最弱のヒーロー~強い者の味方だ~ (スキえもん)
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1話

普通の男の子が、ふとしたきっかけにより加速世界に関わっていく話。
主人公は厨二になりたくないと言い続ける厨二です。




「これからの人生が変わるような特別な力…欲しくないか?」

 

「間に合ってます」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

ここは都心から遠く離れたとある村…有り体に言えばものっそいド田舎。

 

僕はそこにある生徒が10人もいない小学校に通う、極普通の小学5年生です。

 

そんな廃校一歩手前の学校に、ある日東京から転校生がやって来きまして。

 

名前は忘れたので、「モブ男くん」と呼ぼう。

 

僕より一つ歳上なんで学年こそ違うんですが、

こんな学校だから五年生と六年生は同じ教室で授業を受けるんですよ。

 

席が隣だったし、初日に仲良くなって放課後に遊ぶ約束をした…んですが、

家にやってきてそうそう

 

「これからの人生が変わるような特別な力…欲しくないか?」

 

少し早い厨二病を患った発言をしたので、外に閉め出したのです。

 

「間に合ってます」

 

そのまま戻ろうとしたらチャイムの嵐。

 

近所迷惑なのでしかたなく玄関を開ける。

 

「なんで閉め出した?」

 

「そこに君がいたから」

 

「ふ…お前にはいつも驚かされるな」

 

「いやいつもって何?君と会ったの今日が初めてだったよね?」

 

「まぁとにかく家に入れてくれ、同志よ」

 

「君は僕のなんなんだろうか」

 

これ以上話してもしょうがないので、取り敢えず部屋に案内しておこう。

 

 

 

「で、さっきのは何の話?ワザワザ厨二発言をしにきた訳じゃないんでしょ?」

 

取り敢えず麦茶を二人分持ってきて手渡す。

 

モブ男くんはキンキンに冷えたそれを受け取ると一気に飲み干す。

 

「ふむ…その前に確認だ。

君は本当にその携帯端末【ニューロリンカー】を生まれた時から着けているんだな?」

 

「まぁあれば便利だし…ついでに親の形見らしいし」

 

僕は両親を事故で亡くしている。

 

まぁ赤ん坊だったから全く覚えちゃいないが、それ以来僕は祖父母に育てて貰った。

 

だが二人も何かと忙しいので、

目を離しても大丈夫なようにニューロリンカーが必要になった。

 

なので、父が着けていたニューロリンカーを僕が流用しているのだ。

 

微妙に顔を歪ませながらモブ男くんは頷く。

 

(くっ…人生にドラマがあるとか羨ましすぎる…!)

 

「ん?何か言った。」

 

「ハハハ。いや、何でもないよ」

 

スゲェ、素でハハハとか言う人初めて見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…という訳だ。大雑把だが、今話したのが俺の現状だよ」

 

「加速…ねぇ…」

 

モブ男くんの話を要約すると

 

・“ブレイン・バースト”というVRゲームには、

現実世界にも影響を及ぼす“加速”の力がある。

 

・“ブレイン・バースト”は対戦ゲームであり、

そのプレイヤー【バーストリンカー】は東京に密集している。

 

・その対戦時に入手する“BP”【バーストポイント】が加速するには必要であり、

BPが0になると二度と加速出来なくなる。

 

つまり、バーストリンカーなんぞ全くいないこんなド田舎にいたら、対戦出来ずにいつかBPが0になってしまう。

 

だから仲間を増やしましょうって訳ね。

 

「でもBPは奪い合うんだよね?それなら一人増えたくらいじゃ…」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「いやなにが?」

 

「俺を信じろ」

 

「僕の携帯端末壊れたのかな?どう翻訳してもこの人の言葉がわからない」

 

言葉の壁は高く険しいようである。

 

閑話休題。

 

なんとか頑張って会話を続けたが、基本やってみればわかるしか言わなかった。

 

さてどうするか…。

 

かなり興味はあるけど、インストールするか決めかねる。

 

何しろ“加速”なんてイミフな能力が手に入る様なVRゲームだ。

 

なにか落とし穴の様な物があっても不思議じゃない。

 

そもそもそんな大それた物を無料で渡すとか有り得ないだろう。

 

てか単純に人数が必要なら大量にバラ撒けばいいんでない?

…あぁ、コピーは一人一回までなんだ。

 

だったらなおさらそんな大切なモン、僕なんかに使って良いの?

 

僕ちゃん純度100%のパンピーですよ?

