アルビノ少女は自由に駆け回りたいです。 (夢現 明)
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アルビノ少女と初ログイン

「リーちゃん……本当に大丈夫かな?」

『大丈夫だって、椛は心配性なんだから』

 

 New World Online(以後NWO) 剣と杖を持った男女が数人描かれているパッケージとそのハードを持ちながら電話口で少女立花椛(たちばなもみじ)は親友の白峯理沙(しろみねりさ)に確認する。

 

『新しいハードは椛みたいな子でも対応できるようにって設計されてるんだから』

「そうだけど……」

 

 椛はアルビノ(先天性白皮症)の疾患を持っておりそれによるメラニン不足で目が悪い(紫外線にも弱い)。そして普通の人が丁度いいと感じる明るさでも眩しく感じてしまうので今までのハードでは椛はVRMMOをうらやましく感じるもプレイ出来ていなかった。それを解決したのが、

 

『椛のお父さんを信じなって~』

 

 そう、椛の父親である。ゲーム製造の仕事についていた彼女の父親は実に親バカで、娘がアルビノと分かった当初から《娘(アルビノ等の障害持ちの人たち)でも楽しめるゲーム作り》と言う本音と建前が逆なコンセプトに日々励み先日やっと太鼓判を押して手渡されたのがこのハードである。それを理沙に伝えて早速おすすめされたのがNWOである。

 

「……そうだよね。私が信じなきゃ。ありがとうリーちゃん」

『どういたしまして。私は実力テストが終わるまで無理だけど。明日あたりに楓にも届くらしいから先に楽しんじゃってて』

 

 分かったと返しもう一度お礼を言ってから電話を切り椛は初期設定を始めた。

 

 ─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 NWOの初期設定を終え椛は電脳世界にいた。

 

「……//本当に周りが明るいのに眩しく感じない…………ッハ!! 設定しなきゃ」

 

 今までにない感覚の余韻に浸っていた椛だがやるべきことを思い出して行動に移す。

 

「ムゥ……名前……」

 

 悩んだ末に椛は[ナグサ]とパネルに打ち込み職業選択に移る。

 

「職業……剣に槍……杖…………弓……うん」

 

 椛は悩んだ末に弓を選択次の作業にに入る。

 

「……ステータスポイント?」

 

 口先に指を付けて首を傾げてながら理沙がVRMMO初参戦な自分のため丁寧に説明してくれた内容を思い出しながら一心不乱にステータスポイントを振り分けていく

 

「……いろんなところ行きたいからAGI高めに……STRは最低限は装備で付く? ならちょっとでいい。扱い方は個人次第で……魔法は……後で…………っあ、採集とかもあるからDEXだっけ? 最低でもこれくらいって……そうするとVITとHPが……弓だし当たらないように立ち回れば…………よし!!」

「……容姿は弄れない……まあ、問題ない」

 

 もとより自分の事を受け入れる人と楽しく過ごすがモットーな彼女は容姿が変更できなくとも問題なくそのまま設定完了を押した後。ナグサは光に包まれる。

 

 

 ─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

「……ソワソワ

 

 目を開けるとそこには活気あふれる城下町の姿がありナグサは興味津々な様子であたりを見回す。

 

「…………肌……痛くならない……目の方も大丈夫だった。 なら…………ふわぁ~!!」

 

 しばらくあたりを見回しながら歩いていると普段なら外でこの明るさだとじりじりと来る痛みがないことに気付き上勇気を絞りを見る。そこにはアルビノながらの理由であまり見ることができない青空が広がっておりナグサは目を奪われてしまった。

 

「…………ここじゃ邪魔になる」

 

 少し空を眺めていたナグサは人の往来する場所で立ち止まっていた事に気づき空を眺めるという感動の余韻にもっと浸っていたいと思い人通りの少ない場所に移動し空の観察を再開した。この行動が後に少女が【空の姫】や【嵐の王】などと呼ばれる原因なるとは誰もが思ってなかっただろう。

 

 

「…………雲の形変わった」

 

 最初は空の変化に気づき目を輝かせ……

 

「…………あっ!! これ新しいパターンだ!!」

 

 しばらく見ることで空の規則性を発見し違うパターンを見つけては喜び……

 

「……もう夕方? ……あっ!? 一番星……こうなったら夜も眺めよう」

 

 何もせずに過ごしたことに絶望し新しい発見を見つけて自棄になり……

 

「……あれが北斗七星……ちゃんとアルコルも見える……再現度すごい……」

 

 ちょっとした趣味である天体観測しながら現実と比べ驚き……

 

「……朝焼け? ……綺麗……っ朝!? 今日学校!!」

 

 星座の確認をしていたら思ったより時間をとってしまったらしく空が白んで来ていたのを確認し大慌てでログアウトするためにステータス画面を開く。

 

「……? 新しいスキル? ……後で確認」

 

 あたらしいスキルがあることに気付いたがすぐに冷静になりログアウトするのであった。

 

 ─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

「おい!! 誰かが【天帝】と【星見】を採ったぞ」

「「「「何!?」」」」

「マテっ!? あれは後である程度暇になったら採れるようなスキルだぞ! いったい誰が!?」

「待て今ログを追って画像を出す……!?」

「どうした? ってこの娘は……」

「ハード側主任立花さんの娘さん? 確かアルビノの……」

「デスクにある写真のまんまだな」

「……アア、ナットクシタ。見ろこのキラキラして一瞬潤んだ眼を。楽しそうに空を眺める姿を」

「プレイヤー名は【ナグサ】か確か漢字の元になった地域の名前だっけ?」

「そう言えば開発中、ナグサちゃんが作ったお菓子を差し入れにって立花さんに貰ったな……」

「そうだったな……よしこの笑顔を守るため俺たちは何も見なかった……いいな!!」

「「「「おう!!」」」」

「……だが流石に一回バランス調整は必要になるだろう」

「まあ……な。1回目のイベント後でかな」

「だな」

「立花さんには悪いけど泣いちゃうかな?」

「泣くだろうな」

「よし。この笑顔の画像を土産に説明してこよう」

「泣くかな」

「泣くだろう。娘を想った漢泣きだ」

 

 と言う会話があったそうな。

 ─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

【NWO】アルビノ少女?見つけた

 

 

1名前:名無しの弓使い

アルビノ少女?見つけた

 

2名前:名無しの大剣使い

アルビノ少女!?

 

3名前:名無しの魔法使い

アルビノ少女?

 

4名前:名無しの槍使い

なぜに「?」

 

5名前:名無しの大盾使い

たぶんその子俺も見たな

 

6名前:名無しの槍使い

詳しく

 

7名前:名無しの弓使い

分かったとりあえず

・たぶん今日が初イン

・弓装備初期装備

・プラチナブロンドのストレートロングに赤い瞳身長は140㎝位?

珍しい容姿だから目に留まった。

 

8名前:名無しの大盾使い

俺もそんな理由だな。

その後あたりを見回して自分の体を確認して意気込んだように空を見た…で合ってるか?

 

9名前:名無しの弓使い

そうそうその空を見上げた後の笑顔可愛かった

 

10名前:名無しの大盾使い

確かに最初の無表情からのギャップは凄かったな

 

11名前:名無しの槍使い

ロリ〇ン?(引

 

12名前:名無しの大盾使い

違う

 

13名前:名無しの弓使い

違わい

 

14名前:名無しの魔法使い

まあまず二人がロ〇コンかは置いといて

アルビノ持ちなら

・あたりを見回す=初インだから

・自分の体を~=アルビノは紫外線に弱い

・空を見て笑顔=普段見れないものを見て感動

って感じかな?

 

15名前:名無しの大剣使い

そうだな

それにしてもずいぶん詳しいな?

 

16名前:名無しの魔法使い

昔に興味本位で調べた

 

17名前:名無しの大盾使い

置いとくなよ!!

普段見れないって?

 

18名前:名無しの魔法使い

紫外線を遮るメラニンっていうものが少ないせいで目にも影響があるんだって

 

19名前:名無しの槍使い

どゆこと?

 

20名前:名無しの魔法使い

つまり俺たちが普段普通に見えてる明るさでも眩しいって事

そんな状況で空なんて見たら・・・

 

21名前:名無しの大盾使い

太陽に目を焼かれる…か?

俺たちは直視しなきゃ大丈夫だが…

 

22名前:名無しの弓使い

それで普段見れないものを見て感動したか

泣けるぜ

 

23名前:名無しの大剣使い

でも確か脳は同じ刺激だと同じく反応するはずだろ?

 

24名前:名無しの大盾使い

NWOと一緒に発売されたハードじゃないか?

 

25名前:名無しの魔法使い

確か障害持ちでも楽しくゲームをってコンセプトの

 

26名前:名無しの大剣使い

なるほど

 

27名前:名無しの弓使い

まあまだ確定って訳じゃないけど条件的にほぼ確っぽいし

障害持ちで外見で分かる人ってたぶん初だからしっかり楽しんで貰わなきゃな

 

28名前:名無しの槍使い

だな有名なプレイヤーにでもなってくれればユーザーももっと増えるだろうしそうすりゃ俺たちも楽しく遊べる

 

29名前:名無しの大剣使い

じゃあみんなで温かく見守る方向でいいかなー?

 

30名前:名無しの槍使い

いいともー!

 

31名前:名無しの弓使い

いいともー!

 

32名前:名無しの魔法使い

いいともー!

 

33名前:名無しの大盾使い

いいともー!




アルビノについては自分なりに調べて設定しました間違って気分を害していたらすいません。
スキルについてはまだ詳細が決まっていないので次回に持ち越しです。


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アルビノ少女とお友達の初戦闘

立花椛
基本は無口。親しい人の前だと結構喋る。
性格は傍からはほとんど無表情に見えるが、人見知りで寂しがり。
学校の日は朝に1回ずつ楓と理沙に抱き着くのが習慣になっている。

詳細はそのうち書きます

十の倍数の時ステータスポイントが2倍だったのを思いだしたので修正しました



「……また見られてる(結局午前中の授業ほとんど寝過ごしちゃったなぁ)」

 

 本日もログインして昨日も感じた大量の視線を無視し、思い浮かんだのは今日の授業風景だった。

 どちらかと言うと起こされるタイプのナグサであるが、理沙や楓の弁明と女教師の確認の元、血色が悪いと判断されて見逃して貰えた。目を見て確認されたので少し気が気でなかったが。

 

「……(まあいいか。とりあえずスキルの確認しよう)……? 増えてる?…それに……星?」

 

 やってしまった事は仕方ないと意識を切り替えて周りに浮かぶ星と昨日取ったのとたった今増えたであろうスキルの確認のため人通りの少ない通りの裏路地に移動しステータス画面を開くナグサ。

 そこに書いてあった項目はと言うと、

 

ナグサ Lv1 HP 100/100 MP 150/150 ☆1

【STR 5<+12>(25)】【VIT 0】【AGI 70<+5>(150)】【DEX 20<+5>(37)】【INT 5(7)】

 

装備

 

 頭:【空欄】 体【空欄】 右手【初心者の弓】 左手【木の矢筒】

 足【空欄】 靴【初心者の魔法靴】 装飾品【空欄】【空欄】【空欄】

 

スキル

 

【星の観測者Ⅱ】【天の帝】【臆病者】

 

「……昨日空しか眺めてないはず」

 

 ナグサは目を疑った、それはそうだろう何もしてないはずの自分がこんなに多くのスキルを取っているのだから。恐る恐るだがナグサは気になるスキルから確認に入る。

 

【天帝】

・ユニークスキル

・レベルの上昇時にHP+10 MP+15

・HPMP以外のステータスを(レベル上昇分)%強化

・天候変化関係のデバフを受けない

・【風魔法Ⅹ】

 

 魔法

天候操作(ウラヌス)】消費MP50

・半径2㎞の天候を【晴れ】【快晴】【雨】【暴風】【雷】【雪】の中で自由に変えることが出来る

・継続1時間

・15レベル上昇毎に半径500mずつ効果範囲上昇・30分増加

晴れ(サニー)】:通常状態

快晴(クリアー)】:火・植物系威力上昇、Ⅹレベルの火・植物系と無効以外に30秒毎に火上ダメージ

(レイン)】:水系威力上昇、Ⅹレベルの水系と無効以外にスロウ付与

暴風(ストーム)】:風系威力上昇、行動妨害、Ⅹレベルの風系以外に30秒に1回確率で鎌鼬による物理ダメージ(20%)

