ガンダム・ソウルブレイク (黒霧春也)
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始まりの時

 気がついたら見た事のない部屋に俺は寝かされていた。

 

「なんだここは?」

 

 確か俺は、大学にから帰って来てガンダムのアニメを見て自分の部屋で寝たはずだ。

 

「それに、俺の体が少し小さくなっていないか?」

 

 部屋に備え付けられている鏡を見ると少し若くなっていた。

 

「これ、高校生位の俺じゃないか……」

 

 まぁ、ここから動かないとどうにもならないので部屋に置いてあった、タブレットを持ってドアを開けて部屋を出る。

 

 そして、部屋から出て適当に歩いていると

 

「嘘だろ……。ここって宇宙なのか?」

 

 ガンダムとかでよく見る宇宙空間だったが、重力はあるので何かのドッキリかなと思う。

 

 そして、タブレットの地図を見てある場所に到着する。

 

「モビルスーツ、しかもこのモビルスーツは」

 

 タブレットを操作して、ここにあるモビルスーツの名前を調べた。

 

「ストライクガンダム・シャドウストライカー装備」

 

 装甲はVPS装甲、バッテリーはエターナルエネルギーといった物だ。

 

 武装は、『イーゲルシュテルン』『アーマーシュナイダー』『ルプスビームライフル』『対ビームシールド』

 

 バックパック、『ビームサーベル×2』『ビームランチャー』『レールガン』

 

 タブレットで見た装備はこんな感じだ。

 

 後、エフォートという量産機が4機乗っていた。

 

 武装はM1アストレイと殆ど同じだが、カラーリングが青と白だ。

 

 俺はそれを見て唖然としていたが何とか復活して、今度は操縦室に移動する。

 

「これ、まんまアークエンジェルの部屋じゃん」

 

 タブレットを使ってこの場所の事を調べると武装と船の形はアークエンジェルと殆ど一緒だったのでビックリした。

 

「俺は転生か転移をしたのか? いやいや、そんなわけがない」

 

 夢か何かと思っていると

 

「夢ならモビルスーツに乗ってみたいが、練習のシミュレーションからだな」

 

 そう言ってシミュレーション室に移動する。

 

「おぉ! アニメのMSの操縦席みたいなのが、かなり精密に作られているな」

 

 俺は早速やってみる事にした。

 

「使う機体は、ストライクシャドウだな」

 

 武装はさっき確認したので、説明書を読んで初心者モードで戦ってみる。

 

「凄い機動力だ。っと、相手はジンか」

 

 俺はビームライフルでジン3機を上手く撃ち抜く。

 

「いやいや、こんな簡単に倒せるのか? それよりも敵の動きが分かったのは何でだ?」

 

 相手がどう動いて攻撃して来るのかが分かって、それに対して上手く反撃する事が出来た。

 

「まぁ、気にしなくていいか」

 

 俺はひたすらシミュレーション室で訓練をして楽しんだ後、お腹が空いたので食堂にある物を適当に食べてシミュレーション室に戻るを繰り返した。

 

 それから2週間後、上級者レベルも軽くクリアする事が出来るようになったので

 

「とりあえず、そろそろ動かないとマズイ」

 

 食料や水はまだ大量にあるが、数年しか持たないので補給したい。

 

「ただ、どうやって発信するんだ?」

 

 俺はタブレットに入っている説明書を読みながら調べた結果。

 

「これ、1人で動かすのは無理じゃないか?」

 

 という結論になった。

 

「仕方ない、MSに乗ってこの辺を彷徨ってみるか」

 

 そう思ってモビルスーツのある場所に移動しようとした時

 

『救援を頼む』

 

 といった通信がが聞こえて来た。

 

「はっ?」

 

 俺はその声を聞いて固まっていると

 

『誰でもいい、助けてくれ!』

 

 俺は、その通信相手がいる場所を調べる。

 

「おいおい、これってまさか戦闘か?」

 

 近くてモビルスーツの戦闘が行われているので

 

「仕方ない、ストライクシャドウで行くか」

 

 この船、名前は〈グリム・リーパー〉は廃棄コロニーの中にあって動かせないのでMSにで行く事にする。

 

 そして、黒いパイロットスーツに着替えてストライクシャドウに乗って出撃を始めた。

 

「俺の名前はどうしよう。まぁ、適当に名乗ればいいか。リューク・アンダー、ストライクシャドウ出る!」

 

 自動出撃システムを使って廃棄コロニーから出て周りを見る。

 

「あっちか、かなり派手な戦闘をしているな」

 

 海賊のドクロマークが付いた宇宙船3艦が茶色い宇宙船を攻撃していた。

 

「さて、どちらを味方しようか」

 

 俺はミラージュコロイド〈ブリッツの奴〉を発動して近づく。

 

 それから、通信チャンネルを開いて会話を聞いてみる事にした。

 

『さっさと積荷を寄越して死ね!』

 

「ヒャッハー』

 

『オレ達はジャンク屋だ。そんな積荷はない!』

 

 なんか、すれ違っているな。

 

 ただ、宇宙海賊とジャンク屋の戦いなのは分かった。

 

 なので、俺はミラージュコロイドを解いて戦闘体制に入る。

 

『リーダー、未確認のモビルスーツが接近してます』

 

『なに、ソイツは援軍か? だったらさっさと撃ち落とせ!」

 

 海賊の黒いMSがこちらに攻撃を仕掛けて来たので

 

「向こうが攻撃してくるなら反撃しますか!」

 

 俺は相手の実弾のマシンガンの雨を掻い潜って、ビームライフルとバックパックのビームランチャーとレールガンで、3機のMSを撃ち抜く。

 

『こちらのモビルスーツ3機がやれました』

 

『何だと! なら残りのモビルスーツも回せ』

 

 通信を傍受しているので大体動きが分かる。

 

 なので、ここからは一方的な蹂躙が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 



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初めての実戦

 俺は近づいて来た宇宙海賊のMSを見てある事を思う。

 

「相手はビーム装備は無いのか?」

 

 そうなったら、エネルギー無限でVPS装甲には勝てないな。

 

 俺は20機くらいのモビルスーツがマシンガンで攻撃して来たので

 

「悪いが、お前らの攻撃は見えているんだよ!」

 

 俺は回避しならかビームライフルで撃ち抜いていく。

 

『なんて速さだ、おれ達の攻撃が全く当たらない!」

 

『無駄口叩いてないで撃ちまくれ!』

 

 でも、結局は相手の攻撃は擦りもしないので

 

「相手、弱すぎないか?」

 

 俺はビームライフルでどんどん沈める。

 

 そして、全機倒したので海賊艦に攻撃を仕掛けようとすると

 

『モビルスーツ隊全滅……』

 

『バケモノか?』

 

 相手はそう言って180度旋回して逃げ始めた。

 

 俺は深追いはしたく無いので、そこそこ大きいがボロボロになっている宇宙艦に近づく。

 

「聞こえるか?」

 

 俺は相手の艦に通信を繋いで見ると

 

『た、助かった。君が助けてくれたのか?』

 

 相手は20代中盤くらいのお兄さんだったので

 

「まぁ、結果的にそうなりますね。ただ、貴方の返答によっては沈めますよ」

 

 俺はビームライフルの先端を相手の艦のコックピットに向ける。

 

『オレ達はジャンク屋のノーマットだ。だから怪しい者では無いから銃を下ろしてくれないか?』

 

 なんか半泣きになっているので

 

「ハァ、分かりました。ただ、怪しい行動を取ったら攻撃しますよ」

 

『わ、わかった』

 

 そして、俺と相手の交渉が始まる。

 

「まずは、助けてくれた礼を言う。ありがとう」

 

 相手は頭を下げて来たので

 

「別に、俺が勝手にやった事ですよ。それよりも、艦は大丈夫なのですか?」

 

『正直言えば、オレ達は終わりだな。宇宙海賊どもにエンジンを破壊されて動く事も出来ない」

 

 それは、都合がいいな。

 

「それなら、俺の宇宙船に来るか?」

 

『君、宇宙艦を持っているのか?』

 

「あぁ、しかも超高性能な宇宙艦をな。ただ、一つだけ提案。俺もジャンク屋の仕事を手伝わせて貰っていいか?」

 

『つまり、君はオレ達の仲間になるのか?』

 

「大雑把に言えばそうだが、もう一つ条件がある。艦長は俺だ。ただ、リーダーはそちらでいいぞ」

 

『一回考えさせてくれ』

 

 そう言って向こうは通信を切ったので俺は待つ。

 

 それから、1時間後に着信が来たので開く。

 

『その条件を飲もう。ただ、仕事内容はオレ達メインだぞ』

 

「別にそこは大丈夫だ。後、俺の名前はデューク・アンダーだ。これから、よろしく」

 

『オレはジャンク屋ノーマットのリーダー、ルート・エクリスだ。艦長、よろしく』

 

 俺はこうやって新しい仕事に着く事になった。

 

 そして、向こうの宇宙艦のエンジンは破壊されているので、ストライクシャドウのエンジンを全開にして、艦を押しながら廃棄コロニーに向かう。

 

『デュークが乗っているMSはかなり高性能だな。海賊のMSを簡単にやっつけられる性能があるよな」

 

「そこは、まだ後で話す。それよりも、俺の艦がある廃棄コロニーに到着したぞ」

 

 俺は〈グリム・リーパー〉の横にジャンク屋の艦をつけて橋を繋いだ後、艦に戻ってMSから降りて迎えに行く。

 

 ただ、万が一の時用に銃は持つ。

 

 そして、橋が開いて相手を見ると

 

「こんな大きい艦は軍くらいしかないぞ」

 

 相手のリーダーのルートと男女数人が近づいて来た。

 

「まぁ、色々あるんだよ」

 

 よくよく考えたら、俺は怪しい人物だよな。

 

 そう思っていると

 

「へぇー、さっき海賊のMSを全機倒したパイロットが!こんな若いとはね」

 

 相手の女の子がそう言って来たので

 

「お前も十分若いと思うぞ。それよりも、他の所に行くぞ」

 

 俺は、タブレットを操作しながら客室の道を調べて、俺達は移動する。

 

「さて、まずは契約の事だな」

 

「その前に、助けてくれた報酬はどうすればいい?」

 

「それは、後で大丈夫だ」

 

 向こうは、契約書みたいな物を出して見せて来たので

 

「なる程、特に問題点はないな」

 

「逆に何かあったら、お前に宇宙のチリにされるよ」

 

 俺はその書類にサインして渡す。

 

「じゃあ、この艦の事を教えてくれるか?」

 

「それなら、このタブレットを見てくれ」

 

 俺は艦内にある施設を見せる。

 

「おぉ、かなり充実しているじゃん」

 

 そう答えたのは俺と近そうな男だ。

 

「食堂、美味しい料理が食べられる。ジュルリ」

 

 今度は残念なお姉さんがそう喋る。

 

「デュークさん、この艦はなんですか? 性能がおかしいですよ!」

 

 なんか面倒になって来た。

 

「とりあえず、物質とか積み替えて出発するぞ」

 

 リーダーのルートさんがそう言った。

 

 それから、ジャンク屋の艦から売れそうな物や従業員を〈グリム・リーパー〉に移動させた。

 



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グリム・リーパー、発進

 あれから3日後

 

「やっと、出発が出来る……」

 

 モビルスーツの動かし方や艦内の説明を済ませたら、数日が経ってしまった。

 

「艦長、リーダー、それではグリム・リーパー発信します」

 

 操縦桿を握った残念美人のリーア・アードムがそう喋る。

 

 そして、発信して廃棄コロニーから宇宙に出る。

 

「やっぱり速いな。オレ達が乗っていた艦の倍以上だな」

 

 俺の隣で座っているルートが喜んでいるが

 

「それより、まずは何処に向かうんだ?」

 

 俺はタブレットの地図を開いて見ながら質問する。

 

「それは、火星だな。あそこには金になる物が沢山あるからな」

 

「例えば、500年前に起こった大戦争で使われたMSやMAの素材とかですね」

 

「他には、高い鉱石もあるぜ」

 

 中々色々あるんだな。

 

「ただ、火星は権力者のペンタグラムの五家が仕切っているから、中々難しいけどな」

 

「後、ヒューマンスレイブも沢山売っています」

 

「ヒューマンスレイブ?」

 

 直訳すると人間奴隷だが……。

 

「ヒューマンスレイブはその名の通り、人間の奴隷だな。火星は貧富の差がとても激しから、子供が売られる事が多々あるんだ」

 

 それ、かなり厳しい世界だな。

 

「ちなみに、オレ達の仲間もヒューマンスレイブ上がりの奴はいるが、普通に接してくれないか?」

 

「別に差別する事はないぞ」

 

 差別した所で何になるんだ? 

 

「お前は捻くれていると思っていたが、そうでもないようだ」

 

「それは答えるつもりはない。それよりも、火星にはどれくらいで着きそうだ?」

 

「このスピードだと、明後日くらいにつきそうです」

 

〈グリム・リーパー〉の性能に驚いているみたいだが

 

「これは……。航行不能の小型宇宙艦があります」

 

「なんだと!」

 

 ルートさんが椅子から立ち上がる。

 

「生命反応があります。恐らく、誰かに襲われて逃げて来た後だと思います」

 

 なる程、それなら俺の出番だな。

 

「ルート、俺はストライクシャドウで出撃する。そっちは敵艦がいないか注意してくれ」

 

「了解だ。でも、もし戦闘になっても新人パイロットは訓練中で使えないぞ」

 

「俺のMS操縦の腕は知っているだろ。とりあえず、行ってくる」

 

 俺は操縦室から出て、パイロットスーツにに着替えてストライクシャドウに乗り込む。

 

『デューク艦長、ストライクシャドウ発進大丈夫です』

 

「デューク、ストライクシャドウ出るぞ」

 

 そして、発進して小型宇宙艦を探しに行く。

 

「その、目標は何処だ?」

 

『はい、それは小惑星の後です』

 

 俺はレーダー頼りに探して

 

「この、緑の艦か」

 

 そこまで大きくない艦だったので、〈グリム・リーパー〉に持って帰る。

 

 そして、パイロットスーツから艦長の服に着替えてモビルスーツ格納庫に向かうと

 

「これは一体どういう事だ?」

 

 何故か、豪華な服を着た少女とメイド服を着た女性数人がルート達と話し合っていた。

 

「デューク、大変な事になった。お前が拾って来た小型艦の中に火星の権力者の関係者がいたぞ」

 

 ……はっ?

 

 俺は少女の方を見る。

 

「貴方がこの艦の艦長か? ボクはエルミナ・コメット。火星の権力者の一家、コメットの長女だ。悪いが本家まで連れて行ってくれるか?」

 

 銀髪のショートカットの少女がそう言って来た。

 

「悪いが、報酬の相談も無いのに連れて行く事は出来ない」

 

 そう喋ると

 

「貴方、このお方はコメット家の長女なんですよ! それに従いなさい」

 

 メイドの1人が癇癪を起こしたので

 

「なら、貴女達を宇宙で放置してもいいんですよ」

 

 リーアがそう言って睨む。

 

 ちょっと待て、操縦室には誰がいるんだ?

