最弱先輩に憧れて (@深夜)
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--序章--
プロローグ(前)


球磨川先輩の小説が少なかったので、自分で書いてみようかなと思い書きました。
ですが知らない人でも見れるように書いていけるよう頑張りたいです。
舞台を『結城友奈は勇者である』の世界にしたのは他にいいのが思いつかずこの舞台にしました。
そこまで詳しいというわけではないので何かあったら教えていただけると幸いです。
どうぞ



「ふぁーあ、、寒っ!厚着せねば!」

やぁみんな!おはよう!

ぼくの名前は『球磨川 禊』、、ではなく

『西村 翔助』って言うんだー。

え?「突然なんだよ?」って?

 

あいさつも、自己紹介も大切だろ?

突然と言うけど、物事は勢いが大事というからおかしくはないでしょ。

 

え?それは今じゃあないだろって?

ハッハッハッ、、それもそうだね。

寒すぎて頭がおかしくなってたよ

今年の冬はいちだんと冷えるからねー。しかも暖房器具はうちにないから余計に寒い。

 

僕は貧乏だからね。学校帰りにゲーセンに行ってる子や、飲食している人みたいにすることも当然できないんだよね。

土日にはバイトも掛け持ちして暮らしていっているので娯楽にまわすお金はほとんどない。

親からの仕送りは100%ない。

中学3年まで暴言を吐かれて、馬車馬の如く働かせられて、あげくには暴力と、虐待をされ続けたからね。

根性焼きとか腹パンとか腹パンを含め何回やられたか覚えてないぜ。

30回越えてから数えてないしな。

 

でも、『めだかボックス』は見たなー。

球磨川先輩に対して親近感をわいてからは何回か見たな。・・金なくてそこまでみれてないけど。

 

まぁ親近感わくといっても、僕はあそこまでひどくはないと思う。

自分で言うが、頭はいい方だしな。

自慢に聞こえるかい?才能とかではないよ

じゃあなんで、と思うかもしれんが、、

小さい頃に親にやさしくしてもらいたくて文字通り必死に勉強したからこうなった。

まぁ、結局意味なかったんだけどね。

 

ちなみに頭以外はからっきし駄目だ。

彼女?いませんがなにか?

友達?0人ですがなにか?

運動?この前小4にかけっこで負けました

顔?バイト先の店長に聞いたら「普通」だってさー、、良いのかな?悪いのかな?

 

でも性格は自信あるぜ。

僕よりポジティブな人はいないだろう。

太陽のように明るい性格だからな。(キメ顔

 

ちなみに今日は日曜日のため学校は休みだ

・・バイトはあるが。

というか、そんなこと考えてたらもうそろそろ時間だな。

先ほども言ったとおり、運動が苦手な僕は走るなんてことは論外なのでバイトも学校も時間より早めに出る。

 

 

ボロボロのドアを閉めて鍵をかける。

家賃が安いかわりにこのアパート廃墟みたいなんだよなぁーその気になれば壊せそう

 

 

「でも贅沢は言えないよね。住めるだけでありがたいと思わないとね」

 

 

外はやっぱり寒く、時々ふく風でよりいちだんと寒く感じる。

こういう時のために手袋とマフラーを編んでいたのだがまるで無意味のように感じる

そんな地獄の寒さに耐えながら歩くと交差点が見えてきた。

 

「よし、あそこ曲がったらあと少しだ」

 

そんな言葉で自分を励まして前を向く

前には小学1年生ぐらいの一人の少女と

そのお母さんらしき人が並んで待っている

二人は会話をしたりしながら楽しげだ。

 

「ねーねーおかあさーん、きょうのおたんじょうびかいたのしみだねー」

 

「そうだねーゆうちゃん」

 

微笑ましい会話だねー、、誕生日、、か

・・そんなもの生まれて一度も経験したことないや。

相手が小学生とはいえ、、少しうらやましいな。

 

そんなことを考えていると

信号が変わった。

 

少女は気分が高まっているのか走って渡ろうとした。

きっと、誕生日会のことで頭がふくらんでいるのだろう。

 

 

 

『近くまで迫っている車にすら気付かないほどに』

 

 

 

近くのお母さんらしき人は目を大きく見開いて硬直していた。

そりゃそうだ、

信号は確かに『青』に変わっているのだから、それは間違いのない事実だ。

でも僕は違った、反射的に体が動いていた

 

「危ない!、、」

 

少女を・・突き飛ばした。

 

 

 

ドォォン!!

 

 

自分の体に痛みが走ったのがわかった。

体が宙に一瞬浮いたのち鈍い痛みを感じた

 

数秒遅れて悲鳴が聞こえる。

 

普通の人なら痛みに悶えるのだろう。

この痛みからして両腕は使い物にならないだろうね。右足は骨折。内臓も大きく出血しているだろうなこの様子だと。

 

親から虐待を受けていたおかげだろうか

痛みは分かるが、すっかり慣れてしまった

それにどのような状態なのかもよく分かるようになった。

確証はないが90%以上は当たっているだろう

というか何キロだしてたんだよあの車。

この傷は確実に手遅れだろうな

 

・・意識も途切れてきた。

最後に変わっていたはずの信号機を見た。

 

「え?・・ははっ、きれいだなー」

 

 

 

それはそれは、綺麗で、美しい

 

 

 

『赤色』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
まだ大きく内容には入ってはいません。

、、グダグダです。

(追記)2020 1 26
一部見直した結果、誤字がありましたので直しました。
表現の仕方も少し変えましたが、些細な変化なのであまりお気になさらず。


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プロローグ(後)

今回で転生うんぬんなどまでいきます。
長いなぁと思うかと思いますが。
お見守りください
どうぞ


 

「・・ん?、、あれ?え!?ここどこ?」

 

目が覚めたら知らない天井だった、、

どころではなく、真っ白な部屋に何も無い空間。

・・そういえば僕、跳ねられたんだっけ。

ということは死後の世界ってやつかなこれ

 

「ほー、察しがいいな少年よ。」

 

「うぉっ!びっくりしたーというかどこから出てきたんですか?あなた?」

 

いきなり一人のおじいさんが背後にたっていてびっくりしてしまった。

心臓に悪いな寿命縮むよー、死んでるけど

 

そんなことを考えながら目の前の老人のことをよく見る。

、、うんTHE GOD って感じだねー

白い髭に頭の上にある天使の輪っか。

夢みたいな状況だねこれ

もしや夢かもなこれ頬をつねってみようか

 

「頬をつねっても夢なんかじゃあないぞ?というか、自分が死んだことを理解しているぐらいなんだから、実感ぐらいはわくであろう?」

 

考え読めるのかよ。さすがGODだね

 

「まぁ、実感はわいてますが、神様がこんな冴えない少年に何の用かなーと」

 

「暇潰しじゃよ」

 

「・・・は?」

 

「お主の人生を一通りみたのだが、とても興味深くてのぉ~」

 

暇潰しねぇー僕で?

興味深いか、、もっといい人いると思うんだけどねぇ。

それに、、『嘘半分本気半分』って感じだな。何か嘘ついてるな、、何だろう?

 

「まぁ、そんなことよりもだ。話を進めていいかのぉ?」

 

「はぁ、話ですか?」

 

「そう、簡潔に言うが転生というもののをしてもらいたい」

 

転生ね、よく転生ものとかあるけどそんなポンポンやっていいんかね?

 

「いいんじゃよ別に」

 

いいんですねー、なるほどー軽いなー

 

「で?具体的内容を教えてください」

 

「そうじゃな、、ただ転生するだけなら面白くない。というわけで何か特典をやろう」

 

「特典?」

 

「そう。例えば漫画、アニメのキャラの能力とかがテンプレじゃの」

 

へぇーでも、それじゃあチート級の能力もいくつかあると思うんですけど

 

「チート級の能力でもいいぞ。それはそれで面白いからのぉ」

 

「それって一つだけですか?複数の場合はどうなりますか?」

 

「二つ以上になると何かしらデメリットがつくことになるがそれでもいいならよいぞ」

 

なるほど、、

やっぱり王道は主人公とかのチート級能力だろうね。正義の力とかが定番だろうね。

確かに興味深いけど・・

やっぱり僕はあの人がいいな

 

「神様、決めましたよ。」

 

「ほう。早いのぅそれでどうする?」

 

「お前が欲するのは何だ?チートか?最強か?無敵か?」

 

神様の雰囲気が変わった。

テストの問題文のような問いかけをしながら、強者の圧ってやつ?をだしている。

どことなく自分にプレッシャーがかかる

チート、無敵、最強

魅力的な言葉だろうねでも、、

 

「僕は球磨川禊の『大嘘憑き』(オールフィクション)と自分のオリジナルな力が欲しいです。」

 

「ほぉ。そしてデメリットは何がいい?」

 

「新しい体じゃなくてこのままでの転生とかどうですか?」

 

自慢じゃないが身体能力はゴミ。

コミュ力も高いわけでなく。顔も普通と、

RPG的に言うと全体的に低めのステータスのためデメリットにはなるのではなかろうか

 

「確かになるかもしれんが、、使い慣れた体だからのぉ~」

 

「なら身体能力は上限を作るとかいかがです?」

 

「上限を作ればそれ以上上がることはないし、逆に下がることはあるのでデメリットになると思いますが、、どうです?」

 

「ほぉ~面白いのぉ、それでよかろう」

 

設定はOK。でも転生先はどこなんだ?

 

「ん~何か指定あるかのぉ?」

 

指定しろと言われても、、漫画もアニメも知らないし、ドラ○もんの詳細も知らないぐらいだしなぁ。

 

「ならくじきびきで良いかのぉ?」

 

「え?そんな雑でいいんですか?そんな学校の席替えの席決め感覚で」

 

「いいんじゃよ~よーしドーン!、、なるほどなるほど~」

 

「なんて名前の世界ですか?」

 

「もし知ってたらつまらんから、内緒じゃよ。ハイ、行ってらっしゃい~」

 

その言葉と同時に意識が薄れていく。

、、急すぎ、、ない?、、

 

 

 

転生先に移動中の少年を眺めて、完全に行ったことを確認し、ある老人は呟く。

 

「もちろん暇潰しに誰か特典付きの転生をさせようと思ったのは嘘じゃあないがのぉ」

 

あの少年の生前の暮らしはひどかった

親も友達も、あげくには動物からも嫌われていた。

人は気付かないだけで必ず誰かから愛をうけて育っていく。

愛がなければ人は生きられない、だが環境も整っていなければいけない。

衣・食・住とプラスで愛

これが当たり前だそう当たり前だ

 

だけどあの子は違った

彼は『愛』も『衣』・『食』・『住』

も全部受けられなかった。

 

『なのに生きていた』

、、いや『生きてしまっていた』というほうが正しいかな?

いっその事死ねていたら楽だっただろうに

 

「同情したのだろうな、わしはあの子に」

 

事実亡くなったあとでもかばった子とその母親、父親以外だれも悲しんだ者はだれもいなかった。

 

「頑張れよ少年、、いや、

 

『西村 翔助』(にしむら しょうすけ)よ」

 

 

 

 





やって転生うんぬんが終わりました。
次回から転生先で色々オリ主が行動します


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--鷲尾須美は勇者である--
その一


転生先での生活の話です
どうぞ



 

やぁ、僕だよ。突然だけど神様に転生させてもらってから気づいたんだけど。

 

「おめでとうございます!立派な男の子ですよ!」

 

ここ(赤ちゃん)からなの?

これが本当のニューゲームってね。

、、きついんだけど

 

そんな赤ちゃん生活を僕は数年間耐えた

生まれた時に赤ちゃん普通叫ぶのだが、叫ばなかったせいで心配されてしまい両親が過保護気味になってしまっていた。

それと気づいたことが、自分の名前も前世と同じということに気づいた。

父親が『西村 康晴』(にしむら やすはる)

母親は『西村 藤美』(にしむら ふじみ)

まぁ前世と同じ感覚で生きれるのでこのような環境を作ってくれた神様には感謝だ。

 

というか、心配なんて今までされたことがなかったので、がらにもなく戸惑ってしまった。

それでもほんの少し不思議と心地よかった

 

 

とりあえずそんなことがありつつも幼稚園にやっと通う歳にまでなった。

正直友達はできるか不安だったが一応、一人ぐらいは作れた。

やはり転生を期にキャラを少し変えたからかな?(関係ない

 

「おーい、しょうすけー!」

おっと仲間が呼んでいる行かないとね。

『はいはいどうしたの?ひろとちゃん?』

 

キャラ変の内容は簡単

しゃべり方を括弧つけただけである

かっこつける、、括弧つけるってね。

はい、ただの最弱先輩リスペクトです

 

「おれはおとこだぞ!?ちゃんづけするなー!」

 

『おいおい落ち着けよひろとちゃーん?』

 

「わざとだろー!!」

 

この子は『谷崎 寛人』(たにざき ひろと)

そんな感じで幼稚園同士でじゃれていると

(片方は精神年齢高校生以上)

一人の子が目についた。

 

『金髪、、だと?』

 

何だあの子?金髪って地毛かな?珍しいね

 

「ん?どうした?しょうすけー?」

 

『いや、あの子何で一人なのかなーと』

 

「え?しょうすけ、そのこのことしらないのかよー」

 

『そのこ?聞いたことないなー』

 

へーあの子そのこちゃんっていうんだね。

にしても何で一人なんだろう?見た目はあきらかにかわいいのに、、性格かな?

 

「そのこはなーふしぎななんだよなー」

 

『不思議?どういうことだい?』

 

「なんかーのほほんってしててはなしにくいんだよ。」

 

へぇーつまりマイペースってことか。

まぁおっとりはしてそうだね

・・というかどこ見てるんだろう?あれ

 

「それにおとうさんがいってたんだけど、そのこのいえはえらいおうちなんだって」

 

『偉い家?』

 

「うん。だからあんまりかかわったりしてめいわくかけたりしたらなにされるかわからないだってー」

 

なるほどね。そりゃ関わらないわけだ。

でもそんなことしそうにないけどな

まぁ、もしもの可能性を考えて距離を空けろと子供に言うんだろうね。

 

「だからしょうすけもかかわらないほうがいいぜー?」

 

『でも退屈そうだぜ?やさしそうな子だし話をしてみないとわからないだろ?』

 

「まぁ、しょうすけがいうならとめないけど、、なにかあってもしらないからなー?」

 

心配してくれてるのかな?

幼稚園児なのに人の心配とはいい子だね。

 

『まぁ、行ってくるよひろとちゃん』

 

「うん、いってらっしゃーい、って!ちゃんづけするなー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





原作知識は曖昧なところがあるので
「ん?」と思う部分がありましたら。
お教えください。


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その二

思い浮かんだので投稿です。


 

ひろとちゃんから離れて部屋の隅を見つめている少女、、そのこちゃんだっけ?に

はなしかける。

 

『ねー君?一人で何してるんだい?』

 

「・・・・・」

 

ん?無視?

いや、これは~

試しに少女の前に立ち手を振る

 

『おーい?』

 

「・・・ハッ!」

 

『気がついたかい?』

 

やっぱりボーっとしてただけかい。

でも、良かった無視されてるだけだったら傷ついちゃってたよ。

 

「ご、ごめんね、ボーっとしちゃってたんよ」

 

『いやいや気にしなくていいよ。いきなりはなしかけた僕も悪いからね』

 

「で、えっとなにかわたしにようかな?」

 

『いや、みんな友達と一緒に遊んでいるのに一人だけで何してるのかなぁーってね』

 

ちょっと無神経だろうねこの質問

まぁ見た目は幼稚園児なので許してね。

 

「あはは、わたしはみんなよりゆったりしてるからね~。きみわるがって友達ができないんよー」

 

自分達と違う性格、なおかつ家が偉いため何かあったら自分達がなにされるかわかったもんじゃないと。

まぁ、怯えられて友達なんかできないだろう当たり前だ。

でも前世の僕じゃああるまいし。嫌われてはいないが一人ってのは普通の人だと辛いだろう。

ならば、、

 

『じゃあ僕と友達になろうよ』

 

「・・え?」

 

『ん?あれ?嫌だったかな?』

 

「い、いや私はみんなと違ってのんびりしてて、マイペースなんだよ?」

 

『それで?』

 

「・・家だって大きいから、なにされるかわからないって先生たちだってうわさしてるんだよ?」

 

『らしいね?』

 

「らしいね?って、、怖くないの?気味悪がらないの?」

 

友達になろうって言ってるだけなのにこんなに困惑されるものなのかな?

にしても本当に幼稚園児かい?この子?

人の話がそこまで聞いているとはね、、

それぐらい周りのことを気にかけていたんだろうね、実に優しい子だ。

こんな子に辛い思いはさせれないね。

 

『怖くもないし、気味悪くもないよ。じゃないと友達になろうなんて言わないだろ?』

 

「ほ、ほんとうにいいの?」

 

目が若干潤いでいる

 

『当然。むしろこちらからおねがいしたんだぜ?友達も一人だけじゃ寂しいしね』

 

『僕の名前は西村翔助よろしくね?君は?』

 

「わ、わたしは、乃木さん家の園子です!」

 

『・・何で敬語?』

 

「あ、、えへへ、、緊張しちゃって」

 

まぶしっ! 良い笑顔すぎるよ。

 

『改めてよろしくね?園子ちゃん』

 

「うん!よろしくね、にっしー!」

 

は?にっしー?・・ああ、あだ名ってやつなんだろうね。

前世で一人も友達いなかったからあだ名呼びなんて都市伝説かと思ってたよ。

 

 

というか園子ちゃんはあだ名なら僕もあだ名でよんだほうが良いのかな?

 

そんなことを僕は少し考えていたが、友達0人だった僕がそんなこと分かるはずもなく、1日たっても答えはでないのだった。

 

、、明日両親に聞いてみようか。




どうですかね?
「~は勇者である」シリーズは詳しいというほどでもないので。
ネットで一部調べながら書いていますが、本家の作品と比べてキャラなどの設定で相違点がありましたら教えてください。
では


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その三

能力全然使ってないな、、、
何のための能力なんだよw
どうぞ


 

新しく園子ちゃんと友達となってから数日間の時が経った。

 

「おーにっしーおはよう~」

 

『あぁ、おはようそのちゃん」

 

初めて友達になった時の距離はすっかりなくなっており、あだ名呼びがすっかり定着したぐらいである。

あの時一人でいた時よりこころなしかキラキラしているような気がする。

まぁ僕が人の力になったのなら幸いだね

 

「今日はいい天気だね~」

 

『そうだねーそんな日は~?』

 

「寝るのにうってつけなんよー、、zzz」

 

『おっとっと、、いやいや早いな』

 

机があるのに何で僕の肩に寄り添って寝るんだろう?それに寝るのが早すぎるだろ。

しゃべった後2,3秒で眠りの世界に旅立った

 

にしてもやっぱり園子ちゃんは人形みたいに可愛いな。そんな子が眠っている姿は、

 

『正に眠り姫ってか。すごいしっくりくるなこの言葉』

 

「むにゃむにゃ~」

 

そんな事を園子ちゃんの頭を撫でながら呟く。しかし、気持ち良さそうに寝てるなぁ

まぁ、時間がきたらおこしてあげよう

・・肩痛いけど、、まぁ耐えてみせよう。

 

 

 

 

「おーい翔助ー帰るぞー」

 

今日の幼稚園が終わった。

やっぱり幼稚園は小、中、高などと違い午前中に終わるため元高校生にとってはいまだに慣れないものである。

 

『うん。今いく「ちょっといいかな?」よ?』

 

ん?誰だろうこの人?優しそうな雰囲気を漂わせているけど、、父さん何その顔?

 

「あ、あの乃木家の方がうちの息子になにかご用ですか?」

 

乃木家の方?・・ん?どこかで、、あ!

 

「いえ、うちの娘が息子さんに世話になっているとのことで」

 

「は、はぁ世話、、翔助まさかお前、?」

 

やっぱり園子ちゃんの家の人か。

・・てか車でか! 父さんの驚きようからだいぶ位の高いお家なんだろうね。

父さん、そんな「なんかしたな?」みたいな目で見ないでよ。なんもしてないよ

 

『いえいえ、むしろこちらこそ園子ちゃんとは楽しく遊ばさせてもらってます。あと父さん、そんな目で僕を見ないで』

 

「ははっ、そう言ってくれると助かるよ。にしても本当に幼稚園児かい?君?」

 

『あはは。よく言われます』

 

「翔助君といったかな?翔助君のお父さん、彼を家に連れていってもいいでしょうか?色々と話をしてみたくなってしまって」

 

「ど、どうぞ。おい翔助、乃木さん家に迷惑をかけないようにな。」

 

何か勝手に話が決まっていく、、

まぁ嫌ってわけじゃないけどさ。

 

『わかってるよ父さん』

 

「じゃあ乗ってくれ翔助君」

 

そう園子ちゃんのお父さんに言われ、車に乗り込む。うひゃー広いねー

しかも使用人っていうの?そんな人もいるし、もう色々とすげぇな(思考放棄

おや彼女もいたのか。

 

『園子ちゃんいたんだね」

 

「むーなんかその言い方はひどいんよー」

 

「ははっ。二人共仲が良いな」

 

「えへへ~私とにっしーは一心同体なんだよ~」

 

『どこで覚えたんだい?そんな言葉。ってかちゃんと意味分かって使ってるかい?』

 

そんなくだらない雑談をしながら車に揺られ乃木さん家に着くまで時間を潰したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





能力使用はまだまだお預け、、かなぁ?
使える場面がないんじゃあー。


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その四


乃木さん家の回です。
会話文多めです。


 

あれから少し時間がたって乃木さん家についたのだが、、

 

『車・使用人、ときて予想はできてたけど、家でかいねぇうんなんというかすごぉいねー。(語彙力喪失)』

 

 

でかいねぇうん、でかい。

こんなでかい家漫画の世界でしか見たことないんだけど。

 

「そうかなー?わたしは見慣れてるんだけどなー」

 

「ははっ。まぁ、とりあえず中に入ってくれ翔助君。色々話をしてみたい」

 

『アッハイ』

 

中に入るとますます広いって、何回広いでかいって言えばいいんだろうか?

 

とりあえず一つの部屋に園子ちゃんのお父さんと入る。

 

「え~わたしはー?」

 

「悪いな園子。話が終わったらすぐに遊んでいいから、今は我慢して自分の部屋に行っててくれ」

 

『ごめんね?そのちゃん』

 

「わかったよー」

 

園子ちゃんが部屋から出ていったのを見て園子父の雰囲気が変わる

といっても転生の時の神様とちがって圧があるのではなく、優しい雰囲気だ。

 

「あらためて言わせてもらうよ。園子と仲良くしてもらってありがとうね」

 

『何回も言いますけど、お礼をいわれるようなことはしてませんよ。僕も友達少なかったので友達を作ろうとしただけです。』

 

「そんなことないよ。園子は他の子よりおちついているし、雰囲気もおっとりしているからね。幼稚園内の生活は大丈夫か不安だったんだよ」

 

、、本当にいいお父さんだな。

僕の前世でのお父さんは酒飲んで、飯くって暴力のローテーションだった。

お酒の一升瓶で頭なぐられた時は、死ぬかと思ったなー懐かしいよ本当に。

 

「でもある日友達ができたといって君の話をしてくれた時は本当に安心したよ」

 

「君の話をしている時の園子はいきいきしていてね。キラキラして見えたよ」

 

『園子ちゃんの事を話している今のお父さんも今とてもキラキラしてますよ?』

 

「おや?そうかい?」

 

『えぇ。娘思いのいいお父さんですね。

園子ちゃんは幸せものですよー』

 

「・・・かなわないなぁ、君には」

 

あぁ、本当にうらやましいよ前世のお父さんもこんな人だったら良かったのに。

・・やめよう。もしもあの時なんて話をしても虚しさしか残らない、時間の無駄だ。

 

「できればまだ話をしたいけど、そろそろ園子が暇をしているぐらいだろうから行ってあげてくれ。」

 

『わかりました。では』

 

そう言われて僕は園子ちゃんのお父さんがいる人の部屋を去ろうとして、ドアに手をかけた僕に

 

「園子のことよろしく頼むよ。翔助君」

 

と言ってくれたので

 

『任せてくださいよお義父さん』

 

と茶化して返した。

 

 

 

 

「お義父さん、、か。いい響きだな。まだまだ早いが考えてみよう。」

 

 

 

『やぁ、待ってたかい?そのちゃん』

 

「おそいんよーにっしー」

 

隣の園子ちゃんの部屋に入ると、ネコ?みたいなぬいぐるみを抱いて座っていた。

 

『何だい?そのぬいぐるみ』

 

「これ?サンチョっていうんだよー」

 

『ふーん好きなのかいサンチョは?』

 

「もちろんだよ~」

 

サンチョ、、聞いたことないな

そこまで可愛いように見えないが、まぁ園子ちゃんは他の人と違うのでなにか思う所があるのだろう。

 

「お父さんと何話していたのー?」

 

『たいしたことじゃないよ』

 

「そう言われると気になりますなー?」

 

『んーならクイズをしようか?』

 

「クイズ?」

 

園子(父)さんすみませんね許してください

 

『そう。そのちゃんのお父さんが僕に話してくれた内容はなんでしょーか?』

 

こう聞けば園子ちゃん機嫌戻るでしょう。

・・・ほらなんか少し目が輝いてる。

 

「んー晩御飯食べていくかとかー?」

 

『違います』

 

「えー?ん~、、、」

 

まぁでも園子ちゃんならすぐわかるだろう

この子なんやかんやで勘するどいし、天才タイプの子だろうしね。

 

「・・私のこと?」

 

『さすがだね。正解』

 

「イェーイ誉めて、撫でて欲しいんだぜー!」

 

テンション高いなぁー。

そんなに当てれたの嬉しいか?

 

「で、どんなことをはなしたの?」

 

『そのちゃんのことをよろしくだってさ心配されてるんだねー』

 

「へぇー心配してくれるのはうれしいんけど、私はもう大丈夫なんよね。」

 

『ん?何でだい?』

 

「・・話しかけてくれた時、びっくりしたんよ。話しかけられたことなんてなかったからねー」

 

『・・それで?』

 

「でもすごいうれしかったんよ。家のおおきさや私の性格を受け入れて一人の友達としてはなしてくれて」

 

「だから毎日たのしいんよ!だから心配なんかいらないんよ。」

 

『・・そうかい。』

 

うれしいこと言ってくれるなー

友達として胸が暖かくなるね。

 

「そんなことより外出て遊ぼうー!」

 

『おっとと、ちょっと待ってー!』

 

体動かすのは苦手なんだがなぁ~

まぁいいか園子ちゃんが楽しそうなら。

 

 

そのあとおいかけっこやかくれんぼなどをして遊んだのだが、運動ができなさすぎて園子ちゃんについていけず引きずられ続けたのだった。

 

『そのちゃん運動神経異次元すぎる、、』

 

「えへへ~楽しいねーにっし~」

 

 

 

 

 

 

 





キャラ口調が曖昧な部分がございますので違う部分がありましたらご指摘ください。



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その五


思いついたので書きました。
時間がとびとびです。長くなりそうなので

ではどうぞ


 

時が経つのは早いもので、幼稚園児だったと思ったらあっという間に小学生高学年になった。

『光陰矢の如し』とは良く言ったものだ。

だがその間に何にもなかったわけではない

 

そうだな、、数ヶ月前の時に

 

--------------------------

 

「なぁ、翔助。園子ちゃんとは最近どんな感じなんだ?」

 

『え?どうって何だい?父さん?』

 

「そりゃあ、、わかるだろ?関係の進展だよ。付き合っただとか、恋人になっただとかそういうのだよ」

 

『父さん小学生にそんなの求めるのは気が早いよ?まだまだ数年積まないと。』

 

「甘い!そんなこと言ってるとあっという間に売れ残り行きだぞ~昔の母さんみたいになー。」

 

『小学生の息子になんてこと言ってんの?

・・父さん、、後ろ。』

 

「ごまかそうとするなよ~というか後ろがどうし、、た、、」

 

「あなた?さっきなんて言いました?」

 

「な、なんでもないぞ!なぁ翔助!」

 

『あぁ、ソウダネ』

 

「棒読みで言うなぁー!!」

 

そんないつもどうりの平和(?)な朝の風景だったのだが、、

 

コンコンコン

 

『お?母さんもうそれぐらいにしてあげて

父さん、来客だよ。』

 

「ハァーわかったわよ。・・命拾いしたわね~あ・な・た?」

 

「ひぃ!と、とりあえず確認するか」

 

母さん怖! ・・父さん手震えてるよ?

そんな震えた手で父さんが扉を開けると

 

「失礼いたします。」

 

仮面の人間が立っていた。

 

・・・は?誰?変質者じゃん。110番しよう

 

「え?な、なんで大赦の方がこんな普通の家にいらしたんですか?何かご用で?」

 

ん?『大赦』?

あぁこの人が大赦なの?

 

 

この世界は僕が住んでいた世界と違い、神に支配されている。

一部の県以外は全て天の神の支配下に置かれており。それでも人類が生きていられるのは『神樹様』の力によって守られている

それにこの地域は壁に囲まれていて、景色もあまり変わらないため暇だった。

目には目を神には神をということらしい。

その神樹様を奉っているのが『大赦』という組織らしい。

ちなみにだが乃木家と上里家が2トップらしい。曖昧にしかわからないが

 

しかし本当に何のようだ?

うちはごくごく一般の家系のはずなのだが

 

「西村家様の西村翔助様が『勇者』として選ばれました。」

 

「・・・・は?」

 

『勇者』?何だそれは?

 

「ゆ、勇者として選ばれるのは大赦の中でも伝統のある家系で、なおかつ無垢な少女なはずでは!?」

 

「そ、そうですよ!なんでうちの息子が」

 

なるほど『勇者』とだけあって選ばれる条件もかなり厳しいのか、、

でも父さんが言ったことが本当ならばますます意味がわからない。

僕の家は一般家庭、少女でもなく、なんなら無垢ですらない。

というかなんで父さん詳しいんだ?

母さんも同調してるってことはある程度は知っているってことだろうし。

 

「神樹様の信託です。『西村家の西村翔助を勇者にせよ』と。」

 

「そ、そんな、、なぜ?」

 

「我々にもわかりません。しかし適正値も低くはなく、むしろ高い部類に入っておりますので。」

 

「なら!家の関係はどうするんですか!」

 

「家は、大赦の中でも低い位なのですが『新倉家』に養子として出ていただきます。」

 

「いくらなんでも急すぎます!!そんないきなり自分の息子を養子だせだなどと、、そんな条件を飲みこめというのは無理でしょう!?」

 

「確かに急な申し出なのは理解しておりますが。それでも飲みこんでいただきます。

神樹様の信託によってもうすでに決まっていますので。」

 

「っ!!、、せめて最後の生活の時間ぐらいください。」

 

「はいそれに関しては数ヶ月間お待ちいたしますので、荷造りなどはその間にすませてください。」

 

「・・・・わかりました。」

 

「では、また当日」

 

バタン

 

「う、うぅ、、」

 

「くそっ、、何でうちの息子が、、」

 

ひどい状況だな。

母さんは泣き崩れて父さんがそんな母さんを支えてポツリと言葉を紡ぐ。

養子として出るということは僕の名字も変わるんだろうな。

話の通りだと「新倉 翔助」ってなるのか。

 

にしても、僕が居なくなるぐらいのことなんかで悲しんでくれるなんてなぁー

 

『父さん、母さん大丈夫だよ僕は』

 

「翔助、、」

 

「・・翔ちゃん、、」

 

『名前が変わるだけで僕は僕だ。本質はなに一つ変わってないよ。』

 

「「・・・」」

 

『だから大丈夫だよ。本当にね』

 

「ごめんねぇ、、翔ちゃん、、」

 

「悪い、、翔助、、」

 

その日は生まれて初めて父さんと母さんが泣いていた姿を見た。

 

 

 

 

数ヶ月後に大赦の人が迎えに来た。

養子にいく最後まで父さんと母さんは見送りにきてくれた。

母さんがつけてた大事なミサンガを僕に渡そうとしたが断った。

 

「翔助。強く生きろよ。」

 

『父さん?』

 

「俺みたいに、、大事なものを守れないような人間になるなよ。」

 

『・・・父さんは立派だよ。僕の自慢の父さんだよ。』

 

「翔助、、」

 

あぁ、本当にいい人だよあんたらは。

・・できれば最初っからあんたらみたいな

両親が欲しかったよ、本当にね。

 

「では、そろそろ」

 

『はい。じゃあね父さん、母さん。』

 

「あぁ」 「えぇ」

 

 

 

 

車に揺られて僕は次の養子として生活する

『新倉家』に向かう。

 

 

 

「ようこそおいでくださいました。西村翔助様」

 

目的地に着いて言われた第一声がこれだ。

 

『いや、そんなあらたまらないでくださいよ。今日から家族になるんですから。』

 

堅すぎる。敬語とか、、実に堅い。

こんなんじゃ『家族』じゃなくて『貴族』

になった気分だよ。

 

「そうね。今日からあなたの母親になる、『新倉 愛理』です。よろしくね」

 

『いえいえこちらこそよろしくお願いしますよ。』

 

「・・本当に小学生かしら?あなた?」

 

『よく言われます』

 

最初はやっぱりぎこちなかったけど徐々に距離を詰められたので良かった。

ずっとお互い敬語とか気まずすぎるからね

 

その後本当の両親じゃなくてごめんねだとか言われて色々と気遣われたのでこの人も好きでこうしているんじゃないんだなとわかったので良かった。

 

 

-----------------

 

というわけで僕はもう

『西村 翔助』ではなく『新倉 翔助』

として生きている。

学校では両親が離婚したのち、新しい人とまた結婚したので変わったと説明してもらった。

 

 

そして今日は大事な日だ。

なぜかというと今日の学校が終わったら、西村家に顔を出しにいくからである。

 

「へい!にっし〜一緒に帰ろうぜ~!」

 

『ごめんね。今日は用事があるから無理』

 

あだ名が変わってないのは僕が「前のままでおねがい」と園子ちゃんに頼んだからだ

ていうかテンション高いな。

 

「えー大事な用事なのー?」

 

大事な用事か、、もちろん

 

『うん。大事な用事だよ。』

 

前の両親との気持ちにけりをつける

 

 

コンコンコン

 

『西村翔助だよ。父さん母さん。』

 

ガチャ

 

「よく来たな~翔助ー!上がれ上がれ!」

 

「いらっしゃーい!翔ちゃん」

 

上がった後は色々なことを話した。

学校生活は大丈夫か

友達関係で困ったことはないか

新しい環境には慣れたかなど

色々なことを話して楽しい時間だった。

 

「今日は有意義な時間だったなー母さん」

 

「そうねーとても楽しかったわ」

 

『僕も楽しかったよ』

 

ああ本当に楽しかったよ

 

「そうか!良かった良かった」

 

「良かったわねー」

 

『そうだ!二人にお願いがあるんだ。』

 

「ん?珍しいな?言ってみなさい。」

 

『ちょっと目をつぶってて?』

 

「なんだ?なんかのサプライズかー?」

 

「楽しみね~うふふー」

 

『、、二人ともありがとね。』

 

「「?」」

 

二人とも目をつぶったのを確認して思わず呟いてしまった。

本当に感謝だ。僕が養子として行っても僕のことを心配してくれて。

実に息子思いの両親だ。でも、、

 

 

 

 

 

そんないい人に僕という足枷はいらない

 

 

 

 

二人に人の腕ぐらいの大きさのネジを高速で投げる。二人に命中したのを確認して僕は呟く。

 

『大嘘憑き』【オールフィクション】

 

『二人の頭の中にある僕という記憶を

【なかったこと】にする。』

 

『あんたらは優しすぎる。』

 

『息子の事を思い養子に出た後でも大赦に文句を言いに行こうとするぐらいだ』

 

『あんたらは僕が連れていかれたのは自分達の力不足が原因だと考えている』

 

『おそらくこの先もその事を悔やみ続けるだろう。』

 

『僕という存在に縛られてしまう』

 

『そんなの駄目だ』

 

『あんた達の足枷になるぐらいなら』

 

『僕についての記憶なんて』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『【なかったこと】にしてしまえばいい』

 

 

 

 

 

『じゃあね。また次会う時があったら』

 

 

 

 

 

 

「赤の他人として話そうぜ」

 

 

 





結局長くなってしまった。
まとまらねぇー


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その六


勇者うんぬんの話に入ります。
どうぞ


 

僕が両親とのけじめをつけた次の日

 

 

『おはようー』

 

「おはよう~にっしー」

 

あんなことなかったかのように普通に友達にあいさつをしていた。

、、さすがにいつもよりは遅めの登校となってしまっていたが、誤魔化しはきく。

 

「いつも遅いねーなんかあったの~?」

 

『いや、昨日ゲームに熱中しちゃてね。夜更かししちゃって。ただの寝坊だよ』

 

「珍しいな~」

 

なんてことはない。ありふれた理由だ

小学生としては聞き慣れる理由であろう。

ゲーム、アニメでの夜更かし。何ら不思議ではないはずだ

 

『ん?三ノ輪さんはまだ来てないのかい』

 

「まだ来てないよぉー」

 

「また遅刻だろ?アイツは」

 

三ノ輪さん、、

本名は『三ノ輪 銀』(みのわ ぎん)

とても元気で活発ないい小学生なのだが、遅刻が多く、先生によるお叱りを受けているところを多々見る。

クラスの子に「また」と言われているぐらいである。

そんなことを考えている間に廊下の方から走る音が聞こえる。・・廊下は走るなよ

 

「ギリギリーセーフ!!・・だよな?翔助?」

 

『残念。1分遅刻してるよ三ノ輪さん』

 

「え!?嘘!?、あいた!」

 

「本当です。席につきなさい三ノ輪さん」

 

「安芸先生教科書痛いよー」

 

見慣れた朝の風景を眺めながら一つ思う

『平和』だな、、とね。

まぁ平和なんてものは何かきっかけさえあれば簡単に崩れる。

というか崩れるのも時間の問題だろうね

 

『乃木園子』・『三ノ輪銀』・

『鷲尾須美』と、僕こと『西村翔助』

この四人は『お役目』というものに選ばれたからね。まぁ早い話が『勇者』だね。

はてさて、どうなることやら。

 

 

 

 

 

 

昼休み----

 

「おーい翔助!遊ぼうぜー!」

 

私こと『鷲尾 須美』は『お役目』と呼ばれる大事なものに選ばれた。

それと私以外にも三人いる一人は今友達の名を呼んだ「三ノ輪 銀」さん。

遅刻常習犯であるが、他のクラスメイトと楽しげによく話しているところを見ると悪い人ではないのだろう。

だが遅刻常習犯である。

 

二人目は「乃木園子」さん。

大体いつもある男子と一緒にいるため、二人は付き合ってる説がとなえられている。

なお本人たちは

「えへへーにっしーと付きあう、、、えへへー」

『そのちゃん?否定してよ?まぁ仲が良いのは否定しないけど、付き合ってたりはしないよ。』

と述べている。

小学生であるのに付き合うなんて、、、

ハ、ハレンチだわ!!

 

・・コホン。話を戻そう

本人の性格はとてもおっとりしており、男子の子との会話を聞くとわかったのだが、

独特な感性をもっているようである。

 

「にっしー、にっしーってさー太陽さんみたいだよねー」

『・・・はい?いきなりどうしたの?』

「全てを見守る太陽、、良いねぇー」

『・・何か怖いよ?おーいそのちゃん?』

 

同感である。私も困惑よりもはや恐怖だ。

 

最後に三人目の「西村翔助」くん

乃木さんと仲の良い男の子の人であり、三ノ輪さん含め他のクラスメイト。さらには下級生の子達とも話をしていることが多いため、良い人間なのだろう。

顔は中性的な顔付きであるので良く女の子と間違えられるようだ。性格は落ち着きのある子であるために大人のような雰囲気がよく見える。

上記の通りの子なので下級生から相談されているところを良く見る。

・・今はもう六年生だが、前年の5月ぐらいに六年生の先輩からも相談を受けていた所を見た時はびっくりした。

しかもしっかりと解決したらしく六年生がよく頻繁に教室に来ており最初はびっくりしたが皆次第になれていっていた。

髪の色は黒色なので大和男児として好感が持てる。

しかし、極度の運動音痴らしく、マラソンでは必ず最下位という記録を出していた。

 

以上のことが同じお役目を背負っている

三人に抱いた思いである。

しかし、、こんな緩くていいのだろうか?

三ノ輪さんは遅刻をしているし。むしろ、乃木さんと西村くんのやり取りを見ているとこちらまでネジが緩みそうになる。

 

そんなことを学校の朝に考えていると

『時間が止まった』壁の時計の針は止まり

楽しく話をしていたはずの教室がシンと静まりかえった。

 

「これは、、『お役目』の合図?」

 

『だろうね。時間停止とはねーますます漫画の世界みたいだ。』

 

「お、やっぱりこれがお役目の合図かぁ」

 

「んー?なになに~?」

 

私の呟き対して肯定する声が聞こえ周りを見ると3人がそれぞれうごいていた。確かこの時間停止の後に神樹様が作る世界になるはずだ。

 

そう考えている間に光が世界を覆った。

 

 

目を開けるとさっきの光景が幻覚だった様に辺りには樹木が広っていた。

『樹海化』神樹様によって作られたお役目の場。

 

『樹海化ねぇ。そのまんまだったね』

 

「そうだねー」

 

「確かになんのひねりもないよなー」

 

「そんなこと言ってる場合、、?」

 

各々がそんな感想を言っている中、一つの存在が目に止まる。

 

「あれが、敵なのよね、、?」

 

『そうだねーあれが僕達の倒す敵ってわけだろうね。』

 

目の前にいる、四国を繋ぐ橋を渡ろうとしている言葉にしがたい見た目をして生物こそが私達、、いや、人類の敵である。

 

私四人に振り返ったすると頷いてスマホを取出し、花のマークのアイコンをタップした。その後花弁と共に眩しい光に包まれて光が消えた後にはそれぞれ別の色合いの服を着ていた。

私は薄紫、乃木さんは濃い紫。

三ノ輪さんは赤、西村くんは黒と白

 

「おーいいね!かっこいいじゃん!」

 

「なんかおしゃれー」

 

『何これ。葬式みたいな色の構成だな?黒と白って、、』

 

「もう、そんなこと言って、、」

 

これが勇者としての戦衣束なのね。

それぞれが感想を述べている中に敵を見る

 

「まだまだわからないことだらけだわ。だからまず慎重に、、」

 

「よっしゃあー!いくぞー!」

 

「ちょっと待ってーみのさん」

 

「って!待ちなさいよ二人ともー!?」

 

『(この子苦労しそうだな)』

 

言ってるそばから、、!

相手の出方がわからない以上慎重に行動する必要があるのに、、

 

『まぁ行こうか鷲尾さん?』

 

「ハァーそうね、行きましょう。」

 

西村くんに言われ私達も駆け出す。

 

 

 

 

 

「やっぱり一番は私こと銀様が行く!」

 

「おーみのさん早ーい」

 

「ちょっと、三ノ輪さん!?」

 

『ありゃりゃ』

 

僕と鷲尾さんがおいついた時にはもう時すでに遅し。三ノ輪さんが突っ込んでた。

 

「そーりゃー!!」

 

三ノ輪さんが双斧を大きくふりかぶってバーテックだっけ?に振りおろす。

その攻撃は大きく切り裂き大ダメージを与えていたがそれでもバーテックは活動しており、さらには再生し始めた。

 

、、へぇなるほどさすが『頂点』と言われるだけはあるね。再生機能持ちかー

 

「おーい!再生なんてずるいぞー!」

 

「あ!みのさん危ない!」

 

「え?」

 

そんな文句を三ノ輪さんが言っていると、バーテックスの水球が三ノ輪さん当たり水球に包み込まれる。

 

「三ノ輪さん!」 「みのさん!」

 

水球に包まれて息ができないらしく窒息死するかと思いきや、まさかの水を全部飲みこんでしまうという珍事件。

 

「「え?」」

これには二人も困惑である。

 

「うえっ、、まずっ、、」

 

『え?味あるんだね?』

 

「ああ、最初はソーダ味だったんだけど段々ウーロン茶になっていった、、」

 

「・・独特な味だね~」

 

そんなことを言っているとバーテックが攻撃体制に移っていた。

、、あのバーテックって三ノ輪さんのさっきの状況を考えるに水だよね。

ならば、、

 

『みんなみんなちょっと耳貸して?』

 

「「「ん?」」」

 

『いい作戦が思いついたよ』

 

「作戦?」

 

「何何~?」

 

『そう。この作戦はそのちゃん。君が主役だよ』

 

「え?私~?」

 

『そう。一つ質問するよ?雨の日に濡れないようさすものは~?』

 

「・・あ!なるほど~」

 

「え?え?どゆこと?」

 

「さ、さぁ?私もわからないわ?」

 

『あぁごめんごめん。ちゃん説明するよえっとね、簡単に言うとー』

 

説明した内容は園子ちゃんの槍を傘状にして、水の勢いが弱くなった時に叩くというものだ。・・簡単に言うとただの力押しだ

こんな作戦なら園子ちゃんも思いつくのは時間の問題だっただろうね。

 

 

 

その後作戦通りに上手くいき、『鎮火の儀式』というものが起きるところまでいった。散り際は美しくってか、敵ながらアッパレだな。

だが鎮火の儀式というのは倒してはいないというらしい。あくまで追い払っているだけらしい。

その後は神樹様がなんとかするというものらしい。

 

 

 

そういえば後日鷲尾さんから打ち上げ会を行おうと誘われた。

あの堅い鷲尾さんが自分から誘ってくるとは、、いい成長だね鷲尾さん。

僕達3人はもちろん喜んで承諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初めての他視点&戦闘描写です。

難しい!!
原作との相違点がございましたら言ってください。




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その七


原作キャラとの会話難しいですね
しっかりと書ける人は本当に尊敬です。





 

後日----

 

「よーし打ち上げ行こうぜー!」

 

『ちゃんと昨日の戦いのっていう主語を入れようか?大学生のサークルみたいになってるからね?三ノ輪ちゃん?』

 

「細かいことはいいんだよ!早く行こうぜー!」

 

「そうだよー!にっしー細かい~」

 

「サークル、、って何なの?西村君?」

 

『はいはい。ん?鷲尾さん大人になれば分かるよいずれね。』

 

大学行けば分かるぜ鷲尾ちゃん。

まぁ、僕は大学に行くまでに死んだがな。

 

『といか打ち上げもとい、祝勝会はどこでやるんだい?三ノ輪隊長?』

 

「うむ。場所は大型ショッピングモールのイネスだ。翔助隊員」

 

「よーし。レッツゴー!」

 

「ちょっ、園子ー!私より先にいくなー!」

 

「ちょっと!二人ともー!?、、もう」

 

『あはは、、デジャブだなー』

 

「そうねぇ、、行きましょう西村くん」

 

『了解』

 

 

 

イネスの中にて---

 

 

「遅いぞー鷲尾、翔助、、大丈夫か?翔助?」

 

『ハァハァ、、大、丈夫だよー。』

 

「にっしーは運動苦手だからね~。ごめんねー?」

 

「あぁ~そういえば、、ごめんな?翔助」

 

『かま、、わんよ、、フゥー』

 

「・・本当に大丈夫?西村君?」

 

『あんまり、、喋らせないで、、』

 

ハァーきついよ。運動は本当に無理。

女の子よりも運動神経低いってのはなんか屈辱だなー。まぁ、とっくにプライドなんて捨てたけどね。

・・やっと息が整ってきた。もう大丈夫だ

 

『で?どうするんだい?』

 

「それは、このイネスマニアの銀様に任せたまえ~」

 

「みのさんどこ行くの~?」

 

「本当はみんなに色々な場所を紹介したいがー祝勝会ならやっぱり~」

 

 

ということで三ノ輪ちゃんのオススメらしいフードコートに来た。

軽食からがっつりまで幅広くそろっていて

席もたくさんあって大人数でもOKなので、

オススメ、、らしい。

その中でも三ノ輪ちゃんのオススメらしいジェラートを僕達は頼んだ。

そして鷲尾さんが取り仕切ろうとしていたが、あまりにも堅苦しかったので、三ノ輪ちゃんが。

 

「えぇい!堅苦しいわ!乾杯」

 

と無理やり始まった。

まぁ、そんなことよりも、だ。

 

『三ノ輪ちゃんそれ、、何味だい?コーラかな?それともチョコかい?』

 

「いーや、私のはしょうゆ味だ!気になるのかーい?一口食べるか?」

 

『うん、ある意味気になるね。』

 

「渋いセンスだね~」

 

「渋いとかそういう問題なのかしら、、」

 

お気持ちお察しいたします。鷲尾様。

 

「まぁそんなこと言わずに食べて見ろよーほら翔助。一口一口。」

 

そんなこと言いながらスプーンにのった一口分のジェラートを僕に差し出してくる。

え?、、自分が何してるかわかってんの?

 

『・・三ノ輪ちゃん。それアーンってやつだぜ?わかってる?Do you understand?』

 

「・・え?あ!・・・」

 

『あとついでに言うとそれさっき三ノ輪さんが使ったやつだから、間接キスでもありますぜ?』

 

「・・・」

 

やっぱり気づいてなかったんだな、、

危ないねぇ。あと少しで僕なんかとアーン&間接キスの恋人みたいなコンボ決めるところだったよ。

・・というか顔真っ赤だなー。

まぁ、でもしょうゆ味は気になるし。

 

『じゃあ一口もらうよー』

 

「・・お、おう。」

 

自分でよそっていただく。

・・独特だけど、悪くはないなー。

まぁ、誉めてあげようかそのほうが僕と顔合わせやすいだろうし。

 

『おぉ!いけるねー三ノ輪さん』

 

「おう!だろ?だろ?」

 

ね?言っただろ?

後は誰かが、振り返らなきゃ大丈夫だろう

 

「ねぇねぇにっしー?」

 

『何だい?そのちゃん?』

 

「あーん♪」

 

・・そういえばこの子がいたな~

 

「「え?何してるの!?」」

 

「私のメロン味もおいしいんよ~。はい、あーん」

 

『いや、自分で食べ「あーん」・・・』

 

観念するしかないなぁー

まぁ、僕は気にしないし、園子ちゃんが気にしないならいいかな。

 

『あーん。うん、おいしいねメロン味も』

 

「な、な、な」

 

鷲尾さん壊れたラジオみたいになってるよ

三ノ輪さん顔を手で覆ってるけど、隙間から思いっきりみてるよね。

 

「でしょー♪。じゃあ~あーん」

 

『あはは。わかったよ~はいあーん』

 

「あーん。んー♪レモン味もおいしいんよー♪」

 

すごい上機嫌だなーそんなにおいしいかな?レモン味。

 

「な、何やってんだよ!二人とも!」

 

『ん?何がだい?』

 

「何がって、、か、間接キスに。あ、あーんまで、、」

 

『あー。僕はそうの気にしないし、そのちゃんも昔からやってたから気にしないんだよ。』

 

「そ、そんな、、まるでこ、恋人、、ハ、ハレンチだわ!!」

 

『あーハイハイ二人とも落ち着いてねー』

 

二人を落ち着かせるのに数分かかった。

 

 

 

『落ち着いたかい?』

 

「「はい!」」

 

『それは良かったよ』

 

やっと落ち着いたよ。

やっぱり二人とも年頃の女の子だね~

 

「そういえばさぁー」

 

『ん?どうしたんだい?』

 

「皆とこれからいっしょにお役目をまっとうするわけだろ?」

 

「そうでしょうね。それがどうしたの?」

 

「いやさ、名字呼びとか距離のある話し方はやめようぜっていう提案なんだけど」

 

まぁそうだね。そのほうが仲も深まって、チームワークもよくなるだろうし。

ごもっともな案だ。

 

「まぁ、園子ほどやれとは言わないけど、というかあれはアタシも無理だわ」

 

「ん?ピース~」

 

「いや、ほめてない、、よね?」

 

園子ちゃんほどは無理だろうねそりゃあ。

 

『まぁ、ごもっともだね。銀ちゃんの言うことは。』

 

「お、おう。なんかむず痒いな」

 

まぁ異性からちゃん付けとは言え、下の名前呼びはまぁむず痒いだろうね。

 

『これからもよろしくね須美ちゃん』

 

「っ!え、ええ」

 

え?そんなに?なんかちょっと傷つくんだけど?やはり、、顔か?顔なのか?

まぁ本命は僕じゃなくて

 

『じゃあ次は鷲尾さんの番だよ』

鷲尾さんだろうしね。

 

「え?私?」

 

『そうそう。そのちゃん程じゃなくていいから、せめて下の名前で呼んでくれよ?』

 

「え、えっと、銀さん?」

 

「さんを外して!」

 

「ぎ、銀?」

 

「!な、なんかうれしいな。これ」

 

「あ~!いいな~!私も」

 

「そ、園子ちゃん?」

 

ありゃりゃ。満足してない顔だなあれは

まぁ、そりゃそうか数少ない友達には親しくしたいだろうしね。

 

「ん~それもいいけど。あだ名呼びのほうが私はいいな~」

 

「じゃあー、、そのっちは?」

 

「!!いいねー!すみすけー!」

 

おー!ご満悦ですなー

そのっちか、、いいネーミングだねー

 

「あの、そのっち?」

 

「ん?どうしたの?すみすけ?」

 

「そのすみすけっていうのやめて欲しいのだけど、、」

 

「えーかわいくない~?」

 

まぁ、、確かに女の子に『すみすけ』は

ちょっとねー。

園子ちゃんがこちらを向くが、僕は苦笑を顔に浮かべながら首を横にふる。

 

「んーじゃあーわしりんは~?アイドルみたいで良くない~?」

 

「もっと嫌ね、、」

 

「わしりん、、っっアハハ!、、何でもないです。」

 

うん。銀ちゃん面白いのは分かるが本人の前で笑ったらねぇ、そりゃあ睨まれるよ。

 

「じゃあ、わっしーは?」

 

「まぁ、それなら、、」

 

『はいOK。そろそろいい時間だよ。』

 

腕時計に目をやる。短い針が5時をさしている。子供は帰る時間だ。

 

「えぇーもうそんな時間かよー?」

 

「もっと話した~い」

 

「あら本当ね。ダメよ?二人ともちゃんと時間は守らないと。」

 

何かお母さんみたいなこと言うね~

まぁ正しいんだけどね。

 

『まぁ、明日も会えるし。ね?』

 

「「はーい」」

 

『じゃあまた明日』

 

「「「バイバイ」」」

 

 

 

 

今日は友好をより深められたから良かったなー。みんな楽しそうだったしな。

 

前世じゃ、あり得ないなこんな生活。

あの世界じゃあ生きるだけで精一杯だったからなー。

 

そんなことを振り返りながら僕は夢の世界へと意識を手放した。

 

 

 

 





難しい、、
どうですかね?どこか違和感がございましたら教えていただけるとうれしいです。


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その八


こっからの原作は曖昧なので、一部違う所がでてくる可能性がございますがご了承ください。どうぞ


 

あの祝勝会から少したった後---

 

「四人とも、ちょっといいからしら?」

 

勇者の四人で楽しく雑談をしていると、

安芸先生が話しかけてくる。

珍しいなぁと思ったけれども、安芸先生は確か僕達勇者の担当なんだっけかな?

 

「先生どうかしたんですか~?」

 

「珍しいっすなー私に用とは」

 

『もしかして訓練とかですか?』

 

「ん~あとちょっとねー。強化訓練は正解だけどもう少し。『強化合宿』をします」

 

「「「強化合宿?」」」

 

『・・なるほど。僕達はまだまだ勇者として未熟。だから個人個人の能力の強化+連携チームワークの強化って感じですか?』

 

「・・・そこまで分かるなんてね。よく分かったわね?」

 

『両親に仕込まれまして。相手の思っていることを分かるようにと。「敵を知ってこそ勝機あり」てね。』

 

まぁ教えられた、、というより前世の父さん母さんに少しでも優しくされたかったから、二人の考えを読めるよう毎日全神経を研ぎ澄まして生活してたからね。

まぁそんなスキルなくても初陣の光景を見れば予想できるだろう。

 

「そ、そう、、すごいお家ね。」

 

「何それ!かっこいいじゃん!」

 

「さすがにっしーだね~」

 

「敵を知ってこそ勝機あり、、確かに的を得てるわね。いい考えをもってるわね翔助君のご両親さんは」

 

『だろ?・・じゃないですよ。その強化合宿はいつ行うんですか?』

 

「数日後にやるわよ。なるべく早く強くなったほうがいいでしょ?みんなも」

 

「合宿か~楽しそうだね~」

 

「なんかワクワクすんなー!頑張ろうぜー?園子ー!」

 

「「おー!」」

 

「もう、、遊びじゃないのよ?二人とも」

 

『まぁ、訓練へのモチベーションが高いのはいいことだよ。』

 

「まぁ、元気があってよろしい!それじゃあね。また当日」

 

 

 

ということがあり、今はバスに揺られて合宿場所に向かっているところである。

バス貸し切りとはね、恐れいったな。

 

「zzz~むにゃむにゃ~にっし~」

 

『はいはい。にっしーですよ~』

 

「ワクワクするな~バス貸し切りだし、、テンション上がるなーなぁ、翔助!」

 

『うん。とりあえず銀ちゃんの気が高ぶってるのはわかったよ。僕は運動できないから気が重いけどねー』

 

「もう、銀もそのっちも自由なんだから」

 

『須美ちゃん。確かにごもっともなんだけど僕から見たら君は堅すぎるよ?背筋ピーンとしすぎだよ』

 

人はそれぞれ十人十色と言うけれど。

みんなそれぞれ反応が違って面白いな。

そんなことをそのちゃんの頭を撫でながら考えていると、目的地についた。

 

『おーい。ついたよーそのちゃん~?』

 

「んぁ?あ~ありがとうにっしー。」

 

『どういたしまして。じゃあ行こうか二人とももう降りてるよ。』

 

「えー!じゃあ早く行こう!二人が私達を待ってるぜぇい~」

 

そんなこと言って先に走って行った。

 

訓練、、か。

 

・・そんなもの前世で死ぬほどやったよ。

人に認められたくて必死に調べて調べまくった。なんだって勉強した。

読心術だって場の空気の読み方だって、、何もかも学んだ。

勉強だったら小学3年生にして、高校三年位の範囲なら全て90点以上取れるぐらいまで勉強した。

何でそこまでできたかなんて自分でもわからない。もはや執念のレベルだ。

でも大体ならわかる。

 

僕は親にたった一言でもいい。

 

 

 

「よく頑張ったな」と言われたかったんだ

 

 

でもそんな努力の果てに言われた言葉は僕の心をへし折るのには十分すぎた。

 

 

 

 

「気持ち悪いお前は何をしても無駄なんだよ。逆に聞くけどよ?ノミが努力したらライオンになれるか?無理だろうな?・・・『汚物』は『汚物』のままなんだよ!!」

 

 

 

 

 

あぁ、そうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕がやったのは『努力』なんてきれいなものじゃないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただの『悪あがき』っていう『現実逃避』だったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、いやなこと思いだしちゃったな。

今はもうあの時のことは気にしてない。

むしろ現実を見せてくれて教訓になった。

昔があったこそ今の『僕』がいる。

 

『早くいかないとね。・・でも走りたくないなぁ~』

 

 

 

 

 

 





今さらですがこの主人公球磨川先輩を憧れとしてるぐらいですので、闇は深いです。

でも闇書くの楽しいです。



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その九


一部原作と違いますがご了承いただけるとありがたいです。
では


 

 

 

 

『すみません遅れました。』

 

僕としたことが、、不覚!

過去を振り返って今の時間を減らすなどと実にもったいないことをした。

 

「まぁ、少しだけだから今回は見逃しましょう。」

 

「走るの遅いからなぁ~翔助はー」

 

「まぁ、仕方ないわよね翔助君は。」

 

「まぁ。にっしーだしね~」

 

『ありがとうございます。ねぇ、さらっとみんなで僕をディスらないでくれない?』

 

いや、事実だけどね?

あと須美ちゃん?それフォローしてるつもりだろうけどフォローになってないよ?

 

「いい?本当はまだ合同訓練はやらない予定だったのだけど少しでもバーテックスによる被害を減らすため急遽予定を早めてやっているのだからね?」

 

『ということはもう一回バーテックスと戦ってからやるはずだったんですか?これ』

 

「えぇ。まぁ、でも備えは早いことに損はないからね。みんな頑張ってね?」

 

「「「はい!」」」

 

『了解です。』

 

それぞれの訓練の内容は自分の武器にあった訓練を行う。

遠距離だと射撃のコントロール+射撃の精度の上昇を計るなどを行う。

近距離ならばサンドバックなどに打ち込み勇者同士で組み手などもした。

そこの君。どうせ僕は瞬殺だと思っただろ

僕は回避はめちゃ得意だ。

その証拠に僕は一度も銀ちゃんや園子ちゃんに負けはおろか、触られてすらいない。

 

そんながそれぞれの訓練をして今日の合宿は終わった。

合宿と言っても今日急遽だったので1日だけのお楽しみ合宿だったらしい。

・・それ合宿って言うか?

まぁ、なので連携うんぬんは本番の合宿で行うらしい。

 

本当の合宿は次のバーテックス戦が終わったあたりであろうな。多分だけど

あ、でもしばらくの間は放課後や休日の時間を削ってやるらしい。

 

数日後のある昼休み

 

「そのっち、翔助君。ちょっと来て」

 

「『ん?』」

 

「銀って遅刻常習犯じゃない?」

 

『言い方よ。まぁ、間違ってはないね』

 

「それに学校だとか、この前にやった訓練の後もすぐ家に帰ってたじゃない?」

 

「うん。確かにそうだね~」

 

「何か理由があるにしてもこれらのことは気になるわね。、、それに何かあったなら友達として力になってあげたいし、、。」

 

「ということなので明日の朝から銀のことを観察しようと思うのだけれどどうかしら?」

 

・・・いやね、銀ちゃんの力になってあげたいという君の優しい気持ちはわかった。

でもさ、、それってさ、、

 

『普通に犯罪じゃないかい?それ?』

 

やってることストーカーとかと同じだぜ?

そんなことを考えながら次の時間の準備をする。

 

『え?マジでやったのかい?』

 

いつも通り訓練所に行く過程で報告を聞く

・・マジでやったんだね。

どうやら銀ちゃんには生まれたばかりの弟がいるようでその子の世話や、家のお手伝いをしていたらしい。

それに加え登校やおでかけの際は迷子探しに巻き込まれたりなどトラブルに関わりやすいトラブル体質というやつらしい。

しかしそんなトラブルを無視は出来ず登校の時に解決している間に遅刻してしまうということらしい。

・・まぁ一部知っていたけど。

何というか。いい子だなー

 

「みのさん偉い~偉い~」

 

『なるほどねぇー。まさかあれをほぼ毎日やっているとはねー』

 

「え?あれって、、知ってたの?翔助君」

 

『昔に迷子の母親を銀ちゃんが探していてね。遅刻しちゃうよ?ということで一緒に探したんだよ』

 

「そうそう。それにたまに休みの日に家に来て弟のこと代わりに見てくれたりしてたんだよなー」

 

「それならそうと話してくれれば良かったのに。」

 

『でもだからってあれはねー。ギリギリアウトだぜ?須美ちゃん?』

 

「う、、ごめんなさい。」

 

まぁ反省してくれているなら問題ないな。しかしまぁ~お人好しだよなー銀ちゃんも

そこが彼女の良いところの一つなんだがな

 

『お人好しだね~銀ちゃんも』

 

「偉い偉い~」

 

「二人して撫でないでくれよ~。あ、でも気持ち良いな。特に翔助」

 

『そりゃあね。小さい頃からそのちゃんのこと撫でてたからね~。慣れってやつだよ』

 

「ほらほら~わっしーも、撫で撫で~♪」

 

「わ、私も?、、撫で撫でー?」

 

そのうち須美ちゃんも混ざり

端から見たら三人で銀ちゃんの頭を撫でている、という珍光景の完成である。

、、何これ?

 

 

 

 

 

それから数分後に再び時間が止まった。

二回目ということもありそれぞれが何も言わなくてもスマホを操作し、勇者へと変身

してすぐさま大橋のもとへと駆け出した。

 

「あの姿・・天秤?」

 

『また独特だねー。天秤座ってことか』

 

「天秤が宙にぷかぷか浮いてるねー」

 

「よし!まずわたしがいくぞー!」

 

さすが、切り込み隊長三ノ輪銀

でもこの前のような事になったら困るので

最初は慎重に行こうか。

 

『それもいいけど前回みたいなこともある。須美ちゃんで一回探りを入れてみようよ。須美ちゃんお願いできるかな?』

 

「了解。任せて、、せいっ!」

 

僕がそういった後振り向くとすでにその気だったのか彼女弓を構えており僕の問いに了承の言葉を返して弓をひいて矢を放つ。

しかし矢は途中まではしっかりと狙い通り標的に当たりそうだったのだが、途中で分銅へと引き寄せられた。しかも三本もだ。

 

「なるほど、、飛び道具はあの分銅によって吸収されるようね。」

 

『壊せそうかい?あの分銅は』

 

「えぇ。確実にダメージは与えられているから、何回も繰りかえせばいずれはね」

 

「ならそっちのほうが安全だね~」

 

「え?アタシたちお荷物?」

 

まぁこのままいけばだけどね。

そう考えていたら案の定バーテックスがすごい高速回転をしながら四人へと突っ込んできた。

 

途中で須美ちゃんが矢を放っていたが全てあの回転の前では弾かれていた。

 

『まぁ、頂点がそんな簡単に倒せるわけないだろうね。』

 

「すごい回転、、矢も全部弾かれてたわ」

 

「あれじゃあ攻撃はおろか、近づくことすらかなわないね~」

 

「くそー!近くに来たらぶったぎってやろうと思ったのにー!」

 

『まだまだ来るらしいねー』

 

またもや回転しながら突撃してくる天秤座であろうバーテックス。

その攻撃を全力で避ける僕達。

回転というのとても強い力であるためそれに加えあのでかい体。

まぁ、確実に死ぬよね。一発食らえば即KO

鬼畜ゲーすぎない?

