特異点はヒーローを目指す (RyujiOturu)
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特異点はヒーローになるために一歩を踏み出す

ダンまちが全く書けないので逃げてきた所存。
文章が読みづらかったり飛ばしてある部分が多いのは目を積むってくだされ......

ともかく本編をどうぞ


 私は左手をグーパーし、しっかりと感覚があるかを確認する。

 

『さぁスタートだぁ!!! 実戦でカウントダウンなんてねぇぜぇ!!』

 

 スピーカーから大音量で響く声に、焦りながら走り出す他の受験生を尻目に悠々とスタートダッシュを決めていた私は黄金の鎧を身に纏い、煌めく細剣を二振り、手に握り、目の前に現れた一ポイントの仮想敵(ロボット)に二振りの細剣を振るい破壊する。

 他の受験生がようやく仮想敵(ロボット)と戦い始めたのをちらりと見て確認する。

 

「なかなか強い人が多いみたい」

 

 一人そう呟きながら私を取り囲むように現れた仮想敵(ロボット)を一瞥し二振りの細剣を構える。襲い来る仮想敵(ロボット)を私は全力で凪ぎ払った。

 

 

 両親が(ヴィラン)に襲われ死んでから私は一人で生きてきた。幸いにも両親が残した家とお金、そして保険金があったのでそこまで苦労せずに暮らすことはできた。と言っても遺産や保険金目当てにすり寄って来た親戚達を一蹴したときは爽快だった。

 通っていた界星中学も卒業し、高校に進む事にしたが、どこに進むかと考えていたとき教師に雄英高校に進まないかと提案された。

 数年前に中国で光る赤ん坊が確認されてから世界中で〈個性〉と呼ばれる超常能力を持つ者が現れ、世界人口の約九割が個性を持つようになった。

 しかし〈個性〉を悪用するものが発生し、それを[(ヴィラン)]と呼び、それに対抗するために〈個性〉を使い人を助ける者を[ヒーロー]と呼ぶようになった。

 雄英高校とは日本有数の[ヒーロー]育成高校。

 現在のNO.1ヒーロー〈オールマイト〉を排出した高校として有名で〈ヒーロー科〉と呼ばれるヒーロー育成を主にした学科には毎年数百人の受験生が受験をし、合格するのは僅か二十名だ。

 界星中学では学力一位でだいたいの高校は行けると言われていたが雄英は個性を使った試験がある。私の個性は強個性と言われるがそれもどこまで通じるかわからない。

 しかし、せっかく有名高校に行けるチャンスがあるならそれに挑むのもいいだろうと、私は雄英高校に進学することにした。界星中学初の雄英高校志願に教師は色めき立ち学友ですら気になっているらしい、私はそんな友人達に苦笑しながら勉強に励み、試験当日を迎えた。

 

「ここが、雄英......!」

 

 界星中学の制服に身を包み、リュックを背負って雄英の校門をくぐった私は高鳴っていた胸に手を置き深呼吸を一度し、試験会場に向かった。

 

 

 特に難しい問題もなく俺は次の実技試験のことを考えていたが周りを見れていなかったのだろう、不意に横の通路から出てきた金髪の女子にぶつかってしまった。

 

「わわっ!?」

 

「おっと」

 

 どんっとぶつかり金髪が揺れる。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、うん。ごめんねちゃんと見てなかった」

 

「いや、俺こそ悪い」

 

 ぶつかった女子はえへへ、と苦笑いを浮かべながら謝ってきたのでそれに短く答えて俺がその場を立ち去ろうとすると、

 

「ねえ、君の名前教えて? 私はジータ。蒼山ジータって言うんだ」

 

「......焦凍、轟焦凍だ」

 

「へー、轟ってことはプロヒーローの〈エンデ〉」

 

「それ以上言うな」

 

 あいつの名前が出てきたことで思わずその女子の胸ぐらを掴もうとするが、相手が女子だと言うこと、そして悪意がなく言っていることに気がつき掴もうとしていた腕をそっと下ろし女子の横をすたすたと歩いていく。

 なにかを言おうとしているのがわかったがそれに構わず俺は次の試験の為に説明会場に向かった。

 

 

 突然次の試験について説明をする会場に早足で向かった轟君に驚きながら私は何をしたのかと考えながら会場に向かう。私は競技場Bらしくそこに向かうルート等が書いてある用紙を見ながら特にすることもなかったので説明会場に向かう事にした。

 

『リスナーの諸君! 調子はどうだぁ!!??』

 

 相変わらずの大音量で会場を静まりかえらせる。それを気にせずにプロヒーローの〈プレゼントマイク〉は説明を続ける。

 真面目そうなメガネをかけた青年が質問していたりもしたがそれ以外は特に何もなく、私達受験生は試験会場に体操ジャージに着替えて向かった。

 

――競技場B――

 

 私は左手をグーパーし、しっかりと感覚があるかを確認する。

 

『さぁスタートだぁ!!! 実戦でカウントダウンなんてねぇぜぇ!!』

 

 スピーカーから大音量で響く声に、焦りながら走り出す他の受験生を尻目に悠々とスタートダッシュを決めていた私は黄金の鎧を身に纏い、煌めく細剣を二振り、手に握り、目の前に現れた一ポイントの仮想敵(ロボット)に二振りの細剣を振るい破壊する。

 他の受験生がようやく仮想敵(ロボット)と戦い始めたのをちらりと見て確認する。

 

「なかなか強い人が多いみたい」

 

 一人そう呟きながら私を取り囲むように現れた仮想敵(ロボット)を一瞥し二振りの細剣を構える。襲い来る仮想敵(ロボット)を私は全力で凪ぎ払った。

 合計撃破数はこれで五、一ポイントを三体、二ポイントを一体、三ポイントを一体で合計得点は八点。

 しかし私や轟君のように一人が何体も破壊してしまってはポイントを稼げない受験生もいるだろう、それも想定してあるとすると何か別にポイントを稼ぐ事ができる何か要素がある?

 そう考えながら巨大な片刃の戦斧を片手で握り、衣装は下着のようなものと狼の毛皮のようなものを被る。

 

「レイジⅣ!!!」

 

 戦斧を掲げ振り下ろすと、私を中心に橙色の波動が波紋のように広がり受験生達を包み込む。しかし受験生達の元につく頃には無色になり私の補助が効果を発揮したことに気がつかない。

 私は戦斧を担ぎ、近くにいる仮想敵(ロボット)に標準を合わせ接近する。

 それから数分後、一ポイントを二十体、二ポイントを十体、三ポイントを五体の合計五十五点とそこそこ稼ぎ、後は怪我をしてる受験生に白いバニーガールのような衣装で〈ヒールオール〉と言うRPGで言う広範囲回復魔法のようなものを使い支援をしていく。そうして粗方仮想敵(ロボット)を倒し終わったとき、

 ゴゴゴゴ......!!! と巨大な地響きを立てて何かが姿を現す。それは試験の内容について書かれた紙に記されていた0ポイントの仮想敵(ロボット)だった。

 

「いやいや、大きすぎでしょ」

 

 それが私の率直な感想だった。私と同じ感想を抱いているのか0ポイントの巨大な仮想敵(ロボット)を見つめている。

 私はグッと戦斧を握りしめ、0ポイント仮想敵(ロボット)に向けて走り出す。

 誰かが個性を発動させ0ポイント仮想敵(ロボット)を凍らせたが、すぐにその氷は破壊され一歩踏み出したがすでに私が足元にたどり着いていた。

 踏み出した足に戦斧を叩き込み、破壊する。

 体重をかけていた足を破壊されたことで大きく体勢を崩して前傾姿勢のまま倒れてきた0ポイント仮想敵(ロボット)に私は黄金の鎧に衣装を変え、顔面と思われる部位に跳躍し、双剣を振るう。

