鹿)

(なんで毒効かないのよコイツ 馬鹿野郎)

 

無慈悲にも、しのぶ渾身の一撃すら童磨の免疫獲得の驚異的な速さの前には無力だった。

これまでとは比べ物にならない速さで瞬く間に毒を分解・解毒し、満面の笑みを浮かべながら最後の最後で自分を圧倒したしのぶをなんとハグで抱きしめ、童磨は感動の余り号泣しだす。

 

 

 

 

 

 

「俺は感動したよ!!こんなか弱い女の子がここまでやれるなんて!!

姉さんより才も無いのによく鬼狩りをやってこれたよ !!

今まで死ななかったことが奇跡だ!!

無駄だというのにやり抜く愚かさ これが人間の素晴らしさ!! 残す言葉はあるか!!」

 

しのぶは童磨に抱きしめられ悔しくて言葉を言うと

 

「地獄に落ちろ!!」

 

バンッ

 

「えっ?!」

 

そこにようやくカナヲが部屋に入りしのぶが鬼に捕らえられた瞬間を見た

 

瞬間に鯖折りの衝撃がしのぶを襲う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ああアアアアアーーーー!!」

 

ヒュウーーーーー!!

 

 ズバッ

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?!」

 

 

そしてしのぶは気づいた瞬間に自身を覆った冷たい腕ではなく暖かい腕に掴まれていた。

 

 

しのぶを抱きしめていたのは童磨ではなく炭治郎に変わっている。

 

 

 

「えっ?!」

 

童磨は自身の腕でしのぶの全身の骨を折ろうとしたが、確かに抱きしめていたはずのしのぶが居らず代わりにあったのは切られた自分の両腕。

 

「えっ!?」

 

カナヲは類まれる視力でようやく分かった

 

「ゼェっ!! ハァッ!! ゼェっ!! ハァッ!!」

 

炭治郎に柱稽古により、妓夫太郎戦よりも速く洗練された水の呼吸とヒノカミ神楽の同時発動をしてしのぶを助けたと分かった。

 

だが、それもカナヲからも炭治郎の動きが終わった後の状況証拠でようやく分かった関わらず見えなかった正にそれは縮地。

 

 

 ''目にも写らない速さ''

 

 

 

「ああ………あともう少しで一緒になれたのに………」

 

名残惜しそうに自分の両腕を再生させた後にも見つめていると

炭治郎は呼吸を整えて

 

 

炭治郎は呼吸を整えて

 

「人を……しのぶさんを侮辱するなぁ!!! 

お前のように自分の行いを誤魔化し正当化し………()()()に命を奪ったお前に人を救う資格はない!!!」

 

童磨は炭治郎の言葉を聞き無表情になり冷たい目を向けて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君いや……………炭治郎………と言ったね……………君………」

 

 

再生させた腕で鉄扇を 

 

 

バチンッ!!

 

折り畳み

 

 

 

 

「意地悪だねぇ………」

 

童磨の人々を救う行為を無意味と言われさらに自分が初めて感動し興味を持ち吸収して共に永遠に生きようとしたしのぶを奪った炭治郎に対して初めて、''敵意'' を向ける。

 

 

ーーーーー

 

その頃蜜璃と小芭内は無限城の廊下を走り回っていた

道中に蜜璃と小芭内は過去に炭治郎から聞いていた話を思い出す。

 

 

ーーーーー

 

「炭治郎君、教えて煉獄さんを殺した鬼のこと!!」

 

「炭治郎!! 教えろ!! 煉獄を殺した鬼のことを!!」

 

「……………わかりました。」

 

そうして炭治郎はゆっくりと話す。

 

「最初に見た時に思ったのは、凄い筋肉の背中と尋常ならない''力''

 

紅梅色の短髪に、細身で筋肉質な青年くらいの外見で服装は、上は素肌に直接袖のない羽織、下は砂色のズボンに両足に数珠のようなものをつけているだけの軽装。

顔を含めた全身に藍色の線状の文様が浮かんでおり、足と手の指先は同じ色で染まっています。

目はアーモンドのような釣り目でひび割れのような模様が浮かび、黄色い瞳には右の瞳に''上弦'' 左の瞳は''参''の文字が刻まれていました。

 

 

ーーーーー

そして現在

 

目の前で爆発が起きた後に見たのは

 

 

 

 

 

「良い闘気を感じるぞ………俺が脳髄をぶち撒けるはずの小僧がよりによって童磨の方に行った時はどうしようかと思ったが運が良いなあ!!」

 

瞬間に蜜璃は驚愕に目を見開き小芭内も目線を鋭くさせる

 

「貴方が、猗窩座ね!! 答えなさい!! 煉獄杏寿郎!! この名前に聞き覚えはない!!」

 

(奴が、煉獄を!!)

