SAMURAI DEEPLY GIN (TubuanBoy)
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第一話

掲載中の別作品があるので反響の良い方を優先して書きます。
皆さん、感想をよろしくお願いします。



あれは俺が松陽と出会う前の事だ。

戦場で生きてきた俺は屍から物を奪う事で食いつないでいた。

 

そんな俺を見て人々は俺を人を食らう鬼だと呼んでいた。

だが、本当の鬼がどんなのか俺は知っている。

 

 

その男、幾十の屍の山の上に立っていた。

手には五尺の大太刀、背には太極図の紋、そして面には鬼が如き『深紅の眼』が輝いていた。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

彼は坂田銀時、侍だ。

幼少の頃から戦場で生き、死と隣り合わせの世界で生きてきた。

後に松下村塾を開く吉田松陽に拾われる。

開塾後、後の戦友となる桂小太郎、高杉晋助と出会い手習いを教わる。

寛政の大獄の際、松陽が捕まってから彼を救い出す為に攘夷戦争に身を投じる。

攘夷戦争とは20年前、宇宙からやってきた人類『天人(あまんと)』。

彼らは地球を襲撃し占領しようとした。

それに反発した侍の戦い、それが攘夷戦争だ。

そこで後に海援隊を率いる坂本辰馬と出会い、共に戦う。

 

戦場での彼はまさに鬼神

その銀髪と白い服から『白夜叉』の通り名で戦場をかけた。

しかし、その刃が天に届くことはなかった。

戦いに敗れた彼は放浪の末江戸の歌舞伎町に流れ着いた。

そこでスナックを営むお登勢に拾われ、その店の二階で自営業を営む事にした。

店の名は萬屋『銀ちゃん』歌舞伎町では知らぬものがいないほど評判になっている。

良くも悪くも。

今日もまた新しい依頼が萬屋を待っていた。

 

「銀ちゃん!銀ちゃん!起きてヨ!朝アル」

可愛らしい声によって銀時は起こされた。

声の主は神楽、萬屋で住み込みで働く少女だ。

 

彼女は地球の人間ではない。

数ある天人の中でも最強種、『夜兎』のと呼ばれる存在だ。

可愛い姿をしてとんでもない戦闘力を有している。

声と見た目は美少女なのに怪力・大くらい・毒舌、の中身が残念すぎる国民的ゲロイン、それが神楽ちゃんなのだ。

 

「神楽……頼む、水をくれ………」

「また、二日酔いアルか?……昨日、あれだけ飲んだら仕方ないアルよ」

「ああ、お陰で酷い夢を見たぜ………」

 

銀時は呑むのは好きだが強いわけではない。

昨日は友人の長谷川と飲んでフラフラの状態で帰ってきていた。

 

水を飲んで少し気分が楽になった朝食を取ることにした。

「なんだよ!また、卵かけられご飯じゃねぇか!」

「うっさい!文句があるなら自分で用意するアル!」

神楽ちゃんは料理は一切できない。

 

仕方なく代わり映えしない食事を取りながら銀時は夢の内容について考えた。

彼の幼き記憶に刻まれたその者の姿。

(なんで今更………)

 

「銀ちゃん、今日の仕事は何アルカ?」

「ん?……ああ、掃除だよ。蔵のな」

 

その日の仕事、金持ちの家の蔵の掃除・整頓だ。

依頼人はその家の当主。

萬屋はもう一人の従業員の眼鏡型生物のツッコミ役志村新八と合流して仕事を開始した。

 

「ゲッフ!!ゲッフ!!ごえっふ!」

「神楽ちゃん、足元気をつけて。」

「わかってるアル!おっと!」

新八が気をつけるように言ったが神楽は転倒した。

この蔵、先代の当主が趣味で集めた宝物が大量に死蔵されている。

宝物といったが、その実、マニアにも売れないほどのマニアックなものが多い。

所謂、ガラクタである。それを処分するのも今回の仕事だ。

 

「ちょっと、銀さん!手が止まってますよ!!」

「え?……ああ、………」

「…………」

銀時の異変に新八も気づいた。

「神楽ちゃん、銀さんどうしちゃったの?」

「知らないアル。柄にもなく考え事してるみたいネ」

「何を考えてるか知らないけど、手は動かして欲しいね。

大した頭がないんだから下手な考え休むに似たりだよ。」

 

「わかったよ!わかったよ!うるせーな!」

 

掃除を再開した三人だったが、神楽が何やら珍しいものを見つけた。

 

箱に入っていたのは似顔絵が描かれた紙であった。

神楽はそれを銀時に見せた。

 

「銀ちゃん、これ何アルか?」

「ん?……こりゃあ、手配書じゃねぇか?