 強烈な衝撃が仮想敵(ロボット)を突き抜け、機能を停止させる。

 

『そこまでぇぇぇ!!!』

 

 自由落下運動に身を任せていた私の耳に〈プレゼントマイク〉の大声がスピーカーを通じて聞こえてきた。

 私は自分の今回の結果に満足しながら着地した。

 

 

「彼女、凄まじいな」

 

「個性を使った戦闘も一流ながら支援、回復までできるとは......」

 

「それになんとなくこの試験の本質にも気がついてる様子ですし、個性届けには今のところ十一種類は形態があると書いてあります」

 

「今回使っているのは三つ、後八つも手札があるとは」

 

「筆記も満点に近く、実技も過去最高と......」

 

「蒼山ジータの入学は決定でいいかね?」

 

 やけに高い声にその場にいた全員がうなずいた。

 

 

 試験から一週間、界星中学に私はひとつのディスクを持って来ていた。

 

「お、ジータ。久しぶりだな」

 

「お久しぶりです、泉同先生」

 

 母校に来た私を出迎えてくれたのは教頭をしていた泉同先生だった。それからすぐに私がいた頃の先生達が集まり、ディスクを見て目の色を変えて騒ぎたつ。

 それから全員で校長室に向かいディスクを開封する。そして全員が見える位置にディスクを置き再生させると、

 

『私が! 投影されたっ!!!』

 

 うわビックリした! 今投影されてるのって、〈オールマイト〉? え、なんで?

 

『なぜ私が投影されてるのか疑問だろう、今年から私も教師として雄英に就任することになった! その報告もあわせて私が君の合否を伝える!』

 

 雄英に〈オールマイト〉が就任するのか......じゃあ〈オールマイト〉が授業を? なんだか想像できない。

 

『さて、それじゃあ君の受験結果だが、筆記は文句無しの合格。そして実技は撃破点五十五で合格ラインに達しているがそこに救助点が入る。君は気づいていたのかわからないが他の受験生を回復させたり撃破を補助したりしていた、よって救助点は四十八点の合計百八点で堂々の主席合格だ!』

 

「「「「「「「「主席!!??」」」」」」」」

 

 そこで校長室がワッと沸き上がる。教師どうしで手を叩き私の合格を喜ぶ。その騒ぎで最後の部分が聞き取れなかったもののまさか私が主席で合格できるとは思っていなかった。

 その日から界星中学は雄英高校に合格者を出したと言うブランドを存分に使い多くの生徒を獲得したとか。

 

 

 合格発表後、界星中学を卒業し数週間。

 私は親戚に親の残してくれた家を譲渡し、雄英の近くにアパートを借りて引っ越しを終えた私は入学式当日を迎えた。

 真っ白のシャツに真っ赤なネクタイをピシッと締め、グレーのブレザーを羽織る。緑色のプリーツスカートを着て鏡の前でくるりと回りおかしいところがないことを確認して水筒等を入れたリュックを背負い家を出る。

 少し早く家を出たせいか人とはあまり会わず雄英高校の校門に到着する。巨大なビルのような校舎に圧倒されながらも校門をくぐり校舎に入る。そして私は〔1-A〕と書かれた教室に向かったのだが、やけに扉がデカイ、そしてものすごく軽い、異形系の個性にも配慮されているのか......すごいな。

 

「誰もいない......? ってこんなところに寝袋が......」

 

 私の席だと思われる場所に持ってきたリュックを置いて教室を見て回っていると寝袋が教卓の後ろに落ちていた、しかし膨らんでいて誰かが入っているのかも知れない。

 

「む、ぼ......俺より早く登校している人がいるとは」

 

 どうしようか迷っていたところメガネをかけた、実技試験の説明の時に質問をしていた青年が登校してきた。同じクラスなのか、

 

「やぁ、おはよう。私は蒼山ジータ。よろしくね」

 

「あ、ああ。おはよう。僕は飯田天哉だ」

 

 生真面目な性格なのか私のいきなりの自己紹介にも返してくれる。私は飯田君と試験について聞いたりしていたがどんどんと他の合格者も登校してきて、教室が騒がしくなって来たとき、

 

「はい、静かにー......君たちが静かになるまでに八秒もかかりました。不合理だ......それじゃあこれ来てグラウンドに出て」

 

 寝袋が起き上がり顔だけ出した男の人――おそらく教師だろう――が一番近くにいた私に青に白いラインが入った体操ジャージらしきものを渡してきた。

 

「いきなり! ガイダンスは!」

 

 ビシッと手を上げて飯田君が寝袋の人に質問をすると、

 

「そんなことをしている暇はない、いまや超常社会。すぐに戦力が欲しい。だから個性把握テストを行う」

 

 そう言うとさっさと行けと言ってどこかへ行ってしまう。私は全員に体操ジャージを渡して更衣室に向かった。

 

 

「おいジータ。お前中学の時のソフトボール投げの記録はなんだ」

 

「えっと80mです」

 

「なら個性を使って投げてみろ」

 

 え? と疑問に思いながらも渡されたボールを握って感覚を確かめ個性を発動させる。すると体操ジャージから狼の毛皮のようなものを被った薄着に衣装が変わる。

 

「投げますよ?」

 

「ああ、さっさと投げろ」

 

 寝袋を脱いだ教師に言って円に入る。そしてゆっくりと助走をつけ、全力で振りかぶる。

 ブンっと風を切る音と共に風圧が髪を揺らし高速で投擲されたボールはすぐに見えなくなった。

 

「記録は、905.2m」

 

「「「「「「905.2m!!!???」」」」」」

 

 乱れた髪をそっと整え体操ジャージに衣装が戻った私の元に赤髪の青年がやって来て

 

「すげえじゃねぇか! 俺は切島! あんたは?」

 

「私は蒼山ジータ。よろしくね」

 

 切島君と握手をし回りを見てみると個性を存分に使えるとウキウキしているようだったが、次の教師の発言に凍りついた。

 

「そうだな、ならトータル最下位は除籍処分にしよう」

 

 除籍処分と言う言葉に一瞬で緊張が高まり、全員の表情が固まる。私はそれを見ながら教師をどこかで見たことがある気がして誰だかを思い出していた。

 

     ――第一種目・握力――       

 

 狼の毛皮を被り〈レイジⅣ〉を使って記録は72kgとそこそこだった。

 

    ――第二種目・反復横飛び――    

 

 青く光る犬のようなつけ耳と黒いピチッとしたタイツの衣装に変わりそこそこの早さで行った結果128回だった。

 

    ――第三種目・長座対前屈――

 

 普通の体操ジャージで行った結果は75cmと普通だった。

 

     ――第四種目・50m走――

 

 反復横飛びと同じ衣装で走り3.14秒だった。

 

    ――第五種目・上体起こし――

 

 これも体操ジャージで行い結果は38回。

 

    ――第六種目・立ち幅跳び――

 

 これは反復横飛びと同じ衣装で3m71cmだった。

 

     ――第七種目・持久走――

 

 体操ジャージで走り1500mを3分41秒だった。

 

   ――第八種目・ソフトボール投げ――

 

 これは最初に投げた記録で私は記録を取らなかったが最後の一人、ほんのりと黒っぽい緑色の癖毛が印象的な男子生徒は一回目を投げるが普通の記録でなぜか手を見つめなにかをぶつぶつ呟いていた。

 そして二回目、さっきと同じフォームと力の筈だが、記録は凄まじく伸びて708.5mといい記録を出していたが指が赤黒くなり、使い物にならないだろう。

 

