METRO Dolls (kapebarasan)
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人形達とか武器とか

なんとなく銃の説明だけ作ってみた。

 設定をいくつか作った。


登場する(予定)の人形達です。感想とかでこれ出てほしいとかあれば考えます…

 

武器や人形

 

・AK2012

 

 2012年にAK-74の後継新型カラシニコフとして開発されたアサルトライフル、同い年のロシア製にAK-12がいるが軍の正式採用にはAK-12が選ばれた過去がある、2012は少数が生産され特殊部隊用に回されていた。

 人形としては、ハンターと縁があり二人で地表の偵察を行っていたがエキシビション駅襲撃の後アルチョムと行動を共にすることになった。

 

 

 ・ナガンリボルバー

 

 皆さんご存知M1895、言っていいかわからないけど某小説のおばあちゃんとして有名

 メトロでは7.62×38弾の供給ができないことから.44マグナム仕様に改造されている。

 アルチョムがプロローグ2で使ったのはこれ

 メトロオーダー唯一の人形部隊の隊長

 

 ・バスタード

 

 メトロプレイヤーお馴染みのバカマシンガンことバスタード、メトロ内で作れるくらい簡単な構造、その代償として精度が悪くすぐ熱くなる。一応サイレンサーをつけられるが威力下がるし、制度は対して変わらないという不遇、地味に5.45弾使うから精度悪いのも納得?

 旅の始まり1に登場、武器庫の管理の仕事をしていた、バカで熱くなりやすい

 

 ・AK-74 (47)

 

 5.45弾を使用するお馴染みのアサルトライフルみんな知ってるね(ご存知)現役を退いて長いのに未だに大量にあるとても劣悪な環境でも動くのでメトロ内の事情とマッチした、47をどう出そうか考えてる。

  戦乱-2で初登場、ウルマンと共にアルチョムたちの危機を救った。

 アルテミス隊副隊長

 

 ・VSV(VSS)

 消音狙撃銃、ゲームだとアーモリーで買える。

ドルフロにはAS-VALっていう親戚みたいなのが一応いる

 未登場

 

 ・デュプレット

 

 鉄パイプを切って組み立てただけのメトロ製二連水平ショットガン、アルチョムの序盤のお供、ミュータント退治に便利

 アルチョムがユージーンから借りて使用

 

 ・シャンブラー(オートマチックショットガン)

 

 リボルバー式ショットガンという色物、リロードに時間がかかるけど瞬間火力の高さが自慢、後々のシリーズだとボックスマガジン式改造されたりする。割と好き

 アルチョムが壊れたデュプレットの代わりに入手

 

 ・ヘビーオートショットガン(アブザッツ)

 

 公式チート武器、DShKに似てる。ベルト給弾式ショットガン通称ミンチメーカー店売りされてない(当たり前)その強力さと比例して弾の消費もマッハ

大型ミュータントをワンマガジンでミンチにする…

AA-12の上位互換的な…(リロードを除く)

 アルテミス隊隊員(前衛)弾薬消費の激しさから中々戦いに出してもらえない

 

 ・バルブ

 メトロ製ライフル、戦後製にしては熟練工が製造に関わっているからか高性能、改造しないと単発式なのが玉に瑕

 アルテミス隊隊員(狙撃手)非常に精度の良い狙撃が売り

 

 ・ローライズ

 最近まで正直忘れてた。

 ファシストがよく使ってた印象がある拳銃、C96みたいな見た目

 未登場

 

 メトロの人形たち

 

 メトロでは戦前の自律人形関連企業の跡地や残骸から拾われた回収品や運良くメトロに逃げ込めた技術者が混迷を極めるメトロ内でどうにか残されたデータやら『エクソダスをプレイするとなんとなくわかる』理由で手に入れたデータ等で人形の作成をしているが、絶賛グリフィン等で稼働中の人形と比べると低品質なものが多い(一部の戦前産等を除く)

 なお本作品では原作より人形の技術が高まった状態で核戦争を迎えたことになっています(第2世代ができた辺りでボカン)

 

 



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METRO2033
プロローグ


 

 

 

 トンネル内の気温が下がっていく、ミラーと僕、そしてAK2012は地表に近づきつつあった

 もうじき吹きすさぶ風の中へと出て、そこで待ち受けている悪夢と戦うことになるだろう

この長い旅もあと少しで終わる。だが僕に、最後まで見届けるだけの勇気が、残されているのだろうか?

 

 

 

 

 

 荒れ果てたメトロのはしごを軋ませながら地上へと登っていく、すぐ上からは地表で唸る吹雪の音が聞こえてくるようだ…

 

 「おい、アルチョム」

 

オーダーの指揮官であるミラー大佐から唐突に話しかけられる。

 

 「自分の(エキシビション)を出発した時、こんなところに行き着くなんて考えたか? 世界を救おうとしているのか、地獄に落とそうとしているのかも分からずに…?」

 

 僕は何も答えぬまま梯子を登っていく。最上段に辿り着き、今まで登ってきたはしごに振り返る

 

 「2012大丈夫か?」

 

そう言いかけた瞬間2012が手をかけたはしごを固定してたボルトが外れる。

 落ちそうになる2012の手を急いで掴む

 

 「掴んだぞ! ぐっ…うぅ」

 

見た目は小柄な女性とはいえ彼女は戦術人形(機械)、装備しているものの重さと彼女の全体重が一瞬僕の片腕にかかり苦悶の声が漏れる。僕は彼女を引き上げ、もはや奈落となった穴を見る。

 

 「ありがとう、助かったわ」

 

彼女はお礼を言うとすぐに今までの臨戦態勢へと戻る

 

 「ごめんなさい、早く東の前哨基地を抜けて地上に出ましょう、アルチョム」

 

 彼女の言葉の通り僕たちは歩を進める。

 旧世界の扉を開きかつて地下鉄の駅だったものに辿り着いた、僕とミラーは地表の放射能や崩壊液の影響を防ぐためにガスマスクを被らなくてはならない

 

 「もう少しだ、このコロレフ・ホールから塔は目と鼻の先だぞ」

 

 ミラーはあと少しだと言うが地表はメトロと違い全域が過酷かつ危険な環境だ、手に持つ銃の弾倉を確認しいつでも撃てる状態であることを確認する。

 最後の戦いだ、僕は、なけなしの軍用弾薬(通貨)を躊躇なく弾倉の中に放り込む

 

 「来るぞ!」

 

 「銃を構えて!」

 

 二人が叫んだ瞬間、地上にでてきた久し振りの餌を食らうべく3匹のハウラーが僕たちに飛びかかってくる、躱しきれず一匹の爪が僕の右腕に食い込む、痛みに耐えハウラーの脳天に弾丸をたたき込む、血を流し動かなくなったハウラーから視線を外すと二人も丁度始末を終えてこちらに駆け寄ってくる。

 

 「大丈夫か、アルチョム?」

 

 「怪我してるじゃない、早く応急処置しなさい」

 

心配をかけてしまっただろうか、僕は急いで救急パックの中に入っている注射器を負傷部位の近くに刺す。

鋭い痛みに一瞬顔を歪めるが、すぐに薬品が痛みを抑え出血を止める

 

 「心配をかけてすまない、行こうか」

 

僕は二人に伝えると

 

 「心配かけさせないでよね、昔から変わらないんだから」

 

 2012は冗談めかしながら僕を叱る。

 

 「アルチョム、手伝え引っ張るぞ」

 

 ミラーは長いこと放置されていたのであろうメトロのフェンスを指差した。

 

 「わかった」

 

 僕とミラーはフェンスを掴み引っ張る、すると錆びた金属特有の耳障りな騒音をたてながらフェンスが外れた。 

 

 「行くぞ!」

 

ミラーはいうと開けた出入り口に入っていく

 

 「さぁ行きましょう」

 

僕は、2012のあとを続き外に出る

 

 外に出るとそこには木々も車も何もかもが凍りつきまるで時間が止まってしまっているような風景が広がっていた、これが最終戦争が生み出した新しいロシアのありふれた風景だ

 

 「ここだ、アルチョム我々のコールだ…」

ミラーは無線機に話しかける 

 

 「応答願う…ウルマン、応答願う…どうぞ」

すぐに返答は帰ってきた

 

 「ハッキリ聞こえています…どうぞ」

 

 「塔に到着した、繰り返す塔に到着した…そちらも到着したか、どうぞ」

 

無線の会話が続く

 

 「はい、連絡を取りました、彼らは既に塔の近くにいます、どうぞ」

 

僕は会話を聞きながら空を見上げる、そこにはその塔がそびえ立っていた、取り残された旧世界の遺物、だが今はここに辿り着かなくてはならない、そう辿り着かなくてはならない

 

 「了解、塔の最上部に到着したらまた連絡する、その後、こちらの位置を確認してくれ…どうぞ」

 

無線を切ったミラーは僕と2012に

 

 「行くぞ、他の連中も来ているはずだ」

 

そう言うと足早に目的地へ向かう

 少し開けた広場に辿り着くと後方からホーンが鳴らされる、驚き思わず足を止めて振り返ると荷台に機関銃を備え付けたトラックがこちらに向かってきていた。

 トラックは僕たちの少し先に停車すると、車の中から一人の男と人形(ナガンリボルバー)が降りてくる

 

 「どうも、大佐」

 

 「待たせたのぅ」

 

握手し、一先ずの合流を喜ぶ

 

 「今の聞こえたか…ほら!ありゃなんだ…?」

 

トラックの銃座についていた兵士が遠くを見ながら言う

 僕は、遠くから響いてくる地響きを感じ警戒する。

 

 「陣形を整えろ!」

 

ミラーが命令をする

 皆で押し寄せてくるモノに対処をするためにトラックの周りで陣形を整える

 

 「慌てるな…なんだ?背後に気をつけろ」

 

ミラーの言葉の通り皆で全周囲をカバーする。この周りを無数の四足歩行のミュータントが走り回っている。

 ついにそのうちの一匹がこちらに気づき飛びかかってくる 

 

 「くそっ気張れ!」

 

ミラーの怒声が響くと周囲のミュータントに対して銃撃が加えられていく

 僕が銃の装填をしていると、ミュータントが飛びかかり体制が崩れ転んでしまう、ミュータントにナイフを突き立てる。

 兵士の一人が空を指差して叫ぶ

 

 「デーモンだ!!」

 

空を見ると塔の周囲を飛ぶ何かが見えた。

 なんとか後方へ下がるとデーモンと呼ばれたミュータントがトラックを引き倒し、トラックが横転していた。

 デーモンがこちらをめがけて飛んでくる、時間が遅くなるような感覚に陥るとともに僕の意識はここで途絶えた。 




誤字脱字や指摘点などいただけたら幸いです…


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プロローグ2

続いてしまった。
METROはゲーム版を一応全てやりました。DLCのシナリオはやってないです…


 8日前…

 

ハンター

 

 

 

 トンネルの暮らしは決して楽なものではなかったが、そこが我が家だった。

 だがミュータントたちの襲撃が激しくなり、駅内には恐怖が蔓延していた。

 そして義父の友人である「ハンター」が我々のバリケードに辿り着いたあの朝、

 自分に待ち受けている運命など、想像できるはずもなかった…

 

 

 

 

 絵葉書集めそれは僕の趣味だ、メトロの中ではどこを見ても薄汚れた壁しか見えなかったが、たまに見つかる絵葉書は最終戦争前の美しかった世界を僕に見せてくれる唯一の手段だった。

 その写真を見るたびに僕はそこを歩き、体験するそんな夢を見ることが多かった。

 

 「アルチョム」

 

名前を呼ばれ僕は目を覚ます

 

 「ようやく起きたか…ハンターが来るぞ、他の駅の話が聞けるはずだ、さぁ」

 

養父のアレクセイに起こされ僕は寝床から体を起こし、後をついていく

 メトロの住民は最近頻発するミュータントの襲撃によって大切な人を奪われ、住処を守るための警備に人員を多く割かれているため疲れ切っていた。

 

 「このまま襲撃が続けば駅が持たない、なにか手をうたないと」

 

 「でも、これ以上何ができる」

 

 「昨晩別のパトロール隊が攻撃を受けた、病院はもう満杯だ…」

 

 最近の会話はこの話題で持ちきりだ、皆疲れ切っていた。

 アレクセイに連れられメトロ警備隊の部屋に入る、あまりの負傷者の多さに臨時の救護所があちこちに作られており、あちこちから悲痛な声が聞こえてきた。

 

 「負傷者はどうだ?」

 

アレクセイが医者に聞く

 

 「あまり良くない、今朝は二人死んだ」

 

 「ダークワンたちは、すぐには殺さない」 

 

 「連中は犠牲者の心を壊していく、遅かれ早かれ皆死んだ」

 

 「人形ですらメンタルに不調をきたしている、彼女らはもう銃は握れないかもしれない」

 

医者もお手上げといった様子で答えていた。

 

 

 メトロの入り口ゲートに辿り着く、警備兵が立ち物々しい雰囲気が漂っている、突然ゲートが外側から叩かれ警備兵が飛び上がる。 

 

 「何だ!…一体何だ!」

 

声を荒げる警備兵

 

 「ハンターだ」

 

別の警備兵が言う

 

 「ミュータント共がノックなんてするか?…ゲートを開けろ」

 

そう言うとメトロの重い鋼鉄の外壁を開ける。壁の向こうから地表で活動するための装備を身に着けた一人の男がいる。その後ろにガスマスクはないもののそれ以外はハンターと対して変わらない格好をした女性が立っている

 

 

 「エキシビションへようこそハンター、それに2012」

 

アレクセイが男と女に話しかける。

 

 

 「ありがとう、すぐに閉めてくれ」

 

ハンターはそう答えると駅の中に入っていく

 

 「よう、アルチョム」

 

ハンターの挨拶に僕も答える。

 

 「ハンター、外はどんな様子だ?なにか変わったことは?」

 

 「相変わらずだな、大した情報はない、【アンデット】がこのあたりに出没してるらしいな」

 

アレクセイとハンターが会話をしていると2012が僕に声をかけてきた。

 

 「アルチョム、ニューヨークの絵葉書を売ってる人に会ったわ、あなたの部屋を思い出したよ」

 

そう言うと彼女は一枚の絵葉書を僕に手渡す。写真の中では、緑色の巨大な女性が松明を掲げている。

 

 「自由の女神って言うらしいわよ」

 

 「その葉書そこそこ高かったから後でお礼しなさいよ」

 

彼女の言葉を聞き、僕は苦笑いをしながら素晴らしき戦前の世界へ思いを馳せた。

 

 

僕は彼女と、

 彼女のような戦術人形についてや、縁があってハンターと地表の偵察をしていたということなど彼女と他愛のない会話をしていたが突然

 

 「メイン通気口に侵入警報…上部より侵入者!!」

 

メトロ内の放送が入り、警報が鳴り響くその場にいた全員が警戒態勢に入る

 

 「攻撃準備!」

 

 「アレクセイ、2012俺たちはホールに残ってここを守るぞ」

 

 「了解よ」

 

 「アルチョム、急いで武器を取れ!」

 

 僕は急いでロッカーからリボルバー拳銃と予備の弾丸を数発受け取り警備に加わる

 

 「ここは病院よ、奴らは血の匂いを嗅ぎ付ける」

 

2012は、全員に警告をする。

 不思議な沈黙が続くが天井のダクトから何かが駆け回るような音が響く

 

 天井ダクトが大きな音を立てて開きミュータントがハンター目掛けて落ちてくる、ハンターはこれをいなし床に押し付けてナイフを心臓めがけて突き立てこれを殺す。これを皮切りに他のダクトからもミュータントが飛び出し僕たちにとびかかる、僕はリボルバーを奴らめがけて撃った、弾丸がミュータント共の顔を撃ち抜き糸が切れたようにその場に倒れていく…

 

 何匹倒しただろうか…ミュータントの襲撃が止まった、運良く怪我人は居なかったようだ

 

 「アルチョム、大丈夫か?」

 

アレクセイに尋ねられ、僕は問題ないと答えた。

 

 「ここにダークワンは居ない…いるのは【トンネルのクズ】だけだ」

 

ハンターは呟く

 

 「たとえ目には見えなくても…ダークワンたちはそこにいる、恐怖…これが彼らの武器だ、それがノサリスをネズミみたいに走らせてるのさ、ダークワンは、ただのミュータントじゃない、新種だ、より進化した個体なんだ、適者生存って知ってるか?つまり俺たちは負けたのさ」

 

アレクセイが諦めたように呟きに答える

 

 「どうしたってんだ、アレクセイ?あんたみたいな奴は何もせず敵にやられてしまえばいい、俺は与えられた命にしがみつく、この歯と爪をつかってな、そして、その【適者】とやらを大勢、道連れにしてやるさ!」

 

ハンターは反論する。

 

 「古い映画のカウボーイ気取りか!見てみろハンター、10人もの熟練兵士が心も体もズタズタにされてるんだぞ!」

 

アレクセイも反論し二人の間に一触即発の空気が流れる、僕は二人に

 

 「もうやめてくれ!」

 

と声をかけようとしたその瞬間、後方の扉が勢いよく開かれ兵士が飛び出してきた。

 

 「ダークワンだ…外の監視所が破壊された!」

 

この報告を受け皆で急いで現地へ向かう、非常事態を知らせる警報がけたたましく鳴っていた。

 

 監視所につくと守りについていた兵士たちは倒れ、バリケードは無残に破壊されていた。皆恐怖の表情が張り付いたまま倒れ伏している。

 

 「クソックソックソッ」

 

 「だれか…生存者はいないのか!」

 

 「化け物め!」

 

誰かの怒鳴り声が聞こえる。

状況を確認したハンターは立ち上がり僕に話しかける

 

 「連中は、外の状況を想像以上にわかっていやがるようだ、俺は偵察をしに行かなきゃならん、よく聞くんだ、アルチョム、万が一俺が朝までに戻らなかったら、ポリス駅でミラーという男を探すんだ。俺に何が起こったか、北のトンネルで何が起こっているかを伝えるんだ。」

 

 「これをミラーに渡せば、俺からの使いだと分かるはずだ、アルチョム頼んだぞ」

 

そう言うとハンターは自身のドッグタグ外しを僕に渡す。

 

 「2012、お前はアルチョムと待って俺が戻らなかったらアルチョムとポリスに向かえ」

 

ハンターは2012に命令をする、2012は

 

 「私も一緒に行きます、一人で外に行かせるなんて私にはできません」

 

2012はハンターを説得しようとする

 

 「いや、駄目だ俺一人で片付ける仕事だ、俺がそう簡単に死ぬと思うか?これは命令だお前はここを守るんだ!」

 

ハンターに強く命令され渋々頷く2012

 ハンターは一人でトンネルの奥へと進んでいく

 

 「我々が生き残るにはこの脅威を排除しなければならん、どんな代償を払っても…排除しなければならん、わかったか?」

 

僕と2012が頷くと満足したように彼はトンネルの奥へと消えていった。




ドルフロ要素が思ってたより薄い…


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旅の始まり

休みの日が、仕事になった眠い


 

 

 

 

 

 ハンターは戻って来なかった。

 駅を離れてポリスを目指す口実を見つけるのは楽ではなかったが、約束は約束だ。

 翌日リガへ向かうキャラバンがあり、護衛役を探していると聞いた僕と2012は、すぐさまその仕事に志願した

 

 

 

 

 「アルチョム!おいアルチョム!」

 

 僕は、僕を呼ぶ声で目を覚ましそちらに体を向ける

 

 「準備できたか?」

 

 「全くマイペースな奴だ、ともかく装備を取ってホームへ行け、連中は俺たちを待ってる向こうで落ち合おう」

 

  「アルチョム、忘れ物するなよ〜」

 

 僕の友人であるユージーンに起こされた僕は、寝床から立ち上がり、机の上から軍用弾薬(お金)とメモ帳を取り部屋を後にする。

 

 「寝坊助ねぇ、キャラバンの人たちも待ってるわよ、さっさと準備して行きましょう」

 

 部屋を出た僕に2012が話しかけてくる。いつから待っていたのだろうか…僕は彼女に頷くと駅の中心部に向けて歩を進めた。

 僕達は住居区の喧騒を抜け、駅中心にある交易所に辿り着いた。

 交易所では、露天の商人たちが、軍用弾薬(お金)と物品を交換する店を開き、両替商がメトロで一番の交換レートだという触れ込みで軍用弾薬と低品質弾薬の交換をしている。

 僕は、その一角にある武器庫に立ち寄りキャラバンの護衛に必要な武器及び装備の調達を行うために武器庫番をしている男に声をかける。

 

 「やぁ、アルチョム武器がほしいのか?」

 

 僕はそうだと武器庫番に伝えた。

 

 「じゃあ、見てってくれ」

 

武器庫番はそう言うとカウンターの下から一丁の銃を取り出す。

 

 「5.45mmサブマシンガン、アーモリー製だ命中率は悪いしすぐ熱くなっちまうだからバカマシンガンなんて呼ばれてる。」

 

武器庫番が銃の説明?をすると彼の後ろから女の声が聞こえて来る

 

 「だれが、バカマシンガンだって!!」

 

 「携行性も抜群だし、メトロの護衛武器として私ほどの適任は居ないんじゃない?それにちょーっと手を加えればカラシニコフなんかに負けないくらい良くなるんだから!!!」

 

 僕は突然聞こえてきた早口な叫びに少し後ずさる、武器庫番は少し困った顔をしながら声に返答する。

 

 「そうやってすぐ熱くなってまくしたてるあたりこの銃の人形だな!」

 

 武器庫番が言い返すと

 

 「いやっそんなに褒めたってさっきバカにしたことはゆるさないからね」

 

と嬉しげな返事が帰ってくる。

 

 「はぁ…うちの従業員(人形)なんだが…このマシンガンと同じでバカですぐ熱くなっちまうもんでな…アルチョムすまなかったな」

 

武器庫番は小声で僕に言う

 

 「ハハハッショートバーストで使えよ、助言だ」

 

僕は、マシンガン(バカマシンガン)を手に取りホルスターに入れる。

 

 「弾も少し持ってけ、見苦しいもの見せちまったせめてものお詫びだ」

 

そう言うと保弾板に装填されたメトロ製5.45mm弾を2本僕に差し出す。

 僕がそれを受け取り、弾薬ポーチに仕舞うと武器庫番は再度カウンターの下から装備品を取り出す。

 

 「それと、バッテリーの充電に使う万能充電器、放射能汚染地域とか崩壊液汚染地域それに地表に出るためのガスマスクとそれのフィルターだろ」

 

 「あと、軍用の治療キットを持ってけ」

 

それらを受け取り装備する。

 

 「よし、これで全部だ頑張れよ」

 

僕は、武器庫番に感謝を述べその場をあとにする。

 

 「はぁ…準備終わった?」

 

 2012は僕に待ち疲れたといったように話しかける。

 あと一つ寄るところがある、と伝えると

 

 「あぁ、アレクセイのところか、出発との前に挨拶くらいはしておかないとね」

 

 彼女はそう言うと

 

 「さぁ早く行きましょ」

 

僕の腕を掴み引っ張るように養父(アレクセイ)のもとへと連れて行った。

 

 

 僕は、2012に連れられ養父(アレクセイ)の居る部屋のドアを開ける。

 彼はデスクに座り事務作業をしていたが扉が開くとそちらに視線を向ける

 

 「出発の準備はできたか?」

 

アレクセイは、僕と2012に話しかける。

 

 「えぇ準備はできてるわ、アルチョムもそうでしょ?」

 

 「あぁ」

 

2012につられて僕は返事をする。

 

 「そうか、わかった。」

 

 「知っていると思うが我が駅はリガとの同盟を締結しつつある、こちらからレールカーで人道物資や武器、装備を送ることになった、その車両の警備がお前たちの任務だ」

 

 「距離はそれ程ではないから、難しい任務ではない筈だ、地表探索をしてきた2012も居ることだしな」

 

 「頑張れよ、アルチョム」

 

僕は、養父(アレクセイ)からの激励を受け、黙って頷き2012と部屋を出た。

 

 僕たちは駅のホームにいた、ここでキャラバンのメンバー達が待っている、辺りを見回すとこちらに口笛を吹き手を振る男を見つけた。

 

 「おーい、アルチョム」

 

 「こっちだ早くしろ」

 

 ユージーンが僕たちを呼ぶ、彼のそばにはロシア帽を被った男性が立っている。

 

 「よぅ元気か?出発の準備はできたか?」

 

 キャラバンのリーダーが僕たちに尋ねる。

 

 「準備はできてる、さぁ行こう」

 

僕はそう答えると線路に置かれているレールカーへ向かう

 

 「そこへ座ってくれアルチョムそれに2012だったか」

 

 「ユージーンお前はこっちだ」

 

リーダーが席を決めていく、

 レールカーは車体中央に設置されているレバーを交互に押すと動く仕組みになっており、僕はその正面に座る。

 出発しようとしたとき

 

 「なぁ、リガへいくのか?」

 

 ホームから話しかけられる

 

 「あぁそうだ」

 

リーダーは答える

 

 「頼む、乗せて行ってくれないか?」

 

男が同乗を希望するとリーダーは

 

 「もちろん、だがタダじゃないぞたまにレバーを押してくれ」

 

と、同乗を認める

 

 「もちろんさ」

 

と言い男がレールカーの空いている座席に座る

 

 「よし、じゃあ行くぞ」

 

 「俺たちに幸運を、出発だ」

 

リーダーはトロッコを走らせ始める

 

 僕が(故郷)の外に出るのは今回が初めてだった、そして養父(アレクセイ)に本当のことを話さなかったことが気がかりだった。

  リガからすぐに戻るわけではない、と

だが、ハンターの信頼を裏切るわけにはいかない、彼の忘れ形見となってしまった2012の為にも…

 

 トンネルをレールカーが進んでいく、道中僕たちは世間話をしつつ進み旅は今のところ順調であった

 同乗してきた男は、現在メトロはレッドライン(共産主義者)ファシスト(第四帝国)、ハンザといった組織が統治しており、ハンザを通ればポリスへと辿り着けるが、ハンザは排他的でよそ者をあまり受け付けない、だからといって他の道はレッドラインとファシストの戦争の最前線であり無事に通れる保証が無いと語っており僕は旅路に一抹の不安を覚える

 

 「速度を落とせ!」

 

突然線路脇から兵士が命令をする、僕たちはレールカーを止めて兵士に事情を尋ねた、兵士は

 

 「アレクセイエフスカヤの近くで軍のキャラバンが足止めされている、保安用トンネルを使ってアレクセイエフスカヤを迂回しろ」

 

と僕たちに迂回を命じる

 

 「あぁ…あのトンネルは好かん」

 

リーダーから不満の声が漏れる

 

 「わかった、トンネルを開けろ、ここでずっと止まってても意味がない」

 

リーダーは保安用トンネルを通る決断を下す

 

 「なんで?そのトンネルの何がだめなの?」

 

2012はリーダーに尋ねる

 

 「まぁ…普通のトンネルと同じで薄暗いのだが、ワシは先月そこを通り抜けたそして…とにかく好かんのだよ」

 

リーダーの歯切れの悪い答えに2012は納得いかないといった表情を浮かべる

 レールカーは切り替えられたポイントを渡り薄暗いトンネルの中へ入っていく…

 

 「レールカーに乗ってるし、武器もあるきっと無事に抜けられるだろう」

 

リーダーは自分自身に言い聞かせるように呟く 

 

 トンネルは先程までの【主要道】と異なり手入れが行き届いていないのかあちらこちらがひどく傷んでいる

 

 「ユージーンレバーを押すのを手伝え」

 

リーダーが命令するとユージーンは武器を置き、レールカーのレバーを操作する

 

 「ここからスピードを上げていく周囲の警戒を怠るなよ、頼むぞアルチョム、2012」

 

リーダーの指示に僕と2012は武器を構えて警戒する

道を進んでいると耳鳴りがし、リーダーと男が意識を失う

 

 「一体何が起こってるんだ?」

 

 「何?みんなどうしたの?」

 

2012とユージーンが困惑し、僕は進行方向からそちらの方向に向きかえるとレールカーの後方に眩しい光が輝いており僕とユージーンも激しい耳鳴りとともに意識を失ってしまった。

 

 

 僕は白い空間にいた。

 

 「アルチョム!」

 

僕を呼ぶ声がする…

 

 「こっちだ!」

 

ハンターが何かと戦っている

 

 『我々が生き残るにはこの驚異を排除しなければならない、どんな代償を払っても排除しなければならない!』

 

最後にハンターが語っていた言葉が響く

 ハンターが銃を発砲する、射線の先には何も見えない…突然虚空から黒く長い腕が飛び出しハンターを襲う

 

 「グァァァ!!」

 

ハンターは痛みの悲鳴をあげ地面に倒れ伏す

 僕に黒い腕が伸びてくる、しかし腕は何もせずに僕から遠ざかっていく…突然乾いた銃声が離れていく腕に向けて放たれる

 

 「起きて!!アルチョム!!」

 

 2012が僕を揺さぶり起こす。

 

 「良かった、早くみんなを起こすわよ!」

 

 僕は頷くとユージーンを揺さぶる

 

 「なっ何が起きたんだ?」

 

 「私もわからないわよ、すごい光が見えたと思ったら皆気を失っているんだもの…」

 

 皆困惑しつつもリーダーや男を起こすべく立ち上がる、

ネズミの鳴き声が聞こえる、僕はレールカーの後方を見ると大量のネズミがこちらに逃げてきている

 

 「何か来るぞ!」

 

僕は、叫び銃を構える

 

 「起きろ!、起きろボリス!早く起きろ!」

 

ユージーンはリーダーを起こそうと必死に揺すっている

 

 獣の鳴き声がトンネル内に響く…暗闇からミュータントの群れが現れこちらに走ってくる、僕はサブマシンガン(バカマシンガン)をショートバーストでミュータントに叩き込んでいく

 

 「こんなときに!」

 

2012も自身の銃で応戦する

 

 「あー!!!」

 

ユージーンはミュータントから逃げるべくレールカーのレバーを操作する、レールカーは操作に答え移動を開始する

 ミュータントがレールカーにジャンプし取り付く、僕は近距離のフルバーストをミュータントに撃ち込み落下させる、一匹落とされたことなど気にも止めず群れはこちらに迫ってくる

 銃声や争う音でリーダーが目を覚ます、それと同時に男がミュータントに掴まれレールカーから引き摺り下ろそうとする

 

 「アルチョム!これを使え!」

 

