▼ スーパーマサラ人に転生した… (ユフたんマン)
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マサラ人の門出

俺は死んだ。死因は思い出せない。しかし既に死んだということは何というのだろうか…感覚…?なんかそんな感じで理解出来る。いや、自分でも何を言ってるかわからんな…

まぁいい、今俺は何もない真っ暗な場所に立っている、いや、浮いている…と言えばいいのだろうか。まず俺の足がない。それに腕、そもそも体がない。しかし触覚以外の五感は正常に働いている。一体ここはどこなのだろうか。まさか地獄か?しかし俺は現代の聖徳太子(自称)と呼ばれた聖人君子だ。だから多分ここは天国なのだろう。

 

『そんなに自分に自信がある人間は初めて見たわい…』

 

俺の頭に老人のようなしゃがれた声が響く。

うわっ!?なんか気持ち悪ッ!!

 

『ファミチキください』

 

こ、こいつ直接脳内に…!?

 

『茶番はここまでにしておくわい。さて、自己紹介するかのう…ワシは君たち人間がいう神様、というやつじゃな。そしてここは死と生の狭間の世界じゃ』

 

目の前にいかにもなThe・神という風貌をした、やけに背後から後光を放っている老人が現れた。

死と生の狭間?じゃあやっぱり俺は死んだ…のか?そんでこれから俺は生前の行いが良かったからその褒美としてチート能力とかもらって転生するやつだろ?俺知ってる。そういう本結構読んでたから。

 

『……はぁ、生前行い云々は置いといてじゃな、それ以外のことは大体あっているわい…お主には何処かの世界に転生してもらう。因みにこれは既に決定しておるからの。それを覆すことは無理じゃと思っておいて欲しい』

 

強制転移とかいうやつか。もしかしてアンタってテンプレよろしくミスって俺が死んだんじゃないのか?

 

『ちちち、違うわいッ!!!別に上司に見つかったら昇進の話が無くなるから気付かれる前に転生させてやろうとかそんなこと一切考えてないわいッ!!』

 

わ〜…本音が駄々漏れだ〜…まぁ別に前世に未練とかないしな。別にこれはこれで…いや、あったな…俺ってばまだ卒業してないじゃん!童貞卒業してないじゃん!!一体全体どうしてくれんだこのクソジジイッ!!

 

『うるさいわい!ようやく本性を見せたな!?このマダオめッ!!仕事に就かず家でダラダラと惰眠を貪っていたお主には仕事の責任は分からんだろうなあ!!そんなお主はさっさとワシの昇進のために転生するんじゃよッ!!ハリー!ハリー!!』

 

クッッッッソジジイがァァァアアア!!!!じゃあ超強力な特典寄越せや!!神殺しの力寄越せ!!テメーをその力でぶっっっっ殺してやるッッ!!!

 

『残念〜〜!!!神殺しの力は候補に含まれてませ〜ん!!!お主のような者にはまあまあチートな特典をランダムで授けてやるッ!!精々早死にしんことじゃな!!!はーーーーーはっはっはっは!!!!!』

 

次第に体は白い光に覆われていく。転生が始まったのだろう。

おのれおのれおのれおのれッーーーーーーー!!!!この恨みッ!!いつか晴らしてやるッ!!

 

『キャンキャンと負け犬の遠吠えはうるさいのお!さっさと逝ってしまえ!!このマダオめがッ!!』 

 

その瞬間、クソジジイの背後にもう1人の老人が現れた。目の前にいるクソジジイと違うのは、鬱陶しいくらいに眩しい後光を放っていないということだ。

 

『何をしているのかね?』

 

『ぶっ…部長!!?』

 

『眩しい、OFFにしなさい』

 

『は、はい!すみません!今消します!』

 

部長が現れるとクソジジイの今までの態度が急変し、ポケットから取り出したスイッチで後光の光を消す。というか消せるんだあれ…

 

『ところでこの人間はなんだ?なになに…安村 聡(やすむらさとし)…はて?今日の転生する人間にはこのような人間はいなかったようだが…一体これはどういうことだね?』

 

『いや…これは…そのですねッ…』

 

俺の視界もかなりボヤけてきた。そろそろ転生するのだろう。最後に…最後に…俺の人生を無茶苦茶にしやがったクソジジイに最後の仕返しだ!!

 

部長ォォオオ!!!!!そいつ!!俺を手違いで殺してそのミスの証拠を隠滅しようとしてますよォォオオ!!!あと部長のこと天辺ハゲって言ってましたよぉ!!

 

『貴様ァァァアアア!!!!このマダオがァァァアアア!!!冤罪をつけるなァァァッ!!』

 

『後で話がある。2人でじっくりと話し合おうじゃないか…!』

 

『も、申し訳ございませんでしたァァァアアア!!!!』

 

 

ザマァねーなこのクソジジイ!!慌てふためき狼狽まくるクソジジイを見ながら一頻り笑った直後、俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

「という夢を見たのさ」

 

「馬鹿じゃねーの?」

 

その言葉と同時に目の前にいるウサミミ少女は俺に向かい何度も何度も蹴りを放つ。それを軽く弾きながら俺は物思いに耽るのであった。

蹴りを弾きながらで悪いが自己紹介しておこう。俺の名前は真新(マサラ)サトシ。突然だが俺には前世の記憶がある。気付いたら赤子だったってパターンだ。因みに上記にある話は捏造である。実際は神様等と会ったこともない。名前で分かった人はいるかもしれないが、俺は特殊能力を持っている。いや、この言い方は相応しくないな…この世界の人間の殆どが“個性”と呼ばれる特殊能力を持っているのだ。

そう、この世界は僕のヒーローアカデミアという漫画の世界だ。オールマイトがテレビで出てきた時に確信したね。しかしオールマイトはまだ全盛期のようだ。ということは原作より前の世界に転生したのだろう。敵連合が出てくるのも俺が大人になってからかな?