「君、大丈夫?」

 

「え? うわわっ!?」

 

「骨は砕けてそうだし、筋肉を裂けてそう......個性を制御しきれてないのかな......とりあえずヒールオールかけておくね」

 

 そっと近付き指を見ると酷いもので〈ヒールオール〉をかけてもちゃんと治らないだろう。

 

「うわ、怪我が治っていく......凄い個性だね」

 

「指は大丈夫? 私は蒼山ジータ。君は?」

 

「僕は緑谷出玖、怪我を治してくれてありがとう」

 

 緑谷君と言うらしい、私は体操ジャージに衣装を戻してヒールオールの調子を確認する。ちゃんと機能しているようで安堵する。

 それから出玖君は医務室に向かったようで私達は更衣を終わらせて教室にいたが、

 

「ねーねー、私芦戸奈々って言うんだ! 君はなんて名前なの?」

 

 目に見えて異形系の個性なのだろう、肌が紫色ではつらつとした彼女は芦戸と言うらしい。

 

「蒼山ジータだよ、芦戸さん」

 

「ジータさん......どこかで聞いたことがあるような......」

 

 黒髪でスラッとしている人が私を見てなにかを思い出しているようだが私は彼女にあった記憶はない......

 

「ケロッ、ジータちゃんよろしくね。私は蛙吹梅雨よ梅雨ちゃんと呼んで」

 

「今日の個性把握テスト凄かったね! 私は葉隠透っていうんだ! 見ての通り透明人間だよ!」

 

 蛙っぽい黒髪の子は蛙吹さん。制服が浮いているだけに見える彼女は葉隠さんと言うらしい。

 

「梅雨ちゃんに葉隠さんもよろしくね、好きに呼んでいいよ」

 

「思い出しました! 界星中学校の神童ですわ! そして今年の主席入学の!」

 

「「「「「主席!!??」」」」」

 

 いきなり考えていた黒髪の彼女がそう言い全員が私を一斉に見る。

 

「そんなに凄い人なん!?」

 

「そんなに凄い人なんだ......」

 

 回りの女の子がそう言うなか二人の男子が乗り込んできた。

 

「てめぇが主席だとぉ!!??」

 

「あんたが主席だったのか」

 

「あ、轟君......ともう一人は?」

 

 片方は試験日に出会った轟君でもう片方は髪が爆発していて、なんだか性格も爆発していそうな人で、

 

「俺は爆豪だ! で、てめぇが主席なのか! あ!?」

 

「主席だけど、何かある?」

 

「あるに決まってんだろ!! 俺はオールマイトを越えるんだ! こんなところでつまづいてる暇ねぇんだよ!」

 

「おい、静かにしろ」

 

 爆豪君が私に掴みかかろうとしたときに、あの先生が来る。今回は寝袋に入ってないけど......あ!

 

「思い出した! アングラヒーローのイレイサーヘットだ!」

 

「静かにしろと言った、ジータはあっているが静かにしろ」

 

 怒られてしまい苦笑を漏らすしかできない。

 

「そうそう、さっきの個性把握テストの除籍だが、あれは合理的虚言だ」

 

 その言葉に全員が脱力している、しかし私はあの言葉が嘘には聞こえなかった。その後は特に何もなく帰宅した。

 

 

 翌日、前日と同じように登校して授業を受けるのかと思いきや、

 

「私がーー普通にドアから来た!」

 

「「「「「「「オールマイト!!」」」」」」」 

 

「HAHAHA!! 私もここで教師として働くことになったのでね! そして今日が初めての授業だ!」

 

 その後長い話があったがようやくするとヒーロー側と(ヴィラン)側に別れて実戦をすると。場所は屋内、(ヴィラン)側がビルのなかに核兵器を設置したのでヒーロー側は(ヴィラン)側を確保するか核兵器にタッチすればヒーロー側の勝ち、ヒーローが確保されれば(ヴィラン)側の勝ちとなる。

 他には生徒一人一人にコスチュームが配られたことか。

 私は黒を貴重とし左側に紫色の角のような装飾とへそ回りを露出した衣装でマントも一応はついている。

 私達は競技場βに移動しペア訳をした、その結果は、

 

「出玖君がペアか、よろしくね」

 

「わ、ジータさんがペアなんだ! よろしく!」

 

 出玖君とペアになりヒーロー側になった。相手は爆豪君と飯田君だ。出玖君曰く爆豪君の個性は掌から出る汗が爆発するらしい、飯田君の個性は個性把握テストの時にわかったがエンジンのようなものが太ももについているようだ。

 出玖君が爆豪君と戦いたいと言っているがなんだか私の所に来そうな予感がある。その事も伝え戦闘になった場合は無理はせずに戦うことになった。

 

『次は緑谷&蒼山ペア対爆豪&飯田ペアだ!』

 

 オールマイトの声がスピーカーから響き私は準備を進める。

 

「そういえばジータさんの個性はなに?」

 

「ジータでいいよ、私の個性は〈戦闘適応(ジョブチェンジ)〉。衣装が変わったり武器が変わったりで見極めて。後でちゃんと説明する」

 

「あ、うん」

 

 私は禍々しい剣を握り感覚を確かめる。ちゃんと力も使えるのを確認し、ゲートの前に立つ。

 

『それではスタートォォォ!!!』

 

 オールマイトの合図と共に私と出玖君はゲートをくぐる。

 私が先行しビルのドアをほぼ無音で切り裂いてなかに侵入する。

 素早く周囲を確認し、誰もいないことを確認して出玖君を呼ぶ。私は先に上の会に行こうとするが、横から誰かが迫ってくるのがわかった。

 

「死ねやくそ女ァ(アマァ)!!」

 

 真横の通路から襲撃してきた爆豪君の掌から爆発が起き、それを急いで剣を盾にして防ぐ。

 

「私はジータって名前があるんだけどっ!」

 

 防いだ後に接近していた爆豪君に剣を振るう。

 爆煙で見えない筈なのに爆豪君はコスチュームの右腕の部分についていたグレネードのようなもので防ぐ。

 

「知らねぇよ、くそ(アマ)がぁ!!」

 

 剣を防いでいない左手のひらが炸裂する。

 ように見えたが、その爆発は私の前に張られた透明の壁の前で起きていた。

 私の左手にはさっきの禍々しい剣ではなく綺麗に装飾された左右対称の直剣を握っていた。

 

「ちぃっ!!」

 

 素早く私の前を離れた爆豪君は後ろに下がった後、壁を蹴りすぐに私に突撃をしてくるが私はすでに細剣を両手に持ち突撃してくるのを予想していた。

 まっすぐに突っ込んできた爆豪君に、私は細剣を交差するように振るう。その斬線は爆豪君に向かって飛んでいく。

 それを爆豪君は見てから空中で爆発を起こさせ、その余波で回避するのだから恐ろしい。

 しかしそれに意識が向いた爆豪君に私は接近し、顔面を蹴り飛ばす。対応しきれなかった爆豪君は面白いように吹き飛び、しかし壁にぶつかる直前で身をひねって蛙のように壁に張り付くとまた向かってくる。

 私は手首に金のメダルがついたバンドをつけ、北斗流の構えをとる。

 爆発を使って加速した爆豪君は左のフックをしてくる。ように見せかけて(・・・・・・・・)右のストレートが飛んでくる。

 しかし私はそれを出玖君から先もって聞いていた。

 右ストレートをかわして腕を掴み、背負い投げの要領で地面に叩きつけ、その腕に捕縛バンドをつける。

 

「爆豪君、最後は出玖君と私の勝ちだよ」

 

 地面に埋まった爆豪君に勝ち誇った笑みで私は胸を張ってそう言った。

 

