Fate stay night【Heaven’s blade】 (ポケモンっぽい人)
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プロローグ 凛

、、、第四次聖杯戦争

 

それは、今から十年前に行われた、魔術師達の争い。

 

その勝者は居らず、生存者は、たった一人、、

死んだ人間の中には、私の師であり、父でもある、遠坂時臣も入っている。

そんな壮絶な戦いから、はや十年、、

 

 

 

 

凛「、、いよいよね、、、今日の為に、貯めに貯めた宝石は十分。」

 

お父様、、私、遠坂凛は、貴方と同じ、、聖杯戦争へと赴きます。

 

凛「後は、、、」チラッ

 

チッ チッ チッ

 

凛「、、時間も丁度ね。じゃあ―――」

 

今からするのは、サーヴァント召喚の儀。

聖杯戦争に参加する為の、第一条件。

 

 

凛「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

 

閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する。

 

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理ことわりに従うならば応えよ。

 

誓いを此処に。

我は常世総すべての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷しく者。

 

汝 三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!

 

 

 

――――

ー――

――

 

~翌日~

 

凛「、、ハァァ~、、、」

 

、、、朝から憂鬱な気分になる。

結果から言えば、昨日の召喚は、成功した、、そう、した筈なのだ。

 

 

凛「、、セイバーを呼んだ筈なのに、、実際に来たのはアーチャーって、、

しかも、家事が得意な英霊って何よぉ!いっそ、バトラーなんてクラスがあったら納得してたわ!」

凛「、、、あ~もう!何でこんな時に限って時間を間違えるのよぉ!」

 

 

こればっかりは、、家系の問題なのだろう。

遠坂家は代々、肝心な所でうっかりを仕出かす運命にあるらしい。

 

美綴「おーおー、朝から荒れてるねぇ、、どしたの、遠坂?」

凛「、、あぁ、綾子、、ちょっと自分の悪癖にウンザリしてただけ」

美綴「へぇ?遠坂の悪癖ねぇ、、

何時もなら気になるけど、、今日はほんとに頭来てそうだから、止めとくかな」

凛「そうしといて、、流石に、今は返せる気分じゃないから、、」

 

ダウナーなまま、私の一日が始まった。

 

 

――――

 

~校内~

 

 

凛(早く来すぎたかしら、、)

 

まだ人の少ない学校、、けれど、その中にも例外が居た

 

一成「すまんな藤村、、感謝する」

「暇な時なら構わないさ、一成、、じゃあ」スタスタ

 

凛(、、藤村士郎、、ね)

 

藤村士郎、、クラス担任兼英語教師の藤村先生の弟。

 

凛「、、、お早う御座います。藤村さん」

士郎「お早う、遠坂」

 

簡潔な挨拶を交わし、すれ違う

 

凛(、、取り合えず、教室で大人しくしていようかしら)

 

ガラガラ

 

教室の扉を開けると、、廊下から、声が聞こえてきた

 

「、、おい藤村、ちょっと顔貸せよ?」

士郎「、、何だ?慎二」

 

 

凛(、、ハァ、、間桐慎二ね、、アイツ、また絡まれてるし、、、

、、、本当に嫌だったらアイツだって断るでしょ、、)

 

その程度。、、別に、思う所は無い

凛(強いて言うなら、、あんなのに何時も絡まれて、ご愁傷様。って所かしら)

 

そして、、何でもない事を考えてる内に、ホームルームが始まる時間になる。

 

「遅刻遅刻遅刻~~!!」

 

大河「おはよー皆!!」ガラッ!

 

コテッ

 

大河「あ゛ーー!!」

 

ドボギッ

 

「「「「・・・・」」」」

 

凛(はぁ、、またね、、)

 

もはや様式美となった、藤村先生の頭強打、、

ほぼ毎日こんな事をしているのに、本人には何の異常も無いというのだから、不思議だ

 

 

「「「「起きろ!タイガー!」」」」

 

大河「タイガーって言うなぁぁぁぁ!!」グワッ!

 

、、此処までがテンプレ。そして此処から、一日が始まるのだ

 

―――――

 

~昼休み~

 

午前の授業が終わり、今はひと時の休息の時間。

 

凛(、、さて、と、、今日はお弁当も持って来てないし、、学食でも行きましょうか)

 

ガラガラ

 

 

階段を下りて、学食へ向かう、、、

 

 

バサァッ!

 

凛「、、、あら?」

 

紙の飛ぶ音、、その方向を見ると、、

 

桜「・・・」

 

、、間桐 桜、、私の後輩が、そこに居た

 

凛「、、大じょ「大丈夫か、桜」!」

 

桜「あ、藤村先輩、、有難う御座います!」

士郎「いや、、、当たり前の事だよ」

 

凛(・・・)

 

、、その声を聞いた途端、身を隠してしまった。

何故そんな事をしたのか、自分でも分からない。

 

凛(もう、、バカ!何で手伝ってやらないのよ私、、、)

 

桜「助かりました、先輩。」

士郎「なら良かった。、、それじゃあ、桜」

桜「はい!失礼します、先輩」

 

 

凛「・・・」

凛(、、、ああぁぁ!何かモヤモヤ苛々するわね、、!)

 

 

 

、、結局、一日中そんな感情のまま、、一日が終わった

 

 

――――――

 

~遠坂邸~

 

精神的に疲れたまま、帰宅した、、すると

 

アーチャー「む、、また随分と早く帰ったな、凛」

 

凛「、、、嘘、、」

 

、、何故か、家中が輝いていた。

 

凛「、、一体何してたの、アーチャー?」

アーチャー「見て解る通り、家の掃除だが?

、、あぁ、安心してくれ、君の工房には流石に立ち入っていないのでな」

凛「・・・・・・」

 

『何をやってるのかこの弓兵は』、、とも思ったが、家に居る事を命じたのは自分だった事を思い出した。

 

凛「、、、アーチャー、家の掃除はもう良いから、、今から、偵察に行くわよ」

アーチャー「、、ほう、てっきり趣旨を忘れているかと思いヒヤヒヤしたが、、

、、、漸く、本領発揮か」

凛「そういう事。、、さぁ、行くわよ!アーチャー!」

アーチャー「了解だ。任せておけ、凛」

 

―――――

 

~ビル 屋上~

 

 

凛「、、見渡すなら、やっぱり高い所よね、、どう?アーチャー、サーヴァントの気配は感じる?」

アーチャー「、、あぁ、露骨に気配を晒しているのが一騎居るな。

、、如何する?相手の手の内を見る好機だが、、相手も、同じ事を考えての行動だろう」

凛「、、、そうね、、丁度良いじゃない。

貴方の力、見せて貰うわよ?アーチャー」

アーチャー「、、フッ、任せておけ、マスター。

君のサーヴァントは最強だという事を、証明して見せよう」

 

 

~穂群原学園 屋上~

 

 

凛「、、、決戦の舞台が此処とはね、、」

アーチャー「、、気をつけろ。気配は在るが、場所が掴めん。

、、、おそらく、魔術の類だろう」

凛「、、、えぇ、、そうみたいね」

 

私達が、周囲を警戒していると、、

 

 

「オイオイ、一体誰を探してんだ?」

 

上から、柄の悪い声が聞こえてきた

 

 

 

アーチャー「!貯水槽の上か!」

凛「ッ、、!サーヴァント!」

 

月明かりに照らされ、、その姿が、よく見える。

整った蒼髪に、獣を想起させる鋭い赤目に、青いタイツ、、

 

 

「ご丁寧に挑発に乗ってきたのは、誰かと思ったが、、、こんな若い嬢ちゃんとはな」

 

アーチャー「フッ、、そういう君のマスターは、随分臆病な様だな?

サーヴァントに偵察を命じ、自分は安全な場所で待機、、という訳か」

 

「、、ま、そういうこった。、、ったく、やなマスターに出会っちまったもんだぜ。

 

、、、って事で、手合わせついでに死んでくれや、嬢ちゃん」スッ

 

敵のサーヴァントが、朱い槍を構えた!

 

凛「、、ランサーね、、来るわよ、アーチャー!」

アーチャー「此処では場所が悪い!一旦グラウンドに降りるぞ、マスター!」

 

バッ!

 

アーチャーが、私を抱えながら飛び降りる。

 

 

 

スタッ

 

 

ランサー「、、、弓兵ねぇ、、ま、弓を構える位は待ってやっても良いぜ。

、、どうした、さっさと抜けよ?」

アーチャー「気遣いは無用だ。

、、何せ、私は捻くれ物なのでね」

 

 

アーチャー「投影、開始(トレース・オン)

 

アーチャーが、短く詠唱すると、、、

次の瞬間、その手には二振りの剣が握られていた

 

 

ランサー「ハッ!弓兵風情が剣士の真似事か!

、、良いだろう、試してやるよ!」ダッ!

アーチャー「来るぞ、、、下がっていろ、凛!」バッ!

 

キィィンッ!

 

 

凛「ッ、、!

 

 

戦いが、始まった―――

 

 

 

ランサー「ラァッ!」ヒュンッ

アーチャー「セイッ!」グァッ

 

キィンッ!ガキッ!

 

ランサーの振り下ろしを、アーチャーは切り上げで防ぐ。

 

アーチャー「ハッ!」ヒュッ

ランサー「、、チィッ!」サッ!

 

アーチャーが、左の剣で突く。それをランサーは、槍の柄で防ぐ

 

 

ヒュッ キィンッ!

 

 ガ

 キ

 ッ

 !  ギィィンッ!

 

、、見えたのは、最初の二打だけだった。

それ以降は、、加速度的に速くなっていく打ち合いに、目が追いつかなかったのだ。

 

そして、それから数十度の打ち合い後、、、

 

 

キンッ バギィィンッ!

 

アーチャーの剣が、砕けた

 

ランサー「!貰ったァァッ!」グオッ!

 

ここぞとばかりにランサーが突きを放つ。、、今のアーチャーに、防御の手段は無い

 

凛「!アーチャー!」

 

アーチャーが、やられ―――

 

アーチャー「、、フッ!」ヒュンッ!

ランサー「何っ!?」キンッ!

 

ザザザ、、、

 

―――なかった。

その手の中には、先ほどと同じ、二振りの剣。

 

凛(何で、、あれは、アーチャーの宝具なんじゃないの!?)

 

そう、、宝具とは本来、一つしかない物なのだ。

それを、、、あの弓兵は、2組持っていると言うのだろうか?

 

凛(有り得ない、、!、、でも、実際に同じ剣が二本有るし、、、)

 

 

ランサー「、、、チッ、、テメェ、何処の英雄だ!

剣を使う弓兵なぞ、聞いた事が()ぇ!

ましてや、同じ宝具を複数持つのなんざ、それこそ聞いた事がねェ」

アーチャー「さてな、、そういう君には、少々心当たりがある。

、、、槍使いで、そこまでの達人と言えば、世界に三人と居まい。」

ランサー「ほぉ、、、そこまで絶賛されちゃあしょうがねェな、、

、、なら、次はちっと強く行くぜ?」ザッ

 

キィィィィィィッ!

 

朱槍が、高く唸りを上げる、、それと共に、槍の表面の熱量が、尋常じゃない位に膨れ上がった

 

凛「ッ、、!宝具!」

アーチャー「・・・行けるか?」

 

 

ランサー「、、、行くぞ!突き穿つ死翔の(ゲイ・ボル)「パキッ」、、、!誰だ!」

 

シュウゥゥ、、、

 

「・・・!」ダッ

 

凛「、、!生徒!?何でこんな時間に、、!」

 

ランサー「チィッ!待ちやがれ!」ヒュッ!

 

凛「!いけない!追って、アーチャー!私も後から行くわ!」

アーチャー「了解した」ヒュッ!

 

―――――

 

~校内~

 

校内を走り、階段を駆け上がる。

、、途中、何度か打ち合う音が聞こえた、、、

 

凛「ハァ、、ハァ、、!」

 

キンッ!カキンキンッ!

 

凛「追いついたわ、、!アーチャー!」タッタッ!

 

 

ズバッ!ドスッ 

 

 

コツコツコツ、、、

 

 

ランサー「、、、へっ、、梃子摺っちまったな、、

、、お陰で、良い一撃貰っちまったぜ」

 

凛「、、!ランサー!」

ランサー「、、止めだ止め、宝具も見せちまったし、、今日はもう帰るぜ」ダッ

 

彼が夜の闇に消える瞬間、、彼の脇腹に、深い傷口が出来ているのが見えた。

 

 

凛(、、!、、へぇ、、アーチャー、やるじゃない)

 

 

 

凛「、、ってそうだ!さっきの生徒は、、!」

 

緊張が少し解けたのと同時に、本来の目的を思い出す。

そして、廊下に出ると、、、

 

凛「、、、!」

 

 

探していた生徒が、、、胸を貫かれた状態で、倒れていた

 

凛「、、!そう、、アンタ、なのね、、」

 

顔を見れば、それは、、、

 

 

士郎「・・・」

 

 

クラスメイトの、、藤村、、士郎だった

 

凛「、、、」

 

彼の有様を見た時、、私は、酷く冷静だった。即座に教会に連絡出来るほどには

、、何故か、こうなると分かっていたかのように、、

 

凛「、、、暫く安静にしてれば、助けて貰えるから、、」

 

お父様から貰ったペンダントの魔力を少し使い、彼の出血と痛みを和らげる。

 

丁度そこで、アーチャーが戻ってきた。

 

アーチャー「、、すまないマスター、逃がしてしまった」

凛「、、いいえ、十分よ、アーチャー。、、、行きましょう」

アーチャー「、、、そうか、、所で、そこの男は如何する?」

凛「・・・見た所、胸は貫かれてるけど、、心臓だけは、ギリギリ避けてたわ。

出血も、少し抑えておいたから、、多分、大丈夫よ。短くとも、教会の人間が到着するまでは持つ筈だから」

アーチャー「そうか・・・些か、君は優しすぎるな。

、、まぁ良い、ランサーも退却した事だ。そろそろ帰ろう、マスター」

凛「えぇ、そうね。、、早く帰りましょう」

 

 

 

 

 

 

、、、その日は、そのまま家に帰った。

結果的に、アーチャーのダメージはさほど無く、その上にランサーを凌げた、

聖杯戦争の前哨戦にしては、上々な結果だろう。

 

、、、けれど、私は一つ、思い違いをしていた。

聖杯戦争は、、、()()()から既に、始まっていたのだ、という事を、、、

 

 

――――――

 

、、、次の日の朝、学校で、、

 

凛「、、、」ガラガラ

 

まだ、冷たい教室の中、、

 

 

凛「、、え!?」

 

 

 

士郎「、、、」

 

昨日、死にかけていた男が、、何食わぬ顔で、席に座っていた

 

凛「ッ、、、!あ、あの、、藤村君?」

士郎「、、、何だ、遠坂?」

凛(、、、って!何急に話しかけてるのよ私!

確かに、本来なら致命傷で教会で保護されてる筈の人間が此処に居るのは可笑しい事だけど、、!

、、にしても、こんな所(学校)でする話じゃないでしょ!)

 

凛「あ、、いえ、お早う御座います、、、」

 

自分を戒め、その場凌ぎの言葉を発する

 

士郎「あぁ、おはよう。」

凛「えぇ、、では」

 

次の言葉が出てくるまでには、既に平静を取り戻し、何時も通り猫を被った私がそこに居た

 

 

 

 

士郎「、、、遠坂」

 

凛「、、?はい―――「有難う」、、、、?」

 

、、、呼び止められたと思ったら、感謝の言葉を述べられた。

何時もの淡白で、無機質な口調で、

 

何時もなら、簡単に流せる筈のそれは、、、

今の『私』という猫を誑かすには、十分の言葉で

 

 

 

凛「、、、昼休み、屋上に来なさい」

 

 

 

 

、、、私は、簡単に深みに嵌ってしまった







、、、Fateに嵌ってしまいましたああぁぁぁぁ、、、
やりたい事が多すぎて、どれか一つに絞れない性格でスミマセン、、、


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プロローグ 運命の夜

・・・古い夢を、見ていた。

 

 

 

それは、視界一面の[火]

 

人が生き残れる筈の無い、絶対の[死]

 

其の地獄を、、耳を塞ぎながら、必死に、、這う様に歩いた、、

 

 

、、結局その日、俺は死んだ。

 

、、、同時に、一人の男に救われた。

 

 

そして、、

 

 

其の日、俺は心に誓った。

その人が、、その人達がしたかった事を、、成す筈だった事を、俺が代行すると。

 

『、、娘が、、居るんだ、、、家に、一人残してきちゃってね、、

、、、君が成長したら、、良かったら、、探してあげてくれないかな、、?』

 

『うん、、なんて、名前なんだ?』

 

『、、―――、、って、言うんだ、、、』

 

『、、分かった、、きっと、、オレが、見つけるから、、、』

 

『―――あぁ、、安心した―――』

 

こうして、[俺]が生まれた。

 

 

―――――――――

 

「、、朝、、か、、」

 

―――あれから十年、、、あの人のしたかった事は、結局まだ、分からないままだ。

けど、一つ分かる事は、あの人が俺を救ってくれた事と、、

、、、霞掛かっているが、、あの人が最期に、俺に託した願い。

あの人の娘を探す事、、それが、俺の最初の責務。

 

「、、、最初から、難題だな、、」

 

あの人が、俺に任せたこの家には、、生活に必要な物は揃っていた。

、、だが、その中にあの人の私物は無く、あの人に関する書類も、何も無かった。

娘さんも、何処に住んでいるかも分からない、、せめて、どんな名前か思い出せれば、、

、、せめて、あの人の名前を、聞いていれば、、

 

 

「、、、取り合えず、、()()()()だけ、やっておくか」

 

 

 

シャー、、、キュッ

 

日課を終わらせ、一度汗を流す。

起床から此処までして、漸く俺の一日が始まる

 

 

 

 

「さて、、朝飯、作るか」

 

 

この家に住んでいるのは俺一人だが、最近は二人程、上がってくるようになった。

 

 

 

 

トントントントン グツグツ

 

 

「、、、、」

 

 

 

ピンポーン

 

士郎「、、、桜かな」カチッ ボシュッ

 

スタスタスタ、、、

 

ガチャ

 

 

桜「お早う御座います、、あ!お料理中でしたか?」

士郎「いや、火は止めといた。、、寒いだろ?早く上がったほうが良い」

桜「はい。、、じゃあ、お邪魔します」

 

 

家に上がって来る一人で、後輩の『間桐 桜』。

彼女とは、去年知り合った。

 

 

グツグツ、、

 

二人で台所に立ち、料理を続ける。

数分の間は、無言のままの時間が続いたが、、

ふと、桜が思い出したように、話を振ってきた

 

桜「あ、、先輩、今日は弓道部に来てくれる日でしたよね?」

士郎「あぁ、もう三綴には許可貰ってるよ。」

桜「でしたら、、あの、坐射を見て欲しいんです」

士郎「分かった」

桜「有難う御座います!」

 

それで、お終い。

、、それでも桜は、笑顔で料理をしている。

よく分からないが、まぁ、それで良いのだろう

 

 

 

ガラッ! ダッダッダッ!スパーン!

 

「おっはよー!士郎君に桜ちゃん!」

 

士郎「おはよう、藤村先生」

桜「お早う御座います、藤村先生」

 

大河「うんうん、士郎君も桜ちゃんも、元気な挨拶で結構結構!

、、、で士郎君?今日の朝ご飯はなぁに?」

士郎「鯵の煮付けにほうれん草のお浸し、揚げだし豆腐と若布の味噌汁に沢庵だ」

大河「ん~♪聞いただけでお腹空いて来たわ!」

士郎「今装うから、少し待っててくれ。」

 

腹を空かせた虎教師に、大盛りの食事を装う。具体的には『山』程。それを、、、

 

 

大河「士郎君!おかわり!」

 

何と、この腹ペコ虎は数分で平らげた。

 

士郎「、、、あぁ、沢山、食べるな、藤村先生は」ウツロナメ

桜(あぁ、、先輩の眼が、まるで、死んで腐敗した魚みたいに、、)ドウジョウ

 

、、これは、またバイトを増やさないといけないかも知れない、、、

 

 

 

、、それから、俺達が食べ終わるまでに、彼女はもう一杯おかわりしたのであった

 

 

 

桜「、、あ、、先輩、今日は朝練出ないといけないので、、お先に失礼します」

士郎「あぁ、、行ってらっしゃい、桜」

大河「桜ちゃん、いってらっしゃ~い」

 

桜が一足先に学校に行くと、俺と藤村先生だけになる。

 

、、藤村先生は、テレビを見ている。

 

大河「、、、一家殺人事件ねぇ、、

士郎君も、気をつけなさいよ?」

士郎「・・・」

 

 

士郎「、、、藤村先生も、物好きだよな、、」

大河「2人の時くらい藤ねぇで良いのに、、、、如何したのよ?急に」

士郎「こんな何も無い家に、毎日通っても意味なんて無いぞ」

大河「え~そぉ~?その割には、士郎だって毎日欠かさず、ご飯、作ってくれてるじゃない?

そんな事しても、私が喜ぶだけなのに」

士郎「、、、、、なら、明日から抜「喝ッ!」ズバァァッ!

 

脳天に、鋭い振り下ろしが炸裂する。

、、試合なら、確実に一本取っていただろう。

、、、因みに、藤村先生の剣道の段位は5段、、何だが、実際の腕は、それを遥かに上回っているだろう。

現に、今の振り下ろしは見えなかった。

 

士郎「、、ッ、、、!ぃ、、一体何で殴って、、!」

大河「ん~?そこに落ちてた普通のポスター?」

士郎「嘘だ、、それがこんなに痛いはず無いだろ、、頭割れるかと思ったんだが、、」

大河「ふーんだ!士郎が意地悪な事言うのが悪いのよ!」「理不尽な、、、」

 

大河「、、さっきの答えだけどね」

士郎(結局、言うのか、、)

大河「三年前、、この家で、士郎に始めて会った日―――

 

 

 

 

 

『(あれ!?この家、人居たんだ?!てっきり無人かと思ってた)』

 

『、、、アンタは、誰だ』

 

『あ、私は藤村大河。、、君、此処に住んでるの?』

 

『、、、早く出てってくれ。、、此処には()()()()()

 

『・・・』

 

 

大河「、、、何て言うか、放っておけない感じがしたのよね。

だって、まだ中学生位の、やけに大人びた子供が、一人で住んでるのよ?

、、教師としてはそりゃあ、世話も焼きたくなっちゃうわよ」

士郎「、、それで、あの日から執拗に家に通い始めたのか、、、」

大河「うん、そういう事よ」

 

、、、つくづく、この人は教師なんだろう。

 

大河「、、さてと、、、それじゃ、先に行くわね!士郎君、遅刻しちゃ駄目よ?」

士郎「、、、分かってるよ」

 

 

ガラガラガラ ブロロロロロ!