ずいぶん昔の。」

 

それは今から2・300年前ほど前に使われていたであろう手配書だった。

 

何故そんなものが大切に保管されていたのかわからないが、話を聞くところこの屋敷の先代の当主がかなりの変わり者で金にもならない珍品をかき集めるのが趣味だった様だ。

 

「手配書って事はコイツらみんな賞金首アルか!?3000万Bか?1億Bアルか!?」

「なんで通貨がワ○ピースなんだよ。まぁ、『円』でもないがな。」

 

当時の通貨単位は『両』だ。

神楽のハンターの血が疼いたのか、興味からその内容を読み始めた。

 

「蛮頭次兄弟!?女子供も容赦なく殺す極悪非道の二人組!……でも、どう見ても劣化戸愚◯兄弟アル……賞金五十両。

 

次は、壬生京四郎。

立派な名前の割にやっている事は……食逃げ!?百文?…両にもならない端金アル。」

 

読むのに夢中になっている神楽にしびれを切らした銀時が紙を取り上げた。

 

「何をするアル!」

「働け。」

 

銀時は取り上げた手配書の1番上にある紙が目に入った。

 

手には五尺の大太刀、背には太極図の紋、そして面には鬼が如き深紅の眼。

 

千人斬りの大罪人、賞金額は100万両

 

『鬼眼の狂』

 

その名が目に入った瞬間、銀時は夢のことを思い出した。

その特徴はかつて会った彼の特徴に合致していた。

 

しかし……年代が違いすぎる。

 

手配書の年代を見ても同一人物なら200ねんは生きていないとおかしい。

そんな人間いるはずが無い。

 

 

そんな意味もない思考を銀時は巡らせていると蔵の奥から何か(・・)に呼ばれた気がした。

 

銀時は新八に聞いた。

 

「おい、今何か音がしなかったか?」

「掃除してるんですから音ぐらいしますよ。」

「いや、そういうのじゃなくてな…」

 

銀時は音がした方に向かった。

 

古風な箪笥、しかも大きく無数の引き出しの中からそれを一発で引き当てた。

 

「短刀……!?」

 

それは鍔のない柄に収められた小さい刀。

しかし、どこか清らかな気を纏っており神々しささえ感じた。

 

 

銀時はその刀がただの刀ではないと悟った。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

なんだかんだで蔵の整頓は終了し、雇い主も大満足の様だった。

 

「ありがとうございます。助かりました。

流石は評判の萬屋さんだ。」

 

よっぽどあのガラクタの山に困っていたのであろう。

 

残すものは残して保存状態も改善。

要らないものは処分し、売れるやつは質屋に売り飛ばした。

 

「これは追加報酬が必要ですな。」

 

報酬金は契約時に決まっているため、追加金の決まりはないのだが、当主は気前が良かった。

 

「では、これをいただけますか?」

 

銀時は追加報酬代わりに見つけた小太刀を提示した。

 

「ほう…刀ですか…」

 

刀はたとえ短刀であっても高級品だが、それでもピンキリだ。

名刀なら数千万になるものもあれば数万で買えるものもある。短刀ならもう少し安くなるかもしれない。

 

先程、売れるものは売ったと言ったがその際先代が好んで集めた要素は換金対象になっていない。

例えば、かの有名な豊臣秀吉が温めた織田信長の草履を温めた電子レンジを作った職人の工具を作った人の工具など、付加価値はほぼゼロであった。

 

おそらくその刀もその類で刀そのものは数万と言った所だろう。

聞けばその短刀、刀身が見えなくなるほど錆びついている為、研ぎ代を差し引けばお小遣い程度しか残らないだろう。

 

当主は快く承諾した。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

移動中、短刀に興味を持った銀時が気になった新八が銀時に聞いた。

 

「どうしてそんな錆刀をワザワザ貰ったんですか?」

 

廃刀令の中、刀を持ち歩くのはリスクが高い。

だから銀時は普段から木刀にしている。

 

確かに木刀と同じく短刀も太刀と違い護身様で使われることが多いため、言い訳が通りやすいかもしれないが既に木刀を持ち歩いている銀時が短刀を持ち歩く意味はあまりない。

 

「ちょっと気になってな。

鉄子にタダで研いでもらって高く売れそうなら売っぱらうし、売れなくても適当に曰くをでっち上げてヅラにでも高く売りつければいいさ。

ヅラだったら大昔の倒幕の武士の持ち物で攘夷のラッキーアイテムとか言えば買うだろ。」

「銀さん、原価数万の壺を数百万で売り付ける詐欺商売みたいですよ……」

「みたいじゃなくてその通りアル。」

 

友人にタダ働きをさせ、更に別の友人に詐欺を働く。

顔が広いだけにタチが悪い。

 

萬屋一行はその足で知り合いの鍛治職人、村田鉄子の元に向かった。

 

「おぅ、鉄子。いるか?」

 

銀時が暖簾をくぐると元気な声が聞こえた。

 

「いらっしゃい!おや、銀さん。」

 