 

 そう思うが

 

「それに、あのMSはなんですか? 性能がかなり良さそうなんですけど」

 

 ハァ、これはマズイな。

 

「ルート、どうする?」

 

 正直、リーダーに丸投げするしか無い。

 

「悪いデューク。オレも何も思いつかない」

 

 まさかのこのパターンか……。

 

 そう思っていると誰かのお腹がなった。

 

「すまないが、何か食べる物を恵んでくれないか?」

 

 お腹を鳴らした張本人であるエルミナが顔も真っ赤にして話す。

 

「分かった。とりあえず、食堂に行くか」

 

 俺達はコメット家の者達を食堂に案内する。

 

 そして、料理を提供すると

 

「ハムハム、美味しいぞ!」

 

 凄い勢いで食べているので

 

「私の分が無くなりそうです……」

 

 リーアが彼女達を睨んでいるので、頭を殴っておく。

 

「痛い! 艦長、私の頭を殴らないてくださいよ!」

 

「お前な、さっき大量に食べただろ。少しは我慢しろ」

 

 何故か、俺達はそうやって言い合っていると彼女達は満足したみたいだ。

 

「ふう、数日ぶりにまともな食事が食べれた」

 

 エルミナがそう言って来る。

 

「あの、何故宇宙で彷徨っていたんだ?」

 

「それは、宇宙海賊に襲われてたのです。ただ、上手く出し抜いて逃げたのはいいのですが、食料の事を考えて無くてこうなりました」

 

 あのな、護衛くらいつけとけよ。

 

「ここは安全だと聞いていたのですが違ったようですね」

 

 もう、突っ込む気にもならない。

 

 それから、コイツらとの話し合いが続く。

 

 

 

 



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宇宙海賊再び

 悲報、エルミナ・コメットはMSシミュレーションにハマる。

 

「中々難しいな。でも、こちらのモビルスーツの性能がいいから戦える」

 

 今は中級者向けのシミュレーションをしているが、中盤まで行くのでかなりいい腕だな。

 

 結局火星に向かっているのでついでにおろせばいいかと言った結論になった。

 

 そして、火星に後数時間で到着という時に

 

『艦長、至急操縦室まで来て下さい!』

 

 オペレーターの声が聞こえたのですぐに向かうと

 

「これって、もしかして海賊か?」

 

 目の前には、前に見た戦艦が5隻とひとまわり大きい戦艦がこちらに主砲を向け来た。

 

「どうしますか!? この状況はマズイですよ!」

 

「大丈夫だ。とりあえず、特殊防壁を貼ってくれ」

 

 なんとか指示を出して動いてくれる。

 

「デューク、これは戦うのしか無いな」

 

「ルート、パイロット候補生はまだ実戦には出せないから俺だけが出る。ただ、この艦の迎撃システムで余裕で勝てそうなんだが」

 

 そう話していると、向こうが主砲を放って来た。

 

「めっちゃ撃たれているのですが大丈夫なんですか?」

 

「とりあえず、反撃だ。第1戦闘配備」

 

『第1戦闘配備、繰り返す第1戦闘配備!』

 

 オペレーターがアナウンスした時に海賊艦は大量のモビルスーツを出撃した。

 

「おいおい、80機くらい来たぞ」

 

「まぁ、なんとかなるだろ。ゴットフリート1番2番撃て!」

 

 俺は指示を出して主砲のゴットフリートで攻撃すると

 

「嘘、海賊艦が一隻沈んだ……」

 

 まぁこんなもんだろ。

 

「バリアント、ミサイル撃て!」

 

 バリアント×2とミサイル×24が一斉に放たれてMSと艦をもう1隻沈める。

 

 だが、相手のMSも〈グリム・リーパー〉に近づいて来た。

 

「艦長、大量のMSが近づいて来たのですが!」

 

「大丈夫だ。イーゲルシュテルンで撃ち落とせ!」

 

 なんか、一方的にボコっているような気がする。

 

「さてと、俺は出撃する。後は任せたぞ」

 

「了解だ」

 

 俺はパイロットスーツに着替えて、ストライクシャドウに乗り込む。

 

 そして、カタパルトに移動して

 

『ストライクシャドウ、発進どうぞ!』

 

「デューク・アンダー、ストライクシャドウ出るぞ!」

 

 相手のMSは1体も逃さん!

 

 俺はビームライフルを使って的確に相手を撃ち落とす。

 

「弱すぎて相手にならないな」

 

 そう思っていると

 

「なる程、エースがいるな」

 

 明らかに動きが違う相手がいて、ビームライフルで狙うが中々当たらない。

 

「なら!」

 

 俺はビームライフル、イーゲルシュテルン、ビームランチャー、レールガンを一気に撃つが、他の海賊のMSには当たるが、肝心のMSには殆ど当てられなかった。

 

「なら、アイツは放置して他のMSを沈めるか」

 

 俺はビームライフルを連続で撃って数を減らして行く。

 

『待て、死にたくない!』

 

『誰か、助けて』

 

 なんか色々聞こえて来るが

 

「お前らは、これまで何人の人を襲って来た? それで助けては違うだろ!」

 

 俺はかなりの数を減らしたが、肝心のMSは倒せてない。

 

「向こうのマシンガンは当たらないが、こちらの攻撃も当たらないのが厄介だな」

 

 ビームライフルを腰にマウントして、背中のビームサーベルを抜いて接近する。

 

「向こうも剣を抜いて迎撃するのか」

 

 ただ、性能が段違いなので相手の剣と右腕を切り裂く。

 

 そして、逃げようとする所にイーゲルシュテルンを打ち込んでスラスターを破壊する。

 

「コイツは使えそうだ」

 

 俺は相手のMSパイロットに通信を入れる。

 

「お前、そのMSの性能おかしいだろ! おれは腕利きの傭兵なのに全く歯が立たなかったぞ」

 

 20歳くらいの赤髪の女性がそう言って来たので

 

「お前、ここで死ぬか俺に従うかどっちがいい?」

 

 声を低くして脅すと

 

「ま、待ってくれ! おれはここで死にたくない」

 

 なんか、半泣きになっているので

 

「その理由はなんだ?」

 

 と質問する。

 

「おれは火星の孤児院で育ったんだが、そこの経営が良く無くてな。それで傭兵になっただが、あんまり稼げないんだ……」

 

「途中経過はいらない、大事な所だけ話せ!」

 

「わ、わかった。おれは高給が出ると聞いて海賊の手先になったが、全然仕送りが出来ないんだ。それに、ここで死ぬとガキどもが終わる。だから見逃してくれ」

 

 なんか、思いっきり頭を下げて来たが

 

「1ついうが、お前は帰る所はないぞ」

 

「えっ?」

 

 俺は海賊艦が全艦沈んだ所を見せる。

 

「嘘だろ。それじゃあ、おれは死ぬか牢獄にぶち込まれるしか無いのか……」

 

 ハァ、なんかあれだなと思っていると

 

『デューク、海賊艦とモビルスーツを全滅させた。これから回収作業に入っていいか?』

 

「いいぞ。ただ、捕虜を1人捕まえたから連れて行くな」

 

『捕虜、了解した』

 

 俺は半壊したMSを引っ張って〈グリム・リーパー〉なら戻る。

 

 それから、新人パイロットの練習を含めて回収作業を始める。

 

 



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火星に到着

 あれから、海賊艦にあった売れそうな物を回収すると

 

「デューク、倉庫がパンパンだぞ」

 

 俺は倉庫の状態をみて頭を抱える。

 

「こうなるのはわかっていたけど、流石に詰め込み過ぎだろ!」

 

 物資が大量なのはいい事だけど限度はあるぞ。

 

「リーダー、ジャンク屋ギルドに連絡をしたら回収に来るらしいですよ」

 

 コイツらはジャンク屋だから色々繋がりがあるみたいだ。

 

「これなら、大儲けが出来るな」

 

「そうだな。後、捕虜のアイツはどうなった?」

 

「それは、ここの飯が美味しいから大量に食べているぞ」

 

 アイツも残念なパターンか。

 

「あと、モビルスーツを増やしたいな。今の人手だと少なく感じるからな」

 

「それはそうだが、ツテはあるのか?」

 

「ジャンク屋ギルドで型落ちは買えると思うがかなり高い」

 

 なら、海賊はなんであんなにMSを用意出来たんだ?

 

 その事が気になるが

 

「まぁ、今日は勝ったからいいか。それよりもパーティーだ!」

 

 俺達は、パーティーを開いてこの日は沢山飲み食いをしてストレスを発散した。

 

 それから数日後、ジャンク屋ギルドの宇宙艦が回収に来てくれたので、使える素材は殆ど回収する。

 

「全部で軽く数十億は行くと思うぞ。ただ、回収に来てくれたから2割は渡さないといけないけどな」

 

 俺達は火星に降りてジャンク屋ギルド向かう。

 

「なる程、かなり大きな建物だな」

 

 目の前には大きなビルにジャンク屋ギルドと書いてあった。

 

「それよりも中に入るぞ。あと、交渉はオレに任せてくれ」

 

「了解した」

 

 俺達は数人で中に入ると

 

「ようこそジャンク屋ギルドへ。予約されていたノーマットの皆様ですね。会議室に案内します」

 

 受付の人がそう言ったので案内してもらった。

 

 そして、出されたお茶を飲んで待っていると

 

「お前らが、海賊艦を沈めた奴か」

 

 40代くらいのオッサンが扉を開けて入って来たので

 

「そうです。ただ、その話よりも今回の売値の事を聞きたいですね」

 

 ルートがそう切り出すが

 

「それなら、これでどうだ?」

 

 オッサンの秘書がタブレットを差し出して見せて来る。

 

「かなりの額ですね」

 

 そこにはかなりの額が記載されていたので内心驚く。

 

「お前らが海賊を沈めたから、その分の報酬が入っているだけだ」

 

 なる程、それなら納得だ。

 

「それと、お前らのMSを見させて貰ったが、アレはかなりの代物だな。何処で手に入れたんだ?」

 

「それは、言えないですね。飯の種をホイホイ言いたくは無いです」

 

 ルートさん、交渉が出来ているな、

 

 それからも色々話したが、特に影響がある事は無かった。

 

 そして、話し合いが終わってジャンク屋ギルドのカタログを貰ってMS情報をみる。

 

「やっぱり、型落ちが多いな」

 

 性能はそこまで良くは無いみたいだ。

 

「まぁ、作業+戦闘ならこれくらいでも良く無いか?」

 

 ただ、いい値段がするので中々手が出せない。

 

「なら、リーズンを5機買うか。装備はビームガンとヒートソードだな」

 

 リーズンはジャンク屋ギルドの量産型MSで戦闘も出来るが、基本は物資回収などらしい。

 

 そして、受付でリーズンと武器を頼んで、用意するので数日後に取りに来て下さいと言われた。

 

 なので〈グリム・リーパー〉に帰って、他のメンバーにその事を伝える。

 

「MSが5機も増えるのか?」

 

 そう言ったのはクルーの1人であるゴート・バルドンだ。

 

「自分は、MSが増えるのは賛成ッス」

 

 後輩ぽい口調をしているのは、クルーのカルネ・エトスナだ。

 

「しかし、ドースのオッサンがまた目が回りそうだな」

 

 ドース・メトトンさんはこの艦のMS技術者のリーダーだ。

 

「なにせ、ストライクシャドウとエフォートの性能に唖然としているのに、これ以上は大変だぞ」

 

「そうッスね。あの5機は軍のMSよりも圧倒的に性能が良すぎるんですよ。どうやって手に入れたんスか?」

 

「それは言えないな。まぁ、データと修理施設はこの艦に入っているからドッグを使わなくても治せるぞ」

 

「軍に売ったら凄い金になるな。ただ、そうなると面倒には絶対になる」

 

 ルートがそう言ってみんなが頷く。

 

「そういえば、コメット家の長女を本家に送りにいかなくて大丈夫なんスか?」

 

 そういえば、そうだったな。

 

 あと、赤髪女の孤児院の事も聞いておかないとな。

 

 ハァ、やる事が多い。



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コメット家

 あの後、エルミナをコメット家の本家に送らせようとしたが

 

「艦長、あのMSをくれ。もちろん金は払うから」

 

「待て待て、あの機体は俺専用だから無理だ」

 

 まさか、ストライクシャドウを欲しがるとは思わなかった。

 

「シミュレーションであの機体を使ったらかなりいい所まで行けたのと、海賊と戦っている時に無双しているのが凄かった」

 

 俺の機体を使えないようにロックしておけば良かったと感じる。

 

「なら、設計図をくれるか?」

 

「断る」

 

「なんでだ!」

 

 だが、このまま言い合いするのはマズイので

 

「ハァ、わかった。他の機体の設計図は渡すな」

 

 俺は仕方なくこの艦のデータにあったジェノアスの設計図を渡す事にした。

 

「とりあえず、この機体はどうだ?」

 

「悪くは無いぞ」

 

 写真を見せると少し渋い顔をされたが、いいみたいだ。

 

 というか、この艦のデータベースを見ると、大量の機体データが載っていたからビックリした。

 

「あと、汎用OSもおまけにつける。ただ、この話はお前の家に着いてから話すぞ」

 

「デューク、お前は何者なんだ?」

 

 異世界からの転生者です。

 

 それから数日後、コメット家から迎えが来た。

 

「エルミナ、生きていたのか!」

 

「お父様、なんとか無事でした」

 

 40代くらいのダンディーなおじさんが来てエルミナにそう言っている。

 

「エルミナを助けてくれてありがとう。君がリーダーでいいんだね」

 

「はい、私がジャンク屋ノーマットのリーダー、ルート・エクリスと言います」

 

 なんか、ルートがガチガチになっているので

 

「お礼をしたいから車に乗ってくれるか?」

 

「はい。ただ助けたのは私ではなくて、艦長の彼です」

 

 ちょっと待て……。

 

「ほう、黒髪の彼が助けてくれたのか」

 

「はい。あと、彼は海賊のMSを単騎で数十機を倒す腕を持っています。僕も戦闘を見た時はビックリしました」

 

 おいエルミナ、何故その事を話す。

 

「なら、彼も一緒について来て貰おうか」

 

 なので、俺とルートがコメット家の当主である、ガイルド・コメットさんに連れて行かれる。

 

 そして、コメットの本家に着いたが

 

「メチャクチャ大きい家だな」

 

「ルート、ここでその事を喋るな」

 

 そこには貴族の豪邸が佇んでいた。

 

「凄いだろ。ここがペンタグラム第2家、コメット家の本家だ」

 

 なんか自慢げに話して来るので、シバいてもいいかな?

 

「なあ、デューク。この場合はどうすればいいんだ?」

 

「知らん!」

 

 俺とルートは執事さんに高級な服に着替えさせらた後、客室で紅茶を飲む。

 

「なんか、凄く落ち着かないな」

 

「安心しろ、俺もだ」

 

 一応、手土産のジェノアスの機体データは持っているが、足りないような気がして来た。

 

「なんで、そんなにガチガチなんだ?」

 

 お姫様みたいな服装のエルミナが入って来るので

 

「ほっといてくれ」

 

 と答える。

 

「そういえば、お父様に手土産の事を少し話したら大喜びだったぞ」

 

 量産型の機体で喜ばれたらガンダムのデータを渡したらどうなるんだ?

 

 それはさておき、ガイルドさんが入って来てソファーに座ったので話し合いが始まる。

 

「まずは、娘を助けてくれてありがとう。このじゃじゃ馬娘を相手するのは大変だっただろう」

 

「はい、大変でした」

 

 俺は素直に答えるとエルミナに睨まれた。

 

「それで報酬だが、エルミナを貴殿達に預かってくれないか?」

 

 ……はっ?