 

 その後は出玖君が飯田君と戦っている間に後ろから核にタッチをして勝利となった。




主人公の見た目はグランブルーファンタジーの女主人公のジータのまんまです。

オリ主の個性についての補足


個性名[戦闘適応(ジョブチェンジ)

グラブルのジョブチェンジシステムが個性になったもの。見た目が変わってジョブの特性を得る。特殊な服を着ていると見た目は変わらないが手に持つ武器が変わる。
武器は最終強化済みの英雄武器(検索推奨)
見た目はクラスⅣのジョブの見た目(検索推奨)
コスチュームは統べスキン(検索推奨)


感想評価等いただければ幸いです
それではこれぐらいで、また次回作に


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特異点はヒーローの卵としてヴィランと戦う

どうもニャラルトフテフです。

更新がどんどん遅くなる→何を書こうとしていたのかを忘れる→とりあえずで書く→変なのが出来上がる←(イマココ)

こんな感じでできたものです。全く話が思い浮かばない......これもダンまちも。

それでは本編をどうぞ


「突然だがクラス委員を決めてもらう」

 

「本当に突然ですね相澤先生」

 

 クラスが騒がしくなるなか、相澤先生の正面にいた私はそう言う。

 

「前もって言う必要はない、それにすぐに決まるとも思えん」

 

「それもそうですね」

 

 私を除くクラス全員が手をあげているいる状況に苦笑を漏らす。

 私としてはクラスをまとめるんだから人望がある人がなるべきだ。自分に票を入れるようならまだまだ回りが見えていない。

 

「た、確かにその通りだ! 僕がわかっていなかった! さすが主席だ蒼山君!」

 

 唐突に飯田君がいつもの大きな声でなぜか私を誉める。クラスの大半が私の方を見て確かに......と言わんばかりに頷いている。

 

「あれ......相澤先生、私、声に出てました?」

 

「ああ、バッチリな」

 

 恥ずかしいっ! 心の中で思ってたつもりの事を口に出してたなんて!

 

「言っていることは確かですわね......」

 

「おい、そろそろいいか? じゃあ投票を始める」

 

 相澤先生の一言でクラス内が一瞬で静かになり投票が始まる。そしてその結果は......

 

 クラス委員長 六票 蒼山ジータ

 副委員長 三票 緑谷出玖

 

「「なんで私(僕)っ!?」」

 

「という訳だ......明日は〈USJ〉に行く。コスチュームをわすれるなよ」

 

 

「なんで私が委員長に......誰だぁ、私に投票したやつぅ」

 

 ぐた~っと食堂の机で伸びているジータさんを見て僕達は思わず苦笑が漏れる。こういうところは僕達よりも年下じゃないかと思うぐらいには行動が幼い。

 

「僕は緑谷君に投票したよ、ジータ君も凄いとは思っているけど、緑谷君の観察力は凄いからな」

 

「あ、私も緑谷君だ、なんかすごく信用できるから」

 

「ケロッ、私はジータちゃんね」

 

「むぅ! お前か私に入れたのは~! この~」

 

 蛙吹さんと飯田君、麗日さんが僕達と同じ席に座ってそう言えば、ジータさんは隣に座った蛙吹さんを抱きしめもみくちゃにする。と言ってもじゃれるようなもので蛙吹さんもそこまで嫌がっている様子はない。ものの数分でジータさんは蛙吹さんを解放し、ごめんね? と謝っていた。

 

「あっ! そう言えば個性について聞いてなかった!」

 

「あっ、忘れてた!」

 

 あっけからんと笑いながら忘れてたと言うジータさんに回りから笑いが漏れる。それからジータさんに個性について聞いたんだけど......

 

「11の形態があって、それぞれ特徴が違う......それに性格まで少し変わる......なんだ思ってた以上にハチャメチャな個性だね......」

 

「アッハッハ......うん、私もそう思う」

 

 僕の言葉に笑うジータさんだったが目が死んでいた。そうとう苦労してきたんだろうな......。

 

「まぁ、強いと言われる個性だけどまだまだだよ私は」

 

 苦笑いを浮かべながらそう言うジータさんの顔にはなんだか過去を懐かしむような色が見えた。

 

「じゃあ、私はご飯も食べたしもう行くね」

 

 スッと立ち上がりいつも浮かべる笑顔を浮かばせながらジータさんは食堂を出ていった。それから時間が迫っていることに気がついた僕達も急いで昼御飯を食べた。

 その直後に不法侵入者を感知したときのアラームがなって騒動が起きたのだけど、飯田君が文字通り体を張ってその騒動を納めた。

 

 

 翌日、朝に緑谷君たちがマスコミに捕まっているのが見えたので雄英ガードの中まで一瞬で引きずり込んで助けた。

 

「マスコミにも慣れとかないとねー、大丈夫だった?」

 

「すまないジータ君、助かったよ」

 

「ごめん、マスコミってあんなにしつこいんだね......」

 

 雄英ガードの奥で誰かが来たのかあわただしくなるマスコミを尻目に私は耳郎さん達と教室に向かう。二人は初めてのマスコミに相当緊張したらしく耳郎さんはイヤホンジャックが時折ピクピクと震え、飯田君はいつものカクカクとした動きがさらにカクカクになっていた。下手なロボットダンスよりも動きが固かった。

 しかしだ、緊張が解けていない二人を見ると驚かせたくなってしまうのは私の悪いところだとしっかり自分でも理解しているが......結局は直せない。

 前を歩いている耳郎さんの背後に気配を消して近づく。耳郎さんは教室が近づいてきたのに安心したのか緊張が和らいでいる耳郎さんの脇下から腕を前に回し、うっすらと膨らんだ胸を揉む。

 

「うひゃぁっ!?」

 

「気にしてそうなわりにはわかるぐらいにはあるじゃないの耳郎さん~」

 

「なっ、何してるんだジータ君!?」

 

 飯田君がいるにも関わらず堂々とセクハラをする辺り私も変人だとは思うが一目見たときからこのセクハラをしたかった。ヤバいただの変態だここだけ見たら。

 

「ちょっ、あふっ、やめっ......やめろっ!」

 

「わっと、ごめんごめん。なんだか緊張してるの見ると悪戯したくなるっていうか......」

 

「に、にしても考えてくれ! 僕は男だぞ!?」

 

「アハハ......緊張を解こうと思ってだったんだけどね~」

 

「「やり過ぎ(だぞ)!!!」」

 

 二人にわりと真面目に怒られたので一時はやめようかな......残念。だけど緊張はほぐれたのか耳郎さんのイヤホンジャックはゆったりとしてるし飯田君の動きもずいぶんと人間ぽくなった。

 

「さてさて、今日もがんばりますかねぇ」

 

 私の言葉は二人には聞こえなかったようで、私もすぐに二人の間に飛び込むようにして動いたのでその言葉は虚空に消えていった。

 先日は雄英ガードも崩壊させられ--文字通り崩れていたのだ--ちょっとした騒動もあった。マスコミが雄英の敷地内に入ってきた訳なのだがそのときに飯田君が体を張ってパニックを納めたのは凄いとシンプルに思った。それ以上に笑いそうになってしまったが。

 とまあそんなこともあって私はうまく飯田君に学級委員長をパスして肩の荷が降りたと意気揚々とコスチュームに着替えてバスに乗り込もうとしたのだが......

 

「皆! 番号順に二列に並んでおくんだ! そうした方がバスの席に座りやすいからな!」

 

 おおぅ、飯田君がしっかり委員長している。しかしな~先にバスの席見せてもらったんだけど窓に背を向けるような自由座席なんだけど、言わなくていっか!