 

―――最初から駄目元だから気にするな?

 

なんちゅういい加減な…まぁそんだけ切羽詰まってんだろうけど。

 

はぁ、直結しないとデータ渡せないんだ。

 

何気に初直結だったのに、その相手が男とかテンションだだ下がりやわぁ。

 

てかゲーム名から恐いよね、だって“ブレイン・バースト”だよ?

 

なんか負けたら脳みそあぼんしてしまいそうな気もするし。

 

仮にならなかったとしても、何かしら後遺症とか残りそうな…

 

そして何より、僕は厨二患者なんかにはなりたくない。

 

特殊能力獲得とか、wktkしちゃうじゃないか。

 

僕もこれから厨二患者になるのかな…いやいや、意思を強く持とう!

 

確かに心惹かれる所は多々あるけど、流石にまだ発症したく…え?これを押すんですか?

はいはい…“実行する”っと。

 

え~と何処まで考えたっけ…

 

 

 

 

 

―――あれ?

 

 

 

 

 

僕は、こうしてバーストリンカーになりました。

 

 

 

 

 

○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●

 

 




はじめまして、スキえもんと申します。
仕事のストレスと戦いつつ、意識が吹き飛びながら書きあげています。
初投稿ですが、頑張っていきたいと思います。


今回は文章がかなり短いですが、分量ってどのくらいが適量なんでしょうか?
よかったら教えていただけると嬉しいです、よろしくお願いします。



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2話

「いやね?まぁ受け取るつもりではいたけれど、なんかこう…詐欺にあった気分です」

 

「細かい事は気にしない事だね、ハゲるよ」

 

小5にハゲとか言うな厨二患者め。

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

成り行きで“ブレイン・バースト”を手に入れてたその日。

いまいち覚えていないんですが嫌な夢を見た気がしたんです。

 

後日その話をモブ男くんにしたら、それがゲームに使うアバターを作成するために必要な事なんだとか。

 

たかがゲームの癖に人様に恐い夢見せるとかそれなんてホラー?

 

やめてよ、恐いの苦手なんだから。

 

その話を聞いてアプリを消去しようとしたらモブ男くんに怒られましたけど。

 

そして今は、モブ男くんと一緒にこの村唯一の図書館に来ています。

 

「それじゃあ早速レクチャーを始めようか、まずは直結しよう」

 

「はぁ…なんだか流されてる気がするなぁ」

 

そもそもなんでこんな事に…ゲームは好きだから深く考えずに楽しめばいいか。

 

え?合言葉があるの?何か恥ずかしいんですが…

 

あぁいや、今更逃げませんから…てかあんたノリノリですね。

 

そんじゃ…

 

『バースト・リンク!』

 

うん、もう無理だな。

 

僕も立派な厨二患者だ。

 

 

 

そして現在、僕はやたらと青い空間にいます。

 

なんなんだろうか、ココ…ずっといると眼が悪くなりそうだ。

 

おや、そこにいるのは…甲冑を着て、腰に日本刀チックな物を下げたモブ男くん。

 

ブレないね、君も。

 

いや照れてんなキモい。

 

誉めてないから、いいから説明してよ。

 

え~…アイコン…あ、増えてますね。

 

これを押して…マッチング?いや英語読めないんで…左から二番目…これか。

 

あ、なんか名前っぽいのが出てきた。

 

「えぇっと…いやだから読めないですって、和訳表示できないんですか?」

 

ダメ?小学生に優しくない設定だな。

 

「うむ、【ミッドナイト・ジャスティス】は俺のアバター名だ。つまり君のアバター名は【ドゥグラス・ポルコリッター】と言うことだね」

 

遂に僕にも痛い名前(セカンド・ネーム)を拝命しました。

 

凹みすぎて消えたくなってきた。

 

…え?そっちの名前を押せばいいの?

 

てい。

 

うぉ、なんか周りが光だした!

 

「え、嘘、何処ここ?」

 

先程までの真っ青な空間から、今度は崩れかけの建物の中にいた。

 

外では瓦礫が散乱し、目に入る物が全て壊れかけている。

 

そして目の前には

 

頭には兜、目には眼帯、両肩にはガトリング、腰には日本刀、手にはドリル…

 

厨二が大好きそうなアイテムてんこ盛りな奴が座っていた。

 

間違いないわ。

 

てかモブ男くん、キミブレないにも程があるだろう。

 

「まぁそう言わずに。男のロマンの体現者と呼んでくれ」

 

美味い物と美味い物を混ぜたら、なんでも凄く美味い物になるとでも思ってるのか?

