猿飛の真似っ子 (おっぱい星人)
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著名な忍者の名前を与えられました。



三代目は最強!!それは本当なのか?三代目を輩出した猿飛一族のオリ主がそれを証明できるのか?的な…。



 

 

「はあー…」

 

 辛気くさいため息を吐いているが、あまり気にしないで見逃してほしい。

 

 ふとした瞬間、なんで俺はこんな事になっているんだろうと頻繁に考えるのだが、一向にその答えは出ない。きっと、この答えが出ることは未来永劫ないはずだ。俺は有り得ない事を現在進行形で、()()()()()()()()()()から体験している。

 

 いつも通りに起きてみれば、ビックリ仰天───俺は、赤ん坊になっており“猿飛サスケ”という著名な架空の忍者の名前を付けられていた。小説などに登場する架空の忍者と同姓同名だ。そしてそんな状況ながらも、俺は驚きこそしたが意外にも冷静で、自分が転生したのだと気付くのに時間はそうかからなかった。

 

 だが、俺の驚きはそれだけでは終わるはずもなく、転生したこの世界は、忍者なのにまったく忍べていない奇想天外な世界───彼の有名な"NARUTO"の世界だったのである。

 

 俺がそれを知ったのは、赤ん坊の俺が綺麗な赤髪の母親にオムツを変えられるという拷問を受けている時にやって来たとある老人を見たのがきっかけだ。どうやら俺の名前は、その老人の父親から名前を頂いて名付けたとのことで、その老人はそれをかなり喜んでいたのだが、その老人は猿飛ヒルゼンという者で、木ノ葉隠れの里の三代目火影らしい。どう考えても、忍者なのにまったく忍べていない世界だった。

 しかも、三代目火影は俺からしたら曾祖叔父(そうそしゅくふ)。曾祖父の弟らしい。

 

 それを知った俺は、当然ながら絶望した。こんな死亡フラグが乱立する世界に転生することになるなら、海賊の方が好きなどと言ってないで、週刊誌だけで適当に読むだけではなく単行本も読破しておけば良かった。

 週刊誌では最終話まで一応は目を通したが、いざ思い返してみると記憶はあやふやだ。

 

 当然、脇役なんて覚えているはずもなく、俺───猿飛サスケがどんな人物なのかなど知るはずもない。

 

 ただ、三代目火影を見てこの世界に気付けたことからも、主要キャラは一応覚えているようだ。

 どうせなら、瞳に力を宿した一族に生まれたかったと思ったりもしたが、よくよく考えてみたら"うちは一族"でなくて助かったと思った。どうやら、うちは一族はまだ滅亡していないようで、今がまだ原作前という事くらいは俺にもわかる。だが、これから数年後に惨殺されることがわかっている一族で生き残れる自信などあるはずもない。

 

 そんなこんなで月日はあっという間に流れてしまい、木ノ葉隠れの里の名門忍一族"猿飛一族"に生まれた俺は、拒否権などあるはずもなく"忍者学校(アカデミー)"入学することとなった。

 

 アカデミーに入学したのをきっかけに、自分がいつの時代に生まれたのか把握することができたのは大きい。いや、知りたくなかったかもしれない。

 同期に、主人公やらライバルやら、ヒロインやらがいたのである。錚々たる顔触れだ。

 

 ただ、それを知った俺は一つ疑問が浮かんだ。三代目火影・猿飛ヒルゼンを輩出した名門猿飛一族。

 そんな名門一族出身の人物が主人公と同期で、モブキャラなどありえるだろうか…。しかも、ライバルと同名だ。真面目に読んだ日もあれば、流し読みした日もあることが実に悔やまれる。記憶にまったくないということは本当にモブだったのか…。それともイレギュラーな存在なのか…。

 

 俺がこの世界でどのような立ち位置の人物なのか、それに関しては実に気になるところ。

 しかし、今は───というより、この世界に生まれた時点から大きな問題が俺にはある。

 

()()()()がいきなり忍者って」

 

 と、そう思ったが、この世代は戦争を知らない世代で、同期の子供達が俺と育った環境がそこまで大差ないことを知りちょっとだけホッとした。

 

 それでも、名門猿飛一族出身で、三代目火影の父親の名前を付けられた俺は周囲からものすごく期待されているようで、プレッシャーがとてつもない。

 しかも、母親が膨大なチャクラを持つ一族出身で、俺にもそれが引き継がれているらしく余計にだ。俺の髪の毛が赤黒い色をしてるのは、猿飛一族と"うずまき一族"のハーフだかららしい。

 

 この世界で生き抜く為の知識はまったくないと思うべきで、あやふやで中途半端な知識は身を滅ぼしかねない為にまったく当てにできない。

 実に悩ましい問題で、お先真っ黒すぎてすでに挫けそうだ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 アカデミーに入学してから数ヶ月が経つ。

 

 猿飛サスケという存在に転生する前の俺は、まだ学生だったこともあって、人生経験も豊富ではない子供だった。

 俺の前回の人生もプラスしたら年上になるわけだが、それでも精神年齢は大きな差がなく、アカデミーでの生活は弟や妹を相手にするような感覚になるのではないかと思っていた。

 

 そしてその予想は正しく、案の定そんな感じではあったのだが、やはり例外というものは常に存在し、大人っぽい子供も存在するわけである。

 

 大人っぽいだけで、普通に子供もっぽいところもたくさんあるわけだが、俺はそんな大人っぽいとある2人と仲良くなり、常に一緒に行動している。

 

「サスケ!今日こそは貴様に勝つ!!」

 

 冷静そうに見えるが、俺に対してのみはライバル心を剥き出しに挑んでくる少年その一、志村ケンゾウ。

 

「日向は木ノ葉にて最強…次は負けない」

 

 口数少ない負けず嫌い。お決まりの決め言葉は"日向は木ノ葉にて最強"。少年その二、日向ビス。

 

 アカデミーに入学して数ヶ月。

 

 俺は学年トップの成績で、この2人が次席という驚きの展開となっている。

 確か、主人公は元落ちこぼれだが、ライバルは天才ではなかっただろうか…。ただ、まだまだアカデミーは始まったばかりで、これから抜かれる可能性も大いにありえるだろうからそう驚くこともないし、俺と同名の主人公のライバルも決して悲観することはないだろう。だからそんなに睨まないでください。

 

 しかし、この世界の登場人物は名前が微妙だと常々思わされてしまう。主人公の名前もそうだが、ケンゾウは忍者っぽい名前ではあるが、後半の二文字がなかったら天下のコメディアンになってしまう。

 

 ビスに至っては、1歳年上の兄がいるらしく、兄の名前はネジという名前らしい。恐らく、ネジの弟だからビスにしたのだろう。ビスは、小ネジとも言われている。

 

 目が覚めたらいきなり赤ん坊という非科学的経験をし、一時はどうなるかと───ドン底に落とされたような絶望を味わったが、とりあえずは平穏無事に、環境にも恵まれて生きている。

 

 ただ、ここから先いったいどうなるのか───俺にはまったくそれがわからない。

 

 






オリ主以外にオリキャラが2人出てきます。

オリ主のスリーマンセルはこの2人で決まりです。

・オリ主
猿飛サスケ

猿飛とうずまきのハーフ。三代目から見たら再従曾姪孫(さいじゅうそうてっそん)。オリ主から見ての三代目は曾祖父の弟。猿飛サスケは高祖父。

気付いたらNARUTOの世界に転生していた。知識微妙だから原作モブキャラなのか、イレギュラーなのか理解できてない。

猿飛とうずまきのハーフだからか、髪が赤黒い。

ナルト達と同期。アカデミーでナルトとかサスケいてびっくり。

サスケと同名だけど誕生日が1日違いで、まさか"うちは一族"の子供にその名を付ける者がいるとは思っておらず両親もびっくり。



・志村ケンゾウ
オリキャラその一

猿飛サスケをライバル視している。三代目とダンゾウ的な関係ではなく、カカシとガイのような関係。
ただ、猿飛サスケ>>志村ケンゾウな実力差。

母親が志村一族とうちはのハーフ。

同じ志村一族だけど、ダンゾウとは遠い親戚程度で会ったことない。


・日向ビス
オリキャラその二

日向ネジの弟。だからビス。小ネジ。
口数少ないが、日向は木ノ葉にて最強が口癖で決め言葉。

兄とは不仲。ヒナタを気にかけてる。

実力は、猿飛サスケ>>志村ケンゾウ、日向ビスな感じ。

感想、アドバイス、ご評価よろしくどうぞ!!


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目指せ差別化



そういえば木ノ葉隠れの里って、秘伝忍術は多いですけど、瞳術はちょっと別物として、木遁以外の血継限界所有してないですよね。
木遁も柱間細胞ないと無理ですけども…。



 

 

 俺の曾祖叔父である三代目火影・猿飛ヒルゼンは、木ノ葉隠れの里に存在する血継限界以外の忍術を全て扱えると言われている。秘伝含む全ての忍術を…。

 

 やはり、火影は凄いのだと改めて実感させられる。

 

 初代火影は歴代最強で、唯一の木遁の使い手。二代目火影は忍術の発明家。四代目火影は忍界最速の時空間忍術の使い手。

 そして、三代目火影は忍界最高峰の忍術の使い手。

 

 先代の火影達と、現火影のことを考えながら、俺はどのように自分の力を伸ばせばいいのかと思案させられているところである。

 そもそも、参考にする相手が火影というのもおかしいと思うかもしれないが、目標は高ければ高いほど良い。

 

 目標と言っても、別に火影を目指してはいない。俺はただ、何が起きるか予測がつかないこの世界で生き残る術を模索しているだけだ。

 

 目標は高ければ高いほど良いというよりも、力はあるに越したことはないといったところだろうか…。

 そして全ては生き残る為だ。

 

 ただ、三代目火影と歴代火影達の中で最も参考にすべきは誰なのか───これに関しては()()()()()()と言っておこう。はっきり言って、木遁を駆使する初代は参考にするべき人物として論外だと思う。

 

 神話じみたその強さは忍の域を遥かに超えている。

 

 それよりも、まず確かめるべきは俺の適正。扱える性質変化はいったいどれなのか…。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 その日のアカデミーでの授業も終わり、俺は日課となっている修業に精を出している。

 

 昨日、俺のチャクラ性質を調べたところ、五大性質変化全てに適正があった。三代目火影と、高祖父の猿飛サスケと同じらしく、それを知った両親は大層驚き、それと同時にとても喜んでいた。

 

 だが、それがわかっただけで、問題はこれからだ。扱いこなせなければ宝の持ち腐れ。

 

 もっとも、俺がこうして悩んでいるのも、仲良しな2人───志村ケンゾウと日向ビスが原因だ。

 

 日向一族出身の日向ビスは、すでに"白眼"を開眼している。しかも、父親が亡くなったのをきっかけに突然変異を起こし、白眼が()()したのだとういう。

 

 そして、志村ケンゾウは志村一族ベースのうちは一族とのクォーターだが、うちは一族の血が濃かったのか、俺との組手で連敗記録を更新中に、失意に暮れて"写輪眼"を開眼した。

 その直後に、俺は初めてケンゾウに負けてしまい、そこからの対戦成績は五分五分より、やや俺が優位気味となっている。

 

 写輪眼を開眼した志村ケンゾウと、白眼と更に上の瞳術を持つ日向ビス。瞳術は本当に狡いと思う。

 

 それに対して───俺は何もない。

 

 いや、何もないわけではない。前世の記憶という、とても大きなものがある。この世界について詳しくなくても、他の世界の記憶、知識は恐らくこの世界で活かせるはず。

 

 忍術に()()()を取り入れたり、チャクラを"()"と同じものだと考えて空を飛んでみたり、気功波を放ってみたり───そんなことができなくないかもしれない。可能性はあるはずだ。

 

 幸いにも、基本的なチャクラコントロールはすでに習得済。もし本当に、体内のチャクラをコントロールし、放出して浮遊、飛行することが可能ならば、他にも様々なことが可能なはず。

 

 まずは空を飛べるようになること───それが、猿飛サスケが目指すべき方向性だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "舞空術"の修業開始から1ヶ月───空を飛ぶというのは、実に気持ちいいものである。

 

 正直なところ、舞空術を習得できたのには自分自身でもかなり驚いている。不可能などない、死ぬ気になれば何だってできると思っていたのだが、まさか本当にできるとは…。

 

 飲み込みが早く、指導者が良ければ1日か2日で習得できる技らしいので、できるだろうとは思っていた。

 ただまさか記憶と知識だけを頼りに、指導者がいないなかで1ヶ月で習得できたのは凄いのではなかろうかと自画自賛中だ。

 

 それにしても本当に気持ち良い。

 

 当然、舞空術は常にチャクラを放出していなければならない上に、そのチャクラ量は水面歩行などよりも遥かに多いのだが、うずまき一族の血のおかげでチャクラはたんまりとあり、長時間長距離飛行も問題ないだろう。

 

 きっと、ケンゾウもビスもこれを見たら驚くはず。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

「こ、これは…凄いな」

 

 悔しそうな表情ながらも、そう呟くケンゾウ。

 

「サスケ…君はやはり天才だな」

 

 純粋に、素直にそう呟くビス。

 

 しかし、俺は地団駄を踏む。瞳術狡すぎる。

 

 舞空術のチャクラの流れを写輪眼で視たケンゾウは1時間ほどで舞空術を習得した。ビスに至っては日向流体術"柔拳"の修業で鍛えられたチャクラ放出の技術が抜きん出ていることもあって、ケンゾウよりも早く習得してしまった。

 ただ、2人とも俺とのチャクラ量に差がありすぎるらしく、俺のように長時間長距離飛行は無理のようだ。そんなのまったく慰めにもならない。

 

 ケンゾウとビスとの差別化を図ったのに、舞空術をこんなにすぐに習得されてしまうなど───努力は報われなかったようだ。

 

「くっ…サスケ、お前はいつも俺の数歩先を行きやがる」

 

 ケンゾウの言葉で、俺は余計に惨めになる。

 

 でも、決して挫けない。何か次の手を考えなくては…。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 更に半年。

 

 俺はこの半年、忍術の修業に精を出していた。五大性質変化全てと、陰陽遁を扱える俺は、それを全面的に鍛えるようにしたのである。

 

 俺は半年前、舞空術を1ヶ月かけて苦労の末に習得したのに、ケンゾウとビスが短時間で習得したことに絶望した。だが、あの努力は決して無駄ではなかったのだと、今こうして実感しているところだ。

 

 あの修業のおかげでチャクラコントロールが鍛え上げられ、忍術の修業は頗る絶好調。

 

 とあるバトル青春物語のパワーアップ技やら変身技やら、オサレな技を忍術で再現することに悉く成功している。

 

 土遁に陰遁を併せることで重力球を作り出すことにも成功して最高の気分だ。ただ、触れたものだったり自身の重さを軽くしたり重くしたりする土遁の術は存在するが、無から形を作るとされる、創造を司る陰遁を併せることで発生させた重力───これは果たして土遁に分類していていいものなのだろうか…。

 

 新たな性質"重遁"。捻りがなさすぎて呆れてしまう。どうやら、俺にはオサレなネーミングセンスはないらしい。

 

 それはさておき、ちょっと狡いかもしれないが、今回はケンゾウにもビスにもこれらを御披露目するつもりは一切ない。俺と2人の差別化を図る為だ。それに、人には必ず何かしらの秘密がある。これもそれだ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 早いもので、アカデミーに入学してから2年が経った。

 

 俺はケンゾウとビスと変わらずに仲良く、切磋琢磨し、共に成長している。

 

 ただ、そんな平和な日常のなか、木ノ葉隠れの里で大事件が起きた。

 

「ケンゾウのおじいさんが亡くなった?え?うちは一族が滅亡?」

 

 うちは一族の集落で暮らしていないケンゾウと、ケンゾウの両親は無事だったようだが、うちは一族の集落で暮らしていた祖父は何者かの手で殺害されてしまったらしい。

 

 






土遁を使わずに、チャクラ放出で舞空術を習得したオリ主。

そしたらオリキャラ達は短時間で習得した模様。


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二代目教授(プロフェッサー)



千の術をコピーしたと言われているカカシ。けど、第二部以降は9割が雷切と神威でしたよね。



 

 

 肉体の質量を自在に増加させる秋道一族。

 

 全身にチャクラを張り巡らせ、獣のような素早い動きや嗅覚の強化、あるいは獣そのものに変化して戦う"擬獣忍法"を得意とする犬塚一族。

 

 影を自在に伸縮、変形させ手足のように扱う奈良一族。

 

 自分の精神を放出して他者の精神に入り込める"心転身の術"を得意とする山中一族。

 

 木ノ葉隠れの里には、血継限界の忍術こそほとんどないが、強力で便利な秘伝忍術が多く存在している。

 

 三代目のように、木ノ葉隠れの里に存在する秘伝含む木遁以外の忍術を全て扱えるようになる必要はない。ただ、便利な術は使えるなら使わせてもらおうと俺は考えた。

 

 秋道一族なら"倍化の術"。"尾獣"や巨大な口寄せ動物などとの戦闘では役に立つはずだ。

 犬塚一族の嗅覚の強化は探索に便利な上に、擬獣忍法は俺が口寄せ契約を結んだ忍猿と共に使えないかと修業中だ。ちなみに、契約を結んだ忍猿は"躯"という名で、空を飛び、体の大きさを自在に変えることができるだけではなく、"仙猿魔王"という肩書きを持った仙術を扱える超強い猿だ。仙術はこの躯に教わっている。あと、躯の息子の忍猿"髑髏"とも契約を結んでおり、髑髏はとてつもない硬度を誇る如意棒に変化することができ、俺は棒術も修業中だ。この如意棒は最長で13㎞も伸び、音速の500倍の速さで伸びるらしい。如意棒ではなく、神殺棒(かみしにのぼう)と改名するべきではないだろうか…。

 

 話が逸れてしまったが、奈良一族の影を使った術は敵を拘束、生け捕りにする際に使えるし、山中一族には心転身の術の他に思念のやりとりをできる術も存在するから、習得できれば情報伝達能力が跳ね上がる。

 忍がチームで動く際、これほど便利な術はないだろう。チームで動く上で、チームワークは何よりも大切だ。

 

 9歳になった俺は、体術、忍術の修業は変わらずに続けつつ、寧ろ体力も増してきたこともあり以前よりも修業内容は厳しいものにし、仙術に棒術、それと他の一族の秘伝忍術も修業しているところだ。

 幸いにも、猿飛一族はどの一族とも分け隔てなく友好的な関係を築き上げることができており、三代目のようになりたいから秘伝忍術について教えてほしいと子供らしく言ってみたら、どの一族の大人達も笑いながら教えてくれた。

 

 ただ、俺が教えてもらった秘伝忍術を本当に習得してしまったからなのか、周囲は俺に対して未来の火影という視線を向けてくるようになってしまい困りつつある。火影にはなるつもりはないとは言いづらい。

 

 それでも、修業に明け暮れる毎日ではあるが、充実した毎日は送れていると思う。アカデミーでの生活も楽しい。

 元々、そこまで大きな年齢差もなかった上に、猿飛サスケとして赤ん坊からやり直すことになったのも原因か、精神が肉体に引きずられて子供に戻ったようで、ストレスなどはまったくない。寧ろ、意識がハッキリしているなかでの赤ん坊生活が一番のストレスだったと思う。あれは拷問だ。

 

 アカデミーといえば、ちなみに成績では変わらずにトップの成績を維持している。その俺に続いて、ケンゾウとビス。

 そして、この世界(NARUTO)の主人公のライバルは四番手で、俺達は常に殺気に似た敵愾心を向けられている。

 

 ただ、こればかりは俺にもどうしようもない。努力しているし、手を抜くつもりもない。

 手を抜くなど、ケンゾウとビスにも失礼だ。

 

 それに、一瞬でも気を緩めたらケンゾウとビスにあっという間に追い越されてしまう。

 

 1年前、ケンゾウが更に強くなる出来事が起きた。

 

 1年前に起きた"うちは一族惨殺事件"。木ノ葉隠れの里きってのエリート一族が一夜にして滅亡してしまった衝撃的な事件だ。うちは一族が滅亡することは何となく覚えていたが、その理由と時期などはまったく知らなかった為に俺に何かできるはずもなく、俺はそれをビスから聞いて知ることとなった。生き残りはたった1人。直系の末裔のうちはサスケだ。

 

 ただ、志村一族ベースのクォーターであるケンゾウにはうちは一族の集落で暮らす祖父がいた。どうやら、その事件で祖父を殺害されたらしく、どうやらそれがきっかけとなり写輪眼の更に上の瞳術を開眼してしまったらしい。ただ、写輪眼の更に上のその瞳術は、使えば使うほど光を失い、後に失明する代物らしく、失明しない為には血の繋がりが強い相手の"万華鏡写輪眼"を移植する必要があるようだ。

 

 ケンゾウはうちは一族惨殺事件後、1週間ほどアカデミーを休んでいたのだが、どうやらケンゾウの曾祖父が遺していた万華鏡写輪眼を母親が保存していたらしく、それを移植し、その瞳を馴染ませていたようだ。曾祖父にそっくりらしいケンゾウは適合できたらしく、1週間ぶりに会ったケンゾウは"永遠の万華鏡写輪眼"を得て、俺にその力を見せつけてくれた。悲しみを乗り越え、祖父を殺した犯人に対しての復讐心には取り憑かれることなく、真っ直ぐ前を向いて歩くケンゾウに、俺もビスも安堵した。

 

 ただ、ケンゾウとビスが揃って瞳術を進化させていることに対して、俺は複雑な心境だ。進化する為の条件が、身内または大切な者の死というあまりにも酷な条件で、写輪眼と白眼はともかく、上の瞳術に対しては狡いなどと決して思えるはずもない。確かに、能力はチートすぎるが…。

 

 その瞳を前にどう言えばいいのかわからない。

 

 ただ、変わらずに友として接することしか俺はできない。

 

 それでも、俺達は変わらずに仲良く、今まで以上に絆を深めて切磋琢磨している。

 

 そしていつの間にか、俺達はアカデミー始まって以来の天才達"三羽烏"と呼ばれるようになっていた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 この世界に限らず、俺が記憶している様々な世界には瞬間移動というものが存在した。

 物体を離れた空間に転送したり、自分自身が離れた場所に瞬間的に移動したりする現象、及び能力だ。

 

 行きたい場所に行きたい時に瞬時に移動できる能力にはとにかく憧れたもので、今も変わらずに憧れている。

 

 そして、この世界ではそれを"時空間忍術"と呼んでおり、しかもそれを習得できるとわかった瞬間、俺がどれだけ喜んだことか…。

 

 木ノ葉隠れの里にはマーキングを施した場所に瞬間移動できる"飛雷神の術"というものが存在する。俺は、この飛雷神の術を、とある時空間忍術を完成させる為に習得するつもりでいる。

 

 ただ、この飛雷神の術は会得難易度S───最も高い難易度だ。これまでのように、いくらチャクラコントロールに優れていようとも数ヶ月ですんなりと習得できるはずがないだろう。

 

 三代目に紹介してもらった、飛雷神の術を教えてくれる特別上忍の方々も完璧には至っておらず、3人1組で陣を作らないとできないそうだ。ただそれでも、術に詳しい人が教えてくれるだけで有難い限りだ。

 

 そして、この術の修業を行うにあたって改めて思う。この術を開発した二代目火影がいかに凄い忍だったのかを…。開発者である二代目火影以上にこの術を使いこなし忍界最速と謳われた四代目火影の凄さを…。

 

 それでも、俺はこの術を習得することを心に誓う。俺のワガママを、俺に期待して聞き入れてくれた三代目の為にも…。

 

 "教授(プロフェッサー)の再来"の名に懸けて、俺はケンゾウにもビスにも遅れをとるわけにはいかない。

 

 






志村ケンゾウの曾祖父は、うちはカガミです。

ケンゾウにとってのシスイは、従伯父(いとこおじ)です。母親がシスイと10歳ほど歳の離れていた従姉弟関係。

ケンゾウの容姿は隔世遺伝なのか、うちはカガミに瓜二つ。シスイとは面識もあり慕っていた。写輪眼を開眼したことはシスイに報告していたが、うちは一族と里のこともあって他言するなと釘を刺されており、開眼した瞬間を見ていたサスケとビスはともかくとし、知っているのはケンゾウの両親と祖父、シスイのみ。

ダンゾウはカガミに瓜二つのケンゾウに少し注目しているが、写輪眼を開眼したことはまだ知らない。


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多重影分身の術



オリジナル忍術考えるのって難しいですね…。



 

 

 ようやく忍者学校(アカデミー)の卒業試験を迎えるわけだが、この世界(NARUTO)の本当のスタート地点にようやく立つことができたことにとりあえず安心して気が抜けてしまっている。

 

 五体満足で生きていることがとにかく嬉しい限りだ。

 

 仮にもし、もっと早い世代───即ち"戦争世代"に生まれていたならば、俺の今の年齢だと中忍になっているのが普通だったはずだ。俺が元いた世界の義務教育と同じような今の環境ではなく、忍としての才能がある者はアカデミーもあっという間に卒業させられ、10歳にも満たない幼い年齢の時から忍として活動していたに違いない。

 

 ただ、平和な世代に生まれて良かったとは、大きな声では決して言えない。

 

 今の平和は多くの犠牲の上で成り立っているものだからだ。俺の───猿飛サスケの両親も、第三次忍界大戦で大切な者達を失っている。

 大切な者を失う悲しみが、それがどれだけ辛いことなのか、それは今の俺には想像もできず、漠然とした感覚でしか理解できない。いや、理解できてすらいないのだろう。

 

 そんな俺が平和な世代に生まれて良かったなど、人間としても、忍になる者としても、口が裂けても言えない。

 

 それでも───いや、だからこそ、俺はこの平和をこれから先も維持する為に尽力しなければならないと思っている。失われた命の為にも…。

 

 今までは、何が起きるかわからないから、力はあるに越したことはないという漠然とした思いで自分自身を鍛えてきた。ただ、いざこうして忍になる日が近づくにつれ、忍としての心構えが足りないのではないかと不安になっていた。

 

 そこで改めて考えさせられた。俺は忍として、いったい何をしたいのか…。何をするべきなのか…。

 

 当然、すぐに答えが出るはずもない。ただ、俺は今のこの環境を守りたい。

 

 友達、家族、一族、そして木ノ葉隠れの里の者達。猿飛サスケとしてこの世界に生を受けてできた大切な繋がりを失いたくはない。

 

 所詮俺は、心臓一つの人間一人。できることなんて限られている。それでも、この手が届く限りは絶対に守り抜きたい。

 

 この世界について詳しくはないが、印象的に残っている言葉がいくつかある。

 

 ── 人は大切な何かを守りたいと思った時に本当に強くなれる。

 

 忍になったらいつか必ず、遅からず、殺しも経験するだろう。きっと、そんな状況になったら怖くて震えるはずだ。

 それでも、守る為なら死に物狂いになると思う。そう思ってしまうほどに、俺は猿飛サスケとしての人生に幸せを感じているのだ。

 

「ここにいたのか、サスケ」

 

 俺よりも優れた才能を持っている天才のくせに、いつもライバル心剥き出しで挑んでくるケンゾウ。

 

「サスケ、どうかしたのか?」

 

 ケンゾウに負けず劣らずの負けず嫌いで、同じく天才なビス。

 

 きっと、これから大きな苦難に襲われるだろう。

 

 ただ、俺はコイツらを守りたいのに、コイツらとならきっとどんな苦難も乗り切れるのではないだろうかとも思ってしまう。本当に、俺は恵まれている。幸せ者だ。

 

「いや…明日はいよいよ卒業試験だなと思って…ケンゾウがヘマしないかなって」

「俺を舐めてるのか!?」

「ケンゾウ、悪いが男を舐め回す趣味は俺にはないぞ。舐め回されたいのなら、そういった趣味の男を当たってくれ」

「サスケ貴様ァァァ!!」

「ケンゾウもすぐに挑発に乗るな。サスケもケンゾウを煽るんじゃない…まったく」

 

 この日常を守る為なら何だってしようと今ここで、心の中で深く誓う。

 

 忍としての心構えとは違うかもしれないが、俺が戦う理由はそれ以外には考えられない。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 翌日。当たり前のように卒業試験に合格した俺達は、いつもの場所で、いつも通りに稽古を行う為にその場所へとやって来た。

 

 ただ、その場所には()()()()()───ここからようやく始まるのか…。

 

「【多重影分身の術】!!」

 

 "分身の術"もまともにできずに卒業試験に落ちたはずの"主人公"うずまきナルトは、とある理由でたった数時間で禁術である多重影分身を習得し、千人という大人数に影分身している。

 

 習得時間が数時間───やはり、主人公は凄い。

 

「こ、こんなに大量の影分身を…うずまきナルトは落ちこぼれじゃなかったのか?」

「影分身なら、俺達3人ともできるが…さすがにこの数は…」

 

 ケンゾウとビスも驚いているが、ただどうやら驚いている理由が俺とは少し違うらしい。

 

「この数の多重影分身なら俺もできるけど?」

「は?」

「え?」

 

 実際、本当にできる。ただ、俺が影分身の術を習得したのはアカデミーに入学したくらいの時だっただろうか…。多重影分身はうずまきナルトのように短時間で習得できなかったと記憶している。だいぶ前だからあやふやだが…。

 

「千人くらい余裕だろ?」

 

 以前、三代目からこう言われたことがある。

 

 ── お前のチャクラ量は()()並じゃな

 

 うずまき一族出身の者は、誰もが膨大なチャクラ量を持っている。俺の母親もそうだ。

 

 だが、猿飛一族とうずまき一族のハーフである俺は、純粋なうずまき一族出身の者達に比べても、どういうわけかチャクラ量が圧倒的に多いらしい。

 

 思い返せば、チャクラ切れなど一度も経験したことがない。半分以上チャクラを消費したこともないはずだ。

 

「いや…影分身千人なんて無理だから。サスケがおかしい。チャクラ量多いとは前からずっと思ってたけどバケモノすぎでしょ」

「くっ、どうしてお前はいつも…オレの先を行くんだ!」

 

 ビスは呆れたようなそんな表情を向け、ケンゾウはいつも通りに悔しそうだ。やっぱり、俺とこの2人の明白な大きな違いはチャクラ量ではないだろうかと改めて実感した。

 

 永遠の万華鏡写輪眼を持つケンゾウと、白眼の更に上の瞳術を持つビスのチャクラ量は同程度だが、それでも多い方のようだ。それでも、俺には遥かに劣っているらしい。

 

 ちょっと嬉しい。だが、このチャクラ量が宝の持ち腐れにならないように気を付けなくてはならない。

 

「つか、イルカ先生ケガしてんじゃん」

「お、おい、ミズキ先生を殴り始めたぞ!?さすがにこれだけの影分身を相手にしたら」

 

 ケンゾウは当然ながら状況を理解できていない。実を言うと、俺もハッキリとは覚えていない。

 

 ただ、うずまきナルトにとってとても大切な瞬間だったような、そんは朧気な記憶だけは残っている。

 

「な、何故止めるッ!?」

「まあ、様子を見よう」

「サスケッそんな悠長なことッ」

 

 ケンゾウは状況確認せずに突っ走ってしまう癖があるが、そんなケンゾウを止めるのは俺の役目になっているような…。

 

「ケンゾウ、見てみろ。イルカ先生は怪我してるが、一向に止める様子もない。何か事情があるんだろう」

 

 そして、俺の話は聞かないのに、ビスの話なら大人しく聞いてくれるというお決まりの展開だ。解せぬ。

 

 そうこうしている間に、前から胡散臭いと思っていたアカデミーの教師ミズキは、うずまきナルトの大量の影分身に成す術なく、タコ殴りされていた。

 

 自分以外で千人の影分身を作れる者を見るのは初めてのことで、その光景は圧巻の一言に尽きる。ただ、幕切れは実に呆気ないものだ。

 

 中忍なら、まだ下忍にもなってない子供の影分身くらいどうにかできるのではないだろうか…。

 これが、俗に言う"補正"なのだろうか…。

 

「終わったようだな」

 

 ミズキを倒したナルトは、イルカ先生から額当てをプレゼントされている。

 慕っている相手から認められた瞬間の嬉しさは大きいだろう。それは俺も経験したことがある。

 

「な、何がどうなってるんだ?」

「状況から見て、イルカ先生のあのケガはミズキ先生によって負わされたものと見るべきだな。

 ナルトを守って負った傷…で、最終的にはナルトがイルカ先生を守ったってとこかな?」

 

 ビスの言っている通りだ。俺達の中で、最も分析能力に長けているから間違いない。

 俺の場合は冷静とかではなく、あやふやな記憶ながらも何か理由があったのを知っているからこその傍観なだけだ。

 

 ただ、このイベントが終わったということは、本当に───ついに俺も忍になる日がやって来たということ…。

 

 何が起きても対処できるように、自分なりにやれることは全てやったと思う。もちろん、これからも修業は怠るつもりは一切ない。

 

 木ノ葉隠れの里の忍───猿飛サスケとして、俺はいよいよ動き出す時がやって来た。

 

 






多重影分身を数時間で習得した原作主人公をやはり凄いと思っているオリ主。

ケンゾウとビスは天才で、自分は凡才と思っているが、その天才2人から天才と思われているチャクラお化けなオリ主。
多重影分身?千人くらい余裕。

ナルトに対しては普通に接しており、里内でナルトが何かされているのを見つけた時は助けたりしてた模様。あと、たまに一緒に飯食ったり。ただ、ナルトがこれから強くなるのはわかってるから、その辺は下手に介入してない。



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第一部編
期待の三羽烏




改めてオリ主とオリキャラのちょっとしたプロフィール。

・猿飛サスケ

猿飛一族とうずまき一族のハーフ。
赤黒い髪。ルックスは中の上、上の下…つまり、割と良い方。イケメンではなく割りとイケメン。ここ大事。スケベ具合はムッツリではなく、普通よりちょっとスケベ。

五大性質変化全てに陰陽遁、時空間忍術、うずまき一族秘伝の封印術、木ノ葉隠れの里に存在する秘伝忍術のいくつかを扱えるチャクラお化け。

土遁と陰遁を合わせた新術を作るなど、二代目教授(プロフェッサー)と呼ぶに相応しい。
本人曰く凡才。周囲からは三羽烏一番の天才と言われている。


・志村ケンゾウ

志村一族ベースのうちは一族とのクォーター。
うちはカガミの曾孫で、うちはカガミに瓜二つの天パ。

写輪眼と永遠の万華鏡写輪眼を開眼している。

風遁と火遁が得意。

サスケに頻繁に弄られる。


・日向ビス

日向ネジの弟で、日向一族始まって以来の天才である兄を凌ぐ天才。けどそれを知ってるのはヒアシと三代目くらい。サスケ達はネジの実力を把握してない。
白眼が突然変異した瞳術も開眼している。

日向ネジに似てるけど、一部の頃のネジよりも優しい表情をしてる。

チャクラ放出能力が天才的で、螺旋丸を習得したサスケに螺旋丸を見せてもらいすぐに習得してサスケに地団駄を踏ませた。



 

 

 場所は火影執務室。

 

 三代目火影からの呼び出しを受け、動物を模した仮面を被った暗部が1人、三代目の下を訪れていた。

 

「おぬしに担当上忍を務めてもらいたいと思っておる」

「ボクが担当上忍ですか…かなりの事情持ちの子供達なんですか?」

「事情持ちとも言えるような言えないような…そんな感じじゃ」

 

 三代目の物言いは何とも歯切れの悪い。

 

 ただ、この資料を見れば理解できるはずだと、目の前の暗部の人物に、任せることになる3人の資料を手渡す。

 

「…!こ、これはッ」

 

 どうやらその人物もその資料に目を通して、三代目の歯切れの悪さの理由を理解できたようだ。

 

 手渡された資料に載っている3人の子供。

 

 赤黒い髪の割りとイケメンな"二代目教授(プロフェッサー)"猿飛サスケ。黒髪天パの志村ケンゾウ。黒髪ロングの日向ビス。

 

 木ノ葉隠れの里の名門一族が勢揃いだった世代で、忍者学校(アカデミー)始まって以来の天才3人組と謳われ、次代の三忍とまで呼ばれる"三羽烏"だ。

 

 どうやらこの人物も、三羽烏の噂は耳にしていたらしい。

 

「まさか…三羽烏をそのまま同じ班にするなんて…班編成のバランスが崩れるのでは?」

 

 この人物の言っていることはもっともだ。

 

 猿飛サスケをトップに、次席に志村ケンゾウと日向ビスが並んでいたこの世代。ただ、4位以降とはかなりの大きな差があったらしく、三代目と上層部達も、致し方なくこの班編成を組んだのである。

 

 3人をそれぞれ別々の班に組み込むことも考えたようだが、ただそうなるとこの3人は一緒の班の者達に実力を合わせ、力を抑え込むことになってしまうだろう。下忍の内はまあそれでも良いかもしれないが、それでもこの3人の優秀さは群を抜いており、実力を抑え込ませるのは勿体ないという意見が多かったようだ。

 

 それならば、一緒の班にして早い内からより多くの経験を積ませるべきだと意見が落ち着いたらしい。三羽烏───猿飛サスケ達3人に期待している者は多い。しかも、チームワークも抜群。

 

「本来なら、担当上忍が受け持つことになる下忍達に最終試験を行わせ、下忍としてやっていけるのかを判断するべきところだが、この者達の下忍昇格は決定事項。おぬしには、この3人の今の実力を図ってほしい」

 

 この平和なご時世に最終試験なしの異例の下忍昇格。しかし、戦時中は普通だった。

 ちなみにこの暗部の人物も、6歳でアカデミーを卒業し、6歳で中忍に昇格した凄い経歴の持ち主のようだ。

 

「担当上忍を務める間は"()()()"と名乗ってくれ。頼めるか?」

「御意」

 

 初めから、この者に断るという選択肢などはない。

 

 ただ、将来有望な若手の育成に携われることに、この人物も気分を高揚させているようだ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 卒業試験に合格した()()()()()達が集うアカデミーの教室。皆が真新しい額当てを額に巻いたり、腕に巻いたりしている。

 

 ちなみに、俺は腕に巻き付ける派だ。

 

「ケンゾウ、ビス、おはよう」

「ああ、おはよ…う…」

「おはよう、サス…ケ…」

 

 俺はこの日の為に忍服を新調した。典型的な黒い忍装束にしようかとも悩んだのだが、それだと日中の任務で目立ちすぎるだろうと思い、現代風を取り入れた忍服───フード付きの漆黒のロングコートを着用するようにしたのである。

 

 我ながら悪くはないだろうと思っているのだが…。

 

「どうした?」

「…………」

「ケンゾウは驚きすぎて硬直したみたいだ。まあ、驚いてるのはオレもだけど…似合ってるね」

 

 闇に紛れるのが忍の真骨頂。そう思って新調したこの漆黒のロングコート姿に驚いているらしい。

 

 これに、卍型の鍔に柄頭に鎖の付いた黒刀を所持していたら完璧なんだが、俺の武器は如意棒だ。

 

 ただ、教室全体を見回してみると、ケンゾウとビス含む全員が、額当てをしてなかったら一般人と見分けのつかないラフな格好で、俺だけ真っ黒でちょっとだけ目立ってる。

 

 中にはオレンジのジャージを着用した、まったく忍べていない主人公ことナルトもいるが、もしかしたら俺の方が忍べてないかもしれない。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

「第一班、猿飛サスケ」

 

 担任のイルカ先生の口から班編成が発表され始めたのだが、さっそく俺の名前が呼ばれた。

 

 さっそく呼ばれるとは思っていなかったが、班員は誰だろうか…。

 

「志村ケンゾウ」

 

 聞き間違い───ではない。だが、これはおかしい。

 

「日向ビス」

 

 やはりおかしい。

 

 アカデミートップの俺と、並んで次席のケンゾウとビスが同じ班になることは決してないと思っていた。

 

 この班編成は、何かしらの思惑を強く感じる。俺だけではなく、ケンゾウもビスも同じくといった様子だ。

 

 ただ、気心知れたケンゾウとビスが同じ班というのは有難い。互いに互いを知り尽くしているというのもあり、連携も取りやすい。何より、力を抑え込んで相手に合わせる必要がないのは楽だ。

 

 この班編成に周囲はどう思っているのだろうかと思ったが、俺達3人と4位以降にはかなり開きがあったのはアカデミー内でも明白で、異議を唱える者は誰もいない。

 ついていけないと思わせてしまっていただろうか…。

 

「以上だ。お昼休憩の後に、各班の担当を務められる上忍の方々がお前達を迎えにやって来られる。

 くれぐれも失礼のないように。以上だ!!」

 

 そんなこんなで、全ての者達の名が告げられた。

 

 第七班は、主人公のうずまきナルト、ライバルのうちはサスケ、ヒロインの春野サクラ。その他の名門一族出身の同期達も、確か変わらない班編成のはずだ。

 

 しかし、俺には一つだけ不満がある。ケンゾウとビスと同じ班なのは有難いが、第一班だけ紅一点が存在していない。他の班は男子2名、女子1名の班編成になっているのにだ。

 あまりにも都合が良すぎる。いや、悪意すらも感じる。せめて担当上忍はくノ一でないと嫌だ。

 

 できれば一回りくらい年上の妖艶なお姉さんくノ一でお願いします。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「ボクが君達第一班の担当上忍のヤマトだ」

 

 無情にも、俺達の担当上忍は男だった。むさ苦しい班になってしまったようだ。

 

 ただ、ヘッドギア型の額当てを装着したこの人物には見覚えがある。見覚えがあるということは、主要人物なのだろう。しかし、幸薄そうな、苦労人の気配を感じる。

 

 それもあってか、見覚えはあるが、どんな能力を有した忍なのかはまったく覚えてはいない。

 ただ、只者ではないということだけはわかる。かなりの手練れなのだろう。

 

 もっとも、第一班のこの面子を考えたなら、相当な手練れが担当になるのは当然だ。

 

「とりあえず、自己紹介でもしようか。ボクは君達について書類の上でしか知らないし、君達もボクがどんな人物なのか気になっているだろうし」

 

 ちなみに、俺達はアカデミーの教室から場所を移し、里にいくつも存在する演習場の1つにやって来ている。

 

 このヤマト先生は、担当上忍の中でも一番最初にやって来たことから規則正しい人物なのは明白だ。

 好きなものはクルミで、嫌いなものは油っぽいもの。好きな言葉は石橋を叩いて渡る。趣味は建築関係の本を読むことらしい。正直なところ、男の趣味を聞かされても───そんなことを俺達3人が揃って思っているのは内緒だ。

 

 ヤマト先生の戦闘スタイルや、どんな忍術を得意としているのかなどを聞きたかったのだが、そこに関しては()()()わかると意味深な返答が返ってきた。

 

 この自己紹介の後に何かするつもりなのだろうか…。

 

 とりあえず、俺達もヤマト先生と似たような自己紹介をすることになったわけだが、俺達は将来の夢について教えてほしいと言われてしまった。

 