(サンダー)】:雷系威力上昇、Ⅹレベルの土系と無効以外に確率でスタンおよび麻痺付与、確率で60秒に1回確率で落雷による魔法ダメージ(1%)、命中時確定で無効の場合もスタンか麻痺付与

(スノウ)】:氷系威力上昇、無効以外10分毎に確率で氷結付与(5%)、足場を〈氷上〉に変化

 〈氷上〉:滑りやすくなる、転倒時確定5ダメージ

 

 ・同じスキルを行使した場合効果範囲の広いほうが優先される

 ・【晴れ】に戻す場合はMP消費なし

 

 

 取得条件:

 ・昼・夕方・夜・朝焼けまでを全てつなげて見ること

 ・開放されている階層の空のパターンを全て見ること

 ・【星の観測者Ⅱ】以上か【風魔法Ⅵ】以上の所有

 

【星の観測者Ⅱ】

 ・【千里眼】【星の加護】の複合スキル

【千里眼】

・【遠見】【透視】の上位互換

・モンスターの弱点可視化

・4㎞まで目視可能10レベル上昇毎に500m増加

・昼でも観測した星座線を把握できる

【星の加護】

・一番高いステータスを2倍、それ以外を1.5倍にする

・ステータスポイントを振っていない場合そのステータスに振れなくなる。

・HPMPポイントを振っていない場合HPを100にMPを150に上昇させる

・MP回復時余剰分のMPを星に蓄える一つにつきMP最大分

 

魔法

【天体操作】 1秒につきMP 1

天体の位置を移動させる

 

 取得条件

・6時間以上夜空を見ること

・星座を一日で7種類以上を自力で見つけること

・春の星座を全て観測した(【千里眼】の解放)

 

【臆病者】

 ・被ダメージ時回避判定を行う。回避率は(AGI-VIT)/2%(最大99%)

 

 取得条件

 ・ゲームスタート後ゲーム時間で24時間町から出ない

 

【ユニークスキル】

・特定のスキルを持っていて尚且つ最初に条件を満たした者に与えられるスキル。二人目以降は下位互換のスキルになる。

・取得条件が満たされなくなった時、自動的に破棄される

 

「………………?」

 

ナグサはスキルを確認したがゲーム経験が無い為今一その凄さが分かっていなかった。

一度だけ理沙に誘われてやってみたが、従来のゲームでは光の変動が激しく目が痛くなってしまった事がありそれ以降今のハードが出るまでやっていない。説明から想像は出来るが実感がわかなかった。が、それよりも重要なことがあった。

 

「……【VIT】に振れない」

 

HPMPはスキルによって問題ないが1日で色々な場所を回れる様に【AGI】に振るため【VIT】を犠牲にしたのがアダになった。【臆病者】のスキルもあるが確実に攻撃が当たらない訳ではない。ナグサはどうしようかと悩み空を見上げる。そこには千里眼の記述通り昼間にも関わらず星座線が見えていた。

 

「…………?」

 

そこでナグサは違和感を覚える。それは昨日の天体観測の時にも感じた違和感だ。

それが何か思いだそうとしている時、

 

「ナ〜グサ」

「!!……カナty、じゃなかったメイプル?」

 

待ち人ごようやく来たようだ。ナグサは違和感の原因をひとまず置いておき友のもとへ向かうのであった。 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

少し時間を遡って

 

「ほぇー 今のVRMMOってこうなってるんだ」

 

NWOにまた新たな参加者が参戦していた

初期の大盾装備身長145㎝ほどとナグサより少し高い身長に黒髪に可愛いアホ毛が特徴の少女。

そうこの少女こそ後に【魔王】や【化け物】などと呼ばれる我らがメイプルである。

そのメイプルはと言うと、

 

「うわ!0がいっぱいこれ……やっちゃった?」

 

メイプル Lv1 HP 40/40 MP 12/12

【STR 0<+9>】【VIT 100<+28>】【AGI 0】【DEX 0】【INT 0】

 

装備

 

頭:【空欄】 体【空欄】 右手【初心者の短刀】 左手【初心者の大盾】

足【空欄】 靴【初心者の魔法靴】 装飾品【空欄】【空欄】【空欄】

 

スキル

 

なし

 

「とりあえずもみ…じゃなかったナグサと合流しよう。実名はマナー違反マナー違反」

 

自分のステータスを確認しとりあえず先に入ってるはずの親友と合流することにした。

(プレイヤー名は学校で教えてもらいました。)

 

「うーんと。人通りの少ないとこでスキルの確認してるって言ってたから……裏路地かな?」

 

アルビノ持ちの人は元来の視力から暗くて狭いところに無意識に向かうという。ナグサも改善の努力はしているが、例に漏れずそのタイプである。長い付き合いのメイプルはそのことを把握しいた。

 

「となると、人に聞いてみたほうが早いね。」

 

 

「ああ~その子ならあそこの角を曲がってたよ。それとモンスターと戦うならあっちの森ならじっとしてても出て来るから丁度いいと思うよ」

 

思った通りナグサの居場所(ついでに戦える場所の情報)はすぐに見つかった。

 

「ありがとうございます。早速早速行ってみます。(やっぱり目立つよね)」

 

メイプルは教えてくれた女性にお礼を言い言われ通りに路地に入る。目的の人物はすぐに見つかった。

色白でプラチナブロンドの髪に赤い瞳の少女。

彼女は空を見上げて何かを考えているようだった。メイプルは友人が普段見れないものを見れている事を自分の事のように嬉しく思いながら声を掛ける。

 

「ナグサ!!」

「!!……カナty!!………メイプル?」

 

彼女もメイプルに気付き歩いてくるのであった。

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

メイプルに事情を話し合いながら戦闘を行うため森に向かった。

メイプルよりかなり早いので何度も止まって待つことになったので手を繋いで合わせて歩いてきたが。

 

「ここらへんなら大丈夫かな?……モンスターさんどこかでもかかってきていいよ!」

「…………来る」

 

当たりに人がいないことを確認しメイプルが周り確認すると、ナグサが何かに反応しメイプルに注意を促す。

 

『キュー!!』

 

ガサガサと草むらが揺れて跳びだして来たのは〈アルミラージ〉。リンゴをウサギ形に切ったような形状のモンスターである。残念ながら二人はこのモンスターの名称を知らないいので〈兎さん〉と呼ぶ。

 

「よーし、やるよ!さあ来い兎さん。」

 

ナグサはメイプルがやる気満々なので初戦闘は彼女に任せる事にした。アルミラージはそんなメイプルに体当たりで攻撃する。

 

「痛っ!…く、ない?」

「……!?……【VIT】?」

 

アルミラージの突進が大盾からずれてメイプルに当たったが、ダメージが無いことに、一瞬二人と1匹は戸惑う。

しかし、1匹は関係なしに突進を繰り返す。二人はすぐに【VIT】の差と言う事に気が付いた。

 

「おおおおおっ!凄い!痛くない!流石は【VIT 128】!どうだ兎さん。私の腹筋は?」

「………ぷにぷにじゃない?」

「そんなことないもん!」

「……後で確認するね。じゃあ、ここは任せた。フフ

「しまった!あっ、行っちゃった…もう」

 

普段から友人二人にハグで済ませているがボディタッチの多いナグサは言質を取り言い訳されない内にこの場を去る。状況を見て大丈夫と判断して自分の動き方の確認レベリングと言う思考もあった。

メイプルは彼女のボディタッチの理由も知っているので普段は構わないが、流石にお腹を摘ままれたりするのは勘弁してほしい。調子に乗って盛大に墓穴を掘ったメイプルは腹いせにアルミラージと戯れるのであった。

 

 

ナグサは走りながら次のモンスターを探していた。そこに狼型のモンスター<ベアウルフ>が3匹、草の陰から大きく跳んでくる。

 

「……!【マルチショット】」

 

ナグサは勢いのまま跳び空中で弓を弾き矢を放つ。同時に放たれた3本の矢がまるで吸い込まれるかの様にそれぞれのモンスターの弱点に命中し消滅していった。

 

ズザザザー

 

[レベルが10に上昇しました。

スキル【ピアーズⅠ】を取得しました]

 

 

「……痛い」

 

上から跳びかかられたので勢いのまま身を翻すように跳んだが上手く着地できず胴体着陸してしまった。

HPは減らないようだが痛いものは痛かった。

 

「……(走りながら射るのはまだ難しい)ポイントは2倍?まあ【STR】で【マルチショット】の強化っと」

[スキル【アローレイン】を取得しました]

「お!もう一つ。」

 

【マルチショット】

・1回打つ動作で複数の矢が放てる

・【STR】が10毎に1本追加

 

取得条件

・【STR 30】以上

・複数の矢を放とうとしたことがある

 

立ち回りの確認とレベリングの最中、攻撃は何回か当たってしまったが課題を見つけては挑戦して大体の感覚を掴んで着実に経験を積んでいた。ナグサはスキルの確認をする。ついでにナグサの今のステータスは、

 

 

ナグサ Lv10 HP 52/190 MP 285/285 ☆1

【STR 25<+12(57)】【VIT 0】【AGI 70<+5>(163)】【DEX 20<+5>(37)】【INT 10(15)】

 

装備

 

 頭:【空欄】 体【空欄】 右手【初心者の弓】 左手【木の矢筒】

 足【空欄】 靴【初心者の魔法靴】 装飾品【空欄】【空欄】【空欄】

 

スキル

 

【星の観測者Ⅱ】【天の帝】【臆病者】【弓の心得Ⅱ】【マルチショット】【ピアーズⅠ】

【アローレイン】

 

 

【弓の心得Ⅱ】

・弓での攻撃時ダメージを6%上昇

 

【ピアーズⅠ】

・弱点以外でも2%の確率でクリティカルが発生する。

 

取得条件

・ボス以外でモンスター攻撃時20回連続で弱点に攻撃する。

 

【アローレイン】

・矢の雨を降らせる攻撃を行う。

・矢の本数はレベル×10

 

取得条件

・【STR 50】以上

・空に向けて矢を放ったことがある

 

 

見ての通りである。今回の目的は弓でどれだけ戦えるかの確認だった。弓を弾く動作には補助機能があったので早々に慣れた。問題は当たるかどうかだったがPS(プレイヤースキル)がナグサに元々備わっていたのか問題なく狙ったところに当たっていた。

 

 

スキルの確認も終わりふと空を見上げると茜色にそまっていた。

 

「…………あ!そういうこと。て、ことは【てn「ヤダヤダヤダー!!」!!?……メイプルやっと起きた」

 

何かに気付いたナグサだが考えを実行しようとした時メイプルの悲鳴が聞こえてきた。

【千里眼】でたびたび確認していたので如何いう状況なのかは把握している。「やれやれ」とナグサは体を起こすとメイプルの元へと向かう事にした。

 

 

 

[レベルが11に上昇しました]

 

 

「もう!何で起こしてくれなかったの?」

「……気持ちよさそうに寝てたから」

 

メイプルの所に向かったナグサは周りのモンスターの殲滅後、頬を膨らませた彼女に何故起こさなかったかを聞かれたので正直に答え「それに」と続ける。

 

「それに?」

「通知でダメージ報告なかったし。あのままほっとけば何かスキル貰えないかな?って」

「うぐっ!」

 

ナグサ自身も一定の時間経過でスキルを貰っているのでメイプルにも何かないかと思ったのである。彼女の反応を見る限り正解だったようだ。

 

「そう言えばメイプル」

「ん?なに?」

「私は終わらせてから来たけど、宿題やった?」

「あ…」

 

互いに取ったスキルの確認も終わりナグサはメイプルにふと宿題について尋ねる。すると彼女は見る見るうちに青くなった。

 

「……いい時間だしそろそろやめようか?」

「……うん」

 

そうしてナグサのログイン二日目は終了するのであった。

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

【NWO】やばい大盾使いと弓使い(アルビノ少女?)見つけた

 

1名前:名無しの大剣使い

やばい

 

2名前:名無しの槍使い

kwsk

 

3名前:名無しの弓使い

どうやばいの

 

4名前:名無しの大剣使い

大盾は何か西の森でモンスター数十匹に取り囲まれながら寝てた

アルビノ少女?は付近で素早い立ち回りで全部一発で倒してた。しかもエフェクト的に全部弱点に当てて、だ

 

5名前:名無しの槍使い

は?あり得なくね?