赤い鉢巻に青い髪を大きくあげるガテン系女子が返事をした。

 

彼女は村田鉄子。

今は亡き稀代の鍛治職人村田仁鉄の娘で彼女自身も鍛冶屋を営み腕も確かだ。

 

「ちょっくら仕事で変わった刀を見つけたんだ。

錆びついてるから研いでくれよ。」

 

「良いけど、研ぎ代は貰うよ。」

「生憎、持ち合わせがなくてな。

その刀が売れたら金額の一割で手を打ってくれ。」

 

それはつまり売れなければタダ働きだ。

それに持ち合わせが無いわけがない、先程仕事の報酬が入ったばかりなのだから。

 

「はいはい、仕方ないね。」

 

しかし、鉄子は了承した。

鉄子自身、萬屋には何度かお世話になっている、そのお返しの一つだと思って引き受けた。

 

短刀の研磨が始まった。

シャリシャリと研ぎ石と刀が擦れる音がする。

すると見る見るうちに錆は落ちてくる。

 

「銀さん、これをどこで見つけたんだい!?」

 

鉄子は刀を見て驚いた。

 

「この表裏揃った独特の波紋…

『村正』………」

 

聞きなれない単語を銀時が

「村正?…」

「江戸時代初期まで実在していたと言われる名刀匠の名だよ。

………これは晩年の作品かな?…」

 

鉄子が持ち前の観察眼で鑑定していく。

3人は胸を肩ならせた。

 

「すごいアル!鉄子!なんでも鑑定団!?」

「「オープン・ザ・プライス!!」」

 

「……残念ながらまともに売れる代物じゃないね。」

「「「何故!!!」」」

 

鉄子は研ぎ終わった刀を鞘に入れて横に置いて銀時達に説明し始めた。

 

「まず、村正は徳川に仇なす刀として『妖刀』とされている。

今も徳川政権である限り売る方も買う方も反逆罪だよ。」

「なら早いとこヅラに売っぱらわないといけねぇ!元々倒幕のラッキーアイテムとか言って売るつもりだったんだから丁度いい。」

 

鉄子は残念な人を見る目で銀時に続けて言った。

 

「それも無理だよ。

言っただろ、それも『妖刀』だって。

その刀、余程、銀さんの事が気に入ったんだね。

研ぎ終わったそばから銀さんの腰に収まってる………」

 

気がついたら先程まで鉄子の横にあった刀が銀時の腰に収まっている。

それに気づいた銀時が悲鳴をあげる。

 

「エェェェ!!!なんでここにあんの!」

 

慌てて投げ出そうにも何故か刀が手から離れない。

 

「手から離れねぇ!!完全に呪いの装備じゃねぇか!!!」

 

新八と神楽は『これいつもの奴だ』と察し、先ほどの金欲全開ムードから諦めムードへと移行していた。

 

以前、鉄子も関わった『妖刀・草薙』の時も銀時から離れなかったし、幽霊旅館の時もそうだったが銀時は霊や呪いに取り憑かれやすい。

普段からも萬屋が儲からないのは銀時が原因なのもあるが純粋にツキがない所もある。

それらをひっくるめて不幸体質と呼んでも良いほどだ。

 

「こんなんつけてたら不良警察にしょっ引かれるだけじゃすまねぇぞ!どうするんだ!?」

 

もう、見てられないくらいに大の大人が慌てふためいている。

鉄子はフォローに入った。

 

「まぁ、私が見た限りその刀からは悪い物を感じない。

だから呪いと言うより加護の部類だと思うよ。」

 

「守るなら俺の社会的地位も守れや!」

 

「元々、ないに等しい地位を守って何になるアルカ。」

「そうですよ。呪いや加護の一つや二つ持ってたほうがよっぽどジャンプ主人公らしいじゃないですか。『アスラマン』よりよっぽど

正統派かつ実用的な守護霊じゃないですかwww」

 

 他人事だと思って言いたい放題の二人。

 

「おい!鉄子!?

何とかならないのか!?」

 

 助けを求める銀時に鉄子は答えた。

 

「なくはないかな…丁度、銀さんに依頼しようと思ってたし…」

 

「依頼?…」

 

 鉄子は重い雰囲気で話を始めた。

 

「最近、辻斬りが横行してるのは銀さんも知ってるかい?」

 

「あぁ、あれか…」

 

 最近、この辺は辻斬りが横行して被害者もたくさん出ている。

しかし、神出鬼没で警察も苦労しているとか。

 

「ここからは噂なんだけど、犯人の刀が一本だけ押収されたんだけど、どうも妖刀『村正』の特徴と一致するらしいんだ。」

 

「おいおい、村正ってのはレアな刀なんだろ?

