魔法少女で魔女の救済戦線 (キューラ)
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序章

─スッ──

 

「ウグッ…」

 

丑三つ時─古来より鬼や死者が現れると言われる魔の時間。闇に包まれた神社の境内に刃物の音が響いた。そこに居るは境内の階段に座り込む少年が一人。

──手首から大量の血を流し、片方の手に血がついた刃渡り10cm程の果物ナイフが握られている。

 

「…アハハ…真っ紅だ…」

 

自ら切り裂いた手首から絶えず流れる紅い血に薄れる意識の中、視線を向けてそう呟いた。

この少年の名は明石夕凪(あかし ゆうな)、今年中学二年生に上がったばかりだった。

ある夏祭りの日の夜、共に祭りに来ていた密かに想っていた幼馴染みを探して境内の裏に行った時、偶然にも目にしてしまったのだ───幼馴染みと親友がキスをする瞬間を。自分の幼馴染みへの想いが音を出して崩れていくのがわかった。そこで夕凪はそっとその場から立ち去り家に走った。

 

「…裏切り者」

 

その日の夜中、幼馴染みからメールが来ていた。内容は“なぜ私を置いていったのか”だった。それから夕凪は部屋に置いてあった果物ナイフを持ち、近所の神社に向かった。そこに着くと自分の手首を果物ナイフでかっ切ったのだ。そこで自分の携帯が鳴る。開いてみると幼馴染みからだった。血にまみれた手で携帯をつかみ通話ボタンを押す。

 

『ちょっと夕凪!何であそこに置いて行ったの?』

 

「あはは…それは…ごめんね」

 

最後に聞く声が自殺に踏み切らせた幼馴染みだとは何と皮肉な事か。

 

『…夕凪?大丈夫?声が掠れてるよ?』

 

「…ねぇ、千尋…」

 

『な、何よ!』

 

「…僕はさ、君が…好き、だったよ」

 

声を掠れさせながら昔からの想いを伝えた。

 

『ゆ、夕凪?何よそれ…コキュウガアライ!…今何処にいるのよ!?』

 

どうやら僕の状態が伝わったのか場所を聞いてきた。

 

「…昔、さ…いっ、しょに…遊んだ…神社さ…」

 

『あ、あの神社ね!待ってなさい!!今から…』

 

「も、う…無、理…だよ…」

 

『何で!!』

 

「…意識が…さ…無くなって…きてる、んだ…」

 

実はもう夕凪の意識が消えかかっていた。

 

『何でよ…何で!!』

 

微かに涙声が聞こえてきた。

 

「…自分の…意思、だよ…千尋…さよ…な…ら…」

 

『夕凪?夕凪!?ゆうな!?』

 

夕凪は別れを告げると遂に意識が途切れ、夕凪の手から滑り落ちた携帯からは千尋の夕凪を呼ぶ悲痛な声が響いていた。

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

「うぅ…夕凪、何で!なんでぇ…!」

 

 

夕凪の電話から神社に急いだ千尋の目に入ったのは神社の境内に倒れ込み、血まみれで倒れている幼馴染みである夕凪の亡骸であった。



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プロローグ

「…?」

 

意識が事切れたと思うと急に別の場所に居ました。

 

 

…は?

 

 

「ここ何処なんだ!?」

 

意識がはっきりしてから開口一番そう叫んだ。

 

『ここは我ら神の住む世界だ』

 

後ろから声がし、そっちの方に振り向く。そこにはゆらゆらと浮かぶ白い火の玉があった。

 

「よ、妖怪?」

 

『失礼な!私は輪廻の司る神よ!!』

 

火の玉…もとい!輪廻神様でしたか!

 

『そうよ!』

 

「輪廻神様、何で僕はここに?僕は…死んだ筈です」

 

夕凪は一段落してからそう聞いた。

 

『…可哀想だったからよ。私も君と同じ死に方をしたから…かしらね?』

 

「そうですか…で、僕はどうなるんです?地獄行きですか?」

 

『いいえ、君には私達の慈悲で他の世界への転生が決まっています』

 

神様が突拍子の無いことを言ってきました…マジで?

 

『マジよ』

 

「…心読まないでよ…」

 

『あら、ごめんなさいね』

 

夕凪は次の転生先の事を聞いた。

 

「なら、何処にです?」

 

『君、魔法少女まどか☆マギカってアニメを知らないかしら?そこよ』

 

「…アニメですよ?」

 

そう質問した。アニメなのにある物なのか?