いくら大盾でも死ぬだろ。それに全部弱点って、

 

6名前:名無しの弓使い

強力な装備だったとか?

 

7名前:名無しの大剣使い

見た感じ両方初期装備だった。

もう訳ワカメ

 

8名前:名無しの魔法使い

そんな状況で死なないのはダメージを無効化してるから?

 

9名前:名無しの弓使い

βテストでの検証では大盾極振りなら兎の攻撃に耐えれる程度。

弓は【STR 30】以上なら弱点攻撃であそこの森なら一発はいけるし上手い奴なら狙える。

でも、全部弱点とかは魔物によって違うから無理。

これまでのこの会社の傾向から予測して狙うことは可能だけとアルビノ少女(?)は今回初だろ?

10名前:名無しの大盾使い

多分そいつらの情報少し知ってるわ

 

11名前:名無しの大剣使い

教えてくれると嬉しい

 

12名前:名無しの大盾使い

プレイヤーネームは知らんが弓使いは昨日も話題になってたアルビノ美少女(確定)、大盾はその子の友達の黒髪の美少女

これは今日アルビノの子を探している黒髪の大盾の少女がいたってのと、一緒に西に行ったって情報があるから確定だな

で、結構早かったから弓はおそらく【AGI】特化

大盾は0ぽい

因みに大盾の子と俺が同じことをしたら一瞬で溶けますはい

 

 

13名前:名無しの魔法使い

アルビノの子かー 昨日ずっと空眺めてたらしいね

大盾はやっぱ極振りか? やっぱ隠しスキルか?

 

14名前:名無しの槍使い

あーそれっぽいな。ならアルビノの子有名になれるかもだし、いいんじゃね?

 

15名前:名無しの弓使い

確かに、それにしても白黒の対照的な美少女達ですか

 

16名前:名無しの槍使い

ほうそこに目をつけたか

俺もだ

 

17名前:名無しの大剣使い

追々情報あつめるしか無いか

トッププレイヤーになれば自然と名前も上がってくるだろ

 

18名前:名無しの大盾使い

また何か見かけたら書き込むわ

 

19名前:名無しの大剣使い

情報提供感謝します。(敬礼!)

 

 

 

 




今週はめっちゃつかれた…
実感しました働き方改革とは中小企業の敵であると。


いやだって残業時間だけ抑させて働く時間を短くさせる(作業の全自動化等の)支援は無いんですよ?
・普段でちょこちょこ残業2時間くらいで納期間に合わせて、段取りしている人が先週忌引きで休んだ(まだ大丈夫)。
・木曜日立て直しているといきなり午後の3時に納期次の日までと言われる(オワタ)
・朝までやってやろう!(もうヤケ)
・ただでさえ42時間超えるので上からやめてと言われる(丁度締め日)
・結局2日で11時間残業(結局超えた)
・土曜も出勤日だった(絶望+汚い高音)

その合間で気晴らしに加筆修正してました。寧ろ先週上げ始めて良かったじゃなきゃ持たなかったかも……

いきなり愚痴になってすみませんでした(土下座)
中身で少し言っておくとナグサちゃんが気が付いたのは運営の悪ふざけです。
と言うか【星の観測者】からして悪ふざけなのでその一環ですね。

【天帝】をユニークにしましたがこの小説ではミィの【炎帝】もユニーク扱いにします。だって帝が何人もって可笑しい。

お気に入り・感想・栞・評価ありがとうございます


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アルビノ少女とダンジョン

9/8ヒント部分修正しました


 ログイン3日目、ナグサは噴水の石囲いに寄りかかりメイプルがログインするのを待ちながら昨日気付いた空の違和感の確認をする。

 

「…………配置が違よね」

 

 昨日ログアウトした後に家にある天文図を見て確信した。星座の位置が違うのだ。正確に言うと配置がばらばらと言うわけではない。星座の角度と位置がずれている。天体観測が好きなナグサには見逃せない。

 ならばと行動に移す。

 

「……【天体操作】」

 

 最初見たときに何に使うか分からなかった魔法である。このために用意されたであろう魔法によって星座の位置を修正する。

 動かす星座は[うしかい座][おとめ座][しし座][りょうけん座]の4星座。

 これらの星座をあと基準となる[北斗七星]の柄の部分に当たる3つの星と[からす座 クラズ]に曲線になるように[うしかい座 アルクトゥールス][おとめ座 スピカ]の角度を合わせる。それにひし形になるように[しし座 デネボラ][りょうけん座 コル・カロリ]の位置をずらす。

 そうすると見えて来るのが[北斗七星]から始まり[からす座]まで続く『春の大曲線』。スピカ、アルクトゥールス、デネボラを結ぶ『春の大三角』、それらにコル・カロリを加えることで『春のダイヤモンド』である。

 

 時間にして10分、ナグサは操作が終わると満足そうに頷いた。

 

 [スキル【星の観測者】のレベルが上がりました。]

 

「……やっぱり」

 

 ナグサもこのことを予測していたかのようにスキルの確認に移る。

 

【星の観測者Ⅲ】

 

 ・【千里眼】【星の加護】の複合スキル

 

 ・ 特殊ダンジョン【怪物の迷宮】への移動権 New

 

【千里眼】

 

 ・【遠見】【透視】の上位互換

 

 ・モンスターの弱点可視化

 

 ・4㎞まで目視可能10レベル上昇毎に500m増加

 

 ・昼でも観測した星座線を把握できる

 

【星の加護】

 

 ・一番高いステータスを2倍、それ以外を1.5倍にする

 

 ・ステータスポイントを振っていない場合そのステータスに振れなくなる。

 

 ・HPMPポイントを振っていない場合HPを100にMPを150に上昇させる

 

 ・MP回復時余剰分のMPを星に蓄える一つにつきMP最大分

 

 

 

 魔法

 

【天体操作】 1秒につきMP 1

 

 天体の位置を移動させる

 

 

 

 取得条件

 

 ・6時間以上夜空を見ること

 

 ・星座を一日で7種類以上を自力で見つけること

 

 ・春の星座を全て観測した(【千里眼】の解放)

 

 ・春の星座の修正(移動権の入手) New

 

 

「……ダンジョン?」

 

 効果の追加だと思っていたがまさかのダンジョンへの移動権である。ナグサはとりあえずダンジョンの詳細を確認することにした。

 

【怪物の迷宮】

 

【星の観測者Ⅲ】の所有者が出ることで解放される。所有者のいるパーティーが一度でもクリアしないとマップは解放されない。

 

 [移動しますか? はい/いいえ]

 

 ナグサはとりあえずメイプルが来てから相談することにした。画面を閉じて移動しようとした時、

 

「おっと、すまん……え?」

「……いえ。あ」

 

 道行く長物のプレイヤーの武器がぶつかって手元がズレてしまった。気付いたら『はい』が押されてしまっていた。

 するとナグサの足元に魔法陣が浮かび上がり転移してしまった。

 

「……どゆこと?」

 

 ナグサにぶつかってしまったプレイヤーは1人佇むのであった。

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

「……来ちゃったからにはやるしかないか」

 

 ダンジョンの外観を確認する、まるでギリシャ神話の神殿のようだ。柱の間から中を覗くと豪華な扉がありそこに入ると攻略の始まりのようだ。

 マップはまだ解放されていないので、町に戻るにはダンジョンを攻略するか死ぬかだ。

 因みにログアウトするという方法もあるがナグサの中にはそれはない。ホントはとても怖いが始めから諦めてしまえば何も得られないと教えてくれた人達がいたから。

 幸いなことにポーション五つほど昨日森に行く前に買っていた。メイプルを説得しておいて正解だったようだ。あとはダンジョン内の宝箱の中身に期待するしかない。そして食料もメイプルが来る前に少し買っておいた。彼女には話していなかったが、一緒にスキルショップを見ようとしていたのでそこで【料理Ⅰ】を買おうと思っていのだ。

 少し前にメイプルがログインしたとメッセージが来たので事情を説明し、ステータスの確認を行う。

 

 

ナグサ Lv11 HP 200/200 MP 300/300

【STR 25<+12(61)】【VIT 0】【AGI 70<+5>(165)】【DEX 20<+5>(41)】【INT 10(16)】

 

装備

 

 頭:【空欄】 体【空欄】 右手【初心者の弓】 左手【木の矢筒】

 足【空欄】 靴【初心者の魔法靴】 装飾品【空欄】【空欄】【空欄】

 

スキル

 

【星の観測者Ⅲ】【天の帝】【臆病者】【弓の心得Ⅱ】【マルチショット】【ピアーズⅠ】【アローレイン】

 

「……MP満タン。嬉しい誤算……っ! これならいける?」

 

 今日のログインで貰ったMPと昨日の蓄積分のMPは先ほど使ってしまったので初日の150だと思っていたのだ。どうやらMPの最大値が上がると一緒に星の最大値と内容量も上がっていた。バグかもしれないが今の状況ではありがたいことだった。

 今一度スキルの確認を行っていると一つの可能性に気付いた。これが上手く嵌まればダンジョンの攻略が楽になる。

 

「……よし」

 

 ナグサは大きな扉の前に行くと、躊躇わずその扉を開きダンジョンの攻略に入るのだった。

 

 ◇

 

 ダンジョン探索から7時間ほど経過した。警戒しながらナグサはいつでも弓を打てるように構えながら歩く。

 

「…………っ! 後ろ」

 

 ナグサは何かに反応したかのように後ろを振り返る。すると後ろから剣、槍、弓装備に身を包んだリザードマンが1体ずつ走ってくる。彼がこのダンジョンのモンスターである。

 ナグサは引き絞っていた矢を放ちすぐさま走る。その矢はまっすぐ俊敏の早い槍装備の頭を穿つ。そして己の高い【AGI】を生かして弓装備に近づくと、

 

「【ドレインタッチ】」

 

 そう唱えるとナグサは<神官>の後ろに回り襟元を掴む、すると弓装備は抜け出そうともがくが徐々にその力が弱まり消滅した。その後ナグサの周りを飛ぶ星が現れる、よく見ると先ほどまであった傷も消えていた。

 

「【サイクロン】」

 

 風魔法を唱え攻撃を振りかぶって来た剣装備に向かって竜巻を飛ばすと戦闘は終了した。

 

「…………ふう。【ドレインタッチ】……やっぱり相手に近づかなきゃないけど有ってよかった」

 

 ナグサは一息つくと、ダンジョンの折り返し地点の宝箱で手に入れたスキルのありがたみを確かめていた。

 

【ドレインタッチ】

 ・触れた対象のHPMPを奪い、余ったHPは1につきMP5に変換する。

 ・上限値以上は奪えない

 ・【リバース】と付け足した場合HPMPを送ることができる。

 

 出現条件

 ・このダンジョンに挑戦時HP回復系のスキルを持たずポーション系アイテムが10個以下。

 

 念願のHPMP回復手段だった。しかも【星の観測者】のおかげでMPの上限は無いと同じ。HPが減っていない場合先にMPを奪うのでHPが残って相手が生き残ると言う懸念が無い。触れなければいけないと言う欠点もこのダンジョンの敵はナグサより早い敵はいないようなので後ろに回り込めばいいと言うことだ。

 そんな中ナグサは分かれ道に差し掛かる。

 

「……【千里眼】(右も左も行き止まり…………だったら隠し通路がある)」

 

 ナグサは千里眼で通路の先を確認すると見えたものは壁だったのでマッピングしながら【千里眼】の【透見】で壁を確認する。

 

「……あった……また高いところ。ハァ【跳躍】」

 

 攻略に時間がかかった理由の一つが隠し扉である。ダンジョンに入る前に【千里眼】を使うことは視野に入れていたが。そもそもそれの入手後に解放される場所なので使うこと前提だったのだ。それだけならまだいいのだが、悪意があるかのように通路が高いところだったり大きい物の後ろだったりするのだ。小柄なナグサにはとても厳しい者だった。

 

「……わあ!」

 

 今回の隠し通路は幻影のようになっているだけなので壊したり物を寄せる必要は無かった。

 そんな通路を抜けて現れたのはダンジョンの途中にあったのより一回り小さいがそれも霞むかのような存在感を放つ扉があるフロアだった。

 

「…………ボス部屋かな?」

 

 ナグサは即座に【千里眼】で中を確認するが何も見ることはできなかった。今までのフロアでは視ることが出来ていたのでボス部屋と予想する。敵も現れないようなのでナグサはステータスポイントの分配道中宝箱に入ってた装備を確認をすることにした。

