全力で死亡フラグを回避しようとしたら、事態は加速していく (クリス&シェリー全力投球)
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その他
登場人物一覧


※登場人物を簡易的にまとめたものを投稿します。詳細が書いてないキャラクターは今後更新していく予定なので、それまでお待ちくださいm(__)m



 

 

 

 

登場人物

 

 

 

白銀偵光・・・社長兼所長 27歳

物語の主人公小学生の頃にベルモットと遭遇し、そこからベルモットに引き取られ過ごしてきた。今は会社の社長と事務所の所長を兼任し、忙しい日々を送っている。身近な者を護る為には、自分の身がどれだけ危険になろうと、行動し大けがをすることもしばしば。多くの女性から好意を持たれているが、気づいていないことが多い、気づいてはいたりする場合もあるが、ある目的の為に気づいていないふりをしている。幼馴染連中や付き合いの長い人物と話す場合には素の性格を出していく。死亡フラグを回避する為に、事件に巻き込まれないように努力しているが、事件の方からいつも忍び寄って来る。黒の組織とは、クマの着ぐるみを着た状態でやりあっており、最重要ターゲットとされている。事件が関わった時は、普段より頭の回転が速くなり異常な行動力を発揮する。

 

 

 

 

山川光(諸伏景光)・・・副所長、幼馴染 29歳

            偵光達とは小学生の時からの付き合いで、幼馴染。降谷零、萩原研二、松田陣平、伊達渉とは警察学校の同期。黒の組織にスコッチとして潜入していたが正体がばれ自殺しようとしていた所を偵光に救出され、変装し正体を隠して事務所の副所長として偵光のサポートを行っている。彼の生存を知っているのは、偵光、萩原、松田、伊達、野山夫妻、灰原美樹のみである。   

 

 

 

 

安室透(降谷零)・・・所員、幼馴染 29歳

   偵光達とは小学生からの付き合いで幼馴染。黒の組織に潜入しておりバーボンというコードネームをもらっている。警察庁警備局警備企画課(ゼロ)に所属しており、階級は警部。幼馴染の諸伏景光が死ぬ原因を作ったとされる赤井秀一とクマの着ぐるみの人物を深く恨んでいる。諸伏景光の死後、安室透という名で、白銀探偵事務所に入りポアロでバイトもしている。

           

 

 

 

 

萩原研二・・・所員 29歳

諸伏景光、降谷零、松田陣平、伊達渉とは警察学校時代の同期。松田陣平とは幼馴染である。爆弾処理班に所属していたが退職し白銀探偵事務所に転職した。二つ上の姉がいる。爆弾事件で白銀に助けられたと恩を感じており、彼の元で働きたいと思っていた。

 

 

 

 

松田陣平・・・所員 29歳

       諸伏景光、降谷零、萩原研二、伊達渉とは警察学校時代の同期。萩原研二とは幼馴染である。爆弾処理班に所属しており、その後刑事課に配属されたが白銀探偵事務所で働く方がおもしろいと思い退職し、白銀探偵事務所に転職した。萩原と同様に、白銀には恩を感じている。萩原の姉が初恋の相手だが、彼女が好いた相手がいれば応援しようと思っている。

 

 

 

 

 

伊達渉・・・所員 29歳

      諸伏景光、降谷零、萩原研二、松田陣平とは警察学校時代の同期。警視庁の捜査一課に所属していたが、ひき逃げ事件に遭いその時に現場にたまたま居合わせた白銀偵光に応急処置をされ助かった。怪我が治ってからは、恋人だったナタリー・來間と結婚し警察を退職し普通の会社に所属していたが、妻の勧めで白銀探偵事務所に転職した。顔なじみの同期組と日々を楽しんでおり、白銀には命を救ってもらったので多大な恩を感じている。

      

 

 

 

 

 

野山司&リサ(宮野厚司、エレーナ)・・・副社長、専務兼医者 45歳

                    黒の組織に所属してアポトキシンという薬の研究をしていたが、組織の邪魔になり消されそうになっていた所を偵光に救われており、姿形を変え、彼の会社でサポートをしている。偵光には恩を感じており、娘の明美も同様に命を救ってもらっており、志保についても守ってもらっており、娘たちの恋心を察しており、陰から応援しながら見守っている。偵光のことは娘のどちらかとくっついて息子にしたいと考えている。

 

 

                    

 

水口香奈・・・事務兼社長補佐 23歳

       

 

 

 

 

池沢ゆう子・・・所属女優 24歳

 

草野薫・・・所属女優 20歳

 

間熊篤・・・マネージャー 23歳

 

瀬戸瑞希・・・マジシャン兼家政婦 17歳

 

 

ヒロイン

 

クリス・ヴィンヤード(ベルモット)・・・所属女優 ???歳

 

佐藤美和子・・・幼馴染 28歳

 

宮本由美・・・幼馴染 28歳

 

秋庭怜子・・・所属オペラ歌手 30歳

 

香坂夏美・・・サマーライト店長 27歳

 

越水七槻・・・所員 20歳

 

日向幸・・・秘書 26歳

 

沖野ヨーコ・・・所属アイドル歌手、女優 22歳

 

灰原美樹(宮野明美)・・・秘書 25歳

 

灰原哀(宮野志保)・・・帝丹小学一年生 18歳

 

毛利蘭・・・帝丹高校二年生 17歳

 

星野輝美・・・所属女優 23歳

 

岳野ユキ・・・所属マルチタレント 22歳

 

米原桜子・・・家政婦、社長補佐 23歳

 

イレイナ(キュラソー)・・・所員 28歳

 

水無怜奈(キール)・・・所員兼アナウンサー 27歳

 

萩原千速・・・捜査一課刑事 31歳

 

エレニカ・ラブレンチエワ・・・所員 29歳

 



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番外編
ベルモットとの日々(初めての遊園地)


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!

 今回は番外編のベルモットとのデート回です。キャラ崩壊してますがご理解くださいm(__)m
 この話は、主人公とベルモットがくっついた設定で書いておりますので、本編の未来兼パラレルワールド的な扱いになります!



<ベルモットside>

 

私は暖かい日差しを感じて目を開けた。身体を起こすと、隣には私の愛する男性が眠っていた。

 

「すぅ、すぅ、すぅ」

 

「ふふっ。起きてる時はあんなにカッコいいのに、寝てる時は可愛いのね」

 

 私は彼の頬をつつきながら彼の寝顔を楽しんでいた。もう、たまらないわね・・・

 まさか、この私がこんな生活を送れるようになるなんて思わなかったわね。こんな生活を送れるまで色々なことがあったわ・・・・。

 彼と彼の仲間達のおかげで、黒の組織は壊滅し、私のことを見事に救いだしてくれた。

 その時に巨大な組織と対立した理由は何だったのか、彼に聞いてみると

 

「そんなのお前を助ける為に決まってるじゃねえか。お前と出会った時の約束だったしな。お前が悪いことしてたのはあの時から分かってたんだよ。これから償ってくぞ、一緒にな」

 

 と言った。愛する男性からこんなこと言われたら気持ちが溢れちゃって大変だったのよね。その場で彼に抱き着きキスして、私はすぐにこう告白したわ。

 

「んっ。私は貴方の事が好きよ、一人の男性としてね。長い年月をかけて私をこんな気持ちにさせたんだから責任取ってくれるわよね?」

 

「やれやれ、普通、引き取った息子に恋する保護者がいるもんかね・・・」

 

「あら、ここにいるわよ?」

 

「そうですか・・・ったく、俺も人のこと言えた義理じゃないか。そんな保護者に惚れちまったバカ息子だからな」

 

「・・・! それはホント?」

 

「こんな時に嘘言ってどうするんだよ。俺はそこまで器用じゃないぞ」

 

「私嫉妬深いし、色々と面倒くさい女よ?」

 

「分かってるっての。何年一緒にいると思ってるんだよ。そんな所も含めて、その・・・好きになったんだよ」

 

「嬉しい! んっ」

 

「んっ・・・・・・急にキスされるとびっくりするだろうが」

 

「別に良いじゃない。ふふっ、顔が紅いわよ。愛してるわ、偵光」

 

「うるせえ。俺も愛してるよ、クリス」

 

 そうして私達はお互いの気持ちを確認し付き合うことになった訳よ。今思いだしてもあの時のことは鮮明に覚えている。そんなのは当然よね、だって愛する人と恋人になれた日なんですもの。

 それからカップルらしいことをたくさんしてきて、私の罪を償うこともしてという生活を続けてきた訳だ。罪を償うといっても、善行を積むってことをしているだけだけどね。

 現在は、女優業は辞め、彼の傍で仕事を手伝って、家に帰っては一緒に色々なことをしたりという生活を続けている。彼と共に過ごせるだけで、あっという間に日にちは過ぎていく。それだけ幸せってことかしらね♪

 

「ううん・・・ふぁーあ」

 

「あら、お目覚めかしら?」

 

「ううん、今何時だ?」

 

「七時よ。そろそろ起きて朝ごはんを食べましょう」

 

「そうだな。今日はトロピカルランドに行くしな」

 

「そうよ。楽しみにしてるんだから、起きて準備しましょう。それじゃあ、シャワー浴びてくるわね。んっ」

 

「んっ。ああ。そう言えば忘れてた、おはようクリス」

 

 私は、タオルケットを身に纏い、部屋内に散らかってていた衣服と下着を回収し、浴室へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 私はシャワーを浴び終えて、リビングに戻ると美味しそうな匂いが部屋に漂っており、テーブルに偵光が朝食を並べていた。

 

「美味しそうな匂いね。ベーコンエッグとサラダ?」

 

「おう、出たか。寝る前にもシャワー入ったのに、起きてからも入る意味あったのか? って痛い!」

 

「女の子はいつまでも綺麗でいたいものなのよ。そういうデリカシーが無い発言は感心しないわね」

 

「女の子・・・?」

 

「あら、何か文句でもあるのかしら?」

 

「いいえ、何でもありません」

 

「それなら良かったわ。お腹減ったし冷めるから早く食べましょう」

 

「そうだな。いただきます」

 

「いただきます」

 

ーーーーーーーーーー

 

「忘れ物無いかー?」

 

「ええ、大丈夫よ。鍵は?」

 

「ちゃんと閉めたよ。それじゃあ行こうぜ」

 

「ええ♪」

 

「あ、おい。急に腕に抱き着かれるとビックリするだろうが。ったく」

 

「良いじゃない。彼女が彼氏の腕に抱き着くのは悪いことなのかしら?」

 

「別に悪いとは言ってないが・・・」

 

「なら良いじゃない♪」

 

「随分とご機嫌だな」

 

「偵光とデートできるんですもの。それに念願のトロピカルランドに行けるし嬉しいに決まってるじゃない」

 

「・・・そ、そうか」

 

 あ、これは照れてるわね。顔が少し赤いし、本当に可愛いんだから。律儀にあの時の約束を守ってくれようとして、嬉しくない訳がないじゃない。私がトロピカルランドに行きたいって言ってたことも覚えてくれていて、ようやく行くことになって私は朝からハイテンションで、

偵光に対してグイグイ行ってるわ。恋人だけでも十分幸せだけれど、彼と夫婦になれたらもっと幸せでしょうね。そして、彼との子供もできたら・・・なんて贅沢な悩みよね。志保に確認したら、この身体で子供産むには問題ないそうなんだけど、そこまで願ったら罰が当たるわね・・・

 

 

「なーに、暗い顔してるんだよ。また、変な事でも考えてたのか?」

 

「いひゃいわよ」

 

「あっははは! 面白い顔だな! どうせ変な事考えてたんだろ? そういうことを考えているお前が悪い」

 

「・・・もう。急に頬を引っ張らないでちょうだい。それに変な事なんて考えてないわよ! ただ、貴方の傍にいることが出来て幸せだなって思ったのよ・・・」

 

「うっ・・・それは反則だろう。そう思ってるのはお前だけじゃねえよ。お互い幸せなら良いことじゃないか。それに今日はめいいっぱい楽しむんだろ? 早く行ってアトラクション制覇しようぜ!」

 

「そうね。あの、一つお願いがあるんだけど良いかしら?」

 

「ん、どうした?」

 

「その・・・腕組むんじゃなくて手繋いで行きたいんだけど良いかしら?」

 

「・・・・・・それぐらい、遠慮せずにすぐに言えばいいだろうが」

 

 彼はそう言って、私の手をとり指と指を絡ませる恋人繋ぎをしてくれた。幸せで心が温かくなった。

 

「ほら、これで良いか? お前って腕組んだり、キスしてくる時は遠慮が無いくせに、手をつなぐ時は遠慮するよな。どうせ、自分の手が血で汚れてしまってるから、俺の手を繋ぐのはマズイとか未だに思ってるんだろうけど。そんなの気にすんじゃねえよ。

 お前はもう組織の人間じゃないんだ。それにお前の手ってこんなに綺麗じゃねえか。そんな美人と手繋げるなら大歓迎だ」

 

「・・・・バカ。そんなこと急に言われたら恥ずかしいじゃない。んんっ!?」

 

「んっ。油断しすぎだバーカ。いつもやられてばかりじゃ性に合わないし、お前を照れ顔って可愛すぎて好きだからな♪ ほら、行こうぜ!」

 

「・・・・・・・・今日のデート心臓持つかしら」

 

 私は顔が熱くなるのを感じて顔を逸らし、彼に聞こえないようにつぶやいて恋人繋ぎをしながらトロピカルランドへと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 私たちはトロピカルランドに着き、アトラクションを満喫していた。もちろん、移動中はずっと彼と手を繋いでね♪

 私は遊園地というものと縁が無かった為、偵光から、由美ちゃん達と行ったことがあることを聞いてから、彼と一緒に行きたいとずっと思っていた。まさかこの歳にもなって初めての遊園地だなんて、人生何があるか分からないわね。

 念願の夢がかなったおかげで気持ちが高揚し、私はずっとウキウキしている。

 

「楽しかったわね、さっきのミステリーコースター! 私、あんなに楽しい乗り物に乗ったの初めてよ」

 

「めっちゃハイテンションだな。楽しそうで何よりだ。次は何に乗りたいんだ? この怪奇と幻想の島のエリアには、氷と霧のラビリンスっていうのがあるな」

 

「それってどんなアトラクションなの?」

 

「氷のコースをボートで滑り降りていくアトラクションだな。展望台もあって、トロピカルランド内を見渡せるぞ」

 

「そこに行きましょう! 氷を滑るボートなんて楽しそうね! 今日は全部制覇する勢いでいくわよ! 早く行きましょう!」

 

「そんな焦らなくてもアトラクションは無くならないって! ああ、もう!」

 

 私はそうして彼を引っ張って色々なアトラクションを周り、時間はちょうどお昼を過ぎていた。

 

「そろそろ腹減ってきたな。どこで食べるよ?」

 

「それなんだけど、ここに行って食べない?」

 

「園外のピクニックエリア? どうしてまた?」

 

「その・・・弁当を作って来たのよ。だから偵光に食べてもらいたいなと思って。一回出ても手続きさえすれば再入場できるしダメかしら?」

 

「いつの間に作ったんだよ・・・どうりでいつもより少し荷物が多かった訳か」

 

「昨日貴方が寝た後に、下ごしらえして今朝、貴方が準備している間に詰めたのよ」

 

「なるほどな。ならとっとと行こうぜ」

 

「良いの? 何か他に食べたい物があるなら別にそっちでも構わないわよ・・・」

 

「アホか。クリスが弁当作ってくれたんだから、そっちの方食べたいに決まってるだろうが。それにまだまだアトラクションにも乗るんだろ? 早く飯食って、夜まで楽しもうぜ」

 

「ええ! ありがと、偵光♪」

 

「お礼言われるほどじゃねえよ。それに好きな人から弁当作ってもらえるなんて嬉しいことだしな。お前は変な事気にせず、遠慮せずに思ったことがあったら言えば良いんだよ」

 

「・・・!」

 

「ん? 顔逸らしてどうしたんだ?」

 

「こっち見ないで。貴方に見せられない顔してるから・・・」

 

「どんな顔だよ。ったく、可愛すぎるだろうが・・・」

 

「っっ!」

 

「耳とか真っ赤じゃねえか。ほら、手繋いで行くからしっかりついて来いよ」

 

「・・・え、ええ。心の準備が出来てない時に急にそんなこと言われても困るじゃない・・・」

 

「何か言ったか?」

 

「何でもないわ。早く連れて行きなさい」

 

「はいはい、お姫様」

 

 私は顔を真っ赤にしながら、彼に手をひかれピクニックエリアへと向かった。その間、たくさんの視線を感じ、私は更に恥ずかしくなるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どうかしら・・・?」

 

「・・・うん、美味しいな! 俺の好きな味付けだし、好きなおかずもあって満足だ。クリスの料理は昔に比べて格段に美味くなったし、家でも交代で料理してるから心配はしてなかったけどな」

 

「良かったわ。それでも不安なものは不安なのよ。貴方の方が料理上手じゃない。自身無くすわよ」

 

「そんなこと無いと思うけどな。俺が小さい頃に比べたら全然上手くなったと思うぞ?」

 

「それはそうでしょうね。貴方に出会うまで料理なんて全然していなかったのよ。それで、貴方を引き取ることになって、流石に料理しないとまずいって思っていたら、貴方がてきぱき家事をしていって私の仕事なんてほとんど無かったじゃない。あの時は心折れて、何日か立ち直れなかったわ」

 

「ああ、あの部屋に引きこもった奴ね。それは仕方ないだろうが。お前が初めて作ったシチューを食って気絶したからな。それでこのまんまだと俺の命がヤバいって思って本気で家事したんだよ・・・いひゃい」

 

「そこまで言う必要は無いんじゃないのかしら。人の為に初めて作った料理で気絶されて凄くショック受けたのよ? その上、家事を手伝おうとしたら既に終わってることが多くて、私必要ないのかしら?って思ったんだから」

 

「だから引きこもってたのか・・・でもその後に、ちゃんと家事教えて凄い勢いで修得していったじゃなえか」

 

「それは偵光に、家事のできる女と思われたかったから頑張ったのよ」

 

「そうですか・・・まあ、今のクリスなら十分お嫁さんになってもやっていけると思うぞ。あ、うまー」

 

「それって偵光のお嫁さんでもやっていけるってこと?」

 

「ごほっ、ごほっ! 急に何言いだすんだ?」

 

「はい、お茶よ。だってそうじゃない。私、偵光以外の人と一緒になるつもりなんて無いわよ」

 

「ごくっ、ふう。そうですか・・・・」

 

「お嫁さんにはしてくれないの・・・?」

 

「うぐっ・・・・・・いずれな」

 

「・・・いずれか。ふふっ、私をお嫁さんにしてくれる気はあるそうで嬉しいわよ♪ 私が弁当食べさせてあげるから、貸しなさい」

 

「あっ、おい!」

 

「はい、あーん」

 

「周りの人の視線が集まってるんだが・・・・」

 

「良いじゃない。カップルなんだからおかしいことはないわ。はい、あーん」

 

「・・・・はぁ。あーん」

 

「どう? 美味しい?」

 

「・・・美味い」

 

「そう♪ まだまだあるから一杯食べてね。はい、あーん」

 

 私は周りの視線を気にせずに、弁当が無くなるまで偵光にあーんをして食べさせた。

 全部食べさせた後、お返しに偵光から弁当を食べさせてもらいとても恥ずかしかったが、偵光と過ごす幸福な時間を満喫するのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「偵光、見てみなさい! 外の景色が凄いわよ! 杯戸町のショッピングモールの観覧車とは違った景色ね」

 

「ああ、そうだな。ははっ」

 

「急に笑ってどうしたのよ?」

 

「いやトロピカルランドに来て良かったなと思ってな。お前が子供みたいにはしゃいでいるとこなんて初めて見たし、新鮮だなと思ってな。新しいクリスの一面を見れただけでも来た価値あったなと思ったんだよ」

 

「悪かったわね、子供みたいにはしゃいで。だって仕方ないじゃない。遊園地に遊びに来るの初めてだったし、貴方とのデートが凄く楽しくてあっという間に夕方になったんだから」

 

「拗ねるなって。楽しんでもらえて俺としても嬉しいんだよ。それにこんなに遊ぶことを満喫できたのは久しぶりだなと思ってな。大抵何か起きてたからな・・・最近はそういうのが無くなって助かったよ」

 

「そうね・・・観覧車の爆弾事件なんか忘れることもできないわね。それに他にもたくさんのことがあったわね」

 

「そうだな。色々なことがあったけど、こうしてお前と肩を隣り合わせて生きていられるってことが一番幸せだな」

 

「あら、急にロマンチストになったわね」

 

「悪いかよ。ホントにそう思ってるんだから仕方ないだろうが」

 

「ふふふ、ごめんなさい。私も同じこと思ってたのよ、んっ」

 

「んっ。それなら良かったよ」

 

「ねえ、今度はどこか旅行に行きたいわね」

 

「そうだな。どこに行きたいとことかあるのか?」

 

「貴方と一緒ならどこへでも行きたいわ」

 

「そういうのが一番困るんだが・・・・」

 

「そう言って、ちゃんとプランを考えてくれるんでしょ? 偵光の考えなんてお見通しよ♪」

 

「反対にお前の考えもお見通しなんだが・・・・。旅行のプランはおいおい考えるさ。今はこの夕焼けの景色を見ようぜ」

 

「そうね」

 

 彼に寄りかかりながら、観覧車から見える夕焼けの景色を眺めてゆっくりと過ごした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 観覧車から降りるころに辺りは暗くなっており、偵光がスケートリンクに行きたいということで二人で滑りに来ていた。

 

「凄い人ね」

 

「ここは人気のスポットだからな。よっと、久しぶりに滑るけど大丈夫そうだな、お互いに」

 

「当り前よ。スケートすべるぐらいどうってこと無いわよ。でも、貴方と手を繋いで滑るのは懐かしいわね。貴方を鍛える為に、スケートとか教えたじゃない? その時の掴んでいた手はあんなに小さかったのに、今じゃ私より大きいもの」

 

「当り前だ。あれから二十年近くたってんだぞ? そりゃあ、大きくもなるわ。お前はあの当時と同じで綺麗なままだけどな」

 

「ありがと♪ でも、これからは貴方と同じように歳を取っていくわよ。私を縛る鎖は無くなったしね」

 

「そうだな・・・・っとそろそろか。空見てみろ」

 

「え?」

 

 その瞬間、大きな音が響き空に綺麗な花火が上がっていた。これが見たかったのね、偵光は。

 

「綺麗ね・・・」

 

「だろ。花火とかあまり見たこと無いだろうなと思ってな」

 

「そうね・・・とっても綺麗」

 

「クリス・・・今幸せか?」

 

「急にどうしたの?」

 

「いや気になってな。俺といて幸せなのかなって・・・ん!」

 

「んっ。馬鹿なこと言わないでちょうだい。私は貴方の傍にいれるだけで幸せなの。貴方と離れるほうが死ぬほどつらいのよ」

 

「そうか・・・・目瞑ってろ」

 

「あら? 偵光からキスしてくれるのかしら?」

 

「良いから」

 

「分かったわよ」

 

 私は彼に言われた通り、目を瞑りキスされるのをドキドキしながら待っていた。少しして、左手を握られ薬指に何か感触がして驚き目を開けてみると、そこには綺麗に輝くダイヤモンドが付いた指輪があった。

 嘘・・・・これって・・・

 

「ふう、指輪のサイズはちょうどピッタリで良かった・・・」

 

「これって・・・・・」

 

「ああ、そのだな・・・・・お前と俺が一緒になるための誓いの指輪だ。クリスさえ良ければ、俺の隣にずっといてくれ。保護者としてではなく妻として家族になってくれないか?」

 

「ぐすっ、私で良いの?」

 

「お前以外考えられないっての」

 

「ひっぐ、嫉妬深いし、すごく面倒くさい女よ?」

 

「それも十分知ってる」

 

「私の手は汚れてるのよ?」

 

「もう組織はつぶしたんだ。それに組織が無くなってからは頑張ってるじゃねえか。お前の手が汚れてるってんなら俺が洗ってやる。お前のことはこの地球上の誰よりも分かってるつもりだ。全て分かってる上でクリスじゃなきゃダメなんだよ」

 

「・・・・・・馬鹿よ、貴方は」

 

「昔っから言われます」

 

「そんな貴方にどうしようもなく惚れちゃったのよね・・・・・私で良ければ貴方のプロポーズ受けるわ」

 

「い・・・よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! いやあ、マジで今まで生きてきた中で一番緊張したぞ! 良かったぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 偵光の叫びに周囲の人物達が何事かとこちらの様子を伺っている。もう、貴方が叫ぶから注目されてるじゃない。

 

「もう取り消しか効かないわよ、私のHEROさん♪」

 

 私は涙を流しながら、彼に口づけた。周囲はどよめいて歓声があがり、花火が私達の婚約を祝福してくれているように思えた。

 こんなに幸せを感じることは初めてで、今日という日を一生忘れることはないだろう。

 初めての遊園地は、最高のプレゼントをくれたのだった。




 ベルモットさんがキャラ崩壊してる気がするが後悔はしていない!
 組織が壊滅したらこんなベルモットさんになるだろうと思って書きました。主人公視点は続きの話で書こうかと思っております。いつになるか分かりませんが・・・・
 他のヒロインも今後書いていく予定ですので待っててください!


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佐藤美和子との日々(新生活に向けての一歩)

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!

 今回は佐藤刑事との回です。



<美和子side>

 

 私は公園の噴水前で人を待っていた。待っている人は誰かって? そんなの決まってるじゃない。みんなにはもちろん分かるわよね? それにしても遅いわね・・・アイツ。まあ、待ち合わせの十時まで十分ぐらいあるから遅刻している訳では無いから良いんだろうけど・・・

 たいてい待ち合わせの十五分前ぐらいには来てるのよね。今日は寝坊でもしたのかしら? 私はもちろん寝坊なんてしないわよ。楽しみすぎて三十分以上前から来ていたもの。いい歳して何をしてるのかしら、私は・・・。

 だって、仕方ないじゃない。愛する彼氏とのデートよ? そんなの楽しみに決まってるじゃない! それに今日は、特別な目的があるのよ? おかげでほとんど寝れなかったわ。ちゃんと化粧はしてきたし、服装も由美達に協力してもらって選んだ、黄緑のワンピースに白のカーディガンを着てきたから大丈夫なはず・・・よね?

 何かさっきから色々な人に見られるし、どこかおかしいのかしら? もしかして変なのかしら!? 私ってアラサーでガサツだからこんな格好は似合わないってこと!? 偵光にそんなこと言われたら、泣くし立ち直れないわね、きっと・・・・

 

「お姉さん、もしかして一人? 良かったら俺達とどこか行かない?」

 

 考え事をしているといかにもちゃらそうな二人組の男性が私に向かって話しかけてきた。まったく、なんなのよ。こんな目立つところでナンパなんかする奴がいるのね。あいにく私は彼氏を待ってるのよ、貴方達なんか眼中にないし、刑事をナンパするなんて度胸あるわね。まあ、刑事って分からないから仕方ないんでしょうけど。

 

「ごめんなさい。彼氏と待ち合わせしてるの。悪いけど、他を当たってちょうだい」

 

「こんな可愛いお姉さんを一人にさせる彼氏なんかより俺達と遊ぼうぜ!」

 

「そうだって。公園の入り口の野郎のとこに女共が群がって、お姉さん以外いないんだって。だから俺達とどっか行こうぜ」

 

 そう言いながら私に触れようと手を伸ばしてきたので、それをひねりあげた。女性が一人の男性に群がっている? まさか!?

 

「ちょっと答えなさい。一人の男性の所に女性が群がってるって言ったわよね? それは間違いないの?」

 

「ひっ!?」

 

「いたた!? ちょ、怖いよお姉さん!」

 

「いいから答えなさい」

 

 手の力を弱め、威圧感を出しながら二人組に問いかけた

 

「はい。一人の野郎に女性が集まってました! あれ? そう言えばあの男、眼鏡かけていたけどどこかで見たような・・・お前知らないか?」

 

「あ、思いだした! あの有名な白銀探偵だって! テレビにも出ていたりした! あれなら納得だわ・・・・ひえっ!?」

 

「!?」

 

「そう・・・・・ありがとう。貴方達、今回は見逃してあげるけど、また女性に無理強いするようなら分かってるわよね?」

 

「「は、はい!」」

 

「良い返事ね。それじゃあ、私はここの入り口で足止め喰らってるバカの所に行くから」

 

「「え?」」

 

 二人組に忠告をして、急いで人が集まっている場所へと向かうとそこには、たくさんの女性に囲まれて困った顔をしている偵光がいた。へえ、彼女を待たせておいて、自分は他の女性とおしゃべりしてるなんてやるじゃない・・・・・ちょっとお話が必要かな?

 

「白銀さん! 私大ファンなんです!」

 

「サインください!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁ! 本物の白銀様よ!」

 

「イケメンすぎる・・・・・・」

 

「お持ち帰りされたい!」

 

「いいえ、むしろお持ち帰りしたい!」

 

「あはは・・・すみません、彼女と待ち合わせしていますのですみませんが・・・・!?」

 

 人の彼氏にたいして何てことを言ってるのかしら? 貴女達のではなく、私の偵光よ! あら? どうやら私の存在に気づいたみたいね。どうしてあげましょうか?

 

「随分と楽しそうじゃない、偵光」

 

「ひっ!? 美和子・・・・・さん?」

 

「あら? いつも通り呼び捨てで呼んでくれてかまわないのよ? それとも邪魔かしら? 随分とお楽しみみたいだし」

 

 私の只ならぬ雰囲気を感じた女性達も黙っていた。今日はもう帰ろうかしら? 全然楽しくないし・・・・・

 

「すみません、皆さん。彼女とのデートなので失礼します。行くぞ、美和子」

 

 偵光は女性達にそう言って、私の手を引っ張りかけだした。

 

「ちょっと!?」

 

「良いから行くぞ!」

 

 私達は急いで公園から離れるのだった。

 

ーーーーーーーーーー

 

「ごめんなさい。だから機嫌治してくれませんかね、美和子さん?」

 

「知らないわよ。私より若いあの子達と遊ぶ方が良かったんじゃないの?」

 

「だから、しつこく言い寄られてただけだって。ずっと彼女と待ち合わせしてるって言っても聞いてくれなかったからな。あのタイミングで美和子が来てくれたから助かったよ」

 

「私が行かない方が楽しめたんじゃないのかしら」

 

 ああもう、どうして私はこうなのよ。偵光に対してとげとげしい態度取って丸っきり嫌な女じゃない・・・・・でも、仕方ないじゃない。大好きな人が、他の女の人と話してるのを見るとどうしても嫌な気持ちがでるのよ。

 こんな嫉妬深い女は嫌よね・・・・・偵光にはもっとふさわしい人がいるんじゃないのかしら。

 

「ったく。おーい、美和子こっち向けよ」

 

「何よ・・・んっ!?」

 

「んっ・・・・・・・・・俺がこうやってキスしたいって思うのはお前だけだし、お前と一緒の方が凄く楽しめるんだぞ?」

 

「ちょっと、いきなり何するのよ!? ここは街中で周りに人がいるのよ!? こっち見てるじゃない!」

 

「ほほう。どの口が言うんですかね? 人がいる所で俺の唇奪ってきた人が言うセリフじゃないだろ」

 

「なっ!? あれは・・・・・・」

 

「あれは?  理由があるなら教えて欲しいんだけどな」

 

「それは・・・・・・・・・・・・・らよ」

 

「声が小さくて聞こえないんだが?」

 

 絶対私のことからかっているでしょう!? どうしてこんなことになってるの? 私が確か嫉妬していただけよね? それがいきなりキスされて、こんな意地悪されてるの? 意地悪するなら夜の時だけにして・・・・・って何を私は考えてるのかしら!? 完全に変な方向にスイッチ入りそうだったじゃない!

 どうせ恥ずかしがって言えないと思っているんでしょ? 良いわ。そのにやけ顔を変えてやるわよ!

 

「それは、アンタを愛しいって気持ちが溢れすぎて我慢できなくなったからよ!」

 

 言ってやったわ! さあ、こう言われるのは予想外だったでしょ!? 偵光の顔を確認してみると、驚いており少し顔が紅くなっていた。やったわよ! いつも攻められてばかりの私じゃないわよ!

 

「・・・・そ、そうか。そういう返しが来るとは予想外だった。美和子に言ってもらえて嬉しかったぞ。ありがとな」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「どうした?」

 

「・・・・その顔は反則よ、バカ」

 

「反則って何でだよ。笑っただけだぞ?」

 

「ただ笑ったってだけの顔じゃなかったのよ!」

 

「どんな顔だよ・・・・」

 

 うー、私って此奴の無邪気な笑顔を見たらダメなのよね。カッコ良すぎて見れなくなるのよ・・・・・。実際、この笑顔で由美達もやられたもの。

 そういえば婦警内でも、スマイル探偵とかあだ名がついて、凄い人気になってるって由美が言ってたわね。後輩の女性刑事達にも、偵光のこと連れて来てくれないのか?みたいなことも言われるし、どうして

アイツが人気なのかしら?って聞いてみたら、私と接している姿が理想の旦那様って感じで人気が出てるらしいのよね。それを聞いて凄く嬉しくなって自慢しちゃったんだけどね・・・・・。由美には散々のろけるなって怒られたし。

 

「おーい、また考え事か?」

 

「っっ! 顔が近いわよ! ご、ごめんなさい。ちょっと考え事していたわ。さっきの顔についてうんぬんは気にしないで」

 

「そう言われると余計に気になるんですが!? ったく。それより早く行こうぜ、新居探し。今日の目的だろ?」

 

「そうね。ねえ、同棲なんてホントに良かったの?」

 

「良いからこうして見に来てるんだろうが。クリスからも怒られたしな。彼女の方を優先させないと、無人島に連れてくわよ?って脅されたしな。お前が気にする必要はねえよ。それにこんな美人な彼女に一緒に暮らしたいって言われたら男としては答えないとまずいかと思ってな」

 

「び、美人って、何言ってるのよ!? そういう恥ずかしいことをスラスラ言うの辞めてちょうだい!」

 

「はいはい、分かりましたよ。ってか俺の方はクリスから許可もらったけど、おじさんとおばさんの方は同棲するって話大丈夫だったのか?」

 

「ええ・・・・・むしろ凄く喜ばれたわよ。お父さんとお母さんは偵光のこと息子のように思ってるし、私を嫁にできるのは偵光しかいないから絶対に見捨てられないようにするんだぞ!って言われたのよ!? いくら親だからってひどいと思わない!?」

 

「ははは。おじさん、おばさんらしいな。俺の方が美和子に見捨てられない限り、見捨てる気はねえよ」

 

「・・・・・バカ。あ、忘れてたわ。そう言えば、お父さん達が今日家に寄りなさいって言ってたわよ。何か話したいことがあるんだって」

 

「話したいこと? なんだろう? まあ、行けば分かるか。新居探しに行った後で大丈夫か?」

 

「ええ。行くとしたらそのタイミングのつもりだったから」

 

「了解。ほら、早く行こうぜ。今日は久し振りの美和子とのデートだからな!」

 

「そうね! 楽しみましょう!」

 

 彼と手を繋ぎ、デートを楽しみながら新居探しへと向かうのだった。

 

ーーーーーーーーー

 

 新居探しを終えた後、私の実家に来ていた。

 

「ただいまー。お父さん、お母さん、帰ったわよ」

 

「お邪魔します」

 

「あら、お帰りなさい。美和子、偵光君」

 

「おお、来たか。お帰り、美和子、偵光君」

 

「どうも。おじさんも今日はお休みだったんですか?」

 

「ああ。偵光君、お義父さんと呼んでくれてかまわないんだぞ」

 

「あらあら♪ なら、私はお義母さんね♪」

 

「ちょっと、お父さん! お母さんも何言ってるのよ!?」

 

「あはは・・・・・それはまだ先の機会ってことで勘弁してもらえませんかね?」

 

「偵光も何言ってるのよ!?」

 

「あらあら、まあまあ♪ ちょっと聞いた、あなた?」

 

「ああ、しっかりと聞いたぞ。良かったな、美和子。偵光君はお前を嫁にもらってくくれる気があるみたいだぞ」

 

「っっ!? 部屋に荷物置いてくるわ!」

 

 お父さんとお母さんが私の方をニヤニヤした顔で見てくる。私は偵光のセリフと両親の態度に恥ずかしくなり急いで部屋へと逃げ出した。

 

ーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

「からかいすぎましたかね?」

 

「おや、からかっていたのかい? さっきの言葉は本心なのだろう?」

 

「もちろんですよ。俺の隣にずっといて欲しいって思うのはアイツだけですからね・・・」

 

「あらあら、偵光君たら♪」

 

「母さん、夕方だし美和子と一緒に晩飯作ってくれないか? 俺は偵光君と散歩とキャッチボールでもしてくるよ。付き合ってくれるかい?」

 

「もちろんです」

 

「分かったわよ。夕飯の時に一杯おしゃべりしましょうね、偵光君♪」

 

「あはは、分かりました」

 

「それじゃあ、行くぞ、偵光君」

 

「はい。すみませんが美和子のことお願いします」

 

「気をつけていってらっしゃい、二人とも。美和子のことは任せておきなさい♪」

 

 

 おばさんに見送られて近くの公園に向かい、おじさんと長い間キャッチボールをしていた。

 

「相変わらず良い球投げますね、おじさん」

 

「もと高校球児だがらな。そういう偵光君こそ良い球投げるじゃないか。部活やってなくてこの運動神経は素直にすごいと思うぞ」

 

「小さい時から色んな意味で鍛えられましたからね」

 

「そうだな。小さい時から君は破天荒だったよ。小学生の君が、事故にあった私の応急処置をてきぱきとこなしたと妻達から聞いた時は驚いたよ。

 それに、子供らしくなくてやたら大人びていたからね」

 

「うっ、それは、色々と事情があったので。トラブルにもよく巻き込まれていたので」

 

「それは今でも変わらないんじゃないのか? 美和子がよく愚痴っているよ。怪我をしなくなっただけマシだと言っていたがな」

 

「怪我すると美和子の奴が泣きますし、仲間にも心配かけるので特に気をつけていますよ。まあ、無茶することでいつも怒られているんですけどね・・・・・」

 

「ははは! 君は私によく似ているな。私も刑事という職業柄よく無茶をして妻や美和子には心配かけて怒られたよ。耳にタコができるぐらいにな」

 

「そうなんですね。俺の中のおじさんって、しっかりしてそうであんまりそういうイメージが無いんですけど」

 

「あはは。そんなことは無いさ。外面を良くしているだけだよ」

 

「身も蓋も無いですね」

 

「そうだな。偵光君・・・・・」

 

 今まで楽しそうに話をしていたおじさんが真面目な顔つきになった。どうやら本題が来そうだな・・・・・

 ん? あっちから向かって来てるのは・・・・

 

「・・・・なんでしょうか?」

 

「君にお願いがあるんだ・・・・・・美和子の傍にずっといてやってくれないか? アイツは君の横だと凄く幸せそうなんだ。私達といる時でも見せない顔をしている。

 それほど君の事を愛しているんだ。娘はガサツで男っぽい所もあって女らしくない所もある。付き合いの長い偵光君にはもう分かってるだろうがな。

 それでも、私の可愛い一人娘なんだ。君は娘のことを泣かせずに幸せにしてくれると信じている。そんな君になら娘を託すことができる。父親の私からこんなことを言うのはおかしいかもしれないが考えてくれないだろうか?」

 

 どうして今のタイミングでこんなこと頼まれるかね・・・・絶対おばさんもグルだろこれ。ここで言う羽目になるのかぁ・・・・ええい、ままよ!

 

「それは無理ですね」

 

「!?」

 

「何? それはどういうことかね? 娘と結婚する気はなく、遊びだと言うつもりなのか?」

 

「落ち着いてください、おじさん。遊びのつもりはないです。真剣に美和子との将来を考えています。俺が無理と言ったのは美和子を泣かせずにっていう部分に対してです。

 アイツが嬉し涙を流すぐらい幸せにしてやるつもりですから、泣かせずっての無理です。

 俺に寿命が来て、アイツより早く死んだ場合でも泣かせずってのは無理になるでしょうから、それは約束できません。すみませんが」

 

「あはははははははははははは! そうかそうか! そう言われたらそうだな! まったく、君らしいよ! 後は二人でよく話し合いなさい、美和子」

 

 おじさんは笑いながら、背後に公園に来ていた美和子に対してそう言った。やっぱタイミング良すぎじゃねえか。完全に佐藤家グルだな・・・・

 

「お父さん・・・・・」

 

「偵光君、キャッチボールに付き合ってくれたありがとう。私は先に帰っている。君たちはゆっくり帰ってくるといい。美和子、言いたいことがあるならはっきりと伝えないとダメだぞ。それじゃあな」

 

「いえいえ、こっちも久しぶりにおじさんとたくさん話せて楽しかったですよ。分かりました」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 おじさんが帰っていき、美和子の方はもじもじしながらずっと黙っていた。あー、やっぱり俺から話かけないとダメなパターンか? 仕方ない

 

「いつまで黙ってるんだ、美和子? おじさんにもああ言われたし、帰ろうぜ?」

 

「・・・・・・ねえ、さっきお父さんに言ったことって本当なの?」

 

「やっぱり聞いてやがったのか。ああ、本心だ。これでも信じれないか?」

 

「そうね・・・・だって偵光からそんなこと言われるなんて夢かなって思っちゃうじゃない」

 

「夢か・・・・・仕方ない。ちょっと左手貸せ」

 

「え? ちょっと急に何なのよ!?」

 

「良いから黙ってろ・・・・・・」

 

 俺はバッグに入れていた箱から、指輪をだして美和子の左手の薬指に付けた。

 ああ、今日プロポーズとかするつもりは無かったんだけどなぁ・・・ここは美和子との思い出が詰まってる公園だし、アイツにこれ以上悲しそうな顔をさせるのも嫌だし仕方ないよな。

 

「これって!?」

 

「佐藤美和子さん、貴女のことを誰よりも愛しています。貴女にはこれから心配かけたり、苦労させることもあるかもしれません。

 それでも、必ず貴女を幸せにすると誓います。こんな俺でも良ければ、隣に居続けてくれませんか?」

 

「ひっぐ・・・・・・」

 

「これでも夢だと思うか? それと返事もらえると助かるんだが?」

 

「ぐすっ・・・・・この手の感触が現実だって思うわよ、バカぁ・・・・こんな女でもよければ、こちらこそよろしくお願いします!」

 

「そう言ってもらえて良かったよ。ああ、ほら泣くなって・・・んっ!?」

 

「んっ・・・・・嬉し涙だから良いじゃない。ねえ、早く帰りましょう? 外も暗くなってきてるし」

 

「いきなりキスして腕に抱き着いてくるなよ。ビックリするだろうが」

 

「別に良いじゃない。偵光への気持ちを行動で現わしたのよ♪」

 

「そうかよ、ほら、帰るぞ。指輪のこと絶対突っ込まれるだろうなぁ・・・・・」

 

「お父さん、お母さんが見たら間違いなく聞いてくるわね。聞かれても同じように言ってくれるんでしょ?」

 

「ああ。今更恥ずかしがっても仕方ないしな。ただ、お義父さん、お義母さん呼びは強要されるだろうなぁ・・・」

 

「そうね。だってもう婚約したものね♪」

 

 美和子は笑顔で嬉しそうに左手に付けている指輪を見ていた。くそう、めちゃくちゃ可愛いじゃねえか・・・・この可愛さ反則級すぎない? ってか、これが美和子の同僚達にばれたら俺殺されるんじゃなかろうか? 由美達に協力求めよう、うんそうしよう。

 

「嬉しそうだな」

 

「当り前よ。だって小さい時からの夢が叶ったんだもん♪」

 

「小さい時からの夢ってなんだ?」

 

「それはね、偵光にプロポーズされてお嫁さんになることよ♪ ずっとそれが夢だったのよ」

 

「・・・・・・・・」

 

 ヤバい、もう無理・・・・

 

「んんっ!? んっ・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・ぷはっ。可愛すぎだろ、お前。今日の夜はたっぷり虐めてやるから覚悟しておけよな」

 

「ぷはっ・・・ちょっと何囁いてるのよ!? それに今日は実家に泊まるかもしれないのよ!? そんなの無理に決まってるじゃない! それが無かったら、私だって・・・」

 

 美和子の奴は俺の言葉を聞き真っ赤になっていた。ウチの彼女ってか婚約者が可愛すぎて我慢の限界なのです。

 

「おじさんには、今日は泊まらず帰るって言ってるから心配しなくても大丈夫だぞ? あとは、俺の家に行くか美和子の家に行くかのどちらか決めるだけだが・・・」

 

「・・・・偵光の家が良い」

 

「俺の家で激しく運動するのが美和子さんのお望みなんですね」

 

「っっ!? バカ!」

 

「あっはははは! 美和子はからかい甲斐があるな! 早く帰って飯食おうぜ。二人も待ってるしな」

 

「なんなのよ、もう。私だけ期待しちゃってバカみたいじゃない」

 

「いじけるなって。あ、そうそう。あと、二言だけ言わせてくれ」

 

「・・・・・何よ?」

 

「明日役所行って婚姻届け書いてこようぜ。明日も確か休みだったよな?」

 

「はあっ!? ちょっと急すぎない!?」

 

「善は急げって言うだろ? だから提出しに行こうと思ったんだがダメか?」

 

「・・・・ダメじゃないわ。提出したら貴方と夫婦になれるんだもの。嫌な訳ないじゃない」

 

「そっか。ありがとな! それともう一つ・・・・さっき言ったように、たっぷり虐めて寝かすつもりないからな、今夜」

 

「・・・っ!? バカ・・・・」

 

 

 満点の星空が、俺達の新生活に向けて一歩踏み出したことを祝福してくれているように感じ、その星空の下で美和子と長い間唇を重ねるのだった。




 今回は佐藤刑事回でした。ベルモット回に比べイチャイチャ成分はちょっと少なかったかもしれませんm(__)m 
 ヒロイン回は本編より書くのが難しい(^-^;
 結婚した後の生活も書きたいと思ったので、この続きは先で書く予定です!
 次は夏美ちゃん回を予定しておりますが、二月中に書けると良いなぁ(^-^;
 本編の方も頑張って書いていきますのでこれからもこの作品をよろしくお願いします!


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原作開始前
1話


※コナンオリ主ハーレムもの?です。原作崩壊しまくっていますので苦手な方は見ないことをお勧めします。



<偵光 Side>

 

 えっと、いつの間にか寝ていたのか? やばいな。早く起きて家事をしないと・・・ってここは一体どこなんだ? 俺は確かソファで寝てたはずなんだがどうして外にいるんだ? それに近くがすごく煙たいしそれに身の周りが熱いんだが。

 起き上がり周辺を見回してみて状況を確認した。

・・・・・・うん、港の倉庫みたいな所にいるのは分かった。そこでは火事が起こっているようだ。うん、逃げないと間違いなく死ぬね・・・・

 

「はぁ!? マジでどういう状況だ!? それになんか声が高い気がするし。背も低くなっているし手とか小さいような気がするが、そんなこと言っている場合じゃねえ! とにかく逃げないと!」

 

 ハンカチを口に当て周囲を確認してみると、使えそうなバイクがあった。

 ハーレーダビッドソンか? 

 俺はバイクの状態を確かめた。倒れていたバイクを起こす時がしんどかったが近くに落ちていたパイプや鉄材を使い何とか起こすことができた。

 

「俺ってこんなに力なかったか? 力だけは自信があったんだが・・・!? すみません、大丈夫ですか!? 腹を撃たれたのか!?」

 

 バイクを動かそうと周囲を確認してみるとフルフェイスのヘルメットにバイクスーツを着た女性が座りこんで血を流していた。俺は急いで駈け寄り脈を確かめた。よし、まだ息はしているな。傷口の状態は・・・腹部を銃で撃たれたのか? 出血量はそこまでじゃないか。止血して処置はしとかないと。俺のポケットに確かハンディタオルがあるな。

 あと、テーピング用のテープと包帯もあるな。自分で治療や応急処置できるように知識まで付けていて正解だったな。

 ってか、病院に連れて行かないといけないな。救急車呼ぶにしてもこの場所は、火が広がってきてるから、消防も呼ばないといけなくなるし、警察も呼ばないといけないな。

 

「すみません! 傷の応急処置をしたいので体を見せてもらいますね! セクハラだとかの文句は傷が治ったらしっかり聞きますんで、今は我慢してください! 一刻も争うんで!」

 

「・・・はぁ、はぁ。坊やはどうしてこんな所にいるの? っつ!」

 

「痛みますよね。少し我慢してください・・・よし。止血はこれで大丈夫だな。後は病院に連れて行かないと。すみません、支えるので立てますか? あそこにあるバイクで病院に貴女を連れて行きたいと思いますんで」

 

 坊や? やっぱり俺の身体縮んでるよな・・・・・・・

 今は気にするのをやめよう! この人を助けるのが優先だ! 

 

「はぁ、はぁ、はぁ。坊やはいったい何者なの・・・・?」

 

 女性を支えながら立たせるとそう聞いてきた。

 

「あのハーレーで貴女を病院まで運びたいのですが、大丈夫ですか? 俺の身体に掴まっていてください。辛いかもしれませんが運転をお願いできますか? 無理なようなら救急車を呼びますが・・・」

 

「救急車はちょっとやめて欲しいわね。運転する分には問題無いわ。坊や、あれが私の愛車って分かるの?」

 

「そうですね。貴方はバイクスーツ着てますし、おそらくそうかなと思ったのですが違いましたか? しんどいと思いますがお願いします」

 

 その人をバイクに乗せ、俺も乗り女性が落ちないように包帯で2人の身体を縛った。近くに転がっていて回収したヘルメットをかぶり、女性に確認した。

 

「すみません、痛みは大丈夫ですか? あと、そこに落ちているバッグはあなたのですか?」

 

「え、ええ。私の私物よ。保険証などの身分証明書なども入っているわ。ごめんだけれど、持ってきてもらえるかしら?痛みはそこまで悪化してないわ。それにしても坊やは多才なのね」

 

「まあ、そうですね。小さいころから学んで技術を修得しないと生きていけませんでしたからねー。このバッグですね。よっこいしょと」

 

 ホントに運が悪すぎて外に出るたび怪我してたからなー。家族に心配かけないため色んな知識を得まくったよ。でないと絶対どこかで死んでたわ。死神さまのお通りだ!っていつも来てたからね。

 

「・・・・! そうなのね。それは辛かったわね・・・」

 

 おっと女性に心配されたようだ。なんかすごく暗い顔されているような気がするし、まずいぞ! 

 ヘルメットのフェイスを上げて、彼女を笑顔で見ながら言った。

 

「いや、そうでもないですよ。俺が学んだ知識で貴女の命を救って護ることができるんですから。だから安心して笑っていてください。はやく病院へと向かいましょう!」

 

 俺は女性が笑顔になったのを確認して満足しヘルメットをかぶりなおし、エンジンをかけてバイクを発進させてもらい何とか病院へと向かい数時間後、目を背けていた現状を改めて確認し頭を抱えて後悔するのだった・・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

<ベルモット Side>

 

 暖かい日差しと身体に重さを感じ私は目を覚ました。

 

「ここは・・・? 病院・・・? どうして私はこんな所にいるのかしら? 確か組織の命令で仕事をして不意打ちを喰らって・・・・思い出したわ」

 

 私は、重さを感じる方に目を向けてみると少年が寝ていた。私をここまで運んでくれたのは彼だ。歳は小学生高学年あたりだろうか? 彼は怪我をしていた私に応急処置をして病院まで付き添ってくれたのだ。

 普通の子供ならこんなことは間違いなくできるはずがないだろう。彼は何者なのだろうか? 

 どこかの組織の特殊な訓練を受けており放ってきた刺客かと思い警戒したが、彼と少し話をしてみて、彼の本心を聞きそれは無いと確信した。

 

「まさかこの私が口説かれて救われるとはね。私みたいな人間の命を救って護ることができるから安心して笑っててくださいねって、そんなこと初めて言われたわよ。小さくてカッコいいヒーローさん?」

 

 私は親友も含め誰にも見せたことのない笑顔で少年の頭を優しく撫でた。彼の言葉は私の心に充分響いた。彼が起きたらお礼をしないとね。何が良いかしら?

 考え事をしていると白衣を着た中年の女性が入ってきた。病院の先生のようね。

 

「良かった。眼を覚ましたみたいね。状態を確認しても良いかしら? 日本語でも大丈夫ですよね? そこにいる少年から大丈夫って聞いていたんだけども」

 

 

「ええ、もちろん。救急車で運ばれてこない私をよく治療をしてくれたわね」

 

「患者を見捨てることはできないし、貴女の身分なら分かってるからね。事故現場から貴方の保険証を持ってきていたそこの少年に感謝するんだよ、クリス・ヴィンヤードさん? 事故の事情聴取にしてもそこの少年が、しっかりと答えてたらしいからその辺は心配しなくても大丈夫よ」

 

「・・・!? それは本当なの?」

 

 

「うん、怪我も順調に治っていってるし大丈夫なはずよ。応急処置が良かったから、貴女は助かったっての覚えておきなさい」

 

 先生は少年の方をちらりと確認して言った。

 彼には頭が上がらないわね・・・・

 

「貴女の側にいる弟さんにしっかり感謝するんだね。なにか事情があるんだろうけど、詳しくは聞かないわね。そこの弟君は、貴女のことを本気で心配してたし、傍から離れず見守っていたからしっかり寝かせてあげなさいな。疲れているだろうしね。他の患者も見ないといけないから失礼するわね」

 

 

「そうなの・・・・。色々と助かったわ、先生。ありがとう」

 

 

「どんな患者でも助けるのが仕事よ。それじゃあね」

 

 先生はそう言い、退室していった。

 さて、彼をどうしましょうか? 私とは初対面のはずなんだけどね。あの場にいたことを上手く誤魔化す為に、私の歳の離れた弟にしたってとこでしょうね。身元は調べても分からない可能性が高そうね、間違いなく訳ありね。私と同じ・・・な訳は無いわね。彼からはそんな感じしなかったもの。

 このままだと施設に行くことになるだろうけど、現場を見た可能性が高く組織から目を付けられているかもしれない。私から離れた場合、殺されてしまうわね・・・・

 そんなことは絶対にさせないわ。命を助けてくれた恩を返すにはこれが一番ね。彼の返答しだいだけど、反論されないようにしましょう♪

 この子関係で忙しくなるでしょうし、ボスにジンと関係を結ぶことは無しにしてもらわないといけないわね。ジンより彼の方が魅力的だし絶対退屈しないわね。

 まさかこの私が大人の男性より、小さな男の子に興味を持つとは思わなかったわね。

 はたから見たら犯罪者ね・・・・

 

「んんっ? そういえば寝てたのか? ここは・・・」

 

 どうやら彼が目を覚ましたようね。眼をこすって眠そうな少年に私は満面の笑みで

 

「ねえ、坊や。私と一緒に暮らさない?」

 

と言うと彼は驚き

 

「はぁぁぁぁぁぁ!?」 

 

 新たな表情を見ることが出来て私は満足し、彼に説明をして一緒に暮らすことになるのだった。 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




医者はその場限りのオリキャラです


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2話

※コナンオリ主ハーレムもの?です。原作崩壊しまくっていますので苦手な方は見ないことをお勧めします。
 この話は主人公の地の文がほとんどになっております。


<偵光 Side>

 

 俺は今、公園のベンチに座り、今までのことを振り返っていた。

 

 港の倉庫みたいな場所で女性を助け出してから数か月がたち波乱万丈すぎる生活を送っている。 

 彼女を助け出したことによりすべてを諦めた。

 

 俺は7歳ぐらいの姿になっており、毎朝鏡を見て絶望しているとベルモットが心配してすぐに俺を抱きしめてくる。嫌がったら、泣きだして面倒くさいことになるので途中から諦めた。

 

 ジンと良い仲だった記憶があったので男と出かけて朝帰りになっても気にしないと言ったことがあるのだが正座させられて

 

「私には家族である偵光がいれば男なんていらないから大丈夫なの。それに私が愛している男の人はちゃんと身近にいるから大丈夫なの。

 またこんなことを言ったときは分かるわよね?」

 

 ベルモットから知人などを紹介されてありとあらゆる技術を叩きこまれました。

 拳銃の扱い、護身術、薬学・医療知識、変声・変装術、マジック、乗り物の操作、爆弾解体の知識等様々な事を習わさられた。

 組織に入れる為に鍛えていたのかと思ったがそうではないらしい。

 基本的な知識に関しては小学校へと通い学んでいる。また小学生からやり直すのはしんどかったが、これも死亡フラグを回避するためだ。

 

 学校では主に4人の人物とつるんでいる。一人目だが佐藤美和子という学年は一つ上の女の子だ。

 彼女と知り合った経緯は、彼女の父がトラックに轢かれた現場に運悪く遭遇した。俺は即座に動き救急車を呼び応急処置をして病院に彼女を運んだ。あれ? デジャブだなーと思っていたが気にしなかった。

 顔見知りになった警察さんにも事情を説明して何事もなく終わる予定だったのだが、佐藤一家から感謝され娘さんには俺の対処の手際の良さを見られておりめちゃくちゃ懐かれることになった。そうして交流していくうちに父親の方はますます俺のことを気にいったみたいだ。

 

 次に美和子の親友で彼女の同級生である、宮本由美についてだ。美和子との縁のおかげで、彼女ともつるむようになった。つるみ始めてから由美(こちらも同様の理由)は変なおじさんに誘拐されて俺が助け出したら凄く懐かれた。

 犯人には容赦ないお仕置きをしてお馴染みの警察さんにつきだした。

 その一件から由美の俺に対するスキンシップが多くなった気がする。誘拐された恐怖が残っているのだろう。それが消えるまでは気にせずにいようとしていたら、‌反対に美和子の機嫌が凄く悪く俺が怒られた。

 それに対し由美が怒り喧嘩が最近ではよく勃発する。頼むから仲良くしてくれ。

 まあ、美和子と由美とつるむようになった理由はそんな感じだ。

 次に三人目と四人目についてだが、学年は二つ上で名前は降谷零という金髪で褐色の元気いっぱいの少年だ。

 彼の幼馴染である諸伏景光と共に俺に決闘を申しこんできた。美和子と由美の件で学校で話題?になっているということが気に食わないらしい。

 美和子と由美に「俺そこまで目立つようなことしたか?」って聞くとため息つかれ呆れられた。

 その決闘で容赦なくたたきのめしたら美和子と由美にはキラキラした目で見つめられ、勝負を挑んできた子達からは睨まれて去っていった。

 次の日から、何故かつるむようになり今では二人とは、零、景、光と呼び合い親友になっている。

 紹介したこの四人が今の俺の友人たちだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 俺は現在、何か対策を考える為に外にでかけていた。ベルモットも帰りが遅くなるらしいし晩御飯は作り置きしているから大丈夫なはずだ。

 落ち着いて考える為に近くに研究所?らしき建物がある近くの公園でベンチに座り星空を見ながら考えていると、バーンとあたりに物凄い音が響いた。

 ビックリして音がした方を見てみると研究所らしき場所が燃えていた。

 

 

「マジかよ・・・。コナン世界はホント爆発や事件が日常茶飯事だよなー! 逃げるのが正解なんだろうが、生きている場合見捨てることになっちまう。それにあそこに突っ込むと死ぬ確率が高そうなんだが、どうするか? 大人を救助できる道具は、公園にあった台車を使えば行けるな。ロープもあるし大丈夫だな。ベルモット・ザ・ブートキャンプのおかげで大人ぐらいは普通に運べるしな」

 

 

そうと決まればバケツに水を入れて頭からかぶり建物へと突入するのだった。

 

 

 俺は建物に突入し、二人の人物を助けることができた。目立った外傷も無く彼らはすぐに目を覚まして話を聞いた。名前は宮野厚司さん、エレーナさんと言い夫婦で研究をしていたらしい。奥さんマジで美人だな、外人だし。ベルモットもそういえば美人で外人だったわ。研究内容については知ってる。アポトキシンね。さて、どうしましょう? 警察ルートに傾いていたのが一気に黒の組織ルートに近づいたな。

 とりあえず、この二人は保護しないと間違いなく殺されるだろうから、死を偽装して保護するか。変装術叩きこんでばれないようにして会社立ち上げてもらうようにしようか。死亡フラグを全力で回避する為に協力者となってもらおう。

 俺は二人を保護して子供ながら命を狙われていると嘘の理由を説明し、引き込むことに成功した。俺のスキルを見たときに二人は驚いていたが、事情を説明すると納得した。こうして俺は優秀な人材二人を引き込み、組織の目を欺くことに成功するのだった。

 全てを終えて家に戻ると、笑顔のベルモットが仁王立ちで待ち構えており、連絡することを忘れたことを激しく後悔するのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

<ベルモット Side>

 

 

 

「連絡してなくてすみませんでした、クリス」

 

 

「私がどれだけ心配したと思っているのかしら? 仕事で疲れて帰ってきてようやく偵光の顔が見れると思ったのに、書置きと一緒にご飯を置いてあるだけで出迎えも無いうえに連絡しても電話に出ないとはどういうことかしら」

 

 

「返す言葉もございません」

 

 私は今、一緒に暮らしている家族を説教している。それにしても綺麗な土下座ね。いつ見ても思うわ。誰かから習ったのかしら? 彼に詳しい話を聞いてみると、研究所らしき場所の爆発に巻き込まれたらしいわ。それを聞いた瞬間、爆発を実行した組織の人間を叩きのめそうと決めた。ヘル・エンジェル達を消す為とはいえ私のヒーローに手を出したんですもの。怪我をしていないとはいえそれ相応の覚悟はしてもらわないとね。彼に危険が及ばないように護るためなら私は手を汚し続けるわ。返り血以外で身体は汚さないけどね。

 彼と心に決めたのだから他の男性とかっていうつもりはない。それなのにこの子ったら男性とデートしてきたらどうだとか言うもんだからオハナシしてあげたわ。デートの約束と一緒にね♪ まあ、本人は何で怒られているのか分かってなかったでしょうけど。

 

 私と一緒にお風呂に入る時とかは顔を紅くしたり、寝ているときの顔なんかは歳相応ですごく可愛らしく写真を撮る機会が増えたわ。そういう彼に惹かれる私は世間からみればおかしいのかもしれないが、気にしないわ。

 

 ただ、この子は鈍感、天然でとんでも無いことをよくやらかし、学校では女の子にやたらと人気がある。この前、彼の授業参観に姉として参加したのだがすごく人気だというのがよく分かった。休憩時間になった瞬間、他学年の女の子二人と男の子二人が彼の所へ来たのだ。女の子二人は、佐藤美和子、宮本由美、男の子の方は降谷零、諸伏景光という名前で彼の友人のようね。まあ、偵光から話を聞いた時に既に調べておりみんな光側の人間なので安心することができたわ。女としては美和子、由美に対して安心は出来なかったので牽制の意味もこめて、彼を抱きしめながら友人達にあいさつしたわ。

 ボーイズ達は照れて顔を紅くしながら挨拶してくれたけど、ガールズ達は一瞬私を睨み不機嫌なオーラを出しながら笑顔で挨拶をしてきたわ。やっぱり当たりだったわね。調べて分かっていたことだけど、私以外のヒーローにもなるなんてどういうことかしらね? 怒りがわき彼の身体をつねったわ。その一件から子供達とも友好な関係が築けているわ。ガールズ達とは偵光を巡るライバル関係だけど楽しくやれているわ。

 

 あと、自分から事件に巻き込まれに行くのだけは辞めて欲しいわね。今回の件や、美和子や由美の件についてなんかでもそうだけど・・・・。

 しっかり対策も考えておかないといけないわね。

 彼の将来をある意味楽しみにしながらも私は説教を続けるのだった。

 

 

 

 




今回は話の展開上、地の文が長くなっております。すみませんがご了承ください。
なるべく早く原作の主人公を出せるように頑張ります


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3話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP崩壊してますのでご理解くださいm(__)m


<宮野夫妻 Side>

 

 白銀偵光(しろがねさだみつ)、妻と一緒に彼に命を助けられて10年の時が経った。私達夫婦は、ある組織に入りアポトキシンという毒薬を作らされていた。私達はそんなことの為に薬を作っていた訳ではない。人を助ける為に作っていたはずなのに騙されていたのだ。

 そして気づいた後すぐに研究所を爆破されて当時11歳だった彼に命を救ってもらった。彼には驚かされてばかりだが妻も私も感謝している。娘達に危険が及ばないように会うことができないと言っていたのだけは残念だが、彼が動向を探って動いているので大丈夫だろう。彼なら娘達を救ってくれるはずだ。なので娘たちの安全を願いながら彼の会社の仕事を妻と共に手伝っている。妻は医療関係の仕事、私は会社の経営と妻のサポートをしている。

 名前も野山司、野山リサと偽名を名乗って変装して声も変えて正体が分からないようにしている。彼の変装術は教えた者以外は誰にも見破られたことは無いらしい。彼がこんな技術をどうして修得したのかと昔妻が聞いたらしいのだが死んだ魚の目になり聞かないでくださいと言われ追及するのを諦めたようだ。

 私と妻以外では、秋庭怜子さんという二十代の女性が音楽関係の仕事で手伝っている。彼女はソプラノ歌手でこの会社に所属しながら仕事をしている。

 端から見れば、彼に惚れてこの会社に所属しているのが丸わかりなのだが、本人は気づいていない。それにしても偵光くん、鈍感し過ぎやしないかい? これだから彼の幼馴染達と保護者であるベルモットは苦労する訳だ。妻も私もベルモットが彼の保護者と聞いた時は流石に腰が抜けた。

 彼に組織の人間の幹部であるのを知っているのかと尋ねると、知っていると答えていた。ベルモット本人は気づかれているとは思われていないらしい。組織にいると分かってて離れないのかい? 君も組織の関係があるのかと聞いたら彼は

 

「組織とは関係ないですよ。んー、俺が離れるとクリスいやベルモットか? アイツ死んじゃいそうなんですよねー。それは気分が悪いし、罪を償ってもらって光があって暖かい場所のアイツもいて良いんだってことを分かって欲しいんですよね。それにこんな気味の悪いガキを助けてもらったし、救うって約束したんですよねー。

 俺と生活するようになって、殺しも悪人以外に対してはしていないみたいですし、仕事が溜まってるだろうに俺の方を優先するんですよ。面白いでしょ? そんなことされたら悪人だとしても情がわくってもんです。

 アイツのことに関してはキチンとケリ付けて貴方たち家族には手出しさせないようにしますので心配しないでください」

 

 と大胆なことを言いのけるので彼を充分信用できる理由にはなった。妻も同じく信頼して彼のことは凄く気に入り「明美か志保と結婚してくれれば偵光は息子になるわね、アナタ♪」と言い、娘たちが気に入るようなら問題はないなと私は思ったが、同時に彼に惚れた場合間違いなく娘たちは苦労するだろうなと同時に思ってしまった。

 おっと、話が逸れてしまったな。この会社はいわゆる何でも屋みたいな感じだ。今は妻の医療、秋庭さんの音楽、偵光くんのお菓子販売で利益を上げている。彼のお菓子(料理)技術は、店を出してもおかしく無いレベルなのだが本人曰く爆破されそうなので会社のビルの前でスペース作って販売するだけで充分だと言っていた。

 もったいない気がするしあり得ない理由だと思うのだが、本人の意向に従って商品を出すだけにとどまっている。ケーキとか凄く美味しいのにもったいない。

 そんな彼の技術に惚れて弟子入りしている香坂夏美という女性もいたな。パティシエを目指しているらしく彼と同じ年の影響もあるのか気が合うようで仲が良い。

 そのお蔭で、秋庭さんの機嫌がすこぶる悪くなっているのだが・・・・。香坂さんも偵光くんに気があるのだろうか? うーん、お菓子の師匠って感じだな。何かキッカケがあれば変わる可能性はあるだろうが。

 

「アナタ! ちょっと来て! これ見てください!」

 

 考え事をしていると慌てた妻の声がした方に急いで向かった。

 

「どうした!? リサ? 何があった?」

 

 声をかけながら様子を伺うと、テレビを見て指さしていた。テレビを見てみると、どうやら杯戸町のショッピングモールに爆弾が仕掛けられ解除されたという報道をしているようだ。ん? 杯戸町? 妻から聞いた話だと偵光くん、秋庭さんがショッピングモールにデートに向かっていたような?

 はは、まさかなー。テレビをよく見てみると20歳ぐらいの男性が、黒髪の綺麗な女性に泣きながら抱き着かれており引きつった笑みで、取材陣に答えていた。うん、よく知っている顔だね、二人とも。

 

「凄いわねー、偵光くん、爆弾を解体して被害が出ないようにしたみたいよ。怜子ちゃんも余程心配だったみたいね。あんなに大泣きしている怜子ちゃん初めて見たわ。彼を確認した瞬間夏美ちゃんからすぐ連絡あって驚いたわ。すぐにこっちに向かって今日は泊まるそうよ」

 

「香坂さん・・・・いや、気にすることはそうじゃないだろう。彼はまた巻き込まれたのか? 全国ネットでこの映像流れてるから大変なことになるぞ。すでになっているかもしれないが。偵光くん、無事に生きて帰ってくるんだぞ」

 

 私は妻の天然さにも呆れながらも、彼の身を心配しながらこれからこの場所にやってくるであろう人物達に対し頭を抱えるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

<ベルモット Side>

 

 私は組織からの命令である人物を尾行しながら、カフェにいた。怪しまれないように休憩しながら人物を観察していると

 

「緊急速報です! 杯戸町にあるショッピングモールにある爆弾は解体され爆発することも無く、大きな怪我をした人はいませんでした。爆弾を解体したのは警察ではなく一般の青年だそうです。ああ! 先ほどでてきたようです! 隣にいるのは彼女さんでしょうか? インタビューしたいと思います! すみませんー」

 

「ひ、ひっぐ。心配したんだから。このバカ。ひっぐ」

 

「いい加減泣き止めよ。心配かけて悪かったって。おい、テレビに映ってますよ、怜子さん? あ、すいません、何でもないんで泣きながら睨むのだけはやめてください、お願いします」

 

「ひっぐ、うるさい! だいたい何でアンタはいつも事件の中に散歩してきますって感じで突っ込んでいくのよ! この大馬鹿! 本当に心配したんだから! ぐすっ」

 

「滅相もございません。すみません、警察の方に呼ばれてるみたいなんで、いたっ! ちょ、引っ張るなって! お前防護服被って黙ってるけど零だよな!? 

片側怜子さんに摑まってるから、そんな無理に引っ張られると手抜けちゃうよ?」

 

「ぐすっ。早く行くわよ! 警察に話してしっかり反省してもらうから! 私をこんなに心配させた罰よ!」

 

「怜子さん!? ちょっ、二人して引っ張らないでくださいって! 俺なんか連れ去られる宇宙人になってるよ!? ねぇ、聞いてる!?」

 

「・・・・えー、以上現場からの状況でしたー。スタジオに戻します」

 

 

 あら? テレビからよく知っている声が聞こえた気がするんだけど気のせいよね。気になって見てみると私の大事な家族が女性と警察に引きずられている映像が写っており、私は飲み物を吹き出し迷惑をかけてしまうのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

<佐藤美和子&宮本由美 Side>

 

 

「・・・・えー、以上現場からの状況でしたー。スタジオに戻します」

 

 ショッピングモールに爆弾が仕掛けられたニュースの緊急速報が終わった瞬間、警視庁刑事部内の昼休みの空気は一変した。辺りは物凄いプレッシャーに包まれ、刑事たちに冷や汗が流れている。プレッシャーの発生源は先ほどまで隣同士で仲良く食事をしていた二人の女性だ。

 

「えっと、佐藤さん、宮本さん? 急にどうしたんですか・・・?」

 

 つんつん頭の新人の刑事が空気を変えるべく涙目で地雷元に突っ込んだ。先輩刑事達は彼の行動に心の中で称賛している。

 

「ねえ、美和子。アイツ何してるの」

 

「さあ? またトラブルに巻きこまれたんじゃないの?」

 

「怪我してないと良いんだけど・・・」

 

「そうね・・・でも偵光のことだから絶対無茶してそうね」

 

「昼から有休取っていく?」

 

「いいわね」

 

「彼のことが心配なのは分かるが、落ち着くんだ二人とも! 彼が関わると見境が無くなるのは警察に入った時から変わらないな! 二人ともいい加減にせんか!」

 

「「す、すみません、警部」」

 

「分かれば良いんだ。ほらみんなも休憩の続きをするように」

 

 警部はそう言い周囲の刑事達をちらせた。

 

「あの人誰なのかしら?」

 

「うーん、あの人どこかで見たことあるんだけど・・・知らない高木君?」

 

「・・・・はい。あの人は秋庭怜子さん。ソプラノ歌手でソプラノ界の姫って呼ばれている人で凄い人気がある人で僕もファンだったんですけど、まさかマネージャーの人と付き合ってるとは。まあ、前からゴシップの噂で付き合っているってのはあったんですけどねー。事実だったとは」

 

「なるほどね。ホントどういう縁でそんな人と知り合ったのかしら? 会社立ち上げたって言っても手広げすぎじゃない。無駄にハイスペックなんだからアイツ」

 

「事件の事情聴取で降谷くん達が警視庁に連れてくるだろうしその時に確かめましょう」

 

「私は交通課の仕事があるから、後で教えてね、美和子。どうせ彼の職場に今日はお邪魔することになるだろうし仕事終わったら連絡するわー」

 

「ええ、分かったわ。高木くんどうしたの?」

 

「えっと、あのテレビに映っていた男性って佐藤さんの知り合いですか?」

 

「美和子の初恋の人兼幼馴染ね♪」

 

「なっ! 由美だって同じでしょ!?」

 

「そうね♪ ってな訳で高木君は美和子のこと諦めなさい。美和子ったら偵光以外男に見えてないからねー♪ ご飯も食べたことだしそれじゃあ、またね」

 

「ちょっと!? 待ちなさいよ、由美!」

 

「そんなー」

 

「大丈夫かのぉ、白銀くんは。ここにいる刑事達に間違いなく睨まれるだろうな・・・」

 

 二人の女性が去った後、警部はぼやきお通夜みたいな空気が流れているのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




次回主人公が息していません(笑)
秋庭怜子、香坂夏美は劇場版でも好きなキャラなのっで登場させてヒロインにしました。設定変わっていますがご了承ください。


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4話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m



<秋庭怜子 Side>

 

 私はようやく落ち着き、防護服?を着た男二人に説教されながら正座している男性を近くで見ている。

 

「お前はどうしていつもそんなに無茶をするんだ!? 心配するこっちの身にもなってみろ!」

 

「今回ばかりはゼロに賛成だ。偵光、お前はどうして事件というか爆心地に突っ込んでいくんだ? いつか死ぬんじゃないかって冷や冷やして胃が痛いんだが」

 

「いや、あのですね? 事件に突っ込んでいる訳ではなくて事件が俺に寄ってきているんですよ? 事件から逃げようとしてもあちらさんから近寄ってくるのにどうしたら良いのでしょう?」

 

「言い訳するんじゃない! お前、俺たちだけじゃなくてそこの女性にも散々心配させたんだろう!? お前がいなくなったら悲しむ人がたくさんいることが分かっているのか!?」

 

「それは充分身に染みて分かっています」

 

「うるさい、偵光。アンタたちもそのバカにもっと言ってやって」

 

「うるさくしてごめんなさい」

 

「なあ、ゼロ? 佐藤さん達以上にあの人おっかない気がするんだが」

 

「あ、ああ。アイツには佐藤さん達より厳しい人の方が行動を制限できるようになるだろう。怖いが」

 

「あら? 貴方たち、何か言ったかしら?」

 

「「いえ」」

 

「そう、それなら良かったわ。続けてちょうだい、お巡りさん♪」

 

「怜子さんマジでおっかねぇ・・・」

 

 佐藤、宮本?誰のことかしら?

 あらあら。私をどれだけ心配させたのか分かってないみたいね。

 

「偵光、後で覚えておきなさいよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「返事は?」

 

「はい」

 

「よろしい♪」

 

 私のことをすごい目で見てくるわね。一睨みするとゼロと呼ばれていた人が

 

「こほん。話を戻すが偵光はよく爆弾解体できたな。どこで身につけたんだ? だいたい予想はつくが・・・」

 

「そんなん決まってるだろうが。クリス・ザ・ブートキャンプで身につけさせられたに決まってるだろうが。生き残る為の術をガキの頃からずっと叩きこまれたからな・・・・」

 

「「なるほど」」

 

 どうしたのかしら? 偵光は遠い目をしているし、二人の警官は同情の視線を彼に送っている。彼の子供の頃の話か・・・。幼馴染ってのは羨ましいわね。四人いると彼から聞いていたが名前も聞いたことないし合ったこともないからどんな人達なのか分からないのよね。

 彼の保護者のクリスさんとは会ったことあるんだけど。話しぶりからしてゼロとひろみつ?と呼ばれる二人が幼馴染であることは間違いないわね。

 

「それで偵光、お前が爆弾解体できるのは分かったが警察に任せなかったんだ?」

 

「理由はいくつかあるんだが、一つ目はパニックになって大けがをする人が出る前に解決したかったってのがある。二つ目に零と景光は分かるだろうが、俺がいる場所で事件が起これば間違いなく何かが起こることが予測できたから爆弾がある場所に向かえば被害が少なくなると思ったんだよ。

 怜子さんを巻き込むわけにはいかなかったしな。まあ、怜子さんやお前達には余計な心配かけちまったけど」

 

 彼は私の方を横目で見ながら言った。目が合った瞬間恥ずかしくなり私は目を反らした。ちょっと、こっち見ないでよ、恥ずかしいじゃない。

 

「お前という奴は・・・」

 

「そんな呆れた目で見るなよ、零。爆弾解体してけが人も少なかったし、俺が説教されるだけで済んだから良かっただろ」

 

「何上手い具合にまとめようとしているんだ! 爆弾の状況を萩が確認して・・・戻って来たな。どうだった?」

 

「おう、降谷、諸伏お疲れ。爆弾は綺麗に解体されていたな。普通に解体しても遠隔機能で爆破されていた可能性が高いから、完全に解体するには解体の技術を数十年近く磨かないと無理なものだな。ホントにお前らの幼馴染が解体したのか?」

 

「萩が言うから間違いは無いんだろうが、ゼロ。俺は聞くのが怖いから詳細聞いてもらえるか?」

 

「景、俺も同じなんだが。おい、偵光。確認したいんだが、解体時間はどのくらいだ?」

 

「10分ぐらいかな? 水銀レバーもついてなくて解体しやすい爆弾だったし、クリスが用意した先生に習った時の爆弾の方が容赦なかったな。うん、考えれば今まで生きてくることがよくできたなー。ははは!」

 

「「コイツは・・・・」」

 

「おいおいマジかよ? やべえなお前らの幼馴染。どんな訓練受けてきたんだよ?」

 

「それは私も興味あるわね。偵光がどうしてここまで人間離れしているのか気になるわ。クリスさんの修業ってそんなに厳しいの?」

 

 私は未だに正座している彼に尋ねた。

 

「うん、ぶっちゃけ俺かスペック高い人じゃないと間違いなく死ぬレベルの訓練を今まで受けてきました」

 

 

「俺やゼロも数か月参加したことあるけど、警察学校の訓練が子供の遊びレベルだったな」

 

 

「いや、むしろあれは偵光の為だけに考えられたメニューだろう。常人には付いていけないレベルだ。独りで無人島に一ヶ月サバイバル生活なんか間違いなく無理だ」

 

 

「ああ、別名クリスのお仕置きね。あれは俺も一番嫌いだわ。普通の無人島ならまだ余裕なんだが、俺だけで行く時は地雷とか色々と罠が仕掛けてあるから面倒くさいんだよ」

 

「「「・・・・・・」」」

 

 警官三人は開いた口が塞がらないようだ。私も驚きすぎて目が点になっている。クリスさんってそんな怖い人には見えなかったんだけど

 

「あ、あんたは本当に人間? お仕置きって何か理由があるの?」

 

 

「失礼な。歴とした人間ですよ。理由ですか? うーん、クリスが俺の行動に怒ったからかな?」

 

「偵光、彼女に言わない方が身のためだぞ」

 

「同じく。ゼロの言う通りだ。俺たちからは一応忠告したぞ」

 

 どうやら幼馴染の二人は理由が分かっているようで、私は気になったので聞いてみた。

 

「何したの?」

 

「俺も気になるなー。おっと自己紹介がまだだったな。萩原研二だ。そこにいる降谷と諸伏とは警察学校からの同期だ。そちらのお姉さんも紹介してもらえると助かるんだが」

 

 そう言えば自己紹介してなかったわね。さっきまでそれ所では無かったし。

 

「白銀偵光だ。会社を立ち上げて従業員のサポートと菓子等の商品販売を主にしています。零と景光とは幼馴染だ。よろしく」

 

「秋庭怜子よ、よろしく。偵光の会社でソプラノ歌手として働かせてもらっているわ。彼には私のマネージャーもしてもらっているの」

 

「人違いかと思っていたのですが、ソプラノ界の姫に直接お会いできるとは思いませんでした。偵光の幼馴染の降谷零です。よろしくお願いします」

 

「偵光と零と幼馴染の諸伏景光だ。よろしくな秋庭さん」

 

「こんな綺麗な人とデートしてて、会社の社長とか羨ましいなおい。俺がもし警察辞めたら雇ってくれよな! それで、さっきの話の続きに戻ろうぜ」

 

「よろしく。そうね、自己紹介もお互いに終わったし教えてくれるわよね、偵光?」

 

「理由を言わないってのは・・・・?」

 

「ダーメ♪ 幼馴染達が忠告していたのが気になったからちゃんと教えなさい。良いわね?」

 

「はい。えーと無人島に送られた時はクリスに良い人見つけたらって言った時です」

 

 何か誤魔化しているわね? クリスさんが偵光のことを男性として愛しているのは一目みて分かったわ。それにしてもクリスさんも報われないわね。あれほど分かりやすいのに本人に気づかれないなんて。

 まあ、これほど鈍感な男なら仕方ないわね。私があんだけアプローチしているのに全然気づいてくれないし、なんか段々腹立ってきたわ。堂本先生の紹介で彼と会った時にはここまで好きになるとは思わなかったけどね。どうしてこんな奴を好きになったのかしら。

 此奴に助けられて夢を隣で応援してくれて練習や私のわがままにも嫌な顔をせず付き合ってくれたら惹かれるに決まっているじゃない。惚れた方が負けね。そんなことより、隠してる理由も聞き出しましょう。

 

「他には? 無人島に行かされた理由はそれだけじゃないんでしょ?」

 

「いや、ほかに理由は「あるわよね?」・・あります」

 

「ぜ・ん・ぶ教えなさい」

 

 彼は助けを求め幼馴染二人を見たけど顔を反らされた。諦めたみたいね

 

「怒らないと約束してもらえるなら言います」

 

「ふーん。私が聞くと怒るような内容なのね。怒らないから話しなさい」

 

「そういいながら絶対怒るよね!?」

 

「大丈夫よ。だから早く話しなさい」

 

「俺が事件に巻き込まれて無茶する度に、送られていました」

 

「ふーん・・・・。アンタ、今回みたいなこと何回もしてきたの?」

 

「はい・・・」

 

「アンタって奴は、本当に・・・」

 

「すみません」

 

「うわあ、白銀が哀れすぎるんだがいつもああなのか?」

 

「ああ。彼女の場合幼馴染の二人よりキツイな。クリスさんが怒った時によく似ているよな、ゼロ」

 

「いや、同じぐらいな気がする。容赦の無さは彼女の方が上だが怒ったときの威圧感はみんな同じぐらいだ。佐藤さんも宮本さんも怒った時は特に凄い。今回、あそこで小さくなっている奴のテレビ報道を見ていようものならどうなるかが予測できない。

秋庭さんが泣きながら抱き着いているのが映っていたのは間違いないからな。これからアイツを事情聴取の為に警視庁に連れていかなければならないんだが、佐藤さん、下手したら宮本さんも乱入してくる可能性がある。そう考えると胃が痛いな。こんな現状に

してしまった俺たちも怒られるぞ、間違いなくな。うう、早退したい」

 

「萩、警視庁戻ったら二人に殺されそうだから俺帰るわ」

 

「一体何言っているんだお前らは!? こんなお前達見るとか初めてだぞ! え? 佐藤刑事と宮本さんって怒ったらそんなに怖いの?」

 

「正座してる状態で、一時間ニコニコ笑顔でもの凄いプレッシャーを放ち続けるパターンだったら最悪だ。良くて正座で30分説教だな。俺も景もあれはトラウマになっている」

 

「はははー。一時間コースだけは勘弁して欲しいな」

 

「何してそんなに怒られたのお前らは!?」

 

「「偵光の爆心地に突っ込んでいく暴走を止められず怒られた」」

 

「は? 今回も同じパターンじゃないのか!? それに下手したら俺も説教されそうだよな?」

 

「「ですよねー。うん、諦めて警視庁に戻ろう。偵光もすぐに来い」」

 

「嫌だー! 俺は絶対関係ないだろうぅぅぅぅぅぅ」

 

 ああ、もう! 背後が煩いわね! けど二人きりにしてくれたのはありがたいわね。

 

「偵光! 事情聴取行くわよ! 分かった?」

 

「イエッサー」

 

 落ち込んでいる彼を立たせ腕に抱き着き引っ張って警視庁へと私達は向かうのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

<偵光Side>

 

 皆さんこんにちは。白銀偵光です。ここで問題です、俺は事情聴取受けてからどんな状態になっているでしょーか?

 正解は、俺の会社の事務所内で女性3人に睨まれながら男性4人が正座してるでした! ちなみに俺だけ土下座状態ね! 顔を上げるのも許さないとばかり睨まれましたよ!

 

「俺はまた忠告したからな、偵光」

 

「ゼロって偵光に対して面倒見が良いよなー」

 

「え? 何で俺らも正座させられてんの? ってかあそこの嬢ちゃん・・・」

 

「「連帯責任だから諦めろ、萩。それだけは突っ込むな。まだバレてない・・・はず」」

 

「偵光、顔を上げなさい。私にそこの人達を紹介してもらいたいんだけど」

 

「土下座すれば逃げ切れるって思ったのかしら? アンタは昔からそうだもんねー。考えていることが丸わかりよ。そうねぇ、私たちの怖い顔を見ず、反省しているように見せれる利点があるってとこかしら? 偵光と付き合いの長い幼馴染の私達ならアンタの考えぐらい分かるわよ。ねえ、美和子?」

 

「そうね。せっかく降谷くんが忠告してくれたのにね。今までバレてないと思っていたのかしら? クリスさんに怒られる時なんか土下座なんてさせてもらえないんじゃない? 今は、良いわ。野山さん達が偵光の所にいたのは知っていたんだけど、そちらの女性二人は見たこと無かったわね。それに、私達に隠し事は無しって言ったわよね?」

 

 「「「どこ見てるのかしら、偵光?」」」

 

 

「ひっ! よそ見してすみません! しょ、紹介ですよね。こちらが俺の幼馴染の佐藤美和子、宮本由美です。刑事課と交通課に勤めてます」

 

「佐藤美和子です、よろしく」

 

「宮本由美よ、よろしくね」

 

「こっちが俺の会社で働いてもらっているソプラノ歌手の秋庭怜子さんです。それで、俺の後ろにいるのが香坂夏美ちゃん。パティシエを目指しているらしく俺がお菓子作りと料理関係の技術を教えている弟子になります。以上です」

 

「こ、香坂夏美です。佐藤さんと宮本さんのことは先生から聞いてました。よろしくお願いします」

 

「秋庭怜子よ、よろしく。私が一番歳上になりそうね。ちょっと聞きたいんだけどアンタ達って幼馴染って話だけど何がキッカケで仲良くなったの? 男連中の話はそこのバカから聞いたことあるんだけど」

 

「私はお父さんのことを助けてもらってからね。彼の応急手当のおかげで一命を取りとめたの。彼は感謝してもしきれない恩があるわ。由美は私の友達だったからそこから自然にって感じかしら」

 

「最初はそうだったわねー。子供がそんなこと出来るわけないって疑ってたんだけど私が誘拐されて単身で乗り込んで犯人捕まえた時から信じるようになったわ」

 

「子供の時から何してんのよ、アンタは」

 

「聞かないでください。波乱万丈すぎて泣きたくなるので」

 

「白銀の過去にいったい何があったんだよ・・・」

 

 萩原さんの優しさが俺の心に染みるぜ。俺に優しくしてくれんのって野山さん達か、夏美ちゃんぐらいだからなー。

 

「なあ、ゼロ。偵光ってホント考えてること分かりやすいよな。事件に遭遇した時を除いて」

 

「もう何も言うな。アイツは昔からこうだ」

 

「ああ」

 

「こほん。さ、さっきの続きに戻すわね。私も由美も逆に秋庭さんと香坂さんとの出会いを聞きたいんだけど良いかしら?」

 

「私は指揮者の堂本先生に、様々な楽器を演奏できて私の練習に付き合える人材だからって紹介されたのよ。まあ、何回かやってたら音をあげるかと思ってたんだけど、嫌な顔をせず付き合ってくれたわ。偵光のおかげで夢を諦めずにソプラノ歌手になることが出来たわ。

 今ではマネージャーもしてもらっているし、か、感謝しているわ。す、少しだけね」

 

 ははは、あんだけメンタル削られて少しだけですか、そうですか。初めて会った時に比べれば、怜子さんから少しって言われてもらうだけでもマシか?

 

「秋庭さん、俺から一つ忠告だ。偵光に対してその態度だと気持ちは間違いなく伝わらない。伝えるなら真正面から・・・・「「降谷くんはどっちの味方なの?」」いえ、何でもありません。忘れてください」

 

「わ、分かってるわよ! アンタに言われなくても、コイツが人の気持ちに気づかない唐変木だってのは!」

 

「ああ、もう! 私のことは良いでしょ! 香坂さんは何がキッカケなのよ? いつの間にか弟子入りしていたし」

 

「え、ええ。私はこの会社の製品のお菓子を食べて、会社に電話して先生にお会いしてそこから弟子入りしました。先生の腕ならお店も充分出せるのにお店出さないって聞いたときは驚きましたけど。今はお菓子作り以外にも料理全般、お店の経営の仕方と教えていただいていますので凄く助かってます。先生って私と同じ歳なのに凄いですよね。先生は私の尊敬する人です」

 

 

「「「鼻の下が伸びてるわよ?」」」

 

 

「見間違いです(キリっ)」

 

 

「はあ、これでお互いの自己紹介が出来たわね。これからの交流も兼ねて今日は食事に行きましょう。偵光の奢りでね。佐藤さん、宮本さん、香坂さんもそれで良いかしら? 野山さん達も一緒に行きましょう。 ああ、そこの警官連中にも爆弾事件についてオハナシしないといけないでしょうし」

 

 

「やったわね、アナタ。偵光くんたら太っ腹ね」

 

「偵光くん・・・。きついようだったら経費で落とすようにするから相談してくれたまえ」

 

「え? 今日は帰らせていただかないと保護者様に怒られると言いますか・・・」

 

「「「あ、はい。喜んで行かせていただきます」」」

 

「いい考えねー! 秋庭さんとはおいしい酒が飲めそうよ」

 

「ちょっと由美。飲みすぎないようにね。でもおいしいもの食べたかったし、今日は偵光の奢りだから無礼講ね♪」

 

「あのー、私も一緒してホントに大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫よ、気にしないで。クリスさんに偵光の写真を撮って送る条件付きでメールしたらみんなで楽しんできなさいだってー」

 

「もう、由美ったらいつの間に。香坂さんも遠慮しないの。先生の小さい頃とかがどんなだったか教えてあげるわ」

 

「本当ですか!? 先生の子供時代どんなだったのか凄く気になってたんですよ。私も参加させていただきます」

 

「私も気になるから教えてちょうだい。それでクリスさんの許可も得たし何か問題でもあるかしら?」

 

「いえ、問題ありません。どんとこいです」

 

「よしっ! それじゃあ、みんな行きましょう♪ それと、これは私を心配させた罰よ。ただ私を守る為に爆弾解体しに行ったんでしょう? ありがと。あの時のアンタはカッコよかったわよ。心臓もたないからあんな無茶はもう辞めてよね」

 

 

 

 怜子さんはそう言いながら、俺に顔を近づけて頬に暖かい何かが触れた感触がするのと同時に音が鳴った。

 

「!?」

 

「「なっ、何したのよ偵光!?」」

 

「ひゃっ、凄いです」

 

「逃げるぞ、ゼロ」

 

「その考えに賛成だ」

 

「ひゅうー」

 

「アナタ、若いわね♪」

 

「そうだな、胃が痛い」

 

「ふふふ。お礼なんだから勘違いしないでよね! まあ、アンタになら勘違いされても良いけど・・・」

 

 最後小声すぎて聞こえませんでしたよ!? って美和子さん、由美さん? 俺をどこに連れていくのでしょうか・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

 

 彼女は眩しいほどの笑顔でそう言い、俺は美和子達に詰め寄られ散々説教されて高級レストランを奢らせられるようになるのだった・・・。

 

 

 

 

 

・・・・帰宅後

 

 

「ふふふ。偵光、今日も事件に巻き込まれて爆弾解体したそうじゃない。また、無茶したのね・・・・無人島行き決定よ。前回の注意では物足りなかったみたいだから罠のグレードも上げておいたわ、感謝しなさい♪」

 

 

「・・・はい、喜んで行かせていただきます」

 

無人島行き(死刑宣告)を再通告されるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 




 怜子さんが好きすぎてやってしまった。後悔はしていない!
 怜子さんはツンデレのイメージしかないです(笑)
 ツンデレで主人公をおとすのは大変そうですね(;^ω^)
 次回は人気のベルモットさんとのデート回を予定しています。他のヒロインにもスポットをあてて主人公にドキドキしてもらえるよう頑張ります。
 おっと主人公の背後に次の事件がやってきたようだ(笑)


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5話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m

 今回はベルモットとのイチャイチャ回です。ベルモットがデレたらこんな感じだろうなーと思って書いたのでキャラ崩壊してます。
 どうかご了承ください。
 砂糖の貯蔵は充分か、皆さん?
 覚悟ができたならご覧ください。



<ベルモット Side>

 

 私は今、大切な人と杯戸ショッピングモールに来ている。今日は組織の指令が無く、彼も休暇を貰えたらしいのでこの日にデートの約束を取り付けた。彼はデートではなく家族サービスって思っているでしょうけど。

 彼と出会って14年が来るのね。早いもので彼は23歳になり非常に好青年に成長した。ハイスクールまでは通い、そこから会社を立ち上げ仕事をしている。彼のスペックは常人以上で、彼の会社は知らずしらずのうちに大きくなっている。組織も目を付けるかと懸念していたのだけど、手を出す気はないらしい。

 正確にはクリーンすぎて手を出せないって所ね。裏では彼の手腕で手を出させないようにしているんでしょうけどこちらとしてはヒヤヒヤしているわ。

 でも彼なら組織の幹部が来ても返り打ちにするぐらいの技量はあるわね。むしろ手を出したらこちらが大打撃を受けるレベルね。

 だからボスも手を出せないんでしょう。

 私がそこまで出来るよう鍛えたってのもあるかもしれないわね。

 予想以上に成長しちゃったけど。彼なら私に何かあっても生きていけるでしょう。

 ふふっ、私がいなくなることを許さないだろうけど、私のヒーローさんは。

 組織の方は私が白銀(ホワイトシルバー)には絶対に手出しはさせないわ。

 彼と彼の身の周りの人物たちの保護を優先するつもりだけどね♪

 何でもできる彼はカッコよさ、性格の良さを自覚しておらずたくさんの女性に慕われてることが分かってないのが問題なのよね。初めは私だけだったのに、美和子、由美、怜子から慕われるようになり、夏美は・・・・まだ分からないわね。時間の問題な気がするのは気のせいかしら? 

 

 私の知らない所でも女性を引っかけてそうね、この天然くんは。腹が立ったので、腕に抱き着く力を強めた。ふふふ、顔が紅くなったわね。ホント可愛いんだから♪ 

 今は女に生まれてきて良かったと思うわ。

 

「あー、クリス? そんなに抱き着かれると色々と当たって恥ずかしいんだが。それに色んな人から見られてるし」

 

「あら役得じゃないの? アナタに意識してもらいたいから態と当ててるのよ♪ 見られてるのはアナタにも理由があるわよ? アナタほどカッコいい人なんていないもの」

 

「冗談は辞めてくれ。零とかの方がイケメンだぞ? 見られてる原因は、クリスが美人すぎるからだろう。俺がガキの頃からキレイなままだし」

 

 全く、急に綺麗だとか言いだすもんだから驚いたじゃない。彼は昔からこう思っていることは平然と口に出すから困るのよ。私だけではなく他の女性も被害にあってるわね。私は顔に熱がともるのを感じながら答えた

 

「そ、そう。thank you。アナタにそう言われて凄く嬉しいわ。偵光も昔から変わらずカッコいいままよ。ただ綺麗だとかサラッと言うのは辞めてもらえるかしら? 心臓に悪いわ。こちらも心の準備が必要なのよ」

 

「一体なに言ってんだよ。ん? 顔が紅いぞ? もしかして体調が悪いのか? んー、熱は無いみたいだな。おい、顔真っ赤だが大丈夫か? 体調が悪いなら帰るか?」

 

 なっ!? ちょっと顔が近すぎるわよ? 家の中なら分かるけど、ここは外じゃない! お願いだからこれ以上私を攻めないで! 攻めるのは好きだけど、攻められるのには弱いのよって何を考えてるのかしら!? 

 そう、私は組織の幹部ベルモットよ。こんなこと組織の命令に比べれば余裕よ。落ち着きなさい、私。

 偵光のペースに呑まれないようにしなさい!

 

「だ、だいじょうぶにょ・・・こほん、大丈夫よ。体調は全然問題無いわ。アナタが外でいきなりキスしてくるかと思って恥ずかしくて焦っただけよ」

 

 あら? 変な事を口走った気がするけど気のせいよね。

 

「なに言ってるんだよ・・・。クリスにキスする訳ないだろう。体調大丈夫ならって痛っ! 何するんだよ!?」

 

「別に。誰かさんは女心が分かってないと思ってお仕置きしただけよ」

 

 キスする訳ないですって? 決めたわ、彼が油断してる時に私の方から絶対にキスしてやりましょう。

 

「何だよそれ。んー、人の感情読むのには自信あるんだけどな」

 

「それは事件が関わったときか、自分に向けられる以外の感情だけでしょう?」

 

「そんなことないと思うんだが」

 

「自信ある人なら普通は、私に対して彼氏作ったら? って言わないと思うけど」

 

「んー、クリスには幸せになってもらいたいって気持ちが強いんだよなー。こんな俺を引き取って面倒みてくれたしな」

 

「あらアナタが幸せにしてくれても良いのよ?」

 

「あー、はいはい。クリスに良い人が見つかるまでは俺が頑張るさ。家族だからな。見つかってからはその人にバトンタッチだな」

 

「ふふふ、そう。それまではよろしくね♪」

 

 こういう優しい所が彼の美点なのよね。これだから愛してしまうのよ。良い人についてはもう隣にいるから大丈夫よ。教えても理解はしないでしょうけど。

 

「クリスにそういうばかりじゃなく俺もそろそろ相手見つけな・・・いえ、何でもありません。それを口にした瞬間クリス達から何かされる嫌な予感がしたぞ。ってか腹が減ったからご飯でも食べに行かないか?」

 

「偵光にはそういうのは必要ないのよ。好きな相手って見つけようと思って見つけるものではないでしょう? 良いわね。レストランで食べた後、観覧車にも乗ってみたいわ」

 

「ああ、分かったよ。人が多くなる前に行こうぜ」

 

「ええ! それにしても大きめのバッグだけど何か持ってきたの?」

 

「自衛道具だよ。俺が外にでたら大抵何か起こるからな。何も起こらなければ万々歳なんだが、準備しておくことにはこしたことないだろう」

 

「今日は私もいるから大丈夫よ。アナタにとって幸運の女神が付いているんですもの。早く行きましょう、偵光」

 

「ああ、そうだな」

 

 私がいる限り彼には絶対に手を出させないわ。そう決心しながら彼とレストランに向かった。

 

 

 

あの美男、美女カップルのラブラブ空間はんぱねえ(周囲の人間談)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はい、あーん」

 

「おい、何してるんだよ」

 

「あら、分からない?」

 

「いや、分かるがどうしてそんなことするんだって意味で聞いたんだよ。周りにめちゃくちゃ見られてるじゃねぇか」

 

「それはアナタが早く食べないからでしょう? 家族なんだしおかしくないでしょう? ほら、あーん」

 

「いや家族でもなかなかしないぞ。夫婦や恋人ならするだろうが、ああもう分かったよ。あーん、上手いな、このカルボナーラ!」

 

「でしょう? 私もこの味は好きだわ。偵光が作ってくれた料理には負けるけど」

 

「そういってもらえると作る側としては嬉しいね。このミートパスタもおいしいぞ、ほら」

 

「わ、私は良いわよ」

 

「何照れてんだよ、今同じことしてたしミートパスタも気になってたんだろ? メニュー見る時カルボナーラとどちらにするか迷っていたみたいだし。ほら、あーん」

 

 彼はニヤニヤしながらフォークをつきだしてくる。全く全部分かっているところが腹立つわね。まあ、私の事をちゃんと見て分かってくれて嬉しいって気持ちの方が大きいのだけど。

 

「ほらほら。早く食べないとずっと注目されるぞ?」

 

「わ、分かったわよ! あーん」

 

「こっちも美味しいだろ!」

 

 彼は満面の笑みで私を見ながら言うのだが絶対に意識されてないわね。

 あの笑顔には負けるのよね。一番好きな顔だし。

 

「ええ、そうね」

 

 私も満面の笑みで返し、食事を楽しんだ。

 

 

 

 

 空気甘すぎて吐きそう。ブラックコーヒー飲みたくなった(レストランの店員談)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 私達は食事して、すこしゆっくりし観覧車の列に並んでいた。観覧車に乗るのを楽しみにして見上げていたら彼が話しかけてきた。

 

 

「ショッピングモールの中に観覧車があるってのは凄いな。普通遊園地の中とかだろ」

 

「観光名物にする為に作ったみたいよ? パンフレットにはそう書いてあったわ」

 

「なるほどな。そう言えばクリスとは遊園地に行ったことなかったよな?」

 

「そうね。あら? もしかして連れていってくれるのかしら?」

 

「そうだなー。今度トロピカルランドにでも行くか」

 

「そ、それってみんなで?」

 

「いや、クリスと二人でだな。みんなとは行ったことあるしな。それにクリスとこうどこかに出かけるって少なかっただろ? 

 遊園地に行くなんか家族っぽいし、どこかに旅行に行くのも良いかもな」

 

 もう! どうして私を喜ばすことばかり言うのかしら、この子は!

 

「・・・も行きたい」

 

「ん?」

 

「どっちも行きたいわ。遊園地も旅行も。我儘だけど悪いかしら?」

 

「ははっ! クリスから我儘言われたの初めてだな。無理なことはダメだがそのぐらいなら全然大丈夫だ。どっちも行こうぜ! 

 それと俺に対してもう少し我儘言って大丈夫だぞって順番きたみたいだから乗ろうぜ」

 

 彼は笑いながら私の頭を撫でた後、手を引きいつの間にか順番がまわってきていた列の先頭から観覧車に向けて移動を始めた。

 こういう所がずるいし、ますます好きになってしまうじゃない。

 

「ちょっと、待ってよ。分かったから引っ張らないで」

 

 彼に笑顔で返答し、観覧車に乗るのだった。

 

 

 え、なにあのカップルが発する甘々空間、彼女さん外人で美人だし彼氏にべたぼれじゃん。ショッピングモール内で話題になってる甘々カップルじゃん(観覧車の従業員談)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 観覧車に乗り外の景色を二人で肩を並べながら楽しんでいた。

 

 

「うわあー、人が小さくなっていくぞ、クリス! しかも高くて外の景色がよく見えるな!」

 

 

「ええ。とても綺麗な景色ね。こんなに暖かい場所なんて初めてよ」

 

 

「暖かいのは当たり前だろ。俺の腕に抱き着いてるじゃねーか。離せって言っても聞かないだろ?」

 

 

「もちろんよ。ねえ、偵光。

 今日は私と出かけてくれてありがとう。凄く楽しいデートだったわ」

 

 

 私はデートが終わってしまうことが寂しかった.

 

「そりゃあ、良かった。寂しそうな顔してんじゃねーよ。今は14時半だし時間はあるだろう? どこか行きたいとこ会ったら付き合うぞ。居酒屋とか酒飲むんだったらテンションあがるけどな」

 

「もう、何言ってるのよ。まだ夕方にもなってないじゃない。そう言えば、アナタの好きなお酒は聞いたこと無かったね。やっぱり日本酒? よく家で飲んでるし」

 

「そうだなー。日本酒も好きな方だが一番好きなのはヴェルムトいやベルモットってワインか? それが一番好きだな。初めて飲んだ時からずっと気に入ってるんだよ」

 

「!?」

 

 私は彼の口からベルモットと聞いた瞬間、心臓が止まるかと思った。彼は私の仕事は知らないはず・・・まさか気づいている? いや、それは無いわね。気づいてたら私から離れているはずよね。でもベルモットが好きって私のことを好きって言われたみたいね、ふふふ。

 

 

「おーい、固まってどうした? ・・・ん?」

 

 

「アナタがワインを嗜んでいるとは思わなかったのよ」

 

 

「気のせいか? まあ、いい。悪かったな。さっきの話の続きだが、今日が終わったとしてもトロピカルランドと旅行に出かけるんだろ? だから心配する必要ないぞ」

 

 彼が綺麗な笑顔で私を真っすぐ見てくれている。もう駄目ね。

 

「ありがとう、偵光。愛しているわ」

 

 彼を愛する気持ちが溢れてしまい、目を閉じ彼の唇へ顔を近づけていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 口に何かが当たる感触がした。ゴツゴツしていて固いし唇じゃないわね。

 

「しっ! 何か聞こえないか、クリスって目を閉じて何してるんだ? それと悪い、指が顔に当たって・・・ひっ!?」

 

 私は顔に熱がこもるのを感じながら目を開け、彼を睨んでいた。

 

「アナタにムードってものは無いのかしら?」

 

「何をそんなに怒ってるんでしょうか!? ってそうじゃなくて何か聞こえないか?」

 

「帰ったら覚えておきなさい。恋愛映画見ながら女心に関しての勉強を叩きこんであげるわ♪ 

 分かったわね? せっかく良い雰囲気だったのに何なのよ・・・・カチカチ? 時計の音?」

 

「はい、喜んでやらせていただきます。やっぱり気のせいじゃないよな? 

 観覧車の中か・・・・? はは、まさかな。頼むから見つからないでくれよ」

 

 彼がごそごそと辺りを探り始めたので、外の様子を見ながら訪ねた。

 

「いったいどうしたのよ? 偵光、外に観覧車から逃げ出す人と一人で乗った人がいるんだけど、どうしたのかしら」

 

 何が起きたというの? 観覧車でのトラブル? 火災が発生している訳では無いし、爆弾? いや、その可能性は・・・

 

「おいおい、嘘だろ。こんなとこに仕掛けるとか笑えないぞ!」

 

「どうしたの!? それは!」

 

「ああ、爆弾だろうな。タイマーの時間から爆破時間は15時か」

 

「そんな。ここで爆発したら大変なことになるわ! 三十分あるのならこのゴンドラは下まで降りるはずよ! そうしたら避難しましょう」

 

 一体誰なのよ、こんなことを考えるバカは! 偵光の身だけは絶対に護らなければ・・・・

 

「それは難しいだろうな。この爆弾、水銀レバーが付いてやがる。人が下りてゴンドラが傾いた瞬間コイツで導通してドカンだな」

 

「そんな・・・どうすれば」

 

 考えなさい! 私は組織の幹部ベルモットよ。彼だけは何があっても守りきってみせるわ。

 

「大丈夫だ、心配すんな。お前を死なせるつもりはないし、俺も死ぬつもりは無いからな。解体道具持ち歩いていて正解だったな。それにしてもまた爆弾かー。運の悪さには嫌になるな」

 

 彼は私の頭を優しく撫でてバッグから道具を出し爆弾の解体にとりかかった。彼の解体作業を見守っていると

 

「ちっ、やっかいな」

 

「どうしたの?」

 

「今メッセージが表示されてな『勇敢なる警察官よ、君の勇気を讃えて褒美を与えよう。もう一つのもっと大きな花火のありかのヒントを表示するのは爆発三秒前』だとよ。俺は警察官じゃねえよ。爆弾の解体はすぐにでも出来るんだが、このメッセージの内容のせいで最後まで解体ができない」

 

「なんですって!? 花火は爆弾のことね。もう一つの箇所を特定できないと被害が出るわね。それに三秒って・・・」

 

「三秒で解体はむりだな。ヒント待ってたら二人とも爆弾でドカンだな。さてどうするかな? 外の様子は、警察が集まってるな。

 飛び降りるのは・・・・高すぎるか」

 

「そうね。飛びおりても死ぬわね。もう一つの爆弾の在処が分かって解除できればいけるのだけど・・・」

 

「50分までに人員そろえて解体ってのは難しいだろうな。大まかな場所までは絞れるんだけど動ける人材が・・・いやいたな。

 ただ一か所に絞る時間が足らねえな」

 

「大まかな場所が分かったの!? 私は人が集まる箇所、街の中心部辺りを予測してるんだけどそれ以上は絞れないわ。教えてくれるかしら?」

 

「そうだな。この爆弾を仕掛けた犯人の感情を予測したら絞れたぞ。さっきのメッセージ読んだ瞬間警察に恨み持ってるって分かったしな。警視庁、米花中央病院、東都タワーのどれかだな。

 警察の恨みの線で考えると警察を直接狙うか、たくさんの一般市民を守れず警察の信頼を落とすかのパターンを狙ってやがるな」

 

「なるほど。その推理は信憑性があるわね。問題はその三か所に爆弾が無かったパターンと解体が間に合わないパターンの時にどうするかよね」

 

「ハズレていた場合はヒント見るしかないか」

 

「それだけはダメよ! アナタが助からないじゃない!」

 

「いや、お前も一緒だろ。怪我するリスクは高いが、脱出できないことは無いぞ。無茶なことしちまうが、道具も揃ってるしなんとかする。だから、クリス、俺を信じて命預けてくれないか?」

 

 どうしてこんな状態で笑えるのよ。だからいつも心配なのよ。アナタが帰らない人にいつかなるんじゃないのかって。いいえ、闇に染まっている私が幸せを掴もうとしたから罰が当たったのね。やっぱり私がいなければ・・・

 

「っつ! 痛いわね」

 

「当たり前だ。どうせ私がいなければとかアホなこと考えてそうだったから拳骨したんだよ。お前が俺の考えが分かるように、俺もお前がどんなこと考えてるか表情見れば分かるんだよ。クリスは変なところで繊細だよな。お前が側にいても死なないって約束しただろうが。もう忘れたのか?」

 

「ふふっ、そうだったわね。んっ」

 

 私はそう言いながら彼の唇を奪った。

 

「ん!?」

 

 数秒して唇を離し驚いて固まっている彼の目を見つめながら言った

 

 

「約束して。何が起こっても、怪我しても良いから絶対に死なないで。私の唇を奪ったのだから約束して。私の命を預けるわ、偵光」

 

 

「いきなり何するんだ!? びっくりするだろ!?

 いや唇奪ったって俺が言い返したいんだが。はあ、まあ良い。

 お前の命預かる限り絶対に死なねえよ、更に約束もしたしな」

 

 

「もちろんよ。私もこんな所で死ぬ気はないから守ってよね、私のヒーローさん♪」

 

 

「ああ、任せろ」

 

 

 彼の返答を聞き、私達は行動を開始するのだった。

 

 

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6話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m


<偵光side>

 

「ああ、任せろ」

 

 とドヤ顔で言ったが内心心臓バクバクいっています。ショッピングモールにベルモットと遊びに来てたんだが彼女からの猛攻が凄かったです。可愛すぎでしょう、あの人。デレたらあんなに破壊力があるとはお兄さん予想外すぎたよ。

  ってか、原作仕事してなさすぎじゃないですかね?年数が経ってほとんど内容忘れてきてるけど。

 

  「はい、もしもし。どうしたよ、社長?」

 

「お疲れ様です、萩原さん。今からすぐ動ける?」

 

「事務所で休憩してたから大丈夫だが、どうした? 何か事件でも起こったのか?」

 

「まだ何も伝えてないのに分かってくれて嬉しいよ、ぐすん。爆弾解体道具持って米花中央病院向かってもらえる?」

 

「おい、もしかしてまた爆弾か?」

 

「うん、おそらく四年前の事件と一緒の犯人だね。爆弾の構造も似ているし。今回はグレードアップして水銀レバーもついてるけど」

 

「おい!? お前って確かクリスさんと杯戸町のショッピングモールでデートしているはずだよな? まさか・・・」

 

「クリスと大観覧車に乗ったんだけど、まさか乗って爆弾見つけるとは思わなかったな。爆弾にすかれてるな、はははっ」

 

「笑いごとじゃねぇ!? そこで爆発したら被害が大きい。早く解体しろ! 道具はいつも持ち歩いてるんだから大丈夫なはずだろ!」

 

「いやー、それがね。途中まで解体してたんだけど警察の諸君なんたらかんたらってメッセージが表示されて別の箇所にも爆弾仕掛けられてるみたいなんだよね。そのヒントが出るのが爆発三秒前」

 

「なんだと!? 三秒なんて解体できる時間がねえぞ! もう一つの爆弾の在処が米花中央病院なのか? そっちを解体したらお前も解体できるな!」

 

「いや、俺が予測した場所候補の一か所だね。三か所までは絞れたんだけど」

 

「何? 他にもあるのか? 目立つ場所と言えば東都タワー、警察うんぬんからして警察関係の場所も怪しいか? となると、警視庁・・・?」

 

「流石萩原さん。俺の予想と一致したな。俺もその三か所のどこかかなと思っている」

 

「ちいっ! 爆破予定時刻は何時なんだ!?」

 

「15時だな。それと米花中央病院にいくならリサさんに話通してもらっとけば病院のスタッフも協力してくれるはずだから」

 

「40分しかないじゃねえか! 俺を米花中央病院に向かわせるってことは一番確率が高いんだな! ああ! すぐに向かう! 他の箇所の対策は何か考えがあるんだろ? 任せたぞ! それと、絶対に無茶して死ぬんじゃねえぞ」

 

「もちろん。大事な社員達を路頭に迷わせるわけにはいかないしね。すみませんが、よろしくお願いします」

 

「ああ!」

 

 そうして電話を切った。よし、これで原作どおり病院に爆弾あった場合は大丈夫だな。あとは、東都タワー、警視庁か? そっちの対処は零に任せよう。

 

「もしもし。あ、零? 実は頼みたいことがあって「おい! お前まだ杯戸ショッピングモール内にいるのか!?」あ、はい」

 

「馬鹿かお前は!? 早くそこから逃げろ! 

 警視庁に爆破予告が届いて杯戸町のショッピングモールにあることが分かった! 

 だから俺の言うことに従ってクリスさんとすぐに逃げるんだ!」

 

「あのですね。ちょっと逃げることは難しいかなと・・・・」

 

「おい・・・・・・まさか、爆弾を見つけたのか? どこで見つけた? 怒らないから詳しく教えろ」

 

「今乗っている観覧車の中で見つけました。ちなみにクリスも一緒に乗ってます」

 

「お前という奴は・・・。観覧車から早く降りて逃げろ!」

 

「水銀レバーが付いてるので無理っす」

 

「・・・・・・・・さっさと解体しろ」

 

「他に爆弾も仕掛けてあって爆破三秒前にヒントを出すってメッセージが表示されて解体も途中で止まってます。ちなみに爆破時間は15時っす」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 だから何かしゃべってよ! 爆弾より怖すぎて俺の心臓がドッキドキだよ! 

 ベルモットなんか隣でクスクス笑ってやがるし、後で擽りの刑にしてやる

 

「降谷さん?」

 

「爆破まで40分か。萩原はどこに向かわせた?」

 

「米花中央病院です」

 

「なら俺は東都タワーに向かう。景と由美さんには警視庁で動いてもらっている。ショッピングモールの現場には佐藤さんが向かっているからな。偵光、クリスさんが近くにいる時点でお前が無茶するのは分かってるが、死ぬなよ。帰ってきたら説教だ。だから絶対に帰ってこい。分かったな?」

 

 零くん俺の考え分かりすぎて泣きそうよ! ホント頭良いんだから! ありがとねオカン!

 

「ああ。クリスの命預かってるし死ぬ気もさらさらねえよ。悪いが頼むぜ、親友」

 

「死ぬなよ、親友。また連絡する」

 

「ふー。これで後は待つだけだな。ってか何笑ってるんだよ」

 

「偵光は良い友人達を持ったわね」

 

「ああ、俺にはもったいないぐらいの人たちだよ。クリス達ももちろんその中に入ってるぞ」

 

「・・・・バカ」

 

 また着信? んげっ!

 着信の名前には佐藤美和子と表示されていた。これ出ないとまずいかな?

 

「美和子からの電話じゃないの? 下に来ているの見えたし。出ないと怖いわよ?」

 

 「はい、もしもし?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<佐藤美和子side>

 

 

 私は目暮警部と共に米花町のショッピングモールへと来ていた。ここに来た理由は、爆破予告が送られ部下の松田くんが暗号を解きここの観覧車に爆弾があると分かり向かったからだ。

 

「警部、ここでもし爆弾が爆発しようものなら大変なことになりますね」

 

「ああ、周辺の人を避難させて被害を抑えなければいけないな」

 

「そうですね。それにしてもこの辺り人が少ないですね。あ、あそこです、警部」

 

「すみません、ここの従業員の方ですか? すみません、警察の者ですが少しよろしいでしょうか?」

 

「は、はい。もしかして先ほどの刑事さんがおっしゃられてた爆弾と同じ要件でしょうか?」

 

「そうです。もしかしてその刑事に言われて」

 

「はい、外にいたお客様と観覧車から降りることができたお客様は避難させました。ですが、観覧車内に先ほどの刑事さんとカップル一組のお客様がまだ乗っておられます」

 

「なんですって?」

 

「早く避難させければならん!」

 

 警部と話していると電話がなった。着信の相手は萩原くん? こんな時に一体なんなのかしら?

 

「はい、佐藤です」

 

「ああ、佐藤さん!? 今どこにいんの? 諸伏や宮本さん、降谷に連絡してもつながらなかったし。もしかして杯戸町のショッピングモールに向かってる? 向かってるならちょうど良いんだが」

 

「萩原くん、何か知ってるの? 今、ショッピングモールの観覧車に来てるんだけど」

 

「よしビンゴ! 爆弾の件についてだな? 客の避難状況はどうなってる?」

 

「どこで知ったの!?」

 

「それは良いから避難状況を教えてもらえるか? あまり時間がないんでね」

 

 萩原くんの声は明らかに焦っており迫力があった。いったい何があるというの?

 私はただ事じゃないと思い話すことにした。

 

「観覧車に乗っている松田くんとカップルの客以外は避難させたわ」

 

「何!? 松田の奴も乗ってるのか!? その一般客のゴンドラの距離は?」

 

「ちょうど真反対の位置ね。距離も凄く離れているわ。いや、松田くんの方は今降りてきて目暮警部と話しているわ」

 

「なら大丈夫だな。この状況ならアイツがなんとかするだろう」

 

「何言ってるの!? まだお客が乗ってるのよ!?」

 

 私はつい怒鳴ってしまった。警部や松田くんも驚き私の様子を近くにきて伺っている。

 

「落ち着いて聞いてくれよ? その観覧車にのってるのは偵光とクリスさんだ。さっき、社長本人から連絡あったから間違いない」

 

「そんな・・・・。ショッピングモールに二人来てるのは知ってたけどもう逃げたとばかり・・・。早く助けないと!」

 

「ダメだ! アイツが乗ってるゴンドラから人が降りようものなら水銀レバーが発動して爆弾が爆発しちまう!」

 

「そんな、なら解体しか。偵光ならできるはずよね!?」

 

「解体も無理だ。解体したらもう一つの爆弾の在処が分からなくなる」

 

「もう一つの爆弾ですって!?」

 

「ああ、アイツから聞いた話だとその場所のヒントが表示されるのが爆発三秒前だそうだ。次の爆発箇所が分からなければたくさんの人が間違いなく死ぬ」

 

「嘘よ、そんなの間に合う訳ないじゃない! 偵光が死んじゃうわ」

 

「だから落ち着け! アイツがそう簡単に死なないことはアンタも分かってるはずだ! 偵光が爆弾の場所を予想して三か所までは絞れた! 米花中央病院、東都タワー、警視庁のどこかに爆弾は間違いなく仕掛けられているはずだ! 俺は米花中央病院に向かっている。他の二か所も降谷たちが動いているはずだ」

 

 そうか! もう一か所の爆弾を見つければ、偵光が爆弾を解体できるわ!

 

「爆破予定時間は分かる?」

 

「15時だ」

 

「あと30分。私は警部に頼んで事情を説明して捜査員と、爆弾処理班をその3か所に人員を送るよう頼んでみるわ」

 

「流石! 悪いがよろしく頼む。進展があったら降谷か俺から連絡する」

 

「ええ、私だとあのバカ救えないからお願い」

 

「アンタも充分救いになってるはずさ。飲みに行った時とかよく口にしてるよ。みんなで無茶する大馬鹿野郎救おうぜ。それじゃあな」

 

「萩原くん、ありがとう。貴方も気をつけて」

 

 私は電話を切り、警部と松田くんに萩原くんから聞いたことを話して人員を動かしてもらった後、偵光に電話をかけた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 




 萩原さんは好きなキャラなので主人公の仲間に加えました。


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7話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m

 評価やコメント、誤字報告をいただきありがとうございます。更新頑張っていきますので、これからもこの作品をよろしくお願いします。




<偵光side>

 

 

「はい、もしもし?」

 

「・・・・・・・・・・・バカ。ぐすっ」

 

「いきなり涙声で罵倒されるとか予想外なんですけど!?」

 

「・・観覧車に乗ってるの?」

 

「ああ、クリスも一緒にな」

 

「・・・そう。逃げれないの?」

 

「無理だな。ゴンドラのドア開けた瞬間ドカンだな」

 

「解体はしないの?」

 

「他の場所に仕掛けられてるってメッセージが表示されてそれが爆発三秒前だから無理だな」

 

「そう、もし偵光がいなくなったりしたら・・・」

 

「やっぱりそれを一番心配してるんだな。昔から俺が危険な目にあうとすぐ泣くもんな、美和子は」

 

「しょうがないじゃない! あなたのことが心配なのよ! お願いだから・・・」

 

「死ぬつもりは無いって。俺が死んだら悲しむやつばかりだし、お前が絶対に後追ってきそうだからますます死ねないっての」

 

「ふふ、何よそれ」

 

 よし、少しだけど笑ったな。女の人に泣かれるのは前世も含めて苦手なんだよ。ベルモットさん、さっきより機嫌が悪くなってますよ? お願いですからそんな怖い笑顔で睨まないでください。

 

「悪いかよ」

 

「大丈夫なのよね?」

 

「ああ。お前との約束破ったことあったか?」

 

「無かったわね。偵光、今度遊園地に連れてって」

 

「え? 遊園地?」

 

 ヤバ! ベルモットさんの睨みつけるが発動したよ。俺の防御力がガクッと下がりました

 

「何か文句でもあるの? 私と遊園地行くのは嫌?」

 

「いいえ、無いです」

 

「約束よ、約束したんだから絶対に死なないで。お願い」

 

「ああ」

 

「外で待ってるから」

 

「へえー。美和子とも遊園地行く約束したのね。ふーん、女性とデートしてる途中に他の女性とデートの約束するなんてね・・・」

 

だから怖いですって! クリスが怒ってるのを怖がってると、おれの携帯が鳴った。表示されてる名前を見て俺はすぐに電話に出た。

 

「偵光! 萩原が米花中央病院で爆弾を発見し解体していてあと数分で終わるそうだ! 残り五分しかないがいけるか!?」

 

「もちろん。ありがとな零。萩原さん達にもお礼言っておいてくれ!」

 

「俺も今ショッピングモールに向かっている。絶対に死ぬなよ!」

 

「ああ。それじゃあ後でな」

 

 良かったー! 原作と同じ場所に爆弾あって! ってことは保険かけとかないとまずいな。電話を切り水銀レバーを解除した。

 

「クリス、頼みがある。俺のカバンからゴム弾が入ってるおもちゃの銃でゴンドラのガラス割ってもらってロープを観覧車の柱にかけてもらえるか?」

 

 

「爆弾見つかったのね。動いて大丈夫なの?」

 

 

「ああ、水銀レバーは解除したから問題ない」

 

 

「なるほど。もし遠隔で発動した時の保険ってわけね。それにしてもまたアナタが作った発明品を使うことになると思わなかったわ。人を気絶させて鉄に打った場合破壊できる水鉄砲と投げたら勝手に巻くだけでくっつく伸縮性ロープとかね。どういう原理でできてるのかしら?」

 

 

「仕方ないだろ。博士に手伝ってもらったら作れたんだから。その二つとロープとトランプが出る銃、伸縮型爆弾解体キットとかめちゃくちゃ便利なんだぞ?」

 

 

「アナタはどこを目指してるのかしら。まあ、良いわ。脱出できるように準備していれば良いのね。解体がんばって」

 

 

「ああ」

 

 博士と発明品つくるのめちゃくちゃ楽しいんだからしょうがないだろう。あっ、そうだ。今度防弾、防刃チョッキを博士と作ろう。爆発に巻き込まれても軽い怪我ですむような強力な奴。

 背後からパン、パンと銃の音とガラスが割れた音がするから大丈夫だな。ベルモットだし、ちゃんとやってくれるだろう。俺の考えもすぐに読み取ってくれるし。隠し事もすぐにバレるけど。

 

「終わったの?」

 

「ああ、これで大丈夫だ」

 

「ホント凄い技術ね。あとはゴンドラが下に降りたら警察に任せて脱出するだけね」

 

「そうだな」

 

 その瞬間ピッと音がしてタイマーが再び動きだした。ホント保険かけたらその通りに物事起こるよね! やっぱりこの世界は全力で俺を殺そうとしてくるね!

 

「ちっ、やっぱ遠隔で起動させやがったか! クリス!」

 

「ええ!」

 

 俺はベルモットを近くに抱き寄せて身体にロープをまいた。ゴム銃も持っておくか

 

「絶対に俺の身体から手を離すなよ!?」

 

「もちろん。アナタに命を預けたし、私のことを守ってくれるんでしょ?」

 

 ベルモットは俺に抱き着き不敵に笑っているんで俺も同じ表情で

 

「もちろん! 飛び降りるからしっかり掴まってろよ!」

 

 ベルモットを抱えゴンドラから飛び降りた瞬間、爆弾が爆発した。背中に爆風を感じ、すごい勢いで広場の方に向かって飛んでいる。

 ちっ、木が邪魔だな! ゴム銃で邪魔な木の枝に弾を打ち折っていった。

 よし、これで・・・不味い、風でぶつかる! 俺はとっさにベルモットを庇い木に腕をぶつけた。

 

「ぐっ!」

 

「きゃっ!」

 

 よし、ベルモットには当たってないな。完全に左腕やったな。あともう少しで着地できる! ぶちっ!

 ちっ! ロープが火で切れやがったか! 高さが少し高いしこのままだとベルモットが怪我しちまう!

 俺は痛む左腕も使い地面側に俺の身体が来るようにし、彼女を守るようにして地面を転がっていきフェンスにぶつかった!

 

「かはっ!」

 

「偵光!?」

 

 やべえ、体中が痛い。こんな大けがしたのとか久しぶりだな。目の前は赤い液体が流れてて見にくいし。 俺の血だな。

 

「はあっ、はあっ。だいじょうぶか、クリス?」

 

「ええ、すり傷程度で大きな怪我は無いわ! しっかりして偵光!」

 

「それは・・・良かった。危ない橋渡ったが成功してよかった」

 

「アナタ、私をかばってこんな怪我を! どうして・・・」

 

「救うって・・・約束したからな。だから泣くなって」

 

 何とか動く右手でベルモットの涙をぬぐった。やべえ、そういや俺の血ついちまったじゃねえか。綺麗な顔をよごしちまった。

 

「!? アナタを絶対死なせないわ!」

 

 いたた! 何してるんだ? ああ、応急処置か。

 

「俺の血がついちまう」

 

「そんなの関係ないし、アナタの血なら嫌じゃないわ! いい!? 死ぬことだけは絶対に許さないから!」

 

「分かってるって。だから、そんなに・・・・怒るなって」

 

 ん、何か三人の足音が近づいてきている?

 

「・・・・偵光?」

 

「ちいっ! おい、早く救急隊員を中央広場に派遣しろ! 大けがしてるのが一人いる! 良いから急げ! すぐに病院に運ぶぞ!」

 

「落ちつくんだ、佐藤くん!」

 

「いやっ、偵光! 死なないで!」

 

 この声は美和子と零か?

 

 ああ、美和子大泣きじゃねえか。零にしてもいつもの冷静さはどうしたよ?

 

「ふう、少ししたら救急隊員が来ます。クリスさん、偵光の容態は?」

 

「私は軽い怪我だから大丈夫。急いで止血しないと不味い状況よ。血が結構流れているし、右手以外全身の骨も折れてるかヒビが入っているはずだわ。降谷くんは止血と骨の固定を手伝って。美和子は偵光に話しかけ続けなさい! 救急隊員が来るまでに気を失わないように。良いわね? そこの警部さんは」

 

「ワシは救急隊員を誘導してくれば良いんじゃな!」

 

「よろしく、頼むわ。私の家族を救うのを手伝って」

 

「分かりました」

 

 近くで零たちがせわしなく動いているな。何してるんだ? 死亡フラグ回避しようとしてるのに死ぬとかマジ勘弁だぞ。

 誰かが右手を握っている? 暖かいな。

 そちらを見てみると美和子が泣きながら手を握っていた。

 

「偵光! しっかりしなさい!」

 

「はは・・・何泣いてるんだよ」

 

「うるさい! こんな無茶して、心配かけるからよ、バカ」

 

「結構・・・頑張ったつもり・・・なんだけど」

 

「ボロボロじゃない」

 

「俺の血で・・・汚れるぞ」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」

 

「どうやったら・・・泣くの止めて・・くれるか?」

 

「そんなの決まってるじゃない。偵光が元気になって一緒に遊園地に行ってくれるなら泣くの辞めるわよ。」

 

「はは・・・それは頑張らないと・・いけないな」

 

「当たり前よ。約束したんだから死なないでよ、お願い」

 

 昔から泣き虫だもんな、お前は。サイレンの音か?

 

「救急隊員の者です!けが人はどちらですか?」

 

「こっちよ! 止血できる所はしたわ。早く病院に! 私が付き添うわ!」

 

「運ぶの手伝うので急いでください!」

 

「偵光、救急隊員が来たわよ! これでもう大丈夫よ!」

 

 美和子が安心したようにそう言ってくる。やべえ、安心したら眠くなってきた。

 

「そうか・・・」

 

「ねぇ、偵光? いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「「っ! 早く急いで!」」

 

 美和子達の叫ぶ声を最後に俺の意識は途切れた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<降谷零side>

 

 

俺が所属している組織の幹部に呼び出され現在集まっていた。

 

「急に呼び出してごめんなさいね、バーボン、スコッチ。貴方たちに協力して欲しいことがあるの」

 

「アナタから。呼び出されたら行かない訳にはいきませんから、ベルモット」

 

「最近この三人の集まり多いよな」

 

「スコッチ、お前という奴はもうちょっと危機感をだな!」

 

「あら良いじゃない。いつも通りで、私は嬉しいわよ。その方が安心できるわ」

 

「ほらベルモットもこう言ってるじゃないかー。バーボンが真面目すぎるんだよ」

 

「お前はアイツに毒されすぎじゃないのか?」

 

「平然と事件の中心に突っ込んでいく奴と同じにされたくはないな」

 

「ふふっ。ホントにね。毎回注意しても聞かないんだから」

 

「こほん。それで貴女が呼び出したのはまだ目を覚まさないホワイトシルバーと貴女が巻き込まれた爆弾事件のことについてですか?」

 

「ええ。貴方たちには犯人を捜してほしいの」

 

「ほう、見つけてどうするつもりですか?」

 

「殺すのか?」

 

「いいえ、警察に突きだすつもりよ。彼は復讐なんか望んでないだろうし、殺しをすると怒られてしまうわ。彼と出会ってからは情報収集役にまわって殺しは他の人に任せてるわ」

 

「へえ、なるほど。彼の何がそこまで貴女を変えたんですか? 彼との出会いを聞いてみたいものですね」

 

「それは確かに。ベルモットとの出会いだけは教えてくれないもんな、アイツ」

 

「あら、レディの秘密を探るなんてナンセンスよ。彼との出会いについては秘密だけど、彼の良さについては貴方たちもよく分かっているでしょう?」

 

「そうだな」

 

「ええ、まあ。付き合いも長いですしね。世間話はこれぐらいにして犯人捜しについてですね。彼の会社のメンバーと警察も追っていますね。僕も心当たりがあるのでそちらを当たってみます」

 

「俺も伝手があるからそっちで探ってみるよ」

 

「ありがとう、二人とも。あら、こんな時間に誰かしら怜子? 失礼。はい、もしもし」

 

「ちょっとアンタ今どこにいるの!? あのバカがようやく目覚ましたわよ! 美和子や由美達にも連絡したから早くアンタも来なさいよね!」

 

「ほんとうなの・・・?」

 

 ベルモットが泣いている? まさか・・・彼の身に何かあったのか!? 意識を失って一週間以上たつし容態が急変したのか?

 

「嘘言ってどうするのよ! 良いから早く来なさい!」

 

「ええ、分かったわ。本当に良かった。バーボン、スコッチ今日の予定は変更よ! ホワイトシルバーが目を覚ましたって怜子から連絡あったわ」

 

「マジか!? 急ごうぜ、バーボン!」

 

「ああ!」

 

 俺たちは急いで彼の入院している病院に向かうのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 彼が目覚めてから一月がたち彼に呼び出され病室に見舞いに来ている。怪我も完治して数日中に退院できるそうだ。彼の怪我の治り具合が早く病院の先生や俺たちは驚いたが。

 ああ、あと女性陣に締められていたな。泣きながら抱き着かれて。クリスさんいやベルモットが感極まってアイツにキスした時なんか凄かった。組織の人間が怖くなくなるぐらい怖かった。

 あのベルモットがアイツのことを溺愛しているのだ。

 そのおかげか知らないが俺と景が組織に潜入してベルモットにバレた時は流石に驚いたが。ベルモットは俺たちの正体に気づいても黙ってくれている。

 むしろ、彼の傍でもっと助けてちょうだいと言われた。組織の幹部として大丈夫なのか? 交換条件としてベルモットが組織にいることは黙っておくように言われたが、アイツは気づいているだろうな。

 裏の世界からアイツを守る役割を、俺、景、ベルモットの三人でやっている訳なのだが効果があまりない。俺たちの知らない所で組織の連中とやり合っていることがあると報告を受けた時は頭を抱えた。ベルモットも真っ青だったからな。

それで俺の公安の部下を監視につけるようになった訳だが、アイツは何故か察知して監視網から逃げるのだ。それで、ベルモットに報告したら「公安でもダメなの? 彼を監視できる人がいる組織がもうないじゃない」と言っていた。詳細を聞いたら、FBI・CIAにも頼んだことがあるそうなのだが同様だったらしい。

 アイツはバカか? 余計に目を付けられる状態になっているじゃないか! ベルモットも諦めたらしく、休みの日とかは誰かといれば大丈夫よねと言い、デートに行った結果があの爆弾事件だ。あれは流石に堪えた。ベルモットも相当ダメージが大きかったようで女性陣に協力を取り付け、彼の行動を制限するようになったようだ。

 だと言うのに・・・・・・

 

「おい、もう一度聞いても良いか? さっき何て言った? 聞き間違いでなければ京都に行きたいって聞こえたんだが」

 

「おう、聞き間違いじゃないぞ。退院したらちょっと京都と、ついでに四国も行ってくるわ」

 

「お前はバカか!? この間事件に巻き込まれたばかりで怪我が治った瞬間京都に行くって正気か!?」

 

「うん。京都は、結構前からかるたの先生が俺に話したいことがあるって言ってたんだけど、忙しくてに会いに行けなかったからこの際行こうかなと。四国は休暇の旅行だな。野山さん達に二人とも仕事しすぎだから萩原さんと一緒に休んで来いって言われたからな。この間の爆弾事件が良いキッカケになったんだろう」

 

 

 この男という奴は・・・・・

 

「クリスさん達はなんて?」

 

「萩原さんと夏美ちゃんが付いて行くなら大丈夫だって。萩原さんはクリス達になんか言われて顔を真っ青にしてたけどどうしたんだろう? 夏美ちゃんは俺が無茶しないように頑張ります!って意気込んでて可愛かったけど」

 

 萩原は釘を刺されたんだろうな・・・。このバカの身と夏美さんと距離を縮めないよう守れと。

 まあ、夏美さんの言うことは比較的に聞く方だから正解だと思うが、ベルモットからのメール?

 嫌な予感がするな・・・

 

「バーボンに指令よ♪ 偵光の旅行に付いていき身の安全を守りなさい。組織の仕事と本来の仕事は、私とスコッチでカバーするから心配しないで。良い? 

 もし、偵光の身に何かあれば分かるわよね?」

 

 どうやら俺が付いて行くことは確定しているようだ。

 

「おい、俺もその旅行についていく。この間みたいな無茶をしないようにな。もし無茶したら分かるよな?」

 

「・・・・はい」

 

 俺はベルモットにメールを返し、萩原と旅行について打ち合わせを開始して準備をして、偵光が退院してすぐに京都へと向かっていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 今回組織に所属している三人の掛け合いも少し入れました。主人公のおかげで三人は良好な関係を築いています。
 次回から旅行編に入ります。絶対何かが起こる(笑)


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8話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m

 今回主人公は前世で何をしていたのか少し明らかになります。


<偵光side>

 

 俺は観覧車の爆弾事件で大けがして入院してたのだが、無事に怪我も治り夏美ちゃん、零、萩原さんの三人と京都に来ていた。

 いやー、入院生活はホント大変だったよ。目が覚めたらみんなに泣かれるし、女性陣からは説教されるし散々だったよ。零や景光、萩原さん、宮野夫妻にもめちゃくちゃ怒られたよ。

 生きた心地しなかったし、心のリフレッシュも兼ねて京都に来たわけだ。京都に三泊してその後四国に行く予定だ。何事もなく楽しめたら良いな。

 

「うわぁ! 凄く綺麗ですよ、先生! 私京都に来るの初めてなんです! 先生は何回か京都来たことあるんですよね?」

 

「そうだな。ほとんどかるた三昧だったけど」

 

「カルタですか? 先生ってかるたお強いんですか!?」

 

「そこんとこどうなの、降谷?」

 

「飛び入りで大会に参加して優勝するぐらい強かったよ。高校の時に全国大会行くために力を貸してくれって泣いて頼まれてたのを今でも覚えている」

 

「へー。ホント何でもできるのな、うちの社長。それで、大会には出なかったの?」

 

「いや、一回だけ出て全国優勝した。それでカルタ界の貴公子登場!って話題になってマスコミにも騒がれた後、かるた部と偵光が佐藤さんと宮本さんにめちゃくちゃ説教されて、それがトラウマになり高校一年以降大会には出なかった」

 

「お前って奴は・・・」

 

「先生・・・」

 

 辞めて! そんな可哀想な人を見るような目でみないで! あの件はマジでトラウマになってるんだって! 

 学校の為に頑張ったのにあの仕打ちですよ!? 

 名頃先生と紅葉ちゃんが見にくるって言ってたから頑張った結果がこれだよ!

 

「知り合いが見に来るって言ってたから頑張ったんだよ! その結果があれとかトラウマになるわ!」

 

「お知り合いですか?」

 

「女の知り合いだな」

 

「降谷は白銀に恨みでもあるのか?」

 

「違うぞ! 男の先生とその弟子さんだよ! 弟子は女の子だったけど」

 

「ほらみろ」

 

 降谷さん!? さっきから言葉に棘があり俺の身体に刺さってますよ?

 

「うわぁ、ここまでやさぐれてる降谷って珍しいな」

 

「ははは。先生にかるたを教えた方って誰なんです?」

 

「ああ、名頃先生って言うんだけど「本当か!?」 うお! 急に大声だしてどうしたんだ、零?」

 

「お前名頃先生に習ってたのか!? あの人京都のかるた界だと凄く有名な人だぞ!?」

 

「そうらしいな。トップの皐月会に並ぶ名頃会って、とこの団体の代表やってた人だし」

 

 ベルモットのやつどうしてそんな人と知り合ってたんだ? アイツの交友関係はマジで分からん。

 夏美ちゃん、お願いだからそんなキラキラした目で俺を見ないで! 心が汚れている俺を見ないで!

 

「先生、すごいですね!」

 

「夏美ちゃん純粋すぎるだろ。降谷も白銀も見習ったらどうだ?」

 

「「うるさい」」

 

「先生! 京都に来たのってその名頃さんに会う為ですか?」

 

「ああ、そうなんだけど、前から連絡が取れないんだよ」

 

「連絡が取れないっていつからだ?」

 

「三ヶ月ぐらい前からか? もしかして先生の身に何かあったのかと思って来たんだよ。亡くなったって連絡は来てないしおかしいなと思ってな」

 

「それは確かにおかしいな。その先生とやらの安否の確認はどうするんだ、社長?」

 

「弟子さん達がいるはずだからそっちを当たろうかなと。夏美ちゃん、あれだったら観光してても大丈夫だよ?」

 

「いえ! 怜子さん達から先生のこと頼まれているので大丈夫です! 先生に付いて周るだけでも充分観光できそうですし」

 

 そうですか。

 

「何頼まれたかが気になるんだけど、教えてくれない?」

 

「先生には秘密です♪」

 

「ですよねー」

 

「全く。早く荷物を旅館に置いてきて調べるぞ。偵光、萩原! 夏美さんも行きましょう」

 

「はい!」

 

「「ああ」」

 

 俺たちは泊まる宿に荷物を預け、一日かけて調査をした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 調査を始め一日がたって、公園にあるクレープ屋で休憩をしながら調査結果の話合いをしていた。

 

「んー、おいしい♪ 先生、このクレープ凄く美味しいですよ! 食べてみてください!」

 

「どれどれ。あ、ホントだ。マジで美味いなこのクレープ。俺のも少し食べてみる? はい、あーん」

 

「あーん。おいしー♪ 先生が頼んだクレープも凄く美味しいですね!」

 

「なあ、降谷。こいつらって付き合ってるの?」

 

「恐ろしいことを言うな。この二人の場合これが普通なんだそうだ。秋庭さんによく愚痴られる。佐藤さん達にこれをもし見られたと考えると恐ろしい」

 

「確かに見られた瞬間、白銀が殺されそうだな」

 

 おい、聞こえてるぞ! 夏美ちゃん虐めたら許さねえぞ!

 

「す、すみません。先生。私ったらついはしゃぎすぎちゃいました」

 

「大丈夫。ああ、もう。口にクリーム付いてるぞ。これで良しと」

 

 夏美ちゃんの口元にクリームが付いていたのでハンカチで拭ってあげた。こういう所があるから妹みたいに思えてついつい世話やいちまうんだよなー。同じ歳だけど。

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

「なあ、降谷。ブラックのコーヒー飲んでるはずなのにめちゃくちゃ甘いんだけど」

 

「もう一杯ブラックコーヒー準備していて正解だったな」

 

「何言ってんだよお前らは」

 

「「お前がイチャイチャしだすからだろ」」

 

「イチャイチャ・・・」

 

 二人が変な事言いだすから、夏美ちゃんが顔を紅くして怒ったじゃないか!

 

「イチャイチャしてないぞ。話変わるけど、まさか先生が行方不明だとは思わなかったな。弟子さんに聞いても先生の行方分からないって言うし、最後に聞いた行先が分かっている弟子さんは海外にいるときたもんだ。どうすっかな?」

 

「他に誰か知ってそうな人はいないんですか?」

 

「いないなー。警察関係者に聞くのが早いか?」

 

「警察関係者に知り合いがいるのですか?」

 

「社長の人脈が怖いんだが」

 

「零はいないか?」

 

「京都、大阪には知り合いいないですね」

 

「ってことは俺が当たるしかないか。アポとれるかな? この人と会う場合は零と俺だけで行かないと流石に難しいか?」

 

「俺と偵光だけってことは余程偉い人物か?」

 

「私たちは一緒に行けないんでしょうか?」

 

「警察のお偉いさんだと難しいだろうな、諦めな夏美ちゃん」

 

「そんなぁ」

 

「いや、頼みこめばいけるか? うん、ちょっと交渉してくるわ」

 

「一体誰なんです? 相手によっては無理な交渉はマズイですよ?」

 

「大阪府警本部長 服部平蔵さんだよ。借りも作ってるし、たぶん大丈夫なはずだ。ちょっと交渉してくる」

 

「はあっ!? 大阪府警本部長っていったら大阪府警のトップだぞ!?」

 

「ははは。俺ヤバい会社に就職したかなー」

 

「警察の偉い方ともお知り合いなんて凄いです、先生!」

 

 やっぱ賑やかになるよね。うん。絶対後から零に問いつめられるな。今は逃げよう。

 

「文句は後で聞くから! 連絡してくる」

 

 俺はみんなにそう言い休憩場所から離れて電話をかけた。

 

「はい、もしもし?」

 

「白銀です。お久しぶりです、平蔵さん。お元気でしたか?」

 

「おお、白銀くんか! 久しぶりやな。そっちこそ元気にしとるかいな? 色々とヤンチャもしとるみたいやけど」

 

「ええ、元気です。その言いぶりからして爆弾事件のことについて知ってるみたいですね。実はお願いがありまして」

 

「白銀くんがお願いとは珍しいの。何や?」

 

「名頃鹿雄という人物について知っていたら教えていただけないかなーと思いまして。名頃先生は僕のかるたの先生でして、三ヶ月ぐらい前に弟子のことについて話がしたいから会いたいって連絡があって、昨日から京都に来て会いに来たんですけどどうも行方が分かってないみたいで」

 

「ああ、名頃か。弟子から捜索願いが出されて捜索しても見つからん人やったけん、よお覚えとるわ。ちょっと待ってな」

 

「はい・・・・・」

 

「待たせたのお。白銀くん、明日の午前中時間とれそうか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「大滝に捜査資料準備させ、話聞かせたるわ。一緒に来とる人らと来んさい。ワシは忙しくて時間取れんくてすまんのう」

 

「ありがとうございます。そこまでしてもらって良いんですか? 

 まあ、問題が無いように警察の人間のみ連れていこうかなとは考えてたんですけど」

 

「そがいなん、気にせんで大丈夫や。

 警察関係者に情報渡すってことにしたら大丈夫やろ。

 それに、白銀くんには事件解決するのに手伝ってもろうてたからのぉ。今回はそのお礼や」

 

「もちろんです。ありがとうございます。今度大阪きた時は美味しいお店に連れてってくださいね」

 

「任しとき。それじゃあの」

 

「はい、失礼します」

 

 はあ、疲れた。平蔵さんと知り合いって時点で原作回避できないよなー。死神とのエンカウントも最近は、逃げるの無理じゃね? って諦めかけてるんだが、いやまだ原作始まってないから大丈夫! 大丈夫なはずだ! 早く戻って合流しないと怒られてしまうな。

 ん? あの着物着てる綺麗な人ボーっとちょうちょ見てるけどどうしたんだ?

 

「げほっ、げほっ」

 

 その女性はせき込み倒れこんだ。おいおい!?

 

「すみません! 大丈夫ですか! しっかりしてください! 早く救急車呼ばないと!」

 

 どうして次から次にトラブル起こるんですかね!?

 俺は急いで救急車を呼び、零達に連絡するのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 俺達は倒れた女性の家族が来るまで病院で待機し、その人の旦那が来て倒れた女性の病室で話をしていた。

 

「ありがとう、君にはなんとお礼を言ってええか。私は阿知波研介や。妻の皐月を助けてくれてありがとな」

 

「いえいえ、たまたま通りかかって良かったです」

 

 皐月さん、もしかして身体が悪いのか? 今もボーっとしてるし、何かあったのか?

 それに阿知波? どこかで聞いた気がするんだが・・・

 

「ああ、妻の状態が気になるかね。妻は病気になって好きなこともできんくなり感情が無くなってしもうたんよ」

 

「そんなに酷い病気なんですか?」

 

「日本の医療だと治せんのんや。イギリスの医療なら治せるらしいが伝手もないしのお。金銭ならいくらでも出せるのに不甲斐ないのぉ。妻の病気一つ救えんとは」

 

「イギリスですか。阿知波さんさえ良ければ信頼できる先生紹介しましょうか? 伝手もありますし」

 

「ホンマか!?」

 

 うおっ、急に腕掴まれるとビックリするじゃねえか!

 

「は、はい。うちの会社にイギリスから来た先生がいるのでその人に頼めば何とかなるかと。萩原さん、リサさんに連絡してもらえる?」

 

「はいはい、了解しましたよ社長」

 

「ありがと」

 

 萩原さんは、リサさんに連絡する為に病室の外に出て行った。他のメンバーを確認してみると、零は俺の護衛ができる位置で黙って話聞いてるだけだし、夏美ちゃんは皐月さんの前で折り紙折って遊んでいる。いや興味を引こうとしているのか? 後であれ試してみるか。感情が少しでも出ると良いだが。

 

「白銀くん、おおきに! 妻の病気が治せる希望が見えてきたよ。あとは感情を少しでも取り戻してくれたらええんやけど」

 

「ちょっとやってみたいことがあるんで良いですかね?」

 

 俺はバッグからシルクハットを出して夏美ちゃんの隣に座り、皐月さんと向かい合った。

 

「先生、その帽子どうするんですか?」 

 

「その折り鶴ちょっと借りるよ、夏美ちゃん。ここに入れてと、スリー、ツー、ワン」

 

「クルッポー」

 

「うわあ!」

 

「あ・・・はと・・・」

 

「相棒のハトソンくんです。ほら、皐月さんに挨拶して」

 

「クル、クル、クルッポー!」

 

「よろしくって言ってますよ、皐月さん」

 

「・・・ふふ、よろしく」

 

「皐月・・・・!?」

 

 シルクハットに折り鶴を入れて鳩を出した。手品習ってて良かったー。小さい時から叩きこまれたからな。こっちの世界にきても手品習うとは流石に思わなかったが。手品は俺の前職だし自信あるんだよな。

 まあ、マジックで無茶して怪我もよくしてたけど。

 皐月さんが少し笑って反応したな。夏美ちゃんも目をキラキラさせてるな。零も驚いてるし、よーし、お兄さん頑張っちゃうよ!

 張り切って観客を楽しませるために、マジックショーを開催した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ありがとう、偵光くん! 何とお礼を言ってええか、感謝してもしきれん。皐月も感情を少し取り戻すことができたし、病気を治すこともできる。ホンマ、ありがとう」

 

「いえいえ。こちらもショーを楽しんでもらえてやりがいがありました。これ僕の名刺です。何かあったら連絡してください。阿知波さん、皐月さんそれでは」

 

 折り紙の花を皐月の花に変えて皐月さんに挨拶をした。眼に光が戻ったし、これからは大丈夫だろう。

 

「あり・・がとう。また・・・見せてくださいね」

 

「おおきに!」

 

「もちろん。それでは失礼します」

 

 病室を出て外で待っていたメンバーと合流し、追及をのらりくらりと躱して宿に戻りゆっくりと休んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 次の日、大阪府警内で情報を聞き終わり、京都駅に向かっている途中だ。警察に聞いた話だが、俺が助けた皐月さんとかるたをして別れた次の日から行方不明になっているらしい。

 皐月さんに負けたショックで失踪したとなっているらしいが違う気がする。

 先生、目の病気でかるたが出来なくなるって聞いてたし、弟子のことを可愛がっていたあの人が弟子をほったらかしにして失踪するだろうか? 

 名頃先生のことについては時間をかけてしっかり調べるべきだな。

 

「それにしても京都に来てからは驚いてばかりだな。偵光の人外っぷりに。いつの間にマジックなんか覚えてたんだ? 小さい時から見たこと無いぞ」

 

「俺も気になるな。今日は誤魔化さず教えてくれよ。夏美ちゃんがお前のマジック気に入って昨日なんか夜遅くまでその話に付き合わせれておかげで寝不足なんだよ」

 

「なんかすみません。クリスに拾われる前にやってたんだよ。それでクリスに拾われてからマジックの先生の所に夏休みの間に預けられたことがあって、弟子として全国各地周りながらマジックと変装術と変声術を叩きこまれたって訳だ。何度か死にかけたけど。

その時に京都きて、クリスの紹介で名頃先生に出会ってかるたも習ってたんだよ」

 

「白銀の幼少時代が波乱万丈すぎて泣けてくるんだが。俺が会社で今受けているあの死にたくなるような訓練を小さい時から受けてきたって聞いていたがそれ以上に、技術を修得しているとは思わなかったぞ」

 

「萩原さんが受けている訓練ってまだマシなほうですよ? クリスって俺に対する時はあれの倍以上厳しくなりますから、萩原さんもレベルアップしたら俺と同じぐらいに厳しくなりますよ」

 

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 萩原さんが膝ついて泣いてる。うーん、萩原さんが受けている訓練って全然優しいんだけどな。どうして訓練受けているかって? 俺がベルモットに萩原さんを鍛えてくれって頼んだんだよ。部下が優秀になればなるほど困らないからね。野山さん達は自分で身を守れるように俺がだいたいの技術を叩きこんだよ。

 怜子さん、夏美ちゃんは美和子から護身術をちょくちょく習っているみたいだけど。 料理スキルに関しては俺が料理教室開いて女性陣に教えてるんだけど、夏美ちゃん以外毎回絶望した顔で帰っていくんだよなー。どうしてなんだろ?

 

「そんなに厳しいのか・・・? 萩原が本気で泣いているんだが」

 

「零も受けてみる? クリスの訓練受けたらだいたいのことは出来るようになるぞ。あとほとんどのことが怖くなくなる」

 

「え、遠慮しておくよ」

 

「そうか。受けたくなったらいつでも教えてくれ」

 

「あ、ああ」

 

 おっと、夏美ちゃんを置いて長話しすぎたな。

 夏美ちゃんは・・・

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「「「!!」」」

 

 夏美ちゃんの悲鳴が聞こえそちらを見てみると、バイクスーツにフルフェイスのヘルメットで顔を隠した集団の一人が夏美ちゃんを捕まえており銃を彼女に向けていた。周りの人物たちは俺達に対して銃を向けていた。

 

「うるせえ! 静かにしろ! お前は依頼主の命令で俺達に付いてきてもらうぞ」

 

「ひっ! せ、せんせぇ・・・」

 

「男たちには死んでもらおう。おい、お前達!」

 

「「「「はっ!」」」

 

「や、やめてください! 先生達は関係ないはずです! 貴方たちの狙いは私でしょう! 先生達には手を出さないでください」

 

「お嬢ちゃん、残念だがそれは聞けねえ。依頼主から、お嬢ちゃん以外は皆殺しとの命を受けている」

 

「そんな・・・」

 

「あーあ、アンタ達知らねえぞ」

 

「そうですね。爆発させてはいけない爆弾を起爆させましたね。抑えるのがこちらとしては大変なんですよ。どうしてくれるんです?」

 

「何を言ってやがる? お前たちはここで死ぬんだよ!」

 

「・・・・おい」

 

「!?」

 

「誰に許可取って、俺の大事な妹分泣かせてるんだ? 

 覚悟はできてるんだろうなぁ?」

 

「・・・撃て!」

 

「クルッポー!」

 

「「「「なっ!?」」」」

 

「ナイスタイミング、ハトソンくん! おせえよ!」

 

「ぐふっ!」

 

 俺はハトソンくんが作った隙の間に、夏美ちゃんを捕まえている奴に一瞬で距離を詰め蹴飛ばして気絶させ夏美ちゃんを自由にさせ、すぐに両隣の犯人を制圧にかかった。拳銃をこちらに向かって撃ってきたので、夏美ちゃんに当たらないように避けて腕にかすったが、すぐに二人の気を失わせた。

 残りの二人はどうしたかって? そんなの仲間が制圧しているよ。

 

「やれやれ。一瞬で三人を制圧するとは見事だな。怪我の方は大丈夫そうだな。警察に連絡してくる。萩原、このバカが何かやらかさないように見張っててくれ」

 

「了解。うちの社長いたら犯人の方が可哀想に見えるぐらいだな。まあ、今回は夏美ちゃんに手を出した犯人が悪いわな」

 

「そう言いながら、二人とも制圧してるじゃねえか。ああ、掠っただけで血が少し出てるだけだ。悪いが頼む。それより、おっと」

 

「先生! 怖かったです、ひっぐ」

 

 夏美ちゃんが胸に飛び込んできた。震えて泣いていたので、優しく頭を撫でながら

 

「もう、大丈夫だ。怖い思いさせてごめんね」

 

「先生!? 血が・・・」

 

「ああ、掠っただけだから大丈夫、布かタオルで縛っておけばすぐ止まるだろうから心配しなくても大丈夫だ」

 

「でも・・・!?」

 

 泣いて焦っている夏美ちゃんの頬をムニっと掴んだ。

 

「しぇ、しぇんしぇい、にゃにを?」

 

「はーい、笑って笑って。夏美ちゃんは笑っている顔が一番可愛いんだから、笑わないと可愛い顔が台無しだぞ?」  

 

「・・・・・・ひゃい」

 

 あっ、ごめんね。ほっぺ掴まれたら嫌だよね!? もう離すから、そんな顔を紅くして怒らないでください!

 

「よろしい。こいつら突き出したら、次は四国だな」

 

「・・・せ、先生! ダメです! 一応病院で見てもらいますよ! 有無は言わせません! 萩原さん、先生を病院に連れて行ってきますので後で合流しましょう。すみませんが、よろしくお願いします」

 

「あ、ああ」

 

「警察はすぐ来るそうだ。萩原、あのバカと夏美さんはどうした?」

 

「夏美ちゃんが病院に連れて行った。それと、悪い降谷。白銀のやつまたやらかしやがった。俺帰ったら秋庭さん達に殺されるかなぁ・・・」

 

「・・・は?」

 

 

 

<偵光sideout> 




 今回は、から紅の恋歌編のフラグと夏美ちゃんとのフラグ建てました。
 主人公は夏美ちゃんを妹兼マスコットキャラみたいに思いとても大事にしているので、ぶちぎれてしまいました(笑)
 次回は四国旅行の話に入ります。


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9話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m


<香坂夏美side>

 

 私は今、先生、萩原さん、降谷さんの三人と四国まで来て電車に乗り愛媛に向かっています。先生が疲れたから京都と四国に旅行したいと言いだしやってきました。

 私と萩原さんは怜子さん達に、先生について行くように頼まれて、降谷さんは何かあった時の為の護衛が必要だろうということで一緒に来ました。

 美和子さん達から私が行くと少しは落ち着くだろうからよろしくと言われたんですけど一体どういうことなのでしょうか? 

 美和子さん達からお願いしても先生は無茶しないと思うのですが、どうやらそうじゃないみたいです。

 怜子さん達に頼まれたことと先生のお手伝いを頑張ろうと思っていたんですけど、京都では全然ダメでした。先生のかるたのお師匠様を探す時も全然役にたちませんでした。

 三人ともすぐに様々な情報を集め出していました。先生の伝手で警察のお偉いさん?を通して刑事さんから話聞いていると時も私は黙ってるだけでしたし、皐月さんを元気づけるのも先生がマジックショーをして皐月さんを笑わせていました。

折り紙を折って元気づけようとしたけどダメでした。先生のマジックは本当に感動しました。

 ハトソンくんという相棒がいるのもその時初めて知りましたけど、すぐに仲良くなることができました。彼が何を言いたいのかニュアンスで分かることができました。

 お菓子作りやマジックで人を笑顔にして、困っている人を助け出すヒーローでみんなから愛されるというのが先生のイメージです。どうしてそんなイメージが定着したのかには理由があります。

 私はお金持ちの家庭に生まれました。その影響で小さい時から過保護に育てられました。祖母の影響でお菓子作りが好きでパティシエになりたいというのが小さい時からの夢でした。

 高校を卒業し、パリに行くための準備をしていた時にあるビルの前でお菓子の販売スペースがあり、そこの試食コーナーには人がすごく集まっていました。

 私は執事に無理を言って向かったんです。そこには大人も子供もいたんですけど、みんな美味しいと言いながら笑顔でした。私も食べてみたいなと思っていると

 

「君も食べてみるかい?」

 

「これはコアラ?」

 

「俺が君を一目見たイメージがコアラだったから。気を悪くしたらごめんなさい」

 

「ふふふ。イメージがコアラみたいって初めて言われました。いただきます・・・・!」

 

 そんなやり取りを店の人としてコアラのクッキーを頂いて食べた時は今でも忘れられない。そのお菓子はとても暖かく私は感動して涙を流してしまった。

 私の作りたかったお菓子はこれだと思い、その店の人に弟子入りを頼みこみました。それが先生との出会いでした。

 パリに行くのも辞めて、先生の所で腕を磨き、今では会社のお菓子を作って出しているんですけど先生の足元にも及びません。先生に弟子入りして先生の凄い所をたくさん見てきて、先生がそんな人なんだと思うようになりました。

 先生と出会った日以来、コアラ関係のグッズを買うようになったの秘密です♪

 なぜそんな話をしたかというと、私の家の関係で、京都から帰る途中に誘拐されそうになりました。殺されるんだと思い凄く怖かったですけど、先生がすぐに助けだしてくれて安心させてくれました。

 その時に心が凄く暖かくなったんですけど何なのでしょうか?

 先生は私を助け出す時に怪我をしてしまい、すぐに病院に連れて行きました。軽い掠り傷で済んだから良かったです。

 この間の爆弾事件みたいなことにはもうなって欲しくありません。先生がこの世からいなくなるのではないかと凄く心配しました。

 怜子さん達も堪えたみたいでより過保護になっています。今回の旅行もみんな付いてくる勢いでした。

 あんな無茶は二度として欲しくないと思っていたのに私のせいで無茶をさせてしまいました。

 今までの間に、これ以上迷惑をかける訳にはいかないと思い、先生達に私の血筋と家について説明しました。

 そのせいで誘拐されかけたと。このままここに居続けると、私を狙って同じことが起こると。

 

「へー! 夏美ちゃんってすごいお嬢様だったんだな。そのせいで俺達に迷惑がかかると?」

 

「はい・・・・。私のせいでこれ以上先生達に迷惑かける訳にはいかないです」

 

「夏美ちゃんの気持ちはどうなんだ? 家柄とか関係無しで」

 

「私は・・・・先生のもとで・・・・働いていきたいです。色んなことをもっと教えて欲しいです!」

 

「ならそれで良いんじゃない? 夏美ちゃん抱え込みすぎるからなー。俺とか、俺に言いにくかったら、司さんやリサさん、萩原さんや怜子さんにでも遠慮なく我儘言って良いんだよ? 

 あとはクリスか幼馴染連中か? みんな無下にしないし、そんなことで誰が離れてやるか!ってばかりの人ばかりだしさ」

 

「私の無理を聞いてくれた先生にも迷惑かけても良いんですか・・・・?」

 

「弟子になりたいって言われたこと? あれは流石に驚いたけどね。あの時から我儘言わないからずっと心配だったんだよね。

 いやぁ、先生としては弟子の我儘って聞きたくなるもんなんだよ。だから心配しなくても大丈夫。夏美ちゃんに危険が及びそうなら、絶対に守る。だから、約束だ」

 

 先生はそう言い小指を出してきた。私は涙を溢れさせながら先生の小指に小指を絡めた

 

「「嘘ついたら針千本のーます、指きった!」」

 

「よし、夏美ちゃんが我儘をまた言ってくれた記念でプレゼントだ。手貸して。じゃーん!お寺コアラくんキーホルダーです! 

 京都で見つけて夏美ちゃんにピッタリだって思って買ったんだよ」

 

 私の手の中にコアラのグッズがいつの間にかありました。それを見た瞬間、心の中の暖かい気持ちが一杯になり再び涙が溢れてきた。

 そう、彼は覚えていてくれたのだ。私と彼が出会うキッカケになったことについて覚えてくれていたのだ。

 こんなことされたら離れられなくなっちゃうじゃないですかぁ。

 

「ちょ!? ごめん、そんなに嫌だった!? 嫌だったなら捨ててくれても構わないから!」

 

「ち、違います! すごく嬉しかったんです! 先生があの時のことを覚えていてくれて」

 

「よ、良かったー。嫌で泣かれたと思って凄く焦ったな。夏美ちゃんが弟子になった日は忘れるわけがないな」

 

「そうですか。私も一生忘れません♪」

 

「さーだーみーつぅぅぅぅぅ! お前は歩くホストか!? どうしてそう爆弾を作っていくんだ!? お前のせいで萩原が外見ながら黄昏てるじゃないか! どうにかしろ、このバカ!」

 

「ははは。この四国旅行が俺の最後か・・・・・」

 

「うおっ! 急に掴みかかってくるなよ。ビックリするだろ!? 萩原さんどうしたんだ?」

 

「どうしたじゃねぇぇぇぇぇよぉぉぉぉ! お前のせいで俺の命が危ないんだよぉぉぉぉぉ!」

 

「うわぁぁぁぁぁ! 二人ともどうしてそんなに怒ってるんでしょうか!?」

 

「ふふふ」

 

 先生はたくさんの人に好かれてますね。私が見てる範囲で無茶しそうなら絶対に止めよう。この人がいなくならないようみんなも頑張っているし、私も先生を助けれるような人になりたいですね。

 

 私はそう決心し、三人のやり取りを笑いながら見守り愛媛へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「先生!? 大丈夫ですか!?」

 

「うおぉ、寒い! 流石にこの時期に濡れると寒いな。毛布、暖房マジ暖かい」

 

「暖かいじゃないですよ!? どうしてあんな無茶するんですか!? 一歩間違えれば死んでたんですよ!」

 

「いやあ、あのぐらいじゃあ流石に死なないよ。だって、俺だぜ? 爆弾とか無いし、伸縮性ロープ持ってたから余裕余裕」

 

「そういうことじゃないです! 先生があの子を追って崖から飛び込んだ時は顔真っ青になったんですよ? 助け呼ぼうにも降谷さんと萩原さんは、旅館に荷物運びに行っていて離れた所にいましたし。ひっぐ」

 

「ああ、ごめんて! だから泣くのだけは勘弁してください」

 

「知りません! ぐすっ。降谷さんや萩原さんも凄く怒っててすぐにこちらに向かうって言ってました」

 

「マジかよ・・・・」

 

 私達がいるの病院で私は今泣きながら怒っている。この人は私の言うことを聞かず無茶をした。

 降谷さん達が旅館に荷物を届けている間に、私と先生は散歩していたのだが、偶然崖から飛び降りる女の子を発見し先生がその子を助ける為に崖から海へ飛び込んだのだ。私は生きた心地がしなかった。

 さいわい、先生はその女の子をすぐ救出し、近くの病院へと運んだのだ。そして病院の先生から怒られた後、私からも怒られているという訳だ。

 助け出した子は怪我もなく、気を失っているだけなので良かったが先生が無茶して良いという訳にはならない。

 

「ひっぐ、ホントに心配したんですからぁ」

 

「すみませんでした」

 

 そんなやり取りを続けていると彼女が目を覚ました。

 

「ううっ、ここは?」

 

「夏美ちゃん、悪いんだけど先生呼んでもらえる?」

 

「ひっぐ、は、はい!」

 

 私はすぐに病院の先生を呼びに行き彼女の状態を確かめてもらった。

 安定しているし、一日ゆっくりすれば大丈夫とのことで、私達は先生にお礼をいい彼女に話を聞こうとしていたら降谷さん達が到着した。

 

「すみません、お嬢さん。このバカへの説教が終わったらお話を聞かせてくださいね。おい・・・・」

 

「は、はい」

 

「あのー、零さん? 頭掴まれると痛い痛い痛い! 割れる割れる割れる! アイアンクローはやめてぇぇぇぇ!」

 

「大丈夫だったか、香坂さん?」

 

「ひっぐ、ぐすっ。先生が飛び込んで死ぬかと思いましたぁ」

 

 私は先ほどのことを再び思い出し涙が出た。

 

「あー、よしよし。香坂さんの目の前では無茶するの初めてだもんなー。ホントあのバカは・・・・」

 

「す、すみません。私が飛び込んだせいでご迷惑をおかけして」

 

「いや、お嬢ちゃんが謝ることじゃないよ。おっと、自己紹介がまだだったな。萩原研二だ」

 

「ありがとうございます、萩原さん。だいぶ落ち着きました。私は香坂夏美です」

 

「水口香奈です。私は確か海に飛び込んだはずだったんですけど・・・」

 

「それは先生が貴女を追って飛び込んで助けだしたんです」

 

「先生・・・?」

 

「ああ、あそこでアイアンクローくらってるバカだな。お? どうやら終わったみたいだな」

 

「・・・大丈夫なんですか?」

 

「ええ、あれぐらいでも聞かないほどのバカですから大丈夫ですよ。すみません、紹介が遅れました。降谷零と言います」

 

「水口香奈です。よろしくお願いします」

 

 先生の様子を確認してみるとすぐに起き上がった。あれだけやられてすぐに起きられるんですかね?