 

「くっあの回転さえ止まれば、、」

 

「あぁー!もうー!あんな竜巻みたいなやつどうしろと!?」

 

「ん?竜巻、、それだみのさん!」

 

「はい?」

 

『閃いたかい?そのちゃん?』

 

「うん。バッチリ!!」

 

 

作戦は簡単に言うと相手の弱みに漬け込むということである。

竜巻という言葉をヒントにし、回転の弱点であり装甲が緩い、上からみた中心に高火力をぶつけようとのことである。

ちなみにアタッカーは銀ちゃんである。

皆の中で一番の高火力だからである。

 

「どぉぉーせーい!」

 

『お。回転が少し弱まったね。』

 

「大丈夫、私たちを信じて!」

 

「よぉーしいくよ~?にっしー!」

 

『ラジャーそのちゃん』

 

「あはっ!最っ高だよ!!マイフレンズたち!!」

 

見事にその作戦は成功。

回転の強さは弱まり、そこを僕・須美ちゃん・園子ちゃんで追撃し、最後の止めに銀ちゃんの一撃が決まり無事鎮火の儀式を行うことができた。

 

 

「すごいわね?まさかここまで息のあった連携。チームワークを行えるなんてね」

 

「「イェーイ」」

 

「もう、、二人とも?」

 

『まぁまぁ須美ちゃん実際息バッチリだったしね。良かったと思うよ、うん。』

 

翌日勇者四人の担当もとい大赦からのサポートとして手配された安芸先生に誉めらてとてもうれしそうな二人としょうがない物を見る目で須美ちゃんが苦笑していた。

僕?ただただ苦笑したよ。

 

「そういえば本番の強化合宿を行うことが決まったのよ。今後私達大赦はあなた達勇者を全面的にバックアップします。この強化合宿も含めてね?連携力の増強・親交のを深める・勇者の力を引き出すやれることは何でもやる方針よ。家庭のことは気にしなくて大丈夫だからね。」

 

そのちゃんと銀ちゃんが合宿だーと喜び。それを宥める須美ちゃんを見つつ。

握りしめる音が聞こえたので安芸先生をこっそり見ると、悔しそうな表情を浮かべ手を握りしめていた。

 

『(おおかた何で私達大人じゃなく子供達が戦っているのだろうかとかそこらへんだろうね。)』

 

『・・安芸先生。』

 

「あ、あぁどうかしたの?翔助君?」

 

『大丈夫ですよ。僕達は』

 

「え?」

 

『心配なさらなくてもそのちゃんも、銀ちゃんも、須美ちゃんもみんな強いですよ』

 

『でもやっぱりみんな子供ですので何か問題にぶつかることはある。』

 

『そんな僕達にサポートとしてついてくれるだけでうれしいですよ少なくとも僕は』

 

「翔助くん、、」

 

『では。僕は皆の所行ってきますね。』

 

「あ!翔助君!」

 

『はい?』

 

 

「ありがとうね」

 

 

 

『・・どういたしまして。』

 

 

 

 

 

 





本当に難しいですね原作キャラとの会話は
おかしなところがございましたら是非教えてください。

では


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その十


誤字報告ありがとうございます!
まだまだ至らないところがありますので、その都度アドバイスなどをいただけると、幸いです。


 

 

強化合宿に行くための待ち合わせにて、、

 

「zzz~zzz~」

 

「・・・銀遅い!!」

 

『デジャブだね?』

 

合宿の際の待ち合わせ場所として銀ちゃんの家に来て合流しようとしたのだが。

まぁ、おそいよねー

 

「ごめんごめん。合宿の準備昨日し忘れちゃって。今してたんだよー」

 

『相変わらずだね。』

 

「うるせぇー早くいこうぜ!」

 

「えぇ行きましょう。」

 

『ほらおきて、そのちゃん』

 

「んーラジャ~」

 

銀ちゃんをからかいながらそのちゃんを起こす。寝ながら歩けるなら話は別だがな。

・・園子ちゃんならやりかねんな。

 

「でさ~弟がさ、本当可愛いのなんの」

 

「本当に弟君好きなんだね~みのさん」

 

「・・・」

 

歩いているとなぜか若干僕達よりも二歩ぐらい後ろで浮かない表情をしていす須美ちゃんが目にはいった。

二人は会話に夢中で気づいてないし、、

僕は二歩下がって須美ちゃんと並ぶようにしてから声の大きさを抑えて話しかける。

 

『浮かない顔してどうしたんだい?須美ちゃん?』

 

「・・ん?い、いや、なんでもないのよ」

 

いや、その反応を見て「あ、そっかー」ってなるわけないだろ。

 

『何か悩んでるんだろう?話してごらんよ二人は話しに夢中だから大丈夫だよ。』

 

「・・でも、、」

 

『ハァー。一人で悩むからわからないんだよ。わからなかったら人に相談だぜ?』

 

「翔助くん、、」

 

『まだ時間はあるし、ゆっくりでいいから話してごらんよ。抱え込むのはよくない』

 

「・・あの時天秤のバーテックスに銀が突撃するって時に私は反対したわよね?」

 

そういえば銀ちゃんが攻撃の役割を宛てられた時に強く反論してたね須美ちゃん。

『そんなの危なすぎる』って。

銀ちゃんが大丈夫だからって説得してたけれど。

 

「なのに銀に『私達を信じて』って言って、、信じてないのは私の方だったのに」

 

「不安なの、、今まではたまたま上手く行ってるけど。いつか誰かいなくなるんじゃないかって」

 

なるほどね。須美ちゃんなりにしっかりと考えているんだな。

、、とても小学生とは思えないんだが?

 

『なるほどねぇ。確かにその考えはごもっともだね。相手は神の使いだからね』

 

「・・否定しないのね」

 

『事実だしね。神樹様の力を借りてるとは言え、所詮は小学生だしね』

 

『でも。そんなひどいことばっか考えてたらきりがないだろ?』

 

「え?」

 

『不安になったら相談すればいい。それに君は最終的に仲間を信じたんだろう?なら

最後まで信じてみたらどうだい僕達を。』

 

「信じる、、、」

 

『そう、大丈夫。そのちゃんも銀ちゃんもみんなやわじゃあない。もし不安なら須美ちゃんが強くなれいいだろう?』

 

「強くなって守る、、なるほど私が、、」

 

『ま、僕達も守られないように必死に頑張るけどねー。守らせないぜ?』

 

そう言って僕は挑戦的な笑みを浮かべ須美ちゃんに笑いかける。

 

「ふふっ。なら私も皆を守れるよう頑張らないとね。」

 

須美ちゃんも不安な表情からすっかり立ち直っていつもの表情で微笑んでくれた。

やっぱりいつも通りの表情が一番だね

 

『そうそう。お互いに頑張ろうぜ』

 

「おーい二人でなんの話してんだよー」

 

「私達にも教えて~?」

 

教えて、、か。

僕と須美ちゃんは無言で顔を合わせて少し微笑んでこう言った。

 

「『内緒♪』」

 

 

 

バスに揺られるのも二回目だが気にしない

案の定貸し切りだ。

 

「zzz~みのさんー、わっしー、にっしー」

 

「どんな夢見てんだ?園子は」

 

『四人揃ってるっぽいね』

 

「そのっちのことだから何かメルヘンチックな夢でしょうね。・・それにしても熟睡してるわね。」

 

『何がいいのか聞いても教えてくれないんだよね。何でだろうか?』

 

「何かお兄さんって感じするからな~翔助は」

 

そうかな?まぁ実際に元高校生だったからな~そう言えば後少しで卒業だったな僕。

 

 

そんなどうでもいいことはとりあえず置いておいて、人類の敵、バーテックスの事について考えてみる。

ん?そういえば数百年前にも勇者っていたんだよな。ということはバーテックスと戦っていくつか倒してるはずだ。

でも今でも天秤座や水瓶座も生きていたじゃないか。

ということは、、バーテックスは復活するのか?

ならばこうして追い払ってもただのその場しのぎってことかい?

本体である天の神を倒さないと永遠にそのループじゃないのか?

 

、、ただの勘違いだといいが昔の知恵が語っているぐらいだ100%ではないがループがうんぬんはほぼ合っているだろうな。

この考えはもちろん皆には言わない。

下手に言って混乱させたくないし、そもそも合っていない可能性もなきにしもあらずだしな。

 

「あら、着いたみたいね。」

 

『おやそうかい。さあ目覚めよ園子よ。』

 

「はぁ~い乃木さん家の園子。目覚めました~」

 

「何やってんだ、、二人とも、、」

 

 

 

 

 

 

「さて今から訓練を初めるわよ。やることは単純。この機械からボールが発射されるから、三ノ輪さんと西村くんはそのボールを避けつつ目標の場所にたどり着くこと。乃木さんと鷲尾さんは二人のアシストに専念してもらうわ。一発でも食らえば最初からやり直しね?連携力を鍛えるために行っているのでジャンプなどのズルは禁止です。」

 

話が長い!!

・僕と銀ちゃんが前衛で回避+目標への移動

・園子ちゃんと須美ちゃんが後方で支援。

・一発食らったら即リスタート。

・ジャンプなど不正行為は禁止。

箇条書きで書くとこんな物か

わりと条件が多いね。まぁ、バーテックスと戦うのは命がけだからね、そりゃそうか

 

「最後に一つ。『もしもこれがバーテックスの攻撃だったら』という危機感をもって

行動してください。もしも一人で突っ走ったら、、サポートが間に合わなかったらということを常に意識しなさい。」

 

安芸先生の圧をふくんだ言葉に三人がごくりと唾をのんだ。

僕はいつもどうりの笑顔を浮かべながらその言葉を受け止めた。

安芸先生なりに心配してくれての発言なのだろうね。実際バーテックスの一撃なんて一撃でも食らえば致命傷だろう。ひどいときには即あの世行きもあるだろう。

そう考えると多少きついように思える安芸先生の言葉も妥当であろう。

 

 

実際の訓練が始まるとやはり難しく。

スタートと同時にボールが飛んで来る。

銀ちゃんは最初避けられていたもようだが段々余裕がなくなり、武器を使ったりして弾いていた。でもさすがに一人で防ぐには限界があるので僕も銀ちゃんの援護をしていたのだが段々間に合わなくなってくる。

 

「みのさん!」

 

「翔助君は?大丈夫!?」

 

『僕は問題ないよ。銀ちゃんのフォローをお願い。』

 

「ナイス!園子!よし行くぞー!」

 

『ファイトー銀ちゃん~』

 

その後目標のバスにつく前にボールの総攻撃が襲ったが須美ちゃんの狙撃によって大体を防ぎ。それでも一部残ったので、思い切って僕の二つあるうちの一つの剣を投げて防いだので無事ゴールできた。

初回でクリアは安芸先生も想定してなかったのかいくつか誉めてくれたが、のちにいくつかの課題を教えてくれた。

 

やはり剣を投げるのはあまりよくなかったのであろう。少し注意されてしまった。

まぁ、不正行為にはカウントされていなかったので良かった。

 

 

 

 

その後露天風呂へと入るために三人は翔助と分かれ女湯の湯舟へと浸かる。

 

「あいたた。いってー」

 

「そうね、、本当に」

 

「大丈夫?みのさ~ん?」

 

「まぁ、そこまでじゃないけどさ」

 

三人は訓練の時の話をしながらお風呂を楽しんでいた。

 

「にしてもさ~翔助すごかったよな~」

 

「確かにそうね。・・というか運動が本当に苦手なのよね?翔助君。」

 

疑問を持つのもその筈。翔助は銀の援護をするまでは全部応戦なんかせず。全て回避していたのたがら。

 

「にっしーは避ける時に無駄な力を一切使ってないからね~」

 

「そう言えば、ほとんど動いてなかったよな。翔助。」

 

「私にもサポートは銀にしてって言われたし。純粋に凄かったわあの時の翔助君」

 

凄いというよりむしろ気持ち悪いレベルで翔助は避けていたのだが、やはり性格が良いので少し思っても口には出さない二人。

 

「というか初日からハードじゃない?」

 

「まぁ。皆でお役目を果たすためならつらくないでしょう?」

 

「そうだけどさー。」

 

その後銀が須美の立派なものを羨ましがりエロおやじのようなことをしてじゃれ合い、そこに安芸先生が来て注意をほどこすなど色々なことがあったが園子はその光景を微笑ましく見ていた。

 

(この会話もにっしーには全部聞こえてるんだけどね~まぁ、二人とも気づいてないようだし。まぁいっか~)

 

そんなことを考えながら。

 

 

 

 

お風呂に上がった三人と合流し、部屋に向かうと布団がなぜか四人分敷かれていた。

 

え?僕男ですけど?

ちなみになぜ四人分敷かれていたのかというと、大赦が中性的な翔助を見て女の子と勘違いしたからである。

まぁ、本人は自分の顔が普通としか周りから聞いていないのでそんなこと知るよしもないのだが。

 

『Why?何で僕もいっしょなんだ?』

 

「落ちつけ翔助。何か英語でてるぞ。」

 

『いや、僕は落ちついてるけど、みんなが嫌だろう?』

 

「まぁ、他の男子ならな。アタシは翔助なら別に大丈夫だよ」

 

「そうね。翔助君なら問題ないわ。」

 

「むしろ私はにっしーも一緒がいいよ~」

 

『それはそれで傷つくぜ?』

 

それはそれで何か複雑だな、、

信頼されていると喜べばいいのか、男として見られてないと悲しめばいいのか。

 

『まぁ、皆がいいならいいけどね。』

 

そう言いながら一つの布団に入るとすぐさま隣に園子ちゃんが来て二人は余った布団にそれぞれ入った。

 

『おー。相変わらずニワトリがよく似合うねーそのちゃん。』

 

「えへへ~それほどでも~」

 

すぐさま隣の布団に来たそのちゃんにびっくりしつつ、何回か既に見たパジャマについて誉める。

 

「まぁ、園子のパジャマは良しとして。須美は浴衣。翔助は、、すごいシンプルだなそのパジャマ」

 

『シンプルイズザベストだよ銀ちゃん。』

 

まぁ、僕は下も上も黒の無地だからね。

面白みには欠けるだろうね。

 

「まぁそろそろ寝ましょう?明日も早いんだし。」

 

「ちょっとお待ちなさいや須美さん?やはりここはせっかくだし定番の恋ばなでもしましょうや。」

 

『そういうのは男のいないところでやってくれないかなー?』

 

恋ばなって同性しかいない時にやるものなのではなかろうか?

・・よく知らないけど。

 

「そういうみのさんは好きな人いるの~?」

 

「ん?アタシ?ん~」

 

 

「・・まだいないかなぁ~」

 

まぁ、まだ小学生だし。そうだろうね。

というか何で間があったんだ?今?

 

「須美はどうなのさー」

 

「私?私も、、、いないわね」

 

ん?だから何で間があるんだ?

気になる人はいるって感じか?

まぁ、須美ちゃんだったらお役目を果たすまでは恋愛は早いとか思ってそうだね。

 

「じゃあー園子はー?」

 

「私はいるよ~?」

 

「お?だれだれ?」

 

「そのっちだれ?どこの人?」

 

期待してるところ悪いけど、、

・・園子ちゃんならきっと

 

「みのさんとわっしーとにっし~みんな大好きなんよ~」

 

「「あ~でしょうね」」

 

やっぱりね。ま、園子ちゃんらしいね。

 

「それじゃあ、最後に翔助いってみよう」

 

僕が恋か、そんなものする余裕なかったよ

 

『ないね一度も』

 

「うおっ。即答かよ?ま、でしょうな~」

 

地味に失礼だな?心にくるぞ?

 

『僕はもう寝るよー?おやすみ~』

 

「あ、じゃあアタシもー」

 

「私も寝るわね。」

 

「皆寝るならわたしも~」

 

 

 

 

その夜私は朝に寝すぎたせいか珍しく目がさえてしまって眠れなかった。

 

「んーみんなぐっすり寝てるんよ~」

 

あの時三人みんなが好きという言葉に嘘は

もちろんないみんな大好きだ。でも、、

そっと私の隣の布団を見る。

 

幼稚園児のとき。毎日独りでつまらなかった日々。それを変えてくれたのは彼だった

 

『僕と友達になろうよ。』

 

今でも目をつぶると思いだす。

誰もかれも私のことを気味悪がって一緒に遊んでくれる子はいなかった。だけど彼は違った。

一人の『友達』として接してくれた。

それでもこんな人と違う私と仲良くしてくれる彼のことがどうしても不思議に思って数日後に聞いてみた。

・・すると彼は優しい笑みを浮かべながら

 

『逆だよ、逆。僕は園子ちゃんのそういう所が好きなんだよ?』

 

 

その後はしばらく彼の顔を見れなかった。

心臓がやけにドクドクした。

私はきっとその時から恋をしたのだろう。

 

さらに数日後彼からあだ名呼びされたときはとても嬉しかった。

 

 

「にっしー。」

 

こっそりと彼の布団に入る。

そして中にいる彼に抱き着く。

 

「えへへ~」

 

思わず頬が緩む。

そんなことをしていると彼の体が動いた。

 

『んー。・・寝れなかったのかい?そのちゃん?』

 

彼を起こしてしまったみたいだ。

申し訳なく思い彼に謝罪する。

「起こしちゃった~?ごめんね?」

 

『気にしなくていいよ。頭撫でてあげるから楽にしてくれていいよ?』

 

やっぱり彼は優しい。そう改めて感じた

 

「えへへ~♪気持ち良い~」

 

『そうかい?なら良かったよー』

 

不思議なことにさっきまでなかった眠気が彼に撫でられることによって復活した。

 

あぁ、、本当に

 

「大好き・・なんよぉ~・・にっし~」

 

『うん、僕もだよ。・・おやすみ。そのちゃん』

 

 

 

 

 

 

しかし次の日の朝に、翔助に抱き着く姿を須美に見られ、園子は説教されたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





長くなってしまった、、

キャラの口調、性格だとか大丈夫でしょうかね?


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その十一

思いついたので書きます。
どうぞ


 

次の日の朝---

 

『ふぁ~・・ん?』

 

朝起きてまず目に入ったのは須美ちゃんに怒られている園子ちゃんの姿だった。

あれ?園子ちゃんが眠った後ちゃんと優しく園子ちゃんやの布団に戻したはずなんだけれど、、

寝ぼけて戻ってきちゃったんかね?

 

「お?目が覚めたか。おはよう翔助!」

 

『あぁ。おはよう銀ちゃん』

 

「しかし、、すごいな、まさか園子が翔助の布団に入りこむとはなー」

 

『あぁ、うん。そうだね、すごいすごい』

 

「どうしたんだ?翔助?」

 

言えない。園子ちゃんに気づいたのに頭撫でて寝かしつけてあげたなんて言えない。

言ったら最後、あの二人の中に一人増えるであろう。

・・というか須美ちゃん顔真っ赤だな。

 

それから数日が経ち強化合宿を無事終えることができた。

 

 

ある日の休日

 

「なぁなぁ二人とも、思ったんだけど」

 

「「どうしたの?」」

 

「翔助って謎多くね?」

 

「「・・確かに!」」

 

言われてみればそうである。

遊びに誘ったりすれば快くついてきたりするのだが、誘わない時の生活はあの園子でさえまったく知らないと言うのだ。

 

「そのっちでも知らないの?」

 

「私も知らないんよ~」

 

「というか翔助は存在そのものが掴めない雲みたいな奴だからなー」

 

「「うんうん。」」

 

「というわけで翔助を尾行してみようぜ」

 

「「賛成」」

 

というわけでただいま翔助が家を出ているところを観察中である。

 

「服装は、、相変わらずシンプルだな」

 

「無地の全身黒ね、、同じ服装しか見たことないのだけれど、?」

 

「まあ、にっしーは服に興味ないらしいしね~。・・まぁ似合ってるけど~」

 

服装は本人も言っている通りセンスがないため、同じ服を何着も持っておりそれをローテーションで着ている。

 

「あのーすみません。イネスという場所はどこですかね?」

 

『あー結構近くなので案内しますよ?』

 

「これは、ありがとうございます。」

 

『いえいえ。あ、ついでによろしければその荷物お持ちしましょうか?』

 

「ありがとうございますね。本当に。」

 

 

「何か銀みたいね」

 

「え?どゆこと?」

 

 

「あー!翔助兄ちゃんだー!」

 

「翔助お兄ちゃん一緒に遊ぼう!」

 

「あーずるいよ!私とも遊んでー!」

 

「翔助兄ちゃん俺ともー!」

 

『はいはい、わかったよ~喧嘩しないでね~。皆で仲良く遊ぼうぜ?』

 

「「「「「はーい!

 

」」」」」

 

 

「・・・何あれ?学校の先生かよ?」

 

「すごいわね、、みんななついてるみたいだし。人が良いからかしらね?」

 

「にっしー疲れてるけど楽しそうだね~」

 

 

『みんな~もう帰る時間だよー?』

 

「えーもっと遊びたーい」

 

「久しぶりだからさーもうちょいいいだろー?」

 

『あはは。ごめんね?ちょっとお兄ちゃん忙しくなっちゃってさ。」

 

「みんな!お兄ちゃんも大変なんだから言う事聞いてあげようよ!」

 

「・・そうだなー。それじゃあバイバイ~翔助兄ちゃんー!」

 

「「「「バイバイー!」」」」

 

『バイバイ~。ふぅ疲れた。』

 

 

「こころなしか楽しそうだったなー翔助」

 

「本当だね~」

 

「えぇ。頼りになるお兄さんって感じね」

 

『そうかい?』

 

「そうよ。遊んでる姿なんてまさにそう。

・・・え!?」

 

「「え!?」」

 

『まったく。犯罪ギリギリアウトだぜ?』

 

そんな呆れたような声が聞こえて三人が驚いて振り向くと・・

翔助は音もなく三人の後ろに立っていた。

 

 

 

 

 

『なるほどね。まぁ、確かに謎だよね僕の私生活なんて。』

 

だからって尾行して良い訳じゃないけどね

ちなみに三人の視線は最初っからわかってた。驚かしてやろうと気づいてないふりをしたのだが、大成功だったねー。

 

『で?感想は?』

 

「服全部同じ人間!」

 

「銀と同じタイプの人間!」

 

「学校の先生~!」

 

・・・何も言わんよ僕はね。

 

そんなことを考えていると時間が止まった

 

一つ言わせてくれ。

 

『このタイミング?』

 

 

 

 

 




日常回?ってやつです。

次回はバーテックス戦です


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その十二


戦闘回です。
なお能力は使わず、勇者としての力を存分に使います。


 

みんなでスマホを操作し、三回目となる変身を行いバーテックスのもとへ向かう。

 

何あれ?タコの足?爪?牙?

やっぱり言葉には表しにくいよなー

 

「おおう。、、また独特な見た目だな。」

 

「タコの足みたいだね~」

 

「そんなことよりも早く倒さないと、、」

 

そう喋りながらもみんなはそれぞれの武器を構えてバーテックスに向かっていく。

そのタイミングでバーテックスが急激に落下して、牙みたいなものを大橋に向かい突き刺した。 すると、、

 

「うおぉぉー!すごい揺れる!」

 

「た、体勢が、、ぶれる!」

 

「揺れる揺れる~!」

 

『地震か、、身動きとれないな。』

 

もちろん特訓メニューに体幹トレーニングもあったのだが、そんな四人でも立てず、しゃがんで耐えることしかできなかった。

時間に表すなら十数秒

やっと揺れが収まった。

 

あの火力は凄まじいなぁー

あの強さの地震となると後二、三回ぐらいかな?橋が壊れるのは。

 

『長期戦はやばいね。あれ以上の強さもあると仮定したら大橋も後二、三回ぐらいで壊れるだろうね。』

 

「え?マジかよ!?」

 

「なら、、これで!!」

 

僕の言葉を聞いて驚く銀ちゃんをよそに、須美ちゃんがバーテックスに向かって矢を

放つ。しかし、その矢はバーテックスが空に高く飛ぶことで矢がとどかず失速して、地面へと落下する。

 

あの巨体であそこまで高く跳べるんだな。

 

「なっ!?矢がとどかない!?」

 

「おいこらぁ!!ずるいぞー卑怯者~!降りてこーい!」

 

あんなに高く跳ばれたら攻撃がとどかないよねー。何とかして引きずりおろせればな

・・できる確証はないが試してみようかな

 

『あれさ、引きずりおろせばいいんだよね?そのちゃん』

 

「え?う、うん。何かあるの~?」

 

『うん。引きずりおろしたら総攻撃でたのむよ?みんな?』

 

「え、ええわかったわ。」

 

「でもどうするんだー?翔助?」

 

『簡単さ。叩き落とすんだよ。』

 

ちなみに今からやることは勇者としての力を使っての荒業だ。特典うんぬんは関係ない。剣を土色のデカイハンマーへと変える

 

『いよーっっ!どっせい!』

 

体を使って大きく回転して、ハンマーをバーテックスよりも上に向かってぶん投げる

投げた後は足に力を入れて~?

全力で跳ぶ!!

 

「「「えぇ~!?」」」

宙に浮いたハンマーを手にとり

バーテックスに向かって全力でふり下ろす

回避しようとしても遅い。

 

『叩き落としてやんよー!』

 

轟音とともにバーテックスを宙から地面に全力で叩きつける。

叩きつけた後はすぐさま横にずれる。

 

「そーりゃー!!」

 

とどめに銀ちゃんの双斧がバーテックスを引き裂く。

その後桜の花弁が舞う。

あーやっぱり体の負荷がすごいなあれは。

体中が痛い。キッツー

 

「おい!翔助、あれなんなんだよ!?あんなデカイハンマー投げた上に、何だあの脚力!?あの高さまで跳ぶってどういうことだよ!?わけわかめだよ!」

 

『ごめんごめん。あれはまぁ銀ちゃん風に言うと根性が成す技だよ。使ったあと3日以上は体がうまく使えなくなるから、今まで使ってなかったんだよ。』

 

「まぁ、ちょっとびっくりしたけど、あの時のにっしーかっこよかったよ~?」

 

「ええ。というか本当に運動苦手なのかしら?翔助君?」

 

『あれは勇者の力での強化にプラスして身体強化を極限までかけてできるわざだからね。僕の身体能力は関係ないよ?』

 

神様のデメリットは勇者の力での増強には反映されないみたいなので、良かった。

その後数分間聞かれまくったが、全て丁寧に受け答えしました。

 

 

 

数日たったある日-------

 

突然だが今もはや見慣れたリムジンの中の様子をみて、困惑している。

なぜかって?そりゃあ、、

 

「へーいにっしー!今日という休日を一緒にエンジョイしよう!」

 

「ヤッタカターヤッタカタッタッヤッタカター!」

 

「よう!翔助!」

 

カオスだからだよ。

須美ちゃんどうしたんだい?頭のネジ数本

外れた子みたいなことになってるぜ?

 

『ねぇ。銀ちゃん、一つ言っていい?』

 

「おう。いいぞー何を言いたいか大体わかるけれどなー」

 

『どうしてこうなった?』

 

「アタシも知らん。」

 

ってかなんで『今からそのっちと銀を拾ってからむかいます。』

って言う真面目な文をあのテンションで打てたんだよ?

 

『まぁ、いっか。』

 

「そういう寛容なところ凄いよな、翔助」

 

『褒め言葉として受け取るよ。それで?どこに行くんだい、そのちゃん?』

 

「ふっふっふーそれはね~?」

 

 

 

 

 

 

僕は今もはや慣れた乃木家にいる。

まぁ正しくは乃木家の中のたくさんの服がある、衣装部屋にいるのだが。

ちなみに今は銀ちゃんのファッションショーをおこなっている。

そのちゃんいわく、銀ちゃんに色々な服で着飾りたいらしい。

というわけなので銀ちゃんはただいま二人の着せ替え人形である。

 

「これは私には似合わないんじゃないかなぁーって思うんだけど、、」

 

ちなみに僕は服の種類の名称などはまったくもってわからない。

ワンピースとか何それ?というレベルです

昔やった勉強では服とかについては一切やらなかったからわからない。

前世ではお金がなかったから安くて目立たない服しか買ってなかったしね。

 

「そんなことないよ~ねぇ?わっしー?」

 

「ぷはーっ!」

 

『その量の鼻血は貧血になるぜ?』

 

須美ちゃん?君そんなキャラだっけ?

最初の頃の堅物キャラは何処へ?

というか何で上向いて鼻血だしながらも、銀ちゃんの写真とれんの?

 

「にっしーはどう思う~?」

 

『え、僕に聞くかい?まぁいつもの活発的な雰囲気とは違った雰囲気があって可愛いと思うよ、銀ちゃん。』

 

「そ、そうか、、へへへ。」

 

あ、照れてる銀ちゃんを見てまたシャッターきってるよ。

・・カメラもバージョンアップしたし。

何あれ?残像見えるよ?

 

その後は須美ちゃんと園子ちゃんのスイッチが入って、スカートが短いのやらキャラクターのTシャツやらを着せ替えしまくってその結果、、

 

「・・・・」

 

「怒っちゃった。」

 

「良かったわ!銀!」

 

「何がだよ!!」

 

『まぁまぁ落ちついて。というか何で僕の後ろなんだい?』

 

ムスーっとした若干涙目の赤い顔で何故か僕の後ろに隠れた銀。須美ちゃんがキレイなサムズアップをするとそれに向かって銀ちゃんがほえるので落ちつかせるためいつもの感覚で頭を撫でてあげる。

 

ちなみに僕は途中からついていけなくなったので適当に本を読んでいた。

この前学校で借りた『風の又三郎』をね。

 

「私も着たんだから須美も着ろよ~?」

 

そう言って銀ちゃんと園子ちゃんの二人で須美ちゃんに豪華なドレスを着せていた。

本当にたくさんあるね、ここ。

須美ちゃん「こんな非国民な服」とか言ってるけど目が輝いてるよー。

二人とも気づいてるみたいで、とてもニヤニヤしながら見ていた。

 

 

『さーて、みんな気がすんだかい?』

 

もういいかい?可愛いには可愛いし、普段と違う一面も見れたので僕はもうお腹いっぱいなんだけど?

・・ん?なんで三人とも僕を見るんだい?

 

「最後ににっしーにも着てほしいんよ~」

 

『え?男物の服あるのかい?』

 

「ううん。ないよ」

 

・・・ここまで言われてわからないほど僕はバカじゃない。でもさ、冗談だろ?

 

『・・女装しろと?』

 

「「「・・・」」」コクリ

 

できれば頷かないで欲しかったなー

 

 

「いい!可愛いいんよ~にっしー!」

 

「・・ありね」パシャパシャ

 

「確かにありかもな。」

 

『・・僕はただの公開処刑だよ?』

 

というか、可愛いと言われても男としてはうれしくないよ、その言葉。

あと須美ちゃん、そのカメラどんだけとれんのよ?

 

「次はこれいこう~!にっしー!」

 

「そのっち次はこれも!」

 

「いやいやさすがにやめてやれよ、、、いや、やっぱりまだ見たいな。」

 

『勘弁してくれよ、、』

 

もう服はしばらくいいや、、、

 

 





今回の主人公が使った技はあるカードゲームのとある勇者の技です。
勇者つながりで使いました。
分かる人には分かると思います。


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その十三


前回の主人公の技元ネタわかった人何人いらっしゃいますかねー?
自分的には好きなキャラの技なんですけど

まぁとりあえずどうぞ


 

ある日の昼休み----

 

須美ちゃんは黒板にある絵を描いているのだが、クオリティがおかしい。

絵うまいね須美ちゃん。

 

「須美のその絵は何なんだよ?」

 

「よく聞いてくれたわね!翔鶴型航空母艦の二番艦“瑞鶴”よ! 旧世紀……昭和の時代に数々の戦いで活躍した我が国の空母よ! 囮になって、、、」

 

はい好きなのはわかったからもういいです

最初は熱く語っていたが後半は涙ぐぬんで敬礼をし出す始末。

・・うん。もう突っ込まないぜ?

キャラについてはもう言わんぜ。

ちなみに戦艦やら空母艦については僕大体なら知っている。といっても須美ちゃんほどではないけどね。

 

『ガチだねー須美ちゃん?』

 

「ガチすぎるだろ、、色々と、」

 

「もちろん!将来の夢は歴史学者だから」

 

その後話しを聞いていくとまだわからない旧世紀の歴史を研究、解明していくのが、須美ちゃんの夢らしい。

歴史学者か、いい夢だねー。

 

「みんなは何か夢あるの?」

 

「わたしはね~?小説家になりたいんだ~」

 

「あーなんか分かる気がする。園子は独特な感性を持ってるからな~。」

 

「えへへ~それほどでも~」

 

果たしてそれは褒め言葉なのだろうか?

小説家か、、園子ちゃんならなれそうだね

・・・というか園子ちゃんが書いた小説が見てみたいな。

『もう描いているのかい?描いているなら見たいから、後でサイト教えてくれると、うれしいな。』

 

「いいよー!後で教えるね~♪」

 

『ありがと』

 

どんな小説かワクワクするね。

楽しみだわ~

 

「銀の夢は?」

 

「私は幼稚園の頃は家族を守る正義の美少女ヒーローになりたかったなー」

 

「分かるわ!お国を守る正義のヒーロー、

少女の憧れよね!」

 

まぁ、子供らしい夢だね。

・・・でもヒーローなんているなら、、

学校でいじめられた時、親の虐待などの時

 

『・・助けて欲しかったな。』

 

「ん?どうしたの~にっしー?」

 

『いや、何でもないよ。』

 

あぶないあぶない園子ちゃんの感がいいこと忘れてたよ。

 

「じゃあ、今はなんなの?」

 

「い、今は、、その、、お嫁さんかな」

 

「家族って良いものだしさ、将来は家庭を持ってみたいなーと思ってさ、、」

 

「や、やっぱり変かなアタシがお嫁さん、なんてさ、、」

 

「そんなことないわよ!」

 

「うんうん。みのさん可愛いいね~♪」

 

なんだろう、こういうのを百合というだっけ?二人が銀ちゃんに抱き着きながら頭を撫でつつ夢を肯定している。

これはギャップ萌えというやつか。

 

「あぁもう!抱き着くなって~!それより翔助の夢はなんなんだよ?」

 

「わたしも気になる~」

 

「あ、わたしも!」

 

僕の夢か、、そんなの一つだよ。

 

『小さい頃は銀ちゃんと同じだったね皆の正義のヒーローってやつに憧れてたよ。』

 

「いいわね!さすが翔助君だわ!」

 

「どうどう。じゃあ今は~?」

 

『夢というか、正義のヒーローなんかよりある先輩みたいな人になりたいな~って思ってるんだ。』

「へー?その先輩ってどんな人なんだよ?」

 

どんな人か、、

 

『まぁその人は勉強も運動もできないし、弱点だってたくさんあるんだよ』

 

『でも。』

 

『本当に弱い者には手を貸して、弱い者のためなら強い者に、あげくには世界の敵にもなれる人なんだ。』

 

そんな覚悟の強さに僕は惹かれたんだ。

 

「へー凄い人なんだなその人って!」

 

「かっこいいね~」

 

「弱きを助け、強きを挫く、、ある意味ヒーローなんじゃないのかしら?それ?」

 

『あれはヒーローって呼ぶには黒すぎるし

どちらかというとダークヒーローかな?』

 

ダークヒーローって言うにも少し暗いかも知れないけどね。

 

そんなことを考えながらみんなで互いの夢について語り合った。

 

 

 

 

その後はバーテックス戦はしばらくなく、

みんなと色々なことをして遊んだ。

時には外遊び、また映画を見に行ったりもした。恋愛映画だったのだが自分はそういうのにはうといので、正直いうとあまり面白くなかったが、三人は楽しんでいたので良かったとは思うが。

カラオケにも行ったのだが、歌のレパートリーが無さすぎて三人に少し引かれた。

テレビなんかほとんどみたことないんだから、仕方ないじゃん。

こんなに平和な日々を過ごしていると、よく嫌なことを考える。

『嵐の前の静けさ』

 

実際に平和なんてものは、簡単に崩れる。

物事はなんだってきっかけさえあれば簡単に変わる。良くも悪くもだ。

何人も見てきたそんな人をね。

 

 

 

とある日の帰り道。

いつものとおり四人で雑談しながら帰っていた。

 

「・・また厳戒態勢が復活するね~」

 

「そうねみんなで気を引き締めないとね」

 

「楽しい時間はいつだってあっという間に過ぎちゃうよなー本当に」

 

『まぁ、感覚の問題だけどねそれは』

 

ふといつも遊ぶ三人のことを見て考える。

・・もしこの子達がいなくなったりしたら自分はどうなるのだろうか?

怒り狂う?泣き叫ぶ?放心する?

・・自分はそんな人間じゃない。

僕は『壊れた』人間さ。痛みにも慣れており、悲しいことや怒る出来事が起こってもまったく動じない。

自分は世界に諦めているのかもしれない。

どんなに悲しんだりしても亡くなった人は帰らないし、時間だってそんなの気にしないで流れだす。

あげくには時間がたったら生き物は忘れる

確かに亡くなった人が大切だったりしたら自分の中に深くのこるだろう。

だが違ったら?ただの親戚、若いころにいじめていたやつ。

簡単に『忘れる』。そうまるで

最初から【なかったこと】のように。

 

まぁ、結局何が言いたいかというと僕は自分以外の価値観はすべて他人ということだ

ただ肩書きが違うだけ。

『家族』『友達』『親友』『恋人』

僕の脳だと

『自分』と『他人』の二つだけだ。

おかしいとはわかっている。違うなんてことも理解している。だけど、脳が拒む。

前世のことが影響してまったく変わらない

もちろん楽しんでいないわけじゃない。

園子ちゃんも須美ちゃんも銀ちゃんも

良い子達で大事な『友達』だ。

 

だが死んだらそこでおしまい。

僕にとったらもはや『他人』になる。

涙も怒りも精神崩壊もないまったくの0だ

 

そんなことを考えていると銀ちゃんの声が聞こえた。

 

「あ。あたしだけ違う道なんだった。」

 

そういえば銀ちゃんは違う道だったっけ。

 

「それじゃあまたね。」

 

何か不安げな雰囲気を感じとったので隣を見ると、須美ちゃんが何故か大事な人が今から亡くなるような表情を浮かべている。

何かあるのかな?

 

「待って!!ぎ、」

 

『ストップ須美ちゃん。』

 

「え?翔助君なんで!!」

 

『銀ちゃんは僕が送って行くよ。だから大丈夫だから、ね?』

 

「え、でも、、」

 

『銀ちゃんせっかくだから送っていくよ』

 

「いや、いいよ。家ちょっと遠いだろ」

 

『いいから、行こうー』

 

「ちょっ、とりあえずバイバイー!」

 

「バイバイ~みのさん、にっし~」

 

須美ちゃんの返答を聞くと、銀ちゃんが行ってしまいそうなので、待たずに行く。

多少強引だが仕方ないよね?

 

最後にふと須美ちゃんを見ると先ほどよりは良くなったが、少し複雑そうな顔をしていた。あれ?なんでだ?

 

「最近さー弟がさー」

 

ま、いいか。そんなことを考えながら銀ちゃんの家につくまで話に付き合った。

 

 

 

 

 





主人公の詳細+日常回?です。

フラグも建てました。


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その十四


何回も聞きますが、『~は勇者である』の性格口調は大丈夫ですかね?
違えばお気軽に言っていただけるとうれしいです。


 

遠足の前日---

 

やあ、みんなおはよう。

明日は遠足ということでみんながそれぞれ浮かれている。

僕らの中だと特に銀ちゃんが浮かれている

あと園子ちゃんも銀ちゃん程とはいかないけれど、けっこうワクワクしてるみたいだ

まぁでも。

 

「zzz~むにゃむにゃ~」

 

園子ちゃんはいつも通り朝は寝るようだ。

それでも園子ちゃんはテストの点数はほぼ満点ばかりなので、天才型なのだろう。

そんなことを園子ちゃんを撫でながら考えていると、須美ちゃんが登校してきた。

 

『お。須美ちゃんおはよう、、?』

 

「えぇ。おはよう」

 

明らかに元気がない。昨日寝れなかった顔してるけど、楽しみなのか?遠足。

・・なわけないな。あの時も銀ちゃんの手をつかもうとしたところを見るに絶対に、

何かあるはず。

ごめんね、園子ちゃん。また後で

須美ちゃんの方に行ってくるよ。

 

 

『須美ちゃん?どうしたの、昨日寝れなかった?』

 

「い、いえそんなことないわよ?」

 

図星かよ。あの言葉をだしてみようか。

 

『悩んだら相談。だぜ?須美ちゃん?』

 

「翔助君、、えぇ。わかったわでも、、」

 

『ん、ここじゃなんだし、廊下行こうか』

 

 

 

 

廊下にて

 

『で。何かあったんだろ?おおよそ、怖い夢でも見たのかな?』

 

「!えぇそうなの。よく分かったわね?」

 

『少しだけど目に隈ができてるからね』

 

本当によくみないとわからないけどね。

それほど須美ちゃんの顔じろじろ見てんのかよ。って?

前も言っただろう?人の雰囲気だとか空気だとかを読むのとか大得意って。

 

「・・夢の中でね赤黒い勇者服を着た首がない子がいたの。身動き一つとらないでずっとその場をとどまっていて、、怖くて飛び起きちゃって。そのあとも寝れなくて」

 

なるほど、そりゃあ寝れないわな。

赤黒いのは首が吹っ飛んだときの血かな?

勇者服ということは僕達のだれか、、というかそれ銀ちゃんじゃないかな?

あの時手をつかもうとしたのも銀ちゃんが死ぬ未来を須美ちゃんの脳が予知したからかな?ということは。

 

『・・なるほどね。予知夢ってやつかな?それって。』

 

「・・たぶん、、。夢だっていうのはわかってるんだけど、わたしには巫女の力もあるらしいの。」

 

『巫女?』

 

「神樹様の言葉を聞いて神託を行ったり、

未来を予知したりするらしいのよ、、」

 

へぇーまじでファンタジーだなこの世界。

・・こんなファンタジーうれしくないが。

 

「怖いの、、誰かがいなくなるなんて。

この前銀を引き止めようにしたのは銀がどっかに行っちゃうような気がして、、」

 

本当にその巫女とやらの力を持ってるのは

本当らしいね。

無意識のうちに予知したのか、すごいな。

 

そんなことよりも今は須美ちゃんだ。

小学生に死体は刺激が強いというレベルじゃない。鬱になってもおかしくない。

 

『・・辛かったよね。』

 

「あっ。翔助君、、」

 

『大丈夫。簡単さ、未来を変えればいい』

 

「未来を?」

 

『誰も死なせはしないさ、必ず。約束するだから今は安心して任せてくれればいいよ。』

 

そう言って園子ちゃんみたいに頭を撫でる

 

「翔助君、、ありがとう、、」

 

須美ちゃんが抱きしめてくる。

まぁ、人通りの少ないところを選んだし、

今はゆっくりさせてあげよう。

 

『よしよし。』

 

 

 

 

 

次の日遠足当日

 

「今日はいい天気だよなー!」

 

「見事に晴れたよね~」

 

二人が言った通り今日はいい天気だ。

クラスの子達含めのみんなの日頃の行いがいいからかね?

 

「さて、どこ行きましょうか?」

 

「やっぱり勇者なんだからアスレチック一択だろー!」

 

「いや、なんでよ?」

 

ちなみに僕達がいるのは国内最大級の観光地であるらしく、みんなは最初にアスレチックコースにいくようだ。

 

『じゃあ、僕は日向ぼっこでもしてるよ』

 

「えー翔助も行こうぜ?運動苦手でもいいからさー」

 

「そうだよ。にっしーも行こうよ~」

 

『あはは。実は昨日よく眠れなくてね、ベンチがあるから寝ようかとね』

 

「意外ね。翔助君が寝られないなんて。ならわたし達で遊んでましょう。」

 

「え~ならわたしにっしーと寝たい~」

 

「仕方ないなーいいから行くぞ~園子」

 

「あーにっし~」

 

 

・・・行ったか。

ちょっと色々と考えたいことがあるから皆とは行かないで一人でいることにした。

内容は簡単だ。

僕の能力についてだ

転生するにあたって『大嘘憑き』と僕だけのオリジナル能力を要求したのだが。

 

『それがいまだにわからないんだよなー』

 

出し方とかも神様から聞いてないし。

・・出し方について神様と話しをしておけば良かったなーと後悔しております。

でも休みの日に色々と試してわかったことがある。

 

『却本作り』【ブックメーカー】

 

そう呟くと、持っていたネジが長く伸びる

『却本作り』相手を自分と同じステータスにできる。あの球磨川先輩の始まりの能力

(過負荷)である。

 

何で使えるんだ?これは本来厳重に封印されている位の強い力を秘めている能力だ。

しかも『大嘘憑き』と併用して使える。

・・というか、過負荷の中の過負荷の能力を二つとも使えるって、どんだけヤバいんだよ僕。しかも一度に二つも。

あの球磨川先輩だって大嘘憑きと却本作りどっちか片方しか一度に使えなかったんだぜ?・・いらない才能だな。

 

その後色々考えたがやはりわからなかった

 

 

お昼---

 

遠足といえば弁当持参だと思うだろ?

神樹館だとバーベキュー用の鉄板で焼きそばを作っています。

最近の小学校ってこんな感じなん?

 

「美味そうだなー!」

 

『銀ちゃん、よだれよだれ。』

 

「銀、、」

 

「あはは~楽しいねー」

 

焼きそばを作っていると銀ちゃんがよだれを垂らし須美ちゃんが呆れる。

園子ちゃんはテンションがあがっている。

 

「、、ハァー」

 

と思ったら下がった。

・・上がり下がりが激しいな園子ちゃん。

 

『どうしたね?そのちゃん?』

 

「だってみんな料理できるのに、わたしだけできないんよー」

 

「焼きそばくらいなら簡単に作れるわよ」

 

「う~、、なら今度わっしーの家でみのさんとわっしーに料理教えてもらう!」

 

「え?わたしの家!?別にいいけど、、」

 

『何で僕だけはぶられてるんだい?』

 

「にっしーにはわたしの作った、おいしいやきそばを最初に食べてみてほしいんよ~!」

 

「というかアタシも教えるのね、、でもやるからには全力で伝授してしんぜよう!」

 

なるほど。そりゃあありがたいね。

でも、、

 

『初めてが僕でいいのかい?』

 

銀ちゃんとかのがいいのでは?

 

「にっしーに食べてもらいたいんよ~!」

 

うれしいこと言ってくれるねー。

じゃあ

 

『楽しみに待ってるよ。そのちゃん。』

 

その後キャンプ地の近くにある高台に登り三人で風景を眺めて雑談をしたりした。

前よりもまた距離が縮まったような気がした。

 

 

 

 

遠足から帰っている途中に四度目のバーテックスの襲撃がきた。

 

勇者へと変身した後須美ちゃんの方を見ると赤い衣装をした銀ちゃんのことを見てた

銀ちゃんは無茶を平然とするタイプの人だからな、要注意だ。

 

バーテックスのもとにいくといつもと違う部分があった。それは、、数だ

 

「な、、二体!?・・そーきたか。」

 

いつもは単体でくるのだが、今回は複数で来ていた。

一匹は赤色でさそりみたいな鋭い針を持っており、

もう一匹は黄色で巨大なハサミと周囲に6枚、両刃の剣先にも見える五角形の巨大な板があった。

・・銀ちゃんは二体と言っていたが、気配をたどると二体の奥にもう一匹いる。

 

『いや、よく見るともう一匹奥にいる』

 

「え?・・見えないけれど、、」

 

「とりあえずみのさんは赤色!わたしとにっしーは黄色!わっしーは援護でお願い!」

 

「「了解!」」 『・・了解』

 

どうにも嫌な予感がした。

 

 

 

僕の嫌な予感は見事にあたった。いや、あたってしまったと言ったほうがいいか。

途中で青い体のバーテックスとさそり達の連携攻撃をみんなでもろに受けてしまい、須美ちゃんは痛み呻き動けず、園子ちゃんは頭から出血をしてしまい気絶

銀ちゃんは防げはしたものの口や足を少し切ってしまっていた。

僕?両足が骨折してるね。右腕も骨折だ。

 

「くっ、、がはっ!」

 

須美ちゃんは頑張って動こうとしてるけど

駄目らしく、あげくには吐血している。

 

「翔助、あれか?三体目は、、?」

 

『あぁ、らしいね。』

 

三体目の青いバーテックスのせいで態勢が崩れ、形勢逆転してしまった。

しかしバーテックスはそんな好機を見逃す

はずがなく、赤と黄の二体が攻撃してくる

 

「須美!園子!」

 

『よっと!危ねぇ~』

 

銀ちゃんが須美ちゃんを抱いて回避して、

園子ちゃんは僕が抱いて回避する。

 

「ごめん!ナイス翔助!」

 

『大丈夫。さて、どうしようか。』

 

正直いうと状況は最悪だ。

四人のうち二人が戦闘不能。

残り二人も負傷あり。

うん、やばい。

・・・仕方ない、かな。

 

『銀ちゃん。二人を安全なところに避難させるの頼んでもいいかな?』

 

「・・は?何言ってんだ!お前あの三匹を一人で相手する気か!?」

 

『だからといってここで四人全員死ぬわけにもいかないだろ?結局は誰かがやらないといけないからね。』

 

「・・・・・」

 

『大丈夫だよ。僕が死ぬと思うのかい?

強化合宿の時見ただろ?避けるのは得意なんだからさ。大丈夫だ、僕を信じてくれ』

 

「・・わかった。二人を避難させたらすぐもどる。ちゃんと、生きて待っててくれよ!」

 

『あぁ。約束するよ』

 

 

・・・行ったか。

目の前には三匹の『頂点』。

こちらは一人の『最底辺』。

とりあえず負傷したままだと話にならない

 

『大嘘憑き』

 

『僕のけがを【なかったこと】にする』

 

よし。これで全快だ。

みんなの傷も出来れば治してあげたいのだが、もし治ったことが大赦にバレでもしたら記憶を消すのも数が多すぎて骨が折れるので下手にできないんだよな。

なんかホントに最初から【なかったこと】になってるから感覚に違和感がある。

 

そんな感想を抱いていると黄色の一撃がとんでくる。

 

『あぶな。』

 

避けた先に赤いバーテックスの板が。

 

『よっと』

 

しかし赤の板を巧みに相手が利用し、青の

槍のような矢が何回も反射を繰り返し軌道が変わる。

 

『これは避けられないから、、よっと!』

 

さすがにあんな変態的な挙動を僕の運動神経でかわすのは無理、、なので『大嘘憑き』で【青色との距離をなかったこと】にして避ける。というか誰だって無理だろ。

 

『まずは、、君だ。』

 

言葉と同時にネジを青に約20本突き刺す。

しっかりと当たったことを確認して地面に降りる。

 

『ん?再生しないのが不思議かい?簡単さ

君の【再生力をなかったことにした】からね。』

 

本来なら再生をすぐさま行うはずが一切しないで地に倒れ伏している仲間を不思議がったのか二匹が青に振りかえる。

そんな二匹に自分が行ったことを言う。

 

『怖いかい?気持ち悪いかい?上等だよ頂点ども。』

 

 

『最底辺の意地ってのを見せてやるよ。』

 

須美ちゃん、銀ちゃん。

約束はちゃんと果たすぜ。

 

 

 

 

 

 

あたしこと三ノ輪銀は急いでいた。

 

『大丈夫だ、僕を信じてくれ』

 

あいつを信じてないわけじゃない。

でも何故かいつもの優しげな笑顔が、、

あの時、すごく危うく感じたんだ。

 

だから、急がなきゃ。さっきからあいつのいるところからすごいデカイ音が何回も鳴り響いているのが聞こえている。

 

「銀!、、止まって!!」

須美が焦ったような声であたしを止める。

 

「どうした!何かあったのか?」

 

「そういえば思いだしたの、、あの時血まみれだったのは、、男用の服だったの!」

 

血まみれ?男用の服?須美は何を、、?

 

「な、何だよそれ?血まみれって一体?」

 

「とりあえず戻って!!間に合わなくなる前に!早く!!」

「・・・わかった。後でしっかり聞くからな!!」

 

間に合ってくれよ、、翔助!!

 

 

 

 

あたしがついた時辺りは異様な光景だった

三体のバーテックスが二匹になっており。

その二匹はネジで地面に固定されて痙攣している。

だが、その後に見回して一つのことに気づいて自分の血の気がひいていくのを理解する。血がべっとりとついているからだ。

それも少しじゃない。大量にだ。

 

翔助はどこだ。

冗談じゃない、ここでお別れなんてしゃれにならないし、笑えない。

全然見つからず自然と涙目になる。

 

「どこだよ!翔助ー!、、約束破るなよー!?・・大丈夫だって言ったじゃん、、」

 

自分でも涙声になってるのを理解しつつも辺りに呼び掛ける。

・・約束するって言ったじゃん、、

しかしその後いつもの声が聞こえた。

 

 

 

 

『あぁ。銀ちゃん、、平気かい?』

 

「っ!翔助!!」

 

『うおっと、どうしたんだい?』

 

「馬鹿野郎、、心配させやがって!!」

 

『あはは。ちょっと無茶しちゃってね?』

 

 

何か急に怒られている僕です。

僕は嘘はつかない、嘘に憑かれてるだけで

・・・まぁ無茶はしたけどね。

 

あんなに格好つけておきながらあの後実は

バーテックスに一回殺されてしまった。

死に方は須美ちゃんが言ってたみたいに、

首を吹っ飛ばされた、ポーンってね。

だから地面が血まみれになっていた。

 

・・あ、それを見て心配したのか。

 

銀ちゃんに気付かれないように、指をパチンと鳴らす。すると同時に桜の花弁が舞う

え?何で追い払えたのかって?

ネジをギリギリで止めておいて指を少し鳴らしたら進むように作ったからね。

 

とどめをささなかったのは一回休憩したかったからだ。

 

 

その後僕を含めみんな病院へと搬送された

 

 

 

 

 





はい。勇者の力ではなく、過負荷の力を使っての戦闘です。
やっぱり戦闘描写難しいですね。

キャラ崩壊とかないですよね、、?


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その十五 final

誤字報告ありがとうございます。
やはり至らない点がいくつかありますが、
見ていただけていてうれしいです。
どうぞ




病院内にて----

 

「ひぐっ、ぐすっ、、ごめんね~。にっしーこんなにしちゃって。」

 

「園子、、」

 

「そのっち、、」

 

あの後あんなに元気に笑っていた翔助だったのだが、大赦の人達病院につれられたあとはまるで死んだように目をあけない。

 

「やっぱりここにいたのね、三人共。」

 

「安芸先生、、」

 

いつもの聞き慣れた大人の声が聞こえたので振りかえると、安芸先生がいた。

 

「・・翔助君。あなたは本当に、、」

 

「・・・どうかしたんですか?先生。」

 

「いいえ、何でもないわ。とりあえずあなた達も翔助君が心配なのはわかったわ。

でもあなた達も大変な状態だったんだからまずは安静にしてからにして欲しいわ。

しっかり伝わったと思うわよ翔助君には」

 

わかってるよ、安芸先生。

あたし達だって大分酷い怪我だった、でも

翔助はもっと辛い中一人で頑張ってたんだ

 

『僕を信じてくれ』

『あぁ。約束するよ』

 

あの時あたしが残っていたら、翔助はいつもみたいにあたし達に笑ってくれてたのかな?いつもみたいにあたしと園子がはっちゃけて、それを翔助がツッコミを入れて。

須美がそれを見て微笑む。

 

そんな優しい光景はもうない。

・・もしかしたらもう見られないかもしれない。そう考えると怒りが沸いてくる。

どうしてあたし達がこんな危ない目に合わなきゃいけないんだ。どうして何もしてないのにこんな目に合ってるんだ。

 

 

何で誰にでも優しいアイツが倒れなきゃいけないんだ。

 

 

あわやあたし爆発といったところである聞き慣れた人物の声が、いつもと違い聞いたことがない大声で先生に向かって怒鳴った

 

「先生が、、先生みたいな大人に、私たちのことなんてわかるもんか!!」

 

園子だ。あの園子が怒鳴っている。

須美に目を向けるとあたしと同じく怒りを持っていた目から一転、驚愕の目になった

 

「先生達なんかみんな勇者だからって丸投げしてばかり!!」

 

「そんな時に支えてくれたのはにっしーだった!訓練メニューも皆の分をよりよくなるよう考えてくれたし、皆の相談を受けてあげてたりもした!!」

 

「昔から一緒にいたからわかるんよ!みんなを支えてくれていたから段々疲れていたことも、、全部、、」

 

最初は強く怒っていた園子だったが、最後の言葉と同時に涙を流して顔がぐしゃぐしゃになる。

 

「私たちにとってにっしーは、なくてはならない大切な人なんよ、、」

 

「もういいよ!園子!・・とりあえず今は泣いてもいいよ。」

 

「・・ごめんなさい乃木さん。みんながそれほどまでに西村君の事を大事に思ってたんなんて、、ごめんなさい。」

 

「・・みのさん!先生!、、ううっ」

 

「銀、、そのっち、、先生、、」

 

しかしバーテックスはそんな悲しい時間すら気にせず襲撃してくる。

 

「・・ははっ。こんな時にすら来るのかよバーテックスさんはよお。」

 

「にっしー、、」

 

「きっと翔助君が目を覚ましていたら、『空気読めないなぁバーテックスさんは』って言うのでしょうね」

 

「・・行こう。みのさん、わっしー」

 

その後の戦闘は酷いものだった。

それぞれが怒りに任せて前線に出て思うがまま武器を振るう。

 

結果は完勝だ。

無傷とまでは行かないものの、擦り傷がいくつかあるぐらいである。

でもいつものように反省会はできない

たった一人だが、その一人の存在はでかすぎる。

 

 

 

 

 

それからいくつか時間が流れて新しく、

『満開』システムが追加された。

他にも祭りなどに三人で行ったりした、あの日以来ほとんど笑顔を見せることがなかった園子もその時はあたし達と一緒に笑いこけてくれた。・・その時は心底安心した

その後も色々なことをしていくうちに前と同じ位に回復した。もちろんあたし達も

 

しかしある日ついに時が止まる。

 

「・・もうすっかり慣れちゃったね~」

 

「うれしくないけどな~」

 

「でも慣れるのに損はないわよ。」

 

「そうだけどさー」

 

そんな軽口を叩き合いながらバーテックスのもとに向かうと今までの倍ぐらいの大きさの威圧感を放つバーテックスがいた。

戦ってみると見た目どうりに今までとは全く違うレベルでの強さだった。

満開のゲージは、、おっけー!

二人に目をやると二人とも頷いた。

あたし達三人は互いに目を合わせて言う。

 

「「「満開!!」」」

 

 

 

しかし、現実は甘くなかった。

満開をしてもなお、バーテックスに押され

ており、状況は以前劣勢のままだ。

それに満開の際のデメリットも発見した。

 

「あら?足が、、動かない!?」

 

「わたしも何か右目が、、」

 

「アタシは、左腕が、、」

 

どうやら満開するたんびに体の一部が使えなくなるようだ。

・・いよいよ生け贄だなこれじゃあ。

 

しかしその後もあたし達は戦い続けた。

満開だって再びした。

だけど運命は残酷だとそう感じた。

満開の代償はあたしは右目。

問題は須美の代償だ。簡単に言うと、、

 

「あなた達は、、誰ですか?」

 

『記憶』だった。

 

「ははっ。記憶なんて・・・そんなのありかよ。」

 

まさか目に見えない物まで奪われるとは、

園子は今回はなんともなかったみたいだが

何か大事な物を奪われてるかも知れない。

そんな嫌なことを考え、須美に話しかける

 

「もう覚えてないんだろうから自己紹介するな!あたしが銀。三ノ輪銀だ!」

 

「わたしは乃木園子だよ~私たちはあなたの元になるけどー」

 

「「親友だよ!」」

 

そう言ったあとバーテックスを指差す。

 

「悪いけどあれを片付けないと駄目だからさ、、また、会えたら話そうな!」

 

「行ってくるね~、、わっしー」

 

「あ!・・待って!!」

 

園子は最後に記憶があったころの須美にあげたリボンを着けた所を撫でてあたしの後ろに続く。

 

「・・・園子」

 

「・・・わかってるよ~みのさん。」

 

この戦いの勝ち目なんて凄く薄い。

一人減った今戦力だって下がっている。

でも。

 

「「満開!!」」

 

諦めるわけにはいかない!

 

 

 

 

 

 

 

その後あたしも園子も6回目の満開を終え目の前の敵をにらむ。

 

ここで諦めたら何もかもが無駄になる。

あたし達四人の楽しかった思い出も全部。

 

「そうは、、させない!」

 

「わたしだって、、まだまだ!」

 

そんなの嫌だ。だからこそあたし達は何度でも立ち上がってみせる。

・・あいつの気持ちだって絶対に無駄になんかにさせてたまるか!

 

そんな二人が一歩また踏みだそうとすると

もう聞けない筈の懐かしい声が聞こえた

 

 

『無茶しすぎじゃないかい?二人共?』

 

「・・え?にっしー、、?」

 

「・・な、何でいるんだよ?棺桶の中で眠ってる筈じゃあ?」

 

『あんな窮屈なのぶっ壊してきたぜ?あんなんじゃあとてもじゃないが寝れやしないよ~』

 

『須美ちゃんの状況は見てきたよ。記憶を失うとはね。中々えぐいことしますね、神樹様は~』

 

そんな話を翔助?としてるとバーテックスが攻撃を行ってこようと近寄ってくる。

 

「翔助!あいつはヤバイんだ!何でお前が生きてるのかは知らけど、早く逃げろ!」

 

そう言ってるのにも関わらず翔助は反比例するかのようにバーテックスに近づく。

 

「にっしー!!」

 

今や殺られるかというところで園子が叫ぶ

だがもう間に合わない。

そう思っていたけど、、

 

『下。気をつけなよ?』

 

何故か下から凄くデカイネジが一瞬にして

生え、あっさりとあの巨体を貫く。

 

「え?ネジ?何で、、?」

 

「摩訶不思議なんよ、、」

 

『二人とも、、ごめんね。』

 

あたしと園子で感想を述べ合うと後ろから首をトンっとされて意識を失う。

 

「な、、何で、、?」

 

「なに、、するんだよ、、」

 

『僕は死なない。だからまたどこかで会えるかもね。・・その時に何でこんなことしたのかを話すよ、じゃあ、おやすみ。』

 

 

 

 

 

 

 

その後あたしと園子は満開によって捧げた部位を大赦によって神として崇められ一つの病室に入れ込まれている。

 

「・・あの時のはやっぱり翔助だったよ」

 

「・・うん。間違いなくにっしーだったね~。・・他のこと話してみたかったなー」

 

あの後どうやらバーテックスは桜の花弁となり、消えて行ったという。

私たち二人で何回も満開してやっとだったのに。翔助、お前一体何者なんだ?

暇すぎて毎日同じことを考えてしまう。

するとやがて扉が開く。

 

「失礼します。園子様、銀様。」

 

「ん。どうしたの~?」

 

「翔助様の情報が入りましたのでご連絡をと。」

 

「「え!?本当に!?」」

 

「は、はい。どうやら適正値が過去最高の『結城友奈』とその他適正値が高い勇者が多い学校に通っているそうです。ちなみに須美様もそこに通っておられるそうです」

 

「・・ということは」

 

「はい。勇者として再び活動するようです」

 

「にっしー、、本当に無茶してるのは確実に、にっしーなんよ~」

 

「まぁ翔助っぽいけどなー」

 

「では失礼いたします。」

 

 

 

 

にしても。

 

「・・・無茶しすぎだよ翔助。本当に」

 

「・・・本当なんよ~それにどうするみのさ~ん?」

 

「どうしたんだよー?」

 

「にっしーが女の子でも作ったら、、」

 

「・・・・」

 

 

「「嫌だね(だな)」」

 

「いや、いっそのことみんなで付き合うのもありなんよ~」

 

「法律はどうしたー?」

 

「ふっふっふ。みのさん?わたしは乃木さん家の園子ちゃんなんだよー?」

 

「・・あり、かもな」

 

「決定~!みのさん、わっしーみんなで幸せになろうー!」

 

「そのためにも早く治らないかなーアタシ達の供物。」

 

「ね~」

 

ちなみに園子はもちろんだが、あたしも須美も翔助のことが好きだ。

元々いいなとは思っていたのだが、あの出来事から好きな気持ちはすっかり開花した

本来園子の案はおかしいと言うのだろう。

多分翔助も反論する。だけど?

 

「アタシ達にさんざん心配かけてる罰だよな~園子ー?」

 

「そうそう~。一回はこっちの要求を飲んでもらわないと割りに合わないんよ~」

 

ちなみに病室には若干甘いようで黒いオーラが外から見えたため、しめ縄と相まってさらに不気味だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 




今回で『鷲尾須美は勇者である』は終了となりますがまだまだ続ける予定です。
『結城友奈は勇者である』もやりたいですからね。

後半の二人のやり取りはギャグっぽいですが、本人達は本気ですよ?


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--結城友奈は勇者である--
その壱


視点はオリ主視点に戻ります。

どうぞ


 

 

・・ハァー、、ん?

やぁみんな僕だよー久しぶりになるかな?

 

 

少し休憩してたらいつの間にかすごい話が進んでたので僕の頭は困惑してる。

 

 

あの日三匹のバーテックスとの戦いが終わった後に神様に呼ばれて、

 

「お主は頑張りすぎじゃ。だからわしが魂だけを呼びもどした。一定の時間になるまでは出られないぞこの空間は、だからその間休憩していけ。」

 

と言わたれたから寝てたんだが、その間に三人は酷いことになっていたので僕が休めていても三人が駄目なら意味ないじゃんと思った。それに僕なら『大嘘憑き』でなかったことにできるからいいと思うんだが?

 

それにみんなにはあまり傷ついてほしくないしね。

・・もし死んだりなんかしたら、どんなに仲良くてもただの他人になるから余計にだ

まぁ、仲良くない人であろうと誰かが傷つく姿は見たくない。この気持ちは前世でも共通だ。前世では『大嘘憑き』はなかったけど、怪我は治りやすかったからね。

ちなみに今世でも怪我の再生力は前世と同じなのでありがたい。

だから

 

 

 

『傷つくのは僕だけで十分だ。『他人』であろうとなかろうと関係ない。』

 

 

 

 

 

そして今にいたる。

記憶が消えた須美ちゃん、、いや今は確か『東郷美森』ちゃんだっけ?

そして『満開』という、新システムの代償として体の一部を奪われ病室に閉じ込められている園子ちゃんと銀ちゃん。

 

 

簡単に今の僕の状況を言うならば、全て最初にリセットされたって感じかな。

・・ちなみに僕の元両親の西村さん達は、亡くなったと新倉さんから聞いた。

やっぱり大して何かは感じなかった。

お気の毒にとは思ったが、そこまでだ

いい人だった。だが死んだらそこまでだ

 

ごめんね、この世界の西村さん達。

墓参りはちゃんとするから、こんな僕をどうか許してくれ。

 

 

中学校は『市立讃州中学校』にした。

理由は勇者の適正が高い子がいるからだ。

中には適正値の高さが過去最高の子もいるらしい。

それになにより美森ちゃんもいるしね。

 

中学校に通う際に僕は引っ越しをした。

といっても新倉家が引っ越すわけではなく

僕が作られた家に移る、簡単に言うと一人暮らし開幕!ということである。

 

・・といっても前世で何年もしてたし、寂しさはまったくないし、自炊もできるから不安要素は無いのだが。

今は荷物をほどき、並べ終わったところだ

まぁ、生活に必要な物しかないから直ぐに終わって今は横になっているのだが。

少したったらご近所さんにお近づきの粗品を渡しに行く予定だ。

挨拶は大事だからね、当然のことだ。

 

ピンポーン

 

ん?誰か来た?

誰だ?・・あ、もしかしてお隣さんから挨拶しに来てくれたのかな?ありがたい。

 

『はーい今行きますよー』

 

ガチャ

 

「こんにちは!わたしは隣に住んでいる

『結城 友奈』って言います!よろしくお願いします!」

 

おーこれは驚いた。まさか僕と同い年の子が挨拶に来るなんてね?しっかりしてる子だなー。

 

『あはは。見たかんじ同い年だから敬語は外してくれていいよ。僕の名前は新倉翔助って言います、よろしくね?』

 

「うん!よろしくね!、、東郷さん、ほらいい人だから大丈夫だよ。」

 

・・え?東郷さん?