 

ナグサ Lv23 HP 320/320 MP 257/480☆1

【STR 30<+15>(82)】【VIT 0】【AGI 80<+15>(231)】【DEX 20<+5>(45)】【INT 30(54)】

 

装備

 

 頭:【空欄】 体【空欄】 右手【隕鉄の弓】 左手【木の矢筒】

 足【空欄】 靴【初心者の魔法靴】 装飾品【月の耳飾り】【空欄】【空欄】

 

スキル

 

【星の観測者Ⅲ】【天の帝】【臆病者】【弓の心得Ⅶ】【マルチショット】【ピアーズⅥ】【アローレイン】【ドレインタッチ】

【跳躍Ⅳ】【打墜し】【気配察知Ⅰ】【狩人Ⅱ】

 

【隕鉄の弓】

 ・STR+15

【月の耳飾り(レア)】

 ・AGI+10

 ・視覚保護

 

 この他にも色々武器を見つけることが出来たが装備することが出来いないため割愛する。

 

「……あとは……」

 

 ナグサは何かを探すようにボス前フロアを確認する。その必要がないくらい扉に大きく文字が書かれていたが、これが攻略に時間の掛かったもう一つの理由である。

 

「あった、じゃあこれを他のところにあったヒントも確認して並べ替えて……」

 

 このダンジョンは謎解き型と言って迷宮の各所にあるヒントがある。そのヒントの答え合わせがボス部屋で行われるのだ。答えによってボス戦の難易度や報酬が上下するので、難易度を下げる為迷宮の隅々まで確認していて時間が掛かってしまった。

 その結果それなりのヒントが確認できた。

 

 ①迷宮の怪物は飢えている

 ②己を殺さんとするものには容赦をしない

 ③真名を呼ぶ者には反応を返すだろう

 ④幼き時から暗い迷宮に閉じ込められた為だ

 ⑤まず試されるは己の力に耐えうるか、もしもの時己を止めれるか

 ⑥試練を超えたならば怪物は歩み寄る

 ⑦だが、それを遮るのは古の楔

 ⑧力を祓わなければ怪物を倒すしかない

 ⑨もし祓えたならば怪物の友と成れるだろう

 

 以上がナグサの見つけられたヒントである。これを見る限りダンジョンのボスを倒さなくてもクリアできるのは明白である。因みにナグサが最初に見つけられたヒントは5番で扉の文字が1番である(文字の横に小さく番号が書いてある)。

 

 ナグサはこのヒントを見て怪物を倒す気はなくなっていた。真名も見当がついているので問題ないのでここまで頑張ったのだから、友達になって帰ろうという意気込みでボスの扉を開くのであった。

 

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 261名前:名無しの槍使い

 アルビノ少女が消えた!? (ログアウトでは無い)

 

 262名前:名無しの魔法使い

 は? どゆことですか? 

 

 263名前:名無しの大剣使い

 説明お願いします。

 

 264名前:名無しの槍使い

 今日町を歩いてたらぶつかっちまってな、その時何か操作してたみたいで誤操作で何かの魔法陣が現れて跳ばされた

 

 265名前:名無しの弓使い

 魔法陣? ってことは転移とか? 

 

 266名前:名無しの魔法使い

 そんな魔法有ったかなあ? 

 

 267名前:名無しの大盾使い

 その情報掴んできた。ついでに大盾の少女と遭遇してフレンド登録したW

 

 268名前:名無しの槍使い

 は? 

 

 269名前:名無しの弓使い

 早! てかどうやって? 

 

 270名前:名無しの大盾使い

 ログインしてきた時にメッセージ確認したと思ったらめっちゃキョロキョロして一瞬目が有ったと思ったら走ってきて話しかけられたw

 

 271名前:名無しの大剣使い

 大盾少女コミュ力たけーなおい

 

 272名前:名無しの魔法使い

 んでその後は? 

 

 273名前:名無しの槍使い

 アルビノ少女の情報もはよ

 

 274名前:名無しの大盾使い

 格好いい大盾と弓って言われて

 俺が生産職の人紹介するからついてこいって言ったら後ろついてきた

 AGI低すぎて低すぎて俺についてくるのもしんどそうだったな途中何度か待ってあげたし

 

 275名前:名無しの槍使い

 お前のAGIいくつよ

 アルビノ少女は? 

 

 276名前:名無しの大盾使い

 で、その時聞いてみたんだよ「昨日白い子といなかったか」って

 そしたらやっぱ目立ちますよねとか言った後に

 

 

 277名前:名無しの弓使い

 後に? 

 

 278名前:名無しの魔法使い

 伸ばしますね

 

 279名前:名無しの大盾使い

 新しいダンジョンにいったんだと

 

 280名前:名無しの槍使い

 は? 

 

 281名前:名無しの大剣使い

 新しいダンジョン? 

 

 282名前:名無しの大盾使い

 俺も聞いた時頭真っ白になったわw

 なにか、アルビノ少女が取ったスキルをもってクリアしないとマップに解放されないらしい。

 パーティ組む前に飛ばされて、これも何かの縁だからって1人で挑戦したって

 

 283前:名無しの槍使い

 は? ってことは俺ログアウトしたときなんも無かったからまだ挑戦中かもしれないってこと? 

 

 284名前:名無しの弓使い

 そんな感じの解放条件かー

 てか前向きな子ですね

 

 285名前:名無しの大盾使い

 昔はそうでもなかったらしい。

 まずまとめるぞ

 

 大盾少女から

 選んだ理由は攻撃を受けて痛いのは嫌だから防御力を上げたかったとのこと

 超素直で活発系少女

 

 アルビノ少女

 弓を選んだ理由はゲームやってるもう一人の友達から遠距離が向いてるって言われていろんなところを走り回るイメージが強いのが弓だったから。

 知人以外は人見知りだから無口になる 家事が得意らしい

 

 総評

 めっちゃいい子

 

 ああー見守ってあげてー

 あとお前らとは情報を交換していきたいと思ってるから俺の情報晒すわ

 取り敢えず俺はクロムって名前でやってる

 んでAGIは20な

 お前らとはフレンド登録しときてーから明日来れる奴は22時頃に広場の噴水前に来てくれると嬉しい

 

 286名前:名無しの槍使い

 情報サンクスっていうかお前クロムかよ! 

 バリッバリのトッププレイヤーじゃねーか! 

 噴水前……アルビノ少女にぶつかっちまったところじゃねーか

 

 287名前:名無しの魔法使い

 有名人過ぎてビビったわw

 あとドンマイ

 

 289名前:名無しの弓使い

 よっしゃその時間行けるわw

 つーかAGI20に置いて行かれるとか本当にVIT極振りかもしれん

 あと新しいダンジョンどんなのかなー

 

 290名前:名無しの大剣使い

 それは解放されてからのお楽しみで

 いまだ頑張っている少女の健闘を祈りつつ

 これからも温かく見守っていく方向でいいかなー? 

 

 291名前:名無しの槍使い

 いいともー! 

 

 292名前:名無しの弓使い

 いいともー! 

 

 293名前:名無しの魔法使い

 いいともー! 

 

 294名前:名無しの大盾使い

 いいともー! 

 

 




今回はここまでです
なんとなく先が読める方々もいるでしょうが発言は控えめでお願いします。
次回は戦闘、上手く書けるかが不安です。

補足
・ログインボーナスでHPMPが回復する
・【ドレインタッチ】はこのすばから
・メイプルはダンジョンの情報貰ったとき「ナグサも一人で頑張ってるんだし」とやる気満々


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アルビノ少女と雷光

遅くなって申し訳ないです

前話ヒント部分修正しました。


ナグサがボス部屋に入ると扉が勝手に閉まり、中には数多くの柱が立っていてその中心に引き締まった体に牛の仮面を付けた魔物が鎖につながれて佇んでいた

 

おまえ…………なにしに……きた?」。

 

魔物から重い声が発せられると同時に魔物の上にタイマーが現れる。時間は10秒。答え合わせの始まりだ。

 

「友達になりに来たよ……アステリオス」

っ!?

 

ナグサは間髪入れずに〈雷光〉の意味をもつ名を呼び目的の意を示すと魔物はその大きな体を震わせる。そしてHPバーが赤から黄色に変わった。どうやら答えは有っていたようでホッとする。

 

[クエスト 【雷光の友】に施行しました]

 

とも・・だ・ち……なる?……ほんと?……おれ……たまにあばれるのおさえれない……つぶれない?

「大丈夫1人は寂しいもん。だから……試させて?」

……わかった

 

どうやらここのボスはAIの性能がいい様で、こちらの言葉に対応して返事が返ってくる。

最後の返答を区切りにアステリオスの頭上に[10:00]と現れる。説明欄が出てきたので確認すると、時間は10分。この数字がゼロになるまで耐えた上、抑えられることを示す為に最低でもHPの半分以上ダメージを与えなければいけないらしい。

 

[戦闘が始まります。よろしいですか? <OK>]

「(【臆病者】には頼らない。感覚(・・)も覚えたし大丈夫……いける!)」

 

ナグサは今一度状況と周囲を確認し自分を鼓舞する。ボタンを押すとカウントダウンが始まる。ナグサは深呼吸をし集中力を高めカウントがゼロになる。

瞬間、

 

「【天候操作(暴風)】っ!【跳躍】そして【アローレイン】!」

 

まず、ナグサは天候操作で暴風状態にする。自分の魔法効果の上がり、相手の行動妨害をできる上2分30秒に1回、ダメージを入れられるのだ。他の天気も試してみたいが今はMPを無駄遣いする余裕は無いので後回しだ。

そして自分に迫りくるアステリオスの斧による攻撃を右後ろに跳んで躱し、その跳んでる最中に矢の雨を降らせる。

ナグサはまだ走ったままで矢を放つことはできない。止まって構えていればいい的で【VIT 0】の自分はすぐにやられる。移動しながら攻撃を行わなければならない。そこで考えたのが跳躍中に矢を放つこと。

その攻撃方法から考えるとナグサにとってここは良いフィールドである。

ナグサの跳んだ先には大きな柱がある。このままではぶつかってしまう勢いだ。しかし、ナグサは空中で体を翻すと、

 

「【跳躍】【マルチショット】」

 

柱を足場にし再び跳躍しその最中に矢を放つ。それを通常矢や魔法も織り交ぜながら繰り返す。そんな行動中でもナグサは攻撃を外すことは無い。これはひとえに彼女の動体視力がいいということだ。視力と動体視力は別物で視力はそのまま視る力、動体視力は物の動きを追う力である。新しいハードによって視力に補正を受けた今彼女の瞳は本来の力を発揮していた。これが彼女のPSの一つである。

理沙がナグサに遠距離を進めたのは目の良さを知っていたからだ。元々ナグサは祭りの屋台で射的が得意であり。その腕前は屋台の人たちに【白い悪魔】と呼ばれるほどである。当のナグサは打って当てるのが楽しくて景品には興味が無かったのだが。

そこで理沙は面白半分でゲームセンターで射的系のゲームをやらせたことが有った。結果は途中リタイヤで理沙も反省していたが。そのリタイヤするまでの結果が全弾命中(・・・・)だったのだ。後の流れは言うまでもないだろう。

 

「【跳躍】(少しずれた)【サイクロン】」

 

ナグサは軌道のズレたときは風魔法の反動を利用し止まらないように修正しながら攻撃していた。

そういった妨害行動によりアステリオスからの照準(ダゲ)が外れることで攻撃力の上がるスキルがあった。

 

【狩人】

・対象に気付かれていないと攻撃力2倍

・気付かれているが狙われていない状態だと1.5倍

・気付かれていない状態でワザと外すと誘導可能状態になる(弓装備のみ)

 

取得条件

・気配遮断状態でモンスターを累計10体倒す

 

 

照準が外れているかの確認はダメージエフェクトを見るしかないが、初めて高速戦闘しているナグサにはそこまで見て確認する余裕はない。だが彼女は照準が外れていると判断する手段がある。それは視線(・・)だ。

生まれながらの見た目でナグサには自然と視線が集まる。目は口ほどにものを言うということわざの通り、幼いころから浴びていたからか視線で相手の考えがある程度読めるようになり、視線を向けられればそれに気付ける。ナグサは機械による照準を視線として感じているのだ。画面に映るものでは感じ取れないが、これもVRであるからこそ機能するナグサのPSだ。

 

 

「(よし、ラインは越えた)」

 

残り時間3分程。アステリオスのHPが半分以下になった。HPの消費はなし、MPは心もとないがまだある。これで最低ラインは超えたのでナグサは攻撃も行いつつ回避を優先に切り替えようとした瞬間、アステリオスに変化が起きた。

 

ヴググ。キタ……コレカラガホンバンダヨ

「……!」

 

今までナグサを捉える為に動いていた彼が急に蹲り苦しみだし変化が起きる。アステリオスに繋がれている鎖が怪しく光ると着けていた仮面が外れ体が肥大化し白くなる。黄色かったHPは再び赤に戻り変化か止まった。

 

「(これが古の楔)」

 

他に変化が無いかと使って確認すると鎖にもHPバーが浮かび上がっているのが確認できた。

 

「(鎖にHPバー?これをどうにかすれば。)」

 

狙うのはアステリオスではなく鎖の方だ。これをどうにかすればアステリオスを討伐する必要は無いのだろう。

 

「(……予想が正しければ)【天候操作(晴れ)】」

 

ナグサは天候を元に戻し足を止める。肥大化したアステリオスはそれを捉えると走りながら持っている斧を大きく振りかぶる。

 

ガキン!!