 ユージーンは自身のショットガンを僕に手渡す、僕は男を引き摺り下ろそうとしているミュータントに散弾を叩き込む

ミュータントはレールカーから落下していくが男の服に爪が引っ掛かり男も一緒に落ちていってしまう、

 

 「クソッ!!」

 

僕の口から悪態が飛び出す、その瞬間僕の右肩に強い衝撃が走る、ミュータントが僕に体当たりをしたのだ

 

 「アルチョム!!駄目ぇ!!」

 

2012の叫びが聞こえる…

 

 僕はレールカーから転げ落ちその衝撃でトンネルの隙間に入る

僕の目の前をミュータントの群れが通過していく…

群れが通過した後、僕は隙間から抜け出しレールカーへ全力で走った、鐘の音が聞こえる…駅が近かったようだ

 

 「アルチョム!!こっちよ!!」

 

2012が伸ばす手に捕まり僕はレールカーに引き揚げられる

 

 「燃やせ!!」

 

 駅の見張りが備え付きの火炎放射器をトンネルに向けて発射する

 

 「ヤツらをぶっ飛ばすぞ!!」

 

数秒後そこには黒く焦げたミュータントの死体と先程より炎で明るく照らされたトンネルが残っでいた…

 

 「良かったアルチョム、あなたまで居なくなっ…いいえ取り敢えずは無事を喜びましょう、全くドジなんだから」

 

 2012は心底安心した様子で僕に語りかける、彼女のその表情を見て僕は生き残れたのだと改めて実感させられた…

 




チョイ出しバスタードちゃん(容姿は決めてない


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ブルボン

 設定とか考えるの難しい(無謀にオリ展開


 リガ駅はこの旅の一歩目に過ぎなかったが、キャラバンはそこが終点だった。

 皆に別れを告げる前に我々の生存を祝って一杯飲んだ、独りでポリスを目指すことに対する恐怖はウォッカだけでは忘れられなかったが、予想外にも僕は、そこで悪名高い協力者を得ることになった

 

 

 僕たちはリーダーに連れられリガ駅の酒場にいた。世界が終わってもこの手の店はなくなることが無い、むしろ需要は増してすらいる。

 リーダーが座っていた椅子から立ち上がる。

 

 「よしみんな、アルチョムと2012に乾杯だ」

 

 「おかげでモンスターの群れとアノマリーを切り抜けられた。」

 

 「乾杯!」

 

リーダーとユージーンが僕たちに酒を勧める。

僕は勧められるまま金属製のコップに入った液体を呑み干す、喉が焼けるような感覚がする。

 

 「まったく…お前たちが居なかったらズタズタにされてたな、勲章をやりたいよ。」

 

リーダーはそう言うと自身のポケットを漁る

 

 「せめてもの礼だ二人に予備の弾薬をやろう、ほら受け取れ」

 

リーダーはテーブルの上に軍用弾薬(お金)を置く、30発はある…

 

 「リーダー、こんなに受け取れない」

 

僕はリーダーに遠慮する

 

 「さっきも言ったがあんた達が居なきゃここにワシ等は居なかった、それは正当な対価だ受け取ってくれ、アルチョム」

 

 「ここまで言ってるんだしアルチョム受け取りましょう」

 

 リーダーと2012に言われ僕は弾薬を受け取る。

 その後、僕たちは今回の旅の話やメトロでの暮らしについての話で盛り上がり楽しい時間を過ごした。

 

 そんな自分たちを見る視線に気づかずに…

 

 

 「アルチョム、そろそろ行きましょう」

 

 2012に急かされ僕は席を立つ

 

 「おっもう出るのか、そのショットガンはお前にやるよ、俺からのお礼だ。頑張れよ」

 

 ユージーンが僕たちを見送る、僕は彼に感謝しこの場所を後にした。

 

 僕たちはリガの市場で不足した物資や弾薬を補充し駅を後にしようとする

 

 「野盗共のせいで駅は封鎖されている、外には出れんぞ」

 

 僕と2012は兵士に静止される。

 

 「そんな、こんなところで足止めを食うなんて…」

 

2012は焦りか一人呟く

 

 「マーケットまでの道は封鎖されているが数日後にパトロール隊が輸送キャラバンを編成する、それまでリガで待機していてください」

 

 「そんなに待てないわよ!」

 

2012は兵士に言い放つと僕の側に近寄り耳打ちをする

 

 「なんとかして駅を出るわよ…時間もないでしょう…」

 

僕は頷く

 

 「駅の中を探しましょう」

 

 彼女の言葉に従い一緒に駅を見回る、駅は封鎖の影響であちこちでトラブルが起きているようでその対応に兵士たちが追われとても忙しそうにしている。

 

 「お兄さん私と遊ばない?」

 

唐突に暗闇から声をかけられる

 

 「アルチョム、そんなのに構ってる時間はないわよ」

 

2012は釘を指す

 

 「あら、そんな堅物な彼女じゃ欲求不満でしょ、私でスッキリしてかない?損はさせないわよ」

 

娼婦が2012に嫌味を言う

 

 「アルチョム!行くわよ!」

 

2012が言うと同時に娼婦の後ろから男が出てくる。

 

 「どうしたんだいハニー」

 

男は娼婦に話しかける。

 

 「あらダーリン、この男が私をベットに連れ込もうとしてたのよ」

 

娼婦が嘘をつく、娼婦の話をきいた男が僕に詰め寄る

 

 「てめぇ!誰の女だと思って口説いたか解ってんだろうな!どう落とし前つけんだ!えぇ!」

 

男は僕に怒鳴り散らす、周囲の住人が驚きこちらを向く、一部の人はニタニタと笑っているところからすると詰め寄っている男は美人局の常習犯のようだ…

 

 「そうだな、迷惑料として弾とそうだ、お前の彼女を俺に寄越せ3Pがしてぇんだ、断ったらタダじゃ済まさねーからな!」

 

男はそう言うと2012にいやらしく手を伸ばす。

 

 「誰があんたみたいなヤツに!」

 

2012が男の股間を蹴り上げる。

 

 「うぐぅ!」

 

苦悶の表情を浮かべ男は崩れ落ちる

 

 「タダじゃすまさねぇ…」

 

男は苦しみながら言う

 

 「こいつ等を捕まえろ!」

 

男が叫ぶと野次馬の数人が走ってくる

 

 「逃げるぞ!」

 

 僕は2012の手を引き駆け出す。

執拗に追いかけてくる追っ手を避け僕と2012は駅の中を走る、どうやら僕たちは寂れた人のあまり来ない区画に追い立てられているようだ。

 駅の土地勘もなくこのままでは追い詰められる…僕は次第に焦りがこみ上げてくる。

 

 「俺は味方だ!こっちだ!」

 

メトロの扉が勢いよく開く、僕は一か八か扉に飛び込んだ

 

 男が扉を閉めカンヌキをかける。扉の向こうから怒声が聞こえるが次第に収まっていく…どうやら助かったようだ

 

 「運がなかったな、あいつらはこの駅で売春とかの元締をやってる連中だ」

 

男はそう言うとこちらに向きかえる

 

 「あぁ、挨拶がまだだったな俺はブルボンと呼ばれている、次はそっちが名乗るのが礼儀だろ」

 

男に言われ僕と2012は自己紹介をする

 

 「なんで私達を助けたの?」

 

2012は男に問う

 

 「酒場であいつ等に見られてたの気づかなかっただろ」

 

 「こんな美人連れてるのが兄ちゃんみたいな優男じゃちょっかい掛けられて面倒になるだろうと思ったから手助けをしたんだ」

 

 ブルボンは答える

 

 「本当にそれだけか?」

 

僕は尋ねる

 

 「いや、少し手伝って欲しいことがある、命の恩人だ…いや貞操の恩人か…まぁいいや俺に借りができただろそれを返してもらいたい」

 

 ブルボンは答える

 

 「それで恩人さん私たちに何をしての欲しいの?」

 

 2012が尋ねる

 

 「聞いてくれ、ドライ駅に行きたいんだ、あるビジネスでね…だがこのネズミ穴は封鎖されている、けど俺は裏道を知ってるいわゆる『呪われた通路』ってやつだここの住民は恐れて近づかない、まぁトンネルじゃよくあるホラ話だちょっと手を貸してくれどうだ?やるか?」

 

 ブルボンはこの駅から出る道を知っている、僕と2012は願ってもいないこの話を快く受け入れ彼に続いた…




AKが報酬からなくなった(貰えないとは言ってない


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ブルボン-2

自分の文章力の無さに涙が出てきますよ


 

 

 

ブルボンと共に荒廃したトンネルに入った僕は、彼を完全に信用来てよかったのかどうか不安を感じていた。

 だがあのままでは僕たちがどんな目にあわされていたかわかったものではない、それにこのままでは、順調に行っていたとしてもリガを出るのがいつになるのか、見当もつかなかった。

 

 

 僕たちはブルボンに連れられ暗いトンネルへ入っていく

 

 「これで晴れて自由の身だ」

 

 「ここからは十分に警戒しろよ」

 

ブルボンは僕たちに警戒を促す

 

 「このトンネルでは屈強な兵士が何人も命を落とした」

 

 「だが、互いに援護し合えば辿り着ける」

 

彼の言葉を聞き、僕と2012は互いをカバーしつつブルボンの後をついて行く

 

 トンネル内は暗く湿っており所々から緑色の発光するキノコが生えておりそれらがトンネルを微かに照らしている

 

 「おや、ラーカーが一匹いるぞ」

 

 ブルボンは小型のミュータントを指して話す

 

 「奴らは集団の人間は滅多に襲わない奴らだ、だが一人になったら注意しろよ…」

 

僕たちに注意をすると再度トンネルを進み始める、古びたトンネルは僕たちの足音がよく響く…

 トンネルを進むと金属が擦れるような音が響く

 

 「奇妙な音だ…死人が立てている音かそれとも風か、歌うパイプのお伽話もあったなパイプに耳を当てると死者の声が聞こえてくるらしい…ハハッくだらねぇ」

 

 ブルボンはふざけたように音に対して呟く

 

 僕たちは、大昔の列車の残骸を越え道を進むと線路の真ん中に複数人の死体が転がっているのを見つけた 

 

 「クソっキャラバンが全滅してる…この手口は野党だ!ハンザが壊滅させたってのは嘘か、警戒を怠るな」

 

どうやらレイダーのグループがこのトンネルで活動しているらしい、僕と2012は互いに頷くと警戒を強める

 

 「警報システムだ、古典的だなだが極めて効果的だ」

 

ブルボンが指差す先には天井から空き缶がぶら下がっている

 

 「面倒ごとになりたくなかったら触れるんじゃねぇぞ」

 

僕と2012はブルボンの支持に従い空き缶の警報装置に触れないよう慎重に進む…

 ブルボンが錆びた金属が擦れる音を立てながら少しずつ扉を開ける

 

 「音を立てるなよ」

 

僕たちは先へ進むために野党のねぐらに歩を進める

 

 「あのキャラバン以降なかなか人が通らないな」

 

 「仕方ない、ここは『呪われたトンネル』だぞ物好きか切羽詰まったやつしかここは通らない」

 

 僕たち以外の話し声が聞こえる、すぐそばにいるようだ

こちらに歩いてくる人影が見える、ブルボンは小型の刃物を取り出し人影に向けて投げる

 

 「ウッ」

 

野党はナイフが喉元に突き刺さり言葉を発することなく倒れ伏す。

 

 「奴らも懲りたろう、ナイフを取ったら付いてこい」

 

僕はブルボンの言うとおりに野党の屍からナイフを抜き取りブルボンに付いていく…

 

 僕たちは孤立した野党から一人ずつ倒していく…道を作り運良く気づかれることなくここを通り抜ける。

 

 「なんとかくぐり抜けたな…」

 

 「気付かれなくてよかった…」

 

ブルボンと2012から安堵の声が漏れる

 

 「あと少しで駅につくはずだ」

 

ブルボンの言葉を聞き僕たちはまた進み始めた。

 

 

 野党共のねぐらを通り抜けた、ミュータントとなら戦う覚悟はしていたが…僕たちは目的地に辿り着くまでに、あと何回「人間」と戦うことになるのだろうか?

 

 

 ねぐらを抜けるとまたトンネルに出る

 

 「あの橋は厄介だ、そうだこうしよう俺がお前らを援護するからお前らは俺を援護してくれ、だが無茶はするなよ今日は死にたい気分じゃないんだ」

 

 ブルボンが軽口を叩き僕たちが警戒しつつその後を付いていく

 

 トンネルは崩落し底には有毒な物質が滞留している、ブルボンがやっかいだと言っていた理由を目の当たりにする

 

 「ここからはマスクが必要だ」

 

ブルボンがマスクを着けつつ言い、僕もマスクを着ける

 

 「嬢ちゃんマスクは?」

 

ブルボンが2012に尋ねる

 

 「私は人形だから要らないわ」

 

2012が答える

 

 「嬢ちゃん人形だったのか、何かのコードネームか何かだと思ってたぜ、それにしても欠損も継ぎ目も機械部品も見えてない人形とは、嬢ちゃん相当な高品質品だな、初めて見たよ」

 

 ブルボンが2012に驚き話す

 

 「ありがとう、さぁフィルターの無駄遣いはできないでしょう先を急ぎましょう」

 

 2012が返答し僕たちは移動を始めた途端、有毒物質の霧の奥から獣の鳴き声が聞こえてくる

 

 「クソっ」

 

ブルボンは霧に向けて銃を撃つ、最初は何も見えなかったが次第に霧の奥や崩落したトンネルの瓦礫の影からミュータントが姿を表しこちらに向かってくる、僕たちは応戦しつつ道を急ぐ

 ミュータントをあらかた始末し橋を渡っているとブルボンが姿勢を低くし僕らに指示をする

 

 「アルチョム、2012静かに…」

 

そう言い僕たちも姿勢を低くする、遠くから銃声が聞こえてくる

 

 「ハンザのパトロールカーだ、見つかってみろ野党だと思われて直ぐに蜂の巣にされる、隠れてろ」

 

しばらく身を隠しているとパトロールカーはどこかへ行ってしまう

 

 「よし、今だ行くぞ」

 

ブルボンが立ち上がり橋を渡り始める

 

 「今度はミュータントか」

 

ブルボンが言うと、またもやミュータントが僕たちに襲いかかる、四方八方から攻め寄せるミュータントを始末する。

 

 「ワァオ、今のは肝が冷えたなあんた等がいなかったらと思うともっと恐ろしい」

 

 ブルボンはそう言うと、崩壊したトンネルを更に先へ進む、まるで波のようにミュータントは倒しても少し経つとまた襲いかかってくる

 

 気がつくと僕たちは、トンネルの端まで来ていた

 

 「生き止まりだクソっしかも階段がある…都合のいいことだ誘き出されているようでかなわん」

 

 ブルボンがそう言うとトンネル脇の階段を降りていく、後方からまたミュータントの鳴き声が聞こえる、先に進むしかないだろう…




次でカーンまで行きたい(目標)
誰かBF5の最後の虎とガルパンのクロスss書いてくれないかな…


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ブルボン-3

 某パラドゲーの新DLCが日本語化に対応する日が待ち遠しい…
仕事の明けにこれを書くのが習慣じみてきました(笑)



僕たちは階段を降り更に下層へと降りていく…

そこはメトロの作業用通路だったもののようだ、排水機能が損なわれているため足場は水溜りになっている。

 

 「本当に駅に辿り着けるのか?」

 

 僕はブルボンに尋ねる

 

 「俺を信じろここを抜けたらすぐに駅さ」

 

彼はそう言うが僕と2012はこの男をその時の流れとはいえアッサリ信用してしまった事に少しずつ後悔してきていた。

 とはいえ現状他の道が無いのも確かであるから僕たちは彼に続きトンネルを進む…

 

 後方からまたもや獣の唸り声が響いてくる、僕たちに追いついたようだ…

 

 「逃げるぞ!」

 

ブルボンはそう言うと駆け出す、僕たちも遅れまいと彼を追いかける…後方からミュータント共の足音が近づいてくる

 

 「アルチョム!2012!ジャンプしろ!」

 

ブルボンが僕たちに叫ぶ、僕たちは言われるままにジャンプをする。

 

 後方で爆発が響く…どうやら爆発物の罠が仕掛けられていたようだ

 

 「こっちだ!」

 

 ブルボンが鉄格子の扉を開きこちらを呼ぶ、僕たちは扉に入り鍵をかける

 

 ミュータント共は鉄格子に飛びつき扉を壊そうとするが壊れる気配は感じられない…僕たちはその場から足早に立ち去った。

 

 

 ブルボンによるとマーケット駅の付近まで来ているそうだ、しかし彼の言う所によると「失われたカタコンベ」を通ることなるそうだ…

 

 「クソっ後のノサリスだけでも手一杯なのにこりゃ絶体絶命ってやつだ」

 

 ブルボンが言う彼は、僕たちの眼前に無造作に転がる多

数の屍の山を指差す

 

 「アルチョム、2012死体を漁るぞ、なんとかこの場を切り抜けるんだ」

 

彼の言うようになりふりかまってはいられない、僕と2012は死体を漁りまだ使える弾薬や装備品、火薬を集める

 

 死体を漁って居ると突然僕の視界がホワイトアウトし再度視界が戻ったときには先程の墓場ではなく暗い水路に立っていたそこには僕の前に人がおり視界の先は妙に明るく輝いている、後方を振り返ると赤黒く光る扉のようなものが見えた。

 そこで再度ホワイトアウトし視界が戻ると先程までいた水路ではなく死体漁りをしていた墓場に立っている、僕が困惑しているとホワイトアウトしまたあの水路に立っている…後方の赤い扉がゆっくりと開くと扉から引っ張られているように体が吸い寄せられる、咄嗟に僕は扉と反対の方向へ走る

 

 「アルチョム!」

 

誰かが僕を呼んでいる…

 

 「よしそのままだ頼りにしてるぞ」

 

ブルボンの声だ、僕は彼のいる方へ走る

 そこで僕の視界がホワイトアウトしもとの世界へ戻る

 

 「アルチョム、どうしたの大丈夫?」

 

2012が困惑している僕を心配し声をかける。

 

 「あぁ、大丈夫だ…」

 

僕は、2012に返事をする

 

 「こんな状況じゃ厳しいけど無理しないでね」

 

僕は彼女に頷くとブルボンの方を見る、彼は手動式のハンドルを回して開く扉を開けていた

 

 「よし、良い子だぞ後で油を差して新しく塗り直してやるからなぁ」

 

 「おぉ素晴らしき扉よ…」

 

 

古びて錆びた扉と格闘しているブルボンに近寄ると、視界がホワイトアウトし、あの奇妙な空間で目覚める、先程より赤い扉の吸い込みが強くなり僕は必死に光へ向かう、ブルボンが半狂乱になりながらなにかをまくしたてている…

 光へ入ると先程の古びた扉がありブルボンがそのそばで気を失っている…僕は吸い込みに抗いつつブルボンを掴み開いた扉の向こうへ連れて行こうとする、しかし手が滑り僕は赤い扉へ吸い込まれる、その思った瞬間、以前ハンターを襲っていた黒い腕が僕の腕を掴んだ…

 

 

 気がつくと僕は元の世界にいた、ブルボンと2012ともに開いた扉の奥に倒れ込む

 

 「一体何が起こったの?突然おかしくなったと思ったら扉の奥に倒れ込むなんて…調子が悪いの?」

 

2012は僕たちを心配するが僕は心配ないと伝える。

 

 「本当に無理しすぎて動けなくなるとかは勘弁だからね」

 

と言う、実際僕自身にも何が起こったのかは良くわからない…

 

不思議に思いつつも道を進むと

 

 「マーケットについたぞ、ブルボンおじさんが中に入れてやる」

 

そう言うと駅特有の大型の金属製の壁にむけて叫ぶ

 

 「おい!だれか!開けてくれ!」

 

 「同じ人間同士助け合おうじゃないか!」

 

叫ぶと同時に獣の咆哮がトンネルにこだまする、先程の声でこちらを補足したミュータントがこちらに向かってくる

 

 「クソったれ何を連れてきやがった」

 

ようやく扉の脇の監視エリアに人が現れる

 

 「ノサリスだ、応戦しろ!」

 

警備兵叫ぶ

 

 「持ちこたえるぞ、アルチョム、2012正念場だ!」

 

ブルボンがそう言うとトンネルの暗がりからミュータントがこちらに向けて走ってくる、僕たちはミュータントに向けて自分の銃を発砲する。

 メトロ内の天井や壁に張り付きこちらに迫ってくるミュータントを一匹ずつ撃ち落とし始末する

 

 「キリがないわね…」

 

2012が呟く

 

 「そうでもないみたいだ、見ろ」

 

駅の方向から機関銃を積んだトロリーがやって来る

 

 「奴らをぶっ飛ばすぞ」

 

頼もしい増援を得て僕たちはミュータントの数を確実に減らししやがて出て来なくなる

 

 「凌げたか…」

 

僕は安堵の呟きを漏らす

 

 「おい!そこのお前ら姿を見せろ」

 

増援のトロリーから命令される

 

 「奴らの言うとおりにしろ、あいつ等にユーモアは通じない」

 

 ブルボンが言い、僕たちはトロリーの声に従いサーチライトの中に入る

 

 「幻じゃないよな…ブルボン?お前なのか?もう二度と会えないと思ってたぞ」

 

 「みろ、サイモンノサリス共が追いかけてたのはコイツだ」

 

どうやらブルボンと彼らは知り合いらしい…

 

 「クソっマズイことになった」

 

ブルボンが苦々しく呟く

 

 「いや〜奇遇だなぁ俺も会いに行こうとしてたんだよ」

 

ブルボンは彼らに対して返答する

 

 「皆聞こえたか?歓迎の準備だブルボンが俺らに会いに来た、扉を開けてやれ」

 

そう言うとメトロの扉が開かれる

 

 「いいか、ブルボン逃げるなよ仕事が終わったらお前に合いに行くどこで待てばいいか分かってるよな」

 

 「あぁ、わかってるよ」

 

 「本当か?思い出させてやっても良いんだぜ」

 

 「本当だよ!」

 

そんな会話をしつつ僕たちもあとに続く

 

 「ねぇ、アルチョム私たちは大丈夫かしら?」

 

2012から不安げに話しかけてくる

 

 「わからないが、戻ることも出来ない」

 

僕はそう返答しメトロの中に入った…

 

 

 

 




やっぱり文章って難しい…


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ブルボン-4

マーケットと言うだけあって、なんでも揃っている。たがブルボンはハンザの見張り連中に金を借りているらしく、早く離れたがっていた

 

 僕たちは駅の入り口に入る

 

 「今すぐ武器をしまえ」

 

兵士に言われ僕たちは武器をしまう

 

 「お前は誰だ?明るいところまで来い早く!ゆっくりな」  

 

僕たちはゆっくり明かりの中へ入っていく

 

 「なんてこった、ブルボンだ」

 

ここの連中にも金を借りているらしい…

 

 「後ろの二人も調べたほうが良さそうだハハッ」

 

そう言われ、僕と2012は身構えるがどうやら冗談らしい

 

 兵士のリーダーがブルボンに話しかける

 

 「今回は何を運んでるんだ?そいつらは誰だ?」

 

リーダーに問われ

 

 「いやぁそいつはどうだろうボス…お互いうまくやれると思うんだが」

 

ブルボンははぐらかそうとする

 

 「よし、話は向こうでしようかお前らはこいつ等から目を離すな」

 

そう言うとリーダーはブルボンを連れて奥へ言ってしまう

 

 「ちょっと待ってよ」

 

2012が言い跡をついて行こうとする

 

 「動くな!」

 

見張りに静止される

 

 「わかった、言う通りにする」

 

僕は見張りに答え、2012の前に出るように立つ

 暫くするとリーダーがブルボンを連れて戻ってくる

 

 「いよぉし三人とも通っていいぞ」

 

リーダーがそう言うと僕たちを駅の中へ誘導する

 

 「さっさと移動するぞ、まだあいつらと一緒にいたいか?」

 

ブルボンにも促され僕と2012は駅の中へ入る

 

 「最悪の状況だ…連中の借金の返済なんてできやしねぇ、このまま奴らが嘘を信じてくれればいいが…」

 

ブルボンが小声で呟く

 

 「さて、ハンザへは行けないな」

 

ブルボンが言う

 

 「ハンザを通れないってどうやってポリスへ行けばいいの?」

 

2012が問う

 

 「まぁ待て、ここに弾薬がある、これでフィルターを2個買ってきてくれ考えがある」

 

 「俺はある人物と話をしに行く、バーで待ち合わせるか俺がおまえらを見つけるさ」

 

 「じゃあ行け、5分は掛かるはずだ」

 

そう言いブルボンは僕に軍用弾薬(お金)を15発渡し、駅の人混みの中へ消えていく

 

 「仕方無いわね、ここはフィルターを素直に買いに行きましょう」

 

2012に言われ僕たちはフィルターを売っている店を探す。

 

 街の喧騒の中を進み僕たちは駅の交易所を見つけることができた、雑貨や武器、薬に弾薬様々なものがここで売り買いされている、僕は一角にある装備品を主に取り扱っている店を見る。

 

 「フィルターが欲しい、在庫はあるか?」

 

僕は商人に尋ねる

 

 「いいとこに来たな、ちょうどあと2つあるぞ戦前の高級品だ」

 

丁度必要な数が置かれていた

 

 「それでいい、幾らだ?」

 

 「2つで20発だ」

 

僕が貰った弾薬と自分の弾薬を合わせて買おうとすると2012が商人に話しかける

 

 「あっちの店だとフィルター3個でその値段だったわよ、見た感じ戦前産とはいっても急造された廉価品じゃないそれだったらあっちで買ったほうが安いわ、アルチョム行きましょう」

 

2012はそう言うと僕を連れて行こうとする

 

 「待ってくれ、クソッお前の彼女は買い物上手だな…わかったわかった2つで15発だこれでいいだろ」

 

店主が呼び止める

 

 「それならここで買うわ」

 

そう言うと2012は店主に弾薬を渡しフィルターを受け取る

 

 「アルチョム、こういう所では賢く買い物しなきゃ、足元掬われるわよ」

 

2012が僕に注意をする。

 

 「買い物もしたし合流しましょう」

 

2012がそう言いバーへ向かおうとする

 

 「少し待ってくれ、必要なものがある少しここで待っててくれ」

 

僕はそう言うと武器店でAK系統の銃器に付けられる等倍の光学サイトを購入し2012の元へ戻る

 

 「早かったわね、何買ったの?」

 

尋ねてきた2012に先程買ったサイトを手渡す

 

 「えっどうしたのこれ?」

 

2012が僕に問いかける

 

 「さっきフィルダーを安くしてくれたお陰で買えたんだ、前から絵葉書のお礼とかしたかったんだがなかなかできなくてね」

 

 僕は2012に答える

 

 「あんなの本気にしなくて良いのに、ありがとう」

 

2012がお礼を言う、故郷(エキシビション)でハンターとあったとき以来初めて彼女が笑っているところを見たかもしれない、さぁブルボンのところに戻ろう

 

 バーに行く途中にブルボンが立っている

 

 「さて、ここの人間と話がついた、欲の皮が突っ張った野郎だがこれはどうしょうもない、俺の予備フィルターも受け取れ地上に出る必要がある」

 

 「地上ですって、正気?」

 

2012がブルボンに言う

 

 「あぁ正気だ、他に道がない」

 

ブルボンが返答する

 

 「…よしっそれじゃ出発だ、行き方は知ってるな」

 

そう言うとブルボンが先に進み始める

 

 「アルチョム」

 

2012が僕に話しかける

 

 「どうした?」

 

僕は返事をする

 

 「地上は危険よ、このサイトをあなたの形見にしないでよね」

 

彼女は自身の銃に装着したサイトを指して言う

 

 「あぁ大丈夫だ」

 

僕はこう言うとブルボンの後に続いた

 

 人気の少ない路地に入る、一人の兵士らしき男が立っている

 

 「ブルボンか」

 

 男が話しかけてくる

 

 「知らないようだな」

 

ブルボンが答える

 

 「何だ、早く言え」

 

兵士がブルボンに話す

 

 「ドワイクにはもう支払った」

 

ブルボンは兵士に答える

 

 「おかしいな、俺は何も貰ってないぜ、まぁ嘘だがな」

 

兵士はブルボンに言う

 

 「全くあんたと取引できて光栄だよ」

 

ブルボンが返答する

 

 「良いってことよほんの冗談さ」

 

そう言うとブルボンと兵士が握手をする

 

 「全員準備しろ、ゲートを開くぞ」

 

 兵士が他の兵士にゲートを開くように指示する

 

 「本気ですか指揮官」

 

そう言うと兵士はゲートを開け始める

 

 「全員配置につけ」

 

ゲートが開かれる、向こうには電気や火ではない光が見える

 

 「静かなようだ…」

 

兵士の一人が呟く

 

 「敵影なし、行け」

 

兵士がそう言うと僕たちはゲートの外へ出る

 

 「待て!ブルボン!」

 

遠くから声が聞こえる、どうやらブルボンの嘘がバレたらしい

 

 「捕まえろ!」

 

怒声が聞こえるが無常にもメトロの外壁が閉じられる

 

 「行くぞ!」

 

ブルボンに連れられ、僕は初めて地上に出た…

 

 モスクワの廃墟を目にした時、僕の心中は恐怖と悲しみの両方で満たされた、だが一生を地下で過ごしてきた僕は、暗雲立ち込める空や凍てついた大地に奇妙な楽しさを見出していてもいた、ブルボンが言った

 

 「これが死の街だ、おかえり、アルチョム」

 

2012が言った

 

 「かつての栄光の街、ただいま、私」

 

 

 地上は今でも放射線や崩壊液で聞けるな環境である

 

 「アルチョム、マスクを着けろ」

 

ブルボンに指示され僕はマスクを被る、感じていた息苦しさが解消される

 

 「とにかく十分注意しろ…」

 

ブルボンが警戒を促す

 天井が崩落し、放置され荒れ果てているが僕が今立っている場所はメトロの入り口だった場所だ初めて見るものに僕は圧倒される

 

 「よし行くぞ」

 

そう言うとブルボンはドアを蹴破り外へ出る

 

 「通気口に向かいそこからドライ駅に降りるんだそこでお別れだ」

 

そう言うと地表を進み始める

 

突然獣の叫びが響く、周囲を見渡すがミュータントは見当たらない…

 

 「今のは一体?」

 

僕は呟く

 

 「「隠れろ!」」

 

ブルボンと2012が同時に言う、僕も急いで崩れ落ちた柱の影に隠れる

 