よく見ると友奈ちゃんの隣に車椅子の子が隠れていたようだ、気づかなかったよ。

 

「え、ええ。・・はじめましてご近所にすませてもらっている、東郷美森と言います。よろしくお願いします。」

 

記憶が無くても堅いのは相変わらずか。

ハハッ、懐かしいな最初の頃の須美ちゃんを思い出すなー

 

『堅いな~君も。まぁ、確かに異性だから警戒もするか』

 

「え?あ、、その、、」

 

『いやいや気にしなくていいよ。警戒心が高いのはいいことだからね。』

 

「もう、東郷さんってば、、」

 

その後とりあえず粗品を渡し、

次の日----

 

「今日は皆さんに転校生を紹介します。」

 

まさか僕が転校生の気分を味わうなんてね

人間関係は最初が肝心だからね。しっかり自己紹介しようか。

 

「先生ー転校生の子は男の子ですか?女の子ですかー?」

 

「男の子です!」

 

そう先生が言うと「ちぇー」という声と、

「キャー」という声が聞こえてくる。

前者が男子で後者が男子だろうな

 

「まぁ、どんな子かは自分で見たり聞いたりしてみてちょうだい。入ってきていいわよー」

 

お、出番だ、それじゃあ行きますかね。

 

『失礼します。』

 

「それでは自己紹介をどうぞー!」

 

『どうも!週刊少年ジャンプから転校して来ました、西村翔助って言います!』

 

「「「「アハハハ」」」」

 

・・いや、さすがにネジは投げないよ?

 

『まぁというのは冗談で、両親の仕事の都合で転校して来ました。西村翔助です。皆さん仲良くしてくれるとうれしいです。』

 

パチパチと笑顔で拍手をしてくれた。

自己紹介は大成功だね。

 

 

 

 

放課後----

 

ああ、疲れたな。

あの自己紹介の後、授業の度に話しかけられて質問されたので、一つ一つ答えていたらすっかり疲れたよ。

さっさと帰ろう。

 

帰り道の一つである橋を通ろうとすると、

川辺のところでゴミ拾いをしている子達がいた。

 

『へぇー良い子達だな。・・どうせ暇だし手伝いに行ってこようかな。』

 

何かおじさん臭いなこの発言。

 

『すみません。手伝わせてもらってもいいですかね?』

 

「え?、、誰?というか何で?」

 

「あ!翔助君!」

 

「あら、本当ね。」

 

「え?知り合いなの?友奈、東郷?」

 

『おや、二人共いたのかい。あぁ僕と彼女達はこの前ご近所ということで少し交流がございましてね。』

 

二人ともいたのか、しかし四人でボランティア活動とは素晴らしいな。

 

「へぇー。でもどうして手伝うなんて言ってきたの?あなた?」

『人手が多いほうが早く終わるでしょう?

それに目の前で頑張ってる人達を見て素通りなんてできないでしょう?』

 

「、、わかったわよ。じゃあお願いするわね?少年君。」

 

『僕は西村翔助って言います。少年君はやめていただけるとうれしいです。』

 

「・・うちの姉がすみません。」

 

「ちょ、ちょっと樹!しょうがないじゃない!名前わからなかったんだから!」

 

「だからって少年君はないよお姉ちゃん」

 

『まぁまぁ。気にしてませんから、それよりお名前を聞いてもいいですかね?』

 

「あ、すみません、、私はえっと、、」

 

『ゆっくりでいいですよ。男が相手なんですからうまく話せなくても仕方ないですよ』

 

男の人と話すのが得意じゃないんだろうね

お姉さんと話してるときは普通だったし。

 

「ありがとうございます、、私は犬吠埼樹って言います。よろしくお願いします。」

 

「それじゃあ次はあたしね。あたしは犬吠埼風。そこの樹の姉よ。」

 

なるほど。

『犬吠埼 樹』(いぬぼうざき いつき)と

『犬吠埼 風』(いぬぼうざき ふう)ちゃんねー。やっぱり風さんは先輩だったか。

 

『よろしくお願いしますね。それじゃあさっさと拾いましょうか。』

 

色々と雑談しながら空き缶やらレジ袋やらを拾った。

どうやらこのボランティア活動は『勇者部』という部活の活動なんだとか。

勇者部って何なんですか?と聞いたところ

誰かが出来ない。もしくは、誰かが困ってる。そういう誰かの為になることを『勇んで』、進んでやる者達のクラブらしい。

 

・・嘘は言ってないけど確実に裏があると考えるのが妥当だろう。

なるほど適正値が高い子達がこの部活に集まってるということか。

雰囲気で見ると、、友奈ちゃんかな?一番適正値が高かったっていうのは。

美森ちゃんは前もやってたし、満開も二回程やってたようだし、記憶がなかったことをいいことに使ったんだろう。

風先輩も樹ちゃんも確かに高いだろうね。

 

 

その後うどん屋に連れていかれたのだが、

 

「もう一杯おかわり!」

 

何杯食うんだ?この人?

三杯目だろあれ。

 

『樹ちゃん。風先輩ってあんなに普段から食べるのかい?』

 

「はい。特にうどんとなると、なおさら」

 

えー?普通女の子っていうのは体重など、自分の体のことに気を使うはずでは?

 

「む!こら翔助!うどんは女子力をあげるから大丈夫なのよー!」

 

『何なんですか?その理論。』

 

何故うどんで女子力が上がるんだ?

小学生でも言わなさそうな理論だが。

友奈ちゃんも食べる方だとは思うが風先輩と比べるとさすがに見劣りする。

樹ちゃんと美森ちゃんは普通だった

 

「あれ、翔助くん食べるのゆっくりだね」

 

『ん?あぁ、僕は食事が遅くてね。それに少食だしね。』

 

「意外ね、、男の子といえば結構食べるイメージがあったのだけれど。」

 

『僕が珍しいだけさ、他の子はみんな結構食べてたぜ。』

 

不思議そうに見る友奈ちゃんと美森ちゃんに補足を添える。

実際に僕ぐらいの年の男の子はよく動きよく食べるのが普通だ。

やっと食べ終わったよ。

 

『ごちそうさまでした。ここのうどん美味しいですね、また来てみたいって思いましたよ。』

 

「おー!さすが翔助!この店の良さに一回来ただけで気づくとは、見込みあるな~」

 

そんなことで見込まれても、、

 

 

 

 

その後は解散して各自家に帰って行った。

 

『しかしまぁ、勇者部ねー』

 

今日1日の濃い思い出の中でも濃い思い出を脳裏に浮かべる。

 

また、バーテックスは襲撃してくるだろう

あの様子から察するに勇者については話していないだろう。

まぁその時はその時で、カバーしようか

多分不安にさせたくないのだろう部員を、

それに勇者候補の子はいくつかいるから未確定要素も含めて話してないんだろうねー

話しをしてみてわかったが、風先輩は優しい人なのだろう。

 

 

また戦いが始まる。

いつ起きるかはわからないが関係ない。

 

『その時はその時でまた戦うだけさ』

 

壁の外を見た。

真っ赤な火の海だったあれは死の世界とでも言うのだろうか?あの光景は。

倒した筈のバーテックスが何匹もいてそれぞれ活動していた。

やはり天の神を倒さない限り、バーテックスとの戦いはずっと続くだろう。

 

そうであろうと、、

 

『僕は僕なりに戦うだけさ。』

 

そう言って僕は口を三日月状に変えてゆらりと笑った。

 

 

 




どうですかね?
何か気になる点などありましたらお気軽に感想にてお申しつけください。
普通の感想でもありがたいです。

・・何回目ですかね、これ。


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その弐


昨日、見やすいように章を設定したのですがどうですかね?
見やすくなってたら幸いです。
本編どうぞ



 

 

ある日の朝。

 

「あ、おはよう!翔助君!」

 

「おはよう翔助君。」

 

『あぁおはよう。二人共。』

 

あのボランティアの手伝いから、ちょくちょく勇者部に行って手伝ったり、差し入れを渡しに行ったりした結果、勇者部のみんなと親交を深められた。

・・部外者の僕に人形劇を手伝えと言われた時は驚いたけど。

まぁ、それだけ信用されてるってことなんだろうからうれしいけどね。

ちなみにその人形劇は友奈ちゃんが熱をいれすぎて、セットを倒すというハプニングがあったが無事終わった。

 

他にも色々なことがあり、

まぁ、だいぶ距離も縮まったので下の名前呼び+ちゃん付けをさせてもらった。

 

・・いやさすがに風先輩にはしてないよ?

 

おかげで休み時間だと友奈ちゃんと美森ち

ゃんとよく話をするような仲になった。

今日も楽しくお話をして、平和に1日を終え、、られたら良かったんだけどね、、

 

プルル プルル

 

「誰ですかー?携帯鳴った人はー?」

 

「え?わ、私です、すみません、、」

 

「結城さんですか。授業中は電源を切っておきなさい?」

 

プルル プルル プルル プルル

 

「え?私も、、?」

 

『あらら、僕もだ。』

 

まぁ、鳴ってる理由は明確だけどね。

え?何でかって?当たり前だろ、だって、

僕は『スマホの電源は切ってる』からね

まぁ、二人共そうかもしれないけど。

 

「二人もですか?まったく、、ちゃんと授業の邪魔にならないようにですね、、」

 

先生の話が急にとまる。

二人は不思議に思って周りを見た、すると

 

「え!?」

 

「み、みんな止まってる!?」

 

まぁ、時間が止まってるからね。

その後眩しい光が視界を満たした

 

「眩し!、、東郷さん!翔助君!」

 

「ゆ、友奈ちゃん!し、翔助君!」

 

 

 

その後視界が晴れた後にアプリで位置情報を確認してみるとバーテックスの近くにワープさせられたみたいだ。

みんなは、、なんとか合流できそうかな

 

 

じゃあ、とりあえず時間稼ぎにいくかな

 

 

 

一方そのころ---

 

「・・あれ?二人共いる!?」

 

「わたしは大丈夫よ、、翔助くん?」

 

「え!?翔助君!?」

 

光が晴れたと思ったらいきなりわからない場所に飛ばされたのだ慌てるのも無理はないだろう。それにさっきまで一緒にいた友達がいないとなれば尚更だ。

 

「そのことについてはあたしが説明する」

 

「あ!風先輩!翔助君がいないんです!」

 

「それならアプリのマップをみなさい」

 

「マップ、、?・・あ、翔助君!?」

 

風に言われて、マップを確認すると翔助が

遠く離れたところにいるのを確認した。

 

「なんなんですか、、風先輩これは?」

 

東郷が声を震わせて風に問う。

 

「・・ごめんね。あたし達実は大赦から派遣された人間なんだ。」

 

その後風は二人にそれぞれのアプリの使い方を教え、自分達はいくつかあるグループの内の『神樹様に選ばれた』勇者というものということを伝える。

 

「あたしはね、もしも自分達のグループが当たりじゃなければ、二人には伝えないつもりだったんだ、、ごめん。」

 

「・・風先輩と樹ちゃんは知ってたんですか、このこと。」

 

「はい、わたしはお姉ちゃんから聞きました。」

 

「・・わたしと友奈ちゃんだけ知らなかったんですね」

 

「・・ごめん」

 

自分達だけ知らなかったのかと冷静に風へと聞く美森。

それに静かに謝る風。

そんな中友奈が呟く。

 

「風先輩、、この乙女座って何なんですか?」

 

友奈はスマホの画面にそっと指をさす。

 

「それがバーテックス。ここからでも見える奴が私達人類の敵よ」

 

風が前の方に指をさして話す。

ピンク色の体をした巨大な影は、『ヴァルゴ・バーテックス』と呼ばれるバーテックスが勇者部最初の敵となった。

 

(あんなのに勝てるわけが、、)

そう美森は考えながら、足を震わす、だが

 

(でも、なんでかしら?『恐怖』と一緒に何故か、、『怒り』も湧いてくる?)

 

バーテックスを見てから何故か自分の中でくつくつと燃える怒りの感情に疑問を抱いていた。そんなことを考えていると隣にいた友奈が風に一つの質問する。

 

「先輩!翔助君はどうするんですか!」

 

「翔助なら、、もう戦闘中よ。」

 

 

風はすでに戦いの火蓋は開かれていることを二人に伝えた。

 

 

 

 

 

 

 





すみません。道中の人形劇の内容まで書いていると長くなりそうだったので省略いたしました。

部外者、、同じ部活に入っていないから、
これが本当の『部外者』ってね!

・・しょうもなくてすみません。


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その参


バーテックス戦中編です
どうぞ


 

 

 

 

「え?戦ってるって、、」

 

いきなりの事実に驚く友奈。

まさか自分の友達がすでに戦闘中なんて、思いもよるまい。当たり前の反応である。

 

「・・とりあえずここからはあたしと、樹に任せて。翔助の助太刀に行ってくる間に友奈、東郷を連れて逃げなさい。」

 

そう風が話すと樹も二人の前に立ちスマホを操作して数秒後には眩しい光が晴れると同時にいつもと違う姿に変身していた。風は黄色を基調とした服、樹は黄緑を基調とした勇者服を身に纏っていた。

 

そして二人はバーテックスのもとに跳んでいった。

 

 

 

 

 

ただいま交戦中の僕です。

まぁね、あのバーテックスはいかんせん爆弾がめんどくさいね。

中々に火力が高いので無理に突っ切ってごり押し突破も無理かなー

 

・・まぁ、やろうと思えばできるんだけどこの位置での戦闘は多分スマホを見るに勇者部の四人にも見えるだろうからやらない

 

昔に勇者三人でバーテックスへの作戦を考えていた時に、

『僕が斬り込み隊長をやろうか?』

と言ったところみんなに圧のある笑顔で

「無茶しすぎだよ?」

と言われたのでそれ以降はやらないようにしております。

 

しかしまぁ、どうするかね。

ハンマーでも投げてみようか?

そんな事を考えていると後ろから声が聞こえてきた。

 

「おーい。翔助ー!」

 

「翔助先輩ー!」

 

お、増援かありがたい。

でも二人だけ?友奈ちゃんと美森ちゃんはどうしたんだろうか?

 

『風先輩、二人はどうしたんですか?』

 

「・・二人には逃げてもらおうと思ってるわ。何も伝えてなかったし、こんな危険なことには巻き込みたくないし、、」

 

優しい風先輩らしいね。

巻き込みたくない、、か。

おそらく樹ちゃんもできれば逃がしてあげたかかったんだろうけど、樹ちゃんのことだから自分の気持ちを先輩に伝えて折れてもらったんだろうね。

 

しかし、あの二人が逃げろと言われておとなしく従うだろうか?特に友奈ちゃん。

 

そう疑問を浮かべているとバーテックスが空気を読まずに爆弾を放出してくる。

 

「危ない!樹!前前!」

 

「えっ?きゃあ!」

 

その爆弾に一つ剣をなげて相殺するが、もう1つの爆弾には手が回らず爆風を食らってしまう。

さらにあの爆弾は案外連発がきくらしく、もう一発を友奈ちゃん達の方向に向けて発射していたのでもう、一個の剣を投げて爆発させる。

 

『危ないなぁ。大丈夫かい?二人とも』

 

「あたしは大丈夫よ。樹は?」

 

「わたしも大丈夫、けほっけほっ」

 

んー強いというよりめんどうだなあれ。

相殺しようにも近いと爆風を食らってしまうので中々めんどくさいのである。

しかもまた発射しようとしているところから、クールタイムも少なめなのだろう。

 

だけど、やられっぱなしじゃ面白くない

 

『そこかな?』

 

発射直後にハンマーを投げて爆発させて、バーテックスに自分の爆弾をもろに、直爆させる。再生こそはするものの、負傷の具合から少しの間は爆弾は出せないだろうね

 

「ナイス翔助!あたし達もいくわよ!」

 

「う、うんお姉ちゃん。」

 

なるほど先輩は大剣、樹ちゃんはワイヤーか。樹ちゃんのは応用が効きそうだな。

先輩はもし自由に剣の大きさを変えられたりするなら防御にも使えそうだな。

 

 

 

その後の戦闘ではバーテックスが思いの外再生スピードが早く、爆弾をポンポン出していたことによって劣勢になりつつあった

 

「くっ、やっぱり爆弾が厄介ね。」

 

だからといって長期戦もまずいだろう。

こちらは神樹の力によって強化されてるとはいえ、中身は人間。体力には限りがある

あちらはおそらくそんなものないだろうな

 

バーテックスが再び爆弾を連発してくる

 

「な!?まずっ、、きゃあ!」

 

「お姉ちゃん!っ!」

 

ちっ、僕の勇者としての武器は残念ながら使った後クールタイムがある。

二人共武器での防御をするが、さすがに間に合わず、いくつか爆弾の侵入を許した。

二人とは少し距離があるが無理やり足で地面を蹴りとばし、二人の間に割って入るが

爆発をもろに三人で食らってしまう。

 

 

少したって目を開くと、先輩も樹ちゃんも地面に倒れていた。

呼吸音も聞こえるし、目もあけているところから見て意識は全然あるだろうね。

 

「く、くそっまずいわね、、」

 

「けほっけほっ!」

 

傷の具合からして体を動かそうと思えば動かせるだろう。

今回の勇者には精霊バリアというものがある。バリアがなければとっくに重傷、もしくは死んでいただろう。

 

バーテックスはそんな僕達を見下ろして、

まだ元気な者を脅威に思ったのか遠くの友奈ちゃんに爆弾を飛ばす。

 

『ちっ。何発かは落としたけど、一発武器の数の関係上落とせないか、、』

 

ならばと思い移動しようとするが、バーテックスが触手を僕の体に絡め、地面へと押し付けられる。

思った以上に近づかれていたみたいだ。

 

『ああーもう。武器の復活はまだかよ』

 

投げたりなんかしなければ時間をおかなくてもいいのだが、爆弾を安全に相殺するにはそれしかなく、爆発によって投げた武器はぶっ壊れるのでその後拾って再利用、ということができないのだ。

遠距離手段の少なさが本当に辛い。

しかも使い捨てだし、、

 

 

爆弾が二人に向かって爆発するかと思ったその時、大きな声が続けて聞こえた。

 

「私はみんなが傷つくところなんて、見たくない!」

 

「誰かが傷つくなら、、」

 

「誰かが辛い思いをするなら、、」

 

「みんながそんな思いをするなら、、」

 

 

「私が守る!!」

 

赤かった髪が、桜色に変わっていく。

爆弾を避けるだけでなく、爆風を利用して前へと大きく跳ぶ。

翔助を捕らえているバーテックスに向かって大きく叫びながら拳を振りかざし、

 

 

「勇者・・パアァァンチッ!!」

 

 

バーテックスを吹っ飛ばした。

 

 

「まだ怖いっていう気持ちはあるよ、、、

だけど。」

 

「讃州中学2年、勇者部所属・結城 友奈」

 

「私は、、、」

 

 

 

 

 

 

 

「勇者になる!!」

 

 

 

その姿を見てついつい呟いてしまった。

 

『・・・今の君はまさに『勇者』だよ、、友奈ちゃん。』

 

 





相変わらず戦闘描写が苦手な僕です。
他の方の作品を読んで学ばさせていただいているのですが、実際に書くとなると、、
ってなります。


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その肆


バーテックス戦後半です。
どうぞ


 

 

 

 

 

 

「大丈夫?翔助君?」

 

『あぁ、平気だよ。にしても凄いね、あれを吹っ飛ばすなんて。』

 

おかげで助かったよ。

まぁ、一応抜けようと思えば抜けれたけど

あれはあんまりやりたくないしね。

 

「友奈さん今のパンチ凄いですね!」

 

「あの巨体を良く吹っ飛ばしたわね?」

 

少しの間地面に横になっていたおかげか、二人はもう回復していたようだね。

 

「えへへ、、って回復していってる!?」

 

確かに友奈ちゃんが凄いのは確かだが、相手は神の使いだ。どんどん再生していく。

 

「実はバーテックスはダメージを与えてもすぐに回復していってしまうの。あいつらを倒すには『封印の儀式』っていう特別な手順を踏まないと倒せないのよ、、」

 

へえーまさか神の加護があるとはいえ、ただの人間ごときに『頂点』を倒すことができるようになってるとはね。

バリアといい、強化されたな~勇者システムも。

 

「戦いながら手順を話すから頑張って避けながら良く聞いてね。」

 

忙しすぎない?避けて、聞いて、頑張って

こんなの繰り返してたらすぐに髪の毛白髪まみれになりそうだよ。

 

 

そんなこんなでバーテックスの爆弾を僕がハンマーで無理やり打ち返しつつバーテックスを四人で囲んだ。

封印の儀式の手順の1つ目は、こうして対象を囲むこと。そして次は、敵を押さえ込む為の祝詞(のりと)を唱えるらしい。

 

『んー?なになに、、長いなぁ。かくりよのおおかみ、あわれみたまい』

 

「えっと、、めぐみたまい、さきみたま、くしみたま」

 

「まもりたまい、さきはえ・・」

 

言っていいかい?・・めんどくさ!

でももうそろそろ終わる、という時に。

 

「大人しくしろやこのぉぉぉぉー!」

 

風先輩が思いっきり、大きくした大剣をバーテックスに向かって叩きつけた。

 

「「それでいいの!?」」

 

「魂をこめれば言葉は問わないのよ!」

 

いや、「大人しくしろやこのぉぉー!」は明らかに祝詞って感じじゃなくない?

それとそういうことはもっと先に言ってよ

 

 

その後バーテックスの頭部から逆三角錐の大きな『御霊』と呼ばれるものが出てきた

それはタイムミリットもあり、時間が経つにつれて神樹が枯れていき、その神樹が枯れると現実世界に悪い影響が起きていってしまうらしい。

 

ならとっとと破壊せぇや!という話なのだが、、、

 

「そぉい!って痛った~!硬すぎるよこれ~!」

 

いかんせん硬いらしい。

 

「ならばあたしが!せぇりゃー!痛った!

何よこれ?硬すぎよ!」

 

風先輩の大剣でも、友奈ちゃんの拳でも駄目なら、僕がやるか。

 

『あーじゃあ、僕がやるよ。』

 

「大丈夫ですか?翔助先輩?」

 

「めちゃ硬いわよ?これ。」

 

僕の勇者としての武器は4つある。

槍・槌・短剣×2・長剣

さて問題です。この中で一番破壊に特化している武器はどれでしょう?正解はー?

 

 

 

 

『やっぱり破壊は槌に限るな』

 

もちろん槌です。

ちなみに4つの武器にそれぞれ属性が違う能力がついている。

槍は水、短剣は風、長剣は火、槌は土。

槌(つち)だけにね!・・・すみません。

 

 

ただでさえ巨大な槌をさらに巨大にして御霊に向かって大きくふりかぶって、振り下ろした。

槌の能力は土、、つまり大地の力。

大地はどっしりとした、力の象徴だが、、

 

ドオォォン

 

轟音が鳴ったのを確認して、槌を一回よけ

て、四人で御霊を見る。すると、御霊が砂になって消えていっていた。

 

その光景を見て力が抜けたのかぐったりした友奈ちゃんをみて、少し言葉を紡ぐ。

 

『やったか?』

 

「ちょっ、翔助君、それフラグだよ!?」

 

『あはは、ごめんごめん。でもちゃんと砂になったところを見ただろ?君の考えてる通り僕達は勝ったんだよ。』

 

「もう、、でも、私達勝てたんだね!」

 

「翔助~友奈~二人ともナイスよ!」

 

『おっと危ない』

 

「ぐえっ!」

 

「お姉ちゃん!友奈さんの首絞まってるよ!?」

 

 

そんなやり取りをしていると世界が再び光に包まれた。

 

 

光が明けるとみんなで屋上にいた。

 

「みんな無事で良かった、、」

 

「東郷さんこそ無事で良かったよー」

 

美森ちゃんが僕達の安否を確認したあとほっとむねをなでおろしていた。

友奈ちゃんも美森ちゃんが問題ないことを確認して安心しているようだった。

 

そんな二人のやり取りを見ていると小学生だった時のことを思い出して、ついつい二人の頭を撫でていた。

 

「「翔助君?」」

 

『みんなのことを気遣うのもいいけど、自分のことも労りなよ?』

 

『みんな』って言うのは一人でもいなかったらそれはもう『みんな』じゃないからね

 

「あ、うん。・・ありがとう翔助君」

 

「・・わかったわ翔助君。」

 

『先輩達もですよ?いくら負い目があるとはいえ、前線ですぎです。』

 

「え、ええごめんなさいね?」

 

「す、すみません」

 

さすがに戦闘経験がほぼない子達が、前線出るのは危なすぎるからね、注意する。

 

 

その後さっきまでのことは誰も気づいていなく、さらには時間が止まっていたので、まだ時間的にはまだ授業中ということを伝えられた。

まぁ、僕は知っていたけど、はじめて知ったように驚いた演技をする。

 

「え!?それじゃあ風先輩私達ってサボりってことになるんじゃ、、」

 

「大丈夫。後で大赦にフォローをお願いしておくわ。」

 

「良かった~」

 

ちゃんとフォローが入ることがわかって、安心した様子の友奈ちゃん。

まぁ、ズル休みなんて言われたらたまったもんじゃないからね。

 

「・・お姉ちゃん、、」

 

「ええ。よく頑張ったわね樹。家に帰ったら好きなもの作ってあげるわよー!はじめての戦いを勝利で飾れたお祝いよー?」

 

「ううっ。お姉ちゃんー!!」

 

本当に仲いいなー樹ちゃんと風先輩。

クラスの友達で兄弟の子何人かいたけど、大体仲悪いみたいだったからね。

 

そんな二人のいい雰囲気をずっと静かに見ていた美森ちゃん。

たぶん、勇者のことについてわからないことだらけだから、風先輩に聞こうと思ってるんだろうね。でもなんやかんやで二人の時間を邪魔しないようにしてることから人の良さがわかるね。

そんな美森ちゃんに話しかける。

 

『聞きたいことはわかる。僕だってよくわかってないしね。でも多分明日風先輩から説明があると思うから、今はおさえてあげて、ね?』

 

「・・翔助君がそう言うなら、わかったわ」

 

美森ちゃんにそっと耳打ちすると美森ちゃんはそう言いながら静かに頷いてくれた。

・・優しい子だからこそ色々と聞いておきたいのだろう。それか、ずっと見ていただけの自分に怒りがわいているのだろう。

 

そういうところは記憶が消える前と同じなんだよなー本当に。

 

懐かしみながら姉妹のやり取りを優しく見守っていると最後に風先輩から。

 

「明日勇者部の部室に来てくれない?話したいことがあるの。」

 

と言われたので、今後の勇者部のことなど本当に全部話すことを決めたようだ。

風先輩のことだ責任を感じてるんだろう。

 

 

明日は、ほんの少しだけ荒れるような気がした。

 

 

 

 





ちゃんとオリ主の勇者としての力にはとあるカードゲームの元ネタがあります。

「ん?」ってなってくれる人がいてくれたら嬉しいです。


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その伍


思いついたので書きます。
どうぞ


 

 

次の日----

 

朝起きて、いつも通り顔を洗って朝ご飯を作って、コーヒーを飲みながらテレビをつけて、新倉さんが起きるのを待つ。

最初の頃は新倉さんに作ってもらっていたのだけど、やっぱりお世話してもらっているということで家事ぐらいはやらせてほしいと伝えたところ、渋々了承してくれた。

 

ピッ

 

《昨夜、突然土砂崩れが起きたことによって、一名の死者。三名の重傷者がでました

理由は・・》

 

・・やっぱり昨日少し神樹が枯れていたから、現実世界へ影響を浸したか、、

 

昨日風先輩がいっていた通り、神樹へのダメージなどは全て現実世界に影響をもとらす。主に死者や負傷者が出たりするのが大体だけどね。

なので、僕達勇者はその被害をなるべく最小限にするために神樹様の力によって作られた戦場フィールドでバーテックスと対峙しているというわけである。

 

選ばれし者と言えばよく聞こえるが、悪く言うと戦争に行く兵士と同じようなものだ

・・加護があるため、ちょっと素人でも戦いやすくなっているだけである。

 

さらに印象を悪くするならば過去に園子ちゃん達がやった『満開』というシステムである。

体の機関、機能を一部神に捧げることによって、一時的に勇者としての力をブーストさせて、仮にブーストが終わったとしても勇者としての力も上がるため満開をするたびに強くなるというものなのだが、、

 

『悪くいうと、『生け贄』いや、『人柱』と言ったほうがいいかな?神に捧げているわけだし。』

 

罰当たりそうな事を言うが、本当に悪く言うとこうなるんだよなぁー

 

勇者システムについてはまだある。

 

『精霊』というものだ。

精霊とは簡単に言うと勇者のサポートをするお手伝いさんのようなものだ。

例を言うと、武器の威力をあげたり、自分の分身を作ったりなど精霊によってできることには違いがある。

『精霊』のモチーフには妖怪だったりなど架空の生物がモチーフにされたのが多い。

 

そして、精霊の数は勇者の強さに比例する

 

主に精霊は、満開をするに応じて増えるのが一般的だ。

最初に一匹いるので、一回満開したら二匹

と満開数+1はい、これが精霊の数をもとめるときの簡単な方程式である。

 

僕が駆けつけた時の園子ちゃん達の満開数は確か六、七回だったはず。

ということは7、8匹いるということか。

勇者としての力も標準の勇者よりも高いということなので、今の勇者部だと太刀打ちできないだろう。

 

え?「お前なら満開の代償を【なかったこと】にすればいいだろ」って?

 

残念だけど『大嘘憑き』は万能じゃない。

『大嘘憑き』がなかったことにできるのは

現実(リアル)だけだ。

例をあげるなら、合成写真とかだ。

ただの写真なら可能だが、人が現実の写真に手を加えたものなどは現実のものじゃないので、不可能だ。

精霊などといった現実の生物じゃないものも当然アウトである。

・・まぁ、その代わり現実のものだったら何だってできるんだけどね。

【僕以外の生命体をなかったこと】にすれば僕以外は誰一人いなくなるし、地球、あるいは世界すらも【なかったこと】にできるので十分ヤバい。

 

 

え?なら、なおさらお前は何回満開したのかって?

・・そうだね、僕は、、、

 

「おはよう翔助君」

 

おや、新倉さんが起きてきたようだ、、

この話しはまた今度にしよう。

 

その後新倉さんと世間話をしながら身支度を済ませて家を出た。

 

 

 

 

学校----

 

『おはようみんな』

 

「あ、おはよう翔助君!ねぇねぇ、翔助君は今朝のニュース見た?怖いよねぇー」

 

「他人事じゃないよ?私達もいつそんなトラブルに会うかわからないんだからさー」

 

教室の扉を開けてクラスの子達に挨拶をすると、二人の女の子が挨拶と同時に今朝のニュースの話題を振ってくる。

 

なんか気まずいね、「僕達が神樹様を守りきれなくて被害がでました。」なんて言っても信じてくれるわけないと思うけど、とても言えないな。

 

『そうだね、日頃から注意しておくことは大事だよ。崩れそうな場所には近づかないとかでも注意しておいたほうがいいね。』

 

「ハザードマップとか?」

 

「そこまでしなくても、危なそうだなって思ったらいかなきゃいいだけだよ。ね?」

 

『そうだね、手間かかっちゃうからねー。まぁでも書き記すのも悪くないけどね。』

 

「なるほどー」

 

『じゃあ、またね。』

 

「「バイバイ~」」

 

至極真っ当な返えしをすると本人達も理解してくれたのか、返してくる。

・・この子達もしっかりしてるな。

おかしいな?クラスの男の子ぐらいが年相応の感じだと思うんだけど?

 

『おはよう。みんな―』

 

「おぉい!翔助!てめぇ、何スタイル良いランキング3と4位の子達と話してるんだよー!?」

 

・・ごめん、前言撤回するね。

この子達本当に中学生かい?話しの内容が完全にエロ高校生なんだが?

 

 

 

助けてくれる人はいないか、周りを見渡すと考えに浸っている美森ちゃんがいた。

事故のことについて考えているんだろうな

 

「「「答えろぉぉぉー!」」」

 

 

 

 

その後は男子の子達に尋問されたが、うまくのらりくらりとかわしたので問題なし。

 

 

 

 

 

放課後----

 

風先輩は黒板に絵を描いて指を指して、話し初めた。どうやら神樹様の神託で全部で12体のバーテックスが攻めてくるのがわかったらしい。

・・それバーテックスだったんだね。

 

「あ、それ昨日の敵だったの、、」

 

「奇抜なデザインを表したいい絵だよね」

 

「お、おっほん。は、話しを続けるわね」

 

気をとりなおして話し続ける風先輩の内容を聞くと、バーテックスの目的は人類の滅亡らしい。、、でしょうね。じゃなけりゃわざわざ来る意味がないしね。

 

他にも勇者システムの概要だったり、精霊バリアや封印の儀式等は最近追加された物ということ話して、最後に棒のような人を指差して締めた。

・・人、だよな?

 

「・・その絵、私達だったんだ?」

 

「げ、現代アートってやつだよ、、多分」

 

「えぇい!やかましいわ!」

 

あららついにキレちゃったよ風先輩。

絵はまぁ、、仕方ないよね、うん。

 

ちらっと美森ちゃんを見ると良く考えているようで、若干険しい顔をしている。

 

・・さて、一波乱の予感だ。

 

「それじゃあ、、その勇者部のメンバーも先輩が意図的に集めたもの、、ということなんですよね?」

 

「・・そうだよ。適正値の高い低いはわかってたからね。あたしは神樹様を祀る大赦からこの地域担当の指令を受けていたからね。」

 

「それなら樹ちゃんは、、?」

 

「私は昔お姉ちゃんが大赦の人に勇者候補になるように言われていたのを見たんですけど、、実際に話しを聞いたのは去年の6月半ばです。」

 

んー美森ちゃんのあの表情は怒りよりも悲しみの割合が大きそうかな。

おそらく今までの勇者部の活動が全部嘘に見えて悲しんでるのだろう。

 

「どうしてもっと、、早く勇者部の意味を、教えてくれなかったんですか、、?」

 

「・・ごめんね。どのグループが選ばれるかはまだわかってなくて、確かに私達のグループが選ばれる可能性が一番高かったんだけど、、選ばれない可能性もあったから言えなかったの。」

 

確かに他のグループが選ばれるかもしれないから言えなかったのもあるんだろうけど一番はたぶん変に心配掛けたくなかったからなんだろうね、風先輩のことだから。

 

「なんでこんなに大事なことを黙ってたんですか?・・友奈ちゃんも翔助君も・・皆も死ぬかもしれなかったんですよ!」

 

最初は美森ちゃんの言葉に冷静さが見られたが、だんだん言葉に怒りがこもっていっていた。

正直どっちの理屈もわかるから何とも言いづらいんだよね。

 

「私達が・・話しを聞いても信じないと思ったんでしょう?」

 

「・・東郷」

 

「・・東郷先輩」

 

「っ!・・失礼します。」

 

「あっ!待って、東郷さん!」

 

最後に自分達が信用されてないのを悲しそうに呟いて逃げるように部室を出て行ってしまった。友奈ちゃんはそんな美森ちゃんを追いかけて行って部室には静かな沈黙が広がる。

風先輩は顔を俯かせ、樹ちゃんはそんな先輩のこと心配そうにチラチラ見ていた。

・・がっつり言われたな、風先輩。

 

「・・翔助はさ、何にも言わないの?」

 

『え?何をですか?』

 

黙っていたことだったらとっくにわかってたけどね。先代勇者の一人だし。

 

「あたしはみんなの信頼を裏切るようなことをしたのよ。だから文句の一つや二つ、言われたってしょうがないのよ。」

 

「お姉ちゃん、、」

 

・・なるほど、思ってた以上に美森ちゃんの言葉が効いたようだね。

 

仕方ない。僕の気持ちを伝えるか。

 

『なんだ、そんなことですか。』

 

「そんなこと、、?何がそんなことって言うの!?」

 

「お姉ちゃん!」

 

『先輩は人の信頼を裏切るような人じゃないですよ。ただ心配性なだけです。』

 

「心配、、性?」

 

『ええ。』

 

ええ。本当に心配性だよこの先輩は。

 

『僕達に本当の事を伝えなかったのは余計な不安を感じさせたくなかったから。、、違いますか?』

 

「いや、違わないけど、、」

 

『ほら、先輩は心配しすぎなんですよ。僕達のことをみくびりすぎなんです。』

 

多分美森ちゃんも受けとめられるだろうし友奈ちゃんは、、言わなくても分かるだろ

 

『僕達はあなたが考えているよりもずっと強いですよ。だって、、』

 

『勇者部の部員なんですから。』

 

そう僕が言うと俯かせていた顔をあげて、僕を見ていた。

 

『まぁ、僕は部員じゃないですけれどね』

 

そんな風先輩に向けて笑いかけながら言葉を紡ぐ。

 

「・・これじゃあ、どっちが部長の威厳もないわね。」

 

『あはは。あんまりうじうじしてると、部長の座いただきますよ~?』

 

「まず、入部してから言いなさい!」

 

よし、やっと戻ったかー

 

「・・ごめんね、本当に。」

 

『ハァー。その言葉は美森ちゃんに言ってあげてくださいよ?』

 

「いやいや、そっちもあるけどさ。励ましてくれてありがとうっていう、、」

 

あ、そっちなんだね。

 

『そういう時はですね、先輩。『ごめん』よりも『ありがとう』って言われたほうがうれしいですよ、僕は。』

 

「そ、そう。・・ありがとうね翔助。」

 

『いえいえ。美森ちゃんへの謝罪、頑張ってくださいよー?』

 

「うぐっ。が、がんばります。」

 

まぁ、この調子ならいけるだろう。

美森ちゃんの方には友奈ちゃんが行ってるから心配いらないだろうしね。

 

『ちゃんと何かあったら人に相談する癖つけたほうがいいですよ?ねえ?樹ちゃん』

 

「本当ですよ、、」

 

「ちょっ。二人ともひどくない?」

 

『勇者部のみんなでも駄目ならせめて家族の樹ちゃん位には相談しないと駄目ですよ?』

 

「本当、翔助先輩の言うとおりだよ?お姉ちゃん?」

 

「はい。すみません、、、」

 

そんなこんなで三人でわいわいやっていると、、時間が止まった。

 

「なっ!こんな時に樹海化警報!?」

 

『まさか二日連続とは、、ついてないね』

 

 

そう僕がため息混じりに呟くと同時に世界はまた光に包まれた。

 

 

 




深夜遅くに書きました。
まさに、@深夜ですね。(?)

どうですかね。
どんな感じか、感想などいただけると分かりやすくてありがたいです。


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その陸

再び戦闘回です。
どうぞ。


 

 

 

光が晴れるとなぜか周りにみんなはいなくて、一人だけ離れてテレポートしたらしい

位置情報を見るに、そう判断した僕はとりあえずバーテックスのもとに向かう。

 

『今回のバーテックスは・・また、君たち三体か。』

 

目視で確認できるところまでくると、相手のバーテックスの見た目と数をみて昔を思いだす。

 

あの時あそこに僕がいなかったら、夢の通りになって、銀ちゃんはきっともうこの世にはいなかっただろうね。あの子平気で無茶をするお人好しだからね。

 

そう懐かしく思っているとバーテックス達が僕に向かって行進してくる。

あれ?神樹様は僕がいる方向じゃないぜ?

 

・・バーテックスって恨みとか持つのかな

そう思えるぐらいに神樹様ガン無視でこちらに向かって矢を放ってくる。

 

『一回戦ったことあるんだからさ、そう簡単にあたると思うなよ~?』

 

無駄なエネルギーを使わないように、少しだけ体をずらして回避する。

次に一匹の頑丈な板で逃げ道をつぶしつつ

もう一回、今度は槍のような大きく、早い矢を飛ばしてきて、最後の一匹が鋭い針をぶつけてくるが、全てかわす。

相変わらず、すごい連携だな。

いや、僕という憎悪の対象がいるからかな

なぜかあの時よりも連携力が上がっているし、一発の攻撃がかなり殺意をもっているような気がする。

今回は精霊バリアがあるとはいえ、一発でも食らって地面に膝でもついたら、確実にボコボコにされるであろうな。

 

昔のバーテックス戦少しやり過ぎたかなぁと思いつつ、後ろに後退して、三匹が神樹に近寄らないよう距離をとらせる。

 

一回背を向けて走って逃げてみたのだが、後ろから三匹が全力で追いかけてきた時はさすがに少し怖かった。

もしバーテックス達がしゃべるんだったら

「逃がさんぞぉぉぉー!!」って感じだ。

 

とりあえず避けてばっかりだと勝てないので、短剣を二本だして風を纏う。

体が少し軽くなったので、三匹の攻撃後の隙を狙って体を捻り、素早く回転しながら

蠍座を切り刻む。

技名をつけるなら『風車』かな。

最後にネジを投げて再生力を【なかったことにする】。

 

本当なら三匹全員そのものをなかったことにしてやりたいけど、それは大嘘憑きじゃできないので、せめて再生力ぐらいは奪ってやんよー?

 

『ヘイヘイ~。そんなもんかー?これじゃあ『頂点』じゃなくて、『底辺』だな?』

 

一応僕をもっと狙ってくるよう挑発を入れておく。バーテックスに挑発が効くのか、わからないけど、、。

 

 

そんなこんなで援軍を待っているとついに仲間が到着したようだ。

 

 

「ごめん翔助!どんな感じ?今。」

 

『青いやつが二種類の矢を。赤いやつが頑丈な板を。最後に黄色いやったは鋭い針を使ってきますね。プラスするなら連携力が高いですね。』

 

「連携、、ですか?」

 

『そう。例をあげるなら赤の板で青の矢の軌道をずらして、当たったりして動きが鈍くなったところを黄の針が飛んできたりしました。』

 

「ええ!?バーテックスってそんなにちゃんと連携とれるの!?」

 

・・言えない。三匹の恨みを僕が買ってるからなんて言えない。

 

「とりあえず分担しましょう。私達が蟹座をやるから、友奈は蠍座。翔助が射手座ね

OK?」

 

「「「了解!」」」

 

分担して戦うのは良いことだけど、、こう言っちゃなんだが、訓練もろくにしてないのに三人は大丈夫なのだろうか?

一度戦った身としては、一匹一匹が十分な力をもっていることを良く知っているので

どうしても不安が残るんだよなぁ。

どうしても気になり、みんなの方に目をやるとやはり予想通りバーテックス達にみな翻弄されていた。

 

風先輩じゃあ、力と防御力はあるが、いかんせん速度がたりない。

逆に樹ちゃんは汎用性には長けるが、力がいかんせんたりない。どちらかというとサポート向けだしな、あのワイヤーは。

 

友奈ちゃんは、パワーにスピードどちらもあるが、それは相手も同じであり、加えて蠍座は装甲もまぁまぁ硬いので、てこずっている様子だ。

 

「きゃあ!」

 

そうこうしていると射手座が友奈ちゃんへと構えていたので見てみると、友奈ちゃんが蠍座に吹き飛ばされていた。

マジか、少しの隙すらも目ざとくみつけるとは、こいつ本当にスナイパーだな。

 

『友奈ちゃん!伏せて!』

 

そう叫びながら軽くなった体で素早く駆けつけて、武器を短剣から槌に変える。

そして地面を大きく踏みぬいて大きな岩を出現させ、上からの矢は槌を盾にして防ぐ

 

『重いかもしれないけど、耐えてね?』

 

そう友奈ちゃんに話すと同時に岩が壊されるのと同時に蠍座の攻撃がとんできた。

 

『仕方ない、槌を捨てるか、、』

 

その攻撃を槌を投げることで無力化するがすでに二回目の矢がとんできていた。

 

『っち。仕方ない。』

 

「・・あっ。」

 

武器で一部は弾いたりできるが、全部はさすがに不可能なため、友奈ちゃんを地面に横たわらせて、短剣を防御の形に構え、友奈ちゃんの前に立ち大量の矢に備える。

 

数秒後たくさんの衝撃と共に吹っ飛ばされそうになるが耐える。

しかしその隙を蠍座が見逃してくれるわけがなく・・強く叩きつけられた。

 

『っ!くそ、、危ないなぁ、、』

 

吹っ飛ばし+意識をもっていかれるところだったが耐えれた。

しかし、短剣はなぎはらわれ、槍や長剣もすでに最初の時間稼ぎの時に吹き飛ばされたため、今すぐ使える武器はない。

 

 

そこに無慈悲にも矢がとんでくる。

 

『ハァー。容赦ないな~』

 

ため息をつきながらそう愚痴をこぼしながら友奈ちゃんに覆い被さる。

 

また、たくさんの衝撃がおそってくるが今回は先ほどとは違い、防御手段がないため先ほどより威力が高く感じる。

 

「翔助君やめて!」

 

友奈ちゃんがやめるよう言ってくるがやめない。僕だからこそ、こう慣れて冷静に物事を考えられる位に余裕があるが、友奈ちゃんのような常人だと耐えきれるかどうかわからないからだ。

 

次に蠍座の攻撃がとんでくる。

・・やっぱりもろに食らうときついな。

耐えようとこらえこそしたが、あえなく吹っ飛ばされる。

 

 

どうやら友奈ちゃんの方ではなく純粋な恨みがある僕の方を先に始末したくてたまらないらしい。

 

 

こちらに向かってゆっくりと蠍座が近づいてくて、遠くを見ると射手座もこちらに矢を構えていた。

 

助太刀は期待できないだろう。

風先輩と樹ちゃんは板に苦戦中だ、友奈ちゃんも吹っ飛ばされた時に足でも負傷したのだろう。少し目を潤わせてこちらを見ていた。

 

 

 

 

 

蠍座に踏まれ鋭い針を突きつけられて、

もはやこれまでかというところである少女の叫びが聞こえた。

 

 

 

「友奈ちゃんを、、翔助君を、、みんなを、、もう、いじめないでぇぇぇ!」

 

ふと声がする方向に目をやると眩しい光に包まれている美森ちゃんが見えた。

 

数秒後光が晴れた時にいた美森ちゃんは覚悟を決めた顔をしていた。

 

 

発砲音が聞こえたのちに、蠍座の針が根元から吹っ飛ばされていた。

 

次に拳銃を消して散弾銃を取り出して、蠍座に何回も当てて仰け反らせていた。

おかげで蠍座の力が弱まっていたので、今のうちに抜け出す。

 

「東郷さん・・凄い・・」

 

・・本当に凄いよ、さすがだ。

でも男として、

 

これは負けてられないよなぁ?

『大嘘憑き』で僕の傷を【なかったこと】

にして、戦闘態勢を整える。

 

『ありがとう。助かったよ美森ちゃん』

 

「無事でよかったわ翔助君。私も戦うわ」

 

『ん?なんでそれを僕に言うんだい?』

 

「え?い、いや何か言わないといけないような気がして、、」

 

まぁ、何だっていいや。

・・何か美森ちゃんが戦ってくれることがうれしいような、悲しいような。

結局この子もお役目縛られるんだな、、

 

『そっか、じゃあよろしくね美森ちゃん』

 

「・・えぇ!任せて!」

 

 

 

さて、反撃の時間だ。




はい。蟹座、射手座、蠍座との再戦です。

ちなみに翔助君の痛みや、精神攻撃への耐性はチート級です。

正直この主人公の一番のチート要素です。

まぁ、あくまで慣れてるってだけなので、運動能力などは勇者になっていなければ、小4の女の子に負けるレベルです。


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その漆

思いついたら即投稿。どうも深夜です。
というわけでどうぞ。




さてさて、あの後美森ちゃんが加わったことによって、状況は中々優勢に傾いた。

 

「先輩!下がってください!」

 

「おっと!ナイス東郷!」

 

二人もいい感じになってるし、いい流れだね。さっきまでの状況とは大違いだ。

 

「翔助君!」

 

『大丈夫だよー』

 

蠍座の攻撃を軽くかわしつつ、長剣で切りながら進む。

他にもバーテックスの矢が飛んできたりしたが、全部避けてしまえば関係ないよな?

 

「えぐっ、、なんつう動きしてんのよ」

 

何言ってるんだよ?ただほとんど動かないで大量の矢を避けてるだけじゃないか。

 

その後みんなで蠍座、蟹座、射手座それぞれ儀式を行って無事終わることができた。

それと今回の戦いでわかったのが、御霊はそれぞれ能力がちがうということだ。

 

分裂や、俊敏なやつだったりなど、それぞれちがうということがわかった。

前回はただ単純に固かっただけでそう考えると前回は楽だったのかもしれないね。

 

戦闘終了後----

 

「あ、あの、、ごめんね。東郷ずっと黙ってたりして。」

 

「いえ、いいんです。私も言い過ぎましたし、、それに内容が内容ですし。それに私も覚悟を決めましたから。」

 

 

「私も勇者としてがんばります。」

 

「・・そっか。よし、一緒に国防に励みましょう!」

 

「国防・・はい!」

 

はい、仲直りっと。

やっぱりなんやかんやで仲直りできたね

二人ともすれ違ってただけで、ちゃんと話し合えば理解し合えると思ったんだよ。

 

というか、美森ちゃん。『国防』って聞いたとたんにいい笑顔になったねー

そういえば昔『国防仮面』ってやつやってたっけ銀ちゃん、須美ちゃん、園子ちゃんの三人で。

僕?少し離れたところで苦笑しながら見てたよ?今更ヒーローごっこはちょっとね

 

「そういえば、友奈ちゃん。課題は?」

 

「え?あっ!課題のことすっかり忘れてたよ、、勇者アプリのことで頭がいっぱいだったよー」

 

「うふふ。そのことでは私も手伝ったりしないから、頑張ってね?」

 

まぁ、勇者の活動もあったからね。

僕はもうやっておいたけど

 

「そ、そんな~!翔助君~?」

 

『あはは。僕頭悪いけど、それでいいなら手伝うよ?』

 

「翔助君、あまり友奈ちゃんを甘やかさないでよ?それにテストで毎回満点ばっかとってるのに何言ってるのかしら?」

 

うん、お母さんかな?

完全に言動が厳しい母なんだけど。

んーでも友奈ちゃんが可哀想だし、、なら

 

『あらら、バレちゃった。まぁ今回だけはいいんじゃないかい?この頃勇者としての活動で忙しかったし、、ね?』

 

「翔助君、、!」

 

「もう。あなたは甘いんだから、、」

 

「「夫婦か(ですか)」」

 

実にあったかいやり取りだ。

僕達は勇者といういつ亡くなっても不思議じゃないような役目があるんだ。

一つ一つのやり取りを大切にしていきたいなとしみじみ思ったのだった。

 

 

 

 

 

二度目の戦いから1ヶ月ぐらい経った。

1ヶ月間の日々は平和だった。

しいていうなら少し緊張感ができた位だ

迷子の猫を探したりしていつも通りだった

 

あ、そうそう。僕、勇者部に入りました。

 

なんか先輩が言うには、

 

「あんたも一緒に勇者として戦ってるんだから勇者部に入りなさい?」

 

ということらしい。

しかしまぁ、女の子だらけの部活に入るのは抵抗があったのだが、友達に同じような子がいたのを思いだしたので何とか励みにして入ることができた。

 

まあ、あの子は「ハーレムだー!!」って狂喜乱舞してたけどね。

 

 

 

そして遂に三度目の樹海化が訪れた。

 

「結構久しぶりだけど、皆大丈夫よね?」

 

「だ、大丈夫ですよ!」

 

「が、頑張るよ!」

 

「私はテキストを見ていたので。」

 

『上に同じくです。』

 

勇者の強化ってすごいね。少し離れていてなおかつ移動中でも会話ができるなんて。

 

「よーし。それじゃあ気合い入れていくわよー?勇者部5ヶ条1つ、『成せば大抵なんとかなる!』勇者部ファイトー!!」

 

「「「オー!」」」

 

『あはは。気合い十分だね、皆。』

 

勇者部のボルテージはマックスみたいだ

頼もしいねー皆。

 

 

 

バーテックスのもとにたどり着いた。

どうやら今回は山羊座らしく、風先輩がバーテックスの説明をしようとした時、、

 

 

敵の上空から短刀が降り注いで爆発した。

 

 

「・・え?東郷さん?・・」

 

「いえ、わたしじゃないわ、、」

 

「なら翔助先輩が?」

 

『僕の能力に爆発させるものはないよ。皆、上を見ればわかるよ誰がやったか』

 

僕の言葉に皆が上を見ると、敵に向かって落下する赤い勇者の衣装を着た茶髪のツインテールの子に気づいたらしい。

 

んー赤か、銀ちゃんを思いだすね。

 

そのあとも封印の儀式を一人で行ったり、山洋座の御霊が煙を出して勇者部の視覚を奪っている中。その少女は、

 

「そんなもの・・気配で見えてんのよ!」

 

と言い軽く一閃して、足りなかった火力を着地後になげた短刀が見事切れこみに入り爆発と共に砂になっていた。

 

「・・うし!殲・・滅!」

 

「諸行無常」

 

少女の声と共にもう一つ聞こえたが、おそらく隣にいた戦国武将のような鎧を着た精霊の声だろう。

まさか一人でバーテックスを殲滅するとはね、、恐れいったよ。

 

 

勇者部の三人はどうやらあまりの早業によって声もでない様子だ。

美森ちゃんは至って冷静だったね。

 

そんな僕達に向かってその少女は近づいてきたかと思うと、僕達の顔を見てため息をつきはじめた。

 

「えーっと?・・誰?」

 

「・・はぁ。揃いも揃ってボーっとした顔してんのねあんた達。」

 

「えっ」

 

「こんな連中が神樹様に選ばれた勇者なんですって?・・本当なの?」

 

何かいきなり罵倒されたんだけど、友奈ちゃんの問いかけもさらっと無視してるあたりすごい子だね。

 

『本当だよごめんね?とりあえず君は?』

 

こういう子は大体プライドが高いので、下手に刺激しないほうがいいのでとりあえず下手にでて自己紹介を促す。

 

「・・ふん。私は私は三好 夏凜。大赦から派遣された、正真正銘の正式な勇者よ」

 

ほう。さらっとしてくれるってことは、根はいい子なんだろうね。

 

「つまり、あんた達は用済みってわけ。はい、お疲れ様ー」

 

「そんな勝手に何言って、、!」

 

『はいストップー』

 

ボロクソ言われた挙げ句いきなりいらない子宣言されたので、風先輩が激昂しそうなので止める。

そんな、「なんで止めるの!!」みたいな表情をされてもね。

ここでキレても余計場が混乱するだけだ

僕が場をおさめますと風先輩に言って夏凜ちゃんに話しかける。

・・まぁ、一つ不安要素があるのだが。

 

『なるほどね。そちらの言い分はよくわかったよ。でもやっぱり一人より複数のほうが、数の利はあると思うよ?』

 

「数の利ね、、無駄に周りにいても目障りで気が散るだけだと思うけど?」

 

言うねー。というか、いくら夏凜ちゃんが優秀だとしても、大赦が他の勇者をやめさせたりはしないと思うんだけど、、

 

「というか、あんたなのね初めての男の勇者ってのは。」

 

ん?まぁ、そうだけど、、

いきなりどうしたんだこの子?

 

『うん。そうらしいね?・・それがどうかしたのかい?』

 

「いや?男のくせにひ弱そうな見た目してると思っただけよ。」

 

あらら、言われちゃったよ。

まぁ、というか男のくせして『ひ弱そう』じゃなくて『ひ弱』なんだけどね。

 

モゾモゾ

 

・・やっぱり毒舌に反応しちゃったか。

 

モゾモゾ

 

落ちついて、ね?・・え?嫌だ?

 

モゾモゾ

 

・・あんまり迷惑かけないでよ、、?

・・何か言ってよ、、

 

ドォン バサァ シュッ

 

《しゅじんをばかにするなー》ポカポカ

 

《しゅじんはやさしいんだぞー》ポカポカ

 

《このやろー!》ポカポカ

 

《・・・・》ポカポカ

 

「あいたた!な、何よこの精霊!」

 

『・・ごめんね。いい子達なんだけど。』

 

この子達は僕の精霊である。

上からしゃべってる順に、

 

『疾風』『陽炎』『五月雨』『轟山』

 

本来精霊は妖怪とかがモチーフなんだけどなぜかぼくのは違うんだよなー。

・・ちなみに他にも精霊はいるが、この子達が異質で、他の子は普通だ。

 

『はい、戻ってねー。』

 

《え、ちょっと》

 

《まって》

 

《くださいよー》

 

・・はい、よしok。轟山は物静かだから肩に乗ってていいよ。

 

『まあ、とりあえず。しばらく勇者部のみんなとバーテックスの討伐を行ってみてから決めるのも悪くないんじゃないかな?』

 

「・・わかったわよ。精々がっかりさせるんじゃないわよ!」

 

そんな事を言いながら去っていった。

あれ?心無しか逃げるように走っていたように見えたんだけど、気のせいかな?

 

《・・しゅじん、まちがってない》

 

『うん、さらっと心を読まないでくれ。でも何で逃げるように走ったのかな?』

 

《・・じぶんのせいれいより、しゅじんのせいれいであるぼくたちのほうが、かしこかったから》

 

なるほどプライド折られたから逃げたのか

 

「翔助君の精霊、、可愛い!」

 

「た、確かに、、」

 

・・・え?今言う?それ。

その後みんなで轟山を撫でまわしていた。

少し鬱陶しそうにしていたけど、後で一緒に寝てあげるからと言うと顔を綻ばせていた。轟山は甘えたがりだからね。

 

 

 

余談だが、次の日夏凜ちゃんが転校してきて、放課後、勇者部の監視をすると言ってきた。

 

 

 

また、忙しくなりそうだ。

 




はい。
バーテックス戦後半+三好夏凜ちゃんの登場+主人公の精霊の登場です。
まだ他にもいますが、一番キャラ濃いのは今回の四人です。
代償についてはいずれ触れます。


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その捌


はい。思いついたので、書きます。



 

 

次の日の放課後---

 

『じゃあ、昨日聞けなかったことを教えてくれないかな?』

 

とりあえずまだわからないことがまだあるので、説明を夏凜ちゃんに求める。

その後色々と教えてもらった後、夏凜ちゃんがこほんと一つ咳をして、話す。

 

「まあ、とりあえず私が来たからには完全勝利は確実よ。大船に乗った気持ちでいなさい?」

 

「なぜこのタイミングなんですか?なんなら最初から居てくれても良かったのでは?」

 

「私だって最初から出撃したかったわよ、

でも大赦は二重三重に万全をきしているのよ。『最強の勇者』を完成させるためにね」

 

『『最強の勇者』か、、それに念には念をってことか、なるほどね。』

 

「そう。ちなみに私の勇者システムは先代勇者と、あんたたち近代の勇者のデータを参考にして改良されているから、端末自体も最新なのよ。」

 

・・何かお金持ちの子に自慢されているような気分を少し感じるなー。

 

そんなことを思いながら聞いていると、夏凜ちゃんがほうきの柄を掴み、軽くふるって、、あ、ほうきの角を黒板にぶつけた

 

「私達はあんた達トーシロと違って、私は勇者となるための訓練を受けているわ!」

 

『キメているところ悪いけど、ほうきの角を黒板にぶつけてたよね?』

 

「・・う、うるさいわよ!」

 

《・・しっぱいしたー》

 

「そこの精霊!やかましいわよ!」

 

おー。いいツッコミだ。

というか、いつの間にいたんだ?轟山。

 

『まぁ、とりあえず三好さんはどうするんだい?』

 

「私は勿論この・・勇者部?に来るわ。それが私の勤めなんですもの。」

 

「そうなんだ!じゃあ、これから部活も勇者も頑張ろうね!夏凜ちゃん!」

 

「いきなり下の名前!?・・というか私は部活動に入るなんて、一回も言ってないわよ!?」

 

「・・え?違うの?」

 

何か噛み合ってないね。

おそらく捉え方に違いがあるんだろうね

 

「だから私はあんた達がしっかり勇者としてのお勤めを果たすかどうかの監視の為に来たんだからね!?」

 

『・・いや、それなら勇者部に入ったほうが間近で監視できるから、より上層部にも具体的に報告しやすいと思うけどね?』

 

「そうだよ~夏凜ちゃん?」

 

「た、確かにそうだけど、、」

 

『もし入るんだったら僕達は大歓迎だぜ?

・・ですよね、風先輩?』

 

「え、えぇ。入るって言うんだったら」

 

あまり歓迎はしてないみたいだね風先輩

まぁ、それは仕方ないかな。拒否はしてないあたりはありがたいけどね。

 

その後夏凜ちゃんの精霊の『義輝』が友奈ちゃんの『牛鬼』に齧られていた。

その際に『外道め!』としゃべっていたのでうちの子達を思い浮かべていると、ポケットから出てきた。

 

《よんだー?》

 

《しゅじん。めいれいを!》

 

《かならずや、やりとげてみせます!》

 

《・・ごめいれいを。》

 

いや、呼んでないし、命令もないよ。

というか何で三人とも轟山と同じ軍服を着てるんだい?・・ほら、美森ちゃんが目を輝かせてるよ。

 

ちなみにいつもの服装は。

疾風が夏のセーラー服。

陽炎が赤色のドレス。

五月雨が和服に、昔の紙の傘を広げてる。

 

まぁ、服装は自由に変えられるようなので

よくコロコロ変わっているのを見る。

 

「そう言えばこの子もしゃべるんだよね」

 

「そうよ。私に相応しい強力な精霊よ!」

 

「でも、東郷さんは三匹。翔助君は四匹いるよ?」

 

「えっ」

 

「しかも、翔助君の精霊さんは全員しゃべるし、、」

 

ストップだよ、友奈ちゃん。さすがにそれ以上は彼女のプライド的に可哀想だ。

チラッっと四匹を見ると、なんやかんやで

義輝君を救出してるあたり精霊同士の仲は悪くないみたいだね。

夏凜ちゃんも最初は落ち込んでいたけど、義輝君の楽しそうな姿を見て少しうれしそうだったしね。

 

まぁ、その後樹ちゃんに勝手に占われて、勝手に死神をだされて、勝手に心配されて夏凜ちゃんの突っこみの嵐だったけど改めてこほんと咳を一つした。

 

「こ、こほん。とりあえず今度からは私も戦うから足引っ張らないでよね。」

 

『あぁ、もちろんさ。でも心配はいらないと思うよ?勇者部のみんなはすでに覚悟を決めているからね。でも君の力、頼りにさせてもらおうかな?』

 

「ふふん。任せなさい!」

 

 

 

 

その後はいつも通りのお店うどんを食べに行こうとしたのだが、夏凜ちゃんにはトレーニングがあるから無理と断られちゃったので仕方なく勇者部のメンバーで来た。

 

「中々張り合いがありそうなタイプが来たわね、、ふふふ。」

 

「お姉ちゃん、顔、顔。」

 

何を企んでいるのか知らないが、風先輩が怖い顔をしていたのを樹ちゃんに指摘されていた。・・何する気だろうか?

 

まぁ、今回はトレーニングだからと断られたんだけど、せっかくの新勇者だ。友好をしっかり深めたいということで、すでに手は打っておいた。

 

 

『ねえ夏凜ちゃん。今回行けないって言うなら次の休日にでもいいからどこか行かないかい?』

 

「何で?何かする気?」

 

『いやいや、せっかく共に戦うわけだしさ

親睦を深めたいと思ってね。嫌かな?』

 

「・・別に嫌じゃないけどさ」

 

『なら明後日にでも行こうか、いいお店を知ってるんだよ。きっと夏凜ちゃんもお気に召すと思うぜ?』

 

「へぇ。じゃあ、行ってあげようじゃないの。この完成型勇者の舌を満足させてくれるって言うなら、仕方ないわね。」

 

『おけ。じゃあ、ついでに連絡先も交換しないかい?そのほうが色々と都合がいいしね。』

 

「わかったわ」

 

 

というようなことをすでに行ってきたので

すでに夏凜ちゃんの連絡先も所有済みだ

まぁ、これといってなにかするわけではないけど、何もしないってのはつまらないだろうからね。

 

お堅いのが悪いとは言わないが、少しぐらいは羽を伸ばしたほうが逆にトレーニングとかにも成果がでるだろうからね。

適度な休憩も大事なんだぜ?

 

 

せめて僕との外出で羽を伸ばしてくれるように、がんばろうかね。

そう考えながら、勇者部の子達の会話を横目で見つつ、うどんを啜った。

 

 





はい、夜遅くに投稿です。

そしておやすみなさい。


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その玖

はい。今回は主に夏凜ちゃんとの絡み回となっております。
どうぞ。


 

 

約束の日---

 

「わ、悪いわね。少し遅れちゃって」

 

『いやいや気にしてないよ。僕も今来たところだからね。』

 

「そうなの?なら良かったわ。」

 

まぁ、本当はちゃんと時間より五分前に着いていたのだが、黙っておく。

 

・・というか何かこのやり取り、、

 

『恋人達のデートみたいだね?これ』

 

「で、で、デート!?」

 

あらら、あっという間に茹で蛸みたいに真っ赤になっちゃったよ。

とは言ってみるものの、正直そんな夏凜ちゃんが見てみたくてからかったのだが

 

『あはは。冗談だよ?』

 

「・・あんたねぇ~?」

 

『ごめんって。とりあえず時間は有限だからとっとと行こうじゃないか。』

 

「誰のせいだと思ってるのよ、、」

 

そんな愚痴を言いながら、しっかりと着いてきてくれるあたり、やっぱり根はいいこなんだろう。

少し気持ちを伝えるのが不器用なタイプなんだろうね、夏凜ちゃんは。

簡単に言うならツンデレ?ってやつだ

 

「あんた今何か失礼なこと考えなかったかしらー?」

 

おや、さすが完成型勇者は勘も鋭いみたいだね。まぁとりあえず誤魔化すか。

 

『いや?ちょっとしか考えてないよ』

 

「ならいいわ、、って、やっぱり考えてたんじゃない!?」

 

おや、口が滑ってしまった。

 

そんな風にふざけながら歩いていると目的地『かめや』についた。

 

『とりあえず中に入って注文をとろうか?ささ、入って入って、夏凜ちゃん。』

 

「急かさないでよ、わかったから」

 

ガラガラ

 

「おや、いらっしゃいって、翔助君じゃないか。ん?・・隣の子は誰だい?見ない子だけど、、新しい友達かい?」

 

『はい。少し前に転校してきたんですが、意気投合しまして。同じ部活にも入ってるぐらいでして。』

 

「なるほどねぇ。お嬢ちゃん、お名前はなんて言うんだい?」

 

オーナーさん、あなたがいい人なのはわかってますけど、初対面の子にいきなり名前という個人情報を聞くのはどうかと。

 

「え、えっと。三好夏凜って言います」

 

「夏凜ちゃんね。いい名前だねー。名付けてくれた親にちゃんと感謝しなよ?」

 

「は、はぁ。」

 

オーナーさんはいい人なんだけど、一回話しだすと長いため、悪いとは思いつつストップをかける。

 

『ストップです。ずっとこうやって立ってるのも彼女に悪いですし、座ってもいいですかね?』

 

「ありゃ、ごめんね夏凜ちゃん。それじゃあ俺は出前行ってくるから、またなー」

 

『はーい、、よし座って注文しようか』

 

「え、えぇ。・・助かったわ。」

 

『ごめんね。オーナーさんに悪気はないんだよ、だから嫌いになってあげないでおくれよ?』

 

「別に嫌いになったりはしないけど、、少し苦手ね。あの人。」

 

まぁ、あの人はだいぶ初対面の人にも、グイグイ行くからね。

でも、気さくな人だっていう風に良い方向に働いていることが多いので、気にしなくていいだろう。

 

その後二人で頼んだ品がバイトさんが運んできてくれたため。おいしくいただいた

 

「・・あ、、おいしいわね。」

 

『だろ?僕もたまに来るんだよ。といっても風先輩ほど食べはしないけどね。」

 

「え?風ってそんなに食べるの?」

 

『この前勇者部で食べに来た時は4杯も食べてたよ。』

 

「・・えぐいわね。」

 

確かにおいしいのはわかるのだが、僕だと一番量が少ないやつでお腹一杯になるため

風先輩が化け物によく見える。

そんな勇者部の部員の事を話しながら食べているとあっという間に食べ終わったので

店を出て、公園に寄り勇者についての情報交換をしていると、日が落ちはじめていたため、帰路につく。

 

歩いている中、ふと気になったことがあるので、夏凜ちゃんに聞く。

 

『夏凜ちゃんってさ。トレーニングだとか訓練をよくしてるらしいけど、食事とかはどうしてるんだい?』

 

コンビニ弁当とか言いそうだなー

夏凜ちゃんのことだから「訓練のための、一分一秒すらも惜しいのよ!」とかそんなこと言ってきそうだな~?