 

 

 

「下がれ阿婆擦れ!! 俺はこの男と話したいのだ!」

 

 

 

 

 

ピシャーーン!!

 

 

 

 

 

蜜璃と小芭内の脳裏に電撃が走った。

 

 

 

( ……………阿婆擦れ?! えっ?! 初対面でいきなり?!!! 前の鬼に言われたけどひどいわ…!!……炭治郎君も目のやり場に困るって言ってたけど…だからってひどいわ!………)

 

「貴様!! 甘露寺を………阿婆擦れ?!………………だと………許せん!! 殺す殺してやるぞ!!! 猗窩座!!!」

 

瞬間に小芭内の中で何かが切れた

 

 

 

 

 





どちらも関係性で言えばあり得た戦いですので描きました。


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桃蝶と蛇は仇の拳鬼と対峙

この度は五ヶ月間おまたせして申し訳ありません。
自身達が最も慕っていた友であり大切な者を奪った''猗窩座'' に対しては原作では炭治郎でしたが、蜜璃と小芭内にとっても煉獄は大切な人には違いありません。
それ故に彼らにも猗窩座に対して仇打ちをする権利があると思い投稿します。





「貴様ああァァ!!」

 

「むっ!」」

 

「伊黒さん!! 待って!!」

 

 

蜜璃を侮辱する猗窩座に向かう見て驚く蜜璃が制止しようと声を上げるもそのまま小芭内は

 

蛇の呼吸 壱ノ型 委蛇斬(いだき)

 

猗窩座の方へ一気に間合いを詰め、横薙ぎの予測不能な円形軌道を描く一太刀を振るうも猗窩座は腕を振るい斬られそらしながら

 

「良い刀だ。」

 

といいつつ小芭内に斬られた腕を一瞬で再生させた

 

(報告にあった通りに下弦の鬼達とは比べ物にならない圧迫感、速さと再生力!! これが煉獄を殺した上弦の鬼!!)

 

刀を構え猗窩座と向き合う。

 

「私も忘れないで!!」

 

猗窩座と小芭内の間に入り切り結ぶと猗窩座が応じると

 

 

「阿婆擦れ、邪魔をするな!!」

 

「私の言葉を無視するんじゃないわよ!!

もう一度聞くわ! 煉獄杏寿郎!!

この名前を覚えてない?!」

 

猗窩座の言葉に対して蜜璃が言い返し再度聞くと、猗窩座は、無言になり

 

「ああ……知っているとも、杏寿郎は俺が知る限りでは、選ばれし強きものだ、忘れるはずがない、鬼にならずに人間として死ぬことを選んだ哀れな男だがな。」

 

「!!!」

 

「貴様!!」

 

恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき

 

 一気に走り猗窩座に向かってしなる刃の一太刀で斬り刻もうとするもすぐに後退した途端に猗窩座は不機嫌な表情をしながらも捌きつつ攻撃を加えようとすると蜜璃の前に小芭内の

 

蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇

 

 

猗窩座と蜜璃の間にわって入り 大きく蛇行しながらすれ違いざまに斬りつけると猗窩座は感心したように頷きながらも間合いを取ると

 

 

 

「素晴らしい動きだ!! やはり名前を知りたいが、阿婆擦れが邪魔だ。

それに恋? 

なんだその名前はふざけてるのか?」

 

猗窩座の言葉に蜜璃は顔を赤くして

 

「ふざけてないわよ!! 努力して編み出したんだから!! 誰に何て言われてこれが私の呼吸なんだから!!」

 

蜜璃の叫びに猗窩座は吐き捨てるように言い放つ。

 

「下らん、俺はこの男と戦っているから下がれ!! 

貴様のような胸元を着崩している女と戦うのは好かん。

さっさと胸元を直せ!! 見るに耐えん。」

 

「んな?!」

 

猗窩座の言葉に蜜璃は顔を赤くして恥ずかしそうにしていると

 

ブチッ!!