 「そのまま潜れてて、外で敵と出くわしたら近くの影に隠れるのよ」

 

2012に言われ、僕は頷く

 

 「連中をデーモンと呼ぶやつもいるが、折れは空飛ぶクソッタレと呼んでる」

 

ブルボンは吐き捨てるように言う

 

 「行ったようだ…」

 

そう言うと影から出て歩を進め始める

 

 改めて見るモスクワは、道路が大きな筆で一筆書きされたように抉れその中は汚染された川になっており、かつて高くそびえ立っていたビルの残骸が静かに建っている

 

僕たちは廃車でできた橋を渡ろうとする

 ブルボンが渡り付に僕が廃車から廃車に飛び移ろうとしたとき、橋になっていた廃車がバランスを崩し川に落ちる

 

 「全くついてねぇな」

 

ブルボンが言う

 

 「迂回していくぞ、水に触るな汚染されてる、ゲートのある建物が見えるかあれがお前のターゲットは裏庭にある通気口だ、ドライ駅まで繋がっている俺は建物の中で待ってるレンジャーのアジトが上にあるんだ、急げよそれに黄ばんだ雪は食べないようになハハッ」

 

そう言うとブルボンは一人で先に進む

 

 「ホントについてないわ」

 

2012が呟く

 僕と2012は、剥き出しになったパイプや廃材を橋にして目的にに向かう途中廃墟のビルに入る、そこら中からミュータントの鳴き声が響いている

 ビルを進んでいると突然声が聞こえてくる、何を言ってるのかはわからないが直接頭の中に話しかけられているようだ… 

 

 「2012今の聞こえたか?」

 

僕は尋ねる

 

 「なにも、さっきからミュータントの声しか聞こえないわよ」

 

2012には聞こえていないようだが、先程からずっと何者かの話し声が聞こえている…メトロでもそうだったが突然何かが聞こえてくることや見えることがあった、これは一体なんだろうか…ふとこんな事を考えたが今はそんな余裕はないことを思いだし先を急ぐ

 崩れた廃墟を乗り越える、中庭を進んでいるとまた声が聞こえてくる…

 

 『彼は死を止められる』

 

今度ははっきりと言葉が聞こえた、2012の方を向くがやはり聞こえているようには見えない、困惑しつつ先へ進むとかつては公園だったであろう場所に辿り着いた。

 僕が先へ進むと突然視界がホワイトアウトする、気がつくと目の前には死の街凍てついたモスクワではなく緑に溢れ子供たちが楽しそうに遊ぶ、そんな風景が広がっている…僕は困惑し足を止める

 その瞬間またホワイトアウトしたかと思うと、死の街の風景が視界に飛び込んでくる

 

 「どうしたの?メトロでもそうだったけど体調悪いの?」

 

 2012が心配し声をかける

 その瞬間公園の奥からミュータントが飛び出しこちらに飛びかかって来る

 

 「アルチョム、危ない!」

 

彼女は僕を突き飛ばしミュータントに銃撃を加え絶命させる

 

 「しっかりしてアルチョム」

 

2012は倒れていた僕を起こし説教をする。

 彼女に謝り、僕は再度歩を進める

目的地近くの廃墟に入る、罠が多数仕掛けられており危うく僕の足を吹き飛ばすところだった、僕たちは廃墟の地下に入る、建物もひどく汚染されておりそういった場所を極力避けて通る、別の入り口から地上に出ると目の前に目的地であるゲートのついた建物に到着する、建物の前にブルボンが立っている、僕は何故か少し安堵し彼に近づく

 

 「よし、やったなもう少しあとは中庭を通るだけだぞ」

 

そう言うとブルボンは僕たちを連れて先へ進む、カバーし合いゆっくりと確実に歩を進めていくと

 

 「止まれ、奴らがいる」

 

ブルボンが言い停止する、視線の先には空飛ぶクソッタレことデーモンが一匹いる…僕たちは身を隠す

 暫くしてデーモンは何処かへ飛び去って行く

 

 「よし、行くぞ」

 

ブルボンがそう言った瞬間メトロでもよく聞いたミュータントの群れの鳴き声が聞こえてくる

 

 「こっちに来るわよ!」

 

2012が言い、僕たちは警戒する、群れがこちらにせまってくる

 

 「撃て!」

 

ブルボン言うと僕たちは群れに向けて発砲する。

 一斉射撃で数を減らすもまだまだ群れはこちらに迫ってくる

 

 「逃げるぞ!アルチョム、2012」

 

そう言うと僕達は逃げるブルボンを追いかけるようにあとに続く、ブルボンは地下につづく通気口に僕たちを押し上げ僕たちがブルボンの腕を掴み引きあげる

 

 「うわぁ!」

 

僕たちはブルボンを引き上げた勢いのまま通気口に落ちていった…

 

 




次でようやくチンギスカンの生まれ変わり(自称)が登場できそう…


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カーン

オリ人形がドルフロ本編にいたらどんなスキル持ってるか想像するのが最近楽しい


 

 

 地下に降りて行きつつ、僕は街がもはや見知らぬ、危険な場所になってしまったのを実感していた。メトロの暗闇のほうが、むしろ安心する。ブルボンの言うようにドライ駅に友人がいるならなおさらだ

 

 

 「よく聞け、この駅は野党が制圧している、気付かれないように辺りを調べなきゃならない。仲間がいなかったらすぐに脱出するぞ」

 

 ブルボンは僕たちに言う

 

 「なに、そんなに危険なところなのか」

 

僕はブルボンに尋ねる

 

 「少し見るだけだ心配ない」

 

ブルボンはそう答える、僕は不安を覚えつつメトロの通路を進む

 どうやらドライ駅はもうすぐらしい…喧騒が聞こえてくる

 

 「この格子は見たことがある。行くぞ…」

 

ブルボンは格子から外を偵察する、声は遠い

 

 「難しいな…よし、お前らはここに残ってくれ」

 

ブルボンが僕たちに指示をする

 

 「気を付けてね」

 

2012はブルボンに用心するように言う

 ブルボンは格子を外し駅の中に降りていく

 

 「止まれ!止まれ!誰だてめぇは?誰かライトをよこせ!これはこれは…ペテン師ブルボンさんじゃないですか」

 

 どうやら捕まったらしい、僕と2012は音を立てないように外を伺う…

 

 「どの口が言ってやがる!ボスに会わせろ、ビジネスの話がある」

 

ブルボンは野党たちに怒鳴る

 

 「ボス?知らねぇな…へっもちろん居ますぜ…へっへ…」

 

 「その辺にしとけ。やつを引きずって行くつもりか、来い!続きはあとにしてやる」

 

 「早く来るんだ!」

 

ブルボンは武装解除され駅の奥へ連れて行かれる…

 

 「なにか置き忘れがないか調べろ、ヤツの持ち物が見当たらない」

 

そう言うと野党たちは辺りを探し始める

 

 「カバン隠して、見つかる」

 

 2012がそう言いい僕は急いでブルボンの持ち物を通路の影に隠す。

 通路に光が差し込む

 

 「ネズミ以外何もいないぞ」

 

 「よし、じゃあ行くか」

 

野党はそう言い離れていく…

 暫くしてから僕たちは外を伺う

 

 「誰もいないわね…」

 

2012が言う

 

 「ブルボンの荷物から使えるものを持っていきましょう、あとで返せば問題ないでしょ」

 

そう言うと2012はブルボンの荷物を漁る

 

 「これ持っていきましょうバスタード(バカマシンガン)より良いでしょ」

 

彼女は僕にブルボンのAKを差し出しそれを僕は受け取る

 

 「行くわよ」

 

そう言うと2012は格子を開け外に出る、僕もそれに続く

 その瞬間明かりが照らされる

 

 「やっぱりな連れがいると思ってたぜ」

 

罠だった、野党共がこちらに武器を向ける

 

 「隠れて!」

 

2012が叫び僕は近くの遮蔽物に身を隠す

 

 「やっちま!」

 

野党が叫ぼうとしたその瞬間野党が崩れ落ちる、よく見ると喉元に金属製の杭のようなものが撃ち込まれている

 

 「ハインツがやられた!」

 

 「応戦しろ!」

 

野党共が叫ぶと銃撃が始まる

 僕と2012は互いに連携を取り銃撃の合間を縫って反撃をする

 

 「うぐぁ!」

 

一人の頭に銃弾が突き刺さる

 

 「手練だ!グレネードを投げろ!」

 

そう言うと僕たちが隠れているところにグレネードが投げ込まれる

 

 「させない」

 

2012はそう言うと飛来してくるグレネードを空中で撃ち抜く、激しい爆音と衝撃で僕は一瞬怯む

 

 「アルチョム、やるわよ!」

 

2012はそう言うと、グレネードを迎撃されあ然としている野党に攻撃する

 

 「がぁぁ!」

 

断末魔の叫びをあげ最後の一人が倒れる

 

 「終わった?』

 

僕は疑問の声を上げる

 

 「グズグズしてられないわ、早くブルボンのところに行くわよ」

 

2012に言われ僕は遮蔽物から出てブルボンを追いかける

 メトロの奥金属製の扉に辿り着く、扉の奥から声が聞こえる

 

 「一緒に来たのは誰だって聞いてんだ!答えろクソ野郎出ないと殺すぞ!隻眼のやつか?それとも偽善者が」

 

扉の中ではブルボンが野党のリーダーに銃を向けられている、突然室内に入ってきた僕たちを見てリーダーは動きを止める

 

 「アルチョム!」

 

その隙をつきブルボンがリーダーに飛びかかり銃を奪い蹴り倒す、ブルボンがリーダーを銃で撃つと同時にリーダーも落ちていた銃を拾いブルボンに撃つ

 

 「ブルボン!」

 

僕は叫び倒れたブルボンに近寄る

 

 「心臓に当たってる、即死よ」

 

ブルボンを見た2012は呟く

 僕が入ってすぐに撃っていればこうならなかった、僕は彼に対し後悔を覚える、決してよい出会いではなかったが彼は戦友であり友人だった…

 2012と共にブルボンの冥福を祈っていると後ろから僕たち以外の音が聞こえる

 

 「まだいたの!」

 

2012が音の方向へ銃を向ける

 

 「まず、銃を降ろしなさい、若者よ」

 

天井裏から一人の男が降りてくる

 

 「悲しいが、彼のような男には予想外の結末ではない」

 

こう語る男に対して

 

 「あんたは誰だ?」

 

僕は尋ねる

 

 「私の名はカーン」

 

 「さて、すぐにでもこの場所を離れたほうが良さそうだ、野党の仲間が間もなく現れるだろう。これ以上の流血は避けたい」

 

カーンが話していると僕たちが入ってきた扉が揺れる、野党の仲間が蹴破ろうとしているらしい

 

 「私はカースに戻る、この駅の湿度ではリウマチになってしまうからな、友人と同じ運命を辿りたいならここにとどまればいい」

 

カーンは言う

 

 「貴方が野党の仲間ではない証拠はあるのかしら?」

 

2012が尋ねる

 

 「これを見るといい」

 

カーンが差し出したのは金属製の杭、野党と戦っているときに彼らに突き刺さっていたものだ

 

 「他に手段がない…」

 

僕は2012に話しかけると彼女も同じ判断に達したのか頷く

 

 「賢い決断だ」

 

カーンはそう言うと駅を後にする、僕たちは彼に付いて行くしか無かった。




やっとこさカーン登場です。


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カーンー2

眠い


 カーンが現れたときは驚いたものの、今思えば野党との戦闘中に手助けを受けている感覚はあった。

 ブルボンがああなったのは僕のせいではないと、カーンは念を押してくれた。

だが彼を死なせてしまったことは変わらない

 

 

 

 

 僕たちは野党の駅から逃げるようにカーンの後をついていく、暫く使われていないのか蜘蛛の巣が張り巡らされ荒れ果てている

 

 「ここを歩くものは誰もいない。人も、獣でさえも。ネズミですら避けて通る」

 

 「それってどういう事?」

 

2012が不安げに尋ねる

 

 「いずれわかる」

 

カーンはそう言うと錆びついた扉を開ける、嫌な金属音を立てて扉が開く

 扉の先にはタイヤや廃材で組まれたバリケードのようなものが鎮座している…

 カーンは通路脇のパイプに耳を当て

 

 「奴らは我々に気が付いている…」

 

とつぶやく

 

 「一体何に気づかれた?」

 

僕はカーンに尋ねる

 

 「パイプに近づき、聞いてみなさい。ただし長時間は駄目だ」

 

と答える、僕は彼の言うとおり通路脇のパイプに耳を当てる

 

 どこからか子供の笑い声が聞こえてくる…

僕はついそのまま声を聞き続ける

 突然笑い声が男の叫び声に変わり何者かに服を掴まれる

 

 「そこまでだ」

 

カーンは僕をパイプから引き剥がす

 

 「長時間は駄目だと伝えただろう」

 

 「ある者はトンネルの声だと言う。ある者は精神的影響の現れだと考える者もいる」

 

カーンはそう言うとバリケードに取り付けられている扉へ向かう

 

 「私はここを知っている…逆もまた然り…」

 

カーンは独り言のように呟く

 

 「進もう」

 

カーンの言葉に従い彼の後をついていく

 

 「注意しなさいこのトンネルは危険だ、特にアルチョム君にとってはな」

 

カーンが言う

 

 「どういうこと、特にアルチョムが危険って?」

 

2012が尋ねる

 

 「お嬢さんは人形だろう、人形より人間が危険なのだ」

 

カーンは答える、僕も2012も訳がわからないといった感じだ

 レールカーがひっくり返っており放置されて長いのだろう腐乱した死体が転がっている

 

 「ライトは付けたままにしなさいさもなくばここから永久に出ることはできない」

 

カーンが言い、僕はライトが消えないように手回し発電機でバッテリーを充電する。

 

トンネルを進むと何処からか啜り泣くような声が聴こえてくる

 

 「待った、前を見なさい」

 

カーンが言う

 

 「さっきからなに?何も聞こえないけど」

 

2012が答える

 目の前に黒い人影が見える、人影がなにかに襲われ悲鳴をあげて消える

 

 「あれは何だ?誰だ?」

 

僕はカーンに尋ねる

 

 「ここでは誰が誰であるかは関係ない」

 

カーンは答える

 

 「あれって何?アルチョム、何がみえたの?」

 

2012が尋ねる

 

 「さっきのが見えてないのか」

 

僕は答える

 

 「避けていくことにしよう、アルチョムはその影に触らないように」

 

カーンはそう言うと薄暗いトンネルを進んでいく

 

 脱線した列車に乗り込み先へ進む

 

 「ママ?どこへ行ったの?どこにいるの?」

 

子供の声が聞こえる、僕は声のする方向へ進む蜘蛛の巣を燃やし通路の先を見るとミュータントのような影が僕に飛びかかる、思わず目を閉じるとあちこちから悲鳴が響きハッと目を開ける

 

 「アルチョム大丈夫、さっきからビクビクしてるけど」

 

2012が、不安げに尋ねる

 

 「あっあぁ大丈夫だ…」

 

僕はなんとか答える

 列車から降り通路を進む、カーンが何かに気付くと通路の脇に走る

 

 「脇にどくんだ!」

 

カーンが言い急いで僕たちは線路の脇に行く

 線路の奥から光がすごいスピードでこちらに向かってくるのが見えた、それは僕たちの前を通り過ぎていく線路が列車の影が目の前を通り過ぎていく…

 

 「どうしたの?突然脇に寄って?」

 

2012は相変わらず訳がわからないといった様子だ

 

 「このトンネルでは幾度となく過去が繰り返され、その瞬間にここを歩いていた不運なものは、過去に取り込まれてしまうのだ、大抵の場合はな」

 

カーンが話し僕たちは歩を進める…

 

 暫くトンネルを進むバリケードのようなものが見えてくる

 

 「待った、前を見なさい」

 

 カーンが言うと目の前に大量の黒い影たちが見える

 

 「昔、ここで激しい戦いが起こった、防衛側は未だに駅に留まっている」

 

 「二人共ついてきなさい、後ろから離れないように」

 

僕は彼の後に付き2012も渋々彼の後ろに近づく

 

 カーンはなにかの呪文のようなものを唱えながら影たちに近寄るすると影たちは道を開ける、何故か放射線探知機がカリカリと鳴る

 バリケードを超えると影たちの気配が消える

 

 「これ以上はやめておこう、個人的な問題だからな」

 

 「彼らが死んだとき、私は…一人生き残ったのだ」

 

 カーンは言う

 

 「だから何よ?彼らって誰?」

 

2012はカーンの会話の意味が理解できずにいる 

 

 「我々が自らにもたらした荒廃は完全なものだった。天国、地獄、果ては浄罪界までもが汚染されてしまった。そのため、体を離れた魂は何処にも行き場が無く、メトロに留まるしかない、、犯した罪に対してあまりに厳しく、大きな代償だと思わないか?」

 

 「しかし例外もいる、人形だ…彼女たちは神が作り出したものではない、人間が作り出したものだ。彼女たちは彼らを認識できない…きっと我々とは違う天国や地獄を持っているのだろうな」

 

カーンは語る

 

 「つまり、私は人形だからアルチョムたちに見えてる幽霊が見えてないってこと?」

 

2012が尋ねる

 

 「そういうことなのだろう」

 

カーンが答える

 

 「そう…」

 

2012はそう呟くと黙り込む

 

 僕たちは線路を離れメンテナンス通路を進む、暫く進むと広間に出る

 

 「集中しなさい」

 

僕はカーンと2012の援護のもと扉を開ける、扉にもたれかかっていた死体がこちら側に倒れ込みその背後からミュータントが僕に飛びかかってくる

 

 「アルチョム!伏せて!」

 

2012の指示を聞き僕は姿勢を低くする、その瞬間2012とカーンがミュータントに攻撃をしこれを殺す

 

 「行こう」

 

危機を退け道を進む、崩壊した通路を乗り越え再度線路に出る

 

 「動くな!」

 

 カーンが言い僕たちは歩を止める、線路の先から発光する物体ガフヨフヨ浮かびながらこちらに近寄ってきている

これは以前リガへ向かうキャラバンを襲ったものと似ていると僕は思った。

光はたまに放電しながらトンネルの奥へ消えていく…

 

 「我我はあれをアノマリーと呼んでいる、新世界の新たな現象だ」

 

カーンはそう言うと足早に先に進み始める。

 瓦礫を乗り越えた先は多少広くなっているがあちらこちらに死体が転がっている

 

 「クソっ奴らだ」

 

カーンがそう言うと獣の鳴き声がトンネルに響く

  

 「奴らが来るわよ!」

 

2012が叫び僕たちは銃を構える

 少しするとトンネルの隙間からミュータントが湧き出てくる

 

 「撃て!」

 

号令を受け僕たちはミュータントの群れに銃弾を叩き込む

しかし、数が多くミュータントの群れは津波のようにこちらに押し寄せてくる

 

 「不味いわね」

 

2012が呟く、その瞬間僕たちの後方から眩い光が注ぎ込まれる

 

 「じっとしてなさい」

 

カーンが言う、僕たちは彼の言うとおり攻撃をやめじっとする。後方からアノマリーが僕たちの前を通りこちらに向かって来ているミュータントの群れに吸い込まれるように近づいていく、群れに辿り着くと一層光り輝き視界が塞がれてる、視界が戻ると群れがいた場所には焼け焦げたミュータント死体が転がっているだけだった

 

 「あれが成れの果てだ、身を持って知っただろう」

 

カーンはそう言うと先へ進む、瓦礫を乗り越えていくと一台のレールカーに辿り着いた

 

 「レールカーに乗ろう、この先に危険はないこのほうが早く駅に到着できる」

 

 カーンの言う通り僕と2012はレールカーに乗り込んだ…

 

 

 




人形がメトロの心霊体験できないのはあくまで人間が作った『道具』だからですかね?


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カーン-3

 

僕たちはレールカーの車体前に乗る

 カーンがエンジンをしたようだ機械が唸り声をあげ車体が揺れる

 

 「アルチョム、2012君たちには崇高な任務がある。本当にポリス駅助けを得られると思っているのかね?それとも、他に信じられるものが無いだけでは?」

 

カーンが僕たちに質問をしてくる

 

 「答える必要はない」

 

カーンはそう言うと運転に戻る

 

 「間もなくカース駅に到着する。モンスターの攻撃は衰えを見せず、大半の人は駅から去っていった、一部の留まった不運な人々は、他に行き場がない」

 

そう言うと次第に駅が見えてくる、僕は先程のカーンの質問のことを考えつつ駅に入っていった。

 

 

 

 カース液に到着すると、「呪い」を意味する駅名の由来が納得できた、住民は生き延びるための戦いを強いられていた

 

 

 

 駅に降り立つと僕たちはすぐさま駅の異変を感じ取る

 

 「また駅が攻撃されている」

 

 「行こう、防衛側が助けを求めているかもしれな」

 

カーンがそう言うと僕たちも走ってカーンについていく

 駅の中は殺されたミュータントの死骸が山のように積み重なっている

 

 「カーンか?こっちだ」

 

声の方向には駅の防衛をしていた人が三人ほど立っているが全員満身創痍で疲れ切っていた

 

 「新たな攻撃か?」

 

カーンが男に尋ねる

 

 「あぁ、奴らは外周の防衛線を破ったんだ。生存者は全員ここにいる。あと一日持たないかもしれないな」

 

男は悲観的に答える

 

 「モンスターは一体どこから来ているんだ?」

 

カーンは男に更に尋ねる

 

 「いつもと同じ左のトンネルだ、上からもだ」

 

 「現地に爆破部隊を送ったが、戻らなかった、更に増援を遅れるほどの余裕は無かったんだ」

 

男はカーンに答える

 カーンは僕たちの方に向き

 

 「君たちは自分の駅の破滅を食い止めたいんだろう、違うか?そして、ここには破滅が訪れている、助けてやらねばな」

 

 「爆破部隊の持っていた爆弾を見つけ出すんだ、左のトンネルの一番奥まで進み、爆弾をセットして逃げろ、爆発は強烈だぞ」

 

 「上の通路の方は一度塞いだが、どうやらノサリスが穴を掘り始めたようだ。近くにエアロックがあったはずだそれが開いた状態に違いない、エアロックを閉じるか崩落させるんだ」

 

 「私はここで生存者を守る」

 

 「モンスターの大群に襲われたらここに戻ってきなさい援護をする」

 

 「頼めるな」

 

カーンに言われる 

 

 「分かったわ、行くわよアルチョム」

 

2012はそう言うと駅の中に進んでいく、僕もその後をカバーするように進む

 

 奥へ進んでいくと後ろから銃声が響き始める、向こうにミュータントが襲いかかっているようだ、早くトンネルを爆破しなければならない

 僕たちは目的のトンネルに近づく

 

 「あそこ!」

 

2012が指差す先に爆破部隊と思われる亡骸が数体倒れているのを見つける

 

 「早く爆弾を確保しましょう」

 

そう言い僕たちは彼らの付近を調べる

 

 「あった」

 

僕はポリタンクに爆発性の液体を詰めた手製爆弾を見つけ手に取る

 

 「危ない、アルチョム」

 

2012が叫ぶと同時に物陰からミュータントが飛びかかってくる

 

 「クッ…」

 

鋭い牙を僕に突き立てようとするのを阻止するために僕はショットガンを盾にする

 

 「死ね!」

 

2012がそう言い動きが止まったミュータントのの脳天を撃ち抜く

 

 「大丈夫、アルチョム?」

 

2012が尋ねる

 

 「あぁ大丈夫だ、でもショットガンが駄目になった」

 

そう言い僕はユージーンから譲ってもらったショットガンを捨て爆破部隊の亡骸から新しいショットガンを拾い上げる。

 6連装のショットガンだ、僕は弾を装填する

 

 「じゃあ行くわよ」

 

2012がそう言うと僕たちは爆弾を抱えトンネルへと進む

 ミュータントの攻撃を退け僕たちは目的のトンネルの奥へ辿り着く

 

 「ここね、早く爆弾を設置しましょう」

 

2012の言葉に従い爆弾のピンを抜き導火線に火をつける

 

 「早くここから離れましょう」

 

僕たちはトンネルを走って戻っていく

 

 「早くアルチョム!」

 

僕は全速力でホームに向かって走る、チクタクと爆弾の起爆時間が迫る

 

 「こっちよ!」

 

僕はひと足早くホームに辿り着いた2012が伸ばした手を掴みホームに這い上がる、その瞬間トンネルが大きく揺れ先程まで立っていた線路の上を爆風が通り過ぎる

 

 「危なかったわね」

 

 「次は上の出入り口よ」

 

そう言うと僕は頷き駅の上へと上がっていく

そこにはエスカレーターだったものがありその下からミュータントが湧き出ているような有様であった

 金属製の柱が金属製の隔壁が閉じるのを邪魔している

 

 「この柱を崩すぞ」

 

僕は2012にグレネードを渡し一緒に柱に括り付ける

 

 「できたわよアルチョム」

 

2012が言う

 

 「よし、起爆させるぞ」

 

ぼくはそう言うとグレネードに火をつけ先程と同じように退避する。

 後方から爆発音がし続いて重たいものが一気に落ちる音が聞こえる、隔壁が閉まったようだ

 

 「戻りましょう」

 

2012に従い僕はカーンの所へ戻った

 

 「小さな駅での大きな勝利だ、ここからは一緒に行けない。まだここには私の助けが必要だ」

 

 「トンネルは崩落した、それでもポリスに行きたいと言うなら迂回しなくてはならない」

 

 「ここからアーモリーに行ける、その後は共産主義者やファシストが支配する駅を抜けていかなければならない」

 

 「進もう」

 

ここまで言うとカーンは駅の奥へと進み始める

 

 「アーモリーは、独立駅のため問題無く進めるはずだが、共産主義者は別だ。奴らが築いた新たな社会では、警察国家的な『ボーナス』制度が設けられ、人々が互いを密告している、最近は戦力のために人形の発見も『ボーナス』の対象だ、彼女はパッと見では人形だと気付かれにくいだろうか用心するに越したことはない」

 

 「アーモリーに着いたら探してくれ、鍛冶屋のアンドリューを、私の名を出せば力を貸してくれるだろう」

 

 カーンは駅の奥の壁が崩れてできた細穴に入っていく

僕たちもあとに続く、少し進むと広い空間に出る、そこには明かり等で照らされた神秘的な空間が広がっている

 

 「ここは?」

 

僕はカーンに尋ねる

 

 「希望の社…こんな時代であっても、人を人たらしめるには必要な場所だ」

 

 そういうとカーンは社の床の一部を持ち上げる、そこには梯子が隠されていた

 

 「ここだ、入りなさい」

 

カーンに言われ僕と2012ははしごを降りる

 

 「いいか、すべては君次第だ。頼れるものはいない、また会おうさよならアルチョム、2012」

 

そう言うとカーンは床を閉じる

 僕たちの任務が失敗すればエキシビションが、カースのようになってしまうことを思い知らされた。

このような悲劇を起こさないためにもこの先どんなことがあっても必ず任務を成し遂げなければならないと痛感した。

 

 

 

 

 

 




カーン編終了
ちなみに共産主義の人形に対する考え方は便利な戦闘マシーンって感じ


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アーモリー

「武器庫」を意味するアーモリー駅は、メトロでの大半の武器が製造されていた場所だった。地表に兵器工廠があったらしく、核の着弾後、職人たちの多くがここに住み着いた、鍛冶屋のアンドリューを探していたが、向こうが先に僕たちを見つけた

 

 

 

 

 僕たちはカーンと別れたあと荒れ果てしゃがまなければ通れないほど狭い通路を抜け線路へ辿り着く

 

 「酷い道だったわね、この先に行けばアーモリーかしら?」

 

2012は服についた蜘蛛の巣を払いながら言う

 

 「あぁそうだろう」

 

僕はそう言うと線路を進む、しばらく進むと警告の看板が見えてくる

 

 「ここみたいだ」

 

僕は呟く、その瞬間僕たちにサーチライトが照らされあまりの眩しさに目がくらむ

 

 「止まれ!何者だ!動くな!」

 

明かりの向こうから僕たちに命令する

 

 「おい、心配ない!人間だ、明かり消せ」

 

他の声がすると明かりが消える

 

 「ふむ、人間のようだな。はは…なら安心だ、来いよここは自由だ」

 

先ほどと打って変わって有効的に話しかけてくる

 

 「入れる…ようね」

 

2012が恐る恐る言う

 僕たちは明かりがついていた方へ進むと鉄製の隔壁がゆっくりと開けられる

 

 「気を付けろ…俺たちの『自由な』駅は共産主義者に監視されている。街中に被害妄想が広がっているのさ…目立つマネは控えろ、わかったな?」

 

 扉の影に立っていた兵士が僕たちに話しかけてくる

 

 「わかった気をつけよう」

 

僕はそう言うと2012を連れて駅に入る

 駅に入るなり構内放送が鳴り始める

 

 「傾聴せよ!傾聴せよ!アーモリーにおいて身分証の点検が行われる!各自、登録された住居にとどまり、保安要員の支持に従うこと!同志たちよ、警戒を怠るな!敵は眠らない!」

 

 「『自由』な駅ねぇ」

 

 2012が放送を聞き呟く

 

 「共産主義者たちは人形も探してるって話だし2012って呼ぶとすぐバレちゃうからそうね…ここでは私を『オーリャ』って呼んで」

 

2012は偽名を僕に伝える

 

 「わかった『オーリャ』」

 

僕はそう答え改めて駅の中に入る。

 

 駅の中は兵士たちが巡回しておりとても閉鎖的に感じる、僕たちは駅を通るべく駅の先へと進む

 金属の扉を開け中に入ると兵士が住民の検査をしていた

 

 「検査を行う、そこに立て!」

 

 「俺にそんな趣味ないぜ、お兄さんよ」

 

 僕たちが検査をしている部屋に入ると二人が僕たちの方を向く

 

 「お前らは誰だ?このふざけた野郎の仲間か?手を出せお前らを逮捕する!」

 

 兵士に突然逮捕を告げられ入ってきた扉も他の兵士によって閉ざされる

 

 「なんでよ?さっきこの駅に来たばかりなのよ、こいつとはなんの関わりもないわよ」

 

オーリャ(2012)は兵士に反論するが兵士によって有無を言わせず拘束される

 

 「わかったわかったついて行くって」

 

尋問されていた男が観念したように兵士に告げる

 

 「ようやく従う気になったか」

 

兵士がそう言い男に近づく、男は近づいてきた兵士の顔面を殴る

 