「ハッ!【エアウォール】」

 

振り下ろそうとした瞬間、斧に衝撃を受けてアステリオスの体がのけぞる。ナグサが弓で斧を射抜いたのだ。その後、足払いをかけその巨体を転倒させ時間稼ぎのため防御用風魔法で受け止め抑え込む。

そして、アステリオスを繋いでる鎖を前にしゃがんで掴むと、

 

「【ドレインタッチ】」

グウ!!

 

【ドレインタッチ】で鎖のHPを吸い取り始めた。その瞬間アステリオスも苦しみ始めるが彼のHPが減っている様子は無い。

 

この!!邪魔だ

 

彼の周りにはった【エアウォール】も思った通りの効果を発揮しているが彼の抵抗を見ていると鎖のHPを吸いきるまで持ちそうにない。【ドレインタッチ】の最中は他の魔法を使うことが出来ないことはダンジョンの道すがら確認できておりナグサは焦りを覚える。

 

「(どうしよう両手で触っていても間に合わない。)」

 

そうして考えているうちにナグサは無意識に鎖を持ち変える。瞬間僅かだがHPの減る量が増えた。

 

「どうして?…………膝?……!!」

 

原因を探っていると、ナグサは膝に鎖が乗っかっていることに気がついた。そして彼女は急いで【ドレインタッチ】の説明を出す。そこには手で触れなければいけないと書かれていなかった。それに気付いた彼女は鎖を再び両手に持ち直し体に巻き付ける。そうすることでHPの減少量が一気に増え、ついになくなり鎖のみがポリゴンとなって消えた。

 

[スキル【鎖喰い】を取得しました]

[クエストクリア クリアランクEX]

[クリアランクB以上のためスキル【雷光殺し】を取得しました]

[クリアランクSS以上のため【雷光殺し】が【雷光の友】に変化しました]

[クリアランクEXのためスキル【迷宮の主】を取得しました。またスキル【鎖喰い】が【天の鎖】に変化しました]

[レベルが27に上がりました。]

[スキル【必中の構え】を取得しました]

[スキル【立体機動Ⅷ】を取得、スキル【跳躍】が統合されました]

 

「終わった……」

 

集中力の切れたナグサはその場に倒れこむ。床と設置するかと思った瞬間体に浮遊する感覚があった。

 

「大丈夫?」

 

彼女の体を支えたのはアステリオスだった。声質も先ほどまでの重い者から変わりつたない子供のような声になっていた。

 

「ありがとう。アステリオスこそ大丈夫?」

「うん。体……軽くなった。鎖ないから抑える必要もなくなった」

「そっか。」

 

それを聞いてナグサは頑張ったかいがあったと深い息をついた。そしてさっき得たスキルの一つが気になり他のも含めて確認を始める。

 

【雷光の友】

・麻痺・スタンが無効になる。

・STR+30

 

魔法

【天の怒り】

・雷を意のままに落とすことが出来る。高確率でスタン

 

【雷化】

・5分間AGIを150%上昇 重ね掛けで1分増加 20%上昇 最大10回 再使用まで20分 重ね掛けで10分増加

・触れた相手にダメージを与える

 

【召喚・雷光(アステリオス)

・1日1回使用可能ステータスはプレイヤーのレベルに依存する。

・スキル【迷宮の主】を持っているならそちらのステータスになるが迷宮ボスに登録されていると召喚が不可になる

 

取得条件

ダンジョン【怪物の迷宮】を[雷光]の生存状態でクリアする]

 

【天の鎖】

・MPを消費して自由自在に操れる鎖を出現させる。

・INT、MP最大値が高いほど拘束力上昇

・消費MP増加で[体の一部]の効果を得る

 

取得条件

クエスト【雷光の友】で鎖を壊し、尚且つ鎖のHP出現後[雷光]を傷つけないこと

 

【必中の構え】

・弓での攻撃を当てる度にSTR1%上昇 最大100%

・攻撃を外すと上昇値は消える。(魔物誘導は除く)

 

取得条件

・レベル25までPvP戦以外で弓での攻撃を一撃も外さないこと

 

【立体機動】

・【AGI+15】【DEX+15】

・10秒の間どこでも足場にして行動することが可能になる

・地面以外だと跳躍で離れなればいけない

 

取得条件

・1回の戦闘で【跳躍】を20回以上使いモンスターを撃破すること

 

迷宮の主(ダンジョンマイスター)

・クリアランクEXの迷宮の運営権を得る

・搬入した魔物、迷宮が倒したプレイヤーの数に応じて迷宮レベルが上昇する(現在レベル1)

・鉱脈等の設置にはGが必要

・1日1回報酬がもらえる(G、モンスターの素材等)

 

 

魔法

 

【捕獲】

・モンスターを捕獲する罠を設置する(プレイヤーの妨害も可能)

 

取得条件

EXランクでクリアする

 

【ランクEX】

・ダンジョン初チャレンジでボス戦無傷、その他条件クリアで得られるランク

 

「……いろいろすごい。」

「ますたー……頑張った……結果」

「そう……マスター?」

「この迷宮の主……だから……ますたー。あと……これ」

「これは?」

「ぼくに挑んできた人たちが落としていった。ますたーに合いそうなの……見つけた」

「……そっか(そう言う設定か……)」

 

いつの間に持ってきたのかアステリオスが大きな宝箱を持ってきてくれていたダンジョン運営の件もあるが、取り敢えずそちらを確認することにし宝箱を開ける。

 

「わあぁぁぁぁ!」

 

そこには金色の輝きを放ち星が散りばめられたかのように装飾がついている弓とそれと対極な月を連想させる銀色の矢筒、それらを引き立てる様に黒を基準に青と白で装飾されている衣服と靴、あと白い羽の付いたティアラがあった。

 

「この首輪?はちょっと遠慮したいけどそれ以外は動きやすそうだしいいかも。」

 

そう言いつつナグサは装備を確認する。

 

【ユニークシリーズ】

単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略したものに贈られる、攻略者だけのための唯一無二の装備

ダンジョンにつき1つ切り。取得した者はこの装備を譲渡できない

 

三星(トライスター)』【STR +10】【AGI +10】【破壊成長】

スキル【其は、月を穿つ狩人】

 

月女神ノ抱擁(アルテミス・アグノス)』【INT +15】【DEX +15】【破壊不可】

スキル【月の矢】

 

『狩人の衣』【AGI +20】【DEX +10】【破壊不可】

 

『星見のブーツ』【AGI +20】【INT +10】【破壊不可】

スキル【星の護り】

 

『天帝のティアラ』【INT +20】【DEX +10】【破壊不可】

スキル【飛翔】

 

【其は、月を穿つ狩人】

・使用に星を1つ消費する

・1日3回まで使用可能

・軌道上の物を全て巻き込む防御貫通攻撃(パーティメンバー含む)

・3回目を使用するとHP 1になり全ステータスが50%低下する。この装備は破壊される。

 

【月の矢】

・使用する矢をカスタマイズできる

・レベル5で1スロット解放

・カスタマイズするときはフレンドの生産職が近くにいなくてはいけない。

・スロットの解除時は10万G必要

 

【星の護り】

・足場にしている場所からダメージを受けない

 

【飛翔】

・自由自在に空を飛ぶことが可能

 

「…………後で試そう……今日は疲れた」

 

 

その後メイプルがログアウトしたと言うメッセージが来ていないことに気付きナグサは1度ログアウトして町に戻った。

 

「……やっぱり」

 

すると、待ち合わせにしていた噴水の石垣に座りながら器用に寝ているメイプルがいた。ナグサはメイプルに近寄り彼女を起こす。

 

「メイプル起きて」

「zz…ん?むにゃむにゃ」

 

メイプルは目をこすりながら目を覚ます。まだ焦点が定まっておらずナグサを捉えていない。

 

「ふわぁ~。……あっ!もmじゃなかったナグサ戻ってきたんだね。」

「うん。さっきね。先にログアウトしてると思ってた。」

「そのほうがいいかなって思ったんだけどね。やっぱり真っ先にナグサに見せたい物があったから」

「そうなの?……あ!もしかしてメイプルもダンジョンに?」

「やっぱりわかっちゃう?」

「うん、メイプルの事だもん。なんとなくわかるよ」

「嬉しいような恥ずかしいような……まあ取り敢えず宿屋に」

「うん。今夜は寝れないね//」

「何か違うよ!!//」

 

その後宿屋で二人は装備を見せ合いお互いにほめあったそうです。

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

その頃運営では……

 

「ナグサちゃんがダンジョンクリアした……」

「お!やっとかずいぶんかかったなクリアランクは?」

EXだ

「え?なんて?」

EXだ

「……え?」

聞こえなかったかEXだ

「「「なんだって~!!」」」

「まじか」

「SS位ならまだ分かるんだが。」

「あっ!【天の鎖】出てる」

「どうやって?鎖に物理効かないし【毒竜】みたいに食えないだろ?」

「【ドレインタッチ】だ」

「ポーションも無かったんかい!」

「事故で行ったから準備してなかったんだろ」

「なるほど……」

「ああ~何で最終奥義的なのを序盤で取っちゃうかなこの子達。」

「仲良さげに宿屋に行ってますね」

「ああ……この笑顔を壊さなきゃいけないのが辛い」

「ああ……でも贔屓は出来ないよな。」

「仕方ないけど他の奴らも合わせて調整するしかないだろ」

 

こうして夜は更けていった。




補足
装備のイメージはFGOから連想しました。
弓がアトランティスでヘファイストスがオリオンに打った弓
矢筒がオリオン(アルテミス)第三霊基の背中にあるもの
服と靴はアタランテオルタの第一霊基をイメージしました。

ヒント部分変更はやっぱり動物との戯れがほしいと思ったからです


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アルビノ少女と第一回イベント

お気に入り150件到達ありがとうございます

いろいろ書きたいところはあったのですが1話としては短くなると思ったので飛ばしてイベントにします。
日ほど小話としてまとめますのでご了承を

一応今更ながらステータスの数値の説明

【】……ステータスポイントを振った値
<>……装備・スキルでの上昇(天帝・星見以外)
()……天帝・星見計算済みの合計値


 ダンジョン攻略から1週間ほどナグサはメイプルのスキル取得に付き合ったり。自分のスキルの効果の確認や、紹介してもらった生産職のイズさんに鍛冶の依頼をしていた。

 

 そして今日NWOにおいて初となるイベントが開催される日である。

 当然のごとくナグサもメイプルと共に参加するつもりであるのだが、

 

「……人多い」

「ナグサ顔色悪いよ? 大丈夫?」

「…………うん、大丈夫。ありがと、メイプル」

 

 ナグサは人に酔っていた。普段出掛ける際は日傘を差しているのでその分空間が開いているが、こうも隙間なく人かいるところに来る経験が少ない。そんな感じで待っているとぬいぐるみのようなものが現れた。

 

『がお~~~~! 

 それではNewWorldOnline第一回イベント! バトルロイヤルを開催するドラ! 

 制限時間は三時間! ステージはイベント専用マップ! 

 ちなみにボクはこのゲームのマスコットドラゴンのドラゾウ。初めての人は以後よろしくドラ! 