 そしてバスが来て思っていた座席と違い悲しんでいたがそれを尻目にどっかと真ん中に座る。

 私の右には轟君と緑谷君。左に爆豪君と切島君。男衆に囲まれちまった。

 目の前の座席にはお茶子さん、耳郎さん、梅雨ちゃんに私の恥ずかしい呼び名で呼んでくれた黒髪の--八百万百(やおよろず もも)と言うらしい--彼女と芦戸さんだ。

 他の皆も後部座席に座っており、各々好きなように喋ったりしている訳だが......

 

「なぁ、ジータ......」

 

「ジータでいいよ轟君。それで、なにかな?」

 

「いや、あんたの個性はどんなものなのか全くわからない......だから直接聞こうかと思ってな」

 

「あー、私の個性? 移動時間で説明しきれないと思うよ? 11形体あるから」

 

「それでもいい、よく使ったりするやつだけ教えてくれたら」

 

「ん、わかった。それじゃあまず〈クリュサオル〉から......」

 

 私がよく使う順に淡々と説明をするのを両脇の二人が真剣に聞き入り、バス全体も少し静かになっているが私は説明を続ける。そして5つ目の〈ハウンドドッグ〉の説明を始めようとしたときに〈USJ〉についたのだが、

 

「思ってたのと違う!」

 

 外見から東京ドームのような、〈USJ〉のユの字もない外見に中は水害、倒壊、火災等々、さまざまな災害を再現したような場所だった。

 そしてここの管理者のプロヒーロー〈13号〉先生が作ったらしく、個性をしっかりと理解して使うようにと先達からのお話を聞いたのだが......中央のホールに黒い渦が現れたのが私の視界に入った。そこからは顔面を手のレプリカで覆った白髪の男と脳を丸出しにした屈強な男。そして大量の(ヴィラン)と思われる人達がわらわらと現れた。

 

「〈13号〉! 今すぐ生徒たちを安全な場所まで避難させろ!」

 

 咄嗟の指示に困惑するみんなには悪いけど、相澤先生を一人で戦わせる訳にはいかない。

 

「相澤先生!」

 

「ジータ!? 待て! お前は避難していろ!」

 

 一人で飛び出そうとしていた相澤先生より先に私は(ヴィラン)の塊に突っ込んでいく。

 

「まさか一人で飛び出して来るとはなぁ! 射撃隊打てぇ!!」

 

 戦闘にいた(ヴィラン)達から何かが発射されるが、両手に現れた細剣を振るって斬線を飛ばし、射撃隊と思われる(ヴィラン)複数名を発射された何かと共に凪ぎ払う。

 吹き飛ばされた(ヴィラン)を押し退けながら異形系の個性であろう屈強な男が二人がかりで襲ってくるが機械でできた弓に武器を切り替え足元に気付かれないようにチャフを設置する。

 それに気がついているのかいないのかはわからないが異形系の男二人が私に目掛けて豪腕を振り抜くがその一撃を軽々と回避し、設置しておいたチャフを起動させる。チャフは黒煙を上げて爆発し、異形系の(ヴィラン)を大きく吹っ飛ばし、黒煙が少し残る。

 

「オイオイオイィ!!?? 横ががら空きだぜぇ!?」

 

 残った黒煙を避けるようにして接近型の個性なのだろう(ヴィラン)が右側から強襲をかけてくる。

 知覚はしていたため落ち着いて突き出してきた拳を細剣でそらし、もう片方の細剣で横凪に振るう。

 そのまま追撃を決めようとしたとき目の前に真っ黒の霧が現れる。それが(ヴィラン)の個性だとわかったものの回避できない。私に影響する個性への異様なまでに高い耐性も機能せず相澤先生の私を呼ぶ声が聞こえた直後にどこかに飛ばされる感覚に吐きそうになった。

 

 

「ジータっ!!!???」

 

 相澤の声に避難しようとしていた生徒達は一斉に振り向く。しかし目に写ったのは(ヴィラン)の個性によってどこかに飛ばされる彼女の姿だった。

 

「〈13号〉後は任せたっ!」

 

 後輩に任せて|敵〈ヴィラン〉の集団に突っ込む相澤は捕縛布を巧みに操り(ヴィラン)を組伏せていくプロヒーローとしての姿を見ていた生徒たちの前にジータをどこかへと飛ばした個性を持つ黒い靄で覆われたような(ヴィラン)がワープして現れた。

 

 その頃どこかへと飛ばされたジータは......

 

「ちょっと多くないっ!?」

 

 おそらく地震などの災害で倒壊した建物が多い都会を再現したのだろう場所でさっき戦っていた(ヴィラン)よりも多い数の(ヴィラン)集団と戦っていた。




いかがでしたか?

何度もヴィランのルピを振るのが面倒になってきたこの頃......さてさて、そんな愚痴はさておきオリ主の個性について新情報が出ました、これからあとがきでは軽くオリ主の個性についてや独自設定について解説(のようななにか)を書きたいと思っています。

 個性耐性

 人に備わる自身に対して影響を及ぼす個性への抵抗力のこと。オリ主は異常にこの個性耐性が高く大半の個性は無効化できる。



感想、評価等いただければありがたいです。
それではこれぐらいにしてまた次回に!


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戦いの余韻残るまま特異点は次なる戦いに高ぶる

お久しぶりですニャラルトです。

懺悔します。私はコロナのせいで外出もできず、家でグダグダしてばっかりで全くこの小説を書いていませんでした。

今回はそこそこ長めです(約9000字ほど)
それでは本編をどうぞ


「これで終わり? つまんないなぁ」

 

 倒壊した建物が辺りに並ぶ荒地で柄頭から青い布が二つ伸びる細剣を左手で握り、蒼い刃身に金色の装飾が施された直剣を右手で握る少女が両手の剣を弄びながらそう呟く。

 彼女の回りには大の大人が倒れ付しており、少女が握る二つの剣によってつけられた切り傷が全身に走っており、血は流れていないものの、気絶していたり、激痛に悶えて倒れているもの、それぞれに多少の違いはあるものの全員が地面に倒れ付し少女以外に立っているものはいなかった。

 

 

 ジータさんが(ヴィラン)の個性か何かで消されてしまった後、相澤先生が残った(ヴィラン)の集団に突っ込んで行った。

僕達は入口付近で13号先生に庇われるようにしてその場に止まっていた。相澤先生の個性は見た人の個性を消却する。異形系だったりには効かないらしいけど、それでも身のこなしで大量の(ヴィラン)を捌いていた相澤先生だったけど、不意に僕達の前に真っ黒な霧のような何かで全身を覆った、いや、全身が真っ黒な霧の(ヴィラン)がワープしてきた。

 

「始めまして、雄英高校の皆様。今日この場に参上したのは、平和の象徴〈オールマイト〉に死んでいただく(・・・・・・・)ためです」

 

 言外にオールマイトを殺しに来たと言う(ヴィラン)に戦慄する僕達だったが、どうにか動揺を抑え込み、ワープゲートの個性であろう(ヴィラン)を見る。

 13号先生は相手から見えないように個性の発動を制限するセーフティーをカパッと外して隙を伺う。そして(ヴィラン)が台詞を言い終わる前に13号先生が指を(ヴィラン)に向けるが、その前に個性を発動させたかっちゃんと切島君が殴りかかる。

 しかし殴り付けた腕は黒い霧、おそらくワープゲートになっているのだろう腕で止められ、いや腕だけを別の場所にワープさせられた。

 

「話を最後まで聞きましょうか、雄英生」

 

 そう呟いたと同時に黒い霧が一斉に広がる。それは僕や近くにいた峰田君も包み込み、水の上にワープさせられた。

 

「うわわわっ!?!?!?」

 

 水面に叩きつけられ、身体の左側に鈍い痛みが走るがそれよりどうにかして陸地に上がろうともがき、目を開けると、目の前には鮫のような見た目の(ヴィラン)が......

