仮面ライダービルド 3years after (根崎慎也)
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再来

火星で発見されたパンドラボックスから発生したスカイウォールの惨劇。地球外生命体エボルトから桐生戦兎達仮面ライダーが命をかけ世界を救ってから3年。取り戻した平和が再び脅かされようとしていた。

 

 

 

「おい、戦兎…これ…」

「どうなってるんだ…」

買い出しに出かけた桐生戦兎と万丈龍我は突如大きな揺れに襲われた。揺れが収まり辺りを見渡すと、そこにはあるはずのない《スカイウォール》が高々とそびえ立っていた。

 

「とりあえずnascitaに戻るぞ!」

スカイウォールが現れたということは、ブラッド族が来た可能性が高い。それは受け入れがたいことであったが現に目の前で起きた以上仕方がない。また、彼らの出番が来た。

ー仮面ライダーの出番が

 

 

 

nascitaに戻った戦兎は万丈に質問されていた

「なんだよあれ!」

「俺も突然のことで驚いてる。でもあれは見間違えようがない…」

「でもパンドラボックスは!」

「まさか…」

戦兎は一つの仮説に辿り着く。

「あ?なんだよ戦兎。」

「パンドラボックスは、もう一つある。」

 

 

 

 

スカイウォールが現れる3日前

(!?なんだ…っこれっ…)

「彼」の身体になにかが入ってくる。

(意識が…っ)

「だぁ…まったく。抵抗するなよ…」

「彼」の意識は奪われた。地球を侵略する為襲来したブラッド族、エイマによって。エイマが「彼」、刺崎拓哉を乗っ取った理由は地球に来た時想定以上に力が失われていたことが影響していた。今のままではパンドラボックスの力を十分に発揮できないと感じたエイマは近くにいた手頃な人間、拓哉の体を乗っ取ったということだ。

「んー…ざっと3日大人しく、ってとこかな」

エイマの口調は幼さを感じさせる。しかし、その口調とは裏腹に彼の腹の中はなかなかにドス黒いものであった。

 

 

 

 

 

「これからどうすんだよ」

万丈に問われる。だがどうすればいい?地球に来たであろうブラッド族がどこにいるかわからない。まず情報が少なすぎる。俺と万丈がスカイウォールを見ただけだそれしかない。

「今できることは、ただ待つだけ…」

「んだよそれ!じっとしてられるわけねぇだろ!」

今焦って行動しても得られるものは少ない。二人の間で沈黙が続く。すると、上でドアベルの音がした。

「ちょっと見てくる。」

戦兎は万丈にそう言い、上に上がった。

「ええと…あんたは?」

上にいたのは見覚えのない男だった。黒いキャップ、革ジャンに黒のスキニージーンズと見事に黒い服装だ。正直印象はあまり良くない。が、男が発した内容はそんなことを吹き飛ばすほど衝撃的だった。

「さっき出た"あれ"。やったやつを知ってる。」

最高だ。

 

 



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覚醒

スカイウォールの移動の衝撃はnacitaにも届いていた。

「うぉ!なんだこれ!?」

「外だ!」

驚く万丈を横目に戦兎は屋上へ向かう。拓哉もすぐ後を追いかける。

「おい!待てよ!」

万丈は念のため、ビルドドライバーを持って行った。なにか嫌な予感がしていた。が、彼の性格上それはすぐに忘れられていた。

屋上に上がった拓哉達が目にしたのは、空中に浮遊する巨大な建造物だった。

「あれ…スカイウォールか…?」

戦兎が呟く。それに対する答えは思わぬところから発せられた。

「せいかーい!よくわかったね!さすが天才物理学者!」

その声の主は地上にいた。その姿は、拓哉と瓜二つだった。

「お前…っ!」

「あいつが、エイマだな?」

「あぁ、俺の顔使いやがって…」

そう答えると、後から来た万丈が戦兎にビルドドライバーを渡した。

「下がってろ!あいつは俺達が倒す!」

「あ、あぁ…」

そう答え、地下へ向かう。一階ではもしかしたら戦闘の余波が来るかもしれない。

「よっしゃ行くぞ戦兎!」

「あぁ!」

二人はビルドドライバーを腰に巻く。

「2対1ー?まぁ、負けないけどね!」

エイマはエボルドライバーを巻く。

戦兎はラビットタンクフルボトルを、万丈はグレートクローズドラゴンを起動する。

《ラビットアンドラビット!》

《覚醒!グレートクローズドラゴン!》

そのままビルドドライバーへと装填する。

「「変身!!」」

《紅のスピーディージャンパー!

ラビットラビット!ヤベェーイ!ハエーイ!》

《Wake up CROSS-Z!get Great Dragon!

ブラブラブラブラブラァ!》

戦兎はラビットラビットへ、万丈はグレートクローズへそれぞれ変身する。

「それじゃあ僕も」

エイマはホルダーからボトルを取り出す。そのボトルは蝙蝠の意匠が感じられた。そのボトルとライダーシステムボトルを、エボルドライバーへと装填する。

《バット!》

《ライダーシステム!》

《エボリューション!》

「変身」

《バット!バット!エイマバット!フハハハハ!フハハハハハハ!》

「さぁ、来なよ」

エイマは戦兎達に向けて、挑発する。

「言われなくても…」

「やってやる!」

二人でエイマに向け走り出す。二人の英雄を前にしてもエイマから余裕が消える様子はない。

戦兎達がエイマと邂逅したころ、拓哉は地下にいた。

(なにか…俺にできることは…!)