 ビスには、日向一族から初めての火影になるという夢がある。ケンゾウも同じく、ビスに対抗してなのか、それとも火影になる=俺を超えたというつもりなのか、志村一族から初めての火影になるという夢を掲げている。

 

 ケンゾウもビスも、一族始まって以来の天才と呼ばれるに相応しい天才だ。きっと、火影になれるはずだ。

 

 対して、俺の夢は何だろうか…。改めて考えてみると、俺は猿飛サスケに転生してからこの殺伐とした世界で生き抜くことしか考えておらず、夢など考えたことがなかったということを今になって気付かされてしまった。

 

 どうやら俺は、周囲から火影になることを期待されているようだが、ハッキリ言って自分の柄ではないと思っている。

 ケンゾウかビスのどちらかが火影になったら、参謀にでもなって支えられたらという考えはあったりもするが…。

 

 夢───実に悩ましい。

 

 とりあえず、思春期の男の子なら誰しもが"最強"というものに憧れるだろうと思い、世界最強の忍になることだとその場しのぎで宣言することにした。

 

 






猿飛サスケの忍服はフード付きの漆黒のロングコート。天鎖斬月をモデルにした模様。

普通に黒の忍装束でも良かったけど普通の任務だと目立ちすぎるから却下した模様。けど、それがかなり様になっているというか似合ってて逆に目立っている模様。

猿飛サスケ達は第一班。担当上忍はヤマトです。
さすがに担当上忍までオリキャラ書く自信はございません。


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禁術のバーゲンセール



ヤマト隊長の第四次忍界大戦での扱いって雑で酷いですよねwww

写輪眼と自白剤のダブルコンボで情報抜き取られて、白ゼツの強化に利用されて、ぐるぐるに操られて、解放されたと思ったら無限月読。



 

 

 最強の血継限界と謳われる木遁忍術。

 

 水遁と土遁の2つの性質変化を合わせて、新たに木の性質変化を発生させることで扱える血継限界と言われているが、木遁忍術を扱えた忍は初代火影・千手柱間たった1人のみとされている。

 

 同じ千手一族で、初代火影の弟でもある"忍術の発明家"と謳われた二代目火影・千手扉間ですらも木遁忍術は扱えなかったそうだ。

 

 しかも、俺が三代目火影から聞いた話によると、木遁忍術は水と土の性質だけではなく、形に命を吹き込む陽遁の性質まで合わせる必要があるらしく、実際のところは性質変化ではなく性質淘汰に近いとされているらしい。

 

 初代火影は印を結ぶ必要もなく、とてつもない治癒能力も有していたらしく、生命力───陽遁の力が別次元の強さだったそうだ。もっとも、初代火影の場合は陽遁だけではなく全てに於いて別次元の強さを誇っていたらしいが…。

 

「こ、これは…初代火影のみが扱えたと言われる木遁かッ!?」

「初代火影以外、扱える者が存在しないと言われた伝説の木遁をどうしてヤマト先生がッ!?」

 

 ケンゾウとビスは初めて目にする木遁に驚いているけど、俺は別の意味で驚いている。

 俺達第一班の担当上忍になったヤマト先生が何者なのか少しだけ思い出したからだ。

 

 間違っていなければ、ヤマト先生は火影直轄の暗部でも随一の実力者。コードネームはテンゾウだったはず。

 俺が知っていたことに驚いているようだが、一族の親しい人に、木遁を扱える暗部が1人だけ存在すると聞いたことがある───と、適当なことを言って誤魔化しておこう。

 

 それはともかく、どうしたものか…。

 

 現在進行形で、俺達3人は自己紹介の後にヤマト先生と模擬戦を行っている。

 正確には、ヤマト先生の木遁分身が相手で、木遁分身が1人に1体差し向けられているという状況だ。どうやら、ヤマト先生は俺達3人の実力を図りたいようで、このような形式での模擬戦となっているわけである。

 

 ただ、俺達3人の実力を図りたいというのはわかったが、正直なところ木遁忍術とはいえ、分身では物足りない。

 

「【火遁・燎原(りょうげん)(つるぎ)】!!」

 

 どうやら、そう思っていたのは俺だけではなく、ケンゾウとビスも同じくのようだ。

 

 ケンゾウは火遁チャクラを剣に形態変化させ、木分身をあっさりと両断───焼き斬った。

 しかも両断された木分身は瞬く間に燃え突きてしまっている。枝とかならともかく、木は燃えにくいと聞いたことがあるのだが…。俺の聞き間違いなのだろうか…。

 

 そもそも、木遁は水遁と土遁だ。そこに陽遁も加わるらしいが───ともかく、水遁と土遁ということは火遁への耐性がかなり強いはずで、そうそう燃えるはずがないと俺は考えている。それがどうだ…。

 

「オレの燎原の炎は全てを燃やし尽くす」

 

 ケンゾウが燃え尽きた木分身を背に決め台詞を華麗に口にしている。

 

 いったい、その火遁の剣はどれくらいの温度なのだろう。それが気になってしょうがない。

 それと、いつの間にそんな恐ろしい術を完成させていたのだろうか…。

 

「【雷遁・螺旋雷鎗(らせんらいそう)】!!」

 

 その一方で、ビスは"螺旋丸"に雷遁の性質変化を加えた、先端が鎗のように尖っており、回転によって削る───まるで電動ドリルのようなえげつない新術で木分身を削り、穴を開けていた。

 

 だが、一つだけ良いだろうか…。

 

 螺旋丸とは、掌にチャクラを乱回転させながら球状に圧縮し、その球体を相手にぶつけることで相手に螺旋状の傷を負わせながら高速で吹っ飛ばす、"尾獣"の得意技"尾獣玉"を参考に四代目火影が開発した直接攻撃系の忍術だ。チャクラの形態変化を極めた技でもあり、威力も習得難易度も相当なもので、A級高等忍術に分類されている。

 

 しかも、螺旋丸はまだ未完成の術で、元々は四代目が性質変化を加えた状態を完成形として考案したものだと、俺に螺旋丸を教えてくれた三代目火影が教えてくれた。

 

 四代目はそれを完成させる前に若くしてこの世を去ってしまったが、螺旋丸を完成させるだけで3年の期間を有したと聞いている。

 

 それが───どうだろうか…。

 

 俺ですら螺旋丸を習得するのに3日だったか4日だったか、もう少し時間がかかったような、かかってないような…。それをビスは見ただけで数十分で習得し、しかも知らない間に性質変化を加えて螺旋丸を完成させているとは…。

 

「木遁は耐久性が高いと祖父から聞いたことがあったが、思ったほどではないな」

 

 ビスの新術の威力が高いだけで、いや───ビスだけではなくケンゾウの術も同じくで、木分身の耐久性が決して弱く、低いわけではないと思う。

 普通の影分身よりも遥かに耐久性は高いと俺は見ているし、ヤマト先生も自信を持っていたのか、ケンゾウとビスがこうもあっさり、鮮やかに木分身を倒したことに顔を引きつらせている。

 

 その気持ちわかります。

 

「サスケェェ、何をちんたらやっているんだッ!!」

「分身体程度、早く終わらせなよ」

 

 そして、おかげで気まずくなってしまった。こんなことなら、一番最初に倒しておけばと思ってしまう。

 

「あーもうッ、わかったよ!

【地天】!!」

 

 土遁に陰遁を併せることで発生させた重力球。

 

 この術は、巨大な重力球の中に複数の強力な重力球が存在し、空間ごと相手を捩り曲げ押し潰す術だ。

 

 ただ、未だに土遁に分類すべきなのか悩んでいるオリジナル忍術でもある。

 重力は大地属性であったり、闇属性であったりするものだから悩ましい限りだ。

 

 ちなみに、ヤマト先生の木分身は跡形もなく、この空間から消滅した。

 

「い…今のはいったい」

「空間ごと歪んでた…す、凄いな」

「サスケ…お前はいったいどこまでオレの先を…」

「追いついたと思ってたら、一歩も二歩も先を行っている」

 

 そんなことを口にしているが、ケンゾウとビスが天才すぎるから、凡才でしかない俺は常に必死だ。

 写輪眼も白眼も、更にその上の瞳術も持ってないから、それを努力でどうにかカバーできているだけ。

 

 何れきっと、縮めようのない差が俺と2人の間に生まれるはずだ。所詮、俺は血継限界の1つも有していない凡才でしかないのだから…。

 

「とりあえず、君達に言いたいことがある…君達が見せてくれた忍術は禁術にすべきだと思う」

 

 そんなこんなで、ヤマト先生の木分身を簡単に撃破した俺達は、顔を引きつらせているヤマト先生からそう告げられた。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 ヤマト先生の木分身とそれぞれ模擬戦を行ったわけだが、俺達3人は物足りなさを感じながらも勝利を納めた。

 

 いくら普通の影分身よりも耐久力が高くとも、相手が上忍でも負けるつもりがまったくなかったケンゾウとビスは余裕で撃破しており、俺も急かされる形で撃破することに成功したのである。

 

 とは言え、急かされなくてもこの程度の木分身なら簡単に撃破できることは明白だった。すぐにそうしなかったのは、木遁忍術を見たかったからだ。

 

 その結果、俺の予測通り木遁は火遁に対する耐久性が非常に高かったと判明した。ケンゾウの火遁の剣がおかしいだけだ。その内、摂氏1500万℃の熱を鎧のように纏うようになるのではないかと心配だ。

 そうなったら近づくことすらできない。俺もビスもヤマト先生も焼き鳥ならぬ人間焼きされてしまう。

 

 そんなこんなで、俺達は明日から第一班として活動することがヤマト先生から告げられた。

 

 本来なら、卒業試験という名の一次試験を突破したアカデミーの生徒達は、担当上忍から課せられた試練───二次試験に合格することで、正式に下忍になるらしいのだが、俺達は最初から下忍昇格が決まっていたとのことだ。

 

 ヤマト先生が俺達の実力を図りたかったのは、第一班の担当上忍と下忍達として活動することがすでに決まっていたからなのである。

 

 ただ、どうやら木分身では俺達の力は図れなかったらしい。俺も、ケンゾウもビスも全力には程遠かったのだから当然だろう。

 

「木分身じゃ実力を図りきれないとなると、本体で相手するしかないか…骨が折れそうだ」

 

 ヤマト先生は憂鬱そうにため息を吐き出している。

 

 ともあれ、俺達はチームになった。

 

 






この度、晴れて三つの術が禁術指定されました。

【地天】
土遁と陰遁の猿飛サスケ考案の重力忍術。
巨大な重力球の中に複数の強力な重力球が存在し、空間ごと相手を捩り曲げ押し潰す術。

【火遁・燎原(りょうげん)(つるぎ)
ケンゾウ考案の、火遁チャクラを形態変化させた物凄い高熱の炎の剣。
木分身を一刀両断し、瞬く間に燃やし尽くす様に、サスケは炎熱系最強最古の斬魄刀を垣間見たような、見なかったような。

【雷遁・螺旋雷鎗(らいそう)
ビス考案の、螺旋丸に雷遁の性質変化を合わせた螺旋丸の完成形の1つ。要は電動ドリル。どんなに硬くとも貫き、削り、穴を開ける。



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写輪眼?白眼?木遁?第一班と言えば………



ケンゾウは写輪眼、ビスは白眼、ヤマトは木遁。サスケだけ血継限界有してない。つまりボッチ。

波の国編には絡ませないつもりです!!



 

 

 木ノ葉隠れの里の新米下忍小隊第一班には、血継限界を有する者が3人も所属している。内1人は担当上忍だが…。

 

 忍術、体術、幻術に分類される全ての術を視認するだけで見抜き跳ね返すことができ、瞳術の中でも特に動体視力に優れ、見切りに秀でた性能を持つ"写輪眼"。

 その卓越した写輪眼の見切り───解析力によって、見切った敵の術をコピーして自分の術にしてしまうのが最大の特徴ともされている恐ろしい瞳術だ。

 ただ、血継限界である写輪眼を有する木ノ葉隠れの里の"うちは一族"は数年前に滅亡してしまい、栄華を極めたうちは一族の血を引く末裔は木ノ葉隠れの里にたった2人のみしか存在していない。

 その内の1人が、第一班に所属する志村ケンゾウだ。

 

 そして、木ノ葉隠れの里には写輪眼の他に、こちらも三大瞳術の内の1つで、血継限界の瞳術"白眼"と言われるものが存在している。

 視る能力に特化している白眼は、第二胸骨の真後ろ以外のほぼ全方向を見渡す視野、数キロメートル先を見通す視力、物体の透視能力に長け、瞳力が強ければ、チャクラが流れる経絡系上に361個存在するツボ───"点穴"すらも見通すことができるとされている。個人レベルのチャクラの性質も見分けることが可能で、チャクラの乱れから幻術による洗脳を見破る事ができ、洞察力なら写輪眼をも上回るとのことだ。

 この白眼を有するのが、木ノ葉隠れの里の名門"日向一族"である。

 第一班に所属する日向ビスは分家出身だが、極一部では日向一族始まって以来の天才と言われているらしい。

 

 更に、第一班の担当上忍のヤマトは、木ノ葉隠れの里の初代火影・千手柱間のみしか扱うことができなかったとされる"木遁忍術"を扱える里屈指の実力者だ。

 

 写輪眼、白眼、木遁、他里からしたら、どれもが喉から手が出るほど欲しい能力だろう。

 

 ただ、この3つの血継限界が忍なら誰もが羨む血継限界であることは確かだが、第一班が誕生して1ヶ月が経過した今、第一班でもっとも恐れられている人物は、写輪眼を有する志村ケンゾウではなく、白眼を有する日向ビスでもなく、木遁を扱えるヤマトでもないという驚きの事実が確立されつつあった。

 

「【地天・奈落】!!」

 

 赤黒い髪に端正な顔立ち。漆黒のロングコートを身に纏った第一班に所属する少年───猿飛サスケ。

 

 第一班で唯一、血継限界を有してない人物だが、この少年こそが第一班で一番恐れられる少年だ。

 

「こ、これ…普通に底が見えないんだけど…」

「白眼で見たら?」

 

 土遁に陰遁を併せ作り出した重力。それは超強力で、その超強力な重力を敵の頭上から地面に向けて一気に叩き落とした猿飛サスケ。

 その威力は桁外れで、底が見えなくなるほど地面が陥没している。

 

「…1人くらい生け捕りにして情報を抜き取りたかったんだけど」

「それなら、1人捕らえてますよ」

「え…いつの間に?」

 

 担当上忍のヤマトも驚くなか、良く見るとサスケの背中からはチャクラの鎖が伸びており、襲いかかってきた敵の1人を雁字搦めにしていたらしく、自分側に引き寄せてヤマトに渡す。

 

 そのチャクラの鎖を通して雷遁チャクラで痺れさせてたらしく、敵は泡を吹いて気絶している。

 ちなみに、背中から伸びているチャクラの鎖は、うずまき一族固有の封印術の一種【金剛封鎖】で、雷遁の術は【雷遁・綴雷電(つづりらいでん)】という術らしい。

 

「こ、これほどの術…相当なチャクラを必要とするはず。それなのにサスケ…お前は」

「10発以上なら…いや、もっといけるかも?」

 

 唯一、第一班の中で血継限界を有してないサスケだが、彼は強大なチャクラ量を有している。それも、ケンゾウ、ビス、ヤマトのチャクラ量を合わせても遥かに及ばないのではないだろうか…。それもこれも、強大なチャクラ量と強い生命力が特徴とされる"うずまき一族"の血を色濃く受け継いでいるからだ。

 

 彼のチャクラ量は、うずまき一族出身の母や、曾祖伯叔父(そうそしゅくはくふ)である三代目火影曰く"尾獣"並と、とてつもないとのことだ。

 

「とりあえず、任務は続行だ。ケンゾウ、写輪眼で幻術をかけて情報を抜き取ってくれるかな?

 サスケとビスは周囲の警戒を頼む」

 

 サスケ達が下忍になり1ヶ月と少し───彼ら第一班は、すでにBランク任務を任せられるという、新米下忍としては異例な日々を送っている。

 これも、忍者学校(アカデミー)時代から"三羽烏"と謳われ、将来を期待されていたのが要因だろう。

 

 もちろん、新米下忍らしく難易度がもっとも低いDランク任務もいくつかは経験したようだが、下忍になって1週間目にはCランク任務を任せられたようだ。

 このことからも、三代目火影と里の上層部は、第一班に相当な期待を寄せているということが明白である。

 

 当然、そうなってくると第一班の評判は里内だけには留まらず他里へも広がり、任務中に他里の忍から狙われることもある。前回は岩隠れ。そして今回は雲隠れの忍だ。

 

「雲…か。忌々しい奴らだ」

 

 雲隠れの里と()()のあるビスは、底が見えないほどに陥没した地面の底で倒れているであろう雲隠れの忍達を鋭く睨んでいる。

 

 襲ってきた雲隠れの里の忍達の狙いはいったい何だったのか…。誰かを狙ってのものだったのか…。

 第一班は、他里から狙われる理由を持っている者が3人も所属しているのだから、拉致するつもりでいた可能性は高い。

 

 だが、血継限界を有する3人と、血継限界を有していないが強大なチャクラ量を有し、五大性質変化全てに陰陽遁、重力などを扱える猿飛サスケ───4人の中で誰が一番厄介で恐れられる存在だろうか…。

 

 第一班には規格外の下忍(バケモノ)───猿飛サスケという名の、数多くの忍術を開発し"忍術の発明家"と謳われた二代目火影や、存命時に忍界最速と恐れられた"黄色い閃光"四代目火影、更には里に存在する全ての忍術を扱えるとされる"教授(プロフェッサー)"三代目火影───偉大な3人の火影を彷彿とさせる存在として、世界に名を轟かせる日も近いのではないだろうか…。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 第一班として、下忍になってから忙しない毎日を送っている。すでに、Bランク任務も何度か経験し、他里との忍との戦闘も経験した。

 

 そして、人生で初めての殺しも経験した。その日はまったく眠れず、俺は久しぶりに涙を流した。

 

 わかっていたことだが、やはり辛い。

 

 それでも、俺は───俺達は止まることなく、忙しない毎日を生きている。

 

 木ノ葉隠れの里の忍として、俺達は里を守る為にその手を血で染めていた。

 

 そんな殺伐とした日常を送っているわけだが、今日はいつもと違っている。

 正確には、いつにも増して殺伐としていると言うべきだろうか…。

 

「ふふふ…その"写輪眼"…欲しいわ」

 

 俺達第一班の目の前に、大蛇に乗った()()()()調()()()()()()が突如現れたのである。

 

「あ、あなたは…ッ、()()()!!」

 

 ヤマト隊長はどうやらそのおっさんを知っていたらしく、ケンゾウとビスも名前は知っていたのか、とてつもなく驚いており、一歩後退っている。

 

 木ノ葉隠れの里の"伝説の三忍"の1人───大蛇丸。

 

 三代目火影の弟子だが、現在は里抜けし、S級犯罪者として指名手配されている重罪忍だ。

 

 まさかこれほどのビッグネームの襲撃を受けることになるとは、俺も驚いている。

 忍が有名になるのはあまり宜しくないことはわかっているのだが、俺達第一班は思っている以上に有名になってしまっているということか…。

 

 ただ、問題はこの大蛇丸の()()だ。

 

 さっきから、ケンゾウに対して熱烈な歪んだ視線を送っている。写輪眼が欲しいと口にしていたことから、狙いがケンゾウであることは確実だ。

 

「狙いは…ケンゾウか」

「二代目火影の弟子の1人であるうちはカガミの曾孫。志村一族ベースのクォーターでありながらも、うちはカガミの血を強く引いていたことで写輪眼を開眼した異端児。

 素晴らしいわ。私はその子が欲しい…邪魔しないでくれると有難いのだけれど」

 

 ねっとりと絡みつく視線と、舌舐めずりするその様は実に気持ち悪く、ケンゾウは顔色が悪い。生理的に駄目なタイプなのだろう。気持ちはわからなくもない。

 

 それはともかく、相手が伝説の三忍の1人であろうとも、仲間を易々と渡すわけにはいかない。

 

「うちの大切なマスコットキャラのケンゾウに気持ち悪い視線を向けないでもらえるかな」

「お、オレがマスコットキャラだとッ!?」

「そうだね。ケンゾウは第一班の大切なマスコットキャラだね」

 

 俺の言葉にビスが乗ってくれた。だが、これは事実で、第一班で一番喧嘩っ早いケンゾウは末っ子扱いされており、マスコットキャラに相応しいだろう。

 

「はあー…君達ね、相手はあの大蛇丸だってのに…逃げるという選択肢はないのかな?」

 

 盛大にため息を吐きながら呆れた表情を浮かべているヤマト先生だが、焦っている様子は見られない。

 

 その様子からも、この4人でならば倒せないまでも撤退させることは可能だと見ていいだろう。

 

 もっとも、仲間が狙われているというのに、大人しく引き下がれるはずがない。

 それに、見るからにしつこそうな相手だ。

 

 いくら逃げようとも執拗に狙ってくるはずだ。ならばここで、手に入れるのが困難だと思わせて、手を引かせるのが得策だと思う。

 

 しかし、S級犯罪者が相手とは…。

 

 ここ数日かけての任務はBランクの護衛任務で、それは無事に完遂したというのに、その帰り道でこのような襲撃を受けるとは思ってもいなかった。任務の難易度なら、間違いなく最高難易度のSランクだろう。

 

「お引き取りを願おうか」

「猿には興味ないのよ…」

「俺もオカマには興味がない…消えろ。

【地天・改】」

 

 お呼びでない者には即刻ご退場を願う。

 

 






イタチに瞬殺された大蛇丸。その大蛇丸が写輪眼欲しさに標的にしたのが三羽烏の一角であるケンゾウ。

しかし、ケンゾウは強く、何より猿飛サスケという守護神がそばにいた為に撤退。
三代目の父親の名前を継いだ猿飛一族とうずまき一族のハーフ。面白いけど、忌々しい存在として、サスケは大蛇丸の標的となる。
三代目や上層部が期待し、猿飛一族の宝と言っても過言ではないサスケを殺したらどうなるか…大蛇丸は悪どい笑みを浮かべるのである。

その為にも、ケンゾウの写輪眼は諦めたけど、イタチとケンゾウが無理なら…うちはサスケへ、路線変更。
同じサスケでもこっちはチョロいわね…な展開で、中忍試験編へと続く。


重力の忍術、マジで何遁だろうか…悩む。
とりあえず、新術は【地天・奈落】。
バベルガ・グラビドン。底が見えないほどに地面を陥没させる。

【地天・改】
地天の強化版。
相手の近くに強力な重力球を作り出し、特定範囲内に存在する物体を吸い寄せその体ごと押し潰す。
ニューボルツ・マ・グラビレイ。


うずまき一族のハーフなので、金剛封鎖使えます。その鎖に雷遁チャクラ流して雁字搦めにした敵を気絶させたり。
雷遁・綴雷電は鬼道ですね、はい。


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第一班は3人揃っておかしい



土遁に陰遁………重遁で良いような気がしてきた。



 

 

 極悪非道なS級犯罪者として指名手配されている大蛇丸。忍としての実力は"伝説の三忍"の名に恥じず、五影クラスと恐れられているほどだ。

 

 その大蛇丸が、口から出した蛇が吐き出した唾液まみれの名刀"草薙(くさなぎ)(つるぎ)"を武器に、猿飛サスケ目掛けて襲いかかってくる。

 

 しかし、サスケは大蛇丸の攻撃を、口寄せした小猿の仙猿"髑髏"が変化した"金剛如意"にて軽やかに防いでいた。

 

「その棒捌き…三代目にソックリだわ!」

「懐かしいか?」

「ええ、懐かしすぎて…忌々しいわ!!」

 

 強い殺気をサスケに向ける大蛇丸だが、サスケはまったく意にも介していない。

 三忍の殺気に恐怖を感じない下忍が存在するとは───いや、サスケだけではなく、志村ケンゾウと日向ビスも同じくだ。

 

「後ろががら空きですよ()()

 くらえ!【雷遁螺旋雷鎗・八卦六十四掌】!!」

「そ、それはッ、くッ!!」

 

 隙を突いて、大蛇丸の背後に姿を現し、日向一族の"柔拳"をお見舞いしようとしたビス。

 

 しかし、強い身の危険を感じ取った大蛇丸は、即座にその場から飛び退き身を隠したようだ。

 

「ちッ、大人しく新術の餌食になってくれればいいものを…」

「ちょ、え、ビス?螺旋雷鎗の八卦六十四掌?何それ?もしかして、指先に螺旋雷鎗作って、それで点穴突いて、チャクラ練れなくするどころか点穴に穴開けてズタボロに破壊するの?」

「見ただけでそれがわかるとは…さすがだ」

 

 普通の柔拳ですら恐ろしいというのに、そこに新たな息吹きを吹き込むとは───あまりにも凶悪過ぎではなかろうか…。しかも、新術の餌食と言っていたいうことは、まだその効果は試されてはいないということだ。一生チャクラを練れなくなるかもしれないのだから、第一班の仲間達相手に試せるものではないのは当然。仲間どころか、一族の者達を相手に試すこともできない。

 

 普通に殺されるのと、実験台にされて一生チャクラを練れなくなるのではどちらが楽か…。

 

 涼しい顔をしてえげつない───それが日向ビスだ。

 

 実験台が逃げたことに悔しがるビスと、唖然としているサスケ。しかし、サスケは更に唖然と───いや、驚愕することとなる。

 

「お前達ッ何をボサッとしているんだッ!?

【火遁影分身・()()()()】!!」

 

 木の枝の上に立っていたサスケとビスに襲いかかってくる新たな大蛇。

 

 ちなみに、先の大蛇はサスケが"重遁"で跡形もなく消し去ったのだが、大蛇丸は巨大な蛇を次々と口寄せしているのである。

 

 だが、サスケとビスに襲いかかろうとした大蛇は、立ち塞がったケンゾウ───正確にはケンゾウの影分身によって全身丸焦げにされるのであった。

 

 影分身が大爆発を起こし、広範囲に強烈な炎が放たれ、その炎は打刀の切先から物打までの部分のような形を作り出している。

 

 ちなみにこの術は、火遁チャクラで構成された影分身に、分身大爆破の術を併用した、サスケが開発してしまった禁術だ。あまりに威力が凄まじすぎて、味方が近くにいる時には絶対に使えない為に禁術扱いされている。

 

 禁術扱いされているが、サスケはそれも踏まえて火遁・一刀火葬を影分身と併用してのみ使えるように開発したようだ。

 影分身の術は本来偵察向きの術だが、この火遁影分身は敵地に送り込んで大爆発(一刀火葬)を起こして戦力を削るのが目的なのである。

 

 この術の詳細を聞かされた三代目火影が、二代目火影・千手扉間とサスケの思考が似ていると口にしていたとか…。

 

 しかし、今回この術を使用したのは開発者のサスケではなく、志村ケンゾウだ。

 

「お、おまッ俺とビスを殺す気かッ!?」

「し、死ぬかと思った…」

「お前達が死ぬはずないだろ。現に、お前はビスを連れて【飛雷神の術】で避難できているじゃないか」

「辛うじてなッ!!」

 

 最初から被害範囲外にいた本体のケンゾウと、そして死んだ目をしている担当上忍のヤマト。

 

 サスケは時空間忍術で、ビスを連れてどうにかこの場所まで避難できたようだが、実際はかなり危なかったようだ。

 

「そもそも、どうしてお前があの術…って、ケンゾウくんには写輪眼がありましたねー」

「火遁と言えば"うちは"だ。決して"猿飛"には負けん。写輪眼でコピーさせてもらった」

 

 一回見ただけでサスケの術をコピーしていたらしい。何と恐ろしいことか…。

 

 ただ、伝説の三忍・大蛇丸を相手に、担当上忍の助力なしで張り合っている下忍達───そんな逞しすぎる己の教え子達に引きつった表情を向けるヤマトは、たった1人だけ寂しい状態になっている。

 

 本来なら、担当上忍が守る形で前線に出て戦っているはずなのだが、ヤマトは未だに何もできていない。出番なしの状況が続いているのである。

 

 だが、そんなヤマトにもようやく出番が回ってきた。

 

「このクソガキ達…やってくれるじゃないの」

「ボクの教え子達は優秀ですから」

 

 一刀火葬の被害範囲内にいてしまった為に、体の至る所に火傷を負っている大蛇丸が姿を見せ、ヤマトが担当上忍らしく教え子達を守るように前に出る。

 

「…"次代の三忍"と言われてるみたいだけど、私には劣ると思ってたら…まさかここまでとは」

 

 どうやらサスケの狙い通りに、大蛇丸が撤退を余儀なくされる状況にまで追い込むことができたのだと一同は悟っていた。だが相手はあの大蛇丸だ。最後まで気を抜けない。

 

「猿飛サスケくん」

「ん?」

「覚えてらっしゃい。あなたは私の手で必ず殺してあげる。自ら殺してくれと私に請うほどの恐怖と絶望を与えてじっくりと可愛がってから…必ずね。覚悟なさい」

 

 鋭い視線と殺気をサスケに向け、必ず自らの手で殺すと宣言した大蛇丸は白煙を上げてその場から消え去って行く。

 

「あれ?大蛇丸の狙いってケンゾウじゃなかったっけ?」

 

 それは、世界に名を轟かせる最強の忍の内の1人としてプライドに傷をつけられてしまった怒り故か…。

 

 猿飛サスケは、大蛇丸から直々に、熱烈な殺害宣言を受けてしまったのである。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 S級犯罪者の大蛇丸の襲撃という予期せぬアクシデントに見舞われるも、どうにかこうにか木ノ葉隠れの里に帰還した俺達第一班一同。

 

 Bランク任務を無事に終えた任務報告を済ませ、いざ解散───という流れになるはずもなく、俺達は三代目火影と深刻な話し合いを行っている。

 

 ヤマト先生から一通りの説明を受けた三代目の深いため息が実に印象的だった。

 

「儂はまず何と言えばいい?」

 

 話を聞き終えた三代目からの第一声はそれだ。第一声が疑問系で、俺達もどう言葉を返すべきなのかわからない。

 

 ただ、普通なら"良く生きて帰って来た"と言うべきではないかと思ってしまったりもするが、死ぬつもりなどまったくもってなかった為に、その言葉は呑み込むとしよう。

 

「ケンゾウを狙っての大蛇丸の襲撃を受けた…儂はそれだけでも驚いておるんじゃが…」

 

 新米下忍小隊ごときが大蛇丸を撤退させるなど信じられないと言いたいのだろうか…。

 もしそうなら、異議を唱えたい。時代は着実に進化しているのだ。いつ、どんな時代も、若手の台頭だったり、下克上は常に起こり得ることなはず。

 

 伝説の三忍を超える存在が誕生していてもおかしくはない。寧ろ、里の平和を守り維持する為に、若手の台頭は必要不可欠なことなのではないかと思う。

 だからと言って、俺が大蛇丸より強いと言いたいわけでもない。1対1なら勝てるはずがないだろう。

 

 ただ、この平和な時がいつまで続くのかなど、誰にもわからない。明日、急に戦争が勃発してしまうかもしれない。

 だからこそ、平和ボケして若手の育成を怠ってましたなど、決してあってはならないことだと思う。

 

 そして、若手側も決して鍛練を疎かにしてはいけない。

 

 それを考えると、アカデミーの同期の女子達が忍術よりも恋愛に比重が傾いてたのは心配だ。

 

 それはともかく、今話すべきは第一班の今後の方針だろう。

 

 俺達第一班の評判が広がり、ケンゾウとビス、そして恐らくヤマト先生も狙われ、襲撃を受けたのはこれで三度目だ。そして今回の襲撃者は大蛇丸。

 

 三代目も、何か対策を立てねばならない。

 

「普通なら…護衛を付け、おぬしらを外に出すべきではないのかもしれんが」

「それは却下ですね、三代目。百歩譲って護衛はともかくとし、里を出ないということは、任務は常にDランク…そんなのあり得ません」

「右に同じくです、三代目」

 

 ただ、ケンゾウとビスを心配して、里の中で守る案を出す三代目だが、呆気なく一蹴されている。

 

 2人ならそう言うと思っていた。

 

 何より、狙われているとわかっておきながら、里内で保護するのはあまり賢い選択ではないと思う。

 敵が里を襲撃する可能性もあるのだ。それならば、任務で里の外に出ていたほうが行方は掴みづらいはず。

 

 それでも狙われたら、その時はその時だ。

 

「はあ…ヤマト、おぬしはどうじゃ?」

「お恥ずかしい話なのですが、ボクは今回…まったくもって何もできませんでした」

 

 そう、ヤマト先生は今回まったくもって何も───まったくチャクラを使用していない。動いていない。

 まさしく、畑に突っ立ってるだけの文字通りのカカシ状態だった。

 

 出番を───担当上忍としての仕事を奪ってしまったことを申し訳なく思う。

 どうやら、そう思っているのはケンゾウもビスも同じくのようだ。

 

「今回、いえ、今回だけではないですが、この子達は自分達のみで、己の身を守り抜きました。しかも、あの大蛇丸を相手にです。それは、称賛されるべきだと思います。

 それに、この子達はもう立派な忍です。木ノ葉隠れの里にとっても、担当上忍としての贔屓目抜きで、すでに大きな戦力だと思ってます。

 この子達に今必要なのは、何よりも実戦経験ではないかと…危険なのは確かですが、里にいても狙われるのならば、任務で外に出すべきだとボクは思います」

 

 どうやら、ヤマト先生も同じ考えらしく、三代目も納得のいく言葉を聞けたのか、俺達が軟禁されることはないと見ていいだろう。

 

 忍になった以上、いつまでも守られてばかりな弱い存在ではいられない。自分の身は自分で守り、互いに助け合い、窮地を乗り切る。それが、俺達第一班だ。

 

 ただ、俺は大蛇丸関連で何かとても大切なことを忘れているような気がしているのだが、それは気のせいだろうか…。

 






【雷遁螺旋雷鎗・八卦六十四掌】
通常の八卦六十四掌は点穴を突いてチャクラを練れない状態にするけど、これは指先に螺旋雷鎗を作って、点穴に穴開けてズタボロに破壊して、一生チャクラ練れなくする。

【火遁影分身・一刀火葬】
あの犠牲破道を、影分身と分身大爆破を併用して再現。威力があまりにも強大すぎて、味方が近くにいる時には絶対に使っちゃ駄目。

だからサスケは、火遁影分身を敵地に送り込んで大爆発(一刀火葬)すれば良いと口にしたところ、三代目の瞳にはサスケの姿と二代目火影がダブって見えていた。


志村ケンゾウを諦めた大蛇丸の次の標的…原作よりもヤバい状況に?もしくは大蛇丸が強化される?


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閑話・雪解け



ほんのちょこっと…ちょっぴり…都合上仕方なく…作者の都ご…じゃなくて、スムーズに進める為に、せっかくの劇場版のキャラが一瞬だけしか登場しません。

あ、でも今後もちょっとは出せるかも?

今話は中忍試験編前の繋ぎみたいなもんです!



 

 

 木ノ葉隠れの里のとある一室にて、三代目火影・猿飛ヒルゼンの前にずらりと並ぶのは担当上忍衆達だ。その背後には忍者学校(アカデミー)の教員など、他にも里の中枢を担う木ノ葉隠れの里の忍達が控えている。

 

 そして、招集をかけた張本人である三代目が口を開いた。

 

「招集をかけたのは他でもない…このメンツの顔ぶれで、もう分かると思うが」

 

 そのメンツの中には、元暗部で現上忍───新米下忍小隊第七班の担当上忍である"コピー忍者"はたけカカシも含まれており、木ノ葉隠れの里の忍達の中でも、特に上層部に近い面々が勢揃いしていた。

 

「もうそんな時期ですか…」

「既に()()()()()()()()なんですよね?里でちらほら見ましたから…それで、いつです?」

 

 三代目が言ったように、既にほとんどの者が招集をかけられた理由を把握しているようだ。

 会話の内容からも、何かが()()されるのは明白。

 

「一週間後だ…」

「そりゃまた急ですね」

 

 ただ、開催されるのが1ヶ月後ではなく1週間後というのは随分と急な話だ。

 

「では…正式に発表する。今より七日後、七の月の一日をもって中忍選抜試験を始める!!」

 

 三代目の力のある宣言に部屋の空気がピンと張り詰め、その場に集められた忍達の表情が引き締まる。

 

「さてそれでは…まず新米の下忍達を担当している者から前に出てくれ」

 

 進み出たのは第七班のはたけカカシ、第八班の妖艶な担当上忍・夕日紅。

 そして、三代目火影の前であるにも関わらずタバコを咥えている大柄な髭面の男───第十班の担当上忍・猿飛アスマだ。

 

 ただ、一つだけ気になる点がある。

 

 三代目は確かに新人の下忍達を担当している者に前に出ろと口にした。だが、新米の下忍達を担当している者で前に出たのは()()で、()()()()()()

 

「あれ?…三代目…"()()()()"がいませんけど…」

「カカシ、今は"()()()"じゃ」

 

 それに気付いたカカシが、その者の名を口にするが、三代目が素早く注意を促した。

 

 カカシにテンゾウと呼ばれ、三代目がヤマトと言い直したその忍───それは、第一班の担当上忍のことだ。

 

「いやー癖でついつい。で…そのヤマトは?」

「ヤマト達第一班は、少し前から()()()()()()()

 

 それはつまり、里外の任務を意味しており、恐らくCランク以上の任務なのだろうと、一同は任務内容を聞かずとも納得しているようだ。

 

()()()してるみたいですね…第一班の"次代の三忍"達は」

 

 今期の新米下忍小隊で最強───いや、木ノ葉隠れの里の下忍小隊で最強と謳われる新進気鋭の第一班だが、真の実力は中忍、上忍含む小隊にも匹敵するのではないかと噂されている。

 

 新米下忍小隊でありながらも、既にBランク任務を与えられるのが常になりつつあり、今回に至っては()()()()()()()()()()()の真っ只中のようだ。

 

「ちなみに、ヤマト率いる第一班は参加することが決まっておる」

 

 中忍選抜試験に参加する下忍は、形式上最低8任務以上をこなしている必要があるが、第一班は倍の任務をこなしている上に、既にDランクの任務回数よりも、Cランク、Bランクの方が多いという異例の経歴となっている。

 

 今期のメンツ(新米達)は、木ノ葉隠れの里の名門忍一族出身の者達が勢揃いで、その点でも注目を集めているのだが、第一班の3人の注目度は頭一つ分───二つ分以上も飛び抜けているだろう。

 

 そして、第一班の参加を知った誰もが思っているはずだ。

 

 第一班の独壇場になるのではないかと…。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 北方に存在する"雪の国"。

 

 その雪の国にて繰り広げられる激闘は佳境を迎えていた。

 

「く、くそッ()()()さえ…貴様等さえこの国に現れなければッ!オレは今頃全てを手に入れているはずだったッ!!

【氷遁・黒龍暴風雪】!!」

 

 黒い龍が拳から発生し、()()()()()()()へと襲いかかる。しかし、その少年はまったく焦った様子もなく、その術に対して右手を翳す。

 

「それは悪いことをしたな…とでも言うと思ったか?

【重遁地天・威】」

 

 すると、黒い龍に強力な重力がかかり術が呆気なく遮断───押し潰されてしまった。

 

「バ…バケ…モノ」

 

 自身の忍術がまったく効かないこの状況に敵は怯えている。少年に対して向ける視線は畏怖───恐怖でその身を震えさせ、そして絶望を与えられていた。

 

「女性の涙は美しく…男に力を与えるものだ。泣いてる女性を見たら、男は何がなんでも助けたい…力になりたいと心から思う…そんな貴重で美しい涙を奪いやがって」

 

 10年前、この雪の国ではクーデターが起こり、当時の君主・風花早雪が実弟であるこの男───風花ドトウに殺されてしまった。

 

 そして、その日を境に一切のやる気も覇気も失い、諦め癖がつき、涙も流せず、笑顔まで失った女性が存在した。

 

()()()…」

 

 その女性こそ、木ノ葉隠れの里の新米下忍小隊第一班の護衛対象者である人気女優・富士風雪絵(ふじかぜゆきえ)であり、 雪の国の先代君主の一人娘である風花小雪(かざはなこゆき)だ。

 

 第一班の今回の任務は、世界的人気映画シリーズ"風雲姫"のヒロインである彼女の護衛で、シリーズ最終作の撮影の期間の護衛としてこの雪の国へやって来たのである。

 

 だが、道中色々と問題も起き、そして更には雪の国に到着した瞬間に雪忍の襲撃を受け、Cランク任務がAランク任務へと格上げされてしまうという事態へ陥ってしまった。だが、それらを難なく退けたサスケ達第一班。

 

「く、くそォォォ!!