 「走れ!」

 

男がそう言うと僕たちは男を追いかけて走る

 

 「止まれ!」

 

 兵士が怒鳴り銃をこちらに向けて発砲する

 

 「走れ!」

 

男はそう言うと兵士を押し倒し逃げる、僕たちは兵士たちから逃げ空いていた扉に入る

 

 「左だ!早く」

 

男は足を止め左を指差す、その瞬間目の前に立っていた兵士が男を撃つ、男は地面に倒れ動かなくなる

 

 「アルチョム!早く!」

 

オーリャ(2012)が叫び僕はそちらへ走る、二階部へ上がると行き先と後ろから兵士が現れ道を塞がれる

 

 「ここまでだ、反逆者め!」

 

僕たちは階下へ飛び降りた、立ち上がった瞬間肩を掴まれ僕たちは住居の中に放り込まれた

 

 この世界に神がいるならその日、僕たちの側にいたのだろう、彼はカーンの友人、鍛冶屋のアンドリューに救われた。コミュニスト駅から脱出する手助けをしてくれるようだ

 

 

 僕たちはアンドリューから変装用の服を与えられそれに着替えた。アンドリューは駅から脱出する方法を話している

 

 「だが、唯一の道は戦場を通っている、帝国と共産主義者の前線をな変装が必要だ、作業着を渡すこれに着替えるんだ」

 

 「共産主義者はファシストの要塞を攻撃する志願兵を集めている。奴らは志願兵を満載した電車を戦場に送るところだ。これなら電車に黙って乗り込める。一等車って訳にはいかんが、乗車賃を命で払わなくて済むぞ軍用列車がバリケードを突破したらあとは自由にしろ」

 

そう言うとアンドリューは部屋の扉を開け街へ進む、街中は共産主義者たちがファシストを倒すべく集結し訓練をあちこちでしていた

 

 「これから戦場に行くんだ、物資を補給しておけ」

 

アンドリューに言われ僕たちはカース駅等の戦闘で減った弾薬などを補給する。

 補給を終え僕たちはアンドリューに連れられ列車の発着点に辿り着く

 

 「大丈夫、彼らは味方だ」

 

アンドリューは発着点で作業をしていた男たちに向けて話す、アンドリューは列車の整備用の穴を指差す

 

 「さぁ、あの穴に飛び込め」

 

僕たちは言われた通りに穴に入るとこれから新兵たちを地獄のひき肉工場に送り込む列車が僕たちの真上にやってくる

 

 「乗り込め」

 

指示され僕たちは列車の下部荷物置き場のような場所へ潜り込む、二人で入るには少し手狭だが問題ないだろう

 

乗り込むと列車は駅の集結地点に向けて進み始める

 

 「この列車はルビヤンカへ向けて進む、片道切符でな」

 

アンドリューはそう言うと列車を押し始める

 

 「よし、あとはお前たち次第だ気を付けろよ」

 

そう言うと列車は集結視点へと運ばれ、列車に共産主義に燃える若者たちが乗り込んでくる、全員が着席すると列車はルビヤンカへ進み始める

 

 「アルチョム、私達大丈夫かしら?」

 

2012は不安げに尋ねてくる

 

 「あぁ心配ない」

 

僕は彼女にそう言うと列車は地獄へと進んでいく…




オーリャはОльга (オリガ)の愛称です、ポーリュシカポーレを歌っていた人の名前を使いました…


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戦乱

さっき気がついたけど今日で投稿から一ヶ月経ったのね…


 最終戦争でさえ、イデオロギーを巡る殺し合いは止められない、ファシストと共産側との間の前線地帯を通り抜けることになった。以前の戦争ではファシスト側が敗北したそうだが…

 

 

 

 僕と2012そして共産主義の新兵たちを載せた列車は着々と戦場へと近づきつつある

 

 「もうそろそろかしら?」

 

2012が小声で囁く

 

 「どうだろう?」

 

僕もまた小声で返答する

列車は速度を上げるにつれ車体の振動が激しくなる

 

 「ここ、変な音立ててる…」

 

2012は乗り込んでいる荷物置き場の隅を指す、よく目を凝らすと僕たちが入り込んでいる荷台の床部にヒビが入りそれが広がっている

 

 「不味い」

 

僕が小声で言った瞬間荷台部が崩れ僕たちは線路に叩きつけられる

 

 「離れるな!」

 

僕は2012に言い列車に轢かれないよう彼女となるべく密着し伏せる

 

列車は僕たちを落とした後は何事もなかったかのように線路を進みやがて見えなくなる

 

 「ひどい目にあった」

 

僕は煤と埃を払いながら立ち上がり2012を起こす

 

 「怪我はないか?」

 

 「あ、ありがとう…大丈夫よ」

 

暗くてよく見えないが2012は少し俯いて答える

 

 僕たちは落とされた列車の後を追い戦場へ辿り着いた、そこは共産主義陣営の根拠地のようで兵士を鼓舞する放送や兵士たちを前線へと送り込む前の指示や命令をする場所があった

 

 「ここで見つかると不味いことになるわ、隠れていきましょう」

 

2012はそう言うと姿勢を低くし物陰に隠れる

 

 辺りで様々な銃火器が使われているため物音には余り心配する必要はなさそうだ

 

 僕たちは物陰に身を隠し明かりを消しながらゆっくりと前線へと歩を進める

 

 「銃声や怒号が大きくなってきてる」

 

2012は呟く

確かに銃声などが増えてきている

 

 「もっと注意しよう」

 

僕はそう答えると暗い通路を進む

 僕たちが橋を渡り瓦礫を乗り越え少し開けた場所にでる、広場の中心で将校と一人の兵士が跪いている人に対して処刑をしようとしている所に遭遇した。

 

 「よって敵前逃亡の罪で銃殺刑とする」

 

将校によって判決が下される

 

 「待ってくれ、私は敵の隙をつこうとしただけだ、あそこの線路が途切れてるでしょあそこから敵の背後に出るつもりだったんだ」

 

 被告人が弁明をしている、どうやら人形のようだ…銃を持っていないし、体も損傷している様子だ

 

 「彼女を助けよう」

 

僕は2012に伝える

 

 「なんで?わざわざ事を荒げる必要もないでしょう」

 

2012は反対する

 

 「彼女はファシストたちの後方に出る道を知ってる、僕たちの行き先だ」

 

僕はそう答える

 

 「無駄足かもしれないけど確かにやる価値はあるかも」

 

2012は納得する

 僕たちは将校と処刑人の背後に忍び込みタイミングを合わせ二人を締め上げる

 

 「何者…っぐぁ」

 

二人を締め落とし僕たちは人形に話しかける

 

 「助けてくれたことは有り難いがあんたら何者だ?」

 

人形は僕たちに言う

 

 「ファシストでも共産でもないわここを通り抜けたいだけよ、助けてあげたでしょ協力して」

 

2012は人形に話す

 

 「協力って私に何をさせるつもりよ」

 

人形な怯えたように答える

 

 「さっき話していたファシストの後方に出れる道を教えて欲しいんだ」

 

僕は人形に要求を伝える

 

 「あぁ…それならこの後ろだよパイプに降りれるところがあってそこからファシストのところまで目印が書いてある」

 

 人形は道を僕たちに教える

 

 「わかったわ、貴女も早く何処かに身を隠しなさい、アーモリーまで戻れたら鍛冶屋のアンドリューを探しなさいアルチョムの知り合いだと言えば助けてくれるはずよ」

 

2012は人形にアンドリューのことを教える

 

 「わかった、もう後には引けないんだやるだけやってみるよ、助けてくれてありがとう」

 

人形はそう言うと処刑人が持っていた銃を取り逃げ出す

 

 「道は分かったわね、行きましょう」

 

2012は僕にそう言うと先程の隠し通路を進み始める

 暗く不安定な足場を通り戦場の最下層まで降りる

 

 「ここ、有毒物質で汚染されてるわ」

 

2012が僕に忠告をする

 

 「ありがとう」

 

僕は礼をしてガスマスクを被る

 最下層は上層と比べ人影が全く見えない異様な状況だ、僕たちは金属やコンクリートの残骸を通り先へ進む

 

 「待て!」

 

僕は先行していた2012を呼び止める

 

 「どうしたの?」

 

2012が答える

 

 「足元、ブービートラップだ」

 

僕が指差す先には紐にグレネードを括りつけた罠が置かれている

 

 「危なかったわありがとう」

 

2012は罠を解除し、僕にお礼をする

 

 「ファシストの連中下から来ることを想定して罠を仕掛けてるな、攻撃と同時に警報も兼ねてるかもしれない」

 

僕は2012に注意をする

 

 「わかったわ、ここからはもっと注意して進みましょう」

 

2012は返答し僕たちは気をつけつつ先へと進む

 罠を解除し瓦礫を乗り越え最下層の一番奥へと辿り着く、そのには人が余裕をもって入ることができる配管がある

 

 「この先だ」

 

僕たちは配管に入り梯子を登り、ファシスト側にでる

 出た先は捕虜の収容場所らしい兵士が捕虜の監視をしている

 

 「あいつがいると先に進めないわよ」

 

2012は捕虜を見張っている兵士を指示する、どうやら一人のようだ

 

 「わかった」

 

僕は兵士に近づき後頭部を落ちていた工具で殴打し昏倒させる

 

 「あんたらは?レンジャーではないな」

 

捕虜が僕たちに話しかける

 

 「レンジャー?」

 

僕は捕虜のレンジャーという言葉に疑問を呈す

 

 「あぁこの近くに来ていると聞いた、助けてくれてありがとうここであんたらが何をなをしていようが誰にも言わないよ」

 

捕虜はそう言うと逃げていく

 

 僕たちはファシストの陣地の後方に出ることができた、問題はファシストの陣地をどうやってくぐり抜けるかだ…

 僕たちは線路の脇に身を隠しパトロールのレールカーや哨戒を躱し陣地に入る、そこはファシストの兵士たちが詰めている後方陣地でありよそ者が忍び込めるような場所は見当たらない

 

 「アルチョム、あれ」

 

2012は天井にぶら下がっている配管を指差す、どうやら梯子があり上に登れるようだ…

 僕たちは警備の目を潜り梯子を登り基地を通り過ぎる

後方へと隠れて移動していくと物資の集積地点と思われる場所へ出る、ここも警備を潜り更に奥へと続く扉を開ける

 僕が扉を開けた瞬間、扉の向こうで待ち構えていたファシストの兵士が僕の服を掴み押し倒す

 

 「アルチョム!」

 

2012が兵士に飛びかかるが数人がかりで抑え込まれる、兵士たちは倒れている僕の顔を蹴る

僕は意識を失った…

 

 

 

 

 




次はオリキャラ登場の予定です。
処刑されそうになってた人形は特に誰とかは決めてません


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戦乱-2

パヴェルは生きてます(ここ重要)


意識が戻ると同時に絶望した。ファシストの捕虜は強制労働をさせられるか射撃訓練の的にされる運命だ

 

 

 

 僕は意識を取り戻すと同時に激しい顔の痛みによる苦痛に顔をしかめる、だがそれも僕の周りにいるファシストの兵隊の僕たちをどうするのかという会話を聞こえ背筋が凍る

 

 「何をためらってる?共産主義のスパイなど撃ち殺してしまえ!」

 

 ファシストの兵士が僕をさっさと殺してしまうべきだと話している。

 

 「ゲシュタポを呼ばなくていいのか?」

 

 「帝国からどれだけ時間がかかると思ってる、それまでこの豚とヒトモドキの相手をしてるのか?」

 

 会話をしつつ僕の意識が戻ったことに気が付くと一人の兵士が近寄ってくる。

彼は僕のことを少し見たあと、憎たらしいといった様子で再度僕に蹴りをいれる、全身の酸素を吐き出すような衝撃を受け僕は苦悶の声を漏らす

 

 「アルチョムを離しなさい!このレイシスト共!」

 

2012が叫ぶのが聞こえる、どうやら僕の背後で彼女も拘束されているようだ

 

 「うるさい!黙れ!お前みたいなヒトモドキ(人形)は後で新兵の射撃訓練の的にしてやる!」

 

 「その通りだな。よし共産主義のクズめ、マルクスだかに祈るんだな、はっはっは」

 

兵士はそう言うと僕に向けて銃を構える

 

 その背後にファシストとは違う軍装の兵士が銃を構えている。

彼がハンドサインを出すと後ろから1人の兵士が現れファシストたちに忍び寄る

 

 「泣いてお願いしたら、楽に殺してやってもいいんだぜ」

 

背後に忍びよる兵士には気が付かず兵士たちは憎い『共産主義者』をどういたぶってやろうかと笑っている

 

 銃を構えていたファシスト兵の背後の壁にもたれかかっていたファシスト兵のそばまで謎の兵士は近寄るとナイフを抜き出しファシスト兵の喉元を貫く

 

 「グッ」

 

ファシスト兵の断末魔を聞き僕に銃を向けていたファシスト兵が振り向くとそこにはナイフを構え飛びかかる兵士がいた、兵士はファシスト兵の首元をナイフで刺しこれを殺す。

 

 兵士たちは僕と2012の拘束を解き軽い治療をしてくれた

 

 「悪党共について一つだけ好きな点、それは引き金を引くまでに必ず長話をすることよ」

 

 兵士の一人がゴーグルを外すと兵士が女性であったということが判る、右腕が義手の様になっているのを見ると彼女も人形だということがわかる

 

「あんたらに貸しができたな。共産主義者じゃなさそうだが一体誰だい?」

 

兵士は僕たちに質問をする。

僕はハンターのドッグタグを取り出し旅の理由を彼らに伝える

 

 「それはハンターの認識票だな…わかったミラーに会わせよう。メッセージがあるなら、彼に伝えてくれ」

 

 「よし、立ち上がれるか?」

 

彼はそう言うと僕を起こす。

 

 「行くぞ二人共、装甲車に乗り込むぞ」

 

 「74、計画があるんだ、彼らをレールカーまで案内してくれ。後はホール駅とブラック駅だけだからな…」

 

兵士は人形へ向けて指示をする

 

 「任務はどうするの?」

 

 「ハンターからの知らせを届けたら、ミラーとナガンが勲章をくれるさ。ミッションは俺が遂行する。ブラック駅で落ち合おう」

 

 「気を付けていけよ」

 

 「これが終わったら原隊復帰だ、そっちも頑張れよ」

 

 兵士と人形は話を終えると先へと進んでいく、道中には殺されたファシストの遺体が転がっており彼らは気付かれずにここまで潜入してきたプロなのだと実感させられる。

 

 「アルチョム、良かった」

 

2012と僕は互いに互いを抱きしめる

 

 「あぁ、彼らが居なかったらどうなってたか…とりあえず無事を喜ぼう」

 

僕は2012に答え、先へと進んでいった兵士を追う

 線路に辿り着くと底には機関銃が取り付けられ装甲化されているレールカーが停めてあった

 

 「アルチョムだったか…は銃座に着いて、人形の嬢ちゃんは助手席ね、そのほうが顔が見えにくいからな、機関銃の使い方わかるか?」

 

74と呼ばれていた人形が僕たちの席を割り振る

 

 「あぁ大丈夫だ」

 

僕は74に返事をする

 

 「それじゃあ幸運を」

 

兵士が74に言い、互いに握手をする

 

 「それじゃあ、早く乗って」

 

74に促され僕たちは指定された座席に乗り込む

 

 「行くぞ」

 

74が言うとレールカーは発進する

 

 「バリケードは静かに突破しよう。冷静に行動すれば、連中も私たちには気付かないかもしれない…嬢ちゃんはこれを着けな、アルチョムはクルーのフリをするんだ。戦闘になったら私の言うとおりに動け」

 

74はそう言うと2012にファシスト兵が着けているようなマスクを手渡す。2012がそれを着け続いて74もマスクをつける

 ファシストのシンボルが描かれたバリケードに辿り着く

 

 「入るぞ、中での会話はアルチョムがやってくれよ」

 

74はそう言うとホーンを鳴らす、すると赤色灯が光りバリケードが動き始める。

先へ進むと将校のような風体の兵士に止められる

 

 「ここで何をしている?この車両は輸送計画に乗ってないぞ」

 

将校が質問をする

 

 「この先のバリケードに行くんですよ、隊長殿…えー…弾薬の補給でね…」

 

僕はでまかせのウソを将校に言う

 

 「向こうにもう弾薬は到着してるぞ。誰だ貴様らは?マスクを取れ!」

 

将校に嘘がバレたようだ、74は静止を振り切りレールカーを発進させる

 

 「止まれ!警報を鳴らすんだ!」

 

その瞬間兵士たちがこちらを攻撃し始める

 

 「アルチョム、2012撃て応戦するんだ」

 

74は叫びレールカーを運転する

 

 「敵の装甲レールカーだ!」

 

74が言い僕たちはレールカーの銃座や運転手を狙い銃を撃つ、どうやら燃料タンクか弾薬に当たったようで敵のレールカーは爆発する

 

 「よし、行くぞ」

 

74はそう言うとスピードを上げ鉄製のバリケードを無理矢理突破する。

少し先へ進むと対抗の線路からライトの光がこちらを照らしたかと思った瞬間砲弾が僕たちのレールカーを掠めて飛んでいく

 

 「チッなんてこった戦車だ!」

 

74は敵戦車に対して悪態をつく、レールカーは速度を上げトンネルの奥へと逃げ込む、トンネルの出入り口に砲弾が着弾し入り口を崩落させる

 

 「ラッキー!あっちから道を塞いてくれた」

 

74はそう言うとトンネルを奥へと進む

 怒声や銃声が止みレールカーのエンジン音のみが聞こえる

 

 「ふぅ、なんとか逃げられたな」

 

74はそう言うとレールカーを運転しトンネルの奥へと進んで行き、遂にレールカーはトンネルの突き当りのに到着する

 

 「早く降りろ!急げ」

 

74はそう言うとレールカーから飛び降りトンネルの脇道へと走っていく湿ったトンネルを抜けていくと今度は銃座こそついていないもののこれまた装甲が施されたレールカーが置かれている。

 

 「次はこれに乗っていく、乗ってくれ」

 

74に促され僕たちは車両に乗り込んだ…




新キャラAK74です…ポリスのパヴェルくんの代わりに登場しました。
 さてこの後の展開は…


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車両基地

少し短め


 

ファシスト側のトロリーとの銃撃戦も終わり、旅路も少しは楽になるかと思われた。無論、ぬか喜びに過ぎなかったが

 

 

 

 

 僕たちはレールカーに乗り線路を進む

 

 「もうすぐだ、ウルマンがブラック駅で待ってるはずだ…」

 

 74はレールカーの運転をしながら僕たちに言う

 

 「不気味なところだ…トンネル内では警戒を怠るな。」

 

 「数秒の油断が死を招くよ。前にもあった…レールカーに残ってたのは、連中のブーツだけだったよ」

 

74はこう言いつつ僕たちに警戒を強めるよう言う

 

 「ブラック駅まであとどれくらいだ?」

 

僕は運転をしている74に尋ねる

 

 「もうそろそろよ…間もなく駅に接近する…無人の駅の筈だけど注意して」

 

74は答える

 

 「明かりよ、誰かいるわ」

 

2012が線路の先を指差す

 

 「警報!レールカーだゲートを閉じろ!」

 

明かりの向こうから男たちの怒声が聞こえてくる

 

 「ファシストの旗だ…突破するぞ」

 

74は駅に掲げられている旗を見るなりレールカーの速度を早める

 

 「あいつ等を止めろ!」

 

敵の士官と思われる兵士の指示で僕たちの乗るレールカーに対する攻撃が始まる

 

 レールカーの装甲部分に身を隠し、ファシストに反撃をする

 

 「逃がすな」

 

敵の声を通り過ぎ僕たちは駅を無理矢理通り過ぎた、去りゆくレールカーに攻撃をしているのだろう後方から弾丸が飛んでくる

 

 「伏せろ!」

 

74がいい僕たちは姿勢を低くする。

 

やがて声や銃声は止み辺りはレールカーのエンジン音のみになる

 

 「連中にレールカーが無くてよかった、でなきゃ殺られてたね」

 

74は吐き捨てるように言うとレールカーの速度を少し下げ運転を続ける

 

 突然進行方向から銃弾が飛んでくる

 

 「奴ら道を塞いだのか」

 

よく見ると進行方向の線路は隔壁やバリケードよって塞がれている。

 

 「左よ!」

 

2012はそう言うと線路のポイントを撃ち線路を進行方向を変える、そのままレールカーは薄い木で塞がれた線路へと突き進んで行く、線路は下り坂となり勝手に速度が上がっていく

 

 「捕まってろ!」

 

74が叫ぶと同時にレールカーは打ち付けられていた木の板に衝突しコレを弾き飛ばす。

レールカーはブレーキを掛け速度を落とす。

 

 「危機一髪だったな」

 

74はそう言うと運転を続ける

 

僕たちが迷い込んだ新たな道は手入れが全く入っていない様子で湧き出た地下水で線路は水浸しになっている。

 

 「なんだこれは?」

 

僕はトンネルが突然広くなったかと思うと朽ちた列車がところ狭しと並べられた空間に出て呟く

 

 「車両基地だ!話には聞いていたけど、こんなところだったとはね…」

 

列車の上を影が通り過ぎる

 

 「何かいるわよ!」

 

2012が影に気がつくなり言う

 

 「ノサリスか?殺せ!でやきゃここから出れないぞ!」

 

74が叫ぶと廃列車の窓や天井からノサリスが顔を出し僕たちのレールカーに飛びかかる

 

 「撃ち落せ!」

 

僕たちはレールカーに取り付くノサリスを撃ち落としつつ先へと進む

 死角から一匹のノサリスが僕に飛びかかり衝撃で僕は姿勢を崩してしまう

 

 「いつになったら終わるのよ!」

 

2012は叫ぶと僕に飛びかかってきたノサリスを撃ち殺し遺骸をレールカーの外へ蹴り出す

 

 「これでもくらえ!クソッタレめ」

 

74も列車に取り付いてきたノサリスを撃ち落とす

 

 やがてノサリスは現れなくなり僕たちは一息付く

だが…

 

 「不味いことになった」

 

74が呟く

 

 「どうかしたのか?」

 

僕は彼女に尋ねる

 

 「どうやらブレーキがイカれやがったらしい」

 

彼女は僕の問に答える、坂道に入りレールカーの速度がどんどん上がっていく

 

 「ここからはジェットコースターだしっかり掴まれ!」

 

74がそう言うと僕たちはレールカーに捕まる、レールカーは速度を上げ瓦礫を弾き飛ばしやがて線路が途切れる

 

 「線路がないわよ!」

 

2012が叫ぶ

 

 「飛べ!」

 

74が大声で叫び僕たちはレールカーから飛び降りる、レールカーは線路から飛び出し物凄い衝撃と音を発しながら転がっていく

 

 「畜生!酷い目にあった」

 

74は服や体についた汚れを払いつつ立ち上がる

 

 「おい!生きてるか?」

 

僕と2012に対して無事かどうかを尋ねる。

  

 「あぁ『えぇ』大丈夫」

 

僕と2012はほぼ同時に返事をする

 

 「生きてたか、レールカーは壊れちまったがまだ私たちには足がある、先へ進むぞ」

 

74の言葉に頷き僕たちはブラック駅に向けて進み始める。

 

 

 



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防衛戦闘

3月末なのに雪凄かった(関東民並感)


 車両基地を抜けたが、僕たちは足を失ってしまった。なんとかしてブラック駅に辿り着きたい。ウルマンと落ち合ってポリス駅へ向かわなければ

 

 

 

 「こっちだ」

 

74が僕たちを呼ぶ声が聞こえる

 

 「このパイプを通れば先へ進めるはずだ」

 

 目の前にはしゃがめば辛うじて通れる大きさのパイプがある。

どうやら他に道はないようだ

 

 パイプの中は泥と光るキノコそしてネズミで溢れているが僕たちはそこを通り抜ける。

パイプの外には線路であったものの残骸があるトンネルに出ることができた。

 

 「警報装置よ」

 

2012はトンネルの天井から吊り下げられている空き缶を用いた警報装置を指して言う

 

 「鐘の音も聞こえないか?」

 

僕は遠くから聞こえてくる鐘の音のような音を聞く

 

 「あぁブラック駅が近いのかもしれない、だが鐘の音が鳴っているということは襲われてるってことだ、急ぐぞ」

 

74はそう言うと警報装置の間を駆け足で進み始める。

 木製のバリケードの隙間から先へ出るとそこには数人の人が立っている。

 

 それらに僕たちが気付くと同時に、僕たちに向けてサーチライトが当てられる。

 

 「人間だ!だが、どうして…来い!早く!」

 

立っていた男の一人が叫びこちらへ来るように言う

 僕たちが人間だとわかるなりサーチライトの明かりを落とす。

 

 「このトンネルではほとんど人間を見ない。隊長と話してくれ。俺たちは最悪の状況にある…それからお前たちもな」

 

男の一人はそう言うと、奥で指揮をとっている隊長を指す

 

 「わかった、話すよ」

 

僕はそう言うと隊長と呼ばれていた男の所へ赴く

 隊長は僕たちを少し見たあと話し始める。

 

 「ここで何をしているのかは知らんが、兵の数は多い方がいい。避難が完了するまで、駅の通路は閉鎖されてる。戦闘に備えろ。予備の弾薬はあるだけ持っていけ。お前たちはもう仲間だ。」

 

隊長は僕たちに話す。

 

 「待ってくれ、あんたらは誰でここはどうなっているんだ?」

 

74は隊長に尋ねる

 

 「俺たちの分隊は『地下の子どもたち』と呼ばれている。この駅はミュータントの大規模な襲撃を受けて非常に大きな損害を被った。リカバリーが効かないほどにな、だから駅から逃げるんだ、その時間を稼ぐのが俺たちさ、運が悪かったな、さっきも言ったが避難が終わるまで通路へは行けないそれまで力を貸してくれ」

 

隊長は答える

 

 「アルチョム、やるしかないってことよね」

 

2012は隊長の話を聞き、僕に話しかける

 

 「あぁ、他に方法はないようだ」

 

僕は2012に答える。

 

 「お互い無理はしないようにね」

 

2012の言葉に頷くと僕たちは戦闘の準備を始める

 

 

 「戦友よ!我々はあと数分、敵の攻撃を食い止めなければならん。君らに嘘はつけん…激しい戦いになるだろう、だが駅に残してきた愛する者たちのことを考えろ。バケモノ共は一匹たりとも通すな!よし!戦闘準備!奴らに俺たちの戦いを見せてやれ!」

 

隊長は兵士たちに激励の演説をする。

僕は、自分の駅(エキシビション)がこうなってしまうのかもしれないと思うと彼らが他人のようには思えなかった。

 

 僕たちも銃を構え迫りくる敵に備える

トンネルの奥からミュータントの吠える声が近づいてくる

 

 「来たぞ!」

 

誰かの怒号を合図にトンネルの暗闇の中で動くものに対して皆が発砲する。

 

 「殺せ!」「リロードする!」「こっちにもいるぞ!」

 

戦場は皆の叫びで溢れている。

僕たちは迫りくるノサリスでトンネルが溢れるほど始末したが、それでもトンネルの暗闇からはまだまだノサリスが出てくる

 

 「キリがないわね!」

 

2012は自身の銃に新しい弾倉を入れつつ言う

 僕たちは無我夢中で戦ったが気が付くとノサリスはおらず立っているのは僕たちだけになっていた、周りにいた駅の兵士たちはノサリスの死骸に埋もれる様にして亡くなっていた。

 

 「アルチョム無事だったのね!」

 

2012が僕に駆け寄る

 

 「アルチョム、生きてたか!隊長は?」

 

74の言葉を聞き僕は隊長がいた所へと急ぐ

 

 隊長は生きていたが酷い怪我をしていた、これでは長くは持たないということは医術に明るくない僕でもわかった。

 

 「生きてたか…残念だがミュータント共には突破されてしまった。このことをポリスに伝えなければならない…俺にはもう無理だ、俺の戦いはここで終わる…頼みがある。駅の奥にある通信ビーコンへ行きポリスと連絡を取り、俺の用意した緊急メッセージを送信してくれ頼んだぞ…兄弟…」

 

そう言うと隊長は力が抜けてしまったかのように動きが止まる。

 

 「アルチョム、行きましょう彼らの死を無駄にはできないわ」

 

2012の言葉に僕は頷き、隊長が残したテープを手に取り駅の奥へと進む

 

 駅の中は『地獄』という言葉が相応しいような状況だった、あちこちから火の手が上がり駅の至るところにミュータントや人又はもうどちらなのか分からないといった肉塊

があちらこちらに転がっている

 

 「酷いな」

 

74はこの光景を見て思わず呟く

 

 「先へ進もう」

 

僕はそう言うと駅の奥へと進む、僕たちはミュータントに襲われないように互いにカバーをする。

 

 駅の奥はより炎が強く燃え盛っておりトンネルの空気が炎によって奪われているようだ…僕はガスマスクを着け煙による窒息を防ぐ

 

 燃える駅を抜け僕たちは反対側の線路へと辿り着く

 

 「何か…声が聞こえないか?」

 

74が僕たちに尋ねる。

よく耳を澄ますと炎の音に混じって子供の泣き声のような声が聞こえてくる…

 

 「生存者かもしれない!」

 

僕はそう言うと音のする方へと向かう

 そこには金属製の扉が一つあった

 

 「この先だ」

 

僕はそう言い、2012と74に合図をすると扉を開けて奥へと進む

 

 「叔父さん、叔父さん!ねぇ起きて…食べられちゃうよ!お願い!どうして起きてくれないの…?ママのところへ行こう…連れてってくれるって言ったでしょ…」

 

扉の奥で子供が血を流して倒れている男に必死に話しかけていた。

子供は扉のそばに立っている僕たちに気付く

 

 「あっちいけ!ほっといてよ、知らない人と話しちゃいけないってママが言ってた!ねぇ、叔父さん…ケガしてるの?お願い、なんとか言ってよ!」

 

 子供は倒れている叔父さんに必死に話し続ける

 

 「坊や…」

 

2012が話しかけようとする

 

 「だめだ…きっと死んでるんだ。そうでしょ?どうやって帰ればいいの?」

 

子供はそう言うと僕たちのほうを見る

 

 「連れてってくれる?知らない人だけど…そうしなきゃモンスターに食べられちゃうし…」

 

子供は僕たちに話しかける

 

 「行きましょう、私たちが守ってあげる」

 

2012は答える

 