 

「甘露寺を侮辱するな!!」

 

蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇

 

猗窩座から蜜璃を守るように大きく蛇行しながらすれ違いざまに猗窩座に斬りつけるもすぐに猗窩座は両腕て斬られながらも受け止める。

 

「見たことない技だ! 蛇の呼吸とは!。」

 

「くっ!」

 

すぐに猗窩座の拳が来るのを見て一旦引くも猗窩座は拳を構える。

 

「お礼にこちらも俺の武を見せてやる。」

 

術式展開 破壊殺 羅針

 

猗窩座はすぐに足元に自らを中心とした雪の結晶を模した陣を出現させる。

闘気を感知して、他者の動きを読み取る術。

 

 

「あれが炭治郎の言っていた闘いの羅針盤!!」

 

「行くぞ!!」

 

破壊殺 空式

 

中距離面制圧に用いられる拳圧の乱打。

拳撃による絶大なインパクトを虚空へと打ち込む事で衝撃波を発生させ、距離の離れた場所からインパクトから衝撃の到達までのタイムラグもほぼゼロのために一瞬で届き二人とも掠るものの小芭内と蜜璃は一旦別れて対応する。

 

 

「チッ!!」

 

蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇

 

蛇のようにうねる動きで猗窩座の飛んでくる衝撃波を躱しつつ猗窩座に向けて構えて向かう。

 

(炭治郎の情報通り虚空を打った拳が打撃としてこちらに届く!! このまま距離を取られると首が取れない。ならば近づくまで。)

 

「良い判断だ!!」

 

破壊殺 乱式(らんしき)

 

それに対して猗窩座も拳打による連携・乱打で向かい打ち小芭内は刀で捌ききる。

 

 

ガッ! ギンッ!! ギンッ!! ドッ!!

 

「変幻自在!! 練り上げられた素晴らしい見事な動きだ!!  肩に乗っている蛇に教えてもらっているのが口惜しいが見事だ!!」

 

「ぐつ! 鏑丸は俺の友であり相棒だ!!」

 

「そうか!! 名を名乗れ!

お前の名は何だ!!

覚えておきたい!!」

 

猗窩座の問いに小芭内は般若を通り越して怒りのあまり無になった後に静かに話しかけた。

 

 

「本来なら鬼に名乗る名などない………だが、貴様は!!」

 

小芭内は目を見開き血走らせ怒りを爆発させて猗窩座に刀を向けた。

 

 

「甘露寺を傷つけた!!

だから教えてやる!! 俺の名は伊黒小芭内!!

貴様を斬る者だ!!!!」

 

蛇の呼吸 弐ノ型 狭頭の毒牙

 

叫び小芭内は両腕を蛇のようにうねる斬撃を仕掛けたが猗窩座の拳により捌かれ

 

破壊殺 乱式

 

猗窩座の近距離からの乱打と小芭内のうねる剣技がぶつかり合う中、猗窩座は小芭内の刀を片手で受けつつ小芭内の顔に自身の顔を近づけて静かに話しかけてくる。

 

「そうか………では小芭内、鬼にならないか?」

 

「なるわけないだろう………甘露寺を傷つけた貴様の申し出など受ける訳がない。」

 

小芭内の言葉に猗窩座は表情を変えずに穏やかに話しかけつつ

 

「小芭内!! 鬼になれ!! そして俺と永遠に戦い続けよう!!」

 

「断る……俺は蛇柱であり人を守る鬼殺隊だ。

俺は最後まで人であり続ける。

それが俺の答えだ、猗窩座。」

 

「そうか………では鬼にならないなら殺す!!」

 

猗窩座と小芭内の剣技が激しさを増しつつぶつかり合う中に割り込むように蜜璃は技を繰り出す。

 

 

恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋

 

 

高速の斬撃技で、流れるように刃をしならせながら、瞬く間に猗窩座に向けて振るうも猗窩座は小芭内との戦いの間も力を込めた拳で弾いた。

 

「!!!」

 

「先程から邪魔だぞ………動きといい半天狗との戦いを見てみた時よりも速いのはわかるがな。」

 

蜜璃は猗窩座の言葉を聞き

 

( やっぱり情報は共有されているんだ!! でもあの上弦にも通じたんだから………)

 

蜜璃が攻撃を仕掛けると猗窩座はすぐに動きを把握して避けつつ小芭内との戦い

 

「だがな女………お前の技は速いが攻撃が激しい分隙だらけだ!! 何より半天狗と渡り合ったからと言って調子に乗るなぁ!!