 

 

藤村先生の愛機の唸り声が、家から離れていく。

 

 

 

士郎「、、、さて」

 

一人になったのは良いが、、今日は、特にやる事も思いつかない。

 

士郎「、、、此処で考えても仕方ないし、、学校に行くか」

 

 

――――

 

 

士郎「、、、」

 

何も考えず、ただ通学路を歩く。

 

 

「・・・」トコトコ

 

士郎「、、、?」

 

、、、ふと、歩いてくる少女を二度見る

 

綺麗な白い髪に、暖かそうなコートを着た、、可愛らしい少女だった。

 

「・・・」

 

 

「、、あの、、そこのお兄さん」

士郎「!、、俺か?」

「うん。、、『エミヤ キリツグ』っていう人、知りませんか?」

士郎「エミヤ、、キリツグ?、、いや、知らないな、、」

 

「、、、そう、ですか、、、有難う、お兄さん」

士郎「いや。、、、人探しか?」

「、、うん。、、でもきっと、探したって意味は無いの、、」

士郎「、、あぁ、、そうか、、、」

 

、、、この少女はきっと、『今はもう亡い者』を探しているのだろう

 

士郎「、、、俺はこの辺に住んでる、、また会ったら、その時は手伝わせてくれ。」

 

すれ違いながら、安い言葉を口にする。

 

「、、ありがとう、、でも良いの。、、、時間ももう、、無いから」

士郎「、、そうか、、」

 

ビュォォォ!

 

急に、背後から突風が吹いてくる

風はほんの数秒で止み、少女の居た背後を振り返る

 

士郎「ッ、、、?」

 

、、少女は既に、風と共に消えていた。

 

士郎「、、何だったんだ、、、?」

 

 

―――――

 

~学校~

 

 

士郎「、、、、」

 

身が入らない、、

何故か、先程の少女の姿が脳裏に焼きついている。

、、、白い髪に、紅い目をしたあの子は、一体なんだったのか

 

一成「すまん藤村。、、今、時間は有るか?」

士郎「、、あぁ、丁度何かしたかった所だ、一成」

 

 

一成の用件は、動かなくなったストーブを見て欲しい、後、出来れば直して欲しい。という事だった

 

 

ストーブ「・・・」

 

士郎「、、さて」

 

一成を、適当な理由をつけて外に出し、目標と向き合う

 

士郎「、、、」ピト

士郎「、、回路が焼き切れてるし、他の部品も大分ガタが来てるな、、、

、、構造も分かってるし、、いっそ、新しく創った方が良いな」

 

 

士郎「、、作成、、」

 

構造は分かっている、、ので、そこまで時間は掛からないだろう    

 

 

士郎「、、、外部構造、完成、、、内部構造、製造亅

 

内部は少しずつ、細やかに形を創る

…内部も、完成した

 

士郎「構造…接続」

 

最後に、外部と内部を接続し…完成

 

こうして、()()のストーブが完成した

 

士郎「…さて、残ったコイツはどうするか…」

 

 

 

 

 

 

一成「すまん藤村、真に助かった…

ただでさえ部費の予算が少ない上に、これの出費は痛かったのでな…」

士郎「そうだったのか…

…道具が壊れたりしたらまた呼んでくれ。時間があれば、何とか直すよ」

一成「感謝する…

 

…所で、このもう一つのストーブは何だ?」

士郎「あぁ…それは、余った部品で作った奴だ」

一成「!?」

 

 

 

一成「ま、まぁ、、ともかく、だ。

何時も率先して生徒会の手伝いをするのはお前位だ。

、、何時もすまんな、藤村」

士郎「暇な時なら構わないさ、一成、、じゃあ」スタスタ

 

 

一成と別れ、振り向いて歩き出すと、、

 

 

凛「、、お早う御座います、藤村さん」

 

学校のマドンナの、遠坂 凛が居た。

 

士郎「お早う、遠坂」スタスタ

 

定型文の様な返事を返し、歩き出す、、すると

 

慎二「、、、」

士郎「、、慎二か、おはよう」

慎二「おい藤村、ちょっと顔貸せよ」

士郎「、、何だ?慎二」

慎二「用なんて後で話すに決まってるじゃん?、、早くしろよ、愚図」ボソッ スタスタ

士郎「・・・」スタスタ

 

、、、恐らく、桜の事だろう。

少し前から、こういう事は良くあった。

 

 

~屋上~

 

バキッ!

 

士郎「ッ、、、」ツ、、

慎二「、、、いい加減にしろよ?お前。

ウチの妹を家に呼んで、何してるワケ?」

士郎「、、何もしてない」

慎二「へぇぇ、、じゃあ何?桜が自分の意思でお前んちに行ってるって事かよ?」

士郎「・・・」

慎二「ッ、、何とか言ってみろよッ!」

 

バキッ

 

士郎「、、、」

 

、、口の中が切れた。 血の味がして、少し気分が悪い

 

慎二「ッ、、あぁもういい!、、帰ったら、あの愚図に直接聞くまでだ!」

 

ギィィ、、バタン

 

これ以上やっても意味が無いと分かったのか、慎二が立ち去る

 

 

 

士郎「、、、桜、、、本当にすまない」

 

 

―――

 

 

教室に戻った時には、ホームルームが始まる時間の寸前だった

 

士郎「、、、?」

 

、、、HRが始まる時間だというのに、肝心の藤村先生が居ない。

まさか、バイクを使って自分より先に家を出ておいて、遅刻、、?

 

士郎「、、まさか、、な「遅刻遅刻遅刻~~!!」・・・」

 

驚いた。、、この虎は、不可能を可能にするらしい、、、悪い意味で

 

大河「おはよー皆!!」ガラッ!

 

 

 

コテッ

 

 

 

大河「あ゛ーー!!」

 

 

 

ドボギッ

 

 

士郎「・・・」

 

、、、もはや何も言うまい。

この虎は、自分の理解を超えた生物なのだと再確認した。

 

 

 

「「「起きろ!タイガー!」」」

 

「タイガーって言うなぁぁぁ!」

 

、、、何時もと同じ、朝の風景。

「普通の男子高校生」の日常は、こんなものだろう。

 

―――

 

 

~昼休み~

 

 

士郎「・・・」

 

今日は、自分の弁当を作っていなかった。

、、ので、中途半端に腹が減り、仕方なく食堂へと向かっていた、、

 

 

バサッ!

 

士郎「、、?」

 

盛大に紙をぶちまける音した。

、、その方向には、、

 

桜「あぁ、、、」ヒロイヒロイ

 

、、、桜が居た。

一人で紙を集めなおす姿を見て、俺は、、

 

士郎「大丈夫か、桜」

 

咄嗟に、声をかけてしまった。

 

 

桜「あ、、藤村先輩、有難う御座います。」

士郎「いや、、当たり前の事だよ」

 

そう、、困っている下級生を助けるのは、当たり前の事なのだ

 

士郎「・・・」サッサッ

 

手早くプリントを集め、桜に手渡す

・・・そして、あっと言う間に集め終えた。

 

桜「助かりました、先輩。」

士郎「なら良かった。、、それじゃあ、桜」

桜「はい!失礼します、先輩」

 

そうして、桜と別れ、食堂へと向かう。

 

士郎(、、、何を食べるかな、、)

 

結局、パンを二つ買い、昼を済ませた。

 

―――

 

~放課後 弓道場~

 

士郎「、、、」グググ、、、バッ!

 

ヒュッ ドスッ

 

美綴「、、ど真ん中、、、うん、流石だね」

桜「流石です、先輩」

士郎「、、、」スッ

 

弓を下げ、息を吐く。

 

士郎「、、偶々だよ」

美綴「謙遜すんなっての。

、、あたしゃ、入部以来アンタが外した所なんて見た事無いわよ。

、、、ったく、気まぐれ部員の癖に、、(部長)の立場、無いっての!

まぁ、それでこそあたしのライバルだよ」

 

ライバル、、、何故か、三綴は俺に敵対心を持っているらしい。

 

慎二「・・・」

 

 

美綴「、、、それより藤村さ、、アンタ、少し前事故ったらしいじゃん?」

桜「、、!」

士郎「?、、何で知ってるんだ?」

美綴「少し前、藤村先生大騒ぎしてたんだよ、「士郎君が事故に遭った~!」ってさ」

士郎「、、あぁ、それでか」

美綴「そうそう。、、で、どうなのさ?」

士郎「、、、確かに事故には遭ったけど、そこまでの怪我じゃ無かったよ。」

美綴「、、、まぁ確かに、あんまり酷けりゃ部活なんて出来ない、か」

士郎「、、休んでられないからな、この程度じゃ」

 

 

「完全下校15分前です。部活をしている生徒は下校の準備をしましょう」

 

美綴「、、おっと、もうこんな時間か。

それじゃ皆、さっさと片付けしちゃうよ!」

慎二「待てよ三綴」

美綴「、、何よ、間桐」

 

慎二「今日は丁度、臨時の部員が居るじゃないか?

、、なぁ藤村、、お前、どうせ暫く来ないんだろ?

だったら、偶には『皆の為』に掃除くらいして行ったら如何だよ?」

 

、、、皆の為、、か、、

 

士郎「、、、そうだな、分かった」

美綴「ちょっと藤村!別に真に受けなくても、、」

士郎「良いんだ。、、、俺がやらなくちゃいけない事だからな」

 

そう、俺が代わりにやらなければいけない。

 

慎二「、、チッ、、って事だから皆、速く帰ろうぜ」

 

桜「、、、先輩、、」

士郎「桜、お前も速く帰った方が良い。

、、、今日は、特にな」

桜「!、、すみません、、先輩、、」

 

慎二「遅いぞ桜!速くしろ!」

 

桜「っ、、はいっ、兄さん」

 

 

 

士郎「、、、」

 

一人で、黙々と掃除をした

 

 

 

―――――

 

 

 

~夜~

 

 

 

士郎「、、、よし」

 

流石に時間が掛かったが、何とか終わった。

 

、、さて、そろそろ―――

 

キン キィィン

 

士郎「、、、?」

 

、、、校庭から、鉄を打つような音がする

 

士郎「何だ、、?」

 

惹かれる様に、外へ向かう―――

 

 

 

 

 

 

「ラァッ!」グォッ!

「フッ!」ヒュンッ!

 

キンッ! ガキッ! 

 

 

 

、、、2人の男が、得物で打ち合っている。

しかも、どちらも人間とは思えない速度だ。

 

士郎「、、、凄い、、、」

 

 

不思議と、見入ってしまう。

スポーツの試合などを見るのとは訳が違う。

どちらも、まともに中れば致命傷の、、本当の戦いだ。

 

 

士郎「、、あれは、、!」

 

青い髪の男が距離を取り、再び槍を構える、、、

、、すると、その槍が突然紅く光り始めた!

 

士郎「不味い、、!」

 

即座に構造を読む。、、、あれは、、『破壊力』の塊だ。

あんな物を喰らったら、、流石に、白髪の男も危険――

 

 

「・・・」

 

 

士郎「、、、?アイツ、、」

 

白髪の男には、何処か余裕があるように見える。

何か、手があるのだろうか、、?

 

パキッ!

 

士郎「ッ!」

 

、、夢中になりすぎて、無意識に一歩、前に踏み出してしまった、、

その上、木の枝を踏んで、、、音を、出してしまった、、!

 

 

「誰だッ!」

 

 

士郎「―――ッ!気付かれた!」

 

校舎に向かって一目散に走り出す!

背後で、男が人間とは思えない跳躍で追ってくる。

 

 

――――――

 

 

士郎「ハァッ!ハッ―――」タッタッタッ!

 

全速力で階段を駆け上がる。

その最中、頭で考える。

、、、見つかってしまった以上、アレは俺を殺しにくるだろう。

きっと、このまま逃げてももう直ぐ追いつかれてしまう。

、、なら、自分に出来る事は一つ――!

 

士郎「ッ、、、」ザッ

 

廊下の中央に位置取り、気配を巡らせる。

、、、()()を出している余裕は無い、、なら!

 

 

 

 

 

 

士郎「、、、」スッ

 

右手を突き出し、幻想(イメージ)する。

外部を明確に、内部を繊細に、、!

無骨でも構わない、、、ただ鋭く、良く切れるように、、

そして―――

 

ヒュッ

 

士郎「、、、ッ!」ブオンッ!

 

キィンッ!

 

士郎「、、、間に合った、、ッ!」

 

一本の剣が、誕生した。

 

 

「おぉッと!ただの坊主かと思ったが、、、お前も魔術師だったか!」

士郎「マジュツシ、、?何だ、それ!」グオッ!

 

力一杯剣を振る。

 

「何?、、坊主、魔術師を知らねぇのか?」キンッ

士郎「何だか分からないが、、お前が、俺を殺そうとしているのは分かる、、!」

「、、ハッ!そりゃあ違ェねぇ。

、、、ま、魔術師にんな質問しても意味ねぇわな。

 

、、って事で、、悪いが、死んでくれや!坊主!」ヒュッ

士郎「くッ!」キンッ!

 

 

キンッ! キィンキィン!

 

士郎「ぐ、、!」

 

手が痺れる、、、この腕力、普通じゃない!

しかも、先程の様に『破壊力の塊』の状態じゃないのにこの重さだ、、!

 

「粘るじゃねぇか、ただの人間が!

なら、コイツは如何だ!」ビュンッ!

士郎「!くッ!―――」

 

何とか突きを防ぎ、切り返そうとする――が

 

「甘ェ!」グァッ!

 

ガギッ!ドスッ

 

剣を弾かれ、胸を突き刺された。

 

、、、しかし

 

士郎「―――!」ヒュッ!

「何!?」

 

ザクッ!

 

俺の剣が、男の脇腹を抉った

 

 

士郎「ッ、、」ドサッ

 

しかし、、俺の傷も、深かった。

 

 

士郎「、、、ゲホッ」ビシャ、、

「、、、まさか、槍を胸に受けてなお反撃してくるなんてな、、

、、、素質が有る分、此処で散らすにゃ惜しいが、、ま、戦場なんてそんなもんだ。

 

、、俺を怨めよ、坊主」

 

そして、、男が去っていく、、、

 

士郎「ッ、、、、」ズル、、

 

 

、、、体が、動かなくなっていく。

その癖、痛みだけはしっかりと感じる。

 

士郎(、、、あぁ、、あの時みたいだ、、、)

 

 

、、、意識が薄れていく。、、その最中に、、

 

 

「、、!そう、、アンタ、なのね、、」

 

士郎(、、これは、、遠坂、、?)

 

 

遠坂は、、無事なのか、、?

 

 

凛「、、、暫く安静にしてれば、助けて貰えるから、、」

 

、、、麻酔が掛かったように、体から痛みが引いていく、、

同時に、急に痛みが引いたのと安心感からか、再び意識が遠のいていく。

 

士郎(、、だけど、有難いな、、これで、、少し、楽になる、、、)

 

、、、そして俺は、目を閉じた。

 

 

―――――

 

 

 

士郎「、、ッ、、」

 

、、、眼が覚めたのは、それから一時間ほど経った後だった。

 

 

士郎「、、、胸は、、、治ってるな」

 

後は、、、この後始末だけだ

 

 

ジャー、、、ピチャッ、ギュー、、

 

バケツに水を溜め、雑巾を濡らし、、

 

ゴシゴシゴシ、、、

 

血は固まっていて、中々落ちなかったが、、、何とか、落としきった

 

 

士郎「、、これで良いな。、、、さて、、」

 

、、遠坂の事は気になるが、、とにかく今は、一度家に帰るべきだ。

 

士郎(、、、何か、嫌な違和感があるけど、、)

 

―――――

 

~■■邸~

 

 

 

士郎「、、、ふぅ、、、」ドサッ

 

居間に戻るなり、崩れ落ちるように座る。

 

士郎(、、一体、、アイツ等は何だったんだ、、、それに、遠坂も、、)

 

改めて考えると、異常な事だらけだ。

、、そもそも、俺以外にも誰かに見られたりしないの、、、!

 

士郎「そうか、、、あの一家殺人事件、、!」

 

確か、死因は鋭利な刃物で一突きだった筈、、

、、、きっと、俺のように、、見てしまって、口封じに消されたのだろう。

 

 

士郎「、、待て、、、なら、俺は?」

 

俺は一度、見てしまった、、

、、、と、いう事は、、

 

 

ビュンッ!

 

士郎「ッ、、!」グルッ ドスッ!

 

「、、、まさか、一日に同じ人間を二回も殺す事になるとはな、、、

坊主、お前さんも運がねぇな」

 

、、自分の隣の壁に、正確に槍が突き刺さった。

やはり、見逃しては貰えない様だ。

 

士郎「、、、くッ!」バッ!

 

また、剣を作る、、!

数度の打ち合いに耐える程度なら、直ぐに、、!

 

「お、またそれか?

、、、待ってやりたい所だが、、俺も、さっさと終わらせて休みたいんでな」バッ!

 

来た!、、剣は、もう完成する!

 

士郎「こ、、のおッ!」ヒュッ

 

完成した剣を、武器の無い男に向けて振る。

 

「おっと!、、飛びな!」ヒュッ!

 

士郎「げぼッ!」ビュンッ

 

バリィンッ! ゴロゴロ、、

 

しかし、簡単に避けられ、逆に外に蹴り出された。

 

 

士郎「ぐ、、ッ!」ザッ

 

分が悪い、、!

、、、そうだ、土倉になら、溜めておいた武器が、、!

 

「、、、加減したとは言え、やはりタフだな坊主」

 

士郎「、、、!」

 

ヒュッ!

 

士郎「くッ!」キィン!

 

ピシッ、、

 

士郎「!」

 

剣が悲鳴を上げている、、!

もう、限界なのか?

 

 

「何だ、さっきのに比べてやけに脆いじゃねぇか?

、、、魔力が切れたか?」

 

士郎「、、、だったら、せめて、、」ヒュン

 

キィン! ミシミシミシ、、、

 

「ただ振るだけじゃ芸がねぇな、、、!いや、これは――!」

 

どうせこれで壊れるのなら、、せめて、俺が壊す。

 

士郎「『砕けろ』」

 

剣が壊れる瞬間、力を剣に逆流させる、、、

剣はそれに耐えられず、内側から『破裂』する。、、、それはまるで、、

 

小さな『爆弾』の様に!

 

 

 

ッパァァァン!

 

 

空気を引き千切る様な爆発音が響き、俺は土倉に吹き飛ばされた。

 

ヒュゥゥ、、ドンッ!

 

士郎「ッ、、、速く、中に、、!」

 

これで終わる訳がない。此処で終わる訳には行かない、、

だからこそ、武器を探さなければ、、!

 

 

 

シュゥゥゥ、、、

 

 

「、、、面白ェ事してくれるじゃねェか、、!」ニヤァッ

 

―――

 

~土倉~

 

 

士郎「、、、クソ、、これじゃ、ダメだ、、!」ガサガサ

 

 

こんな所で、死ぬ訳にはいかない、、!

 

 

ドンッ! ガラガラガラ、、、

 

「、、、こと戦いに限って、テメェを坊主扱いするのは止めだ。

、、テメェは、そこいらの魔術師とは、根っから何かが違う。」

 

士郎「、、!もうなのか、、」

 

あの爆発を受けて、、額から血が出る程度何て、、

 

「、、行くぜ」キィィィィッ!

士郎「ッ!」

 

奴の朱槍に破壊力が満ちる。

、、あの白髪の男に向けた物と、同じだ、、!

 

「、、果てやがれ!」ブンッ!

 

ヒュンッ!

 

奴が槍を投げた

 

士郎「こ、、、のォッ!」ブンッ!

 

少し遅れて、俺も近くにあった剣を投げる。

 

「馬鹿が、、その程度で、俺の槍が止まるとでも思ったか?」

 

 

キンッ バギィッ!

 

士郎「!」

 

剣は、いとも簡単に砕け、、、ビニールシートの上に散らばる。

そして―――

 

 

ドスッ

 

 

 

、、、槍が、心臓を抉り貫いた

 

士郎「あ、、、が、、ッ」ドサッ

 

槍の勢いのままに、後ろに飛んだ。

血が、蛇口を捻った様に溢れて来る

 

「、、、サ-ヴァントは現れず、、か。

、、もしかしたら、お前が最後のマスターだったのかもな。」

 

士郎「ガ、、ハッ

 

鮮血が暖かい、、だが、芯は冷えて行く

 

 

士郎(・・・これで、、、終わり、なのか、、?)

 

、、まだ、認めたくない、、

 

しかし、身体は既に諦めている。

 

 

士郎「、、、ぃ、ゃ、、、

 

死なないかも知れない、、、それでも、人として、、、

 

士郎(、、、まだ、何も、、果たしてない、、、)

 

あの人の願いも、、そして、、、あの人達の願いも、、、何一つとして

 

 

、、、無情にも、熱は冷めて行き、、体は動かなくなっていく。

 

 

、、それでも。

 

士郎(、、、死にたく、、ない、、)グググ、、、

 

 

手を伸ばす。

、、、例え、此処で終わった方が(マシ)だとしても

 

、、、、手が、ピリピリと痺れる

 

士郎(終われない、、!)ググ、、

 

 

、、まだ、手を延ばす。

例え、その先が地獄だとしても

 

 

、、、手が、チリチリと痛む

 

 

士郎「それでも、、、!」グ、、

 

 

 

俺は、()()()()!

 

 

不意に、手の甲から光が走り―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

、、、、、ゴォォォォォォ!

 

 

 

―――そして、運命に出会う

 

 

 

「、、、!何ッ!」バッ

 

士郎「・・・?」

 

 

 

 

まず目に入ったのは、敵サーヴァント。

それを、風を吹かせ、外へと弾く。

そして、自分を召喚したであろう少年に向き合い、、

 

 

 

セイバー「、、、サーヴァント、セイバー。召喚に応じ参上した。

 

 

 

 

     問おう、貴方が私のマスターか?」

 

 

 

 

士郎「、、、ます、、たー、、、?」

 

少年は、掠れた声で返事をする。

、、見れば、胸元には大きな穴が開いていた。

 

セイバー「、、、あのサーヴァントから受けた傷、ですか、、、

私が魔術師(メイガス)であれば、癒す事も可能でしたが、、」

士郎「、、自分で、、治せる、、、それより、アイツが、、!」

 

、、、この傷を、自力で?

疑問は有るが、確かにあのサーヴァントが近くに居るのは危険だ。

 

セイバー「、、了解しました。それでは」ダッ

 

思考を戦闘に切り替える。

 

―――

 

 

「、、、ったく、、まさかあの土壇場でサーヴァントを呼び出してくるとはな。」

セイバー(、、奴は、恐らくランサー、、間合いの不利は、風王結界(インビジブル エア)で補えるでしょう。)スチャッ

セイバー「・・・どうした、ランサー。止まっていては槍兵の名が泣こう。

そちらが来ないなら、私が行く!」タンッ!

ランサー「!」ヒュッ!

 

キィンッ!

 

ランサー(!華奢な体の癖に、とんでもねぇ馬鹿力じゃねぇか、、!)ザザザ、、

 

セイバー「ハァッ!」ヒュンッ

ランサー「チッ!」ザッ

 

ランサー「テメェ、、!武器を隠す、だと?