 「銃は持ってる?じゃあ一緒に行こうかな。モンスターを倒せるんでしょ?ねぇ」

 

 僕は彼に頷く

 

 「そっか…僕はサシェンカ、倒すのは任せるよ。見張りは任せて」

 

サシェンカはそう言うと僕の方へ近寄ってくる

 

 「アルチョム、彼を背負ってあげて」

 

74に言われ僕はサシェンカをおんぶする。

 

 「叔父さんを残していくのは嫌だな」

 

 「叔父さんに会いに来て…家まで送ってもらう途中で襲われたんだ…」

 

 サシェンカは倒れている叔父さんを見ながら話す。

 

 「叔父さんは強かったんだ、襲ってくるノサリスに首を噛まれてもナイフでそいつを倒したんだ!」

 

サシェンカは話す。

 

 「わかったわ、叔父さんはとても強かったのね…でもここにはもう長く居られないわ、叔父さんにお別れをして」

 

2012に言われサシェンカは叔父さんの遺体に別れを言う

 

 「行こうか」

 

僕はそう言うと立ち上がり通路を進み始めた…




全く別ゲーだけどhoi4やってたら大東亜共栄圏にアルゼンチン入ってきて草だった


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サシェンカ

 

 僕はサシェンカを背負いながらふと僕が子供だった頃を思い出していた…僕は幼い頃に母とメトロに移ったがすぐに暮らしていた駅がネズミに襲撃されたのだ

 その戦いで母は死にアレクセイに助けられた、僕はもはや自分の母の顔を思い出すことはできない…

 

 サシェンカを背負い自由が効かなくなった僕をカバーするように74と2012は警戒をしてくれている

 

 「見張りなら僕にも任せて」

 

サシェンカもそう言うが、僕だけでは無く、頼りになる仲間がいる以上サシェンカにも気を張らせることは少ないかもしれない、そんなことを思いつつトンネルを進むがトンネルには逃げ遅れた難民や家畜だったものが散乱しておりミュータントの襲撃の苛烈さが見て取れる。

そんな有様の通路であろうともサシェンカはさして気にも止めず辺りを見回している、もはや死が日常と化したメトロでの生活しか知らない子供たちには死体と言う物は見慣れてしまっているのだ。

 

 「ここから進めるわ」

 

2012はトンネルの脇道を見つける。

脇道にはまだ新しい人とミュータントの死骸、この先に難民たちが逃げていったのは間違いないようだ…

 

 僕たちは逃げた難民たちを追いながらトンネルを進み続ける、時折奇襲を仕掛けようとするミュータントを始末する。

 

 遠くから怒号と銃声が聞こえてくる

 

 「まだかなりの距離があるが難民たちはまだ生きている。できるだけ急ぐぞ」

 

74はそう言うとあたりの警戒を強めつつ少し速度を上げる

 

 「気を付けて穴があるよ」

 

サシェンカは地面を指差す、そこにはミュータントどもが開けた巣穴のような物が点在しており、覗き込んでも穴の底は見えない落ちたら生きては帰れないだろう…

 

 僕たちは穴に落ちないように最新の注意を払う、そして通路を抜けると広い空間にでる。

 

 「ここでは、グレネードを使っちゃ駄目だよ、ママが言ってた」

 

サシェンカは僕たちに言う

 

 「確かに、天井が崩れかかっているわ、爆発物をここで使ったら一緒に生き埋めね」

 

2012はそう言うとミュータントの巣穴を警戒しつつここを通り抜ける。

 僕たちは通路や排水路を抜け、ようやく駅から離れることができる道を見つけることができた、難民たちもこの先へと抜けていったに違いない

 

 「ほんとに駅から離れるの?やった!駅から出たことないんだ!ママが言ってたよ、子供が居なくなっちゃう怖い場所だって」

 

サシェンカは生まれ育った駅から初めて離れると言う好奇心と不安から僕たちに話しかけてくる。

 

 「えぇ駅から出るのよ、怖いモンスターはアルチョムと私たちで追い払うから大丈夫よ」

 

2012はサシェンカを安心させようとしている、意外と面倒見が良いのだなと僕は思った…

 トンネルを進むとかつての換気穴に出る。メトロ内で自然光を見ることができる数少ない場所だ。

 

 「なに?上のアレ?おじさんの写真で見たことがある…」

 

 「あれは…空だ!あれが空でしょ!まるで天井を塗ったみたい…これで有名人だ空を見たぞ!」

 

サシェンカは生まれて初めて外の世界を見たことにはしゃいでいる。

メトロで生まれた新世代の子どもたちは太陽を見たことはない、僕はそんな子どもたちを新しい種族なのでは?と思ったことを思い出す。

 

 「えぇ、あれが空よいつか間近で見れるといいわね」

 

2012もサシェンカに話しかけている、

 

 「上に行くしか無いようだな」

 

そんなことをしつつ74は先へと進む道を探し僕たちに教える。

 

 「足場が不安定だな」

 

僕は74に言う

 

 「ここしか通れる道はない、サシェンカを背負ってるんだ気を付けろよ」

 

74に言われ僕は金属の細い橋をかけられた道を上へと進み始める、時折橋が鈍い音を立てて軋むのを感じると思わず冷や汗が出る。

 一人づつ橋を登っていき最上段へと辿り着く、細い道を進んでいると何処からか声が聞こえてきた

 

 「離して!この人でなし!サシェンカがまだ外にいるの!おじさんが送るって言っても自分出迎えに行けばよかった」

 

どうやらサシェンカの母のようだ僕はサシェンカの母が生きていたのだということに喜ぶ

 

通路に辿り着くと、母を見つけたサシェンカは僕の瀬長から飛び降り駆け出す

 

 「ママ!ママ!」

 

サシェンカは無事に母親と再開を果たした。

 

 「ありがとよ、あの子は大切な存在だった…」 

 

難民の一人が僕たちに礼をする

 

 「サシェンカ!生きていたのね!ケガはない?おじさんは?どうやってここまで来たの?」

 

母親はサシェンカを抱きしめる

 

 「おじさんは死んじゃった…けど、この人たちが助けてくれたんだ!」 

 

サシェンカは僕たちを指差す

 

 「なんてこと、息子を助けてくれてありがとう…大したお返しはできないけど、この弾薬を受け取って、少しは役に立つだろうから…」

 

サシェンカの母親はなけなしの軍用弾薬(お金)を僕たちに差し出す。

僕たちは顔を見合わせ、その弾薬を母親に返す。

 

 「まぁ、なんて…ありがとう」

 

母親は言葉に詰まりながらも感謝をする

 

 「これでよかったのよ、サシェンカ元気でね」

 

2012も母親とサシェンカに話すと僕たちはそこを離れる。

 

 

 「ふむ、聞いてくれ」

 

74は僕たちに話しかける

 

 「彼らから聞いたが、ブラック駅に辿り着くには一回地上に出なければならない、しかもファシスト共が外の壊れた施設を前哨基地に使ってるらしい、彼らが地上への出入り口まで案内してくれる、行こうか…」

 

74はそう言うとトンネルを奥へと進む

 僕たちは難民たちの列を抜け地上への出入り口へと辿り着く

 

 「待ってたぞ、通っでくれ」

 

兵士は地上への出入り口を開く

 

 「幸運を祈るよ」

 

兵士はそう言うと扉を閉める

 

 「行くぞ!」

 

僕たちはまた最悪の地上へと足を進めた…

 



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前哨基地

オリ展開…やっと少し原作要素が…


 災厄後のモスクワの陰鬱な景観を再び目にすることになった。僕はホール駅で聞いた、地表を徘徊するファシストのレンジャー部隊について思い出していた。しかし、死んだ司令官の遺志を叶え、彼のメッセージをポリスまで送り届けるつもりだ

 

 

 

 

 僕たちはトンネルを抜け、再び地表に出た。

そこはかつてはなにかの施設であったのであろうが今ではその凍りついた残骸があるだけの場所であった。

 

 「ファシストだ」

 

74は外に出るなりファシスト共を見つける。

奴らは出入り口前の広場をサーチライトで照らしながらなにかの作業をしているようだ…

 

 「よし、もう一度おさらいだ。エアロックを開ける時間は、最大でも15分までだ。時間内に開けられなかったら、基地まで後退する。」

 

どうやらファシストたちは難民たちのいるトンネルに入る事が目的のようだ

 

 「アルチョム、このままだと難民たちに何をするかわからないわよ」

 

2012は僕に言う

 

 「わかっている…何とかしなければ」

 

僕はそう答えるとサーチライトを避けつつ先へ進む

 

 「厳しいな、先へは進めないぞ」

 

74はファシストの警備網を見て呟く

 

 「あっ!あそこの梯子使えない?」

 

2012は隅にある梯子を指す。

 

 「あれしか道はなさそうだ」

 

僕はそう言うと梯子を登る。

 僕は側にいた警備を気絶させると2人を呼ぶ

 

 「大丈夫だ」

 

 僕が下に伝えると2人も梯子を登り始める

 

 「ますば、あのサーチライトを黙らせよう」

 

そう言うと74は細い通路を渡りサーチライトの方へと向かう、上階は多少兵士が徘徊しているがさして支障にはならない程度の警備だ。

僕たちはそれらを黙らせつつサーチライトの裏に到達する。

 

 「こいつを壊すぞ」

 

74はそう言うとサーチライトを固定していた金具を撃ちそれを壊す。

すると今まであたりを照らしていた明かりが突然消え、ファシストたちは困惑する。

 

 「敵がいるぞ!」

 

 そう言いながら『敵』を探すファシストを安全を確保した上階から撃ち下ろす

 

 「上だ!」

 

 「警備は何をしていた!」

 

ファシストの怒号が聞こえるが僕たちは圧倒的に有利な位置から攻撃を続ける。

 やがて階下で動くものが無くなる。

 

 「これで一先ず安心ね」

 

 2012はトンネルを開けようとするものが居なくなったことに安心する。

 

 「まだだ、この上になんの施設があるか知っているか?」

 

 74は僕たちに言う

 

 「いや、わからない」

 

僕は答える。2012もわからないといった様子だ。

 

 「アルチョムはともかく、2012が知らないのは少し予想外だったが…この上にあるのはI.O.P.のロシア支社があった場所だファシストのやつらそこをアジトにしているに違いない…」

 

74はそう言うと施設を抜け先へと進む

 

 「I.O.P.ねぇ…」

 

2012が呟く

 

 「私、工場とかのこと何も覚えてないのよね」

 

そう呟くと74を追って施設を出る。

 施設を出るなり、銃声が響く

 

 「気をつけろ!」

 

74は警戒を促す。

少しすると件のビルからデーモンと人が1円人が飛び出してくる。

 

 「助けてくれぇ!」

 

ファシストの兵士は必死に逃げるが奮闘虚しくデーモンに掴まれ何処かへと連れさられてしまう

 

 「彼らは混乱している。この隙に入るぞ」

 

僕はそう言うと瓦礫を乗り越え、開いている窓から屋内に忍び込む

 

 中は荒れ果てており、所々外壁そのものが崩れ落ちてしまっている箇所もある。

 

 「先へ進もう」

 

74はそう言うと敵の目を潜りつつ先へと進んでいく、僕たちもそれに続いて奥へと進む

 奥の方は研究室、実験室であったようで色々な資材やかつての技術資料がそのまま置き去りにされてしまっている。

 

 「ここはどうする?」

 

ファシストの兵士たちが資料を見ながら話している。

 

 「ここは、かつてあのヒトモドキを作っていた場所の1つだこの任務の終了時にこの建物ごと焼き尽くす予定だよ」

 

 彼らは散らばっている人形のパーツ等を見ながら話す。僕たちは、先へ進むために息を合わせて資料を見ていた警備員を2人共沈黙させる。

 

 「これ…」

 

2012は研究室で立ち止まると一つの資料を見る。

 

 『電子戦特化型モデルの開発』

 

と題された資料のようだ

 

 「どうかしたか?」

 

僕は2012に話しかける

 

 「い、いや…何でもないわ…」

 

歯切れが悪そうに2012は答える。

そのことを聞こうとした瞬間瓦礫の中から人形であったものが2012に飛びかかる

 

 「やめろ!」

 

僕たちはその『残骸』に銃を向ける

 

 「止めて!撃たないで!」

 

2012は『残骸』に何か呟かれていたようだが少しすると『残骸』は完全に活動を停止し動かなくなる。

 

 「大丈夫か?」

 

僕は2012に声をかける

 

 「えぇ…大丈夫」

 

彼女はそう言うともう大丈夫といった様子で先へと進む…

 

--------

side 2012

 

 私は、研究室に入りアルチョムと警備を黙らせ先へと進む、しかし目に入ってきた資料に目を取られてしまう、その資料には、

 

 『Ak-12』、『AN-94』そして『Ak-2012』

 

 私の名前があった、読める限りでは私以外の人形は戦争前に本社の方へと移送されたようだ、どうやら私は取り残されていたのもだったようだ…

資料は傷んでしまって全部は読めないがどうやら電子戦に特化した人形の製造計画だったらしい…

 そんなことをしていたらアルチョムに声を掛けられる、考え事をしていた私は突然話しかけられた事で返事が遅れる。

やっと資料から目を離した瞬間に物影から飛び出してきたものが私に飛びかかる

 

 『戻ってきた…』

 

『彼女』は私に呟く、アルチョムたちが私に飛びかかってきた『彼女』を撃とうとするが私はそれを止め『彼女』の話を聞く

 

 『メモリーにエラーがあるのね…バックアップしてあげる』

 

そう言うと『彼女』は私にデータを送るとエネルギーが完全に尽きてしまったのか動かなくなる…

 私は、今までの事を思い出していた…ハンターに拾われアルチョムと旅をする。その前の事を…

 私はI.O.P.社の新計画の一端であった、戦争になる前にロシアから人形を移送する計画があったが間に合わず私だけ取り残されてしまったこと…

これらの記憶を思い出しながらアルチョムに起こされる。

 

 「えぇ…大丈夫」

 

私は、実験室でもう動かなくなったもう1人の『私』を見たあと先へと進む…

 

----------

side アルチョム

 

 2012の様子が少しおかしかったが、彼女が大丈夫と言ったことを信じて先へと進む

 

 実験室を抜けるとホール駅の指令が言っていた無線機を見つける。

 

 「ホール駅のことをポリスに知らせよう」

 

74は言う、彼女の言うとおりに僕は司令からもらったテープをセットし送る

 

 「地下の子どもたちからポリスへ、この無線を受信したということは、我々の駅がミュータントの襲撃を受けて壊滅したということだ、必ずトンネルを爆破しろ、エアロックは長くは持たない 司令官マキシム・コマロフより以上」

 

メッセージが送信されたことを確認し、僕たちは先へと進み始める…




デトロイトとかから影響を少し受けてます…


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前哨基地-2

緊急事態らしいね(関係ない職種民)


 僕たちはホール駅の指揮官が残したテープをポリスへと送信し終え、ファシストの蔓延るI.O.P.の支社であった建物からの脱出を図ろうとしていた。

 

 「2012大丈夫か?」

 

僕は2012を心配し声をかける、さっき研究室を抜けてから少し様子がおかしいように感じる。

 

 「えぇ、大丈夫よ心配しないで」

 

2012は元気そうに答える

 

 「2人とも、このビルを出るにはあそこを抜けなきゃいけない」

 

74はビルの1階エントランスであった場所を指す

 

 「まぁ、やはりというかファシスト達もいるわね」

 

2012はエントランスを見て答える

 

 「どうする?」

 

僕は2人に尋ねる

 

 「まぁ、見つからないことに越したことはない」

 

74は答える

 

 「目的も達したことだしね、長居する必要ないわ」

 

2012も答える

 

 「わかった、行くぞ」

 

僕はそう答えると人がおらず、かつ薄暗い場所を選びゆっくりと進む

 

 「よし!やったぞ!」

 

突然の大声に僕たちは動きを止め、様子を伺う

 

 「どうしたんだ一体?」

 

兵士の一人が大声を出した男に尋ねる

 

 「明日になったらここの勤務を解かれて、帝都に戻れるんだ」

 

男は答える

 

 「そうなのか、良かったな」

 

兵士はそう答える

 

 「あぁ、そういう訳だこんな僻地の勤務を終えられるんだ、帰ったら家族に会うことにするぜ」

 

男はそう答えると兵士の肩を組み、奥の部屋へと連れて行く

 

 「この先に地下室があってな、汚染が少ないんだ俺の栄転を祝って乾杯しようぜ」

 

男は陽気に話す

 

 「おい、それはまずいんじゃないか?任務を放棄するのか?」

 

兵士は男を諌めるように話す

 

 「どうせ、地上なんてほとんど人なんて来ないんだ構いやしないさ」

 

男はそう答える

 

 「それもそうだな、次の俺の栄転も願って乾杯とするか」

 

兵士もそう答えると楽しげに奥の部屋へと消えていく…

 

 「ラッキーね」

 

2012は呟く

 

 「よし、このチャンスは無駄にできない行くぞ」

 

74もこの機会を逃さないように歩をすすめる…

暗がりをゆっくりと進み、とうとう壁が崩れ外に出ることができる場所へ辿り着く

 僕たちはI.O.P.のビルから脱出しかつては車が行き交う通りであった場所へと出る。

爆弾による破壊と長年放置された事による風化によって道路は所々陥没し穴の底には高濃度に汚染された川が流れておりしかも強風によって更に足場を悪くしている。

 

 「此処にもいるのか」

 

74は進路上がファシストたちの警備地点になっている事に気付く

 

 「デーモンだ!」

 

しかしファシストたちは上空を飛ぶデーモンに襲われその対処に苦労している

 

 「あいつら混乱してる、この隙をつくぞ」

 

僕はそう言うと、廃車の影に身を隠し先へと進む

 

 「クソっサーチライトだ!」

 

74はそう言うと自身の銃を構え、ファシストたちがデーモンを攻撃する銃声に被せる様にサーチライトを狙撃する。

サーチライトが突然消えファシストたちが混乱する中を僕たちは隠れて進む

 

 「うぁああ!」

 

ファシストの1人がデーモンに連れ去られる

 

 僕たちはこの混乱の中ファシストたちの防衛線を抜けメトロの入り口へと辿り着く

 

 「ここまで無事に来れたな」

 

僕は安心して一息付く

 

 「だが、この分だとブラック駅はファシストの占領下だまだまだ安心はできないぞ」

 

74は答える

 

 「でも、ウルマンとはブラックで落ち合う事になってるから行かないわけには行かないわね」

 

2012はそう答えるとメトロの奥へと進んでいく…




とっても短め、って言うか繋ぎですね…駄文すぎる…


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ブラック駅

とても遅くなりました、コロナなのに逆に忙し目になるというね…


 

 ブラック駅がファシスト側の占領下にあるのは明白だった。しかし、ウルマンとそこで落ち合う以上、進むしかなかった…

 

 

 

 

 僕たちはブラック駅の崩壊した通路を進む、駅の入り口にはファシストの歩哨が1人いるのが見える

 

 金属が転がる音が駅に響く

僕は足元に転がっていたゴミを蹴飛ばしてしまったのだ

 

 「誰だ!」

 

ファシストの兵士は僕に銃を向ける

 

 「アルチョム」

 

2012が僕に駆け寄ろうとする

 

 「待て、今は駄目だ」

 

しかし74に静止されてしまう

 

 「でも!」

 

2012は食い下がるが

 

 「ここで全員やられたら今までの努力が無駄になってしまう今は堪えるんだ」

 

74に説得され渋々2012は留まった…

 

 「手を上げてゆっくり出てこい、そうすれば殺さないでやる」

 

ファシストに従い僕はゆっくりと近づく

 

 「よし、そのままッグァ!」

 

突然ファシストの背後にある鉄格子の奥から伸びてきた手によってファシストが抑えられその喉をナイフで切り裂く

 

 「こっちにこい」

 

ウルマンは僕を呼ぶ、僕は鉄格子に駆け寄る

 

 「何をモタモタしてた?74は?彼女は?」

 

ウルマンの問に対して僕は、

 

 「74は無事だ、ファシストの防御陣地を超えるのに手間取ってしまった」

 

と答える。

 

 「わかった、不味い状況だ。ファシスト共が駅に雪崩込んだ。あんたたちはそのまま行動して欲しい。連中の発電機を停止できれば、警備を掻い潜りやすくなる、頼んだぞ」

 

 「ポリスに通じる古びたトンネルで待ってる」

 

ウルマンはそう言うと暗闇の奥へと消えていく

 

 「大丈夫だ」

 

僕は後方にいる74と2012を呼ぶ

 

 「アルチョム!大丈夫?」

 

2012が僕に駆け寄る

 

 「あぁ大丈夫だ、ウルマンに会った、僕たちはこのまま駅を進む事になる」

 

僕がそう言うと

 

 「ウルマンと会ったのか、わかった慎重に進むぞ」

 

74はそう答えると前進の準備を始める

 

 僕たちは駅の暗闇に身を隠しながら奥へと進む

 

 「止まれ、奴らだ」

 

74は進路上にいるファシストに気付くと僕たちを静止させる

 

 「発電機の調子は?」

 

 「あぁ、動いてるよだけも触らなきゃ壊れないだろうな」

 

ファシストたちの会話が聞こえてくる

 

 「聞いたか、発電機はすぐ側だ」

 

74はそう言うとファシストたちの後方へと回る

 

 「ふんっ!」

 

74は発電機を警備していた兵士を暗闇で気絶させ、警備の目を盗み発電機を止めよくわからない部品を抜き取る

 

 「アルチョ厶、これであいつらの目を奪ったさっさと進むぞ」

 

74に言われ僕たちは明かりを失い右往左往するファシストたちの隙を付き更に駅の奥へと進んでいく

 駅のホームの下に潜り込みゆっくりと駅のトンネル方向へと進み物資の集積場所へと辿り着く

ここでも暗闇伝いに進み幸運にも見つかることなく駅を通り抜ける、そして蜘蛛の巣だらけの廃トンネルへと進む

 

 「この先に居るはずだ」

 

僕は2人にウルマンとの合流地点を伝える

 

 「やっと再開できるな」

 

74は少し嬉しそうに言うとトンネルを進み始める、蜘蛛の巣を焼きながら暗いトンネルを突き進む

 

 「明かりよ」

 

2012が進路上に明かりがあることに気付く

 

 「ウルマンだ」

 

僕は呟く

 

 「万が一もある慎重に行くぞ」

 

74はそう言うと物陰から通路の先を覗いている

 

 「大丈夫そうだ」

 

74はそう言うと通路を進み始める

 

 「レールカー?」

 

僕は通路の先に置かれていたレールカーを見つけ呟く

 その瞬間レールカーの影からウルマンが出てきた

 

「アルチョム、我が友よやったなそれに74大手柄だ」

 

ウルマンはそう言うとレールカーに乗り込む

 

 「大変だったなこっちで休んでくれ」

 

レールカーへの同乗を促され僕たちは席に着く

 

 「済まないな、少し定員オーバーなのは我慢してくれ」

 

 「間もなくポリスへ到着する」

 

ウルマンはそう言うとレールカーを走らせ始めた

 

 「奴らは普通のミュータントじゃない。なにか別の…もっと恐ろしいものだ」

 

ウルマンはの声を聞き僕は疲れからか眠りに落ちていった

 

 

 

 

 『怖い…』

 

僕は声で気が付くと不思議なトンネルに一人で立っていた…

 

 『怖い…』

 

僕は声のする方へと近づく

 

 『親に嫌われている子供であっても、愛し理解しようとするものだ。我らは人間を理解したい…そして助けたい…』

 

頭の中に直接語りかけられているような感覚に襲われつつ僕は声の方へと近づく、光の中に何かがいる?

 そう思った瞬間

 

 「何をしている!走れ!アルチョム!!」

 

ハンターだ…僕は声に従い光から遠ざかる様に走る

 

 『助けたいのだ…』

 

 『我らは平和を望む』

 

僕は不思議なトンネルを走り暗闇の奥へと逃げる、しかし僕は転んでしまい光の中へと落ちていく

 

 

 僕は喪われて久しい森の中にいた…ような気がした

僕は落ちて行く感覚の中これまでの旅路を思い返していた。

 2012とともに駅を出ていくつもの死線を潜り抜けてきた、しかしその旅も終わりを迎えようとしている…

 そのようなことを考えていたが揺すられる感覚と共に僕は目を覚ました…

 

 




遅くなって申し訳ありませんでした


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希望

評価が赤くなっててビックリしました。過分な評価ありがとうございます。


 あの瞬間に自分が感じた気持ちを言葉で表すのは難しい。疲れ切ってはいたが、目的を達成した喜びも実感していた。ハンターの伝言さえ伝えれば、僕の故郷の救出については力と知恵のある面々が決めてくれるだろう。

 僕の役割はそこで終わりだ

 

 

 

 

 「おい!レールカーのお前!エンジンを止めろ!…動くな!名を名乗れ!」

 

 「アルチョム起きて!」

 

僕は警備兵の警告と2012に揺すられたことで目を覚ます。

 

 「我々はファシストだ。この駅を奪いに来たぞ…ははは」

 

ウルマンは警備兵に冗談を飛ばしている

 

 「ウルマンに74、お前らか?ペトロヴィッチが居なくてよかったな…あいつには冗談は通じないぞ!そいつらは?」

 

警備兵は僕と2012のことについて尋ねてくる

 

 「彼らは辺境から来た…」

 

ウルマンは僕たちのことを非常に簡潔に説明する

 

 「そうか。通ってくれ」

 

警備兵がそう言うとウルマンはレールカーのエンジンを始動し発進する。

 

 線路を通り、思い鉄の隔壁が開かれる…遂に僕たちはポリスに到着したのだ、そこは今まで通ってきた駅が霞むくらいの巨大な駅(都会)であった。

 やがて発着所へ到着し僕たちはレールカーを降りる

 

 「よし、行くぞ!」

 

 「アルチョムったら相当疲れてたのね道中ほとんど寝てたじゃない」

 

2012に言われ少し気恥ずかしい思いをしつつも僕はウルマンの後をついて行く、駅の建物内に入ると1人の男が立っている。

 

 「ポリスへようこそ…クラスノフ隊長だ。長い道のりだっただろう…どこの駅から来たんだ?」

 

隊長は僕たちに尋ねる

 

 「エキシビションから来た」

 

僕は隊長に伝える

 

 「そうか、なんでここまで来たんだ?」 

 

隊長はポリスでの目的について尋ねてくる

 

 「私たちは初めてポリスに来たのよ、ポリスのミラーにハンターのメッセージを届けに来たのよ」

 

2012が隊長に答える

 

 「わかったわかった、でも会うには少し時間がかかるかもな少し休んで行きな」

 

 「少し休むといい、俺と74はミラーを探す。任務で留守にしてなきゃいいな」

 

そう言うとウルマンと74は駅の奥へと消えていく

 

 「大佐居るといいわね」

 

2012に頷き僕たちは少しの休息を取る事にした。

 

 

 少しした頃に駅の奥から1人の男がこちらに歩み寄ってきた

 

 「アルチョム?私がミラーだ。ハンターからのメッセージは何処に?」

 

 ミラーは僕たちに尋ねる

 

 「ハンターからのメッセージは口頭で伝える」

 

そう伝えるとミラーは駅の奥へと僕たちを促す

 駅の奥の事務所にて僕たちはエキシビション駅での出来事などをミラーに伝えていた。

 

 「そうか。ポリスまで届けてくれた礼を言う。勇敢な行動だった。これから緊急会議を開く。呼び出しを受けたら状況を報告してくれ」

 

ミラーはそう言うと、電話機を操作し始める

 

 「すべての評議会メンバーは、会議室に集合してくれ。繰り返す、すべての評議会メンバーは、会議室に集合してくれ」

 

 「彼らを会議室まで案内してくれ」

 

ミラーは奥の兵士にそう伝えると兵士は会議室まで僕たちを案内する。

木製の立派な両開きの扉が開かれると奥には評議会メンバーと思われる人々が集まりこちらを見ていた。

 

 「ここだ」

 

兵士に言われ僕たちは会議室へと進み会議に参加した。

会議は実に5時間以上続き意見が紛糾した。

 

 そして評議会は僕たちの必死の説得に応じず

【エキシビションへの応援は送らない】

という非情としか表現できない決断を下した。

 

 その後僕たちはミラーと別室にて今後のことについて話していた。

 

 「信じられない、エキシビションを見捨てるなんて、私たちの努力は無駄だったってこと…」

 

2012はひどく落胆したように話す

 

 「君たちの勇気ある行動が評価されないのはとても恥ずべきことだ、しかし、メトロにはポリスだけではないまだダークワンに立ち向かおうとする人々はいるはずだ」

 

ミラーが話していると、脇から1人の人形が話に入ってくる

 

 「それについてなんじゃが、レンジャーが保存状態の良いミサイルサイロを街の近くで見つけたんじゃ、これをダークワンへの攻撃に利用できないかの」

 

話しかけてきた人形は薄汚れたロシア帽を被り厚手のコートを身に纏った見た目は幼げな人形だ

 

 「あぁ、だがミサイル発射の司令部通称D6は何処にあるのかすらわかっていない、しかしそれがわかる場所が一つだけあるとても大きな図書館だ、危険な場所だが軍事文書保管庫がある、ここからは目立たないように別々に行動しよう君たちはここから上に上がってくれ、図書館の入り口に付いたら合流しよう、あともう一つ伝えておく、我々は戻り次第スパルタ基地へと向かう。レンジャーとそこで合流予定だ」

 

ミラーは僕たちに言う

 

 「これからの戦いは更に激しさを増して行くだろう、少し休んで準備を整えてから出発するといい」

 

 僕たちはこの厳しい状況の中、新たな旅立ちの準備をし、少しの休息の後に再度地上へと向かった…




次は閑話というかオリ展開です…


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閑話1-夢

閑話です。いわゆる過去編です。
完全オリジナルのお話になります。


 私はアルチョムとポリスへ辿り着き、一先ずの休息を得た。しかし希望は打ち砕かれ代わりに新たな旅をしなくてはならなくなってしまった。

 戦術人形は夢を見ない、それは皆承知の『常識』であったがこの日私は初めて夢を見た。

 

 

 「これからの戦いは更に激しさを増していくだろう、今日の所は休息を取るといい」

 

ミラー大佐の言葉に甘え私たちはポリスでの休みを得た、思えばエキシビションを出てからまともに休んでない気がする…

 私はそんなことを思いながら愛銃の手入れをしていたがふと気が付いた頃には私の意識は深い闇の底へと沈んでいた。

 

 気が付いた私は何処かの研究所のようなところにいた。

そこは以前ファシストの前哨基地となっていたI.O.Pロシア支社のようだが非常に整然としていてあの荒れ果てた場所とは思えない…

 

 「2012…2012!」

 

突然話しかけられ、私は驚いてそちらを向く

 

 「これからテストよ、ボケーッとしてる暇なんて無いんじゃない?」

 

長い銀髪の人形が目を閉じたままこちらに話しかけてくる

 

 「えぇ…そうね、そんな暇なんて無いわね忠告ありがとうAk-12」

 

私の意志とは別に口が勝手にAk-12と呼んだ人形へと返答をする。

 

 「そろそろ始まるみたいよ」

 

12はそう言うと少し見上げた位置にある観察室の方へと頭を動かす

 

 『Ak-12の通りよ、テストを開始するから位置に付きなさい』

 

若い女性の声の放送がテストチェンバーに響く

 

 「わかったわよ、ペルシカ博士」

 

私はまたもや勝手に話し出す。

 

 『まずは、基本的なハッキングをしてもらうわ』

 

放送はそう言うと部屋の中に2体のダイナゲートを放り込む

 

 『鉄血製のロボットよこいつをハッキングするのがテストよ、始めて』

 

放り込まれたダイナゲートは背中のマシンガンこそ外されているがとても従順そうには見えない

 

 「始めるわよ」

 

12はそう言うとダイナゲートへ意識を集中させハッキングを始める

 

 「わっ私も…」

 

私もダイナゲートをハッキングするべくダイナゲートへと意識を集中させる

 

-数分後

 

 そこにはダイナゲートが懐いた犬のようにAk-12の周りを駆け回る様子が、一方私は辛うじてハッキングできたもののその様子はまるで借りてきた猫のように身じろぎせず固まっている。

 

 『実験終了』

 

放送で伝えられると私達はダイナゲートをシャットダウンさせ部屋を退室する。

 

 「どうしてあんなに上手くハッキングできるの?」

 

私は思わずといった様子で12に聞いていた

 

 「不要なものに意識を向けすぎなのよ」

 

彼女はそう言うと待機部屋へと戻っていった。

 

 

 

 

____

 

 ふと気付いたときには場面が変わり、私の周囲で研究者たちが慌ただしく駆け回っていた

 

 「ーーーッ?」

 

声を出そうにも声が出ない上に体もカプセルのような物に入れられ固定されてしまっている。

 

 「早く!時間がない!」

 

 「12はどうした?」

 

 「12は昨日の便で移送した!」

 

 「早く2012も運ぶぞ研究の成果が無駄になる!」

 

研究員や職員は書類や機械といったものを台車等に載せ何処かへと運んでいる。

 それらの様子を見ていると突然、私が入っているカプセルが動き出す。

 

 「【本体】の移送をするぞ!」

 

 「【ダミー】はどうする?予備のメモリーを積んでるのはこれなんだぞ!」

 

 「そんな余裕はない!本体が無事ならバックアップはいらない!」

 

誰かがそう言うと私は一台のトラックに載せられる

 

 「早く行け時間がない!」

 

そう叫ぶとトラックは慌ただしく発進する

 

 私が揺れるトラックの荷台の天井を眺めていると強烈な爆音と共にトラックが横転する。

激しく回転したトラックの荷台は砕け【私】を含めた荷物が辺りに散らばる

 

 「なんてことだ…これでは…」

 

ひどい怪我をした研究者と思わしき男がカプセルに取り付き泣いている…

 

 突然激しい閃光と爆発が再度私たちを襲い、私は激しい頭痛に襲われる。爆風はトラックの残骸や瓦礫が防ぐがあちらこちらで発生しているEMPが私の電脳を焼く…

 

 『メモリーに深刻な障害が発生しています』

 

 『被害軽減のため最低限の機能を残しシャットダウンします』

 

私の電脳がそのようなシステムメッセージを飛ばす

 

 『5』

 

私は赤く光る空を眺めている

 

 『4』

 

私は灰色の雲を眺めている

 

 『3』

 

私は崩れ行くビルを眺めている

 

 『2』

 

私は吹き飛ばされる人々を眺めている

 

 『1』

 

私は終わりゆく世界を眺めている

 

『0、シャットダウンします』

 

私はもう何も眺めていない…

 

 

 

 

_____

 

 「何だこれは?」

 

カプセルを誰かが叩いている?