そんなにホイホイ見つかるのかよ。」

 

「流石に本物の可能性は低いと思うけど、可能性としたら彼の弟子の作品とか…

とにかく、銀さんには調査依頼ついでにその刀を持ってきて欲しいんだ。」

 

 鉄子が危ない事件に関わろうとしてる事に銀時は言い返す。

 

「おいおい、いくら珍しい刀が関わってるからって鍛冶屋のお前が辻斬り事件に首をツッコムのはおかしいだろ!」

 

 そこまで行って銀時は鉄子との出会いを思い出した。

 

「おいまさか、また…」

「その可能性が高いってだけだよ。」

 

 鉄子と萬屋との出会いは鉄子の兄の死んだ事件であった。

 

 鉄子の兄は父親以上の刀鍛冶になろうとし、異国の技術まで手を出し、人を殺戮だけを考える兵器にしてしまう妖刀を作り出した。

 

 その事件の発端も辻斬り事件が元であった。

 

「目撃情報では辻斬りの特徴は五尺の大太刀を振り回す鬼神が如き凶暴性だそうだ。

やっぱ、少し似てるだろ?」

 

 この辺の人間には以前の辻斬り事件の記憶がある噂に尾鰭がついた可能性もあるが確かに似ている。

 

「わかりましたよ。鉄子さん!僕たちに任せてください。」

 

「鉄子には普段から世話になってるアル」

 

「前回の依頼の続きかもしれないなら引き受けないわけにはいかないよな。

 報酬は出来高制でいいぜ」

 

 

 こうして萬屋が動く事になった。

 だが、彼らはまだ知る由もない。

 この事件が江戸中を大混乱させる事になるとはこの時知らなかった。

 




銀魂は原作漫画をあまり読まないのでセリフの文章化が間違ってるかもしれないので詳しい人ご指摘をお願いします。


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第二話

「かえれ!ガキども」

 

 銀時と分かれて情報収集を始めた神楽と新八は知り合いの警察官のところに来ていた。

 

 場所は新撰組屯所、相手は鬼の副長と謳われた土方十四郎。

 

「そんなこと言わないで教えてくださいよ。

今回は犯人じゃなくて刀の出所を調べたいだけなんですから。」

 

新八の言葉に土方が返した。

 

「なんだ、お前らあの噂に釣られた口か。」

「どういうことです?」

 

「あれはデマだよ。

回収された刀は普通の刀だよ。

しかも、何者かによって折られていたしな。」

 

 その刀は特徴こそ村正に似ていたが、調べても何も出なかった。

 

 しかし、土方は知らない。

 本当に恐ろしい妖刀はただの刀だということ。

 

 ナノマシンの技術を投入した『紅桜』やそれそのものが天人の『草薙』とは違い刀匠が己の技術と魂をすり減らして打った刀はその想いが刀に、そして使用者に乗り移る。

 

 土方は経験上、そう言った妖刀の恐ろしさを知る者だが、彼の刀は折れたわけではなく、乗り移る魂が成仏した事によってその効力を失っていた為、その辺の事情を知らなかった。

 

「もう、いいだろ。

奴ら俺たちの警戒網を尽く回避するから連日走り回ってるんだよ!

お前らガキみたいに暇じゃねぇんだよ。」

 

「…」

 

「さもないと…」

「さもないと?」

 

「この喧嘩の被害額の請求を萬屋に送る事になる。」

 

 気づくと庭が戦争でもあったのではないかという大惨事になっていた。

 

「こぉのぉ!ドSゥゥ!!!」

「クソチャイナァァ!!」

 

 神楽と新撰組一番隊隊長の沖田総悟の最早日常化した喧嘩が繰り広げられていた。

 

「帰らせていただきます…」

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 帰り道、神楽は新八に土方との会話の内容を聞いた。

 

「つまり、何にも聞けなかったアル?」

「…いや、そうでもないよ。」

 

 新八は自慢の眼鏡をクイっと上げて語り始めた。

 

「土方さんは奴ら(・・)と言っていた。

つまりは複数犯、もしくは組織的な犯行。

更に警察の警戒網を潜り抜けるって事はかなりの頭脳犯か警察の情報を得られる存在がいるって事。」

 

「だったら尚更捕まえるのは難しそうアル」

 

「でも、探し方は教えてもらったよ。

相手が警察の警戒網をすり抜けるなら僕らはそれ以外を探せばいい。」

 

「………」

「どうしたの?神楽ちゃん?」

 

バシッ!

 

「何すんだよ!痛ったいな!」

 

 突如、新八の頭を叩く神楽。

 

「眼鏡キャラだからってインテリぶるなよキモいんだよ。

 お前は駄眼鏡な眼鏡かけ機で十分アル。」

 

「喧嘩売ってんのか?喧嘩売ってるんだな?