 

「だあっ! 痛いな、もう! 幼馴染に対して優しくしてくれても良いんじゃないですかね!? 水口香奈ちゃんね。俺は白銀偵光だ! よろしくな」

 

 先生が私の隣に来て自己紹介して水口さんの話を聞き始めた。

 

「は、はい」

 

「俺が言うのもなんだけど、香奈ちゃんはどうしてあんなことしたんだい?」

 

「それは・・・・死のうと思ったからです」

 

「・・・・そっか。どうして死のうと思ったか聞いてもだいじょうぶかい?」

 

「・・・・・・・聞いてもらっても信じてもらえないので」

 

「そっかぁ。俺もその気持ちよく分かるよ、香奈ちゃん。聞いてくれるかい? 俺ってよくトラブルに巻き込まれるんだけどさ、自分から首突っ込んでるって思われてるんだよ、周りの人らに。俺の方にトラブルが這いよってくるんだ!って言っても全然信じてもらえないんだよ。酷いと思わない?」

 

「どの口が言うんですか!? この間の爆弾事件や、今回の旅行中に起こったことも先生は自分で突っ込んでいってました!」

 

「香坂さんの言う通りだ。だいたいお前は昔から・・・・」

 

「香坂さんの言う通りだな。白銀はいっつもトラブルに首突っ込んでいってるな」

 

「ほらな? こうやって話しても誰にも信じてもらえないんだよ。香奈ちゃんと一緒だな」

 

「なんですか、それ・・・」

 

「じゃあ、次だな。俺のカバンは・・・あったあった。この帽子の中見てもらえる?」

 

「・・・・?」

 

「手も入れてみて」

 

「・・・何もないです」

 

「そう、何もないね。これを俺の頭にかぶせて、スリー、ツー、ワン! ほら」

 

「クル、クル、クルッポー!」

 

「うわぁ! 鳩ですか? ど、どうやったんですか?」

 

「秘密だ。此奴は俺の相棒のハトソンくんです」

 

「クルッポ! クルー、クルー、クルッ!」

 

「僕はハトソンだよ。人間に話せないんなら僕が聞くよ!って言ってます」

 

「ふふ、暖かいね。ハトソンくん。言葉が分かるんですか・・・?」

 

「付き合い長いからねー。ちなみにここにいる夏美ちゃんもハトソンくんの言葉が分かるみたいで仲良いんだよ」

 

「はい、ハトソンくんとは友達です♪」

 

「凄いですね・・・・」

 

「お次はこれだ! じゃーん!」

 

「・・・これは、うさぎのクッキー・・・?」

 

「そう! 俺が作ったんだ。良かったら食べてみて。うさぎなのは俺が見た香奈ちゃんのイメージがそうだったからなんだけど、嫌だったら他の動物もあるから変えるよ?」

 

「うさぎ・・・・。いえ、大丈夫です。仲間がいなくて寂しくて死んじゃう・・・今の私のイメージにピッタリです。あむっ・・・ひっぐ・・・えぐっ・・・凄く・・・暖かくて・・・美味しいです」

 

「そっか」

 

「ぐすっ、ひっぐ、すみません・・・私の話を聞いて・・・ひっぐ・・・もらえますか・・・?」

 

「もちろん♪ ゆっくり話してごらん」

-

 彼女が死のうとした経緯を話してくれた。水口さんが勤めている屋敷のお嬢様が発見した地点で死んでいたそうで、中学生の探偵が警察に助言して他殺の線で捜査し、証拠が無いのにお嬢さんと一緒にいた水口さんが犯人として疑われ警察からキツイ尋問を受けて誰にも信じてもらえず精神的にきつくなり死のうとしたそうだ。

 そんなのひどすぎます・・・・・・

 先生、降谷さん、萩原さんは彼女の話を聞いていくうちに表情が険しくなっていった。

 

「・・・すみません・・・白銀さんには・・・死のうとした私のせいで・・・迷惑をかけて・・・しまって・・・。遠くに・・・いる・・・友達・・・にもこんな・・・こと相談・・・できなくて、えっぐ」

 

 先生は凄く優しい顔を水口さんに向けて泣いている彼女を抱きしめ綺麗な黒髪の上から頭を撫でていた。

 

「もう大丈夫。一人で辛かったな・・・よくがんばった」

 

「・・・ひっぐ! う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

 

 先生は彼女が泣き止むまでずっとそうしていました。

 やっぱり、すごいなぁ、先生は。死のうとした人でも救ってしまうんですね。

 

「落ち着いた?」

 

「は、はい」

 

 水口さんは恥ずかしいのか顔を紅くして先生から離れました。そしてお互いの顔を見ながら笑い合っていました。

 何故かムカッとしたので、先生をつねってしまいました。

 

「痛っ! 夏美ちゃん、どうしたの!? 機嫌悪くない?」

 

「ふん、知りません! 先生はもっと女心を勉強するべきです!」

 

「え、何でそんな怒ってるの?」

 

「なぁ、降谷。夏美ちゃんのあれって・・・」

 

「それ以上言うな。お前の首を絞めるだけだぞ」

 

「忘れてた・・・。帰りたくねえ」

 

 先生が困った顔をしながら聞いてきますが、私だってよく分かっていません。何故かは分からないけど、先生が水口さんと仲良くしているのに腹がたったんです。

 どうしてなんでしょう? 帰ったら暖かくなる気持ちとこの感情について怜子さん達に相談してみましょう

 

「ふふっ。皆さん仲が良いんですね」

 

「ようやく笑ったな。さてと、香奈ちゃん。君はこれからどうしたい?」

 

「私は・・・頼れる所がないので・・・」

 

「さっきお嬢様の世話していたって言っていたよね? どんなことをしていたか教えてもらえるかい?」

 

「は、はい。食事の世話、掃除、スケジュール管理とか、パーティーのセッティングやお嬢様に変わりお客様との交渉などもしてました。料理はたいていの物を作れます」

 

「お菓子作りとかは?」

 

「小さい時からしてましたので問題なく作れると思います」

 

「うんうん、いいね。香奈ちゃんさえ良かったらなんだけどウチの会社で働いてみる? 仕事内容は俺の秘書と出そうと思っている夏美ちゃんの店のサポート。給料もちゃんと出すし、住むところに関しては会社の寮もあるから大丈夫だよ。

 セキュリティとかもしっかりさせてるから女性の一人暮らしでも安心して暮らせるようにしてるし。ただ、四国から東京の米花町に来てもらうようになるけど」

 

 今私の店の手伝いって聞こえたような気がしたんですけど・・・・え?

 

「せ、先生、今なんて!?」

 

「だから俺の秘書と・・・」

 

「違います! その後です!」

 

「出そうと思っている夏美ちゃんの店のサポートのこと?」

 

「そうです! 私の店ってどういうことですか!?」

 

「前々から決めてたんだけど、もう一人お菓子作りできる人材が増えたら夏美ちゃんに店だしてもらおうかと考えてたんだよ。

 会社のビルの前のスペースでの販売だと味気無いし、夏美ちゃんの夢だっただろ? まあ、まだまだ人材増やしていかないといけないんだけど、それまでの間は空いてる時間に俺と零が手伝うつもりだし」

 

 私のことをそこまで考えてくれていたことに感極まって先生に抱き着いた。

 

「先生! ありがとうございます! 私、凄く嬉しいです! 降谷さんもありがとうございます」

 

「いえいえ。俺も料理の腕をさらに磨けるし時間が空いてる時だけで申し訳ないけど手伝うよ」

 

「うわっぷ。そ、それでどうかな香奈ちゃん?」

 

「その良いんでしょうか? 私としては働かせていただきたいのですが・・・お嬢様の事件のことが・・・」

 

「そこは心配しなくて大丈夫。お嬢様の事件については俺らがよく調べて解決してくるから。まだ昼過ぎだし、今日中には解決してくるから。零は愛媛県警に話しに行ってもらえるか?

 萩原さんは俺と一緒に現場に行って捜査しよう、夏美ちゃんは香奈ちゃんと一緒にいてもらえるか?」

 

 先生から離れ元気よく返事した。

 

「はい、もちろんです! 先生達が動いてくれるから心配しなくても大丈夫よ、香奈ちゃん!」

 

「へいへい。警察の冤罪で困る人を放っておけないしな。とっとと調べて解決しようぜ、社長」

 

「俺も愛媛県警との話が終わり次第合流する。警察の失態で困っている人を助ける為に急いで終わらせるぞ」

 

「当然! それじゃあ、俺達三人は行ってくるわ」

 

「・・・ありがとうございます・・・ぐすっ」

 

「はい! お気をつけて!」

 

 私達は先生を見送り、色々なことを話して仲を深めながら先生達の帰りを待った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 お嬢様育ちの夏美ちゃんはまだ恋してると気づいておりません。香奈ちゃんはみんなの妹ポジションの予定です。
 次回で四国編は終わりです。


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10話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m

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<偵光side>

 

 香奈ちゃんの冤罪を晴らすために事件現場を萩原さんと調べていて、零も愛媛県警から戻ってきて合流した。

 

「零、そっちはどうだった?」

 

「捜査資料を見せてもらった上で、捜査させてもらえるよう交渉してきたさ。後から了承させた形だがな。彼女が言っていた通り彼女がやったという証拠はなく、中学生の探偵の助言のみで決まったらしい。それと気になることがありました。もう一人探偵がこの事件を調べていたそうです。

 どうやらその探偵は証拠が無いと自殺の線で疑っていたそうです。ですが、警察は信じなかったそうで、彼女に相当厳しい尋問をして証言させようとしたそうだ。むなくそ悪い話さ」

 

 ふーん。愛媛県警バカなのか? 萩原さんと現場調べたけどどう見てもお嬢様の自殺しか考えられないな。お嬢様の死を他殺に見えるように細工された形跡あったし。お前らのせいで一人の命が無くなる所だったんだぞ? 俺の周りの刑事の方がマシな捜査するよ?

 ってかその助言した探偵も特定しておきたいな・・・。

 

「なるほどな。それにしても愛媛県警は・・・」

 

「そっちの方はこっちで対処するように動いてもらっているさ。どう考えても警察の慢心だ。それで調べてどうだったんだ?」

 

「ああ、現場の窓を調べたら接着剤が付いていた形跡と、外に頭が無いネジの破片らしきものが落ちていたな。

 おそらくこの二つの証拠で他殺だと警察は思った所か?」

 

「へえ、そこまで予測したのか。捜査資料にはそう書いていたよ。それとこの屋敷の証拠品以外はほとんど事件当時のままの状態らしい」

 

「お嬢様が首吊っていたロープに指紋は?」

 

「水口さんの指紋が検出されたらしい」

 

「彼女がお嬢様を下ろし、救急車を呼んだのは間違いないそうだ」

 

「お嬢様が亡くなった詳しい死亡推定時刻は?」

 

「ちょうど一月半前の正午だそうだ。となると証拠品の一つの意味が変わってくる」

 

「頭が無いネジの破片だな。香奈ちゃんにも聞いた事件があった時期と錆の浸食具合が合わない。ネジの破片は屋敷の老朽化で証拠品ではないな」

 

「ああ、その通りだ。となると窓に接着剤が付いていて密室ってのが本来の証拠になるんだが、水口さんが細工した場合、デメリットしか無いな」

 

「そうだな。自分が犯人ですって言ってるようなもんだ。お嬢様と常に一緒にいたから疑われるのは分かるが、どう考えても確定できる証拠じゃねえだろ。

 さっき香奈ちゃんに電話して確認したんだが、香奈ちゃんが死体を発見した時には窓が閉まっておりロープをすぐにはずし、お嬢様の状態を確認し救急車と警察を呼んだそうだ。

 零が来るまでに窓付近の指紋を道具使って調べたんだが、誰の指紋もでなかった」

 

 どうして分かったって? 身を護る道具と、事件現場を調べれる道具は一通り持ちあるくようにしてるからね! 事件にいつも巻き込まれるからね!

 萩原さんのおかげで指紋の採取とか楽だったよ! 指紋調べた後に、萩原さんにはある所に向かってもらっている。

 そこで新事実が分かれば即警察と交渉だ。

 

「!? ふき取るとしたら、ロープの指紋もふき取るはずだ。まさか・・・」

 

 さっすが、零くん。君も頭の回転早いねー。必要な情報以上のことをいっつもしてくれるから大好き! ただ、アイアンクローするのだけはダメだと思うんだ。俺の頭が割れちゃうよ?

 

「そう、香奈ちゃんより先に現場を発見して細工した人物がいる訳だ。んで、この屋敷には執事がいたらしい。あくまで予想だがお嬢様の自殺を不名誉に思い、現場に細工して他殺にみせかけるようにしたってとこかな? まだ分からんけど。

 それで、萩原さんにはその人の所へ向かってもらっている。30分ぐらいたつからそろそろ連絡があると思うんだけど」

 

「萩原がいないと思ったらそういうことか。全くお前という奴は短時間で恐ろしいやつだ。絶対に敵対したくない」

 

「アイアンクローする奴には言われたくない」

 

「ん? もう一度してやろうか?」

 

「すみません、許してください、死んでしまいます」

 

 零に対して土下座していると電話が鳴った。えっと、萩原さんだな。零にも聞こえるようにスピーカーモードにしてっと

 

「はい、もしもし? お疲れさまです、萩原さん」

 

「お疲れ。社長の予想通りだったぞ。執事のおっさんに見つけた証拠と推理聞かせたら認めたよ。お嬢様は自殺でおっさんが一番に発見し現場に細工したらしい。香奈ちゃんが疑われているのも分かった上で黙っていたそうだ。

 一人の命が無くなりそうになっていたこともしっかりと言い聞かせたぞ。それで、俺はこの人連れてお前らと合流すれば良いんだな?」

 

 流石萩原さん! 言われなくても俺の考え分かってくれるとかマジ優秀! 絶対に手放さないぞ!

 

「ありがとう萩原さん、合流したら愛媛県警に乗り込みましょう」

 

「了解、また後でな」

 

 そう言って電話を切り

 

「ここからが勝負だな、零。頼りにしてるぜ親友!」

 

「ふっ。ああ、任せろ!」

 

 萩原さんと合流して警察に乗り込み香奈ちゃんの無実を証明し、東京に五人で帰っていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<水口香奈side>

 

 

 私が偵光さん達に助けられて東京に来てから半年がたった。今日は久しぶりに親友の越水七槻ちゃんと遊びに来てカフェでお話している。

 彼女は幼馴染で頭が良く探偵をしている。

 

「久しぶり、七槻ちゃん。元気にしてた?」

 

「香奈も久しぶり! 元気そうで良かった・・・・心配したんだよ?」

 

「心配かけてごめんね。もう大丈夫だから」

 

「崖から飛び降りたって聞いた時は心臓止まるかと思ったんだから」

 

「そうだね。あの時は味方が七槻ちゃん以外にいなくて、みんな私がお嬢様を殺したんだって言ってて精神的に限界で死のうと思っていたからね」

 

「っ! 香奈・・・・」

 

 七槻ちゃんは私の話を聞いて歯を食いしばり辛そうな顔をしている。

 

「それで飛び込んだら、まさか私を追って飛びこんでくる人がいたとは思わなかったけど、ふふ」

 

「あそこでせわしなく動いている彼だね?」

 

 七槻ちゃんは店内でせわしなく働いている彼の姿を見ながら言った。そう、ここは私のもう一つの職場である夏美さんの店なのだ。女性客が多く、彼にオーダーを取ってもらおうとする人がほとんどだ。今日は降谷さんがシフトに入っていないので彼のみに集中している。

 そのおかげで料理作っている夏美さんの機嫌が凄く悪くなっているけど・・・

 

「うん、そう。壁の中に閉じ込められた私を救ってくれた人」

 

「ふーん。とてもそんな風には見えないけどね。女にだらしなさそうだし」

 

「あはは。七槻ちゃんからだとそう見えちゃうよね・・・でも、偵光さんと関わるようになったらあの人の良さが分かるよ。私の為だけに警察に喧嘩売りにいくような人だし、事件も見事に解決してくれたし」

 

「それは分かるけど、どうしてもそうは見えないんだよねぇ」

 

「見た目はね。自分の身内にはすごく甘くて、体を張ってどんな人達でも救うんだよ、自分だけ大けがしてね。そんな人だからみんな付いて行って助けようとしているんだと思うんだ。私ももちろんその一人」

 

「凄くべた褒めするね。もしかして香奈・・・

 

「好きだよ。ただ異性としてじゃないけどね。憧れの人やお兄ちゃんって感じのイメージが強いかな?

 七槻ちゃんの方は、偵光さんと関わればすぐ惚れる気がするな。七槻ちゃんの好きな男性のタイプまんまの人だし」

 

「なっ!? ボクはそんな安い女じゃないよ! ボクの事をちゃんと女扱いしてくれて、どんな時でも守ってくれる熱いヒーローだけどどこか抜けているみたいな人がタイプなの! 確かに顔は良いようだけどそれ以外は全然だめだね」

 

 うん、まんまその通りの人なんだよね・・・偵光さんと関わったらまちがいなく惚れる気がする。

 焦ってボクって言ってるし。もしそうなったらみんなを応援しよう。

 まずは、私を救ってくれた人がどんな人か分かってもらおう。

 

「七槻ちゃん焦りすぎ。偵光さん、私のことで七槻ちゃんに頭下げに行った時会って話したんでしょ?」

 

「うん・・・いきなりで驚いたよ。私の親友を辛い目に合わせてすまない! 君が彼女を追い詰めた人達を恨んでいるのは分かる。

 そいつらには俺が話付けてきて反省させ香奈ちゃんにも謝罪してもらった。

 これを聞いても恨みが晴らせないのならば俺だけ恨んでくれ!ってね。此奴はバカかって思ったよ・・・」

 

 悲しそうな顔をして彼女はそう言った。やっぱり七槻ちゃんは私の為に・・・

 彼はそれが分かっていたから七槻ちゃんに会いに行ったんだ。七槻ちゃんを止めるために。

 すごいなぁ、今度は私が七槻ちゃんを救う番だよね!

 

「七槻ちゃん、私は復讐なんてして欲しくないよ。確かに凄く辛くて自殺未遂までしちゃったけどね、偵光さんが私の冤罪晴らしてくれてみんなに謝らさせたんだよ、もう私はヒーローに救われたから大丈夫。七槻ちゃんが私のことで手を汚す必要はないんだよ。それでも手を汚そうとするなら彼と一緒に貴女を止める」

 

「・・・・・!!」

 

「それに偵光さんは七槻ちゃんが何をしようとしていたかもう気づいてる。気づいたからこそ私の話を聞いた後すぐに動いたんだと思う。貴女に人を殺させないようにする為に。それだけ凄い人なんだよ」

 

「そっかぁ・・・・・。考えを知られちゃってたか・・・、こんなボクだと・・・香奈に嫌われちゃうね」

 

 七槻ちゃんは顔を下げて涙を流しながらそういった。ちょうどその時テーブルにパフェが二人分置かれた。持ってきた人は優しい笑顔だった。本当にこの人は・・・・・・

 

「失礼します。泣いた子もたちまち笑顔になる当店限定スペシャル動物クッキーになります。私からのサービスですのでご内密に。店長自慢のパフェは後程持ってきます。

 越水さん、良い友達持ったな。しっかり大事にしろよ」

 

 彼は七槻ちゃんの頭をポンポンと撫でて仕事に戻っていった。

 

「なんなんだよぉ・・・・もぅ・・・・全部分かってたん・・・じゃないかぁ。このクッキー・・・すごく・・・美味しいなぁ・・・」

 

「しょうがないなぁ。ああもう涙で可愛い顔が台無しだよ、七槻ちゃん。ね、言った通りでしょ? それで七槻ちゃんにお願いなんだけどウチの会社入って一緒に働かないかな?

 七槻ちゃんと働くの夢だったんだ♪」

 

「・・・しょうが・・・ないなぁ。僕も香奈と働きたかったし・・・アイツの鼻を・・・明かさないと・・・いけないし」

 

 七槻ちゃんが泣き止むまで頭を撫で続け、親友と遊ぶのを楽しんだ。

 

 

<水口香奈sideout> 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

<偵光side>

 

 皆さん、俺は今何をしているでしょーか? なんか、これ前もやった気がするけど気にしない!

 正解は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・病院のベッドで寝ているでした!

 いやぁ、目覚ましたら病院のベッドとか、天井見ただけですぐ分かりましたね! だって、よくお世話になってるもの!

 ってか身体重たいなって見てみたら、見知らぬ綺麗な女性とダックスフンドの子犬が俺の身体を枕に寝ていたでござる。どういう状況?

 あ、思いだした。公園のベンチで休憩していたら、目の前でこの子犬が車に轢かれそうになってたから飛び込んで庇ったんだった。この子犬首輪付いてないから野良犬か?

 犬は分かったが、この綺麗な女性は誰なんだろう? 俺の知り合いにはいないはずなんだが誰かに似ている気がする。てか、寝顔かわいいな。

 あ、犬っころ起きた。

 

「ワン!」

 

 おお、くすぐったいって。顔をぺろぺろされてます。こいつは雄だな。滅茶苦茶元気そうで良かった。

 

「おい、くすぐったいって」

 

「はっ、はっ、はっ! くぅーん?」

 

「心配してくれてるのか? そんな大きな怪我もしてないし大丈夫だ」

 

 車に轢かれた時、咄嗟に受け身取ったから大きな怪我にはなっていない。気失ったけど・・・

 

「ワ、ワン!」

 

「・・・んんっ? よ、良かった! 目を覚ましたんですね。すぐに先生を呼んできます!」

 

 女性はすぐに先生を呼びに行った。

 ははは・・・・あの人の顔がっつり見たことあるわ。ってか見た瞬間原作知識思い出させるの辞めてくれ。

 宮野明美じゃねーか! このポジション赤井さんのはずだよね!? 赤井さんどこ行った!? 

 このままだと俺の組織潜入フラグが立つよ? 野山さん達に会わせてやりたいけどその前に俺が組織に消されるよ?

 

「わふ?」

 

 犬っころ、可愛いけどな。こんなの俺は望んでいないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!

 

「わふ、わん!」

 

 ん? 俺の携帯持ってきてくれたのは?

 

《着信メッセージあり100件》

 

 電源切ろう。うん、事故ったし仕方ないよね! 帰ったら死ぬこと確定しそうだし、宮野さんや犬っころと交流しよう、そうしよう。

 会社の方は大丈夫なのかって? 野山さん夫婦、萩原さん、香奈ちゃん、夏美ちゃんがいるし大丈夫、大丈夫。それに新人も二人増えたから大丈夫。

 誰が増えたかって? 萩原さんや零、景光と同期の松田さんが刑事辞めて就職してくれたのよ。なんかここで働く方が退屈しないくて楽しそうなんだって。まあ、萩原さんがスカウトしてたのも大きいんだろうけど。

 二人目は香奈ちゃんの親友である越水七槻ちゃんだ。彼女は探偵をやっていたのだが、いつの間にか香奈ちゃんがスカウトしていたらしくウチに入社してきた。いやぁ、俺としたら推理力ある人って凄く助かるのよ。

 俺の身の周りで事件がよく起こるから。

 香奈ちゃんと一緒に俺の秘書をやってもらってるんだけど凄く優秀なのよね。

 ただ七槻ちゃん、俺を目の敵にしてるみたいで容赦が無いんです。仕事中はいつも怒られて監視されてる。休憩するがてら監視を欺こうと頑張った結果、車に轢かれた訳なんだが帰ったら間違いなく七槻ちゃんに殺される。

 そして車に轢かれたことがバレれば、クリス、美和子、由美、怜子さん、夏美ちゃん、零に殺される。

 どうしよう・・・・?

 

「わふっ! わおん!」

 

 そうだな。全部忘れてお前と旅するのも良いかもしれないなー。うん、旅に出よう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「すみませんでした。それにしても大きな怪我が無くて良かったです。わんちゃんと貴方に」

 

「わふっ!」

 

「こちらこそ申し訳ないです。コイツが轢かれそうになったとはいえ、急に飛び出した俺が悪いんで謝らないでください。貴女は悪くありません」

 

「いえ轢いてしまったこちらが悪いので」

 

「いえいえこっちが完全に悪いので」

 

「いや私がよく見ていなかったので」

 

「「ふふふ」」

 

「これだといたちごっこですね。俺は白銀偵光っていいます」

 

「私は宮野明美っていいます。よろしくお願いします、白銀さん」

 

「こちらこそよろしくお願いします、宮野さん」

 

「はい。そのワンちゃんって白銀さんの犬なんですか? 倒れていた白銀さんの顔を鳴きながら舐めていたんですよ。離れなかったので、病院の先生に無理いって病室に入れてもらったんです」

 

「そうなんですか。首輪もしてないですし、人を警戒しながら移動していたので野良犬ですね。

 此奴が車に轢かれそうになったのが見えて咄嗟に身体が動いたんですよね、ははは」

 

「凄いですね、白銀さん。じゃあこの子は命を助けてくれたって分かったから白銀さんにベッタリなんですね」

 

「わふっ!」

 

「わっ! もう、急に飛んだら危ないでしょ?」

 

「わふっ、わん!」

 

「ちょっと、くすぐったいよ。もう」

 

 綺麗な女性とかわいい子犬と戯れている。なごむわぁ、もう心がほっこりする。うん、宮野さんも第三の心のオアシスに追加だ。夏美ちゃん、香奈ちゃん、宮野さんの掛け合いを遠くから眺めれば間違いなく天国に行くな。癒されるなー

 

「・・す、すみません。その・・・見つめられると・・・恥ずかしいです・・・」

 

「わふ?」

 

 照れて子犬を抱きしめる天使・・・・・・・・もうゴールしても良いよね?

 

「す、すみません。見惚れてました」

 

「・・・・きゅ、急にそんなこと言われても困ります・・・・」

 

「わふー?」

 

 なんでそう可愛さで攻撃してくるんですかね!? 

 俺のライフはゼロですよ!? 組織や死亡フラグ? そんなの今の俺にはそんなの全然効かないもんね!

 

「こ、こほん。宮野さんに今回ご迷惑をかけたのでお礼をさせてください。俺のカバンはあった。えーと、はいどうぞ」

 

「これは・・・サマーライトの食事券ですか!? 女性に凄く人気なお店ですよね!? 妹にせがまれて今度、一緒に行こうかなと思ってたんですよ!」

 

「そうなんですね。良かったらもう一枚どうぞ。妹さんの分の食事券です」

 

「そんな、妹の分までもらえないですよ!」

 

「ああ、気にしなくて大丈夫ですよ。サマーライトって俺の会社の店ですし、そこでお菓子作っている店長って俺の弟子なんですよ。ちなみに俺もヘルプで入ってお菓子作ってたりしてます♪」

 

「ええー!? す、凄いです! ぜひ、妹と一緒にいかせてもらいます!」

 

「わふぅぅぅぅぅ!」

 

 おお、宮野さんと犬っころが俺のことをキラキラした目で見てる。うん、女性は甘いもの好きだもんね。

 ああ、かわいいなぁ、もう。なでなでしよう。宮野さんには今度犬のクッキーあげよう。犬のイメージにピッタリだ。

 

「ひゃっ!? ・・・・・・あの・・・・その・・・」

 

「くぅーん」

 

 ん? 宮野さんが顔を真っ赤にしてしどろもどろになってるぞ?

 いったいどうしたんだ? ああ、俺が頭撫でてるからか。撫でやすい頭だな。

 犬っころも気持ちいいし、宮野さんの頭もすんごく撫でやすい。和むわぁ

 

 

 

 ガラっ!

 

「偵光くん!? 大丈夫・・・かい・・・・・・・・」

 

 

 何かドアが開く音と俺を呼ぶ声ががしたような?

 

「わう?」

 

「へー。ちょっと、休憩してくるからって勝手にどこかに行って、連絡しても出ないし。

 何かあったのかって思って、萩原さんに聞いてGPSの反応辿って来てみたら病院だし、まさかこんな綺麗な人とデートしてるとは思わなかったよ・・・・」

 

「で、デートなんてそんな・・・・・」

 

「ボクがどれだけ心配したか分かっているのかな? ねえ、分かってるのかな? あなたって人、ほんとに・・・」

 

 やばい、これ死んだわ・・・・。七槻ちゃんガチギレモードですわ。だって、私じゃなくてボクって言ってるもん。体プルプルしてるし背後のオーラがすごいもん。

 

「くぅーん」

 

「デート・・・・」

 

 おい、犬っころ。震えて死なないでって泣きそうな顔をしながら俺を見るんじゃない! 宮野さんは自分の世界に入ってるし助けてもらえそうに無いですね!

 

「七槻ちゃん、ちょっと俺の話を聞いてもらえるかな!? これには深い理由があるんですよ」

 

 

「こんのぉぉぉぉぉぉぉ、女ったらしがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 七槻ちゃんに叩かれて俺の意識はそこで途切れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ようやく南の名探偵と明美さんを出せました。
 香奈ちゃんは主人公の妹(マスコット)ポジションです。


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11話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<宮野明美side>

 

私は今妹の志保と、先日知り合った白銀さんから貰ったサマーライトの食事券を使う為に店に来て順番を待っていた。

 

「すごい人だね、志保」

 

「当たり前よ、お姉ちゃん。このお店のスイーツって美味しいことで有名だもの。値段も高い訳では無いし学生から幅広い年代の女性、美人店長さん目当てに男性客も多いみたいよ。

女性が多いのは、店員目当てみたいってのもあるみたいね。

 オープンしてすぐに、雑誌で店長と店員の男性がインタビュー受けて特集されてるのを見たわ。

 おそらく、その影響もあるんでしょうけど。それにしてもお姉ちゃんが車で轢いちゃった人がこの店の関係者なんて不思議な縁があるものね」

 

「そうなんだね。うん、子犬が飛びだしてきた後にその人が飛び出してきて子犬を庇ったんだ」

 

「なるほどね。普通なら飛び込まないわ。余程のバカかお人好しね」

 

「体が咄嗟に動いちゃったんだって。んー、話した感じと雰囲気は凄く優しそうな人だったよ?」

 

「そして、笑顔で見つめられて頭撫でられて恥ずかしかった?」

 

「・・・・う、うん」

 

 あの時のことを思い出すと恥ずかしくて顔が熱くなってしまう。

 あんなこといきなりされたらビックリしちゃうよ。今まで男の人にあんなことされたことないし。

 

「とんだプレイボーイね。お姉ちゃんに手を出してすぐに彼女さんが来たんでしょ?」

 

「手を出すって・・・・。彼女さんではなかったよ? 仕事の秘書してもらってる人なんだって。本人が遠い目をしながら彼女いないって言ってたし、間違い無いと思う」

 

「お姉ちゃん・・・いくら何でもその人信じすぎじゃない? 彼女いないって嘘ついてる可能性もあるのよ? ちょっと優しくされたから靡くってチョロすぎないかしら? 

 お姉ちゃんの場合、恋愛経験無いから仕方ないんでしょうけど」

 

「なっ!? 恋愛経験無いのは志保も一緒でしょ? 上から目線で言われる筋合いは無いわよ!」

 

「わ、私のことは良いのよ! いずれ見つけるつもりだし、今はお姉ちゃんのことでしょ?」

 

「むー。私のことも良いのよ。そのうち相手を見つけるつもりだし」

 

「はぁ、まあいいわ。お姉ちゃんに聞きたいんだけど信頼できるの? 私達の秘密を探る為に近づいてきた可能性もあるのよ?」

 

 私たちの秘密か・・・。あの人はそれを探る為に近づいたという可能性は低いと思う。あの人のお見舞いに行った時にたくさんの人が来て彼を凄く心配していたし良い人達ばかりで家族みたいな絆を感じることができた。

 何故か、女性が多かったけど・・・・・。それに小さい時に仲が良かった降谷くんも彼の見舞いに来ていたのだ。彼と幼馴染らしくとても仲が良いそうだ。どうしてなのか白銀さんは降谷くんのことを怖がっていたが。

 何より野良犬の子犬の為に体を張れるだろうか? おそらく、あの人は身内や仲間の為には無茶をしてでも守ろうとする優しい人な気がするな・・・

 

 

「お姉ちゃん?」

 

「あ、ああごめんなさい。白銀さんはそんなこと無いと思うよ。志保は会ったことないだろうから分からないけどね、私が小さい時に仲良かった男の子がいたんだけどその子と幼馴染らしくてね。人見知りだったお母さんがその男の子のこと仲が良くて凄く信頼してたの。

 そんな男の子が信頼しているんだから大丈夫だと思うの」

 

「お母さんが・・・・。それでも信用はまだしない方が良いわ。私も会って見極めてみるから・・・白銀? お姉ちゃんが会った人ってもしかしてこの人かしら?」

 

 志保が携帯を見せてきた。そこには綺麗な女性の店長と並んで白銀さんがインタビューを受けているサマーライトの記事が書いていた。

 店長さん凄く綺麗な人だなあ。隣に並んでいる白銀さんとお似合いな気がするわ。

 

「う、うん。この人だよ」

 

「そう。確かその白銀さんが今日店にいるから来たのよね?」

 

 あれ? なんか志保の雰囲気が変わった?

 

「そ、そうだよ」

 

「そう・・・・・・・・・・お姉ちゃん!」

 

「ひゃい!」

 

 志保が怖くて声が裏返っちゃった!

 

「ありがとう! 大好き! もう最高よ! この人が店に出てる時だけ限定パフェとクッキーが食べれるのよ! なんて運が良いのかしら♪」

 

「・・・・・・・・・へ?」

 

 志保の目がすんごくキラキラしているわ。甘いものに目がないものね。

 病院での一件で連絡先を交換して、白銀さんに確認し今日は店にいるからということでこの日にしたのだ。志保にも紹介したかったのもあるけれど、私が彼の働いている姿が見たかった気持ちの方が大きかった。

 

「パフェ楽しみだわ♪」

 

「ふふふ。志保に喜んでもらえそうで良かった」

 

「二名でお待ちの宮野様! あら? 先日はどうもありがとうございました、宮野さん。先生がご迷惑をおかけしてしまって」

 

 志保と話し込んでいるうちに順番が周ってきていたようだ。名前を呼んだ女性店員は私達に話しかけてきた。その女性は、この店の店長の香坂夏美さんという女性だった。

 白銀さんのお見舞いに来た時に顔を合わせたのだ。

 

「いえいえ、こちらこそ白銀さん達にはご迷惑をおかけしてしまいすみませんでした」

 

「ふふっ、気にしなくて大丈夫ですよ。先生は病院内にいる時が一番大人しくしてますから。そちらは?」

 

「初めまして。妹の宮野志保です」

 

「初めまして。ここの店長をしている香坂夏美です。かわいい妹さんですね♪ それではお席に案内しますね、明美さん、志保さん」

 

 志保の顔がすこし紅くなってる。かわいいわね♪

 私たちは夏美さんに案内され店の中に入っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 テーブル席に案内されメニューを見て少しすると夏美さんがオーダーを取りにきてくれた。

 

「ご注文は何になさいますか?」

 

「限定パフェとクッキーのコーヒーセットを一つ。お姉ちゃんは?」

 

「限定パフェとクッキーの紅茶セットでお願いします。白銀さんから店に来たさいはこれを出すように言われたんですけど」

 

「食事券ですね。ご注文を確認させていただきます。限定パフェ&クッキーのコーヒーと紅茶セットがお一つずつでよろしかったでしょうか」

 

「はい。夏美さん、ホールに出ていて大丈夫なんですか?」

 

「はい、キッチンの方を見てみてください」

 

 彼女にそう言われ厨房の方を見てみると、白銀さんがこちらを見ながら手を振っていた。

 これって手を振り返した方が良いのかな? でないと失礼になるだろうし、でも周りに人がいて恥ずかしいし・・・・

 私は顔が熱くなるのを感じながら手をふり返し頭を少し下げた。

 ううっ、恥ずかしい・・・・

 あ、降谷くんと長い黒髪の女性に怒られてる。

 

「お姉ちゃん、何やってるのよ」

 

「ふふっ。明美さんて可愛いですね♪ 見てもらったように先生と降谷さんが厨房に入ってくれてるので私がホールにでてるんです。先生の料理はすごく美味しいので楽しみにまっていてくださいね。失礼します」

 

「ううっ・・・・」

 

「お姉ちゃん、自分でやってダメージ受けて何がしたいのよ」

 

「だって、手を振り返さないと失礼になるかなと思って」

 

「はあ・・・あの手を振っていた男性が白銀さんね。それにしても病院内にいるのが一番大人しいってどういうことかしら?」

 

「降谷くんから聞いた話なんだけど、よくトラブルに巻きこまれるみたい。私との事故の怪我が治って退院したその次の日には、大阪から修学旅行で来ていた女子高生が犯罪に巻き込まれそうになったのを助けだしたそうよ。

 今度は女子高生かあのバカって頭抱えてたのよ。私の事故の時も頭抱えていたけどどうしてなのかな?」

 

「お姉ちゃん・・・・」

 

 志保がすごく可哀想なものを見る目で見てくるんだけど・・・

 

「どうしたの?」

 

「何でもないわ。そういう日常的にトラブルに巻き込まれるなら、彼女の病院にいる時が一番大人しいというのも頷けるわね。あの店長もおそらくお姉ちゃんと一緒で彼の被害者でしょうし」

 

「被害者? どういうこと?」

 

「お姉ちゃんは知らなくて良いわ。言ってしまったら自覚するようになるだろうし」

 

「教えてよー。中途半端に言われたらお姉ちゃん気になっちゃうじゃない」

 

「だーめ。秘密よ」

 

「えー、どうしてよ」

 

 そんなやり取りをしていると頼んだスイーツが運ばれてきた。運んできた人は、白銀さんで驚いてしまった。

 

「横から失礼します。お待たせしました、限定パフェとクッキーのコーヒーセットのお客様」

 

「はい」

 

「限定パフェとクッキーの紅茶セットになります。どうぞ、それと来てくれてありがとうございます宮野さん」

 

「は、はい。こちらこそ食事券までいただいてありがとうございます。妹も凄く喜んでいます」

 

「始めまして、白銀偵光です。よろしくお願いします」

 

「宮野志保よ。よろしく。私のことは志保で良いわ」

 

「志保! そんな態度は失礼でしょ?」

 

「ははは、気にしなくても大丈夫ですよ」

 

「すみません、白銀さん」

 

「別に良いじゃない。本人が良いって言ってるんだから。ちょっと聞きたいんだけど良い?」

 

「何かな?」

 

「私とお姉ちゃんのやつ、クッキーの動物が違うんだけど・・・」

 

「ああ、それは俺がお客さんを見た時のイメージで動物決めてるんだよ。宮野さんは誰かに助けを求めている感じ? 人恋しい感じがしたから犬で、志保ちゃんは周り、俺を含めて常に警戒している感じがしたから猫にしました。あくまで俺が感じただけなんだけどね」

 

「へえ、よく見てるのね」

 

「人の思考ってか感情? まあ、そういうの読むのは昔から得意なんだよ。だいたい外れた試しがないしね。

 俺の仲良しな人達からはなぜか鈍感って言われるけど」

 

「ふふ、貴方って面白いわね。次の質問よ。貴方は悪人、それとも善人?」

 

「うーん、どうだろう。少なくとも今は悪人かな? ここで仕事さぼってる訳だし」

 

「なによ、それ。次で最後の質問、もし貴方の知り合いが悪いことをしていたらどうする? そうね、例えば犯罪を隠れて犯していたりしたら」

 

「そうだなぁ。まず、その人のこと怒るかなあ。怒るっても犯罪したことについてじゃないよ? どうして犯罪を犯す前に俺に相談しなかったんだってね。それで話聞いて対処するかなぁ。

 一人で難しそうなら、仲良い奴に相談して協力してもらうよ。無駄にハイスペックな知り合いが多いし。あとは、ソイツと一緒に頭下げて迷惑をかけた人達に謝るかな」

 

「・・・!? 貴方がそこまでする必要は無いんじゃないの?」

 

「普通ならそうだろうな。でも俺ってバカだからさ。自分の目に入る人達は助けて笑顔にしてやりたいなぁって思ってるんだよ。それで俺がバカやってみんなの笑い声が絶えない生活って楽しそうでしょ?」

 

「そう、もし私が悪者で困っていたらどうするの?」

 

「もちろんさっき言ったことするよ? 志保ちゃんとはもう知り合いだし」

 

「・・・ふふ、そう・・・貴方ってお人よしの大馬鹿者ね・・・・」

 

 この人はホントにすごいなあ。志保のこともあっという間に笑顔にさせて。

 そっか・・・出会った時から気になっていたのがようやく分かっちゃった。この人なら私や志保を救ってくれる人だって思ったんだ。

 みず知らずの子犬の為に体を張って守ったこの人が・・・・

 私は震える声で彼に聞いた。もし拒絶されたらどうしよう・・・

 でも志保のことは助けてくれるって言ってくれたしその点は安心よね。私に何かあっても志保のことを託すことができるわ。

 

「あ、あの・・・わ、私が悪者だとしても助けてもらえますか?」

 

「もちろん。宮野さんも既に知り合いだし助けるよ。その変わり、俺が危ない時は逆に助けて欲しいかな」

 

 彼の返答を聞いて、私の目から涙が溢れてきた。この人はホントにもう。

 志保も優しい顔で私のことを見てくれている。

 

「ひっぐ・・・なんなんですかもう・・・」

 

「おい・・・。仕事さぼって何してる? どうして明美さんが泣いてるんだ?」

 

「痛っ! あの、降谷さん? 腕を握る力が強すぎないですか? 凄く痛いんですけど。俺はただ宮野さん達とお話していただけですよ? 虐めた訳じゃないですからね!?」

 

「またなのか・・・・お前という奴は。あそこ見てみろ」

 

「うわぁ、夏美ちゃんの頬っぺたが破裂しそうなくらい膨らんでるね。もしかして機嫌悪い?」

 

「お・ま・えのせいでな! お前がホールに料理運んで、女性泣かせて夏美さんがあの状態になるってのが店の名物になっているんだ!」

 

「だからお客さん達、静かに見守っていたのね! どうりで静かだと思った! ってかこの店の名物がそんなのだって初めて知ったよ!」

 

「い・い・か・ら厨房に早く戻るぞ! ちなみに水口さんが越水さんに連絡していたし、夏美さんは秋庭さんに連絡とっていたぞ」

 

「嘘でしょ!? それって死刑宣告だよね!? 仕事終わったら何されるか分かんないじゃん! あの状態の夏美ちゃんだってめちゃくちゃ怖いんだよ!?」

 

「お・ま・えの自業自得だ! 皆さん、うるさくしてしまい申し訳ございません。明美さん達もコイツが迷惑かけてしまいました。ごゆっくりと食事を楽しんでくださいね。ほら、戻るぞ」

 

「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 白銀さんは降谷くんにひきずられていった。私は涙を止めようと思っているのだがなかなか止まってくれない。

 

「ひっぐ・・・」

 

「最後に締まらないバカな人ね・・・・。彼をひきずっていったのが降谷さん?」

 

「・・・ぐすっ、うん」

 

「なるほどね。お姉ちゃん、パフェが溶け始めているわ。せっかくあの人が作ってくれたものなのだから食べましょう。あむっ! おいしい」

 

「うん・・・・あむっ・・・・美味しいね。クッキーも、パフェも」

 

「ええ。すごく美味しいわ。この店が人気がでるのもよく分かるわ。ネコのクッキーか・・・・お姉ちゃん、良かったね。助けてくれるって」

 

「うぐっ・・・うん」

 

「彼は信用できると思うわ、とんでもないお人よしでバカそうだけど。彼の良い所や悪い所をこれから知っていかないといけないね、お姉ちゃん」

 

「・・・うん!」

 

 私は妹と一緒に彼が作ってくれた料理を食べた。その間、私の目から溢れるものが止まることはなかった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

<偵光side>

 

 俺は今、クマの着ぐるみを着て夜の街を歩き、人がいない倉庫にきている。どうしてクマの着ぐるみなのかって? 博士と萩原さん、松田さんと一緒に、どんなことに巻き込まれてもケガせず犯人制圧して危ない人救助できるスーツみたいなの作ろうぜ!って作ったのがこのクマちゃんスーツだ。このスーツについて知っているのは、博士、萩原さん、松田さん、俺の四人だけだ。他の人には言ってない。だってバレた瞬間、間違いなく怒られそうだしね!

 

 このスーツの性能について紹介しよう。防弾、防刃、防水、防火加工はばっちりで、目の部分にはカメラ、赤外線探知、周囲10キロ以内の生体反応チェック、望遠機能がついており夜道でもしっかり見えるようになっている。手は丸型と指型に変形して、字を書いたり銃を撃ったり、爆弾を解体できるようになるそうだ。口は付いているのだが喋ることはできない。夢を壊すからね!

 リュックもセットであるんだが、その中には血糊入りゴム弾と普通のゴム弾が入っているモデルガンセット、爆弾解体小型キット、伸縮性ロープ、ロープ射出銃、伸縮型防弾盾、煙幕ボール、ボールペン、メモ帳が入っているのだが・・・・

 どうしてこうなった!? クマの皮を被った化け物スーツだよ!? 顔めちゃくちゃ可愛いのに! ってか昼間にこんなの着て歩いていると職務質問されてお縄だよ!? 楽しくなってきて悪ノリした俺も悪いけどさ! それに音が聞き取りにくいっていうの問題じゃないですかね? 今度改善しよう、そうしよう。

 まあ、そんな訳で人目につかない場所に来て性能テストしているわけだが、ん、倉庫の中に女性と男性らしき人の生態反応と、正面から二人組が来ている? こんな夜遅くに元気だなあ。顔合わしたら挨拶しておこう。

 

「おい、貴様はこんなとこで・・・・?」

 

「アニキ! どうしやしたかい? クマ?」

 

 どうやらその二人の人物が来たようだ。おや。全身黒ずくめの銀髪とサングラス野郎どこかで見たことあるぞ? あ、思い出した。ジンとウオッカさんですね。となると倉庫の中にいる人物を消しに来たってことですか。

 いやーまさか、クマちゃんスーツ着たのがフラグだったとは、はっはっは! ちくしょー! ホントこの世界俺を殺したいみたいですね!

 俺はすぐに煙幕ボールをリュックから取り出し、地面に投げつけた。

 

「・・・・・ちっ!?」

 

「うおっ!?」

 

 その隙に二人に近づき、ジンから気絶させるつもりで思いっきり蹴飛ばした。

 

「がはっ! 何もんだ、テメエ!」

 

 蹴飛ばした瞬間、銃声とキンという音が辺りに響いた。

 ちっ、浅いか。反射的に銃撃つとか容赦ないですね!

 

「アニキ!? がはっ!」

 

 ウオッカの奴も浅いか、ちいっ!

 

 即座に距離を取り、煙幕ボールを投げて倉庫の窓ガラスを割り中に飛び込んだ。

 うおお、このスーツ咄嗟の行動にすぐ反応できるからマジ便利だわ。銃弾効かないし。

 

「何だ!?」

 

「何なの!?」

 

 倉庫の中に居た人物達が銃をこちらに向けていた。

 

「え・・・クマ?」

 

「貴様何者だ!? 瑛海! 危ないから下がっていろ!」

 

 ちょっと何言ってるか聞こえないんですけど? そちらを確認してみると・・・・ははっ、水無怜奈さんじゃないっすか、ちーす。思い出した。これあれじゃね? キールって名前もらう時の件じゃねえ?

 ヤバい時にエンカウントしたなー。どうしよう? そろそろジンとウオッカも来るだろうし。

 うーん・・・・・・この作戦でいこう。メモ書いて、拳銃とマシンガン、煙幕ボールだしてっと。

 メモを書き終わり俺は男性に向けて発砲した。

 

「カハッ! え・・・み・・・」

 

 

「なっ!? いやっ、お父さん!?」

 

 

 よし死んでるように見えるな。自分達が作ったのだがやたらリアルすぎるだろ。まあ、リアリティ出す為に本物っぽく作ったからな。

 ゴム弾も拳銃の弾そっくりだし。弾当たった瞬間気失うから注意が必要なんだよなー。

 さてと、水無さんを左腕で拘束し、右手の銃をコメカミに突き付けた。

 

「きゃっ!?、貴方は何者なの!? 組織の命令で私達を消しにきたの! そんなふざけた着ぐるみ着て! 私達がどこに所属しているのかも分かっているの!?」

 

 水無さんがこちらに向かって何かを言っているが全然聞こえないんだが・・・・やっぱり、対策必要だな。とりあえず頷いておこう。

 

(こくっ)

 

「・・・!? そんな・・・・貴方以外に私達の情報は漏れているの?」

 

 だから何言ってるのか聞こえないんだよぉぉぉぉ! 

 連続で頷くのは話聞こえてないのがバレるだろうし、ええい、こうなったら適当だ!

 

(ふるふる)

 

「そう。貴方しか情報を掴んでいないのね。なら取引しない? 私を見逃してくれたら何でもしてあげる」

 

(ふるふる)

 

「あら、こう見えて私、スタイルには自信あるのだけど?」 

 

(ふるふる)

 

「そう。色仕掛けにもなびかないってことは女性? 貴女は組織に所属しているのよね?」

 

(こくっ)

 

「何が目的なの? 外に私の仲間がいたみたいなんだけどどうしたの? 戦ってきたの?」

 

(こくっ)

 

「そう。組織に何をしようとしているの? クーデター?)

 

(こくっ、こくっ)

 

「だそうよ、ジン」

 

 水無さんはドアの方を向きながら何か言った。

 あ、ようやく出てきた。さっきから隠れててどうしたのかなと思ってたよ。

 ちなみに拳銃だそうと動きかけているのバレバレだからね?

 

「ほー、その着ぐるみの中の面を拝ませてもらいたいもんだな」

 

 カチャ。

 パーン!

 

「何!?」

 

 

 あ、水無さん驚いてポカンとしている可愛いな。

 ついでにウオッカが隠れてる位置にも撃っておこう。

 

「てめえ・・・何者だ? 目的は、あの御方か?」

 

(こくっ)

 

「組織に入り込んだネズミだな?」

 

(こくっ)

 

「テメエは俺が殺す」

 

 流石にそろそろ怪しまれるかジェスチャーするか?

 銃持ってていたしいけどなんとかうごかせるな。

 

(くいくい)

 

「そうか・・・おもしれえ」

 

 そろそろあの人も起きそうだし、水無さんはアイツらに返そう。メモをポケットに入れたし気づいたらきてくれるはずだ。

 水無さん、痛いかもしれないけどごめんね!

 俺はジンの方向に水無さんを蹴飛ばした後、左手で煙幕ボールを投げた。

 

「きゃああぁぁ!」

 

「ちっ!」

 

「あ、アニキ!?」

 

 その間に、マシンガンとマガジン準備してジン達に向けて構えた。

 

「小賢しい・・・・何!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「何だぁ!?」

 

 煙が晴れて此方を見た瞬間、三人とも驚愕していた。

 やっぱり驚く? でも容赦はしませんぜ! アンタ達は早くここから立ち去ってもらうぜ!

 レッツパーティィィィィィィィィィィィ!

 

 三人の身体に当たらないよう注意しながらマシンガンを撃ちまくった。

 やべぇ、ちょうたのしー! この爽快感たまらんねー!

 

「ちっ! ずらかるぞ、二人とも! テメエの顔は覚えたからな!」

 

「ええ、分かったわ!」

 

「了解ですぜ、アニキ!」

 

 三人が外へと向かい始めたので俺は銃を撃ちながら後を追った。外に出ると、黒いポルシェに三人が乗り込み去っていった。

 よし、早くここから離れよう。組織の連中間違いなく戻ってくるはずだろうし。とりあえず、このスーツは改良がまだまだ必要だな。

 俺は道具を回収し、倒れていた男性を回収しメモに書いた倉庫へ男性を運んだ後、家へと帰っていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 




 ようやく志保ちゃん登場です。
 おっと、主人公くん(クマ)は黒の組織に狙われることが確定したようです。
 次回は水無さん視点、黒の組織の構成員メンバー視点の話になるかなと思います。


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12話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<水無怜奈side>

 

 

 私はあのクマ? いや、組織の裏切り者との一件の後すぐに組織からキールというコードネームを渡された。どうやら一緒に潜入していた父と、あのクマから拷問されても情報を喋らなかったという功績が認められたらしい。

 真実は、あのクマが父を殺しただけで私は何もしていない。発信機を付けられたのにも気づかず自分たちの身を危ない目にあわせ父が死んだだけだ。あのクマに関しては裏切り者として組織の最重要ターゲットとなった。

 今頃、組織内ではその情報が広がって、着ぐるみの中の人物が誰なのかあぶり出しをしている頃だろう。

 私はいつの間にかポケットに入れられていたメモに書いてあった場所に向かっている。コードネームを与えられて幹部となったことで私の監視も無くなったようだ。

 目的の場所に着き、中に入り銃を構えた。

 

「ここね。さて私をここに呼んだ理由を教えてもらいましょうか?」

 

「遅かったな」

 

「そんな、お父さん!? 撃たれたはずじゃ」

 

「どうやらあのクマに助けられたようだ。強力なゴム弾が当たって気を失ったんだ。それと血糊だな。俺の死体が分からないようにあの倉庫は仲間に頼んで爆破させておいた」

 

「良かった・・・組織ではクマの中の人の足取りを追っているわ。それに私もキールというコードネーム持ちになったわ」

 

「そうか。アイツはおそらくこの展開まで読んでいた可能性が高そうだな。俺は一度本国に戻り潜伏する。組織の情報は頼むぞ。あのクマの足取りを追いたいからな」

 

「え、ええ。彼女はいったいどこの所属なのかしら? NOCなのは間違いないけど」

 

「彼女?」

 

「お父さんが気を失った後、人質に取られてね。色仕掛けしたんだけど、全然興味もしめさなかったわ」

 

「鍛えられている男性のパターンもありそうだな。おそらく・・・」

 

「FBI?」

 

「いいや、MI6だと俺は睨んでいる」

 

「そんな!? MI6も介入してきているというの?」

 

「おそらくな。その辺りの裏を取るために俺は潜伏して調べてみる」

 

「ええ、分かったわ」

 

 

 私は父と再会し、今後どうするかを話して取り決めていった。

 いったい何者なのかしら? 味方か敵か全然分からないわ。

 でも、今度会った時にはお礼言わないとね。あのクマのおかげで父は生きており、私は組織の幹部になることができたのだから。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<ベルモットside>

 

 

 私は今バーボンと合流し情報交換をしていた。 

 

「あら、スコッチはどうしたの?」

 

「少し前から特別な任務についているらしく連絡が取れないんですよ。まあ、アイツの場合元気にやっていると思いますが」

 

「・・・そう」

 

「それより、先日の一件聞きました? キールとジンたちのことについて」

 

「ええ。組織の裏切り者とらしき人物がクマの着ぐるみをきてジン達と戦ったことについてね。余程のアホか、顔をばらしたくないんでしょうね。ボスもそのクマのことをすぐ調査するように言ってきたわ」

 

「さすが、ベルモットですね。余程のアホって聞いたら一人の顔が浮かんだのですが・・・」

 

「私も一人の顔が浮かんだわ」

 

 私の大事な人でいつも無茶をする余程のアホがね。バーボンも同じ人物を浮かべたみたいね。

 

「そのアホですが、その日は会社の男性陣と寮で飲んでいたそうです。裏も取れています」

 

「もちろん、分かってるわ。私も本人にちゃんとオハナシして聞いたもの♪ その時のあの子って涙目になって凄く可愛いのよ? 私の言うこともちゃんと聞いてくれるし」

 

「相変わらずですね・・・・。今度は何をお願いしたんですか?」

 

「一緒に添い寝して、彼には抱き枕になってもらったの♪」

 

「そ、そうですか」

 

「寝顔の写真もバッチリ撮っているわ♪」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

 あら? バーボンが引きつった顔をしてるわね。いけないわ。彼のことになるとついつい暴走してしまうのよね。恥ずかしいわ。

 

「こほん。それで何か情報は掴めたの?」

 

「い、いえ。外部組織のNOCであることは間違いないでしょう。日本警察側にそのような動きは無かったので、外国の諜報機関あたりが怪しいかと」

 

「FBIかCIAね。それとも・・・・」

 

「MI6、ICPOか・・・。何にしても情報が足りません。詳細が分かったらまた連絡します」

 

「よろしく。それにしても最近組織内にNOCがやたら入ってきてるわね。大きくなりすぎた反動かしら」

 

「さあ、どうでしょうね。もしかしたら今回のクマの人物のように牙を研いで、組織の頸を刈ろうとしている人物がいるのかもしれませんね」

 

「そうだとしたら面白いわね。まあ、何にしてもホワイトシルバーに危険が及ばないようにするのが最優先よ」

 

「無茶なこと言いますね。アイツが危険な目に合わない時って怪我して病院内にいる時なのですが・・・・」

 

「そのとおりね・・・・いつも心臓が止まりそうになるのよ。あの子のあれはどうにかならないかしら?」

 

「最近は夏美さんが言っても効果なくなりましたからね。越水さんと水口さんが頑張ってくれてるおかげで、少しは軽減していますが時間の問題ですね」

 

「・・・はぁ。また無人島に連れていきましょうか」

 

「・・・それは最終手段ということにしましょう。それではまた」

 

「ええ、よろしく頼むわ」

 

 私はバーボンと別れ再び情報収集を行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 私は急いでスコッチがいるであろうビルの階段を急いで駆け上っていた。

 お願い、無事でいてスコッチ!

 スコッチがスパイという情報が組織に出まわったのだ。

 不味いわ! あの子やバーボンの為にも彼を絶対に消させるわけにはいかない!

 屋上の扉を急いで開けると、そこには気を失ったバーボンがいた。

 

「バーボン!? しっかりしなさい! いったい何があったの!?」

 

「ううん・・・アイツの死体は!?」

 

「落ち着きなさい! 何があったの?」

 

「すみません、取り乱しました」

 

「幼馴染のことだから心配して当然よ」

 

「それで何があったか教えてもらえるかしら?」

 

「アイツがスパイだとバレた情報が組織にまわってすぐに、ここにいることを突き止めて来ました。階段を駆け上がっている途中に銃声が聞こえて、この場所に来てみるとクマの着ぐるみがいてアイツを拳銃で撃ちました。それを見て僕は飛びかかったのですが、

気を失わされたみたいですね。アイツは・・・」

 

「バーボン、貴方の近くには血痕があるだけよ。彼の死体は、どこに行ったというの? まさか・・・?」

 

「そのクマが持ち去ったとみるべきでしょう。おそらくどこかで死体を処分しているはずです。もう大丈夫です。すぐに周辺を探しましょう」

 

「でも、貴方酷い顔よ?」

 

「貴女の今の顔色に比べればマシですよ。貴女こそ大丈夫ですか?」

 

「そうね。あの子が大事にしている物が守れなかったんだもの。流石に堪えるわ。あの子の周囲の幸せだけはどうしても守りたかったのにできなかった・・・・真実を知ったら悲しむでしょうし、自分を間違いなく責めるわ。俺は何をしていたんだって・・・」

 

「そうですね。あのバカは何でも抱え込んでしまう奴です。もしアイツがホントに死んだとしたらその秘密は僕が墓場まで持っていきます」

 

「そうね・・・・・」

 

 その時近くで爆発音が聞こえた。あれは海の近く?

 

「バーボン!」

 

「ええ! すぐに向かいましょう!」

 

 私達が爆発音がした場所に向かうとそこには、血の跡が海へと続いており、近くでは車が燃えていた。

 周囲を確認していると壊れた携帯電話を見つけた。

 

「これは・・・?」

 

「アイツの携帯です」

 

「そう・・・貴方が持っていなさい。彼の形見でしょう」

 

「そうですね。クマの中の奴を絶対暴いてみせます。もう僕の身の周りの奴には絶対手を出させません」

 

「私もよ。あの子の身の周りは絶対に護ってみせるわ」

 

 私達はそう決意して、その場から立ち去った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

<諸伏景光side>

 

 んん、ここは・・・どこかの部屋か・・?

 俺は確か組織にスパイだとバレてビルの屋上に行き、携帯と一緒に心臓を打ち抜いて自決しようとしてクマが目の前に降りてきたんだ。

 そこから・・・・どうなったんだ? ってクマ? 確か組織のジンとやり合って、裏切り者だから探しだせって来ていたな。はは、まさかな。

 ドアを開ける音がしてそちらを向くとクマが入ってきた。

 

「お前は!? 何者だ!? 組織に命令されて俺を消しにきたのか・・・・いたっ!」

 

 クマに頭をいきなり叩かれた。

 なに? クマの行動の理由が分からない。

 クマは呆れたように頭の被り物をとった。そこに現れた顔は俺のよく知っているものだった。

 

「・・・・は?」

 

「は、じゃねえーよ。あんな所で何しようとしてたんだお前は? 空をハンググライダーで飛んでたら、ビルの上に景光が見えて自殺しようとしてるように見えたから咄嗟に飛び降りて止めたが、何をしてたんだ?」

 

「いや、こっちが何をしていたか聞きたいんだが。お前何してたの? ってかそのクマってなんだよ!?」

 

「うるさい、落ち着け」

 

「いてえな、もう! 落ち着いてられるか? こっちは色々なことが起きて混乱しているんだ!」

 

「そうか。コーヒー淹れてきたから飲むか?」

 

「そうじゃないだろ!?」

 

「ぶー、せっかく美味しく入れれたのに。夏美ちゃんがフランス土産で買ってきたぐらいの奴で美味しいぞ?」

 

「ああ、もう! お前はホント昔からマイペースで、人の話とか聞かない奴だったよな! お前のおかげで帰ってきて生きてるんだって気がするよ」

 

「当たり前だ、バカ。ようやく、落ち着いたか?」

 

「・・・ああ。俺は生きてるんだな」

 

「そうだ、バカ。俺が助けてやったんだぞ」

 

「うるさい、バカ。いつも無茶するお前には言われたくない」

 

「そうかよ。んで、組織に公安の人間だってバレたか? 景光があそこまで追いつめられる理由ってそのぐらいしか浮かばないんだが」

 

 待て、今なんて言った? 組織に公安・・・

 

「まさか、知っていたのか!?」

 

「うん。零も公安の人間で組織の幹部だろ? それにクリスのバカも」

 

「いつから知ってたんだ!?」

 

「昔からだな。だいたいお前ら、俺に隠し事するのが下手糞すぎるんだよ。中でもクリス、いやベルモットか? アイツが一番下手だ。完ぺきに誤魔化しすぎて逆に怪しかったし」

 

「分かっててどうして・・・・俺たちは潜入とはいえ、汚いことをしてきた。公安でも同様だ。お前とはもういれない。みんなに迷惑がかかってしまう」

 

「そんなん俺の親友と大事な家族だからに決まってるだろ。お前たちが悪いことしてきた? それなら頭ひっぱたいて、一緒に謝ってやるし償いたいならそれに付き合ってやる。それに悪いことしてきたから一緒にいられない?

笑わせんな。そんなんで俺が離れていくかよ。クリスのバカもそうなるのを一番怖がってるんだろうな。ったく、出会った時に約束したのにそれも分からないのかよ。

 それで、お前はクリスと同じバカなことをまだ言うのか?」

 

 ホントかなわないな、コイツには。こうやってたくさんの人を救ってきたんだろうな。だからこそ、ベルモットも含めあれだけの女性が好きになる訳だ・・・・

 偵光は昔から2、3手先を読んでいた奴だ。おそらく今回も何か考えているはずだ。

 

「もう言わないよ。お前のことだから俺のことをどうにかできる方法も考えているんだろう?」

 

「ああ、もちろん。諸伏景光には死んでもらう」

 

 俺の幼馴染はあくどい顔で笑いながら告げた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 此奴の変装技術には昔から驚かされるな。零や佐藤さん達から逃げ回る時は逃走手段として使っていたのが懐かしい。

 

「じゃーん、どうよ?」

 

「驚いたな、完全に別人の顔だな。これで声を変えれば完全に分からないだろうな」

 

「俺の変装術はクリスでさえ見抜けないからな。クリスに見ぬかれなければ、誰にも見抜かれることはないから安心しろ。声を変える方法は少し叩きこめばすぐに慣れるだろう。後は名前だな」

 

「そうだな・・・山川光(やまかわひかる)でどうだ? 適当に浮かんだ名前なんだが。戸籍とかはどうするんだ?」

 

「了解、山川光ね。司さんに頼んで養子縁組として戸籍作るよう手配してもらうから大丈夫だぞ。別姓でな。司さん達の時より戸籍作るの楽だから良かったわー」

 

「は? 野山さん達の戸籍作ったってどういうことだ?」

 

「宮野明美ちゃんと志保ちゃんのことは知ってるよな?」

 

「ああ、組織の構成員とシェリーって呼ばれていている幹部だ。シェリーは確か組織が独自で開発している毒薬の開発を前任から引き継いで責任者になっているって話だがそれがどうした?」

 

「そこまでは掴んでるのね。野山さん達の正体ってその薬の開発前任者。明美ちゃん、志保ちゃんの実父の宮野厚司さん、実母の宮野エレーナさんなのよ。

 俺が10歳のころかな? 組織から不要になって消されそうになった二人を助けて、お前と同じように変装させて匿ってた訳だ。

 ちなみにこのこと知っているの俺とお前だけだから。野山さん達にはお前も同じ存在になると話通しているから心配しなくて大丈夫だぞ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ!?

 組織の人間をガキの頃から匿っていただと!? ここまでバカだと思ったのは初めてだぞ!

 

「ああ、そう。それと組織が開発していた薬のデータもエレーナさん達が作っていたころまでは復旧出来てるぞ。それ以降改良されてたら分からんけど。まあ、このデータは組織に対する最大の爆弾にもなるな♪

 うちでは、野山さん達がその元データから薬改良して病気に効く薬に変えたけどな」

 

「・・・・・・・何やってんの!? 俺達公安でもつかめてない情報だぞ!?」

 

 

「こんだけで驚いてたら俺とは付き合っていけないぞー」

 

「もういい。それで俺の死の偽装(ぎそう)は完ぺきなんだろうな?」

 

「ああ。ちょうど零が来てたからその前で、血糊入りゴム弾を撃ったからな。まあ、その後襲ってきたから気絶させた。

 そして、お前の車爆破させて、海に落ちたように血塗りでカモフラージュして景光の携帯破壊してその場に置いていったから大丈夫なはずだ。

 海に落ちたら組織の連中もそこまで探さないだろうしな」

 

「・・・・待て。ってことは降谷の奴は、着ぐるみ着ていたお前を恨むんじゃないのか? ベルモットもおそらく俺を殺した奴となればとことん追ってくるぞ?」

 

「ですよねー。うん、零とクリスには着ぐるみ着てなくても追いかけられるのがほとんどだし大丈夫だといいなぁ・・・・

 仲が良い奴に銃向けられて、攻撃されるのはキツイなぁ」

 

「降谷とベルモットをこちらに引き込むのは無理だな・・・・」

 

「まあ、なんとかなるだろ。あのスーツ着ておけば怪我することは無いし大丈夫だ。お前の命に比べれば安いもんだ」

 

「俺のせいですまない・・・・

 ところであのクマは何なんだ?」

 

「俺が無茶するからどんなことに巻き込まれてもケガをしないスーツ作ろうぜ!って、俺、萩原さん、松田さん、博士で作った奴がそれだ。最近は司さんまで加わって改造している。機能については、今度見せてやるよ。

 どうせ一緒に作ってもらうようになるだろうし」

 

「今からそのスーツのスペックを見るのが恐ろしいんだが・・・・」

 

「確定事項だからな。山川さんには俺のサポートをたくさんしてもらう予定なんで♪ 

 それで、情報が漏れた理由は分かったのか?」

 

「分かったよ、社長。それが分からないんだ。公安から一月以上前に連絡を絶てって命令が来て、任務の関係で二週間以上連絡取れなかったんだよ。

 それが終わったら広まっていたって感じだな」

 

「山川さんって警視庁の公安部だったよな? で、零は警察庁の公安部で良かったよな?」

 

「・・・あ、ああ」

 

「となると、警視庁公安部に組織の人間が入っている可能性が高いな。おそらくそこから情報がリークされたか? 警察庁の方は可能性低いな。零がそこを徹底管理しているだろう」

 

「やはり・・・そうか・・・」

 

「ああ。警察内部にもいるとは厄介だな。こうなりゃあ、野山さん達に勧められていた探偵事務所作るか。

 人脈を広げて優秀で信頼できる人材を取り込んでいきたいし」

 

「お前、探偵って大丈夫なのか? 探偵で目立てば組織に目を付けられるぞ」

 

「確かにな。だが好都合だ。俺が目立って懐に組織の人間送りこむとしたら誰を送りこんでくると思う?」

 

「なるほど。ベルモットかバーボンか」

 

「正解! 懐に来てくれた方が守りやすくなるし、攻めにも転じやすい。それに、俺が事件によく巻き込まれるから、会社の社長より探偵って方が都合良いんだよ。

 そこはしきりに司さんや七槻ちゃんから言われてたんだよ」

 

「確かにその方が良いだろうな。あらゆることに対処できるように、俺、萩原、松田を鍛えるつもりなんだろ?」

 

「もちろん」

 

「・・・・ったく。お前は組織より恐ろしい男だよ、偵光。これからもよろしく頼む」

 

「こちらこそ!」

 

 俺たちは握手を交わし、笑い合うのだった。

 

 

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 次回からようやく原作編に入る予定です。
 感想&コメント&評価待ってます。


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原作開始
13話


 ※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!


今回からようやく原作編に突入です。バーロ高校生探偵も登場です。


<偵光side>

 

 景光ってか山川さんの一件で探偵事務所を作って早くも三年が経った。27歳で探偵事務所の所長ってホント目立つよなー。

 うん、まあ色々とありました。事件解決したり、クリス、美和子、由美、怜子さん、夏美ちゃん、七槻ちゃん、明美ちゃん、志保ちゃんに買い物付き合わされたり、遊びに行ったりして、香奈ちゃんに癒されたり、夏美ちゃんの店手伝ったり、野山さん達の研究や仕事手伝ったり、景光、萩原さん、松田さんを鍛えたり、博士や会社の男性陣みんなでスーツの改造したり、零の捜査に付き合わされたり、怜子さんのマネージャーしたり、事件に巻き込まれたり、黒の組織連中とバトルしたりしてあっという間の三年間でした。何個かおかしいのがあったって? 気にするな!

 いやーよくここまで生きてこれたなあ。死神とエンカウントしてないおかげかな? うん、原作から大きく逸れてるような気がするけど俺は精一杯やってきたんだ!

 探偵事務所建てて頑張ってきたもんね! 事件解決しまくったおかげで全国的に有名になりすぎたけどね! 目立つ気なんて無かったのに、どうしてこうなった!?

 だって探偵事務所の人員ハイスペックすぎるんだもん! もう俺いらないよね? 俺いなくても各自で事件解決できるし。人員が誰かだって?

 ここで会社と探偵事務所の人員を紹介しよう。

 

 

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 白銀探偵事務所

 

 所長 白銀偵光

 

 副所長 山川光(諸伏景光)

 

 所員 萩原研二

 

    松田陣平

 

    越水七槻

 

    安室透

 

 マスコット ライト(ミニチュアダックスフンド)

    

    

 

 

 株式会社ホワイトシルバー

 

 社長 白銀偵光

 

 副社長 野山司(宮野厚司)

 

 専務 野山リサ(宮野エレーナ)

 

 会社員 秋庭怜子 ソプラノ歌手

   

     香坂夏美 パティシエ、レストランの店長

 

     水口香奈 秘書

 

     クリス・ヴィンヤード 女優

 

 マスコット ハトソンくん(鳩)

 

 

 

 発明品開発部

 

 白銀偵光

 

 阿笠博士(外部協力者)

 

 萩原研二

 

 松田陣平

 

 野山司

 

 山川光

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 となっている。俺だけ働きすぎじゃない? 探偵事務所と会社の兼任ってしんどいよ? まあ、忙しくて手が取れない時は野山さんか山川さんに仕事丸投げしてるけど。

 探偵事務所の人達には、仕事振りまくってるってか皆が率先して俺の仕事取っていくんだよなぁ。なんか俺が動くと依頼のこと以上のことが起きるからだって。そんなにトラブル起こしてるかな?

 俺にとっては平常運転なんだけど。楽できるから感謝してるけど。

 山川さんの一件から探偵事務所を作ったらすぐに、透(バーボン)とクリス(ベルモット)が事務所と会社に入ってきた。おそらく例の組織からスパイとして入り込めみたいな命令がでて来たんだろうけど、二人ともすごく乗り気なのよね。え、黒の組織の仕事忘れてない?

って思うぐらい楽しんでいる。

 透は、降谷零の名は捨てて安室透と名乗ることにしましたのでそう呼ぶようにと言われた。間違えて呼んだら分かりますね?って脅迫されたので従っている。他の人達も三年でようやく慣れたようだ。美和子も由美も同様だ。

 クリスに関しては、俺を専属マネージャーにして仕事によく付き合わされる。受ける仕事のほとんどが俺と一緒じゃないとダメらしい。怜子さんもクリスと張り合うような形になっている。どうして張り合っているのか理由は分からないけど。

 黒の組織は、クマの着ぐるみを着ていた人物を追い続けているらしい。スーツはあの時からだいぶ改造されてるからな。いかつかったのが今では可愛らしい容姿に変わってるからなー。日中でも怪しまれないようにする為なんだが、あれ着て風船持ってると子供がすぐに集まってきて囲まれて大変なんだよなぁ。

 今はクマ以外の動物も開発中で何体か近いうちに完成する予定になっている。どこを目指しているのだろうか・・・・・・。

 計画通りに事が進みすぎて逆に怖い気はするけどな。原作の主人公とエンカウントした時からが本番だな。どう未来が転ぶか分からないし。

 考え事をしていると、頬を引っ張られた。

 

「にゃにするんだよ?」

 

「アンタが私とデートしに来てるのに、若い女の子達に見惚れてるからよ。せっかく久しぶりに休みが合ったのに」

 

「ふぁあ?」

 

 そう言われ前の方に注意を向けてみると、女子大生のグループがいた。ああ、そういうことか。見惚れてたわけじゃなく考え事してただけなんだが・・・

 頬を引っ張っている手を掴み頬から離した。

 

「ちげぇよ。見惚れてたんじゃなくて、考え事してたんだよ。確かに可愛らしいが、由美の方が普通に可愛いと思うぞ? 格好もいつもと違って綺麗で可愛いって感じだし。それにデートじゃなくていつものように遊びに来てるだけだろうが」

 

「うぐっ、男と女が二人で遊びに来たらデートなのよ、バカ。手を掴んでいきなりそういうことは反則でしょうが・・・・。これを無自覚で言うんだからホントたちがわるいわ。美和子や他の人もこれでやられるって言ってたし・・・」

 

 そう、俺は今由美とトロピカルランドに遊びに来ている。お互いの休みが合ったら行こうとずっと言われており、長いことお互いの休みが合わず、ようやく休みが合ったので遊びに来たという訳だ。

 由美の奴顔真っ赤だし、俺が褒めたのが嫌だったのか? 由美の格好気合が入ってて綺麗だなって思ったのを正直に伝えただけなんだが、手を掴んだのがまずかったのか? そういえば、こういうのってセクハラになるんだよな・・・離すので訴えないでください。

 手を離すと寂しそうな顔をして、すぐに俺の手を掴んできた。

 

「こら! 私が許可してないのに勝手に手を離すんじゃないわよ。離したら許さないからね?」

 

「お前、そんなに手繋ぎたかったのか? 由美って寂しがりってキャラじゃないだろ」

 

「ああ、うるさいわね! 私は昔からお転婆でしたよーだ! 私が離すなって言ってるんだからアンタは黙って私の言うことを聞いていれば良いの!」

 

「はいはい。それで、次はどこ行くんだ? 昼も食べたし、何かアトラクションに行こうぜ。でないと時間がもったいない」

 

「そうね。偵光は行きたいとこ無いの?」

 

「お化け屋敷「ダメよ」・・・言ってみただけだよ。ホント由美ってお化け系が全然だめだよな。あと私生活も」

 

「私生活は関係ないでしょ!?」

 

「由美って美和子以上にズボラだろうが。部屋は汚くて、徹夜で麻雀したりとかあるし。掃除に行かされて、麻雀に毎回付き合わされる身にもなって欲しいんだが・・・・何でか知らないが刑事さん達には目の敵にされてるし」

 

「うぐっ・・・・やっぱりさ、こんな女は嫌・・・・? クリスさんや夏美ちゃん、七槻ちゃんのように私生活もしっかりしてる女性の方が良いわよね・・・私に比べて全然綺麗で可愛いし」

 

 はあ? 由美は泣きそうな顔でそんなこと言ってやがるんだ? そんなんで軽蔑する訳が無いし、昔からの付き合いで分かりきってるからな。それに麻雀付き合うのも楽しいし、掃除も嫌じゃないから気にする必要は無いんだが、言わないと分かんないんだろうな。

 

「あほか、お前は」

 

「いたっ! 何するのよ?」

 

「あのなぁ、お前がズボラなのは昔から分かってるし、今更幻滅しねえよ。由美には由美の良さがあるし、世話やくのって好きな方だから気にならないしな。麻雀付き合うのも楽しいし、掃除も嫌じゃないしな。それにクリスなんかも外面良いだけで、家だとズボラだぞ?

俺に全部丸投げしてくるしな。麻雀行った時に、俺が行かないと由美が来ないって刑事さん達から文句言われて、睨まれるのは困るけど、気にならないレベルだ。嫌ならお前からとっくに離れてるよ」

 

「・・・・・・・・ばか」

 

 由美はそう言って腕に抱き着いてきた。

 

「急にビックリするだろうが。はいはい、バカですよ」

 

「昔からホントバカなんだから」

 

「流石に酷すぎませんかね!?」

 

「ふふっ。私をこんな気持ちにさせる偵光が悪いのよ。ねえ、ジェットコースター行きましょ!」

 

「なんだよ、それ。はいはい、分かりましたよ」

 

「早く行くわよ!」

 

ったく、元気になったみたいだし良しとするか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 俺はジェットコースター乗り場が見える位置に来ていた。人がやたら集まってるな。何かあったのか?

 ん? この草に引っ掛かってるのは、ピアノ線と真珠の球? 上は・・・ジェットコースターで通るトンネルが近くにあるな。 少し離れた所にはベルトのバックルも落ちてるし。ピアノ線にはなんか血痕っぽい物も付いてるし・・・・・・非常に嫌な予感がする。

 これに関わったらもう逃げれない気がするんだが・・・・見つけたし、そうもいかないよなあ・・・・・

 くそう。最近原作の話思い出すのが事件終わった後がほとんどなんだよな。思い出せたら絶対関わらない事件のはずな気がするのだが、この世界は俺を逃がしたくないらしく絶対に巻き込まれるようになってるはずだ。

 もう、諦めよう。諦めてトラブル発生したらそれに全力で対処しよう。絶対に死んでたまるか。

 とりあえず、現場の写真を撮影して保存して指紋が付かないように回収しておくか。俺の予想なら事件があの人が集まってる所で起きた可能性が高いし。事件に関係ありそうなのは、血痕ぽいものが付いてる物だと思うが、念のためバックルも回収しておこう。

 

「あら? 遠くに見えるジェットコースターの所に人が集まってない? って何してるのよ偵光?」

 

「あ、ああ。何か落ちてる物が気になってな。赤い血痕ぽい物も付いてるみたいだし」

 

「血痕!? ・・・・本当ね。ネックレスの線に赤いシミみたいなのが付いてるわね。それにベルトのバックル?」

 

「たぶんな。バックルは関係無さそうな気がするな。破損もしてないし、ベルトの革が少し付いてるから外れて落ちたってところか? でも念の為回収しておこう」

 

「アンタの勘ってやつ? それにしても、もしそれが血痕なら、あそこで事件があったっぽいわね。人も集まってるし」

 

「だろうな。どうする?」

 

「そう聞いてきた所でどうせ行くつもりなんでしょ? 証拠品っぽいもの見つけたから警察の人間としては放っておけないし」

 

「確かにそうだな。まあ、爆弾見つけたりするよりかはマシだな」

 

「アンタがそういうとシャレにならないわよ。私も行くのには賛成よ。ただデートどころじゃなくなるわね」

 

「今度またの機会に遊びに行くってか埋め合わせする形でどうだ?」

 

 デートの訂正? もうあきらめたよ。訂正すると由美のやつ機嫌悪くなるし。

 

「良いの・・・?」

 

「今更遠慮なんかするなよ。空いてる休みの日が分かったら連絡してくれ。その日に休みが合うように調整する」

 

「そっか・・・ふふっ。ありがと♪ それじゃあ、早く行きましょう! ~♪」

 

「あっ、おい! 急に引っ張るなって! コケるだろ!?」

 

 由美に引っ張られながら、人が集まっている場所へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 人が集まっていたジェットコースターの入場口に来てみると予想通り警察の人達がいた。集まっていた人に聞いてみるとジェットコースターに乗っていた一人が首を切断され死んだそうだ。最初は事故かと思われたが、同乗していた高校生がこれは殺人事件だ!と言って事件の調査をしているらしい。その高校生というのが最近話題の工藤新一なんだそうだ。

 うん、知ってる。名前よく聞いてたし関わらないようにしてたんだが、ここで関わっちゃうかぁ・・・

 この事件もぼんやりとだが思い出してきた。歩く死神が生まれる日じゃねえか。どうやら神様は俺達を引き合わせたいらしいな。となると、さっき拾ったネックレスって完全に証拠品じゃねえか。ベルトのバックルは無かったはずだから関係ないはず・・・・やばい、自信がない。

 俺という存在がいることによりどう転ぶかわかんねえ。え、サインください? ああ、どうぞ。ただ、プライベートで来てるので秘密で。騒ぎになると厄介なので。

 さて、どうするか?

 

「アンタって事件が絡むと本当にいつもよりカッコよくなるわよね、人気者の探偵さん。可愛い女の子にサインせがまれてたし」

 

「好きでやってるんじゃねえよ。怜子さんやクリスのせいで知名度があがりすぎただけだ。普通テレビとか記事のインタビューで俺の名前出すか? あれ以来、テレビ出演のオファーとかめちゃくちゃ来るようになって大変なんだぞ?

 二人のマネージャーする時は変装する羽目になるし。透にはお前はどうして目立つことばかりしかしないんだ!?って説教されるし、散々なんだよ。

 サインは事件の詳細を教えてくれたお礼だ。聞いてもいないのに詳しく教えてくれたしな。ただ、プライベートで来てるって言った後に肩落としてたけどどうしてなんだろう?」

 

「アンタって奴は・・・・。バカでトラブルメーカーかつ鈍感よね。まあ、良いわ。それにしても人が死ぬなんてね。だから、目暮警部や高木君、千葉君が来てるのね。美和子は来ていないみたいだけど」

 

「なんで唐突にディスられなきゃいけないんだよ。知り合いばかり居て、見つかっても大丈夫なのか?」

 

「非番だし問題ないわよ。それに見つかった方が、美和子へのけん制になって都合良いし♪」

 

「どういう理由なんなんだよ・・・・」

 

 由美とそんなやり取りをしていると大きな声が聞こえた。

 ・・・!? おいおい、どうしてアイツらがいるんだ!? 

 ちっ、こんな所で暴れられたら不味いことになるな。ウオッカはどうにでもなるが、ジンの場合は厄介だ・・・・

 ここには由美もいるし一般人に被害をださせる訳にはいかない・・・・・

 俺が危ない橋渡るしかないか。

 それが一番最適だし、被害は俺一人だけで何とかなるか。

 

 

「目暮警部!」

 

「ん? どうした千葉君?」

 

「この女性のバッグからこんなものが!」

 

「それは!?」

 

「嘘!? 私そんなもの知らないわよ!」

 

「あ、愛子!? どうしてそんなことしちゃったのよ。岸田くんと上手くいっていると思っていたのに」

 

「違うわ! 信じて! 私じゃないわ、お願いだから信じて!」

 

 その声を聴き周囲の人達は、おいおいもう犯人みつかったのかよ、なんかあっさりね。などと話し始めている。

 いやいや、普通に考えて女性の力で首を完全に切断するとかどう考えても無理だろ? 俺の力でも首ちょんぱとかできないよ! どう考えても道具やジェットコースターの力借りないと無理よ?

 どこぞのジェ〇〇〇とか〇〇〇〇マンとかでもない限りできないよ? 

 いや、あの空手の日本チャンピオンならできそうだわ・・・・

 それにあの人が犯人なら、凶器を外に投げ捨てるはずだよ? 警察が来るの分かってて持ち歩くとかアホだよ? 笑っちゃうよ?

 まあ、ジェットコースターに乗るジンとウォッカもシュールすぎて笑えるけど。

 

「凶器が見つかったならそのアマが犯人で決まりだ! 早く俺達を帰してくれよ、刑事さんよぉ!」

 

「フッ」

 

「うむぅ・・・・・よーし! その女性を容疑者として連れていけ!」

 

「ではこちらに」

 

「そ、そんな!?」

 

 ジンとウオッカは、この混乱に乗じて逃げるつもりだな。

 

「それと念のため、ジェットコースターの他の乗客の身元も確認させていただきます。問題はありませんな?」

 

「「クッ」」

 

 おいおい警部さんそいつらに対して完全に悪手だぞ。ジンのやつポケットに手に入れやがったし、不味いことが起きるじゃないか!

 俺は被っていた帽子を由美にかぶせ顔が分かりにくいようにして話かけた。

 

「わぶっ。急に何するのよ?」

 

「良いから、しっかり被ってろ。あの女性は犯人じゃないから事件に介入してくる。それと何があっても俺の側から離れるな」

 

「ちょっと、どういうことよ・・・・分かったわ。アンタの邪魔にならないようにして、傍から離れなければ良いのね?」

 

「ああ、察してくれて助かる」

 

「付き合い長いんだから分かるわよ、それぐらい。事件終わったらまた腕組ませてもらうからね」

 

 そう言って由美は組んでいた腕をとき、帽子を深くかぶり俺の側に待機した。

 理解が早くて助かるよ。

 

「真の凶器もまだ見つかってないのに、判断を出すのには早いんじゃないんですかね? 目暮警部?

 どうやら、そこの少年も犯人は別にいると考えているみたいですよ?」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「君は!?」

 

 俺は大声を出して、不敵な笑みを浮かべ客の前へと出ていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「白銀くんじゃないか! そちらの方は・・・!? 失礼、先ほど言ったことはどういうことなんだい?」

 

 おーおー怖いね。ジン、ウオッカ、少年、薄紫のカチューシャした女性に睨まれてるよ・・・。

 ってか、睨んできたってことは、あの人が犯人か。犯人釣れればラッキーて思ってたが、あっさり釣れるとはな。

 あ、目暮警部は由美のことに気づいたな。まあ、よく会う機会がある人は気づきますよね!

 白銀って名前を聞いて、客の連中がめちゃくちゃ騒いでいるな。気にしないようにしよう。

 

「どういうことも無いですよ。そこの女性が犯人の可能性はないです。理由は二つあります。

 まず、一つ目は包丁のみで首を斬ってとばすのは無理だからです。女性の力ならね。一般男性の力でも不可能でしょうけど。

 二つ目についてですが、もし犯人だとしたら、警察来るのが分かっててわざわざ凶器を残しますかね? 俺なら外にでも投げ捨てますよ。外に落ちてたら、犯人として疑われる可能性が低くなりますし。

 そこにいる探偵少年も同じ考えじゃないのかな?」

 

 

「確かにそれはそうだが・・・・」

 

 

「アンタはいったい・・・?」

 

 おうおう、めちゃくちゃ怪しまれてますね。まあ、ジンの拳銃抜くの阻止できたし、問題ないだろう。おかげで俺への警戒度が上がったが・・・・

 あの女の人、俺が話し始めてからめちゃくちゃ睨んできてるなー。犯人ってバレちゃうよ? 上手く隠してるつもりかもしれないがバレバレだからね? 気配の消し方とかウチの保護者様の足元に及ばないよ? 

 

「ただのしがない探偵だよ。君の推理を教えてくれるかな? あいにくと事件については軽くしか聞いていないんだよ」

 

「探偵・・・・・まあ、良いでしょう。その人の言うとおりにあの人は犯人ではありません。犯人は貴女だ!」

 

「何言っているのよ!? 愛子のバッグから刃物が出てきたでしょう!?」

 

「先ほどあの人が言ったとおりに、刃物で女性の力で首を切断するのは無理ですし、彼女が凶器を捨てるチャンスがあったにも関わらず捨てずにバッグに持っているのはおかしい。貴女が事前に入れたものじゃないんですか?」

 

「馬鹿なこと言わないで!? 女性の力で無理だと言っていたじゃない! それに私は岸田君の前の前の席よ? どうやってこの私が岸田君の首を切れるというの?」

 

「鋼鉄の輪か、ピアノ線みたいな物があれば貴女でも可能です。コースターのスピードを利用したらね! 警部! 警察の方に協力して」

 

 なるほどね。だから少し離れた位置にベルトのバックルが落ちていたのか。彼女のベルトのバックルと一致したら確定だな。

 さてと、探偵君の推理を聞かせてもらうとしましょうかね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 彼の推理ショーの準備をする間に、由美が小声で話しかけてきた。

 

「犯人が誰かもう分かって、証拠も持ってるのにどうして彼に推理させたの?」

 

「彼が間違った推理をしないかどうか確かめるためだな。推理するのは構わないけど、責任が伴うんだよ。下手すれば誰かを追い詰めたりして殺すこともあるからな。香奈ちゃんの一件なんか俺が間に合わなければ、彼女は死んでいた。

 探偵の間違った推理でな。推理して犯人を暴くことに満足したらいけないんだよ。犯人を追い詰めることもあるってことを理解しておかないと人殺しになってしまうからな」

 

「そこまで考えてるからこそ、アンタは無茶なことばかりするのよね・・・今回は無茶しないでよ?」

 

「心配するなっての。しっかり被っとけよ、それ」

 

「はいはい。それとアンタの傍を離れなければ良いんでしょ? 分かってるわよ」

 

「ああ。彼の推理をしっかりと聞いておこうぜ」

 

「ええ」

 

 由美と会話を終えて、彼の推理が始まった。

 安全レバーをおろす時に、バックをはさみ外れるようにして、安全レバーを外した。その後、レバーに足をかけて鋼鉄の輪またはピアノ線に輪っかを作って彼の首にかけて反対側にはフックか何かを付けレールに引っかけて、

コースターのスピードとパワーで首を飛ばしたと。体操部にいる彼女のバランス能力ならできると。それに、コースターに乗る前に付けていたネックレスが消えたからおかしい訳ね。その作業をトンネル内の十秒近くでやったと・・・・

 一見可能そうに見えるが、それだけだと不十分だな。バランス能力あったとしても流石に振り落とされる可能性が高い。さて、少年探偵君はそこに気づくかな? 気づいてくれると俺が目立たなくて済むから楽なんだけどなぁ。

 あ、これ気づかずにネックレスだけで追い詰めるつもりっすね。

 だって、まとめに入ってるもん。証拠警部に探せば見つかるだろうって言ってるもん。

 すみません、証拠は俺が回収したので見つからないです。由美にもまだ言わないのか? って見られてるし・・・・ええいままよ!

 

「少し助言しても良いですか?」

 

「何でしょうか?」

 

「どうしたんだ白銀君?」

 

「先ほど、証拠品を見つけていたので提出したいと思いまして。真珠の珠の付いたピアノ線とベルトのバックルです。ちなみに隠しておいた訳では無いので。事件に関係ある物だとは彼の実証見分を聞くまで分からなかったのですみません」

 

「「バックル?」」

 

「それは!?」

 

「どうやら貴女はこれが何か分かっているみたいですね。貴女のベルトのバックルではありませんか? 安全レバーを外して足をかける時に安全帯と使用したはずのね」

 

「っ!?」

 

「まさか!?」

 

「白銀くん、どういうことだね?」

 

「彼の推理について補足を。体操部でバランス感覚を人より持っていたとしても凄くスピードの出るコースターの上で何もせずに行動するのは自殺行為です。振り落とされる可能性が高いです。そこでベルトを安全レバーと自分の体のどこかにに結び安全帯として使用したはずです。

 ピアノ線があった場所の少し離れた位置にバックルが落ちていたので、誰かのベルトが壊れて捨てた物かとも思っていたのですが、彼の推理を聞いて確信しました。先ほどの反応を見たところ、貴女の物ですね?」

 

「あ、ぁぁ・・・・みんな・・・みんなあの人が悪いのよ! あの人が私を捨てるから!」

 

「ひとみ!? あんた、まさか岸田くんと付き合ってたの!?」

 

「そうよ! 大学で貴方たちと出会う前からずっと愛し合っていたのよ!それを愛子に・・・こんな女に盗られるなんて! だから、あの人と最初にデートした場所で、初めてもらったプレゼントで愛子に罪を着せてやりたかったのよ! 全部バレたのだし、私にはこの道しか無いわ・・・」

 

 彼女はそう言って、バッグから包丁を取り出し自分の首に当てた。

 

「なっ、やめろ!?」

 

「何をしているんだ!? 君がそんなことしても為にならない! やめるんだ!」

 

「ひとみ、何してるの!?」

 

「来ないで! 貴方たちが近づいてきたらすぐに首を切るわ!」

 

 少年と友人、目暮警部が止めてるが彼女は聞く耳を持たない。

 ああ、もう。どうしてこうなるんでしょうかね!? 迷ってる場合じゃねえ!

 俺は一瞬で彼女に詰め寄り、包丁の刃の部分を右手で動かせないように掴んだ。

 いてぇな。血も出てきてやがるし、後で由美にめちゃくちゃ怒られるだろうな・・・

 でも、今は彼女の自殺を止める方が先だ。

 

「いつっ・・・おい、バカなことはやめるんだ」

 

「いつの間に!?」

 

「偵光!?」

 

「白銀君!?」

 

「何してるんだ、アンタ!?」

 

「うるせぇ! 周りは少し静かにしてろ! 君は死んだらダメだ」

 

 俺は周りを怒鳴って黙らせて、彼女が自殺しないように右手で止めながら話かけた。

 

「どうして・・・?」

 

「君を捨てた彼を恨んでいたのは分かる。だけどな、命を奪って良いことにはならないんだよ。人の命を奪ったなら責任が伴うし、その責任から逃げたらダメだ。

 君は彼の未来を奪ってしまったんだ。それを自覚しなきゃダメだ。生きている限り、償って新たな未来を歩める可能性もある。その可能性があるにも関わらず、目を背けて死んで逃げることだけは君の友人や両親を裏切ってしまうようになる。

君を捨てたからという理由だけで、君の今まで過ごしてきた人生を全て無かったことにしたいのか? 生きることから逃げるんじゃねえよ」

 

「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 彼女の手の力が抜けて、彼女は大声で泣いた。

 

「逃げるのを辞めて偉いな。警部、もう大丈夫です」

 

 ふう、これで安心だな。左手で泣いてる彼女の頭をポンポンして、包丁を近くに置き警部に話かけた。

 右手は血が結構でてるなー。血が結構出てるし由美の奴に怒られるだろうなあ。ん、その由美は・・・

 

「大丈夫じゃないでしょ!? アンタはまた無茶をして! その子を助ける為とはいえ、アンタが怪我して良い理由にはならないでしょ!」

 

「うおっ、びっくりした。かすり傷みたいなものだから大丈夫だって」

 

「どこがかすり傷よ!? 血が思いっきり出てるじゃない!」

 

「そうだぞ! 白銀くん! なんて危険なことをするんだ、君は!?」

 

「いやあ、爆弾事件の時の怪我に比べれば軽いもんですって」

 

「怪我してることには変わりないでしょ!? 警部! すみません、コイツの手当をした後に事情聴取受けますので! 早く遊園地の医務室に手当しに行くわよ!」

 

「う、うむ。後で医務室に向かわせてもらうよ」

 

「あっ、おい! 引っぱるなって! 俺けが人よ?」

 

「うるさいわね! 早く行くわよ!」

 

 由美は俺を引っ張り、医務室に連れていこうとした。めちゃくちゃ目立ってるから! ジンとウオッカの奴なんか、いつの間にか消えてるし。そのおかげで由美が大声出しても安心していれる訳だがってめっちゃ涙目じゃねえか、由美の奴。

 少年探偵君とそのガールフレンドなんかポカンとしてるよ?

 早く医務室に向かうとするか。由美の奴泣きそうだし・・・・。

 俺のメンタル的に泣かれるのはキツイ。

 あ、そうだ! これだけは彼に言っておかないと!

 

「工藤君! 探偵が推理するってことは、責任が伴うってことを忘れないでくれ! 今回みたいに犯人を追い詰めたり、推理の間違いで冤罪を生み関係ない人を死に追い込む可能性があることを忘れないでくれ! それと、事件を追い続けるのも良いが引き際を間違えないように。

 でないと、痛い目見るぞって痛いよ!? あっ、おい!」

 

「いつまでも話してるんじゃないわよ!」

 

「いったい何なんだよ、あの人は・・・・」

 

「新一・・・・・」

 

 俺は少年にそう忠告し、医務室に連れてかれて由美から説教され続けた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 




 ジェットコースター殺人事件をようやく書けました。
 私が気になった部分を少しアレンジしています。
 賛否両論あるでしょうが、ご理解くださいm(__)m


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14話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<宮本由美side>

 

私は、事件の加害者を自殺させないようにする為に無茶をした偵光の手当をした後に事情聴取を受けた。それが終わって、私達は一緒に帰って私の家まで彼に送ってもらっている。辺りは夕陽に包まれもう夕方になっていた。

彼の怪我も大したこと無かったので安心したのだが、目の前で無茶されるのは堪えるわね。やっぱり好きな人には怪我をして欲しくない。此奴って昔からホント変わんないわよね。私達幼馴染連中がいつも困らされていたっけ・・・

幼馴染連中か・・・・今はもう諸伏君がいないのよね。彼は三年前に事故で亡くなった。死体は原型をとどめていなく酷いもので、人ってこんなあっさりと死ぬのかと思った。私達も当然堪えたが、偵光やクリスさん、降谷君は相当堪えたようだ。

 降谷君もあの一件以降変わっていき、降谷零という名を捨て、安室透と偽名を名乗るようになった。初めは戸惑ったが、彼の意志を汲み、みんなは安室君と呼ぶようになった。クリスさんも何かを追っているような執念を感じるようになった。

 偵光は、更に仕事をこなすようになり、今まで以上に無茶をするようになってきた。私から見れば死に急いでるようにしか見えない。

 私や美和子は、偵光もいつの間にかいなくなってしまうのでは無いかと不安になっている。彼がいなくなってしまったら、私はどうなるのだろうか? 今日の加害者みたいに偵光の後を追って死にそうね。美和子や彼を好きな女性陣はそんな気がするわね。

 美和子なんか特に酷いわね。彼が事件に巻き込まれた時はいつも泣いている。おそらく、三年前の爆弾事件がトラウマになってるんでしょうけど・・・・いや、私も言えた義理では無いわね。今日のアイツを見て泣きそうになったし似た者同士ね。

 偵光はちゃんと分かってるのかしら? どれだけたくさんの人に大事にされてるのかを・・・アンタがいなくなったらみんなどうなるのか分からないのよ?

 もし、偵光がこの世からいなくなったら・・・・

 想像しただけで涙出てきたわ・・・・・ぐすっ。

 

「おーいって急に泣いてどうしたんだ!? どこか痛いのか!?」

 

「うるさいわねぇ! 女心察しなさいよ!」

 

「いくらなんでも無茶ぶりすぎませんかね!? もしかして・・・あの日か・・・?」

 

「うるさい、バカ! アンタそれセクハラよ! デリカシーっての覚えなさいよ!」

 

「すみません・・・・ってかもうすぐ由美の家に着くぞ」

 

 本当にコイツは、女心が分からない奴ね・・・・・。普通女性に対してダイレクトに聞くかしら?

 偵光に私の気持ち察しろって言っても不可能よね。だいたい女心が分かるなら、とっくに誰かとくっついてるだろうし。はあ、どうしてこんな奴好きになったんだろう? 

 いや、こんな奴だからこそ好きになっちゃったのよね。初めて会った時は、美和子が好きなの分かってたから応援するつもりだったのに。

 私が誘拐されて、隣でのほほんとしてるバカが、一人で私のことを助けてくれたのよね。あの時は怖くて死ぬんだ!って思ってた所に、助けにくるんだもんなぁ。王子様にしか見えなかったわよ。その一件からはもうダメね。目で追うようになったし、

彼が女の子から告白されたり、美和子と仲良くしていると凄くムカついた。それで私は偵光に恋してるって自覚したんだ。その気持ちを自覚して、十五年以上たつんだけど、気持ちが冷めることはない。むしろ、逆に彼を思う気持ちが年々強くなっていっている。

 こんな気持ちにさせたことに対して責任取りなさいよね! 

 

「おーい? 悪かったからそんな怒るなって。聞いてるのか、由美?」

 

 ん? って顔が近いわね!? こういう無自覚な所が勘違いさせるって分かってるのかしら? 分かってないわね、絶対・・・・。

 ああ、もう! そんな急に顔を近づけてくるなんて反則よぉ。あ、まつげ長いなあ。顔も整っててかっこいいなぁ・・・・キスしても良いかな? キスして、既成事実作って責任取ってもらって結婚してもらおう、そうしよう!

 子供は二人で、男の子、女の子一人ずつで偵光とはずっとラブラブでって・・・・・・

 

「いったい何考えてるのよ、わたしはぁぁぁぁ!?」

 

「うおっ! 急に頭抱えてしゃがみこんでどうしたんだ!?」

 

 何がキスして既成事実作って結婚してもらおうよ! 今までそんな経験無いし、経験無い人ばかりで相談できる人なんていないわよ! それにアイツとはずっとラブラブで子供は二人欲しいですって!? 

 いや、まあ、偵光と結婚した時の生活は今までに考えたことあるけど・・・たくさんあるけど、これは無いでしょう!? 完全にキモい奴じゃないのわたしぃぃぃぃぃぃぃ!

 

「おーい! ホントに大丈夫か? 体調悪いなら言えよ」

 

「大丈夫だから! 気にしなくて全然大丈夫だから! ちょっとハイテンションになっただけだから!」

 

「お、おう・・・・・」

 

 って偵光にひかれてるじゃないの! 私完全に変な人だわ! 急に妄想しだして、頭抱えてしゃがみこんだら変な人だわ! うん、好きな人にこんな姿見られるとか終わったわ・・・・

 あ・・・頭撫でてくれてる。

 

「落ち着いたか?」

 

 頭なでなでとか反則でしょうが。アンタのなでなでは女性をダメにするんだからね!? 気持ちよすぎなのよ! いったいどこでそんな技鍛えたのよ、ばかぁ。もう、無理・・・・

 

「う、うん・・・・」

 

「よし、なら大丈夫だなってこの手はなんだ?」

 

「ダメ。まだ撫でて」

 

「・・・はいはい」

 

 私はそう我儘を言って、10分以上頭を撫でさせた。最高の時間だったわ!

 

「満足したか?」

 

「・・・むふぅ」

 

「満足していただけだようで何よりで」

 

「・・・・ありがと。私の為にここまで送ってくれたんでしょ?」

 

「まあな。トロピカルランド出た時から元気なかったのは分かってたからな。俺が無茶したのが原因なんだろう?」

 

「そうよ・・・アンタが無茶する度に、いつかころっといなくなっちゃうんじゃないのかって不安なのよ。美和子とかもね」

 

「いなくなるつもりとかねえよ。死ぬつもりもないしな」

 

「それでもこっちは不安なのよ・・・・」

 

「お前らが側にいる限りはいなくならねえよ、絶対にな。由美も含めてそうだが、他の人とも約束してるからな。約束破るつもりなんてねえよ。俺が堪えるのは、お前らにいなくなられるほうが困る。景光の時はきつかったな・・・・。

 アイツに笑われない為に精一杯頑張って、俺が護れるものは護ろうって改めて決意したな」

 

「辛かったら逃げてもいいんじゃないの?」

 

「そうだな。でも逃げないな。身近で辛くて逃げだしたくても逃げれないって奴がいるからな。そいつを救うまでは絶対に逃げるつもりはねえよ」

 

「・・・・そっか。それってクリスさんのこと?」

 

「クリスや透のアホどもかな。あっ、それともう二人いたな。由美たちはおそらく会ったことない人達だ」

 

「ふーん。それって女の人?」

 

「どうしてそう思うんですかね!?」

 

「女ね。アンタが女ったらしホイホイだからよ」

 

「酷いあだ名じゃないですかね!?」

 

「自覚無しとか、たちが悪いわね」

 

「なんかすみません・・・」

 

「まあ、良いわ。その人たちを助けるまでの間は死なないってことでしょ? なら少しは安心できるわ。偵光?」

 

「ああ、どうし・・・!?」

 

 私はいじけていた偵光の横顔に顔を近づけた。あらあら顔が真っ赤じゃない。私も真っ赤だろうけど。

 女性として意識されるってことが分かっただけでも収穫ね。

 

「ふふっ、隙だらけだったからしちゃった♪ 今日と今度デートしてくれるお礼よ。また、トロピカルランドに戻るつもりなんでしょ? 携帯さっきからずっと鳴ってるわよ? 約束しなさい、偵光。アンタが私の知らない所で、何をしているかは分かんないけど死なずに戻るって。

怪我もなるべくして欲しくはないんだけど・・・・難しそうだしね。私のお願いはそれだけよ。もうここまでで大丈夫。家はすぐ近くだから。私との約束破ったら、許さないから! 今日は事件とか色々あったけど凄く楽しかったわ。それじゃあ、またね!」

 

「あっ、おい! ・・・・ったく」

 

 私は頬にキスしたことが恥ずかしくなり、偵光に言いたいことだけ言い、急いで家に帰った。次回のデートの約束を楽しみにするのと、偵光の無事を願いながら・・・・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<山川光side>

 

 

黒の組織が拳銃の密輸取引を行うという情報を掴み、偵光に連絡した後に合流してトロピカルランド内の取引現場を探し周っていた。辺りは夜になりすでに暗くなっている。偵光は事件に乱入し目立ったため変装している。

 

「どうして、電話に出なかったんだ?」

 

「色々とありまして・・・・」

 

「また何かに巻き込まれたのか?」

 

「由美と遊んでいたトロピカルランド内で、事件に介入したあと手当受けて由美に説教されて、事情聴取受けて警察にも叱られました。その後、由美を家の近くまで送っていました」

 

「随分と濃い1日だったんだな・・・・お前にしては珍しくない方だが・・・それで宮本さんに心配されたんじゃないのか?」

 

「泣かせました・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「やめて! そんな冷たい目で見ないで! 俺が悪いの分かってるから!」

 

「ちゃんと謝ったのか?」

 

「家の近くまで送る時にしっかり謝りましたよ」

 

「なるほどな。その途中でなんかあっただろ?」

 

「・・・・別に何もねえよ」

 

「そうか・・・・大事にしてやれよ。宮本さんも佐藤さんも良い子達だぞ?」

 

「そんなことは分かってるよ。アイツらは眩しすぎるほど良い人達だよ。俺達つるまない方が良いとは思うんだがそうはいかないよなぁ。ってか由美の奴、俺が裏で何かしてること薄々感づいてやがる。おそらく美和子もそうだな」

 

「俺からすれば、お前も悪に深入りするのは辞めて欲しいんだが。透もクリスさんもお前を巻き込まないように徹底しているしな。諸伏景光が死んでから特にな・・・・」

 

「由美や美和子もそうだぞ? 景光が亡くなってからは、俺の側から離れなくなってきてやがる。自分たちが見ていないと、俺もころっといなくなりそうなんだとよ」

 

「ふっ。お前の場合、いなくなるってのは考えられないな。クリスさんやあの子達がいる限り大丈夫だろう?」

 

「さっすが、山川さん! 俺のことよく分かってますね!」

 

「所長のことは昔から知ってるからな」

 

「そうですね。ん?  この匂いは・・・・? ちっ!、こっちの方か!」

 

「あっ、おい!」

 

 匂い? これは・・・・!? 組織や公安にいる時によく嗅ぎなれた匂いだ! 誰かが血を流してるのか!?

 俺は急いで偵光の後を追っていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 偵光に追いつくと、警官に話を聞いていた。

 

 

「すみません! ここで何かあったんですか!?」

 

「君たちは?」

 

「良いから! 早く教えてください!」

 

「あ、ああ。頭から血を流していた6、7歳の少年がいたんだよ。服装もあきらかにサイズの合っていない黄色のシャツ、緑のジャンパーにジーンズ履いてたからね」

 

「・・・!? その子は大丈夫だったんですか!?」

 

「い、医務室に連れて行ったよ!」

 

「ありがとうございます! 捜査の邪魔してすみませんでした!」

 

 偵光は慌てて医務室の方に向かっていたので警官に頭を下げてから、彼を追いかけた。すぐに追いつき、どうして焦っているのかを問いかけた

 

「おい、いったいどうしたんだ?」

 

「取引を目撃して、ジンかウォッカにおそらく襲われたんだろう。ったく、あの少年、忠告しておいたのに首つっこみやがって。服装が完全に一致してるじゃねえか」

 

「組織だと!? それなら消されてもおかしくないはずだ! なぜ生きている?」

 

「詳細を少年から聞いてみないかぎり分からないが、予想はつく。APTX・・・・」

 

「あの毒薬か!? まさか完成したのか?」

 

「いや完成はしてないはずだ。成分解析にも参加したことがあるから分かるが、毒物として使用するのは、本来の使用用途からかけ離れてるからな。野山さん達もそう言ってたから間違いないだろう。組織が毒薬として使用してるってとこだろう。本来の効果は別にある」

 

「本来の用途ってのは何なんだ?」

 

「あくまで予想になるが良いか? 犯罪者のボスが永久に君臨するためにはどうすれば良いと思う?」

 

「ずっと、ボスをやり続けるためには・・・・・まさか!?」

 

 そんなことがあり得るのか!? もし、それを目的としてるなら大変なことになる! 薬が完成した瞬間、黒の組織は絶対的なものになってしまう! そんなおとぎ話みたいなことがあるのか!?

 

「だいたい想像が付いたみたいだな。薬で若返りまたは不老不死になれば、ずっとボスに君臨して犯罪を行うことができる訳だ。あくまで予想だけどな。それと、毒薬つくらせるなら、ぶっちゃけ野山さん達に頼む必要性が感じないんだよ」

 

「言われてみると確かにそうだな。もし、お前の予想通りで、少年に飲ませて生きているとしたら、若返ってる可能性があるのか!?」

 

「さすが山川さん。その通り。ちなみにさっき聞いた子供の服装は、俺が事件に介入した時に見た高校生探偵君と同じ服装だった。となると、若返った可能性が高い訳だ。それを確かめるのと、ジン達に発見される前に早くこちらで保護したいってのが一番だ。だから急ごう!」

 

「ああ!」

 

 俺達は急いで医務室へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

 俺と山川さんは医務室にきていた。そこには、ダボダボの服装をした小学生ぐらいの子供がいた。マジで縮んでるじゃないかよ・・・・。とうとう原作始まった訳ですね、はは。まあ、トロピカルランドのジェットコースター殺人事件でだいたい予想ついてたけどね!

 原作主人公とのエンカウントは避けてたんじゃないのかって? とっくに諦めたよ、そんなことは! さて、どうするかね? 極力本編よりかけ離したくないから、阿笠博士に相談して毛利探偵事務所に預けるのが一番か? ウチで引き取るのも手だが、事件に遭遇する確率が上がってアイツらを危険な目に合わすのは極力さけたいしな。まあ、俺がいる時点で難しいんだろうけど・・・・

 さてと、どうするかね? 知り合いの所に連れていくって形で進めるか。

 

「だから黒い服を着た奴らが取引をしているのを見たんだって! 信じてくれよ!」

 

「ぼうやいったい何を言ってるんだい? 夢でも見てたんだろう」

 

「だからホントのことだって言っているだろう!?」

 

「すみません、その子を引き取りたいのですが」

 

「「貴方たちはいったい?」」

 

「私達こういう者でして」

 

「白銀探偵事務所所員 天ケ瀬 和樹? 白銀探偵事務所ってあの有名な!?」

 

「!?」

 

「ええ、所長宛にその子の両親から、息子が夜遅くになっても帰っていないので探して欲しいと依頼がありまして。聞いた特徴も一致しています」

 

「そこで私達が探して情報を得たのがここだったもので、天ケ瀬と私がここに来たというわけです。身分証明が必要なら運転免許証持っているので提出いたしますが」

 

「いえ、大丈夫です。白銀さんの所でしたら信頼できるでしょう。ってことで大丈夫かな、僕?」

 

「・・・・う、うん」

 

 そりゃあ警戒しますまわな。いきなり身体が縮んですぐに俺達が来るんだもんなー。うん、怪しすぎるね。俺なら絶対ついて行かないわ。

 ってか俺のアドリブに合わせてくれて助かったわ、山川さん。俺の考えすぐに分かってくれるから、幼馴染って最高だよね! 

 

「それじゃあ、行こうか。山川さんも行きましょう」

 

「ああ」

 

 そう言い、3人でトロピカルランドを出ていくのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 目的地に向かっている途中、ずっと黙っていた少年が話かけてきた。

 

「お兄さん達はどうして、俺を連れ出したんですか? 両親から頼まれたのって嘘ですよね?」

 

「へー。おもしろいことを言うね。どうしてそう思うんだい?」

 

「俺の両親は今日本にいないからだ! 所長が嘘までついて、アンタらをよこした目的は何なんだ!?」

 

「なるほどな。それでウチの所長が嘘を言ったと。おもしろい考え方をする子供だな。どう思うよ、天ケ瀬?」

 

「いや、俺に聞かれても・・・・それで坊やに聞きたいんだがどうしてそう思ったんだい?」 

 

「話が出来すぎてるからだ。まさか、てめえらもあの黒づくめの奴らの仲間か!?」

 

 そう考えちゃったかー。アイツらの仲間ね・・・・うん、絶対いやだわ。それにあんな奴らと仲間にされるのが腹立つ。クリス、明美ちゃん、志保ちゃんにあんな悲しい顔をさせて、零と景光まで巻き込みやがって。絶対許さないリストに入っている。

 そんな奴らの仲間にされて腹立つな。だいたい忠告しておいたのに、のこのこ首突っ込んで、俺達が事件に巻き込まれる確率も上がって散々じゃねーか。ちょっと驚かしてやろう。水鉄砲はあったあった。よし、これで・・・・・・

-

「へえ。だとしたらどうする? お前をちゃんと死んだかどうか他の仲間が確認しにきた可能性も考えなかったのか?」

 

 カチッと音を鳴らして、少年の後頭部に水鉄砲をつきつけた。うわぁ、端から見れば変な奴にしか見えねえよ。山川さんも笑いかけてやがるし。少年は真っ青だろうけど。

 

「!? ここで俺を殺したら証拠が残るぞ?」

 

「証拠などいくらでももみ消せる。お前は踏み込んではいけない所に踏み込んだんだ。お前の周辺の人物達も後を追うように消されていくだろう」

 

「何だと!? 殺すのなら俺だけにしろ! 他の人には手を出すな!」

 

「いいや、もうダメだ。あの世で後悔するんだな・・・・バーン」

 

「冷たっ!? 何だ?」

 

「あっはははははははは! 見事に引っ掛かったな!」

 

「遊びすぎだ、バカ。うちの所長がすまないな、少年」

 

「いったい何なんだ!? 水鉄砲? え、所長?」

 

 やばっ、めっちゃつぼった! 笑いすぎてお腹痛いわ!

 

「ったく、引き際を間違えると痛い目に合うとあれだけ忠告しておいただろう? なあ、高校生探偵工藤新一君?」

 

「貴方は!?」

 

 俺は変装を辞めて素顔を出し、不敵に笑って少年の名前を呼んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ようやく由美さんと主人公の絡みが書けました。他のヒロイン達もどんどん絡ませていけるといいなぁ(;'∀')
 次回はコナン視点も盛り込む予定です。

 感想&評価待ってます!


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アイドル密室殺人事件編&黒の組織10億円強奪事件編
15話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<江戸川コナンside>

 

 俺の身体が縮んで早くも三日がたった。黒ずくめの奴らの取引を目撃し、背後から殴られ毒薬を飲まされ目が覚めたら身体が縮んでいた。その後、二人の男性が俺の正体をすぐに見抜き阿笠博士と合流した後に俺の家で集まり、今後どうするかを話し合った。

その時、俺を探すために来た蘭に見つかりとっさに背後の本を見て江戸川コナンと名乗り蘭の父親が探偵をしている毛利探偵事務所に転がりこむことになった。

 探偵のおっちゃんの所に居れば黒ずくめの奴らの情報が入ってくる気配はないし、おっちゃんはダメダメだし、いったいどうすれば良いんだよ。博士から蝶ネクタイ型変声機ってのをもらったが役に立たないだろうな。

 やっぱり白銀さんの所へ無理してでも行くべきだったか? 白銀さんからは、

 

「俺の所へ来ると危ないからやめておけ。黒ずくめの奴らはこちらでも追ってみる。何か分かったら連絡する。それと、毛利探偵事務所にも仕事をまわすようにしておくわ。その方が色々と都合が良いだろう? ただし、目立ち過ぎるのは注意しろ。黒ずくめの奴らに感づかれる可能性が高くなるからな」

 

 と言われた。あの人はおそらく、黒ずくめの奴らの情報をなにかしら掴んでいるはずだ。だが、何も教えてくれなかった。アイツらの仲間では無いことが分かったが、謎な部分が多すぎる。博士とは昔からの知り合いで信頼できる人だって言われたが、白銀さんや山川さんには何か裏の顔がありそうなんだよな・・・。

 まあ、今はいい。それより、どうやってアイツらの情報を集めようか・・・・・・ん、チャイムの音? こんな時間に誰だ?

 

「はーい。こちら毛利探偵事務所、今日はもう閉店で・・・・・!? まさか、貴女は!? 沖野ヨーコ!?」

 

「嘘っ!? どうして家にアイドルが?」

 

 おっちゃんは、急いで着替えて彼女の話を聞く準備をしていた。おいおい・・・・・誰だよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 おっちゃんが沖野ヨーコさんの話を聞いており、俺と蘭も近くで聞いている。

 

「それで沖野ヨーコさんが何の依頼で家に?」

 

「はい。実は最近、監視されている気がするんです。家に帰ったら、家具の配置が変わってたり、隠し撮りされた写真が送られてきたり無言電話なんて毎日かかってくるんです!」

 

「おのれぇ! ヨーコさんに何てことを!」

 

「できれば内密に調査を」

 

「アンタは誰だ?」

 

「彼女のマネージャーの山岸です」

 

「マネージャーね。分かりました。極秘にお受けします」

 

「すみません、それともう一件お願いがありまして」

 

「何でしょうか?」

 

「毛利さんって白銀探偵事務所の所長さんとはお知り合いでしょうか?」

 

「白銀探偵事務所といいますと、偵光君のことですか?」

 

「はい・・・・」

 

「ええ、まあ。彼のことはよく知っています。妻と一緒に世話になってましたし、よく飲みに行くのに付き合ってもらって仲良くしてますね」

 

「そうなのお父さん!? 私初耳なんだけど! あれだけ飲みに行ってたのって、女の人の店に行ってたりじゃないの?」

 

「馬鹿、お前。そんな訳ないだろう!? そういう店に行くと、偵光君が大変な目に合うし英理にすぐ報告されるからな・・・・」

 

 おいおい、マジかよ。おっちゃん、おばさんとも知り合いなのかよあの人は。どういう交友関係しているんだ? 蘭の奴は知らなかったみたいだが・・・

 

「なんなのよ、それ!? 依頼が終わったらちゃんと聞かせてもらうから!」

 

「分かったって! こほん、すみません。それでどうして彼のことについて聞いたのですか?」

 

「ええ。実はもう一つのお願いが、彼と会えるように話を通してくれませんか?」

 

「理由をお聞きしても?」

 

「それは・・・・」

 

 彼女はそう言って、顔を赤くして黙り込んでしまった。どうしたんだ?って、蘭の奴の目がキラキラしだしたぞ?

 おっちゃんは反対に顔が真っ青だ。

 

「わぁ! もしかして、沖野さんってその人のことが好きなんですか?」

 

「・・・は、はい。中学生の時にある事件に巻き込まれたんですけど、彼が助けてくれて。たまたま通りかかった彼が見ず知らずの私を助けてくれたんです。そのカッコいい姿見てから一目ぼれしてずっと好きなんです。高校の修学旅行の時にも再会してまた助けてもらったんです。

 その後、アイドルになって上京してきて、彼が探偵していることと名前がようやく分かったんですけど会いに行くことが出来なくて。おそらく白銀さんは私のことなんて覚えてないでしょうけど・・・」

 

 あっ、おっちゃんが燃え尽きてる。そして、再び真っ青になった。なんか面白いな。

 

「ヨーコ!? いったい何を言ってるんだ!?」

 

「すみません、山岸さん。たとえ、スキャンダルになろうとも私の気持ちに嘘をつきたくないんです」

 

「ヨーコさん! 私応援しますね! あれ? どうして白銀探偵事務所に行かずに家に来たんですか? 会う口実もできたでしょうし」

 

 うわあ、蘭の奴感極まってヨーコさんの手を握って共感してやがる。マネージャーの人は真っ青で、おっちゃんはぶつぶつ言ってやがるし、なんだこのカオスな空間。

 

「ありがとう。白銀探偵事務所に行ったんですけど、所長が依頼で不在で、副所長の方にこちらの事務所を紹介されたんです。所長の信頼できる方がやっている場所なので大丈夫だと」

 

「そうなんですね。ちょっとお父さん!? 何ぶつぶつ言ってるの?」

 

「くそう、アイツめ! ヨーコちゃんまでも・・・・よし、佐藤刑事と栗山ちゃんに新たな女の影ありって報告してと。こほん、それではこちらに名前と住所を。こちらにはサインをよろしくお願いします」

 

「は、はい・・・・」

 

「ありがとうございます。それでは行きましょうか」

 

「ねえ、私も付いていって良い? アイドルの家ってどんなのか見てみたかったんだ。ねえ、コナンくん? それにヨーコさんから白銀さんについてもう少し聞いてみたいし」

 

「分かったから絶対に仕事の邪魔だけはするなよ!」

 

「はーい! 行こう、コナン君!」

 

「う、うん」

 

 俺は蘭に手を引っ張られながら彼女の家へと向かい、ヨーコさんが家のドアを開けた瞬間悲鳴が聞こえた。

 

「どうして鍵が開いてるの?・・・・・きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

「どうしたんだヨーコ?」

 

「何があったんですか、ヨーコさん!?」

 

 おっちゃんとヨーコさんに近づき部屋の中を見てみると、そこには背中に包丁が刺さって倒れている男性と、男子の傍には二日前俺を助けてくれた白銀さんが立っており、

 

「偵光君!?」

 

「白銀さん!?」

 

「あ、これ今までで一番ヤバいパターンだわ」

 

 

 おいおい、嘘だろ!?

 彼はそう言い、汗を流しながら言うのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

 俺は事件の重要参考人兼容疑者として目暮警部の質問に答えている。

 

「なるほど。この部屋の持ち主の彼女の依頼で毛利君達が来たのは分かった。白銀君、君はどうしてここにいたんだ? ここは彼女の部屋で君の知り合いという訳ではないんだろう? 佐藤君からもそんな話は聞いたことないし。君が犯罪をするとは疑いたくないんだが・・・」

 

「偵光君! どうして君がここにいるんだ? 何があったのか詳しく教えてくれ!」

 

 毛利さんなんか真剣に俺の話聞いてくれようとしているよ。あと、コナンの奴も。

 ん? 毛利さんの娘さんとこの部屋の持ち主の女性がやたら俺のこと見てくるな・・・女性の方なんか泣きそうな顔で見てくるんですけど。

 え? 憐れんでくれてるの? 

 

「落ち着いてください、皆さん。そんなに焦っても良いことにはならないですよ? ここにいたのは、探偵の依頼ですね。依頼者と依頼内容は守秘義務があって明かせませんが、その依頼を受けてここに来てみたんですが玄関のドアが少し開いていました。おかしいと思い、インターホンを押したのですが反応が無かったので、悪いと思いながらも部屋の中に入りました。

 そこで、死体を発見した直後に毛利さん達が来たわけです。まあ、あの状況で信じろと言うのが無理だとは思いますが」

 

「ふむう。君の証言は分かった。これから事件を捜査する間、君にも付き合ってもらうよ」

 

「容疑者候補としてですね。分かりました」

 

「偵光くん・・・・絶対君が犯人でないことを証明するからな」

 

 俺がそう言うと、目暮警部と毛利さんは警察の捜査に加わった。

 さて、俺も捜査を観察して無実の証明と事件の真相をとっと暴きますかね。強力な味方もいることだしな。

 協力してもらうぞ、小さな探偵君。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 捜査も進み、被害者はこの部屋の持ち主、沖野ヨーコさんの高校時代の同級生だそうで凄く仲が良かったそうだ。彼女に彼氏だったのか?って聞くと、彼女には「違います!」って泣かれて、蘭ちゃんやマネージャーさんには怒られ、毛利さんとコナンにはこいつバカだろうって冷たい目で見られた。解せぬ。

 そんな騒動の後に、新たな容疑者が浮上した。池沢ゆう子と呼ばれる女性のイヤリングが部屋の中から見つかったそうだ。そして、この部屋に呼ばれ、この部屋には初めて来たから自分は事件に関係ないと言った。いや、貴女、トイレ直行したし、今自由の女神人形でタバコの火付けましたよね? ホントよく分かったよね、部屋に初めてくる人が。

 この人アホなんじゃないのかな? ほら、コナンに突っ込まれてるし、それに最後の最後にとんでもない爆弾発言をしやがった。俺が私の恋人なんだから事件に関係ないと言いはりだした。おいおい、マジかよ? 目暮警部や毛利さん、蘭ちゃんの俺を見る目が凄く冷たくなったよ? 沖野さんに関しては、座り込んで大泣きし始めたからね。 あれれーおかしいぞ?

 沖野さんは更に泣き出して、蘭ちゃんとマネージャーが慰めてるし、毛利さんは携帯でメール打ってるし、警部はジト目で更に見てくるし・・・・

 メール着信二件って誰からだ? えーと、美和子に栗山さん? どうしてこのタイミングで? 非常に嫌な予感がするんだが・・・・?

 

「偵光くん・・・・強く生きろよ。ヨーコちゃん泣かしたのは許さない」

 

 あっ、メール終わったんですね・・・・ってこのおっさん何しやがった!? 絶対何かしたでしょ? 美和子と栗山さんからメール来たことが語ってるもん! まずい、早く誤解とかないと俺が死ぬ!

 だいたい池沢さんも沖野さんがあの状態なのが分かって煽ってるよね? 

 

「池沢さんは恋人ではありません。ただ知り合いなだけです」

 

「あら? 私の隅々まで知っておいてよくそんなことが言えるわね、ねえ? それにみんなの前だからって照れなくて良いのよ、いつもみたいに名前で呼んで」

 

 ああ、もうしなだれかかってくるな! アンタ絶対この状況楽しんでるだけですよね? 確かに貴女のプロフィールは仕事でいろいろと聞きましたよ? それを勘違いさせる言い方はどうかと思いますよ?

 あんまりしつこいと、アンタが依頼人だってばらすぞ、こらあ!

 ほら、コナンにもめっちゃ睨まれてるよ貴女? あ、睨まれてたの俺だわ・・・・。

 コナンのヒントで貴女のボロが出始めましたよ? 犯人てめっちゃ疑われてますよ?

 

「違う! 私じゃないわ! ヨーコのスキャンダルのネタが欲しくて、彼女の部屋の合い鍵を盗んでこの部屋に侵入したのは認めるわ! 今日の昼間に来た時に被害者の人に背後からいきなり襲われて、逃げてきたの! お願いだから信じて! 

 彼には、スキャンダルの種を掴むために嘘の依頼をして利用しただけなのよ」

 

 そう、この人は犯人ではない。部屋の状況、死体の状態を見たら分かることだ。さて、これをどうやってコナンに伝えるかだが・・・・この方法でいくか。

 

 ってか、叫ぶのは良いんですが、手だけは離さないんですね。まあ、殺人事件の容疑者にされたら怖いもんな・・・。

 ああ、もうこの人に一つ貸しだな。

 

「おや、おかしいですね。俺に依頼してきたのは別の方ですよ? 彼女はおそらく俺を犯人にしない為に庇っているんでしょう」

 

「どうして・・・?」

 

 池沢さんは驚き、俺の腕をようやく離してくれた。

 

「すみません、少しトイレに行きたいのですがよろしいでしょうか?」

 

「あ、ああ。おい、そこの君」

 

「はい!」

 

「わざわざすみません」

 

 目暮警部が警察官を一人俺に付けた。あとはこの人に聞こえないようにアイツに伝えるだけだな。

 コナンの横を通り過ぎる時に彼にだけ聞こえる声で

 

「イス、イス近くの床、エアコン、死体が握っていたものと部屋の状態」

 

 お、驚いてやがるな。後は頼んだぜ、小さな探偵君!

 コナンに要件を伝えトイレへと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 トイレから戻ってくると毛利さんがイスに座って推理ショーを始めた。うわあ、灰皿蹴って気絶させるとか容赦ないしタンコブできてるじゃないか。コナンの奴ももうちょい上手く隠れろよ・・・・

 ってか戻ってきた瞬間、沖野さんが隣に近づいてきた。どうしたの? なんで俺の隣にきて俺の服の袖ちょこんと掴んで黙ってるの? また俺が白い目で見られるよ? 今更同じかははは。涙出そう。

 あ、この子のこと思い出した。俺が高校生の時と、大学生の時に助けた子だ。うん、面影があるし間違いないはずだ。

 俺が考え事をしている間に毛利さんってかコナンの推理ショーは、続いて行き俺の予想したトリックと同じだった。さすがコナン。あれだけのヒントをすぐに掴んでくれるとは助かるな。

 動機についても予想できるが、間違えられたぐらいで死を決意するほどの何かが彼にはあったってことか? コナンはその辺も何か掴んでそうだからしっかり聞いておこう。

 

 

「今回の事件の動機は、おそらく彼がヨーコさんのことを好きだったからだと思いますよ。彼女への思いが強くなりすぎて、告白でもしようとして貴女に会いに来たのに、何も言わせてもらえず拒絶されたと思い、好きな気持ちが一変して憎むようになり、他殺に見せかけて貴女に罪をかぶせるつもりだったんでしょう」

 

「そんな・・・どうして? 彼は私に好きな人がいることをずっと知っていたのよ? それなのに・・・・」

 

「それは・・・・」

 

 そういうことか・・・・。

 

「たとえ振り向いてもらえなくても好きって気持ちは抑えられなかったんでしょうね、彼は。だから、行き過ぎた行動をしてしまった。ストーカーや不法侵入ということをね・・・・・・・・

 探偵という仕事をしていたらこういうケースによく出会います。その度に思うことがあるんですよ。自分がもう少し早く気づいていれば自殺させることは無かったのではないか? 事件を未然に止めていれば悲しむ者はいないのではないか? ってね。

 そんなこと思っても後のまつりですし、仕方ないんですけどね」

 

 部屋の中は、しばらく静寂に包まれた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 あの事件から一月近くたった。事件解決してからは大変だった。

 毛利さんがメール送っていたせいで、美和子と栗山さんに電話で説教された。

 英理さんには偵光君のせいで栗山さんの機嫌がすごく悪いのだけどどうしてくれるの? と、お小言をいただいた。俺何もしてないですよね!? なんか理不尽じゃね?

他の人にバレたわけじゃないから良かったけど・・・・

 

「偵光くーん、お客さんだよ。まさか偵光君がいつの間にか女優さんとお知り合いになってるなんてボクは思わなかったよ。偵光君はご指名されたんだからしっかり相手しなさい。ボクはここのデスクで仕事してるから」

 

 おおっと、七槻ちゃんの不機嫌メーターがいきなりクライマックスだぞ? これは、この後正座で説教コースかな? ってかお客さん? しかも女優?

 

「お仕事中にすみません」

 

「失礼するわね」

 

 ああ、沖野ヨーコさん、池沢ゆう子さんの二人か。いったいどうしたんだろう?

 

「いえいえ大丈夫です。こちらのソファにどうぞ。紅茶とコーヒーどちらが良いですか?」

 

「えっと、紅茶で」

 

「私はコーヒーで」

 

「分かりました。少し待っててください」

 

 俺は紅茶とコーヒーを準備しに行った。決してデスクから俺の背後を睨んでくる七槻ちゃんが怖くて逃げだした訳ではないのだ・・・・・

 

「お待たせしました。はい、紅茶とコーヒーとお菓子になります。どうぞ」

 

「ありがとうございます。わあ、このお菓子おいしい!」

 

「ありがと。本当ね、おいしいわ」 

 

「そう言っていただけて何よりです。作った側としては嬉しい言葉です」

 

「白銀さんが作られたんですか!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「ええ、サマーライトって店の手伝いでお菓子作って出したりもしているので」

 

「す、凄いです! 私あそこのお菓子大好きなんですよ!」

 

「とんでもない才能ね。探偵してたり会社の社長してたりお菓子作ったり・・・・」

 

「好きでやっていることなので。それで今日はどうしたんですか?」

 

「私はアンタに聞きたいことがあったの。この前の事件の時、アンタは疑われてたじゃない? 私が依頼主だとばらせばアンタが疑われることは無かったはずよ。どうして黙って私を庇ってくれたの?」

 

「守秘義務がありましたし、貴女が沖野さんに対して色々とやっていたのは分かっていました。だけど、人殺しまでするような人では無いと信じていましたから。それにトイレに行きたかったので、理由作る為に池沢さんを利用してしまいました。すみません」

 

 こんな所でどうだ? 流石にコナンにヒント出すために利用したとは言えないしな。

 

「ふふっ。そっか。アンタのこと気にいったわ! 確かアンタの会社って芸能事務所もあったわよね?」

 

「ええ、ありますが・・・・・・」

 

「私をその事務所に所属させて欲しいの。アンタの元で仕事をやらせてちょうだい」

 

「はあ。うちとしては問題ないですが、そちらの事務所は大丈夫なんですか?」

 

「話付けてあるから大丈夫よ。まあ、アンタの事務所に入りたいと思ってるのは私だけじゃないみたいだけど」

 

「なあっ!? ゆう子さんずるいです! 私だって入りたいんですからって・・・・急に大きな声だしてしまってすみません」

 

「い、いえ大丈夫ですよ」

 

 背中は全然大丈夫じゃないけどね! 七槻ちゃんから凍てつく視線感じるよぉ。しかも、ビリって音がしておっと、いけないいけないって小言が聞こえるんだよぉ。

 

「ヨーコも話があって来たんでしょう? ちゃんと言わなきゃ気づかれないわよ」

 

「ゆう子さん・・・・・はい! 白銀さん! 私を二度も救っていただきありがとうございました。ずっとお礼を言いたかったんです!」

 

「ああ、俺が高校生と大学生の時に助けた時の事ですね。お礼言われるほどのことではありませんよ。こちらも貴女に再会してから事件を思い出しました。

 それまで忘れていて、すみません」

 

「良いんです! 思い出してくれただけでも凄く嬉しいので! それと、さしでがましいのですが、白銀さんのサインと貴方の事務所で私も働かさせていただけないでしょうか? 

 山岸さんにも話を通していて事務所移るのはかまわないと許可を得てます。ダメでしょうか・・・・?」

 

 おっと更に俺の背後の気温が下がったしビリビリってまた聞こえたぞ? ちくしょう、そんな泣きそうな顔で言われたら断れないじゃないか。

 

「こちらとしては会社の人員が増えるのは嬉しいことですから、大丈夫ですよ」

 

「白銀さん・・・! ありがとうございます! 私凄く嬉しいです!」

 

「良かったじゃない、ヨーコ。この唐変木振り向かせるってなかなか大変そうよ? まっ、がんばりなさいな。仕事ではライバルだけど、それ以外では相談に乗ってあげるわ」

 

「ゆう子さん!? いったい何言ってるの!? 私は別に・・・・」

 

「ああ、はいはい。アンタの気持ちは分かってるから、今日は帰るわよ。また詳しいことは連絡するわ。私達を雇ってくれてありがとね。お菓子美味しかったわ。またね」

 

「ゆう子さんったらもう! 白銀さん、また今度お話しましょう! 今日はありがとうございました! お菓子美味しかったです! それでは失礼します」

 

「これをどうぞ。私の名刺です。仕事用ですが連絡先が書いていますのでそちらに連絡してください。それでは、また」

 

 二人に名刺を渡した。沖野さんの方にはサインを書いて渡した。すごく嬉しそうにしていたので喜んでくれたみたいだ。本当、台風みたいだったなー。司さんに連絡して受け入れ準備始めないと・・・

 

「随分と綺麗な人達だったね、偵光君。アイドルと女優が会社に増えてよかったね♪ と・こ・ろ・で、お話があるんだけど良いかな?」

 

 俺の命はどうやらここまでのようだ。俺は全てを諦めて正座して、七槻ちゃんとのお話をした。

 一時間たってお話が終わり、俺は自分のデスクでのんびりとしている。今日の七槻ちゃん、三割増しで怖かったなー。死ぬかと思ったもん。七槻ちゃんは満足して帰ったよ。

 うん? 明美ちゃんからメール? メールの内容は・・・・・

 

「お久しぶりです、偵光君。お変わりなくお過ごしでしょうか? 私や志保は元気です。偵光君に報告です。次の仕事が落ち着いたら、志保と一緒に君がいる街に引っ越しできそうです。偵光君…君がいる街に引っ越せたら…私と二人っきりでデートしてくれませんか? 明美

 

 P.S.もし志保だけが偵光君の所に行ったら守ってあげてください………偵光君、ずっと貴方のことが好きでした」

 

 やれやれ、次の仕事の予定が決まったな。ったく、助けてって言葉も言えないのかよ。

 レストランでした約束どおりに絶対助け出してやるよ。

 

「もしもし、山川さん?」

 

「どうした?」

 

「久しぶりにクマちゃんスーツの出番だ。組織に喧嘩吹っ掛ける。それと山川さんには当分俺と一緒に動いてもらうから」

 

「何!? 分かった。お前がそう言うってことは、組織に所属してる知り合いの誰かが危ないんだな?」

 

「ホント、俺の考え分かってくれて助かるよ。明日から色々と動くつもりだからよろしく」

 

「ああ、分かった。探偵事務所の方はどうする?」

 

「萩原さんに指揮権渡すから大丈夫」

 

「了解。それじゃあ、また明日」

 

「うん、明日」

 

 さてと、これから忙しくなるぞ。

 俺は沖野さん達の受け入れについて司さんと打合せした後、明美ちゃんを助け出す為の準備を行って次の日に備えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 沖野ヨーコちゃんも主人公の会社に入ることが決まりました。
 次回は、明美さんが出る回です。主人公は本気なので、全力出します。
 クマちゃんスーツが久しぶりに火を噴くぜ!

  感想&評価待ってます!


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16話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!


<越水七槻side>

 

 

 私は今、萩原さん、松田さんと一緒に先ほど10億円強盗事件があった銀行に調査に来ている。どうして調査してるのかって? それには理由がある。探偵事務所の所長の偵光君と副所長の山川さんが行方不明なのだ。

 「ちょっと二人で立て込んでいる事件を調べて来るので数日戻りません」と書置きがしてあり、未だに帰ってきていない。何か事件に巻き込まれた可能性が高いと思い、彼の仕事部屋にあったメモを頼りに調査しに来たという訳だ。

 

「それにしても銀行強盗だとは、犯人も大胆不敵なことをするもんだ。それで、この事件が所長と副所長の失踪と何か関係があるのかい、お嬢ちゃん?」

 

「お嬢ちゃんは辞めてくださいっていつも言っているじゃないですか、松田さん。おそらく関係があるかと思います。所長の机にあったメモにこの銀行の住所が書いてありましたから。メモと一緒にここの銀行員である女性の写真もありましたし」

 

「なるほどな。白銀の女性関係の写真って可能性は? 萩原の奴か野山さん辺りが何か所長から理由聞いてそうだが、教えてくれそうにないから調べに来たと」

 

「それは無いかと。女性に会いに行くのなら、普通に誰かに伝えていきますからね。考えられるとしたら事件関係者ってとこでしょうけど分かりません。萩原さん達は、偵光くん達から口止めされてるんだと思います」

 

「それか、萩原達も詳細を知らされてない可能性が高いな。安室の奴はどうした?」

 

「安室さんは、香奈と一緒に事務所で情報を集めるように動いてもらってます。偵光さんが行方知れずになっていることは他の女性陣は知りませんが、隠し続けるのも厳しいです。彼と付き合いの長い人達は流石に怪しいと思い始める頃ですね」

 

「そっちは安室と野山さん達に任せてたら何とかなるだろう。クリスさん達も自分達だけでアイツの足取り追おうとはしないだろう」

 

「そうですね。私達はしっかり調査して彼を見つけましょう」

 

 そう、絶対に見つけ出す。危ない事件に首を突っ込んだ彼を死なせない為にも絶対に助け出す。僕達を置いていくことだけは絶対に許さないんだから。

 

「無理するなよ、お嬢ちゃん。おっと萩原の奴が戻ってきたみたいだぞ」

 

「おーい、二人とも! 新たなことが分かったぞ! さっき、昔の警察仲間から聞いたんだが、この事件で使われた逃走車が堤無津川で見つかったらしい! それと、女性の名前が分かったぞ。名前は広田雅美さんというらしい。

 強盗事件中に不在だった広田雅美さんを尋ねてきた中年男性二人組がいたらしい。その二人の服装は、帽子を深くかぶりサングラスをしてたそうだ」

 

 萩原さんが集めてきた情報は予想以上の収穫だ! これからの動きを決めやすくなる。

 

「俺は中年男性二人組の足取りを追う。事件と女性の方は、お嬢ちゃんと萩原に任せて大丈夫か?」

 

「ええ。松田さん、すみませんがよろしくお願いします。それとお気をつけて」

 

「おう」

 

「萩原さん、私達は堤向津川に向かいましょう!」

 

「そうだな。急ごう!」

 

 

 私と萩原さんは松田さんと別れ、急いで堤向津川へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 堤向津川へと向かうと、警察と鑑識の人が車の周りに集まっていた。

 

「あれは目暮警部?」

 

「どうやらそうみたいだな。ってかガキがうろついてやがるぞ」

 

「ホントだね。あの子供は・・・偵光君が話してた子かな? おもしろい観点から事件を捜査する頭のきれる小学生がいるって聞いたことがある」

 

「そういえば山川さんも似たようなこと言ってたな。ってことは事件の情報を集めてる訳だ。普通なら考えられないな」

 

「そうだね。彼は本当に小学生なのかい? 行動も警察の邪魔をしてないし、とても知性がある。まるで子供の皮を被った大人みたいだね」

 

「まさかな・・・。今はあの子供の正体より、事件についての詳細を聞きに行こうぜ。すみません!」

 

「・・・・・・」

 

 あの少年は何者なんだ? もしかして偵光君の行方も知っているのか? いや、考えすぎか。偵光君がいなくなったことで焦りすぎてたみたいだ。落ち着いて冷静になろう。焦っても碌な結果にならないから。

 

「おお! 君たちは!」

 

「何だお前らって!?」

 

「お久しぶりです、目暮警部。うちの所長がお世話になってます」

 

「萩原君も元気そうで何よりだ。萩原君や越水さんも事件の調査かい?」

 

「綺麗なお嬢さん、私毛利小五郎と言います。ぜひお名前をお聞かせください」

 

「ひっ!」

 

 うわあ、びっくりしたなもう。急に近くに来たから驚いて変な声が出ちゃったよ。

 

「すみません、越水七槻です。毛利さんのことは所長から聞いています。飲みに行くのによく付き合ってもらってるみたいで」

 

「いえいえ、こちらこそ偵光君にはいつも付き合ってもらって感謝しています。で、こちらの男性は?」

 

「萩原研二です。初めまして毛利さん。前は警察の爆弾処理班にいたんですけど、今は探偵をしております。それと忠告ですが、七槻ちゃんって怒ったらめちゃくちゃ怖いんですよ? 所長を怒る時が特に。あと、七槻ちゃんには好きな人がいるので手を出すのにはお勧めしませんよ?」

 

「へえ。萩原さんって面白いこと言うんだね・・・・僕の好きな人が誰なのか聞きたいなぁ。ねえ、教えてよ」

 

 僕がニコニコ笑顔で問いかけると、萩原さんは冷や汗を流しながら毛利さんとこそこそ話を始めた。

 

「いえ、何でもありません。毛利さん、先ほどのことは忘れていただけると助かります。七槻ちゃん、白銀に会えてないので機嫌悪いんですよ」

 

「おいおい、もしかしてこの子もなのか? たあーっ、どんだけ色男なんだ偵光君は?」

 

「事務所員男性全員がほとんど同じことを思ってますね」

 

「ねえ、こそこそ二人で何を話してるのかな?」

 

「「な、なんでもありません」」

 

 

 僕は唖然としてた少年に自己紹介をしながら話かけた。

 

 

「よろしい。えっと、坊やとは初めて会うよね? 私は越水七槻だよ。白銀探偵事務所に所属してる探偵です。よろしくね」

 

「俺も初めてだったよな、ボウズ。萩原研二だ。よろしくな」

 

「う、うん。僕は江戸川コナンだよ。二人ともよろしく!」

 

「さて自己紹介も終わったことだし、すみませんが事件の詳細を教えていただいても良いですか? 偵光君からも事件の調査をするように頼まれているので」

 

「ねえねえ。越水さん? 白銀さんと山川さんはどうしたの?」

 

「それは・・・・・」

 

「悪いな、ボウズ。白銀と山川さんは他の事件を調べてんだよ。あの二人はうちの事務所でも特に忙しい方だし、こなす依頼が多いんだ」

 

「そうなんだ。教えてくれてありがとう萩原さん!」

 

「ああ・・・・・大丈夫か七槻ちゃん?」

 

「ええ、事件の詳細聞いて早く情報を集めましょう!」

 

 私は萩原さんと一緒に堤向津川で事件の詳細を聞いた後、他の場所も周り、一日かけてを調査した。その間、偵光君達の情報を得ることはできなかった・・・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 次の日になり、私達は話をまとめるために事務所に集まっていた。

 

「松田さん、昨日は遅くまで調べてたみたいだけど結果はどうだった?」

 

「ああ。どうやらその二人組も俺達と同じで現金輸送強奪事件を追っているらしい。あと、広田雅美さんの事を凄い探し周ってるらしい」

 

「なるほどね。となるとその二人組が何か知ってそうだよね。広田雅美さんか・・・・偵光君にはあんな知り合いいなかったと思うんだけど、ねえ香奈?」

 

「そうだね。白銀さんの仕事関係でも会ったことないよ。プライベートならどうか分からないけど、安室さんに聞いてもあの女性は知り合いにいなかったはずだって言ってたし七槻ちゃんも知らないなら内密に会っていた人とかかな? ねえ、ライトもご主人がいなくて心配だよね。白銀さん達どこに行ったんだろ?」

 

「くぅーん」

 

「お嬢ちゃん達、聞きたいんだが安室と萩原の奴はどうしたんだ?」

 

「二人とも朝早くに警察から新たな事件の情報が入ったからって話聞きに行ってるよ。そろそろ帰ってくるんじゃないのかな?」

 

「ただいまー」

 

「帰ってきたみたいだな」

 

「お帰りなさいませ、萩原さん」

 

「わふっ!」

 

「おう、ただいま。七槻ちゃんと松田もいるみたいだしちょうど良いな。新たな情報が出たんだが・・・」

 

 私達は萩原さんから話を聞いて驚愕した。

 

「今回の犯人は三人組で、その内の二人が昨夜何者かに射殺されたとは思わなかったな」

 

「おい待て、萩原。射殺された場所ってそこで間違いないのか?」

 

「ああ。目暮警部から聞いた話だから間違いないはずだ。その話聞いて、安室は調べることができたってどこかに行ってしまったけどな」

 

「松田さん、どうかされましたか?」

 

「わう?」

 

「昨日追っていた二人組が、その現場付近で目撃情報があったんだよ。これは偶然か?」

 

「気になるね、その二人組。犯行現場付近にいたのは偶然か、それとも・・・・・」

 

「ああ、それとこの事件、公安警察も探っているらしい。俺達の知らない所で大きなことが動いてる気がするな。安室の奴には、危険だからこの事件に関わるなって言われたんだが、どうするよ皆さん?」

 

 安室さんが止めるってことは、おそらく何か掴んだのだろう。危険だと分かっていても辞める訳にはいかない。偵光君や山川さんの身に危険が迫ってるならなおさらだ。

 諸伏さんの時みたいにみすみす死なせることには絶対させないつもりだ。松田さん、萩原さん、香奈やライトも同じ考えのようだね。

 

「僕はまだ動くつもりです。真実を明らかにすること目的も大事ですが、偵光君達を見つけ出すことの方が優先です。その為にも事件を追います」

 

「お嬢ちゃん、俺も賛成だ」

 

「私も賛成だよ、七槻ちゃん」

 

「わん!」

 

「やれやれ。所長代理としては所員を危険な目に合わせる訳にはいかないんだが・・・俺も所長を見つけ出すことには賛成だ。ただ、今回の事件は水面下で別の何かが動いてる気がして何かが起こる気がする。事務所特性、防弾・防刃チョッキと武装して動くぞ」

 

「そうですね。私もそれが良いかと思います。それでは、私と萩原さんで外に。松田さんと香奈は、過去の事件の調査資料を調べて、広田雅美さんらしき人物がいないかを調べてもらっていいですか?」

 

「お嬢ちゃん、白銀と山川さんが関わった事件の資料も調べていいかい? それを調べていけば水面下の何かが浮かんできそうな気がする」

 

「そこは松田さんの判断に任せます。すみませんが、二人ともよろしくお願いします。萩原さん、ラボに道具を取りにいって、調査に向かいましょう」

 

「分かった。気をつけろよ、お嬢ちゃん、萩原」

 

「二人ともお気をつけて」

 

「はい。何かあったら私か萩原さんに連絡ください」

 

「おう!」

 

 私は萩原さんと一緒に調査へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

 お、香奈ちゃんから着信か?

 

「はーい、もしもし? おはよう、香奈ちゃん」

 

「おはようございます。報告です。七槻ちゃんと萩原さんは事件の現場に向かわれて調査するそうです。

 松田さんは私と一緒に過去の事件の捜査資料を洗っています。皆さん、所長と副所長の足取りを追うのを諦めておりません」

 

「ありゃりゃ。俺としては危険だから追うの辞めて欲しいんだけど・・・まあ、無理だよね」

 

「当然でございます。私も含め、みなさん所長や副所長のことが好きなのですから。心配させる行動をするお二人の方が悪いです」

 

「これは、手厳しいね。七槻ちゃんは、萩原さんが付いてるから心配してないけど、透の奴はどうしてる?」

 

「はい。貴方に言われたとおりに広田雅美さんの写真を見せた所、数秒ですが、態度が豹変していました。

 それと、今朝方萩原さんと一緒に警察に事件の詳細を聞かれてから、萩原さんと別れ単独で事件を追っているそうです」

 

「なるほどね・・・・」

 

 単独行動ようやく始めたってことは、組織の行動でなにか動きがあったか公安として動き始めたのどちらかだな。さて、エサはまいたし、そろそろ釣り上げていくとしますかね。

 

「偵光さん・・・何をしているかはわかりませんが、山川さんと共に無事に帰ってきてください。お願いします」

 

「分かってるよ、香奈ちゃん。それと心配かけてごめんね」

 

「いえ。私は松田さんと行動していればよろしいんですよね?」

 

「うん、よろしくね」

 

「それでは、また。次は直接顔を合わせて話せるよう願ってます」

 

 彼女はそう言って電話を切った。

 

「水口さんからか?」

 

「ああ。七槻ちゃん達も俺達を追ってて色々と動いてるみたいだな。変装した俺達を追っている途中だろうが、たどり着くのが予想以上に早いな」

 

「よく言うよ。事務所にわざと、銀行の住所を書いたメモと広田雅美さんの写真を残してきてこうなるように仕向けたんだろう?」

 

 ほえー俺の考え分かってくれてるなんて流石幼馴染だな!

 

「全部丸わかりですかい。ここまで凄い勢いで喰いついてくるとは流石に思ってなかったけどな。強盗犯の殺害現場周辺までは追えても、それ以降は追えないはずだ。俺達がまた別人に変装して足取りを追えないようカモフラージュしたからな。だと思いたいんだが・・・それ以降も追ってきそうな気がするな」

 

「おっと。お前の予想が当たるみたいだぞ。萩原達がコナンと合流したぞ」

 

「マジかよ・・・・コナンがここで出てくるかあ。何も起こらなければ良いんだが・・・」

 

「いや、お前とコナンが動いてる地点で無理だろう」

 

「ですよねー。コナンが加わったなら、七槻ちゃん達の方は大丈夫かな」

 

「それで、組織連中の動きは?」

 

「バーボンとベルモットが俺のことを血眼になって探しておりますが何か?」

 

「予想通りすぎるな・・・・」

 

「まあな。広田雅美さんの写真ですぐに感づくだろうよ。組織の構成員である宮野明美を追ってるってな。それで公安警察の部下に俺達を探し出すように指示を出した後、ベルモットと合流したってところだな」

 

「ああ。だから公安まで動いてやがるのか。で、これからどうする? ジンとウオッカはもう犯人達を消しながら行動開始してるぞ? 宮野明美も睡眠薬と嘘をつかれて毒薬を持たされそれを飲ませようとしてたし、本気で彼女に罪を被せて消そうとしているぞ」

 

「俺が被害者に変装して、薬が入った酒を飲むふりして誤魔化すことができたから良かったけどな。そうでなかったら彼女が殺人犯にされてしまうところだった。

 彼女を保護できれば一番早いんだが、おそらく逃げられそうな気がするな。

 さてとどうするかな・・・・一番てっとり早いのは、ジンとウオッカと明美ちゃんが会った時に保護かな。

 俺の予想では、今回の十億円で何か取引してるだろうし」

 

「あの被害者だな。公安が動いて表向きは死んだことになってるはずだ。それで警察内にも情報がまわってるはずだ。誰かさんの匿名で、黒の組織に情報持っている可能性ありってリークされてたからな。それで宮野明美を回収する手はずはどうするよ? 発信機の反応みる限り、コナン達ももう動いてるからあまり時間は残されてないぞ」

 

 公安にリークまでするとか山川さん凄いよなー。俺は被害者役するので精一杯だったよ。まあ、そんな優秀な部下&幼馴染を持って涙出そうになるよ! 俺の代わりに仕事してくんねえかなー。え、無理だって? ですよねー!

 どうするかな? ベルモットやバーボン、七槻ちゃん達を近づけずコナンのみを来させる方法は・・・・しょうがないこの案でいくか。山川さんにはだいぶ頑張ってもらうようになるけど良いか。この件が終わったら組織内はますます混乱しそうだが。

 

「山川さん、アイツらが取引しそうな場所の当たりはもう付けてるよな?」

 

「ああ。米花町の廃倉庫。ここに奴らは絶対に集まるはずだ」

 

「あそこか。少し離れた位置に高台があったよね?」

 

「ちょっと待てよ・・・ああ、700メートルぐらい離れた箇所にあるな」

 

「その高台に登って、倉庫にジン、ウオッカ、明美ちゃん以外の人が入ろうとしたら、スナイプで威嚇することってできるか?」

 

「ああ。改造したスナイパーライフルなら問題なくできる」

 

「兎のスーツ着た状態では?」

 

「問題ないし、むしろあのスーツ着て狙撃するほうがやりやすい」

 

「じゃあ、そこで山川さんは人が近づいてきたら中に入らないように狙撃して。それでおそらく場所が割れるだろうから、すぐに合流ポイントに逃げて。そこで俺と合流ってことで。俺の方は、クマスーツ着てやりとりの最中に倉庫に乱入してジンとウオッカとやり合った後に、彼女を連れて後から合流するってことでどうかな?」

 

「いや、俺も狙撃で場所が割れたらお前と合流した方が良いだろう。クマに仲間がいたと思わせると組織の方も余計に混乱するんじゃないのか?」

 

「それもそうだな。俺も味方が近くにいるとやりやすい。その作戦でいこう」

 

「ああ!」

 

 俺達は作戦を決めて行動を開始した。

 

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 感想&評価待ってます!


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17話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!



<安室透side>

 

 俺は今単独で行動していた。今回組織から宮野明美殺害の指令が出てジンとウオッカが動いているのは知っている。どうにかして先生の娘さんを助けようとして公安の部下に指示を出したが情報があがってきていない。

-

 それに偵光と山川さんが行方不明になっている件もある。広田雅美という宮野明美の変装の姿の写真を持っていたから、彼女を追う為に姿を消したと考えられるが、その理由はなんだ? まさか、組織のことを知っている?

いや、組織に関係する情報をアイツが知らないように俺もベルモットも行動してもみ消している。

 だから、アイツが知り得ることはないはずだ。なら、なぜ彼女を追っている? 彼女の背後に何かあることを感じとったか? それとも彼女が宮野明美

だと気づいたから助けだす為に行動を起こした? もし、そうならアイツの場合、すぐにジン達を突き止めるはずだ! ってことは、マズイ! 偵光達をジン達と接触させたら助からない! ちいっ!

 着信は風見か?

 

「風見! 匿名でリークを流してきた奴の正体が分かったのか?」

 

「すみません、それはまだ分かりませんが、犯人の所持品を調べたら不思議なメモが入っていました。bear&rabbit presents、クマとうさぎのプレゼントと。降谷さんなら何か知っているのかと思い連絡しました」

 

 クマと兎のプレゼント・・・・まさか、奴も乱入してくるのか!?

 

「風見! それは本当か!?」

 

「は、はい。間違いありません」

 

「不味いことになる。ジンとやり合い、スコッチを消した組織の裏切り者でクマの着ぐるみを着た奴がいたのは覚えているな?」

 

「はい・・・・まさか!?」

 

「そのまさかだ。お前は増員を呼んで警戒に当たってくれ。何かあったらまた連絡しろ」

 

「分かりました。降谷さんもお気をつけて」

 

「ああ」

 

 そう言って電話をきると、またすぐに電話がかかってきた。今度はベルモット?

 

「はい、もしもし」

 

「Hi、バーボン。ジン達の取引場所が分かったわよ。廃倉庫の中でやるみたい。そこで彼女の最後を見ましょう」

 

「ベルモット、残念ですがそうはいかないようです。そこに偵光が向かってます。おそらく、宮野明美を助け出す為にね」

 

「なんですって!? それは本当なの!? 偵光をジン達と接触させたら不味いことになるわ!」

 

「それともう一つ悪いニュースです。例のクマも今回は仲間を連れて動いてるみたいです。もし倉庫内でジン達と戦闘が起こりようものなら・・・・・」

 

「・・・・急ぐわよ」

 

「了解しました」

 

 俺は急いでベルモットと合流し、取引場所へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ここですか?」

 

「ええ、間違いないはずよ。まだ誰も来てないみたいね」

 

「そうですね・・・となると離れた方が良いですね。ジン達と遭遇しても厄介ですし」

 

「念の為、中の様子も調べてみましょう・・・!?」

 

 

 ベルモットが入り口のドアに近づき調べようとした瞬間、カーンと音がドアの取っ手から響いた。あれは銃弾!? どこから!? 近くにはいないとなると狙撃か!

 

「ベルモット! 伏せて物陰に隠れてください! スナイプです!」

 

「分かってるわ! いったい、どこから? 場所が分かれば双眼鏡で確認できるのに・・・・」

 

 俺とベルモットは急いでもの影に隠れた。いったいどこから狙撃されている? 近くに狙撃できるポイントなど、遠目にみえる高台ぐらいしかないが、距離がありすぎる。あの位置からスナイプできるなど、組織のカルバドス、キャンティ、コルンぐらいしかいないぞ。いや、あともう一人FBIの赤井秀一がいたな。

 俺達を狙撃するとなると赤井か? 今回の事件FBIでも介入してるのか? 今はそんなことを考えてる場合ではないか。さっき撃たれた条件はなんだ? ベルモットがドアに手をかけようとした所で・・・そうか! これが確かなら、狙撃手の場所があぶりだせる! 

 

 俺は物陰から飛び出し、倉庫の入り口に近づいた。その瞬間、銃弾が飛んできた。 狙いは俺達を倉庫内に入れないためだな。銃弾が飛んできた方向と当たった角度を考えると、あの高台か! 場所を特定し、再び物陰に隠れてベルモットに伝えた。

 

「何やってるの、バーボン!?」

 

「スナイパーの場所が分かりました。あの高台です!」

 

「分かったわ! さあ、顔を見せてもらうわよ・・・・なんですって!?」

 

「どうしたんですか、ベルモット!?」

 

「rabbitよ。着ぐるみを着てライフルを持ったrabbitがいるわ!」

 

「うさぎの着ぐるみですか!? ちいっ、アイツの仲間か!? どうします? あの高台に行きますか?」

 

「ええ。あれを捕まえてbearの居場所を吐いてもらいましょう」

 

「分かりました!」

 

 急いで車に乗り込み高台へと向かった。

 高台の屋上へたどり着くとそこには、何も無かった。

 

「どうやら逃げられたようですね。ここを調べても何も出てこないと思いますが、どうしますか?」

 

「そうね・・・・偵光達の保護は、大丈夫そうね。bear達の目的は、おそらく邪魔者の介入阻止。つまりジン達か宮野明美以外は目的でないはずよ。私や貴方を殺さなかったのがその証拠よ」

 

「そうですね。僕らを殺すチャンスはいくらでもあったはずです。ならウサギの後を追いますか?」

 

「そうしましょう。お願いだから無事に帰ってきなさいよ、偵光・・・・行きましょう、バーボン」

 

「アイツなら大丈夫ですよ。貴女を残して死ぬような奴ではありません」

 

「ふふ、そうね」

 

「ええ」

 

 偵光、お前が何をしているか分かんないが、絶対に帰ってこいよ!

 俺とベルモットは、逃げたウサギの後を追った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<江戸川コナンside>

 

「コナン君、しっかりするんだ!」

 

「おい、何があったボウズ!? しっかりしろ!」

 

 んん、誰か俺をよんでるのか? 俺は確か・・・・・思い出した! 広田雅美さんが殺されるのを止める為にここへ来たんだ!

 

 

「コナン君!?」

 

「ここは・・・って、越水さんに萩原さん?」

 

「大丈夫そうだな、ボウズ。それで何があったんだ?」

 

 そうだ! あの人は!?

 

「広田雅美さんは!?」

 

「あの人はいなかったよ。私達がここに来たときは、コナン君が倒れてた以外もぬけのカラだったよ?」

 

「ちくしょう! 早くあの人を追わないと殺されてしまう!」

 

「そういうことか! どうやら嫌な予想が当たったようだな、七槻ちゃん」

 

「そうだね。早くしないと彼女が危ない! コナン君、彼女がどこに向かったかわかるかい?」

 

「人目の付かない場所だよ。倉庫とかの」

 

「空き倉庫なら、もう当たり付けてる場所があるぞ、七槻ちゃん。さっき、松田達もお金が預けられている場所の特定ができたってその場所に向かっている。俺達はその空き倉庫に向かおう!」

 

「そうだね。コナン君も行こう。どうせ君も付いてくるつもりだったんでしょ?」

 

「うん!」

 

「ったく、俺や七槻ちゃんの傍から絶対に離れるんじゃないぞ、ボウズ。それだけは絶対に守れよ。七槻ちゃんもな。ナイトが偵光じゃなくて悪いけどな!」

 

「萩原さん!? いったい何を言ってるんですか? 僕は偵光君のことなんか・・・・」

 

「なっ、おもしろいだろ?」

 

「あはは・・・そうだね」

 

「萩原さん! いいから急ぐよ!」

 

 雅美さん、頼むから無事でいてくれよ!

 俺達は急いでその倉庫へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あそこに見える倉庫で間違いないの、萩原さん?」

 

「ああ、間違いない。問題は、倉庫内で銃声が何発も響いてるって所だな」

 

「ちくしょう、これだと近づけない。中の情報でも分かれば・・・」

 

 ちくしょう、どうする? 俺達三人で突入なんて無謀すぎるし・・・

 

「そうだね。警察を呼ぶしかないかな? 私達だけで行くと、危険な目にあうし・・・うっ」

 

「七槻ちゃん、どうした!? 何でテメエが!? かはっ・・・・」

 

 ん? 何!? 