 

 「人?…いや人形か?」

 

表面の汚れや氷が取り除かれるとガスマスクをつけた男が私を見ていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______

 

 「回収できたのか?」

 

どこかの施設で研究員が話している。

 

 「12の回収は完了したが…」

 

 「2012は間に合わなかった…」

 

そう答えるともう片方が口を開く

 

 「大変なことになったな、2012はある意味特別な個体だったのだが失われた今、私達の研究は大分遅延してしまった」

 

そう答える【博士】

 

 「少しでも遅れを取り戻すべきです、当初の予備プランのAN-94を使うべきです。」

 

研究員は博士に進言をする

 

 「それしか無いか…」

 

モニターの光が照らす暗い部屋の中で世界が終わってもなお計画は進められている。




デトロイトやfallout後はAIという映画に少し影響を受けてます。


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裏路地

前半にオリ展開やります。


 僕たちはD6と呼ばれている戦前のミサイル基地の場所を突き止めるために図書館へと向かうことになった、しかしここまでの長旅での疲労を癒やすために少しの間休息をとるこことなった。

 2012は自身の銃の手入れをしていたが気が付いた頃には寝て?しまっていたので僕も体を休めつつ銃の手入れなどをしていた。

 

 「アルチョム」

 

74が休んでいた僕に話しかけてくる

 

 「大変なことになったわね…」

 

今回の件について同情の言葉をかけてくる

 

 「あぁ、でもミラーのお陰でどうにかなりそうだ」

 

僕はこれから探すことになるD6に残された最後の希望を伝える

 

 「図書館ね…危険なミュータントが居るって噂を聞いたことがあるわ」

 

74とそんな話をしていると

 

 「ここに居たかー!」

 

話を遮りこちらに駆け寄ってくる

 

 「アブザッツ!人が話してるでしょ!」

 

74はアブザッツと呼ばれた人形に怒鳴る

 

 「すまんすまん、副隊長が久々に戻ってきてたからつい」

 

アブザッツはそう言うと僕に視線を向ける

 

 「この人が隊長とミラーのおやっさんが言ってたアルチョムか、よろしくなアルチョム」

 

そう言って話しかけて来たアブザッツは左足が正規の部品ではなくその顔にも決して浅くはない損傷の跡(傷跡)かある。

 

 「よろしく」

 

僕は彼女にそう返す

 

 「アルチョム、すまなかったな彼女はポリスで唯一の人形の部隊アルテミスの一人だ」

 

74は彼女についての紹介をする

 

「あぁその通りだ!今度の図書館の件私たちも協力するからよろしく」

 

そう言う彼女らと話している内に休息は終わった。

 

 _______

 

 

 僕と2012は駅の出入り口に立っている。

 

 「準備はできたな」

 

ミラーは僕たちに確認をする

 

 「あぁできてる」

 

僕はそう言うと2012の方を見る、彼女も僕の方を見て頷く

 

 「よし、行くぞ」

 

ミラーはそう言うと地上へと隔壁を開き僕たちは地上へと登って行った…

 

 

 議会の判断にはショックを受けたが、ミラーとアルテミスの隊長の案で希望を取り戻した。僕はD6の謎を解き、無数のミサイルを目覚めさせる方法を探すため、再びモスクワの廃墟へと上がっていった…

 

 

 

 

 地表へと上がると雪は降っておらず微かに明るくあたりを照らしていた…恐らく昼頃なのだろう…しかし吹き付ける風が積もっていた雪を飛ばし辺りが軽く吹雪いているように見せている

 

 「行きましょうアルチョム」

 

2012はそう言うと慣れた足取りで移動を始める

 

崩れた道や廃車の上を渡り僕たちは図書館の前まで辿り着く

 

 「ここね」

 

2012はそう呟くと建物へ近寄る

 

 その瞬間建物の上部から瓦礫が突風に煽られ崩れ落ちてくる

 

 「危ない!」

 

僕は2012の手を引きこちらへ引き寄せる

瓦礫が先程まで2012がいた空間に落ち砕ける

 

 「助かったわ、ありがとうアルチョム」

 

2012が礼をするがその言葉を割るようにミュータントの鳴き声があちこちで響き始める

 

 「今の音でバレたみたいだ」

 

僕はそう言うと銃を構える

 

 「来たわ!」

 

2012が叫ぶと同時に瓦礫の影からミュータントが現れる

僕はそれに散弾を打ち込み吹き飛ばすも次から次へとミュータントがやって来る

 

 「いつも思うけど、数!多すぎなのよね!」

 

2012も飛びかかってきたミュータントを躱すと反撃をする。

 

 僕たちがミュータントに苦戦を強いられていると僕に飛びかかろうとしたミュータントの頭が爆ぜる

 

 「待たせたな、アルチョム」

 

そちらにはミラーとアルテミス隊のメンバーが立ちミュータントへの攻撃を始めている

 

 「久しぶりに暴れられるぜ!」

 

アブザッツはそう言うとミュータントに過剰と言えるほどの散弾を撒き散らし肉塊へと変える

 

 「余り弾を使うのではないぞ、ただでさえ弾薬の備蓄を減らしているのはお前のせいだというのに」

 

隊長はアブザッツにそう言うと手持ちの拳銃で応戦を始める

 

 「あそこだ、撃て!」

 

ミラーが言うと見知らぬ長身のライフルを手にした人形が間髪入れずミュータントを狙撃する

頼れる増援を得た僕らは確実にミュータントを駆逐していきやがて襲撃が収まる。

 

 「良かった、アルチョム心配したぞ…やるべきことは覚えているな?軍事機密保管庫に行く必要がある。図書館本館の下の何処かにあるはずだ、そこへはメイン閲覧ホールを通っていける!よし出発だ」

 

ミラーはそう言うと古びた図書館の扉を開き中へと入る

 

 「ふむ、やけに静かだ…」

 

 「アルテミスは外を見張れ」

 

ミラーが指示をするとアルテミス隊の面々は頷きそれに従う

 

 「おい!鳥の群れがこちらに近付いてくる気を付けろ」

 

74はそう叫び僕たちに危険を知らせている

 

 「アルチョム、アルテミス!こっちだ扉を塞げ!」

 

ミラーが叫ぶとアルテミスがこちらに向けて走ってくる

全員が扉に入ると同時に図書館の入り口を破りデーモンが飛び込んでくる。

 

 「クソ!早く閉めるぞ!」

 

そう言いつつ扉を閉める

 

 「アルチョム、2012上の扉がロックされてたら、なんとか開ける方法を探せ、長くは持たない」

 

ミラーはそう言うと図書館の扉を全員で抑えているが扉が激しく揺れている

 

 「行くわよ!早く!」

 

2012はそう言うと階段を駆け上がり僕もそれに続く、天井からぶら下がっている不気味な生き物を避けつつ壁の穴に飛び込むとロックされていた扉に引っかかっていた瓦礫をどかす

 

 「入れ!」

 

誰かの怒声が聞こえたかと思うと全員が空いた扉に駆け込み扉を閉めると再度扉につっかえをあてがい閉ざす。

 

 「もう少しで引き裂かれるところだったぜ」

 

アブザッツがそういうとライフルの人形が黙って頷く

 

図書館は非常に入り組み、僕たちはその一歩を踏み出したに過ぎないのだ

 

 「よし、奥へ入る道を探すぞ」

 

ミラーがそう言うと全員であたりを調べ始めた…

 

 

 

 




ライフルの人形はバルブです


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図書館

少し展開が変わっている(ほとんど原作ママ)



 僕たちはミラーの指示どおりに散らばり奥へ…軍事機密保管庫へと至る道を探している。

 

 「あぁ?ニューロンとシナプス、ゼギ…脊髄運動システム…えーA&B ストルガツキー…、路端のピクニックそれに遺跡付近にゾンビの目撃について?うーん、どこかで聞いたような」

 

アブザッツは残されている書籍の背表紙に書かれている文字を読み上げている

 

 「本を見てる暇があるなら道を探したらどうじゃ」

 

隊長は呆れたようにアブザッツにそう言うと立ち去ってしまう

 

 「い…いやいや、なんかヒントとかあるかもしれないでしょ私だってしっかり探してますよ」

 

アブザッツは言い訳をしそそくさとその場を離れていく、そんな様子を見つつ僕は扉を調べていた。

 

 「アルチョム!こっち来て」

 

2012が僕を呼ぶ

 

 「ここから入れそう」

 

そこには他の場所より損傷の激しい扉があり、少し衝撃を与えれば崩れそうな印象を受ける。

僕は扉に蹴りを入れるとたやすく腐った扉が倒壊する

 

 「先に進めるかな」

 

2012の呟きを聞きつつ僕は部屋に入り、壁に空いていた穴をくぐり広い部屋に出る。

 相変わらずその部屋にも奥へと進みつつ撤退を用意たらしめる通路は見当たらない

 

 「こっちにはないか…」

 

僕が少し落胆した様子で皆のところへ戻ろうとするのを2012が呼び止める

 

 「アレ」

 

2012が指さした場所には吊り下げられたシャンデリアがぶら下がっている

 

 「鎖を撃てば振り子みたいな感じでそこの扉を開けられないかな?」

 

2012は皆のいる部屋と繋がっている開かなかった扉を無理やり開こうと言うのだ

 

 「やってみるか」

 

しかし他に手段がないのも事実、僕は彼女が指した鎖を撃つ、甲高い金属音と共に鎖が弾けシャンデリアが降ってくる。

 それは扉に衝突し地面に落ちるが衝撃で扉をこじ開ける。

 

 「いいぞ!アルチョムに2012よし!行くぞ」

 

ミラーはそう言うと部屋を進み奥へと続く扉を開く

 

 「何処まで続いているんだ?」

 

74はそう呟きつつ奥へと進む

 ミラーが開けた扉の先は更に大きな部屋となっていて、戦前はここに机と本棚が並び利用客が本を読んでいたのであろうことがわかる

 

 「聖者の書で読んだことがあるだろう、かつては美しかったに違いない」

 

ミラーはそう言うと部屋の奥へと進もうとする

 

 「司書(ライブラリアン)だ!」

 

74は聞こえてきた唸り声と物音に対して警告する

 

 「いいか、司書(ライブラリアン)はここで最も危険な生物だ、1匹でも出くわしたら…2匹ならなおさらだが、決して戦うな。だが逃げ出してもいけない、奴らは目を合わせれば攻撃してこない。忘れるな決して奴らから目を話すんじゃないぞ、ライブラリアンが緊張してきたら動け、ゆっくりとだ、銃なんて撃ったら目を合わせていても殺される気をつけろ」

 

ミラーは僕たちにそう言うと部屋を進む

 

 「クソっ道が別れてるな」

 

ミラーは奥へと続く道が複数ある事にぼやく

 

 「チームを分けるアルチョムと2012それにバルブで右の道、それ以外は左だ」

 

ミラーは班分けをし探索を進める

 

 「貴女がバルブねよろしく」

 

2012がバルブに挨拶をするが返事は帰ってこない、不思議に思っているとバルブは申し訳なさそうに自分の喉元を指差す、そこには深い損傷の跡がついていた

 

 「ボイスモジュールが壊れてるのね…わかったわアルチョムの指示に従ってね」

 

2012はそう言うとバルブは安心したように頷く

 

 「行くぞ」

 

僕はそう言うと図書館の奥底『書庫区画』と呼ばれるエリアへと進んでいった。

 書庫区画と呼ばれているエリアへは階段を降りて進む、メトロとは違った不気味さが僕たちを包んでいる…

 

 「アルチョム、止まってこっちを見て」

 

2012がそう言い、僕はそちらの方を見る…

そこには2メートル以上はありそうな巨大なミュータントがこちらを見ていた。

これが『司書(ライブラリアン)か』

 

 僕たちはライブラリアンと目を合わせ一切の動きを止める…

 暫くするとライブラリアンは動き出し天井に空いた穴へと飛び、姿を消す。

ライブラリアンの気配が消えると僕は思わずガスマスクの表面を拭い深呼吸をしてしまう、心なしか呼吸をしない2012たちも息をついているように見えた。

 僕たちは狭い通路をカバーしつつ進む、僕は複数人いることの安心感を覚える、仮に1人だけでここを進むとしたら相当な困難であったであろうことを感じる。

 至るところに本…つまりは戦前の知識が放置されている。

かつては全て人類の手元にあったはずの知識は今となっては壊れた窓から吹き込む雪に濡れ、朽ちていくのみだ

 昔養父が言っていた言葉を思い出す。

 かつては『携帯電話』というものを指で操作するだけでほしい知識や答えを得られたのだというしかし殆どの人は答えを見るだけでそれを覚えることはしなかった。

 いまや最終戦争をへてすべての情報は失われてしまった、この図書館に残っている知識を得るためだけに人間は血で対価を払わなくてはならなくなってしまった。

僕はそんなことを考え、言葉にできない感情を覚えつつ先へと進む

 道半ば度々ライブラリアンに出くわすもののその度に目を合わせ相手が去るのを待ち先へと進む

 

 「この先ね」

 

2012とバルブは壊れたエレベーターへと進み僕のカバーをする

 

 「アルチョム!後ろ!」

 

振り向いた瞬間に2012が言う

急いで振り返るとライブラリアンがこちらへ走って来ている

 

 「不味い」

 

僕はそう呟くと2012たちがいるエレベーターへと飛び込む、ライブラリアンが続けてエレベーターに入ろうとすると、建物の外からデーモンが飛び込んでライブラリアンを襲う

 

 「凄い」

 

思わずそんな言葉が漏れてしまうような光景であったが、ライブラリアンが階下へと繋がる穴へと飛び込み姿を消してしまう

 獲物を失ったデーモンはあたりを見回すとエレベーターにいる僕たちを見つけ新たな獲物として飛びかかろうとする。

 その瞬間、背中を見せたデーモンに対してライブラリアンが奇襲をかける!背中に乗られ執拗に叩かれて苦しむデーモンを静かに見ていると上の方から重い何かが着地したような音が聞こえる

 

 「あぁ…嘘」

 

2012の視線の先にはエレベーターの天井にライブラリアンが乗りこちらを見ていた…その重量に耐えきれずエレベーターが火花を散らし降下を始める。

 そこまで高さがなかったのが幸いしたが、少しの浮遊感の後に僕たちは地面に叩きつけられる。

 

衝撃の後、僕はエレベーターに乗っていたライブラリアンに視線を向けると落下の際に落ちてきた機械部品に挟まれて絶命していた。

それを見て安心した僕は2012とバルブの無事を確かめ、エレベーターから外へ出す。

 

 「酷い目にあったわ…」

 

2012が呟きバルブがそれに頷く、僕もガスマスクに軽いヒビが入ってしまい散々であった。

 しかしまだ大きな怪我はしていない、僕たちは落ちた先の通路を進み続ける…




書いてて思うけど原作アルチョムの超人っぷりがパない


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文書保管庫

 感想等頂けると投稿者が喜びます…(乞食)


 

 地下の倉庫区画はとても恐ろしい場所だった。僕はどこで何を探すべきかの見当すらついていなかった。だがこれまでの勢力を徒労に終わらせるつもりもなかった

 

  

 

 

 僕たちは墜落したエレベーターから外へと這い出し地下特有の薄暗い通路を進み、広い部屋へ出る。

 

 「あそこに2匹いるわ」

 

2012が部屋の中央にいるライブラリアンを指差す

 

 「死体を啄んでるここは餌場か?」

 

僕はライブラリアンが人間の死体を食べているところを指して呟く

 

 「見つからないほうが良さげだな」

 

僕がそう言うと2人は頷き肯定する。

 ここでも暗闇に身を隠し食事に夢中になっているライブラリアンの脇を抜け通過し、部屋を後にする。

 

 「通り抜けられたか」

 

僕は安堵の声を漏らし、少し緊張が解ける

 

 「!!」

 

バルブが何かに気付き僕の肩を強く叩く、僕がそちらへ振り向くとライブラリアンが僕たちに向けて突進してきていた。

 

 「逃げろ!」

 

僕が叫ぶと2人も走ってライブラリアンから逃げ出す、しかしライブララリアンも諦めはしない久し振りに入ってきた『獲物』を逃がすつもりは無いのだろう…

 

 「!!」

 

 バルブが急に振り向き銃を構え、発射する。

 放たれたライフル弾が突進して来ているライブラリアンの目に当たる。

急に視界が潰された事で一瞬ライブラリアンが怯む

 

 「登れ!」

 

その隙をつき僕たちはライブラリアンの入ってこれないダクトへと逃げる

全員がダクト内へ入り、間髪入れずに追いついたライブラリアンがダクト内へと手を入れどうにか僕たちを掴もうと暴れている。

 

 「危なかった…」

 

2012が呟き、ダクト内を進む

 

 僕たちはダクトの終点で下へと降りた。

 

 「全くついてない…」

 

僕たちが降りたのはライブラリアンたちの寝床だった、あちこちでライブラリアンが寝ている…

 

 「音を立てないで」

 

2012は小声で囁くとゆっくりと進み始める、そこらに転がっている『食べかす』を踏まないように細心の注意を払って寝ているライブラリアンの脇を通り抜ける…

 

 「ここへ入ろう」

 

 僕たちは寝床を抜け、途中の扉を開け中へと入る。

そこは番号が振られた小さな収納のようなものが壁一面を埋め尽くしていて他の部屋とは違う異質なところであった

 

 「D6…」

 

2012が呟く

彼女の視線の先には『D6』と番号が振られた収納場所がある。

僕はそこの引き出しを引くと鍵がかかっておらず簡単に引き出すことができた。

その引き出しの中には赤い表紙にD6と大きく書かれている本が1冊入っでいた。

 

 「これよ!これだわ!」

 

2012は本を見て言う、バルブも嬉しそうだ

 

 「よし、逃げるぞ」

 

僕はそう言うと部屋の外に何も居ないのを確認し、セキュリティゲート出会った場所を抜けてこのライブラリアンの巣窟から抜け出した。

 

 

 D6関連の文書は発見したものの、ミラーたちはまだ戻っていなかった、彼らの助けなしでは図書館から生きて脱出できる確証などない。だが、それでもやるしかなかった

 

 僕たちは図書館を彷徨い、ようやく外へと繋がっている場所を見つけた。

 

 「ここから出れそうよ」

 

2012が指差す先からは外からの風が吹き込んできていて、心なしか少し明かりが漏れている。

彼女の見つけた出口を抜けると、あたりはすでに暗くなってしまっていた。

 背後からミュータント…もはや聞き慣れたライブラリアンの鳴き声が響く

慌てて振り向くと僕たちが出てきた上の階からライブラリアンが飛び降り僕たちの進路を塞ぐ

 

 「邪魔ばっかりして!」

 

2012が少し不機嫌に言うと銃を構える。

 その瞬間ライブラリアンをライトが照らしたかと思うと一台の車が速度をつけてライブラリアンに衝突する。

 僕たちがその光景に呆けていると車から1人の人間が降りてくる。

 

 「どこ行くんだ相棒?50発で連れて行ってやるよ」

 

ウルマンだ、そして助手席からも1人降りてくる

 

 「やったなアルチョム!正直死んだかと思ったよ」

 

ミラーだ、僕は他のメンバーについてミラーに尋ねた

 

 「あぁ、あの後捜索をしたのだが見つからず、アブザッツがライブラリアンをミンチにするための弾が無くなったから一時後退して君たちの支援のために車を持ち出して来たんだ、結構苦労したぞ…それにしても生きていてよかったなにか見つけたか?」

 

 ミラーの話を聞き僕はD6の在処の書かれた文書を見せる

 

 「よし、出発だ!」

 

表紙を見たミラーは頷くと僕の肩を叩き車へと戻っていく

 

 「それで、何処へ向かう?」

 

ウルマンがミラーに尋ねる

 

 「教会だ」

 

 「カーンと言う名に聞き覚えは?お前たちを探す手助けをしてもらった」

 

とミラーが言う

 

 「どうやったのかはわからないけどな」

 

ウルマンは不思議そうに呟きながら車へと乗り込む

 

 「私たちは荷台に乗るわ、心配しないで」

 

2012とバルブはそう言うと車の荷台へと乗る

僕たちも車へ乗り込むとエンジンがかかり荒れ道を進み始める

 

 「音楽はいるか?」

 

ウルマンが言う

 

 「あぁもちろん」

 

ミラーが答えると車内に音楽が流れ始める、ショボイ音楽だと思ったが、改めて生きて帰ってこれたのだと僕は音楽に安心を覚えていた。

 

 「着いたぞ」

 

暫く車に揺られていたが、建物に近づき速度を緩める

 

 「地上にある最初で今のところ人類唯一の前哨基地だ」

 

ウルマンがここの説明をする

 

 「ゆっくりするといい、その間に文書に目を通しておく」

 

ミラーに言われ僕は車を降りる

基地内では、スパルタ隊の人々が作業をしている。

 

 「アルチョム」

 

ウルマンに呼び止められる

 

 「いい機会だ、装備を整えようミラーの許可は降りてる」

 

そう言われ僕は武器庫へと連れ込まれる

 

 「お前がアルチョムか、ウラジミールだよろしくな」

 

ウラジミールはそう言うと僕の武器を眺める

 

 「悪くは無いが、だいぶガタが来ているな、新しいのと変えた方がいい」

 

ウラジミールはそう言うと武器ロッカーを開ける

 

 「いい機会だ、彼女とお揃いにしろよ」

 

ウルマンはAk-2012を取り出し僕に言う

 

 

 

 僕は彼の提案に乗った…




ブルボンのAKってここで手放す人多そう


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スパルタを目指して

CK2楽しい


 

 僕はウルマンの誘いを受けスパルタたちの武器庫で装備を新調した。

 

 「おい、アルチョム」  

 

新調を終え武器庫を出たところに74に声をかけられる

 

 「生きてたか、さっき2012にも会ったぞ、さぞかし大変だっただろう…ゆっくりしてくれと言いたいが2階であんたを呼んでる奴がいる、言ってやってくれ」

 

74はそう言うと立ち去る。

 

 「呼んでる奴?」

 

僕は取り敢えず74に言われた通りに教会の階段を登り上階へ機材

 

そこは正教会特有の装飾の後が見られる場所であった…スパルタたちの機材がなければ今でも荘厳な空気を感じることができたかも知れない…

 そんな聖人と呼ばれた人たちの壁画の前に見覚えのある男が1人立っていた。

 

 「カーン!」

 

僕は男…カーンに声をかける

 

 「やぁ、アルチョムまた会うと言ったろう…レンジャーが自ら作り上げた素晴らしい基地だ、そうだろう?」

 

カーンは当然と言った様子で話す

 

 「その通りだカーン」

 

僕はカーンに返答をする

 

 「ポリスからの協力は得られなかったらしいな。これからどうする?」

 

 僕はカーンに言われた事を考えるがD6のことを友人とは言え部外者に話して良いものか考える

 

 「沈黙か…レンジャーになりつつあるな。これから進む道をよく見るといい、アルチョム…そしてその行く末を考えるんだ」

 

 「まいた種は刈らねばならん、アルチョム。武力は武力を呼び、戦いは戦いを生み、死は死しかもたらさない。この悪循環を断つには、考えや疑いを持たずに行動するだけでは駄目だ」

 

僕はカーンの言う事について質問をしようとする

 

 「さて、アルチョム少し話し込みすぎたようだ。行かねばならん。また会おう。」

 

カーンはそう言うと立ち去って言ってしまう…僕は自分の進む道そしてその行く末について考える。

D6のミサイルでミュータントを倒し、故郷を救う、この一心で今まで行動をしてきたが、カーンの言葉を聞き少し…ほんの少し引っかかる何かを感じていた。

 僕がそのような事を考えていると2012が僕を呼ぶ

 

 「アルチョム、そろそろミラーの所に行きましょう」

 

彼女に言われ僕は頷く

 

 「んー?アルチョム武器変えたのね」

 

2012は僕の銃が変わっている事に気付く

 

 「(2012)じゃない性能はバッチリ保証するわよ」

 

2012は心なしか嬉しそうに話す。

僕は彼女かAk-2012の使用方法等のレクチャーを受けながらミラーの所へ赴いた。

 

 「アルチョムに2012か、役に立ちそうなものは無いな、手がかりくらいか。D6までの道のりが示されている。」

 

ミラーは話す

 

 「じゃあ、そこが目的地ってこと?」

 

ミラーに対して2012が話す。

 

 「そういう事だ準備はできているか?」

 

ミラーが言う

 

 「あぁ大丈夫だ」

僕が答える。

 

 「さて、状況はどうだ?ウルマン、準備万端か?」

 

呼ばれたウルマンは話す

 

 「薪なら万端です。」

 

ウルマンは答える。

 

 「よし、アルテミスは?」

 

呼ばれた隊長が答える

 

 「よし、準備OKじゃ」

 

それ聞いたミラーが

 

 「よし、出発だ」

 

そう言うと皆階段をおりて古い教会の地下道へと進む、どうやらメトロまでつなげているらしい、大型のまだ動く列車が置かれている。

 

 「よし、乗り込め!」

 

ミラーが指示すると皆で列車に乗り込む、暫くすると車体が揺れ動き始める。

 

 闇に包まれたトンネル、ガタつく車輪の音、鼻につく死の匂い。D6への旅はそんな中で始まったが、要約終点に近づいている気がした

 

 「地図によれば、D6に通じる道は複数ある。最も近いのはキエフスカヤ駅の近くにある施設を抜ける道だ…そのルートを使おう」

 

揺れる列車のなかミラーが今回の作戦を立てている

 

 「キエフスカヤ…?その駅の奇妙な噂を聞いたことがある」

 

 「トンネルで爆発があり、多くの人々が生き埋めになってしまった。噂では、彼らは生き延びたものの…もはや人間の姿を失っていたという。その後奇妙なものがトンネ」

 

僕は話を聞いていると頭痛に襲われるが直ぐに痛みは引く

 

 「デタラメだろう」 

 

気が付くと噂話は終わっていた。

 

それに気がついた瞬間また頭痛が僕を襲う

 

 「アルチョム?どうしたのアルチョム?みんなアルチョムの様子がおかしい!」

 

側にいた2012が僕の異変に気が付き叫んでいるが僕は倒れて意識を失う

 

 「アルチョム…」

 

僕は僕を呼ぶ声で目を覚ますが、そこは列車の上ではなく不思議なトンネルだった

 