言っておくけど可愛い顔してればなんでも許されると思うなよ。」

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 二人が帰り道に仲良く喧嘩している頃、新撰組屯所では沖田と土方が辻斬りの件で話していた。

 

「土方さんも人が悪い。

彼奴らに情報を流して、相手の出方を見るなんて。」

 

「うるせぇ、こちとら今は猫の手も借りたいんだよ。

誰かさんが働かないからな。」

 

立場上、情報を流せない土方が当回しに新八達に

 

「しかも、肝心な話は黙ってるときた。」

 

 土方は言わなかった。

 実は辻斬りの犯人はもう何人も捕まっている。物言わぬ死体として。

 それは警察よりも早く辻斬りを始末している輩がいるという事。

 

 捕まらない辻斬りは二人いる。

 

 民衆を襲う辻斬りと辻斬りを狩る辻斬り。

 

 前者は組織的な反抗である可能性が高く。

 後者はそれさえもわからない。

 

 それもまた捜査を難航させている原因であった。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 一方その頃、銀時は前回の辻斬り事件の主犯であったかつての戦友高杉の情報を得るために同じく戦友であり、現在は反政府集団攘夷志士の桂小太郎を訪ねていた。

 

 彼も高杉も派閥・組織は違えど同じ攘夷志士。ならば何かと情報が入ってくるだろう。

 

 しかし、桂の答えは思った内容ではなかった。

 

「残念だが、今回の件に高杉は絡んでいない。」

「たしかかよ。」

 

「お前も知っているだろう、銀時。

奴は春雨と手を組んで今は何処とも知れぬ宇宙にいる。

戻ってきてるとは思えん。

それに今回の事件、攘夷志士は寧ろ被害者だぞ。」

 

「どういう事だ?」

 

「この事件、辻斬りとそれを狩る辻斬りがいることは知っているか?」

 

「いや、知らない。」

「なら良く聞いていけ、まず辻斬りとして一般人を襲っているのは腕が立つこと以外何のつながりも無い幕府の犬や攘夷志士だ。」

 

「おいおい、警察までいるのかよ。」

 

「その中には我々の仲間もいた。

志士とは言え穏健派の彼等がこの様な事をするとは思えない。

 目撃者談も合わせると、薬物か催眠かわからんが鬼の様な凶暴性で錯乱していたらしい。

 

…銀時…まるで以前の辻斬り事件と同じだとは思わんか…」

 

 あの時使われた紅桜の量産型は全て破壊したが、その技術が残っていて、誰か邪な考えを持つものに渡ったのなら見過ごせない。

 

「まるで実験体を野に放っている様に次々に辻斬りが現れている。

後者の辻斬りは別勢力なら妨害、同勢力なら役目を果たした被験体を始末して回っているとか…」

 

「分からないことが多すぎる。

他にいい情報はないのかよ。」

 

「残念ながら今はこれが限界だ。

だが、ツテはある。…かなり危険なツテだがな。」

 

 桂は更なる手がかりを掴むため、より危険で闇の深い場所へと赴くつもりだった様だ。

 

「おい、お前がこの事件でそこまですることは無いだろ。」

「あるさ。」

 

 この事件は紅桜事件が絡んでいる可能性があり、同志も被害を受けている。

 それだけで桂が体を張る理由がある。

 

「行く前に銀時と話せてよかった。

俺にもしものことがあったら皆を頼む。」

 

 それだけの覚悟が桂にはあった。

 

「頼まれてやんねーよ。

俺はもう攘夷志士じゃなぇし、彼奴らはお前を慕って集まった仲間だろ、帰ってくるのがお前の責任だ。」

 

「そうだな。まぁ心配するな。

『逃げの小太郎』と言われた男だぞ、そうそうやられはしない。」

 

 そういうと桂は銀時の前から立ち去った。

 

 

 

 

 この時、桂の身に降り掛かる厄災を誰も知らなかった。

 

********************

 

 合流した萬屋一行はそれぞれが集めた情報をまとめて次なる作戦を考えていた。

 

「人を喰らう鬼に鬼を喰らう鬼…ですか。」

 

 新八は銀時からの情報から辻斬りを鬼と例えた。

 

「……新八ぃ…詩人っぽく言っても何もカッコよくないぞ。」

 

 返しに銀時が茶化すと流石の新八も少し怒った。

 

「だから!なんであんたらさっきから人を小馬鹿にして!」

 

 先程の神楽に続いてひどい言われ様だが、今回は新八が悪いとも取れる。

 

 外道丸なんかのガチの鬼が関わる話ならともかく、『鬼と言われた人間』というワードは銀時にとって言いたくない昔を連想させる為、若干不機嫌になったのだ。

 

「とりあえず今晩から張り込み始めますか。」

 

「そうだな。」

「また、睡眠時間が削られるアル。

寝不足は美容の天敵アル。」

 

 

********************

 

「ZZZzzz」

「て言ってた奴がいの一番で寝てんのな。」

 

 夜になり、作戦を開始した銀時は小川沿いの並木道を見張る様に路地裏に隠れていた。

 