 

「実は、私の叔母がかなりの野心家でかなり被害が出ているんだ。それて、安全なコロニーの別荘に行って貰おうと思ったが、海賊に襲われてこれだ。なら、君達に任せたい。もちろん報酬と生活費は払う」

 

「いやいや、流石にそれは無理ですよ」

 

 ルートがそう喋るが

 

「もちろんこれだけでは無い、コメット家が君達の後ろ盾になろう。これなら、火星である程度好き勝手やれるぞ」

 

「デューク、どうする?」

 

 後ろ盾は魅力だが、問題が起きている所に突っ込みたくは無いな。

 

 そう考えていると

 

「デューク様、僕は迷惑かもしれないですがよろしくお願いします」

 

 エルミナが頭を下げて来たので

 

「ルート俺が決めてもいいか?」

 

「あぁ、いいぞ」

 

 よし、リーダーからの許可は貰えた。

 

「条件付きならいいですよ」

 

「条件? ある程度は飲むぞ」

 

 ガイルドさんがそう言ってくれたので

 

「1つ目、身の回りの事は自分でやる事。2つ目、ジャンク屋の仕事を手伝ってくれる事。3つ目、俺達に出来るだけ迷惑をかけない事。これが条件です」

 

 一応、真面目に考えたぞ。

 

「それなら、大丈夫です。僕とお付きの従者が手伝えばいいのですね」

 

「まぁ、そんな感じだ。後、MSの実戦に出て死んでもウチは責任は取らないのも追加」

 

 これを入れないとマズイと思って追加する。

 

「そういえば、MSのデータを持って来てくれたのは知っているが、見てもいいか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 コメット家のタブレットにデータをインストールすると

 

「この機体かなり高性能だが、素材が難しいな。ただ、作ってみる価値はありそうだ」

 

 ジェノアスは量産型の中ではそこそこ性能がいいからな。

 

「もちろん、データの報酬とこの機体の配備も出来たらさせて貰う」

 

 もはや、ジャンク屋では無くなっているような気がする。

 

 そして、話し合いが進んてエルミナは正式にウチのクルーなった。

 

 

 



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孤児院の経営

 あの後、エルミナと従者数人がウチのメンバーになった事とコメット家が後ろ盾になった事を説明すると

 

「これで、お金にはあまり困らなくなったッス」

 

 カルネが喜んでいるが

 

「本当に受けてしまって大丈夫なのか? この艦にはまだまだ秘密があるんだろ」

 

「あそこで断ると何が起きるか分からなかったから、受けるしか無かった」

 

 まぁ、秘密データは誰にも渡さんがな。

 

「それは一旦置いておいて、あの赤髪の女の事が分かりましたよ。彼女の名前はリズ・クトムア、傭兵ギルドの腕利きMSパイロットの1人です。ただ、稼ぎがあんまり良く無かったのと、孤児院の借金が大量にあって潰れそうになっている事は確認しました」

 

 なる程、それは厳しいな。

 

「ただ、アイツのMSパイロットの腕は確かだから雇いたいな」

 

「デュークにそこまで言わせるのは凄いな。だが、どうする?」

 

「俺が考えているのは、孤児院売り払う+足りない分はこちらで払う。そして、子供達は見習いとしてジャンク屋を手伝って貰う。大体、こんな感じだ」

 

 ぶっちゃけ、MSパイロットは不足しているからな。

 

「確かに、今は人手が欲しいからな。しかもガキなら結構働くと思うからな」

 

「賛成ッス」

 

 みんなも頷いているので良かった。

 

「あと、今月の給料を従業員に払わないといけないですね」

 

「それと、稼ぎが多かったからボーナスも出さないとな」

 

 なる程、それはいい。

 

「とりあえず、明日孤児院を訪ねてみるか。あと、万が一があるかもしれないからMSの準備をしてくれるか?」

 

 闇金とかだった場合厄介だからな。

 

「了解です。それと、彼女を連れて来ますね」

 

 リーアがそう言って通信機で何かを言って十分後、赤髪の女性が連れてこられた。

 

「おれの処分は決まったのか? まぁ、良くて監獄行きだな」

 

 完璧に諦めた目をしているので、俺はまっすぐ彼女を見て

 

「1つはそれだな。ただ、もう1つの選択があるが聞くか?」

 

「なんだ? 他にもあるのか?」

 

 彼女の表情が少し変わったの。

 

「あぁ、この艦のMSパイロットになって欲しい。そうすれば、孤児院の子供達は助けるぞ」

 

「なんだと!? お前らと敵対したおれを雇うのか?」

 

「違うな。お前達を雇うんだよ。孤児院は借金でどうにもならないから売るとして、子供達はこの艦で見習いとして働いて貰う。もちろん、給料とかはちゃんと出るぞ」

 

「いいのか……」

 

 リズは崩れ落ちるように泣いているので

 

「とりあえず、明日孤児院の場所を教えてくれ。お金を借りている所には札束を叩きつけてやる!」

 

 という事で準備開始。

 

 リーダー達にはお金を下ろして来て貰って、補給部隊には金を渡して大量の物資買って来て貰う。

 

 あと、俺達は明日に向けて話し合う。

 

 そして、次の日。

 

 その孤児院に向かうと

 

「お前ら、大丈夫か!」

 

「リズお姉ちゃんだ!」

 

 子供達が沢山出て来て、孤児院の先生が半泣きになっていた。

 

「良かった。生きていたのね」

 

 ヤバイ、凄く場違い感がある。

 

「これは良かった。でも、僕も着いて来て良かったのかな?」

 

「エルミナ、お前にも着てもらった理由はあるぞ」

 

 俺は後ろに振り向いて

 

「そこに隠れている奴出てこい!」

 

 銃を取り出して向けると

 

「おやおや、私達の事に気づいていたのですね」

 

 太ったオッサンとその部下が出て来た。

 

「あの、お金は用意しますから待ってください」

 

「待たない、これ以上の引き伸ばしは出来ない相談だな。さあ、ここから出て行け」

 

「わかりました。出て行けばいいんですね」

 

 その発言は予想通りだ。

 

「待ってください。私達、ここを追い出されたら行く所が無いです」

 

「院長、それは大丈夫だ。リーダーと艦長がちゃんと用意しれくれている」

 

 なので子供達と先生、合わせて約40人を俺の艦である〈グリム・リーパー〉に乗せる。

 

「凄い、これが宇宙艦なんだ!」

 

 子供達ははしゃいているが

 

「私達に何をさせる気ですか?」

 

「子供達は見習いとして働いて貰います。ただ、お金とかご飯はちゃんと出ますよ。後、先生達は子供の世話をよろしくお願いします」

 

「いいのですか? 詐欺か何がじゃないですか?」

 

「それは無いよ。このエルミナ・コメットが乗っているから大丈夫だよ」

 

「コメット様!?」

 

 エルミナの事で驚いているが、なんとかなったみたいだ。

 

 そして、孤児と先生達に部屋を案内と仕事内容を説明した後、のんびりする事にした。

 

「しかし、こんなすんなり行ったけど何かあるよな」

 

「そうたな。あの闇金会社がこれで諦めるわけはないな」

 

 まぁ、こちらにはコメット家の後ろ盾があるから何とかなるだろ。

 

 俺は操縦室で色々話しながらニュースを見ると

 

『今日入って来たニュースです。鉱山で大型のMAが暴れて被害が出ています。その対処に当たったMDGにも大損害が出ています」

 

 ……なんだと!?

 

「デューク、これはマズく無いか?」

 

「ルート、確かにマズイ。しかもMAはかなり強力だが、そこにいるのは何かありそうだ」

 

 MSパイロットは訓練中なのと、ジャンク屋からの機体も届いたばかりだからキツイ。

 

「ここは放置するしか無さそうだな」

 

「難しいッスね」

 

 せめて機体とパイロットが余裕があればな。

 

「艦長、リーダー、ジャンク屋ギルドから通信が入って来ました。MAの撃破の依頼を送られて来ました」

 

 ……はっ?

 

 



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MA討伐依頼

 まさか、ジャンク屋ギルドからこんな依頼が送られて来るとは思ってもいなかった。

 

「いや待て、討伐依頼はジャンク屋ギルドじゃなくて傭兵ギルドだろ!」

 

 ルートがそう突っ込むが

 

「傭兵ギルドも大隊を率いてMAと戦ったのですが、全く歯が立たなかったみたいですね」

 

 リーアが真面目に答えて来るので

 

「なら、おれの出番だな。ノーマットに来てからの初仕事だな」

 

「バカかお前は!」

 

 俺はリズに拳骨を落とす。

 

「ちょ、痛い!」

 

「あのな、流石に相手が悪い。それと、MAの火力とかは基本MSよりも上だぞ!」

 

「確かにそうだが、艦長の機体なら勝てると思うぞ」

 

 何処からその確証は来ているんだ?

 

「まず、相手が分からないのに戦うのはキツイ。後、倒したとして目立つのは嫌だ」

 

 今は向こうの戦力も分かってないから難しい。

 

「鉱山の中にはお宝かあるかもしれないよ」

 

「何お宝だと!」

 

 おい待てルート、なんで目が輝いているんだ?

 

「例えば、昔のMSとかだね。今ならかなり高く売れると思うよ」

 

 エルミナがそう説明すると、ルートの目がこちらに向いた。

 

「デューク、すまん。MAを倒してくれ」

 

「無理だ!」

 

 コイツまでこうなるか……。

 

 まぁ、相手の戦力を見に行くのは良さそうだな。

 

「ハァ、わかった。とりあえず、様子見だけはして来るな」

 

「ありがとう」

 

「なぁ、おれも機体を貸してくれないか?」

 

「まだ、ダメだ。機体に慣れてない奴に貸す事は出来ない」

 

 俺はそう言って、操縦室から出てパイロットスーツに着替える。

 

 そして、ストライクシャドウに乗ってカタパルトに向かう。

 

「本当にいいのか? オレが無理言っている事は分かっているから気を付けろよ」

 

「まぁ、見学だけだから大丈夫だろ」

 

 街の戦艦駐車場から鉱山までは結構距離があるみたいだ。

 

 まぁ、いいか。

 

『ストライクシャドウ、発進どうぞ!』

 

「デューク・アンダー、ストライクシャドウ出るぞ!」

 

 カタパルトから押し出されてVPS装甲を起動する。

 

 エネルギーは無限だから、スピード重視で目的地に向かう。

 

「しかし、街から出ると土が多いな。道もあまり舗装がされていないみたいだ」

 

 そう喋りながら、夜に現場に到着する。

 

「目標発見」

 

『艦長、相手は高火力のビーム砲を持っているらしいです。気をつけてください」

 

「待て待て、俺は見学に来ただけで戦う訳では無いぞ!」

 

 そう言った直後、ストライクシャドウのすぐ横をビームが通り抜けていった。

 

「……バレているのか?」

 

 俺はMAを見ると

 

「めっちゃこっちをガン見しているな」

 

 かなり距離が離れているのに凄いな。

 

「仕方ない、戦闘開始だ!」

 

 俺は機体を空に飛ばしながら近づくと

 

「なる程、あの顔の砲から高出力のビームが出ていたんだな」

 

 なんか、鳥みたいなMAだなと思う。

 

「まずは距離をとってビームで攻撃するか」

 

 俺はビームライフルで攻撃するが、相手は上手く躱す。

 

「やはり近づかないと当たらないか!」

 

 俺はそう言って近づくと

 

「チッ、バルカンも備えているのか」

 

 ガトリングで攻撃して来たので盾で防ぐ。

 

 そして、ビームライフルを連射して翼に当てるが

 

「かすった程度じゃあ無理だよな」

 

 今度は本体を狙うが中々当たらない。

 

「なら、逃げ場所を無くすだけだ!」

 

 俺は遠距離攻撃で攻めて行くと

 

「よし、バルカンに当たった。ただ、あの尻尾も厄介だな」

 

 尻尾の先端がビームサーベルみたいになっているな。

 

「しかし、地形での有利はあるとはいえかなり厳しい」

 

 向こうは飛べないのが救いだ。

 

 そして、ジワジワ攻めて行って

 

「よし、顔面の砲を破壊した。後は押し切るだけた!」

 

 俺は遠距離攻撃の一斉放火してMAに攻撃する。

 

『ギイィ!』

 

 と声がしてMAが爆発する。

 

「ふう、やっと倒したか」

 

 俺はMAの破片を見ると粉々になっていたが

 

「これ、かなりいい素材だな」

 

 MAを倒して原因を探ろうとすると

 

「おーい、無事か?」

 

 エフォートが4機こちらの近くに到着した。

 

「はっ? なんでここに来たんだ!」

 

「それは、お前が心配だったからだ。何戦闘になっているんだ!」

 

 リズが怒っているみたいだが

 

「あのな、このMAはこっちをロックオンしていたから戦うしか無かったんだよ!」

 

 こちらにも言い分はあるので反撃する。

 

「まぁまぁ、結果的になんとかなったからいいじゃ無いですか」

 

 他の奴らはそう言って来るが

 

「おれは納得して無いぞ」

 

 まぁ、話はなんとかするか。

 

 そう思って鉱山を探索すると

 

「黒いガンダム……」

 

 そこには、黒いガンダムとMS2機があった。

 

「艦長、これは500年前の戦争で使われた、メサイヤフレームですよ。あと、黒いのはシュバルツガンダムと書いてあります」

 

 なんだと!?

 

「とりあえず、〈グリム・リーパー〉を読んでくれ! これを回収する」

 

「「「「了解!」」」」

 

 ちなみに、戦艦はすでに呼んでいたみたいだ。

 

 



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昔のMS

 あれから、封印されていたシュバルツガンダムとメサイヤフレームのMSとMAの破片を回収したら朝になった。

 

「ハァ、なんでこうなるんだ?」

 

 俺は操縦室の艦長の椅子に座りながら項垂れていた。

 

「確かに倒してこいと言ったが、本当に倒して来るとは思っても無かったぞ」

 

「ストライクシャドウで倒せたのは良かったが、クルーの機嫌がかなり悪くなっている」

 

 特にリズと顔を合わせると睨まれた。

 

「まぁ、こちらもかなり心配していたんだぞ」

 

「その原因を作った奴には言われたくねーよ」

 

「それはスマン……」

 

 今現在、他のみんなは回収して元の戦艦駐車場に戻って来てMAの素材を確認している。

 

「しかし、報酬はかなり出たぞ。ただ、メディアにはどう説明すればいいのか悩んでいるみたいだ」

 

「そんな事知るか! 機体説明とかは一切しないぞ」

 

 俺はそうやって喋ると

 

「艦長、少し付き合え!」

 

 リズがいきなり入って来て、俺の左腕を掴む。

 

「なんだ?」

 

 俺の思考が固まってしまったが、なすがままに連れて行かれる。

 

 そして、連れてこられた場所は

 

「ここは、子供達の大部屋?」

 

 何かあるのか?

 

「入るぞー」

 

 リズが扉を開けると

 

「リズお姉ちゃんお帰りー、あっ、艦長さんも来たんだ!」

 

 子供達が集まって来たので

 

「お前が守ったものだ。そして、これからも守って行く事だ。艦長、お前は1人で行く傾向があるからここに連れて来た」

 

「確かに、それは否定出来ないな」

 

 基本1人でやって来たのを思い出す。

 

「ここにはおれ達やみんながいる。だから、もう少し素直になってもいいぜ」

 

 なんか、子供達を見ていると

 

「眠い……」

 

「艦長、それが感想か!」

 

 仕方ないだろ、徹夜で作業したからな!

 

「艦長ー、眠いならあそこで寝れるよ!」

 

「悪いな。俺は少し寝る!」

 

 この部屋の布団を借りて入るとすぐに眠ってしまう。

 

「ハァ、艦長は若すぎるぞ」

 

 なんか聞こえたが無視だ。

 

 そして、目を覚ますと

 

「なぁ、一体どうなっているのか説明して貰おうか」

 

 俺の今の状況を説明すると、子供達とリズに全身を抱きつかれている。

 

「全く動かないのは気のせいか? お前ら起きろ!」

 

「艦長、起きたのか? おれも眠いから寝てしまった」

 

「お前な、胸がデカいんだから離れろ」

 

「なんだ? 艦長、興奮しているのか?」

 

 イラッ! 

 

「なる程、お前は減給して欲しいのか?」

 

「待て待て、スマン!」

 

 そう言って来たので

 

「まぁ、今日はのんびりするか」

 

 結局、今日の仕事は他のみんなに任せる事にした。

 

 そして、次の日。

 

 MS技術士のドースさんに呼ばれて格納庫に向かうと

 

「艦長、コイツは凄い代物だ。特にシュバルツはかなりの性能がある事が動かしてみて分かった。あと、メサイヤフレームもエフォートに近い性能だ」

 

 それはかなりいいんじゃ無いのか?