 「歩け、信じて歩くのだ…」

 

僕を呼んだ声が響く

 

 「空、太陽を眺め、息を吸い…」

 

僕がトンネルを進むとトンネルは次第に緑に溢れ何処からか何かが鳴いているのが聞こえる。

 誰かが立っている…懐かしい感じがしたその人影は遠く離れていってしまい、再度僕の視界は真っ白に染まってしまう…

 

 「アルチョム!」

 

僕を呼ぶ2012の声が聞こえた

 

 「歩け」

 

しかしその声は再度遠くなりまた僕はトンネルに立っている

 

 「歩け」

 

声が響く中それに混じって僕を呼ぶ声が聞こえる

 

 「アルチョム!起きて!目を覚まして!」

 

声に気が付き振り返ると遠くに2012が立っているのが見えた。

 

 「アルチョム!アルチョム!」

 

僕を呼ぶ声に従いそちらへ進む…

 気が付くと僕は仲間に囲まれ介抱されていた。

 

 「アルチョム!起きなさい!目を覚まして!」

 

2012のの声が鮮明に聞こえる。

 

 「よし、意識を取り戻してきた…」

 

 「アルチョム…大丈夫か?立てるか?」

 

ミラーはそう言うと僕の手を取り立ち上がらせる。

 

 「アルチョム、一体どうした?」

 

ミラーが僕に尋ねるが僕は先程の夢?の事を纏められずにいると

 

 「もうすぐだ!エアロックがあるぞ!」

 

運転していた人が言う

 

 「よし、ここで止まれ」

 

ミラーが指示を出し、列車は速度を落とす

 

 「アルチョム…無理だけはしないでね」

 

2012は僕の肩を叩くとそう囁く

 

列車がエアロックの前で止まる

 

 「よし、アブザッツ、ゲートを調べるのじゃ」

 

アルテミスの体調がアブザッツに、ゲートを調べさせる

 

 「制御装置が粉々だよ!回線もぜーんぶ駄目切られてる!」

 

制御装置を調べたアブザッツが叫んでいる

 

 「よし、道具を用意しろ、アルチョムと2012それにあと何人かは後方を見張っててくれ」

 

機材を運び隔壁を開こうとしているようだ、僕は火炎放射器を手渡されそれを持ち列車の後ろを見張る

 

 「何かいるぞ!」

 

列車の後方から何かの鳴き声が響いている。

 

 「クソっノサリスだ!」 

 

兵士が叫ぶとミュータントの群れがこちらに押し寄せて来ている。

僕はトンネルに向かって火炎放射器を使い炎を撒き散らす。

ミュータントから肉の焼ける匂いがあたりに広がる

 

 「アノマリーだこっちに来てる!」

 

兵士が叫んだ先には光る物体がゆらゆらとこちらに近付いて来ている。

 

 「開いた!」

 

後ろで誰かが叫ぶと開いた隔壁の向こうへ列車を走らせる。

  

 「閉めろ!」

 

列車が入ると隔壁が急いで閉じられる。

閉じた隔壁の向こうで爆発音が響く…

 

 「やった…」

 

誰かの安堵の声が聞こえる…列車が止まり皆で降りる

 

 「よし、着いたなこれがD6につながる道だ…」

 

明かりが無く真っ暗なトンネルの中僕たちは遂にD6の入り口に立っていた…

 




次回D6

ようやくD6です。


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地下牢

犠牲者ゼロ人


 

 トンネルの喧騒もエアロックによって遮断された。この扉なら持ちこたえられる、そんな安心感があった。

 

 

 

 

 僕たちは扉を通り過ぎ、現状誰一人欠けることなく施設内へ入る。

 

 「よし、突破したな、速やかに終わらせよう。ウルマン、お前はアサルトチームの指揮を取れ。」

 

 ミラーの指示に続けてナガンが指示を出す。

 

 「74とアブザッツはこのお調子者の援護をするのじゃ」

 

 「よし、アルチョムと2012私から離れるな、残りのアルテミスはこちらの援護を頼む、よし始めるぞ!」

 

ミラーが作戦を立てた後ついにD6への侵入が開始される。

 

 「何故そんなに急ぐんです、大佐?腰を下ろして一服しましょうよ…みんな緊張しすぎですよ」

 

こんな環境にも関わらず『お調子者』ウルマンが軽口を言う

 

 「貧乏暇無しだ、知っての通りな!進め兵士たち!崇高な任務が待ってるぞ」

 

 「崇高な任務?歴史に名を残すことにあまり興味は無いんですが…」

 

 ウルマンはミラーの返答に対しても軽口を叩きつつ任務を遂行する。

 

 「見てください!誰かが残していった骨です!記念品に持ち帰りますか」

 

ウルマンのおふざけに影でアブザッツが笑っている。

 

 「ウルマン、冗談はいい加減にしろ!基地に戻ったら歯ブラシでトンネル掃除をしてもらうぞ!」

 

 「はい、指揮官ご命令とあらば!」

 

そんなやり取りを見て更に笑ってしまうアブザッツ

 

 「ほう、そんなに面白そうならお前も掃除に参加するかの?」

 

後ろからナガンに言われ顔を青くするアブザッツ

 

 「い、いいえ!面白くありません!」

 

必死になって『トンネル掃除』を拒否するアブザッツ

その様子で場の空気が多少ほぐれる。

 

 そうして通路を進むと巨大な金属隔壁が姿を表す。

 

 「よし、最初の難関だアルチョム、あのブレーカーのスイッチを入れろ」

 

ミラーの指示を受け僕はブレーカーを操作するも反応が無い

 

 「反応なしか、何処かに補助電源がある筈だ探せ」

 

 僕は補助電源を探し隣接する部屋へと入る。

 

 「アルチョム、あれじゃない?」

 

2012がいかにも発電機といった様子の機械を指す

 

 「あぁこれだ」

 

僕はそう言うと発電機の操作盤を動かすために手回し発電機を機械と繋ぎ電力を送る。

死んでいた機械のランプが点灯したことを確認し僕は発電機を始動させた。

モーターが回る音が響き部屋に明かりが灯る。

それを確認し、僕は再度隔壁のブレーカーを操作する。

今度は先程までとは違い金属が擦れる不快な音を立てながら隔壁が開いていく

 

 「よくやったぞアルチョム、勲章ものの働きだ」

 

ミラーは僕にそう言うとウルマンへ向きかえる

 

 「ウルマン、下水槽を調べろ」

 

 「へへっ行きたくありません、暗くて怖いですよ」

 

そう言いつつもウルマンを先頭に僕たちは奥へと入る

 

 「ブレーカーを上げろ」

 

指示を受け僕は更に奥の隔壁のブレーカーを上げる。

機械の作動音がした瞬間それに混じりミュータントの唸り声が響く

 

 「応戦だ!」

 

僕たちは隔壁が開くまで周囲を警戒する。

 

 「来たよ!」

 

その言葉を合図にダクトから飛び出してくるミュータントを攻撃する。

 

 「いやーここのところ戦えてとても楽しー!」

 

アブザッツはそんなことを口走りつつ飛びかかるミュータントをあっという間に肉塊へと変える。

 

 「あまり弾を使いすぎるなよ、先は長いんだぞ」  

 

74がアフザッツを諌めつつもミュータントの襲撃を捌く

 

 「空いたぞ!」

 

隔壁が開くと僕たちはそこを通り抜け先へと進む

 

 「まだ来るぞ!」

 

隔壁の先でも襲い来るミュータントを始末しながら進む

 

 「畳み掛けろどうせ二度は死ねん!」

 

ミラーもそう言いつつ手持ちの武器でミュータントの頭を吹き飛ばす。

 

 「よし、次を開けろ!」

 

僕は次の隔壁のブレーカーを上げる。

 

 「壊れてる…」

 

ブレーカーのストッパーがイカれておりずっとレバーを手で上げ続けなければならなくなっていた。

 

 「来るぞ!」

 

そんな事情も関係なくミュータントが襲いかかってくる。

 

 「早く開け!」

 

僕はそう言いつつ少しずつ開く隔壁を見ていると隔壁が開いた瞬間に隔壁の向こうからミュータントが這い出してくる。

 

 「クソ!」

 

ミュータントに悪態をつくも這い出して来たミュータントは僕を見つけ飛びかかる。

僕は鋭い牙で噛まれまいと必死でミュータントを抑える。

 

 「アルチョム!」

 

異変に気が付いた2012はこちらに駆け寄ると僕にのしかかっているミュータントを蹴り飛ばし頭を撃ち抜く

 

 「大丈夫?ケガは?」

 

2012は僕を心配し声をかける。

 

 

 「あぁ…ケガはないありがとう」

 

僕は礼を行った瞬間、2012に別のミュータントが飛びかかる。

 

 「この!離せ!」

 

2012は足を捕まれ奥へと引きずられていく

 

 「離せ!」

 

僕は自由になった手で2012を引きずるミュータントを撃つ

ミュータントは体中を撃たれ絶命する。

2012が少しふらつきながら立ち上がる。

 

 「良かった。」

 

僕は2012に駆け寄る

 

 「ありがとう、心配させたわね、もう大丈夫」

 

2012はそう言うと銃を構え直す。

 

 「危なかったな」

 

ミラーはそう言い2012を心配する。

 

 「えぇ、迷惑かけたわねもう大丈夫だから」

 

2012の無事を確認し僕たちは先へと進む

 

 「また隔壁かよ、何度も何度も邪魔だなぁ」

 

アブザッツが何度めかの隔壁に対して悪態をついている。

 

 「これは、電子制御か…厄介だな開けられるか?」  

 

ミラーは隔壁を確認するも今までとは違う仕組みになっているとこに気付く

 

 「開けられると思いますが…時間がかかりますよ」

 

ウルマンはミラーの問いに答える。

 

 「あまり時間は掛けられないが…仕方ないか…」

 

ミラーが言った瞬間2012が話す。

 

 「私がやるわ」

 

突然の発言に僕を含め全員が驚く  

 

 「出来るのか?」

 

ミラーが尋ねる

 

 「できる筈です…」

 

そう答えると2012は制御盤に近寄り手をかざす

 

 …………

 

数分たった頃に今までうんともすんとも言わなかった扉が開き始める。

 

 「やったな2012」

 

ミラーがそう言うも返事がない

 

 「2012?」

 

僕が2012の方を見ると2012が倒れ込むところであった。

 

 「2012!」

 

僕は駆け寄り2012を抱き起こす。

 

 「ごめんなさい、少し立ちくらんだだけよ…大丈夫…だから…」

 

そう言うも様子がおかしい

 

 「メンタルに負荷をかけすぎたのね…肩を貸すから少し休みなさい」

 

74がそう言い2012の肩を抱き立ち上がる。

 

 「ごめんなさい」

 

2012は弱々しく謝る。

 

 「謝ることないぞ、あの扉を開けたんだからなでも今後あまり無茶はするなよ」

 

74は2012にそう言うとミラーに前進するように言う

 

 「あぁ、進むぞ…だが2012が良くなるまでカバーし合うんだ」

 

 ミラーに言われ少しずつ奥へと進む

 

 「有毒ガスじゃ!」

 

ウルマンと前方で警戒していたナガンがガスに気が付き警告する。

 

 「よし、マスクを付けろ」

 

ミラーが指示し僕とウルマンはガスマスクを装着する。

 

 「よし、ウルマン先を偵察しろ」

 

ミラーが支持を出す。

 

 「へへっいつも面白い仕事ばかりやらされるなぁ」

 

相変わらず軽口を叩きながらも前進し辺りを見回す。

 

 「敵映なし!」

 

ウルマンは偵察結果を報告する。

 

 「よし、進むぞ」

 

ミラーが指示し僕たちは下層へと降りる。

 

 「ここからどうします?」

 

ウルマンがミラーに尋ねる。

 

 「先の通路しか道はないな静かに進むぞ」

 

そう言うも直ぐにミュータントの鳴き声が辺りに響く

 

 「見つかったか…2012を護れ陣形を組むんだ!」

 

ミラーの指示どおり2012と彼女を支えている74を守るように陣形を組む

 

 「来たぞ!」

 

少しして飛び出してくるミュータントに攻撃をする。

しかしミュータントの数は増していく

 

 「奴らを通すな!好きに撃て!」

 

ミラーが叫び僕たちはミュータントに向けて攻撃を続ける。

 

 「脱出するぞ!」

 

勢いが弱まった瞬間を狙いミラーは通路の奥へ進むように指示する。

通路を進み追手を倒す。

やがてミュータントの襲撃が収まり僕は血に濡れて視界が悪くなったマスクを拭う

 

 「これがD6へ繋がる扉だ!」 

 

 ミラーが言う

 

 「やっとか…」

 

僕はそう漏らす。

 

 「クソっこっち側の制御盤が壊れてやがる」

 

ウルマンはそう言うと装置を起動するが扉が全て開ききらない

 

 「よし、アルチョムこの隙間を通って向こうから扉を開けろ」

 

僕は指示に頷き少し空いた隔壁の隙間へと体を滑らせる。

 

 「よし、入った。」

 

僕が報告した瞬間隔壁が閉じてしまう

 

 「アルチョム!」

 

隔壁の向こうから2012の声が聞こえる。

 

 「大丈夫だ」

 

僕は返事をする。

 

 「機械が完全にイカれたこっちは別の道を探すそちらも先へ進み合流してくれ」

 

ミラーの新しい指示を受ける。

 

 「何だこれは…」

 

隔壁から向きかえるとそこは蜘蛛の巣やそれに包まれた謎の卵のようなもので埋め尽くされている。

 

 「ッ!?」

 

視界の端で何かが動く、そちらを見ると巨大な蜘蛛のような生き物がこちらに突進して来ている。

僕はその生き物に銃を撃つが弾かれる。

 

 「嘘だろ」

 

僕はそう言いながら蜘蛛に対峙するがライトの光を浴びた蜘蛛が突進をやめ後ずさる

 

 「光か」

 

僕はヤツは光に弱いということに気が付くとソイツにライトの光を当てる。

蜘蛛は光から逃れるように逃げていき姿を消す。

僕は蜘蛛をライトで避けつつ先へと進む、崩落したトンネルや配管を通り、蜘蛛を追い払うそうしてようやく明るい広間へ辿り着く

 

 「アルチョム!無事だったか」

 

明かりの下に仲間たちがいた。

 

 「良かった。アルチョム」

 

2012が安堵したように呟く、先程までより調子が少し良さそうに見える。

 

 「再会を喜んでいるところ悪いがトンネルからなにか聞こえてこないか?」

 

ウルマンがそう言い耳を澄ますとトンネルの奥から響いてくる音がきこえる。

皆トンネルの方に銃を向け警戒しているとトンネルの奥から乗り物らしきものがやってくる。

 

 「これはこれは、自動で動いてるのか…」

 

自動で動いている列車を見て全員が驚く、僕もそうだ今の今まで動き続けている戦前の列車を見たのはこれが初めてだった。

 

 「調べてみます。」

 

ウルマンはそう言うと列車を調べ始める

 

 「敵映なし」

 

 「他に道は無さそうだな」

 

列車を調べていると後ろから騒音が聞こえる。

 

 「しっかりとしたシートだ!」

 

アブザッツが列車のシートで寝転んだり飛び跳ねたりしている。

 

 「コラ!やめんか!壊れたらどうする!」

 

ナガンに怒られるまでがセットだ…

 

 ミラーが操作パネルを操作すると列車が動き始める。

 

 「少し休んだほうがいい」

 

74に言われ2012はシートに座る。

 

 「次の駅はD6か…」

 

ウルマンの呟きを聞きながら僕たちは列車に揺られていく…




実践で初めてハッキングした2012しかし負荷が重すぎてとても使えたものじゃない現状…


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D6

一回消しちゃってすごい焦った


 D6までもう少しのところまで来た。伝説の司令部を発見できたとは、信じがたいことだった。払った犠牲に見合う価値はあるのか? その答えはすぐにわかるはずだ…

 

 

 

 

 僕たちは戦前の『モノレール』と呼ばれていた列車に乗っている。

先人たちは何十年も整備の必要なく稼働するシステムや機械を組み上げていたのだ、この施設のお陰で僕たちは順調に目的地へと近づいている。

 

 「凄いな…」

 

僕は窓の外を流れていく鉄や岩そして人工物を眺めながら呟く

 

 「えぇとても凄いものよ」

 

2012が答えた。

 

 「きっとこのまま破壊されずに残ってたら後何十年…いや何百年もここにあるかもね…」

 

2012が感慨深そうに話す。

 

 「体はもう大丈夫なのか?」

 

僕は2012の体調を気遣う

 

 「えでもうしっかり休んだから平気よ」

 

2012は笑顔を持って答える。

 

 「ガスマスクだ!急げ!」

 

列車の行く先を偵察していた74が叫ぶ、その瞬間列車の前方からガスが社内に入ってくるのが見えた。

僕とミラーはガスマスクを着ける。

 暫くすると列車は速度を落としやがて止まる。

 

 「駅に着いたのか?」

 

 僕たちは列車から降り周囲を確認する。

駅の落下防止柵の下はガスのせいもあるだろうがライトの明かりが底に届かないほど深い

 

 「注意しろよ!20年もメンテナンスされてなきゃ、いくらソビエト軍施設と言えども危険だ!足元に気を付けろ!特にアルチョム!」

 

ミラーが皆に注意をする、特に注意しろと言われ少し複雑な気持ちを覚えつつ僕も指示に従う

 

 「ふむ、何もいないようだな。制御室は向こうにあるはずだ。ウルマン、アルテミスはここに残って援護してくれ…何があるか分からんからな、アルチョムと2012は一緒に来い」

 

ミラーの指示に全員肯定する。

 僕たちはミラーの後を着いていく、いつか通った操車場のような場所へと足を踏み入れていく、動いていない列車の中を通り抜けて僕たちはどんどんと奥へ進む

 

 「あぁ、まさにすべて私の想像通りだ。これらには何か感じるものがある…ソビエトの魂ってやつだ。お前らにはわからんだろうな…」

 

ミラーはこの操車場を見て感慨深そうに話している。

 

 「最上階に緊急用の空気清浄システムがあるようだ。このシステムは耐久性が高い…今でも動く可能性がある」

 

ミラーはそう言うと最上階を目指しはじめる、僕たちも後をついて行き周囲を警戒する。

 特に敵襲もなく制御室に到着する。

ミラーは制御盤を一瞥し操作し始める

 

 「ちょっとミラー大佐!どうしたの?」

 

階下からアブザッツの声が響く

 

 「役に立たん!クソッタレ!この機械どもを信用しすぎた!イチから修理しなきゃならんようだ」

 

 ミラーは制御装置が壊れていることに苛立ち、僕の方へと振り向く

 

 「アルチョム、補助起動装置がある。あの出っ張りから上の階へ登れ…着いたら次の指示を出す。」

 

僕は指示どおり更に上へと進む

 

 「アルチョーム!起動モーターが4つあるはずだ。探し出せ!」

 

階下でミラーが叫んでいる。

 僕は最上階へと辿り着く

 

 「アルチョ厶!まずはジェネレーターのカバーを全て外せ!」

 

指示に従い4つ全てのジェネレーターを露出させる。

 

 「次は指示したとおりに起動しろ!まずは…3番!」

 

指示どおりに3番を起動させる。

 

 「次だ!2番」

 

同じくこれも起動させる。

 

 「よし、次!1番」

 

これを起動させる。

 

 「最後だ!4番」

 

最後のジェネレータを起動すると周囲の電灯が灯る。

 

 「よし!戻ってこい」

 

僕はミラーの所へと戻る。

 制御室へ戻るとミラーが制御盤と格闘している所だった。

 

 「おつかれアルチョム」

 

2012が労いの言葉をかける

 

 「大佐はさっきからあんな調子よ」

 

2012がミラーを差す

 

 「どうして動かないんだ…」

 

ミラーは制御盤を操作しているが一向に動かない

 

 「クソッ…フン!」

怒ったミラーが制御盤を拳で叩きつける。

その瞬間制御装置が起動し始める

 

 「いいぞ!まるでソビエト連邦を描いたハリウッド映画だな!」

 

ミラーが自信満々にいう

機械が作動しガスが排出される。

 ミラーと階段を降り、下層へと降りるリフトへ乗り込む 

 

 「行くぞ!」

 

ミラーが言うと74はリフトを操作する。

リフトはゆっくりと下へ下へと降りていく…

 

 「下まで降りる手間が省けたねぇ…ん?下の方何かおかしくない?」

 

アブザッツが下層の異変に気が付く

リフトが止まるとミラーは即座に指示を出す

 

 「ウルマン、左へ行け!アルチョム、私を援護しろ!」

 

リフトを降りて僕たちは周囲を警戒する。

 

 「計画ではこの先に行かなければならないが…どうやってこの隔壁を開けるか…」

 

ミラーは行き先を阻む隔壁をどうやって開くかで難儀する。

 

 「これ何だ?」

 

アブザッツが放置されている乗り物に興味を示しいじっている。

 

 「あまり変なところ触るな!」

74がアブザッツを叱るがその瞬間乗り物のレバーを倒してしまう…勝手に動いた乗り物は隔壁に衝突し扉を開く

 

 「おぉ、よくやったな」

 

ミラーはそう言うと扉の先へと進む

ようやくD6へと立ち入り探索を進めるがこの先には何が待ち受けているのだろうか?

僕は好奇心と恐怖を抱えつつ扉の先へと進む…

 

 

 

 

 

 



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D6-2

一回保存せずに消して泣いた。


 僕たちはアブザッツの機転もあり、閉ざされた隔壁をこじ開け先へ進む、そこは沢山のモニターや端末が並んでいる部屋へと通じている。

 

 「ウルマン!扉を抑えてろ!」

 

 「端末か…心得のあるものはいるか?」

 

 

ミラーが指示する。

 

 「多少なら分かるわ」

 

2012が端末の操作に志願する。

 

 「大丈夫なのか?さっきはこれよりショボい端末でぶっ倒れたじゃないか」

 

ウルマンは2012の志願に苦言する。

 

 「さっきみたいなのはやらないわ…普通に操作するだけ」

 

2012が言う

 

 「わかった…端末を操作してくれ、基地のデータがあるかもしれない…」

 

ミラーは2012が端末を操作するように指示する。

 

 「ありがとう、やるわ」

 

2012は席に付きキーボードを操作する。

 

 「…インストラクションa124、ページ3…うーん…パネルDS-22…あぁそうか…」

 

2012は何かを呟きつつ端末を操作している。

 

 「良かった!2012に任せて正解だったみたいだ」

 

ミラーは先程までの不安が無かったかのように言う

 

 「動いたわ!さて、これがハードウェアね」

 

2012がそう言うと部屋の電気が灯る。

 

 「1番…消えた…」

 

 「2番…破壊された…」

 

 「3番…4番…5番…8番…10番…」

 

2012は次々と報告をするが殆どのデータは失われてしまっているようだ

 

 「そんなバカな!」

 

ミラーは厳しい現状に苛立つ

 

 「これよ!これで情報を全部…」

 

2012がそう言った瞬間部屋の明かりが消え警告音が響く

 

 「何が起こった!」

 

ミラーが怒鳴る

 

 「予備のバッテリーが切れたみたいじゃのう…」

 

ナガンが呟く

 

 「主電源はどうだ?」

 

ミラーが言う

 

 「どうやら…停止してるみたいよ、ここから起動はできないわ、最下層に行って手動で起動させるしかないみたい図を見る限りだと…そんなに難しくなさそうよほぼ全部自動化されてるわ」

 

2012が言う

 

 「どうやってそこまで降りる?」

 

ミラーが尋ねる。

 

 「下の階にエレベーターがあるわ…でも少し問題が動かすにはすべてのスイッチを切らなくちゃいけない緊急用の照明を含めて…」

 

2012が説明をする。

 

 「ならば他に選択肢はない、やれ!アルテミスはここでデータを見ていてくれ、すぐ戻る。アルチョム、2012ついてこい」

 

そう言うとミラーは来た道を戻りエレベーターを目指す。

僕たちは彼の跡を追い重い扉まで戻る。

 その瞬間暗闇から光る肉塊としか言いようのないモノが飛び出してくる。

 

 「何だコイツは?」

 

こちらに向かってくる肉塊を銃で撃つ、銃弾を叩き込まれた肉塊は震えると爆散する。

 

 「くそ!そう簡単にはいかんと分かっていたんだが!グズグズしてると奴らが来る。ウルマン!計画変更だ!お前はここを死守しろ何か起こったらアルチョムと2012を向かわせる!みんな幸運を!」

 

ミラーがそう言うとウルマンは扉付近に駆け寄り警戒を始める。

 

 「アルチョム!行くわよ!」

 

2012が言い、僕はミラーの後を追いリフトへ乗り込む、リフトは更に下の階へと降りていく…

 

 「クソっそこら中にへばり付いてやがる」

 

ミラーや僕の視線の先には先程襲ってきた肉塊のようなものが壁や天井、床を覆い尽くしている。

 

 「吐き気がするわね…」

 

2012はその光景を見て呟く、そうしているとリフトは下層に辿り着く

 

 「エレベーターはあっちだ、だが扉がロックされている迂回しよう」

 

ミラーはそう言うと肉塊に覆われた暗い通路へ進み始める。

通路には先程襲ってきた肉塊がおり僕たちに気付くと突進をしてくる。

これを撃退しつつ僕たちは奥へと進む、進むんでいるとどんどんガイガーカウンターがガリガリと鳴り響き始める。

 

 「よし、エレベーターだまだ動くといいが…」

 

僕たちは通路の突き当りで状態の比較的良いエレベーターを見つけ近寄る。

その瞬間D6内のスピーカーから女の声が響く。

 

 「ウハハハ!メトロの民たちよ!お前たちをずっと待っていた!我々はお前たちが見えない監視者と呼んでいる存在だ、お前たちの命運もそこまでだ!我々の怒りを思いし」

 

 『見えない監視者』が話しているとスピーカーから鈍い殴打の音がなる。

 

 「ア〜ブ〜ザッツ!お前というものは!誰の影響を受けたのかについては知っておるが、ふざけておる場合ではなかろうが!」

 

 「うわ〜!隊長が殴った!暴力反対!暴力反対!」

 

スピーカーの騒音が一通り止むと別の声が話し始める。

 

 「あ〜大佐申し訳ありません、スピーカーを起動させました。エレベーターの配電盤から信号を受信しました。スイッチを入れます…乗りましょう」

 

74がそう言うとエレベーターに光が灯る。

 

 「見えない監視者?こんな状況でよくそんなデタラメ信じられるものね」

 

2012は少し呆れた様子でエレベーターに乗り込む、ミラーが乗りこむとエレベーターの扉が閉まり下降を始める。

 

 「大佐、原子炉がある部屋へ向かってください。制御室の左、中央部にメインの原子炉があります。エレベーターで地表に降り、そこからは階段で登らないといけません。大きなレバーで制御装置を起動して下さい、そこからはまたこちらから指示をします。」

 

74はそう言うとスピーカー切る。

 

 「なんてこった!クソッタレ!!どうすりゃいいんだ!74に見えてればいいのに!!準備しろ、不味いことになるぞ!」

 

ミラーはエレベーターから見える地表を見ながら言う、そちらを見ると地表や目的の原子炉が肉塊に埋もれてしまっている、肉塊が無いところを探すのが難しい位だ!