 この場所は辻斬りの出現傾向と警察の警戒範囲外、そしてある程度の勘から絞り出した場所である。

 

「にしても人がいないな…」

「もう、この辺は辻斬りの噂が広まっちゃって誰も寄り付かないんですよ。」

 

「こりゃ、辻斬りも姿を現さないだろな。」

 

 餌がなければ魚は食いつかない。

 銀時も無関係な一般人を餌にしようとは考えていないが、辻斬りが出てこないのでは話にならない。

 

 すると一人の男が歩いていることに新八が気がついた。

 

「誰かいますね…

黒い着物を着た男、腰には…

刀が刺さってますね。」

 

 こんな場所で刀なんて差しているのは、辻斬り本人か、辻斬りの噂を聞いて返り討ちにして名をあげようとする馬鹿しかいない。

 

「まさか、いきなり当たりを引くとわな」

 

 銀時が腰の木刀に手をかけると、先ほどまで寝ていた神楽が目を覚ます。

 

「気をつけるアル。」

「なんだよ神楽、さっきまで寝てた奴に言われなくてもわかってる。」

 

 神楽は夜兎族の本能により、殺気を感じて起き上がった。

 ただし、二人が発見した男のものではなかった。

 

「そっちじゃないアル…」

「え!?」

 

「後ろアル!!」

 

 月明かりに照らされていた裏路地は月に雲が重なりその闇を深める。

すると二つの光が暗闇から現れた。

 

 場所は三人が張っていた路地裏の奥の方。

 そこから異様な雰囲気が漂い、身抜きの刀を持った男が呻き声を上げて歩いてきた。

 

「うぅぅうぅぅうぅ」

 

 その男、五尺の大太刀を手に持ち、その瞳には真っ赤な目が輝いていた。

 

(こいつは危険だ…)

 

 神楽は夜兎族の本能でその男が危険だと悟った。

 

「ウラァッ!!」

 

べこっ!!

 

 神楽はすぐさま襲いかかる。

 渾身の拳が男の頬にヒットする。

 

 夜兎族の渾身の拳が当たれば当然骨は砕ける。

 しかし、男はそれに耐え、逆に神楽の腕を掴み神楽を投げ飛ばした。

 

「どわっ!!」

 

 神楽は軽々と数メートル程投げ飛ばされた。

 投げ飛ばされた先には小川があり、水に落ちる音が確認できた。

 

はぁ…はぁ…はぁ…

 

 男は神楽に顎を砕かれている為、口が開きっぱなしだ。

 血と涎がダラダラと口から流れ出ながらも男は怯む気配はない。

 それが彼の異常性を際立たさせる。

 

カタカタカタカタカタッ…

 

 男は次なる標的を新八に定めた。

 新八は男の異常性に足が震えていた。

 

「新八っ!!!」

 

 男は新八に突きを繰り出す。

 銀時はその剣に木刀を差し込ませ軌道を変えた。

 

 新八を庇った銀時は直ぐ様、攻勢に切り替える様体の向きを変えたが、アイアンクローで地面に叩きつけられた。

 

「ぐはぁ!!」

「銀さん!!!」

 

 男は反対の手に持つ刀を振り上げ、銀時にとどめを刺そうとした。

 

「銀さぁぁぁぁん!」

 銀時のピンチにようやく体が動く様になった新八が助けに入るが間に合わない。

 

(くそっ……)

 

 銀時は逃れられないと死を覚悟した瞬間。

 腰の小太刀が光り輝いた。

 

カァッ!!!

 

 ほんの一瞬、閃光弾の様に光り輝いた刀は銀時を守った。

 

 その光に弱った男は後退りした。

 

 すると上の方から『カチャッ』と音がした。

 男と銀時は上を見上げた。

 

 

 瓦を踏む音、それは屋根の上に誰かがいる事を指し示していた。

 

 屋根から落ちてくる黒い影、影から一閃の太刀。

 太刀は男を一刀両断したかに見えた。

 

 黒い影は先ほど目撃していた黒い着物の男。

 発狂していた男が、黒い着物の男を確認すると敵だと判断したのか着物の男に斬りかかった。

 しかし、その攻撃が届くことはなかった。

 

 先程の太刀による攻撃が効果を表し、男は縦に両断される。

 

 人体を縦に両断するだけでもかなりの使い手である事が窺えるのに、攻撃後のタイムラグは神がかり的な技術を秘めていることがわかった。

 

 

 その瞬間、雲にかけれていた月が顔を出し、路地裏を照らす。

 

 その男、 手には五尺の大太刀、背には太極図の紋、そして面には鬼が如き『深紅の眼』が輝いていた。

 



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第三話

 雲にかけれていた月が顔を出し、路地裏を照らす。

 

 その男、 手には五尺の大太刀、背には太極図の紋、そして面には鬼が如き『深紅の眼』が輝いていた。

 