 

「え?食事?・・私は主にコンビニ弁当だとか、サプリを飲んだりしてるわよ、後はそうね、、これよ。」

 

夏凜ちゃんがカバンをまさぐってある袋を取り出して僕に見せてくる。それは、

 

『・・え?にぼし?』

 

『栄養満点!おいしいにぼし!』と書かれた煮干しの袋だった。

 

え?何でにぼし?

コンビニ弁当や、サプリメントはわかるけれどさ、、にぼし?

僕が予想してたのは冷凍食品だとか、レトルト食品といった、直ぐに作れて味も悪くない変わりに、栄養バランスが片寄っているような感じかと思っていたんだけど

 

「何よ?にぼしはビタミン、ミネラル、カルシウム等々、様々な栄養をとれる完全食なのよ?なんなら一つ食べる?はい。」

 

あーうん。僕が言いたいことはそういうことじゃないんだ。栄養が豊富なのは僕だってよく知ってるよ?そういう問題じゃないんだよな~。

・・仕方ない。多少強引だけど、、

 

『さすがに毎日そんな食生活なのは見過ごせないよ。夏凜ちゃん?』

 

「な、何よ。どうかしたの?」

 

少し咎めるように言うと、夏凜ちゃんは何が駄目なのかわかっていないようだ。

そんな夏凜ちゃんに一言話す。

 

 

『今日僕ん家で晩御飯食べていきなよ』

 

 

 

 

私こと三好夏凜は戸惑っている。

理由はたった一つだ、、

翔助の家にいるからだ。

 

翔助にいつも食事はどうしているのか聞かれて、いつも通りのことを話した結果、可哀想な物を見る目で、

 

『今日僕ん家で晩御飯食べていきなよ』

 

 

と言われて今に至る。

最初に会った時に話したことと、今日1日一緒に過ごしてみて、悪い奴ではないというのはわかっていたのだが、それでも緊張するものはするのよ、、。

 

チラッと台所を見てみると、野菜を鮮やかな手さばきで切っていたのが見えた。

料理慣れしてるのかしら?同年齢で料理ができる男など聞いたことがないけど、、

 

 

 

数分後----

 

『できたよー。夏凜ちゃん。』

 

数分後に翔助が鍋を持ってきて、喋りながら蓋を開けて見せてくれた。

どうやらシチューらしいけど、少し量が多いような気がする。

 

その事について聞いてみると、どうやら翔助のお母さんの分もあるらしい。

やはり翔助は悪い奴ではなさそうだ。

 

その日私は昼といい、翔助と話しをしながら食事をとった。

・・いつもは直ぐに終えてしまっていた食事の時間は長くなり、胸が暖かかった。

 

『・・おや、夏凜ちゃん。君もきれいに笑えるじゃないか。』

 

「え?」

 

翔助に言われて自分の顔を触ると、確かに頬が少しつり上がっていた。

 

『どうだい?一人でいるより二人でいたほうが楽しかっただろう?』

 

「・・・・」

 

そう言われて今日を振り返ってみる。

確かに翔助にからかわれたりして、疲れたりはしたが、その疲れは全然嫌じゃなかった。むしろ、、楽しかった。

 

『君は、不器用なんだろうね。今日1日一緒に遊んでみてわかったよ。』

 

そんなことわからない。

自分じゃ、器用なのかそうじゃないのかなんて正直よくわからない。

自分の事で必死で、人と触れあったことなんて大してないから。

 

『わからないって思っただろう?わからなくていいんだよ。』

 

「・・何でわからなくていいのよ。」

 

『人間最初から何をどうすればいいのか、なんてわかる子はいないだろう?それが君の場合は会話だっただけさ。』

 

理にかなってはいる。

しかし、今更言われたところで直せそうにもない。・・どうしろっていうのよ。

 

『夏凜ちゃん。人はそう簡単には変われない。でもさ、心は変えられるぜ?心機一転っていうだろう?』

 

「心を、、?」

 

『君が今すべきことは何かってことだよ。

勇者部の中で君のことを歓迎してない人がいるんだけど、、わかるかな?』

 

「風よね?」

 

『正解。そんな彼女に、、いや、彼女達にしなきゃいけないことがあるんじゃないかな?夏凜ちゃん?』

 

・・えぇ。そうね。

 

「謝らなくちゃあね。勇者部に、、何かしゃくだけど。」

 

『あはは。君からその考えが出てくるなんてね~?』

 

「えぇい!やかましいわ!」

 

さっきの緊迫した空気は消え、おどけた雰囲気となった。

なぜか今日はいい気分だ

訓練も捗りそうだ。そして、、

少しだけ、何かをつかめた気がする。

 

『そろそろお帰りの時間だね。』

 

そんな声が聞こえたので身支度を済ませて玄関へと向かう。

 

『家まで送ろうか?』

 

「いや、いいわよ。」

 

翔助の申し出を拒否し、ドアを開ける。

 

そして家をでようとしたところでボソッっと喋る。

 

「・・今日は、、ありがと。」

 

ドアを閉めた時に一瞬見えた翔助の表情は、いつもよりも優しく微笑んでいた。

 

 

家へと帰る道中、やけに顔が熱かった。

 

 





はい。深夜です。
どうですかね?
夏凜ちゃんのキャラ大丈夫ですかね?
あと、誤字も不安です。


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その拾


何かキャラが不安定な時があるような気がするんですけど、、大丈夫ですかね?

とりあえずどうぞ。


 

翌日の放課後---

 

「あのさ、みんなちょっといい?」

 

「どうかしたの?夏凜ちゃん?」

 

「何かようかしら?」

 

翌日の放課後、勇者部にみんなが集まったのを確認して夏凜ちゃんがみんなに呼びかける。それに対して友奈ちゃんが疑問に思いつつ内容を催促して、風先輩は少し素っ気なさを感じさせる返事をしていた。

 

・・頑張れ夏凜ちゃん。一瞬夏凜ちゃんがこっちを見ていたので、手を振る。

そんなに難しく考えなくていいんだぜ?

人には得意、不得意があるんだからさ

 

僕の応援に夏凜ちゃんは小さく頷いた後少し声をぼそぼそさせて話した。

 

「・・こ、この前はすみませんでした」

 

顔を少し赤らめながら、みんなに向かってぼそぼそ言いながら頭を下げる姿は正直いっていつもの雰囲気とはかけはなれており、小動物みたいだった。

 

「・・あはははは!」

 

「な、何で笑うのよ!?」

 

「いや、だってさ、全然似合ってなくて、、っく!あはは!」

 

「は、はあ!?」

 

ほーらね?そんなに深刻な問題じゃないんだよ。みんなの夏凜ちゃんへの認識は『少し口が悪い子』ってだけだ。

一見悪いように聞こえるかもしれないけれど、それ以上でもそれ以下でもないためすぐにイメージは変えられる。だからそんな深刻な問題じゃないって言ったろ?

 

「・・夏凜ちゃん!」

 

「ちょっ、抱きつくな!」

 

「ごめんなさい三好さん。私あなたの事を口が悪い子って勘違いしてたみたいだわ、、」

 

「わ、私もです。すみません、三好さん!

私三好さんの事少し怖くて、運がない不吉な人だって思ってたんですけど、、」

 

「別にいいわよ、、って!不吉な人って何よ!?勝手に占って、勝手に不吉呼ばわりしてんじゃないわよ!?」

 

ん~がやがやしてきましたね~。

そして、ナイス突っ込みだ。

そんな中、風先輩が咳を一つ吐き、雰囲気を切り替える。

 

 

「・・あたしはさ、正直言って嫌な奴だなって思ってたのよあんたのこと。」

 

「・・否定はしないわよ。」

 

「でも、今回の件でわかったわ、、あんた可愛いとこあるじゃない~!」

 

「・・・は?」

 

まぁ、そうなるよね~。

夏凜ちゃんはシリアスだった雰囲気からいきなりまた切り替わって、困惑してる

そんな夏凜ちゃんを見かねて、風先輩が続けて言葉を紡ぐ。

 

「まぁ、私達がまだまだ未熟なのは事実だしね。だからさ、お互いに過去の事は水に流そう!ってことよ。」

 

実に風先輩らしいな。

さっぱりしてて、自分も相手も未練が残らないような、いい解決方法だ

 

「だから改めて歓迎するわね?」

 

 

 

 

「ようこそ!勇者部へ!」

 

 

「・・えぇ。よろしく頼むわね。」

 

その時の夏凜ちゃんはいつもと同じように口調は素っ気なさげだったが、僕を含め勇者部のみんなはしっかりと見た。

少し頬を赤らめつつ、笑みを浮かべていた夏凜ちゃんの姿を。

 

 

 

数秒後、友奈ちゃんが夏凜ちゃんに抱きついたのち、夏凜ちゃんが風先輩にからかわれまくっていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

それからというものの、夏凜ちゃんという新しい部活動仲間ができ、保育園に行っての読み聞かせや猫の里親探しなど色々な活動を行った。

 

ちなみに読み聞かせの際に緊張していたのか、棒読み気味になっていて、裏方の風先輩達が笑いを必死にこらえていた。

 

 

 

 

ある日の勇者部---

 

「はぁー。」

 

「どうかしたの?樹ちゃん」

 

いつものように部室で各々が作業を行っていると樹ちゃんがため息をつき、どうしたのかと友奈ちゃんが残りの部員を代表して樹ちゃんに訪ねる。

 

「いえ、近々歌のテストがあるんですけど私人前で歌うのが苦手で、、そんな自分を占ってみたら死神の正位置がでて、、」

 

ありゃりゃ、それはますます不安になるだろうね。というか樹ちゃんはやっぱり人前に立つようなことが苦手なんだね。

 

「だ、大丈夫だよ樹ちゃん! こういう時は何度も占えば、、」

 

しかし無情にも三回やっても同じ結果

・・というか友奈ちゃん?それいったら占いの意味がほぼないに等しいよ?

 

「ならば、今日の活動は、、」

 

 

というわけでただいまカラオケルームに勇者部のメンバーで居ます。

妹のピンチとあっては、姉として黙っていられなかったらしく、本日の活動内容は、『樹を歌のテストで合格させる』というものに決定した。

 

最初は歌が上手くなる方法について黒板を用いて考えていたのだが、策がアルファ波を出せるようにする。というものしか出なかったので、友奈ちゃんの「習うより慣れろだよね!」という言葉を参考に、カラオケルームに来たというわけだ。

 

「よし!やはりトップバターは部長であるあたしがいくわよ!」

 

その言葉を皮切りにみんなが歌い始める

途中でなぜか風先輩VS夏凜ちゃん&友奈ちゃんという対決が始まっていた。

美森ちゃんはその間は盛り上げ、樹ちゃんは曲選びで頭を捻らせていた。

 

・・いや、盛り上がるのは構わないけど、みんな主旨忘れてないかい?

まぁ、楽しそうだし黙っておこう。

 

とりあえず頭を捻らせている樹ちゃんに近づき、話かける。

 

『やっぱり仲が良いとはいえ、人目があるのは気になるかい?』

 

「あっ、はい。やっぱり人に見られていると考えちゃうと上手く歌えないんですよね、、」

 

人目ってのはやっぱり気になるよね。

それは仕方ないことなので、人の目など気にするな、と言ったところであまり解決法になっていないことはわかる。

 

『まぁ、せっかく来たんだし。とりあえず試しに何か歌ってごらん?』

 

そう樹ちゃんに言っていると美森ちゃんの選んだ曲のイントロが流れ始める。

すると僕と夏凜ちゃんを覗いた三人がさっきまでとは違い、キリッとした表情で敬礼をおこなっている。

 

「え?何これ?」

 

『美森ちゃんが歌うときは、決まってこうなんだぜ?』

 

「何それ?相変わらずよくわからないわね。じゃあ何であんたはやんないの?」

 

『僕の変わりにこの子がやってるよ』

 

そういい、肩の轟山を指差す。

 

「・・いつの間にいたのね。」

 

多分昔の癖なんだろうね。

 

その後樹ちゃんが何回か歌っていたのだが、音程がずれていたり、少し早く走りがちになっていたりとしていて悲惨な結果に終わってしまっていた。

 

「これはちょっと厳しいわね、、」

 

「うーん。この子一人で歌う時とかはうまいんだけどねぇ。」

 

自分でも言ってたぐらいだしね。

しかし、姉の風先輩がうまいと言うぐらいならば緊張をうまくほぐすことさえできれば、何とかなるだろう。

まぁ、どうほぐしてあげるかが問題なんだけどねー。

 

「あ、ごめん。あたし少しお手洗いに行ってくるわね?」

 

「私も行ってくるわ。」

 

風先輩が少し携帯をいじった後お手洗いに行くと告げ、数秒経った後、夏凜ちゃんも同じく風先輩の後を追っていった。

 

 

隠してるつもりかもしれないけど、確かに見た。風先輩が携帯をいじっていた際に少しだけだが、顔をしかめていたのを。

恐らく夏凜ちゃんはそれに気づいて後を追うために出ていったのだろう。

 

・・大方、大赦とかからだろうけど。

 

 

ふと残っている三人をチラッっと見る。

前にも言ったが、平和なんて物はきっかけさえあれば簡単に崩れる。

そして、物事は崩すのは簡単だが、直すのはとても難しい。

 

例え何かあっても、取り返しのつかないようなことになるのは避けよう。

僕は全くもって大丈夫でも、この子達にとっては耐えられないことなんていくらでもあるだろうからね。

 

 

 

まぁ、とりあえず今は歌だ。

その後二人が帰ってくるまで、樹ちゃんの歌のことについて考えていた。





はい、いかがでしたでしょうか。

主人公のメンタルはチートってことは本人も理解しています。
まぁそんな自分の事を『壊れている』
と称していますがね。


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その拾一


眠れなかったので投稿です。
短めですが、どうぞ。


 

 

 

翌日----

 

いつも通り勇者部に来てみると、早めに来たのか、夏凜ちゃんがテーブルの上にサプリやらなんやらを並べていた。

先に来ていたみんなも少し困惑気味だ

 

「夏凜ちゃん、それは一体、、?」

 

「喉にいいサプリメントだとか、とりあえず色々と喉に良いものを用意したわ」

 

「はえー。よくこんなに揃えたわね」

 

樹ちゃん一人のために色々夏凜ちゃんなりに考えていたんだろうね。

・・にしては少し量が多いような?

 

「さあ、これを飲みなさい樹。」

 

「え、、これ全部はちょっと、、」

 

「さすがにこれ全部はきついわよ。それにさすがの夏凜さんも厳しいんじゃないですかね~?」

 

「なら、やってやるわよ!見てなさい」

 

樹ちゃんが苦笑いをしながらそう答え、風先輩が夏凜ちゃんを煽るようなことを言い案の定、夏凜ちゃんが乗っていた。

やっぱりプライド高いよな~。

 

 

飲んだ数秒後、夏凜ちゃんが急いで部室の扉を開いてトイレに駆け込んだのは言わなくてもわかるだろう。

 

『・・まぁ、夏凜ちゃんなりに良かれと考えてくれた結果だからねー。さすがに一気だとああなっちゃうから少しずつ、馴染ませるように飲むといいよ?』

 

「あ、はい。」

 

フォローはしておく。

悪くない手だしね、サプリは。

 

 

でも策はもう打ってある。

昼休みの時間に樹ちゃんの歌について、やっぱり精神的な問題がでかいのでは?

と、自分の考えを二人に伝え、友奈ちゃんと美森ちゃんと一緒に考えて応援メッセージを書いてこっそり教科書に挟んでおく、ということをした。

 

体はサプリメントで補い、心はメッセージで満たさせる。

緊張なんてものは、支えてくれる人がいるということをしっかり感じさせてあげれば案外ケロッっとなる事が多い。

あとは本人次第かな?

 

 

 

 

数日後---

 

どうやら歌のテストは上手くいったようで、樹ちゃんから良い知らせを聞くことができ、皆で喜んでいた。

 

その後メッセージカードについて一人一人に丁寧に樹ちゃんがお礼を言って、みんな照れくさそうにしていた。

 

 

しかし、いきなり樹海化が始まる。

 

 

 

いきなりだったものの、みんなは急いで気持ちをきりかえ、勇者へとなりバーテックスのもとへと急ぐ。

 

 

バーテックスのもとにたどり着いたと同時にみんなが絶句する。なぜなら、、

 

「な、七体、、!?」

 

「残りのバーテックス、全てで来たってわけね、、」

 

友奈ちゃんが驚くのも無理はない。風先輩の言う通り、まさかの残りのバーテックス全てで突入してくるとは思うまい。

その数七体。しかもあの時の『獅子座』っていう、大きなバーテックスまでいる。

 

獅子座一匹だけでも十分辛いのに、まさかの+αで6匹もくるとは、、

それだけ相手も潰しに来てるのだろう。

それにバーテックスは何回でも作れるっぽいし、代わりも利くだろうからな。

 

とりあえず大前提として、満開は必須

つまりみんな何かを代償として捧げることが決まっている。

・・言うべきか?満開の代償、『散華』についてのことを。

 

自分達は何も知らされていない状態で、散華を受けたため、悲しさがよくわかる

彼女達に心構えをさせておくべきか?

 

・・いや、止めておこう。

普通に考えてそんな重いことを伝えたら、

満開を使う時に躊躇してしまうだろう

前にも言ったが、勇者の強化はあくまでも

外側だけで、内側はちゃんとした中学生なのだから。

 

散華を伝えた後のみんなの折れる姿を想像するのはそう難しいことじゃなかった

 

「よし!勇者部集合!円陣組んで、気合いを入れるわよ!」

 

「了解です!風先輩!」

 

「そんなことしていられる余裕ある?」

 

「何言ってんのよ。こういうきついときにこそ、気持ちをあげていかないと!」

 

「間違ってはいないような気がしますので私も賛成です。」

 

「私も!お姉ちゃんの言うことは一理あるような気がするんですけど、三好さんは嫌ですか、、?」

 

「ぐっ。・・嫌ってわけじゃないけど」

 

「はーい!集合~!」

 

 

なるほど、今なら大赦の気持ちほんの少しだけ、わかるような気がするよ。

 

 

「ほら、翔助も!早く、早く!」

 

『・・すみません。今行きますよー』

 

なぜ教えてくれなかったのか、と後で僕を憎んでくれたっていい。

前世で憎まれ役は慣れっこだったし、彼女達には憎む権利があるからね。

 

 

そんな思いを抱きながら、戦いの火蓋は切られた。

 

 





はい、バーテックス戦は次回に続きます

今更ですが、タグに『鷲尾須美は勇者である』を追加いたしました。
追加忘れを思いだしましたので。

それでは、おやすみなさい。


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その拾二


こんばんは。
いつも通り思いついたので投稿です。
少し飛ばし飛ばしかもしれませんが、

どうぞ




 

円陣後、風先輩が満開のシステムを話した後でバーテックスを退治しはじめた。途中で他のバーテックスが割り込んできたりして、危ない時がいくつかあったが、先代の時の知識を生かして僕が代わりに柔軟に対処したりした。

 

しかし、バーテックス陣営のある行動により戦況が大きく変わる。

 

「このぉ!、、って、え?」

 

『おっとと、危ない危ない。』

 

「ありがと、、って!これお、お姫様抱っこってやつじゃないの!?」

 

すでに何匹か御霊まで追い込むことができており、夏凜ちゃんが止めをさそうとしていたのだが、バーテックスがまるで何かに引っ張られるように移動した。

とりあえず夏凜ちゃんを抱き抱え、どこもぶつけないようにする。

・・お姫様抱っこしてしまったのは謝るから、今は落ち着いてね?

 

どうやら他のバーテックスも同じようで、御霊にした星座が全て一点に吸い寄せられていた。

 

「・・あれ、、合体してるの、、?」

 

『・・らしいね。まさかバーテックス同士で合体できるとは思わなかったよ。見た目もかなり大きくなったね。』

 

吸い寄せられた星座達の、それぞれの特徴

を持っているバーテックスが目の前に現れていた。

・・実はバーテックス達が合体できるのは知っていた。まさかあそこまで大きくなるほどまで合体可能とは知らなかったが

 

「合体?・・こんなの聞いてないわよ」

 

『まぁ、悪くいえば大幅強化だけど、良く言えば一匹ずつ倒す手間が省けたってもんじゃないかな?』

 

「そうだよ!一度に倒せるよ!」

 

「翔助先輩も、友奈さんもすごい前向きですね、、」

 

「間違ってはないんじゃない?二人の言う通り手間が省けるわよ。みんな!まとめて封印してやりましょう!」

 

会話が終わると同時に火球が飛いくつか勇者部に向かって飛んでくる。

みんなそれぞれが、回避、防御、反撃に移るが、合体してるだけあってみんな迎撃しきれず、被弾してしまう。

 

『危ねっ、、みんな無事、、じゃないだろうね。小さめとは言え、人間にとっては十分だしな。』

 

精霊バリアがあるからそこまでは問題じゃないだろうけど、無傷とはいかないだろう

あの見た目でそんな生易し攻撃をするとは考えがたいしね。

 

『レーザーもあるし、追尾可能な火球ねぇ硬さも十分だから、攻守共に優秀だ、、さて、どうするかな?』

 

攻撃は避けられるが、みんなを庇いながらできるかと言われたらもちろんNOだ。

それに、ちょくちょく水球を飛ばしてきたりするので、油断をしたら一気に吹きとばされちゃうかな?

 

うーん、無勢に多勢とはこのことか。

さすがにこのまま一人でやるのは辛いな、

何とかみんなが復帰してくるのを願って耐えてみるしかないか、、

 

『・・轟山。』

 

ふといつの間にか肩に轟山がいた。

いつの間に、、?

少し驚いていると、轟山が小さな口を開いて言葉を発した。

 

《・・しゅじん。ぼくたちのことわすれてない?》

 

・・そう言えばこの子達がいたか。

しかし、精霊の力を扱うのは実は今回が初めてなんだよなー。

それにいくらなんでもあれを倒すのは無理があるんじゃなかろうか?

 

《・・しゅじん。たおすのはたしかにすこしきびしいけれど、、じかんをかせぐくらいなら、よゆうだよ。》

 

『そうなのかい?』

 

それが本当なら嬉しい誤算だ。

初めてということもあり、少々不安が残るが、、みんなのためだ、背に腹は変えられないよな。

 

『いい知らせをありがとうね。よし、やってみますかね~。』

 

轟山は、土の力との相性がいいらしいので槌を取り出す。

 

『轟山。ふつつかものですが、よろしくお願いします。』

 

《・・りょうかい。しゅじんのために、このわたしのちからをぜんりょくで、おかしします。》

 

その轟山の言葉と同時に、力がみなぎってくる。なるほど、こういう感じなんだね精霊の力を借りるってのは。

 

・・よし、やってやりますか。

 

 

『山をも轟く大きな力。土の定めと共に!』

 

そうバーテックス達に吠えて、前よりも大きくなった槌を構える。

 

『こら、そこ。何さりげなく神樹に向かって直進してるんだよ?』

 

颯爽と神樹に向かっていた双子座に向けて槌を投げ飛ばして地面にクレーターを作りつつ、ダウンさせる。

 

武器がなくなった所を合体バーテックスが

火球を飛ばして攻撃してくる。

確かにクールタイムがいつもならあるけれど、残念ながら今の僕には、、

 

『残念でした。そんな大きな隙は晒すつもりはないぜ~?』

 

精霊の力を借りているため、0とはいかないが、クールタイムはほぼないのと等しい

火球を弾きとばしたのち、とっさに上へと大きく飛ぶ。

 

『ひゅ~。危ないね~。』

 

そこに水球がとんできたため、叩き割るのと同時にレーザーもとばしてくる。

危ない危ない、あのままあそこにいたら動きを封じられたのち、あのレーザーで吹きとばされていただろう。

なんて恐ろしいことをするんだ、、

 

そんなことを考えている時も、合体バーテックスは攻撃を繰りだしてくる。

 

・・さすが強化されただけはあるね。視界外からの攻撃をちょくちょく挟んでくるので、自慢じゃないが、僕以外だったら今頃地面に倒れ伏しているだろうね。

空気を読んで、相手の攻撃を避ける。

隙があれば殴るということを淡々と繰り返し行う。

 

倒れているみんなより、僕の方を脅威に思ったのか、僕の方に注意を向けてくれているのは正直ありがたい。

みんなを庇いながら戦うのなんて、きついから助かるよ。

 

しかし、さっきまで遠くにいたバーテックス達が僕の方へ向かってくる。

魚座の邪魔がかなりうざったい。

 

 

そんなバーテックス達を叩きつけていると合体バーテックスの攻撃がとんできていた

ので迎撃に備えようとするが、、

 

『ちょっ、邪魔だよ。』

 

魚座がそうはさせまいと攻撃をしてくる

急いで吹っ飛ばすが、火球は全部弾いたものの、触手までは間に合わない。

防御体制に切り替えて、攻撃を迎えようとするといつの間にか起き上がっていたのか友奈ちゃんが触手を殴りとばしていた

 

助かったよ、そう言おうと思ったが、今度は友奈ちゃんに火球が放たれていたので急いで友奈ちゃんを庇う。

 

『ふぅ。ありがとうね、友奈ちゃん』

 

「だ、大丈夫なの?翔助君?」

 

『ノープロブレムだよ。』

 

「本当に?、、なら良かったよ~」

 

そんな会話をしつつも、僕達はバーテックスへの警戒は怠らない。

いつ、何をされても大丈夫なようにだ

それにしても、人手が増えるのはありがたい。とりあえずの時間稼ぎは成功だ。

 

途中でいくつか案は浮かんだのだが、一人ではできないものばかりだったので実行できずにいたのだ。

ぜひとも実行したいのだが、、二人だと少し危ないかもしれないんだよなぁ。

 

友奈ちゃんが起き上がった所を見るに、他の子達も起き上がってくるかもしれないから、その時に実行するか、、?

 

「・・翔助君。」

 

うーむ。と考えていると、友奈ちゃんが両手で僕の手を包みこんで、優しい声で話かけてきた。

 

『ん?友奈ちゃん?』

 

「勇者部五箇条その四、『悩んだら相談』

だよ?」

 

なるほど、悩んでいる僕を見かねて話しかけてくれたってわけか。

実に友奈ちゃんらしいね~

 

・・さすがにここまで言われて黙り通すのは無理があるよな~。

ちなみに作戦というのは、誰か他の人がバーテックスの気をひいてくれているうちに巨大化させた槌をぶち当てる。という簡単なものなのだが、さっき言った通り、気をひく人が一人だとかなり危ない。

 

心配してくれた友奈ちゃんには悪いけど、やっぱり却下させてもらおう。

笑って友奈ちゃんの頭を撫でながらお礼を言う。

 

『あはは、ありがとうね?友奈ちゃん』

 

「・・あっ。」

 

『気持ちはうれしいけど、やっぱり安全面的にやめておこう。とりあえずみんなが復帰するまで二人で時間を稼いでおこう』

 

「うん。そうだね!」

 

その後の戦闘では、さっきよりはマシになったが、やはり辛いね。

みんながくるまで持つかな?

 

「キャッ!」

 

さすがに限界がきたのか、友奈ちゃんが火球をよけた後、転んでしまっていた。

その隙を狙い、バーテックスの触手がいくつか友奈ちゃんへと伸びる。

 

『そうはいかないぜ?ってマジかよ。』

 

当然急いで庇いにいき、触手をはらうが、いくつかはらいきれず、捕まえられると同時に力を加えられ始める。

 

「翔助君!」

 

友奈ちゃんの叫び声が聞こえた。

恐らく転んだ時に腰でも打ったのだろう、力が入らず立てていないようだ。

 

 

 

 

その時、遠くで懐かしいものを見た。

 

 

「「『満開』!!」」

 

 

そんな声が聞こえた直後、バーテックスの触手が大剣とワイヤーによって切られて、体が解放される。

 

「遅れてごめん!大丈夫?翔助?」

 

「痛いところはないですか?翔助先輩」

 

そう話しかけてくれた犬吠埼姉妹の勇者服は見事に花が咲いたかのように見えた

 

そうか・・しちゃったか、遂に。

 

『大丈夫だよ。にしても本当にヒーローは遅れてやって来るんですね~?』

 

「うん、そんな軽口を聞けるぐらいなら大丈夫そうね、とりあえず一安心よ。」

 

『言っておきますけど、それは僕のセリフでもありますからね?』

 

「そんなことよりも、次来たわよ」

 

風先輩の言うとおり、もはや見慣れたバーテックスの火球が飛んでくるが、さっきまでのやつより少しだけ大きい。

 

しかし、その火球は発泡音と、共に全て消えさっていた。

ふと後ろを見ると、戦艦のようなものに乗っている美森ちゃんがいた。

 

『ナイスカバーだよ、美森ちゃん。』

 

「ふふふ、ありがとうね。」

 

 

・・なるべく皆が満開しないようにしたかったけど、やっぱりそう甘くないか。

 

仕方ない、、こうなったら、とことんやってやるしかないよな。

 

『じゃあ、やりますか。』

 

『満開!』

 

その言葉と共に白と黒の服だけでなく、白と黒色の、能面が顔につく。

力がまた増えるのを感じた。

 

『轟山、いくよ。』

 

そう呟きながら槌を巨大化させ、一度高く天へと掲げたのち、大きく、素早く、天秤座以上に回転し、巨大な台風を作りながら

合体バーテックスに近づいていく。

途中、水球や触手などを行ってきたが、全て台風の風によって吹っ飛ばす。

 

『ガイアブレイカー』

 

これが、槌で出せる現在の時点での恐らく最大火力なんだけど、どうだろうか?

 

しっかりとバーテックスにぶち当てたのを確認して、回転をやめる。

台風が去った後バーテックスを見ると、御霊を放出していたのだが、いかんせんデカく、高度が高いのだ。

 

「ナイス翔助!でもどうする?あれ?」

 

「わたしが、、って届かないなぁ」

 

「・・風先輩。今のわたしならあそこまでいけます、、友奈ちゃん乗って。」

 

どうやら美森ちゃんの戦艦に乗って、友奈ちゃんが御霊に向かっていくようだ。

 

『なら、僕も、、』

 

「翔助君は休憩してて?ここはとりあえずわたしがいくからさ?」

 

この状態になった友奈ちゃんは、何を言っても聞いてくれないだろう。

みんな優しい子だからねー。

 

『・・わかったよ。気をつけてね?』

 

「えぇ。もちろんよ。」

 

「任せて!」

 

 

その後高く飛び行く二人を見送ったのだが

やはり苦戦しているらしく、中々終わらない模様。

 

えっと、僕の満開時間は、、大丈夫だ

 

『風先輩。友奈ちゃんが苦戦してるみたいなので、援護に行ってもいいですか』

 

「え?援護って言ったって、どうやってあそこまでいくのよ?」

 

「私達は大丈夫ですけど、、どうするんですか?翔助先輩?」

 

とりあえず許可はおりたので、昔やったフォームを思い出しながら、構える。

 

『こうするんですよっ!っと!』

 

「「「えぇ!?」」」

 

いつぞやの光景と同じだなー。

槌を投げて、思いっきり強化された体を全力で使い、地面を大きく蹴り、飛び上がって槌、もとい友奈ちゃんのもとへ。

 

 

『やぁぁぁーあ。友奈ちゃん。』

 

「えぇ!?翔助君!?」

 

天へと高く飛び上がると、姿が大きく変わって顔をしかめていた友奈ちゃんがいた

まぁ、直ぐに驚愕の表情に染まったが

 

『大丈夫かい?友奈ちゃん?』

 

「あ、うん。やっぱり壊せなくて、、」

 

大きなヒビは入っているが、確かに壊すまでには至っていなかった。

 

ん~一人でだめならば――

 

『よいしょお!』

 

二人でやればいい――

 

強く叩いた後、友奈ちゃんの手を両手で包み込んであげる。

こころなしか、少し震えていた。

 

『なら、二人でやればいい。』

 

「・・え?」

 

『どうやら君は少し抱え込む癖があるみたいだね?大方、『私がやらないと』とでも考えてたんじゃないかな?』

 

「・・うん。」

 

『それは間違いだよ。正しくは私『達』だからね。何のための勇者部なんだい?』

 

『一人で無理なら、みんなでやる。ほら、実に簡単なことだろ?』

 

『君は一人じゃない、だからさ、、』

 

 

 

 

 

 

『一人で抱え込まないでくれよな?』

 

 

「・・うん、うん!」

 

『よし、良い返事だ。先に僕が叩くから後に続いてくれよ?』

 

「そうだ!どうせだから勇者部五箇条の五つ目を言いながらやろう?」

 

『良いねー。じゃあ行くぜ?』

 

槌を大きくさせて、無理やり体を動かしつつ叫ぶ。

 

『勇者部五箇条。その五!』

 

「なせば大抵、何とかなる!!」

 

 

 

「勇者パァァーンチ!!」

 

 

その後無事勝てたのだが、三人共に着地の事は考えておらず、樹ちゃんに何とか助けられた。本当にありがとうございます

 

 

 

 




長くなりました、、

という訳で総力戦でした。
時間を稼いでいたというわけで、オリ主オンリーのシーンが多めになりました。


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その拾三

はい、
今回は総力戦のその後になります。




 

--前のバーテックス戦のその後--

 

あの戦いが終わってから、僕達はそれぞれ検査のために入院することになった。

検査とは言っても、簡単な血液検査やら身体検査ぐらいのため苦ではない。

 

さて、問題は満開による代償だが、、

 

「少し左足と左腕が動かしにくいみたいですが、疲れているだけでそのうち治るでしょう。他にも負傷箇所がありましたが、君は治癒能力が高いのか直ぐ治りました」

 

やはり代償で奪われたということは伏せて告げられるが、僕にはちゃんと伝わる

どうやら左の腕と足が奪われたらしい

・・体ならまだ大丈夫だな。

満開の代償は能力では治せないと言ったが、応急措置ぐらいはできる。

100%まではいかないが、70%ぐらいまでは使えるようになる。

 

「・・それと、ここからが本題なのですけれど、君は内臓機関が衰え気味らしい。あまり動くのは良くないのだが、、少し前線から身を引いてはどうかな?」

 

医者の先生が告げた通り、僕は内臓機関を満開の代償として捧げている。

ちなみに僕の満開の回数は今回の戦闘での使用を合わせて7回。

捧げている箇所は、

心臓・肝臓・右肺・左肺・左脳

という感じである。

この中で一番やばそうなのは心臓に見えるだろうが、一番影響があったのは脳だ。

まぁ、左脳だけだったのは幸いだね。

 

回数を見るとまだ足りないと思う人がいるだろう。その分は他に回されている。

代償の事についてしゃべりたいのはやまやまだけど、、皆の元に行こうか。

 

『いえ、大丈夫ですよ。あくまで弱いだけなんですよね?なら問題なしです。』

 

「いや、しかし、、」

 

『勇者がこのくらいで音をあげていられませんよ。あの子達が頑張っている中休むなど言語道断ですよ?それに、、』

 

扉を開けながら医者さんに語る。

 

 

 

 

『あんないい子達が辛い思いをして、こんな僕が楽をしていい筈がないですよ』

 

 

 

 

 

神樹様もそう思っているだろう。

僕はどんなに頑張っても、『壊れている』のだからね。

 

 

 

部屋を出て娯楽室に向かうと皆既に集まっていたみたいだ。

・・少し暗くない?

何かあったのかな?

 

『何かあったのかい?少し暗いけど』

 

「・・いや、樹の声がでなくてさ、、」

 

「お医者さんは戦闘後の一時的な疲れらしいのだけれど、、」

 

「・・・!」

 

そうか、樹ちゃんは声なのか。そして風先輩は左目の眼帯を見るに、左目か。

辛そうに皆が樹ちゃんを見ると、樹ちゃんはそれに、ふるふると首を横にふる。

 

『心配無用って言いたいのかい?』

 

「・・・!!」

 

そう聞くと縦に首を大きくふる。

樹ちゃんは何気に勇者部の中で、一番メンタル的には強いかもしれない

普通なら怖がるだろうにね。

 

「樹、、」

 

『・・あんまり暗い話はいけないってのはわかってるけど、みんなは特に何か言われたりしなかったかい?』

 

二人の絡みを横目で見つつ、みんなに現在の状態を訪ねてみる。

 

「わたしは特にないよ。」

 

「私は左耳が聞こえないわ、、」

 

『夏凜ちゃんは大丈夫かい?』

 

「えぇ、特に問題なしよ。私が一番被弾とかの被害が少なかったからね」

 

なるほど。美森ちゃんが耳に、友奈ちゃんは特になし、、というかまだわかってないだけだろうな。隠してるわけでもなさそうだし、だからと言って安心はできない。

 

目に見えず、実感も湧かない物はある。

例は美森ちゃんの『記憶』とかだね。

むしろ尚更心配になるよね、不明は。

 

「そういう翔助君はどうなの?」

 

『ん?僕なら少し左腕と左足が使いにくいぐらいかな。美森ちゃんと違って、全く使えないわけじゃないから、大丈夫だよ」

 

「良かったぁ~。」

 

友奈ちゃんと美森ちゃんが心配そうな目で僕を見てくる。夏凜ちゃんは少し申し訳なさそうに見てくるので、大丈夫なことを伝えると三人共胸を撫で下ろしていた。

 

『・・とりあえず勇者部の勝利を祝って、祝勝会でもやりません?風先輩?』

 

「・・・そうね。とりあえず大勝利を祝って、パーっとやりましょう!」

 

 

少し経って売店からお菓子やらジュースやらを買って祝勝会を開いた。

 

「よぉーし、みんなー。乾杯~!」

 

「「「「乾杯!」」」」

 

風先輩のその言葉を期にみんなでがやがやお菓子を食べながら話した。

 

 

みんなは話しに夢中になってるようで気づいていないが、僕はあることに気づいたので、ある人物に話しかける。

 

『友奈ちゃん。どう?楽しんでる?』

 

「あ、翔助君。もちろんだよ。」

 

・・嘘だね。明らかに隠してる事がある

さっきふと友奈ちゃんのみた時、お菓子を食べた後、渋い顔をしていた。

 

食べた後に渋い顔をしたという事は、

 

『はい、ダウト。・・味覚かい?』

 

「・・うん。味がさ、しないんだ。」

 

友奈ちゃんは『味覚』か、、

良くもなく、悪くもないが、食べ物を食べる時は気持ち悪いだろうね。

 

『言わないのかい?』

 

「あまり心配かけたくないし、大丈夫だよ!お医者さんが言うには治療をすればちゃんと治るって言ってたしさ?」

 

・・黙っていたほうがバレた時、より心配かけると思うんだけど。

まぁ、それが友奈ちゃんの選択なら僕は何も言うまい。そもそも人の事を僕も言えないからね~。

友奈ちゃんを優しく撫でながら話す。

 

『わかった。君がそれでいいならいいけど悩やんだら相談だぜ?』

 

「ん、、ありがとう。」

 

 

 

少し時間を置いたのち風先輩がみんなにシール付き携帯を渡し、勇者アプリが使えないことをみんなに説明する。

それを聞いた友奈ちゃんが牛鬼との別れをしっかりできなかったことを嘆いていた

 

「あたし達の戦いはあれで終わったからしょうがないわよ。」

 

・・『終わり』、、ね。

 

そううまくいけばいいけどね~。

 

 

 

 

そんな事を考えながらみんなと別れ、娯楽室をあとにした。

 

 




短めです。
オリ主の勇者部みんなへの考えと、代償についてなどなどでした。

残り二つの代償については皆さんも考えてみてください。

正解はしっかり話のどこかで書きます。


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その拾四


こんにちは。
いつも通り思いついたので投稿です。



 

 

 

やあ、みんな。僕だよ。

僕と美森ちゃんはまだ入院が長引くらしいが、勇者部の子達がお見舞いに来てくれるため、暇はそこまでしない。

 

心配なのは美森ちゃんや夏凜ちゃんだ

美森ちゃんは僕と違い、暇なのかどうかわからないし、夏凜ちゃんはみんなが言うには部活に来ていないらしい。

まぁ、一人だけ満開できなかったこと悔やんでいるとかだろうね。

そんな様子を友奈ちゃん達が放っておくはずはないだろうから、本当は僕も行きたいのだが、みんなに任せよう。

 

コンコン

 

「ちょっといいかしら?翔助君。」

 

そう夏凜ちゃんの問題について考えていると病室の扉がノックされ、扉の外から訪ねる美森ちゃんの声が聞こえた。

 

『ん。いいよ、どうぞ~』

 

「失礼します。」

 

何かこころなしか緊張してないかい?

少しぎこちない美森ちゃんが入ってくる

言わないほうがいいかな?

 

『どうしたの?珍しいね?』

 

本当に珍しい。

昔なら何回かあったのだが、 今回はなかったため、久しぶりだ。

そう聞くと、なぜか美森ちゃんの顔が少し暗くなっていった。

 

「あの、一つ聞きたいのだけれど」

 

『ん?どうしたんだい?改まって』

 

「・・私達ってどこかで会ったことないかしら?」

 

・・記憶は戻ったわけではないようだけどなぁ、、多分記憶は消されていても、強い記憶は少し残ってるんだろうね。

よく記憶喪失の人は、記憶にモヤがかかって覚えてるらしい。

普通なら強い衝撃などで思いだすケースが多いのだが、美森ちゃんは神樹様に捧げているので何があっても思いだすことはきっとないだろう。

 

 

・・ここで肯定したいのはやまやまだが、

言ったってただただ混乱するだけだろう

それに美森ちゃんはそこそこ鋭い子なので

散華という存在に気づいてしまったらまずいからね、、ごめんよ美森ちゃん。

 

『いや?初対面だと思うよ?少なくとも君みたいな可愛い子とあったら忘れるわけないからね。』

 

「か、かわ、、おほん。・・そう、ならいいのだけど、、」

 

『いきなりどうしたんだい?そんな事を聞いてくるなんてさ?』

 

「・・私、実は今から二年前の記憶がなくて、時々夢を見るのだけど、自分以外の三人の子達と楽しく遊んでるの。」

 

『へぇ。どんな容姿なんだい?』

 

「えっと、勇者服の色が、赤、紫、白黒って言う構成だったわ。」

 

銀ちゃん、園子ちゃん、僕って順番か。

しかし夢なのになんでそんなに鮮明に覚えられてるとは、、たまげたなぁ。

 

「楽しい夢もあるんだけど、多いのが赤と紫の子が行ってしまって、追いかけたくても足が動かなくて、、少し経って後に白黒の子が二人の子を連れて来たの。」

 

うん、あの時の状況そのままだ。

僕が二人を気絶させた後、美森ちゃんの元に運んだんだよね。

 

『その子はどうしたんだい?』

 

「『この子達を頼むね?』って行って走っていっちゃったわ。・・その後ろ姿がとても脆く見えて手を伸ばしたんだけど、届かなくて、、」

 

完全に記憶がないのならまだしも、まだ少し残っているとはね。

余計つらいだろうに、、

 

「だけど最近は白黒の男の子の夢をよく見るようになって、、しかも翔助君に出会った時からなの。」

 

『なるほど、だから僕に聞いたんだね』

 

「ごめんなさいね?急に聞いて、、」

 

美森ちゃんが言い終わる前に頭を撫でる

 

「えっ、、どうしたの?翔助君?」

 

『自分がどういう顔してるかわかってないのかい?』

 

そう言いながら使いにくい左手で病室内にある引き出しを開けて、鏡を見せる。

 

『そんな表情されて放っておけるわけないだろう?可愛い顔が台無しだぜ?』

 

「・・翔助君、、」

 

『撫でてあげるからさ、少し休んでいきなよ。・・辛かったね、お疲れ様。』

 

「・・翔、助、君。」

 

 

 

少し経ってすやすやと寝息が聞こえたので

昨晩もみてしまってたのかね?

布団の上で寝てしまっていたので、風邪をひかれないように隣に入れてあげる。

 

『・・というかこの状況はたから見たらヤバくないかな?』

 

 

 

 

 

 

そう翔助は呟いた。

 

東郷がなんだか懐かしい気持ちに浸っていたことなんて知らずに。

 

 

 





はい。今回のメインは東郷さんです。

何か誤字などありましたら気軽にご連絡ください。

では。


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その拾五


こんばんは。
いつも通り思いついたので、投稿します

では、どうぞ。


 

 

はい、いつも通りの僕です。

美森ちゃんを寝かした少し後に勇者部の子達が来てしまい。みんな顔を真っ赤にして

問い詰められてしまった。

クラスの男の子達の時のようにのらりくらりとかわそうと思ったのだが、、

 

「翔助!!あんたねぇ!」

 

「・・・!!」

 

「翔助君!?何したの!?」

 

「さぁ、吐きなさい!!吐け!」

 

『おや、夏凜ちゃん復帰したんだね。大丈夫かい?心配したよ~?』

 

「「「話をそらすな!」」」

 

『・・こりゃ無理そうだ。わかった、わかったから。一回落ち着きなよ?』

 

「「「「落ち着けるか!」」」」

 

まぁ、無理でした。

話をそもそも聞いてくれないので打つ手なしだった・・無念。

 

 

何とか誤解をといた時みんなホッっとしていたので、改めて仲間思いな子達なんだということを実感した。

 

 

 

 

数日後----

 

「よし、これで勇者部完全復活だね!」

 

「みんなお見舞いありがとうね。」

 

[気にしなくていいんですよ美森さん]

 

「そうそう。東郷も、夏凜も気にしなくていいのよ~?」

 

「何で私を見るのよ!」

 

うん。本当に完全復活したね~。

早速風先輩の夏凜ちゃんいじりを見られて

いつも通りの日常って感じするね。

 

「この街を私達が守ったんだよね。」

 

『おいおい違うぜ友奈ちゃん?街なんて規模じゃない、世界を守ったんだぜ君達はだから誇ってもいいんだぜ?』

 

「翔助君?そこは『君達』じゃなくて『僕達』でしょ?」

 

「そうよ。・・あんただって頑張ってると思うけど、、?」

 

「お~?夏凜が翔助にデレたわよー!」

 

「風うるさいわよ!デレてないわ!」

 

[あはは、お姉ちゃん(^_^;)]

 

夏凜ちゃんありがとうね

気持ちだけでもありがたいよ。

・・樹ちゃん、その顔文字は?

 

 

「せっかく集まったし、それに夏休みも近いし、何かやりたいわよね~・・じゃあ夏凜!何か案ない?」

 

「今度はいきなり何よ、、そうね。海、とかどうかしら?」

 

「海!いいね~。風先輩どうです?」

 

「ありね!さすが夏凜だわ~。」

 

海ね~。

前世の生活では縁があまりなかったな。

・・血の海はあったけどね。それも全部僕の血だったけど、よく生きてたな僕。

改めて自分のしつこさを実感したよ

 

そう物騒な事を考えている間も夏祭りでの花火など色々と出てきたのだが、、百連発はちょっとね~。

 

「ん~。とりあえず全部やろうよ!」

 

 

友奈ちゃんの言葉と同時に夏凜ちゃんがスマホを取り出していじり始めた

かと思いきや今度は頬を緩ませていた。

少し気になったので、夏凜ちゃんに近寄って疑問を訪ねる。

 

『何か良いことでもあったのかい?』

 

「うわっ!?びっくりさせんじゃないわよ

特になんでもないってか近いわ!!」

 

『心の距離が?』

 

「物理的な距離よ!!」

 

 

そう夏凜ちゃんと漫才している間、みんなクスクス笑ってくれていたので一芝居うった価値があるなぁと思った。

少し後で怒られちゃったけど。

 

 

 

 

・・何回でも言うけど、やっぱりみんないい子達ばっかりだ。

優しくて、可愛くて、何より暖かくて。

 

そんな物に僕なんかが本当に浸かってていいのだろうか?

僕なんかよりも、もっと幸福になるべき人はたくさんいる筈だ。

 

 

 

僕だって夢を見る

それも恐らく悪夢と分類される夢をだ。

 

 

「痛い!痛いよ、、父さん、母さん、、やめてください、、お願いします、、」

 

「ちっ。うるせぇな~。いいか?お前は仕方なく産んでやって仕方なく家においてやってんだぞ?・・そんなお前は俺達のストレス発散器具が無難なんだよ!」

 

「でも父さん。僕ご飯『一年』も食べてないよ、、」

 

「はぁ?何言ってんの?たった一年でしょうが?いや~助かるわー。あんたの食事がいらないってわかったおかげで、だいぶ無駄な食費が減るわ~」

 

「・・じゃあ父さん母さん。何で僕だけ外で寝ないと駄目なの、、?」

 

「ケッ!お前みたいな気持ち悪いやつ家においておいたら何があるかわからねぇだろうがよ。」

 

「もうお父さん!それだけじゃないでしょ~。・・あんたみたいな汚物と一緒にいたらこっちまで汚くなっちゃうわよ」

 

僕が痛がってる所を見るに、幼稚園児ぐらいの時かな?これは。

一般的に見ると、酷い光景なのだろうけど

僕的に見るとこの日は辛さ100がマックスとすると、本当に一桁台だね。

殴って蹴られる回数も少ないし、質問をさせてくれてるあたり生易しいな。

 

両足両手骨折するまでハンマーでおもいっきり何回も叩かれたこともあった。

 

痛みに慣れ始めた僕を叫ばせようとわざと錆びついたノコギリで何回も切られたことも何回もあった。

始めの頃はそれで泣き叫んでいたので、その様子を見た両親は愉快そうに笑ってた

 

 

え?何で死んでないのかって?

昔から傷の治りが僕はすごいよかったのだけれど、両親の痛めつけのせいでそれが加速してしまい、化け物級になった。

どれぐらい早いかというと、リストカットってあるだろ?あれぐらいなら1秒以下で回復するぐらいだ。

 

なら何故自動車に跳ねられて死んだのかというと、あくまでも死に至らない傷の治りが早いだけなため、一撃で死ぬような傷は駄目なのだろう。

 

 

 

でも僕から両親にやり返すようなことはしなかった。

中二ぐらいから避けるようにしたが、避けた後に反撃などはしない。

理由は簡単

誰よりも自分が『異物』であることを理解していたからだ。

 

 

 

「やり返す?なんで?

僕にはそんな資格なんてないよ?」

 

 

 

過去の自分に聞いたらそう答えるだろう

そもそも避けるようにしたのも球磨川先輩に出会ったからだしね。

『僕は悪くない』

そんな名言に感化されてもなお避けることしか、しなかったぐらいだしね。

 

 

 

でも正直僕にとっては悪夢ってほどでもないんだけどね。

見るたんびに今の自分と過去の自分を照らし合わせて、本当にいいのかと思ってしまう事のほうが本題なぐらいだし。

 

『まぁ、そんなこと考えてたらいつまで経っても寝られないよな~。』

 

考えれば考えるほどより思考の底に浸かってしまうので、この事はまたいつかに回そう。そう無理やり締めくくった。

 

 

 

 

 

ついに夏休みに入って僕含めた勇者みんなはバーテックス一同を倒したご褒美として大赦の人達が用意してくれた合宿先にて海水浴を楽しんでいるところです。

 

多分貸し切りなのだろう。

僕達以外にお客さんの姿が一切見られないため、相変わらずスケールがでかいなぁと思った。

 

それにしても、はやけに贔屓にしてもらいすぎのような気がするな、、

病院の病室も、他の人達とは隔離されていたりと扱い方がやけに丁寧なんだよね。

 

 

・・・『供物』だろうか?

確か昔安芸先生からこっそり聞いた話によると、園子ちゃんや銀ちゃんは他の人達とは隔離されて過ごしているらしく、

しかもただ隔離してるだけでなく、、どうやら崇められているらしい。

 

満開した時に失った機能は神樹様へ、つまり神へと捧げたお供え物。

だから大赦は二人の供物となった部位を崇め祀っているのだろう。

 

 

勇者部は夏凜ちゃんは除いて、回数こそ少ないものの、しっかり当てはまる。

二人のように大体の要望を受け入れる、ということはないだろうが、複数回満開した僕と美森ちゃんもいるし、融通はだいぶ利かせてくれるだろうね。

 

「いや~それにしてもいいのかな?こんなに至れり尽くせりでさ~?」

 

「私達はバーテックス戦で病院に入院してたくらいなんだから、少しぐらいは楽しんでも罰はあたらないと思うわ。」

 

少し遠くの砂浜で美森ちゃんの車椅子を友奈ちゃんが押しながらそう会話していた

ふと視点を他の子に移すと、、

樹ちゃんと風先輩は海の砂浜でよく見るようなビーチパラソルを開いて中でくつろいでいた。

えーっと、みんなの水着は、、何て名前の

服だったっけ?

・・ニキビだっけ?、、なわけないか。

 

「風。私と水泳で勝負しない?完成型勇者の力見せてあげるわよ。」

 

「ほう?この瀬戸の人魚と呼ばれたあたしに勝負を仕掛けるとは、、」

 

[聞いたことないよお姉ちゃん]

 

あの二人やっぱ仲良いよな~。

二人一緒に勝負のために海に入っていき、樹ちゃん、友奈ちゃん、美森ちゃんも海に入っていった。

 

ん?僕は入らないのかって?

自慢じゃないが、僕が入ったら5秒で溺れるため、入らない。

今世での小学校では、僕が入ると危ないため、特別に超浅いプールで泳ぎの練習をさせられたのだが、それでも溺れた僕を見て先生に「じっとしてて」と言われたぐらい金づちなのだ。

 

Q浮き輪という選択肢は?

A.浮き輪でも何故か溺れるため却下。

 

致命的すぎて、先生の顔がひきつってしまっていたのは良い思い出だ。

 

そう遠い目をして空を眺めていると足音がしたため視点を砂浜に戻すと、勝負終了した二人以外の三人が恥ずかしそうに立っていた。どうしたのだろうか?

 

「あの、、翔助君、その~。」

 

[私達の水着、似合ってますかね?]

 

「私と東郷さんはフリルが着いたビキニで樹ちゃんはワンピース型なんだけど、、どうかな?」

 

あぁ~ビキニね!

いや~惜しかったな~僕いい線いってたよね?ほら、『ニキビ』の文字列を置き換えると『ビキニ』になるじゃん、ね?

 

・・すみません冗談です。

 

それはともかく、三人の水着姿を見た感想か、、普通にすごい似合ってるよね。

 

『うん、似合ってると思うよ。みんなの良さがしっかり引き出せてるね。もしこの海に他の男の人がいたら、ナンパされてもまったくおかしくないと思うぜ?』

 

「そ、そうかしら。」

 

『うん。服に詳しくない僕でもよく似合うって思うレベルだからね、相当だぜ?』

 

「えへへ、、ありがとう」

 

[ありがとうございます///]

 

どうやら僕の講評は好評のようだ。

講評・好評(こうひょう)だけにね!

 

 

・・・本当にすみませんでした。

 

 

「こらこら~。何あたし抜きでわいわいやってるのよ~?あたし達も混ぜなさい」

 

「ちょっ、風!私は別に、、」

 

「遠慮しないの。あんたも気になるでしょうがよ、異性の自分の評価」

 

『何で服に疎い僕に聞くんですかね?でも二人とも魅力的だと思うけどな~。本当に彼氏いないんですよね?二人共。』

 

「そ、そう。・・何かうれしいけれど、、照れくさいわね。」

 

「あんたから聞いたんでしょ?風。・・わからなくはないけれど、、」

 

おや、また僕の講評は好評の(以下略

 

 

 

 

その後はみんなで色々遊んだ。

友奈ちゃんが異常に強い棒倒しだったり、

樹ちゃんのスイカ割りをみんなで応援したり、、とにかく色々だ。

 

 

年相応にみんな笑顔で楽しんでいる姿を見て改めてこの子達も中学生なんだな、ということを実感した。

 

 

こんなまだまだ幼い子達が世界を守る使命を授かっているなんてとても思えない。

でも、いや、だからこそ。この子達には幸せになって欲しいよね~。

まぁ、この子達だけじゃなくて、なるべく多くの子には幸せになって欲しいね。

 

 

 

そのために僕はなるべくできることをしてあげたいなと改めて思った1日だった。

 

 

 

 





はい。
少し主人公の過去話+ほのぼの回でした

最近主人公の前世について触れてなかったので触れてみましたが、どうでしょうかね?原作を進める事をもっと重視していったほうがいいですかね?

能力に関してはあまり使ってるシーンは少なめですが、、能力が能力なので。

ちなみに、
暗い話+ほのぼのでちょうど良くなるよう意識して書きました。
後半ギャグ多めですし、、
・・なってませんかね?



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その拾六


うまくまとまるまで色々書いていた結果、
少し長めになりました。

どうぞ。


 

 

海で遊んだ後に大赦に用意してもらった部屋へと浴衣に着替えて戻ると、刺身やら蟹やらと豪華料理が運ばれてきた。

 

「あの、部屋間違えてませんか?あたし達には少し豪華すぎません、、?」

 

「いえいえ、そんなことありませんよ」

 

風先輩が心配するのも無理ないだろう。

友奈ちゃんは逆にテンションが高くなってるけど、僕はあまり良い気分じゃない

 

純粋に蟹とかなんてご対面したことないし

刺身なども同じ理由で戸惑ってる。

こんな贔屓にされるのはいくらなんでもおかしいから、裏があるという僕の予想が信憑性を帯びてきたよな~。

しかし、まさかここまで豪華な料理を出してくれるとは思わなかったので正直びっくりしてます。

 

微笑みながら風先輩の言葉に首を振る女将さんに目を向けて見る。

・・きれいな人だな~とても微笑んだ姿が様になってるし。

 

「あらあら、うふふ。ありがとうございますね?」

 

『・・え?声に出てました?』

 

「はい。きれいな人だな~の所から」

 

全部じゃないですかやだ~

何か口説いてしまったみたいで、申し訳なくなってくる。

 

『あはは、すみません。これじゃあ口説いてるみたいですね。』

 

「いえいえ。私よりも周りの方を気にしたほうがいいですよ?」

 

『え?』

 

そういえば何か視線を感じるな。

周りを見て見ると、何故か皆ジト目でこちらを見ていた。さっきまで料理に興奮していた友奈ちゃんまでもがだ。

・・・何か少し温度が下がったような?

 

『……少しトイレに行ってくるから、皆で先に食べ始めちゃってていいよ~?』

 

このままこの場にいたら、病院の時の二の舞になりそうなのでとんずらさせてもらいましょう。

誰かに何か言われる前に急いで部屋を出て

トイレ、、ではなく、外に出る。

 

 

 

外に出て、ふと空を見上げる。

『天の神』って言うぐらいだから、天にいるんだよな?

天の神様と神樹様ってどちらが強いのだろうかね。『○○が強い』なんてのは子供ならではの比較したがりな考え方だけど、やっぱり気になるよね~

 

まぁ天の神様だろうね。そもそも神樹様のほうが強いのならこんな防戦みたいなことしなくていいだろうしね。

 

ふとポケットから一本のネジを取り出す

『大嘘憑き』が【なかったこと】にできるのは『現実』(リアル)だけだ。

詳しく言うと、因果を消滅させることで現象・事象・概念の結果を【なかったこと】にしている。

 

改めて考えると少し注意点はあるとは言え

やっぱりチート級だと思う。

何でこんなに強い能力を持っているのにあの先輩は負け続けるのだろうか。

まぁ、僕はあの先輩に憧れたのは正直言って能力なんかではない。

 

 

あの人の決意の強さに憧れたんだ。

 

 

といってもあの人には良いところばっかりじゃない。むしろ悪い所のほうが多いぐらいだけど、それでもやっぱり

 

 

 

『僕はあの人がいい。』

 

 

 

 

部屋に戻ると、みんな既に食べすすめていたが、律儀にも僕の分を残してくれていたのは彼女達らしいと言えるだろうか。

 

「あら、随分と遅かったわね?何かあったの?」

 

『いえ。ほんの少し夜風に当たってただけですよ~。』

 

「そう、、ん?あんた手に血がついてるわよ!?」

 

そう風先輩に言われてふと手を見てみると

手に血が少しついていた。

あらら、考えている時に思わずネジを強く握ってしまっていたらしい。

 

『実は、少し暗くて転んでしまいまして、

あ、でも、もしもの時のための絆創膏を常に持ち歩いているので大丈夫ですよ。』

 

[用意が良いですよね、翔助先輩は]

 

『用心深い性格なだけだよ?僕はね』

 

本当は前世の時のなごりが残っているだけなのだけどね。

 

 

「取りあえず位置的に私がお母さんをやっているから、翔助君もご飯のおかわりをする時には言ってね?」

 

『美森ちゃんがお母さん、、なんか厳しそうだね~。』

 

「翔助、、それわたしが言ったわ。」

 

『ありゃ、そうなの?美森ちゃんだったら門限を破ったら柱に磔られそうだね』

 

「さすが、翔助君。もちろんよ」

 

『胸を張って言うことじゃないぜ?美森ちゃん?』

 

 

そんなやり取りをしつつ、勇者部で団らんをしながら食べた夕食は温度関係なく、暖かかった。

 

 

 

 

豪華な夕飯を食べた後はみんなと別れて旅館の広い温泉に浸かっていた。

 

『しかし、、何か虚しいなー。』

 

広いが故に、一人だけだといかんせん虚しい物があるよね。

 

暇だな~歌でも歌えれば楽しくなるのだろうが、僕が知っている歌などまったくないためそれは無理だ。

 

「ひゃあああ!?」

 

 

・・また何かやってるよあの子達は。

声からしてあれは夏凜ちゃんだろうが、、何やってんだかね~みんなはー?

そう思いにふけている風先輩の声が聞こえてきた。

 

「おーい!翔助~?あんたってどんなタイプが好みなのー?」

 

今聞くことかね?それ。

好きなタイプねぇ~、、ふと少し前まで、

一緒にやっていた三人を思い浮かべる。

 

ん~彼女達と僕じゃ釣り合ってなさすぎるよな。勇者部の子達も同じだなー

将来僕なんかよりもいい男の人と一緒にいるみんなは想像すると、少しの寂しさもあるが、うれしさのほうが大きいな。

 

 

いやいや、そうじゃない。

好きなタイプ、、特にないよなー

 

『特にないですよ~』

 

「えぇーつまんないわねぇ~」

 

『そんな事言われましても、、っと。先に上がってますね~?』

 

「はーい。」

 

 

 

 

お風呂から上がったみんなと合流して部屋に戻ると、布団が男女で分けられていない光景を確認してしまった。

……うん。デジャブだね。

 

『中学生なのに男女水いらずってわけにもいかないだろうに、、何故?』

 

「まぁまぁ、あたしも正直言って恥ずかしいっちゃ恥ずかしいけど、翔助ならまだいいわよ?」

 

「わ、わたしも、だ、大丈夫だよ?」

 

『信頼されているのはうれしいですが、風先輩はもうちょっと危機感を持ってください。友奈ちゃんは言葉を安定させてから物を言ってくれると良かったな。』

 

「ま、まぁ。私もあんたの事は信頼してるし?あんたなら別にいいかなって、、」

 

「私も翔助君なら別に、、」

 

[私も皆さんと同意見です。]

 

『ハァー。みんな可愛いんだから気をつけなよ?男は狼なんだから、悪い人に捕まらないようにね?』

 

ため息をつきつつ、仕方なく布団に入る

席はくじ引きで決まった

僕は端で隣が友奈ちゃんとなった。

 

「よ、よろしくね?」

 

『そんな改まらなくていいんだよ?むしろ寝るんだから、リラックスリラックス』

 

ガッチガチのロボットみたいになった友奈ちゃんを見て思わず苦笑してしまう。

みんなが布団に入ったのを確認して風先輩が話をきりだす。

 

「せっかくだから寝る前に少し話しましょう?・・やっぱり定番のあれよね?」

 

「訓練で何がきつかったとか?」

 

「夏凜違う、そうじゃあない。」

 

まぁ、どうせ恋ばなとかだろ?

これも昔に見た光景だしね。

 

「やはり、日本の今後についての在り方をですね、、」

 

「東郷、それも違うわ。」

 

[コイバナとか?]

 

「そう、それ!さすが、わが妹ね~」

 

ですよね。というか同性しかいない時にやってくれよ、と言おうかと思ったが、多分聞き入れてくれないので黙っておこう

 

「あたしの恋ばなはね、昔チアリーダーのあたしに惚れた男がいたんだけど―」

 

『告白されてもふったんですよね?確か理由は子供っぽいからって。』

 

「ちょっ、話させてよあたしに。」

 

「・・同年代の男子ってそんなもんじゃないの?普通」

 

「いや~でも子供っぽく見えるのよね。女の人の写真見てニヤニヤしてたりとかしてるからさー」

 

『男の子ってそういう物ですよ?中学生に大人っぽさを求めるのは少し酷では?』

 

「それもそうなんだけど、あんたがいるから余計子供っぽく見えるのよ。」

 

え?僕のせいなの?

とんだ濡れ衣だなー

 

「他のみんなは何かないの?特に翔助」

 

『え?何で僕なんですか?』

 

何故?しかも『特に』って何?

 

「あんたはまったく恋ばなとか想像できないの。だから気になるのよね。」

 

そういうもんなのか?

まぁ、恋なんか昔も言った通り前世じゃあする暇なんかなかったし、今世でもそういうのは縁遠いものだなー。

 

みんなはお風呂の時も言った通りつり合って無さすぎで、そもそも恋愛感情なんか恐れおおくて沸かない。

 

あれ?僕ってつまんなくね?

 

『ご想像の通り、そんな浮わついた話しは持ち合わせてないですね、、代わりと言ってはなんですが、クラスの男友達の澤口君の恋ばなを話しましょうか?』

 

「それ勝手に言っていいの、、?」

 

『彼には僕がクラスの女の子と喋るたんびに腕をつねられたりしているので、その事についてのささやかな仕返しですよ』

 

本当に澤口ちゃんは困ったものだ。

女の子と僕が話してる姿を見るたんびに嫉妬や憎悪の視線で見てくるからね。

後ですごい愚痴だとか言われるし、、

少しぐらいやり返してもいいだろう。

 

「そうなのね、、あたしはいいや。」

 

「私も遠慮させていただくわね。」

 

「私もいいわ」

 

「わ、わたしもいいかな。」

 

[みなさんと同じく大丈夫です]

 

澤口ちゃん、、興味ないってよ。

ドンマイ。

 

 

 

その後美森ちゃんが怪談話をした後に、ちょうど消灯の時間になったのでみんな震えながらも、寝床についていた。

 

 

 

 

私こと結城友奈はただいま、恥ずかしいことに東郷さんの怪談話を聞いてしまったおかげで、どうしても目が冴えて眠れない

 

しかもそんな時にお花摘みに行きたくなってしまうという最悪コンボである。

うぅ、、とてもこの暗闇の中一人で行くなんて無理だよ、、

 

ふと静かに寝息をたてている隣の男の子に目をやってみる。

翔助君の位置にちょうど月明かりがかぶっているため、中性的な寝顔が良く見える

 

・・悪いけど、付いてきてもらおう。

 

そう申し訳なく思いつつ、彼の肩に手をかけようとすると、誰かの手と重なった。

 

「「あっ」」

 

誰かと思い、重なった手の先の人物を確認するため視線を前にずらすと、よく見知った人物がいた。

 

「と、東郷さん!?」

 

「ゆ、友奈ちゃん!?」

 

驚きの声を二人揃ってあげてしまう。

な、なぜ東郷さんが?