 

 ただ、格納庫のMSの搭載量がギリギリだな。

 

「装備も回収して、修理したから使えるぞ」

 

 シュバルツガンダムはビームライフルと対ビームシールドと実体剣が2本みたいだ。

 

 メサイヤフレームは、ビームガンと対ビームシールド、ビームサーベルが2本付いている。

 

「ただ、これでこの艦の機体の数は13機だな。これ以上は置けない」

 

「分かっている。だからリーズンを2機返品した」

 

 それなら11機になるから余裕が出来る。

 

「パイロットも練度が上がっているが、時間がまだまだかかりそうだな」

 

 まぁ、動かせるようになったのはいいな。

 

「ちなみに、シュバルツガンダムにはリズに乗って貰う予定だ」

 

 まぁ、順当だな。

 

「それと、弾丸や物資も大量に搬入しておいたから準備は出来ているぞ」

 

「準備?」

 

「発進のだ。メディアに問い詰められるのは嫌だろ」

 

 確かにそうだ、目立つ事はしたく無いからな。

 

『艦長、MDGのお客様が来ています。至急客室まで来てください』

 

「あの、なんか凄い嫌な予感がするのは気のせいか?」

 

「そうだな、頑張れ」

 

 ドースさん、それを言わないでくれ。

 

 そして、客室に入ると

 

「おやおや、こんな若造が艦長とはビックリです」

 

 なんか、胡散臭いオッサンと化粧が濃い女性秘書がルートの前に座っていた。

 

「はじめまして、この艦の艦長をしています、デューク・アンダーといいます」

 

 とりあえず、頭を下げてルートの隣に座ると

 

「ふん、そんな事どうでもいい! ワシらがここに来たのは、あのMSを寄越せという事だ」

 

 はっ? 何言ってるんだ、このオッサンは

 

「だから、あのMSはオレ達が見つけて使うと何回も言ったぞ!」

 

 ルートがキレているが

 

「あの場所の警備はMDG〈マーズ・デフェンス・ガード〉が受け持っていた所だぞ。なら、MSの管理はこっちにあるはずだ」

 

「ほう、それはボクの前でも言えるのかい?」

 

 扉が開いてエルミナが中に入ってくる。

 

「何故、コメット家の長女がここにいるんだ!」

 

 オッサンと秘書が驚いているが

 

「それは、この艦のクルーだからだよ。それよりも君達はコメット家に喧嘩を売っているのかい?」

 

 オッサンと秘書が汗ダラダラになっているのを見て、コイツらクズだなと思う。

 

「あの場所の警備もろくに出来ないのに上がりを寄越せは違うと思うよ。それよりも、調べたら死人が出ていたよね。その責任はどう取るんだい?」

 

 ヤバイ、エルミナがいて良かったと初めて感じた。

 

「す、すみません。用事を思い出したので今日は帰ります」

 

 オッサンと秘書が逃げるように帰ったので

 

「エルミナ、ありがとな」

 

「別に、ボクはアイツらにムカついただけだよ」

 

 まぁ、何にせよこれ以上いるのはキツそうだな。



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MDGの事件

 それから2日後、MAの素材の換金と報酬を貰ったのでどうするかと悩んでいると

 

『次のニュースです。MDGで非正規雇用の少年少女が正規の社員に反乱を起こしました。なので今、MSで戦闘になっています』

 

「かなり物騒ッスね」

 

「当たり前だろ。あんなクズの下で働きたくねーよ」

 

 俺はあの2人を思い出して愚痴る。

 

「それと、MDGの相手をしているのはガンダムだな」

 

 ゴートがモニターを見て喋った。

 

「色的には紫だな。武器はメイスと大型のビームソードか」

 

 シールドが無いのは辛そうに見えるが、MDGのMS相手に無双している。

 

「オレ達はジャンク屋だ。アイツらの戦闘後に拾いに行くぞ」

 

 ルートがそう言ったので

 

「あぁ、そうだな。MS隊の準備は出来ているか?」

 

「はい、パイロットスーツも予備も含めて買っておいたのとみんな実戦に出たいみたいですよ」

 

「なら、戦闘が終わるまで待つか」

 

 この短期間でどこまで成長したか楽しみだな。

 

「あの、そろそろ現場の近くまで戦艦を向かわせますか?」

 

 リーアがそう言って来たのて

 

「そうだな。デューク、どうする?」

 

「戦艦を向かわせるのはもう少し待った方が良さそうだな。ただ、俺とエフォート4機は出るから、後のMSはこの艦に待機してくれ」

 

「了解した」

 

「まぁ、今回は戦いでは無くて交渉になりそうだな」

 

 俺はそう言って会計係に伝えておいてくれと頼む。

 

 そして、パイロットスーツに着替えて他の4人がスタンバイを待つ。

 

「って!? エルミナ、なんでお前が乗っているんだよ!」

 

「決まっているじゃん。ボクが頼み込んでこの機体の正式なパイロットになったんだよ」

 

「ちなみに、許可を出したのは誰だ?」

 

「操縦室のみんな」

 

 アイツら、後で覚えておけよ!

 

「あの、艦長。顔が怖いのですが……」

 

 他の3人は怯えているので、いつもの表情に戻す。

 

「今回はあんまり戦闘は無いと思うけど油断するなよ」

 

「「「「了解!」」」」

 

 そして、ストライクシャドウがカタパルトに乗って

 

『ストライクシャドウ、発進どうぞ!』

 

「デューク・アンダー、ストライクシャドウ発進する!」

 

 俺達5機は目的地のMDGの基地に向かう。

 

 そして、少し離れた所に到着したので前を見てみると

 

「戦闘は終わっているみたいだね」

 

 紫のガンダムがボロボロで立っていたので

 

「とりあえず、交渉に向かうぞ。あと、向こうから攻撃されない限り、こっちから攻撃するなよ」

 

 そう伝えておいて紫のガンダムの近くに行くと、少年少女がこちらを見て来たのでワイヤーを使ってコックピットから降りる。

 

「お前ら何者だ!」

 

 向こうのリーダーぽい青年が警戒しながら言って来たので

 

「一昨日、お前らの会社のお偉いさんに迷惑をかけられた者だ!」

 

 俺はヘルメットを外す。

 

「それは災難だったな、その社長達は射殺しておいた。それと正規雇用の奴らも叩きのめした」

 

「よく1機で10機以上を倒せたな」

 

 俺がそう喋ると

 

「非正規雇用のヒューマンスレイブにも腕利きのパイロットはいるんだよ」

 

「そうか、それは凄いな。まぁ、それは置いておいて商売の話をしようか」

 

 俺はいつも使っているタブレットとは別のタブレットを取り出す。

 

「商売だと? オレ達には売れる物は殆ど無いぞ」

 

 そう言って、ヒューマンスレイブ達は俯いているが

 

「それは違うな。俺達はジャンク屋だから、お前らが倒したMSの破片を買い取るんだよ」

 

 俺は破壊されているMSを指差しながら説明する。

 

「なる程な。なら、あれはいくらになるんだ?」

 

「逆にお前らが欲しい物はあるか? ある程度なら買えるぞ」

 

 あれだけあれは結構な価格で売れるからな。

 

「それなら、金だな。残った奴らに退職金を払ったら財政難になった」

 

「そうか、じゃあこの金額でどうだ?」

 

 俺は戦艦の中で話し合っていた額を提示する。

 

「結構な額だな。それで、お前たちに得はあるのか?」

 

「なかったら取引はしていない」

 

 俺は真っ直ぐに相手のリーダーを見ると

 

「わかった、この金額で売ろう。ただ、どうやって運ぶんだ?」

 

「それは、決まっているだろ」

 

 俺はあらかじめ呼んで置いた〈グリム・リーパー〉を指差す。

 

「なんだ、この艦は?」

 

「これが、俺の戦艦〈グリム・リーパー〉だ!」

 

 そして、1回コックピットに戻って通信する。

 

「あの額で買い取れたから用意していた現金を持って来てくれ。あと、回収班を動いていいぞ!」

 

 中から待機していたMSが回収を始め、シュバルツガンダムがこちらに近づいて来た。

 

「艦長、持って来たぜ」

 

 リズが機体から降りて来て、俺にアタッシュケースを渡して来る。

 

「あれ、俺が乗っていた機体と似ている」

 

「コイツらガンダムを何機か持っているな」

 

 その通り何機か乗っているが、その事は置いておいて

 

「交換条件のお金だ、確認してくれ」

 

 相手のリーダーお金に渡す。

 

「ほう、ちゃんと揃っているな。だが、オレ達にこんなに金を渡して本当にいいのか?」

 

「さっきから言っているが、別にいい。それよりも回収が終わったら帰るな」

 

 俺はそう喋って、ストライクシャドウに乗り込む。

 

 それから、回収が終わったのでジャンク屋ギルドに売りに行って渡した額より少し多めに稼ぐ。

 

 

 



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人を雇う

 俺達はかなり稼いだが、MAの一件で目立ったのでそろそろ火星から出ようとしたが

 

「よくよく資料を読んでいると人員が足りて無いよな……」

 

「そうだな。今の状態はかなりギリギリだから誰かを雇いたいな」

 

 人員が1番足りて無いのはMS技術者だな。

 

「ジャンク屋ギルドに住み込みで働ける人員を依頼してみるか?」

 

「それもいいが、ヒューマンスレイブを買うのも良さそうだな」

 

 まぁ、両方やってみるのが良さそうだ。

 

「リーア達はどう思う?」

 

「私はどちらともするのがいいと思います」

 

「自分も同じ意見ッス」

 

「ボクの家からも何人か連れてこようか?」

 

 女性陣は概ね賛成みたいで男性陣は

 

「オレも賛成だ。MS技術者が少ないから機体の整備が大変だからな」

 

「おれは少し怖いが、ちゃんと面接をすればいいか」

 

 こっちも賛成意見が多い。

 

「なら、まずはジャンク屋ギルドに依頼を出した後、ヒューマンスレイブを買いに行くか?」

 

「ヒューマンスレイブって、何処で買えるんだ?」

 

「それは情報屋ギルド聞けばいいだろ」

 

 ルートがそう言って来たので

 

「それもそうか」

 

 と返す。

 

「なら、出るのは俺とルートとリーア、そして護衛数人だ。後のメンバーは何かあった時の為に待機しておいてくれ」

 

「「「「了解!」」」」

 

 俺達はジャンク屋ギルドに住み込みの依頼を出しに行った。

 

「給料を少し高めに設定する方がMSの整備が出来る人間を集めるのが出来るよな」

 

「ルート、あんまり高くすると後で苦しむからそこそこで頼むぞ」

 

「了解だ」

 

 護衛が運転する車に乗りながらジャンク屋ギルドに依頼を出す。〈応募期間は3日、面接あり〉

 

 次にお金を下ろした後、情報屋ギルドでヒューマンスレイブを売っている場所に移動すると

 

「ここが、ヒューマンスレイブを売っている場所か。普通のビルだな」

 

「推薦状も貰って来たから入るぞ」

 

 ルートが中に入るのでついて行く。

 

「本日はどのようなヒューマンスレイブをお探しでしょうか?」

 

 なんか、30代くらいの男性が出て来たので

 

「人員を探している、人を見てもいいか?」

 

「もちろんです。それと、情報屋ギルドの推薦状もあるのですね」

 

 とりあえず、戦闘が出来る奴と機械に強い奴が欲しい。

 

 そして、かなり安く人が売られていたので50人程を買う。〈内訳は男20人:女30人でみんな若い〉

 

 ついでにお金を払って戦艦まで輸送して貰う事にした。

 

 そして戦艦についた後、食堂で腹一杯になるまでご飯を食べさせた。

 

「こんなに豪華な料理食ってもいいのか?」

 

「美味しい」

 

 反応はまちまちだが、概ね良さそうだ。

 

「別にいいぞ。それと、この艦ではお前らは一般従業員だ不当な扱いはする気はないから安心しろ」

 

 俺は真っ直ぐみると

 

「何も持っていないおれ達をこんなに雇っていいのか?」

 

「別に、その分働いて貰うから大丈夫だ」

 

 とりあえず、コイツらは一応商品で清潔なのはよかった。

 

 それから班分けをするとかなり人員が揃ったので

 

「後は、ジャンク屋ギルドからMSの整備が出来る奴を連れて来るだけだな」

 

「ここまで上手く行き過ぎている気がするけどいいか」

 

 そして3日後、ジャンク屋ギルドに向かうと受付の人から

 

「ノーマットの皆さん。希望者が多かったので私達である程度選んでおきましたよ」

 

 まさかそんなに集まるとは思ってもなかったぞ。

 

「それが、このリストです」

 

 30枚くらい紙を渡されたので

 

「今から面接は出来るのですか?」

 

「はい、もちろんです。皆さん、スタンバイしていますよ」

 

 用意周到だな。

 

「デューク、早速始めるか?」

 

「あぁ」

 

 俺達は面接を始めると、全員使えそうだったのでみんな雇う事になってしまう。

 

 なので、会計士の方には

 

「まぁ、なんとか予想ないですので大丈夫ですよ」

 

 と若干渋い顔をしていたが、MS技術者のリーダーであるドースさんは

 

「こんなに連れて来てくれたのか!」

 

 とめちゃくちゃ喜んでいたので、新人達には早速MSの整備をして貰おうと思ったが

 

「あの、このMSのデータを見ましたが性能がかなり凄くないですか!?」

 

 といった声が続出した。

 

 特にストライクシャドウの事に驚いたみたいだが、あれは秘密事項だから最低限しか教えない。

 

 それから、新たに人が増えたので足りない物資を買い込むのに苦労したが、これもいいがと思う。



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クライシス工房

 あれから数日後、やっと火星から宇宙に出発する事が出来たが

 

「おぉ、使える素材が沢山あるじゃねーか」

 

 ジャンク屋のサガなのか、使えそうな素材を集める為に色々寄り道をしていた。

 

『艦長、素材を集める作業なんておれ達がやるから操縦室にいたらどうだ?』

 

 リズがそう言って来るが

 

「あのな、上の者がちゃんと働いていないと下のものは付いてこないだろ」

 

 俺はストライクシャドウをコントロールして、良さそうな素材を集めて〈グリム・リーパー〉に搬入して行く。

 

『艦長、倉庫には大量の素材が入ってから引き上げるそうだ』

 

「了解した」

 

 俺達MS班は戦艦に戻る。

 

「これだけ有れば当分は生活出来るぞ」

 

 MSから降りてドースさんと話す。

 

「しかし、宇宙には沢山の素材が落ちているな」

 

「デブリが大量にあるので、自分達は助かってますね」

 

 エフォートに乗っていたパイロットがそう喋る。

 

「ただ、ここだと何処に売りに行くんだ?」

 

 火星から出て数日が経っているので戻るのは面倒だ。

 

「なら、大規模コロニーに売りに行くのが良さそうだな。あそこは物資が不足しているからな」

 

 ルートがはタブレットを見ながら格納庫に来る。

 

「ルート、この辺で近い大規模コロニーは何処なんだ?」

 

「それは、フォート12だな」

 

 コロニーの名前はフォート○で決まるらしい。〈ちなみに16まである〉

 

「そこは、2つの勢力が争っている所で激しい戦いをしているみたいだ」

 

「それ、無法地帯では?」

 

 最悪、MSで戦闘になりそうだ。

 

「まぁ、なんとかなるだろ。それよりもオレはクライシス工房に行きたいな」

 

「クライシス工房?」

 

 ドースさんが自慢げに言っているのでどんな所か聞いてみる。

 

「クライシス工房はこの宇宙の中でもトップクラスのMS技術を持っているんだ」

 

 それ凄いが何かありそうだ。

 

「オレも前に行った事があるが、職人気質の厳ついオッサンが工房主をやっていて大変だったな」

 

 ルートがそこまで言うのはアレだな。

 

「まぁ、そこに向かってみるか」

 

「デューク、既にみんなに伝えてあるぞ」

 

 コイツ、仕事が早いな。

 

 そして、高速艦なので次の日にフォート12に到着する。

 

「なる程、ここがコロニーなのか?」

 

 アニメで見ていたような場所だったので驚く。

 

「デュークはコロニーに来た事は無いのか?」

 

「俺にも色々あるんだよ」

 

 なんとか誤魔化すが

 

「まぁそれはいいとして、ジャンク屋ギルドに素材を搬入したらクライシス工房に向かうぞ」

 

 ルートお前、かなりテンションが上がっていないか?

 

 それと、ジャンク屋ギルドに素材を売ったらかなり額になった。

 

 それから戦艦を動かしてクライシス工房の小型コロニーの横に向かうが

 

『お前ら何者だ?』

 

 モニターの向こうにはルートが言っていたようにリーゼントの厳ついオッサンが写っていた。

 

「予約したジャンク屋ノーマットです。あの、連絡は行っていないですか?」

 

『ノーマットの連絡は来ているが、そんなガチガチな戦艦だったか?』

 

 まぁ、その辺は置いておいてくれ。

 

『まぁ、MSの事で相談事と見学ならいいが、くれぐれも邪魔をするなよ』

 

「わかりました」

 

 そこで通信が切れる。

 

 なので、小型コロニーに横付けして橋をかける。

 

「へぇー、いろんなMSがあるな」

 

 俺は見た事もないMSにビックリしているが

 

「これだけじゃないぞ。警備のMSはここからカスタマイズされていてさらに強いぞ」

 

「なら、予備パーツを買って行くか? それかリーズンを下取りして貰うか」

 

「まぁ、こちらも戦力は揃っているからこれ以上は増やさなくていいと思うぞ」

 

 ルートがタブレットを操作しながら喋っていると

 

「おう、お前らかなり稼いでいるみたいだな」

 

 さっきモニターに写っていたオッサンが来る。

 

「ゴームさんお久しぶりです」

 

 ルートが頭を下げているので、俺も釣られて下げる。

 

「しかし、こんな代物に乗って来るとは思っても無かったぞ」

 

 ゴームさんは〈グリム・リーパー〉の写真を見ながら話す。

 

「しかも、ガンダムタイプとメサイヤフレーム、他にも性能が凄い機体があるのはいいが、戦争に参加するのか?」

 

「戦争に参加する、何かあったのですか?」

 

「お前ら知らないのか?」

 

 俺とルートは頷くと

 

「そうか実はな、地球ではかなり大規模な戦争が起こっているみたいで、コロニーと火星に物資の供給をしろと厳命しているらしい」

 

 ……はっ!?