【氷遁・双龍暴風雪】!!」

 

 その後、当初はCランクの女優の護衛任務だと聞かされてたはずが、護衛対象者が雪の国の本物の姫だとサスケ達は真実を聞かされ、武力で支配されるこの国の現状を知り、"三羽烏"───"次代の三忍"は立ち上がったのである。

 

 そんな教え子達に対してヤマトが深いため息を吐いたのは当然のことで、雪の国の平和を取り戻すべく立ち上がったサスケ達が大立振る舞いで、雪忍達を圧倒的な力の差で蹂躙したのは必然の結果だろう。

 

 ただ、葬るべきは先代君主を殺害した風花ドトウと直属の部下達のみで、力で支配されていた雪忍達は無力化するだけに止まったようだ。

 

 直属の部下達は、ケンゾウ、ビス、ヤマトに力を見せつけられ、呆気なく始末された。

 

 そして、黒幕である風花ドトウはサスケに追い込まれているのである。

 

「けどな…女性の一番の化粧である笑顔を奪ったことこそが、お前の最大の罪だ。万死に値する。

【重遁地天・神威(しんい)!!】」

 

 枯れていたはずの───涙を流しながら口元を手で抑える姫の目の前で、地面から現れた二匹の黒龍を、手を動かし重力場を移動させながら押し潰したサスケは、敵へと鋭い視線を向け、そして全てを終わらせ、全てを取り戻すべく手を翳す。

 

「あ…あ…」

「消え失せろ。

【重遁地天・改弐】!!」

 

 放たれた強力な重力球。

 

「バ…バカなあああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 断末魔の如く響くドトウの絶叫。

 

 体内のチャクラを増幅し、様々な術を強化し、更には体の回りにチャクラの壁を作り、どんな忍術、幻術も通用しないとされるチャクラの鎧もサスケの重遁の前では無意味。ブラックホールに飲み込まれるかの如く一瞬で跡形も無く押し潰す。

 

 花が咲いたような笑顔が失われて10年。それが今、取り戻される。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 気障なことを言うけど、報酬はそれだけで十分。

 

 その()()を見れただけで、Cランクの任務が急遽Aランクの任務に格上げされたことなど、全てがどうでもいいと思えてしまう。

 

 彼女の笑顔は、それほどまでに美しい。

 

 それは、彼女が世界的に人気のある女優だから───ではないだろう。

 

「その笑顔が見たかった」

「サスケ…本当にありがとう」

 

 心から嬉しそうな笑みを浮かべている。

 

「もう、行っちゃうのね」

 

 すると今度は、儚い───勘違いでなければ別れを惜しんでいるような表情へと変化した。

 

 笑って見送ってほしいが、世界的に人気のある女優で、雪の国の君主に即位した彼女に別れを惜しまれるのは決して悪い気はしない。

 

「俺は木ノ葉隠れの里の忍ですから…けど、あなた様が木ノ葉隠れの里の猿飛サスケを指名して依頼なさって下さったならば…何時何時(いつなんどき)も駆けつけましょう」

「ふふ、なら…あなたには"風雲姫"こと富士風雪絵と、雪の国の君主・風花小雪専属の忍様になってもらわないといけないわね!」

 

 悪くはない話だ。寧ろ、忍になって人気女優と親しくなれるなど考えもしなかった。

 

 とは言え、俺は木ノ葉隠れの里の忍なのだから、彼女のみの専属の忍にはなれるはずもない。

 

「サスケ!そろそろ里に戻るぞ!」

「ケンゾウ…了解」

 

 新たな君主の誕生に国中が賑わっているなか、俺達はひっそりと雪の国を後にする。

 

 俺達第一班は感謝されることはない。これも任務だ。それに、Cランクの任務からAランクの任務に変わったことで発生した追加料金と、任務内容詐称の違約金も頂くことになる。

 

 続行することを決めたのは俺達だったが、その点に関しては、木ノ葉隠れの里との繋がりを作っておきたいという、雪の国と雪隠れの里の願いが込められてのものだろう。

 

 決して悪い話ではない。

 

 俺としても、雪隠れの里に伝わる"氷遁"について話を聞けたのは非常に有り難かったし、正直なところ───これで姫とはお別れというのも嫌だ。

 忍にはあってはならない不要な感情ではあるのだが…。

 

「小雪様…それで」

 

 別れの挨拶を告げようと振り向いた俺の目の前に小雪姫の顔があり、俺は何が起きたのかまったく理解できず、驚きで思考が一瞬停止するという体験を経験してしまった。

 

 本当に何が起きたのか理解できていない。

 

 ただ、俺の()()()()()()()()()()()ことだけは何となくわかった。

 触れた唇が誰のものなのかも…。

 

「んなッ!?」

 

 ケンゾウがやたらと驚いている声が響く。俺以上に驚いて固まってる気がする。

 

「おお!?」

 

 ビスは驚いているけど、きっとにやついているだろう。声ではっきりとわかる。

 

「…はあー…やれやれ」

 

 ヤマト先生は実に憂鬱そうだ。

 

「またね…()()()()()()()()くん!!」

 

 俺は笑顔以上に最高の報酬を頂いた。

 

 






無理矢理ぶっ込んだ雪姫忍法帳wwwサスケは最高の報酬を頂いたのである!!
元気イッパイの状態でいざ中忍試験だぜ!!

敵は、次代の三忍の独壇場の犠牲になったのだ…そう、犠牲という犠牲にな。

あの映画ももう15年も前の作品なんですねェ!

当時見て思ったこと、ドトウの術って氷遁じゃなくね?

そして、敢えてここに雪姫忍法帳をぶっ込んだのは、こんなの氷遁じゃない!本当の氷遁ってやつを俺が完成させてやる!って意気込んだサスケが天才ップリを発揮するフラグだったり?


今回は重遁全開でしたね。重遁でいくことも決定しました。

【重遁地天・威】
手を翳した空間に強力な重力をかける。空中を飛ぶ敵を墜とせる程の高さの射程も持つ。
グラビレイだったり、ビドム・グラビレイだったり。

【重遁地天・神威(しんい)
神威と書いて"しんい"と読む。
任意の場所に強力な重力をかける、"威"の強化版。手を動かすことで重力場を移動させる事ができる。
アイアン・グラビレイ。

【重遁地天・改弐】
ブラックホールに飲み込まれるかの如く一瞬で跡形も無く押し潰す。
ニューボルツ・シン・グラビレイ。




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三羽烏の中忍試験



そういえば、大蛇丸ってどのタイミングで草隠れの忍に成り代わってたの?第一の試験の時に既に?それとも死の森に移動中?



 

 

 ここは、忍者学校(アカデミー)の教室"301"。

 

 教室内は静まり返っているが、それも当然だろう。何故なら教室内には、俺、ケンゾウ、ビスの3人しかいないのだから…。

 

 本日より開催される中忍選抜試験。その試験会場に指定されているこの場所に、俺達は誰よりも早くやって来ている。

 

 それもこれも、やはり規則正しさを常に重視するヤマト先生の教えの賜物───いや、影響だろうか…。

 

 指定されている時間の約1時間も前で、普通に考えて早すぎる…。ただ、一番最初に会場入りしていないとどうも落ち着かないということで、3人揃っていち早く会場入りしているというわけだ。

 

「誰が一番最初に会場入りするか…決して勝ち負けではないんだけどな」

「ヤマト先生のおかげなのか、ヤマト先生のせいなのか」

 

 ちなみに、俺達は昨晩雪の国から帰還したばかり。その疲れも───いや、疲れてはいないのだが、中忍試験の準備などまったくする暇もなく、ぶっつけ本番でこうして中忍試験に望むこととなってしまった。しかも、ヤマト先生から中忍試験の話を聞かされたのは雪の国でのAランク任務の真っ只中で、ヤマト先生からは3人揃っての合格以外あり得ないと激励という名のプレッシャーをかけられていたりもする。

 

「ヤマト先生はやっぱり鬼だな」

「何気にドSだからね」

 

 とは言え、何だかんだで一番プレッシャーがかかっているのはヤマト先生かもしれない。

 

 何故なら、俺達がこの中忍試験に合格するのは間違いない、楽勝だと周囲から思われているらしく、1人でも不合格になろうものなら、担当上忍であるヤマト先生の指導不足ということになってしまうのである。

 

 第一班のここのところの活躍を考えたならば、周囲からの期待は当然で、他の担当上忍の方々と比べたら、ヤマト先生が与えられるプレッシャーの大きさはまったく違うはずだ。

 

 つまり、俺達は中忍試験を受けるにあたって、ヤマト先生から任務を与えられているようなものでもある。

 その任務内容は、中忍試験合格───つまり、中忍に昇格すること。しかも最低条件が3人揃っての合格だ。

 

 もっとも、中忍試験を受ける以上落ちるつもりはまったくないのだが…。

 

「ヤマト先生の為にも絶対に中忍にならないとな」

「そうだね。ヤマト先生の為にも…ね」

 

 不合格などあり得ない。俺達は気合いを入れて、ヤマト先生の期待に応えるべく試験に望む。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 それから十数分後、次のチームが会場入りしたのを皮切りに続々と他里の下忍達が会場入りし始めた。

 ただ、俺達以外の木ノ葉隠れの里の下忍達が会場したのは随分と後───自里開催だからか、随分と気が緩んでるように感じられるのだが…。

 

 それはともかく、先ほどから熱烈な視線を感じている。その熱烈な視線を向ける主は()()()()()を背負った額に"愛"という文字を刻んだ、目の隈が凄いことになっている少年だ。

 

 どうやら、砂隠れの里の下忍らしく、この会場内の下忍達の中でも、この少年は強いのではないかと思われる。それに、チャクラ量が多く、チャクラの質が禍々しい。感知忍術【神楽心眼】で探ってみたが───砂隠れの"人柱力"で間違いないだろう。

 

「貴様等が木ノ葉隠れ里の猿飛サスケ、志村ケンゾウ、日向ビスか?」

「だったらどうする?」

「そもそも、名乗りもしてない相手に大人しく答えるとでも?」

 

 熱烈な視線を向けてきていた少年が俺達のもとまで近づいて声をかけてきたわけだが、ケンゾウとビスがちょっと威圧すると、その少年は口角を上げて歪な笑みを浮かべ、とてつもなく目を血走らせているではないか…。

 

「く、くくく、貴様等からは血の臭いがする。既に多くの人間を殺しているな」

 

 どうやらこの少年は、サイコパス系のようだ。

 

 ただ、多いか少ないかはともかくとし、確かに俺達は任務で敵を殺している。雪の国でもだ。

 しかし、それは数日前のことなのだが…。

 

「か、嗅ぐなッ!!」

 

 ケンゾウからフローラルなシャンプーの香りがする。失礼な話だが、ケンゾウは石鹸で髪を洗っているイメージが強い。意外な新事実の発覚だ。

 

「ちゃんとお風呂には入ってるんだけどな…臭い?」

 

 ビスはイメージ通り。椿の香りがする。

 

「くくく、血湧き肉踊る…貴様等とは最高の殺し合いができそうだ」

 

 少しおどけて見せたが、この少年は常に血を欲しているようだ。俺達よりも、血の臭いを強く感じる。

 

 それは、見たままに感じるものではなく、殺しを経験したことがある者だからこその感覚で、中忍、上忍になれば当たり前のように身に付けることになるものだと思う。本能的なものとでも言うべきだろうか…。

 

 どうやら、俺達はまた変なのに目をつけられてしまったらしい。

 

 名乗りもせずに、ただ笑い声を上げながら去って行くその少年は不気味で、周囲も若干───いや、かなり引いている。

 

 ただ、俺達が変なのに目をつけられるのは今に始まったことではないのが悩ましい限りだ。

 

「これはこれは…今期最強…それどころか、木ノ葉隠れの里最強の下忍小隊…第一班の三羽烏が参加してるとは」

 

 入れ替わるようにして声をかけてきた木ノ葉隠れの里のメガネの男。胡散臭さ丸出しだ。

 

「ボクはカブト…よろしく」

 

 いったい何を企んで俺達に声をかけてきたのか…。ただ、仲良くできそうにはない。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 いつの間にか同期の新米下忍達が俺達の周りに大集合している。

 

 うずまきナルトが俺達の存在に気付き、近寄ってきたのが事の発端だ。

 

 あまり騒がしいのは好きではないのだが…。

 

 しかも、カブトが勝手に人の情報を開示したり、音隠れの里の下忍が仕掛けてきたりと、騒がしいことこの上ない。

 

 そんななか、ボフンと大きな音が教室の中に響く。

 

「静かにしやがれ、どぐされヤローどもが!」

 

 教室の前方に煙が立ち、どうやら今さっきの怒号は煙の中から発せられたものらしい。

 

 煙が晴れ───そこから現れたのは、中忍選抜試験の試験官達だった。20人ほどの忍達の先頭に立つのは、大柄な厳しい顔付きの男性で、この者こそが怒号の主。

 

「待たせたな…ガキ共。"中忍選抜第一の試験"、試験官の森乃イビキだ」

 

 "サディスト"の異名を持つ木ノ葉隠れの里の暗部───拷問・尋問部隊隊長だ。

 

 ケンゾウとビスもまさかの人物の登場に驚いているが、この男が試験官を務める試験とはいったいどんなものなのかと期待してもいる。

 

 この場所が試験会場であることから、恐らく今から行われる試験は筆記試験だろう。

 ただ、現役暗部が試験官を務める筆記試験とはいったいどんなものなのか気になるところ。

 

 そして、サディストの異名を持つこの試験官が、俺達にどのような精神的な苦痛を与えてくるのか…。

 この試験が俺達にどのような経験を積ませてくれるのか楽しみで仕方ない。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 サディストによる中忍選抜試験第一の試験。いったいどのような精神的な苦痛を与えられるのかと思い身構えていたのだが───蓋を開けてみたらあらびっくり。

 それどころか、あまりにも拍子抜けすぎる拷問という名の退()()を俺達3人は味わっている。

 

『心の声が駄々漏れだぞ。最後まで気を抜くな、サスケ』

『でもサスケの気持ちもわかるよ。ケンゾウだって心の中で何度もため息吐いてたじゃないか』

『ひ、人の心の中を勝手に覗くな!!』

『仕方ないよ…だって今、オレ達()()()()()し』

 

 山中一族の秘伝忍術の1つ【心伝身の術】。この術は、このように多人数で思念のやり取りを行う術だ。

 俺を中心に、ケンゾウとビスもやり取りできるようになっている。

 

 俺が優先的に習得した秘伝忍術の1つがこれで、このように離れ離れになった際に、こうして思念でやり取りできるのは実に助かる。利便性の高い術だ。

 

 ただ、それはともかくとして、第一の試験は実に退屈極まりないものだ。

 

 筆記試験そのものも簡単で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()必要すらもなく自力で解ける内容だった。真面目なケンゾウだけは試験官達の意図を汲んで、受験者の中に紛れ込んだ試験官が答えを記入する動きを"写輪眼"でコピーしていたみたいだが…。

 俺とビスに至っては自力で解いて、すぐにうたた寝していたというのに、本当に律儀で真面目で、こういったところは俺とビスにはないケンゾウの美点の1つだと思う。

 

 感動した。

 

『バカにしてるのかサスケェェ!!』

 

 そして、俺達が何よりも退屈だと思ってしまったのは、試験開始後45分経過してから出題された第10問目が、あまりにも当たり前過ぎだったからだ。

 

 第10問目を受けるか受けないか───森乃イビキは残った受験者達に選択の機会を与えた。

 そしてこう告げ足した───受けない”者は班員共々即失格。“受ける”を選び問題を答えられなかった者は“永遠に受験資格を奪われる”と…。

 

 その選択に対し、受けないを選ぶ者が続出し、会場から逃げ出したが、その者達はBランク以上の任務を与えられたら、きっと同じように逃げ出してしまう半端者なのだろう。

 

 俺達3人は、Bランク任務を与えられる際に、三代目からいつも決まって言われることがある。

 

 ── もし、敵と交戦の末におぬしらの内の誰かが捕まってしまっても、里は一切責任を負わん。

 

 実際に、本当にそうなのかはわからない。ただ、三代目が常に俺達に覚悟があるかを問い掛けているのは理解できている。それに、まだ経験したことがない潜入任務ともなれば、俺達が命の危険に陥いる時があっても里が立場を危うくしない為に、里側は潜入活動に対して特別関与することもないはずだ。

 何があっても知らぬ存ぜぬを貫き通すだろう。

 

 忍の任務は不誠実、理不尽極まりないのが当たり前であり、Cランクの任務が実はBランクまたはAランクでしたなど少なくない。

 

 森乃イビキは、その覚悟があるのかを確かめようとしているのだろうが、普通なら確かめるまでもないのではないだろうか…。初めて任務で人を殺した時、一瞬揺らぎかけたのは否定はできないし、理不尽だとも思ったが、そう思ったのはその一瞬のみだった。

 

 初めて任務で殺しを経験した時、これが忍なのだと、ヤマト先生からも三代目からも俺達3人はまったく教えられることなどなく、その身でそれを経験したのだ。

 

「では、ここに残ったもの全員に…"第一の試験"合格を申し渡す!!」

 

 だから余計に甘いと感じてしまうのかもしれない。

 

 






ここ最近、与えられる任務が常にBランクだったり、雪の国ではAランクで、サスケ達の下忍の基準がおかしくなりつつあるようです。
下忍になってから里にいることの方が少なかったのも要因で、アカデミー卒業後は同期の下忍達とままったく会ってないし、ナルト達は第一班の面々をまったく里内でも見かけなかったという。


今回出てきた術。
【神楽心眼】
千里眼とも言うべき、超広範囲のチャクラ感知術。
原作では香燐が使ってましたが、サスケも習得しております。

【心伝身の術】
多人数と思念でやり取りする山中一族の術ですね。


三代目がサスケ達にBランク任務の前に常に言い聞かせている言葉。
『もし、敵と交戦の末におぬしらの内の誰かが捕まってしまっても、里は一切責任を負わん』

お優しい三代目が言いそうにもない言葉かもしれませんが、期待する三羽烏への叱咤激励であったり、常に油断するなと遠回しに言っているということですね。

既にBランク任務を何度も経験しているサスケ達にとっては、第一の試験は簡単すぎるものでしかない…そんな展開で、簡単に終わっちゃいます。


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メーデー、メーデー!



簡単すぎた第一の試験。しかし、優秀すぎるが故に重大なことに気付いてしまい、第二の試験難易度上がりすぎだろォォ!!となる第一班。それでも爆走します。



 

 

 青天の霹靂。

 

 その言葉は、このような時に使うのだろうと身を持って経験している。正直───こんな経験の仕方は嫌だ。

 

 今は中忍選抜試験の第二の試験の説明を受けている真っ只中で、簡単すぎた第一の試験を突破した俺達含む受験者達一同は、第二の試験の会場となる"死の森"の前までやって来ている。そして、俺はその場所に到着して気付いてしまったことがある。

 

 この受験者の中に───招かれざる()()()がいることに…。

 

 いったいどういうことだろうか…。第一の試験のように、試験官が潜り込んでいる───そんなはずはない。

 あのオカマこと大蛇丸は抜け忍だ。しかもS級の極悪忍だ。実はスパイ活動をしてて、敵を騙すにはまず味方からってことで抜け忍扱いされていましたというか現在進行形で今も絶賛抜け忍扱いされていますけど本当は今も木ノ葉所属なんです───なんてこと大蛇丸に限ってないだろう。いや、人は見かけによらない。

 実は誰よりも里の平和を願っているという可能性だって、もしかしたらあるかもしれない。

 

 もしかしたら、俺達を狙って襲撃したのも、俺に殺害宣言をしたのも、後輩可愛さによるものかもしれない。"次代の三忍"などと持て囃されている俺達に調子に乗るなと、そう伝えたかったのかもしれない。

 

 相手は彼の"伝説の三忍"だ。人生経験、戦闘経験も遥かに豊富で、相手を騙すことに於いても上手だ。

 

 だが、今の俺のこの考えは裏の裏を読みすぎた、深読みしすぎたものかもしれない。

 

 今現在、恐らく大蛇丸に気付いている者は俺しかいないだろう。ケンゾウもビスも気付いていない。

 俺が気付けたのも本当にたまたまなのだ。第六感が強く反応し、【神楽心眼】で感知してみたら大蛇丸が受験者の中に潜り込んでいたのである。驚き声を上げなかったことを誉めてもらいたいくらいだ。

 

 ただ、今のこの状況は非常に不味い。

 

 あーだこーだ色々考えたが、どこからどう考えてもこの状況は、S級犯罪者が中忍選抜試験に潜り込んでいる危機的状況だ。

 主催里としても、絶対にあってはならない状況だ。

 

 大蛇丸に人質を取られているような状況でもある。俺が変な動きを見せたら、きっと直ぐ様に他里の下忍達の首が飛んで、地面に転がることになってしまうだろう。

 

 木ノ葉の抜け忍が木ノ葉で開催された中忍試験に乱入して受験者が殺害されましたなど大問題。

 しかも、五大国の1つである砂隠れの里も参加しているのだから、そうなってしまっては木ノ葉は砂に付け入る隙を与えてしまったも当然だ。

 絶対に迂闊なことはできない。しかし、後手に回りすぎるわけにもいかない。

 

 まず、俺がやるべきことはこれしかない───メーデー、メーデー、三代目火影様。

 "報・連・相"は大切である。

 

『むッ、サスケか…第一の試験を突破した受験者達は第二の試験の会場である死の森に向かったと報告を受けておるがいったい何をしておる?これは明らかに失格の対象となる行為じゃが…』

 

 まずヤマト先生に報告しようかとも思ったが、三代目に直接報告できる術があるのなら、直接報告すべき事案だろう。

 

 一応、ヤマト先生のチャクラを感知してみたが、里内で複数人で行動しているようだ。見知ったチャクラも感じ取ることができたが、どこに敵の目や耳があるかまではわからない為に、執務室にいるであろう三代目に報告するべきと判断したまでだ。

 

 大蛇丸に人質を取られているに等しいこの状況では、細心の注意を払わねばならない。

 

『お、大蛇丸じゃと!?そ、それは本当か!?』

 

 驚いてしまうのは仕方ないが、そんなにチャクラを荒立てないでもらいたい。

 一番発狂したいのは俺なのだ。本当なら気付きたくなかった。でも、気付いてしまった以上は何もしないわけにはいかないのである。

 

『す、すまん…し、しかし…くッ、大蛇丸め。中忍試験に潜り込むなど何を企てておるんじゃ!?』

 

 狙いはケンゾウか…。前回のリベンジである可能性は非常に高い。

 

 大蛇丸がケンゾウを諦めるとは思わず、もちろんその後も一切警戒は怠っていなかったつもりだ。ただ、中忍試験に潜り込むとは考えもしていなかった。大蛇丸の執拗さを甘く見ていたことが悔やまれる。

 

『やはり、一度失敗しただけで奴が諦めるはずはない…か。寧ろ、苦渋を飲まされたことで執拗さが増したのかもしれん』

 

 俺もそう思っているが、そこは敢えて言わないで欲しかった。何故ならそれはつまり、前回は俺達を甘く見ていたであろう大蛇丸が、本気で襲撃してくるということなのだ。伝説の三忍の本気など笑えない。

 

 それと、三代目も俺と同じ考えらしく、今のこの状況では暗部を出動させるわけにもいかないとのことだ。すぐに出動できるように手配はしてくれているようだが、増援もそう多くは望めないだろう。敵が大蛇丸1人なわけがない。こちらはまったく大蛇丸の戦力を把握できていないのだ。そんな状況で、こちらに多くの戦力を割けるはずもない。

 

『サスケ…随時報告を怠らないでくれ』

 

 それはもちろんのこと。

 

『それから…決して無理はするな』

 

 いつもなら、三代目が俺達の成長を願いながら理不尽な言葉をかけてくれるはずなのだが、今日はいつもと明らかに違う。

 

 心配してくれているのだと、その気持ちがちゃんと伝わってはいる。ただ、今こそいつものように叱咤激励してほしい。

 

 俺は木ノ葉隠れの里の忍なのだ。

 

 相手が誰であろうとも、木ノ葉隠れ里で好き勝手させるわけにはいかない。だからこそ、主である三代目には()()を果たして欲しい。

 

『猿飛サスケ…おぬしに任務を言い渡す。

 ケンゾウを何としても死守するのじゃ』

『御意』

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

『大蛇丸の狙いがケンゾウではないじゃと!?』

 

 大蛇丸がケンゾウを狙っているのは確かだが、奴がケンゾウを()()()()───それが何なのかをすっかり忘れてしまっていた。

 

 大蛇丸がケンゾウを狙う理由───それは、"うちは一族"の血を引く者が有する血継限界"写輪眼"だ。

 

 そして、木ノ葉隠れの里には()()()()、うちは一族の血を引く者が存在している。

 

 俺達と同期の新米下忍───第七班のうちはサスケだ。

 

『くッ、大蛇丸が一度の失敗で諦めるはずがないとケンゾウばかりに目がいってしまっていた!うちはサスケも、まだ不完全ではあるが写輪眼を開眼した報告は受けておる!!』

 

 ケンゾウにばかり目がいってしまっていたのも無理はない。現に俺達もそうだ。

 何より、ケンゾウの写輪眼は完成形の状態に達しており、更に上の───"永遠の万華鏡写輪眼"という強力な固有術を有する瞳術を開眼している。後者については大蛇丸が知るはずもないが、ケンゾウの写輪眼は"点穴"すらも見抜けるほどに瞳力が強く、大蛇丸が欲しがるのも納得できる代物だ。

 

 だからこそ、うちはサスケには目もくれないと思ってしまっていた。

 

 いや、目もくれていなかったのは俺達で、大蛇丸の狙いはケンゾウとばかり勘違いしてしまっていたのである。

 

『少しの時間でも構わん、大蛇丸を足止めするんじゃ!暗部をそちらに向かわせる!!』

 

 大蛇丸は既に第七班に───うちはサスケに接触している。どうやら、うずまきナルトのチャクラが荒ぶり、その身に封印された"九尾"のチャクラが漏れ出して大蛇丸と交戦していたようだが、今は何かの術で無力化され気絶しており、うちはサスケへと大蛇丸の魔の手が迫ってしまっている。

 

 今のうちはサスケでは、ハッキリ言ってまったく相手にならない。

 

「サスケ…お前だけでも先に行け」

「ケンゾウの言う通りだ。君が()()()()時空間忍術なら、マーキングなしで行きたい場所に…第七班のもとに瞬間移動できる」

 

 今いる場所から姿を消して、行きたい場所に姿を現す時空間忍術───【韜晦顕現(とうかいけんげん)】。

 

 その術は、二代目火影が開発し、四代目火影が得意とした【飛雷神の術】を習得することで時空間忍術に精通し、そして習得することに成功したマーキングなしで使える時空間忍術だ。

 正確には、飛雷神の術と原理などまったく別の時空間忍術で、参考にしたのは物質を光の速さで任意の地点に即座に転送できる【天送の術】である。天送の術は基本的に物質の転送を目的としているが、韜晦顕現は自分自身の転送なのだ。

 

 ケンゾウとビスが俺に先に行けと言ったのは、俺がこの術を使えば一瞬で第七班のもとに駆けつけることができるから───しかしこの術は、マーキングを施した場所になら術者が間接的に触れている者も一緒に瞬間移動させることができる飛雷神の術とは違い、今はまだケンゾウとビスの言葉通りに俺だけしか瞬間移動することができない。

 

「行け…オレ達もすぐに追いつく。言っておくが、オレ達を心配して全力を出せませんでした…など許さないからな。

 オレとビスは常に貴様に守ってもらわないといけないほど弱くなどない」

 

 ケンゾウが俺をここまで叱咤激励してくれるなんて───美しい夕日を思わせる濃厚なオレンジ色のチャクラで構成された半透明の巨人のようなものにその身を覆わせたケンゾウは臨戦態勢万端のようだ。

 

「サスケ…君同様に、オレとケンゾウにも大蛇丸が知らない力がある。心配しなくていいよ。

 それに…一番心配されるべきは、これから大蛇丸と戦う君でしょ」

 

 ビスの言う通り、大蛇丸とこれから戦うのは他の誰でもない俺だ。ケンゾウとビスが心配なのは確かだが、大蛇丸を相手に2人の心配など烏滸がましいにも程がある。

 掌にチャクラを込めて巨大なチャクラの拳を作り出しているビスから、調子に乗るなと言われているような───ケンゾウもオレンジ色のチャクラの巨大な剣を作って今にも俺を斬りそうで、正直なところ大蛇丸より2人の方が恐ろしいのだが…。

 

「さっさと行けッ!!」

「死んだら許さないからね」

 

 これは絶対に死ねない上に、何だか力が湧いてきた気がするのは気のせいではないだろう。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 あと1秒でも遅ければ…。

 

「間に合ったようだな!

【火遁・龍炎放歌の術】!!」

「ッ、何度邪魔したら気が済むのかしら!?」

 

 木ノ葉隠れの里の仲間の危機に、中忍試験中であることなどお構い無しに時空間忍術を駆使して姿を見せた猿飛サスケは、口から龍を象った炎を複数、しかも高速で放ち、危機に貧していた第七班のうちはサスケと春野サクラの前に立つ。

 

 ろくろ首のように伸びた大蛇丸の首がうちはサスケへと迫り、噛み付こうとする寸前で、どうにか間に合ったようだ。

 

「本当に忌々しいクソガキねッ!!」

 

 回避が困難な火遁を、蛇を口寄せして身代わりにすることでやり過ごした大蛇丸。

 視線だけで殺せそうなとてつもなく強い大蛇丸の殺気が、猿飛サスケに向けられている。

 

「絶望と恐怖を与え…そしてあなたは、私に殺してくれと請うことになるって言ったはずよ!

【口寄せの術】!!」

 

 口寄せされた数匹の大蛇。

 

 大蛇を数匹、一気に口寄せする大蛇丸はさすがとしか言い様がない。

 

 しかし、それを前にサスケはまったく動じることなく立っている。

 

「さ…猿飛…」

「さ、猿…飛…くん…ど、どうして…?」

 

 そんなサスケを前に、事態にまったくついていけない第七班の2人。自分達がまったく敵わなかった───手も足も出なかった相手にいったいどう立ち向かうつもりなのか…。無謀としか思わずにはいられない。

 

 ただ、圧倒的な力の差をその身で味わった2人は、もう声すら発することができずにいた。

 

 そんな2人を背にしながらも、サスケも口寄せの術を使って()()を呼び出すのである。

 

「む…サスケ、このようなタイミングで呼び出すとは…かなり切羽詰まっているのか?」

「切羽詰まってはないかも?ただ…()()してくれ、躯」

「ほォ…融合する必要のある敵か」

「いいからやるぞ!

【猿飛流()()()()】!!」

 

 すると、輝きを放ったと同時に大きな白煙が1人と1匹を包み込み、その煙の内からは強大なエネルギーが───異質なチャクラが放たれる。

 

「いったい何を…」

 

 大蛇丸ですらも最大限の警戒を見せていた。

 

 そして、煙が晴れた先───そこに立っていたのは、全身が赤い体毛に覆われ、赤く細い尻尾がお尻から生えた、瞳の周りに赤い隈取りが浮かんだ男だった。

 

「あ、あなた…何者?」

 

 大蛇丸ですらも困惑を隠せず、死の森は混沌と化す。

 

 






イタチを狙い返り討ちにされ、ケンゾウを狙ったら師匠の父親と同じ名前の猿飛一族の期待の星に阻まれた大蛇丸。
大蛇丸にとって今回の襲撃は三度目の正直。伝説の三忍の三度目の正直とか恐ろしいよね((((;゜Д゜)))


飛雷神の術習得後に新たに開発してしまってた時空間忍術。
韜晦顕現(とうかいけんげん)
某魔法ファンタジーの瞬間移動魔法。姿眩まし、姿現しとも言う。
マーキング必要なしの瞬間移動。この時空間忍術を使う為に、"どこへ"、"どうしても"、"どういう意図で"という3Dを強く意識する必要がある。場所を指標にする為に、誰かを指標にすることは当然無理。

韜晦の意味は姿を隠す、姿を眩ませるでもあるし、顕現の意味はハッキリと姿を現すでもある。

天送の術を自分自身の転送目的でアレンジしたもの。

【猿飛流人獣融合】
サスケが口寄せ契約を結んでいる仙猿魔王"躯"と融合する。犬塚一族の"擬獣忍法"と尾獣と人柱力の関係を参考にしている。

ちなみに、"人獣融合"と"獣人融合"の2パターンがある。

"人獣融合"は、サスケと躯が融合することで、全身が赤い体毛に覆われ、お尻からは赤い尻尾が生え、髪も逆立ち長くなり、瞳の周りが赤く縁取られ、お前誰だ状態になる。
またの名を超サイヤ人4とも言う。
大蛇丸相手なんで、界王拳やら、超サイヤ人、2、3スッとばかしての4。ぶっちゃけ個人的に4が一番好きです。


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越えられない壁



超サイヤ人4って、やっぱカッコいいよね。それだけは認めてしまう。
ちなみに、赤い隈取り仙人モード関係ないです。この術を完成させたサスケも、どういうわけか超サイヤ人4になってて驚いてます。仙人モードの際は隈取りがもう少し濃くなる仕様。

そういえば、気付いたら10話越えてたァー!!



 

 

 木ノ葉隠れの里で開催中の中忍選抜試験第二の試験の最中に起きてしまった大事件。

 それは、決して起きてはならないはずの大事件だった。

 

「うおらあァァァ!!」

 

 赤い体毛に全身を覆われた男が大蛇達を一撃のもとに地面に沈め、そして招かれざる者へと視線を向ける。

 

「ふう…()()()()はこんなところで終わりだ。次はアンタの番だぜ…大蛇丸」

 

 見た目も、放たれる威圧感も、全てがまったくの別人と変化した猿飛サスケは、血に飢えた獣のような獰猛な瞳を大蛇丸へと向け、不敵な笑みを浮かべていた。

 

 そしてその背後で、第七班のうちはサスケと春野サクラは唖然とした様子で、ただその激闘を眺めていることしかできずにいた。付け入る隙などまったくない別次元の戦い。これが同じ下忍なのかと思わずにはいられないはずだ。

 宙に浮いている猿飛サスケに対して、本当に同じ人間なのかとすら思っているのではないだろうか…。

 

「…猿の分際で随分と調子に乗ってるようね」

「その猿に倒されるのはどんな気分だ?」

「!…まさかあなた…私に勝てるつもりなのかしら?

 ふ…ふふふ…あははははは!あなた如きがッ、少し強いガキが私に勝てるつもりでいるの!?

 笑わせてくれるじゃない!こんな滑稽な話がァッ!?」

 

 伝説の三忍の1人である自分に勝てるはずがない───大蛇丸は猿飛サスケを完全に下に見ている。

 

 前回の戦闘では甘く見ていただけで、それでも己が負けることなど絶対にないのだと、大蛇丸は絶対的な自身を持って高笑いしている。

 

 だが、そんな大蛇丸の顔面に強烈な一撃が叩き込まれ、吹き飛ばされるのである。

 

「がふッ!こ、このクソガキがァァ!!」

「不愉快な笑い声だったからな…それに、俺はここにお喋りをしにやって来たわけではない。貴様を倒しに来たんだ。これ以上の会話は不要だろう。

 ただ、1つだけ貴様の問いに答えておくとしよう…俺が何者か…俺は猿飛サスケでも躯でもない。

 俺は、伝説の三忍を越える…貴様を倒す者だ」

 

 その瞬間、目にも止まらぬ速さの"瞬身"で大蛇丸の懐に潜り込み、先程よりも強烈な一撃が叩き込まれた。

 

 骨が折れた鈍い音、口から血が吐き出され、呻き声が微かに耳に届く。

 

「俺の拳が届く範囲で…木ノ葉隠れの里で好き勝手できると思うな」

 

 その立ち姿は次代の三忍と呼ばれるに相応しい。

 

 時代は着実に動いている。そして、次の世代へと"火の意志"は確かに受け継がれているのだ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 まるで刀同士が衝突したような音が───そんな音がオレの耳に、やたらと鮮明に届いてやがる。

 

「くッ、この"草薙の剣"を生身で防げるなんてッ!?」

 

 オレと同期で、オレと同じ"サスケ"という名前を持つ忍は、オレが手も足も出なかった敵と互角に───いや、圧している。

 

「ま、まさかッ、猿と融合して()()()()を手にしたとでもいうのッ!?」

「さて…どうだろうな…ハッ!!」

「ぐふッ!?」

 

 今のは、チャクラを掌から衝撃波のようにして放ったようだが、それだけであの威力───いったいどんなチャクラをしてやがるんだ。

 

 オレ達が"忍者学校(アカデミー)"を卒業してから数ヶ月が経つが、オレとコイツの差は今も昔も変わらず───いや、アカデミー時代以上に開いている。

 それを今、オレは見せつけられている。

 

「ぐッ、はあ、はあ…今のは日向一族の"柔拳"!?」

「ほォ、さすがだな。ただ、俺のは本当に()()()()()()()()()()()だ。白眼を持ってないから的確に急所を射抜けないからな」

 

 猿飛一族出身のコイツが何故、日向一族の技を扱えるのかなど、疑問に思ったところでコイツなのだからと周囲は当然のように口にするのだろう。

 

 アカデミー時代から、コイツと、コイツと常に行動していた2人───"三羽烏"の3人は何もかもが違っていた。

 

()()も強くいくぞ。

【火遁・豪火滅却】!!」

 

 オレは"うちは一族"出身ということもあり、火遁を得意としている。しかし、コイツはオレの火遁が赤子のように感じてしまう威力の火遁を平然と扱っている。

 

「範囲を広げるか…。

【風遁・闐嵐(てんらん)】!」

 

 しかも、より大きく燃え広がるように風遁の術までも…。コイツはもう、二つの性質変化を扱え、しかもこれほどの威力を誇る術を扱えるのか…。

 

「やり過ぎた…()()しておくか。

【水遁・荒水修祓(こうすいしゅうばつ)】!」

「あ、あなたのようなガキが何故これほどの術をッ!?」

 

 静かに呟きながら、写輪眼でまったく捉えることのできないスピードで印を結んで、水の壁───まるで津波のような水遁を口から吐き出して敵ごと押し流すなんて…。

 オレは夢を───幻術でも見せられているのだろうか…。そう思わずにはいられない。

 

「す、凄い…やっぱり猿飛くん凄い!あんなバケモノ相手に圧してるなんて!!」

 

 アカデミーでも、三羽烏はサクラやイノ達くノ一の憧れの存在だった。オレとは何もかもが違い、天才でありながらも決して他者を見下すこともなく、何か教えを請われたら丁寧に答え、アカデミーの教師達よりも的確に指導したりと、男女問わずに尊敬される存在だった。

 

 だが、オレは三羽烏に負けたくなくて、コイツらに教えを請うなどプライドが許さず、自分1人で絶対に追いついてやると───追い越してやると思って今日まで必死にやって来た。

 

 それなのに───コイツはオレの遥か先を走っている。

 

「大蛇丸…どうしたんだ?逃げてばかりいるだけじゃどうにもならないぞ。

【雷遁・白雷】!」

「あぐッ!?こ、このクソガキがァァァ!!」

 

 指先から放たれる一条の───貫通力のある直線状の電撃。

 

 火遁、風遁、水遁。そして雷遁。しかもどれもが高い威力を誇ってやがる。

 

 オレの担当上忍のカカシよりも強いんじゃないかと感じてしまう。それほどまでに───猿飛サスケは強く、本当にカカシよりも強いのだろう。

 

 同じ下忍のはずなのに何もかもが違う。Cランク任務が急遽Aランク任務に変更になるというイレギュラーな経験はしたが、それ以降オレ達第七班が与えられる任務はずっとDランクばかりで、コイツら第一班との経験の差も開くばかり。第一班は常にBランク以上の任務を与えられているみたいだからな。

 

 この大蛇丸という敵も、任務難易度で例えたならBランク───いや、Aランク以上の敵のはずだ。

 

 大蛇丸が、あのカカシですら苦戦した"鬼人"再不斬よりも強い相手だということくらいオレにもわかる。

 

 それなのに、コイツはどうしてこんなにも強い。猿飛サスケと、オレのいったい何が違うのか…。

 

「なッ!?こ、これは"奈良一族"の影!?」

「【影縫いの術】

 捕まえたぞ、大蛇丸。さて、このまま暗部が到着するまで拘束させてもらう」

 

 四つの性質変化に、日向一族の柔拳、奈良一族の影。そして、力が上昇する謎の変化。

 

 オレは、コイツに追いつけるのか…。

 

「その大蛇、本当に鬱陶しい…沈め。

【重遁地天・奈落】!!」

 

 更に、見たこともない術。

 

 猿飛サスケ───お前はいったい何者なんだ…。

 

 オレの名前は、先代の猿飛サスケのような偉大な忍になってほしいという理由で名付けられたのだと母さんから聞かされた。だが、オレと同じ理由で同じ名前を名付けられたはずの猿飛一族のサスケは、その偉大な忍すらも既に越えていると思ってしまうほどの遥か高みに立っている。

 

 何故、オレとお前はこんなにも違う。

 

 オレはどうしてこんなにも弱い。

 

「!?サ、サスケくんッ写輪眼が()()()()()()()()になってるわッ!!」

 

 別次元の戦いを見せつけられて写輪眼が進化したのか…。だがそれでも、オレのこの眼は猿飛サスケの動きの速さも、印を結ぶ速さもまったく捉えることができていない。

 

 オレはいったい、どうしたら強くなれる…。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 そろそろ限界が近い。

 

 一見、俺が圧倒しているかのように見えているだろうが、俺の目的は大蛇丸の足止めと、うちはサスケを守ることだ。

 暗部がこの死の森に足を踏み入れている時点で、他の受験者達の安全はどうにか確保できているだろうから、心置きなく戦えてはいる。だが、さすがは"三忍"───一瞬足りとも気を抜けない相手だ。

 

 この状況でも、まったく安心などできない。

 

「大蛇丸様ッ!!」

 

 それに、大蛇丸の仲間が姿を見せた。かなりのやり手で、奇妙なチャクラ性質をしている。

 

「くッ、五大性質変化全てに、独自に開発した新たな性質…それに、奈良一族の秘伝忍術。

 三代目そっくりで本当に忌々しいわ。初代、二代目と比べたら遥かに劣る血脈の分際で」

 

 明らかに猿飛一族を下に見た、馬鹿にした物言いだが、これは俺に対する挑発───ではなさそうだ。

 

「腹立たしいけど…認めざるを得ないわね。けど、絶対に三度目はないということを覚えておきなさい…猿飛サスケ。

 私は欲しいものは必ず、どんな手を使っても手に入れるわ。三代目にも伝えておきなさい。中忍試験を中止にしたら、木ノ葉隠れの里に血の雨を降らせてあげるって…必ず伝えておくことね。…引くわよ」

「はい!【口寄せの術】!!」

「【口寄せ・羅生門】!!」

 

 大蛇の口寄せはともかく、この禍々しい形相の彫られた門は高い防御力を誇るものだ。

 しかも、この門のせいで影が強引に遮断されてしまった。

 

 つまり、大蛇丸は影縫いの術の拘束から逃れたということ…。それと、恐らく大蛇はこの場から逃げる為に口寄せしたのだろう。大蛇の中に逃げ込み、口寄せの術を利用してこの場から逃げ去った。しかもご丁寧に、チャクラ感知対策の結界でも張ったのかまったく感知できない。

 

 最後に油断してしまった。だが、俺としては引いてくれて助かったと思うべきか…。

 

「え、さ、猿飛くん!?」

 

 全身筋肉痛による激しい痛み。立ち上がることすら困難なほどの痛みだ。

 

「こればっかりは慣れだ。慣れるまでは仕方ない」

 

 融合が解除されて、自由になった躯はそう言っている。

 

 しかも全身筋肉痛になるのは俺だけ。もっとも、名刀で斬られても傷一つ負わない金剛の体になるのだ。体の構造そのものが変化する術───大なり小なりリスクがあるのは当然だろう。

 

「ほ、本当に猿飛くんだったんだ」

 

 それでも、大蛇丸相手にうちはサスケと、この女の子を守り抜けたのは大きい。これくらいの痛みは甘んじて受け入れよう。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

「い、痛いッ!お、お願いだからもう少し丁寧に扱ってくれないかなッ!?俺頑張ったんだけど!?