 

「ウサギだと!? てめえ、越水さんと萩原さんに何をしやがった! うっ・・・」

 

 俺の目の前にウサギが現れ、気を失った越水さんや萩原さんを横目にして、俺の意識も途切れた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<宮野明美side> 

 

私はジン達との取引場所の倉庫に来ていた。

 

「どこにいるの? 出てきなさい!」

 

「ご苦労だった、広田雅美いや宮野明美」

 

「一つ聞いていいかしら、どうしてあの人達を殺したの?」

 

 

「ひひひひひひひひひひひ」

 

「それが我々のやり方だからだ。さあ、金を渡してもらおうか」

 

「ここにはないわ。ある所に預けてあるの」

 

「なにぃ!?」

 

「その前に妹よ! 妹を連れてきなさい。約束したはずよ、この仕事が終わったら、私と妹を組織から抜けさせてくれるって」

 

「ふっ。そいつはできねえ相談だ。奴は組織の中でも有数の頭脳だからな。妹はお前と違って組織に必要な人間なんだよ」

 

「じゃあ、アナタたち最初から!」

 

「ふふふふふふふふ」

 

「さあ、最後のチャンスだ。金の在処を言え」

 

 やっぱりそうなるわよね・・・。ごめん、偵光君、妹のことお願いね。貴方と一緒に生きたかったな。助けてくれるって約束してくれたのに私から破ってしまってごめんなさい

 

「甘いわね。私を殺せば永遠に分からなくなるわよ」

 

「甘いのはお前の方だ。コインロッカーのカギを持ってることは分かっているんだ。それに言っただろ? 最後のチャンスだと」

 

「ホント笑えるよねー。ドヤ顔でコインロッカーのカギを持ってるのは分かってるだってさ! おかしすぎてお腹痛くなっちゃうよ!」

 

「「「!?」」」

 

「何もんだ!? ちっ!」

 

「アニキ!?」

 

 ジンが可愛らしい声のする方向に銃を向けた瞬間、彼の銃がはじかれた。その後、こちらにトテトテという音が近づいてきてる。

 

「やれやれ。ジン君も学ばないね。自分が絶対だって確信してるんだから。自分が組み立てたゲーム盤がひっくり返されるのってどんな気持ち? ねえ、どんな気持ち?」

 

「・・・・てめえは・・・会いたかったぜ。ようやくそのツラを見せやがったな」

 

「クマに向かって何を言ってるんだい、君は? それに僕は君に会いたくなんかなかったよ? だって、ジン君たち弱すぎて面白くないんだもん。ベルモット、バーボン、ラム辺りでも来てくれたら楽しいことになるのに!」

 

 そんな!? ここで、組織に最重要ターゲットにされている者が出てくるというの? クマの着ぐるみの形状が変わってるけど同じ人物が入っているはず。いったい何者なの? 組織でも相当な実力があるジンが弱いって・・・それにここで私が狙われたら逃げ場が無いわ。

 いや逃げても同じね。もう私には死ぬ運命しか残ってないだろうし、諦めた方が身の為ね。ごめんなさい、志保、偵光君。

 

「・・・その減らず口を黙らせてやる」

 

「黙らすことができるのかな?」

 

「テメエ、アニキをバカにするのもいい加減にしろ!」

 

「んー、実際バカだと思うよ。二人とも僕に注意が向きすぎてターゲットががら空きだもん」

 

「・・・・え?」

 

 そう言い、クマは私に銃を向けてきて撃ってきた。私の意識はそこで真っ暗闇に飲み込まれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<偵光side>

 

 んー、ゴム弾って分かっていても知り合いを撃つのは心が痛むな・・・・まあ、明美ちゃんを助けるためだ。絶対に助け出すからな。ジン達は、俺が先に手を下したから騒然としているな。パワーアップしたクマちゃんスーツの性能を見せてやるぞ! しゃべるようになったし、相手の話し声がちゃんと聞こえるようになったんだぞ!

 山川さんが来るまでは時間稼がないといけないから煽りまくってたんだが、こうも乗ってくれるとはね。楽しいからもっと煽ってやろう! 明美ちゃんを殺そうとした罰だ! よーし、がんばるぞー!

 

「あれれー? ターゲットの暗殺失敗しちゃったね、ジン君?」

 

「・・・てめえ、何が目的だ?」

 

「目的? そうだねー、一つは宮野明美の殺害だね。そして、もう一つは、ジン君たちを殺害することかな!」

 

 俺はそう言いながらマシンガンを取り出し撃ちまくった。

 

「ちっ!」

 

「なあっ!?」

 

 二人はこっちに向けて反撃してきたので、明美ちゃんに流れ弾が当たらない位置に移動して撃った。ちっ、まだ銃を持ってやがったか。ならまだまだ楽しめそうだな。

 

「ははっ、楽しくなってきたねぇ! もっと楽しもうよ、レッツパーティー!」

 

 俺は山川さんが合流するまで、明美ちゃんを守りながら戦闘を行った。10分ぐらいたち、窓が割れて中に飛び込んでくる白い影が見えた。ようやくお出ましですか!

 

「手伝いに来たよ、ベアー君!」

 

「ありがとう、ラビット君! 早くジン君達を捕まえて、組織のボスに喧嘩売ろう!」

 

「もちろんさ!」

 

 喋る声が違うのと見た目の動物が変わってるだけで、性能がほぼ同じスーツだから生身の人間に負ける心配はない。防弾・防刃性能もバッチリだ。そんなファンシーな見た目の奴らと、黒ずくめの奴らが戦ってるってホントシュールだよなぁ。

 

「ちっ! 新手か! 次から次へと!」

 

「アニキ! どうしやすかい?」

 

 

 おっと、隙発見! 

 

「ラビット君!」

 

「了解!」

 

 ラビット君に援護射撃してもらいながら一瞬でジン達と距離を詰めて。意識を刈り取るために肉弾戦を仕掛けた。

 

「ちいっ!」

 

「アニキ!? もう一匹が邪魔で兄貴の援護ができねえ」

 

「動きが遅いよ!」

 

「はっ、クマが格闘戦までできるとはますます面白い!」

 

「君もなかなかだね。だけど、遅い」

 

「・・! かはっ!」

 

「アニキ! うおっ!」

 

 ジンの腹に蹴りを入れて吹き飛ばし、距離をとった。ウオッカの方もラビット君に武器を吹き飛ばされたようだ。さあ、どうする?

 ・・・!? おいおい、ここで乱入してくるのかよ! 俺はとっさにガード体勢を取った。その瞬間、小さい衝撃がきた。

 

「やれやれ、急にきたらビックリするじゃないか、ベルモットちゃん」

 

「あら。組織の仲間がピンチだったから駆け付けてきただけよ。それとスコッチの件についてお礼したかったの。ジン、ウオッカ、私達が時間を稼ぐから早く逃げなさい! ターゲットの死亡は確認できたでしょ!?」

 

 ったく、一番やりにくい相手と戦う為になるとはね。となるとあっちは・・・やっぱりな。こりゃあ、ちょっと骨が折れそうだわ。

 

「ベルモットの言うとおりですよ。ジン、ウオッカ、二人とも撤退してください。貴方たち二人まで失うのは痛すぎる」

 

「バーボン! ベルモット!」

 

「ふざけるな、ベルモット、バーボン。そいつは俺の獲物だ」

 

「悪いわね、ジン。私もバーボンもあのクマには因縁があるの。分かってもらえるかしら?」

 

 こわっ! ベルモットさんマジ切れモードじゃないですか。やばっ、体震えてきた・・・・

 

「アニキ! ここは二人の言うとおりにしやしょう!」

 

「ちっ・・・クマぁ・・・そのツラと俺様をコケにしたこと二度と忘れねえからな。行くぞ、ウオッカ。ベルモット、バーボン、礼は言わねえぞ」

 

 そういいジンとウオッカは撤退していった。さて、やっかいな二人組をどうにかしないとな。

 

「ラビット君はバーボン君のお相手してあげてくれるかな? 僕はベルモットちゃんの相手するから」

 

「うん、分かったよ。次の仕事もあるし、早いとこ終わらせよう」

 

「あら、随分舐められたものね」

 

「同感です」

 

「そんなゆっくり話してて良いのかな?」

 

 俺はそう言い、ベルモットに一気に近づいて蹴りを放った。

 

「速い!?」

 

「ベルモット!?」

 

「君の相手は僕だよ、バーボン君」

 

「ちいっ!」

 

 ここで二組の戦いが始まり、数分があっという間にたった。

 ちっ、流石にそろそろマズイな。これ以上時間かけると警察がきちまう。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 ベルモットの奴だいぶ消耗してるな。となるとたたみかけるか。ベルモットの本音も聞きたいしチャンスだな。

 

「だいぶお疲れのようだね」

 

「うるさいわね。はぁ、はぁ」

 

「君がこんな仕事をしてると知ったら、君の家族である彼はどう思うのかな?」

 

「黙りなさい!」

 

「おやおや凄い怒りようだね。それだけ彼が大事なんだね」

 

「黙りなさい! あの子に手を出すのだけは絶対に許さない!」

 

「それだけ大事ならどうして真実を話さないんだい? 楽になれるだろうし、彼なら君の味方になってくれるんじゃないのかな?」

 

「・・・彼の何を知っているというの? アナタが彼を語るのは辞めなさい! あの子は絶対にこちら側に巻き込まないと決めたの。闇の中で生きてきた私と、光の中にいるあの子が住む世界が違いすぎてるのはもう分かってるの。それでも一緒にいたいの・・・ただの私の我儘よ。もし組織のターゲットに彼がなったなら、私は組織に

敵対してでも守るわ。絶対にあの子を死なせる訳にはいかないの」

 

 なるほどな・・・・・・

 

「なら君はどうして彼に助けを求めない? 君が彼を助けたいと思うのと反対に彼が君を助けたいと思っているのではないのかな?」

 

「それは・・・・こんな悪者でも助けてくれるかしらね・・・・内心では救ってもらいたいし、助けてもらえると凄く嬉しいわ」

 

「なら、なぜ助けを求めないんだい?」

 

「求めれる訳ないじゃない! 私が彼に助けを求めたら、絶対に彼は無茶をする! 私のせいで愛してる彼を傷つけたくないし、死んでほしくないのよ! 組織はそれだけ強大なのよ! だから・・・・言える訳ないじゃない・・・彼に死なれたら私は・・・。

だからこそ、あの子に手を出させるわけにはいかないのよ!」  

 

 そう言ってベルモットは蹴りをはなってきた。ったく感情が高ぶるといつもその蹴り方だったよな。どれだけ見たと思ってるんだよ。俺は彼女の蹴りを避けて彼女の背後にまわり手刀で気絶させた。

 

「君の気持ちはよく分かったよ」

 

「・・・そんな・・・・」

 

 彼女を抱きとめ、同じく戦いが終わっていた仲間に話しかけた。

 

「ラビット君の方も終わったようだね」

 

「ベアー君の方も終わったみたいだな」

 

「くそっ、ベルモット」

 

「さて、バーボン君にお願いがあるんだ。この子を連れて逃げると良い」

 

「どういうつもりだ?」

 

「この子の本音に共感したって所かな。白銀偵光には手を出すつもりなど無いから安心するといい」

 

「そんなこと信じれると思うのか?」

 

「約束しよう。この子には恨まれたくないし、君にも恨まれたくないからね。まあ、スコッチ君の件があるから難しいと思うが、この子のことだけは頼む」

 

「お前はいったい何者なんだ・・・・? そこまでしてベルモットにこだわる理由は?」

 

「そうだね。彼女の為と組織に無理やり入れられ助けを求めれない者達の為に組織に敵対したって所かな」

 

「・・・・分かった。スコッチや明美さんの為に、お前は俺が絶対に正体を暴いて捕まえる。それまで殺されるな。約束しろ。そっちのウサギの奴も同様だ」

 

「「もちろん死ぬつもりは無いよ」」

 

 俺は、ベルモットをバーボンに渡した。

 

「もうすぐしたら警察も来る。早く行くんだ。宮野明美の死体はこちらで処理しておく。ちゃんと埋葬するつもりだから悪いようにはしないよ」

 

「・・・・礼は言わないぞ・・・・」

 

 バーボンはそう言い、ベルモットを抱えて去っていった。ふう、予想外のアクシデントがあったが何とかなったか。知り合いと敵対すんのはやっぱりキツイな・・・

 

「お互いキツかったな。早いとこ彼女を連れて撤退しよう。それと大丈夫か」

 

「ああ、大丈夫だ。ベルモットの本音も聞けたし余計やる気出てきたよ。今回は明美ちゃんを救えたことを喜ぼう。それで俺達を追ってきた、七槻ちゃん達は?」

 

「気絶させた後、司さんに回収してもらって安全な場所に運んだよ。そろそろ目を覚ます頃だな。起きてからの対処は水口さんと松田に伝えてあるから大丈夫だろう」

 

「流石だね。それじゃあ、あと片付けしてアジトに戻ろう」

 

「ああ」

 

 俺達は倉庫に細工をして、明美ちゃんを連れてその場から立ち去った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 俺達はアジトについて彼女が目を覚ますまで会話をしていた。ここには、俺と山川さん、野山夫妻がいる。

 

「事件についてはどうなってます?」

 

「どうやら公安警察が動いているようだ。彼女の死を偽装(ぎそう)した者がいるんだろうね」

 

「なるほど。動いた人物には心当たりがありますね」

 

「俺もそうですね」

 

「まさか明美まで消されそうになるとは思わなかったよ。娘を助け出してくれた君達にはなんとお礼を言っていいか」

 

「そうね。私達の宝物を助けてくれてありがとう、二人とも」

 

「いえいえ、こちらとしても明美ちゃんを救いたかったですからね。次は志保ちゃんですね」

 

「そうだな。だが今回の件で俺達は完全に組織のブラックリストに載ったな。着ぐるみだけど」

 

「ぷふっ。あの組織が着ぐるみをブラックリストに載せるとかめちゃくちゃシュールだな。それより今回も結構無茶したんですけどスーツ大丈夫ですかね?」

 

「メンテナンスして修理するつもりだから気にしなくても大丈夫だよ。それより君達はそのスーツ脱がないのかい?」

 

「脱いだら彼女の驚く顔が見れないので、このままでいようかなと」

 

「だから彼女が起きるまで脱ぐなって言ったのか。全くお前という奴は・・・すみません、野山さん」

 

「いや、良いんだよ」

 

「ううん・・・」

 

 どうやらお姫様のお目覚めのようだ。

 

「ここは・・・? 確か私は、クマに撃たれたはず・・・どうして生きてるの・・・?」

 

「それは貴女が、そこにいるクマちゃんに運ばれてきたからよ。ねえ、アナタ」

 

「ああ、そうだよ。そこにいるクマとウサギが君を運んできたんだ」

 

 俺と山川さんはコクっと頷いた。最初は家族で話すのが一番だろう。ここで素顔出すには問題ないからな。

 

「貴方たちは・・・?」

 

「そうだね。私達がそこにいるクマに君を助けて欲しいと依頼していたんだ。だいぶ昔にね。今回、その依頼を実行してくれた訳だ」

 

「そうね。ホント感謝してもしきれないわね。私たちの命も救ってくれたし」

 

 やめて、親子3人でこっち見ないで。照れちゃいます。ってクマだから表情バレないわ。とりあえず頷いておこう

 

(こくっ)

 

「どうして私を助けたんですか・・・? 私より妹の志保を」

 

「妹さんのこともちゃんと依頼してあるから心配する必要はない」

 

「どうして・・・? あなた達は誰ですか? 私の知り合いにはいません。みず知らずの私をどうして助けたんですか?」

 

「知らない人じゃないからだよ、明美」

 

「そうね、アナタ。私たちの大事な宝物ですもの」

 

 そう言って、野山さん達は変装をとき、その姿を見て明美ちゃんは驚いている。そりゃあ、驚くよなぁ。

 

「嘘・・? お父さん、お母さん・・・?」

 

「ああ、そうだよ。明美」

 

「ごめんなさいね。私達のせいで、明美や志保を辛い目に合わせて」

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 これだけでも助けた価値はあったな。俺と山川さんは、親子の再会を優しく見守っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そうなんだ。偵光君がお父さんとお母さんを助けてくれてたんだ。感謝しないといけないね」

 

「そうだね。それで私たちの味方をたくさん作ってくれて、彼にはホント助けられたよ。今回もこんな優秀な人達を明美の救出に参加させてくれたしな」

 

 ちょっと司さん? どうしてニヤニヤしながらこっち見るんですかね? あっ、山川さんは笑ってやがるな。だって、着ぐるみがぴくぴくしてるもん。

 

「それにしても明美、偵光君って随分親しい呼び方してるじゃない。どうしてなの? お母さんに教えてちょうだい」

 

「えっ!? それは・・・・」

 

「あらあら、明美ったら顔が真っ赤よ。どうしたのかしら?」

 

「エレーナ。あまりいじわるしたらダメだよ」

 

「ううっ・・・・」

 

 かわええのう。やっぱり明美ちゃんは心のオアシスだなあ。

 

「アナタだって気になるでしょう? 娘の色恋ですし」

 

「確かにそうだが・・・」

 

 あっ、これ俺がおったらヤバい奴だわ。メールでもらった内容から俺に好意持ってるのは分かるが、流石に聞くのはまずいだろ。明美ちゃん、俺がいるとは思ってないだろうし。

 よし、逃げようってどうして俺の手(クマ)掴んでるんですかね、明美ちゃん?

 

「あらあら♪ クマちゃんの手掴んで離さないのね」

 

「あっ、すみません! なんか安心しちゃって。ごめんなさい」

 

「気にしなくて大丈夫よ。掴んでても問題無いって言ってるわ♪」

 

「そ、そうなんですか? すみません、迷惑ですよね」

 

 くそう、エレーナさん絶対楽しんでやがるな。明美ちゃんも悲しそうな顔しないの! 厚司さんと山川さんは笑いすぎだぞ!

 

(ふるふる)

 

「あ・・・ありがとうございます」

 

「あらあら。愛しの偵光君ではなくクマちゃんに浮気なの?」

 

「愛しのってお母さん!? いったい何いってるのかしら! それに浮気って違うわよ!?」

 

 明美ちゃん顔真っ赤で、わたわたしてかわええのう。癒されるー。

 

「焦ってると認めてるようなものだぞ、明美」

 

「そうね♪ で、本当のところはどうなの?」

 

「・・う、うう・・・す・好きな人です」

 

「あら♪ 告白はしないの?」

 

「もう死ぬと思い、メールでしました・・・・」

 

「なら返事貰わないといけないわね、アナタ」

 

「そうだね。それで彼に直接告白はしないのかい明美?」

 

 おーい、誰か助けてくださーい。これってクマの着ぐるみ余計に脱げないよね? 脱いだ瞬間、明美ちゃんのトラウマ確定するよ? 山川さん、助けてくださいよー。あっ、あの人ら絶対助ける気ねえわ。明美ちゃんと俺の反応見て楽しんでるわ。

 よし、現実逃避してなるべく聞かないようにっしておこう。らんらんるー

 

「・・・無理よ。だいたい勢いでメールで告白したからどんな顔をして会えば良いか分からないもの。それに志保にも悪いし」

 

「あらあら、もしかして志保もなの?」

 

「私はそう思うかな。偵光君にはよく突っかかってたんだよね。基本他人に興味がない志保があの反応ってすごく珍しかったわ。本人は認めないだろうけど、私はそう思うわ」

 

「そうなのか。しかし凄いなあ、偵光君は。色んな女性に人気じゃないか」

 

「彼カッコいいし、女の子からしたら、自分のことを背一杯助けてくれる男性の人だったら好きになっちゃうわよね。明美もそうなんでしょ?」

 

「・・・うん」

 

「明美の随分かわいい顔も見れたし、この辺にしておきましょうかアナタ」

 

「これはまた大変なことになるよ。彼の周りが。君もそう思うだろう、山川君?」

 

「ええ、そうですね。今から考えると胃が痛いですが、先ほどのことはそこにいる奴の反応が面白かったので楽しめました」

 

「え、ウサギの中に山川さん・・・?」

 

「ああ、俺も素顔を曝そうか。こちらの顔なら君と一緒に何度か仕事しているから知っているだろう?」

 

「スコッチさんも生きていたんですか・・・?」

 

「ああ。そこにいるバカのおかげでな。おい、お前もいい加減着ぐるみ脱げ」

 

「・・・・まさか?」

 

 もう話し終わったの? ふう、これで着ぐるみ脱げるな! よいしょっと。

 

「久しぶりだね、明美ちゃん」

 

「・・・・・きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 俺の顔を見た瞬間、顔を真っ赤にした彼女の悲鳴が部屋中に響き渡った。

 




 ジンが完全にクマに逆恨みしている変な奴にしかみえない(笑)
 明美ちゃんがいじられている(笑)
 大きくなった明美ちゃんと再会したら、こんなやり取りありそうだなあと思い書きました。
 次回で10億円強盗事件編は完結です。
 次の次ぐらいで哀ちゃんだせると良いなぁ。
 感想&評価待ってます!


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18話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!



<偵光side>

 

 俺は着ぐるみを片付けてきて、明美ちゃんの所へ戻ってきた。

 

「明美ちゃん、落ち着いたかい?」

 

「・・・・・れてください」

 

「え?」

 

「さっき私が言っていたことは忘れてください! メール送った内容も同じく忘れてくださいね。ってか消してください・・・お願いしますね?」

 

「あっ、はい・・・・」

 

 

 怖いよ! 逆らうことは許さないって目だったもん!

 

「あらあら♪」

 

「やれやれ」

 

「くくくっ」

 

「そこ煩い! それで、説明してもらえますよね? 偵光君」

 

「ああ」

 

 俺は今回の計画の全貌と今後どうするかも含めて明美ちゃんに説明した。

 

「となる訳なんだが、どうだい? 俺の所で変装して生活するか、FBIの伝手を頼って証人保護プログラムを受けるのどちらかかな? どちらかと言えば後者の方が明美ちゃんの身は安全だよ」

 

「偵光さんの所で生活する方を選びます。お父さん、お母さんとも離れたくないですし」

 

「あら? 一番は偵光君と離れたくないんじゃないのかしら、ねえアナタ?」

 

「お母さん! もう、何言ってるのよ!」

 

「ははは、明美を虐めちゃだめだよエレーナ。私からしたら偵光君の所にいる方が賛成かな。彼の近くは事件に巻き込まれやすいってのはあるが、所長が絶対に守ってくれるからね。副所長や他の所員、会社にいる従業員の方々も信頼できるかな。

まあ、女性率が高いって所と、組織の人間が二人ほどいるってのは気になるが、その二人は偵光君の周辺の安全を守る動きをしてるし心配ないだろう」

 

「組織の人間がいるんですか!?」

 

「ベルモットとバーボンがな。ベルモットは俺の保護者で家族だし、バーボンも俺や景光の幼馴染だから信頼はできるよ。あいつら本当に組織の人間か? って行動しかしてないしな。まあ、見える所ではなんだろうけど、俺の周辺の人物を組織に巻き込まないようにしようとする動きがあるし大丈夫なはずだ」

-

 

「俺も同感だ。ベルモットとバーボンらしくない行動しかしてないしな。それだけ偵光のことを大事にしてるってことだろ。ベルモットの奴なんか、偵光に組織の魔の手が伸びるなら、組織に敵対してでも守るって豪語していたからな」

 

「聞いてたのかよ・・・・」

 

「あんだけ大声でやり取りしてればな。バーボンもそれ聞いて、僕の気持ちも同じですって言ってたし安心できるはずだ」

 

「分かりました。お二人の言葉を信じます。ベルモットが羨ましいな・・・・」

 

「ありがとう、明美ちゃん。ん? 最後何か言った?」

 

「な、なんでもありません! それで私の仕事はどうしましょう?」

 

「そうだなあ。俺の手伝いってことで秘書兼調査員ってことでどうかな? そうすると香奈ちゃんを会社の方の事務仕事に専念して夏美ちゃんの店の手助けもしやすくなるし、もう一人組織のことを知りながら動ける人が欲しかったんだよ。あ、身の心配はしなくて大丈夫だ。

基本的に俺か景光とマンツーマンで動いてもらうようにするから」

 

「分かりました。所で香奈ちゃん、夏美ちゃんって誰ですか? 偵光君と随分親しいようですけど・・・?」

 

 あれれー? 突然寒くなってきたし、明美ちゃんがすんごく怖いよ? 

 

「えっと、香奈ちゃんは俺の秘書やサポートしてもらってる子で、夏美ちゃんはサマーライトの店長してる子です」

 

「へー、そうですか。他にも仲が良い女性がいそうですね。後で詳しく教えてくださいね♪」

 

 

「・・・はい。それで、さっきの話に戻るんだけど、変装術と色々な技術は俺が叩きこむつもりだから心配しなくて大丈夫だ。変装術を教える時にどんな顔にするかは決めといてくれ。あと名前はどうする?」

 

「そうですね・・・灰原美樹でお願いします。お父さん、お母さんと同じ姓は難しいでしょうし、関係ない苗字の方がリスクも少なくなると思うので。偵光君、私のことは美樹って呼んでくださいね♪」

 

「あら大胆ね♪」

 

「景光君、今後の展開が読めてしまったんだが。わが娘ながら強かだなぁ」

 

「そうですね。アイツ死ぬんじゃないですかね・・・」

 

 何三人でこそこそ話してるんですかね? 私気になります!

 

「ああ、これからよろしくな美樹ちゃん。君のことも絶対守るから心配するな」

 

「・・・はい!!」

 

 そうして宮野明美は灰原美樹という人物になった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<ベルモットside>

 

 ここは、車の中? 私はたしかあのクマと戦って・・・

 

「目が覚めましたか、ベルモット?」

 

「バーボン、アナタが助けてくれたの?」

 

「いえ。貴女をあのクマが気絶させた後に、僕に渡してきて見逃してもらいました」

 

「どういうこと?」

 

「本心は分かりませんが、貴女を連れて逃げろと言われたので僕はそうしたまでです」

 

「そう・・・あのクマとウサギは何者なのかしらね。敵か味方か・・・」

 

「組織に敵対していますが、私達とは敵対するつもりが無いように感じました。敵対するつもりなら、僕も貴女もすでに死んでいます。それにあのクマ本人も偵光には手をだすつもりは無いと言ってました。ウサギにも確認しましたが同じことを言ってました」

 

「そう。それが本当ならね・・・バーボン気になったことがあるんだけど、あのクマには私の動きを完全に見切られてたわ」

 

「それほどの達人ということですか?」

 

「いいえ、私がどう動くかを完全に分かっていた動きだったわ」

 

「それは、おかしいですね。組織内に貴女の戦闘スタイルを熟知している人間はいないでしょう。偵光を鍛えている時にあみ出したものでしょう?」

 

「そうよ・・・・組織内にはいないけど、組織外には私の動きを完全に見切れる人物が一人だけいるわ」

 

「まさか・・・・!?」

 

「そう、ホワイトシルバーよ。彼ならおかしくはないのだけれど、信じたくはないわね」

 

「それはありえません! 僕が集めた情報で、あの時間帯に杯戸町で山川さんと歩いていたという目撃情報がありました。これは確かな情報です」

 

「そう・・・」

 

 ということは、偵光ではなくなるわね。では誰なの? 私の動きを完全に見切れるのは偵光しかいないはずよ。でも、目撃情報が信頼できるなら武の達人の可能性も出てたわね。

 

「バーボン、あのクマとウサギの中身は武闘家の可能性もでてきたわね。それなら私の動きを予想されてもおかしくないわ」

 

「そうですね。その方向で情報を集めていきたいと思います。何か分かったら連絡します。今日は家に帰ってゆっくり休んでください」

 

「そうね。偵光に癒されるとするわ」

 

「ジン達のほうにも話しておきます。それでは」

 

「悪いけど、よろしくね」

 

 まあ、何にしても今日は早く帰って偵光の顔を見て癒されましょう♪

 私はバーボンと別れ急いで自宅へと向かった。 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<江戸川コナンside>

 

 

 広田雅美さんの事件から数日がたち俺は白銀さんの事務所へときていた。俺と越水さん、萩原さんは何者かに気絶させられ広田雅美さんを助けることができなかった。警察から聞いた話によると、彼女は倉庫で死体となって発見され仲間を殺した後に自殺したという見解になったらしい。

 ちくしょう。あそこで俺が気絶させられなければ、あんなことにはならなかったはずだ。それにあの場にいたのが俺ではなく、あの人がいたなら助けることができたんじゃねーのか・・・

 

「どうした辛気臭い顔をして?」

 

「白銀さん・・・」

 

「もっと早く気づいてれば、広田雅美さんが死ななくて済んだのじゃないのかってとこか?」

 

「・・・うん」

 

「七槻ちゃんも同じこと言ってたな。それと俺がいたら助けれたんじゃないのかってな」

 

「そうだ! アンタさえいれば・・・」

 

「あのなぁ、何か勘違いしてないか? 俺は誰でも助けることができるスーパーマンじゃねえぞ。俺がいたら広田雅美さんが助かってたと言えるのか? 俺は自分の目の前で起こることを、命がけで全力で対処してきたからたまたまそうなっただけだ。

俺でも救えなかったことはたくさんあるよ。火事に遭遇して娘さんしか助けれなくて、どうして両親を助けてくれなかったのか!って責められたりもした。事件を解決しても、事件が起こる前に分かってくれてたら、被害者は死ななくてすんだとかな。前にも言ったと思うが、俺や探偵って職業は、何でもできる万人じゃねーんだよ。

助けれない命の方が多い。それに真実を暴くことによって、犯人や被害者を追い詰めたりもする。下手したらそこらの殺人者と変わんねーよ。俺はな、そういうのひっくるめて受け止めた上で覚悟して歯を食いしばりながら前に進むってのが探偵だと思うんだよ。探偵だって人間だ。人間に神みたいなことをやれって願うのが間違えてんだよ。っていうのが、俺の持論だ。

 それを言ったら七槻ちゃんは顔を上げたぜ? お前はどうするんだ?」

 

 はは、この人の足元にも及ばねーじゃねえかよ。何が名探偵だ。この人の方がよほど探偵らしいし、人間らしいじゃねえか。この人はそういうの全部ひっくるめて覚悟して行動するからあんなに無茶もするし、みんなに慕われていくんだな。俺もこの人を見習おう。

 

「広田雅美さんのことも背負った上で生きていく。それが俺の役目だからな」

 

「そうか。そういうお前に情報だ。広田雅美さん組織の関係者だった。お前の追っている鴉のような黒ずくめの組織のな。追うっていうなら、周囲の大切な人達を巻き込んでしまうかもしれないという相当な覚悟を持てよ、工藤新一」

 

「・・・・!!」

 

 上等じゃねえか。絶対にアイツらを表舞台に引き出してやる! 俺は白銀さんから聞いた話で決心して、黒の組織を追い詰めると決めて家に帰った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<偵光side> 

 

七槻ちゃんもコナンもなんとか立ち直ったみたいだな。ってか恥ずかしい! 何語っちゃってんの俺!? ドヤ顔で語るとか痛すぎる! ああ、もう穴があったら入りたい・・・・

 

「大丈夫そうだな、七槻ちゃんやボウズも」

 

「そうですね。偵光君の言葉聞いて目に光が戻ってましたから。まあ、私の一件であんな顔させたのには申し訳ないですけど」

 

「萩原さんや美樹ちゃんも聞いてたのかよ」

 

「そりゃあ、うちの所長のかっこいい演説だもんな、灰原さん」

 

「そうですね。凄くカッコ良かったです、偵光君♪」

 

「恥ずかしいから、やめてぇぇぇぇぇ!」

 

「あら? 電話ですね? はい、こちら白銀探偵事務所ですが・・・

 はい、所長ですね。少々お待ちください。偵光君、長門さんって人から電話だよ」

 

 ん、長門さん? あの子の件で何かあったのかな?

 

「はい、もしもし。所長の白銀です」

 

「おお! 久し振りだね、偵光君!」

 

「お久しぶりです、道三さん。お元気ですか?」

 

「いやあ、体の調子が悪くなってきてベットで療養しているがまだまだ死ぬつもりはないよ。偵光君は相変わらずやんちゃしてそうだね」

 

「いえいえ。事件に巻き込まれることが多いだけでそれ以外は普通ですよ。あの子は元気にしてますか?」

 

「そうじゃ・・・実は日向君のことで相談があるんじゃが・・・」

 

「・・・どうされましたか?」

 

「あの子のことを助けてやってくれんか? あの子はもう限界でのう。近いうちに秀臣と光明を殺してしまうやもしれん」

 

「・・・復讐ですか?」

 

「そうじゃ。日向君を火事から助け出してくれた君なら分かるじゃろ? あの子の復讐心は相当根強い。それに助け出して、その後も励まし続けた君のことを彼女は慕っていたのに、ワシの都合で離ればなれにしてしまってすまんのう」

 

「いえいえ。十年前は、色々なことをしていて家を空けることの方が多くて、長門会長の所にいた方が彼女も安全でしたよ。彼女はそこまで追いつめられてるんですか?」

 

「ああ。二週間後にワシの誕生日パーティーがあっての。その時に親戚一同集まるから、その時に決行するつもりじゃろう。

 そのパーティーでワシは、あの子を長門家から解放して、君の所に行ってもらおうかと思っておるんじゃがどうかの?」

 

「こちらとしては受け入れるのは問題ないですが、両親のことを助けれず、あの子の傍から離れてしまった僕のことを恨んでいませんかね?」

 

「君は彼女を救った。それだけでも十分すぎる。君のせいではない。君は見ず知らずの彼女の命を救えたことを誇るんじゃ」

 

「そう言っていただけると少し楽になります。あの子に罪を犯させる訳にはいきませんね。分かりました。道三さんの誕生パーティーに合わせてそちらにお伺いすればよろしいでしょうか?」

 

「ああ。招待状を送るようにしておくの」

 

「ありがとうございます。それとお願いなんですが、部下を二人ほど連れて行ってもよろしいでしょうか? 女性一人、男性一人ずつなんですけど」

 

「もちろんかまわんよ。君の仲間から普段君がどんな生活をしているかワシや日向君は聞きたいじゃろうしのう」

 

「お手柔らかにお願いします」

 

「おっとそうじゃ。もう一つ依頼があったんじゃ。ワシの初恋の人を探して欲しいんじゃが、偵光君の知り合いで誰か探してくれそうな探偵がおらんかのう? ワシも一人当っておるんじゃがもう一人欲しくてのう。

 本当は偵光君にたのもうかと思ったんじゃが、日向君の件を優先して欲しいし」

 

「ああ、一人伝手があるんでその人に頼んでみます。その人がオーケーならば直接道三さんとやり取りしてもらう形で良いですか?」

 

「ああ、かまわんよ。何から何まですまんのう」

 

「いえいえ。それと道三さんに幸ちゃんの依頼についての詳細を聞きたいので、誕生パーティーの日の二日前ぐらいにお伺いしてもよろしいですかね?」

 

「大丈夫じゃ。その日程で話を進めていこう。それじゃあ、またのう」

 

「はい、失礼します」

 

 ふう。さて、萩原さんと美樹ちゃんがこっちめっちゃ見てるなー。

 

「さっきの電話で言ってた、両親助けれなかったってのは七槻ちゃんとボウズに対して話していたことか?」

 

「偵光君・・・」

 

 ありゃりゃ。逆に心配させちゃったみたいだな。

 

「うん、そうだね。十年ぐらい前にさ、たまたま通りかかった近くの家で火事が起こったんだ。その時にね、高校生の娘さんしか助けれなかった。それで、助けた後にどうして両親を助けてくれなかったのって責められたよ。それで、その娘さんには身寄りが無くて、さっき電話があった道三さんと色々サポートしたわけさ」

 

「そうなんですね・・・その子はこっちに来たがったんじゃないの?」

 

「そうだな。だけど、道三さんが家で面倒を見たいって言って引き取ってもらった。その子には、一緒にいてくれるって言ったのに、嘘つきって散々文句言われたよ」

 

 あの時のことは今思い出してもキツかったな・・・・いや、あの件があったからこそ、今の俺が出来上がったといいうべきか。

 

「でもよ、どうして関係ないその長門?って人が、身寄りのない子を引き取ったんだ?」

 

「それは・・・長門さん本人しか分からない」

 

「そうなんですね。その火事の原因は何だったんですか?」

 

「俺がその火事について徹底的に調べて分かったことはこれだ。ファイルは確かここに・・・ほら」

 

 俺はその火事について調査したデータをまとめたファイルを二人に見せた。

 

「ストーブの火から発火ですか」

 

「ん、それにしては徹底的に調べてるな。気になった点でもあったのか?」

 

「俺も現場にいたんだが、中から火が燃え上がったって感じじゃなかったんだよ。だからおかしいと思い調べたんだが、見事に証拠が出てこないし、その娘さんから証言があれば違ったんだろうが、火事がトラウマになって立ち直るのもだいぶかかったんだよ」

 

「あっ、ここ見てください!」

 

「なるほどな。うん? 長門家長男が同時期に全身に火傷を負い、義理の息子も火事に遭遇って・・・まさか!?」

 

「そう。その火事の現場で鉢合わせたのがその長男と義理の息子だ。おそらく何か知っていると思い、話を聞こうとしたんだが、今まで避けられていて聞けてないんだよ。道三さんもそれに気づき話を聞こうとしたがずっと黙ったままらしいんだ。もしあの火事に関係していることをその娘さんが知ったら・・・」

 

「間違いなく、ヤバいことになるな。最悪のパターンだと、火事を起こしたのがその二人だった場合、娘さんにとっては両親の敵になる」

 

「そんな!? もしそうなら急いで止めないと!」

 

「ああ。現にさっきの電話は彼女の復讐を止めてくれって内容だった。おそらく最悪の状態で事態が動き始めている」

 

「それなら止めましょう。偵光君もそのつもりなんでしょう?」

 

「俺も同感だ。そういうのを見過ごすつもりは無い」

 

「もちろん。分かっていて罪を犯させてやるほどバカじゃない。って訳で、萩原さんと美樹ちゃんには付いてきてもらいだいんだけど良いかな?」

 

「はい!」

 

「ああ!」

 

 俺は道三さんから頼まれた依頼に向けて準備を行うのだった。

 




 ベルモット全力救済フラグ建てました。
 主人公はさらに仲間を増やしました。
 次回は私がコナンの中でも好きなキャラを出します。ヒロインにもします。
好きなんだからしょうがないじゃないかぁぁぁぁぁ!
 感想&評価どんどん待ってます。


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名家連続変死事件編
19話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 

 お気に入り登録者が1000人超えてて驚きました! 
 そこまでたくさんの方にこの作品をみていただき感謝しています。
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!

 日向幸さんを救う為に主人公はがんばります!


<灰原美樹side>

 

 宮野明美の名と姿を捨てて、灰原美樹と名乗るようになって一月が来た。ようやく変装した姿にも慣れてきて、探偵事務所の仕事もだいぶ覚えることができた。まだまだ覚えることが多くて大変だけどね。

 私は今、白銀さんの運転で依頼主の長門グループの会長さんの屋敷に向かっていた。向かっているメンバーはあの時、話を聞いていた萩原さんと私、偵光君の三人だ。三泊四日の泊まりの予定で来ている。

そう泊まりなのだ。お母さんからは「頑張りなさい♪」ってなぜか応援されるし、他の女性陣からは「抜け駆けしたら分かってるわよね?」という言葉をいただいた。偵光君は、女性陣に詰め寄られ、説教されて泣いていた。

あそこまでされると可哀想に思えてくるが、自業自得だと思います。あれだけの女性に好かれる偵光君がいけないんだよ。思い出したらなんか腹立ってきた。今回依頼を受けて会いに行く、日向幸さんって子も同じなんだろうなー。

 

「偵光君、あとどのくらいで着きそうなの?」

 

「ここまで来たら、あと10分ぐらいかな」

 

「それにしても、住宅街の中にでっかい屋敷があるとはな。長門グループって言ったら鈴木財閥に並ぶぐらい大金持ちだぞ?」

 

「そうですね。そんな人と知り合いっていう偵光君にも驚きましたけど」

 

「交友関係の広さと、運の悪さにだけは自信があるぞ」

 

「威張っていうことじゃないだろ。それで今回は何事も無いと良いな。火事とか爆発とか」

 

「萩原さん、俺がいる所でそういうのはシャレになんないんで止めてください。絶対笑えない何かが起こります」

 

「偵光君ってそんなに事件に巻き込まれてるんですか?」

 

 私がここに来てから、彼のそんな姿を見たこと無かったので、気になり聞いてみた。

 

「そういや美樹ちゃん来てからは依頼こなすだけで、特に何も起きてなかったな」

 

「そういえばそうですね。ヨーコちゃんの事件で容疑者候補にされてからは無いな。ってことはそろそろヤバいパターンじゃん」

 

「ホント止めてくれよ。今回美樹ちゃんもいるんだからな。っと、白銀のことだったな。今まで何があったっけ? 誘拐犯に遭遇、容疑者にされる、爆弾事件とかか?」

 

「止めて、あの事件はどっちもトラウマなんですよ。事件終わってからがホントに」

 

「秋庭さんやクリスさんに、あんだけ怒られればそうなるわな。俺も一緒に怒られたし。俺の場合は、観覧車の爆弾事件の後の旅行が一番トラウマだよ。お前の身に何かあったら分かってるよな?って脅迫されたんだぞ!」

 

「あれは萩原さんが悪いのです」

 

「てめえ、後で覚えてろよ!」

 

「ふふふ、お二人とも楽しそうですね。偵光君って爆弾事件にも巻き込まれたんですか?」

 

「ああ、そうなんだよ。俺と白銀が出会ったのも爆弾事件だったからな。テレビ中継されてたの見たことない? 杯戸町ショッピングモールの」

 

「ああ、あります! 二回ぐらいありましたね! 一件目は、カップルの男性が解体したとかでインタビュー受けてて彼女さんと警察の方に連れてかれてたの覚えてます!」

 

 そうなのよね。あの事件のことは、一般の人が爆弾を解体したって話題になって凄いなーって思っていて、志保も関心していたのを覚えている。あれ? そういえば、その時にインタビュー受けてた人の顔どこかで・・・・

 

「ははははは! だってよ、本人さん?」

 

「絶対覚えてろよ・・・・」

 

「え、え?」

 

「あのインタビュー受けてたのが、白銀で隣にいたのが秋庭さん。連れてった警官が、俺、安室、山川さんの三人って訳だ」

 

「え、えええええ!? あれって、偵光君と怜子さんだったんですか!? あ、だから怜子さんが「偵光と出かける時は爆弾に注意しなさい。爆弾あったらつられてホイホイ行っちゃうから、コイツ」って言ってたんですね!」

 

「何言ってんのあの人!? 俺はゴキブリか何かですかね!?」

 

「あっははは! 腹痛い! それが一回目の爆弾事件だ。二回目もあるんだぜ、同じショッピングモールの観覧車で起きた事件」

 

「それも知ってます! 当時話題になってましたから! 爆弾が爆発したにも関わらず怪我人が一人しか出なかったっていうので、凄く気になってたんですよ!」

 

「その怪我人の一人が白銀だったんだよ。爆弾解体には成功してたんだけど、犯人が遠隔操作で爆破させて、クリスさんと大脱出して、クリスさん庇って大けがだったよな。あの時は流石に焦ったぞ。数日意識戻らなかったし、みんな大慌てだったしな」

 

「うっ、あの時のことは反省してます。それがキッカケでクマちゃんスーツとか作るようになりましたよね」

 

「当り前だ。だいたいお前が無茶して怪我させないようにする為に作ったのがあのスーツなのに、組織とのドンパチで使ってるとは思わなかったぞ」

 

「返す言葉もございません」

 

「そうなんですね・・・私がその現場みてたらたぶん大泣きしちゃってた思います」

 

「あの時は、女性陣はみんな泣いてたからな。男性陣も結構ダメージきてたしな。まあそういうのに巻き込まれるのが多かったわけで、コイツは目を離すとすぐに無茶する訳よ。今なんかすごいんだぜ? 佐藤さんと宮本さんに現場で見つかったら警察の人らにまず拘束されるからな。

 あれは流石にビックリしたわ」

 

「ホントにな。事件現場行ってまず拘束されるって俺からしたら笑えないよ? それに、爆弾事件以来休みの日は、誰かと行動しろってルールも追加されたよね」

 

「それは事務所、会社の全員が満場一致で決まったぞ」

 

「そうなんですね。それで司さんからもらった就業規則にその一文があったんですね!」

 

「え、俺知らないんだけど・・・・」

 

「確か七槻ちゃんが付け加えたはずだ。白銀に内緒で」

 

「よし、帰ったら七槻ちゃんに詳しく話し聞かないといけないな」

 

「とまあ、色々とあった訳なんだよ」

 

「そうですね。聞けて良かったです。皆さんが一丸となっている理由が分かりました。みんな偵光君のことが好きなんですね」

 

「まあ、そういうこった。それにしても良かったのか? 全員で今度旅行に行くってことにして」

 

「女性陣納得させる為ってのもあったんですが、社員旅行は司さんともともと計画してたんですよ。みんなちゃんと働いてくれてますし、そのお礼と感謝も込めてね。美和子や由美にも声かけますし、博士とか毛利さん達にも声かけてみようかと考えてますね」

 

「なるほどな。俺としたら全員で旅行とか学生に戻ったみたいで面白そうだから良いけどな!」

 

「私も楽しみです! 会社の皆さんと交流を深める良い機会になりそうですし」

 

「喜んでもらえるなら、計画した側も嬉しいよ。っと着いたぞ。駐車場はあそこだな」

 

「うわぁ、凄いお屋敷ですね!」

 

「こいつは、たまげたな。屋敷ってここまで広いのかよ」

 

 外を見てみると、とても広い庭の中にお城みたいな屋敷が建っていて驚いてしまった。住宅街の中にこんなお屋敷があるんだなぁ。

 私達が驚いているうちに車は駐車していた。

 

「おーい、降りるぞ、二人とも」

 

「お、おう!」

 

「は、はい!」

 

 白銀さんにそう言われ、私達は車から降りて荷物をおろした。すると、この屋敷の執事さんが待機しており私達に話かけてきた。

 

「お久しぶりです、武さん」

 

「お久しぶりでございます、白銀様。お元気そうで何よりです。本日は旦那様の為にありがとうございます」

 

「いえいえ、こちらこそ道三さんにはお世話になっているので。私の部下を紹介しますね」

 

「どうも、萩原研二です。よろしくお願いします」

 

「私は灰原美樹と申します。よろしくお願いします」

 

「これはご丁寧にありがとうございます。私はこのお屋敷で先代から執事をしております、武蔵之介と申します。よろしくお願い致します。

 それではお屋敷へ案内いたしますので私についてきてください」

 

 私達は執事の武さんについていき屋敷に入っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 屋敷を案内され、各自の部屋に荷物を置いてきて、途中で萩原さんと合流して、偵光君と合流しようと一階のホールに戻ってきたら偵光君が色黒の中年の男性と話していた。

 

「あれは・・・どうしてあの人がここにいるんだ?」

 

「お知り合いなんですか?」

 

「ああ、京都に行った時にな。大阪府警本部長服部平蔵さんだ」

 

「大阪府警本部長って一番偉い人じゃないですか!? 偵光君ってそんな人とも知り合いなんですか?」

 

「ああ、俺も初めて聞いた時は驚いた。アイツの交友関係ホントどうなってやがるんだ?」

 

「偵光君本人も色々なことができるし、みんなに慕われて凄いなって思います」

 

「だな。ここで話しててもあれだし、俺達も挨拶しに行こうぜ」

 

「そうですね」

 

「おお、久しぶりやなあ萩原君とそちらは?」

 

「お久しぶりです、服部本部長」

 

「先月から白銀探偵事務所で働いています、灰原美樹と申します。よろしくお願いします」

 

「ご丁寧にどうも。えらい別嬪さんやないか、白銀君。ワシは、服部平蔵や。大阪府警で本部長をやらせてもろうとる。よろしゅうな。それにしても白銀君が来るんやったら、うちの息子連れてくる必要無かったかのう」

 

「そんなことは無いかと思いますよ。平蔵さんが道三さんから頼まれた件とは別の要件で来ましたから」

 

「なんや、そうなんか?」

 

「はい。そちらに手が回らないので、毛利さんに紹介したんですよ。道三さんも個人的な伝手があるって言ってたんですが、まさか平蔵さんだったとは思いませんでした」

 

「長門さんとは、高校時代の剣道部の先輩・後輩の関係なんや。長門さんにはめちゃくちゃ扱かれたからのう。そういう偵光君は?」

 

「そうなんですね。昔の事件関係で知り合いまして」

 

「そうなんやなあ。っとそろそろ時間が。明後日に息子も一緒に連れてきて紹介するからのう。お二人もほな」

 

 そう言って服部本部長が帰っていった。

 

「初恋の人探しについては大丈夫そうだな。さて、俺達も長門会長に挨拶しに行こう、萩原さん、美樹ちゃん」

 

「お、おう」

 

「は、はい!」

 

 私達は彼の後を追い、会長の自室へと入った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「「「失礼します」」」

 

「おお、偵光君! よく来てくれたな」

 

「そんな・・・・どうして・・・?」

 

 長門会長はベッドに寝ており、その近くに私と同じぐらいの年齢の女性が立っていた。彼女は偵光君の顔を見て驚愕していた。彼女が偵光君のいっていた、助け出した女の子なんだろうか?

 

「お久しぶりです、道三さん、幸ちゃんも。元気にしてたかい?」

 

「・・さら・・・今更何をしに来たのよ!? どうして今になって・・・顔を出すのよ・・・すみません、会長、お手洗いに行ってきます。失礼します」

 

 そう言って彼女は退室していった。偵光君をみてみると悲しそうな顔をしていた。彼のあんな顔は初めてみた・・・

 

「どうやら余程嫌われてるみたいですね・・・」

 

「大丈夫か、白銀?」

 

「ああいうのには、慣れてるよ。美樹ちゃんも萩原さんも心配かけてごめん。俺は大丈夫だ」

 

「すまんのう、偵光君。君達や彼女には悪いことをした」

 

「いえいえ、気になさらないでください。さっき話しかけてこちらを見てきた時に彼女がどれだけ追い詰められているかが分かりました。どうにかしないといけませんね」

 

「すまんがよろしく頼む・・・」

 

「はい、任せてください。私の部下を紹介していなかったですね」

 

「どうも、萩原研二です」

 

「灰原美樹と申します。よろしくお願いします」

 

「長門健三だ。白銀君の話を色々と聞かせてくれたまえ。どんな話が聞けるか楽しみじゃのう!」

 

「勘弁してくださいよ、健三さん」

 

「「「あははははは!」」」

 

 私達は笑い合い、偵光君についての話をした。お互いに彼の知らない部分を聞くことができて話はおおいに盛り上がっていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

 長門会長との話が大いに盛り上がった後に、長門さんの息子さん、娘さん達に挨拶し、俺達は屋敷内を調べまわり外は薄暗くなっていた。

 

「ふう。これでだいたい調べ終わったか?」

 

「いえ。あと噴水近くが残ってますね。そこで最後にする?」

 

「そうだね、美樹ちゃん。そこを調べたら後は部屋に戻って今後の予定を建てよう」

 

「おっ、見えてきたぞ。あそこが噴水だな。ん、誰かいるぞ?」

 

「あれは・・・誰ですか? 今日会った人の中にはいませんでしたよね。顔に包帯まいてますし・・・あれ何か光ったものを持ってる?」

 

 美樹ちゃんがそう言い、俺と萩原さんは注目した。首に持っていってる・・・あれは・・・!?

 

「萩原さん!」

 

「ああ!」

 

 萩原さんも気づいたようで、俺と同時に駆け出した。それに驚き、動きが止まった隙に彼を拘束した。

 

「うわあ!」

 

「偵光君!? 萩原さんもどうしたんですか!?」

 

 美樹ちゃんがすぐに追いつき確認してきた。

 

「美樹ちゃん! 悪いけど、そこに落ちているナイフ回収してもらえる? 萩原さんは、この人が他に何か所持してないか確認して!」

 

「・・は、はい!」

 

「もうやってる。ん? これは薬か? ただの薬って感じがしないな。毒薬か? 他には・・・よし、大丈夫だ」

 

「ふう。とりあえず一安心か・・・さすがにナイフを首に突き立てた時は焦りましたよ。どうしてそんなことしたか話してもらえますか、秀臣さん?」

 

「おいおい、まじかよ」

 

「秀臣さんって長門会長の息子さん?」

 

「白銀君がまさかここにいるとはね・・・。ここだと目立つ。僕の部屋に来てくれ。そこなら誰の目も気にならないし、彼女も入ってこない。それともう変なことを起こすつもりはない」

 

「・・・分かりました。二人とも行こう」

 

 やれやれ、相変わらず原作からかけ離れていくなぁ・・・ここでこうなるのは予想外すぎるんだが・・・

 

「了解」

 

「はい」

 

 そうして彼の部屋に向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そちらのお二人とは初めましてだね。僕は、長門秀臣でこの長門家の長男だ。顔の包帯は十年前に火事で火傷を負ったからなんだ」

 

「俺は、萩原研二だ」

 

「私は灰原美樹です」

 

「二人とも私の部下です。それでどうしてあんなことをしようと思ったんですか?」

 

「君ならほぼ予測がついてるんじゃないのかな? って僕の口から真実を話すべきだね。十年前の火事は僕と光明が起こしたものだ。タバコの不始末でね。そこでご夫婦が亡くなった。娘さんまで死にかけた。僕より先に火の中に飛び込んでいった君ならよく知っているはずだ。

 それで父さんから聞いたよ。明後日のパーティーで彼女を長門家から関係ないようにするってね。僕はずっとあの事件を後悔していた。自首をしようとしても光明にずっと邪魔をされた。挙句の果てに僕が自首したら彼女の身がどうなるかわからないと脅してまでね。そして、今回ある計画に協力しろと言ってきた」

 

 よーし、まだ抑えろ。怒るにはまだ早い・・・・冷静に、冷静に・・・

 

「・・・そのある計画とは?」

 

「父さんの殺害計画だ。光明は長門グループの会長になり全権を握るつもりらしい」

 

「そんな・・・ひどすぎます」

 

「とんでもない、下種野郎だな。聞くだけで腹立ってきやがる」

 

「それで、貴方は罪の意識に耐えれず自殺するつもりだったという訳ですか?」

 

「ああ、そうだよ。彼女が君を慕っており救いになっているのが分かっていたのに、長門家のせいで彼女の人生を狂わせすぎてしまった。

 彼女の両親を殺した僕や光明はのうのうと生きている。だから僕たちの命で償うべきなんだ・・・かはっ!」

 

 流石に我慢できねぇわ。俺は彼の服を掴み壁に押しつけた。

 

「おい、てめえ、ふざけてんのか? アンタが死んだとして、あの子の両親は帰ってくるのか? あの子の幸せは戻るのか? 違うだろ! アンタは生きて自分が犯した罪を心に刻んで、償わないといけねえんだよ! 死んで詫びる? そんなことしても犯した罪は消えねえんだよ!

 死んで逃げようとすんじゃねえ! アンタが死ぬことは許さねえ! 生きて罪を償い続けろ!」

 

「おい、白銀落ち着けって!」

 

「偵光君、落ち着いて!」

 

「こほっ、ごほっ」

 

 萩原さんと美樹ちゃんに抑えられ、彼と引き離された。やべえ、頭に血上りすぎてたわ。

 深呼吸して落ち着こう。俺がこんなことしてもあの子の為になる訳じゃないしな。

 

「・・・ふう。もう大丈夫だ二人とも。止めてくれてありがとう。秀臣さんもすみませんでした」

 

「「ふぅ・・・・」」

 

「僕の方こそすまなかった。君が彼女を今もちゃんと大事に思っていることが分かったし、僕の目も覚めた。白銀君の言う通りに死なずに自首して、生きて罪を償い続けるよ」

 

「となると後の問題は、どうするよ白銀? 彼を自首させたら、もう一人の当事者が何しでかすかわかんねえぞ?」

 

「そうですね。幸さんの身も危なくなりますし、どうしましょう?」

 

「そうだな。萩原さんは、俺の姿に変装させた秀臣さんを事務所に連れてかえって、誰かに任せた後、俺の姿に変装して戻ってきてもらえる?」

 

「なるほど、そういうことか」

 

「・・・? 私はどうすれば良いんでしょうか?」

 

「美樹ちゃんは俺の姿に変装した萩原さんと行動してくれれば大丈夫。俺は秀臣さんに変装してこの屋敷で行動するよ。間違いなく光明さんが何か仕掛けてくるだろうから好都合だ」

 

「それって偵光君が危ないんじゃないんですか?」

 

「大丈夫。萩原さんや美樹ちゃんが近くにいるし、何かあったら俺を助ける為にすぐ行動してくれるでしょ? だから、何かあった時はお願いしますね、二人とも」

 

「任せろ!」

 

「はい!」

 

「白銀君、僕に変装するって本当にできるのかい?」

 

「大丈夫なんで見といてください。貴方は事務所に着いたら、所員と知り合いの刑事も呼びますので、ちゃんと真実を話してください」

 

「ああ、分かったよ。僕が言えた義理では無いけど、幸ちゃんと父さんのことを頼む」

 

「もちろん、任せてください!」

 

 俺はそういい、思いついた計画の準備を萩原さん達と共にするのだった。

 




 幸さんの話が終わった後は、灰原哀ちゃんを登場させたいと思っています。
 誤字報告&感想&評価&お気に入り登録していただきありがとうございます!

 


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20話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 このお話も早くもに20話目になります。
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!

 日向幸さんを救う為に主人公はがんばります!


 すみません、仕事が忙しくなってきたので更新ペースが落ちます。
 一週間に2~3話 更新できるようにはするつもりなのでよろしくお願いしますm(__)m


<江戸川コナンside>

 

 俺は小五郎のおっちゃんが受けた依頼の為に、蘭とおっちゃんの三人で大きな屋敷を訪れた。そこには俺の正体を知っている西の高校生探偵、服部平次がいた。この屋敷の旦那さんと服部の父親が旧友らしくここに来たらしい。そんな俺達が聞いた依頼は初恋の人を探して欲しいというもので、おっちゃんはがっくりとしていた。服部への依頼も同じだったらしい。白銀さんは別件で来ていると言っていた。どんな要件で来たのか?と聞いてみたが教えてくれなかった。

 

「なあ、工藤。あれがお前の憧れる白銀っちゅう探偵か?」

 

「ああ。まさか白銀さんがここにいるとは思わなかったよ」

 

「横にいる別嬪なねーちゃんは?」

 

「最近白銀さんの事務所に入った、灰原美樹さんって人だ。結構優秀で凄く助かるって白銀さんが言ってたな。ってかあの事務所にまた女の人が入ったのかよ・・・」

 

「また? どういうことや?」

 

「あの人の周りって綺麗な女の人が多いんだよ。事件とかで助け出したりして、あの人と付き合ううちに好きになってくって人がな。おかげで、酷い時なんか、女性に囲まれた中で説教されてたのを見たことがある」

 

「ふーん。とんでもないモテモテ野郎っちゅう訳や。お前んとこのねーちゃんも危ないんやないか?」

 

「バーロー。蘭の場合は、兄って感じで慕ってるだけだよ。反対に白銀さんも妹みたいに可愛がってるからな。蘭や俺も一人っ子だし歳の離れた兄みたいに思ってるよ」

 

「なるほどのう。だからお前んとこのねーちゃん、お兄ちゃんって言いよったんか」

 

「そうだよ。それで話してみてどうだった?」

 

「挨拶した感じは、普通の兄ちゃんって感じやったな。まあ、オトンと知り合いって地点で普通やないんやろうけど」

 

「そのうち分かると思うぜ、あの人の凄さは」

 

「なるほどのぅ。まあ、ワイらは依頼を解決するのに集中しようや。所で工藤、気づいたか?」

 

「ああ、あの秘書の人の雰囲気だろう。白銀さんを何度か睨んでたな・・・」

 

「そうや。あの兄ちゃんとなんか関係があるんかもしれんのう」

 

「そうだな・・・まだ何とも言えないけど注意だけはしておこうぜ」

 

「そうやな」

 

 俺達がそう話していると、顔に包帯を巻いた男性と、女性が部屋に入ってきた。

 

「あら、お客さまですか、お父様?」

 

「体の調子はどうだい、父さん?」

 

「おお、康江さんに秀臣も!」

 

「僕の顔の包帯が気になってるみたいですね、皆さん。これは十年前に火事に巻き込まれてその時に大やけどしてしまったんですよ」

 

「秀臣お兄様・・・・」

 

 なんだ!? 今感じた殺気は!? 日向さん・・・? 彼が火事と言った時に凄く睨んでいた・・・いったい何が・・・

 服部も気づいてるみてぇだな。白銀さんと灰原さんも同様だ。

 

「おやおや客人だけじゃなく、女狐も混ざっているようねお父様。アナタ、最近ここに来て寝泊りしてるそうじゃない。いったい何企んでるのかしら?」

 

 もう一人女性が部屋に入ってきて、日向さんを睨みながら言った。おいおい、今度は何だ?

 

「ちょっとお姉さま!」

 

「おいおい信子、ワシはこのとおり動けん。会社の決定事項を伝えるために・・・」

 

「そんなのファックスだけで事足りますわ」

 

「いや他にもいろいろな」

 

「おや、そちらの方々は?」

 

「探偵ですよ」

 

「探偵!?」

 

「探偵ですか・・・」

 

「そんな方々がどうして?」

 

「会長の初恋の方を探す為に会長がお呼びになった・・・」

 

 信子さんが日向さんの言葉に腹がたったみたいで彼女を叩こうとしていたが、それを誰よりも早く止めた人物がいた。

 

「姉さん、いくらなんでも暴力はいけないんじゃないのかな? 彼女は何も悪いことしていないよ」

 

 その瞬間、彼からもの凄いオーラを感じて、それを近くで浴びた信子さんや俺を含めて驚いてる人ばかりだ。一人を除いて・・・

 

「おいおい・・・兄弟げんかはそこまでにしときませんか、二人とも?」

 

 白銀さんがそう言い、二人に声をかけた。

 

「すみません。姉が理不尽な暴力をするのを止めようとして熱くなりすぎました。信子姉さんもごめんなさい」

 

「私の方こそごめんなさい。熱くなりすぎたわ。失礼するわ」

 

「あっ、お姉さま!」

 

 女性二人はそう言って退室していった。

 

「僕も部屋に戻りますね、父さん。皆さん、不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。姉さんにも改めて謝ってこないと。それでは失礼します」

 

「あっ、秀臣! すまんのう、皆さん」

 

「いえいえ。美樹ちゃん、俺達も行こうか。やることもあるし。それじゃあ、蘭ちゃん達もまた後で。失礼します、道三さん」

 

「分かりました。蘭ちゃんまたね。失礼します」

 

「あっ、はい!」 

 

「あ、ああ」

 

 やっぱり、日向さんは白銀さんを睨んでたな・・・。それに秀臣さんのあの動き・・・

 

「なあ、工藤、秀臣さんて何もんや? 信子さん止めた時の威圧感と良い、あの動きといいただもんじゃないで」

 

「ああ。それに白銀さんと日向さんの関係も気になるな。白銀さんのことをずっと睨んでたぞ、あの人」

 

「そうやな。詳しく聞こうにも教えてくれんやろうし、どうすかのう?」

 

「いや、今は長門会長の依頼を優先しよう。嫌な予感はするけどな・・・」

 

「そうやな」

 

 俺は服部とそう話をして夜がくるまで過ごした。事態が動き始めたのは夜になってからのことだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「それが秀臣の奴探してもどこにもいないんだよ・・・・うわぁ、秀臣! おい、やめろ、やめてくれえええ!」

 

「光明さん、光明さん!?」

 

 パーティー中に秀臣さんを探しに行った、光明さんが連絡をしてきて電話越しに彼の悲鳴が聞こえ、俺達はベランダに飛び出して下の階を見ると、そこには血の付いた包丁を咥えた秀臣さんがいた!

 

「「「!?」」」

 

 俺達は急いで下の階に向かおうとしたら、白銀さんがベランダの柵に足をかけて下の階に飛び降りた。

 

「こっちから降りた方が速い! 俺は先に行く! 美樹ちゃん健三さんのことは頼んだ!」

 

「偵光君!? わ、分かったわ!」

 

「偵光さん!?」

 

「なんて無茶をするんだ、偵光君は! 急ぐぞ!」

 

「服部!」

 

「ああ、分かっとる!」

 

 残りのメンバーは急いで下の階に降りていった。執事の武さんが合い鍵を持ってきてドアを開けて部屋に入ると、そこには白銀さんに拘束された秀臣さんと気絶していた光明さんがいた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 <萩原研二side>

 

 やれやれ、ここまで予想通りにことが運ぶとはね。おそろしい所長だ。

 

「で、その光明さんはどうしたんだ?」

 

「襲ってきたから返り打ちにして気絶させただけだ」

 

「ったく、あの信子さんの件の時もそうだが容赦ないよな」

 

「あの時はホントに失敗した。威圧しすぎたからなぁ。萩原さんがフォローしてくれて助かったよ」

 

「こっちは内心ヒヤヒヤもんだよ。それで上には美樹ちゃんを残してきてるから何も起こらないはずだ」

 

「ああ。これで彼女は何もできないはずだ。外から上がってくる人物もいないし、監視している人物が一人いるからな」

 

「なるほどね。そこで気絶してる人はどうすんのよ?」

 

「彼が起きたら、みんなの前で俺が全部自白させるように持っていく。人質を取って脅すようなことをしだしたらもう容赦はしない」

 

「なるほどな・・・あーあ。そうならないことを願うよ。お前が容赦なくなったらえげつないからな」

 

「大丈夫さ。死にもしないし、怪我させるつもりもない。そろそろコナン達が来るから手はず通りに頼みます」

 

「了解」

 

 そうして俺は秀臣さんを拘束してアイツらが来るのを待った。すぐに目の前の扉が開き、みんながなだれ込むように入ってきた。

 

「おお、遅かったな」

 

「白銀さん大丈夫なの!?」

 

「にーちゃん、大丈夫かいの!?」

 

「ああ、大丈夫だ。ギリギリだったけどな」

 

「くそっ!」

 

「光明さん!? 光明さんしっかりしてください!?」

 

「その人は気を失ってるだけだから大丈夫だ。とりあえず上に戻ろうぜ。この人は俺が拘束してるから悪いようにはさせねえ。光明さんの方を誰か上に運んでくれ。毛利さん達も上に戻りましょう」

 

「あ、ああ」

 

 俺はそう言い、会長の部屋に皆を引き連れて戻った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 部屋に戻ると彼女に睨まれた。そして、拘束している人物を見て驚いていた。やれやれ美人に睨まれるのはキツイね。もう一発驚きの種をまきましょうかね。

 

「ありがと、美樹ちゃん。光明さんが目覚めたら秀臣さんから詳細を聞くとしよう」

 

「いえ、偵光君が無事で良かったです」

 

「一体何があったんだ、白銀君? ワシにも教えてくれんかのう」

 

「待っていてください。光明さんが目を覚ましたらすぐにお話しますから」

 

 十分ぐらいたち、康江さんが光明さんを連れてきた。

 

「これはこれは皆さんお揃いで。全く、さっきはびっくりしたぞ、秀臣」

 

「もう終わりにしよう、光明。俺達は父さんを殺す計画を辞めて自首するべきだ」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

 彼の言葉にみんな驚いており、言葉を失っていた。

 

「おいおい、何を言ってるんだ秀臣? 冗談はよせよ」

 

「冗談なんかじゃないさ。俺を犯人に仕立て上げ、父さんを殺して会長の座を奪う計画を立ててたんだろう?」

 

「っ!?」

 

「光明さん・・・?」

 

「言いがかりはよしてくれ! 僕がそんなことする訳ないだろう? だいたい人を殺す計画なんて」

 

「十年前の火事を忘れたとは言わせないよ。あれは、僕達二人が原因で起こった火事だ。幸ちゃんの両親が死んでしまったね」

 

「「っ!?」」

 

「それに僕達の目撃者が二人もそこにいるじゃないか。もう終わりにしよう、光明」

 

「ふ、ふざけるなあ! 今回の計画を思いついたのは僕じゃない! そこにいるその女だ! こっちに来い!」

 

「きゃあ!」

 

「日向君!?」

 

 光明さんは、まだ隠し持っていたナイフを取り出し日向さんを人質に取った。ちっ、バカかこいつは!?

 

「「幸さん!?」」

 

「やめるんだ、光明」

 

「そんなことしても何にもならない」

 

「これ以上罪を重ねるんじゃない!」

 

「その人を離すんや!」

 

「うるせえ! 言ったよな、秀臣? しゃべったらこの女がどうなるか分からないと」

 

「もう一度言うぞ。光明、やめるんだ。幸ちゃんを離すんだ」

 

「忠告聞いておいた方が身のためだぜ、光明さんよ?」

 

「秀臣! お前がここで、火事の罪を全部自分だけだと認めて死んだら解放してやるよ! その後にこの女もお前の所に送ってやるよ!」

 

「そんな・・・光明さんもう辞めてください!」

 

「やめるんだ、光明君!」

 

 奥さんや長門会長がそう呼び掛けても彼は聞く耳を持たない。

 

「こんな女もお前もここで死んで当然なんだよぉ!」

 

 あーあ。やっちまいやがった。燃料投下しすぎだろ。火の元にガソリンつぎ込みやがって。

 

「ったく、早く解放しておけば楽だったのにな。俺はどうなってももう知らねえぞ。美樹ちゃん大丈夫かい?」

 

「・・・は、はい」

 

 俺の言葉に犯人や周りの人物も何を言ってるのか分からないようだ。分かってるのは俺と顔を真っ青にしている美樹ちゃんだけだ。ぶちぎれたアイツってまじで怖いからな。

 

「へえ。再三忠告したにも関わらず、聞く気はないと。そう受け取って良いんだな、光明?」

 

「ひっ!? そ、そうだ、お前が全部認めたらいいだけなんだ!」

 

「そうか。とりあえず、彼女を解放してもらうぞ」

 

 彼がそう言った瞬間、ナイフが落ちる音が響いた。うわあ、足上げたとこしか見えなかったぞ。あ、蘭ちゃんも驚いて目丸くしてる。そして何か知らないけどキラキラしてきた。

 空手やってるって言ってたから、動き見えたのか? だとしたら凄えな。

 

「・・・へ?」 

 

 光明さんがそう声をあげたのには理由がある。彼が持っていたナイフが無くなっていたからだ。

 

「遅い」

 

 彼がそう言った瞬間には、光明さんとの距離を一気に詰めてボディに一発重たいのが入り彼は気絶した。うわあ・・・・この空気どうすんのよ?  

 

「かはっ・・・」

 

「やりすぎだ、バカ野郎・・・」

 

 俺のため息交じりのつぶやきが室内に響いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

「やりすぎだ、バカ野郎・・・」

 

 俺に変装した萩原さんのつぶやきが部屋に響いた。

 どうしてこうなった!? 幸ちゃんのことでカッとなった俺も悪いけど、犯人さんも悪いと思うんだ。散々忠告したのに聞かないのが一番の原因だと思います。

 

「動かないで! このポットにはガソリンが入っているわ! 計画も失敗したし、さっきつぶやいた、あの人にも捨てられて私がこの世にいる意味はもうないわ。秀臣と光明だけは巻き込んで死ぬわ」

 

「いや、ちょっと待って!?」

 

 やっぱり自殺しようとしてやがったか。

 

「そんな、幸さん!? ダメですよ!」

 

「幸さん、自分で命を絶つことを選ぶのはやめましょう」

 

「アナタたちに何が分かるの!? あの人に捨てられた私に、今でも傍にいる貴方たちに何がわかるというの!?」

 

 うわあ・・・蘭ちゃんと美樹ちゃんが説得してくれてるけど、完全に修羅場にしか見えない。勘違いが凄い勢いで加速していくよぉ! 

 

「偵光君は貴女を捨てていません! 長門会長から幸さんのことを引き取りたいと頼まれたからです。ずっと貴女のことを引き取るつもりだったんですよ、彼は。今でも貴女のことを気にかけていたんですよ!」

 

 辞めて! 凄く恥ずかしいから! 俺の話はやめてえ!

 

「嘘よ!? あの人は私のことが嫌いになって・・・・」

 

「嘘じゃないです! 偵光君言ってました。俺って嫌われてるから、変装して幸さんの学生の頃の文化祭とか学校行事に見に行ける時は行ってたんだって言ってました」

 

「お兄ちゃんが幸さんを嫌うってのは無いと思います。あの人は、身の周りにいる人達を特に大事にする人ですから、幸さんを嫌って離れたってのは絶対ありえません!」

 

 「嘘よ、そんなの信じないわ!」

 

「嘘じゃないんじゃ、日向君。ワシの我儘で偵光君にお願いしたんじゃ。ワシの初恋の人に似ていた君を引き取りたいと言ってな。

 それで、今回のワシの誕生パーティー後に、長門家から解放し君を偵光君の所へいかせようと思ったのじゃ」

 

「私は信じない!」

 

「これは・・・水?」

 

「ガソリンやないな」

 

 そう言って彼女がポットを開けようとしたので、俺はポットを蹴飛ばした。中身がこぼれたが、ガソリン抜いて水にしてるから問題ない。コナン達も気づいたようだな

 

「どうして邪魔するのよ!? 私のことを嫌ってないというならそこにいるあの人はどうして動かなかったのよ!? 私が人質になった時も助けてくれなかったじゃない!」

 

「「それは・・・」」

 

 幸ちゃんは膝をつき涙を流しながら、萩原さんを指さしながら言った。彼女に言われたことに対して、蘭ちゃんと健三さんは言葉を詰まらせた。

 

「幸さん、偵光君はさっきからずっと貴女のことを助けてましたよ」

 

「・・・え?」

 

「美樹ちゃんのいう通りだ。アンタの目の前でずっと助けてたんだよ」

 

「なんだと!?」

 

「萩原さん!?」

 

「嘘やろ!?」 

 

「「「!?」」」  

 

 そう言って萩原さんは変装をといた。

 

「ここに秀臣さんはもういませんよ。彼は私の事務所に行ってもらってそこで所員と刑事に10年前の火事の真相を話してます。それと幸ちゃん、君が死のうとしたらダメだ。ご両親に顔向けできないだろう?

 それに君には辛い思いをさせてしまったようで済まない。俺のことは恨んでも良いから、もう人を殺そうとするのはやめよう。君も死ぬ必要は無いんだ。生きていれば辛いことばかりじゃなく、楽しいことが一杯あるんだ。楽しいことが見つからないってんなら、俺が教えてやる。

 だから、君がそんなことをする必要は無いんだ。君には幸せになる権利があるんだ」

 

 俺はそう言って、変装をといた。

 

「う・・うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 彼女の涙と悲痛な叫びが部屋中に響きわたり、俺は彼女が落ち着くまで抱きしめていた。




 次回で、名家連続変死事件編は完結です。幸さんは好きなキャラなので私は後悔していない!
 
 次は哀ちゃん出します!

 感想&評価待ってます!


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21話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 このお話も早くもに20話目になります。
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!

 今回は、名家連続変死事件編の完結と、哀ちゃん登場回です。

 アンケートを行っていますので投票お願いします!
 詳細は活動報告に書いていますのでよろしくお願いします!


<偵光side>

 

幸ちゃんがようやく落ち着いて、会長の部屋に、探偵陣が集まっており説明を要求された。光明さんは、警察呼んで引き取ってもらった。俺達や幸ちゃんは後で警察に顔を出すことになっている。幸ちゃんは計画を立てたが、

実際には何も行っていないので注意だけですみそうだ。俺の方は間違いなく説教コースだな・・・

 

「んで、そろそろ教えてもらえへんか? アンタが何知ってたんかをのう?」

 

「偵光君、全部話してくれるよな?」

 

「白銀さん、僕も知りたーい」

 

「お兄ちゃん、教えてくれるよね?」

 

「白銀君、ワシからも頼む」

 

「偵光さん、どうして秀臣さんに変装してたんですか? 私も知りたいです・・・」

 

「あーもう、ちゃんと説明するので皆さん落ち着いてください! 今回の件ですが・・・・」

 

 俺は自殺しようとしていた秀臣さんを止めてから、さっきまでのことを全部説明した。

 

「・・・という訳です。秀臣さんが狙われるのは予測できたので、今までの経験でどうにでもできるなと思い変装してました」

 

「あの変装術ってどこでなろうたんや?」

 

「知り合いに少し習ったんだよ。俺の変装術はその人の足元には及ばないし、使う機会が無いと思ってたんだが、まさかこういう形で使うことになるとは思わなかったよ。正直、同じことをもう一度やれって言われても、できるかどうか分からん」

 

「なるほどのう。そっちの兄ちゃんは?」

 

「俺も所長にしてもらったんだよ。変装に関してはさっぱりだ。所長もああ言ってたし、変装する機会ももう必要ないだろう」

 

「そ、そうなんか」

 

「ねえ、お兄ちゃん気になったんだけど幸さんとはどういう関係なの? 知り合いなのは分かったんだけど、何かキッカケがあったのかなぁって」

 

「それは・・・・」

 

「両親が亡くなった火事の時に、近くを通りかかった偵光さんが私を火の中から助け出してくれたんです。身よりがなくて、孤独だった私の面倒を見てくれて、凄く助けられたんです」

 

「そうなんですね! 凄いね、お兄ちゃんって!」

 

「結局、幸ちゃんを悲しませたことには変わらないけどな」

 

「もう良いんです・・・また助けてくれましたから。私こそ、ちゃんと事情があったのに偵光さんにあんなに酷いことを言ってごめんなさい」

 

「大丈夫だよ、幸ちゃん。すみません、道三さん」

 

「いいんじゃよ。賑やかで良いことじゃし、君が好かれておるのがよく分かった。さてと日向君、君はどうしたい?」

 

「私は・・・偵光さんの所に行けるのでしたら行きたいです。今までお世話になった長門会長には申し訳ないですが・・・」

 

「良いんじゃよ。偵光君の隣で笑う君の表情は、家にいる時には見なかったものじゃ。それにワシの我儘のせいで君に悲しい思いをさせてしまい追い詰めてしまった。本当に申し訳なかった」

 

「会長! 頭を上げてください!」

 

「偵光君、幸ちゃんのことをよろしく頼む」

 

「もちろんですよ。彼女と約束してましたからね。もう一回約束破ると怒られます」

 

「偵光さん・・・」

 

「ということで、幸ちゃんにはウチで働いてもらうからよろしくね。歳の近い人達が多いし、良い人ばかりだからすぐに仲良くなれるはずだ」

 

「はい! よろしくお願いします!」

 

「ほっほっほ。話もまとまったようじゃし、今回の件は長門家の良い教訓になった。息子たちが起こした事件については家族みんなで取り組み償っていくつもりじゃ。

 それとワシの初恋の人も誰か分かったしの。偵光君、毛利さん、服部君、ありがとうございました」

 

「初恋の人が誰か分かったんですか、会長!?」

 

「そうや、誰なんや!?」

 

「ああ、やっぱり。道三さんの行動で予想はついてました」

 

「白銀は誰か分かってたのか?」

 

「偵光君、分かってたの?」

 

「誰なんや!?」

 

「幸ちゃんのお母さんだよ」

 

「え? 私のお母さん?」

 

「うん、そう。幸ちゃんが、道三さんの初恋の人に似てるって言っていたのと、幸ちゃんが持ってる万年筆を見てた時の道三さんの態度が気になったんだよ。それを見た時凝視してたしな」

 

「流石じゃのう、偵光君。そうじゃ、日向君のご両親の形見として持っている万年筆は、ワシが小学生の頃に、転校してしまう君のお母さんにあげたものなんじゃ」

 

「そうだったんですね・・・」

 

「ワシが言えた義理ではないが、君はお母さんの分までも長生きして幸せになるべきじゃ」

 

「・・・はい!」

 

「道三さん、今度は、他の仲間も連れて来ますので美味しい料理とお酒を楽しみにしてますね」

 

「そりゃあ、気合入れて準備しておかないといけんのう!」

 

「これで心配ないだろ、幸ちゃん?」

 

「・・・はい!」

 

 こうして、幸ちゃんの事件は未然に防ぐことができ、彼女の心からの笑顔を見て、俺は安心するのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<日向幸side>

 

 私が偵光さんの所へ来て一ヶ月がたった。私は偵光さんの会社に就職し彼の秘書をしている。会社側のスケジュール調整は私がやり、探偵事務所側のスケジュール管理は美樹さんが行っている。そうやって、分担しなければいけないほど、彼のスケジュールはハードだ。

 みんな優秀でなんとか会社をまわしている状況だ。近いうちに人材募集をかけるみたいだ。彼は現状をよく理解して行動するし、自分で抱え込むことが多いので、私達がしっかり管理しないと彼は働きすぎてしまうので注意している。

 ホントに、偵光さんは昔から自分のことより人のことを優先するんだから・・・

 ここに来て、驚いたことがもう一つある。彼を好いている女性が多いということだ。私を含め九人はいることが分かった。彼が意図的にやってるならみんな文句も言えるのだが、無自覚で行動した結果そうなってるのがたちが悪い。自分から女の子にナンパしたりなど言いよっていくことが無いのだ。彼に助けられて、その人柄に惹かれた人ばかりなのだ。

 

「ホント、質が悪いですね」

 

「急にどうしたんですか、幸さん?」

 

「いえ、偵光さんの無自覚な行動はどうにかならないかと思いまして」

 

「先生のあれは、しょうがないですよ。私達の好意に気づいてるんでしょうけど、困った人は放っておけないから助けちゃうって感じの人なんですよ。でもしっかり私達のことは大事にしてくれてるのが分かるから余計に困るんですよね」

 

 私は会社の寮で、夏美さんと出くわしお互い休みということでカフェにお茶を飲みに来て話していた。

 

「そういえばお聞きしたいのですが、夏美さんは偵光さんのことをどうして先生と呼んでいるんですか?」

 

「私のお菓子作りの先生なんですよ。先生のお菓子を食べてからファンになっちゃって、弟子入りしたんです。

 先生のおかげで店も出せたし、色んなことで助けてもらったので感謝しています」

 

「そうなんですね。夏美さんは偵光さんのことが好きなのですか? その・・・異性としてです」

 

「はい、好きですよ♪ 幸さんも同じですよね?」

 

「・・・はい。私を助けてくれて、隣で夢を応援し続けてくれたあの人を愛しています」

 

「私も同じです♪ 先生って凄くモテるんで大変なんですよ。強力なライバルが多いので大変です」

 

「そうですね・・・皆さんお綺麗な方ばかりで自信ないです」

 

「私もそうですよ。けど絶対に負けたくないって気持ちだけは持って頑張ってます。私以外の皆さんもたぶん同じ気持ちだと思います。幸さんはどうなんですか?」

 

「私は・・・負けたくないです。あの人を思う気持ちは、誰にも負けないつもりです」

 

「ならそれで良いじゃないですか。その気持ちだけで充分だと私は思います。皆さん、先生を巡るライバルなんですけど、それと同時に仲良くやっていけたら良いなと私は思っているんです。皆さん良い人ばかりですから。

 もちろん、幸さんとも仲良くなりたいと思ってます」

 

「そうですね・・・・私もそう思います。改めてよろしくお願いします、夏美さん」

 

「こちらこそ仲良くしてくださいね、幸さん。そういえば、今日、先生は探偵事務所でしたっけ?」

 

「はい。コナン君と会う予定があると言ってました。お休みも当分取れそうに無かったので、明日から連休を取ってもらうようにしています」

 

「先生、コナン君と仲が良いですからね。そんなにお忙しくなるんですか?」

 

「そうですね。会社側のスケジュールでは、杯戸ホテルでの映画監督の追悼式に参加、ヨーコさんからアースレディースのパーティへの招待、建築家森谷帝二様からパーティーの招待がありましてスケジュールがだいぶ立て込んでます。探偵側の方の仕事は美樹さんにお願いして、その間は

他の方に仕事をまわすようにしてもらってます」

 

「凄く忙しそうですね、先生」

 

「はい。本人に無理なようなら断ってくださいって言ったんですが、忙しかった時に比べて全然平気だから気にするなと言われまして。私も偵光さんには無茶して欲しくないので、私も充分注意しています」

 

「それなら大丈夫そうですね。私も先生が無茶しないように注意しておきますね」

 

「ありがとうございます」

 

 私達は会話をしながら、二人で休日を満喫した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

俺は今、事務所の応接室でコナンの相手をしていた。コナンの横には赤みがかかった茶髪の女の子がいる。この子って・・・美樹ちゃんも彼女を見て驚いてたし、間違いないよなぁ。

 

「それで、今日はどんな用で来たんだコナン? 話があるってことだったが」

 

「この間、転校してきた僕の友達を紹介したくて来たんだよ」

 

「なるほどな。この探偵事務所で所長をしている白銀偵光だ。よろしくな」

 

「・・・灰原哀よ。よろしく」

 

「よろしく、哀ちゃん。俺のことは好きなように呼んでくれ」

 

「ええ、分かったわ」

 

「それで、コナン。用事はそれだけじゃないんだろ?」

 

「ははは。やっぱり、白銀さんには分かるよね」

 

「態度でバレバレだ、バカ。それで他の要件はなんだ?」

 

「うん、白銀さんには灰原を守るのに協力して欲しいんだ」

 

「ちょっと、何言ってるの!?」

 

「俺に直接頼みに来るってことは・・・組織関係か? 哀ちゃんの顔見てだいたい予想がついてたが。志保ちゃんだろ、君?」

 

「つっ!?」

 

「その反応からしてビンゴだな。コナンと同じ薬飲んで体が縮んだってところか?」

 

「凄いね、白銀さん。どうして分かったの?」

 

「彼女の顔見て、志保ちゃんそっくりだったからな。志保ちゃんにはお姉さんしかいないし、娘さんがいるって聞いたことも無かったからな」

 

「・・・どうして・・・どうしてお姉ちゃんを助けてくれなかったの!? 貴方なら助けられたでしょ!? それにお姉ちゃんは貴方のことが・・・・どうして助けてくれなかったのよ!」

 

「おい、灰原!」

 

 哀ちゃんは泣いて、俺を責めてきた。美樹ちゃんも辛いだろうし、やっぱり話すべきだな。

 コナンの奴にも、明美ちゃんのことを話しておくか。コナンに協力してもらった方が、俺も動きやすくなるし、死ぬ確率も減るだろうからな。

 

「大丈夫だ、コナン。美樹ちゃん! そこで聞いてるんだろう? 入ってきてもらえるかい?」

 

「失礼します」

 

「灰原さん!?」

 

「・・・え?」

 

「美樹ちゃんが話したいなら話しても大丈夫だよ。俺からは何も言わないし、君が選択したことなら受け入れるよ」

 

「良いんですか?」

 

「もちろん」

 

「ありがとうございます」

 

「コナン、哀ちゃん。これから見て聞いたことは、俺と野山さん夫妻、山川さん、萩原さん、松田さんしか知らないことだからそれ以外の人には絶対に話さないように他言無用で頼むぜ」

 

「「・・え?」」

 

「こっちの姿で貴方達と会うのは、久しぶりね。志保、コナン君」

 

 そう言って彼女は変装をとき、素顔をさらした。

 

「おいおい、嘘だろ!?」

 

「嘘・・・お姉ちゃん?」

 

「そうよ、私は宮野明美よ。偵光君に助けてもらったの。組織で私は既に死んだ者となっているはずよね?」

 

「・・・え、ええ。本当にお姉ちゃんなの?」

 

「ええ、そうよ。志保」

 

「お姉ちゃん!」

 

「寂しい思いさせてごめんなさいね、志保」

 

「う、ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 明美ちゃんと志保ちゃんはお互いに抱き合い泣いていた。彼女たちが落ち着くまで俺とコナンは見守り続けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・・・という訳だ」

 

「相変わらずとんでもねえ人だな。それと、前から聞きたかったんだけど、白銀さんって変装得意だよね?」

 

「どうしてそう思うんだ?」

 

「白銀さんが変装できないと誰が彼女を変装させたのか?ってなるからね。白銀さんの部下がここまでの技術を持っていた場合も考えれるかなと思ったんだけど、例の組織の一員だった宮野さんを匿うということは、部下の人達から聞いた話を踏まえて、おそらく貴方しか知らないはずだ。

 正直に言うと、確信できる理由がある。俺の知り合いに連絡して聞いたんだよ。変装術習った時に、貴方もいたってね。貴方の才能は師匠に負けず劣らずだったそうですね」

 

「有紀子さんか・・・やれやれ、コナンには隠し事はできないな」

 

「やっぱりそうでしたか。

 白銀さん、この間は貴方を責めてしまってごめんなさい。俺も余裕が無くて貴方に当たってしまい、すみません」

 

「別に気にしてないから、良いさ。それに俺も騙していてすまない」

 

「お互いさまでしょう。それで灰原の奴のことはどうするつもりなんです?」

 

「阿笠博士の所にいるのが安全だろう。何かあったらコナンがすぐ駆けつけるつもりなんだろう?」

 

「ああ。貴方もそのつもりなんだろう?」

 

「もちろん。頼んだぞ。何かあったらすぐ連絡してくれ。それで組織のことは追うつもりなのか?」

 

「ああ。絶対にアイツらを引きずり出してやる」

 

「追うのは良いが、引き際を間違えるなよ。アイツらは容赦が無いから、身近な者まで危険に曝すぞ?」

 

「分かってるさ。それは白銀さんにも言えるんじゃない?」

 

「確かにな。ただ、こっちに手出してきた時は容赦なく潰す。ただそれだけだ。今までもそうだったからな」

 

「組織より白銀さんの方が怖えよ」

 

「そんなに怖くないとは思うんだが・・・」

 

「あら、二人で盛り上がって随分楽しそうね」

 

「本当ね」

 

「話はもう済んだのかい?」

 

「ええ、さっきはごめんなさい。貴方のことを責めてしまって・・・」

 

 俺は哀ちゃんの頭をポンポンと撫でると、哀ちゃんの顔が少し紅くなった。

 

「気にするな」

 

「・・・・・・・・」

 

「志保ったら、照れてかわいいわね」

 

「お姉ちゃん!」

 

「・・・ははは」

 

「それで、哀ちゃんは今後どうするつもりなんだ?」

 

「お姉ちゃんとも話したんだけど、博士の所で引き続き暮らすことにするわ」

 

「その方が安全だろうな」

 

「ええ。貴方にお願いがあるの。今後もお姉ちゃんのことをちゃんと守ってあげて」

 

「当然だ。もちろん志保ちゃんも守るつもりだけどな。明美ちゃんとも約束したしな!」

 

「・・・バカ」

 

「偵光さん、それは反則すぎます」

 

「この人は・・・」

 

「・・・?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 コナンと哀ちゃんが帰り、俺は自分のデスクで枡山憲三からの手紙を見ていた。近くでは、山川さんと美樹ちゃんが事務仕事をしている。

 

「映画監督追悼式の後で、個人的に会いたいか・・・」

 

「どうするんだ?」

 

「十中八九、罠だよなあ。ピスコだっけ?」

 

「ああ。ピスコだ。組織の中でも地位が高い」

 

「美樹ちゃんは会ったことあるの?」

 

「お父さん、お母さんと仲が良かったってのは聞きました。小さい頃の私や志保に会ったことがあるそうです」

 

「なるほどね。野山さん達から聞いた情報通りだな。大手自動車メーカーの会長の裏の顔が、黒の組織の幹部とはね」

 

「それで行くのはあまりお勧めできないんだが」

 

「私も山川さんと同じ意見です」

 

 そうだな。俺もそう思うわ。行くと死亡する確率はねあがりそうだもん。ただ、参加者にアイツがいるって本人から聞いてしまったんだよな。

 

「そうなんだが、参加しなかったらこちらに何か仕掛けてきそうだな。それに参加者の中にクリスがいる。おそらくベルモットとして呼びつけて何かするつもりか、彼女の独断専行を俺を使って足止めするために呼んだってとこだろうな。

 とんだ、狸じじいじゃねえか」

 

「その可能性はありそうだな。だが、今回スーツは使えないぞ? 組織との闘いが始まったら、生身でいかないといけないが・・・さらに改造した防弾チョッキ付けたお前なら大丈夫そうだな。たいていのことでも死にそうにないし」

 

「そういう問題ですか、山川さん!? 偵光君が危ない目にあうのは反対です・・・」

 

「そうだな。美樹ちゃんの心配も分かるけど、攻められっぱなしはしょうにあわないからな。こっちからも、たまには攻めよう」

 

「その考えには同感だな。組織に好き勝手やられすぎるのも我慢ならないしな」

 

「でも・・・・」

 

「心配しなくても大丈夫。みんなの所には、絶対帰ってくるから。

 美樹ちゃんにも協力して欲しいんだ」

 

「・・・分かりました」

 

「それで今回の作戦なんだが・・・・」

 

 俺は、枡山会長への対策を二人に伝えた後、野山夫妻、萩原さん、松田さんに伝え、準備を行い、映画監督追悼式に備えた。 




 次回は、ようやくあの事件になります。
 たくさんの評価、感想、お気に入り登録ありがとうございます!


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黒の組織との再会編&アイドル達の秘密編
22話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!




<コナンside>

 

盗聴器を仕掛けジン達の殺人計画を知った、俺と灰原は杯戸シティホテルで行われる映画監督追悼式に潜り込んだ瞬間、知り合いに捕まって

部屋の外に連れ出された。周囲に人は少ない所を瞬時に選ぶ所は流石だな、白銀さん。

 

「おい、ここで何してんだ? お前ら?」

 

「え、白銀さん!? どうしてここに?」

 

「どうしてここにいるの!? 貴方はこんな所にいてはいけないわ!」

 

「静かに。少し落ち着こうぜ、哀ちゃん。俺がここにいる理由だったよな。招待されてたんだよ、追悼式に参加してくれってな。それで来たわけだ」

 

「・・・早くここから立ち去りなさい」

 

「おい、灰原!?」

 

「どうして?」

 

「どうしてって貴方ね! ここにはもうすぐ彼らが・・・」

 

「哀ちゃんが焦ってるってことは例の人達関係か、コナン?」

 

「ああ。ジン達が動き出した・・・」

 

「ちょっと江戸川君!?」

 

「なるほどね。ジン達も来ちゃったか・・・面倒くさいことにしかなりそうにないな。ったく、こんなプレゼントはいらないっての」

 

「ジン達も来ちゃったかってどういうこと、白銀さん?」

 

「おお、流石に気づくか。今回俺がここに来たのは、組織の幹部もこの会に参加するだろうと当たりつけて来たんだよ。おそらく、出席者の中の誰かを殺害って予想をしている」

 

「凄いね、白銀さん。僕達もその殺害計画を聞いたからここに来たんだ」

 

「おい、どうやって知った?」

 

「彼の車に盗聴器を仕掛けてよ」

 

「おい、灰原!?」

 

「それって大丈夫なのか?」

 

「アイツらに気づかれて追跡は断念したよ。俺達が仕掛けたってのはバレないように細工してあるよ」

 

「哀ちゃんは奴らの車に近づいたかい?」

 

「・・・どういうこと?」

 

「灰原なら俺を追って一緒にきたけど・・・まさか!?」

 

 やばい! 灰原がいた痕跡が気づかれでもしたら不味いことになる・・・しかし、髪の毛だけで気づかれる可能性は低いはずだ。灰原の幼少の姿を知る者でなければ大丈夫なはずだ。

 

「彼女の痕跡が車内に落ちて気づいたとしたら、ジンは志保ちゃんがいるかもしれないと予測する可能性が高い。それに今回の作戦が誰が計画して動いているかが問題だ」

 

「そんなっ!? わっ!」

 

「これ被っとけ、哀ちゃん。俺の帽子で悪いけどな。それで少しは顔を隠せるはずだ」

 

「・・・ありがとう」

 

 白銀さんはそう言って、バッグから帽子を取り出し灰原に被せた。確かに帽子があるだけでも違うな。白銀さんにイチかバチかで確認だけしてみるか。どうせ教えてだろうが。

 

「ピスコか・・・どういう人なのか知ってるんだよね?」

 

「知らないって言っても信じてくれそうにはないな・・・」

 

「どうして・・・貴方がそこまで首を突っ込んでいるの!? 貴方はこっち側にきてはいけない人じゃない!」

 

「灰原・・・・」

 

「俺のことを心配してくれてありがとう、哀ちゃん。でもな、俺のある目的の為には、アイツらから逃げる訳にはいかないんだよ」

 

「そのある目的って何なのよ!? 貴方の命が狙われることよりも大事なことなの!?」

 

「ああ・・・命が狙われそうになったとしても、その目的だけは守りたいんだよ。もちろん、その目的の為に、死ぬ気なんてさらさらないけどな」

 

「そうなのね・・・なら、私とも約束しなさい。何があっても絶対に死なないで。お姉ちゃんが悲しむから・・・」

 

「ありゃ? 哀ちゃんは悲しんでくれないのかい?」

 

「私は別に・・・・・今、私のことは関係ないでしょ! ふざけるのもいい加減にして!」

 

「ごめんな。それでコナン、ピスコに関しては言えないが頼みがある。哀ちゃんのこと守ってやってくれ。俺も目を離さないようにしておくが・・・」

 

 白銀さんが俺にこう頼むってことは、自由に動けないって可能性が高いな。ピスコについても何か知ってそうだし、何か手を打たれた可能性もあるな。

 

「だいたいお前が考えてる通りだ。俺の会場内の知り合いがいることによって動きがだいぶ制限されるんだよ。会場内にいると、見られ続けて息が詰まってやれなかったんだよ。ちょうど良いタイミングでコナン達が来たから

助かったよ。おそらく、その人物もピスコが呼んだんだろうが、余計なことをしてくれるよ。ちなみにその人物についても聞かないでくれよって言っても会場内で俺に話かけてくるのは、アイツぐらいしかいないしすぐバレるとは思うが、

そいつが近くにいるから、俺との接触は避けてくれ」

 

「分かったよ、今は何も聞かないでおくよ・・・」

 

「ありがとな。俺も哀ちゃんに危険が及ぶ時は、無茶して貴方にそうでも動くつもりだから安心してくれ。っと、そろそろ中に戻ろうか。俺は先に行くわ、それじゃあな、コナン、哀ちゃん」

 

「分かったよ」

 

「え、ええ」

 

 灰原はまだ納得していないようだったが何も言わず、会場内に一緒に入った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

<ベルモットside>

 

 私はピスコからの要請で、映画監督の追悼式に参加していた。周囲を観察していると、先ほどトイレに行ってくると出て行った人物が室内に戻って来たので、すぐに彼の元に行った。

 すると、彼は私の手を取り、出入り口から離れた位置に移動した。

 

「あら、随分と積極的じゃない。それにしても長かったわね? 一人で心細かったわよ」

 

「出入り口で話していたら邪魔になるだろうが。ちょっと休憩してたんだよ。どいつもこいつも仕事関係の話しかしてこないからな・・・あんだけ話かけられたら流石に疲れる。お前のおかげで助かったよ。

 この会場に来ているとは思わなかったが・・・・」

 

 そうなのだ。偵光を会場内で発見し色々な人から絡まれていたので、私が話しかけ助け出したという訳だ。私が彼の隣にいることにより、寄ってくる人は減った。

 まあ、私が雰囲気で他の人を極力近づけないようにしているってのが大きいでしょうけど。 

 

「私も貴方が来ているとは思わなかったわよ。それで休憩していた時に偵光と話していたのは、あそこで此方を見ている子供達かしら?」

 

 少年と眼鏡で帽子をかぶった少女が私達が話している様子を見ていた。

 

「どうしてそう思うんだよ。外人であるお前に興味があるパターンもあるじゃねえかよ。ただでさえ、お前って綺麗で美人だしな」

 

「ふふふ。そう言われると嬉しいわね。でも残念、あの子達の視線で誰を見ているのかが分かるのよ。あの女の子は特に貴方の方を見ているわ」

 

「女優って怖いな・・・ん? あの人は、政治家の・・・どうしてあんなに緊張してるんだ?」

 

 彼の目線の先にはピスコから聞いていたターゲットがいた。不味いわね・・・彼の注意を逸らさないと、ピスコが動けないわ。

 

「あら気のせいじゃないかしら? 私にはそうは思えないけど」

 

「いや・・・・気のせいだったみたいだ」

 

 ふう、どうやら彼の注意は無くなったみたいね。彼を何とかこの会場から遠ざけたいのだけど、ピスコもいるし好きに動けないわね。私が側で目を離さないようにしておくのが一番ね。

 どうしてこのタイミングで話しかけてくるのよ・・・ピスコ

 

「おや、これはこれは。白銀君も来ていたんじゃの。そちらはあの有名な女優のクリス・ヴィンヤードさんだね。二人は仲良さそうに見えるし、もしかして白銀君の恋人かのう?」

 

「これはどうも、枡山さん。クリスは、私の会社の事務所に所属していて歳も近いので仲が良いだけですよ。恋人とそんな関係では・・・いっっ!」

 

 ふふふ。そこまで否定しなくても良いんじゃないのかしらね。

 

「おや、どうしたんじゃ?」

 

「いえいえ。別に何でもありません。クリスの通訳とボディガードも兼ねてるので二人で行動している訳です」

 

「ほっほっほ。そうじゃったか。年寄りになると色々と詮索したくなるからいけんのう。すまんかった。それじゃあ、二人の邪魔をして悪いし、またのう」

 

 ピスコは一瞬こちらを見た。おかしなことをするなよって感じね・・・彼に危険が及ばない限りはするつもりはないわよ。

 

「あっ、そうそう。枡山さん、ピスコの美味しいお酒が入ったので今度持っていきますね。確かピスコ好きでしたよね?」

 

 私は彼があっさりと放った言葉に驚いて反応してしまった。ピスコも反応したみたいで、その一瞬の動揺を彼は見ていた。

 

「おお、そうか。それは楽しみじゃのう。じゃが、どうしてワシがピスコを好きだと分かったんじゃ?」

 

「枡山さんが飲みの席で、いつもピスコ飲んでたから好きなのかなって思ったんですよ。当てずっぽうだったので、正解してて良かったです」

 

「恐ろしい人じゃのう、白銀君は。君の目はいったい何を見据えておるんじゃ?」

 

「いえいえ、私よりも恐ろしい人物はたくさんいますよ。枡山さん、欲をかいてその恐ろしい人物達に足元を掬われないように気をつけてくださいね」

 

「・・・ワシは白銀君が一番恐ろしいよ。そろそろ会も始まるじゃろうから失礼するの、白銀君、クリスさん」

 

「それでは、また」

 

 そう言って、ピスコは去っていった。偵光はどこまで知っているの? もしかして私のことも掴んでいるの・・・? あの言いぶりは、ピスコについて知っているはずよ。ということは私のことも・・・

 そう考えていると、頭を軽く叩かれた。

 

「・・・痛いわ」

 

「お前が泣きそうな顔してるからだろうが。だから放っておけないんだよ」

 

「・・そうね。貴方はいつも私に優しくしてくれるわね。どうしてなの・・・?」

 

「はあ? そんなもん、俺の家族だからに決まってるじゃねえか。20年近く暮らしてきたんだ。死に別れるとかそうでもない限り、離れてくこととかねえよ」

 

「ふふ、そうね。出会った時約束してくれたものね。そろそろ会が始まるから集中しましょう」

 

 彼はおそらく私の正体を知っているはずだ。それでも私から離れることは無いと言ってくれている。本当に優しい人なんだから。いずれ、私の気持ちが整理できたら、彼に私の正体について話そう。

 それまで、待っていなさい、私のプリンス。

 私は彼の優しさを感じて嬉しくなりながら、会の始まりを待った。

 会が始まり、監督の秘蔵フィルムのスライドショーが始まった。ピスコの仕事が始まるわね。ここまで協力したんだからヘマをしないでちょうだいよ。

 カメラのフラッシュがたかれた後に銃声が二発聞こえた。

 二発・・・? ターゲットを殺すだけなら一発で十分なはずよ。どういうことかしら?

 その直後、隣にいる彼の声が聞こえた。

 

「・・・!? 危ない、クリス!」

 

 彼の方を見てみると私に向かって飛び込んできていて、衝撃が来た後、会場にはガラスの割れるような音が響き渡った。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

 俺は、上からシャンデリアが降ってくる前にクリスにむかって飛び込み、シャンデリアの落下地点から離れた。危ねえ、俺とクリスの真上のシャンデリアの鎖に蛍光塗料付いてるの気づかなかったら死んでたぞ。

 

「おい! 大丈夫かクリス!?」

 

「ええ、私は大丈夫よ。それよりも何が・・・?」

 

 クリスがそう言った瞬間、室内の照明が点灯した。

 

「きゃああああああああああああああああああ!」

 

 ちっ、とうとうやりやがったかあの狸爺。

 

 みんながそちらに注目してる間に、俺はクリスの状態を確かめた。

 ・・・怪我が無くて良かった。

 

「大丈夫か、クリス?」

 

「さっきの悲鳴は何なの? これは、血・・? 偵光! ちょっと大丈夫なの!? 血が出てるじゃない!」

 

「俺の血で服汚してしまって悪いな。シャンデリアの破片ってあんなに飛ぶんだな」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!? 早く手当を」

 

「小さい傷だから心配するな。止血すれば大丈夫だ。そこまで大きな怪我をしなくてラッキーだったよ」

 

「そういう問題じゃないでしょ!?」

 

「だから落ち着けって。俺は大丈夫だから。お互いシャンデリアの下敷きにならなかっただけでもマシだろ?」

 

「・・・そう。落ちてきたシャンデリアから私を庇った為に怪我したのね・・・」

 

 クリスの奴、マジギレモードじゃねえか。ホント、あの狸爺余計なことしかしないな。

 

「怪我で済んだだけでもマシだろ。あっちに比べればな」

 

「・・・そうね」

 

 俺達が見た先には、シャンデリアの下敷きになっていた議員がいた。そのすぐ後に現場にいた目暮警部が俺達を見つけて駆け寄ってきた。

 

「大丈夫か、白銀君!? 二人とも怪我しておるのか!?」

 

「どうも、目暮警部。すみませんが、誰かにクリスを病院に連れて行ってもらえますかね?」

 

「君もケガをしておるではないか! 君も一緒に病院に行くんだ!」

 

「シャンデリアの破片で擦った程度ですから。応急処置道具持ってきているので、それで止血すれば大丈夫ですよ」

 

「そういう問題じゃないだろう!? 病院に行って手当してもらうんだ!」

 

「病院に行くのは勘弁してもらえませんかね? クリスの奴を狙ったやつを引きずりだしたいんですけど・・・」

 

「ダメよ。病院行って手当してもらってから戻ってきましょう。近くに病院があったはずだから一時間以内には戻ってこれるはずよ。どのみち事情聴取もあるでしょう? だから行くわよ。

 警部さんすぐに戻ってきます」

 

「あ、ああ。分かったよ」

 

「あっ、ちょっと!? おい!」

 

 俺はクリスに病院に連れていかれ、手当を受けて現場へと戻るのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 手当を受けて現場に戻ってきて、警察の事情聴取を受けた後、事件の捜査を開始した。

 クリスが病院の先生に診てもらっている間に、萩原さん達に連絡して状況を確認したら作戦は順調に進んでるみたいだ。

 残る問題は・・・

 

「それで、俺から離れるつもりは・・・」

 

「無いわよ。貴方の側にいるわ。どうせ事件を追うつもりなんでしょう? 私もこの事件の犯人には用があるのよ。私の大事なものに手を出したのを身にしみてもらうつもりなの」

 

「怖えよ・・・」

 

「それだけ私は怒っているのよ」

 

「そうですかい」

 

「貴方は怒っていないの?」

 

「そりゃあ、怒ってるよ。クリスが死にかけたんだからな。絶対に犯人を引きずり出してやる」

 

「ありがとう、偵光。それで、証拠については何か分かったの? 警察に何か聞いてたみたいだけど」

 

「まあな。鎖のカケラと式典でもらった紫のハンカチが落ちてたって聞いたんだよ。おそらく、拳銃かなんかをハンカチで覆って、蛍光塗料を付けたシャンデリアの鎖を撃ったってとこだろうな。

 俺とクリスの真上のシャンデリアの鎖にも蛍光塗料付いてたの見えたしな」

 

「なるほどね。それでこんなトリックを実行した犯人に心当たりは?」

 

「お前だって既に分かってるだろうが・・・・。枡山会長だよ。紫のハンカチを持っている人物で、

 

「爺さんというと彼ね・・・・。まさか、マスコミに写真を撮られているとはね・・・それでどうするの? 警察に話すの?」

 

「それもありなんだが、さっきからその人が見あたらねえんだよ。俺達を狙った理由も聞きたいから、直接問い詰めたいんだがって何だこの人の勢いは・・・っと」

 

「きゃっ!」

 

「あ、すみません・・・って哀ちゃん?」

 

「あなたは・・・白銀さん?」

 

「コナンとははぐれたのか?」

 

「え、ええ。そちらは・・・?」

 

「俺の会社の事務所にいるクリスだ。確か初対面だったよな? ってクリス、どうした?」

 

「・・・・・・・え、ええ。初めまして、クリスヴィンヤードよ」

 

 やっぱり、ここで顔を合わせるのはまずかったか? 哀ちゃんの顔見て驚いてやがるし、バレたか?

 バレたとしたら対処しなければいけないが、俺が哀ちゃんに付きっきりでいれば変なことしないだろう・・・って見つけた!

 

「っ!?」

 

「灰原哀よ。それで彼を見なかったかしら? きゃっ! 急にどうしたの?」

 

「俺の傍から離れるなよ、哀ちゃん。クリス、見つけたぞ」

 

「ええ。どうやら、この子が狙いみたいね。こっちに気づいた瞬間逃げ出したわね。先に行ってるわね!」

 

「あっ、おい待てって! ああ、もう! 哀ちゃん、悪いんだけど、クリスの後追うから君は早く安全な所に・・・」

 

「ダメよ! 貴方は絶対に行ったらダメ!」

 

「哀ちゃん?」

 

「早くここから逃げるのよ!」

 

「しかしなぁ、クリスのことも心配だし、逃げるってのはな。何かそこまでして行かせたくない理由でもあるのかい?」

 

「それは・・・・・」

 

「流石に意地悪だったかな。哀ちゃんが俺の事を心配してくれてることも分かってる。だけどな、クリスのことは放っておけないんだよ。俺の面倒見てくれた家族だしな」

 

「家族・・・・・・・分かったわ。私も付いていくわ。ただし、危なくなったらすぐに逃げること? 良いわね? 約束しなさい!」

 

「了解。ありがとね、哀ちゃん。逃げることに関しては任せろ! それじゃあ、はぐれないように手繋いで行くか」

 

「ちょっと!? 子供扱いしないでって聞いてるの!?」

 

「良いから、良いから」

 

 俺は哀ちゃんと共にクリスの後を追った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 




 皆さん、アンケートに投票ありがとうございます!
 ベルモットの票数が凄いことになってますねΣ(・□・;)
 明日も一話投稿する予定なので待っていてください。


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23話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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 これからもこの作品をよろしくお願いします!



<ベルモットside>

 

 私はピスコの後を追い、彼が逃げ込んだ部屋で対峙した。ジン達はもう来ていると連絡あったし、彼のことだからもう既に待機してるはず。後は、どうやってピスコをジン達の所へ連れて行くかよね・・・

ボスにも確認取ったし、彼の処刑はもう決まっている。偵光が来るまでに時間が無いわね・・・・・

 

「おやおや、ベルモットじゃないか。わざわざこんな所まで出迎えてくれたのかね?」

 

「出迎え? 笑わせないでちょうだい。私達に手を出した報いを受けてもらう為に来たのよ」

 

「ほう・・・白銀偵光、彼のことを言っているのかな? 彼を始末できれば万々歳だったのだが、予想以上に運が良いらしい。全く、恐ろしい男だよ」

 

 ピスコの言葉に私は腹がたち、拳銃を取り出し彼に向けた。

 

「おや、良いのかい? 私を殺せば愛する彼といることができなくなるぞ? 殺しはしないと決めたんじゃなかったのか?」

 

「くっ・・・」

 

「あのベルモットが男一人の存在だけで随分と甘くなったものだ。彼はそこまでの存在なのかい?」

 

「シルバーブレット・・・いいえ、マイヒーローよ」

 

「銀の弾丸に英雄か・・・なるほど。面白い例えをする。ますます彼に興味が出てきたが、彼は危険過ぎるので消えてもらおう。この会場で見つけた彼女と一緒にな」

 

「彼女ですって・・・?」

 

「おや、君も気づいているのではないかい? 組織から脱走した彼女のことだよ。どうやってあの姿になったは知らないがな」

 

「・・・シェリーね」

 

「そうだ。どういう縁か知らないが、彼女は君がご執心の彼の傍にいる。実に面白い。私のターゲットが二人も揃っているんだからな」

 

「彼だけは絶対に殺させないわ」

 

「彼の近くにいるシェリーは良いのかい? 彼が護ると決めた人物の中に入っているかもしれないのではないか?」

 

「シェリーは組織を裏切った。それに、彼女には私の個人的な因縁もあるから好きにしなさい。それで殺せなかったら、私が殺すわ。たとえ、偵光にその件で嫌われようともこれだけは絶対よ」

 

「ますます面白い。殺しをしていなかった君が、愛する者に嫌われてしまおうとシェリーだけは殺すというのか。君の因縁とやらが気になるし、君にシェリーを殺させて彼がどんな顔をするか見てみるのも良いな」

 

「・・・・相変わらず、趣味が悪いわね」

 

「あの男に執着する君程ではないがね。彼は恐ろしい男だ。あのお方が彼の動向を気にしているし、ラムも興味を持っている。組織に引き込めないかと画策しているが、ことごとく失敗しているらしい。そのうえ、こちらの情報を掴み喰らいついてこようとするとは・・・」

 

「・・・どういうこと? ボスが偵光が勧誘しようとしているですって?」

 

「君は知らなくて当然だ。彼の身近にいるからな。あのお方も君から嫌われたくないから黙っていたんだろう」

 

「ふざけないで! 彼は私達裏の人間とは違うわ! 彼は絶対裏側にはきてはいけない人間よ!」

 

「おお、怖い怖い。君が知らない所で裏の世界を既に知っていたとしたらどうする? 勘の良い君も薄々気づいているのではないかね?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 そう、私も気づいてはいた。偵光がおそらく私達の存在を掴んでいるということを。彼の能力なら気づいてもおかしくないはずだし、絶対に私のことは調べているはずだ。それでも、彼は私の傍から離れないと言ってくれた。その彼の言葉が私の救いとなった。

 なら私は彼の為を思い行動するだけだ。彼を悪という存在から守る。ただ、それだけだ。悪の世界に首を突っ込んでいようが関係ない。

 

「沈黙は肯定とみなすぞ。彼は私の正体にも気づいていたしどの道、彼が生きるという選択肢は無い。もし私の邪魔をしたら分かっているな?」

 

「あら? 先に手を出してきたのは貴方じゃない。こちらからもやり返しても文句は無いわよね、ピスコ?」

 

「血迷ったか、ベルモット・・・仕方ない、組織への反逆者として君をあのお方の元に突き出そう」

 

 そう言い合って私達はお互いににらみ合っていると、二人の携帯が鳴った。

 

「全く、こんな時に誰なんだ・・・アイリッシュ? すまない、連絡を終えたら再開しよう。君も電話が鳴っているようだしな」

 

「ええ、そうね・・・ジン? どうしたの?」

 

「ベルモット、今どこにいる?」

 

「まだホテル内にいるわよ」

 

「撤退だ。ホテルに向かう途中で予想外の邪魔が入った」

 

「どういうことなの!?」

 

「例のクマ御一行と、おそらくFBIだ。それにホテル周辺にやたらサツが集まっていて、俺らでも侵入できそうにない。それぐらいの警官が集まっていやがる。おそらく、クマ野郎の仕業なんだろうが面倒くさいことをしてくれやがる」

 

「FBIもですって!? 任務でヘマをやらかした、彼はどうするの?」

 

「サツに捕まえさせ、その護送中を狙う。スナイパーも用意した」

 

「そうなのね。また邪魔が入る可能性は?」

 

「その可能性は無い。クマ野郎の目的は、俺達をホテルに近づけさせないことだ」

 

「なるほどね。それで、貴方がご執心の彼女のことはどうするの? 毎回逃げられてたけど」

 

「うるせえ。シェリーをそのホテルで殺してもメリットが無い。次の機会で、アイツを真っ赤に染め上げて、空へと昇らせてやるさ」

 

「・・・・・そう」

 

「だからお前も早く撤退しろ。おそらく、クマの奴はピスコ確保の為に最善の手を既に打っているはずだ。お前までヘマするなよ、ベルモット」

 

「ええ、分かったわ。それじゃあ」

 

 私が電話を切ると、ちょうどピスコも電話を終えたようで彼の顔が苦痛に歪んでいた。

 

「おのれぇ・・・」

 

「あら、貴方も似たような報告を受けたのかしら?」

 

「ああ、例のクマの妨害をな。あのクマは白銀偵光と読んでいたのだが、彼は会場内にいる。勘が鈍ったか? いや、しかし彼に誰か変装していれば辻褄が合うか・・・・」

 

「それは無いわね。彼が変装していないことは確かめてるわ。病院でも確認したし間違いないわ。となると貴方の予想は外れたことになるわね」

 

「ちっ・・・ここからどうにかして逃げださなければ」

 

「そうね。でもそれは無理じゃないかしら?」

 

 私は気配を消して、彼の背後から近寄って来ている人物を確認しながら答えた。相変わらず、とんでもないわね。普通、煙突から入ってくるかしら? 電話中に見つけた時は、驚いて声が出そうになったじゃない。

 

「何?」

 

「だって、貴方が警戒していた人物にこれから捕まるんですもの」

 

「まさか!? がはっ!」

 

「気づくの遅すぎんだろ、このじいさん。電話で話すのに夢中になりすぎだろ。怪我は無いか、クリス?」

 

「ええ、大丈夫よ。煙突から入ってくるなんてね・・・よくここが分かったわね?」

 

「当り前だ。ドアのカギが閉まってたからな。おかげで煙突から入るようになるとは思わなかったぞ。さてと、こいつをロープで縛って、あとは警部達に言って逮捕してもらうか」

 

「そうね。そう言えば、偵光と一緒にいたお嬢ちゃんはどうしたの?」

 

「ああ、一緒にいたボウズ見つけたからソイツに渡してきた。離れないってごねられたが、そこは無視して逃げ出してきた」

 

「相変わらずね・・・」

 

「お前は行かなくて良いのか? この後、用事あるんじゃないのか? あとは俺だけでも大丈夫だが・・・」

 

「いいえ。彼を警察に引き渡すまでは私も付いて行くわ。用事は無いから大丈夫よ」

 

 こうやって分かっていて、私のことを逃がそうとするから大したものよね。

 

「へいへい、そうかよ。とっとと、行くぞ。

 ただでさえ、今後の予定がびっちりなんだ。今日は早く帰って休みたい」

 

「私も色々あって疲れたわ。その意見には賛成ね。それじゃあ、行きましょう」

 

 彼にそう言い、ピスコを引き連れて警察の元へと向かうのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

<山川光side>

 

俺は、萩原、松田、灰原さんの四人で先日のピスコの事件について続報があった為ラボに集まっていた。

 

「それでどうでした、山川さん?」

 

「ダメだな。捕まっていたピスコが殺されたそうだ。情報を聞き出すことはできなかったらしい」

 

「そうなんですね・・・やはり、容赦が無いですね」

 

「護送中も狙われてたから阻止したってのに、やっかいな連中だな。松田の方はどうだったんだ?」

 

「爆弾があれだけ用意されてるとは思わなかったぞ。全部警察の処理班に回収させた」

 

「おいおい、テロでも起こす気だったのかよ・・・」

 

「んで、組織の方は、ピスコさんとやらを捕まえた奴を追ったりしないのか?」

 

「そこは、どうやらベルモットが上手いこと誤魔化しているみたいだな。彼女なら、偵光に影響が出ないように動くはずだ」

 

「クリスさんって偵光が関わると、凄いフットワークになるしな。でも、今回は所長から疑惑の目を反らせたから結果オーライじゃないか? 捕獲したターゲットを消されたのは痛いが・・・」

 

「まさか、この俺が着ぐるみ着て戦う羽目になるとは思わなかったぞ・・・」

 

「松田のクマが一番似合ってたな。所長が着た時よりおもしろい動きしてたぞ」

 

「うるせえ。お前ら二人も、ウサギとシロクマだったじゃねーか。似たようなもんだろ」

 

「三人とも可愛かったですよ? 私が着た犬ちゃんスーツも可愛かったですし」

 

「いやいや、美樹ちゃんが着れば似合うだろうが、こんなむさ苦しい野郎共があんなファンシーなもの着てもなぁ」

 

「お前にむさ苦しいと言われる筋合いはない」

 

「同感だ。まあ、何にしても当分は探偵事務所の本来の仕事を偵光から優先してくれと言われているから、それで頼む」

 

「ああ」

 

「了解。それで、所長は今日アイドルのパーティー&お宅訪問だっけ?」

 

「そう聞いてます。ただ連日のごたごたで寝ていなかったそうなので心配ですけど、幸さんとヨーコさんが付いているので心配ないでしょう。何も起こらなければですが・・・」

 

「美樹ちゃん、怖いこと言うなよ・・・・なぁ、絶対何か起こるよな?」

 

「良くも悪くも事件に巻き込まれるな・・・」

 

「笑えないな。そういや、お嬢ちゃんの方は大丈夫だったのか?」

 

「ええ。所長と一緒にピスコの所に行くつもりだったそうですけど、偵光さんがコナン君の所に預けて上手いこと逃げ出したそうです。

 全部終わってから怒られて、今度キャンプ行くことを約束させられたって言ってましたよ?」

 

「相変わらず、どんどんスケジュールが埋まっていくね、うちの所長は。たまには家で大人しくして欲しいもんだが・・・」

 

「無理だな」

 

「無理だと思います」

 

「偵光が大人しくしていたら病気だ」

 

「容赦ないね、君達!」

 

「まあ、何にしてもアイツのことだから心配はしていない。どんな怪我をしようが帰ってくる奴だ」

 

「確かにそうだな」

 

「そうですね。私達は本来の仕事をしましょう」

 

「ああ」

 

 俺達は各自自分の仕事へと取り掛かっていくのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

「大丈夫ですか、偵光さん?」

 

「うーん、少し眠たいけど大丈夫。数時間仮眠取れたしね。それより今回のパーティー終わったら少し休みもらって良い、幸ちゃん?」

 

「大丈夫ですよ。もともと休んでもらうつもりでしたし、森谷様のパーティーまでは少し日にちがありますので、ゆっくりしてください。その間、会社と事務所は他の方でまわしますので」

 

「ありがとね。優秀な部下達を持って俺は嬉しいよ」

 

「いえ。それより余り無理をなさらないでくださいね。しんどいようでしたら、私から皆さんにお伝えして休めるようにしますので」

 

「ありがと、幸ちゃん。無理なようだったらちゃんと言うから。それよりも、ヨーコちゃんの友人の婚約パーティーとはめでたいね。それなのに俺のせいで遅刻するとは悪いことしたなあ」

 

「大丈夫ですよ、ヨーコさんも偵光さんの事情は分かっていますから。っとこの部屋ですね」

 

「助かるよ。ここだね」

 

 俺達は目的の部屋に着きインターホンを押すとヨーコちゃんが出てきた。

 

「あっ、偵光さんに幸さん! お疲れ様です。 偵光さんは体調大丈夫なんですか?」

 

「お疲れ様、ヨーコちゃん。今日は招待してくれてありがとね。体調は大丈夫だ。仮眠も取れたしね」

 

「無理しないでくださいよ? それでは、みんなに紹介しますので来てください!」

 

「失礼します」

 

「お邪魔します」

 

 ヨーコちゃんの後を追うと、集まっていた人物たちの中に見知った顔があった。

 幸ちゃんいる時点で大丈夫かと思ったが、おいおい、やっぱりコナン達もいるのかよ・・・・

 これ絶対事件起こるわ・・・

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

「偵光君!?」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「白銀さん!?」

 

「初めまして、白銀偵光です。私事で遅れてすみませんでした。こっちは、私の秘書の日向幸ちゃんです。毛利さん達もどうも」

 

「初めまして、日向幸です。社長の秘書をやらせていただいております。よろしくお願いします」

 

「二人は私が呼んだのよ! 私の所属している事務所の社長でとてもお世話になっている人達なの!」

 

「・・・・嘘でしょ?」

 

 煙草を咥えている黒髪の女性が、俺の顔を見て驚いていた。ん? 確か会ったことなかったはずだが、何驚いてるんだ、この人・・・・っておい、咥えてるタバコ落とすなよ! 火事になるとこだったぞ!

 

「っと、タバコ落とすと火事の元ですよ。はい、しっかりと咥えておいてくださいね」

 

「え、ええ」

 

「それで毛利さん達やヨーコちゃんのことは知っていますが、他の方とは初めて会うので名前を教えていただきたいのですが・・・」

 

 俺がそう言うと、各自自己紹介してくれた。芸能人ばかりしかいねえ。完全に場違いじゃねーか、俺。ってか、幸ちゃんがアースレディースのファンだとは思わなかったな。サインもらって凄くキラキラした目で今も話聞いてるし。

 

「お兄ちゃん? なんだか凄く眠そうだね」

 

「ああ、蘭ちゃん。ちょっとね。ふぁーあ。コナンと毛利さんに付いてなくて良いのかい?」

 

「お父さんもコナン君もあそこで話が盛り上がってるから大丈夫じゃないかな」

 

「なるほどね。幸ちゃんやヨーコちゃんも楽しそうだし来て良かったよ」

 

 マジで眠たいな・・・あっ、ヤバい、意識飛びそう・・・・・・

 

ーーーーーーーーーー

 

<沖野ヨーコside>

 

 私がアースレディースの衣装に着替えて戻ってくると、蘭ちゃんの肩でいつの間にか寝ていた偵光さんを見て、近寄った。

 

「すぅ、すぅ」

 

「お兄ちゃん・・・? 寝てる」

 

「寝てしまいましたね、偵光さん」

 

「お疲れなんで寝かせてあげてください、蘭さんには悪いんですけど」

 

「そうなんですか、幸さん?」

 

「ええ、ここの所仕事が忙しくて睡眠時間がほとんど取れてないみたいなんですよ。今日もここに来る前に少し寝ていただけですし、ヨーコさんとの約束を破る訳にはいかないって言って、聞かなかったんですよ」

 

「偵光さんってホント無茶しますよね・・・だから周りの私達が見ておかないといけないんですけど、なかなか上手いこといかなくて」

 

「お兄ちゃんって、いつも忙しそうにしてますよね?」

 

「そうですね。探偵業で休みを取ったら会社側が忙しくなったり、会社で休み取れば探偵側の仕事が忙しくなってりといたちごっこになってますね」

 

「そうなんですよね。私達のマネージャーも他の人雇えば良いのに、ほぼこなしてますからね。クリスさん達とは相談して、仕事の量を減らすようにしているんですけど偵光さんから怒られてしまって。最近は、山川さんや安室さん、萩原さん達が交代で来るようになったので

だいぶ負担も減ったとは思うんですけど・・・」

 

「全体的に人が足りてないですね。マネジメントできる人材が増えれば別なんでしょうが、偵光さんが信頼できると思った人しか雇わないんですよね。

 七槻さんや香奈さんが、だいぶ経営のことを分かって動いてもらっているのでマシにはなりましたが、まだ社長におんぶにだっこ状態な部分が多いです」

 

「そうなんですね。お兄ちゃん、無茶して倒れないと良いけど」

 

「そうですね。無茶は辞めて欲しいんですけどね・・・」

 

「先日もケガして大変だったのよ、蘭ちゃん。ホテルでの事件に巻き込まれて、クリスさんを庇って怪我したらしいんだけど」

 

「大丈夫だったんですか!?」

 

「ホントに軽い怪我で、クリスさんがすぐに病院に連れて行ったみたいなので大丈夫でした。ただ、その後、すぐに事件の捜査に向かったそうで・・・」

 

「・・・もう、お兄ちゃんたら、どうしてそんな無茶をするのよ」

 

「おそらく自分の身内が危険な目に合ったからじゃないですかね、幸さん?」

 

「そうですね。身内にはとことん甘い人ですから」

 

「何か、良いですね・・・皆さんの関係、お互いを想い合っていて、凄く家族みたいな感じがします」

 

「ありがとう、蘭ちゃん」

 

「ありがとうございます」

 

 蘭ちゃんにそう言われて嬉しくなった。家族みたいって言われて、確かに私達は偵光さんの元に集まって、みんな彼やお互いのことを想い合っている。会社や探偵事務所に所属していながら誰も離れていかないのは彼の人徳もあるだろうし、みんな良い人達ばかりだからだ。

 偵光さんが、こういう環境を作ったのは素直に凄いと思う。色んなタイプの人がいるが彼を中心にしてまとまっている。彼に何かあれば、みんなが絶対にフォローする。逆に誰か困っていれば、相談に乗ったり助けてくれる人達ばかりだ。そんな環境だからこそ居心地が良いし、家族みたいと言われ嬉しいと感じたのだろう。

 本当に、私が憧れた人は凄い人ですね・・・。

 

「着替え終わったわよ。ちょっと良いかしら、ヨーコ?」

 

「どうしたの輝美?」

 

「その人疲れてるなら、薫に言ってどこかで休ませた方が良いんじゃないの? 座って寝ていると、そこのお嬢ちゃんと彼の身体が痛くなってくるでしょうし」

 

「私は大丈夫ですよ! ただ、お兄ちゃんの方はちゃんと休ませた方が良いですね。ヨーコさん、寝かせれそうな場所無いですかね?」

 

「輝美の言うとおりね。幸さんに連れて帰ってもらうのも大変でしょうし、偵光さんも私との約束を反故にしたって嫌がりますよね。薫に聞いてみます」

 

「それなら客室があったはずです。あそこで彼を寝かせれば良いのでは無いでしょうか?」

 

「間熊さん? 薫はどうしたんですか?」

 

「それが何度呼び掛けても返事が無くて・・・」

 

「ううん・・・」

 

「あ、お兄ちゃん起こしちゃった?」

 

「社長、大丈夫ですか?」

 

「偵光さん?」

 

「・・・・悪い。いつの間にか寝てたみたいだな。ちょっと顔洗ってくる。ヨーコちゃん、洗面所の場所分かる?」

 

「ええ、ただ薫がまだお風呂に入っているので・・・」

 

「今行くのは不味いか。トイレ行って薫さんが出てきたら、顔洗いに行くか」

 

「あ、トイレは部屋を出て、すぐ右手のドアです」

 

「了解。ありがと。蘭ちゃんもごめんな、重かったろ?」

 

「いえ、私は大丈夫です」

 

「ありがとな。ちょっとトイレ行ってくる」

 

 そう言って、偵光さんは部屋を出ていった。

 

「幸ちゃん! ヨーコちゃん! すぐに来てくれ! 早く!」

 

「社長!? どうされましたか!?」

 

「偵光さん、どうしました!?」

 

「いいから、早く!」

 

 彼の焦った声を聞き、私と幸さんはすぐに部屋を飛び出すのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー




 アースレディースの話が終わったら、時計仕掛けの摩天楼編に入りたいと思います!
 次回の更新は明後日を予定しております!


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24話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
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 これからもこの作品をよろしくお願いします!




<偵光side>

 

 俺はトイレに向かう為に、部屋を出ると床に血の跡が続いているのを発見した。おいおい、マジかよ。原作通りの展開で泣けてくるし、眠気も一気に吹き飛んだわ! 全部の内容が思い出せないのが腹立つが・・・

 

「幸ちゃん! ヨーコちゃん! すぐに来てくれ! 早く!」

 

「社長!? どうされましたか!?」

 

「偵光さん、どうしました!?」

 

「いいから、早く!」

 

「社長!」

 

「偵光さん!」

 

「血の跡が廊下に付いてやがる。風呂場から玄関側に続いてやがる・・・。ヨーコちゃんは早くお風呂場の様子を見てきてくれ!」

 

「は、はい!」

 

「幸ちゃんは・・・・」

 

「薫!? しっかりして、薫!? 偵光さん! 薫が!」

 

「ちっ、やっぱりか! 幸ちゃんは、俺のバッグをすぐにお風呂場に持ってきて!」

 

「分かりました!」

 

 俺が急いでお風呂場に向かうと、首から血を流している薫さんに寄り添っているヨーコちゃんがいた。

 

「偵光さん、薫が!」

 

「脈は・・・まだあるな。ヨーコちゃん、早く彼女を浴槽から出して寝かせて!」

 

「は、はい!」

 

 そう言って彼女を浴槽から出してもらって傷口の状態を確認していると、幸ちゃんがバッグを持ってきてくれた。

 

「社長、持ってきました!」

 

「ありがとう! 幸ちゃんはすぐに救急車と警察呼んでくれ! 病院に運べばまだ間に合う!」

 

「了解しました! もしもし・・・」

 

「どうしたの、白銀さん!? これは!?」

 

「おいおい、いったい何なんだよ・・・薫!?」

 

「ちょっと急に大きな声出してどうしたのよ!?」

 

「薫!? おい、しっかりしろ!? 薫ぅぅぅぅぅ!」

 

「離れてろ! 応急処置の邪魔になるからどいてろ!」

 

「蘭、救急車だ!」

 

「救急車はもう幸ちゃんが呼んでます! 蘭ちゃんは警察を!」

 

「は、はい!」

 

「今から、傷の止血等の応急処置するんで離れててください! クソが、絶対に死なせてたまるかよ!」

 

 俺は周りにそう呼び掛け、救急隊員が来るまでの間、止血などの応急処置を行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「またしても事件現場にいるとはなぁ。毛利君に白銀君」

 

「嫌ですなぁ、警部。私はヨーコさんに言われて誘われて、たまたまいただけですよ」

 

「たまたまじゃなくて、またまただろう。白銀君もそうなのか?」

 

「そうですね。ヨーコちゃんに誘われて幸ちゃんと共にこのパーティーに参加してました」

 

「なるほどな。それより、君の格好・・・」

 

「あ、すいません。彼女の応急処置をしていたもので血が付いちゃいました。着替えるのも警部さんの事情聴取を受けて許可が出た後のほうが良いと思いまして」

 

「そうなんですね。それで被害を受けられた薫さんはどこに?」

 

「私が応急手当した後に、救急車で杯戸病院に運ばれました。今は彼女のマネージャーの間熊さんが付き添ってます。容態については連絡してもらう手筈になっています」

 

「そ、そうですか」

 

「薫死んじゃうのかなぁ、偵光さん・・・」

 

「彼女を信じよう。俺もできることはしたし、後は病院の先生次第だ」

 

「しょうがないわね。私が病院に確かめてあげるわ」

 

「それなら私も付き合うわ。その病院、ウチのパパが糖尿で世話になっているから電話番号も知っているし」

 

「そう。それなら助かるわ」

 

 ユキさんと輝美さんは、薫さんの容体を確かめる為に部屋を出ていった。

 

「君たちがいた理由は分かった。それで、犯人に心当たりは?」

 

「警部殿、それなら玄関の外に落ちていたものがあそこに。コナンの奴が玄関口で見つけて、救急隊員が来る前に部屋の中に入れておきました」

 

「血の付いている雨合羽に軍手か。犯人が着ていたものと見て間違いないな。わずかだがハンカチに口紅が付いている」

 

「このビンの中身が麻酔薬なら、首を切る前にハンカチに付けて嗅がせ眠らせたのかもしれません」

 

「でも・・・いったい誰が薫さんをあんなひどい目に?」

 

「ストーカーだよ。最近薫につきまとっていたな。脅迫状などの酷いいたずらもあったからな。絶対にそいつの仕業だ」

 

「鍵の方は?」

 

「開いていたよ」

 

「となると、鍵が開いているのに気付いたストーカーが風呂からでた薫さんがばったりと出くわし、顔を見られたので薬を嗅がせ刃物で切りつけた。そして人目に付く血まみれの雨合羽や軍手を玄関の外で脱ぎ捨て逃げたのやもしれんということか・・・」

 

「よーし、高木君! こにマンション周辺の聞き込みを始めろ! 雨が降っていないのに雨合羽を着ている人物を見たら、誰か覚えている可能性が高い」

 

「はい!」

 

「うーん、この周辺を探しても見つからないと思うよ? だって、血の跡を踏まないようにして逃げた用心深い犯人だから。そうだよね、白銀さん?」

 

 くそう、コナンの奴、あまり関わらないようにして黙ってたのに・・・

 介入しすぎてあんまり引っ掻き回したくないんだが、後味の悪い終わり方にはしたくないんだよな。それにヨーコちゃん泣いてるし・・・

 はあ、仕方ない。あの人に変な行動させない為にも、行動するしかないか。

 

「そうですね。コナンが言うように外部犯の可能性は低いかと。幸ちゃんに頼んで、このマンションの管理会社に連絡して監視カメラの映像を確認してもらい、この数時間の間、マンションに入った人物はいても、マンションから出た人物はいなかったそうですから」

 

「はい、間違いありません。刑事さん達も確認してみてください」

 

「高木君!」

 

「はい! すぐに確認してきます!」

 

「へえ、流石だね白銀さん!」

 

「となると・・・」

 

「警部の想像通りだと思いますよ? 内部にいた・・・」

 

「私達の中に犯人がいるかもしれない。そういうことでしょう、白銀さん?」

 

「て、輝美・・・」

 

「確かにそうね。私達が着替えに使ったトイレは、みんながいたリビングと風呂場の中間。こっそり殺そうと思えばできなくもないわ」

 

「ユキまで・・・」

 

「そうだとしてもヨーコさんは犯人じゃありませんよ」

 

「着替えてる間、私達がトイレの前で待っていましたし、その後ずっとリビングにいたから」

 

「じゃあ、俺もシロだ。薫を見つけた時にこのボウズといたからな」

 

「うん、そうだね。最初薫さんがお風呂に付いて行ったお兄さんが犯人な訳ないもん」

 

「いや、ここにいる全員刑事に話を聞いてもらうべきでしょう。この中にいる誰もが犯行のチャンスはあった訳ですから」

 

「そうですね。社長のいう通りかと思います。私や社長も彼女を助ける為に行動していたとはいえ、容疑者になりえると言えるでしょう」

 

「偵光さん、幸さん・・・・そうですね。私も毛利さん達といたからと言って犯人では無いと言い切れませんしね」

 

「「ヨーコさん!?」」

 

「相変わらず、君は肝がすわってるな。自分も犯人の可能性があるから調べろと言うのは、君達ぐらいだぞ」

 

「よく、分かってるじゃないですか、目暮警部」

 

「その前に・・・見つけるものがあるんじゃないのかしら、警部さん?」

 

「え?」

 

「凶器よ。薫の首を切り裂いたその刃物が私達の持ち物や室内から見つかったら内部犯、見つからなければ外部犯。わざわざ凶器を隠して逃げる犯人なんていないだろうし、知っているのは、たとえふき取ったとしても

血液中のヘモグロビンが残って、それが微量でもルミノール反応は出るそうじゃない? 隠しきれるものじゃないんでしょう?」

 

「え、ええ・・・・」

 

「へえ、よくご存じですね、輝美さん。ルミノール反応はふき取っても隠しきれるものじゃないです」

 

「あら、現役の凄腕探偵から褒められるなんて光栄ね」

 

「そこまで大した腕じゃないですけどね。それにしても随分とお詳しいですね?」

 

「ちょっとある人の影響でミステリーにはまっていて知ったのよ。貴方だって随分と知識豊富なんでしょう? 別におかしいことでは無いわよね?」

 

 やっぱり、新一君の影響か? それにしてもすげえ詳しいな、おい。ファンだからってここまでやるとは。新一君の真似してめっちゃ探偵みたいになってるし・・・

 ってか、俺ってこの人になんかしたか? ちょいちょい視線感じるし、俺が発言した後に突っかかってきてる気がするんだよな。気のせいか?

 

「いえ、おかしく無いですよ。輝美さんに影響を与えた人物にはぜひお会いしてみたいですね。その人とは美味しいお酒が飲めそうです」

 

「それは無理じゃないかしら?」

 

「・・・・?」

 

「いいえ、何でもないわ。忘れてちょうだい」

 

「はぁ・・・・」

 

「おほん。高木は男性陣、婦警は女性陣の身体チェックを! それ以外の者は、室内に凶器がないか探せ!」

 

「「はっ!」」

 

 俺達は会話を中断し、警察の身体チェックを受けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<日向幸side>

 

 私は警察の身体チェックを受け終わった後、関係者に話を聞いて情報を集め偵光さんに話した。

 

「私が集めた情報は以上になります」

 

「ありがと、幸ちゃん。うーん、凶器が見つからなかったか・・・」

 

「やはり外部犯の仕業なのでしょうか?」

 

「それは無いよ。薫さんがお風呂入ってるって知らないと今回の犯行は難しいんじゃないかな? 外部から入って犯行する為に、人が多い時を選ぶにはリスクが高い」

 

「でも彼女の寝室には盗聴器とかが仕掛けられてましたし、部屋も荒らされていたんですよ?」

 

「盗聴器の場所と荒らされていた箇所はどこだったの?」

 

「盗聴器はぬいぐるみの中で、荒らされていたのは、ペンやはさみ等が入っていた棚だけですね・・・あれ、おかしいですね?」

 

「おっ、幸ちゃんも気づいた? そう、全体が荒らされてないことがおかしいんだ。まるで物がどこにあるかを分かっていたみたいな荒らされ方をしている」

 

「外部犯の可能性はほぼ無いですね。内部の人間が外部犯に見せかけるように細工したとしか考えられません」

 

「その通り。あと、内部犯だと確信した理由はもう一つあるんだよ。彼女の傷の状態が、とどめを刺す寸前でやめたような感じだったんだよ。あと、数センチ傷が深ければ、彼女は息を引き取っていた」

 

「となると、彼女の身近な者が何かのキッカケで殺そうとしたが、途中で情が湧いて辞めた可能性が一番ありそうですね。動機と凶器さえ見つかれば犯人が絞れるのですが・・・」

 

「動機は、おそらく今回の婚約パーティーが理由じゃないかな?」

 

 婚約パーティーが原因? 薫さん達の・・・そういうことですか。どちらかが想い人で、手の届かない人になってしまうとしたら。

 いえ、薫さんを取られると思ったのなら、剣崎さんを襲うはずですし、犯人が間熊さんしか居なくなるが、彼の態度からその可能性は低そうです。それに、剣崎さんより、間熊さんの方が、病院に付き添ったり、彼女の血を流している状態を見て、すぐに駈け寄ったりして薫さんの恋人らしい行動をしているような気がしますね。

 もしかして、剣崎さんと薫さんの婚約パーティーが、嘘だとしたら? それなら二人の男性の態度の差にも納得できますね。そうなると、犯人はユキさん、輝美さんの二人に絞れます。剣崎さんの方が想い人で、取られたと思った彼女達どちらかが犯行に及んだとしたら、薫さんを襲った動機にもなりますし、傷の状態にも納得できます。

 

「あとは、凶器さえ分かれば犯人が絞れます」

 

「幸ちゃんもだいぶこっち側に染まってきたね・・・嬉しいのか、悲しいのやら。いや、犯人はもう絞れてるんだよ」

 

「そうなんですか?」

 

「うん。今回の婚約パーティーが原因だとしたら一人しか考えられないからね。探偵左文字シリーズの製作背景を考えれば、あの人しかいない」

 

「ユキさんですね・・・。彼女が凶器にどのような物を使ったかですよね刃物は見つかりませんでしたし、今も隠し持っているとは考えにくいですし」

 

「そこなんだよな。あの付け爪が凶器かと思ったんだがルミノール反応は出なかったし・・・ん、待てよ? そういうことか!」

 

「付け爪? もしかして・・・・・!?」

 

「幸ちゃんも予想付いたみたいだね。鍛えた甲斐があるよ。薫さんの部屋に爪切りとかあった?」

 

「いえ、無かったです。そこがずっと気にかかってたんですよ。女性の一人暮らしなのに爪切りが無かったので、どうやって切っているのかと思いまして」

 

「なるほどね。そうなると、爪切りが無いことが分かった彼女がどのように爪を切ったかだ。はさみ等を使うと調べられるはずだから、道具を使う可能性は低い。となると咬み千切るしかないな」

 

「そうですね・・・! そう言えば!」

 

「ちょっと、幸ちゃん!?」

 

 私は急いで、彼女の寝室へと向かった。そこにはコナン君と輝美さんがいた。

 

「日向さん、慌ててどうしたの?」

 

「ちょっと、いったい何なのよ」

 

「すみません、色紙見せてもらいますね! やっぱり・・・」

 

 彼女の色紙に付いたキスマークを確認してみると、滲んだ跡が付いていた。これが証拠になります! あとは、彼女に話を聞いて・・・そういえば彼女の姿を先ほどから見ませんね、いったいどこに?

 

「幸ちゃん!?」

 

「あ、社長。この色紙見てください。このキスマークの部分です」

 

「濁ってるな。ってことは決まりか。後は、彼女に話聞かないと。輝美さん、コナン、ユキさんを見なかったか?」

 

「ううん、見てないよ」

 

「そう言えば、水を飲みに行ってから10分近く戻ってきてないわね」

 

「クソが!」

 

「社長、どこに行かれるのですか!?」

 

「それ、ホントなの、輝美さん!?」

 

「え、ええ。彼、急にどうしちゃったのよ」

 

「すみません。社長がただ事では無かったので、すぐに見てきます」

 

「僕も行く!」

 

「私も付いていくわ」

 

 3人で彼女と偵光さんが向かった部屋の前に着くと、彼の叫び声が聞こえた、私達はすぐに部屋の中に入った。そこには倒れているユキさんを介抱している偵光さんがいた。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

「おい、しっかりしろ!」

 

「社長、どうしました!?」

 

「白銀さん、何かあったの!?」

 

「何なのよ、もう・・・ユキ!?」

 

「誰か早く救急車を呼んでくれ!」

 

「わ、分かったわ!」

 

「社長、手伝えることがありますか?」

 

「ちょっと待ってくれ。青白い顔にびっしょりと冷や汗・・・脈は早いな。それに手も震えてる」

 

「白銀さん! この薬じゃないの!?」

 

 コナン君がごみ箱内にあった薬の袋を見つけてきた。

 

「血糖降下剤か! 幸ちゃん、コナン! 糖分があるものを探してくれ! シュガースティックとかがあればそれが一番良い! 急いでくれ!」

 

「はい!」

 

「あったよ!」

 

「ありがとう、コナン! 幸ちゃんは、彼女の身体支えてもらえる?」

 

「はい!」

 

「よし、これで喉に詰まらないようにしながら飲ませてと。こんな勘違いさせたままで絶対に死なせてたまるか」

 

「僕も手伝うよ!」

 

「助かる。救急隊員がくるまで付き合ってくれ、二人とも」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

 私達3人は、救急隊員の人が来るまでの間、彼女の応急処置を行うのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<岳野ユキside>

 

「ごめん、薫。本当にごめん、薫・・・!?」

 

「あっ!」

 

「気がついた!」

 

「ここは・・・?」

 

 確か私は、パパの糖尿の薬を飲んで死のうとしたはず・・・・

 どうして薫とヨーコがいるのかしら?

 

「杯戸病院よ。ユキ、まる2日も寝ていたのよ。全くドジなんだから。ビタミン剤と間違えてお父さんの薬飲んじゃうなんて。

 じゃあ、私、ユキが気がついたこと輝美に電話してくるから。二人とも、思うことがあるんだったら、ちゃんと話し合わないとダメよ。でないと、今回みたいに行き違いが起こるんだから」

 

 そう言って、ヨーコは病室から出ていった。もしかして、ヨーコも気づいたのかしら。薫にこんなことしたのと、ヨーコ達に迷惑かけたのを謝らないと。

 

「あちゃあ、ヨーコ姉も完全に気づいてるね。白銀さんから聞いたってとこかな?」

 

「・・・そうなのね。あのさ・・・・私」

 

「大丈夫。警察には詳しく言っておいたから。私を風呂場で襲ったのは、太って背の低いおばさんだってねって」

 

「・・・え?」

 

「一応おばさんにしといたわよ。変なストーカーおじさんに素っ裸見られたなんて思われたくないし。

 まあ、白銀さんには見られたらしいんだけど、あの人の応急処置のおかげで私の命が助かったみたいだし、私が気がついて凄く謝られたから文句は言えないんだけどね」

 

「・・・でも、あれは私が」

 

「まあ、この首の傷は、ユキ姉の気持ちを知らずにみんなを騙した罰だと思ってありがたく貰っておくよ」

 

「騙した?」

 

「そう。あの婚約パーティーは剣崎さんに協力してもらってでっちあげた真っ赤な嘘。ある人をその気にさせる為のね」

 

「ほら、私言ってたじゃない? 工藤有紀子みたいに二十歳で電撃結婚するのが夢だって」

 

「え、ええ」

 

「そしてそして、その夢は見事叶ったのであった。じゃん! 今日の朝刊よ。やっと彼がその気になってくれたって訳」

 

 彼女の見せてくれた朝刊には、マネージャーの間熊さんと薫が結婚宣言したという記事が書かれていた。

 

「貴方、まだ好きだったの? あの冴えない男」

 

「失礼ね。彼は度胸無いだけで良い所は一杯あるのよ。病院に駆け付けたマスコミに私のことを失いたくない大切な人なんですってちゃーんと言ってくれたんだから! ふふっ。

 それと、私、間熊君と事務所移ることになったから。白銀さんの所にね。間熊君が、私のことを助けたお礼がしたいから彼の元で働きたいって言いに行ってね? 泣いて喜ばれたのよ。マネジメントできる人が少ないから助かります!ってね。

 面白い人よね、白銀さんって」

 

「そうなの・・・・」

 

「うん。まあ、色々あったけど輝姉の反対を押し切って、この計画を実行してよかったよ」

 

「え? 輝美も知っていたの!?」

 

「あ!実は私と輝姉って実は喧嘩なんかしてないんだ。あの喧嘩は、アースレディースをあのまま続けていると4人ともダメになるって、私と輝姉がつるんでうった芝居なの。続けたがってたユキ姉達に悪くてずっと隠してたけどね」

 

「そっか・・・それを私達に気づかせない為に仲の悪いふりを・・・じゃあ、色紙のあのご愁傷さまは?」

 

「ああ、それは計画失敗残念でしたって輝姉のキツイ一言だって、あの人達が言ってたよ」

 

「あの人達?」

 

「白銀さんと幸さんとコナン君よ! 凄いわよねー。コナン君は毛利探偵に鍛えられてるって感じ。白銀さんは最初見た時は、何だこの人って感じだったけど、事件や仕事が関わったりすると凄く人が変わるのね。間熊君も彼の会社で働いて、従業員の優秀さに凄く驚いてたし、1日目の時にやりがいがあって楽しいってイキイキしていたのよ。

 幸さんも白銀さんに鍛えられてるから何でもできるキャリアウーマンって感じね。白銀さんと幸さんには、剣崎さんと間熊君の態度の差を見てすぐに気づいたって言ってたから、そうとう人をよく見ているのね。

 それに、倒れているユキ姉をすぐに、的確な応急処置を指示だして行ったのって白銀さんなんだよ? 幸さんとコナン君は白銀さんのサポートしてたって聞いたよ」

 

「そうあの人が・・・どうして私のことを助けてくれたのかな? 白銀さんから見たら、赤の他人でしょ?」

 

「うーん、白銀さんから直接聞いた訳じゃないからどうか分かんないけど、幸さんが言うには、あの人の目の前に救える命があったら何がなんでも救おうとするんですって。

 幸さんもそうやって助けられたみたいよ? その反動で無茶するから心配って言ってたけど。今時、そんな人がいるなんてね」

 

「そうなの・・・それだけの理由で」

 

「そうね。それだけの理由で十分らしいよ、白銀さんは。もしかして、ユキ姉、白銀さんのこと・・・」

 

「薫は、私の気持ち知ってるじゃない。ただ、私のことを助けてくれたおかしな人に興味が出ただけよ」

 

「うーん、何か気になる言い方・・・・。それで剣崎さんのことはどうするの? 早くしないと輝姉に盗られちゃうわよ?」

 

「どうして?」

 

「これはコナン君が言ってたんだけど、輝姉がミステリーにハマってるのは、探偵左文字役の剣崎さんが好きだからじゃないかって」

 

「ふふっ。残念ながらその推理は外れね。剣崎君、前に輝美にこっぴどく振られたみたいだから」

 

「え、じゃあ輝姉の好きな人って?」

 

「パーティーの時の輝美の態度見てたら、だいたい予想付くけどね。近いうちに面白い動きあるんじゃないのかしら?」

 

「えー誰なの? 教えてよ、ユキ姉」

 

「秘密よ。知りたかったら、輝美に聞きなさい。そういえば、白銀さんにお礼言いたいんだけど、彼の連絡先知ってる?」

 

「事務所の社長だから教えてもらったよ。でも、連絡するより会いに行くか呼びに行く方がたぶん早いよ?」

 

「どういうこと?」

 

「白銀さん、この病院に入院してるから」

 

「ど、どうして!? 大丈夫なの!?」

 

「過労がたたって、ユキ姉の応急処置終えて救急車で運ばれた後に倒れたんだって。仕事忙しくて相当寝不足だったみたい。

 命に別状はないんだけど、しっかり検査させて休ませる為にも、数日入院することになったらしいよ。間熊君と幸さんから聞いた話だから間違いないわね」

 

「・・・そう、良かった」

 

 彼の容態を聞き、私は凄く安心した。良かったわ、無事みたいで

 

「うーん、怪しい」

 

「何を言っているのよ、薫は」

 

「好きになったとか? 昔、ユキ姉に聞いたことがあるタイプに白銀さん当てはまるし・・・」

 

「馬鹿なこと言わないで。私は助けられたぐらいで惚れるそんなに軽い女じゃないわよ。それに彼のことよく知らないし、そんな人を好きになる道理は無いわよ」

 

「でもそれって、白銀さんのこと知ったら好きになる機会があるかもしれないってことだよね?」

 

「さてどうかしらね。それは先になってみないと誰も分からないわよ」

 

「あーもう、どうしてそんな気になる言い方するのさ!」

 

「私のことは良いから。先生に容態みてもらって動けるようになったら、白銀さんにお礼言いに行くから付いてきなさいよね」

 

「はーい」   

 

 私は薫とそんなやり取りをして、病院の先生が来るのを待つのだった。

 




 今回は幸ちゃんにも頑張ってもらいました。
 次回は、木曜日に更新予定です。


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時計仕掛けの摩天楼編
25話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!

 今回はアイドル達の秘密エピローグと時計仕掛けの摩天楼編のプロローグです。



<星野輝美side>

 

「あのー、俺って星野さんに何かしましたでしょうか?」

 

「あら、私が貴方の見舞いにきたらいけないというのかしら?」

 

「いえ、そうではないんですが、部屋に入ってきてずっと不機嫌そうな顔をしていらっしゃるので・・・」

 

「この顔は元からよ」

 

「そ、そうですか」

 

 何やっているのよ、私は!? おもいっきり怖がられてるじゃない! 大ファンだからって緊張しすぎて何話して良いかが分からないし、ヨーコでも連れてくるべきだったわ。勢いで見舞いに来たのが失敗ね・・・

 

「あのー? それで、どうして俺なんかの見舞いに?」

 

「私が来たかったからよ。ヨーコが世話になっているみたいだし、薫達もお世話になるみたいだし、そのお礼も兼ねてよ。リンゴ持って来たから剥いてあげる」

 

「・・・え!?」

 

 何よ、その失礼な顔は。私だってリンゴ剥くぐらいできるんだから。少なくともこの人よりかは出来るはずよ、ええきっとそうよ。

 

「何か文句でもあるの・・・? 包丁かナイフはどこにあるの?」

 

「そこの引き出しの中にありますけど・・・大丈夫ですか?」

 

「大丈夫よ、問題ないわ」

 

「凄く心配になるんですけど・・・輝美さん、料理の経験は?」

 

「学生の家庭科の授業でやったから問題ないわ」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・何?」

 

「いえ、何でもないです」

 

 ホント失礼しちゃうわね。料理ぐらい余裕のものよ。普段からしている、ヨーコやユキから褒められたこともあるんだから、大丈夫。この人に、料理できる所を見せて良い部分もあるというとこをアピールしないと・・・・

 って、難しいわね。テレビとか人のやってるの見たらあんなに簡単そうなのに意外と難しいわね・・・・・・

 

「いたっ!」

 

「大丈夫ですか!? 指見せてください!」

 

 彼に手を取られた。ちょっと待って! 急には心臓に悪いわよ! ってか距離近すぎ! ああ、もうヤバいわ・・・顔が熱いし、テレビとか新聞とか想像上の人物がこんなに近くにいるなんて・・・

 

「ああ、もう切ってるじゃないですか。すみません、少し染みますよ。消毒して、絆創膏を貼ってっと。これで良し」

 

「・・・・あ、ありがと」

 

 彼ってホント優しいわね。もうこの絆創膏は一生の宝物にするし、握ってもらった手は絶対に洗わないわ。

 

「ナイフとリンゴ貸してください。俺が剥くので」

 

「え、ええ」

 

 彼にナイフとリンゴを渡すと、慣れた手つきで綺麗に剥きウサギの形があっという間にできあがった。

 

「すごいわね・・・」

 

「慣れたらこのぐらい出来るようになりますよ。そこで聞かれてるお二人も良かったら一緒にどうですか?」

 

「え?」

 

 彼がそう言うと、室内に薫とユキが入ってきた。嘘!? もしかして、さっきまでのこと見られてたの!?

 

「ははは、失礼しまーす」

 

「輝美がいるとは思わなかったわ。どうして私達がいるって分かったの?」

 

「人の気配とか察知するのは得意なんで。あと、ドアの隙間からこちらを伺っているのが見えていましたしね。はい、輝美さんが持ってきてくれたリンゴをどうぞ」

 

「かわいい! 相変わらず凄いね、白銀さん! お店のお菓子みたい!」

 

「本当ね。私も料理するほうだけど、凄い手慣れてるわね」

 

「ちょっと、良いかしら? 貴方達、いつから見ていたの?」

 

「えっとね、輝姉が白銀さんに不機嫌そうな顔って言われてしょげてたあたりからかなー」

 

「あっ、バカ、薫!」

 

「へえ。初めから見ていたという訳ね」

 

「いひゃい、いひゃいよてりゅねえ」

 

「正直に話しすぎよ、薫ったら。そこは上手いこと誤魔化さないからそうなるのよ。白銀さん、私の命を助けてくれてありがとうございました」

 

「いえいえ、俺はただ応急処置をしただけにすぎませんし、ユキさんを助けたのは、病院の先生ですよ。それに俺ではなく、コナンや幸ちゃんにお礼言ってあげてください」

 

「薫と幸さんから全部聞きました。貴方が中心になって助けてくださったと。どうして知らない私の為にそこまで頑張ってくれたんですか?」

 

「んー、そうですね。俺の考えですけど、目の前に助けれる命があるなら全力で助けようと思ってるだけですよ。たとえ、悪いことをしている人だとしてもね。生きていればどんなことでも出来るじゃないですか。悪いことをしたなら反省して償ったり、やり残したことがあるならやってとかね。

 そりゃあ、人間ですから寿命が来るのは分かります。ただ、故意に命を奪ったり、奪われたりってのを無くしたいだけなんですよ。後に残るのは虚しさだけですし。

 まあ、目の届く所の範囲でだけですけどね。俺はスーパーマンでは無いので、事件が未然に防げるわけでもなく、間に合わないことの方が多いです。

 それでも、子供の頃に目の前で助けれる命があるなら、どんなことがあっても助けようと誓ったんですよ。それと同時に、自分が無茶して怪我しようが、寿命以外で絶対に死ぬことは無いようにしようってのも誓ったんですけどね。

 そっちの方は、いつも事件に巻き込まれて、ボロボロになることが多いので、よく怒られてます。今回も無理がたたって、ユキさんの手当終わった後、倒れちゃいましたし」

 

「・・・・・そうなのね。そんな生き方してきて辛いと思ったこと無かったですか?」

 

「うーん。辛いって思ったことは無いですね。こんな俺にたくさんの人が付いてきてくれていますから。その人達の笑顔見るだけで辛さなんて吹き飛びますよ。

 まあ、しょっちゅう怒られて怖いことの方が多いんですけどね。会社や探偵事務所の皆は俺の家族みたいなもんですね。だから何があっても全力で護りますってクサいセリフ言いすぎましたね。忘れてください」

 

「家族みたいね・・・面白いこと言うじゃない。私やユキ、薫達が危ない目に合っても助けてくれるのかしら?」

 

「そりゃあ、もちろん。もう知り合いになりましたし、ヨーコちゃんや薫ちゃん、間熊さんの大事な友人達ですからね」

 

「・・・そ、そうなのね」

 

「うわあ、こういうこと平然と言える人っているんだ・・・間熊君も見習って欲しいかも」

 

「あっははははは! こんな面白いこと言う人初めて見たわ!」

 

「ユキ姉?」

 

「ユキ?」

 

「ごめんなさい。ここまで正直に言われたこと少なかったから新鮮で。うん、白銀さんのこと気に入ったわ。貴方の会社に入ったら、本当に楽しそうね。私も退院したら貴方の会社で雇ってくれないかしら? 芸能活動も良いんだけど、薫やヨーコのマネージャーするのも楽しそうだし、マネージャーが足りてないんでしょ?