 

「もちろん、この事はコロニーと火星政府は隠しているが時間の問題だな。それで、この工房にもアホみたいな依頼量が来ている」

 

「それならお邪魔したら悪いな。ルート、帰るぞ」

 

 正直面倒ごとのような気がする。

 

「まぁ待て、大事なのはここからだ。それで、コロニーと火星は独立を宣言すると言っている。ちなみに月は中立のままだな」

 

「そうなんですね。ただ、オレ達はジャンク屋なので戦いの後が本番ですね」

 

「なら、ゆっくり見学するといいぞ」

 

 ゴームさんが離れた後

 

「なぁ、デューク。お前は地球VS火星+コロニーはどっちが勝つと思う?」

 

「さあな、戦力か分からないとどうにもならん」

 

 俺達はそう言って見学した後、〈グリム・リーパー〉に戻る。

 



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宇宙航海

 クライシス工房を出て次は月に向かう事にした。

 

「月か、確か中立国家だったよな」

 

「そうだ、この宇宙でも比較的安全な所だな」

 

 今まで色々大変だったらな。

 

「あの、少しいいですか?」

 

 前に宇宙艦が何隻か動いているので見ていると、リーアが遠慮がちに行って来たので

 

「どうした?」

 

「実はさっきから通信が入って来ています」

 

「誰からだ?」

 

 確かに宇宙艦とは何回か遭遇したが、全部スルーされたのになんでだ?

 

「通信先は宇宙商品輸送会社〈アエトス〉の3番隊です」

 

「〈アエトス〉そんな大規模会社がなんでウチに通信するんだ?」

 

「まぁ、繋いでみないと分からないな」

 

 なので、リーアに頼んで繋いで貰うと

 

『突然すまない。俺達は通信で送った者だ。あと、俺の名前はハワト・マリジオンだ』

 

「こちらはジャンク屋ノーマットだ。何かあったのか?」

 

 向こうは20代後半の茶髪イケメンが出て来た。

 

「実は聞きたい事があって、君達はMSの部品は余ってないかい?」

 

「いきなりだな。何か戦闘でもあったのか?」

 

『海賊を相手にしてなんとか勝てたけどMSがボロボロで修理が大変なんだ』

 

 やれやれと向こうは首を横に振っている。

 

「すみませんが、フォート12で素材は売ってしまったので部品はあんまり無いです」

 

 俺がタブレットを見ながら喋ると

 

『それなら、月まで護衛してくれるだけでも助かる。もちろん、報酬は払う』

 

「一回考えさせてください」

 

「わかった。後で結果を教えてくれ」

 

 そう言って通信が切られた。

 

「さて、どうする?」

 

「正直、ジャンク屋の仕事じゃないッスよね」

 

「まぁ、おれ達が部品を持ってなかったのもアレだよな」

 

「私は報酬が出るなら護衛してもいいと思いますよ」

 

「オレもだ。ただ、情報は渡さないけどな」

 

 まぁ、そうだな。

 

 それから、色々打ち合わせをして決める。

 

「とりあえず、向こうの依頼を受ける事は確定だな。後、報酬は交渉次第で大丈夫か?」

 

 ルートがそう言ったのでみんなは頷く。

 

「それじゃあ、通信を繋いでくれ」

 

「はい」

 

 リーアが通信を繋ぐと

 

『答えは出たのか』

 

「あぁ、護衛の件はOKだ。ただ、報酬はたんまりいただくぞ」

 

『それは大丈夫だ。ただ、1つ疑問がある。お前らのMSパイロットの実力を見せて欲しい』

 

 そう来るか。

 

「それは構わないが、ルールはどうする?」

 

『それは1対1の戦いだ。両方エースで勝った方は話し合いを有利に進める条件でどうだい?』

 

 恐らく向こうは相当な自信があるんだろうな。

 

「悪いが、その条件で受けるつもりはない。元々こちらが有利なのに覆す事はしない」

 

 ルートが冷静に判断してくれる。

 

『あら、アタシ達に勝てないから逃げるのかしら?』

 

 何故か俺より少し年下の少女が挑発して来た。

 

「別に賭けの意味がないからやらないと言っているだけだ」

 

「ルート、相手の挑発に乗るな」

 

 まぁ、小娘に言われるのは腹が立つがビジネスの話をしているから関係はない。

 

『笑えるわ。ジャンク屋なんてその程度なのね』

 

「ずいぶん躾の悪いガキだな。それに、安い挑発に乗る気はない」

 

 俺は睨みつかるように言うが

 

『なら、勝負しなさいよ。それとも尻尾巻いて逃げるのかしら?』

 

「別にお前らをここに置いていってもいいんだぞ」

 

『私達は本社に伝えてジャンク屋ノーマットを潰す事も出来るのよ』

 

 駄目だ、我慢しろデューク。

 

「いいだろう。そこまで言うなら相手になってやる」

 

 オイィ、ルート何言っているんだ!?

 

 しかも向こうの顔がニッコリしているじゃん。

 

『決定ね。こっちは私が出るわ』

 

「ルート、後で覚えておけよ。後、こっちが勝ったら有利な条件+お前をお仕置きする!」

 

『やれるもんならやってみなさい』

 

 ほう、俺を本気にさせたな。

 

「こっちは俺が出る!」

 

「あぁ、頼んだぞデューク」

 

 面倒ごとだがイラッと来た。

 

 俺はパイロットスーツに着替えて格納庫に向かう。

 

「艦長、なんかあったのか? 操縦室の奴らがめちゃくちゃキレていたぞ」

 

「ドースさん。理由はソイツらから聞いてくれますか? 俺も少しイラッとしています」

 

 なので、ストライクシャドウに乗りこんで発進する。

 

「向こうの機体は、ビームガンと盾とヒートアックスか」

 

 モノアイのザクみたいな機体が出て来て俺の前に止まった後、通信が入る。

 

『へぇーカッコいい機体ね。でも、動かす腕が無かったら意味がないわよ』

 

「それは見てからのお楽しみだな。あと、一応自己紹介しておく。俺はデューク・アンバーだ」

 

『私はチア・アンブルよ。一応覚えておくわね。ちなみにルールは相手が戦闘不能になるか降参を認めるまで戦うわよ。スタートは信号弾を打ち上げた時が始まりよ」

 

 まぁ、コイツは自信があるみたいだから油断はしない。

 



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MSで決闘

 チア・アンブルと決闘する事になった。

 

『さて、もうすぐ始まるわよ』

 

 その言葉の後、信号弾が上がる。

 

『いただき!』

 

 向こうはビームガンを連射して来たので盾で防ぐ。

 

「なる程、力押しか」

 

 いつものように相手の動きが分かるので

 

「反撃開始!」

 

 俺はスラスターを起動して、相手のビームガンの攻撃を躱す。

 

『えっ、何そのスピード!』

 

 向こうはかなり驚いているみたいだが

 

「悪いが勝負なんでな」

 

 俺はビームライフルで攻撃するが当たらないが

 

『相手の攻撃は射線に立たなかったらいいだけよ』

 

 まぁ、その通りだが避けられるかな?

 

 俺は少しズラしてビームライフルを撃つと

 

『クッ! ビームガンが破壊された』

 

 なんか焦った声が聞こえて来るが、ヒートアックスに持ち替えたみたいだ。

 

『遠距離攻撃は上手いけど近接はどうかしら?』

 

 俺はビームライフルを腰にマウントして背中のビームサーベルを引き抜く。

 

 そして、ヒートアックスを躱して相手の右手を切り裂く。

 

『嘘でしょ!?』

 

 俺もここまで性能が違うとは思ってもいなかった。

 

 まぁ、勝負を決める為にメインカメラをビームサーベルで突き刺して破壊する。

 

『そ、そんな……』

 

 相手は戦意喪失みたいなので

 

「俺の勝ちだな」

 

 こうもアッサリ勝負が付くとは思ってなかった。

 

 そして、相手のMSを艦に届けて俺も〈グリム・リーパー〉に戻る。

 

 その後、向こうのリーダーが乗っている艦と橋を繋いで、ハワトさんと数人が入って来たので客室に通す。

 

「まさか、チアが全く歯が立たないなんて思ってなかった。君達は軍の関係者では無いよな」

 

「オレ達はジャンク屋ですよ。ただ、デュークは特別なんですよ」

 

「おい、ルート。俺はMS操縦が上手いだけで特別扱いするな」

 

 そう突っ込む。

 

「まぁそれは置いといて、私達が有利に交渉しても良いんですよね」

 

 リーア、お前の目が怖いんだが。

 

「あぁ、出来る限りの条件は飲むぞ」

 

 向こうの人達が完璧にビビっているが、容赦なくキツイ条件を出すので、正直俺も引いた。

 

「なぁ、ルート。俺達ジャンク屋以外の事もして無いか?」

 

「そうだな。だが、今の方が充実しているな」

 

 俺達は客室から出て適当に艦内を回る事にした。

 

「しかし、リーアの目があんなに怖くなるとは思ってなかったぞ」

 

「それは俺もだ。お前が戦っている時もかなり怒っていたぞ」

 

「そうか……」

 

 俺とルートが話していると

 

「美味しい、おかわり!」

 

 ……んっ? この声は

 

「食堂から聞き覚えがある声がするのは気のせいか?」

 

「オレも聞こえたぞ」

 

 俺とルートが食堂を覗くとそこには、金髪ツインテールの少女であるチア・アンブルが飯を食べていた。

 

「「オイィィ!?」」

 

 なんでコイツがここにいるんだよ。

 

「あっ、私が負けたMSパイロットとリーダーか。この艦のご飯は美味しわね」

 

 ……コイツはバカなのか?

 

「しかしこのハンバーグは美味しいわ、おかわり!」

 

「待てコラ! なんでお前がここにいるんだよ!?」

 

 ルート、その突っ込みは合っているが本人は聞いてないぞ。

 

「私もけじめをつける為に連れてこられたけど、暇でお腹が空いたから乗務員さんに食堂に案内してもらっただけよ」

 

「ハァ、さっさと自分の艦に帰れ」

 

 俺は冷静にそう話す。

 

「えぇ! もう少しいてもいいじゃない」

 

「お前、本当にキツイお仕置きをするぞ」

 

 いい加減キレそうになっていると

 

「そういえば、貴方は私になんのお仕置きをするのかしら?」

 

 と挑発して来たのだか、ちょうどリズが入って来たので

 

「リズ、少し頼み事をしていいか?」

 

「艦長、おれがやれる事ならいいぞ」

 

 リズはそう言って頷いたので

 

「あの小娘のお尻を木刀で千回以上フルスイングで叩いて当分座れないようにしれくれ」

 

「えっ?」

 

「了解した!」

 

 リズもある程度説明は受けていたみたいなので、チアを連れて行く。

 

「ちょっと待って! そんな事されたらお尻が壊れるわ!」

 

「お前が飲んだ条件だ、我慢しろ」

 

「後、確認の為に動画撮影もよろしく」

 

「了解だ」

 

「いーやー」

 

 そして数時間後、お仕置きされてガチ泣きしているチアを見たハワトさんは

 

「これは仕方ないな」

 

 と言っていた。



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〈アエトス〉からの護衛依頼

 あれからルートとハワトさんはなんだかんだ意気投合したみたいだ。

 

「あの人は中々やり手で、リーアの厳しい条件もなんとかしたみたいだ」

 

「それは良かったが護衛は大変だぞ」

 

 俺はレーダーを見ながら話す。

 

「あっちの貨物艦は5隻、それを守り切るのは今の戦力では難しいッスよ」

 

「ただ、月までの2週間はこのままで動かないといけないからな」

 

 かなりの高速艦の〈グリム・リーパー〉のスピードじゃなくて、向こうのスピードに合わせないといけないからな。

 

 しかも、そこまで速くないというおまけ付き。

 

「まぁ、MSパイロットの訓練時間が稼げるから、ゆっくりの旅もいいと思うぞ」

 

 ゴートがそう言って来たので頷く。

 

「あと、食料とか水を大量に用意しておいて良かったです」

 

「リーア、その辺は助かったよ」

 

 確かにリーアと会計士達がいないと、この艦は回らない。

 

「レーダーに反応が……これは、宇宙海賊艦ッス」

 

「なんだと!?」

 

「チッ、こんな時に。リーア、艦内とハワトさんに伝えてくれ。後、俺は新人達と一緒に出る」

 

「艦長、アイツらは張り切っているから気を付けろよ」

 

「あぁ!」

 

『コンディションレット発令、第1戦闘配備。パイロットはMSへ」

 

 俺は操縦室から出てパイロットスーツに着替えて、格納庫に向かう。

 

 そして、ストライクシャドウに乗り込む。

 

「今回は護衛がメインだ。俺達は艦を守る事に集中してくれ」

 

 エフォート4機、ガンダムシュバルツ、メサイヤフレーム2機、そして、ストライクシャドウの合計8機が出撃する。

 

『ストライクシャドウ、発進どうぞ』

 

 カタパルトに移動して発進の準備が整った。

 

「デューク・アンダー、ストライクシャドウ出るぞ!」

 

 俺は出撃して他の7機も出撃して来た。

 

「海賊艦は2艦だが前よりも大きいな」

 

 俺達は艦を守るように配置に着くと

 

『海賊艦のMS接近、数22機です』

 

「了解、迎撃するぞ!」

 

「「「「「「「了解!」」」」」」」

 

 俺達はビームライフルで敵MSの迎撃を始める。

 

「チッ、前見た海賊の機体よりも厄介だな」

 

 相手は数の有利を生かして物量で攻めて来る。

 

「まぁ、それは関係無いけどな」

 

 俺はビームライフル、イーゲルシュテルン、ビームランチャー、レールガンの一斉放火で数を減らす。

 

『艦長ナイスです、敵がどんどん減っていきます』

 

 しかし、相手は何が狙いなんだ、って!?

 

 相手をよく見ると、赤いフレームのガンダムがこちらに攻撃して来る。

 

「おいおい、今回は槍と盾と腰にはビームサーベルもあるか。仕方ない、アイツは俺が相手する!」

 

 俺は相手の赤いガンダムフレームに近づいてビームライフルを撃つが

 

「シールド硬いな」

 

 ビームはシールドで弾かれた。

 

「チッ、向こうは近接メインか」

 

 俺は絶妙な距離を取りながらビームライフルで攻撃していると

 

『海賊艦のMS殆ど全滅。こちらの被害はほぼ0です』

 

 よし、後はコイツを倒すだけだ!

 

 俺はビームライフルを腰にマウントして背中のビームサーベルを抜て攻撃するが、向こうの槍とビームサーベルが拮抗する。

 

 だが、向こうは不利と悟ったのか引いて行く。

 

『海賊艦、引いていきます』

 

 相手も俺の動きが見えていたのか?

 

 まぁ、それはいいか。

 

 俺は、〈グリム・リーパー〉に帰投するが、宇宙海賊多すぎないか?