奴は、確かに上弦だが、所詮は血鬼術に頼りきった臆病者!! 

戦いの中で技を磨いた俺を一緒にするな!!」

 

と叫びと猗窩座は蜜璃に対して

 

破壊殺 空式

 

拳による衝撃波放つ。

 

「ぐっ!!」

 

「甘露寺?!」

 

蜜璃はすぐ様反応して避けるがそれを見て小芭内は動揺するも

 

「女に構うな!! 小芭内!!

俺に集中しろ!!」

 

「チッ!!」

 

動揺する小芭内に向けて拳を放ちながらも猗窩座の激しさを増す衝撃波にすぐに蜜璃もすぐに

 

「伊黒さん、大丈夫!! 心配しないで!!」

 

恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風

 

 突風のような速さで、猗窩座の放つ衝撃波を斬りながらも小芭内の横に並び立ち猗窩座にしならせた刀で猗窩座に放つと猗窩座はすぐさまに距離を取りつつ蜜璃を睨み叫ぶ。

 

 

「去れ!! 殺す気もましてや食う気も起きん………何故貴様のような女が戦いの場にいる?」

猗窩座の言葉に蜜璃は

 

「それは私も鬼殺隊の柱だからよ!! 私にとって大切な場所のために私が自分の意思でここに来たのよ!! 

 いい加減に………」

 

蜜璃の言葉を猗窩座は遮るように

 

 

「それになんだその桃色に染めた髪は? ふざけてるにも程がある!!」

 

「んな?!」

 

「猗窩座………甘露寺の色は綺麗だぞ!!」

 

「私に剣術を教えてくれた煉獄さんに綺麗だって言ってくれた…………私の継子の炭治郎君も言ってくれた………」

 

「何だと?! お前に剣術を教えたのは杏寿郎か!!」

 

「ええそうよ!!」

 

蜜璃の言葉を聞いた猗窩座は表情を無にして

 

「やはりあの時に杏寿郎は死んで良かった、貴様のような女に剣術を教えるとは………愚かにも程がある。

愚かな小僧も童磨相手では勝てんからな………無駄骨だったな。」

 

吐き捨てるように言い放つ。

 

「!!!」

 

「貴様!!」

 

ドクン

 

 

その時に蜜璃の頭の中で切れた音がした。

自分に取っての地雷まで踏み込んできた猗窩座に今まで鬼に殺されてきた人達を見て溜めていた怒りが再燃しこれ以上ない怒りと共に煉獄からかつて言われた言葉を思い出す。

 

 

 

 

(甘露寺はいずれ俺をも超える剣士になるだろう! 

君の膂力も体の柔らかさもさることながら、奇抜な髪色だって見方を変えれば鬼の気を引き人を明るくする立派な才能だ!

何より君には人を愛する心がある!

君の育手になれて俺は幸せ者だ!

誇りに思う!)

 

ハッとしつつ猗窩座は言い過ぎたことを反省しつつ

 

「…………言い過ぎた………許せ…女、見逃してやるから下がれ!!」

 

(しかし……おれともあろうがなぜこんなにイラつく?

この阿婆擦れが ''恋'' という言葉を言うほどにイラついてしまう………)

 

だが蜜璃の涙を流しつつ

 

「謝らなくて良いわよ、猗窩座………許さないから!!!」

 

そこには怒髪天となり猗窩座を睨み付ける蜜璃がいたが、当の猗窩座はどこ吹く風と言う風にして蜜璃を諭す。

 

「女………武とは戦いだ!

最終的なあに己個人だけのもの

恋や愛や仲間など必要ない

 

勝つことだけが全てだ!!

 

強者だけが手に入れられ弱者が失う。

そう、弱者には虫唾が走る! 反吐が出る!

淘汰されるのは自然の摂理に他ならない!!」

 

蜜璃は静かに猗窩座に対して言い放つ。

 

「貴方の言ってることこそが全部間違ってるよ。 

貴方が今そこに居ることがその証明だよ。

生まれた時は誰もが弱い赤子だから、誰かに助けてもらわなきゃ生きられない。

私も昔はとても弱くて道に迷っていたけど尊敬する煉獄………大切な人達で仲間のしのぶちゃんや伊黒さん、そして炭治郎君のおかげで私も迷いなくここに居られるから。」

 

尚も蜜璃は悲しそうに猗窩座に語りかけ

 

「貴方もそうよ猗窩座、記憶にないのかもしれないけど赤ん坊の時のあなたは誰かに守られて助けられ今生きているのよ。」

 

息を吸って刀を力強く握り構えて蜜璃は言い放つ。

 

「強い者は弱い者を助け守る! そして弱い者は強くなり、また自分より弱い者を助け守る者だよ猗窩座!!