 

『そうね、日本にあるでしょ。八百万の神って言葉が。創作物にも神がいるのよ』

 

「はぁ…」

 

創作物にもて…

 

『まぁ、ある程度信仰が要るんだけどね~。で、次に次の世界を生きるために私達から能力のプレゼントよ。何かリクエストはある?』

 

輪廻神様はそう言ってくれた。…能力だと?

 

「…なら、エヴァのATフィールドと東方projectの能力を下さい」

 

夕凪はそうすぐに言った。そこで夕凪は“あっ”とし特典を追加する。

 

「ああ!後、そっちでの資金とかの融通はしてくださいよ?」

 

『もちろんよ。一応ほむらちゃんみたいにやり直せるようにしておくわ。資金は何時でも使えるようにする』

 

気がきいてるじゃないですか!輪廻神様!夕凪は輪廻神の情に感動を覚えた。

 

「あ、そういえば輪廻神様。向こうに行って内容とか変わらない?」

 

夕凪が気になったのは原作の事だ。イレギュラーの夕凪が入って問題ないのかという事だ。

 

『ん?ああ、原作ね。無視して良いわよ?まどマギの所の神からも原作改変は許可が出てるわ。はい。プリントね』

 

─アレェ?良いの?

夕凪は輪廻神様からプリントを受けとる。

 

「…いや、理由が違う展開見たいからて…えぇ…」

 

プリントには原作改変うんぬんとその理由が書いてあった。

 

『まぁ、あそこの神はそういうの好きだからね~』

 

「マジっすか…」

 

『おっ!そろそろ時間ね』

 

輪廻神様はそう言ってきた。

 

「まぁ、楽しんできますよ。輪廻神様」

 

『ええ!行ってらっしゃい!』

 

夕凪は輪廻神様の言葉を聞くと意識が遠ざかって行ったのだった。



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第一話 転生と魔女家業

中世ヨーロッパ、ファンタジーな建物が建ち並ぶ町─その中心にそびえ立つ城の玉座にて座る少女が一人

 

「…ふぅー、今日の魔女家業やっとおわった~!」

 

どうも、お久しぶりです。明石夕凪こと狂識凛花です。──ちゃんと男に転生しましたよ。…男の子というより男の娘だけど…

でだ、今はというと家業であります魔女の絶望狩りがおわった所で自分の結界の中の城に来てます。あ、今私魔女やってるんですよ。何の魔女かわかります?絶望と希望の魔女です。なんか今日来た魔法少女が私の事を「ディプスホープめ!!」なんて言ってきたので魔法少女内での通り名はディプスホープみたいです。

 

「ディプス、回収に来たよ」

 

「…やっと来たの?遅くないか?」

 

玉座の端にあるカーテンから声がして、その奥から白い謎の生き物が現れた。

 

「─インキュベーター」

 

そう、あの白い悪魔扱いのインキュベーター、通称QBである。

 

「そうかい?僕は時間通りに来たつもりだったんだけど…すまないね」

 

「次からちゃんとしてよ?」

 

そう言って凛花は側の机の引き出しからグリーフシード状のカプセルを取り出し、インキュベーターに向けて投げる。

 

「う~ん。ちょっと今日は濃いね」

 

「そうでしょ?今日は獲物(魔法少女)が大漁だったしね。色付けてあげたわ」

 

凛花が投げ渡したカプセル、それはこの結界に入ってきた者が出した絶望が詰められている。実は凛花、この結界の中に入ってきた魔法少女を絶望に堕とし、希望を与えることで絶望のエネルギーを集めている。そしてそれの何割かをインキュベーターに渡しているのだ

 

「それは嬉しいね。次もよろしく頼むよ」

 

「…感情無いくせして何言ってるのよ…まぁ、いいわ。明日には“あの町”に行くからこれからもよろしくね…」

 

凛花はインキュベーターが消え、一人になった玉座で誰にも届かない呟きをあげるのだった。

 

 

 

───────────────

 

さぁ~て!ここでちょっと解説するよ~

 

この私、ディプスホープこと狂識凛花の魔女の能力を教えてあげるよ!