辺りを見渡すと机の上に、ドライバーが置いてあった。思わずそれを掴む。

「これを使えば…!」

その隣にある空のボトルも掴み外へと走り出す。自身も戦えると興奮していた拓哉はそれが空だと気付いていなかった。しかし、これが彼の遺伝子を呼び覚ますきっかけになる。

 

 

 

「くっ…なんだよあいつ、強すぎだろ…」

「あぁ、最悪だ…」

戦兎と万丈。その二人と対等に戦える相手などそうはいない。ましてや一人など。しかし、エイマに立ち向かった二人は返り討ちに遭っていた。変身解除されていないことから恐らくこれでも力をセーブしているのだろう。

「行くぞ万丈!」

「あぁ!」

戦兎はフルボトルバスターを、万丈はビートクローザーを構え走り出す。エイマは特に構えもせず二人を迎え撃つ。

「はぁっ!」

戦兎がフルボトルバスターを一閃する。しかしエイマはその攻撃を左腕で軽々と受け止め、逆に戦兎を蹴り飛ばす。

「ほらほらどうしたぁ!」

「くっ…」 

その一撃で変身が解除される。

今度は逆サイドから万丈が攻める。

「だったらこれで!」

ビートクローザーのレバーを引っ張る。

《ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!》

「オルァ!」

《メガスラッシュ!》

さすがの万丈もこれで決められるとは思っていなかった。だがある程度のダメージは与えられるだろうと思っていた。が、しかし。エイマは受け身すら取らなかった。

「これで…なんだい?」

「嘘、だろ…」

「ラァッ!」

油断した万丈はエイマに殴り飛ばされる。

「ぐぁっ!」

万丈もまた変身を解除されてしまう。

「さぁ、終わりにしよう…」

エイマがエボルドライバーのレバーへ手をかける。

二人は劣勢に立たされていた。

(どうすれば…)

「まだ!俺がいる!」

nacitaの方から声が聞こえた。その声の主は刺崎拓哉だった。

 



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変身

「んー?君に何ができるんだい?」

「俺だって仮面ライダーになってやる…!」

戦兎はそこで拓哉の腰にスクラッシュドライバーが巻かれていることに気付いた。

「やめろ!刺崎!」

そこで、エイマもドライバーに気付く。

「あはは!まさかそれで変身する気かい?無理に決まってるだろ!」

しかし、刺崎の決意は揺るがない。

「やってみなけりゃ、分からない!」

そう叫んだ刺崎の眼光が赤色に煌く。その光が伝播し、左手のボトルが変化する。

「まさか…」

エイマはそこで自身の誤算に気づく。戦兎達の居場所を見つけるため、刺崎に遺伝子を残した。それが彼に呼応するはずはなかった。が、しかし。目の前で起きていることは明らかに遺伝子の呼応によるものである。

刺崎がボトルを捻り、ドライバーへ装填する。それと同時に、ドライバーに変化が起きる。

《ヴェリノラッシュドライバー!》

《スコーピオン!》

ボトルを装填した勢いのまま左手を伸ばし、拳を握る。そして、レバーを右手で押す。

「変身!」

刺崎の足元からスクラッシュドライバーに共通するビーカー状の物体が現れる。その中に満たされているのは紫色の液体。そして後ろにある巨大な針がビーカー状の物体を割る。

《スコーピオン!スコーピオン!ヴェリノスコーピオン!》

《フハハハ…フハハハハ!》

変身が完了した刺崎の姿はブラッド族に似たようなものであった。しかし、その姿から悪意は感じられない。右手に携えられた槍、「ヴェリノスティンガー」と相まって、さながら騎士のようだ。

「うそ、だろ…」

目の前で起きたことに戦兎は驚きを隠せなかった。

(刺崎は人体実験を受けていないはずだ。なぜ変身できる?)

(まさか…)

そこで戦兎は変身前の刺崎の目が赤色に煌めいていたことに気付いた。

「そういうことか…」

「どういうことだよ戦兎」

「後で説明する」

 

「行くぞ、エイマ!」

刺崎は槍を構え、エイマへ迫る。そして、エイマへ一閃する。攻撃が当たったエイマは吹き飛ばされた。

「なっ…!?」

「まだまだぁ!」

ひとっ飛びでエイマに追いつき、さらに追撃を加える。

「ぐっ…」

自身の誤算により少なからず焦っているエイマはその攻撃をもろにくらってしまう。

「(このままじゃまずいな…)」

「残念だけど、ここまでだよ。」

そう言うとエイマは素早くレバーを回転させる。

《Ready go!》

「フンッ!」

そしてエネルギーを込めた右手を地面に叩きつけ粉塵を巻き起こす。

「チッ、おい待て!」

すかさず刺崎が槍で粉塵を払うが、そこにエイマの姿はなかった。

「くそっ…」

呟きつつ、ボトルを抜く。振り向くと戦兎が厳しい顔をしていた。

「あんたがなんで変身できたか、分かったよ。」



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