何処の英雄だか知らねぇが、、恥を知れ!」

セイバー「そう言うな。

、、如何やら私も、それなりに知られているらしいのでな。」

ランサ-「へッ、、知名度が高いってのも、難儀なモンだな。

、、、真名がバレちまう事に、常に気をつけなきゃいけねぇ、、

、、まぁ、そういうもん何だが、、、、良いぜ。テメェが抜かねぇなら、俺からやらせて貰う!」ザッ

 

ランサー「真名、、開放!」

 

キィィィッ!

 

セイバー「!宝具、、!」

 

ランサーの槍に、魔力が集中する、、!

あの魔力、、危険だ!

 

ランサー「その心臓貰い受ける!

 

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!」ダッ

 

セイバー「!」ザッ

 

スゥゥゥッ、、、

 

、、!槍が、まるで吸い寄せられる様に、、!

 

セイバー(今、確かに躱した筈、、!いや、まさかこれは、、!)

 

 

セイバー「くッ!」グルッ!

 

ギギギギギギ、、!

 

槍が鎧を削り取る、、!

だが、その槍が体に触れる事は無かった。

 

 

 

ランサー「、、!躱したな、セイバー。我が必殺の一撃を!」ギリッ

セイバー「、、その宝具、、、貴殿は、アイルランドの光の御子!」

ランサー「、、、此処までか、、だがまぁ、餓鬼の方は」ザッ

 

ランサーが、戦闘を離脱しようとする、、!

 

セイバー「!待て、ランサー!、、、ッ!」

 

ふと、己のマスターの事を思い出す。

、、、退く者、しかも、サーヴァント中最速であるランサーの追跡よりも、マスターの安全の確保が最優先だろう。

 

セイバー「・・・!」クルリ

 

そして、振り向いた先には―――

 

士郎「・・・」

 

――我がマスターが、立っていた。

 

 

 

士郎「、、、アイツは、逃げたんだな、、」スタスタ

セイバー「、、!マスター、胸の傷は、、!」

士郎「あれは、もう問題ない。

、、、それより、アンタは誰なんだ」

セイバー「、、、申し訳無い。敵に聞かれている可能性のある今、真名を明かす事は、、、」

士郎「真名、、?、、いや、聞き方が悪かったのか?

、、、とにかく、家に上がってくれ。此処じゃあゆっくり話せない」

セイバー「分かりました」

 

 

 

~居間~

 

士郎「・・・」

セイバー「・・・」

 

、、、沈黙、、、正に、それだった。

取り合えず、聞きたかった事を聞く

 

士郎「、、、それで、、アンタ達は、()()()()?」

セイバー「、、、我々は、サーヴァントと言う存在です。

貴方方魔術師風に言えば、最上級の使い魔でしょうか」

士郎「サーヴァント、、使い魔、、?

、、、すまない、よく分からないんだが、、

と言うかそもそも、、、

 

魔術師って何だ?」

セイバー「・・・」

 

何を言っているのだこのマスターは?

魔術師を知らない、、、そんな訳が有るだろうか?

セイバー「現に、貴方は私を召喚している。

魔術と無関係である筈が有りません。」

士郎「そう言われても、、知らない物は知らないんだ。」

セイバー「ッ、、!貴方は、、」

 

、、、いや、落ち着こう。

恐らくこの少年は、真実を言っている、、

なら、考え方を変えて、、、

 

有り得る可能性としては、

『彼は本当に只の一般人で、私を召喚したのは何かの偶然だった』

『先程のランサーの攻撃により、一時的に記憶が錯乱しているか』

 

、、、そして、、

 

『彼が無自覚な魔術師である』、、か、、、我ながら、可笑しな考えだ。

だが、確かな事が一つだけ、、

 

答えが何にしろ、私は彼に、聖杯戦争の事を1から教え込まねばならない、、と言う事だろう

 

セイバー「、、、難儀な物ですね、、、」

士郎「、、、良く分からないが、、取り合えず、今日はもう寝ないか?」

セイバー「、、、そうですね。

今からでは、説明だけで朝になりかねません。

それに、癒えたとは言え、マスターの傷も気になります。」

 

 

―――

 

 

~寝室~

 

士郎「、、、何で、お前は、俺の横に居るんだ」

セイバー「また先程のように、敵サーヴァントが襲って来ないとも限りません。

なので、同じ場所で眠れば、たとえ襲撃されても貴方を守れます」

士郎「、、アイツ以外にも、似た様な奴がまだまだ居るって事か」

セイバー「えぇ、私とランサーを除いて。後5騎程」

士郎「、、、そうか、、」

 

 

士郎「、、あと、、俺は、『士郎』だ。

、、マスターじゃなくて、そう呼んで貰えるとやりやすい。」

セイバー「、、?構いませんが、、、急に、如何したのですか?」

士郎「いや、、アンタに何者か聞いておいて、俺は何にも言ってなかったからな、、

一応、礼儀のつもりだ。」

セイバー「、、、本来であれば、私も名を名乗るのですが、、、」

士郎「、、アンタが名前を言えないのにも、きっと理由があるんだろう。

だから、今は聞かない」

セイバー「、、、そう解釈して頂けると、有難いです。」

士郎「あぁ、、それじゃあ、セイバー」

セイバー「えぇ、、お休みなさい、シロウ」

 

 

目を瞑りながら、思考を巡らせる。

 

 

、、、セイバーと言う、清楚な雰囲気の、それでいて、強い少女、、、

それに、ランサーと言う、自分を殺そうとしている屈強な男、、

そして、二度に渡って死に掛けた自分、、

 

、、、何故だろうか、、、非日常で、非現実の筈なのに、、、、

 

俺は、心の何処かで、、、何かに『期待』している。

 

 

、、、その『違和感』は、拭い去れず、心に染みとなり、残り続ける、、、

 

 

 

その日は何故か、夢を見なかった。

 

 

 

―――――

 

、、、翌日、、、

 

 

セイバー「・・・これは何ですか、マスター」

士郎「これも何も、、朝御飯何だが、、あぁ、日本食は苦手だったか?

だったら、悪かった。」

セイバー「いえ、そういう事では、、、」

士郎「それなら、さっさと食べちゃうぞ。

俺も、学校に行きたいからな」ハシ、ツカエルカ?

セイバー「なっ、、!あれだけの目に遭っておきながら、貴方は外出するというのですか!?」ツカエマス

士郎「?、、あぁ、、けど、学校に行かない方が不自然じゃないか?」

セイバー「む、、、確かに、そうなのですが、、、

私は、他のサーヴァントの様に霊体化が出来無い身ですので、、、」

士郎「普通に、、何時も通りに生活してれば、不信がられる事は無いと思うが、、、」

セイバー「、、分かりました、、ですが、敵に襲われたりした場合には、その<令呪>を使って下さい」ユビサシ

士郎「これか、、、確か、三回しか使えないんだったか?」

セイバー「はい。、、大まかな能力強化の度合いも、覚えていますか?」

士郎「あぁ。短期間のしっかりした命令なら大幅に。

長期間の、複雑な命令ならそこまで、、そんな感じだろ?」

セイバー「大雑把ですが、その通りです。、、、では、折角なので頂きましょう」

士郎「あぁ」

 

「「頂きます」」

 

セイバー(、、、本来、サーヴァントは食事を摂る必要は無いのですが、、、)パクッ

 

セイバー「、、、!こ、、れは、、!」

士郎「、、?」

 

 

セイバー「、、、これは、、、」ツ、、、

士郎「!?」ビクッ

 

、、、この食事があれば、、円卓は、、ブリテンは、後1年、、いえ、5年は続いた事でしょう、、

、、やはり、ガヴェイン卿のアレ(マッシュポテト)は、、料理などではなかったのですね、、、

 

 

士郎「悪い、、泣くほど不味かったんだな、、やっぱり、和食は合わなかったか、、、」

セイバー「いいえ、、そんな事は有りません。、、、素晴らしい食事でした」

士郎「そうだったのか、、、()()()?」

 

、、、嫌な予感がして、セイバーの方に目を向けると、、

 

、、既に、全ての器が空になっていた。

 

セイバー「、、ですが、、やはり、和食は、質は良くとも量が物足りませんね、、、実に口惜しい、、」

士郎「そ、そうか、、次からは、もっと多く作るよ、、、」

セイバー「それは真ですか!、、!い、いえ、、節制もまた、修練の一つ、、

、、、食の誘惑程度、絶てねば騎士の名折れと言うもの、、!」

士郎「騎士か、、、だけど、別に今は食べ物に困る時代じゃないからな。

、、、無理にとは言わないが、、、食べても良いんだぞ?」

セイバー「、、気遣いは不要です。、、勿論、頂きます。」

士郎「あぁ、、言ってる事、滅茶苦茶だぞ」

 

―――

 

士郎「、、それじゃあ、行って来る。

昼飯は、冷蔵庫に入ってるから」

セイバー「はい。、、くれぐれも、お気を付けを」

 

ガラガラガラ

 

 

「、、、あ、、」

「あぁ、桜か。、、おはよう」

「、、先輩、、その女性(ひと)、、誰ですか」

 

 

 

セイバー「、、、さて、、、時間の有る内に、此処の構造を把握しておきましょう」

 

 

――――

 

~学校~

 

 

士郎「、、、」

 

家の前で桜と会った後、、、桜は、執拗にセイバーの事について聞いてきた。

だが、俺だってセイバーの事を良く知ってる訳じゃない。

、、ので、「暫く居候する外国人(ハウスハイカー)」と言う設定で、無理矢理言い包めた。

、、まぁ、「そんなハイカー、居る訳無いじゃないですか!」という突っ込みは入ったが、、

 

 

士郎(学校にも敵が居る、、か、、)

 

正直、パッとしないが、、それでも、俺がこうなったぐらいだから、有るのだろう。

それに、、

 

士郎「、、遠坂も、、マスターなんだろうか、、」

 

昨日の出来事を思い出す。

俺を生かそうとしてくれた、彼女、、

、、出来れば、敵ではない事を祈る

 

士郎「・・・!」

 

ガラガラガラ、、、

 

 

「、、、え!?」

 

 

、、、待ち人は、丁度良いタイミングで現れた。

 

 

凛「ッ、、、!あ、あの、藤村君?」

士郎「何だ、遠坂」

 

、、遠坂が驚くのも尤もだろう。

昨日の今日で、死に掛けていた男が何食わぬ顔で学校に来ているのだから。

 

凛「あ、いえ、、お早う御座います、、、」

士郎「あぁ、お早う。」

凛「はい、、では」

 

、、、今、遠坂が何時もの遠坂に戻った気がする。

具体的に言えば、猫の様な感じ。

 

、、いや、それはともかく、、昨日の事について、今礼を言っておかないと

 

 

 

士郎「、、遠坂」

 

凛「?、、はい――「ありがとう」、、?!」

 

、、あ、被り物が取れた感じだ

 

 

凛「、、、昼休み、屋上に来なさい」

 

 

、、、口調が変わった。

きっと、こっちが本来の遠坂なのだろう。

 

 

士郎「、、、あぁ、分かった。」

 

 

、、なればこそ。自分で見て、聴いて、、、彼女が敵か味方かは、それから判断しても遅くないだろう。



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嵐の前触れ

~昼休み 屋上~

 

凛「、、さて、、藤村君、一つだけ聞かせて貰うわね。」

士郎「あぁ、、何だ?」

凛「貴方、まさか魔術師?」

士郎「、、、アイツと同じ事を聞くんだな。

、、、俺は魔術師何てのは知らないぞ」

凛「アイツって、誰?」

士郎「あぁ、、セイバーって言ってたな「ちょ、ちょっと!何もそこまで言えなんて言って無いでしょ!?」

士郎「、、?何か、不味かったか?」

凛「不味いって、、そりゃあ不味いわよ。

貴方にサーヴァントが居る事にも驚きだけど、、

、、自分のサーヴァントのクラスを、戦いの前に敵に明かすなんて、、それこそ前代未聞だわ、、」

士郎「敵、、遠坂が、か?」

凛「えぇ、、この戦争に参加している以上は、敵なのよ」

 

それは可笑しい。

だって、遠坂は昨日、俺を助けてくれた。

その上今日は、態々話し合いの場を設けてくれた、、そんな彼女が、俺の敵なのだろうか?

 

士郎「、、、ちょっと待て、遠坂。

、、、今、戦争って言ったか?」

凛「えぇ、、、ねぇ貴方、もしかして、本当に、自分が何に関わっているかも判っていないの?」

士郎「、、あぁ、、

でなきゃ、昨日二度も殺されかけたりしない。」

凛「え、、嘘!アンタ、あの後またランサーに狙われたの!?」

士郎「あぁ。、、二回目は、セイバーが守ってくれたけどな」

凛「!、、そう、、成る程ね。その時にサーヴァントを召喚したって事。」

士郎「まぁ、そうなるな」

 

士郎「、、、それじゃあ、俺からも質問して良いか?」

凛「えぇ。貴方だけ答えるんじゃ、不公平だものね」

士郎「、、魔術師って、結局何なんだ?

それに、その戦争って言うのも、、」

凛「、、嘘、、」ハァ、、

 

心底呆れた様に、遠坂は息を吐く。

、、、本当に、知らない物は、どうしようも無いのである。

 

凛「、、貴方、魔術は使えるのよね?」

士郎「?、、魔術かは知らないが、、こんなのは」

 

そう言って、剣を一本創る。

 

凛「、、これは、、投影魔術、かしら」

士郎「得意なのは剣だけど、一応ある程度の物なら創れるぞ」

凛「、、結構精巧に出来てるわね、、、

、、貴方に魔術を教えた人間は、どうなってるのよ、、

魔術は教えているのに、魔術師の事はこれっぽっちも話してないって、、、」

士郎「、、俺に師匠は居ないぞ。」

凛「、、、は?」

士郎「これは、自力で出来るようにしたんだ」

凛「・・・ちょっと待って。、、、頭痛くなってきたわ、、、

、、じゃあ何、貴方、、、

 

魔術が何かも知らないで、魔術を使っていたの?」

士郎「これが魔術って言うのなら、、、そうなるな」

凛(、、そういえばコイツ、碌な詠唱もしてなかった、、)

凛「、、滅茶苦茶、、滅茶苦茶よ!!」

 

キーン!

 

士郎「ッ、、?!」

凛「何よそれ!そんなあやふやな事で、魔術が使える訳無いでしょ!」

 

そうは言われても、、、

 

士郎「、、使える様になる必要があったんだ、、、これは、それの副産物だ。」

凛「、、なら、本命はどんな能力なのよ?」

士郎「、、少し時間が掛かるけど、、良いか?」

凛「えぇ。、、人払いもしてるから、何でもやっちゃいなさいよ!」

 

、、半ば自棄になっていないか?

それと、、、

 

士郎「、、いや、やっぱり待ってくれ。」

凛「、、何よ?」

士郎「助けて貰って置いて何だが、、

遠坂が味方と決まった訳でも無し、見せる訳には行かないんじゃないか?」

凛「げ、、、、アンタ、何でそんな所でしっかりしてるのよ」

 

、、、確信犯だったか、コイツ

 

凛「、、ハァ、、、分かったわ。なら、同盟を組みましょう。

この同盟が切れるまで、私は貴方が生き残れる様に、面倒を見てあげる。

その代わり、貴方は可能な限りの情報提供と、その魔術を私に見せる事、、これで如何かしら?」

 

、、、急に破格の条件になった。

恐らく、これが彼女の最大の譲歩だ。

、、というか、これは俺にしかメリットが無いのではないか?

本当に、助けて貰って置いてなんだが、、

、、まぁとにかく、有難い事に変わりは無い。

 

士郎「、、、いや、願っても無い事だ。

分かった。俺も、俺に出来るだけの事をする。、、約束だ」

凛「それじゃあ、契約成立ね。

、、なら早速、見せて貰おうかしら?」

士郎「あぁ、分かった。」

 

とはいえ、準備自体はさほど時間は掛からない。

胸に手を当て、力を通すだけで良いのだから

 

士郎「・・・」スッ

 

バリバリバリバリッ!

 

、、、中心から、切り替えて行く。

、、何時もより、力の通りが良い。

 

士郎「、、、完了、、」

 

凛「・・・・・・」

 

、、遠坂が、何か言いたそうな表情で絶句しているが、気には留めない。

此処からは、神経を使う工程だ。

 

士郎「く、、」ズッ

 

胸に手を差し入れる。

、、、自身の深層、、時間を超越した場所に、()()は納まっている。

 

士郎「・・・!」ガシッ

 

明確な、()を掴む。、、、それを、ゆっくりと引き抜く

 

ズズズズ、、、

 

凛「、、!嘘、、この魔力の量、、それにこれって、、!」

 

遠坂がうろたえる。

、、ソレは既に、俺の内から取り出された。

喪失感は有るが、、、問題は無い

 

士郎「、、、これだけだ、、、」

凛「・・・これだけって、、言いたい事は色々あるし、文句も言いたいけど、、

、、アンタ、()()、、何処で手に入れたのよ?」

士郎「、、ある人に、託されたんだ」

凛「、、そう、、その人、とんでもない魔術師だったのかもね」

士郎「、、あの人は、きっと、魔法使いだったんだと思う」

凛「、、、流石にそれは無いでしょ、、多分。」

士郎「例えそうじゃなかったとしても、俺にとってはそうなんだ。」スゥゥ、、

 

そして、ソレを元に納める。

 

凛「、、まぁ良いわ。

貴方はキチンと契約を守ってくれた訳だし、、、私も、契約は守るわ。

手始めに、、そうね、、、今日の夜、新都の教会にでも行きましょうか。」

士郎「、、何でだ?」

凛「アンタは知らないでしょうけど、あの教会には聖杯戦争の監督役が居るのよ。

、、まぁ、いけ好かない奴だけど、、ルールなら、アイツに聞くのが一番手っ取り早いわ」

士郎「そうなのか、、あぁ、分かった」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

、、そろそろ昼休みが終わる。

 

凛「あら、もうそんな時間だったのね。

そろそろ戻りましょうか」

士郎「そうだな」

 

 

 

、、、その後、遠坂と一緒に戻っていた所を生徒に見られ、ちょっとした騒ぎになった。

 

結局、遠坂以外の魔術師には出会う事無く、帰宅した。

 

―――――

 

~■■邸~

 

 

セイバー「、、、それで、何の警戒も無く彼女の言葉に乗ったと?」

士郎「あぁ」

 

、、家に帰って開口一番にセイバーが聞いてきたのが、遠坂との事についてだった。

そこで、屋上での会話の内容を話すと、、

 

セイバー「貴方は何を考えているのですか!

その相手は、貴方とは違い列記とした魔術師なのですよ!

それを、『一度助けられたから』などと言う理由で信用するなど!」

士郎「それでも、一度は助けてくれたんだ。、、その礼を言うのは、当然の筋じゃないか?」

セイバー「時と場合が有るでしょう!

、、今回ばかりは、貴方の無知さと、相手の甘さに感謝せざるをえませんね、、」

士郎「・・・」

セイバー「、、教会へ向かう際は、当然私も同行させて頂きます。

私が直接、信頼に足る相手かを判断しますので」

士郎「あぁ、分かった」

 

 

 

士郎「、、、あ」

セイバー「?如何しました、シロウ」

士郎「そういえば、、、俺、アイツに家の場所教えてなかったな」

セイバー「はい?」

 

―――――

 

~夜~

 

士郎「・・・」

セイバー「・・・」

 

、、、20:30分、、遠坂は、まだ来ない。

 

士郎「・・・よし、探しに行くか」

セイバー「、、行き違いになる可能性が有ります」

士郎「なら、セイバーは家で待っていてくれ。」

セイバー「いえ、私が探しに行きましょう」

士郎「・・お前、遠坂の顔、知ってるのか?」

セイバー「・・・」

 