そう疑問に思っていると、彼の身体がもぞもぞと動き出した。

 

 

『んぅ?…友奈ちゃんと、美森ちゃん?どうしたの?こんな夜にいったい?』

 

「あ、、ごめんね、起こしちゃって」

 

「私からもごめんなさい。」

 

『んん。いや、大丈夫だけど、、二人共怪談で眠れなかったのかい?』

 

「えぇ。恥ずかしいことに、自分で話したのにも関わらず、怖くなっちゃって。」

 

なるほど、あの怪談はかなり怖かったから仕方ないよね。

……私の用を言いたいけど、いざ言うとなると、やっぱり恥ずかしいな。

 

「あの、私は、、」

 

『ん?・・いいよ、行こうか。』

 

私が言葉を濁しているのを見て察してくれたのか、彼は微笑んでゆっくりと布団を起き上がり優しく手を引っ張ってくれた。

 

 

 

用を足して、後は二人と一緒にもとの部屋へと帰るだけとなった。

 

「ごめんね、二人共来てもらって」

 

「私は構わないわよ。友奈ちゃんのためですもの、これぐらい。」

 

『美森ちゃん?もともと友奈ちゃんが怖がった原因の怪談を喋ったのは君だぜ?』

 

「うっ。それを言われると辛いわ、、」

 

二人に謝ると、東郷さんは気にしてないように胸を張り、翔助君はそんな東郷さんに突っ込みを入れていた。

二人の優しさがよく見えて、少しうれしく思い、頬が少しゆるむのを感じながら部屋へと戻った。

 

 

 

「うぅ。やっぱり眠れない。」

 

さっきまでは二人がいたから怖くなかったものの、やっぱりいざ一人になると怖くなってしまう。

 

ふとさっきまで一緒にいた男の子を見ると手が布団からはみ出していた。

 

・・少しだけ、、いいよね。

 

その手を握ると、手を引っ張ってくれた時と同じぬくもりを感じる。

少し恥ずかしいけど、落ち着くなぁ。

 

『何してるんだい?友奈ちゃん?』

 

「ひゃ!?」

 

急に声をかけられてびっくりしてしまい変な声を出してしまった。

ゆっくりと前を向くと、いつの間にか身体をこちらへと向いて私を見ていた。

翔助君と目が合い、さっきまでの自分の行動を振り返り、頬が熱くなるのを感じる

 

「あ、あの翔助君、、これは、、」

 

弁解しようと試みるが、いかんせん羞恥心で頭が一杯になり、思考が回らない。

どうしようかと悩んでいる内にだんだん涙目になってきてしまう。

 

そんな私に少したったあと頭から暖かい感触が伝わってきた。

 

「・・翔助君?」

 

すぐに私は彼に撫でられているんだと理解できた。

とても暖かくて、優しい撫で方だ。

 

『まだ寝られないんだろう?・・僕は大丈夫だよ、他のみんなにも言いふらしたりしないからさ、力抜きなよ?』

 

そう私に優しく言い聞かせるように彼は話してくれた。

……だんだん力が抜けて、さっきまでの開いていた瞼が、嘘のように閉じていく。

 

『いつも君は頑張ってるんだからさ、たまには人に甘えてもいいんだよ。だから』

 

 

 

『おやすみ。【友奈】』

 

 

完全に瞼を閉じる前に見た彼はいつにも増して優しく微笑んでおり、彼にいつものちゃん付けを外されて呼ばれた時、心身ともにとても暖かく、心地良かった。

 

 

 





自分的にはほのぼの増し増しで書いたんですけど、どうですかね。

最後主人公が友奈ちゃんのちゃんを外しましたが、括弧はまだ外してません。

だからって主人公は適当に言ってるわけではありませんのでご安心を。



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その拾八





 

 

 

ある日の勇者部ではまた、風先輩に集められ、みんなで机の上においてあるアタッシュケースを開いて、中にある端末を触り、不備がないかそれぞれ確認する。

 

その後風先輩によりバーテックスの生き残りがいて、戦いが延長戦に突入したことを

伝えられる。

 

「みんないきなりでごめん、、」

 

「先輩の責任じゃないですよ!先輩だってさっき知ったばかりじゃないですか」

 

「そうよ風。それに私達はあの総力戦も生き残ったんだから、生き残りを潰すぐらいなら問題なしよ」

 

[勇者部5ヶ条

なせば大抵なんとかなる!]

 

「そうですよ!みんながいれば怖いものなしですよ!」

 

「みんな、、そうね、みんな一緒ならバーテックスなんて問題じゃないわよね」

 

最初は俯いていた風先輩の表情が、みんなの言葉で、いつも通りの明るく、活発な表情に戻っていた。

 

ふとやる気になっているみんなの顔を一通り眺めてみる。

最初はあんなにおぼつかなくて、不安そうな感情が見え隠れしていたのに、、いつの間にか自分よりも頼もしくなって、成長していっているんだなとうれしく思うが、

 

 

・・もう、僕は必要ないかもね。

 

 

そう寂しくも思うな~

少し経ってまた、樹海化が始まった。

先代の時の事も合わせると、もはや見慣れてしまっている風景を眺めながら勇者部のみんなの言葉に耳をかたむける。

 

「さあ。今回の敵で本当に最後の戦いよ、

また、アレやるわよみんな!」

 

「えぇ、また?ほんと好きよねー」

 

『夏凜ちゃん。そう口では言ってるけど、しっかりとやるんだね?』

 

「・・うるさいわ!」

 

「あはは、、まあ、先輩は体育会気質だからね~。」

 

「いいじゃないの別に。よーし、バーテックスなんかに負けないわよ!勇者部ファイトー!!」

 

「「「おー!」」」 [おー!]

 

 

バーテックスとご対面すると、今までとは違い、小さな影?みたいなのがわしゃわしゃと走ってきていた。

どうやら総力戦の時に僕が仕留めた双子座の色違いバージョンらしい。

 

「あの時のバーテックス達と比べるとやっぱりちっちゃいねー」

 

「あれ?翔助が仕留めなかったっけ?似たようなやつ」

 

『多分二人で1セットなんでしょうね、あの双子座は名前のまんま。』

 

 

 

双子座との戦いは今まで培ってきた経験を生かし、見事なチームプレーで被害をほぼ出さないで討伐できた。

途中で御霊の数が多過ぎるというトラブルが起きたが、僕が槌を振り回すことで強引に潰し、残りをみんなに対処してもらうことによって無事倒した。

 

 

樹海化が解けていく中、みんながそれぞれ話しているのを見守っていると、僕の精霊達が裾を引っ張っていたので目を向ける

 

『ん?どうしたんだい?』

 

《しゅじん、、だれかにひきよせられてるよ、いや、よばれてる?っていったほうがいいかな?》

 

え?どゆこと?もしかして敵の残党がまだまだいて、殺しにきてるってことか?

 

『呼ばれている?誰にだい?』

 

《ん~。しゅじんのかんがえてるみたいにバーテックスとかてきのけはいはないよ、むしろ、、みかたかな?》

 

『味方?なおさら誰だろうか、、』

 

《・・たぶんだけど、わかった。》

 

さすが精霊の中で一番一緒にいた轟山だ、

勘が鋭いね~

……一体誰なんだろうか。

 

『教えてくれないかい?轟山。』

 

《……いいよ・・このけはいは、、》

 

 

轟山が言葉を紡ごうとする間も樹海化がどんどん解けていく。

樹海化が完全に解けた時と、轟山が言葉を発するのはほぼ同時だった。

 

 

《そのこさんと、ぎんさんだよ。》

 

 

解けた後の景色はいつもの屋上とは違い、まったく見に覚えのない場所だった。

 

「え?ここは、、?」

 

「友奈ちゃんに、、翔助君、、」

 

周りを見渡すとさっきまで五人いた筈が、友奈ちゃんと美森ちゃんしかいなかった

 

『二人共、無事かい?』

 

「う、うん。でも風先輩達がいないよ」

 

「なんで私達だけいるのかしら、、それにいつもなら中学校の屋上に出るはずなのに、、」

 

「そうだよね、、」

 

二人が頭を抱えているところを見て、ふとさっき轟山が言った言葉を思いだす。

 

これは園子ちゃん達がやったのか?

一体なぜ、、いや、このタイミングなら話すことはあれしかないか。

 

僕も二人と同じように考えに浸っていると懐かしい声が聞こえてきた。

 

「ずっと呼んでたよ、、わっしー、それに、、にっしー」

 

「やっと成功したよなぁ~。」

 

久しぶりに聞いたな、この声

相変わらず優しい声してるよ、二人共。

 

「わっしー、にっしー。二人が戦ってたのずっと感じてたよ、、やっとみのさんと一緒に呼び出し成功したよ、、」

 

「会いたかったよ、二人共。」

 

声が後ろから聞こえたので、振り返ってみると、変わり果てた二人の姿があった。

 

園子ちゃんは身体を包帯で巻かれており、銀ちゃんは包帯こそ園子ちゃんよりは少ないものの、その分他の所にまわされているんだと思うと痛々しく思える。

 

「わっしー…?東郷さんのお知り合いの人なの、、?」

 

「ううん……初対面のはずだけど……」

 

「っ……」 「あはは……だよな。」

 

「じゃあ、、にっしーって言うのは?」

 

『・・僕はね、少し昔に関わったことがあるから、知り合いって感じだね。』

 

「ごめんね、わっしーっていうのは私達の大切な友達なんだ。」

 

「似ててさ、間違っちゃったよ。」

 

やはり面と向かって『知らない』と言われるのは来るものがあったのだろう。

美森ちゃんの言葉を聞いて悲しそうな表情をしながら、二人は言い訳を述べる。

 

「それよりも、、バーテックス退治お疲れさま。」

 

「!?あなた達は、バーテックスの事を知ってるんですか!?」

 

「知ってるも何も、私達は勇者として昔戦ってたからねー」

 

「君たちでいうところの先代勇者ってところになるのかな?あたし達は。」

 

「・・あなた達が、先代勇者、、」

 

「うん、正確にはにっしーもそうなんだけどね。」

 

「「え!?」」

 

驚いて二人がこちらを見てくる。

 

『ごめんね。なるべく混乱を生まないよう今まで黙ってたんだよ。』

 

苦笑しながら二人に話す。

下手な混乱を生まないように話してなかったんだよ。

でも大赦の人間である風先輩が、僕のことを知らされていないのは想定外だったよ

 

「え、えっと、その身体は一体、、」

 

僕の話題から気持ちを切り替えた友奈ちゃんは二人の服装を見て、そう訪ねる。

 

「私達はね、大切な友達と一緒に戦ってたんだよ。……まぁ、その結果がこんな風になっちゃったけどね。」

 

「えっと、友奈さんだっけ?どうしてこうなったか大体想像つかない?」

 

「もしかして、、まさか」

 

「友奈さんは満開したんだよな?」

 

「はい、しました……」

 

「友奈ちゃん、咲き誇った花はどうなると思う……?」

 

「・・っ、、」

 

「満開した後、身体のどこかが不自由になったよね?」

 

やっぱり散華の事について知らせるために僕達を呼び出したのか。

二人共勘はそこそこいいほうなので、もうすでに察しているように、顔の表情を険しくさせていた。

 

 

「『散華』、、それが神の力をふるった人間への代償。」

 

 

その後園子ちゃん達は満開の詳しい内容を二人に散華を含め話していた。

そして最後に勇者は死ぬことができないということを教えて、自分のことをかろうじて使える右手で指をさす。

 

「それで戦い続けて最終的に、こんな身体になっちゃったんだ、、」

 

「そんな、、」

 

「じ、じゃあ二人のその身体は……」

 

「友奈さんの思ってるとおり代償だよ」

 

銀ちゃんの言葉を聞いて友奈ちゃん達が言葉を失い、固まる。

まぁ、当たり前の反応だよなー

まさか自分達がそんな過酷な使命を背負っているなんて思ってなかっただろう。

 

「なんで、、どうして私達なの?」

 

「……いつだって神が選ぶのは純真無垢な少女達なんだ、、汚れがないからこそ大きな力を扱うことができる……にっしーは例外みたいなんだけどね。」

 

「なぜなのかは、まだよく分かってないんだよな、、」

 

園子ちゃん達がこちらをチラッと見て、そう付け加える。

 

「…まぁ、とりあえず簡単にまとめると、力の代償として体の一部を供物として神に捧げる、、それが勇者システムだよ」

 

「アタシ達にしかできないとは言え、、さすがにひどいよな、、」

 

「で、でも!バーテックスは全部倒したんですよ!……だから戦う必要は、もうないんですよ!」

 

友奈ちゃんの言葉を、園子ちゃんが少し悲しげに聞いてぽつりと話す。

 

「・・そうだといいね・・」

 

「そうですよ!もう十二体のバーテックスはすべて倒したんです……え!?」

 

友奈ちゃんがいきなり驚きの声をあげるので周りを見渡すと、大赦の人達が僕達を取り囲むようにいた。

 

『何かしたのかな?僕達?……二人共、一応僕の後ろに来て。』

 

少し異様な空気を感じたので、ないとは思うが、念のため二人を僕の後ろに控えさせておこう。

 

「にっしー大丈夫だよ。ただ私達を連れ戻しに来ただけみたいだから。」

 

「抜け出してきたからな~」

 

なーんだ、よかった。

雰囲気が完全に危ない人達だったから少し警戒しちゃったよ、まったく、、

 

「この子達は傷つけたら許さないよ。私達が呼んだ大切なお客様なんだからね」

 

その言葉と同時に大赦の人達が頭を地面につけた。・・何かの時代劇みたいだな

この紋所が目に入らぬかー!みたいな。

 

「ごめんな…怖い思いをさせちゃって」

 

「システムの事を隠したのも大赦さんなりの気遣いだと思うんだよ、、でも私はやっぱりそういうのは、話して欲しかったなぁ……」

 

「……園子、、」

 

そう話す園子ちゃんの目には涙がともっていた。銀ちゃんがその姿を悲しげに見つめ言葉をもらしていた。

 

『美森ちゃん、、行ってあげてよ。』

 

「東郷さん、、私からも」

 

「……うん。」

 

そう呼びかけると車椅子を動かして二人のもとに美森ちゃんが向かっていく。

 

三人の会話の内容は同じ先代勇者として悲しい気持ちになるものだった。

リボンについて記憶が失っていても、大事なものということは覚えていることを伝えている所をみると、さらにだ。

 

途中でそんな二人を見かねて友奈ちゃんがシステムの変える方法がないか大赦の人達に向かって叫んでいたが、冷めたく返されていた。仕方ない、そんな方法があるなら最初からやってるだろうしね。

 

 

「……園子様、銀様。そろそろ、、」

 

「……もうそんな時間か、、はぁ…仕方ないね。また話そうね、みんな。」

 

「ごめんないきなり呼び出して。」

 

 

「・・うん」 「・・えぇ」

 

そう返して車に乗り込む二人に続いて僕も乗り込もうとするが、大赦の人達に腕を捕まれてできなかった。

 

『・・あの、離してくれません?』

 

「申し訳ないのですが、その頼みは受け入れることはできません」

 

「え!?翔助君!」

 

「翔助君が何したって言うんですか!」

 

僕が捕まえられているのに気づいた二人が僕に駆け寄ろうとするが、他の大赦の人達が間に入り、足止めをくらっていた。

 

「このたび、翔助様は園子様や銀様と同じように入院することが正式に決まりました」

 

「に、入院!?」

 

「そんな、、何でですか、、?」

 

「実は翔助様は、身体の内臓や脳の動きが大体止まっており、なおかつ『身体の成長』が一切ないことと、『感覚神経の衰弱化』が見られたので前々から検討されていた入院の件が正式に決定されました」

 

 

「「え?」」

 

 

「……やっぱり無茶してたね。」

 

「予想を裏切らないよな……」

 

大赦さん達が告げた通り、以前話した僕の残り2つの散華は、『成長のストップ』と

『感覚の衰弱化』というものだ。

 

成長がストップしてるせいで、運動能力は前世よりも悪く、身長も1㎜たりとも伸びていない。感覚喪失に関しては名前の通りで

痛いなどの刺激はもちろん、暖かいや寒いなどにもとても鈍くなっている。

 

急なカミングアウトに固まっている二人に苦笑しながら謝罪する。

 

『ごめんね?こんなこと言ったりしたら、みんな慌てふためくだろうからさ、心配かけるわけにもいかないしね。』

 

「『心配をかける』?・・翔助君何で言ってくれなかったの?いつも私達に言ってくれたじゃない!」

 

「そうだよ!『悩んだら相談!』って言ってくれてたのに、、何で!?」

 

二人がそう僕に叫ぶ。

表情を見ると、涙目で話してくれなかったのを本気で悲しがっているのがわかる。

 

 

・・こんな優しい子達を泣かせるとはね

僕はなんて最低なやつなんだ。

 

 

二人と最後に謝りたい思いで、足をばたつかせて大赦さんの腕から逃れようとするが僕の力ではびくともせず、大赦さんは首をただ横にふっていた。

 

『そ、そのちゃん、ぎ、銀ちゃん。大赦さんに何とか言ってくれないかい?』

 

仕方なく、二人の力を借りようと要請する

が、二人は首を横にふった。

 

「ごめんね、にっしー。こうなった大赦さん達は私達でも言うこと聞いてくれないんよ。」

 

「アタシも同じだ。」

 

『そんな、、お願いですから、、ちょっとだけでいいんです!』

 

僕はそうしゃべりながら必死にもがくがやはりびくともしない。

くそ、ただでさえ身体能力が低いのに、散華も相まってますます無理だ。

 

 

どうしようか思考錯誤していると、鈍くなった感覚神経でかろうじてビリっとした感覚を感じとった後、意識が薄れていく。

 

『その、、ちゃん?……何で、、』

 

「ごめんね?にっしー」

 

 

最後にそんな声が聞こえたので、園子ちゃん達の表情を見ようとしたが、二人に抱きしめられていて見ることができなかった

 

 

 





前はほのぼの増し増しだったので、今回はシリアス増し増しです。

少し展開が急かもしれませんが悪しからず

暖かく見守ってくれるとありがたいです


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その拾九


自分の小説情報をふと見ると、書いた文字数が10万字越えてました。

気軽に感想などを書いていただけるとアドバイスなら参考に、他なら励みになりますのでありがたいです。


・・ふと気になったんですが、この小説に来た人って『~は勇者シリーズ』を知って来てくれた人と、『めだかボックス』の球磨川先輩を知って来てくれた人、どっちの方が多いんでしょうか?




 

 

目が覚めると知らない天井だった。

……って、定番のセリフ考えてる場合じゃないよな~。

 

しかし、まさか園子ちゃんにスタンガン使われて気絶させられるとはな。

まぁ、あのスタンガンかなり弱めだったから普通の人ならほんのちょっと痛いぐらいだろうから僕の身体が弱すぎるだけだな

そのあとに抱きしめられたのは病院に精霊の力を使って転移するためだろう。

 

「……あ、起きた~?」

 

「……お、本当だおはよう。」

 

起きた僕に気づいた二人が挨拶してくる

というか、同じ病室なんだね。

 

『中学生の女の子と同じ病室なのか』

 

「……そのほうが私達、満開複数組を奉りやすいからじゃないか?」

 

なるほど、それなら納得だな。

 

「まあ、私達が一緒がいいって言ったのもあるんだけどね~。」

 

「ちょ、ちょっと言うなよ園子!」

 

・・へぇー二人共うれしいこと言ってくれるねぇ~。

 

『あはは、そう言ってくれると、友達冥利に尽きるよ~ありがとうね?』

 

そう感謝の言葉を二人に告げると、ジトーっとした目を向けられる。

さっきまで恥ずかしがって頬を赤らめていた銀ちゃんまでジト目で見てくる。

・・何で?何か変なこと言った?

 

『……何か変な事言ったかい?』

 

「…そういう所だぞー?翔助ー?」

 

「……これはやっぱり難しそうなんよ」

 

『??』

 

えぇー?わけわかめなんだが?

でも、それから色々な話を数日間して盛り上がった。勇者部の子達の話しとかは面白がって聞いてくれていたけど、こころなしか顔が少し険しくなっていたので、疑問に思いながらも昔三人の時間を楽しんだ。

 

「いやぁーやっぱり翔助がいるだけでだいぶ暇をつぶせるなぁー」

 

『銀ちゃん?君は僕のことを暇潰しの道具か何かだと思ってないかい?』

 

「……べ、別にー?」

 

『無理があるぜ銀ちゃん。』

 

「あはは。・・こうして話すとまるで散華がなかったころに戻ったみたいだね~」

 

『美森ちゃんもいたら、、そうだね』

 

僕がそう言ったのを皮切りに空気が変わり悲しい雰囲気になる。

 

「そっか、、今は美森だったっけ。」

 

「わっしー元気そうで何よりだったよ」

 

 

そう話す二人の表情には少し影がともっていた。・・いくら前よりも成長して、中学生になっているとしても、この子達は可哀想すぎるよなー

この世界は前世と比べてどの人も優しい性格の人ばかりで一見平和と思うかもしれない、だけど裏では『勇者』と呼ばれる子達が身を削り平和を作っている。

 

ははっ、『誰かが犠牲になっている』という意味では前世と同じだね。

人はどんなにいい人でも、気づいていないだけで他人を蹴落としている。

・・ほらね?一緒だろ?

まあ、これは今世でも言えるけどね。

 

 

違いは犠牲になる人が『弱者』から

『無垢な少女』になってることかな?

 

 

そんなことを考えていると、ふと空気の乱れを感じた。

・・誰かが何かに怒ってる、、いや、そんなレベルじゃないな。怒り狂ってるって表して丁度良いレベルだ。

 

「……ん?どうしたんだ、翔助?」

 

さっきまで倒していた身体を急に起こした

僕を不審に思ったのか、銀ちゃんが不思議な様子で訪ねてくる。

 

『……何か嫌な予感がしてね。』

 

「…確かに何か変な感じがするね、」

 

「そう言われてみると、確かに、、」

 

コンコン、、ガチャ

 

銀ちゃんがそう言いかけた時に病室の部屋の扉が数回のノックと共に開く。

 

「失礼します。園子様、銀様、翔助様。」

 

大赦の人達が断りを入れて、入って来る

 

「現在、現勇者の犬吠埼風が暴走しております。」

 

「そうみたいだね。」

 

・・色々と原因は考えられるが、大方樹ちゃん関連だろう。

確か前にこっそりと夢があることを教えてくれたのだが、、もしかしてそれか?

樹ちゃんの代償は声……なるほど。そりゃあ暴走するわな。

 

「皆さま、これを」

 

大赦さんが三人分の端末が入ったアタッシュケースを開く。

「止めろ」ということだろうね。

 

「どうか皆さまのお力を貸していただけませんでしょうか。」

 

僕達は代償によって普段は動けないが、変身すれば話しは別だ。

精霊のサポートがあるため、代償は関係なく、更には僕達三人は何回も満開を行ってきたため、純粋な力は勇者部の皆よりもあるだろう。それに先代では訓練もやってたからある程度身体はできてるしね。

 

「私達は手をださないよ」

 

園子ちゃんのその言葉で、一瞬静まりかえったのち、大赦さん達が慌てる。

 

「し、しかし皆さま、このままでは」

 

『僕は行ってくるよ。』

 

僕がそう言うと、今度は園子ちゃん達が驚愕の表情を浮かべていた。

 

「お、おい?翔助何言ってるんだよ?」

 

「にっしー、、冗談にしては、、」

 

『おいおい。僕は本気だぜ?』

 

「・・正気なの、、?にっしー?」

 

ベッドから降りて、アタッシュケースの中にあった自分の端末を取り出すと園子ちゃんが不安そうな表情で聞いてくる。

 

『風先輩がああなったのは僕の責任でもある。総力戦の時に言っておけばまだ違う未来があったかもしれない、、だから自分の過ちは責任を持って僕が行うよ。』

 

そう答えたのと同時に変身して窓から他の家の屋根をつたって風先輩の元にいく。

 

 

 

 

風先輩の元に行くと、どうやら夏凛ちゃんと戦闘中だったらしく、剣で防御している夏凛ちゃんを風先輩が大剣でおしていところから長くは持たないだろう。

 

『・・『大嘘憑き』夏凛ちゃんとの距離を

【なかったこと】にした。』

 

丁度大剣で押しきられる寸前に二人の間に

入り、長剣で風先輩を大剣と一緒に弾く

 

「翔助!?あんたいつの間に、、?」

 

『大丈夫かい?夏凛ちゃん?そんなことは一旦、置いておいて…少しやりすぎですよ?風先輩。』

 

「翔助、、あんたまであたしの邪魔するのかっ!!」

 

『風先輩、あなたは妹思いのいい人だ。そんな人に道を踏み外させるわけにはいかないでしょうよ。』

 

「……そう。ならあなたはあたしの敵ってわけね、、」

 

『そうなりますね』

 

「なら……潰す!!!」

 

そんな敵意がこもった言葉に比例するかのように大きくなった剣を振りかざしてくる

が、こちらも長剣から槌へと切り替え、大剣を弾きとばす。

 

「……くっ!まだまだぁぁ!」

 

めげずに何度も斬りかかってくるが、こちらはそれを全て弾き返す。

 

『もう、やめません?』

 

「やめるわけないでしょ!!」

 

『樹ちゃんがこんなことされて嬉しいと思うんですか?』

 

「……っ。でも、あたしがこんな部を作ったから、樹も皆も巻きこんじゃったのよ!!全部全部、あたしと大赦が悪いのよ!!だから、、だから!」

 

ハァー。まったく、、責任感が強すぎるんだよなぁ~風先輩はさー。

風先輩は何やかんやで他の人を思いやられるような人だ。

・・一番止めやすい手をつかうか。少し心苦しいが、、仕方ない。

少し時間を稼ぐだけでいい、、そうすれば後は彼女がやってくれる。

 

『なるほど、風先輩の辛さはよくわかりましたよ…だから、、これでどうです?』

 

そう言いながら勇者衣装を解除する。

 

「・・は?」

 

『は?じゃないですよ。あなたがそこまで言うなら一思いに斬りかかって来てくれていいですよ。』

 

『僕は逃げも隠れも、反撃も防御もしませんよ。そのかわり、、』

 

『僕を倒さない限りここから先へは行かせませんよ?』

 

「・・・・」

 

僕がそう言うと、風先輩は最初は大剣に手をかけようとしていたが、すぐ手を離し、顔をうつむかせていた。

やっぱり、風先輩はいざやるとなると躊躇しちゃうような優しい人だ。

 

「……なんであたしなんかのためにそこまで邪魔するのよ、、」

 

そうボソボソ言っているのを聞き取れたので、微笑みを浮かべながら風先輩の近くまで走っていき、抱きしめる。

 

「・・翔助?」

 

『そんな理由なんてたった一つですよ』

 

俯いていた顔をあげた風先輩の顔は少し悲しげな、泣きそうな顔になっていた

そんな風先輩に苦笑しつつ、答える。

 

 

『あなたが大切だからですよ。』

 

 

そう告げた時の風先輩の顔は驚愕で染まって、ほんの少し頬が赤みを帯びていた。

 

『大丈夫です。まだ実害はほとんど出ていませんから、、まだ戻れますよ。』

 

「っ!……翔助、、」

 

『ちなみに先輩のことを大切に思ってる人は他にもいますよ、、ね?』

 

「・・え?」

 

そう風先輩の後ろにいる樹ちゃんに微笑みながら問いかける。

コクリと頷いたのを確認し、さっきまで抱きついてた風先輩から離れる。

 

「あ、、」

 

『ここからは姉妹の時間ですよ。行ってきてあげてくださいよ、風先輩。樹ちゃんも相当心配してたみたいですよ?』

 

なぜか名残惜しそうな声を出す風先輩を樹ちゃんの元へ送りだすために背中を軽くポンと押してあげる。

 

 

良かった~樹ちゃんが居てくれたおかげで、『却本作り』を使わずに済んだよ。

 

 

二人のやり取りに部外者である僕はお邪魔虫でしかない。

そう思い二人から離れて歩くと夏凛ちゃんが一人地面に座っていた。

 

『何やってるんだい?一人でさ~』

 

「うひゃあ!?、、びっくりさせんじゃ、ないわよ!!」

 

『あはは、ごめんね。……暗い顔してどうしたんだい?』

 

あまりにも暗い顔をしてしまっていたので思わず驚かしちゃったよ。

 

「別に、、ただ、『わたしは何もできなかったから』って被せんじゃないわよ!」

 

あまりにも予想しやすかったため、思わず夏凛ちゃんに被せてしまったよ。

まったく、、風先輩といい、夏凛ちゃんといい、勇者部のみんな責任感強すぎだよ

そう呆れながら、夏凛ちゃんを撫でる。

 

「……何で撫でるのよ。」

 

『頭が堅すぎるから少しでも柔らかくなるようにだよ。』

 

「…あっそ。」

 

『いくら強くったって、無敵じゃない。だから何もできないような事があっても仕方ないよ。それでも納得できないなら、次その反省を生かせばいいよ。』

 

「次に生かす、、」

 

『そうそう。まぁ、今回は夏凛ちゃんはちゃんと頑張ってくれてたと思うよ?おかげで僕が追い付くことができたしね。ありがとう、夏凛ちゃん。』

 

「…ふ、ふん、、どういたしまして」

 

そう夏凛ちゃんと話しながら姉妹の方を見ると、風先輩が泣きながら樹ちゃんに抱きついているのが見えた。

・・どうやらあっちも無事解決したらしいね。良かった、良かった。

 

 

そんな二人の家族愛を眺めながら僕は感傷に浸っていた

 

 

 

 

しかし、まだ、

どうにも嫌な予感がした

 

 





入院の話し+風先輩暴走回でした。

怒ってる様子を表すの難しいですね、、


ちなみに今回の前書きの件はおそらくですが、『~は勇者である』から来て下さる人の方が多いんじゃないかと思ってます。



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その弐拾


ちょっと話が進まないかもしれません。

グダグダかもしれませんが、ドラ○もんのように暖かい目で見ていただけると幸いです。

どうぞ。


 

 

風先輩を止めて、姉妹の家族愛をながめたあの後、身体に異変を感じたので夏凛ちゃんに断りを入れて、その場を離れた。

 

『ゲホッ、ゲホッ、、うぇっ、こんなのみんなには見せられないな。』

 

いくら応急措置をしているとはいえ、やっぱり内臓がほとんど使えなくなっているので時々不具合が起きる。

手に、咳と共に吐き出してしまった血を眺めて、思わずそう呟いてしまう。

 

正直吐血なんて前世で見慣れているものなので、全く問題ないのだが、普通の人には異質な光景だろうから見せるわけにはいかないので注意しなくてはね。

 

 

『大嘘憑き』で不具合を一回なかったことにしてから、現在位置から病院との距離をなかったことにして移動する。

やっぱり便利な能力だなー。とても過負荷とは思えないよ、本当にさ~。

 

そんな今さらながら能力による感想を述べながら病院の入り口の扉に手を掛けようとしたが、、その手を止める。

 

病室の二人には悪いが、あの部屋は気持ち悪くて、居心地悪いんだよな~。

しめ縄が外に飾ってあるわ、この前なんか病室の中に人形がベッドの下にたくさんあったし、病室の棚の後ろには変な文字がかいてある書かれている紙がびっしりあって、それはそれは不気味だった。

恐らく神様関係の神聖な物なのだろうが、あれじゃまるで呪われてるみたいだ。

いくら頼めば大赦の人達が大体対応してくれるとはいえ、いくら二人がいるとは言え、好きこのんで戻ろうとは思わない。

 

『…まあ、せっかく数日ぶりに外に出たんだし、、うん、お金はあるな。どこか小さい旅館にでも今日は一泊するとして、、今は最近行けてなかった所に行くかな。』

 

もしも時のためにいつもポケットにいくつかお金を入れておいて良かったよ。

ん?どれぐらい入れてるのかって?

立派な旅館に三泊できるぐらいは入れておいているよ。

ってそんなことよりも、あそこに行かなきゃね。・・時間あいちゃって、、悪いことしちゃったな。

 

 

だからと言って代償付きの身体で走るわけにもいかないので、ゆっくりと目的地へと歩を進めていく。

 

 

 

 

『……やぁ、久しぶりになってごめんよ、

父さん、母さん。』

 

目的地の墓地に着いて、目の前の『西村』

と書かれた墓石の前に立って話す。

 

『…ごめんね。父さん、母さん。最近忙しくってさぁ~。あ、そうそう、園子ちゃんと銀ちゃんにも会ってさ、二人共前より大人びていたから二人にはばれてないと思うけど、びっくりしちゃったよ。』

話しながらも道中で買っておいた花やお供え物を並べる。

そうだと思い、園子ちゃんと銀ちゃんの話しをする。二人共確かに散華のせいでぼろぼろに変わりはてていたけど、優しい雰囲気はまったく変わってなかった。

まあ、父さん母さんに話しているとおり、

前よりも二人共落ち着きがあって大人びており、正直驚いたのだけどね。

 

それからも話しをした。

学校はどうか、家庭環境は、などなどを話していたが、時間は有限。

確かに話したいことはいくつもあるが、僕が今回来たのはそれを話すためではない

一回話すのを止め、深く息を吸って気持ちを切り換える。

 

『……あんたらは本当に馬鹿だよ』

 

新倉さんには事故で亡くなったと聞いていたが、詳しく調べると他の人を庇ってなくなっていたことがわかった。

 

本当にお人好しだよ、今世の親はさ。

 

『…僕はてっきり避難が間に合わなくて死んだんだと思ってたんだけどねー』

 

まさか自分より他人を優先するとはね。

 

まったく、、本当に、本当に、、

 

 

 

 

『あめぇよ。あんたらは』

 

 

 

激甘だ。それこそ反吐が出る程にね。

人なんて、自分が生きていてなんぼの生き方こそが人間のらしい生き方なのにな~

他人を蹴落として、踏み台にして、自分はより高みへと登っていく。それこそが『強者』の生き方だ。

 

 

それに比べて二人は自ら他人を死という沼から引っ張りあげつづけたあげく、最終的に自分の人生さえも捧げた『愚か者』だ

 

甘い、甘過ぎる。

『自己犠牲?』笑わせるな。そんなものヒーローが言う戯れ言だ。

『聖人?』そんなものになってどうする。

名誉なんか得たって、死んでしまえばこれっぽっちの意味もない。

 

 

『下らない』その一言で正直言って二人の生き方はあらわせることができる。

 

 

でも、不思議と、、

 

 

 

そんな甘い両親との生活は、、

 

 

 

 

とても暖かく、心地よかった。

 

だからね、、父さん母さん。

 

 

 

『僕はその甘さ、嫌いじゃあないぜ?』

 

 

 

……言いたいことは言った。

もう未練は何もない。

 

そう思い予約した旅館に行こうとすると、優しく、暖かい声が聞こえた気がした。

 

「・・・がんばれよ翔助。」

 

「・・・私達はいつも見守ってるわよ」

 

一応振り返ってみるが、そこには両親が眠っている墓しかない。

・・まさか死んでもなお僕の心配をするとは、まったく、、できた親だな~

本当に前世とは大違いだぜ。

再び墓に背を向けて、ゆっくり呟きながら少しずつ歩き出す。

 

 

『頼もしい親だね、まったく。』

 

 

 

嫌な予感はいまだにする。

僕の予感はほぼ100%当たるので、その原因について少々考えていたのだけど。

 

 

 

なぜか今日は捧げて調子が悪くなった脳が少しいつもより回ったような気がした。

 

 

 





はい、主人公病院に戻らないっていうね

今世の親との生活で感じたことを改めて話す主人公。
主人公の人の生き方について考え方が少々暗いです。

前世の影響で
まぁ、良くも悪くも現実を見てます。
・・見すぎですがね。


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その弐拾一


誤字報告ありがとうございます!

一応書いた後に見直したりしてはいるのですが、見落としがやはりできてしまっているんですよね、、




 

 

旅館の部屋で朝を迎える。

数日ぶりに普通のベッドで寝たよ~病室のベッドは少し大きくて、硬いのであまり落ち着かないんだよなー。

まあ、とりあえず布団を丁寧に畳んで、しまっておかないとね。

 

片付けがとりあえず終わったので、旅館の女将さんに一言お礼を言ってから旅館を後にして、散歩に出る。

 

 

 

「あははー!待て待て~!」

 

「捕まるもんか!やーい」

 

・・こんな平和に見える風景の裏に勇者なんてものがなかったら良かったのに。

皆の笑顔を脳裏に浮かべる。

 

友奈ちゃんも、美森ちゃんも、風先輩も、樹ちゃんも、園子ちゃんも、銀ちゃんも

みんな笑顔が可愛い純粋な女の子なんだ

 

それが今じゃあ、辛い顔をしている光景の方が思い浮かんでしまうよ。

 

 

 

代償を捧げて夢のための『声』を失った樹ちゃん。

 

人間の三大欲求の一つである食事の『味覚』を奪われた友奈ちゃん。

 

人が持つ五感のうちの『視覚の半分』を失った風先輩。

 

人によっては命の次に大事だと言う人がいるくらい、かけがえのない『記憶』を失った美森ちゃん。

 

そして身体のあらゆるところ失って、あげくには病室に祀られ、『人としての生活』を失った銀ちゃんと園子ちゃん。

 

 

『勇者』なんて言えば聞こえはいいが、中学生には荷が重いなんてレベルじゃない

見たことあるかい?中学生が身体の機能を失いながらも戦い続ける所なんてさ。

・・戦争の時代の日本かよ?徴兵令よりきついじゃないか。

 

「あー!!翔助兄ちゃんじゃん!」

 

「え!?……本当だ翔助お兄ちゃん!」

 

そうマイナスな事を考えていたら小さい子達に話かけられた。

…あの時のみんなだったのか。随分と忙しくて会わない間に見違えたな~

 

『おぉ~久しぶりだね、みんな。』

 

「本当ですよ~!翔助さんがいない間の小さい子達の面倒を見るの大変だったんですよ~?」

 

「あぁ。翔助兄さんのすごさがよくわかったよ、、本当にね、、」

 

『あはは、迷惑かけたね?』

 

なにかあったんだろうか、遠い目をしているこの中で最年長の二人に申し訳なくなってくるね。みんな元気だから大変だっただろうね、面倒を見るのは。

 

みんなの顔ぶれを確認してそう昔のことを振り返っていると、違和感を感じた。

……まさか

 

『…一人いないよな、、?」

 

「……涼君のことだよね。あの子は半年前に病気にかかっちゃって、、亡くなっちゃったんだ、、」

 

「……最後に涼のやつ、いつもは素直じゃなかったのに、翔助兄さんに会いたいって何回も言ってたんだぜ?」

 

小さい子達に話が聞こえないよう小さく気になった事を二人に訪ねる。

あの涼くんがね、、悪いことしたな。

現実世界の影響の対象が涼君に及ぶとは、思ってもいなかった。

 

・・身内が死んだのにも関わらず、あまり悲しみがない自分が嫌になる。

 

『…そうかい。悪いことしたな、、涼君に会わせる顔がないよ』

 

本当に会わせる顔がない。

まともに身内の子の死を悲しめない僕なんかじゃあ、余計にだ。

 

「兄ちゃん達大丈夫~?」

 

少し暗い表情をしている僕達を心配してくれたのか、一人の男の子が話かけてくる

 

『大丈夫だよ、ありがとうね?』

 

「ん、、えへへ~!」

 

『二人もね、ありがとう。みんなの世話をしてくれて助かったよ。だから、そんな暗い顔をしないでくれよ?』

 

「翔助兄さん、、」 「翔助さん、、」

 

悲しそうな表情をしているみんなの頭を撫でながらお礼を言う。頼むから君達までそんな悲しそうな顔をしないでくれよ。

 

 

 

ちなみにその後、他の子達が「ずるい!」って言い出し、みんなの頭を撫でまくったのだが、、いかんせん手が疲れた。

 

 

みんなと分かれ、ぶらぶら歩きながら最近の嫌な予感についてまた考える。

 

何か身内で、何か大変な事が起こりそうな気がするんだよなぁ~。

そう大雑把にはわかっているので、身内の中で言い方は悪いが、問題を起こしそうな子について考えてみる。

 

友奈ちゃんと樹ちゃんはないな。そんな事あの二人が出来そうにない。

 

風先輩は、この前暴れた事によってみんなへの申し訳なさがあり、学校ではたぶん勇者部のみんなに謝って回っているぐらいだろうから、候補から外す。

 

夏凛ちゃんは他人に当たるというより、自分に劣等感を感じて、抱えこむタイプだと思うのでこれまた違うだろう。

 

 

……美森ちゃんは?

 

 

あの子は昔から責任感が強かったし、行動力も中々あったはずだ。それに誰かに話したりせず、一人で抱えこむだろう。

そして何よりもあの子はいつも年不相応に真面目で、しっかりしているが

 

 

 

 

『心』は誰よりも年相応のもので、脆い

 

 

 

 

そんな彼女がもしバーテックスの真実、、壁の外を見たりなんかしたら?

 

 

 

そう深く思考に没頭していると、ポケットに入れていた端末からアラームが鳴り響いたのち、白い光に包まれて、懐かしい樹海へと降り立った。

 

端末を見ると、壁が抉られており、そこから白い物体がわんさかと湧き出ていた。

さらに壁側に目をやると、見知った人物が表示されていた。

 

『・・美森ちゃん、、君がやったのか』

 

紛れもない、『東郷美森』の姿だった。

 





はい。いかがでしたかね?

今日はリアルで通っている学校が、大雪により休みになりましたので除雪や勉強の合間に書いてみました。
今回は少し暗めかもしれませんね。

除雪は疲れますね、やっぱり。

ではまた。


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その弐拾ニ

こんばんは。
書きたくなったので、書きました。

では、どうぞ。


とりあえず端末を一通りながめた後に勇者へと変身をして、準備を整えたのち、壁がある方角に足を走らせる。

 

 

『えぇっと、一、二、三……何匹いるんだよ?とにかくたくさんいるってことしかわからないなー』

 

いざついて対面してみると、とんでもない数いるというのが目に見えてわかる。

まあ、壁が壊されているから当然なんだけどね。開けられた風穴から白いのがうようよと入ってくる。

 

……もしかしたら僕の考えすぎで、美森ちゃんじゃない何者かが穴を開けたのかもしれない。…本人に聞いてみればわかる。

 

 

「あ、翔助!!」

 

「え?翔助君!?」

 

『やあ、二人共。』

 

後ろから夏凛ちゃん、友奈ちゃんの順番で声をかけてくる。

友奈ちゃん、そんなに驚かなくても、、別にちょっと内臓が使えなくて、成長しない

だけの、普通の中学生だぜ?

 

「……翔助君がいるのはびっくりしたけどとりあえず東郷さんの所に行こう」

 

「……えぇ、そうね。」

 

三人で端末を見ながら、美森ちゃんがいるであろう場所に走る。

 

 

 

 

「東郷さん!!」

 

「東郷!!」

 

「友奈ちゃん、夏凛ちゃん、翔助君」

 

美森ちゃんの場所にたどり着いて、二人が声をかけると、美森ちゃんは悲しそうな表情でこちらに顔を向けてくる。

穴からは白い生き物が相変わらず湧き出てしまっている。

 

『……できれば、僕の勘違いであって欲しかったんだけどね。』

 

「……みんなが思ってる通り、壁を壊したのは私よ。」

 

「…東郷さん、、何で、、?」

 

「…もう、だれも傷ついている姿を見たくないの、、だからよ」

 

「……東郷、あんた、、」

 

・・どうやら彼女の決意は固く決まっているようだ。友奈ちゃんと夏凛ちゃんが問いかけるが、美森ちゃんは首を振る。

 

「…私はやらなくちゃならないの!みんなのためにも!!」

 

「っ!東郷!待ちなさいよ!」

 

「東郷さん!夏凛ちゃん!待って!」

 

『・・・・』

 

美森ちゃんがそう叫び、跳び去るのを夏凛ちゃんが追いかけて、友奈ちゃんもそれに続いていったので僕は無言でついていく

 

 

すると、景色が変わった。

一面が赤い炎で囲まれていて、地獄と言われても違和感がないぐらいの光景。

 

「……何よ、、これ?」

 

夏凛ちゃんが絶句しているのを横目で見た後に、美森ちゃんに目を向ける。

 

『…知っちゃったんだね、美森ちゃん』

 

「…えぇ、私達が過ごしていた四国以外の世界はもう滅んでいることも。延々と現れるバーテックスを私達が止め続けないといけないことも。」

 

そう話しながら、白い生き物が合体して大きなバーテックスになっているのを指さしていた。

 

「……そのことを知った私は決めたの。このまま果てのない苦しみを味わって大切な記憶も、大事だった友達のことも忘れてしまうくらいなら、、」

 

 

 

「この無限の苦しみからみんなを救うために、『世界を滅ぼそう』って。」

 

 

…なるほど、確かにそういう考え方があるのも当然だろうね。

終身刑として長く苦しみを味わうくらいなら、死刑になって一瞬で苦しみなく死にたいという感じだろう。

そりゃあ、みんなで永遠に続く苦痛に苦しむぐらいなら直ぐに終わらせたいだろう

 

 

 

でも、、それって『逃げ』じゃないか?

 

 

そう考えていると美森ちゃんが僕達に泣きながら銃口を向けてくる。

普通なら危なくて焦る場面だが、美森ちゃんの表情の方が痛々しくて、気になる。

 

「……東郷さん…」

 

「……だから、、」

 

「お願いだから、、邪魔しないで!」

 

「……できるわけないでしょ!」

 

「…必死に考えたのよ。でもこれしかなかったの!だから、止めないで!」

 

「……っ。それでもあたしは大赦の勇者だから、そうはいかないわよ、、」

 

「大赦はあなたの事を道具として扱っているのよ!!それでもやるの!?」

 

「……ふ、二人共、、」

 

三人が会話している中でも白いバーテックスの合体は進行している。

 

そして、ついに合体し終わったバーテックスが爆弾を放出してくる

 

『そうは問屋がおろさんぜ?』

 

それら全てを槌で打ち返しつつ、夏凛ちゃんに話しかける。

 

『美森ちゃんを止めたいのもやまやまだけど、状況が悪いぜ夏凛ちゃん。』

 

「……っ、、そうね。とりあえず一旦引くわよ!友奈!」

 

「で、でも……東郷さんが、、」

 

逃げようとする二人に再び爆弾が放出されてくる。……さっきよりも多いな。

同じように捌こうとするが、いかんせん数が多いため一部捌ききれないものがでてくるので、二人に直撃しないよう庇う。

 

 

「翔助!!」 「翔助君!!」

 

『ひゅ~効くね~。でも大丈夫だよ、バリアがあるから僕も直撃ではないから、以前問題無しだよっと。』

 

 

とりあえず二人を地面に着地させる。

するといきなり友奈ちゃんが泣き出した

 

「私なんて、友達失格だ、、」

 

「ゆ、友奈?どうしたのよ?」

 

「私、東郷さんが辛い思いをしているのに気付けなかった!そんなの、、友達じゃないよ。だから、、」

 

そう友奈ちゃんが話していると、勇者服が解けていつもの友奈ちゃんに戻った。

 

「変身が解けた、、?」

 

「え?……あれ、どうして変身できないの?何で、、?」

 

困惑している二人を見て、勇者へと変身するための条件を思いだした。

 

『……勇者へと変身するためには、戦う意思を見せないといけない。今の友奈ちゃんはそれに心が不安定なのも相まって、変身できないんじゃないかな?』

 

「……そ、そんな、、」

 

 

僕がそう友奈ちゃんに伝えると、ますます悲しそうな表情をする。

・・本当の事とは言え、なんかごめんね

 

 

その後も変身できない友奈ちゃんを守るために、夏凛ちゃんと一緒になってバーテックスの攻撃を凌ぐ。

俯いて座っている友奈ちゃんを見かねて、夏凛ちゃんがため息をつきながらも、声を掛ける。……素直じゃないなぁ~

 

「…友達に失格もなにもないっての」

 

「…でも、私は、、」

 

夏凛ちゃんに言われてもなお、まだ暗い顔をしている友奈ちゃん。

しかしまぁ、友奈ちゃんも頑固だね。

 

 

……本当に仕方ない子だな~

 

 

「……んっ、、翔助君?」

 

『君が友達失格って言ってるのは、東郷さんの思いに気付けなかった自分が許せない

とそうだろう?』

 

頭を撫でながら、個人的に問う。

本当はもっと色々と細かな理由があるのだろうけど、省略するとそうだろう

念のため友奈ちゃんに確認する

 

「う、うん。そうだけど、、」

 

『なら、大丈夫だよ。』

 

「……え?」

 

『そう考えてるんなら君は友達失格なんかじゃあないよ。』

 

本当に友達失格な子は、その『元』友達の

事なんて気にもとめないはずだ。

 

なぜならその子とはもう『友人』という

見知った関係ではなくただの『他人』という関係に成り下がっているからね。

 

「そ、そんなこと!」

 

『じゃあ、聞くけどさ。君は美森ちゃんをどうしたいんだい?』

 

「そんなの一つだよ…助けたいよ!東郷さんを!だって…世界がなくなったら東郷さんとも、翔助君とも、みんなとも一緒にいられないから、、」

 

とても友達失格の子の言葉じゃないぜ?

そう思い、おもわず苦笑してしまう。

 

『あはは、大丈夫。そう思えるなら君は友達失格なんかじゃあないよ。それに美森ちゃんを助けたいのは、僕も、みんなも同じさ。それに、、君ならできるよきっと』

 

「……あっ」

 

『……無責任な言葉かもしれない。でも、僕は友奈ちゃんならすぐに立ち上がれると思うよ、いつだってそうだったしね。』

 

頭を撫でていた手を言葉と共に離して、友奈ちゃんの前に出る。

すると、夏凛ちゃんも前に出てきて肩が僕とぶつかる。

 

「ねぇ、友奈、翔助。…あたし大赦の勇者でいるのをやめるわ。…これからは勇者部の一部員として戦っていく。」

 

『え?』

 

「……友奈が泣いている姿を見るのも、翔助が辛いめに合っているのを見るのも、嫌だからね、、」

 

そう言いながら、夏凛ちゃんが樹海の上へと走っていってしまう。

 

 

……彼女は、彼女なりの居場所を見つけれたんだね。

 

 

僕もすぐに追っていきたいが、、少しおまじないをしてあげないとね。

 

 

『友奈ちゃん。』

 

 

ギュッ

 

 

「……えっ?」

 

『まだ自分に美森ちゃんが助けられるか不安。って表情してたぜ?』

 

両手を優しく握りながらそう問いかけると、友奈ちゃんは少し僕と目を合わせたあとに無言で少し首を頷かせた。

 

 

『・・勇者部五箇条その五。【なせば大抵なんとかなる】だぜ?友奈ちゃん。』

 

 

 

 

『応援してるよ、友奈ちゃん。……いや、【友奈】。』

 

「!……うん!」

 

そう言いながら夏凛ちゃんの後を追う。

 

 

 

 

 

『夏凛ちゃん。』

 

「……何で来たのよ翔助。」

 

『そりゃあ、女の子に辛い思いさせるわけにはいかないからね。』

 

「…あっそ。」

 

少し顔を赤くしてそっぽを向かれる。

そんな彼女に訪ねる。

 

『……ついに自分の居場所を見つけられたみたいだね。…今の君の表情は昔と比べて見違えたよ。』

 

「別に表情は変わったりなんかしてないわよ。…でも、そうね、、」

 

短剣を静かにうじゃうじゃいるバーテックスに向け、微笑みを浮かべながら話す。

 

 

 

 

「勇者部にいると心地いいし、そんな勇者部を守るために今は自分の力をふるいたいって思ってるわよ。」

 

その言葉を聞いて、思わず自分の頬が緩むのを感じる。

 

 

『・・そっか、、なら僕も君に置いていかれないように気を引き締めないとね。』

 

 

 

「さてっと。ちゃっちゃと片付けて、東郷を探しに行くわよ!翔助!」

 

《しょぎょうむじょうー》

 

『あぁ、そうだね。…おいで【陽炎】』

 

《らじゃー!!》

 

 

 

夏凛ちゃんは息を大きく吸うと、気合いを入れるためだろう。大きく声をあげた。

 

 

「さぁさぁ!ここからが大見せ場!遠からん者は音に聞けぇ!近くばよって目にも見よ!これが讃州中学二年、勇者部部員!三好夏凛の実力だぁぁぁ!!!」

 

 

その声と共にバーテックスに突撃する夏凛ちゃんを見届けて、僕も足をすすめる。

 

 

『情熱、熱血、完全燃焼!熱き勇気、炎の未来と共に!同じく讃州中学二年、勇者部部員!『大嘘憑き』新倉翔助!いざ!』

 

 

 

数が多いから、力を温存している暇はないよな。最初っから全力で行ったほうが明らかに得策だろう。

 

夏凛ちゃんと目を合わせると、あちらは大きく頷いていた。

・・なるべくみんなには満開をさせたくないのだけど、夏凛ちゃんは覚悟を決めているんだ。…心配は逆に失礼だろう。

 

 

僕も頷くと二人揃えて口を開く。

 

 

「『満開!』」

 

 

 

その時に咲いた二つの花は、とてもきれいで、儚く見えた。

 




主人公も夏凛ちゃんも、ここからが本当に大見せ場です。


次回は戦闘回です。
では、また。



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その弐拾三

こんにちは。
二十三話です、どうぞ。




「吹き飛べぇぇー!」

 

夏凛ちゃんが叫びながら放った一撃によって白いバーテックスは消え去るが、まだバーテックスは残っている。

満開こそしたがやはり数が多いため、少し長びいてしまっていた。

 

 

『おっと、危ないぜ夏凛ちゃん?』

 

バーテックスがこっそり夏凛ちゃんの背後に回って攻撃しようとしていたので、剣の炎を使って凪ぎ払う。

 

「っと。ありがと、翔助。」

 

『お礼を言うのは全部終わった後、、ってヤバいぜ?上。』

 

「…え?……ヤバ!」

 

矢を構えたバーテックスを見て、夏凛ちゃんにも存在を教えて回避に移る。

 

……後ろにもいるな、板のやつかな?

 

 

『そうはいかないよ、、『陽炎』』

 

《……侵掠すること火の如く。燃えよ》

 

そう言い、陽炎に呼び掛けると。いつもの可愛らしさがあった声ではなく、やや迫力がある真剣な声で話した。

すると、ただでさえ強かった炎の勢いがより増してバーテックスを矢ごと焼く。

……満開してるとは言え、すごい威力だ

 

「ナイス、翔助!・・って、大丈夫?」

 

『あぁ、大丈夫だよ?ほんの少しやけどしちゃっただけさ、すぐ治るよ。』

 

実は轟山以外の精霊は、特訓したことがないんだよなー。轟山は最初からいた精霊なので、直接借りるということはしなくても

武器を通して間接的に借りてはいた。

昔に槌を投げ飛ばした後、高く跳べたのもそのおかげだ。

 

それに僕に情熱の炎は似合わないと思い、陽炎はそもそもあまり呼んだためしがなかったので、少しやけどしてしまった。

 

まあ、そんなもの大嘘憑きで治せるからどうでもいい。バーテックス達も二人でどんどん消しとばしてはいるが、まだ蠍座や射手座の等といったでかいやつはいる。

 

「…翔助……やってやるわよ絶対に…」

 

でもどうやら彼女はやる気満々のようだ。

状況は決して有利というわけではないのに彼女の折れない心はまさに『勇者』だ。でも、、

 

 

 

『夏凛ちゃん。』

 

「えっ。…何すんのよ、翔助。」

 

 

・・僕を忘れてもらっちゃあ困るな。

 

まったく、、先代の赤も、近代の赤も、どっちも一人で複数のバーテックスに挑もうとするんだから困ったものだ。

そう思いながら夏凛ちゃんの手をとり、その上にそっと僕の手を重ねる。少し困惑気味な彼女と目を合わせて口を開く。

 

 

『勇者部を守りたい、勇者部部員は君だけじゃあないんだぜ?』

 

「・・・・」

 

『一人で行こうとしないでくれよ。確かに昔の君は一人だったかもしれない。でも今は違うよ』

 

 

 

 

『僕達がいる』

 

 

 

僕の言葉を聞いて最初は呆然としていた夏凛ちゃんだったが、少し時間を置くと目を瞑り、再び目を開かせるとその表情にはきれいな微笑みを浮かべていた。

 

「…ええ、そうね。私達は讃州中学勇者部所属の『仲間』だったわね。」

 

『…そうだよ。忘れないでくれよ~?』

 

・・『仲間』か。まさか夏凛ちゃんからそんな言葉を聞けるとはね。

ついつい僕も微笑みを浮かべてしまいながら、夏凛ちゃんの言葉を肯定する。

 

 

 

 

 

「……よし!こっから気合い入れてガンガンいくわよ!」

 

『了解!』

 

夏凛ちゃんのその言葉を皮切りにバーテックスへと突撃する。ちっちゃくて白い有象無象を蹴散らしながらもスピードは一切緩めずになお突進する。

 

 

「すぅ~!勇者部五ヶ条!!ひとつ!!なるべく!諦めない!!」

 

空気を大きく吸い込みそう叫びながらバーテックスに攻撃を繰り出す。

 

そんな夏凛ちゃんを尻目に見ながら目の前に来た青&黄のバーテックスの方を見る

・・執念深すぎない?この星座達。

 

そう思いながらも長剣を構え、夏凛ちゃんに続いて勇者部五箇条の続きを叫ぶ。

 

『勇者部五ヶ条一つ!よく寝て!よく食べる!』

 

《モーニング!!バーニング!!》

 

心なしか叫んでいると、気分が上がって来たのか、陽炎も大きめな声で喋る。

射手座の矢をかわしながら、蠍座のしっぽを焼き尽くす。

それと同時に満開が解けた。

…右足の感覚がないことを確認しながら、再び満開を行う。夏凛ちゃんも同じようで

再び満開をしながらまた叫んでいた。

 

「勇者部五ヶ条!一つ!!悩んだら!!相談!!」

 

星座を殲滅していく夏凛ちゃん。

…こちらも早く終わらせないとな。

 

『いくよ、陽炎。…【影舞】』

 

そう言いながら炎を身に纏って跳び、まるで踊っているかのようにステップを刻み蠍座と射手座を共に切り刻んで殲滅する。

着地した後に、魚みたいなバーテックスが襲いかかってくるがそれをかわしつつ切り刻むと、消えていった。

 

夏凛ちゃんの方をふと見ると、最後の一匹であろうバーテックスと白い化け物達に向かっていっていた。

 

しかし、そんな夏凛ちゃんにバーテックスが攻撃しようとしていたので懐にいれておいたネジを一本とり出して、先を尖らせてバーテックスに投げつけ、突き刺す。

 

『・・【却本作り】。そのネジが刺さったものは、み~んな【僕と同じになる】』

 

そう呟くのと同時にバーテックスの攻撃スピードがみるみるうちに下がっていく。

自慢じゃないが僕の身体能力はとてつもなく低いため、あのバーテックスはもはや、『頂点』ではなく、『最底辺』の生き物となった。それに続けて気づかれないよう夏凛ちゃんにもネジを一本刺す。

 

『…【大嘘憑き】。夏凛ちゃんの今まで戦闘の疲れを【なかったこと】にした。』

 

これで思う存分にやれるだろう。

ちなみに刺した時の痛みと、外的損傷は疲れをなかったことにしたのと同時にやっていたので、まったく気づいてない。

 

「勇者部五ヶ条!!ひとぉぉつ!!!なせば大抵!!なんとかなるぅぅ!!」

 

そう夏凛ちゃんが叫びながら最後の一匹を殲滅し終える。

満開が解けて、落下しながら夏凛ちゃんが最後に大きく叫ぶ。

 

「見たか!!勇者部の力を!!」

 

……かっこいいぜ、夏凛ちゃん。

 

『…おいで、一反木綿(いったんもめん)。

夏凛ちゃんを安全なところまで運んであげてくれよ。』

 

あのまま落下させるわけにはいかないので

精霊の『一反木綿』に呼び掛け、救助に行ってもらう。この子は戦闘能力は皆無だが

代わりにサポート性能が高い。

かなりの長さまで伸びるので、大体の救助は間に合うだろうからね。

 

『…良く頑張ったよ。……おつかれさま、夏凛ちゃん。後は任せてよ』

 

 

とてもそんな僕の呟きなんか聞こえる距離ではないのに、そう呟くと夏凛ちゃんが少し笑みを浮かべていた気がした。

 

 

『……散華は、、なるほどね』

 

とりあえず自分の散華を確認しようとすると、異変はすぐにわかった。

 

『……目が見えないな。それに匂いもまったくしないし、右耳も聞こえない。』

 

まさか一度に目を両方奪われるとは、、それに鼻と右耳か、、五感のうち嗅覚と視覚を完全に奪われ、聴覚も少しやられたか。

とりあえず能力でカバーするが、本当に応急措置なのでたいして変わらない。

 

『まあ、何か体に不備があるのは慣れっこだから問題ない。…それよりも美森ちゃんのもとに急ごう。』

 

さすがにいつも通りとはいかないが、前世では毎日体のどこかがうまく使えなくなくなっていた日も少なくなかった。

 

耳を強く叩かれて一月ほど聴覚を失ったり、目の近くをおもいっきり殴られて視覚を失ったりした経験があるので、たぶん大丈夫だろう。

 

そう自分の中で結論づけて、大嘘憑きで壁までテレポートする。

 

 

 

 

 

テレポートしてみると、友奈ちゃんが大型バーテックスの放った火球をなぐりとばしている光景がうっすらと見えた。

 

「勇者パァァーンチ!!」

 

状況を確認するために周りを見渡すと、倒れている風先輩達と満開姿の美森ちゃん。そして、、

 

 

 

 

「私が東郷さんを、みんなを助ける!」

 

 

 

 

いつもの心強い彼女に戻った、

『結城友奈』がいた。

 

 




やっと『却本作り』(ブックメーカー)
を主人公が使う時が来ました。

正直却本作りは相手を倒すというより、相手を妨害するっていうサポートに向いていると思うんですよね。
主人公の翔助君は頭がいいかわりに、身体能力は球磨川先輩にすら劣ってます。


あとついに他の精霊も出しました。
一反木綿は主人公も言った通り、能力はサポートに全振りしています。



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その弐拾四

おはようございます。
ふと思いついたので書きます。

どうぞ。


どうやら彼女の思いは固まったらしい

 

『やぁ、友奈ちゃん。』

 

「……翔助君、私決めたよ。東郷さんも、みんなも、世界も、、全部私が守る!」

 

僕が声をかけると、友奈ちゃんは真っ直ぐ僕を見て、自分の覚悟を伝えてくる。

それは結構なんだけど……一つ気に入らない言葉があるな~。

 

「……ふぇ?翔助君?」

 

『『私』じゃないよ。『私達』だよ?』

 

『みんなで一緒に世界を守るんだよ』

 

友奈ちゃんの頭を優しくポンポンとたたきながらそう言い聞かせるよう話すと、友奈ちゃんはうれしそうに笑みを浮かべる

 

「・・うん!」

 

『よし、いい子だ。…一緒に美森ちゃんを助けよう!』

 

 

そう二人で話したのち、大型バーテックスを倒そうとするが、いいところで美森ちゃんの邪魔が入ってしまい倒すまでに至れないということが続いていた。

このままではまずいと友奈ちゃんが美森ちゃんに向かって叫ぶ

 

「東郷さん、、何も知らずに過ごしている人たちもいるんだよ?私たちが世界を救うことを諦めたらダメだよ!」

 

「…だからって私達が生け贄にならないといけないの?……我慢して犠牲になれっていうの!?」

 

「……っ!」

 

しかし、美森ちゃんだって世界を終わらせることを選ぶほどの決断をしたんだ、そう簡単には説得できないのは当然だ。

怯む友奈ちゃんに向けて美森ちゃんがさらに続けて叫ぶ。

 

「他の人なんか……関係ないよ!そうやって守り続けた末に大切な人達との記憶や存在を忘れてしまうのなら…世界を守る意味も…勇者になる意味も存在しない!!」

 

「……東郷さん、、」

 

美森ちゃんはそう叫びながらも、僕の方を

見て悲しそうな表情をする。

…どこで知ったのかはわからないが、僕のことを知っちゃったのか。

 

「…翔助君のことも忘れていたのよね…もう私は……誰も忘れたくないの!」

 

「それにこの生き地獄は終わらない……戦いも終わらず、最後には全部失うの!…だから、、あきらめて!!」

 

そういいながらビームを僕達に乱射してくる。バーテックスを御霊まで追い込んだのだが、美森ちゃんの邪魔のせいで破壊できず、御霊は引っ込んでしまった。

 

 

……やっぱり彼女は普通の少女なんだね。

辛かっただろう、苦しかっただろう。それに戦いはずっと続くなどの真実を知って、

世界を壊すしか選択肢がなかったからみんなのためにそれを選択したのかな。

 

「…東郷さん!……っ!」

 

友奈ちゃんが美森ちゃんに呼び掛けようとするが、ビームが当たり後ずさる

その間にバーテックスは再生を完全に終えて、火球を放とうとしていた。

 

「…そう、それでいいの。…早く撃ってきなさい。それで終わる、、」

 

美森ちゃんがバーテックスの前に出て話しかけるように話す。

 

 

 

・・この世界は優しいようで、優しくないくて、美森ちゃんの言うとおり苦しむなら壊したほうがいいのかもしれない。

 

 

……でも、僕はこの世界に来てはじめて

 

 

 

 

 

 

生きてて『楽しい』って思えたんだ。

 

 

 

『させるかよ。』

 

ネジを素早くバーテックスに突き刺して、その攻撃をキャンセルさせる。

 

「!?……翔助君!邪魔しないで!もう全て終わらせましょう!」

 

『……僕はさっきまでのバーテックス戦で満開したせいで目がよく見えないんだ』

 

「……いきなり何を、、」

 

『そんな僕でもわかるぐらい、君は辛そうな顔をしてるぜ?…そんな友達を放っておけるかよ。』

 

「・・・・」

 

結構ぼやけて見えるが、そんな状態でも美森ちゃんが辛そうな顔をしているのはよくわかる。…君も辛いんだろ?美森ちゃん

 

「…それでも!このまま世界を守って戦いを続ければ何もかもを忘れてしまう!……それを仕方ないの一言で終わらせたくないの!……だから!」

 

さすがに頑固だなぁ、美森ちゃんは。

そういうところは昔から変わってないよ、須美ちゃんの頃からね。

 

・・やっぱりこういう時は彼女の親友の力を借りるに限るよな。親しい人の言葉は感じる力が違うだろうからね。

 

『……友奈ちゃん!僕がバーテックスの相手をするから、美森ちゃんをよろしく頼んでもいいかい?』

 

「……え?一人であの大きさのバーテックスは無理だよ!!」

 

そう友奈ちゃんに言われ、前にいる大型のバーテックスを改めて眺める。

確かにたくさんのバーテックスが集まってできたゆえにかなり強いだろうね。

さっきの火球もチャージ中にキャンセルできたから良かったが、もしあれを撃たれていたら無傷では済まないだろう。

……でも。

 

 

 

 

『それでもみんなが明日笑うためになら、へらへら笑ってやってやるよ。』

 

 

 

 

「翔助君!!」

 

『……本当は僕も説得したいけど、、美森ちゃんの事は任せたぜ?』

 

『『大嘘憑き』バーテックスとの距離を【なかったこと】にするのと加えて、僕の負傷も【なかったこと】にする。』

 

美森ちゃんを説得したいのはやまやまなのだが、友奈ちゃんなら安心して任せられるので僕は彼女が説得している間にバーテックスが邪魔しないよう足止めに行く。

 

 

『やぁ、バーテックス君。強いからと言って足下見ると、痛い目見るぜ?』

 

『おいで、【五月雨】』

《出番だ、出番だ!》

 

そうバーテックスに話しながら、武器を槍へと切り替えて、『五月雨』を呼びつつ槍をバーテックスに向けて構える。

 

 

 

『『過負荷』のしつこさってのを見せてやるよ。『頂点』さん?』

 

 

 

『満開』

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分ぐらいたった後に、後ろから僕を呼ぶ声が僅かに聞こえた。

 

「翔助君!!大丈夫!?」

 

「助太刀にきたわ!翔助君!」

 

後ろを振り向くと、友奈ちゃんと美森ちゃんが心配そうに僕を見ていた。

 

……良かった、無事説得できたんだね

 

『ありがとうね、二人共。・・そしてお帰りなさい、美森ちゃん。』

 

「……っ!…えぇ、ただいま。」

 

「…ふふっ。」

 

三人でいつものように微笑ましく会話をしていると、後ろから違和感を感じた。

急いで振り向くと、大型バーテックスが太陽のように大きな、一纏まりの火の玉へと変わっていた。

 

 

……目を離しすぎたか、、

 

 

そうたった少しでも相手の力を溜める時間を与えてしまった事に後悔していると、友奈ちゃん達が火の玉に向かって行き、火の玉を止めようとしていたが、友奈ちゃんは途中で満開がきれて落下していた。

 

『・・一反木綿。友奈ちゃんを頼むよ』

 

すかさず一反木綿にフォローをさせて、安全なことを確認すると一反木綿が頷いていたので、一言お礼を言ってバーテックスに向き直ると風先輩達も合流していた

 

「後輩達ばっかりにいい格好させるわけにはいかないわよ!」

 

「風先輩……あの、、」

 

「…いいのよ。お帰り!東郷!!」

 

「………はい!」

 

「よーし。樹!東郷!行くわよー!」

 

「!!」

 

…だが、まだ足りない

動きが少し鈍くはなっているが、まだ止めるには足りない。

ある一人の叫び声が聞こえてくる

 

「勇者部の力をなめるなぁぁー!!」

 

「夏凛!?ナイスよ!!!」

 

まさかの視覚と聴覚を失ったはずの夏凛ちゃんがやってきていた。

……まさか感だけで場所を当てるとは

 

しかし相手のバーテックスも、負けじと力をあげて押しきろうとしていたため、まだ足りない。

 

「っ……まだ足りないっていうの!?」

 

そう叫んでいる風先輩を見ながら大きく深呼吸をする。

 

・・僕は精霊の力を借りる時一匹ずつしかやっていないので、まとめて複数匹から借りることはやったことがない。

でも、試してみる価値はあるよな、、

 

満開で少し失ってしまった感覚。

神経を研ぎ澄ませて意識を鮮明にしながら呟く。

 

『清き勇気・熱き勇気・癒やせし勇気・大きな勇気。…みんなおいで、【五月雨】【陽炎】【疾風】【轟山】。』

 

《出番だー!》

 

《やってやんよー!》

 

《全力で!行きます!》

 

《・・主人。四人同時は、、大丈夫?》

 

精霊のみんなが最初から十分に力を使えるように、呪文を唱えてあげると轟山をのぞいてハイテンションで出てきた。

心配してくれている轟山の頭を軍服越しに優しくなでてあげて問題無いと伝える

 

『大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね、轟山。』

 

《・・ん。主人がそう言うなら、、》

 

《みんな行くぞー!》

 

《おー!》 《おー!》 《・・おー》

 

 

そう喋った後に、力がいつもの倍以上沸いてくるのがわかる。

しかし四人同時に力を借りた影響か、体が少し重くなった。

 

『……グズグズ言ってないで、早く行かないとね、、どっっせい!』

 

急いで槌を取り出し、火の玉へと向かって力を入れ、高く跳んで両手で押さえる

 

『遅くなりました!』

 

「翔助もナイスよ!みんな行くわよ~!勇者部ファイトォォォー!!!」

 

「「『ファイトォォォー!!』」」

 

 

火の玉の進行を完全に止めたところで、友奈ちゃんがバーテックスに向かって飛んで

いっている姿をみんなで見た。

 

「「「「友奈!!」」」」

 

「私は!讃州中学勇者部!!」

 

 

 

「勇者!結城友奈!!!」

 

 

そう叫びながら轟音と共にバーテックスを打ち破っていた友奈ちゃんは以前にも言ったが、まさしく、、

 

 

 

『【勇者】だね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経った。

今僕は病院にて、友奈ちゃんの横にあるベッドに腰掛けていた。

 

内容は散華によるものではない。

むしろ散華に関しては、代償が全て戻ってきたぐらいだ。

 

……友奈ちゃんが目を覚まさないのだ

そのお見舞いのために今日は僕が来たというわけである。

 

『……友奈ちゃん。みんな元気になったんだぜ?…だから後は君だけだ。』

 

そう魂が抜けたような表情をしている友奈ちゃんに話しかけていると、病室のドアが開かれて、美森ちゃんが入ってくる。

 

『おや、美森ちゃん。昨日も行ってたって聞いたけど、、大丈夫かい?』

 

「翔助君、、いいのよ。……だいいちに私があんなことをしなければ、みんなも、友奈ちゃんも…」

 

『はいストップ~。…それ以上は禁句だって、風先輩にも、夏凛ちゃんにも言われてただろう?』

 

まったく、責任感が強いのも考え物だね

美森ちゃんは自分のやったことに負い目を感じているらしく、何回も友奈ちゃんのもとを訪ねているらしい。

 

「でも!」

 

『……友奈ちゃんが喜ぶと思うかい?そんなに自分をボロボロにする東郷さんを見たらなんて言うかな~?』

 

「・・・・」

 

『大丈夫、君は悪くない。どちらかというと真実を隠してた僕のほうが悪いよ』

 

声を出そうとする美森ちゃんをそう、咎めつつ頭を撫でてあげる。

 

肩をもっているわけではない。

本当に『君は悪くない』。ただ少し不安になりすぎて、選択を誤っただけだ

そう考えながら頭を撫でていると、段々美森ちゃんの目が潤んでいった。

 

「……っ!…翔助君!友奈ちゃん!ごめんなさい、、ごめんなさい!」

 

『おーよしよし、、辛かっただろう。』

 

 

そういいながら再び美森ちゃんをなだめようと手を動かそうとすると、暖かい感触を感じた。

 

まさかと思い、ふと前を見ると、、

 

 

「泣かないで、、東郷さん、、」

 

 

涙をながしながら、こちらを見ていた友奈ちゃんの姿があった。

 

「……友奈ちゃん!!」

 

「……ただいま、東郷さん、翔助君。」

 

『お帰り、友奈ちゃん。随分と長い間お眠りしていたね~』

 

「…えへへ、、ごめんね心配かけて。」

 

「グスッ…いいのよ友奈ちゃん」

 

「東郷さん、、」

 

「お帰りなさい!友奈ちゃん!」

 

「…うん!」

 

 

二人の少女が涙をながしながらもうれしそうに会話しているのを見て、僕はやっと帰ってきたいつも通りをしみじみと感じていたのだった。

 

 




はい、どこで区切ればいいかわからず、長くなりました。

勇者としての能力+大嘘憑きを稼働。
『却本作り』は前回使ってしまいましたので、使えておりません。

次回はほのぼのですかね?
ではまた、


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その弐拾五


少し迷走してました、深夜です。

とりあえず、どうぞ。


 

 

 

 

『いい天気だね~こんな日はひなたに当たりながら、世間話といこうぜ~?』

 

「あはは、そのセリフはおじいさん見たいだよ?翔助君?」

 

「でも、世間話には賛成だわ!今後の日本についての思いを話し合いましょう!」

 

『ごめん、美森ちゃん。そこまでは考えてなかったよ』

 

「どうどう、東郷さん。」

 

あー平和だねぇ。

三人でそんなやり取りをしていると、本当にいつもの日常が帰ってきたんだなぁと感じる。…嫌な予感も一旦消えたみたい。

 

あと、美森ちゃんの身長が昔よりも思った以上に伸びていたので少しびっくりしつつ、みんな成長しているんだなぁと少し寂しく思っていたのは内緒だ。

 

「ん?……大赦の印がついた黒い車?」

 

「……何かしら、、?」

 

またそう考えていると、友奈ちゃんが言っている通り、大赦印の黒塗り高級車が目の前に止まっていた。

 

・・僕の考えすぎるくせ、直したほうがいいかな?