 

どうやら彼は【混ぜるなキケン】を知らないらしい。

 

僕が呆れていたらモブ男くんが図書室にあったと思われる姿鏡を持ってきた。

 

その鏡で自分の姿を見る。

 

身長は本来よりも若干高く、155~160位だろうか。(後で聞いたら一般よりは少し低いらしい)

 

全身が彩度の高い青に染まっていて、頭には耳らしい部位がペタンと折れている。

 

それを見た僕の感想は

 

「なんか…地味?」

 

この五文字であった。

 

モブ男くんほどゴチャついてるのもアレだが、これはすっきりしすぎてなんだか寂しい。

 

てか武器もないんだけど、まさかの素手か?

 

格ゲーだったら普通かもだがなんか寂しい。

 

モブ男くん、その武器くれない?

 

そんなにあんだから一個くらいいいでしょ。

 

いや、そんな嫌がんなくても…え?アイテム欄を見てみろって?

 

え~と…これ?

 

あ、なんかある。

 

強化外装…?あぁ、君のドリルとか刀の事か。

 

名前は【millennium sword】…え?【ミレニアム・ソード】って読むの?

 

うん、我ながら厨二チックな名前だがまぁいい。

 

押せば出てくるの?じゃあ、てい。

 

おぉ!目の前に刀っぽいものが現れた。

 

モブ男の物より短いが、まぁ身長に合わせてるのだろう。

 

早速鞘から引き抜く。

 

 

 

柄は手に馴染み、全く違和感なく掴みやすい。

 

 

 

現実の刀とは違い、澄みきった真っ白な刀身。

 

 

 

全体に丸みを帯びていて、ほのかに甘い香りすらしてくる。

 

 

 

先端にはニコちゃんマークが描かれており、もちろん刃などはない。

 

 

 

何処からどう見ても

 

 

 

間違いなく

 

 

 

千歳飴だった。

 

 

 

僕は無言でそれを鞘に納める。

 

暫くしてからもう一度引き抜く。

 

そこには、変わらず甘い香りのする真っ白な刀身。

 

納める。

抜く。

納める。

抜く。

納める。

泣く。

 

「あんまりだぁーーーー!!」

 

「ふむ…ミレニアム…千…で、【千歳】か。なるほど」

 

「冷静に考察しないでよ!よけいに惨めになるじゃん!」

 

「まぁ待て。取り敢えずそれで俺に攻撃してみるんだ。もしかするとなにか特別な力があるかもしれん」

 

な、なるほど…確かに一理ある。

 

てなわけで…くたばれモブ男ォォ!

 

 

 

ポキン。

 

 

 

コロコロ…。

 

 

 

「「…」」

 

 

 

根元から折れた刀を見て、何も言えなくなった。

 

飴に描かれていたニコちゃんマークが、いつの間にか涙を流している絵に変わっていた。

 

そして、モブ男くんは顎に手をあてながら呟く。

 

「飴の刀に、これは…猫?いや、豚の耳か?しかしまた不思議なアバターだな」

 

―――あれ?なんか知ってる気がする…?

 

じぃちゃんが昔、一人でも寂しくないようにとくれた沢山の古いマンガ。

 

その中にあったハイスペックな幼稚園児が色々と活躍する話。

 

その園児が描いていたヒーロー…確かそれが、豚の侍…。

 

僕はもう一度自分の体を見た後、モブ男くんを見ながら質問してみた。

 

「チェンジは?」

 

モブ男くんは、表情が解りにくいアバターの状態でも解るくらいに優しく答えてくれた。

 

 

 

 

 

「お前ならやっていけるさ」

 

 

 

 

 

本日、何度目かの殺意を覚えた瞬間だった。

 

 




○●○●○●○●○●

お客さんのハイセンスなクレームに耐えつつなんとか二話目。
とりあえずはこのまま一週間以内に投稿していきます。



本文考えるよりあとがき考える方がツライ。


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3話

「そう言えば、眼帯って意味あるの?」

 

「うむ、これを外すと私の中にいる獣が目を醒まし、辺り一体が火の海に…!」

 

「はいはい厨二乙」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

Side モブ男

 

ふむ…ヤケクソで選んだ男が本当にインストールに成功するとは…。

 

スペックは残念な様だが、まぁ最悪こいつは次の駒を作る迄の繋ぎと思えばいい。

 