これにはセイバーも何も言えず、俺が捜しに行く事になった

 

~~~

 

商店街

 

シーン、、、

 

士郎「、、俺も、アイツの家を知ってる訳じゃないが、、」

 

、、、セイバー曰く、、マスターはマスターの魔力を感じ取れるらしい。

俺もその端くれなら、少し位は感じる物があるだろう。

 

 

ヒュゥゥゥゥ、、、

 

士郎「・・・」

 

、、、刻限は9時まで、、それ以降は、危険なので帰って来い、との事だった。

 

 

ォォオオ、、、

 

 

士郎「・・・何だ?」

 

、、上り坂の向こう、、夜の闇に紛れているが、、何かが居る

 

 

「・・・」

 

、、ソレの、黒い瞳と目が遇う。

 

士郎「、、、?」

 

、、、獲物を狙う蛇の如き鋭さと、、何処か、哀しみを帯びた眼だった。

、、とても奇妙な感覚だ、、、まるで―――

 

「、、あら?藤村君じゃない」

士郎「!」クルッ

 

咄嗟に振り向くと、、遠坂が居た。

 

凛「こんな所で如何したのよ?

、、、あ、もしかして、私を迎えに来てくれたとか?」

士郎「そうなんだが、、、?居ない、、」

 

もう一度見ると、、夢か幻だったのか、、ソレは、既に去っていた。

 

 

凛「?居ないって、、何の事よ?」

士郎「・・・いや、気にしなくて良い。

それよりも、、遠坂、今家から出た様な口ぶりだけど、、、俺の家の場所は知らないだろ?

俺が来なかったら、如何するつもりだったんだ?」

凛「あぁ、そうだったわね、、、でも大丈夫よ。

貴方の魔力は、学校で見せて貰ったし、、それを辿って行く事も出来たわ。

、、そも、一応私、貴方の家は知ってるのよね」

士郎「?、、何で知ってるんだ?」

凛「・・・・・・ま、まぁ、それは企業秘密ってコトで良いでしょ?

魔術師が、あまり手の内を見せるのも良くないし!」

 

企業秘密も何も、、知らぬ間に家の場所をリークされていたこちらとしては、堪った物ではないんだが、、

 

士郎「、、一応、納得はしておく」

凛「えぇ、それで良いのよ。

、、それじゃ、行きましょうか」

士郎「、、あ、待ってくれ。家にセイバーが残ってるんだ」

凛「!、、あぁ、、行き違いを気にしてたのね。

、、まぁ確かに、この時間ならまだ襲われる事は無いでしょうけど、、それでも迂闊ね」

士郎「、、確か、令呪を通しての会話が出来るんだよな」

凛「えぇ。丁度良いから、此処でセイバーを呼んだら?」

士郎「分かった」

 

腕に意識を集中させ、頭の中で言葉を発する

 

士郎『セイバー、聞こえるか?』

 

 『はい、シロウ。、、魔術師は見つかりましたか?』

 

士郎『あぁ、今合流した。

、、セイバー、今からこっちに来れるか?』

 

 『了解しました。3分程でそちらに合流しましょう』

 

士郎「、、、3分で来るらしい」

凛「そ、なら丁度良いわ。

貴方のセイバーが来たら、私のサーヴァントも見せるから」

士郎「そうか」

凛「、、それにしても、、まさか、貴方がセイバーを召喚するなんて、、

素人以前なのに、何か生意気よ」

 

、、、幾らなんでも、理不尽な罵倒だ。

 

士郎「そんな事言われてもな、、

、、なら、そういう遠坂はどんなサーヴァントを召喚したんだ?」

凛「そうね、、ま、クラス位なら良いでしょ。

弓兵(アーチャー)よ」

士郎「アーチャー、、、」

 

、、、遠坂が知っているかは分からないが、、俺には、そのサーヴァントに覚えがある。

、、あの夜、、校庭でランサーと戦っていた、、、褐色肌と白髪に、二振りの剣を持った、赤い外装の男。

恐らく、あれが遠坂のサーヴァントだろう。

 

士郎「、、まぁ、憶測だけどな」

凛「何?何か言った?」

士郎「いや、何も」

 

、、そうこうしている内に、近くにセイバーの気配を感じ取れる程になった。

 

士郎「、、そろそろ、セイバーが来る」

凛「そう。、、、って待って、この気配って、、」

 

タン タンッ・・・スタッ

 

 

セイバー「、、お待たせしました、シロウ」

シロウ「いや、それほど待ってもいないぞ」

 

、、時計等は持っていないが、恐らく、丁度の時間だろう。

そう感じる程颯爽と、鎧を纏った少女は到着した。

、、、のだが、、

 

凛「・・・・」

 

、、何故か、不機嫌な人間が一人、、、

 

凛「、、貴女がセイバー、で良いのよね?」

セイバー「そう言う貴女が、シロウを救った魔術師ですね。

、、主の命を救ってくれた事、感謝致します。」

凛「そんな事は良いのよ。

、、、それより貴女、霊体化は如何したのよ?

まさか、此処まで生身のまま来た、って言うんじゃないでしょうね?」

セイバー「その通りです。

、、勿論、人目に付かない様、場所は選びましたが」

凛「、、、呆れた、、もしかして貴女、<霊体化>が出来無いの?」

セイバー「!それは、、、えぇ、その通りです。」

 

、、今、聴き慣れない言葉が出てきた。

 

士郎「、、遠坂、その霊体化って、何だ」

凛「そうね、、簡単に言えば、幽霊になるのよ」

士郎「、、成る程、分かりやすいな」

 

サーヴァントは、つまりは魂が擬似的な身体を持った存在だとか。

だから、実体と霊体を切り替える事が可能らしい。

 

士郎「、、、霊体化が出来無いって事は、、セイバーは、生きてるって事か?」

凛「まさか。英霊って言うのは、基本的には死んでから、成る物なのよ。

、、、まぁ、確かに、稀に例外も有るけど、、」

セイバー「はい。シロウ言う通り、私は、生きながら英霊と成りました。」

凛「―――って本当に!?」

 

例外のマスターには例外のサーヴァントが就く物なのね、、、と、遠坂がぼやく。

 

士郎「、、、霊体化が出来無いのは確かに不便だが、、

それを考慮した上でも、セイバーは優秀なサーヴァントだと思う。」

凛「でしょうね。

、、ランサーを撃退した時の話を聞く限りじゃ、恐らく最優かも知れないわ。

元々、セイバーのサーヴァントは、軒並み能力が高いのよ」

士郎「、、なら、遠坂のアーチャーは如何なんだ?」

凛「そうね、、丁度良いし、自己紹介と行きましょうか。

コイツも、さっきから姿を現したくてウズウズしてるしね」

セイバー「、、、アーチャーの、サーヴァント、、!」キッ

 

、、アーチャーと聞いた途端、セイバーの表情が強張る。

、、何か、思う所が有るのだろうが、出来れば剣は構えないで欲しい

 

凛「来なさい、アーチャー」

 

シュゥゥゥ、、、

 

アーチャー「、、このまま出られぬかと、冷や冷やしたぞ、凛。

、、おっと、これまた、随分な歓迎だな、セイバー」

セイバー「、、、サーヴァントとの対峙です。、、警戒をしない方が可笑しいという物」スッ、、

アーチャー「フッ、、如何やら、私達は微塵も信用されていない様だな?」

凛「、、ま、そりゃそうでしょ。

私だって、得体の知れない人間とこうやって対峙したら、警戒するもの。

、、それでも、何時までも警戒されてちゃ話が進められないわね、、」

 

確かに、これでは何時までも関係が良くならない、、

俺と遠坂は、一応共闘関係にある。、、出来れば、セイバーにも納得して貰いたいが、、

 

士郎「、、セイバー、やっぱり、遠坂は信用出来無いか?」

セイバー「、、、いえ、彼女は信用に値するでしょう。

もしも敵であれば、私が此処に来るまでに士郎は死んでいた、、

それに、他にも貴方を狙う機会は幾らと有った筈です。

、、私も、少々過敏になっていた様です、、、」

凛「あら、意外とアッサリ信用されたわね、、

、、でも、説得する手間が省けて助かったわ。

私は遠坂 凛、勿論魔術師よ。

貴方のマスターとは協力関係になるから、宜しく頼むわね、セイバー」

セイバー「えぇ。こちらとしても、貴女の助力は非常に有難い。

宜しく頼みます、リン」

凛「、、、で、こっちはアーチャー。

ちょっといけ好かないヤツだけど、家事は完璧なのよね」

セイバー「家事が、、?そんな英霊は、聞いた事が有りませんね」

 

息が合ったのか、二人は会話を弾ませている。

、、しかしそこに、一人の男が横槍を入れた。

 

アーチャー「、、凛、此処で馴れ合いをするのは構わんが、、本来の目的を忘れてはいないだろうな?」

凛「!そうだったわね。

そろそろ行きましょうか、他の参加者が動き出すと面倒だわ」

「分かった」「えぇ」

 

 

 

 

そして、歩く事数十分、、、新都と深山町を繋ぐ橋を渡り、教会へと向かう。

 

―――――

 

~新都~

 

 

士郎「、、、静かだな、、」

 

夜間の新都は、物言えぬ不気味さがあった。

人は一人も見えず、、、しかし、何処かに目が有る様な感覚、、

 

凛「、、気をつけなさい。何処かから見られてるわ」

士郎「!、、何処だ?」

凛「頭に来るけど、それが分からないのよ、

多分、サーヴァントだと思うんだけど、、」

セイバー「、、相当の使い手ですね、、私も魔力は感知出来ますが、位置が分かりません」

 

二人とも、歩調や顔色は変えず、落ち着いている。

 

凛「、、アンタは、下手に変な動きするんじゃないわよ。

あくまで、普通にしてなさい」

士郎「あぁ」

 

、、恐らく、遠坂は逆探知をするつもりだろう。

だがしかし、、そんな相手が、教会に着くまでに尻尾を見せるだろうか?

 

 

 

 

 

~教会~

 

凛「、、結局、最後まで影も形も無かったわね、、

、、、此処までの気配遮断能力、、アサシンかしら」

士郎「此処は安全なんだろう?、、、なら、今は入った方が良い。

、、悔しいのは理解するけど、意地を張ると、碌な事にならないだろう」

凛「、、そうね、、癪だけど、今はそうするしかない、か、、」

 

セイバー「、、では、私が見張りを勤めましょう。

二人は、安心して話を済ませてきて下さい。」

士郎「分かった。、、有難う、セイバー」

 

 

凛「、、先に言っておくけど、、アイツは、私の兄弟弟子よ。

その上、とんでもなくいけ好かない神父だから。」

士郎「、、成る程、地が出た遠坂がキツイのは、ソイツの影響か」

凛「うっさい。、、けど多分そう、、絶対そうなのよ。

、、で、ソイツの名前は、、」

 

ギィィィィ、、、

 

、、重々しい音を立て、大扉は開かれた。

それを、大股で通り過ぎる

 

 

バタン

 

 

、、スタンダードな内装だ、、

その中心に、、男は立っていた。

 

凛「、、言峰綺礼、、来たわよ」

 

言峰「漸く来たか、凛。

まさか、最後まで来ないかと焦ったぞ」

 

、、神父であろう男は、心にも思っていないような口調で話す。

 

凛「、、本当なら、そのつもりだったわよ。

でも、事情が変わったの」

言峰「ほう?、、それは、そこの少年の事か」

凛「えぇ。、、コイツもマスターなのよ。

でもコイツ、聖杯戦争所か、魔術の事もからっきしなの。

だからせめて、この戦争の事だけでも知って貰わないと困るから、アンタを使う事にした訳」

言峰「、、、経緯は如何でも良いが、、お前には感謝せねばな。

お前が居なければ、凛が此処に来る事も無かっただろう」

士郎「、、、」

 

言葉など、数回しか交わしていないというのに、解ってしまう。

、、きっとこの男は、自分に興味が無い。

 

それが、、何故か、無性に腹が立つ。

 

 

士郎「、、アンタが、監督役何だろう?、、なら、役割を果たして欲しい」

言峰「、、ほう?

して、お前は何を知りたい?」

士郎「、、この、聖杯戦争の事だ。

何故起こり、如何すれば終わるのか、、それだけだ」

言峰「では、先ずは何故、と言う事から始めよう」

 

言峰「、、聖杯戦争が起こる原因は、そこに聖杯が在るが故に、だ。

その聖杯の起因は、200年前に遡る訳だが、、、まあ、お前にとっては如何でも良い事だろう。

、、肝心なのは、その聖杯が、万能の『願望器』であると言う事。」

士郎「、、つまり、何でも願いを叶えてくれるって事か」

言峰「そうだ。、、だが、その聖杯は、人間の手では掴む事が出来無い。

、、そこで、魔術師達が必要とした物、それが――」

士郎「英霊、、7騎のサーヴァントか」

言峰「、、そう、、しかし、英霊をサーヴァントとして召喚したとして、そのサーヴァントをそのまま使役出来るとも限らない。

首枷の無い猛犬は、時に飼い主をも噛み殺すからな」

士郎「それで、令呪というシステムを作ったのか」

言峰「理解が早いな。

、、続けて、如何すれば終わるのか、だが、、、」

 

言峰「お前以外の、6体のサーヴァント、、それ等を全て倒せ、聖杯戦争はそれで済む。

、、そして、それを終えた後、、聖杯が、姿を現すだろう。

、、では、此処で問おう。」

 

 

 

言峰「お前は、マスターとして戦う気は有るか?」

 

 

、、真っ直ぐ、俺を見下ろして、神父はそう言った。

 

、、あぁ、それは―――

 

 

 

 

士郎「勿論だ。 俺には、願いが在る」

 

神父の眼を見据えて、力強く言い放つ

 

言峰「―――ほう」

 

俺を見る神父は、したり顔になっている。

、、、恐らく、俺の返答を愉しんでいるのだろう

 

 

士郎「、、、用件はもう無い。、、時間を取らせて悪かった」

言峰「いいや、、私も、興味深い事を聞かせて貰った。」

 

言峰神父に背を向け、扉へと向かう。

 

凛「、、、それじゃ、行きましょうか」

 

そして、扉の前に立つと―――

 

 

言峰「、、あぁ、忘れる所だったな」

 

、、言峰神父は、思い出したように頷き―――

 

 

 

言峰「悦べ、名も無き少年よ。お前の願いは約束されている」

 

、、、よく、分からない事を口にした。

 

言峰「、、では、健闘を祈っておこう」

 

 

 

士郎「、、、行くぞ、遠坂。

、、アイツは、気に食わない」

遠坂「!え、えぇ、、そうね」

 

、、その時の遠坂は、驚きと恐れが混じった様だった。

一体、彼女の眼に映る俺は、如何見えているのだろうか。

 

 

ギィィィィ、、、

 

 

士郎「・・・」

 

、、、やるべき事は、此処で見つかった。

 

するべき事は、生まれた時から既に解っている。

 

 

そして、、成すべき事に、俺の生涯(これから)を掛ける。

 

だから、俺はこの戦争に勝つ。

、、勝って、全ての未練を晴らす為に。

 

 

バタン

 

 

 

 

セイバー「・・・話は済みましたか?」

士郎「、、あぁ、、俺は、マスターとして戦う。

俺がマスターでも問題ないか?セイバー」

セイバー「勿論です、シロウ。

私は、貴方のサーヴァントですから」

士郎「、、感謝する、セイバー」

 

改めて、主従を誓う。

、、セイバーが居るなら、きっと勝てる

 

 

そう思った時――――

 

 

 

 

 

 

 

「お願いバーサーカー。、、、あの人達を、倒して」

「承りました、お嬢様」

 

 

ダンッ!

 

 

セイバー「―――!シロウ、危ない!」

士郎「なっ―――

 

ドゴァッ!

 

セイバー「が、、ッ!」ヒュン

 

バキバキバキバキ、、、

 

 

「・・・」

士郎「―――」

 

最強が、、、目の前に、立っていた



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狂嵐

士郎「―――」

 

一撃を受けたセイバーは、吹き飛ばされ、木々を3本、4本と薙ぎ倒し、、漸く止まった。

 

遠坂「ッ、、!速く逃げなさい!藤村君!」

士郎「、、!」

 

遠坂の言葉で、漸く気付く。

自分に、危機が迫っている事に

 

士郎「く――!」

 

即座に、武器を創り出―――

 

ッパァァン!

 

――す前に、腹部に強烈な衝撃を受け、、気が付けば、俺の身体は数十m吹っ飛んでいた。

 

士郎「――ガ、、ッ、、!」ゴロゴロ、、

士郎(、、何、、が、、、起き――?)

 

理解が追い付かないまま、考える。

身体は今だ、痺れた様に動かず、口も呼吸という役割を果たさない。

 

士郎「ガフッ、、カハッ、、、、ハァ、、ハァ、、、」

 

異物を吐く様に二酸化炭素を出し、漸く口が機能をし直す。

 

 

凛「ッ、、!アーチャー!」

アーチャー「不味い状況だな、、!部が悪すぎるぞ、凛!」ザッ

 

 

、、白髪の男が、遠坂を守る様に立つ。

だが、、幾ら何でも、無茶だ。

あの重い攻撃を受け続ければ、数分と持たないだろう。

 

、、、だからこそ

 

 

 

士郎「ッ、、俺が、倒れてる訳には、、行かない、、、!」グググ、、

 

内部の再生は、今始まった。

、、だが、衝撃による神経の麻痺だけは、どうしようもない。

産まれ立ての小鹿の様に、震えながらも何とか立ち上がる。

 

、、、立ち上がりながら、敵を視る。

3m以上はありそうな巨躯に、もはや筋肉その物とも言えるであろう強靭な身体、、

、、そんな怪物が、俺とセイバーを吹き飛ばしたのだ。

 

 

バーサーカー「、、ぬ、、手加減したとはいえ、我が一撃を耐えるとは」ガキンガキィンッ

アーチャー「チッ、、!立ち上がれるのなら、さっさと逃げるなりしろ!

セイバーとて、あの一撃では無事ではない筈だ!」キンキィンッ!

 

士郎「、、、!」

 

、、逃げる、、?此処で?遠坂を見捨てて?

 

―――そんな事、出来る筈が無い

目の前で死ぬかも知れない人間を、どうして見捨てる事が出来るだろうか。

 

ならば、やる事は決まっている。

 

 

士郎「奴の力に負けないだけの、、武器が必要だ、、!」

 

凛「ッ、、!何言ってるの!速く逃げなさい!」

 

外の声を、シャットアウトする。

 

敵の武器は、無骨な石の斧剣、、それ自体は、何の問題も無い、、

しかし、問題なのは、怪物染みた奴の腕力にある。

あの腕力の前では、どんな名剣でも、容易くへし折られるだろう。

、、、だからこそ、、折れない剣が必要だ

 

 

 

士郎「、、、理想(イメージ)しろ、、、!」

 

不変の鞘の、、その為の剣を、、!

 

 

時間は無い、、回路は全て開き、魔力をその一本に集中させる。

100分を一秒に縮め、全工程を通し(スルー)し、、

 

士郎「、、、工程、、完了!」ブォンッ

 

、、、何時もの剣とは違う、、淡い黄金に光る剣が、手に納まった。

 

 

 

 

士郎「、、、俺が、止める、、!」ダッ

 

 

interlude

―――

 

 

アーチャー「く、、ッ!」

アーチャー(何だ、この剣撃は、、!?

バーサーカーが、これほどの技術を用いれる筈が無い、、)

バーサーカー「、、弓兵とは名ばかりか、、これほど良き剣士であれば、打ち合い甲斐が有ると言う物!」ヒュンッ!

アーチャー「、、!そうか、、!貴様、狂化が薄いな!

ならば、その太刀筋も納得だ!、、ハッ!」キィンッ

バーサーカー「その通り、、我がマスターの意向により、幾分か狂化を抑えているのだ。

、、少々気が楽になったか?双剣の騎士よ!」グオッ!

アーチャー(冗談でもなる物か!

知性を持ったバーサーカーとは、、知性が無いより性質が悪い!)

 

アーチャー「凛!援護を!」

 

凛「分かってるわよ、、!」

 

凛「Gewicht, um zu、Verdoppelung(重圧  束縛  両極硝)―――!」

 

黒曜石を中空に放るのと同時に、飛び上がり、弓を射るアーチャー。、、しかし、、

 

バーサーカー「オオオオッ!!」ブンッ!

 

メリメリメリ、、、ドゴォォォッ!

 

バーサーカーは、地面に大剣を叩きつけ、盛り上がった地面で、飛来する宝石を防ぎ、、

 

凛「嘘っ!?」

 

 

バーサーカー「逃がさん!」ドンッ!

アーチャー「ッ!」

 

矢の雨を、意にも返さずアーチャーへと迫る

 

 

アーチャー「チィッ、、!」シャキッ

 

アーチャーは、即座に二振りの剣を手に持つ。

 

バーサーカー「ヌゥオオッ!」ブンッ!

 

ガキィッ! ヒュゥゥゥ、、

 

しかし、バーサーカーの一撃で、アーチャーは地面へと叩き落される。

 

ゴシャァッ!

 

アーチャー「ぐぉ、、ッ、、!」