 其れではカウントダウン3,2,1イベント開始みんな頑張って!』

 

「ナグサ始まっちゃうよ、しっかり!」

「すぐに戦闘じゃなきゃいいなぁ」

 

 そうして第一回イベントは締まりなく始まりを告げた。

 

ナグサ Lv33 HP 420/420 MP 630/630☆37

【STR 40<+47>(172)】【VIT 0】【AGI 100<+82>(480)】

【DEX 20<+50>(138)】【INT 35<+45>(158)】

 

装備

 

 頭【天帝のティアラ:飛翔】 体【狩人の衣】

 右手【三星:其は、月を穿つ狩人】 左手【月女神ノ抱擁:月の矢】

 足【狩人の衣】 靴【星見のブーツ:星の護り】 装飾品【月の耳飾り:視覚保護】【空欄】【空欄】

 

スキル

 

【星の観測者Ⅲ】【天の帝】【臆病者】【弓の心得Ⅸ】【マルチショット】【ピアーズⅧ】【アローレイン】 【ドレインタッチ】【立体軌道】【打墜し】【気配察知Ⅰ】【狩人】【雷光の友】【天の鎖】【必中の構え】 【迷宮の主】【遠的】【障害物貫通】【MPカット小】【体捌き】【爆弾喰らい】【毒耐性中】【採集Ⅲ】

【採掘Ⅳ】【採集速度強化小】 【採掘速度強化小】【料理人】

 

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 シュン! 

 

「ここは?」

「うう~」

 

 パーティーを組んで参戦したためかナグサとメイプルは同じ場所に飛ばされた様だ。ナグサが危惧したいきなり戦闘と言うことにはならなかったため一安心である。

 

「ナグサ大丈夫」

「ちょっと休んでから索敵する」

「分かったその間は守るから任せて」

 

 AGIの差があり個人の成績が換算されるため別行動になる今回のイベントでパーティーを組む必要は無かったのだが、お互い必要以上にダメージを与えたくないと意見が一致していた。そのためパーティーを組んだがこれで正解だったと後にナグサは語る。

 

 ◇

 

「来たかな?」

 

 そうメイプルが声が聞こえ物陰に隠れて休んでいたナグサが見たのはメイプルの持っている黒い盾がプレイヤーを飲み込む姿だった。

 

「うわ。えげつない」

 

 つぶやいた声はメイプルには届いていなかったようで彼女は楽しそうに絵を描き始めた。

 

 

 15分ぐらいたったころだろうかその隙だらけの姿にもう一人のプレイヤーが釣れた。剣士の男性がメイプルに駆け寄り切り掛かるが、【VIT】高さによりそのまま弾き返ってしまう。

 そこへ

 

「【天の鎖】」

「ナグサ!」

「なに! もう一人だと!」

 

 剣を弾かれたことによって隙だらけの男を鎖で拘束する。男は何もない空間から現れた鎖を振り払おうとするが、さらにナグサは巻き付く鎖を増やし追加でスキルを唱える。

 

「【ドレインタッチ】」

「な! HPとMPが!」

 

 そう言いながら男は光となって消えてしまった。【天の鎖】の追加効果である[体の一部]により鎖が巻き付くことで触れていると判断されることをこの一週間で確認していた。メイプルのスキル取得に付き合ったのでその時に【爆弾喰らい】を手に入れたのはうれしい誤算である。男の消える姿を見ながらナグサはつぶやく。

 

「……えげつなさじゃ私も似たようなものかな?」

「ナグサ! もう大丈夫なの?」

「うん。だいぶ良くなったから……私は私でやってみる。……とその前に【天候操作(雨)】」

 

 当初の予定通りここからは分かれて戦うことになるので、しばらく護ってもらったメイプルにお礼の意味も込めて魔法を使用することにした。

 

「わわ! 雨!?」

「……護ってくれたお礼。これでここ中心に半径3㎞にいるプレイヤーのAGIが下がるからメイプルでも対応しやすくなると思う」

「そうなの! ありがとう!」

「……じゃあ頑張ってね」

 

 そう言ってナグサはその場を後にした。

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

【NWO】第一回イベント観戦席7

 

 241名前:名無しの観戦者

 やっぱり優勝はペインか? 

 ゲーム内最高レベルだから無双してる

 

 242名前:名無しの観戦者

 やばい

 動きが人間やめてるw

 

 243名前:名無しの観戦者

 でもやっぱ順当に勝ち重ねてるのはよく聞く名前ばっかだね

 

 244名前:名無しの観戦者

 トッププレイヤーが強いのは当たり前だね

 

 245名前:名無しの観戦者

 え? 何これ……やばくない? 

 

 246名前:名無しの観戦者

 映ってるやつら強いね

 

 247名前:名無しの観戦者

 暫定成績ランキング

 ナグサって言う弓

 100人潰して被ダメゼロ

 

 248名前:名無しの観戦者

 ふぁ!? 

 

 249名前:名無しの観戦者

 チート? いや……ないね

 

 250名前:名無しの観戦者

 ってかそれだけ暴れてたらそろそろスクリーンに映るんじゃない? 

 

 251名前:名無しの観戦者

 この子か? ってこの前話題なってたアルビノの子じゃん

 

 252名前:名無しの観戦者

 まじで!? だったら初めて2週間も経ってないじゃん

 て今追われてるな。

 

 253名前:名無しの観戦者

 ホントだ5人か……マップであの先壁があるはずなんだけど

 

 254名前:名無しの観戦者

 ルートミスったのか? って、え? 

 

 255名前:名無しの観戦者

 壁走って、跳んで、頭上から射抜いた

 

 256名前:名無しの観戦者

【マルチショット】一発かよ。しかも走る速度加減してたな。あからさまにさっきまでより早い

 

 257名前:名無しの観戦者

 速さで翻弄するタイプか……てかあれ素だよね

 

 258名前:名無しの観戦者

 あれだけ早ければSTR低いはずだよな? なんかのスキル? 

 

 259名前:名無しの観戦者

 だろうなさっきの【マルチショット】的にSTR50以上は確定してるから

 

 260名前:名無しの観戦者

 今度木に登って構えたよ

 

 261名前:名無しの観戦者

【遠的】か? まあスキルショップで買えるから持っているのは当然だな。

 

 262名前:名無しの観戦者

 構えるのはや! 

 

 263名前:名無しの観戦者

 AGIもかなり高い……へ? 

 

 264名前:名無しの観戦者

 プレイヤー見えなくね? 【遠見】? 

 

 265名前:名無しの観戦者

 当たった。3㎞って出たぞ【遠見】でもそこまで見えんだろ? 障害物もあるし

 

 266名前:名無しの観戦者

 もう少し見てみよう

 

 267名前:名無しの観戦者

 賛成

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 所変わってイベントエリア。ナグサは荒野でプレイヤーに囲まれていた。その数ざっと60ほど。少しひっかけて集めていたらこれだけの数になっていた。周りに障害物が無いので【立体軌道】で翻弄することも出来ないがそれでもナグサは落ち着いていた。

 

「はあー!」

 

 プレイヤーはナグサを囲んだのを確認すると魔法を放ってくる。

 

「(【飛翔】)」

 

 ナグサは一気に放たれる魔法を上空に飛ぶことで回避する。魔法を放ったが撃破の通知が来ないことに戸惑うプレイヤーたち。そこにナグサは大技を打ち込む。

 

「【天の鎖】【ドレインタッチ】【天獄】【天の怒り】」

 

 まず【天の鎖】でプレイヤーたちを取り囲み逃げ道をふさぐ。もちろん触れるとHPMPを吸い取る効果付きである。

【天獄】は【天帝】を手に入れてレベルを30上げると手に入る魔法でその効果は天候操作の魔法を組み合わせて使うことが出来る代わりに消費魔力が2の累乗分倍増する。今回は【雨】【暴風】【雷】【雪】の4つを組み合わせため消費魔力は約800。【MPカット小】が働いても誤差の範囲である。

 そこに威力の上昇の加わった白い雷……まさに[雷光]が落とされプレイヤーの視界を奪う。

 一瞬にして3/4ほどのプレイヤーが消え去った残りのプレイヤーもほとんどがスタンか麻痺で存分に動けないでいる。逃げ出そうとするプレイヤーは【天の鎖】の餌食になりナグサのMPを回復させる。

 

「鬼ごっこみたいで楽しかった」

 

 本人はあまり経験のない遊びを思い浮かべて楽しそうであるが、今や3㎞にも範囲が及ぶ【天獄】も着実に犠牲者を増やしていった

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 362名前:名無しの観戦者

 何? あれ? 

 

 363名前:名無しの観戦者

 追い詰めたつもりが誘い込まれてた感じだな

 まさしく狩人だな(現実逃避)

 

 364名前:名無しの観戦者

 いや! いろいろ可笑しいだろ!? 矢も爆発してるし! 

 魔法の威力がやばいあの子のステどうなってんの? 

 

 365名前:名無しの観戦者

 なんか緑っぽいオーラあるけどあれは多分当てるたびに強くなる系だろ? 弓の攻撃が当たるたびに濃くなってるし

 

 366名前:名無しの観戦者

 其れもあるけどそうじゃない!! これでINTの高さもそれなりって分かるぞ

 

 367名前:名無しの観戦者

 マジで何なの? あの意思のある天災w

 

 368名前:名無しの観戦者

 魔法名的にも天災で草生える

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 残り時間は1時間となっていた。あと1時間で順位が決定するのだ。

 そんな緊張感の中マスコットキャラが現れる。

 

『現在の1位はペインさん、2位はドレットさん、3位はメイプルさんドラ。これから1時間上位3名を倒した際、得点の3割が譲渡されるよ。3人の位置はマップに表示されるドラ! 最後まで頑張ってね』

 

「メイプルが3位か。すごいなぁ。私はやっぱ参戦遅れたからかな?」

 

 自分の順位を確認すると13位である参戦が遅れてこの順位なら十分な気もするが、ここまで来たなら10位以内に入りたいという気持ちが強かった。

 

「(1、2位は多分無理。メイプルなら倒せる手段はあるけど……)」

 

 ナグサは運営の甘言には乗らず冷静に判断する。メイプルなら倒せる手段もあるがそれはできることならやりたくないので、他の手段を考える。

 

「……そっかその手段があるかな?」

 

 何かを思いついたナグサは行動を開始した。

 

 ◇

 

「この辺りかなかな?」

 

 ナグサは道中プレイヤーを倒しながら到達した場所を確認する。そこは上位3名が位置する場所から丁度同じ距離の場所で幸いなことに3人とも5㎞以内(・・・・)にいる。

 

「メイプルにメッセージ送ってっと……スゥーハァー……よし! 【其は」

 

 メイプルに『私のいる方向に盾を構えておいて』とメッセージを送ったナグサは周りにプレイヤーがいないことを確認し、あるスキルを放つために構える。

 ナグサの周りに浮かんでいる星の一つが砕けその光の粒子が集まり始める。数秒ほどしてその光がすべて矢の先に集まり射出する準備が整う。

 それはイベントが始まるまで毎日確実に使っていたスキルだった。

 

「月を穿つ狩人】!!」

 

 其れは一本の矢から放たれたとは思えない光の奔流だった。その極光は先にあるものを飲み込みながら進んでいった。

 ナグサは躊躇せずその行動をあと2回繰り返した。

 

「……今のは危なかったな」

 

 1位は光が見えた瞬間己が持つ技で相殺し。

 

「っぶねーまじかよおい」

 

 2位は持ち前の直感で即座にその場を離れた。

 

「うわぁ、盾構えててってこういうことか」

 

 メイプルはナグサからのメッセージのおかげで悪食で難を逃れた。

 

 上位3人は巻き込まれなかったようだがその周りに居たプレイヤーはそうではない。光による奔流は防御を受け付けずそのすさまじい火力の後以外は何も残さなかった。これがナグサの狙いだった。上位を倒せないにしてもそれに誘蛾灯のように周りに集まるプレイヤーを倒せば数を稼げる。メイプルのスキルも知っていたので事前に知らせれば巻き込まれないことも理解しての行為であった。

 これにより上位陣も何人か巻き込まれたのかナグサの順位は5位に上がっていた。

 ナグサはポーションでHPを回復しながら自分の順位を確認する。

 

「よし! あとはこの順位を保つだけd「さて其れは出来るかな?」!!」

 

 急に背後から掛けられた声にナグサは驚き振り返る。そこには緑の装備に包まれた男がいた。しまったと重い気を引き締めなおす。ナグサが気付けなかった理由は単純だ上位に入った喜びで集中力が切れてしまっていた。