 あの大蛇丸相手にどうにか1人で頑張ったんだよ!?少しくらい甘やかされてもいいよね!?」

 

 遅れてやって来たケンゾウとビスだが、どうやら2人はまったく問題なかったようだ。

 しかも道中で、第二の試験の課題である巻物を手に入れていたらしく、俺達第一班はゴールを目指すだけらしい。

 

 ただ、その暇があったなら増援に来てくれても良かったのではないかと思わなくもないが、大蛇丸に狙われているケンゾウを───まだ狙われているのか、諦められたのかは定かではないが、わざわざ大蛇丸の前に姿を見せる必要もないだろうと思い、その言葉は飲み込んだ。

 

 しかし、全身筋肉痛で歩けない俺の扱いが雑なのは異議を申し立てたいところである。壊れ物を扱うかの如く慎重に丁寧に扱ってほしい。

 自分で言うのも何だか、今回俺は本当に頑張ったと思う。忍になった以上、常に死を覚悟してはいるが、今回はいつも以上に死を覚悟していたのだ。

 特別報酬くらいあっても良いのではないだろうか…。

 

「やかましい…くッ、あの大蛇丸を本当に1人で相手取り退けるなんてッ!!」

「ねェ、あの形態何なの?赤い体毛に覆われた別人の君…今ですらチャクラお化けなのにそれが更に増すって何?君って本当に人間なの?」

 

 どうやら、ケンゾウとビスは嫉妬しているらしい。それに、人獣融合はビジュアル的にも俺のお気に入りなのだ。本当に習得しておいて良かったと思う。

 

 ただ、ゴールを目指すだけの俺達だが、俺達は未だに死の森に留まっている。

 念の為に、もしもの時を考えてだ。うずまきナルトはまだ目覚めていないのもある。一応、大蛇丸に施された【五行封印】は解術させてもらった。あのままだと、()()()()に奇数封印が重ね掛けされた状態でバランスが悪く、チャクラが上手く練れないはずだ。

 三代目が封印術と解印術も教えてくれていたおかげで簡単に解術することができた。

 

 しかし、まだ目が覚めぬナルトと一緒で、全身筋肉痛で立てない俺は足手まとい。だが、チャクラは練れるから舞空術で宙に浮いて行動できないことはない。

 

 大蛇丸は言っていた。三度目はないと…。それはつまり、三度目は必ず目的を果たすということ…。

 

 前回は、俺達三羽烏を甘く見て失敗した。そして今回は俺1人ならどうにかできるだろうと甘く見て再度失敗した。

 次は、前回と今回のようにはスムーズに事が運ばないだろう。伝説の三忍による三度目の正直。

 

 それでも俺は、二度あることは三度あるのだと証明しなくてはならない。

 

 






人獣融合の特徴の1つとして、金剛の体と化し草薙の剣ですらも斬れない硬さの体になる。ただ、体の構造そのものが変わることもあり、須佐能乎と同じように体に負担がかかる。もっとも、それも須佐能乎と同じく最初の内のみで、慣れるとなんてことない。体に負担がかかるとは言っても、全身筋肉痛になってちょっと動けなくなる程度。
もしかしたら千鳥刀とか、超ビブラート雷遁刀とかも防げたり?
第5十刃(クアトロエスパーダ)並かそれ以上だったり?ちょっと慣れた程度じゃ斬れないぜ!!

サスケはもちろん、マダラが使ってあた火遁も習得しております。

【水遁・荒水修祓(こうすいしゅうばつ)
サスケが開発した大規模水遁忍術。水遁版の豪火滅却みたいなもんで、口から吐き出された水が壁となり津波の如く一気に飲み込む、豪火滅却の対忍術のようなものでもあります。

荒水は荒水行から。修行者が寒中に水を浴びてする、激しい修行のことですね。修祓は神に祈り罪・穢れ・災いなどを取り去るために行う儀、祓いのことですね。

【風遁・闐嵐(てんらん)】は竜巻を起こす。これは説明不要ですよね?www
【雷遁・白雷】は指先から一条の───貫通力のある直線状の電撃。ザケルガですかね。


第七班がようやくというか、うちはサスケがようやく出てきましたが、ただ見ているしかできないという…。
そして、大蛇丸から呪印を刻まれることのなかったサスケなわけですが、その代わりに実力、才能の差を見せつけられ、失意に暮れ、原作よりも早く写輪眼が完成形になりました。
けど、それでもまだ猿飛サスケの動きはまったく捉えきれずに、嫉妬してしまうという。


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オレはお前達と戦いたい



サスケェの名言?の一つ「オレはお前とも戦いたい」。
今回、それを口にするのは?



 

 

 大蛇丸の襲撃という前代未聞の大事件が勃発した中忍選抜試験第二の試験だが、受験者のほとんどの者達は、試験会場でそのような大事件───いや、あれは下手をしたら戦争とも言えるレベルの死闘だ。それほどの戦闘が繰り広げられていようとは思いもしなかっただろう。

 

 知っているのは当事者と、チャクラ感知に優れた者達のみくらいではないだろうか…。

 

 もっとも、あれだけ大規模な戦闘が受験者達のほとんどに認識されていなかったのは、サスケがその場に到着したと同時に影分身を使って結界を張っていたおかげでもある。

 

 今回の一件は、どうにか他里の者に知られることなく、里の者が解決した───功労者はもちろん猿飛サスケだ。

 

 しかし、大蛇丸の脅威が完全に消えたわけではない。またいつ、大蛇丸が襲撃してくるのかもわからない。

 何より、大蛇丸が次に襲撃してくる時───間違いなく多くの血が流されることになるはずだ。

 

 木ノ葉隠れの里を壊滅させるつもりで襲いかかってくるのではないだろうか…。それこそ、災厄の如く…。

 

 ただ、たとえどんな災厄であろうとも、木ノ葉隠れの里は滅びることはない。

 

 新しい世代は確実に育っている。その者達が木ノ葉隠れの里の盾となり、矛となり、里を守り、そして照らすのだ。

 

「サスケ、此度の働きは真に大義であった。そして、よくぞ無事に戻ってきてくれた」

 

 大蛇丸をたった1人で退けた猿飛サスケに対して、三代目火影・猿飛ヒルゼンは、心からの労いの言葉をかける。

 第二の試験の邪魔にならない範囲で、暗部の配置が完了したこともあり、第一班の役目は終わり第二の試験を無事に突破したようだ。そもそも受験者である第一班が、同じく受験者の第七班を守護するというのもおかしな話ではあるのだが、緊急時だった為に仕方ないことだろう。

 

「俺は自分のやるべきことをやっただけですよ。…ッ、痛てててて!」

「寝てて構わん。全身筋肉痛なのであろう?寧ろ、大蛇丸相手に全身筋肉痛だけで済んでるのが驚きじゃ」

 

 先の戦闘での融合の後遺症が出ているサスケは、ソファーに寝ている状態だったが、さすがに火影の前で寝ているわけにもいかないと思い起き上がろうとするも、全身筋肉痛で上手く立ち上がれずにいるようだ。

 

 その様子に、三代目は苦笑いを浮かべている。

 

「まさか…あの大蛇丸を退ける下忍が存在するなんて」

 

 今、サスケ達が身を置いている場所は"死の森"の中心に位置する塔の一室。

 

 第二の試験の試験官みたらしアンコは、大蛇丸が目的を果たせずに撤退したことに誰よりも驚いている。みたらしアンコが大蛇丸の元弟子であることが、その驚きようにより一層に拍車をかけているのだろう。

 

「3代目から呼び出された時は本当に驚いたけど、君達が無事で何よりだ」

 

 対して、第一班の担当上忍であるヤマトは、安心した様子を見せると同時に、鼻高々なご様子でもある。

 それも仕方ないことだ。三代目が"大儀"と口にしたように、サスケはそう言われるに相応しい働きぶりを見せたのだから…。

 

 ただ、三代目から呼び出されたヤマトが、サスケ達が何かやらかしてしまったのではないかと、三代目から厳重注意を受けるのではないかと考えていたのはここだけの話である。例えば死の森を半壊させてしまったなど───この3人ならそれができてしまう可能性が高く、寧ろ否定できないのが実に恐ろしいところだ。

 

 もっとも、ヤマトがそのように考えてしまうのは仕方のないことかもしれない。

 何故なら、第一班の3人は常に予測不能で、常に想像の遥か上を越えてくるのだ。

 

 そして当然の如く、猿飛サスケは一安心している面々に爆弾を投下するのである。

 

「あ、それとついでですけど三代目…ナルトの封印…あれは【四象封印】…しかも、二重になってますから【八卦封印】ですよね。

 大蛇丸がその封印に【五行封印】施して、ナルトに上手く還元されるようになってる"九尾"のチャクラを無理矢理塞き止めたみたいで…偶数封印に奇数封印かけたことで上手くチャクラも練れないでしょうし、その状態じゃあ第二の試験も困るはずだから解術しておきました。問題ないと思うんですけど、念の為にあとで確認してもらえますか?」

「わかった。あとで確認しておくと…待て…サスケ、今何と申した?」

「え、だからナルトの九尾の封印式に大蛇丸が細工したからそれを解術したんですけど、問題ないとは思いますけど念の為に確認だけしてくださいって」

「な、何故おぬしが()()を知っておる!?」

 

 "それ"とはもちろん、"九尾"と、ナルトに九尾が封印されていることだ。

 

 里の子供達───サスケ達の少し上の世代と下の世代は知らないはずの里の重要機密。

 それをどうしてサスケが知っているのか、三代目は大蛇丸の一件と同じくらいに驚いている。

 

 ヤマトと、その場に同席しているみたらしアンコも唖然としており、開いた口が塞がらない状態だ。

 

 九尾の封印に細工を施されたというのも驚きだが、それを下忍が解術したというのはそれ以上の驚きだろう。

 サスケはうずまき一族の血を引いており、うずまき一族が封印術を得意としているのは確かで有名なことだが、それでももし失敗して九尾の封印が解けてしまっていたら大蛇丸どころの騒ぎではない。

 

 何より、里の重要機密をサスケがどうして知ってるのか…。

 

「え、今さらですか?ナルトのことは自分で調べて知りましたけど、"尾獣"という存在について教えてくれたのは三代目じゃないですか…。それに、俺だけじゃなくてケンゾウもビスも知ってますよ。な?」

「ええ。里の大人達のナルトへの反応、視線、態度を見れば一目瞭然でしょう」

「大人達の中には、ナルトに対して"化け狐"と口にしている大人もいましたから。白眼を使ったりしなくても、少し考えればすぐにわかりますよ」

 

 サスケはともかくとし、ケンゾウとビスも賢い。自分で考え、的確な答えを導き出せるのは当然だ。

 

「重要機密みたいですけど、気付く人間はすぐに気付けますって。本当に隠すつもりあるの?って思ってました」

 

 サスケが言っていることは正しい。しかしそれでも───と驚かずにはいられないだろう。うずまきナルトに施された封印式が何なのかを知っていたり、それがどのような効力を持っているのかにも気付いていたり───三代目のその瞳には、大蛇丸よりも猿飛サスケの方が遥かに恐ろしく映ってしまっているのではないだろうか…。

 

 ただ、仮に本当に恐ろしく映ってしまっているのだとしても、サスケが大蛇丸と同じく実力と才能を兼ね備えていながらも、全てを自分1人で解決しようとしないところは唯一の救いのはずだ。今回は緊急時故に致し方なく単独で行動するしかなかったが、サスケ達第一班はチームワークを大切にしており、チームワークも抜群で、互いに心の底から信頼し合っている。

 

 そこが、猿飛サスケと大蛇丸の違いであり、大蛇丸が持っていないもので、猿飛サスケが持っているものだ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 数日後───中忍選抜試験第二の試験が無事、終了した。

 

 そして、第二の試験のゴール地点である中央の塔に存在する広い一室───会場に、第二の試験を突破した下忍達は集められている。

 もちろん、その中には俺達第一班も含まれており、俺は全身筋肉痛も治り万全の態勢だ。

 

 ただ、これからまたすぐに試験が行われるとのことだ。

 

 第三の試験───即ち、最終試験に出場する者を決める為の予選である。

 

 本来なら、ここでくじ引きを行い、最終試験の組み合わせを決めるだけのようだが、今回の中忍試験は豊作の年だったのか予想を遥かに上回る人数が残っているらしく、中忍試験規定に乗っ取り予選を行う必要があるようだ。

 

 総勢24名8チーム。砂隠れの里と音隠れの里がそれぞれ1チームずつ。それに対して、木ノ葉隠れの里は6チームも残っており、しかも内4チームは俺達含む新米下忍チームという、主催里の木ノ葉にとっては大変喜ばしい限りだろう。

 

 ただ、これから行われる予選は木ノ葉の下忍達───とくに新米達にとっては厳しい戦いになるだろうと予想されている。

 何故なら予選は個人戦。つまり、同期同士で争わなければならない可能性が高い。砂隠れと音隠れも、班員同士で戦わないといけない可能性もあるかもしれないが、どちらの下忍達も見る限りでは気にするようなタイプではないだろう。対して同期の者達は非情になれるかどうか…。

 

 ここから先は蹴落とし合い。里にとっても、他里への牽制───自里の優秀な忍の力を見せつける為の重要な機会だ。

 

 これは、三代目が述べた同盟国間の戦争の縮図、国と里の威信を懸けた戦いでもある。

 

「サスケ、ビス…予選でぶつかったとしても、手抜きは一切なしだ。手を抜いたら焼き殺す」

「もちろんだよ。もし、手を抜いたりなんてしたら全身の"点穴"361個全部突くから」

 

 ケンゾウとビスなら本当に殺りかねない。もっとも、ケンゾウとビスも手を抜いて勝てるような相手ではない。

 寧ろ、俺にとっては今も昔も変わらず一番のライバル達だ。

 

「サスケ、ビス…オレはお前達とも戦いたい」

「そうだね。オレの夢…火影になる為にも、君達はオレにとって越えるべき壁でもある」

 

 同期とはいえど、自分以外を心配している余裕などない。何より、このような真剣勝負の場でケンゾウとビスと戦うのは初めてで、楽しみにしている自分がいる。

 

「いつもの勝負とは違う」

「誰が一番強いのか…真剣勝負だ」

 

 誰が相手だろうと負けるつもりはない。けど、ケンゾウとビスとは大舞台(本選)で戦いたい。

 俺は君達と本気で戦いたい。

 

「お…はは、予選の試合としては申し分なしだね。先に本選行きを決めてくるよ」

 

 予選第一回戦の対戦カードは因縁の()()対決。

 

 ヒュウガ・ビス VS ヒュウガ・ネジ

 

 ビスは勝つ気満々、勝てる気満々のようだ。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 日向一族の"柔拳"使い同士───一期上の兄・日向ネジと、今期の下忍"三羽烏"の一角である日向ビスの才能溢れる兄弟同士の対決。

 

「バ…バか…な」

 

 第一回戦から目の離せぬ白熱した対決になるだろう。()()()()()()がそう思っていた。

 

 日向一族について詳しく知らない砂隠れと音隠れの下忍達はともかくとし、木ノ葉隠れの担当上忍達も()()()()()はどちらが勝つのかと、本選で教え子の相手になるかもしれない勝者の分析を行うつもりでいた。

 

 しかし、いざ蓋を開けてみたらどうだろうか…。

 

 日向ネジの担当上忍であり、木ノ葉最強の体術使いと称されるマイト・ガイも、唖然としている。

 

「そ、そんな…ネ、ネジが」

「う、うそ…でしょ?」

 

 日向ネジが最強の下忍だと信じて疑っていなかった同じ班のロック・リーとテンテンの驚きようはマイト・ガイ以上のものだろう。

 

「こ、このォ!【柔拳法・八卦六十四掌】!!」

 

 独特の構えから手と足にチャクラを巡らした日向ネジは、指先をチャクラの針にして八卦の領域内にいたビスへと襲いかかる。

 

「…遅い」

 

 だが、ビスはその攻撃を軽やかに、点穴を突かれる前に全て捌ききってしまう。

 その動きは相手の動きを()()()しているかのような───まるで"写輪眼"を持つ者の特徴である動体視力の良さを活かした動きと被るものだ。

 

「た、確かに…白眼は洞察眼としてなら写輪眼を上回るとされている…が」

 

 うちは一族出身ではないが、その左目に写輪眼を持つ第七班の担当上忍である"写輪眼のカカシ"ですらも、ビスの身のこなしには驚いており、近くにいたヤマトにその真意を瞳で問いかける。

 

「ハッキリ言って悪いんですが…瞳術はまったく関係なく、ビスからしたらネジくんの動きが遅い…止まってるように見えてるだけなんですよ」

「なに?」

「ビス本人もですけど、サスケもケンゾウもネジくんよりも遥かに速いですからね。

 その速さをアカデミー生時代からずっと見てきたのもあってか、素の動体視力がとんでもないんです。人間における極限の反応速度…もしかしたら3人共、人間の限界すらも越えてるかもしれません」

 

 しかも、ビスには白眼の更に上の瞳術があり、ケンゾウには写輪眼と永遠の万華鏡写輪眼もある。

 サスケに至っては五感が突出しているのと、第六感───野生の勘が異常に発達していると言うべきか…。

 

「くッ、宗家の犬の分際でッ!!」

「誰が犬だって?【雷遁・八卦空掌】!!」

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」

 

 掌からチャクラによる真空の衝撃波が放たれ、それをモロに食らったネジは苦痛の声を上げる。

 急所を的確に射抜きつつ、雷遁チャクラの電撃すらもプラスして流し込むなど、第一班で一番のS気質の持ち主はここでも健在だ。

 

「オレは火影になる為なら何だってする…何故なら、オレが火影になることは…()()()との約束だから。

 それに、オレは父さんに誓ったんだ…オレが日向一族を必ず変えてみせるって」

 

 すると、ビスは木ノ葉の額当てを外し、額に刻まれた()()を露にする。日向一族の分家の者に刻まれるそれは、この時代では忌まわしき悪しき風習ともされるもの。

 

「日向一族も変わらないといけない。だから、オレは日向一族を変える…兄さん、()()()()()()()を味わうのは、オレ達だけで十分だと思わないか?」

 

 ビスの───弟のその切実な願いは兄の心に届くのか…。

 

 






大蛇丸が撤退したことで、アンコが呪印で苦しむことはなく…。

九尾についての詳しい情報や、各里が尾獣を保有していることまでは教えられてませんが、尾獣という存在については「最強のチャクラを持った妖魔で、この世界に九匹存在している」と聞かされています。サスケが三代目に、チャクラ量が尾獣並と言ってしまったことで聞き返されてしまい、渋々そのように答えたというとこです。
三代目も、サスケが4歳頃だったので、興味を持たないように、怖い存在だと教えておけば怖がって深くは追及しないだろうと、尾獣は子供を好んで食べる恐ろしい存在だと教え込んでいましたが、サスケが転生者なのを知らない為に………。
まあ三代目も、本当に教えちゃいけないことは教えてないから大丈夫。悪くはない。

何だかんだでその後は問題なく第二の試験も終了し、始まった第三の試験予選。

第一試合からさっそく原作改変な展開ですね。

ナルトではなく、日向ビスが兄を変えるのか…。

【雷遁・八卦空掌】
八卦空掌に雷遁チャクラを纏わせ、麻痺させる。


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才能の開花



第三の試験は書くのが難しいなぁ~と思いつつ、NARUTOの中忍試験編ってやっぱ面白いですよね。
寧ろ、少年編って完成度高いと思いつつ。



 

 

 オレには1歳年下の弟がいる。名は、日向ビス。

 

 その弟は、オレが知らない間に遥か高みへと───先へと進んでいた。

 

 いや、正確には知らない間ではなく、オレが弟のことを知ろうとしていなかっただけのことだ。

 

 宗家の者達と仲良く接している弟が、オレは気に入らなかった。父を生け贄にし、見殺しにした宗家とどうして仲良く接することができるのか───オレにはまったく理解できなかった。

 

 だから、オレはそんな弟を宗家に尻尾を振る惨め極まりない犬と罵った。

 

 その時の弟の表情は今でもハッキリ覚えている。ただ、悲しんでいるのか、傷ついたのか、それすらもわからない、大人びた苦笑いを浮かべていた。

 

 そんな、弟なのにオレよりも大人っぽい態度がどこまでも気に入らず、腹立たしく、オレはそれ以来、自分から弟に声をかけることが一切なくなった。

 弟も、そんな態度を示したオレに話しかけることはなかった。

 

 まさかそれが、このような形で久々に話すことになろうとは…。まったく予想すらしていなかった。

 

「兄さん…父さんは決して、オレ達がいがみ合うことを望んではいない。手を取り合って生きることを望んでいるはずだ。それに…10年前、父さんは宗家の為に犠牲になったわけではないんだ。目を反らさず、過去に囚われずにちゃんと現実を見てくれ」

 

 オレとビスの父───日向ヒザシは10年前に、雲隠れの里との戦争を避ける為に、宗家を守る為に、木ノ葉隠れの里を守る為に、宗家の現当主・日向ヒアシの影武者として殺された。

 

 それなのに、どうして弟は宗家をまったく恨んでいないのか───オレにはまったく理解できずにいた。今ですらも、まったく理解することなどできないでいる。

 

 オレの弟───ビスに見えて、オレには見えていないものがあるというのか…。

 兄弟なのに、どうしてここまでの差があるのか…。

 

「オレは必ず火影になる。だから、オレは火影として外から、兄さんは分家の者として内側から…力を合わせて日向一族を変えていけたらとオレは思っている。

 その為にも、オレは止まってられない。それに、少しでも歩みを止めたら…サスケもケンゾウもあっという間に先に行っちゃうから止まれないんだ」

 

 ビスが何を知り、オレが何を知らないのかもわからない。ただ、コイツはオレとは違うのだと、今になってようやく理解した。

 

 人生は変えようのない運命に支配されている───オレはそんな諦観的な考えを持って、分家に生まれた己の運命を恨み、過去に囚われ歩みを止めていた。

 

 だが、ビスは違う。ビスは、運命は誰かの手で決められるものではないのだと、過去に囚われず、前を向いてずっと走ってきたのだろう。時には躓きながらも…。

 そして、コイツには手を差し伸べてくれる対等な───対等以上の友がいたのだ。

 

 もしかしたら、そんなビスだからこそ宗家の者達も、ビスに期待しているのかもしれない。

 

 日向一族から火影が誕生することを…。

 

「第一回戦。勝者、日向ビス」

 

 薄れゆく意識の中、弟の笑いかける姿がオレの眼に映っていた…。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ビスが第一回戦を早々と突破した。ただ、勝利の決め手となった雷遁・八卦空掌はまだ未完成であり、今回は日向ネジの体を痺れさせ意識を刈り取っただけだが、完成形は確か呼吸中枢麻痺を引き起こさせて窒息死させることも可能なもの───ではなかっただろうか…。

 

 ビスがそんなことを言ってたような気もするが、ケンゾウが引いているから多分聞き間違いないではないと思う。

 

 また随分とえげつない術を考え出したものだ。よくよく考えると、ビスは尋問や拷問も得意なのではないだろうか…。もしかしたら、火影よりも暗部が向いてたりするかもしれない。

 いや、未完成とはいえ、それだけ強力な術を身内に放つことができるのは、いざという時に非情になれるということの現れでもあるのかもしれない。

 

 俺達の中で火影に一番向いているのは、やはりビスなのかもしれないと改めて思わされた瞬間だ。

 

「ふッ、さすがだ」

 

 そんなビスに対して、砂隠れの瓢箪の少年が血走った視線を向けながら、そう呟いているのが聞こえた。

 そして、俺とケンゾウにも視線を移し、その瞳が期待していると語っている。体が疼いて仕方ないようだ。

 

 ただ、俺はケンゾウと戦いたいと思っているが予選では戦いたくないのと、正直なところ予選に残った面子を見る限り、ケンゾウとビス、それから瓢箪の少年はともかくとし、本気を出す必要の相手はいなさそうだ。

 慢心は身を滅ぼすことに繋がるわけだが、これは慢心ではなく事実だ。この考えそのものが他の者達からしたら慢心なのかもしれないが、事実なのだからどうしようもない。

 

 もっとも、俺もケンゾウもビスも、血の滲むような努力を重ねての今で、誰よりも努力してきたことを自負している。

 これは、その努力故のものなのだから仕方ないことなのかもしれない。

 

「次は…ふっ、"うちは"のサスケの方だったようだな」

「残念だったね、サスケ」

 

 とりあえず、まずは俺とケンゾウもビスに続いて本選の切符を手にしたいところではあるが、こればかりどうしようもない。

 

 予選第二回戦は、大蛇丸に狙われる"うちは一族"の最後の末裔と、音隠れの下忍だ。

 

 ウチハ・サスケ VS ザク・アブミ。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 指先をチャクラの針にし、うちはサスケが動く。

 

「八卦二掌」

「ぐあッ!!」

 

 呻き声が上がる一方で、うちはサスケは動きをまったく緩めることなく、寧ろ激しさが増す。

 

「四掌、八掌、十六掌」

「がッ!!」

 

 成す術なく突かれる点穴。

 

 その動きは、先の試合の日向ネジと重なり、不発に終わった技の恐ろしさが別の者の手によって明らかになる。

 

「三十二掌…終わりだ」

 

 体の至る所から力が失われ、チャクラが止まる感覚───それはまるで死にゆく感覚に近いものがあるかもしれない。

 

「六十四掌!!」

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」

 

 日向一族の宗家にのみ伝えられる奥義。それを分家の者が扱えること事態が異例だというのに、それをコピーし扱う者が現れようとは…。

 

 そして、その者は()()()()()()へと視線を向ける。それはまるで───宣戦布告のような…。

 

「へェ」

「ほォ…オレ達を越えるとでも言いたげだな」

「やってくれるねェ…うちはサスケは」

 

 第二回戦の試合。この試合もまた、第一回戦と同じく短時間で勝負は決した。

 寧ろ、こちらの試合の方が更に速い。

 

 そして、うちはサスケが先の試合の日向ネジの動きと技をコピーしていたことに、サスケ、ケンゾウ、ビスの3人も感心している。

 

「ま、まさか、今のはネジの柔拳!?」

「一度見ただけでコピーしたっていうの!?」

 

 ネジが圧倒的な力の差の前に敗北しただけでも驚きだったというのに、更にそれ以上の驚きが───いや、ネジと同じ班のリーとテンテンからしたら屈辱のはずだ。

 予選は個人戦だが、それでも仲間を応援したくなるのは当然なのだから当たり前だろう。

 

「ッ…これが、うちは一族か…」

 

 うちはサスケの担当上忍はたけカカシのライバルであるマイト・ガイは余計に屈辱的なはずだ。

 

「サスケ…いつの間にここまで…オレですら見抜けない点穴すらも見抜くなんて…」

 

 対して担当上忍のカカシは、鼻高々な様子であると同時に、教え子の急成長に恐れを抱いているようだ。

 

 ── 恐ろしきは"うちは"の血…か?

 

 試合開始と同時に、うちはサスケは【火遁・豪龍火の術】を連続で放ち、それを打ち消すのに必死になっていた音忍の隙を突いて一気に攻め込んだ。写輪眼で点穴を見抜いて、的確に突くことで瞬く間に勝利を収めた。

 

「不発に終わった柔拳を、写輪眼の見切る力とイメージ力でコピーして、再現したのか…」

 

 六十四発の突きを打ち込み、六十四箇所の点穴を閉じられた対戦相手は経絡系のエネルギーの流れを遮断され、チャクラを練ることもですぎ、それどころか立つことすらもできずに呆気なく敗北を喫したのである。

 

「勝負あり…ですね。

 第二回戦。勝者、うちはサスケ」

 

 試験官の口から、勝者の名が紡がれた。

 

 この世代は決して"三羽烏"だけではない。これまで三羽烏の影に隠れ、苦渋を飲まされた少年の力が開花した瞬間だ。

 

「サスケ…」

 

 それと同時に、その少年をライバル視していた金髪の少年は唇を噛み、拳を握り締めるのである。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 第一回戦、二回戦と勝負は早々と決したわけだが、木ノ葉隠れの里の層の厚さを見せつけるには十分だったと思う。

 

 うちはサスケに関しては、俺もかなり驚いているが…。これが、俗に言う原作主人公とライバル補正というやつか…。

 

 ただ、木ノ葉の層が厚いとは言っても、俺達の世代が旧家揃いで異常なだけで、上の世代はそうでなかったりもする。

 俺達の世代の全チームが第二の試験を突破したのに対し、上の世代が2チームのみだったというのがその証拠だ。

 

 現に、第三回戦でそれがハッキリとした、

 

 ツルギ・ミスミ VS カンクロウ

 

 三回戦は、砂隠れのカンクロウと木ノ葉隠れの剣ミスミの対戦だったわけだが、ミスミは間接を外しチャクラで操ることで可能にした伸縮自在な体で、カンクロウの動きを絡めとったものの、ミスミが捕らえていたのは実はカンクロウの姿をした傀儡だったのである。傀儡だと気付かずに不用意に近づいたミスミを傀儡と見せかけて隠れていたカンクロウが見逃す訳もなく、傀儡によって全身の骨を折られたミスミは呆気なく敗北を喫してしまった。

 

 正直、拍子抜けだ。俺が怪しんでいるカブトという人物の仲間だったことからも、もう少し強いのかと思っていたんだが…。

 

 そして、そこからの試合は、一回戦と二回戦の試合内容に比べたら物足りなさの残る試合が続いた。

 

 四回戦は、奈良一族の頭脳を活かした戦術で、同期の奈良シカマルが音隠れのくノ一に勝利を収め、五回戦は一期上の忍具使いテンテンが、砂隠れのテマリに惨敗。風遁使い(テマリ)忍具使い(テンテン)───テンテンにとって、明らかに相性が悪すぎる相手だった。

 

 そして六回戦は同期のくノ一対決。新米下忍達の担当上忍の1人で、三代目の息子であるアスマさんは山中イノが負けるはずがないと思っているようだが、意外なことに勝負は一瞬で決した。俺からしたら、意外でもないのだが…。

 

「な、何…コ…レ…え!?」

 

 視覚に幻覚作用を及ぼし、全ての光を奪う超高等幻術【黒暗行(こくあんぎょう)の術】。この術に掛かると気配さえも感じ取れなくなる為、対象者は滅多打ちに遭うというなかなかにえげつない、明らかに瞳術使い対策として開発された幻術だ。

 

「サ、サクラ…あんた…」

「勝負ありよ、イノ」

 

 幻術を解き、背後から山中イノの喉元にクナイを当てる春野サクラは、頭デッカチのか弱い少女ではなく一人前のくノ一に成長した。

 

「これ以上の試合は止めさせてもらいます。

 勝者、春野サクラ」

 

 木ノ葉屈指の幻術使いと称される夕日紅すらも、超高等幻術を扱いこなすサクラに驚いている。

 

「第二の試験で、念の為にと()()()()()()()幻術をもうモノにしてたなんてな…さすがは春野一族」

「いや、だからってこの短期間であそこまで使いこなせるのは彼女の才能だと思うよ」

 

 そう、黒暗行の術は俺がサクラに教えた。大蛇丸の一件があり、念の為にと思ったからだ。

 もっとも、何か術を教えてほしいと言ってきたのはサクラの方からだったのだが…。

 

 体術はすぐに伸ばせない。だから、チャクラコントロールが得意だというサクラには、とりあえず時間稼ぎ程度のつもりで幻術を教え込むことにした。

 だが、思いの外に飲み込みが早く、チャクラコントロールが異様に突出していたのもあり、試しに眠りを誘う超高等幻術【涅槃精舎(ねはんしょうじゃ)の術】を教えたら、これまたビックリで短時間で習得するし、全身筋肉痛で動けなくて暇だったから調子に乗って黒暗行まで教えたというわけだ。

 

 紅さん、ごめんなさい。あなたを越える幻術使いをプロデュースしてしまったかもしれません。

 

 そして、はたけカカシさん───第七班の担当上忍の役目を奪ってしまい申し訳ございません。

 

 ただ、カカシさんの役目を奪っていたのは俺だけではなかったようだ。

 

「オレだけ置いてけぼりにされるのはゴメンだってばよ!

【分身大爆破】!!」

「ぎゃあぁぁぁ!!」

 

 ナルト VS 犬塚キバ。

 

 第七回戦も同期対決だったわけだが、キバが放った煙玉を利用して、煙の中で影分身と変化の術を併用したナルトが、キバの"忍犬"赤丸に変化して、そのままキバに噛みつき影分身を爆発させて一撃ノックアウト。

 

「…使い方が上手いな…」

「教えたのケンゾウだったよね」

 

 どうやら、ナルトに【分身大爆破(超高等忍術)】を教えたのはケンゾウだったらしい。

 

「勝者、うずまきナルト」

 

 もしかしたら、原作主人公、ライバル、ヒロイン補正というものは存在せず、俺達の手によって第七班はプロデュースされているのかもしれない。

 

 

 






【雷遁・八卦空掌】
付け加える点がありますが、この術は極めたら呼吸中枢麻痺を起こさせ窒息死させることも可能。
完成形は、ビスらしいえげつなさを持った術です。

第二試合。うちはサスケ VS ザク・アブミ。
第二の試験での戦闘がなかったことになってます。その結果の組み合わせなわけですが、結果は写輪眼が完成したサスケの圧勝。そして前の試合のネジの動きをコピーし、しかもどうやら既に写輪眼で点穴を見抜けるらしく、八卦六十四掌もコピー。ただ、コピーしたばかりで動きのキレは現時点でネジに劣っている。決して、ナルトスでイタチが『許せサスケ』と言いつつ八卦六十四掌をサスケに食らわしたのが面白かったからサスケに使わせてみたかったというわけではない。デコトンに対するお返しに習得させたわけではない。

ちなみに、第一の試験前のサスケとリーの絡みもなかったわけで、サスケに対して四番手だったからと甘く見てしまっていたのを反省。うちは一族…やはり天才か。と、リーは苦渋を飲まされている。

サクラは、サスケの手によって幻術タイプとして開花してしまった。
ナルトは、ケンゾウの手によって大量影分身で連続大爆発を起こす術を身に付けてしまった。

後付け設定みたいですけど、春野一族も旧家みたいですね。


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役者は揃った。



期待なさってくれている方々には本当に申し訳ないのですが…サスケとケンゾウは予選じゃ盛り上がれねェェェ!!



 

 

 第八回戦───花開く時が来た。

 

「【八卦空掌】!」

「ぐあッ!!」

 

 全身緑のタイツ姿の濃ゆい少年───ロック・リーが得意の体術で仕掛けるも、その速さを見切った"白眼"を持つ少女が、掌から真空のチャクラの衝撃波を放ち、相手を吹き飛ばす。

 

「な、なんだとッ!?」

 

 ロック・リーの速さは下忍の中でも()()()()()()()を誇っている。だからこそ、担当上忍のマイト・ガイは、少女が教え子の速さに対応できたことに驚かずにはいられない。

 

()()()()()()()()人達を私は知っています。それを近くで見てきた」

 

 何より、その少女が()()()()()()()()()()として生まれながらも落ちこぼれとされているのが、その驚きように拍車をかけている。

 

 だが、実はその少女は落ちこぼれなのではないのだ。その少女は敢えて、()()()()()()()()()ことを父親から言い付けられていたのである。

 

 それもこれも、少女がかつて()()されかけてしまったのが事の発端で、再び狙われることを避ける為の必要措置だったのだ。

 

 だが、もう隠す必要もない。少女は忍となり、そして少女も───日向ヒナタも、日向一族は変わるべきだと心から思っているから…。

 

「終わりです」

「なッ!?」

 

 吹き飛んだロック・リーに対して一気に距離をつめた日向ヒナタは、柔拳の基本である"点穴針"でロック・リーの"急止の点穴"を的確に突き昏倒させてしまう。

 

「がッ…あ…」

「自分を弱く見せ、相手の油断を誘う…これも戦術の1つです。そしてあなたはそれに引っ掛かってしまった。あなたの敗因は、その油断と、そして何よりも…私を舐めてかかってきたことです。

 本選への切符を賭けたこの舞台で…誰もが必死だというのに、重りを付けて勝負に挑むとは」

 

 試合開始と同時に発動した白眼で、ロック・リーが重りを両足に付けたまま試合に望んでいることを知った日向ヒナタは、相手がそのような態度で挑んでくるのならば己は最初から様子見などするまいと本気で望み、短時間での勝利をものにした。

 

「勝者、日向ヒナタ」

 

 極一部の者達以外の予想を覆し、日向ヒナタが勝利を掴んだ。それは、木ノ葉隠れの里に日向一族あり───と、印象付けるには十分過ぎるほどの勝利である。

 

「ヒナタちゃん…うん、良くやった」

 

 日向ヒナタの勝利を誰よりも喜んでいるのは、彼女と従兄妹関係にある日向ビスだ。

 

 日向ヒナタが落ちこぼれを演じていたことを知っており、精神的にもストレスの溜まっている彼女をビスは常に気に掛けていた。だからこそ、日向ヒナタが宗家の嫡女としてその力を知らしめることのできるこの瞬間を誰よりも待ち望んでもいたのである。

 

「木ノ葉隠れの里最強の一族は、うちはでも、志村でも…猿飛でもない。

 日向は木ノ葉にて最強だ」

 

 そして、自分のことのように日向ヒナタの勝利を喜ぶビスは、不敵な笑みを浮かべて、まだ試合が残っている班員───猿飛サスケと志村ケンゾウへと宣言する。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 第十回戦。ようやく、俺の番が回ってきた。そして、対戦相手は初めてのタイプだ。

 

「ふッ、貴様の()()()()()()()ぞ!!」

 

 お世辞にも速いとは言えない───いや、正直に言うと遅すぎる拳を避けるでもなく手で受け止めると、黒頭巾で顔を覆い黒いレンズで目を塞いでいる木ノ葉の下忍・赤胴ヨロイは俺の両腕を掴み返し、勝ち誇った様子だ。

 

 なるほど───こういう能力なのか…。ならばちょっと試したいことがある。

 

「くくく、全て吸い尽くし…え?あ、あれ?」

 

 掴まれた腕にチャクラを一気に送り込み、そして相手の吸引力を利用して一気に流し込む。

 

「ごふッ!?…な…ん…で…?」

 

 すると、赤胴ヨロイの全身から血が噴き出し、地面に倒れてしまった。

 

「あがァァァァァ」

 

 赤胴ヨロイの忍生命はこれで終わりだ。やはり何事も、欲張りは身を滅ぼす要因になる。食べることに於いても腹八分目が丁度良い。チャクラを一気に大量に流し込むことで全身の経絡系のほぼ全てを破壊した。この状態では、"医療スペシャリスト"でも治すことは不可能だろう。

 

 ただ、俺が引き起こさせた状態だが、痛そうだ。それに、少し煩いので黙らせておくとしよう。赤胴ヨロイが装着している黒いレンズは、幻術対策でもなさそうなので意識を刈り取りこれにて終いだ。

 

「え?眠ってる?…えー…赤胴ヨロイ、戦闘不能によって勝者…猿飛サスケ」

 

【幻術・威眠(いねむり)】。手を翳すことで相手の意識を失わせる幻術。"涅槃精舎の術"と違って、単体用の幻術───いや、正確には眠らせているのだから催眠術だ。

 幻術は指一本でもかけることができるもので、これくらいなら造作もない。

 

 試合そのものも、何の面白味もなく終わってしまった。

 

「とりあえず、予選通過おめでとう」

 

 ただ、ビスに続いての予選通過に、ヤマト先生はご満悦な様子だ。

 

「チャクラを自ら送り込む形で大量に吸わせたのか?」

「えげつないことするね。あの人の経絡系…もう修復不可能だよ、多分」

「このチャクラお化けめ」

 

 相手の土俵にわざと乗り、それで勝つというのも己の実力を知らしめる上ではなかなか悪くはない考えだと思ったんだが、スマートさに欠けるのは否めない。

 

 ただ、俺はほぼ何もせずに───チャクラを流すだけで勝った。瞬時に敵の能力を見抜き、逆に利用する形で攻略したという点は評価されても良いのではなかろうか…。予選も中忍昇格の評価対象に含まれるのかは謎だが…。

 

 それはそうと、残すはあと2試合だ。

 

 ちなみに、俺の前の試合の勝者は同期の油女シノだった。対戦相手は薬師カブト。その更に前の試合が、観戦者達の予想を覆しての日向ヒナタの勝利と、かなり盛り上がった為に、第九回戦は余計に目立たぬ一戦となってしまったのである。

 

 ただ、俺が怪しんでいる人物でもあった為に、注意深く観察させてもらった。やはりカブトは"黒"だと思う。油女一族の秘伝忍術───大量の蟲に囲まれ逃げ場を失くし、致し方なく降参していたが、奴はここで手の内を曝すつもりは一切ないらしい。

 

 間違いなく、薬師カブトは強者だ。俺の勘がそう訴えている。こういう時の俺の勘は今まで一度も外れたことはないから、間違いないはずだ。

 

 棄権せずに予選に参加したのも、もしかしたら情報収集の為だったのかもしれない。

 

「さて、オレはいったい誰と戦うことになるやら」

 

 あと2試合、ケンゾウもまだ残っており、砂の人柱力と戦う可能性も十分にあり得る。ケンゾウの実力を分析するにはもってこいの一戦───とまではいかないが、薬師カブトがもし他里のスパイもしくは大蛇丸の部下だったとしたら…。

 

 シムラ・ケンゾウ VS アキミチ・チョウジ

 

「えへへ、アスマ先生ェーさすがのボクでもこれ以上はもう無理だよォー、食べれないよォー」

 

 色々と考えてしまったが、ケンゾウは試合開始と同時に写輪眼で同期のチョウジに幻術をかけたようだ。しかも、奇跡的にケンゾウに勝ち、それを褒め称える担当上忍のアスマさんに焼き肉を奢ってもらうという幻術らしい。

 

 相手が最も見たくない映像を心から引き出して、あたかも現実のように見せる幻術【魔幻・奈落見の術】の逆───【魔幻・極楽見の術】…。写輪眼で更に強化されたそれはチョウジに破ることはできないだろう。

 

 俺同様にその場から一歩も動くことなく、対象者が最も見たい映像を心から引き出して、幻術を写輪眼で更に強化してリアリティーを増す───ある意味優しくて、ある意味えげつない。幻術だったと知った時のチョウジの落ち込み具合はとんでもない気がしてしまう。

 

「勝者…志村ケンゾウ」

 

 俺達"三羽烏"の中で、予選で一番活躍したのはビスかもしれない。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 そして、最終戦。

 

 これだけの人数、全部で十二試合行うのだから、もう少し時間がかかると思っていたが、思ったよりも早く終わった。

 

 ガアラ VS ドス・キヌタ

 

 最終戦も呆気なさそうだ。

 

「始めてください」

 

 試合開始と同時に音隠れのドスが先手必勝とばかりに、腕に装着した武器を使って動き出そうとするも、すぐに動きが止まった。

 

「こ、これは()ッ!?」

「つまらん」

 

 試合開始と同時に───先に動いていたのはドスではなく砂隠れの我愛羅で、ドスの体が我愛羅の操る砂に呆気なく捕まり、身動きを封じられたようだ。

 

「【砂縛柩】」

 

 その砂はすぐにドスの体を覆い尽くし宙へと持ち上げ、手を翳した我愛羅は躊躇することなく手を握り締めた。

 

「【砂漠送葬】!!」

 

 そして、その命を握り潰した。

 

 この予選初の死者。しかも瞬殺。

 

 人間一人分の血が飛び散り、血の雨が床を汚し、会場の空気がどこか重たいものへと変わっている。

 そこまで惨いと思わないのは、日頃の任務のおかげなのか───ただ、そう感じたことに対して俺はショックを受けている。慣れとは本当に恐ろしいものだ。

 

 これが、忍に求められるものであることは理解できているのだが、他の下忍達の表情を見てしまっては本当に、なんだかなぁーである。人が死ぬ瞬間、殺す瞬間に慣れるというのは、やはりなんだかなぁーだ。