 

そう考えながら、警戒している二人を横目で見ながら車を観察する。

……別に危ない雰囲気や、空気は感じないから大丈夫だろう。

 

『そう固くならなくても――』

 

大丈夫だよ。そう言おうとすると車から見覚えのある金髪の子が飛びついてくる。

 

「にっし~!!」

 

『おぉう。……なんだ、そのちゃんか』

 

「む。その反応は点数低いんよ~!」

 

『それは何の点数なんだい?』

 

「内緒~♪」

 

『そうかい…随分テンション高いね?』

 

久しぶりにそのちゃん節を聞けたので少しうれしく思うが、異常にテンションが高いので、おもわず理由を訪ねる

 

すると車からもう一人降りてきて、その問いに代わりに答える。

 

「そりゃここに来るまでずっと、『にっしーと、わっしーと、また遊べるんよ~♪』ってはしゃぎまくってたからなー」

 

『さらっと会話に入ってきたね、銀ちゃん。…そうなの?そのちゃん?』

 

「Yes!」

 

なぜ英語?日本語でOKなのだが。

しかしそのちゃんがいる時点で察してたけど、銀ちゃんもいるんだね。

懐かしいね、、昔に戻ったみたいだ。

 

 

「あ、あの~確か、園子さんと、銀さんですよね~?」

 

「……懐かしいわね。銀、そのっち。」

 

友奈ちゃんと美森ちゃんの声が聞こえ、二人がいる事を再確認する。

 

「あ、ごめんね~。…とりあえずサプライズは成功かな~わっしー、ゆーゆ。」

 

「ゆ、ゆーゆって私の事、、?」

 

「そうだよ~?友奈ちゃんだから、ゆーゆなんだよ~」

 

『ごめん…二人がいることすっかり忘れてたよ。というかゆーゆって、、相変わらずあだ名つけるの早いねそのちゃん』

 

「えへへ~」

 

「褒めてないと思うぞ~園子~?」

 

本当に相変わらずだな二人共。

病院内で数日間話したので、どんな感じかは大体ならわかっていたのだが二人共包帯が巻かれていたりして具体的にはわからなかったので、改めて二人が成長していることがよく分かる。

 

「とりあえず!サプライズは大成功なんよ~!」

 

「そうだな……というか、美森って翔助よりでかいんだな。」

 

・・銀ちゃんよ、、人が気にしてることを言わないでくれないかな?

そう、実は僕と美森ちゃんだと少し美森ちゃんの方がでかいのだ。

 

「確かにそうかもしれないけど、、大して変わらないわよ?」

 

『・・満開の時に成長を奪われなければ負けなかったのに、、』

 

あの時に奪われた成長に関しては戻ってはいるのだが。奪われていた間の成長の分は返してくれず、身長が小6の時から一ミリたりとも伸びていないのだ。

美森ちゃんがフォローしようとしてくれたが、それは逆効果で余計に悲しくなる。

 

ただでさえ女の子より運動ができないっていう悲しみを背負っているのに、身長でも負けるとは、、僕の唯一のプライドが粉々に消え去っていくのを感じるよ……

 

「まぁまぁ~私は昔と変わってないにっしーも好きだよ~?」

 

『……変わらなさすぎだよ、、』

 

顔ももちろん変わっていないし、ただでさえ弱い力もまったく成長していない。

前世よりも運動能力が低いとか、どうすればいいんだよ?

 

 

そう考え、思わず頭を抱えてしまった

 

 

『僕は悪くない、、よね?』

 

 

 

 

 

 

あれから放課後-----

 

 

「勇者部入部希望の~乃木園子参上なんだぜ~!」

 

「一応アタシもいまーす。」

 

『退院したのは分かるけど、二人共リハビリとか大丈夫なのかい?』

 

「リハビリはある程度済んだから、通学の許可も出てるんよ~」

 

「リハビリは辛かったけど、やっぱり学校に通いたいから頑張ったんだぞ~?・・主に勉強とか、勉強とか……」

 

 

放課後二人が勇者部に訪ねてきた。

予想はしていたが、部員が増えるというのはやっぱりうれしいもんだね。

銀ちゃんは……うん、お疲れ様です

 

「またそのっちと、銀と、翔助君の三人で学校に通えるなんて、、」

 

「また居眠りしそうだな、園子は。」

 

「えへへ~その時はにっしーに起こしてもらおうかな~?」

 

『あはは、しょうがないなぁ~』

 

「もう!そのっちは寝ちゃだめよ?それに翔助君もそのっちをあまり甘やかさないで

よ?」

 

「『善処しまーす』」

 

「もう、、二人ったら、、」

 

息を合わせてそう言う僕達に呆れたように

美森ちゃんはため息を一つ、ついていたが

顔はうれしそうだったので、満更でもないのだろうね~。

 

 

 

その後は園子ちゃんが夏凛ちゃんの事を、

『にぼっしー』と呼んだり、頑張って話しかけてくれた樹ちゃんの事も、『いっつん』と呼んでいたりしていつも以上にがやがや騒いでいた。

しかしまぁ、よくそんなあだ名が思いつくものである。ネーミングセンス凄いな

風先輩のことを、『ふーみん先輩』とよんでいたのは少し笑いかけてしまったよ

 

 

「にっしー」

「翔助ー」

 

『ん?どうしたんだい?』

 

部活が終わった後の帰り道を歩いているとふと、二人に話しかけられる。

少し真剣な様子だけど、どうしたんだ?

 

そう不思議がっていると、二人は互いに顔を見合せると、真剣な様子から笑顔を浮かべて同時に口を開く。

 

 

「「またこれからも、よろしく!」」

 

 

 

・・何だ、そんなことか。

そんなこと言われるまでもないよ。

むしろ、、

 

 

『こちらこそよろしくね。二人共』

 

 

 

こちらから頼みたいぐらいだ。





いかがでしょうか?

今更なのですが自分の思いつきで書き初めた作品故、読んでいる人から見てどう感じたかお気軽に感想など頂けると幸いです。

相変わらずの駄文ですが、見守っていただけるとありがたいです。

では、また。



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その弐拾六

少し前に書いておいたのを投稿してなかったので、投下します。

少し話しがとびとびかもしれません。
あんまり長くすると、話しが長くなってしまいますので、、




『翔助ただいまもどりました。』

 

「お帰り~にっし~」

 

『ただいま。そのちゃん』

 

「あ!翔助君!聞いて、聞いて~」

 

『ん?どうしたんだい友奈ちゃん?』

 

外でのゴミ拾いボランティアを終え部室に戻ると、友奈ちゃんが嬉々とした表情で話しかけてきた。なんか良いことでもあったのだろうか?

 

「昨日私物を落としちゃってね。探してたらある人に拾ってもらったんだ」

 

『そのある人って誰だい?』

 

「その人は《国防仮面》って名乗ってたんだー!なんかね、憂国の戦士なんだって!

もう一回できたら会いたいな~♪」

 

『・・国防仮面さんね、、いい人に出会えて良かったね。』

 

「うん!」

 

『国防仮面』ね……絶対あの子だよな。

聞き覚えのある単語を聞き、園子ちゃんと銀ちゃんにチラリと視線を移すと、僕と同じように苦笑していた。

 

「あら、帰ってたのねみんな。」

 

「皆さんお疲れ様です。」

 

「あ!風先輩!樹ちゃん!こんにちは!」

 

「はいこんにちは。…ちょっとみんなに見てもらいたいものがあるんだけど、、」

 

「なんですか、フーミン先輩~?」

 

「ちょっと、これなんだけど、、」

 

そう言いながら持っていたパソコンを風先輩が見せてくる。そこには一つの動画が映っていた。

 

 

 

『国を守れと人が呼ぶ! 愛を守れと叫んでる! 憂国の戦士、国防仮面!ここに

見参!!』

 

 

 

うん、絶対あの子だね。

聞き覚えのある声を聞いて確信する

 

「国防仮面っていう、今ちまたで噂になってる謎のヒーローらしいんですけど…」

 

「再生すると、やけに聞き覚えのある声がすんのよね~…あと、この服の上からでも分かるメガロポリスに見覚えあるのだけれど、、?」

 

ジト目でそう言う風先輩に、苦笑で返す僕達三人……まぁ、気づくよね。

しかしまあ、なんでこんな事を……もしかして・・いや、もしかしなくてもそうだろうな。ならば、、

 

『風先輩の考えで合ってると思いますよ。

でも、本人には確認しないであげてくれませんか?できればみんなも。』

 

「え?なんでよ?」

 

『あはは、内緒です。言ってしまうと、彼女の誇りに関わりますので。』

 

「ん~まあ、翔助がそう言うならわかったわ。みんなもそれでいい?」

 

「翔助先輩がそう言うなら…」

 

「アタシもいいぜ~」

 

「いっつんとみのさんに同じく~」

 

「オッケー。しかし、何でこんな事するのかしらねー?東郷は?」

 

『さぁ?それについてはよくわからないですね。』

 

嘘だ。本当はわかってる。

・・あの子は本当に責任感強いな、困ったものだよ、本当にさ。

どうにかして説得できないかな、、

 

 

 

・・仕方ない……一芝居うちますか

 

 

 

 

 

少し暗くなってきた頃、ある公園で一人の金髪の男の子がベンチに座っていた。

すると、どこからか声が聞こえてきた。

 

「そこの少年!もう遅い時間だ!家に帰ってはどうかな?」

 

「・・・・」

 

しかし男の子は顔を俯かせたまま、国防仮面には振り向かない。

 

「何かあったのかい?困ったことがあるなら私に話してみたまえ!」

 

そう言って男の子の隣に座る国防仮面。

しかしまだ男の子は顔を上げない。

 

「・・大丈夫かい?遠慮はいらない。悩んだら相談だよ!」

 

男の子の肩に国防仮面が触れようとすると

それを男の子が右手で掴む。

 

 

『へぇー?じゃあ相談させてもらおうかな~?【国防仮面さん】?』

 

「・・え?そ、その声は」

 

『僕の友達の一人に、責任感が強い子がいるんですよ。その子が最近妙な事をしていて、どうしてなのかよく分からないんですよね……どうすればいいんですかね?』

 

話しながら男の子は左手で自分の髪をつかんで、下に引っ張る。

 

『国防仮面……もとい、美森ちゃん?』

 

「し、翔助君!?」

 

『やあ、美森ちゃん。一芝居うってみたけど、大成功だったよ』

 

 

金髪のかつらをとった男の子は、紛れもない翔助本人そのものだった。

 

 

 

 

 

『じゃあ説明してもらおうか、美森ちゃん?…といっても大体わかるけどね。まぁこれでも飲んで話そうぜ?…おしるこでいいかい?』

 

「ありがとう……わかるの?何でか」

 

自販機で自分の分と、美森ちゃんの分を買って渡しながらそう言うと、美森ちゃんが少し驚いたように訪ねてくる。

 

『昔から責任感の強い君のことだ、大方壁のことに負い目を感じているんだろ?』

 

「・・ええ、その通りよ。よくわかったわね翔助君」

 

『小6からの付き合いだろ?わかるさ、それぐらい。』

 

たぶん銀ちゃんも園子ちゃんも確証はないだろうが、わかっているはずだ。

 

「・・翔助君の言う通り、わたしが壁を壊したせいで、みんなに迷惑をかけてしまったでしょう?…だから少しでも償いをしたくて、、」

 

『だから国防仮面となって人助けをしているわけだ。』

 

僕の言葉に美森ちゃんは静かに頷く

なるほどねぇ~……実に良い子だよな美森ちゃんは本当に。

でもだからといって、、ねぇ?

 

『確かひったくり犯を捕まえたり、子猫を救うために高いところに登ったりしていたよね?美森ちゃん?』

 

「え、えぇ。そうだけど、、」

 

『まだ中学生で、なおかつ女性の君には危なすぎるぜ美森ちゃん?そこは少し納得できないなぁ?』

 

「その、、ごめんなさい」

 

まだうら若き乙女にそんなマンガに出てくるヒーローみたいなマネは危なすぎる。

そう思い、ほんの少しきつめに怒ると、美森ちゃんはシュンとして謝ってくる。

 

 

・・しょうがないなぁ~まったく。

 

「ん、、翔助君、、」

 

『わかればよし。君だって善意でやってただけなんだから、全然怒ってなんかいないよ…心配はしたけどね。』

 

いつぞやのように頭を撫でてあげる。

 

『それに前も言ったろ?黙っていた僕と大赦さんの責任だって。』

 

「・・・・」

 

『大丈夫。君は悪くないよ。とりあえず~リラックス、リラックス~』

 

段々美森ちゃんの力が抜けているのを感じていると、美森ちゃんが口を開く。

 

「……翔助君に頭を撫でられるのは恥ずかしいけど、、凄い落ち着くわね。」

 

『あはは、小さい頃そのちゃんにおねだりされてやりまくってたからね~。体が慣れちゃったのかな?』

 

「そのっちが撫でられているところ……凄い想像できるわね、、」

 

『何かネコみたいなんだよね、あの子』

 

「犬にも見えなくはないんじゃない?」

 

『それは銀ちゃんかな~』

 

 

「『……ふふっ』」

 

 

二人で親友の事を思い浮かべ、互いに顔を合わせ微笑み合う。

やっぱり美森ちゃんみたいな良い子には笑顔が似合うよ。

 

…美森ちゃんだけじゃない。勇者部みんなの悲しげな顔なんて見たくないよ

 

 

 

 

 

「ごめんなさいね、家まで送ってもらっちゃって。」

 

『家近いし、もともとトラップを仕掛けたのは僕だぜ?お礼なんて良いよ。』

 

家の中に入っていく美森ちゃんを見て、僕も家に帰ろうと踵を返そうとすると、美森ちゃんが振り返って僕に一言告げた。

 

 

「・・ありがとうね、翔助君。」

 

 

 

 

 

『ただいま~』

 

「あら、お帰りなさい。遅かったわね?何かあったのかしら?」

 

『いや?なんもないよ?散歩してたら友達に出会って、少し話し込んじゃっただけだからさ。』

 

「そう?」

 

『うん』

 

『あ、晩御飯は大丈夫だよ。外で友達との話しついでに食べてきたから。』

 

「あ、そうなの。じゃあ私は大赦としての書類作業があるから、何かあったら呼んでちょうだいね?」

 

『了解です』

 

 

朝倉さんとの会話の後、自分の部屋に入って、ベットに腰掛ける。

少し深呼吸をした後、言葉を紡ぐ。

 

『・・『ぬりかべ』、『八咫烏』。』

 

そう言うと、ちっちゃい壁に手足と目がついた精霊と、足が三本あるカラスの精霊が姿を現した。

新しく増えたメンバーである『ぬりかべ』と『八咫烏』を呼びだした理由は、

 

『八咫烏、もしこれから何かしらの能力を持った精霊が僕に何かしようとしても、その攻撃を受ける運命の道をぬりかべに置き換えてほしいんだ。』

 

説明をすると、『ぬりかべ』は名前のまんま壁で、どんな攻撃でも確実に『一度』は受けても耐えることができるのだ。

『八咫烏』は自分が受ける運命の道筋を知ることができ、なおかつその道を誰かに移したりできるのだ。

 

例を言うなら、数時間後に自分が転ぶと言う『運命の道』があるならば、それを誰かに移したりすることができ、そうすると自分は数時間後に転ぶ運命の道がなくなるため、自分は転ばず、移した誰かがその転ぶ道を辿り、数時間後代わりに転ぶ。というわけである。

 

説明が難しいので簡単に言うと、自分の嫌な未来を誰かに擦り付けることができるというわけだ。

しかし一度使うと、しばらくの間眠りにつくため、使い所は限られるだろう。

……元々八咫烏の能力はあまり好きじゃないので、あまり使う気はないけどね。

移し先をぬりかべにした理由は、どんな能力だろうと、一度は絶対耐えてくれるので安心して任せられるからだ。

 

《・・しゅじん、なんでそんなことを?》

 

『・・あぁ。困った友人が何か細工をしても大丈夫なように、、ね。』

 

《・・さいく、、?》

 

 

『確実にはわからないよ?……でも、美森ちゃんの振り返り様に言ったあの一言を聞いた時にさ、、』

 

 

 

 

 

 

『凄い嫌な予感がしたんだ』

 

 

『彼女がまた無茶をするような、そんなため息をついてしまうような嫌な予感がね。』

 

 

 




とんだ部分の話しなどは、番外編にて書いたりしていきたいなと思っています。

精霊の説明が長くなりました。
駄文ゆえ、ちょっと複雑かもしれませんが、文中でも言った通り内容は、安定の防御力と擦り付けです。




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その弐拾七

どうも、深夜です。

投稿時間は朝ですけど、深夜です。

・・滑りましたね。
とりあえずどうぞ


 

『・・予想通りだ。』

 

『やっぱりやっちゃったか。』

 

『ハァー。困った子だ、彼女は本当に』

 

ある日の朝、起きるとすぐにある違和感に気がついた。

前世で鍛えられた僕のセンサーは、ちょっとやそっとじゃごまかせない。

 

《・・しゅじん?どうしたの?》

 

『おや、轟山。おはよう』

 

『ところで一つ聞いてもいいかな?』

 

《・・?》

 

 

 

『【東郷美森】って、覚えてるかい?』

 

 

《・・・・あ、、忘れてた、、》

 

『……やっぱりか。』

 

違和感の内容はというと、何かを世界から奪われていると言った感覚的な物だ。

 

・・昨日八咫烏に頼んでぬりかべに移してなかったら、僕も思い出すのに数日間ぐらい時間がかかっただろうな。

 

ふと勉強机に貼ってある昔、先代勇者組で撮ったプリクラの写真を眺める。

 

 

そこには、はっきりと『三人』の姿が写し出されていた。…まるで最初から美森ちゃんという存在が【なかったこと】にされたような光景だった。

 

『まったく』

 

『【なかったこと】にするのは僕の十八番だぜ?』

 

まあ、正確には『ある先輩の』だが。

とりあえず学校に行って、みんなの記憶はどうなっているか、確認してみようか。

 

 

 

 

 

 

 

学校にて----

 

 

「おはよう!翔助君!」

 

『あぁ。おはよう友奈ちゃん』

 

端から見ればいつも通りの風景だろう

・・一人いないなんてわかっていなければ、の話しだけどね。

 

一つぽつんと空いた席を見てそう考えていると、それを不思議がったのか、友奈ちゃんに訪ねられる。

 

「どうしたの?翔助君?」

 

『ん?いや、なんかそこの空いてる席に違和感を感じてね。』

 

「・・翔助君も?私も実は、なにか違和感を感じるんだよね。ここの席は最初から『誰も座ってない』のに。」

 

なるほど、、違和感はあるが、明確な変化の内容はわかってないのか。

美森ちゃんと特に仲が良かった友奈ちゃんでもこの様子ならば、他のみんなも同じ感じだろう……皮肉なもんだね。

 

「それそろ時間だから、席に就こ!」

 

 

友達思いの子が親友の事を忘れて、笑顔でのうのうと生きているなんてさ。

……真実を知ったら、彼女達がどんな顔をするのか、想像するのは難しくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後-----

 

「よーし。みんな集まったわね。それじゃあ今日の勇者部の活動を始め『ちょっといいですか?風先輩』……どうかしたの?翔助?」

 

部活動を始めようとしている風先輩の言葉を遮る。…まずは聞いてみるか。

 

『みんな』

 

『朝起きたら、妙な違和感を感じなかったかい?』

 

「・・そういえば、、」

「何か違和感がありますよね、、」

 

「アタシも、、」

 

「私も、、何か勇者部のメンバーが一人足りないような気がするんです」

 

「・・ちょっと友奈?勇者部の部員はこれで全員よ?」

 

「そうなんですけど、、何かが足りないんです。……しかもその『何か』が凄い大事な物のような気が、、」

 

OK。みんなが彼女を忘れていることはよく分かった。……少し心苦しいが、真実を教えてあげるとしよう。

 

 

『・・親友』

 

「・・え?」

 

『君のかけがえのない親友さん、、って言えばわかるかな?』

 

「親……友」

 

『車椅子』

 

「・・・・」

 

『ぼた餅』

 

「・・・」

 

『君の家の隣にある、和風の家……見覚えないかな?』

 

「・・!」

 

『今は空き家みたいになっちゃってるけど、あの家に住んでいた人は、、』

 

 

 

 

 

「『東郷さん』」

 

 

 

 

『・・そのとおりだよ。みんなも思い出しただろ?勇者部の一部員である、【東郷美森】をさ。』

 

「・・そうだ!なんで私、わっしーのことを忘れちゃってたんだろう、、?」

 

「・・そうだよ!須美はどこ行った?」

 

「・・あたし部長なのに、大事な部員の事を忘れてたなんて、、最低ね」

 

「私だって!あの時東郷さんに、絶対忘れないよって言ったのに、、」

 

想像通りだ。みんな優しい子なため、自分を責めたり、慌てたりしていた。

仕方ないことだ、でも。

 

 

 

『落ち込んでいる場合かい?』

 

「え?」

 

『ここで悔やんでいたら、美森ちゃんは帰ってくるのかい?』

 

『慌てていて、美森ちゃんを探せるのかい?』

 

『過去を振り返って、足を止めていて、何か成果が得られるのかい?』

 

 

『答えはNOだ。』

 

 

「にっしー、、」

 

『過去を悔やむのは美森ちゃんを見つけた後だ』

 

『その時に彼女に謝罪なりなんなりすればいい。』

 

『だから今は、、』

 

 

 

 

 

 

 

『振り返るな』

 

『目的に向かって、前を向いて歩け』

 

『それに大丈夫』

 

『君たちは悪くない』

 

『もちろん美森ちゃんもだ』

 

『みんなも、大赦も、神樹様も何もかも』

 

 

 

 

 

 

 

『【仕方なかった】。ただそれだけさ』

 

 

 

 

 

世界は常に【仕方ない】でできているのだから。

 

 

 

前世で僕が誰からも一ミリたりとも愛されなかったのと同じようにね。

 

 




主人公めっちゃ喋るやん、、

主人公の前世経験を交えた話しを久しぶりに書きました。

・・こんな事言ってますが、全部みんなを励ますために言っているだけなので、根は良い子です……多分。

ご気軽に感想など頂けるとうれしいです。

では、また。


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その弐拾八

少しリアルが忙しかった深夜です。

待っててくれる人が一人でもいたら幸いです。とりあえず弐拾八話をどうぞ。



 

 

あの後、ひとまず解散して各自で情報調べをしていた。

美森ちゃんはどこに行ってしまったのか、なぜいきなり居なくなったのか、

なぜみんな彼女の事を忘れたのか。

親友の友奈ちゃんすら彼女を忘れるとは余程の事なのだろう。

 

「みんな何か進展あった?」

 

「私はなかったです、、」

 

「わたしも大赦の人とかに聞いたけど……よく分からないって言われちゃって」

 

「私も大赦の人に確認したのだけど、知らないみたいだったわ、、」

 

「・・進展なしか……まったく、どこに行ったのよ東郷は、、」

 

後日部室にてみんなで集まって情報交流をしていたのだが、みんな有力な情報など収穫はなかったようだ。

しかし無理もない。最初から美森ちゃんがいた痕跡をねこそぎ奪われているのだから

逆にわかるほうがおかしいだろう。

 

「翔助はどうかしら?何か有力な情報あった?」

 

『僕もよくわからないです……ん?どうしたんだい?疾風、轟山?』

 

自分もよく分からないということを伝えようとすると、右ポケットに入っていた疾風と左ポケットに入っていた轟山が飛び出てきた。

……轟山はまだしも、疾風はいつの間にポケットの中にいたんだ?

 

《ぷはぁー。しゅじん!あのね、あのね!》

 

《・・はやておちついて。はいしんこきゅうしよう?》

 

《スゥーハァ~よし。みもり?ってひとのかぜをかべのそとからかんじたよ!》

 

《・・はやてにおなじく。》

 

「え?それ本当なの?あんた達?」

 

《・・YES》

 

「翔助、何で端末がないのに精霊が?」

 

『僕の精霊は全員フリーだからね。呼べば大体来てくれるんだよ夏凜ちゃん。』

 

「にっしーになついてるんだね~」

 

「・・いや、それよりも……須美が外にいるってやばくないか?」

 

「そうだよ!そもそもあの火の海の中に何で東郷さんがいるんだろう、、?」

 

「勇者アプリの入ったスマホがあれば、レーダーで東郷の位置が分かるんだが、」

 

轟山と疾風の言葉を聞いて、困惑する勇者部一同。……でも友奈ちゃんの言うとおり何であの火の海の中に突っ込むようなマネを美森ちゃんがやるんだ?

 

そう考えていると、部室の扉が開いた。

 

 

 

「あるわよ、三ノ輪さん?」

 

 

 

「「・・安芸先生!?」」

 

『おや、お久しぶりですね安芸先生』

 

「よく言うわよ、、翔助君が持ってくるよう頼んだんじゃない。」

 

「え?どゆこと翔助?」

 

『昨日調べるにあたって、安芸先生に端末を持ってこれませんかって連絡を入れてたんだよ銀ちゃん。』

 

『…ちなみにさっきの情報交換の際に言わなかったのは、持ってこれるかわからない不確定要素があったからだよ。』

 

「なるほど~」

 

「…とりあえず、多分だけど私がわかる東郷さんについて話しつつ端末を渡すわ」

 

安芸先生の話しを聞くと、『奉火祭』というものの、生け贄として向かったのではという話しだった。

……記憶消去は勇者部が防ぎにくる、もしくは悲しまないようにするためかな。

相変わらず一人で背負う癖は抜けてないなぁ美森ちゃんは。

 

それと勇者システムがバージョンアップされていることも伝えられた。

しかし風先輩は難色を示していた

 

 

「・・でも、部長としてこれ以上部員を危険にさらすのは、、」

 

 

うん。優しい風先輩らしい悩みだな。

……僕らなら問題ないってことを、心配性な部長にちゃんと伝えないとね~

 

『風先輩』

 

「・・何?翔助?」

 

『勇者部五箇条の中に、【成せば大抵なんとかなる】ってありますよね?だから大丈夫ですよ。』

 

「……でも、、」

 

『大丈夫ですよ。ちょっと壁の外に出て、ちょっと美森ちゃんを救って、ちょっと帰ってくるだけなんですから。』

 

「・・・・」

 

そう先輩に語りかけながら周囲にいるみんなに目を向ける。

 

『今までも数々の戦いを制してきたんです……みんな覚悟は決めてますよ?勇者部部長、犬吠埼風先輩。』

 

そう言い、風先輩の手を優しく握る。

 

 

 

「……まったく、これじゃあどっちが部長かわからないわね。」

 

『たまにはいいんですよ。いつもあなたは頑張ってますから』

 

「・・ありがと……よーし、勇者部!東郷を連れ戻しに行くわよー!」

 

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 

 

 

 

掛け声を出して気分を高めている勇者部の子達を横目で確認しながらネジを【容量の上限をなかったことにした】袋につめる

おかげでいくつでも入るので便利だぜ?

 

 

『こんなにみんなに想われている美森ちゃんは幸せものだな~」

 

 

僕はアタッシュケースから自分の端末を手にとって、窓から外を見て一つ呟く。

 

 

 

『罪なき優しい子を、生け贄になんてさせるかよ。』

 

 

 

 

 




次回は救出編になります。

何か番外編とか色々リクエストがあれば感想欄とかに書いていただければ参考にいたしますので、よろしくお願いします。

では、また。


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その弐拾九


こんばんは、深夜です。

バレンタインの夜中に投稿いたします。
……一人で寂しく。


・・悲しいなぁ~


安芸先生から端末を受け取った僕達は、屋上で変身を行ったのち、壁の向こうへ向かって走って移動すると、勇者の身体能力の高さゆえにすぐ到着した。

 

7人で結界を抜けて、外の世界へと出る

 

 

『相変わらずここだけ現世と分けられた地獄みたいだよな~』

 

「マジでそう見えるからやめてくれよ翔助、、」

 

「にっしーはいつも通りなんよ~」

 

『みんなが険しすぎるんだよ』

『さっさと美森ちゃん救って帰るだけなんだからさ』

『頭柔らかくしていこうぜ?』

 

「ええ、そうね。あまり難しく考えても仕方ないわよね。みんな!頭を柔らかくしていくわよ!」

 

「そうだね、お姉ちゃん!」

 

「あんたはもともと柔らかいでしょ?風」

 

「やかましいわよ!にぼっしー!」

 

「にぼっしー言うな!」

 

うんうん、みんな肩の力が抜けたみたいだな。良かった、良かった。

変に力が入ってしまうと逆に何にもうまくいかなくなっちゃうからね。

 

「あ!レーダーに反応があったぞ!」

 

「え?銀ちゃん本当?」

 

「本当だ、わっしーはレーダーの方向からしてあっち、、」

 

「・・何、あれ?」

 

風先輩がそう言うのも無理はないだろう。

美森ちゃんがいるという反応を示している方向を見ると、、そこにはブラックホールのような真っ黒な球体があった。

 

……うわ、しかも射手座や水瓶座みたいなバーテックスや白いのもいるよ。

 

『あっちにとって、儀式の邪魔はされたくないみたいですね。』

 

「らしいわね、、」

 

「っ!……どうやら来るみたいよ!」

 

夏凜ちゃんがそう言って指さすと、白いバーテックスがこちらに突っ込んできているのが確かに見えた。

 

『そうはいくかよ』

『おいで、ぬりかべ』

 

《ぬ~り~か~べ~!》

 

その攻撃を黙って受けるわけにもいかないので、ぬりかべを呼び出して防ぐ。

 

「ナイスなんよ、にっしー!」

 

「そおい!」

 

防いだ後は先代の二人が仕留める。

やっぱり満開を複数回しているだけあってか、ブランクがあっても動けてるな。

 

「ナイスよ三人共!さすが先代組ね」

 

「えへへ~」

 

「それほどでもないっすよ」

 

『でも応戦だけしててもしょうがないですよ。どうします?』

 

「そうなんですよね、、」

 

満開すれば浮遊能力がつき、行けることには行けるのだが、満開システムのバージョンアップにより、代償がなくなったかわりにバリアがなくなり、安全面が下がってしまっているためうかつにはできない。

 

「なら~私の満開ならあそこまで比較的安全に行けるよ~?」

 

「園子ちゃんの満開が安全?」

 

『・・あぁ、そういえばそのちゃんの満開ならちょうどいいかもね』

 

「でしょ~?じゃあ行くよ、【満開】」

 

そう園子ちゃんが言うと、たちまち満開の衣装に着替え、巨大な船に乗った彼女になった。

 

「よーし、みんなー。わっしー行きの船に乗ってあそこまで行こう~!」

 

「・・満開に躊躇ないわね~」

 

「アタシらはもともとバリアありませんでしたからねー」

 

『慣れっこだよな~』

 

そう言いながら、みんなで園子ちゃんの船に乗って美森ちゃんのもとへ行こうとしたのだが、バーテックスが邪魔で倒しながらだと間に合わないということになった。

なら、あの子に任せるしかないよね

 

『友奈ちゃん、お願いできるかい?』

 

「え?……私でいいの?」

 

『自分から行こうとしていた癖に何言ってるんだい?』

『僕も行きたいところだけど、バーテックスの方を無視はできないからね。』

 

「翔助君……うん!必ず東郷さんを連れて

二人で戻ってくるよ!」

 

「そうね。友奈が一番適任よねこれは」

 

「友奈さんなら信頼できます!」

 

「友奈、任せたわよ!」

 

 

「みんな、、任せて!!」

 

うん、この様子なら大丈夫そうかな?

……まあ、一応渡そうか。

 

『友奈ちゃん、これを受け取ってくれないかな?』

 

「……これは、、ネジ?」

 

『お守りみたいなもの。何かあったら、それで僕のことを思いだしてくれよ』

 

『君は一人じゃないんだからさ。』

 

「……ありがとう!勇者部所属、結城友奈。行ってきます!」

 

 

 

 

 

 

 

『さて、そろそろ頃合いかな?』

 

ブラックホールに入っていった友奈ちゃんを見送って少しの間、バーテックスを殲滅し続けていた。

 

そろそろ終わる頃だろう。

そう口に出しながら白いバーテックスを殲滅していると、鏡とブラックホールが砕けちり、消滅した。

 

『あらら、、一反木綿、救助を頼むよ』

 

砕けちったブラックホールから、意識を失った二人が落下していたので一反木綿を救助に向かわせて、二人をキャッチした後に園子ちゃんの船に優しく乗せてあげる。

 

「ナイス翔助!みんな、さっさと帰るわよー!」

 

「了解なんよ~フーミン先輩ー!」

 

二人が船に乗ったのを確認したのち、風先輩が帰還命令を出して、園子ちゃんは船を結界の中へと動かそうとするが、

 

「っ!……でかいバーテックスが三体もいるんよ、、」

 

「ちっ。ただでは帰してくれないか、、」

 

三体の大型バーテックスが邪魔をして、船を露骨に動けなくなっていた。

壁破壊の時よりは大きくないが、それでも大きめなため、倒すのにはどうしても時間がかかるだろう。

 

 

・・仕方ない。ここは、、

 

 

 

『僕が囮になるよ。』

 

 

「翔助!?あんた何言ってるかわかって、」

 

『わかってるよ夏凜ちゃん。でも、誰かがやらないと、みんな帰れないだろ?』

 

「・・・・」

 

『女の子の友奈ちゃんが頑張ったんだぜ?男の子の僕は黙っているだけなんて、僕の男としてのプライドが許さんぜ?』

 

「・・翔助、、大丈夫なのよね?任せていいのよね?」

 

「先輩、、」

 

「にっしー、、」

 

「翔助、、」

 

不安そうな表情でみんながこちらを見てくるので、苦笑しながらなだめる。

別にそんな心配しなくても、、

 

『あはは、大丈夫だよ。倒すんじゃない、囮になって時間稼ぎをするだけなんだからさ。』

 

『みんなが逃げた後、僕もちゃんと隙を見て逃げるから大丈夫ですよ。』

 

「・・なら、お願いするわね。」

 

 

風先輩の言葉を聞き、声を出す。

 

 

 

『【満開】』

 

 

 

満開した後、大型バーテックスに向かって

とんでいき、注意をこちらに向けさせて、結界と真逆のところに逃げる。

 

『今のうちですよ!』

 

「・・生きて帰って来なさいよ、翔助」

 

『大丈夫だよ夏凜ちゃん。必ず戻るよ、だから安心して待っててくれよ?』

 

夏凜ちゃんとそんな言葉を交わした後、園子ちゃん達の船が結界へと動きだしたのを確認し、目の前の大型バーテックス三体に目を向ける。

 

『おいおい~学ばないなぁ君たちは。』

 

『足元注意だぜ?』

 

三体のうち一体を地面に仕掛けた大きなネジで貫き、動きを封じる。

その光景を眺めながらバーテックスに向かってしゃべる。

 

 

『確かに身体能力は自他共に認めるぐらい低いけど、、』

 

 

 

 

 

 

『ルールのない戦いなら、得意だぜ。』

 

 

 

 

 

――彼がそう言った後、たくさんのネジが宙を舞った――

 

 

 

 

 




いかがでしょうか?

面白いと思っていただけたらうれしいです

何か番外編などのリクエストがあったら気軽に言っていただけると、番外も書きやすいです。

バレンタイン編は諸事情により明日に投稿いたします。

では、また。


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--番外--
彼について


番外編です。

ほのぼのオンリーですので、シリアスはなしです。よろしくお願いします。


「風先輩ー!今日は翔助君放送部に助っ人として行くそうで、遅れるらしいです!」

 

「え?そうなの?……珍しいわね、あいつが連絡し忘れるなんて。」

 

「え~?にっしーいないんですか~?」

 

「助っ人って、、何やるのよあいつ。」

 

いつも通り部室に入ると、友奈ちゃんが風先輩とそう話しているのが目に入った。

 

「あら、翔助君休みなの?友奈ちゃん?」

 

「あ、東郷さん。うん、なんか放送器具の調子が悪くて先生もよく分からないからって、翔助君が助っ人としていくんだって」

 

「翔助……あいつ運動以外なら大体なんでもできるよな~本当」

 

「東郷はできないの?放送器具の修理とか点検だとか」

 

「あまり複雑なのはちょっと、、」

 

「東郷以上なのね、あいつ……」

 

友奈ちゃんの話しを聞いて、銀と同じ事を思ってしまう。

・・翔助君本当に運動以外なら大体できるからすごいのよね……放送器具の修理とかどこで覚えたのかしら、、?

 

『あー、あー、ただいまマイクのテスト中、マイクのテスト中……よし。おーい直ったぜ~?井頭ちゃーん』

 

 

「おっ。噂をすれば本人の声が」

 

「もうなおったんですか、、」

 

「仕事が早いね、翔助君は。」

 

みんなで彼のことを話していると、部室のスピーカーから彼の声が聞こえてくる。

 

いくらなんでもちょっと早すぎないかしら?もうちょっとかかると思ったのだけれど、まさかもう直るとは。

 

そう内心驚いていると、また続けて声が聞こえてきた。

 

『え?せっかくだから何か話してくれって?・・いや、無茶ぶりすぎないか?え?

なら明日のお昼ご飯の時間に?・・まあ、それならいいけど……って決定?マジ?おーい待ってくれ』ブツッ

 

「「「「「「「・・・」」」」」」」

 

 

「・・何か翔助も大変そうね。」

 

風先輩の言葉にみんなで頷く。

強く生きてちょうだい、翔助君……

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、みんな。そういえば私達って翔助の事あまり知らないんじゃないかしら?」

 

みんながそれぞれの仕事を行って、一区切りついた後突然風先輩がそう話しを切り出してきた。

 

「いや、アタシたちは別に、、な?」

 

「そうね。小学生の時に翔助君の生活を覗いたりしたから、知らないってことはないですよ。」

 

「わたしはにっしーの事なら大分知ってる自信あるんよ~」

 

「まぁあんた達はね……って東郷、それどゆこと?何?覗いたって?」

 

「風先輩~細かい事気にしてると女子力下がりますよ?」

 

「・・よーし、話しを戻しましょう!」

 

そうやって話しをそらした後風先輩の死角に入って、親指を立てて銀がこっちを見ていた。……ナイスよ、銀。

そのGサインにそのっちと一緒に親指を立てて返す。

 

「ハァー。……口じゃなくて手を動かしなさいよ、風」

 

「お姉ちゃん?仕事にもちゃんと力入れないとだめだよ?」

 

「そ、そうですよ!今はお仕事頑張りましょうよ!風先輩!」

 

「ふーん……じゃあ夏凛と樹と友奈は翔助の事気にならないの?」

 

風先輩が少し意地悪な表情で三人に訪ねると、三人共表情を曇らせていた。

 

「ほら~やっぱり気になるんじゃない」

 

「・・ま、まぁ気になりはするわ、、」

 

「・・わたしも、、」

 

「・・翔助先輩は謎が多いですからね」

 

「・・やっぱりそうよね。あいつ休みの日とか何してんのかしら?」

 

昔の私達と同じ事を思っている四人を見て、改めて翔助君は謎が多い男の子なんだなと感じる。

 

みんなも知りたがってるみたいだし、、少し位教えてあげようかしら。

そう思い口を開こうとすると、部室のドアが開いた。

 

『別に大したことはしてませんよ?近所の子供達の相手とかはしてますけど、他には読書ぐらいですかね。』

 

「翔助!?……聞いてたの?」

 

『部室に近づいたら話し声が聞こえましたので、ちょっと耳をすましたら内容がわかりましたよ。』

 

「翔助君?盗み聞きは感心しないわよ?」

 

『犯罪ギリギリアウトの観察をした君には言われたくないぜ?美森ちゃん?』

 

「お帰りにっし~」

 

『うん、ただいま。だけどすぐに抱きつく癖はなおそうね?僕は大丈夫だけど、他の男の子にやったらびっくりしちゃうから」

 

「・・え?それマジで言ってんの?翔助?ギャグじゃないの?」

 

『?そうですけど?』

 

「あー、、ちょっと風先輩…それとみんなも集合。」

 

翔助君とそのっちの会話を見て、風先輩が困惑して訪ねる。…そのっちが他の男の子に抱きつく姿なんて見たことないわよ?

 

その様子を見て銀がみんなを集めてこそこそ話しだす。

 

「翔助はどうやら、自分はみんなに好意をよせられているって気づいてないみたいなんですよ。」

 

「え?…いわゆる鈍感ってやつ?」

 

「いや、ちょっと違うっすね~。そもそもあいつはアタシ達とのふれあいを色恋じゃなくて、友好的な物だと捉えてるみたいなんすよね~。」

 

「ちょ、ちょっと!私はそんな色恋の感情なんてないわよ!」

 

「はいはい、可愛いわね~夏凛は~」

 

「風!撫でんじゃあないわよ!!」

 

「わ、わたしが翔助君のことを……あわ、あわわ」

 

「・・翔助先輩のことをわたしが、、そ、そんな事な……くはないけど、、」

 

「私は大好きだけどね~にっしーのこと」

 

「ま、まぁ?アタシも好きだけど?」

 

みんな銀の言葉に反応してそれぞれの反応を示していた。それでも、一つ共通していることがある、それはみんな頬を赤く染めていることだ。夏凛ちゃんをからかっている風先輩も

 

・・かく言う私も、顔に熱がともっているのを感じる。……私も翔助君のことは好きだけど、いざ人に言われると恥ずかしいものねやっぱり……

 

 

 

 

 

『・・いや、何この状況?』

 

 

一人のけ者にされたあげく、頬を染めて恥ずかしがっているみんなを見て、彼が余計困惑していたのは言うまでもない。

 

 

 

『僕は悪くない、、はずだよね?』

 

 

 

 




はい、翔助君が悪くないと思う人はいらっしゃいますか~?

・・どうですかね?なんなら感想欄にでもご自由に書いてみてください。





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バレンタインデー!前編

諸事情により遅くなりましたが、書きました。

・・現実逃避もかねて、ですけどね。


ある日の学校にて-----

 

『おはよーみんな~』

 

「「リア充死すべし、慈悲はない」」

 

『・・二人共どうしたんだい?』

『いつにも増して過激じゃあないか』

 

「あー、そこらへんにしろ、バカ二人」

 

「「あべし!!」」

 

いつも通り学校に登校して、いつもの男の子三人に挨拶をすると、二人が飛びかかってきたので避ける。

それを見たもう一人の男子、明田(あきた)君が呆れながら、頭にチョップをして咎めていた。

 

……何なんだ?一体。

 

「ごめんな翔助。朝からこいつらこのテンションなんだよ。クラスのカップル見るたんびにその子達に邪気をとばしてさ~」

 

『いや、別にいいけど』

『なんかあったのかい?いつもの数倍ぐらい荒ぶってたぜ?』

 

「・・え?…あぁ、なるほど、、翔助、今日がなんの日かわかってるか?」

 

彼は少し意外そうに驚いた表情をしたのち、何かがわかったのか、納得した顔を浮かべて僕に聞いてくる。

……ん~今日は2月14日だよな?燃えるゴミの日?…いや、違うよな、、誰かの誕生日とかかな?……わからないな。

 

『・・ごめん、わからないよ。今日は一体何の日なんだい?』

 

「・・マジか。翔助とか貰いそうだからわかってると思ったんだが、、」

 

「貰う」?何を貰うんだ?一体。

 

「えっとな、今日は、」

 

 

「「バレンタインデーだよ!!」」

 

 

「うおっ!?びっくりした!」

 

『生きてたんだね、二人共』

 

「「勝手に殺すな!!」」

 

明田君が話そうとすると、倒れていた二人がムクリと起き上がり、大声でそう叫んだ。まさか起きていたとは思わなかったので、思わずそう言ってしまった。

 

なるほど、そういえば今日はバレンタインデーだったな。

前世ではそんなものもらったことなかったし、今世の小学生時代も、もらってなかったのですっかり忘れていた。

 

「どうせお前も貰ってんだろう!?おら!さっさと吐け!!」

 

「うらやましいぞ!この野郎!!」

 

『肩を揺らさないでくれよ、酔いそうになるからさ』

 

そんな血眼になってまででも知りたいのかよ、この子達は。

 

「だから落ち着けって、、でも俺も気になるな。もう、何個か貰ってたりすんのか?翔助?」

 

『いや?貰ってないけど?なんなら今までもらったことないぜ?』

 

「およ?そうなのか?一個ぐらいなら貰ったことありそうだけどなぁ~」

 

「嘘つけ!お前がチョコ貰ってないなどありえん!」

 

「そうだ!そうだ!」

 

いや、なぜそんなに怒ってくるんだよ。

僕はただ本当の事を言っただけだぜ?

 

『いやいや、本当だぜ?』

『逆に僕が誰から貰うって言うのさ?』

 

「そんなの決まってんだろうがよ!」

 

「勇者部の人達から貰ってんだろ!先輩や後輩にまで手をだしたの知ってんだぞ!」

 

『ちょっ、言い方よ。』

 

手をだしたってひどい言い方するなぁ

…って、そんなことした覚えないし。

 

「俺もこいつらが言ってる通り、勇者部の子達から貰ってると思ってたぜ?あとは、美奈ちゃんあたりかな?」

 

美奈ちゃんって言うのは、フルネームで

『水無 美奈』(みずな みな)と言う子だ

どんな子かと言うと、クラスの男の子や先輩の男子が選ぶ『理想の彼女ランキング』

で一位を獲得している子だ。ちなみに二年で、同じクラスである。

 

結構彼女とは仲が良くて、朝に話したりとか結構するのだが、ランキング一位をとっているのも納得するぐらい良い子で、仕草も可愛らしい。他に、料理も勉強もできるため、仮に彼女になるとするなら素晴らしい女性と言えるだろう。

 

ちなみにスタイルも良いため、男子友達のいくつかは、よくじろじろと彼女を見ている。ということが日常茶飯事だ。

……ちょっと露骨すぎるけどね

 

そんな子が僕にチョコ?

十中八九ないな。そんなこと天地がひっくり返ってもないだろう。

勇者部の子達も同様の理由だ。

 

『ないない。確かに仲は良いとは思うけど、チョコはないだろうね。』

 

「ん~そうか~?何か美奈ちゃんお前と話す時、すごい楽しそうなんだがな~」

 

『そうかい?気のせいだと思うけど。』

 

「・・まあ、そう言うことにしておこうかな。それでも、友チョコならあるだろ?」

 

『あはは』

『だといいんだけどね~』

 

「美奈ちゃんまで、、うらやましい!」

 

「爆発しやがれ!!」

 

「はいはい。俺たちはトイレ行ってくるわ。またな~翔助~」

 

『は~い』

 

嵐みたいな時間だったな~。

まあ、とりあえず友奈ちゃん達に挨拶しに行って、時間まで駄弁ってようかな。

 

 

 

「あ、翔助君!」

 

そう考えていると、後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえたので、振り向くと、そこには美奈ちゃんがいた。

……噂をすればなんとやらってやつか

 

『おや、おはよう。美奈ちゃん』

 

「うん、おはよう。…さっき私の名前が翔助君達のところから聞こえたんだけど、、何かあったの?」

 

ありゃりゃ、あの子達のせいで不審がられてるじゃないか。とんだとばっちりだぜ

 

……少しからかってみようかな。

 

『あぁ。美奈ちゃんはやっぱり可愛らしいなぁって話してたんだよ。』

 

「え!?そ、そんな事話してたの!?」

 

『あはは、そうだぜ?ほら、今日ってバレンタインデーだろ?美奈ちゃんみたいな子からチョコ貰いたいなぁってね。』

 

「へ、へぇー……私が、可愛いかぁ~、、えへへ。」

 

うん、可愛らしいね。

頬を赤らめながらも、はにかんだ笑顔を見せて照れている様はそれしか言いようがないだろう。…さすが一位だね。

ちなみに勇者部の子達は2から下のトップ10

入りを果たしている。妥当だろうね。あの子達も外見と中身、どちらも素晴らしいからね。…やめよう、自分が気持ち悪い。

 

「あ、あの……翔助君?」

 

可愛らしいなど考えている自分を気持ち悪く思っていると、美奈ちゃんが頬を赤らめて話しかけてきた。

 

『ん?どうかしたかい?美奈ちゃん』

 

「あのね、えっと、、放課後になったらさ、少し時間貰えないかな~って。」

 

…まだ朝だけど、、今言うってことは、何か大事なことでもあるのだろうか?

放課後は勇者部の活動があるが、少しなら大丈夫かな。一応昼休みの時間とかに風先輩に連絡を入れに行っておこうかな

 

『いいけど、そんな改まって言うなんて珍しいね。何かあるのかい?』

 

「えぇ!?う、うん。ちょっと、、ね」

 

『?…まぁ、内容はその時に聞くよ。じゃあ、またね美奈ちゃん。』

 

「はーい」

 

明らかに慌ててたけど、何なんだろう?

目も泳いでたし、ますます気になる。

 

 

 

 

キーン コーン カーン コーン

 

『あら、時間になっちゃった』

 

結局友奈ちゃんと美奈ちゃんに、朝の挨拶できなかったなぁ。

でも同じクラスだし、その時に謝りをいれておけば大丈夫かな?

 

そう考え、みんなが席につこうとしているのに合わせて、僕も席についた。

 

 

 

「あれってさ……東郷さん……」

 

「えぇ。・・強力なライバル出現ね。そのっち達にも教えないと・・私達も負けてられないわね」

 

 

二人が険しい顔つきで何かを話していたのを、彼は知るよしもない。

 




リアルでの用事がありまして、前編後編と分けようと思います。

オリキャラの美奈ちゃん登場です。
といっても多分本編ではがっつり出たりすることはないので、見た目などの詳細は書かない予定です。
もし気になる場合は感想欄に書いていただければ、詳細を返信に書こうとは思います

後編はまた明日になりそうです。

では、また。


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バレンタインデー!後編


後編になります。

とりあえずどうぞ。


 

 

昼休みにて-----

 

 

「翔助!トランプやろうぜ!」

 

「現在30連敗中……今度こそは僕が勝たせてもらうぞ、、!」

 

昼休みになるとクラス男友達に遊びの誘いを受ける……心理戦が得意な僕に、トランプで挑んでくる君が悪いんだぜ?

 

しかし今日は風先輩に部活が遅れる連絡を入れなければならないため、悪いがお断りさせてもらおう。

 

『ごめんね、あいにく今日は用事があるから、無理なんだ。』

 

「あら、そりゃ残念だな。」

 

「…命拾いしたな、翔助……」

 

『あはは』

『じゃあ、またね』

 

「うーい」「じゃあなー」

 

 

 

 

『さーて、風先輩の教室は、、』

 

教室を出て、風先輩がいるであろう三年生の教室を探して歩く。

 

「あら、翔助じゃない。何してんの?」

 

『あ、風先輩。ちょうどいいところに』

『今日は珍しくついてるぜ』

 

「え?どゆこと?何かあたしに用でもあるのかしら?」

 

するとちょうど探していた人物の方からこちらに来てくれたため、用件を伝える

 

『はい。今日の部活少し遅れそうなので、その連絡をと思いましてね』

 

「なるほど。どうしたの?何か用事でもあるの?」

 

『まあ、はい。友達に放課後少し時間をくれと言われましてね。』

 

聞かれたのでそう返すと、少し風先輩の顔色が少し悪くなっていた。

不思議に思い、おもわず訪ねてしまう。

 

『大丈夫ですか?』

『少し顔色が悪いようですが。』

 

「…あぁ、大丈夫よ。……ねぇ、翔助。その友達って男?女?」

 

『…へ?』

『どうしてそんなこと聞くんですか?』

 

「すこーし気になってね~、、で、どうなの?男?女?」

 

『いや、女性ですけど、、』

 

「・・ふーん。名前は?」

 

いやそこまで気になるか?普通?

もしこれがアニメなら、僕の頭上には疑問符が浮かんでいるだろうな。

 

『水無美奈って子ですよ』

『結構うちの校内では可愛いって有名の子ですよ。知ってます?』

 

「え!?あんた、あの子と仲良いの!?」

 

顔が近いよ、風先輩。

 

『えぇ、まぁ。』

『良い子ですよあの子は』

『・・というか、顔近いですよ風先輩』

 

「ご、ごめん……あの子が翔助を…まずいわね。」

 

『?』

 

ボソボソと話していたため、後半は聞き取れなかった。何を言ってたんだろうか?

 

「コホン。とりあえずわかったわ、連絡ありがとうね翔助。」

 

『はぁ、わかりました。ではまた』

 

 

「・・みんなにも言っておきましょう」

 

 

 

 

 

その後、あっという間に時間は過ぎ去り、放課後となった。

 

「よし。……じゃあついて来てもらってもいいかな?」

 

『了解』

 

歩いて教室を出ていく美奈ちゃんの後ろをついていく。

 

 

学校の屋上までくると、美奈ちゃんがくるっとこちらに振り向いてくる。

よく見るとその顔は少し赤らんでいた。

 

「・・ねぇ、翔助君。一つ聞いていいかな?…私のことどう思ってる?」

 

『いきなりだね、美奈ちゃん?』

『どうしたんだい?いったい』

 

「お願い。教えて、、?」

 

『・・よく分からないけど、、そうだな~可愛いらしくて、優しくて。男の子にとって理想の彼女だと思うぜ?』

 

そう言うと、赤い顔がより赤くなっていたような気がした。

 

彼女は少し間を空けたのち、口を開く。

その顔はよ先ほどと比べ、より赤らんで、心無しか目も潤んでいた。

 

 

「じゃあ…もしも、もしもだよ?私が」

 

 

 

 

 

「付き合ってくださいって言ったらどうする、、?」

 

 

・・美奈ちゃんが僕と付き合う、、ねぇ。

 

どうせただのからかいだと思うが、少し考えてみよう。

 

 

・・・うん、釣り合ってないね。

 

『そうだね~釣り合って無さすぎだ』

『僕に君は勿体なさすぎるぜ』

『もっといい人を探して欲しいって言って断るかな~僕は。』

 

「私は君がいいの……」

 

『もういいだろう?』

『からかいはもう勘弁してくれよ~』

『美奈ちゃん』

 

「・・あははバレちゃったか~ごめんね?お詫びといっちゃあ何だけど、チョコあげるね?」

 

『よし許す』

 

「ありがと~」

 

 

その後は適当に少し駄弁ってから、部室に向かったのだが、、

 

 

『みんな?どうかしたのかい?』

 

部室の中に入ると、悲しげな雰囲気になっていたので、みんなに訪ねる。

 

「・・にっしーどうだったの?」

 

『ん?どうだったって何が?』

『というか顔をあげてくれよ』

『みんなもだよ?とりあえず顔をあげてからゆっくりと話そうぜ?』

 

「誤魔化さないで。美奈ちゃん?のことだよ。……どうだったのか結果を教えてほしいんよ~」

 

「「「「「「・・・・」」」」」」

 

『・・ちょっ、そのちゃん?目に光がないぜ?・・みんなも同じなのかよ。ハイライトさんは何処へ?』

 

「・・・」ガチャ

 

『風先輩?無言で部室に鍵をかけないでくれませんか?』

 

 

鍵をしめた風先輩にそう話していると、両腕を友奈ちゃんと美森ちゃんに掴まれる

 

死刑を実行するために死刑囚を捕縛する看守みたいな事をされてさすがに慌てる

 

『ふ、二人とも?離してくれないかい?・・駄目だ、振りほどけないぜ』

 

そう言うと、光のない目で首を横に振られたので、もがいて出ようとするが、力ではまったく敵わず微動だにしない。

 

「アタシも知りたいなぁ~翔助?」

 

「にっしー。観念して全部話してね~?ちゃんと話してくれたら、私達からチョコをあげるからね~」

 

銀ちゃんと園子ちゃんがそう言いながら光のない瞳で歩みよってくる。

僕なんか悪いことしたのか?

……してないよね?

珍しくついていると思ったら、、やっぱりついてなかったな~。

 

 

でも、最後に一言言わせてほしい。

 

 

 

 

『僕は悪くない、、はず。』

 

 

 

 

あの先輩のように堂々と自分は悪くないと言えるようになれる日は来るのかな。

 

そう考えながら、なんとかみんなの誤解をとこうとその後頑張る僕なのだった。

 

 

・・ちなみにみんなから貰ったチョコはとてもおいしかったです・・





どうでしょうか?

今回はバレンタインデーの話しなのですが、オリジナルキャラクターの美奈ちゃんが主役みたいになりました。

・・それでも本編では多分出しませんのであしからず。

※翔助君はちなみにみんなからの好意を気づいてないふりしているわけではありません。自分なんかが好かれるわけないと思っているだけです。

次からは本編に入ります。
では、また。


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ホワイトデー!