 

「モガガガッ!?!?!?」

 

 慌てて水の中から這い出ようとするが、それよりも早く、(ヴィラン)の牙が僕を捕らえようと迫る。

 だけど次の瞬間に僕を襲ったのは痛みではなく浮遊感で、

 

「けろっ、大丈夫かしら? 緑谷ちゃん」

 

「あ、蛙吹さん!?」

 

「梅雨ちゃんと呼んでちょうだい、とりあえずあそこの船に避難するわ」

 

 蛙吹さんの舌で、絡めとられるように水中から出された僕は近くにあったおそらく難破船の設定なのだろう船の上に避難させられた。

 

「つ、梅雨ちゃん、ありがとう」

 

「けろっ、無理しないでも大丈夫よ」

 

 蛙吹さんは油断なく水面を見ながら返答を返してくれる。僕もそれに習い水面を見ていると......

 

「へぇ、水中で強い個性か面倒だなぁ、鮫っぽいのもいるし」

 

「!? ジータさん!?」

 

「やぁ、出久も飛ばされたのかな?」

 

 不意に耳元で呟かれたよく聞く声音とは違う声に驚きつつも横を見れば、そこにはやはりジータさんの姿があった。

 

「水中にいられると困るなぁ、あんまり面攻撃は得意じゃないからなぁ......」

 

 そう呟くジータさんは少し考えた後一瞬のうちに衣装が変わっていた――その一瞬の間に真っ白なパンツが見えてしまったのだが――衣装が変わったあとのジータさんの姿は黒いとんがりが途中で折れたつばの広い帽子と、黒いゆったりとした膝したまであるローブ、そして膝上から足全体を覆うブーツ。

 そして良くある悪魔の羽を模した装飾のついた杖を片手で持って、水面をまた見つめていた。

 

「ええっと、ジータさん、その衣装は......?」

 

「これは、ウォーロックって言って魔法みたいな事が出きるよ」

 

 そう言って何かを唱えると、ジータさんの手のひらの上に拳大の大きさの六色の球体が出現し、くるくると回転し始める。

 回転し始めた球体は速度をどんどんと上げていき、一つ一つの球体が見えなくなってきたくらいでジータさんはそれを水面に投げつける。

 投げられた球体一つに重なったかと思うと水面で大爆発を起こして大きな水柱をあげる、それで三人ぐらいの(ヴィラン)は倒せたみたいだったけど、まだ水中には(ヴィラン)がいるみたいだった。

 

「うーん、ダメか、何発も打てる訳じゃないし」

 

 僕が考えていると、何かがビタンッ! と叩きつけられる。

 僕とジータさんはその音に反射的に振り向くとびしょ濡れの峰田くんが倒れふしていて、ジータさんはそれを見て何かを考えている素振りを見せたあと、また一瞬のうちに衣装が代わり――今回は目線を反らしていた――次は真っ白なバニーガールのような衣装になり、

 

「〈ヒールオールⅢ〉」

 

 峰田君の身体をペタペタと触り、少し首をかしげながらも僕にも使ってくれた回復魔法のようなものを峰田君にかける。

 

「ありがとな、ジータ! ついでに胸も......」

 

「いいですよ、でもこの状況を抜けてからです」

 

「マジで!?」

 

 いろいろと不穏な言葉は聞こえてくるが、無視を決め込む。僕が状況を打開しようとずっと考えていると、ツンツンと頬をつつく指があった。

 

「ふぇっ!? ジータさんっ!?」

 

「あはは、緊張はほぐれた? 緊張してたみたいだからね~。ちょっと悪戯したくなっちゃった」

 

 そう言いながらも油断なく水面の方を見て、適度に風の塊のようなものを投げつけて牽制するジータさんは僕に峰田君の個性について教えてくれた。

 ジータさん曰く頭の髪のような物体がもぐことができ、それがとてもくっつくらしく、同じ物体どうしでぶつけると異様な反発を見せるとか。

 だけど、それを見た僕の頭の中に一つ今の状況を打開する方法が思い浮かぶ。

 

「ジータさん、空中にいる間に攻撃が来たら守ってもらえますか?」

 

「何か策があるんだね、了解。任せて」

 

 そういうとジータさんはほぼ下着のような鎧――ジータさん曰くだけど――と、金ぴかの兜の衣装に円型の大きな盾、そして左右対称の装飾が少しだけ施された直剣を持つ、〈スパルタ〉と言うらしい衣装に着替えたジータさんに僕の近くに来てもらい、蛙吹さんに舌で僕とジータさんを纏めて縛ってもらう。峰田君はジータさんが捕まえている。

 僕は蛙吹さんを見て頷き、大きく跳躍してもらう。

 

「いくぞ! 〈ファランクスⅢ〉!」

 

 そして湖の中央あたりまで跳んだタイミングでジータさんが薄い障壁を出現させて、下から飛んでくる攻撃を防いでもらう。

 そして僕は指が壊れるのも躊躇わずに水面に向けて、ワンフォーオールを使ってデコピンの要領で衝撃波を打つ。

 使った右手の中指はぼろぼろになって、激痛が走るが僕はその衝撃波で水面にぽっかりと穴が開き、そこに水が流れ込むことで渦潮のようなものが発生する。

 

「うおりゃぁぁぁっ!」

 

 そして峰田君の個性を使ってもらって、渦潮の中心に集められた(ヴィラン)達がくっついて拘束される。

 

「よしっ!」

 

 痛む右手ではなく左手でガッツポーズを取る僕と頭から血を流しながらも(ヴィラン)達を退けたことを喜んでいたが、ジータさんが中央の広場を見て顔色を劇的に悪くする。

 

「梅雨! 我だけおろせ!」

 

「けろっ!?」

 

 突然、命令口調でそう言われ、反射的に拘束を緩めた蛙吹さんの舌から抜け出たジータさんは衣装が変わって――今回は驚くほど早く変わっていた――いて、中央広場に立っていた鉄塔を、手に持っていた蒼く光るラインのある機械仕掛けの弓でワイヤーのついた矢を射つ。

 寸分の狂いなく、鉄塔に突き刺さった矢はジータさんがワイヤーを引っ張ることで、返しが鉄塔に食い付き、ワイヤーをグッと引っ張ったジータさんはそのまま振り子のようにして中央広場に着地する。

 僕達も多分、水害のゾーンを抜けて中央広場の近くの岩場に身を隠してそっと中央ゾーンを見る。

 するとそこには脳を丸出しにした異形で、屈強な体の男が相澤先生を組伏せ、左腕を折っているところだった。

 

「先生の上から退けぇっ!!!」

 

 そしてその異形の男に向かって巨大な片刃の斧を片手で持ち、襲いかかる。

 ジータさんの衣装は最低限の部分を隠す装甲と、腕と脚を覆う少し厚めの黒い装甲にいつの間にか変わり、荒々しい連撃で異形の男をどんどん押していく。

 異形の男も拳で反撃しようとしているのだが、それに合わせてジータさんは斧を振るって弾き、異形の男の体に傷をつけていくが、それよりも早く傷口が閉じていく。

 対するジータさんは直撃こそ受けてないものの斧と拳がぶつかり合うときの衝撃や異形の男の攻撃が掠めたりして、傷が増えていく。

 それでもジータさんは狂戦士の如く咆哮を上げ斧を振るい、真っ向から向かい合い衝突する。

 