これが自然の摂理よ!!

猗窩座!! 私は貴方の考えを許さない!!

炭治郎君と煉獄さんを侮辱したこれ以上貴方の好きにはさせない!!」

 

(何だ? この感覚は?)

 

 

 

猗窩座は自分の背中に居る道着を着た男と着物を着ている女が自分に対して静かに手を置いて何かを訴えているのを見ると

 

不意に二人が血塗れになっていた。

咄嗟に裏拳を放つと徐に静かに蜜璃に語りかける

 

「女………貴様の名は?」

 

「甘露寺蜜璃!! 煉獄さんの元継子で竈門炭治郎君の師範であり………貴方を斬る柱よ!!」

 

猗窩座は静かに威圧する様に目を見開き睨みつけると蜜璃も応じるように構えて

 

「最後の警告だ、下がれ。

さもなくば女であろうとも容赦なく殺すぞ。」

 

静かだがこれまでにない威圧感を放つも蜜璃は真っ直ぐ見据えて

 

「お断りよ!! 私は鬼殺隊恋柱!! 甘露寺蜜璃!! 鬼を相手に決して引き下がらない!!!」

 

一瞬の静寂の後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「甘露寺蜜璃、俺はお前が不快だ…….……俺が最初にして最後に殺す女だ……」

 

「私も貴方のことは大嫌いよ!! 猗窩座!!」

 

瞬間両者は激突する。

 

「杏寿郎を殺した技で貴様を殺す!!」

 

 

「!!!」

 

「不味い!!」

 

破壊殺 滅式

 

瞬間に猗窩座は自身の絶技でありかつて煉獄杏寿郎が全身全霊を込めて放った奥義に正面から激突し打ち破るほどの凄まじい威力と疾さを誇る突きを放つ。

それに対して蜜璃と小芭内は連携攻撃で対応しようとした。

 

 

恋の呼吸 恋の呼吸 伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪

 

 蜜璃の関節の柔らかさを利用し、広範囲に刀を振るうものを猗窩座に対してより小さく威力を上げた技で中央に向ける。

 

 

蛇の呼吸 弐ノ型 狭頭の毒牙

 

小芭内の蛇を思わせる凄まじい闘気と共に、猗窩座のの死角から蜜璃の攻撃の合間を縫って蛇のようにうねる斬撃を放つ奇襲技により猗窩座の攻撃を逸らすものの止めきれずに少しでも蜜璃に向かう猗窩座を止めようとするも

 

「ぐはッ!」

 

猗窩座の凄まじい攻撃により小芭内腹を少し抉られ

 

「ぐうッ!」

 

二人の攻撃を受けて逸らしたものの猗窩座の激しい攻撃により蜜璃の攻撃を受けた斬られながら再生させつつ蜜璃も避けるが攻撃により肩から血を流すものの猗窩座に二人とも構えた。

 

 

 

(煉獄さん見ていて下さい!! 伊黒さんと一緒に貴方が教えてくれた剣技で必ず……)

 

「猗窩座!! 貴方を斬る!!」

 

「行くぞ猗窩座!!」

 

蜜璃と

 

「武の真髄を見せてやるぞ!!」

 

そして戦いは激しさを増す。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

「血鬼止めを!!」

 

「分かった!!」

 

その頃炭治郎のおかげで恋に目覚め ''鬼への恐怖心'' を克服した神崎アオイもまた無限城内にて治療をしていると

 

「カアーーーーー!! アオイすぐに!! 炭治郎達の元へ向かえ!! 炭治郎達が危ない!!」

途端に場が混乱するも他の隊士達が

 

「すぐに行くんだ!! アオイちゃん!!」

 

「恋人ならすぐに行け!!」

 

「ここは俺達に任せろ!!」

 

他の隊士達からの激励をもらい目頭を熱くなるもののすぐに動き

 

「皆さまありがとうございます!!

すぐに炭治郎の元へ!!」

 

そして愛する日輪の元へ

 

 

 

 




この度は更新するといいながらも長くなってしまい申し訳ありません。
近日中にも続きを更新させて頂くことをお許しください。

ではまた次回も宜しくお願いします。


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