とりあえず今日はホワイトデーということで、番外を書かせていただきました。
ちなみに会話文多めです

どうぞ。


ある日の夜ーーーー

 

『もう明日は土曜日か~』

『時間は本当にすぐ過ぎるよな』

『勇者部の活動していると特に』

 

学校から帰ってきて、宿題や明日の持ち物を整理した後、ベットへ横になってそんな事をぼやく。

楽しいことをしていると時の流れが早く感じると言うが、本当にその通りだと思う

 

『・・前世じゃ、夢にも思わなかったな。こんなに楽しい人生を送れるなんて』

 

ベット横に置いてある勇者部の集合写真が目に入り、もう何度目かわからないその言葉を漏らす。僕に相応しくない、って思っちゃうんだよなぁこの生活が

 

勇者部の子達はみんな可愛い。

…男の僕がそんなこと言うと気持ち悪いと思うが、それは確かな事実だ。

 

その証拠に僕は勇者部の活動以外でも人の悩みや相談事などを聞いているのだが、先輩や後輩の子達からくるのが、

 

「結城先輩の好きなタイプの男性を教えてください!翔助先輩!」

 

だとか、

 

「乃木って誰か付き合ってる人いる?」

 

といった勇者部部員関連の恋色がついた相談や質問が多数くる…青春だよな~。

ちなみにそれらには、僕が知っている事があったらその場で教えたり、わからない事に関しては代わりに本人へと聞いてあげたりして、僕なりに全力で恋の手助けをしてあげている。

 

僕が少しでも少年少女の恋を実らせることができればいいなと思って。

 

…彼女達と一緒にいるだけで憎悪の目線を向けてくるクラスの男の子達は勘弁願いたいけどね、、園子ちゃんが僕に抱きついてくる時なんか、目力だけでバーテックス殺せそうだったからなぁ。

 

自分が苦い笑みを浮かべているを理解しつつ、寝るにはまだまだ早いのでスマホを開いて、時間を潰そうと電源を入れて出てきた日付に何かを感じた。

『3月14日……何かあったような…』

『それも大事な事だった気がするんだけど、、カレンダー見てみるか』

 

妙な物を感じたのでカレンダーを見てみると、『ホワイトデー』と書いてあった

 

『・・そうだ、そういえば明日はホワイトデーという大事な日じゃん!』

『前世で無縁な物だったから、、すっかり忘れてたよ!早く作らないと!』

『すみません!朝倉さーん!明日のホワイトデーのためのチョコ作り、教えてもらえませんかー!?』

 

その日の夜はチョコ作りでとても慌ただしかった。明日は風先輩が12時から神社にて落ち葉掃除を行うと言っていたので、そのタイミングで渡そう。

 

 

……朝倉さん、突然すみませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日ーーーーーーー

 

 

「ふー…やっときれいになったわね」

 

「風先輩!私達の所も終わりました!」

 

「アタシ達先代組の所も終わりましたー」

 

「完璧なんよ~」

 

やっと神社の落ち葉を掃除し終わった。

先代組と現代組で分かれてやったため、案外時間はかからずに終えることができた

よし、これならチョコを渡す時間もちゃんと作れそうだな。

 

「よし!じゃあ、みんなでうどんを食べに行って、今日は終わりにしましょう!」

 

『ちょっと待ってください風先輩』

『みんなも少し時間をくれないかな』

 

「どうしたのよ翔助?」

 

「私は大丈夫だよ翔助君!」

 

「・・なるほど~そういえば今日だったね~?みのさん」

 

「・・ああ、そうだな園子」

 

『あはは』

『そのちゃんと銀ちゃんの想像通り』

『はい。バレンタインデーのお返しだよ、今日はホワイトデーだからね』

 

うどんを食べに急いで行こうとする風先輩を引き止めて、勇者部のみんなに一人ずつ順番にチョコを渡していく。

もちろん何も言わずに渡したりなんかせずに、バレンタインデーの時の感謝を伝えてから渡すことを忘れない。

 

「わぁ~。ありがとう翔助君!」

 

「ああ……すっかり忘れてたわ。今日ホワイトデーだったのね、ありがとう」

 

『いえいえ、どういたしまして』

 

そう言ってくれるとありがたいな。

多分味も問題無いと思う…一応味見も済ませてあるからね。

 

「翔助…これ手作り?」

 

『ん?そうだけど?』

 

「え?全員分ですか?」

 

『もちろんだけど?』

 

「よく作ったわよね……別に、嬉しくないわけじゃないけど…」

 

「少し申し訳ない気持ちになります……嬉しいですけど…」

 

『?』

 

夏凛ちゃんと樹ちゃんにそう聞かれたので事実をそう話すと、なぜか苦い顔をしてぶつぶつ二人共話し始めてしまった。

何か気にいらない事があったのかな……だとしたら申し訳ないことしちゃったな。

 

「ありがとう、翔助君」

 

『ん…大丈夫だよ、いつもおいしいぼた餅とか作ってもらってるからね。こちらこそいつもありがとう』

 

「ふふ、喜んでもらえてるならうれしいわ。ならこれからも作ってくるわね」

 

『それはうれしいね・・たぶん僕よりも、友奈ちゃんの方が喜ぶと思うけど…』

 

「・・園子、アタシやっぱり恥ずかしいからパス…後は任せた」

 

「ラジャー!……ねぇ~にっしー」

 

美森ちゃんと談笑していると、いつの間にか隣に来ていた園子ちゃんが僕の服の袖を引っ張っていた。

 

『ん?どうしたんだいそのちゃん?』

 

「にっしーに作ってもらったチョコを…にっしーに食べさせてもらいたいんよ~」

 

「な!?そ、そのっち!?それは…」

 

『まったく、しょうがないなぁ…』

 

「いいの!?翔助君!?」

 

『今に始まった事じゃないだろう?美森ちゃんはまだ慣れないのかい?』

 

「いや、確かにそうだけど……」

 

まだ慣れない美森ちゃんに苦笑しながらもそう話す。…できれば園子ちゃんは僕に人前で抱きついたりしてこないで欲しいんだけどね、それに少しぐらいは男の僕に警戒心を持って欲しい。

 

…たぶん僕の事は、仲のいい友達ぐらいにしか見てないんだろうな~園子ちゃんは

 

そんなことを考えつつ、園子ちゃんに渡そうとしたチョコを彼女の口元へと運ぶ

 

『はい、あーん』

 

「あーん。……うん、とっても美味しいんよ~♪」

 

『そうかい?…っと、口に少しチョコが付いちゃってるよそのちゃん』

 

「えー?どこどこ~?」

 

『動かないで。今拭いてあげるよ』

 

「ありがとう~」

 

 

 

ささっとポケットに入れていたティッシュに手を伸ばそうとした時、あることを思いついた。

 

 

 

 

・・そうだ、せっかくだから園子ちゃんに少し警戒心を持たせてあげよう。

 

 

 

その方法はとっても簡単…少し彼女に『イタズラ』をするだけさ。

しかし、簡単とはいえ、そのイタズラはやる僕自身も恥ずかしいのだが…園子ちゃんに警戒心を少しでも持ってもらうためだ、僕も腹を括ろう

 

善(?)は急げと言うので、さっそく実行へと移す。……といっても、今からやることはそこまで難しいことじゃない。

 

 

 

『よっと失礼……あむ。うん、朝倉さんの助力があったせいか、おいしいな』

 

 

「・・ふぇ?」

 

 

 

園子ちゃんの口回りにちょこっとついたチョコを指でなぞり取り、それを自分の口元へと運び……食べる。

僕がやった行動は例を出すなら、できたての熱々カップルが公園のベンチとかでよくやっているような恥ずかしい物だ。

 

自分の頬に少し熱がともっているのを感じるが、その代わり園子ちゃんの呆けた顔を見るに、イタズラは成功した模様だ。

これで少しは男の僕に対して警戒心を持ってくれるといいんだけど……ん?

 

少し一人ちょっとした達成感に浸っていると、何か周りからの視線を感じたので周囲を見渡す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「・・・・」」」」」」

 

 

「・・にっしーが私に……ふぁ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・』

 

 

 

あ、、みんながいること忘れてた。

 

 

 

 

 

 

その後みんなそれぞれ一人ずつ、園子ちゃんと同じことをした。

 

 

そして今回の事をきっかけに、以前よりも園子ちゃんが以前よりも抱きついてきたりする回数が増え、距離もよりいっそう近くなった。……黒歴史を作ってまでもやったのに、効果はなかった、、むしろ増えたから、逆効果だったと言えるかもね……

 

 

 

『ああすれば、園子ちゃんも少しは警戒してくれるかなと思ったんだけど……』

『それは甘い考えだったみたいだね』

 

 

 

『そう・・チョコだけにね』

 

 

 

【ホワイト】デーなのに、

【ブラック】な歴史記録ができました。

 

 




ギリギリに投稿できました。

今回は少しギャグ多め、シリアス少なめのギャグ風味強めになっておりますので、楽しんで見ていただけたならうれしいです

・・少々本文中に寒い表現があったかもしれませんが、皆さまの寛大な心でお見逃しください。



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--西村翔助は□□□である--
その1


新章に入ります。

この章では、原作キャラの視点をいくつか作る予定です。

とりあえず、どうぞ。


・・あれから何時間たっただろうか

飛びかかってきた白いバーテックスをネジで打ち落としながら考える。

 

『これじゃあ、きりないぜ』

 

園子ちゃん達が乗ってる船が結界の外にいくまで無事時間を稼ぐことはできた。

 

しかし、問題はその後だ

 

僕も早々と結界の外に出ようと、戦線から脱出を試みたのだが、失敗に終わった。なぜかと言うと、、

 

『・・何匹、、いや、何百匹いる?』

『数えられる量じゃないのは確かだ』

 

船がいなくなった後、バーテックス達が急に湧き出まくってきたのだ。

小型だけなら問題はないんだけど、残念ながら魚座や天秤座といった大きめのバーテックスもうじゃうじゃ湧いてきている

 

『最初にいた大型バーテックス三体も倒したはずなのに、、』

 

そう呟きながら前を睨みつける。

 

『何で復活してるんですかねぇ』

『しかもさっきより大きくなってる』

『強くてニューゲームはずるいぜ』

 

動きも良くなっているため、倒すのにも時間がよりかかりそうだ。

……勘弁してくれよ~

 

『危な、、とりあえず大型を一匹は潰しておかないとね。っと』

 

大型を一匹槍で貫いて倒す。

でも、また時間が経てば復活するので、たまったもんじゃない。

 

『さすがにキツいぜ……【大嘘憑き】橋の結界と、僕との距離を【なかったこと】にする。』

 

さすがにキツいゆえ、能力を使い結界のもとに無理やりテレポートして、脱出しようとする。……しかし

 

『うぉっ。……弾かれる?なぜ?』

 

結界に触れると、なぜかバチッっと弾かれてしまい、抜けることができず押し戻されてしまう。

 

ここに来る時は確かに抜けられた。それは確かなのだ、なら一体なぜ、、?

 

・・まさか、天の神の祟り?

神ならば一人の人間を結界内に閉じ込めるぐらい造作もないだろう。

それに天の神の力は神樹様よりも強いはずなので、結界をいじることもその気になればできるかもしれないしね。

 

祟りかかったのは、多分友奈ちゃんに渡したあの『ネジ』のせいだろう。

……良かった。ちゃんと友奈ちゃんを守ってくれたみたいだね、あのネジは。

 

それなら別にいいや。

誰かの犠牲になるのは慣れっこだし、何より…勇者なんていう危険な役目を背負っている彼女達の犠牲になるなら大歓迎だ

 

『おっと。……君たちがいること忘れかけていたよ。』

 

結界について分析していると、嫌な予感がしたので態勢を低くするが、右腕をもっていかれてしまった。

うん、冷静に分析する時間を敵がくれるわけないよね。

 

『【大嘘憑き】僕の今までの負傷を【なかったこと】にした。』

『僕はしぶといぜ?頂点さん?』

 

大嘘つきで負傷を完治させて、ネジを袋から取り出し、戦闘態勢を整える。

 

ふと自分の服装に目をやる。

白黒の葬式の喪服みたいなカラーリングである自分の勇者服。

 

そういえば最初っから『勇者』なんて言葉は僕には合わないって思ってたんだよ

 

 

僕は『勇者』なんかじゃあない。

僕はそこらへんにいる普通の、

 

 

 

『【大嘘憑き】僕の勇者としての力を【なかったこと】にする。』

 

 

 

『大嘘つき』だ。

 

 

 

『良かったよ、勇者としての力をなかったことにできて。』

『僕はただの大嘘つきで、不幸で、底辺なだけの、普通の少年なんだからさ。』

『勇者みたいな【ヒーロー】は僕のがらじゃあないぜ』

 

 

 

 

『来いよ頂点。本当の底辺には底なんてないって事を教えてやるよ』

 

『しかと、僕という【過負荷】を君たちの頭にねじこんでやるよ、ネジだけにね』

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ、、んん?あれ?ここは?」

 

「…あ!ゆーゆ!みんな~ゆーゆが目を覚ましたんよ~!」

 

「友奈!あんた心配かけて、、」

 

「まぁまぁ、おはよう友奈」

 

「おはようございます、友奈さん」

 

「夏凛ちゃん、銀ちゃん、樹ちゃん」

 

「おはよう友奈。体は大丈夫?」

 

「あっ、はい。ところで私は今までどうなっていたんですか、、?」

 

「それはね、、」

 

風先輩の話しによると、私は東郷さんを救うために動いた後、どうやら疲れて気を失っちゃっていたらしい。

 

「……そういえば、東郷さんは!」

 

「私なら大丈夫よ、友奈ちゃん。」

 

大事な友達の姿が見当たらないので、慌てていると、病室の扉が開き、元気そうな東郷さんが姿を見せていた。

 

……良かったぁ~。そう思い胸に当てていた手を、そっと撫で下ろす。

 

「本当にごめんなさい、友奈ちゃん、、一度だけじゃなく、二度も危険な目に遭わせちゃって……」

 

「ううん、大丈夫だよ。忘れちゃってた私も悪いんだし。こちらこそごめんね、東郷さん。」

 

「・・ありがとう。友奈ちゃん」

 

無事東郷さんを救出できたし、私だって忘れてたんだから、それでお相子だよ。

 

 

こうしてみんな無事に帰れたんだから、良かった良かった。

 

そう思い病室を見渡して、みんなの顔を確認していると、ある事に気づく。

 

 

・・『彼』がいない。

 

 

「あの、風先輩?翔助君はいったいどうしたんですか?」

 

そう聞くと、風先輩の表情が曇る。

よく見ると他のみんなの表情も曇っていた。……どうしたんだろう?

 

 

「・・翔助は、、」

 

「にっしーはまだ結界の中から戻ってこれてないんよ。」

 

「え!?……戻ってこれてないって、、どういうことなの?園子ちゃん?」

 

「それに関してはあたしから話すわ。みんなも良く聞いてちょうだい。」

 

私が園子ちゃんの発言に驚いていると、風先輩がそう言い、私と目を合わせて真剣に言葉を発する。

 

 

「…大赦が言うには、翔助は天の神の祟りを受けて結界を出られないらしいの」

 

「……え?祟りって、何でですか?天の神に翔助が接触してたことなんてなかったはずなのに、、」

 

天の神、、祟り、、もしかして

 

「・・私のせいかもしれない」

 

「…え?ゆーゆ?どういうこと?」

 

「実は……」

 

 

私はみんなに東郷さんを救いにいった時の事を話した。

 

 

 

 

私が黒い玉の中に入って、東郷さんを連れて帰ろうと手を伸ばすと、焼けるような痛みが手に走った。

 

「い、痛い。でも…東郷さんを助けなきゃ、、」

 

そう考えなおし、再び手を伸ばそうとすると、翔助君に貰ったネジがなぜかひとりでに動き、腕に刺さった。

 

「きゃっ!痛、、くない?むしろぽかぽかして、痛みもひいてきた……翔助君がまるで励ましてくれてるみたい。」

 

あの時は翔助君の言葉通り、お守りみたいな物だと思ったけど、、あれがもしかして私の代わりになって、祟りを……?

 

 

 

「というわけだから、私があのネジをもっていかなかったら良かったんだ……」

 

「友奈ちゃん、、」

 

「ゆーゆ、、」

 

「で、でも風先輩!アタシ達が翔助のためにしてやれることだってあるんじゃあないんですか!」

 

そう銀ちゃんが叫んでいるのを聞いて、私も風先輩の方を向いて返答を待つ。

 

そうだ、私達にだってできることはあるはず、、その時に翔助君への謝罪をすればいい。東郷さんと同じように

 

「・・・・」

 

「風先輩?……まだ何か?」

 

「・・みんなには辛いかもしれないけど、言うわね?」

 

 

 

「あたし達と翔助の接触は『今後一切』【禁止する】って大赦に言われたのよ」

 

 

「・・・ぇ?」

 

 

その言葉を聞いて私は情けない声を出してしまったが、無理もなかった。

 

 




はい、どうですかね?

原作キャラ視点を書くのは難しいですね、、いつもの駄文がより目立ちます。

新章のタイトル内にある□□□に当てはまる文字について考えながら、ぜひ読んでみてくださいね。

では、また。


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その2

どうも、深夜です。
今回はシリアス多めです。

原作キャラ視点を書くのは難しいですな~とりあえずどうぞ。







『ん~』

『何回目だ?バーテックスを倒したの』

 

あれからまた少し経ってバーテックスを何回も殲滅し続けていたのだが、倒したら新しい個体が、また倒しても新しい個体がという風にどんどん来るため、終わりがまったく見えない。

 

それに加え、バーテックスの動きもどんどん洗練されていっているため、どんどん危なくなっている。

 

『あ、やべっ』

『……お返しだよ、っと。』

 

回避した隙を見計らった相手の一撃をもらってしまい、左足がもっていかれた。

仕返しにネジを投げ刺して殲滅するが、後でまた復活する事を考えるとまったく喜べないんだよな~。

プラスかマイナスかでいうと、間違いなくマイナスである。

 

とりあえず能力で治した後、急いで戦闘態勢を再び整えて殲滅を行う。

いくら神とはいえ、力も無限ではないはずだ。僕がバーテックスを討伐することによって、あちらの力がほんの少しでもいいから消費されてくれていることを願おう

 

そう考えながらネジを構えて、数えきれないほどいるバーテックス達に向かって再び走って突っ込む。

 

 

 

《・・主人。あなたが勇者じゃなくなったから、私はいつか消える…先に消えた陽炎達と同じように》

 

 

《・・でも、、最後に主人のためになることをしてから消えたい。主人がもう勇者じゃなくてもいい。だって……》

 

 

《あなたが勇者じゃなくても、私はあなたの【精霊】であり、私にとってのたった1人だけの……【主人】なんだから》

 

 

そう言い、一人の精霊が飛び立ったのにも気付かずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・風先輩!接触禁止って…どういうことですか!?」

 

私の様子を少し見た後、東郷さんが声を荒げて風先輩にそう聞き出していた。

他のみんなも同じことを考えているようで、顔に怒りや困惑を浮かべつつ二人を見ている。

 

「そのまんまよ……私達は今後翔助に関わることは禁止されたの。」

 

「そんな、、なら!翔助君はどうなるんですか!結界の外はバーテックスがたくさんいるんですよ!?」

 

「そうよ!そんな場所に翔助一人放っておくなんて…正気じゃないわよ!」

 

東郷さんの言葉に続けて、夏凛ちゃんも言葉を荒げる。

 

「それは―」

 

 

 

 

 

「その話は私共、大赦からお話しさせて頂きます。」

 

「・・大赦」

 

風先輩が口を開こうとしていた最中、病室のドアが開いて仮面を被った女の人が入ってきて、そう話した。

 

「・・なら聞きます。何で翔助君と私達が関わったらだめなんですか」

 

「お答えします、東郷様。彼はただいま結界の外、、バーテックスわらわらといる危険な場所にいます。そんな危険な場所に貴重な勇者の方々を向かわせることはできないというのが一つございます。」

 

「…【一つ】?まだあるんですか?」

 

どこか含みを持たせた言い方を大赦さんがしていたので、そう訪ねる。

…一つ目の理由に賛同はできないため、他の理由を聞きたい。

 

「はい、結城様。二つ目は『神託』によるものです。」

 

「……神託?」

 

「はい。神託には、『西村翔助は常人ではない』とありまして、大赦の中で話し合った結果、勇者部と西村様を関わらせないようにするということになりました。」

 

「『常人ではない』?…にっしーが?」

 

「神樹様が、、そんな……」

 

「・・だからって!危険な場所にいる翔助を見捨てるんですか!!」

 

「そうですよ!!」

 

もし神樹様の言うとおり翔助君が常人ではないとしても、、

 

 

 

翔助君の優しさや行動は嘘偽りのない、確かに暖かいものだったのだから。

 

 

「・・私共も最初からそう考えていたわけではありません。最初は翔助様を助けようと、まず位置を把握しようとしてレーダーを確認したのですが……」

 

「・・翔助様の位置情報がまったくわからないのです」

 

「え?……わからないって、端末のレーダーを見ればわかるんじゃ?」

 

「それが、、反応がまったくないのです。まるで翔助様の勇者システムが最初から【なかったかのように】」

 

「で、でも!アタシ達が結界の外に出て探せばきっと見つかりますよ!」

 

確かにレーダーがないのは辛いけど、銀ちゃんの言うとおり私達が探せばきっと見つかるはず…いや、、きっと見つける。

 

 

「そこで最後の三つ目なのですが、、そもそも皆様では結界を越えることができないのです。」

 

「……え?越えられないって…」

 

「…天の神はどうやら翔助様本体だけではなく、結界にまで祟りをかけているようで…何者も入れないようになっているみたいなのです。」

 

その残酷で、厳しい現在の状況を伝える言葉は私の心を折るのには十分だった。

 

「!…友奈ちゃん!」

 

「・・そんな……謝らないと、いけないのに……ごめんなさいって……」

 

「ゆーゆ…」

 

「友奈……」

 

東郷さんに支えられるが、次は涙が出てきてしまい、小さくうめく。

 

 

―大丈夫だよ、友奈ちゃん―

―君は悪くない―

 

 

優しく笑ってくれる彼の姿を思い浮かべると、ますます涙が溢れてくる。

 

「しかし、まだ助ける方法はあります」

 

大赦さんがそう言ったのを聞き、急いで顔を無機質な仮面へと向ける。

 

「なぜかは不明なのですが、時間を重ねるごとに結界の祟りが少しずつではありますが弱くなっています。」

 

「なので、いつか結界に入れる日が来るかもしれません。」

 

「・・本当ですか?」

 

「はい…なのでその日が来るまでは接触禁止を我慢していただきたいのです」

 

「・・・・」

 

頭を下げた大赦さんの言葉を聞いた風先輩が心配そうに私を見てくる。

……辛いのはみんなも、、翔助君も同じなんだよね。

 

「……大丈夫です、風先輩。」

 

「友奈……あんた…」

 

「……私達も大丈夫ですよ、風先輩」

 

「みんな、、わかりました。翔助との接触禁止を呑みます。」

 

「ありがとうござい「そのかわり」……なんでしょうか?」

 

「結界に入れるようになったら教えてください。そしたらすぐにあいつを救助に行きます……それを許してください。」

 

「・・はい。わかりました」

「では、失礼いたします」

 

 

そう言い大赦さんがいなくなった後、私達の心に残ったのは翔助君がいないことへの寂しさと虚しさ、そして助けたいのに助けられない現状への悔しさだった。

 




期間が空いて申し訳ありません。

リアルが忙しく、遅くなりました。
久しぶりなので文がおかしい部分があるかも知れません。

感想などはお気軽に書いて頂けると、うれしいです。番外編で見たいネタとか大歓迎ですのでお願いします。

では、また。



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その3

少ーし時間が飛びます。

相談事を書いたせいか、後書きが長くなってしまいました。

とりあえずどうぞ。



あの病室での出来事からいくつか日が進み、今日はクリスマスイブとなった。

 

[ゆーゆ~?今どこ~?]

 

[今近所の空き地に居るよ園子ちゃん]

 

[え~?今日は風先輩達の家でクリスマスパーティーするんだからね?風邪引かないでほしいんよ~]

 

[あはは。気をつけるよ]

 

[頼むよ~?じゃあ、またパーティーで会おう~!]

 

園子ちゃんとのやり取りを終え、携帯の電源を消した後、ため息を一つする。

 

あれからもまだ大赦さんから結界に入られると連絡は来ていない。

 

最初は翔助君がいないことを悲しく思い、勇者部の雰囲気も暗めだったけど、みんな

「落ち込んでいても仕方ない」と気持ちを強く持ち、今ではいつも通りの勇者部活動を送れている。

……少し寂しさや虚しさはあるけどね

 

 

「・・翔助君、、」

 

ふと彼の名前を呟いてしまうあたり、彼にいつも支えられてのを改めて実感する

……彼は大丈夫なのだろうか、今どうしているのか、そんなことをあの日から心配で考えてしまう。

 

 

「心配だけど、、でも……信じて待たないとだめだよね。」

 

それでも私は彼を信じて待つ。

彼はきっと大丈夫だって。それが私が、彼の【友達】としてできることだから。

そしていつか助けた時に言うんだ

笑顔で『おかえりなさい』って。

 

「あの日から悪い夢も見ちゃうこともあるけど……私頑張るよ、翔助君。だから、、」

 

 

 

どうか無事でいてください。

 

その願いが彼に届くどうかわからないけど、できるなら叶ってほしいな。

 

 

そう考えながらパーティーの準備を手伝うために風先輩達のところに歩を進めた

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁー』

『君たちの顔にも飽き飽きだぜ』

『勇者部の子達が恋しいよ』

 

そう愚痴りながら目の前のバーテックスにネジを突き刺して殲滅する。

…これで何匹目かな?50を越えてから数えてないからわかんないや。

 

・・もうどれぐらいたったのかな?

最初の頃は端末の時計を見て確認してたんだけど、、

 

『あらら』

『僕の血でぶっ壊れちゃったよ』

『…なんか汚いな』

 

とっくに今では僕の血でぶっ壊れてしまっているので、時間なんてわからないんだよな~…今が何日なのかすらわからないからだいぶ不便だ。

 

世の中にいるか?自分の血で端末みたいなスマホとか携帯をぶっ壊す人。

 

まったくバーテックスには困ったな。

右腕、左腕、右足、左足だとか何回切り飛ばされたかわからないぜ。

ちなみに命も刈り取られてるのだが、同じく数が多過ぎてわからない。

おかげでさっき言った端末はもちろん、着ていた服も血で重くなってるよ

…ちなみに全部僕の血です。

 

自分の出血をなかったことにすればいいだろって思うかもしれないけど、そんなこといちいちやってたらキリがない。

それゆえ、大嘘憑きも使いまくっているためか、少し頭が疲れてきたよ。

 

…バーテックスにやられる回数が増えていくのもそのせいかもしれないな。

 

『でも弱音は吐けない』

『僕が戦うことで他の人達が、、勇者部のみんなが少しでも楽になれるなら』

『何回死のうとやってやんよ』

 

そう自分に言い聞かせて、もはや死んだ自分の目をこすりつつ立ち上がる。

足が言うことをきかないので、大嘘憑きで無理やり治す。

 

 

 

 

 

・・正直もう嫌になってきたよ。

前世で暴力を受けることは慣れていたけど、、殺されるまではなかったからね、所詮僕は人の子だからな。

 

 

今の僕は意地で行動している。

…かっこよく言うと『決意』かな。

 

 

――翔助君!――

 

――翔助!――

 

―翔助先輩!――

 

――にっしー!――

 

 

考えていると、ふとみんなが笑って僕の名前を呼んでいるのが脳裏に浮かんだ。

 

 

 

自分のネジを持つ腕に力を入れる

 

少し震えていた足の震えを止める

 

乱れていた呼吸を無理やり整える

 

焦点が合っていない目を再び合わせる

 

 

何度も何度も深呼吸をする

 

 

 

辛いなんて思うな。

絶望的だなんて思うな。

もうやめたいだなんて思うな。

 

 

僕は『大嘘つき』なんだから。

 

自分の気持ちに【嘘をつけ】。

 

 

 

 

辛くなんかない。

絶望的なんかじゃない。

もうやめたくなんかない、そうだろ?

 

 

 

僕の気持ちなんかたった一つだけだ。

 

 

 

静かに、ゆっくり、落ち着いて。

 

 

 

『括弧つけ』なくていい。

 

 

僕は『球磨川禊』じゃなくて『西村翔助』なんだからさ。

 

 

 

 

バーテックスに天の神に聞かせてやれ

 

 

 

 

 

「あの子達の幸せを守りたい」

 

 

 

 

 

【嘘】の効力は永遠ではない

 

いつかはきれるだろう

 

きれた時には、心が酷いことになっているかもしれない

 

それでもいい

 

 

だから――

 

 

 

「いくぜバーテックスさん?」

 

「僕のしぶとさはゴキブリも引くぐらいだからな~?覚悟しろよー?」

 

 

 

「・・自分にすら嘘をついている僕が無様なら好きなだけ罵れよ」

 

「例え無様でも。格好(括弧)よくなかろうとも。その先にみんなの笑顔や平和が待っているって言うなら」

 

 

 

 

 

 

「無様に足掻いて、足掻いて、足掻きまくってやるよ。」

 

 

 

 

 

――しばらくの間は無様に舞わせくれよ

 

 

 

 

血で染まった真っ赤なネジが宙を舞った




今回の後半には自分なりに力を入れてみたんですけど、、どうですかね?
読みにくいようでしたら次からは気を付けますので、ご連絡ください。

オリ主は精神の強さではチート級と言いましたが、さすがに今回ではくじけました
…チートはあくまでチートなだけで、無敵ではないですからね。

それでも歩む翔助君は精神の強さはチート級と言えませんかね?…少々無理やりですけどね。

翔助君に対しての意見などできれば頂けると幸いです。今更ですが、参考になりますので、お願いいたします。


長くなってすみません。深夜テンションです……@深夜だけに。

・・はい。ではまた。


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その4


今更なのですが、
この章は早く終わるかもしれません。

『結城友奈は勇者である』を長く書きすぎましたので、巻いていかないとグダグダと長くなりそうですからね、、

とりあえずどうぞ。


 

 

 

「「「「「「「メリークリスマース!」」」」」」」

 

 

あの後風先輩達の家に行って準備をした後、ケーキを買い出しに行っていた夏凛ちゃんと銀ちゃんを待ってからパーティーを始めた。

 

「あはは~まさかこうしてみんなで楽しくクリスマスを過ごせるなんて思わなかったんよ~」

 

「本当だよな~。アタシもまた外を歩けるようになるなんて思ってなかったよ」

 

「そっか…そ、そういえば二人は病室で何をして暇な時間を潰してたの?」

 

園子ちゃんと銀ちゃんが少し遠い目をしてそう語っていたので、気を紛らわせるためにふと気になったことを訪ねる。

 

「ん~?わたしは自分の小説を書いたりしてたんよ~。ちょっと書きにくかったけどね~」

 

「アタシは特に何もしてなかったゾ。まぁでも、時々翔助が送ってくれた手紙を大赦から受け取って読んでたから、多少はマシだったけどな」

 

「え?翔助君が?」

 

「あいつそんなことまでしてたのね…」

 

まさかの情報に少し驚く私達。

翔助君は勇者部の活動にけっこう力を入れてたから、おそらく土日などを使って書いていたのかな?

 

「最初は普通に手紙だったんだけど、後半になるにつれてビデオレターになってたりしていたんだよな。」

 

「私はにっしーの声が聞けるだけですごいうれしかったんよ~♪何回も大赦さん達に再生してもらってたからね~」

 

「そのっちは相変わらずねー」

 

「想像にかたくないわね、その光景」

 

「あ、アタシも好きだけどー?」

 

笑顔の二人の話を聞いていると、こっちまでニコニコしちゃうなー。

翔助君がいかに友達思いなのか分かる

 

 

その後もみんなで談笑しながら自分達で作った料理を食べて楽しんだ。

途中で東郷さんが手品をしていたのは驚いたなぁ~。

 

 

そして楽しかったパーティーも終わりを迎えた。そして片付けの時間に銀ちゃんと園子ちゃんが話しているのが聴こえた。

 

「・・できればにっしーも一緒にパーティーしたかったな」

 

「・・まぁな~……仕方ないだろ。でもまだ来年があるだろ?アタシ達はまだ中学生なんだからさ。」

 

「…そうだねみのさん……来年のクリスマスパーティーはにっしーも一緒に楽しみまくるんよ~!」

 

「いや、燃えるのは構わないけど!片付け手伝いなさいよ!」

 

「「ごめん!にぼっしー!」」

 

「にぼっしー言うな!!」

 

二人の話を聴いて思わず俯いてしまう。

 

 

 

翔助君は今どうしているのだろうか

信じてはいる。きっと生きているって。

 

 

 

でも、、

 

 

 

 

いつまでも耐えていられるわけないよ

 

 

 

「・・神樹様。私にできることがあるなら言ってください……お願いします。」

 

 

 

 

そんな小声で消えいりそうな呟きは、私にとっての悲痛の叫びだった。

 

 

 

 

 

 

 

パーティーの片付けが終わり、家に帰ろうと道を歩いていると目の前に一台の大きな車が停車した。

 

「大赦さんの印……?」

 

園子ちゃんの時の車と同じ大赦さんの印が入った黒塗りの車に首を傾げていると、中から仮面をかぶった人達、、大赦さん達が出てきた。

 

 

「結城友奈様。お話があります。突然で申し訳ないのですが、ついてきていただきませんか?」

 

「えぇ!?今からですか!?でも…」

 

「お家の事ならご安心ください。すでにご連絡は通していますので」

 

「そうなんですか?・・せめて内容について少し教えてくれませんか?」

 

 

そう聞くと、先に車に乗りこもうとしていた大赦さんが静かに振り向いて、ゆっくりと仮面越しに私へと言葉を告げた。

 

 

「世界の今後についての大事なお話です。…世界に関することですので、勇者部はもちろん、翔助様にも関わりがあります」

 

 

 

 

 

 

その言葉は私を動かすには十分だった





今回は短めです。
あと翔助君目線なしです。


・・原作キャラ視点むずい、、

『文才が欲しい』その一言に限ります。







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その5

・・お久しぶりです。

とりあえずを本編どうぞ。



「おはよう東郷さん。…友奈ちゃんと翔助君はまだ来てないの?」

 

「おはよう美奈さん・・二人はまだ来てないみたいなのよ。」

 

「そっか、気になるね……とりあえず私日直の仕事があるからまたね東郷さん」

 

「えぇ、また。」

 

 

クラスメイトの美奈さんとの会話を終え、席について、二人について考える。

 

翔助君がいない理由は明確なのだけれど、、友奈ちゃんはあのパーティーから数日後に突然姿を眩ませたのだ。

 

・・まさか、、誘拐?

 

 

そう私が不安がっていても時間は待ってくれない、校舎のチャイムが鳴り、話しを楽しんでいた皆もそれぞれの席につく

 

 

 

――おはよう!東郷さん!――

 

――おはよう美森ちゃん――

 

 

 

「・・翔助君だけじゃなくて、友奈ちゃんまで居なくなったら……私どうしたらいいの?」

 

そんな私の呟きはチャイムによってかき消され、空気に混じって無意味に消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく……翔助といい、うちの部員は部長の知らないところで何やってんのよ、本当に……」

 

「風先輩……」

 

「お姉ちゃん……」

 

放課後になり部室に行って友奈ちゃんについての情報を共有するが、特にこれといった情報もなく、風先輩がそう愚痴をこぼしてしまうのも仕方ない。

風先輩の悲痛な顔を見ているとこちらもより辛くなってくる。

 

「・・風。元気出しなさいよ……というか銀と園子はどこ行ったのよ?」

 

「あ、そういえば確かに居ませんね?東郷先輩は何か知りませんか?」

 

「いえ、私も特に聞いてないわ」

 

樹ちゃんの問いにそう返し、今いない二人の事を考える。あの二人は部活をむやみにサボったりしない筈なのだけど、、

 

 

そう二人の不在について考え、頭に疑問符を浮かべていると、部室の扉が開く。

 

 

「フーミン先輩、遅れました~」

 

「アタシも遅れてすみません。」

 

「銀!そのっち!一体何やって――」

 

何をやっていたのか二人に訪ねようとすると、二人の後ろに一つ人影が見えた。

 

 

「失礼するわね、東郷さん」

 

「あ、安芸先生!?」

 

 

その人影の正体が安芸先生だということが分かり、思わず大声を出してしまう。

何で安芸先生が、、?

 

「私たちが連れてきたんよ。」

 

「その人って確か大赦の関係者よね?」

 

「そうですよ。安芸先生に友奈がいないことについて聞いてみたら何か知ってるらしくて、連れてきたってわけっす」

 

「そうなんですか?安芸先生?」

 

「えぇ。確証はないのだけれどね」

 

「・・この際確証は無くてもいいです。教えてください。」

 

「もちろんよ風さん。そのためにここにきたのだから、、それじゃあ私が知っている事を全部話すわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「―という事です。私が知ってるのは」

 

「・・そんな……」

 

安芸先生が話した内容は酷い物だった

神樹様の寿命が少なくなっていること、天の神によって人類の終わりが近づいてきていることなど良いものではなかった。

 

その人類の終わりを止めるための対抗策がもちろんあるのだが、、

 

「・・『神婚』ですか……」

 

その対抗策の一つが『神婚』というもので、名前の通り神と選ばれた聖なる乙女が結合することで世界の安寧を確かにすると言うものだ。早い話が神様と選ばれた女の子が結婚することによって、人々は新たな力を得て無事生きることができる。

 

ここまで聞くといい話に聞こえるのだけれど、、もちろんこの話にも裏がある。

 

 

さっき『人々は無事生きられる』と言ったけれど、それはあくまで神様との婚約者以外の人達の話だ。

神様との神婚相手の子の存在は神界に移行するため、人間界に接触することはできなくなる……ようするに神婚が成立すると、婚約者の子は、、【死ぬ】。

 

その神婚がなぜ友奈ちゃんに関係あるのか?それはつまり――

 

「・・友奈ちゃんがその神婚の相手に選ばれた、ということですよね安芸先生」

 

「確証はないけど、結城さんは今までの勇者の中で一番適正値が高かったの。だからそう考えていいと思うわ、、」

 

「友奈が犠牲にならないと世界は終わる……でも、、仲間が死ぬのを黙って見ていろって言うの?」

 

 

 

夏凛ちゃんのその言葉でみんな顔を伏せて部室が沈黙に包まれる。

 

 

 

「いえ、まだ方法はあります」

 

 

安芸先生のその言葉を聞き、みんなで顔を上げて先生の方を見る。

 

「先生!本当ですか!?」

 

「えぇ。…でもその方法が成功する確証なんて一切ありません……むしろ失敗する要素の方が圧倒的に多い、非現実的な確率のものです。」

 

「・・それでもいいです。だから、、教えてください安芸先生」

 

私がそう聞くと安芸先生はゆっくりと口を開いて、たった一つの方法を告げた。

 

 

 

 

 

「・・問題の根源……『天の神を倒す』ということです。」

 

 

 

安芸先生の方法は言うだけなら簡単だが、要するに『神を人が打ち倒す』という事のため、確かに非現実的な方法だろう。

 

「天の神を倒す、、確かにそれしか世界を守る方法はないよな……」

 

「・・300年もの間成し遂げれなかったことを、私達ができるの、、?」

 

やっと解決法が見つかったと思ったら、それが神と戦うなんて……

 

勇者部の中で再び沈黙が訪れる。

 

 

各々が神との戦いについて考え、悩んでいると、小さな光が窓から入ってきた。

 

 

 

 

《・・そんな弱気でいいの?》

 

 

光からそんな声が聞こえたため、みんなで驚いて光の方を見る。

・・この声どこかで、、

 

「しゃ、喋った!?」

 

「何この光!?」

 

「アンビリーバボーだね~」

 

「・・でもこの声どこかで聞いたことあるような気が、、」

 

 

それぞれが光に反応を示す中、光の声は変わらず同じ口調で私達に語りかける。

 

 

《・・みんな、そんな弱気でいいの?》

 

「弱気、、?」

 

《・・うん。もちろんみんな完全に同じ事を考えてるわけじゃないけど、みんな『神に私達が勝てるのかな』って考えてる》

 

「この光、なんで私達の考えてることなんかわかるのよ?」

 

「・・わからないけど、、でも確かに弱気になっているのは合ってるわ」

 

《・・そんな弱気に物事を考えてたら、何にもできないよ?》

 

《・・『私達にはできない』、『現実的じゃない』…そんなこと考えてたらどんなこともできなくなっちゃうよ》

 

 

冷静に淡々とそう告げる声はまるで、泣き虫の子供に言い聞かせるようだった。

 

「・・じゃあ、どうしろって言うのよ?どうすれば私達はいいの?」

 

少しムッとした顔で夏凛ちゃんが光へ、どうすればいいのか問う。

 

すると光は少し間を空けた後、さっきまでと違い優しくゆっくりと言葉を発した。

 

 

 

 

 

《・・簡単だよ》

 

《・・『私達はできる』って自信を持って行動すればいいんだよ》

 

 

「自信……?」

 

《・・うん。……僕の主人が前、僕と一緒に寝る時言ってたよ?》

 

 

 

 

 

 

《『成せば大抵なんとかなる。気の持ちようで、成果が変わることも少なくないのさ』ってね》

 

「!…その声、話し方、、あなたってもしかして、翔助君の精霊の……?」

 

《・・うん。『轟』く『山』と書いて『轟山』だよ、東郷さん。》

 

「翔助の精霊、、あれ?光が小さくなっていってるわよ?」

 

《・・ついに消える時間か…嫌だなぁ》

 

 

徐々に光が小さくなっていく。

慌てて光に手を伸ばすが、掴んだりすることはできず、私の手は空を切る。

 

「え、、掴めない?」

 

《・・私は光としてみんなの目に見えてるだけで、実体はないからね》

 

「き、消えるって、、何で?」

 

《・・ちょっと諸事情でね…もうすぐ消えちゃうんだ》

 

「・・翔助君に何かあったの?」

 

《・・うん、そんなところだよ。》

 

《・・とりあえず消えてなくなっちゃう前にもう一回言うね》

 

 

 

 

《・・『自分に自信を持って』。確かに相手は神様で、今までの間だれも打ち倒せなかった強大な敵だよ?でも……》

 

 

 

 

《みなさんならきっとできる。少なくとも私はそう確信しています》

 

 

 

そう言って光は完全に消えていった。

 

 

 

 

「・・安芸先生、、私やります。天の神と戦います。」

 

「東郷……」

 

「東郷さん……」

 

「相手は確かに神様。…しかも長い年月の間打倒を成し遂げられていないというぐらいで現実的じゃありません。でも…」

 

 

 

 

「このまま世界が、大事な友達が傷つくのを黙って見ていたくないんです。」

 

 

 

 

「私も同じなんよ~わっしー」

 

「そのっち…」

 

「よく言った美森!勇者は根性!黙って見ていられないよな!」

 

「えぇ、そうね銀」

 

「まったく…立派な部員を持ってうれしい限りよ本当に」

 

「部長の面子が立たないわね?風?」

 

「あはは…私もおんなじ気持ちですよ!東郷先輩!」

 

「風先輩、夏凛ちゃん、樹ちゃん…」

 

みんなが私の言葉に賛同して、声をあげてくれてうれしく思ってしまう。

 

 

「・・みなさんの気持ちはもう固まっているみたいですね。」

 

少し辛そうな表情を浮かべながら微笑んでいる安芸先生の方を向いて、私達の気持ちを伝える。

 

 

 

「はい。私達の気持ちは決まりました」

 

「・・大人としてみんなを送り出すのは少し辛いけれど、、わかりました。私が連絡を入れておくので、私達大赦も全力でサポートいたします。」

 

「安芸先生……ありがとうございます」

 

 

 

友奈ちゃん、翔助君。

二人に今まで助けてもらったんだから今度は……私が…

 

 

 

 

 

「助ける番よね…待ってて、二人共」

 

 

 




新型コロナウィルスが問題になっている中、インフルにかかった深夜です。

今回の話は治ったばっかりの時に書いたものなので、少し表現などがおかしいかも知れませんが、その時は教えていただけるとありがたいです。

・・みなさんお体にはお気をつけて。
では、また。


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その6


迷いまくりました、深夜です。

どう話しを展開させて行こうか悩みに悩んだ結果、どうするか迷いまくりました。


とりあえず、どうぞ。


 

 

「いよいよね、、」

 

安芸先生に私達が戦うことを伝えた日から数日が経ち、、ついに決戦の時が来た

 

 

「・・みなさん、それぞれ自分の端末はちゃんと持っていますか?」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

「・・大丈夫みたいですね……それでは勇者の皆様…どうか世界をお願いします」

 

「皆様のご無事を願っております…」

 

 

安芸先生達が頭を下げながら言ったその言葉に対して私達は頷き返し、既に弱くなっていた結界を通り外の世界へと出る。

 

「相変わらず酷い光景ね、まったく」

 

以前も見たとは言え、やっぱり火に包まれている世界は酷く、風先輩がそう言うのも無理はないだろう。

 

 

「友奈ちゃんはどこ……!」

 

友奈ちゃんと神樹様の神婚を急いで止めなければならないため、周りを見渡して探していると、見つけることができた。

 

神婚の儀式は今まさに始まるところのようで、友奈ちゃんの周りに光がいくつか舞いはじめていた。

 

「ゆーゆ!!」

 

「友奈!!」

 

「友奈ちゃん!!」

 

「・・東郷さん…みんな……」

 

 

私達の声が聞こえ、こちらに振り向いた時の顔には悲しげな様相を浮かべていた

 

・・そんな、来て欲しくなかったような表情をしないで…友奈ちゃん……

 

 

「友奈ちゃん!もうやめて!」

 

「・・東郷さん…みんなが助かるには誰かが犠牲になるしかないんだよ……だから、他の誰かが苦しまないように、私が神樹様と神婚しようと思ったの」

 

「友奈、あんた、、」

 

「・・・ごめんね、みんな」

 

そう言うと友奈ちゃんは背を向けてしまって、表情が見えなくなった。

 

 

「っ……そんなの認めるわけないでしょ!友奈を止めに行くわよ!みんな!」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

「言われなくてもそのつもりよ!」

 

 

風先輩の言葉にみんなで賛同し、友奈ちゃんのもとに行こうとするが、目の前の地面から大きな根が生えてきて、私達の行く手を阻まれてしまった。

 

「何で根がいきなり、、」

 

「・・神樹様も儀式の邪魔はされたくないってわけね…この期を逃したらもうチャンスはないから必死なんでしょう……」

 

「くっ、、このぉ!…駄目だ、びくともしない…これじゃあ助けれないぞ!」

 

私の言葉を聞いて、根を退かそうと銀が根を引っ張ったり、武器で叩いたりしているがもろともしない。

 

 

私達が友奈ちゃんを助けようと必死になっているのと同じように、神樹様も儀式を邪魔されないよう必死なのだろう。

 

 

「・・・このままじゃ、、友奈ちゃんと神樹様が神婚を行って友奈ちゃんが―」

 

 

死ぬ。

そう嫌な考えが脳をよぎり、自分でも情けないと感じてはいるが涙が零れ落ちそうになってしまう。

 

 

 

「諦めんじゃあないわよ!っと!」

 

 

そんな怒鳴り声が聞こえたので、声の方向を見ると、風先輩が大剣を取り出して根に叩きつけていた。

 

「本当かったいわねーこれ」

 

「風先輩、、?」

 

私が困惑したような声を上げると、風先輩は困ったように浮かべていた笑みをやめ、真剣な表情で私の目を見て話した。

 

 

「何諦めてんのよ、東郷。確かにこのままじゃ根が邪魔で、友奈を助けにいけないし、かといって根を破壊もできない…絶望的な状況よ。」

 

「なら!「でも!」…え?」

 

 

「助けたいんでしょ?友奈を」

 

 

「ならこんなところで泣いてる時間はないわよ?壊せないなら、壊せるまで叩き続けばいいのよ。」

 

 

そう言いながら風先輩が私に手を優しく、ゆっくりと差し伸べてくる。

 

 

 

「ほら、五箇条にもあるでしょ?勇者部五箇条その五…『成せば大抵』?」

 

 

 

・・本当に、頼りになる部長さんよね。風先輩って。

 

 

私はその手を取り、風先輩の言葉に続く

 

 

「・・『何とかなる』でしたね。風先輩…いや、風部長。」

 

「それでよし!……よーしみんなー!こんな根なんかこじ開けて、とっとと友奈を救いに行くわよ~!」

 

「ラジャー!」

 

「了解です!」

 

「完成型勇者の力を見せてやるわよ!」

 

「私も頑張るよ!お姉ちゃん!」

 

 

 

みんなで気を持ち直し、根をどけようとすると再び地面が大きく揺れた。

 

 

何事かと周りを見ると、黒いモヤのようなものが神樹様と友奈ちゃんの方向に向かっていこうとしていたのが見えた。

 

 

「あれは……まさか天の神?」

 

「神婚の邪魔をしにきたってわけね…人間が新たな力を手に入れないように」

 

よく見ると、白いバーテックスなどもいくつかいるのも見えたため、全勢力を持ってしてでも神婚を止める気らしい。

 

 

「っ!すごい風!……って、根が黒モヤの方に行ったわよ!」

 

 

天の神の足止めを少しでもするために、私達の行く手を阻んでいた根をそちらへ回したのだろう。根がモヤへと向かっていく

 

 

「よし今のうちに!」

 

「いや、風が凄すぎて動けないわよ!?動けたとしても吹っ飛ばされるわよ!」

 

根が消えた代わりに、天の神と神樹の激しい攻防により発生した風によって身動きができなくなってしまった。

 

 

もう、次から次へと、、今度はどうすればいいの……?

 

 

 

 

そう頭を必死に働かせていると、後ろからだれかの足音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、、あれ?ここは……」

 

どうやらバーテックスと戦っている中、僕は途中で気を失っていたらしい。

 

目を覚ますと見えたのは火に包まれた世界ではなく、いつぞやの何もない神秘的な景色が目に見えた。

 

「目を覚ましたか、少年よ。」

 

 

前のことを思い出していると、落ち着いた声が後ろから聞こえた。

振り向くと、神様が座りながらお茶をゆっくりと啜っていた。

 

 

「今回はどうしたんですか神様?それともまた休憩してけとでも仰るんですか?」

 

「それもいいのだが、、今回は別件だ」

 

 

別件?

僕がその内容について考え、首をかしげていると神様がお茶を置いて、真剣な表情で話しだす。

 

 

 

「お主のもう一つの能力についてだ」

 

 

 

『僕の能力』、、今まで何回も考えてきたが、一向にわからなかったことだ。

もともとは転生の特典選択の際に『自分のオリジナルな力が欲しい』と神様に頼んだ物でなのだが、、内容については一切指定をしたりしなかったため、自分でもまったく予想ができないのだ。

 

 

「僕の能力について何か教えてもらえるんですか?」

 

僕が神様にそう訪ねると、なぜか渋い顔をしてそっぽを向かれた。

 

「あの、、何かまずいこと言いましたか?僕?そっぽを向くってことは」

 

「・・いや、そういうわけじゃない。」

 

「なら―」

 

何で。

そう聞こうとすると、突如として空間がまぶしい光に包まれた。

 

 

……と思ったらすぐに光が晴れた。

 

 

「?…何だったんですか?今の」

 

先ほどからよく分からないことだらけなので、きっとマンガとかなら僕の頭の上には疑問符が二つぐらい浮かんでいるだろう

困惑を隠さずそのまま神様に訪ねると、なぜか先ほどよりも渋い顔をしていた。

 

 

「・・だから何なんですかその顔。…何か問題でもあったんですか?」

 

もう何回目かわからない質問をすると、渋々といった様子で神様が口を開く。

 

 

 

「・・お主のもう一つの能力についてなのだが……実はそれが、、『わしが与えた物じゃないのだ』」

 

 

「・・え?それってどういうことです?だって僕は漫画やアニメのキャラみたいに、能力なんて持ってないですよ」

 

前世でも僕はどこにでもいる普通の高校生として生きてきたので、神様から与えられていないなんてことはありえないはずなのだくど、、どういうことだろうか?

 

 

「あぁ。もちろん少年がもとから持っていた能力なんて一個もない。手から火や水を出したりなんかできやしないだろう?」

 

「ならどういうことなんです?神様が与えた物じゃないなんて」

 

もとから持っているというわけじゃないのなら、いったいどういうことだ?

ますますわからなくなってきたので、若干顔をしかめながら神様に訪ねる。

 

 

「詳しく言うとだな、、わしが与えた能力がお主の中で『変化』してしまった…というわけなのだ」

 

「変化?なら最初に僕へ渡そうとした能力は何だったんですか?」

 

なるほど、そういうことね。

つまりさっきの神様の発言は『本来与えようとした能力とは違う能力になってしまった』という意味合いだったのだろう。

だから『わしが与えた物じゃない』なんて言ってたのか、、紛らわしいなぁ。

 

なら神様が僕へと最初に与えようとした能力は何だったのだろう?

 

ふと気になり神様に訪ねると、柔らかい笑顔を浮かべて僕を見ていた。

 

 

 

「・・『幸運』じゃよ…お主が少しでもいい人生を送れるように願いを込めてな」

 

 

「・・幸運、、ですか…」

 

「…お主の前世を昔拝見したが、とても幸せとは程遠いものだった……それはお主自身が一番良くわかっているだろう?」

 

「・・・・」

 

 

神様の言葉に無言で返す。

ここで「いいえ」と言えるような人生を送れていたら良かったのになぁ……

 

 

「お主を転生させる時に、暇潰しと言っただろうが…本当は同情の方が大きかったんじゃよ。」

 

・・転生する時に感じた嘘半分はそういうことだったのか。

しかし神に同情されるとは…どんだけなさけないんだよ僕って、、

 

「だから二度目の人生こそと思ったが、、また苦労してしまってるようじゃな…」

 

「いや、別に、、」

 

「なんともない、か?」

 

「・・・・」

 

「・・お主の人生だ、わしも神とは言えとやかくいう権利はない。だが……」

 

 

 

「無茶苦茶すぎだ。お主のやり方は」

 

「自分の感情や気持ちに嘘をついてまででも敵と戦うなど……どう考えても人間ができることではない。いくらお主が慣れているとは言え、このままじゃ―」

 

 

「――死ぬぞ」

 

 

 

「・・そんなのわかってますよ。慣れっこなんて言ったって、所詮人の子、いつかは頭がおかしくなるでしょう」

 

「ならば、、」

 

 

 

 

「『それでも』ですよ」

 

「僕の前世を見ているならお分かりの通りに、普通の人間じゃない。ねじまがった、壊れている…異常者なんですよ」

 

「・・・・」

 

「そんな気持ち悪い僕でも、彼女達の幸せを守れるっていうなら、例えそれで狂おうとも…僕は幸せなんですよ」

 

 

 

「人はいつか死ぬ。どんな人でも必ず」

 

 

「病で、事故で、寿命で」

 

 

「だからいつか来たる死の前に悔いが残らぬよう、ほとんどの人は自分の事にだけ意識を向けて生きて、死んでいく」

 

 

「自分のために生きて死んでいく」

 

 

 

一通り話し、最後に神様と目を良く合わせてから口を開く。

 

 

 

 

「そんな中、大事な友達のために死ねる僕は幸せ者だと思いませんか?」

 

 

 

 

「・・はぁ。お主の考えは変わらないみたいじゃな……まったく、お人好しが」

 

「お人好しなんかじゃないですよ。僕はせいぜい偽善者ぐらいが丁度良い」

 

「まったく…強いな、お主は本当に」

 

「そんなことより…『幸運』が何になったんですか?」

 

 

そう聞くとさっきまでの明るい表情が神様から消え、苦い顔になっていった。

 

「とうしたんです?子供が初めてコーヒーを飲んだみたいな表情をして」

 

「・・わしはただお主に幸せに暮らして欲しかっただけなんだ。なのになぜ……」

 

僕のジョークが聞こえていないようで、一人でぶつぶつと神様が喋る

顔もどんどん険しくなっていたので、すかさず呼び戻す。

 

「おーい。神様?」

 

「お、おう。すまなかった取り乱して」

 

「早く教えてくださいよ?いい加減気になってきましたよ僕。それとも…そんなにヤバい能力なんですか?」

 

いつも微笑みを浮かべている神様が取り乱すなど、余程の事なのだろうか?

そう聞くと神様は静かに首を上下させ、僕の目を見てゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

「わしらのような神すらも殺めることができる……世界を覆す危険な能力だ」

 

 

 





いかがでしょうか。

そろそろ終わらせようと大まかな方針は決まっているのですが、詳細内容にすごく苦戦しております。

『西村翔助は□□□である』の□□□内は何なのかみなさん予想つきましたかね?
翔助君が手に入れるオリジナル能力についてもぜひ考えてみてください。

では、また。


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その7

昨日投稿した「思考の意味」なのですが私の投稿間違いです。申し訳ありません

これが「最弱先輩に憧れて」の本当の最新話です、どうぞ。


「はぁ…神をも殺せる能力ですか……にわかには信じられませんね」

 

世界を覆せる?神を殺められる?

いきなりそんな事言われてもアニメじゃあるまいし、、僕には理解しかねるよ。

 

「悪いがこれは冗談でも嘘でもない。全て本当の事なんだ少年…いや、、翔助君」

 

「・・わかりました。でも具体的にどんな能力なんです?それって一体?」

 

「・・端的にあれを現すなら『厄災』か、もしくはそれ以上かもしれんな」

 

「厄災ですか……」

 

「お主に渡した【大嘘憑き】と能力的には結構似ている部分が多かったりするのだが……君の能力の方が凶悪だ、確実に」

 

【大嘘憑きと似ている】…?

ということは何かを『なかったこと』にする能力なのかな?

しかし神様が言った、僕の能力の方が凶悪と言っていたのが気になる。

何を根拠に凶悪だと言えるのだろう?

 

 

「君の能力の方が凶悪だってわかる理由ならある…論より証拠だ、前みたいに【大嘘憑き】を使ってみてくれ」

 

そう言い神様が懐から一本の大きいネジを取り出し、僕に手渡してきたので、それを渋々受け取って地面に刺す。

 

「わかりました…【大嘘憑き】この空間の光をなかったことにした」

 

光がなくなれば当然真っ暗で何も見えなくなる……はずなのだが。

 

 

「……あれ?まったく暗くならないぞ?さっきまでとまるで変わらないし…」

 

『光』は確実に現実(リアル)の事象の筈なので、大嘘憑きでなかったことにできる対象内なのだけど……

 

 

「どうだ?失敗しただろう?」

 

「・・はい。大嘘憑きでなかったことにできない事ではない筈なんですけど…今まで不発なんて事もありませんでしたし…」

 

「失敗するのは当たり前だ、なぜならもう君に……『大嘘憑きなんて能力は無いんだからさ』」

 

「・・え?」

 

『大嘘憑き』がない?

ついさっきまで何回も使っていたのに?

全身を血塗れにしてまでもバーテックスとの戦いに使い続けていたのに?

 

「あぁ、確かにここへ来るまでは持ってたよ君は。それは事実だ」

 

「なら、なんで……」

 

「・・君の能力に喰われたんだよ。吸収されたって言ってもいい」

 

 

・・吸収?能力が、別の能力に?

 

「それほどヤバいってことだよ能力がね。君の能力は……あらゆる物事や物質、事象や思念など色々をこの世から除外できる…それが例え仮想だろうと何であろうと」

 

「それなら大嘘憑きと大して変わらないんじゃあないんですか?」

 

確かに仮想も対象内なのが前とは違うので十分危ないけれど、それだけならまだギリギリ大丈夫だと思うんだけどな。

 

 

「・・本題はそこじゃない」

 

「・・というと?」

 

「……わしもまだ良く原因はわかってないのだが、、君の能力にどんな干渉をしても無意味に終わってしまうんだ」

 

「無意味?」

 

「最初の眩しい光あっただろう?あれは浴びた人物の能力や才能を強制的に消せるという物なのだが、まるで効いてなかったんだ。今までそんなことなかったのに…」

 

「それ以外にも色々試した。弱体化を図ったり、君自身に神の加護をつけてみたり、色々とやった…でも全部無意味に終わってしまったんだ、、神としての力を存分にふるったのにも関わらずだ」

 

なるほどね…確かに不思議な事だけど、何でそこまでして消そうとするんだ?

 

「・・確かに今のところはこれと言った悪い効果は無い。だが……いかんせんわからないことが多すぎる…これでもわしは神の中では偉い方なんだぞ?」

 

…神様に同情されるだけじゃなく、心配までされるなんてね。うれしくはあるけど、申し訳なさの方が勝ってしまうな。

 

「大丈夫ですよ、神様」

 

「翔助…?」

 

「確かに良くわからない上に強力だから危ないってのはあります…でもちゃんと注意していれば大丈夫ですよ」

 

「・・本当にすまん。それに君はあの人物に憧れていたのだろう?それなのにわしはその能力をあげることができなかったばかりか、僅かな幸運もさえも……まったく、何が神だよ「そんなこと言わないでくださいよ、神様」…何だと?」

 

 

神様がぶつぶつと小さく呟いていたのを僅かに聞きとり、すかさずストップさせる

 

 

「神様が二度目の人生をくれたおかげで、生まれて始めて、生きていて楽しいって思えたんですよ?僕。」

 

「しかし、結局苦労を…」

 

「いいんですよそれぐらい。むしろ人生なんて苦労してなんぼなんですから、僕にとっては丁度良いくらいですよ」

 

「・・君の憧れを叶えられなかったことに関してはせめて謝らせてくれ。…本当に申し訳ない。」

 

 

憧れ……ね。

確かに憧れてはいたさ。周りが主人公みたいなヒーローに憧れているように、僕にとってあの人は弱い者の『ヒーロー』だったからね。

 

 

でも―

 

 

「・・気になさらないでください。別にどうも思ってませんよ、そんなこと」

 

「だが!」

 

「いいんですよ、だってあの人と僕は違いますからね。それに……」

 

 

 

 

「届かないからこそ憧れるんですよ」

 

 

どれだけ手を伸ばしても、どれだけ自分を着飾っても、届かないからこそ人は物事、さしては人物に憧れるんだと僕は思う。

 

だってそうだろ?

簡単に手が届くような人物に憧れるなんてことがある人、そうそういない。

 

 

「さぁ、時間が惜しいです。そろそろ元の世界に戻らせてくれませんか?」

 

「・・あぁ、わかった。今戻そう」

 

そう神様が言い、持っている杖を一振りすると、空間中が光に包まれる。

 

 

「・・がんばれ、西村翔助よ。わしは遠くから見守っているからな」

 

 

そんな声が聞こえたからか、

今度の光はやけに暖かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・ん、戻ってきたのか」

 

元の世界に戻ってきたらしく、周りを見渡すと相変わらず火に満ち溢れた、まさに地獄のような風景が広がっていた。

 

「おや?あの人影は……って、何だあの黒いモヤモヤと樹木の根みたいなのは」

 

見慣れた人影とひきかえ、黒いモヤモヤと大きな樹木+根というわけワカメな状況に若干困惑しながらも、歩み始める。

 

しかし近づくにつれて、モヤと樹木がぶつかり合った時に発生した風の勢いが強く、進みづらいくなっていた。

 

 

「どうしようか、、『大嘘憑き』は使えなくなってるし…僕の能力はどうやって使うんだろうか?」

 

そう言えばどのように発動させればいいのか聞いていなかったので、どうすればいいのかまったくわからない。

 

 

「あーもう。この風『邪魔』だなー」

 

進めない原因についてぽつりと愚痴っていると、変化はいきなり起こった。

 

 

「ん?あれ?風止ん…ではないよね?だって樹木の上に生えている草は、今にも飛んで行きそうなくらい激しく風になびいてるもんな。」

 

唐突に風の吹き飛ばしによる進行妨害がなくなったので、周りをチラチラと見て分析するも、風が止んだわけではないらしい

 

それを踏まえて自分の現在の状態についてよく見てみる。

風圧がまったくなく、なんなら着ている服すらもまったく風になびく様子がない。

 

「・・『邪魔』って言葉に反応したのか?もしかして?」

 

僕が風に対して難を示したから、自動で能力が発動したのかな?

前は直接触れたり、ネジを刺したりしないと発動できなかったので、確かに能力としては強いのを実感する。

 

「でも使いにくいなぁ…僕が使おうと発動したんじゃなくて、良くわからないで勝手に作動してるからな……」

 

たぶんまだ僕にこの能力が馴染んでいないのだと思う。なんせ使えないわけじゃないんだから。

 

「不安要素はあるけど、、そんな事後で考えればいいよな…」

 

風圧がなくなったことによって快適に歩みを進めることができ、複数の人影のところまでたどり着いた。

僕の足音に気づいたのか、その人影のうち一人がこちらを振り向いて驚いたような顔を浮かべ声を上げる。

 

 

 

「・・翔助君?」

 

「やぁ、久しぶりだね。美森ちゃん」

 

 

懐かしい顔だ、本当に

 




はい、書くのに時間がかかりました。

主人公の能力にはまだ謎がありますが、作者の中ではすでに大体の内容は決まってます……それをどのようにして書き表して伝える文をただいま考え中です。

音楽を聞きながら書くと、テンションが変に上がって良くわからない文になることが
多々あるんですよね……内容伝わりましたかね?


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その8

少し日が空きました、深夜です。

まずは本編をどうぞ。


 

「にっしー!?」

 

「翔助?……どうしたのよ、その服」

 

風先輩のその指摘によって、自分の今の服装について気づかされる。

…そういえば、僕血まみれだったな。

 

「あーいや、この赤い染みは…」

 

「え?赤い染みって?」

 

「…ん?いや、風先輩が服って、、」

 

「いやあたしが言ったのは、長い時間会わなかったのに、そのわりにはやけに服が新しいなってことよ」

 

「新しい?」

 

風先輩の目線をたどり自分の服へと目を向けると、確かに『まるで新品』のようにきれいな制服があった。

 

・・あんなに血まみれだったのに……能力が知らない間に作動したのか?