凛「アーチャー!」

バーサーカー「、、終わらせるには惜しい一時だった、、が、これもお嬢様の為、、此処で、再起不能となって貰う。」

アーチャー「チィッ、、!」

 

バーサーカーが、止めと剣を振り上げた瞬間―――

 

士郎「ウオオォォォッ!」

 

少年の咆哮が、木霊した

 

interlude out

―――――

 

士郎「オオオッ!」ヒュンッ

バーサーカー「、、私の力を体験して、、尚向かってくるとは、、その蛮勇、見事!」グオッ!

 

ガギィッ!

 

士郎「くッ、、!」ギリギリギリ、、

バーサーカー「、、!その剣、、面白い!

それで、何処まで私と撃ち合えるか、思う存分に試してみよ!」

士郎「オオォッ!」ヒュッ

 

ギィンッ! ギィンギィン!

 

凛「嘘、、!アイツ、、サーヴァントと互角に撃ち合ってる!?」

アーチャー「、、何だと、、?」

 

 

士郎「ッ、、!」

 

身体が悲鳴を上げている、、

一撃一撃が、身体の隋まで響く、、

 

だが、まだ、、こんなもんじゃない、、!

 

士郎「オオオァァ!」

 

まだ速く、更に撃つ、、!

剣戟は加速し、(理想)は更に堅くなる。

、、今まで、こんな事は無かった。

 

バーサーカー(力の差を、文字通り武器で補っている、、

、、、私の強力に匹敵する剣、、)

士郎「くっ、、おぉぉっ!」ヒュンッ

バーサーカー「、、ヌゥンッ!」ズアッ!

士郎「、、!」

士郎(斬り上げ―――不味い!)

 

 

ギィンッ! クルクル、、ドスッ

 

 

士郎「ッ、、!」

 

武器を弾かれた、、!それに、、

 

凛「アンタ、腕が、、!」

 

、、、最後まで剣を握っていた右腕が、、剣と共に、吹き飛ばされた。

 

士郎「クソ、、!」

 

片腕だけでは、剣を創ったとしても、まともに振る事が出来無い、、

、、、此処までか、、、

 

「、、あれ、、、あの人、、?」

 

 

、、何処かから、そんな声が聞こえた気がする。

 

 

 

「こちらだ、バーサーカーッ!」ヒュゥォォォ!

 

バーサーカー「!ヌゥッ!」ギィンッ!

 

ザザザザ、、

 

疾風の如き剣線が、バーサーカーを弾き飛ばす

 

士郎「!」

 

自分を守ってくれたのは、、やはり、あの少女だった

 

 

セイバー「申し訳有りません、シロウ、、!」

 

、、セイバー、、つい先程吹き飛ばされた彼女が、戦線復帰していた。

 

士郎「、、有難う、、セイバー」

セイバー「しかし、、貴方に怪我を負わせてしまった、、

、、一時とは言え、戦場で気を緩めた、私の落ち度です」

士郎「、、なら、時間稼ぎを頼めるか?

遠坂達が退却するまでだが」

セイバー「お任せ下さい。

、、先程の失態を、挽回する機会です、、!」

士郎「あぁ、、だが、失態だったら返上しよう、セイバー」

セイバー「、、、///」

 

士郎「、、という事だ。

時間稼ぎは俺達がする。、、お前は、一度退いてアーチャーを休ませるんだ」

 

凛「ッ、、、えぇ、、悔しいけど、ソイツには私達の攻撃が通じないみたいだし、、

、、、藤村君も、死ぬんじゃないわよ」

士郎「当たり前だ」

 

、、元より、此処で死ぬつもりは無い。

 

凛「退くわよアーチャー、

、、、離脱するまで、何とか持ち応えなさいよ」

アーチャー「、、あぁ、、善処しよう、、」

 

タッタッタッタッ、、

 

 

バーサーカー「、、、万全の貴女と私では、少々分が悪いか、、、」

セイバー「、、、不意打ちを掛けておいて、易々と退けると思うな、バーサーカー。」

バーサーカー「、、確かに、貴女が相手とあれば、退却すらも命がけとなろう。

だからこそ、元より「一度」は覚悟の上なのですよ」

セイバー「、、、では、今此処で散ろうと、文句は無いな?」

 

「・・・」「・・・」

 

、、冷たい空気が奔る。

セイバーは、此処で決める気だ。

 

士郎「、、、俺も、、」

 

千切れた右腕は、今も再生が進んでいる。

 

セイバー「、、シロウ、貴方は下がって。

、、此処からは、奴も本気で来るでしょう」

士郎「本気、、?」

 

、、今までのは、本気では無かったというのか?

 

バーサーカー「、、行くぞ、麗しき乙女の騎士よ!」ダンッ!

セイバー「来い、バーサーカー!」タッ!

 

二人が衝突する、寸前――

 

「待って!バーサーカー!」

士郎「、、!待て、セイバー!」

 

、、少女の声がした。

何処かで聞いた覚えの在るソレに、俺は咄嗟に反応した。

 

 

 

二人「「!」」ザザッ

 

、、二人の動きは止まったが、その眼は互いを見つめたままだ。

、、だが、そんな事よりも―――

 

「、、貴方は、、あの時の、お兄ちゃん、、?」

 

バーサーカーを止めた少女が、目に留まった

 

士郎「、、そうか、、道理で、聞いた覚えが有ると思った、、」

 

白い髪に、紅い瞳、、彼女は、通学路で出会った、あの少女だった。

 

セイバー「、、貴女は、アインツベルンの――」

「、、、セイバー。それ以上は言わせないわ」

セイバー「、、、何故、貴女がシロウと面識を?」

「シロウ、、貴方の名前は、シロウって言うのね。」

士郎「、、あぁ、君の名前は?」

「、、、私は、イリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。」

 

、、イリヤ、、、あぁ、始めて聞いた名前だ。

 

士郎「、、イリヤ、、時間が無いと言ったのは、、聖杯戦争(これ)が始まるからだったのか?」

イリヤ「、、うん。

でも、、、やっぱり、、お兄ちゃんも、戦うのね、、」

 

イリヤは、心底悲しそうに言った。

 

士郎「、、イリヤは、、俺がマスターになると分かっていたのか?」

イリヤ「うん。、、だって、あの日見た時には、もう令呪の予兆があったから、、」

士郎「そうだったのか、、、

、、今度は、俺から聞いて良いか?」

イリヤ「、、、何?シロウお兄ちゃん」

士郎「何で、お前は俺達を襲って来たんだ?」

イリヤ「それは、、、」

 

ヒュッ

 

―――それは、唐突だった。

 

士郎「!イリヤ、危ない!」

イリヤ「え――」

 

影から放たれた短剣は、イリヤを射殺さんと迫り―――

 

ドスドスドスッ!

 

士郎「ッ、、グ、、ゥ、、!」

 

惜しくも、俺という肉壁に阻まれた。

 

セイバー「ッ、、!シロウ!」

士郎「セイバー、、!俺より、敵の警戒をしろ、、」

セイバー「しかし、貴方が!」

士郎「、、俺は大丈夫だ、、とにかく今は、此処から離れた方が良い、、!」

イリヤ「っ、、バーサーカー!」

バーサーカー「ハッ、お嬢様」

イリヤ「、、セイバーの代わりに、アサシンを追い払って来て。

私は、、シロウお兄ちゃんと一緒に、此処から逃げるわ」

バーサーカー「はい。その様に、、、ですが、その前に。」

 

バーサーカーは、こちらを向いた。

 

バーサーカー「、、、蛮勇の少年よ」

士郎「っ、、何だ、、?」

バーサーカー「我がマスターへの献身に、限りなき感謝を、、」スッ

士郎「、、あ、あぁ、、」

 

、、、本当に、コイツは狂戦士(バーサーカー)なのだろうか、、

そう思う程、この大男は紳士(ジェントルメン)なのだった。

 

バーサーカー「、、では、お嬢様を、どうか!」ドンッ!

 

、、、大きな嵐が過ぎ去ると、小さな三人だけが残っていた。

 

セイバー「、、シロウ、肩を貸します。、、歩けますか?」

士郎「あぁ、、、流石に、今日は傷を受け過ぎた、、、、」

イリヤ「、、お兄ちゃん、、」

士郎「、、イリヤ、、さぁ、、早く離れるぞ」

 

俺の傷は、途中で癒えたものの、自力で歩く程度の余力は無かった。

結局、家に辿り着いた時には、日が顔を出し掛けていた、、

 

 

 

 

――――

 

 

 

 

 

―――――遠い 夢を観ていた

 

 

 

黒い月は全てを焦がし

赤い大地は人を燃やし

俺を生かした悪魔は、おれを殺した。

 

、、、おれだけが、醜く生き残ってしまった。

、、だから、代わりに俺が、全てを背負った

 

―――って、言うんだ』

 

、、、その、願いを、、

 

「死にたくない』

 

、、、その、無念を、、

 

『生きたい」

 

、、、その、未練を、、、

 

 

 

何時か、俺が晴らす(購う)と、誓ったのだ。

 

、、だって、、それは、俺しかしてやれない事なのだから。

 

、、、その為に、生まれてから10年を、全て、それだけに注ぎ込んできたのだから

 

 

 

 

その為に、人は理想を求めたのだから

 

 

 

 

 

――――――

 

 

士郎「、、、」

 

、、今日も、目が覚めた。

何の変わりも無い、何時もの自分だ。

 

、、ただ、何時もと違うのは、、、

 

イリヤ「、、、」

士郎「・・・」

 

、、昨日の少女、、イリヤが、俺の隣で眠っている事だが、、、

 

 

桜「先輩、朝ですょ、、、―――先輩、その子は誰ですか?」

 

士郎「、、、おはよう桜。

早速で悪いんだが、この子は俺の知り合いだ。」

桜「嘘です。先輩は、社交性が無いに等しいんですから」

士郎「・・・」

 

、、この後輩、、言う事が日に日に直球になっていく、、、

 

 

士郎「、、外国の親戚何だ。

どうやら、昨日久々に来日したみたいでな。

待ち切れなくて、遊びに来たらしい。」

桜「・・・・・・」

 

、、、勿論、桜は疑っている。

しかし、、その眼は、俺というより、イリヤを見つめている様だった。

 

桜「、、その子のお名前は、何ですか?」

士郎「イリヤだ」

桜「、、、分かりました。

藤村先生が来たら、そう説明しますね」

士郎「、、、済まない」

桜「いいえ。、、でも、今回は特別ですからね。」

 

その子だから、許します。、、桜はそう言った

 

士郎「、、、そうか、、桜が良いのなら、それで良い」

 

、、それで終わり。

桜は機嫌を持ち直し、俺は落ち込む、

そんな、何時もの風景。

 

 

 

イリヤ「、、、あれ、、お兄ちゃん、、?」

士郎「、、おはよう、イリヤ。

随分気持ち良さそうに寝ていたぞ」

イリヤ「それは、、、誰かと一緒に眠るなんて、久しぶりだったから、、、」

 

イリヤは、顔を赤らめてモジモジしている。

 

士郎「、、、なら、顔を洗って、サッパリしてくると良い。

居間に着く頃には、朝飯が出来てるだろうからな」

イリヤ「!、、良いの、、?」

士郎「あぁ。、、折角なんだ、飯位食って行っても罰は当たらないだろ

、、それに、、イリヤは、敵じゃない。

だからこそ、昨日はあぁして、止めてくれたんだろう?」

イリヤ「・・・」

士郎「、、さぁ、イリヤ、何時までも上に居たら、布団が仕舞えないぞ?」

イリヤ「あ、、うん」

 

イリヤは、素直に布団から降りた。

ぱたん ぱたんと布団を畳み、押入れへと仕舞う

 

 

 

士郎(、、、朝御飯は、如何しようか)

 

――――――

 

 

イリヤ「―――」

 

びっくりした。

 

イリヤ「これ、、、」

 

自分の眼を、疑った。

 

士郎「、、折角イリヤが来てくれたからな。洋食にしてみたんだが、、、、」

 

 

色んな種類のサンドイッチに、クルトンとパセリが綺麗に乗ったポタージュ。

サラダは瑞々しくて、おまけにデザートには、イチゴのジャムがたっぷり乗った、ババロアまで。

、、、お兄ちゃんは、魔法使いなのかも知れない

 

士郎「勿論、桜も手伝ってくれたんだ」

桜「はい。折角来てくれたんですから、コレ位はお持て成ししないとですよね!」

イリヤ「、、、凄いね、二人共、、」

 

心の底から、二人に感心する。

、、、ちょっと呆けた声になったけど、、、寝起きのせいだと思う。

 

士郎「、、じゃあ、、頂きます」

三人「「「頂きます」」」

 

士郎「、、、桜、飯を食べたら、少し話がある。」

桜「?、、はい、分かりました」

 

 

イリヤ「あ、、んっ、、」

 

サンドイッチを一口食べる。

、、ほんのりと、バターに混ざったマスタードの香りに、トマトの酸味が効いていて、とても美味しい

 

イリヤ「ん、、」コクコク

 

次に、ポタージュを飲む。

まったりとした味わいに、優しい甘さが丁度良い

 

イリヤ「、、?」

二人「「・・・」」

 

、、ふと、二人が自分を見つめているのに気が付く。

 

イリヤ「あ、、えっと、、」

 

、、食べてはいけなかったのだろうか、、

でも、隣に居るセイバーは、、

 

セイバー「、、、」モグモグ

 

何食わぬ顔で6個目に手を延ばしている。

 

セイバー「コクコク、、♪とても美味です、シロウ、サクラ」

 

、、訂正。何食わぬ顔ではなく、食べないなら全部私が食べてしまうぞ、という微笑だった。

 

士郎「、、あ、悪い。イリヤが余りに美味しそうに食べるもんでな、、」

桜「はい、、見入っちゃいました」

イリヤ「!、、、」

 

、、、それはきっと、、久しぶりに、誰かと一緒にご飯を食べているからだ。

 

イリヤ「、、それは―――」

 

スパーン!

 

 

大河「シィィロォォ君ー!

家に、桜ちゃん以外の靴が二つも在るじゃないの!

――――って、あら?」

 

、、、この虎、全く以って空気が読めない様だ。

 

イリヤ「」ビクッ

セイバー「・・・」モグモグモグモグモグ

大河「、、、女の子を二人も連れ込むなんて、、しかも、一人は小学生位じゃない!

、、、士郎君!"」

士郎「、、おはよう御座います、藤村先生。

、、、先ず、何時から此処はアンタの家になったんだ?

それに、俺もお客さんを呼ぶ事だって在る。」

大河「うっそだぁ~!

士郎君が自分から人を呼んだのなんて、今までで桜ちゃん位じゃない!」

士郎「、、そこに、自分は入れないんだな」

大河「私?、、私は勿論じゃない。士郎君は分かってるだろうから、あ え て!言わなかったのよ~♪

、、、ってぇ!話を逸らさない!、、それで、その子達は誰なの?」

士郎「、、この子はイリヤ。

俺の親戚で、昨日来日して来たんだ。

それで、こっちはセイバー。一昨日、商店街で会った。

日本に来るのは始めてで、泊まる家が無いと言ってたから、暫く家を貸す事にしたんだ。

士郎「、、因みに、この人は藤村 大河、、

俺や桜が通っている学校の教師だ」

セイバー「では、挨拶が必要ですね。

暫くの間ですが、宜しくお願いします、タイガ」

イリヤ「、、よろしくお願いします、大河さん」

大河「えぇ、宜しくね。セイバーさん、イリヤちゃん」

大河「、、、で、、士郎君。セイバーさんは、本当にただの居候なの?」

セイバー「・・・」ゴクッ

士郎「、、、!」

 

、、何て事だ、、まさか、この人がこんな質問をするなんて、、、

 

大河「、、、なーんて。

、、セイバーさんが、そんな訳無いわよね。

、、、二人は、暫く此処に泊まるのよね?」

士郎「、、多分、そうなるな」

大河「、、、なら、家の流儀ってヤツを教えてあげようじゃないの!」サッ

セイバー(、、!この気配、、来る!)

大河「この家のモットーは弱肉強食!

自然と同じく、弱い者が食べる飯は無いのだぁぁぁ!!」ヒョイヒョイ!

セイバー「!くっ、、!二つ同時に取るとは、、!」パクパク

イリヤ「えっ?えぇっ?!」オロオロ

士郎「・・・」ズズ、、

士郎(藤村先生はともかく、セイバーまで乗るなんてな、、

、、、というか、藤村先生+4人だから、少し多めに60個は作ったつもりなんだが、、)

 

サンドイッチの群れは、見る見るうちに虎とライオンに食されてしまった、、

哀れ、子兎達はそれを見ている事しか出来なかったのである、、

、、因みに、これを見越して、予め数個食べておいた早食動物は、悠々とほうじ茶を啜るのである。

 

桜「、、、もう少し、食べたかった、、」ションボリ

イリヤ「、、、」シュン、、

士郎「、、、」

 

、、流石に二人が可哀想だな、、

 

士郎「、、よし、二人とも、少し待ってろ」スタスタ

 

 

予め、冷蔵庫に避難させておいたサンドイッチを取り出し、数秒レンジで温める。

、、余談だが、、この電子レンジもそうだが、この家にある電化製品の殆どは、藤村先生が持ってきた物だ。

 

 

士郎「、、ほら」コト

桜「え、、!貰ってしまって良いんですか、先輩?」

イリヤ「良いの、、?」

士郎「勿論だ。、、逆に、食べて貰わないと俺が困るからな」

 

遠慮しがちな人間には、この言葉が良く効くのである。

 

桜「、、、それなら、頂きます」パクッ

イリヤ「じゃあ、、」パクッ

 

結局、二人はおずおずとサンドイッチを食べ、頬を綻ばせるのであった。

 

――――

 

士郎「、、さて、、」

 

朝食も済み、片付けも済ませ、、そういえば、今日が休日だった事を思い出す。

 

士郎(、、そうだ、まだアレ(日課)をやってなかったな)スッ

 

人が居るとはいえ、日課はサボれない。、、ので、土蔵に移動をする。

 

 

ピンポーン

 

士郎「?、、誰だ?」

 

、、桜は選択をしてくれている、藤村先生はテレビに夢中、、

セイバー、イリヤは客人なので、、、

 

士郎「、、俺が出るか、、」

士郎(仕方が無い、、日課はまた、後でやろう)

 

 

 

ピンポーン ピンポーン

 

士郎「はい、今出ます、、」

 

、、この十年で、呼んでも居ない人間が来たのは始めて、、いや、二度目だった。

、、まさか、俗に言う勧誘訪問とか、セールスマンというやつだろうか?

 

ガラガラガラ

 

 

凛「遅い!

 

士郎「―――」キーン

 

―――怒号が、家と俺の脳味噌を揺らした。

、、、成る程、これは手強い。

有無を言わせない分、セールスより性質が悪いのではなかろうか

 

凛「居るなら早く出なさいよ!、、、何かあったかと思ったじゃない!」

 

、、、現在、聴覚に問題が生じている所なんだが、、

 

士郎「、、急にどうしたんだ、、遠坂」

凛「如何したも何も、、、アンタねぇ!」

 

、、何故か、遠坂は不機嫌そうだ。

何か、心当たりは、、、

 

士郎「、、あぁ、、もしかして、昨日の事か?」

凛「もしかしなくてもそうよ!

、、、ハァ、、、申し訳無いと思って損したわ、、」

 

 

 

<先輩、凄い声が聞こえたんですけど、、

 

どうやら、桜が先程の大声を聞きつけ、こちらに来たらしい。

 

士郎「あぁ、、問題無い、顔見知りだ」

桜「顔見知りって、、先輩に、、、!」

 

、、、二人が居合わせた途端、何とも言えない冷たい空気がこの場に流れた。

俺としては、それよりも、「先輩に」の先の言葉が気になるのだが、、

 

凛「、、あら、こんにちは、間桐さん」

桜「、、、遠坂先輩、お早う御座います。」

 

 

大河「どうしたの~?士郎君、、、ってあれ?遠坂さんじゃない!」

イリヤ「・・・」

セイバー「、、リン、何故此処に?」

 

士郎「、、、あー、、、こんな所で話すのは何だ、上がっていくか?」

凛「、、いえ、その必要は有りません。

藤村さん、少し散歩に行きましょうか?」

士郎「、、俺が?」

凛「えぇ。、、勿論、付き合って下さいますわよね?」ニコッ

士郎「・・・・・・分かった、、」

 

何と言うか、、今の遠坂には、断る事を許さない気迫が有った。

まぁ、断る理由も無い事だし、素直に着いて行こう

 

士郎「、、という事だから、、桜、悪いが家の事は任せた」

桜「、、はい、任せて下さい」

士郎「セイバーも、頼んだ」

セイバー「はい、お任せ下さい、シロウ」

 

士郎「じゃあ、、、行ってくる」

 

ガラガラガラ、、

 

 

桜「・・・・姉さん、、――ですね、、、」

 

セイバー「?どうしました、サクラ」

桜「、、、いいえ、何でも有りません、セイバーさん。

それより、冷蔵庫の中に甘味が入っていますよ」

セイバー「真ですか!感謝します、桜!」スタタタ

 

桜「、、、ウフフ、、単純ですね」クスクス

 

―――――

 