 

私の能力は簡単に言うと絶望を与え、そして希望を与えることで人間の絶望のエネルギーを集めるんだ。で、絶望を吸い取った人間は絶望をからっぽにして外に出すから魔法少女のソールジェムも浄化しちゃうんだよね。一応私も人間であり魔法少女だから入ってきた同胞(魔法少女)だから殺す訳にはいかないからね。

 

「…にしても明日にはまどか達と会うかもだよね。…まぁ、取り敢えずはまどかの魔女化阻止かな。(能力使って戻せそうだけどその前に殺られそう…)」



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第二話 見滝原中学校よ!私がやって来た!

「…う、うぅ…朝か」

 

カーテンの隙間から溢れる朝日に叩き起こされました、凛花です。…某PC系の研究所の真似は止めましょう。

 

「今何時…ゲッ、7時!?」

 

…初日から遅刻とか洒落にならん!!転校初日だから早めに来るようにと言われていた事を思い出した凛花は能力を使い、時を止めた。

 

「ふぅー、これで遅刻の問題は大丈夫だな…学校行くか」

 

若干ゲンなりしつつ真新しい制服に着替え、学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

──────

 

 

in見滝原中学校

 

はい、やって参りました。今俺は見滝原中学校の教室前でクラス担任の早乙女先生にここで待っているように言われています。…暇だ。!そうだ、クラスの中に聞き耳を立てて

 

『目玉焼きはソース派ですか?醤油派ですか?はい!中沢君!』

 

…そんなことSHRで聞くことか?早乙女先生、貴女は某ボッチの学校の生徒指導の残念美人先生ですか?

 

『え、えっと…ど、どっちでもいいんじゃないんですか?』

 

合コンでフラれたのか…

 

『そう!どっちでもいいんです!ソースしか無理とか醤油じゃないと無理という男なんて選んではダメですよ!』

 

ダメだったんだ

 

『それでは皆さん。今日は転校生を紹介します。狂識さん!入ってきて!』

 

あ、呼ばれた。早乙女先生に呼ばれてから教室の扉を開け、中に入る。

 

「狂識凛花です。隣の県から引っ越してきました。仲良くしてください。あ、因みに俺は“男”ですので悪しからず」

 

「「「「「「「…へ?」」」」」」」

 

凛花の男という部分を聞きクラスメイト達が呆気にとられているのを無視してよろしくお願いします。と言って礼をすると数秒空きでクラスメイト達が叫んだ。

 

「「「「「「「えエエー!!!!」」」」」」」

 

「うおっ!」

 

なに、そんな驚く事あったか?

 

「ほ、本当に男の娘なのか?」

 

「そうだよ…本当行くたびに勘違いされて…」

 

軽く愚痴を混ぜる。するとそう聞いてきた奴等が苦笑いする。

 

「あはは…すまん」

 

「まぁ、いいけどさ」

 

そうしてから早乙女先生が場を仕切り出す。

 

 

「はい、じゃあ席は…鹿目さんの後ろね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女先生が指差すその先に空席がある。その前に座っているのは選択肢次第で神にも魔王にもなる歩く災害こと鹿目まどかさんじゃないッスか。

それに後ろの席は原作で闇堕ち一直線の美樹さやかさんじゃないですか。…改めて見るとめんどくセェー

 

「じゃあ狂識さん。席について」

 

「よろしくね」

 

「よろしくー転校生」

 

「よ、よろしく」

 

席に着くと早速関わりたくない二人に声をかけられる。俺は軽い笑いで返すのだった。



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第三話 放課後のお隣さん

「つ…つかれた…」

 

授業が終わり、放課の時間になると凛花は今日からしばらく世話になる自分の机にへたっていた。

 

「えっと…大丈夫?狂識さん」

 

まどかがそう心配して聞いてきた。

 

ああ…天使。

 

「う、うん…なんとか」

 

「災難だね~転校生も」

 

さやかもそう労ってきた。

 

「他人事だと思ってぇ…」

 

さらにへたりつく。

 

「あはは…そうだ!ねぇ、転校生。今日これから暇?」

 

「へ?暇だが…どうしたの?」

 

な~んか嫌な予感が…

 

「いやさ、今日発売のCDがあるからCDショップに行きたくてさ。転校生も一緒にどう?あ、まどかは決定ねー」

 

「ぇえ!?私は確定なの!?…まぁ、私も空いてるけどね」

 

…今日って原作開始じゃないよね

 

「さ、そうと決まれば行くよ!」

 

そう言うとさやかは凛花とまどかの手を掴んだ。

 

「「え?」」バシッ!