それにしても、やはり私は神に選ばれた人間のようだな。

 

こんなド田舎に連れてこられた時は絶望したが、なんとか“加速研究会”に命じられた【辺境ファーミング】を成功させて見せるさ。

 

同僚の紫メガネには

 

『左遷されて可愛そうになぁ。まぁ気張って行きや、心の隅っこで応援しといたるわぁ』

 

と言われたが、断じて左遷等ではない。

 

確かに、私は何故か周りの者に妙な目線を向けられる事もあった(主にイタイ人を見る目)が、それもこれ迄だ。

 

私に任されたこの作戦、必ず成功させて返り咲いて見せるさ。

 

Side out

 

 

「何でよりによって“救いのヒーロー”なんだよ。他にも色々あるじゃん」

 

手から極太ビーム出せたりする野菜の人とか、口から雷出す優しい魔物の王様とか…

 

こいつビーム出すどころか武器すらない只の雑魚なんだぞ。

 

初期装備が飴って…最初から素手の方がまだ諦めついたわ。

 

結局あの後、刀を捨ててやさぐれていた僕はモブ男くんに石をぶつけ、ダメージを与えて勝利と言うのを数回繰り返した。

 

え?何で石かって?素手じゃダメージ通らなかったんだよ。

 

いや、少しは減るけど、石投げた方がゲージが減ってた。

 

泣きたくなった。

 

何でも、レベルが4になると行けるなんちゃらフィールドって所じゃないとエネミーが出てこないんだとか。

 

その為のポイントをモブ男くんから貰うために、現在対戦を繰り返しています。

 

ちなみに“ミレニアム・ソード(笑)”は対戦の度に遠くへ投げ捨ててるのに、必ず手元に戻ってきてしまうので諦めた。

 

どうやら僕は呪われたらしい。

 

そんな事を何度か繰り返し、レベル4になるのに必要なBPをようやく手に入れた。

 

レベルアップするとボーナスが出るらしいけど、よくわからないのでまだレベル1のままだが。

 

その方がポイントごっそり手に入るし。

 

む、モブ男くんが近づいてきた。

 

「ふむ、これでレベル4になれるな。ボーナスは何に振るか決めたかね?」

 

「よくわかんないけど、僕が決めちゃって良いの?」

 

「構わんよ、好きにしたまえ(何を弄っても最弱に変わりないしな。)」

 

んじゃやってみよ。

 

えっと…ここを押すのかな?

 

あれ、違うの?じゃあここ?

 

…あ、間違えて対戦申し込んじゃった。

 

「ん?なんだ、さっそく実力を確かめたくなったのかい?いいよ、やってみようか。(残存ポイントが危ないしな、少々回収させて貰おう)」

 

辺りの風景が変わっていき、辺りが機械的なビルに囲まれている。

 

戦闘が始まってしまった。

 

制限時間のカウンターの隣に、それぞれの名前と体力ゲージが現れる。

 

「ちょっと待っ…」

 

「それじゃあいくよ」

 

僕の制止を聞かずにモブ男くんは肩のガトリングを乱射し始める。

 

ちょ、レベルアップなんざしてないんだから当たったらやられる!

 

ワタワタと足をみっともなくバタつかせて銃撃をよけ、建物の陰に逃げ込む。

 

「逃がさんよ!」

 

「っ!?」

 

銃撃が腕に当たった瞬間、激痛が走った。

 

マジでか、ホントに撃たれたみたいに痛い。

 

いや、撃たれた事なんかないけども。

 

体力ゲージを見ると、4分の1程削れている。

 

下の必殺技ゲージが代わりに増えているが…今の僕には意味がない。

 

僕にも必殺技はあるらしいのだが、効果がよくわからなかった。

 

レベルアップの為に対戦を繰り返していた際、モブ男くんに必殺技の事を教えて貰った。

 

技リストを覗くと、必殺技欄に【チャージグル・バースト】と言うものを発見。

 

オブジェクトを破壊してゲージを溜め、必殺技をいざ発動!