 

 正直、その事で突っ込みたくなった。

 

 帰って来で服を着替えた後、操縦室に戻る。

 

「お疲れ様です、艦長。今回も圧勝でしたね」

 

「いや、あの赤いガンダムフレームが気になる」

 

「確かに、お前から逃げ切ったからな」

 

 やはり、何かしら引っかかる。

 

「まぁ、オレ達はジャンク屋だ。ここからがメインだ」

 

「そうだな」

 

 それから数時間後、回収が終わったのでこの場所から離れる。

 

 そして、これ以降は特に問題は無かったので月に到着した。



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〈アエトス〉本社

 特に問題なく月に到着したので

 

『ジャンク屋ノーマット、母艦〈グリム・リーパー〉は3番ゲートにお入りください』

 

「〈グリム・リーパー〉了解です」

 

「しっかし、久しぶりに来たが月面都市〈アルセンタ〉は大きいな」

 

「当たり前ッスよ、月の首都ッスからね。ただ、こんな大きい所に止めて大丈夫なんスかな?」

 

「この駐艦料金は向こうに請求するので大丈夫ですよ」

 

「リーアは抜かりないな」

 

 ちなみに、〈アエトス〉の皆さんは専用の駐艦所に貨物艦を止めに行っているみたいだ。

 

「さて、ジャンク屋ギルドに素材を売りに行ったら自由行動だな」

 

「ルート、凄いテンションが上がっているな」

 

「デューク、当たり前だろ。ここにはいろんな娯楽があるんだぜ」

 

 コイツ賭け事とか好きなタイプか。

 

「艦長、リーダーは賭け事は好きですが引き際は弁えていると思うので大丈夫だと思いますよ」

 

 リーアが口を開く。

 

「まぁ、予算の間でやるから大丈夫だ」

 

「それじゃあ、月に来た事があるメンバーに火星から連れて来た新人達を案内してもらおうかな」

 

「了解です。あと、今日はお店を貸し切ってパーティーはどうですか?」

 

「別にいいが、ここの警備は大丈夫なのか?」

 

「問題があったら訴えればいいだけッスよ」

 

 コイツらたくましいな。

 

 そう思いながら、放送で作業員達に指示を出す。

 

「そういえば、リーダー、艦長は〈アエトス〉の本社に来るように言われています」

 

「ハァ、賭け事はまた今度か……」

 

「それより、メンバーはどうする。俺とルートは確定で、エルミナかリズ、後は護衛を数人連れて行きたい」

 

 その後、メンバーの事を話し合った結果、〔デューク、ルート、エルミナ、リズ、護衛2人になった〕

 

 そして、ハワトさんが車で迎えに来てくれたので乗り込む。

 

「ボクも久しぶりに来たけど凄いね」

 

「おれは初めてだから言葉に言い表せないぜ」

 

 エルミナとリズが街を見ているが

 

「ハワトさん、本社はまだですか?」

 

「もうすぐ着くよ、あの大きなビルだ」

 

 目の前にはかなり大きなビルが建っている所の駐車場に車を停める。

 

「このビルは30階あって社長室は1番上だ」

 

 ……んっ、社長室?

 

「俺達と社長室はなんの関係があるんですか?」

 

「報酬の件だと思う。ただ、それだけでは無いな」

 

 月でもトップクラスに大きい会社の社長なら何かありそうだ。

 

 会社の中に入って周りを見渡すと

 

「キレイなロビーだ。それと社員がこちらを見て来るな」

 

「俺達は部外者だから目立つんだろ」

 

 そして、エレベーターに乗って最上階に向かう。

 

「ハァ、面倒な予感がするのは気のせいでは無いなよな?」

 

「デューク、それはオレも感じている」

 

 正直、さっさと帰りたいと思っていると到着したみたいだ。

 

「ここから歩いてあそこが社長室だ」

 

 ハワトさん、何言っているんですか?

 

「こうなったら行くしか無いな」

 

 俺達は覚悟を決めて社長室の扉の前に立つ。

 

「社長、ハワト・マリジオンです。お客様をお連れしました」

 

『入ってもいいぞ』

 

 扉の中から渋い声が聞こえて来た。

 

「ハッ! 失礼します」

 

 ハワトさんを先頭に俺達は入ると

 

「ようこそ、〈アエトス〉本社へ。私が社長のクロム・ガヴェルだ」

 

 60歳くらいの厳格そうなお爺さんが挨拶をして来る。

 

「自分は、ジャンク屋ノーマットのリーダー、ルート・エクリスです。よろしくお願いします」

 

 ルートがガチガチに緊張しているので思わず笑いかけた。

 

「リーダーなのにかなり若いんだな。まぁ、立ち話もなんだから座ってくれ」

 

 俺達はソファーに座って

 

「すみません、紅茶を準備しました」

 

 秘書の方が紅茶を前に置く。

 

「ありがとう、メイネ」

 

「いえ社長、当たり前の事です」

 

 正直、さっさと帰りたい。

 

「さて、本題の事だが、報酬はちゃんと用意してある。ただ、1つ追加してもいいか?」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

 多分俺の予想だと……

 

「君達にウチで護衛依頼を出したい。最近宇宙海賊どもがかなり増えて来ているからその対策だな」

 

 やはりな。

 

「自分達の業務外なので正直難しいです」

 

 ルート、よく言った。

 

「そうか、かなりの報酬を用意していたのに残念だな」

 

 おい、その言葉は

 

「報酬! 条件次第で考えます」

 

 オイィィ!! さっきのやりとりが無駄じゃねーか!?

 

「これが、条件だ」

 

 秘書の人が書類を持って来たので俺達も確認すると

 

「あの、こちらがかなり得する内容ですよ」

 

 このパターンは何処かに小さな文字で問題がある事を書いてあるのがセオリーだが、いくら確認してもない。

 

「艦長、ボクも何回も確認したけど、特に問題はないよ」

 

「だよな」

 

 さて、この条件なら飲んでも良さそうだが

 

「分かりました。少し係りの者と通信して来るのでお時間いただきますがいいですか?」

 

「勿論だ」

 

 ルートが一旦退室して俺達が残る。

 

「さて、少しの間ゆっくりするか」

 

 クロムさんが紅茶を飲んでいるが、重い空気なので動けない。

 

 そして十数分後、ルートが返って来て

 

「はい、この条件を飲みます」

 

 と言った。

 

 後は、契約書にサインしてやる事やったら社長室から出た。



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支配国家〈キャピタルアース〉

 あの後、〈グリム・リーパー〉に帰ると

 

「ハァ、やっと終わった……」

 

「ボクもお偉いさんには何回か会っているけど、やっぱり慣れない」

 

 そう喋りつつ、俺達は操縦室に何とか到着すると

 

「リーダー、艦長、大変な事になったッス!」

 

「カルネどうした。オレ達疲れているから休ませてくれ」

 

「それ所じゃないんだよ。ニュースを見てくれ!」

 

 ゴートが焦ってモニターを指差しているので見ると

 

「はっ? 火星&コロニー連合はキャピタルアースに独立を要求するだと!?」

 

 キャピタルアースってなんだ?

 

「キャピタルアースは、全てを支配している軍事組織で星座をモチーフとした12の名家で、軍事力も最強だぞ」

 

 なる程、支配国家からの植民地独立か。

 

「お父様はこれを懸念してボクをここに預けたのか」

 

 それと、ジェノアスのデータを渡してしまったのがマズイ。

 

「ただこれは戦争になりかねませんよ」

 

「クライシス工房のオッサンもこの事を言っていたな。オレ達は飯の種にはなるが戦争は嫌だな」

 

 こうなるのか。

 

「あと、火星のトップ政治者の娘であるミデア・コスモスが鋼刃団というMGDから名前を変えた組織に連れて来られるらしいです」

 

 リーア、その組織は俺達会っているよな……。

 

「もう、めちゃくちゃだろ!」

 

 ルートが叫ぶ気持ちは凄く分かるが

 

「ただ、コイツら宇宙艦とかはどうするんだ? それと、キャピタルアースの火星支部もあると思うから鎮圧されそうだが」

 

「ゴート、その線は薄い。鋼刃団にはガンダムフレームがあったから、生半可な攻めでは鎮圧出来ない」

 

 まぁ、そうなれば火星政治者達も反抗するからMSの数にも影響が出そうだ。

 

「さて、どうしますか? 1回火星に戻りますか?」

 

「リーア、戻って何するんだ? 素材集めならともかく、コイツらと戦闘にはなりたくない」

 

 ルートが真面目に言ったので、みんなが黙る。

 

「自分達のMSの性能なら、そう簡単には負けないと思うッスけど、数で攻められると辛いのはわかっているッス」

 

「やはり、今は動かない方がいいな。リーア、パーティのお店は貸し切れたか?」

 

「はい、もちろんです!」

 

 俺達は今日は全クルーとパーティを開いて忘れる事にした。

 

 そして、パーティが終わった次の日

 

「さて、艦長室に戻るのは面倒だったから食堂に布団を敷いて寝たが、何でこうなっているんだ?」

 

 みんな寝相が悪いみたいだ。

 

 俺はその光景を見ながら起きて水を飲んでいると

 

「艦長、起きたたんだな」

 

 リズが目を覚ましたみたいなので

 

「一応な。しかし、コイツら昨日は酒をガンガン飲んでいたから二日酔いとか大丈夫か?」

 

「まぁ、おれはどうもないから大丈夫だろ」

 

 酒は強い人と弱い人がいるぞ。

 

「しかし、艦長は酒は飲まないのか?」

 

「俺は飲まないな。それに、何かあった時の為も考えていたからな」

 

「真面目だな」

 

 リズが俺をジッと見て来るので

 

「何か俺の顔についているのか?」

 

「別に何でもないぞ」

 

「なら、操縦室でモニターを使ってテレビを見ているな」

 

 俺は食堂を出て、操縦室に向かう。

 

「さて、朝のニュースは何がやっているんだ?」

 

 俺はチャンネル使って電源をつけると

 

「今朝入って来たニュースです。鋼刃団とキャピタルアース火星支部の戦闘がありました。死者は確認中です」

 

 ……ハッ?

 

 流石にガンダムフレームでも物量攻めされたら負けるだろ。

 

 と、なると何かカラクリがあるのか?

 

 なので、ニュースを見ながら考えているが答えは出ない。

 

 その後は、特に気になるとニュースはなかった。

 

 そして、艦長席でのんびり座っていると

 

「艦長、おはようッス」

 

 カルネが欠伸をしながら入って来た。

 

「カルネ、おはよう。他のみんなはまだ寝ているのか?」

 

「思いっきり寝てるッス」

 

「そうか」

 

「それよりも何かあったんスか? 艦長の表情が死んでいるッスよ」

 

「実はな」

 

 俺はさっきニュースに流れていた事を説明する。

 

「何ですと!? それ大変な事ッスよ!」

 

「あぁ、分かっている。このパターンだと、キャピタルアースは火星の反乱者を全滅させそうだな」

 

(それと、それ以上の圧政と弾圧をすると思うぞ)と付け加える。

 

「火星は終わりッス……。キャピタルアースに勝てる訳がないッスよ」

 

 結局は大事なのは権力と暴力とお金だ。

 

「ただ、1個だけ可能性があるとすれば」

 

「可能性なんてあるんスか?」

 

「あぁ、火星にあるガンダムフレームの数だな。それによっては勝てる可能性もほんの僅かだけある」

 

「そんな……。見つけたとしても前みたいにMAが守っている事がある可能性が高いんスよ!」

 

 ハァ、これはどうにもならないな。

 

 俺は何か手が無いかを探す。

 

 



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火星の反乱

 あの後、起きて来たみんなに説明すると

 

「これは1回全員で相談したい案件だな」

 

「リーダー、おれ達が鋼刃団を倒すことは出来ないのか?」

 

「ゴートさん、それはやりたくは無いですね。例え倒せたとしてもキャピタルアースに目を付けられたら終わりですよ」

 

「まぁ、俺達がやれる事は正直あんまり無い」

 

「なぁデューク、この艦には奥の手は無いのか?」

 

 ルートがそう言って来たが

 

「そんな物は特に無いぞ。強いて言えば〈ローエングリン〉だな」

 

「それはなんだ?」

 

「高出力の陽電子砲だ。威力だけ見ればこの艦の最高威力を誇る攻撃だ」

 

「それだけだと足りない」

 

 何か手は無いか?

 

「こうなったら、今あるお金で傭兵を雇いまくって戦いに行くしかないッスかね?」

 

「まぁ待て、ニュースを見るに火星の政治家は話し合いをしたいみたいだ。そうじゃ無かったらキャピタルアースの火星支部は破壊されている」

 

 可能性だけど、俺はそう感じる。

 

「あの皆さん。月の傭兵ギルドに緊急依頼が出されたみたいです」

 

「リーア、それがどうしたんだ?」

 

「その依頼者はキャピタルアースで〈火星の反乱者を鎮圧せよ〉依頼達成者は多額の報酬を約束すると書いています」

 

「悪いが、傭兵に金を払うとは思えない。利用されて捨てられるか殺されるだけだ」

 

「私も艦長と同意見です。ただ、月にいる大半の傭兵は火星に向かって出発しています」

 

 バカばっかりなのか? 

 

「確かに、どう転んでも痛手と稼ぎにはなるな」

 

「ゴートさん、自分もそう思うッス」

 

 かなり難しいが

 

「あの、艦長、リーダー、この艦に通信が来ています」

 

「誰からだ、もしかして傭兵ギルドか?」

 

「繋ぎますね」

 

 リーアがそう言って通信を繋ぐと

 

「やぁ、かなり大変な事になっているね」

 

「ハワトさん。そんなに呑気にしていて大丈夫なのか?」

 

「大丈夫じゃ無いさ。ただ、ここからだとほとんど出来る事は限られるだろ」

 

 この人は意外と周りをみえているんだな。

 

「そこで提案。オレ達を〈グリム・リーパー〉に乗せてくれないか? もちろん艦の事は手伝うし、大体の事はそちらに従う。この条件でどうだい?」

 

「あの、貴方は〈アエトス〉の社員ですよね。会社はいいんですか?」

 

「リーアちゃん、それは大丈夫だ。社長から許可は貰っている」

 

 コイツ、用意周到かよ。

 

「ちなみに乗るのはオレの側近の数人だけで、第3部隊は一旦お休みだ。あと、君達の艦の近くて今は待機しているよ」

 

 もう、ダメだこりゃ。

 

「ハァ、分かりました。中に入って来てください」

 

 俺はそう言って入り口を開けるように伝える。

 

 それから、ハワトさんと側近の数人と食堂で話し合う事になったが

 

「何故お前もいる、チア・アンブル」

 

「別にいたら悪いかしら?」

 

 この高飛車小娘と一緒に行くのか……。

 

「部屋は空いているから別にいいが、荷物多く無いか?」

 

「そうかい? これでも減らしたぞ」

 

 こっちはこっちで問題アリか。

 

 そして色々話し合った後、コイツらをこき使ってやろうと思う。

 

「それで、結局火星に向かう事になったけど大丈夫かい?」

 

「物資の搬入が終わったら動けるぞ」

 

 物資は届いているので、後は積み込むだけだ。

 

 それから数時間後、物資の積み込みは終わったので

 

「〈グリム・リーパー〉発進!」

 

 フルで迎えば1ヶ月はかからないはずだ。

 

「了解、ゲートから出ます」

 

 リーアの声で月のゲートから出た。

 

「へぇー、ヤッパリかなりの高速艦だね」

 

 ハワトさんがそう言っているが

 

「デューク、なんかオレ達大変だな」

 

「ルート、それを言うな」

 

 俺達はそうやって気を紛らわせるしか無かった。

 

 それから3週間後、ほぼノンストップで火星に到着する。

 

「ニュースには火星独立運動が過激化して来たと言っていたが、これはそれ所じゃ無いぞ」

 

 あの、車に砲台を乗せたような物はなんだ?

 

「MK(モビルカー)か。MSの代用みたいな物だが正直弱いぞ」

 

 戦車みたいな感じか。

 

「しかし、ハワトさんも詳しいのですね」

 

「あぁ、だがこの艦に乗っているMSの事は殆ど知らないぞ。あんな物何処で手に入れたんだ?」

 

「それは言えませんね」

 

「そうだよな」

 

 この世界ではかなり貴重な素材で作られていますとは言えない。

 

「まぁ、戦力としてはかなり凄いのはわかった。後、チアがこの艦のシミュレーションシステムにハマるとは思ってなかった……」

 

 アイツ、俺にリベンジしたいのか?