 

「気のせいじゃないですか?特に何にもなかったですし、心当たりもありませんよ?僕には」

 

「そうなの?ならいいのだけど……」

 

困惑の感情が出てくるのを必死に押し殺して、とりあえず苦し紛れの言葉だが風先輩達を誤魔化すのに成功させる。

 

「みんなも僕に色々と聞きたい事があるかもしれないけど、、まず今は飲み込んでくれるとありがたいな」

 

「・・えぇ、わかったわ翔助君。今はそれどころじゃないものね」

 

「何かあったら全てが終わった後に聞くからさ、それまでは…ごめんね」

 

「いいんよ~にっしー」

 

「ありがとう…おっと」

 

僕らが話している間当然あのモヤと樹木が争いの手を止めるわけもなく、木の破片が飛ばされてきたため、紙一重で避ける

 

「大丈夫!?翔助……っ!風が強くてぜんぜん話しどころじゃないわね!」

 

僕は恐らく能力によって風の影響を受けないでいるが、彼女達はさっきから風の効果を強く受けているので、先ほどからまともに動けずにいるのだろう。

 

 

「……早くしないと、友奈ちゃんが…」

 

「・・美森ちゃん。友奈ちゃんに何かあったのかい?」

 

美森ちゃんの小さく漏らした聞き捨てならないその言葉をしっかりと聞き取り、具体的内容について追及する。

…最初に声をかけた時からの不安そうな美森ちゃんの表情から嫌な気はしていたけど…友奈ちゃんがらみか、、

 

「実は・・友奈ちゃんが今後の世界の為の犠牲に、、神樹様に選ばれて……」

 

「・・オーケー、もうわかったよ。だからもう喋らなくていい…ごめんね、辛いこと言わせちゃって」

 

「……大丈夫よ翔助君、私は」

 

美森ちゃんが辛そうに話し始めていたので、おおよそわかったあたりで止める。

涙を流すまではいっていないあたり、美森ちゃんの心も成長してるみたいだけど……それでも声が震えていた所を見るに、かなりヤバい状況らしいな。

 

「要するに、友奈ちゃんが世界の存続のための何らかの儀式の生け贄になって、その儀式を阻止しようと天の神…あのモヤが神樹様と争い合っていると……そういうことだろう?」

 

「…さすが。話が早いな、翔助」

 

「その儀式はあとどれぐらいで行われるか、大体検討はついてるのかい?」

 

「あたし達も詳しくはわからないけど……さっき友奈が樹木の奥に歩いて行ったから、そろそろ頃合いかも…」

 

「なるほど…確かにそれならそろそろかもしれませんね……」

 

だとすると、、まずいな。急がないと間に合わなくなるかもしれない

かと言って能力を使おうにも、うまく作動してくれるかどうか、、

 

 

 

「・・・友奈ちゃん、、」

 

 

 

 

・・バカかよ、僕は

 

迷ってる暇なんて無い。こんな優しい女の子達を辛い目になんかあわせておけないんだからさ。

 

 

『作動してくれるか』じゃない、

『作動させるんだ』。

 

彼女達を支えるはずの僕が不安がってどうするんだよ、まったく。

 

 

「……ふぅ、、よし…行きますか」

 

「……いきなり頬を叩いたりしてどうしたの翔助君?それに行くっていったいどこへ…?」

 

「あはは、別に大したことじゃないよ?ただ、ちょっと…」

 

 

 

 

「色々な事を、済ませに行ってくるだけさ」

 

 

ちょっと世界と、世話のかかる友達を救いに行ってくるだけの簡単なお仕事だよ

 

「!翔助、あんたそれって!」

 

「……気づいちゃいましたか、風先輩」

 

「まさか、、一人で行く気!?そんなことあたしが許すわけないでしょ!!」

 

「にっしー!一人だけでなんて、いくらなんでも無茶苦茶なんよ!」

 

「アタシでもさすがに見逃せないぞ!」

 

「そうですよ翔助先輩!行くならみんなで行きましょうよ!」

 

「・・みんな…」

 

僕の言葉に声を荒げて反意を示すみんなの優しさが身にしみて、自分の中で罪悪感が湧き出そうになるがそれを振り払う

 

「・・翔助君…お願い、一人だけで抱えこまないで。昔言ってくれたじゃない、『困った時は相談』って」

 

「・・・・」

 

「だから、、みんなで行きましょう?一人よりもみんなで……お願いよ…翔助君」

 

そう言いながら、美森ちゃんが僕の手を優しく彼女の手で包みこんでくる。

…昔、僕が彼女にやったように

 

 

ハァー、、まったく、本当に良い子達ばっかりだよ、この勇者部は。

 

 

 

でも……こればっかりは譲れない。

 

 

 

「ごめん、、美森ちゃん…みんな」

 

「っ……翔助君!!」

 

「僕の身勝手なわがままを……許してくれ、、みんな」

 

美森ちゃんの手を優しく引き剥がし、樹木とモヤの方へと走って向かう。

後ろからみんなの僕を呼ぶ声が聞こえるが、夢中になって走っていると、やがて聞こえなくなっていた。

 

 

 

「・・だいぶ走ったけど、、運動が苦手な僕なのにも関わらず、全然疲れてないぞ?能力のせいかな?」

 

まったくバテらず走ってこれた事に若干疑問を抱きつつも、先へと進む。

 

さらにしばらく走って進んでいると、一つ人影らしき物を発見したので、ゆっくりと近づき確認する。

 

「友奈ちゃん!」

 

「翔助君!?…何でここに?」

 

その人影が友奈ちゃんだったことがわかり、ホッと胸を撫で下ろす。どうやらまだ儀式は行い終わってないらしい

 

「決まってるだろう?君を連れ戻しにきたんだよ」

 

「だめだよ!これは私じゃないと駄目なんだから…私が犠牲にならないと、世界が…みんなが滅んじゃうんだよ!」

 

美森ちゃんの話からも聞いていた通りならば、確かに友奈ちゃんの言う通り、彼女が犠牲にならないと世界は終わるのだろう

 

「私は誰かが……勇者部のみんなが苦しむ所なんて見たくない!世界が終わったら、みんないつもみたいにみんな笑顔でいられなくなっちゃうんだ、、だから!私一人が犠牲になることによってみんながいつも通りの生活を送れるなら、、誰も苦しまずに済むのなら……」

 

 

「私はそれでいいの!だから翔助君!お願いだから諦めて戻って!」

 

 

 

・・へー。

友奈ちゃんがいなくなることによって、『いつも通りの生活を送れる』…『みんな笑顔でいられる』、、なるほどね……

 

 

 

 

「それのどこがいいんだい?」

 

 

 

 

「・・え?」

 

「いや、友奈ちゃんは自分が犠牲になることによって、周りに幸せになって欲しいという気持ちはよく伝わったよ…でもさ」

 

「『結城友奈がいない勇者部の生活』は、果たして本当に『いつも通りの勇者部の生活』って言えるのかな?」

 

「・・・・」

 

「『みんな笑顔でいられる』……誰かを犠牲にしてまで手に入れた生活は、笑顔で生きれないんじゃない?少なくとも、勇者部と友奈ちゃんの家族の人は絶対に笑顔ではいられないだろうね」

 

「・・なら、東郷さんの時みたいに、みんなの中から私の記憶を…」

 

「例えそんな事されても、僕は絶対に忘れないよ。美森ちゃんの時も君にヒントをあげただろう?」

 

「・・・・」

 

「そして何より、そんなことされて送る日常なんて、美森ちゃん達がうれしがると思うかい?」

 

「・・それでも!私は、みんなに生きて欲しいの!」

 

「君がいない人生を?…僕は嫌だね。友達の犠牲で成り立つ暮らしなんて、それじゃあまるで犯罪者の生活だよ」

 

「・・・・」

 

「一つ聞きたい。友奈ちゃん……君自身の気持ちを教えてくれ、僕とか、君以外の人の事なんか考えなくていいから」

 

 

「君はまだ『生きていたいか』、それとも勇者部のみんなとお別れするように『死にたいか』……どっちだい?」

 

 

 

「そんなの・・生きていたいよ!まだみんなと楽しく勇者部の活動していたいよ私だって!…でもダメなんだ、、」

 

 

 

 

「・・勇者部五箇条、その五。『成せば大抵なんとかなる』」

 

「……翔助君?」

 

「誰か一人でも欠けていたら駄目なんだ…だから生きるならみんな一緒じゃないと、誰も心からなんて笑えないよ?」

 

「それでも!私が犠牲にならないと…」

 

「大丈夫。要するに、君が世界のために消える必要がなくなればいいんだろ?」

 

「でもどうやって、、」

 

「事の根本、天の神を打ち倒せばいいんだよ。そうすれば全部まるっと解決だ」

 

「そんなこと……」

 

「あはは、、やる前からできないって思ってたら何もできなくなるぜ?…勇者部五箇条その二、『なるべく諦めない』だよ」

 

「そうだけど、、いくらなんでも無茶だよ……だって、相手は神様なんだよ?今までのバーテックス達よりも全然比べものにならないんだよ?」

 

ごもっともな意見だ。

神に人が挑むなど愚の骨頂、そんなことは百も承知だ。実際にそういう神様のおかげで僕は今、二度目の人生を送れているんだから、なおさら神の力量は認知している

 

 

でも、、僕の気持ちは決まっている

まっすぐ友奈ちゃんの瞳を見ながら、ゆっくりと一言一言を大事に話す。

 

 

「・・僕さ、本当に前…勇者のみんなに出会う前、ずっと一人だったんだ」

 

「親からも愛されなければ、仲のいい友達もいない…なんならいじめられてたぐらいなんだ。当然親からの虐待もあったよ」

 

「毎日暴力を受けたよ。家でも、学校でもさ……身体に傷がつかない日なんかないくらいだった」

 

「・・翔助君」

 

「・・そんな僕でもさ、勇者のみんなに出会ってから、、生きてて楽しいって思えたんだ。……だから、そんなみんなの」

 

 

 

「『幸せ』を守りたいんだ。例え無謀でも、愚かと言われようとも、僕は行く」

 

 

 

「・・・・」

 

「あそこにいるモヤと樹木だよね、天の神と神樹様は……うわ、、バーテックスもいるじゃん」

 

「翔助君!!だめ!!」

 

「・・大丈夫だって。僕は絶対生きて帰るからさ、、だから君は信じて待っててくれよ……『友奈』」

 

「……待って!!せめて、、行くなら私も!!」

 

走って向かおうとする僕の腕を強く掴んで引き留めようとする友奈ちゃんに苦笑を浮かべて、美森ちゃんの時のように優しく引き剥がしそう告げる。

自分も行くと友奈ちゃんが言うのに対して無言で首を横にふり、反意を示したのちにモヤと樹木に向かって走る。

 

 

 

 

ある程度走って、天の神と神樹様がいる位置にまでたどり着くことができた。しかし、二人は上空にいるため、このままだと勝つ勝たない以前に戦うことすらかなわないんだよな……

 

「ここまで来て、何もできずに終わるとかごめんだぞ?……能力で重力をなかったことにした」

 

そう呟くと本当に身体が軽くなり、試しにその場で跳んでみると、そのままふわふわと浮遊することができた。

 

「よし、やっと100%自分の意思で発動できた……僕の覚悟はもうできてる。だから力を貸してくれよ?」

 

そう言いながら空へと飛ぶする。

浮遊している中でも飛んでくる木の破片や白い小型のバーテックスの攻撃をかわしたりしたため気は抜けない。

 

 

「・・あらら、勢ぞろいだね?バーテックスさん達は」

 

ある程度進むと、蟹座や魚座、射手座天秤座など、「黄道十二星座」が全員揃って、なおかつ大量の白い小型バーテックス達が僕の行く手を阻んでいた。

 

「困ったな、、君達に構ってる時間なんて無いんだけど」

 

今は一分一秒すらも惜しい状況で、黄道十二星座級達を相手にしてる余裕は無い

 

そんなこと考えていても、もちろんバーテックスは突っ込んでくるので、それに対して迎撃しようとネジを投げつけた。

 

「よっと……あれ?消えた?…」

 

ネジが蠍座に刺さった瞬間、なぜか蠍座がいなくなるという不思議な現象を目撃して困惑していると、神様が僕の能力について言っていたことを思い出した。

 

「確か、、『仮想もなかったことにできる』みたいなこと言ってたよな…バーテックスもいけるのか?」

 

試しに目の前まで回転して来ていた天秤座にネジを突き刺してみると、蠍座と同じように消えたので、本当に仮想の生物や概念も【なかったこと】にできるらしい。

 

「『大嘘憑き』の弱点の一つを克服してるって…どんだけ強いんだよ、、でも今はありがたい。時間が惜しいからね」

 

時間の経過をなかったことにして、残ったバーテックスを最速で片付ける。

 

・・しかしこの能力もやっと馴染んでくれて、発動しやすくなったが、それでもやっぱり謎ばかりだ。

先ほどのバーテックスをなかったことにする際も、ネジを彼らに刺した瞬間『自動的』になかったことになっていた。

またもや、僕の意思関係なくだ。

 

「保持者の僕でも不確定要素がまだ多いんだけど…戸惑っている時間は無い。危険を承知で使っていくしかないか、、」

 

そう言いながら再び天の神と神樹様が争っている場所まで飛んでいく。

 

「しかし、、何でこんなに危ない能力が僕の手にあるんだろうか…」

 

 

その問いに答えれる者は誰もいない

 

 




いかがでしたか?

はい、結構空きましたね、
お待たせしました。…果たして待ってくれていた人がいたのかはわかりませんが

文を書くたんびに何か違うような気がして全然進んでおらず、今回はいつも以上に駄文注意でございます。
証拠は文字数の多さです

ホワイトデーにチョコあげるから、誰か文才くれないかなぁ……


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その9

お久しぶりです。

最近色々な方の小説を読みあさるのにハマっておりまして、自分の小説方面が疎かになってました。

とりあえず本編をどうぞ


「よっと……ついにたどり着きましたよ、あなたのもとにね。神樹様、助太刀させていただきますよ」

 

何百匹といるバーテックス達を長い間蹴散らしながら進むと、ついに天の神であろうモヤと、同じく神樹様であろう神々しい光のもとへとたどり着くことができた。

……さすが神というだけあって、妙なプレッシャーを感じて変な汗が出てくる。

 

 

だからといって、臆してはいられない

懐からネジを一本取り出し、先手必勝と天の神に投げつける。

 

「な……すり抜けた?もしかして、実体を持ってないのか?」

 

しかしそのネジはモヤをすり抜け、どこかへと飛んでいってしまった。

実体を持ってないとするなら、どうやって倒せばいいんだ?僕の攻撃手段はあのネジしかないんだけど…

 

「神樹様はとりあえず下がっててください。お疲れでしょうから、僕が戦っている間にお身体を休めてください」

 

【・・・・】

 

そう言うと、光が本当に後ろへと下がってくれたので、一応こちらの言うことは伝わってはいるようだ。

そう光の方へと注意を向けていると、前の方から大きな音が聞こえた。そちらの方へと目を向けるとそこには大型バーテックスがモヤの隣に三匹並んでいた。

 

「あはは、、もしかして先ほどのネジ投げに怒ってらっしゃいます?天の神様?」

 

僕がそう喋り終わったのと同時に三匹がこちらへ凄い勢いで向かってくる。

それにネジを投げ、能力を確実に作動させることによって相殺するも、バーテックスは再び湧いてくる。

 

「これじゃあ、結界内の生活と変わらないじゃないか…」

 

 

そう愚痴りながら何回か殲滅を繰り返していると、突然バーテックスが逆方向へと走り出して、モヤの中へと突っ込んだ。

するとモヤの一部がそれぞれ変形し始め、次第にそれぞれ鎌や刀、弓、槍、鐘、天秤といった物に形を変えていった。

 

「合体……いや、もとあった場所に戻っただけかな。・・天の神自身の手で、直々に僕を潰そうってわけですか」

 

そのためにわざわざバーテックスを自分の中へと戻すとは、、余程厄介がられている様子だ。僕を確実に叩きのめそうとしてるのが何よりの証拠だろう。

 

 

そう考えていると、さっそく天の神が攻撃を仕掛けてくる。

右から刀、左から鎌が素早く斬りかかってきたのを慌てて避けるも、今度は槍が目の前から迫ってくる。

それもギリギリで避けるが、息をつかせる間もなく、矢が上から飛んできていた。

このままでは数本喰らってしまいそうなのでネジを投げつけ相殺しようとするが、耳をつんざくような音が聞こえ、思わずネジを手放してしまう。

 

矢によって体が傷ついたのを痛みによって理解しつつ、先ほどの猛攻を行ってきたモヤの方を睨む。

 

「・・辛いな、、回避しても次から次へと攻撃の雨が降り注いでくるし、相殺しようとするとあの鐘の騒音で邪魔されてしまうと……まだまだ来そうだ、いつの間にか再び構え始めてるし」

 

疲れこそ能力のおかげでしていないけど、これじゃあ回避が間に合ってない。

そう心の中で悪態をつきながらも回避に専念するが、、やはり避けきれない。

それに先ほどよりも少し刀や槍、矢の本数や手数が上がっているうえに、スピードも同じく上昇しているせいで回避が余計に辛くなっていってしまう。

 

「危な!…この泡って、水瓶座の、、まさか攻撃の種類も増えていくのか?……大きな板までモヤから生成されてるのを見るに、そう考えて良さそうだ」

 

主に取り込んだバーテックス達の武器を操ってるみたいだけど、攻撃速度や威力がバーテックス達と全然違う。

 

 

・・このままじゃ、あの世に行くのも時間の問題だろう。

どんどん傷が増えていく自分の体を見て、思わず顔をしかめてしまう

 

「……一旦傷を治して、態勢を立て直さなきゃまずいな」

 

一旦天の神の攻撃を避けながら距離を取り、さっきまでやってきたように自分の傷をなかったことにしようと強く念じる

 

 

 

 

 

 

しかし、、

 

 

 

 

 

 

「・・・あ、あれ?治らない?」

 

 

さっきまでは確かに作動していたのにも関わらず、なぜか今回はいくら念じても、一向に傷一つと治らない。

 

どれだけ強く念じても、感じるのは傷の痛みだけで、前のように治った時の独特な感覚はまったくもっておとずれない。

 

「・・冗談だろ?こんな重要な時に作動してくれないなんて……っ!」

 

僕が嘆いていると、後ろから嫌な空気を感じたので伏せる。少し遅れて僕の上を刀が通りすぎたのを見て、肝が冷える。

…そりゃあ、律儀に相手を待っててくれるわけないよな。当然の事だ。

 

困惑しつつも、また回避に徹せれるように気を集中させる。

だが、再び増えていく傷を見ていると、ある嫌な考えが脳裏をよぎる。

 

 

 

・・傷が治らない、、ということはもし、ここで死んでしまったら…?

 

今までは『大嘘憑き』によって『自分の絶命をなかったこと』にしていたが、この調子だと上手く作動するかどうか……

 

「……体が上手く動かなくなってきた…このままじゃ、、」

 

避けることがだいぶ辛くなってきてしまった、これじゃあその内致命傷をもらって、そのまま、、死ぬ。

防戦一方のままじゃまずい。

 

だがこちらから仕掛けようとしても、あの鐘の音がうるさくて邪魔される。

あの鐘がなければ……仕方ない、無理やり突破するしかないか

 

この方法はリスクがデカイうえに、成功するかどうかもわからない、、だけどこのままじゃどっちにしろ前へ進めない。

 

 

「・・賭けにでよう」

 

自分の中で考えが決まったので、ネジを袋から取り出して両手に構え、天の神の攻撃を一回避けた後、全速力で鐘へと跳ぶ

 

 

 

ゴーン ゴーン

 

 

「…生憎、痛みにはある程度耐性があるんだよっと!」

 

鐘に近づいたことによって先ほどよりも大きく音を感じてしまい、耳が大きく痛むのを感じるが、無理やり鐘の部位にネジを突き刺して吹っ飛ばした。どうやら変形した部位には実体が存在するらしく、物理も通用するようだ。

 

僕がやったことを一言であらわすなら、単なる「ごり押し」というやつだ。

うるさい音を無理やり突破するにはこれしかない、実にシンプルな方法だ。

 

急いでもとの場所に戻ると、やっぱり『耳が聞こえなくなっていた』。

ただでさえうるさかった鐘の音を、あんな至近距離で聞いたのだから、聴覚をもってかれていて当然だ。

 

 

「失った物は大きかったけど、その代わりにあの鐘を排除できたのなら……」

 

 

良かった。そう言おうとするが、目の前に刃が迫ってることに気付き、さっきまでと同じく避けようと体を反らす。

 

 

 

 

しかしその直後、体に強い痛みが走り、遅れて大きな浮遊感を感じた。

 

 

「っ……吹っ飛ばされたのか?でもいったい何で?刀の一撃は避けたはず、、」

 

そう言いながら天の神の方を凝視してみると、さっきまで鐘があった部分から大きな拳が生えていた。

もう代わりができていたのか…すっかり油断していた。つまり、刀を避けた後の隙を狙った攻撃を僕はもろに喰らってしまったというわけか。

 

だが、このまま倒れているわけにはいかない。早く起き上がって復帰しないと…

急いで体に力を入れて起き上がろうとするが、体を動かそうとすると激痛が走り、体もまともに言う事を聞いてくれない。

 

「・・拳の一撃をもらう前からボロボロだったせいか、もろに喰らって骨が何本も折れてる……痛みには慣れてるとはいえ、体が…くそっ、動かない」

 

ネジを杖のように扱って、何とか立とうと試みるが、何回やっても結果は変わらず、ズルッっと態勢を崩してしまう。

何度も何度も諦めずに体を動かそうとするが、やはり立つことすらできない。

 

 

 

そしてそんな僕の状態を天の神がみすみす見逃すわけもなく、

 

 

「っ!…大量の矢が……!」

 

天の神が弓で射ったであろう矢が上から大量に僕へと降り注ごうとしているのが目に入った。

もちろんネジを構えて相殺しようと試みるが、吹っ飛ばされた際に脳も打ったのか、急に視界がおぼつき、なおかつ体もまともに動かないせいで、うまく狙いを定めることができない。

そのせいで全てを打ち落とすことができず、何本も矢をもらってしまう。

 

「・・ははは……容赦ないなぁ、天の神様はまったくさ」

 

体に刺さった矢を悪化したりしない内にすぐさま抜くが、出血多量により意識が朦朧としてくる。

頬を叩いて、無理やり意識を覚醒させようとするが、いまだに朦朧としたままだ。

 

そこに無慈悲にも天の神が再度矢を放ってきており、無情にも矢は僕へと降り注いでくる。もはや相殺しようとする為の力など残っておらず、ほとんど全弾をもらう

 

追いうちの矢を喰らったことによって、尚更意識がまともに保てなくなり、とうとう横になってしまう。

 

 

 

「・・意識が……もう…みんな……」

 

 

 

僕の抵抗虚しく、視界がどんどん黒く染まっていき、、

 

 

 

 

 

僕は意識を手放した。

 

 




いかがでしょうか?

この小説での天の神の戦い方はオリジナルですので、原作はまったく調べずに書かせていただいております。

さて、翔助君の今後は一体?

あらゆるところでの駄文が目立つと思いますが、次回も読んでいただけるとありがたいです。


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その10

最近投稿が遅くなりがちだったので、少し早めに投稿しました。


とりあえず、どうぞ。


 

「・・ぁ?あ、あれ?ここは…」

 

意識を取り戻したと思ったら、さっきまでと違い、どこかの一般住宅のような光景が周囲を見渡しても目に入った。

 

 

・・まず生きていたこと自体不思議な事だけど、ここは一体どこなんだ?神様に呼び出されたにしては質素すぎるし……

 

疑問点が多すぎるので、そのように一人深く考え込んでいると、自分の体にある違和感を感じた。

 

「えっ…これは……」

 

さっきまであった、体全体に広がった傷がなぜか一つも見当たらず、ずっと感じていた鋭い痛みもまったく感じない。

それだけなら意識を失っていた間に能力が勝手に作動していたのだと説明はつくのだが、もう一つ大きな異変があった。

 

 

 

「体が縮んでる…?」

 

 

もとから満開の代償で成長を奪われていたせいで小さかったが、視点が前より低くなっていて、前よりさらに縮んでいるような気がする。

 

それに、なぜかさっきまで確かに中学校の制服を着ていたはずなのに、いつの間にか少しボロついた服に変わっていた。服のタグを見ると、Sと書いてあった。

いくら僕でもSサイズの服は少し小さくて入らないため、縮んでいると考えは間違ってなさそうだ。

 

 

「・・でも……やけに既視感があるんだよなぁ、この服」

 

 

少々不気味だが、、今はありがたい。

自由に動けるのなら少し探索をしてみようか…さっきからまだよく分からない事が多すぎるからね。

いつまでもこうしていては時間が勿体ないため、思考を切り替えつつ、体を起こして取り付けられているドアに手を掛ける。

 

 

「うわぁ、、ひどいな…ボロボロだ」

 

ドアを開いた先にはボロボロの居間らしき物が僕の目に入り、あまりの酷さに思わずそう呟いてしまう。

 

床や壁、天井は切り傷や殴られた痕が大量に見受けられ窓はほとんどひびが入っている。それに加えて床に散乱している大量の酒瓶や粉々の壺。

一般的に見て、すでに地獄絵図というにふさわしい光景だが、百歩譲ってそこはまだ良しとしよう。しかし、所々についてある血痕にはさすがの僕も許容できない。

 

嗅覚を研ぎ澄ましてを嗅いでみると、少し血生臭いので、トマトケチャップを至るところにこぼしてしまったドジな家庭、という僕の淡い期待は崩されたよ…

にしても何があったんだよこの家は?何か事件でもあったのか?

 

疑問は尽きない。だけど…

 

 

「やっぱり既視感あるんだよな……壁・床・天井の傷といい、酒瓶や血痕も…なんなんだろう?」

 

 

そう呟きながら居間らしき部屋の奥にある襖を見つけたので、壺の破片を踏まないよう注意しながら襖へと向かい、やっとたどり着いたので襖に手を掛けて開く。

 

「うん…思ってた通りのボロボロ具合だ。廊下端から端まで全部傷だらけだ」

 

大体予想はできていたが、さすがのボロボロ具合に苦笑がこぼれる。

しかし…ボロボロなのもあいまってか、やけに小さく感じるな、この家。

 

今更家についての思いを浮かべながら、再び周囲を注意深く見渡していると、玄関にある一つの小さめな靴に気がついた。

大きさからして、小学生でなおかつ低学年ぐらいの子だろう。青くて、黄色い稲妻の模様が入った靴だ。

 

他に玄関にはこれといった物はなく、他の部屋に移動しようと足を動かそうとする

 

 

しかし僕の中で、何かが引っ掛かる。

 

 

 

「青色で黄色い稲妻…どこかで…?」

 

 

ふとあの靴が気になり、踵を返して玄関へと戻り、小さな靴を手に取って眺める

やっぱり強い既視感を感じるな…

 

その既視感の理由を突き止めるべく、色々な角度から靴を見たりして調べると、靴の中にある小さな文字に気がついた。

 

 

 

あぁ・・なるほど。やけに既視感を感じると思ったら、、

 

 

 

片方ずつの靴の中に書いてある『にしむら』、『しょうすけ』という文字を見て、今までなぜ既視感を感じたのか、完全に理解した。

 

 

「・・懐かしいな、、まさかここが前世で僕が両親と暮らしていた家とは…」

 

 

そうなると天井や壁、床の傷も、散乱していた酒瓶も、血痕も、全て説明がつく。

靴がまだそんなに汚れていない所から見るに、まだ僕が二年生ぐらいの頃の家っぽいかな。

低学年の時はまだ痛みに慣れてなかった頃だったから…床とかについている傷は、僕が悶え苦しんで暴れた時の………

 

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

《痛い!!やめて……おとうさん…》

 

《うるさい!!会社でまた上司に嫌みを言われたんだ…飯を食わせてやってるんだから、お前は黙ってストレスの捌け口になってればいいんだよ!!》

 

《ううっ……おかあさん…》

 

《・・気安く呼ばないで欲しいわ…本当はあなたを産む気なんて私達はなかったのよ?私達への恩返しだと思って、それぐらい我慢しなさいよ》

 

《そんな…!やだよ!もう痛いのは…》

 

《うるさいわね……お父さん!この子にはまだ痛い思いが必要みたいよー?》

 

《そうだな~。よーし、こっち来い翔助!居間に連れて本格的にやってやるよ》

 

《や、やだ…やめて!!離して!!》

 

《楽しんでらっしゃい?翔助ちゃん♪》

 

《助けて!…誰か…お願いします…》

 

 

 

 

《・・神…様……》

 

 

 

 

 

「・・嫌な事思い出しちゃったな…」

 

 

殴られるだけじゃなく、根性焼きもいくつかされてたから、しばらくの間火をまともに見れなくなっちゃってたっけ……

昔の思い出を振りかえる。

 

ある程度探索して、ここが懐かしき我が家ということはわかったけど……何で僕はここにいるんだ?しかも、わざわざ小学生時代の頃にタイムスリップまでして。

 

頭をひねって考えるが、何一つとして心当たりが無いため、明確な答えはでない。

そんな自分にため息をつきつつ、持っていた靴を玄関に置くと、そういえばまだ探索していなかった部屋があることを思いだした。

 

「僕の部屋、まだだったな」

 

『僕の部屋』といっても、そんな綺麗な物じゃない。刑務所の囚人室みたいなイメージが一番しっくりくるくらいの物だ。

 

自虐的な笑みを浮かべながら、昔の自分の部屋へと歩みを進め、部屋のドアへと手を伸ばして、ゆっくりとドアノブを回して中へと入る。

 

 

 

すると、思わず自分の目を疑ってしまう様な、信じられない光景が目に飛び込んできた。

 

 

 

 

 

「やぁ…待ってたよ、、【僕】」

 

 

 

 

前世の中学校の制服を身にまとった【僕】が、穏やかな笑みを浮かべて勉強机の椅子に座っていた。

 

 




そろそろ終わりが近づいて来ました。

今回の話を読んでみてどうだったか、ぜひご感想をいただければ幸いです。
深夜テンションで書きましたので、誤字等もありそうで少し怖いです…

続きの話の内容も作者の中でおよそ決まってますので、次回の投稿も早めにできそうです。

では、また。


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『昔』と『これから』

早い内にと言ってたのですが、今回大事な部分なので、書いて消してを行って迷走していたら遅くなりました。申し訳ないですm(__)m

どれぐらい迷走していたかは文字数の多さで悟ってください……。
・・ちなみに今回は8000字あります。
僕の今までで最高文字数は5600とかです


・・・はい、これが指し示す答えを求めてください。春休みの宿題です。


グダグダなのですが、とりあえず本編入ります。会話文多めですが…どうぞ。



 

「えっと…どういう事?君は?」

 

しばしの間固まっていたが、我に返って目の前にいる僕に訪ねる。

・・『目の前にいる僕』って表現を使ったのなんか生まれて初めてだよ。

 

「まぁまぁ。もう一台イスを用意しといたんだ、せっかくだから座ってくれよ?僕の話とかはそれからだ」

 

「あ、どうも…」

 

もう一人の僕がそう言い、部屋の隅にあった椅子を差し出してくれたので、とりあえず色々考えるのを止めて座る。

 

「うむ。素直な子は嫌いじゃないよ」

 

「何言ってるんだよ、同じ僕の癖に」

 

「ははっ、これは失礼」

 

「・・・・」

 

 

…客観的に見た僕ってこんな感じなの?それともこの子がちょっと例外なのか?

にしても、、僕同士だから声が同じだし、どう呼べばいいかわからないから色々とややこしいな。

 

「あーそういえば確かにややこしいね」

 

「・・え?何で考えてることが…」

 

「その理由も後でちゃんと話すよ。今は声と呼び名についてが先だ…まず声の問題から改善しようか……」

 

 

『あー。これでどうだい?』

 

 

「!その喋り方!」

 

『そ。君が憧れてた先輩のマネ…といっても、ただ格好(括弧)つけて、喋り方を変えただけなんだけどね。それだけでもだいぶ違うだろ?』

 

「あぁ、確かに違うよ。おかげでかなり区別しやすくなった」

 

『それは良かった。呼び方は……そうだな、Sとでも呼んでくれ。』

 

「ドSのSかい?それは」

 

『…その質問をする君がSなんじゃ?』

 

「ははっ、これは失礼」

 

『・・さっきまでの仕返しかい?』

 

少し時間が経って気持ちに余裕ができはじめたので、今までの仕返しをこめて少しSをからかう。

ちゃんと反応してくれるのを見るに、案外悪い子ではないのかな?

 

『まぁいいや。とりあえずこれで気になることはないだろう?なら…』

 

 

『本題に入ろうか』

 

 

Sがそう言うと、さっきまでの緩やかな空気が消え、Sの表情が苦笑から少し真剣な様相へと変わった。

 

「本題……?」

 

『そう、本題。まず君がここに来て真っ先に気になったであろう事…ここは一体何なのか、どんな場所なのかという事から順を追って説明していこう』

 

「いいのかい?」

 

『もちろん。……じゃないとここに君を【連れてきた意味が無い】』

 

「え?ごめん。後半の方からうまく聞こえなかったんだけど…」

 

『大したことじゃないから聞き取れてなくてもいいよ。それに時間が勿体ない、さっさと話そうか』

 

「うん…ならまず、、ここはどこ?」

 

少々気になるが、Sの言葉もごもっともなので話を進めるために問いかける。

 

『うーん…そうだな~正直言って説明するの難しいんだけど、、簡単に言うなら』

 

 

『君の心の中にある世界…かな』

 

 

「【僕の心の中にある世界】?」

 

『人は内に何かを秘める。力だとか、記憶だとかは人によって違うけど、とにかく大切な物を自分の中の世界に潜めてる』

 

『もちろん、君にだってそれはある』

 

「なるほど…ここがどんな所なのかは大体わかったよ。でも、何で僕はここにいるんだい?そう簡単に入ってこれるような場所じゃないと思うんだけど?」

 

『そりゃあ、簡単には入ってこれないよ。というか不可能だね。何せ普通は自分の心の中に入るはおろか、覗くこともできないんだから』

 

自分の心の中を覗いたことがある人間なんて聞いたことがないからね、当然だ。

しかしなら尚更なぜ僕は入れてるんだ?

 

『だって君、、普通じゃないだろ?』

 

「・・あぁ」

 

『それに敵に殺られてたからね。そのタイミングで君をこの世界に僕が連れてきたってわけだよ』

 

・・やっぱり駄目だったんだな、僕。

仕方ないといえば仕方ないが、悔しいな。わざわざみんなの反対を押しきってまで行動したのに…かっこわるいなぁ、僕。

 

『そう自分を責めるなよ?』

『相手は神なんだからさ』

 

「心を読まないでくれよ……って、そういえば何で僕の心が読めるんだ…?」

 

いや、気になるのはそれだけじゃない。

彼…いや、Sは……

 

 

「・・Sは一体何なんだ?」

 

『・・あー。やっぱり気になるよね』

『了解。次は僕の事について話そう』

『まず大まかに僕を説明するなら』

 

 

『僕は君の負の部分を請け負っている、心の中だけで活動する人格だよ』

 

 

「・・負の部分…ってのは?」

 

『具体的に言うなら、君が昔両親から受けてた虐待や学校でのいじめとかかな』

 

なるほど…僕の中で嫌だった記憶をSが受けもっているのか、、特に過去に関して

 

『君が今まで感じた恐怖、悲しみ、辛さ、苦しさ、虚しさ、孤独感、劣等感…その他諸々も全部知ってる。それに僕は君、君は僕だからね。君の考えていることを読めていても違和感ないだろう?』

 

「・・なるほど…」

 

『僕の下手くそな説明で分かってくれたなら良かったよ……』

 

 

僕が一人納得していると、Sがおもむろに椅子から立ち、窓を開けた。

冷たい風が部屋へと入って、僕が寒さに身を少し震わせるなかも、Sはじっと外を眺める。

 

「?…どうしたんだよ?いきなり窓なんかを開けて?」

 

いきなり態度が変わったのを疑問に思い、僕がそう彼に聞くが、まるで聞こえていないように彼は外を眺めつづける。

 

少し時間が経った後、彼は外を眺めながらゆっくりと口を開いた。

 

『なぁ…さっきまで僕が答える側だったからさ、今度は僕が一つ聞きたいことがあるんだけど、、いいかな?』

 

「え?いいけど…何だい?」

 

『なぁに、簡単でしけた質問さ。』

 

そう言うと、彼は静かにこちらへと体をこちらへと向かせた。

その時に見えた彼の表情はさっきまでと違い、なぜか無表情になっていた。

 

 

 

『君……無理してるだろ?』

 

 

 

 

風がよりいっそう冷たく感じる。

 

「・・ははっ。まさか~」

 

『虚勢を張らなくていいよ。僕は素直な君の言葉が聞きたい』

 

「・・無理って…一体何が無理してるって言うのさ?」

 

『まったく…分かってる癖に』

 

『君は【痛みに慣れてる】けど、それはあくまで死に至らないような負傷だ。そもそもまったく大丈夫といわけでもない』

『君は【死に慣れてない】。だから…小学生の時から無理してたね、君』

『三体の…バーテックスだっけ?と戦う時に一回死んでたからね。中学生になってからはより酷くなったしな』

 

「それは……」

 

『何も言わなくていいよ。君、死ぬたんびに若干恐怖を覚えていたよな?つまり…』

 

 

『君はまだ完全に痛みに慣れてなんかいない……それに、まだ過去も克服できてないよ。違うかい?』

 

 

「・・・違わない、その通りだよ。僕は正直死ぬのが怖い……でも、過去は…」

 

『君自身では克服したつもりでも、君は過去を克服できてない。僕から見たらね』

 

 

「・・・・」

 

 

 

 

《気持ち悪いんだよ!お前は!》

 

《近寄らないでくれないかしら?》

 

《あ~!みんなー!あの翔助が学校にまた来たぞ~!》

 

《目障りなのよ、消えてくれない?》

 

 

 

 

…こんな風に思い出しちゃってるあたり、Sの言う通り克服できてないんだろう。

 

小・中までいじめられて、高校は遠くの方にしたからいじめられはしなかったけど、友達は一人もできなかった。

だからといって家族は僕の事をサンドバックとしてしか見てなかったから、せめて人として扱って欲しかった…。

 

小学生の放課後、僕は一人家に帰る中、親と一緒に談笑しながら車に乗っている友達を見て、うらやましい気持ちになった回数は数知れなかった。

 

 

『神様にも言われた通り、君は無茶しすぎだし、それに加えて無理もしてる…もうそろそろ潮時なんじゃないか?』

 

『十分やったよ、君は』

 

『だからさ……休んでいいんだよ』

 

 

Sがまるで寝ない子供に優しく言い聞かせるように、僕へとそう話す。

 

潮時……確かにそうなのかもしれない

能力が使えなかったら僕はただの足手まといにしかならないし、それならSの言う通り休んだ方がいいのだろう。

 

 

僕だって人間だ、さすがに…疲れた。

 

 

世界のために戦う?

僕はヒーローでもないのに?

冗談はよしてくれ、もう懲り懲りだ。

 

 

誰かの踏み台になるのも、

 

誰かの道具になるのも、

 

誰かの犠牲になるのも、全部。

 

 

『ならこっちに来なよ。この窓から飛び降りれば君は楽になれる』

『大丈夫、すぐに終わるよ…一瞬だから』

 

Sがこちらに手を伸ばしてくる。

恐らく窓から飛び降りれば僕の人生は文字通りに終了するだろう。

だけど、、僕もそろそろ楽になりたい…

 

 

Sの手を取ろうと僕も手を伸ばすが、なぜか一定の距離までで、勝手に手が止まる。

 

『?どうしたんだよ?』

『早くこっち来なよ』

 

また手を伸ばそうと試みるが、やはり一定の距離までしか伸びず、そこからどれだけ力を入れても震えるだけで一向に進まない

 

「な、何で……」

 

ためらう必要はないはずなのになぜ…

 

 

 

 

―私が犠牲にならないと!―

 

頭に聞き覚えのある女の子の声が響く

 

―そんなの・・生きてたいよ!まだみんなと楽しく優勝部の活動をしたいよ私だって!―

 

 

・・最低だ、僕。

なんて大事な事を忘れてたんだろう

 

 

『おーい?どうしたー?』

 

「…僕は今まで本当に辛かった」

 

『…え?いきなりなんだよ?』

 

「黙って聞いてろ。君も知ってるだろ?僕が受けてきた虐待やいじめの酷さを」

 

『あ、あぁ。肉体へのダメージだけじゃなく、精神にもダメージを浸すような酷さだったな』

 

「そう。だからいくら痛みには慣れたとはいえ、心はもう疲れきってるせいで、休みを欲しがってる」

 

『そうだろ?なら……』

 

「いや、飛び降りたりはしない」

 

『・・は?なんで…!』

 

 

「言っただろ?『今までは』って」

 

 

『・・・・』

 

「二回目の人生で彼女達に会って、初めて人の温かさに触れられたんだ」

 

「そのおかげかな、僕がまた人生にあがこうと思えるようになったのは」

 

「だからさ…きちんと恩は返さないと。それまでは休んでなんかいられないよ」

 

「それに、僕は今まで誰かの犠牲になってきた…その辛さや酷さもよく分かってる。だからあの辛さは絶対に……」

 

 

 

 

「大切な友達に味あわせたくない」

 

 

 

 

「そのためにだったらこの命、いくらでも使ってやるよ。たとえどんなに苦しくても絶対に阻止してやる」

 

『・・だからと言って、過去や痛みを克服できるわけじゃないんだぞ』

 

「ははっ…そこはもう割りきるよ。来世でも来来世でもずっと一緒に抱えて生きるつもりでね」

 

『・・でも今の君には抵抗する術がないじゃないか。能力も使えないんだろう?』

 

「うぐっ…痛いところを。そこはまぁ、根性で何とか……ね?」

 

『いや、、ね?じゃないよ。そんなブラック企業の根性論出されても……』

 

「わからんよ?銀ちゃんも言ってたぜ?『勇者は根性!』って」

 

『はぁ?何だよそれ?というか君はもう、勇者じゃないだろうが』

 

これまた痛いところつくなー。

・・でも、勇者じゃなくてもあの五箇条は僕にも当てはまるはずだ。

 

「ごもっともです…でも、ある五箇条の中にもあるんだぜ?」

 

「『成せば大抵何とかなる』ってね。勇者部には僕も属してるんだから、これに関しては僕も対象内だろ?」

 

『・・そんな思考放棄と願望が混ざった無茶苦茶な五箇条初めて聞いたよ』

 

「まぁ、結局は気の持ちようってことだ。だけど案外説得力あるだろ?」

 

『理に全然かなってないだろ…頭痛くなってきたぞ、僕…』

 

そう言ってSは大きなため息をついて、開けていた窓を勢いよく閉める。

 

 

『はぁ、、せっかく君のためを思って楽になれる場所を提供してあげたのに…とんだ骨折り損のくたびれ儲けだよ』

 

「それは悪かったね…でも、僕はこんな所で死へと逃げるわけにはいかないんだよ」

「彼女達の将来を見届けるまでは、絶対に何があっても挫けたりなんかしないよ」

 

『ほー・・余程彼女達に思い入れがあるみたいだね?自ら自分を追いやるのを見るに…もしかして、好きなのかい?』

 

「いやいや、まさか。友達としてはもちろん大好きだけど…さすがに恋愛感情は無いよ。釣り合ってなさすぎるからな、僕と彼女達じゃ」

 

『ふーん、あっそ』

 

Sが聞いてきたから答えただけなのに、そんなつまらなそうな表情されてもな。

 

そんな文句を言ってやろうと口を開くが、それは突如きた地震によって中断される

 

 

「うおっ、何だ地震か?」

 

『・・あー。そろそろ時間か』

 

「え?時間?」

 

『実はこの空間はいつも外部と一切の干渉を断っているんだ。そこに君を無理やり連れ込んでも、外部の生き物がこの空間に居られるのは時間制限がある』

 

「もし時間が来たら?」

 

『もちろん君はここから強制的に追い出されこととなる』

『安心しなよ、他に何かペナルティみたいな物が付くことはないからさ』

 

「良かった~」

 

ただでさえ天の神にボコボコに殺られたのに、これ以上何かあったらさすがに困っちゃうからね。

 

 

『・・時間も少ないことだし、最後に君の能力について話そうか』

 

「へ?僕の能力について?」

 

『うん。まだわからないことだらけで困ってたんだろう?君』

 

「・・何か知ってるのかい!?」

 

だとするなら、ぜひ教えて欲しい。

情報が乏しすぎるからな、いかんせん

 

『ははっ。知ってるも何も…』

 

 

『あの能力作ったの、僕なんだぜ?』

 

 

「・・え?」

 

『ごめんね、ずっと黙ってて』

『最初に話しても君が困惑するだけと思って黙ってたんだ。許してくれ』

 

「・・なるほど…別にいいよ。なら、何で僕の言う通りに能力が作動してくれないのか分かるのかい?」

 

『分かるよ、製作者だからね』

『能力が作動しない理由なら簡単さ』

 

 

『君の心が不安定だった。それだけの小さなことだよ』

 

「僕の心が不安定…?」

 

『思い当たる節は無いか?例えば…自分に嘘を吐き続けたりだとかさ。それに君はあの時能力を信用してなかっただろう?』

 

『なんだっけ…【作動させてみせる】だっけ?あんなのじゃ駄目だよ。自分の能力なのにそんな不確定要素にすがるような考え方じゃ』

 

『信用』か……確かにしてなかった。

それに心の不安定さも否めない部分が大有りだったな。

 

『とは言っても、今の君なら心の面では大丈夫だろうね。問題は能力についての不信感だな』

 

「そっちの方が重要じゃなさそうだけど…そんなに問題なのかい?」

 

『あぁ。作った僕もどれぐらい信用していればいいのか明確にはわからないぐらいでさ…上部だけの信頼じゃ駄目なんだ。心から信頼してないと駄目でね……君、前に持ってた【大嘘憑き】を信頼しきってたからさ…より難しいと思うよ』

 

 

・・【大嘘憑き】か。

僕があの先輩に憧れていが故に神様へと頼んだ、夢にまで見た憧れの過負荷。

 

『前はまだ君の能力も丸かったからさ、【却本作り】を【大嘘憑き】の能力関係で派生させ、それを作りだして君が使えるようにしてたり、サポートに徹してたんだけどねぇ』

 

なるほど、だから【却本作り】も一緒に使えていたのか…。

 

 

僕はもちろんあの先輩に憧れている。

「弱者を助け、強きを挫く」

そんな姿勢をいつまでも保ちつづけるあの人の信念の強さに僕は憧れた。

 

少々歪んでいる部分もあるが、それでも自分の仲間には優しく接するなどしていて、カッコいいなって思ったんだ。

 

どれだけボロボロになっても、相手に屈したりせず、へらへら笑っていつもと変わらない減らず口をたたく姿が、僕にはとても眩しく見えたんだ。

 

 

《『痛くても、辛くても、弱くても』》

《『正しくなくても卑しくても!』》

《それでもへらへら笑うのが過負荷だ!!》

 

 

 

「あはは…でも……届かないんだよなぁ、全然。まったくもってあの先輩の背中は見えてこない」

 

前世でもあの先輩に近づけるよう、色々と問題にならない程度に取り組んできた

それなのに、一向に近づけない

 

神様には届かないからこそ憧れる、などとかっこつけたことを言ったが、やはり届かないというのは悲しいものだ。

 

『・・君が言った通り、自分が無い物を持っている他人に人は憧れるものだ』

 

『だから無理に変わろうとしないで、自分らしく生きればいいんだよ』

 

いつの間にか近くまで来ていたSが優しく僕の頭を撫でていた。

 

 

 

・・自分らしく、、

 

 

《『無理に変わろうとせず 自分らしさを誇りに思おう!』》

《『君は君のままでいいんだよ』》

 

 

 

「・・ははっ。その通りだね…S君」

 

『ん?どうしたんだよ?いきなり?』

 

「僕さ…もうあの人に憧れるのはやめようと思うんだ」

 

『・・何でまた』

 

「踏ん切りがついたんだよ。いつまでも憧れを追ってちゃキリがないからね」

 

「それに背中を追うのはもう飽きたんだよね。だからいっその事あの人に憧れるのはもう辞めて―」

 

 

 

 

「あの人を越えるぐらいの過負荷になってやろうって決めたよ」

 

 

 

 

「だからさ、これからは【大嘘憑き】や【却本作り】じゃなく、僕は僕だけの能力を信じるよ」

 

『そうかい…なら1つ提案があるんだけどさ……名前つけたら?能力に』

 

「名前?」

 

『大嘘憑きだとか、却本作りみたいな名前があった方がいいだろ。その方がより馴染みやすいと思うぜ』

 

名前か……考えてなかったなそれは。

 

「うーん…思いつかないな。Sは何かない?できればいいのを」

 

『僕に何を求めてるんだよ…そういうのは自分で考えないと駄目だぜ?君の能力なんだからさ』

 

「って言われてもなぁ…」

 

 

『そろそろか・・そういえば、君の能力については神様から知らされてるんだよな?』

 

「?うん。そうだよ」

 

『君の能力を簡単に言うと、何もかもをなかったことにする能力……で、違いは無いだろ?』

 

「あ、あぁ。」

 

『【殺す】んじゃない、本当に最初から【なかったこと】にするんだ』

 

「?何を今更?」

 

『それはつまり、あらゆる万物の存在を根本から否定するような事だ。俗に言う【禁忌】ってやつだね』

 

「禁忌?そんなに?」

 

『もちろん。神でもそんな事極力やっちゃ駄目なぐらいなんだぜ?それを人間である君がやるなんて言語道断だ』

 

『本来ならあり得ない能力なんだけど……君の場合は作れたし、体に宿して実際に振るうこともできた。』

 

「一体何で……?」

 

『そんな複雑な理由じゃないよ。理由は単純明確、、【ただ運が悪すぎただけ】』

 

「・・運が悪いのに、そんな強い能力が手に入るのか?」

 

『むしろ悪いからだよ。こんな全生命の敵になりえる能力を欲しがる人なんていないだろ。戦闘狂なやつならまだ分かるけど、君はそうじゃないし、だから運が悪すぎただけだって言ってるんだよ』

 

「なるほど…」

 

言われてみれば確かにそうなのか?

そう自分で納得しかけた時に、Sの言動に少し違和感を感じた。

 

 

「・・何で神でもやっちゃいけない事だとか、本来ならあり得ない能力なんてこと、同じ僕である君が知ってるんだ?」

 

 

『・・あはは、、最後の最後でヘマしちゃったよ。鋭いね、君』

 

「ヘマって……どういう事だよ?」

 

『先に言っておくけど、さっきまで君に自己紹介した事は嘘じゃないよ。僕は君だし君は僕…それに偽りは無い』

 

「なら尚更―」

 

 

続けて言葉をSに投げ掛けようとするが、再び地震が訪れて中断される。

 

「っ……さっきよりも強い!」

 

『どうやらお別れの時間みたいだ、悪いけどこれ以上会話はできそうに無い』

 

「待て!せめて君が何なのかだけでも…」

 

『バーカ。僕の事なんかよりも、君はこれからについて考えろ』

『昔の恐怖を踏まえて君はどう世界に足掻くのか、しっかりとね』

 

「・・分かったよ、君の正体を暴くのは諦めるよ……その代わりと言っては何だけどさ」

 

『?』

 

 

 

「僕が世界へと足掻く勇姿、この空間からしかと目に焼き付けろよ?」

 

 

 

『・・あぁ、ちゃんと見てるよ』

 

 

「言ったな?それじゃあ、、」

 

 

 

 

「行ってきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『行ったかな?…まったく、最後の最後で一本取られちゃったな~。そ・れ・に』

 

『しかと目に焼き付けてろよ…か。』

 

『もちろん焼き付けさせてもらいますよ、たった一人だけの特等席でね』

 

『・・といっても君が元の世界に戻って神と戦う時にはもう、僕の意識は無くなってると思うけどね。だって……』

 

 

『僕はただの【能力】で、一時的に擬人化してただけなんだから』

 

 

『ごめんね、西村翔助君』

『最初から嘘つきまくってたんだ』

『僕は君じゃないし、君は僕なんかじゃないよ。ただ僕は君の頭の中を覗いて、記憶やら思考やらを読んでただけなんだよ本当はね』

 

『嘘つきは能力までも嘘つきってね』

 

『おっと、意識が遠くなってきた…』

 

『もう二度と擬人化はできないだろうな、翔助君の様子を見るに、もう心はしっかりと安定してるっぽいし…』

 

 

 

 

『さてと…ちゃんと上手く僕を使ってくれよ?マスター?』

 

 

『君の【これから】に僕はついて行く』

 

 




はい、迷走しまくった結果こうなりました。いかがでしょうか?

グダグダ過ぎて頭がごちゃごちゃになられた方いらっしゃいません?大丈夫ですか?

自分の中では次回でとりあえず最終回にする予定なのですが、何か外伝とかのネタ提供等あれば気軽にお教えください。

見てみたいシチュエーションとかでもいいので、ぜひお申し付けください。……期待にそえられるかはわかりませんが力を込めて書きます。



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西村翔助は□□□である final.

はいどうも、深夜です。

ついに最終回を迎えました…この期におよんで前置きはいらないですよね、本編入ります。

どうぞ.


 

「・・う…ん?戻ってきたのか?」

 

意識を再び取り戻したので急いで周りを見渡してみると先ほどまであったイスやSはいなくなり、しっかりと火の海が広がっていた。…どうやら戻ってこれたようだ

 

「…!翔助君!気がついたんだね!」

 

「え!?翔助君!?」

 

見知った声が背後から聞こえる。

そくざに後ろへと振り向くと、さっきまでここにいなかった筈の勇者部の面子が揃っていた。

 

 

「・・あ、あれ?何でみんながここに…?さっきまでいなかったよね?」

 

「神樹様が連れてきてくれたの…翔助君が戦っていたことも教えてもらったわ」

 

神樹様が……そういえば天の神と戦っている時に姿がなかったな…なるほど、援軍を呼びにいってくれてたのか。

…できれば巻き込みたくなかったな…みんなはなるべく。

 

「それよりも…翔助!あんた無茶しすぎなのよ!」

 

「ちょ、ちょっと。いきなりなんなんですか風先輩?あと近い…」

 

「・・私も風と同意見…というか勇者部全員同じ気持ちよ」

 

「夏凛ちゃん?それってどういう…って君も近いな…」

 

夏凛ちゃんの言葉に首を傾げる

いや、心当たりはあるんだけど…なんでそこまで怒るんだ?近いし

 

「にっしー?さすがに今回は寛容な私でも許せないよ?」

 

「右に同じく」

 

「そのちゃん、銀ちゃん?笑顔だけど目が笑ってないよ?それに近いって…」

 

園子ちゃんが笑いながら僕にそう言い、銀ちゃんもそれに同調する

普段怒らない人が怒ると怖いって本当なんだね…目がガチで、園子ちゃんに関してはいつもの間延びした口調じゃなくなってるし……あと近い、、心なしか風先輩よりも近いような…

 

「翔助先輩…」

 

「樹ちゃん…君は違うよね?みんなをなだめてくれないかな?」

 

「…私も怒る時は怒るんですよ、今回は翔助先輩が悪いんですからね?」

 

樹ちゃんまでも…何でそこまで?

樹ちゃんの怒り顔を間近で見ながら疑問を浮かべる。……だから近いって

 

 

「・・翔助君」

 

「?美森ちゃん?」

 

 

一人困惑していると美森ちゃんがこちらへと歩いて近寄ってきていた

しかし顔を俯かせているため、肝心の表情を見ることができない。

 

 

そんな美森ちゃんを不思議に思っていると彼女が僕の右手を両手で優しく包み込み、ゆっくりと顔を上げる。

その瞳には一粒の雫が見られた

 

 

「良かった、生きてて…本当に……」

 

「私達が来た時倒れてて…息もほとんどしてなかったからもしかしたらって…怖かった……!」

 

 

・・・そっか、そりゃそうだよな

友達が死んじゃってたら嫌だよな。当たり前の事だ、それをこんな女の子に味合わせようとしてたのかよ僕。どんな鬼畜だよ、まったく……

 

 

「・・ごめんね美森ちゃん。友達が死んだ所なんか見たくないよな」

 

「・・悪いって思ってるんだったら約束して……『一人で頑張らない』って」

 

 

『一人で頑張らない』か…前世の僕だったらあり得ないことだな。

できれば約束してあげたいんだけど、、あいにくまだやりたい事がある。

 

「ごめん、、それはできない。まだやらないといけない事があるからさ…本当にごめんよ」

 

「翔助君」

 

 

美森ちゃんにそう謝罪の言葉を述べているとこれまた見知った声が聞こえた

 

 

「友奈ちゃん…」

 

「そのやらないといけない事って…もしかしなくても天の神の?」

 

「・・うん、もちろんだよ。このままやられたままで終わったら男じゃないしね」

 

「そっか……みんなみたいに一人じゃ駄目って言ったらやめてくれる?」

 

「…その言い方なら言わなくてもわかってくれてるよね」

 

天の神打倒なんて荒っぽくて危険な事は男である僕の仕事だ。

頼りになる大人が動けなくともこんな少女達に動かさせるわけにもいかないし。

 

「うん……なら私は止めないよ」

 

「ちょっ、友奈!?」

 

「ゆーゆ!?」

 

「・・意外だね?仲間思いの優しい君の事だから引き止められるとばかり思ってたんだけど……いいのかい?」

 

「本当はみんなと同じ気持ちで一人でなんか行かせたくないよ……私だって翔助君が倒れていた時すごく怖かったんだから」

 

「・・・・」

 

「でも……私は信じてるよ、翔助君なら生きて帰ってきてくれるって。だから、大丈夫だって思えるんだ」

 

「だから……良いよ、翔助君」

 

・・うれしいもんだね、信頼されるって

こんなに胸が暖かくなった事、今まで生きてきて初めてだよ。

 

「・・ありがとうね、友奈ちゃ「その代わり!」…?何だい?」

 

「全てが終わったら、私達一人一人の『お願い』を聞いてくれないかな…?」

 

「お~いいわねーそれ」

 

「私もそれならいいんよ~」

 

「右に同じく」

 

『お願い』ねぇ、、彼女達の事だから金銭の要求は無いと思うけど…何だろう?

 

「別にいいけど…僕にお願いしたい事なんかあるんだ?」

 

「うん!……ね、東郷さん」

 

「・・えぇ、そうね友奈ちゃん」

 

「…お手柔らかにお願いします」

 

「じゃあそのためにも、、翔助君」

 

 

 

「無事に帰ってきて…?」

 

 

 

「・・もちろんだよ。って、天の神様はあの太陽みたいなやつか…」

 

上を見上げるとそこには黒いモヤの姿ではなく、大きな太陽のように変わり果てた天の神らしき姿があった。

…しかもいつの間にか僕達の周りに白い小型バーテックスがいくつもいるし。

 

「周辺の小型バーテックスはあたし達に任せて!あんたは天の神を頼んだわよ…」

 

「・・いや、大丈夫です風先輩」

 

「?にっしー?」

 

武器を構えようとする風先輩を手で制し、みんなの前に『武器も持たずに』立つ。

 

「ちょっと翔助!?武器も何も持たずに危ないわよ!?」

 

「・・もう飽き飽きなんだよ、君達の存在全てが」

 

「『頂点』だからって見下してさ…」

 

バーテックスが襲いかかってきたが、それを軽くかわしながら言葉を紡ぐ。

 

「確かに君達は生物界の頂点的存在で、最強なのかもしれない……でもさ」

 

 

 

 

「僕には関係無いんだよ」

 

 

 

パチンと指を鳴らす

すると先ほどまで大量にいた白いバーテックス達は一匹たりともいなくなっていた

まるで最初から『なかった』ように

 

 

「・・は?え?」

 

「し、翔助先輩?今のは…」

 

「大した事じゃないよ…手品みたいな物だと思ってくれればいい」

 

そう言いながら袋に入ったネジを袋ごと捨てる。どうせ使わないし、あの先輩の事も忘れたいからね…過去の遺物ってやつだ

 

 

「それじゃあ……行ってくるよ」

 

 

両手でパンッと音を出して叩く

すると視界が切り替わり、天の神の近くまで転移することができたみたいだ

 

 

「どうも、天の神様。今回はリベンジしに来ましたよ」

 

わりと近いせいで強い熱気を肌に感じるが能力を使い、カバーする。

 

「神を倒すなんておこがましいとお思いでしょうが、そんなこと知ったこっちゃないんですよ」

 

僕の煽りが聞こえたのか、どこかしらから数えきれない程の矢が飛んでくる。

 

「無駄ですよ」

 

指をパチンと鳴らす。すると矢はさっきの白いバーテックス達のように一つ残らず全て消えた…のと同時に針が今度は飛んできて、僕の右腕を貫いた。

 

「あいてて……まったく、、酷いことするなぁ、天の神様は」

 

鮮血が流れているのを見て最初は少し顔をしかめたが、すぐ頬に笑みを浮かべる

 

気が狂った?いいや、違う。

だからと言って僕は痛みが気持ち良いと感じるMの方では無い。

 

 

「・・『触らぬ神に祟りなし』って言いますよね?…あれは要するに面倒事に絡まれたくなかったらむやみに関わるな、っていうことを伝える言葉だ」

 

「あれはまったくその通りで、実に的を得てる言葉ですよね…だって」

 

 

 

「今がそうですからね」

 

 

チラッっと天の神の方に目を向けると、少し勢いが弱まっているように見えた

すぐさま僕の右腕に目をずらすと、まるで傷一つない健康な白い肌が映った。

 

「僕は痛みにある程度耐性はありますが、完全に慣れてるわけではないんですよ。だから……」

 

 

「代わりに貰ってください、僕の苦痛」

 

 

天の『神』なんだから、それぐらいの苦痛ならまったく屁でもないだろう。

 

 

「僕の能力は本来なら『なかったことにする』だけなんですけど、、僕の意思によって進化してくれたみたいです」

 

「嫌な事の擦り付けだなんて言わないでくださいよ?僕はただ自分の痛みを相手と共有しただけなんですから」

 

僕が使った能力は簡単に言うと、【却本作り】の改変版だ。

【却本作り】は相手と自分を同じにするのだが、僕が使った能力は相手に自分の負傷等を押し付けるという物だ。

 

「触る不幸に祟りあり…なんてね」

 

今回は傷だけだったが、死すらも相手に押し付けることができる。

…例え相手が神であろうとも

 

 

 

「お喋りが過ぎましたね。そろそろ終わりにしましょうか…」

 

パンッっと両手で叩き、天の神のすぐ隣まで転移する。

 

 

 

「・・僕がやってる事はどの目線から見ても無茶苦茶だ」

 

「指を鳴らせば他の存在を消し、負傷すれば他の物に押し付ける」

 

「僕は自分が正しいとは思ってない」

 

「『ヒーロー』なんて気取らない」

 

「でも…そんな僕でも…」

 

 

 

「大好きな世界は守らさせてくれ」

 

 

 

強く、力を込めて指を鳴らす

 

太陽が強く歪んだ。

 

 

 

「あの人を越える【過負荷】になるって躍起になったけど、どうやら僕は過負荷にはなれなさそうだ」

 

「だからといって【勇者】でもない」

 

「そんなきれいな物じゃあない」

 

「僕こと『西村翔助』は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただの【失格者】さ」

 

 

 

「Sの言ってた通り、全生命体を敵にまわすぐらいの能力を持った危険児だよ僕は」

 

 

僕のその呟きと同時に、世界に光が満ち溢れていく。

 

 

「全てが終わったって言うのに…なんでこんなに虚しいんだろうなー」

 

「憧れた先輩にもなれず、かといって人並みの平穏な人生も遅れない……だって僕は『失格』してるから」

 

「これじゃあ、勝ったなんて言えない」

 

「あーあ」

 

「前世での色々な出来事も含めたら」

 

 

 

 

「・・また勝てなかった」

 

 

 

その一言で、世界は完全に光で満ちた

 

 

 

 

-----------

 

 

《嫌だ…家に帰りたくないよ……》

 

《・・本でも読んで、少しでも時間を潰さないと…》

 

《…適当な本買ってきたけど…何々》

 

《めだかボックス?変な名前》

 

《・・この人、やってることは無茶苦茶で怖いけど……》

 

《何か格好良いな~。それに運動音痴で嫌われ者って、、僕と一緒だし》

 

《親近感湧いちゃうな~!この―》

 

 

 

 

 

《球磨川 禊っていう人!》

 

 

 

 

------

 

 

懐かしい夢を見た。

あの先輩に出会って、憧れたあの日の

憧れたと言っても、当時はもう小学5年生だったので、漫画のキャラクターにはなれっこないって事は勿論わかっていた。

 

それでも少年が一度は正義の味方を目指すように、僕はあの先輩に憧れたんだ。

 

それからも僕は両親やクラスメイトから暴力を受けたが、先輩の姿を思い浮かべれば不思議と痛みが和らいだ。

もしあの時漫画を買っていないで、先輩に出会っていなかったら…きっと僕は耐えられなかっただろう。

 

・・そう考えると、やっぱり僕にとっては彼が『ヒーロー』なんだなぁ。

 

そんなことを思っていると、頬が確かに緩むのを感じた。

とりあえず目を覚まさないと……

 

 

そう思考を切りかえ、目を開ける

 

「あれ?…病室だよな、ここ」

 

目を開けると広がっていた光景は無機質などこかの病室らしき風景だった。

おそらく光に包まれて気を失っていた僕を勇者部の子達が運んでくれたのだろう

 

上体を起こして体を動かしてみるが、特にこれといった異常は見受けられなかった

 

 

コンコン

 

自身の体をチェックしていると、病室の扉がノック音と共に開かれた。

 

 

「・・失礼するわよ……」

 

 

開かれた先には勇者部の面子がおり、誰一人として欠けていなかった。

その事に安堵し僕がそっと胸を撫で下ろしている中、勇者部のみんなは正反対に固まってしまっていた。

 

 

「翔…助君?」

 

「うん、そうだよ。というかそれ以外の何に見えるんだよ?友奈ちゃん」

 

「あんた、いつ目が覚めて……」

 

「たったさっきですよ、風先輩」

 

「体は…大丈夫なの……?」

 

「もちろん、この通りピンピンしてるぜ。なんなら今後の日本について世間話でもするかい?美森ちゃん」

 

もっとも、彼女の愛国心が強すぎて途中から追い付けずに会話が成り立たなくなるだろうけどね。

 

「・・そんなこと今はいいわ…それよりも先にしなきゃいけないことがあるもの」

 

「おや、それは残念だね。…ところで先にしなきゃいけないことって何だい?」

 

「もう~にっしーは鈍すぎるんよ~」

 

「今に始まった事じゃないけどなー」

 

「む…心外だなー教えてくれよー?」

 

「そうね、東郷…みんなー!せーので言うわよー?……せーの!」

 

 

 

「「「「「「「お帰り!」」」」」」」

 

「みんな……うん。ただいま」

 

みんなの笑顔を見ていると、こちらも自然と笑顔になるってもんだよ。

 

 

 

その後僕が起きたことを聞きつけた大赦さんがやって来て、世界がどうなったのか聞いた。

 

どうやら天の神は無事打倒できたらしく、世界が滅びるという事はなくなったようだ

 

 

しかし世の中そう都合の良い事ばかり起こるはずもなく、神樹様も友奈ちゃんとの神婚を行えなかった事によって力を失ってしまったことにより人々は暮らしにくくなり、天の神に支配されていた日本地域の修復作業もしなきゃいけないため、問題はまだまだ山積みだという。

 

だけど、僕はそれを聞いても嫌な思いは全然しなかった。

問題は確かにまだまだあるとはいえ、僕たちはこうして生きている。生きてさえいればもちろん時間こそかかるものの、いつかは解決できるはずだからね。

 

生きていれば、必ず…ね。

 

 

 

 

 

そしてそれから数週間後----

 

 

「ふぅ……一回休もうかな」

 

天の神を打倒してから数週間が経ち、僕は学校が終わった後、失われていた日本地域の修復作業のお手伝いを行っている。

 

能力を使えばいいじゃないかと思うかもしれないが、能力はあまり使いたくない。

【失格者】だからこそ、そう簡単に使うわけにはいかないんだ。

…これ以上落ちぶれたら嫌だからね

 

だけど時々使ってしまっているのが実際の所だ。なにしろ僕の身体能力は壊滅級だからさ……何なら運動が苦手な樹ちゃんにも身体能力でボロ負けしてると思う。

 

「おーい!翔助君ー!」

 

一人で自虐的な笑みを浮かべていると、元気な声が聞こえたので振り向く。

すると勇者部のみんながこちらに歩いてきていたのが見えたので、こちらも手を振りながら近づく。

 

「にっしー大丈夫?無理してない?」

 

「も、もちろん…あ、当たり前田のクラッカーだよー」

 

「・・少し息きれてない?」

 

「き、気のせいだよ…ふぅ」

 

「大丈夫なの?翔助君?」

 

「…よし、回復した。大丈夫だよ美森ちゃ……あっ」

 

「翔助君、、約束は?」

 

「・・ごめんよ…『美森』」

 

「よし、合格よ♪」

 

この数週間の間で彼女達との関係少し変わった。

主に『約束』のおかげなのだが…。

 

このように前は「~ちゃん」と呼んでいたんだけど、本人達の希望によりちゃん付けを外して呼んで欲しいとの事らしく、もし仮に「~ちゃん」と呼んでしまうと怒られたり、むくれたりしてしまうため注意が必要だ。

 

・・本当は少し恥ずかしいんだけどね、女の子を呼び捨てするのは。

学校内でも呼び捨てにしないといけないため、男子の視線がより辛くなった

 

 

あと前よりみんなとの距離感がだいぶ近くなった。

具体的に言うと、時々校内で手をつながれたり、休み時間も友奈ちゃんや美森ちゃんが話かけてくることがすごく多くなったりと、とにかく距離感が縮まった。

 

誤解されてもおかしくないぐらいの距離感の時もしばしばあるので、気をつけて欲しいんだけどなぁ、、園子ちゃんに限っては自分の頭を僕の肩にぐでーっと乗っける始末…しかも昼休みとかにだ。

 

それはもう、男子の目線が恐ろしいのなんの……血の涙を流すぐらいの勢いだったよ彼ら。

もちろん僕も男なので嬉しくないわけではないんだけど…園子ちゃんからはシャンプーの良いにおいするし。

 

 

そんな風に、世界が変わってから色々な事があったが、やっぱり日常生活の中で彼女達の笑顔を見る度に嬉しくなる。

 

 

これから先も色々な出来事があるだろう。それが辛いことか楽しいことかはもちろんわからない。だけど……

 

 

きっと、みんなとだったら乗り越えられるだろうと僕は思う。

 

 

これからも僕は昔の記憶や、能力と一緒に生きることになるだろう。

 

 

それでもいいさ、だって僕は今…

 

 

 

 

暖かくて、嬉しい気持ちだから

きっとこれから先も、ずっとそうだ。

 

 

「・・一つみんなに言いたいお礼があるんだけど……いいかな?」

 

「どうしたんだ?翔助?改まって」

 

「いいけど…どうしたの?翔助君」

 

 

最後に一言だけ言わせて欲しい。

 

本当に……

 

 

 

 

 

「ありがとうね……みんな」

 

 

 

fin..

 




いかがでしょうか?

至るところで駄文が目立ったり、話がグダグダになりがちでしたが、無事最終回を迎えれられました。

感想等を書く際には、オブラートに包んで書いていただけるとありがたいです…作者はガラスメンタルですので……。


改めて本小説を読んでいただき、ありがとうございました。m(__)m


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