 

 

 「酷いわね…」

 

2012も顔をしかめる

 

 「肉塊にガス…長居はできそうにないわね…」

 

エレベーターが開いた瞬間そう言いつつ2012が降りる。

降りてきた僕たちを狙い肉塊がこちらに突進をしてくる。

 

 「なぁ、今までいろんな場所で酷い目にあってきたが…コイツは桁外れだ」

 

ミラーがこの光景を見つつぼやく、僕たちは肉塊の海を通り原子炉の制御室へ辿り着く、ミラーは74に言われた通りレバーを探しこれを操作する。

 原子炉のシステムが起動する。

 

 「思った通りです。システムは自動化されています…コマンドを入力するだけで良さそう」

 

 「おいおい、簡単に言うんじゃない…こんな羽目になるとは考えてなかった。よし、『崩壊液原子炉』?なんてこった原子炉に崩壊液を使っていたとは…通りで…まぁ仕方ない1、2、3、4…操作は簡単だな、馬鹿でも使えるように造ったらしい、成功を祈っとけよ」

 

ミラーがそう言うと原子炉が起動し始める。

 

 「大佐!順調です…25%まで稼働、フルパワーになるまで続けてください」 

 

司令室でモニターしている74が言う

 

 「クソっ仕方ない、他に手がないんだ。行くぞ…2番のスイッチだ!」

 

ミラーはそう言うと2番のスイッチを入れる。

しかし2番は起動せず、肉塊から毒液が制御室に噴射される。

 

 「一体あれは何?反撃来てきてる!状況が悪くなる一方ね」

 

2012は肉塊を忌々しげに睨む

 

 「手動起動システム…だと?」

 

 ミラーはそう呟くと僕の方を見る。

 

 「アルチョム、耳を疑うと思うが、やってほしいことがある!天井のクレーンが見えるか?機械室に行け…捕捉機能を持つあの予備起動システムを使えばロッドを持ち上げられる筈だ、私たちが敵をひきつけてる間にあそこまでいけ!頼むぞ」

 

僕はミラーに頷く

 

 「アルチョム…気を付けてね」

 

2012が僕に言う

 

 「あぁ問題ないさ」

 

僕はそう返すとクレーンに向けて走る、背後で銃声が聞こえる音で惹きつけているらしい…原子炉に当たって壊れでもしたら一大事であることから最善かもしれない…

 僕はクレーンに辿り着き乗り込む、操作はとても簡単だ、僕は肉塊から飛んでくる毒液を掻い潜りロッドを引き上げていく、最後のロッドを引き上げたときクレーンはボロボロで火を吹いてる所もある有様であった。

 

 「アルチョム、戻ってこい!」

 

ミラーの叫びが聞こえる。

僕はクレーンを待機場所に入れ、急いで降り制御室へと戻る。

 

 「アルチョム!戻ったのね、怪我はない?」

 

2012が駆け寄り僕の心配をしている。

 

 「あぁ、怪我はないよ大丈夫」

 

僕が元気そうだと知ると安心した様子を見せる。

 

 「アルチョムよくやった、しかし来たときに使ったエレベーターが壊されてしまった…取り敢えず別の道を使う、あいつらの事は後で始末をつければいい、まずはダークワンを何とかするのが最優先だ」

 

ミラーはそう言うと制御室の閉まっていた扉をこじ開け奥へ進む、進んだ先には別のエレベーターがありこれに乗り込む

 

 「いい判断です。大佐!エレベーターは駅へ直結しています。現在、全措置が起動可能です。取りあえずはですが…合流地点に戻ってください」

 

74がスピーカーで話す。

僕たちは長いエレベーターを登り続けているとエレベーターの外に開けた空間が広がる。

 

 「見ろ、アルチョム、2012…我々の遺産…そして未来だ…ここにどれほどの力があるか!これがあれば我々は…再び地球を支配できる。ネズミのような生活とはおさらばだ」

 

ミラーの指す先には旧世界の戦車や装甲車などの兵器が並んでいる。

 

 「この兵器で空と地表を取り戻し、地中から這い出て、街を再建し、メトロに再び列車を走らせる。すべてを取り戻す…全てを…」

 

ミラーはD6の兵器を見て興奮している。

2012と僕はこの光景に絶句する、どれほどまでの力がここに蓄えられているのだろうか…ミラーの言うとおり地表へ戻るためにこの力が使われ、生き残った人々にはここの力が向けられないことを祈ってやまない…そんなことを思っているとエレベーターは目的に着く、通路を進み仲間と合流する。D6にはまだどんな秘密があるのだろうか…僕たちの捜索はまだまだ続く…




崩壊液原子炉は崩壊液で様々な『物』から燃料を取り出しそれを用いて発電する原子炉、使用後の核燃料も再利用できる事実上の永久機関(安全性と健康には目を瞑る)
肉塊くんは事実上のE.L.I.Dです


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地表へ

少し遅れました。すいません
この話はすごく短いです。


僕たちが乗り込んだエレベーターはやがて目的地に付き自動でその扉を開く

 

 「行くぞ」

 

ミラーはそう言うとエレベーターから降りる。

僕たちはその後を着いていく、通路は短くすぐに駅のホームへ着いた、ホームには仲間が皆集まっている。

 

 「教えてください大佐、ヒーローになるのは簡単ですか?」

 

 「ここでインタビューです!メトロを救う英雄方のお気持ちは?」

 

ミラーの姿を見るなりウルマンとアブザッツが軽口を言う

 

 「冗談はもうたくさんだ、お前の『弟子』も含めてな!あそこの連中を見てから冗談を言え!」

 

 ミラーは少し苛ついたように返す。

アブザッツは相変わらずといった様にナガンに頭を叩かれている。

 

 「…まあいい、本題に入ろうアルチョムと2012と私はオスタンキノに向かい、狙いを定める。」

 

 「ナガン、見込みはがあるかはわからんが仲間へ連絡を取り応援を頼み、合流してくれ」

 

ミラーはそう言うと地表へ向かうため列車に乗り込む、僕がつ続けて乗ろうとするとバルブに肩を叩かれる。

 

 「どうした?」

 

僕が訪ねるとバルブは床に置かれている装置を指差す。

脚が3本付いており上に四角い箱が乗っている様な形をしている。

 

 「おぉバルブ忘れとったわすまんの」

 

ナガンはそう言うと僕に装置を渡す。

 

 「アルチョム、それは私たちが見つけた誘導装置じゃダークワンの巣に攻撃するために必要になるゆえ壊すでないぞ」

 

僕は頷きナガンから誘導装置を受け取る。

 

 「それでは頑張れよ、グッドラックじゃ」

 

ナガンそう言うと僕と2012を列車へ乗り込ませる。

 列車に乗るとミラーが電車の設定を操作していた。

 

 「毎度のことだ…とんでもない目に遭って世界を救って、誰も気にかけなどしない」

 

独り言を言いつつ列車は進む…

 

 「アルチョム、やっとここまで来たわね」

 

2012は僕に話しかける。

 

 「あぁ長かった…」

 

僕はエキシビションへの襲撃から今までのことを思い出しながら答える。

 

 「やっとハンターの…メトロのを守れる。」  

 

彼女はそう言うと列車の進行方向の闇を見つめている。

 僕は渡された誘導装置を眺める。

 

 「こいつを設置すればダークワンを倒せるんだ…」

 

何故かここの何処かに引っかかりがあり、本当にそれでいいのか?といったことを考えるが僕は死んでいった仲間やメトロの人々を思い出しその思いを振り切る。

 

 

 

 

 

 ミラーと僕そして2012は、コロレフ・ホールを目指しトンネルを上がっていった。オスタンキノ・テレビ塔はもう近い。極寒の路上で他のレンジャーと合流した。物語の最初に登場した、あの血みどろの激戦を戦うために…




プロローグへ戻ります。
ようやくここまで来ましたね…


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テレビ塔

最初のは仕様です。
途中っていうかほとんど最後らへんまでプロローグと一緒です。
最後だけ文が変わってます。


トンネル内の気温が下がっていく、ミラーと僕、そしてAK2012は地表に近づきつつあった

 

 もうじき吹きすさぶ風の中へと出て、そこで待ち受けている悪夢と戦うことになるだろう

この長い旅もあと少しで終わる。だが僕に、最後まで見届けるだけの勇気が、残されているのだろうか?

 

 

 

 

 

 荒れ果てたメトロのはしごを軋ませながら地上へと登っていく、すぐ上からは地表で唸る吹雪の音が聞こえてくるようだ…

 

 「おい、アルチョム」

 

オーダーの指揮官であるミラー大佐から唐突に話しかけられる。

 

 「自分の(エキシビション)を出発した時、こんなところに行き着くなんて考えたか? 世界を救おうとしているのか、地獄に落とそうとしているのかも分からずに…?」

 

 僕は何も答えぬまま梯子を登っていく。最上段に辿り着き、今まで登ってきたはしごに振り返る

 

 「2012大丈夫か?」

 

そう言いかけた瞬間2012が手をかけたはしごを固定してたボルトが外れる。

 落ちそうになる2012の手を急いで掴む

 

 「掴んだぞ! ぐっ…うぅ」

 

見た目は小柄な女性とはいえ彼女は戦術人形(機械)、装備しているものの重さと彼女の全体重が一瞬僕の片腕にかかり苦悶の声が漏れる。僕は彼女を引き上げ、もはや奈落となった穴を見る。

 

 「ありがとう、助かったわ」

 

彼女はお礼を言うとすぐに今までの臨戦態勢へと戻る

 

 「ごめんなさい、早く東の前哨基地を抜けて地上に出ましょう、アルチョム」

 

 彼女の言葉の通り僕たちは歩を進める。

 旧世界の扉を開きかつて地下鉄の駅だったものに辿り着いた、僕とミラーは地表の放射能や崩壊液の影響を防ぐためにガスマスクを被らなくてはならない

 

 「もう少しだ、このコロレフ・ホールから塔は目と鼻の先だぞ」

 

 ミラーはあと少しだと言うが地表はメトロと違い全域が過酷かつ危険な環境だ、手に持つ銃の弾倉を確認しいつでも撃てる状態であることを確認する。

 最後の戦いだ、僕は、なけなしの軍用弾薬(通貨)を躊躇なく弾倉の中に放り込む

 

 「来るぞ!」

 

 「銃を構えて!」

 

 二人が叫んだ瞬間、地上にでてきた久し振りの餌を食らうべく3匹のハウラーが僕たちに飛びかかってくる、躱しきれず一匹の爪が僕の右腕に食い込む、痛みに耐えハウラーの脳天に弾丸をたたき込む、血を流し動かなくなったハウラーから視線を外すと二人も丁度始末を終えてこちらに駆け寄ってくる。

 

 「大丈夫か、アルチョム?」

 

 「怪我してるじゃない、早く応急処置しなさい」

 

心配をかけてしまっただろうか、僕は急いで救急パックの中に入っている注射器を負傷部位の近くに刺す。

鋭い痛みに一瞬顔を歪めるが、すぐに薬品が痛みを抑え出血を止める

 

 「心配をかけてすまない、行こうか」

 

僕は二人に伝えると

 

 「心配かけさせないでよね、昔から変わらないんだから」

 

 2012は冗談めかしながら僕を叱る。

 

 「アルチョム、手伝え引っ張るぞ」

 

 ミラーは長いこと放置されていたのであろうメトロのフェンスを指差した。

 

 「わかった」

 

 僕とミラーはフェンスを掴み引っ張る、すると錆びた金属特有の耳障りな騒音をたてながらフェンスが外れた。 

 

 「行くぞ!」

 

ミラーはいうと開けた出入り口に入っていく

 

 「さぁ行きましょう」

 

僕は、2012のあとを続き外に出る

 

 外に出るとそこには木々も車も何もかもが凍りつきまるで時間が止まってしまっているような風景が広がっていた、これが最終戦争が生み出した新しいロシアのありふれた風景だ

 

 「ここだ、アルチョム我々のコールだ…」

ミラーは無線機に話しかける 

 

 「応答願う…ウルマン、応答願う…どうぞ」

すぐに返答は帰ってきた

 

 「ハッキリ聞こえています…どうぞ」

 

 「塔に到着した、繰り返す塔に到着した…そちらも到着したか、どうぞ」

 

無線の会話が続く

 

 「はい、連絡を取りました、彼らは既に塔の近くにいます、どうぞ」

 

僕は会話を聞きながら空を見上げる、そこにはその塔がそびえ立っていた、取り残された旧世界の遺物、だが今はここに辿り着かなくてはならない、そう辿り着かなくてはならない

 

 「了解、塔の最上部に到着したらまた連絡する、その後、こちらの位置を確認してくれ…どうぞ」

 

無線を切ったミラーは僕と2012に

 

 「行くぞ、他の連中も来ているはずだ」

 

そう言うと足早に目的地へ向かう

 少し開けた広場に辿り着くと後方からホーンが鳴らされる、驚き思わず足を止めて振り返ると荷台に機関銃を備え付けたトラックがこちらに向かってきていた。

 トラックは僕たちの少し先に停車すると、車の中から一人の男と人形(ナガンリボルバー)が降りてくる

 

 「どうも、大佐」

 

 「待たせたのぅ」

 

握手し、一先ずの合流を喜ぶ

 

 「今の聞こえたか…ほら!ありゃなんだ…?」

 

トラックの銃座についていた兵士が遠くを見ながら言う

 僕は、遠くから響いてくる地響きを感じ警戒する。

 

 「陣形を整えろ!」

 

ミラーが命令をする

 皆で押し寄せてくるモノに対処をするためにトラックの周りで陣形を整える

 

 「慌てるな…なんだ?背後に気をつけろ」

 

ミラーの言葉の通り皆で全周囲をカバーする。この周りを無数の四足歩行のミュータントが走り回っている。

 ついにそのうちの一匹がこちらに気づき飛びかかってくる 

 

 「くそっ気張れ!」

 

ミラーの怒声が響くと周囲のミュータントに対して銃撃が加えられていく

 僕が銃の装填をしていると、ミュータントが飛びかかり体制が崩れ転んでしまう、ミュータントにナイフを突き立てる。

 兵士の一人が空を指差して叫ぶ

 

 「デーモンだ!!」

 

空を見ると塔の周囲を飛ぶ何かが見えた。

 なんとか後方へ下がるとデーモンと呼ばれたミュータントがトラックを引き倒し、トラックが横転していた。

 デーモンがこちらをめがけて飛んでくる、時間が遅くなるような感覚に陥るとともに視界が暗くなる感覚に襲われる。

 

 「ここまで来て…」

 

僕はそう漏らすが、僕は死ななかった。

 

 「アルチョム!」

 

2012は僕の前にたちデーモンを撃つ!

しかし勢いは収まらずデーモンは2012に衝突する。

2012は地面を何度か転がり、体を瓦礫にぶつけ止まった。

 

 「2012!」

 

僕は急いで立ち上がると2012に駆け寄る。

 

 「大丈夫か?」

 

僕は彼女の肩を抱き尋ねる。

 

 「えぇ…大丈…夫よ」

 

弱々しく答える彼女の顔は何処からか人工血液が漏れたのか赤く染まっており、左目はデーモンに引き裂かれてしまっている。

 

 「アルチョム!大丈夫か?」

 

ミラーは倒れこんだ僕たちを見つけ駆け寄る。

 

 「2012!」

 

ミラーは2012の惨状を見ると大声で助けを呼ぶ

 

 「アルテミス!居るんだろ!こっちに来い!」

 

ミラーが怒鳴ると暫くして74が現れる。

 

 「大佐!敵の攻撃が止みました!前進を!」

 

74はミラーに言う。

 

 「わかってる!それより負傷者を救護しろ!2012を後方へ下げさせろ!」

 

ミラーが指示すると74は頷き2012の肩を支えると後方へと消えていく

 

 「アル…チョム!」

 

2012は抱えられながら声を出す。

 

 「あまりエネルギーを無駄にするな!」

 

74は2012を諌めるが2012は続ける。

 

 「絶対に…戻ってきなさい…よ…待ってる…から…」

 

2012はそう答えると限界を迎えたのか目を閉じる。

 

 「2012!」

 

僕は大声を出す。

 

 「心配はないよ今はねエネルギー消費を抑えるためにフリーズしたのさこっちで手当てするから早く行きなさい!」

 

74に言われ僕は頷きミラーを見る。

 

 「言われただろ!行くぞ!アルチョム一瞬たりとも止まるな!」

 

ミラーが駆け出し、僕はその後を付いていく全てを終わらせるために…




次回かそのまた次回…METRO2033最終回予定


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最終決戦

塔へ侵入


 

 僕は、僕を庇い倒れた2012…いや今までの旅の中で倒れていった人々のためにもここで立ち止まる訳には行かない…ミラーの後を追い荒廃したモスクワの地表を走る。

 

 「アルチョム!来るぞ!」

 

ミラーが叫ぶと瓦礫からミュータントが飛び出す。

 

 「まだいやがるのか」

 

僕とミラーはミュータントに対して攻撃をするが数が多く中々減らない

 

 「クソッ!邪魔をするな!」

 

悪態をつきながら飛びかかってくるミュータントに弾丸を撃ち込み殺す。

 

 「きりがない!」

 

押し寄せてくるミュータントを殺し続けるもその波は収まることがない…一匹のミュータントが死角から飛びかかる。

 しかしミュータントは頭を撃ち抜かれ死ぬ

 

 「…!?」

 

僕は突然死んだミュータントに困惑するも銃撃の方向を見て納得する。

 

 「応援に来たぞ!」

 

2012を後方へ下げたのであろう74が叫ぶ

 

 「待たせたのじゃ」

 

ナガンは自身の銃を指揮棒の用に振り隊員に指示を出している。

バルブは安心したような顔で銃へ新たな弾を薬室に送り込む、どうやら先程ミュータントを狙撃したのは彼女のようだ。

 彼女らはこちらに駆け寄ると前へ出る。

 

 「ミラー後はこちらに任せて先に行くのじゃ!」

 

ナガンはそう言うとミュータントへ攻撃を始める。

 

 「アルチョムも早く行きな!ヒャッハー!かかってこい!相手になってやる!」

 

アブザッツもここぞとばかりにミュータントの群れへ散弾の嵐を叩き込む

 

 「アルチョム!任せて行くぞ!」

 

ミラーは僕を呼びテレビ塔へと走り、僕もそれに続く

 

 「行くぞ!ゴーゴーゴー!」

 

時折現れるミュータントを蜂の巣にしつつ先へ進む、先ほどまでは遠かったテレビ塔が目前に迫る。

 

 「よし!入った!」

 

僕たちはついにテレビ塔の中へ入る。

 

 「上に通じる道を探すぞ!」

 

ミラーの言うとおり僕はあたりを調べる。

テレビ塔は他と変わらず酷く荒廃している…崩壊したエレベーターの中へ入る。

 

 「よし、考えがあるエレベーターの天井裏へ上がれ、カウンターウェイトのストッパーを外してみるぞ」

 

そう言ってミラーはエレベーターの装置を外し始める。

 

 「ウォーーー!!!!」

 

物凄い叫びを上げながら装置を外す。

『カチン』という音と共にエレベーターが急上昇する。

 

 「どんなもんだ!」

 

ミラーは得意げに言う、エレベーターは怖いくらいの速度で上昇を続ける。

 

 「準備はいいか?少々手荒くなるぞ」

 

ミラーはそう言うと身構える、僕も身構えるがエレベーターが高速でストッパーに衝突し僕は外へ投げ出される。

 僕が目を開けるとそこは空の上だった…あと1歩外へ歩けば地上へ向けて真っ逆さまに落ちるような場所だ。

 

 「大丈夫か?アルチョム?」

 

ミラーに聞かれ僕は平気だと答える。

 

 「ウルマン聞こえるか?我々は塔内部だこれから上へ向かう以上」

 

聞こえているかはわからないが無線を入れ、僕たちは上を目指す。

 全てを終わらせるために…




次回…最終回


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終末

人類は勝利を手にしたのか…それとも…


 ミラーは無線を終えると僕の方を見やる

 

 「それじゃあアルチョム、お前を上に上げる方法を考えなくては」

 

そう言いつつ辺りに使えそうな物がないか軽く一瞥しながら話す。

 ところがミラーは突然塔の外を見ると大声を出す。

 

 「クソッデーモンだ隠れろ!」

 

ミラーが叫ぶと同時に僕の目の前をデーモンが飛び、空中で僕の方を見るとこちらへ向かってくる。

僕は登って来たエレベーターの中へ逃げる。

デーモンはエレベーターの入り口に向かうが自身の体躯ではエレベーターに入ることができないということを知るなりその手をこちらに伸ばし僕を掴もうとする。

しかし手はギリギリの所で僕に手は届かず僕を掴むことができないと気付くなり僕に吠えると何処かへ飛び立っていく…

 

 「助かった…」

 

僕はエレベーターの隅で固まりつつ呟く

 

 「いなくなったぞ!今のうちに上がる方法を見つけろ!」

 

やり過ごすやいなやミラーが僕に向けて指示を出している。

怖いが目的を達成しなければならないという義務に駆られ僕はエレベーターの外へ出る。

強い風が僕にふきつけているも僕は塔の奥へと続く道を見つけそこへ飛び込む

 その瞬間今まで僕がいた場所にデーモンが飛び付く…どうやら空中で僕が出てくる所を待ってたらしい

 

 「クソ、死ねよ!」

 

デーモンに悪態を付きつつも僕は奥へと進む、崩れた通路を進み今にも崩れてしまいそうな瓦礫をよじ登り上へと向かう、登りきった瞬間にデーモンが僕を背後から突き飛ばす。

 

 「ウグッ!」

 

僕は塔の内部へと吹き飛ばされ、デーモンが僕にトドメを刺すべく近寄ってくる。

 

 「こっちだクソ野郎!」

 

ミラーがデーモンを撃ち注意を惹きつけてくれている。

デーモンは唸り声を上げミラーへと突進する。

 

 「ウグァ!」

 

ミラーはデーモンに突き飛ばされ塔の機であったものに体を強く打ち付け倒れる。

 

 「今だ…アルチョムやれ!」

 

ミラーの言葉を聞き僕はありったけの軍用弾薬をデーモンの頭に撃つ

 

 「空飛ぶクソッタレめ!さっさと死ね!」

 

弾倉が空になる頃には流石のデーモンとはいえ正規の弾薬を40発近く頭に撃ち込まれた事により力尽き倒れる。

僕はデーモンが死んだことを確認すると突き飛ばされたミラーのところへ向かう

 

 「よくやった…アルチョム」

 

ミラーは僕にそう言うと無線機を取り出す。

 

 「応答せよ…ウルマン。たった今、アルチョムがデーモンを撃退…した。これからてっぺんを…目指す。」

 

 無線で返すとすぐさま返信が入る。

 

 「応答せよ!大丈夫ですか?何があったんです?」

 

無線はミラーの体調を気にかけている。

 

 「ウルマン…私は負傷した。上へはアルチョムが行く…今後はアルチョムと連絡を取れ。どうぞ」

 

 ミラーは無線で話す。

 

 「わかりました…大佐、どうぞ…」

 

ウルマンは察したのかそう答えると無線を切る。

ミラーは僕の方を見ながら話す。

 

 「手酷くやられたな…アルチョム無線で…言ったから聞こえたと思うがここからは…一人で上へ…行け…ここじゃ…レーザーは役に立たん、…アルチョム…雲が厚すぎる…できるだけ上まで登り、誘導システムをセットしてくれ…進め!…全てはお前にかかってる…」

ミラーに言われ僕は倒れる大佐を置いて

上へと登る梯子が崩れ落ちそうになるが必死に堪え上へと登るうちに音が消え辺りが一層暗くなった感覚を覚える。

 

 「彼はここに」「我らの声が聞こえる」

 

誰かの声が頭の中を木霊している。

遠くからまた別の声も聞こえる。

 

 「聞こえるか!アルチョム!応答しろ!」

 

僕はダークワンの声を感じ、奇妙な感覚に陥っていた。

他の誰かの思考が僕の頭の中で響いている様だ…しかしアルチョム今までは仲間が2012が側に居たが今はいない…誰も助けてはくれない…人類の運命は僕の手に委ねられている。

 僕は崩れた通路を這い進み上へ上へと登り続ける。

 

 「なぜ彼らはここに?」

 

 「彼らは死を運んできた…」

 

突然頭の中に大きく響く声が聞こえたかと思うと僕は不思議な空間にいた。

暗闇の奥からダークワンが僕に歩いてくる。

  

 「アルチョム聞こえるか?応答しろ!」

 

ウルマンの声で僕は現実に戻される。

 

 「あぁ聞こえている。もう少しでてっぺんだ」

 

僕は無線にそう返すと最後の梯子を登りきり塔のてっぺんへと辿り着く、僕は塔の端でナガンから預かった誘導装置を組み立て始める。

ようやくこれで全てが終わる…僕はそう思

 

いながら装置を設置し起動する。

 

 「アルチョム、信号は完璧だあと1分持ちこたえろ、やれるぞ」

 

無線の声を聞きつつ待っているとまた気がつくと別の世界に僕はいた。

 

 「なぜだ…?」

 

 「彼は許されざる者…」

 

ダークワンが僕を指さしながら言う

 

 「人はいつもそう…」

 

突然目の前が明るくなる。

遠くで大きな爆発が起きており、あたりには人間の死体が転がっている。

 

 「人は変わらない…」

 

 「お前を止める…」

 

僕は気がつくと塔の縁に立ち今にも落ちそうになっていたが意識がまた飛ばされてしまう。

 

 「彼を止めろ…」

 

僕は迷宮を彷徨っていた、ダークワンの追跡を逃れつつ迷宮を逃げ回る

 

 「我らを倒しに来た…」

 

 「彼は許されざる者…」

 

ダークワンの声が頭の中を絶えず響いている。

 

 「アルチョム!」

 

誰かの声が聞こえる。

僕を呼んでいる。

 僕は声のする方へと走った

 

 「急げ!」

 

声の方へと向かうが辿り着く前に床が消え僕は落ちる。

地面に叩きつけられることは無いが別世界の別の場面へ移り変わる。

 

 「降伏せよ…」

 

後を追いかけてくるダークワンから逃れるために僕はダークワンとは別の方向へ走る。

絶えず流れてくる言葉が頭の中をかき乱す。

僕は逃げつつも余りの苦しみに悶え倒れてしまう、倒れている僕の側に誰かが立っている。

 

 「誰だ?」

 

僕は『彼』の方を見ると彼は無言で僕に銃を渡す。

 

 「敵なら…殺せ」

 

『彼』はそう言うと光の中へと消えていく…

僕は手に持つ銃を構える。

 

 「彼を止めろ…」

 

僕は、こちらへ向かってくるダークワンへ銃を向け引き金を引いた…

 

 「すべて…死ぬ」

 

 「何故だ…答えは…⁉」

 

そう言うとダークワンは倒れ、僕も倒れる。

 気が付くと塔の上で倒れていた。

 

 『まいた種は刈らねばならん、アルチョム。武力は武力を呼び、戦いは戦いを生み、死は死しかもたらさない、この悪循環を断つには、考えや疑いを持たずにただ行動するだけでは駄目だ』

 

 

 「誘導完了まであと20秒」

 

無機質な音声が聞こえ、そちらを見ると血を流しながら倒れ苦しむダークワンがそこにいた

 

 「誘導完了まであと10秒」

 

音声が聞こえ、ダークワンは必死に手を伸ばし装置を止めようとしているように見えるが、手は届かず力尽きる。

 

 「5」

 

 「4」

 

 「3」

 

 「2」

 

 「1」

 

 「誘導完了」

 

機会音声は無機質に誘導完了を伝える。

僕はダークワンの巣に撃ち込まれる瞬間を見ていた。

僕は巣が炎に焼き払われる瞬間を見つつ取り返しのつかない事をしてしまったのでは無いかと言う気持ちに襲われる。

 

 「アルチョム!やったのね!」

 

無線から2012の声が聞こえる。

 

 「あぁ…終わったよ…何もかも」

 

僕はそう答えると炎に包まれるダークワンの巣を眺めていた。

 

 

 

 

               METRO dolls 2033 完




2033編終了になります。 
ラストライト編も近々やりたいと思ってるのでよろしくお願いします。


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LAST LIGHT
序章


お侍じゃない戦いをしたり、エンティティと戯れたりリアルで引っ越しがあったりしてかなり遅れました。


 

 事の始まりを尋ねられると僕は決まって

  「みんなで外に行った日」

だったと答える。

 みんなというのは、僕と友人二人のことだ最初に外に行こうと言い出して仲間を誘ったのは誰だっただろう?

僕はいつも覚えていないと答える。

 それは暴かれることのない嘘だ真実を突き止める術はない…一緒に行った二人はすでに死んでいる、きしみを上げながらゆっくりと開いた巨大なエアロックの扉はミュータントにとってはメトロへの入り口、我々にとっては地獄の入り口となった。

 もしかしたらもっと昔に始まったのかもしれない、地下鉄に乗って植物園に行こうと母さんが言ったあの日…

短いエスカレーターに乗って地表にでて目に飛び込んできたガラスのパビリオンや緑に覆われた景色に興奮したのを覚えている。

 果てしない空には小さな雲が流れ、優しく涼やかな風が頬を撫でた。

 母さんがアイスクリームを買ってくれて…アイスクリームを食べたのはあれが最後だ、あの日人類に審判が下された、善人も悪人も平等に地獄の業火によって裁かれた。

 我々は神の怒りから逃れてメトロに身を潜めた、そしてどうやら神は我々など探し出す程の価値もないと考えたようだった、そして神はどこかに消えたあるいは死んだのかもしれない、荒廃して見捨てられた星に残った我々は行くあてもないままに…今も生き続けている。

 どうでもいいことは幾らでも覚えているのに僕は一番大切なことをどうしても思い出すことができない、母さんの顔だ…母さんは戦争が勃発してすぐに亡くなった…あの植物園の日の記憶だけが唯一の思い出だ、母さんの顔を思い出したいとどれだけ強く願ったことか!

僕を見つめる目優しくささやく声、もし思い出すことができるならこの魂を差し出しても構わない…母さん

 

 

 

 

 

 

 

 僕たちは、あの戦いを戦い抜いた後、D6発見の功績やダークワンの殲滅の功績を買われオーダーの一員となった。

 今ではトンネルの警備や探索色々な仕事をして暮らしている、2012とは暫く会っていない気がする…

 そのようなことを考えつつ隣に座り共に焚き火を囲む兵士たちと会話をする。

 

 「そうだな…戦争が始まる前俺は近くに住んでた。あの時列車に乗っていたんだ、家族に連絡を取ろうとしたが通じなかった…」

 

他愛もない会話を続けているとトンネルに仕掛けていた鳴子が音を立てる、音に反応した僕たちは音のする方を向く

 

 「あああああ!!!!死にたくない!!」

 

トンネルの向こうから誰かの絶叫が木霊し、声がした方のトンネルの明かりが消える。

 

 「何が起こった…クソッ!」

 

トンネルの暗闇から現れるのは黒い人影…何体もいる

 

 「一体何が起こってる!!!」

 

誰かが叫ぶ、その瞬間突然目の前に現れた怪物を見て僕は驚く

 

 「ダークワン!何故…」

 

そう呟いた瞬間ダークワンは消え、気が付くと僕は周囲をミュータントに囲まれていることに気付く

 

 「うわぁぁぁ!!!」

 

僕は驚きのままミュータントに向けて手に持っていた銃を乱射する。

 

 「ぐわぁ!」

 

銃弾を受けたミュータントは仰け反るとその姿を今まで隣で会話をしていた兵士へと変える…僕がその光景に唖然とした瞬間…横腹に飛び込んできたミュータントに押し倒され、ミュータントはその鋭い牙を僕に突き立てようとする。

 僕はミュータントの顔を左手で抑えつつ右手に持つナイフをミュータントの横顔に突き立てた…その瞬間またしてもミュータントは兵士へと姿を変える。

 血を流し僕の周囲に倒れている兵士たち…僕は血溜まりの中に膝を付き自身の血に染まった手を見る…誰かが僕の前に立っている…顔を上げたその瞬間、黒く大きいそして因縁深いあの生き物が僕の肩を掴んだ。

 

 

 

 「アルチョム!起きろ!アルチョム!私だ、カーンだ!」

 

気が付くと僕はD6の基地のベッドにおりカーンに起こされていた。

 

 「悪い夢を見たのか?あんなことの後では無理もない」

 

僕は冷や汗を拭いカーンの方を見やる。

 

 「聞いてくれ…凄いニュースだ植物園の近くで生存しているダークワンを一人発見した!私はすぐに君を探した、彼らが接触しようとしていたのは君だったからだ…あぁ彼らにミサイルを発射する前の話だが…」

 

カーンの話を驚きを持って聞いているとウルマンが僕に話しかけるカーンを見つけ怒鳴り始める。

 

 「カーン!どうやってここに?早く出ていけ!」

 

 「あぁウルマンすまんな…ダークワンが生存しているなら意思の疎通を試みることが不可欠だアルチョム、ミラーへの報告義務がある分かっている、だが彼を説得して任務を許可してもらわねばならない」

 

カーンの長話に痺れを切らしたウルマンは再度カーンを怒鳴りつける。

 

 「カーン!出て行けといっただろ!ここは秘密基地だ!お前の来るところじゃない!」

 

そう言い放つと僕に向きかえる

 

 「ミラー大佐に会わせてやる、来いアルチョム」

 

ミラーの話しが終わるとカーンが再度話しかける

 

 「準備をしておけアルチョム、先で待ってる」

 

そう言うとカーンはウルマンに連れられて部屋を出る。

それを見届け僕は机の上にある装備を取り部屋をあとにした。




ドルフロ要素ゼロw


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