 

「えー、これは確める必要もないですね…そもそも確かめることもできないようですね」

 

 ドスを殺した我愛羅は俺達3人に視線を向けて、担当上忍達のもとへと戻っていった。

 

「…勝者、我愛羅」

 

 これにて予選終了だ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 中忍選抜試験本選への切符を賭けた予選が全て終了。

 

 その後、くじ引きで決めたトーナメントの発表が、勝者達に告げられた。

 

 本選出場者は12名。

 

 第一回戦。日向ビス VS うずまきナルト。

 第二回戦。志村ケンゾウ VS うちはサスケ。

 第三回戦。油女シノ VS カンクロウ。

 第四回戦。奈良シカマル VS テマリ。

 第五回戦。春野サクラ VS 日向ヒナタ。

 第六回戦。猿飛サスケ VS 我愛羅。

 

 本選は公平を期す為に、1ヶ月の準備期間の後、主催里の木ノ葉隠れの里にて開幕とされる。

 

 1ヶ月の準備期間は、各国の大名や著名人に、本選の伝達をする期間でもあるのだと説明しながら、三代目火影は予選を勝ち上がった者達へと視線を巡らせ、顔には出さないが心の中では喜んでいる様子だ。

 

「皆の者ご苦労であった。

(まさか本選出場者の全員が木ノ葉と砂で埋まってしまうとはのぅ。しかも、木ノ葉は全員がルーキー。

 しかも、どいつもこいつもまだまだ発展途上…三羽烏もまだまだ底が見えん…木ノ葉の将来は安泰…その反面で恐ろしくもあるのぅ)」

 

 それと同時に、末恐ろしさも感じている。

 

 1ヶ月後、新たな中忍が誕生する。いや、もしかしたら今回の中忍試験では、1人も中忍に昇格することがないかもしれない。

 

 本選もまた、これまでの試験同様に一筋縄ではいかないものだ。トーナメントを勝ち進めば、必ず中忍になれるというものではないのである。求められるのは結果ではなく内容だ。

 

「一月後を楽しみにしておる。では解散じゃ!!」

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 木ノ葉隠れの里の焼き肉屋"焼き肉Q"にて、計8人その内1人が女の子のグループが祝杯を挙げていた。

 

「お前達、本当に良くやってくれた。今日はオレ達の奢りだから遠慮なく食べてくれ」

「本当は第一班だけのつもりだったんだけど、カカシ先輩に捕まっちゃってね…まあ、主催里出身の忍としても、予選の結果は喜ばしいことだし、担当上忍としてもとても嬉しい限りだ。まさか、ここまで嬉しいとは思ってもなかったよ」

 

 第一班の担当上忍のヤマトも、第七班の担当上忍のはたけカカシも、下忍を受け持つのは今回が初めてのこと。

 

 その初めての教え子達が、初めて出場した中忍試験で、しかも全員揃って本選に残るというのは担当上忍としても嬉しいことで、ここまで嬉しいことだとはヤマトもカカシも思ってもいなかっただろう。

 

 この2人が自分のことのように喜ぶことはなかなかないことなのではないだろうか…。

 

 ただ、嬉しそうな様子の担当上忍2人はともかくとし、()()()以外は複雑な表情を浮かべている。

 

「まあ、本選では中忍を賭けて争うライバルだが、今日は無礼講ってとこだな」

「まあ、そうだな…だが、オレとビス、"うちは"のサスケとナルトは初戦の相手で、ここに対戦相手がいないのはサスケとサクラだけだけどな」

「しかも、サスケの対戦相手だけは砂隠れだし」

 

 春野サクラもこの場所に対戦相手がいないだけで、木ノ葉の同期である日向ヒナタが相手だ。

 

 既に、頭の中は1ヶ月後に向いている。

 

「それはそれ、これはこれ…だ。

 俺は1ヶ月後のことよりも、今は目の前にある焼き肉が全てだ。食べないのなら貰う!それと奢ってもらえるのなら…あ、お姉さん!特上カルビ、特上ロース追加でお願いします!!」

 

 腹が減った今、食べることが全て。猿飛サスケは欲望に忠実だ。そして、本選の準備は明日からだと既にしっかりと頭を切り替えている。

 今の猿飛サスケは忍ではなく、腹が減った少年猿飛サスケだ。

 

 こういった切り替え方もまた、猿飛サスケの凄さなのではないだろうか…。とは言え、これは猿飛サスケが絶対的な強者だからこそできるものであり、強者たらしめる所以でもある。

 

「あ、ヤマト先生」

「どうかしたのかい?」

「本選までの間なんですけど…俺、"雪の国"に行こうと思ってます」

「…は?」

 

 そして、予想の斜め上を常に行き、突拍子もないことを言ってくるのも猿飛サスケだ。

 

 






第七班以外の魔改造キャラ…ヒナタです。
そのヒナタの犠牲になったのはリーでした。原作の中でも我愛羅 VS リーはかなりの名勝負ですよね。
ただ、修業目的とはいえ、重りを付けて試合に望むってのはぶっちゃけ舐めプですよねwww

この作品でのヒナタ…実は強いです。誘拐事件後、ヒナタは無事で、日向ヒザシの犠牲で雲との戦争は回避できましたが、ヒナタが才能があることが広まったらまた狙われる可能性があると考えたヒアシが、ヒナタに落ちこぼれを演じるようにと言い聞かせたのです。白眼も瞳力強ければ点穴見抜けますし、同じ白眼でも強い瞳力を持った方を欲しがるでしょうから…。

ビスともたまに修業しており、ビスがサスケとケンゾウとの修業に誘ったりしたのもあり、リーよりも速い相手は見慣れていたのもあってリーの動きには楽に対応できた模様。
最後は急止の点穴突いてノックアウト。尚、急止の点穴を突いて相手を一撃の下にノックアウトするその強さは、未来の娘に受け継がれる模様…。

VS 赤胴ヨロイ
相手が鬼鮫さんと鮫肌コンビとか、輪廻眼の餓鬼道ならまだしも、赤胴ヨロイ程度が猿飛サスケのチャクラを吸い尽くすなど恐れ多い。
ドラゴンボールの魔神ブウ編の悟空 VS ヤコン現象ですね。多少手加減されてるので汚い花火にはなりませんでしたが、チャクラの過剰接種で経絡系ズタボロ…修復不可能な状態です。

【幻術・威眠(いねむり)
BLEACHで、総隊長が雛森ちゃんの意識を刈り取ったやつですね。才能があれば幻術は指一本でもかけれるものなので、これもできなくはないはず。

VS チョウジ
【魔幻・極楽見の術】
魔幻・奈落見の術の逆。写輪眼で更に強化されており、チョウジは本当に満腹状態のような思いを味わい、幻術だったと知り激しく落胆した。

予選はこれにて終了!2話で完結させてしまいましたが、ぶっちゃけサスケとケンゾウが盛り上がれないと思いまして…。

そして、本選までのサスケの修業場所は雪の国。雪の国と言えば風雲姫───ではなく、サスケからしたら氷遁という名の氷雪系最強の地…何を作り上げるつもりなのか…。


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お尋ね者



NARUTOに於いての懸賞金ですが、アスマの三千五百万両は凄いのか…。闇市場での額ってことは、カカシも賭けられてる可能性ありますよね。カカシはいくらなのか…。



 

 

 中忍選抜試験本選の予選から一夜明け、火影執務室に来訪者の姿があった。

 

 三代目火影の視線の先に立つのは長い白髪の大男。

 

()()()…それは本当なのか?」

 

 三代目の弟子の1人であり、"伝説の三忍"の1人でもある忍界最強格の忍だ。

 

 その、最強の忍の1人と称される自来也が、どうやら何かしらの情報を手土産に三代目のもとを訪れていた。

 

「随分と派手に暴れとるようだのォ。"次代の三忍"…"三羽烏"とやらは」

「3人共、近年稀に見ぬ天才達じゃ…それこそまさに、奇跡としか言い様がない…あの子達はそう思わされてしまうほどの存在じゃよ」

「猿飛先生がそこまで言うとは…()()()の額も強ち間違ってはいないということか」

 

 自来也から"懸賞金"という言葉が出てきたが、話の内容からして三羽烏の3人に懸賞金がかけられているというのは明白だ。しかし、彼らは大罪を犯した抜け忍ではなく、正規の木ノ葉隠れの里の忍だ。

 

 ならば何故、三羽烏の3人に懸賞金がかけられているのか…。それは、木ノ葉隠れの里が───里を支え、守る彼らが邪魔でしょうがない者達が、秘密裏に彼らを葬り去るべく独自にかけた懸賞金なのである。

 

 そしてこれは、闇───裏側でのみ通用する懸賞金であって、正規の懸賞金ではない。

 

 つまり、三羽烏の3人は既に犯罪者───抜け忍達の間でも存在が知れ渡っており、抜け忍達からお金欲しさに狙われる可能性が高いことを意味している。

 

 自来也からの報告では、三羽烏の3人はとても下忍とは思えない程の高額な懸賞金が闇の相場でかけられてしまっているとのことだ。

 

「志村ケンゾウと日向ビスにそれぞれ八千万両」

 

 ケンゾウは写輪眼、ビスは白眼を持っており、元々狙われる要素が強くある存在だ。

 しかし、まだ下忍になって数ヶ月だというのに、ここまでの高額な懸賞金をかけられるとは誰が予想していただろうか…。

 

 三代目の息子である猿飛アスマも懸賞金をかけられているらしいが、その息子の懸賞金の倍以上の額だ。

 

 そして、もっとも驚くべきはやはり三羽烏の()()()()的な存在の彼だろう。その者は常に三代目の予想を遥かに上回ってくる。三代目や先代・猿飛サスケすらも越える猿飛一族始まって以来の天才にして鬼才───いや、天才という言葉すらも生温く感じてしまう化物。

 

 その少年は、"忍術の発明家"二代目火影の再来と呼ばれ、時には忍界最速"黄色い閃光"四代目火影の再来とも呼ばれ、そして忍術の天才"教授(プロフェッサー)"三代目火影の再来とも讃え、恐れられ、それを一纏めにして、現代に甦った忍の神だったり悪魔とも極一部では噂されているらしい。

 

 あの大蛇丸を単独で退かせた今となっては、三代目からしたら噂などではなく事実であるのが頼もしくもあり、それと同じくらいに恐ろしいことだろう。

 

「猿飛サスケ…一億両。まだ13歳のガキが裏で一億の懸賞金をかけられているなど聞いたこともないのォ」

 

 自来也も何度か会ったことのある少年だが、数年前に会ったのが最後で、まさか裏の世界で高額賞金首になったという風の便りを受けるとは思ってもいなかったはずだ。

 

 もっとも、それは三代目も同じく。

 

「参ったのぅ…すぐに()()()()させるべきか」

「まさか…里を離れているのか?」

「本選までの間、雪の国で修業してくると言って、もう旅立ってしまった」

 

 修業場所がどうして雪の国なのか───三代目はその理由までは聞かされていない。

 ただ、必ず里の為になると猿飛サスケが口にしたのだから、本当に里の為になるのだろうと、三代目は雪の国へ向かう許可を出した。まさか、それと入れ違うようにして懸賞金の話が舞い込んでくるとは思ってもいなかったのである。

 

 そもそも、三羽烏が全員揃って裏で賞金首となっているのには、恐らく雲隠れと岩隠れも絡んでいると見て間違いないだろう。雲は目的の為なら手段を選ばず、岩も同様だ。

 何より、三羽烏に返り討ちにされたのを根に持っているのが容易に想像できてしまう。

 

 ただ、大蛇丸の件もあるというのに、実に傍迷惑極まりないことである。

 

「すぐに呼び戻すべきではないか?」

「……………いや、やめておこう」

 

 三代目が思案した後、間を空けてそう答えたことに、自来也も目を丸くする。三代目ならすぐに呼び戻すだろうと思っていたのだ。

 

 しかし、三代目は自来也よりも猿飛サスケという少年について詳しい。そして、詳しいからこそ思ってしまう。

 

「自来也…儂の目にはな…猿飛サスケが柱間様とうちはマダラに重なって見える時がある。神と悪魔のようにのぅ。それこそ、奴の存在そのものが最も崇高とされる"輪廻眼"そのもののような…そんな風に見えてしまうんじゃ。自分でも意味不明なことを言っておるのは重々理解しておるんじゃが、そう思わずにはおれん」

 

 自来也は今一つ、三代目の言葉を理解できていないが、猿飛サスケを良く知る者からしたら理解できるだろう。

 まだ13歳の少年。しかし、猿飛サスケは天に二物を与えられた者なのだ。もしかしたら二物以上与えられているかもしれない。

 

「ま、まさか…」

 

 三代目のその言葉を聞き、自来也の頭には"()()()()"が過る。

 

 その予言とはいったい何なのか、この世界に何をもたらすのか───それは自来也にもわからない。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 場所は鉄の国───から少し離れた場所。

 

()()めッ!【火遁・風遁・外留愚々(げるぐぐ)】!!」

 

 中忍試験本選までの約1ヶ月の間、俺が修業場所として選んだのは雪の国で、俺は雪の国へ向かっている最中だ。

 

 雪の国に向かう途中、俺は"鉄の国"に足を運び、鉄の国で一番の───いや、忍界一番の刀匠にチャクラ刀を一本打ってほしいと依頼した。三代目からの紹介状があった為にすんなり話は進み、本選までには必ず間に合わせてくれるとのことで、俺は刀匠に挨拶を済ませて鉄の国を後にした。

 

 それはそうと、何故今更チャクラ刀を必要とするのか───それは、俺は雪の国で氷遁を習得するつもりでいるのだが、もし本当に氷遁を習得できたら、チャクラ刀(斬魄刀)が必ず必要となるからだ。個人的な問題で…。

 

 そんなこんなで、俺は鉄の国での用事をさっさと済ませ、鉄の国を出て雪の国を目指しているわけなのだが、その道中で赤い雲模様の入った黒い外套を身に纏った謎の人物達の襲撃を受けているところで、ケンゾウの火遁には劣るが、風遁で強化されたなかなかの火遁が俺に向かって放たれている。

 

 決して、自らトラブルに巻き込まれに行ったわけではない。

 

 さっそく襲いかかってきた頭巾とマスクで顔を隠した緑色の瞳の大男と、頬にエラのような傷があり、歯は全て尖り、肌の色は青白く、髪は藍色、瞳は小さくて黄色で、鮫を思わせる容姿なのに丁寧な口調の大男。

 あと()()()()いるが、全員男───唯でさえ第一班が男所帯で華がない毎日を送っているというのに、襲撃されるならせめて、くノ一の色仕掛けによる襲撃を受けてみたかった。

 

「風遁で威力を増した火遁を水遁だけで消すとは…こんな子供が()()()()()()()なんて信じられませんでしたが…噂に違わぬ…いえ、予想以上ですねェ。

 水遁使いとして疼いてきましたよ」

 

 鮫っぽい大男が俺に向かって丁寧な口調でそう話しているのが聞こえたが、世間で俺の勇名───悪名はいったいどのように広がっているのか…。

 それに、俺に向かってこの2人は"一億"と口にしているが、まさか俺の首に一億両の懸賞金がかかっているということなのだろうか…。

 

「これほどの実力となると…一億両以上の価値はありそうですねェ」

 

 どうやら、俺が知らない間に、俺は一億両の懸賞金をかけられていたらしい。

 

 だから、顔を隠した大男はやたらと好戦的で、腕からひじきのような触手を出して俺を捕まえようとしていたのか…。これで合点がいった。

 

 しかも、触手(ひじき)の男だけでなく、この鮫っぽい大男もなかなかの手練れだと思う。

 

 それに何より、まさかこんな場所で会うことになるとは思いもしていなかった。

 

「久しぶりだな…猿飛サスケ」

 

 木ノ葉隠れの里の額当てに真一文字の傷を入れ、肩くらいの長さの漆黒の髪を後ろで一本に束ね、両目は深紅の"写輪眼"。

 同期のうちはサスケにどことなく似たイケメン───うちはサスケの実兄うちはイタチ。

 

 うちはイタチがまだ里を()()()()、何度か会ったことがあり、話したことがある。

 

 数年ぶりの再会だ。それなのに、出会い頭にいきなり幻術をかけてくるのはやめてほしいものだ。

 

「…!」

 

 三代目からだが、うちはイタチは文句の付け様の無い本物の天才だと聞いたことがある。忍術、幻術、体術、全ての分野に於いてほぼ完璧に近い能力を持っており、特に幻術が抜きん出ていたと───だが、如何に凄い幻術使いだろうと、破れない程の幻術とは思えない。

 

「イタチさんの幻術が効いてない?まさか…」

 

 それでも、全ての分野に於いてほぼ完璧に近いと三代目が言っていただけあり、体術もかなりのものだ。

 

「写輪眼対策…か?」

「写輪眼を持っているのはあなただけではない…しかも、あなたにも負けず劣らず…いや、あなた以上かもですよ?」

「志村ケンゾウか」

 

 ケンゾウも幻術を得意としている。だからこそ、写輪眼対策には抜かりない。

 両目に幻術を跳ね返す結界を張ることで、如何なる幻術も俺には効かない。対・写輪眼による幻術対策【結界術・鏡門】だ。

 

「イタチ、オレの獲物だ。【雷遁・偽暗(ぎあん)】!!」

「まあ、そう言わずに…私にも戦わせて下さいよ。

【水遁・水鮫弾の術】!!」

 

 うちはイタチと同じく額当てに真一文字の傷を入れていることからも、抜け忍であることが間違いない大男達。

 

 滝隠れの額当ての触手の大男は、火遁、風遁、雷遁の性質変化をかなりの高い水準で扱いこなすことができるようだ。ただ、あの触手が奇怪な生物のようなものへと変形したのだが───いったいアレは何なのだろうか…。

 それぞれ別のチャクラ性質を感じる為に余計に不思議な存在だ。

 

 そして鮫っぽい大男は、霧隠れの額当てをしており、鮫っぽい風貌からも予想しやすいが水遁を得意としているらしい。

 

 滝隠れの大男が操る奇怪な生物は槍状に収束させた複数の雷遁の槍を放ち、鮫っぽい大男は鮫の形をした水弾を放ってきた。

 

「【火遁・豪火球の術】!」

 

 それに続いて、うちはイタチは一族の代名詞である火遁を…。

 

 随分と熱の籠ったアプローチである。これ以上はあまり相手をしたくないから、ここは迅速に対応するに限る。

 

 雷遁は風遁で打ち消し、水遁は土遁の壁で塞き止め、火遁は水遁で鎮火。

 

 そして、ついでに影分身を4体出して倍返し。

 

 本体と4体の影分身で織り成す"龍"の豪華共演───【五遁・五龍大連弾の術】だ。

 

 火龍、水龍、土龍、風龍、雷龍。

 

 まずは土龍が物理的に襲いかかり、続いて火龍と風龍だ。風龍が着弾した瞬間に嵐を起こし火龍が激しく燃え広がる。そしてチャクラで冷たく冷やした水龍が熱々の炎に着弾し水蒸気爆発を起こす。

 そして、締めは痺れる雷龍である。

 

 仮にこれが防がれようとも、別にどうでもいい。俺はこの場から姿()()()()()

 

韜晦顕現(とうかいけんげん)】だ。

 

 だが、この者達との戦いは非常に経験になった。それと、予選が消化不良だったのもあり、少しはしゃぎすぎてしまったかもしれない。

 

 ともあれ、いざ雪の国へ。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 まるで戦争が勃発したかのような───見るも無惨な荒れ地と化した森の一部。

 

「はあ、はあ、はあ…くッ、(ま、まさか…【須佐能乎】まで…使わされるとは…猿飛サスケ…恐ろしい子だ。こんな子が()()()と同期だというのか…)」

 

 肩で息をしながら、ギリギリの状態ながらも無傷でその場所に立っていた者───うちはイタチは、術を解き地に膝を突く。

 

「イタチさん!?」

 

 イタチの術でどうにか守られていた鮫を思わせる風貌の大男───干柿鬼鮫は、地に膝を突いたイタチのもとへとすぐに駆け寄った。

 

「どうやら、あなたの術で守られたみたいですが…ヤバかったですね」

「…そう…だな」

 

 あのまま、イタチが術を発動して守ってくれていなかったらどうなっていたことか…。

 

 イタチも鬼鮫も、ガキ相手に何たる様とはまったく思えずにいた。寧ろ、人間の皮を被ったまったく別の生物が相手だったと言われたらすんなり納得してしまうような、そんな気持ちなのではなかろうか…。

 

「それはそうと…あの"()()()"は?跡形もなく消え去ったんですかね?」

「…はあ、はあ、はあ、残念ながら…死んではない。奴がまた殺人衝動を抑えきれなかったせいで、今回駆り出されたのが癪だった…からな。…はあ、はあ、範囲外に吹き飛ばしておいた」

「それはそれは…随分と手荒い守り方ですねェ」

 

 どうやら3人共無事らしい。確かに助け方は手荒だっただろうが、どのような形であろうとも命あっただけでも善しとするべきところだろう。

 

 手荒い助け方をされたのは日頃の行い故…か。

 

「しかし…リーダー達にはどう報告するべきか…」

 

 そして今回の一件で、この者達が属する組織に於いても、猿飛サスケは最重要危険人物に認定されてしまったかもしれない。

 

 






イタチや鬼鮫、大蛇丸、デイダラ、サソリ達は、大罪人の抜け忍だから正規の懸賞金でしょうが、アスマは闇の相場での懸賞金。恐らく、アスマが賭けられてるってことはカカシも賭けられりしてますよね。
アニメで、六尾の人柱力ウタカタが五千万両だったとのことですが、カカシはいくらなのか…。

ケンゾウとビスも賞金首の仲間入りだぜ!2人揃って八千万両。額は適当!!
そして、サスケは一億両!基準がわからないのでとりあえず適当!

三代目が言ってた『存在そのものが輪廻眼みたいなもの』
写輪眼並の動体視力。白眼並の広範囲【神楽心眼】の感知能力。五大性質変化全てに陰陽遁、重遁…チャクラ量。
三代目が言っている意味を詳しく纏めてみるとこんな感じですね。

一億両の賞金首となり、暁の財布係から狙われたサスケくん。ちなみに、角都さんはつい最近相棒を殺したばかり。
なので、イタチと鬼鮫が同行となっております。そんな面々と楽しそうな、本人的にはむさ苦しきパーティータイムを堪能して、とんずらしたサスケくんでした。

イタチとは木ノ葉で数回会ったことがあります。

【結界術・鏡門】
写輪眼による幻術対策。写輪眼の幻術を跳ね返す。

【五遁・五龍大連弾の術】
影分身を併用して、五大性質変化の龍を繰り出し操る極意。
放つ順番も決まっており、土龍の物理攻撃から始まり、風龍と火龍で炎の範囲を広げ熱々の大火事を起こし、そこにチャクラで温度をコントロールして冷やした水龍を叩き込み水蒸気爆発を起こし、水蒸気爆発で気化しきれてない水が辺り一面に残ってるなかでの雷龍での締め。

三代目の五遁・大連弾の術の上位版。

イタチはどうにか須佐能乎で難を逃れ、自分と鬼鮫を守った模様。角都に関しては、サスケの術の範囲外に須佐能乎の腕で吹き飛ばした模様。一応は守った模様。心臓は一つも欠けてない。

サスケ VS 暁。もしかしたら、裏で暁を利用していたとある里の陰謀だったり?


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時が来たりて…



何かしらトラブルに巻き込まれるのは当然であり…。



 

 

 つい1週間と少し前に君主が代替わりしたばかりの雪の国にて、激しい戦い───いや、一方的な蹂躙劇が展開されていた。

 

「な、何故、()()()()()()がここに!?」

 

 君主が代わり、まだ安定していない雪の国。その雪の国を狙う不届き者達───草隠れの里の忍達は氷の大地に倒れ伏し、立っている者は恐怖で震えている。

 

 悲しいかな───この者達はタイミングが悪すぎた。

 

「俺は今、世間でそう言われてるのか?

 なるほど…くく、"死神"か」

 

 赤黒い髪に、フード付の漆黒のロングコートを身に纏い、腕には木ノ葉隠れの里の額当てが巻き付けられている。

 その少年はつい最近、裏で一億両の高額な懸賞金をかけられたそうだ。

 

「【重遁地天・(きょう)

 なら、死神らしく暴れるか。悪いけど、手加減はなしだ。この雪の国は立て直している最中なんだ…それをわかって、そこを狙う輩を放っておくわけにはいかない」

 

 雪の国を救った英雄───木ノ葉隠れの里の猿飛サスケ。彼は雪の国にて、英雄として崇められる存在だ。

 だからこそ、他里の忍であるにも関わらず、この国の民達に受け入れられ、新しい君主から絶大な信頼を得ている。

 

 そして、その猿飛サスケもまた、この国の平和を願っている内の1人だ。そんなサスケの前で、この国に手を出そうとは…。

 

「こ、これは…い、いったい」

「か、体が…お、重い」

 

 ある者は動きが鈍り、ある者は耐えることが出来ずに膝を突いてしまっている。

 

「暴れさせてもらうが、すぐに終わらせてもらう。そうだな…アンタ達の命は"11秒フラット"だ」

 

 漆黒が刹那に舞う。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 雪の国。極寒地帯ではあるけど、ウチはこの場所を死に場所と決めた。

 せめて、死に場所だけは綺麗な場所が良かった。この地は、それだけ美しい場所だと思った。

 

 でも、どうやらウチはこの場所では死ねないらしい。

 

「君…もしかして"うずまき一族"か?いや…髪色だけでそう判断するのは早計だな。

 けど…チャクラの質がうずまきのものと似てるな」

 

 雪の国を支配下に置こうと動いた草隠れだけど、ウチと同じ歳くらいのイケメンな男の子によってそれは阻止された。

 これだけの人数相手に11秒フラットで終わらせると宣言して、その男の子はウチ以外を宣言通りに、瞬く間に皆殺しにした。

 

 木ノ葉の額当てをしてるから忍であるのは明白だけど、とても同じ人間とは思えないほどの早業。

 

 ただ、どうしてウチだけ殺さなかったのか…。うずまき一族と口にしていたから、この男の子もウチを利用しようとしてるのか…。

 

「もし、君が"うずまき"なら…母さんとナルト以外で会ったのは初めてだ。まさか草隠れにもいたなんて…」

 

 けど、この男の子は別にウチを利用ようとしているわけではないようだ。そもそも、これだけ強いならウチの能力なんて別に必要ないだろうと思う。

 

「俺も、うずまきだ…正確にはハーフだがな」

 

 どうやら、ウチを殺さなかったのは同じ一族出身の誼みからだったようだ。

 

 ただ、ウチにとってこの出会いは───地獄から逃げ出すチャンスなのかもしれない。

 

「もし、君が雪の国に危害を加えるつもりなら…同じ一族出身といえど容赦しない」

 

 ウチは草隠れの里になんて未練はない。寧ろ、滅ぼして欲しいとすら思う。

 

 だから、ウチはこの男の子に助けを求める。ウチを地獄から連れ去ってくれる───まるで、白馬に乗った王子様のようにすら感じる猿飛サスケという名の男の子に…。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 雪の国を訪れてから数週間。

 

 修業は頗る順調に進んでいる。しかも、君主が変わったばかりの雪の国を配下に置こうと襲撃してくる不届き者達が、修業の成果を試す実験台になってくれたこともあり、既に実戦でも試せるレベルに到達していることは明白だ。

 

 独裁政権下にあった雪の国は、風雲姫こと風花小雪様が君主に即位することで、平和な国へと生まれ変わろうとしているところだが、やはり今は時期的に色々と大変だ。

 

 それでも、俺を迎え入れてくれるのだから、やはり雪の国は素晴らしい国だと思う。

 だからこそ、そのお礼代わりに不届き者達を一掃しているのである。もっとも、この程度では返し足りない恩だ。

 

 ただ、少しずつそういった類いの襲撃の頻度も減りつつある為に、直に落ち着きを取り戻すことだろう。

 

 あと数日で、俺は木ノ葉隠れの里に戻る。ただ、行きとは違い、帰りは旅の供が1人いる。

 

 雪の国で出会った、赤い髪に赤い瞳のメガネっ娘。その名は香燐。

 

「サスケ…ウチは本当に木ノ葉隠れの里に行っても大丈夫なのか?」

 

 俺と同じ"うずまき一族"の末裔だが、草隠れの里で奴隷同然の扱いを受けてしまっていた可哀想な女の子だ。

 

 草隠れの忍達は香燐以外始末した。もし、彼女が雪の国に危害を加えるつもりだったなら、同じ一族出身といえども始末するつもりでいたが、一切そのつもりはないらしく、寧ろ助けてほしいと懇願された為に、今こうして香燐とは共に行動しているわけである。

 

 草隠れの者達は香燐以外全滅。つまり、死人に口なし。草隠れでは、香燐も死亡扱いされていることだろう。先遣隊の安否を確認する為、再び部隊が派遣されたが、その部隊も始末させてもらった。疑う者はいないはずで、これ以上の襲撃はないと思いたい。

 

 三代目には既に報告し、香燐を木ノ葉で保護する許可をもらっている。しばらくは監視も付き、彼女がスパイでないことを確かめる為に、ケンゾウの写輪眼と、万全を期して自白剤を用いての尋問が行われる予定だ。あまり手荒な真似はしたくないのだが、彼女は何としても草隠れから抜け出したいらしく、泣きつかれてしまっては…。少しでも早く不安な気持ちから解放させてあげたいと思ってしまう。

 

 やはり、俺は女の涙に弱いらしい。

 

「サスケ…本当にありがとう。ウチ、サスケに会えて良かった」

 

 拝啓、志村ケンゾウ様、日向ビス様。

 雪の国での修業は頗る順調でございます。それと、わたくし───猿飛サスケはとある女の子と出会い、毎日楽しい限りです。リア充しております。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 それから数日後、雪の国での修業を終えた俺は、香燐を旅の供に"鉄の国"を再び訪れている。

 

「恐竜…いや、"尾獣"に踏まれたとしても決して曲がらない強度を誇るのが"黒刀"だ。そして、これは間違いなく自信を持って言える。この刀は儂の最高傑作だ」

 

 そんな俺の目の前に置かれた一本の───刀身、柄、鍔、全てが漆黒のやや長めの、卍型の鍔に柄頭に鎖のついたチャクラ刀。ただ、どこからどう見ても()()()()()()

 

「どうだ?いっちょまえに"死神"なんざ大層な異名を持つテメェにぴったりの刀だと思わねェか?」

 

 完成したチャクラ刀は、俺の漆黒のロングコートにお似合い───どころか、そもそもこの刀とロングコートは本来なら()()()()()なのだから当然だ。

 

 それでも、まさかこの刀がここで出てくるとは驚きである。

 

 "木ノ葉の死神"またの名を"黒衣の死神"。本当に大層な異名を付けられたものだ。

 

「サスケ…か、カッコいい…」

 

 これに仮面が加わったら更に格好良さが増す。もし、暗部に入隊することがあったら、仮面を特注で作らせてもらうとしよう。仮面の半分に血の模様が入った髑髏の仮面を…。

 

「とりあえず握ってみろ」

 

 そんなことを考えていた俺に、刀匠がそう促し、俺は言われるがままにチャクラ刀を握ってみた。

 

 すると、そのチャクラ刀があまりにも手に馴染み、俺は感動してしまった。まさに、体の一部と化したかのようだ。

 

 試しに一つやってみたくなったことがある。

 

「な、何をするつもりだ!?」

 

 チャクラ刀を握った右手にチャクラを集中させると、溢れ出る赤黒いチャクラの奔流。

 そのチャクラを刀に喰わせ、斬撃を巨大化し()に向けて放つ。

 

 それは漆黒の三日月の形を成して、天を衝く。

 

【月牙天衝】───俺は新たな技を習得した。

 

「曲者!!」

 

 ただ、何も考えずに試し撃ちをしたことで、気付かぬ内に大騒ぎである。

 

「サスケェ!何やってんだよ!?これッウチら敵と勘違いされちゃってるよ!!」

 

 鉄の国の侍に囲まれ───壮観だ。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

「サスケッ貴様ァ!ちゃんと修業していたのだろうな!?」

 

 木ノ葉隠れの里に帰還した俺に対してのケンゾウの第一声はそれだった。

 

 しかし、それは無理ないかもしれない。何故なら、俺が女の子を連れて、しかも手を繋いで帰還したのだから…。

 

 里に近づくにつれて、次第に香燐の不安が増したのが理由で、彼女から手を握ってほしいと言われたのだが、俺にはそれを断る理由などない。

 

「その子が、うずまき一族の…それにしても、随分と仲良さげだね。本当に修業してたの?」

 

 ケンゾウと共に迎えてくれたビスも辛辣だ。

 

 しかし、今回の修業で俺は更に強くなれたと自負している。そもそも、修業を開始する前から、うちはイタチなどとの戦闘もあり、しかも修業の傍らで雪の国の護衛にも当たっていたのだから、実戦経験もバッチリだ。

 

 木ノ葉の死神の恐ろしさを知らしめることができたのではないだろうか…。

 

 遭遇したが最後───逃げる暇もなく命を刈り取られる。"黄色い閃光"の再来にして、黄色い閃光を凌駕する"黒衣の死神"。どうやら、俺の存在はそのように噂されているとのことだ。

 

「ま、君のことだから遊んでたってことはないだろうけど…どうやら、()()()()()も手に入れたみたいだし」

 

 非常に充実した日々を送っていました。

 

 ビスが口にした新しい武器───それは、腰に携えた漆黒のチャクラ刀だけではない。

 俺が雪の国で得たモノに対しても言っているのだろう。

 

「だが、強くなったのはお前だけではない。オレ達も遥かに強くなった」

「本選でハッキリさせようか…日向は木ノ葉にて最強だ」

「ふッ、最強は志村だ」

 

 自信たっぷりにケンゾウとビスが宣言しているが、それは表情を見ればすぐにわかることだ。

 いや、表情だけではなく身に纏う雰囲気───そして、チャクラの質がより研ぎ澄まされ、洗練されている。

 

 これは本選が楽しみで仕方ない。

 

 ちなみに、俺はこれから香燐を連れて三代目のもとに向かわねばいけないが、恐らくきっと怒られるはずだ。

 

 鉄の国にて騒ぎを起こしてしまったのだから当然だろう。調子に乗って、チャクラ刀の試し斬りにとチャクラを荒ぶらせ黒い月牙天衝を放ち、雲を切り払ったのだが、その行動が鉄の国の侍達に敵襲だと勘違いさせてしまい、取り囲まれる事態になってしまった。その節は本当にご迷惑をおかけしましたことをお詫びします。

 

 そして香燐を怖がらせたことを本当に申し訳なく思う。

 

 ただ、思えば鉄の国では不運が続いている。鉄の国は寒い場所だが素敵な国だと思う。しかし、俺は鉄の国を出てすぐにうちはイタチ達に襲撃された。雪の国からの帰り道に訪れた際は侍達に取り囲まれてしまった。

 後者に関しては完全に自分のせい───失態だが…。だからこそ、気が重い。

 

「鉄の国では、何やら()()()()()を仕出かしてしまったようだのう」

 

 邂逅一番。火影執務室を訪れた俺に対して、三代目は顔を見るや否やそう口にした。既に、鉄の国から報告が入っているのは間違いないようだ。

 

 帰還後すぐに、土下座をすることになるとは思ってもいなかった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 時は来たり───中忍選抜試験本選当日。

 

 "あ・ん"とデカデカと書かれた木ノ葉隠れの里の玄関口には、今日という日を待ちわびた者達で大名行列が出来ている。

 

 各国の大名、そして著名人達も続々と、主催里である木ノ葉に集まっている。

 

 その理由はもちろん、各隠れ里の下忍達───金の卵の闘いを観戦する為だ。

 

 しかも、今年は例年より人が多く集まっている。

 

 うちは一族の末裔。木ノ葉と砂の人柱力。日向一族宗家の嫡女。そして何より、一番の注目の的はやはり"次代の三忍"───"三羽烏"だろう。

 

 本選開始の時が刻一刻と迫るなか、中忍試験本選会場も、既に何百、何千という観客で犇めいている。

 

 その会場の中心には、本選まで勝ち進んだ12名の下忍達が既に勢揃いしていた。

 

 主催里の木ノ葉の下忍が9名と砂の3名。

 

「いよいよ…か。

(はてさて…何も起きなければ良いんだが…あの大蛇丸が本選を利用しないとは考え難い)」

 

 その内の1人であり、本選優勝候補でもある猿飛サスケは、強い胸騒ぎを感じながら本選開始の時を待っていた。

 

 果たして、平穏無事に試験は終了するのか…。

 

「この本選…お前らが主役だ!胸張って、お客様方にしっかり顔向けしとけ!」

 

 本選試験官・不知火ゲンマの活に、サスケの───下忍達の表情が引き締まる。

 






修業編と言いつつ、修業描写がなかったリア充編。

【重遁地天・(きょう)
自身が重力の発生源となり、自身を中心とした一定範囲を重力場として重力をかける。
その範囲にいる者は動きが鈍り、チャクラを増やすことでまともに立てなくさせる。

またの名をヨン様モード。
強大なチャクラと重力によって、対象者はGJ(グリムジョー)のように膝を突いてしまうのである。

中忍試験で下忍達が無様な結果に終わってしまった草隠れは、君主が変わったばかりの雪の国を支配下に置こうと動きますが、タイミング悪くサスケが雪の国にいて11秒フラットで瞬殺されてしまいました。

修業期間の間、何回か似たようなことがおき、サスケのおかげで事なきを得ますが、雪の国は兵力の強化を余儀なくされます。

香燐は雪の国に回復要員として中忍試験後派遣されました。サスケは最初からうずまき一族を思わせる香燐のチャクラに気付き、彼女だけ最後まで生かしたという流れです。
香燐は死の森でうちはサスケと出会っておりません。


出来上がったチャクラ刀は、何の因果か初代天鎖斬月でした。尾獣に踏まれても曲がらないのが黒刀の特性らしいよ!!
赤黒い月牙天衝が放てる。

侍達にも【破断・一閃】という飛ぶ斬撃がありますよね。


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越えられない壁・その弐。



始まってしまったぜ中忍試験本選編!!