 

「さっきは派手な挨拶ありがとさん。おかげで肝が冷えたぜ?」

「…………誰?」

「そうだな初めましてだから分からねえか。マップを見てみな」

 

 男に言われるままマップを確認するとその男の名前はすぐにわかった。

 

「…………ドレット……さん? ……それに……」

「その通り。流石にあの攻撃の主の顔は一目見てみたいと思ってなひとっ走りしたってことだ……な、ペイン」

「どうやら目的は同じだったようだな。あと後の残る大技を放ったならすぐにその場を離れたほうがいいこうして居場所が分かるからな」

 

 どうやら技の軌道を追ってきたようである。もう一人の声の主はさっきマップを確認させて貰ったおかげで分かっていた。現在トップのペインだった。

 ナグサはいつ戦いが始まってもいいように構える。

 

「ああ、大丈夫だ。俺は君と戦いに来たわけではない」

「俺もだ」

「……?」

 

 ペインから発せられた言葉にナグサは疑問を覚えるが二人の目を見る限り嘘は言っていない。ならなぜ来たのだろうと思った時ドレットから答えが返ってくる。

 

「言ったろ。顔を見たかったてな。流石に二人で協力して新米のお前を襲ったりはしねえよ。それより大型新人が入って嬉しいくらいだ」

「ああ、フレデリカに君の容姿は聞いていたからな。それで提案だ、ここからは俺たちと組まないか?」

「……!?」

「こっちも今の順位は保ちたい利害の一致ってやつだ」

 

 二人の要求に驚愕するもその理由に納得する。するとナグサは弓を構える。

 

「!? ……フッ」

「!? ……こりゃ本当に大型だわ」

 

 二人はナグサの行動に驚くもその行動の意味を即座に理解しそのまま行動を眺める。

 

「【遠的】」

 

 その矢は二人の間を通って1kmほど離れた木の陰に隠れて魔法を放とうとしていたプレイヤーを光に変える。

 

「……私はナグサ。よろしく……私パーティー組んでるけど?」

「交渉成立だな。俺たちはソロだ。一時的に君のパーティーに入れてくれれば構わん」

「パーティメンバーはメイプルか……こりゃ頼もしいわ」

「……ここには居ないけどね。そもそも来れないだろうし

「移動するか?」

「ハ! それもいいな」

 

 小声でつぶやいたものの二人に聞こえていたため他のプレイヤーにとっての死刑宣告が行われた。

 ここに史上初の最凶パーティーが結成されてしまった。

 

 

 その後一方的な蹂躙劇のみが行われ上位の3名の順位が変わることわなかった。ナグサの順位が一つ上がっていたが。

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

【NWO】メイプル&ナグサちゃんの謎

 

 1名前:名無しの槍使い

 スレ立てたぞっと

 

 2名前:名無しの大剣使い

 おう議題は我らがメイプルちゃん、ナグサちゃんのことだ

 

 3名前:名無しの魔法使い

 正直ペインたちよりもやばいと思った

 何で3位4位なん? 

 

 4名前:名無しの槍使い

 メイプルちゃん

 →序盤廃墟でお絵かきしていたから

 

 ナグサちゃん

 →序盤人込みでダウン、その後プレイヤーと鬼ごっこしてたから

 

 5名前:名無しの弓使い

 可愛すぎかよw

 しかも鬼ごっこって多(プレイヤー:鬼側)対一(ナグサちゃん:本当は狩る側)だろ? 

 

 6名前:名無しの大盾使い

 あれ本当に大盾か不安になるわ

 あっちなみに俺は10位でした

 

 7名前:名無しの槍使い

 流石

 大盾でそこまでいくとは

(メイプルから目をそらしつつ)

 

 8名前:名無しの大剣使い

 それでは今回の二人のまとめだ

 ましな方から行くぞ

 第一回イベント

 ナグサ4位

 死亡回数0

 被ダメージ0

 撃破数2003

 

 装備は金色の弓に様々な矢を出す銀の月を模した矢筒

 天気を変える魔法に強大な雷系魔法

 多くのプレイヤーを翻弄するスピード、一撃で敵を倒す力、敵のHPMPを吸い取ってMPに変える鎖

 締めに弓から放たれた光の奔流だ

 

 9名前:名無しの大盾使い

 矢についてなら多少知ってるぞ

 イベントの後に俺の知り合いの生産職が面白い依頼だったって言ってたことだけだが

 

 それと……あの光ナグサちゃんだったのか

 

 10名前:名無しの魔法使い

 何かあったん? 

 

 11名前:名無しの大盾使い

 一キルされた

 

 12名前:名無しの槍使い

 は? マジ? 

 

 13名前:名無しの弓使い

 トッププレイヤーの大盾使いのクロムさんが? 

 

 14名前:名無しの大盾使い

 ああ。多分防御無視攻撃だな。

 他の10位以内に居たプレイヤーもあれで何人かやられたらしい

 

 15名前:名無しの大剣使い

 光の奔流が真面目に極光だった件

 

 16名前:名無しの魔法使い

 でもデメリットも有るっぽいよ

 少しの間動けないみたいだったし、打った後ポーション飲んでた。それまで使ってなかったってことは回数制限付きかも? 

 

 17名前:名無しの大盾使い

 ならまだ許容範囲内か? AGI高い奴は避けれるな。気付ければだが……

 ちなみにペインは切り払っていたが……

 

 18名前:名無しの槍使い

 訂正やっぱペインも化け物だったわ

 

 19名前:名無しの弓使い

 やっぱりあのダンジョンか? いまだナグサちゃん以外のクリアが出てないっていう

 

 20名前:名無しの大剣使い

 だろうな。入るたびに中の道変わるし、しかも日に日にモンスターの種類が増えてるって情報も有るぞ。

 

 21名前:名無しの魔法使い

 まるで誰かが搬入しているみたいだよね

 

 22名前:名無しの大盾使い

 ハハハ、まさか搬入できるとしてもクリアしてるナグサちゃんくら……い? 

 

 23名前:名無しの弓使い

 そう言えばナグサちゃんが何かの罠を張っているのを見たことあるよ? 

 まさか……

 

 24名前:名無しの大剣使い

 まさいあ……な? 

 ええい!! 次だ次!! 

 

 

 ◇

 

 83名前:名無しの大剣使い

 そう言えば最後のパーティーが豪華だったよな

 

 84名前:名無しの槍使い

 なんせ上位4位が組んだからなあれは勝てねえよ

 

 85名前:名無しの大盾使い

 あれもナグサちゃんの運だな

 メイプルちゃんはリア友だけど

 最凶のカードを引き当てる感じ

 

 86名前:名無しの魔法使い

 白い子は幸運って迷信も信じたくなりますよね

 って字w

 

 87名前:名無しの大盾使い

 間違ってはいない

 あとその迷信本人の前では言うなよ

 めっちゃ嫌がるらしいから

 

 88名前:名無しの魔法使い

 言いませんよ

 そう言うの信じて命狙う人たちも居ることは知ってますから

 これはナグサちゃん自身の幸運ですしね。

 

 89名前:名無しの大剣使い

 まあそういうの信じて変なこと言う奴らも出始めるかもしれんから

 俺たちはそういう奴らから二人を護って行こう

 頼むぞ諸君

 

 90名前:名無しの槍使い

 らじゃ

 

 91名前:名無しの弓使い

 らじゃ

 

 92名前:名無しの魔法使い

 らじゃ

 

 93名前:名無しの大盾使い

 らじゃ

 

こうして見護隊の絆がまた一段と強くなっていた

 

 




あれ?上位二人と何で共闘してるんだろ?
最初はこんな予定じゃなかったんだけど……
でも強力な攻撃が来たら普通気になりますよね?

距離が出るのは観戦席だからです。普通にフィールドにいたら出ません

あとミザリーさんごめんなさいナグサを10位以内に入れる為には一人犠牲にするしかなかった。

それはそうとして防振りの主題歌のFULLが11日にやっとiTunesで出てたので早速購入しました。
あと9巻買わなきゃ。田舎で近場に本屋が無いから書籍派の自分には辛い


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アルビノ少女と回避盾の始まり

前話のスキル一覧から【釣り】を削除し今回で覚えることにします


「……じゃあいってきます」

 

 制服を着て学校に向かう。ここ数日で日差しが強くなりぽかぽかと温かく春らしくなってきた。

 

「……はぁ(早く学校終わってNWOにはいりたいな……)」

「おっはよー椛! 何浮かない顔してるのかな?」

「うひゃ!? ……おはよう。リーちゃん」

 

 後ろから飛びついてきたのはNWOを紹介してくれた理沙だった。理沙の家とは100mも離れていない位置にあるので登校時間を合わせて登校している。

 UVカットの日焼け止めを塗り、矯正用のコンタクトを入れた上に遮光レンズをかけ日傘を差すのが登校スタイルである。VRで外に出る為のいろいろな準備が必要ないことを体験してしまうと憂鬱になってしまうのだ。

 それを理沙に言うと。

 

「そっかー。VRあるあまあるだけど椛みたいな人には大きい問題点でもあるのか。盲点だった」

「今まで出来なかったことが出来るようになったんだからこれ以上は贅沢なのは分かってるから……それにしても今日はずいぶんとご機嫌だね」

「やっぱり、椛には隠せないか~」

「いつもは肩たたく程度だし……そんなにキラキラした視線を向けられたらね…………大体分かったけど」

「相変わらずの視線感知だね。まあ発表は楓と合流して学校に着いてからね」

 

 その言葉に椛も頷く。日の当たるところでの長い会話は椛の負担になることが有るからである。椛はそのいつもの心遣いに感謝しながら学校に向かった。

 

 ◇

 

「コホン。それではお二方に重大な発表があります」

「ほう、何だい理沙くん」

「……ドキドキわくわく」

 

 教室についてすぐにキャラを作った理沙に二人は乗っかり次の言葉を待つ。

 

「ついにゲームをプレイする許可が下りました!」

「お~」

 

 椛は小さく歓声を上げ楓はパチパチと拍手する。

 

「というわけ二人に押し付けただけになってたけど今日からやっとプレイできるよ~」

「じゃあ3人でパーティーを組めるね!」

「楽しみ」

「そうそう3人で楽しめる。椛用のハードが出てから誘ったのは正解だったかな」

「椛も乗り気だったし、私だけのけ者になるのは嫌だもん」

「お父さんと二人に準備されちゃったからね」

「「椛にはお互い射的の景品でお世話になりましたから」」

 

 そう二人は椛が射的で取った景品(ゲーム系・ぬいぐるみ等)を譲ってもらってお財布事情を助けてもらっていた。そのお礼も兼ねて自費で椛にソフトを準備したのだ。ちなみにハードを準備したのは父親である。そういった話はすぐに終わり会話の内容はやはり楓と椛のプレイ内容にに変わる。

 

「椛に聞いてた限りじゃ二人ともかなり脱線してるし、しかも脱線した先での手に入れたものが強すぎ。これは追いつくの大変そうだなぁ」

「やりたいことやってただけなんだけどね」

「で、でも私たちと同じようにすれば……」

 

 楓がそう言うと理沙はバツ印を作って首を振る。

 

「二人は二人。私は私。二人の見つけたスキルを友達権限で取る気はないの! まあ……異常なスキルを手に入れる糸口は貰っちゃったけどね」

「みんな違ってみんな良いだね。で、リーちゃんはどうするの?」

「椛が俊敏と火力を持ち合わせた遠距離タイプで、楓が防御特化のタンク。だから近距離のタイプの大剣も良いかなって思ったんだけど、それじゃあ普通すぎてつまらないから『回避盾』になる」

「「回避盾?」」

「敵の攻撃を引きつけて回避することで攻撃を無力化するんだよ」

「おおおお! 格好いい! ……でも盾なら私がやるよ」

「だから私にも大振りでも避ける練習と相手の武器か攻撃を打ち落とす練習するように言ってたんだ。私も二人を護れるんだ」

「そ。武器も使いようだよ。それに【臆病者】が有っても必要になってくるスキルでもあるからね。これで私たちのパーティーはどんな戦いに出てもノーダメージ! いつだって無傷! 格好良くない?」

 

 その言葉を聞いて楓はその光景を想像したのか首と手をぶんぶんと振っている。椛も気分が高揚している。その時理沙の呟きが聞こえた

 