 マネジメントの知識もあるし、問題無いんじゃないのかしら?」

 

「本当ですか!? それは助かります!」

 

「え、ええ・・・凄いくいつきね」

 

「いやあ、ホントマネージャーできる人雇わなかったら分かるわよね? って、ウチの事務所の人達に脅されてたんですよ・・・一般応募でも雇えって言われてたんですけど、ずっと俺が人を雇わずほとんどこなしてたので。

 今回の件で余計に怒られまくって大変だったんですよ。今から募集しても人が来るか分からなかったですし、間熊さんに続いて、ユキさんもマネージャーになってくれるのでしたら大歓迎です。条件もできるだけ希望に沿うようにします」

 

「そ、そうなの」

 

 私も言ったら喜んでくれるかしら・・・いや、怖がられてるから無いわね。それに私は女優以外できそうにないし、きっと歓迎されないわね・・・

 

「言わなくて良いの、輝姉?」

 

「何が?」

 

「白銀さんの事務所に入れてくれって・・・いひゃい」

 

「変なことを言うのは、この口かしら?」

 

「いひゃいよ、てりゅねえ」

 

「だいたいどうして、私が彼の事務所に移らないといけないのよ」

 

「うう、痛かった・・・・え、ファンなんじゃないの?」

 

「ヨーコ姉にやたら白銀さんのこと聞いてたし」

 

「・・・・違うわよ」

 

「間があったね。ユキ姉みたいにやりたいと思ったことは言わないと後悔するよ?」

 

「・・・そんなこと、言われなくても分かってるわよ」

 

「うーん、素直じゃないなぁ。しょうがない、私が人肌脱いでしんぜよう! 白銀さーん!」

 

「どうした、薫ちゃん?」

 

「芸能関係の仕事でクリスさんが休業した影響で、オファーきてた仕事どうするかって言ってたよね?」

 

「ああ、CMのオファーのことね。お客さんの要望だと、クール系の似合う女の人ってのがあったんだけど、クリスが休業して裏方にまわったし、ウチだと可愛い系の人が多いからイメージと合わないんだよなぁ」

 

「そこで私からの提案なのです。ここにそのイメージピッタリの女優が一人います。この方をウチの事務所に引き抜いてははどうでしょう?」

 

「ちょっと、薫! 貴方、いったい何言ってるの!? 私なんか・・・」

 

「あー確かに。輝美さんなら確かにイメージピッタリだな。ウチに入ってもらえるとそっち方面の仕事も持ってこれるけど、流石に本人の都合無視して入れるのは無理かな?」

 

「私が入るっていったら、雇ってもらえるの?」

 

「へ?」

 

「やっぱり輝美って・・・」

 

「頑張れ、輝姉!」

 

「そりゃあ、こちらとしては助かりますけど。俺としても輝美さんと仕事できるのは嬉しいですし」

 

「そう・・・・・なら入るわ。また連絡するので、貴方の連絡先を教えてちょうだい」

 

「ああ、この番号です。こちらにかけてもらえば、基本的には出ると思いますので」

 

「プライベートの番号なの?」

 

「はい。探偵業やってると、携帯分けるの面倒臭くなってくるので・・・」

 

「そう・・・・今かけたの、私の番号だから」

 

「はい、登録しました」

 

「私にも教えてよ。携帯借りるわね」

 

「あ、ちょっと!」

 

「なんかユキ姉も面白いことになってるなー。これは将来的にもしかして? まさかね・・・」

 

「はい、私の番号も入れといたから。退院したらまた連絡するわね。そろそろ戻りましょう、薫」

 

「はーい。輝姉はどうするの?」

 

「私ももう帰るわ。やらないといけないこともできたし」

 

「そうなんだ。それじゃあ、またです、白銀さん」

 

「こちらこそわざわざ見舞いに来ていただいてありがとうございました、皆さん」

 

「また、暇になったら来るわね。その時は、白銀さんが今まで解決した事件とかの話聞かせてくださいね」

 

「お大事に。仕事の合間に、また見舞いに来れそうだったら来るわ。それじゃあ」

 

 私達三人は、彼の病室から出ていった。

 

「それじゃあ、私は帰るわね。これ渡すの忘れてたわ。二人の見舞い品」

 

「うわぁ、フルーツだ! 明日、間熊君に切ってもらおうっと。こっちはお菓子?」

 

「そう、サマーライトのお菓子よ。ユキは好きだったでしょ?」

 

「ホント!? ありがと、輝美! 私ここのお菓子大好きなのよ! おいしいし、女性に凄く人気のお店なのよ? よく買えたわね」

 

「朝早くから並んだのよ」

 

「そっか・・・ありがとう、輝美」

 

「ああ! このお菓子って、ユキ姉が寝ている時に、夏美さんが作ってきてくれた奴だ! 新作らしくて凄く美味しいんだよ!」

 

「・・・え?」

 

「ちょっと待って、薫。夏美さんって誰なの?」

 

「ああ、夏美さんってサマーライトの店長さん。白銀さんの会社の従業員だよ?」

 

「・・・・・・・」

 

「あれどうしたのユキ姉?」

 

「薫、ユキの代りに聞きたいんだけど、あの店って彼の会社が出してるの?」

 

「うん、そうだよ。夏美さんのお菓子作りの先生が、白銀さんなんだって。私も間熊君と一緒に初めて聞いた時は驚いたよー。白銀さんの料理スキルって凄いらしくて、あの人が店を手伝う時には、パフェとかの限定メニューが並ぶんだって。今度間熊くんと一緒に来てくれって、白銀さんから招待されて私達甘いもの好きだから凄く楽しみなんだよねーってどうしたの、二人とも?」

 

「「薫・・・・その話詳しく聞かせてもらえるかな?」」

 

「何か怖いよ、二人とも? い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 私とユキは、薫からサマーライトの情報について詳しく聞くのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

「はーくしゅ! ずずっ、誰か噂でもしてんのかな。ユキさんや輝美さんもウチに入ってくれそうで良かった。受け入れ準備は、司さんや幸ちゃんに任せてるし大丈夫だろう。問題は、森谷帝二の方か。まさか招待状が来るとわな・・・。透と七槻ちゃんが代わりに参加してくれているから心配はしてないが・・・」

 

 扉をノックする音が聞こえたので入るよう促すと、萩原さんと哀ちゃんが入ってきた。

 

「はーい、どうぞ」

 

「おーっす、元気にしてるか、白銀?」

 

「失礼するわね。思ったより元気そうじゃない」

 

「ありゃ、珍しい組み合わせだね。いらっしゃい、萩原さん、哀ちゃん」

 

「病院の前でたまたま会ったのよ」

 

「そういうこった」

 

「なるほどね。いや、病院いても暇だからこうして見舞いに来てくれると助かるよ。さっきも三人きてくれたし」

 

「誰が来たんだ?」

 

「輝美さんに薫ちゃんとユキさんの三人だよ。うち二人は同じ病院に入院しているが」

 

「もとアースレディースのメンツばかりじゃねーか。んで、何か話があったからお前のとこ来たんじゃねえのか?」

 

「ユキさんは謝りにきて、話してたらうちの会社入るって。輝美さんも同じこと言ってたな。薫ちゃんはただの暇つぶしだな」

 

「変な方向で凄い奴だよな、お前って。うちの会社にアースレディースのメンバー入れて何がしたいんだよ・・・」

 

「相変わらずね。芸能人で有名な二人と、白銀探偵事務所の所長が、この病院にいたからマスコミが外にいたのも納得できたわ。それより検査とかはどんな感じなの?」

 

「結果が分かるまで時間かかる奴はまだ分かんないけど、いたって健康体だってよ。今回倒れたのも寝不足が続いて、安心して緊張がとけたんだろうって先生が言ってたしな。おかげでやることが無さすぎて暇すぎる」

 

「あら、貴方には良いクスリじゃない。良い機会なんだからゆっくりしなさい。お姉ちゃんも凄く心配してたわよ」

 

「同感だ。お前が休んでるとみんなが安心して行動できるからな」

 

「酷い言われようだ。それで哀ちゃんの方はあれから大丈夫そうだね」

 

「ええ、貴方のおかげでね。感謝してるわ」

 

「お嬢ちゃんが珍しく素直にお礼言ったぞ」

 

「明日は雨降る可能性が高いぞ」

 

「何か言ったかしら?」

 

「「いえ、なにも」」

 

「まったく、もう」

 

「あ、そうそう。お前宛にもう一枚手紙が来てたんだよ。こいつだ。ただ・・・」

 

「差出人が無いな・・・・・」

 

 手紙を開けてみると、内容を読み上げた。

 

「親愛なる白銀偵光君、私は火薬庫から大量の爆薬を盗み出した。すぐにニュースになるだろう。近いうちに面白いものを見せてやる。また私から連絡するので、首を長くして待っていろ。

 君ともう一人とのゲームがどうなるか楽しみだ。私からの挑戦を受けなければ、君の大事な可愛らしい探偵助手さんが死ぬようになるので、くれぐれも選択を間違えないように」

 

「「!?」」

 

「おい、それって!?」

 

「イタズラの可能性は無いの?」

 

「低いだろうな。可愛らしい探偵助手さんって地点で、七槻ちゃんのことだって確信して言ってやがる。俺の探偵助手って言えば表向きは七槻ちゃんになってるからな」

 

「となると七槻ちゃんの周りを固めた方が良いか? しかし、仕事の関係で探偵事務所の人間はみんな出払ってるからどうするんだ? 残ってるのは、俺と安室しかいないぞ」

 

「そうだな。七槻ちゃんは透の奴が付いてるし大丈夫だろう。それに事件が絡むってなるともう一人、絶対に助っ人になる奴が来てくれるはずだ」

 

「江戸川君のことね」

 

「正解。コナンと透がいれば、七槻ちゃんは大丈夫。残る問題は俺が動かないと、犯人が何しでかすか分からないってとこだな」

 

「俺が単独で動くのはダメなのか? お前は入院してるし、体が元気だからって動くのはマズイだろう!」

 

「そうね。それはお勧めできないわ。私も協力するってことなら、貴方も動かなくて大丈夫よね?」

 

「おいおい、マジかよ」

 

「哀ちゃんにはあんまり危険なことをして欲しくないんだが・・・」

 

「そっくりそのまま返すわ。それに組織が関わるよりマシよ」

 

「・・・分かった。二人とも無茶しないように。俺の代わりに動いて情報は俺の方に流してくれ。指示を出しやすくするようにするためにな。

 ただ、犯人がしびれを切らし暴走するようなら、俺も動き始める。でないと他の大勢の人が巻き込まれるからな。もしそうなったら、病院から抜け出すのに協力してくれよな」

 

「絶対にそうさせないようにするわ」

 

「お嬢ちゃんの考えに賛成だ」

 

「そのお嬢ちゃんていうの辞めてもらえないかしら?」

 

「じゃあ、灰原ちゃんで」

 

「・・・仕方ないわね」

 

「凄く嫌そうだな」

 

「嫌そうじゃなくて嫌なのよ」

 

「冷たすぎてお兄さん、泣いちゃうよ!?」

 

「うるさいわね。白銀さんは大人しくしてること、良いわね? 萩原さん、行くわよ」

 

「あ、おい! お前は大人しくしてろよ」

 

「二人とも気をつけて。それと萩原さん、俺の代わりに哀ちゃんのことよろしくね」

 

「任せろ! 情報が入り次第連絡する!」

 

「やれやれ。すでに展開がだいぶ逸れてやがるな・・・・頼むぞ、みんな」

 

 

 俺は二人を見送り、これから何が起こるか読めない展開に不安になるのだった。




 次回から本格的に時計仕掛けの摩天楼編に入ります。
 次の更新は土曜日を予定しております。


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26話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<安室透side>

 

俺は越水さんと、偵光の代わりに森谷帝二のパーティーに参加していた。

 

「凄い建物だね、安室さん」

 

「そうですね、左右対称のシンメトリーですか。それにしても偵光がまさか建築家から招待されているとは思いませんでしたよ」

 

「ホントに左右対称だね。偵光君も何で招待されたんだって言ってたしよく分からないよね。あっ、パーティーの会場は裏庭だって。うー、緊張してきた。ドレスなんて着る機会無かったから自信ないよ」

 

「十分お似合いですよ。偵光は人の服選ぶセンスはずば抜けてますからね」

 

「ありがと。安室さんも似合ってるよ。しかし、ホントにビックリしたよ。彼ってコーディネーターしてたの?ってぐらいセンス良いよね。安室さんのも偵光君が選んだの?」

 

「ええ。自分で選ぶからいいと言ったんですが、既に準備されてました」

 

「あはは。彼ってホント面白いよね。大人しくしてるかな?」

 

「萩原が見ていますし、大丈夫でしょう。それに病院のスタッフに何かあったら伝えるように言ってあるので心配しなくても大丈夫かと」

 

「それでも安心できないのが偵光君なんだよね・・・暇すぎるからって病院から脱走とかはしないよね?」

 

「流石にそれは無いと思いたいですね・・・」

 

「心配になってきたけど、とりあえず今は偵光君の代わりの役目をきっちりとこなそう」

 

「そうですね。相手に失礼がないようにしないといけませんね」

 

「だね。それにしてもこんなに綺麗な庭を見たのは初めてだよ」

 

「確かに。十分手入れされてるのが伺えますね」

 

「お褒めにあずかって恐縮です。初めまして森谷帝二です」

 

「初めまして、森谷さん。白銀偵光の代理で来ました、安室透です。こちらの女性は越水七槻さん。私と同じで白銀の探偵事務所で働いている探偵です」

 

「初めまして、越水七槻です。本日は招待していただきありがとうございます。ウチの白銀が入院してしまい来れなくてすみません」

 

「入院されたってどこかお悪いんですか?」

 

「先日、睡眠不足がたたって倒れまして。検査も兼ねてゆっくり休んでるんですよ。本人はいたって元気で退屈してる頃じゃないですかね? 異常も見つからなければ、GW明けには退院できるかと思います」

 

「そうなんですか。それはお大事にとお伝えください。しかし、白銀君も来られないんですか」

「他にも来られない人がいるんですか?」

 

「ああ、いえ。気にしないでください。ここで立ち話もなんですし、パーティー会場に案内しますよ。食事も用意していますので、楽しんでいってください」

 

「「ありがとうございます」」

 

 越水さんの突っ込みをはぐらかしたか・・・。何か理由があるのか? いや、まだ何とも言えないな。あとで越水さんも何か探ってるような感じだったし気になったことは無いか聞いてみるとするか。それにしても越水さんの動向には注意しておかないとな。

 偵光に送られてきた脅迫状に彼女を狙うという内容がかかれていたらしいから、俺が傍で護らないと。風見達も護衛につくように言っているので彼女の警護は万全の状態にしてある。アイツが入院して動けないから、俺が頑張らないとな。アイツの身の周りは絶対に護るぞ。ヒロの時みたいには絶対にさせてたまるか。

 そう決心して森谷さんに案内され、パーティー会場に向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

「疲れた・・・・みんな暇なのかな? ボクなんてナンパしても面白くないだろうに」

 

「それだけ越水さんが魅力的ってことですよ」

 

「ありがと。でも、安室さんだってめちゃくちゃ声かけられてたじゃないか」

 

「偵光と並んで歩いてる時に比べれば、全然マシな方ですよ」

 

「そんなに声かけられてるの、偵光君って?」

 

「アイツの傍に女性が歩いてなかったら、ほぼ声かけられますね。本人が自分には声かける訳無いだろうという感じなので、適当にあしらうことしかないですが」

 

「ふーん、そうなんだ。偵光君らしいね」

 

 

 やれやれ分かりやすいな、越水さんは。最近は女性陣も余裕がでてきたのか、昔みたいに対立することが無くなった。というか女性陣が、やたら仲良くなってるな。アイツに関しての話題で盛り上がってるらしい。

 それに、新しい人がきても、ああまたかみたいな状況になって、みんな既に諦めている。そうやって表に出すことは減ったのでこちらとしては助かっている。まあ、アイツが怪我したり無茶することが増えてきてるので、恋人になるかどうかより、身の心配に関して比重が向いているからだろう。

 彼女は偵光が見知らぬ女性と関わるのには何か思うことがあるのだろう。少しからかってみるか。

 

「ここにいるのが偵光だったら良かったですか? 会場で他の女性に声をかけられたりしても、越水さんを優先してくれるかなって考えてないですか?」

 

「なっ! そ、そんな訳ないでしょ! それに、偵光君のことは今関係ないでしょ!」

 

「おや、顔が赤いですよ?」

 

「うぅぅぅ。安室さんのイジワル・・・」

 

「ははは、すみません。越水さんは偵光のことが関わるとあまりにも可愛らしくなりますから」

 

「うぅぅ、そんなことないと思うけどなぁ」

 

「越水さんをからかうのはこの辺にしておきましょうか。それで、森谷帝二に関してどう思いますか?」

 

「偵光君が来ないって分かった時に反応したのが気になったかな。あれは・・・」

 

「越水さんも感じましたか。僕も彼は偵光に何かこだわってるように感じましたね。良い方向でこだわってるのでしたら良いのですが・・・って越水さん、どうしました?」

 

「これからクイズするみたいだよ、問題の紙もらってきたよ」

 

「会場にお集まりの皆さん、私からクイズを一つ出したいと思います。制限時間は3分です。皆さんもぜひお考えください!」

 

「ほう。なかなか面白そうですね。紙を見せていただけますか?」

 

 越水さんにクイズの問題の紙を見せてもらった。

 

 

 

 森谷帝二からの問題

 

・三人の男が経営する会社のパソコンのキーワードを推理する

 

・三人に共通する言葉でひらがな五文字

 

 小山田 力(A型)

 昭和31年10月生まれ

 趣味・温泉めぐり

 

 空飛 佐助(B型)

 昭和32年6月生まれ

 趣味・ハンググライダー

 

 此堀 二(O型)

 昭和33年1月生まれ

 趣味・散歩

 

 

「趣味や名前はバラバラだから関係なさそうだね」

 

「そうですね。となると生年月日がヒントになりそうですね。おや?」

 

「みんな生まれた年が一年違いだね」

 

「そうですね。生まれた年が一年ちがい・・・干支でいうと」

 

「猿、酉、犬・・・そうか!」

 

「ももたろうだね」

 

「ももたろうですね」

 

「ももたろうだ!」

 

「いやはや、正解者が三人同時に出るとは。凄いですね」

 

 森谷さんがそう言い、拍手が会場に巻き起こった。やれやれまさかコナン君まで来ているとはね・・・。偵光の次に事件遭遇率が高い子だから絶対に何か起こるな。

 

「コナン君もいたんだね」

 

「こんにちは、コナン君」

 

「安室さんに越水さん!?」

 

「おや、三人はお知り合いでしたか。私のクイズを正解したご褒美に、ギャラリーをご案内しますよ。蘭さんもコナン君とご一緒にどうぞ」

 

「は、はい!」

 

 どうして蘭さんまで呼んだ? コナン君の保護者的な意味というなら分かるが・・・。何か別の目的があるのか? 俺達と知り合いなのを知ったなら、わざわざ呼ぶ必要はないはずだ。いったい何を企んでいる、森谷? 

 

「こんにちは、蘭ちゃん」

 

「こんにちは、越水さん、安室さん。お二人もまさか来ているとは思いませんでした!」

 

「こんにちは、蘭さん。毛利さんが招待されたのかい?」

 

「いいえ。新一が招待されてたんですけど、事件で行けないからって私達が代わりに来たんですよ」

 

「なるほどね。森谷さんが他にも来られない人がいるって言いかけたのは、工藤君のことだっだのか」

 

「ねえねえ、越水さん達はどうして来たの? 招待されたとか?」

 

「偵光君の代わりだよ。入院してて来れないから、私達が代理でね」

 

「お兄ちゃんってまだ入院してるんですか!? 幸さんからは、働きすぎで寝不足なだけだから一日ぐらいで退院できるって聞いてたんですけど、どこか悪いんですか?」

 

「いいえ、いたって元気ですよ。このさい検査もしっかりさせようってことになって入院が少し伸びてるんですよ。GW明けには退院する予定になってますし、本人も元気すぎて退屈しているって状況ですね。

 こちらとしては、病院にいるほうが大人しくしてくれるから助かるんですけどね」

 

「ははは・・・」

 

「そうなんですね。元気そうなら良かったです。今度お見舞いに行ってみます」

 

「ありがとう、蘭ちゃん。偵光君も蘭ちゃんが来ると喜ぶと思うよ。暇すぎて病院から抜け出したいとか言いだしたから、話相手になってあげて。でないと何しでかすか分かんないから、あの人」

 

「わ、分かりました」

 

「お話は終わりましたかな?」

 

「すみません、森谷さん」

 

「いえいえ、皆さん楽しそうで何よりです。こちらの部屋が私のギャラリーになっております。ゆっくり楽しんでください」

 

 そうして俺達は、森谷さんのギャラリーを見て楽しむのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<灰原哀side>

 

 私は、萩原さんと調べた情報を白銀さんに報告しに来た。

 

「失礼するわね」

 

「いらっしゃい、哀ちゃん。萩原さんはどうしたんだ?」

 

「彼なら、もうちょっと調べることがあるからって、私に報告を任せて行ったわ」

 

「なるほどね。良かったらリンゴでも食べる? 小腹がすいたからこれから剥こうかなと思ってたんだよ」

 

「あなたね。病室を何だと思ってるのよ。私が剥いてあげるから貸しなさい。貴方は今は元気かもしれないけど、倒れたんだからちゃんと安静にしてなさい」

 

「いやぁ、だって暇すぎるかね? 病院で寝てるだけとか身体動かしたくなってきてウズウズするんだよ」

 

「い・い・か・ら! 大人しくしてなさい?」

 

「・・・はい」

 

 ふう。ホントにこの人は、どうしてジッとすることができないのかしら? 自分が無茶して倒れたって自覚が無いのかしら? 自覚が無いからこうなってるのね・・・。お姉ちゃんも苦労するわね。

 

「はい、出来たわよ」

 

「ありがとう。うん、美味しいな。しかし、随分と手慣れてるな」

 

「お姉ちゃんと暮らしていた時から、ずっと料理していたからこのぐらい簡単よ。今じゃ、博士の家で毎日作ってるしね。私が献立考えないと栄養が偏るものしか食べないのよ」

 

「あはは。博士らしいな」

 

「そういう貴方も料理得意じゃない」

 

「小さい時から俺がやらないと悲惨なことになってたからな。まあ、クリスの奴も今ではだいぶ上達したが、昔は酷いもんだった・・・」

 

「ふーん、そうなのね。今度暇な時で良いからお菓子作り教えてちょうだい。サマーライトみたいにおいしいお菓子作りたいのよ」

 

「夏美ちゃんに聞いた方が良いと思うぞ?」

 

「夏美さんの先生は貴方じゃない。だから、貴方に聞いてるの。それに夏美さんはお店で忙しいでしょ?」

 

「いや、俺も仕事は忙しいんですけど・・・」

 

「何か文句あるのかしら?」

 

「いいえ・・・」

 

「それで話を戻すわよ。貴方に送られてきた脅迫状だけど、警察に調べてもらったけどワープロ文字で誰が書いたか分からなかったそうよ。指紋も出なかったらしいわ」

 

「いや、ちょっと待って。警察とか聞こえたんだけど、気のせい?」

 

「気のせいじゃないわ。佐藤刑事達に鑑定頼んでたわよ、萩原さんが。それと安室さんにも越水さんが狙われてるってことも伝えたわ」

 

「マジかよ・・・それで、美和子や透はなんて?」

 

「安室さんは越水さんのことは心配するなって言ってたわよ。佐藤刑事は、貴方と越水さんに護衛を付けるようにするって。貴方の護衛には佐藤刑事が来るって言ってたわよ」

 

「それって絶対俺が何かやらかすこと前提の配置だよね。マジかぁ、美和子いたら抜け出す時大変なんだけどなぁ。ってか脅迫状きた件で間違いなく怒られるよね?」

 

「抜け出す前提で話すのはやめなさい。そうさせないように私達が頑張って動いてるんだから。さあ、それは佐藤刑事次第なんじゃない?」

 

「怒られないこと願っておこう。それで火薬が盗みだされた件についてはどうなった?」

 

「その火薬を使って色々な建物が放火されてるみたいよ。四件の邸宅が被害に合ってるわね」

 

「邸宅に被害? 共通点とかは?」

 

「場所はバラバラね。家の雰囲気は似てるわね」

 

「そうか・・・となると、その家を建てた業社や建築家等の設計者辺りで調べてみたらどうだ? それで何か出てくれば絞れていくはずだ」

 

「そうね。その線で調べてみるわ。それで、貴方は誰だと予想しているの?」

 

「おそらくだが森谷帝二じゃないかと睨んでいる。証拠は無いから確信できないけどな。パーティーの招待状が来たタイミングができすぎてるんだよ。ただ、確証が無いから他の人物の可能性もありえる。もうちょい情報があればおのずと絞れるはずだ」

 

 相変わらず、この人の考え方はすごいわね。こちらが予想もつかない点に着目して冷静にアドバイスをくれるし、彼の勘が外れた試しはない。彼の言うとおりに、森谷帝二が怪しいんでしょうね。彼の推理を確実なものにする為に、私達が頑張らないと彼はま無茶するだろう。少しでもいいから大人しくして欲しいわね。

 普通の人なら病院から脱走なんて思いつかないわよ? 脱走した後にこっぴどく怒られると分かっていながらも、彼はその考えを曲げることは無いだろう。自分の身内の為ならどんなことであろうと無茶し、そしてけがをして帰ってくる。

 私としては、そういうのを辞めて欲しい。お姉ちゃんも凄く心配するし、私も心配ぐらいはする。

 決して、表には出さないけどね。彼に無茶させないようにする為に、萩原さんと相談して佐藤刑事や安室さんに脅迫状が来ていたことを話して、彼が行動しないように手を打ったんだけど・・・・効き目は薄そうね。

 

「ん? 俺の顔に何か付いてるか?」

 

「別に・・・いつもみたいにあほくさい顔してるわよ」

 

「いつもあほくさい顔って何!?」

 

「貴方は気にしなくて良いわよ。それじゃあ、私はもう帰るから。大人しくしてるのよ、良いわね?」

 

「そう言われると気になるんですけど!? 一人で大丈夫か?」

 

「博士に迎えに来てもらうようにしてるから大丈夫よ」

 

「そうか。駐車場までは送るぞ。病院の敷地内なら動いても良いって先生から許可もらってるからな」

 

「・・・・そう」

 

「ああ、それじゃあ行こうぜ」

 

「ええ・・・貴方ってホントお人好よね」

 

「はは、よく言われるよ」

 

「・・・・・ありがと」

 

「どういたしまして」

 

「聞き流しなさいよ、バカ・・・」

 

 駐車場に着くまでの間の数分間は、なぜかは分からないが心地良かったわ・・・・一体どうしたというのかしら?

 気にしても仕方ないわね。私は彼と別れ、事件の調査を再開するのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

<白銀偵光>

 

 哀ちゃんが報告して来てくれた次の日に、病院の休憩室でノートパソコンを開き過去の事件のファイルを調べなおしていた。うーん、一人で調べるには量が多いな。どうすっかな・・・・ん、蘭ちゃんから電話?

 

「はい、もしもし」

 

「あ、おはよう、お兄ちゃん」

 

「おはよう、蘭ちゃん。どうしたの?」

 

「えっと・・・相談があるんだけど良いかな?」

 

「ちょうど病院で暇してたし全然良いよ」

 

「暇って、お兄ちゃんたら。大人しくしてないとダメだよ?」

 

「ははは、たくさんの人達からそう言われたよ。それで相談って?」

 

「男の人のプレゼントとかって何もらったら嬉しい?」

 

「そうだなぁ。うーん、贈ってくれた人の気持ちがこもってたら何もらっても嬉しいんじゃないかな? 例を挙げるとしたら、服とか靴下とかの衣類や日常生活で使える物とかかな」

 

「そっかぁ、やっぱり衣類が無難かなあ」

 

「もしかして、新一君へのプレゼントかい?」

 

「うん。新一の誕生日に、米花シティービルで会う約束したんだけど誕生日プレゼントがなかなか決まらなくて」

 

「新一君なら衣類も良いだろうけど、手帳とかもどうだろう? 探偵業してるとメモ取ること多いから、手帳とかあると凄く便利なんだよ。

 俺もそろそろ新しいの買わないといけないな」

 

「手帳・・・良いかも! 手帳と衣類で考えてみるね! お兄ちゃんも新しい手帳買うの?」

 

「前の買って一年がくるからね。蘭ちゃんみたいに可愛い子から、プレゼントもらえるなら何でも喜ぶと思うよ」

 

「もう、お兄ちゃんたらお世辞がうまいんだから。ねえ、お兄ちゃんは私からプレゼントとかもらえたら嬉しい?」

 

「お世辞じゃないんだけどなあ。蘭ちゃんからプレゼント貰えたらもちろん嬉しいよ」

 

「そっか・・・相談乗ってくれてありがとう、お兄ちゃん! 確か、GW中も病院にいるんだよね?」

 

「GW明けまでは入院してるよ」

 

「お見舞いに行くからね! それじゃあ、またね!」

 

「ありがとう、またね」

 

 コナンの奴どうするんだ? 蘭ちゃんデート行く気満々になってるしバックレたら後が怖いぞ。まさか、俺に変装して行けとかはないだろう・・・うん、絶対ないな。あったらむしろ断るわ。

 それにしても米花シティービルか。なーんか引っ掛かるんだよな。何だったかな・・・・・

 

「あ、こんな所にいた! 部屋に入ってもいないと思ったら、ここで何してたのよ、偵光」

 

「おう、美和子か。哀ちゃんから聞いてたが、マジで来たのか」

 

「アンタねぇ。萩原君や哀ちゃんから話聞いた時は驚いたわよ。詳しく話し聞かせてもらいたいから、病室に戻るわよ。一人部屋だし都合が良いでしょう」

 

「へいへい。護衛が付くって聞いたんだがお前だけなのか?」

 

「私ともう一人、刑事が来ているわ。その人には、アンタの病室で待ってもらってるから」

 

「置いてきたのかよ・・・その人にも悪いし早く戻ろうぜ」

 

「ええ、行きましょう。パソコンで何してたの?」

 

「ただの暇つぶし」

 

「何よ、それ」

 

「入院生活が暇すぎて、やれないんだよ」

 

「アンタって奴は・・・」

 

 そんなやり取りをしながら、美和子と一緒に自分の病室へと戻った。




二月になったのでアンケート第一弾は終了します。
 ベルモット→佐藤刑事→香坂夏美→秋庭怜子→由美さんの順番で番外編のデート回を書いていきたいと思います。
 本編と並行で作り、話が出来次第投稿します。
 続いてアンケート第二弾をしていますのでそちらにも投票よろしくお願いします。
 

 次の更新は明日を予定しています。


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27話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!



<佐藤美和子side>

 

 

 私は高木君と一緒に偵光から、脅迫状の詳細を聞きにきて護衛をする為に彼が入院している病院内で彼を見つけた後、病室で話を聞いた。

 

「それで偵光の所に届いた脅迫状に心当たりはあるの?」

 

「ぶっちゃけ全然無い」

 

「そんなあっさりと!?」

 

「高木刑事もすみません。美和子の我儘に付き合ってもらって。こいつといると大変でしょう」

 

「いえ、自分はそんな・・・」

 

「ちょっとどういうことかしら?」

 

「そのまんまの意味だ。お前って昔から鉄砲玉みたいな性格してんだろうが。そのせいでどれだけ振り回されたことか」

 

「あ・ん・たの方がとんでもなかったでしょうが! いつも私達の方が巻き込まれてたのよ!」

 

「そうだっけ?」

 

「そうだったのよ!」

 

「ははは、仲が良いですね、お二人は」

 

「腐れ縁だからな」

 

「何よ、その言い方は! 幼馴染って言いなさいよ! どうしてコイツのこと・・・」

 

「ん、どうした?」

 

「別に何でもないわよ! それで脅迫状の話に戻すけど、心当たり無いって本当なの?」

 

 私はもう一度偵光に確かめた。長い付き合いでずっと彼のことを見てきたから分かるわ。何か心当たりがあってそれを誤魔化す為に私に絡んできたのだろう。

 ホント、昔から分かりやすいんだから・・・

 

「だから心当たり無いって言ってるだろ。探偵業の関係で恨まれた可能性がありそうかなと思ったが、ぶっちゃけここまで恨まれるようなことをしてきたつもりはないな。

 脅迫状が送られてくる時点で俺が恨まれているのは間違いないだろうが」

 

「爆薬というと犯人は何が目的なんでしょう? 放火は連続で起こっているみたいですが・・・」

 

「爆薬盗んだ時点で、何かを爆発させようとしてるのは間違いないかと思いますよ。盗まれた火薬で、プラスチック爆弾大量に作れますからね。

 東京都内の人が多い場所が狙われ始めるんじゃないかと予想しています」

 

「そんな! もし、そうなら早いこと捜査員を増やして爆弾見つけないと、大変ですよ佐藤さん!」

 

「落ち着きなさい、高木君。今捜査員を増やせば、犯人がどう動くか分からないわ」

 

「それには同感だ。少数で動くことをお勧めしますよ」

 

「そんな、どうしたら・・・」

 

「手っ取り早い方法は、俺が警察と一緒に動けば犯人も釣れますよ?」

 

「ダメよ!」

 

 私は偵光の考えに大声をだして反対した。それだけは絶対ダメよ。爆弾関係で、彼の身にまた何かあったら・・・

 

 

「佐藤さん、急に大声だしてどうしたんですか!?」

 

「それだけは絶対ダメなのよ・・・今回の件に関しては大人しくしていて。お願い」

 

「お前まだ、三年前のこと気にしてるのか?」

 

「そうよ、悪い!? 貴方が爆弾事件に巻き込まれて大けがして、あの時は結果的に助かったけど次はどうなるかが分からないじゃない! 次爆弾事件に巻き込まれたら死んじゃうのかもしれないのよ!?」

 

 私は、ショッピングモールの観覧車で起きた爆弾事件のことを今でも覚えている。彼が爆弾の対処をするのを手伝うこともできず、彼とクリスさんが爆発に巻き込まれ、血を流していた偵光の手を握り泣くことしかできなかった・・・。

 私が、もっと早く爆弾に気づいて観覧車を封鎖していれば偵光達は観覧車に乗らず、怪我しなかったかもしれないという後悔が押し寄せた。

 それ以外にも、彼が事件に巻き込まれるたびにいつも私がもっとしっかりとしていればと思うことばかりだった。

 三年前の爆弾事件は特にトラウマになっており、彼が爆弾事件の巻き込まれそうになるととても不安になってしまう。ふらっと、私の前から消えてしまいそうで・・・

 

 

「ったく、あの事件は犯人が捕まっただろうが。それに爆弾事件に巻き込まれても死ぬつもりなんかねえよ。

 死ぬのは老人になって寿命が来てからって決めてるからな」

 

「でも・・・・・」

 

「ああ、もう。そうやって泣くの昔から変わんねえな。俺が無茶しないように美和子や高木刑事達が護衛に来てくれたんだろ? 

 警察や俺の部下達が、頑張ってるんだから俺はのんびりさせてもらうつもりだ。情報提供とかだけはするけどな」

 

「ホント・・・?」

 

「ああ、だから泣くのは辞めろって」

 

「うん・・・」

 

 そう言って彼は私の頭を撫でてくれた。彼に頭を撫でられる心が落ち着きとても安心する。きっと、だらしない顔してるわね、私。

 こうやって優しくしてくれるのだって昔から変わんないじゃないのよ、バカ。

 

「・・・こほん。二人とも僕がいること忘れてませんかね? うう、白銀さんが羨ましいですし、白銀さんの前だと佐藤さんってあんなになるんですね・・・」

 

「すいません、高木刑事。美和子落ち着かせないと話できなかったもので。んでまだ撫でたほうが良いか? 話の続きをそろそろしたいんだが・・・」

 

「・・・! ちょ、も、もう大丈夫よ! ご、ごめんね高木君」 

 

「はあ・・・佐藤さん、顔真っ赤ですね」

 

「こ、これは部屋の中がちょっと暑いからよ!」

 

「窓全開で涼しい風入ってきてるけどな・・・いってえ!」

 

 私は余計なことをいう奴を抓り、笑顔で問いかけた。

 

「何か言ったかしら、偵光?」

 

「高木刑事、美和子を怒らすのだけは辞めた方が良いですよ。怒るとこんなに面倒くさくなる上に怖いですから」

 

「は、はい。肝に銘じておきます」

 

「な・に・を・は・な・し・て・る・の・か・し・ら?」

 

「いえ、何でもありません。ね、高木刑事」

 

「は、はい! 何でもありません!」

 

「そう。話を戻すけど現在連続で起きている放火事件の犯人と爆薬を盗んだ犯人って同一人物って思ってるんじゃないの、偵光?」

 

「え、そうなんですか!?」

 

「ああ。八割がたそうじゃないかと睨んでいる。萩原さん達には、放火があった建物関係で調べてもらってるよ。

 透達もおそらくそれに気づいて動いてる頃だろうな。透達の方からはいっさい連絡ないけど」

 

「越水さんには刑事と透君が付いてるから心配は無さそうね」

 

「ああ。アイツがいる限り彼女の身は安全だ。七槻ちゃんが暴走しなければ大丈夫だと思う」

 

「アンタがここにいて事件に巻き込まれない限り、彼女が暴走することは無いわよ」

 

「そうですね・・・」

 

「建物関係で調べられてるって白銀さんが言いましたけど、何か理由があるんですか?」

 

「建物ってか邸宅のデザインのみが似通っていた為、建築家か業者関係で絞れるかなと思い調べてもらってます」

 

「高木君!」

 

「はい! そっち方面で当たってみます!」

 

「高木刑事も忙しないな。それでお前はどうするんだ?」

 

「私は貴方の護衛任されてるから、近くにいるわよ」

 

「そうかよ・・・外に出ろっていったらドアの前で待機するんだろうな」

 

「当然よ」

 

「はあ、分かったよ。ちょっと調べものに付き合ってくれ」

 

「これはファイル?」

 

「俺の事務所のメンツが関わった今までの事件をまとめたものだ。まだ数冊しか調べれてなくてな。建築物、都市開発関係で調べてんだよ。一人で調べるのに限界があってな。‏調べていたらお前が来たわけだ。

 詳細な個人情報とかは載ってないし、刑事のお前が捜査で見る分には問題ないだろう」

 

「なるほどね。それにしても凄い量ね。これだけの量ってなると二人でも2~3日ぐらいかかるわよ?」

 

「覚悟の上だ。それに俺のことを近くで護衛できる良い理由になっただろ?」

 

「ホントに、もう・・・。分かったわよ、協力するわ」

 

「ありがとな。それじゃあ、調べもの開始しますか」

 

「そうね」

 

 私は偵光と協力して、大量にあるファイルの調べていくのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<宮本由美side>

 

私は偵光の見舞いと、美和子への差し入れを兼ねて米花中央病院へと来ていた。えっと、アイツの病室はここね。

 

「おーい、来てやったわよ、二人とも・・・・」

 

「あ? 由美か。どうしたんだ? ふぁーあ」

 

「すぅ、すぅ、すぅ」

 

「何してんのよ、アンタは。凄く眠そうじゃない。それに美和子の奴は、アンタの身体枕にして座りながら寝てるし」

 

「夜遅くまで調べものに付き合ってもらってたからな。悪いが寝かせてやってくれ」

 

 私はイスに座りながら偵光に確認した。あ、眼鏡かけてるの久しぶりに見たわね。

 美和子の奴、幸せそうな顔してるわね。羨ましい・・・って今はそんなこと思っている場合じゃないわね。

 

「二人で何調べてたのよ? ってかどうしてファイル見てんの? パソコンとかにデータ無いの?」

 

「病院への配慮だよ。待合室ならパソコン使えるんだが、夜遅くまでは使えないしな。

 それで今は名探偵事務所のメンバーが関わった過去の事件をまとめた資料を建築物、都市開発関係で調べてたんだよ。1日かけて全体の5分の1ってとこか」

 

「だからアンタが眼鏡スタイルになってるのね。それにしても終わるのそれ?」

 

「5月3日までには終わらせたいんだよな・・・終わる気しないけど」

 

「3日っていうと明後日じゃない。どう考えても間に合わないでしょう? 何か理由があるの?」

 

「脅迫状来たのはもう知ってるんだろ? 早いこと解決してGWはゆっくりしたいってのが本音だ」

 

「ええ、美和子から相談されたし警察内で美和子がそわそわしまくるから、周りの刑事が一体何があったんだ!?って大騒ぎだったわよ。なるほどね」

 

「なあ、刑事って暇なのか?」

 

「美和子が関わると暇になるんでしょうね。

 それに昨日も高木君がアンタと美和子のやり取りをみんなに泣きながら話してたから、今日は外ですごい数の刑事がはってるわよ。私がここに来るの知った男性陣にも調べてきてくれって言われたし」

 

「ああ、やっぱ高木刑事って美和子のこと好きなのね・・・」

 

「人の恋愛事情とかには気づくくせに、自分が関わるとホント鈍いわよね、アンタ。今は昔に比べてだいぶマシになったけど」

 

「ふつう、この人俺の事好きなのか?って思わないだろうが。とんだナルシストになっちまう」

 

「そうね。でもあれだけアプローチ受けたりしたら流石に気づくわよね?」

 

「まあな。俺に好意向けてくれてるってのは分かってるよ、お前や美和子にしろな。ただ・・・」

 

「今はやるべきことがあるんでしょ? 分かってるわよ、それが終わったらちゃんと私達のこと考えてくれるんでしょ?」

 

「まあな。それが終わるまでに他に好きな人でも見つかってくれれば構わないんだが、みんなからそれは無理だって言われたしな。

 こんな冴えない男のどこに良い所があるのやら」

 

「私達にはアンタの良さが分かってるから十分よ」

 

「そうっすか・・・」

 

「私達の前からいなくなることだけはしないでよ、死んだりとかね・・・」

 

「分かってるっての。死ぬのは寿命が来てからって決めてるからな」

 

「それなら良いわ。そういえば美和子の奴は帰ってないの?」

 

「一回家で風呂入って化粧しなおしてくるって帰った後、戻ってきてからはずっといるな」

 

「ふーん。他の人には手伝ってもらえないの?」

 

「会社の人や事務所の人もほとんど出払ってるんだよ。いるのは、七槻ちゃん、透、萩原さんだけで萩原さんには別の頼み事してて、七槻ちゃん達は独自で捜査してるから頼むこともできないしな。

 それで一人でやろうとしていた所に、美和子が俺の護衛につくことになったから、ちょうど良い機会だと思って頼んだんだよ」

 

「なるほどね。それで今の状況になってるって訳ね。よし、決めた。私も手伝うわ! 交通課の仕事も二日ぐらいなら何とかなるしね」

 

「マジかよ・・・俺としてはありがたいが、良いのか?」

 

「良いに決まってるじゃない。とりあえず、ここにある束から調べていくわね」

 

「助かる。ありがとな、由美」

 

「偵光が作るお菓子で手を打ってやろう」

 

「はいはい」

 

「う、ううん・・・・ここは・・・?」

 

「ありゃりゃ、ようやくお姫様のお目覚めね。ふふっ」

 

「由美・・・? どうしてここに?」

 

「美和子達に差し入れ持ってきたのよ。あ、あと私も調べものに付き合うことにしたから、よろしくね」

 

「良いの?」

 

「美和子と偵光を二人きりにする方が不安だしね♪」

 

「何言ってるのよ、もう! 偵光からも何か言ってやって!」

 

「俺としては手が増えることはありがたいんだが・・・美和子の目も覚めたみたいだし、再開しようぜ」

 

「偵光の言う通りよ、美和子」

 

「もう・・・分かったわよ。やっていきましょう」

 

 私達三人は、そうして調べものを行うのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<越水七槻side>

 

 GWになり、私は安室さんと一緒に偵光君の病室に話しながら向かっていた。

 

「ねえ、安室さん、最近起こっている放火事件ってどう思う? 例の火薬窃盗事件と関わってるかなって思うんだけどどう思う?」

 

「僕もそう睨んで調査しましたよ。例の放火事件を調べていたら、面白い共通点が見つかりましたよ」

 

「何か分かったの?」

「今回の放火を受けた建物なんですが、同じ建築家がデザインしたものでした」

 

「それって森谷帝二かな?」

 

「おや、どうしてそう思ったのですか?」

 

「うーん、この間のパーティーの時に偵光君の関係者である私達に執着してる感じがしたからかな? 

 それに偵光君本人が森谷さんって誰だよ、状態だったのに招待状送ってきたことも怪しいしね」

 

「よく見られてますね。正解です。燃えた建物は、全て森谷帝二が設計した建物でした。

 さて、ここで放火をしてるのが森谷さんに恨みを持つ者なのか・・・」

 

「森谷さん自身が建物を壊している可能性もあるよね? シンメトリーにやたらこだわってたし」

 

「ええ。何にしても調査が更に必要ですね」

 

「そうだね。それにしても、事務所に届いていた偵光君宛の差出人が無いこの手紙、絶対怪しいよね」

 

「そうですね。偵光に開けてもらって中身を確認しましょう」

 

「うん。ああ、ここだね。偵光君見舞いに来たよって・・・」

 

「ああ、七槻ちゃんに透か。いらっしゃいってこんな状態で言うのもなんだが」

 

「「すぅ、すぅ、すぅ」」

 

「何してんの、偵光君?」

 

「佐藤さんに由美さんは眠っておられるみたいですが・・・」

 

「徹夜で調べものしてたんだよ。そこに積んであるファイルのな。流石に三日もずっと調べるのは疲れる」

 

「もう・・・またそんなことしてダメじゃないか」

 

 むー、佐藤刑事や由美さんに頼むんだったら僕でも良かったんじゃないのかな・・・。

 だいたい入院してからは全然連絡してきてくれないし・・・

 

「そうだぞ。お前は入院していても休むことをしないな」

 

「初めの一日で休むことには飽きたんだよ。それで二人の方は、何か新しい情報でも入ったのか?」

 

「ああ、うん。偵光君は今回の放火事件って誰が起こしているものだと思う?」

 

「森谷帝二だな。あのおっさんが建てた建物ばかり焼けてんじゃねえか。初めは恨みを持つ奴の犯行の可能性もあるかと思ってたんだが、その理由はすぐに無くなった」

 

「へえ」

 

「どうしてそう思ったの?」

 

「恨み持つ奴なら、森谷邸放火ってか爆破する方が早いだろ。今回みたいに回りくどいことをするメリットが無いしな。

 大方、昔の自分が建てた物が気に食わないって所か? インタビュー記事とか読んだらやたらプライド高そうなおっさんだし、会ったこと無い奴をパーティーに誘う時点でやべー奴だわ」

 

「相変わらず、そこまでの理由を思いつくよね」

 

「偵光ですから仕方ないです。あ、そうそう、お前宛に手紙が届いてたぞ。越水さん」

 

「そうだね。これなんだけど、差出人も無いみたい」

 

 私は偵光君に手紙を渡すと、彼はそれを読み始めると険しい表情になり紙を丸めた。

 

「何が書いてあったんだ?」

 

「うーん、とりあえず、おーい起きろ、美和子、由美」

 

「ううん・・・」

 

「もう、何よ、うるさいわね・・・」

 

「偵光君?」

 

「起きたな。美和子と由美は、病院のスタッフに、ここに爆弾しかけられたって伝達してくれ。透と七槻ちゃんは一緒にこの病院内を探しまわって爆弾見つけてくれ。

 爆破予定時間は、11時半だから後40分だな。早くとしないと怪我人が多く出ることになる」

 

「なんですって!?」

 

「本当なの!?」

 

「ちっ!」

 

「後40分・・・急いで見つけないと大変なことになるね。爆弾仕掛けられたのは本当なんだよね、偵光君?」

 

 私は偵光君の目を見つめながら言った。もしかしたら私達を守る為に嘘を言った可能性もありそうだけど、彼の余裕の無さそうな顔を見ると嘘はついてなさそうだね。

 どうやらホントにこの病院に爆弾が仕掛けられたみたいだね。関係ない人達を巻き込もうとするなんて許せない!

 

「嘘なんか言わねえよ、早く動いてくれ。俺一人だと限界があるからお前らの協力が必要不可欠だ」

 

「分かったよ! みんなも偵光君の言う通りに行動しよう! 行こう、安室さん!」

 

「ええ!」

 

「行くわよ、由美! 他の刑事にも伝えて爆弾探しに協力してもらいましょう!」

 

「そうね」

 

 私達は偵光君に言われたとおりに、行動を開始するのだった。




 次回は明後日更新予定です。
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28話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<偵光side>

 

 七槻ちゃん達が部屋から出て行った後に、俺は丸めた紙を元に戻して読んだ。

 

「親愛なる、白銀偵光君。君に面白いプレゼントを用意した。綺麗な花火が上がる時刻は、正午より半刻ほど前の時間だ。その花火がある場所は、君が夢の国へと旅立つ場所の下だ・・・か。えーとベッドの下には確かユキさんが退院する時にくれた見舞い品が・・・あったあった。

 確か中身はタオルって聞いてたんだが、時計の音がするな。中身は・・・うん、分かってたけど爆弾だな。どこで、ユキさんの物と入れ替えたんだ? 後で連絡して詳しく話し聞いてみるか。

 さて、解体道具無いから、この爆弾を持って逃げないといけないんだが、どうするかね?

 流石に病院内に仕掛けられるのは俺も予想外だったぞ。窓から外に出るしかないよな。ここ二階だし、ちょうどいい足場もあるし何とかなるだろう。問題は人がいない場所に運ぶってのと、移動手段か・・・。

 

 その時、窓の外を見ていると見知っている車が駐車場に止まるのが見えた。ナイスタイミングだよ、萩原さん♪

 俺は爆弾を抱え、外に透や美和子達刑事がいないことと監視カメラに映らないかを確認し、窓から足場をつたって飛び降り、車のとこへと向かった。スリッパだと走りにくいな・・・

 車から哀ちゃんと萩原さんが降りてきて、俺を見つけた瞬間驚いていた。

 

「ちょっと何してるのよ、貴方は!?」

 

「おいおい、どうした!?」

 

「おはよう、哀ちゃん、萩原さん。来てすぐに悪いんだけど、港の空き地に向かってもらえる? でないと俺の持ってる物がドカンと爆発しちまう」

 

「マジかよ!? 中身は・・・・マジで爆弾じゃないか。

 しかも、爆発まで時間がほとんどないし、この大きさの奴だと、被害範囲もそこそこ広いぞ! なるほど! だから港近くの工場があった空き地か! 早く乗れ!」

 

「っていう訳なんだよ、哀ちゃん。悪いけど付き合ってもらうよ」

 

「貴方ね・・・こういう形で病院から脱走して来るとは思わなかったわよ・・・今はそんなこと言っている場合じゃないわね。

 早く、その爆弾をどうにかしましょう」

 

 俺達3人は、急いで港の空地へと向かった。

 15分ほどして港に着き、爆弾を周囲に被害がでない位置に置き、人が入らないように周囲にいた人にも協力してもらい、対策した。

 爆破予定時刻になると、爆弾は爆発し周囲に大きな音を響かせた。

 

「とりあえず、これで一安心だな。解体道具あれば解体したんだがな・・・」

 

「何を言ってるのよ、貴方は。病院にそんなもの持ち込めるわけないでしょ?」

 

「ですよねー。いったん、事務所にバイクと道具取ってくるかぁ。まだ必要になりそうだし」

 

「おいおい、病院に戻らないのかよ!?」

 

「ははは、戻る訳ないじゃん。俺が戻るとまた病院が狙われそうだし、他の人を危険に合わす訳にはいかないから単独行動しようかなと」

 

「戻りたくない本音は、別にあるんでしょ? 正直に言いなさい」

 

「帰ったら美和子達に何されるか分かったものじゃないので、正直戻りたくないです」

 

「おいおい、ん、安室から電話だ。スピーカーモードにしてと。はい、もしもし?」

 

 

 やべえ。静かにしとこう。俺がいるのバレたら間違いなく殺される・・・

 萩原さんもおおかた予想付いていたのか知らないけど、俺の近くで話すのは辞めて欲しかったかな!?

 ってか、哀ちゃんの目が凄く冷たいよ

 

「萩原か!? 今どこにいる!?」

 

「そんなに慌ててどうしたんだ?」

 

「偵光のバカが病院から脱走しやがった。携帯や荷物も置きっぱなしだから足取りが追えないんだ! 俺の部下と佐藤さん達に捜索してもらっている。お前も何か知らないか?」

 

「何やってんだよ、白銀は。どうして脱走なんて羽目になったんだ?」

 

「事務所に偵光宛の手紙が来ていて、それを越水さんと持っていって見せたら、病院内に爆弾があるから探せって言われて、俺、佐藤さん、宮本さん、越水さんの四人が病院内を探し周って、佐藤さんが偵光のことが心配になって部屋に戻ったらもぬけの殻だったんだ。

 まんまと騙された。おそらく、アイツの部屋に爆弾がすでにあって、俺たちを逃がしたってとこだろうが、気づくのが遅かった!」

 

「なるほどなー。佐藤さんや七槻ちゃん達は大丈夫なのか?」

 

 うわあ、透には全部バレてるし、萩原さんまであきれた目で見てきたよ・・・哀ちゃんは更に冷たい視線を向けております。

 

「何してるのよ、貴方は。バカなの? 今頃、佐藤刑事達血眼になって探してるわよ・・・。

 そんなことばかりだから、お姉ちゃんにも散々心配かけるのよ。自分の行動を顧みた方が良いんじゃないかしら」

 

 哀ちゃんの小さな声で、言葉のナイフが私にグサグサと突き刺さっております・・・・俺帰ったら絶対殺されるなぁ、七槻ちゃん達に。

 

「表向きは大丈夫だ。内心不安で仕方ないだろうな、佐藤さんなんか特にな。アイツが巻き込まれた爆弾事件がトラウマになってるから、今回もそうなるんじゃないかって思ってるはずだ。

 佐藤さんには宮本さんが付いてるし、越水さんには俺が付いてるから大丈夫だ。萩原の方も気をつけろ。

 今回の犯人はどうやら見境ないみたいだがらな。コナン君が爆弾を川沿いの空き地に持っていって、爆発してから怪我を負った。

 そして、ほぼ同時刻に港の方でも爆発音がしたと聞く。そちらは警察が向かってるはずだ」

 

「コナンは大丈夫なのか? 港の方は、騒ぎを聞いて俺達も調べる所だ。お互い気をつけようぜ。所長に行方が分かったらまた連絡するわ」

 

「軽い怪我で済んだみたいで安心したよ。よろしく頼むぞ、何かあったらまた連絡する」

 

「ふう・・・一つ貸しだからな」

 

「ありがとうございます。何でもさせていただきます、萩原様」

 

「病院に戻るという選択肢は無いの? 江戸川君の容態も見てきたいんだけど・・・」

 

「無いな。さっきの件で見境ないのが分かったからな。悪いが俺はここから動くぞ」

 

「はあ・・・分かったわよ。江戸川君に関しては後で電話するわ。それより事務所に行くんでしょ? 早く行くわよ」

 

「俺はここに来る警察に説明してから事情聴取受けてお前達と合流するよ」

 

「いや、萩原さんは美和子達と合流してくれ。爆弾解体できる人物が分散した方が対処もしやすくなる。松田さんや山川さんが出払ってるのがホント痛いな」

 

「確かにその方が良いな。分かったよ。灰原ちゃん、白銀の見張り頼むな」

 

 

「はぁ・・・分かったわよ。全く、一番疲れる仕事を私に押し付けないでちょうだい」

 

「酷い言われようだよね、さっきから!?」

 

「うるさいわね。早く行くわよ」

 

「気をつけてな」

 

 俺は哀ちゃんに手を引っ張られながら、近くでタクシーを捕まえ事務所に必要な物を取りに戻った。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

<萩原研二side>

 

 俺は警察の事情聴取を受けた後に、佐藤さん達と合流し情報をすり合わせていた。

 

「という訳で、俺が行った時には爆弾が爆発した後だった訳だ。白銀が爆弾を人がいない時に爆発させたってところじゃねえか?」

 

「そうね。早いとこあのバカを美和子の為にも見つけたいんだけど・・・大丈夫、美和子?」

 

「え、ええ・・・」

 

 佐藤さんはだいぶ参ってるみたいだな。宮本さんも大丈夫そうにふるまってるみたいだが、内心では凄く心配してるってとこか。

 まったく、アイツはこんだけ想われてんのに、どうして自分から心配させる方に突っ込んでいくのかね。

 俺達を危険から遠ざけるようにする為なんだろうけど、アイツには灰原ちゃんが付いてるからとりあえずは大丈夫か。俺の仕事はこの二人を守ることだな。

 

「二人とも、白銀が心配なのは分かるがアイツなら大丈夫だろう。今までどんな怪我しようがちゃんと戻ってきただろう? アイツに怪我させない為にも早いとこ犯人見つけて捕まえれば、白銀が狙われることも無くなるだろ?」

 

「そうね。早いこと私達で見つけましょう。偵光のことは刑事や交通課の方にも見つけたら連絡してもらうようにしたから、仲間に任せましょう。私達の出来ることをしましょう」

 

「・・・・分かったわ。それで、コナン君に事情聴取した目暮警部や白鳥刑事から先ほど話を聞いたんだけど、使われていた爆弾はプラスチック爆弾で、港で爆発した物も同じ爆弾だったらしいわ。

 犯人は同一犯とみて間違いなさそうね」

 

「白鳥刑事って初めて聞く名だな。そんな人いたか?」

 

「私も知らないわね。誰なの?」

 

「新しく警視庁の捜査一課に配属された男性刑事よ。さっき目暮警部から紹介されたわ」

 

「なるほどね。まあ、良いわ。それより爆弾ってまだ仕掛けられると思う?」

 

「おそらくな。爆弾の心配が無いなら、白銀の奴は病院から脱走なんかしないだろう。アイツが動き出したってことはおそらく事件は続くぞ」

 

「そうね。でもヒントも何も無いのよね・・・」

 

「いえ、そうでも無いわ。高校生探偵の工藤新一君の所にも、脅迫電話がかかってきてたらしいの。爆弾を仕掛けたって犯人からね。

 それでコナン君が代わりに対処して爆発に巻き込まれて怪我したそうよ。あと、コナン君が爆弾運ぶ時に一瞬タイマーが止まったって言ってたわね」

 

「工藤君まで狙われてるとはね・・・探偵にでも恨みがあるのかしら?」

 

「そうね・・・。偵光と工藤君が関係あったって聞いたこと無いし、探偵を恨んでいる可能性が高そうね。どうしたの萩原君?」

 

「佐藤さん、その時間が止まったって場所分かるか?」

 

「西多摩市の児童公園近くで止まったそうよ」

 

 俺は児童公園の写真を携帯ですぐに検索した。公園の画像には街灯が映っていた。この公園が何かヒントがあるのか? 灰原ちゃんの携帯に画像送っておくか。白銀から何か連絡があるだろうな。

 コナンの情報も聞きたい所だが、その辺りは安室が上手いことやってるだろうから後で聞いてみよう。

 

「この公園は何かあったのか?」

 

「いや、普通の公園だったわよ。高木君達が調べたけど特に何か出てきたわけではないわね」

 

「そうか・・・ん?」

 

「ちょっと、携帯見てどうしたのよ、アンタ?」

 

「いや、ちょっとな・・・」

 

 返信もう来たのか・・・えっと、何々? 

 

「この画像を越水さんか安室さんに送りなさい。あと、私達は調べ物も終わったし、準備が終わり次第米花シティービルに向かうわ」

 

 どういうことだ? とりあえず、言われた通りに送ってみるか。

 よし、送信完了と・・・って安室からの着信? 早くないか?

 

「悪い、安室から電話だ。はい、もしもし?」

 

 俺はスピーカーモードにして二人にも聞こえるようにして、安室と通話を開始した。

 

「この画像どうした?」

 

「いや、何かヒントになると思って送ったんだよ。コナンの野郎が、運んでいた爆弾のタイマーが止まったのがその場所近くらしくてな」

 

「なるほどな。コナン君から俺達もちょうど話を聞いていた所でな。

 先ほどの写真の画像と、森谷帝二の屋敷にあった、幻の西多摩市ニュータウン計画のジオラマの街灯が同じデザインだった。これは偶然だと思うか?」

 

「それは本当なのか!? 森谷帝二の家にも同じデザインの模型があったのか?」

 

「ああ、越水さんにも今確認したから間違いない」

 

「そうか・・・となると、動機は特定できたから爆弾を仕掛けたってのが本人から引き出せれば、捕まえれるぞ」

 

「動機が分かったのか?」

 

「ああ、灰原ちゃんと森谷関係は調べに調べたからな。おそらく西多摩市のニュータウン計画の頓挫が森谷の動機だ」

 

「そうか! 西多摩市の市長が失脚した。ひき逃げ事件だな。あれの真実を暴いたのが、工藤君だ。

 動機が計画をつぶされた逆恨みなら、今回の事件を起こしたの頷けるが、偵光の方には無いはずだぞ?」

 

「そうだ。白銀の方はおそらく、森谷の気にくわない建物の破壊を阻止したってところじゃないか? 調べたら杯戸町のショッピングモールの建築にも森谷が関わってたしな」

 

「なるほどな。森谷の犯行の動機が若い頃に設計した建物が気に食わなくて破壊しようとしたのなら納得だ。彼は完ぺき主義者で、気にくわない建物の破壊を試みたのが今回の事件の発端か。

 爆破や放火された現場は森谷が関わっている場所ばかりだ。ということは杯戸町のショッピングモールにも爆弾を仕掛けられる可能性が高いな・・・」

 

「完全な逆恨みって訳だ」

 

「ああ。早いこと対処しないと怪我人や下手したら死人が出るぞ・・・」

 

「あ、いた、安室さん! 大変だよ! 工藤君の所にさっき犯人から電話がかかってきて、環状線に5つの爆弾が仕掛けられたって!」

 

「なんだと!?」

 

「うん、それで警察もすぐに対応に動いたよ。僕達も行こうかと思ったんだけど、誰と電話してるの?」

 

「萩原とだ。聞いていたな?」

 

「ああ。環状線にも仕掛けやがったかあの野郎。このタイミングだと警察を引っ張ってこれないじゃねえか」

 

「環状線の方は警察に任せよう。萩原、森谷が関わってる場所で爆弾が現段階で仕掛けられていないのはどこか分かるか?」

 

「ああ、杯戸町のショッピングモール、米花町のショッピングセンター、米花シティービルの三ヶ所だ」

 

「ちっ、三か所とも場所が離れてるな」

 

「それなら、森谷の方を先に捕まえれば良いんじゃないのかな?」

 

「いや、そうだとしても時限式の爆弾を仕掛けられていたらどの道、爆発するから爆弾見つけないといけないな。

 くそっ、松田と山川さんがいないのがキツイな」

 

「解体できる人間が少なすぎる。環状線で爆弾処理班は動いてるから、確証も無いのに人員を引っ張ってくることは難しいし、爆弾の量が不明だし、その場所にいる客を避難させる必要もある」

 

「偵光の捜索にまわっている刑事達を戻せば人員は確保できるわ! その三か所のどこかにアイツは来るはず・・・その時に見つければ済むわね」

 

「そうね。その方が都合良いかもしれないわね。それにアイツは放っておいても自分でなんとかするでしょ。心配だけど、たくさんの命を守る為に行動しないと、それこそあの馬鹿に怒られるわよ。交通整理とか非難誘導は、交通課引っ張ってくるわ。

 その三か所に人員送れば良いのね?」

 

「なら俺の伝手も使う。それで人員はだいたい確保できるはずだ」

 

「流石だな、安室。となると後は、誰がどう動くかだな?」

 

「杯戸町のショッピングモールは、俺が対処しよう。伝手の人員も確保できるし、場所も一番広いからな」

 

「なら俺は、米花町のショッピングセンターに向かう。佐藤さんも俺と来てもらえるか?」

 

「ええ、分かったわ」

 

「あと、米花シティービルはどうするんだ?」

 

「僕が行くよ。警察の人と一緒に、爆弾見つけ次第、処理班が対応できるようにすれば良いんだよね? 偵光君や萩原さん達に技術や知識は叩きこまれたから大丈夫だよ」

 

「それはダメだ! 越水さん一人が動くのは危険すぎる。君は森谷に顔も割れてるんだぞ? 偵光と関りがある君が狙われる可能性が高い!」

 

「いや、七槻ちゃんには環状線の対策本部に行ってもらえるか? 犯人から連絡があったってことはそっちの対策の方が優先なはずだ。

 米花シティービルの方は、まだ確証がないしすぐに爆発することも無いはずだ。俺がとっとと、米花ショッピングセンターの方を終わらせて向かうようにする」

 

「越水さんも対策で連れていっていってもらえるように目暮警部に進言しておくわ」

 

「悪いが頼む。それで良いかい、七槻ちゃん、安室」

 

「うん、分かったよ」

 

「ああ」

 

「各自すぐに連絡取れるようにしておいてくれ。時間との戦いになるだろうがみんなよろしく頼む」

 

 俺はそう言って通話を切り、それぞれ行動を開始するのだった。




 あと2、3話で時計仕掛けの摩天楼編が終わる予定です。その後は、引き続いて劇場版の14番目のターゲットをやっていく予定です!
 第一弾のアンケートのヒロインとのデート回は、本編と並行してでき次第投稿しますので待っていてください!
 次の更新は明後日を予定しています。


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29話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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 これからもこの作品をよろしくお願いします!



<灰原哀side>

 

 私達は昼ご飯を食べておらず、事件が終わるまでは食べれないから、何か軽く食べようということで米花駅近くの喫茶店のテラス席で休憩をしていた。

 

「貴方に言われた通り、事務所を出る前に彼に米花シティービルへ向かうと送っておいたわよ」

 

「ありがとな、哀ちゃん」

 

「それで、食べ終わったことだしすぐにでも向かうの?」

 

「そうしたいのはやまやまなんだが・・・」

 

「何か気になることでもあるの?」

 

「あそこの線路のレールの横にある黒い箱みたいな奴がな」

 

「黒い箱?」

 

 私は彼と同じ方向を見てみると、線路の横に黒い塊?みたいなものが見えた。

 

「よく見えるわね。鉄道会社が付けたものじゃないの?」

 

「おそらく違うな。形が似すぎてるんだよ、昼前に俺が持っていたものとな」

 

「それって、まさか!?」

 

「ハズレなら良いんだが・・・。会計して近くで見てみよう」

 

「ええ、そうね」

 

 私達は会計を終えて、その箱が見えるフェンスに近づいた。すると、彼が私の身体をいきなり持ち上げた。

 

「きゃっ! ちょっと、何するの!?」

 

「後で謝るから、ちょっと今は我慢してくれるか? あの箱の上側がどうなってるか見えるか?」

 

「あなた急に女の子の身体触るなんてセクハラよ」

 

「分かってますから。あとで文句は聞くから。で、どんなだ?」

 

「全く・・・!? 赤いモニターで数字が書かれてて、青と黄色の線も見えるわ。数字は13って書いてるわね」

 

「やっぱりか・・・急に抱き上げてごめんね」

 

 彼はそういって私の身体を下した。まさか、この歳にもなって男の人に抱き上げられるとは思わなかったわよ。恥ずかしいじゃない・・・

 私は彼をジト目見ながら訪ねた。

 

「それでどうするの? あれって爆弾でしょう? 環状線がさっきから止まらないのもおそらくあれが原因ね」

 

「解体は無理だな。爆発条件が分からんし、環状線があれだけ走ってる間に解体しようものなら俺達の方が電車に轢かれてしまうからな。

 仕方ないか。ちょっと110番してくるわ。爆弾が線路の間にあるってな」

 

「大丈夫なの?」

 

「こんな風に声変えるし、爆発すると怖いので避難しますって誤魔化しておくさ」

 

「なるほどね。相変わらず凄いわね、それ」

 

「昔から鍛えれたもんでね。そこの公衆電話で連絡し終わった後に、米花シティービルに向かうぞ」

 

「ええ、分かったわ」

 

 彼は警察に電話をかけ、彼のバイクに一緒に乗り米花シティービルへと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「まさか、貴方の単車もハーレーだとは思わなかったわよ」

 

「ハーレー好きなんだよ。貴方もってことは哀ちゃんもそうだったのか?」

 

「ええ、そうよ。それにしても駅からここの駐車場に来るまで結構かかったわね」

 

「警察がやたらいたからな。回避してたらめちゃくちゃ遠回りになったな。警察があんなに動いていたってことは萩原さん達も動いてるってことなんだろうな。

 捜査一課だけじゃなく、公安の刑事さんも動いてたし、交通課の人までいたぞ。警察大判ぶるまいだな」

 

「貴方の仲間が動いてる証拠でしょう? 貴方が病院から脱走する前に会っていた四人なんか特に動いてるのでは無いのかしら?」

 

「ですよねー。誰にも会わないことを願っておきたいんだが・・・無理そうだな」

 

「ああ! やっと見つけた!」

 

 彼はその声を聞いた瞬間、顔を青くしていた。どうしてあの人がここにいるのかしら? 萩原さんの連絡では環状線の対策本部室にいるって聞いてたはずなのだけど、匿名の通報者が彼だと予測して、その公衆電話の位置から、この場所に来ると読んだみたいね。

 彼の部下って、今思ったけど、無駄に行動力ある人ばかりよね。

 

「そのようね。彼女がここにいるのは私も予想外だったわ」

 

「まさか哀ちゃんと一緒にいるとは思わなかったよ。それでちゃんと説明してくれるよね、偵光君?」

 

「はい・・・・・」

 

「はあ、やれやれね・・・」

 

 彼への追及が終わる頃を見測り、私は声をかけた。

 

「そろそろ動いた方が良いんじゃないのかしら? 説教は後回しにして爆弾を探しましょう」

 

「それも、そうだね。全く、僕達を巻き込ませないようにするってので無茶するのは辞めて欲しいかな・・・凄く心配したんだよ?」

 

「悪かったって。だからそんな顔するのは辞めていただけると助かるのですが・・・」

 

「僕がどれだけ心配したか分かってないよね? 佐藤刑事達も凄く心配してたんだよ?」

 

「はい、承知しております」

 

「はあ、まあ偵光君のことだからこれだけ言ってもどうせ無駄なんだろうけどね。だって今まで言うこと聞いてくれたためしないし」

 

「そうっすね・・・」

 

 この二人は私の存在忘れてないかしら? 何、二人だけしかいないみたいな感じで世界作ってるのよ。何か腹立つわね・・・

 

「こほん! ね・え・し・ろ・が・ね・さ・ん? 早く行くんでしょ?」

 

「ひゃ、ひゃい! 急ごう、七槻ちゃん。早く見つけてとっとと帰ろうぜ、哀ちゃんも」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「そ、そうだね!」

 

「あのー哀ちゃん?」

 

「サマーライトのパフェセット」

 

「ん?」

 

「それで手を打ってあげるわ。何か文句でもあるかしら?」

 

「いいえ、とんでもございません!」

 

「そう♪ なら早く行くわよ」

 

「哀ちゃんって怒ると怖いんだね・・・。偵光君があっさりやり込められたよ」

 

「ははは・・・。今は事件の方に集中しようぜ」

 

「そうだね。あっ、ちょっと待ってよ、哀ちゃん! ほら、行くよ、偵光君!」

 

「了解」

 

「~♪」

 

 私は、少し機嫌も直り二人と共に爆弾の捜査を開始した。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

<安室透side>

 

「これでショッピングモールのあった爆弾は全部です、降谷さん!」

 

「ああ、ありがとう風見。ふう、流石に爆弾を連続で解体するのは疲れるな。萩原や偵光ならもっと上手くやるんだろうがな」

 

「少し休まれては? 処理班も、もうじき来るでしょうし、降谷さんが解体する必要は無いのでは?」

 

「いや、コイツで最後だしやらせてもらうさ。急いで次の場所に向かわないといけないからな。後のことは処理班とお前達に任せるさ」

 

「分かりました。ショッピングセンターの方の爆弾解体は既に終わったそうで、処理班が後片付けをしています」

 

「早いな。米花シティービルの方は? どうなってる?」

 

「そちらも次々に見つけ、白銀偵光が解体しているそうです。ただ、仕掛けられている数が多く、全部把握できてないです。

 しかも、そこに仕掛けられている爆弾の方は、今までの奴と違って一つ一つ仕様が違うみたいで、手こずってるそうです」

 

「偵光の奴、米花シティービルに向かってたのか・・・ちいっ、爆弾処理班はまだ動けないのか?」

 

「環状線、米花ショッピングモール、ショッピングセンターの方での対応が終わり次第そちらに向かうことになっています」

 

「先に見つけた二か所の方の対応を優先させすぎたか・・・よし、これで大丈夫だ。

 俺は急いで米花シティービルへと向かう。後のことは任せたぞ、風見」

 

「はっ! お気をつけて!」

 

 俺は風見に後のことを任せ、解体道具を持って米花シティービルへと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 米花シティービルに着いて、店員に爆弾を集めてる場所を聞きそちらにむかうと萩原が既に解体を行っていた。

 

「遅かったじゃねーか」

 

「お前より素人なんだよ、こっちは。佐藤刑事はどうした?」

 

「目暮警部から要請があって、そっちに合流したよ。コナンと毛利さん、目暮警部達が森谷のことに関しては上手くやってくれるだろうよ」

 

「そうか。偵光の奴はどうした?」

 

「四階より上の爆弾を探しながら解体してるよ、灰原ちゃんと七槻ちゃんも一緒にな」

 

「越水さんも来てるのか!?」

 

「白銀がここに来るとふんで、見つかったらしいぜ? 白銀の傍にいる限り、あの二人が大きな怪我することは無いだろうよ。あの二人はな」

 

「確かにそうだな。んで、俺は何をすればいい?」

 

「ここに置いてある奴の解体手伝ってくれ。俺だけだと追い付かないしな。タイマーは切ってるから時間の心配はいらないぞ」

 

「遠隔機能は?」

 

「一通り調べたけど無かったから、おそらく無いと思いたいが、見つかってない奴に関しては何とも言えないな」

 

「それにしても凄い数だな。ざっと、三十個近くはあるか? それほど森谷はこの建物を爆破したかったのか」

 

「だろうな。面倒くさいことに、爆弾の構造も一つごとに違うから余計にだるいんだよ。

 おかげで解体に時間がかかっちまう。もうそろそろ八時か・・・九時になるまでには終わらせたいな」

 

「そうだな。早いこと終わらせて偵光の方を手伝おう」

 

 俺は萩原と一緒に爆弾を解体し始め、その場所にあった爆弾をすべて解体した直後に、上の階か轟音が響き、ビルが大きく揺れて辺りの壁が少し崩れ暗闇に包まれた。

 

「なんだ!?」

 

「この音・・・もしかして!? 萩原、外の様子を見るぞ! ここの爆弾の機能は全て停止させたから衝撃受けても爆発することは無いよな?」

 

「ああ、大丈夫だ! それにしても今の音は上の階からか?」

 

 二人で爆弾を集めていた部屋から出ると、ビル内は真っ暗だった。

 

「ライト持ってるか、萩原?」

 

「ちょっと待ってろ。あった、あった。ビルの電力完全にやられてるな」

 

「ああ」

 

 二人で周辺を調べてみると、出口への道は塞がっており、階段で上に行く道しか残されてなかった。周囲のお客を避難させておいたおかげで、俺達二人以外は巻き込まれなかったようだ。

 その時、萩原の携帯の音が鳴り始めた。くそっ、このタイミングでの電話は嫌な予感がする・・・

 

「灰原ちゃん? はい、もしもし?」

 

「一階だが、そっちは大丈夫なのか? 爆弾がさっき爆発したみたいだが・・・」

 

「もしかして怪我人が出たのか!?」

 

「もしもし? 救急車と消防を米花シティービルに急いでお願いします! ビルで爆破事件が起き怪我人が・・・・」

 

 俺は萩原の様子から察して、救急車と消防にすぐに連絡した。状況を消防に説明している間にも萩原の声が耳に入ってきた。

 説明を終えて電話を切ると萩原は歯を食いしばっていた。

 

「ちくしょうが!」

 

 

 ただごとじゃない萩原の様子に、俺はすぐに問いかけた。

 

「いったい何があった!?」

 

「五階で爆弾が爆発したそうだ。蘭ちゃんが持っていた荷物に入ってたそうでな。その近くに、灰原ちゃん、七槻ちゃんがいたそうだ・・・」

 

「誰か巻き込まれたのか!?」

 

「ああ、巻き込まれた。ただ、蘭ちゃん、灰原ちゃん、七槻ちゃんは無事だ。軽い擦り傷程度で済んだそうだ」

 

 三人は軽い擦り傷で済んだなら、萩原はこんな状態にはならないはずだ。まさか・・・

 

「お前の考えてる予想通りだ。三人を白銀がとっさに庇って、白銀が大けがして意識が無いそうだ。出血や骨折もしていて、この後応急処置するそうだが救急車で病院に連れていかないと危ない状況だそうだ。

 それにそのフロアにはまだ、爆弾が二つあるそうだ。それで解体するのに手助けがいるって連絡だった。どうにかして五階まで上がるぞ」

 

「ちいっ! どうしてアイツはいつも一人だけ無茶するんだ!? 急いで上に向かうぞ!」

 

「ああ!」

 

 頼むから絶対に死ぬんじゃないぞ、偵光! お前まで死ぬことは絶対に許さないからな!

 俺達は道具を持って、五階のフロアへと向かうのだった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

<佐藤美和子side>

 

 私は、工藤君の推理によって今回の一連の事件の犯人である森谷を逮捕した後に、一足先にまだ爆弾が残っている米花シティービルへと来ていた。

 目の前にあるビルは赤く燃えていた。車から降りて、呆然としていると私がよく知っている声が聞こえた。

 

「そんな・・・・・」

 

「美和子、大変よ!」

 

「由美! 状況はどうなってるの!?」

 

「私もさっき来たばかりなんだけど、どうやら五階で爆弾が爆発したみたい。

 レスキュー隊員に聞いた話なんだけど、軽傷者が数名いて重傷者が一人いるみたい」

 

「偵光や安室君達は大丈夫なの!?」

 

「分かんないわ。さっきから電話してるけど繋がらないのよ・・・みんな無事だと良いんだけど」

 

 私は凄く胸騒ぎがしていた。誰かが怪我をしたんじゃないかと。偵光は大丈夫よね・・・流石にこのビルの中に来てるってことは無いわよね?

 私が不安になってると、近くで無線で通信を行っていたレスキュー隊員の声が聞こえた。

 

「何だと!? まだ五階のフロアに爆弾が残っているって本当なのか!?」

 

「はい! さきほどまで爆弾解体をしていたという成人男性二名が、フロア内に残っている人と連絡を取りそう聞いたそうです」

 

「ちっ、爆弾処理班はまだ時間がかかるそうだ! 一般人に頼るというのは・・・」

 

「すみません、捜査一課の佐藤です。その二名なんですが私の知り合いで1人は元警察官なので信頼できるかと思います」

 

「そうですか、分かりました。おい! 五階のフロアには救助にいけそうなのか!」

 

「さきほど崩れてきた瓦礫をどかせば可能かと思われます」

 

「分かった。先ほどの男性二人はそこにいるのか?」

 

「いえ、瓦礫が崩れてきて分断されました。安否確認をしたら、先に向かうとのことでした」

 

「そうか! 急いで瓦礫をどけて救助に向かえ! 分かったな!?」

 

「はっ!」

 

「急に横から口をはさんでしまい申し訳ありませんでした」

 

「いえ、大丈夫です。情報ありがとうございました。

 知り合いがあの中におり、心配でしょうが絶対に助け出しますので待っていてください」

 

「すみませんが、よろしくお願いします」

 

 私はレスキュー隊員から離れ、萩原君に電話した。

 

「ダメね、通話中になってるわ」

 

「こっちも安室君にかけたけど繋がらないわ」

 

「あとは、越水さんね・・・・・・ダメだわ」

 

「萩原君達は爆弾処理するのに忙しいのかもね。あの人達なら大丈夫よ! 偵光のバカもきっとどこかでピンピンしてるわよ。

 だから笑いなさいな、美和子。ひどい顔になってるわよ?」

 

「そういう由美だって不安そうな顔じゃない」

 

「アンタの方が、この世の終わりみたいに酷い顔よ。かわいい顔が台無しになるわよ?」

 

「ふふっ、なによそれ」

 

 思ったより不安になっていたみたいね。爆弾が関わるとどうしてもダメね。萩原君、安室君、越水さん、偵光・・・大丈夫よね、四人とも。

 お願いだから無事に帰ってきて。

 

「佐藤刑事! 蘭の奴を見なかったか!?」

 

「毛利君! おう、佐藤君に由美君もここにいたのか!」

 

「毛利さんに目暮警部!? どうしてここに? それに蘭さんもここに来ているんですか!?」

 

「ああ! さっきから探してるんだが見つからないんだ。コナンの奴にも他の場所を探してもらっているんだが・・・」

 

「携帯は繋がらないんですか?」

 

「ダメなんだ。何度かけても出ないんだ」

 

「ふん。お前の娘が吹き飛ぶまで、まだ二時間近くある」

 

「貴様!?」

 

 毛利さんがここに連れてこられていた森谷の胸倉につかみかかった。

 

「あそこの爆発に工藤を巻き込めなかったことだけが後悔だ」

 

「ちょっと、待ちなさい。どういうことかしら?」

 

「知らなかったのか。先ほどレスキュー隊員が言っていたぞ。五階で意識不明の重傷者が一名いるとな。それは二十六歳の成人男性だそうだ。

 爆弾解体に取り組んでいる二人の男性の一人から、そう救急に連絡があったそうだが・・・そこの女刑事にには当てはまる節があるのでは無いかね?」

 

「そんな・・・・・・・二十六歳の成人男性ってまさか!?」

 

「いい加減、黙りたまえ! 佐藤君も落ち着くんだ!」

 

「ん、コナンからの電話? 蘭が見つかったのか・・・・・・・・・・・・・・なんだと!? くそが!」

 

「毛利君、どこに行くんだ!? その先は危険だ!」

 

「離してください、警部! あそこには蘭と偵光君がいるんですよ! 蘭達を庇って、偵光君が大けがして意識が無いそうなんです! 

 それに爆弾もまだ残っているらしく、急いで行かないと手遅れになってしまう!」

 

 偵光が大怪我して意識不明・・・・・? 毛利さんの言葉を聞き私は頭が真っ白になり膝をついて座り込んだ。嘘よ・・・そんな訳無いわ。

 だって大けがするような無茶しないって私と約束したじゃない。私は呆然としながらも偵光の携帯に電話をかけた。お願い、電話に出て。もう‌病院に戻ってるって証明してよ・・・

 

「どうして出ないのよ・・・!」

 

「それは本当なのか毛利君!?」

 

「そんな・・・本当なんですか、毛利さん!」

 

「ああ、だから早く行かないと」

 

「落ち着くんだ、毛利君!」

 

「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

「行かないと・・・・・・」

 

「ちょっと、美和子!? 落ち着きなさい!」

 

「離して! 早く行かないと偵光が死んじゃう!」

 

「ふん、どうせ爆弾も爆発するからもう助からん。私の失敗作を壊すという計画を邪魔した罰だ。それで死ねるなら奴も本望だろう」

 

 私は森谷の言葉に頭に血が登り、拳銃を取り出して奴に向けた。周囲の人間は私の行動に驚き固まっている。

 

「こんな奴に・・・・・」

 

「おいおい、貴様の愛する者が死ぬからといって、私に逆恨みか? とんだ迷惑なんだが・・・・・」

 

「うるさい! どうしてそんなくだらない目的の為に、関係の無い偵光が死ななきゃならないのよ!」

 

「くだらない? 凡人には分からんさ。お前も白銀と一緒で馬鹿な凡人だ」

 

「ふざけるな! アイツは、人の為にいつも無茶して自分が怪我しようが、誰かを助けて・・・それで人を笑顔にして身近な者の為には努力を怠らない。

 貴方みたいな人より余程の天才だわ!」

 

「くだらん。そんなアホは死んで当然だ」

 

「・・・っ!」

 

「やめるんだ、佐藤君! 銃を下すんだ」

 

「どいてください、警部。此奴は罪のないたくさんの人間をくだらない私情で巻き込みました! 生かしておくのは危険です!」

 

 目暮警部にそう言いどかせようとしていると、パン!という音が辺りに響き、頬に衝撃が来た。

 

「このバカ! 目を覚ましなさい! アンタだって今、そこにいる犯人と同じで私情で犯人を巻き込もうとしてるじゃない! いい加減、目を覚ましなさい! 

 そんなことをしても誰の為にもならないし、偵光だって望んでないわよ! アンタは、今偵光の一番嫌いなことをしようとしたのよ!」

 

「由美・・・・」

 

「それに辛いのはアンタだけじゃないわ! 今五階で、アイツの傍にいるあの子達だって辛い思いしてるのよ! 萩原君達だってそうよ。

 親友が危険な状態ですぐにでも助けたいはずなのに行けなくて、悔しい思いをしながらもあのバカを助ける為に頑張っている。アンタだけが辛いって思うんじゃないわよ!」

 

 由美は涙を流しながら、必死に訴えてきた。アイツがいなくなると思って、目の前が真っ暗になって犯人にあおられカッとなって・・・・

 拳銃を地面に落とし膝をついた。

 

「私はいったい何を・・・・・」

 

「それで良いのよ、バカ。簡単にアイツが死ぬわけ無いでしょ? 私達は信じて待ちましょう。安室君達がきっと助けだしてくれるわよ・・・」

 

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 由美に抱きしめられ、私の泣き声がその場に響き渡るのだった。




 今回は佐藤刑事にスポット当てました。原作の揺れる警視庁編でもこうだったよなと思い、今回の話に入れました。賛否両論あると思いますが、ご理解ください。
 次回は偵光にいったい何が起こったのかを書いていきたいと思います!


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30話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 

 ご指摘があったので、文を修正して再び投稿しました。
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!


 この話も早くも三十話目です。
 ここまでこれたのも皆さんのおかげです!
 これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!




<偵光side>

 

 

 俺は哀ちゃんと七槻ちゃんと一緒に萩原さん達と別れてすぐに見知った顔に遭遇した。

 

 

「あれ、お兄ちゃん達どうしてここにいるの? スタッフの人に避難するように言われて降りて来たんだけど・・・

 そういえば、お兄ちゃんってまだ入院してたんじゃあ?」

 

「人違いじゃないでしょうか?」

 

「それは流石に無理があるんじゃないかな、偵光君」

 

「誤魔化し方が下手ね」

 

「言われなくても分かってるよ! 蘭ちゃんも早く逃げるんだよ。

 ここには爆弾が仕掛けてあるからね。哀ちゃんも一緒に連れてってもらえると助かるんだけど・・・」

 

「爆弾!?」

 

「しー! 蘭ちゃん、声が大きいよ」

 

「す、すみません」

 

「私、最後まで付き合うって言ったわよね? それに美樹さんからも頼まれてるんだけど、それでも帰すって言うのかしら?」

 

「いや、哀ちゃんの身を心配してそう言ったんですけどね」

 

「あら、貴方が側にいれば最後まで守ってくれるんでしょ? そのお礼に私も貴方を守りたいのだけど」

 

「ああ、はい・・・。だから、さっきスタッフの人に止められてたのをやたらごねたのね。

 ってな訳で、悪いんだけど蘭ちゃんは避難してもらえるかな?」

 

「お兄ちゃん達はどうするんですか?」

 

「被害者が出ないように爆弾を解体していくつもりだ。

 本当なら、萩原さんに哀ちゃん達預けて一人で解体するつもりだったんだけど、二人とも言うこと聞いてもらえなくて」

 

「当り前だよ! 偵光君だけ危ない目に遭わせる訳にはいかないよ! 爆弾の解体なら偵光君達から叩きこまれたし、手伝えることがあるはずだよ」

 

「私もサポートするつもりよ」

 

「そうなんですか・・・お兄ちゃん、新一は見ましたか?」

 

「新一君は見てないよ。外は警察がそろそろ来るだろうし外部から来ても人は入れるようになってないと思うよ? 

 だから、外にいるんじゃないかな?」

 

「そうですか・・・私もお兄ちゃん達について行っても良いですか?」

 

「ダメだ。爆弾があるのは間違いないから危険が及ぶ。そんな所に連れていくことはできない」

 

「そんな! 哀ちゃんや七槻さんは良くて、私はダメなんですか?」

 

「七槻ちゃんや哀ちゃんは解体技術の知識があるし、それ以外でも俺が叩きこんでるからな。何があってもすぐに動けるはずだ。

 蘭ちゃん、君は爆弾が怖いんじゃないのかい? もし爆弾が爆発したら死ぬかもしれないよ?」

 

「それは・・・・・・」

 

「だからこそ君には来て欲しくないんだよ。ここは、俺達に任せてくれないか?」

 

「・・・・・それでも私はついて行きたいんです。お兄ちゃん達が危ない目に遭うって分かっていて、何もせず見てるだけなんて嫌なんです。

 そのままお兄ちゃんには会えなくなってしまうような気がして・・・・・」

 

「偵光君、連れて行ってあげても良いんじゃないかな? 蘭ちゃんや哀ちゃんのことは僕がちゃんと面倒見るからさ。ダメかな?」

 

「私からもお願い。彼女のことをちゃんと見ておくわ」

 

「二人とも・・・・・・」

 

「・・・・・・・・はぁ。分かったよ。ついてきても良いよ。

 ただし! 俺が危ないと判断したら三人ともすぐに逃げてもらうからな?」

 

「もちろんだよ」

 

「分かってるわ」

 

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

 こうして俺達は四人で爆弾の回収を行いながら解体をしていくのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 五階について、残ってくれていたスタッフに説明をして、スタッフルームを借りてそこに爆弾を集めるようにした。

 その後、四人で場所を分担し五階の爆弾の探索を開始した。探索をしているとすぐにいくつもの爆弾を発見した。おいおい、どんだけ仕掛けてんだよ、あのおっさん。

 ここまで数が多いのは流石に予想外だぞ・・・。よし、俺が担当したエリアはここまでだな。

 まさか、五個も爆弾があるとは。哀ちゃんと七槻ちゃんの方も結構あるだろうな・・・・・。早いとこ終わらせるか。

 部屋に戻ってくると、みんな戻ってきていた。

 

「偵光君お帰りなさい。この階も結構な数の爆弾が仕掛けられているみたいだね」

 

「そうだな。俺と七槻ちゃんですぐに解体に入るから、蘭ちゃんと哀ちゃんは二人で協力しながら持って来てもらえるか? 持ち運びには注意するようにな」

 

「分かったよ、お兄ちゃん」

 

「重そうな物もあったのだけど、それはどうすれば良いの?」

 

「それは後で俺が持ってくるから、軽くて持ってこれそうな奴だけ持ってきてくれ」

 

「分かったわ」

 

「行こうか、哀ちゃん」

 

「ええ」

 

「僕はどれからやっていけば良いのかな?」

 

「簡単なタイプの奴をやっていってくれるか? 俺は面倒くさい奴をやっつけていくから。分からなかったらすぐに聞いてくれ」

 

「了解」

 

 俺達は協力しながら、フロア内にある爆弾の解体を行っていくのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ふう。だいぶ片付いてもう少しで終わるな」

 

「そうだね」

 

「お疲れ様です、二人とも。見てるだけですみません」

 

「貴女が気にする必要は無いわ。私も見てるだけだもの」

 

「そうそう。哀ちゃんみたいにふてぶてしくしてれば良いんだよ、蘭ちゃん」

 

「どういう意味かしら?」

 

「ごめんなさい」

 

「まったく、偵光君が哀ちゃんに口で勝てたことなんて無いだろうに。偵光君、蘭ちゃんとちょっと休憩してきて良いかな?」

 

「おう、良いぞ。残ってるのは面倒くさいタイプの奴ばかりだからな。休憩して他にも爆弾が無いか、スタッフの人と協力してもう一度確認してもらえるか?」

 

「分かったよ、行こう、蘭ちゃん! 偵光君のことは哀ちゃんが見てるから大丈夫だよ」

 

「でも・・・・・・」

 

「ほら、いいから行くよ!」

 

「あ、七槻さん! 押さないでくださいよー」

 

「流石ね。リラックスさせる為にああ言ったんでしょ?」

 

「ああ。表向きは元気なように見えていても内心は不安だろうからな」

 

「そうね。早く終わらせて彼女達を安心させてあげましょう」

 

「そうだな。哀ちゃんもあれだったらガールズトークに加わってきても良いんだよ?」

 

「私はそんなキャラじゃないし、貴方から目を離さないようにって言われてるもの」

 

「そうか・・・。よし、それじゃあとっとと終わらせようぜ!」

 

「ええ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふう。これで全部終わったぞ」

 

「ごくろうさま。九時になる前に何とか終わらせることができたわね。後は最終確認をしている彼女達次第ね」

 

「そうだな。もう爆弾が無ければ良いんだが・・・・。それにしても疲れたな。当分爆弾なんか見たくないぞ」

 

「同感ね。後は爆弾処理班に任せましょう。ここにあるのは終わったことだし、彼女達と合流しましょう」

 

「行くか。哀ちゃんも休憩しようぜ。何か飲み物奢るよ」

 

「そうね。ありがと」

 

 俺と哀ちゃんは解体を終えて、部屋の外に出て七槻ちゃんの所に向かった。

 

「お疲れ様、二人とも。解体は終わったの?」

 

「ああ」

 

「ええ」

 

「蘭ちゃんはどうしたの?」

 

「スタッフの人と残りのエリアを確認してるんだけど・・・・あ、ほら戻って来たよ」

 

「あ、お兄ちゃんに哀ちゃん! 終わったの?」

 

「終わったよ。それよりその小さい荷物はどうしたんだい?」

 

「さっき見つけたの。紙袋に入っていて置かれたからお兄ちゃんに聞こうと思って、すぐに持ってきたの」

 

「荷物はこれだけだったか?」

 

「いや、これとまだ二つほどあったよ。そっちは重かったから非常口の近くに置いてるよ」

 

「そうか。ありがとう、蘭ちゃん。まずは持ってきてくれた奴から確認してみるか・・・・・!?」

 

 蘭ちゃんから荷物をもらい中身を確認した。その爆弾のタイマー時間は30秒と表記されていた。

 くそがっ! 叫んで蘭ちゃん達に逃げるように促した。

 

「早く俺の周辺から逃げろ! 爆弾がもうすぐ爆発する!」

 

「何ですって!?」

 

「何だって!?」

 

「そんな!?」

 

「何やってんだ、三人とも早く逃げろ! スタッフの方も逃げてください!」

 

 ちいっ、時間がもうない。スタッフは離れてるから問題ないが、このままじゃあ、三人が巻き込まれる! あと十秒か・・・ええい、いちかばちかだ! 俺は誰もいない場所に向けて爆弾を思いっきり投げた。

 少し離れた距離で爆弾が爆発し、辺りは爆風に包まれ真っ暗になり、上から瓦礫が俺達のいる場所に降ってくるのが見えた。俺は近くにいた三人を瓦礫が当たらない位置に動くように突き飛ばした。

 

「「「きゃああああああああ!」」」

 

「ははっ、コイツはヤバいな・・・・」

 

 瓦礫がこちらに落ちてくるのを見ながら、俺の意識はその言葉を最後に途切れるのだった・・・・・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<灰原哀side>

 

 ううん、私は確か・・・・・そうよ、爆弾! どうやら軽い擦り傷で済んだようね。確か爆発してから誰かに突き飛ばされたような・・・・!?

 三人は無事なの!?

 私はすぐに周囲を見渡し、近くに蘭さんと越水さんがいて状態を確認した。良かった、気を失ってるだけみたいね。目立った外傷も無いわね。

 白銀さんは・・・・!? 小さい瓦礫が何個も体に乗っており、血を流している白銀さんを発見し急いで駈け寄った。

 

「ちょっと! しっかりしなさい!」

 

 瓦礫をどけながら声をかけ続けた。

 

「聞いてるの!? しっかりして!」

 

 私の大声にも反応しない。脈は・・・弱ってきてる。それに所々出血して、骨折もしてるわね。早く病院につれていかないと不味い状況だわ! 

 私はすぐに二人に呼び掛けた。

 

「二人とも大丈夫!? しっかりしなさい!!」

 

「いたた、ここは・・・」

 

「ううん・・・」

 

 私の声に反応し、越水さんと蘭さんが目を覚まし私はすぐに声をかけた。

 

「手伝って欲しいの! 白銀さんが瓦礫の下敷きになってるの! どかせるのを手伝いなさい!」

 

「・・・嘘だよね、ねえ、偵光君!」

 

「・・・お兄ちゃん? いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

「ショックなのは分かるけど、泣き叫んでいる暇は無いわ! 彼を助けたいなら早く動きなさい! 

 蘭さんはスタッフの人に包帯やガーゼみたいな物が無いか確認して持ってきなさい! 越水さんは私と一緒に瓦礫をどけるのを手伝いなさい!」

 

「・・・・・う、うん!」

 

「・・・・・あ、ああ!」

 

 三人で行動していると、スタッフが手伝いに来てくれた。良かった。彼以外は小さい怪我で済んでるわね。

 

「すみません! 瓦礫をどけるのを手伝います!」

 

「ありがとうございます! お願いだから死なないで、偵光君・・・」

 

「悪いけど、ここをお願い。私は萩原さんに連絡してくるわ。

 それと応急処置の道具が揃ったら連絡しなさい。すぐに処置するから」

 

「うん。分かったよ・・・」

 

「しっかりしなさい。そんな顔していたら白銀さんに怒られるわよ」

 

「はは、そうだね。ありがとう、哀ちゃん」

 

 越水さんにそう告げて、電話をするために非常口の近くに向かってると、紙袋を二つ発見した。

 これねさっき蘭さんが言っていたのは。さっきの衝撃で爆発しなくて良かったわ・・・・タイマーは、あと三時間ぐらいね。三分って何か理由があるのかしら? まあ、良いわ。詳しいことが分かる人に聞くまで触らない方が良いわね。

 近くにいたスタッフを呼び、この二つの紙袋みたいにおかしな荷物が無いか、確認してもらうことと袋に誰も近づけないように頼んで探してもらった。どうやらあの二つ以外におかしな荷物は無かったようだ。

 爆弾の個数も確認できたので萩原さんに電話をかけた。

 

「はい、もしもし?」

 

「私よ。電話に出たってことは無事なようで良かったわ。今どこにいるの?」

 

「今、一階にいるが、そっちは大丈夫なのか? 爆弾がさっき爆発したみたいだが・・・」

 

「ええ、五階でさっき爆弾が爆発したわ」

 

「もしかして怪我人が出たのか!?」

 

「かすり傷などの軽傷者が四名で、重傷者が一名・・・奇跡的に死人は出ていないわ。その重傷者一名のおかげでね」

 

「おい、まさか・・・・?」

 

「あなたの予想通りよ。重傷者一名は、白銀さんよ。私と、蘭さんと越水さんを庇ってね。彼は小さい瓦礫の下敷きになって出血と骨折もしていて意識が無い状態よ。脈はあるけど、弱まってきてるから早いとこ病院に連れていかないと危ない状況よ。

 これから応急処置とかできるだけのことはするつもりよ。お姉ちゃんの大好きな人を死なせるつもりなんかないしね」

 

「・・・くそっ! 悪いが頼む。俺と安室もどうにかしてすぐにそっちに向かう!」

 

「そうしてもらえると助かるわ。まだ、爆弾が二つほど残ってるのよ。爆破予定時間は、どちらも明日の0時3分になってるわ」

 

「なんだと!? それは本当か!?」

 

「ええ。だから急いでちょうだい」

 

「分かった。救急と消防には今安室が連絡してるから心配すんな。哀ちゃんも辛いだろうに無理すんじゃねえぞ」

 

「ありがとう。それじゃあ切るわね」

 

「ああ」

 

「哀ちゃん、準備できたよ!」

 

「それは助かるわね。急いで取り掛かりましょう」

 

 私は越水さんと白銀さんの所へ向かい、応急処置を協力して行った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ。とりあえず今できることはここまでね。後は病院に行って治療しないとどうしようもないわね。彼の体力が持つかしら・・・・」

 

「お兄ちゃん・・・・・」

 

「偵光君・・・・・」

 

 二人は相当まいっているみたいで、さっきからずっと泣いている。無理もないわね。この二人が冷静ではないおかげで私はなんとか冷静を保っている。一人だと絶対冷静でいられないわね・・・

 こんなに思ってくれる人達がいるのだから、絶対死んではダメよ、白銀さん。そんなの私が許さないわ。組織関係で最後まで守ってくれるって約束したんだから、守りなさいよ、バカ・・・・・・・。

 私まで沈んではダメね。あれから三十分、萩原さんからの連絡はまだなのかしら? 考えてごとをしていると、近くにある非常ドアから声が聞こえた。

 

「蘭姉ちゃん! 大丈夫!?」

 

「この声は・・・!?」

 

「コナン君!?」

 

「無事だったんだね、蘭姉ちゃん!」

 

「コナン君・・・お兄ちゃんが・・・」

 

「白銀さんがどうかしたの!?」

 

「江戸川君、聞こえる?」

 

「灰原!? お前までどうしてここにいるんだ!?」

 

「蘭さんだけではなく越水さんと、白銀さんもいるわよ。あと、協力してくれていたスタッフの人ね。白銀さんは私達を庇って重傷で意識失ってるわ。

 応急処置をしたけど危ない状態よ。他のみんなは軽傷よ。それと爆弾が二つも残ってるの」

 

「なんだと!? 森谷教授が持っていた設計図が二枚あったのはそれが理由か! ちょっと待ってろ・・・・・くそっ、ドアがひずんでいてダメか! おっちゃんに連絡して助け呼ぶから待ってろ!」

 

「コナン君がどうしてここに・・・・」

 

「貴女を助けにきたんでしょうね。越水さん、白銀さんの容体はどうかしら?」

 

「脈は今のところ安定してるよ。止血のおかげで血も止まってきている。意識は全然もどらないけど・・・・・」

 

「そう。爆弾を袋から出して準備するわ。私達が解体することになるでしょうしね」

 

「処理班が来てからじゃダメなのかい?」

 

「ダメね。もし処理班が来るまでに何かの瓦礫が崩れてきて爆弾にぶつかったりした衝撃で爆発したらここに閉じ込められている人は助からないわ。

 爆弾の機能を無くす方がまだ生存率が高いわ。それは貴女だって分かってるのじゃないかしら?」

 

「そうだね・・・分かったよ。蘭ちゃんは偵光君の傍にいて手握っててもらえるかな? その方が偵光君も安心して、頑張ってくれるだろうから」

 

「・・・いえ、その役目は哀ちゃんにお願いできますか?」

 

「私・・・?」

 

「うん、お願い。私が七槻さんを手伝います」

 

「大丈夫なの、蘭ちゃん? それにそんなこと偵光君は許さないと思うよ」

 

「はい。それはもちろん分かってます。怖いけど、助けてくれたお兄ちゃんの為に頑張りたいんです」

 

「・・・そう。心配しなくても大丈夫だし、今度一緒に怒られよう、蘭ちゃん。私達を置いて死んじゃう人じゃないから絶対大丈夫だよ」

 

「・・・そうですね。二人で怒られましょう。それに、お兄ちゃんにどうしてこんな無茶したの!?って言わないと気がすみません」

 

「良いね。遠慮なく説教してあげようね、一緒に。ということで良いかな、哀ちゃん?」

 

「ええ、構わないわ」

 

 ホントに彼女は強いわね。二人とも辛いだろうに、白銀さんの為に動いている。怖くて逃げたいだろうに、逃げずに頑張ろうとしている。そういう所、お姉ちゃんによく似ているわね。

 私とは大違いね・・・・・ 

 

「蘭姉ちゃん! おい、灰原、聞こえるか!?」

 

「どうしたの?」

 

「救助が来るまではもう少し時間がかかるそうだ! それまで白銀さんは持ちそうか?」

 

「五分五分って所ね」

 

「そうか・・・爆弾の方は?」

 

「これから蘭さんと越水さんで解体していくつもりだから、指示をもらえるかしら? 設計図持ってるんでしょ? このフロアの状態から考えて処理班なんて待ってるほど余裕が無いわ」

 

「分かった。ただ二種類を見ながらってなると時間がかかりやがる。どうするか・・・ん、足音?」

 

「はあ、はあ、はあ。安室! こっちのドアからならフロアに入れるぞ!ってコナン!?」

 

「でかしたぞ、萩原! コナン君、どうしてここに?」

 

「萩原さんに安室さん!?」

 

「ようやく来たわね! 江戸川君から設計図をもらってこちらに指示をもらえるかしら? 蘭さんと越水さんの二人で処理していくから。

 ちなみにそこのドアは爆発の衝撃でひずんで開かないから何か機械が必要よ」

 

「何だって!? コナン! 設計図持ってるって本当か!?」

 

「う、うん」

 

「貸せ! このタイプは・・・・二種類とも構造は同じで振動検知は無いから動かしても大丈夫だぞ! 悪いが、4~5分もらえるか、灰原ちゃん? 

 図面把握したら指示をすぐに出す。解体に取り掛かれるよう、七槻ちゃん達にも準備するよう伝えてくれ」

 

「分かったわ。すぐに準備してちょうだい! 越水さんは蘭さんに教えてあげて。爆弾はそこの二つの紙袋の中に入ってるから」

 

「うん、分かったよ! 蘭ちゃん、手伝って」

 

「はい!」

 

「萩原、ここは任せれるか? 俺は救急隊員がここに来れるようにルートを確保するのと、ドアを壊せる物が無いか探してくる。良かったらコナン君も手伝ってもらえるかい?」

 

「でも・・・」

 

「蘭さんが心配なのは分かる。彼女は偵光のおかげで無事だが、まだ危険なことに変わりはない。中に居る人達を助ける為に他にできることがあるはずだ。

 ここは萩原に任せれば大丈夫だよ」

 

「うん、分かったよ。萩原さん、灰原、悪いが頼む。すぐに救急隊員が来れるようにするから」

 

「ああ、任せろ」

 

「私達の方こそ頼んだわよ、小さな探偵さん」

 

「灰原さん、偵光のこと頼む・・・。萩原も後は任せたぞ」

 

「ええ」

 

「ああ」

 

「私は白銀さんの傍についてるわね」

 

「頼む。こっちも急ぐ」

 

「・・・お願いだから死なないで」

 

 そうして二人はドアの外から去っていった。私は白銀さんの近くに座り、不安な気持ちを押し殺し、彼が助かるように願い、両手で彼の手を握りながら萩原さんの指示を待つのだった。




 哀ちゃんの出番が予想以上に多くなってしまった(;・∀・)
 好きなキャラだから出番多くなっても仕方ないんです・・・
 あと1~2話で時計仕掛けの摩天楼編は終わる予定です。
 次回は明日更新予定です。


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31話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<越水七槻side>

 

 私達は爆弾の解体準備をして萩原さんからの指示を待っていた。こうしている間にも、偵光君はどんどん死に近づいているという不安が押し寄せてきている。哀ちゃんも強がってはいるが、彼の手を祈るように握りながら体が震えている。

 蘭ちゃんも私と一緒でさっきから目が潤みっぱなしだ。早く助けたいのに助けることができないというジレンマが私達を襲っている・・・・・大丈夫だよね、偵光君? 僕達の前からいなくならないよね?

 いや、ダメだ。僕達が不安がってたら、偵光君に気にされちゃうもんね。今は助かると信じて前に進むだけだ。

 

「おい、聞こえるか!?」

 

「聞こえるよ、萩原さん!」

 

「ええ、聞こえるわ」

 

「待たせたな。これから解体していくから俺の指示にしたがってそれと同じようにしてくれ」

 

「分かったよ! 大丈夫、蘭ちゃん?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「こっちは二人とも準備できているわ。だからお願い!」

 

「了解。まずは外側のカバーを外してくれ! 上を持ち上げれば外れるはずだ。そーっと外すんだ!」

 

「分かったよ・・・・外したよ」

 

「・・・私も外しました」

 

「よし。一番下の方に見えるコードが何色か教えてもらえるか、二人とも?」

 

「僕は緑だよ」

 

「私はオレンジです」

 

「七槻ちゃんの爆弾がこっちの図面で、蘭ちゃんの爆弾の図面がこっちね。二人とも線切る時は間違えないように気をつけてくれ。間違えた瞬間爆弾が爆発しちまうからな。

 まず、七槻ちゃんは、緑、蘭ちゃんはオレンジの線を切ってくれ」

 

「了解・・・切ったよ」

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・切りました」

 

「大丈夫かい、蘭ちゃん? 無理そうなら僕がやろうか?」

 

「大丈夫です。あれ?」

 

「どうしたんだい?」

 

「いえ、タイマーの数字が減ってるような」

 

 僕も爆弾を確かめると、タイマーの時間が線を切る前に比べ明らかに短くなっていた。嘘でしょ!?

 

「萩原さん!」

 

「どうした!?」

 

「線を切ったらタイマーの時間が短くなった! 爆発まであと15分しかないよ!」

 

「なんだと!?」

 

「なんですって!?」

 

「そんな・・・私のも七槻さんと同じ数字になってます」

 

「くそっ! 森谷の野郎、解体されると見込んでこんなトラップ仕込んでやがったのか。

 全部の解体は・・・いけるな。次の線を切ってもらえるか? 七槻ちゃんは黒色、蘭ちゃんは白色の線だ」

 

「分かったよ・・・切ったよ!」

 

「私も切りました!」

 

「爆弾のタイマーはどうなってる?」

 

「大丈夫変わってないよ」

 

「こっちも変わってません」

 

「よし。となると次は・・・七槻ちゃんは水色、蘭ちゃんは黄緑色の配線だ」

 

「切ったよ。数字には変化ないね」

 

「・・・切りました。こっちも大丈夫です」

 

「分かった。タイマーが変動する心配はしなくて大丈夫だ。次は、七槻ちゃんが紫色、蘭ちゃんが灰色の線だ」

 

「ふう、大丈夫だよ」

 

「灰色切りました」

 

「次は、七槻ちゃんがオレンジ、蘭ちゃんが緑色だ」

 

「切ったよ」

 

「切りました」

 

「よし、順調だ。次は七槻ちゃんがピンク、蘭ちゃんが緑色だ」

 

「・・・よし、だいぶ減ってきたね」

 

「切りました。そうですね」

 

「次は、七槻ちゃんが灰色、蘭ちゃんが紫色の線だ。十分間に合うペースだから落ち着いてな、二人とも」

 

「分かってるよ。切ったよ」

 

「はい・・・切りました」

 

「七槻ちゃんが黄緑色、蘭ちゃんが水色だ」

 

「大丈夫だよ」

 

「次お願いします」

 

「次は、七槻ちゃんが緑色、蘭ちゃんがピンクだ」

 

「切ったよ」

 

「切りました」

 

「よし! 七槻ちゃんが白色、蘭ちゃんが黒色の線を切ればタイマーが止まるはずだ」

 

「切ったけど、タイマーがまだ動いてるよ? それに線も3本残ってるよ、萩原さん」

 

「私のも同じです!」

 

「それは本当か!? 図面には書いてないぞ! わざと書かなかったのか!? 残ってる配線の色とタイマーの残り時間はどのくらいだ?」

 

「赤、青、黄色の三本だね。タイマーの時間は残り五分三十秒だよ」

 

「私も赤、青、黄色の三本です。時間は同じです。どうします? 三本とも切りますか?」

 

「ダメだ! 一本が正解で、残る二本はブービートラップだ! くそっ、どうする・・・」

 

「萩原! 状況はどんなだ!?」

 

「萩原さん! あと十分ぐらいで救助隊員がここに来るよ!」

 

「それじゃあ遅い。あと五分で爆弾が爆発しちまう! 解体始めると時間が短縮されるトラップが仕掛けてやがった」

 

「なんだと!?」

 

「線はどのくらい残ってるんだ、萩原!」

 

「あと、一本切れば止まるはずだ。設計図に乗ってない配線が三本残っていやがる。だから切るに切れない状態なんだよ。何かヒントでもあれば・・・」

 

「くそっ! 森谷が何か言ってなかったか、コナン君」

 

「ううん。その設計図を持っていただけだよ。くそ、時間がねえ・・・何か・・・」

 

 扉の外から、萩原さん達の切羽詰まった声が聞こえてくるが。蘭ちゃんも哀ちゃんも言葉が出ずに暗い顔になっているせっかく助けがきたのに、もう駄目なのかな、偵光君。

 君と死ねるなら本望かな。蘭ちゃんと哀ちゃんだけは助けたかったんだけどなぁ。偵光君がせっかく助けてくれたのに、僕達三人とも助からないし、この周辺にいる人を助けることができないみたい・・・

 ごめんね、偵光君。

 

「ごめんね、蘭ちゃん。こんなことに巻き込んで」

 

「いえ・・・」

 

「偵光君ならこんな時どうするかな?」

 

「お兄ちゃんなら最後まであきらめないと思います」

 

「そうだよね・・・・・諦めずにやってきたけど正直手詰まりだよ」

 

「萩原さん達やコナン君がすぐにどの色を切れば良いか教えてくれますよ」

 

「そうだと良いんだけどね。ホント僕はダメダメだなぁ・・・。ねえ、蘭ちゃん、最後の悪あがきだけど付き合ってくれるかな?」

 

「はい・・・」

 

「僕は青色を切るよ。偵光君の好きな色だし、僕も好きな色だからね。蘭ちゃんは?」

 

「私は赤色を切ります。新一と私が好きな色で今月のラッキーカラーですから」

 

「そっか。これが吉と出れば良いんだけど」

 

「何もしないよりは良いかと思います」

 

「ごめんね、こんな無茶に付き合わせて」

 

「いえ・・・」

 

 私と蘭ちゃんは覚悟を決めて線を切ろうとしたら、哀ちゃんの叫び声が響いた。

 

「待ちなさい!」

 

 驚いてそちらを見てみると、偵光君の口に耳を寄せて何かを聞いていた。

 偵光君の身体が少し動いている・・・?

 

「おい、どうした灰原ちゃん!?」

 

「・・・・・・・! 分かったわ! 二人とも黄色を切りなさい! それが正解よ! それを切れば爆弾が止まるわ!」

 

「分かったよ! 蘭ちゃん!」

 

「はい!」

 

 私と蘭ちゃんは同時に黄色の線を切るのだった・・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「おい、大丈夫か!? 時間は・・・過ぎてる!? やったのか?」

 

「返事をするんだ、越水さん、灰原さん!」

 

「蘭姉ちゃん! 灰原! 大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ、萩原さん。残り二秒で爆弾のタイマーは止まったよ」

 

「私も止まりました!」

 

「そうか! 安室、コナン! すぐに救急隊員を連れてきてもらえるか!」

 

「ああ!」

 

「うん!」

 

「もうすぐ来るから待ってろ。それにしてもよく正解引き当てたな。何色を切ったんだ?」

 

「黄色だよ。哀ちゃんが教えてくれたんだ」

 

「私じゃなくて白銀さんよ。自分と工藤君の好きな色ではない黄色を切れってね。私達がピンチの時に目覚めるんだから大したものよね。

 今はまた気を失ってるわ。ただ脈も強くなってさっきよりも安定してるからすぐに病院に連れていけば悪いことにはならないはずよ」

 

「そっかぁ・・・偵光君が助けてくれたのか。凄いなぁ」

 

「お兄ちゃん・・・・・ありがとう」

 

「ったく、ホント大した奴だよ。お疲れ様、三人とも。後は俺らに任せてゆっくり休んでくれ」

 

 僕は偵光君が助けてくれたことに安心し、蘭ちゃん達と一緒に偵光君の手を握りながら、救助隊員が来るまで待っていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

<偵光side>

 

 俺はずっと暗闇の中を歩いていた。歩いても歩いても景色は変わらずどこに向かっているのかも分からなかった。ここはどこだ? さっきからずっと歩いてるが全然風景が変わらないし。どこに向かえば良いんだ? ん? 俺を呼ぶ声が聞こえるぞ。めちゃくちゃ呼ばれてるな。

 とりあえず声がする方面に向かってみるか。歩き出そうとしたら、横から手を掴まれた。おいおい、いったい誰なんだってクリス? 

 

「クリス? どうしてここに?」

 

「こっちで合ってるから早く行きましょう!」

 

 彼女はそう言い、俺の手を引っ張り走り出した。走りはじめて少ししたら、大事な人達が俺の名前を呼びながら集まってるのが見えた。声をかけようとした瞬間、目の前が突然まばゆい光に包まれた。

 

「おい! なんなんだこれは!?」

 

「心配しないでも大丈夫よ。また会えるわ」

 

 彼女の言葉を最後に、俺の意識は途切れた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 目を開けてみると、真っ白な天井が見えた。

 

「・・・ここは?」

 

 周辺の様子を確認しようとしたら、体に激痛が走った。いってえ! どうしてこんなに身体が痛いんだ? それに、包帯もまかれてるし、口には呼吸器が付いてやがる・・・・・

 思いだした! 確か、米花シティービルの爆発で哀ちゃん達を庇って瓦礫の下敷きになったんだ。それで、最後の爆弾の線切る時に目が覚めて、また気失ったのか。

 状況確認しようにも身体痛くて動けないし、誰かいないのか? ん? なんか、包帯巻かれてない左手が暖かい気がするな・・・

 お前がずっと手握ってくれてたんだな、クリス。目元に涙の跡が残ってるじゃねえか。めちゃくちゃ心配させたみたいだな。

 コイツの目が覚めるまでは、寝顔を見ながら待つとしますかね。

 

「ううん。いけないわ、いつの間にか寝ちゃってたのね」

 

「・・・ようやくお目覚めか?」

 

「え?」

 

「おーい、ぼーっとしてどうした?」

 

「・・・夢なの?」

 

「こんなに全身痛いのが夢だったら流石に嫌だぞ」

 

「偵光! 目が覚めたのね!」

 

「いってえ! ちょっと今抱き着かれるのは勘弁してもらえませんかね!?」

 

「ご、ごめんなさい! すぐに先生呼んで来るわ!」

 

 クリスは慌てて先生を呼びに行き、病院の先生に俺の状態を見てもらった。

 

「・・・・・うん、意識もしっかりして容態も安定しているし、もう大丈夫だと思いますよ。後は怪我と傷の状態を見ながらって所ですね。良かったですね、お大事に」

 

「ありがとうございました先生」

 

「いやあ、マジで危ないとこだったんだな・・・・・」

 

「そうよ。今日が危ないって言われてて病院の先生には覚悟しておいてくださいって言われたんだから・・・」

 

「ああ、泣くなって。心配かけて悪かったな」

 

「偵光がいなくなるって思ったら、目の前が真っ暗になって不安に押しつぶされそうになったのよ・・・私には何もすることができないから、貴方の手を握ってずっと神に祈ってたのよ。

 まさか、この私が神に頼るなんて思わなかったわ」

 

「まさか面会できる時間はずっといたのか?」

 

「ええ。他にも来てた人はいたわよ。会社の人や探偵事務所の人全員ね。毛利さんや刑事さん達もみんな見舞いにきて眠っている貴方にずっと声かけてたのよ。あれだけたくさんの人が一片に来るからビックリしたわよ」

 

「・・・・・だからか」

 

「いったいどうしたの?」

 

「さっき夢で見たんだよ。真っ暗闇な所にいてどこに向かえば良いか分からなくて俺を呼ぶ声が聞こえてな。お前が隣で手を引いてくれて走り出したら、みんながいたんだよ」

 

「・・・そう」

 

「その声が無かったら帰ってこれなかっただろうな・・・だから、ありがとな。後でみんなにもお礼言っとかないと」

 

「そうね。貴方が戻ってきてくれて本当に良かったわ。今はゆっくり休んで身体を治しなさい。偵光が目覚めたことを連絡してくるわね」

 

「ああ、心配かけてわるかったな」

 

「元気になったら私の買い物に付き合いなさいよね」

 

「はいはい」

 

「それじゃあ、連絡してくるわ」

 

「あ、忘れてたな。クリス、ただいま」

 

「・・・!? お帰りなさい、偵光!」

 

 その後、俺の所に来るみんなの顔を見て、生きて戻ってきたことを実感するのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

<秋庭怜子side>

 

 私は米花中央病院に偵光のお見舞いにきており、彼の病室をノックした。

 

「はーい、どうぞ」

 

「入るわよ。なんだ、思ったより元気そうじゃない」

 

「全身包帯だらけのこの身体見てそれを言うなら、眼科行くことをオススメしますよ、怜子さん?」

 

「あら、何か言ったかしら?」

 

「いいえ、なんでもございません」

 

 まったく、この男は。どれだけ心配させたと思ってるのよ・・・・・米花シティービルの爆破事件に巻き込まれ、一週間も目覚めなくてみんな凄く心配してたってのを分かってるのかしらね。

 目覚めてからは凄く元気そうで安心したけど。

 

「身体は大丈夫なの?」

 

「順調に回復してるってさ。一月ぐらいで怪我も治るってさ。病院の先生には君は人間か?って驚かれたんだけどな。ひどいと思わないか?」

 

「先生の反応が普通よ、バカ。あれだけの大けがを負って、一月で治る方がおかしいわよ」

 

「そこまで言わなくても良いんじゃないでしょうか・・・」

 

「アンタには良いクスリよ。他のみんなも見舞いに来たんでしょ?」

 

「まあな。見舞いに来るたび怒られてばかりだよ。検査入院して脱走してたのがやっぱまずかったかな」

 

「あ・た・り・ま・え・よ! 病院抜け出して、意識不明の大けがして帰ってくるんだから怒られるに決まってるでしょ!」

 

「ですよねー。すごく反省しております」

 

「アンタの自業自得のせいで、警察の警備も凄い状態になってるわよ。佐藤さんとか特に中心になって動いてるみたいよ」

 

「あー、うん。美和子には散々泣かれたからなぁ。他の人にも泣かれたんだけど・・・。透と山川さん、野山さん達からはずっと怒られるし、起きてからの俺のメンタルがガリガリ削られてったよ。

 そういえば、怜子さんもめちゃくちゃ泣きながら怒ってきたよね・・・いひゃい」

 

「おかしなことを言うのはこの口かしら? そんなの当り前じゃない。

 他県でコンサートしていたら、アンタが大けがして意識不明の重体って聞いて、松田さんと飛んで帰ってきてみれば一週間は目覚めないし、死んじゃうかじゃないかと不安だったんだから・・・」

 

「心配かけてごめんなさい。だから泣くのだけはホント勘弁してください」

 

「心配するこっちの身も考えなさいよ、バカ・・・・」

 

「はい・・・・・・」

 

「・・・・・はあ。まあ、今回の件は反省しているようだし良いわ。アンタが元気になって美味しいスイーツ作ってくれたら許してあげるわ」

 

「分かったよ。そういえば仕事の方は大丈夫なの?」

 

「コンサートもこの間終わったし、今はレッスンのみでのんびりしてるのよ。

 あ、そうそう二ヶ月後にアクアクリスタルって娯楽施設がオープンするらしくて、旭って人が私にレストランのステージで歌って欲しいらしいのよ。ちょうどコンサートも無いしその仕事受けようかと思うんだけどどうかしら?」

 

「・・・・・アクアクリスタル? そういや海にそんな建物作ってたな。え、マジで、そんなオファー来たの?」

 

「ほらこれよ。これが書類よ。読んでみて」

 

「・・・・・・・・・・ホントだな。受けるのは問題ないと思うけど、これって誰が付いて行く予定で考えてるの?」

 

「そんなの決まってるじゃない。偵光のつもりで考えてたんだけどダメかしら? その仕事する頃にはアンタの怪我もよくなってるでしょうし、アンタが嫌なら受けないつもりよ」

 

「そうか・・・うん、俺としては問題ないかな。リハビリと身体の状態にもよるだろうけど、たぶん大丈夫だろうし。怜子さんの仕事にも最近は付き添えてなかったしね」

 

「良いの・・・?」

 

「もちろん。怜子さんの歌も久しぶりに聞けるし俺としては断る理由が無いな」

 

「そっか・・・ふん。アンタの怪我が早く治るように歌ってあげるわよ! 何かリクエストはある?」

 

「マジで!? それじゃあ、アメイジングレイスで!」

 

「その歌好きよね、アンタ」

 

「怜子さんの歌で初めて聞いた歌で一番気にいってるんだよ」

 

「聞き逃さないようにしなさいよ。ありがとね・・・。 ~♪♪♪♪」

 

 私は偵光とまた仕事ができることに喜びと嬉しさを感じ、その気持ちを込めながらリクエストされた曲を看護婦さんに注意されるまで口ずさみ続けるのだった。




 今回で時計仕掛けの摩天楼編は終わりです。次回からは14番目の標的編に入ります。
 次の更新は明後日です。


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14番目の標的編
32話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<偵光side>

 

 森谷帝二の事件から、二ヶ月半の時が経ち、俺は病院を退院してリハビリしながら、怪我する前の状態に戻していっている。仕事の方は周囲の人間に強制的にセーブさせられ事務仕事だけしかこなしていない。

 今は、山川さん、美樹ちゃんと一緒に書類をまとめている。ヤバい、めっちゃ身体動かしたい・・・・・

 

「手が止まってるぞ、偵光」

 

「いやあ、暇だなあと思ってさ」

 

「今までの仕事の内容が凄すぎたんですよ。偵光さんはだいたい大怪我してたんですから、今の事務仕事ぐらいがちょうど良いんです」

 

「それには俺も同感だな。美樹さんと一緒に東京戻ってきてすぐに病院に行ってお前の姿を見た時は焦ったぞ。みんな沈み込んでたんだからな」

 

「二人の言う通りか。平和なのが一番ってことかね。あの時はご心配をおかけしてすみません」

 

「ベルモット、佐藤さん、七槻ちゃん、蘭ちゃん、志保は特に酷かったですよ。偵光さんが目覚めるまで私達が側にいて見てないと危ない状態でした」

 

「ははは・・・おかげで外で俺と鉢合わせたら拘束されて、危ないことしてないか根掘り葉掘り聞かれるからな。

 ベルモットに関しては、組織の仕事が無い時は変装してまで見張られるようになったぞ、時々だけど」

 

「いやいや笑いごとじゃないだろ。透の奴も、公安の警察使って、影からお前の護衛をさせてるからな」

 

「・・・え? なにそれ初耳なんだけど。美和子の奴も俺を張っているのには気づいてたけど、公安警察まで動いてるのは予想外なんだけど。ベルモットと美和子達でお腹一杯よ?」

 

「あ、そういえば、志保の方は博士に偵光さん専用の発明品を色々と頼んでるって言ってましたよ。コナン君みたいに発明品使うようになれば怪我する機会も減るだろうからって」

 

「そいつは面白いことになってるな。ぶっちゃけ動物スーツ着て行動すれば怪我することは無いんだが、組織の連中が集まって一般人に被害が及ぶから余り使えないんだよなぁ」

 

「あのスーツは、組織とやりあう時の専用だな。ちょうど良い機会なんじゃないか? コナンみたいに作ってもらえば、お前も色々できることが広がるだろ」

 

「そうっすね・・・それにしてもみんな過保護すぎない?」

 

「偵光さんは目を離すと、すぐに事件に首突っ込んで怪我するんですから護衛がついてもおかしくありませんよ! 少しは大人しくしてください!」

 

「はい・・・・・・・」

 

「失礼します。お仕事の邪魔をしたでしょうか?」

 

「ああ、大丈夫だよ幸ちゃん。こっちに来るなんて珍しいね。どうしたの?」

 

「こんにちは、幸さん」

 

「喋りながら休憩してたからちょうど良かったよ」

 

「こんにちは、美樹さん。山川さんもお疲れ様です。偵光さんに二点ほど話がありましてよろしいでしょうか?」

 

「うん、良いよ」

 

「まず一点目ですが、会社の求人に応募者が二名ほど来ました。こちらが履歴書になります。瀬戸瑞樹さんはアルバイト希望で、米原桜子さんは正社員希望ですね。

 どちらも家政婦経験おありということなので、会社と事務所の建物の管理、夏美さんの店の手伝いとしても申し分ないかと思われますが、どうなさいますか?」

 

「ふーん、瀬戸瑞樹ちゃんに桜子ちゃんか・・・」

 

 おいおい、ここでどうして快斗君がウチの会社受けに来るんですかね? 変装しても俺にはまる分かりだよ・・・盗一さんの件についてか、それとも他に理由があるのかね。

 桜子ちゃんも久し振り会うし絶対に何か言われる気がするな・・・

 

「二人とも女性なんですね。瀬戸さんは23歳で、米原さんも23歳ですか。

 米原さんとは知り合いなの、偵光さん?」

 

「高校生の時に事件で関わったんだよ。その後もちょいちょい関りがあって、兄みたいに慕われるようになったんだよ。俺からしたら妹みたいな感じかな?」

 

「そうなんですね。蘭ちゃんも大変だろうし、米原さんの状態によっては私達も大変かなぁ」

 

「ん、何か言った美樹ちゃん?」

 

「いえ! 私は面接してみても良いと思いますよ? 建物の清掃とかに詳しい人がいれば助かりますし」

 

「俺も賛成だな。家政婦ならどちらの仕事にも役に立つし、偵光の知り合いなら問題無いと思うぞ。

 お前が面接すれば、変装も見破れるしな。人手が増えるのは正直助かるんじゃないのか?」

 

「そうだな。履歴書も問題無いし面接の日程を後日組むことにしよう。それでもう一件は何かな、幸ちゃん?」

 

「アクアクリスタルの件についてです。オーナーからいつでも下見に来てくれても構わないとのことでしたので怜子さんと相談して、来週から日程を組んでいこうかと思うのですがどんなでしょうか? 都合が悪いようでしたら変更致しますが・・・」

 

「いや、今の所は事務仕事しかないしその日程でよろしく頼むよ。面接の方は、アクアクリスタルの件が終わってからってことにしてもらって良いかな? 応募者の二人に早くしてくれって言われたら再度調整しよう」

 

「分かりました。そのように伝えておきます。皆さん書類仕事頑張ってください。それでは失礼します」

 

「ふう。ちょっとお茶入れてくるから二人とも休憩しようか」

 

「え、大丈夫なんですか?」

 

「なるほど。対策会議か・・・」

 

「ははは、山川さんは流石に分かってるね。はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

「サンキュー」

 

「対策会議ってどういうことなんですか、山川さん?」

 

「アクアクリスタルって海上娯楽施設だろ? そんな所に偵光が行ってみろ。

 絶対に何か起こるぞ。殺人事件か爆発のどちらかの可能性が高い」

 

「ホント俺のことよく分かってるよね、山川さん。そうなんだよなぁ。俺も何かが起こるって予感がするんだよ・・・」

 

「そんな!? また米花シティービルの時みたいなことが起こるってことですか!?」

 

「そこまでの規模とは思いたくないんだが・・・」

 

「何か起こる事を見越して警戒しておくのは良いことだろう。警戒した結果何も起きなければ、別に問題は無いんだからな」

 

「そうですね。準備しておくにこしたことは無いですよね!」

 

「さて、そうなるとアクアクリスタルに行く人物をもう一人増やしたいな」

 

「候補は?」

 

「透かな? アイツがいたら何か起こったとしてもあらゆることに対応できる」

 

「俺は行かなくて良いのか?」

 

「山川さんは美樹ちゃんと一緒に何か起きたら外部で動いてもらうように考えてるんだ。萩原さんと松田さんと七槻ちゃんもそのつもりかな」

 

「二人で大丈夫なんですか、偵光さん?」

 

「大丈夫だろう。透が近くにいるなら安心できるし、二人なら秋庭さんの身は安全だ」

 

「問題は他にイレギュラーが起きた時をどうするかねってとこなんだよな。アクアクリスタルには怜子さん以外も招待されてるらしいからな。

 流石にその人達と一緒にいる時に何か起こったら対処が厳しくなる」

 

「やっぱりもう一人付けるべきか?」

 

「仕方ない。怜子さんに俺、透、七槻ちゃんの三人を付けよう。

 それで山川さん、美樹ちゃん、萩原さん、松田さんの四人で外部で対処だな。

 うーん、動ける人材がもう二~三人欲しいなぁ。誰か入ってくれないかなウチの事務所」

 

「分かりました。七槻さんを連れてって大丈夫なんですか?」

 

「この間の一件以降、俺が動くとなると間違いなく付いてくるだろうし、目の届く位置にいる方が俺も動きやすいしね。

 本当は連れて行きたくないんだけど・・・・・」

 

「確かに偵光の近くにいさせる方が暴走しないだろうな。それも今回の一件が終わればたぶん落ちついてくるはずだ。それで伝手に関しては一人いるな」

 

「マジで?」

 

「ああ。警察学校の時にゼロ、俺、松田、萩原の他にもう一人同期がいたんだよ。伊達ってやつでな。

 一年前ぐらいまで刑事やってたんだが事故に遭って怪我が治ってから、その後奥さんの為に警察辞めて、今は普通の会社に勤めてるはずだが・・・」

 

「伊達さんかぁ。確かにあの人なら申し分ないだろうな」

 

「知ってるのか?」

 

「うん。美和子とよくコンビ組んでたからその関係でな。それにあの事故の現場に俺と高木刑事が一緒にいてすぐに対処したからな。

 美和子達から助かった後に刑事辞めたってのは聞いてたんだよ」

 

「俺は初耳なんだが?」

 

「だって他の人に話したこと無かったからな。美和子と高木刑事ぐらいしか知らないはずだし、伊達さんと仕事以外で話すってあんまり無かったし、山川さん達と同期だったとは思わなかったよ」

 

「お前という奴は・・・」

 

「その伊達さんと偵光さんが知り合いなら声かけたらどうなんでしょうか? もしかしたらこの事務所に入ってもらえるかもしれませんよ? 

 あっ、でも、危険な仕事だったら奥さんが反対しますかね?」

 

「いや、松田と萩原から聞いた話だが、この間飲みに行ったらしくて、刑事か探偵みたいな仕事したいとぼやいてたらしいぞ。

 奥さんも白銀探偵事務所とかはどうかって勧めてたらしいぞ」

 

「マジで? 渡りに船じゃね? 伊達さんって刑事の時ずば抜けて能力高かったもん。なんとしてもスカウトしたい人材だな」

 

「そういうと思ったよ。ただ問題は、透の奴を納得させる必要があるぞ? アイツ、自分の仲間が危険の多い場所に関わるのやたら嫌うからな」

 

「そこは任せなさい。説得してみせるね! 伊達さんがたいていの事で死なないように鍛えれば、アイツも納得するはずだし奥さんも安心だ。

 久しぶりに腕が鳴るぜ!」

 

「偵光さんが凄く燃えてますよ、山川さん?」

 

「変なスイッチ入ったか。最近碌に動けて無いしストレス溜まってるんだろうな・・・ こいつがやる気出した時の特訓って警察学校の訓練が楽に思えるレベルなんだよな」

 

「そんなに凄いんですか?」

 

「ベルモットから受けた厳しい特訓を基準で考えてるからな。偵光がだからこそ耐えれたってレベルの奴を俺達にもやらせようとするからな・・・

 伊達班長も来ることになったら大変だぞ」

 

「そうなんですね・・・私達は護身術とか軽いものばかりでしたからそんな厳しい訓練があったことなんて知らなかったです」

 

「この事務所で受けたのって、俺と萩原、安室と松田しかいないからな。まあ、そのおかげでホント生き残る術は身についたし組織にいた頃もすごく助かったよ」

 

「へえ、凄いんですね。でも、ベルモットって偵光さんにどうしてそんな厳しい特訓をさせたんですか?」

 

「ああ、それは偵光に生きていて欲しかったんだろうよ。その為に妥協しなかったから今の偵光があるんだろうしな。

 アイツも家族ができて変わったってことだろう。実際に偵光引き取ってからは、情報集めとかに徹して殺しとかをしてないしな」

 

「そうなんですね。組織にいた頃、ベルモットと関りが無かったので知らなかったです」

 

「コードネーム持ってなかったら、なかなか会う機会は無いだろう」

 

「そういえば組織で思い出しましたけど、最近大人しいですね?」

 

「確かにそうだな。偵光、何か掴んでるか?」

 

「組織関係のことか? ベルモットの奴は最近忙しなく動きまわってて、帝丹高校内部を探ってるみたいだぞ。

 おそらく誰に変装して忍び込むか考えてるんじゃないか?」

 

「まだ何かを探ってる段階ってことだから、動きようが無いな」

 

「帝丹高校って蘭ちゃんが通っている学校でしたよね?」

 

「探ってる内容に関しては心当たりあるぞ。おそらく工藤新一についてだな」

 

「新一君? まさか、コナンの正体がバレたのか!?」

 

「おそらく正体掴んで、目的の為に動きだしたってとこだろうな」

 

「そんな落ち着いていて大丈夫なんですか、偵光さん!?」

 

「コナンの身の方は心配してねえよ。アイツがコナンを襲うはずが無いからな。昨年、ニューヨークで事件に巻き込まれた時に新一君と蘭ちゃんに命助けられて、その恩があるだろうしな」

 

「そんなことがあったのか・・・なら、狙いはなんなんだ?」

 

「これはあくまで俺の予想だが・・・・」

 

「私を見てどうしたんですか、偵光さん?」

 

「おい、まさか・・・?」

 

「ベルモットの狙いは、アポトキシンを作っていた志保ちゃんだろうな。あの薬のことを相当恨んでるからな、アイツ・・・」

 

「そんな!? 志保が狙われるんですか!」

 

「妹が危なくて心配なのは分かるが今は落ち着くんだ、美樹さん。ベルモットが哀ちゃんを殺そうと実行してるなら、此奴が動くはずだ。動いてないってことはまだ大丈夫ってことだろう・・・・・なるほど。

 それで帝丹高校か。哀ちゃんの正体の確証を得る為に工藤君を探ってるのか」

 

「そういうこと。ヤバくなったら流石に動くさ。あのバカに殺しをさせるつもりは無いし、哀ちゃんには何があっても守ってやるって約束したからな。

 だから心配しなくても大丈夫だよ、美樹ちゃん」

 

「偵光さん・・・・・分かりました。何かありましたら教えてください。

 私も志保の為に手伝うので」

 

「ありがとう。それに当分は動きは無いと思うよ?」

 

「どういうことだ、偵光?」

 

「アクアクリスタルに行くことになってるだろ? その事を怜子さんがベルモットにもう話したらしいんだよ」

 

「ということはその間は安全だな・・・」

 

「なるほど。偵光さんを守る為に変装して来るってことですね」

 

「そういうことだ。間違いなくアイツは来るさ。その後のことはそれから考えよう」

 

「そうだな。色々と準備することもできたしな」

 

「はい、私も頑張ります!」

 

「よろしく頼むよ、みんなのことは頼りにしてるからさ」

 

「偵光、今度はあんな無茶させないからな」

 

「今度は、事務所のみんながいますからね、偵光さん!」

 

「ああ、分かってるよ。それじゃあ書類をさっさと片付けて、みんなに連絡して備えるとしますかね」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

 そうして俺達は、アクアクリスタルの件について準備を進めるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

<山川光side>

 

 俺と松田の二人で目暮警部のお見舞いに来ていた。目暮警部がランニングをしていたらボウガンみたいな物で撃たれたらしい。

 犯人は未だ逃走中で捕まってないらしい。それにしても現職の警察襲うって大胆な犯人だな・・・。

 今は気にしてる場合じゃないか。

 

「失礼します。お体の方はどんなですか目暮警部?」

 

「失礼するぜ。久しぶりだな、目暮警部。ランニング中にボウガンで打たれたんだって?」

 

「おお! 山川君に松田君! 二人とも来てくれたのか! わざわざ済まないな」

 

「白鳥刑事もお疲れ様です」

 

「山川君、松田君もどうも」

 

「傷の具合はどんななんだ?」

 

「幸い急所は外れていたので命に別状はありませんが、数日の入院が必要なそうです」

 

「まさか、白銀君みたいにワシが入院することになるとはな」

 

「アイツと一緒にしたらダメだと思うぞ?」

 

「そうですね。偵光は特殊すぎるんで。それで凶器はなんだったんですか?」

 

「はい。使用されたのはハンドガンタイプのボウガンだと思われます。目暮警部と知って狙ったのか、たまたま見つけて面白半分で撃ったのか両面で捜査しています」

 

「ふーん。なるほどな。ジョギング中なら拳銃で対処とかもできなかったって訳か」

 

「拳銃の腕は、佐藤君や松田君、毛利君達に比べてイマイチだからな。持っていたとしても意味無かったよ」

 

「おいおい買いかぶりすぎだぜ、警部さん。俺が敵わない奴らもいるぞ」

 

「ほう。それは面白いな。君が敵わないって相当な腕なんだろう?」

 

「まあな。一人はそこにいる奴で、もう一人はウチの所長だ」

 

「山川君と白銀君がそうなのか!?」

 

「へえ、それは僕も興味がありますね」

 

「あはは。松田が話を盛ってるだけで、俺と偵光は大したこと無いですよ」

 

「嘘言うな」

 

「ははは。相変わらず君達の事務所は仲が良くて面白いな。そう言えば、白銀君はどうしたんだい?」

 

「アイツなら他の仕事でちょっと外せなくてな。時間が空けば来るだろうよ」

 

「そうか。彼が元気そうなら良かったよ。米花シティービルの一件でワシ達は何もできんかったからな」

 

「気にすることないですよ、目暮警部。アイツが今元気にしているってだけで充分でしょう? 

 それに佐藤さんとかが隠れて護衛してくれてるみたいでこちらの方が迷惑かけているのでは?」

 

「ああ、あれは佐藤君から進言があってワシが許可したんだ。

 もちろん仕事が無い時と休みをしっかり取って無茶をしない程度の範囲でならとな」

 

「そうなのか。まあ、佐藤刑事って強そうに見えて脆いらしいっから良いんじゃないのか? その辺は白銀の奴が付き合い長いし上手くやるだろう」

 

「そうだな」

 

「こほん。白銀君と佐藤さんの話はそこまでにして警部が撃たれた件についての続きを話してもよろしいでしょうか?」

 

「すみません、白鳥刑事。お願いします」

 

「いえ。ボウガンを撃った場所と思われる場所から妙な物が発見されました。これです」

 

「西洋の剣か・・・ん、これってどっかで・・・」

 

「確かにどこかで見た気がするな・・・ちょっと写真撮っても良いですか? 所長にも送りたいので」

 

「ああ、構わないよ。白銀君達に協力してもらえるならこちらも助かるよ」

 

「そうですね、警部」

 

「ありがとうございます」

 

 証拠品の写真を撮り、偵光に送った後は、事件についての話を全部聞き事務所へと戻るのだった。

 




 今回から14番目の標的編に入りました。
 次回の更新は明後日です。


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33話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<偵光side>

 

 俺は透と七槻ちゃんと一緒に英理さんの事務所へと向かっていた。英理さんから話があるから来てもらえるかと言われ来たんだが、何の用なんだ?

 捜査とか頼まれてた訳では無いしな・・・・何だろう?

 

「何か考え事か、偵光?」

 

「いったいどうしたの偵光君?」

 

「いや、英理さんから呼ばれた理由が分からなくてな。どうして呼ばれたんだろ?」

 

「心当たりは無いのか?」

 

「心当たりがあるんだったらそんなこと言わないよね。行けばわかるんじゃない?」

 

「そうだな。何もなければ良いんだが・・・・・」

 

「偵光君がそう言うとシャレにならないから辞めてよね」

 

「同感だ。気にしても仕方ない。妃さん達を待たせるのも悪いし早く行こう」

 

「そうだな」

 

「うん!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すみませーん」

 

「あ! 白銀さん! お久しぶりです、白銀さん! 安室さんも七槻さんもどうも」

 

「お久しぶりです、栗山さん」

 

「所長がいつもお世話になっています、栗山さん」

 

「こんにちは栗山さん!」

 

「白銀さん、お身体の方は大丈夫なんですか? 先生から容態聞いた時は凄く心配したんですからね?」

 

「あはは。無事に怪我も治り、元の調子に戻してるって感じですかね。あの時はご心配をおかけしました」

 

「梓ちゃんも凄く心配してましたよ? 怪我治ったはずなのに店に来てくれないってしょげてましたし。

 もう、ホントに白銀さんは無茶するんですから・・・・・」

 

「はは・・・・・今度、顔出すようにします」

 

「それと梓ちゃんとサマーライトに行くつもりなんで、お勧めのデザート作ってくださいね?」

 

「はい・・・頑張らせていただきます」

 

「偵光君たら相変わらずだよね・・・」

 

「そうですね。昔から変わらないんですよコイツは」

 

「そんな呆れた目で見るの辞めてもらって良いですかね? 流石に傷つきますよ?」

 

「そんな目で見られたくなかったら、自分の生活を振り返って反省するんだな」

 

「それが一番なんだろうけど偵光君だから、仕方ないよ」

 

「うわぁーん、栗山さん! 二人が虐めてくるんだけど助けてくれない!?」

 

「ふふっ。白銀さんの自業自得だと思いますよ」

 

「ちくしょう・・・・・そういや、英理さんの要件って何か聞いてますか?」

 

「蘭さんのことで相談があるみたいですよ。先生はもうすぐ帰られると思いますので座って待っていてください。お茶を入れてきます」

 

「わざわざすみません」

 

「ありがとうございます」

 

「すみません、栗山さん」

 

「いえいえ。それではゆっくりなさっててください」

 

「蘭ちゃんの件で相談事って何だ? うーん・・・・・」

 

「心当たりは無いのか?」

 

「入院していた時で見舞いに来てくれた時も何か言っていた訳じゃないからな。七槻ちゃんは何か聞いていない?」

 

「私も聞いてないよ。まあ、妃さんから聞けば分かることだし気にしすぎても仕方ないんじゃないかな」

 

「それもそうか」

 

 俺達がそうして話していると、英理さんが事務所に帰ってきた。

 

「あら? 来ていたの、貴方達。ごめんなさいね、お待たせして」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。すみません、ウチの所員も二人ほど連れてきてしまって大丈夫でしたか?」

 

「こんにちは、妃さん」

 

「すみません、お邪魔しています」

 

「気にしないで大丈夫よ。偵光君がもし、一人で来たなら怒るつもりだったから。栗山さんも一人で来ていたら怒っていたんじゃないのかしら?

 誰かが側にいる方が私達も安心できるのよ。ほら、偵光君って事件に巻き込まれていっつも怪我してるイメージだから」

 

「そうですね・・・先日の一件以来、誰かがついていないと出れなくなりまして。あの時は、蘭ちゃんにも相当心配かけたみたいですみません」

 

「貴方は蘭の命の恩人だから感謝してるのよ。私もあの人も。蘭に心配かけさせたことと、身の周りの人達に心配かけさせたことはダメだけどね。

 その辺りはもう、お仲間から言われただろうから言うつもりは無いわ」

 

「さすが妃さん。よく分かっていらっしゃいますね、偵光のことを」

 

「ホントにね。お二人って昔からの知り合いだったんですか?」

 

「主人が探偵し始めた時ぐらいからかしら?」

 

「そうですね。その時ぐらいからの付き合いになりますね。毛利さんにはよく飲みに誘われてました。

 最近は仕事が忙しそうで機会は減りましたけど」

 

「あの人ったら、息子ができたかのように喜んでいたわよ。また誘われたら付き合ってあげてね」

 

「もちろんそのつもりです」

 

「ありがとう。そろそろ本題に入りましょうかね」

 

「そうですね」

 

「失礼します。皆さん、お茶をどうぞ。先生、これは今日の予定です。それと下の郵便受けにこんなものが」

 

「あら、ZIGOBAね。私の好きなチョコレートじゃない。そっか、あの人が・・・・・」

 

「スイスのチョコレートですね」

 

「高くて有名な奴だね。美味しいんだけどなかなか手が出ないんだよね」

 

「そんなに高いのですか?」

 

「普通のチョコレートに比べたらだけどな。透は甘いものとかあまり食べないから分からないだろうけど、チョコレートの中じゃ、味も良くて凄い人気なんだぜ?」

 

「へえ、そうなんですか」

 

「やっぱり偵光君は、スイーツ関係の知識には詳しいわね」

 

「店やってますからね。手伝いですけど」

 

「白銀さんのお店のデザートって凄く美味しいんですよ? 女性人気凄くて行列できるんですから! 今度先生も行ってみましょうよ!」

 

「え、ええ。そうね。味も凄く美味しいって栗山さんや蘭から聞かされるし、今度行きましょうか」

 

「来てくれるんでしたらサービスしますよ。いつでも来てください」

 

「ちなみに白銀さんが店にいる日を調べて行くのがお勧めですよ、先生。白銀さんがつくる限定メニューがありますので」

 

「よく知ってるわね、栗山さん・・・」

 

「常連ですからね!」

 

「そ、そう」

 

「あ、すみません。熱くなってしまいました。そう言えば、先生このチョコレート差出人が書いていないようですが・・・」

 

「大丈夫なんですか、それ? 差出人ないなら辞めておいた方が良いんじゃないですか英理さん?」

 

「僕も同感ですね。最近物騒な事件も起きていますし」

 

「そうだね。差出人不明の荷物が弁護士事務所に届くのは怪しいね」

 

「大丈夫よ。この間旦那と喧嘩して、そのお詫びでチョコレートを持ってきたけど恥ずかしくて入れたって所でしょうね。貴方達もどうかしら?」

 

「うーん、英理さんがそういうなら大丈夫か? いや、でも・・・」

 

「何か引っかかるのか偵光?」

 

「事件によく巻き込まれるから神経質になってるだけじゃないの?」

 

「引っ掛かるってか嫌な感じがしたんだよな。ちょっと開けて確認させてもらっても良いですか、英理さん?」

 

「え、ええ」

 

「白銀さん?」

 

 俺は英理さんからチョコレートの箱をもらって確認した。外箱には変な所はないな・・・ん? この紙製の花は、どこかで見たな・・・・。思いだした、スペードのクイーンに描かれている花だ。どうしてこんな物が?

 まあ、いい。今は中身の方だな。見た目は普通のチョコレートだな。匂いは・・・やっぱりか。薬品の匂いが混じってやがる。

 英理さんや他の人に食べさせなくて正解だったな。

 

「顔をしかめてどうした、偵光?」

 

「透、悪いけどこのチョコ警察の鑑識にまわしてもらえるか? チョコレートの匂いだけじゃなく、なんか薬品の匂いもするな。食べない方が良いだろう」

 

「本当か!? 分かった!」

 

 俺はチョコの箱を透に渡し、警察に届けてもらうようにお願いした。透はすぐに行動を開始して、チョコを持って事務所から出ていった。

 他の人達は、俺達の唐突な行動に驚いていた。

 

「それって本当なの、偵光君!?」

 

「何ですって!?」

 

「そんな!?」

 

「ああ、間違いない。チョコレートの匂いに交じって変な薬みたいな匂いがしたからな。これを食べてたら危ない所でしたよ、英理さん。

 毛利さんがチョコを郵便受けに入れたように見せかけて別の人物が出したのではないかと思われます。何か心当たりは?」

 

「そうね・・・仕事柄恨まれることはよくあるけど、ここまで直接的に狙われたのは初めてだわ。最近誰かの恨みを買ったってことは無いわ」

 

「そうですか。となると愉快犯の犯行か、別の何かか・・・・・ちっ、情報が足りねえな。詮索は後回しだ。とりあえず警察呼んでも大丈夫ですかね? 

 英理さんが狙われてるのなら今後も狙われないとは限りませんし、毛利さん達にも相談した方が良いかと思います」

 

「そうね。栗山さん、今日の予定はキャンセルして。警察に連絡をお願い。私は主人に電話して来るわ。

 悪いんだけど偵光君、相談事はまたで良いかしら?」

 

「分かりました!」

 

「ええ、大丈夫ですよ。僕達も調べることができましたので」

 

「ありがとう、偵光君。貴方のおかげで命が助かったわ。どんなお礼をしたら良いかしら・・・」

 

「そうですね。今度、毛利さんと蘭ちゃんと一緒にウチの店に来てください。サービスしますんで。

 それと、子供ってのは親に隠し事されると寂しいですからちゃんと話してあげてください。

 俺の家もそうだったので。本音で話合うだけでも全然違いますよ。最後のはあまり気にしないでください。俺の体験談なんで」

 

「・・・・・そう。ありがとう、三人で今度お邪魔させてもらうわね。

 それじゃあ、連絡してくるわね」

 

「はい。七槻ちゃん、刑事さん達来るまでここで待ってようか」

 

「そうだね。どうせ事情聴取があるだろうし、妃さんがまた狙われるかもしれないし、栗山さんも危ないかもしれないしね。

 そういうことでしょ?」

 

「そういうこと。って、山川さんからメール? これは・・・・・・」

 

「どうしたの? 山川さんからのメールは何て来ていたの?」

 

「この写真の剣について見覚えあるかだってさ」

 

「事件関係の何かの暗号かな? あれ? この剣どこかで見たような気がする・・・・」

 

「事件についてかどうかは分からんが、この剣については知ってるぞ。トランプのスペードのキングが持ってる剣だよ。待てよ、偶然か?」

 

「どうしてスペードなの?」

 

「スペードには死っていう意味があるんだよ」

 

「物騒な意味だね。死の13か。何気づいてたようだけど、教えてくれる?」

 

「ああ。さっきの英理さんのチョコレートの箱に付いていた紙製の花がスペードのクイーンが持っていた花にそっくりだったんだよ。

 偶然にしてはできすぎてると思ってな」

 

「クイーン・・・妃さん。偶然にしてはできすぎてるね」

 

「そういうことだ。山川さん達に詳しく話を聞きたいな。その13の剣が置いてあった件についてな。

 もし、これが偶然じゃないとしたらおそらく事件はトランプになぞらえて続くはずだ。

 まあ、あくまで俺の予測で証拠は無いけどな」

 

「そうだね・・・・・どうするつもりなの? 僕たちは怜子さんと行動するのがメインで動けないよ?」

 

「そうだな。山川さん達と情報を共有しながら、優秀なあの人達に頑張ってもらおう。俺達は俺達でやらないといけないことがあるしな」

 

「そうだね。それが一番かもしれないね。山川さん達なら心配ないよ」

 

「よし、そうと決まれば山川さんと怜子さんにちょっと連絡してくるわ」

 

「怜子さんも?」

 

「さっきから着信がきまくってんだよ・・・・・」

 

「それは早いことかけないとまずいね」

 

「だろ? 行ってくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

 俺は山川さんと怜子さんに連絡をして事務所に来た警察に話をし、戻ってきた透と合流し怜子さんへの元へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

<灰原美樹side>

 

 私は、休みをもらったので志保と一緒に買い物に出かけた後、阿笠博士の家に向かっていた。

 久し振りの妹とのお出かけは凄く楽しくて、年甲斐もなくはしゃいじゃったわ。

 

 

「ごめんね、哀ちゃん。私の買い物にも付き合ってもらって」

 

「別に良いわよ。久しぶりの息抜きになったもの。それに私の服とか色々な物も買ってもらったし。大丈夫だったの?」

 

「気にしなくて大丈夫よ。お金には凄く余裕があるし、事務所ってか会社の方から給料は充分すぎるほどもらってるから。

 あれだけもらって、偵光さん達の役に立っているのか、凄く不安だけどね」

 

「美樹さんは充分にやってると思うわよ。白銀さん達だって助かってるはずよ」

 

「そうだと良いんだけどね・・・一人でいる時はどうしても不安になるのよ」

 

「美樹さんの悪い癖よ。白銀さんの前では平静を装って、陰では色々気にして泣いちゃう所とかね」

 

「今は泣いてないわよ」

 

「今はね・・・・白銀さんがそんなこと知ったらきっとこう言うわよ、バカだなってね」

 

「バカって流石に酷くないかな?」

 

「あの人のことだからきっとそう言うわよ。そういえば、あの人は元気にしてるの?」

 

「元気にしてるよ? 怜子さんの仕事の手伝いで忙しそうにしてるけどね」

 

「危険なことでは無いのよね?」

 

「うん。今度オープンするアクアクリスタルで怜子さんにステージで歌って欲しいってオファーが来たみたいで、マネージャーとして行ってるから事件関係とかではないよ」

 

「アクアクリスタルって、海上娯楽施設の?」

 

「ええ、そうよ」

 

「幅広い仕事をしてるのね。身体も完全に調子が戻った訳ではないでしょうし大変ね。無理しなければ良いけど・・・・」

 

「やっぱり心配? その辺りは大丈夫だよ、事務所や会社の誰かが側にいるようにしてるから」

 

「そう・・・・あの人、自分より他人を優先させていつも無茶してるから、いつの間にかいなくなってそうで・・・」

 

「そっか。私や哀ちゃん、他のみんながいる限り偵光さんがいなくなるってことは無いと思うわ。

 どんなに怪我しようが帰って来てくれる人だから。この間もそうだったでしょ?」

 

「うん。あんな風に誰かに守られたのって、家族除いて初めての人よ」

 

「私もそうだったかな。姉妹揃って助けられちゃったね」

 

「そうね。彼に助けられたてばかりだから、私も彼に何かできると良いのだけど・・・」

 

「偵光さんは、哀ちゃんが素直にありがとうって言うだけでも凄く喜ぶと思うよ? そういえば、阿笠さんに発明品頼んでたのはどうなったの?」

 

「ありがとうか・・・頑張ってみるわ。博士には江戸川君と同じように便利な道具と、身の安全を守れるような発明品を頼んでいるわ。

 それを使って少しでも怪我をしないようにしてもらいたいから」

 

「偵光さんが怪我しないようにさせるってのは、ウチの事務所も動いてるのよ。

 偵光さんに誰か一人はつけるって強制になったし、佐藤刑事とかも護衛も兼ねて一緒にいたりとかするようになったしね」

 

「そうなのね。誰か見てるなら、少しは安心ね」

 

「それにこの間の怪我でみんなに心配かけさせたことを後悔してたから、余程のことが無い限りは無茶しないと思うよ」

 

「それを聞いて安心したわ。話込んでたらあっという間に着いたわね・・・・・玄関のガラスが割れてる? 博士!」

 

「落ち着いて哀ちゃん! 中に早く入ってみましょう!」

 

「ええ!」

 

 私と哀ちゃんは阿笠さんの家に入った。玄関近くに阿笠さんが倒れていた。

 

「博士!」

 

「阿笠さん、大丈夫ですか!?」

 

「おお、哀君に美樹君。何者かがボウガンで撃ってきてこの通りじゃ。いたた。今コナン君が犯人を追っておる」

 

「そんな!?」

 

「すぐに救急車と警察を呼びますね! 哀ちゃんは阿笠さんの応急処置を!」

 

「ええ、分かったわ!」

 

 私は救急車と警察を呼んだ後、哀ちゃんを手伝い救急車が来るまでの間に、現場に何か証拠が無いか調べた。

 庭で一か所だけ緑色ではない場所があり、そこを調べてみると落とし物があった。

 これは・・・・・何かの飾りかしら? 阿笠さんが落とした訳ではなさそうね。

 写真を撮っておいて、後で偵光さん達に聞いてみましょう。

 現場を調べてるうちにコナン君が戻ってきて、私達は阿笠さんを救急車に乗せて病院へと向かうのだった。




 ようやく栗山さんを登場させることができました!
 次回は明後日更新予定です。


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34話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<山川光side>

 

 俺は松田と一緒に、目暮警部に話を聞いた後事務所に戻り、事務仕事をしていた萩原と合流し知人が襲われている事件について情報交換を行っていた。

 

「まさかこうして立て続けに人が襲われるとはね。共通点は何だと思うよ?」

 

「共通点はまだ分からないが、事件が続くことだけは確かだな」

 

「目暮警部、妃さん、阿笠さんの三名か。妃さんは偵光のおかげで未遂に終わったが、まだ狙われるかもしれないということで警察が護衛しているらしい」

 

「ということは、今の所は安心だな。美樹ちゃんから阿笠さんの容体についての連絡はあったのか?」

 

「ああ。コナンのおかげでボウガンの刺さった位置もお尻で、怪我が治り次第すぐに退院できるそうだ。

 哀ちゃんが心配だから、傍にいるという連絡があったから後で二人でこっちに合流するように言っておいた。その方が二人の身も守れるしな」

 

「それが一番だな。お嬢ちゃん達が近くにいる方が守りやすい。現場に落ちていた証拠品については何か分かったのか?」

 

「分かったぞ。偵光に確認したら、トランプの絵柄に書かれている物だというのが分かった。目暮警部の剣がキング、妃さんの花がクイーン、阿笠さんの剣がジャックだ。全部スペードの絵柄のな。

 目暮警部の名前には13、妃さんは英語からもじったんだろう。阿笠さんは博士の士を分けると11になる」

 

「マジかよ・・・・・トランプにスペード? 何か意味があるのか?」

 

「そっちの意味もアイツに確認しておいた。スペードには死という意味があるらしい。流石に三件も続けば偶然では済まなくなる。

 この事件、まだまだ続くぞ。トランプの数字は10以下がまだ残ってるからな」

 

「そうだな。こうなると犯人の狙いや目的が絞れれば誰が狙われるか動きやすくなるんだが・・・」

 

「焦りこそ最大のトラップだぜ。落ち着いて考えてみよう。目暮警部、妃さん、阿笠さんがどうして狙われたのか」

 

「そうだな。3人に共通点は無い。誰かの関係者とかか? 共通の知り合いがいるとか」

 

「もしそうなら当てはまる人物が一人だけ心当たりがあるが・・・・・」

 

「もしかして所長のことか?」

 

「白銀? いやいや、もしそうだとしたら白銀の関係者を狙う理由は何だ? 復讐にしては悪手すぎるだろ」

 

「萩原の言うとおりで、偵光を狙うには回り道しすぎなぐらいだ。直接的に事務所の関係者を狙う方がもっと効率的だ。それに阿笠さんと妃さんとの関わりは、事務所や会社の人間を除いて一部の人しか知らないことだ。

 その中に犯人がいるとは考えにくい。他の人物の関係者が狙われてる可能性が一番有力になってくる」

 

「あの3人の関係者か・・・目暮警部と妃さんなら、毛利さんが一番当てはまるが、阿笠さんとは知り合い程度って感じたったよな?」

 

「そうだな。だが今はあのおっさんの関係者が狙われている可能性が高そうだな・・・おっさんと行動して次の動きがあればビンゴだな。

 所長の方から何か指示はあったのか?」

 

「ああ。秋庭さんの仕事関係で動けないから、俺達に任せるそうだ。好きに動いて良いと指示ももらったしな。困った時とかはもちろん相談するつもりだ」

 

「なるほどな。それでどう動くよ、副所長?」

 

「そうだな・・・・・」

 

 さて、どうするかな。今回、偵光、透、越水さんの三人は動けない。ベルモットの奴は偵光の傍にいるようにするだろうからアイツの身は心配ない。アクアクリスタル内で何か起きたとしても四人なら対処できるし秋庭さんの身も大丈夫だ。

 あとは、残りのメンバーをどのように動かすかだな。俺、萩原、松田、灰原さんの四人か。灰原さんが動くなら、哀ちゃんの方も一緒についてくる可能性が高いな。

 まずは、分担して事件を追うのが一番だな。後のことは偵光と相談しながら決めよう。

 

「よし、決まったぞ。松田と萩原は警察関係者から毛利さんの交友関係を洗ってくれ。今回の事件に関する情報を得ることが出来るかもしれないからな。

 俺は灰原さん達と合流して、毛利さんの所へと向かう。絶対に次の動きがあるだろうからな。所長の方から指示があればすぐに連絡する。二人ともよろしく頼む」

 

「分かった。行くぞ、萩原」

 

「書類仕事終わるまで待ってくれよ! 事務所みんな出払ってて手伝ってくれる人がいなくて大変なんだよ!」

 

「ったく何やってんだよ。手伝うから半分貸せ。山川、俺と萩原は仕事片付けてから動く。お前は先に行け」

 

「分かった」

 

 松田からそう言われ、事務所から出て灰原さんに連絡し、灰原さん達がいる場所へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

<安室透side>

 

 秋庭さんの仕事の打ち合わせの為、偵光と七槻さんと一緒にアクアクリスタルへと来ていた。

 

「それにしても凄い建物だね! モノレールからの景色も海が見えて綺麗だったし! この水槽も水族館みたいで凄いよ安室さん!」

 

「そうですね。内装もこれほどのものとは思いませんでした。それにフェラーリF40ですか。レストラン内にあるにしては違和感がありますね。高級感は出ますが」

 

「うーん。確かに。車好きの人なら嬉しいだろうけど、詳しくない私とかはどうして車が?って感じだよ。

 それにしてもこの施設すごくお金かかってそうだよね」

 

「そうですね。製作費だけでも相当なものでしょうね。ここのオーナーの旭さんは相当な実業家ですからね。資産も充分すぎるほどあるはずですよ」

 

「そうなんだ。お金持ちって凄いんだね。こんな施設ポンと建てれるものじゃないよ」

 

「ええ。これだけの施設ですからレストランの金額も結構な値段にしないと元が取れませんね。デートスポットとかで人気は出てたくさんの人が集まりそうではありますが」

 

「そうだね。こんな所で秋庭さんが歌うんだから、もっと人が集まりそうだよね。

 確か最初のプレオープンの時だけの契約なんだっけ? 人気がでたら期間延長を申しこまれるんじゃないの?」

 

「そうですよ。期間延長することはまず無いでしょう。

 秋庭さんの場合、ソプラノ歌手としてのツアーやコンサートの仕事の方が忙しいでしょうから、本人も延長はしないって言ってましたし偵光もその方向で話をまとめるつもりらしいですしね」

 

「そうなんだ。なら大丈夫かな」

 

「ええ・・・・・おや? お帰りなさい、二人とも」

 

「全く、何なのよ、あのおじさんは。思いだしても腹立つわね! しつこすぎなのよ」

 

「まぁまぁ。落ち着いてくださいよ怜子さん。期間はプレオープンのみでってことでまとめることができたんだから良しとしましょうよ」

 

「どうしたの、二人とも? 怜子さんは凄く怒ってるみたいだし何かあったの?」

 

「二人ともちょっと聞いてもらえるかしら? あの旭って人、契約した時と違う話を言いだしたのよ。

 期間延長しろだとか、ステージで歌ってくれって言うわりに準備は全然してないし、挙句の果て、仕事終わったら飲みに行くのに付き合えって今思い出しても腹立つわ」

 

「それはまた、偵光の前で命知らずなことをしますね」

 

「うわぁ、久しぶりに凄いタイプの人間が来たね。しかもそれを偵光君の前で言いだすんだから命知らずというか。それを聞いてどう対処したの?」

 

「それは偵光が上手くやってくれたわ・・・・・ちゃんと私のこと守ってくれたしね」

 

「いったいどのようにしたんですか?」

 

「そりゃあもちろん、何をしたか分からせる為に容赦なく論破したよ。怜子さんにふざけたこと言ったんだ。それくらい当然だろ? 