1日に2話あげたのは初?しかも過去最長です。



 

 

 日向一族始まって以来の天才 VS うずまき一族の末裔にして木ノ葉の人柱力。

 

 初戦から、誰もが目を離せぬ組み合わせだ。

 

「オレは必ず火影になる!だから…絶対に負けねェってばよ!!」

「ふッ、火影になるのはオレだ。それに…日向は木ノ葉にて最強だ」

 

 いつになく好戦的な様子のビスが、ナルトの前に巨大な壁として立ち塞がっている。

 

 この約1ヶ月、ナルトは"三忍"の自来也様に鍛えてもらっていたらしく、恐らく"九尾"のチャクラの引き出し方も教わっているはずだ。大概の者達の予想はビスの勝利だろうが、もしかしたら周囲の予想を覆す展開が待ち受けているかもしれない。

 

「サスケ…本気で奇跡が起きるとでも思っているのか?」

 

 ナルトを良く知る者達は、奇跡が起きると───そう思っている者も多いかもしれない。意外性No.1ドタバタ忍者の名は伊達ではない。

 

 だが、今回は相手が悪い。奇跡が起こせる相手ではない。大番狂わせは絶対に起きないだろう。

 

 会場の中心には、ビスとナルト、そして試験官の不知火ゲンマのみが残されており、俺、ケンゾウ含む他の選手達は待機場所にて2人を見下ろしている。

 

 ついさっきまで騒がしかった会場が嘘のように静まり返っている。

 

「第一回戦、始め!!」

 

 そしていよいよ、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

「【影分身の術】!!」

 

 開始と同時に4体の影分身を出現させたナルトは、ビス相手に様子見と言わんばかりに影分身を突撃させている。

 

 ただ、ビス相手にその戦略はどうなのだろうか…。実力差はハッキリとしている。それとも、この1ヶ月でどれだけ実力が伸びているのかを確かめているのか───ビスを相手に随分と命知らずなことをやるものだ。

 

「ナルト…何の冗談だ?」

「なッ!?」

 

 どうやらナルトは、こんなにも簡単に瞬殺されるとは思ってもいなかったらしく、かなり驚いているようだ。

 

 思えば、俺達ですらもお互い本気で戦ったことがなく、互いの本気を知らない。まだ体が出来上がってないから、本気を出すと体に負担がかかるからだ。

 俺達ですら互いの本気を知らないのだから、ナルトがビスの実力の底を知らないのは当然。もっとも、ビスには───ケンゾウもだが、底すらないかもしれない。

 

「オレ相手に様子見とは随分と余裕だな…」

「くそッ、【多重影分身の術】!!」

「そうだ。出し惜しみなどするな…最初から全力でかかってこい」

 

 実力差がわからない相手に様子見するのは別におかしいことではないが───ナルトにとってビスは、今はまったく手の届かない、実力差が明白な相手だ。ハッキリしていないのはビスの本気の実力がいったいどれ程のものかということだけだろう。

 

 無情かもしれないが、そんな相手に様子見など意味をなさない。

 

「いくぞ!【多重影分身大爆破】の巻だってばよ!!」

 

 ビスの周りをぐるりと囲んだ数十体の影分身。一斉にビスへと襲いかかり、そして1体1体をタイミングを見計らって分身大爆破させるつもり───なのだろうが、残念なことにビス相手にそれはまったく通用しない。

 

 分身大爆破そのものが、ビスによって()()に終わらせられるからだ。

 

「ど、どうして爆発しないんだってばよ!?」

「簡単なことだ…影分身が爆発するよりも前に、オレが"急止の点穴"を突いて影分身を消しているからだ」

 

 熟練者の影分身の術であれば、ある程度の耐久力を持ち、一撃受けただけで消滅することはない───が、急止の点穴を突かれてしまった場合は耐久力関係なしに消滅してしまう。

 他の点穴だと、数ヶ所突かなければ消滅しない場合もあるが、急止の点穴はその1ヶ所のみで効果を発揮するのだ。

 

 ビスは影分身1体1体の急止の点穴を見抜いて素早く突き、瞬く間に数に頼ったナルトの戦略を潰してしまった。

 

 相変わらず鮮やかで惚れ惚れしてしまう。

 

「あの自来也様と修業していたと聞いたが…こんなものなのか。拍子抜けだな、ナルト。

 つまらん…これで終わらせるとしよう。

【柔拳法・八卦六十四掌】」

「そ、それってばサスケのッ!?」

「うちはサスケは兄さんの技をコピーしただけ…これは本来、日向一族の宗家にのみ伝わる技だ。うちはサスケの紛い物となど一緒にするな。その違いを、その身でとくと味わえ」

 

 ビスのそれは、日向ネジのものをコピーしたうちはサスケのものとはあまりにも違いすぎる。

 

 速さも、体のキレも、一撃の重さも…。

 

「六十四掌!!」

「ぐあァァァ!!」

 

 それはほんの一瞬───刹那に終わる。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 中忍試験本選第一回戦。日向ビス VS うずまきナルト。

 

 その試合は誰もが予想していた通り、三羽烏の一角であるビスが圧倒的な力の差を見せる形で決着したかに見えた…。

 

 だが、今期の新米下忍は三羽烏があまりにも突出しているだけで、他の新米達が決して弱いわけではない。

 

「なるほど…ビスは始めからコレを狙ってたわけだ」

「これが…あの()()()()()()()かッ!!」

 

 同じ三羽烏の2人───猿飛サスケと志村ケンゾウの視線の先では、ビスに点穴を突かれ、チャクラを練れないはずのうずまきナルトが、その体から荒々しい赤いチャクラを迸らせている。そのチャクラはまるで尻尾のようで、九本の尾がナルトへと巻き付き、そして力が解放される。

 

「そうだ…それを待っていたんだ。見せてみろ、うずまきナルトの全力をッ!!」

「言われなくても…そのつもりだってばよッ!!」

 

 スピードが格段に上がったナルトは、ビスの背後───上空へと飛び手裏剣を放つ。

 

 だが、その速さすらも見切っていたビスも手裏剣を放ち相殺する。そしてそのまま跳躍し、跳び蹴りを放つビス。ナルトは辛うじてそれをガードするも吹き飛ばされてしまった。

 

 それでも、体を回転させながら空中で辛うじて体勢を立て直したナルトは壁に着地し、そのまま壁を強く蹴りお返しとばかりにビスに跳び蹴りをお見舞いする。今度は、着地する直前だったビスがその蹴りをガードするも、威力を殺せずに吹き飛ばされてしまう。

 

「ふッ、やるじゃないか…ナルト」

「まだまだだってばよォ!!」

 

 しかし、ビスの表情には焦りなど一切なく、寧ろ余裕で、不敵な笑みを浮かべている。

 

 そのビスにチャクラ全開で突進するナルト。

 

「うおォォォォォ!!」

「お前は確かに強くなった…が、まだまだだ。

【八卦掌回天】!!」

 

 ナルトの全力の突進に対し、ビスは全身の点穴からチャクラを放出して受け止め、そのまま全身を高速で回転させる。

 

 それは、日向の跡目にだけ口伝される秘術。

 

 そして、ビスのチャクラとナルトのチャクラが正面から衝突し、激しい爆発が中央で起きた。

 

 土埃が上がり、そしてその土埃の中からは、同時に吹き飛ぶ二つの影。

 

 左右両方に吹き飛んだ影は地面に激突し、その箇所には穴が空いている。まだ土煙が晴れぬなか、いったいどちらが先に立ち上がるのか───それとも、どちらも立ち上がれないのか…。

 

 観客達は静かに決着の時を待っている。

 

「ごほッ、ごほッ…ふー、大したものだ」

 

 そして、先に姿が露になったのはやはり、日向ビスだった。

 

 その光景に、大番狂わせがあるかと期待した者達は落胆した表情を浮かべている。だが、その者達は何もわかっていない。

 

 うずまきナルトの諦めの悪さを…。

 

「まだ終わってないってばよォ!!」

 

 突如、ビスの真下の地面が割れ、その場所からナルトが飛び出してきたのである。

 

 すると、2人が吹き飛び激突してできた穴の中で、気絶していたかに見えたナルトは白煙を上げて姿を消した。

 勝敗の決め手は、ナルトの得意忍術"影分身の術"だ。

 

 本体のナルトの拳がビスの顎を見事に捉え、ビスの体が宙を舞う。

 

「ぐはッ!!」

 

 どんな時も絶対に諦めないど根性。

 

「はあ、はあ、はあ…はあ…火影に…なるのはオレだってばよ!!」

 

 そして、真っ直ぐ自分の言葉は曲げない───それが、うずまきナルトの忍道だ。

 

「くッ…お、お得意の影分身…か」

 

 ビスを見下ろすナルトと、ナルトを見上げるビス。

 

 誰もが、この試合に目を奪われ、そして試験官が勝者の名を宣言する瞬間を今か今かと待ちわびている。

 

「ナルト…残念だったな。影分身が出来るのはお前だけじゃない」

「え?」

 

 ただ、悲しいかな───大番狂わせは起きない。

 

 すると次の瞬間、ナルトの真下の地面が割れ、そこから伸びてきた両手がナルトの両足をがっしりと掴む。それと同時に、倒れていたビスが白煙を上げて消える。

 

「なッ!?」

「それと、これも覚えておくことだ。どんな術も、下忍クラスの術も使い所次第で脅威となる。

【土遁・心中斬首の術】」

「うわぁぁぁ!!」

 

 そのまま地中に引きずり込まれたナルトは、首だけ残し地中に埋められてしまい、生首状態となり、そして───首にクナイを突きつけられていた。

 

「くッ、くそッ!!」

「最後の攻撃は悪くはなかった。だが、オレが影分身を使えるかもしれない…とは、考えていなかったようだな。

 残念だが、()()()()に出来て、オレに出来ないことは何一つない」

「ッ!!」

 

 今期の新米下忍達は、全体を通してレベルが高い。

 

 しかし、それでも三羽烏は遥か先を行っている。

 

「勝者、日向ビス!!」

 

 勝敗の決め手は、確かに影分身の術だった。だが、相手の得意忍術を───相手のお株を奪ってのものだ。

 

 彼らは高き壁として立ち塞がっているのである。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 なかなかに盛り上がった第一回戦だったが、やはり勝者はビス。

 

 ビスとナルトの実力差は歴然で、この結果は当然。ただ、ナルトは頑張ったと思う。

 

 それにしても、やはりビスはドSだ。最後の最後で、ナルトの得意忍術であり、第七班の中でもナルトのアイデンティティとされている影分身の術を、自分も出来るのだと見せつけて勝ってしまうのだから…。

 

 いくら勝負の場といえども、俺にはできないかもしれない。

 

「オレにも…無理だな。ビスのは非情とはまたちょっと違うような…腹黒いというか」

 

 ケンゾウですらもこのように言う始末である。

 

「誰が腹黒いって?」

「…さ、さあ?聞き間違いじゃないか?」

 

 言ったのは俺ではない。ケンゾウである。ただ、心の中ではそう思ってしまっているが…。とりあえず、ビスには労いの言葉をかけよう。少しも疲れてはないだろうが…。

 

「さて…次はオレの番だな」

 

 そして、次の試合も注目度の高い試合だ。

 

 両者共に、"うちは"の血を引く末裔。

 

 片方は本家出身のうちはサスケ。

 

 そしてもう片方は三羽烏の一角であり、志村一族ベースのクォーター。

 

 両者共に"写輪眼"を開眼した───絶滅危惧種対決だ。

 

「そ、その絶滅危惧種という言い方はやめろッ!!」

「強ち間違ってはないよ、ケンゾウ」

 

 腹黒いと言われたことを根に持っているのか、ビスがお返しと言わんばかりにそう口にした。

 

 ただ、絶滅危惧種なのは事実だ。だからこそ、会場にいる殆んどの者達が、この戦いを楽しみにしている。先の試合の盛り上がりも、余計に拍車をかけていることだろう。

 

 何より、ケンゾウの対戦相手は先に舞台へと降り立ち、こちらを見上げている。

 

 ケンゾウを倒し、次にビスを倒し、そして最後に俺を倒すとその瞳が強く語っている。うちはサスケはやる気満々、準備万端、自信に満ち溢れているご様子だ。

 

 聞いた話では、担当上忍のはたけカカシさんにマンツーマンで指導してもらっていたらしい。

 木ノ葉一の技師と名高い"写輪眼のカカシ"の指導がいったいどのようなものだったのか───その指導の下で、うちはサスケがどれだけ成長したのか…。

 

「ビス…手加減はしないぞ。覚悟しておくことだ」

 

 だが、ケンゾウが見据えているのはもう次の試合のようだ。

 

 それに対して、俺もビスも油断大敵───という言葉が出なかったのは、長い付き合い故なのか…。

 

 はてさて、第二回戦はどのように会場を盛り上げてくれるのだろう。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 それはまるで千もの鳥の地鳴きにも似た、けたたましい電撃音。

 

 その激しい音の発生源であるうちはサスケの左手には、雷遁のチャクラが誰の目にもハッキリと見えていた。

 

「アレは…カカシ先輩の【千鳥】」

 

 その術を目にした第一班の担当上忍であるヤマトは、尊敬する先輩のオリジナルの忍術を下忍が習得していることに驚きを見せている。

 

「そッ!」

 

 そんなヤマトに対し、カカシは自慢気な雰囲気を醸し出していた。

 

「なるほど…だから、()()()()()()()()()()()()もらってたんですね」

 

 第二回戦は、双方目にも止まらぬ速さから繰り出させる体術を主体とした戦いで観客達を盛り上げている。

 そして何よりも驚くべきは、うちはサスケの動きが木ノ葉一の体術使いであるマイト・ガイを彷彿とさせていることだろう。

 

 うちはサスケはこの1ヶ月、はたけカカシからマンツーマンの指導を受けていたとされているが、実はそれだけではなく、マイト・ガイからも体術の指導を受けていたのである。

 

「そういうこと。ま、その点に関しては()()でオレが勝ったのもあるんだけどね」

「賭け?」

 

 中忍選抜試験が始まる前、中忍試験への参加を表明したカカシではあったが、それに対してガイが異議を唱えたことがあったそうだ。自分も教え子達には1年間経験を詰ませてから受けさせているのだと、ガイはカカシに対して焦る必要はないと言ってきたそうで…。

 

 ただ、カカシは焦っているから参加を表明したわけではなく、これもまた彼なりの経験の詰ませ方で、担当上忍としての愛情だったのである。

 

 中忍になれるかなれないかよりも、実戦経験による経験の詰ませ方に重きを置くカカシと、下準備に時間を費やしたガイ。どちらが正しいのか───それは誰にもわからないし、答えなどないのかもしれない。

 

 それがカカシのやり方であり、ガイのやり方なのだ。それは、アドバイス程度として口を出すならまだしも、決して他者に強要すべきものでもない。

 

 だが、ガイは他の者達とは違い、カカシに対してのみは()()()()熱くなりやすかった。

 

 だから、カカシはなかなか引き下がらないガイに対して、賭けを申し出たのである。

 

 もし、第七班の教え子達が3人揃って本選まで残ったら、ガイはカカシの言うことを一つだけ何でも聞く。その代わり、3人揃って本選に残れなかったら、カカシがガイの言うことを一つだけ何でも聞く───という賭けだ。

 

 明らかに、カカシが圧倒的な不利な賭けではないだろうか…。ただ、カカシにはそれだけの自信と、教え子達への信頼と期待があったのである。

 

 そして結果は言わずもがな…。

 

 第七班は3人揃って本選まで残り、ガイの教え子達は予選で敗退してしまった。

 

「それで、賭けに勝ったカカシ先輩はガイさんに、うちはサスケくんの修業に付き合うようにお願いしたと」

「そういうこと…」

 

 カカシがガイに勝てたのは、第七班の教え子達の努力の賜物だ。

 

 ただ、ヤマトはカカシに対して思うことが一つだけあった。それは、うちはサスケのみを贔屓し過ぎではないだろうかと…。

 

 確かに、うちはサスケには強くなってもらわないといけない理由がある。あの大蛇丸に狙われているのだからそれは当然だろう。本選までの期間、教え子達に3人纏めて修業をつけるのが難しいのも理解できなくはない。

 

 対してヤマトは、教え子達の自主性を尊重し、この1ヶ月間一切手を貸してすらいない。まあ、三羽烏の3人が別格なのだと言ってしまえばそうなのだが…。

 

 とは言え、うずまきナルトは伝説の三忍の自来也に鍛えられ、春野サクラは自分に合った修行相手を自ら見つけて、この1ヶ月を無駄に過ごすことはなかったようで、結果だけを見ればこれで良かったのかもしれないが…。

 

「ま、それはそうと…テンゾウ」

「ヤマトですってば」

「お前は自分の教え子を心配するべきじゃないか?あの技がどんなものか…お前は知っているはずだ」

 

 ヤマトとカカシの視線の先では、うちはサスケが猛スピードで志村ケンゾウへと突進している。

 

 技の名は千鳥、またの名を【雷切】と呼ぶそれは、はたけカカシ唯一のオリジナル技で、暗殺用のとっておきの技とされているらしい。

 

 一見、ただの突きにしか見えない技だが、その突きは如何なるものも貫き、そして切り裂く───名刀の一振り。

 

 だからこそ、カカシは一番目にかけている教え子───うちはサスケの勝利を疑ってはいない。

 

 しかし、そんなカカシに対してヤマトは、悠然とした態度を一切崩さずに告げるのである。

 

「カカシ先輩…ケンゾウ相手に、その技は()()以外の何物でもないですよ」

「なんだと?」

 

 そして、そんかカカシの耳に届いた()()()───その風の音が、ヤマトの言葉の意味をすぐに理解させた。

 

 ヤマトが知る写輪眼使いの中でも、担当上忍の贔屓目抜きにして、ケンゾウは一番の使い手だ。それこそ、この"写輪眼のカカシ"すらも上回るとヤマトは思っている。

 だが、ケンゾウの力は決して写輪眼のみではない。うちは一族の代名詞である火遁忍術もそうだが、忘れてはいけないのはケンゾウが木ノ葉でも()()()()()()()を有した一族出身ということだ。

 

「ッ、()()かッ!?」

「ええ。あの子の風遁は木ノ葉でも随一」

 

 ヤマトとカカシの視線の先では、うちはサスケが利き腕で放った千鳥を風遁のチャクラを纏わせた右手でいとも簡単に掴み、微量な風遁チャクラで雷遁チャクラを打ち消し、そしてケンゾウは風遁チャクラを纏わせた左手を相手の首元へ───ギリギリの位置でその手を止めていた。

 

「千の鳥の地鳴きに聞こえるその術を千鳥と言うならば…この術はそうだな…【天籟(てんらい)】か」

 

 耳に届くのは風の音。

 

 だがその風の音は、一度聴こえてしまったが最後───死を決定付ける風の便り…。

 

「勝者、志村ケンゾウ!!」

 

 






予選では、うちはサスケの見せ場があったのに対して、ナルトの見せ場がほとんどなかったから今回は逆…になってるようななってないような。
ただ、原作主人公とライバルは三羽烏の前に敗退してしまいました。

今回のビス VS ナルト、ケンゾウ VS うちはサスケは、一緒に書きたかったんだです…申し訳ない。

サスケの体術強化については、リーの体術をほとんど見てないのでコピーができません。
なので、こういった流れにしてます。そして、1ヶ月限定とはいえ忍界一のガイの指導と、写輪眼の完成による瞳力の強化と、それに伴ったチャクラ増強もあり、原作のこの時点では2発が限度だった千鳥をそれ以上に打てるようにもなっており、スピードも増してます。けど…そのサスケですらも…。

ケンゾウ VS うちはサスケの試合の傍らで繰り広げられる担当上忍対決。
教え子達の自主性を重んじ、影ながら見守っていたヤマト VS マンツーマンで、ガイの手も借りて指導したカカシ。軍配は?


ケンゾウの新術。
【風遁・天籟(てんらい)
千鳥を見て、その場で編み出した新術。
千鳥の風遁版みたいなもの。風遁の斬れ味を極限にまで高めてある。
天籟とは風の音、自然の音のことだそうです。


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木ノ葉の死神



そういえば、シノって本選では戦わずに試験落とされたってことですよね?一応、試験外でカンクロウと戦ってましたけども…。
かわいそうだなぁ~。



 

 

 猿飛サスケ曰く写輪眼を持つ者は絶滅危惧種。

 

 その絶滅危惧種対決が中忍選抜試験本選の第二回戦で実現したわけだが───結果は言わずもがな…。

 

「く、くそォォォ!!」

 

 敗者は拳を地面に打ち付け、勝者はその姿を見下ろしていた。

 

 うちは一族の本家の末裔であるうちはサスケは、彼よりも遥かに写輪眼の扱いに長けた志村ケンゾウに敗北したのである。

 勝敗の決め手となったのは、うちはサスケが雷遁の性質変化を有しているのに対し、志村ケンゾウが風遁の性質変化を有していたことなのだが、実際はそれだけではない。

 

「あれが三羽烏の志村ケンゾウか…」

「日向ビスといい…とんでもないな」

「"次代の三忍"と呼ばれるに相応しい」

 

 初めて三羽烏をその目で見た者は予想を遥かに上回る実力に驚愕し、ある者は志村ケンゾウと日向ビスがまだまだ本気でなかったことに気付き畏怖の感情を抱き、ある者は三羽烏の強さに惚れ惚れとしている。

 

 日向ビスと戦ったうずまきナルトも、そしてうちはサスケも、どちらも実力だけ見たら中忍クラスなのは明白だ。

 膨大なチャクラ量を持ち、多重影分身の扱いに慣れたナルトを相手にビスのように余裕さを見せて抑え込むことのできる中忍は少ないだろう。

 うちはサスケも同じくだ。マイト・ガイを彷彿とさせる高速の体術に、はたけカカシ直伝の千鳥。あのスピードに対応し、尚且つ千鳥を攻略できる中忍は存在するかどうか…。

 

 しかし、志村ケンゾウと日向ビスは、うずまきナルトとうちはサスケの遥か先を行っていた。

 

 恐らく、彼らに敵う中忍は木ノ葉には存在しないのではないだろうか…。試合を観戦していた中忍達ですらも、きっとそう思っていることだろう。

 いや、木ノ葉どころか、砂隠れの里にも存在しないのではないだろうか…。そう認識させるには十分な、圧倒的な力を見せつけた試合だったことは間違いないはずだ。

 

 そして、誰かが静かに呟く。

 

「三羽烏で一番の実力者…猿飛サスケの強さはいったいどれ程のものなのか…」

 

 まだ他に試合は残っている。しかし、観客達の心はもう()()()()に向いてしまっていた。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 第一回戦、第二回戦と立て続けに"三羽烏"───ケンゾウとビスの試合だったのもあってか、それ以降の試合は観客の期待が必然的に薄いものとなっている。

 

 しかも、第三回戦は砂隠れのカンクロウが棄権してしまったのもあり、観客達が余計に退屈してしまった。

 

 ただ、第四回戦は観客達の目を奪い、全ての観客達が()()()()()()()()に魅せられ、盛り返してくれたおかげで、木ノ葉隠れの里の層の厚さを見せつけることに成功した。さすがはIQ200のキレ者───奈良シカマルだ。

 試合には負けてしまったが、この本選で求められているのは結果ではなく内容。シカマルは試合に負けて勝負に勝ち、対戦相手だった砂隠れのテマリよりも中忍に相応しい資質を見せつけた。"忍者学校(アカデミー)時代から侮れない奴だと思っていたが、さすがの一言に尽きる。

 

 そして、続いての第五回戦も、良い意味で観客達の期待を裏切る試合となった。

 

 彼女───春野サクラはある意味、俺にとって弟子のような存在で、勝って欲しいと思っている。鍛えた時間は短く、弟子と呼ぶのは烏滸がましいかもしれないが、サクラが俺の助言を基に強くなったのはこの試合を見れば一目瞭然で、サクラが試合開始前に俺に視線を向けて微笑みかけてくれたことからも、どうやら同じ気持ちを抱いてくれているのは確かで、それを純粋に嬉しく思ってしまう。

 

 だから余計に、サクラの晴れ舞台が輝いて見える。

 

「しゃーーーんなろォーーー!!」

 

 試験会場の地面がどんどん陥没し、割れ、見るも無惨な有り様へと変わっていく。だが、それはサクラの努力の結晶で、サクラが強くなった証でもある。

 

 中忍試験第五回戦───春野サクラ VS 日向ヒナタ。

 

 日向一族宗家の嫡女である日向ヒナタに期待している者が圧倒的に多いなか、その期待を大きく裏切り、春野サクラが伝説の三忍の紅一点"蛞蝓姫"またの名を"医療スペシャリスト"の綱手様を彷彿させる怪力を披露して暴れ回っている。

 

「サクラ…あの子…第七班で一番化けたな」

「ヒナタちゃんが圧されてるなんて…」

 

 ガイさんと、ガイさんに体術の指導を受けたうちはサスケの体術に似ている。つまり、サクラはこの1ヶ月、マイト・ガイの体術をお手本として体術を鍛えていたということなのだろうか…。

 

 いや、手本にするだけであそこまで伸びるはずがない。

 

「そういえば…サクラがロック・リーと修業してたような…」

「なるほど。だからガイさんの体術にも似てるのか」

 

 この1ヶ月、どうやらサクラは一期上のロック・リーと、毎日体術の修業をしてたのだろう。ロック・リーはガイさんの教え子だ。重なって見えるのはその影響だ。

 

 そして、あの怪力は間違いなく俺の助言を基に自ら磨き上げたもの。第二の試験で幻術を教えた際に、サクラのチャクラコントロールは体術にも活かせると助言したのだが、まさかここまで磨き上げてくるとは思ってもいなかった。

 

 スピードはサスケには劣る。しかし、ヒナタがギリギリ対応できる程のスピードで、そのスピードから繰り出される───緻密なチャクラコントロールが可能とした怪力は脅威だ。

 

「大した女だ」

「参ったな…ここまでの逸材だったなんて」

 

 しかも、サクラには俺直伝の幻術もある。

 

 幻術に体術。これに医療忍術まで加わったら、間違いなく綱手様の再来だ。

 もしかしたら、忍界最強のくノ一になってしまうかも…。

 

「む…あれは…幻術か?」

「ヒナタちゃん、幻術にかかってる。早く解かないとッ!」

 

 ここで使うか───()()()()を…。

 

 俺が、瞳術または動体視力の優れた者の対策として開発した幻術だ。実は、【黒暗行の術】と共にサクラにはこの幻術も教えておいた。

 

 相手が認識する上下左右前後見えている方向、殴られたり、斬られた方向の感覚を全て()()()にする超高等幻術【逆撫】。ちなみに、匂いを嗅がせる必要はない。

 

 見えている方向と殴られる方向も逆───つまり…。

 

「あぐッ!?」

 

 短時間でこれを攻略するのは難しい。況してや、視ることに特化した白眼ならば尚更にだ。

 

 ヒナタに幻術を解く暇を与えず、彼女を殴り飛ばしたサクラは、自ら幻術を解いてやると同時に、背後からクナイを首元へと当てている。それは、山中いのが敗北した予選の光景と重なって見える。

 

「勝者、春野サクラ!」

 

 自分の弟子が羽ばたく瞬間がここまで喜ばしいものだとは思ってもいなかった。

 

 体術を鍛えてくれたロック・リーと、幻術を教え助言をした俺に対してピースサインを向けるサクラに拍手を贈る。自分のことのように嬉しくて、自然と顔がにやけてしまう。

 

「むっ!サスケ…貴様まさかッサクラを鍛えていたのか!?」

「まさかさっきの幻術も君が教えたものなのかッ!?」

 

 本選が終わったら、サクラに敗北したヒナタから、ビスが術の概要を聞くはずだ。そして、ビスからケンゾウにも伝えられるはず…。

 

 そしたら2人は、揃って腹を立てること間違いなしである。猿飛門下が瞳術キラーと呼ばれる日も、もしかしたら近いかもしれない。それはそれで楽しみだ。

 

「くッ、猿飛門下だと!?」

 

 木ノ葉隠れの里の最強は、うちはでも、志村でも、日向でもない。

 

 そもそも、第一班が誕生した日に宣言したことを俺は今まですっかり忘れてしまっていた。

 

 あまりこのような発言は無闇矢鱈にしたくないのだが、優勝するつもりなのだから、決意表明はしておくべきか…。

 

 ── 俺が最強だ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 第六回戦。

 

 その試合は、もっとも注目を集めている試合だ。

 

 若くして既にいくつもの新たな忍術、幻術、性質変化を生み出し"忍術の発明家"二代目火影・千手扉間の再来と呼ばれ、木ノ葉に存在する多くの忍術───それだけではなく秘伝忍術をも扱いこなし"二代目教授(プロフェッサー)"とも呼ばれ、更には時空間忍術で戦場を縦横無尽に飛び回り命を刈り取る"黄色い閃光"の再来と恐れられる存在の試合がいよいよ始まろうとしていた。

 

「この時を待っていたぞ…猿飛サスケ!」

 

 対戦者である砂隠れの"人柱力"我愛羅は、先に舞台へと降り立ち歪な笑みを浮かべている。

 

 そして、その我愛羅を見下ろす猿飛サスケは、漆黒のチャクラ刀を地面へと投げ放ち突き刺して、そのチャクラ刀を目印として【飛雷神の術】で時空間移動し会場を一気に盛り上げる。

 

 開発者である二代目火影。そしてその二代目火影を上回る使い手であった四代目火影。

 だが、猿飛サスケはその偉大な火影である2人すらも上回る使い手ではないかと噂されているとのことだ。

 

 時空間忍術で降り立った場所に突き刺したチャクラ刀を取り、猿飛サスケは切っ先を対戦相手である我愛羅に向けて、いつになく好戦的な言葉を口にする。

 

「すぐにやられてくれるなよ」

 

 近年稀に見る白熱した対戦となるのか…。それとも、一方的な蹂躙となってしまうのか…。

 

「第六回戦、始め!!」

 

 いよいよ、三羽烏最強がその実力を見せつける時が来た。

 

「まずはお前のその砂がどれ程の防御力を持っているか確かめさせてもらおうか」

 

 すると、サスケの右腕から迸る赤黒いチャクラがチャクラ刀へと吸い込まれるように集中していく。

 

「あ!あれは鉄の国で()()()()()技!!」

 

 観客席からサスケを応援する赤い髪の女の子───うずまき一族の末裔の1人である香燐は、唯一その技を見たことのある人物だ。

 だからこそ、その技をさっそく放つのかと驚いている。

 

「挨拶代わりだ…受け取れ。

【月牙天衝】!!」

 

 漆黒の月の牙が我愛羅へと襲いかかり、大きな土埃が上がる。

 

「あ、あれは…」

 

 その技を目にした三代目火影・猿飛ヒルゼンは、こう思っていた。

 

 サスケが放ったその技は、この世界に九匹存在する"尾獣"が共通して扱う強力無慈悲な攻撃技"尾獣玉"にどこか似ていると…。形や威力こそ違うが、そう思わずにはいられず、三代目は冷や汗を流している。

 

 何より、サスケが放った月牙天衝は手加減して放たれたものであり、もし本気で放っていたならば山すらも切り裂き、それどころか消滅させることが可能かもしれないと思わずにはいられない様子だ。

 

 三代目は何時だったか、サスケに尾獣並のチャクラの持ち主だと口にしたことがあった。

 だが、それが事実であったことを三代目は改めて実感している。対戦相手の我愛羅は尾獣を封印された人柱力。我愛羅もまた、膨大なチャクラを持った者だ。

 

 しかし、猿飛サスケは生身でそれに匹敵───いや、下手をしたらそれ以上のチャクラを有している。

 

「"忍の神"…柱間様。そして、その忍の神に匹敵する力を持った"忍の悪魔"…うちはマダラ。

 サスケは近い将来…間違いなくその領域に足を踏み入れる。まったく…本当に恐ろしい逸材じゃ」

 

 三代目は視線の先のサスケに対し、静かにそう呟いた。

 

 今ではもう知る者の方が少ないが、初代火影・千手柱間は神と呼ばれる程に強く、うちはマダラはその神に匹敵する程の力を持ち、唯一対抗できる悪魔であったことを三代目は知っている。

 

 その2人の力は尾獣すらも凌駕していたのだ…。そして、その2人に近しい力を持った忍も多く存在した時代に三代目は生まれ、生き抜いてきたのである。

 

 だが、今この時代にはそれ程の実力を持った忍がいったい何人存在しているだろうか…。

 

 今のこの時代は、忍の数こそ多いかもしれないが、実力は劣っているだろうと三代目は考えている。

 量より質の過去───忍戦国時代と、質より量の現代。

 

「その力が災いを呼ぶか…平和をもたらすか…吉と出るか凶と出るか…まったく予想がつかん」

 

 だが、そんな時代に神と悪魔の再来が現れた。

 

「このッ【流砂瀑流】!!」

 

 サスケの挨拶代わりの技を砂で防いだ我愛羅は、その砂でサスケを拘束しようと操っている。

 しかし、サスケの速い動きに我愛羅はまったく対応できず、それならばと範囲を広げ、地面───だけではなく、地中の石を砕き砂へ変え、砂の津波でサスケを捕らえようと大技を発動した。

 

 対して、その砂の津波を前にしたサスケは瞬時にチャクラを練り上げ素早く印を結び、水の壁───いや、本物さながらの津波を放つ。

 

「【水遁・荒水修祓】!…からの…」

 

 しかもそれだけでは終わらずに、新たな印を結んでから大量の水を吸った砂を()()()しまう。

 

「これは"()()"の基礎…水または水を含んだ物質を凍らせる術だ。砂ですらもな。【氷遁の術】」

 

 それは、水遁と風遁の性質変化を同時に組み合わせ発動させることによって可能とした"血継限界"───氷遁忍術。

 

 サスケが雪の国での修業で習得してきた忍術だ。

 

「あ、あやつッまさか氷遁までもッ!?」

 

 その才能はいったいどこまで伸びるのか…。

 

 木ノ葉隠れの里が再び五大国最強と謳われる日がまたやって来るかもしれない。猿飛サスケの力は、多くの者達にそう思わせる───それだけの力を持っている。

 

 三代目はそう強く確信し、まだ幼きその背中に───初代火影・千手柱間の背中が見えていた。

 

 






第七班で唯一の勝者…春野サクラ。

修業をリーに手伝ってもらい、サスケの助言を活かして体術を鍛え、白眼対策のとっておきとして【逆撫】を披露。

リーは、サクラの心意気に惚れ込み、修業に協力。サクラは原作の予選でも足の裏にチャクラを集めて一気に弾くことでそれなりのスピードを出せてたので、リーの修業でうちはサスケ程ではないにしろ、なかなかのスピードと、リー仕込みの体術、そして怪力を手にし、綱手の手解きなしに綱手二号の階段を登るという。

ヒナタは原作よりも強くリーに勝ちましたが、リーが最初から重りを外してたら勝負はどうなっていたか…なので、ここにて敗北となります。

幻術【逆撫】
相手が認識する上下左右前後見えている方向、殴られたり、斬られた方向の感覚を全て“逆さま”にする。

扁平足の平に 小野妹子の子 真性包茎の真に 辛子明太子の子の平子真子さんのをサスケが参考にして作り上げることに成功した視覚に幻覚作用を及ぼす超高等幻術。こちらも対瞳術の幻術。

ちなみに、山中一族の敵1人の精神を狂わせ、仲間同士で相打ちさせる【心乱身の術】を参考に改良に改良を重ねて、敵と味方の認識を(さかさま)に逆転させる卍解…じゃなくて幻術も開発してたり?

サスケは指導者としても、先代の火影達を彷彿としているのかも…。

サスケの試合開始前の登場の仕方は、千年血戦編でイチゴくんが陛下と初めて顔合わせした時のものを真似てます。

【氷遁の術】
氷遁の術の基礎で、水または水を含んだ物質を氷結させる。大量の水を含んだ砂も凍らすことが可能。
もっとも、水のない場所でこれほどの水遁を!…が、可能なサスケだからこそ出来た芸当である。



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無知は罪なり



なんだかんだで20話まで来てしまったァァァ!!

それはそうと、我愛羅で一つ思ったんですが、ナルトやキラービーは九喇嘛、はっつぁんを封印されて、我愛羅は守鶴を封印じゃなくて憑依…何が違うの?



 

 

 中忍試験本選の試合会場にて凍りついた砂。

 

 それを目の当たりにした者達は驚かずにはいられないだろう。木ノ葉隠れの里の忍で氷遁忍術を扱える者は里創設以来存在していない。

 

「あ、あの野郎…ッ、オレだけじゃなく…三代目すらも越えやがったってのか…」

 

 三代目火影の息子───猿飛アスマは、親戚関係にある猿飛サスケに対し畏怖の感情を強く抱いていた。

 

 会場内は静寂に包まれている。

 

 しかし、次の瞬間に歓声が爆発した。

 

 今回の中忍試験で最も注目されている"三羽烏"。その三羽烏の中でも最強と呼び声高い猿飛サスケは、写輪眼を持つ志村ケンゾウと、白眼を持つ日向ビスとは違い"血継限界"を有していないとされている。

 

 だが、サスケは才能と努力のみで常識を覆し、血継限界の一つとされる性質変化を習得した。

 もっとも、サスケはそれよりも以前に新たな性質変化を生み出しているのだが…。

 

 それでも、観客達は驚かずにはいられないはずだ。

 

 いったい、この天才がこれから先どれだけ強くなるのか…。かつて、五大国最強と謳われた木ノ葉隠れの里が復活する日も近い。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

「オレが砂しか扱えないなどと思うなァ!

【風遁・練空弾】!!」

 

 砂を抑え込まれた我愛羅だが、決して砂しか手段がないわけではない。腹に吸い込んだ空気に大量のチャクラを練り込み砲弾としてサスケへと撃ち出す。

 

「そうでなくては困る。

【水遁・荒水弾】」

 

 対して、サスケは等身大の水玉を放ち相殺する。

 

 水の塊と空気の塊がぶつかり合い、大きな音を立てて破裂し水飛沫が舞うなか、互いに一歩も引かず、戦いはより白熱したものへと発展する。

 

「舐めるなァ!

【風遁・練空連弾】!!」

「どうやら…この1ヶ月遊んでいたわけじゃなさそうだな。安心したぞ。

【水遁・荒水連弾】」

 

 我愛羅が連射すれば、サスケも連射して応戦。

 

 ただ、一見互角のような戦いに見えるが、猿飛サスケを良く知る者からしたら、サスケが相手に合わせて戦っているのは一目瞭然だろう。

 

 だが、我愛羅もまたそれを理解している。不敵な笑みを浮かべ、一切表情を崩していないサスケを見ればそれは明白だ。

 

「【土遁・土流割】!」

「おおッ!!」

 

 そのサスケに対して、我愛羅は最初から全力全開だ。

 

 チャクラで"龍脈"を操り、大地を真っ二つに割ることでサスケの体勢をほんの一瞬だけ崩させた我愛羅は、その一瞬を見逃すことなく追い討ちをかける。

 

「食らえッ!

【雷遁・百雷弾】!!」

 

 両手の全ての指先から雷遁の弾丸をサスケ目掛けて乱れ撃つ我愛羅。

 

 雷遁チャクラで構成されたその弾丸は貫通力に優れ、雷遁特有の活性化で、()()()()()()()では捉えることすら不可能な速さだ。

 

 しかし、サスケはそれに対してまったく焦ることなく、瞬時に対応する。

 

「【風遁・真空弾】」

「なん…だとッ!?」

 

 両手の全ての指先から風遁の弾丸を撃ち、我愛羅が放った雷遁の弾丸を全て相殺してしまった。

 

 雷遁に強い風遁だが、風遁の弾丸が雷遁の弾丸を撃ち破り我愛羅に襲いかからず相殺するだけに止まったのは、術に込めたチャクラ量をほんの僅かなものにしていたからだろう。

 

「くッ!」

 

 五大性質変化全てを扱え、写輪眼並の動体視力と反射神経を持つサスケだからこその対応力。

 

 観客達はその姿に惚れ惚れとし、それと同時に畏怖し、神のように崇める者すらもいる。

 

「砂の術以外にも、性質変化をここまで扱うとは思ってもいなかった。…が、ここで打ち止めか?だとしたら残念だ…もう少し楽しめると思ったんだが」

「なッ!?」

 

 一瞬で我愛羅の眼前に移動したサスケは、手を翳し幻術───いや、催眠術を発動する。

 

 これ以上の試合は無駄だと判断したからだ。

 

「次、戦う時があったら…今日よりも楽しませてくれ。期待しているぞ。

【幻術・威眠(いねむり)】」

 

 その瞬間、我愛羅の意識が失われて地面へとその体が倒れ込む。

 

 呆気ないまでの幕切れ。しかし、猿飛サスケが───三羽烏が中忍を遥かに凌ぐ実力を持っているのだと認識させるには十分な試合だったのではないだろうか…。

 

 ただ、その試合を三代目火影と同じ席で観戦していた砂隠れの里の里長───四代目風影は、自里の人柱力が負けたというのに笑みを溢していた。

 

「く、くくく…」

「か、風影殿?」

「おかげで手間が省けた…我愛羅が人柱力であることは知っていたかもしれんが…()()()()()()()()()()()()()…それは知らなかったようだな」

「むッ!?」

 

 その視線の先にて、我愛羅が意識のない状態で()()()()()()()かのように立ち上がった。

 

「え?」

 

 それにはさすがのサスケも驚いた様子を見せている。

 

「が、我愛羅を眠らせるなんて…い、命知らずなことを…」

「け、けど、これはこれで()()が予定通りに…いや、最高の形で決行されるってことじゃん」

 

 我愛羅の姉弟───テマリとカンクロウが何やら意味深な言葉を口にしているが、その言葉は誰の耳にも届いていない。

 

 そして次の瞬間、サスケの眼前にて激しく荒ぶる膨大なチャクラ。砂が我愛羅の全身を覆い、異形のものへと変化する。

 

「ウオオオォォォ!!」

 

 そして、断末魔の如き雄叫びと共に、()()()()()が会場に登場した。

 

 大きな白煙が上がりながらも、姿が見える程の巨体。

 

 まるで会場全体の時が止まったかのような───そのように錯覚してしまうのも無理はないだろう。何故なら、誰もが()()()()()に意識を奪われ呆然としているのだ。それは、三羽烏のケンゾウとビスも同様に…。

 

 そんな状況下でも、まず平静を取り戻すことができたのはサスケだった。

 

「眠らせたから?いやいやいや」

 

 しかし、サスケがそうなってしまうのは無理もないはずだ。人柱力を眠らせてしまったら、このような事態になってしまうなどサスケですらも知るはずがないのである。サスケの世代は本来なら、尾獣の存在を知っていることそのものがおかしいことで、サスケ達三羽烏が、うずまきナルトが木ノ葉の人柱力であることを知っていたことですら三代目は驚いていた。

 

 何より、うずまきナルトが平然と眠っているのをサスケ達も知っている。まさかこのような事態に陥ってしまうなど、予想すらできなくて当然だ。

 

 ただ、今回はそれが大きな仇となってしまっている。

 

「う、嘘でしょ?」

 

 それは人知を超えた力を持つ、最強のチャクラを持つ()()()()()と恐れられる存在であり、砂隠れが保有する最強の兵器。

 

「こ、これが…尾獣…一尾の"守鶴"。で…デケェ」

 

 その巨体を前に、猿飛サスケは恐れるでもなく、ただただ───その大きさに感動していた。この状況で感動する余裕があるのは凄い。

 

『ケンゾウ…ビス…もしもの時を考えて戦闘準備しといて。けど…とりあえず…どういうことだってばよ』

 

 ただ、悪い予感もしっかり感じ取っているらしく、【心伝身の術】を使って、思念で信頼する仲間とのやり取りは怠っていないようだ。

 

『ナルトの真似をする余裕があるとは暢気だな貴様はッ!?何をしているんだッ!!』

『いや…人柱力を眠らせたらこうなるって知ってた?』

『オレも知らなかったよ。寧ろ、我愛羅…一尾のみの特徴なんじゃないかな?ナルトは普通に眠ってるし。オレ達も寝てるとこ見たことあるし』

『だよな。ってことは、我愛羅の瞳の周りのはメイクじゃなくて本当の隈…で、不眠症によるもの…か。

 そこまでは本当に知らなかった。無知は罪なり…今ほどそう思ったことはないな』

 

 冷静に、一尾・守鶴が解き放たれてしまった状況を分析する三羽烏達。

 しかし、今は中忍試験本選真っ只中。その会場に、一尾・守鶴が解き放たれるなど前代未聞の緊急事態だ。

 

「まさかあなたが守鶴を解き放ってくれるなんて…これは嬉しい誤算だわ。ふふ、三代目が敷いた箝口令が仇となり、()()の役に立ってくれるなんて愉快なものね」

 

 そして、その会場に響く不気味な声。突如会場に姿を現した人物に、サスケは盛大にため息を吐き、忌々しそうに表情を歪める。

 

 サスケが想定した最悪の事態が今こうして現実となってしまった。しかも、その片棒を予期せぬ形でサスケが担ってしまうことになろうとは…。

 

 サスケの機嫌が一気に悪くなる。

 

「お呼びじゃねェぞ…()()()

「ふふふ、言ったはずよ…猿飛サスケ。()()()()()()と…さァ、始めようじゃない…"木ノ葉崩し"をッ!!」

 

 この本選の舞台を利用して木ノ葉隠れの里への襲撃を開始する大罪忍───大蛇丸。

 その大蛇丸が、ついに木ノ葉に全面戦争を仕掛けてきた。

 

「木ノ葉は今日…私の手によって滅びるのよ!」

 

 すると、里の至る所から轟音が鳴り響く。

 

 大蛇丸の部下達が口寄せした複数の大蛇が里で暴れだし、そして次々と里に侵入する敵が里で猛威を振るう。

 

 もう、中忍試験どころではない。

 

 木ノ葉隠れの里にて、戦火が拡がる。

 

「やってくれたな」

 

 ただ、大蛇丸は決して開けてはならないパンドラの箱を開けてしまったことに気付いていない。

 

 普段怒らない人が怒ると怖い───それは頻繁に、良く耳にする話であるにも関わらず…。

 

 大蛇丸は猿飛サスケの逆鱗に触れてしまった。

 

『ケンゾウ…ビス…こっちはちょっと頼んだ』

『何をするつもりだ?』

『もう中忍試験どころではない…これは戦争みたいなもんだよ』

『ここで尾獣と戦うわけにはいかない。まずは尾獣からどうにかする』

 

 ケンゾウとビスにそう告げたサスケの体が、次の瞬間赤い炎のようなチャクラに包み込まれる。

 

「【火遁チャクラモード・烈火】!

 大蛇丸…アンタの相手は後だ。まずは…」

 

 そして、サスケは一尾・守鶴の前に瞬身で移動し、巨体と共にその場から忽然と姿を消す。

 

 サスケが姿を消した会場は騒然となり、そして木ノ葉の忍達が臨戦態勢へと入る。

 

「サ…サスケ…」

 

 その状況のなか、観客席に残された赤い髪の女の子は、その名を静かに呟き───ただ無事を祈っていた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 場所は移り、木ノ葉隠れの里から少し離れた場所に位置する広大な森。

 

 その場所にて、たった1人の忍が生身で尾獣と戦うという命知らずな───いや、普通に考えたら自殺志願者としか思えない無謀を通り越した行動を執っていた。

 

「ひゃはァーーー!久しぶりに出て来れたぜェ!

 しかもぶち殺したい奴発ッけーーーん!