 

「あの、一旦その話は置いておいていいですか?」

 

 リーアがそう言って来たので黙る。

 

「艦長、ハワトさん。今は問題が発生しているからその対処だな」

 

「キャピタルアースが鎮圧行動に出たけど、芳しく無いみたいッスね」

 

 カルネがモニターを見た感想を言って来た。

 

「なぁ、デューク。1回火星に降りた方がいいよな」

 

「とりあえず、情報集めは大事だからな。俺も降りるのは賛成だ」

 

「ちなみに、もう大気圏に入っていますよ」

 

 コイツら仕事が早いな。



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火星の暴動

 ハァ、前と同じ駐車場に艦を停めたが、火星住人は凄い事になっているな。

 

『火星は独立させろ!』

 

『植民地なんかじゃねーぞ!』

 

『豊かな生活にして!』

 

 火星では貧困がさらに問題になっているみたいだ。

 

 貧しい人も沢山いるがどうしようも出来ない。

 

「この状況で反乱なんて起こすのか……」

 

「俺達はかなりの物資を買い込んで来たから数ヶ月は持つが、それが無かったら恐怖だな」

 

 あと、無法地帯を見ている気分なのは嫌だな。

 

「今も鋼刃団は戦闘をやっているのか?」

 

「はい、キャピタルアースのMS相手に立ち向かっているようです」

 

「おいおい、よく粘れるな」

 

 モニターを見ると、前に見た紫のガンダムフレーム以外にも何機かがキャピタルアースのMSであるカレッジを相手している。

 

「火星支部のMSのほとんどを使って戦っているみたいですが、やはりガンダムフレームに苦戦しています」

 

 それに、MK部隊が上手く牽制もして邪魔をしているのを見て、鋼刃団は軍みたいな戦い方をしていると思う。

 

「ただ、オレ達はどっちの味方をすればいいんだ?」

 

「どっちの味方もしなくていいと思うぞ。コイツらの戦いは傍観するだけで大丈夫だ」

 

「艦長、それは何でッスか?」

 

「ここで余計な事をすると、今度は俺達が目立って大変な事になる。そうなったら、キャピタルアースに目をつけられて潰される」

 

「確かに、1番の手はそれしか無いな」

 

「基本的に戦いは数だからな。性能がよくても限界は来るぞ」

 

 このまま鎮静化するのか、それとも爆発するのかを見るしか無いな。

 

「ただ、鋼刃団の基地にはミデア・コスモスがいる可能性が高いよな」

 

「ルート、俺もそれを考えていた」

 

 火星の政治関係者がいたら厄介だな。

 

「こっちのMSは全部で11機だから、戦うのは避けた方がいいよな」

 

「ハワトさん、そう思うなら言わなくて良くないか?」

 

「運送業をしていたら損得で考えてしまうんだよ。鋼刃団を助ける価値はあるかをね?」

 

「今の所は無さそうだが……」

 

 そろそろ決着が付きそうだ。

 

「鋼刃団の勝ちみたいだ。キャピタルアースと傭兵ががここまで弱いとはな」

 

「まぁ、偉そうにしている割には役にたたないみたいッスね」

 

 お前らボロカスだな……。

 

「さて、暴動はさらに過激になって来たな。オレ達も動くか?」

 

「いや待て、何か見える」

 

 モニターを見ているとハワトさんが何かに気づく。

 

「あれはキャピタルアースのエース機〈レクリス〉か、何でここまで温存しておいたんだ?」

 

「エース機、という事はかなり強いのか?」

 

「あぁ、ネメシスフレームを元に開発した機体だ。ガンダムフレーム程性能はないが、それでも高い性能を誇る」

 

「なる程、それにオマケが何機か来ているから、これで鋼刃団も終わりか?」

 

「まぁ、終わらないよな」

 

 ガンダムフレームが〈レクリス〉を圧倒している所を見る。

 

「おいおい、ガンダムフレーム強過ぎだろ」

 

「ゴートさん。ウチのガンダムフレームも桁違いに強いッスよ」

 

「それは、MSの性能もあるかもしれないが艦長の操縦技術がおかしいだけだ」

 

 おい待て、色々好き勝手言われているような気がする。

 

 そして、モニターを見て

 

「今度こそ決着がついたみたいだ」

 

 そこには〈レクリス〉と〈カレッジ〉の残骸が大量に打ち捨てられていた。

 

 レポーターの人はなんか喜んでいるみたいだが

 

「おいおい、どうすんだよこれ」

 

「奴ら完璧にキャピタルアースを敵に回す気だな」

 

「さて、そろそろオレ達の出番だな」

 

「えっ? 何をする気だリーダー」

 

 ゴートは分かってないみたいだが

 

「リーア、艦を鋼刃団の基地に向かって発進してくれ。後、MS隊の準備も頼む」

 

「お前ら、もしかして残骸の回収に行くのか?」

 

 ハワトさんがそう言っているので

 

「そうですよ。オレ達らジャンク屋なんで」

 

 ルートが当たり前のように言う。

 

「回収には反対は無いが、戦闘にはならないか?」

 

「モニターを見るに、向こうはガンダムフレーム1機とメサイヤフレームが3機だな。この艦の戦闘力を合わせたら余裕で勝てると思いますよ」

 

「ゴート、油断は大敵だ。それに戦いに行く気はない」

 

「それじゃあ、後は頼むな」

 

「了解だ。デュークもしっかりやれよ!」

 

「あぁ!」

 

 俺は操縦室を出て、パイロットスーツに着替えた後、ストライクシャドウに乗り込み発進の合図を待つ。

 



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鋼刃団の基地

 戦艦駐車場から鋼刃団の基地までそこまで時間はかからない。

 

「艦長、ボク達も戦う事になる可能性があるんだよね」

 

「エルミナ、その可能性はあるが高くはない。交渉がメインだから先に手を出すなよ」

 

「了解」

 

 今回出る機体は8機だから、数では勝っているけど油断は出来ないな。

 

『もうすぐ、鋼刃団の基地に到着します。艦長から発進してください!』

 

「了解だ!」

 

 そして、ストライクシャドウがカタパルトに乗ったので

 

『ストライクシャドウ、発進どうぞ』

 

「デューク・アンダー、ストライクシャドウ出るぞ!」

 

 俺はGがかかって発進する。

 

「後続、俺について来てくれ」

 

「「「「「「「了解!」」」」」」」

 

 俺達は鋼刃団の基地の前に降りると

 

「あの機体は、まさかジャンク屋か?」

 

 前あったリーダーの青年を見つけたので今回もワイヤーを使って降りる。

 

「戦闘お疲れ様です、と言えばいいのか?」

 

「あぁ、その言葉は間違っていないがお前らは来ても大丈夫なのか?」

 

 とりあえず、敵として認識はされていないみたいだ。

 

「まぁ何とか。それよりも今回も回収しても大丈夫か? もちろん金は払う」

 

「いや、今回は金じゃなくていい」

 

「はっ、なら物資か?」

 

 そう聞くが、首を横に振られる。

 

「ここからはわたしが話します」

 

 黄金色でロングヘヤーの女性とメイドがこちらに近づいて来た。

 

「お前、ここにいたら危ないぞ!」

 

「この人からは殺気を感じないので大丈夫ですよ、それよりも自己紹介ですね。わたしの名前はミデア・コスモス、火星政府代表の娘です」

 

 やっぱりここにいたか。

 

「ジャンク屋〈ノーマット〉、母艦〈グリム・リーパー〉艦長デューク・アンダーです」

 

 俺達は握手した後

 

「ただ、ここにはもう1人ゲストがいるな。エルミナ、降りて来てくれ」

 

『了解!』

 

「エルミナ?」

 

 エフォートからパイロットスーツ姿のエルミナ・コメットが降りてくる。

 

「エルミナ・コメット! 何でMSに乗っているのですか!?」

 

「あらら、まさかミデアがここにいるなんてね」

 

『エルミナ・コメット!? なんでここにいるんだ?』

 

 鋼刃団の団員達はかなり驚いているようだ。

 

「今は、〈ノーマット〉のMS乗りとして働いているだけだよ。それよりも、君達の交渉条件は何かな?」

 

 エルミナ、お前一気に切り込むな。

 

「それはオレ達から話す、オレは鋼刃団団長ガイゼル・トーンだ。今回の報酬は金じゃ無くていい、ミデアを無事地球の政治の中心地に届ける事だ」

 

 おいおい、それは

 

「悪いが、それは受ける事は出来ないな。お前らはキャピタルアースに目を付けられているんだぞ。俺達まで巻き込むな」

 

 流石にそこまで面倒は見れない。

 

「頼む、宇宙艦が無いオレ達には届ける事は出来ないんだ」

 

「それなら火星の権力者達の宇宙艦を借りれば良く無いか?」

 

 思った事をストレートに話す。

 

「それはいけない事も無いのですが、戦力が全く足りないので途中で落とされますし、武装も貧弱で勝ち目がないです。なので、海賊艦に圧勝した貴方達に頼んでいます」

 

「ハァ、一回他の奴との連絡を取ってみる。それと、お前らはどうするんだ?」

 

 俺はガイゼルに問う。

 

「それは、オレ達を雇ってくれないか? MS乗りも腕利きの奴らがいる、お前らには役に立つと思う」

 

 ここまで真剣頼まれるとはな。

 

「とりあえず、1回母艦に戻るな。いや、アイツらをここに連れて来る方がいいか? ちょうど到着した」

 

 俺の母艦〈グリム・リーパー〉が近くに着陸した。

 

「おいおい、近くで見るとかなりデカいな」

 

 そして、俺は通信機でルート達を呼ぶ。

 

「おーい、デューク。話がややこしい事になっていると聞いたが本当か」

 

「あぁ、お前達にも簡単に説明する」

 

 降りて来たのは、ルート、ハワトさん、リーアの3人だ。

 

「艦長、その話を受けるとキャピタルアースを完璧に敵に回すぞ」

 

「ハワトさん。奴らは情報を見るにそこまで強くないみたいですよ」

 

「リーア、何処から調べたんだ?」

 

 まぁ、こうなるよな。

 

「それは、火星支部の不正データは流失しているみたいなので回収しておきました。なので、もしもの時はこれを盾に出来ますよ」

 

 リーア、お前怖いな。

 

「あの、結局受けてくれるのか?」

 

 ガイゼルが待ちくたびれているみたいなので

 

「安請け合いは出来ない。母艦に帰ってみんなで相談する」

 

 俺達は一旦母艦へ帰投する。

 

 そして色々話し合った結果、みんなもキャピタルアースにかなり不満があるみたいなので、今回の依頼は受ける事にした。

 



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ケイオス・レオ中佐

 あの後、鋼刃団団員約200人を雇ったのと、ジャンク屋ギルドに素材の回収を頼む。

 

「ほぼ全員子供だな」

 

 大人が数人で残りは子供だった。

 

「使えない無能な大人達は追い出して、それで残ったのは必然的に子供が多くなった」

 

「ガイゼル、おれ達はこの艦を回って来ていいか?」

 

 黒髪の小柄な少年が口を開く。

 

「アルス、それは艦長に聞いてくれ」

 

「艦長、回って来てもいい?」

 

「別にいいが、迷子にはなるなよ」

 

「わかった」

 

 アルスと呼ばれた少年が、相談室から出て行く。

 

「すみません、オレ達は学が無いので敬語も使えないです」

 

「特に気にしてないが、オレ達のメインの仕事はジャンク屋だ。そこは忘れないでくれよ」

 

「えぇ、もちろんです」

 

 ガイゼルが頷くのでよかった。

 

「ただ、問題がある。宇宙の航路のほとんどはキャピタルアースが管理している。ジャンク屋だけだった時は何とか誤魔化したが、今回は難しいな」

 

「そうだな。オレ達の力を使っても無理だ」

 

 ハワトさんにまでそう言われるのはキツい。

 

「あと、戦力の差もありすぎる。〈グリム・リーパー〉といえど、相手に勝つ事はほぼ不可能だ」

 

「ただ、ボク達はそれでもやらないといけないよ」

 

「そうです。わたしはこの独立を成功させたいです」

 

 ミデアが上を向いているが

 

「デューク、オレ達の仕事はこれだったっけ?」

 

「俺に言うな」

 

 ルートの表情が死んでいるのは気のせいか?

 

 その後、物資はあるのでジャンク屋ギルドの換金とリーズンの売却が終わったら、火星を出る事にした。

 

 それから数日後、かなりの金額を貰ったので地球に向かおうとした時

 

「リーダー、艦長大変です! キャピタルアースから通信です」

 

「なんだと!?」

 

「やはりこうなったか」

 

 俺はそう言って通信を繋いで貰う。

 

 すると金髪のイケメンが映る。

 

『私はキャピタルアース軍所属、ケイオス・レオ中佐だ。早速だが、君達が匿っているミデア・コスモスの引き渡しを要求する』

 

「ジャンク屋ノーマットのリーダー、ルート・エクリスです。あの、ミデアをどうするつもりですか?」

 

『それは君達に言っても無駄な事だが、1つだけ言うならキャピタルアースに革命を起こす為だ!』

 

 えっ? それは予想外なんだが。

 

「革命を起こすとは一体どういう事ですか?」

 

『今のキャピタルアースはかなり腐敗している。それを変える為に私達は戦っている。』

 

「つまり、強硬派と革命派と中立派みたいに派閥があるのですか?」

 

『ほう、少しは頭が回るみたいだな』

 

「なぁデューク。お前には理解出来ているのか?」

 

「ルート、正直言えば微妙だ。ただ、向こうの出方次第で行動が変わるかも知れない」

 

 俺はこの後の道を考える。

 

『まぁ、君達に言える事はこれくらいだ。さて、ミデア・コスモスも渡すのか? それとも反乱するのか?』

 

「あの、1ついいですか? 貴方達と一緒に地球には行けないのですか?」

 

 リーア、それは言ってもいいのか?

 

『ちょっと待て、それは考えていなかった。一回こっちで話し合うから時間を貰う」

 

 そう言って、ケイオスさんは通信を切った。

 

「リーア、その手はいいかもしれないが向こうは引き受けるのか?」

 

「それは分かりませんが、可能性はあると思います」

 

「でも、どっちにしてもキャピタルアースに戦う事になりそうッスね」

 

「まぁ、オレ達はやる事をやるだけだ。そうだろ、リーダー、艦長!」

 

「ゴートの言う通りだ。オレ達はオレ達の道を進む」

 

「まぁ、オレは完璧に巻き込まれたけどな」

 

「それは、俺達もですよハワトさん」

 

 ジャンク屋の仕事では無いような気がする。

 

「こうなったら、ジャンク屋の仕事は一旦休業だな」

 

「リーダー、そうッスね。政治の命運がかかっているッスからね」

 

 なんか潔い。

 

 それから十数分後

 

『遅くなってすまない。こちらで軽く会議してみたが、君達の用件を受ける事にする。とりあえず、宇宙に上がって来てくれ』

 

「了解した」

 

 そして、通信が切れたのでガイゼルとミデアにこの事を伝える。

 

「まさか、キャピタルアースがそんな事になっているとは」

 

「でも、チャンスです。早く宇宙にあがりましょう」

 

 2人の意見は色々あったが、とりあえず宇宙に向かう。

 

「レーダーに反応、キャピタルアース軍ドレッドノート級が3艦が近づいて来ました。あと、近くに海賊艦が

 

「それと、通信が入って来ているので繋ぎます」

 

『よく来てくれたな。しかし、見た事もない戦艦だな』

 

「ジャンク屋をしていれば色々あるんですよ。それよりも気付いていますか?」

 

『あぁ、海賊艦が近づいて来ている。私達が相手をしよう』

 

 そう言って、キャピタルアース軍はMSを34機出撃させる。

 

「相手の海賊艦は見た事あるな」

 

 相手の機体は10機ほどだが、前見た赤いガンダムフレームが出て来た。

 

「おいおい、あの赤いガンダムフレームはデュークから逃げ切った奴じゃ無いのか?」

 

 そうだよな。

 

「すまないが、第2戦闘配備だ。恐らくキャピタルアース軍は負ける」

 

「了解です!」

 

『第2戦闘配備、MSパイロットは搭乗機へ』

 

「デューク、お前も出るのか?」

 

「あぁ、出るぞ」

 

「了解だ。艦の事は任せろ!」

 

 俺はルートに艦を任せてMS格納庫に向かう。



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宇宙海賊、レイス・スカル

 まぁ、俺の予想通りになったな。

 

『艦長、キャピタルアース軍のMSが全滅しました』

 

「やはりそうか。それで向こうはなんか言っているか?」

 

『それが、ドレッドノート級が3艦ともエンジンを攻撃されて動けないみたいです。ちなみに〈グリム・リーパー〉は防壁を貼ったので無傷です』

 

 軍なのにこんなに弱くていいのか……。

 

『艦長、海賊艦とキャピタルアースから通信が来ています。一回操縦室に戻って来てください』

 

「了解した」

 

 何か嫌な予感がするが、とりあえず向かう。

 

「艦長、お帰りです。それでは相手の通信を繋ぎますね」

 

 リーアがそう言って繋ぐと

 

『やっと繋がったか、俺達は宇宙海賊〈レイス・スカル〉の首領、キャプテン・クロウだ。お前らは前にあった奴でいいよな』

 

『何、〈レイス・スカル〉だと!』

 

 はっ、コイツら有名なのか?