 契約書もちゃんとつきつけてお話したら、素直に謝ってきたからな。契約時の仕事の内容からは変更が無いようにしたよ」

 

「偵光君がお話しただけでそうはならないよね?」

 

「そうね。コイツ、もの凄いプレッシャー放ちながらニコニコ笑顔で言うもんだから怖くてかなわなかったわよ」

 

「そんなに怖かったか? 透とクリス参考にしてやってみたんだが・・・・・」

 

「ほう。面白いことを言うな。誰を参考にしただって?」

 

 偵光が面白いことを口走ったので、ニコニコ笑顔で彼に問いかけると冷や汗をだらだらと流しながら言った。

 

「その顔だよ・・・・・い、いえ、何でもございません!」

 

「まあいい。それで今後はどうするんですか?」

 

「アクアクリスタルに来て、怜子さんの練習に付き合う感じだな。スタッフもいないから俺達三人でサポートしないといけないんだよ」

 

「スタッフも雇ってないの!? 確か来月からプレオープンだったよね? それって大丈夫なの?」

 

「そうなのよ! 普通考えられないわよね!? オープニングスタッフなんか早く雇わないと、時間も無いし人も集まらないわよ。

 この施設が大丈夫なのか、今日の一件で凄く不安になったわ・・・」

 

「それは、なかなかのものですね。実業家というわりに、経営のことが分かってない感じですね」

 

「ああ。管理とか杜撰だよな。さっきこの施設の説明も受けたけど、ぶっちゃけ不安になるレベルだったな。絶対に何か起こるぞ」

 

「偵光君が言うと洒落にならないね」

 

「アンタが言うと洒落にならないわ」

 

「偵光が言うと洒落にならない」

 

「三人とも息ピッタリですね!? 俺も自分で言ってて、あっ、さっきの発言ヤバかったかもって思ったよ!」

 

「うるさいわね。今後のことは会社に帰って詰めていきましょう。悪いんだけどちょっとお手洗いに行ってくるわ。

 たしかそこ出て右だったわよね?」

 

「うるさい・・・・・・そんな一言で片づけなくても・・・・・・」

 

「ええ、そうですよ」

 

「すみません、私も一緒に行きます!」

 

「そう、わかったわ・・」

 

 越水さんは部屋からでて、その後秋庭さんがドアを閉める前にこちらを見てきた。正確にはいじけている偵光の方を見ていた。

 

「・・・・・・偵光、さっきは助けてくれてありがとね。そ、それじゃあ、行ってくるわ! 待ってなさい」

 

 彼にお礼を言い、彼女は慌ててドアを閉めた。素直にお礼を言えばいいものを・・・・・

 越水さんも聞いていただろうし、楽しく話をしてる頃だろうな。

 やれやれ、誰がこの唐変木を射止めることやら・・・・・・

 

「どういたしましてってもういねえし・・・・・・そんな呆れた目で見るんじゃねえよ、透」

 

「実際に呆れてるのですから問題ないでしょう?」

 

「そうっすか。そういや山川さんから連絡あって、阿笠さんまで襲われたらしい。現場にはトランプのジャックの剣が落ちていたらしい」

 

「阿笠さんの容体は大丈夫なのか!?」

 

「コナンのおかげで軽めの怪我で済んだらしい。それでトランプの数字になぞらえて事件が起こっているから、詳しく調べてみるって。

 俺達も警戒はしておいてくれってメールが来てたよ」

 

「数字か・・・・・阿笠さんは名前が博士の士に11があるからか。次は10ってことか?」

 

「そうだな。問題は誰に関係している人物が襲われてるってとこだ。三人と接点のある人物と言えば・・・」

 

「お前か毛利探偵だな」

 

「他にもいるような気はするがな。俺の関係者が狙われてるというのなら二人、危ないのがいる」

 

「七槻さんに萩原、山川さんか。数字の7と2と1に当てはまるしな」

 

「そういうことだ。次に狙われる10の人物が誰かによって、俺か毛利さんの関係者が狙われてるのかが絞れるはずだ。

 どちらにしろ、この事件が終わるまで七槻ちゃんと萩原さん、山川さんの周囲は警戒しておいた方が良いな」

 

「その案には賛成だ。あの子が狙われたとしても俺とお前で護りきるぞ。萩原の方は、松田に任せよう」

 

「ああ。事件の調査については松田さん達に任せておこう。あの人達が動くなら心配はいらないしな」

 

「元から心配はしていないさ。追加の情報が入ったら教えてくれ」

 

「もちろんだ」

 

 偵光と事件について整理しながら女性達が戻ってくるのを待つのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

<ベルモットside>

 

 私は今起こっている、連続襲撃事件について調べていた。昼間はずっとその事件についての情報を集めていた。今分かっている情報で、目暮十三、妃英理、阿笠博士の三名が襲撃されている。

 その中で、妃英理だけは偵光のおかげで未遂に終わっている。

 どうしてあの子は、事件が起こったらその中心に関わっていくのよ・・・・・心配の種が全然減らないわね。あの子がこうして動きだしたのを警戒しておいて正解だったわね。事件に好かれすぎよ、もう・・・。

 警察の方は、毛利小五郎の関係者が狙われているという方向で捜査を進めていっているみたいね。

 犯人の有力候補は村上丈と呼ばれる元賭博ディーラーの男性で、刑務所から出所したばかり。刑事時代の毛利小五郎により逮捕されて、その復讐の為に犯行に及んだと・・・・・

 確かに辻褄は合いそうだけど、その可能性は低そうなのよね。出所してから情報を知り得るのが早いし、目暮十三と妃絵里両名との関係は分かるが、阿笠博士との関りがあまり無いのよね。

 どちらかと言えば、シルバーブレットの方が関係してるはずなのだけど・・・いえ、もう一人当てはまるのがいたわね、私の身近に・・・。

 偵光ならあの三名と関りがあるし、事件にもよく巻き込まれ犯人を捕まえたりしているから逆恨みをされてもおかしく無いわね。

 もし、偵光の周囲の人物が、トランプの数字どおりに狙われているとしたら、七槻と萩原君が危ないわね。あの二人は名前に数字が入ってるもの。偵光の光も漢字の一が入ってると言われれば狙われる可能性が高いわね。

 おそらく七槻と萩原君の二人の方は、偵光や山川君が対策をしているはずだから、問題は偵光ね。そう言えば、バーボンが彼と仕事を行うと言っていたわね。彼と合流して情報交換しながら動くのが得策のようね。

 それと、どうにかしてあの子の傍にいれるようにしておかないといけないわね。違和感なく潜り込むためには、刑事への変装が無難そうね。

 そちらの候補も探して、すぐに行動に移すとしましょう。

 

「あれ? クリスさん、こんな所でどうしたんですか?」

 

「あら、美和子こそこんな所で何してるの?」

 

「ちょっと事件の調査をしていまして」

 

「あらそう。もしかして、連続襲撃事件についてかしら?」

 

「どうしてそれを!?」

 

「やっぱりそうなのね。その調査にしては毛利探偵の周辺を探っていないみたいだけど?」

 

「どこまで調べているんですか!?」

 

「ふふ、良い反応ね。私の家族が関わって、その周囲の人物が狙われる可能性が高そうだから調べていただけよ」

 

「そうなんですか。やっぱり・・・」

 

「やっぱりってことは、美和子もそう思ったのかしら? だからこそ、毛利探偵の周辺ではなく偵光の情報を探っているってとこかしら?」

 

「・・・はい。クリスさんの言うとおりです。毛利さんの周囲の人物が狙われてるってのがどうにも腑に落ちなくて。毛利さんよりも、偵光の方が当てはまっている気がしたし、独自に調べていたんですよ。妃さんの件についても詳しい話を聞きたかったですし。

 先ほど偵光達に話を聞きに行ったんですけど事務所を出払っていて、電話しても出ないんですよ」

 

「今の時間は、怜子の仕事でアクアクリスタルに行ってるはずよ。偵光と七槻と安室君の三人はね。美樹は確か休みだったわね。

 他の子は事務所にいるって聞いてたんだけど、いなかったの?」

 

「はい、いませんでした」

 

「そう・・・・・となると私達と同じで調査に乗り出したって所かしら。電話かけても出ないならなおさらね」

 

 他のメンバーも動きだしたとなると、警察関係者の味方も欲しい所ね。それに私も変装して潜り込みやすくなるし・・・・・美和子も協力者としてこちらに引き込みましょう。

 偵光達の傍に護衛も付けることができるだろうし、美和子の心配事も減るしね。付き合いが長いから娘みたいに思えて仕方ないのよね。

 まあ、偵光を狙うライバル同士でもあるのだけれども。

 

「アクアクリスタルにいると分かっただけでもありがたいです。私はアクアクリスタルに向かってみようかと思います」

 

「ちょっと、待ちなさい。毛利探偵の傍につく方が良いわ。刑事が近くにいるのよね? 偵光のことだから、事件のことを聞くとそちらへと向かうはずよ。

 すでに事件の詳細を山川君達から聞いて向かってるかもしれないわね」

 

「え、ええ。目暮警部と白鳥刑事がついていますが。クリスさんの言うとおりですね。

 アイツは事件が起こる場所に来るでしょうからその方が確実ですね。私はこれから目暮警部達の元へと向かいます」

 

「なら私も一緒に連れていってくれないかしら? 偵光達と合流したいし構わないかしら?」

 

「構いませんよ。すみません、目暮警部に協力を申し出る連絡をして、車を取ってきますので待っててもらえますか?」

 

「ええ、分かったわ」

 

「それでは、すぐに戻ってきます」

 

 そういって彼女は少し離れた位置で連絡を始めた。美和子を味方に引き込むこともできたし、今回の事件についてメインで動いている人物も分かった。どちらに変装をするかよね・・・・・バーボンにも協力してもらえば問題なく潜りこめるわね。

 ただ、偵光には私の変装をすぐに見破られるから意味はあんまり無いんだけど・・・・・

 夕方ぐらいにはバーボンと会えるようにメールを送っておきましょう。

 

「すみません、お待たせしました。目暮警部達は毛利さんの関係者で、数字の10に当てはまるプロゴルファーの辻さんの所へと向かったそうです」

 

「辻ね。確かに10が入ってるわね。その人が襲われるとしたらば、偵光、毛利探偵どちらの関係者が狙われてるか絞れるはずよ。行きましょう」

 

「そうですね。車に乗ってください!」

 

 私は美和子と一緒に、辻という人物がいる場所へと急いで向かうのだった。




 次回は三日後ぐらいに更新予定です。


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35話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<山川光side>

 

 俺は灰原さん達と合流して、車で毛利さんの所へと向かっていた。

 

「お疲れ様二人とも。それで阿笠さんの容態は大丈夫だったのか? 大きな怪我をしていないとは聞いていたが・・・」

 

「お疲れ様です、山川さん」

 

「ええ、病院で怪我が治るまでの間の入院になったけど大きな怪我では無かったわ。江戸川君のおかげでね」

 

「流石コナンだな。それで灰原さんにどうして哀ちゃんまで付いてきてるんだ?」

 

「それには理由がありまして・・・・・」

 

「博士が襲われたのよ? それに妹がお姉ちゃんのことを心配してついてきたって理由だとダメかしら?」

 

「やっぱ予想通りだったな。灰原さんと偵光のことが心配って所か?」

 

「白銀さんは関係ないわよ。ただお姉ちゃんのことが心配なだけ」

 

「もう志保ったら、素直じゃないんだから。偵光さんのことも心配って顔に書いてあるわよ?」

 

「お姉ちゃん!」

 

「あらあら怒られちゃった。でもこっちとしてはちょうど良かったわよ。阿笠さんのいない家に志保が一人っきりってのは心配だったし」

 

「灰原さんの言うとおりだな。哀ちゃんには悪いが、阿笠さんが退院するまでは俺達と行動してもらうぞ。

 アイツから、哀ちゃんのことを頼むって言われたからな」

 

「あの人らしいわね。それで、その本人はどうしているの?」

 

「怜子さんのマネージャーの仕事しているよ。アクアクリスタルでの打ち合わせが終わって会社に向かってるってとこじゃないか?」

 

「そう、事件には関わっていないのね」

 

「そうだな。ただ、事件の詳細については俺達が送ったりしているから把握しているけどな。

 それでお互いに連携取りながら、俺達がメインで動いてる感じだ」

 

「そういうことね。事件の現場にホイホイ現れている訳じゃないから、今回はマシそうね」

 

「そうだね。それで山川さん、毛利さんの所へ向かうって聞いたんですけど、私達は毛利さんの傍で事件を追うってことで良いんですか?」

 

「そうだな。もし毛利さんの関係者が狙われているとしたら、俺達も傍にいる方が色々と便利だからな。

 犯人の動きを知ることもできるし、毛利さん達の身を護ることもできるからな」

 

「分かりました。でも毛利さん達の傍って警察がいるんじゃないですか?」

 

「そこは交渉するつもりだ。所長の名前を使ってな。交渉事は得意だから任せておけ。もうすぐ着くぞ」

 

「あれはヘリポート? もしかして目的地ってあそこなの?」

 

「ああ。あそこに次に襲われる可能性のあるプロゴルファーの辻さんがいるらしく、毛利さん達もここに来ているはずだが」

 

「山川さん! あの赤い車は・・・・・あ、佐藤刑事とクリスさんもいますよ!?」

 

 おいおいマジかよ。どうしてベルモットの奴がここにいやがる? 誰かに変装してもう既に動いてると思っていたが、変装もせずに動いているのは予想外だった! 哀ちゃんと顔を合わせるのはマズイな・・・

 偵光がいるなら対策も練ることができるが・・・・・

 電話? 偵光から? 車を駐車場に停めて、電話に出た。

 

「ちょっと待っててくれ、二人とも。はい、もしもし?」

 

「山川さん、お疲れ様。今どこにいるの?」

 

「お疲れ。今はヘリポートに来ているぞ。毛利さんの関係者で10の数字を持つ人物がここにいるらしくてな。駐車場に来たとこだが、目暮警部達も遠目に見えるから間違いないだろう」

 

「そうか・・・・・それにしてもヘリか。それで山川さんはどうするつもり?」

 

「ヘリに乗るのを止めるつもりだ。止めれなかったら俺も一緒に乗って対処するつもりだ。ヘリの操縦もできるしな」

 

「分かった。そこにコナンって来てるかい?」

 

「コナンの奴は見あたらないな。でも毛利さんがいるからおそらくすぐに来るぞ? それと、クリスさんと佐藤さんも何故か来ているな」

 

「やっぱりか。何してやがんだ、アイツら・・・。着信があったのはその件についてか? まあ、良い。そこには他に誰かいる?」

 

「俺と一緒に灰原さんと哀ちゃんがいるが・・・」

 

「哀ちゃんとクリスをここで顔を合わせるのはまずいな・・・山川さんが動けなくなってしまうし、俺も事務所にいて向かうことはできないし」

 

「お前事務所にいるのか?」

 

「七槻ちゃんが気になることがあるって言って、俺が調べものを手伝ってるんだよ・・・・・いや、使えるな、これ。

 山川さん、美樹ちゃんと哀ちゃんを事務所に来るように頼んでもらえるかな?」

 

「それは構わないが、透と秋庭さんはどうした?」

 

「透は用事があると言って帰ったよ。おそらく、クリスがその場にいることから何か指示があったんじゃないのかな? この後情報交換する為にで合流するとかその辺りだとは思うけど。

 怜子さんは幸ちゃん達と夏美ちゃんのお店に行く約束があるからって帰らせたよ」

 

「なるほど。確かにその可能性はありそうだ。分かった、彼女達にはそう言っておく。ただ、佐藤さんとクリスさんはどうする?」

 

「そっちは俺に任せてくれ。美和子とクリスにはちょっと頼みたいこともあるしね。そっちの件については任せたよ、山川さん。

 何か起こったらすぐに連絡してくれ。それと気をつけてね」

 

「了解した。お前には言われたくないよ。それじゃあ後でな」

 

「偵光さんの連絡は何だったんですか?」

 

「事務所で調べものしていて手が足りないから、灰原さんと哀ちゃんに手伝って欲しいそうだ。

 二人には悪いんだが、この車で事務所に戻ってもらえるか?」

 

「貴方はどうするの?」

 

「ああ、俺だけは毛利さんと合流して動いてくれって言われたよ。何かアイツの考えがあるんだろう」

 

 灰原さんの方を見ながら言うと、彼女は俺達の考えを分かってくれたようだ。ベルモットがいなければ残っていてもらったんだがな・・・

 

「・・・・・分かりました。すみませんが後をお願いします。気をつけてくださいね。志保、ごめんね。こんなことになって」

 

「・・・・・別に構わないわ。文句はあの人に言うから」

 

「ふふ。それが一番かもしれないわね」

 

「それじゃあ、俺は行ってくる。後の事は悪いが頼むな」

 

「はい」

 

「気をつけなさいよ・・・・」

 

「偵光からもそう言われたよ。それじゃあまたな」

 

 車を降りて、灰原さん達が帰るのを見送り、佐藤さんの車へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 佐藤さんの車に近づき、窓をノックした。俺の姿を確認した佐藤さんは驚いていた。

 

「山川さん、どうしてここにいるんですか!?」

 

「あら、山川君、やっぱりここに来たのね」

 

「ウチの事務所も今回の事件を追ってるんですよ。クリスさんは俺がここに来るのが分かってたみたいですね?」

 

「当然じゃない。貴方は偵光の右腕なのよ? あの子が動けない場合は、山川君が絶対現場に来るじゃない。だからよ」

 

「そこまで言われるとは嬉しいですね。クリスさんはどうしてここに?」

 

「私も個人的に調べていたのよ。あら、電話? ちょっと失礼するわね♪」

 

「え、ええ」

 

「はい」

 

 ベルモットはそういい、車から降りて電話をしにいった。あの機嫌の良さから偵光からだろうな。

 

「それで佐藤さんはどうしてここに? 毛利さんの件で来た感じって訳ではなさそうですね」

 

「毛利さんの関係者が狙われてるってのがどうにも腑におちなくてね。よく考えたら襲われた人達は偵光にも関係があると思って調べていたのよ。

 その途中でクリスさんと会ったのよ」

 

「なるほど。となると俺と同じですね。俺もそう考えてここに来たわけですよ。

 もし辻さんが狙われれば、毛利さんの関係者、そうでなければまたふりだしに戻りますけど、犯人は仕掛けてくる可能性が高そうです」

 

「それは勘かしら?」

 

「探偵の勘って奴ですね。所長に比べたらまだまだですがね」

 

「アイツの勘はおかしすぎるほど当たるわね。それで山川さんは目暮警部達に合流するつもりなの?」

 

「ええ、そのつもりです」

 

「そうなのね。アイツはここに来るつもりなの?」

 

「別の仕事が入っていますし、俺のこの件は任せてくれているので来ることは無いかと思いますよ。

 ちなみに別の仕事というのは、秋庭さんのマネージャーのお仕事なので安心してください」

 

「そう・・・・・・事件に首突っ込んでる訳じゃないから安心したわ」

 

「米花シティービルの一件でウチの所員達も誰か一人は絶対に所長につけることにしてますので安心してください。

 あの時のような無茶はさせないつもりです」

 

「ありがとう。助かるわ。私が言っても聞かないからアイツ・・・・」

 

「あら? お二人で仲良くおしゃべりしてるじゃない?」

 

「お帰りなさい、クリスさん。ちょっと佐藤刑事と世間話をしていました」

 

「あら? てっきり美和子のことを口説いてるのかと思ったわ。残念ながらその子には想い人がいるから無駄よ」

 

「ちょっと、クリスさん!? 何を言ってるんですか!?」

 

「それはもちろん分かってますよ。彼女の邪魔をするつもりはありませんし、むしろ応援していますから。もちろんクリスさんのこともね。

 誰かが所長とくっ付いてくれたら所長も大人しくなるかと思うんですよね」

 

「あらそう。ありがとう。面白いことを言うわね、山川君。

 それで美和子、貴方に電話よ。はい、どうぞ」

 

「え? はい、もしもし? って偵光!? さっきクリスさんが言っていたこと聞こえてたの?・・・・・・そう、それなら良いわ。

 それで要件はなんなのよ?」

 

「所長からの連絡だったから、クリスさんもご機嫌なんですね。貴方も意地が悪いですね」

 

「当然じゃない♪ 彼からの連絡はいつ来ても嬉しいものよ。美和子に関しては彼女の反応が可愛いからいけないのよ」

 

「そうですか。それで所長は何て言ってたんですか?」

 

「ちょっと、ある人物の調査についてね。私は彼女の電話が終わったら偵光の依頼の為に別行動させてもらうわね」

 

 ある人物の調査? いったい何を頼みやがったんだ、アイツ? あとで確認しておくか。

 

「そうですか。分かりました」

 

「・・・・・・・・そう、分かったわ。その件については何とかできるわ。また連絡するわね。ふう、クリスさん電話ありがとうございました」

 

「いえいえ。美和子も何か頼まれたみたいね?」

 

「ええ。目暮警部にちょっと伝えてきます。すみませんが少し待っててください」

 

 彼女は目暮警部の元へと向かい何かを話していた。

 

「いったい何を頼んだのかしら?」

 

「さあ? 少なくとも事件についての対策については間違いないでしょうけど」

 

「まあ、良いわ。ここは貴方に任せたわ。美和子にもよろしく言っておいてちょうだい」

 

「もう行くんですか?」

 

「早く行動することにこしたことは無いでしょ? 貴方も気をつけなさいね。それじゃあね」

 

「分かりました。クリスさんこそお気をつけて」

 

 ベルモットはこの場を去って行った。アイツも偵光が絡むと行動が異常に早いんだよな。おそらく降谷の奴が巻き込まれるんだろうが・・・・・ 

 とりあえず、哀ちゃんとの遭遇は阻止できたから良しとするか。

 

「お待たせしました。あれクリスさんは?」

 

「所長からの頼まれごとしたから帰ると言って帰りましたよ。それで佐藤さんの方はどうだったんですか?」

 

「そうなの・・・・。ダメね。事情を説明してヘリを飛ばすのを中止させようとしたけど辻さん本人が聞く耳持たないわ。目暮警部達が今も必死に説得してるけど難しそうね。

 おそらくヘリは飛ぶことになるでしょうから、目暮警部達の誰かが一緒に乗ることになるわね」

 

「そうですか。なら俺も一緒に乗りましょうか? ヘリの操縦もできますので何かあった時に対処できるかと」

 

「そうなの? 確かに操縦経験がある山川さんが一緒に乗ってくれれば助かるけど・・・危険なことには変わらないし」

 

「大丈夫ですよ。もともとそのつもりで来ましたから。目の前で事件が起こるかもしれないというのに黙って見てることもできませんしね」

 

「分かったわ。ごめんなさい、凄く助かるわ。私に手伝えることがあったら何でも言ってね」

 

「そうですね・・・もしヘリを緊急着陸させる時のことを考えて、近くの広い土地の場所を封鎖することは可能ですか? ってどうしました? そんなに驚いた顔をして」

 

「・・・いえ、偵光にも同じことを頼まれたから驚いちゃって。もしもの時は、帝丹小学校の校庭から人を避難させて封鎖するのは可能かだってね。私はこれから帝丹小学校に行くつもりよ」

 

「そうですか・・・・確かにあそこなら、ここから近いし場所も広いし、ヘリが緊急着陸するには適していますね。封鎖して、もし事件が起きなかった場合は大丈夫なんですか? 責任問題になりますよ?」

 

「目暮警部達にも話をしたし、責任取って刑事辞めたら偵光の探偵事務所で雇ってもらうつもりだから心配しなくても大丈夫よ。あのバカと仕事するのは退屈しなくて済みそうだわ」

 

「分かりました。俺からは何も言いません。そろそろ目暮警部達の所へ行きますね」

 

「私も行くわ。警部に山川さんが協力してくれることを言わないと」

 

「すみませんがよろしくお願いします」

 

 佐藤さんと一緒に目暮警部の所へと向かって事情を説明した後に、コナン達も合流してきた。

 辻さんの護衛の為、俺、目暮警部、毛利さんがヘリに同乗することが決まり、コナンが忍び込むのを見逃しながらヘリに乗り込むのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

 七槻ちゃんが気になったことがあると言い、事務所に戻ってきて過去の資料を漁っていた。俺が一緒に手伝っている。

 途中から、美樹ちゃんと哀ちゃんも合流して手伝ってくれている。透の奴は急用があると言って帰った。おそらくクリスってかベルモットからの呼び出しだろうな。アイツも大変だな・・・・・

 バーボンとしての組織の構成員の顔、安室透としての探偵の顔、降谷零としての公安警察の顔の三つを使い分けないといけないから絶対大変だろうな。いや、よくよく考えたら俺も似たようなもんか。ははは、マジ笑えない。事件とかこの世から無くなってくれないかな。そしたら探偵を廃業できるのになぁ。

 クリスと美和子にはさっき連絡したし、これで大丈夫と。後は山川さん次第ってとこだな。何も起こらなければ良いんだが、無理だろうな。

 今まで生きてきた中で、事件が起こらない時なんか無かったしな。平和な日常が欲しいぜ、ちくしょう!

 

「手が止まってるわよ」

 

「ごめんなさい。ちょっと考えごとしてたわ。それにしても二ヶ月前ってちょうど俺が入院していた頃だよな? こんなに依頼あったのか・・・・・」

 

「そうですね。偵光さんが入院している間にも凄い量の依頼が来て忙しかったんですよ。安室さん、山川さんがいなかったら全然捌けてませんでしたよ」

 

「そうだね。あの二人って偵光君に並ぶぐらいに仕事をこなしてくから、ホントに人間なの?って疑問に思うもん」

 

「いやいやあの二人が化け物じみてるだけで俺は普通だよ?」

 

「貴方も充分化け物じみてるわよ。休んでる時あるのかしら? ほとんど働いてるイメージしか無いんだけど」

 

「失敬な。依頼とかを早く終わらして、余裕ができた時間に遊んだりとゆっくりして休んでるぞ!」

 

「へぇ、そんなことしてたんだー」

 

「偵光さんそんなことしてたんですねー」

 

「あっ、やば・・・・・これには理由があるんですよ」

 

「どんな理由があるのかな?」

 

「私も教えてほしいですね?」

 

 二人のニコニコ笑顔が怖いんですけど!? どうして、あんなこと口走ったんでしょうかね!? 依頼終わらして時間潰すのもダメなのかな!? ダメなんでしょうね! 早く終わったら帰って来なさいって言われてるからそりゃあ怒られるわ。

 ってか子供みたいな扱いじゃない、俺?

 泣けてきたんですけど・・・・・こういう時は謝るのが一番だ。今までの経験を活かすんだ!

 

「すみませんでした」

 

「バカね・・・・・」

 

「・・・・・まったく。まあ、休むのは構わないんだけど、一人であまりうろちょろしないように。事務所のみんなが心配するからね」

 

「そうですよ。ただでさえ、偵光さんったら目を離したらすぐに事件に巻き込まれるんですから」

 

「そこまで酷くはないと思うんだが・・・・・・ん? 七槻ちゃんが探してたのってこの事件? 接触事故起こしそうになった車の運転手探してくれって奴」

 

「それだよ! その依頼者が沢木公平さんっていうソムリエで、毛利探偵とも友好関係があるって言ってたんだよ!」

 

「確かに公の字に八が入ってるな。あれ、調査資料には途中までしか書いてないな。

 それに、この人、アクアクリスタルのレストランの経営を頼んでるって旭さんが言ってた人だな・・・九に八・・・偶然か? 七槻ちゃん、この人の依頼の詳細ってどんなだったか覚えてる?」

 

「変わった依頼だったからよく覚えてるよ。夜遅くに沢木さんが乗っていたオートバイが青信号で進んでたら、赤い車が突っ込んできて接触はしなかったそうだけど、沢木さんは転倒して怪我をしたみたい。

 その後赤い車は逃げたそうだよ。それで、話をしたいからその赤い車の持ち主を探してくれって依頼だったんだよ」

 

「それって完全に車を運転していた方が悪くないですか?」

 

「そうだな。信号無視に救護もしないって質が悪いな」

 

「それでその相手は見つかったのかしら?」

 

「それが、依頼があってちょっとしてから沢木さんの方から、見つかったからもう探さなくて良いって言われて途中で調査を打ち切ったんだよ。

 だから資料にはそこまでのことしか書いてないんだよ」

 

「その相手の名前は聞けたのか?」

 

「ううん。相手の人が黙っててくれって言われたから教えることができないって言われたんだよ」

 

「そうなんですね。なんか釈然としないですね。依頼人からそう言われれば此方は強くでれないのは分かりますけど・・・」

 

「なるほどな・・・・沢木公平か・・・・・」

 

 毛利さんの関係者で、数字の八が名前に入っている人物か。それに、信号無視で接触しそうになった相手の調査の依頼を途中で打ち切ったか。だいたい、見つけることができなかったからこそウチに依頼をしてきたんじゃないのか? 依頼して途中で見つかったと言われればそれまでだが、それにしては行動が早すぎないか?

 もしかしてウチの事務所の誰かと接触するのが目的だったとかか? まさかな。

 調べてみる価値はあるか。依頼するとなると、美和子が一番早いんだが別の件頼んでるし無理だな。後で透に頼むか。公安の部下を使って調べてくれるだろうし。

 

「何か気になることでもあるのかしら?」

 

「いやあ、哀ちゃんがいつもよりふてぶてしいなぁと思って」

 

「怒るわよ・・・・?」

 

「ごめんなさい」

 

「まったく・・・・・」

 

 哀ちゃんとじゃれあっていると、彼女の付けているバッジから声が聞こえてきた。

 

『おい、聞こえるか灰原!?』

 

「江戸川君? どうしたの?」

 

『辻さんの目薬に細工されていて、光が眩しくて目が開けられない状態になった! ヘリを近くに緊急着陸させないと不味いことになる!』

 

「何ですって!?」

 

 やれやれ悪い予感ってホント当たるんだよなぁ・・・ちくしょう。

 哀ちゃんの様子に、七槻ちゃん、美樹ちゃんも只事ではないと感じ取っているみたいだ。

 

「哀ちゃん、そのバッジ借りるよー」

 

「ちょっと!?」

 

「おーい、聞こえるかコナン? 山川さんと話したいから代わってもらえるか?」

 

『ちょうど良いタイミングだよ! 山川さん、白銀さんが代わってくれって!』

 

 流石コナン。動きが早くて助かるよ。

 

「もしもし?」

 

「山川さん、辻さんの容態と今の状況は?」

 

『目薬に何か細工されていたみたいだな。日光を見た瞬間苦しみだした。そこで操縦ができない状態だったから俺が代わってコナンにサポートしてもらっている。

 辻さんのこともあるから緊急着陸させないと不味い状況だ』

 

「なるほど。帝丹小学校の校庭なら着陸できるよね?」

 

『問題はないが、生徒とかの避難は終わってるのか?』 

 

「少し待ってて」

 

 俺は携帯で美和子に連絡した。

 

『もしもし? どうしたの?』

 

「すぐに‎校庭から生徒や人を避難させてもらえるか? 辻さんのヘリがそこに緊急着陸する。時間はどのくらいかかりそうか?」

 

『なんですって!? 動いていて正解だったわね。事前に説明して、もう避難してもらってるから大丈夫よ!』

 

「了解。ありがとな。悪いが校庭に人が来ないように頼むぜ。俺達もすぐにそこに向かうようにする」

 

『分かったわ。山川さん達は大丈夫なのよね?』

 

「もちろん大丈夫だ。俺達もすぐそっちに向かう。それじゃあな」

 

『ええ、分かったわ』

 

「山川さん、聞こえる?」

 

『ああ、聞こえるぞ』

 

「そのまま帝丹小学校に向かって。校庭の避難は完了してるから心配しなくても大丈夫だ」

 

『助かる。これからそこにヘリを緊急着陸させる』

 

「気をつけてね。俺達もすぐに向かうようにするから」

 

『了解』

 

 通信を終えて、哀ちゃんにバッジを返した。

 

「ありがとう、哀ちゃん」

 

「ええ。それより大丈夫なの?」

 

「山川さんがいるから大丈夫さ。あの人は俺より優秀だからね。七槻ちゃん、美樹ちゃん、すぐに帝丹小学校に向かうから準備して」

 

「分かったよ!」

 

「分かりました!」

 

「哀ちゃんはどうする?」

 

「もちろん私も行くわ」

 

「そういうと思ったよ」

 

 俺達は急いで帝丹小学校へと向かうのだった。




 次回は三日後ぐらいに更新予定です。
 14番目の標的編が終われば、再びTV編に戻ります!


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36話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
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<山川光side>

 

 コナンを膝の上に載せて、快適な空の旅を満喫していた。ヘリに爆弾とか変な物を仕掛けられた様子は無いな。ここで仕掛けてくると思ったんだが読み間違えたか? それとも、警察が周囲にいたから狙うのを見送ったか?

 随分と今回は慎重になってるな・・・・・・何か他に狙いがあるのか?

 

「怖い顔してどうしたの、山川さん?」

 

「悪い。ちょっと考えごとに熱中しすぎたようだ」

 

「もしかして事件のこと?」

 

「いや、あのバカが次に何をしでかすのかと思ってな」

 

「それを予測するのは凄く難しいね」

 

「お、探偵を自称するコナンでも難しいか?」

 

「難しいよ。白銀さんの行動が予測できる人なんてこの世にいるのか?」

 

「幼馴染である佐藤さん達や、クリスさんですら予測できないからな。おそらくアイツ自身しか分からないんじゃないのか?」

 

「それもどうかと思うよ・・・・・」

 

「お二人は仲が良いんですね」

 

「はい、よく顔を合わせますからね。どうしました、辻さん?」

 

「いえ、さっきから目が少しかゆくて・・・・・! ぐあ・・・・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 目をかいていた辻さんが、日の光を見た瞬間顔を抑えて苦しみ始めた。まさか、目薬に何か仕込まれていたのか!?

 マズイ、右に流れてやがる! 早く対策しないと、墜落してしまう!

 

「辻さん! しっかりしてください! ヘリが右に流れています!」

 

「くぅ・・・・・・」

 

「このままでは墜落します! 辻さん、ペダル操作を!」

 

 辻さんは俺の声を聞きペダル操作をして、なんとか機体を持ち直した。不味いな・・・・目が開けられない状態で、操縦させるのは厳しすぎる。

 俺がやるしかないか。何か起こると思って乗っておいて正解だったな。

 

「毛利君! ヘリの操縦は出来るかね!?」

 

「出来る訳ないでしょ!?」

 

 後ろの席に乗っている目暮警部と毛利さん達は予想外の事態に慌てていた。

 

「コナン! 少しの間レバー持っててもらえるか? ペダルは軽く踏んでれば大丈夫だ。その間に、俺と辻さんが入れ替わる」

 

「大丈夫、ヘリの操縦は分かるから。ちょっとの間なら全然大丈夫だよ」

 

「悪いが頼む。辻さん、こちらに」

 

 俺と辻さんの身体をなんとか入れ替えて、操縦席に座りコナンの奴から操縦を代わった。

 その後、コナンは辻さんの容態を確かめた。

 

「どんな状態だ?」

 

「目薬に何か入っていたのは間違いないね。ただ、早く辻さんを病院に連れていかないと不味いかな。ヘリをどこかに緊急着陸させないと」

 

「それなら宛がある。目暮警部、毛利さん、辻さん、今からヘリを緊急着陸させます。

 しっかり、ベルトを締めてどこかに掴まっていていてください。コナンもな」

 

「大丈夫なのかね、山川君!?」

 

「おいおいマジかよ!? 操縦は大丈夫なのか? 俺はまだ死にたくないぞ!」

 

「俺も死ぬつもりありませんよ。ヘリの操縦は問題ないです。ウチの所長に嫌というほど鍛えられましたから。

 辻さんの容態もありますし、急いだ方が良いのは間違いないです」

 

「・・・・・分かった、すまないが頼む」

 

「おい、コナン。そのバッジで哀ちゃんに通信してもらえるか? 哀ちゃんの近くに偵光がいるはずだ」

 

 コナンは俺の言いたいことをすぐに理解し、哀ちゃんに探偵団バッジで通信をし始めた。こういう理解の速さは助かるし、博士の発明品はホント便利だな。

 

「・・・!? 分かった! おい、聞こえるか灰原!」

 

『江戸川君? どうしたの?』

 

「辻さんの目薬に細工されていて、光が眩しくて目が開けられない状態になった! ヘリを近くに緊急着陸させないと不味いことになる!」

 

『何ですって!?』

 

『哀ちゃん、そのバッジ借りるよー』

 

 偵光は俺達の切羽詰まった状況を察して、すぐに哀ちゃんと代わってくれたみたいだな。

 

『ちょっと!?』

 

『おーい、聞こえるかコナン? 山川さんと話したいから代わってもらえるか?』

 

「ちょうど良いタイミングだよ! 山川さん、白銀さんが代わってくれって!」

 

「もしもし?」

 

『山川さん、辻さんの容態と今の状況は?』

 

「目薬に何か細工されていたみたいだな。日光を見た瞬間苦しみだした。そこで操縦ができない状態だったから俺が代わってコナンにサポートしてもらっている。

 辻さんのこともあるから緊急着陸させないと不味い状況だ」

 

『なるほど。帝丹小学校の校庭なら着陸できるよね?』

 

「問題はないが、生徒とかの避難は終わってるのか?」 

 

『少し待ってて』

 

 ゆっくり操縦しながら待っていると、偵光から通信が再び来た。

 

『山川さん、聞こえる?』

 

「ああ、聞こえるぞ」

 

『そのまま帝丹小学校に向かって。校庭の避難は完了してるから心配しなくても大丈夫だ』

 

「助かる。これからそこにヘリを緊急着陸させる」

 

『気をつけてね。俺達もすぐに向かうようにするから』

 

「了解」

 

 通信を終えてコナンにバッジを返して、帝丹小学校に緊急着陸することを説明した。

 

「なるほど。確かにあそこなら十分な広さがあるね。白銀さんは相変わらず動きが速いよね。こうなることを予測してたの?」

 

「おそらくな。俺がヘリに乗る前に佐藤さんにもう指示出してたしな。未来が見えてるんじゃないかってぐらいの予測ぶりだよな。

 アイツに聞いてみたら、嫌な予感が有るだけで、あらゆる対処をするって言っていたけどな」

 

「ははは・・・ホント何者だよ、あの人」

 

「ウチの探偵事務所の所長だよ。気になるんだったら後で所長に聞いてくれ。小学校にこれから来るって言ってたしな」

 

「そうするよ。たぶんはぐらかされるだろうけど・・・」

 

「そうだな・・・・・よし、行くぞ。これから緊急着陸させます!」

 

 ヘリコプターは何とか無事に帝丹小学校のグラウンドに着陸させることができ、そこに到着していた救急車に辻さんを乗せた。

 その後、佐藤さんと話しながらコナンと共に偵光達が来るのを待つのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

<偵光side>

 

 俺はヘリコプターの件のゴタゴタを終えて、山川さん、美和子と一緒に事務所へと戻ってきた。コナンが付いてきたがっていたが、蘭ちゃんと毛利さんに捕まって帰っていった。

 蘭ちゃんから相談したいことがあるから後で連絡するって言ってたけど何だろうか? 何か思いつめた顔をしていたし・・・・話を聞いてからだな。

 哀ちゃんのことは、七槻ちゃんと美樹ちゃんに頼んだ。博士が退院するまでは、二人が一緒に泊まって面倒みてくれるそうだから安心だ。その為、七槻ちゃんと美樹ちゃんには、ウチの仕事より哀ちゃんを優先させるように言ってある。怜子さんの付き添いに関しては、俺と透、美和子も協力してもらうってことにして納得してもらった。

 これで七槻ちゃんの方は、狙われる可能性は低くなるはずだ。まあ、こっちに残る山川さん達を護衛につけるから心配はしてないんだけどな。

 別件で動いていた萩原さんと松田さんも事務所へと戻ってきていたみたいだ。

 

「おう、大変だったみたいだな。って、佐藤さんもいるのか?」

 

「アンタが来るなんて珍しいな」

 

「こんにちは、萩原君、松田君」

 

「ふぃー疲れたよ。今日の俺働きすぎじゃない?」

 

「何言ってるんだ、お前は。まだ今後のことを話し合わないといけないだろうが」

 

「ちくしょう・・・・あれ? 資料出しっぱなしにしていたと思うんだけど二人が片付けてくれたの?」

 

「ああ、付箋が貼ってあったファイル以外は松田と一緒に片付けたぞ」

 

「ありがとう!」

 

「今回の事件関係で調べてたのか、所長? 中身見たら交通事故の調査資料だったが」

 

「その内容、俺にも詳しく教えてもらえるか、偵光?」

 

「私にも教えてちょうだい」

 

 七槻ちゃん達と調べていた件についてみんなに説明した。

 

「・・・・・という訳だ。何か質問はあるか?」

 

「その沢木さんの名前に確かに八が入っているな。それに途中で調査を打ち切ったのも気になるな・・・・・」

 

「沢木か・・・・・実は萩原と一緒に行った時にその名前を聞いたんだよ。

 毛利のおっさんに関係があって名前に数字が入ってる人を調べる為に聞いた時にな」

 

「なんだって?」

 

「ああ。接触事故起こしそうになって、転倒して相手の車が逃げたからって被害届出してたらしいんだよ。

 でも、すぐに取り消されたそうだ。見つかって話もまとまったのでもう大丈夫ですってな」

 

「またすぐに取り下げたの? 相手は誰だったか分かったの?」

 

「モデルの小山内奈々って人だそうだ」

 

「モデルの小山内奈々? 聞いたこと無いわね」

 

「だろうと思ったよ。女性に人気なモデルのはずなんだが美和子はそういうの疎いからな・・・」

 

「ちょっとどういう意味よ!?」

 

「そのまんまの意味だよ。ここでその名前が出て来るか・・・・・」

 

 小山内奈々という名前を聞き、思いだしたことがあったので、仕事用のカバンを持ってきて、旭さんからもらったリストを取りだした。

 

「ちょっとどうしたのよ、偵光?」

 

「いいからこれ見てみろ。明日のアクアクリスタルの招待客だ」

 

 四人はそのリストを見ていて驚いていた。

 

『これは!?』

 

「沢木公平、小山内奈々二名の名前が書いてあるんだよ。それに他の招待客の名前にも数字が入ってやがる。偶然にしてはできすぎてるな」

 

「このイベントの日時はいつなんだ、偵光?」

 

「明日の15時からだな。間違いなくそこで何か事件が起こるだろうな」

 

「ちょっと待って偵光! この中に犯人がいるのなら、事件を阻止しないと大変なことになるわ!」

 

「ああ、そうだな。犯人には当たりつけてるからソイツを俺と透でマークするつもりだ」

 

「犯人が誰か分かったの!?」

 

「あくまで状況や今まで起こった事件を関連して考えた上での予想だがな。透に調べてもらってる情報が来れば確定できるが、ほぼ俺の予測どおりで間違いないだろう」

 

「犯人は誰なのよ?」

 

『沢木公平』

 

 美和子の問いに俺、山川さん、萩原さん、松田さんの声が重なった。

 

「皆も同じ考えで、沢木さんが犯人なの!?」

 

「ああ、間違いなくな。今回の犯行の犯人なんだが、毛利さんの関係者の情報を知りすぎてるんだよ。辻さんは他の人が襲われた時より、ヘリを墜落させるという確実に殺すつもりの方法だったからな。

 おそらく、辻さんより前の三件は、トランプになぞらえて襲うってトリックを思いついてカモフラージュの為に襲ったってとこだろうよ。

 それに、毛利さんは沢木さんと仲が良くてプライベートな内容もよく話してたそうだ。つまり、毛利さんの状況をよく知る人物で絞っていけば、沢木さんも容疑者になる訳だ。それに、動機についても絞れた」

 

 

「その動機は何なの?」

 

「復讐だよ。透に調べてもらったんだが、その事故のせいで沢木さんは味覚障害になったらしい。原因は事故の後遺症とストレスだそうだ。ソムリエとしてプライドを持っていた人が、突然夢を奪われた。

 それで復讐をしていってるわけだ。ストレスの原因と事故を起こして夢を奪った人達に対してな」

 

「なるほど。ストレスの原因の一人が辻さんだった訳だ。

 そして、明日アクアクリスタルで本命の小山内奈々とストレスの原因になったことに関係のある人物がいたら、まとめて殺すつもりって訳か。

 それ以外は数合わせで呼び、最悪犠牲になっても構わないと犯人は考えてる訳か」

 

「そんな!?」

 

「おいおい。早いとこ捕まえようにも証拠が無いから動けねえな。何か策考えてるんだろう、白銀?」

 

「どうするつもりなんだ、所長?」

 

「一応対策は考えてる。アクアクリスタル内で、犯行を起こそうとした時に捉えるのがベストだろうな。俺と透がマークするつもりだ。あとは、美和子にも付いてきてもらうように考えてる。

 警察内で事情を知ってる人がいる方が色々と動けるからな。怜子さんに危害が及びそうになっても、俺、透、美和子の三人で対処すれば何とかなるしな。

 山川さん、萩原さん、松田さんは七槻ちゃん達と行動してもらいたい。アクアクリスタルで何か起こった時に救助できるように準備もしていてもらいたい。ヘリじゃなくてボートの方が助かるかな? 建物を爆破されて壊れたら、ヘリだと近づけなくなるしね。

 山川さんはもしもの時の為にもあれを準備してもらえてると助かるかな。必要にはならないと思うけど一応ね」

 

「了解した。もしお前と連絡が取れなくなった場合は俺の判断で動くが良いか?」

 

「そこは任せたよ。萩原さんも松田さんもよろしく。美和子もそれで良いか? どうせアクアクリスタルについて来るつもりだったんだろ?」

 

「ああ」

 

「分かった」

 

「ええ、良いわよ。私の考え分かってるじゃない」

 

「当たり前だ、バカ。あと、美和子は目暮警部達にも話しておいてもらえるか? 毛利さんには内緒でな。

 あの人は言っても信じれないだろうからな」

 

「ええ、分かったわ。目暮警部達に相談して来るわ。明日は目暮警部と一緒にアクアクリスタルへと向かうようにするわ」

 

「ああ、よろしく頼むよ」

 

「何かあったらまた連絡するわ。それじゃあ、失礼するわね」

 

 美和子が帰った後に、山川さんが問いかけてきた。

 

「三人で大丈夫なのか?」

 

「大丈夫だよ。行く人数が多すぎて犯人に怪しまれてもあれだしな。それに、クリスの奴も誰かに変装して来るだろうからな」

 

「なるほど。確かにベルモットの奴も来るだろうな」

 

「親ばかだからな、あの人」

 

「あの人も含めて、所長達がいるなら大丈夫だろうよ」

 

「そういうことだ。それじゃあ、明日に向けて色々と準備しますか」

 

『ああ!』

 

 そうして俺達は明日に向けて、道具などの準備を行うのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

<安室透side>

 

辺りは暗くなり、情報を交換する為に人目につかない場所でベルモットと合流した。

 

「Hi、バーボン! 元気そうね」

 

「どうも。急に貴女から呼び出しがあったので驚きましたよ」

 

「ごめんなさいね。偵光の件について相談があったのよ。偵光の今後の予定は分かるかしら?」

 

「やはりそうでしたか。明日以降の予定ですが、怜子さんに付き添いアクアクリスタルでの仕事が二週間ほど入っていますね。

 その後の予定は分かりません」

 

「そう・・・・」

 

 さっき偵光から連絡があったことを言うべきか? いや、ベルモットを巻き込むことをアイツは嫌うだろうから辞めておくか・・・彼女までわざわざ事件が起こる可能性が高い場所に連れていく必要はないだろう。

 

「どうしましたか?」

 

「協力して欲しいの。今連続で事件が起こっているでしょう? あの子を守る為に、刑事の誰かに変装し、あの子の近くに潜り込もうと思うの。

 貴方は反対でしょうけど、お願い。この間の一件みたいに、あの子が大けがして何もできず見てるだけなのはもう嫌なの・・・・・」

 

 彼女は悲痛な顔をして言った。

 やれやれ、本当に罪作りな男だよ、アイツは。ベルモットが近くにいるということは、反対に何か起きた時に対処しやすくなるという利点もある。

 それに護るべき者が近くにいる時の、アイツの行動力は常人離れして犯人も捕まえやすくなるだろう。

 アイツもベルモットが来ることをおそらく予測してるはずだ。これはあくまで勘だが・・・・

 

「分かりました。それと貴女に追加情報です。偵光は今回の犯人に当たりをつけて、明日決着をつけるつもりだそうです。

 佐藤さんにも協力を要請していて、偵光、僕、怜子さんのメンツでアクアクリスタルに行く予定になってます」

 

「そうなの・・・・・犯人は誰なの? 警察が追っている村上丈では無いことは間違いないわ」

 

「おや? やけに自信をもって言いますね?」

 

「彼のことを調べてくれって偵光から頼まれたからよ。調べたら、山の中で彼死んでたわ。警察に匿名で通報しておいたわ。

 今頃警察は大慌てでしょうね」

 

「それは本当なのですか!?」

 

「ええ。死体の状況から、何日かたってたし、首を絞められた跡があったから他殺ね。おそらく犯人が利用する為だけに殺したって感じね」

 

「そうですか・・・偵光にこのことは?」

 

「さっき連絡したわ。それで犯人について教えてもらえるかしら、バーボン?」

 

「分かりました。ソムリエの沢木公平だそうです」

 

「沢木公平ね。やっぱり・・・・」

 

「やっぱりとはどういうことですか?」

 

「村上の足取りを追っていて、掴めなくなったのが沢木という人物と会った後からなのよ。これで繋がったわ」

 

「そこまでくるとほぼ沢木が怪しいですね。証拠はまだ見つかってませんが」

 

「そうね。それを掴む為に明日仕掛けるつもりなのね、あの子は?」

 

「おそらくそうでしょうね。証拠が無いなら、現行犯で捕えるのが一番確実ですからね。もちろん事件を起こさせるつもりは無いですが」

 

「私も潜り込むのだから当然よ。刑事に変装するとしたら誰に変装しましょうか?」

 

「白鳥刑事が適任かと。目暮警部は怪我をしてますし、佐藤刑事に変装するのは現状からして難しいでしょう。

 あの人は何がなんでも付いてくるつもりでしょうし」

 

「そうね。美和子に変装するつもりは元から無いわよ。分かったわ。あの白鳥刑事に変装するようにしましょう。

 すぐにあの子にはバレるでしょうけど、他の人にはバレる心配は無いわ」

 

「それと蘭さんも来るみたいですよ。父親が関係のある人物が襲われていますし、偵光が来るということを知っていますからね。間違いなく来るでしょう」

 

「そう・・・Angelも来るのね。なおさら護り甲斐があるじゃない。それで変装する手筈は貴方に任せて大丈夫なの?」

 

「ええ、警察内部の協力者に頼んで、白鳥刑事を別の事件に向かわせるように手配してもらいますよ。事件が解決した後の辻褄合わせもお任せください。午前中から目暮警部と行動をするようにお願いします。

 それと、一点だけ質問なのですが良いですか? アクアクリスタルで何か起こった時に、脱出する場合泳ぐ可能性が高そうなのですが変装が崩れたりとかは大丈夫なのですか?」

 

「分かったわ。メイクに関しては大丈夫よ。偵光と博士に水に濡れようが、火に当たろうが絶対に崩れないメイク道具を作ってもらったから。ここまでの物を作れることに驚いたわ」

 

「それなら心配ないですね。それじゃあ、明日はお互いに頑張りましょう」

 

「そうね。よろしく頼むわ。また明日」

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

 ベルモットと別れ、明日に向けて備えるのだった。




すみませんm(__)m
次回の更新が少し間が空きます。
できるだけ早めに投稿できるようにはしたいと思いますのでよろしくお願いします!


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37話

※皆さんお久しぶりです。長い間更新を止めてしまい申し訳ありませんでしたm(__)m
 本日から更新を再開していきます!


<毛利蘭side>

 

 私はお父さんとコナン君と一緒にアクアクリスタルへと来ていた。お父さんの友人の沢木公平さんがこの場所のオーナーの旭さんという人物に招待されたそうで、私達もついてきた。お父さんの関係者が狙われているのに黙って待ってるだけなんてできなかったので、無理を言ってついてきた。

 今ここには、お父さん、私、コナン君、目暮警部、白鳥刑事、佐藤刑事が来ている。どうやら佐藤刑事も目暮警部達と一緒に行動するみたい。流石にお兄ちゃんはいないか・・・来る訳無いよね。昨日,私が小さい頃にお父さんがお母さんを拳銃で撃ったことについて相談して助けてもらったお礼言いたかったのに・・・・

 

『うーん、あくまで俺の予想だが、小五郎さんは英理さんと蘭ちゃんのことを一番に考えてるはずだよ。

 小五郎さんが蘭ちゃん達を守る最善の方法が英理さんを撃つことだったんじゃないのかな? 人質を解放させる為には、犯人にとって人質が邪魔になるってことになれば、解放せざるを得ないでしょ? 小五郎さんはそれを分かってて最善の手を選んだんだと思うよ、きっと。

 もし俺も同じ状況になって、他に打つ手が無い状況だったらそうすると思うよ』

 

 お兄ちゃんにそう言われ、お母さんに確認してみると同じことを言われ、お父さんへの不信感を無くすことができた。お兄ちゃんに相談して良かったと思うし、感謝するばかりだ。

 そんなことがあったからこそ、直接お兄ちゃんに会いたくなったのかな・・・・・

 考え事をしていると他の招待客も続々と集まってきていた。モデルの小山内奈々さん、エッセイストの仁科稔さん、カメラマンの宍戸永明さん、ニュースキャスターのピーター・フォードさんという凄い顔ぶれだった。みんなで自己紹介を終えてアクアクリスタルに向かおうとしていたら宍戸さんが待ったをかけた。

 

「おい、ちょっと待ってくれないか? もう一組はどうした?」

 

「宍戸先生どうしたの?」

 

「今日ここに来る予定の招待客は、もう一組いると情報を掴んでたんだがどうしたんだ?」

 

「誰が来る予定なのよ?」

 

「ソプラノ界の姫、秋庭怜子だよ。会う機会もないから写真に収めたいと思ってな・・・・どうやらご到着したみたいだ」

 

 宍戸さんが話していると、一台の車が駐車場に来て停まった。その中から、二人の男性と一人の女性が降りてきた。私の良く知る人達で、その中の一人は私が会いたいと思っていた人物だった。

 会うことができてうれしくなり、その人物に駈け寄り、あいさつをした。

 

「お兄ちゃんも来たんだね! 怜子さんも安室さんもこんにちは!」

 

「蘭ちゃん? 君も来てたのか。こんにちは」

 

「あら? 蘭ちゃんじゃない。こんにちは」

 

「どうも、蘭さん」

 

「うわあ、怜子さんがめっちゃ優しい笑顔してるよ・・・」

 

「何か言ったかしら、偵光?」

 

「ごめんなさい・・・・ってこんなことしてる場合じゃないだろ。みんな待たせてるみたいだし・・・・!?」

 

「遅いわよ、偵光。何かあったの?」

 

「美和子ももう来てたんだな。ここに来るまでに事故してて渋滞に巻き込まれたんだよ。おかげでギリギリになっちまった」

 

「遅刻するかと思い諦めてましたよ」

 

「本当ね。それで旭さんに連絡したけど繋がらないし・・・・あのおっさん連絡した時ぐらい出なさいよ」

 

「それって、まさか!?」

 

「どうなってるかは行ってみてからだな。蘭ちゃんも出迎えありがとね。あの人達に自己紹介してとっととアクアクリスタルに向かうとしようぜ」

 

「そうですね」

 

「偵光の言うとおりね」

 

「・・・ええ、分かったわ」

 

「ちょっと待ってよ、お兄ちゃん!」

 

 私はお兄ちゃんについて行き、彼らが自己紹介するのを傍でみていた。

 あれ? お兄ちゃん・・・白鳥刑事のことを見て一瞬止まったよね?

 それに目暮警部とアイコンタクトしたような・・・・・うーん、気のせいだよね。

 

「それでは皆さん、これからモノレールに乗ってアクアクリスタルへと向かいましょう」

 

 目暮警部がそう言い、私は今日中にお兄ちゃんにいお礼を言おうと決め、アクアクリスタルへと向かうのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 私たちは専用のモノレールに乗りアクアクリスタルへと向かった。その間、お兄ちゃん達は真剣に周囲を探っていたようだが、何か理由があるのかと思い聞いてみた。

 しかし、何でもないと言われ、他愛もない話をしている間に目的地に着いた。アクアクリスタル内に入ると、お父さんと警部さん達は建物内を調べ始めた。

 お父さんからは、お兄ちゃんの傍にいれば安全だから一緒にいろと言われ、お兄ちゃん達と共に行動している。

 

「蘭ちゃん、今日はやけにそのバカにベッタリね。何かあったのかしら?」

 

「そうですね。僕も気になります。何かしたんですか、偵光?」

 

「いや、何かした覚えは無いんだが・・・いったいどうしたの、蘭ちゃん?」

 

「ううん、何にもないよ♪ 気にしないで」

 

「蘭ちゃんがそういうなら良いけど・・・・・」

 

「ふーん・・・まあ、良いわ。それより、このワインセラーだけ鍵が閉まってるわね? 何か理由があるのかしら? 

 偵光! アンタなら開けれるんじゃないの?」

 

「このタイプのカギならすぐに開けれるよ。簡単なものだし。ただ、警察の許可取らないと不味いかなー」

 

「お兄ちゃんって鍵開けることもできるの!?」

 

「できるよ。ピッキング技術もガキの頃から習ったからね。透ほどじゃないけど、たいていのカギなら開けれるよ」

 

「凄いね、お兄ちゃん! 安室さんも!」

 

「俺を引き合いに出すな。お前のピッキング技術も相当なものだろうが。旭さんに連絡が付かず、緊急時だから開けて調べたという説明をすれば佐藤さん達も納得してくれるだろうと思うが」

 

「白銀さんと安室さんって色んなことできて凄いよね・・・・探偵で使わないような技術も修得してるし」

 

「私が聞いてなんだけど、偵光ってホント何でもできるのよね・・・・」

 

「そんな呆れた目で見ないでもらえると助かるんですけど、怜子さんにコナン。蘭ちゃんみたいに目をキラキラさせながら見られるのも恥ずかしいんだけど・・・・」

 

「もしかして、ダメだった・・・・?」

 

「いや、ダメって訳ではないけど。あれ、山川さんから電話? ごめん、ちょっと電話してきます。

 あとついでに美和子にこの部屋調べても良いか許可取ってくるわ」

 

 お兄ちゃんはそう言うと、私達の元から離れていった。。

 

「あ、お兄ちゃん!? 行っちゃった・・・・」

 

「山川さんから電話がかかってきたってことはおそらく急用でしょうね。事件のことで何か掴んだ可能性が高そうです」

 

「お兄ちゃんって事件が絡むとすごい行動力になりますよね・・・・・事件の方が大事なのかな?」

 

「それは違うわよ、蘭ちゃん。アイツが率先して動いてるのは私達に危害が及ばないようにする為よ、おそらくね。

 そうなんでしょう?」

 

「そうですね。アイツとは長い付き合いでよく知っています。事件より身近な者の安全を何よりも大事にして、自分の事を後回しにするバカな奴ですよ。

 何度注意してもあの性格だけは治りませんでしたね」

 

「そうなんですね。そう言えば安室さんとお兄ちゃんって幼馴染なんですよね?」

 

「ええ、そうですよ。小学生の時からの付き合いになります」

 

「ふーん。子供の頃のアイツってどんな感じだったの?」

 

「私も気になります!」

 

「一言で表すなら破天荒な子供でしたね。トラブルや話題の中心にはいつもあいつがいましたよ。母校では伝説になっていますね。

 今のアイツをそのまま子供にした感じですね。トラブルメーカーな所は、昔から全く変わってないです」

 

「凄く分かりやすい例えね。少しは大人しくなったらどうなのよ・・・・。蘭ちゃんはあんな大人になったら駄目よ」

 

「同感ですね。僕も蘭さんにあのバカを見本にして欲しくはないですね。毛利さん達の心臓がもたなくなりそうです」

 

「二人とも酷い言いようですね。お兄ちゃんが聞いちゃったら泣いちゃうんじゃないですか?」

 

「偵光には良い薬になるわよ。甘やかしたら碌なことにならないんだから。そうでしょ、安室さん?」

 

「秋庭さんの言うとおりですね・・・っと、ここで立ち話して待つのもなんですし、ラウンジに戻り偵光が戻ってくるのを待ちましょう」

 

「そうね。立ってばかりだから座ってゆっくりしたいわ。行きましょう蘭ちゃん、コナン君」

 

「はーい!」

 

「そうですね。ラウンジでも話の続き聞かせてくださいね、安室さん」

 

「ええ、もちろん」

 

 

 私達はラウンジに戻り、お兄ちゃんが戻って来るのを話ながら待つのだった・・・・。

 

 

 <毛利蘭side out>

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 <白銀偵光side>

 

 

 俺は蘭ちゃん達と別れ、周囲に誰もいないことを確認し山川さんに電話をかけなおした。

 

「もしもし、山川さん? さっきは電話でれなくてごめんね。それで何か調査で進展でもあった?」

 

「ああ。まず一つ目なんだが、旭さんの足取りが昨夜から分からないそうだ。昨日の夕方までは知り合いと会食していたらしくそれ以降の行方が分からないそうだ。

 それで、お前達の所に来ているか確認したかったんだが・・・」

 

「そっか。残念ながら来てないよ。電話しても繋がらないし、最悪なパターンだな。すでに殺されてる可能性が高いな」

 

「そうだな。俺達もそう睨んでる。おそらくアクアクリスタル内に死体があるだろうな。怪しい箇所は無かったか?」

 

「一か所だけカギがかかってる箇所があったから、そこを調べようとしたら山川さんから連絡があったって訳だ。後で調べてみるよ。間違いなく旭さんの死体があるだろうけど。

 犯人の方は、クリスと美和子がマークしてるからそうそう次の犯行は起こせないはずだ」

 

「その人選が今の所ベストだろうな。お前に関しては犯人にマークされてるだろうし、安室と一緒に秋庭さんや蘭ちゃん達を護る方に専念するんだろ?」

 

「もちろん。それで、他にも要件あるんでしょ? 教えてもらえる?」

 

「ああ。沢木さんについてだが、裏のルートからどうやらプラスチック爆弾を数個ほど入手しているみたいだ。萩原達が裏取ったから間違いない情報だ」

 

「ははは、そいつはホントに笑えねえな。また爆弾かよ。俺って爆弾に好かれすぎじゃないか? しかもこの場所で爆発したら、建物の設計上、すぐに沈むようになるだろうなー。手抜き設計すぎるだろ、アクアクリスタル。

 山川さん、悪いんだけど最悪を想定して、アクアクリスタルが沈んでも巻き込まれない位置まで、ボート借りて来てもらえる?」

 

 

「そういうだろうと思って、作った救命具とかも準備して既に動いている。越水さん達が、助けに行くって大慌てしてたけどな。

 お前がまた爆弾に巻き込まれるかもしれないと心配なんだろう。暴走しないようにしっかり手綱握ってるから心配はしなくて大丈夫だ」

 

「ごめんね、山川さん。それとありがとう。萩原さん達にもよろしく言っておいて。透達にもこのこと話して、こっちはこっちで動くようにするから」

 

「ああ。俺が言えた義理じゃないが、絶対に死ぬなよ、偵光」

 

「分かってるよ、死ぬつもりなんかさらさらないよ。それじゃあ、そっちはよろしくね」

 

 俺はそう言い、電話を切った。やれやれ、とんでもないことになったな・・・・ってか、誰もいない場所を選んだはずなんだが、俺を心配して探しに来たってところか?

 

「人の電話を盗み聞きするのは、お勧めしませんよ? 透に白鳥刑事」

 

「人目を避けるようにこんな所に来て、白銀君が電話していたから気になったんだよ。安室さんはどうしてここに?」

 

「僕は、偵光が目を離した隙に何かしでかさないかと思いまして、心配になったので探し周って、見つけだしたという訳です」

 

 怖いわー、この二人。笑顔だけど、目が全然笑ってないもん。

 良いから、早く電話の内容吐けやって顔が言ってるよ! 早いこと喋らないと、俺の命が危ない!

 

「二人とも怖すぎるんですが・・・・ったく、どのみち二人にも話すつもりだったので手間がはぶけましたよ。旭さんが昨夜から行方不明だそうです。

 それと、犯人が数個ほどプラスチック爆弾を入手しているそうです。おそらくここを爆破して、恨みのある人物も含めまとめて葬るつもりでしょう。最悪を想定して山川さん達には動いてもらうように指示を出したので、内部にいる俺達も最善を尽くすように行動しましょう」

 

 

「それは本当なのかい、白銀君!? みんなのいる場所で爆発したら大変なことになる!」

 

 

「ちっ・・・・また爆弾か。つくづく爆弾とは縁があるな。行動のプランは考えてるのか、偵光?」

 

 

「白鳥刑事、落ち着いてください。慌てても良いこと無いですよ? まあ、俺や美和子達がこのアクアクリスタルにいるから難しいでしょうけど、冷静になって対処していくようにしましょう。

 これ以上犠牲者を出さない為にも。プランについては、小山内さん達を護りつつ、脱出経路の確保ってとこかな? 

 ただ、外にでる手段は犯人によって既に潰されてるだろうから、

新しく考える必要がありますね。外にさえ出れれば、山川さん達が救助してくれるはずなんで」

 

 

「ああ、分かったよ。このことは、目暮警部や佐藤さんにも伝えてくれば良いんだね?

 

 

「ええ、お願いします。白鳥刑事は、目暮警部や美和子と一緒に動いてください。俺は透とマンツーマンで動くようにするので。

 なんとしてでも、犯人にこれ以上殺人を犯させないようにしましょう。透も悪いが協力してもらえるか?」

 

 

「当たり前だ、バカ。その為に僕はここにいるんだからな」

 

 

「僕も白銀君には全面的に協力するよ。何かあったらすぐに伝えてね」

 

 

「ありがとうございます。それではそろそろラウンジに戻りましょう。怜子さんがしびれを切らしてるでしょうし」

 

 

 俺はそう言い、透達とラウンジに戻り、怜子さん達に戻るのが遅いと怒られるのだった。




 今後の更新ペースは、一週間に一話投稿できるように頑張るつもりです。
 遅くなっても二週間に一話は投稿できるようにはしますので、今後もこの作品をよろしくお願いしますm(__)m


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38話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 更新がだいぶ遅れてしまい申し訳ありませんm(__)m
 更新を再開していきたいと思います!
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!



<ベルモットside>

 

 私は、偵光から話を聞いた後、目暮警部と美和子にその内容を伝え犯人が変な行動を起こさないようにマークしている。美和子は爆弾と聞いて顔色が少し悪いわね・・・・ 爆弾事件に巻き込まれて欲しくない人が、同じ場所にいるし無理もないわね。

 私と偵光が巻き込まれたショッピングモールの一件と、彼が重傷をおった米花シティービルの事件が尾を引いているんでしょうね。世話が焼けるわね・・・・

 私は美和子が一人になったタイミングを見計らい、声をかけた。

 

「佐藤刑事、爆弾の話をしてから顔色が悪いですけど大丈夫でしょうか?」

 

「白鳥刑事・・・・・。そんなに顔色悪く見えますか?」

 

「ええ。もし体調悪いのでしたら休んでください。目暮警部には私の方から伝えておきますので」

 

「いえ、大丈夫です。ちょっと、嫌なことを思いだしただけですからすぐに治ります」

 

「そうですか。それってもしかして、白銀君が関係していますか?」

 

「っ!? どうしてそう思うんですか?」

 

「先ほど話をしてから、彼の事をやたら気にしている感じがしまして。現に今も彼の方をチラチラ確認していますよね?」

 

「・・・・そうですか。白鳥刑事が言うなら、間違いないんでしょうね。偵光とは幼馴染で、アイツは昔から事件に巻き込まれて怪我をすることが多かったんです。

 ショッピングモールの爆弾事件や米花シティービルの爆破事件の時は特に怪我がひどくて死にかけて、そのまま死ぬんじゃないのかと思ったんです。私の傍からアイツがいなくなるってことを考えたら、とても不安になって涙が出そうになるんです。

 私が刑事になったのも、アイツの影響が大きいんです。父に憧れてた部分もあってなったってのもあるんですけどね」

 

「そうなんですか。それほど彼を大事に思っている証拠ですよ。人間は誰だって大事な人がいなくなるってことを考えると不安になると思います。

 彼と少し話してみての感想ですが、身近な人を勝手に置いていくような人物ではないかと思います。彼ならどれだけ大けがしようが、死ぬってことは無いと思いますよ。あくまで私が抱いたイメージですが・・・・」

 

 

「そうですかね・・・・」

 

 思ったよりまいっているみたいね、美和子は。どうにかして励ましたいんだけど、あまり犯人から目を離せないし・・・・って、ふふふ。ホント周りをよく見てるわね。いや、私達を気にしていたってことかしら。

 美和子の背後から、彼がこちらに向かって来てるのが見え、美和子の頭を軽く小突き話かけてきた。

 

「なーに、辛気臭い顔してるんですか、佐藤刑事」

 

「痛っ! って、偵光!? 怜子さん達の所へいなくて良いの?」

 

「透に任せてきたんだよ。お前が辛気臭い顔してるのが見えたしな。あと、俺の方を見すぎで気になるんだが・・・。

 どうせ、また無茶かアホなことをしないか心配してるって所か? 事件が起こって身の周りに危険が起こらなければ無茶なんかしねえよ。ホント昔からそういうとこ変わんないよな、美和子は。

 そんなんだと白鳥刑事や目暮警部に迷惑かけるぞ?」

 

「そうよ! アンタのことが心配なのよ、悪い!? アンタはいつも事件に巻き込まれて大けがしてるじゃない! 

 こっちはアンタがいなくなっちゃうんじゃないかって心配なのよ! お願いだからこれ以上心配かけさせないで・・・」

 

 あらら・・・美和子泣いちゃってるじゃない。心配する身を考えて欲しいってのは同感ね。

 まあ、私が言えた義理じゃないわね。ここは助け船を出そうかしら。って心配はなさそうね。

 

「ああ、泣くなって。お前に泣かれると困るんだよ。ほら涙ふけって。ところで頼みがあるんだけど良いか?」

 

「・・・・ありがとう。頼みって何なの?」

 

「調べて欲しい箇所でもあるのかい、白銀君?」

 

「そうなんですよ。二人には鍵がかかってた部屋とワインセラーを調べてもらいたいんですよね。俺と透は怜子さんや蘭ちゃん達の近くにいて犯人の動きを制限するようにしていきたいと思っているので。

 俺の予想では、鍵がかかってある部屋に旭さんの殺害の痕跡があるはずです。ワインセラーの方は、犯人が一番行きやすい場所なので何か細工してある可能性が高いですね。

 なのでお二人に捜査お願いしたいんですけどよろしいでしょうか?」

 

「僕は構わないよ。佐藤刑事も良いですね? 目暮警部にも話を通して調べてくることにするよ。ただ、何かあったらすぐに僕か、佐藤刑事、目暮警部の誰かを呼ぶこと! 

 あと絶対に無茶で危険な行動をしないこと! それを約束して守ってもらえるかい? それなら佐藤刑事も安心ですよね?」

 

「ええ。それなら問題ありません。怜子さんや蘭ちゃんが近くにいるなら偵光もそこまで無茶はしないでしょうから。

 白鳥刑事にはお見苦しい所を見せてしまいすみません。目暮警部に許可取ってきますね」

 

 美和子はそう言い、目暮警部に許可をもらう為に去っていった。美和子がいなくなったことを確認し、私はいつもの口調で彼に話かけた。

 

「あまり美和子に心配かけさせないようにしなさいよ。あと、私にもね」

 

「おいおい。誰かに聞かれたら不味いんじゃないのか?」

 

「貴方と透しか近くにいない状態なら、変装する意味もないでしょ」

 

「さいですか。コナンとかに聞かれるヘマもしそうにないもんな」

 

「当然じゃない。angel達がいるから、こっちには来れないでしょうし、来ないように透に頼んでいるんでしょう?」

 

「そこまで分かってんのかよ。長い付き合いがある人らには隠しごとなんかできねえな。それで、犯人の方に動きはどんな感じなんだ?」

 

「特に目立った行動はしてないわね。マークされてる事を感づかれてはいないと思うのだけど、なかなか尻尾を出さないわね。

 偵光の事を警戒しているのかしら?」

 

「うーん、それは無いと思いたいが・・・。いちかばちか危険な賭けにはなるが、犯人に行動できる機会を作ってみるか? 全員でこの場所を捜索するってことにすればいけるはずだ。

 ただ、これ以上殺人を行わさせないように対処できるようにしとかないといけないがな」

 

「なるほどね。捜索側は、私、美和子、目暮警部で男性陣の護衛で何か行動を起こしたら対処するってことで良いのね? 

 偵光と透は、女性陣の護衛ってとこかしら? その形で動くのが一番理想的ね。そのように行動しましょう」

 

「ありがとな。それで間違いなく犯人は動くはずだ。あとコナンにも上手いこと協力頼むと良いかもしれないぞ。

 アイツ小学生にしては、大人でも気づかないようなことを気づいたりするからな」

 

「あのボウヤね。確かに頭は凄く良いわね。困った時は協力してもらいましょう。

 そういえば、他の事務所のメンバーは外で動いてるの?」

 

「ああ。俺達を救助できるように対策打って動いてもらってるよ。

 それに俺と連絡つかなくなったら、山川さんに独自の判断で動いてもらうようにしているから心配はねえよ」

 

「相変らず、先の先まで考えて手を打っているのね。これで貴方が、事件に巻き込まれなかったら最高なんだけど、そうはいかないみたいね。

 怪我はしないように気をつけなさいよ。私も貴方のことを凄く心配しているんから・・・・。米花シティービルの時みたいに大きな怪我したら分かってるわね?」

 

「言われなくても分かってるよ。お仕置きは勘弁だからな。悪いが頼む。白鳥刑事も気をつけて。美和子のことも頼みます。

 それと何かあったらすぐに呼んでください」

 

 偵光が口調を変えたので、私も口調を白鳥刑事に戻し

 

「ああ、分かったよ。白銀君も気をつけて」

 

 私はそう言い、偵光と別れ美和子の元へと向かい行動を開始するのだった・・・・・・・

 

 

<ベルモットside out>

 

 

 

<偵光side>

 

 俺はベルモットが変装した白鳥刑事と話をして、その通りに各自行動を始め、探索にでた男性陣を、俺、透、怜子さん、蘭ちゃん、小山内さん、コナンの六人で見送りラウンジに残って、雑談をしている四人を少し離れた位置で透と共に見守っていた。

 今の所は、犯人に動きが無いみたいだな。クリスや美和子から連絡無いし、大丈夫ではあると思うが・・・。

 それにしても、ここまで犯人が動いてないのが気になるんだよな・・・

 

「犯人に動きが無いのが気になりますか?」

 

「まあな。今の所はなんとかなっているが、ここまで何も起こらないと逆に不安になってくるんだよな。

 まあ、何も起こらないに越したことはないんだが、そうはいかないだろうな。次に狙われる可能性が高いのは小山内さん、怜子さん、蘭ちゃんの誰かだ」

 

「どうしてですか? 小山内さんは奈々という名前をもじって数字に当てはめることができますが、蘭さんや怜子さんは当てはまらないのでは? 

 いえ、犯人が行動を制限されているので、なりふり構ってられなく状況になりつつあるということですか」

 

「そういうことだ。まあ、蘭ちゃんと怜子さんの場合は、確率低いけどな。

 一番の狙いは、小山内さんだから、彼女を優先的に狙ってくるはずだって、山川さんから電話? どうしたの、山川さん?」

 

「おお、繋がったってことはまだ大丈夫みたいだな。報告が一つある。先ほどアクアクリスタル周辺の海で、死体が見つかった。

 その死体は旭さんだ。警察からの情報だから間違いない」

 

「マジかよ・・・。犯人が処分したと思っていたけど、まさか外に出していたとはな。アクアクリスタル内で、みんなに発見させる予想をしてたんだが・・・・。それだけ余裕が無いってことだな。

 ってことはそろそろ犯人が行動し始めるな。山川さん、俺達を救助できるように準備しておいてもらえる? 

 それと、そろそろ連絡とる事ができなくなるだろうから、山川さんの判断で動くようにしておいて。すみませんが、よろしくお願いします」

 

「分かった。気をつけろよ、偵光。無茶するなって言っても無駄だろうが、生きて帰ってこい」

 

「当然でしょ。それに透もいるから大丈夫だよ。それじゃあね」

 

 俺は通話を切って、何があった?と目で訴えてきている透に、山川さんから聞いた情報を話した。

 

「外で死体が見つかったんですか。流石に外に捨ててあるとは予想していませんでしたね。どうりで死体がこのアクアクリスタル内で見つからない訳ですね。

 外に捨てるより、中のあの水槽内に捨てて、誰かに死体を目撃させると踏んでいたのですが宛がはずれましたね。偵光もそう予想していたのではないですか?」

 

「まあな。犯人の性格や行動パターンからしてそれが一番ありえそうだったんだが、外に捨てるしかない状況になっちまったんだろうな。

 外に捨てたってことは、発見されることを前提に動いてるはずだから、そろそろ・・・!」

 

二人で話していると、アクアクリスタル内に爆発音らしき大きな音が聞こえ、ラウンジ内が揺れて辺りが暗くなった。メイン電源がやられたのか!? とりあえず、小山内さん達の安全を確保しないとまずいな・・・

 って、小山内さんのマニキュア光ってる? 蛍光塗料か!? 場所が丸わかりじゃないか! 今は大丈夫だが、犯人が間違いなく襲いにくるはずだ!

 

「透! 小山内さんの安全を確保しろ! 蘭ちゃんと怜子さんは俺に任せろ!」

 

 透にそう指示を出し行動を開始した。

 

「きゃあぁぁぁ! ちょっと何なのよ!? 蘭ちゃん達大丈夫!? 暗いから何も見えないじゃない! 明かりは・・・」

 

「だ、大丈夫です! 地震ですかね? 怜子さんも大丈夫ですか? コナン君は大丈夫?」

 

「う、うん! 大丈夫だよ!」

 

「何? どうしたの!? なんで電気が!? それに凄く揺れたけど何なの!?」 

 

「ちょっと落ち着きなさいよ。これで見えるわね。蘭ちゃん達が無事なのは分かったから、大丈夫ね。

 偵光、安室さん! アンタ達は大丈夫なの?」

 

 携帯のライトで明るくしながら、怜子さんが俺達に話しかけてきた。

 

 ちょっと怜子さん!? 何やってんの!? それだと犯人に場所バレるじゃねえか!

 俺は大声で怜子さんに注意した

 

「怜子さん! 早く、明かりをすぐ消して!」

 

「きゃっ! ちょっと、急に大声出さないでよ! ビックリするじゃない!」

 

 ああもう! そうじゃないんだって! ん? 怜子さんの横の方向に見える銀色のものは・・・あの形状はナイフか!? 

 マズイ! もう犯人の奴戻ってきていやがんのか!? こっちもなりふり構ってられないな! この距離なら俺の方が速い!

 

「危ない、怜子さん!」

 

「えっ? きゃあぁぁぁぁぁ!」

 

 俺は怜子さんの身を護る為に庇うようにして飛び込むのだった・・・・ 

 



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39話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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<白銀偵光side>

 

 

 俺は、怜子さんを庇う為に飛び込むと、左腕に痛みが発生した。ちっ、ナイフで切られたか。狙いは怜子さんだったか。犯人をどうにかしねえと・・・・。

 俺は庇ってて動けないから、どうするか・・・

 透も小山内さん庇ってて動けないし、この手を使うしかないか! 犯人の位置はあそこらへんか・・・よし何とかいけるか。

 

「怜子さん! 悪いけど携帯借りるよ!」

 

「ちょっと偵光! 急に何なのよ! ビックリするじゃない!」

 

「ごめんけど、今はちょっと余裕ないから後にしてもらえるかな!」

 

 俺は怜子さんの言葉を遮り、犯人のいる方向に向かって怜子さんの携帯を投げつけた。

 すると、ドンという音がした後に、走りさっていく音が聞こえた。

 何とか犯人に当たったみたいだな。安心していると、電力も回復して、ラウンジ内が明るくなり、辺りの様子を確認していると、小山内さん達の安全を確認していると、怜子さんが話かけてきた。

 

 

「ちょっと、さっきのは何だったのよ・・・って、偵光、左腕怪我してるじゃない! もしかして、さっき私をかばって・・・」

 

「あはは。かすり傷だから大丈夫だよ。包帯持って来てるからそれで縛ってれば血は止まるから心配しなくていいよって言っても無理だよね」

 

「当り前じゃない! ちょっと待ってなさい!」

 

 怜子さんはそういい、ラウンジのテーブルにある俺のカバンを取りに行き、包帯を取り出して俺の傷口の手当を始めた。

 

「まったく、アンタはいつも無茶するんだから。

 心配するこっちの身にもなりなさいよ。米花シティービルみたいなことはもうやめてよね」

 

「分かってますって。あら? お前も怪我とは珍しいな」

 

「うるさい。お前には言われたくない。犯人が秋庭さんを狙った後すぐに、小山内さんを狙ってたからそれを庇ったんだ。小山内さんには怪我一つない。蘭さんとコナン君も無事だ。

 あそこで固まってもらってるし、犯人はお前の機転で、逃げたみたいだから大丈夫だろう。それに、すぐに目暮警部達がここに戻ってくるだろう。秋庭さん、携帯です、どうぞ。

 それとお二人の仲を邪魔して申し訳ないのですが、僕の手当もお願いできますか?」

 

「お二人の仲って何なのよ! って安室さんも怪我したのね。偵光と同じでかすり傷みたいね、分かったわ。

 偵光のは終わったから、すぐに手当するわね」

 

「ありがとうございます。それと偵光、手当が終わったなら・・・」

 

「ああ、分かってるよ。向こうで蘭ちゃんがすごい心配そうな顔でこっち見てるし、コナンは話したそうにしてるから行ってくるよ。

 怜子さんのこと頼むわ。怜子さん手当ありがとう。助かったよ」

 

「お礼は今度買い物に付き合いなさい。私こそ助けてくれてありがとう。

 事件が解決するまで絶対無茶しちゃだめよ。早く、蘭ちゃんの所に行ってあげなさい」

 

「了解ですよっと」

 

 俺はそういい、蘭ちゃん達のとこへ向かい話しかけた。

 

「蘭ちゃん達も無事で良かったよ。小山内さんも大丈夫ですか?」

 

「ええ。安室さんが助けてくれたから、無事よ。白銀さんは包帯巻いてるけど大丈夫なの?」

 

「かすり傷ですから大丈夫ですよ。今の所は犯人に狙われる心配もないですし、俺と透が何があっても護るので安心してください」

 

「え、ええ。ありがとう」

 

「蘭ちゃんとコナン君も大丈夫かい?」

 

「うん。僕は何ともないよ!」

 

「私は何ともないけど、お兄ちゃんこそホントに大丈夫なの?」

 

 蘭ちゃんは心配で泣きそうな顔で俺の手を握ってきた。

 あらら、蘭ちゃん泣きそうになってるじゃねえか。女の子の泣き顔って昔からマジで苦手なんだよな。蘭ちゃんの頭を撫でながら

 

「こら! 全然元気だから泣きそうな顔しないの。米花シティービルの時と比べてちゃんと意識もあるしこうしてお話できるでしょ? 

 だから、心配しなくても大丈夫だよ」

 

「うん・・・あの時みたいのはもう嫌だよ。お兄ちゃんがいなくなったら・・・」

 

「はいはい。いなくならないから大丈夫。蘭ちゃんともいなくなったりしないって約束したでしょ? 

 俺ってこうみえても、その約束だけはちゃんと守ってるんだよ。無茶しないでって約束とかはよく破っちゃうけど、いなくならないって約束だけは生まれてからずっと破ったことないから、心配しなくても大丈夫。な、透、怜子さん」

 

「何、蘭ちゃん泣かしてるのよ、アンタは。どうせまたバカなことでも言ったんでしょう。それとも変な事でもしたの?」

 

「痛いんですけど、怜子さん。抓りながら怖い目で言うの辞めて欲しいんですが・・・。ってか見てないで助けてくれよ、透」

 

「俺は知らん。自業自得だ。蘭さん、このバカになにか変なことされませんでしたか?」

 

「お前まで酷い言いようですね! 幼馴染に対してもう少し優しくしてくれても良いんじゃないでしょうか!? 事務所や会社のみんなの優しさが最近圧倒的に足りないんですが! 

 そんなに虐められると家帰って泣くよ!? ってかもうお家帰る!」

 

「外に出られない状況なのに、バカなのアンタ? 帰れるならとっくに帰ってるわよ」

 

「外に出る方法が無いのに、バカなんですか? 帰れるならもう帰ってますよ」

 

 ははは。二人の容赦ない言葉が俺の心に突き刺さってくるぜ、ちくしょう。コナンと小山内さんなんか目が点になってやがるじゃねえか。

 蘭ちゃんは、もう少しだな。

 

「うわーん。蘭ちゃん! 二人が俺のことめっちゃ虐めてくるんだけど。虐められすぎて泣きそう! 助けて、蘭ちゃん!」

 

「ふふふ。お兄ちゃんたら全然泣きそうにないじゃない。それにお兄ちゃんには良いクスリだと思うよ。

 お兄ちゃんって事務所でも、いつもこんな感じなんですか、怜子さん?」

 

「ええ、そうよ。事務所ではもっと賑やかな方よ。

 それに、安室さんや美和子達から聞いた面白いエピソードもいっぱいあるからお手洗いに行きながらでも教えてあげるわ。蘭ちゃん、小山内さん、一緒に行きましょう。

 手を洗ってくるだけだから、偵光達はここで待ってなさい。美和子もすぐ来るでしょうから、そこで合流して行くから心配しなくても大丈夫よ。さっき起きたことも説明しておくわ。

 さあ、行きましょう、蘭ちゃん、小山内さん」

 

「え。ええ」

 

「分かりました。お兄ちゃん、安室さん待っててくださいね。コナン君も待っててね」 

 

「う、うん」

 

「3人ともお気をつけて」

 

「ありがと、怜子さん。助かるよ」

 

 そうして3人は、慌ててラウンジに入ってきた美和子と一緒にお手洗いに向かった。怜子さんの空気読みにはホント助けられるな。

 今度マジでちゃんとしたお礼しよう。事務所と会社のみんなにもお世話になりっぱなしだからな。ホントたくさんの良い人達に恵まれてるよ。

 さてと、今のうちに犯人についての情報共有でもしておきますかね。毛利さん達や、怜子さん達が戻ってきたらできないし。

 

「透も、ありがとな。蘭ちゃん元気づけるのに助かったよ」

 

「いえいえ。偵光とは付き合い長いですから、だいたい考えてることはすぐに分かります」

 

「付き合い長いと、その辺は良い点なのか悪い点なのか考えものだよな。って、コナンどうした?」

 

「さっきのやりとりわざとだったの?」

 

「いいや、本気。透と怜子さんいつもどおりのマジな反応だったし」

 

「ええ。思ったことを言ったまでです。演技の部分は、偵光が蘭さんに泣きついてた所ぐらいですね」

 

「おいおい、マジかよ・・・。相変わらず、白銀さんの周辺って、白銀さん含めてとんでもない人が多いよね」

 

「俺は割と真っ当って思ったらダメなんだろうな。ってか、犯人についてなんか絞れたかコナン?」

 

「いいや。白銀さん達はもう犯人が誰か当たり付けてるよね? さっきの対応も速かったし、ここにきてからの動きがそんな気がしたから」

 

「おや、鋭いですね、コナン君。犯人は絞れてるのですが、証拠をまだ掴めてないんですよ。

 証拠さえ掴めれば捕まえるように動けるのですが・・・」

 

「さっき襲われてる時にも、対処はしたが、確証を掴むには今この場で調べられないからな。

 ちくしょう、こうなるなら鑑識セットも持ってくるべきだったか?」

 

「鑑識セットって、もしかして博士の発明品? それで何を調べたら確証を得れるの?」

 

「なるほど。秋庭さんの携帯に付いていたストラップの繊維ですね。それが衣服から出てきたら、このラウンジにいたことがバレてしまいますからね。

 僕と偵光は手でしか触ってないので、衣服から出でくることは無いですし」

 

「白銀さん、そこまで考えてて投げたの?」

 

「とっさに投げれるものが無かったからな。ジュースとか飲んでたならそっち投げたんだが。

 ん、待てよ。コナン、ジュースはどうした? 蘭ちゃん達のはテーブルに置きっぱなしになってるな」

 

「そうだ! 半分以上残ってて、ラウンジの外に出ようとして蘭姉ちゃんに見つかって、地面に置いたんだよ。そのすぐ後に停電になって・・・・

 そう言えば、犯人が逃げる時にジュース缶を蹴った音がしたんだ! ジュース缶は・・・・あったよ! 中身がほとんど無くなってるから、犯人が蹴って逃げたのは間違いないよ!」

 

「それなら犯人のズボンのすそは濡れてますね。ただ、濡れてるだけだと逃げられる可能性がありますね・・・どうしますか、偵光?」

 

「そうだな。コナンのジュースの件で、その犯人のズボンの裾が濡れていたら確実だがっと、いや確定だな。

 美和子に今メール送って確認してもらったら、犯人のズボンの裾のみ濡れてたそうだ。これであとは・・・」

 

「お前いつの間にメールなんか送ったんだ。昔からこういうことになると異常な行動力を示すよな」

 

「ちょっと、待ってよ。僕にも犯人を教えてよ! 二人だけで話進めていて全然分からないんだけど!」

 

 俺は周囲に誰もいないことを確認し、コナンと透に説明し始めた。

 

「ああ、そうだったな。犯人は沢木公平さんだ。動機も合わせて説明するぞ。動機は一つのことに起因するが、その前に、沢木さんは味覚障害だ。

 その味覚障害になった原因ってのが、小山内さん、辻さん、旭さんにあって、あとは予想になるが、仁科さんってとこだろうな。

 小山内さんは、3ヶ月ほど前に、沢木さんの運転するバイクと接触事故を起こしそうになり、沢木さんのバイクが転倒して、それが怖くなって逃げ出したそうだ。

 その事故の後遺症とストレスが原因で、ソムリエとしての道を諦めることになり復讐をって感じだな。ウチの所員達が調べて裏も取ってるから間違いないな。

 味覚障害についても、さっきワインセラーに入った時にあの人、調味料の棚の前で香辛料舐めて何も反応してなかったから間違いないはずだ。それ以外の人達については、数字になぞらえて他の人が犯行をしたようにカモフラージュするために襲ったり集めたってとこだろうな。

 ただ、その沢木さんにも、俺達っていうイレギュラーがいたから、なりふりかまってられなくなってるってとこだな。俺達は旭さんが独断で呼んでたゲストで沢木さんにも知らされてなかっただろうしな」

 

「なるほど。俺達はまんまと犯人に村上が犯人だと思いこまされてた訳なんだね」

 

「そうだね。それとコナン君、僕たちは村上がもう殺されているってのも知ってたんだよ。沢木さんと会った以降消息が掴めず、山奥で遺体となって発見されたらしいよ。

 ちなみにこのことは、偵光がすでに目暮警部達にも伝えていて、犯人についても教えていて、実際に行動を起こしたところを確保するって話になってたんだが、さっきみたいに上手くいかないってのがよく分かったよ」

 

「だなー。俺と透が狙われるならすぐに対処できるんだが、他の人が狙われたら護るので精一杯で後手に回るからな。

 俺の予想では、小山内さんの殺しも失敗したし、次仕掛けてくるとしたら、全員揃ったところで爆弾爆破させてこのアクアクリスタル崩壊させるとかかな?」

 

「偵光がそれ言うと、マジでシャレにならなくなるからやめろ」

 

「あはは。とんでもない人たちだね。白銀さんも安室さんも。そこまで掴んでるとは思わなかったよ。

 いやむしろ、白銀さん達だからこそ、そこまで先を読んで行動出来るってとこかな。白銀さんと安室さんのバッグが大きかったのは、そういうことが起こっても対処できるようにする為だったんだね」

 

「ああ、そうだよ。っと・・・おや」

 

「げっ・・・」

 

 ん? コナンと透どうしたんだ? 俺の顔見て・・・なんも付いてないよな。気にしても仕方ないか。

 

「当たり前だろ。こういうこと想定して対策しておかないとうるさい連中が多いんだよ。特に俺の親と幼馴染連中と、あとは怜子さんとかな。まあ、対策しておいても意味ないことが多いからいつも怒られるんだけどな。

 だいたいクリスや美和子、怜子さん達は心配症すぎるんだよ。そんな怒ってばかりだと、嫁の貰い手がいなくなるぞっと・・・って誰だよ、俺の左腕掴むのは。そこ怪我して痛いんだが・・」

 

 振り向くとそこには、

 

「あはは・・・」

 

「へー、誰の嫁の貰い手が見つからないですって?」

 

「怪我したからって聞いて、心配して急いで怜子さん達と戻って来たっていうのに、何話してたのかしら?」

 

「随分と楽しそうな話をしていたようだね。僕にも詳しく教えて欲しいんだけど良いかな?」

 

 苦笑いしている蘭ちゃんと、ものすごく笑顔なのに怖い、怜子さん、美和子、白鳥刑事がいた。

 ってか怜子さんが左腕掴んでるのね。結構痛いんですよ? そう言っても怒られそうですね。透とコナンの反応は、この人達が戻ったのが分かったからかちくしょう! 分かってたなら教えてくれよ!

 ああ、これ絶対死んだわ。

 俺は冷や汗を流しながら、その場に正座するのだった・・・・




次は、土曜日ごろに更新できたら良いなと思っておりますm(__)m


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40話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 今回は蘭とのフラグ回です。
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<安室透side>

 

 偵光のバカがやらかして、佐藤さん、秋庭さん、白鳥刑事に扮したベルモットに説教されている所を見ながら蘭さんとコナン君と談笑していた。

 

「お兄ちゃんすごく怒られてますね」

 

「そうですね。まあ、事務所ではほぼ毎日見る光景ですね。アイツは怒られるのが良い薬になります」

 

「安室さんって、白銀さんに対してだけはホント容赦ないよね」

 

「小学生の時からの付き合いになりますからね。佐藤さんや宮本さんも同じですね。

 あともう一人いたんですが、事故で亡くなってしまいました。寂しくなると思ったんですが、あそこにいるバカが毎回やらかすので、退屈しませんね」

 

「そうなんですか・・・。お兄ちゃんって昔からあんな性格だったんですか? 私が知ってるのは今のお兄ちゃんなので、昔はどんな感じだったのかなと思って。

 お父さんとお母さんは少し若い時にお兄ちゃんと会って仲良かったらしくてその時は今と変わらなかったみたいですけど」

 

「そうですね。今でこそ少しは大人しくなった方ですかね。大人になって冷静に考えて行動するようになるようになりましたから。

 まあ、その行動が周りから見たら破天荒過ぎるのので考えものなのですが、昔は思いついたら即行動して子供が絶対しないことを平然とするタイプでしたよ。

 佐藤さんのお父さんの事故現場に遭遇して、すぐに応急手当てして助けたり、宮本さんが誘拐されて、その犯人の所に単身で向かっていったりなど、アイツのエピソードを語り出したらキリがありませんね」

 

「白銀さんてホント何者なんだよ・・・」

 

「お兄ちゃん昔からそんなことしてたんですか!? 小学生が出来ることじゃないですか!」

 

「ええ、そうですね。本人曰く、クリスさんが、あらゆる技術を叩きこんで、大抵のことには対処できるようになったそうですよ。

 その特訓をクリス・ザ・ブートキャンプと偵光は言ってましたね。僕も参加したことがありますけど、あの合宿は、自衛隊や警察学校などの公的機関の合宿が優しく思えるレベルですね。あの合宿は2度と受けたくありません」

 

「そんなになんですか。どんな内容なんですか?」

 

「無人島に送られて、1ヶ月生き延びることですね。僕達の時は、罠が優しいものでしたが、偵光が送られる時は、罠も容赦ないものだそうで何度死にかけたか分からないそうです。

 まあ、そのおかげで、あらゆる事件に対応することができるようになり大けがなどしても、あり得ない回復力が身に付いたようですね。爆弾解体技術なんかも、その合宿で身につけたそうですよ」

 

「ははは。普通の人じゃ絶対そんなことやらせないし、その無人島にも行ったりしないよね。クリスさんってそんな厳しかったの?」

 

「私はクリスさんと話したことあるけど、そんなに厳しそうに見えなかったけどな」

 

「偵光が、クリスさんの気持ちに気づかず地雷を踏みぬくことが多いんですよ。他の女性陣に対してもそんな感じですがね。目の前で起こってる事が良い例ですね。

 さっきみたいな事をやらかして、ああいう光景になるという訳です。クリスさんに関しては、それが合宿になるという訳です。

 合宿も最近は偵光と僕達の要望で廃止になりましたけどね。コナン君も、事件に首突っ込みすぎてああいう大人にはなったらだめだよ」

 

「うん、気をつけるよ・・・」

 

「おや、蘭さん、どうしたんですか?」

 

「ふふふ。いえ、お兄ちゃんの話をする安室さんって凄く優しい顔してるなと思って。お兄ちゃんの周りの人達って、みんなお兄ちゃんのこと大好きですよね。

 だからこそ、みんなお兄ちゃんにいなくなって欲しくないと思っているんですよね。私もお兄ちゃんには絶対にいなくなって欲しくないです」

 

「心配しなくても大丈夫ですよ、蘭さん。アイツは死んでいなくなるってことだけは絶対しないそうですから。本人も死ぬことだけは絶対回避する!って言ってますし、僕達もそうさせるつもりありませんから。

 それにこんなに慕ってくれている蘭さんとの約束をしたみたいですしね♪」

 

「わ、私は別に! 慕っていると言っても、お兄ちゃんとしてって感覚ですし・・・」

 

「蘭姉ちゃん・・・」

 

 ふー、やれやれ。蘭さん、少し顔紅くなってますよ? まだ兄としての気持ちが強いだろうが、これは時間の問題だろうな。何かキッカケがあれば、絶対恋心に変わるな。

 はあ、またアイツの周りの女性問題がややこしくなるのか・・・ただでさえややこしいことになってるってのに、これ以上火に油を注ぐ形になって欲しく無いんだが。

 人の恋心にあれこれ干渉するのは野暮だな。てっきり、工藤新一君一筋だと思っていたんだが、これは予測できなかったな。

 いや、あのバカが関わってしまった時点で予測できたことだな。やれやれ、新一君、ウチの所長に靡いたら取り返すのはなかなか骨が折れるぞ。

 こればかりは当事者の気持ち次第だから、本人達に任せて、俺達大人はそっと見守っておくことにしよう。あっちの様子は・・・警部さん達も戻ってきて、どうやら偵光は解放されたみたいですね。

 

「随分と盛り上がってるじゃねえか。全く人が散々説教されてたっていうのに。めちゃくちゃ恐かったぞ、あの3人」

 

「ようやく解放されたみたいですね。警部達に話はしたのですか?」

 

「お兄ちゃん! さっきの話聞いてたの!?」

 

「詳しい説明は白鳥刑事と美和子にしたし、怜子さんと小山内さんに状況を今聞いてるから大丈夫だろう。

 さっきの話って何だい、蘭ちゃん? 盛り上がってるのは分かってたけど、話の内容は聞こえてなかったよ。

 ってかコナンの奴どうしたんだ? なんか、固まってるけど。おーい、コナン! どうした?」

 

「ううん、何でもないよ!」

 

「そっか。聞かれてないならよかった。お兄ちゃんこっちに来ても良かったの?」

 

「大丈夫、大丈夫。ってかあれ以上あそこにいたら俺のメンタルがもたなくなるから逃げて来たんだよ。怒られないように、休日に埋め合わせするって言って納得してもらったよ。

 おかげで俺の休日の予定もほとんど埋まってしまったけどな・・・・

 あと、透にも話したいことあったしな」

 

「ふーん、そうなんだ・・・。それってもしかしてデート?」

 

「デートじゃないよ。ただ買い物とか遊びに連れてけって話になったんだよ。

 あれ、蘭ちゃん、急に機嫌悪くなってない?」

 

「別に・・・お兄ちゃんたらホント相変わらずって感じだよね」

 

「相変らずって何!? 凄く気になるんですけど! さっき盛り上がってたのってもしかして俺の悪口だったの!?」

 

「うるさいぞ、バカ。蘭さんもその辺にしてあげておいてください。それで僕に話したいことってのは何だ?」

 

「ああ、そうそう。美和子達から聞いたんだが、ワインセラーに行った時に、沢木さんがボウガンで狙われたらしい。

 それと、非常口とか他に出口が無いか調べ周ったらしいが、非常口はセメントで固められてて開かなかったらしい。他には出口が無かったそうだ」

 

「沢木さんも襲われたんですか!? 大丈夫だったの?」

 

「出入り口も全部塞がれてたんだね・・・」

 

「怪我も無くて大丈夫だったそうだよ」

 

「ほっ、それなら良かった」

 

「なるほど・・・。沢木さんのことは安心しました。ただ脱出手段が無いのは痛いですね。なんとかこのアクアクリスタルから出ることができれば良いのですが」

 

「出口ならそこにあるじゃねえか」

 

「は? もしかして、出口って、そこの水槽のことか?」

 

「そうそう。見た感じ海と繋がってる構造だから、泳げば脱出できないことは無いはずだぞ。何かの衝撃でガラスが割れないといけないが。

 爆弾とかで爆破とかされたら絶対割れるぞ、このガラス。建物の造りからして、絶対強度が無いガラス使ってるだろうし」

 

「お兄ちゃんそれはちょっと無茶すぎじゃないかな? 安室さん?」

 

「白銀さん、流石にそれは無茶だと思うよ・・・って二人ともどうしたの? 顔色悪いよ」

 

「おい、バカ! お前がそういうこと言う時は昔から碌なことが起こった試しが無いんだ! 

 絶対この後、お前が言ったことが現実になる可能性が高い!」

 

「ははは・・・ですよねー。自分でもそう思います。怒りながらもバッグ背負って構える透見てたら笑えるんだけど」

 

「お前も同じように準備してるじゃないか! 犯人の行動からしたら、殺人を阻止されて焦ってこの後暴挙に出るのは間違いない! 蘭さん、コナン君、他の皆さんも早く・・・」

 

僕がそう言った瞬間、ドーンという音が連続して響き、水槽のガラスが割れて、ラウンジ内に水が流れてきて、みんな巻き込まれるのだった・・・

 

<安室透side out>

 

 

<偵光side>

 

 先ほど透と話してると爆弾が爆発し、水槽のガラスが割れラウンジ内に水が流れこんできて、俺達はみんな水の勢いに巻き込まれ流されてしまった。

 流されてすぐに、周囲を確認してみると、美和子と怜子さんが近くにいたので、回収した。クリスの方は自分で対処できるし、最悪透の奴がサポートしてるだろう。他の人はどうなったんだ? 早く上に上がって確認しないと!

 俺は呼吸が出来る場所に向かって、顔を水中から上げた。

 

「ぷはっ! 死ぬかと思った。怜子さん、美和子大丈夫か?」

 

「ぷは! はあ、はあ、はあ。大丈夫よ。もう、急に何なのよ」

 

「ぷは! ええ! 私は大丈夫よ。ありがとう、偵光。目暮警部達も大丈夫そうね。安室君は・・・」

 

「ぷはっ! 良かった。皆さんご無事みたいですね」

 

「ああ、何とかな・・・ん?」

 

 透の無事も確認し、辺りを見ていると、蘭ちゃんはどこだ? まさか!?

 俺は急いで水中に顔を入れて様子を確認すると、遠くにフェラーリの近くで動いている人影が確認できた。服の色からして、やっぱり蘭ちゃんか! 

 クソが! フェラーリを持ち上げるには、大人二人でなんとかいけるか。この超強力警棒もあればいけるな。ホント発明品色々準備していて良かったよ!

 俺は顔を上げ

 

「美和子! 悪いが俺のバッグと怜子さんを任せた! 説明は後でするから! 透ついて来てくれ! すー」

 

「え!? ちょっと偵光!?」

 

「アンタ何するつもりなの!?」

 

「分かった!! すー」

 

 

 俺は息を大きく吸い込み、再び水中に潜りフェラーリの場所に向かった。そこには、車に足を挟まれた蘭ちゃんがいた。やっぱりか! ってマズイ! 力が抜けてやがる! 蘭ちゃんの命が危ない!

 俺は人工呼吸を行い、蘭ちゃんの中に酸素を送った。すると、蘭ちゃんの目が開いた。これでとりあえずは一安心か。文句言われたらその時全身全霊で謝ろう。人工呼吸の為とはいえ、女の子にとっては大事なものだしな。

 さて、急がないと。俺も蘭ちゃんもお陀仏だ。透は・・・ホント俺の考え分かってくれて助かりますよ。

 透と二人でアイコンタクトをし、持ってきた道具を使い協力して車を持ち上げることに成功し、俺は蘭ちゃんを抱え、透と共に水上へと急いで向かった。

 

「ぶはっ! はぁ、はぁ。偵光! 蘭さんは大丈夫なのか!?」

 

「ぶはっ! 蘭ちゃん! しっかりして!」

 

「げほっ、げほっ、ごほっ! お兄ちゃん・・・?」

 

「ああ、良かった。もう大丈夫だよ、蘭ちゃん。手伝ってくれて助かったよ、透」

 

「どういたしまして! 蘭さんが無事で良かったですよ」

 

「蘭! 大丈夫なのか!?」

 

「蘭姉ちゃん、大丈夫!?」

 

「偵光、安室君、蘭さん! 良かったわ、3人とも無事で」

 

「急に潜ったのは、蘭ちゃんを助ける為だったのね。一言行ってから行きなさいよ、バカ」

 

「お父さん、コナン君。お兄ちゃん達が助けてくれたから大丈夫だよ」

 

「偵光君、蘭を助けてくれてありがとう。なんとお礼を言っていいか」

 

「蘭ちゃんがいなかったことにすぐ気づけて行動できたので良かったです。それで、他の人達はどうしたんですか?」

 

「目暮警部達は先に泳いで、外に向かって行ったわ。私と怜子さん、毛利さんとコナン君は、貴方達3人を待ってたのよ」

 

「なるほどね。なら俺達も急いで外に向かうとしますかね。蘭ちゃんは・・・」

 

「俺が先導するから、悪いが蘭のこと頼めるか、偵光君? おそらく蘭は君の傍にいるのが一番安心だろうしな」

 

「それは構いませんけど・・・」

 

「毛利さんの意見に賛成ね。助けた人が最後まで責任もって運んであげなさい。その方が蘭ちゃんも安心だろうしね。

 私は美和子と一緒に行くから心配しなくても大丈夫よ。泳ぎは得意な方だしね」

 

「そうですね。私も怜子さんと一緒だから大丈夫よ」

 

「それじゃあ、コナン君は僕がと言いたい所ですが大丈夫そうですね。偵光、お前の荷物を貸せ。絶対この後必要になるだろうからな」

 

「うん! 僕一人で大丈夫だよ!」

 

「頼むわ、透。使わなかったら万々歳なんだけどな。さてと、蘭ちゃんもうひと頑張りできるかな? ちゃんと安全な所まで連れてってあげるから大丈夫だよ♪」

 

「うん、迷惑かけてごめんなさい、お兄ちゃん・・・」

 

「こーら! 迷惑なんてことは絶対無いからね。蘭ちゃんしっかり息を大きく吸って!」

 

「それじゃあ、皆さん行きますよ!」

 

 毛利さんの掛け声が聞こえ、その後にみんな続いて、水中に潜り泳いでアクアクリスタルを脱出するのだった・・・。



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41話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 更新を再開していきたいと思います!
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誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 14番目の標的編は、あと2,3話で終わる予定です。
 これからもこの作品をよろしくお願いします!





<山川光side>

 

 偵光と連絡が取れなくなった為、俺、萩原、松田、越水さんの4人で船に乗り、アクアクリスタルの近くの岸に向かい待機していた。

 

「うーん、ダメだ。偵光君に電話しても全然繋がらないや。怜子さんの携帯も同じだね」

 

「安室の野郎も出やしねえな。こりゃあ十中八九何か起こったな」

 

「副所長どうするよ? さっきから大きい音も響いてやがるし、遠目から見ても分かるぐらい爆発してるな」

 

「そうだな・・・」

 

「ちょっと! どうしてみんなそんな冷静にいられるの!? 偵光君達が危険な目に合ってるかもしれないんだよ! 心配じゃないの?」

 

「越水さん、みんな心配なのは同じさ。ただ、偵光の場合心配しすぎたらこっちの身体が持たなくなるし、それに安室も一緒にいるし、安心して良いと思うぞ。

 って言っても心配だろうが、今は俺達に出来る事をしよう」

 

「だな。ウチの所長は化け物じみた生命力があるから死ぬってことは無いだろう。秋庭さんか佐藤さんを庇って怪我はもうしてそうだけどな」

 

「白銀はちゃんと越水さんの所に戻ってくるだろうから、そんなに根を詰めるな。

 帰ってきたら、みんなで精一杯文句言ってやろうぜ」

 

「そうだね・・・。今度は意識がある状態でちゃんと帰ってきて欲しいかな」

 

「その点は大丈夫さ。偵光にもきつく言っておいたし、安室がそうさせないように動くだろうからな。安室が傍にいればその心配は無くなるさ。それで話を戻すが、今のアクアクリスタルの状況を見ると、犯人がなりふり構わなくなってきてる感じだな。

 ん? この音は、ヘリが一機向かってるな。犯人が呼んだのか? となると、犯人が拘束されてないパターンを想定すると、屋上に間違いなく向かうはずだ」

 

「その考えで良いと思うよ。最悪なパターンを考えて行動する方が良いんじゃないかな?」

 

「いや、最悪なパターンは誰か人質にとるパターンだな。この状況を見るに人質を取るって可能性が高いな」

 

「おいおい。その人質が誰かによったら、爆弾がもう1個爆発するじゃねえか。

 秋庭さんや佐藤さん、蘭ちゃんがなったとしたら白銀の野郎が何しでかすか分かんねえぞ」

 

「そうだよね。身近な人が関わると、偵光君って絶対無茶しちゃうからね・・・。

 まあ、その時は、安室さんやその場にいる人達に任せるしかないってのが歯がゆいね」

 

「そればかりは仕方ないさ。で、副所長の考えはどうなんだ? 俺達はその考えの元に動くぜ」

 

「屋上に人質を逃げられたパターンを想定して、手助けできるようにしたいな。ってなると、俺はここから、これを使って狙撃できるように待機しておく。船の上だと揺れて狙えないしな。

 ここだと、スコープ覗くと屋上が見えるし、当たったとしても怯むだけで怪我もすることはないように発明したし問題は誰かに見られるって点もここだと人がいないし問題もないな。

 俺のサポートに一人、残り二人は船を運転して崩壊に巻き込まれない位置で待機して、すぐに救出できるように待機するようにしよう。その考えなんだがどうだ?」

 

「俺は問題ないと思うぜ。人員配置はどうするよ?」

 

「越水さんと萩原が船で救出組、俺と松田がここで待機にしようと思うが良いか? 変わりたいって希望があったら言ってくれ」

 

「僕はそれで問題無いよ。山川さん、僕の気持ち汲んでくれてありがとう。助かるよ」

 

「越水さんの気持ちはよく分かってるからな。他の二人もそれで問題ないか?」

 

「船で救出ってのは分かったが、俺達が船で助けに行ったら問題にならないか? 

 海保の船も救助にきてるだろうし、見つかったら面倒くさいことになりそうだぞ」

 

「その点は心配ない。操船許可は取ってあるから、近くにいてアクアクリスタルから凄い爆発音が聞こえたから様子を見に来たっていう理由にしよう。

 他に何か気になる点がある人はいるか?」

 

「いいや、大丈夫だ、副所長。これ以上大事が起こらないと良いんだが、所長があそこにいるって時点で無理だろうな。

 何にしても、俺達はすぐに動けるように準備して犠牲者無く助けだせるように待機しておこうぜ」

 

「松田の言う通りだ。悪いが、みんな協力頼む。何かイレギュラーが起こったらお互いにすぐ連絡するようにしてくれ!」

 

 俺の支持をみんな聞きそれぞれ行動を開始するのだった。

 

<山川光side out>

 

 

 

 

<偵光side>

 

 

 俺は蘭ちゃんを運び、水中からアクアクリスタルの外に出た。

 

「ぷはっ! はぁ、はぁ、はぁ。蘭ちゃん大丈夫かい? 外に出れたよ」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。お兄ちゃん、私達助かったの?」

 

「ああ。だから安心しても良いよ。もう大丈夫だから」

 

「うん・・・ありがとう、お兄ちゃん」

 

「白銀君! 大丈夫かい? 蘭さんをこちらに! 顔色が少し悪いけど、大丈夫かい!?」

 

「白鳥刑事、すみませんが蘭ちゃんをお願いします。俺は大丈夫ですよ。ちょっと泳ぐの張り切りすぎたみたいです」

 

「無理しちゃだめだよ。何かあったらすぐ言うように!」

 

 白鳥刑事に蘭ちゃんを渡した。ったく、そんな心配そうな顔してると変装してるってばれるぞ。

 ってか、ホント水に濡れても崩れない変装メイクってすげえな! 変なことに関心してる場合じゃなくて、早く上がらないと。

 やべえな・・・怜子さん庇って怪我した左腕の痛みが増してきてやがる。ちょっと無茶しすぎたか。

 

「偵光大丈夫か? 早き上がらないと風邪ひくぞ」

 

「お前の方こそ大丈夫なのかよ? 包帯から血が滲んでるぞ」

 

「それはお前もだろう。左腕の痛み増してるんじゃないのか? 顔に出てるぞ。ほら掴まれ」

 

「やれやれ。ポーカーフェイスには自信あるんだが、どうしてお前もクリスも俺の変化に気づくかね。

 これなら美和子に今の姿見られたら同じこと言われそうだな。ありがとう、助かったぜ」

 

「幼馴染で付き合い長いからな。お前のことはよく分かるさ。どういたしまして」

 

「それで、犯人の状況は?」

 

「コナン君のサポートを受けて毛利さんが事件を解決してる所だ」

 

「なるほど。それなら心配ないな。コナンの奴には証拠になりそうなこともちゃんと教えておいたし、俺達はあそこのベンチで休んでおこうぜ。蘭ちゃんの傍には、白鳥刑事と美和子と怜子さんがいるし大丈夫だろう。

 俺は包帯巻きなおしたいしな。透も少し休みたいだろう? 俺と同じで無茶したから右腕の痛み強くなってきてるだろう?」

 

「そうだな。お前にも俺の様子はお見通しか。確かに少し休んでおきたいですね」

 

ん? あそこのベンチの下にプラスチックの箱みたいなのが見えるんだが・・・ははは、まさかな。透に確認してみよう。俺の予想どおりだったら、もうお腹いっぱいだよ・・・

 

「なあ、透。そこのベンチの下に見えるプラスチックの箱ってなんだ?」

 

「なんだと? 非常に見慣れたものですね。中身が予測通りじゃないと良いのですが、現状からして望み薄ですね」

 

「ははは、ですよね。水銀レバーは付いてないな。よしっと。今音確認したらカチカチ言ってるし、絶対爆弾だよな、これ。

 あの人ここで自分含めてみんなで死ぬつもりなの? バカなの?」

 

「俺に聞かれても犯人の心情なんか分かる訳ないだろう! それより、ここで爆発したら全員お陀仏だぞ」

 

「まあ、そんな焦るなって。焦ってヘマしたら碌なことにならないぞ。はあ、解体セット持ってきてて正解だった。俺のカバン借りるぞ。

 まずは箱を開けてっと・・・お、ラッキー! シンプルな構造で助かったぜ。これならすぐに解体できるぞ」

 

「どうしてお前はそう呑気なんだ。それは本当なのか?」

 

「ああ。10分もかからないぞ。森谷より爆弾の知識無くて助かったわ。爆弾の知識がある犯人だとホント厄介だったよ。

 悪いんだが、犯人や美和子達に気づかれると面倒くさいことになりそうだから、あっちから見て、俺が死角になるように立ってもらえるか?」

 

「了解した。悪いが解体を頼む。あちらの様子を確認しておく。人が来たら教えるから、なんとか爆弾を隠せ」

 

「ほいほい。まあ。すぐ終わらせるから気楽に待っとけ」

 

 俺は透にそう言い、爆弾を解体するのだった。解体中に、人が近寄ってくることもなく、スムーズに解体することができた。

 ふう、これで、一安心だな。安心していると、別の場所で爆弾が爆発する音が聞こえ、アクアクリスタルが大きく揺れた。

 

「うわっと、爆弾が他の場所にまだ仕掛けられていたのか!?」

 

「ちいっ! 偵光! その爆弾は大丈夫なのか!?」

 

「ああ、解体終わったからもう爆発する心配はないぞ。ん? 美和子や怜子さん、仁科さん達がこっち向かってきてるな。蘭ちゃんや毛利さん達はどこ行った?」

 

「非常に嫌な予感がしますね。佐藤さんや秋庭さんに事情を聴いてみましょう」

 

「そうだな」

 

「おーい! 偵光君、安室さーん!」

 

 この声は七槻ちゃんか? 海の方から聞こえてくるが・・・あれは、助かったぜ、さすが頼れる所員達だ!

 

「どうやら助けが来たみたいですね。越水さんと萩原しかいないみたいですが」

 

「松田さんと山川さんは、何か考えがあって別行動ってとこだろう」

 

「ちょっと、偵光! あんた何してたのよ! こっちはこっちで大変なのよ!」

 

「落ち着いて怜子さん。包帯巻き直してたのと、ちょっと無茶しすぎて、痛みもひどくなってきたから、透と休んでたんだよ。

 それで、いったい何があったの? 美和子や他の人達も焦ってこっちに向かってきてるけど。目暮警部達の姿は見えないみたいだけど」

 

「そうよ! 毛利さんが事件の真相を暴いたんだけど、沢木さんが暴走して、この近くにある爆弾を爆発させてみんなを道連れにしようとしたんだけど、なぜか爆発しなくて、他の爆弾を爆発させて油断させた隙を狙って蘭ちゃんを人質に取って屋上に向かっていたのよ。

 それで目暮警部、白鳥刑事、毛利さん達が追いかけていったのよ。美和子と私は残りのみんなと避難するって形になったわけなのよ」

 

「なるほどね。一個トラブル解決できたら、次のトラブル発生かよ。透、安全帯と射出式伸縮性ロープ持ってきてるよな?」

 

「ええ。やれやれ、行くつもりですか? まあ、行くんでしょうね。僕も付いていきますよ。外から登るつもりですか? 

 エレベーターは・・・どちらも途中の階で止まってますね。

 爆発の影響で屋上まで上がらなかったみたいですね。だから外から上がっていくという訳ですか」

 

「流石、俺の考え分かってるな。怜子さん、悪いんだけど、俺の他の荷物は頼むわ。それとこっちの箱を船でこっちに向かってきている萩原さんに渡してくれ。あ、ちなみに中身爆弾だけど、もう解体したから心配しなくて大丈夫だよ」

 

「爆弾ですって!? ちょっと、偵光! あんた休んでたんじゃないの?」

 

「ちょっと偵光! 大変よ! それと爆弾って聞こえたんだけど・・・ってあれは、越水さんと萩原君?」

 

「ああ、はいはい。蘭ちゃん助け出した後でちゃんと説明するから二人とも。それより今は、他のみんなの安全確保しないと不味いだろ? 

 七槻ちゃん達が迎えに来たから、あの船にのってみんな避難しててくれ。俺と透は、毛利さん達と一緒にヘリに乗って脱出するから心配しなさんな」

 

「ちょっと、そういう問題じゃないでしょ! 偵光、また無茶するつもりじゃないの?」

 

「おーい! ようやく合流できたよ、偵光君! もう! 連絡取れなくなってすごく心配したんだから! って大声出してどうしたの? 秋庭さんと佐藤さん?」

 

「ベストタイミング! 七槻ちゃん! これも持って行っておくか・・・七槻ちゃん、俺の荷物とこの箱を頼んだ。この箱は萩原さんに渡しといて! 中に解体した爆弾が入っているから、萩原さんなら処理してくれるはずだ。

 それと、俺と透以外を載せたら、アクアクリスタルの崩壊に巻き込まれない位置で待機しておいてくれ! 怜子さん、美和子! 詳しいことは後で説明するから! 透もいるから、安心しててくれよな! 

 行くぞ、透!」

 

「まったく・・・ちゃんと説明をしてからいけばいいものをって言っても、そんな時間はありそうにないですね。

 すみません、皆さん。あのバカははちゃんと連れて帰りますんで、すみませんがアイツの指示通りに動いてください! すみませんが、失礼します!」

 

「あっ、ちょっと! 偵光君、安室さん!? まったく・・・。安室さんがいるからとりあえず、偵光君は大丈夫そうかな。

 秋庭さん、佐藤さん、僕達も早く動こう。偵光君が心配なのは分かるけど、僕達に出来ることをしよう。僕も心配なのは同じだからさ」

 

「ええ、そうね。それにちゃんと約束してくれたしね。行きましょう、美和子。アイツは今度はちゃんと帰ってくるわよ。

 もし約束破ったら事務所、会社総出で説教してやりましょう」

 

「・・・・・ええ。そうですね。ちゃんと帰ってきなさいよ、バカ」

 

 俺と透は、七槻ちゃん達と別れ、屋上へと向かうのだった。 



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42話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 次回で14番目の標的編は終わりです。



 

<ベルモットside>

 

 私は、犯人がエンジェルを人質に取ったので、助け出すために美和子達と別れ目暮警部達と共に屋上へと向かいたどり着いた。途中でエレベーターが止まり、階段で登ってきたのでみんなしんどそうだ。目暮警部なんか傷口が開いて、血が滲んできていて凄くしんどそうだ。

 早いこと病院に連れて行かないと不味い状況になるわね。それに犯人を早くどうにかしないと、エンジェルも危ないし、建物の崩壊に巻き込まれて私達みんなも巻き込まれて死ぬわね。

 偵光は傷の痛みが酷くなりベンチで休んでたし、おそらく犯人のさっきの慌てようから、私達の近くにあった爆弾を解体したのでしょうね。あの子も、バーボン達と早く脱出してるはずだろうから私達も早いとこケリつけないと逃げ遅れるわね。

 いったいどうすれば・・・犯人の身体の一部を拳銃で撃って無力化できれば良いんだけど、私が変装してる白鳥刑事って射撃の腕が良くないのよね。私も確実に狙えるという自信がある訳ではないし、偵光や山川さん、バーボンなら間違いなく撃って無力化できるのだろうけど。目暮警部達が、犯人を説得してるけど、全く効果が無いわね。

 どうする? シルバーブレットも動けていないし、こういう時にあの子なら・・・って、あの子何してるの!? どこから登ってきたのよ!? バーボンも一緒だし、発明品を使って登ってきたのね! それにしても忍者みたいな子ね。普通音も無く、そんな所から登ってくるなんて思わないわよ! あの少年も気づいて驚いてるじゃない! あら? こっちに向かって何か合図してるわね・・・

 犯人をあの位置に誘導しろですって? 何か考えがあるのかしら? あれはライフルの構え? そうなのね! おそらく事務所の誰かが狙撃する為に待機してるから、狙える位置に誘導しろってことなのね。

 それで犯人からナイフを飛ばして、あの位置から偵光とバーボンが無力化させるってことなのね。それなら、私はあの子の指示通りに動くだけね。私は小声で坊やに話しかけた。

 

「コナン君、悪いんだけど協力してもらえるかい? 犯人を拘束するためにこれから動くから手伝って欲しいんだ」

 

「白銀さん達がこっちに向かって何か合図してたから、考えがあるってことだね。分かったよ。早く蘭姉ちゃんを助けないと、僕達もマズイことになるからね。それで、僕はどうすれば良いの?」

 

「まずは、僕が拳銃で犯人を威嚇するよ。それでおそらく犯人は蘭さんを使って脅してくるはずだ。そこで僕は拳銃を捨てるようになる。

 その後、犯人は拳銃を持って来るように君に頼むのは間違いない。そこで、君には演技をしてもらい、拳銃を渡す意思を見せながら、あのヘリポートの中心に犯人を誘導して欲しいんだ。

 そこからはおそらく、白銀君達が行動を開始する。お願いできるかい?」

 

「うん、分かったよ。白銀さんと安室さんなら絶対なんとかしてくれるよね」

 

「ああ。あの二人はとんでもないことを平然とするからね。白銀君の方は、絶対に何があっても蘭さんを助けだすはずだよ」

 

「そうだね」

 

「それじゃあ、いくよ。やめろ! その手を放せ! 離さないと撃つぞ!」

 

 私は手を震えさせながら、犯人に拳銃を向けた。この演技もなかなか大変ね・・・この後は、おそらく目暮警部達が動くはず・・・。偵光達は完全に気配を消してるわね。ホント育て方間違えたかしら

 

「白鳥君よすんだ! うおおおおお・・・ ヘリコプターで逃げても無駄だぞ! 蘭君を離すんだ!」

 

「うるさい! この子を連れて、辻と小山内を殺しにいく! ついでに白銀もだ! 散々俺の邪魔をしてくれたからな! そいつらを殺して俺も死ぬ! この子も道ずれだ! ふはははははははは!」

 

 なんですって・・・? 今なんていったのかしら? 偵光を殺すとか言いだしたのだけど気のせいかしら? そんな事をしようとしたらどうなるかあの犯人は分かってるのかしら? 偵光の作戦に乗らず、もう拘束しましょうか、ふふふ。

 あら? 遠目に見える偵光の顔が青くなってるわね? バーボンも飛び出しそうになってるのを偵光が抑えてるし、なんだか面白い光景ね。ボウヤも凄い汗が流れてるわね

 

「白鳥君・・・? 大丈夫かね・・・?」

 

「すみません、大丈夫ですよ。警部こそ大丈夫ですか?」

 

 いけない、いけない。偵光の事となるとホント冷静さを無くすわね。私は今は白鳥刑事なのよ、落ち着きなさい。今はエンジェルを助けることに集中よ!

 

「お兄ちゃん・・・助けて・・・お兄ちゃん」

 

「拳銃をよこせ! じゃないとこの子を刺すぞ!」

 

「何!?」

 

「おい、白鳥! 俺に銃をよこせ」

 

「何を言ってるんですか、毛利さん?」

 

「いいから、俺によこせって言ってるんだよ」

 

「一般人には渡せませんし、それにちょっと考えがあります。僕達から見て西側の階段の先の方を見てください」

 

「何・・・? あそこにいるのは偵光君達じゃないか。どうしてこんな所に!?」

 

「静かに。その白銀君から、犯人をヘリポートの中心に誘導してくれって言われたんです。おそらく彼に何か考えがあるのでしょう。

 蘭さんが心配なのは分かりますが、今は協力してもらえませんか?」

 

「偵光君がそういったなら信頼できるな。よし、分かった。俺も協力しよう」

 

「ありがとうございます」

 

「おい! いつまで話込んでいる! さっさと拳銃をよこせ! 今の状況が分かっているのか?」

 

「わ、分かった!」

 

 私はそう言い、犯人が指定の場所に動くように向かって拳銃を投げた。犯人は少し動き、私達を警戒しているのか止まった。

 やっぱりそうなるわよね。あとは頼んだわよ、ボウヤ。

 

「ちいっ! ボウズ! お前が持って来い! この女がここで死んでも良いのか!? 何をしている! 早くしろ!」

 

「だ、駄目だ! 子供にそんな危ない真似は! おい、コナン君!」

 

「さあ、早く持ってこい!」

 

「だ、駄目! コナン君、渡しちゃあ・・・・渡しちゃ・・・駄目!」

 

「ここから先は亀裂があって危ないから、おじさんここまで取りにきてよ」

 

「何・・・?」

 

「拳銃が欲しいんでしょ? 中心まで運んだんだから取りに来てよ! みんなと距離が離れてるから制圧される心配もないでしょ? 蘭姉ちゃん、人質に取ってるし、ここまできたら僕のことも人質にできるよ?」

 

「コナン君! 何を言ってるんだ! ぬおおおぉ」

 

「警部大丈夫ですか!?」

 

「コナン君、そんな無茶は辞めるんだ!」

 

「なるほど。そいつは、良い考えだ。良いか! 全員動くなよ!」

 

 そう言って犯人はヘリポートの中心に来た。その瞬間、彼の持っているナイフに何かが当たり、怯んでいる隙に、いつの間にか偵光とバーボンが犯人の近くに来ていた。

 

「ここまでドンピシャだとはね。この正確さは山川さんかな? ホント助かるよ」

 

「これを予測して動いのかお前は? 全く末恐ろしいな。それより・・・」

 

「ああ! 悪いが蘭ちゃんは返してもらうぞ!」

 

「うぐぅ! 何!? ぐはあ!」

 

 偵光はエンジェルを助け出し、バーボンがこちらに向かって犯人を投げてきたのですぐに制圧し手錠をかけた。

 

「沢木公平! 殺人及び傷害拉致等の現行犯で逮捕する!」

 

 まったく。偵光ったら、ホント予測できない行動をするわね。これで犯人を制圧して、エンジェルを助け出すことが出来たし、後は逃げるだけね。ヘリコプターも降りてきたし、安心ね。

 一安心していると、建物が大きく揺れ、ヘリポートの中心に亀裂が入り、偵光達と分断されるのだった・・・・。

 

<ベルモットside out>

 

 

 

 

 

<偵光side>

 

 俺と透は、山川さんの協力によって蘭ちゃんを助け出すことができたが、その後建物が大きく揺れ、ヘリポートの中心に亀裂が入り、俺、透、蘭ちゃんの三人が分断されてしまった。

 ホント欠陥ばかりだよね、この建物! うーん、向こうに飛び移るのは無理だな。こりゃあ・・・

 

「登って来たルートで降りるしかないですね。それまでこの建物がもてば良いのですが」

 

「そうだな。やっぱり海に飛び込むしか脱出ルート無いよな。救命器具機能もこのロープセットに付けてて正解だったな」

 

「お兄ちゃん・・・?」

 

「大丈夫だよ、蘭ちゃん。しっかり俺に掴まっておいてね。これからバンジージャンプして、脱出するからね。怖かったら、目瞑ってて良いからね。

 俺達三人が助かるには、その方法しかないみたいで、無理な感じで脱出するようになってごめんね。救助ヘリコプターとかでもっと安全な方法で脱出したかったんだけどね。助かったら病院に行こうね。俺も透も病院に行くことになるだろうし」

 

「お兄ちゃんがいるから大丈夫だよ。それより、お兄ちゃんと安室さんは腕大丈夫なの?」

 

「大丈夫、大丈夫。このぐらいの痛みには慣れてるからね。まあ、慣れるってのも考えものだけど」

 

「こんなことにはホント慣れたくないな・・・。おい白鳥刑事にちゃんと説明しなくていいのか? こっちに向けて話かけてますよ」

 

「説明しとかないと、後が間違いなく怖いな。おーい、白鳥刑事! こっちは、俺達で登ってきたルートで脱出するから心配しなくて大丈夫だ! そっちのみんなはヘリコプターで脱出してくれ!」

 

「大丈夫なんだね!? 絶対これ以上怪我したらダメだよ! 安室さん気をつけるんだよ! 蘭さんのこともしっかり守ってあげて! 僕達は先に脱出しているよ!」

 

 そう言って、クリス達はこちらを心配そうに見ながらも、ヘリコプターに乗ってアクアクリスタルから脱出していった。コナンの奴が、こちらに来ようとしていたが、クリスの奴がそうはさせなかった。

 コナンまでこっち来られると動きにくくなるから助かったぜ。さてと、みんな逃げたことだし、俺達も逃げるとしますかね。それまでこの建物がもてば良いんだが、五分五分ってところか。

 

「さてそれで、海にダイビングコースか?」

 

「それしか無いだろうね。建物内に逃げるのは得策じゃないしな。ロープをしっかり固定して、これで良しと。あとはこの屋上がもつかどうかだな。とっとと降りようぜ」

 

「そうだな。それじゃあ行くぞ!」

 

「ああ、蘭ちゃんしっかり掴まっておいてね。俺から手離しちゃだめだよ!」

 

「うん!」

 

 俺は、蘭ちゃんをしっかりと縛って抱えて、透に続き飛び降りた。飛び降りて下に降りている途中で、また建物が大きくゆれ崩れ始めた。

 

「偵光! 不味いぞ! 屋上がもたない! ロープが少しすると外れるぞ! このままだと、海に叩きつけられるぞ! どうする? 海に飛び込むには、高すぎるぞ!」

 

 やっぱりそうなりますよね! この高さで海に飛び込んだら、水面はすごい固さになってて、こっちの方が大けがするか、下手したら死んじまう! どうする? 周囲で何かないのか!? ん? こっちにすごい勢いで向かってきてる船が見えるな。

 こっちに向かって合図してるな。松田さんかと山川さんか? ということは、いちかばちか賭けてみるか! となると、船が巻き込まれないあのあたりまで飛ばないといけないが、壁を蹴って振り子の原理で最後ロープ外して飛ぶしかないか!

 

「透! 壁蹴って勢いつけて、あそこまで飛ぶぞ! こっちに高速で向かってくる船が一隻見えた! 山川さん達が合図送って来たから何か考えがあるはずだ!」

 

「分かった。降りるのを停止して、振り子の原理であっちまで飛ぶんだな! この高さであの距離だったら、何とかいけるな! 問題は屋上次第か! 早いことするぞ!」

 

「お兄ちゃん・・・?」

 

「蘭ちゃん、これからちょっと無茶するからしっかり掴まっておくんだよ。せーのっと!」

 

「きゃああああ!」

 

 俺と透は、降りるのを止めて、建物を蹴り、ロープを振り子のように大きくふり始めた。

 大きく振って、充分飛べる勢いもついたと同時に建物が崩壊し始めた。

 

「ちいっ! 偵光! 行くぞ! 蘭さんを絶対離すんじゃないぞ!」

 

「分かってるさ! 行くよ、蘭ちゃん! その手をはなすなよ! 怖かったら目瞑ってて大丈夫だからな!」

 

「うん! きゃあぁぁぁぁぁ!」

 

 俺達は同時にロープをはずし、勢いよく海へと飛び込むと、大きな衝撃は来ずに、柔らかい感触がして大きく弾んで、海へと着水した。

 すぐに、水上に顔をあげて、近くで待機していた人物達に話しかけた

 

「ぷはっ! 蘭ちゃん大丈夫かい? 助かったよ、山川さん、松田さん。こんなのもまさか発明してたとは思わなかったよ。

 まさか救命ボートまであるとはね。屋上でのサポートもありがとうね。犯人を制圧することができたよ」   

 

「はっ! お兄ちゃん、私達助かったの? それに、山川さんと松田さんがどうしてここに?」

 

「君達を助けに来たんだよ。ほら、蘭ちゃんを貸しな。ベットで休ませるから。岸にもどったら、偵光も蘭ちゃんも救急車が待機してるから、それに乗って病院直行だな。

 所長に隠れて発明したんだよ。こういう時に救命ボートとかあるとすごく便利だからな。まあ、まだ改良する余地はあるがな」

 

「ありがとう、蘭ちゃんを頼む。よっこいしょと! 松田さんは・・・」

 

「よ、所長! 今回は腕の怪我以外大丈夫そうだな。安室の奴も同じだな。ったく、お前らあんな風にダイビングしてきて、ホントよく怪我しないよな」

 

「お前とは鍛え方が違うからな。どうやら偵光の方も無事だったようだな。これで、今回はようやく解決か」

 

「だな。やべえ、安心したら腕の痛みが酷くなってきたんだが・・・」

 

「ははは。俺もそうだ。さっきまではアドレナリンが出て興奮状態だったんだろうな。この怪我の感じだと、俺も偵光も少し入院コースか?」

 

「入院コースか・・・仕事どうしよう?」

 

「所長は仕事の心配より、まず自分の心配した方が良いんじゃないのか?」

 

「え? どういうこと?」

 

「蘭ちゃんは安心して眠ったぞ。寝言でお兄ちゃんありがとうって呟いてたぞ。お前という奴は、ホント見境無いよな・・・。あ、そうそう。越水さん、秋庭さん、佐藤さんが凄く怒ってたぞ。

 灰原さん達や日向さん達も含めて、みんな心配してたからな。顔合わせたらめちゃくちゃ怒られるんじゃないか? 今回は意識無くなるほどの大けがはしてないが、怪我してることには変わりないしな」

 

「ははは。マジで? うわあ、クリスの奴にも絶対説教されるコースなんだけど。え? 俺、事件解決したのに死んじゃうよ? みんなから責められたら、俺のメンタルもたないよ! 透! 山川さん! 松田さん! 何とかして助けてくれない!?」

 

「「「お前(所長)の自業自得だ! 自分で何とかするんだな」

 

「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 俺の叫び声が辺りに響くのだった。



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43話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 今回は14番目の標的編のエピローグなので短めです。
 次の事件のフラグも入れてます。


<偵光side>

 

 アクアクリスタルの事件から、一週間が経ち、俺は今病院のベッドの上でのんびりしていた。いやあ、ホント事件が終わってからいろいろありすぎて大変だったな・・・ 

 警察からの事件の事情聴取は別に良かったんだが、会社・事務所連中からの事件の事情聴取がホントに怖かった! だって、みんなニコニコ笑顔なのに、すごい威圧感放って来るんだもん。

 特に女性陣と山川さんが怖かった! 山川さんまでまさかキレているとまでは思わなかったよ! さんざん怒られたからな。

 うーん、どうして事件解決した後って、あんなに怒られるんだろう? 今回はそこまで無茶してないんだけどな。一人で暴走したら怒られるの分かってたから、透とずっと行動してるようにしてたのに、どうして俺ばかり怒られるんでしょうか? 透の奴も共犯だと思います! 一緒に絶対怒られるべきだと思います!

 

「全く何アホなことを考えてるんだ、お前は?」

 

「ったく、何で俺ばかり怒られて、お前は怒られないのかと思ってな。ってか、どうして、お前と合い部屋なの? ゆっくり休みたいのにこの一週間全然休めてないんだけど。

 コナンの奴まで同じ部屋に運びこまれてるし。コナンは今日退院だっけ?」

 

「そりゃあ、越水さん達にちゃんと説明してなかったお前が悪い。事件終わって、安心したら俺もお前も気を失ったしな。

 それで病院に運び込まれたんだから、余計に心配させたって所だろう。思ったより怪我が悪化してて、俺とお前がリハビリもかねて二週間ほど入院することになるとは思わなかったが。

 コナン君は、鍾乳洞で撃たれて運びこまれたんだよな」

 

「う、うん。僕も二人と同じ部屋になるとは思わなかったよ」

 

「銃で撃たれるって、コナンの奴も無茶したな。ついこの間に、アクアクリスタルの件があったってのに、もう次の事件かよ。

は子供の時からそんな無茶してたら、碌な大人にならないぞ。事件には巻き込まれないように生きていくのが一番だぞ」

 

「おい、バカ。お前が言っても全く説得力が無いし、コナン君の歳の時から事件に首突っ込んでたよな」

 

「あはは。白銀さんだけには絶対言われたくない言葉だよね。米花シティービルの事件の後で、アクアクリスタルの事件に巻き込まれて入院してるんだから。

 それで、二人はまだ退院できないの?」

 

「もう一週間ぐらいは、完治するのにかかるみたいだな。感覚はほとんど戻ってきて元気なんだけどな。先生も俺のこと分かってるから、期限を決めたら、絶対その期限から変わらないんだよ。

 毎回この米花中央病院に運びまれてるし、どの先生も看護師さん達もまたかって感じになって来てるんだよ。運びこまれてからの連係プレイなんかすげえレベルだぞ」

 

「え? 白銀さんって、この病院内だとそんなレベルになってるの・・・?」

 

「ああ、そうだよ。残念ながらね。俺も見舞いによく来てたから、たいていのスタッフとは顔見知りになってるんだ」

 

「あはは。そうなんだ。それで、二人も抜けて事務所とかは大丈夫なの?」

 

「その心配はいらないぞ、コナン。ウチのスタッフ優秀な人ばかりだからな。それに、俺がいなくても周るようにしてるからな。

 ってか最近は、俺に休め休めってあんまり仕事させてもらえなかったしな。それに、今度何人か人増やすんだよ。面接応募者も何人か来てるしな。

 アクアクリスタルの件が終わったら面談するつもりだったんだが、俺が入院して退院してからってことになったんだよ。俺の都合で待たせるの悪いから、山川さんに任せたかったんだけど、俺が面接しろって聞かなかったしな。

 まあ、優秀なスタッフに恵まれてホント助かってるよ。そういや、蘭ちゃんの方は元気にしてるのか?」

 

「うん。蘭姉ちゃんは元気だよ。白銀さん達のおかげで、怪我も無かったしね。今は、今度高校である文化祭の劇に向けて練習頑張ってるよ」

 

「ああ、そういや姫役をするんでしたっけ? 僕達にも報告に来てましたよね、蘭さん」

 

「蘭ちゃんの姫役って絶対録画したいよな。お兄ちゃんも来てくれない? ってお願いされたし、なんとかスケジュール開るようにはするつもりなんだが・・・」

 

「僕は無理だが、お前は絶対に行かせるようにするさ。でないと、蘭さんが悲しむからな。それに文化祭に参加するぐらいの時間はあるだろう」

 

「まあ、それもそうだな。高校の文化祭とかめちゃくちゃ久しぶりだし、楽しむとするかな。

 そういやここの看護師にもOGの人らがいて、劇がすごく面白そうだって聞いたな。これは、蘭ちゃんの晴れ姿を絶対録画せねば!」

 

「まったく・・・身内のことになるとホント見境無くなるよな。ん? ちょっと外に出てくる。知り合いから電話だ」

 

「ほいほーい。30分以内には戻って来いよ。看護師さんが健康観察で来るぞ」

 

「お前じゃないから、ちゃんと戻ってくるさ。それじゃあ、行ってくる」

 

 そう言い、透は外に出て行った。おそらく仕事関係の連絡だな。やれやれ、公安に指示する立場は大変だねえ。

 って今のうちにコナンと話しとくか。

 

「それで、コナン。なんか相談したいことがあるんじゃないのか?」

 

「凄いね、白銀さん。分かるんだね。実は蘭の奴が俺の正体に感づき始めてるんだ。

 俺が入院する時に俺と同じ血液が不足してたんだけど、蘭の奴がすぐに俺と同じ血液型ですって輸血してくれたんだよ」

 

「なるほどな。それだけで判断するにはまだ早いんじゃないのか?」

 

「それだけじゃないんだよ。米花シティービルやアクアクリスタルの件も含めて怪しまれてるんだよ。行動が小学生らしくないってな。

 俺も事件のことになると自分を抑えれないってのが悪いんだけど」

 

「なるほどなー。それで対策は何か考えてんのか?」

 

「白銀さんにお願いなんだけど、工藤新一に変装してくれない? 俺に変装した白銀さんとコナンが一緒にいる所を見せれば蘭の疑いは晴れると思うんだ。白銀さんなら変装できるでしょう?」

 

「変装はできるが、学園祭で顔を曝すってのは、あんまりオススメしないぞ。誰が見てるか分からないし、黒の組織に情報が漏れたりでもしたら、お前の周りや哀ちゃんに危険が及ぶようになるからな。

 哀ちゃんは何て言ってるんだ昨日の夜に病室で二人で話してたみたいだが?」

 

「やっぱりそうだよな・・・。って気づいてたの!? 白銀さん? すごいいびきかいてるから完全に寝てるのかと思ったんだけど。安室さんも同じだったし」

 

「透の奴も気づいてたけど、黙ってたパターンだな。あいにく物音には敏感だからな。こそこそしてても気づくよ。

 まあ、俺と透だから気づいたってのもあるんだが。聞かれたくないことを話してるんだろうなって思ったよ。

 あと哀ちゃん、俺の近くに来てたよな? 哀ちゃんが近くに立ってし、ほっぺたはつつかれるしすげえ気になったんだけど」

 

「あれも気づいてたのかよ。ってか、それ絶対灰原に言うなよ。あいつ顔真っ赤にして怒るから」

 

「そうなの? コナンと話してる時はそうでもなかったのに、俺を弄ってる時は、すげえ機嫌良かったよな。小さい声で鼻歌歌ってたし。

 いったい何だったんだあれ? 俺何かしたっけな? アクアクリスタルの件についてはさんざん怒られて許してもらったしなー。

 なあ、コナン、何でか理由わかるか?」 

 

「あはは・・・白銀さんてホント鈍感だよね。これは、灰原の奴苦労するな・・・・。

 アイツ特につんけんしてるし、余計に苦労するぞ。さあ、灰原に素直に聞いてみればいいんじゃないかな?」

 

「うーん。それが早いか? 哀ちゃん素直だから、聞いたらすぐに教えてくれそうだなってどうした? そんな驚いた顔をして」

 

「灰原が素直!? 絶対無いだろ!? どう見たらアイツがそう見えるんだ!?」

 

「哀ちゃん素直だろ。口だと真逆のこと言ってるけど、態度みてるとすぐ分かるぞ。それに俺に対しては言葉をまっすぐぶつけてきてくれるから、素直だと思うぞ。美樹ちゃんと一緒にいる時なんか凄く素直だから、一回見てたらどうだ? あの時の哀ちゃんってめちゃくちゃ可愛いからな。

 いっつもほっこりしながら、見てるよ。あの姉妹のやり取りって俺の心のオアシスなんだよ。あと、夏美ちゃんと幸ちゃんのやりとりもめちゃくちゃ和む。それを取り上げられると、俺の心はどんどんすさんでくね!」

 

「・・・白銀さんちょっと落ち着いて! 灰原がそんな感じなの全く想像できないんだけど。絶対嘘でしょ? げっ!」

 

「嘘じゃないよ。ああ見えて哀ちゃんすげえ可愛いんだぜ? デザート作って食べさせた時とか、比護選手関係の時とか、美樹ちゃんといる時とかいろいろあるぞ? 語りだしたら止まらなくなる自信があるね!」

 

「へぇ・・随分と楽しそうに面白い話してるじゃない、白銀さん」

 

「はい・・・?」

 

 声がした方に振り向いてみると、苦笑いしている美樹ちゃんと、真っ赤な顔でプルプルしている哀ちゃんがいた・・・・・・・・

 

「美樹ちゃんに、哀ちゃん? いつ来たの・・・?」

 

「あはは。えーとコナン君と話初めてからぐらいですかね。哀ちゃんと一緒に偵光君の見舞いに来たんだけど、タイミング悪かったかな?」

 

「マジっすか・・・? 初めからじゃないですか。哀ちゃん? これには訳があるんですよ?」

 

「私が夜、あなたの寝顔を見てたのも気づいてたのね。それに私が恥ずかしいと思っていることをペラペラと江戸川君に話していたのね。

 江戸川君も私のことをどう思っているかがよく分かったわ・・・・。白銀さんは、ベッドの上に正座。怪我はもう治ってるから大丈夫よね?」

 

「え・・・俺だけ? 哀ちゃん? 一応俺達入院患者なんだけど・・・」

 

「正座しなさい♪ 怪我治ってもう元気なのは分かってるわ。美樹さんににもちゃんと容態は聞いてるんだから。

 貴方には、女心の勉強が必要なようね♪ しっかり教えてあげるわ♪」

 

「美樹ちゃん、助けて! 哀ちゃんが凄く怖いんだけど!」

 

「あー、すみません。こうなったら私にも止めることができません。ごめんなさい。哀ちゃんが落ち着くまでどうにもならないです」

 

「そんなぁ! コナン! 何とかしてくれよ!」

 

「ごめん、白銀さん。俺にも灰原を止めることはできないや」

 

「何をごちゃごちゃ言ってるのかしら? だいたいあなたはねえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「ちくしょう! 二人ともあんまりすぎるだろおぉぉぉぉぉ!」

 

 俺は透や、コナンを迎えに来た毛利さん達が来るまで、哀ちゃんに病院ないで正座で説教されるのだった。

 



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帝丹高校学園祭殺人事件編
44話


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 今回から新章開始です。


<山川光side>

 

 アクアクリスタルの一件が解決し、偵光と安室が退院し、新メンバーの補充も終えて。その新メンバーについて偵光、俺、萩原、松田、灰原さんの5人で会議をしていた。

 

「それで偵光、確認したいんだが、伊達と米原さん、瀬戸さんは分かるが、イレイナさんは入れて良かったのか? このイレイナさんは・・・」

 

「ああ、黒の組織のキュラソーだろ。ラムの腹心だっけか? おそらく組織の方から、ベルモット、バーボンに続いて俺の近くに忍びこませようとしたってとこだろうよ」

 

「大丈夫なのか、白銀? クリスさんや安室とは訳が違うぞ? 

 もともと知り合いって訳でもないし、下手すればお前が襲われるんじゃないのか?」

 

「そこは大丈夫でしょ。クリスと透の奴が目光らせてるし、黒の組織のボスも俺とこと構えるのは嫌がってるはずだ、ピスコの一件があるしな。

 それに、どちらかといえば、俺を組織側に引き入れたいってとこだろう。

 俺を消すつもりなら、ベルモットとバーボンにとっくに指令を下してるはずだ。ウチの探偵事務所に入れて、さらに情報を仕入れるためにパイプ作ったって考えだろうが、そうそう上手くはいかないようにしてあるんだよね」

 

「そんな気楽に考えてて大丈夫なの、偵光君? 私は凄く心配なんだけど・・・。ラムの腹心まで来るってことは本腰入れて来てる可能性が高いよ?」

 

「大丈夫、大丈夫。組織が本格的に動き出したとしても、やりあう準備はできてるしね。

 俺達だけじゃなく、こそこそ周辺を嗅ぎまわってる公安警察とFBI、CIAも引っ張ってきて、組織とぶつかり合うようにするさ。あの人ら、どうして俺の周辺嗅ぎまわってるんだろう? 

 もしかして、俺も組織の一員だって思われてる? いや、まあクマちゃんスーツの中の人は組織を裏切ったってなってるから別に良いんだけど・・・。 

 俺って警察にマークされすぎじゃない? 俺よりコナンとかマークするべきだと思うんだけど」

 

「そりゃあ、これだけの人材が白銀の周辺に集まってるわけだから、マークされるに決まってるだろう。黒の組織の幹部であるコードネーム持ちが二人も近くにいるんだからな。

 それを除いても、ハイスペックな人材があつまりすぎなんだよ。俺達のせいで警察辞めた人の再就職先みたいな感じにも思われてるからな。

 白銀がOK出した人しか採用されてないから、変な奴が入り込む心配はしてなかったんだが、普通組織の構成員自分の近くで雇うか?」

 

「キュラソーはこっち側に引き込むつもりだからな。キュラソーは俺と共に当分は働いて貰うよ。好きなようにさせるつもりは全くないからね。すんごく燃えてきたよ」

 

「所長が気合入ってるなら心配ないな。むしろキュラソーも逆に鍛えられて面白いことになるかもな。

 それで、所長と当分組むってのは分かったが、学園祭の出張店舗にも連れていくのか?」

 

「もちろん♪ 料理できるって言ってたしね、イレイナさん。とりあえず、俺とイレイナさん、夏美ちゃん、後は瑞希ちゃんは確定かな」

 

「瀬戸さんも連れていくんですか? 大丈夫なんですか? 入社したばかりですよ?」

 

「うん♪ あの子、俺に並ぶぐらい、なんでもこなすから大丈夫。ホント今回ハイスペックな人材を四人も確保できて良かったよ。桜子ちゃんと伊達さんは、山川さん達でしっかり研修教育してあげて。

 ここで働くってことは、間違いなく事件に巻き込まれる可能性が高いから、身を守る術を身に着けて欲しいしね」

 

「了解した。今回店舗のスタッフは5人だっただろう? もう一人はどうするつもりなんだ? 安室か?」

 

「いいや。透はクリスと誰かに変装して学園内にまぎれ込むはずだ。クリスが工藤新一周りを嗅ぎまわってるからな。その工藤新一は学園祭に出るつもりなんだが・・・」

 

「そういえば、哀ちゃんが解毒薬の試作ができたって言ってましたね。学園祭に出るって大丈夫なんですか? 

 ベルモット、安室君、キュラソーが会場にいるなら、もしバレたら大変なことになるんじゃないんですか!?」

 

「ああ、そこは、俺がフォローするから大丈夫。クリスの奴にアホなことさせない為にも、今回動くつもりだしな。

 透はその点はあまり心配してないし、キュラソーのほうに関しても、工藤新一が生存してるのがバレたときは、それ以上の情報を教えるから大丈夫さ」

 

「おい、偵光。それ以上の情報ってまさか、クマちゃんスーツの中の人物がお前だって言うつもりなのか?」

 

「え、そうだよ? よく分かったね」

 

「やっぱりか・・・。キュラソーをこっち側に引き込むって言った時点で悪い予測はしてたんだが・・・」

 

「おいおい大丈夫なのか!? キュラソーに組織にリークされたら終わるぞ?」

 

「なるほどな。そうさせないように、キュラソーの弱みを握ってるんだな、所長?」

 

「まあね。そうせざるを得ないようにする為の交渉は得意だからね。

 新一君がバレても、組織に言わないってして俺もばらさないようにできるのが一番なんだけどそればかりは分かんないからね」

 

「その時の状況にならないと分かんないってことですね。それで話は戻るんですけど、もう一人は誰が手伝いで行くんですか? お菓子作り出来るスタッフってなると限られますよねって、はーい、どうぞ!」

 

 扉がノックされたので、そこで話は中断され、灰原さんが入室を促した。部屋に入ってきたのは、岳野さんだった。おや、珍しいな。

 

「失礼するわね。もしかしてお邪魔だったかしら?」

 

「ありゃ、ユキさんどうしたの? みんなでお茶しながら休憩してたから大丈夫だよ」

 

「さっき幸さんから聞いたんだけど、帝丹高校にサマーライトの出張店舗出すのよね?」

 

「うん、出すよ。帝丹高校の学園長から出して欲しいってお願いあったからね。俺と透、美和子や由美も帝丹高校のOB、OGで学園長のことは当時から知ってるしな」

 

「白銀さんって帝丹高校の出身だったのね。スタッフは誰なの? 足りてるの?」

 

「俺、夏美ちゃん、イレイナさん、瑞希ちゃんは決まったよ。あと一人が、透呼ぶつもりだったんだけど、予定があって無理だったんだよ。

 それでもう一人誰にしようかな?って迷ってたんだよ。山川さん達や香奈ちゃん、幸ちゃん、美樹ちゃんは他の仕事が入ってるし、最悪4人で回すかなって思ってたところかな」

 

「そうなのね。なら私もスタッフとして参加しても良いかしら? 

 学園祭の日は、ちょうど仕事も休みで暇だったし、料理やお菓子作りは趣味でしてるから自信あるし、サマーライトのお菓子作りしてる、白銀さんと夏美さんを近くで見て見たかったのよ」

 

「せっかくの休みなのに良いの? それに、ユキさん有名だから、サインとかねだられるかもよ?」

 

「その時は白銀さんが守ってくれるでしょ。何よ? そんなに私に手伝って欲しくないの?」

 

「いや、そんなことないよ。凄く助かるし、嬉しいよ」

 

「そう♪ 休憩時間とかは、交代で取るのよね?」

 

「そのつもりだよ」

 

「分かったわ。なら、休憩時間は学園祭一緒に見て回りましょうね、白銀さん♪ それじゃあ、詳しいことが決まったら、メールちょうだいね」

 

 そう言い、彼女は退出していった。もしかして岳野さんもなのか・・・?  いつの間にあんなことになったんだ? 

 意地悪していった可能性も高いか。灰原さんは、すんごいジト目であきれてるな。

 

「偵光君って相変わらずですよね。まあ、慣れましたけど。ユキさんもこれは、今回の件でいよいよかなあって気がします」

 

「ホントすげえよな、ウチの所長って」

 

「どうして白銀ばかり人気が出るんだよ、ちくしょう」

 

「はあ。ホントお前って昔からそうだよな。もう慣れたが」

 

「あれ!? なんかみんな凄く呆れてない!? スタッフ確保できたのに素直に喜べないよ!」

 

 偵光がいつもどおりなのを、俺達は笑いながらみんなで弄り楽しむのだった。

 

 

<山川光side out>

 

 

 

 

 

<イレイナside>

 

 

 私がラムから指令を受けて、白銀探偵事務所の面接を受け、潜入するようになり1週間が経ち、高校の学園祭へと参加し準備を行っていた。

 黒の組織にいる私が、高校生の学園祭に参加するとは思わなかったわね。こんな雰囲気は初めてだから新鮮ね。 

 私がこの事務所に入って分かったことだが、所長やスタッフがみな優秀すぎて、普通の人間にはなかなかできないことを平然と行い、すごい勢いで仕事を捌いていっている。

 その中でも抜きんでているのが、所長、副所長の二人だ。この二人は別格で特に凄いのは所長の方だ。人材の適材適所を瞬時に見抜き、その人が最大限の力を発揮できるように人を動かしている。

 その上、自分も平然と仕事をこなしていき、たくさんの事件に巻き込まれながらも事件を解決していっている。頭の回転も速く、運動神経も良く何でもこなしすぎて、こんな人間が実際にいるのかと驚いたものだ。

 彼にどこでその技術を身に着けたのか聞いてみたら、ベルモットが育ての親となりずっと鍛えられてきたらしい。ひどい時には無人島に飛ばされて1ヶ月ほどサバイバル生活などを行っていたらしい。そういうのを繰り返していくうちに自然と身に付いたそうだ。

 その話を聞き、私はベルモットに彼にもう少し優しくしたらどうなのか?と聞いたら

「彼を甘やかしたらダメよ。それに私は偵光には十分優しくしてるつもりよ。私の方針に意見言わないでもらえるかしら? ああ、それと偵光に手を出したら分かってるわね? 貴方を殺すわよ、キュラソー」

 と言われ、ベルモットが相当、彼のことを溺愛していることが分かった。

 もともと、私は白銀偵光をどうこうするつもりはない。彼を敵に回すと、間違いなく組織が終わるということが、ここに所属してたった1週間だがよく分かった。彼はおそらく私の正体に気づいた上で、私の教育係をしている。正体に気づいた上でどうにかできるという自信があるのだろう。彼に手を出した瞬間私の方が消されそうね・・・。

 まあ、良いわ。ラムからの指令は彼をどうこうするって訳ではないし、大丈夫だろう。彼の抹殺指令が出たら、その時に考えましょう。 

 あら? 彼が他の作業を終えてこちらに向かって来るわね。

 

「イレイナさん、ケーキはどんな感じ?」

 

「白銀に言われた通り、ほとんど作れたわよ。味見してOKならこれで出そうと思うのだけど良いかしら?」

 

「了解! ちょっと味見させてもらうね。うん、充分だよ。

 それにしてもイレイナさんホントにケーキ作り初めてなの? 初めて作ったにしてはめちゃくちゃ美味しいし、俺が教えたことを一回で覚えて、実行するよね」

 

「貴方の許可が出たなら大丈夫ね。記憶力には自信あるのよ。それで、夏美とユキと瑞希の方は大丈夫なの?」

 

「あっちは大丈夫だから、こっちに来たんだよ。ぶっちゃけ、俺いる意味ある?って感じなんだけど・・・」

 

「何を言ってるのよ。白銀が全部段取りしてるから私達がのびのびと出来てるんじゃない。それで、開店はいつからなの?」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。ホント、イレイナさんや瑞希ちゃん達がウチに入ってくれて凄く助かってるよ。二人とも凄く優秀だから感謝しかないよ。

 開店は10時からだよ。一杯お客さんくるだろうから、相当忙しくなるよ。サマーライトの忙しさに比べたらマシだと思いたいなぁ」

 

「サマーライトの方は大丈夫なの?」

 

「お店の方は大丈夫だよ。香奈ちゃん、山川さん、桜子ちゃん、美樹ちゃんで周してくれてるはずだからね。桜子ちゃんも新人なのに、家事スキルは凄くハイスペックだからホント助かるよ」

 

「この事務所って何でもできる人が集まりすぎで驚くことばかりよ。一番驚いたのは白銀になんだけど」

 

「そう? 俺なんか全然そこらにいる一般人だよ?」

 

「先生が一般人なら、私達が一般人じゃなくなりますよ、もう。あ、イレイナさんのケーキできたんですね。これが味見用ですか? いただきますね! わぁ! すごく美味しいです!」

 

「夏美まで来たのね。貴方達に褒めてもらえるなら光栄ね。それに、夏美の意見には同感よ。白銀は一般人に当てはめられないわね」

 

「二人とも酷くない!? ってか夏美ちゃん、こっちきて良かったの? 瑞希ちゃんとユキさんは?」

 

「二人は準備も終わったので開店時間までゆっくりしてもらってます。ほら、向こうにいますよ」

 

 夏美の示した方向を見てみると、スタッフ用のテーブルに座り、お菓子を食べながらこちらに向かって手を振っていた。

 

「しっかり満喫してるね。イレイナさんの準備も終わったし、俺達も少しお茶しながら休むようにしようか。夏美ちゃん、イレイナさん」

 

「そうですね。瑞希ちゃん達も呼んでることですし、行きましょう」

 

「ええ、分かったわ」

 

 そうして私達は、開店時間になるまでのんびりしながら時間をつぶすのだった。

 

 

<イレイナside out>

 



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45話

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<瀬戸瑞紀side>

 

 帝丹高校の学園祭が始まり、昼時をすぎてようやくサマーライトの客足も落ち着いてきて、二人で回せるから、少しゆっくりしておいでと白銀さんから言われ、私、イレイナさん、ユキさんの3人は少し休憩しています。

 それにしてもさっきまでの忙しさは目が回るようでした。私達は少しぐったりしているのですが、白銀さんと夏美さんはケロッとして、今もてきぱきと仕事をこなしてます。あの人達は疲れないのでしょうか?

 

「ふえー、白銀さんと夏美さんすごいですね。あれだけ忙しかったのに、今も平然と仕事こなしてますよ! 疲れてないんですかね?」

 

「さあ? 慣れてるんじゃないの? 店の忙しさはあれ以上だって言っていたしね。私も芸能関係の仕事で体力にだけは自信あったんだけど流石に疲れたわ。それにしても・・・」

 

「あの二人のコンビネーション凄いわね。お互いに声かけとかせずに、動いてるわ。あれは私でも無理ね。

 私も身体鍛えたりしてたから体力には自信あったんだけど、接客がこんなに大変だとは思わなかったわ」

 

「イレイナさんって接客初めてだったんですよね? それにしては凄い慣れてましたよね?」

 

「ああ、あれは白銀に教わったのよ。これだけ覚えてくれれば大丈夫だからってね。彼教え方も上手で、覚えやすかったわ。

 探偵事務所の所長が、ああやって店でデザート作ったりしているってのには驚きを隠せなかったけど」

 

「白銀さんって、ホント万能よね。私もこの会社で働くようになってから彼の凄さには驚かされてばかりよ。なんでもこなしすぎなのよね。ほとんどのことを自分でするから、働きすぎってみんなに止められているのが日常茶飯事だったらしいわよ。

 最近は人員が増えたから分担できるようになったって、泣いて喜んでたらしいわよ。イレイナさんや瀬戸さん達が入った時はとくに喜んでたわね」

 

「そうなんですか! そういってもらえて凄く嬉しいです。正直ここで働き始めて、役にたてるかもの凄く不安だったんですよね。

 入ってみたら、白銀さん含め良い人達ばかりで、皆さん優しいですし、すごく働き甲斐があって、頑張ろう!って気持ちになります。

 ただ、女性陣に白銀さんには気をつけろって言われたのはいったいどういう意味なんでしょう?」

 

「瑞紀も言われたのね。私も言われたのよ。あれっていったいどういう意味なのかしら? ユキは知ってるの?」

 

「あらら。そんなこと言われてたのね。心配しなくても大丈夫よ。危険人物じゃないのは、彼を見てると分かるでしょう? 凄く良い人なんだけど、一つだけ欠点があるのよ」

 

「欠点ですか? 白銀さんには、全然そんな部分無さそうに見えるんですけど」

 

「なるほどね。欠点って、女性にやたら人気なことが関係してるのかしら? ウチの事務所と会社って、白銀のことが異性として好きって人が多いわよね? 彼の周辺を観察していたら、よく分かったわ」

 

「へえ、凄いわね。よく分かったわね。イレイナさんの言うとおりに白銀さんのことを好きな人多いのよね。ヨーコや輝美なんかもそうだし。

 他にもたくさんいるしね。公式のファンクラブなんかもあるみたいよ?」

 

「ほえー、ファンクラブもあるなんて凄いですね!」

 

 あの人、ファンクラブまであるのかよ。ホント昔から凄い人気だな。父さんの弟子してた時から知り合いだが、ホントに人間なのか?って心配になるんだよな。

 俺の変装も即座に見破ったしな。父さんの弟子で、自分に並ぶ逸材だって豪語してたらしいからな。母さんとも知り合いみたいだし。その伝手で、白銀さんの事務所に入ることになった訳だが、あの人以外もハイスペックすぎませんかね!? 研修受けさせられたけど、一般人が受ける研修じゃなかったぞ! 護身術に爆弾の解体方法に、船や飛行機の操縦技術等、習わせられるとかありえないだろ! 

 白銀さん達が受けたのは、もっとハードだったらしいのだが、どんな研修受けてきたんだ、あの人ら? 俺と同時期に入った、イレイナさんも女性なのになぜか同じ研修受けてたし、俺達に将来何かの操縦とかさせるつもりなのか? その可能性は高そうだよな。

 今回の出店もまさかメンバーに選ばれるとは思って無かったんだが。何考えてんだ、あの人? って考えすぎると、イレイナさんに怪しまれるな。

 この人も、安室さんやクリスさんと同じで絶対訳ありな感じがするんだよなぁ・・・

 

「あら、瀬戸さん何か考えごと? それとも、白銀さんの破天荒ぶりに驚いてるってとこかしら?」

 

「いえ、ファンクラブもあるぐらいなので、あの人気もうなずけるなと思っていたところです。ユキさんは白銀さんのことどう思ってるんですか?」

 

「そうね。命の恩人って思ってるわね。ヨーコ達みたいに恋愛感情は無いわよ」

 

「あら、そうなの? 薫がユキのタイプにまんま当てはまるから、今回の学園祭で進展があるはずだから、何かあったら教えてって頼まれたのだけど」

 

「えー、そうなんですか!? それは私も気になりますね! 白銀さんとユキさんの動向に注目しておかないと!」

 

「ちょっと、何言ってるの!? 薫ったらそんなこと言ったりしてたの? 帰ったら色々お話しないといけないわね。

 確かに薫の言う通りにタイプには当てはまりそうだけど、好きになってるとかそういうのは無いわよ。今はね・・・」

 

「凄く気になる言い方しますね、ユキさん! 今はってことは、もしかして好きになる可能性があるってことですか?」

 

「さあね。そればかりは分からないわね。イレイナさん、どうしたの?」

 

「いえ、さっきユキが命の恩人って言ってたじゃない? あれってどういうことなのか聞いても良いかしら?」

 

「ある事件でね。自殺しようとしてたのを白銀さんに助けられたのよ。私の命があるのは彼のおかげね。

 今は死のうとか全然考えてないから安心してちょうだい」

 

 おいおい、ユキさんも訳ありな感じじゃねえかよ、おい・・・。あの所長、命の恩人っていったい何したんだ!?

 

「そうだったのね。彼に助けられたって人が多いのね。夏美や美樹、由美とかクリスもそう言ってたから、たくさんの人を救ってるのね、白銀は」

 

「そうなんですよ。先生ったら、助けるのは良いんですけど、いつも無茶して大けがしちゃうんですよ」

 

「夏美さん!? こっち来て大丈夫なんですか?」

 

「先生に休憩入って、学園祭を見ておいでって言われたんですよ。ユキさんはお店に戻ってもらえますか? 先に私とイレイナさん、瑞紀さんが休憩に入って、一時間半後に交代しますので。人手が足りない時は、私に連絡するように先生に言ってるので、心配しなくても大丈夫ですよ。

 なので、一緒に出店とか見て周りましょう! 私こういうの初めてで凄く楽しみにしてたんですよ♪」

 

「ええ、分かったわ。それじゃあ、私は店に戻るわね・・・って何よ。三人ともそんな見てきてどうしたの?」

 

「いえ、ユキさん凄く機嫌が良くなったなと思いまして」

 

「たしかにうれしそうね」

 

「そうですね♪ 先生と一緒で嬉しいんですか?」

 

「ああ、もう、うるさいわね! 余計な詮索は辞めてよね! 貴方達は、しっかり楽しんできなさいよ! それじゃあね!」

 

「ユキさん顔紅かったですね。あれで好きじゃないってホントなんですかね?」

 

「さあね。まあ、気になってはいるって所かしら、夏美? 貴女仕組んだでしょう?」

 

「あ、分かりました? 実は薫さんから頼まれてたんですよ。ユキさんに素直になって欲しいから協力してくださいって」

 

「夏美は良いの?」

 

「私は大丈夫ですよ。先生を好きな人が増えて嬉しいですし、先生が人気なのにはもう慣れましたからね。

 先生が鈍感で、こちらの気持ちには気づいてもらえないってのが難点ですが」

 

「うーん、そうですかね? 白銀さんは気づいてそうな気がするんですよね。あの人の洞察力なら、絶対気づいてもおかしくないはずなのに」

 

「私達がどう予想したって意味が無いわよ。

 それより、早く動きましょう。学園祭周るんでしょう? 休憩時間すぐに無くなるわよ」

 

「そうですね、急ぎましょう! お金も先生から預かってるので、予算も気にしなくて大丈夫ですから、二人とも気になったものとかあれば遠慮なく言ってくださいね!」

 

「ホントですか!? 白銀さん太っ腹ですね! 早く見て周りましょう、夏美さん、イレイナさん!」

 

 二人にそう言い、休憩に入り学園祭を見て周るのだった。

 

<瀬戸瑞紀side out>

 

 

<香坂夏美side>

 

 私は今、イレイナさん、瑞紀さんの二人と一緒に学園祭を見て周ってる。二人は呆れたような感じで私の方を見ていた。

 

「二人ともどうしたんですか?」

 

「いえ、夏美さん凄くいっぱい買ったなって思いまして」

 

「夏美買いすぎよ。ほら、落としそうになってるわよ。ああ、少し持ってあげるから、そのぬいぐるみとか貸しなさい」

 

「わわっ、ありがとうございます、イレイナさん」

 

「私も少し持ちますよ、夏美さん」

 

「すみません、瑞紀さんも助かります。初めてだからついつい色々買っちゃいました。それにしても凄い人ですね! あれ? 何か注目されてないですか、私達?」

 

「イレイナさんはお綺麗ですし、夏美さんも綺麗でそんなに大きなぬいぐるみとか食べ物とか抱えてたら注目されちゃいますよ」

 

「あら、瑞紀だった充分可愛いわよ。一番注目されている要因は夏美でしょうけど。お祭りに来てはしゃいでいる子供にしか見えないわよ?」

 

「え!? 私ですか? もしかしてどこかおかしいですか!? 先生もお祭りの時はこんな感じだって聞いてたから、てっきりこれが普通なのかと思ったんですけど」

 

「あはは。白銀さんもお祭り行くとそんなイメージがありますね」

 

「白銀を参考にしない方が良いわよ。普通の大人はそこまではしゃがないわよ」

 

「ええーそんなぁー」

 

 私はこれが普通でないことを知り恥ずかしがりながら喋っていると

 

「あれ? 夏美さん?」

 

「ちょっと、蘭? どうしたのよ?」

 

「あら、蘭さん! こんな所で会うなんて奇遇ですね!」

 

「それはこっちのセリフですよ! ウチの学園祭見に来てくれたんですね!」

 

「休憩の合間に見てまわってたんですよ」

 

「あ! そういえば、サマーライトの出張店舗やってるんでしたよね! 私達今から、向かおうとしてた所なんですよ」

 

「ちょっと、蘭! 紹介してよ!」

 

「ごめん、園子! こちら、サマーライトの店長で、香坂夏美さん。お兄ちゃんの会社で働いてる従業員さんなんだよ! そちらの二人は初めてお会いしますよね? 初めまして、毛利蘭です。よろしくお願いします」

 

「初めまして! 蘭の親友の鈴木園子です!」

 

「初めまして、園子さん。香坂夏美と申します。

 こちらは、最近入社されたイレイナさんに瀬戸瑞紀さんです。今日はこの二人もお店の手伝いをしてるのよ」

 

「初めまして。イレイナよ。よろしくね、二人とも」

 

「初めまして、瀬戸瑞紀です! よろしくお願いします!」

 

「蘭も大変ねえ。気になってるお兄ちゃんの周りに美人が多くて。にしし」

 

「ちょっと、園子! 何言ってるのよ! 別にお兄ちゃんはそんなんじゃないってば!」

 

「とんでもないダークホースが現れるとは流石に私も予想してなかったわ。さてと、蘭の気になる人も見てみたいし、早く行きましょう! 

 良かったら三人も一緒にどうですか? サマーライトのオススメメニューとか教えてもらいたいです」

 

「そうですね。学園祭も楽しめたし私達も休憩時間終わるまで店でのんびりしてましょうか。イレイナさん、瑞紀さんもそれで良いでしょうか?」

 

「私は大丈夫ですよー。ちょっと疲れたのでのんびりしたいなと思ってたんですよ」

 

「私も同意見ね。ゆっくり休みたいわ」

 

「それじゃあ、店に行ってのんびりしましょうか」

 

「やったー! 早く行きましょう!」

 

「もう、園子! なんか無理に付き合わせたみたいですみません」

 

「いえいえ、気にしないで大丈夫ですよ。それじゃあ、行きましょうか」

 

 私はそう言い、白銀さん達の所へと戻るのだった。



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46話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 
更新を再開していきたいと思います!
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 これからもこの作品をよろしくお願いします! 



<偵光side>

 

 客のピークが終わり、夏美ちゃん達が休憩に行ってから、ユキさんと二人で店をまわしており、厨房でのんびりしていた。

 いやあ、さっきまでの客の多さが嘘のようだな。今は店内に二組の客しかおらず、のんびりと接客できている。いつも、このぐらいなら楽なんだけどな。オーダーも入ってこないから、新しい客も来てないな。

 ってか、ユキさんだけで回せるんじゃないか? あの人マルチタレントが本職のはずなんだけど、今も店で働いてるの?ってぐらい、すごいんだけど。タレント業の合間にサマーライトも手伝ってもらうかなー。

 仕事に余裕がある時だけだけど。瑞紀ちゃんも、イレイナさんも料理とか普通にできるし、店を合間に手伝ってもらうようにしようかな。探偵業の方も、イレイナさん、瑞紀ちゃんの頭の回転の速さは助かるからな。

 桜子ちゃんの方は、事務仕事と店の仕事をメインに覚えてもらって、マネジメント関係もやってもらうようにしてもらおう。

 ホント、優秀な人材が一気に三人も増えて嬉しいんだけど、俺の死亡フラグが乱立されやすくなったんだよなぁ。

 瑞紀ちゃんは、快斗君が変装してる姿だし、怪盗の仕事とか近くでされたら絶対他にも事件起きるよ? 

 快斗君のスペックは事件解決できるぐらいあるし、さらに鍛えて頑張ってもらおう。師匠からも面倒見てくれって頼まれてたし。

 イレイナさんの方は、どうしてウチの事務所入ったか分かんないんだよなぁ。予想では、黒の組織の幹部ラムからの命令って所が一番可能性ありそうなんだが、俺をどうしたいのかが読めないんだよな。てっきり暗殺しに来たのかと思ったが、そんな雰囲気は無いしな。俺の事を探ってるって感じはあるけど、全然踏み込んでこないし、ってかむしろ警戒されてる気がするんだよな。何かしたっけ? イレイナさんに付きっきりで仕事教えてあげてるだけなんだけどなー。

 そのおかげで、クリスの機嫌はすごく悪くなってるんですけどね! イレイナさんといると、凄い冷めた目で見られるんですよ!あんな目で見られ続けたらメンタルやられるんですよね! おそらく心配してくれてるんだろうけど、無言の圧力が凄くて怖いんだよ! 