【風遁・練空弾】!!」

「やけにファンキーな尾獣だな…波ァ!!」

 

 一尾・守鶴が放った強大な練空弾に対し、サスケはチャクラの衝撃波を放ち相殺する。

 

 尾獣の術を相殺するその力はさすがの一言に尽き、この戦いは最早、ただの忍 VS 尾獣とは言えないものだ。

 バケモノ VS バケモノでしかない。

 

 だからこそ、サスケも【飛雷神の術】で守鶴もろともこの場所まで飛んだのだろう。

 尾獣が及ぼす被害は甚大だ。只でさえ大蛇丸なども里で暴れているというのに、サスケには里内で尾獣と戦うという選択肢などなかったのである。

 

「ガキが調子に乗ってんじゃねェよッ!

【練空連弾】!!」

「おおッと…これはなかなか出力を上げるか。

【火遁チャクラモード・業火】!!」

 

 すると、赤い炎のようなチャクラが黄色───いや、金色へと変化し、サスケの赤黒い髪まで金髪へと変化する。

 

 空を飛び、尾獣と互角に渡り合う人間───もう、人間を辞めた存在ではなかろうか…。

 

「なッ!?」

「うおらァァァ!続いて【業火・弐】だァ!!」

 

 連射された練空弾を全て衝撃波で相殺したサスケは守鶴の背後に回り込み、そして尻尾を掴み尾獣を持ち上げる程の怪力を披露する。

 

 火遁チャクラモードの出力を上げたサスケの周囲では火花が散っており、金髪へと変化した髪がより細かく逆立ち、パワー、スピード共に倍以上のものへと強化されているようだ。

 

 そして、サスケはそのまま一本背負いの要領で守鶴を地面へと叩きつけてしまった。

 

「ぐおォォォ!!」

 

 まさか守鶴も、己よりも遥かに小さい相手に持ち上げられ、地面に叩きつけられるとは思いもしていなかっただろう。恐らく、初めての経験のはずだ。

 

 ただ、尾獣を圧倒するという大立回りを見せているが、サスケは早くここを片付けたいところ。

 

「皆、大丈夫だろうけど…まあ、尾獣と戦ってる俺の方が普通はヤバいんだろうけど…香燐…!…良かった。

 とりあえず、無事みたいだな」

 

 チャクラ感知で香燐の無事を感じ取ったサスケは、目の前の敵に集中する。

 

 ケンゾウやビス、担当上忍のヤマトや里の忍、三代目達に対しては強い信頼を持ち、心配するだけ無駄───いや、侮辱だろうと思い、サスケは己がやるべきことをまずはやり遂げようと固く心に誓う。

 

「しかし…どうやったらこの尾獣化?を、解くことができるか。大蛇丸が以前、ナルトに施したような封印術はこの状態には意味がない」

 

 サスケは、一尾・守鶴をどうしたら無力化───この状態を解くことができるのか思案する。

 

 ただ、尾獣という存在を知っていても、それぞれの特徴を詳しく把握できていないサスケは苦虫を潰したような表情を浮かべていた。無知は罪なりとは良く言ったものだと思わずにはいられない。今日1日で二度目のことだ。

 

「どうすべきか………ん?」

 

 ただそんななかで、宙に浮いた状態で一尾を見下ろしていたサスケの瞳が何かを捉えていた。

 

「あれは…」

 

 腰より下の下半身が守鶴と一体化し、上半身のみが露になった人柱力───我愛羅である。

 しかも、その我愛羅は守鶴が地面に叩きつけられた影響か、大の字で倒れている。いや、正確には寝ている。

 

「あ、あの野郎…こんな状況で寝てやがる。寧ろ、今ので起きないってある意味凄いな…ったく、俺が悩んでる時に………いや、待てよ」

 

 視線の先で寝ている我愛羅に悪態を吐いていたサスケだが、何かを閃いたのか、我愛羅の姿が露になっている守鶴の頭上へと素早く降り立つ。

 

「おらッ()()()コノヤロー」

 

 そして、左手で我愛羅の胸ぐらを掴んだサスケは、右手で頬を数回───往復ビンタを繰り返し叩き起こすのである。

 

「!?ッ、クソがァァァ!いきなり外に出られるようになったと思ったら即刻退場だとッ!?

 ふざけんじゃねェェェェェ!!」

 

 守鶴がその巨大な図体で絶叫したと同時に、入れ替わるようにして我愛羅が目を覚ます。

 

「!?」

「おっしゃァァァ!」

 

 寝たら起こす───それは単純なこと。

 

 しかし、人柱力と尾獣を前に、それが出来る者は数少ない。

 






砂を封じられた我愛羅。しかし、原作とは違って風遁など、自身が持つ性質変化を主体とした攻め方をできるようになってます。この1ヶ月、対猿飛サスケに向けて修業を頑張っておりました。
我愛羅は、風遁、雷遁、土遁の性質変化を持ってるみたいですね。あと磁遁。

【風遁・練空弾】
守鶴じゃなくても使える。もちろん連射も可能。
守鶴のように腹を叩いたりはしない。

【雷遁・百雷弾】
両手の指先から雷遁の弾丸を放つ。

【土遁・土流割】
これは原作でヤマトが使ってたやつですね。
我愛羅は一瞬の隙を突く為に使用しました。



【水遁・荒水弾】
豪火球、練空弾の水遁版みたいなもの。こちらも連射可能。

【風遁・真空弾】
我愛羅の百雷弾を相殺する為に使いましたが、本来なら雷遁を打ち破って着弾してた。

【火遁チャクラモード】
燃焼させ、パワー、スピードを一気に上昇させる。出力を上げていける。
色に関しては色温度を基にしとります。
烈火が赤、業火が黄色(まあ、金色の金髪ですけど!)
烈火が界王拳、業火が超サイヤ人ですね。業火は更に三段階あり、二段階目の業火・弐では火花が体の周りでスパークし、三段階目は…言わなくてもわかりますよね?www
色温度は、赤→黄→白→青と上昇するわけですが、白と青は追々。何も聞かずに、何も言わずに待ってくださいまし!

そして今回、我愛羅を眠らせてしまい、守鶴を解き放つという戦犯を犯してしまったサスケくん。
眠らせたら駄目なんて知らなかったんだってばよォ!!

無知は罪なり…まさにその通り。尾獣については知ってても、まさかそんなことが…。
我愛羅の隈も、カンクロウと同じメイクだと思ってた。

ちなみに、今回の一番の被害者は守鶴。
何の前触れもなくいきなり外に出られるようになり、んん?ってなってたら試験会場から時空間移動し、目の前には空飛ぶ人間(サスケ)がいて、とりあえず久しぶりのシャバだしとりあえずヒャッハァーするか!って思ったら、誕生以来初めての一本背負い食らってそのまま我愛羅がビンタされてご退場。


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猿の蛇退治



ヘビのイメージを見たサルの脳は即座に恐怖の反応を示し、他のイメージに対して示した反応 とは比較にならないほど早かったそうです。まったく恐れない個体も存在するらしいですけど………。



 

 

 地面に倒れ伏した我愛羅と、見下ろすサスケ。

 

 サスケは尾獣相手にあれだけの激闘を繰り広げ、本来ならチャクラをかなり消費しているはずなのだが、まったく疲れている様子も、チャクラを大量消費した様子もまったく見られない。

 

「お、お前はいったい何なんだッ!?」

 

 人柱力の我愛羅が猿飛サスケに対して、畏怖の念を抱くのも当然ではなかろうか…。

 

 我愛羅やナルトのように尾獣を封印されているわけでもないのに、全てに於いて何故───サスケは我愛羅を上回っているのか…。それが不思議でならない。まるで未知の生物のようだと感じずにはいられないだろう。寧ろ、どちらがいったいバケモノなのか、ついさっきまでの戦いを見ていた者が存在したならば悩むことなく、間違いなく猿飛サスケの名を口にするはずだ。

 

 だからこそ、我愛羅の問いは何もおかしくなどなく、この状況では誰もが同じ言葉を口にしていたはずだ。

 

「猿飛サスケだ」

 

 ただ、それに対するサスケの返答は我愛羅の問いに対してまったく答えになっていない。

 

 しかし、間違ってもいない。

 

 だが、我愛羅を納得させる答えではないことも明白だ。

 

「ッ、お前はッこれだけの力を持っていながらも何故ッ!平然としていられる!?これだけ強大な力を持っていながら恐れられなかったはずなどないはずだッ!!周囲から弾かれなかったとは言わせないぞ!?」

「確かに…まったく気味悪がられなかったわけではないな。今でも、どっかの誰かさん達は"チャクラオバケ"とか、"人間辞めた人間"とか言いやがるしな」

 

 サスケの才能を恐れ、同じ人間とは思えないと恐れた者は少なくはない。しかし、サスケにとってそれは些細なことでしかないのだ。サスケは大切な故郷を守る為に戦っている。大切な人を守る為にその力を振るっている。ただ、それだけなのである。大切な人達が共にいる───だからこそ、サスケは他から恐れられようとも真っ直ぐ生きてこれた。

 

「俺の力の根源…それは大切な人を守りたいって思ってるこの気持ちだ。あと、生きようとする意志だ。

 俺はワガママな奴だ。大切な人を守り抜き、自分も死なず、大切な人達と楽しく笑い合って生きていきたい」

 

 そして、そこまで言いかけたサスケは、絶対零度の鋭い視線を我愛羅へと向ける。

 

「ッ!?」

「だから…俺は俺の大切な人達に…大切な世界に危害を加える者を絶対に許さない」

 

 己にとって大切なものを守る為に鬼神と化す猿飛サスケに我愛羅は恐怖する。

 しかし、それと同時に、猿飛サスケがどうして強いのかを我愛羅はほんの少しだけ───理解することができたかもしれない。

 

「"愛情"…」

「そう…"愛"だ。俺は大切な人達を守る為なら何だってしてやる…もちろん、相手が悲しむようなことは絶対にしないつもりだ。だから、俺は今以上に強くなる」

 

 我愛羅の強さとはまた違った強さ───それは、我愛羅を遥かに凌ぐ強さで、決して独善的な考えでは手に入れられないものだ。

 

 ただ、それは我愛羅が心の奥底で何よりも求め、欲しているものなのではなかろうか…。

 

 だからこそ、我愛羅の瞳には猿飛サスケという存在が眩しく映っていた。

 

「さて…しばらくは動けないだろうが、動けないお前がこんな場所に1人っきりってのも色んな意味で危険だ。

 護衛も兼ねて分身を残してく…【氷遁・氷分身の術】」

 

 そのサスケは、動けない我愛羅を保護する形で氷遁の分身体を1体だけこの場所に残し、本体のサスケは木ノ葉へと飛ぶ。

 

 この敗北が、砂隠れの里の人柱力が変わるきっかけになってくれたら───サスケはそう思いながら、大切な者達のもとへと戻るのである。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 大蛇丸は、とある少年───猿飛サスケを毛嫌いしていた。

 

 そして、志村ケンゾウと日向ビスのように特別な眼を持っていない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしかない───それが、猿飛サスケに対する大蛇丸の、サスケと出会う前の認識だった。

 

 しかし、その認識は悉く覆されてしまったのである。

 

 一度目の邂逅では大蛇丸ですら知らない性質変化を見せつけられ、二度目の邂逅では圧倒された。

 

 何も持たないただのガキとしか思ってもいなかった存在にここまで虚仮にされるなど、大蛇丸の人生でも初めてのことだ。年下に圧倒されたのは()()()のようだが…。

 

 全ての術を手に入れ、この世の真理を全て理解することを心から望む大蛇丸にとって、猿飛サスケという存在はなんとしても排除すべき弊害となった。

 

 大蛇丸は全力で猿飛サスケを抹殺しようとしている。

 

()()()()()()()()()、猿飛サスケのお気に入りなのは知ってるわ!あの忌々しい小猿に絶望を与える為に死んで頂戴ッ!!」

「ッ、サ、サスケッ!!」

 

 そして、大蛇丸は猿飛サスケを絶望のどん底にまで突き落とし、殺してくれと自ら請う───そんな苦痛を与えることを以前から本人に宣言し続けていた。

 

 香燐という名のうずまき一族の末裔である女の子。彼女は、猿飛サスケが雪の国で出会った女の子で、それからはほぼずっと行動を共にし、付き合いこそ短いが互いに気の許せる間柄となり、香燐にとっては恋い焦がれる王子様のような存在で、彼にとっても異性として意識しつつある大切な存在だ。

 

 忍の世界で、大切な者を失うことは別に珍しいことではない。ただ、猿飛サスケはこれまで命を奪ったことはあれど、大切な者の死を経験したことがない。これもまた、この世代の特徴の一つであり、世界が平和である証拠でもあるのだが…。

 

 だからこそ、大蛇丸は香燐を狙う。猿飛サスケが里に戻ってきた瞬間、大切な者が物言わぬ姿で地面に倒れているのを見たらどれだけの絶望を味わうのか───獲物が絶望した表情は、大蛇丸にとって最高のご馳走のようなものなのだろう。

 

「この私を虚仮にした小猿を恨むことねッ!!」

 

 香燐のそばに、大蛇丸からの攻撃を凌げる者は誰もいない。

 

 大蛇丸の引き起こした"木ノ葉崩し"。里内では、禁術【穢土転生】によって口寄せされた初代火影と二代目火影が猛威を振るっており、里の至る所で大蛇も暴れ、大蛇丸の部下達である音隠れの里の忍と、共犯の砂隠れの里の忍まで───せめてもの救いは、尾獣が里内で暴れていないことだろうか…。

 

「し、しまッ」

「ッ、香燐!!」

 

 猿飛サスケに対しての人質に取るわけでもなく、一直線に───命を奪う為に動く大蛇丸。

 

 ケンゾウもビスも意表を突かれ遅れをとってしまう。

 

 香燐へと迫る凶刃に、2人ですら間に合わない。

 

「!?」

「あ…」

 

 だが、大蛇丸が香燐へと刀を振るおうとしたその瞬間、眩い光が香燐を包み込み、目の前から忽然と姿を消す。

 

 突然の状況に困惑する者達。

 

 しかし、ケンゾウとビス、そして大蛇丸は視線を巡らせ、眩い光の正体を見つけ出し、片や笑みを浮かべ、片や苦虫を潰したような忌々しい表情を浮かべていた。

 

「ミ…()()()…?」

 

 初代火影と二代目火影と戦っていた三代目も異変に気付き、その瞳に眩い金色の存在を捉え驚愕する。

 

「せ…()()…?」

 

 三代目同様に驚愕する"写輪眼のカカシ"。

 

 その視線の先には、眩い金色のチャクラを迸らせ、火花を散らせる金髪の少年が宙に浮いていた。

 その腕には、壊れ物でも扱うかのようにとても大切そうに、香燐が横抱きにされている。

 

「サス…ケ…」

 

 一尾・守鶴と戦っていたはずの猿飛サスケが、戦場と化した木ノ葉にもう戻ってきたことに周囲は騒然と、唖然としている。砂隠れの忍達の驚き様はとてつもないものだ。

 それと同時に、猿飛サスケの豹変した───悠然とした姿に、"黄色い閃光"四代目火影を彷彿とさるその姿に、四代目火影を知っている敵は恐れをなし、対して木ノ葉の忍達は不思議と胸を高鳴らせていた。

 

「香燐。危ない目に合わせてしまったな…ごめん。けど、もう大丈夫だ。絶対に、何があっても香燐には手出しさせないから」

「サスケ…良かった…」

「ん?」

 

 優しい瞳で、香燐を安心させるかのように呟くサスケだが、彼の無事な姿を見た香燐は心底安心し、縋るように彼の胸に顔を埋めている。

 

「サスケが無事で…良かった」

 

 危機的状況に陥っていたのは香燐の方だったというのに、まさかそのような言葉が返ってくると思わなかったサスケは目を丸くし、そして苦笑いを浮かべていた。

 

 香燐を心配させていたことに申し訳なさを感じながら、ただそれと同時に心配してくれていたことに嬉しさも感じ、サスケは香燐に強い愛おしさも感じていた。

 その瞳には強い愛情が籠っている。

 

 香燐を抱える腕に力を込めたサスケは、彼女の頭に頬を寄せ、そして擦り寄せる。

 

「へッ!?サ、サスケッ!?」

「香燐…お前、可愛すぎ。いや、愛しすぎる。しかもスゲェ良い香りするし…もう放したくない」

「ええ!?そ、そんな…こと…言われても…うう…う、ウチも…サスケがす、すす、好き。…だ、大好き…だぞ」

 

 サスケからの激しいスキンシップと、いきなりの告白に大慌てし、頬を真っ赤に染めながらも、香燐もちゃんとその場で返事を返す。

 

 その姿を目にした者達の中には、もう10年以上前に頻繁に目にしていた()()()()()の光景を思い出し遠い目をしている者もいたりする。

 

「はあ…ミナトもクシナと人目を憚らずイチャイチャしておったのぅ。サスケ…そこは似てほしくなかったんじゃが」

 

 この状況で完全に2人の世界に入っている子供達に盛大にため息を吐く三代目。

 しかし、それと同時に頼もしさも感じているようだ。

 

 この状況───サスケが木ノ葉に舞い戻った今、不思議と安心感を覚えているのである。

 

 絶対に木ノ葉は負けない───滅びることなどない。

 

「柱間様、扉間様…あなた方が儂に託して下さった"火の意志"はちゃんと若い世代に受け継がれておりますぞ」

 

 三代目は、敵として前に立ち塞がる偉大な火影達に力強く告げる。

 

 猿飛サスケは、木ノ葉の忍達の希望となり、光となり、激しく燃え盛るのだ。

 

「サスケェェ!貴様この状況で人目も憚らず香燐といちゃつくとは何を考えている!?今は戦争中だぞ!?

 そんなことよりもさっさと大蛇丸を片付けろ!イチャイチャするのは後ッ!!」

「イチャイチャするのはこれ終わってからにしてくれないかなッ!?羨ましいけど、とりあえずおめでとうッ!!」

 

 このまま甘い一時を過ごしたいと思いつつも、視線を大蛇丸へと向けたサスケは激しい憎悪を向ける。

 

 サスケの怒りは、香燐に危害を加えようとされたことで限界を突破してしまったらしい。

 

「【氷遁・氷分身の術】

 香燐…悪いが分身と一緒に離れててくれ」

「わ、わかった…サスケ…絶対に死なないで」

「もちろんだ」

 

 不敵な笑みを浮かべたサスケは分身に香燐を任せ、本体は大蛇丸の眼前へと降り立つ。

 

「覚悟は出来てるんだろうな…大蛇丸。

【口寄せの術】!!」

 

 そして、口寄せの術で"髑髏"を口寄せする。

 

「ふ…ふふふ…あなたこそ死ぬ覚悟はできてるのかしら?それに、また猿なんて口寄せして…死の森でのアレかしら?私に同じ術は通用しないわよ」

「さてな…今回はお前の土俵で戦ってやる。

 髑髏!【猿飛流人獣融合】!!」

 

 死の森にてサスケが披露した躯との人獣融合とはまったく違う力───その力は、死を象徴する髑髏という名前をそのまま具現化したような姿となりて露になった。

 

「ッ…何…よ…それは…」

 

 大蛇丸ですらもその姿を前に背筋が凍る思いを味わっている。

 

 視線の先には、漆黒のロングコートに、漆黒のチャクラ刀を手に握り、そして左半分が血のような色の紋様に覆われた髑髏仮面を被り、眼球が黒く、瞳の色が黄色に変化したこれまた異形な存在が悠然とした姿で立っていた。

 

「遠慮なく行くぞ…オカマジジイ」

 

 新旧"三忍"対決。世紀の大決戦"木ノ葉崩し"は混迷極まる───熾烈さが更に増す。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 名刀と名刀のぶつかり合い───その音が響き渡っている。

 

 伝説の三忍の大蛇丸と死闘を繰り広げるその存在はあまりにも不気味で、まさしく死神と呼ぶに相応しい見た目だ。

 

「これはどうだ?」

「こ、このッ、【口寄せ・三重羅生門】!!」

「防げるかな?

【月牙十字衝】!!」

 

 漆黒のチャクラ刀を目にも止まらぬ速さで縦、横と振り抜くと、漆黒の月の牙が十字に重なり、禍々しい形相が彫られた巨大な───縦に三つ並んだ門へと放たれる。

 

 中忍試験本選の対我愛羅戦の開始時にサスケが披露した技が更に強化されたものだが、先の試合で見せた技を遥かに上回る威力を持つそれは、巨大な門を容易に破壊してしまった。

 

 門を突き破ったそれは、里に被害を一切及ぼすことなく里内で暴れている大蛇達すらも次々と切り裂いて行く。

 

「次…【神殺鎗(かみしにのやり)・舞踏連刃】」

「【潜影多蛇手】!!」

 

 髑髏との融合はチャクラ刀にも影響を及ぼし、高速で伸縮するチャクラ刀による連続の突きが大蛇丸へと襲いかかる。

 

 それに対して大蛇丸は、口寄せした大量の蛇を盾代わりにし、どうにかその攻撃から防ぐも、もはや防戦一方の状況が続いていた。

 

 大蛇丸を相手にし、追い詰める"次代の三忍"猿飛サスケ。

 

 その光景を目の当たりにする襲撃者───砂隠れ、音隠れの忍達は意気消沈とまではいかぬも、心のどこかで勝利などないことを悟っている者達もいる。

 

 そして木ノ葉の忍達は、大蛇丸と戦うサスケの姿に触発され、勢いを増して行く。

 

 それは三代目火影も同様で、更には偉大な先代達にすらも影響を及ぼしていた。

 

「むッ!………柱間様、扉間様、あれが…あなた方が一目置かれた我が父…猿飛サスケの子孫でございますぞ」

 

 その姿はまさしく木ノ葉隠れの里の守護神のようで、大蛇丸に操られているはずの初代火影と二代目火影も笑みを浮かべている。

 

 






「人目も憚らずいちゃいちゃしてるのはどこの誰かしら!?羨ましくて万死に値する!!
跡形もなく溶かしてあげるわ!!」

次話、メイ様乱入?

今回は髑髏との人獣融合ご披露会。
髑髏という名前だけに、融合したら左半分が血のような色の紋様に覆われた髑髏の仮面を被り、身体能力やチャクラ向上の他、躯との融合とは違い剣術等武器術に秀でたモードとなる。
獣人融合だと二本の角が生え、眼窩部を走る縦じま二本のの模様に変化した姿になるらしい。
猿関係ないって言ったらいけない。髑髏だから…虚化とか完全虚化とか…。

如意棒の伸縮能力が漆黒のチャクラ刀"天鎖斬月"に付与され、音速の500倍になる。


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一難去ってまた一難



最初のエドテン柱間と卑劣様の劣化って激しいですよねぇ。



 

 

 もしかしたら、その速さはかつて忍界最速と謳われ、【飛雷神の術】を開発した二代目火影をも上回り、更にはその二代目火影よりも飛雷神の術の扱いに長けた"黄色い閃光"四代目火影をも凌いでいるのではないだろうか…。

 

 それだけではなく、体さばきや剣撃の速さも神速の領域に達している。

 

 彼の、鉄の国の侍の大将ミフネにも引けを取らないかもしれない。

 そう思わせるほどに、猿飛サスケの剣術は強く、見る者を魅了していた。

 

「万象一切灰燼と為せ【火遁流刃若火・一ツ目"撫切"】」

「ぐああァァァァ」

 

 その黒刀から迸るのは激しい炎。

 

 あらゆるものを焼き尽くす炎は、下手をしたら木ノ葉隠れの里すらも崩壊させかねない。しかし、これでもまだ抑えている方だ。

 

 サスケは一ツ目の技にて、極悪非道な大蛇丸の両腕を激しい斬り合いの末に切り落とした。

 

「さて…これ以上里内で暴れるわけにもいかないからな。これで終わりにさせてもらうとしようか…大蛇丸」

「ぐ、ぐうゥゥ、わ、私の腕をッよくも…うぐッ、よくもォ!この小猿がァ!!」

「お、大蛇丸様ッ!!」

 

 地に落ちた両腕。

 

 両肩部分からバッサリと両腕を切り落とされた大蛇丸は苦渋に満ちた表情を浮かべながら負け犬として吠えるしかなく…。

 

「ふッ、それが貴様の末路…お誂え向きだろ。

【火遁・廃炎】」

 

 サスケは円盤状に形態変化させた炎を切り落とした両腕へと放ち、大蛇丸の目の前で燃やし尽くす。

 

「腕がなければ"印"を結ぶこともできず…もはや、お前に忍術はない」

 

 斬った箇所の細胞を炎によって壊死させ、大蛇丸の再生能力すらも無力化してしまったサスケは、大蛇丸ですらも背筋を凍らせるほどの残忍な笑みを浮かべている。

 

 だが、これも全ては大蛇丸が木ノ葉隠れの里に仇なした結果でしかなく、当然の末路なのだろう。

 

 駆け寄った部下達に支えられた大蛇丸はもう戦える状態ではない。

 

「お前の敗けだ…大蛇丸」

 

 勝者は若き忍───猿飛サスケ。

 

 その勝利は、世代交代を決定的なものにした。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 かつて、"木遁忍術"の唯一の使い手として"最強の忍"、"忍の神"と謳われた初代火影・千手柱間。

 

 だが、後代の人間には、面識のある三代目火影・猿飛ヒルゼンの世代を除いて"老人の懐古補正"、"誇張された御伽噺"と解釈されているらしく、偉人ではあっても忍の神と謳われるほどではなかったのではと思われているようだ。

 

 しかし、現代の忍達はそれが間違いであったことを───逸話が事実であったことを目の当たりにしている。

 それでも、全盛期には程遠いらしいが…。

 

「どうやら、【穢土転生】された柱間様と扉間様は、全盛期の力を出せておらんようじゃな。

 もっとも、柱間様と扉間様が全盛期の力で甦ってしまっては、大蛇丸は制御できなかっただろうが…」

「三代目から見て、今の初代と二代目は全盛期と比べてどれくらいの力しか出せてないのですか?」

 

 三代目と共に、穢土転生された初代と二代目と激闘を繰り広げていたケンゾウが興味本意で質問した。

 

 強い相手であることは間違いないのだが、勝てない相手ではない───そう思っていたケンゾウだが、初代と二代目の実力がこの程度ではないだろうと思っていたようだ。

 

「ふむ…5割程度か…下手したらそれ以下か」

「やはり…ですか。オレも、日向一族の長老から初代と二代目の逸話は聞いたことがあります。

 同じ人間とは到底思えなかったと」

 

 同じく、ケンゾウと三代目と共に初代と二代目と戦っていたビスも、穢土転生された先代達の実力に疑問を覚えていたらしく、全盛期の実力には遥かに劣っていると聞き納得していた。

 

 ただそれでも、劣化した状態の先代達の実力は並の上忍達を遥かに凌ぐ実力であるのは間違いない。

 これで全盛期の半分程度というのだから、全盛期の強さはいったいどれほどのものだったのかと背筋が凍っている者達が多いことだろう。

 

「あれはッ!?サスケッ!その【木遁・木龍の術】は縛り上げた相手のチャクラを吸い取る!絶対に捕まってはならぬぞッ!!」

 

 そして、その先代達は今、猿飛サスケと激闘を繰り広げている。

 

「了解…ッと!

 チャクラを吸う…か。けど、あの木龍を凍らせたら何も問題ないよな。

【氷遁・氷龍の術】!!」

 

 大蛇丸と激闘を繰り広げていたサスケだが、大蛇丸の三度目の正直も虚しく、サスケは大蛇丸の両腕を切り落として二度あることは三度あるのだとその身に教え込み勝利を納めた。

 

 ただ腕を切り落とされただけなら、己の肉体に改造を重ねるに重ねた大蛇丸はすぐに再生することができただろうが、火遁チャクラを纏わせたチャクラ刀によって一閃された箇所は壊死してしまったことで再生不可能となってしまい、もはや敗北は決定的なものでしかなく───その後、大蛇丸は部下達に支えられ逆口寄せを使い木ノ葉隠れの里から撤退した。

 

 首謀者である大蛇丸が敗北したことによって、砂隠れと音隠れの忍達も戦意喪失といったところだろう。

 

 ただ、穢土転生された初代火影と二代目火影だけは別だ。術者である大蛇丸が撤退してしまい、操られた状態のままで戦闘兵器として戦い続けている。

 

 穢土転生故にチャクラが尽きることは決してない。

 

「ケンゾウ!!」

「どうした?」

「お前の瞳術…()()を頼む。多分だけど、アレなら穢土転生に仕込まれた札を書き換えて支配権を奪うことが出来るんじゃないかと思うんだけど…」

 

 そんななか、氷遁の龍で木遁の龍を氷結させたサスケは、この穢土転生を止める方法を思い付いたのか、ケンゾウに何かを頼み込んでいる。

 

 穢土転生を止める為に、ケンゾウのみが扱える固有術が必要だとサスケは判断したのだ。

 

「なるほど…確かにあの術なら、初代と二代目を服従させている札を書き換えることは可能かもしれないな。やってみるとするか」

 

 すると、ケンゾウの瞳が八方手裏剣の紋様へと変化した。その瞳は、うちは一族の血継限界"写輪眼"を遥かに上回る瞳力を持つ"万華鏡写輪眼"───その完成形である"永遠の万華鏡写輪眼"だ。

 

「任せたぞ、ケンゾウ」

「この不毛な争いにさっさと終止符を打つとしよう。

別天神産巣日(ことあまつかみむすび)】」

 

 そして、ケンゾウの背に手を置いたサスケが飛雷神の術で初代の目の前に飛ぶと、操り人形と化して暴れ回っていた初代の動きが止まっていた。

 

「…!…これは…む、その瞳は"万華鏡写輪眼"か?」

「ええ。どうやら、お目覚めになられたようですね、初代様。とりあえず、オレの瞳術で札を書き換え、支配権を奪ったので初代様の自由に動けます。なので、今はまず二代目様を解放して頂いてもよろしいでしょうか?初代様の瞳に、オレの()()()()()しており、二代目様と瞳を合わせたら発動するように設定しておりますので」

「あいわかった。世話をかけてしまってすまんな、若き忍達よ」

 

 そう口にした初代はケンゾウの言葉通りに二代目のもとへと向かい、すると今度はケンゾウの言葉通りに二代目も大蛇丸の支配から解放され自我を取り戻したのである。

 

「相変わらず…お前のその瞳術スゲェな」

「お前はこの最強幻術【別天神(ことあまつかみ)】の支配下からも逃れてしまいそうだがな」

「さすがにそれは無理じゃないか?」

 

 ケンゾウは、初代に幻術"別天神(ことあまつかみ)"をかけると同時に【転写封印】を施した。本来この"転写封印"という術は、自身の瞳術を封じ特定の写輪眼へと発動条件を付け仕込む術なのだが、ケンゾウの万華鏡写輪眼の右目の固有瞳術"別天神産巣日(ことあまつかみむすび)"だけは、対象が写輪眼の持ち主でなくとも、幻術"別天神"を"転写封印"と併用して仕込むことが可能なのだ。

 

 今回は至ってシンプルに、初代に"別天神"を仕込み、二代目に施された札を書き換えるように仕込んだだけである。

 

 ただ、穢土転生の絶対服従の札すらも書き換えるとは───サスケもケンゾウの瞳術の恐ろしさを改めて目の当たりにしたらしく、瞳術の利便性を羨んでいるようだ。

 

「サスケッ!!」

 

 そんな、サスケがケンゾウの万華鏡写輪眼を羨んでいるなか、サスケの名前を叫び、胸に飛び込んでくる赤い髪の女の子。

 

「おッとと、香燐」

「サスケ!怪我はない?大丈夫?」

 

 心配そうに、潤んだ瞳で上目遣いしてくる香燐を、サスケは何も言わずに強く抱き締める。

 

「サ…スケ…?」

「疲れた…」

 

 チャクラ切れには程遠く、サスケのチャクラはまだまだ残っている。ただ、人柱力───尾獣との戦闘の後に、大蛇丸とも戦い、更には初代、二代目と戦ったサスケは精神的にかなり疲弊しているのだろう。

 そして、香燐を前に張り詰めていた気が緩んだといったところだろうか…。

 

「お疲れ様、サスケ」

 

 木ノ葉崩しは、こうして幕を閉じた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 数日後。

 

 大蛇丸が引き起こした木ノ葉崩しは、若き忍達の力によって食い止められ、どうにか木ノ葉隠れの里の勝利という形で終わりを迎えた。

 

 首謀者である大蛇丸の他、穢土転生された初代火影と二代目火影、そして砂隠れと音隠れの忍達の襲撃を受けながらも、少ない犠牲で里を守り抜けたのは、木ノ葉隠れの里の戦力の大きさ───いや、今回の戦争の勝利は、間違いなく三羽烏達の存在あってこそのものだろう。

 

 志村ケンゾウと日向ビスは、穢土転生された初代火影と二代目火影を相手に三代目火影を守り抜き、被害を最小限に抑え込んだ。そして、猿飛サスケは砂隠れの"人柱力"を倒し、更には大蛇丸すらも打ち負かしたのである。

 

 功労者は間違いなく三羽烏の3人だ。

 

「担当上忍として鼻が高いよ。まァ、当然の結果かもしれないけどね」

 

 三羽烏の3人の此度の活躍と、中忍昇格を誉める担当上忍のヤマトは、この結果に満足そうな笑みを浮かべている。わかりきっていたことかもしれないが、初めて受け持った教え子達が中忍に昇格したことを心から喜んでいるのだろう。

 

 そして、里内でも既にサスケ達の中忍昇格の旨は発表されているようだ。

 この発表は、里の住人達を安心させる意味合いも含んでおり、木ノ葉崩しの騒動後に何よりもの朗報だろう。

 

 木ノ葉隠れの里に三羽烏───次代の三忍あり。その勇名は、他里への牽制と抑止力で、木ノ葉にとって最強の矛と盾なのである。

 

 ちなみに、サスケ達以外にも中忍に昇格した者が2人存在し、春野サクラと奈良シカマルの昇格が決定したようだ。

 サクラの中忍昇格を誰よりも喜んだのはサスケだろう。

 

 ただ、残念な知らせもある。

 

 此度の騒動───大蛇丸の木ノ葉崩し。かつての弟子の不始末の責任を取って、三代目火影が火影の座から退くことを表明した。この表明に対し反対する者達が多かったのだが、三代目の意思は固く、それを止められる者は誰もいなかった。

 

 しかし、三代目が火影の座から退くとなると後継者───五代目火影はいったい誰になるのか…。

 

「儂の後任は自来也…と、言いたいところなんじゃが、あやつは柄じゃないと言って断るはずじゃ。

 そこで、五代目火影は()()に任せようと思っておる」

 

 初代火影の孫で伝説の三忍の紅一点。病祓いの蛞蝓姫やら医療スペシャリストといった異名を持つ忍界最強のくノ一の綱手が、三代目の後任第一候補───いや、候補ではなく決定事項とのことらしい。

 

 ただ、その綱手の行方がまったく掴めない状況らしく、三代目は困り果てているとのことだが…。

 

「なるほど…俺達で綱手様を見つけて、里に連れて帰ってこいと?」

「任務の内容はその通りじゃ。ただ、今回の任務は第一班としてではなく、猿飛サスケのみに与える任務じゃ」

「え?」

 

 サスケ達の活躍によって、どうにか少ない犠牲で済んだが、少なからず戦力が低下してしまったのは確かな事実。

 そして、その隙を突いての他里からの襲撃がある可能性を否定できない。特に、雲隠れと岩隠れの動向は警戒しておくべきところだろう。

 

「ヤマト、ケンゾウ、ビスの3人は里に残ってもらう。今や、第一班は木ノ葉に於いて最強の小隊じゃ。

 この状況で、お前達全員を捜索には回せん」

「なら、サスケはどうしてです?」

「ふむ。それについてじゃが、綱手捜索の任務にはサスケの他に、とある()()が同行することになっておる」

 

 サスケだけでも綱手を見つけ出すことは難しくないだろう。ただ、綱手を見つけ出した後が問題だと三代目は考えているのだ。

 

 自来也同様に、綱手も五代目火影就任の要請を断るだろうと三代目はサスケに自信たっぷりに告げている。つまり、綱手を見つけ出すことが出来たとしても、綱手を説得し、里に連れ帰るのはサスケだけでは困難だということだ。

 

 もっとも、綱手捜索の任務に同行することになっている内1人は自ら名乗り出てくれたらしい。

 

「なるほど、自来也様ですか。それは助かりますね」

 

 同じ三忍の自来也が説得に回ってくれるなら、それは頼もしい限りだ。

 

 そして、もう1人の同行者は、自来也に弟子入りした同期の下忍うずまきナルトのようである。

 綱手捜索と共に、自来也はその道中をナルトの修業時間に当てるつもりのようだ。

 

「なら、俺からも一つよろしいでしょうか?」

「何じゃ?」

「この任務…香燐も同行させてよろしいでしょうか?香燐の感知術は俺と同等…役に立つはずです。用心に越したことはない。それに、香燐にも身を守る術を教えておきたいと思っています」

「ふむ…まあ、それは構わん。あの子はまだ、どこの小隊にも所属しておらんからな…」

 

 自分が里を離れている間に、香燐に何か起きてしまったらと心配なのもあるのだろうが、サスケは許可が下りたことに心底安心した様子を見せている。

 

 綱手捜索の任務に、サスケ、香燐、自来也、うずまきナルトとは───なかなかに豪華な面子になったものだ。

 

 ただ、サスケを綱手捜索の任務に同行させてほしいと言い出したのはどうやら自来也らしく、綱手の捜索の他に何か理由があるのだろうとサスケは考えていた。

 

「ここからが本題なのじゃが…これはお主らだからこそ、お主らのみに話す里の最重要機密事項じゃ」

 

 そして、その考えは正しく、間違ってはいない。何より、三羽烏達は中忍に昇格したことで、今まで以上に慌ただしい日常を送ることになりそうだ。

 

「うちはイタチと、うちは一族についてじゃ…それと、ケンゾウ…お主に()()()を預けておく」

「はい?」

 

 三代目が懐から取り出し机の上に置いたのは、容器に入れられた四枚刃の手裏剣模様の()()だった。

 

 






とりあえず、三代目は生き残った模様。

大蛇丸は、脱皮して生まれ変わったりできるはずですけど、まだこの時は…って、展開です。腕だけの再生ならできたけど、両肩部分からバッサリ切り落とされて細胞が壊死して再生不可能となり…。脱皮は第二部までの間に習得、完成させたってとこですかね。

チャクラ刀、黒刀"天鎖斬月"を手に入れ、ケンゾウの燎原の剣に対抗する為に流刃若火を習得というか開発。
ただ、残火の太刀は無理っぽい。

【氷遁・氷龍の術】
氷遁の龍。木龍に対して使用し、木龍を氷結させた。
柱間が第四次忍界大戦時のレベルだったら氷結させることはできない模様。ただ、サスケの氷遁も手加減されており、本気には程遠い模様。

ようやく、右目だけだけどもケンゾウの万華鏡写輪眼を出せたァ。ケンゾウの永遠の万華鏡写輪眼は八方手裏剣の紋様です。元々は四枚刃の手裏剣だったのが重なって八方手裏剣に…。

右目【別天神産巣日(ことあまつかみむすび)
能力は別天神を転写封印して指定した3人に別天神をかける。別天神産巣日をかけられた人物が指定された人物に別天神産巣日をかけ、その人物がさらにもう1人の指定された人物に別天神をかける。
ケンゾウ→A→B→C。

今回は、柱間に別天神産巣日をかけ、卑劣様の自我を取り戻す為だけに別天神をかけただけだけど、本来なら二代目にも別天神産巣日をかけ、もう1人別天神をかけることができる。
普通に1人だけ別天神をかけることも可。1人だけの場合は、再発動までのインターバルは永遠の万華鏡だから数時間。
ただ、別天神産巣日の場合だと、指定した3人にかけ終わるまで再発動できない。

左目は追々。

木ノ葉崩し編終了。そして綱手捜索編へ突入。

綱手捜索編は、サスケのみが絡むことになります。第一班全員を捜索任務に回すなど、この状況ではあり得ないということです。

三代目が懐から取り出した目ン玉…それについては次話にて。


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託される者と、闇へ誘う者



お待たせしますたッ!!

皆様、いつも感想ありがとうございます!

感想読んでて一つ思ったんですけど、うちはサスケ…彼に関してなんですが、三羽烏にプライドを捨てて弟子入りするか、猿飛サスケに負けた大蛇丸に原作通り弟子入りするか…という、二択なんですが、皆様…カカシの存在忘れてる?www

原作通りナルトには自来也。サクラは少し変化があるも、猿飛サスケだったり、体術の修業の相手にリーだったり、今後は綱手という選択肢があり、サスケは担当上忍のカカシからマンツーマンで修業をしてもらえるはずなんですが………その選択肢がないという悲しさwww

皆さん、カカシ先生忘れないであげてェェ!!

カカシにあのまま鍛えられたらサスケがどうなっていたのか………その選択肢もプラスしてあげようよォwww



 

 

 木ノ葉隠れの里の外れにある森。

 

「うおォォォォォ!!」

 

 その場所にて、濃厚なオレンジ色のチャクラで構成された半透明の巨人が、チャクラで構成された巨大な刀を()()()()()へと振り下ろしている。

 

 その術───森羅万象すらも砕くとされ、永遠の万華鏡写輪眼を開眼した者のみが扱える【完成体須佐能乎】の一太刀はあまりもの威力で、地面を大きく陥没させていた。

 

()()()()…少しは気が晴れたか?」

 

 完成体須佐能乎の術者である志村ケンゾウは、額の部分にある頭襟を模した五角形のパーツに収まっており、いつになく不機嫌な様子を露にしている。

 

 そして、強力無慈悲な一太刀を漆黒のチャクラ刀にて防いでいる存在───髑髏との【猿飛流獣人変化】によって、2本の角を生やした眼窩部を走る縦じま2本の模様の仮面を被り、肌は白く変色し、髪もオレンジ色に変色するだけではなく長くなるという異形な存在に変貌した猿飛サスケは、不機嫌なケンゾウに静かに尋ねていた。

 

 ただ、巨人の一太刀を刀一本で小人が防いでいるその光景はあまりにも異様で、異質なものだ。

 

「もう少しだけ…付き合え」

「はいはい。けど、俺もこれから綱手様捜索の任務あるから、あとちょっとだけな」

 

 "尾獣"と遜色ない巨体を前にしながらも、この余裕たっぷりな様子でいられるのは、やはり猿飛サスケだから───そう思う他ないだろう。

 

「思いっきり…全てを吐き出せ、ケンゾウ」

 

 サスケは今、ケンゾウのストレス発散───いや、怒りのはけ口となり、ケンゾウの怒りを一身に受けている。

 

 そもそもこのような事態になったのは、三代目の口からサスケ達第一班に告げられた里の最重要機密が関係している。しかもその最重要機密は、第一班の中でもケンゾウだけは少なからず関係しており、彼が怒りを露にするのも当然の内容だったようだ。

 

 かれこれもう5年前、木ノ葉の"うちは一族"が一族出身の青年によって滅亡させられた事件───あの事件が、実は里の上層部が下した決断の後に決行された任務であったという驚きの事実が、その事件で祖父を失ったケンゾウに告げられたのである。

 

 そして、三代目からケンゾウに手渡された()()()()()───それは、ケンゾウの従伯父(いとこおじ)にあたる、うちはシスイの"万華鏡写輪眼"だった。

 

「シスイ兄さんは…じいちゃんは…オレがこの手でダンゾウって奴を殺しても決して帰ってこない!!」

「…そうだな」

「シスイ兄さんも、じいちゃんもオレが復讐することなんて望んでもいない!