 

「しゅっぱーつ!!」

 

さやかはそう言って凛花達を引っ張って行った。

 

「「ちょ、ちょっと~!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~inマンション~

 

はぁ、なんとか終わった…なんかインキュベーターが来なかったな…なんでだ?

 

『また明日学校でねー!転校生!』

 

「なんであんなに元気なんだろ…」

 

別れ際のさやかの言葉を思いしつつマンションの扉の鍵を開ける。するとそのすぐ後、隣の部屋の扉が開き、中から黄色の髪を持ったマミられさんがいらっしゃった。

 

「ど、どうも。隣に越してきた狂識凛花です」

 

反射的に挨拶をした。

 

「あ、はい。私は巴マミ、よろしくね。狂識さん」

 

「あれ?その制服…あなたも見滝原中学なのね。転校生?」

 

oh…

 

「ええ、今日からでした」

 

そう言って足早に部屋に入ろうとするとマミに呼び止められた。

 

「あ、狂識さん。よかったら家でお茶しない?」

 

あー…これは…

 

「ダメかしら…」ウルウル

 

「は、はい。ではお邪魔します」

 

…断れなかったZE!

 

──────────────────

 

ウッ!?なんでインキュベーターがここに!?

いけない。無視、無視。

 

「今からお茶を用意するわね。ちょっとまっていてもらえる?」

 

「あ、はい」

 

凛花がそう返事をするとマミはお茶を用意しに部屋を出ていった。そこを凛花は見逃さず、インキュベーターに話しかける。

 

「インキュベーター、なんでお前がここにいる?」

 

「君もわかっているだろう?マミが魔法少女だからさ」

 

…原作でもいたけどこの頃からいたのかよ…

 

「マミは案外働いてくれるからね」

 

「お前は腐っても回収係だからな」

 

嫌味10%に返す。

 

「君は変わらないね…」

 

「そう簡単には変われないぞ?人間は」

 

インキュベーターと話しているうちにマミが帰ってきて扉を開け、中に入ってきた。

 

「お待たせ、ケーキと紅茶よ」

 

そう言って凛花の前にケーキの載った皿、フォーク、そして紅茶の入ったカップが置かれる。

 

「あ、ありがとうございます」

 

軽く礼を言い、カップに口をつける。丁度良い温度で口当たりも良く不意に言葉がこぼれた。

 

「…おいしい」

 

「あら、ありがとう」

 

マミが礼を言ってきた。それから凛花はマミに話を振った。

 

「ねぇ、巴さん」

 

「?何かしら?」

 

マミが聞き返してくる。

 

「巴さんのソールジェムは何色かな?」

 

 



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第四話 放課後のお隣さん その弐

「巴さんのソールジェムは何色かな?」

 

凛花がそう問うとマミの表情が変わり、質問してきた。

 

「…あなたも魔法少女なのかしら?」

 

「まぁ、そうだね。ただ俺の場合は魔法少女より男だから…さしずめ魔法使いかな?その証拠に…ほら。これが俺のソールジェムだ」

 

凛花はそう言って机の上に鉄十字とハーケンクロイツが刻まれ、白く、淡い宝石が埋まっている魔法少女の魂の塊であるソールジェムが置かれた。

 

「この町に─私の家の隣に来たと言うことは……目的は何かしら?」

 

マミが怪しげに聞く。

 

「なに、引っ越し先は偶然ですよ。目的は…まぁ、この未確認生物に『この町の魔法少女に協力してあげてくれないかい?』とか言われたからですよ」

 

インキュベーターをガシッと掴み、引き寄せる。勿論、その間にインキュベーターに念話を使って話しかけてはいる。

 

(インキュベーター、口裏は合わしてくれよ)

 

(ちょっと!凛花!ボクはそんな事言ってないんだけど!?)

 

(巴マミの弱点が軽くなるだろ?それだけでもお前にはプラスだろ?で、あ・わ・せ・ろ・よ♪)

 

(わ、わかったよ…)

 

「本当なの?キュゥべえ」

 

マミがそうインキュベーターに問う。

 

「う、うん。君は一人で居すぎるからね。協力してもらうために呼んだんだよ」

 

「…どうやら本当みたいね」

 

マミはインキュベーターの答えを聞いて警戒を解いてくれたみたいである。

 

「なぁ、巴さん。お隣さんでこれからも魔女狩りで協力するんだし俺の友達になってくれないか?」

 