「っ! 僕達に何かできることは......っ!」

 

「緑谷ちゃん、私達にはあの戦いに割って入ることは無理よ」

 

 僕もどうにかして介入しようと策を巡らせるが蛙吹さんに止められる。あの凄まじい速度で繰り出される拳と斧の速度は僕には見えない。

 それこそ、僕が憧れるオールマイトの繰り出す拳撃と近い、それと同じ速度で繰り出されている攻撃の中に僕が入っていって何ができるかどうか。

 僕はジータさんの戦いを見守ることしかできなかった。

 

 

 高速で右上から繰り出される拳に合わせながら斧を叩きつけて弾き、左下からアッパー気味に繰り出される拳は身体を少し反らして避けながら空いた体に斧を叩きつけ、大きな傷をつけるがそれもすぐに修復される。

 この男の奥にいる手のような何かをを身体中に着けた悪趣味な見た目の男が指示を出しているのか、それが真実なのかはわからないがアタシは目の前の男に意識を向ける。

 すでに体はボロボロで後二分も持ちそうにない。それまでに飯田が間に合えばいいけどそう上手く行くわけもない。

 

「脳無! さっさとその女を片付けろ!」

 

 後ろの男が喚き、その声に反応したのかさっきよりも速い拳を一瞬のうちに15発以上打ってくる。私はそれを弾き反らし、拳が来ない僅かな隙間に入り込んで拳を避け、反撃に斧を振るって傷をつけていくがそれを厭わずに連撃を繰り出してくる男は生物なのかどうなのか怪しいが、アタシにそんなことを考える余裕はない。

 恐ろしい速度で繰り出される拳をもう見ることは叶わない、徐々に息が上がってきたせいで斧が思ったように振るえず、相手にダメージを与えることも自身の身を守ることも難しくなってきて、

 

「あがっ!?」

 

 ややアッパー気味の右下から来た拳を避けることができず、直撃を受け、大きく吹っ飛ばされる。

 空中を一瞬舞った後、中央ホールに降りるための階段に叩きつけられ止まる。

 意識は朦朧として腕は全く動かず、斧はコロンと音を立てて階段の下まで落ちて消える。

 霞む視界の中でゆっくりと歩いてくる異形の男を睨み付けるもののそれぐらいしかアタシにできるとこはなく、脚や腕を動かそうとするもののピクリとも動かず、身体中から血を流しながら走馬灯のように今までの記憶が思い出される。

 

「あはは......皆を助けてよ......? 〈オールマイト〉」

 

 私の目の前に立ち、その拳をゆっくりと振り上げる男を最後まで睨み付けながら、そう呟いた。

 そして振り下ろされる拳に、思わず目を瞑ったアタシをその拳が撃ち抜くことはいつまで立ってもなく、その代わりに扉が開け放たれる大きな音が響いた。

 

「もう大丈夫、私が来た!!!」

 

首を動かして入り口を見てみれば、ネクタイを引きちぎり、白い吐息を吐きながら佇む〈オールマイト〉がいた。

 しかし〈オールマイト〉の顔にいつもの笑顔はなく、怒りに歪んでいて、次の瞬間には〈オールマイト〉の姿が消えていて目の前の(ヴィラン)がどこかに吹っ飛び、私の前に立つ〈オールマイト〉がいた。

 

「ごめん、なさい〈オールマイト〉。皆を守る事ができなかった......」

 

「気にしないでいいよ、蒼山少女。君はよく頑張った。後は私に任せてくれ」

 

 そう言った〈オールマイト〉は一瞬のうちに相澤先生と後ろから湖にいた(ヴィラン)に狙われていた緑谷君達を担ぎ上げ、私の前に戻ってきていた。そして私を優しく担ぎ上げて入り口付近に、下ろしてくれる。

 ボロボロの私の近くにお茶子さんが近づいて、簡易的な手当てをしてくれる。

 霞んでいく視界の中には異形の(ヴィラン)と真っ向から殴りあう〈オールマイト〉の姿があって、そこまでしか意識を保てず、私の意識はそこで暗闇の中に落ちていった。

 

 

『おい、特異点。まだ寝てるつもりなのかい?』

 

 直接脳に響くような声、しかしそれは気分を逆撫でする無性に腹が立つ声。

 この声のする方を見れば全体的に浅黒いスタイルのいい男がいて、いやらしく笑いながら私に近づいてくる。

 こいつの名前はベリアル、今まで私の個性が発現してから夢に毎回現れては「俺と姦淫しよう」だの「達する」だのほざいて私を休ませてくれない。

 それなのに朝起きれば体も頭も働かないことはなく、睡眠不足は一度も経験したことがない。なのに夜には毎回こいつがいて変なことをほざき続ける。

 

『おいおい特異点。そんな顔で俺を睨み付けるなよ......達するだろ?』

 

勝手にイってろ、だけど私の夢の中でイくな汚い

 

『次は言葉責めか? いいねぇ』

 

キモいタヒね私の夢の中で騒ぐな!

 

『つれないねぇ特異点』

 

 ニヤニヤといやらしく笑うベリアルを無視して回りを見る。そこはいつもの夢の中のように真っ白な空間に私とベリアルがいるだけ。いや、今回は私もベリアルも木の椅子に座り、机を囲んで対面している。

 

『今回は特異点が寝込んでいるから俺が出てきた訳だ、あんまり無茶しすぎるとファーさんが来そうだ』

 

ファーさん? 誰?

 

『おっと、失言だな。気にしないでくれよ特異点? いいね?』

 

 最後の言葉だけはいつものおちゃらけた雰囲気ではなく、ゾッとするような、ベリアルの本当の恐ろしさが垣間見えたような気がした。

 

『おいおい特異点、これぐらいで萎えてくれるなよ?』

 

うるさい! あんたは最後までボケないと気がすまないのか!

 

『この俺相手にここまで対等に喋れるのも特異点、お前ぐらいだ......っとそろそろ潮時か』

 

 ベリアルは何かを見てそう呟くと、そっと座っていた何かから立ち上がる。そして瞬きの間に私の目の前にその顔を近づけていた。

 

『ふぅん、もう人じゃなくなり始めてるね......いいねぇ、じゃあ俺から一つプレゼントを送っておくよ』

 

 私の髪をそっと触って私にベリアルは背中を向ける。それと同時に私の意識は薄れていき......

 

「ん? んん......?」

 

「ジータちゃん? 起きたのね!」

 

 そっと目を開けると家の天井じゃない、真っ白な天井が視界に入ってきた。

 身体はベッドに寝かせられていたらしく、腕をあげようとしたときに激痛が走り異形の男にやられたのを思い出した。

 

「ジータちゃん大丈夫? 私のことわかる?」

 

「ソーンさん......?」

 

 茶色のきれいな髪と茶色の吸い込まれそうな瞳の綺麗な女性が私の寝るベッドの横で立っていて、私の手を綺麗な手で包み込んでいた。

 

「あ......他のみんなは......」

 

「大丈夫よ、オールマイトのお陰でね」

 

「そうですか......よかった」

 

 そういって私は身体を起こそうとするがあまりの激痛に諦めてベッドに寝たままになる。

 

「えっと、それじゃあ私は皆を呼んでくるね」

 

「あ......はい」

 

 ソーンさんはそう言って病室を出ていく、多分だけどお医者さんを呼びに行ったのだろう。

 

「心配かけちゃたかな......」

 

「ああ、少なくともファーさんは心配してたぜ、特異点」

 

「ベリアル!?」

 

 私の病室にいつの間にか現れていた変態野郎に思わず逃げ出そうとするが激痛にさいなまれて私はベッドに寝たままの状態で睨み付けるだけしかできない。

 

「そう睨んでくれるなよ......今回は贈り物を届けに来ただけさ」

 

 そう私の耳元で囁いたベリアルは私の髪をさわさわと少し摘まんだ後に何か聞き取れないような小さな声で何かを呟き、私の側を離れて窓をそっと開ける。そして窓の縁に手をかけてそこから身を投げる。

 そのままベリアルは落ちたのかと思うと、蝙蝠の大群が何処かに飛んでいく。

 それを私は目で追いながら触られた髪にそっと手を伸ばす。特に変化したような場所はないはずだけど......