 こりゃあ、どっかで機嫌取らないと不味いかな。それはおいおい考えよう。

 今はそんなことよりも、新一君が暴走して素顔とかを曝さないように動かないといけないんだよな。哀ちゃんから、絶対にバレないようにしてって頼まれたし。哀ちゃんの方は、俺がコナンに変装させたからバレる心配はないんだが、新一君の場合は黒衣の騎士の仮面取ったりしたらバレるからなー。仮面は取るなって釘刺したから大丈夫だと思いたいが、心配なんだよな。

 事件とか起こったりしたら、絶対仮面取るよね、あの子? 学園祭だから事件は流石に起こらないと思いたいんだが、俺と新一君がこの学校にいるからな。八割がた何か起こりそうな気がする。事件なんて起こらなくて良いのに、どうして俺が出かけたりしたら事件が起こって巻き込まれるんだよなー。

 あれ? もしかして、俺の方が事件を呼び寄せてる? ははは、まさかねー。うん、ないない。俺は平和に暮らせるのが一番なんだ!

 

「何、ボーっとしてるのよ?」

 

「いひゃいよ、ユキさん。どうひたの?」

 

「あら、白銀さんのホッペ凄くプニプニね。これはなかなか癖になるわね・・・って、こんなことしてる場合じゃなかったわ。

 新しいお客が来てオーダーが入ったのよ。サンドイッチセットとケーキセット一つずつよ。あそこのカップルさんね。凄い美男、美女よ」

 

「カップル? あの人達は、この学校の教師だね。ほら、生徒達に先生って呼ばれてるし。サンドイッチセットとケーキセットね。すぐに作ったら俺が持ってくよ」

 

「ホントだわ。先生だったのね。良いの? 私が持って行こうか?」

 

「大丈夫だよ。ユキさんはゆっくりしてて」

 

 あのカップルって変装してる、透とクリスじゃねえか。俺と目合って驚いてたし、こっちはすぐに気づいたぞ? ってか、俺が店にいるってそういや言ってなかったわ。クリスと透に伝え忘れてたの今思いだしたわ。

 これ、後で俺の方が怒られるパターンじゃない? 怒られるの嫌だなぁ。特にクリスは最近家でも怖いんだよな。組織関係でピリピリしてるっぽいし、キュラソーが俺の近くにいるもんだから余計に気が気じゃないんだろうな。

 

「何見惚れてるのよ?」

 

「見惚れてないよ。知り合いかな?って思ったけど人違いだったよ。って、どうしたの、ユキさん?」

 

「白銀さんってああいう人の方がタイプなのかな?って思っただけよ」

 

「タイプ? うーん、ユキさんの方が俺は美人だと思うけどね。サマーライトの制服姿も似合ってるし。よし、完成♪ 

 それじゃあ、持って行ってくるね」

 

「ちょっと! ・・・・急にそんなこと言われるとビックリするじゃない。これにみんなやられていくのか・・・危険だわ。私はまだ負けないわよ・・・」

 

 俺は小声で何かを言っていたユキさんを背に、透たちの所へ料理を運んだ。すると、女性の方が話しかけてきた。

 

「あら? 随分と仲良しで楽しそうですね♪」

 

「お待たせしました。サンドイッチセットとケーキセットになります。笑顔なはずなのに目が笑ってませんよ、お客様? ってか、何してんだ、こんな所で」

 

「それはこっちのセリフよ、ねえ、透」

 

「そうですね。お前が帝丹高校の学園祭で働いてるって知らなかったんだが?」

 

「あははー。伝えるの忘れてました、ごめんなさい。ってか隠す気ないのね」

 

「偵光には変装した姿を見られたら、すぐにバレるんだから誤魔化すだけ無駄よ。今店にいるのは、ユキと二人だけみたいだけど、他にもいるの?」

 

「夏美ちゃん、イレイナさん、瑞紀ちゃんの三人は今休憩に行ってるよ。三人が戻ってきたら、俺とユキさんが休憩に入る予定。14時から蘭ちゃんの劇が始まるし、それまでは色々学園祭を周る予定なんだよ。

 って何だよ、その顔は」

 

「ふーん。保護者様を置いて自分は、可愛い女優さんとデートって訳ね。羨ましいわね、透」

 

「ええ、そうですね・・・・」

 

「デートじゃなくて休憩な。ったく、そんなことをわざわざ言いにきたのか?」

 

「分かってるわよ。偵光が可愛いからついつい虐めちゃうのよね。

 私達はただの気分転換とちょっとした調べものよ。その調べものについては・・・」

 

「聞くつもりねえよ。ってか、聞いても教えてくれないの分かってるからな。料理食べてゆっくりしていってくださいな。俺はそろそろ持ち場に戻るわ。これ以上話してると、ユキさんに怒られそうだし。

 それじゃあ、お客様、ごゆっくりとお召し上がりくださいませ」

 

 俺はそういい持ち場に戻り、透達が食事を終えて会計を終えて出て行くのを見送ると、入れ替わりで夏美ちゃん達が店に戻ってきた。ありゃ? 蘭ちゃんもいるな。

 

「あ、先生! 蘭さん達と一緒にお茶したいんですけど良いですか?」

 

「三人とも学園祭しっかり楽しめたみたいだね。うん、構わないよ。蘭ちゃんもいらっしゃいませ。五名様ですね。こちらの席にどうぞ」

 

 夏美ちゃん達を席に案内すると、ユキさんが水を持ってきてくれた。

 

「ありがとう、ユキさん」

 

「はい、どうぞ。蘭ちゃんも久しぶりね。夏美さんったら色々買ったのね。ぬいぐるみまで売ってたの?」

 

「お兄ちゃん、急にお邪魔してごめんなさい。ユキさんもお久しぶりです。お元気そうでよかったです」

 

「そうなんですよ♪ 先生とユキさんにもお土産ありますよ♪」

 

「ありがとう、夏美さん。蘭ちゃんは知ってるけど、そちらは初めてだったわよね。岳野ユキです。

 元アースレディースで、今は、そこにいる白銀さんの会社でマネージャー業やったりタレント業やったり色々なことさせて貰ってるわ。よろしくね」

 

「俺も初めまして。白銀偵光です。職業は探偵やったり、会社の社長したり、サマーライトのヘルプやったり色々しています。よろしくね」

 

「初めまして! 私は鈴木園子って言います! ちょっと蘭! 白銀さんってめちゃくちゃイケメンじゃない! しかも岳野ユキまでいるし、凄いわね! こりゃあ蘭が・・・わぶっ!」

 

「ちょっと、園子! お兄ちゃん達に迷惑かけちゃだめでしょう! ごめんね、お兄ちゃん」

 

「ははは。大丈夫だよ。園子ちゃんも蘭ちゃんも楽しそうにしてるから良かったよ。ね、ユキさん」

 

「そうね。そういえば、蘭ちゃん達は劇するんじゃなかったの?」

 

「14時から開始で、少し時間があったので園子と周ってたら夏美さん達と一緒になったんですよ」

 

「そうだったんだね。それにしても夏美ちゃん、たくさん買ったね。これ全部売ってたの?」

 

「はい♪ ぬいぐるみもたくさん種類ありましたよ!」

 

「マジで!? 俺も後で色々見て買ってこようっと。やっぱりこういうお祭りって楽しまないと損だよね。

 いつも買いすぎて、たいてい誰かに怒られるんだけどついつい買いすぎちゃうんだよね」

 

「夏美がたくさん買ってたのは、白銀の影響だったのね。夏美がこの状態だったから凄く注目されてたのよ」

 

「そうですねー。夏美さん、目キラキラさせて凄く楽しんでましたし、なかなか言えなかったんですよ」

 

「そんなに目立ってましたか? うー、すみません」

 

「遠慮せずに楽しめるのが一番だよ。俺もここの学生の頃、好き放題してたしね」

 

「え? お兄ちゃん、ここの卒業生だったの!?」

 

「そうだよ。俺と透、美和子に由美は高校ここだしね。学園祭も劇やったりしたんだよ」

 

「ちょっと、それ初耳なんだけど、白銀さん。どんな劇したのよ?」

 

「ああ、私知ってます! イケてるお姫様と囚われの王子様って劇ですよね! 

 前に由美さんから教えてもらって、実際にその劇見たいなってずっと見てみたいなって思ってたんですよ! 由美さんはタイトルと先生が主役だったことしか教えてくれなくて」

 

「お兄ちゃん主役だったの!?」

 

「イケてるお姫様と囚われの王子様って・・・・あ、思いだした! ウチの学校で、演劇部が行った伝説になってる劇よ! 歴代最高の数のお客さんがその時の学園祭を見に来てすごい人気だったって聞いたことあるわ! 白銀さんがその時の主役だったんですか?」

 

「あはは。今の校長や教頭は当時、先生してたからそりゃあ知ってるよな。それにしても伝説ってそんな大げさなもんじゃないんだけどな。ただ・・・」

 

「ただ、何なのよ?」

 

「色々とやりすぎたのは間違いないな。演劇部が廃部になるからどうにか助けてくれって、由美と美和子が友達から頼まれて、学年違う俺達も巻き込まれたんだよ。

 メイクとか衣装とか俺と透と景光の3人で気合入れすぎて相当クオリティ高いの作りすぎたし、クリスが演技指導に来てたから、学園祭でやる劇ってより、学園恋愛ドラマみたいな感じになったんだよ」

 

「へえ、クリスが演技指導してたなら凄い劇だったのね。私も見てみたくなってきたわね。白銀が主人公の王子様ってのは分かったけど、イケてるお姫様は誰が演じたの?」

 

「美和子だよ。満場一致で俺と美和子の配役は決まったからね。演劇部の連中もこの二人以外主役できないでしょ!って感じでな。

 美和子の奴はすんごい嫌がってたけど、まあそこは由美が上手いこと乗せてたよ」

 

「そうなんですね。白銀さんの劇の話聞いて凄く気になってきました。当時の映像とか無いんですか? 夏美さんや蘭さん達も見たいですよね?」

 

「お兄ちゃんの劇は確かに見てみたいかも。学生時代どんな感じだったのか気になりますし。ねえ、園子はどう?」

 

「私はもちろん見てみたいわよ。伝説の劇って聞いてから凄く気になってるのよ」

 

「私も映像があるなら先生の勇姿を見てみたいです!」

 

 うわぁ、夏美ちゃん、瑞紀ちゃん、蘭ちゃん、園子ちゃんがすんごい期待のまなざしで見てくるんですけど。ってかユキさんやイレイナさんもすんごい見てきますね! 

 当時の映像かあ。あるにはあるんだが、それを見るってなると暴走するのがまず1名、そして恥ずかしいのか怒り出すのが2名いるんだよなぁ。

 誰かって? 暴走するのはウチの保護者様です。目キラキラさせながら、俺のどこが良かったとか、このシーンの演技がどうとか、学生の頃の俺はどうだとかマシンガントークしだすからな。

 恥ずかしがって怒るのは、美和子と透の二人です。山川さんと由美は懐かしいなって笑いながら一緒に見てくれるだろうから、あの二人にばれないように、山川さんと由美に協力してもらうようにしよう。

 

「当時の映像は、クリスがビデオで撮ってて、ウチにあるからみんなの予定を合わせて事務所で見るようにしようか。

 あ、これだけは約束して。俺達の学園祭のビデオ見ることを美和子、透の二人には言わないように。あの二人に知られると俺が殺される・・・」

 

「あはは。佐藤さんと安室さんは、恥ずかしいから見ないでってことかしらね。まあ、みんな口は堅い方みたいだし大丈夫でしょう。

 それより、そろそろ私達も休憩に入りましょう。学園祭見てまわるんでしょう?  それに、私と約束もしたわよね?」

 

「ああ、はいはい。悪いんだけど、夏美ちゃん達お店お願いできるかな? 人手がいるようだったら、すぐに連絡して! 

 なんかトラブルとかあった時は、イレイナさんお願いね。蘭ちゃん達も劇頑張ってね。劇はちゃんと見に行くからね」

 

「分かりました! 先生達も楽しんできてくださいね!」

 

「分かってるわよ」

 

「蘭! ちょっと良いの? 白銀さんどうみたってこれからデ・・・」

 

「園子! う、うん! ありがとう、お兄ちゃん! また後でね!」

 

 蘭ちゃんどうしたんだろ? なんか相談事あったパターンかな? 後で顔出した時に聞いてみるかね。俺は夏美ちゃん達と別れ、ユキさんと学園祭を見てまわるのだった。

 



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47話

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<岳野ユキside>

 

 私と白銀さんは休憩に入り、学園祭を色々と見て周り蘭ちゃん達の劇の開始時間が近づいてきたので、体育館へと移動し席に座り劇の開始を待っていた。

 

「それにしても凄い人ね。みんな蘭ちゃん達の劇を見に来てるのよね? 凄い人気じゃない?」

 

「そうだね。園子ちゃんが大々的に宣伝したってところじゃないかな。鈴木財閥のお嬢様だし」

 

「そうなの!? 全然そんな感じには見えなかったけど。こんなに人がいたらドラマの撮影してるみたいな感じね」

 

「ああ、確かにその感覚に近いかも。それにしても、何かさっきから注目されてない? 気のせいなら良いんだけど」

 

「気のせいじゃないわよ・・・」

 

 私は隣にいる人物をジト目で見ながら答えた。ルックスは良く顔も知れている、サマーライトの従業員兼白銀探偵事務所の所長さんが、お面頭に付けて風船持って、スーパーボールが入った袋に可愛らしいぬいぐるみ達を手に抱えて飲み物飲んでたらそりゃあ注目されるわよ。

 さっきから、女生徒の「きゃあ! ギャップですごい可愛いんですけど! なんなのあれ!? イケメンなのに可愛すぎる!」って声ばかり聞こえるし、女の先生の一人が顔真っ赤にしてプルプルしながら見ていたし、いったい何なのよ。

 さっきの夏美さんもこんな状態だったわよね。楽しみ方教えたのはコイツだったかぁ。大の大人がここまで満喫してると、逆に凄く感じるわね。普段からの白銀さんのイメージからかけ離れてすぎてるんだけど。佐藤さん、宮本さんならこの姿知ってたんだろうなぁ。小学生の頃からの付き合いらしいし。

 ヨーコや薫もそういや祭りに一緒に行ったって言ってたから、白銀さんのこのスタイル知ってたんでしょうね。なんか、モヤモヤするわね。

 まあ、良いわ。今日は一緒に楽しめてるし、紳士的で優しくしてくれたし、約束も守ってくれたし、モヤモヤより嬉しい気持ちの方が大きいわね。それに、白銀さんが楽しんでるのに水を差す訳にはいかないわね。

 

「やっぱり気のせいじゃなかった? ん? 俺の事見てどうしたの、ユキさん?」

 

「別に。お祭り満喫してるなぁって思ったのと、白銀さんってこんな一面もあったんだなって驚いてるだけよ」

 

「そうなの? 祭り行った時とかは昔からこんな感じだよ? 透や美和子からはいつも買いすぎって怒られてたよ」

 

「へえ、そうなんだ。クリスさんからは怒られたりしなかったの?」

 

「クリスや景光、由美からは怒られたことなかったな。むしろ一緒になって買ってたし、クリスなんかはどこからかビデオ取り出していつの間にか撮影してたぞ」

 

「容易にその場面が想像できそうね。それにしても白銀さんって昔からそんな感じで今も全然変わってない感じね。みんなから話聞いてると」

 

「そうだねー。昔から変わらなすぎて、いい加減大人しくなれって言われるんだけどね。

 あと、事件にどうしてそんなに巻き込まれるのか!ってのも言われるね・・・・。俺は事件に関わるの嫌なんだけどな」

 

「それは同感ね。私も思ってることだからね。事件に巻き込まれるたびに怪我してたりするんだから、こっちからしたら身が持たないわよ。心配する身にもなりなさいよね。

 アクアクリスタルの時はそうでもなかったみたいだけど、米花シティービルの時みたいなことはもう辞めてよね。ヨーコや薫、輝美なんか大泣きしていて大変だったんだから」

 

「あはは。ヨーコちゃんや薫ちゃんも凄かったけど、輝美さんも凄かったよね。泣きながら睨まれてたし、ユキさんもそうだったよね」

 

「あ、当たり前じゃない! 私も凄く心配したんだから。意識不明の重体だって聞いて、長いこと目覚めなかったんだから。

 だいたい検査入院してたのに、病院抜け出して大けがして帰ってくるってなんなのよ・・・・。ホントに心配したんだから」

 

「ああ、もう泣きそうになるのは辞めてもらえると助かるんですが。俺が泣かせてるみたいに周りから思われるので」

 

 彼はそう言い、私の頭を撫でてきた。ちょっと、急にされるとビックリするんだけど!? 白銀さんの頭の撫で方凄く落ち着くわね。ヨーコや幸さん達もこれをやられると何も言えなくなるって言ってたのはホントだったのね。

 これは、一回やられたら病みつきになるわね。これで、佐藤さん達も昔からやり込められたって訳ね。

 

「もう。急に撫でられるとビックリするじゃない。急に女性の頭撫でるのってどうなの?」

 

「あ、ごめんなさい。クリスとか達って、泣いたりしたときにこれするとすぐに落ち着いてたのでつい。迷惑でしたらやめますけど?」

 

「大丈夫よ。私が落ち着くまでもう少し撫でてなさい」

 

「こほん! 白銀さん、こんな所でいったい何してるの?」

 

「ひいっ! コ、コナン君?」

 

「おい、コナン! 今は空気読むのが正解だぞ!」

 

「うわあ、公共の場でこんなことしてるのウチ初めて見たで」

 

 私が白銀さんが話してると、いつの間にか毛利さん、コナン君、それと高校生ぐらいの女の子がいた。二人は知ってるけど、もう一人は誰なのかしら?

 3人がいることに全然気づかなかったんだけど。それだけ、白銀さんのことしか見てなかったってことかしら。いけないわね。これは危険すぎるわ。

 それにここは体育館でたくさんの人の目があるっていうのに私ったら・・・

 

「小五郎さんも来てたんですね。あれ、コナン君? そんな睨まれると怖いんだけど。それと、君は、確か平次君といた・・・」

 

「初めまして! 平次の幼馴染の遠山和葉です。平次と大阪から遊びに来て、蘭ちゃんの学園祭見に来てん」

 

「初めまして、白銀偵光です。こちらは、ウチの会社で働いてもらってる、岳野ユキさん。店の休憩時間で蘭ちゃんの劇見に来たんだよ」

 

「初めまして、岳野ユキよ。よろしくね。さっき見てたのは忘れてもらえると助かるわ。毛利さんもコナン君もお久しぶりです」

 

「ユキさんもお元気どうで良かったです。それにしても偵光君は相変わらずだな。見つかってたら他の女性陣に怒られるぞ?」

 

「あはは。ちょっと焦ってたので、ついつい昔からの癖が出まして。女性に急に泣かれそうになると、どうしても」

 

「ああ、それは焦るよな。俺も英理や蘭が泣き出す時は、凄く困ってどうしていいか混乱するからな。本当は泣かせないのが一番なんだが」

 

「それなんですよね。こちらは泣かせる気とか全然無いんですけどね。泣かせないように意識はしてるんですけど、ついついやらかすんですよね、あはは」

 

「笑いごとじゃないでしょうが。心配させないってことをまず覚えるべきじゃないかしら、白銀さんは。ホント男って後先考えず突っ走ること多いよね」

 

「す、すみません。お、おい偵光君、俺まで風評被害受けてるんだが」

 

「そればかりは同感かな。白銀さんみたいな大人にだけはなりたくないね」

 

「うわぁ、フルボッコやん。これがホンマにたくさんの難事件を解決してる探偵なんか? 

 ただ、女にだらしなくて責められてるダメ男にしか見えへんのやけど」

 

「あはは、おかしいな。ユキさんとコナン君の当たりきつすぎて泣きたくなってきたんだけど」

 

「偵光君・・・強く生きるんだぞ。今日はウチにご飯食べに来ると良い。一緒に飲もう」

 

「小五郎さん、ありがとうございます! 優しさが凄く身に染みます!」

 

「そんなことは良いから、蘭姉ちゃんの劇がそろそろ始まるわよ。ちゃんと見ないと怒られるわよ」

 

「「は、はい」」

 

「そうね。ちゃんと蘭ちゃんの劇を見ましょう」

 

「せやせや」

 

 私達はそう言い蘭ちゃんの劇へと集中するのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 蘭ちゃんの劇が中盤の見せ場のシーンが終わりそうな時に会場内に悲鳴が響き渡り、男性が亡くなっていたそうですぐに警察が呼ばれ劇は中止になり観客の人達もその場で待機させられていた。

 

「それで、白銀さんはあそこに混ざらなくて良いの?」

 

「ああ、大丈夫。優秀な探偵が3人もいるからね。俺の出る幕は無いでしょ。それに小五郎さんから風邪ひいてるコナン君の面倒を頼まれたしね。ってか、コナン君は小五郎さんや蘭ちゃんの傍に居なくて良いのかい?」

 

「蘭姉ちゃんは僕より、他の誰かさんを探してるみたいだけどね。その割には、悲鳴が聞こえた瞬間現場にすぐ向かったよね、白銀さん」

 

「まあね。救助できるかと思ってすぐ向かったけど、駄目だったよ。もう、脈が無かったしね。死体の状態も確認した感じ血色が良かったから、おそらく青酸カリを飲み物内に仕込まれたってとこかな。飲み物内に入れたとしても足がすぐつくから、氷かなんかに細工はしてたんだろうけど」

 

「そ、そんなことまで分かったの? もしかして、犯人も絞れてるんじゃないの?」

 

「まあね。一人怪しいって人はいるね。おそらくその人の可能性が高いかな。さっきトイレ行くのに外に出た時、雨降ってるのに気になる行動してたしね。証拠がちゃんと見つかった訳じゃないからあれだけど、そこはまあ、あの人らが見つけてくれるでしょ。目暮警部達もいるし。俺は目立たないようにここでのんびりしてるよ。警察もいるのに勝手に事件に首突っ込むと怒られるしね」

 

「ふーん。そういうことは弁えてるのに、行動がそれに伴って無いのはどうしてなの? それに目立たないってのは無理じゃない? そんな恰好ですぐに事件現場に向かってたんだから、その時点で目立ってると思うよ」

 

「ああ、確かに。白銀さん、そのままの姿で向かったから間違いなく印象には残ってるでしょうね」

 

「え・・・? マジで?」

 

「この人、自分の今の姿が目立つって気づいてなかったのよね・・・・」

 

「気づいてたら、お面とかは取るよね。小さい子供みたいにしか見えないわよ。あら? どうやら事件解決するみたいだよ。あの黒衣の騎士が」

 

「あの黒衣の騎士何者なの? さっきから事件現場やたら調べてたし、中身蘭ちゃんのクラスメイトよね?」

 

 私達が話してると、彼の推理ショーが始まり、目暮警部から正体を聞かれ、仮面に手をかけた瞬間横の方から、ピシュっという音がして、手の平サイズのゴムボールが凄い勢いで飛んで行き、彼に直撃して彼はその場にコケるように倒れた。

 

「ちょっと、何してるの白銀さん!?」

 

「あ、やっべ。透達にやる感覚でやったからやりすぎた・・・」

 

「早く行かないと不味いよ、白銀さん」

 

「ですよねー。コナン君のフォローしただけなのに。ユキさん、説教は後で聞くから、とりあえず事件解決してきます」

 

「僕もちょっと行ってくるね」

 

「あ、ちょっと、白銀さん、コナン君!」

 

 私は唖然としながら二人を見送ることしかできなかった。

 

<岳野ユキside out>

 

 

 

 

<偵光side>

 

 俺は新一君が、仮面外そうとしていたので正体を露見させないように、コナン君に変装している哀ちゃんが改良型麻酔銃を撃つと同時にゴムボールをぶん投げて彼にぶつけ気絶させた。その後、謝りに行き服部君に彼を医務室に運ぶように見せかけて、博士の家に運ぶようにお願いした。哀ちゃんも一緒に行ってくれるみたいで、事件を解決したら顔を出すように言われた。うん、ですよね。どう説明しようかな? バカ正直ベルモットとバーボンが近くにいたとは言えないし、黒の組織にバレる可能性が高く、蘭ちゃん達に危険が及ぶってことにしとこう。それで、現場に出てきたのは良いんだけど、みんな俺の姿見てて唖然としていた。蘭ちゃんとかは俺の近くに来て「お兄ちゃん、可愛いね♪」って言ってるし、あとクリスなんかは目がキラキラして優しい目になってる。透は・・・あ、怒ってますね。このスタイルやっぱり目立つのか? 俺は気に入ってるんだけどな。まあ、良いや。とりあえず事件をとっとと解決して早く店に戻らないと夏美ちゃん達が間違いなく心配しだすからな。

 

「白銀君! その姿にはとりあえず突っ込まないが、君は犯人が分かったというのか!?」

 

「お兄ちゃん本当なの!?」

 

「ええ。犯人とその殺人トリックもすぐに分かりましたよ。犯人は貴女ですよね、鴻上舞衣さん?」

 

「なっ!? どうして私が!?」

 

「そうよ! 舞衣がやったって証拠があるの!?」

 

「証拠ですか。それは後程説明しましょう。まずはトリックについてですが、氷に穴を開けてその中心に青酸カリを入れて、細かい氷で栓をして蒲田さんのカップに入れると毒が飲み物に溶けだす前にほとんど飲み干せるって訳です。青酸カリは、水に溶けにくい性質ですしね」

 

「あれ? でもそれだと毒が少しカップに残っちゃうんじゃないの?

 

「蘭君の言う通りだ。どうなのかね?」

 

「ああ、それは、飲み物を飲んだ後にカップの蓋を開けて青酸カリ入りの氷を彼は食べたんですよ。だから、カップからは毒物反応が出なかったことに辻褄が合います。ミルクとガムシロップを入れるふりをして氷を入れることができたのは鴻上さんしかいないんですよ」

 

「ちょっと待ってよ。舞衣はガムシロップとミルクを使って無かったわよ!? それはどう説明するの? 蒲田君もポケットに入ってたとのよね?」

 

「それは彼女が氷を入れた後で中身がコーラだと気づいたからです。コーラにミルクとガムシロップを入れると、蒲田さんが飲まなくなりそうですからね。返品させないように、飲み物を持ってきたのを劇の開始直前にしたってのもありますね」

 

「しかし、もしそうだとして毒入りの氷をいったいどうやって持ち歩いていたと言うんだ?」

 

「ああ、それは平次君が見つけてくれてましたよ。トイレ内に捨ててあったそうです。このがま口の財布をね。この中に氷を入れて運んだのでしょう。すみませんが鑑識に回してもらえますか? 毒物反応が出れば、証拠となります。貴女が捨てたんですよね、鴻上さん?」

 

 ホントは新一君が見つけてて、さっきポケットから拝借した奴だけど、ここは誤魔化しておこう。

 

「さすが、名探偵白銀偵光君ね。でも忘れちゃったの? 私も蒲田君と同じアイスコーヒーを頼み、それをみんなの飲み物と一緒に渡したのよ? 彼にどっちのアイスコーヒーが渡るか分からないのに毒なんて入れられるかしら? それとも私が50%の確率に賭けたっていうなら、彩子ちゃんだって・・・」

 

「いいえ、そんな賭けなんかしなくても大丈夫ですからね」

 

「どういうことなの、お兄ちゃん?」

 

「ああ。どちらのアイスコーヒーにも毒入りの氷を入れてたんだよ。氷が溶ける前に飲み物を飲み干して、氷を口に含んである場所に隠したんだよ」

 

「それって毒が身体に入り込んで逆に大変なことになるんじゃないの!?」

 

「大丈夫だよ。毒が氷の中心に入ってたなら、端を噛めばいけるしね」

 

「ふふふ。面白いわね。それで私がもし犯人だとして、どこに毒を隠したというの? それが分からなければ証拠にならないわよ」

 

「それは貴女のフードの中ですよ。えっと、10円玉は・・・・あった。すみません、ちょっとこれを入れさせてもらいますね。やっぱり、錆が取れましたね。これは酸化還元反応が起こったので、ここに青酸カリ入りの氷が入ってた証拠になります。貴女がカギの締まっている化学室とか等に入って何か薬品を触りフードにかかったとかなら別ですがね」

 

「凄いね、お兄ちゃん! でもどうして、フードの中に氷を入れたって分かったの?」

 

「それは・・・」

 

「雨が降ったから。そうでしょ? 雨が降ってたにもかかわらず、外に出た時に私がフードもかぶらずびしょびしょになってたからでしょう? 動機は・・・」

 

「おそらく彼に何か殺意が芽生えるほどの復讐心があったのでしょう。ですが、どんな理由があるにせよ、人の命を奪うことだけはやったらいけないんですよ。結局そうやって人の命を奪えばどんどん悪い連鎖に巻き込まれていきますからね。貴女は、一人の命を奪ったという事実を忘れないでください。それをしっかりと認識したうえで罪を償ってください」

 

「そうね。とんでもないことをしちゃったのよね・・・・。でもラッキーだったわね。雨が降らなければ」

 

「いえ、雨が降らなくても最初から貴女が犯人だと思ってましたよ。聞いた情報から整理してね。劇が始まってる時に戻ってきて、暗い状態で飲み物がコーラに変わってるって分かりにくいですからね。怪しまれないようにするなら、ミルクとガムシロップをどうにかするべきでした」

 

「参ったわね。さすが、私達が三年生の時の伝説の一年生ね。降谷君、諸伏君、佐藤さん、宮本さん、そして白銀君の五人の学生時代のことは今でも覚えてるわ。貴方と4人は学年が1つ、2つ違ったのにいつも連んでいたから有名だったわよ。それに、貴方達が演劇部の助っ人で行った劇もすごかったしね。貴方は昔から全然変わってないのね」

 

「いえ、変わってますよ。みんな大人になりましたからね。警部、後はお願いします」

 

「ああ、それでは行きましょう。他の三人もすみませんが調書を取りたいので、署までご同行を願います。白銀君は・・・」

 

「すみません。店にそろそろ戻らないといけませんので。それにユキさんも待たせてますし。何かあったら、連絡してください」

 

「そうだな。何かあったら佐藤君を向かわせるよ」

 

「いやあ、それだけは勘弁してもらえると助かるんですけど。また事件に首突っ込んだの!? って絶対怒られます」

 

「全く・・・」

 

「ちょっと、白銀さん! 事件解決したんでしょ? 夏美さんから連絡したけど繋がらないって私に連絡あったのよ! 店が忙しくなってきたから戻ってきて欲しいって! 早く、戻るわよ!」

 

「へ? ちょっと、ユキさん? いきなり引っ張られるとビックリするからね! ってか顔なんか赤くない? 大丈夫?」

 

「ああ、もう顔近づけないで! びっくりするでしょ! 早く戻るわよ」

 

「あ、お兄ちゃん! ちょっと!」

 

「ごめん、蘭ちゃん! 今日、夜にお邪魔させてもらうから話はその時にね! 小五郎さんにもよろしく言っといて! それじゃあ、失礼します、目暮警部! ちょっと、ユキさん~」

 

 俺は蘭ちゃん達にそう言い、ユキさんに引っ張られながら店へと戻るのだった。



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48話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 今回はエピローグ&新章のフラグもあります。
 これからもこの作品をよろしくお願いします! 



<灰原哀side>

 

 私は博士の家で、白銀さんと協力して気絶させた工藤君、服部君と話していた。

 

「それで、俺を気絶させた理由をそろそろ聞いても良いか?」

 

「それは貴男が顔を見せようとしたからよ。白銀さんが上手く誤魔化してなかったら大変だったわよ」

 

「急に工藤の頭に凄い勢いでゴムボールが飛んできた時は驚いたで。それで、工藤が顔見せたらマズイってのは例の組織関係か?」

 

「ええ、そうよ。どうやら組織の関係者があの学校に来てたみたいなのよ。白銀さんに問い詰めたら白状したわ。

 あの人隠し事してる時ほど、平然と行動しだすからよく分かったわ」

 

「おいおい、まじかよ。もし顔を曝していたら・・・」

 

「工藤新一は生きていたということなり、組織連中が消しに来るでしょうね」

 

「危ないとこやったな、工藤。でも、組織の奴がおったんなら、あの兄ちゃんなら対処できたんやないんか?」

 

「それは無理よ。白銀さん店出してたし、店やってる途中で気づいたらしいのよ。それで、私と工藤君を見守れる時に見守ってたそうよ。

 現にあなたが正体を現そうとした時に助けてくれたじゃない。私も麻酔銃撃ったんだけど」

 

「まさか麻酔銃を人から撃たれる時が来るとは思わなかったぞ。白銀さんにもお礼言っておかないとな。それで、俺の正体は結局ばれてないってことで良いんだよな?」

 

「ええ。組織にも気づかれてないみたい。どうして組織連中があの場に来ていたのかは分からなかったわ。それだけは聞いても白銀さん教えてくれなかったわ」

 

「ホンマ何もんなんや、あの兄ちゃん。謎が多すぎるやろ。オトンとも知り合いみたいやし、信用できるんか?」

 

「信用だけはできるわよ。あの人自分で抱え込みすぎて、こっちの心配ばかりかけさせるしお人よしすぎるしね」

 

「それには同感だ。あの人ほど善人もいないだろうよ。服部、お前もあの人と付き合っていけばそのうち分かってくるさ」

 

「そんなもんかのう。それで話は変わるんやけど、工藤の身体はいつ戻るんや?」

 

「さあ? 計算では2、3日ってとこかしら。多少前後する可能性は高いけど」

 

「なるほどのう。その間はどうするんや? 工藤は顔バレたらまずいんやろ? そこの姉ちゃんがボウズに変装するのは分かったけど」

 

「そこは大丈夫よ。白銀さんが工藤君を変装させて、事務所で働かせるそうよ。

 事情が分かってる人達しか会わないようにさせてあるそうだから、その点は心配しなくて大丈夫だそうよ」

 

「ホントか、灰原!? やったぜ! 探偵事務所で働かせてもらえるって最高だろう!」

 

「あなたねえ、白銀さんにちゃんと感謝しなさいよ? 服部君も来たいなら来て良いって言ってたわよ。それで心配はなくなったかしら?」

 

「俺も行ってええんか? あの兄ちゃん大物やのう。あの兄ちゃん知るには良い機会やけど、和葉と大阪帰らないけんし、今回はパスしとくわ」

 

「服部も今回はありがとな。助かったよ。それで、俺は明日から白銀事務所に向かえば良いのか?」

 

「おう。今回の件は一つ貸しやで」

 

「迎えをよこしてくれるそうよ。だから、あなたはそれまで家でのんびりしてなさい。私はそろそろ毛利探偵事務所に戻るわ。何かあったらすぐに連絡しなさい。

 それじゃあ、服部君も気をつけてね」

 

「おう、またな」

 

 私はそう言い、二人と別れ毛利探偵事務所へと戻るのだった。

 

 

<灰原哀side out>

 

 

 

 

<安室透side>

 

 俺はベルモットと共に変装し、帝丹高校へ潜入をし、そのミッションを終えてポアロでバイトが入っていたので働いていた。ベルモットが調べたいとうことがあるから付き合った形だ。

 まさか偵光がいるとは思わなかったが。ベルモットも調べものか完了したと言ってたし大丈夫だろう。調べた内容については教えてもらえなかったが、いったい何を調べていたんだ? あの高校で彼女が調べるというと、蘭さんか鈴木さん、後は高校生探偵の工藤新一君か? 

 今は事件を解決する為に色々な場所へと飛び回ってるらしいが、行方を終えていない。公安の部下に調べさせても見つからないとはどういうことだ? 偵光なら何か知ってそうではあるが、聞いても教えてくれるだろうか? 

 いや、アイツの場合教えてくれる可能性は低いな。ベルモットに探りを入れても同じだろうしな。あの二人、似なくても良い所が似てるからな・・・

 ただでさえ、キュラソーが偵光の事務所に入った問題もあるというのに。うーん、どうするか・・・・

 

「安室さーん!」

 

「・・・・・・・」

 

「安室さーん!」

 

「・・・! す、すみません、梓さん。どうされましたか?」

 

「考え事ですか? ほら、ご指名入ってますよ。今は他にお客もいないので相手してあげてください。私は充分話しましたので♪」

 

「ご指名・・・? どうしてお前がここにいるんだ?」

 

 梓さんに言われたように、アイツの他に客もおらずすることが無かったので俺はお言葉に甘え、エプロンをはずしアイツの横に座って話しかけた。 

 

「よっ! いやあ、小五郎さんとこに行く時間より早く着いたからコーヒー飲みながら休憩しようと思ってな。

 お前が珍しくボーっとしてたから、梓ちゃんと話した後にお前呼ぶように頼んだんだよ」

 

「なるほどな。だから梓さんの機嫌が良かったのか」

 

「どういうこと? 梓ちゃん機嫌悪い時とかあるの?」

 

「お前は知らなくて良い。それで、帝丹高校で店出して、しっかり稼いで事件も解決した白銀探偵がどうしてここに?」

 

「あれれ、おかしいな? 学校だと透とは出会わなかったんだけどな。ってか、その呼び方辞めてくれ。お前に苗字で呼ばれるとなんかぞわぞわする」

 

「俺とクリスさんの変装に気づいていてよく言うよ。どうしてあんなことしてたのか聞かないのか?」

 

「透もクリスも教えてくれないの分かってるからな。聞いても無駄なことは聞かない主義なの分かってるだろう?」

 

「確かにな。それで、休憩しにきただけでは無いんだろう?」

 

「あらら。幼馴染が浮かない顔してたのが外から見えたから心配して来ただけなのにその言い方ひどくない?」

 

「お前が心配するってだけで来ることは無いだろうが。心配なら何かアホな行動を追加でしだすに決まってる。

 今回の学園祭の劇の開始前みたいに、お面とか付けたりな」

 

「え、あれマジでしてたんだけど・・・」

 

「昔から、祭りの出店の物を片っ端から漁って身に着けるあの癖は変わらないな。俺や佐藤さんが注意しても全然治らなかったし」

 

「好きでやってるんだから、別に良いとは思うんだけどな。やっぱりあれ目立ってた?」

 

「まあな。あれで目立たない方がおかしいな。クリスさんもあの偵光が気に入ってるから今まで注意しなくてこうなったんだろうけどな」

 

「ああ、アイツ。昔から祭りの時は、すげえ、目キラキラさせながら愛おしそうに見てくるし、買ってくれって頼んだらすぐ買ってくれてたからな。今日もあの状態になってたな」

 

「おかげで止めるのが大変だったんだぞ。それで、休憩しに来た以外の理由を教えてもらって良いか?」

 

「もう、せっかちだな。事務所に戻ったら俺宛にこれが届いてたんだよ。山川さんから聞いた時はびっくりしたぞ」

 

「ん? なんだこれは!?」

 

 偵光から紙を差し出されその紙にはこのように書かれていた。

 

『久しぶりだね、白銀偵光君。我は円卓の騎士の生き残りだ。さあ、三年前の続きを始めよう。愚かで狡猾な警察諸君を巻き込んだゲームの続きだ。

 後日我からのプレゼントを贈るので、そのプレゼントが発見されたらゲーム開始の合図だ。楽しみに待っているといい』

 

「うーん、何って言われても挑戦状だろうな。三年前っていうと、あの連続爆弾事件のことかな? 杯戸ショッピングモールの事件だよ。怜子さんといた時の奴と、クリスといた時の奴。同じ爆弾の型だったしな」

 

「何だと!? あの事件は自首してきた犯人を捕まえて解決したはずだぞ!」

 

「この紙の文面からして、複数犯だったってことじゃないか? 自首してきた犯人以外にもいたわけだ。または、それを真似た模倣犯か、今は何とも言えないな。

 犯人が自首してきて、自供もしておかしいこと無かったから、完全に複数犯ってのは予想外だったぞ。その犯人から情報聞けばいけるか?」

 

「いや、それは無理だ。あの犯人は病気になりもう亡くなっている。聞き出すことは不可能だ」

 

「マジかよ。ってことは、もし相方がいたとしたら警察や刑務所でキツイことをやらされ死んだように見えるわけだな・・・こいつはイタズラじゃなくなってきたな。

 となると、警察関係者と犯人が自首するきっかけを作った俺がターゲットって訳だ」

 

「それだと不味いことになるぞ。あの時ですら一般人がいる場所に仕掛けられてたんだ。今回も同じなら・・・」

 

「大勢の人が巻き込まれるな。さて、どうしますかね? とりあえず、俺と透は動くの確定な。

 あとは、山川さん、伊達さん、松田さん、萩原さんも確定。他の人には伝えないで今回は動くぞ」

 

「良いのか? 確かにそのメンバーなら心配は無いが、お前が動くのはあまりして欲しくないんだが」

 

「さすがに無理だね。ホントはイレイナさん、瑞紀ちゃん、美樹ちゃんにもお願いしたかったんだけどあの人らには他の件があるし、会社の人たちもみんな予定埋まってるんだよね。

 それに俺が狙われてるなら俺が動く方が犯人が釣り上げられる」

 

「はあ、分かった。ただ、三年前みたいなことはやめてくれよ」

 

「まあな。ああ、美和子にはとくにバレないように頼む。トラウマになってるからな。今回も爆弾事件で巻き込まれたってなると余計にトラウマになるからな。他のみんなもそうだからちゃんと気をつけるよ」

 

「動く時期が決まったら教えてくれ。それと絶対に無茶はするなよ! 分かったな?」

 

「はーいっと。分かってるからそんな睨むなよ。梓ちゃん! 会計お願いできるかな?」

 

「はーい! 随分と盛り上がってましたけど、お話はもういいんですか?」

 

「うん、大丈夫。ありがとね、コーヒー美味しかったよ。近いうちにまた来るからね。それじゃあ、またね、梓ちゃん、透も」

 

「はーい。ありがとうございました♪ またお越しくださいね」

 

「ああ、またな。さてと仕事に戻りますね、梓さん。ありがとうございました。良い気晴らしになりました」

 

「いえいえ。楽しめたようなら良かったです。お礼に白銀さんの面白いエピソードまた聞かせてくださいね♪」

 

「もちろん」

 

 俺は、偵光の所に送られた挑戦状について頭を悩ませながら今後どう動くかを考えるのだった。

 

 

<安室透side out>

 

 

 

<毛利蘭side>

 

 私はお兄ちゃんに料理をふるまい、みんなで楽しく晩御飯を食べ終わり、のんびりと過ごしていた。お父さんとお兄ちゃんは楽しく飲んでいてお父さんはいつの間にか酔いつぶれ寝ていた。

 コナン君も眠くなったらしく、お兄ちゃんと一言話して寝室へと向かった。何話してたんだろう? 私にはなぜか頑張ってって言ってきたし、どういう意味なんだろう? って片付けないと!

 

「蘭ちゃん、空き缶とかは袋にまとめれば良いかな? あと、洗い物も手伝うよ」

 

「あ、すみません! お兄ちゃんはお客さんなんだからしなくても大丈夫だよ?」

 

「流石にそれは悪いよ。それに小五郎さんも酔いつぶれて寝ちゃったしね。ビールのゴミはこれで良しと。洗い物はこのスポンジで使っても良いかな?」

 

「もう、大丈夫なのに。それ使ってください」

 

 私はお兄ちゃんと二人で台所に立ち洗い物をしていた。お兄ちゃん凄く手馴れてるなぁ。やっぱりお店で働いてるからなのかな?

 

「ん? どうしたの、蘭ちゃん?」

 

「ううん、凄く手馴れてるなあって思って」

 

「あはは。家事は小さい時からしてたからね。クリスは今だと家事できるけど、昔は全然だったから俺がしててできるようにさせたんだよ」

 

「そうなんだ。クリスさんが家事出来なかったってのは何か意外かも」

 

「今はちゃんとしてるからね。美和子も由美もダメダメだったんだよ? 俺と透がなんとか覚えさせたんだから。女性でも最低限の家事ぐらいできないと、嫁の貰い手が無くなるぞってね。

 それ言ったらめちゃくちゃ怒られたんだけどね」

 

「それはお兄ちゃんが悪いよ。佐藤刑事も由美さんも怒る気持ち分かるな。クリスさんにも同じこと言ったんじゃないの?」

 

「分かる? そうなんだよ。それ以来、そういうことは言わないように気をつけてるんだけどね。

 今の時代、女性ばかり家事をやらせるってのはおかしいからね。男性もある程度できてお互いに協力していかないといけない世の中になって来てるからね。

 俺の場合、家事するのが好きってのもあるんだけどね。蘭ちゃんもそうでしょ?」

 

「うん。家事することは全然苦じゃないかな」

 

「あはは。蘭ちゃんは良いお嫁さんになりそうだね。自分の意見も遠慮なく言うし、家事もできるし、ちゃんと良い旦那見つけないとダメだよ?」

 

「もう、お兄ちゃんたら急に何言うのよ! 旦那さんって高校生にはまだ早いよ!」 

 

「ごめん、ごめん。蘭ちゃんの年齢なら旦那さんてより、恋人かな。蘭ちゃんみたいに可愛ければ、すぐ彼氏とかできそうだけどどうなの? 小五郎さんには内緒にするからそこは大丈夫だよ」

 

「もう、お兄ちゃん! 私にはそんな人いないよ! 気になってるって感じの人ならいるけど・・・」

 

 私は隣にいる人をチラチラと見ながら言った。こう言ったらお兄ちゃんどんな反応するかな? 嫌そうな顔とかしてくれる訳は無いよね。

 

「マジで!? 新一君とかかな? それとも俺の知らない人ってパターンもあるのか」

 

「新一は違うよ。幼馴染で仲が良いだけだよ。別の人だよ」

 

「新一君は違うのか。となると誰だ? 分かんないや。同じ歳の子?」

 

「ううん、違うよ。歳は上かな。それ以上はもう教えないよ♪」

 

「マジかぁ。こう言っててなんだけど、こりゃあ小五郎さんが知ったら大変だろうな。蘭ちゃんのこと可愛がってるし。

 俺は全然応援するんだけどなあ。よし洗い物終わったよって蘭ちゃん、どうしたの? 頬っぺたふくらまして」

 

「べっつにー。お兄ちゃんは私が気になる人と恋仲になるの応援するんだね」

 

「そりゃあ、もちろん。かわいい妹には幸せになってもらいたいからね♪」

 

「そうなんだ・・・って、お兄ちゃん! 急に頭撫でられるとビックリするでしょ!」

 

 

「あははは! 蘭ちゃんの頭がちょうど良い所にあったからね、撫でられるの嫌だったら辞めるけど?」

 

「嫌じゃないから撫でて。それでお父さんもたぶん大丈夫だよ? その人のこと気に入ってるし」

 

「マジかぁ。小五郎さんも知ってる子かぁ。小五郎さんが気に入ってるなら、変な人じゃないし大丈夫そうだね。

 さて洗い物終わったし、蘭ちゃんお話しようか? 何か聞きたいことあったんでしょ? 今日はとことん付き合うよ。小五郎さんにも泊まっていけって言われたしね」

 

 もう、反則すぎるよ。こっちの気持ちも察して優しくしてくれるし、アクアクリスタルの時は命がけで護ってくれたし。今日の事件解決するときは凄くカッコ良かったけど、逆に女心に疎かったり、子供みたいな部分があったりとギャップもすごいんだよね。

 これは、自分でも気づかないうちにお兄ちゃんへの気持ちが大きくなっていってるんだろうな。でも、今は気になってるって感じかな。他の女姓と話してるとモヤモヤしたりもして来てるから時間の問題なんだろうけど、今はこの関係を楽しんで、お兄ちゃんにいっぱい甘えるようにしよう。

 そして、この気持ちが曖昧なものではなく、はっきりした恋心って分かった時は・・・・・その時に考えよう。お兄ちゃんには相談できないけど、相談にのってくれそうなお姉さんはいっぱいいるしその人達に相談して私も胸を張れるようにしよう。

 

「お兄ちゃんの帝丹高校の時のエピソードを教えて欲しいんだけど、良いかな? 私、最近のお兄ちゃんしか知らないから」

 

「そんなことで良いの? いっぱいあるけど、どれから話そうかな・・・」

 

「今日泊まって行くんだよね? だったら眠くなるまで教えて欲しいかな!」

 

「分かったよ。それじゃあ・・・・」

 

 私はお兄ちゃんのエピソードを眠くなるまで聞き、いつの間にかお兄ちゃんの肩を枕にして頭に優しい感触を感じながら眠ってしまうのだった。

 



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揺れる警視庁1200万人の人質編
49話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 今回から新章開幕です。
 これからもこの作品をよろしくお願いします! 






<佐藤美和子side>

 

 

「ちょっと、美和子!」

 

「・・・・はっ! あ、由美」

 

「どうしたのよ、ボーっとしちゃって?」

 

「大丈夫、ちょっと疲れちゃっただけ」

 

「ホントに? 何か気になることがあるんじゃないの? 当てて見せようか? うーんと偵光関係かな!」

 

「どうして偵光が出てくるのよ?」

 

「この間、帝丹高校で大活躍だったそうじゃない。サマーライトの出張店舗に、事件も解決したって夏美ちゃん達が言ってたわよ」

 

「ああ、その件ね。OBになってからも相変わらず目立つんだから。私達が学生の時から全然変わんないわね」

 

「確かにね。偵光の奴、伝説の人って呼ばれてたらしいわよ。私達が学生の時にやった劇が未だに有名みたいね」

 

「ちょっと、やめてよ! あの劇の事今でも思い出すと恥ずかしいんだから」

 

「そう? 美和子も偵光も凄く似合ってたわよ。劇の本番でアドリブで、偵光が美和子をお姫様抱っこしたのは、印象に残ってるわ。

 それ以外の場面では、美和子の方がイケイケのお姫様だったのに、その場面だけは逆転して凄い歓声だったものね」

 

「もう! あれは偵光が悪ノリしたからああなったのよ! アイツがあんなことするなんて予想して無かったわよ! 

 それに由美だって後から偵光に頼んでしてもらってたじゃない」

 

「羨ましかったんだからしょうがないでしょ! それで、私の後にクリスさんも続いて、他のクラスメイト達もって凄いことになったのよね。あれは面白かったわ。安室君と諸伏君も巻き込まれたものね」

 

「それが有名になって今も語り継がれて伝説ってことになってるんでしょうが・・・。由美、偵光、諸伏君の三人はホントにお祭り好きだからそういう悪ノリいつもしてたじゃない」

 

「当り前よ。高校生とか一回きりなんだから人生楽しまないと損じゃない。それに、由美子と安室君が真面目すぎるのよ。たまには肩の力抜かないとやってられないわよ?」

 

「由美達がお気楽すぎるのよ。まったく、もう・・・」

 

「それでちょっとは元気でたかしら? 何か悩み事あったんでしょ? 由美さんに話してみなさい」

 

「由美には隠し事できないわね・・・・。ちょっと三年前の爆弾事件と米花シティービルの事件を思いだしてね。アイツが今度こそ死んじゃうんじゃないかなって思って。

 アイツの背後に赤い死神が鎌を持って首を切ろうとしてた夢を見たのよ」

 

「なるほどね。米花シティービルの一件以降は、意識失うほどの怪我してないでしょ? アクアクリスタルの事件の時もケガはしたけど、元気だったじゃない。

 それにアイツは私達を置いてったりしないわよ。だから、そんな泣きそうな顔しないのよ。今までもちゃんと生還してるじゃない。今は私だけじゃなくてたくさんの人が偵光を護ろうとしてくれてるわ。あれだけ心強い味方がいるんだから大丈夫よ」

 

「そうね・・・。心配しすぎるのは私の悪い癖ね。こんな顔見られたら、また偵光に怒られるわね」

 

「そうよ。だから気にするだけ無駄無駄。こういう時はリフレッシュしてストレス発散よ。今日のカラオケの約束覚えてるわよね? 偵光も珍しく来るって言ってたわよ」

 

「そういえば今日だったわね。そうなの? 偵光が来るなんて珍しいわね。何時からだっけ?」

 

「ちょっとメールしたじゃない。夜九時からよ。偵光から以外のメールをすぐ消す癖どうにかしなさいよね」

 

「う・・・・・偵光から以外のメールも残してるわよ」

 

「分かりやすい嘘つかなくて大丈夫よ。まあ、私も美和子のこと言える立場じゃないんだけど」

 

「由美も一緒なら言われる必要ないわよね?」

 

「大事な要件が書かれてるメールは流石に消さないわよ!」

 

「あら、そうなの。いけない、ちょっと出かけてくるわ」

 

「あれ? 今日は一日事務仕事だったんじゃないの?」

 

「ちょっと気になることがあるのよ。それじゃあ、また夜にね」

 

「気をつけなさいよ」

 

「偵光じゃないんだから大丈夫よ」

 

 私は由美と別れ、目的の遊園地へと向かうのだった。

 

 

<佐藤美和子side out>

 

 

<偵光side>

 

 俺は、白鳥警部の見舞いに来ており病室をノックした。

 

「はい、どうぞ」

 

「失礼します。その感じだと大丈夫そうですね、白鳥警部。高木刑事もこんにちわ」

 

「白銀君! どうしてここに?」

 

「僕が呼んだんだよ。彼のおかげで、軽い怪我で済んだからね。彼がいなかったら大けがか死んでた可能性もある。それで、聞いても良いかい? 君はどうしてあの近くにいたんだい? 

 僕が犯人からのメッセージに気づくと同時にかけつけて助け出してくれたよね? それを教えてくれたら、君が聞きたいことにも答えるよ」

 

「そうなんですか!?」

 

「あはは。こっちの考え分かりますか。その前に、高木刑事、外に萩原さん待ってるんで、萩原さんから渡された袋を警察の爆発物処理班に回してもらえます? 中には俺らが解体した爆弾が入ってるんで。

 おそらく、俺が巻き込まれた三年前の二つの爆弾事件と同型タイプでしょうから」

 

「爆弾!? わ、分かったよ。萩原さんにもらえば良いんだね?」

 

「はい。機能は完全に失ってるので大丈夫ですよ、遠隔操作されないように、対策もしてますのでご心配なく。すみませんが、よろしくお願いします。

 あ、それと美和子には俺が関わってることを黙っててください。余計な心配かけたくないので」

 

「わ、分かったよ! 白鳥警部、すみませんがそちらの対応をしてきます!」

 

「ああ、頼むよ」

 

「これが理由です。白鳥警部の近くにいたのは、爆弾の場所を突き止め、数個ほど解体して終わった後に、まだあると思い探してた訳ですよ。探してたら、白鳥警部達の姿が見えたから急いで来たんですよ。警察関係者が狙われるのは分かってましたしね」

 

「そこまで掴んでたのかい。いや、もしかして君も・・・・」

 

「今日解体した爆弾に『白銀偵光君 先日のメッセージは受け取ってくれたかな 

 さあゲームを始めよう ゲームの続きは明日の正午 終了は午後三時 君ほどのストッパーでも今回は無駄だ 

 最後はこちらが逆転勝利する ゲームを辞めたければ俺の元へ来い 真っ赤に染まりし空へたどり着くのを楽しみにしている』

 ってカードがありましたからね。俺の場合は一足先に、犯人が言うゲームが始まってたんですよ。ちなみにこの前のメッセージと、コイツを調べてみましたけど何も手がかり無かったです。

 それで、警察には何てカードが届いたかを聞きたかったんですよ」

 

「君の所にも送られてきてたのかい!? このことを警察には?」

 

「白鳥警部にしか言ってませんよ。あ、あと高木刑事にも萩原さんから説明してるんで二人しか知らないはずです。

 それと・・・いえ、何でもありません。白鳥警部と高木刑事以外には話すつもりないんで協力お願いしますね」

 

「佐藤さんにも相談した方が良いんじゃないのかい? 今回の僕が見つけたメッセージは彼女にも教えたから、間違いなく君の所へ向かうはずだよ」

 

「マジっすか。ってことは早めに事務所戻っておかないと不味いな。まあ、話聞いてからだな。そこはさっきも言った通りに心配かけたくないんですよ。ウチの事務所でも最低限のメンバーにしか教えてません。他の人には黙ってます。

 理由は犯人にウチのメンバーを狙われないように、他県へみんな行ってもらってるってのもあるんですけどね」

 

「やれやれ。僕も黙ってたら後から佐藤さんに凄く怒られるんだけど?」

 

「そこは命を助けた借りってことで協力してください」

 

「仕方ないな。僕が見つけたカードにはこう書いてあったよ。

 『俺は剛球豪打のメジャーリーガー さぁ延長戦の始まりだ 試合開始の合図は明日正午 終了は午後三時 出来の良いストッパーを用意しても無駄だ 最後は俺が逆転する 試合を中止したくば俺の元へ来い 血塗られたマウンドに貴様ら警察が登るのを鋼のバッターボックスで待っている』

 ってね。警察はこのヒントを頼りに、場所を特定している最中だ」

 

「なるほど。どうやら、同じ場所っぽいですね。言い回しは違いますが、この二つのヒント合わせて解けばいけそうですね。場所が特定できたら、連絡します」

 

「僕は動けそうにないから、高木君に頼むよ。高木君には僕から説明しておくから」

 

「分かりました。それと、捜査関係者に美和子から目を離すなって言ってもらえますか? 三年前の爆弾事件が関わってるとアイツ何しでかすか分かんないんで」

 

「分かったよ。そちらは目暮警部に頼んでおく。君の所へ届いたカードの名前の所を伏せてなら公表しても良いかい?」

 

「ええ。俺もそうしてもらうつもりでしたから。すみませんが、お願いします。俺は美和子が事務所に来るでしょうから戻りますね」

 

「ああ、分かったよ。事件が終わったらちゃんと佐藤さんのケアするんだよ?」

 

「分かってますよ。それでは失礼します」

 

 俺は白鳥警部の病室から出て萩原さんと共に事務所へと戻り、事件について作戦会議をしながら美和子を来るのを待つのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

<山川光side>

 

「それで、偵光。佐藤さんは何だって? お前の状態見たらだいたい予測はできるが」

 

「この事件には絶対に関わるなだとよ。どんな事件なんだって聞いたら、あなたは知らなくて良いの!って凄い剣幕で怒られたよ。ああ、怖かった。

 爆弾事件のメッセージが警視庁にも届いたらしいし、警察の監視も無くなるから、美和子が釘を刺しにきたってとこだろうよ。公安の方もそれ所じゃないだろうし、これで好き勝手に動けるな」

 

「監視があったとしても白銀の場合は関係ないだろう? いつも上手いこと逃げてるじゃないか。

 俺達も協力してるの後で佐藤さんにバレたら絶対ヤバいよな? クリスさんとか秋庭さんにも知られたら三年前のトラウマが蘇るんだが・・・」

 

「あの時はやばかったな。今回もばれたら同じことになるだろうな。バレなきゃ大丈夫でしょ」

 

「そう言っていつもバレるだろうが。バレないってのは難しいだろうな。明日動くつもりなんだろう?」

 

「まあね。今日はゆっくり休んでもらって明日は、めちゃくちゃ働いてもらうからね」

 

「分かったよ。それで明日はどうやって動くんだ? どうせ二人一組で行 動するようになるんだろう?」

 

「そうだね。俺の考えでは、俺と山川さん、松田さんと萩原さん、透と伊達さんのメンバーって考えてるんだけどどうかな?」

 

「それで良いんじゃないか? 俺達は警察学校時代からの付き合いだし、誰と組んでも問題ないだろうしな。

 白銀と山川は付き合いはもっと長いから更に問題ないだろう陣平ちゃん達には伝えたのか?」

 

「うん。さっき三人に連絡して問題ないって言われたから、あとは萩原さんと山川さんの了承だけかな。

 あ、それと三人とも解体は全部終わったから、直帰して休んでもらうようにしたよ」

 

「そうか。俺も萩原と同じで問題ないよ。それで、どのグループがどこを周るようにするんだ?」

 

「俺と山川さんが東都タワー、萩原さんと松田さんが杯戸町のショッピングモール、透と伊達さんが米花中央病院から南杯戸駅周辺かな。透達が場所広いのは、公安の戦力も考慮してからだね。

 この三か所に絞れたのは良いんだけど、問題は爆弾の量がどれだけあるかなんだよね。そればかりは現場に行ってみてからだね」

 

「そうだな。まあ、解体道具も含めてフル装備で動くようにしておこうぜ。何か起こってもある程度対処できるしな。それじゃあ、俺も今日は帰るわ。お疲れ」

 

「お疲れ様、萩原さん」

 

「ああ、お疲れ様」

 

「それで、山川さんは帰らないの?」

 

「書類を少しまとめたら帰るよ。それで、お前は行かなくて良いのか? 七時前だぞ。宮本さん達と約束があるんじゃなかったのか?」

 

「やべっ、もうそんな時間か。急がないと由美と晩飯食う待ち合わせの時間に遅れちまう。遅刻したら間違いなく機嫌が悪くなるからな。

 それじゃあ、また明日ね、山川さん。お疲れさま」

 

「ああ。宮本さんと佐藤さんによろしくな。また明日」

 

 俺は偵光を見送り、書類をまとめ家へと帰り休むのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 翌日、車で偵光を迎えに行き、東都タワーへと向かっていた。

 

 

「ふぁーあ。眠い」

 

「おいおい、大丈夫なのか? まさか、オールでカラオケしてるとは思わなかったぞ」

 

「ちくしょう。美和子の奴が、事件のことを由美にも話してて、俺が事件当日に動けないようにする為に、オールに付き合わされたんだよ。家に着いたのなんか、山川さんが来る少し前だったよ」

 

「佐藤さんに手を打たれたって訳か」

 

「そうだね。まあ、カラオケ店内で仮眠は取れたから大丈夫。今日の事件をとっとと解決したら、帰って寝るようにするよ」

 

「そんだけ心配されてるってことだよ。宮本さんには何か言われなかったのか?」

 

「いーや。アイツも眠気が来て爆睡してたからな。おぶって家まで送って、ベッドに寝かせてきたし、起きない限り大丈夫だろうよ。

 あの感じだと、徹夜で麻雀した時と同じで、起きるのは今日の夜ってとこだろうよ」

 

「それなら大丈夫そうだな。宮本さんは未だに徹夜で麻雀とかしてるのか?」

 

「普通にしてるぞ。休みが合う時に俺と萩原さんはよく誘われるし、捜査一課の連中も麻雀する人多いからな」

 

「ベルモットには怒られたりしないのか?」

 

「女性と夜遊びして朝帰りする訳じゃないなら、全然良いわよって怒られたりすることないな。連絡し忘れると怒られるけど」

 

「やれやれ。この歳で同居人がいると大変だな。会社の寮で一人暮らしとかはしないのか?」

 

「あの保護者様が許すとお思いで? 今では旅行とかで外泊するのに何も言わなくなったけど。昔なんか家に俺がいないのが耐えられないとか泣きついてきてたからな。

 いい加減、息子離れしないとホントに家出て一人暮らしするぞ!って脅したら、落ち着いた」

 

「あのベルモットのイメージからだいぶかけ離れてるんだが。いや、俺達の前では昔からそんな感じだったな。むしろベルモットの時の方が逆に違和感しか無かったよ」

 

「幼馴染連中の前では素の部分隠さないからな。それより、近いうちにアイツ何かしでかしそうなんだよな。帝丹高校に先生に変装して潜入してるし。警察調書も調べてるそうだ。おそらく狙いは・・・」

 

「哀ちゃんか? ベルモットが動く理由といったら、それしか無いだろう」

 

「そうだね。それと厄介なのがFBIも動き出してんだよなあ。FBIとことは構えたくないんだけど、ベルモットの動き次第では、FBIともやり合うかもな」

 

「ベルモットの命を護る為にはそれも致し方なしか。FBIってことはライも動いてるはずだぞ」

 

「赤井秀一ね。組織のボスが警戒する銀の弾丸か。あの人、景光が自殺しようとした時にいたよな、確か? 

 お前回収するのに邪魔だったから、透と同じで即座に気絶させたけど。顔を合わせたのは、その時ぐらいか?」

 

「そんなこともしてたのか、お前は。顔を合わせたっても偵光は着ぐるみ着てただろうが」

 

「そうだねー。いや、まだあったわ。確か十年ぐらい前だっけ? クリスと有紀子さん達と海水浴に行った時に会ったことあるわ。

 赤井さん一家に小さかった新一君に蘭ちゃんもいたわ」

 

「ああ、お前が海水浴に行って事件に巻き込まれた件だな」

 

「そうそう。まあ、ベルモット関連のことはとりあえず置いときましょう。今は爆弾事件を解決するのが先だよ、山川さん」

 

「ああ、そうだな。もうそろそろ、東都タワーに着くぞ。正午までの二時間が勝負だな」

 

「そうだね、早いこと解決してゆっくり休みましょうや」

 

 俺と偵光は東都タワーへと到着し、爆弾を捜索するのだった。



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50話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 今回でこのお話も50話目になります。たくさんの方が読んでくださってありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします!


<伊達渉side>

 

 俺は探偵事務所の所長の指示のもと、安室と一緒に米花中央病院へと来ており、病院のスタッフに事情を説明し爆弾を捜索して発見し解体を行っていた。

 

「それにしても白銀の名前出したら、病院調べれるってどういうことなんだ?」

 

「ここの病院は顔パスみたいなものなんだよ。偵光の奴、事件に巻き込まれて怪我したらたいていここに運びこまれるからな。主治医の先生や病院のスタッフなんか、今度はどんな怪我したの?って感じで運ばれてからの対応が凄く早いんだよ。

 それと、コミュニケーション能力がずば抜けてるから、病院の人気者になってるからな。そのおかげでこうして事情を説明したらすぐに調べることができた訳だ」

 

「なるほどな。けど、それってどうなんだ? そんなに白銀の奴って怪我してるのか? 俺がここに入ってからは見たことないんだが」

 

「アクアクリスタルの一件以降は大きな怪我とかしてないからな。だからこそ、今回の事件で、アイツの身に何か起こる気がしてならないんだよ。

 その場合誰かを庇って怪我するんだろうがな」

 

「そうなのか。降谷の勘がそう言ってるなら、確かに何か起こりそうだな」

 

「おいおい。俺の今の名前は安室透で通してるんだ。すまないがそちらで呼んでもらいたいな、伊達班長」

 

「おう、悪かったな、安室。俺ももう班長では無いんだが、言っても無駄だろうな。萩原達までそう呼びやがるし」

 

「警察学校時代に戻ったみたいで、みんな嬉しいんだよ。一人いなくなってしまったけどな」

 

「・・・・・・・・・ああ、そうだな。話かわるけどよ、俺達がこう動いてるのって警察にバレたら不味いんじゃないのか?」

 

「そこはもう手を打ってあるから心配するな。だから気にせず、爆弾を解体していけばいい」

 

「なるほどな。やれやれ、俺は松田達と違って、爆弾の知識が凄くあるって訳じゃないんだがなぁ」

 

「偵光の研修は受けたんだろう? それなら大丈夫さ。アイツの研修受けたらスペシャリストになれるからな」

 

「それは身に染みてるよ。警察学校の時の訓練の方がマシに思える研修って何なんだよ。帰ってナタリーが作ってたご飯食べただけで涙出てきたぞ。生きて家に帰れてるって感じで。

 その話を嫁は、凄く楽しそうにして聞いていたが」

 

「相変らず幸せそうでなによりだよ。ウチの事務所で結婚してるの、伊達班長と野山さんだけだからな」

 

「お前らには相手とかいなさそうだよな。萩原は軽すぎるし、松田はおそらく興味がない。安室も同じ感じか? 」

 

「ええ。僕の恋人はこの国ですから」

 

「ああ、はいはい。お前の愛国精神は分かってるよ。白銀と山川はどうなんだ?」

 

「山川さんは僕らと同じ感じがしますね。偵光は聞きます?」

 

「いや、だいたい予想付く。すげえ、人気だもんな。佐藤さん幼馴染連中に、クリスさん、事務所や会社にも色々といるな。あれだけ人望もあれば納得はするが。

 そういえば、萩原達が、白銀が誰とくっつくかって事務所で賭けてたな。秋庭さん達に見つかって正座させられてたけど。人の恋愛ごとを面白半分で冷やかすからああなったんだろうけど」

 

「それはアイツらが悪いな。人の恋愛ごとに首を突っ込まない方が得策だぞ」

 

「同感だ。それに白銀のことだから、ちゃんと俺達も含めたみんなの幸せを考えて良い選択するだろうよ。

 よし、こっちは終わったぞ。安室、そっちはどうだ?」

 

「苦手とか言いながら早いじゃないか。こっちも今終わったぞ。これで、ここにあった爆弾は全部だな。これで病院は大丈夫だ。

 次は南杯戸駅周辺だな。爆弾じたいは一か所に集めさせてあるかか早いとこ行くぞ。結構な量があるらしいからな。タイムリミットに間に合わなくなるぞ」

 

「分かってるよ。やれやれ人使いが荒いな。南杯戸駅が終われば、みんなと合流だったよな?」

 

「ああ。早く終わらせて合流するぞ」

 

「了解」

 

 俺と安室は病院の爆弾を解体し終えて、南杯戸駅へと向かうのだった。

 

 

<伊達渉side out>

 

 

<松田陣平side>

 

 

「おいおい。これで何個目だよ。単独犯でよくこれだけ仕掛けたな。威力が全然ない爆弾ばかりってことはここもハズレか?」

 

「無駄口叩かずにさっさと手を動かせ、萩原。こんな爆弾でも爆発したら誰か怪我でもするかもしれないし、中に威力が高い奴もあるかもしれないだろうが。

 この感じだと、ここは完全にハズレっぽいけどな」

 

「分かってるよ。それにしてもウチの事務所って爆弾に好かれるよな。正確に言えばウチの白銀がだな」

 

「所長は爆弾だけじゃなく、事件まで呼び寄せるだろうが。所長と副所長が動く時点で、東都タワーが一番本命の可能性が高いって予測してたんだろうよ。

 あの二人、俺達に危険が及ばないように自分たちが一番危ない場所へと行くからな。山川の奴は警察学校の時からそうだし、佐藤さん達から聞く話だと所長は昔からそんな感じだったらしいしな」

 

「やれやれ。面倒くさい性格してるよな、二人とも」

 

「それは俺達みんなにも返ってくる言葉だぞ」

 

「そう言われてみればそうだな。今回も所長は怪我しないと良いんだが、嫌な予感がするんだよな」

 

「同感だ。俺も嫌な予感がしやがる。三年前の事件みたいなことにならないと良いが」

 

「そうさせないために俺達が頑張ってるんだろうよ。三年前のここで起こった事件で、所長は大けがして意識不明になってたからな。

 あの時は流石に堪えたぜ」

 

「俺は刑事で、爆弾の場所を突き止めて、観覧車にあると睨んだんだが、まさか先に見つけてる一般人がいるとは思いもしなかったぜ。

 それに、あそこで所長の方が爆弾を見つけてくれたから、俺の命は助かったのかもしれないしな。俺だったら、暗号文を仲間に送って、爆発に巻き込まれて死んでたさ」

 

 

「俺もそうだな。秋庭さんとデートしていたアイツが爆弾を解体してなかったら、巻き込まれて死んでただろうな。

 そう考えたら、白銀って俺達同期組の命救ってるんだよな。伊達班長と山川も死にかけた所を救われたわけだからな。恩がすげえあるな」

 

「だな。その恩をしっかり返す為にも早いこと終わらして、他のメンバーと合流してこの事件を早く解決しようぜ」

 

「ああ。事件解決して所長の奢りで飲みにいこうぜ」

 

「それはナイスアイデアだな」

 

 俺と萩原は、仲間達と合流する為にショッピングモールにある爆弾を急いで解体するのだった。

 

 

<松田陣平side out>

 

 

 

<偵光side>

 

 俺と山川さんは東都タワーに到着すると、タワーから煙が出ており大勢の人が集まっていた。

 あれは、火災が起こってるのか? エレベーターが止まってるな。いったい何があったんだ?

 

「おい、偵光! 大変だぞ! さっき小さい爆発が起こってエレベーターが止まってるそうだ。中には小さい女の子が取り残されているらしい!

 警察が来るまでまだかかるそうだ!道具一式持って早く助けに行くぞ!」

 

「それは大変だ! 急いで向かわないと!」

 

 俺と山川さんは止まってるエレベーターの前まで来ると、母親がエレーベーター内にいる娘さんを呼んでいたので話しかけた。

 

「すみません! 大丈夫ですか? 救助に来たものですが」

 

「娘が怖がっちゃって出てこないんです、明美、何してるの? 早く出ておいで!」

 

 あちゃあ、こりゃあ完全に怖がってやがるな。さて、どうするかな? そういやあそこに・・・ああ、いたいた。 ちょっと借りてこよう。

 俺はスタッフに事情を説明し、クマの着ぐるみを借りた。

 

「おい、偵光どうする? 俺が話かけてもダメなんだがってどうしたその恰好? 東都タワーのクポンじゃないか」

 

「スタッフから事情説明して借りたんだよ。ああ、この黒いクマそんな名前なのね。キャラクターの説明は聞いたし、なりきって女の子に話かけてみる。ヤッホー、こんな所でどうしたポン?」

 

「クポン・・・?」

 

「そうだポン。君の名前は何て言うのかな? 僕の名前はクポンだポン」

 

「明美」

 

「明美ちゃんて言うんだね。良い名前だポン。明美ちゃんが持っているクマさんの名前を教えて欲しいんだポン。お友達になりたいポン」

 

「ジャムちゃんって言うんだよ」

 

「ジャムちゃんって言うんだポンね。男の子で良いのかな?」

 

「うん。ジャムちゃんは明美のお誕生日にママが買ってくれたんだよ」

 

「そうなんだね。そのママが外で待ってるし、僕もジャムちゃんと遊びたいからこっちに来るポン」

 

「うん!」

 

 女の子はそう言うとこちらに来たので、抱えてエレベーターの外に出して母親に渡すと、二人とも泣いて喜んでおりお礼を言われたので、手を振り返し親子と別れエレベーター周辺の調査を開始した。

 

「相変らず子供への接し方は上手いな。それに、演技力も流石だな。それで着ぐるみは脱がないのか?」

 

「目撃してる子供が多いからな。流石に子供の夢を壊すのはね。それで、犯人はどこに仕掛けると思う? エレベーターの上は定番として」

 

「内部とエレベーター下部辺りも怪しいかな。内部も調べたい所だが、入るには隙間がちょっと無いな。子供ならは入れそうなんだが・・・」

 

「そうだよなあ。うーん、どうすっかな? ん? どうややら、エレベーター復旧したみたいだな。これで、乗れるぞ」

 

「よし、中に入って調べてみようぜ」

 

「さて、爆弾はどこかな? って、この音と揺れは!?」

 

「ちっ、ヤバいな!」

 

 俺と山川さんがエレーベーターの中に入り調べていたら、上の方で大きな爆発音がして、エレベーター内が大きくゆれて落下していくのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

 

<江戸川コナンside>

 

俺達は東都タワーで爆発があったと聞いて、エレベーター周辺に来て情報を集め終わり、白銀さんに連絡しようとしていたら佐藤刑事が合流した。

 げっ、佐藤刑事じゃねえか。白銀さんが動いてるのバレたらまずいことになるだろうな。佐藤刑事にもばれたら、灰原にも間違いなく伝わるしどうにかするしかないか。

 

「高木君! いったいどういう状況なの?」

 

「佐藤さん! それがですね、先ほどまで小さい女の子が止まったエレベーター内にいたそうなんですが、青年とクポンが助け出した後爆弾が仕掛けられてるので調べると言って動いたエレベーター内に入って少しして爆発が起こり、エレベーターが落下していったそうです。

 今、その二人の人物の安否を確認してる所なのですが・・・」

 

「ちょっと大丈夫なの!? 青年は分かったけど、クポンって何なのよ?」

 

「東都タワーのマスコットだよ。女の子と助け出す為に、その青年の人と一緒に行動してた人がスタッフから借りたみたいだよ」

 

「ちょっと、それってどういうことなの?」

 

「コナン君! それがですね。スタッフからそのマスコットキャラの衣装を借りた人物がいたのは間違いないそうです。それでその人物達なのですが・・・」

 

「いち早く現場に到着した爆弾処理班の人達が乗ってるんだって! だから心配しなくても大丈夫だよ! 爆弾もその人達が解体するみたいだよ。だから、ここは高木刑事が残ってれば大丈夫じゃないかな?」

 

「コナン君!?」

 

「そうなのね。でも・・・爆弾があるなら私もいた方が」

 

 俺は高木刑事に静かにするようにジェスチャーをしながら

 

「良いの? この状態で、爆弾犯捕まえにいち早く動く人物がいるんじゃないの? その人が暴走しちゃうんじゃないの?」

 

「暴走って、コナン君。確かに一人思い当たるわね。今日は事務所で大人しくしてるように言ったんだけど、ちょっと連絡してみるわね」

 

「ちょっとコナン君? 佐藤さんにホントのこと言った方が良いんじゃないかい?」

 

「ダメだよ。佐藤刑事に余計に心配かけるのは分かってるけど、佐藤刑事にばれたら佐藤刑事が犯人から狙われる可能性が高くなるだろうしね。

 おそらくそれも分かってたからこそ、白銀さんもスタッフには、僕達の特徴だけを詳しく教えて、僕達以外には伏せてくれって言ってたんだろうし」

 

「うーん、良いのかなぁ。佐藤さんに危険が及ぶってのは分かるけど・・・」

 

「・・・ダメね。繋がらないわ。外に子供達待たせてるから、子供達を送る合間に、もう一度偵光に連絡してみるわ。高木君悪いけどここお願いね。

 コナン君ってあら? どこ行ったの?」

 

「え? さっきまでそこにいたんですけど、もしかして車に戻ったのかもしれませんね」

 

「そう。何か追加で分かったら私の携帯にかけてちょうだい。もう、あのバカ。電話かけたらすぐ出なさいよ・・・」

 

「ふう」

 

「どうやら行ったみたいだね、佐藤刑事」

 

「コナン君!? どこに行ってたんだい?」

 

「ちょっとトイレに。ん、電話? 高木刑事にも聞こえるようにスピーカーモードにするから耳近づけて」

 

「う、うん!」

 

「はい、もしもし。白銀さん?」

 

「おーコナン。東都タワーにはもう着いたか?」

 

「うん、着いたよ。どうして僕がここに来るって分かってたの?」

 

「単純な推理だよ。事件が起こる場所にはいつも来るしな。近くに高木刑事はいるか?」

 

「いるよ。この電話を一緒に聞いてるよ。佐藤刑事はいないから大丈夫だよ」

 

「あー、俺の考え察してくれて助かるよ」

 

「ちょっと、白銀さん! いったいどういう状況なんですか!?」

 

「すみません、高木刑事。すぐに、説明しますんで」

 

「今、俺と山川さんでエレベーター内で閉じ込められてるんだが、問題がありまして。

 エレベーター内部に一個、屋根の上に一個、床下に一個爆弾が仕掛けてありますね」

 

「何だって!? 大変じゃないか!」

 

「落ち着いて高木刑事。白銀さんと山川さんなら解体できるんじゃないの? その為にここに来たんでしょ?」

 

「まあな。ただ問題があってな。水銀レバーは無かったから安心していたんだが爆弾の構造が厄介でな。ここにある三つの爆弾は、サブの爆弾でな。メインの爆弾が他の場所にあって、そいつと連動してやがるんだよ。

 メインの爆弾から解体しない、ここにある三つの爆弾は爆発する構造って訳だ。そのメインの爆弾の解体を急いでもらいたいんだが」

 

「それは本当なの!? 白銀さん!? 急いでメインの爆弾見つけないとヤバいことになるってことだね」

 

「ああ。まあ、そのメインの爆弾の場所の当たりも付けてるんだけどな。その階のエントランス近くに消火栓ボックスがあるだろう? おそらくその中にあるはずだ。

 あ、そうだ。開けたら水銀レバーが起動して、振動起こした瞬間に爆発するって可能性は低いから心配するな」

 

「爆弾の場所もそうだけど、どうしてそう言いきれるの?」

 

「三年前にあった杯戸ショッピングモールの事件でも、消火栓のボックスの中に爆弾があったからな。今回の事件は、三年前からの因縁が関わってる訳よ。その辺の説明は、今は省くけどな。

 水銀レバーについては三年前の爆弾事件に仕掛けてあったんだけど、全部失敗に終わったから今回は改良してるっていう訳だ。俺達からしたら面倒くさいことになっただけなんだけどな」

 

「理由は分かったよ。それじゃあ、僕達の近くにある爆弾を解体しないと白銀さん達が動けないってことだね?」

 

「そういうこった。あ、あとおそらくだがエレベーター内と一緒で盗聴器が仕掛けられてるだろうから気づかれないようにな」

 

「だから小声で話してたんだね。分かったよ。高木刑事!」

 

「分かったよ! すぐに爆弾処理班を手配するよ! コナン君はここで待っておいて!」

 

「う、うん! 白銀さん! 高木刑事が爆弾処理班をすぐに手配してくれるって!」

 

「ちっ! いや、どうやら処理班を待つ余裕はないみたいだ。爆弾のタイマーが残り一時間に早まった。俺達の方はもともとこういう計算だった訳かよ。さてどうすっかな・・・」

 

「そんな! なら、僕が! うわっ! え・・・?」

 

「ちょっと借りるわね、コナン君」

 

 俺は、その人物を見て驚き携帯を取り上げられるのだった。

 

<江戸川コナンside out> 



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51話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
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<佐藤美和子side>

 

「ちょっと借りるわね、コナン君」

 

「え・・・?」

 

「何してるのよ、アンタは!?」

 

「うわっと、びっくりしたな! 美和子か?」

 

「ビックリしたのはこっちよ! アンタ今エレベーターの中にいるの!?」

 

「いや、エレベーター内にはいねえよ。ちょっと外には出てるけど」

 

「嘘つかないで! 外で萩原君見たから聞いたのよ。お願いだからちゃんと答えてよ・・・。ぐすっ」

 

「ああもう! 頼むから泣くなって! 萩原さんに聞いたのかよ。ってことは萩原さんもそこにいるのか?」

 

「うん、いるわよ。そこで消火栓の中にあった爆弾の解体を始めてるわ。それより、エレーベーター内にいるの?」

 

「萩原さんがいるなら大丈夫だな。山川さん、萩原さんが外の爆弾解体してるから、終わり次第こっちも解体始めよう」

 

「ああ、分かってるよ。それまでのんびり待ってるさ。それより佐藤さんのフォローしとけよ」

 

「はいはい、分かってますよ。それでエレーベーター内にいるけど、ちゃんとすぐに解体できる爆弾だから心配するな。

 すぐに、解体したら外に出るよ」

 

「ホントに大丈夫なの・・・?」

 

「大丈夫だって。大丈夫じゃなかければ、お前が大泣きして大変なことになるからな。

 それに山川さんも一緒だし、俺一人で無茶する訳にはいかないしな。無茶したら山川さんに怒られる」

 

「もう泣いてるわよ、バカ。大人しくしてなさいって言ったのにどうして事件に首突っ込んで巻き込まれてるのよ、もう」

 

「頼むからこれ以上泣くのは辞めてもらえると助かるんですが。美和子泣かしたら、由美とクリスにすげえ怒られるんだよ。うーん、バレてるならもう良いか。警察に送られてきた脅迫状とは別に、ウチの事務所にも送られて来てたんだよ。

 それで、事務所や会社の人達や一般人に被害が及ばないように動いてたって訳だ」

 

「そうなのね。今朝事務所訪ねた時に様子がおかしかったのは、事件に関わってることを私に知らせないよう誤魔化す為だったのね。どうして教えてくれてなかったのよ!?」

 

「アホか。お前に教えると私情で突っ走るだろうが。まだ三年前の爆弾事件のこと気にしてるみたいだし、今回の事件も関係があるって分かったら暴走するだろうが」

 

「気にしちゃわるい!? アンタが大けがして意識不明になってどれだけ心配したか分かってるの!? あの事件だけじゃないわ! 

 いつもいつも怪我して、心配ばかりかけて、アンタがいつか私の傍からいなくなるんじゃないかって不安なのよ! アンタが怪我してる時に、見てる事しかできないのが嫌になるのよ! 貴方には元気で明るく隣で笑ってて欲しいのよ・・・お願いだから」

 

「・・・・・分かってるよ。美和子や他の人達にも心配かけてるってことはな。それでも俺は、無茶しないわけにはいかねえんだよ。美和子や大切な人達が笑って過ごせるようにする為にな。

 それに無茶はするが、死ぬ気は全然ねえよ。お前達と約束破ることになるしな。その約束だけは絶対破らねえって誓ってるんだよ」

 

「・・・・大馬鹿よ。昔から決めたことは曲げずに突き進んでいくんだから。偵光のそんな所が・・・」

 

 私が偵光と話していると、萩原君の焦った様子で話かけてきた。

 

「佐藤さん! 俺と白銀達以外は避難させてくれ! こっちの方は解体できるがタイマーが早まった! 白銀達の方の爆弾も早まってるはずだ。

 解体するにしても、時間ギリギリ間に合う感じだ! 30分もねえ! 急いでこのタワー周辺から避難させるんだ! 悪いが、俺はすぐに解体に戻る!」

 

「そんな!? 急いで避難させないと大変なことになる!」

 

「本当なの、萩原さん!? ちっくしょう・・・」

 

「本当なの!? 萩原君!? 聞いて、偵光! 爆弾の・・・」

 

「ああ。タイマーが早まったみたいだな。それにメッセージも出やがった。もう一つの爆弾の場所のヒントを残り3秒で表示するってな。あちゃあ、こう来たか。

 やれやれ、本気で俺等を殺しにかかって来てんな。このメッセージ出たらそのヒント見るしかねえじゃねえか」

 

「何言ってるのよ!? そのメッセージが私達を嵌める罠だったらどうするのよ!? 解体しないと偵光達が死んじゃうじゃない」

 

「罠ってことは無いだろうよ。3年前も同じだったからな。お前も分かってるだろう? 萩原さんの声が聞こえたし、状況もひっ迫してるってな。

 こんなことで約束破る形になるとはな。嘘つきになっちまったな、あはは」

 

「何笑ってるのよ!? ちゃんと死なないって約束したじゃない! 嘘つきって何よ!? その約束だけは守るって言ってたじゃない! お願いだからすぐに爆弾を解体して」

 

「それはできねえって、もう分かってるんだろ? この状態で何を優先すべきかは分かってるじゃないか。たくさんの人を護る為に行動しろよ」

 

「全然、分からないわよ! どうしてなの? どうしてこんな酷な選択させるのよ。ただ好きな人に、身近で元気に笑ってて欲しいだけなのに。どうしてこんなことになるのよ! 

 ねえ、偵光。貴方の事が好きなの。お願いだから、私の傍からいなくならないでよ・・・」

 

 私は涙を流しながら膝を着いた。周辺は、高木君達が一般人を非難させて私達以外にはもう誰もいなかった。

 

「佐藤さん、僕達も避難しましょう。白銀さんの思いを無駄にしたらダメです」

 

「・・・・嫌よ。私もここに残るわ」

 

「佐藤さん!」

 

「いい加減にしろ、佐藤美和子! お前は何の為に刑事になったんだ!? 俺だけを助ける為だけに刑事になったのか!? 違うだろう! 

 わがままばかり言うのもいい加減にしやがれ! お前にはまだ出来ることがあるだろうが! 早く避難して次の爆弾を見つけないともっとたくさんの被害が出る! お前は刑事だろう!? こんな悲劇を起こさない為にも犯人を見つけるんだ!」

 

「・・・・っ! 行くわよ。高木君。私達は私達の仕事をしましょう。ねえ、偵光」

 

「ああ、何だよ?」

 

「ずっと大好きだったよ。ありがとう、コナン君」

 

「う、うん」

 

 私は涙が溢れるのをこらえながら、外へと避難すると、偵光からメールが来ていた。

 

「こんな俺を好いてくれてありがとな。嬉しかったぜ。色んな人から好かれて幸せ者だなって思ったよ。こんなろくでなしより良い人見つけろよな。

 犯人はおそらく東都タワーの様子が分かる場所にいるはずだ。陸橋の上とかの高くて東都タワーが良く見える位置とかな。犯人を捜す場合には、刺激するなよ。じゃあ、またな」

 

「何なのよ・・・・ばか。偵光以外好きになる訳じゃないのよ。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 私は偵光がいなくなることを悟り、涙を流すのだった。

 

<佐藤美和子side out>

 

 

 

<萩原研二side>

 

 俺は佐藤さん達を避難させた後に、爆弾をすぐに解体し終えて、所長に電話をかけた。

 

「はい、もしもし?」

 

「こっちは解体終わったぞ。タイマーが早まるとは予想外だったが、良い方向に働いてくれたな。そっちは間に合いそうか?」

 

「30分もあれば十分すぎるよ。それに、萩原さんが爆弾の連携機能を解除してメールしてくれてから、こっちには解体に取り掛かってるしね。メッセージ出てもすぐに切れる状態にしておけば3秒でも全然間に合うからね。

 もう1か所の爆弾の在処ももう特定できたしね。今頃、松田さん、透、クリスが解体してるはずだよ」

 

「陣平ちゃんと別れて東都タワーに来いって連絡が来たときは、何でだ?って思ってたけど、こういう理由があったのね。どうして爆弾が帝丹高校に仕掛けてあるって分かったんだ?」

 

「それは、警察に送られてきたメッセージを紐解けば分かることだ。

 『俺は剛球豪打のメジャーリーガー さぁ延長戦の始まりだ 試合開始の合図は明日正午 終了は午後三時 出来の良いストッパーを用意しても無駄だ 最後は俺が逆転する 試合を中止したくば俺の元へ来い 血塗られたマウンドに貴様ら警察が登るのを鋼のバッターボックスで待っている』

 ってメッセージの中にある、メジャーリーガー、出来の良いストッパー、延長戦の部分がヒントなんだよ。メジャーリーガーは英語に直せ、出来の良いストッパーは防御率が良い投手のこと、延長戦はEXTRAゲームのことになる。

 EXTRAから防御率を略したERAを抜くとXTになる。XTを縦に書いて最後に逆転という意味からひっくり返すと文という漢字になる」

 

「なるほど。文ってことは学校の地図記号か! でも学校ってなると色々あるぞ?」

 

「そうだね。学校だけだと小中高大って色々あるけど、爆弾犯の気持ちになって考えると自然と絞れるんだよね」

 

「爆弾犯の気持ち? ・・・・・そういうことか! 爆弾を学校に仕掛けるには怪しまれて調べでもされたら失敗に終わる。内部に入って爆弾を仕掛けるのに怪しまれないタイミングを狙ったってことか」

 

「文化祭なんかが行われてると業者を装い入るにはうってつけだな。外部から人が大勢出入りしたりしても怪しまれることはない」

 

「そういうこと。流石だね、山川さん、萩原さん。この土日に学園祭を行った学校を調べて、その中で今日も全校生徒が来ている学校をのみに絞って調べたら帝丹高校しかなかったって訳ですよ」

 

「なるほどな。それなら佐藤さんにあんな風に言わずにこのことを教えてもよかったんじゃないのか?」

 

「美和子に教えたら間違いなく暴走するのが分かってたし、警察を動かすってなると犯人にバレるリスクも上がるからね。美和子には犯人のいるであろう場所のヒントを教えたし。高木刑事とコナンにはホントのこと全部話してるから、対処してくれるはずさ。

 一番の理由は、美和子を危ない場所から遠ざけたかったってのが一番かな」

 

「やれやれ。偵光は昔からそういうとこ変わらないよな。事件終わったらちゃんと佐藤さんに謝るんだぞ。あんなに泣かせたんだからな」

 

「それには同感だ。佐藤さんを泣かせたんだからしっかり謝れよ」

 

「分かってるよ。美和子とか身近な女の人に泣かれるのホントダメージでかいんだよ。

 よし、あとは線を一本切るだけだから、ヒントが出るの待つだけだな。山川さんの方はどんな感じ?」

 

「だったら泣かせないようにする努力をしろ、バカ。こっちは解体終わったぞ。萩原! 偵光がヒント見て爆弾解除したら俺達を救助できるようにしておいてくれ!」

 

「了解。それじゃあ、一旦電話切るぞ」

 

 俺は電話を切り、行動を開始するのだった。

 

 

<萩原研二side out>

 

 

 

<安室透side>

 

 俺達は偵光から連絡を受けて、松田と合流し犯人にバレないように帝丹高校に潜入し爆弾の解体を行っていた。

 

「それにしても結構な数があるな。よくこれだけの爆弾しかけたよな」

 

「ホントにな。1か所に集めてくれてたから、解体がだいぶスムーズに進んでるぜ」

 

「そこはクリスさんに感謝しましょう。偵光から連絡受けてすぐに動いてくれてましたから」

 

「クリスさんって白銀を育てたことだけあるよなあ。これだけの爆弾集めてくるし、盗聴器も仕掛けられてるの見つけてたし、変装もできるしすげえよな」

 

「あれぐらいで驚いてたら、この先やっていけねえぞ、班長。クリスさんもそうだが、所長の方が化け物じみてやがるからな。

 時々ホントに人間か?って疑いたくなる時があるからな」

 

「それはこの事務所に入って身に染みてるよ。研修の時もやばかったからな。あの時はホント死にかけた。あれで優しい難易度だからって驚きだよな」

 

「厳しいのは偵光しか受けてないからな。それより、そっちはどうだ? こっちは終わったぞ」

 

「俺の方もこれで終わりっと。班長の方は?」

 

「俺もこれで最後だ。これでよしと。あとは、爆弾処理班に任せよう。連絡もしたしすぐに来るだろう。そう言えば所長達は大丈夫なのか?」

 

「ええ。最後のヒントも出てすぐに爆弾を解体したそうですよ。犯人の行動を制限する為に、爆発する時間ギリギリまで粘るって発想ふつうは思いつかないぞ。

 下手したら死ぬ可能性もあるってのに、心配するこちらの身にもなって欲しいよ」

 

「まあ、それがうちの所長だから仕方ないだろう。犯人を捕まえる為に俺達は動かなくて良いのか?」

 

「高木と佐藤さん達が動いてるなら大丈夫だろうよ。それに、白銀と山川さんが動くんだろう? 俺達の出番はないはずだ」

 

「ええ。偵光から、解体が終わったら事務所で書類まとめて、終わり次第帰っていいってメールが来てました。

 警察のサポートに偵光、山川さん、萩原の3人で動くそうですから大丈夫でしょう。僕達は事務所に戻りましょう」

 

「ああ、そうだな。早く帰って報告用の書類まとめようぜ」

 

「当分爆弾は見たくないな。夢に出で来そうなぐらい解体したぞ。奥さんも待ってるし、早く終わらして帰るようにしよう」

 

「おうおう、家庭持ちは違いますねえ」

 

「うるせえ。おい、安室! 何してるんだ? 行くぞ」

 

「すみません、偵光にメールを返してました。爆弾処理班も来たようですし、説明して帰りましょう」

 

 俺達は爆弾処理班に爆弾のことを説明し、事務所へと戻るのだった。

 

 

<安室透side out>

 

 

 

<偵光side>

 

 俺達は爆弾を解体して、東都タワーから犯人がいるらしき場所へと当たりをつけてその地点へと向かっていると電話がなった。

 

「はい、もしもし?」

 

「白銀さん、大変です!」

 

「高木刑事、落ち着いてください!  どうしました?」

 

「佐藤さんが拳銃を持って犯人を追跡しています! 今の佐藤さんの状態だと何するか、分かりません! 一回は止めたのですが、その隙に犯人がまた逃走し佐藤さんもそれを走って追いかけてって形で見失ってしまいました。

 この辺り裏路地ばかりで・・」

 

「あのバカ! 美和子がどっち方面に向かったとかも分かんないですか?」

 

「はい、すみません・・・」

 

「おい、白銀! あそこ見てみろ! あれって佐藤さんじゃねえか? 前に走って逃げてる男もいるみたいだが」

 

「佐藤さんだな。偵光! 追うんだろう!? 早く降りて行け! 今なら信号で止まってるから行けるぞ!」

 

「高木刑事、あのバカを見つけたんで切りますね。萩原さん、一緒に行くよ! 山川さんも車停められたら来てね!」

 

「分かった!」

 

「はいよ!」

 

「ちょっと白銀さん!?」

 

 電話を切り急いで車から降り、美和子の後を走って追っていき裏路地に入ると拳銃を構えて犯人を撃とうとしていた。

 ちっ、バカが!

 

「おいおい、やべえんじゃないのか!?」

 

「萩原さんは犯人の方を頼むね!」

 

 俺は美和子に向かって飛び込んで、拳銃を持ち犯人に当たらない方向へと向けて犯人には何とか当たらずに済んだ。

 

「きゃあ! 何するのよ! 邪魔しないでよ! 偵光の敵を取るんだから! あんな奴のせいで、偵光が死んだんだから邪魔しないで!」

 

 ちょっと! 完全に暴走してるじゃねえか! って着ぐるみ着たまんまだから俺って気づいてないのか?  

 

「ああ、もう暴れんなって! 落ち着けバカ!」

 

 俺は美和子の目を覚ます為に、頬を叩いた。

 

「・・・・・・え? この声・・・」

 

「ふう。こっちは確保したぜ、所長。 拳銃の弾が顔の近くに飛んできたから恐怖で気を失ってるけどな。山川さんが目暮警部達ひきつれて来てくれるだろうよ。

 それで、その着ぐるみ取ったらどうだ? お前が誰か分かってないみたいだぜ?」

 

「分かってるよ。ふう、顔隠しながら動けるのには便利だったからね。後で東都タワーに返しに行かないといけないな。事件終わったら返す約束してたし。

 ところで、いい加減、目が覚めたか、バカ?」

 

 俺は着ぐるみの頭を脱ぎながら美和子へと話しかけた。

 

「・・・・嘘。偵光なの・・・?」

 

「お前の目から俺は何に見えてるんだよ。正真正銘の白銀偵光さんですよー」

 

「爆弾で死んだんじゃ・・・」

 

「勝手に殺さないでくれますかね? 東都タワーの続報やっぱり聞いてなかったな。犯人見つけて復讐することしか頭になかったな。昔から思い込んだら一直線な所ホント変わんねえよな。刑事が復讐心に囚われたらだめだろうが。

 『誇りと使命感を持って、国家と国民に奉仕し、恐れや憎しみに囚われずにいかなる場合も人権を尊重して、公正に警察職務を執行する』ってのが、お前のモットーじゃなかったのか? そのモットー守れてないじゃないか。

 そんなんだとおじさんに怒られるし、俺も怒ってるぞ、このバカ!」

 

「ううっ・・・だって・・・偵光が死んだって思って。貴方が約束守るって言ったのに。傍からいなくなって凄く辛かったから仕方ないじゃないのよ、バカ!」

 

「そうだな。お前もバカだし俺もバカだな。ただ、絶対死なないって約束だけは守るって言っただろうが。それぐらい信じろよな」

 

「ホントに生きてるのよね・・・? 夢じゃないわよね?」

 

「ああ。ちゃんと五体満足で生きてますよ。ほら、泣くなって。心配かけて悪かったな、美和子」

 

「ひっぐ、ぐすっ。本当に生きててよかった。ひっく、ぐすん」

 

「邪魔者は退散しますかね。犯人運んでおくぞ。それと、今日の夜は飲みに行こうぜ。所長の奢りでな。

 事務所や会社のみんなにはこのこと黙っておくからな。良かったな、佐藤さん」

 

「ははは、助かります。ありがとう、萩原さん。美和子落ち着かせたらすぐに行くよ」

 

 俺は、美和子が落ち着いて泣き止むまで、抱きしめながら頭を撫で続けるのだった。

 



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世紀末の魔術師編
52話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 



<宮本由美side>

 

 私は、爆弾事件の調書をまとめ終わった美和子と食事をしにサマーライトに来ていた。

 

「さーて、詳しく話を聞かせてもらうわよ、美和子! 偵光に告白したらしいじゃない?」

 

「ぶっ! どうしてそれを!?」

 

「それに、アンタ偵光に泣きながら抱き着いて、頭撫でられてたらしいじゃない。高木君がゲロって、刑事一課では噂になってるわよ。交通課にも流れてきたからね」

 

「う、それは・・・。偵光が生きてるって分かって安心したのよ。てっきり死んだものとばかり思ってたから。告白したのは、アイツが爆弾を解体できないみたいなニュアンスで言ったから、もう会えなくなるって思ってたのよ。

 あとから確認してみれば、盗聴してた犯人を騙す為だったみたいよ。おかげで私が大恥かいたじゃない」

 

「どうせアイツのことだから、本当の理由は美和子を守るってのがあったんでしょ? 分かってるくせに素直じゃないわね」

 

「由美には言われたくないわよ!」

 

「なにおう! 美和子よりは素直ですよーだ! それで返事は貰ったの?」

 

「いいえ。返事はしなくて良いって言ったわ。偵光には私の気持ちをしっておいてもらえただけでも十分満足してるから。

 それに偵光を好きな人は他にもたくさんいるし、その人達も遠慮せずに気持ちを伝えて欲しいって思ったのよ。由美だって偵光のこと好きでしょう?」

 

「ええ、好きよ。あんだけアピールしてるのに全然気づかないんだから。いや気づかないフリをしてるって感じかしらね」

 

「そうね。おそらく偵光には何か目的があって、その目的が達成されるまでは誰かと幸せになるって考えは無いんでしょうね」

 

「はあ。お互い大変な奴を好きになったわね。でも、アイツがあんなだから好きになったのよね。おそらく他のみんなも」

 

「ええ。偵光があんなだから惹かれたのよ。気長に待つようにするわ。アイツ以外に相手は考えられないしね」

 

「そうね。偵光を落とすなら、美和子の場合は女らしさを身につけた方が良いかもしれないわね。色気とかほとんど無いし」

 

「何よ! 由美だって女らしさなんてほとんど無いじゃない! ズボラだし、料理もあまりしないじゃない」

 

「それはアンタだって一緒でしょうが! 料理は偵光がしてくれるから十分よ!」

 

「私はまだマシよ! 偵光に頼りきりすぎるわよ! 偵光の料理の腕、自信を無くすぐらい凄いのは認めるけど」

 

「そうなのよねえ。女の心を叩き折るぐらい家事スキル半端ないのよねえ、アイツ。山川さんと安室君もそうなんだけど」

 

「どうしてあれだけ家事スキル高いのかしら? 偵光に料理とか今度習おうかしら」

 

「それは良い考えね。あれ? そう言えば、今日は偵光見かけないわね。大抵店にいる曜日のはずなんだけど」

 

「おや、僕がどうかしましたか? お待たせしました。カルボナーラのパスタセットに和風パスタセットになります。随分と盛り上がってますね、佐藤さん、宮本さん」

 

「安室君! ありがとう、おいしそうね。安室君達は落ち着いたの?」

 

「偵光や安室君が料理上手くて家事スキルが高いって話してたのよ」

 

「そういうことですか。ええ、なんとか。爆弾事件を解決して、事務所に戻ったら、クリスさん達にこってり絞られましたからね。事件のことを僕達以外には黙ってましたから。

 それと、佐藤さんとのやりとりの情報が事務所にも入ってきて、女性陣が凄いやる気を出してましたよ。お二人とも大変になりますね」 

 

「またこってり絞られたのね。ごめんなさい、私のせいで迷惑かけてるみたいね。大変なのは昔から慣れてるわ。他の女性陣にも刺激になったなら良かったわ」

 

「今更よね。他の人達がやる気になったなら望むところよって感じ。そういや、その話題の中心の偵光はどうしたのよ? 

 爆弾事件解決して落ち着いたからゆっくりできるって言ってたからてっきり店で働いてるもんかと思ったんだけど見当たらないわね。山川さん達が店で働いてるって珍しいわね」

 

「お二人とも凄いですね。偵光なら萩原達と香坂さんの依頼で大阪に泊りがけで行ってますね。香坂さんの依頼が解決するまで僕達が代理で店を回してるって訳です」

 

「なるほどね。それでいつもとは違うスタッフだったのね」

 

「大阪って大変ね。また変なことに巻き込まれなければ良いけど」

 

「うーん、そればかりは分かりませんね。偵光のことですから絶対何か起こる可能性は高そうです。

 すみませんが、お客さんが増えてきたので戻りますね。ごゆっくりと」

 

「ありがとう、安室君。由美、パスタ冷めちゃうから食べましょう」

 

「そうね。きっと、偵光のことだから元気に帰ってくるわよ」

 

「そんなの分かってるわよ。それじゃあ、いただきます」

 

「いただきます」

 

 私は美和子との食事を楽しみ満喫するのだった。 

 

 

<宮本由美side out>

 

 

 

<香坂夏美side>

 

メモリーズ・エッグと呼ばれる『インペリアル・イースター・エッグ』が見つかり、鈴木財閥が大阪で展示会をするということが分かり、そのメモリーズ・エッグの写真が曾祖父の図面に書いてあったものと違っており、私はそれを調べたいことを先生にお願いすると快く返事をしてくれて、先生、萩原さん、瑞紀さん、私の4人で大阪へと来ていた。

 

「先生、ホントに良かったんですか? 私の都合で無理させてないですか?」

 

「大丈夫だよ。珍しく夏美ちゃんが頼み事してくれたしね。それに、東京にいると更に事件に巻き込まれるから、たまには違う地域に行ってこいって透達に怒られたんだよ」

 

「確かにな。米花町にいるとなぜか事件遭遇率高いからな。他の所での方が巻き込まれにくいって判断したんだろうよ。まあ、あまり変わらない気もするが」

 

「そうだよね。事件なんか起こらず平和に過ごしたいんだけどな。無理なのかな?」

 

「白銀の場合難しいだろうよ。あ、そうだ! 姉貴がお前と会いたがってるんだよ。都合の良い時あるか? お前に会わせろってうるさいんだよ」

 

「萩原さんのお姉さん? どうしてまた?」

 

「普段俺がお世話になってるからお礼言いたいんだとよ。あと、爆弾事件で俺の命も助けてもらったお礼も言いたいんじゃねえのか? 爆弾事件解決したの警察内でもすげえ話題になってたしな。

 その話を聞いてすぐにでも挨拶いかないとって感じじゃねえのか?」

 

「警察内で噂になってるんだ。ってことは、お姉さんって刑事?」

 

「いや、違うぜ。神奈川県警で交通機動隊してたんだけど、今度警視庁の捜査一課に移動になったらしいんだよ。それもあるから余計に会えるチャンスって思ったんじゃねえの?」

 

「交通機動隊って言うと白バイ警官か。交通機動隊から捜査一課って、すごい人事異動だね。あ、そういや由美の奴が凄い人が来るのよ!って言ってたな。

 それって萩原さんのお姉さんだったんだ。萩原さんの命助けたってそんな大層なことした覚えないんだけどなぁ、ねえ、夏美ちゃん?」

 

「先生は充分凄いことしてると思いますよ。それに先生が爆弾事件解決してなかったら大勢の人が巻き込まれてた可能性がありますよ?」

 

「姉貴自由すぎるからな。好き放題やりすぎたから、捜査一課で大人しくさせようって魂胆じゃないのか? 松田もそうだったし。まあ、姉貴のことは置いといて。

 香坂さんの言う通りだ。お前と初めて会った時は、お前が解体してくれてなかったら俺が巻き込まれてただろうし、ショッピングモールの観覧車では松田が巻き込まれてたかもしれないしな。俺も松田もお前にはすげえ感謝してるんだぜ。姉貴も同じように思ってるんだろうよ」

 

「あの時は、ただ怜子さんやクリスを助けるのに必死なだけだっただけなんだけどな。なんか恐縮しちゃうよ」

 

「ははは! そういうとこだよ。お前がそういう奴だから、気に入ってんだよ。姉貴もお前と会って話せれば喜ぶと思うから俺からも頼むよ」

 

「分かったよ。とりあえず、夏美ちゃんの件が終わったら大丈夫だからお姉さんに連絡しておいてもらえる?」

 

「ありがとな、白銀。姉貴には伝えておくよ。あ、そうそう。香坂さん達にも会いたがってたから、会ってやってくれよな」

 

「はい♪ 私も楽しみにしてますね」

 

「あのー、私も付いてきて良かったんでしょうか? 白銀さんから頼まれましたけど、場違いのような気がしてならないです」

 

「大丈夫ですよ、瑞紀さん。先生が頼んだんですから自信持ってください♪」

 

「そうそう。瑞紀ちゃんに来てもらいたいって思ったから頼んだんだよ」

 

「気にしなくても大丈夫だぜ、瀬戸さん。それに野郎ばかりだと香坂さんが心細くなっちまうからな」

 

「ありがとうございます♪ 皆さんにそう言っていただけて嬉しいです♪ それにしても、夏美さんってすごいお嬢様だったんですね。

 あの世紀末の魔術師と呼ばれた香坂喜一のひ孫だったなんて驚きです。白銀さん達は知ってたんですか?」

 

「すごいお嬢様ってだけは知ってたけどね。まさか世紀末の魔術師と呼ばれた人のひ孫だとは思わなかったけど」

 

「そうだな。まあ、育ちが良いって思ってたから今更そんな驚きは無いけどな」

 

「そんな、私なんて大したことないですよ。曾祖父が有名なだけですから。それに私は先生の方が凄い人だと思ってますから」

 

「いやいや俺の方が大したこと無いでしょうが」

 

「その気持ちは分かるかもな。確かに白銀と比べたら他の人もかすんだりするよな」

 

「そうですね。白銀さんって人間なのかって疑いたくなりますもん。そういえば気になったんですけど、夏美さんはどうして白銀さんのことを先生って呼ぶんですか?」

 

「それは私のお菓子作りの先生ですからね。パティシエの技術や他にもいろいろな事を先生から学んでますから♪ 私がたまたま先生がお菓子売っている場所に遭遇して、弟子入りをお願いしたんですよ」

 

「へえ、そうだったんですか! 夏美さんも相当な腕なのに白銀さんってそれ以上だったんですね! 

 あ、もしかしてサマーライトを出店したのも白銀さんがサポートしてくださったんですか?」

 

「はい、そうなんですよ。先生には私の夢を叶えてもらいましたし、たくさんの御恩があるので感謝しきれないんですよ」

 

「俺もアイツには感謝しきれないほどの恩があるから、こうして仕事を手伝ってるって訳だ。白銀といると退屈しないよ」

 

「そうですね。白銀さんのとこで働いてると色々なことが起こるから退屈はしないですよね」

 

「色々なことを引き起こしているつもりは無いんだけどね。話戻すんだけど、メモリーズ・エッグってロマノフ王朝の遺産だったよね? ニコライ二世の財宝の一つだよね。

 日本にあったのは、未だに謎になってるけど。まあ、それも今回調べていけば分かるかな」

 

「そうですね。先生よくお調べになりましたね。図面があったことから曾祖父が作ったと考えられてます。

 それが今回鈴木財閥の蔵から発見されたんですけど、そのメモリーズ・エッグが図面と違っていたんですよ」

 

「そうなんですね。図面と違うのは確かに気になりますね。そう言えば、怪盗キッドもそのメモリーズ・エッグを狙ってるんですよね?」

 

「そうだな。あの平成のアルセーヌ・ルパンもメモリーズ・エッグを狙ってる訳だ。そっちの件はどうするんだ、白銀? 香坂さんの目的の物を取られるのは不味いだろう?」

 

「そうだねー。ただ、キッドの狙いにどうにも裏があるような気がするんだよね。財宝取るのを阻止するのを優先させるべきなんだろうけど、そこは警察もいるだろうし、鈴木会長がおそらく他の人に依頼してるはずだよ。

 俺達が入り込んでひっかき回すってのもな、キッドより、正直スコーピオンの方が気になるんだよ」

 

「スコーピオンってサソリのことですか?」

 

「違うよ、夏美ちゃん。ICPOから指名手配を受けている凶悪な強盗殺人犯だよ。ロマノフ王朝に関する財宝を専門に盗みに入り、邪魔をする人物は右目を打ち抜いて殺害してるんだよ」

 

「スコーピオンですか。私も聞いたことあります。ロマノフ王朝の財宝を狙ってるってことなら、今回も関わってくる可能性が高いってことですか白銀さん?」

 

「そうだね。おそらく怪盗キッドと同様に狙ってくるだろうね。それに俺の予想では、スコーピオンにとってキッドが邪魔になるはずだから襲ってくる可能性が高いはずだよ」

 

「なるほどな。白銀がそう予想したってことは、実際に起こりえる可能性が高いってことだな。それにしてもスコーピオンはどうして右目ばかり狙うんだ? なんか理由があるのか?」

 

「それは私も気になります。先生は理由分かってるんですか?」

 

「あくまで予想になるんだけどね。ラスプーチンって知ってる?」

 

「ラスプーチンですか? ロマノフ王朝の滅亡の原因を作ったとされる人物ですよね」

 

「確か天下の大悪党だっけか?」

 

「世間では確かにそう言われてますけど、ロマノフ王朝の滅亡の原因を作ったとされますが本当に悪党だったいう詳しい記録は確か発見されてないはずですよ。

 滅亡の原因を作ったとされるので、それに近い人物だったのは間違いなさそうですね」

 

「瑞紀ちゃん詳しいね。そのラスプーチンなんだけど、川から発見された彼の遺体が、頭蓋骨が陥没して右目が潰れてたそうなんだ」

 

「右目ですか。もしかして、それと関係があるって思ってるんですか、先生?」

 

「まあね。スコーピオンは、ラスプーチン愛好家か、血の繋がりのある子孫かなって予想してるんだよ。こじつけすぎるんだけどね。これは忘れてくれて良いよ」

 

「分かりました。でも怖いですね。スコーピオンが狙うってなると夏美さんも危ないんじゃないんですか?」

 

「そうですね。スコーピオンからしたら私も邪魔ものになるでしょうし狙われる可能性は充分ありますね」

 

 私はスコーピオンに狙われる可能性があると思うと、体が震えてきた。恐怖で不安になってると、手を握られてその暖かさに安心した。

 

「大丈夫だよ、夏美ちゃん。瑞紀ちゃんもね。君達は絶対俺と萩原さんが守るから心配しなくて良いよ。ね、萩原さん」

 

「そうだな。その為に俺達がいるんだから心配するなよ、二人とも」

 

「ありがとうございます、白銀さん、萩原さん」

 

「先生・・・すごく安心しました。萩原さんもありがとうございます」

 

「そうそう。二人とも不安な顔は似合わないからね。長話しててもなんだし、早く鈴木会長に話しにいこうか」

 

「そうですね。夏美さんの目的が一番ですからね。急ぎましょう!」

 

「そうだな。鈴木会長に話しついたら大阪観光楽しもうぜ!」

 

「はい! 行きましょう、先生♪」

 

「うわっとと! 夏美ちゃん、慌てるとこけちゃうよ! もう、仕方ないな」

 

 私は先生への気持ちを改めて自覚し、手をつよく握り返し目的の場所へとみんなと向かうのだった。



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53話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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<萩原研二side>

 

 俺達は鈴木会長と話を終えて、瀬戸さんが用事があるので夜には合流するということで別行動をして俺達三人は大阪観光をしていた。

 

「まさか怪盗キッドも狙ってるとはな。どうすんだ所長?」

 

「警察もいるし大丈夫じゃないかな? 俺達が出しゃばって捜査の邪魔をするのもあれだしね」

 

「とか言いながらも結局動くんですよね、先生?」

 

「ありゃりゃ。分かっちゃう? 予告時間が近づいたら動くよ。キッドよりもスコーピオンが釣れたらラッキーなんだけどそう上手いことはいかないかな。

 動く時は、俺だけで動くよ。キッド追うだけなら危険もないしね。萩原さんは夏美ちゃんと行動して、護衛よろしくね」

 

「一人で大丈夫なんですか、先生?」

 

「心配しなくても大丈夫。俺より夏美ちゃんの方が狙われる可能性が高いんだから気をつけてよ。

 それより、せっかく大阪来たんだから満喫したいよね。めったに旅行あって来れないし。夏美ちゃんと萩原さんはどこか行きたいとこある?」

 

「無茶しないでくださいよ、もう。そうですね、私はお菓子屋さんとかをみて周りたいですね。

 あとは通天閣とかですかね。私行ったこと無いので行ってみたいんですよ」

 

「俺は本場のたこ焼きやお好み焼き食べに行きたいな。あと、通天閣とかだな」

 

「あー、通天閣は確かに行きたいね。お腹も空いたし昼ご飯はお好み焼きにしよっか。三時のおやつでお菓子屋さん巡りして、通天閣も行くって感じで良いかな、二人とも?」

 

「俺は構わないぜ」

 

「私もそれで良いですよ」

 

「あれ? お兄ちゃん?」

 

「待ってーな。蘭ちゃん」

 

「ちょっと、待ってよ蘭」

 

「ん? 蘭ちゃん達じゃないか。蘭ちゃんも大阪来てたの?」

 

「お父さんの仕事の関係で来てたの。お兄ちゃんは? あ! 萩原さんに夏美さんもいるんですね!」

 

「ちょっと仕事の関係で来たんだよ。仕事が終わったから、大阪観光してた所なんだよ」

 

「そういうことだ。お、そうだ! 毛利さん達も一緒にどうだ? 俺達今から昼ご飯にお好み焼き食べに行こうとしてたとこなんだよ。所長が奢ってくれるぞ?」

 

「ホンマか? 白銀さん太っ腹やなぁ! ウチお好み焼きの美味しい店知ってんで。蘭ちゃんや園子ちゃんも良かったら一緒にその店行かへん?」

 

「良いわね! 白銀さんが奢ってくれるって最高じゃない! それにこんなカッコいい人たちとご一緒できるなら私は大賛成よ!」

 

「ちょっと、園子! 和葉ちゃんも! お兄ちゃんに悪いでしょ!?」

 

「蘭ちゃんも遠慮しなくて大丈夫だよ。子供は遠慮せず大人に甘えるもんだよ♪ ね、夏美ちゃん」

 

「そうですよ、蘭さん。先生もこう言ってることですし遠慮しちゃ駄目ですよ」

 

「そうそう。白銀がこう言ってるんだから遠慮なんかすんなよ」

 

「でも・・・」

 

「ほーら! 気にしないの! さあ、行くよ。和葉ちゃん、悪いんだけど店までの案内お願い出来る?」

 

「ちょっと、お兄ちゃん!」

 

「任しとき!」

 

「本場のお好み焼きマジで楽しみだな♪ いっぱい食うぞ!」

 

「私も楽しみです♪」

 

「私も楽しみ!」

 

 俺達はわいわいと話しながら、お好み焼き屋へと向かうのだった。

 

 

<萩原研二side out>

 

 

 

<偵光side>

 

 萩原さん達と大阪観光をして夜になり、萩原さんと夏美ちゃんと別れ俺はバイクをレンタルし大阪湾へと向かっていた。今は七時半か。

 さてと、俺の計算ならそろそろ大阪湾に快斗君いや怪盗キッドがここに向かってくるはず。予告状の謎は解いてコナンと平次君にヒントあげたし、あの二人なら上手いこと対処してくれるはずだろう。毛利さんにも伝えようかと思ったが、鈴木会長と飲みに行くということで、言うのは辞めておいた。

 俺も一緒にどうかと誘われたが、快斗君回収しないといけないし、スコーピオンが彼を狙うはずだろうからどうにかして阻止したいんだが、俺の存在がばれたら俺の方が狙われそうだな。夏美ちゃんや蘭ちゃんも心配してたし、怪我だけはしないようにしないと。

 おっと、見えた。怪盗キッドがハングライダーで大阪湾の方に向かってるな。ここまで予想が当たって上手くいきすぎると逆に不安になるんだけど・・・って、あれはレーザーポインタ? 

 あれ、俺の方に向いてるよね、これ? ってやべえ! ああ、もう快斗君じゃなくて俺をターゲットにしたわけね! 

 俺はスピードを上げ、バイクを傾け射線上から外れるようにして避けた。危ない。マジで危機一髪だったぞ。次はどういう風に来る? あれ? レーザーポインタがマークされないぞ? ターゲット変えやがったのか! ってことは快斗君が危ない! 俺は大声で叫んだ。

 

「怪盗キッド! スコーピオンに狙われてるぞ! 気をつけろ!」

 

 俺の叫び声に反応し、彼は銃弾を避けようと動いたが体に当たったみたいで、ハングライダーが変な軌道で大阪湾の方へと降下していった。

 ちくしょう! どうする? あっちには俺の姿が見えてないからイチかバチかだな。

 

「警察だ! そこでいったい何をしている!?」

 

 俺が声を変えて叫ぶと、犯人が走りさっていく音が聞こえた。よし、なんとか誤魔化せたな。さて快斗君が落ちていった方向は、こっちか。ん? エッグが落ちてるな。それとこれは快斗君の鳩だな。怪我してるじゃねえか。包帯は持ってきてて正解だったな。

 これでよしと。エッグと鳩の回収は後だな。今は快斗君を助けないと。バイクは、分かりにくいとこに隠して置いておこう。コナンがすぐに来るだろうしバレたら面倒だしな。

 

「ちょっと待ってろ。お前のご主人様助けて来るからな」

 

「クルッポー?」

 

「心配せず待ってろ」

 

 快斗君のハングライダーはあそこに浮いてるな。ってかあそこで手降ってるな。やれやれ、俺が助けに来るの分かってたのかよ。

 

「おーい、白銀さーん!」

 

「ちょっと待ってろ! 今助ける!」

 

 俺は持ってきておいた、発明品のボートを出して海斗君を回収するのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 快斗君を回収し、警察の捜索が始まったので、バレないように姿を隠していた。

 

「それで快斗君、怪我は無いかい?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「それなら良かったよ。君に何かあったら、師匠に怒られてしまうからね」

 

「確かに父さんならあの世でも怒りそうですね」

 

「だろ? 何にしても無事で良かったよ。はい、これ着替え。瑞紀ちゃん用のだけど」

 

「じいやから渡されたんだな。ってか俺が瀬戸瑞紀に変装してるのやっぱり気づいてたのかよ」

 

「そうだね。変装してるのを見破れないのは師匠ぐらいかな。それ以外の人の変装がたいてい見抜けるよ。俺の変装を見抜けるのも師匠だけだったんだけど」

 

「父さんと並ぶぐらい化けものじみてるよな、白銀さんって」

 

「化けものじみてるって言い方酷くない? それで、エッグを狙ったのは、持ち主として相応しい夏美ちゃんに渡す為? エッグの秘密を悪い者にバレないようにするためってとこかな」

 

「狙いも全部分かってるんじゃないですか。本来の持ち主の子孫である夏美さんに返すつもりだったんですよ。エッグの秘密はまだ解明されてませんが、スコーピオンなどに渡ったら碌なことにはならないでしょうからね。

 それで、白銀さんはこれからどうするつもりですか? 俺も瀬戸瑞紀として貴方と行動するようにしますよ」

 

「そうだね。エッグの件は夏美ちゃんの依頼もあるし、さっきの件でスコーピオンには目をつけられただろうしここは攻めにでようか。敵の懐に飛び込もう。エッグの謎を解いて、スコーピオンを捕まえるようにしようか」

 

「分かりました。それは良いんですけど、エッグは落としておそらくあの探偵ボウズが回収してるはずですよ。エッグに傷が無いかどうかを調べるのに東京に戻ることになりそうですね」

 

「そうだね。おそらく鈴木財閥手配した方法で、戻るようになるだろうね。俺達も同行できるように鈴木会長にお願いしておくよ。夏美ちゃんも狙われる可能性が高いし、護衛も兼ねて謎を解いていくようにしよう。

 俺、萩原さん、快斗君もいるし充分あらゆることに対応できると思ってるんだけどどうかな?」

 

「こうなることを読んでメンバー選んだんですか?」

 

「いいや。俺が動くなら絶対何か起こるだろうなって想像して選んだだけだよ。めちゃくちゃ悲しい理由だけどな、ちくしょう」

 

「その理由に説得力がありすぎて納得しました。着替え終わりましたよ。それでは戻りましょう、白銀さん♪」

 

「瑞紀ちゃんって切り替えホント速いよね。げっ! 夏美ちゃんからめちゃくちゃ着信かかってる」

 

「電話かけた方が良いんじゃないんですか?」

 

「そうだね。瑞紀ちゃんと合流したことも伝えないと・・・」

 

「先生! いったいどこにいるんですか!?」

 

「うわっとと、びっくりした。夏美ちゃん、どうしたの?」

 

「どうしたのじゃありませんよ! エッグが怪盗キッドに盗まれて、そのキッドが撃たれて大阪湾に落ちたと聞きまして。

 エッグは見つかったけど大変なことになってるって言われて、もしかして先生も何か事件に巻き込まれたんじゃないかって思って、電話を何回もかけても出ないし心配で・・・ぐすっ」

 

「ああ、泣かないで! 心配かけてごめんね、夏美ちゃん。俺は事件に巻き込まれてないから大丈夫だよ。

 迷子になってた瑞紀ちゃん見つけてホテルに戻ってるからね。9時までには戻るから萩原さんと待っといて」

 

「ちょっと変わりますね、白銀さん。夏美さん! すみません! 私のせいで心配かけたみたいで。白銀さんに発見してもらえなかったら大阪で路頭に迷うところでしたよ。

 ホテルに向かってるんで心配しないでくださいね、夏美さん♪」

 

「お二人に何事もなくてよかったです。瑞希さんも一緒なら安心ですね。それではホテルで待ってますね、先生。失礼します」

 

「はーい! また後でね! ふう、助かったよ、瑞紀ちゃん」

 

「いえいえ。私のせいでご心配をおかけしたので助けるのは当然です♪ 早く戻らないと夏美さんがまた心配しだすので、帰りましょう!」

 

「ああ、そうだね」

 

 俺と瑞紀ちゃんは夏美ちゃん達が待っているホテルへと、急いで戻るのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

 

<毛利蘭side>

 

 メモリーズ・エッグの騒動から1日が経ち、エッグに傷が無いかどうかを調べる為に私達は鈴木財閥が所有する船で東京へと戻っていた。

 その船内でお兄ちゃん達も一緒に乗っていることが分かり、夏美さんがメモリーズ・エッグについて、お兄ちゃん、萩原さん、瑞紀さんの3人以外のみんなを集め詳しく説明をしていた。

 

「私の曾祖父は喜一と言いまして、ハベルジャの工房で細工職人として働いていました。現地でロシア人の女性と結婚し革命の翌年に二人で日本へ帰り、曾祖母は女の赤ちゃんを産みました。

 ところが間もなく曾祖母は亡くなり、9年後に45歳の若さで曾祖父も亡くなったと聞いてます」

 

「その赤ちゃんというのは?」

 

「私の祖母です。祖父と両親は私が5歳の時に交通事故で亡くなりまして、私は祖母に育てられたんです。その祖母も3年ほど前に亡くなり、そのすぐ後に先生と出会って弟子入りし、サマーライトを出店しそこで働かせてもらってます。

 今回鈴木財閥がメモリーズ・エッグについて発表し、祖母の遺品の中にこの曾祖父が書いたと思われる図面があったのを思い出したんです。これがその図面です。真ん中が破けてしまってるのですが・・・」

 

「メモリーズ・・・たしかにこれはメモリーズエッグだ。しかし、これには宝石が付いている」

 

「もともとは宝石が付いていたのに取れちゃったんですかね?」

 

 お父さんが鈴木会長にそう尋ねると、図面をみていたコナン君が何かに気づいたようだ。

 

「ねえ、もしかしたら卵は2つあったんじゃない?」

 

「凄いね、コナン君。先生も同じこと言ってたのよ。もともと大きな紙に2つのエッグが書いてあって真ん中部分が無くなってるんじゃないかって」

 

「え? お兄ちゃんもそう言ってたんですか?」

 

「ええ。先生はその2つのエッグがセットで一つになるような仕掛けがあるんじゃないかって言ってたわ」

 

「そうなんだね。そう言えば白銀さん達はどうしたの?」

 

「先生はこんな立派な船に乗れる機会なんて滅多にないからちょっと探検してくるって、萩原さんと瑞紀さんを連れてったのよ。先生らしいったら先生らしいんだけど。

 すみません、鈴木会長。先生がご無理を言ったみたいで」

 

「ははは、いいよ。白銀君にはお世話になってるからね。それにあんな風に目をキラキラさせながら言われたら断れないよ」

 

「もう、お兄ちゃんたら」

 

「あのキラキラは確かに凄かったわね。他の二人も同じ感じだったし」

 

「偵光君はいったい何をやってるんだ」

 

「白銀さん何してんだよ」

 

「あはは。すみません。先生達は満足したらここに来るはずなので、それまで話を続けましょう」

 

 夏美さんがそう言い、説明を続けているとコナン君がエッグを調べていたら何かが落ちる音がした。

 

「あ、やべっ! 取れちゃった」

 

「何をやっとるんだ、お前!」

 

「鏡が付いてたけど取れちゃった」

 

「なんだと!?」

 

「コナン君!」

 

「そんな慌てなくても大丈夫ですよ、小五郎さん、蘭ちゃん。この鏡外れるようになってるみたいですから。

 そうでしょ、園子ちゃん? コナンちょっと見してみ」

 

「え? 白銀さん、いつの間に!? う、うん、分かった」

 

「偵光君!」

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

「ええ、そうよ。白銀さん達は探検終わったみたいね」

 

「先生! 戻ってこられたんですね!」

 

「探検楽しかったよ♪ うーん、やっぱりこの鏡あれだな。瑞紀ちゃん、この鏡どう思う?」

 

「この鏡ですか? これは・・・・! 魔鏡じゃないですか?」

 

「やっぱりそうだよね? 萩原さん、小型ライト持ってるよね? ちょっと借りても良いかな?」

 

「先生何か分かったんですか!?」

 

「ああ、良いが。なあ、所長、瀬戸さん魔鏡ってなんなんだ?」

 

「魔鏡ってのは、日本と中国にあった鏡を身体化するもので鏡に特殊な細工がされてるんですよ。

 すみません、鈴木会長、部屋を暗くしてもかまわないでしょうか? 魔鏡と言っても説明だけじゃピンとこないでしょうから、白銀さんがこれからやることに注目してください」

 

「ああ、かまわないよ」

 

「それでは暗くしますね」

 

 瀬戸さんが部屋を暗くして、お兄ちゃんが鏡にライトを当てると壁にお城の絵が写し出された。

 その絵を見て、夏美さんが横須賀にあるお城ということに気づいたみたいでお兄ちゃんが2つ目のエッグがこの城にあるという予想をすると、お父さんにも一緒にきて欲しいと頼むと、他のみんなも目の色を変えて一緒に行きたいと名乗り上げ、みんなで行くことになり各自自由時間となった。

 お兄ちゃんが2つ目のエッグの話をしたら、私達を除いた人達の目の色が変わった気がするな。

 もしかして、2つ目のエッグも狙う気なのかな? 何も起こらなければ良いけど・・・

 一人で不安になってると声をかけられた。

 

「不安そうな顔してどうしたの蘭ちゃん?」

 

「お兄ちゃん?」

 

「そりゃあ、あんだけみんなの目の色が変わればビックリするよな」

 

「そうですよ。白銀さんが2つ目のエッグが横須賀の城にあるって言った時の皆さんの喰いつきが凄かったからですね。絶対何か起こりますよ」

 

「ははは、それは笑えないんだけど。何なの? 俺が外出たら絶対何か起こるよね」

 

「先生がいて何も起こらなかったことの方が少ないですもんね。それよりあれで良かったんですか? 先生の言う通りに、皆さんを招待するようにしましたけど」

 

「ありがとう夏美ちゃん。ごめんね、無理言っちゃって。けど、助かったよ」

 

「萩原さん、瀬戸さん、夏美さんもいたんですね。他のみんなはどうしたんですか?」

 

「蘭ちゃんが考え事してボーっとしてたから俺達が後から連れてくって言ったんだよ」

 

「そうなんだ。気になったんだけど、さっきのはどういうことなの? 夏美さんの城に行くのにみんなを招待するように頼んだって言ってたけど・・・」

 

「俺が夏美ちゃんに頼んだんだよ。仕事関係だから理由は教えれないんだけどね。ごめんね」

 

「もしかして何か事件が関わったりするの?」

 

「そうなんですか、先生?」

 

「こーら。二人とも、そんな不安な顔しないの。事件とか全然関係ないからね。それに何か起こったとしてもちゃんと守るから大丈夫。ね、萩原さん」

 

「ああ。俺達二人がいるから心配すんな」

 

「そうですよ、二人とも。白銀さんと萩原さんがいるんですから大丈夫ですよ。

 それより自由時間になったんでどこかで皆さんお話しましょうよ♪ 皆さんの楽しいお話とか是非聞きたいので」

 

「そうだね。キッチンもあったし、お菓子でも作ってお茶会みたいなことしよっか。夏美ちゃん、手伝ってもらえるかい?」

 

「うわぁ、凄く楽しそうですよね♪ はい! 先生のお手伝いするの久しぶりなんで楽しみです♪」

 

「あ、私も手伝うよ、お兄ちゃん! 良かったらなんだけど、お菓子作り教えてもらっても良いかな? 前々からお菓子作りしてみたいって思ってたんだよ」

 

「もちろん♪ 場所は俺と萩原さんの部屋にしようか。萩原さんと瑞紀ちゃんはお茶とかを準備しておいてもらえるかな?」

 

「了解。白銀と香坂さんのお菓子上手いから楽しみだぜ」

 

「はい、わかりました!」

 

 私達はそれぞれ準備に取り掛かり、私はお兄ちゃんと夏美さんの手伝いをしながらお菓子作りについて教えてもらい、完成したお菓子を持っていきお茶会に参加するのだった。



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54話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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<香坂夏美side>

 

 私達はお菓子作りを終えて、先生達の部屋に、先生、萩原さん、私、瑞紀さん、蘭さん、コナン君、園子さん、青蘭さんのメンバーで集まりお茶会を開いた。

 

「このお菓子凄く美味しいですね。白銀さん達が作ったんですか?」

 

「はい、そうですね。こう見えて、昔から料理したりお菓子作ったりが好きでしたから。お菓子作りの腕は夏美ちゃんには負けると思いますけど」

 

「もう、何言ってるんですか先生! 私なんて先生の足元に及びません! お店でも先生にご迷惑をかけっぱなしですし」

 

「そうだったんですね。お店って何のことですか?」

 

「はい♪ サマーライトってお店で店長してるんですよ!」

 

「サマーライトですか! お菓子が凄く美味しいって有名ですよね。テレビの取材とかでも行列ができてたりして凄い人気ですよね。

 私も行ってみたいなって思ってたんですけど、なかなか行く機会が無くて。予約が必要なんですか?」

 

「いえ、予約は必要ないですよ。テイクアウト用のお菓子だけは電話して予約してもらうようにしています。

 店は普通に来てもらえれば大丈夫ですよ。行列できていても30分以内にはだいたい店で食べれますよ」

 

「そうなのよね。私も蘭と行ったことあるけど、白銀さん達が凄い勢いでオーダー捌いていって、お客の大半はすぐに満足して帰っちゃうから、行列に並んでもすぐに店で食事できたりするのよね」

 

「そうだね。お兄ちゃんが店手伝ったりする時なんて、夏美さんが接客してたりしてますよね? あれってどうしてなんですか?」

 

「あれはその・・・」

 

「あー、あれはね。俺達みたいなむさ苦しい野郎連中が接客するより、美人で可愛い夏美ちゃんの方が接客する方が華やかさが出るからってのが理由なんだよね」

 

「もう、先生! 急にそう言われるのは恥ずかしいです!」

 

「えーホントのこと言ってるだけなのに。俺が作ったお菓子食べてる時の夏美ちゃんとかすんごい可愛いよ? ハムスターみたいで。

 いやあ、夏美ちゃんのあの姿ほっこりして凄い癒されるんだよね」

 

「あー分かる。白銀の菓子を食べてる時の灰原さんと香坂さん、水口さん見てるとすげえ癒されるってことで、山川や松田達も見守ってたりするんだよな」

 

「事務所でのあの光景ってそういう意味があったんですね。最初、ストーカーしてるのかって思って焦りましたけど、理由聞いたら納得しました。

 たしかに夏美さん達がお菓子食べてモグモグしてるところは、小動物みたいでほっこりしますよね♪」

 

「そうだよね! 瑞紀ちゃんも分かってるじゃないか!  美樹ちゃん、夏美ちゃん、香奈ちゃんが並んで俺が作ったお菓子食べてる姿見てるとマジで癒されるんだよ! 

 あの姿はアルバムに収めて眺めたい! 心のオアシスなんだよね♪」

 

「先生! 萩原さん、瑞紀さんもからかわないでください! 恥ずかしいんですから!」

 

「ごめん、ごめん。白銀とつい悪乗りしちまった」

 

「すみません、夏美さん」

 

「からかってる訳じゃなくて、マジで思ってることなんだけどなー。

 って夏美ちゃん、顔紅いよ? 大丈夫? もしかして体調悪い?」

 

 先生から可愛いと言われ照れてしまったことで顔が紅くなってしまい、その様子を熱が出たのかと勘違いした先生は顔を近づけてきて、片手を私のおでこに当てて熱が無いかどうかを確認していた。

 先生の顔が近くにありすぎて凄く恥ずかしいです。先生の顔をこんな至近距離でまじまじと見たのは初めてです。どうしましょう!? このままだと私の心臓が持ちません!

 

「コホン! お兄ちゃん? いきなりそんなことされて夏美さんがビックリしてるよ?」

 

「ら、蘭? 少し落ち着いてね? 天然のナチュラルキラーね。こんなこと素でやる人がいるのね」

 

「園子、私は落ち着いてるよ? ねえ、コナン君♪ お兄ちゃんもそう思うよね?」

 

「う、うん!」

 

そう言えば、他の皆さんもいたんでした! 先生の突然の行動にパニックになってしまい、完全に皆さんのことが抜け落ちてました。

 蘭さんが引きつった笑顔で助け船を出してくれたので私はそれに便乗することにしてこの場を切り抜けましょう!

 

「そ、そうですよ、先生! 急にそういうことやられるとビックリするので前もって言っていただけると助か・・・・じゃなくて、気をつけてくださいね」

 

「ひえっ! 蘭ちゃんの言う通りだよね。ごめんね、夏美ちゃん」

 

「ふふふ。お二人は仲が良いんですね。付き合ってるんですか?」

 

「つ、付き合ってないですよ! 何をおっしゃてるんですか、青蘭さん!」

 

「そうなんですか? てっきりお二人は付き合ってるものかと思ったんですけど」

 

「ははは。夏美ちゃんにはもっと良い人がいますよ」

 

「白銀さんはお付き合いしてる方はいないんですか?」

 

「残念なことにいませんね。仕事上忙しいものでそういう相手とかはいないんですよ。萩原さんに誘われて合コンに参加したりってこともあったんですけどね」

 

「おい、バカ!」

 

「あちゃあー、やってしまいましたね」

 

「ガキんちょ、ほとぼりが冷めるまで、逃げるわよ」

 

「う、うん。早く行こう、園子姉ちゃん」

 

「合コンですか。白銀さんは今フリーなんですね。実は私も恋人いないんですよ。私みたいなタイプはどうですか? 一目見た時から白銀さんには好感を持ってるんですよ」

 

「・・・へ? またまた御冗談を」

 

 先生が萩原さんと出かける時って飲みだと思ってたんですけど、合コンに行っていたとは思いもしませんでした。私が知っている先生のことが好きな方とデートしてたとかなら全然許せるんですけど、合コンはちょっといけませんね。

 それに青蘭さんは、先生にやたら近づきすぎじゃないですかね? 青蘭さんみたいな人がタイプなんでしょうか・・・? 

 確かに青蘭さんは私と歳もあまり変わらないのにすごく大人びてますし、それに比べて私は子供っぽい所が多いですよね・・・

 

「お兄ちゃん・・・? 合コン行ってたりしてたんだね。私全然知らなかったや♪ 青蘭さんみたいな人にそんなこと言われて嬉しいのは分かるけど、ちょっとデレデレしすぎじゃないかな?」

 

「やっべえ。俺に飛び火が来る前に、俺達も少しずらかるぞ、瀬戸さん」

 

「そうですね。ここは退散です」

 

「ら、蘭ちゃん? そ、そのですね。合コンは萩原さんに誘われて行った訳ですよ? 

 そ、それにデレデレは今してないと思うんだけどなぁ」

 

「誘われたけど参加するって決めたのは、先生ご自身ですよね? てっきり飲み会に行ってるだけかと思ってだんですけど、まさか合コンに行ってるとは思いもしませんでした。青蘭さんにそう言われ嬉しそうに見えますよ」

 

「ひいっ! お二人とも凄く怒ってないですか・・・? 助けて、萩原さんっていねえし! 瑞紀ちゃんや園子ちゃん、コナンもいないし! 助けてください、青蘭さん!」

 

「ふふふ。あら、私は本心で言ったんですよ♪ 白銀さんさえよければ私は構いませんよ♪」

 

「青蘭さん! 今この場でそういうのは辞めていただきたいんですが!」

 

「先生? 合コンのこと詳しく教えてくださいね?」

 

「お兄ちゃん? 私も知りたいからそこに座ってゆっくり話そうよ」

 

「いや、俺もちょっと外の空気吸いに行きたいなって思ったんだけど・・・」

 

「そういえば、外にテーブル席がありましたね。私も一緒に行っていいですか、白銀さん?」

 

「お兄ちゃんどうしたの?」

 

「先生どうされたんですか?」

 

「いえ、なんでもないです。みんなで外の空気吸いに行きましょう。そこで全部話します。ぐすん」

 

 先生はそう言って諦め、私達は船のデッキにあるテーブル席に移動し先生を追求し詳しく話しを聞くのだった。

 

 

<香坂夏美side out>

 

 

 

<萩原研二side>

 

 白銀がこってり絞られほとぼりが冷めたであろうタイミングで、瀬戸さんと一緒に白銀の所へ向かうとグッタリしていたので、声をかけた。

 

「随分と絞られたみたいじゃねえか、白銀」

 

「凄くグッタリしてますね、所長」

 

「口走った俺も悪いけどさぁ、萩原さんにも責任はあるんだからね? 飲み会って思っていったら、合コンだったってパターンが何回かあったし」

 

「悪い、悪い。従業員との付き合いも大事なことだぞ?」

 

 確かに俺の責任は大いにあるとは思うが、こうでもしないと此奴は飲みに行ったりして、リフレッシュすることが無いからな。

 俺以外にも山川、陣平ちゃん、安室とかいるんだが、あの三人はリフレッシュするのどうすれば良いかよく分からんって奴ばかりだからな。

 女性陣では宮本さんが麻雀に誘ったり、秋庭さんがカラオケとかに誘ったりしてたりもしてるんだが、白銀の場合気を抜いてリラックスする時間が圧倒的に少ないんだよな。伊達班長とか瀬戸さん達等人材は増えたが、仕事量が増えてきてるからまだ人手が足りてないんだよな。

 ウチの事務所の場合、会社も経営してるから余計になんだよな。もうちょい人材増やした方が良いんだろうが、変な奴に入られてもあれだしなかなか上手くはいかんよな。信頼できる人が増えれば良いんだが・・・って瀬戸さんが楽しそうに白銀のホッペをいじりながら遊んでいるな。

 香坂さん達に見つかったら、更に機嫌が悪くなるぞって・・・そう言えば、白銀以外見当たらないな?

 

「グッタリしてる白銀さんって新鮮ですね♪ つんつん♪」

 

「おいおい。瀬戸さん、あんま所長を虐めるのはやめてあげてくれ。そういや、香坂さん達はどうしたんだ? お前しかいないみたいだが」

 

「ああ、幸ちゃんから電話があったからそれを理由にして逃げてきたんだよ。戻ったらまた怒られそうだから、ここでちょっと休憩して小五郎さん達の所へ行ってお酒飲もうかなと」

 

「それって絶対夏美さん達に後から怒られますよ! 現実逃避は良いですけど、戻った方が良いんじゃないですか?」

 

「ははは、瑞紀ちゃん。戻ったら碌なことにならないのは分かってるからこういう時は上手く誤魔化し逃げるのが正解なんだよ。俺は小さい時からの失敗で学んだんだ」

 

「小さい時からの失敗ですか?」

 

「おそらくクリスさん、佐藤さん、宮本さんに対しての失敗したことだろうよ。昔からよく怒られてたみたいだしな。

 俺も巻き込まれて一緒に正座させられて怒られたこともあるからな。今回の場合逃げることはオススメしないが、おもしろいことになりそうだからこのままでいこうぜ」

 

「なんなんですか、それは。萩原さんもなかなかいい性格してますね・・・。そう言えば、幸さんは何の用事だったんですか?」

 

「ああ、会社に就職希望者が二人来たんだよ。アンドレ・キャメルっていう外国籍の男性の方と水無怜奈っていう女性アナウンサーがね。山川さんと幸ちゃんが面接して採用しようかと思うんだがどうか?って話だったよ。

 いやあ、人手不足だったし、山川さんと幸ちゃんが採用するって決めたなら信頼できるってことだろうしね。まさか、水無怜奈さんみたいにすげえ有名なアナウンサーが転職希望で来るとは思わなかったけど」

 

「おい! 水無怜奈って確か・・・」

 

 水無怜奈は表向きは女性アナウンサーだが裏の顔がある。黒の組織では、クリスさん、イレイナさん、安室、山川や灰原ちゃんと同じくコードネーム持ちのはずだ。その人まで入ってくるってことは、白銀の周りを完全に固めてきてやがるな。

 クリスさんや安室が何もさせないようにしているし、イレイナさんも全然動く気配がないから痺れを切らして新たに人員を送ってきたところか? おいおい、大丈夫なのかよ? 山川は何考えてるんだ? 白銀の方を見てみると心配するなとジェスチャーをしてきた。

 何か考えがあってってことなんだろうな。やれやれ。ウチの事務所はどういう方向に向かってるのかねぇ。探偵事務所で合ってるはずだよな? 何してるか分からなくなることの方が多いんだが・・・

 

 

「凄いじゃないですか! 水無怜奈って言えば、テレビ局の顔ですよ! 今度お会いできたらサインもらいたいです♪ アースレディースもいましたし、白銀さんの会社ってホント凄いですよね♪」

 

「あはは、そうだね。何でか知らないけど有名な人の再就職先みたいな感じになってるよね。何にしても人手が増えるのはありがたいことだよ。あ

 あ、そうそう。忘れてたんだけど、夏美ちゃん達が萩原さんにも詳しい話を聞きたいってさっき言ってたよ」

 

「よし、白銀! 毛利さんのこと行って早く飲むぞ! 何やってんだ、瀬戸さん! 瀬戸さんも一緒に行くぞ!」

 

「もちろん! 早く行って小五郎さんと飲んで嫌なことは忘れよう!」

 

「うわぁ、すんごい掌返しですね。白銀さんも現実逃避してますし、どうなっても知りませんよ、もう」

 

 瀬戸さんが呆れた目で俺達を見ているが、気にしたら負けだ!

 俺達三人は毛利さん達の所へと向かい、楽しく飲み会をするのだった。



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55話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
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 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
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<偵光side>

 

 俺と萩原さんは小五郎さん達と外のテーブル席で飲んで楽しんでると、夏美ちゃんと蘭ちゃんに見つかって、凄く怒られた。散々怒られた後に、俺と萩原さんは疲れたので部屋へと戻りベッドへダイブした。

 まさか船の上で正座させられるとは思わなかったよ? 小五郎さんは蘭ちゃんに睨まれて真っ青になり助けてくれないし、青蘭さんは楽しそうに笑ってみて、ますます気に入りました♪とか夏美ちゃん達を余計に怒らすようなことを言うし、コナンと園子ちゃんは離れた位置で見てるだけで近寄ってこないしで味方が俺達以外誰もいない状態で大人二人が正座で説教されてるってなんなんだよ。

 夏美ちゃん達を怒らせた原因が俺達にあるのが悪いんだろうけど、青蘭さんにも原因の一端はあると思うんです。何であの人、やたら俺に関わろうとするんだ? あんな色仕掛けされても、昔からされすぎて慣れてるから全然効かないよ? 

 うーん、俺に近づいて何かをしようとしたってところか? ダメだ、今考えても分かんないや。今はのんびり休みたい。

 すると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。

 

「萩原さんお客さんだよ」

 

「お前が応対してくれ。俺はもう動きたくないんだ」

 

「それは俺も同じなんだけど。どうぞー」

 

「失礼します・・・うわぁ、二人とも同じ体制でベッドに寝てますね。だから戻った方が良いって言ったじゃないですか。」

 

「瑞紀ちゃんか。忠告聞いておくべきだったよ。夏美ちゃんと蘭ちゃんのマジ怒りモードとか初めてだったよ。クリスや怜子さん並みの恐ろしさだった」

 

「佐藤さんや宮本さんも同じようなもんだぞ。ちくしょう、事務所で正座させられた時の記憶が蘇ったぞ。それで、瀬戸さんはどうしたんだ? もしかして飯か?」

 

「いえ。今は19時なので、あと30分はありますね。お食事は19時30分からだそうですよ」

 

「え、マジで? 俺達一時間近くも正座で説教受けてたの?」

 

「そりゃあ疲れるはずだ。ちくしょう。今度から白銀誘う時は絶対ばれないようにしないと」

 

「合コンには俺以外の誰かを連れて行って欲しいんですけどね・・・それでご飯じゃないならどうしたの、瑞紀ちゃん?」

 

「いえ。ちょっと気になることがありまして。寒川さんが船内での私達の行動をビデオで撮ってたじゃないですか。そのビデオを確認したら、スコーピオンに繋がる何かが分かるんじゃないかと思いまして。

 白銀さん達はどう思いますか?」

 

「なるほどな。確かに俺達乗客の中に、キッドを撃った犯人やスコーピオンなる人物がいる可能性は高そうだよな。青蘭さんが白銀にやたら取り入ってたのも気になったし、何か分かるかもな」

 

「あー萩原さんでも分かった? 青蘭さんのあの行動がどうにも腑に落ちないんだよ。夏美ちゃん達をいじる為にやった感じでもなかったしな。

 うーん、スコーピオンについてなら警察に資料とかありそうだから警察関係者に聞くのが一番なんだろうが、美和子にバレると絶対嫌な予感がするのでやめときたい。瑞紀ちゃんが気になったっていうならそっちを探る方が、何か見つかりそうな気はするね。

 よし、食事までは時間があるし、行こうか。萩原さんも行くよ」

 

「お二人とも良いんですか?」

 

「もちろんだ。もともと俺達は香坂さんの依頼できて彼女を守るってが一番だからな。スコーピオンの正体が分かるなら早い方がこちらも攻めれるしな」

 

 俺達はベッドから起き上がり、三人で寒川さんの部屋に行き扉をノックしたが全然反応が無かった。

 

「寒川さーん! うーん、返事が無いな。留守なのか?」

 

「いえ、そんなことはないはずですよ? お部屋に戻ってビデオをチェックするって言ってましたし」

 

「トイレかシャワーでも浴びてるんじゃねえのか?」

 

 確かにそれなら気づかないってパターンもあるが、何かすげえ嫌な予感がするんだよなぁ。鍵は・・・開いてるな。シャワー入るにしても不用心すぎやしねえか? 少しドアを開けて呼んでみるかってこの匂いは!?

 萩原さんも瑞紀ちゃんもこの匂いに気づいたみたいで、俺は声をかけてドアを開けた。

 

「すみません、失礼します、寒川さん!」

 

 急いで部屋に入ってみると、そこには右目を撃ちぬかれ血を流しながら床に倒れている寒川さんがいた。俺と萩原さんは寒川さんにすぐにかけより、脈があるかを確認した。

 

「・・・・ダメだね。もう亡くなってる」

 

「死後硬直は、頬の硬直が始まったばかりだな。死後30分ほどしかたってないな」

 

「そうだね。あれ? 指輪のペンダントが無くなってるね。犯人に盗られたか?」

 

「それ以外にも部屋が随分と荒らされてますね。指輪のペンダントも含めて強盗の仕業でしょうか?」

 

「いや、強盗目的ならちょっと行き当たりばったりすぎるかな」

 

「おいおい、冷静すぎじゃないか、瀬戸さん?」

 

「私こう見えて死体を見るのは初めてじゃないので。それと、こういう時こそより冷静にって、白銀さんの研修で鍛えられましたから♪」

 

「マジかよ・・・。どうするよ、白銀? 少し現場調べるか?」

 

「うーん、調べたいとこではあるけど、先に警察や毛利さん達を呼んだ方が良いかな。電話して来るまでの間に調べよう。警察の方は、仕方ないが電話するか。

 萩原さんは小五郎さんに連絡してもらえる? 瑞紀ちゃんは現場を荒らさないように調べて。何か気づいたことがあったらすぐに教えて」

 

「ああ、分かった!」

 

「了解しました!」

 

 

 俺は二人に指示を出し、美和子へと電話をかけた。

 

「はい、もしもし? どうしたのよ? 偵光から電話なんて珍しいじゃない」

 

「悪い。今忙しかったか?」

 

「事務書類をまとめ終わって休憩してたから大丈夫よ。それでどうしたの? 夏美さんの依頼で大阪いるんじゃなかったの?」

 

「それなら良かったよ。それなんだけど、怪盗キッド関連の騒動でメモリーズ・エッグに傷がないかどうか調べる為に鈴木財閥の船で東京に戻ってた途中なんだよ。今船内にいるんだが、人が死んでるのを発見した。

 現場の状況からして、おそらく殺人だな。被害者の名前は寒川竜っていう男性で、フリーの映像作家だ。悪いが目暮警部達に伝えて何人か刑事をよこしてもらえるか? 今の位置は、鈴木会長に聞いたらメールする」

 

「何ですって!? ええ、分かったわ! 目暮警部に伝えて一緒にすぐに向かうようにするわ!」

 

「おいおい。お前まで来るのかよ・・・」

 

「何か文句あるの?」

 

「いいえ、全然ありません。毛利さん達に伝えて死体には誰も近づけないようにしておくわ。気をつけてな」

 

「ええ、それじゃあまた後で!」

 

 俺は電話をきると、萩原さんが話しかけてきた。

 

「毛利さん達にも伝えたぞ。すぐに来るそうだ。それで警察の方は?」

 

「ありがとう。美和子に連絡したら目暮警部と一緒に来るってさ。ヘリで来るだろうし、東京にも近づいてるし、30分以内に来ると思うよ。瑞紀ちゃん! 何か新たに気づいたことあった?」

 

「あ、はい! 寒川さんの持っていたビデオカメラが見つからないんですよ。犯人が持ち去ったんですかね?」

 

「ビデオカメラが見当たらない? 強盗殺人と仮定するならわざわざビデオカメラ持っていく必要ないだろう。強盗殺人以外で考えると、何か犯行に不都合とかがあったとかか?」

 

「萩原さんが言うとおりにその不都合があったんだと思うよ。寒川さんが何か犯人にとって不味いと思う何か撮ってたとしたら?」

 

「それを回収する目的と口封じの為に犯人は寒川さんを殺した可能性があるってことですね。寒川さん部屋をノックして出てきた所を撮影してましたからね、その一瞬でも、部屋の中なら何か映るでしょうし」

 

「なるほどな。もしそうなら、部屋の荒らされた状況に説明が付くな。枕まで切り裂かれてたから気になってたんだが、犯人が犯行目的をカモフラージュする為に、強盗殺人に見せかけたってとこだな」

 

「うん、俺もそう思うよ。瑞紀ちゃん、他に気づいた点はあるかな?」

 

「そうですね。あとはこんなものが落ちてました。西野さんのボールペンですね。寒川さんの部屋にどうしてこんなものが? 犯人が西野さんってのは考えられないんですよね」

 

「確かにそれは気になるな。こんだけ現場荒らしてたならボールペンを見落とすってのも考えられないしな」

 

「そうだね。おそらく寒川さんが西野さんに何かの罪を被せようとして、戻ったらスコーピオンに殺害されたってパターンかな? まあ、その辺は警察が来て調べれば分かるでしょ。

 さて、そろそろ毛利さん達が来るだろうし、俺達は待ってよう。今後の行動方針はまた後で話しよう」

 

「ああ、わかった」

 

「はい、わかりました!」

 

 

 俺達は警察が到着し現場を調べ終わるまで待機するのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

<佐藤美和子side>

 

 

 私は偵光から連絡を受けて、目暮警部と共に殺人があった鈴木財閥の船にヘリコプターで向かい、現場を鑑識と共に調べ終わり関係者各位に事情聴取を行い、西野さんの部屋から寒川さんの指輪、寒川さんの部屋から西野さんのボールペンが見つかり、西野さんによる犯行かと思われたが、コナン君がヒントを出し毛利さんが、指輪とボールペンの件は寒川さんによる自作自演で、部屋に戻った時にスコーピオンに殺害されたと推理した。

 それを聞き乗客みんなが不安になっていたが、私は救命艇が一隻無くなってたおり逃げた可能性があり緊急手配したことを伝えると、スコーピオンがいなくなったと思い安堵している人がほとんどだった。

 おかしいわね? 偵光が何も口を挟まないってのは珍しいわね。コナン君が言ってたことなんてすぐに気づいただろうし、それにコナン君も小学生にしては勘が良すぎるわね。偵光が鍛えてるのか、それとも・・・・・

 今はそれよりも偵光から詳しい話を聞きたいわね。何か気づいてるでしょうし。私は目暮警部にもう一度偵光達から詳しい話を聞きたいと頼み、偵光たちが集まっている箇所へと向かい話しかけた。

 

 

「偵光、ちょっと良いかしら?」

 

「お兄ちゃん、ちょっと良い?」

 

「先生、聞きたいことがあるんですが良いですか?」

 

「あれ、三人ともどうしたんだ? 同じタイミングだし」

 

「蘭さんに、夏美さん。貴方達も偵光に何か聞きたいことがあったの?」

 

「え、ええ。お兄ちゃんの行動がちょっと気になったんです」

 

「そうですね。先生の行動に疑問があったので」

 

「どうやら私と同じみたいね」

 

「え、何なの? 俺そんな怪しまれるようなことしてた?」

 

「白銀が何も言わないのが気になって来たってとこだろうよ」

 

「そうですね。さっきのコナン君の助言や毛利さんの推理にも何も口を出しませんでしたからね。白銀さんならすぐに気づいたはずなのにってことですよ」

 

「マジかよ・・・みんな俺のこと買い被りすぎじゃない? まあ、良いんだけど。小五郎さんの推理には間違いなかったからね。

 それと、小五郎さんの推理によって、他の人達がどんな反応するのか観察してたんだよ。まあ、怪しい動きした人はいなかったけどね」

 

 上手く誤魔化してるわね・・・気づいたことがあるけど、夏美さんや蘭さんに危険が及ばないように黙ってるってとこかしら。萩原君と瀬戸さんも同じように気づいてる感じね。

 仕方ないわね。隠される方が不安になるし、私が聞くしかないわね。

 

「犯人について心当たりがあるんじゃないの、偵光?」

 

「先生、もしかして犯人が誰か予想ついてますか?」

 

「お兄ちゃん、もう誰が犯人か分かってるんじゃないの?」

 

 私と夏美さん、蘭さんの聞くタイミングがちょうど重なった、二人も気づいたのね。やっぱり、それだけアイツのことを見ているってことかしらね。

 

「あはは。やけに追及してくるね、三人とも」

 

「おい、さすがにこれ以上隠すのは難しくないか? 俺と瀬戸さんにも教えて欲しいんだが」

 

「そうですよ、白銀さん。隠し事はよくありませんよ!」

 

「う、萩原さんに瑞紀ちゃんまで。はぁ、分かったよ。ホントは二人だけに教えるつもりだったんだけど、仕方ないか。犯行を行ったスコーピオンが誰かまでの証拠は掴めてないけど、動機は絞れてるよ。ロマノフ王朝の財宝を独り占めするってのが狙いかな。

 それと、ラスプーチンの末裔であることをバレたくないってとこかな」

 

「ラスプーチンの末裔ですか?」

 

「うん、そうだよ、蘭ちゃん。ラスプーチンの亡くなった時の死体の状態と、今回の犯行の死体の状況が似すぎてるんだよ。ラスプーチンに憧れすぎて、状況を似せたのかと考えたけど、透に頼んでスコーピオンについて調べてもらって、その詳細をさっき電話で聞いてから確信したよ」

 

「ごめん、お兄ちゃん。私、ラスプーチンについてよく分かってないんだけど、どんな人なの?」

 

「ロマノフ王朝の滅亡の原因を作ったとされる人物だよ。そうした理由は、財宝を一人占めするためだとか言われてるけど、詳しいことは確定していないんだ」

 

「そうなんだ」

 

「なるほどな。さっきの電話は安室からだったのね。それで、詳細ってのは?」

 

「世界的犯罪者で、ロマノフ王朝の財宝ばかりを狙ってるそうなんだ。それで殺された人達も、右目を打ち抜かれており、財宝のもともとの持ち主ばかりだったらしいんだ。

 今回の寒川さんもマリア妃の指輪を持ってたしね。ただ、寒川さんが先に西野さんの部屋に置いてたから見つけれなかったみたいだけどね」

 

「ラスプーチンですか。末裔だとしたら、先祖に繋がる何かを寒川さんがビデオで撮ってしまい、殺害されたってことですね」

 

「そうなのね。犯人については絞れてないの?」

 

「おそらくあの三人の中にいるだろうが、まだ絞れてないな。証拠が足りないな。まあ、横須賀の城に行けば分かるだろうけどな」

 

「先生、スコーピオンがいるなら、城に向かうのは私達だけにした方が良いでしょうか?」

 

「それは得策じゃないかな。スコーピオンがなりふり構わなくなって夏美ちゃんを狙い始めるだろうしね。みんなで城に向かって現行犯で逮捕って形がベストかな」

 

「白銀の意見に俺も賛成だ。俺達だけってなると、蘭ちゃんや香坂さん、瀬戸さんが狙われる可能性が高そうだ。それに犯人に動きがある方が捕まえやすくなるしな」

 

「私もそう思うわ。目暮警部に頼んで私も同行するようにするわ。刑事がいる方が、大きな動きもしにくくなるでしょ?」

 

「お前も来るつもりかよ・・・」

 

「何よ、何か文句あるの!?」

 

「いえ、何でもありません。夏美ちゃん、蘭ちゃん、瑞紀ちゃんも心配しなくて大丈夫だよ。俺達が守るからね」

 

「白銀さんがそう言ってくれるなら安心ですね♪ 私も微力ながら協力しますね!」

 

「そういうことだ。俺と白銀が絶対守るから心配しなさんな」

 

「先生、萩原さん、ありがとうございます」

 

「お兄ちゃんありがとう。萩原さんもありがとうございます」

 

「そうそう。笑顔でね。何にしても勝負は横須賀の城に着いてからだ」

 

「そうね。私は目暮警部に話をしてくるわ」

 

 私はそう言い、目暮警部の元へ向かい横須賀の城へスコーピオンが現れる可能性が高いことを伝え、みんなの安全を守る為同行することを伝え許可をもらうのだった。



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56話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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<灰原哀side>

 

 私は博士と共に、白銀さんと江戸川君から頼まれていたものを届ける為に横須賀の城へと来ていた。子供達もいつの間にか博士の車に侵入しており、結局一緒に来てしまうことになった。子供達は、博士に言われ、周辺の探険を大人しく行っている。

 全く、江戸川君は仕方ないにしても、どうして白銀さんは毎回毎回事件に首を突っ込むのかしら?

探偵事務所の所長であるから仕方無いんだろうけど、いつも怪我するから凄く心配なのよね。お姉ちゃんも同じようで、無理しないように伝えてるらしいけど、聞いてもらえないって悲しそうな顔をしていた。全くお姉ちゃんを泣かせたり、心配させるなんて。どうにか良い方法ないかしら? 

 今回頼まれた物からしてまた無茶するんでしょうし。帝丹高校の文化祭の時は無茶してなかったけど、その後の爆弾事件の騒動では現場で解体していたって聞いたし、お願いだから爆弾に関わるのだけは辞めて欲しいわ。

 米花シティービルの件を思いだして、心配になるのよ。お姉ちゃんを助けてくれて生きてることには凄く感謝してるし、こんな私のことをいつも助けてくれる。あの人がいなくなったら、どうなるのかしらね。

 お姉ちゃんは泣いて悲しむだろうし、彼を思っている人達も間違いなく悲しむ。蘭さんなんかもきっとそうね。私は・・・・・お姉ちゃんと同じね。考えごとをしていると、両頬を掴まれた。

 

「にゃにするのを?」

 

「哀ちゃんがボーっとしてたからね。お、柔らかくて気持ちいいな、哀ちゃんの頬っぺた」

 

「シェクハラで訴えるわよ。はにゃしなさい」

 

「はい、すみません。それだけは勘弁してください」

 

 白銀さんはそう言うと、私の頬から手を離し、頭を撫でてくれた。んっ、全くこの人はさっき言ったことを忘れてるのかしら。ちょっと髪の毛崩れるくらいくしゃくしゃって撫でないでよ。無駄に気持ちいいのが腹立つわね。

 私はジト目で彼を見ていると、優しい手つきで撫でてくれるようになった、そうよ、それで良いのよってそうじゃないわ!

 

「もう、やめなさい! 女の子に急にそんなことするとセクハラで訴えられるわよ。それとお姉ちゃん達に言いつけるわよ」

 

「それは勘弁して欲しいかな。コナンも珍しい物を見たって感じで驚いてるし、そろそろ止めとこうか」

 

「江戸川君? 今見たことは忘れなさい? 良いわね?」

 

「あ、ああ。それで博士、例の物は持ってきてくれたのか?」

 

「ああ。ほれ。偵光君にはこれじゃの」

 

「ありがとうございます、博士。コナンは防弾ガラス仕様の眼鏡か?」

 

「うん、そうだよ。白銀さんは防弾チョッキ?」

 

「特殊仕様のな。撃たれたらある仕掛けが発動するようになってるんだよ。その仕掛けについては秘密だ♪ 哀ちゃんもわざわざありがとね。スコーピオンの資料助かったよ」

 

「え? 安室さんに頼んだんじゃなかったの!?」

 

「あの場は誤魔化すしかなかったからね。それに透に頼んだら、俺がまた危ないことに首突っ込んでるんじゃないかって疑われるからね」

 

「そうだったのかよ。ってか、灰原もよく動いたな」

 

「条件出したのよ。サマーライトの特別デザートと、今度子供達と山にピクニックに行く時に引率を頼んだのよ」

 

「そういうことだ、コナン」

 

「そういうことね。それでお前たちはどうするんだ?」

 

「子供達が満足したら帰る予定よ、ねえ、博士」

 

「ああ、そうじゃの」

 

「白銀さん、江戸川君、気をつけなさいよ。スコーピオンは意外と身近にいるかもよ」

 

「ああ、分かってる」

 

「もちろん♪ まあ、コナンの場合はそれ以外にも気をつけた方が良いかもな。蘭ちゃんが遠くからお前のこと怪しんで見てるぞ。工藤新一と同一人物じゃないかって疑われてるってとこか?

 あんだけ事件に首突っ込んで意見出してたらそうなるわな」

 

「マジかよ・・・・白銀さん気づいてたなら教えてくれよ」

 

「ただでさえ怪しまれてるとこに俺が話かけてたりしたら余計に怪しまれるでしょうが」

 

「白銀さんの方を心配そうな顔で見てる方が多いわよ、彼女。江戸川君の正体も気になるけど、それ以上に貴方が無茶して怪我しないかが心配って気持ちの方が大きいんじゃないかしら? 

 佐藤刑事や香坂さんも同じような顔してこちら見てるし」

 

「やっぱり視線を六人分ほど感じてたけど気のせいじゃなかったか・・・」

 

 六人分・・・?  彼の事務所の二人に、さっき言った三人にもう一人いるってことかしら?