 『深紅の眼』の男が喋った。

 

「テメェ…その刀…」

 

 男は大太刀を銀時に振り下ろす。

 

 銀時は咄嗟に小刀を手に持ち攻撃を防いだ。

 それはまるで勝手に刀が動いたかのような錯覚を生んだ。

 

 二撃目、三撃目、次々と繰り出す『深紅の眼』の男の攻撃を防ぐ。

 

「……」

 

 男は何かを納得して攻撃をやめて刀を納めた。

 

 銀時は困惑していた。

 目の前にいる男には幼少期にあった記憶が微かにある。

 歳を取ったようにも見えないそのままの姿で。

 

 そして、先程の剣撃。

 間違いなく自分は死んでいた。

 この小刀がなければ確実に。

 

 死の恐怖に飲まれているわけでは無い。

 しかし、自分がろくに剣を受けることもできない高みの侍がこの時代にいるとは思わなかった。

 

 どんなやつにも、勝てるわけではないが、戦えないことはないと思っていた。

 

 男は振り返り、その場を後にしようとする。

 銀時はそれを慌てて呼び止めようとした。

 

「おっ、おい!…」

 

 そこに銀時の言葉を遮るものが現れた。

 

「テメェぇぇぇ!」

 

 先程投げ飛ばされた神楽が小川の水を被りながらも這い出し、先程切られた男と勘違いして斬った男に襲い掛かった。

 

べこっ!!

 

 神楽が振り下ろした拳が路面を割る。

 その男が攻撃を避けたことは確認できたが体捌きがまるでわからなかった。

 

「馬鹿力……天人か…」

 

 次々に繰り出される拳を紙一重で全て避ける男。

 

 明らかに力の差がそこにはあった。

 男は刀の柄に手が伸びた。

 

「神楽!やめろ!!」

 

このままでは不味い。

 そう思った銀時は神楽を止めようと声をあげたが、遅かった。

 

 刀が一瞬光ったかと思ったら神楽の体をその光が通過した。

 

 手には刀が収まったままであったが銀時には分かっていた。

 

 光は剣気の解放と高速で抜納刀された時の刀身の光の反射。

 目で追えないほどの斬撃が神楽を襲った。

 

「え…!?」

 

 何かが体を透き通った感覚に襲われた神楽は一瞬戸惑った。

 

 そしてその瞬間、神楽の服が弾け飛んだ。

 

「ギャァァァァ!!」

 

 露わになる体を隠して神楽は蹲った。

 しかし、『ギャァ』はヒロインの恥ずかしがる反応では無いだろうと言いたい。

 

「ふっ…やっぱガキじゃねぇか。

せめて俺に歯向かうなら後二年分くらい成長してからかかってくるんだな。」

 

「何するアルか!変態!

この作品をSQ送りにでもしたいアルか!!」

 

「ガキとToLOVEっても嬉しくねぇよ。」

 

 神楽とコントを繰り広げていると遠くから音が聞こえた。

 

カサカサカサツ

 

 草鞋が地面で擦れる音。

 派手に戦闘を繰り返したせいで警官が嗅ぎつけたのだ。

 

「チィッ…」

 

 やはり警官に捕まると不味い立場のようで男は早々に立ち去ろうとすると銀時は咄嗟に呼び止めた。

 

「ウチに来ないか!?」

 

 男は足を止めた。

 

「ウチで匿ってやるよ…

警察から逃げるのも余所者には限界がある。」

 

 銀時は男をこの町で見た事がなかった為、余所者と判断した。

 

「……酒はあるんだろうな……」

「下にスナックがある。」

 

「……連れてけ。」

 

 その日、白き夜叉と紅き王は出会った。

 そして二つの物語は交差し、一つの物語として動き出すこととなった。

 

********************

 

 そこは新八の姉、志村妙が勤務するキャバクラその日の夕礼で店長から新しいスタッフが紹介された。

 

 髪を後ろで縛った黄色い髪を携えた綺麗な女性であった。

 

「はじめまして、私、椎名ゆやと申します。

こういった仕事は初めてですがよろしくお願いします。」

 

 彼女を見たお妙の感想は『不思議な子』であった。

 

 

********************

 

 

 場所は変わり『江戸城』。

 そこには限られた者しか入れない特別な倉庫があった。

 

 その倉庫の異変を感じた現将軍・茂々とその妹・そよ姫の世話焼き係である六転舞蔵は中を確認しに入った。

 

「やはり抑え切れぬか…」

 

 そこには封印の札がそこら中に貼られながらも震え、異様な妖気を漂わせている槍があった。

 

「封印の札を貼りながらもこの力…

やはり共鳴、他の『村正』が動き出したと言う事。」

 

 妖刀『村正』は徳川家とは深き因縁がある刀。

 そしてその象徴ともいえる物がそこには封印されていた。

 