 

「ジータちゃん! 先生連れてきたわよ......? あれ、ジータちゃんの髪って......白かったかしら?(・・・・・・・・)

 

 私がそうやって考えているとソーンさんが医者を連れてきたが、私の髪を見てそう呟く。

 その言葉に私はサーッと血が引いていくような感覚に襲われ、ソーンさんの持っていた手鏡で色が一切抜け落ちたような真っ白の髪を目の当たりにし、心の中で私の髪を真っ白にしてくれやがったあの変態野郎に呪詛を吐いた。

 

 

 USJでの(ヴィラン)の襲撃を受けて数日、ジータさんと相澤先生が今日から復帰するとオールマイトから聞いたのだけど......

 

「あれ? まだジータさんも相澤先生も来てないの?」

 

「ん? ああ、そうみたいだな......あれだけの怪我をしていたのだから仕方がないだろう」

 

 飯田君の言葉に、僕はジータさんと相澤先生のひどい怪我を思い出す。

 相澤先生は目から血を流して気絶しており、肘はぼろぼろになっていた。

 ジータさんはそれよりも酷く、右腕はあり得ない方向に曲がっていて切り傷がない場所を探す方が難しいぐらいだった。

 それらを考えると早すぎる気がするけど......

 

「おはよう~」

 

 そんなことを考えていると聞き馴染みのある声が教室に響く、それに皆が反応するが、そこには真っ白な、純白の髪に変わっているジータさんがいた。

 

 

 白髪のことで皆に心配されたけど、個性を使いすぎた反動と言うことでどうにか皆を納得させ、私は自分の席に座った。身体に不調はなく教科書等を整理していたとき、ガラガラッと前の扉が開く。

 

「全員さっさと席につけ」

 

 そこには怪我の酷かった肘に包帯をつけ、完治とは行かずともそこそこ怪我の治った相澤先生が教室に入り、いつもの調子で声を発した。

 

「お前達、既に新たな戦いは迫っているぞ」

 

 相澤先生の言葉に教室が緊張感に包まれる。

 

「雄英体育祭が迫っている」

 

「「「くそ学校っぽいの来たぁあああ!!!」」」

 

 相澤先生の一言で私を含めたほぼ全員が立ち上がり雄叫びをあげる。

 普通に授業等はあっていたが頭が痛くなってしまうようなものやついこの頃の(ヴィラン)襲撃など、〈普通〉だと思えるものではなかった雄英生活で初めてのイベント、それも特大のものだ。疲れぎみだった皆が興奮するのも無理はない。

 そんなこんなでHRが終わり、私達が教室から出ようとしたときに、廊下に群がり私達を値踏みするような視線を送ってくる他の科の生徒達が爆豪君と衝突している様子が見えた。

 

「一体どんな奴らと思ってきてみれば随分付け上がってるみたいだなぁ!?」

 

 やけに声の大きい、切島君に似た波長を感じる白髪の生徒に煽られる形で近くの生徒も爆豪君を罵倒しようと口を開きかけるが、

 

「うるせぇなモブども、俺はおめぇらなんか眼中にねぇんだよ」

 

 爆豪君にしては静かな、だけどはっきりと聞こえるその声に好奇心にかられて来た生徒達は口を閉ざす。そして爆豪君は他の科の生徒達を押し退けてどこかに行こうとするのを緑谷君が追う。

 

「そう言えば私が選手宣誓か」

 

 ついさっき来たミッドナイト先生に告げられた選手宣誓を私がすることで決定したと言うこと。まあ、テンプレートでいいかなぁと思いつつ私は一日を過ごしていった。

 

(そして時は流れ)

 

『リスナーの諸君! 準備はいいかぁ!?』

 

『イエェェェーーー!!!!!』

 

 入場口で整列したA組の先頭で深呼吸をした私はすぐ横で、異様な熱狂の余波を受けてガチガチに固まっている緑谷君の頬を、ツンツンと指でつつけば大きな反応を返す緑谷に苦笑しながらも緊張をほぐしてあげる。

 

『それじゃあ選手入場だ! まずはなんと言ってもこいつら! (ヴィラン)襲撃を退けたA組だろぉ!!!???』

 

 声だけで人を殺せるのでは無いかと思うほどの大音量の中、私は堂々と胸を張り入場する。

 特設の運動場で行われる雄英体育祭は多くのプロヒーローやサイドキックが優秀なヒーローの卵を見つけるために観客としてくる。そして体育祭の結果ではヒーロー科に普通科から転科もあり得る。そのためヒーロー科だけでなく普通科等も多くがやる気を出して参加している。

 そうこうしている間に全クラスが並び終わり、私達の前の台にミッドナイト先生が登る。

 

『今年の審判兼司会進行は18禁ヒーロー、ミッドナイトだ!!!』

 

 その紹介と共にピシャッ! と手に持った鞭のような何かを鳴らす。

 後ろで18禁ヒーローが高校にいても良いのかと言う至極真っ当な疑問が出たが無視する。ミッドナイト先生も無視をした。

 

「それじゃあ! 選手宣誓を、1-A組主席〈蒼山ジータ〉!」

 

 ミッドナイト先生に合図を受け、私は台に登りマイクの前に立つ。

 手には選手宣誓のテンプレ、スポーツマンシップに則りなどが書かれているが、それをポケットにしまいこみマイクを握る。

 

「宣誓! 我々は勝利を求め己の持てる力を全て出しきり、全力で勝利を取りに行きたいと思います! 自由が校風の雄英らしく自由に戦います!」

 

 宣誓が終わると同時にワッ! と沸き上がる。ミッドナイト先生も私の宣誓に良かったわよ、とお墨付きをくれた。

 

「それじゃあまずは第一種目の説明から!」

 

 そう言って鞭を向けた先には巨大なモニターがあり、そこに写し出されたのはこの第一運動場の回りをぐるっと囲むマラソンコースで、そこを赤い線が通って再度ここに戻ってくる。

 

「全長四kmの特設コース。三つの区画に別れたこのコースを走って順位を競う〈障害物走〉よ! ここで上位四十名までが次の種目に出場できるわ!」

 

 なるほどここでふるいにかけられると......私は話を聞きながら身体を調子を確認する。特に痛む場所もないのはフュンフさんが回復してくれたお陰だろう。

 

「それじゃあスタート位置に行きなさい!」

 

 スタートの位置は横に五人も並ぶことのできない狭い出入口、つまりはまともに走ろうとすれば人の波に巻き込まれて録にスピードは出せないだろう。

 出入り口の少し前に並んだ私達は合図を待つ、個性は既に発動している。後は最適のタイミングで飛び出すだけ!

 

「第一種目、スタート!!!」

 

 ミッドナイト先生が鞭を振り下ろしピシャッ! と音がなる。それを合図として生徒達は一斉に狭い出入り口に雪崩れ込んだ。

 

 




いかがでしたか?

少し展開が早すぎると思われる方もいらっしゃるとは思いますが、この小説ではそうなんだ、ぐらいに思って見ていただけるとありがたいです。

感想、評価、お気に入り登録など、いただけるとありがたいです。
それでは次の作品で


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