 

「六人ってもう一人は誰なのよ?」

 

「おそらく犯人だろうね。バレないように見てるつもりだろうが、あれじゃあ気づくよ。もうちょい上手く誤魔化さないと」

 

「そうやって気づくの白銀さんだけだと思うよ。それで誰から見られてるかももう分かってるんだよね?」

 

「ああ。おそらくその人がスコーピオンだろうな。何で俺こんなにマークされてんの?」

 

「貴方が知らず知らずのうちに何かしたんでしょう。犯人の邪魔をしたとかね。白銀さんって無自覚でやらかすことが多いでしょう」

 

「ううー、コナン! 哀ちゃんがすんごく冷たいんだけど! しかもめちゃくちゃ怒ってる気がするんだけど!」

 

「あはは、怒ってるのは気のせいじゃないと思うよ。僕、そろそろ戻るね。それじゃあな、灰原、博士」

 

「あ、おい、コナン! 俺もそろそろ戻ろうかな・・・」

 

「まだ、話は終わって無いわよ。それに犯人に狙われてると分かってみすみす行かすと思ってるの?」

 

「ですよねー。でも行かないと、他の人に怒られるし、犯人も何しでかすか分かんないからさ」

 

「・・・はあ。忠告しても無駄だったわね。ちゃんと無事に帰ってくること。それを約束しなさい。分かったわね?」

 

「それは分かってるよ。ありがとね、哀ちゃん。それと心配かけてごめんね。それじゃあ、行ってくるね。博士もありがとうございました!」

 

 彼はそう言い、笑顔で私の頭を撫でてから去っていった。まったく、人の気も知らないで・・・。

 

「気をつけるんじゃぞ、偵光君! 良かったのか、哀君? 一緒について行きたかったのではないか?」

 

「そうね。でも私が一緒に行ったらあの人の足手まといになるわ。私に危険が及んだりしたら絶対あの人は無茶するに決まってるわ。

 私のせいで怪我して欲しくないもの。組織にいた私なんかと本来いるべきじゃないのよ」

 

「哀君・・・偵光君が聞いておったら怒るはずじゃぞ。偵光君は哀君が組織におったことは気にしていないはずじゃ。君のお姉さんのことだって、そうやって助けたのじゃろ? 彼はそんなことを気にしない人じゃ。

 昔から知っておるが、彼はたとえ君の言う闇側の人間ですら救おうとするはずじゃ。現に彼の昔からの目標じゃしの」

 

「闇側の人間を救いたいと思ってるってこと?」

 

「そうじゃ。彼が小さいころに決めたことじゃそうで、一番の目標らしいぞ。そのように救いたい人が身近におったからこそ、彼はあのように育ち、自分の身近な者は何がなんでも守るようになった気がするのう」

 

「彼の身近にそんな人がいるの・・・? 私やお姉ちゃん以外にも」

 

「そうじゃのう。ワシからは何も言えん。詳しく知りたかったら、偵光君に話をして聞いてみるといい。今度のキャンプの時なんか絶好のチャンスじゃと思うぞ」

 

「そうね。彼があんな風になった理由は知りたいわね。今度聞いてみるわ。博士、ありがとう」

 

「なーに。しがない年寄りの独り言じゃ。お礼を言われるようなことはしておらんわい。子供達の所へ向かって帰るとしよう、哀君」

 

「ええ」

 

 私は博士と共に建物内にいた子供たちの元へと向かい、帰ろうと伝えようとすると床が抜けて、博士を除いたメンバーが滑り落ちていくのだった。

 

 

<灰原哀side out>

 

 

 

<萩原研二side>

 

 俺達は城の中に入り探索をおこなっていた。それにしても広い城だな。現実にこんなものがあんのかよ。完全に夢の国って感じだな。佐藤さんや瀬戸さんも興味深々に見てるし、ウチの所長は、床にしゃがみ込みに耳を付けていた。

 おいおい、何してるんだ、アイツは!? 蘭ちゃんや香坂さんもすげえ気になって見てるじゃねえか。

 

「おい、白銀どうしたんだ?」

 

「静かに。うーん、やっぱり、小さい風切り音がするな。それに音の伝わり方が普通の床とは違うな。瑞紀ちゃん、ちょっと良い?」

 

「はい、どうされましたか?」

 

「床の下に空洞があると思うんだ。ここの床ちょっと叩いてみて」

 

「はい・・・・これは!? 確かに音の伝わり方が違いますね。床に通路か部屋がありそうですね」

 

「となると、そこに行けるように何かの装置があるはずだ」

 

「おいおい、まじかよ・・・・ん?」

 

 白銀と瀬戸さんと一緒に床を詳しく調べていると、一か所だけ他のフローリングと違う箇所を見つけた。これ開けられるようになってるな。

 そこを開いてみると、アルファベットが書かれたキーの装置があった。

 

「おい、あったぞ、二人とも! これは、アルファベットか?」

 

「ロシア語のアルファベットだな、これは」

 

「そうですね。パスワードを打つと、何か仕掛けが作動する仕組みになってそうですね」

 

 俺達三人で話してると、いつの間にか城にきたみんなも集まっており、各々が思いつくパスワードをセルゲイさんに打ってもらったが、反応はなかった。

 

「おいおい、あれだけ試してもダメなのかよ。どうすんだ、所長?」

 

「すみません、先生。私が思い当たるパスワードが分からないばかりにご迷惑をおかけして」

 

「夏美さんのせいじゃないわよ。ねえ、偵光、何か思いつかないの?」

 

「おそらく、夏美ちゃんの曾祖父が関わってるパスワードは間違いないはずだ。ヒントさえ掴めればいけるんだが・・・」

 

「私が覚えてるのは、バルシェニクカッタベカって言葉ぐらいですかね・・・」

 

「バルシェニクカッタベカか・・・」

 

「あーもう、分かんねーな! 瀬戸さん、コナンも何か思いつかないか?」

 

「うーん、区切る場所が違うとかかな? ロシア語でそれに似た言葉があれば良いんだけど」

 

「そうですね・・・夏美さんの曾祖父が世紀末の魔術師と呼ばれてたってのが何か引っかかるんですよね」

 

「世紀末の魔術師・・・・英語だと『The Last Wizard Of The Century』、ロシア語だと・・・・そうか!」

 

「夏美さんがバルシェニクカッタベカって聞いた言葉は、『BOJIIIIEEHNK KOHIIA BEKA』(ヴァルシェーブニック カンツァー ベカ)じゃないでしょうか? 白銀さんもそう思ったんじゃないですか?」

 

「え、ええ・・・」

 

「それってどういう意味なんですか、先生?」

 

「日本語で世紀末の魔術師って意味だよ。それにしてもロシア語なんてよく分かりましたね、青蘭さん?」

 

「親戚にロシア語に詳しい方がいたので、その人から習ったんですよ」

 

「そうなんですか。てっきり青蘭さんもロシア人なのかなって勘違いしちゃいました」

 

「何を言ってるんですか、私は中国人ですよ、白銀さん。そういう白銀さんもロシア語に詳しいんですね」

 

「俺も家族にロシア語に精通してるのがいて、小さい頃から色々な外国語を覚えさせられたんですよ、失礼なことを言って申し訳ありません。

 セルゲイさん、青蘭さんが言った言葉を打ってみてください。それで、仕掛けは動くはずです」

 

「分かりました」

 

 

 セルゲイさんがパスワードを入力すると、床が開き地下室への階段が表れて、みんなは驚き、その更に奥を調べようということになり、みんなで移動を開始した。

 俺と白銀は列の一番後ろで、気になったことがあったので白銀に小声で確認した。

 

「犯人は青蘭さんか? お前がさっき問いかけたことに対して密かに動揺してたしな。意味もなく問いかけたりしないだろう、お前は?」

 

「あはは、俺の行動なら分かっちゃうか。まあね。青蘭さんで間違いないよ。前に居ながらも俺の行動をいちいち気にしてるしね。動機はおそらく、俺が考えてた通りで間違いないはずだ」

 

「ラスプーチンの末裔で、財宝を独り占めする為ってことか?」

 

「そうだね。それが動機で間違いないんだけど、彼女が今からどう行動するかを考えたら厄介なんだよな」

 

「なりふり構わなくなってみんなを狙いだすってことか?」

 

「そうだね。一番楽なのは、エッグを彼女に盗ませてそれを追っかけて捕まえるのがベストなんだけどね。それは、エッグの秘密が全部分かれば彼女も行動するかな。

 その為に、どこかで凶器のピストルの準備をするはずなんだけど、俺がいてなかなかチャンスが来ないから苛立ってるって感じだね」

 

「ああ、だから白銀をやたら気にしてるのか。自分が監視されてるように感じてる訳か」

 

「まあ、俺もそう思われるようにしてるんだけどね。効果は凄くあったみたいだ。萩原さん、お願いがあるんだけど良いかな?」

 

「何だ?」

 

「俺がこの場から離れて彼女のマークを外すようにするから、そうしたら彼女も姿を晦まして行動を開始するはずだ。彼女が消えたのに気付いた人がいたら、その人の動きを止めて欲しいんだ。

 彼女を追う人でもいれば、間違いなく殺害されるからね」

 

「それは良いんだが、お前はどうやって動くんだ? ん? あっちの方から今音がしなかったか?」

 

「ちょうど良い理由ができたみたいだ。その間、夏美ちゃん達を頼むね。さっきの物音は俺が確かめてきますね! 悪いんだけど、瑞紀ちゃんも一緒に来てもらえる?」

 

「あ、はい! 分かりました!」

 

「それじゃあ、また後で、萩原さん」

 

「ああ、気をつけろよ」

 

 俺はそう言い、白銀達を見送った。その後すぐに青蘭さんは姿を晦ました。やっぱりあの人が犯人かよ、やれやれ。

 こりゃあ、この後が頑張りどころかね。これ以上犠牲者を出さないように、俺は行動を開始するのだった。





 一昨日、ハロウィンの花嫁を見てきました。内容が良すぎて書きたい意欲が凄く湧きました。先で書きたいと思います! 来年の映画も楽しみです(*'ω'*) 


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57話

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 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 

 書いて欲しい事件<エピソード>などがありましたら、活動報告や感想に追加でコメントしてください! よろしくお願いしますm(__)m


<偵光side>

 

 俺は萩原さん達と別れ瑞紀ちゃんを引き連れて、物音がした方向へと進んでいると瑞紀ちゃんが口調を変えて話しかけてきた。

 

「青蘭さんに行動させる為に、俺も呼んだんですか?」

 

「瑞紀ちゃんも青蘭さんが犯人って思ってるんだね」

 

「そうですね。情報を整理したら青蘭さんが一番犯人に当てはまるってのと、白銀さんがあれだけマークしてたからな。

 それにさっきのロシア人かと思ったって聞いた時に、僅かに動揺してましたし」

 

「萩原さんも同じこと言ってたよ。それで瑞紀ちゃんは、確信があって青蘭さんが犯人みたいな言いぶりだけど、理由があるのかな?」

 

「青蘭さんの中国読みは、プース・チンランって言ってたのを聞いてからかな」

 

「ラス・プーチンのアナグラムか。彼女が末裔なのは間違いないってことか」

 

「そういうことです。それなら白銀さんが考えてた動機と正体はスコーピオンであるってことがすべて当てはまるって訳です。

 寒川さんと、俺を撃った犯人のピストルの弾も同じタイプだったし、それは白銀さんも気づいてただろ?」

 

「まあね。さてと、その感じだと今回のエッグの秘密も分かってるんだろう? 予告状に世紀末の魔術師って書くぐらいだし」

 

「よく言うよ。エッグの秘密については白銀さんも辿りついてるだろ? それで、この後はどうする予定なんです?」

 

「快斗君ほど財宝関係には詳しくないよ。ただ、今回は夏美ちゃんからの依頼だったから本気だして調べただけだよ。事件の時はいつも本気なんだけど。

 この後は、犯人がエッグを持ち去って逃げるだろうから、それを追っかけて捕まえる形かな」

 

「なるほど。犯人捕まえる時は俺も手伝いますよ、白銀さん一人だと無茶して怪我しそうなんで。大怪我とかしたら、事務所や会社のみんなが怒りますよ? 

 俺や萩原さん、夏美さんに白銀さんが無茶しないように助けてやってくれって事務所にいた人達から頼まれましたからね」

 

「みんなの中で俺がどんなイメージになってるか聞きたいんだが。俺ってそんな怪我してるイメージ? いや、よく考えたら大抵事件の度にどこかしら怪我して病院送りになってる気がする。

 そりゃあ、心配されるな。今回は流石に入院したくない。これ以上入院するような怪我したら、クリスと透に何されるか分からんし、恐ろしい」

 

 そう考えただけで体が震えてきた。よし、絶対今回は怪我しないようにしよう!

 

「ははは。まあ、何にしても俺達がいるんですから、少しは頼ってくださいよ」

 

「ああ、分かってるって。十分頼りにしてるよ。俺の部下は優秀な人達ばかりだからね」

 

 二人で話しながら歩き続けていると、足音が近づいてきたのでそちらにライトを向けると哀ちゃんと少年探偵団の子供達がいた。

 

「白銀の兄ちゃん!、それに姉ちゃんも!」

 

「大人の人に会えて良かったです!」

 

「白銀さんと瀬戸さんだ!」

 

「あの物音、哀ちゃん達だったのか! 君達もこんな所までよく来れたね」

 

「城のはずれにあった塔の中に入ったら床が抜けて滑り落ちたあと、歩いて進んでいたらここに来たのよ。白銀さん達以外の人が見当たらないけどどうしたの?」

 

「白銀さんと私が、大きな物音がこっちの方から聞こえたから調べに来たんだよ。それでどうしますか、白銀さん? このまま子供達だけにしておくのは危険ですし、一緒に連れて行くのが得策かと思います」

 

「そうだね。君達ちゃんとついてくるんだよ。それと、勝手な行動はしないこと。怪我するかもしれないし、危ないからね。分かったかい?」

 

 子供達に笑顔で問いかけると、元気よく返事をした。うーん、ホントは連れてくの危ないからしたくないんだけど、仕方ないか。犯人にも狙われないように子供達を守らないと。

 瑞紀ちゃんも分かってるみたいだし何とかなるかな。戻れば萩原さんやコナンもいるしな。瑞紀ちゃんを先頭にして、元太君、光彦君、歩美ちゃんの三人が付いて行き、その後ろを俺と哀ちゃんで歩いてると哀ちゃんが話しかけてきた。

 

「犯人は誰かもう分かったのかしら?」

 

「いやぁ、それがさっぱり分かんないんだよね。コナンならおそらく犯人に当たりつけてるんだろうけど」

 

「嘘ね。貴方が犯人が分からないというなら、そんな状態で犯人がいるであろう場所から離れることなんて無いでしょ? おそらく犯人が分かって、その犯人の尻尾を掴む為にこうしたってとこかしら」

 

 ははは、哀ちゃんの指摘がズバリすぎて怖いんだが・・・俺の考えてることどうしてみんな分かるの? え、俺ってそんな分かりやすい? ポーカーフェイスで外には出さないようにしてるんだけどな。

 哀ちゃんには誤魔化せないか。誤魔化して心配させてもあれだしな。ここは正直に話しておくか。

 

「やっぱり誤魔化せないか。哀ちゃんの言うとおり、犯人に当たりは付けてるよ。その犯人にマークされてたし、行動してもらうように俺が瑞紀ちゃんを引き連れて来たって訳だ。

 あっちには萩原さん残してるから、犯人が何かしでかしても対処できるようにしてるよ」

 

「ふーん、なるほどね。それで、瀬戸さんだったかしら? こんな所へ連れてきても大丈夫なの?」

 

「瑞紀ちゃん、ああ見えても凄く優秀なんだよ? 運動神経良いし、頭の回転も速いし観察眼もあるから、色々なことに気づいてくれるし、一番はトラップとかの仕掛けの感知・解除能力が凄く高いんだよ。

 その二点に関しては、俺なんか足元に及ばないよ」

 

 まあ、中身が快斗君だから当然なんだけどな。怪盗キッドだからそういう能力には長けてるよな。今度頼んで習おうかな。ああいう罠解除とか絶対便利だろうし。

 

「白銀さんがそういうなら相当なのね。それにしても貴方の事務所ってどうしてあんなに凄いスキルを持った人ばかり入ってくるのかしら?」

 

「それは俺が聞きたいね。優秀な人ばかり入ってくれるから、俺としては凄く助かってるんだけどね。美樹ちゃんにも凄く助けられてるよ」

 

「お姉ちゃんも同じこと言っていたわ。そう言えばお願いがあったのよ。今度キャンプ行く時だけど、お姉ちゃんも一緒に来れないかしら?」

 

「美樹ちゃんは連れてく予定だったよ。俺と美樹ちゃんとあともう一人ぐらい呼ぼうかなって思ってるんだけど問題ないかな? 大人三人いれば、子供たちの面倒をちゃんと見れるし、何かあれば対処もしやすいしね」

 

「そうなのね。もう一人は誰が候補なの?」

 

「会社に新人が二人入ってくる予定なんだけど、交流も兼ねてその二人のどちらかにしようかなと思ってるんだよ。大丈夫かな?」

 

「新人ね。白銀さんが決めるなら問題ないわ。私の我儘も聞いてくれてありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 哀ちゃんと話し込んでいると、瑞紀ちゃん達に呼ばれ俺達は急いでついて行き、数分後みんなと合流するのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

<瀬戸瑞紀side>

 

 俺と白銀さんは、子供達を引き連れてみんながいた場所へと戻り合流した。さて、ここから先はどうすっかな。白銀さんには自由に動いて良いって言われてるから問題ないんだが、あまり行動しすぎて怪しまれてもあれなんだよな。

 けれど、エッグの謎を解き明かさないといけないし白銀さんが自由に動ければ楽なんだが、スコーピオンをマークしてるから手伝ってもらうのは悪いし、萩原さんも同様だ。

 ここは、あの探偵ボウズを使うしかないか。あそこにいる姉ちゃんには怪しまれるだろうが仕方ない。このボウズの正体がバレそうになったら、白銀さんか俺が工藤新一に変装して彼女に会って助けるようにすれば大丈夫だろう。そうと決まったら、さっそく行動を開始しますかね。

 俺は探偵ボウズと共に、次々と出て来る仕掛けを解いていき、先へと進んでいくと錠のかかった棺がある大きな部屋へと来た。部屋が真っ暗だったので、白銀さん達に協力してもらい、置いてあった蠟燭に火を付けてもらい部屋を明るくした。どうやらこの場所が一番奥みたいだな。この棺の造りは西洋風で桐でできてるな。この錠をどうにかできれば良いんだが・・・

 

「鍵が必要みたいですね。鍵で開けれれば良いんですけど、どうしましょうか白銀さん?」

 

「鍵なら夏美ちゃんが持ってなかったっけ? 夏美ちゃん! あの鍵が合うかどうか試してもらえるかな?」

 

「あの鍵ですね、分かりました、先生!」

 

 夏美さんはそう言い、鍵を取り出し錠に入れて回すと鍵が開いた。

 

「この鍵だったのね・・・」

 

「開けても良いですか、夏美さん? 白銀さんも手伝ってもらえますか?」

 

「分かったよ」

 

「え、ええ」

 

 夏美さんに確認を取って白銀さんと協力して棺を開くと中には、赤いエッグを抱くようにして眠っている遺骨が一体入っていた。この遺骨はおそらく・・・

 

「夏美ちゃん、この遺骨って・・・」

 

「たぶん、曾祖母の物だと思います。横須賀に曾祖父の墓だけあってずっと不思議に思ってたんです。もしかするとロシア人だった為に先祖代々の墓には葬れなかったのかもしれません」

 

 他のメンバーも集まって来て、セルゲイさん達がエッグを見たいと言い、エッグを調べていると中身が空っぽだった。

 やっぱりな。もう一つのエッグとセットで、赤いエッグの中は緑のエッグがハマるように作られている。エッグをはめ込みそこに開いた穴に光を通せば仕掛けが動くはずだ。白銀さんは・・・あの顔だと気づいたみたいだな。探偵ボウズも同じか。さてと、協力してもらうぜ、名探偵さんよ!

 

「コナン君何か気づいたのかな?、マトリョーシカみたいにもう一つのエッグがその赤いエッグにはめ込めるようになってると思うんだけどどうかな?」

 

「うん、僕もそう思うよ。ただ、もう一つのエッグがあれば良いんだけど・・・」

 

「それなら大丈夫だぞ、コナン」

 

「どういうこと、白銀さん?」

 

「鈴木会長から借りてきてるからな。目的の物はこれだろう?」

 

 そう言って白銀さんがもう一つのエッグを取り出した。あの人が鈴木会長にお願いがあるって言ってたのはこのことだったのか! この人ホント準備良いよな! どこまで予測してたんだ? おそろしすぎるぜ。

 佐藤刑事や夏美さん、萩原さんも同様に驚いてるじゃねえか。完全に白銀さんの独断で動いてたな。この人敵に回すと絶対勝てる気がしねえ。さすが親父が認めただけあるな。何にしてもエッグがあるなら問題ないはずだ。

 

「コナン君、白銀さんがエッグ持ってきてたしこれでどうにか出来るんじゃないかな?」

 

「う、うん。白銀さん、それ貸してもらえる?」

 

「はいよ」

 

 コナンはエッグを白銀さんから借りて、セルゲイさんに渡しエッグをはめ込んでもらった。

 

「やっぱり、二個で一つのエッグだったみたいだね、コナン君」

 

「そうだね。ただ、それだけじゃないような気がするんだ」

 

「あのエッグにはまだ秘密があるってことだね。私もそう思ってたんだ。コナン君も同じ考えで良かったよ。あの外にたくさん付いてるのってダイヤじゃなくてガラスみたいだね。どうしてなのかな?」

 

「ガラス・・・・そういうことか! セルゲイさん、そのエッグ貸して! 瀬戸さん、確かライト持ってたよね? ちょっと手伝って欲しいんだ」

 

 コナンはそう言い、中央の台座の所へ向かった。そういうことか! ここに来るまでの仕掛けと同じって訳か! 言われた通りにライトを持って追いかけて、ライトの光を小さくし上向きにして台の中に置いた。

 

「これで良いんだよね、コナン君?」

 

「ありがとう。白銀さん、萩原さん、蝋燭の火を消してもらえる?」

 

「「分かった!」」

 

 蝋燭の火が消えて、探偵ボウズが台座にエッグを置くと、エッグの中身が透けてきた。そして中の皇帝陛下の人形がせり上がって来た。なるほど、光度計が組み込まれてたのか。その後、光が辺りに広がり皇帝一家の写真が壁一面に写し出された。

 なるほどな。これがこのエッグに隠されてた仕掛けって訳か。夏美さんの曾祖母は写ってるな。これは秘密のままにしておいた方が良いな。白銀さんも写真を見て気づいたみたいだな。夏美さんと写真を交互に驚きながら見てるし。

 この写真を見た後、セルゲイさんや乾さんは、夏美さんが持っていることがふさわしいとして所有権を放棄した。ただ、中身のエッグは鈴木会長に所有権があると夏美さんが心配していたが、白銀さんがすでに夏美さんが所有者とするように交渉していたようだ。ホントあの人すげえな。こうなること予想してたのか?

 あの人の元で働いてたら人間辞めていくことになりそうなんだが・・・って、あれは、レーザポインタか? マズイ!  夏美さんが狙われてる?

 

「夏美さん、伏せてください!」

 

「・・・え? きゃあ!」

 

 俺は声をあげながら夏美さんを庇うようにして飛びついた。あぶねえ、何とかかわせたか。エッグは・・・マズイ!

 

「蘭ちゃん、エッグを拾ったらだめだ!」

 

「どういうことお兄ちゃん? きゃあ!」

 

「蘭ちゃん、怪我は無いね? ちくしょう、逃がすか!」

 

「くそっ、逃がすかよ!」

 

 エッグを拾おうとした彼女を白銀さんが俺と同じように庇い、エッグが犯人の足元へと転がり、それを犯人が持ち去って逃げていくのが見えた。

 それを察知し、白銀さんと探偵ボウズはすぐに後を追っていった。ちくしょう、ここまで来て逃がしてたまるか!

 

「萩原さん、佐藤刑事、後をお願いします! 白銀さんとコナン君は私が連れ戻してきますのでご安心を! 夏美さんは皆さんと避難してくださいね。それでは!」

 

「おい、瀬戸さん!?」

 

「ちょっと、待ちなさい! 危険よ!」

 

「大丈夫ですから、心配しないでくださいね!」

 

 俺はそう言い、二人の後を追うのだった。

 

 

<瀬戸瑞紀side out>

 

 

<萩原研二side>

 

 灰原ちゃんの案内に従い、俺達は別ルートで脱出を開始していた。こっちにも道があったんだな。それにしても犯人を追った白銀が無茶しなければ良いが。

 瀬戸さんも追ってったが、白銀とコナンがいるから何とかなるだろう。問題は、こっちで不安そうにしてる佐藤さんと灰原ちゃんと蘭ちゃんに香坂さん・・・って香坂さんはどこ行った!?

 

「佐藤さん、香坂さん見なかったか!?」

 

「え? 私達に付いてきてるはずだけど・・・香坂さん! いないわね・・・まさか、偵光の所に向かったの!?」

 

「ちっ、あっちには犯人がいるってのに、今から戻ったとしても・・・」

 

「戻ってもおそらく犯人によって、道が塞がれてるでしょうね。白銀さんがいるなら、香坂さんの身に何か危険が及んだとしても守るはずよ。

 それに江戸川君と瀬戸さんもいるし、私達は自分の安全を確保するようにしましょう」

 

「ああ、そうだな。ウチの所長ならみんな連れて戻ってくるから大丈夫だ。だから心配しなさんな、佐藤さん、蘭ちゃん。灰原ちゃんもな」

 

「はい。お兄ちゃんなら大丈夫ですよね」

 

「分かってるわよ。それより出口まではどのくらいかしら?」

 

「もうすぐよ。私はあの人のこと信じてるから大丈夫だもの」

 

「そうなのか。それ白銀に言ってやったら喜ぶぜ?」

 

「調子に乗るから言わないわよ。あそこね。博士が梯子を下ろしてくれたみたいね。ここを登ったら出口よ」

 

 俺達は全員で梯子を登って外にでた。外に出ると、辺りはすっかり夜になっていたが城の方から明るい光が見えた。あれは、まさか!? 俺は急いで城の方へと向かった。城の前へと来ると、城が火で燃えていた。犯人の奴火まで放ったのか! 白銀達はもう脱出してるのか!? 辺りを見回しても白銀達の姿は見えなかった。

 まさか、まだ中にいるのか!? 佐藤さん達も気づいたみたいで、慌てていた。

 

「これは何なの!? 萩原君、偵光達はいた?」

 

「いや、見当たらない。まだ中にいる可能性が高い」

 

「そんな!? お兄ちゃんやコナン君達を急いで助けないと!」

 

「ダメだ! ここで俺達が行ってもかえって被害を大きくするだけだ。二人とも心配だろうが、消防を呼んで大人しく待ってよう。なーに、アイツならきっと大丈夫だ。すぐに出てくるさ。なあ、灰原ちゃん?」

 

「そうね。あの人のことだからきっと大丈夫よ。私達は信じて待ってましょう」

 

「・・・・ええ。偵光・・・ちゃんと帰ってきなさいよ・・・」

 

「お兄ちゃん、コナン君、瀬戸さんお願いだから無事でいて・・・」

 

 俺達は不安になりながらも、白銀達の無事を祈りながら外で消防が来るのと、白銀達が出てくるのを待ち続けるのだった。



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58話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 今回で世紀末の魔術師編は終わりです。

 アンケートについて一か所訂正があります。黒の組織の再会編ですが、過去にもう書いており、事件のタイトルを間違えており申し訳ありませんm(__)m
 再度修正したアンケートを実施します。
 『黒の組織と真っ向勝負満月の夜の二元ミステリー
』編となりますのでよろしくお願いします!

 アンケートの期限は6月15日までを予定しています。


<偵光side>

 

 俺は犯人を追って、走っていた。くそっ、逃げ足早いな、あの人。後ろからは二人ほど付いてきてるみたいだな。

 おそらくコナンと瑞紀ちゃんだな。あの二人なら協力あいて犯人を追い詰めることができるが、逃げられたら元も子もないから俺が時間稼ぎするか・・・ってあぶね! 手榴弾まで持ってやがんのかよ! 流石に爆発するとと厄介だから、ピンは抜かせないように持っていた小石を投げて犯人の手に当てて、落とさせた。よし、放っておいてくれたな。

 これは回収してっと。ちょっとロスになったか・・・。再び追いかけようとしたら、コナンと瑞紀ちゃんが追い付いてきた。

 

「白銀さん、犯人は!?」

 

「大丈夫ですか、白銀さん!?」

 

「悪いけど、話してる暇はないぞ二人とも。手榴弾の爆発阻止するのにてまどっちまった。二人とも急ぐぞ!」

 

 俺達三人は再び走り出し、地下室への入り口近くの階段を上っていくと、入り口が閉じられていた。

 

 

「しまった!」

 

「ちっ、やられたか! コナン、瑞紀ちゃん、どこかに中から開けられるスイッチがあるはずだ! それを探して見つければこちら側から開けれるはずだ!」

 

「そうか! くそっ、どこだ!?」

 

「ありました! ここのブロックだけ大きさが違います! 押してみます!」

 

 瑞紀ちゃんがスイッチを見つけ押すと、扉が開き上がってみると辺りが燃えていた。ちっ、火まで放ったのか! 完全に面倒臭いことになってるじゃねえか!

 

「早いこと犯人捕まえて、俺らも逃げないとお陀仏だぞ。騎士の間の方向か!」

 

「そうだよ! でも、犯人はピストル持ってるからそれをどうにかしないと・・・」

 

「犯人のピストルの種類が分かれば、装弾数も分かるんですけど・・・」

 

「おそらくワルサーPPKSだ。犯人を追ってる時に手に持ってるの見えた」

 

「ってことは八発か。それをどうにかすれば・・・」

 

「一丁だけならな。それと装填してる状態でマガジン入れたら九発になるぞ」

 

「そうですね。三人で撹乱するのはどうでしょう? それが一番犯人に銃を撃たせやすいのでは?」

 

「瑞紀ちゃんの言う通りだな。寒川さんの声で話しかけたりしたら効果高いだろうな。コナンは推理もしながら犯人を足止めしてもらいたいんだが良いか? 

 俺と瑞紀ちゃんはお前をフォローしながら脱術経路を探しておく。コナン、ピンチになったら迷わず隠れろ。俺と瑞紀ちゃんでどうにかするから」

 

「大丈夫なの、二人とも?」

 

「白銀さんの研修で鍛えられたから全然大丈夫だよ!」

 

「クリスのキャンプに比べれば全然マシだ。作戦どおりにいかないイレギュラーが起きたらその都度対処しよう。それで良いか、二人とも?」

 

「うん!」

 

「はい、大丈夫です!」

 

 俺達は作戦通りに行動を開始し、犯人である青蘭さんをかく乱していった。犯人に全発弾を撃たせ俺達は青蘭さんの前へと姿を現した。

 

「どうやら全弾撃ち尽くしたみたいだな、青蘭さん」

 

「そうですね。貴女にもう逃げ場はありません」

 

「貴方達もやっぱりいたのね。やはり貴方は一番初めに消しておくべきだったわ、白銀君。ことごとく邪魔をしてくれたわね。いつから私のことを疑っていたの?」

 

「もちろん始めからですよ。手を見た時にピストルを撃ちなれている手をされてたのが一点。俺に色仕掛け等をして無駄に関わろうとしてる割に警戒されていて怪しいと思ってましたし、寒川さん殺害時のアリバイが無かったのは貴方だけだったんですよ」

 

「そう。アリバイについても調べてたってことね。警戒してるつもりは表に出してなかったんだけど? それに色仕掛けって、貴方の事がタイプなのは間違いなかったのよ、ひどい男ね」

 

「よく言うよ。その手の人間は今までにたくさん見て来てるんだ。それにアンタぐらいのレベルだと分かりやすかったぜ。おかげで俺が警戒されている間に、萩原さんや瑞紀ちゃんに行動してもらったわけだ。

 それに今回はコナンもいたしな。アンタが犯人として仮定して動いたから色々と対処しやすかったぜ。ただ、関係ない夏美ちゃんや蘭ちゃん達まで狙ったのは許せねえ」

 

「そう。今回は貴方だけじゃなくその坊やとお嬢さんも警戒するべきだったわけね。あの二人を狙ったのは、エッグをただ手に入れる為だけに撃ったわ。それで死んだら死んだ時よ」

 

 ああ、いらつくな。こっちをイラつかせて隙を見つけてるってとこか? 俺が一番腹立つことを平気でやりやがるな、コイツ。コナンや瑞紀ちゃんも怒っているようで犯人を同様に睨みつけていた。これ以上青蘭さんと話しても、俺達の命がヤバくなっていくだけだな。そろそろ行動を開始するか。

 二人にアイコンタクトをして動こうとしたら、左肩を撃たれ、焼けるような痛みが襲い、左肩に触れると出血していた。くそっ、特製防弾チョッキでは守れてない位置を撃たれたか・・・・・・

 

「ぐうっ!?」

 

「大丈夫ですか、白銀さん!?」

 

「白銀さん!? てめえ!」

 

「動かないで! ごめんなさい、白銀君。悪いけど、貴方から死んでもらうことにしたわ。貴方はおそらく右目を打ち抜こうとしても阻止されるはずだから、肩をまず撃たせてもらったわ。次は心臓よ」

 

「二人とも慌てなくても大丈夫だ。おいおい、ポリシーはどうしたんだ? そんなんだと天下の大悪党であるラス・プーチンがあの世で泣いてるぜ。子孫はいつから臆病者になったんだってな」

 

「・・・! そう、よほど死にたいようね。でも、貴方より前に先に消さないといけない人が出来たわ。貴方はその人の次に殺してあげるわ」

 

 ん? 青蘭さんのライフルの向きが変わった? 俺の背後には誰もいないはずだ。いったい何を言ってるんだ?ってどうしてここに!? まさか付いて来てたのか!? マズイ!

 

「はぁ、はぁ、はぁ。やっと追いつけました、先生。火事が起こってるので早く逃げましょう」

 

「夏美さん!? どうしてここに? 危険ですので、早く逃げてください!」

 

「やべえ、間に合うか!?」

 

 瑞紀ちゃんとコナンが後を追ってきた夏美ちゃんを守る為に犯人の制圧にうごいたが、それより早く青蘭さんが彼女の心臓へと銃口を向けた。俺は夏美ちゃんを庇うように飛び込んだ。

 

「わざわざ来るなんて馬鹿な女。それじゃあね」

 

「夏美ちゃん、危ない!」

 

「・・・・え?」

 

 俺が代わりに銃弾を受け、夏美ちゃんを身体全体で庇うようにして倒れこみ、青蘭さんからさらに数発の銃弾を背中に受けるのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

<香坂夏美side>

 

先生が私を庇うようにして、青蘭さんから撃たれ血を流して倒れていた。私が先生を追ってきたから? それより先生を助けないと! 私は血の付いた手で、先生に触れ呼びかけた。

 

「先生、しっかりしてください! お願いですから、死なないでください!」

 

「まずい、早く救急車で連れてって白銀さんを治療しないと!」

 

「コナン君! 焦る気持ちは分かるけど、青蘭さんを制圧する方が先だよ。夏美さん、このバッグの中に包帯が入ってます。それで彼の止血をお願いします!」

 

 瑞紀さんは私の方にバッグを投げてきて、コナン君と共に犯人と対峙していた。瑞紀さんに青蘭さんを任せ、私は先生の応急処置をしようとすると倒れていた先生に腕を掴まれた。

 

「せ、せん・・・うむっ!」

 

「しー。犯人に気づかれるから小さい声で静かにね、夏美ちゃん。悪いけど、肩だけ先に包帯巻いて止血してもらえる? 肩だけは本当に怪我してるから。

 他の箇所は血糊入り防弾チョッキの血糊だから。怪しまれないように包帯だけは巻いて欲しいかな。心配かけたみたいでごめんね」

 

「ホントですよぅ、ぐすっ。わかりました。応急処置をしてるように見せれば良いんですね。それで、これからどうするつもりなんですか?」

 

「隙を見て、青蘭さんを制圧する。早くしないと、俺達も火事でお陀仏だからね。青蘭さんを制圧したらとっとと脱出だ」

 

「分かりました。すみません、私のせいでご迷惑をおかけして・・・」

 

「良いんだよ。俺達が心配だったから来てくれたんでしょ? ありがとね♪」

 

「そうですよ・・・先生はいつも無茶するんですから、心配するこちらの身にもなってください」

 

「すみません、気をつけます」

 

 先生も反省したようで、その後は黙って隙を伺っており、コナン君と瑞紀さんが犯人の隙を作った瞬間、起き上がり犯人の背後に周って制圧し気絶させていた。凄いですね! 全然見えなかったです!

 

「かはっ! どうしてお前が・・・・!?」

 

「撃ったのにってか? 防弾チョッキしてたからな。血糊入りのな。あーあ、おかげでこの服洗濯しないといけないじゃねえのかよ」

 

「そういうことだったんですね。夏美さんと遠目に話してるのが見えてたので大丈夫だとは思ってました」

 

「白銀さんが博士からもらってた防弾チョッキのある仕掛けって血糊のことだったんだね」

 

「先生凄いです! こほっ、こほっ!」

 

 火事の煙が充満してきており、煙を少し吸ってしまい咳き込んでしまい膝をついた。思ったより煙と火が広がっておりしんどくなってきました。

 先生達はどうして平気なんですか? クリスさんに鍛えられた影響なんですか?

 

「そういうことだ。大丈夫かい、夏美ちゃん!? 早くしないと不味いな。今は話してるより脱出するのが先だ、瑞紀ちゃん、コナン。脱出ルートは・・・」

 

「そうですね。窓を突き破って出るしかないですね。入り口側は火が広がってしまってるので、無理ですね」

 

「そうか。コナン、そこの鎧の頭二個をあそこの二か所の窓に向かって蹴ってガラスを割ってくれ。その後、俺は夏美ちゃんを抱えて左の窓から出る。右の窓からは、瑞紀ちゃんが青蘭さんを抱えて脱出。コナンは一人でも大丈夫だな?」

 

「力には自信あるんで、青蘭さんのことは任せてください! 白銀さんは夏美さんのことをよろしくお願いしますね!」

 

「うん! 分かったよ。それじゃあ、早く窓を割るね」

 

 そう言ってコナン君は、窓に向かって鎧の頭を蹴り窓ガラスが割れた瞬間、私はお姫様だっこの形で先生に抱えられた。ええっ!? この格好は恥ずかしいです、先生! 先生にされるのは嬉しいですけど、もっと違う場面でして欲しかったです。

 デートしてる時とか、結婚式とかでしてもらいたいなって私はいったい何を考えてるんでしょうか!?

 

「ごめんね、夏美ちゃん、少し我慢しててね。それじゃあ、脱出するぞ!」

 

「は、はい!」

 

 コナン君と瑞紀さんが先に脱出し、私は先生にしがみつき抱えながら城から脱出するのだった。

 

 

<香坂夏美side out>

 

 

 

<佐藤美和子side>

 

 私はスコーピオン事件の調書をまとめる為に、偵光から話を聞く為に彼の事務所へと足を運んできていた。事務所に来ると夏美さんと瀬戸さんが応対してくれた。

 

「すみません、佐藤さん。先日は私の家の関係でご迷惑をおかけしました」

 

「大丈夫ですよ。夏美さんにも怪我が無くて良かったわ。あのバカだけ怪我したみたいだし。瀬戸さんも無事で良かったわ」

 

「はい! こちらお茶と夏美さんが作ったお菓子になります。はい! ああいう修羅場は小さい時からたくさん経験してきてたので大丈夫でした!」

 

「そ、そうなの。偵光と似てるのね。それでアイツに話を聞きたいんだけどどうしてるの? 今日は事務所にいるって聞いてたから足を運んだんだけど」

 

「それがですね・・・」

 

「あと、一時間ぐらいは難しいかもしれないです」

 

「何かあったの?」

 

「クリスさん、七槻さん、怜子さん、安室さんが出張から帰ってので、朝から説教されているんです。萩原さんも一緒に怒られてます」

 

「ああ、なるほどね。今回の事件の詳細を夏美さん達が話した訳ね。朝からって、今は午後二時よ? 随分長いこと説教されてるのね?」

 

「はい、そうなんです。この前の爆弾事件から皆さんには黙ってずっと行動してたってので凄く怒られてますね。私初めてみたんですけど、いつもあんな感じなんですか?」

 

「ええ、そうね。クリスさん、越水さんが関わった時は特に長いわね」

 

「そうですね。あと、佐藤さんと宮本さんが怒ってる時も長いですよ?」

 

「うっ、そんなに長く怒ってるつもりはないんだけど、付き合い長いからついつい言い過ぎちゃうのよね」

 

「そうなんですね。そう言えば、鈴木会長の船に乗って、エッグを東京に持って帰ってる時の夏美さんもすごかったですよね」

 

「あ、あの時は先生が萩原さんに誘われてよく合コンに参加してたからって聞いたからですよ!」

 

「あちゃあ・・・。これは、説教時間延長ですね。ご愁傷様です、白銀さん」

 

 ふーん。合コンね。偵光が合コンに参加してるなんて全然知らなかったわ。由美にメールしてと。クリスさん達にもこれは報告しないといけないわね、ふふふ。

 

「さ、佐藤さん? 先生も悪気があった訳ではないのでほどほどにしてあげてくださいね?」

 

「分かってるわよ♪ ちょっと私も参加して来るわ。それが終わったら話を聞かせてもらうわね♪」

 

「佐藤さんの笑顔が怖いです・・・白銀さんと萩原さん命あるかなぁ」

 

「そればかりは私も分かりません。先生、ごめんなさい」

 

 

 私は二人が何か背後で言っていたのを聞かず、笑顔を浮かべながら説教されている二人の元へと向かい、合コンしていたことをみんなに伝え説教に参加するのだった。

 思ったより白熱し、夕方頃までそれは続き、その後話を聞いて調書をまとめるのだった。

 



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謎めいた乗客編
59話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 今回から新章に入ります。
 季節の関係上、設定を変えていますのでご了承くださいm(__)m
 新キャラも登場します。
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします!


<アンドレ・キャメルside>

 

 私は所属しているFBIからの命令で、白銀偵光の事務所に入社し彼の周辺を潜入捜査しろという命令を受けて、彼の会社の面接を受け何とか入社することができた。彼の事務所に入社して一安心かと思っていたが、それが間違いだったとすぐに気づいた。

 事務所に入ってからのことを思い出していた。同日に入社した水無怜奈さんというフリーアナウンサーの女性と副所長から色々と説明を受けた。どうして我々が追っている組織のコードネーム持ちが私と同じ日に入社するのでしょうか? それに彼の事務所と会社に所属しているメンバーを聞いて私は驚きすぎて腰を抜かしてしまった。

 黒の組織の幹部、ベルモット、バーボン、キュラソーに、有名芸能人、元警察官、探偵など、様々な分野でハイスペックな人達の集団だということが分かりました。その中でもずば抜けているのが、所長と副所長です。あの二人だけはホントに人間なのかと疑いたくなります。

 他にも、松田さんや萩原さん、バーボンこと安室さんに瀬戸さん辺りなどは、何でも出来すぎな気がします。聞いてみたら、所長が鍛え上げたそうです。彼はいったいどこを目指してるのでしょうか? それに私は上司からの命令でこの事務所に入ったことをすでに後悔していました。

 なぜかと言うと、白銀さんの研修で命がいくつあっても足りないと思ったことが一つの理由です。無人島に連れていかれ、二週間サバイバル生活をさせられるとは思いませんでした、そのサバイバル中に、銃の扱い方、爆弾解体技術、発明品の製作、変装技術、尾行技術、捜査技術などあらゆる事件を想定した訓練を行いました。白銀さんに尋ねたところ、彼がベルモットから受けさせられた訓練に比べれば、即死級のトラップが無いから全然優しいとのことでした。うん、もう詳しく聞くのは諦めました。

 そんなハードな研修を終えて、今日の私は、白銀さん、灰原さん、米原さんのメンバーと共に、探偵事務所がお世話になっている阿笠博士の代わりに子供たちの引率としてバスに乗ってキャンプに行くことになっていました。どうしてこうなったんでしょう? まあ息抜きと言われたので良いのですが・・・

 

「キャメルさんどうしたんですか? もしかして今日キャンプに誘ったの不味かったですか?」

 

「い、いえ。所長が誘ってくれて良かったです。私自身、アウトドア趣向なのでキャンプするの楽しみなんです。

 ただ、白銀探偵事務所に入社して本格的な仕事もしていないのにいきなり休みで、遊びに行っていいものかと思いまして」

 

「大丈夫ですよ、キャメルさん。今日が終わったらしっかり仕事が入ってますから。偵光君のスケジュールとキャメルさんのスケジュールは当分埋まってますので今日はリフレッシュしてください♪」

 

「社長の場合は会社の仕事も立て込んでましたからね。今日は、子供たちとの約束もありましたし、美樹さんとスケジュールを調整して流石に休みを取ってもらうようにしました。でないと、社長はいつお休みになるか分からないので」

 

「いやあ、俺も休みたいのはやまやまなんだけど、仕事が次々立て込んでくるんだよね。探偵事務所の方なんか、外に出るたび事件に巻き込まれるし。だいぶ従業員も充実したんだけど、みんながどんどん仕事をこなしてくれるから、できることの幅が広がったんだよね。ありがたいことなんだけどね。従業員には交代でまとまった休みを取ってもらってたんだけど、その間に俺が事件に巻き込まれすぎってこの間怒られたばかりだしな」

 

「そんなことがあったんですか? そう言えば、警視庁関係者を狙った爆弾事件に、メモリーズ・エッグ関連の事件と立て続けだったみたいですね。

 あれ? 事件に巻き込まれた件とは別に随分と長い間怒られてたって副所長に聞いたのですが、何が理由だったのですか?」

 

 私が彼にそう尋ねたら、彼は真っ青になり冷や汗を流し、米原さんと灰原さんは凄いジト目で彼を睨んでいた。二人の雰囲気が一変して凄く怖いです。副所長が苦笑いしながら、濁してたのは理由があったのですね。

 これは、触れてはいけないことに触れてしまったかもしれません。

 

「それはちょっと言えないかな・・・?」

 

「どうして疑問形なんですか、社長は? 素直に教えてあげれば良いじゃないですか。ねえ、美樹さん♪」

 

「そうですね♪ 教えられないってことは後ろめたいって思ってるってことですよね、偵光君?」

 

「い、いえ・・・あの件は、俺も充分反省しましたので。今後はちゃんと誤魔化さず正直に話して行くようにします」

 

「正直に話して行く・・・?」

 

「社長は友人と飲み会に行くって、嘘をついて合コンに行っていたんですよ。萩原さんから誘われてから行ったそうなんですが、誤魔化さずに正直に話せばあそこまで皆さん怒りませんでしたよ? 

 私は苗ちゃんから交通課の婦警と合コンしてたってのを聞いてたので知っていましたが。苗ちゃんも後から知って怒ってましたよ?」

 

「ああ、なるほど。白銀さんって凄く女性から人気ですからそういうことですか。あれ? でも隠したら余計に怒られるのが、貴方ほどの人なら分かっていたのではないですか?」

 

「正直に話す方が怒られるって思ってたんだよ。それで隠してたのがバレてめちゃくちゃ怒られたんだよな。

 いやあ、あんだけ怒られたのは、米花シティービルの爆破事件の時以来だったなぁ」

 

「米花シティービル事件の時ですか? 私、まだ入社してなくて知らないんですけど、社長はいったい何をやらかしたんですか? 美樹さん教えていただけますか? 社長に聞いてもどうせ教えてくれないことは分かってるので」

 

「私も気になりますね。教えていただけますか、灰原さん?」

 

「なんか俺の扱い酷くない桜子ちゃん? キャメルさんも凄く興味深々だし」

 

「社長の日頃の行いをちゃんと改めないからですね。自業自得です♪」

 

 あ、米原さんの容赦ない言葉に所長はがっくりとうなだれました。私も彼女は怒らせないように注意しましょう。そう心に誓っていると、灰原さんが米花シティービルの一件について説明を始めました。説明を聞いていくうちに米原さんの所長を見る目が凄く怒っているような感じになってきました。

 所長は病院を抜け出して大怪我して帰ってくるっていったい何をどうしたらそうなるんですか!? 普通の人間は病院抜け出して事件の捜査をする人なんていませんよ! 普通でない人だとは思ってましたがここまでアホというか無茶苦茶な人は、初めてでは無いですね。

 私の上司にも似たような人が一人いました。私の周りにはこういう人ばかりが集まるのでしょうか? いや、きっと気のせいだと思いたいです。

 

「白銀さん、病院抜け出すことは普通の人はしませんよ。事件終わった後相当怒られたんじゃないですか?」

 

「はい、怒られました。それ以来、監視の目が凄く厳しくなりました・・・」

 

「監視が厳しくなった割には、事件でいつも無茶して怒られてますよね? いい加減学習したらどうなんですか、社長?」

 

「うわあーん! 美樹ちゃん! 桜子ちゃんがすんごく怖いんだけど! しかも虐めてくるよ!」

 

「うわっ、急に抱きつかれるとビックリするよ、偵光君」

 

 灰原さんが白銀さんに泣きつかれて、嬉しそうにしてますね。ただ、反対に米原さんの機嫌が急降下してますね。それと背後ってか足元から凄く寒気がするのですが、いったい・・・? 

 なるほど、この女の子から発せられるプレッシャーでしたか。白銀さんって年上、年下との人気の幅が広すぎませんか? ってかこの子が来たということは他の子供達も来てますね。ここの空気が怖すぎて近寄れないってとこでしょうね。私も逃げたいのですが、難しそうですね・・・

 

「あら? 公共の場で堂々とセクハラするなんてやるじゃない」

 

「そうですね。社長のことを警察に通報した方が良いでしょうか?」

 

「ひいっ!? 哀ちゃんに桜子ちゃん、笑顔が怖いですよ?」

 

「笑顔が怖いわけないじゃない。それよりいつまで美樹さんにそうしてるつもりかしら?」

 

「社長たら面白いこと言いますね♪ それより子供達が来たみたいですし、いい加減美樹さんから離れた方がよろしいんじゃないですか?」

 

「そ、そうですね! 子供達も来たみたいですし、私は他の子達の所へ行ってきますね!」

 

 そう言い灰原さんは他の子どもたちの所へと向かい、それに便乗して逃げようとした白銀さんは二人に捕まっていた。これは長くなりそうなので、私も離れて子供達と合流しましょう。

 私は子供達に自己紹介をしてると、お話が終わったみたいで、白銀さん達も合流しキャンプ場行きのバスに乗るのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 日本のバスに乗るのは初めてだったので、もたつきそうになっていたが、そこは白銀さん達が上手くフォローをしてくれました。この人達、人を気遣うのが上手すぎませんか? 私は一人で座り、通路を挟んで隣の席には白銀さんと米原さん、二人前の席には、コナン君と哀ちゃん、私の前に灰原さんと歩美ちゃん、その前には元太君と光彦君が座っています。

 それにしても随分と大所帯ですね。乗客が少なくて良かったです。隣の白銀さんはさっきの説教が効いたのかグッタリしており、米原さんが心配そうに声をかけてました。

 

「社長、すみません。先ほどは怒りすぎました。大丈夫ですか?」

 

「あはは、大丈夫だよ。怒られるのには慣れてるからね。それより、美樹ちゃんや子供達も楽しんでるようで良かったよ。桜子ちゃんもキャメルさんも楽しんでよ? もちろん、俺もしっかり楽しむからね♪」

 

「そうですね、楽しみましょう♪ キャンプの料理は任せてください♪ 腕によりをかけて作りますからね!」

 

「お、マジで!? 桜子ちゃんの料理ホント美味しいからね、キャメルさんも楽しみにしておくと良いよ」

 

「はい! 美味しい料理が食べれるのは凄く楽しみです!」

 

 美味しい料理を食べれることを楽しみにしてると、斜め前の席の哀ちゃんが突然震えだしてフードを被った。どうしたのでしょうか? 確認しようとすると、白銀さんも真っ青になりフードを被ってました。

 何かあったのでしょうか? 元太君達が賑やかになり、知り合いが乗って来たのかと確認すると、眼鏡をかけた優しそうな男性と眼鏡をかけた金髪の外国人の女性が乗ってきていました。二人は先生と呼ばれており、女性の方はよく知っている顔なので、私も白銀さんと同様に真っ青になってフードを被り屈んでました。

 どうしてジョディさんがここにいるんですか!? ん、その更に奥から乗ってきたのは赤井さんじゃないですか!? 貴方達はいったい何をしてるのでしょうか!? それは私にも言えますね。私も白銀さんと同じ体制になりましょう。あの二人に絡まれないようにと願いながら目的地へと向かうのだった。

 

 

<アンドレ・キャメルside out>

 

 

<米原桜子side>

 

哀ちゃんの様子がおかしくなったので大丈夫かと確認したが平気と言われ、どうしようかと思っていると隣にいる白銀さんと、その奥に見えるキャメルさんも哀ちゃんと同じ状態になっていた。

 いったい、どうしたんですか二人とも!? 目を離した隙に状況変わりすぎじゃないですか!? 白銀さんとキャメルさんが真っ青になるって初めて見ましたけど、気分が悪くなったのなら大変です!

 

「大丈夫ですか、社長!? それにキャメルさんも!」

 

「大ジョブ、うん、大ジョブ。体調悪いとかじゃないから」

 

「だ、大丈夫です。私のことは気にしないでクダサイ。身体は元気なので」

 

「途中カタコトになってますよ、二人とも! 本当に大丈夫なんですか・・・? 気分悪かったり、しんどかったら言ってくださいよ?」

 

「分かったよ」

 

「はい」

 

 うーん、やっぱり白銀さんにはそこまで信用されていないってことでしょうか? 若松社長やお母さん関連で凄くお世話になったので、彼の元で働いて恩返しがしたかったのですが、白銀さんとご一緒する機会が全然無いんですよね・・・今回は白銀さんから直接誘われて、嬉しさのあまり苗ちゃんにも自慢しちゃいましたし。おかげで苗ちゃんの機嫌が悪くなって怒られたんですけどね。反対に苗ちゃんに自慢されたこともあるのでお互い様だと思うんだけどなぁ。

 って今はそんなこと気にしてる場合じゃなくて、子供たちの面倒をみて自分も楽しまないと! 白銀さん達とご一緒できるせっかくの休みなんだから!

 あれ? 今乗って来た二人組の人、帽子被ってサングラスかけて、随分と大きな荷物背負ってるますね。同じキャンプ場に行く客でしょうか? バッグを置いて中から何か取り出してますね・・・え?

 

「騒ぐな! 騒ぐと命は無いぞ!」

 

「何ですか!?」

 

 乗客が混乱していると、二人組のウチの一人がバスの天井に向けて発砲した。本物の拳銃じゃないですか! バスジャックして私達は巻き込まれたってことですか! 此処には子供達もいるのに。いったいどうすれば・・・? もし子供達も含め、私達も・・・

 悪い方に考えて怖くなり震えてると、左手を優しく握られた。その握った人を見てみると、先ほどとは違い優しい笑顔で

 

「大丈夫かい、桜子ちゃん? 俺達がいるから心配しなくても大丈夫」

 

「で、ですが・・・」

 

「こーら。俺が大丈夫だって言ってるんだから、泣きそうな顔しないの。可愛い顔が台無しだよ? ほら、笑って、笑って。ねえ、キャメルさんもそう思うよね?」

 

「そうですね。米原さんや子供達を怖がらせる悪い大人は退治しないといけませんね」

 

「にゃにするんですか、もう。キャメルさんも急に元気になってるじゃないですか」

 

「真っ青になってる場合じゃなくなったからね、二人とも」

 

「そうですね。米原さん、私と所長に任せて安心していてください」

 

「そうだね。桜子ちゃん達は絶対守るからね」

 

「はい♪ 社長達を信じます。何か協力して欲しいことがあったら言ってください」

 

 私は、暖かい手の感触と、白銀さんとキャメルさんの言葉に安心し、犯人たちの指示に従い携帯を渡し、彼らを信じて待つのだった。

 




アンケートは6月15日に締め切りたいと思いますのでよろしくお願いします!


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60話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 



<灰原美樹side>

 

 私達がキャンプ地に向かうバスがバスジャックされ、携帯も取り上げられてしまいどうするかを考えていた。

 犯人の制圧に関してはおそらく偵光君達がどうにかするだろうから、私がするべきことは偵光君達が動きやすくなるようにサポートすることね。

 志保の様子もさっきからおかしいままだし、偵光君も少し様子がおかしかったっことを考えると、ベルモットが乗客として乗ってるってとこね。誰に変装してるかが分かれば動きやすいんだけど。

 そう言えば、もう一人組織にいた人間が乗ってたわね。確か名前は諸星大だったかしら。何回か組織の任務で顔を合わせたから覚えてるわ。

 確かライとコードネームをもらった後にNOCだとバレて、ずっと組織が追っていたはずなんだけどベルモットにとっては志保の方が最重要ターゲットみたいね。

 まあ、バスジャックと偵光君っていう想定外がいたからここで何かするってことは無いだろうけど。子供達の安全を守る方を優先させないといけないわね。

 

「歩美ちゃん、心配しなくても大丈夫だからね」

 

「う、うん」

 

「灰原さん、聞こえますか?」

 

 歩美ちゃんが安心するように話しかけていると、後ろのキャメルさんが小声で話かけてきました。

 

「聞こえます。どうしました、キャメルさん?」

 

「そのままで。おそらく、私達の後ろにも犯人の共犯者が乗っています。

 怪しい動きをすると察知される可能性が高いので、動かないようにお願いします」

 

「ええ、分かりました。偵光君はどうするつもりですか?」

 

「所長は協力者が絞れて、チャンスが来たら指示を出すそうです。

 所長から指示が来たら私と所長で制圧しますのでご安心をそれまで待機しておいてください」

 

「分かりました」

 

 私がそう言うと、犯人の一人が反対側のコナン君の所へと向かい彼を掴み床に放り投げた。

 

「おい、ガキ! 今度下手な真似をしたらただじゃおかねえ。おっと、コイツは預かっておくぜ」

 

 私はコナン君に駈け寄った。

 

「大丈夫、コナン君? 怪我は無いみたいね」

 

「う、うん。ありがとう、美樹さん」

 

「良いのよ。それと大人しくしてて。偵光君が今動く機を狙ってるから、彼が動いた時が勝負よ」

 

「わ、分かったよ」

 

 そうしてコナン君は席にもどり、私も席へと戻った。

 その後バスが長い間走っていると、犯人グループがバスの通路の真ん中に大きい二つのバッグを置いた。

 あのバッグは一体なんなのかしら? 偵光君の方をちらりと見てみると、そのバッグを見て顔つきが変わっていた。

 ということは、おそらく良くない物が入ってそうね。考えられるのは爆弾かしら? 

 爆弾なら早いこと何とかしないと・・・ってコナン君!? 大人しくしてなさいって言ったのに! 

 

「またお前か! 命が惜しく無いのか? ならお望みどおりにしてやるぜ。おい、ボウズ、立て」

 

「「「コナン君!?」」」

 

 彼が立つと、先ほど新出先生と呼ばれていた男性がコナン君を庇っていた。

 その庇った男性を犯人が拳銃で撃とうとした瞬間、

 

「さっきからキャンキャン吠えてうるっせえな。バスジャックしたんなら堂々と構えろってんだ。小物っぽさが滲み出てるぜ、犯人さんよ」

 

 偵光君がようやく動きだしたことによる嬉しさ半面、犯人を煽って何をしでかすか予測がつかないこと私は不安を覚えるのだった。

 

<灰原美樹side out>

 

 

<偵光side>

 

 俺はコナンを庇ったクリスが狙われていたので、咄嗟に犯人を煽る言葉を言った。

 さてと、これで犯人二人がこっちに来てくれたら動きだすぞ。

 共犯者は後ろの女性ってのを桜子ちゃんとキャメルさんに伝えて俺が犯人の制圧に動いた瞬間、キャメルさん、桜子ちゃん、美樹ちゃんは俺の考えを分かって動いてくれるはずだ。

 あとはクリスもたぶん動いてくれるはずだと思うんだが・・・めちゃくちゃ睨まれてるな。 俺が無茶しだすの分かってたから、止めようとしてたのにって感じですね。

 こりゃあ、後で怒られっかな。まあ、哀ちゃん狙ってるんだろうが残念ながら、それは失敗に終わるようにさせてもらいますよっと。

 で、問題は俺のことを伺ってる、変装したクリスの横にいる外国人の女性と後ろにいるニット帽をかぶりマスクをしてる男性なんだよな。

 あの二人のこと全然知らないんだけど、どうして俺マークされてんの? キャメルさんが真っ青になってたからキャメルさんの知り合いかと思ったんだけど・・・って、犯人さん二人釣れましたね、ラッキー。とっとと事件解決しますかね。

 人の休暇を潰した輩は容赦なくいかせてもらうぜ!

 

「おい! もう一度言ってみろ!」

 

「だからぁ、吠えるなっての。こんな言葉でいちいち動揺してたら、小物だぞって言ってるんだよ」

 

「何ぃ!? よほど死にたいらしいな。お前だけは殺すと決めた」

 

 犯人は俺に拳銃を突き付けてきた。コイツ素人だな。容赦ない犯人なら既に俺は撃たれてるよ。

 

「「白銀さん!?」」

 

「社長!?」

 

「偵光君!?」

 

「大丈夫だから。殺すってんなら、これぐらいの覚悟ぐらいは持たないと」

 

「「っつ!?」」

 

 俺は犯人達に向けて殺気を飛ばした。クリスとか組織連中の真似をしてやってみたけど結構効果あるもんだな。

 普通の人には気づかないように飛ばしたんだが、ウチの所員達とクリスに哀ちゃんにコナン、気になっていた二人組は殺気に気づき俺の方を見ていた。

  桜子ちゃん達まで怖がらせるつもり無かったんだけどな。

 まだまだ修行が必要だなってこんなこと考えてる場合じゃねえ。犯人達は怯んだし、このチャンスを生かさないと!

 

「運転手さん、ブレーキ踏んで! 早く! 乗客の皆さんは何かに捕まってください!」

 

 俺が指示を出したと同時に、美樹ちゃんと桜子ちゃんは爆弾が入っているであろう荷物を持ち、運転手さんが急ブレーキをかけてバスは止まり、犯人達は立っていたので、倒れてしまった。

 犯人達が起き上がる前に俺は飛び出し、犯人二人を制圧し、後ろの共犯者の女性はキャメルさんがとり抑えていた。

 

「ぐはっ!」

 

「なんだと!?」

 

「きゃあ、ちょっと、何よ!?」

 

「すみませんが、拘束させてもらいます。貴方が共犯者なのは既に分かっています。白銀さん、こっちは大丈夫です。そちらは大丈夫そうですね」

 

「ありがとう、キャメルさん。美樹ちゃんも、桜子ちゃんもありがとね。さてと、爆弾は・・・」

 

「い、いえ。社長も無事で良かったです。皆さんにも怪我がないようで良かったです」

 

「そうですね。偵光君、爆弾は大丈夫そう?」

 

 美樹ちゃんと桜子ちゃんから荷物をもらい、荷物の中身の爆弾を確認するとタイマーが作動していた。

 ははは、やっぱりそうなんのかよ!? 爆発までは一分ちょいかよ! 解体するにしたも間に合わねえか・・・

 

「みんな逃げろ! 爆弾が動いてる! 爆発まで一分もない! 急いで逃げろ!」

 

「その人の言ってることはホントよ! さっきの急ブレーキで時計をぶつけちゃって起爆装置が作動しちゃったのよ! 早く逃げなきゃ! 一分も無いわよ!」

 

 共犯者の女性が俺と同じことを言った瞬間、俺とキャメルさんを除いた乗客たちはみんなバスから降りて逃げ始めた。

 美樹ちゃんと桜子ちゃんは子供達と逃げてくれたから大丈夫だな。

 キャメルさんはバスの前の出口近くで乗客を誘導し終わり

 

「所長、皆さんの避難終わりました。後は私達だけです!」

 

「了解! 最後にもう一回バス内確認してから俺も逃げるから、キャメルさんは先に避難しといて!」

 

「分かりました! 気をつけてくださいね!」

 

 キャメルさんはそう言い、バスから離れていった。よし、バス内を確認して俺もとっとと避難しないと。

 もう爆発まで時間が無いからな・・・・って哀ちゃん!? 

 逃げ遅れた訳じゃなくて死ぬつもりか! クリスが見てたからか! 消火器は・・・あった! 

 俺は消火器を持ち、後ろのガラスを割った。

 

「・・・え?」

 

「ホント世話がやけるね。ガラス割るまで俺がいたことに気づいてなかったし。

 ここで爆弾とお陀仏ってのはオススメしないかな。行くよ、哀ちゃん!」

 

「あ! ええっ!?」

 

 俺は哀ちゃんを抱え込み、後ろの割れたガラスを突き破って外へと出た瞬間爆弾が爆発し、哀ちゃんを爆風から庇うようにして転がってた。

 いたた、腕擦りむいたな。

 

「哀ちゃん、怪我は無いかい?」

 

「どうして私なんかを助ける為に無茶したの!? 血が出てるじゃない!」

 

「かすり傷だから大丈夫だよ。それに哀ちゃんを助けて守るって前に約束したからね。

 哀ちゃん、組織の連中は怖いのは分かるが、自分の運命から逃げちゃだめだよ。明美ちゃんだって逃げずにいたよ。

 安易に命を捨てる真似だけは絶対にしないで欲しい」

 

「そうね・・・。ごめんなさい、白銀さん。自分の運命からはもう逃げないわ。その変わりに絶対護ってよね」

 

「もちろん♪」

 

「それと貴方も絶対に無茶して死なないで。ホントは怪我もするなって言いたいとこだけど難しいでしょうし」

 

「そうだね。そこは善処しますと言いたいとこなんだけどね」

 

「まったく、もう・・・・助けてくれてありがとう」

 

「偵光君、哀ちゃん大丈夫!?」

 

「社長大丈夫ですか!?」

 

「所長! 無茶しすぎですよ!」

 

「白銀さん、灰原大丈夫か!?」

 

 哀ちゃんと話していると、キャメルさんと美樹ちゃん、桜子ちゃん、コナン達が慌てた様子で駆けつけてきた。

 

「三人とも大丈夫だよ。ただ、哀ちゃんが怪我しちゃったから悪いんだけど子供達と一緒に病院に連れてってもらえるかな、桜子ちゃんと美樹ちゃんの二人で。

 事情聴取に関しては、俺とキャメルさんが受けるから早く病院に連れてってあげて」

 

「分かりました。偵光君もちゃんと治療受けてから行ってくださいね。子供達のことは、私と桜子さんに任せてください」

 

「社長怪我なさってるんですか、美樹さん!? 社長も病院行った方がよろしいのでは?」

 

「かすり傷だから大丈夫。ほらほら、哀ちゃんの為に急がないと、二人とも」

 

 俺がそう言うと、二人はしぶしぶだが子供達を連れて病院へと向かっていった。これで一安心かな。

 

「良かったんですか? 灰原さん、所長の怪我の具合に気づいてましたよ。そんなに軽い傷では無いですよね?」

 

「自分が今までした怪我の中では軽い方だから大丈夫だよ。平気、平気・・・痛っ!」

 

 左腕を誰かに捕まれ袖を捲られた。痛いじゃねえか。

 一体誰だよ!?ってやばっ! めちゃくちゃ怒ってますね、クリスさん!

 

「やっぱりこんな大けがしてるじゃないか! 無茶苦茶だな、君は。

 事情聴取はちゃんと治療を受けてからだよ! それと、事情聴取が終わって事務所帰ったらお話ね♪」

 

 最後の言葉は俺にしか聞こえない声で言い、本気で怒ってるのを察し、事務所に帰りたくないなーという思いが強くなったが全てを諦め、腕の治療を行いキャメルさんと共に事情聴取を受けるのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

<灰原哀side>

 

 バスジャック事件から数日後、私は白銀さんにお礼を言う為に彼の事務所を訪ねて来ていた。

 事務所内は、萩原さんと越水さんだけしかいないわね。まあ、良いわ。確認してみましょう。

 

「失礼するわね。こんにちは、萩原さん、越水さん」

 

「おりょ? 灰原ちゃんじゃねえか。いったいどうしたんだ? 美樹ちゃんにでも用事か?」

 

「あ、哀ちゃん! 久し振りだね! 今日はどうしたんだい?」

 

「今日は美樹さんに用事じゃないわ。白銀さんに用があったんだけど彼はどうしたの?」

 

「あー、白銀なら陣平ちゃんと一緒に、交通課のマスコットキャラクターの着ぐるみの助っ人と、佐藤さんから呼び出されて警視庁に行ってるぞ。

 一年前の事件について再捜査することになったから協力して欲しいってな。今日は戻ってくるの遅くなると思うぞ?」

 

「マスコットキャラクターって、警官の帽子を被った犬のやつかしら? 一年前の事件の再捜査? 珍しいわね。

 しかも白銀さんに協力要請するって何か理由があるのかしら?」

 

「ああ、それはね。その事件の被害者の遺族から詳しく事件を調べてくれって依頼があったみたいなんだよ。

 それでその当時の事件を調べていたのが所長と松田さんだったんだ。

 その関係で、警察でも掴めてない情報を知りたいってところじゃないかな? それとマスコットキャラクターについては由美さんからの要請だって」 

 

「なるほどね。それにしてもあの人は次から次へと色々なことに関わっていくわね。せっかくこの間のお礼を言いたかったのに・・・」

 

「ああ、それってバスジャック事件のことだろ? 灰原ちゃん守る為にまた無茶したらしいな、白銀。

 あの日帰ってきたら、キャメルさんや美樹ちゃん達から報告があって、みんなからしこたま怒られてたからな。七槻ちゃんもすごかったもんな」

 

「ボクだけが凄かった訳じゃないよ! 桜子さんやクリスさん、安室さんとかの方が容赦なかったよ、絶対!」

 

「ああ、あの三人は特に怖かったな。怪我してたのを隠して事情聴取受けようとしてたから特にな。

 まあ、白銀には良いクスリなんじゃねえのか? 俺はごめんだが」

 

「萩原さんもよくセットで怒られてるじゃないか。この間の合コンの件忘れたとは言わせないよ・・・」

 

「うっ、すみません。それより、灰原ちゃんはどうするよ? なんだったら白銀帰って来るまで待つか? 一応メールしたから早めには戻ってくるだろうけど」

 

「そうね。それなら待たせてもらおうかしら。博士も夜までいないことだし、帰っても一人なのよ」

 

「それならサマーライト行っておやつ食べない? ボクは仕事終わったし、萩原さんも一緒にどうかな?」

 

「そうだな。休憩がてら行くか。白銀達が戻るまで仕事は進めれないしな。灰原ちゃんはそれでも良いか?」

 

「サマーライトなら全然問題無いわ♪」

 

 私はサマーライトのお菓子が食べれるという嬉しさのあまり食い気味で答えてしまった。

 

「お、おう。何か急に機嫌良くなったな、灰原ちゃん」

 

「そりゃあ甘いものが嫌いな女性はいないもんね、哀ちゃん♪ 夏美さんが新メニュー出したって言ってたし楽しみだな♪」

 

「新メニューできたのね。早く行きましょう」

 

 私は新メニューと聞き、更に嬉しくなりお菓子を食べながら白銀さんと会えることを楽しみにしながら、萩原さんと越水さんと待つのだった。



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瞳の中の暗殺者編
61話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 
 今回から新ヒロインが一人増えます。もう一人はまだ未定です。


 

<三池苗子side>

 

私は交通課の交通安全キャンペーンで小学生に向けてのイベントを行うということで、由美さんから協力して欲しいと頼まれ、イベントの手伝いをして当日を迎え参加していた。

 私以外にも協力者を用意していたみたいで、マスコット役の人ともう一人の松田さんと呼ばれていた男性が小学生の子供達に交通ルールについて教えていた。

 それにしてもあの着ぐるみ着てる人、動き良いし子供達が退屈しないように話したりアクションを入れたりして楽しませている。

 バク宙なんかをし始めた時は流石に驚いたわ。男性の方も、マスコットの人のサポートを行いながら盛り上げている。

 イベントを離れた位置で見ていると、由美さんが話しかけてきた。

 

「いやぁ、私達が説明してた前半より、アイツらがしてる後半の方が盛り上がってるわね。やっぱ、マスコット役は偵光に頼んで正解だったわ」

 

「え? マスコット役って白銀さんだったんですか!?」

 

「あれ? 三池に言ってなかったっけ?」

 

「松田さんのことしか聞いてませんでしたよ! 白銀さん来るならちゃんと教えてくださいよ!」

 

「あはは、ごめん、ごめん。そういや三池も偵光のこと知ってたのよね」

 

「はい。小学生の時に桜子と一緒に色々と面倒みてもらっていたので。そこからずっと知り合いですね。

 大学入ってからは全然会えてませんでしたけど。由美さんは白銀さんと幼馴染なんでしたよね?」

 

「ええ、そうよ。私と捜査一課にいる美和子と、他にもう二人いたわね。

 五人で小学生の時からずっと一緒だったわ。まあ、今は一人亡くなって四人だけなんだけどね」

 

「羨ましい・・・じゃなかった。そうだったんですね。松田さんの方は、白銀さんの探偵事務所で働かれている方ですよね?」

 

「そうよ。松田君は、昔爆弾処理班と捜査一課にも配属されていたんだけど、その後警察やめて偵光の所で働いてるのよ。

 あ、そうそう。今話題になっている美和子のとこに配属になった、神奈川県警交通部・第三交通機動隊(ホワイトエンジェルス)で有名だった、萩原さんの弟さんも警察辞めて偵光の事務所で働いてるのよ。松田君とは幼馴染だそうよ」

 

「そうだったんですか!? なんか白銀さんの所って、警察官の再就職先みたいな感じになってますね。

 そう言えば、桜子に聞いたんですけど、この間も白銀さん無茶したみたいですよ?」

 

「そうなの!? 私全然知らないんだけど。アイツめー。美和子の奴も知ってて黙ってたな? ってか三池が言う桜子って友達のこと?」

 

「幼馴染なんです。歳は私の一つ下ですけど。白銀さんの会社で秘書として働いてるんですよ。

 サマーライトのヘルプとかにも入ったりとかしてるそうです。それで話を戻しますけど、キャンプ場に行く途中に白銀さんと桜子達が乗ったバスがジャックされて、事件に巻き込まれたみたいです。

 最後に爆弾が爆発する前に、バス内で逃げ遅れていた少女を助け出しガラス突き破って脱出した時に怪我したみたいです。今見た感じ動き周ってるので、大した怪我ではなかったみたいで良かったです」

 

「あのバカ。ホント相変わらずね・・・後で説教かまさないと。人を助ける為とはいえ、無茶して怪我して良いってならないわよ」

 

「昔からそうなんですか?」

 

「そうね。まあ、それでこそ偵光って感じなんだけど・・・って、そろそろイベントも終わりね。三池、準備して」

 

「は、はい!」

 

 私は由美さんに指示され、イベントの終わりに向けて準備を行うのだった。

 

 

<三池苗子side out>

 

 

<萩原千速side>

 

 神奈川県警の交通部から警視庁の捜査一課に移動になり数日がたった。佐藤美和子という女刑事とバディを組んで行動しており本日は、一年前の事件の再捜査をするということで、資料を持って応接室で調べ物をしながら協力者を待っていた。

 その協力者は誰かが分かっていない。それにしても捜査一課は忙しいな。こっちに来た目的を全然果たせていないし。研二や陣平にも会えてないし、研二達がお世話になっている白銀君に会ってお礼を言って色々と話したかったんだが、東京に来た今チャンスはいつでもあるか。

 

「ちょっと疲れましたか?」

 

「いや、大丈夫だ。それより私の方が歳は上だが刑事としては新米なんだ。だから敬語じゃなくても良いぞ。

 歳上だとか歳下だとかそういうので敬語とかつける関係は面倒だし、距離が出来てるみたいで嫌なんだってどうした?」

 

 私の言った言葉に目を点にしていたが、すぐにクスっと笑い、話始めた。

 

「いえ。すみません。萩原さんと似たようなことを言っていた人が身近にいたなと思いまして」

 

「へえ、そうか。考えも似ているそいつとは仲良くやれそうだ!」

 

「そうですね。アイツは誰とでもすぐ仲良くなれるので、萩原さんともすぐに打ち解けそうですね。

 ただ、私としては萩原さんみたいな美人と仲良くなりすぎるのは、少しだけ困るかなって」

 

「ほう。男なのか? もしかして佐藤刑事の好きな人なのか? 先ほどの言いぶりから随分仲が良いみたいだが」

 

「す、好きな人ってのは合ってますけど。彼氏とかではないです。それに仲良いのは、昔からの幼馴染なので」

 

「そうなんだな。幼馴染だと知らなくて良いことまでも知られていたりするよな。私にも親友に幼馴染がいてな。

 ああ、あと弟の友達にも幼馴染が一人いるな」

 

「そうなんですね。萩原君と幼馴染って言うと、松田君のことですか?」

 

「陣平のこと知っているのか?」

 

「はい。彼が捜査一課に配属された時にはバディを組んでいたので。それと、仕事の関係でもよく会うので知ってます」

 

「仕事の関係でも会うって、陣平はもう警察辞めていただろう? 会う機会があるのか?」

 

「ええ。幼馴染が開いている探偵事務所と会社で働いてるのでその関係でよく会うんですよ。幼馴染の一人が事件があればよく巻き込まれてますしね」

 

 陣平が働いてるって探偵事務所って確か研二と一緒だったよな? ってことは佐藤刑事の幼馴染って・・・

 考え事をしていると、応接室の扉が開かれて一人の男性と着ぐるみが入ってこようとしていたが、私の顔を見た瞬間男性の方がすぐに扉を閉めた。

 ほう、久しぶりに顔を合わしたというのに良い度胸してるな、陣平。

 

 

「おう、失礼するぞ。佐藤さん、いったい何の用だ・・・・すまん、部屋間違えた」

 

「痛っ! 松田さん、急にドア閉めてどうしたの? ぶつかったんだけど! 応接室ここだよ!?」

 

「悪い、俺は帰る。あの人までいるなんて聞いてない」

 

「こんな松田さん初めて見たよ! ってかここで帰られたら俺の方が困るんですけど! 松田さんいないと着ぐるみ来て警視庁内歩けなくなるじゃん! 素顔出すと、知り合いの刑事達に拘束されて大変なことになっちゃうよ! 

 ただでさえ、警視庁にいるだけで、また何かやらかしたのか?って尋問されるんだから! それが嫌だから、着ぐるみ着て歩いてたってのに」

 

「うるさい。とにかく、帰るったら帰るんだよ」

 

 ドアの前で、二人が大きな声でやり取りしてるから全部聞こえてるってのが分かってないのか? まあ良い。佐藤刑事もポカンとしてるし、いい加減に入ってきてもらおう。私はドアを開き

 

「陣平、久しぶりに会ったってのに私の顔を見るなり帰ろうとするなんてひどいじゃないか。色々と積もる話もあるし、再捜査にも協力してほしいのは本当なんだ。ゆっくり話をしよう」

 

「松田さん、これ逃げたら絶対ヤバくなるパターンだよ。俺の勘がそう言ってる。クリスとか怜子さん達に怒られる時並みにヤバいよ!」

 

「・・・・・ああ、そうみたいだな。分かったよ」

 

 陣平は諦め、ようやく入ってきた。で、もう一人はどうして着ぐるみなんだ? さっき理由を言っていたが、それがホントに理由だったら余程だしすんごい面白い奴じゃないか!

 

「松田君ありがとう。萩原さんは数日前に神奈川県警から警視庁の捜査一課に配属されて私とバディ組んでもらってるのよ。

 今後は顔をよく合わせることになると思うから」

 

「マジかよ・・・。萩から東京に来ることは聞いていたが、ここまで早く顔を合わせるとは・・・」

 

「そういうことだ、陣平よろしくな♪ それでそちらの着ぐるみの方も紹介してもらいたいんだが? 私は萩原千速だ。よろしく頼む」

 

「初めまして、パトロー君だよ! 今日も元気に交通ルールを守って・・・って痛っ!」

 

 私が自己紹介し、着ぐるみの中の人が自己紹介を始めたら佐藤刑事がその着ぐるみの頭をたたいていた。おいおい、意外と容赦ないな佐藤刑事。

 

「何をふざけてるのかしら、さ・だ・み・つ? 怒られたいの?」

 

「もう怒ってるじゃねえかよ・・・」

 

「何か言ったかしら?」

 

「いえ、何でもございません。とりあえず、着ぐるみ脱ぐか。これが終わったら返しにいかないと。

 よいしょっと。先ほどは失礼しました。初めまして、白銀偵光です」

 

 そう言って彼は着ぐるみを脱ぎ、顔を見せて挨拶をしてきた。ははは、会いたかった人と会えた嬉しさと、ここまでおもしろい人とは思わなかったな。

 まあ、研二から色々聞いてて面白い奴だなとは思っていたが。

 

「ああ、よろしく頼むよ。私の事は千速とでも呼んでくれ。君の事は、何て呼べばいい?」

 

「じゃあ、千速さんで。白銀や偵光でも好きなように呼んでください。ああ、それと萩原さんにはすごくお世話になってて助かってます。俺なんかより凄く優秀なんで」

 

「ははは、そうか。なら白銀と呼ばせてもらうよ。研二が役に立ってるようで何よりだ。

 そうだ、私からもお礼が言いたかったんだ。君が爆弾事件を解決してくれたおかげで、研二と陣平は死ななくて済んだと思っている。感謝しているぞ」

 

「いやあ、俺じゃなくても萩原さん達ならなんとかできたと思いますよ?」

 

「よく言うぜ。所長がいなかったら俺も萩も爆弾に巻き込まれてお陀仏になってたからな。そこにいる人がお礼言ってるんだから素直に受け取っておきな。怒ると怖いぜ」

 

「なんだ、昔みたいにちー姉とは呼んでくれないのか、陣平? それと私が怒ると怖いってのはどういうことだ?」

 

「うるせえよ。昔携帯バラしたら俺のことボコボコにしただろうがよ。

 それに、昔からの付き合いでアンタの性格はよく分かってんだよ。それにアンタについては、萩の奴がしっかりと所長に話してるから猫被っても無駄だぞ」

 

「酷い幼馴染達だ。研二にも会ったらしっかりお話しないといけないな♪ なあ、白銀達もそう思うだろう?」

 

 私と陣平のやり取りに佐藤刑事と白銀は苦笑いをしており、反応に困っていた。

 

「え、ええ。そうですね。それにしても凄いわね。幼馴染ってあんなのが普通なのかしら、偵光?」

 

「美和子さん? 自分と由美さんも俺に対する時はあんな感じっすよ? 俺も昔からボコボコにされてますからね? 千速さん、すんげえお前に似てるよ」

 

「なんですって・・・? アンタだって、バカするところとか無茶して突っ走るとこなんて松田君とそっくりじゃない。

 アンタがそんなだから私達がいつも怒る羽目になるんでしょう!?」

 

 そうなのか。白銀も陣平と同じで自分の身が危険になろうと無茶して突っ込んで周りを助けるタイプなのか。研二から聞いてた話で、そうだとは思っていたが危ういな。

 今回の再捜査で事件が起こっても無茶しなければ良いが・・・

 

「あ、はい。すんません。ってそれより早いこと仕事終わらそうぜ。

 積もる話は、仕事終わらせてからにしようぜ。千速さんも仕事終わったら事務所来ますよね? 萩原さんも今日は事務所にいますし」

 

「そうだな。彼の言う通りだ。研二がいるなら仕事終わったら佐藤刑事とお邪魔させてもらおう。陣平も予定が無ければどうだ?」

 

「私も行くつもりだったので大丈夫ですよ」

 

「そう聞きながらも俺には選択権がないだろうが。それより再捜査について詳しく話していこうぜ。所長、資料は持ってきてるんだろ?」

 

「もちろん♪」

 

 そうして私達は本来の目的の為に情報交換を行い一年前の事件について詳しく調べるのだった。

 

 

<萩原千速side out>

 

 

 

<萩原研二side>

 

夕方になり灰原ちゃんと七槻ちゃんと白銀達を待っていると、事務所の玄関が開く音が聞こえた。お、ようやく帰ってきたみたいだな。

 

「おーお帰り。結構長かったな」

 

「おー久しぶりだな、研二! 元気そうで何よりだ」

 

 俺は声をかけて来た人物を見た瞬間、飲んでいたコーヒーを吹き出した。

 

「ぶっ!」

 

「うわ! 汚いな、もう! 萩原さん急にどうしたの? 研二って名前で呼ばれてるし、もしかして恋人?」

 

「汚いわね。それに帰って来たのは白銀さんじゃなかったみたいね。いや、恋人よりも近しい関係のような気がするけど」

 

「ひどいな、研二は。久しぶりに会ったってのに・・・。なあ、白銀や佐藤刑事もそう思うだろう?」

 

「あはは、千速さんも意地が悪いですね。ただいま、萩原さん、七槻ちゃん。あれ? 哀ちゃんも来てたんだね」

 

「そうですよ。萩原君をからかわないであげてください。お邪魔するわね、みんな。ちょっと、松田君! 貴方も諦めてきなさい!」

 

「分かってるよ・・・」

 

 陣平ちゃんが離れていた位置にいてこちらを見ていたのだが、佐藤刑事に呼ばれしぶしぶこちらに来た。陣平ちゃんの反応からして、これはマジな奴だな。

 

「その人は恋人じゃねえよ。俺の姉貴だ。こっちに異動して来ることは聞いていたが、まさかもう来ていたとは思わなかったぞ、姉貴」

 

「サプライズという奴だ。まあ、私も今日の出来事はサプライズされた方なんだがな。白銀にこんなに早く会えるとは思わなかったよ。

 ほう、ここが研二達が働いてる職場なのか。綺麗な場所だな。それとそちらの二人とは自己紹介がまだだったな。初めまして、研二の姉の千速だ。好きなように呼んでくれ」

 

「初めまして、越水七槻です。萩原さんにはいつもお世話になってます」

 

「灰原哀よ、よろしく」

 

「二人ともよろしく。それにしても白銀の職場や知り合いには、綺麗な子や可愛い子が多いな♪ これは色々と話を聞いてみたいな。なあ、佐藤刑事、越水さん、哀ちゃんも一緒にサマーライトで晩御飯でもどうだい? ここは私が奢らせてもらうよ。こちらに来たら是非行ってみたかったんだ!」

 

「はあ、そうですね。私は構いませんよ。千速さんってこう決めたら考え曲げなさそうですし。今日の仕事はもう終わりましたからね。緊急の事件とか起きない限りは大丈夫でしょう」

 

「私も構いませんよ。実はさっきもサマーライトでお茶してて、ディナーに新メニューが増えてたので気になったんですよ」

 

「私は白銀さんに用事があるから遠慮しておくわ」

 

「俺に用事だったんだね。萩原さん達はどうするの?」

 

「俺と陣平ちゃんはまだ仕事が残ってるからな。姉貴達三人で行ってこいよ」

 

「そうだな。俺も今日の記録まとめないといけないしな。所長はお嬢ちゃんの相手してあげな」

 

「ありがとう♪ あ、そうだ。美和子、これだけあれば三人分はあるよな?」

 

 白銀は一万円を佐藤刑事に渡していた。相変わらずこういうことをサラッとする奴なんだよな・・・

 

「ええ、あるけど良いの?」

 

「やったー♪ 偵光君の奢りだ♪」

 

「良いって。千速さん、ここは俺の奢りってことで。店にいる夏美ちゃんにも連絡しておいて三人が行くことを伝えますので、しっかり楽しんできてください♪

 今度歓迎会とかもしたいと考えてるので、俺にはその時にでも話聞かせてください」

 

「ホントに良いのか? すまないな。助かる。歓迎会もしてくれるなんて感激だな。

 今日は君と話できて良かったよ。研二と陣平とも久しぶりに会えたし、良い日だったよ。それじゃあ、二人とも行こうか。研二は夜に連絡するからな。陣平、白銀、またな」

 

「ええ、そうですね。ありがとね、偵光。後で電話するわ! 萩原君、松田君、またね!」

 

「楽しみだなぁ♪ 偵光君ありがとね♪ 偵光君、萩原さん、松田さんお疲れさまでした!」

 

「「「ああ、お疲れさま」」」

 

 挨拶をして三人は事務所から出て行きサマーライトへと向かっていった。

 

「なあ、白銀。姉貴の分も奢ってもらって悪かったな」

 

「気にしなくて大丈夫だよ。良いお姉さんじゃないか」

 

「まあな。ああいう性格してるが自慢の姉貴だよ。なあ、陣平ちゃん?」

 

「そうだな。俺は仕事を片付けてくる。何かあったら呼んでくれ」

 

 そう言って、陣平ちゃんは自分のデスクがある部屋へと向かった。

 

「何か萩原さんのお姉さんに対してぎこちなかったわね、彼」

 

「灰原ちゃんが白銀と接する時みたいな感じだな」

 

「なんですって・・・?」

 

「ははは、冗談だ。姉貴は陣平ちゃんの初恋の相手だから仕方ねえよ。まあ、姉貴の方は男っ気が全然無くて、あの歳にもなって恋愛に疎くて恋人もいたことないからな。

 顔だけは良いから、言い寄ってくる男は多かったんだが、性格がキツイから容赦なく男のプライドをへし折ってやがったよ。白銀への接し方は今まででも初めてみたな」

 

「そうなのね。それは白銀さんが何かやらかしたんじゃないの?」

 

「哀ちゃん、ジト目で見られると怖いんだけど? んー、何もしたつもり無いんだけどな。初対面の時は着ぐるみ着て挨拶したぐらいだし。

 そのキャラクターになりきって挨拶したら美和子に怒られたけど」

 

「何をやってるのよ、貴方は・・・・」

 

「だって仕方ないじゃん。警視庁を素顔で歩いてると事件に巻き込まれてるのか!?って刑事達に拘束されるんだよ。だから交通課のイベント手伝って着ぐるみきて顔を隠して歩いてただけなんだけどな。」

 

「あははははは! そりゃあ、姉貴が面白い奴だって気に入る訳だ。俺から白銀のことを聞いてた時も面白い奴だって言ってたしな。

 姉貴の親友以上に破天荒な性格してるからな、白銀は。まあ、姉貴の相手はちょくちょくしてやってくれよ」

 

「そんな面白いことしてるつもりは無いんだけどなあ」

 

「どの口が言うのかしら? 白銀さんは自分の今までの人生を見つめなおして振り返るべきね」

 

「すんごい辛辣だね、哀ちゃん! 俺泣いちゃうよ!?」

 

「いつものやり取りだな。灰原ちゃん、白銀に用事があったんだろ? 良いのか? ちゃんと言わないと此奴には通じないぞ?」

 

「分かってるわよ。白銀さん、この間のバスジャック事件の時は命を助けてありがとう。貴方に助けられたおかげで少しずつだけど前向きになったわ。

 お姉ちゃんも頑張ってるし、私だけ諦めるわけにはいかないものね。生きることから逃げないで頑張ってみるわ。

 それと、バスジャックの時だけではなく、いつも助けてくれてありがとう」

 

「いえいえ、どういたしまして♪ 俺にできることを精一杯やってるだけだよ。それに俺があそこまでできるのは、哀ちゃんや萩原さん達等、大好きで護りたい物がいっぱいあるから頑張れるんだ。

 逆に、俺はみんなにたくさん助けられてるよ♪」

 

 白銀はそう言って、灰原ちゃんの頭を撫でていた。こういう奴だからこそ、人気がありみんな白銀のことを助け一緒にいたいって思うんだよな・・・

 

「急に頭撫でないでよ・・・・ビックリするじゃない・・・」

 

「あ、ごめん。嫌だった?」

 

「嫌じゃないわ。あ、そうだったわ。白銀さん、萩原さん、松田さんも今日は博士のウチに来ない? 

 博士が発明品で話したいことがあるって言ってたし、いつも助けられているお礼に料理をふるまいたいのよ。ダメかしら?」

 

「哀ちゃんの手料理とか楽しみだな♪ 博士の発明品も気になるしお邪魔させてもらおうか」

 

「そうだな。俺も行くぜ。陣平ちゃんも大丈夫なはずだ」

 

「それじゃあ、早いこと仕事終わらせて博士の家に行こうか!」

 

「ああ!」

 

「・・・・ありがとう♪」

 

 俺達は急いで仕事を終わらせ、三人で灰原ちゃんと博士の家にお邪魔させてもらい晩御飯を食べて、次の日になるまで発明品について開発し盛り上がるのだった。



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62話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします!


 

<越水七槻side>

 

 私は数日前に起こった、米花公園の交差点で、刑事が銃撃された殺人事件と、その同日の夜にあるマンションの地下駐車場で射殺されていた刑事の事件について松田さんと萩原さんと共に調べていた。

 

「被害者の情報について何か分かったかな、萩原さん?」

 

「知り合いの警察関係者に聞いてから分かったことだが、米花公園の交差点で射殺されたのは、米花警察署の奈良沢警部補だそうだ。

そして、マンションの地下で射殺されていたのは、芝巡査部長だ。奈良沢警部補は、撃たれた現場の目撃者によると死ぬ直前左胸を抑えて亡くなったそうだ。

芝刑事の方は右手に警察手帳が握られており、マスコミには伏せられていたんだがどこからか情報が洩れて、警察への挑戦や報復などを大々的に報道しているな」

 

「奈良沢、芝か・・・・・まさか」

 

「なるほどね。奈良沢警部の目撃者に会って詳しく話を聞いてみたいね」

 

「ああ、それなら白銀がもう聞いてくれたぞ。コナン達だったそうで警視庁内で会って聞いたからって電話で内容教えてくれたよ。

犯人はオートマチックのピストルで電話ボックスから出てきた被害者を左手で撃ったそうだ。そのことから犯人は左利きってのが分かってる。

警察手帳を指したってのはコナンの予測で、白銀は何か別の意味がある気がするって言ってたぞ。陣平ちゃんはどう思うよ?」

 

「俺も白銀の意見に賛成だ。おそらく別の意味があるはずだろうよ」

 

「松田さん、さっき被害者の名前に反応してたよね? 何か心当たりがあるの?」

 

 私は先ほどの松田さんの反応が気になり思い切って聞いてみた。萩原さんの顔を見た感じ、どうやら同じ考えだったみたいだね。

 

「まあな。所長と佐藤刑事達と一年前のある事件について再捜査してるの知ってるよな? その事件について関わってたのが、四人の刑事だった。

一人は一年前に亡くなっているから関係ないが、残りの三人が今回の被害者の奈良沢警部に、芝刑事、そして佐藤刑事だった。

その事件に関わってた二人が殺されたって訳だ。それが分かったからこそ、所長は萩原刑事に事情を説明し佐藤刑事の護衛に付いてるってとこだろうな」

 

「おいおい、マジかよ。もしその関係者が狙われるなら佐藤刑事が危ない可能性が高いな。

いやでも、その事件って陣平ちゃんや白銀も関わってたんだよな? お前達も狙われるんじゃねえのか?」

 

「いや、その可能性は低いと思うよ。今回の刑事が狙われてるってことから、おそらく犯人は警察関係者の可能性が高いはずだよ。

一年前の事件の関係者ってことはその情報を知らないとできないことだし、偶然で済まされる話じゃないからね」

 

「お嬢ちゃんの言う通りだぜ、萩。それに俺と所長は被害者の遺族から依頼されて極秘で調べてたからな。

調べてたことを知ってるのはその遺族と、佐藤刑事、萩原刑事しかいない。所長が、あの二人には情報を絶対警察内部にも漏らすなって忠告してたし、漏れてる心配はないはずだ」

 

「なるほどな。白銀の野郎、姉貴と佐藤刑事に口止めしてたってことはこうなること読んでたのか? 流石にそれは無いか。

それは分かったが、今後どう動くよ? 佐藤刑事が狙われるとしたら今日の夜に米花サンプラザホテルである白鳥警部の妹の『結婚を祝う会』ってとこか?」

 

「そうだろうね。偵光君は招待されてるから参加するって言ってたから、佐藤刑事が狙われたとしても大丈夫なんだろうけど、偵光君が無茶しないかが心配なんだよね」

 

「十中八九所長なら、佐藤刑事の身に危険が迫れば無茶するだろうな。

まあ、そこはあの人に頼んでおけば助けてくれるだろう」

 

「そうだな。姉貴も護衛として参加するって言ってたし、姉貴に連絡して頼んでおくよ。俺達は事件について調べてとっとと犯人を見つけるのが優先だ」

 

「千速さんがいるなら安心できるかな。そうだね! 僕達は偵光君が動けないぶん、しっかり調べよう!」

 

 僕達は三人で協力しながら事件について更に詳しく調べる為に行動を再開するのだった。

 

 

<越水七槻side out>

 

 

 

<毛利蘭side>

 

 私はお父さんと園子とコナン君と一緒に米花サンプラザホテルに来ており、白鳥警部の妹さんの『結婚を祝う会』に参加し、お母さんも呼ばれており一緒に行動することになり、会を楽しんでいた。

それにしても今日見た夢は何だったんだろう? トロピカルランドに行き私は大泣きしていたんだけど、一緒に行ってくれた人が色々連れまわしてくれて最後に噴水広場で湧き出る噴水を見せてもらった後に肩車をしてもらい、最後は凄く楽しかった記憶がある。

 新一ではない人と行ったはずなんだけど誰だったのかな・・・?

 

「ちょっと、どうしたのよ、蘭?」

 

「ちょっとね。今朝見た夢の内容で気になったことがあってね」

 

「ふーん。どんな夢だったの? この園子様に話してみなさいな」

 

「トロピカルランドに行った時の夢だったんだけどね」

 

「それって新一君と行った時の?」

 

「ううん。新一と行った時とは別かな。私が小さくてたぶん十歳ぐらいの時かな? その時の夢だと思う。

 私が何でか知らないけど大泣きしてて、その人が色んなアトラクションに連れてってくれたり、楽しいお話とかしてくれて最後に湧き出る噴水見せてくれて、肩車してもらってはしゃいでたんだ。

 そういうことがあったような気もしないでも無いんだけど、小学生の時だから覚えて無いんだよね」

 

「なるほどね。それならおば様に聞いてみれば良いじゃない。ねえ、おば様! 蘭が聞きたいことがあるって!」

 

「どうしたの、蘭?」

 

「ちょっと、園子! もう。あのね、お母さん。

 ちょっと聞きたいんだけど、私が十歳ごろかな? その時誰かと一緒にトロピカルランドって行った? 夢で見てから気になっちゃって」

 

「そういう訳ね。あの時は、あの人と私と蘭の三人で行くトロピカルランドに行く予定だったんだけど、あの人に急に仕事が入って、私も弁護士の仕事で行けなくなってね。

 蘭が絶対に行きたいって大泣きして困ってたんだけど、偵光君にお願いして連れて行ってもらったのよ。おそらくその時の夢じゃないかしらね」

 

「え? お兄ちゃんに連れて行ってもらったことあるの!?」

 

「ええ、そうよ。あの人と偵光君が仲良くなってだいぶ長いのよ。

 その関係で私も彼のことはよく知ってて信頼できたし、小学生の頃は、ちょくちょく面倒みてもらってたのよ? 蘭は完全に忘れてたみたいだから、偵光君からは言えなかったのね」

 

「うっ・・・。新一とトロピカルランド行った時に、事件解決していたのを遠目に見て、初めて会って話したのはヨーコさんの事件の時って思ってたんだけど、違ったんだ。

 お兄ちゃんも知ってたなら、あんな初対面な感じで接さなくて教えてくれても良かったのに」

 

「それは無茶じゃない、蘭? 久し振りに会って忘れられてるって分かったら、たぶん私でもそういう感じになるわ。

 あれ? でも蘭の小学生の頃って人見知りだったわよね? よく白銀さんに懐いたわね。

 まあ、今もお兄ちゃん、お兄ちゃんって煩いのは変わんないけど」

 

「ふふふ。それは、偵光君が凄かったのよ。色々な人に好かれるのが得意な彼だから、すぐに蘭にも懐かれてたわ。

 人見知りで新一君と園子ちゃん以外に友達のいなかった蘭が、自分から偵光君に話かけてた時は私もあの人も驚いてたんだけどね。たぶんトロピカルランドの一件で信頼できる人って分かったんでしょうね」

 

「ちょっと、園子! そんなに煩く言ってるつもりは無いわよ! そうだったんだね。

 そう言えば気になったんだけど、お父さんとお母さんってお兄ちゃんとどうやって知り合ったの?」

 

「それは私も気になるかも!」

 

「偵光君と知り合った経緯は、有紀子の紹介なのよ」

 

「新一のお母さん?」

 

「ええ、そうよ。有紀子の友達が、偵光君の親でね。その関係で、面白い子がいるからって有紀子から紹介されたのよ。

 そこからあの人とすぐに意気投合して仲良くなって、息子のように可愛がってたのよ。今もそうなんだけどね。私も偵光君は息子のように可愛がってたってのはあるわね」

 

「そうなんだ。お兄ちゃんから家族の話とか聞いたこと無かったから何か新鮮だね。

 お兄ちゃんと一緒にいる人たちの話はよく聞いてたんだけど」

 

「そうなのね。まあ彼も小さい時から苦労してるし、色々と事情があるのよ。

 蘭が気になるようなら今度彼に聞いてみなさい。私からは教えれないわ。おそらくあの人にも聞いても同じはずよ」

 

「うん・・・」

 

 お兄ちゃんの家庭の話って聞いたこと無いんだよね。身近な人達の話ばかりしか聞いたことないや。佐藤刑事達は知ってるのかな・・・?

 私が考え事をしていると、お母さんに白鳥警部の妹さん達が挨拶に来ており、話が盛り上がっていた。

 

「それじゃあプロポーズの言葉は無かったんですか?」

 

「ええ、彼そういうの苦手だから」

 

「男はそのくらいの方が良いわよ。歯の浮くようなセリフいう奴にろくな奴はいないから」

 

 私はお母さんに前から気になっていたことがあったので聞いてみた。

 

「お父さんはお母さんに何て言ってプロポーズしたの?」

 

「だから歯の浮くようなくだらないセリフよ」

 

「先生! 教えてください!」

 

「でも、何か忘れちゃったから」

 

「またまたぁ! とぼけちゃって!」

 

「今後の参考の為に是非!」

 

「もう焦らさないでよ、お母さん!」

 

 私達は3人でお母さんに詰め寄るとようやく観念し、プロポーズの内容を話始めた。

 

「うーんと、お前の事が好きなんだよ。この地球上の誰よりもだったかな?」

 

「素敵じゃない!」

 

 私はそのようなプロポーズの言葉をお兄ちゃんから言われたとこを想像し、もしお兄ちゃんからそんなこと言われたら絶対OKするのになぁ。

 いやでもお兄ちゃんの場合もっと別な言葉を言いそうな気がするな。案外回りくどいことを言わずに直球で素直に来るかも? 

 うーん、それか・・・・・・・

 

 

「はあっ、もしお兄ちゃんにそんなことを言われたら・・・なーんて顔してるんじゃないわよ!」

 

「べ、別にしてないわよ、そんな顔! もう・・・」

 

「ふーん。なら、直接白銀さんに聞いてみれば良いじゃない? プロポーズするならどんな言葉を言いますか?って。

 ちょうどあそこにいるし・・・って、佐藤刑事ともう一人別の美人が彼と仲良く話してるわね」

 

「え・・・?」

 

 園子に言われ、そちらの方向を見ているとお兄ちゃんと佐藤刑事ともう一人知らない美人が仲良く話していた。

 誰なのかな、あの人? もしかしてお兄ちゃんの会社に新しく入った人なのかな?

 

「どうしたの、蘭姉ちゃん?」

 

「ううん。ねえ、コナン君。お兄ちゃんと佐藤刑事と話しているもう一人の女性って誰か知ってる?」

 

「ううん、知らないよ。でも、あの人って誰かに似てるような気がする。誰だったかな・・・」

 

「そっか。ありがとう、コナン君」

 

「良いの、蘭? 何だったら私が聞いてこようか?」

 

「大丈夫よ、園子。あんなに楽しそうに話してるのに邪魔したら悪いし。私ちょっとトイレ行ってくるね!」

 

「あ、ちょっと蘭!」

 

 私は何故かそれ以上あの場を見ていたくなくて、逃げるようにトイレへと向かうのだった。

 

 

<毛利蘭side out>

 

 

<偵光side>

 

俺は米花サンプラザホテルで行われている白鳥警部の妹さんの『結婚を祝う会』に参加し、白鳥警部に挨拶をした後、色々な人に声をかけられ疲れたのでのんびりとしていると、二人の女性が話しかけてきた。

 

「随分と色々な人に声かけられてたわね、色男さん」

 

「おう、白銀! 楽しんでるか? お、そうだ。じゃーん! 私の衣装はどうだ? 今日の為に選んだんだが似合ってるか?」

 

 千速さんはそう言い、パーティー用白のストールに赤いドレスを見せびらかしてきた。美和子の方も緑の上着に黄緑のワンピースで綺麗に着飾っていた。

 いやあ、この二人美人だから凄く絵になるよな。二人ともいつものイメージと違うし、ここに来ている刑事のほとんどが彼女達に見惚れている、ってか俺睨まれてない? 

 うわあ、完全に風評被害受けてるんですけど・・・

 

「っていひゃい。何するんでひゅか?」

 

「私のドレス姿を見て何も言わない男にイタズラをしているところだ。美和子も綺麗だろう? 何か私達に感想は無いのか?」

 

「ちょっと、千速さん! 私は別に! 千速さんと比べると全然ですし・・・」

 

ん? 二人とも名前で呼び合うほど仲良くなったんだな。まあお互いさばさばしてるし気が合うんだろうな。

 ってやべえ、早く感想言わないと怒られる!

 

「二人ともとても綺麗ですよ。見惚れてしまい言葉が出ませんでした」

 

「うおっ、サラッとそういうこと言われるとなかなか照れるな。美和子も良かったな。白銀には好評みたいだぞ♪ 白銀もそのタキシード姿似合ってるぞ」

 

「どうしてアンタは、いつもそういうことをサラッと言うのよ! 

 もう、恥ずかしいじゃない! それより、今日は珍しく一人なのね?」

 

「ははは、こういう正装は久しぶりなのでちょっと窮屈ですけどね。ありがとうございます千速さん。昔から感想言うのは正直に言ってるじゃねえかよ。いい加減慣れろよな。

 白鳥警部から招待されてたのは俺だけだったし、こんだけ警察関係者が入りこんでれば、仲間を連れてこなくても大丈夫だと思ったんだよ。

 まあ、何か起これば俺がだいたい対処できるしなって、どうしました、千速さん?」

 

 美和子と話していると、千速さんが黙ってムスッとしていた。

 頬っぺた膨らんでますよ? どうしたんですか!? 俺何かやらかしたか?

 

「どうして白銀は私に対して敬語なんだ?」

 

「それは、千速さんの方が歳上ですし、敬語でないと失礼だと思いまして」

 

「美和子にはタメ口で話してるじゃないか。私にも同じような感じで良いぞ。

 敬語だと距離置かれてるみたいで嫌なんだよ。白銀も同じ考え持ってたんだろう? 美和子から聞いたぞ」

 

 これは俺が敬語で話すとますます機嫌悪くなるパターンだな。やれやれ、どうして俺の周りの歳上の人はこんな人ばかりなんでしょうかね?

 ってか美和子の奴何をペラペラ喋ってるんでしょうかね!?

 ちょっと後で美和子に問い詰めよう。

 

「分かったよ。ただ、名前にだけはさんを付けさせてくれ。それ以外は何とか努力する」

 

「ああ、良いぞ♪ よろしく頼むぞ」

 

「千速さんの言う通りににしときなさい。でないと凄く機嫌悪くなるから、彼女」

 

「だからお前もフランクな感じになってたのか」

 

「そういうこと。あれは敏也さんね。ちょっとトイレも行きたいし席外すわね」

 

 そう言って、美和子は俺達から離れていった。

 

「敏也さんって誰なんだ?」

 

「そういや千速さんはこっちに来たばかりだから知らないよな。あそこで紫の髪の人に注意している人がいるだろう? 注意してるのが小田切警視長で、注意されてるのが息子の敏也さんって訳。

 確かロックバンドをしていたかな? それにしても警視長までこの会場に来るなんて、よほどのことが起きるってことか? 嫌な予感がしまくってるんだが・・・」

 

「なるほどな。警察のお偉いさんの家族って訳か。そりゃあ、あれだけ警察関係者が狙われてればな。

 さてと、護衛のターゲットが動いたし私達も動くとしようか。白銀、私もトイレに行ってくる。

 君もどうせ一人だと暇なんだろう? それとも熱い視線を送っていた人達の所へ行くかい? もし行かないのなら、私に着いて来てくれ♪」

 

「やっぱりそれが原因ですか。で、次に狙われるターゲットの可能性が高いのが美和子なんだろう? 

 それって、蘭ちゃん達のことですか? 俺が行っても楽しそうにしてたのに邪魔するようになるからな。

 俺もトイレ行きたかったし一緒に行くよ」

 

「さすがだな君は。天下の名探偵様だ。という訳で行くぞ。おそらく犯人が仕掛けてくるタイミングは・・・」

 

「買い被りすぎだぞ。犯行をするならこのすぐ後がチャンスってとこだな。

 男子トイレに居るけど、何かあったらすぐに女子トイレに駆け付ける。千速さんも無茶しないように」

 

「それは私が白銀に言いたいセリフなんだがな。君に怪我させると、研二や陣平に怒られるし、君の仲間達が黙って無いだろう?」

 

「そうだな。犯人が可哀想になるぐらい容赦なく徹底的に調べ上げて証拠掴んで犯人を見つけるようになるだろうね。まあ、そうならないのが一番なんだけどね」

 

「ははは! 確かにその通りだ! おっと、早く行くとしよう!」

 

「あ、おい! ちょっと、腕いきなり引っ張るなって!」

 

 俺は千速さんに腕を引っ張られ、外へと向かうのだった。

 



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63話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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<偵光side>

 

 千速さんに腕を引っ張られ会場の外へと連れ出され、トイレの近くまで来てお互いに別れた。

 さてと今の所は何もないな。何もなければ良し、何か起こったら対処だな。さて、それまではトイレで待機なんだが、顔でも洗って身だしなみでも整えながら考えるか。

 さっきの置かれていたビニール傘が気になるんだよな。昨日、今日と雨は降ってないし、日傘って訳では無いだろうしな。忘れ物だったらホテルの従業員が回収するはずだろうし、後で調べてみるか。

 千速さんも俺がビニール傘を気にしてたのに気づいてたし、最悪千速さんに頼んで調べてもらおう。

 それと今回の犯人が警察関係者ばかり狙うってのがどうにも気になるんだよなー。他の容疑者を上げる為にわざとそうしてるようにしか思えないんだよな。

 神野さんの事件の真犯人が別にいて、その犯人が目を反らす為とかか? 

 松田さんが調べてきた情報と照らし合わせてからだな。警察内部に関しては、透が調べてるから分かったら聞こうっと。

 

「おーい、白銀! ちょっと良いか?」

 

 外から千速さんに呼ばれたので出てみたら、美和子と蘭ちゃんもいた。

 

「どうしたの、千速さん? それに二人とも?」

 

「ちょっとね。女子トイレ内に爆弾らしきものがあったのよ。見てもらえるかしら?」

 

「そういうことだ。こういうのは白銀の専門だろう? それに彼女の進言もあったからな」

 

「また爆弾か。専門って訳じゃないんだが。萩原さんや松田さんの方が爆発物処理班にいたからあの人達の方が専門だよ? 

 蘭ちゃんはどうしたの?」

 

「私が見つけたんだよ。それで佐藤刑事と萩原刑事にお兄ちゃんに相談したらどうかって言ったの。

 今会場内にいるので一番詳しそうって思ったのがお兄ちゃんだったから」

 

「そういうことね。入って調べるには良いが、他の女性客とかがトイレに来たりしたらどうするんだ? 

 流石に調べるとなると少し時間がかかるし、もし本物ならこのホテルにいる人全員を避難させないと不味いことになるぞ?」

 

「その判断を早くしたいから、偵光に見てもらおうとしてるのよ。

 人が来る心配はいらないわ。千速さんがホテルのスタッフの一人に説明してトイレには近づけないようにしてもらってるから」

 

「そういうことだ。だから早いこと調べてもらいたい。でないと私達も動けないからな」

 

「分かったよ。それじゃあ、調べますかね。道具をカバンに入れてて正解だったよ」

 

 俺は三人と共に女子トイレ内に入り、爆弾が個室内にあったのでその爆弾を調べ始めた。

 水銀レバーも付いてないしこのタイプなら持ち運んでも爆発はしないな。よし、広いとこに出すか。

 

「お兄ちゃん、持ち運んでも大丈夫なの?」

 

「水銀レバーも付いてないし、振動センサも付いてないから持っても大丈夫。

 個室だと流石にせまいしね。広いとこの方が電気もあって明るくて見やすいからね」

 

 蘭ちゃんに説明しながら、俺はドライバーでカバーを外し爆弾の中身を確認し始めた。

 

「ほう、凄く手際が良いな。研二や陣平の腕も凄かったが、白銀も凄いな」

 

「そうですね。偵光は昔からよく爆弾事件に巻き込まれますからね。爆弾に好かれすぎよ、もう・・・」

 

「ああ、もう。後ろで泣きそうな顔してんだろ、美和子。大丈夫だからちゃんと見とけ」

 

「何よ、それ! 泣きそうになってないわよ!」

 

「俺が爆弾に巻き込まれるのが一番嫌いだろうがよ。

 千速さんも蘭ちゃんもいるし、その他大勢がこのホテルにいるんだ。爆発させるようなヘマはしねえよ」

 

「なるほどな。美和子と白銀のやり取りでだいだい何があったかを察したよ。

 それより蘭ちゃんは大丈夫か? 怖かったら会場に戻ってても良いんだぞ?」

 

「大丈夫です。お兄ちゃんが目の前で爆弾を触ってるのを見るのは初めてじゃありませんから。

 お兄ちゃん大丈夫そう?」

 

「ちょって待ってね。これは・・・・」

 

 中身を空けて確認してみると、配線はぐちゃぐちゃだし、この線なんか繋がってねえじゃねえか。タイマーは適当に表示されてるだけか。中に火薬も無いし、完全に偽物だな。

 爆発しない偽物を仕掛けるメリットは何だ? 誰かのイタズラか? 警察に調べてもらう方が早いか。

 

「白銀、どうした?」

 

「これは偽物だ。爆発する心配は無いよ。

 どうしてこんな物が女子トイレに仕掛けられてたのかってのを考えてたんだけど・・・」

 

「そう・・・良かった。ありがとう、偵光。後で目暮警部達と調べてみるわ」

 

「お兄ちゃん、偽物ってすぐに分かったの凄いね!」

 

「ははは、もっと厄介な爆弾ばかり見て来たからね」

 

「いやいや、驚いたよ。君の手つきは凄かったよ。研二が腕が良いという訳だ」

 

「買い被りすぎだ。さてと、役目も終えたし出るとしますかね」

 

 俺はそう言い立ち上がると、トイレの電気が急に消えた。

 

「急に何だ、停電か?」

 

「どうしたんだろう?」

 

「おかしいわね。様子見て来るから、動かないで。千速さん、この場はお願いします」

 

「おい、美和子。俺も付いていくからちょっと待ってろ」

 

「その方が良いだろう」

 

 ホテルで停電が起こったなら、サブ電力に変わってすぐに復旧するようになってるはずだが・・・考えすぎか?

 

「あ、佐藤刑事、お兄ちゃん。こんな所に懐中電灯がありましたよ!」

 

「・・・なんだって?」

 

「・・・え?」

 

 蘭ちゃんが懐中電灯を見つけ持ち出して照らし、美和子が振り向いた瞬間、トイレの入り口からカチッという音がした。

 この音は、まさか!? 美和子が危ない!

 

「ああっ!? ダメ蘭さん!」

 

 美和子は蘭ちゃんの方へ戻り、俺はその美和子を庇うようにして飛び込んだと同時にピストルの発射音が聞こえた。

 

「きゃあああっ!?」

 

「美和子! ぐふっ!?」

 

 やべえ、三発のうち一発は美和子に当たったが、急所は逸らせたな。

 俺の方が当たった位置がやべえな・・・。千速さんは・・・近くにいるな。

 

「佐藤刑事! お兄ちゃん!?」

 

「大丈夫か、二人とも!?」

 

「ハア、ハア。千速さん・・・美和子を頼む。一発肩を撃たれてる。犯人の狙いは美和子だ・・・」

 

「白銀も撃たれてるじゃないか!?」

 

「俺は大丈夫だから・・・」

 

 犯人の位置からは、俺の身体が邪魔になって、美和子と千速さんは撃てないな。 これで早く逃げてくれれば万々歳なんだが・・・マズイ! 

 まだ弾装填してやがんのか? 狙いは・・・蘭ちゃんか! さっき懐中電灯が飛んだ時に犯人がいる方向も照らされていたから顔を見たのか! 

 ちくしょう! 頼むから、もうちょう動いてくれよ、俺の身体!

 

「マズイ! 伏せるんだ、蘭ちゃん! 犯人の次の狙いは白銀でも美和子でもない! 君だ!」

 

「・・・え? きゃあああ!」

 

 俺は蘭ちゃんに飛び込み、さらに銃弾を受けた。その後、犯人は拳銃を投げ捨てて、走り去る音が聞こえた。

 

「おい、待て! くそっ!」

 

「ごふっ!」

 

ははは・・・・痛みで意識とびそうになってやがるな。くそっ、犯人の顔を見たし後を追いたいんだが、体が動かねえ。

 

「お兄ちゃん・・・? お兄ちゃんしっかりして!」

 

「蘭ちゃん・・・怪我は無いかい?」

 

「私は何とも。それよりお兄ちゃん、血が・・・!?」

 

「・・・・ごめんね。俺の血で・・・」

 

「わ、私が懐中電灯を・・・いやああああああ!」

 

 蘭ちゃんのせいでは無いと言おうとしたが、口は動かず俺の意識はそこで途切れるのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

 

<萩原千速side>

 

私は美和子の止血を終え、白銀の応急処置を行っていた。蘭ちゃんは気を失ってるだけだし、美和子の方も肩に銃弾を受けたのみで出血量も少ないことから心配はない。

 一番の問題は白銀だ。美和子を庇い銃弾を受けて、その上蘭ちゃんを庇い更に銃弾を受けており、出血量も多く早く病院に連れて行かないと不味いことになる! クソが! 私は何の為にいたんだ!? 

 美和子を庇った位置にいたが、あの状況で白銀が私にも狙いが来ないようにしていたとはな・・・研二からも頼まれていたのにこの体たらく。

 危なっかしいが、コイツは生きていないとダメなやつだ。

 

「しっかりしろ、白銀! 死ぬことだけは絶対許さんぞ!」

 

 声をかけながら手当をしていると、少年と毛利さん、高木刑事が走ってきた

 

「ああっ!?」

 

「偵光君!? 蘭も!? おい!」

 

「萩原さん!? これはいったい? 佐藤さん!?」

 

「悪いが、包帯が結構必要になる! 急いで持ってきてくれ! 救急車もすぐに手配を! 犯人が逃げる前に出入り口の封鎖を! 

 蘭ちゃんは気を失ってるだけだ。美和子も肩に銃弾を一発受けて、気を失っている。止血もしたし大丈夫だ! 

 一番の重傷は、白銀だ! 美和子と蘭ちゃんを庇って銃弾を四発受けている。早く病院に連れて行かないと不味い状況だ!」

 

 私は指示を出していると、目暮警部達も来て状況を把握し、みんなすぐに行動をし始め、私は救急車が到着するまで彼の応急処置を行い、目暮警部に無理を言い救急車に同行するのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 病院に同行し、被害者たちの容態を病院の先生から聞いた後に、着替えてきて目暮警部にトイレで何が起こったのかを説明した。

 

「そうか。彼はやはり無茶をしたんだな」

 

「やはりってことは、目暮警部も知ってたんだな?」

 

「ああ、彼の事はよく知ってるからね。佐藤君から聞いていなかったのか?」

 

「まあな。美和子からは聞いてないが、弟の研二からは聞いてたよ。この目にするまで半信半疑ではあったけどな。

 それにしてもあれだけ私達の身を守ろうとして撃たれて致命傷を受けないようにしていたとは思わなかったよ。命には別状もなく意識も何日かしたら回復するって先生も言っていたし安心したよ。

 まあ、その説明をしていた先生がまたこの人は・・・みたいなことを言っていたのが気になったが」

 

「それは彼がこの病院によく運び込まれて入院してるからだよ。この病院の常連みたいになってるからね。

 詳しくは白銀君や佐藤君が目を覚ましたら聞いてみるといい」

 

「いや、研二達が来るからその時に聞いてみるよ。それより目暮警部。現場の捜査状況はどうなったんだ?」

 

「萩原君達もここに向かってるんだな。現場の状況は・・・」

 

「目暮警部! 萩原刑事! 佐藤さんと白銀君の容態は?」

 

 目暮警部と話していると、白鳥警部や毛利さん達が病院に到着したようで私達に被害者の容態を聞いてきた。

 

「佐藤君は肩の銃弾も摘出されて、明日には意識が回復するらしい」

 

「白銀の方も手術を終えて、銃弾の摘出も全部行われたよ。

 命に別状はないそうだ。ただ意識が戻るには何日かかかるらしい」

 

「そうか! 偵光君が無事でホントに良かったよ。彼は蘭の命の恩人だし、俺の息子みたいなものだからな」

 

「ええ、そうね。あなた。警部さん、蘭は?」

 

「幸い、外傷はありませんがまだ意識が戻りません。病室はこの奥です」

 

 目暮警部の言葉を聞き、蘭ちゃんの母親と友人は病室へと向かっていった。彼女はおそらく大丈夫だが、今後が心配だな。白銀の件がトラウマにならなければ良いが。

 それに、おそらく犯人の顔を見てる可能性が高い。もし目撃していたなら、犯人から狙われるかもしれないな。

 

「白鳥君、捜査の方は?」

 

「全員の硝煙反応を調べましたが出ませんでした」

 

「出ない!?」

 

 あれだけピストルを撃っていて硝煙反応が出ないだと? 普通なら絶対に出るはずだが・・・。

 ん、あれは? ようやく来たみたいだな。

 

「犯人は出入り口を封鎖される前に逃走したものと思われてます」

 

「その可能性は低いと思うぜ、警部さん達。それでウチの所長の容態はどうなんだ?」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。千速さん! 偵光君は大丈夫なんですか!?」

 

「あ、おい、陣平ちゃん、七槻ちゃん! 姉貴は無事みたいで良かったよ。まあ白銀がいる時点で、アイツの怪我以外は心配してなかったがな」

 

「君達も来たのか!」

 

「七槻に研二と陣平か!? 白銀の病室は、一番奥の病室の隣だ。蘭ちゃんは一番奥の病室で美和子は、白銀の病室の向かい側だ。

 白銀の容態だが、傷は酷かったが、命に別状はなく、意識が戻るのには数日かかるそうだ」

 

「そうなんですね・・・。松田さん、萩原さん、僕は偵光君見ているよ!」

 

「あ、おい! ったく・・・まあ、仕方ねえか。俺や陣平ちゃんも同じで焦ってたしな」

 

 白銀の容態を伝えると、女性が急いで彼の病室へと向かっていった。やれやれ、凄い人気者だな。

 

「お嬢ちゃんなんか所長が撃たれたって聞いて泣いてたから、仕方ないだろう。

 それより話遮って悪かったな。続きを聞かせてくれ」

 

「それは・・・・」

 

 白鳥警部が捜査状況を話すことに躊躇っていた。

 

「研二達に隠しても無駄だと思うぞ。白銀がやられた時点で、彼の部下たちはもう既に動き始めて、犯人を何がなんでも捕まえるつもりだろう。

 それに隠してても情報を自分達だけでいずれ掴むだろうから、隠しても無駄なはずだ。

 あと、私達でも掴んでない情報を教えてもらえるだろうから、素直に言った方が良い」

 

「そうだな。白鳥君、彼らには話してお互いに情報交換した方が早く犯人を見つけられるかもしれん」

 

「ありがとうございます、目暮警部、姉貴。その変わり、こちらも情報は提供する」

 

「高木君、拳銃から指紋は?」「それも出ませんでした」

 

「千葉君、配電盤の仕掛けは特定できたかい?」

 

「はい。どうやら携帯電話の呼び出しで爆発する仕掛けになっていたみたいです」

 

「もう一つ気になることが。トイレに落ちてあった懐中電灯ですが、あれは最初から佐藤さんが持っていたものでしょうか?」

 

「それは違うぞ。女子トイレの化粧台の下の物入れに入ってあったものだ。最初からスイッチを入れてな。

 明るいうちは気づかず、暗くなった瞬間に気づくようにな」

 

「何ぃ!? じゃあ、犯人が?」

 

「なるほど。電気が付いている間は誰も気づかない・・・」

 

「えっと、萩原刑事で良いんだよね? 懐中電灯を見つけたのは誰なの? それと白銀さんはどうして女子トイレにいたの?」

 

 眼鏡をかけた少年が私に質問をしてきた。ほう、この子が頭がよくキレるといっていたボウヤか。

 そう言えば、他の人には自己紹介をしていなかったな。

 

「ああ、そうだ。萩原千速だ。研二の姉になる。弟がいつも世話になっている。

 懐中電灯を見つけたのは、蘭ちゃんだ。それを見つけ持ち出した後に、犯人が美和子を撃ち、それを白銀と私が庇った。

 その後蘭ちゃんも撃たれたが、彼が庇った結果が今の現状だ。

 白銀が女子トイレにいたのは、蘭ちゃんが個室に入っていた爆弾を見つけ、私と美和子が彼を呼んだという訳だ」

 

 私の言葉にみんな驚いて固まっていると、研二が私に質問してきた。

 

「なるほどな。全く白銀らしいぜ。それにしても、また爆弾かよ。その爆弾は大丈夫だったのか?」

 

「ああ、偽物で爆弾でもなんでもなかったよ。それについての捜査はどうなったんだ?」

 

「ええ。あれも調べてみたところおもちゃでした。犯人が仕掛けたものか、誰かの悪戯で仕掛けられたかは分かりませんでしたが・・・」

 

「おそらく所長を犯行現場に誘い込む為の罠で間違いねえよ。

 佐藤刑事がターゲットだと思ってたが、一番の狙いはウチの所長だった訳か、くそっ!」

 

「どういうことだ陣平?」

 

「だから犯人の一番の狙いは所長だったんだよ。一年前に起こった神野保の事件の真犯人を突き止めることを依頼されて、俺と白銀はずっとその事件を追ってたからな。

 佐藤刑事の協力もあったしな。再捜査していたことは警部さんらも知ってることだろう?」

 

「あ、ああ。松田君達も追っているとは聞いてなかったが」

 

「そういうことか。警察より白銀の方が犯人からは邪魔になり、美和子を狙うと同時に彼を狙ったという訳か。

 でもそれなら気になることがある」

 

「犯人が白銀の性格を知っていたということだろう、姉貴? 

 佐藤刑事や蘭ちゃんを狙えば確実に白銀が庇うということが分かってた動きだったんだろう?」

 

「ああ、そうだ。そうなると・・・」

 

「一年前の事件を知っており、白銀の性格を知っての犯行を行ったということは、内情をよく知っておかないとできないってことだな」

 

「なるほどな。だから美和子が、少人数で調べるようにしてた訳か。警察内部に疑いがあったからだな」

 

「萩原君、それは!?」

 

「目暮警部達が隠そうとしてたのはこれが理由だったんだな。ここまでなったら隠してももう意味が無いぞ。

 あとで毛利さん達にもちゃんと説明するのが筋だろう。お偉いさんの命令があるとはいえな」

 

「やれやれ、ホント厄介だな。警察内部は。あ、そうだ、姉貴に聞きたかったんだが、白銀が何か言ってなかったか? 

 白銀はおそらくあの会場で事件が起こる可能性があることを予見してたはずだ。アイツなら絶対何か見つけてあるはずなんだが」

 

 私は研二に言われ、白銀に何か言われなかったかを思いだしていた。

 事件のごたごたで忘れていたが、一つだけ気になることを言っていたな。

 

「そう言えば、ホテルのフロント近くの傘立てに置いてあった、透明のビニール傘を気にしていたな。雨も降ってなかったのにどうしてだろうって・・・・待てよ。

 白鳥警部! その傘をすぐに調べてくれ! 傘に穴が開いていたなら、硝煙反応が誰からも出なかったことに辻褄が合うし重要な証拠になる!」

 

「そういうことか! 傘の穴に手を入れて、ビニール手袋などをして撃てば硝煙反応は傘が防いでくれる訳だ!」

 

「そうか! 分かったよ! 高木君、千葉君! 行くぞ!」

 

「「は、はい!」」

 

 そう言い三人は急いで病院を出てホテルへと向かっていった。彼らが去るのと入れ替わりに、蘭ちゃんの友人が慌てた様子で来た。

 

「大変です、蘭が!」

 

「蘭がどうした!?」

 

「意識は戻ったけど、様子がおかしいんです!」

 

「何ぃ!?」

 

「何だって!?」

 

 私達は急いで彼女の病室へと向かい、彼女に話しかけるとそこにいたのは全て忘れてしまっており、彼女にも深い傷を負わせてしまったことを私は激しく後悔するのだった。



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64話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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<越水七槻side>

 

 私は偵光君の病室に入り、命には別状が無いと聞いた後だったので、彼の顔を見て安心することができた。ホントにもう。偵光君らしいったららしいんだけど、君が撃たれたって聞いて凄く心配したんだからね? 

 ここに来るまでは、危ない状態って聞いてたし君がいなくなるかもしれないって思って泣いちゃったんだから! 僕や香奈と出会った時から全然変わらないよね、君は。身近な誰かを守る時は常に全力でいって、自分だけが大怪我するんだから・・・。

僕はいつも心配してるんだよ? 偵光君がいなくなったりしたらって、泣いてちゃ怒られちゃうかな.

泣いていると病室がノックされたので涙をぬぐい、どうぞと声をかけると松田さんと萩原さんが暗い顔をしながら入ってきた。

 

「所長の様子はどうだ? 意識は無いが、顔色は明るいな。あれだけ撃たれたってのにな」

 

「そうだな。白銀の場合どれだけ大怪我しようが、死んでいなくなるって気はしないな。七槻ちゃんは大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫だよ。それより二人ともどうしたの? 浮かない顔をしてたみたいだけど」

 

「それがな。蘭ちゃんが目を覚ましたんだが、記憶喪失になって自分の名前も思い出せないらしい」

 

「そんな!? 蘭ちゃんがどうして!?」

 

「おそらく、自分が拾った懐中電灯が原因で、佐藤刑事と所長が撃たれたのが原因だろうよ。所長の血を浴びたみたいだし、あの嬢ちゃんの大事な人が目の前でこんなことになったんだ。

 そりゃあ、トラウマにもなるだろうよ」

 

「そんな・・・・・蘭ちゃんの記憶は戻らないの?」

 

「そればかりは医者に診てもらうしかないだろうよ。俺達ができるとしたら白銀が護りきった蘭ちゃんと佐藤さんを守るだけだ。姉貴に聞いたんだが蘭ちゃんの場合、犯人の顔を見てる可能性が高いらしい」

 

「そっか。千速さんの方は大丈夫なの?」

 

「あの人も結構参ってるみたいだな。俺や研二に所長を守れなくてすまないって謝ってきたしな。ったく、あの人に責任は無いし、そんなこと気にしてると所長に気にするなってどやされるぞ!って言い返しちまった。

責任があるのは俺達だ。やっぱり、もう一人現場に誰か一人付けるべきだったぜ」

 

「そればかりは言っても仕方ないだろう。ここからどうするかが大事だぜ、陣平ちゃん。姉貴の方は、気に病むなって言っておいたし目暮警部達にもフォローしてもらうように頼んでたから心配するな。

七槻ちゃんはどうするよ? 俺達は犯人を捜し見つけて捕まえるつもりだぜ。白銀や佐藤さん達を襲ったんだ。絶対許せねえからな」

 

「僕も手伝うよ。偵光君達をこんなにした犯人は許せないしね。山川さん達にはもう連絡したの?」

 

「もうしたぜ。所長の容態は山川からみんなに伝えるそうだ。それと、白銀は来れる人材で交代で見るようだとさ。俺達も合間に見舞いに来たりするつもりだ。

 でないと、意識戻って病院抜け出す可能性が高いからな、コイツは」

 

「あはは、そうだね。それでも偵光君は病院抜け出しそうな気がするけどね。今日は僕達が見て明日から動き出すのが一番かな」

 

「そうだな。それじゃあ、今日はコイツの病室でのんびりしてようぜ。許可ももらってるしな」

 

 萩原さんの言葉に頷き、僕達は偵光君が目覚めるかもしれないと期待しながら待ち続けるのだった。

 

<越水七槻side out>

 

 

<佐藤美和子side>

 

 私は、病院のベットで目を覚まし、先生に色々検査してもらった後に、病室に来た千速さんに状況を聞いていた。

 

「目が覚めたようで、安心したよ、美和子」

 

「千速さんこそ無事で良かったです。私は肩撃たれただけで済んだみたいですね。撃たれてすぐに気を失ったんで状況が分からないんですけど教えてもらえますか?」

 

 私がそう言うと、千速さんは暗い顔になり歯を食いしばっていた。その光景に不安な気持ちが膨らんだが、私は知る必要があると思い彼女に再び訪ねようとしたら、彼女がゆっくりと話始めた。

 

「・・・そうだな。美和子が肩を撃たれただけで済んだのは、白銀のおかげだ。彼が君を庇い、代わりに撃たれた。その後、犯人は蘭ちゃんまでも撃とうとしたが、白銀が再び庇い彼女に怪我は無かったよ」

 

「やっぱり、そうですか。偵光がここにいなかったので予想はしていました。偵光の容態は?」

 

「手術も成功し、命に別状は無いから安心するといい。意識もいずれ戻るだろうとのことだ。事件から一日経っても、まだ目は覚めてないがな」

 

「そうですか。それを聞いて安心しました。アイツのことですからそのうちひょっこりと起きそうですね。私としたら無茶するのだけは辞めて欲しいんですけど」

 

 私は千速さんに偵光の容態を聞いて安心し、涙を流しながら言った。

 

「それは彼の場合難しいだろうな。彼は意識が戻れば大丈夫だろう。それに犯人に狙われようにも、警察と彼の部下たちが交代で見張ってるから襲われる心配はない。研二が言うには、犯人に襲われる心配よりも脱走しないように注意が必要だって言っていたがな。彼は今までもそんなことがあったのか?」

 

「そうですね。入院したら脱走して、また事件に巻き込まれて怪我をして病院に帰ってくるってことが多かったですね。

米花シティービルの爆弾事件の時なんか、検査入院していたのに、爆弾が偵光の病室に仕掛けられて、本人がその爆弾ごと病室からいなくなり、最後には米花シティービルの爆発に巻き込まれて大怪我して病院に戻ってきましたからね」

 

「おいおい、爆発に巻き込まれたって大丈夫だったのか!? 大丈夫だったからこそ彼は生きているのだろうが」

 

「そうですね。あの時は重傷で意識も当分戻らなかったんですよ。病院の先生には危ないって言われてたんですけど奇跡的に生還したんですよ。それ以降意識が無くなるほどの怪我を負うってのは無かったんですけどね」

 

「なるほどな。今回の事件で彼が意識を無くすほどの怪我を負ったのが久しぶりという訳か。私が付いていながらもこんな結果になってしまし申し訳ない」

 

 千速さんは自分を責めながら悔しそうに言っていたので、私はそれを止めた。

 

「辞めてください、千速さん。貴女のせいではないですし、怪我が無くて良かったです。それに偵光に怒られますよ? 俺が勝手にやったことだから気にする必要ない!ってね」

 

「ははは、そうだな。研二達にも同じことを言われたよ。私にできることは早く犯人を見つけて捕まえることだな。美和子は犯人の顔を見てないんだな?」

 

「ええ、見てないです。偵光なら見た可能性が高いんですけど、話が聞ける状態じゃないですし。蘭ちゃんはどんなですか? 彼女ももしかしたら犯人の顔を見てるかもしれません」

 

「・・・それなんだが、白銀と美和子が目の前で撃たれたショックで記憶喪失になってるんだ。日常生活に関する知識は忘れてないんだが、自分の名前と家族や関りを持った人達の名前を思い出せないそうだ」

 

「そんな・・・・!? 蘭ちゃんの記憶は戻るんですか?」

 

「精神的なものから来てるそうだから、日常を送っていけば、何かの拍子に戻るかもしれないそうだ。こればかりは、信じて待つしかないな」

 

「そうですね。私も動けるようになったら彼女の見舞いに行きます。でもそうだとしたら、偵光や蘭ちゃんが危ないですね。犯人に狙われる可能性が・・・」

 

「白銀は公安の刑事や彼の事務所連中が常にマークしてるから問題ないだろう。犯人も手を出せないようにガチガチに固めてあるしな。蘭ちゃんの方は、目暮警部と高木刑事、千葉刑事が交代で護衛してる。

 それに、研二や陣平達も彼女をマークしてるから犯人から動きがあればすぐに対処するだろう。美和子の護衛は、私と君の友人の宮本さん、それに捜査一課や公安の刑事達に白銀の事務所連中が同様に交代で護衛についてるから心配するな」

 

「公安ってことは安室君が動いてくれたんですね。これだけ護衛されてたら犯人もなかなか手が出せないですね」

 

「そうだと良いんだがな。病院内にいる間は何とかなるだろうが、退院して外で行動するようになった時が危ない気もするがな。美和子と白銀は怪我が治るまで入院だろうから、狙われるとしたら近いうちに退院することになりそうな蘭ちゃんだな。

 そこは、他の仲間を信じよう。私も動ける時は彼女の護衛に付くつもりだしな。美和子はゆっくり怪我を治すことに集中するんだな」

 

「そうですね・・・。すみませんが、千速さんを頼りにしてます」

 

「ああ、任せろ♪」

 

 私は千速さんと色々と情報交換をし、偵光や蘭ちゃんの無事を願うのだった。

 

 

<佐藤美和子side out>

 

 

<毛利小五郎side>

 

 偵光君達が襲われた事件から数日が経ち、蘭も退院することになり高木刑事の車に乗せてもらい家へと向かっていた。それにしても凄い雨だな・・・・・

 蘭は退院することができたが記憶はまだ戻っていない。自分のせいで偵光君が撃たれたと思い、相当ショックを受けた影響だと風戸先生は言っていた。蘭や偵光君は全然悪くない。悪いのは犯人のやろうだ。俺もあの会場にいながら、偵光君や蘭が大変な目にあっていたのに何も出来なかった。また彼が無茶をして蘭や佐藤刑事達を命がけで護った。

 彼には感謝してもしきれないほどの恩がある。俺は息子みたいに大事に思ってるんだ。それに蘭にあれだけ想われてる彼を撃ち、大怪我を負わした犯人を絶対許せねえ。偵光君の意識が戻り、蘭と会ったら記憶が戻るかもしれないな・・・。

 いや、今はそれよりも犯人を見つけることが先決だ。松田君達に頼んで、偵光君達が調べていた一年前の神野保氏の事件の資料をもらい、蘭が退院するまでの間に確認したが、よく調べられていた。偵光君は敏也君を容疑者から真っ先に外しており、神野さんの交流している医療関係者の中に犯人がいるのではないかと睨んでいたそうだ。

 それでその最有力候補を偵光君は掴んだと言っていたらしい。松田君に話を聞いてみたが、彼も偵光君と答え合わせをしようと思っていたが今回の事件が起こった訳で出来てないそうだ。

 真実を掴みかけていたからこそ、今回の事件で、再捜査をしていた奈良沢警部補、芝刑事に佐藤刑事、そして偵光君が最重要ターゲットにされたんじゃないかと言っていた。現場の状況からも、偽の爆弾などを仕掛けたり、彼の性格を熟知して佐藤刑事や蘭を狙い庇うように仕向けた可能性も高そうだな。でも、もしそうだとしたら、どこから情報が漏れたかになるんだが、立場上警察関係者から聞き放題だな。そこから情報を仕入れ、今回の計画を思いついたってところか。

 硝煙反応が出なかったトリックについては、偵光君が気にしていたというビニール傘を警察が調べたら分かった。後は、犯人の確たる証拠があれば、捕まえれるんだが目撃したであろう偵光君は意識不明、蘭は記憶喪失で証言が取れないって訳だ。二人がまずは元気になってくれるのが一番だな。俺が絶対に犯人の証拠を見つけてやるからな。待ってろよ、偵光君、蘭。

 

「おじさん! 着いたよ、ねえ!」

 

「おお、悪い。考えごとしていたから気づかなかったよ」

 

 俺はコナンの声で我に返り、外を確認すると家の前だったのでドアを開けて外に出て英理が傘をさした。蘭が車から降りようとしたら急に怖がり車内へと戻った。

 

「どうしたの蘭?」

 

 俺は周囲の状況を確認した。水たまりもあるな。それに傘か・・・やはり、傘越しに撃たれたのを見た可能性が高いな。

 

「高木! 悪いが入り口の前まで出してくれ。おそらく犯行現場の状況を思いだしたんだろう」

 

「分かりました!」

 

 車を移動してもらい、家の中に入り各場所を蘭に紹介しながら案内した。そして最後に蘭の部屋に入ると、柔道着を持ち僅かに興味を示した後に机の上に置かれていた二つの写真たてに興味を示し、その内の一つを手に取った。

 

「その写真が気になるのか?」

 

「うん。私と一緒に写ってるこの人は?」

 

「それは白銀偵光君だ。今回蘭の命を助けてくれたな。その写真は、蘭が友達と一緒にサマーライトに行った時に、一緒に写真を撮ってもらったってお前が家に帰ってきてから嬉しそうに話してくれたんだよ。偵光君に懐いていてお兄ちゃん、お兄ちゃんってすごく慕ってたんだぞ。

 おそらく蘭の・・・いや、これは俺が言うべきことではないな。偵光君のことも思い出せないか?」

 

「うん・・・分からない。けれど、この人見てると凄く安心する。私この人に助けられたんですね。お礼言いたいな」

 

「・・・・・そうか。彼が意識を戻し元気になったら言ってあげると良い。そうすれば喜ぶはずだ」

 

「はい。こっちのもう一枚の写真は?」

 

「工藤新一って言って、お前の幼馴染だ。そっちも思い出せないか?」

 

「はい・・・でも心配いりません! そのうち全部思いだしますよ!」

 

「そうだな! 今夜は蘭の退院を祝って何かうまいもんでも食うか!」

 

「じゃあ、久しぶりに私が腕を振るっちゃおうかしら!」

 

「「いいっ!?」」

 

「あら? なーに、二人とも?」

 

「な、なにって。お前のりょ、りょ、りょ・・・」

 

「あ、じゃあ僕の分はいらないよ! お腹空いてないから」

 

「遠慮しなくても良いのよ、コナン君。おばさんが腕によりをかけてホッペの落ちそうな、おいしいビーフシチュー食べさせてあげるから♪」

 

 英理のその言葉に、俺とコナンの顔は真っ青になった。ビーフシチューとか絶対ろくなことにならねえぞ! 蘭はあの調子だから作ってもらう訳にはいかないし、ここはバレないように上手く逃げるしかない! 

 俺はそーっと忍び足で外に出ようとしていたら、背後から声をかけられた。

 

「あら? どこに行くの、アナタ?」

 

「いやあ、ちょっと偵光君の事務所に行って松田君達と情報交換をしてこようかと思って・・・」

 

「こんな時間から行ったら迷惑じゃないの! 偵光君があんなことになって、ゴタゴタしてたんだし明日でも良いでしょう!? それとも、なーに? あたしの料理が食べれないとでも?」

 

 英理に睨まれ冷や汗を流していると、蘭が突然笑い出した。良かった、蘭の奴思ったより明るいな。これなら大丈夫そうだ!

 蘭の笑顔を見て安心し、今だけは事件のことを忘れみんなで笑い合いながら家族団らんで過ごすのだった。



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65話

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<灰原哀side>

 

 私は子供達と一緒に蘭さんのお見舞いと子供達の彼女を守りたいという目的を兼ねて、毛利探偵事務所へと来ていた。子供達と合流する前に、白銀さんの事務所にも寄ったんだけど、所長が不在の為閉まっていた。

 会社の方も訪ねたんだけど、みんな忙しそうにしていたので、少し話を聞いて終わった。当然ね、白銀さんがあんな状態になってるし、みんな犯人を見つけ出す為に動き回ってるって所ね。お姉ちゃんに連絡したら、今は安室さん達と仕事で出張中で米花町には戻ってこれないそうなので、私に彼の事をお願いって頼まれたんだけど、警察とか病院のスタッフなどで、厳重警備になってるそうだから行きづらいのよね。

 彼の仲間と一緒なら行きやすいんだけど・・・

 

「おい、どうしたんだ灰原? 元太達なら蘭が冷たい物を出すって言って、もう事務所へと入っていったぞ」

 

「ちょっと考え事をね。彼女はまだ何も思い出せないの?」

 

「ああ・・・」

 

「このまま記憶が戻らない方が工藤君にとって都合が良いんじゃない?」

 

「え?」

 

「もう正体がバレるのを心配する必要も無くなるわけだし」

 

「な、なんだと!? てめえ!」

 

「私だって・・・私だってできるなら記憶を無くしたいわよ! 組織の一員になって毒薬を作ってたこととかみんな忘れてただの小学生の灰原哀になれたらどんなに良いか・・・そして、貴方やあの人とずっと・・・ずっとこのまま」

 

「灰原、お前!?」

 

「なーんてね♪ 少しは元気出た? そんなこと思う訳ないでしょ。白銀さんやお姉ちゃんに怒られちゃうしね♪」

 

「かあーっ!」

 

 江戸川君をからかってるのに満足していると、背後から声をかけられた。

 

「はーい、おチビちゃん! 新しいガールフレンド? 蘭に見せたいものがあるしお邪魔するわよ♪」

 

 また賑やかな人が来たわね。彼女の友人だから仕方ないのでしょうけど・・・。

 彼女はすぐに事務所へと入って行った。いい加減私達も行かないと怪しまれるわね。

 

「またうるさいのが来た」

 

「彼女の友人だから仕方ないでしょう。私達もそろそろ行くわよ」

 

 私が江戸川君にそう言って、事務所に歩こうとすると急に頭をわしゃわしゃとされた。私はその撫で方に驚き振り向くと、そこには萩原さん達がいた

 

「おうおう、相変わらずしかめっ面してんな、灰原ちゃん。白銀じゃなくて悪かったな。事務所と会社に来てたみたいで元気が無いってことだったから様子見も兼ねてきたんだが、心配いらなかったみたいだな」

 

「おい研二。小学生とはいえ女の子にいきなりそんなことするのは失礼だぞ?」

 

「白銀の真似しただけだ。普通はこんなことしねえよ。だいたいこういうことを灰原ちゃんにするのはアイツと美樹ちゃんだけだったしな」

 

「萩原さんに萩原刑事!」

 

 ホント失礼ね。一瞬白銀さんかと思ったじゃない。それだけ私も参ってたってことかしらね。私は彼を睨みながら

 

「セクハラよ、萩原さん。頭から手を離してちょうだい」

 

「ひっ!? 悪かったよ。だから怒らないでくれ。白銀の目が覚めたら灰原ちゃんの頭撫でるよう言っておくから、それで許してくれよ」

 

「よ・け・い・な・お・せ・わ・よ! それで二人はどうしてここに?」

 

「俺は白銀のアルバムを持って来たんだよ。毛利さんから頼まれてな。それと情報交換もしたいって事だったからな。それで、ここに来る途中で姉貴とばったり会って目的の場所も同じだから一緒に来た訳だ」

 

「私は美和子が目を覚まし聞いた情報を毛利さんに伝え、蘭ちゃんの見舞いと付きっ切りで護衛することも兼ねてな。研二も蘭ちゃんの護衛に付くことを毛利さんに伝えに来たんだろう? 事件の捜査は、陣平達に任したって所か?」

 

「あらら、全部分かってるのね。姉貴の言った通りって訳だ。あ、そうそう。白銀の見舞いには行っても問題無いぞ、灰原ちゃん。護衛に付いてる人らにも話を通したから心配しなくても大丈夫だ」

 

「そうなのね。ありがとう。 それで、白銀さんの容態の方は変わりないの?」

 

「ああ。眠ったままだ。アイツのことだ。その内に目を覚ますさ。事件の方についても、姉貴達警察と陣平ちゃん達が動いてるから心配するな。それで悪いんだが、お邪魔させてもらうぞ、コナン?」

 

「うん、良いよ! ってかおっちゃんも動いてるんだね」

 

「ああ。今回の犯人は蘭ちゃんも含めた毛利さんの逆鱗に触れやがったからな」

 

「蘭ちゃんも含めたってどういうことだ、研二?」

 

「白銀さんね。おじさん、彼のこと息子のように凄く可愛がっていたから。自分の娘を守り、ああなってしまったから余計に責任を感じてるんでしょうね」

 

「なるほどな。おっちゃんが夜遅くまで調べものしてたりしてたのはそういう訳か」

 

「そういうことか。ふふ♪ 白銀はみんなの人気者なんだな」

 

「姉貴も話してみて分かっただろう? アイツはバカやりすぎるが、自然とみんな付いていきたくなるんだよ。俺や陣平ちゃんもそうだしな。灰原ちゃんやコナンもそうだろう?」

 

「うん。あの人は自然と人を惹きつける何かがあるよね」

 

「ええ、そうね」

 

「そうか。私もそう思い始めてるから、これからどんどんその気持ちが強くなっていく可能性はあるな。こんなとこで立ち話しすぎてもあれだし、早く中に入るとしよう」

 

 萩原刑事のその言葉に続き、私達は毛利探偵事務所に入り、白銀さん達のアルバムを見ながら彼女の記憶が戻るように願いながら話をしていくのだった。 

 

<灰原哀side out>

 

 

<萩原研二side>

 

 俺達は白銀の話で盛り上がり子供達が帰った後に、毛利さんと情報交換を行っていた。

 

「ふう。結局、偵光君のアルバムを見せても蘭の記憶は戻らなかったか。反応は凄く良かったんだけどなあ」

 

「そうですね。蘭ちゃん本人も白銀に会いたいと言っていましたし、会わせてみるのも一つの手なんでしょうが・・・」

 

「それはあまりオススメしないぞ。今の白銀の状態を見て、蘭ちゃんの心に更に傷を負わせる可能性もある」

 

「そうだよなぁ。白銀の意識が戻って話せる状態ならあれなんだが・・・」

 

「そこは蘭がどうしても会いたいって言いだした時に考えよう。それで、あれから事件について、何か新しい情報は出たのか?」

 

「現場に落ちていたビニール傘について詳しい鑑定も終わり硝煙反応が出た。犯人はあれを使い、銃を撃ったのは間違いない。そして、美和子が目覚めて聞いた情報だが、犯人の顔は見てないそうだ。ただ、銃を持っていた手は左手だったそうだ。右手で傘を持ち、左手で撃ったって事だろう。

 そこから犯人は左利きと考えられ、警察はその線でも捜査を進めることになった。現段階では、友成真、小田切俊哉を最有力容疑者候補となっているが、私と美和子はその二人では無いと思っている。動機を結び付けるには弱すぎるからな。毛利さんや研二はどう思う?」

 

「なるほどな。俺も萩原刑事や佐藤刑事と同じ考えだ。萩原君はどう思う?」

 

「俺も二人と同じ考えですね。その二人は犯人とは考えられません。俺達は、神野保氏の事件の繋がりから追ってます。彼の事件は自殺と判断されましたが、白銀と陣平ちゃんは依頼があったのもあり他殺の線で捜査して、医療関係者までって所までは絞り込んだそうです。

 白銀はほぼ特定までしていたそうですが、あの状態ですので今は陣平ちゃんと七槻ちゃんが調べてます。病院関係者に顔が知れている人が会社にいるので、追加の情報を掴むまではそこまでかからないでしょう。今回の事件についてですが、ある伝手で白銀が捜査していたことが警察内部の一部に漏れていたのが分かりました。そこから犯人は情報を得て、今回の事件が起こったってとこでしょうね」

 

「何だと!? ってことは、警察内部からその情報を犯人は聞いたってことになるな。でも、待てよ。その情報を知っていた警察内部の人間が犯人とは考えられないのか?」

 

「それは無いだろうな。その情報を知っていたのは警察内部の人間については私も掴んでいる。小田切刑事部長、目暮警部、白鳥警部、美和子、私を含めた五人だけだ。全員その犯行時刻のアリバイは確認済みだからな。情報が漏れたってなると、一人気になる人物がいるな」

 

「もしかして白鳥の奴か? アイツ心療内科に通ってると言っていたからそこから漏れた可能性は高いな。待てよ? そうなると・・・」

 

「ええ、そうです。現場にも白鳥警部の主治医の風戸先生は来ていましたね。俺達もあの人なら、白銀や警察関係者の情報が得るチャンスがあったんではないかと考えてます。陣平ちゃんも風戸って名前をどこかで見たって言って、風戸恭介について詳しく調べている段階です。もし彼では無かった場合お手上げなんですけどね」

 

「いや研二達の予測は間違ってない。第一の事件の被害者だった奈良沢警部補も、友成警部が捜査中に心臓麻痺を起こし亡くなった件がトラウマになり心療内科に通っていたそうだ。主治医は風戸先生だったそうだ」

 

「そこまで来ると偶然では片付けられないな。風戸先生へのマークはどうなっているんだ? いや警察に伝えて動けないか。犯人だとしたら刺激しちまって、蘭と偵光君を襲い出すな。

 偵光君は病院にいるが、厳重な警備で手を出せないとなると、蘭が退院した後がチャンスって訳か」

 

「そうですね。白銀の方は、いくら医者でも病院のスタッフに紛れるのも難しいですからね。入院のし過ぎで発足された、白銀対応の医療チームと看護師以外接触できないようになってますしね。

 まあ、変装とかされれば別なんですが、そちらの対応はウチの事務所に詳しい人に任せてますし、外は公安と捜査一課が固めているので、白銀の方は大丈夫です。佐藤刑事の方も同様ですね。一番危ないのは、おそらく蘭ちゃんかと」

 

「そうか・・・。そういえば、明日は英理とコナンと一緒に銀座に遊びに行くと言っていたな。銀座となると電車移動か。高木が護衛にいるとはいえ、一人だと駅内をカバーしきれないな。

 俺は神野環さんに会って話を聞くことになってて、それが終わったら偵光君と佐藤刑事の見舞いに行くつもりだったから外せないんだよな。どうするか・・・」

 

「私と研二も共に行くとしよう。蘭ちゃんが襲われる可能性があるなら護衛しなければならないし、犯人から動きがあれば確認することもできるだろうしな。なあ、研二?」

 

「そうだな。俺と姉貴も護衛に付くので心配しないでください、毛利さん」

 

「良いのか、二人とも?」

 

「はい」

 

「ああ」

 

「すまないが、娘たちの事をよろしく頼む。俺も明日新情報が掴めたらすぐに連絡する」

 

 俺達は情報交換を行い、明日へと備えるのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 次の日になり、俺と姉貴は軽い変装をして、蘭ちゃんの近くで護衛に付いていた。

 

「それにしても凄い人だな、米花駅は。東京に来てからは驚くことが多い」

 

「今日は休日だから、仕方ないだろう。神奈川も似たようなもんだろうが。それより犯人からの動きは今のとこないな」

 

「ああ、そうだな。この駅で絶対に何か仕掛けてくる可能性が高そうなんだがな。これだけ人が多いとどさくさに紛れて、逃げることもできるしな。陣平達から何か連絡あったか?」

 

「いや、まだだ。新情報が入り次第連絡するように二人には言ってるから、何か掴めば連絡くるさ。珍しく焦ってそうだな、姉貴。焦りこそ最大のトラップだぜ、それにこういう時こそ、のんびり冷静にだ」

 

「そうだな。前半は陣平の口癖だな。後半は白銀か?」

 

「お、よく分かったな! 陣平ちゃんのは分かると思ったが、白銀の方まで分かるとは思わなかったぜ」

 

「彼なら言いそうな言葉だなと思っただけだ。お、どうやら電車が来たみたいだな・・・・マズイ!?

 

「ええっ!?」

 

「蘭!?」

 

 姉貴がそう言い、電車が駅に来て停車しようとしていたタイミングで、蘭ちゃんが何者かに押され線路に転落した!

 此処で仕掛けてきやがったか、クソが!

 

「ちくしょう! 高木刑事、犯人らしき人物は、今階段の方に向かっていった! 君はその人物を追え! 蘭ちゃんのことは私達に任せろ! 急ぐぞ、研二!」

 

「は、はい!」

 

「分かってる!」

 

 俺は姉貴とすぐに線路内に飛び降り、二人で蘭ちゃんを引っ張り線路内から出てホームの下の隙間へと逃げこんだ。

 

「蘭!?」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。姉貴、蘭ちゃん大丈夫か?」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。私は問題無い。高木刑事には追うように言ったが、犯人には逃げられた可能性が高いな。くそっ! 腕だけしか見えなかった!」

 

「は、はい。かすり傷程度で私は大丈夫です」

 

「それなら良かったよ。一応この後病院には行こうか、なぁ姉貴?」

 

「その方が良いだろう。とりあえず、電車がいなくなったら早くここから出たいな」

 

「それには同感だ。ふうっ、電車来る中飛び込んだからヒヤヒヤしたぜ」

 

「すみません、私のせいで。私は襲われたんですか?」

 

「蘭ちゃんが気にする必要はない。私と研二は君を守る為にいるんだからな。君に何かあったら白銀や美和子にも怒られる。おそらく、そうだろう。これで、はっきりしたな、研二」

 

「ああ。蘭ちゃんは間違いなく犯人の顔を見たってことがな。だから犯人は蘭ちゃんの口を封じようとしたってとこだな。なーに、心配しなさんな、蘭ちゃん。お兄さん、お姉さんがすぐに犯人捕まえるし、君の身は絶対に護るからな」

 

 俺と姉貴は蘭ちゃんを落ち着かせ安心させるように話しかけ、電車がいなくなった後、コナン達と共に蘭ちゃんを連れて病院へと向かうのだった。



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66話

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<越水七槻side>

 

 私は松田さんと行動し、神野環さん、小田切警視長に話を聞きに行き、その後東都大学付属病院に行き情報を集めていると、私の携帯宛に偵光君からメールが来たので松田さんと共に彼の病室へとすぐに向かった。彼の病室に入るとそこにはベットに眠っている偵光君がいた。

 偵光君がてっきり目覚めたのかと思ったんだけど・・・

 

「おい、寝たふりはやめな、所長」

 

「ははは、分かる? いたた、銃弾くらいすぎちゃったな」

 

「偵光君、目が覚めたの!? 凄く心配したんだからね!」

 

 私は彼が目覚めたことに嬉しくなり、彼に泣きながら抱き着いた。

 

「いたたたた! 七槻ちゃん、俺怪我人よ!?」

 

「ご、ごめん! 大丈夫?」

 

「所長には良いクスリだろう。メール打ったのはいつもの先生か?」

 

「うん、俺が頼んだんだ。あと、俺が意識を取り戻したことは先生に頼んで、病院のスタッフにしか知らせないようにしてもらったんだ。その方が俺も動きやすくなるからね」

 

「動きやすくなるって、何するつもりなの!? 君は怪我人で意識不明だったんだよ!?」

 

「ああ、うん。七槻ちゃんや松田さん達には心配かけたことは謝ります。でも、俺が動かない訳にはいかないんだよ。犯人は美和子と蘭ちゃん、千速さんを狙いやがったからな。絶対許せないんだよ」

 

「やっぱりか。所長がやられて黙ってる訳ないよな。病院また抜け出すつもりで俺とお嬢ちゃんに協力して欲しいって所か? ああやって、メールが送られてきたってことは、病院の先生は既に味方につけたんだろう?」

 

「まあね。凄く反対されたけど、最終的には折れてくれたよ。俺の側に誰か人を常に付けること、傷が開いたらすぐに病院に戻ることを条件にね。それと、俺が行く先に病院のスタッフを数名待機させておくってさ。いやあ、昔から知ってる先生だから俺のことよく分かってるよね! ありがたいことだよ♪」

 

「僕は反対だよ! 偵光君の気持ちは分かるけど、危険なことはして欲しくないよ! それに怪我が悪化したら危ないかもしれないんだよ!?」

 

 僕が彼を心配して反対していると、偵光君が手を動かし、僕の頭を優しく撫で始めた。

 

「ありがとね、七槻ちゃん♪ 七槻ちゃんの気持ちは嬉しいよ。ただね、これ以上俺がここにいると犯人がなりふりかまわなくなるってが一番の理由なんだよ。

 さっき、先生から聞いたけど蘭ちゃんがまた襲われたんだよね?」

 

「もう聞いていたんだね・・・・。うん、そうだよ。電車を待っていたら、線路に突き落とされて、萩原さんと千速さんが間一髪で助けだしたみたいだよ」

 

「そういうことか。痺れを切らして、この病院の関係ない人達にも被害が出る可能性がある訳だから、お前が外に出た時に、犯人に病院を抜け出したことを知らせエサになるって訳だな。それで犯人はやっぱり風戸恭介か?」

 

「うん、そうだよ。女子トイレで発砲したのはあの人だった。動機は神野保さんの殺害が明るみに出るのを阻止することだろうね」

 

「偵光君、神野さんの事件の犯人知っていたの!?」

 

「彼の妹の環さんから依頼があって松田さんと調べてたからね。それに美和子からの協力依頼があった後に、リサさんとかの伝手を辿って真実にたどりついたんだよ。それを教える前に、襲われるとは思わなかったけどね。松田さん達も同じ情報を掴んだんでしょう?」

 

「ああ。東都大学病院に行ったら、動機になる証言を聞けたよ。神野保が手術中に、一緒にオペをしていた先生の手首をメスで切ったって情報をな。その相手の先生の名前も聞けたぞ」

 

「風戸恭介。彼は心療内科に転向する前は、有名な外科医だったそうだね。その手術後、心療内科に転向したってことを考えると、メスが握れなくなったところかな? 態とだったのかどうかを神野さんから聞いて、それが殺人を行ってしまった感じかな? 偵光君はどう思うの?」

 

「俺も二人と同じ結論に至ったよ。その件が明るみに出ると彼は困るから、今回の連続殺人事件へと繋がるんだよ。警察や俺達が自殺と断定された事件を掘り返し、再捜査を始めたから、犯人は気が気じゃなかっただろうね。

 自分が疑われないようにする為に、友成真や小田切敏也を犯人に見せかけているって感じかな。警察は騙せても、俺の優秀な部下達は流石に誤魔化せないよね♪」

 

「よく言うぜ。萩達にはまだ調査して確定したことを伝えてないがな。それで、所長、俺はこれから萩達に調査結果を伝えに行くつもりだが良いか? お前が目を覚ましたことは、どうしたら良い?」

 

「萩原さん達には黙ってて。俺が目覚めたことを知ってるのは、松田さんと七槻ちゃんだけで。萩原さん達にはその情報を伝えて好きに動いてもらうようにして良いよ。二人には蘭ちゃんの護衛に集中してもらいたいしね」

 

「了解だ。伝えて情報交換してきたら、また戻ってくるわ。お嬢ちゃん、悪いが所長の面倒よろしくな」

 

 そういって松田さんは病室から出て行き、偵光君と二人きりになってしまった。うわあ、急に二人きりになるなんて予想外だよ! 

 ううー、偵光君のこと怒りたいのに彼の笑顔見たり、こうやって頭撫でられたりしたら怒れないじゃないか・・・。って怪我人にこんなことさせてる場合じゃない!

 

「偵光君、撫でるの辞めて大丈夫だよ。痛みがあってしんどいんでしょ? 僕はもう大丈夫だから。ホントは大人しくして欲しいんだけど、僕が君の傍でちゃんとサポートして助けるからね! 怪我の痛みとかしんどくなったら、すぐに僕が松田さんに言うこと! 分かった!?」

 

「ありがとう、七槻ちゃん。あはは、分かってるよ。その為に二人をこうして呼んだんだからね。前みたいに誰にも伝えず抜け出すと、みんなに怒られるからね」

 

「今回の件も、他の人からは充分怒られると思うよ? それが分かってたから、松田さんも何も言わなかったんだろうし」

 

「ですよねー。ううっ、怒られた時はそん時だ! あ、ちなみにクリスと美和子、透に怒られる時は絶対助けてね! 助けてくれないと俺死んじゃうからね!? よしっ、今は事件を解決することに専念しよう! 早く解決すると、俺も病院に戻ってゆっくりできるしな♪」

 

「まったく、もう。ホント偵光君らしいよね・・・。仕方ないから助けてあげるよ」

 

 

 僕は呆れながらも、彼の意識が戻ったことに安心し笑顔になり彼が眠っている間に何があったかを話すのだった。

 

 

<越水七槻side out>

 

 

 

<萩原千速side>

 

 私は、研二達と共に線路に突き落とされた蘭ちゃんを病院へと連れてきていた。彼女は鎮静剤を打ってもらい、風戸先生に診察してもらった結果、このことがキッカケで記憶を取り戻すのを怖がるようになるのではないかと言われた。ふむ、自分で仕掛けておいて、こう言うんだとしたら、そうとう図太いな。それにここにいるってことは、高木刑事を上手くまいたみたいだな。くそっ、姿が確認できていたら、この人が犯人と断定できたかもしれないのに!

 いや、今は蘭ちゃんのことだな。私と研二は彼を警戒しながら見張っていると、彼は診察を終えて病室から出て行った。彼が去っていった後、目暮警部達も来て、話をして私と研二は休憩も兼ねて、談話室へと向かいゆっくりしていた。近くに誰もいないことを確認した上で、研二と事件について話始めた。

 

 

「研二、まだ犯人は蘭ちゃんを襲うと思うか?」

 

「そうだな。蘭ちゃんは確実に犯人の顔を目撃してるから、犯人が狙うんだろうよ。ちっ、後手に回ってるな。こっちから攻めていきたいとこではあるんだが」

 

「犯人を断定できればこちらからも動きようはあるんだがな・・・」

 

「くそっ、白銀がいたらこういう時、思いつかないようなアイデアとか出してくれるんだけどなー」

 

「そればかりは仕方ないだろう。美和子の方は完全に犯人のターゲットからは外れたみたいだな。うーん、蘭ちゃんの近くで護衛しながら仕掛けられた所を捕まえるしかないか?」

 

「おいおい、姉弟で何しけたツラしてんだよ」

 

 研二と二人で頭を悩ませていると、私達に声をかけてきた人物がいた。

 

「陣平ちゃんじゃないの!」

 

「陣平じゃないか。どうしてここに?」

 

「越水のお嬢ちゃんと一緒に所長の見舞いに来たんだよ。それと新たな情報を得たからお前達に伝えにきた」

 

「「本当か!?」」

 

「ああ。それで風戸は今どうしてる?」

 

「今日は夜まで診察が入ってるそうだから、今話しても聞かれる心配はねえぞ。それが分かった上で姉貴とここに来て話してたからな」

 

「なるほどな。なら大丈夫そうだな。今回の犯人も風戸恭介で間違いないはずだ。動機は一年前のある事件の真相が明るみに出るのを阻止する為だ。一年前の神野保を殺したのも風戸恭介だ。被害者の死亡推定時刻前に被害者と風戸がタクシーに乗ってどこかに行くのを見たって証言も聞けた。

 それに風戸は神野を殺害する動機があった」

 

「その動機ってのはなんなんだ、陣平?」

 

「七年前に神野と風戸が心臓病で運び込まれた患者の手術をしていて、その手術中に神野が風戸の腕をメスで切ったそうだ。その患者は助からず、その後風戸は外科医を辞めて心療内科医となっている。

 神野の性格から態と風戸の腕を切り、一年前にそこで真実を知り風戸が殺害したってとこだろうな」

 

「そうか。それなら辻褄は合うな。警察に自殺と断定されたのに、今になって再捜査が始まって、真実が明るみに出れば自分の身が危なくなるから、その調べていた人達を襲っていった訳だな」

 

「その上、犯行を目撃された蘭ちゃんを消そうとしてる訳か。白銀の方は、警備が厳重すぎて手が出せないから、狙いやすい蘭ちゃんを襲ってるんだな。となると次も蘭ちゃんがターゲットか?」

 

「いや犯人の性格上、白銀の方もどうにかしたいはずだ。ここまで手が出せないってなるとそろそろなりふり構わなくなってきそうだな。なあ、陣平ちゃんもそう思うだろう?」

 

「まあな。そっちについては心配するな。既に手を打って、犯人を釣り上げる為ににエサをまいたからな。所長関係の方は俺とお嬢ちゃんでどうにかするから任せろ」

 

「分かった。白銀のことは陣平達に任せよう。私達は蘭ちゃんの方だな。犯人も絞れたなら、こちらも動きやすくなる」

 

「そうだな。ありがとな、陣平ちゃん♪ 助かったぜ。お互い何かあったら連絡するようにはしておこうぜ。目的は同じなんだからな」

 

「ああ、それじゃあ俺はお嬢ちゃんの所へ戻る。何か動きがあったら連絡くれ」

 

「白銀のことを頼む・・・」

 

「暗い顔してんじゃねえよ。所長はそのうち目覚ますし、アンタのせいじゃねえよ。アンタこそ暴走しないようにな。研二気をつけておけよ」

 

 そう言い陣平は談話室から去って行った。

 

「分かってるっての。姉貴が止まらなくなったら大変だからな」

 

「おい、どういう意味だ?」

 

「さてな。まあ、陣平ちゃんの言う通り、白銀の事は気にしすぎんなよ。アイツに怒られるぞ?」

 

「ふふっ、そうだな。私の悪い癖が出たようだ。それじゃあ、私達も戻るとしよう」

 

「ああ!」

 

 私と研二は休憩を終えて蘭ちゃん達の元へと戻るのだった。

 

<萩原千速side out>

 

 

<佐藤美和子side>

 

私は怪我の調子も良くなってきていた。うーん、この感じだと動くことが出来そうだけど、病院の先生から言われた期間は安静にしておかないといけないわね。みんなが頑張ってる中申し訳ないわね。犯人を見つけるのに協力したいんだけど・・・・って、今の私が行ったとしても足手まといね。偵光はまだ意識が戻らないみたいだし、命に別状が無いとはいえ心配になるわね。

 それにしても暇ね。偵光が元気になって身体動かせるようになってきたら退屈退屈って文句言うのも良く分かるわ。確かにこれはしんどいわね。寝るのは夜に眠れなくなるからしたくないし、暇をつぶせる道具なんかは持ってきて無いしどうしようかしら?