遠坂に連れられ、商店街近くの公園に来た。

俺はブランコに、遠坂はベンチに腰掛ける

 

 

士郎「、、、それで、、話は何だ?遠坂。」

凛「、、昨日、私達を先に逃がしてくれたでしょう?

そのお礼を言いに来たのよ。

有難う、藤村君。貴方のお陰で命拾いしたわ」

士郎「、、元々、共闘関係なんだ。

遠坂を助けるのは当然だろう」

凛「・・・・それでも、借りは返しておきたいのよ。

、、、元々、他人(ひと)に借りなんて作りたくないし。」

 

几帳面、、、いや、プライドが高いのだろう、

別に、俺は何とも思っていないのだが、、

 

凛「、、それで、此処からは情報共有よ。

、、、単刀直入に聞くけど、、、あの子、バーサーカーのマスターよね?」

 

、、あの子とは、恐らくイリヤの事だろう。

 

士郎「、、あぁ。流石遠坂だな」

凛「当たり前じゃない。

、、何せあの子、桁違いの魔力を持ってるんだもの。

あのバーサーカーを操れるのも、納得よ」

士郎「そこまでなのか?

、、、俺には、只の女の子にしか見えないが、、、」

凛「、、、ま、へっぽこなアンタらしいわね。」

 

へっぽこ、、、いや、事実そうなのだが、、

 

士郎「、、、そうだ、

昨日、バーサーカーのマスター、、イリヤと会った後に、奇襲を喰らったんだが、、」

凛「、、どんな攻撃だったの?」

士郎「よくは見えなかったが、、確か、ナイフか短剣の様な物だった。」

凛「成る程ね、、、それ、アサシンよ。

恐らく、マスター殺しをしようとしたんでしょ。

並みのアサシンじゃ、あのバーサーカーは倒せないから」

士郎「、、なら、あれはイリヤを狙っていたのか、、、

、、でも、幾ら不意打ちとはいえ、セイバーとバーサーカーの警戒をすり抜ける事なんて、出来るのか?」

凛「良い質問ね。

元々、アサシンは気配遮断スキルっていう、アサシンクラス特有の能力を持っているの。

気配遮断って言うのは、つまりは隠密行動の上手さって事。

そのランクがAなら、幾ら勘が鋭いセイバーでも姿を見つけるのは困難な筈よ。」

士郎「、、成る程、、、他のサーヴァントより能力は劣るが、代わりにマスターの暗殺に長けている、って事か」

凛「そういう事。貴方も精々、アッサリ殺されないよう気を付けなさいよ」

士郎「、、、、アサシンのクラススキルが気配遮断って事は、他のクラスにも同じように、ボーナスが有るのか?」

凛「えぇ、

セイバーとランサーなら対魔力、

アーチャーなら単独行動、

ライダーなら騎乗、

キャスターなら陣地作成、

バーサーカーなら狂化、、、とは言っても、あのバーサーカー、狂化の影響何て殆ど無いんじゃないかしら」

士郎「、、『ランクがAなら』って言ったが、、スキルのランクって、何だ?」

凛「ランクは、下からEDCBA、例外でEXって言うのもあるわ。

、、そうね、、怪力っていう、自身の筋力に+の補正を付与するスキルが有るけれど、、

これで例えるなら、、まぁ、先ず有り得ないでしょうけど、、

同じ身体能力の二人が居るとして、片方が怪力のスキルランクがBで、もう片方がAだとする、、

、、これだと、どっちが勝つ?」

士郎「勿論、Aの方だな」

凛「えぇ、そうよね。

、、でも、もしBの方が、一瞬だけでも爆発的に筋力を高める事が出来たら?」

士郎「それは、、、Bの方か?」

凛「そう。、、そういう、限定的に上がる能力には、+が付いたりするわ。この場合なら、B+ね。

、、、ランクについては、分かったかしら?」

士郎「あぁ、分かった、、、が、EXって何なんだ?」

凛「そうねぇ、、、例外、としか言えないわ。

強すぎて、そうなるのも居るし、弱すぎてそうなるのも居る、、

、、強い弱いで表せない物もあるし、、、まぁ、そういう物よ。」

士郎「、、、まぁ、分かった。」

凛「、、なら、この話は此処まで。

此処からは、これからの話よ」

 

遠坂の口調が変わった。

、、、此処からの言葉には、想像がつく。

 

士郎「、、、」

凛「、、、アンタ、「イリヤを如何するつもりか、、、だろう」・・分かってるじゃない」

 

あぁ、それはそうなるだろう。

、、俺は、遠坂と協力関係にある。

その上で、敵であるイリヤを家に置いている。

、、、、これは、遠坂への裏切りだ。

 

凛「、、それで、アンタは如何するつもり?

私との関係を切って、あの子と組む?」

士郎「いいや、遠坂との関係は切らない。」

凛「、、、なら、あの子を斬る?」

士郎「それも今は無いな。

、、イリヤが敵対しない限り、俺はイリヤを攻撃する気は無い」

凛「!アンタ、それの意味分かってんの!?」

士郎「あぁ。それじゃあ決着が付かない、、、

、、、もし、最後まで俺達が残ったら、、その時は、イリヤの「サーヴァントだけ」を倒す。

、、それは、お前も同じだ、遠坂。」

凛「、、、成る程ね、、冴えてるじゃない。

最善じゃなくても、勝機はある。

私のアーチャーじゃ、バーサーカーの相手は厳しいでしょうけど、セイバーならバーサーカーとも戦える。

、、結果的に、勝つのはアンタって訳?」

士郎「、、そこまで残っていれば、だけどな」

凛「、、ま、戦う意思はあるようで、安心したわ。

、、本当なら、自分で調べるつもりだったんだけど、、この際、貴方に任せようかしら」

士郎「?」

凛「、、、私の見立てだと、柳洞寺にサーヴァントが居るのよ。」

士郎「柳洞寺に、、?」

凛「えぇ。最近、冬木市全体の魔力の動きがおかしかったの。

で、調べてみたら、この聖杯戦争が始まる前から、少しずつある場所に集められていたみたいなの。」

士郎「、、それが、柳洞寺なのか」

凛「えぇ。少し前までは、ほんとに少しずつだったから場所が掴めなかったけど、、

聖杯戦争が始まって、魔力が豊満になってるお陰で、漸く流れの場所が分かったの。

、、こんな事が出来るのは、キャスターのサーヴァントくらいよ。

セイバーを連れて、調べて見て貰える?」

士郎「、、そうだな、、分かった」

 

、、キャスターのサーヴァント、、か

 

凛「あぁ、それと、、、」

士郎「?」

 

 

凛「私、今日から貴方の家に泊まる事にしたから」

士郎「、、、は?」

 

唯でさえ、家にはマスターが二人居るのに、、また頭を痛める用件が、増えてしまった、、






セイバーさんは悪くないんですよ。
ただ、ちょっと間が悪かったんですよ。


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3DAY 霊の山

いやー、、腕を折ったりとか色々ありましたが、漸く投稿できました、、、、
、、、偶には連日投稿とか、したいなぁ、、






士郎「・・・」

 

遠坂との話を終えて、岐路に着く。

、、結局、終始アイツに振り回された気がする、、

 

士郎「、、藤村先生への言い訳、考えないとな、、、」

 

そう呟きながら、長い坂を登る。

士郎「、、それにしても、、」

 

何かが可笑しい、

人通りが多い筈のこの時間帯で、まだ誰と通り過ぎる事も無い。

、、まさか、マスターか?

だが、幾ら人避けを掛けたとしても、昼に戦いを仕掛けてくるのか、、?

、、、いや、無いとも言い切れないのか、、

 

 

コツ コツ コツ コツ

 

士郎「・・・」

 

、、坂の上から、誰かが降りてくる音がする。

他の音が無いこの場所で、無用心なその足音は、酷く耳に響いてくる。

 

士郎「・・・」スッ

 

念の為と、頭を上げ「誰が頭を上げて良いと言った?不敬であるぞ」―――

 

その一言で、俺の中の全ての機能が警報を鳴らし始めた。

 

『アレはマズイ』

『頭を上げるな』

『警戒しろ』

『危険だ』

 

、、頭の中を、言葉が駆け巡る。

俺の前に居るこの存在は、きっと、今まで見た者の、どれよりも危険だと。

そして、コイツの言葉に逆らえば、確実な死が待っているだろう。

、、、、ここは、、、

 

 

 

士郎「、、、」

 

俯いたまま、様子を伺う。

、、下手な行動は、取るべきではない

 

「、、、」

士郎「・・・」

 

、、暫くの沈黙の後、、

 

 

 

「、、フン、まぁ良い、俺を()()事を許す。面を上げよ」

士郎「・・・」スッ

 

言葉の通り、顔を上げる。

、、、その男の、顔を見る―――

 

士郎「、、、ッ!」

「、、如何した、感想の一つでも述べてみたら如何だ?

、、ま、、話す事は今だ許可してないがな」

 

、、、黒いジャージを着た、黄金の王が、其処に居た。

 

、、、比喩でも何でも無く、、事実として、それは<王>だった。

しかも、この発言の滅茶苦茶さは、、恐らく、暴君の類だろう。

 

士郎「・・・」

「、、、まさか、未だに()()()()()()()とはな。

あの日から今日まで、随分と待ったが、、、よもやその程度の代物であったとは」

士郎「、、?」

「疾く自害するが良い。

、、そしてその身体、我に謙譲する事を許す。」

 

、、何だ、この男は?

いきなり現れて、自害しろ、、だと?

 

士郎「、、なら、俺を殺して奪えば良いだろう?」

 

気付けば、口が勝手に言葉を発していた。

、、だが、そうだ。

この男は、その気になれば、俺を殺せる筈なのだから

 

「思い上がるなッ!

その体を殺す事は容易い、、、だが、この我に、幼子が持つ宝を強奪せよ、と?

、、貴様程度であれば、その必要性すら感じぬわ。

あくまで、貴様は我への貢物なのだからな」

士郎「、、なら、諦めてくれ。

これは、お前何かにはくれてやれる物じゃない」

「、、チッ、、まぁ良い。

()()に免じて、此度だけは見逃してやる。

、、、だが、ゆめゆめ忘れるなよ?

貴様がその体に巣食えば巣食う程、、、アレは、己を失っていくであろう。

、、例えそれが、アレを救う唯一の手段であっても、だ」

 

、、、それは、、、

 

士郎「、、お前に、、言われるまでも無い」

「フン、では勝手にするが良い。

、、、あぁそれと、、あのセイバーだがな、

 

 

――――アレも、さっさと切り捨てておけ」

士郎「、、、、何だと?」

 

、、この男は、一体何を知っているのだ。

何を持って、セイバーを切り捨てろと言う?

 

「二度は言わん。

、、、だが、アレが貴様を知れば、手助けをする事は無いだろう。

、、何より、貴様自体が、アレを否定しているのだからな」

士郎「、、それだけは無い。

俺がアイツを否定する事だけは、絶対に」

「、、良い、では精々足掻け。

少なくとも、死ぬ事()()は無かろう」コツ、、コツ、、コツ、、コツ、、

 

そう言い残すと、男は去って行った。

、、結局、あの男は何だったのだろうか、、、

あの男の事について考えながら、足早に家へ帰った

 

 

 

―――――夢を、見た。

 

 

一面の炎の海を、死ぬ思いで歩いた事を。

 

             ――――それは、()()が死ぬ過程(仮定)

 

 

―――――欠けた、夢を見た

 

 

理不尽な終幕を嘆く、生者の叫びを聞いた。

 

             ――――それは、死者の(生者の)―――

 

 

―――――夢を見た

 

 

「、、きっと、、オレが見つけるから、、」

 

「、、、あぁ、、安心した、、、」

 

 

黒い服を着た男の手を握り、最期の願いを託された。

 

             ――――それは、()が生まれた原因(理由)

 

 

 

、、そう、、その筈だ。

だが、、最近、何かを忘れているような気がする、、

忘れた事に気づいたのは、つい最近だが、、

、、そう、、あの男に出会ってから、、

 

俺は毎日、ぼやけた夢を見る。

 

 

 

「、、あぁ、、、」

 

 

視界には、一面の炎、、

崩れた建造物に、燃え朽ちた木々に人々、、

空には、ぽっかりと空いた太陽()

 

、、、あの日の風景に、俺は立っている。

 

 

 

「・・・」ザッザッザッザッ

 

何かに駆られるように、前へと歩き出す。

 

そして、瓦礫や倒木だらけの道を、ゆっくりと歩く。

 

 

ザッザッザ、、、

 

 

「・・・」

 

先に進むと、、倒木や瓦礫は無くなった。

 

だが、その代わりに―――

 

 

「「「「「「「 」」」」」」

 

 

、、山のように、死体が転がっていた。

、、いや、<ような>ではなく、文字通り、山なのだろう。

 

  あぁ、、、

 

、、それは、始めてでも無い、何時か見た光景だった。

 

 

  ・・・

 

、、きっとこれは、残骸なのだろう。

誰かが夢見た、理想の残骸。

 

  、、、だが、、、

 

、、、例え残骸になったとしても、その結末にも意味はあった筈だ。

 

 

 

?「・・・オイ、、」

 

  、、!

 

不意に、山の上から声が聞こえた。

 

?「テメェ、そこに居るんだろ?」

 

 、、、

 

ぶっきらぼうに自分を呼ぶ声は、死して尚、活力が籠もっていた。

 

?「こんな所に今更なンの用かは知らねぇがよ、、王なら、まだ戻ってねェぜ」

 

鎧の騎士は、足を組んだままこちらを見下ろしている。

 

  、、王、、か、、、それが、この理想の主何だな

 

?「?、、可笑しな事言いやがる、、テメェ、とぼけてンのか?」

 

  ?

 

?「、、まァ良い。これがあの糞魔術師が仕組んだ事かは置いといて、、、

、、何時までンなトコに居るつもりだ?テメェ」

 

 、、分からない。何時もなら、もう目が覚めている頃だ

 

?「目が覚めないだぁ?トンチキな事言ってんじゃねぇよ!ならとっとと去りやがれ!

第一、何でサッサとアイツを救ってやらなかったンだ!

テメェが一言言ってやらぁ、、、アイツだって、納得する筈だろ、、」

 

、、彼女の、一度は最高まで達した熱が、段々と冷めていく。

しかし、、、アイツ、、?一体、誰の事何だ、、、

 

?「、、オレは、もう納得した。だから、、

もしもこの戦いが終わる時、アイツに後悔が残ってやがったら、、絶対に許さねぇからな。

テメェなら、納得の行く答えを出せる筈だ。

、、、分かったら、サッサと目覚めやがれ」

 

  、、、、!

 

 

不意に、体が浮かび上がるような感覚がした。

、、、もう、眼を覚ましてもいいのだろうか?

まだ、やるべき事が残っているのではないか?

 

、、、心残りは消えぬまま、意識だけが浮上していった

 

―――――――――

 

 

 

士郎「、、、ッ!」ガバッ

 

、、目が覚めると、、そこは、何時もの寝室だった。

 

士郎「、、熱いな、、、少し、風に当たってくるか、、」

 

目は覚めた物の、今だ冷めやらぬ体の熱を冷ますため、外へと向かった。

 

 

士郎「・・・」キュッ

 

イリヤ「、、シロウお兄ちゃん、、?」

 

靴を履いた所で、イリヤに呼び止められた。

 

士郎「イリヤ、、、起きてたのか」

イリヤ「うん、、寝付けなくて、、」

 

寝付けないのなら、イリヤも連れて行こうかと思ったが、、流石に危険だな。

 

イリヤ「、、何処か行くの?」

士郎「少し、風に当たってくる」

イリヤ「ダメ。夜は、、外は、危ないよ」

士郎「そこまで遠くには行かない。

、、それに、いざとなったらセイバーを呼ぶさ」

イリヤ「・・・それなら、、」

 

半ば納得しかねるのだろう。小さくうーんうーんと唸っている。

程なくして、イリヤは渋々外出を許可するであった。

 

、、、だが、、何故イリヤはそこまで戦いを嫌がるのだろうか?

この戦争に参加しているのだから、当然イリヤにも戦う意思はある筈だが、、

、、少し、引っかかるな、、

 

士郎「、、じゃあ、行ってくる、イリヤ」

 

直接イリヤに聞けば速いのだろうが、、デリケートな問題だとしたら、下手に聞くのは不味い。

だから俺は、早めに話を切り上げ、家を出た。

 

 

イリヤ「、、気を付けてね、シロウお兄ちゃん」

 

――――――

 

 

外に出ると、、、冬を思わせる、少しの肌寒さがあった。

 

士郎「、、体を冷やすには、丁度良いな、、

・・・商店街の方まで歩くか」

 

 

 

 

コツ、、コツ、、コツ、、

 

 

 

 

 

、、夜の商店街には、、不気味な雰囲気があった。

 

士郎「・・・」

 

足音は、遥か先へと響き、静けさを風が掻き消す、、

夜の闇を、月の仄明かりが補い、辛うじて少し先が見える、、

 

士郎「、、こんなに暗かったか、、?」

 

微妙に、違和感がある。

普通ならば、有る筈の何かが足りない、、

 

ガラン、、カランカラン

 

士郎「!、、、バケツが転がっただけか、、」

 

、、、何とも、不気味だ。

先程までは熱過ぎた身体も、危険を感じた今では、肝まで冷えて来ている。

、、やはり、今日はもう帰―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィィィィィ、、、

 

 

―――気が付けば、目の前には、大きな門があった。

 

士郎「―――?」

 

、、待て、如何いう事だ?

俺はさっきまで、間違いなく商店街に居た、、、

、、だが、、、今居る此処は、恐らく山、、、まさか、柳洞寺か、、?

まさか、洗脳の様な物か、、?

、、いや、何であれ此処は危険だ。

もしも遠坂の言うように敵サーヴァントが居れば、俺は格好の的になってしまう。

 

 

、、、ガタン

 

 

そんな事を考えている内に、門は開ききった。

 

士郎「、、、何も無い、、か?」

 

しかし、、神社の開けた境内には、人の気配は無かった。

、、いや、深夜だから、それが当たり前だろう。

 

 

士郎「、、長居は無用だ。速く帰――「あら、もう帰ってしまわれるの?」

 

――それ(サーヴァント)は、不意(唐突)に、、、俺の前に、姿を現した。

 

「フフッ、、貴方なら、歓迎致しますのに、、残念だわ」

 

ローブを被った女の表情は伺えない。

、、が、その下では妖艶な笑みを浮かべているであろう事だけは、口調から想像出来た

 

士郎「、、アンタが、、此処を根城にしているサーヴァントか?」

「はい。、、既に、私の事まで知られているなんて、、驚きましたわ」

 

、、包み隠さず、サーヴァントである事を話すのか、、

ならば、これは好機だ。 彼女が人を襲う可能性があるかどうか、、

、、欲を言えば、「戦う気が無い」事が最良何だが、、流石にそう上手くは、、

 

 

 

「えぇ。私は、戦う気は御座いません」

 

予想外の返答だった。

 

士郎「?!な、、此方としては有難い話だが、、お前は本当に、それで良いのか?」

「はい、、、今の私には、マスターが居りません、、

今は、霊脈の魔力を利用して姿を保っているだけでも精一杯なのです。

、、勝ち目の無い戦いをするのは、私も本意では有りません。

貴方が休戦を要求するのであれば、喜んで呑みましょう」

 

 

 

士郎「・・・そうか、、なら、アンタを信じよう。

此処には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

、、この際、少しの嘘は妥協しよう。

遠坂への土産話が出来ただけでも、十分だ。

 

「、、フフフ、、実に明晰ね。

それでいて、とても賢明な判断、、、

、、そして、、この上なく健気で―――」

 

彼女の顔が、優しく歪む。そして、、、

 

 

 

―――気に入ったわ―――

 

 

 

ビュォォォォ!

 

士郎「ッ・・・」ザザザ、、

 

 

ギィィィィ、、、バタン

 

 

突如、強風が吹き、門の外に締め出されてしまった。

門は、鉄の塊のように、押してもビクともしない。

 

 

士郎「、、、さて、帰るか」

 

もう此処には用はない。

、、後は、彼女達の行動次第だ

 

――――――

 

コツ、、コツ、、コツ、、

 

 

サーヴァント<キャスター>。

彼女には、マスターという物が存在しない。

 

()()()()()()()()

 

彼女のマスターは、この戦争が始まる前に、既に殺されていた。