「この槍は天下人の血を欲する…

…しかし、そうはさせぬ。茂々様も、そよ姫さまもワシが御守りする。」

 

 六転舞蔵は心に誓った。

 

 

********************

 

 

カタカタカタカタ…

 

 背中に薬箱を背負った。男が夜道を歩いている。その薬箱の上には長い刀がボロボロの布に巻かれて積んであった。

 

 

「紫微垣が鳴いている…やはり狂もこっちに来てるんだね。」

 

 その男の横には美しい女性が並んでいた。

 

「行きましょう、京四郎。

ゆやさんも先に向かったらしので…」

 

 

********************

 

 

 戦闘音を聞きつけ、現場に駆けつけたのは新撰組。

 

 そこには、真っ二つにされた死体と折れた刀が落ちていた。

 

「ちっ!また空振りかよ」

「あ〜らら、土方さん。こりゃあ責任問題ですよ。」

 

悔しがる土方に煽る沖田。

 

「うるせぇ!テメェが肝心な時に居眠りするから悪いんだろうが!」

「部下のミスは上司の責任、だから早く責任取れよ土方クソ野郎」

「ミスした本人の言うセリフじゃ無えよ沖田この野郎!」

 

 いつもの空振りした光景だが、その日はいつもと少し違った。

 

(大きく争った形跡がある…

しかも、これは刀による戦闘痕じゃねぇ…)

 

 神楽の戦いの痕はそこいらの人が行える物ではなく、侍による戦闘痕とも違っていた。

 

(……まさかな……)

 

 

 

 

********************

 

所変わって、柳生家総本山。

その日、柳生家次期当主筆頭の柳生家嫡女、柳生九兵衛は秘密の特訓を行なっていた。

 

「くはぁ!……はぁはぁ」

 

 その特訓は血反吐を吐くかのような壮絶な物であった。

 

「はぁ、はぁ!必ず習得してみせる…

柳生陳陰流の全てを…『柳生新陰流』を…」

 

 数日前、日に日に妖刀の共鳴が強くなってきた六転は秘密裏に柳生家に通達していた。

 

『柳生新陰流を持って将軍家を御守りせよ』

 

 それを聞いた九兵衛の祖父柳生敏木斎は苦渋の決断を強いられていた。

 

 柳生家は古くから徳川家を陰から守る一族であった。

 しかし、徳川家が天下を取り、柳生家も剣術指南役を仰せつかることになり政界などの表舞台に顔を出すようになった。

 

 そうなっては陰の剣である源流は逆に邪魔なものとなる。

 だから流派を道場剣術に適した型に変え、源流を資格と才覚を持つ者のみに伝授することにしたのであった。

 

 兼ねてから敏木斎は後継に悩んでいた。

 息子は表の剣を習得には至ったが、源流まで習得できる才覚は無かった。

 

 その辺の事情も九兵衛が抱えていた問題に拍車をかけて銀時達と激闘を繰り広げた事件に繋がっていた。

 

 幾ら九兵衛に才覚があれど、女の身で源流の習得は熾烈を極める。

 これまで家の事情で苦しめてしまった孫に更なる苦しみを与えることを躊躇していたが、銀時達との事件から精神的に一皮向けた孫を信じて真実を伝え、九兵衛自身も『大切なものを守る為に強くなりたい』と修行を開始したのであった。

 

 

********************

 

 

 

 江戸から少し離れた住宅密集地。

 そこの長屋に鍛冶屋を営む男がいた。

 

 赤髪短髪で幼い顔立ちが残る好青年の様な出立で毎日の様に刀を叩いていた。

 

 そこに中性的な顔立ちの少年が訪ねてきた。

「首尾は上々、細工は流々ってね。

どうだい?そっちの調子は」

 

夢人(ユメト)…つけられてるぞ。」

「知ってるよ。いい()になりそうだったからわざとね。」

 

 少年は水晶を取り出すと、その中に尾行中の男が映る。

 

「桂小太郎、正史(・・)では中々面白い運命を辿る男だよ。」

「手は貸さないからな。」

 

「いいよ、彼にピッタリな刀を作ってくれるだけで。」

 

 

********************

 

 桂小太郎は辻斬り事件の捜査の末、錯乱した辻斬りを野に放つ犯人の足取りを掴んでいた。

 

(しかし、辻斬り事件の関係者にあのような子供が関わっているとは…)

 

 少年の容姿は萬屋の神楽と同等かそれよりも幼く見える。

 そんな子がこんな事件に関わっているとは世も末だ。

 

(やはり、紅桜の時の様に腕のいい刀鍛冶が絡んでいたな。

 

少年を捕まえるか、刀鍛冶を問い詰めるか…)

 

 桂が次の手を考えていると何も感じなかった背後から透き通る様な少年の声が聞こえてきた。

 

 

 

「君を世界の王にしてあげる…」

 

 

 

********************

 

 



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