凛花はマミの警戒が緩んだ隙に友達になってくれないかと言う。それに追撃を掛ける。

 

「だめかな?」

 

そう言って片手を出した。

 

「…も、勿論よ!よろしくたのむわね!」

 

マミがとても上機嫌に凛花の手をとった。

 

「あ、せっかく友達になれたんだから名前で呼んでもいいかな?」

 

「え、ええ!勿論よ!」

 

「なら…マミさん、かな」

 

「り、凛花、君?さん?…君ね。凛花君ね。しっくりくるわ」

 

凛花の外見の為か君付けかさん付けかで迷っていたが結局は君付けに纏まったようだ。…マミが時折トモダチ…トモダチカァ~ウフフって笑ってるんだが…

 

「今からパトロールに行くんだけど…凛花君も来るかしら?」

 

「うーん…そうだな。なら、俺も行かせてもらうわ」

 

凛花は絶望と希望の魔女、ディプスホープであるが同時に魔法少女でもあり他の魔女を狩る仕事があるのだ。

 

「なら、今から行きましょう」

 

「うん、わかった」

 

そう返事をし、二人が変身した。マミは原作通り黄色い服装に、そして凛花は銀の長い髪をなびかせ、白を基調として黒とフリルがちりばめた服を着ている。

 

「へぇー、服装も白いのね」

 

「ええ、“私”のパーソナルカラーは白銀だからね」

 

さて、皆様。お気づきになっただろうか。凛花は一人称が俺から“私”に変わっている事に。

 

「あれ?私?」

 

「ああ、私は魔法少女になると性別が変わるのよ。この状態では伊敷狂華と名乗っているわ」

 

「魔法少女の修正が働いているのかしら…」

 

マミはその内容に考え込む。

 

「さぁ、行きましょうか」

 

「え、ええ!」

 

狂華によって急に呼び戻されたマミは狂華と共に夜の空に飛び立って行った。



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第五話 喫茶店アルカナ

~翌日~

 

転校の日が金曜日で、翌日は土曜日である。凛花はというと今日は町に繰り出している。

 

「ふぁ~あ…結局パトロール終わったのが日を跨ぐって…」

 

あくびをしながら町を歩く凛花の後ろに怪しいピンクと青─まどかとさやかがいた。

 

「転校生?」

 

「凛花君?」

 

偶然町に繰り出していたまどかとさやかが凛花を見つけ、通りの店の立て看板に隠れたのだ。それから凛花は裏路地に入り、

 

「喫茶店…?」

 

そして、その奥にある喫茶店の中に入って行った。

 

─────────────

 

 

 

 

 

後ろの方にまどかとさやかの存在を感じつつ、路地裏に入り、その奥にある喫茶店[アルカナ]そう看板の立てられた喫茶店の中に入る。

 

「マスター。例の物、届いてる?」

 

店内に入り、カウンターに座るとマスターに声をかけた。

 

「おう。届いてるぞ…っと、いけない。ラプラスの箱は?」

 

マスターは“物”を取りに行こうとして思いだし、合言葉を聞いてきた。これはもし、“例の物”が別の者に渡らないための策だ。

 

「連邦の呪い」

 

「ん、それじゃ…ほれ」

 

合言葉を確認するとマスターはカウンターに拳銃─ソードカトラスを二丁、それから数十発の銃弾に追加のマガジンが置かれた。

凛花はソードカトラスを手に取り、マガジンを抜き、弾を装填してまた戻す。

 

「良いな…」

 

思わず言葉が溢れた。

 

「また壊すなよ?」

 

マスターに釘を刺された。実のところBLACK LAGOONのレヴィに憧れてソードカトラスを使っており、以前の町にいた頃に戦闘中に壊してしまいマスターに修理に出していたのだ。

 

「アハハ…じゃ、これ代金ね」

 

「おう!またな!」

 

凛花はソードカトラスを仕舞うと、アルカナを出て家路についた。その後ろにはまだあの二人の影があった。

 

 

───────────────

 

 

 

「拳銃…ほ、本物かな?」

 

まどかとさやかはというとさっきの喫茶店内での凛花が受け取ったソードカトラスについて疑問符を打ち立てていた。

 

「案外、エアガンとかじゃない?」

 

さやかはそう言って銃を撃つ仕草をする。

 

「そ、そうかな?…」

 

「あっ!マンションの中に入ってった!」

 

そうして後ろをつけること十数分、すると凛花は高層マンションに入っていった。

 