 

『〈レイス・スカル〉、少数先鋭のMSパイロットや豊富な資金を持っているやり手の宇宙海賊だ。だが、何故ジャンク屋と知り合いなのだ!』

 

『それは、俺達がコイツらに何も出来ずに敗走したからだよ。ロートガンダムすら相手にならなかった』

 

『私達の部隊を壊滅させた、あのガンダムフレームすら相手にならなかっただと……』

 

 なんか話がズレて来たような……。

 

『ただ、やられっぱなしでは終われない! 前戦ったガンダムフレームとタイマンをやらせろ!』

 

「断る。オレ達は重要な護衛任務中だ。お前らを相手する気はない」

 

『そうか、ならキャピタルアース軍の軍艦を沈めるぞ?』

 

『すまないが相手をしてやってくれないか、私達はここで終わる訳にはいかないからな』

 

 ハァ、なんでこうなるんだ。

 

「なんか乗せられているような気がするッスね」

 

「まぁ、アイツらがつるんでいる可能性もあるな」

 

「ハワトさん。その場合はさらに面倒だぞ」

 

『さあ、ガンダムフレームと戦うのか、それとも戦わないのかどっちだ?』

 

 なんかキャラがブレブレに見える。

 

「デューク、すまないが出撃してくれるか?」

 

「別にいいが、他の奴らは艦の護衛の為に出撃しておいてくれ。不意打ちがあるかもしれないからな」

 

「了解です。艦長が発進後、すぐに発進させます」

 

 さて、また格納庫に向かうか。

 

『対戦感謝する』

 

 何故か向こうの首領に頭を下げられたので

 

「別にいい。それよりも他の奴らは手を出すなよ」

 

『あぁ、分かっている』

 

 この人、意外と物分かりよくないか?

 

 そう思いながら、操作室を出て格納庫に向かいストライクシャドウに乗り込む。

 

『艦長、外はどうなったんだ?』

 

「キャピタルアース軍のMSが全滅した。そして、相手の海賊は俺とタイマンしたいみたいだ」

 

『タイマンね。ボク達が相手をしなくてもいいのかい?』

 

「お前らは艦を守ってくれ。不意打ちがあるかもしれないからな」

 

「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」

 

 こっちはMSは12機あるから何とかなるか?

 

 そして、ストライクシャドウがカタパルトに乗って

 

『艦長、ストライクシャドウ発進どうぞ!』

 

「ストライクシャドウ、デューク・アンダー出るぞ!」

 

 VPS装甲を起動して、ストライクシャドウは黒とグレーのカラーになる。

 

 少し進んで、向こうも赤いガンダムフレームが俺の前に立ったので通信が飛んで来る。

 

『なる程、あの艦の若い艦長さんがその機体を動かしていたのか』

 

 赤髪の美女が舌舐めずりしながら見て来た。

 

「それで、ルールはどうするんだ?」

 

『決まっているだろ。アタシとあんたが動かなくなるか降参するがどっちかで決着がつくんだよ!』

 

「ハァ、了解だ。スタートの合図はどうするんだ?」

 

『それは、こっちの旗艦が信号弾を発射するから、それが合図だ』

 

 相手がそう言った後、旗艦から信号弾が上がったので向こうの槍から数重視のビール弾が飛んで来る。

 

「チッ」

 

 俺はシールドで防いて隙間からビームライフルで攻撃するが中々当たらない。

 

『やっぱり、そのシールドは硬いな。だが、それならそれでやりようはある!』

 

 向こうは旋回しながら攻撃を仕掛けて来るので

 

「舐めるな!」

 

 俺は速度を上げて相手の弾丸を回避する。

 

『チッ、機動性ではそっちの方が上か』

 

 俺は高速移動しながらビームライフルを連射するが、盾で防がれる。

 

「ガンダムフレームの盾は硬い。なら、一斉攻撃だ」

 

 俺は、遠距離火器を使って一斉攻撃を始める。

 

『ちょ! お前、それはズルくないか!?』

 

 やっとの事で槍にビームが当たって破壊出来たが

 

『槍が破壊されたか、なら近接戦だな!』

 

 向こうはビームサーベルを引き抜いてこちらに接近して来る。

 

『艦長、大丈夫なんですか!?』

 

「リーア、大丈夫だ」

 

 俺もビームライフルを腰にマウントして、背中のビームサーベルを引き抜く。

 

 そして、ビームサーベルの鍔迫り合いになったが

 

『こっちが押し負けているだと!』

 

 出力では勝っているので何とかなるか。

 

 そこから何回か切り合いになるが遂に相手のガンダムフレームの右腕を切り裂いて、コックピットにビームサーベルを向けた。

 

『アタシの負けだ。さあ殺せ』

 

「別に殺す気は無いぞ」

 

『はっ、何でだ? アタシ達は海賊だぞ』

 

「だからなんだ? 別に話が通じない荒くれもには見えないぞ。それに、俺達は戦力が欲しいから手下にするのもアリだな」

 

 まぁ、こんな感じだろ。

 

『決着は着いたみたいだな。デューク、これから海賊達と話し合いをするから帰って来てくれ』

 

「了解だ」

 

 俺はビームサーベルを仕舞って帰ろうとしたら相手のガンダムフレームに腕を掴まれた。

 

『アタシも連れていけ』

 

「お前は自分の旗艦に帰れ!」

 

『断る』

 

 なんか意味不明な事になったのだか、結局連れて帰る事になってしまった。



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海賊達の正体

 あの後、海賊達との話し合いになったがとんでもない事を言われる。

 

『俺達は、巨大企業〈オービット〉の傘下の海賊だ』

 

「なんだと!? 〈オービット〉の傘下だったのか!」

 

「あのハワトさん。〈オービット〉ってなんですか?」

 

 俺が説明を求めようと言ったが、周りの人からはかなり驚かれる。

 

「デューク、〈オービット〉の事を知らないのか?」

 

「あぁ、全く知らない」

 

 ルートでさえ唖然しているので、何故だと思っていると

 

『それなら説明する。〈オービット〉は地球圏から火星圏までに沢山の支部や傘下の企業があって、その武力はキャピタルアースにも匹敵すると言われている巨大企業企業だ』

 

「それと、物流では〈アエトス〉には負けているが他の金融や人員派遣などは〈オービット〉が担っている」

 

「でも、そんな企業の傘下が海賊行為をしているのは何故だ?」

 

『簡単に説明すると、実戦経験を積む為だな。俺達はキャピタルアースにいい感情を持っていない事と向こうとやり合ったりするかもしれないから、その訓練だな』

 

 待てよ、最初に火星に来た時に潰した海賊艦も傘下の可能性があるような。

 

『ただ最近、大隊が壊滅したというニュースを聞いて俺達も気をつけていたんだがな』

 

「それってオレ達が潰した海賊かもしれないが……」

 

 だよな。

 

『君達、本当に軍関係者では無いのか?」

 

 ケイオスさんがそう言ってくるが

 

「オレ達はジャンク屋ですよ!」

 

 ルートがそう言い返す。

 

『いやいや、ジャンク屋にそんな戦力ないだろ!』

 

『それは、私も同感だ』

 

 向こうの2人に突っ込まれる。

 

「それはいいとして、これからどうしますか? 私達はミデア・コスモスを無事地球圏の政治の中心に連れて行く仕事がありますが」

 

『そうか、なら俺達も手伝おうか? お前らをドンに合わせるのも良さそうだ』

 

 なんか、ヤクザの企業に見えるのは気のせいか?

 

『確かにここで〈オービット〉の力を借りれたら革命をしやすくなるだろうから私達は賛成だ』

 

 ケイオスさん、貴方の部隊を全滅させた相手にそれを言いますか?

 

「なぁデューク。この状況はどうする?」 

 

「このパターンは断れない可能性が高い。そうなったらこちらのいい条件で受けるしかないな」

 

 まぁ、技術力も俺達より高いと思うから誘いに乗るのもアリか。

 

「なんか、どんどん話が大きくなっているのは気のせいッスか?」

 

「カルネ、それはおれも思った」

 

 その後、結局は〈レイス・スカル〉と地球に向かう事になった。

 

 そして、〈グリム・リーパー〉と〈レイス・スカル〉の旗艦と橋を繋く。

 

「ここが、お前達の艦の中か」

 

「そうです。設備も中々整っているので快適ですよ」

 

 クロウさんと部下数人が入って来たので、ルートに対応を任せながら俺は後ろから着いて行く。

 

「そういえば、他の海賊艦隊にも指示を出しておいたぞ」

 

「初耳なんですが……。何艦くらい来るのですか?」

 

「10艦くらいだな」

 

 いやいや多いな! 

 

 そう思っていると

 

「艦長、なんでそんなに後ろにいるのですか?」

 

 リーアが俺の方を向いて来て口を開く。

 

「艦長? 彼はMS部隊の隊長じゃないのか?」

 

「この艦の艦長は、デューク・アンダーですよ。私達はそのクルーです」

 

 おい待て、その事を話すな!

 

「ほう、そうだったのか?」

 

 ハァ、このパターンは面倒な事になる。

 

 それはさておき、〈グリム・リーパー〉にあるMS格納庫に到着すると

 

「さっき見たが、ガンダムフレーム3機、メサイヤフレーム5機、それと見たことない機体が4機あるのは凄いな」

 

 なんか、ハマっているみたいだ。

 

 その後、クロウさんには自分の艦に帰って貰った。

 

 そして、ケイオスさんはキャピタルアース火星支部に帰って母艦の修理をするそうだ。

 

『それでは私達はこれで失礼する』

 

「了解です」

 

 向こうは向こうで動いてくれるみたいなので、俺達も地球に向かう。

 

 



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巨大都市コロニー〈エーアガンス〉に向かう

 あれから、〈オービット〉所属の海賊艦隊と合流した後、物資の搬入の為巨大都市コロニー〈エーアガンス〉に向かう事になった。

 

「わたし、火星から出た事無かったので楽しみです」

 

「そうですね」

 

 操縦室に来ていたミデアとお付きのメイドであるクレナさんがそう言っているが

 

「あの、何故ここにいるのですか?」

 

「鋼刃団の皆さんや従業員の人達は働いていますから暇なんです。なのでここに来ました」

 

「まぁ、自分たちも暇をしていたんで丁度良かったス」

 

「ただ、艦長はシミュレーション室で訓練しているのでいないですよ」

 

 いや、訓練が終わったのたので開けようとしたらこの状況だ。

 

 まぁ、普通に入るけどな。

 

「艦長お帰りッス。こっちは問題なかったッスよ」

 

「それはよかった」

 

 俺は艦長の椅子に座ると

 

「艦長さんはあの海賊達を信じるのですか?」

 

「いや、完璧には信用してないぞ。ただ、後ろ盾が〈オービット〉の確証も取れたから敵には回したくないな」

 

 まず、自営業が巨大企業を相手出来るわけがない。

 

「それに、物資の余裕はあるが補給はしたい」

 

「まぁ、〈エーアガンス〉に入る事が出来るのはいいですね。それと、クロウさんが言っていたのですが、会社のボスと話して欲しいと言っていましたよ」

 

 社長じゃなくてボスってなんだよ!?

 

「ルート、任せた!」

 

「待てコラ、無理矢理逃げようとするな!」

 

「相手はヤのつく商売をしているボスだぞ! そんな相手にかかわりたくないわ!」

 

「オレも関わるんだから手伝え!」

 

 このままだとかなりマズイ

 

「あの、その会議にわたしも参加してもいいでしょうか?」

 

「それは向こうに聞いた方がいいッスね」

 

 お前らはなんでスルーしているんだ……。

 

 そう思いながら話していると

 

「艦長、リーダー、向こうから通信が来ています」

 

「わかった、繋いでくれ」

 

「ルート、大丈夫なのか?」

 

「知らん!」

 

 凄く不安なのは気のせいか?

 

『繋がったな。あと、数時間で〈エーアガンス〉に到着するが必要な物資の管理表はあるか?』

 

「もちろん、用意しているッス。ただ、無料で譲ってくれるのはいいんスか?」

 

『あぁ、それは大丈夫だ』

 

 無料……、何かありそうだ。

 

『艦長、俺達は別に何も企んでいないぞ』

 

「そうだったら良いけどな」

 

 どうも引っかかるんだよな。

 

『まぁ、ボスは怖いから覚悟しておけよ』

 

 どっかに逃げようかな?

 

「厳つい人が出てくるのは予想通りだ。だが、それも限度はあるぞ」

 

『まぁ、向こうから聞く事は〈グリム・リーパー〉の事とMSの事だと思うぞ』

 

「それは前に言えないと言いましたよね」

 

『そうだな。ただ、新型のMSや戦艦のデータは欲しがられる可能性が高いな」

 

 やっぱり、完璧に利用目的か。

 

「んっ……。レーダーに反応! この反応は傭兵です」

 

「嵌められたか?」

 

 俺達はクロウさんの方を見ると

 

『あれは、俺達の系列の艦だな。通信が来たから繋ぐぞ』

 

 そう言って、違う画面が写ると20代後半の筋肉質な女性が

 

『クロウ帰って来たのか?』

 

『マーレか。あぁ、なんとか帰って来たぞ』

 

 同僚かな?

 

『しかし、そっちは若い奴らばっかりだな。それに弱そうだな』

 

『そう言うな。一応MS戦闘では俺達では歯が立たなかったぞ』

 

『それはお前らが修練をサボっているだけだろ』

 

 言い方がキツイいな。

 

『ほう、そこのガキ。あたしらに文句がありそうだな』

 

「ふん、口だけの奴らに何も言われたく無いんだが」

 

 イラッと来たので思わず言い返すと

 

『なんだと! あたし達は〈オービット〉宇宙艦隊の中でも最強クラスの傭兵なんだぞ!』

 

「だからなんだ、実力も知らないのにバカにする方が笑えるな」

 

「艦長、確かに自分もイラッとしたッス。ただ、そこまでストレートに言わなくても良いと思うッスよ」

 

 さてさて、相手の顔は真っ赤だ。

 

『そこまで言うなら決闘だ! もちろん買った方が負けた方に好きな命令が出来る条件付きだ』

 

「そうか、だが断る。俺達に得が無いからな」

 

「おい、その流れで断るのか……」

 

 ハワトさん、面倒な事は避けたいんですよ。

 

『ハッ! 結局は口だけのガキか。なら、お前たちの艦を鎮められたいか、決闘がどっちがいいか?』

 

「それじゃあ決闘で。ただ、文句は言うなよ」

 

『いいわよ。ただ、生意気なガキども、躾をしてあげる』

 

 向こうの通信が切られた。

 

「デューク、オレも最後は勢いで言ってしまったが大丈夫なのか?」

 

「まぁ、これでなんとかならなかったら詰むな。ただ、アイツらルールを言っていないよな」

 

「「「「「あっ……」」」」」

 

『お前ら、今それを気づくのか……』

 

 そう思っているとまた通信が入る。

 

『ルールを言い忘れた、MS1機同士のタイマン勝負だ。それじゃあ楽しみにしているぞ』

 

 今度こそ通信が終わったので

 

「それじゃあ、誰がでる?」

 

「「「「「艦長で」」」」」

 

 だよな。

 

『艦長、相手はかなりの手練れだぞ』

 

「了解した。あと、不意打ちとかあるかもしれないから防壁は貼っといてくれよ」

 

「わかりました。艦長も気をつけて」

 

「わたしもイラッと来たので相手を叩き潰してください」

 

「あぁ、言われなくても」

 

 俺は操縦室から出て、パイロットスーツに着替えMS格納庫に向かう。

 

「艦長、戦う事になったと上層部から聞いたが大丈夫なのか?」

 

「それはわからないです。ただ、MSパイロットは待機して貰っていてもいいですか?」

 

「わかった。オレから声をかけておく」

 

 ドースさんにその事を頼んで置いて、ストライクシャドウに乗り込む。

 

 そして、カタパルトに乗って

 

『艦長、ストライクシャドウ発進どうぞ!』

 

「了解。デューク・アンダー、ストライクシャドウ出るぞ!」

 

 俺はいざ戦いの場所に向かって発進する。

 



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