 色々と悩んでいると、ドアがノックされたので入るように促すと入ってきた人物は由美と三池さんだった。

 

「やっほー、美和子! 暇そうね!」

 

「もう、由美さん! 病院内なんで、いくら個室だからといってそんな大きな声で入ったら不味いですよ! こほん、失礼します、佐藤刑事。怪我の調子はどうですか?」

 

「由美ったら相変わらずね。暇なのは確かだけどね。三池さんもありがとう。怪我は痛みも引いてだいぶ良くなったわよ。こうして動かすこともできるしね。二人とも私服ってことは、今日は非番なの?」

 

「そうよ! 美和子が一人で暇してたら可哀想ってことで三池も誘って見舞いに来たのよ。はいこれ、サマーライトのお菓子よ。アンタ大好きでしょ?」

 

「ありがと♪ 最近忙しすぎて行けてないのよ。二人で行って来たの?」

 

「まあね。三池が連れてけ連れてけうるさかったから、昼ご飯も兼ねて行ってきたのよ。いやあ、今日も結構なお客がいたわ」

 

「そんなうるさく言ったつもりはありません! サマーライトに行きたい気持ちはありましたがそこまで表に出したつもりはありませんよ!」

 

「よく言うわ。店に入ったらすんごいニコニコ笑顔だったじゃないのよ。ほら、この写真」

 

「あはは、ほんとうね」

 

「うぐっ・・・これは、あんなに美味しいお菓子がいけないんです! 限定パフェは食べることができませんでしたけど。パフェが出るのが不定期なんで、結構な回数行ってるんですけど、食べれないんですよね」

 

「ああ、限定パフェなら確実に食べる方法があるわよ。ねえ、美和子?」

 

「本当ですか!? 二人とも教えてくれませんか!?」

 

「三池さん、凄い喰いつきね。限定パフェなんだけど、あれって偵光が店を手伝っている時、偵光が作るデザートなのよ。だから、偵光が店にいる時に行けば食べられるんじゃないかしら?」

 

「そうなんですね! ありがとうございます! 今度、桜子に聞いて白銀さんがサマーライトの店を手伝う日を聞いて、その日に行くようにします!」

 

「三池が凄くキラキラした笑顔をしてるわ。甘い物好きだから仕方ないんだろうけど。そういや偵光はまだ意識戻ってないみたいね?」

 

「ええ、そうね。先生が言うにはそろそろ目覚めてもいいって言ってたんだけどね。まあそればかりはどうしようも無いわね」

 

「そっか。ほっぺとかツンツンしたら起きないかしら?」

 

「あのねえ、偵光が寝てるだけとかなら良いんだろうけど、意識不明で入院してるんだから辞めときなさい」

 

「そうですよ、由美さん。あ、白銀さんで思いだしたんですけど、今回の事件に関わってるだろうからって、桜子から佐藤刑事にこれを渡してくれって頼まれました。

 桜子が言うには、副所長の山川さんからの指示だそうです」

 

「本当なの!? 三池さん!? 見せてもらうわね!」

 

「はい、どうぞ。すみません、私は白銀さんの様子を見てきますね。ちょっとしたら戻ってきます」

 

「はーい。三池が戻ってきたら、私も偵光の顔を見て来るとするかね。それで、美和子? 私にも分かるように説明しなさいよ」

 

「ちょっと、待ってて」

 

 私は三池さんから資料を渡してもらいすぐに確認した。これは偵光が一年前の神野さんの事件について調べていた資料ね。被害者は自殺と断定されてたが、妹の環さんか依頼があって調べなおすと自殺の線はすぐに消えて、他殺と断定したみたいね。犯人は・・・・・風戸恭介!? 千速さんから聞いた話だと、蘭ちゃんを診てる先生じゃない! 死亡推定時刻の少し前に、被害者と風戸さんが一緒に行動しタクシーに乗る所を目撃されてるわね。

 動機は、七年前のある手術中に被害者が風戸先生の腕を切ってしまし、外科から心療内科医に転向するキッカケになったと。その件が態とだと判明し、突発的な犯行になった可能性が高いって書いてるわね。  

 これは、偵光の考えが当たりみたいね。その自殺と断定された事件が、今になって蒸し返されたから、私達を狙ってのが今回の事件の動機ってことね。でも、もしそうなら蘭ちゃんが危ないわ! 早く目暮警部にもこのことを伝えないと!

 

「って痛いわよ、由美!」

 

「むー、だって暇だし、美和子が呼んでも無視するのが悪いのよ! それで、その資料には何が書いてあったの?」

 

「私が再捜査をしていた事件についての、偵光が調査してまとめた資料よ。犯人も突きとめてたみたいね、アイツ。

 これで、今回の私達を襲った事件の犯人の動機についても分かったわ。早く目暮警部に連絡したいんだけど、病室だと電話できないわね」

 

「そうなのね。やっぱりああいう事件の真相を掴むってなると別人みたいな感じよね、偵光は。そのギャップがカッコいいんだけど。

 談話室なら電話大丈夫だから談話室に行って私が電話して美和子の病室に来るように頼もうか? アンタ、まだ病室からは出るなって言われてるでしょう?」

 

「うっ、そうね。悪いんだけど頼める? このお礼は今度するわね」

 

「サマーライトの食事おごりね♪ それじゃあ、行ってくるわ」

 

 由美が病室から出ようとしていると、扉が急に開き三池さんが慌てた様子で入ってきた。

 

「うわっ、びっくりした! 三池、急に入ってくると驚くじゃない!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。それが大変なんです!」

 

「落ち着いて三池さん。どうしたの?」

 

「白銀さんの病室に行ったんですが、白銀さんが病室からいなくなったんですよ! 

 窓が開いていて、扉の前を警備していた刑事も慌てた様子で、急いで探し出せって指示出してましたし、病院のスタッフも慌てた様子だったので、白銀さんの意識が戻って病院から逃げ出したパターンではないかと」

 

「「なんですって!?」」

 

 私はようやく事件を解決できると思った矢先に、三池さんから偵光が病院から逃げ出したことを聞き、これからどうすれば良いのか、偵光は大丈夫なのかと色々な考えが頭をよぎり、不安になりながらも由美達にお願いして偵光を探しだすのに協力してもらうのだった。




アンケートは今回の話で締め切らせてもらいます。
瞳の中の暗殺者編後は、アンケートの話を書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします!


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67話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 


<萩原千速side>

 

 私は蘭ちゃんがトロピカルランドに行きたいと言った為、毛利さんから頼まれその護衛として研二と共に付いてきていた。どのアトラクションに乗ろうかと悩んでいる蘭ちゃんや子供達を見ていると携帯の着信があった。

 ん、美和子から電話か? いったい何のようだ?

 

「はい、もしもし。どうした美和子?」

 

「大変です、千速さん! 偵光が意識を取り戻したんですが、病室から脱走しました! 今どこにいますか!?」

 

「何だと!? それは本当なのか!? 今蘭ちゃんの護衛でトロピカルランドに来ているが」

 

「トロピカルランドですか? 不味いですね。おそらく犯人もそこで仕掛けてくる可能性が高そうです。それと偵光もトロピカルランドに向かったと思います」

 

「ああ、蘭ちゃんが行ってみたいと言ってな。どうして白銀もここに来るって分かるんだ? 他の場所に向かった可能性もあるだろう?」

 

「アイツのことですから、この事件にケリ付けるつもりなんだと思います。自分もそこに向かえば犯人にとっては餌となりますからね。それと蘭ちゃんを助けるのが理由かと思います。アイツが行きそうな場所は、協力してもらい探してもらってますが見つかって無いのが現状です。

 なので、トロピカルランドに向かったという情報をどこかから得て、向かっている可能性が一番高いです。お願いがあるんですけど良いですか?」

 

「なるほどな。彼の護衛についていた刑事達が一斉に来ると犯人が動かなくなるから、今現場に来ている私達に頼むという訳か。白銀を見つけたらすぐに保護するよ。美和子はゆっくり休んでろ」

 

「すみませんが偵光のことをお願いします。千速さんも気をつけてください。犯人はなりふり構わない現状になってきているでしょうから」

 

「ああ、分かってるよ。また連絡する」

 

 私が電話を切り終えると、研二が側に来ており、私の態度がおかしいことに気づき確認をしてきた。

 

「どうしたんだ姉貴? 誰からの電話だったんだ?」

 

「美和子からだよ。白銀が病室から脱走したそうだ」

 

「マジかよ!? アイツはまったく。脱走したってことはここに向かって来てるか、すでにいるだろうな」

 

「研二もそう思うのか? 美和子も同じことを言っていたぞ」

 

「そりゃあな。白銀と付き合い長いし、アイツの性格から考えて自分を囮にしながら犯人を誘い出し、ケリ付けるってとこだろうよ。それと蘭ちゃんや姉貴の護衛も兼ねてってとこか?」

 

「私の護衛だと?」

 

「ああ。白銀の中だと姉貴も絶対に護るべき存在になってるんだよ。だから、アイツは姉貴と蘭ちゃんが狙われる可能性を考慮しながら動いてるはずだぜ。

 うーん、こりゃあ、病院の先生と陣平ちゃん達も一枚噛んでそうだな。白銀の協力者になってる感じかー」

 

「そうか。もしそうなら嬉しいな・・・って、待て。陣平達も協力してるのか?」

 

「あら? 姉貴が素直に喜ぶって珍しいな! そりゃあ、そうだろ。外は刑事達が厳重に警備してたんだぜ? いくらアイツでもその状態で誰にもバレずに抜け出すなんてできねえよ。

 病院の先生は白銀担当の主治医で付き合い長いし、陣平ちゃんや七槻ちゃんを仲間に引き込まないと不可能に近いぞ。先生からは条件付きでってとこだろうな」

 

「おいおい、病院の先生がそんなことして良いのか?」

 

「ダメって言ったら、米花シティービルの時みたいに自力で抜け出してただろうぜ。目の届かないとこで無茶されるより、監視下に置いたって所かな。まあ、それもあんま意味無さそうだが」

 

「白銀は人間なのかと疑いたくなるな。人の為に体を張って、自分が無茶していい理由にはならんだろう?」

 

「それが白銀って奴だから仕方ねえさ。姉貴が止めてやれよ。アイツ姉貴の言うことだったら比較的聞きそうだからな」

 

「そうなのか?」

 

「キツイ女性に怒られるのがトラウマになってるからな。少しは聞いてくれると思うぜ? 少しだけだけど」

 

「少しじゃ意味無いんだが・・・。それと研二が私のことをどう思ってるか、よく分かったぞ♪」

 

「ひいっ!? じょ、冗談だって! だから怒るのだけは勘弁な? ここでアイアンクローなんかされたくないからな」

 

「帰ったら覚えておけよ、研二♪ それより、これからどう動くのが正解だと思う?」

 

「うーん、そうだな。犯人からの動きがあるまでは蘭ちゃん達に付かず離れずって感じだな」

 

「そうだな。犯人からのアクションを待つとしよう」

 

 そう言って私達は犯人からの動きを待つのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 夜になり、パレードが現在始まっていたが未だに犯人からの動きが無かった。昼間は友成真が着ぐるみを着て接触しようとしてきたが、犯人だと思われる行動をしており、ナイフを所持していたということで高木刑事が本庁に連行され事情聴取をすることになり、毛利さんは新たに証言を聞いて、風戸恭介が犯人である証拠が得られるかもしれないとのことで、私と研二に護衛を任し、一緒に高木刑事に付いていった。情報はもう聞けたとのことでトロピカルランドに急いで戻ってきているそうだ。

 白銀の方は結局見つからなかったな。研二曰く、誰かに変装している可能性が高いから見つけるのは困難だとういうことで、見つけられるかどうかも怪しいそうだ。美和子にも伝えており、見つかり次第連絡するとは言ったが、早く見つけて安心させてやりたいものだ。

 

「結局パレード始まるまで犯人仕掛けてこなかったな。陣平ちゃん達も全然見つからねえし」

 

「そうだな。犯人が動くとしたら毛利さん達が側におらず、暗くなってきた今からが怪しいな」

 

「俺もそう思うぜ。今なんか絶好のチャンスだろうよ・・・あぶねえ、姉貴! ぐうっ!」

 

 研二がそういうとピストルの発射音みたいなのが聞こえ、研二が私に飛び込んできたため、二人で倒れこんだ。

 

「っっつ! 今の音は・・・研二大丈夫か!?」

 

 私は急いで研二の状態を確認してみると、わき腹から血が出ていた。

 

「私を庇って弾が当たったのか!? くそっ、早く手当を!」

 

「ははは、ヘマしちまったぜ。かすっただけだから俺より蘭ちゃんを頼む!」

 

「しかし・・・」

 

 言い合いをしていると、近くから阿笠博士の危ないという声が聞こえ、蘭ちゃんを庇って阿笠博士撃たれ肩を撃たれていた。狙いはやっぱり蘭ちゃんか! 蘭ちゃんは自分が狙われているのが分かった為、私達から離れようとしていた。彼女を一人にしてはダメだ!

 

「研二、少し待ってろ! 駄目だ、蘭ちゃん!」

 

 私はそう言い走って蘭ちゃんを追いかけ始めると、遠目に犯人がこちらにピストルを向けていたのが見えた。しまった!? 蘭ちゃんより私の方が先か!

 犯人が笑っているのが見えた瞬間、後ろから何かに抱きしめられ私は倒れこんだ。

 

「きゃっ!」

 

 いったい何が起きたんだ? 驚いて変な声が出てしまったじゃないか! 私を抱きしめてるのはいったいってペンギン? いったい誰なんだ!? ってマズイ! 蘭ちゃんを見失った! そうか! 犯人の狙いは私達と蘭ちゃんを分断させることだったのか! くそっ!

 

「助けてくれたのには礼を言う。すまないが、私は急ぐ・・・」

 

 私は焦っていると、ペンギンが小さい声で話しかけてきた。その声はとても聞き覚えのある声だった。

 

「怪我は無いし大丈夫そうだね。千速さんは萩原さんと博士達をよろしく。蘭ちゃんは任せて」

 

「その声は!? まさか・・・うむっ」

 

「静かに。話は事件を解決してからね」

 

 私は口をふさがれ、彼はそう言った後にすぐ起き上がり蘭ちゃんの後を追っていった。怪我人で意識が戻ったばかりだというのにどうしてあんな動きができるんだ!? 彼にこれ以上無茶をさせない為にも、研二達の手当を終えて急いで向かわなければ!

 

「大丈夫か研二? すぐに手当するぞ」

 

「すまねえな、姉貴。白銀が向かったんなら蘭ちゃんは大丈夫だろうよ」

 

「分かっていたのか?」

 

「着ぐるみ着ながらあんな動きする奴はアイツぐらいしか思いつかないからな。姉貴も助けられたな♪」

 

「ああ、そうだな。私は手当を終えたら、アイツらを追う」

 

「いや、どうやら俺らの次の動きは白銀を追うことじゃないみたいだぜ。ほら」

 

 研二がそう言い、指さした方向を見てみると、そこにはこちらに向かって歩いてくる陣平と越水さんの姿が見えるのだった。

 

 

<萩原千速side out>

 

 

<越水七槻side>

 

 私と松田さんは千速さん達と合流し事情を説明した後別れて、偵光君が指定した場所へと来ていた。ここの高台なら噴水広場が見えるけど、ここから犯人の武器を狙撃してくれって松田さんに頼んでたけど大丈夫なのかな? 

 ってか、公安警察に頼んで許可は取ってもらってるってホント偵光君の交友関係が気になるんだけど。

 

「どうしたんだ、お嬢ちゃん?」

 

「いや、ここから発明品のおもちゃのスナイパーライフルで狙撃しろって言われたけど、松田さんは大丈夫なのかなって思って」

 

「白銀や山川ほどの腕は無いが、この距離ならいけるぞ。ターゲットが噴水広場に来てくれればの話だが。そこは白銀が上手くやるだろう。あの人も俺達の忠告聞かずにフォローしに行ったし白銀の身は大丈夫だろうよ」

 

「そうだね。でも、千速さんも行かせて良かったの? 偵光君には誰も来ないようにしてくれって言われてたよね?」

 

「眼鏡のボウズもあの嬢ちゃんが絡んでるから絶対来るだろうよ。その二人を守るってなると流石に今の状態の白銀には荷が重たいからな。あの人も含めて二人なら何とかなるだろう。

 それに白銀のことを守る奴も必要だからな。萩が怪我してなかったら、アイツに行かせたんだが仕方ない。あの人が行くって言い出したら、誰の言葉も聞かなくなるしな」

 

「コナン君も間違いなく来るだろうね。まあ、あの子の場合自分で何とかしそうだけど。千速さんって、そういう所は偵光君とそっくりだよね。だからあの二人妙にウマが合うのかな?」

 

「さあ、どうだろうな? そればかりは分からん。あの人と白銀の仲が良くなるのを気にしてんのか?」

 

「なっ!? 別に僕は気になってないよ! もう、変な事言わないでよね、松田さん!」

 

「否定してる割には顔が真っ赤だぞ、お嬢ちゃん」

 

「うるさいな、もう! それより偵光君に付けた発信機だけど、夢とおとぎの島から移動し始めたみたいだよ? これは犯人との追いかけっこが始まったみたいだね」

 

「いつの間にそんなもん仕掛けてやがったんだ?」

 

「山川さんから偵光君がいなくなった時は、これを使うようにって渡されたんだよ。目を離すとすぐにどこか行っちゃうからね」

 

「なるほどな。普段のアイツなら気づくはずだが、今は着ぐるみ着てるし、犯人に追われてるからそんな余裕もない訳か」

 

「そうみたいだね。早く解決して病院に戻って欲しいんだけど、そればかりはみんなの動き次第かな?」

 

「だな。俺達はアイツらを信じて待ってようぜ。ここに来たら、絶対にはずさねえ」

 

「そうだね」

 

 僕達は偵光君達の無事を願いながら、この場所で待機するのだった。

 

<越水七槻side>

 

 

<偵光side>

 

 俺は買い取ったペンギンの着ぐるみを着て、千速さんを庇った後に、逃げていった蘭ちゃんを追っていた。ああ、もう、流石にこの状態で着ぐるみ着て走るのはキツイな、おい! この着ぐるみ無かったら自由に動けないから仕方ないんだが。いたた。こりゃあ、後で絶対傷が開きそうだな。先生には怒られるだろうし、脱走した件はみんなに伝わってるだろうから帰った後が怖いなあ。うう、帰りたくない。今は蘭ちゃんの命優先だ。

 あの犯人、千速さんと萩原さんまで狙いやがって絶対許さねえ。この手で捕まえてやる。その為にも、松田さん達の協力が得れる化学と宇宙の島の噴水広場まで連れてかないとって・・・いた!

 蘭ちゃんの腕を掴むと驚いていたので、落ち着くように優しく話しかけた。

 

「はあっ!? ってペンギン?」

 

「犯人に気づかれるから静かに。俺は味方だから安心して。それともう大丈夫だよ、蘭ちゃん。人込み紛れて逃げれれば良いんだが、どうやらもう一人来たみたいだ」

 

「蘭姉ちゃん、大丈夫!? って誰だ!?」

 

「コナン君・・・?」

 

「こら、うるさい。犯人に居場所バレるだろうが」

 

 コナンがうるさかったので頭を小突いた。

 

「いてっ! ってその声、白銀さん!? 入院してるはずじゃないの? もしかして、またなの・・・?」

 

「そんな目で見ないでくれませんかね!? 俺自身今の状況よく分かってるから!」

 

「灰原にバレたら絶対怒られるよ? ここに来てるし」

 

「マジかよ・・・絶対見つかったらヤバいパターンじゃねえか・・・って痛っ!」

 

 コナンとやりとりをしていると、俺の頭を叩かれた。全く、誰なんだ!? 振り向いてみると、そこには怒った顔をしていた千速さんがいた。やべえ、千速さんに消されるかも・・・・・

 

「犯人に追われてるのに随分と余裕だなあ、白銀? ん? 意識が戻った瞬間病院抜け出すアホがどこにいるんだ? 私に教えてくれないか?」

 

「すみません、ここにいます。あとでいくらでも説教受けるから、今は犯人から逃げるのが優先です」

 

「おい、少年、先導しろ。犯人を宇宙と科学の島の噴水広場にまで誘い込む。白銀が陣平達に指示を出して犯人を捕まえるように手を打ってるそうだ。蘭ちゃんの方は・・・白銀がしっかりエスコートしてやれ。私は、状況を見ながらフォローする」

 

「うん、分かったよ。白銀さん! 蘭姉ちゃんのことお願い!」

 

 え、どうしてみんな俺に蘭ちゃんのこと頼むの? 怪我人より千速さんかコナンが連れてく方が絶対正解だよ? 俺は囮になりながら犯人をけん制するつもりだったんだけど・・・・

 って、そういやずっと手が掴まれたまんまだな? なるほど。蘭ちゃんが全然手を離してないのね。

 

「そういうことだけど大丈夫、蘭ちゃん? こんな得体のしれない奴だけど」

 

「あ、すみません! 白銀さんですよね? 覚えてないんですけど、なぜだが安心しちゃって。迷惑ですよね・・・?」

 

「その手、絶対離さないように。君のせいじゃないんだから気にしちゃだめだよ。ってマズイ! 急ぐぞ、みんな!」

 

 俺がそう言うと、ピストルの発射音が聞こえ、少し離れた位置にいる子供が持っていた風船に当たり割れた。ちくしょう、蘭ちゃんを消せれば他はどうなっても良いのかよ!

 

「こっちだよ!」

 

「急げ、白銀! 蘭ちゃん!」

 

「行くよ、蘭ちゃん!」

 

「は、はい!」

 

 俺達は犯人からの逃走劇を開始し、コナンを先頭についていくとボート乗り場が見えてきた。なるほど、ボート乗って隣の島に行くのが一番早いルートだな。

 やべえ! 犯人の野郎、めちゃくちゃ追って来てるじゃねえか。足早くない? いや俺が遅いだけか。くそっ、発明品のクマちゃんスーツなら走りやすいように改良されてるんだが、無い物強請りしても仕方ねえか。

 

「助けて、変な人が!」

 

「操縦は私に任せろ!」

 

「蘭ちゃん、あそこの一番大きいボートに飛び乗るよ! すいません、ちょっとボート借りますね!」

 

「え?」

 

「ちょっと君達!?」

 

 俺達はボートに飛び乗り、千速さんの運転で発進した。犯人もおそらくボートに乗って追って来るだろうから、どこかで差を付けたいんだが。このまま鬼ごっこを続けても俺の身体が持つかどうかだな。さっきの千速さん庇った時に、弾かすった左肩が痛み始めやがった。

 他の箇所の傷は開いてないが、このまま続けるとどうなるか分かんねえな。着ぐるみ着てるから血が出てもバレにくいが、呼吸とか走った時の動きは誤魔化しが効かなくなるだろうな・・・・・

 

「あの、大丈夫ですか? ボートに飛び乗る前からしんどそうに見えたので」

 

「ははは、大丈夫だよ。着ぐるみ着て走ってるから、しんどくなっただけだよ。流石に頭は取るとするかな」

 

 俺は着ぐるみの頭を脱いで開いている場所に置くと、蘭ちゃんが驚いた顔をしており、更に手を強く握ってきた。

 

「どうしたの、蘭ちゃん? 犯人に追われて不安になった?」

 

「い、いえ。ようやく顔が見れたので、何でか分かんないですけど凄く安心したんです」

 

「そっか。それなら良かった♪ 千速さん! もうちょいスピードは出せそう?」

 

「無理だ! 今のスピードが限界だ! 声だけだとホントに白銀か?って感じだったが顔見て、ホントに病院抜け出して来たんだなって痛感したよ。少年もそう思うだろう?」

 

「う、うん、そうだね。白銀さん、しんどそうだけど噴水広場までは体力持ちそう?」

 

「当り前だ。その為に来たんだからな。松田さん達も待機させてんだ。絶対にそこでケリ付けるぞ。隣の島に渡ってボートから降りたら引き続きコナンと千速さんは、俺達の先導で、俺は蘭ちゃんの護りながら動く。

 蘭ちゃんは俺から離れないようにね」

 

「まったく、事件が関わってピンチに追い込まれれば追い込まれるほど別人になるな、白銀は」

 

「白銀さんはいつもこんな感じだよ、萩原刑事? 怪我して無茶するのもね。ったく、蘭姉ちゃんや俺達の気も知らないでって感じだけど」

 

「酷い言いようじゃない、コナン? そんないつも無茶して・・・・るなあ」

 

「あのう、もう大丈夫なんじゃないですか? 白銀さんは早く病院に戻った方が・・・」

 

 蘭ちゃんがそう言った瞬間、右の岩場の方からボートの音が聞こえてきたので、彼女を庇うようにした。千速さん達も気づいてんな。くそっ、ここで鉢合わせると遮蔽物も何も無いから、良い的だな。投げれるのは、この着ぐるみの頭ぐらいか?

 

「いや、まだだよ。蘭ちゃん、その位置から動かないでね」

 

「ちっ、もう追いついたのか。少年、何か犯人の目くらましできそうな物はあるか?」

 

「ごめんなさい、持ってないや」

 

「千速さん! 缶みたいな物ある?」

 

「私のバッグにさっき買ったジュースの缶ならあるが・・・」

 

「コーラの缶なら私も持ってます!」

 

「蘭ちゃんもありがとう。後で使うかもしれないから持ってて。千速さん、そのジュース缶もらうよ」

 

「どうする気だ!?」

 

「それはもちろんこうするつもりさ!」

 

 俺は千速さんのバッグからジュース缶を取り出して、岩場の陰から出て来たボートに向かって投げつけた。その缶は、運転していた犯人へと当たり、怯んで距離を少し取った後、銃で狙う為に再度近づいてきた。

 この距離なら、コイツもあげれるぜ♪ 近づいてきたボートに向かって、着ぐるみの頭を投げると犯人は驚きとっさにスピードを落とし、距離を空けることができた。

 

「千速さん、今だ!」

 

「無茶苦茶だな、白銀は! 分かってる!」

 

「この先は確か滝だよ! そこを超えたら隣の島だよ!」

 

「え!? 滝なんですよね!? 大丈夫なんですか!?」

 

「千速さん、このままのスピードで突っ込んで!」

 

「もちろん、そのつもりだ! みんな捕まってろよ!」

 

「うん、分かったよ!」

 

「蘭ちゃん、俺にしがみついて! その手を離しちゃ駄目だよ!」

 

「え? は、はい! きゃあああああ!」

 

 ボートはスピードを落とさずに滝に向かって突っ込み、そこから凄い勢いで飛んで着水し隣の島の岸が目の前に見えてくるのだった。




今回はここで区切らせてもらいますm(__)m
次かその次で瞳の中の暗殺者編は終わり、アンケート結果一位のピアノソナタ月光殺人事件編に入りたいと思います!


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68話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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<偵光side>

 

 犯人とのボートレースを繰り広げながらもなんとか、『野生と太古の島』から『冒険と開拓の島』へと来ることが出来た。俺はボートにいる間に着ぐるみを脱いでいた。流石にこのままだときついからな。後で千速さんや松田さん達に頼んで回収しておいてもらおう。よし、血は滲んでないから大丈夫そうだな。包帯多めに巻いてて正解だったな。

 おっと、もう着いたのか。俺達はボートから降りて小島を登っていった。千速さんとコナンは大丈夫そうだが、蘭ちゃんは体力が切れてきたのか、壁に寄り添い休んで呼吸を整えていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「蘭姉ちゃんもう少しだから頑張って!」

 

「あと少しで山頂だ! 蘭ちゃんもう少しだ! 白銀は大丈夫か!?」

 

「俺は大丈夫だよ。蘭ちゃんはちょっと厳しそうかな? 犯人も追って登って来てるだろうから、ちょっと急ぐよ。ごめんね、文句は後で聞くから」

 

「え? ひゃあ!」

 

 俺は蘭ちゃんをお姫様だっこのような形で抱えた。この怪我の状態でこれはちょっとしんどいけど頑張るしかねえか。蘭ちゃんは顔真っ赤だし、千速さんとコナンがすんごい目で見てるけど今は気にしたら負けだ。

 ん? 銃声? もう上がって来たのか!? 俺は蘭ちゃんを抱えて階段を上り始めたら、背後の岩場に弾が当たる音がした。あぶねえ、間一髪じゃねえかよ!

 

「もう追って来たのか!? 白銀、急いで登りきって岩陰に隠れるんだ!」

 

「白銀さん、早く!」

 

「分かってる! 蘭ちゃんしっかり掴まってろよ。犯人が怖かったら顔隠してて良いからね」

 

「は、はい!」

 

 俺達は急いで頂上まで登りきり、岩陰に隠れて蘭ちゃんを下した。やべえ、さっきので結構体力持ってかれたな。さっき撃たれた箇所の痛みも増してきてるし、傷も開いたかもしんねえな。他の撃たれた箇所も痛み始めやがったし、呼吸も荒くなってきてんな・・・。

 千速さんとコナンには気づかれてんな、こりゃあ。俺の方を心配そうな顔で見てるし、蘭ちゃんにまでは心配かけないようにしないと。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「あの、大丈夫ですか? もしかして私のせいで傷が開いたんじゃ? 」

 

「大丈夫。ちょっとはりきりすぎたから疲れただけだよ。それより、蘭ちゃんすぐにそこの穴に入れるように準備してて。犯人が来たらすぐに飛び込むよ」

 

「は、はい・・・」

 

「白銀さん! 僕が推理でちょっと時間稼ぐからその間少し休んでて。萩原刑事は、僕が指示したら穴の中に飛び込んで先導して。白銀さんと蘭姉ちゃんはその後に続いて」

 

「了解した、少年一人で大丈夫か?」

 

「そこは俺がフォローするよ。犯人の狙いの一人は俺だからな。千速さんは蘭ちゃんのことお願い」

 

「私が迷惑かけたので、今度は私が白銀さんを助けます」

 

「やれやれ。白銀のことは頼んだぞ、蘭ちゃん」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

「ちょっと千速さん!? はあ、仕方ないか。ただ、コナンのフォローしたら降りるようにするよ。コナンだけ残して行くのは心配だからな」

 

「白銀さんは自分の身体のことの方を心配するべきだと思うよ。犯人が来たみたいだから出るね!」

 

 そう言ってコナンは岩陰から身を出して、犯人がいる位置に向かって話しかけ推理ショーを始めた。そして、犯人は姿を現し、その犯人の姿を見て蘭ちゃんは驚いていた。そりゃあ、自分を診てくれたいた心療内科の風戸先生が犯人だから驚くわな。コナンの推理は確信を得ており、俺の推理と同じ考えだった。これなら犯人も認めざるを得ないだろうよ。

 ただ、自分の犯した殺人がバレないようにするためだけの理由で、美和子や千速さん、蘭ちゃんを襲ったのは絶対許せねえな。お、コナンの指示が来たな。あれ、千速さんがコナンの背後に近づいてるな? なるほどね。面白い物が見れそうだ。

 

「硝煙反応のトリックは・・・え? うわぁ!?」

 

「アンタが警察に捕まった後の取り調べでしっかり教えてやるさ。さあ、逃げるぞ、少年♪」

 

 千速さんは、コナンを抱え穴の中に飛び込んだ。

 

「俺達も後に続くよ、蘭ちゃん! 先に飛び込んで! ってちょっと押さないで!?」

 

「白銀さんが先です!」

 

 俺は蘭ちゃんに押され、先に穴の中へと入り降りていった。中は滑り台となっており、すぐ後ろには蘭ちゃんがいた。これ絶対立場逆だよなぁ。犯人の野郎は追ってきてねえみてえだな。ここで差を付けれると良いんだが、難しそうだな。

 滑り台を最後まで滑り降りると、千速さんとコナンが待機していた。コナンは不満顔で千速さんは反対にニコニコ笑顔だった。絶対楽しんでるな、この人。

 

「千速さんに文句言っても無駄だぞ。その人、自分の考え曲げないタイプだろうからな。それで不満顔のコナン君? ここからどうする?」

 

「私のことよく分かってるじゃないか、白銀♪ 白銀のフォローは蘭ちゃんに任したから、私は少年のフォローに周るようにしたんだ♪」

 

「うぐっ。こっちの立ち入り禁止の札の方の先のトンネルを通って本島に逃げよう。そこから『科学と宇宙の島』の噴水広場に向かうよ。みんな行くよ!」

 

 コナンの指示に従い、トンネルを走り抜け階段を上り、本島へと来ることができた。蘭ちゃんには俺のペースに合わせてもらってるから、千速さんとコナンと少し離れてしまっていた。

 

「ここは、どこなんですか白銀さん?」

 

「『冒険と開拓の島』の本島に着いたみたいだね。俺達があの離島から通って来たトンネルが海の下で繋がってるんだよ。それにしてもこのテーマパークホント金かけてんなぁ」

 

「そうなんですね。凄いテーマパークですよね。あ、コナン君達いましたよ! 急ぎましょう!」

 

「そうだね・・・・危ない、蘭ちゃん!」

 

「・・・・え?」

 

 コナン達はアトラクションの川の近くの岩場にいるのが見えたので、そこに向かってると、銃声がまた聞こえたので、前を走っていた蘭ちゃんを引っ張り、近くの岩場の裏にすぐに隠れた。くそっ、ボートで渡ってきて追いついたのか!

 

「まだ、話の途中だったな? 君達に硝煙反応のトリックを解かれたら困るんだよ。私も佐藤刑事や白銀君を撃った容疑者の一人になってしまうからね。推理が合ってるかどうか聞かせてもらおうか? ねえ、白銀君? コナン君の推理も君が裏で糸を引いていたんだろう?」

 

 やれやれ名指しされちまったか。こりゃあ、俺が推理披露しないといけないパターン? コナンにバトンタッチしたいんだけど、そうはいかないか・・・。俺は三人に大丈夫だと合図を送り、話始めた。

 

「もし蘭ちゃんや俺の目撃証言があっても硝煙反応が出なければとぼけれるって訳か?」

 

「そういうことだ。蘭君や君に見られたのは一瞬だったからね。だが、危険な芽は摘んでおこうって訳さ。さあ、聞かせてもらおうか? 君のお得意の推理って奴を」

 

 俺はコナン達に近くの川に飛び込めるように準備をしておくように、犯人からは見えないように合図を送り、推理ショーを始めた。コナンと千速さんは分かってくれるだろうが、蘭ちゃんは・・・俺が引っ張っていけば良いか。

 

「得意ってほどでもないんだけどな。まあ良いでしょう。まず貴方は俺が女子トイレに来るように仕向ける為に、ホテルの十五階を停電させる前に偽の爆弾を仕掛けた。そしてその後、俺達がトイレに行くタイミングを見て、配電室に仕掛けておいた爆弾を爆発させ十五階を停電させた後、手術用の手袋をはめて、傘立てにあらかじめ用意しておいたビニール傘を持ち女子トイレに駆け込んだ。

 その傘の先端に前もって穴を空けておき、そこから銃を突き出して撃ったってとこだろうよ。こうすることによりビニール傘が火薬の粉と煙から貴方を護ってくれる訳だ。だから警察が調べても硝煙反応が出なかった。手袋はおそらく犯行後に男子トイレから流して捨てたって所でしょうかね」

 

「正解だよ、白銀君。やはり君達には死んでもらうしかないようだ」

 

「白銀さん?」

 

 俺は蘭ちゃんを安心させるように手を握りながら言った。

 

「大丈夫。俺達を狙うのは勝手ですが、それなら急いだ方が良いと思いますよ? 警察が貴方を逮捕しにここに向かってるでしょうから」

 

「・・・何だって? 今上着の内ポケットに手を入れて何をした!?」

 

「俺が何もせずにここに来たと思ってるんですか? ビニール手袋はウチの所員に頼んで見つけてもらい警察に鑑定してもらいました。貴方の指紋が中から採取されたそうですよ? 

 それにビニール傘の購入した場所も調べあげて貴方が買ったと証言ももらいました。それでその傘も警察が鑑定済みです。

 さあ、ここまで言えば分かりますね? それとさっきの俺の推理と貴方の証言ですが、俺の携帯を通話モードにして小五郎さんと繋げていたんで、小五郎さんは目暮警部達とこちらに向かってるんで、全部聞かれたでしょうね。さあ、どうします?」

 

 俺が不敵に笑いながら犯人を追い詰めると、コナンと千速さんがドン引きしていた。そこまで引かれるようなことしてなくない!? 

 蘭ちゃんは何か知らないけど、目がキラキラしてるし蘭ちゃんみたいな反応も困るんだけど・・・

 

「貴様ぁぁぁ! 貴様だけは絶対殺す!」

 

「コナン、千速さん、今だ! 蘭ちゃん、飛ぶよ!」

 

「了解した! 行くぞ、少年!」

 

「うん、分かってるよ!」

 

「は、はい!」

 

 そう言って、俺達は走り出し、アトラクションのボートが来たタイミングでそのボートへと飛び込んだ。千速さんとコナンは川に入り潜ったな。後は俺達だけか!

 

「蘭ちゃん! 息をめいいっぱい吸って!」

 

「は、はい! すうー」

 

 俺は蘭ちゃんを抱え川へと潜りボートの下へと隠れた。よし、これなら銃弾も躱せるな。犯人からの死角へと入り銃弾が止んだ。

 ここなら大丈夫だな。俺は千速さんに合図を送り、蘭ちゃんと一緒に水面から顔を出した。いてて、水に潜るとやっぱり傷に染みるなぁ・・・

 

「ぷはっ! いつつ、みんな大丈夫?」

 

「ぷはっ! 私も大丈夫です」

 

「ぷはっ! まったく次から次へと無茶をするな、白銀は。私は大丈夫だ。少年大丈夫か?」

 

「ぷはっ! うん、大丈夫だよ! それにしても白銀さん、さっき言ってたのはホントのことなの?」

 

「まあな。俺がこうまでしてここに来てるんだ。犯人とケリ付ける為に、完全に逃げ場を無くしておかないと分かんないからな。逆上して蘭ちゃんや千速さんより俺にヘイトを向けるのも計算通りだったしな。九時過ぎぐらいには小五郎さん達や警察もここに来るだろうよ。

 あと俺がトロピカルランドにいるって情報も七槻ちゃん達に頼んで八時過ぎたら、美和子や他の事務所員や会社員達に流すようにしてるからすげえ数の警察や人が俺を探しにここに集まってくるようにも仕向けたからな。犯人の逃げ場はもうねえよ。俺の逃げ場も既に無いんだが・・・

 これ終わったら俺生きてられるかなぁ・・・・」

 

「あはは・・・そこまでしてたんだね。白銀さんの件は自業自得じゃない? 怪我の具合も悪化してるでしょ? 白銀さんの動きのキレ具合が悪くなっていってるし。その状態でも常人離れした動きしてるから怖いんだけど」

 

「少年の言う通りだな。ここまで無茶して心配させてるからな。さっき水中にもぐった時痛そうな顔をしてたな? 既に傷が開いているだろう? おそらくパレードの時に私を庇った時も銃弾が当たったんじゃないのか?」

 

 

「そんな!? 大丈夫なんですか、白銀さん!? 早く治療してもらわないと! すみません、私のせいで・・・」

 

「うぐっ、やっぱり千速さんとコナンにはバレてたのね。上手く誤魔化してたんだけどな。蘭ちゃんのせいじゃないって言ったでしょ? これは俺の自業自得なの」

 

「あのう、どうして白銀さんはここまで私のことを護ってくれるんですか?」

 

「それは・・・蘭ちゃんと約束したからね。何があっても絶対に護るってね。それに、かわいい妹を護るのは兄として当然だからね♪」

 

「そ、そうですか・・・。あの顔で急にそんなこと言われたら恥ずかしいです」

 

 ありゃ? 蘭ちゃん安心させるように真剣に言ったんだけど、すごく顔が真っ赤になってない?  後半ボソボソ喋っていて聞こえなかったし。え、もしかして怒らせた!? 

 って痛いよ、千速さん!? どうして抓ってるんでしょうか!? そこ撃たれたとこの近くなんですけど!

 

「こほん! 犯人にまだ追われているというのに随分と余裕だな、白銀? それと、少年の前でイチャイチャするのは辞めてもらいたいんだが? やっぱり傷が開いてるじゃないか。まったく、君は本当に危ういな。陣平以上に心配で目が離せんぞ」

 

 千速さんがニコニコ笑顔でそう言ってきたんだけど、すごく怖いんですけど!? やべえ、クリスや美和子達がマジ切れしたパターンに似てやがる!

 

「なあ、コナン? めっちゃ千速さん怒ってない? なんで?」

 

「あはは、ボクしーらない」

 

「全く君という奴は。こんなんだと美和子も苦労するな。まあ良い。それより科学と宇宙の島に着いたら私も君のサポートに付く。走るのもしんどくなってきてるだろう? 蘭ちゃんも一緒に白銀の補助手伝ってくれるか? 私一人だと厳しいしな。

 少年は私達を先導してくれ。あと犯人に気づいたらすぐに教えてくれ」

 

「は、はい! もちろんです!」

 

「うん、分かったよ!」

 

「そうですね。正直限界が近いですね。噴水広場まではもつかどうかギリギリです。すみません、千速さん、蘭ちゃん。助かるよ。噴水広場まで行けば俺達の勝ちだ。そこでこの事件のケリを付ける」

 

 そうして俺達は科学と宇宙の島の噴水広場へと向かうのだった。




次回で瞳の中の暗殺者編は終わりです。
申し訳ありませんが、仕事等で忙しくなってきたので更新ペース落ちますm(__)m


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69話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 
 
 今回で瞳の中の暗殺者編は終わりです。次回からは新章に入ります!


<偵光side>

 

 俺達は何とか科学と宇宙の島へたどり着き噴水広場へと向かっていた。観覧車が見えて時計を確認してみた。

 コナンが言っていた九時まではもう少しか。九時になると噴水広場は特殊な仕掛けが作動するようになってるらしい。

 その仕掛けを使えば、上手く犯人をやり過ごせることができるかもしれないそうだ。俺の方は犯人の銃を狙撃してくれって頼んでるんだが、そこは松田さんならそんな仕掛けが発動しても上手くやってくれるだろう。

 山川さんやクリス、イレイナさんや透が米花町にいたなら、あの人らに犯人制圧頼んだんだけど、出張中でいないし無い物ねだりしても仕方ないよな。

 いたたた。蘭ちゃんと千速さんに支えられているがマジでしんどくなってきたな。こりゃあ早く先生のとこ行かないと、マジで怒られるし、俺のせいで逃げるスピードがだいぶ遅れてしまった。やべえな、このままだと噴水広場に着くまでに追いつかれるか?

 

「見えたよ! あそこの階段を下りれば噴水広場だよ、三人共! 白銀さんは大丈夫!?」

 

「大丈夫だ! こっちの方は気にすんな! すぐ追いつく!」

 

 コナンにそう言って返答すると、蘭ちゃんがハンカチで俺の顔の汗を拭いてくれた。

 

「大丈夫ですか? すごい汗ですよ?」

 

「そうだな。それに体温も高くなってきているぞ。熱も上がって来てるかもしれないな。くそっ、早く病院に連れて行きたいのだが・・・

 

「ありがとう、蘭ちゃん。千速さんもごめんね、重たいでしょう?」

 

「これぐらい大丈夫だから気にするな。肩を貸してるだけだしな。白銀はふらふらするとかは無いか?」

 

「傷が痛むぐらいで後は大丈夫。それより、早く階段を降りよう。噴水広場はもう目の前だ。蘭ちゃんもごめんね、そのハンカチ洗って今度返すから」

 

「いえ、気にしないでください。ハンカチは大丈夫です。白銀さんの体調の方が心配なんですから、私のことより自分のことを気にかけてください。階段は危ないので気をつけて降りましょう」

 

 二人に支えられながら、階段を降り噴水広場の中心に向かっているとコナンが俺達の背後を見て何かに気づき叫んだ。

 

「危ない!」

 

「「きゃあ!!」」

 

「ごふっ・・・」

 

 俺はとっさにコナンの方に千速さんと蘭ちゃんを突き飛ばし、3人を庇うようにして位置を移動した。その直後にわき腹に痛みが走った。

 やべえ、完全に当たったな。3人には怪我は無いみたいで良かった。

 

「白銀さん大丈夫!? 血が!?」

 

「掠っただけだから大丈夫だ・・・ごふっ」

 

「何を言っている!? 私達を庇って銃弾が当たってるじゃないか! わき腹から出血もしてるし、口からも....,早く処置しなければ・・・」

 

「白銀さん、口から血が!? 大丈夫ですか!?」

 

「あはは、心配しなくても大丈夫。このぐらいならまだ大丈夫だから。みんなに怪我が無くて良かったよ・・・」

 

「ここで終わりにしようじゃないか、白銀君。君達にはもう逃げ場がない」

 

「くそっ、九時まではもう少しあるのに・・・。良いのか? ここで白銀さん達を殺すと友成真さんの無実が証明されちまうんじゃねえのか?」

 

「そうなんだよ。友成は逮捕前に消すつもりだったが、仕方がない。さて、ここはやはりレディーファーストかな?」

 

 そう言って犯人は蘭ちゃんと千速さんに銃を向けたので、俺は二人を背に庇うようにして犯人と対峙した。九時まではもう少しか。時間を稼ぐとしますかね。

 

「こういう時だけ女性優先にするんじゃねえよ。アンタが一番消したいのは俺だろう? やるなら俺からにしろ」

 

「白銀、何を言ってるんだ!?」

 

「白銀さん、辞めてください!」

 

「おやおや、カッコいいね。さすが色男は違うね。そんなにお望みなら君からにしてあげよう。僕の計画を台無しにしてくれたからね。残念だったね、白銀君、君の負けだ」

 

「はっはっはっ!」

 

「何がおかしい?」

 

「俺の負けって面白いことをアンタが言うからだよ。ここに来た時点でアンタの負けだよ。10、9、8、7、6、5、4・・・」

 

「ふっ、何かのおまじないかい? それにそんな負け惜しみを言ってもね」

 

「「「3、2、1・・・」」」

 

 蘭ちゃんと千速さんも俺の掛け声と会わせてカウントが0になった瞬間、この広場に水が湧きだした。

 こちらからは犯人の銃を持っている手だけが見える状態になり、蘭ちゃんはそれを見て驚いていた。

 この噴水の演出が終わったら勝負だな。俺は噴水が終わってすぐに動ける体制になり待機していた。

 ちっ、銃弾受けすぎて痛みは酷いし、意識も朦朧としてきやがった?満足に動けるか微妙なとこだが気張ってやるしかないな。

 

「・・・あ!?」

 

「少年はこれが狙いだったのか!?」

 

「うん、そうだよ。危ないから僕から離れて。白銀さんも休んでて!蘭姉ちゃん、コーラの缶借りるよ」

 

「待てコナン。俺がヘマしたらそいつを蹴って犯人にぶつけろ。この噴水が終わったら松田さんが仕掛けてくれるはずだから、それと同時に犯人を制圧する。悪いが千速さんと蘭ちゃんのこと頼むぞ。二人とも文句は後で聞くから、今は俺を信じてくれ」

 

「・・・・うん、分かったよ」

 

「分かったよ・・・なんて言うと思ったか! お前と同時に私も動くぞ、良いな? 守られてばかりは嫌なんでな。少年、蘭ちゃんのこと頼むぞ」

 

「千速さんにも危ないことして欲しくないんですけど、俺が言えた義理ではないか。蘭ちゃんもう少しで怖いの無くなるから我慢しててね」

 

「・・・はい」

 

「噴水が止まれば終わりだ。もうあきらめるんだな!」

 

 犯人がそういうと、噴水は徐々に収まってきた。声からしてこっちの方角だな。噴水がだんだんと弱まり、お互いの顔が見えるようになってきた。

 

「死ねえええええ! がはっ! 何だ!?」

 

 犯人は銃をこちらに向けて構えていたが、銃が何かに当たり彼の手から離れた。ナイス、松田さん! 絶妙なタイミングでドンピシャだよ! 俺はそのチャンスを逃さなかった。

 

「だから言ったろ? こっちの勝ちだってな!」

 

「散々やられた礼は返させてもらうぞ!」

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

「ぐはああああああ!」

 

 俺と千速さんは、犯人の懐に飛び込み鳩尾にキツイ一発をお見舞いし、犯人は膝をつき、コナンが蹴った空き缶を顔に受けて倒れこんだ。

 ふう、どうやらこれで一件落着かな。コナンのやろう、動くなって言っておいたのにしょうがねぇな。流石にすぐに起き上がってくることは無いだろう。

 

「白銀さん、萩原刑事、すごいね、二人とも!」

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

「蘭ちゃん・・・?」

 

「蘭ちゃん、記憶が・・・」

 

 背後で物音がしたので、俺はすぐに振り向いたが首を掴まれ地面に抑え付けられた。しまった! まだ、犯人のやろう意識があったのか!? 

 くそっ、安心してたのと傷のせいで身体がまともに動かせねえ。犯人はサバイバルナイフを出し俺を刺し殺そうとしていた。

 

「貴様だけは片付けてやる!」

 

「くそっ、ぬかった・・・」

 

「白銀!?」

 

「白銀さん!?」

 

 犯人は二人が動くよりも早く俺にナイフを振り下ろしてきた。その瞬間、キンと音がなりナイフの刃が折れていた。え? 今蘭ちゃん、ナイフの刃蹴って折ったよね・・・? 嘘でしょ!?

 犯人も真っ青になって嘘って言ってやがるし、そりゃあそうなるよね。俺もたぶん同じ顔してる気がする。

 

「何もかも思いだしたわ! 貴方がお兄ちゃんや佐藤刑事を撃ったことも。私が空手の都大会で優勝したこともね!」

 

「空手・・・都大会・・・優勝!?」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! せりゃあ!」

 

 蘭ちゃんは得意の空手で犯人をフルボッコにして、犯人は完全に気を失っていた。うわあ、蘭ちゃんを怒らせるのだけは絶対にやめよう。俺もああなりかねん。って、やべえ、流石に限界が・・・

 俺の意識はそこで途切れるのだった。

 

 

<偵光side out>

 

 

<ベルモットside>

 

 私は偵光が事件に巻き込まれたと聞いて仕事を急いで終わらせて、彼の入院している病院へと足を運んでいた。

 昨日、意識は戻って元気そうにしていると美和子達か聞いたから安心なのだけれども、あの子は、また病院から抜け出してさらに大けがして戻ってきたみたいね。どうしていつも同じことを繰り返すのかしら? 

 今回はAnjelや美和子が襲われたから仕方ないんだろうけど、それにしても自分が無茶して良いってことにはならないわよ! 心配するこちらの身にもなりなさいよね! 先生にもお礼をしないといけないわね。

 私と彼が出会った時に診てもらった以来の付き合いだから、偵光が抜けだすのを分かってて、今回は色々としてくれたみたいだしね。

 ここが偵光の病室ね。私はノックをして、どうぞという声を聞いて病室へと入った。そこには、大けがをしていたとは思えないぐらいに元気な姿の偵光がベッドでこちらを見ていた。

 

「今度はクリスかよ・・・って、急に抱き着くな・・・いたたたた! まだ、怪我が完治した訳じゃないんですけど!?」

 

「私を心配させた罰だと思いなさい! まったくどうして貴方は昔からそうなのかしら? 私にいつも心配ばかりかけさせて・・・

 怪我の状態はどうなの?」

 

「銃弾受けすぎて怪我が完治するまでは安静にだとよ。流石に無茶しすぎたわ。怪我の治りは早いだろうから、先生も心配はないだろうだってさ。

 入院生活ってマジで暇なんだよなー。ってか、山川さんや透、幸ちゃん達はどうしたんだ? お前と一緒だったはずだろう?」

 

「私だけ急いで帰ってきたのよ。他の出張組のメンバーも急いでこちらに帰ってきてるそうよ。こってり絞られなさい♪

 そういえば、anjelは大丈夫なの? 記憶喪失になったって美和子から聞いたのだけど」

 

「記憶もちゃんと戻ったから心配するな。経過観察と異常がないかで、まだ数日はこの病院に入院するそうだけど、それが終わったら普通の日常に戻れるだろうよ。

 蘭ちゃんや美和子、千速さんが大事にならなくて良かったよ。俺が身体張った甲斐があったよ。大怪我して良い理由にはならないし、お前やみんなには心配かけたな。悪かったよ」

 

彼はそう言い、私の頭を撫でながら言った。本当にこの子は、こちらの感情を察知するのが早いんだから・・・・

 

「まったく、もう。貴方がちゃんとこうして元気になってくれるんだから良いわよ。死なないでっていう約束はちゃんと守ってくれてるし、私達が無茶しないでって言っても誰かを助ける為なら無茶するのは変わらないし、他の人達からも怒られるだろうから、私からはそこまで言うことは無いわよ」

 

「その約束だけは、絶対守るって決めてるからな。死ぬつもりはさらさらねぇよ。だいたい俺が探偵事務所は会社立ち上げて頑張ってるのは、死なないようにする為だからな。

 はぁー、みんなから怒られるのはメンタル的にキツイからな。なあ、クリス、助けてくれない?」

 

「自業自得よ♪ あ、そうだ。幸から伝言があったのよ。仕事の依頼が一件と、探偵事務所に新しい面接希望者が1人いるらしいのよ。それをどうするか伝えて欲しいそうよ」

 

「仕事の依頼に面接希望者? 内容を教えてもらえるか?」

 

「仕事の依頼については、麻生圭二って人物から連絡があって依頼料とこの手紙が来ていたそうよ。読んでもらえるかしら?」

 

「えーと、なになに。『満月の夜 月影島で再び影が消え始める 調査されたし』って何だ、この意味深な文面は? 満月の夜って言われても、いつのこと指すんだ? 

 うーん、分からん。山川さん達に頼んで月影島に行ってもらうか?」

 

「それはダメね。貴方ご指名の依頼らしくて、幸が連絡したら貴方が退院して動けるようになってからで良いそうよ。そんなおかしな依頼だったから、偵光に確認してくださいって頼まれたのよ。どうするの?」

 

「どうするも何も、こんな依頼出されたら気になって仕方ねぇよ。幸ちゃんにはこの依頼受けるって連絡しておいてくれ。で、面接希望者はどんな人なんだ?」

 

「分かったわ。はい、面接希望者の履歴書よ。名前はエレニカ・ラブレンチエワよ。29歳のロシア人女性で、白銀探偵事務所で働きたいと思ってわざわざ日本に来たそうよ。ロシアでは捜査官で色々なスキルも持っているそうよ。

 白銀探偵事務所で働きたいって理由以外に怪しい所は無かったわ。経歴も真っ当だし、どうするかは貴方しだいね」

 

また、新しい女性が増えそうね。こちらの心労も気遣って欲しいわね。わざわざロシアから来るなんて何か理由がありそうだし、入ったら絶対に偵光の毒牙にかかっていきそうね。

 まあ、今更ね。怪しい動きをしたら私達が対処すれば大丈夫でしょう。

 

「そう言いながら、そのジト目で見るのは辞めて欲しいんだが。

ふーん、ロシア人ね。ウチで働きたいって物好きだよな。優秀な人が入るには助かるし、クリスが調べても怪しい経歴が無いなら、入れても良いと思うぞ。ただでさえ人手不足だしな。

 それに何か裏がありそうなら直接会って見極めるさ。山川さんにはエレニカさんの面接して、採用しておいてって連絡しておくよ」

 

「ホント貴方って昔からお気楽よね。そこが偵光の良い所なんだけど。小さい時から面倒見てるけど、貴方と過ごしてきた時間は退屈しないし、幸せでかけがえのない物よ、ふふふ♪」

 

私は偵光の無事を実感しながら、楽しい時間を過ごすのだった。

 

〈ベルモット side out〉

 

〈毛利 蘭 side〉

 

 私は事件が終わって記憶も無事に取り戻し、病院で検査も受けて異常が無いということですぐに退院できた。日常生活を取り戻すことが出来たのは、萩原刑事達、コナン君、お父さん、お母さん、園子達の助けがあったからだ。中でもお兄ちゃんの功績が一番大きかった。

 私や佐藤刑事が拳銃で撃たれるのを庇ってくれたし、私がトロピカルランドで犯人に狙われてる時も命懸けで守ってくれたんだよね。お兄ちゃんが居なかったら、私はこうして元気に出歩けていないだろう。

 記憶が戻ったと同時に、お兄ちゃんへの気持ちを完全に自覚してしまった。お兄ちゃんが他の女性といるのを見ていてずっとモヤモヤしてたのは、ヤキモチを焼いていたと分かりスッキリした。

 うー、あんな風にずっと助けられたりしたら、そうなっちゃうよ。ライバルはたくさんいるし、私なんか妹みたいしか思われてないんだろうな。って弱気になったらダメよ! 報われないとしても頑張るって決めたじゃない! 

 お兄ちゃんを好きな人達だって同じ気持ちで頑張ってるんだから、私も頑張らないと! それに、今日はお礼を言いにきたんだから! 

 私は意を決して、お兄ちゃんの名前が書かれている病室のドアをノックした。

 

「はーい、どうぞー」

 

「こんにちは、お兄ちゃん! 怪我の状態もだいぶ良くなったみたいだね!」

 

「蘭ちゃん? こんにちは。1ヶ月ぶりぐらいかな? そうだね。怪我もほとんど治って、そろそろ退院できそうだよ。蘭ちゃんも元気そうで良かったよ♪」

 

「お兄ちゃんのおかげだよ。私を助けてくれてありがとうございました!

これ、私が作ってきたお菓子だよ。良かったら食べて、感想教えてね♪お兄ちゃんの作ったお菓子に比べたら劣るかもしれないけど....」

 

「いえいえ、どういたしまして! 兄貴分としては、可愛い妹を守るのは当然だからね♪

 ありがとう♪ 蘭ちゃんの手作りお菓子嬉しいよ♪ もらうね! うーん、美味しい! 蘭ちゃんお菓子作りだいぶ上達したね! いやー、お菓子とか当分食べれて無かったからね。怪我の状態が良くなるまで禁止されてたからね」

 

「もうお兄ちゃんたら。そんなにがっついて食べなくても良いのに。口元にクッキーが付いてるよ。子供みたいなんだから。これで取れたよ♪ お菓子作りが上達したのは、お兄ちゃんや夏美さんに習ってるからね♪

 ねぇ、お兄ちゃん?」

 

「ありがとう、蘭ちゃん♪ ん、どうしたの?」

 

「これからも色々と甘えたりもしていい? 今回みたいにお兄ちゃんにたくさん迷惑かけたりしちゃうかもしれないけど......わっ!」

 

 私が顔を伏せてそう言うと、頭をわしゃわしゃと撫でられそれに驚き顔を上げるとお兄ちゃんが満面の笑みをしていた。

 あー、この顔見せられたらダメだなぁ。お兄ちゃんへの気持ちが溢れちゃうじゃない。

 

「こーら、蘭ちゃん! 子供が遠慮しなくて良いの! どんどん甘えなさい! 困ったこととかあったらいつでも相談しなさいなって....へ?」

 

 子供扱いされるのはちょっと納得いかないから、お兄ちゃんを驚かせるつもりで、私はお兄ちゃんの頬へキスをした。絶対私の顔真っ赤になってるだろうな。

 

「ふふふ。これは今回私を命懸けで守ってくれたお礼だよ、お兄ちゃん♪ 私はいつまでも子供って訳じゃないんだよ? お兄ちゃんの驚いた顔っていう珍しいものも見れたから、今日は帰るね! また、連絡するね!」

 

 私はお兄ちゃんの驚いた顔と行動できたことに満足し、笑顔で帰るのだった。

 

 




皆さんお久しぶりです!
コナンの映画見てきて熱が戻ったので更新再開していきます!
蘭もようやくヒロインの仲間入りです。
ゆっくり目のペースで更新していきますので、この作品を今後もよろしくお願いしますm(__)m


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ピアノソナタ『月光』殺人事件編
70話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 たくさんの方が作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 
 今回から新章突入です!


〈偵光side〉

 

 蘭ちゃんが記憶を失った事件も無事に解決し、その時の怪我も完治し退院することができた。入院生活中には、ホント色々なことがありすぎて大変だったけど。蘭ちゃんで思い出したけど、見舞いに来てくれた時の帰りに頬にキスされたけど、あれは驚いたなー。まさか蘭ちゃんにあんなことされるとは思わなかったな。うーん、完全に蘭ちゃんまでもあれだよなぁ。新一君だとは思ってたんだが、どうしてこうなった? 俺の日頃の行いのせいだよな。蘭ちゃんもクリスや美和子達を見習ってガンガン攻めてくるタイプだし、事務所や会社の人達からはコイツまたかよ。って感じで見られるし、俺の肩身はどんどん狭くなってきてるよ? コナンの奴には、蘭ちゃんのこと頼むって言われたし、萩原さんには何故か千速さんのことも頼むって言われたし、なんなんだろうな。蘭ちゃんのことは分かったが、千速さんまで頼まれる理由がマジで分からん。ドタバタしてて、あの事件以来千速さんとは話せてないんだよな。まあ、そのうち話す機会はあるか。

 それと、新しく入ったエレニカさんなんだけど完全に訳ありだよなぁ。一目見て何か抱え込んでるのがすぐに分かったし、違う目的の為にうちに入社したって感じだな。クリスと似たタイプだからすぐ見抜けたってのもあるが、聞いてみてもはぐらかされそうだし、どうするかな?

って、今はそれより月影島の依頼に集中しないと!

 それにしても、月影島に着くまで結構かかるなぁ。船に乗ってからだいぶ経つけどまだ着かないなー。

 

「何か考え事でもしてるの、シロガネ?」

 

「いや、海を眺めてぼーっとしてただけだよ。エレニカさんも入社してそうそう連れ回してごめんね。あれ? キャメルさんと水無さんはどうしたの?」

 

「全然大丈夫よ。白銀探偵事務所に入ることは私の夢だったもの。日本語もその為に勉強したしね。それにこうして探偵の仕事で、すぐに現場に来れるなんて私からしたらありがたいしね。キャメルは船に酔ったみたいで休んでるわ。レナは彼の様子を心配して付き添ってるわ。それで私はシロガネがぼうっとしてたから様子を見に来たのよ」

 

「なるほどねー。エレニカさんがやり甲斐を感じてくれてるなら良かったよ。うちの事務所に入るのが夢って言ってもらえてこんなに嬉しいことはないよ。ねえ、エレニカさん。一つ聞いても良い?」

 

「ええ、良いわよ。急に真剣な顔になってどうしたの? シロガネが真剣な顔してるなんて珍しいわね」

 

「それって酷くない? もし違ってたら悪いんだけど、エレニカさんってどうしてそんなに生き急いでるの? ある目的があって、それが達成できたら死ぬつもりでしょ?」

 

 俺の言葉にエレニカさんは一瞬動揺していたが、すぐに平静を装っていた。ちくしょう、やっぱり当たりかー。当たって欲しくなかったんだが、知ってしまった以上、放っておくことはできないな。教えてくれそうにはないが、集めれるだけ情報を集めますかね。

 

「っつ!? そんな訳ないでしょう。シロガネも面白いことを言うわね。どうしてそう思ったの?」

 

「エレニカさんみたいな目をした人を、身近で知ってるからね。それだからすぐに気づいたんだ。うちの事務所に入ったのも、その目的の為に情報を得やすかったからとかって思ってたんだけど、そっちの方は考えすぎだったみたいだよ。さてと、さっき言ったことは忘れてよ。俺の勘違いだったみたいだからね。キャメルさん達の様子も心配だし、行こう」

 

俺はそう言い歩き始めると、背後から服を摘まれた。エレニカさんが何か言い出すまで待っていると彼女はポツリと話はじめた。

 

「ねえ、シロガネ?私からも質問良いかしら? どうして得体の知れない私を雇ってくれたの? 顔に火傷もあって汚い顔だし、ロシア人である私が急に貴方の事務所に面接希望してきたってなると貴方ほどの人たら疑うわよね?って何笑ってるの?」

 

「その言い方はちょっと良くないかな。エレニカさんを雇った理由は、俺が雇いたいって思ったからだよ。それにエレニカさんみたいに事情を抱えながら入社するって人は珍しくないからだよ。うちに入社した人のほとんどが、それぞれの事情を抱えてるからね。でも、みんな良い人ばかりだから心配しなくても大丈夫。こう見えて、人を見る力だけはずば抜けてあるからね。その俺がエレニカさんは雇っても大丈夫だと思ったんだから、自信持って良いよ!

 そ・れ・と! エレニカさんは凄く綺麗な顔してるんだから、自分を卑下するのは良くないよ! 火傷があるから、何なの? 俺なんか身体中傷だらけになることばかりだよ? 俺はそういう特徴的な外見とかは気にしないし、差別するのが大嫌いで、絶対に内面で人を判断するからね。それで、エレニカさんには生き急いでる気持ちと共に、優しさを感じることが出来たから、実際に会ってみて雇って良かったって思ったんだよ。

 それが理由じゃダメかな? あ、キャメルさん達が手を振ってるよ!

 ほら行くよ、エレニカさん!」

 

 俺は驚いている彼女の手を引いて、キャメルさん達と合流するのだった。

 

〈偵光side out〉

 

 

〈エレニカside〉

 

 私は、旦那と息子を殺したプラーニャという正体不明犯罪者に復讐をする為に、兄や私と同じ被害者達を集め『ナーダ・ウニチトージティ』という組織を立ち上げた。組織で情報を集めているうちに、プラーニャが日本に出入りしてると言うことを聞き、日本でプラーニャの情報を得る為には、爆弾に詳しい人物がいるのと、情報が集めやすい場所に潜入する必要があり、白銀探偵事務所がベストであると判断し、何とか潜り込むことができた。しかし、まさかシロガネがそんな私の目的を見抜いた上で、雇ってくれるとは思わなかったわ。それに旦那と同じ笑顔で、あんなことを言われるとは不意打ちを食らったわね......

 私の気持ちを知らずにぐいぐい引っ張っていく所なんか、旦那や息子あにソックリじゃない。って、私にはそんなこと考える資格は無いわね。プラーニャに復讐する為に、今はシロガネ達に怪しまれないように馴染まないと。今は仕事を真っ当にしましょう。島に着いて船から降り、役場に行き麻生圭二という人物について尋ねたら、既に亡くなっていると聞き、村を周った後、公民館のアソウが亡くなる時まで弾いていたピアノがある現場に来て、これからどうするのかを私は白銀達に尋ねてみた。

 

「ねぇ、シロガネ?これからどうするの? アソウはもう死んでいたんでしょう?」

 

「そうだなぁ。流石に依頼人が12年も前に亡くなってたのは予想外だったな。何者かが、麻生圭二のフリをして俺達をこの月影島に呼んだってのと、文脈から間違いなく殺人事件が起こるだろうな」

 

 

「殺人事件って、そんな呑気にしていて大丈夫なんですか、所長!?」

 

「落ち着きなさい、キャメルさん。白銀君が慌ててないってことは、ある程度対策を考えて、手を打とうとしているんでしょ? それとももう打ってるのかしら? さっき誰かに電話してたみたいだし」

 

 

「殺人事件については、メッセージにも書いてあった満月が出る今夜にならないと動きようが無いかな。誰がどこで狙われるかも分かんないしね。電話は透に、麻生圭二と浅井成実について調べてもらうよう頼んだんだよ。夜にはだいたいのデータが揃うって言ってたから、ホントありがたいよ」

 

「ちょっと待って。麻生圭二について調べるのは分かるんだけど、どうして、さっき会ったばかりの成実先生まで調べる必要があるの?」

 

「彼女が美人なのもありそうね。無自覚に美人と関わることが白銀君の得意技ね」

 

「あー、所長のいつものですか」

 

「浅井成実については、ちょっと気になったからかな。水無さんにキャメルさんの言い方に棘を感じるんですが!? ってかあの人、女性のフリをしてる男性だよ? 動き方で、すぐ見抜けたよ?」

 

「ちょっと待って、あの人男性なの?」

 

「そうなんですか!?」

 

「相変わらず、凄いわね。私も全然気づかなかったわ。気になる点ってのは、何なの?」

 

「麻生圭二って人の写真をさっき役場で見せてもらったでしょ? あの人の面影があるなって思ったんだよ。親戚かどうかの裏が取れたら、色々と調べやすくなるからね」

 

「なるほどね。麻生圭二については、知り合いの記者に聞いてみるわ。確か彼について記事を書いていたはずだから。ちょっと連絡してくるわ。3人は引き続き調べておいて」

 

「ホント? 助かるよ!」

 

 レナはそう言い、外に出ていった。白銀はお礼を言った後、ピアノをじっくりと調べた後、音を鳴らした。

 

「所長、そのピアノがそんなに気になるんですか?」

 

「そうだね。ずっと使われてなかったにしては、綺麗すぎるんだよね。音も綺麗になるし、誰かが調律してるのかな?」

 

「言われてみればそうね。ピアノの脚も全然綺麗だし。床に白い粉みたいなのが落ちてるわね。ホコリかしら?」

 

「エレニカさん、ちょっと待って! この白い粉は・・・!? やっぱりか。キャメルさん、この粉見てみて!」

 

「この匂いは・・・麻薬ですね! どうしてピアノの脚元にこんなのがあるんでしょう?」

 

「貴方達って凄いのね。匂い嗅いだだけで、麻薬って分かるなんて。その粉が麻薬だとして、どうしてこんな所にあるのかしら?」

 

「事件にまき込まれすぎて、色んな知識がついたからね。いよいよきな臭くなってきたな。麻薬がある理由までは分かんないけど、このピアノが関わってるのは間違いないかな。このピアノは麻生圭二の物だって言ってたから、彼も関わってそうだね。あとは、2年前に亡くなった前村長の亀山さん、現村長の黒岩さんも関係ありそうな気がするな。この2人については、クリスに後で頼んでみるか。ここに麻薬が落ちてるってことは・・・ビンゴ♪」

 

「ピアノの裏板が外れたわね。この場所に隠して取引が行われてたってことかしら?」

 

「間違いなくそうでしょうね。麻生圭二は、コンサート時にこのピアノを使ってたそうですから、麻薬をピアノに入れて色々な場所に持って行き取引していたということでしょう、白銀さん?」

 

「そうだね。俺もキャメルさんと同じ考えだね。さてと、ここでいつまでも調べてると、黒岩村長とかこの件に関わってる人達が来そうだから、そろそろ退散しようか。水無さんと合流して、旅館に荷物置きにいこう」

 

「それは賛成ね。それにしても、シロガネは凄い大荷物ね? 私より多いじゃない。いったい何が入ってるの?」

 

「事件対策で爆弾解体セットとか発明品とかの便利な道具を色々とね。俺が外に出ると絶対何かしら事件が起こるからね。ちくしょう、なんか泣けてきた」

 

「所長、強く生きてください。早いこと旅館に向かいましょう。エレニカさん、行きますよ」

 

「ふふふ、そうね」

 

 肩を落とし、キャメルに慰められている白銀を見ながら、私達はレナと合流し旅館へと向かうのだった。

 

 



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71話

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〈偵光side〉

 

 俺達は旅館に荷物を置き夕食を食べた後、俺とエレニカさん、キャメルさんと水無さんのペアに別れ、追加調査を行っていた。

 俺とエレニカさんは前村長の法事が終わるまで公民館の前で待っていると、声をかけられた。

 

「あっ!? 白銀さんだ!」

 

「なにぃ? 偵光君じゃないか! どうしてここに?」

 

「え? ホントだ! お兄ちゃんも月影島に来てたんだね!」

 

「こんばんは、小五郎さん、蘭ちゃん、コナン君。探偵事務所に依頼があって仕事で来たんですよ。小五郎さん達はどうしてここに?」

 

「俺達も仕事の依頼で来たんだよ。ただその依頼に関して行き詰まっていてなぁ」

 

「ねぇ、おじさん! 白銀さんに相談してみたらどうかな?」

 

「そうだよ、お父さん! お兄ちゃんに聞いてみたら何か分かるかもしれないよ?

 それと、お兄ちゃんに一つ聞きたいんだけど、その綺麗な人は誰なの?」

 

「おい、蘭! いくら気になるからって聞き方があるだろうが!」

 

「そういえば紹介がまだだったね。こちらは、エレニカ・ラブレンチエワさんで新しくウチの事務所に入った人だよ」

 

「初めまして。エレニカ・ラブレンチエワよ。白銀探偵事務所で働きたくて、ロシアから日本に来たのよ。よろしくね」

 

「ああ、よろしく。俺は毛利小五郎だ。偵光君は義息子みたいに思っていて仲良くさせてもらってるよ。

 それにしても、またなのか、偵光君?」

 

「僕は江戸川コナンだよ! よろしくね、エレニカさん!」

 

「初めまして! 私は毛利蘭です! お兄ちゃんとは仲良くさせてもらってます! お兄ちゃんの事務所ってホント綺麗な人ばかり入るよね」

 

 あれ? 何か蘭ちゃん達から視線が凄く冷たいんですけど!

 絶対何か勘違いされてるよね!?

 

「ちょっと小五郎さん、またってどういうことですかね!? 絶対蘭ちゃん達も勘違いしてるよね? 勘違いされる原因が俺にあるってことなんだろうけど、エレニカさんはそんなんじゃないからね?」

 

「ふーん。でも、お兄ちゃんとエレニカさんの2人きりで月影島に来たんでしょう?」

 

「キャメルさんと水無さんも一緒に来てるんだよ。それにエレニカさんは......」

 

「そうね。心配しなくても大丈夫よ。私には旦那と子供がいたからね。白銀を好きになるどうのこうのっては無いわよ。安心したかしら、ラン?

 それにしてもシロガネは、人気者なのね、ふふふ」

 

エレニカさんは一瞬だけ、悲しそうな顔をして言った。

やっぱり、旦那と子供関係で、何かあったっぽいな。うーん、むやみに聞かれたくないだろうし、エレニカさんがちゃんと話したくなった時に聞くとしますかね。コナンや蘭ちゃん達が突っ込む前に話題を変えるとしますかね。

 

「旦那と子供がいた?」

 

「人妻なら偵光君が手を出す心配もないな。ってどうした蘭?」

 

「いや、エレニカさんの言い方が気になっちゃって....」

 

「そう言えば、小五郎さん達はどうしてここに? 旅行に来たって感じでは無いですね。もしかしてなんですけど、麻生圭二って人から依頼でもありましたか?」

 

「どうしてそれを!?」

 

「もしかして白銀さんもおじさんと同じ人から依頼があったの?」

 

「そうなんだよ。それでここに来てみたらその人がもう亡くなってるって聞いて色々と調べてた訳なんだよ・・・ってこの音は!? まさか!?」

 

「月光・・・? しまった!」

 

「ちょっとどうしたのよ、シロガネ!?」

 

「偵光君どうしたんだ!?」

 

「お兄ちゃん、どうしたの!? コナン君も!」

 

 

 みんなで話してると、公民館内にピアノソナタ『月光』の音が流れ始めた。俺は、法事に参加していた人達を掻き分けながら、ピアノがある部屋へと向かいドアを開いた。そこには、水浸しになり座って、ピアノの鍵盤の上に頭を置いていた資産家の川島さんがいた。すぐにかけより、脈を調べたが既に息を引きとっていた。死体の状況を確認だけはしておくか。手袋はバックの中にあったな。これで良しと。エレーナさんから検死の技術は叩きこまれたのが、ありがたいよ。硬直具合から、30分〜1時間程度ってとこか。周辺の床と死体が濡れているし、背中に泥や砂が付いてるってことは、窒息による溺死かな。

 死体の状況を調べてると、コナンが部屋に入ってきた。

 

「川島さん!?」

 

「ダメだ、コナン。もう亡くなってる」

 

「そんな!? って白銀さん、何してるの?」

 

「ちょっと状況を調べてるんだよ。この水は・・・やっぱり海水か。外な浜には川島さんの上着が流れてるな」

 

 コナンの相手をしながら現場を調べていると、小五郎さん達も部屋に入ってきた。

 

「シロガネ急にどうしたの!? これは!?」

 

「偵光君、これはいったい!?」

 

「お兄ちゃんもコナン君も急に走り出すからびっくりするじゃない」

 

「エレニカさんは、キャメルさんと水無さんを呼んで、もらえる? それとキャメルさんに警視庁に連絡してもらえるよう頼んでもらえる? この島一応東京都に入るから、管轄は本庁に入るしね。蘭ちゃんは駐在さんと成実先生を呼んできてもらえるかな? 小五郎さんは、現場保存と状況を調べる為に協力してもらえますか?」

 

「ええ、分かったわ!」

 

「分かったよ、お兄ちゃん!」

 

「もちろんだ、偵光君!」

 

 俺はみんなに指示を出し、まだ事件は続くだろうと思いながら行動するのだった。

 

〈偵光side out〉

 

 

〈水無怜奈side〉

 

 私達は昨日に起こった殺人事件についての事情聴取を終えて、目暮警部達が法事に参加していたメンバー全員の事情聴取を終えるまで、話しながら待っていた。

 

「それにしても白銀君って事件に好かれてるわよね。外に出る度に絶対巻き込まれるわよね」

 

「ははは。自分でもどうしてなんだろう?って思うよ。ちくしょう、事件に巻き込まれたくないのになー」

 

「所長がそう言っても、説得力が無いですよ。事務所や会社の人達に連絡したら所長が無茶しないように身体張ってでも止めてくれ!って言われましたよ。皆さん凄く心配されてましたよ」

 

「大丈夫だよ、キャメルさん。今回は無茶しても絶対に怪我しないようにある秘密道具を持ってきたからね! まあ、その秘密道具を使う機会が無い方が良いんだけど」

 

「それを持って来てたから、あれだけの大荷物だった訳ね。それより、シロガネとキャメルは大丈夫なの? 事件現場の保存で徹夜して全然寝てないわよね? なんなら私とレナで話を聞いておくから、貴方達は宿に戻って休んできたら?」

 

「エレニカさんの言うとおりね。2人とも徹夜が平気だからって言っても無理しちゃダメよ? やっぱり睡眠はちゃんと取らないと身体にも良くないわよ。ここは、昨日しっかり休ませてもらった私達に任せなさい」

 

「そうだね。2人ともそう言ってるし、キャメルさん、俺達は宿で少し休んでこよう。数時間寝たら戻ってくるよ。緊急の用件があったら、電話して。休んでても出れるようにはしておくから」

 

「分かりました、所長。水無さん、エレニカさん、すみませんがよろしくお願いします」

 

 そう言って2人は、宿に戻っていった。

 

「ねぇ、レナ。シロガネ達は素直に休んでくれるのかしら? 彼が言っていたように、まだ事件は続くのかしら?」

 

「私達に任せて帰ったってことは、ちゃんと休むつもりでしょうね。それに彼って前に何日も徹夜して、みんなからこってり絞られたから心配しなくても仮眠ぐらいはちゃんと取るわよ。

 それで、事件についてだけど彼がそう言ったなら間違いなく続くわね」

 

 彼の能力はズバ抜けて高く、事件や身内が関わった時には特に力が発揮されることは分かっている。その能力が見込まれて、組織がどうにかして彼を引きこもうとしてるみたいだけど失敗に終わっている。ベルモット、バーボン、キュラソー、私が彼の事務所に潜入してるが組織に引き込むつもりなどさらさら無いメンバーばかりだ。ベルモット、バーボンに関しては、逆に彼を組織に関わらせないようにしてるしね。それに彼の場合、私達が組織の人間であることを分かった上で、身内に受け入れてるような気がするのよね。ホント彼って何者なのかしら? 組織を裏切りクーデターを起こしたとされるクマの着ぐるみの中身が彼だったなら、全然驚きはしないんだけどね。有力候補が彼か山川さんなんだけど、流石にこればかりは、CIAの伝手を使っても分からないわね。お父さんを助けてくれたってのも分かったし、お礼が言いたいんだけど・・・・

 

「ちょっと聞いてるの、レナ?」

 

「ごめんなさい、事件について考え事してたわ」

 

「まったく。事情聴取もあと数人になったみたいよ。それが終わったら、警部さんに話を聞いて私達も宿に戻りましょう」

 

「ええ、そうね・・・ってこの曲は!? 確か上の階に放送室があったわよね!? どうやら白銀君の予想が悪い方向に当たったみたいね!」

 

「この曲はまさか!? ちょっと、レナ! 待ちなさい! 私も行くわ!」

 

 

 月光に第二楽章が建物内に鳴り響き、私とエレニカさんは階段を登り放送室に向かうと、腰を抜かした西本さんにコナン君がいた。放送室の中を見てみると、椅子に座り、背中をナイフで刺され息絶えていた黒岩村長の姿があるのだった。

 




あと1、2話ぐらいでピアノソナタ『月光』編は終わりです。その次は、天国へのカウントダウン編に入りたいと思いますのでよろしくお願いしますm(__)m


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72話

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〈エレニカside〉

 

 私達は黒岩村長の死体が発見された後、事情聴取を受けて現場の状況をしっかりと聞いてシロガネ達にも相談してすぐに戻ってくることを警部さんに伝え、宿に戻ってきた。

 

 「ふぁーあ。まさか俺達が宿に帰った後に黒岩村長が殺害されるとは流石に予測してなかったわ。それで2人とも、事件について詳細を聞かせてもらえるかな?」

 

「ええ、良いわよ。黒岩村長は事情聴取後に誰かから放送室に呼び出され、そこで背中をナイフで刺され殺害されたみたい。ナルミが検死した時は死後数分しか経っていなかったそうよ」

 

「検死官は、川島さんの変死体の司法解剖で本島に帰ったから誰も出来る人がいなかった訳ね。それにしても死後数分か・・・」

 

「現場には、犯人が書いたと思われる血で書かれた譜面があったわ。これが写真よ。この譜面なんだけど、コナン君が上に倒れたんだけど消えてなかったわ。白銀君、この譜面絶対おかしいわよね?」

 

「どういうこと、レナ? キャメルもシロガネも何かに気づいたみたいだけど・・・」

 

「エレニカさん、人間の血液って常温で15分から30分以上経たないと渇かないんだよ。コナンが倒れても消えなかったってことは、血液は既に渇いていた訳で、成実先生が検死した死亡推定時刻との誤差があるってことになるんだよ。血が渇いていたことから黒岩村長が死んでから15分から30分以上経ってることは間違いないよ。譜面については、黒い鍵盤がヒントになってるんだよ。鍵盤の左側からアルファベット順に当てはめていくと、『業火の怨念 ここに晴せり』ってなる訳。まあ、犯人が麻生圭二の呪いに見立てる為に書いたんだろうけど」

 

 

「所長、もしそうだとしたら月光が入っているカセットテープについてはどうするんですか? 確かテープの頭には5分30秒の空白があるんですよね? それだけだと時間の辻褄が合いませんよ?」

 

「それは、裏面から再生するリバース機能を使えば30分以上伸ばせるはずだから、いけるはずだよ」

 

「そう言えば、放送室に入った時に操作盤の赤いランプが光っていたわね。レナも見たわよね? 鑑識も写真撮ってたはずだから写っているはずよ」

 

「ええ、そうね。後で目暮警部に確認しておくわ。白銀の予測通りだとしたらやっぱり犯人は成実先生になるの? 死亡推定時刻も誤魔化していたし、色々と辻褄が合うのよね」

 

「そうだね。今回の犯人は成実先生で間違い無いと思うよ。ただ確実な証拠がまだ掴めてないってのが現状だね。それと、さっき怜子さんに電話して聞いたんだけど、月光は第3楽章まであるみたい。もう1人狙われる人物がいるはずだよって、蘭ちゃんから電話? ちょっと連絡してくるから、3人は待ってて」

 

 そう言ってシロガネは、部屋の外に出ていった。シロガネの推理を目の当たりにして驚いてると、レナとキャメルが私の顔を見て笑っていた。

 

「随分と驚いているみたいね、エレニカさん。彼のあんな真面目モードを見るのは初めてだったかしら?」

 

「所長は事件が絡んだ時は驚くぐらい行動が早いですからね。身内に危険が迫った時なんかはあれ以上に、行動力を発揮しますからね。驚いても無理ないでしょう」

 

「ええ、そうね。シロガネってあそこまで人が変わるから驚いたわ。普段の彼からは想像できないわね。これから見る回数が増えれば私も貴方達みたいに自然と慣れてくるんでしょうけど。それで、話を戻すんだけどシロガネは3人目の被害者も出るはずだって言ってたわよね? キャメルとレナは誰が狙われると思うの?」

 

「そうですね。麻生圭二と関わりがあった人物で絞っていくと1人しかいませんね」

 

「私もキャメルさんと同じ考えよ。麻生圭二というキーワードから考えれば1人しかいないわね。前村長、現村長、川島さん、西本さん、麻生さんが幼馴染だったらしくて、生き残ってるのは西本さん1人だけだから、次に狙われるとしたら間違いなく彼ね」

 

「そういう訳ね。あら? シロガネが険しい顔をしながら戻ってきたわね? 何かあったのかしら?」

 

「白銀君、蘭ちゃんからの電話は何だったの?」

 

「所長、どうしましたか?」

 

「蘭ちゃんから連絡があったんだけど、村沢さんが何者かに襲われて、西本さんが首を吊っていて遺体で発見されたらしい。村沢さんは怪我をして命に別状はないみたい。遺体の現場には月光の第三楽章が流れてたそうだよ。この予想だけは当たって欲しく無かったんだけどなー。さて、犯人については、小五郎さん達が突き止めるだろうから、水無さんとエレニカさんの2人は、この紙を小五郎さんに渡してもらえるかな? それで、そのまま事件解決するのにフォローしていて欲しいんだ。キャメルさんには頼みたいことがあるから、俺と行動してもらうよ。2人とも何かあったら、俺の携帯に連絡してね」

 

「ええ、分かったわ。ある程度は私達の判断で行動しても良いのよね?」

 

「うん、任せるよ。エレニカさんもわからなければ、水無さんの指示に従ってね」

 

「ええ。シロガネ達も気をつけてね。レナ、行きましょう」

 

 私とレナはシロガネの指示通りに行動を開始するのだった。

 

〈エレニカside out〉

 

 

〈キャメルside〉

 

 私は所長に頼み事があると言われ、待機していたら所長は大きなバッグからクマの着ぐるみと犬の着ぐるみを取りだしていた。そして、彼はクマの着ぐるみを身につけ始めました。

 あのクマの着ぐるみはまさか!? 私が所属している組織が手に入れていたある情報の着ぐるみとウリ二つなんですが!? うっ、私の予想通りだとしたら胃が痛くなってくるのですが・・・

 

「FBIに所属してるキャメルさんなら、このクマちゃんスーツ見たことあるよね?」

 

「なっ!? どうしてそれを!?」

 

「ふっ、ふっ、ふっ。伊達に探偵事務所の所長してないからね! キャメルさんにはこっちの犬ちゃんスーツを着てもらうよ。爆弾が爆発しようが、銃で撃たれようが火事の中突っ込もうが絶対ダメージを受けない特殊性だから心配いらないからね!」

 

「理由になってませんし、どうしてそんなドヤ顔なんですか!? そのクマのスーツの中の人ってもしかして・・・」

 

「俺だよ。黒の組織が血眼になって探しているクマの正体は俺でした! ちなみにこのことはFBIには漏らさないでね? キャメルさんを信用してるから正体ばらしたんだよ。まあ、FBIとかにバレて何かされたとしても容赦なく叩き潰すから全然良いんだけどね」

 

 今、さらりとFBIを叩き潰すって言いましたか!? 黒の組織と平然とやり合い、さまざまなコネがあるこの人なら先ほどの言葉が真実味を帯びてますし、こんな爆弾情報を抱えた私はどうしたら良いんでしょうか?

 胃が痛くなってきました・・・・

 

「あ、ちなみにこの後、水無さんにも正体バラすことになるだろうからよろしくね!」

 

「ちょっ!? その意味分かってるんですか、所長!?」

 

「うん、分かってるよ。キールとキュラソーはこちら側に完全に取り込むつもりだからね。それに、キールはキュラソーと違って、CIAから送り込まれたスパイだよ? だから大丈夫!」

 

「CIAってどうして、私達でも知らない情報を掴んでるんですか、貴方は!? それにキュラソーも引き込むって何がしたいんですか!? その感じですとベルモットとバーボンのことも知ってそうですね」

 

「まぁまぁ、落ちついて、キャメルさん。クマちゃんスーツのデビュー戦で知っちゃったんだよね。ベルモットとバーボンについてはもちろん知ってるよ。昔からの付き合いだし、アイツらが隠しごとしてたらすぐ分かるしね。色々言いたいこともあるだろうけど、それについてはこの後起こることが終わって、水無さんも含めて3人で話そうよ。2人にはちゃんと説明するから」

 

「わかりました。私の正体も分かった上で黙っててくれたみたいですね。所長の正体については上司に伝えないようにします。貴方には恩が色々とありますからね。それで、所長の予想ではこのスーツを使用しなければまずいことが起こるんですよね?」

 

「そうだね。俺の予想では、おそらく犯行をあばかれた犯人は追い詰められ、麻生圭二が寄贈したピアノがある公民館で自殺しようとするはずだ。彼のピアノと共にね」

 

「ピアノと共にってことは、火でも付けて焼身自殺ですか? なるほど、火事の中突っ込んでも大丈夫なこのスーツの出番って訳ですか」

 

「正解だよ。ちゃんと二酸化炭素中毒にならず呼吸もできる優れものだからね。ただ建物が崩れて来た時は、抜け出すのが大変になるからそれまでにはどうにかしないといけないけどね。犯人をみすみす死なすことだけは、絶対にしちゃいけないからね。協力してくれるよね、キャメルさん?」

 

 どうやら彼のスイッチが入ったみたいですね。本気の所長ほど頼りになる人はいませんね。

 

「...!? ええ、もちろんです!」

 

 私はスーツを着用し、彼と共に行動を開始するのだった。




次でピアノソナタ月光殺人事件編は終わりです。新章は天国へのカウントダウン編なので待っててください!


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73話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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〈水無怜奈side〉

 

 白銀君から渡されたメモを毛利さんに渡した後、彼は推理を披露し見事に事件を解決したが、犯人である成実先生が姿を消しコナン君が走り出し彼をエレニカさんと共に追っていると、公民館にたどり着いたんだけど燃え盛っていた。まさか、犯人が自殺する為に火を付けたの!? はやく消防に連絡して火を消さないと、犯人や中に入っていったコナン君が危ないわ! 白銀君は、キャメルさんと中に間違いなく突入してるわね。エレニカさんに指示を出して行動しないと。

 

 「エレニカさん! 消防に連絡して、火事をどうにかするわよ! おそらく白銀君達も中にいるはずだから、早くしないとマズイことになるわ!」

 

「え? シロガネも中にいるの・・・? 助けないと!」

 

 そう言って彼女は顔を真っ青にし焦った様子で、そのまま中に入ろうとしていたので、私は彼女の腕を掴み止めた。

 

「ちょっと、何してるの!? 危ないわよ!」

 

 

「離して! シロガネを早く助けないと! でないと彼が!」

 

 エレニカさんの様子が明らかにおかしいわね。何かトラウマでも刺激されたような感じね。白銀君達なら大丈夫だから心配して無いんだけど、彼女にまで建物内に入られたら流石にまずいことになるわね。何としても止めないと!

 私は彼女を羽交い締めにして落ちつかせる為に声をかけ続けた。

 

「ちょっと落ちつきなさい! 彼なら大丈夫よ! このぐらいの修羅場いつも潜り抜けてるんだから! 貴女まで中に入ったら、足手纏いになるし逆に危険よ!」

 

「離しなさい、レナ! 助けにいかないと彼が死んでしまう! 旦那や息子みたいに彼までいなくなってしまう! もう助けれないのは嫌なの!」

 

 やっぱりエレニカさんはトラウマが刺激されて周りが見えてないわね。ああ、もう! 凄い力ね!? どこからそんな力が出てくるのかしら!? どうにかして止めないと! って、急に何なの!? 窓ガラスが割れたけど・・・ってコナン君!? 私は、こちらに向かって飛んできたコナン君をキャッチした。

 

「うわぁぁぁぁ!?」

 

「コナン君、どうして中から? 大丈夫!? 

 って中に入ったら危ないわよ!」

 

「少年! シロガネ達は見ていないか? おそらく彼らもこの火の中に入っているはずなんだが、会わなかったか!?」

 

「ううん、見てないよ! 火をつけて自殺しようとしていた成実さんを助けようとしていたんだけど、クマとイヌの着ぐるみを着た奴らに、身体を掴まれ外に放り投げられたんだ! 正体不明の奴らの近くに成実さんがいるから何かされたら危ないんだ!」

 

 クマの着ぐるみにイヌの着ぐるみですって!? 組織が追っているメンバーだとしたらまずいことになるわね! ここには一般人が多いのに、どうにかしないと。白銀君達がてっきりいるのかと思ったんだけど....,

 ちょっと待って。白銀君なら犯人が自暴自棄になることをおそらく予測できたはずよね? 彼なら絶対対策してるはず。その対策が着ぐるみだとして、組織が追っているクマの中身も彼だとしたら?

 もし、彼ならば平然とやりかねないってすんなり納得できたわ。ただ、何の目的で?

 いや、確認してみないことにはどうにもならないわね。正面側は火の手が周ってるから、脱出するとしたら裏口ね。

 私はコナン君をエレニカさんに任せて、裏口へと周るのだった。

 

〈水無怜奈side out〉

 

 

〈偵光side〉

 

 俺とキャメルさんは、それぞれスーツを着た後公民館に来てみると燃えており、ピアノの音が聞こえたので中に侵入しピアノがある部屋へ向かうと、コナンと犯人が楽譜を見せながらやり取りしていたので、コナンの首根っこを掴みキャメルさんが開けてくれていた窓から外へ放り投げ脱出させた後、成実さんを手刀で気絶させた。

 

「所長、容赦無さすぎじゃありませんか? ってかこのスーツ凄いですね。変声機能に、色々な道具もついてますし機能が完全に戦闘向きなのですが・・・」

 

「俺のデータを元に改良を重ねていったからね。色々ある機能や道具は、俺に無茶させないようにする為と、怪我させないようにって目的で山川さん達が魔改造したからね。さてと、犯人も回収しましたし脱出しますかね。探偵として犯人の自殺は絶対にさせちゃダメだからね。あと、FBIみたいに犯人を切り捨てて殺しても良いって理由にはならないからね」

 

「それを聞いてすぐに納得してしまった自分が怖いです。分かってますよ。私も捕まえるのが一番だと思ってます。上司達みたいに割り切って、命を奪うってことは嫌いですからね。それで脱出は、裏口から出れれば良かったんですが、崩れた瓦礫とかがあってドアが開きそうにありませんよ? 

 引き戸みたいですし、コナン君と同じルートに変えますか?」

 

「いや、大丈夫だよ。ドア蹴飛ばして開けるから。ダイヤル回してっと。じゃーん、どうよこの威力! 博士のキック力増強シューズの技術もこのスーツに詰め込んだからね! 道具無しでもこんなこともできるんだよ! 凄いでしょう?」

 

 

「どうしてそんなに嬉しそうなんですか!? さっき凄い音しましたよね? 人が集まってきますよ!? しかも、この感じ・・・・。

 さっきの衝撃で建物崩れませんか?」

 

「やべぇ、やりすぎたかも。 音に関しては大丈夫。火事でそれどころじゃないだろうしね。建物崩れる前に早く脱出するよ、キャメルさん!」

 

「どうして貴方はいつもそんな感じなんですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 俺とキャメルさんは、裏口から脱出し建物の崩壊に巻き込まれない位置に移動した。

 

「ここまで来ると大丈夫かな? 成実さんにも怪我は無いな。キャメルさんも大丈夫?」

 

「はい、大丈夫です。所長もピンピンしてますし怪我も無さそうで良かったです。入院することも無いですし今回は皆さんから怒られずに済みそうですね」

 

「あはは、そうだね。事件終わった後って怪我してるパターンが多いからね。今回は怪我も無かったし、やっぱりこのスーツ持って来てて正解だったよ。おや? どうやら客人が来たみたいだよ」

 

「動かないで! 成実さんをその場に下ろして両手を上げなさい! 何か少しでも変な動きをしたら撃つわよ?」

 

「逃げ遅れていた人がいたから、せっかく人助けをしたのに物騒なものを向けないで欲しいな、水無ちゃん? 久しぶりに会ったってのに、その扱いはあんまりじゃないかな? それにここで銃なんか出してると、君の仲間や刑事さん達に目撃されちゃうよ?」

 

「やっぱりあの時の・・・。あら、敵のくせにそんな心配をしてくれるなんてありがたいわね。ご忠告どうもありがとう。でも大丈夫よ。ここにすぐに、人が来れないようにちょっと細工させてもらったから。早くても10分以上はかかるわ。まあ、ある人が後から来たなら、それ以下の時間になりそうだけど」

 

「ありゃりゃ、そんなこともしてたんだ。うーん、どうしよっか、イヌ君? ここで水無ちゃんと戦う? それはそれで楽しそうだよね」

 

「もう、遊ばないでください。そうやって、すぐにふざけ始めるの貴方の悪い癖ですよ? あんまり遊び続けるようなら、帰って皆さんに報告しますからね? 早くスーツ脱いで収納カバンに入れてください!」

 

「うぐっ、それだけは勘弁してもらえませんかね? キャメルさんが何か冷たいよ。ってかスーツ脱ぐの早くない!!

 はぁ、分かったよ。真面目な話し続けるのって疲れるから、気を紛らわせようとしただけなのに。やれやれ、頭はずしますかね。ごめんね、水無さん。騙してるつもりは無かったんだよ。キャメルさん、悪いんだけど、

このスーツと成実さんをお願いね。警部さんや小五郎さん達にも、スーツのことは伏せた上で説明しておいてもらえるかな?」

 

「分かりました。私は先に行ってますね、所長、水無さん。それと時間は稼いでおくので、ゆっくり話してください。失礼します」

 

 そう言ってキャメルさんは去っていった。いやぁ、ホント色々察してくれて動いてくれるから助かるよね!

 さてと、彼女に説明してこちら側に引き込みますかね。

 

「!? やっぱり、クマの中身は貴方だったのね、白銀君。予想はしてたけど、確信までは持って無かったわ。キャメルさんと2人で犯人を助けだしたのね」

 

「そうだね。水無怜奈さん? それともキールかCIA所属の本堂怜奈さんって呼んだ方が良いかな?」

 

「なるほどね。私の正体についても既に掴んでる訳ね。当たり前よね。私とお父さんがやりとりしていた現場に貴方も居たんですもの。どうして私達を助けてくれたの? そのせいで、貴方は組織に追われるようになってしまった・・・」

 

「目の前で助けれる命があるなら、俺は何がなんでも助けようとするからね。助けたいから助けた、ただそれだけだよ。組織とは、クリスや透達の件で元々やり合うつもりだったからね。まあ、あの時はスーツの性能悪くて、水無さんが何て言っていたか聞こえなかったんだけどね。適当に頷いてたら、ジン達から急に襲われるから何かやらかしたとは思ったんだけどね」

 

「ただそれだけの理由で私達を助けたのね。ありがとう、白銀君のおかげで私も父も生きることが出来てるわ。貴方が組織とやり合う理由については、ある程度予測出来てるわ。私も含めて、事務所や会社に所属している組織の人間を助けだすつもりね?」

 

「そうだね。あの組織はたくさんの人を傷つけすぎた。だから、絶対に叩き潰すよ。何人かとは何がなんでも守り抜くって約束したしね♪」

 

「あら? 私のことも守り抜いてくれるのかしら?」

 

「もちろん♪ 水無さんも含めて、絶対に守り抜くからね! あ、自分の命も含めてだよ?」

 

「まったく、白銀君は、色々な人をたぶらかすのが得意なようね。貴方の言葉は安心できるし、協力関係を結びましょう。CIAや私にとってメリットしかないしね。

 組織の情報が入ったら、貴方に流すようにするわね。あと、今後私のことは名前で呼びなさい♪ 分かったわね?」

 

 

「こちらとしても協力関係を結ぶのは助かるかな! それはありがたいよ!

 これからよろしくね、怜奈さん♪

 あ、そうそう! 組織について知ってるのは、俺、山川さん、萩原さん、松田さん、伊達さん、キャメルさん、美樹ちゃん、哀ちゃん、野山さん夫妻、コナンぐらいかな? 

 山川さん、美樹ちゃん、哀ちゃん、野山さん達は、組織に居たからね。これは内密にね」

 

「ちょっと待って、白銀君。予想以上にとんでもない情報が聞こえたのだけど気のせいかしら?」

 

「気のせいじゃないよ。野山さん達は、宮野夫妻、美樹ちゃんは、宮野明美、哀ちゃんはシェリー、山川さんはスコッチだからね。哀ちゃん以外は、俺が変装させて技術叩きこんだんだよ? 誰からもバレてないから凄いでしょ!」

 

「どうしてそう自信満々に爆弾情報をさらりと言うのかしら!? 改めて白銀君が恐ろしさを感じたわ。まあ、良いわ。その人達にも、協力者になった私の情報は伝えてもらえるかしら?

 そろそろ、他のみんなも来るでしょうし、また機会を作って話しましょうってあら? あれは、エレニカさんね。凄い勢いで白銀君の方へ向かって来てるわね?」

 

「うん、伝えておくよ。詳しいことはまた後日に。ホントだ。エレニカさん、凄い勢いでこっち来てるね。ってか、止まる気配なくない? あの勢いで来たのを受け止めるってなると、流石に骨が折れるよ? 流石に止まってくれるよね?」

 

「うーん、どうかしら? 彼女、燃え盛る建物を見て、その中に白銀君がいるって言ったら様子がおかしかったわよ?」

 

「ちょっと怜奈さん? どうして、俺から距離を取るんですかね?」

 

「さてね。しっかり彼女を受け止めてあげなさい。それと、その後起こることについて、私はフォローしないわよ」

 

「シロガネ!」

 

「わぶっ!」

 

 エレニカさんが凄い勢いで飛び込んできて、俺は抱き止めたが倒れこんでしまった。痛え! 背中思いっきり打ったぞ。エレニカさんには怪我は無さそうだなってめちゃくちゃ泣いてますね! え、何で!?

 

「いたたたた。エレニカさん、急に飛びつかれたらビックリするんですが?」

 

「ぐすっ、心配したのよ? 本当に無事で良かった・・・」

 

「俺は大抵のことじゃ、怪我しないよ。心配かけたみたいでごめんなさい」

 

 彼女震えてるな。こりゃあ、トラウマでも刺激した可能性が高いな。はぁ、とりあえず彼女を落ちつかせる方が先だな。怜奈さんはどうにかしなさいよって視線で訴えてくるし、助けてくれても良いんですよ?

 俺は、身体を起こし彼女を抱きしめ背中と頭を優しく撫でて落ちつかせていると、背後から恐ろしく低い声がした。

 

「お兄ちゃん、エレニカさんといったい何してるのかな?」

 

 ゆっくりと振り向くと、呆れたような顔でこちらを見てる小五郎さん、コナン、キャメルさんがおり、その前で異様なオーラを放っている蘭ちゃんがいた。

 やべぇ、蘭ちゃんがめちゃくちゃ怒ってる!? ってか顔は笑ってるけど、目が笑ってないよ? しかも声色怖いし、手に持っているスマホは何かな? カシャって音がしたし、非常に嫌な予感がしますよ!?

 

「ら、蘭ちゃん? 何してるってエレニカさんが混乱してるから落ちつかせてるだけですよ? やましいこととかは何も無いよ! 怜奈さんが証人だからっていねぇ! あの人逃げやがった!?」

 

「ふーん。お兄ちゃんって落ちつかせる為にわざわざ抱きしめたりするんだね。それに怜奈さんって名前呼びまでして、すんごく仲良くなったんだね♪ お兄ちゃんが、今まで何をしてたか色々聞かせてもらうからね?」

 

 これは、逃げれない奴だ。ちくしょう、やっぱり最後はこうなるのかよぉぉぉ!

 俺は諦めて、蘭ちゃん達に必死に弁明するのだった。

 

〈偵光side out〉

 

 

〈山川光side〉

 

 偵光達が月影島から帰ってきて、エレニカさんの件とキャメルさん、水無さんについて、クマスーツを着て正体を明かしたことについて説教をしっかり受けた後、事務所で俺、偵光、美樹さんの3人で休憩していた。

 

「偵光君、随分と絞られてたね。エレニカさんの件も蘭ちゃんの勘違いみたいだったし大変だったね」

 

「ずっとそう説明してたんだけどな。犯人の自殺も防いだんだし、むしろ褒められるべきじゃない? 

 ってか、怜奈さんとキャメルさんに正体バラした件で更に怒られるとは思わなかったなー」

 

「当たり前だ、バカ。正体バラしたりしたらリスクが上がるんだぞ? 偵光の場合、その点についてはしっかり考えた上でバラしたんだろうが、一言ぐらい相談して欲しかったよ」

 

「悪かったって。景光も、俺の考え理解した上で怒ってたよね? 怒る必要あった?」

 

「建前上仕方なくな。それで次のツインタワービルのパーティーには誰を連れて行くんだ? 水無さんからの情報で、組織に関わる人物がオープンに関わっているんだろう? ジンやウォッカも関わってくる可能性が高いぞ」

 

「私も気になります。組織が関わる以上、絶対に何かが起こる可能性が高そうですね」

 

「のんびりパーティーが楽しめれば良いんだけど、そうはいかないよなぁ。はぁ、嫌になるな。

 連れて行くメンバーは、もう決めてるよ。俺、山川さん、美樹ちゃん、イレイナさんの4人だね。イレイナさんは、組織から命令が来ていて、ツインタワービルで、組織の構成員の情報を探り、俺が関わってもフォロー出来るようにしておけって命令が来てるって怜奈さんから聞いたからね。この4人ならある程度のことには、問題無いでしょ?」

 

「メンバーに異論は無いな。キュラソーに関しても大丈夫だろう。灰原さんもそれで良いかい?」

 

「はい! お二人のサポート頑張りますね♪」

 

 俺達は、わいわいとしながら休憩時間を楽しむのだった。




今回久しぶりにクマちゃんスーツの出番がありました。
すみません、話が長くなったので次回から天国へのカウントダウン編に入ります!
天国へのカウントダウン編もどんどん更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m


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天国へのカウントダウン編
74話


※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 この作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 



〈偵光side〉

 

 俺、山川さん、美樹ちゃん、イレイナさんの4人は西多摩市のツインタワービルのオーナーからパーティーの招待を受けて、ツインタワービルの見学に来ていた。

 

「それにしても凄いビルだな。米花シティービルより高いんじゃないか?」

 

「そうだね。米花シティービルって言うと、爆弾に巻き込まれて大怪我した事件を思い出すよ。いやぁ、あの時はマジで死ぬかと思ったね」

 

「もう、笑い事じゃないですよ? あの時は大変でしたよね。偵光君は哀ちゃん達を庇って意識不明の大怪我してましたし、森谷帝二による爆弾事件が続いてましたし」

 

「そんなに大変だったの? 美和子達から話には聞いていたけれど、相当無茶していたようね。それにしても窓から外を見ると絶景ね♪」

 

「そうですね! 私も写真に撮っちゃいました♪ それにしても、西多摩市のこの土地にこれほどのビルを建てるなんて凄いですよね!」

 

「それはここのオーナーの常盤美緒が、常盤財閥のご令嬢だからね。TOKIWAは、パソコンソフト開発が中心の会社だが、最近はコンピュータ関係の仕事ならなんでもしてるみたいだよ。TOKIWAに勤めてるプログラマーの知り合いとか結構いるしね」

 

「TOKIWAにもコネがあったなんて驚いたわね」

 

「そりゃあ、偵光はコンピュータ関係にはめちゃくちゃ強いからな。事務所は会社にあるパソコンのシステムとかソフトなんか、博士と一緒に作った物もあるし、現在開発されているVR型ゲーム機『コクーン』の開発にも博士と共に助っ人として呼ばれてるよな?」

 

「偵光君ってそんなに凄かったんですね! そう言われれば、壊れたパソコンとかすぐに修理してましたよね?」

 

「小さい時から、その編の技術はクリスと野山さん、博士に叩き込まれて詳しくなっただけだよ。『コクーン』については秘密にしといてね。

 ねえ、みんなに相談なんだけど、この後ゲームブースに行ってみない? 色んなゲームがあるらしくて、どんなのがあるか気になるんだよ! 行っちゃダメかな?」

 

「あら、楽しそうね。私は良いわよ。白銀が眼を輝かせるほどの物があるのは気になるしね」

 

「ふふふ、そうですね。偵光君が、興味あるのは見てみたいですし私も良いですよ」

 

「やれやれ。偵光がこうなったら行く以外の選択肢は無いからな。俺も興味あったし、良いぞ」

 

「いよっしゃあ! みんなの許可も得れたし、早く行くよ!」

 

 俺はそう言って、めちゃくちゃ興味があったゲームブースへと向かうのだった。ゲームブースに来てみると、知り合いがおり、集まっていた。よし、ここは気配を消して近づいてみるかな。山川さん達はため息をつき、俺がすることに気づいたみたいだ。

 何かの写真を見ているのか? 何話してるのかは全然聞こえないけど。

 

「ほう、若い時の英理にそっくりだな。偵光君もこれなら・・・」

 

「偵光君にはもったいないぐらいじゃな」

 

「これなら白銀さんと並んでても美男美女同士って感じだし、絶対に彼を骨抜きに出来るわね!」

 

「これだけ美人になった蘭ねえちゃんなら、白銀さんも放っておかないね!」

 

「何言ってるのよ、園子!? コナン君まで!? 写真見るのは、ここまでよ!」

 

 よしよし、話に夢中になりすぎて誰も気づいていないな。俺は蘭ちゃん

が手に持っていた写真を手に取り、見ながら話かけた。

 

「おはようございます。随分と盛り上がってますね、皆さん。へぇ、これって蘭ちゃんが大人になった時の写真かな? 美人さんだね♪」

 

「・・・え? ってお兄ちゃん!? どうしてここにいるの!? って美人さんだなんて急に言わないでよ! 心臓に悪いでしょ!?」

 

「「偵光君!?」」

 

「「「白銀さん!?」」」

 

「「「あっ、イレイナさん!」」」

 

「おい、偵光。満足したか? 皆さんおはようございます。偵光が朝からすみません」

 

「皆さん、おはようございます。所長が悪ふざけしてしまい、すみません。貴方達の姿を見たら、驚かすって言って聞かなかったものですから」

 

「白銀の悪い癖が出たってとこね。元太君達もおはよう」

 

挨拶を終えた俺達はは、グループごとに別れイレイナさんは元太君達と話始め、山川さんは小五郎さんと博士と会話し、俺と美樹ちゃんは蘭ちゃん、園子ちゃん、コナン君、哀ちゃんと話ていた。

 

「うぐっ、みんなの言い方が凄く辛辣だったんだけど。ご、ごめん、蘭ちゃん。そこまで驚かすつもりは無かったんだよ。はい、写真は返すよ。美人だなって思ったのは嘘じゃないからね? それでこの写真はどうしたの?」

 

「そこの機械で撮ったんだよ。10年後の自分が写るんだって。お兄ちゃんと美樹さんも撮ってみたらどうですか?」

 

「いやぁ、俺はいいかな。10年後っていうとアラフォーのオッサンだし、老けすぎてたらダメージでかすぎて立ち直れなさそうだし」

 

「私もいいかな。偵光君と同じでダメージ受けそうだしね。コナン君や哀ちゃんは撮ったの?」

 

「私もいいわ」

 

「僕もパス!」

 

 2人がそう言うと、コナン君は小五郎さんが椅子に無理に座らせられ、哀ちゃんは子供達に座らせられていた。これはちょっとまずいかなぁ。配線はと、これ抜けば機械に影響は無い且つエラーが出るようになるはずだから大丈夫かな。これで良しと。

 写真を撮り終えて、エラーが出たのを確認した後エンジニアが調べ始めたのを見て、抜いた線を元に戻して哀ちゃん達の元へと向かった。

 

「いやぁ、運良くエラーが出て良かったな、2人とも。エラーが出たから、俺達も写真撮ること出来なくなったね、美樹ちゃん」

 

「そうですね。2人共、偵光君のフォローに感謝するんだよ? 配線抜いてエラーが出るように誤魔化してくれたから」

 

「ありがとう、白銀さん。助かったよ。マジで危ないとこだったぜ」

 

「あはは、美樹ちゃん達にはバレてたか。哀ちゃんもコナンもこのことには内緒に頼むよ? それと、哀ちゃん? そんな暗い顔しないの。ほら、笑顔、笑顔♪ せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」

 

「わふっ、ちょっと何するのよ!? 急に頭わしゃわしゃされたらビックリするじゃない! それにセットが崩れるし、セクハラで訴えるわよ?」

 

「ごめん、ごめん。哀ちゃんに元気が無さそうに見えたからね! 訴えるのだけは勘弁して欲しいかな! 俺は蘭ちゃん達の所に戻るから、美樹ちゃんは2人をよろしくね♪」

 

 俺はそう言い、蘭ちゃん達の所へ向かった後、オーナーに会いに75階ののパーティー会場へみんなで向かうのだった。

 

〈偵光side out〉

 

〈毛利蘭side〉

 

 私はツインタワービルに行った次の日に、光彦君と歩美ちゃんから相談があると言われファミレスで、相談を受けた。まさか恋愛相談されるとは思わなかったな。いつの間にか、私とお兄ちゃんの進展についてどうなのか?って話になってたし、最近の小学生って進んでるのね。うーん、私もお兄ちゃんの事務所のお姉さん達と一緒に色々考えてるんだけど、なかなか進展しないのよね。お母さんとかにも相談してみようかな? お父さんってお兄ちゃんに並ぶほど鈍感だったらしいし、似てる部分が多いとも聞いたし。

 って早く買い物して帰らないと遅くなっちゃう!

 晩御飯の材料を買って帰ろうと思い、スーパーに寄ると見知った顔を見つけたので、声をかけた。

 

「こんにちは、お兄ちゃん! もしかして、夕飯の買い出し?」

 

「こんにちは、蘭ちゃん。ここで会うなんて奇遇だね。そうだよ。ちょうど食材切らしててね。帰って食べる物が無いから、色々と安いこのスーパーに買物に来たんだよ。蘭ちゃんも夕飯の買い出しかな?」

 

「うん、そうだよ! あ、そうだ、お兄ちゃん! 明日ってお休み?

予定とかってある?」

 

「うん、休みだよ。どうしたの? 明日は、珍しく家でのんびりするつもりだったから予定は無いよ」

 

「そうなんだ! お兄ちゃんさえ良かったらなんだけど、今日、私の家で晩御飯食べて泊まってかない? それで明日なんだけど、新しい洋服買いたくてお兄ちゃんにもコーディネートしてもらいたいなって思ったんだけどダメかな?

 お父さんやコナン君も喜ぶと思うし、私ももちろん嬉しいし♪

 あ、もちろん無理そうなら断ってくれても良いからね!」

 

「いや、全然大丈夫だよ。蘭ちゃんのお言葉に甘えさせてもらおうかな。明日の件についてもオッケーだよ。こんな俺のコーディネートでも良ければ喜んで付き合うよ! 蘭ちゃんからのお願いだしね♪

 さてと、泊まるならお酒たくさん買っていかないといけないね。夕飯は何作る予定なの?」

 

「ホント!? ありがとう、お兄ちゃん!

 今夜はハンバーグにしようかなって思って。確か好き嫌いは無かったよね?」

 

「あはは、蘭ちゃんが喜んでくれるなら良かったよ。うん、好き嫌いは無いね。ハンバーグならミンチと玉ねぎがいるね。あとは・・・・」

 

 私は大好きなお兄ちゃんと買い物を終えて、家に帰り夕飯の準備をして、ご飯を食べた後洗い物をしながら、お兄ちゃんとお父さんが楽しそうに晩酌してるのを見ていた。

 

「偵光君は相変わらずいい飲みっぷりだな!」

 

「お酒に強い人達と呑んでたら自然と強くなりましたね。いやぁ、蘭ちゃんが作ったおつまみ美味しいですね♪」

 

「あはは、そうだろう! 蘭は家事も出来るし気がよく利くし、良いお嫁になるぞ、偵光君! 君がもらってくれると、君は俺の義息子になるし万々歳なんだがなぁ」

 

「ちょっとお父さん!? お兄ちゃんに迷惑がかかるようなこと言わないでよ!」

 

「あははははは! 小五郎さんのことは父親みたいに思ってますよ。それに蘭ちゃんは俺になんか勿体無いですよ。お、コナン、風呂から出たのか? それじゃあ、俺もお風呂いただくとしますかね。コナン、悪いんだけど俺が出てくるまで小五郎さんの相手頼むわ」

 

「うん、出たよ! 分かったよ、白銀さん!」

 

 お兄ちゃんが着替えを持ってお風呂に向かった後、私は洗い物を終えてテーブルに向かうとお父さんとコナン君がジト目でこちらを見ていた。

 

「ちょっと何なのよ、2人とも?」

 

「せっかく偵光君と距離を縮めるチャンスなのに、偵光君の素の行動で攻められて、恥ずかしくなって洗い物に逃げるんだもんなぁ。偵光君が手伝ってくれようとしてたのに顔真っ赤にして断るし、そんなんだと大変だぞ?」

 

「蘭姉ちゃんって、よく分かんないとこでヘタレたりするよね。おじさんや僕がさり気なく協力してもこの結果だもんね」

 

「ちょっと2人共酷くないかしら? あんな急にグイグイ来られたら誰だって逃げるわよ!? お兄ちゃんと違ってこっちは意識しすぎてドキドキしっぱなしなのに。ってか、お父さん達にそこまで言われる必要あるのかしら? 

 ヘタれるって、こう見えて、今日のお泊まりと明日一緒に服見に行こうって誘ったんだからね? 私はデートのつもりなんだけど、お兄ちゃんはそうは思ってないんだろうなぁ」

 

「何だと!? 蘭が偵光君をデートに誘っただと!? コナン、蘭、明日についてのプランをしっかり考えるぞ! 偵光君はお風呂から出るまでは30分以上あるからな。タイムリミットはそれまでだ! 

 蘭がせっかく手に入れたチャンスを活かせるようにするぞ!」

 

「そうだね! 蘭姉ちゃんの為に僕も協力するよ!」

 

「ちょっと2人共、落ちついてよ、もう!」

 

 私達はお兄ちゃんがお風呂から出るまでの間、明日のことについて考えるのだった。

 




今回から天国へのカウントダウン編へと入りました!
どのくらいの話数になるかは分かりませんが、更新頑張っていきますのでよろしくお願いしますm(_ _)m


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75話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
 こんなに評価やお気に入り登録をいただいて感謝感激です。
誤字脱字報告をしてくださる方もありがとうございます!
 とても励みになります。
 この作品を読んでくださりありがとうございます。
 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 



〈毛利蘭side〉

 

 次の日になり、私とお兄ちゃんはショッピングモールへとデートしに来ていた。今日は気合いを入れた格好をしてきたのだが、それをお兄ちゃんに褒められて、お兄ちゃんとデート出来ることの嬉しさも上乗せされて上機嫌になっていた。

 

「蘭ちゃん、えらくご機嫌だね。それにしてもこのショッピングモール久しぶりに来たけど、店とかだいぶ変わったな」

 

「嬉しいことが続いたからだよ♪ お兄ちゃん、ここのショッピングモール来たことあったんだね! 私は園子とかとよく来るから、店が変わってもすぐに分かるよ」

 

「そりゃあご機嫌にもなるね♪ 前来た時ってクリスと爆弾事件に巻き込まれて怪我したんだけどね。それ以来、数年ほど来てなかったんだけどここまで変わってるとは思わなかったよ」

 

「あー、ショッピングモールの件は、クリスさんや佐藤刑事達から聞いたことあるよ! 観覧車が爆発した事件でしょ? その時もお兄ちゃんが、だいぶ無茶をしたって聞いたよ? 心配するこっちの身も考えて欲しいかな」

 

「無茶したくてした訳じゃないんだけどね。心配かけないように気をつけてるつもりなんだけど、そうならないことが多いんだよね。この間の月影島の時は怪我して無かったでしょ?」

 

「怪我は確かにして無かったけど、火が付いていた建物に入って成実さんを助け出す為とはいえ無茶はしたよね? 普通は火事の中突っ込んでいったりしないよ? エレニカさんも凄く泣いてたし、私も心配したんだからね?」

 

「うぐっ、ごめんなさい。成実さんを自殺させる訳にはいかなかったんだよ。昔からなんだけど、目の前で助けられる命があれば放っておけなくてついつい自分の身体より優先させちゃうんだよね。エレニカさんにあそこまで流れたの流石にビックリしたけどね。

 まぁ、悪い癖だったから矯正して、だいぶマシにはなったんだけどね。

 蘭ちゃんや他のみんなから注意されたから気をつけていくようにはするよ。

 それより、今はせっかく遊びに来たんだから思いっきり楽しもうよ!

 あ、ここって蘭ちゃんが言ってたお店だよね? よーし、気合い入れて蘭ちゃんのコーディネートするぞ! 服がたくさんある中から選ぶのって気合い入るんだよね!」

 

 

「お兄ちゃんたら全然反省してないでしょ? 仕方ないな、もう。治ってるならとっくに治ってるよね。

 うん、ここがその店だよ!ってお兄ちゃん!? どうしてそんなに勢いよく入っていけるの!? 女性客ばかりで凄く注目されてるけど平気なの?」

 

「全然平気だよ? お菓子屋巡りとかも女性客ばかりで慣れたし、服選びは色々な人のを見てきたし、クリス達に飽きるほど付き合わされて慣れたからね。このぐらいの視線とか注目は気にならないし、気にする方が負けだよ?

 俺のメンタルは並大抵のことじゃへこたれないよ!」

 

「ふーん、なるほどね。クリスさん達とよく来ているならそりゃあ慣れちゃうよね。よしっ! ってお兄ちゃん、凄い勢いで服取ってるね!? もしかして・・・」

 

「蘭ちゃんに似合いそうなのばかり選んでるから、全部試着してみてね♪

 その中で、蘭ちゃんが気に入った物を選ぼうか。久しぶりの服選びだから腕がなるね!」

 

「お兄ちゃん? 周りの人に凄く注目されているしほどほどにして欲しいかな?って聞いてないよー」

 

 私はお兄ちゃんの勢いに押されながらもデートをしっかりと楽しむのだった。その後、お父さんから電話があり警視庁にお兄ちゃんと一緒に来て欲しいと言われ共に向かうのだった。

 

〈毛利蘭side out〉

 

 

〈山川光side〉

 

 昨日西多摩市の市議の大木さんがツインタワービルのスイートルームで殺害されたと聞き、蘭ちゃんとデートをしていた偵光も合流し警視庁で、被害者と会っていたということで事情聴取を受けた翌日。事務所で俺、灰原さん、コナンの3人で話し合っていた。

 被害者はナイフと思われる物で刺され、死亡推定時刻は午後10時〜午前0時の間で現場には、凶器が無く割れたおちょこが置いてあったそうだ。

 割れたおちょこが何かのメッセージなんだろうが、動機についての方向性は絞れるな。動機の件から考えて、これはまだ事件が続きそうだな。

 考えていると偵光が話しかけてきた。

 

「まだ事件は続くな。コナンもそう思うだろう?」

 

「うん。やっぱり山川さんもそう思う。」

 

「犯人の動機が俺の予想した通りだったらな。まあ、その動機についても確定じゃないから何とも言えないが。偵光もおそらく俺と同じ考えにいきついてるだろう」

 

「白銀さんなら間違いなくそうだろうね。白銀さんに話聞きたかったんだけどどこにいるの? 今日は2人だけ?」

 

「2人共、犯人の動機がもう分かったんですね。偵光君は哀ちゃんに元気が無いから一緒に遊びに行ってくる!って出ていったのよ。他の人は、仕事で出払っているわ。

 偵光君、ああいう人の感情には敏感だし、私も気になってたのよ。ごめんね、コナン君」

 

「ううん。白銀さんが灰原のとこに行ったなら安心できるよ。あの人に任せておけば、絶対元気になるだろうし。相変わらずこの事務所は忙しそうだね」

 

 

「今は落ちついてる方だ。それに偵光はあんな感じだから仕方ないさ。

 それで、偵光には何が聞きたかったんだ? 例の組織関係についてか?」

 

「うん。ジン達が来るなら絶対灰原が危険になるから協力してもらおうと思って。アイツらは一般人がいようがお構いなしにするから」

 

「そうね。ジンは特に容赦が無いわね。ジン達が何かして来たとしても偵光君や山川さん、私がいるから心配しなくても大丈夫よ。偵光君なんかある理由かは組織相手には特に容赦が無いからね」

 

「ありがとう、美樹さん、山川さん。その3人がいると100人力だよ。ねぇ、一つ聞いても良い? 白銀さんが組織に拘るのってベルモットが関係してる? 

 最初は白銀さんもベルモットと同じで、組織に関わってるのかと思ってたんだ。だけど、あの人の育ての親って言ってたし、この間あの2人が話してるのを見たのと、白銀さんの善人っぷりからそれは無いなって感じたんだ。そこから推理してベルモットを助ける為に、組織にケンカふっかけたりしてるかなって思ったんだけど違う?」

 

「へぇ、そこまで予測しているとは凄いな。理由についてはコナンの推理どおりだ。偵光の一番の目標は、ベルモットを救うことだからな。まあ、ベルモット自体も反対に偵光のことを救うってのが絶対だから、お互いに気持ちがぶつかり合ってるって感じなんだけどな。あの義親子は面白いぐらいにそっくりだよ」

 

「そうですね。私達女性陣が羨ましがるぐらいに想い合ってますもんね。まあ、あの2人の絆は私達とは比べ物にならないんでしょうけど。それでも、誰にも負けるつもりは無いんですけどね♪

 他の皆さんも同じ気持ちです」

 

「あはは。こりゃあ、蘭の奴も苦労するな。まあ、白銀さんの今までの行いで苦労しなかったことなんてないか」

 

「そうだぞ。アイツと付き合いだすと絶対に何かしらに巻き込まれるからな。退屈しないから良いんだがな」

 

「偵光君といると確かに楽しいですけど、怪我とかするのだけは辞めて欲しいですね。こっちの心臓が持たないです」

 

「そればかりは難しいと思うよ?」

 

 俺達は、雑談に花を咲かせ楽しむのだった。

 

〈山川光side out〉

 

 

 

〈灰原哀side〉

 

 私は白銀さんから無理やり連れ出され杯戸ショッピングモールへと来て私の服を色々と選んでもらった後に、疲れたので喫茶店で休憩をしていた。やっぱり、サマーライトの方が美味しいわね。

 ってか、博士も楽しんで来なさいと言って止めてくれないしいったい何なのかしら? 私のことを見る時はニコニコ笑顔だし、あの笑顔はホント反則なのよ・・・

 悩んでいても仕方ないし聞いてみようかしら。

 

「ねぇ、どうして私を無理やり連れ出したのかしら?」

 

「ストレートだねぇ。哀ちゃんと遊びに行きたかったからだよ♪ ってか、無理やり連れ出したって言い方は酷くない!?」

 

「嘘ね。貴方が理由もなくこんなことしないでしょう? 私の意見を聞かずに連れて来たんだから無理やりでしょう。まあ、フサエブランド関係のイベントしてるのは知らなくて、そのイベントに参加出来たのは良かったけれど」

 

「えー、俺って理由もなくて、透達とかよく連れ回してたよ? 言い方酷いなぁ。

 フサエブランドに関しては、クリスが好きだから自然とイベント関係の情報は集めるようになったんだよ。哀ちゃんと同じであのブランドのファンだからな。まあ、クリスの場合、それだけでは無い気がするがな。

 哀ちゃんもフサエブランド大好きでしょう? だから、喜ぶと思ってね♪」

 

 

「そうなのね。ベルモット・・・いえ、彼女もファンなのね。彼女と関わりがある貴方なら、私が元気無い理由も分かってるんじゃないの? お姉ちゃんも気づいてたし、貴方が気づいてない訳無いわよね?」

 

「関わりがあるっても俺の保護者ってだけだけどな。アイツの裏の顔は当然知ってるし、本人は気づかれてないって思ってるけどな。いや、気づかれて欲しくないってとこか? 

 まあ、哀ちゃん達には手出しさせるつもりないから心配しなくても大丈夫だよ♪」

 

「貴方には組織のことについて関わって欲しく無いんだけど、ベルモットが親代わりだし、私やお姉ちゃん、お父さんやお母さんを匿った時点で無理って諦めたわ」

 

「ありゃ? お父さん、お母さんってことは野山さん達から聞いたの? いや、美樹ちゃんか?」

 

「ええ、そうよ。ついこの間ね。お姉ちゃんだけかと思ってたら、まさかお父さん、お母さんまで生きてるとは思わなかったわ。宮野家は、みんな貴方に助けられて感謝しきれないぐらい恩があるわ、ありがとう。みんなを助けてくれて」

 

「野山さん達は、マジでたまたま居合わせただけだからね。まあ、こうして助けれて良かったと思うよ。それで、話戻すけど哀ちゃんはどうして元気が無いの?」

 

「それは・・・・

 この頃、私はここに居ても良いのかなって思うの。お父さん、お母さん、お姉ちゃんが生きていて近くにいるのはもちろん嬉しいわ。

 私が組織から脱走したせいで、ジン達は今も私を追っているわ。私を殺すまで探し続けるはずよ。もし私の正体がバレたら貴方を含めた周りのみんなが消されるわ。そう考えたら凄く怖いのよ! お父さん、お母さん、お姉ちゃんが殺されるのは嫌だけど、それ以上に貴方が一番真っ先に殺されそうで私の側から居なくなったらって考えたら・・・・」

 

 私は白銀さんがもしそうなったらと考えてしまい、身体が恐怖で震えていつの間にか涙を流していた。彼が居なくなったことを想像してしまい、最近はあまり眠れていない。お姉ちゃん達が居なくなるよりも、彼が居なくなる方が怖いのだ。江戸川君やお姉ちゃんにも相談したが、笑って白銀さんにその気持ちを素直に言えと言われ、今正直に話したのだ。

 こんなこと急に言われても迷惑よね。いけないわ、涙を早く止めないと心配されちゃうわね。

 ハンカチを取りだそうとすると、優しく頭を撫でられ目元を指で拭われた。

 

「こーら、泣かないの。可愛い顔が台無しだよ? はい、ハンカチ。これ使って。俺のことで泣いてくれてありがとね。俺は死ぬつもりは無いから心配しなくても大丈夫だよ。みんなと約束してるし、今までどんな大怪我してもちゃんと生還してきたでしょ? これからも無茶して大怪我とかするだろうけど、絶対に志保ちゃんの所に帰ってくるって約束するから、泣くの辞めてくれないかな? 俺が泣かせたみたいで、周りからすんごく冷たい視線がきてるんだよ」

 

 彼は笑顔から急に真面目な顔をして約束してくれたと思ったら、周囲の視線を感じ苦笑いをしていた。もうちょっと彼を困らせてみようかしら?

 ちゃんと約束してくれたし、この人は今まで約束破ったこと無いから信じれるわね。それに彼の純粋な所にお姉ちゃんも私も惹かれたのかしらね。いつも心配させる仕返しでもしましょう♪

 

「貴方が悪いから、なかなか泣き止めないのよ。だからもっと頭撫でて私に優しくしなさい。でないと大声で泣くわ」

 

 

「そんなぁー。哀ちゃんの頼みちゃんと聞くから泣き止んでくれるとお兄さん嬉しいかなー。やばい、ひそひそ声が強くなって凄く注目されてきたよ! 絶対にこの後大変なことになるよね!?

 哀ちゃん! お願いだから泣き止んでよー!」

 

 私は彼に意地悪をしながら、彼との時間を楽しむのだった。




黒鉄の魚影をまたまた見てきました(^ ^)
やっぱり何回見ても面白いですね!
哀ちゃんが可愛すぎる(*^▽^*)


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76話

※コナンオリ主ハーレムものです。原作&CP&キャラ崩壊してますのでご理解くださいm(__)m
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 これからも更新を頑張っていきますので、この作品をよろしくお願いします! 


〈灰原美樹side〉

 

 私達は常盤さんに招待されたパーティーに参加していた。時間当てゲームが終わり、食事を楽しんでいた。時間当てゲームでは毛利さんが景品の車を当てていた。

 イレイナさんは、元太君達と行動しておりとても楽しそうだ。組織に所属している彼女もあんな顔で笑うのね。偵光君や子供達の影響でしょうね。

 私が考え事をしていると話しかけられた。

 

「どうしたんですか、美樹さん?」

 

「そうですよ! どこかに良い男でもいましたか!?」

 

「ふふふ、ごめんなさい。蘭ちゃん、園子ちゃん。富士山と夕焼けが綺麗で見惚れてたわ。それと、園子ちゃん? 私はある人以外興味無いからね?」

 

「うぐっ、冗談ですよ、美樹さん。美樹さんが誰を好きかって分かってますから頬っぺたつねらないでくださいよー」

 

「別に怒ってないわよ。蘭ちゃん、どうしたの?」

 

「・・・いえ。この夕焼け凄く綺麗だなって思って」

 

「こーら! 蘭ちゃんの悪い癖よ? 私達と話し合って、お互いに遠慮しないって決めたでしょう? 人を好きになるのは悪いことじゃないんだから遠慮しちゃ駄目よ」

 

「そうよ、蘭! 女はグイグイ行ってこそよ! ただでさえ、白銀さんの周りは美人だらけなんだから、遠慮してたら負けるわよ? 美樹さんとか見習ってガンガン攻めないと! この夕焼けを一緒に見たいって誘って来てあげようか?」

 

「それは面白そうね♪ 蘭ちゃんがどんな感じで偵光君と話すか気になるわね!」

 

「ちょっと、園子に美樹さん! 辞めてくださいよ、もう!」

 

「ふふふ、ごめんなさい、蘭ちゃん。ちょっとからかっちゃったわ♪ 呼べるなら呼んであげたいんだけど、あれを見たら呼ぶのはちょっとね」

 

「白銀さん、目キラキラさせながらどんどん料理取って食べていってますね。山川さんが保護者みたいになってますよ。うわぁ、口元拭いたりとかしてたくさんの女性がキャーキャー言ってますよ。イケメンなあの2人のあんな姿って反則すぎるわね」

 

「お兄ちゃん、凄く可愛い♪ 写真撮っておこうっと♪」

 

「可愛いでしょう、蘭ちゃん。私は動画と写真を撮ったわ♪ あの姿の偵光君と山川さんって、相当レアなのよ? あら? 哀ちゃんとイレイナさんも写真撮ってるわね? 他のお客さんも釘付けね」

 

「美樹さん、後で動画と写真のデータください! 確かにお兄ちゃんのあんな姿って見たこと無いですね。そんなにレアなんですか?」

 

「そうね。佐藤さん、宮本さん、安室さんといる時とかはちょくちょくあるらしいから、付き合いが長い人の前では気を抜いて遠慮が無くなるって感じかしら? あとお祭りとか行った時とかもあんな姿になるらしいわ」

 

「そういえば、うちの高校の文化祭に来て出店周っていた時もあんな感じでした! ねぇ、そうだよね、園子ってどうしたの?」

 

「いやぁ、白銀さんが関わった時の蘭と美樹さんの勢いが凄すぎるなって思って。まあ、慣れたけど。

 そろそろ純雪の富士のお披露目が始まるみたいよ?」

 

 園子ちゃんの言葉を聞き、ステージに注目していると照明が消えて、司会の人の説明が終わり、再び照明が着くと絵の前には首を吊っていた常盤さんがいた。

 

「そんな!?」

 

「ああっ!?」

 

「何!?」

 

「美樹ちゃん! すぐに救急に連絡を! イレイナさんは、警察に連絡を! 山川さんは手伝ってくれ!」

 

「分かった!」

 

「ええ、分かったわ!」

 

「はい、分かりました!」

 

 私達は、偵光くんの指示に従い動き始めるのだった。

 

〈灰原美樹side out〉

 

〈偵光side〉

 

 俺は首を吊っている常盤さんを見た瞬間、山川さん達に指示を出し、カーテンを閉めてもらい、彼女を下ろし脈を確かめた。

 ちくしょう、ダメか。ネックレスの先にピアノ線が付いてるな。ピアノ線の先は、絵に繋がってるな。他には・・・真珠の玉が落ちてるな。なるほどな。これでピアノ線に気づかなかった理由も説明が付くな。

 

「偵光! どうだ?」

 

「偵光君、美緒君は!?」

 

「ダメです。もう亡くなってます」

 

「そうか・・・」

 

「白銀、警察はすぐに来るそうよ。それと、現場を軽く調べてみたけど真珠のネックレスの先にピアノ線が結ばれていて、それが絵に繋がってたから絵が上がると同時に首が閉まったって所ね」

 

「そうだね。俺もイレイナさんと同じ考えだよ。イレイナさんは子供達といてあげて。美樹ちゃんにも蘭ちゃん達の側にいるように言っておいてもらえるかな?

 何か協力して欲しいことがあったら言うから」

 

「ええ、分かったわ」

 

 イレイナさんはそう言うと、去っていき代わりに山川さんと小五郎さんが話しかけてきた。

 

「偵光、近くに割れていないおちょこが落ちていたぞ」

 

「おちょこだって? 美緒君も同一犯にやられたってことか。どうして今回は、大木さんや原さんの今までの事件と比べておちょこが割れてないんだ?

 偵光君、山川君、2人は理由が分かるか?」

 

「おちょこが割れていないのは、おそらく今回は割る必要が無かったからだと思います。常盤さんがその役割を果たしてましたからね。そうだろう、偵光?」

 

「そうだね。山川さんと同じ考えだよ。常盤さんが割れたおちょこの代わりをしてたから、割る必要がなかったし、ステージ上部に繋がれたピアノ線と床に真珠の玉も落ちてたから、トリックについても推理は出来たかな」

 

「待ってくれ、偵光君! トリックについても分かったってことは、犯人も分かったのか!?」

 

「ええ。この現場を見て犯人についても確信しました。犯人は、如月峰水さんですね。動機については、このツインタワービルが原因でしょうね」

 

「ああ、そうだろうな。このツインタワービルのせいで富士山が真っ二つに割れて見えるようになったからな。富士山の絵を描き続けている如月さんからしたら耐え難いことだったはずだ」

 

「そういうことか! コナンから聞いたが、如月さんの家はツインタワービルの富士山が見える方向から真逆の山の上だったそうだ! それにコナンが行った時はカーテンが閉められており外の風景が見えないようにしていたそうだ。富士山を愛しすぎるあまり、このツインタワービル建設が今回の引き金になったってことか。

 でも、待てよ? 原さんの事件時には如月さんにはアリバイがあったはずじゃないか?」

 

「原さんの事件は別に犯人がいます。その犯人についてはまだ分かりませんが、おそらく如月さんが第一発見者となりお猪口を割って現場に置き、大木さんの事件で容疑者から外れる為に、アリバイ工作に利用したってとこですね」

 

「なるほどな。それなら確かに辻褄が合うな。それで、これから偵光君達はどうするんだ?」

 

「そうですね。犯人を暴くと何をしでかすか分からないのでマークして、確保できるタイミングになったら、目暮警部達に協力してもらって行動を開始するってとこですね。すみませんが、毛利さんも協力してくださいって、どうした偵光?」

 

 

「いやぁ、事件は解決しそうなんだけど非常に嫌な予感がするんだよね。こういうときの勘って外れたことないからなぁ。何事も無ければ良いんだが・・・」

 

 俺がそう言うと、ビル全体が凄く揺れて辺りが暗くなるのだった。

 ちくしょう! やっぱり嫌な予感っての当たるな。この揺れはどこかで爆発が起こりやがったな。ジン達がいるって時点で碌なことが起こる気はしなかったが、哀ちゃん、いやシェリーを消す為なら本気って訳か。

 さて、対策を色々かんがえていかないとまずいな。とりあえず、風間さんが今説明してるとおり、展望台エレベーターは動くそうだから女性、子供、老人の避難経路になるな。男性陣は、非常階段を降りて60階の連絡通路からB棟に移動して降りていく感じだな。

 イレイナさんは子供達と、美樹ちゃんは蘭ちゃん達、俺と山川さんで一緒に行動する形にして俺ら2人が何かあったらフォローするってのがベストだな。

 これからの最善策を考え、俺達は避難を開始するのだった。

 

〈偵光side out〉

 

〈イレイナside〉

 

 私は哀ちゃんと2人で暗い中を歩いていた。白銀の指示に従い展望エレベーターで避難していたが、赤ちゃんを抱いていた女性が途中でエレベーターに乗ろうとしてので私と哀ちゃんの2人が譲り、元太君達も譲ろうとしていたが、私が危険だからといい止めた。これで、あの子達は安全に避難できるから良かったわ。

 私は、彼女と話もしたかったし、ちょうど良い機会ね。

 

「ねぇ、どうして組織の命令にまで背いて、私を消そうとはしないのかしら?」

 

「何のことかしら、哀ちゃん?」

 

「惚けないでちょうだい。貴女が私と同じ組織の人間だってことは分かってるのよ。組織でオッドアイである人物といえば1人しかいないわ」

 

「どうやら惚けても無駄なようね、シェリーちゃん。私はキュラソーと呼ばれてるわ」

 

「やっぱりね。組織のNo.2であるラムの腹心である貴女が、わざわざ白銀探偵事務所にいる理由は何なの!? 手を出すなら私だけにしなさい! 白銀さん達に手を出すことは許さないわ!」

 

「落ちつきなさい。あいにくと、白銀達に手を出すつもりは無いわ。ラムからの指令は白銀をどうこうするってことでは無いから心配しなくても大丈夫よ。それに私はここでの生活が気に入ってるし、彼のことも気に入ってるの。

 ベルモットとバーボンが彼に手を出させないようにしてあるから、私の力だけでどうこうは出来ないわ。安心したかしら?」

 

「まだ安心はできないけれど、貴女の言葉を今は信じてあげるわ。私のことは消すつもりなの?」

 

「白銀との約束で貴女にも手を出すつもりは無いわ。ラムからも放置で良いと言われてるしね。シェリーちゃんがいなくなったら、歩美ちゃん達が悲しむしね。

 でも、ジン達はそうはいかないみたいよ? 常盤のメインコンピューターと同時に貴女を消すつもりみたいね」

 

「そうみたいね。私のせいでたくさんの人が巻きこまれてしまったわ。私がいなければこんなことにならなかったわ。ここで死んだ方が皆の為になるかもしれないわね・・・ きゃっ!? 何するの!?」

 

「悲観してる暇があればとっとと脱出するわよ。連絡橋が見えたわね。あそこを渡ればB棟に行けるわね・・・ってマズい! 少し避難するわよ!」

 

 私は哀ちゃんを抱えて、連絡橋に急いでいると連絡橋についている爆弾を発見し、すぐに避難した。

 その後、爆弾が爆発し、連絡橋がこわれて落ちていくのだった。



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77話

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〈灰原美樹side〉

 

 私は蘭ちゃん達と一緒に展望エレベーターに乗り、避難をしていた。志保達にはキュラソーが付いてるから、身の安全は大丈夫ね。志保に手を出させないように取引してるって偵光君が言ってたから、心配はいらないしね。

 問題は私達の方ね。このツインタワービルの爆破にはジン達が関わってるはずだわ。原さんは組織の構成員だったが、裏切りハッキングしデータを盗もうとして消されたって、キュラソーとキールから聞いたって偵光君が言っていたわね。

 コナン君と志保の10年後の写真を撮った時に配線抜いてエラー出したし、原さんからの線は無いわね。

 ジン達が今日もツインタワービルに来ており、メインコンピュータを爆破するついでに何か別の目的を見つけたとしたら? その目的の為に電気室を爆破したとしたら・・・

 

「美樹さん、ちょっと良い?」

 

「どうしたのコナン君?」

 

 

「コンピュータ室を爆破した理由は分かったんだけど、電気室まで爆破した理由がどうしてなのか気になって。スプリンクラーを作動させないようにする為以外の理由もあると思うんだ。美樹さんは何か気づいたことある?」

 

「そうね。私もそれについて考えてたの。スプリンクラーで無いとすると、電力を落として避難場所を限定させたってとこかしら? 現に展望台エレベーターか階段しか避難経路は無くなった訳だし」

 

「避難場所を限定・・・まさか!? あれは、ジン!? 遠くのビルの屋上にいたよ!」

 

 コナン君の言葉を聞き、狙いがウェーブをかけて志保に似ていた園子ちゃんだと理解できた。あの赤いのはレーザポインタじゃない! 園子ちゃんの頭を下げさせないと!

 

「園子ちゃん、パンツ見えてるわよ!」

 

「園子姉ちゃんパンツ丸見え!」

 

「ええっ!? なになに!? 何で止まるの?」

 

 私とコナン君の声が被り、園子ちゃんが頭を下げた瞬間、銃弾が飛んできてエレベーターの非常停止ボタンを押して、エレベーターが止まってしまった。レーザポインタが消えたから、どうやら別人って気づいたみたいね。

 一安心って言いたいところだけど、この状況は不味いわね。火と煙が近づいてきてるから早くエレベーターから脱出しないと!

 

「ダメだわ! 動かない!」

 

「コナン君! 私が肩車するから、天井の扉開けれる?」

 

「うん、開けれるよ!」

 

 私はコナン君を肩車して、扉を開けてもらいコナン君を上げたあと天井の淵に捕まり、勢いで上に登った。偵光君の訓練受けてて正解だったわね。外扉はすぐ近くね。この位置で止まって助かったわ。扉を開けたいけど、私の力で開くかしら? ダメ元でやってみるしかないわね!

 

「うぐぐぐっ」

 

「コナン君、私も協力するわ! うぐぅぅぅ」

 

 コナン君と協力して扉を開けようとしていたら、蘭ちゃんも手伝いに来てくれた。

 

「コナン君、任せて! 美樹さん、手伝います! ううっっっっ!」

 

「蘭ちゃん、美樹さん頑張って!」

 

「お願い、蘭!」

 

 蘭ちゃんと協力して扉は少し開いたが人が通れるほどのスペースは開かなかった。まずいわ、どうにかして開けないと火でみんな死んじゃうわね。何か方法は無いの!?

 

「はぁっ、はぁっ。もう一回やってみます!」

 

「無理しちゃ、ダメよ、蘭ちゃん! 手から血が出てるじゃない!」

 

「血って、蘭大丈夫なの!?」

 

「でも、この扉を開かないとみんなが!」

 

「待って、2人共! 外から足音が聞こえるよ!」

 

「コナン君、ホントなの!?」

 

 私も耳を澄ますと確かに足音が聞こえた。音が大きくなってきてるからこっちに近づいて来てるわね。いったい誰なの? 組織の人間だとしたらマズいことになるわね。もしそうだったら、私が身を挺してでも蘭ちゃん達には絶対に手出しさせないわ!

 足音がだんだんと大きくなり、声が聞こえるようになってきた。私と蘭ちゃんはその声の主が分かり、安心してしまい座り込んでしまった。

 

「どうしたの2人共!?」

 

「ちょっと、蘭に美樹さん、大丈夫なの!?」

 

「助けが来たから、もう大丈夫よ。皆さん安心してください」

 

「大丈夫だよ、園子、コナン君。外の足音はお兄ちゃん達だから。声が聞こえたから間違いないよ」

 

「「え?」」

 

 園子ちゃんにコナン君が惚けていると、扉の外から光が差し込み声が聞こえた。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「こっちはみんな無事よ、偵光君! 展望エレベーターが止まって、外に出て扉を開けようとしたんだけどそこまでしか開かなかったわ」

 

「なるほどね。エレベーター止まってたのが見えたから山川さんと抜け出して来て正解だったよ。扉を開ければ良いんだな?」

 

「ええ!」

 

「おい、偵光! 扉を開けるのに使えそうな硬くて長い物持ってきたぞ!」

 

「ありがとう、山川さん! 美樹ちゃん、危ないから下がってて! 山川さん、いくよ! せーの!」

 

 偵光君と山川さんのおかげで扉が開き、私達はエレベーターから、なんとか脱出することができるのだった。

 

〈灰原美樹side out〉

 

 

〈偵光side〉

 

 俺と山川さんは、展望台エレベーターが止まってるのを発見し、現場に向かい扉を開けてみんなを救出することが出来た。ふうっ、急いで降りてきて正解だったな。だいぶ飛ばしたから結構体力消費したけど。

 

「ありがとう、偵光君、山川さん。助かったわ」

 

「お兄ちゃん、来てくれてありがとう♪ 山川さんも助かりました」

 

「白銀さん、山川さんがいなかったら危なかったよ」

 

「そうね。蘭や美樹さんに2人が居なかったらどうなってたことやら」

 

「間に合って良かったよ、ねぇ山川さん?」

 

「ああ、そうだな。ただ、全力疾走でこの階まで降りてきたからだいぶしんどかったけどな」

 

「まあ、無人島サバイバルに比べれば全然マシだよ? って、ありゃ? 蘭ちゃん、ちょっと手見せて! やっぱり、怪我してるじゃないか」

 

「ちょっと、お兄ちゃん!? 大した怪我じゃないから大丈夫だよ!」

 

「こーら! 綺麗な手をしてるんだから傷が残ったら大変でしょ! って手当してる余裕はないから、脱出したらしてあげるね」

 

「う、うん。分かったよ。ありがとう♪」

 

 俺は蘭ちゃんにそう言い山川さん達に指示を出した。

 

「山川さんと美樹ちゃんは、みんなを先導してもらえる? ここは連絡橋のある45階だから、橋を渡って隣のビルに行って下の階に降りれば外に逃げれるからね。俺は最後尾で走るからそれで良いかい? 蘭ちゃんは美樹ちゃんに付いていって」

 

「私はお兄ちゃんのことが心配だから、お兄ちゃんと一緒に行くよ! ダメって言われたとしても聞かないからね?」

 

「ああ、了解した。偵光、無茶だけはするなよ。蘭ちゃんも灰原さんと一緒に来て欲しいんだが、こっちが言っても意味無さそうだな。俺と灰原さんが先頭、偵光と蘭ちゃんが最後尾って形で良いか、みんな?」

 

「そうですね。山川さんの意見に賛成です。その体制で早く避難しましょう!」

 

「うん、分かったよ!」

 

 みんなはそう言い、避難を開始した。

 

「やれやれ。危険かもしれないから蘭ちゃんには先に避難して欲しかったんだけど仕方ないか」

 

「お兄ちゃん、ありがとう♪ 早く行こう!」

 

「そうだね!」

 

 俺と蘭ちゃんは最後尾でみんなと共にに避難する形で連絡橋まで来た。

 

「こっちだ、偵光、蘭ちゃん! 急ぐんだ!」

 

 山川さんが向こう側に見えて急いで連絡橋を渡っていたら、上から爆発音が聞こえ、俺と蘭ちゃんの上に連絡橋が落ちてきた。

 

「おいおい嘘だろ!? コイツは笑えないぞ! 蘭ちゃん、文句は後で聞くからね!」

 

「危ない、偵光! 蘭ちゃん!」

 

「え? きゃあぁぁぁ?」

 

 俺は蘭ちゃんを抱え、連絡橋が落ちて来るまでに滑り込む形で戻った。

 山川さんもこちら側に来てて完全に美樹ちゃん達と分断されてしまった。

 

「っつ。おい、偵光、蘭ちゃん! 2人共無事か!?」

 

「いたたたた。蘭ちゃん、大丈夫? 山川さんも大丈夫そうだね」

 

「うん。お兄ちゃんこそ大丈夫?」

 

「怪我一つ無いよ。いやぁ、滑り込みセーフだったね、蘭ちゃん」

 

「そうだね。でも、どうして急に上から連絡橋が落ちてきたんだろう?」

 

「火災の影響の可能性が高そうだね。山川さん、他のみんなは?」

 

「そうだな。おそらく、建物が弱って来てたんだろう。灰原さんとコナンが先導して、みんな無事に避難したよ。後は俺達だけだったんだが、見事に分断されてマズい状況になってるな」

 

「ははは、だよね。うーん、やばいなー」

 

「え?」

 

「防火扉の奥は煙でいっぱいだし、あっちからは火が迫ってきてるね。山川さん、何か使えそうな道具持ってる?」

 

「瀬戸さんが使ってたロープ射出式の銃ぐらいしか無いぞ? これでロープを出して降りれるのは1人ってとこだな。蘭ちゃんを避難させて、俺達は何とか別の方法で脱出するしかないな」

 

「そんな・・・って、2人ともどうして呑気でいられるんですか!?」

 

「こういうピンチは慣れてるしね。それに俺達が不安がってたら蘭ちゃんも怖いでしょ?」

 

「こんな修羅場いつも潜りぬけて来たからな。どうやら呑気に話してる暇は無いみたいだな」

 

「そうだけど・・・。けほっ、けほっ」

 

「大丈夫かい、蘭ちゃん? 身体にも良くないし、早いこと脱出しよう、山川さん。確か、消火栓扉の中に・・・おっ、あったあった。これだけの長さのホースがあれば大丈夫だな。コイツをこの鉄骨に縛れば大丈夫だな。

 これで良しと」

 

「なるほどな。ホースを使えば残り2人が脱出出来るな。ホースでの脱出は偵光、蘭ちゃんでいこう。その方が蘭ちゃんも安心だろうしな。俺がロープ射出式銃で脱出しよう・・・こっちもこれで準備完了だ。先に脱出してるから、2人ともすぐに来るんだぞ」

 

 山川さんはそう言い、先に脱出していった。

 

「了解。蘭ちゃんの予想している通りだよ。今から一緒にバンジージャンプするよ。これで飛び降りて、下の階の窓を突き破るしか方法は無さそうだしね。怖いかい?」

 

「ううん、お兄ちゃんが一緒だから大丈夫だよ。それに、私が記憶を無くした時みたいに守ってくれるんでしょう?」

 

「当然だよ! 絶対に守るからね」

 

 俺は蘭ちゃんにもホースを巻いて抱えた。

 

「わっ! お兄ちゃん、私重くない?」

 

「全然重くないよ。それじゃあ行くよ? しっかり捕まっててね!」

 

「うん! きゃあぁぁぁ!」

 

「マズい! ホースに火が! くそったれが! 蘭ちゃん急ぐよ!」

 

「う、うん!」

 

 

 俺は急いで窓をなんとか割って室内に侵入した。侵入した時に蘭ちゃんにガラスの破片が当たらないように庇った。

 うぐっ! 左腕にちょっと切っちまったな。そこまで深くは無いから、後で止血すれば大丈夫だな。それより、蘭ちゃんの安全を確かめないと!

 

「蘭ちゃん、怪我は無いかい?」

 

「うん、私は大丈夫だよ。ありがとう、お兄ちゃん!って怪我してるじゃない!?」

 

「あはは、掠り傷だから大丈夫だよ」

 

「血が出てるし、大丈夫じゃないでしょ!? 下に救急車も来てたから急いで降りるよ! 私が肩を貸すから捕まってて!」

 

「ありがとう、蘭ちゃん♪ 助かるよ」

 

 俺は蘭ちゃんに肩を貸してもらいながら、下の階に降りビルから脱出して山川さん達と合流するのだった。



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78話

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久しぶりの更新再開です!
のんびりと更新していきますのでよろしくお願いします!



〈山川光side〉

 

 俺と灰原さんは、脱出してきた偵光と蘭ちゃんと合流した。救急隊員は他にもいる怪我人の対応で忙しくいなかった為、灰原さんが偵光の手当てを行っている。

 

「いたたたた! 美樹ちゃん、もう少し優しくしてくれない?」

 

「充分優しくしてるわよ。それに消毒しておかないと傷が化膿して大変なことになるわよ?」

 

「いや、そうだけど。ってか何か怒ってない?」

 

「また、偵光君が1人で無茶したからよ!」

 

「無茶っていいますか、あの場合は仕方無かったんですよ?」

 

「すみません、美樹さん。お兄ちゃんは私を庇って怪我しちゃったんです。だから、お兄ちゃんが悪い訳では無いんです」

 

「そこは怒ってないのよ、蘭ちゃん。むしろ蘭ちゃん守って無かったら逆に怒ってたわ」

 

「えっと、じゃあどうしてなんですか?」

 

「それは偵光のバカが、俺か灰原さんを先に避難させて自分が1人だけで無茶したことを怒ってるんだよ。避難誘導だけなら、俺か灰原さんどちらかだけでも充分だったしな。コイツは、俺達にも被害が無いように遠ざけたりすることがよくあるからな」

 

「山川さんの言う通りよ。みんなから1人では絶対に無茶するなってあれだけ怒られたのにまだ懲りないのかしら? クリスさん達に伝えた方が良いのかしら?」

 

「すみません、それだけはマジで辞めてください! 俺が死んじゃう!

ってか、それは置いといて他のみんなは避難できたよな? 男性陣は俺と山川さんが最後だったしって、イレイナさんから電話? ちょっと電話してくるね! 美樹ちゃん、手当てありがとう! 助かったよ! 蘭ちゃん達もゆっくり休んでて!」

 

 偵光は俺達にそう言い、イレイナさんに電話をかける為に走って離れていった。

 

「あ、もう、偵光くん! まだ無茶しちゃダメよって、行っちゃったわ」

 

「あはは、お兄ちゃんらしいですよね。こっちとしては心配になるから辞めて欲しいんですけどね。山川さんといる時もあんな感じなんですか?」

 

「そうだな。アイツとは付き合いが長いが、知り合ってからずっとあんな感じだぞ。無茶しなかったことってほとんど見たことが無いな。病院に入院してても大人しくするってのは無かったからな」

 

「そうなんですね。佐藤刑事や由美さんや安室さんが言っても聞かないって言ってました。もう1人いた幼馴染のヒロって呼ばれてた人の言うことは割と聞いていたって由美さんから聞いたんですけど、山川さんは知ってますか?」

 

「っ!? いや、俺も詳しくは聞いたこと無いんだ。宮本さんなら聞いたってなら蘭ちゃんの方が詳しいと思うよ。ただ仲は凄く良かったし、いつも3人でバカなことしてたって楽しそうに偵光が話していたよ‥。今はもうそれも叶わないって悲しそうな顔もしながらね」

 

「そうなんですね。すみません、なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃいましたね」

 

「そんなことないわよ、蘭ちゃん。私も偵光君達の幼馴染エピソードって楽しい話ばかりで好きだからついつい聞いちゃうのよね。山川さんだってそうでしょう? 偵光君の話ってホント退屈しないわよね。それにしても偵光君戻ってこないわね? あれ? 哀ちゃんから、電話だわ。ちょっとはずすわね」

 

「そうだな。灰原さんの言う通り蘭ちゃんが気にすることはないさ。偵光に遠慮なく聞いてみると良いよ。幼馴染達のことに関しては、止まらなくなるぐらい話し込むからな、アイツ。

・・・ホント、昔から自分のことは二の次で幼馴染連中や周りばかりを気にかけるのは変わんないな」

 

「山川さん、最後何て言いました? 声が小さくて聞き取れなかったんですけど・・・」

 

「おーい、蘭! 山川君も! はぁ、はぁ、はぁ」

 

「お父さん、どうしたの? 目暮警部達の所に行ってたんじゃないの?」

 

「毛利さん、どうしたんですか?」

 

「大変なんだ! ボウズの友達らから聞いたんだが、哀ちゃんとイレイナさんが逃げ遅れてまだ上に取り残されてるらしい! 警部殿に頼んで救助ヘリを要請して助ける手筈になったことを偵光君に伝えに来たんだが、偵光君はどこにいるんだ?」

 

「大変よ、山川さん! 哀ちゃんがイレイナさんと60階の連絡橋の前に取り残されてるみたい! 偵光君に相談しようとしたんだけど、見つからないのよ!」

 

「そんな!? 早く助けに行かないと大変じゃない! もう、お兄ちゃんったらこんな大変な時に・・・って山川さん、双眼鏡で上を見上げてどうしたんですか?」

 

「あの馬鹿野郎! 怪我の状態も良くないのに無茶しやがって。3人とも、落ちついてください。偵光なら、今60階の連絡橋のとこを博士の発明品使って飛び移るのが見えました。おそらく、イレイナさん達を助けに行ったんだろう。すみませんが、俺は今からあの馬鹿を連れ戻しに行かないといけないんで失礼します。灰原さん、哀ちゃん達のことは心配しなくて大丈夫だ。偵光が側にいるから絶対大丈夫だ。問題は偵光の身の危険の方だ。どうしてこうも周りを心配させる行動ばかりするんだ、アイツは!

 この場は任したぞ、灰原さん!」

 

 俺は発明品の入ったリュックを持って、灰原さん達の返事を待たずに60階へと向かうのだった。

 

〈山川光 side out〉

 

 

〈イレイナside〉

 

「いたたたた。あのワイヤー式ピストルで飛ぶのはちゃんと安定した場所でやらないとダメだな。改良点が何点か分かっただけでも良しとするか」

 

「あら? 随分と早いご到着ね、白銀。予想してたよりだいぶ早いじゃない。哀ちゃんが驚いて固まってるわよ? それに怪我してるのに無茶したらみんなから怒られるわよ?」

 

「イレイナさんと電話しながらここに向かってたからね。おーい、哀ちゃん? ダメだ、反応が無いや。頬っぺたつんつんしたら怒られるかな?

 怪我して無茶する羽目になったのは、イレイナさんのお仲間さんのせいなんだけどな・・・。あの銀髪クソロン毛野郎今度あったらとっちめてやりたいんだが」

 

「なるほどね。そんなことを女性にしたらセクハラになるわよ? 見た目はこんなだけど中身は立派なレディーなのだから。それにしても遠慮なくぶっ込んできたわね。やっぱり私の正体にも気づいてたのね。流石ベルモットの英才教育で育った大事な大事な義息子ね。それでそれを明かしたら私に消されるとは考えなかったのかしら?」

 

「セクハラで訴えられるのは勘弁かな。そりゃあ、もちろん。だいたい、うちは組織のメンバーが結構いるからね。今いるのはベルモット、バーボン、キール、イレイナさんの5人かな? あの組織の情報はある程度掴んでるし、身内に手を出すってなら容赦なく叩き潰すからね。それにイレイナさんたらそんなつもりないでしょ?」

 

「どうやら私達の情報も確実に掴んでるみたいね。ベルモットの為かしら? それとも、そこにいるシェリーちゃんの為かしらね? どうして私が手を出すつもりが無いって思うのかしら?」

 

「クリスの為ってのもあるが、そこにいる哀ちゃんとイレイナさんの為ってのもあるからね。イレイナさんって歩美ちゃん達のこと気に入ってるし、ウチの事務所の人らとも仲良くなって居心地良くなってるでしょ? 

 それに手を出すつもりならとっくに出してるでしょう?」

 

「やれやれ。どうやら全部お見通しみたいね。私がある方から命令が下ってどうしようもなくなったらどうしてくれるのかしら?」

 

「もちろん、全力で助け出すつもりだよ。こっちに引き込むつもりでイレイナさんをウチの事務所に入れたしね」

 

「‥なるほどね。白銀には敵わないわね。なんとなくそんな気はしてたから予想ついてたけどね。あるお方ってのも掴んでるのよね。今のところ何も指令は無いし、このまま生活を続けていいって言われてるから私は現状を楽しんで満喫していくわ」

 

「ちょっと待ちなさい! 何2人で呑気に話してるの!? 白銀さんもどういうことか分かってるの!? キュラソーといえば、黒の組織のNo.2ラムの腹心よ! それに貴方みたいな人は、闇側に足を突っ込んだりしたらダメよ!」

 

「うおっ、ビックリした! 容赦がない説教タイムにいきなり入ってますね!? 哀ちゃん、俺のこと心配してくれてありがとう。大丈夫だから心配しなさんな。哀ちゃん以上に、イレイナさん達がいる組織の情報には詳しいし、闇側の情報ってのは探偵業やってたら色々と入ってくるから今更なんだよね。それに、俺みたいな気味の悪かったガキを面倒見て育ててくれたアイツを闇の中から助け出してやるって決めたからね。その為には、あの組織を叩き潰すのが絶対条件だしね。まあ、今では哀ちゃんも含めた色々な人を不幸にしたことを後悔させてやりたいぐらい怒ってるってのもあるけどね」

 

「だそうよ。哀ちゃん、白銀が考えを曲げないってのはよく分かってるでしょう? 諦めなさい。さてと、ここで長話していても仕方ないし、脱出できる方法を考えないといけないわね。2人とも何か案はあるかしら?」

 

「‥はぁ、分かったわ。私や美樹さん達が何か言っても聞いた試しがないものね。今は、イレイナさんが白銀に手を出すつもりが無いってのは認めてあげるわ。もし手を出すっていうなら、私が貴女を殺すわ、キュラソー。それだけは胸に刻んでおきなさい。

 さてと、脱出方法ね。白銀さんがここに来たワイヤー使えばいけるんじゃないの?」

 

「反対側もボロボロでワイヤー引っかける場所が無いから難しいんだよね。警察が屋上に救助ヘリ呼んでもらうよう手配してるだろうから屋上に向かうのが一番無難かな? 別の方法も考えたけど、道具や人手とか足りないし、無茶な方法にもなるから最悪の場合かな? 人手に関してはあと2人ほど間違いなく来るだろうから、先に登って待ってよう」

 

「分かったわ。後から来る2人ってのもだいたい予想できるわね。白銀さんの言う通りに屋上に向かいましょう」

 

「ええ、そうね。白銀が言うことは間違いないでしょうし、信じましょう」

 

 私達は会話を続けながら、階段を登り屋上を目指していくのだった。



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