 

しかし何も起こらんかった。

 

凹んだ。

 

結局そのまま解らなかったので、その時はまた石をぶつけて終了したのだが…

 

僕が考えこんでいると、いつの間にか銃声が止んでモブ男くんがに近づいてきていた。

 

彼は腰の刀を引き抜き、僕目掛けて振り下ろす。

 

倒れ込むように飛び退いてなんとか避けつつ、僕も刀に手を掛けて腰だめに構える。

 

「それで、どうするんだい?ダメージを与えられない処か、折れる刀なんか構えても仕方ないだろう」

 

「ふはは!僕だって無駄に対戦を繰り返していた訳じゃないぞ!」

 

僕が構えたまま斬りかかる。

 

モブ男くんに当たった瞬間、折れ掛けるが、その前に素早く納刀。

 

モブ男くんは何をしているのか分からず、立ち尽くしている。

 

そして再び刀を引き抜く。

 

そこには先程と変わらない刃もない刀身がある。

 

「どうだ、折れても納刀すれば元通りくっつくのだー」

 

流石飴、折れやすければくっつくのも簡単らしい。

 

僕が得意気にするとモブ男くんは首を傾げた。

 

「…で?」

 

「うん、ダメージ与えらんないのは変わんない。ただくっつくのが解っただけ」

 

そう言いながら斬り付けるのと納刀を繰り返していた。

 

ぶっちゃけ只の嫌がらせである。

 

ダメージ与えらんない武器で格上倒せとか、それなんて無理ゲー?

 

そんなことを暫く続けていたら、モブ男くんは深い溜め息をついた。

 

「…少しキツめの指導が必要みたいだね」

 

マズい、調子に乗りすぎた。

 

このままでは僕のスーパーフルボッコタイムが始まってしまう。

 

逃げようと転身したら、いつの間にやら眼前にはモブ男くんが。

 

そのまま殴られて数m吹っ飛び、壁に叩きつけられる。

 

意識が飛びそうになるが、なんとか身体を立ち上がらせる。

 

体力ゲージを確認すると大幅に削られ、赤くなっている。

 

「…ギブアップしちゃダメ?」

 

「許すと思うかい?」

 

ですよねー。

 

痛いの嫌いです。

 

勝てる気はまったくしないが、せめて必殺技ぐらいは出してみたい。

 

刀を引き抜いて、テレビで見た剣道の選手の様に構える。

 

モブ男くんも構えたが、もう僕はなんも出来ないので関係ない。

 

必殺技ゲージは満タン。

 

さぁいってみようか!

 

「頼むからなんか出て、【チャージグル・バースト】!」

 

 

 

チン。

 

 

 

 

あれ?振り下ろした筈なのに何故に納刀してるんだろ?

 

「ぐおぉぉぉぉぉっ!?」

 

おおぅ!?急に叫ばないでよ、恐いから。

 

ふとゲージを見ると、何故かモブ男くんの体力が一気に真っ赤になっていた。

 

何故に?

 

「ぐ…!油断していたよ…!まさか君がこんな隠し玉を持っていたなんて…!」

 

いや知らんし。

僕のせいなの?

 

「だがっ!私はまだ実力を半分も出していない!さらに私はあと二回の変身を残して…!!」

 

まじでか。

 

「じゃあトドメ」

 

足元の石を確保。

投擲。

 

モブ男君は逃げ出そうともがいているが、どうやらダメージが大きすぎてすぐには動けないようである。

 

「くっ、だがレベル4なら負けてもポイントは…」

 

「え?僕のレベルまだ1だよ?」

 

「な!?それでは全損に…!」

 

む、それはマズイ。

 

「なんとか避けなければ…!目覚めろ私の眠れる力よ!」

 

「頑張って厨二してるトコ悪いんだけど」

 

 

 

 

時既に時間切れ。

 

 

 

カコン。

 

 

 

「あふん」

 

石が当たった瞬間、ゲージが全て失われてモブ男くんも消えていった。

 

-○●○-

 

気がつくと、モブ男くんと並んで図書館の椅子に座っていた。

 

確かポイント全損すると二度と加速出来なくなるとか言ってたな…

 

うん、素直に謝ろう。

 

「マジすまん」

 

誠意が感じられないのはきっと気のせい。

 

「あれ…?私は何をして…何でこんな所に…」

 

聞いてよ。

 

「あぁ君と…一緒に遊んでて…すまない、ちょっと調子が悪くて…今日はもう帰るよ」

 

そう言いながらモブ男くんは帰っていった。

 

…え?何?どゆこと??

 

 




○●○●○●○●○●
更新遅れてすみません。
書きあがってはいたんですが、会議やらなんやらで掲載遅れました。

ちなみに私、テヘぺロの女の子が目印のお店で店長やっております。
ケーキを5時間持ち歩くというお客様の度胸に感心しながら仕事をしております。

次こそは一週間以内に更新目指して頑張ります。


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