他でもない、キャスター自身の手により。

そして、魔力が尽きかけ、倒れていた所を救ったのが、、

 

「、、良かったのか、キャスター?」

 

この、葛木宗一郎である。

だが、彼は魔術師ではなく、唯の元殺し屋であった。

 

キャスター「宗一郎様、、来てしまったのですか?」

宗一郎「あれは既に離れている。問題は無い」

 

故に、主従の関係では有るが、マスターとサーヴァントでは無い。

 

キャスター「、、、では、、先程の問いにですが、

()()に、情が湧いた、、と言うだけの事です。」

宗一郎「、、そうか」

キャスター「はい。

、、今襲えば、我々は勝利していたでしょう。

愚かな女、とお思いですか?」

宗一郎「いや。

、、お前がそうするのであれば、私はそれに従おう。

、、それに、、」

キャスター「?」

宗一郎「人を殺す為の道具であった我が身とは違う。

お前によれば、アレは人を救い、癒す為の道具なのだろう。

、、であれば、それを愛でようと思うは、人として当然だ」

キャスター「、、宗一郎様、、」

宗一郎「、、だが、そうなると問題がある。

お前の願いを叶えるには、アレを倒さねばならん。」

キャスター「、、いいえ、その必要は有りません。

、、何故なら、、、

 

 

私の願いは、、、既に、叶っていますから」

宗一郎「、、、そうか、、、」

キャスター「、、私の心残りは、貴方の願いの事だけです。

、、貴方にも、願いがあるのでしょう?」

宗一郎「、、何、今となっては些細な事だ」

キャスター「いいえ。些細であっても願いは願いです。

少しでも未練があるのなら、私はそちらを優先しますわ」

宗一郎「未練など、ある筈も無かろう。

、、私の望みは、お前の願いを叶える事なのだから」

キャスター「ッ、、!そ、宗一郎様ぁ~~♡♡」

 

 

 

 

 

その頃の士郎

 

 

 

「シロォォォ!!」「藤村君!!」







キャスターの くずきへのこうかんどが さらにあがった


しろうの せいばーたちからのけいかいどが すこしあがった


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残り時間

―早朝―

 

 

士郎「、、ウッ、、、グッ!」バサッ!

 

、、如何やら、散々魘されていたらしい。

掛かっていた筈の掛け布団が、壁まで飛んでいた、、

あの夢以外で、冷や汗を掻く程魘されるとは、、、

 

士郎「、、やはり、あの二人は――「なぁに?ふ・じ・む・らくん?」ッ、、!」

 

――何故か、遠坂が俺の隣に座っていた。

 

士郎「遠坂、、何でお前が、、?」

凛「何でって、、昨日、柳洞寺に行ってたんでしょ?

勝手に、夜中に、セイバーも連れずに家を出た事は、昨日散々言ったから良いわ

、、で?如何だったのよ」

士郎「あぁ、、サーヴァントは居たけど、別に問題は無かったぞ。

少なくとも、他の人間を害するヤツじゃなかった。」

凛「そう、、、、、って!やっぱりサーヴァントが居たんじゃない!!

何でアンタ無事なのよ?!やっぱりあのインチキ魔術で何とかした訳?!」

士郎「いや、、如何やら、マスターが居ないみたいでな。

敵対する気は、今の所無いみたいだ」

凛「?、、あぁ、成る程ね、、

だから、少しずつ町から魔力を集めていた訳、、

、、、でも、だとしたら腑に落ちないわね。

そんな器用な事が出来るなら、町中から無理矢理魔力を吸い上げる事だって出来た筈なのに、、」

 

、、これが土地の管理者の言う事か、、、流石はあくまだ

 

士郎「、、そんな事をしたら、他のマスター達が黙っていない筈だ。

俺や遠坂みたいなのが、同盟を組んで潰しに来るのを分かっていたんだろう」

凛「それもそうだろうけど、、

、、でも、聖杯を手に入れたいんなら、それ位の事でもしなきゃ勝てないじゃない?

ましてやそれ、キャスターのサーヴァントだろうし」

士郎「、、なら、逆に考えてみたらどうだ?

<聖杯を手に入れる必要が無くなった>とか」

凛「まさか!、、、でも、100%有り得ない話じゃないのか、、、」ウーン

士郎「、、少なくとも、あのサーヴァントは、聖杯を狙って争う事は無いと思うぞ」

凛「、、、問題はそれよ、、、」

士郎「?、、何が悪いんだ?」

凛「、、あのねぇ、、

 

 

 

 

このままじゃ、聖杯戦争が終わんないのよ!!」

士郎「・・・・・・あぁ、、、そうだな」

凛「アンタねぇ!何でもかんでも休戦申し込んでるんじゃないわよ!

今じゃ、まともに敵やってるの何てアサシンとランサーとライダー位じゃない!

どうやって収集つけるのよ!この状態!」

士郎「、、、確かに、、イリヤが、出来れば戦いたくは無いと言ったから、そうしたが、、

、、今度は、そうなったか、、、」

凛「、、ハァ、、アンタねぇ、、

、、悪い事は言わないから、もう止めときなさい。

下手にあの子に感情移入したら、本当に戦えなくなるわよ」

士郎「、、だが、、、」

凛「、、まぁ、確かに分かるけどね、、

、、あの子、本当に戦いたく無いんでしょうし」

士郎「、、やっぱり、お前もそう思うか」

凛「えぇ。

、、だってあの子、初めっから殺意とか無かったもの。

、、あの時、アーチャーが一撃でやられなかったのが、そもそも可笑しいのよ」

 

確かに、、遠坂のアーチャーは、セイバー程の能力は無い。

それが、セイバーすら吹き飛ばすあのバーサーカーの直撃を受けて、耐えられるとは思えない。

、、それは、やはりイリヤがバーサーカーに、殺さないよう指示していたからだろう。

だが、それでは矛盾が生じる。

聖杯戦争は、相手(サーヴァント)を殺さなければ終わらない。

、、だが、イリヤはそれをしようとしない。それはつまり―――

 

士郎「、、イリヤは、きっと唯の女の子何だ。」

凛「、、は?」

士郎「元々、誰かを傷つけたくも無いだろうし、自分が殺される事だって怖いだろう。

、、、それでも、、そうしなければいけない理由が有るんだと思う」

凛「、、確かに、、アインツベルンは、聖杯を強く求めているわ。

彼等の悲願は、第三魔法(魂の物質化)の成就だし、、、

、、きっと、イリヤもその為に戦っているんだろうけど」

士郎「いや、それはアインツベルンの理由だろう。

、、イリヤが戦う理由にはならない」

 

 

 

 

、、あぁ、そうだ。

 

―――多くの人が、笑っていました―――

 

<誰かの為に>、、そんな事が、戦いの動機に成るなんて、在ってはいけない。

それはあくまで、<自分の為>でなければ、、

そうだ、だから俺は―――

 

凛「、、そういえば、、まだ、アンタの願いを聞いてなかったわね。」

士郎「、、あぁ、、、遠坂になら、話しても構わない。」

 

今まで、遠坂には世話になってきた。

それ位は、話しておこう。

 

士郎「、、その前に、、遠坂、一つ聞いて良いか?」

凛「?、、えぇ、、」

 

士郎「十年前、、冬木(此処)で起きた、大災害を知っているか?」

凛「、、ちょっと、それって、、」

士郎「、、オレの願いは、、

 

 

 

―――『あの日、あの時、死んでいった人間達の願いを知る事』だ」

凛「、、、アンタ、それ本気で言ってるの?」

 

―――――

 

士郎「、、、」

 

あの後、遠坂は「貴方の願いは間違ってる」とだけ言い残し、部屋を去った。

そして、入れ替わりのように、セイバーが部屋に入ってきた。

 

セイバー「リンが不機嫌そうにしていましたが、、一体、如何したのですか?」

士郎「、、俺の願いを話した。

、、まぁ、理解しては貰えなかったけどな」

セイバー「シロウの願い、、ですか。、、それには、私も興味がありました。

、、どうか、聞かせて頂けませんか?」

士郎「あぁ、、、なら一応、セイバーにも聞いておくが、、

お前は、十年前の冬木で起きた、大災害を知っているか?」

セイバー「ッ、、、!

シロウ、、!まさか、貴方は、、」

士郎「、、俺はその日、ある人間によって生かされた。

だからこそ、俺は、、あの日、死んでいった人間達の願いを知りたい」

セイバー「!、、、何故ですか?」

士郎「何故、か、、

それが、俺のやるべき事だからだ」

セイバー「、、それをして、何の()()が在るのですか」

士郎「意味は無いかも知れない。、、だが、それでも、、」

 

あの日、無意味に死んでいった彼等に、贖いが出来るのなら、、

救えなかった者達の未練を、、俺が、満たせるのなら、、それで良いのだから

 

セイバー「、、死後の救済、、魂の、救済と言う事ですか」

士郎「そういう事になるだろう。、、、これは、俺の自己満足だ」

セイバー「、、、過去を変えるのでは、駄目なのですか?」

士郎「、、、それは、、、だが、それでは、きっと、駄目だ」

セイバー「、、、」

 

、、セイバーは、俯いている。

、、あぁ、理解される事など無いだろう。

だが、それでも、、、それが、生かされた俺の責務なのだから

 

セイバー「、、分かりました、、ですが、一言だけ言わせて頂きます」

士郎「、、、あぁ」

セイバー「貴方の願いは、破綻しています。

、、それでは、死んでいった者達が余りにも報われない。

他人に、自らの願いを叶えて貰った所で、、それは、死者への皮肉に過ぎないでしょう」

士郎「だが、無念は無くなるだろう。

、、生者が死者に出来る事は、これ位しかないからな」

セイバー「、、そして何より、貴方(人間)には、全ての願いを叶えるだけの時間は無い筈です。」

士郎「どれだけ時間が掛かろうと、問題は無い。

、、元々、その為に生まれた存在なのだから」

セイバー「、、、まるで、、自分は道具だとでも言っているように聞こえます」

士郎「あぁ、、そうだな。

、、誰かを救う為の道具になら、俺は成れる」

セイバー「ッ、、!貴方は何故、そこまで、、、!」

士郎「、、そう言うお前はどうなんだ?」

セイバー「、、私の願い、、ですか」

士郎「、、まぁ、お前の事だ。大方、祖国の結末の改変でも望むのだろう」

セイバー「ッ!何故、それを、、!」

 

何故、、?、、、それは―――自分でも分からない。

殆ど無意識の内に口に出した、彼女の願い、、その予想。

、、だが、本人には図星だったらしい

 

士郎「、、いや、、何故かは分からない。、、だが、悪かった、アルトリア。

お前と話していると、何故か歯止めが利かなくなりそうになる、、」

セイバー「、、いいえ、私も、少し熱くなり過ぎてしまいました。

、、、少し、頭を冷やしてきます」

士郎「、、あぁ」

 

 

、、セイバーが、部屋を立ち去った。

、、、流石に今は、顔を出さない方が良いだろう

服を着替え、土倉へと向かった。

 

――――――

 

ビリビリビリビリバリッ・・・

 

「、、、」スゥッ

 

、、今日は、日課を倍にしても良いだろう。

最近は、何時にも増して調子(性能)が良い。

 

シロウ「、、、?、、オレは、こうだったか?」

 

、、何か、小さな違和感がある。

普通だった筈なのに、少しずつ変貌していく(戻っていく)

 

 

スゥゥゥゥ、、、

 

 

アーチャー「、、、おい、衛、、ンンッ、、凛が呼んでいる。さっさと行け」

シロウ(、、アーチャーか)

 

一旦、手を止める。

、、あぁ、もう戻らないのか、、

この感覚が、残り続けるのか、、

 

、、、ならきっと、もう少しだ

 

 

シロウ「、、あぁ、分かった」スッ

 

、、浅黒い肌をしたアーチャー。

この男は、、俺を見る時、在り得ない物を見る眼で見てくる。

、、だが、、それと同じ位に、、哀れな物を見るような、視線を感じる。

 

 

ギィィィィ、、バタン

 

 

 

アーチャー「・・・」

 

 

 

 

 

interlude

 

――――――

 

アレが去った土倉で、一人考える。

 

 

、、、はっきり言って、気味が悪かった。

その存在が在るという事実が、おぞましい。

 

アーチャー「、、、藤村、士郎、、、か」

 

、、あれは、本来衛宮士郎である筈だった者だ。

それが今、『藤村』などと言う名前を使い、過ごしている。

 

アーチャー「、、一体、、何が遭った?」

 

有り得る可能性としては、、、あの日、藤村の家に拾われる事だが、、

、、それでは、救われたとしても確実に助からない。

 

アーチャー「、、だが、あの目は、、」

 

あの、死者と変わらぬ濁った目、、

 

アーチャー「・・・まさか、、」

 

昨日一日、霊体化をしたまま、この家を探索したが、、

、、今思えば、不可解な点が、幾つかあった。

 

、、この家は、()()過ぎたのだ。

余計な物は一切無く、、有ったとしても、何故か虎印が付いている物ばかり、、

つまり、台所などの最低限の物以外は、外から持ち込まれた物だろう。

 

そして、何より、、、

 

 

この家には、大人用の、それも男用の衣服が、一切無い。

、、これは、決定的だろう。

もしもこの家に()が居たのであれば、衣服が無いのは不自然だ。

 

この二つを考慮すると、、一つの、仮説が生まれた。

 

アーチャー「、、士郎(アレ)は、、助けられはしたが、救われる事は無かった、、?」

 

、、もしそうであれば、それは―――

 

 

 

 

――――何と、残酷な事だろうか

 

 

見下げた床には、一輪の花が咲いていた。

 

interlude out









そろそろ後半戦です


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4DAY イリヤと

俺は、何時も通りに土倉で日課の鍛錬をこなしていた。

そこを、凛のサーヴァントであるアーチャーに呼ばれ、居間へと戻った。

 

シロウ「、、呼んだか、遠坂」

凛「急に呼び出して悪かったわね。

、、取りあえず、アンタの願いについては今は置いておく事にしたから」

シロウ「そうか、、で、如何したんだ?」

凛「、、先ず、これを見て頂戴」ユビサシ

 

 

<冬木ゴールデンパーク、好評開園中!

 

 

シロウ「、、、真剣な顔で、唐突に遊園地のcmを見せてきて、如何したんだ?」

凛「えぇ?、、何でよこれ、ついさっきまで報道してたのに!」

 

<何でよぉぉ!!

 

、、、何がしたいんだ、遠坂は、、、

そんな、リモコンを携帯のように曲げて、、、

 

シロウ「、、いや待て遠坂、リモコンは180度には曲がらない!

テレビに八つ当たろうとするな!」

 

凛「ハァ、、ハァ、、」ゼェハァ

 

セイバー「、、、リン、、少し落ち着きなさい。シロウ、この朝刊に載っていますよ」

凛「え?、、、うそぉ!!」

 

セイバーから新聞を受け取った遠坂は、再び絶叫した後、赤面して震えだした。

 

凛「、、そ、そうよ!これを見なさい!藤村君!」バッ

シロウ「あ、あぁ、、、ッ!」

 

開かれたページには、、、一面を使って、とある事件について書かれていた。

それは、、

 

 

シロウ「、、、冬木市で、誘拐、失踪事件、、それも、三日間で100人越え、、だと」

凛「えぇ、、それと、目撃者の話も書いてあるでしょう?」

シロウ「、、!これは、、、!」

 

、、、目撃者の証言では、、

 

 

 

犯人は、茶寄りの赤髪で、身長は160cm前後、穂群原学園の制服を着ている人間だった。

、、いや待て、これは、、

 

シロウ「、、、まるで、オレと同じじゃないか」

凛「えぇ、、でも、少なくともアンタはそんな事はしてない。

そもそも、アンタの傍には基本、誰か居たんだし。

、、つまる所、これは―――」

セイバー「、、何者かが、シロウを陥れようとしている、、と?」

凛「えぇ。、、それも、とびっきりの性質(タチ)悪い奴がね。」

シロウ「・・・迷惑な事この上無いな。それに、、、この失踪した人間は、、」

 

、、、そう、未だに見つかっていないのだと言う。

 

凛「、、多分、襲われた人間は皆、消されているのよ。

とはいえ、こんなに手がかりを残す奴ならその内見つけられるでしょ」

シロウ「・・・」

セイバー「えぇ、、無関係な人間を巻き込むなど、断じて許せる行為では有りません。

ましてや、シロウと似た風貌でそれを行うなど、悪辣にも程がある。

、、必ず見つけ出し、成敗しましょう」

 

、、、本当に、そうだろうか。

その犯人を見つけ出して、問題は無いだろうか?

 

シロウ「、、あからさま過ぎないか?

被害者を、痕跡も無く消すという方法を取っておきながら、わざと見られる様な場所で人を攫う、、

、、そして、オレに似た風貌、、、

、、恐らく何だが、これは、、、」

凛「、、えぇ、釣りでしょうね。

本人が止めに行かなければ、誤解を解けない。

その、止めに来させる事、、つまり、アンタに会う事が目的じゃないか、って心配よね?」

シロウ「、、あぁ。

もしもそうだったら、危険じゃないか?」

凛「そうね、、、なら、私が調査して来るわ。

、、あ、それとセイバーも連れてくわよ?」

シロウ「?、、お前には、アーチャーが居るだろう?

それに、本人のオレが行った方が良いんじゃないのか?」

凛「ガールズトークって奴よ。

それに、今アンタが行っても誤解を生む結果にしかならないでしょ。

、、アンタはそうね、、、偶には、イリヤとでもゆっくりしてなさいな。

どうせ、今日中に事態が動く事なんて無いでしょうし」

シロウ「、、、分かった、、なら、この件は遠坂に任せる。」

 

イリヤと、か、、、そういえば、最近あまり話せてなかったな、、

 

凛「それじゃあ行きましょうか!セイバー」

セイバー「えぇ。必ずや、その狼藉者を見つけましょう!」

 

、、意気込んで家を出ようとするのは良いのだが、、まだ、朝の5時だぞ、、、

 

シロウ「、、、近所の迷惑にならないようにな、、」

 

願わくば、、二人の行動で、俺の疑いが根深くならない事を願う、、、

 

 

 

 

イリヤ「んぅ、、、おはよう、お兄ちゃん、、」

シロウ「あぁ、、おはよう、イリヤ」

イリヤ「、、あれ、、?リンとセイバーは?」

シロウ「二人なら、一緒に出かけたよ。今日は丁度休みだからな」

イリヤ「そうなんだ、、、じゃあ、此処に居るのは、、」

シロウ「オレとイリヤの、二人だけだな」

 

「「・・・」」しーん、、、

 

、、何故か、気まずい、、、

 

イリヤ「、、じゃ、じゃあ、、、今日は、私と、、」

シロウ「あぁ、朝食にしたら、一緒に外に行こうか」

イリヤ「っ!、、うんっ!」

 

イリヤを外に誘うと、心底嬉しそうに、儚く微笑んだ。

、、、そんなに、外で遊びたかったんだな、、、なら―――

 

 

 

 

 

イリヤ「、、、ねぇお兄ちゃん、今日は何処に行くの?

商店街は、通り過ぎちゃったけど、、、」

シロウ「それは、着くまで秘密だ。

、、その方が、もっと楽しめるらしいからな」

イリヤ「じゃあ、、楽しみにしてるね、お兄ちゃん!」

シロウ「あぁ。今日は存分に楽しんで貰うからな」

 

 

近くのバス停から、バスで新都に渡り、駅から十数分歩いた場所に、それは在る。

そう、、オレ達が向かった場所は、、

 

 

―――――――

 

 

~遊園地~

 

ゴオオォォォ!<ワー!キャー!

 

、、外からでも聞こえる、人の声と、駆動音。

まだ朝の8時だと言うのに、

 

 

 

イリヤ「、、お兄ちゃん、此処って、、!」

シロウ「最近出来たっていう遊園地だ。

、、こういうのは、嫌いか?」

イリヤ「ううん!、、何時か、行って見たいと思ってたの!」

シロウ「、、そうか、、なら、良かった

 

それからオレとイリヤは、遊園地を遊びつくした、、

 

―――――――

 

、、、数時間後、、

 

 

~コーヒーカップ~

 

シロウ「・・・・・・」グデ~

イリヤ「、、だ、大丈夫、、?お兄ちゃん?」

 

、、、迂闊だった、、まさか、、、遊園地が、こんな所だったとは、、、

 

―――

――

 

 

『ねぇねぇお兄ちゃん!私、このじぇっとこーすた-っていうのに乗りたい!』

『よし、なら最初はこれに乗るか』

 

天地蹂躙す円環の車輪(ゴールデン・コースター)

 