「回避盾……難易度は最高クラス? でも、だからこそ燃えてくる……!」

「リーちゃん燃えてるね?」

「そりゃあ二人とゲームが出来て最高のパーティーが組めるんだよ。燃えないはずがないよ。……でも、椛には最初から難易度高いスタイルになると思う。ごめんね?」

「大丈夫。今のところ外したことないし。……それに私、今までは二人から又聞きするしかなかったんだよ? その二人と遊べるんだもん。それくらい乗り越えてみせるよ」

「そりゃあ頼もしい」

 

 三人は今日の授業が早く教えてほしくてほしくて仕方なかった。

 

 ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

「おー! 町はこんな感じなんだー!」

 

 サリーは周りを見回して嬉しそうに声を上げた。ちなみに始める前にプレイヤーネームは始める前に決めて伝え合っている。

 

「メイプルの装備との見た目格差があり過ぎてちょっと辛い……てナグサは?」

「この間仲良くなった生産職の人から依頼した者が出来たって知らせが来たからちょっと取りに行くって」

「へえ、あのナグサが仲良くねえ」

「紹介したら何か同じ『つくる者?』として意気投合しちゃった」

「あ~何か納得」

「お待たせ~」

 

 そんなことを話してるうちに用事を済ませたナグサが現れたので当初の目的通り地底湖に向かうことにした。

 がメイプルに合わせると時間がかかることを告げるとサリーが有る方法を思いついたようだった。

 

「だったらいい方法が有るんだけどどうかな?」

 

 ◇

 

 ナグサとサリーは地底湖方面へ向けて爆走している。メイプルは普段の重装を外してナグサに背負われている。そんな中メイプルはナグサに話しかける。

 

「それにしてもナグサもずいぶん動けるようになったね」

「ん。サリーの助言のおかげ。空中でも少しなら動きながら戦えるようになったし」

 

 サリーはナグサのステータスの高さを活かすには早くVR慣れする必要が有ることが分かっていたので。一日1回森でギリギリになるまで走るように言っていた。もちろん障害物は避けてモンスターを倒しながらである。

 最初のうちは自分の速さについていけず気にぶつかったりモンスターを轢いてしまったりしていたが今では8割がた成功している。

 

「ええ~! ナグサはサリーに助言貰ってたの!? ずるい!」

「メイプル……ナグサはゲーム自体が初めてなんだよ? 助言するのは当たり前でしょ」

「耳元で叫ばないで。そして、暴れないで。落ちちゃうよ?」

「ごごごめん! ってナグサ! 脇腹揉まないで! くすぐったいよ~!」

「有言実行。やっぱりお腹ぷにぷにだね。ほら暴れない」

「あは。む、無理だってあはははは」

「結構余裕そうだね。うん! 楽しそうで何より」

「そんなこと……言ってないで……助けてよ~」

「あははは、無理かなってナグサ! 前方から狼系のモンスター3匹」

「……残念、サリーパス!」

「はいよっと」「わきゃ!」

 

 ナグサはメイプルをサリーに投げて渡すと走る速度を上げる。そのままモンスターに近寄り数m前で跳び上がると空中で身を翻しモンスターの頭上でまとめて射抜き綺麗に着地する。

 その後待ってるナグサにメイプルを背負ったサリーが近寄る。

 

「ナグサ! 今の動き格好良かったよ!」

「ありがと、メイプル。じゃあ予定通りあとはサリーにメイプル任せるね」

「うん! 任された」

「え? ……あれ? そう言えば、今の動きだと最初からサリーにおんぶして貰ってれば止まらないで行けたよね? なn「さあ。行こ?」

「うん」

「ちょっ! 教えてよ~!」

 

 ただ単にナグサがメイプルをおんぶしたかっただけである。サリーもそれは分かっているし言わないほうがメイプルの反応が面白いためそのまま走り続けた。

 

 ◇

 

「すっごい速かった」

「ふふふ……崇めたまえ~!」

「ははーっ! サリー様~!」

 

 教えてくれないなら仕方ないとメイプルは切り替え速さを楽しんでいた。

 地底湖について装備を付け直して嬉しそうにしている。サリーも早速役に立てて嬉しそうで茶番まで行ってる。

 ナグサはと言うと、

 

「早く始めよ。はい釣り竿」

 

 初めての体験に目をキラキラさせながら三本の釣り竿を出して二人に二本渡そうとする。

 

「え? 釣り竿なら持ってるけど?」

 

 メイプルが当然の疑問を上げるとナグサは得意げになり説明する。

 

「そこらへんで売っている釣り竿とはわけが違うのだよ。なんせイズさん謹製スキル付きの釣り竿。『私の迷宮』の材料もふんだんに使ってるから、効果も保証する」

 

 そう装備にはスキルをつけることは出来ないが一部のアイテムなら可能である。迷宮の方もレベルが上がったことにより新しい魔法も増え『マスター権限』で指名したプレイヤーを襲わないようにするなどが出来るように成った。イズの性格なら信頼できるとふんだナグサはそのことを教え、自由にアイテムの採集をして貰っている。

 

「そっかそれを取りに言ってたんだね」

「これだけじゃないよ? 本当は料理器具一式って依頼だったんだけどイズさん新しいアイテムに興奮して頼もうとは思ってたけどアウトドア用品一式まで準備しちゃってたから……ほらこれとかモンスターが近寄らなくなるお香にこれはこの前ウェアウルフ捕獲したおかげでデイリー報酬で貰える毛皮から作ったって言う寝袋にそれとn……「分かった! それじゃあまず始めよ? その間に説明してくれればいいから!」っは!? そうだった」

 

 使うのが楽しみなのかもうキャラはどうなったと思えるほど説明に熱が入り始めたナグサにメイプルは目が点になる。サリーが活を入れ押しとどめることによって本来の目的である釣りが始まった。

 

 ◇

 

「おお~! 6匹目だよ!」

「お! 今回は早いね」

「あ! また青い主だ」

 

 釣りを始めて一時間ほどそれぞれの釣果はメイプルが6匹、サリーが22匹、ナグサが49匹でうち青い主が3匹である。1時間で3匹しかつれなかったメイプルは感動に満ちている。これもイズ謹製の釣り竿のおかげである。

 

「1レベルでここに来たおかげで釣り上げた魚に止めを刺すだけでレベルが上がる上がる」

 

 実際にサリーのレベルは8にまで上がっていた。ナグサとサリーの二人が【釣り】スキルを手に入れてからは釣りあげるスピードも上がっていた。

 

「それにしても初スキルが【釣り】かぁ……二人の事変って言えないなぁ」

「……普通じゃないから新しいものが見えてくるんじゃない? っと」

「それもそうかもねっと」

 

 釣果がまた増えたところでナグサは釣り竿をいったん片付けバケツに入れ釣を始めてからまだ止めを刺していない魚たちにナイフ(・・・)をもって向かう。

 

「え? ナイフ?」

「片方は捕獲するんでしょ?」

 

 ナグサの動向が気になったのか二人もいったん切り上げ様子をうかがう。サリーは持てないはずの装備を持っているナグサに戸惑っている。

 

「片方はまだ試してないスキルの実験台にしようかなって……うまくいけば美味しいよ?」

「「?」」

 

 

 ナグサの言葉に疑問符を浮かべる二人。「まあ見てて」と二人に言うと

 

「【捕獲】【解体(・・)】」

 

 ナグサがそう唱えると多く入っていたバケツは魔法陣に包まれ中身が消え、少なかったほうのバケツの中の魚に切りかかると鱗と『下処理済みの魚』というアイテムが現れた。

 

「つまりは食材を手に入れる為のスキル?」

「うん。なぜかモンスターが生きてる間にしか使えないんだ」

「倒すとすぐ消えちゃうからね。だから試しやすい魚で?」

「そういうこと。じゃあ食べよ?」

「「うん」」

 

 そう言うとナグサは必要な量以外の魚をインベントリに戻しイズから作って貰った七輪を取り出して魚を焼き始めた。

 

 ◇

 

「はむはむ……そう言えば【解体】ってスキル欄になかったよね?」

「あとナイフを装備できる理由もね」

 

 釣り糸を垂らして軽く塩で味付けした魚を食べながらメイプルとサリーが質問をする。

 

「【料理人】の中にあるスキルだよ……ほら」

 

 ナグサはその質問が来るのを見越していたのかすでにスキルの説明を開ていた。

 

【料理人】

 

 ・スキル【解体】

 ・作った料理にあらゆる効果を付与する。

 ・作った料理により効果時間が変化する(最大8時間)。

 ・効果時間が終わるまで重複して効果を重ねれない。

 

 取得条件

【料理Ⅵ】まで全てプレイヤーメイドの調理器具で料理した。

 

【解体】

 ・モンスターのみに使用可能

 ・ナイフの装備を可能にする

 

「あらゆるステータスを付与……今はAGI3%上昇だね」

「ええー! じゃあ私も速くなって……ない? ってVIT上昇だ!」

「私もAGI……だから一番高いステータス上昇?」

「かな? これはいろいろ検証が必要そう」

「食料はもってっ来たけど効果時間は……1時間」

「時間かかるね……で、ナイフ装備できるようになると」

「取得できるスキルを見た限りほとんど投擲用だった」

「なら私と被るわけじゃないし近接対策も出来るから一安心かな」

 

 サリーが危惧していたのはその点であったが稀有であったためホッとして話を切り替える。

 

「そう言えばメイプル鱗足りそう?」

「うーん……もう1時間だけ……いい?」

「いいよ! 私も一つ試したいことが有るから……釣りじゃなくて素潜りで狩ってきてもいい?」

「私も問題ない……って、そんなこと出来るの?」

「出来ると思うよ。たぶん私のAGIなら固まって泳ぐ魚のうち1匹位なら倒せるかな。ナグサの料理の効果でもうちょっと行けそうだけど」

「なら私も泳ぐ練習していいかな? ゲーム外だと屋内じゃないと出来ないし」

 

 学校のプール授業などは体質の影響で見学するだけのナグサだが全く泳げない訳ではない。いかせん泳ぐ機会が少ないので上手いとも言えないのでこれを機に上達したいと思ったのだ。

 

「いいよ。ナグサには鉱石も手伝ってもらったもん」

「なら。そっち辺りが浅めだから丁度いいんじゃないかな?」

「ありがとう。慣れたら私も少し狩ってみるね」

 

 そうして1時間程経過しナグサは【水泳Ⅰ】を取得した。メイプルの方を見るとサリーが水中で狩った魚のドロップ品をメイプルに渡していた。

 

「サリー戻ってたんだ」

「あ、うん。ちょっと聞きたいことが有ってね。ねえ今見つかってるダンジョンってナグサの所有権の有るのも含めて3つだよね?」

「えっと……うん、確かそうだよ」

「地底湖の底に、小さな横穴があった」

 

「「……!」」

 

 その言葉にメイプルはただ驚き、ナグサは【千里眼】を使い地底湖を確認する。確かに奥に続く横穴とその奥には先の見えない扉があった。

 

「ダンジョンだね。奥まで見えるけど如何する?」

「やっぱり便利だねそのスキル」

「ん~……ダンジョンはナグサのがあれば十分だと思うし二人と同じユニークシリーズが手に入るかもしれない……だから」

 

 そこには真剣な目をした友人がいた、二人はサリーの言わんとすることを理解した。

 

「うん、地底湖まで来るの手伝うよ! 借りは即返すってね!」

「……アドバイスのお返しにAGI上がるような料理作る。待ってる間は私も【水泳】【潜水】のスキル育成と水中戦の練習時間にするから」

「さっすが! そう言ってくれると思ってた! じゃあ、早速言ってくるね」

 

 

 そうして再びサリーは泳ぎ始めた。

 

 その後2週間ほどほかにもスキルを取得しながら地底湖に通いつめサリーは無事ユニーク装備を手に入れ、ナグサも【水泳Ⅹ】【潜水Ⅹ】まで育て料理の効果をある程度把握することが出来たのだった。




今回は見護り隊も運営陣営もお休みです。

ちなみにイズさんはナグサが【料理人】を手に入れた現場に居合わせています。
それを見て一度【料理Ⅹ】を破棄して取り直している模様

取り直すにはGが掛かるって設定が有りますが。料理スキルはもともと効果ないスキルだから有りってことでお願いします。

イメージ的にはモンハン、テイルズシリーズ、後はアトリエリシーズかな?
どれもそこまで種類プレイしてないので詳しくはないですけどね


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