「行くよ!まどか!」

 

「えっ!さやかちゃん!?」

 

それを見たさやかによりまどかは手を引かれ、マンションの中に入って行く。それから凛花が部屋に入ったのを確認すると急いでその扉の前に走る。

 

「狂識…ここだね」

 

「高いところだね」

 

まどかは通路の手すりから外を見てそう呟いた。凛花達の住む階はそれなりに高いのだ。…その分、(販売価格が)高かっただが…

 

「さてと」

 

そう深呼吸をし、呼び鈴を鳴らした。

 

「転校生~!さやか様とまどかが来たぞ~!」





喫茶店アルカナ

見滝川の商店街の路地裏に存在する喫茶店。主人公の銃の修理や弾の販売等をする武器商でもある。店主のマスターは25~6と見える。主人公とは前の町からの知り合いであり以外と長い付き合いであるらしい。


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第六話 ソードカトラス

部屋に入るとホルダーに入ったソードカトラスを取り出して机の上に置くとソファーに座り込む。

 

「痛い出費だったなー…」

 

机のソードカトラスを見下げ、そう呟いた。今回の修理では一丁10万、二丁で18万もかかってしまった。(マスターに二丁込みで2万値引きしてもらったが)

 

「ま、もうしょうがないかなー」

 

─ピンポーン!

 

呼び鈴がなった。

 

「誰か来たのか?」

 

そう言って玄関の近くに向かうと向こうから声がした。

 

『転校生~!さやか様とまどかが来たぞ~!』

 

げっ、あの後からもつけられてたのかよ…

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

My home

 

「…で、、俺は家を教えては無いんだが?」

 

まどか達を渋々家に招き入れ、ソファーに座るとそう問うた。

 

「実はまどかとCDショップに寄った帰りに転校生を見つけて…あはは…」

 

さやかが頭に手をやり、髪をかく。

 

「ま、良いけどさ。どうせ、アルカナからつけてたんだろ?」

 

「っ!そうだ、凛花君!そのアルカナ?って喫茶店で受け取ってた銃って…何だったの?」

 

まどかが思いだし、聞いてくる。

 

「そうだよ!転校生のエアガンなの?」

 

さやかもまどかと共に聞いてくる。

 

「…エアガンだよ?これだよ?」

 

凛花はもしものために部屋に置いてあるエアガンのm92を出した。

 

「あ、本当だ」

 

さやかがm92を手に取り、スライドを引き、引き金を引いた。

 

「わっ!」

 

引き金を引くとB.B弾が発射され、ベットに当たり停止した。それを確認するとベットのB.B弾を摘まみそれを二人に見せる。

 

「ほら、B.B弾」

 

「本当だ…」

 

まどかがそう呟く。

 

「ま、そういうこった。お茶くらいなら出すからゆっくりしてきなよ」

 

凛花はそう言うと立ち上がり、台所へ向かった。

 

 

 

 

「なにこれ!?美味し!!」

 

「うん!美味しいね、さやかちゃん」

 

どうやらうけたようだ。趣味で作ったケーキが。

 

「そういえば転校生の親は…」

 

さやかが部屋を見回して聞いてきた。

 

「…いないな」

 

「「え?」」

 

まどかとさやかが固まった。

 

「小さい頃に事故でね」

 

「な、なんかごめんね。転校生。」

 

さやかが謝ってきた。

 

「別にいいよ。もう、随分前の事だから」

 

場に暗い雰囲気が流れた。

 

「て、転校生はなんでこの町に来たんだっけ?」

 

さやかが焦りつつ聞いてくる。

 

「あー…アルカナが近かったから、かな?」

 

「凛花君あの喫茶店に行くために来たの?確か…転校前って隣町じゃ…」

 

まどかが考え事に頭を回す。

 

「まぁ、後は仕事関係があるかな?」

 

凛花は顎に手を当て、そう言った。

 

「え?仕事って何々?」

 

さやかが興味津々といった様子で聞いてくる。

 

「うーん…ナイショだよ」

 

「ええー!」

 

さやかがグイグイ来るがここで時計を見せ、止めに入る。

 

「でだ、鹿目、美樹よ。今は何時でしょーか?」

 

「5時半…ってヤバい!!」

 

「て、転校生ありがとね!私達そろそろ帰らないと!」

 

「じゃ、じゃあまた明日学校で!」

 

嵐の様に帰っていったな…



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