~~~

 

『、、、ぐ、、平衡感覚が、、!

オレが今立って居るのは、地上なのか、、?』

 

、、浮遊感が、未だに体に纏わりついている、、、

、、というか、途中から線路も動いてなかったか、、?!

 

 

『じゃあ、次は、、アレ!』

『アレ、、?』

 

金星射ぬく宙の座(スペース・ギル)

 

、、イリヤが指差したアトラクションは、、

円形に並んだ座席が、中央の柱に繋がっていて、、

職員の合図と同時に、急上昇するという、、アレだ

 

、、つまり、、

 

 

『、、、また、このタイプなのか、、?』

 

 

 

<お兄ちゃん!速く~!

 

『・・・分かった、、』

 

呟きは届かず、希望も無く、選択肢はとうの昔に絶たれていた、、、

、、オレには、乗るという選択しかなかったのだ。

 

~~~

 

結局、同じ流れを後二度ほど繰り返し、、

オレが満身創痍になり、イリヤとコーヒーカップでダメージを直しているのだった。

 

 

シロウ「・・・・・・・」

 

、、空を跳ぶのは、、これが初めてだったが、、

まさか、これほどに体に負担がかかる物だったとは、、

後一回同じ事をしていたら、、うっかり中身がポロリと出てしまったかも知れない。

 

シロウ(、、、暫くこんな体験は遠慮したいな、、

何故か、胴着を着た藤ねぇと、体操着を着たイリヤが見えた気がするし、、、)

イリヤ「はぁ~♪楽しかったね、お兄ちゃん!」

シロウ「・・・あぁ、、イリヤが楽しかったなら、良かった、、、」

 

、、、イリヤは、強いな、、、

 

―――――

 

イリヤ「、、、、ねぇ、お兄ちゃん」

シロウ「?、、どうした、イリヤ」

イリヤ「、、お兄ちゃんは、如何して私のお願いを聞いてくれるの?」

シロウ「・・・」

 

、、、イリヤの、お願い、、か、、

それはきっと、『戦わない』という事なのだろう。

確かに、今まであれば、

、、しかし、、、聖杯を勝ち取る為には、戦わなければいけない。

 

、、だが、、、此処までそうして来たのは、恐らく――

 

 

シロウ「、、、イリヤの前で戦うのが、嫌だから、、だな」

イリヤ「え、、?」

 

、、そうだ。オレは、イリヤが戦う事と同じ位、イリヤが戦いを見る事を、嫌っている。

こんなにも幼い人が、戦いに身を投じる事が、、オレには、許せない。

だからこそ、オレはイリヤを傷つけない、

これは、オレの為すべき事以前の有り方だ

 

イリヤ「、、そうなんだ、、、うん、やっぱり、お兄ちゃんは、、、優しいね」

シロウ「、、優しい訳が有るか。、、オレは、、、」

 

 

、、たった一人さえ、守れ(救え)なかったのだから、、

 

 

イリヤ「ううん、、お兄ちゃんは、優しいよ。

、、だからかな、、、」

 

うん、と軽く息を整え、イリヤは―――

 

 

イリヤ「、、シロウのお願いなら、、叶えても良いかな、、って」

シロウ「、、、それは、どういう、、」

 

イリヤ「、、?この感じ、、、もしかして!」

 

唐突に、イリヤが血相を変えて立ち上がる。

、、、それとほぼ同時に、自分にも悪寒が走った。

 

「む、、貴様等、何故此処に居る?」

 

シロウ「、、何?」

 

、、、今、不吉な声が、、というか、何故あの男が此処に、、?

 

そう思いながら、ゆっくりと振り返ると、、、

 

ギルガメッシュ「戦いの最中というのに、遊興に耽る余裕があるとはな」

 

、、、黄金の王が、、そこに、立っていた。

しかも、以前とは違う服装の。

、、具体的に言うと、最初に通るルートのアレ。

、、と言うか何故、コイツがこんな所に、、?

 

ギルガメッシュ「、、良い。して貴様等、我のテーマパークは如何だ?無論楽しかろうがな!」

シロウ「いや、楽しんでいるか、、って、そんな経営者のような事を、、」

ギルガメッシュ「不敬な。『のような』ではなく我が園長なのだ」

 

、、、、は?サーヴァントが、、遊園地を、、?

 

ギルガメッシュ「・・・何を惚けたような顔をしている?

ほれ、パンフレットを良く見てみろ。」

 

パンフレットには、、

、、隅の方に、大きく『園長 ギルガメッシュ』と乗っていた。

 

シロウ「(、、、コイツ、ギルガメッシュと言うのか、、)そうだったのか、、、」

ギルガメッシュ「貴様、まさかパンフレットも持たずに来園したのか?」

シロウ「TVの広告を見たんだよ、、だけど、アンタが園長何て、紹介されなかったぞ」

ギルガメッシュ「そんな筈はあるまい。

、、、いや、よもや貴様、cmを途中までしか見ていなかった、とかではあるまいな?」

シロウ「・・・・・・・・」

 

、、確かに、途中で遠坂が騒いだ事も有り、最後まで見た訳ではなかったが、、

 

ギルガメッシュ「、、、図星、か、、、この愚か者めが!

この様な場所には、情報を仕入れてから来るのが常識であろう!」

シロウ「ぐ・・・だが、アンタが常識を語るのはおかしい気がする。」

 

確かに自分は情報不足ではあったが、、それでも、この男がそれを言うのは違う気がした。

 

ギルガメッシュ「、、して、先程から静かになっているそこな人形」

イリヤ「ッ、、、」フルフル、、

 

唐突にギルガメッシュに声を掛けられ、怯えるイリヤ。

、、その体は、蛇に睨まれた様に震えていた。

 

 

ギルガメッシュ「、、ほう、我に怯えるか?

、、かといって、バーサーカーを呼ぶでもなし、、か」

 

そう言って、ギルガメッシュはイリヤを見つめた

 

ギルガメッシュ「、、成る程な、、只の人形かと思えば、、どうして、中々に愛いではないか。

、、フ、安心せよ、元より此処では戦わぬわ。

此処は、この我が作りし世界最高のテーマパーク故な、

貴様等幼子は、疲れ果てるまで遊ぶが宿命よ!」

イリヤ「え、、?」

シロウ「・・・正直、オレは疲れ果ててるんだが、、」

ギルガメッシュ「まだそこな小娘が居るではないか、

今ならばスペースギルもゴールデンコースターも乗れるであろう、行け。

このチケットを使えば、両方最前席に座れるぞ。」ピラッ

 

・・・・・・また、アレに乗るのか・・?

 

シロウ「、、、イリヤ、、?」

 

、、頼む、イリヤ、、!

 

イリヤ「、、、良いの、、?」

ギルガメッシュ「当然よ」

 

、、あぁ、、これで、延長確定か、、、

、、おそらく、分かっていてやっているんだろう、この男は。

 

、、そして、イリヤは嬉々とした様子でアトラクションへと向かって行った。

 

イリヤ「お兄ちゃーん!」

シロウ「、、あぁ、、今行く」

 

軽快に走り行くイリヤを、オレは重い足取りで追おうとする、、

 

ギルガメッシュ「、、今の内に、存分に楽しんでおけよ。」

 

、、、それは―――

 

シロウ「・・・」

イリヤ「、、?お兄ちゃん、、怖い顔、してるよ、、?」

シロウ「!、、悪い、イリヤ。

、、そうだな、、少し、考え事をしていた。」

イリヤ「さっき、あの金色のサーヴァントと話していた事?」

シロウ「ん、、、そうだ」

 

interlude

―――――――――――――――

 

interlude ~ギル君~

 

、、そうだ、一つ、聞き忘れた事があった。

 

イリヤを追いかける足を止めて、もう一度ギルガメッシュと向かい合う

 

シロウ「、、マスコット枠に、ギル君というのがあったが、、アレは一体?」

ギルガメッシュ「何だ貴様、そういう所だけは目敏いのだな?」

シロウ「・・・で、結局何なんだ、ギル君とは」

ギルガメッシュ「、、、まあ良い。

丁度人通りも少ない事だ、記念に見せてやろう」

 

そう言うと、ギルガメッシュは懐からおもむろに瓶を取り出し、、

、、その中身を、飲みだした。

・・・すると、、

 

ボフン!と音を立て、ギルガメッシュが、、

 

 

子ギル「、、、おや?お兄さんは、、」

 

、、見た目が小学生レベルに、小さくなっていた、、、

 

シロウ(、、、若返った自分をマスコットにする、、か、、、、)

子ギル「、、あぁ、そういう事ですか。貴方が、、」

 

、、、子供になったギルガメッシュが、好奇の目でこちらを見てくる。

、、何時もの品定めをする目では無いのが、奇妙だ、、、ついでに若干気味が悪い。

 

シロウ「、、、君は、、もしかして、アイツ本人ではないのか」

子ギル「ん~、、まぁ、当たらずとも遠からず、ですね。

少なくとも、何故か霊基は同じですから」

シロウ「、、、つまり、君は本当にあのギルガメッシュと、、?」

子ギル「はい、同一人物ですよ。

、、というか、知り合ってまだ数日の貴方にまでそんな事を言われるとは、、

、、、本当に、大人の僕は、、、」ハァ、、

 

、、ヤレヤレでもあり、ガッカリでもあり、複雑なソレを含んだ溜息に、少し同情する。

、、いや本当に、この子供が如何してあぁなった。

 

子ギル「、、第一、遊園地何て今更過ぎるんですよね、、考えが子供っぽいというか、、、

僕だったら、もっとマシな、、例えば、大きなプールでも造ったのに」

シロウ(、、あぁ、少し納得が行った気がする。)

 

 

<あー!ギル君だ!

 

子ギル「おっと、人が来てしまったみたいですね、

さ、速く彼女の所に行ってあげて下さい。此処は、少し騒がしくなるでしょうから」

シロウ「あ、あぁ、、、」タッタッタッ

 

 

 

 

子ギル「、、さて、、彼等は、どんな結末に至るかな?」

 

interlude out

 

――――――――――

 

シロウ(、、あの男は、分からない事ばかりだな、、)

イリヤ「、、ねぇ、お兄ちゃん、、?」

シロウ「?なんだ?」

イリヤ「、、、何で、怖がらないの、、?

危険なサーヴァントだって分かったのに、、どうして?」

シロウ「あぁ、、それは―――」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

イリヤ「、、え?」

シロウ「元々、まともな人間じゃないと思っていた。

それが今更サーヴァントだったと分かっても、()()()()()位にしか思わないさ。

、、、とはいえ、オレも流石に英雄王だとは思わなかったけどな。」

イリヤ「・・・」

シロウ「、、さ、そんな事より、またアレに乗るんだろう?」

イリヤ「あ、、うん」

シロウ「なら、急がないと。時間には限りがあるからな」スタスタ

イリヤ「、、うん、そうだね」

 

 

イリヤ(、、、『殺される』とは、思わないんだね、、、)

 

、、あのサーヴァントだって、私たちの敵なのに、、

、、私たちなんて、一瞬で殺せる位の力が有る筈なのに、、、

お兄ちゃんは、それを当たり前と理解していた。

、、その上で、戦わないと、、そう思って、疑わなかったんだ

 

イリヤ(、、、きっと、お兄ちゃんも、、何かが壊れてしまっているのね。

、、私は、、やっぱり、怖かった、、殺されるって、動けなかった、、)フルフル

 

、、今でもまだ少し、手が震えてる、、

死を確信してしまったから、、何時も以上に震えが酷かった、、

 

、、あの時の、あの眼―――

 

イリヤ(、、ぁ、、思い出したら、また、、)ドクン

 

足元がふら付く、、、動悸が、震えが、呼吸が、熱が、、、私の全てが、死に怯えてる

 

イリヤ(いや、、お兄ちゃん、待って、、、)

 

声には出さない。、、でも、、また、独りぼっちになるのだけは・・・

 

 

――――大丈夫か、イリヤ

 

 

、、そんな、倒れそうな体を、優しく抱きとめてくれた。

 

イリヤ「、、お兄、ちゃん、、?」

シロウ「、、やはり、無理してたんだな」

イリヤ「あ、、」

 

シロウが、私をおんぶしてくれた。

 

シロウ「、、もう帰るぞ、そんな状態じゃ、楽しむに楽しめないだろ」

イリヤ「、、うん、、有難う、お兄ちゃん」

 

―――――――――――――

 

~冬木大橋~

 

、、、結局、家までは歩いて帰る事にした。

そのせいか、橋に差し掛かる頃には、すっかり日も暮れてしまった。

 

 

 

 

シロウ「・・・」

イリヤ「・・・ねぇ、お兄ちゃん」

シロウ「何だ?」

イリヤ「、、ううん。ごめんね、何でもない」

シロウ「そうか、、、

、、なら、オレから言いたい事があるんだが、良いか?」

イリヤ「、、うん」

 

イリヤは、頷いた。、、なら、オレが言うべき事は、これだけだ

 

シロウ「、、、怖いのなら、怖いと言えば良い。」

イリヤ「え、、」

シロウ「死にたくないなら、オレがイリヤの楯となろう。

、、、お前はもっと、誰かを頼って良いんだ」

 

イリヤが、今までどんな生き方をして来たのかは知らない。

、、、だが、あの時のイリヤは、、見ていられない程に弱々しかった。

今にも泣き出しそうな瞳に、震えた身体、、

どこからどうみても、普通の子供のようだった。

、、、だが、そうなっても、オレを引き止める事はしなかった。

それは、プライドからの行為ではない。

、、恐らく、、誰を頼る事も出来ず、今まで独りで生きてきたのだ。

故に彼女は、咄嗟に人を頼る事が出来無い。

、、だからこそ、オレは―――

 

 

―――そんな彼女を守る為に(か弱き人を救う為に)居るのだから(在るのだから)―――

 

 

 

 

 

 

 

イリヤ「、、、お兄ちゃん、、、」

シロウ「、、今日は、楽しかったか?」

イリヤ「、、うん!」

 

、、、なら、後は家に帰って、ゆっくり休むだけだな

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・話は、終わりですか?、、では、聖杯は頂いていきます」スゥ、、、

 

シロウ 「―――!」

 

―――冷たい、零度の如く冷え切った声が、耳元で響いた瞬間―――

 

 

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン!

 

「ッ!」ダッ!

 

 

 

 

、、、空から、剣の雨が降り注いだ

 

「、、危ない所だったな、藤村士郎」

 

シロウ「、、!お前、アーチャー!」

アーチャー「、、、貴様、何故徒歩で帰っている?

バスに乗れば、遅くとも今には家に着いていた頃だろう」

シロウ「、、、それは、、、」

 

つい先程助けられた相手に、今度は説教を受けている。

、、、いや、言っている事は理解出来るが、今言う事でも無い気がする。

 

アーチャー「、、まぁ良い。それよりも今は―――」

 

 

 

「、、、アーチャー、、ですか、、」

アーチャー「、、そういうお前は、如何やらライダーの様だな。

、、この襲撃は、マスターの意向か?」

ライダー?「、、それを、貴方に言う義理は有りませんね、、、」

アーチャー「フッ、、まぁ、君のマスターも、少しは頭が回る、と言った所か。

マスターが二人になった所を狙う、、確かに、理に適っているが、、

こちらのマスターも、その程度はお見通しという訳だ」

ライダー?「えぇ、、その様です。

、、、ですが、それは()()()()()()()

アーチャー「何、、?」

 

、、そう、、アーチャーは、『橋の上』を監視していた

そして、二人に近付くのは、ライダーのみだと目視で確認したのだ

、、、しかし―――黒衣の暗殺者は、思いもよらぬ場所に潜んでいたのである

 

 

「、、、そう、懐に潜り込まれた時点で、貴様の負けだ、アーチャー」

 

アーチャー(ッ!アサシン、、!不味い、近寄られ過ぎたか、、!)ダッ!

 

「宝具――――

 

 

 

 ――――妄想心音(ザバーニーヤ)』!」グワッ!

 

 

 

アーチャー「この腕は、、、!まさか、悪霊憑き、、!」

アサシン「もう遅い」ヒュッ!

 

アサシンの宝具が、アーチャーの身体、、心臓を掴もうと迫る瞬間―――

 

シロウ「ハァッ!」ヒュッ

アサシン「ヌゥッ!」グォッ

 

ピッ キィンッ!

 

背後からの一太刀を浴びせる、が、、、アサシンは、咄嗟に腕を背後へと振り、剣の一撃を受け流した

 

 

アサシン「、、暗殺者が不意を突かれる訳にはいかないのでな。

、、、アーチャーは仕留め損なった、、が、、、」スッ

 

、、、アサシンの右手には、、活きた心臓が、握られていた。

規則正しく動くそれは、、まるで、本物に見える。

、、いや、あれは、、、擬似的な、オレの心臓なのか、、?

 

アサシン「、、セイバ-のマスターよ、お前には()()()()。」

ライダー?「待ちなさい、貴方の役割は、あくまでアーチャーの暗殺。

、、、セイバーのマスターに関しては、特に言われていなかった筈では?」

アサシン「、、、しかし、あのセイバーは我々にとって脅威。

此処で脱落させられるのであれば、それに越した事は無い筈だ。

故に、これは私の独断という事で構うまい。」

 

アーチャー(、、成る程な、、相手に直接触れる事で発動する宝具か。

あの心臓は、恐らくあの男(藤村士郎)の心臓とリンクしているのだろう。

、、アサシンがアレを握り潰せば、リンクした実物も同時に潰れる、、

即死でなくとも、人間であれば確実に死ぬ、、

触れねばならないというリスクも、あの腕の長さで十分にカバーが出来ている。

、、、何とも厄介なサーヴァントだな)

 

シロウ「、、、」

アーチャー「、、落ち着いている場合か?

アレを握り潰されれば、貴様も死ぬかもしれんのだぞ」

シロウ「、、―――なら、、、」ボソッ

アーチャー「何、、?」

 

 

 

アサシン「、、では、死ね」グジッ

 

ブシュゥゥゥゥゥッ

 

 

 

 

 




少し前の事ですが、カーマちゃんのガチャを30連回しました。
最初の20連はグロ画像で、最後の一回は、、

金カードで (ノ*゚▽゚)ノとなり、

セイバーのクラスカードだったので(´・ω・`)カーマジャナイカ、、となり、、


ディオスクロイが出て ( ゚д゚)



あ、皆さんはキャストリア出ましたか?自分は取りあえずスキルマにしました。


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4DAY night 橋の死闘

シロウ「がッ、、、ゴフッ」ビシャビシャッ

 

体内の血液が、全て排出されるような感覚、、、

、、生命のポンプが、力任せに潰されたような感触、、、、

息が止まるのと同時に、全てが搾り出されるような、、不快感

 

 

シロウ「ゲホッゲホッ、、、、」ビチャベチャ

 

 

その全てを吐き出し、()()()()()

 

シロウ「、、ふ、ぅ――」

 

、、口内には、今だ血が溜まったままだが、、気にしている暇など無い。

再び剣を構える。戦闘は、今も続いているのだから。

 

 

、、、い、、、

 

 

 

アサシン「何だと、、?!確かに心臓を握り潰した筈、、!」

シロウ「あぁ、確かに潰れたよ。、、、()()()()()()()。」

 

だが、心臓を即時修復すれば問題は無い

壊れた部位は自己修理し、欠けた肉体は補強すれば良い。

、、、そうだ、これが()()()|()使()()()()()()()》だ。

、、けれど、、何故それを、今まで忘れていたんだ?

そんな()()()()()()を、、、

 

、、、たい、、、

 

 

、、、微かに、誰かの声が、体の内側に響いて、消えていった

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

アーチャー「・・・」

 

、、、何故、この男は生きている?

心臓を潰される直前、、この男は、確かに『心臓が潰れるくらいなら』と言った

そして、直後確実に心臓を潰された、、、筈だ。

 

、、あの鞘でも、心臓を潰されれば、、いや、セイバーが居れば、もしや有り得るかも知れんが、、

それも、今は別行動中だ。

、、薄々、感じてはいたが、、、

 

 

藤村士郎(アレ)は、何者()だ、、、?

 

 

 

interlude

―――――――――――

 

 

 

 

~□□邸~

 

 

凛「、、、流石に、帰って来るのが遅すぎるわね」

セイバー「凛、やはり私達も行くべきです!

その為に、私とアーチャーを別々の配置にしたのでしょう!」

凛「えぇ、その通りよ。

、、魔力供給の効率は落ちるけれど、貴方達を入れ替える事で、確実にお互いの居場所が分かる、、

、、士郎には、楽しむ邪魔をしたくなかったから言わなかったけれど、、」

セイバー「でしたら!」

凛「、、でもね、、セイバー、これはアーチャーが言い出した事なの」

セイバー「アーチャーが、、?」

凛「えぇ。、、「今日一日、彼等の行動を監視させて貰う。

君はセイバーでも連れて行くと良い。

、、、それと、帰るのが遅くなっても、私達を追いかけて来ないで欲しい。

、、何故かは言えないが、、私の疑問を、解消したいんだ。

無論、彼等を傷付ける事はせん。、、これは、令呪にではなく君に誓おう」、、だってさ。

だから、私はアイツを信じてみる。」

セイバー「・・・・・・分かりました。後二十分だけ待ちましょう」

 

 

 

interlude out

 

 

―――――――――――

 

 

アーチャー「ハッ!セアッ!」ヒュッヒュン

ライダー?「・・・」キンキンッ

 

シロウ「オオッ!」ブンッ

アサシン「チィッ!」シュタッ

 

 

戦況は、こちらが優位だ。

アサシンをオレが相手取り、アーチャーはライダーと戦っている。

互いの距離を保ち、アサシンの宝具を警戒し、隙あらば互いの援護を。

そしてオレは、接敵した時点で距離を取らせたイリヤの方に気を配る。

、、幸い、オレの心臓が潰される所は見られていなかった様だ

 

ライダー?「、、面倒ですね、、此処で殺してしまいたくなります、、、」

アーチャー「私はともかく、あの男を殺せるかな?

見た限りでは、お前やアサシン程度の非力では、ゆめ出来なさそうだが」

シロウ「、、アーチャー、ライダーの眼には気をつけろ」

アーチャー「言われずとも警戒している。恐らく魔眼の類だろう。

、、あれだけ厳重に封印しているのだ、嫌でも注意が向くという物。」

 

、、そう、ライダーは、バイザーを着用している。

故に、ライダーの宝具は目なのではないかと推察したが、、やはり、アーチャーも同じ推察に至っていた様だ。

だが、今のオレの相手はアサシンだ。

今も、飛んでくるナイフを弾きながら考えている

 

アサシン「ク、、、此処は一旦、退却すべきではないか、、!」

ライダー?「、、、仕方有りませんが、そうなりますね、、、では」スッ

シロウ「、、!下がれ、アーチャー!宝具だ!」

アーチャー「!ちぃッ!」

 

退却しようとするアーチャーを、アサシンがナイフで足止めする。

、、そして、ライダーが―――

 

 

ライダー?「―――!」キィ――ンッ!

 

アーチャー「ク―――!」

シロウ「ッ、、!」

 

ライダーの妖しく光る瞳が、アーチャーとオレを射抜く。

 

 

ライダー?「、、では、また何れに」スゥゥ、、、

アサシン「、、、暗殺を失したとあれば、山の翁の名折れ、、

、、次は必ず、貴様らの命を頂こう、、」スゥゥ、、

 

シロウ「ッ、、!待て、まだ―――」

アーチャー「、、、これ以上の戦闘は、止めておけ」

シロウ「何、、?」

 

オレを静止するアーチャーの声に振り向くと、、

 

アーチャー「というより、これ以上戦闘するのであれば、私の援護は期待するな」

シロウ「お前、、その身体、、」

 

、、アーチャーの身体の一部が、()()()()()()()()()

 

アーチャー「、、、石化の魔眼だ、、、」

咄嗟に目は閉じたが、一瞬だけ合ってしまったらしい、

、、そして、一瞬でこの石化度合いからして、、アレはおそらく、神代の怪物だろう、、」

シロウ「、、、神代、、石化の魔眼、、そうか、アイツはメドゥーサか、、!」

 

その瞳を見た者は、石になるという、ゴルゴン三姉妹の一人、末っ子のメドゥーサ。

、、、成る程、、それならば、アーチャーの石化具合も理解出来る

 

 

 

アーチャー「、、考えるのも良いが、先ずは此処を離れるぞ、長居は無用だ。」

シロウ「!あぁ、、イリヤ!もう戻ってきて良いぞ!」

 

 

・・・

 

 

シロウ「、、、イリヤ、、、?」

 

 

 

 

 

ドゴオォォォン

 

    パァン!

           パァン! 

     パァン!        パァン!

 パァァァン!

 

 

 

シロウ「ッ、、、!(この爆発音は、、!?)何だ!?」

 

ヒュルヒュルヒュル、、、ザクッ

 

シロウ「剣、、、?、、!イリヤ!」タタタッ

アーチャー「!待て貴様!迂闊に動くな!」

 

 

アーチャーの静止を振り切り、橋の中央を駆ける。

、、イリヤに危機が迫っているかも知れないのだ、直ぐに向かわないと―――

 

 

 

アーチャー「チィッ、、、『聞こえるか、凛!』」

 

『アーチャー!アンタ等今何処に、、

、、ううん。アンタ、自分から『念話するな』って言ったわよね?

もしかして、何かあったの?』

 

アーチャー「、、、あぁ、面倒な事になった、、、、

 

 

 

 

 

 

――――イリヤスフィールが、攫われた」

 

『ッ―――!』

 

 

―――――――――――

 

 

ドドドドドドドドドドッ!

 

 

シロウ「ッ、、!イリヤ、、!」

 

 

橋の中央に差し掛かった所で、戦いの残痕を見た。

何者かの血液と、辺りに大量に刺さっている剣、、

おそらく、この血液はバーサーカーのものだろう。

、、これだけで、どれほどの戦闘だったかは容易に想像が出来る。

そして、相手がどれだけ強力なのかも。

 

 

ゴオオオオオオアアアアアアアッ!

 

 

 

シロウ「ッ、、!これは、、バーサーカーの声!」ダッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ハァッ ハァッ ハァッ、、、」

 

 

キィンッ! キィンッ!

 

 

「ヌゥゥッ!!」ドスドスドス

「ッ、、!バーサーカー!」

「私の事などよりも、御自身を心配されよ!

足を止めれば、圧し潰されるぞ!」

「っ、、うん、、!」

 

 

、、その男は、幼き魔術師と最凶のサーヴァントを相手取り、それを一方的に蹂躙していた

 

 

「、、そうだ、精々最期まで我を楽しませろよ。

、、、もはや、貴様等にはそれしか残されていないのだからな」

「、、イレギュラーなる英雄よ、、何故戦いを急く?

今彼女を手にしたとて、聖杯は現れぬぞ!」

「、、さて、な、、、だが、少なくとも〝孔゛は開かれるであろうよ。

、、その先は、如何いう訳か我にも見えんがな」

(、、、先、、だと?)

 

男の不可解な言動に、聡明な狂戦士は一瞬躊躇する

 

「まぁよい。今は貴様を屠るが先だ。

、、、後3度の命、残ると思うなよ?」ジャララ、、、

 

男が、黄金に光る空間から取り出したのは、一本の鎖。

、、だがその鎖は、此処に到るまでに、自らを3度殺す要因となった物だった。

 

(、、あの鎖。、、神性の強さに比例して、強度を増していく物の様だ、、

もう一度捕らわれれば、次こそ残りの命の全てを刈り取られるのは間違い無い、、

、、、認めざるを得んな、、完全な狂化であっても、奴の相手は務まらぬだろう。

逆に狂化が薄い事は好機と見るべきか、、この様な判断を下せるのだからな)

 

 

 

「、、、イリヤ、、私に令呪を。

『貴女を守りながら、全力で逃げろ』と、命じて欲しい。」

「!、、、うん」

 

主は、浅く頷いた。

ならば、後はその命令を待つのみ

 

 

ギルガメッシュ「どうしたバーサーカー?貴様とて、大英雄と呼ばれた男であろうに。

あろう事か、尻尾を巻いておめおめと逃げると?

、、フッ、この我の前では、それも仕方有るまいが、、、戦士としては二流の考えよなぁ!

この場で潔く散った方が、貴様にとっても栄誉であろうが?」

「・・・それが如何した。

今の私は戦士であり、同時に騎士だ。

唯一()である貴殿には、理解出来まい」

「、、、あくまでその小娘を守ると。

、、ならば仕方あるまい。、、、仕方あるまいが、、、」

 

、、そこで、一度言葉を区切り、何かを惜しむような顔をして、、男は言った。

 

「、、代わりに、()()()を連れて行かねばなるまいか」

 

「、、、!」

 

それだけで、、、誰の事か、分かってしまった。

 

「、、シロウ、、、?」

「そうだ。、、聖杯が手に入らぬなら代わりにアレでも構わん。

もっとも我の見立てでは、アレでは聖杯の中身(中の物)まで換えてしまうだろうが、、、

まぁ、些事と割り切る他無かろう。」

 

 

「――あ――」

 

―――息が、詰まった

この人が何を言っているのかも、分からなかった

 

 

、、でも、、一つだけ。

 

私が今逃げたら、、、そしたら、次はシロウが狙われるという事だけは、理解できた。

 

、、、でも、、それは、どうして、、?

 

 

「・・・な、、んで、、?」

「何故、自分以外が聖杯の器になれるのか、という事であれば、簡単な事よ。

、、そう、あれはな―――む、話しすぎたか?」

 

、、肝心な所を言う前に、誰か、、いや、ギルガメッシュ(アイツ)のマスターが、止めたんだ。

 

「これ以上の問答をしている時間は無いらしい。

、、、ではな、狂戦士。主と共に消えるが良い!」ジャララララッ!

 

イリヤ「ッ、、!お願い、バーサーカー!」

 

「逃げて」と願えば、まだ逃げられた筈なのに、、、私は、、、、

 

イリヤ「、、、『アイツを、倒して』、、、!」キィンッ!

 

、、、中途半端な私は、、最悪の選択を、してしまった、、、

 

 

 

「!、、、、ゴオオオアアアアアアアアアッ!」

 

ゴィィン! ギィン! ガンッ! ドスッギュルルルル、、、――――

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

シロウ「・・・・・・・・・」

 

 

、、オレが辿り着いた時には、、全てが、終わっていた。

、、あぁ、、道中で、とうに分かっていた筈だ。

途中から、音が聞こえなくなった時点で、、

 

 

 

 

バーサーカー「・・・・・・」

 

 

、、鉄柱に磔にされたバーサーカーが、、そこには残っていた

それは、つまり・・・

 

シロウ「、、イリヤは、攫われたんだな」

 

   「・・・・」

 

バーサーカーは、何も言わない。、、否、既に事切れているのかもしれない

 

シロウ「、、誰にやられた。そして、それは何処に行った?」

 

だが、消滅していないという事は、、まだ可能性はある。

 

 

   「、、、、、、」

シロウ「!」

 

   「、、リュウ、、ドウ、ジ―――」シュゥゥゥゥ、、、

 

そうカタコトで言い残し、バーサーカーの体は消滅した。

、、、恐らく、狂化していたのだろう、、それでも、最後の瞬間、(イリヤ)の為に狂化に抗ったのだ

 

シロウ「、、バーサー、、」

 

 

 

その時、ふと、、、

 

 

  ―――いたい―――

 

 

、、、声が、聞こえた

 

いたい、いたい

 いたい  いたい   いたい

イタイ イタイ  イタイ  イタイ   いたい うごけない

 

  ―――くるしい――― 

 

 

苦しそうで、今にも消えてしまいそうな声が

 

いたい  どろが きもちわるい いたい いたい

いたいイタイ  むねが いたい つらい  しにたくない   

 

 

 

 

  ―――しねない――― 

 

 

――――

―――

――

 

 

?「――――がぁ、、ッ!」

?(、、、今の、、は、、)

 

 

直した筈の心臓が、再び疼くような、そんな感覚と共に―――

―――脳内にフラッシュバックしたのは、、覚えの無い(場所)だった

 

 

 

 

誰もが助けを請い、死に絶えた(唯の一度の救いも無く)

炎は全てを焼き焦がし、地に溢れた(唯の一度も栄えは無く)

|淀んだ空は、血に塗れた大地を洗い流す為、雨を降らせる《唯の一度も偽善は無く》

 

そして、、、唯独り残った子供さえも、殺した(唯の独りも赦されず)

 

 

、、そして、()()()()()()()()()()誰か(自分)

 

 

、、、

 

 

・・・・なら、()()は一体、誰なんだ、、、?

人間なのか、、?それとも、、?

 

 

 

、、いや、それ自体が(考える事)がおかしいのだ

 

ヒトは、自らがヒトである事を疑い、悩む事はしないのだから

それを疑う自分は、ヒトであれ何であれ、きっと欠陥品なのだろう

 

            《まるで泡沫の様に、少しずつ感情が消えていくような錯覚が起きた》

 

、、もう一度、その惨状に目を向けた。

血に塗れ、乾ききったそれは、()()が過去に目にした事があるような、、そんな気がした

 

 

『、、、何故、死ななければいけなかったのだろう』

 

誰が返すも無い問いを呟く―――

 

 

 

        ――――貴方が殺したのに――――

 

 、、、!?

 

『、、、』

 

 

幼さを感じる女性の声が、死体の山から聞こえてきた

 

 

        ――――無慈悲に、無責任に全てを殺させた貴方が、それを言いますか――――

 

それは―――

 

 

『そうしなければ、守れなかった。

弱き者を守る為には、強き者を殺す他無かったからだ。』

 

 

 

 

 

        ――――それなら――――

 

 

・・・女性が、死体の山から何かを腕に抱え、目前に迫り―――

 

 

 

 ――――何故、彼をも殺したのですか――――

 

 

 、、、、それは

 

 

『―――その、子供は――』

 

 

 

 

それは、それは、、、ソレ、ハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チガウ

 

 

『、、殺す理由はあった』

 

 殺す理由が無かった

 

お前(―――)を殺せる程の才があった。

その子供が大きくなれば、お前よりも強くなる。そして今度は、その子供が人を殺す』

 

 その子供がそうなる確証は無かった、殺す必要なんて、、そんなものは、、、

、、何より、彼女は賢きヒトだった、、

 

『弱きヒトの為に、強過ぎる者や力を持ち過ぎた者達は排除する。』

 

、、、それでも、それが()()の結論だった

否定しようと咎められようと、『ヒトの為にある物』として、変わり様が無い答え、、、の筈だった

、、、今は・・・

 

『・・・』

 

、、あぁ、思考が定まらない、、、きっと何時もなら、口に出した事(それ)が全てだったのだろうに、、、

、、一体何時から自分は、破綻してしまったのか、、、

 

 

 

 ――――そう、ですか―――

 

、、残念がるような、、少し、安心したような、、そんな声で、彼女は続けた

 

 

 ――――貴方は、迷っているのですね――――

 

 

、、、俺の心を見透かし、先を見据えているような、、そんな達観した顔で、彼女は告げた

 

 

 ――――もう少しだけ、時間を稼ぎましょう さあ、行きなさい――――

 

 

 

―――――――

――――――

―――――

――――

―――

――

 

 

 、、、きろ――――起きろ、たわけ!

 

 

 

そうして、目が覚めた。






長らくお待たせ致しました。
そして、一つ―――




―――待たせた挙句、こんなに短くて済みませんでしたァァァ!orz

いやほんと、たった6000字程度にかける時間じゃないですよね、ハイ
もう少し話を長くするか、投稿頻度を上げたいです(願望)





・・・所で、、読者の皆様は、お気付きになったでしょうか?
あぁいえ、気付かずとも問題は有りません。
、、、誰に気付かれずとも、『彼』は嘆くしかないのですから―――


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