 復讐してる暇があるなら、今よりももっと強くなるように修業に励めと…里を守れと言うはずだ!!」

 

 うちは一族が滅亡するよりも前、ケンゾウが兄のように慕っていた一族最強の幻術使い───うちはシスイがこの世を去った。ただ、当時うちは一族の中で一番の手練れだったシスイを死に追いやった人物が存在し、その人物がシスイの右目を奪っていたことも明らかになったのである。

 

 その者は、うちは一族の滅亡に大きく関わっているタカ派の極地のような存在で、元よりうちは一族を"里の安寧を脅かす最大の障害"と考え危険視しており、里からうちは一族を排除するタイミングを常々図っていたそうだ。

 

 その者の名は、()()ダンゾウ。暗部の忍に対して強い影響力を持っており、里の中だけではなく、他里でも"忍の闇"の代名詞的な存在として恐れられる存在で、未だに自身が火影になることを夢見る野心家なのだそうだ。

 

「老害めッ!!」

「無駄に歳はとりたくないもんだな」

 

 サスケとケンゾウが嫌悪感を抱くのも仕方ないだろう。

 

 うちは一族の滅亡に、シスイと祖父の死に、志村一族出身の者が深く関わっていたことも、ケンゾウの怒りにより拍車をかけている。

 

「まあ、その志村ダンゾウ…だったか?その老害は、二代目火影に説教喰らってんだろ?」

 

 三代目火影と同じく、二代目火影の弟子だった志村ダンゾウ。

 

 その者は現在、穢土転生の二代目火影に説教を受けているとのことだ。うちはシスイの万華鏡写輪眼が、ケンゾウの手に渡ったのも、シスイの件の真相が判明したのも、二代目火影の追及によるものらしい。

 

 ちなみに、穢土転生の二代目火影は、自我を取り戻したことをきっかけに、自身であれこれといったい何をやったのか、全盛期に近しい力を引き出せるようになっているようだ。

 

 ただ、余計なことはしないつもりのようだが、師匠として弟子の矯正中らしく、志村ダンゾウの他、御意見番達もこれを機に、もしかしたら三代目共々引退するかもしれないとのことである。潔く後の世代に託せとのことだ。

 

 大蛇丸が引き起こした"木ノ葉崩し"が里に被害を及ぼしたのは確かな事実だが、木ノ葉隠れの里の変革のきっかけともなったのではないだろうか…。それも良い方向で…。

 

「もう70歳?か、もしくは一歩手前か…新しい火影が老人ってのもな」

「二度と同じことが起きないように、やはりオレも火影を目指すことにしたッ!!」

 

 木ノ葉は三羽烏の存在もあって、五大国最強と謳われたかつての輝きを取り戻しつつある。

 

 三代目が火影の座から退くことを表明したのも、新しい時代の到来を確信し、もう自分の出る幕ではないことを悟ったからなのだろう。

 

「五代目は綱手様…なら、六代目は…ケンゾウかビスか…さて、どっちが火影になるかな?

 ま、どっちが火影になろうとも俺が支えてやるから安心しろ。あ、でも…俺は早めに引退するのもありか?()()()()()して、子宝に恵まれて、孫にも恵まれて…って、あれ?…ケンゾウ、俺って香燐と結婚するの?」

「知るかッサスケェェェ!!貴様はこんな時までオレを怒らせるのかッ!?」

 

 木ノ葉の将来は安泰。

 

 何故なら、五大国最強を名乗るに相応しい───最強の象徴が3人も存在しているのだ。

 

「そォら、いくぞッケンゾウ!おらッ!!」

「ぐッ!?」

 

 上空に舞い上がり、自身の何十倍もある"完成体須佐能乎"に一閃───巨人が地に膝を突き大地を揺らす。

 

「俺の勝ちだな」

 

 その内の1人は"忍の神の再来"と称えられるに相応しい力を持ちつつある若者だ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 木ノ葉隠れの里の玄関口。

 

「ええッ!?サスケも一緒なのか!?」

「そういうことだ…よろしくな、ナルト。

 自来也様、世話になりますというより、お久しぶりですね」

 

 その場所に、金髪碧眼の男の子、長い白髪の大男、赤い髪の眼鏡女子、そして───赤黒い髪の漆黒の存在が揃っている。

 

「本当に久しぶりだのォ、サスケ…本当に大きくなりおって。まあ、久しぶりの再会だが、男相手に感動なんかはまったくこれっぽっちもないがのォ。それに、男3人でむさ苦しい旅になるかと思ってたんだが、()を連れてきてくれて助かる。

 ただ…もう少し()()が欲しかったのォ」

「ひッ!?」

 

 長い白髪の大男───伝説の三忍の1人である自来也が、香燐に対してイヤらしい視線を向けると、香燐は驚いてサスケの背後に隠れた。

 

「まったく…自来也様、いくらあなた様でも香燐に対してそのような視線を向けるのは許しませんよ?」

「ッ、わ、わかった!儂が悪かった!だからその殺気を引っ込めろのォ!!」

「次はありませんよ?」

 

 香燐に何かしようものなら、三羽烏最強が黙ってはいない。たとえそれが、五代目火影候補として真っ先に名前が上がった人物だったとしても…。

 

 そして、サスケのキレっぷりを目の当たりにした自来也は、その姿に()()()()()()の姿が重なって見えているようだ。

 

 若くして一億両の懸賞金をかけられているのも改めて納得したことだろう。もっとも、サスケの懸賞金はまだまだ上がることになるのではないだろうか───それも近い内に…。

 

()()()も、()()()が関わると怖かったからのォ。笑ってるのに目が一切笑ってない…思い出しただけで冷や汗が止まらなくなってしまったではないか…。

(こ、この殺気は…ったく、大蛇丸が負けてしまったことにも納得だのォ。)」

 

 そんな思い出話を口にし、サスケが次代の三忍と呼ばれるに相応しい実力を持っていることに感心しながら自来也はふとあることに気付いてしまう。初代火影の妻はうずまき一族出身で、四代目火影の妻もうずまき一族───そして、初代と四代目どころか歴代の火影達全員を彷彿させる猿飛サスケが見初めた相手である香燐もうずまき一族。

 

 自来也もこれはもしやと感じずにはいられないはずだ。

 

「あ…そういえば、お前…メガネッ娘が好みだったのォ」

「んなッ!?」

「え?」

 

 ただ、それと同時に自来也はサスケの好みについても思い出してしまう。

 

「儂がどんなエロ本が欲しいか尋ねた時もメガネッ娘がいっぱい載ったのをリクエストしてたしのォ」

「そ、それ以上はッ」

 

 すると、その話を聞いていたナルトも何かを思い出したかのように口を開く。

 

「あ、そういえば、サスケの【お色気の術】もメガネかけてたような…あれ?…それに…赤髪…あーーー!!

 香燐が誰かに似てる気がしてたけど、サスケがお色気の術で変化した姿に似てたんだってばよ!!」

「だ、黙らっしゃいッ!!」

 

 サスケも思春期の男の子ということだ。自来也がエロ本をプレゼントしてくれることに胸を踊らせ、瞳を輝かせていた過去もあり、"忍者学校(アカデミー)"時代にナルトとエロ忍術を開発したりもしていたのである。

 

 そして、偶然ではあるのだが、サスケの好みはメガネッ娘だ。サスケのお色気の術が香燐に似ているのは本当にたまたまで、正確には香燐が成長したらこんな感じかも───と、思わせるような姿なのである。

 

 つまり、サスケにとって香燐は、好みをそのまま具現化したかのような存在なのだ。

 

「サ、サスケも…い、イヤらしい本とか…よ、読むんだな」

「香燐、安心しろ。お前さんはサスケの好みドストライクだぞ。儂がプレゼントしたエロ本の中で、サスケが一番のお気に入りだったのは赤髪のメガネッ娘だったからのォ」

「ド、ドストライク…う、ウチが?」

 

 頭を抱え、恥ずかしさのあまり地に膝を突くサスケだが、サスケのこんな様子など滅多に見れるものではない。

 

 香燐にも絶対知られたくなかったことだろう。しかし、香燐にとってはこれほど嬉しいことはないはずだ。好いた男の好みドストライクなのだから…。

 

「す、凄く…嬉しい!う、ウチ…サスケにエロ本が必要ないくらい頑張るからッ!!」

「へッ!?」

 

 何を頑張ってくれるのか───それは、香燐本人とサスケのみにしかわからない。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 その頃───サスケ達が綱手捜索の任務で里を離れるなか、木ノ葉隠れの里では、人知れず()()()が勃発していた。

 

()()()()()()…強くなりたければ、オレと共に来い」

「な、何者…だ…」

 

 力を求める少年───うちはサスケ。

 

 中忍試験本選にて、志村ケンゾウに圧倒的な力の差を見せつけられ敗北し、不合格となってしまったうちはサスケは、これまで以上に力に取り憑かれ、力を追い求める危うい状態になりつつあった。

 

 志村ケンゾウだけではなく、猿飛サスケと日向ビスの此度の活躍を目の当たりにしたうちはサスケは、己と三羽烏はいったい何が違うのかと苦悩し、強い劣等感にも駆られている。

 

 復讐を心に誓い、復讐心を糧に成長したうちはサスケ。

 

 そんな、うちはサスケの前に、突如として現れた異質な存在は、左目の部分のみ穴の開いた指紋またはフレンチクルーラーのような面をした、()()()()()()()()の左目を有した絶対的王者の貫禄を醸し出す謎の存在だ。

 

 その存在を前にサスケは恐怖を禁じ得ず、立っているのがやっとの様子である。

 

「こんな生温い里にいても、貴様は強くなれん…イタチに復讐など夢のまた夢…不可能だ」

「!?」

「オレと共に来れば、貴様に力を授けてやる…そして、()()を教えてやろう」

「し、真実…だと?」

 

 この者が何を考えうちはサスケに接触して来たのか、それはわかるはずもない。ただ1つだけ、うちはサスケがこの存在についてわかることは、この者も猿飛サスケ等と同様に、己を遥かに上回る実力を持っているということだけだ。

 

()()()()()()()()使()()()から教わっても、写輪眼の真の力は引き出せん。

 だが、オレと共に来るのであれば、写輪眼の真の力も…そして、その()()()の力もお前は手にすることができる」

 

 うちは一族の本家出身でありながら、サスケは写輪眼の使い手としてケンゾウに負けてしまった。

 

 その敗北は、うちは一族出身であることに強い誇りを持つうちはサスケのプライドをかつてないほどに傷つけた。

 

「お、お前についていけば…オレは本当に強くなれるのか?」

 

 その敗北は、うちはサスケが更なる闇へと堕ちるきっかけにもなってしまった。

 

 うちはサスケは藁にも縋る思いで、力を求め見ず知らずの存在へと一歩近づいてしまう。

 

「お前なら、修羅のごとき強さを手に入れることが可能だ…オレと共に来い、うちはサスケ。

 オレはこの世を統べる者…()()()()()()だ」

 

 仮面の者───うちはマダラと名乗ったその者から放たれる圧倒的な強者の貫禄にうちはサスケは魅せられ、決して取ってはならない手を取ってしまった。

 

「ふっ、歓迎する」

 

 その日、木ノ葉隠れの里から忽然と、何の前触れもなく人知れず、うちは一族の最後の末裔が消息を絶ってしまう。

 

 だが、これはまだほんの序章。

 

 世界はこれより、大きく荒れる。

 






ケンゾウの手に渡った眼球は、シスイの右目でした。

卑劣様が説教のついでに回収した模様。自ら引退を表明した三代目はともかく、未だに火影を目指している稀代様は説教喰らって御意見番共々にいい加減次の世代に託して引退しろやコラァ、人間爆弾にしたろかコラァと師匠に脅さ…説教されたとか。

さてさて、綱手捜索編なわけですが、自来也と面識のあるサスケですが、自来也からエロ本プレゼントされたこともあり、自来也にタイプの女を覚えられてました。
実はメガネッ娘フェチだったという…。

右目ではなく、左目の部分が穴の開いた指紋またはフレンチクルーラーのような仮面を被り、左目に薄紫色の波紋模様の瞳を宿した存在───名は、うちはマダラ。はてさて彼はいったい…。

そして、うちはサスケは………。カカシの選択肢プラスしたげようと言いつつ………うん、やっぱりうちは一族は里抜けしてこそ超一流への道が開けるというかね…。


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混沌と化す世界



BLEACHの最終章"千年血戦篇"がアニメ化…だと…?




 

 

 いったい誰がその情報を流したのか───綱手捜索隊は雲隠れの里の忍達と交戦中だ。

 

 狙われる理由は()()

 

 正確には、どちらも雲隠れの軍備拡張の為で、狙われているのは()()───"人柱力"のうずまきナルトと、うずまき一族の末裔である香燐だ。

 

 猿飛サスケもうずまき一族の血を引いているのだが、サスケに関しては捕らえるのが困難だと認識されているのだろう。そもそも、殺すことも困難ではあるのだが…。

 

 ただ、雲隠れも相変わらず無謀なことをするものだ。

 

 猿飛サスケの前で、香燐を拉致しようとするなど命知らずにも程がある。

 

()()()に手を出そうとしたこと…後悔させてやる…後悔どころか絶望させてやる。

【重遁地天・神威(しんい)】!!」

「お…俺の女…サスケ…」

 

 攻防一体の重力で雲隠れの忍達の攻撃を押し潰し、その者達そのものも重力で地に押し潰す。

 

 その様子からも、かなり怒っているのは明白だ。

 

「"木ノ葉の死神"…はあ、だるい相手だ。けど、こっちもボスから言い渡された任務なんでね。

 人柱力と、うずまき一族の女は頂かせてもらう。

【嵐遁・励挫鎖苛素(レイザーサーカス)】!」

 

 合わせた両手から強力なレーザー光線を高速で複数放ってきたその者は、見るからに気怠そうな色黒の男だが、その男は雲隠れ屈指の実力者だ。左肩付近に雷の刺青を刻んでいるのがその証拠でもある。

 

 雲隠れの里で"雷"の刺青は特別なものとされており、雷遁の扱いに於いて右に出る者もいない───影クラスの実力者でなければ刻むことを許されていないのだそうだ。

 

 しかも、雲隠れの現雷影である四代目雷影・エーですらも先代の三代目雷影から刻むことを許されておらず、その事実からもこの男が雷遁に於いて忍界屈指の実力者であることは明白だろう。

 

「サスケッ!?」

 

 雷遁と水遁を合わせた血継限界"嵐遁"を扱えるのも、この男───ダルイの実力が高いことを証明しており、次期雷影候補に名前が上がっているのも頷ける。

 

 光線を自在に曲げる、あらゆる方向からサスケに仕掛けるダルイは、口角を上げていた。

 

「俺の香燐が怪我したらどうしてくれる?

【雷遁・雷輪の()】」

「な、なにッ!?」

 

 対して、腕の周りに雷遁の輪を浮かべ、そこから11本の鋭い雷の箭を放つサスケ───その表情は、笑っているのに一切目が笑っていない。

 

 ダルイが忍界屈指の雷遁の使い手であることは確かな事実だろうが、木ノ葉隠れの里にはダルイを上回るかもしれない雷遁の使い手達が存在する。

 

 その内の1人は、あらゆる忍術を()()()する木ノ葉屈指の実力者で、"コピー忍者"の異名を持つ上忍はたけカカシだ。

 様々な術をその状況に応じて巧みに使いこなし、あらゆるモノを貫くカカシの代名詞とも言える【雷切】は、最強の雷遁と呼ぶに相応しい威力を誇っている。

 

 そしてもう1人は、奇しくもその者は雲隠れの里のせいで───雲隠れの里に()()()()()()()も同然の者だ。

 四代目火影ですらも完成させることができなかった術を完成させ、一族特有の体術"柔拳"に雷遁を合わせた彼特有の体術は一撃必殺の()()()と言える。

 雷遁の扱いに於いて、サスケですらも勝てないと言わしめるその者は、日向一族始まって以来の天才───日向ビス。

 

「オレの術を相殺した!?」

「いや…威力は俺の箭の方が上だ」

 

 それと、あともう1人は言わずもがな…。

 

 ビスには劣ると口にしているが、雷遁に関しても高いレベルで扱いこなしている。

 

 その術を前にしたダルイの瞳も、驚愕の色に染まっていた。

 

「こ、これほどの雷遁を…ッ、すみません、ボス!()()を使わせてもらいます!

【雷遁・参連(トリプル)黒斑差(くろぱんさ)】!!」

「へェ…黒雷か」

 

 ダルイの体の周りから豹を象った黒い雷が同時に三匹出現し、三匹の黒豹が雷の箭へと突進し衝突する。

 

 強烈な雷遁同士の衝突は激しい爆発を起こし、衝撃波で辺り一面を吹き飛ばした。

 

「うッ、サスケェ…」

「香燐、俺にしがみついてろ」

「う、うん」

 

 大きな土埃が上がるなか、サスケは香燐の腰に手を回して引き寄せ、絶対に傷つけないようにしっかりと抱き締めており、引き寄せられた香燐もサスケから絶対に離れまいとしがみついている。

 

 少しずつ晴れる土煙。サスケと香燐は、ダルイがまだ生きていることをしっかり感知していた。

 

「はあ…はあ…はあ…ぐッ」

 

 ただ、ダルイは地に膝を突いて肩で息をしている。ダルイの放った術は、黒豹一匹でもかなりの威力を誇る反面、かなりのチャクラを消費するものだ。決して、ダルイのチャクラ量が少ないわけではないが、一気に三匹も放ってしまっては疲弊してしまうのは当然だろう。

 

「木ノ葉に…好き勝手させるわけには」

「好き勝手してるのは雲隠れの方だろう。ナルトだけじゃなく…香燐まで狙って…また、忍界大戦でも起こす気か?」

 

 三羽烏のおかげで、かつての勢いを取り戻しつつある木ノ葉を止めるべく、雲隠れは動いている。

 

 だが、その三羽烏の捕縛は不可能───なら、せめて力を使いこなせていない人柱力だけでもと考え、雲隠れは()()人柱力を狙ったのだろう。

 

 その情報がどこから雲隠れに漏れてしまったのかは謎ではあるが…。

 

 しかし、今回の一件が第四次忍界大戦を起こすきっかけになった可能性が高いのは確かな事実だ。

 

 人柱力のナルトはともかくとし、うずまき一族の香燐を拉致しようとしたのは雲隠れからしたら事のついでであることは確かだろう。

 しかし、香燐を拉致しようものならサスケが黙っていないのは当然で、単身で雲隠れを襲撃するはず───いや、確実にやってしまう。

 

 そうなってしまったら間違いなく忍界大戦勃発となる。いや、もしかしたら、サスケならば痕跡を一切残すことなく香燐を救い出し、雲隠れに嫌がらせをやるだけやって、素知らぬ顔で里に帰還し、知らぬ存ぜぬを貫き通すかもしれない。

 

「まあ、香燐を拉致するなんて無理な話だ。仮にもし、香燐を拉致したとしてもすぐに救い出すし、雲隠れは跡形もなく消し去ってやる。死人に口なし…生存者はなしで、誰も俺がやったとは思わない」

 

 そんなことを口にするサスケは正しく死を司る神の如く…。

 

「あ、サスケ!こっちよりもナルトと自来也様の方がッ!!」

「ナルトを確実に捕縛する為に、雲隠れの人柱力を差し向けるとは…かなり本気のようだな」

 

 その後、サスケは香燐を連れて自来也とナルトのもとへと移動する。

 

 そちらでは"尾獣化"した雲隠れの人柱力と、師弟揃って大蝦蟇を口寄せした自来也とナルトが激しい戦いを繰り広げていた。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 その頃、とある洞窟内では、指紋またはフレンチクルーラーのような仮面をした男───うちはマダラだと自称する男と、その男の手を取ってしまった復讐者───うちはサスケが戦っていた。

 

 手を取ってしまったその男に、うちはサスケは猛攻を仕掛けている。

 

 だが、見るからに修業中ではない。

 

「そ、そんな話ッ、信じられるかッ!!

 イタチがッ…イタチが里からの命令で父さんと母さんをッ、一族の皆を皆殺しにしただとッ!?」

「嘘ではない…これが真実だ。イタチは、両親、恋人、一族の者達をその手で抹殺することを条件に、お前だけを生かす道を選んだ。そして、三代目にお前を守るように嘆願し、汚名を被り、そして"暁"を監視するという形で所属している」

 

 どうやら、うちはマダラを自称するこの男に、うちはサスケは復讐すべき相手である存在───兄、うちはイタチの真実を聞かされ、その内容を信じることが出来ずに激昂し、冷静さを失って勝てるはずのない相手に攻撃しているのである。

 

 ただ、これは戦いなどではない。うちはサスケが怒り狂い襲いかかってきているのを、自称マダラは意にも介さない様子であしらっているのだ。自称マダラを恐竜に例えたなら、うちはサスケは蟻───それほどまでの実力差が、この2人の間にはあった。

 

 そして、自称マダラはただ避けるだけで一切仕返しもせず、息が上がっているうちはサスケに話をしているだけ…。

 

「どうやら、中忍に昇格した"三羽烏"には三代目が直接話をしたようだ」

 

 もっとも、その話の内容は火に油を注いでいるようなものでしかないのだが、うちはサスケが木ノ葉隠れの里へ不信感を募らせるように誘導し、復讐対象をうちはイタチから木ノ葉隠れの里へと移行させ、最終的には自身の掲げる計画を達成する為の戦力として操るつもりなのだろう。

 

「ッ、な、何故アイツらにだけなんだッ!?」

「三代目は引退し、五代目へと代替わりする。それに伴い、御意見番達も引退する。()()()()もな…。

 火影含む上層部が一気に代替わりするわけだが、三羽烏は代替わりした…新しい木ノ葉隠れの里の中心であり、最高戦力と期待されている。最重要機密も教えておくべきだと判断されたということだ」

 

 うちはサスケには真実を告げることなく三羽烏にだけ───だが、三代目の口から聞かされようとも、うちはサスケが冷静でいられないのは火を見るより明らかだ。

 

「イタチ1人に重荷を背負わせ、一切の責任を取らずにぬくぬくと余生を過ごすってのか…」

 

 厳密には、責任を取って引退するのだが、うちはサスケからしたら自称マダラの言葉通りにし見えないだろう。

 

 三代目が三羽烏に真実を告げたのは、イタチの重荷を少しでも減らす為でもあるのだが…。

 

 怒りは───憎悪はますます増すばかり。

 

「イタチに…兄さんにだけ重荷を背負わせて…ふざけやがってッ!三代目も…御意見番の2人も…何よりダンゾウとかいう奴も…オレがこの手で必ず殺してやる!!」

 

 まだ幼いうちはサスケは、簡単に何色にも染まる。

 

「年老いたとはいえど、相手は歴代火影の中でもっとも長く火影を務めた三代目だ。

 ダンゾウも、その三代目のライバルだったと言われている。今のお前程度では返り討ちになるのは目に見えている」

「なら…さっさとオレに力を寄越しやがれ」

 

 その言葉を聞いた自称マダラは仮面の下で口角を上げ、そして仮面を外して素顔を晒し、背後に存在する()()()()と繋がった。

 露になった右目に()()()()()()()()を有する自称マダラは、うちはサスケを夢の世界へと誘う。

 

「まずは"万華鏡写輪眼"を()()させる」

「!?」

 

 真実を知ったうちはサスケの瞳には、()()とはまったく違って見えることだろう。

 

「再び絶望を…その瞳でしっかりと味わえ」

「ッ、う、うわあァァァァァ!!」

 

 生まれ育った里───木ノ葉隠れの里に全てを奪われてしまった悲劇の少年うちはサスケ。

 

 悲劇の少年は、復讐鬼へと変貌を遂げてしまう。

 

 もう、大切な兄の声も届くことはなく、ただひたすらに全てを破壊し尽くすのみ。

 

 力の根源は怒りであり、憎悪。

 

 目を覚ましたうちはサスケのその瞳には、この世界はいったいどう映っているのか…。

 

 自称マダラは目を細める。

 

「ふッ…悪いな、イタチ。お前の弟はオレが頂いた。今となってはお前の存在などオレにとっては些細なものだ。"()()()()"最大の障壁になるであろう猿飛サスケも今は里にいない…サスケは"神隠し"にでもあったかのように姿を消し、捜索も直に打ち切られるだろう」

 

 自称マダラが誰よりも危惧する相手───猿飛サスケは、綱手捜索の任務で里にはいない。

 しかも、綱手に代替わりする情報を、木ノ葉に強い警戒心を抱いている雲隠れの里に流したのはこの男だ。綱手捜索の任務に木ノ葉の人柱力と、うずまき一族のくノ一が同行している情報まで流すことでその2人を拉致するようにも仕向けている。

 

 当然、その情報は雲隠れだけではなく因縁ある岩隠れの里にも届いており、猿飛サスケはすぐに里へ戻ることが出来ない。

 

 全ては自称マダラの掌の上で動き、刻一刻と破滅への歯車が回り始めている。

 

 この世を統べる存在が───破壊神が動き出す。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 数日後───雲隠れの"人柱力"含む精鋭部隊を退けた後に、綱手の居場所を突き止めた綱手捜索隊御一行。

 

 その御一行はサスケを先頭に、綱手と、綱手の一番弟子で付き人のシズネの前に立っている。

 

「急いで正解でしたね」

「いったいどこから情報が漏れたのやら…だが、無事で何よりだ。久しぶりだのォ、綱手」

「じ、自来也」

 

 もしかしたら、綱手の方にも刺客が差し向けられているのではないかと予想したサスケは、ナルトの修業を後回しにし、綱手の捜索に力を入れていた。

 

 案の定───サスケの予想通りで、綱手を亡き者にしようと今度は岩隠れの里の忍達が動いており、なんと不安定な世の中なことか…。

 

「サスケ…この場はお前に任せる」

「了解しました。11秒フラットで終わらせるとしましょう」

 

 右手に漆黒のチャクラ刀を握り、左手には雷遁チャクラを迸らせ、土遁を得意とする岩隠れの忍相手に対し、雷遁を駆使して大立ち回りをサスケは披露する。

 

「五代目火影に手は出させん」

 

 そして、宣言通りに───漆黒の閃光が舞う。

 

 






綱手捜索の旅はめんどくさい展開に…。雲が香燐とナルトを狙い、綱手暗殺にも動き…。
自称マダラは、うちはサスケを引き込むと同時に、その辺も抜かりなく。

久しぶりにサスケの新術を出したような?
【雷遁・雷輪の()
箭と矢も漢字が違うだけで一緒です。
腕の周りに雷遁の輪を作り、そこから11本の雷遁の鋭い箭を放つ。
ジャウロ・ザケルガですね、はい。語呂の良さも術そのものもかなり好きだなァ。

雷遁ってどの作品でもかなり優遇されてますよね。
その中でも、ダルイの黒雷【雷遁・黒斑差(くろぱんさ)】はかなり好きです。
【雷遁・参連(トリプル)黒斑差(くろぱんさ)】は、黒豹を一気に三匹放つ術でございます。
弐連(ツイン)もあるし、無理すれば肆連(クアドラプル)もいける。



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不安定な世の中



ここまで続けて書けてることは奇跡………だけども、まだ第一部なんだなァ。

やる気をおくれェ!やる気でる感想、ご評価よろしくですッ!あと、お待たせしました!



 

 

 綱手様を見つけ出し、岩隠れの里の部隊を一掃した俺達───正確には、俺1人で殲滅してしまったのだが…。

 

 その後、俺達一同は時空間忍術【飛雷神の術】で木ノ葉隠れの里へ戻った。道中で再び襲撃を受ける可能性もあったからだ。

 

 綱手様も最初こそ渋ってはいたが、この状況では致し方なしと了承してくれた。

 ただ、五代目火影になるかどうかは、自来也様や三代目の説得次第といったところだろうか…。

 

 ここから先は、俺の出る幕ではない。

 

 それよりも、俺は戻ってさっそくまた任務を与えられている。しかも、この任務は第一班に与えられたもので、任務難易度は未知数───()()()()()()()()()だ。

 

 俺が綱手様捜索の任務で里を離れていた間に、うちはサスケがまるで神隠しにでもあったかのように里から姿を消してしまったらしい。

 それはもう忽然と───本当は、うちはサスケなど最初から木ノ葉隠れの里に存在していなかったのではないかと思ってしまうほどに、何の痕跡もなく消えたのだそうだ。

 

 俺の推測ではあるが、うちはサスケを連れ去った犯人は、恐らく時空間忍術の使い手ではないだろうか…。

 それも、俺や二代目、四代目並の使い手のはずだ。

 

 ただ、うちはサスケを狙っての大蛇丸の仕業か…。それとも、まったく別の者の仕業か…。それはわからない。

 

 この任務は間違いなく困難を極めるだろう。

 

「まったく情報のないこの状態でどうしたものか…とりあえず、大蛇丸をまずは探すとしよう。

 犯人が大蛇丸の可能性は高いからね」

「なら、"音隠れの里"…ですね」

「まずは田の国ですか」

 

 犯人第一候補───大蛇丸。

 

 大蛇丸はうちはサスケを狙っていた。当然、奴の仕業だろうと思うのは必然。

 ただ、俺は大蛇丸が犯人だとは思えない。根拠はなくただの勘。しかし、こういった時の勘は良く当たるものだ。

 

 しかし、証拠がまったくないのも事実で、地道な捜索になるのは明白。もしかしたら、大蛇丸を探っている過程で、うちはサスケの情報を得られる可能性もある。

 

 とにかく地道に捜索するしかない。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 うちはサスケ捜索任務開始から1ヶ月───何一つ情報は得られていない。

 

 正直、ここまで捜索が難航するとは思ってもいなかった。少なからず、何かしらの情報は得られるだろうとは思っていただけに、これには驚く他ない。

 田の国───音隠れの里を探ってはみたが大蛇丸は姿を消しており、ほぼ壊滅状態だ。

 

 大蛇丸がどこに身を隠したのかまったく情報を得ることができなかった。やはり一筋縄ではいかない。

 

 何の情報も得られない現在、うちはサスケは本当に神隠しにあったのか───もしくは、この世界とはまったく別の時空間に連れていかれたのか…。こう考えてしまうのは仕方ないだろう。

 

 うちはサスケの捜索は引き続き第一班が担当することを言い渡されたが、この1ヶ月で色々と変化も起きている。まず、木ノ葉隠れの里では、三代目火影から五代目火影へと代替わりした。自来也様と三代目が説得に成功し、綱手様が火影に就任してくれたのだ。

 綱手様の一番弟子で、ずっと付き人を務めていたシズネさんが秘書になり、相談役には里一番の頭脳を持つ奈良シカクさんが抜擢されたようである。

 

 三代目の時代から相談役を務めていた者達も引退となり、志村ダンゾウは完全に失脚。表面上は解体されていたものの、ダンゾウが秘密裏に私兵として組織していた"根"の暗部の者達は火影直轄の暗部に取り込まれることとなったようだ。

 

 ちなみに、自来也様は再び外での情報収集に当たろうとしていたようだが、自来也様が今まで1人で担っていた役割は俺達第一班が引き継ぐこととなった。

 どうやら、綱手様は自来也様を扱き使うつもりのようで、次官───里のNo.2として、新たな役職を作ることにしたらしい。

 

 言うなれば、"副大統領"のようなものだ。木ノ葉隠れの里的に例えたならば"日影"だろうか…。

 

 役職名はさておき、ダンゾウの元部下達を監視する必要もあり、自来也様が"暗部"の総司令官を兼任することにもなったとのことである。ついでに、正式にナルトの師匠になることが決定したとのことで、当面の間は作家業も休業となり、里の外で情報収集していた頃よりも忙しくなると泣いていたようだ。

 

 木ノ葉が大きく変わり行くなか、他里の動きに関してだが、雲隠れの里と岩隠れの里は相変わらず木ノ葉を警戒しており、緊迫した状況が続いている。

 砂隠れの里は、木ノ葉に対し全面的な降伏を宣言してきたとのことで、それを木ノ葉は受託。この件は三代目にとっての火影としての最後の仕事となったようだ。

 

 ただ、砂隠れは四代目風影が大蛇丸に暗殺されていたことが発覚したらしく、五大国の均衡が非常に不安定なものになっている。岩隠れがこれを機に動かないか常に警戒しておかなければならない上に、火の国、風の国、土の国に囲まれた小国───その隠れ里である"雨隠れの里"が戦場として再び荒らされることがないように気を付けなくてはならない。

 

 そして、砂隠れに近い岩隠れを警戒しておくのは当然だが、軍備拡張の為なら手段を選ばない雲隠れも警戒対象だ。

 

 おかげで、俺達第一班は国境沿いの警備にも回らなければならず、3徹も当然、寝れても最長睡眠時間が3時間未満の日々が続いている。いっそのこと、岩隠れと雲隠れを潰してしまおうと口にしたところ、ケンゾウとビスが止めるどころかかなり乗る気だった辺り、俺達は相当ストレスが溜まっているようだ。

 

 そして今日は、岩隠れの里の"人柱力"と戦闘になったわけなのだが、ストレスが溜まりに溜まってるなか、熔岩───熔遁という暑ッ苦しい術を使ってきたり、尾獣化して赤いゴリラになって暴れ回ったりするものだから、ストレス発散に付き合ってもらうことにした。

 

「【月牙十字衝】」

「バ、バカなッ!?オレの"尾獣玉"を切り裂いッごアァッ!?」

 

 どうやら、躯と髑髏は四尾・孫悟空と顔見知りらしいが一切遠慮せず、ケンゾウも【完成体須佐能乎】を発動し、ビスは【八十神空撃(やそがみくうげき)】という、掌にチャクラを込めて放つ巨大な拳撃を披露し、四尾・孫悟空をタコ殴りにした。

 

「こ、このガキ共いったいッ!?これじゃァまるでッ!!」

 

 まるでいったい何なのか───それはどうでもいい。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

「四尾を相手に圧倒するなんて相変わらず派手に暴れてるみたいね…忌々しいったらありゃしないわ」

 

 この場所に奴が近づいてるのは感知していた。ただ、ちょっと気になる点があったから言わなかっただけだ。

 

 どうやら、()()はしっかり完治しているらしいが、随分と面白い()()()()()()()()している。

 

「お、大蛇丸!?」

「どうやって腕を…」

 

 大蛇丸のことだ。細胞を壊死させたところで、必ず復活するだろうことはわかりきっていた。

 ただ、変貌したと同時に大人しくなったようで、俺のことをかなり警戒しているのが犇々と伝わってくる。

 

「そんなことはどうでもいいのよ…それよりも、()()()()()()()が行方不明というのは本当なのかしら?

 猿飛サスケ…どうなの?」

 

 寝言は寝て言えとはこのような時に使うのだろう。

 

 それに、うちはサスケはいつの間に大蛇丸の所有物になってしまったのだろうか…。歳を取ると被害妄想まで激しくなってしまうらしい。歳は取りたくないものだ。

 

 それはそうと、うちはサスケは大蛇丸に拉致されたわけではない───これは、大蛇丸の様子からも間違いないだろう。いったいどこから、うちはサスケの情報が大蛇丸に漏れてしまったのかは謎で、気になるところだ…。

 

「どうやら、本当のようね。やってくれるじゃない…私のサスケくんを奪うなんて」

 

 俺達は別に気にはしてないが、うちはサスケの兄───うちはイタチが聞いていたならばどう思うだろうか…。

 

 ただ、怒りでチャクラを荒ぶらせる大蛇丸はかなりの激昂ぶりである。明らかにこれまでとチャクラの質が違う。己の体にどのような改造を施したのか───大したものだ。

 

「大蛇丸、アンタじゃないならいったい誰がうちはサスケを連れ去ったんだ?」

 

 ケンゾウも万華鏡写輪眼を発動した状態でかなり警戒しており、大蛇丸が以前よりも強くなってしまったのは確かだ。伝説の三忍が更に強くなるなど笑えない。

 

「どうやら、見当はついてるみたいだけど」

 

 白眼が()()し、牡丹色に染まり氷晶のような模様を浮かび上がらせたビスも最大限の警戒を見せている。

 白眼版の万華鏡写輪眼とも言える"()()"───相変わらず、ケンゾウもビスも見せつけてくれるものだ。

 

「あら…やっぱり白眼にも更に上の瞳術があったのね。それ…どうやったら開眼できるのかしら?

 ケンゾウくんも欲しいけど、ビスくんも欲しくなっちゃったわ…2人とも、私のものになってくれないかしら?」

「ッ、どうして大蛇丸がその()をッ!?」

 

 写輪眼を欲しがってたはずの大蛇丸のその瞳には白眼───いったいどういうことなのか…。

 

 恐らく、この興味深いチャクラに変貌したことも関係しているのだろう。

 

「とある"血継限界"の子の体を頂戴したんだけど、"柱間細胞"と合わさって面白い化学反応を起こしたみたいで…そしたら白眼を開眼したのよね」

「そ、そんな…まさか」

 

 そこから推測できるのは、もしかしたら───全ての始まり、忍の祖とは白眼を持っていた可能性がある。

 大蛇丸が体を奪い取った相手の血継限界がいったい何なのかはまだわからないが、柱間細胞とその血継限界が一つとなり、先祖に近づいたということなのではないだろうか…。それならば、この急激な進化も納得できるものがある。

 

「本当は写輪眼が欲しいのだけれど…白眼も思ったよりは悪くはないわ。今はこれで我慢してるとこ…けど、これでもあなたには()()()()()()()のが腹立たしい限りよ…猿飛サスケ」

 

 前回───木ノ葉崩しが失敗に終わり、俺に敗北を喫した大蛇丸は、嫌々ながらも俺を認めているらしい。だが、俺に向ける表情はケンゾウとビスに対するものとはまったく違う、不機嫌さと不愉快さをまったく隠していないものだ。

 

「今はそんなことどうでもいいわ。今日は私のサスケくんが本当に拉致されてしまったのかそれを確認に来たのだけれど…あなた達に情報を提供してあげるわ」

 

 俺達ですらうちはサスケの行方は掴めず、何一つ情報も得ることができないでいた。

 

 だが、大蛇丸はうちはサスケを拉致した者の情報を持っているとのこと…。

 さすがは世界を股にかける犯罪者だ。逃げ回るにも情報は常に必要だろうから当然ではあるのだろうが…。

 

「あなた達は"暁"という組織を知っているかしら?」

 

 大蛇丸の口から聞かされた組織の名は暁。うちはイタチが監視している組織だ。

 かつては、大蛇丸も所属していた組織なのだから、何かしらの情報を持っているのは当然か…。

 

「知っているようね。なら、暁が"尾獣"を狙っているのも知っているはず…」

 

 三代目や自来也様から聞いた話によると、構成員の全員が人柱力や当代の五影並の実力者とのことだ。

 

 以前、俺が鉄の国近辺で激闘を繰り広げた3人は確かに強かった。

 

 "尾のない尾獣"干柿鬼鮫と、暁の財布係の角都という名前の奴だっただろうか…。

 

 イタチに関しては、自里の忍を殺すわけにはいかないと手加減してくれていた可能性もあるが、俺も手加減しておいて良かったと今は心からそう思う。

 

 少し論点が逸れてしまったが、暁がどうして尾獣を狙っているのか───それは自来也様も三代目すらも知らないそうだ。

 ただ、最強のチャクラを持つ尾獣達を全て手中に納めることができれば、間違いなく世界征服が可能だということなのだが…。

 

 そもそも、以前から気になっていたことがあるのだが、尾獣とはいったい何なのか…。

 

「は?サスケ、何を言っているんだ?」

「尾獣は尾を持つ魔獣で、それぞれが莫大なチャクラの塊でしょ」

 

 それは知っている。一緒に調べたから…。

 

 俺が言いたいのは、正確には尾獣が何なのか───と、言うよりも、尾獣がどうやって誕生したのか…。

 偶然、誕生したわけではないはずだ。なんとなくだが、それを知ることで暁の目的が明らかになるような、そんな気がする。

 

 幸いにも、俺達の目の前にはその尾獣の一匹が寝っ転がっているところだから、聞く相手もいる。

 

「何をするつもりかしら?」

 

 叩き起こして話を聞く。話をしてくれないのであれば、ケンゾウの写輪眼で幻術をかけて聞けばいい。

 

 

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 四尾・孫悟空は、名前をちゃんと呼んでやればちゃんと話をしてくれる奴だった。

 あと、躯と髑髏の仲介もあってか、尾獣についてはかなり詳しく説明をしてくれたところだが───その内容には、さすがの大蛇丸ですらも驚愕していた。

 

 尾獣が六道仙人が生み出した存在で、全ての尾獣の集合体である"十尾"を切り分けた存在だというのだから当然だろう。

 

 そして、暁───全員がそれを知っているのかはわからないが、暁のリーダーは間違いなくそれを知っているはず。

 

「暁…何がなんでも止めないといけないな。いや、止めるだけでは駄目だ」

「そうだね…跡形もなく壊滅させないと」

「そう簡単に殺されてくれる相手じゃないわよ。当然、暁もあなた達のことは強く警戒しているはず」

 

 ここでふと思った。普通に会話に交ざっているが、大蛇丸───コイツはどうしようか…。

 

「尾獣を集めるのは簡単じゃない。今のサスケくんなら、力を示せば簡単についていくわ」

 

 それはつまり、うちはサスケは拉致されたのではなく、力を手に入れる為に自ら進んで手を取ったということ。

 

 大蛇丸からの有益な情報。これは、それを代価に見逃せということだろうか…。

 

 ただ、大蛇丸よりも厄介な相手が存在するというのは確かだ。

 

 それに、また悪さをするのであれば、今度こそこの手で葬り去ればいい───跡形もなく。

 

 今気にするべきは、暁、十尾。この世界は、実に不安定だ。

 

 






不安定な世の中…その原因は三羽烏にもあり…。

平和な世の中の為に奔走するサスケ達。3徹普通。寝れても睡眠時間3時間未満。

忍界大戦のきっかけになるであろう砂への侵略などを警戒して、国境沿いの警備に当たるも、三羽烏の強大さが戦争のきっかけにもなりかねないという危うい世の中。

岩とか雲が相変わらずちょっかい仕掛けてくる。

君麻呂の体を奪い取った大蛇丸。柱間細胞の影響もあり、大筒木に近づいて白眼を開眼。君麻呂は念願叶って大蛇丸に肉体奪われました。だいぶ強化されてますが、本人曰くこれでも猿飛サスケには叶わないらしく…。

ビスくんの白眼の強化版。ようやくチラッと。
白眼版の万華鏡───"嚮眼(きょうがん)"。
瞳の色が牡丹色になり、氷晶のような模様が浮かんでいる。
能力はまた追々。


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