 

よし、話を戻そう。俺の個性は【超マサラ人】だ。それ以上でも以下でもない。いや、3歳ぐらいの時から30Kgを軽々と持ち上げられた時から名前的にもそうではないのか…と疑問に思ってたんだ。どんなに高熱を出しても薬を飲めばすぐ直る。怪我しても少し見ない間に完治していたりと超マサラ人の片鱗を見せていたんだ。それに顔立ちだ。鏡を見るとそこにはアニポケのサトシを少し幼くしたような俺の顔が…

これで確定である。

 

「隙あり!!」

 

蹴りを続けていたウサミミが生えている少女の隙をつき、背後に回り込み脇に手を差し込む。

 

▼ サトシの くすぐる 攻撃!!

 

「ウヒャヒャヒャヒャヒャッッ!!!」

 

▼ 効果は抜群だ!!

 

俺がまだ小学生でなければ完璧に事案である。小学生でこそ許される女子へのボディータッチ。因みに俺はロリコンではない。断じて違う!

因みに俺は6歳、今年の春から小学校に入学した。そしてこのウサミミ少女の名は兎山ルミ。白い髪に兎の耳がある褐色肌の女の子だ。家が隣ということもあり、一緒に戦闘訓練ごっこをする幼馴染みというやつだ。好物は人参で、ポリポリと人参を口に頬張る彼女はめっちゃかわいい。因みに俺はロリコンではない。

 

「ヒーッ、ヒーッ…!!せけーぞサトシ!!男なら正々堂々と戦えこの弱虫!!」

 

「はははッ!!どんな手段を使おうが最終的に勝てばよかろうなのだァァアア!!」

 

「ヒーロー志望の奴のセリフかそれ…どう聞いても悪役のそれじゃねーか」 

 

そう、俺はこの世界でヒーローを目指している。別にオールマイトに憧れたわけではない。いや、オールマイト格好いいと思うよ?けど俺の場合は周りがヒーローになりたいって騒がしいから俺も便乗しているだけだ。特別なりたいって思っているわけではない。チートのマサラ人で無双したいなんて思っていない。

そしてルミもその1人で、将来強いヴィランと戦うために鍛えておきたいのだとか。俺はご近所付き合いでだ。決してルミとイチャイチャしたいなんて俺は思っていない。ロリコンじゃないからな。俺は紳士なんだ。

 

「クッソ…もう一回だサトシ!今度は正々堂々と戦えよな!」  

 

「ああ!バトルしようぜ!!」テンテテーン♪

 

「どうした急に」

 

「言ってみたくなっただけ」

 

 

 

「「ハァ!!」」

 

「やじるしになって!!“マサラジェット”!!」

 

ルミの鋭い蹴りが放たれた瞬間、俺の足から光線を放ち宙へ浮かぶ。体にスレスレだったが、ルミの足が空を切り、僅かに隙を晒してしまう。その隙に右手でルミの胸ぐらを掴み、左手でルミの右手を掴む。そして、俺の右足を地につけルミの両足の間に入れ、腕を思いっきり左にスイングする。

するとルミはバランスを崩し、尻餅をついて転ぶ。フッ…簡単な作業だぜ…

 

「ッ〜〜!!!なんなんだよその変なビーム!!サトシの個性は身体を強化するのだろ!!どうなってんだよその個性!!」

 

「そんなこと俺が知るか!!」

 

本当になんなのだろうかこの身体は…そのうちマナフィの映画のやつみたいにアクアジェット的な奴が出来るのではないだろうか…

なんか怖いな…

 

「そろそろ帰えろーぜ。母さん達がケーキ作って待ってるぜ。たしか人参のパウンドケーキも「帰ろ!!」お、おう」

 

突然顔が至近距離に…ドキッとしちゃった…ロリコンじゃないのに…

 

あと俺が赤子の時に美人な母さんされたことはなんか凄かった…赤ちゃんプレイってあんなんだったんだな…

性癖曲がっちゃうよ…

 

 



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ヴィラン

遂にミルコの戦いが見れると思ったらヒロアカ今週やってなくて泣いた


俺、真新家の長男のサトシ。夢は出来るだけ有名なヒーローになって金を稼ぐこと!

 

そんな俺が今いるのは小学校だ。簡単で退屈な授業を聞きながら俺は惰眠を貪る。といっても目を開けながら寝ているので先生には気づかれていないだろう。この技は少し前にちょっと練習したらできた。この身体は神秘に満ち溢れてるな。よくわからん…

 

そんなこんなで授業も終わりルミと一緒に帰宅する。そして2人で日が暮れるまで遊び親に叱られる。そんないつもと変わらない日常。

そんな日々を懐かしく思いながらも過ごしていく。前の世界ではここまで楽しく学校へ通えただろうか…いや…楽しんでたな…幼いっていいなぁ…

 

自室の窓を開くとそこはルミの自室の窓だ。ラノベによくありそうな配置。俺は幸せ者だ。あんな美少女の幼馴染みに生まれるなんて…

転生最高!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた時期もありました…

 

四年生になる頃、親の仕事の事情で引っ越すことになった。引越し先は今いる町からかなり離れているため、ルミとはいつ会えるかわからない。これから会えないかもしれない…

そうルミに言ったら「アホか、連絡したらいい話だろ!」っと一蹴されてしまった。確かにそうだな…失念していた…

 

「それじゃあな…またいつか…!」

 

「…ああ!次会う時はゼッテーてめーを負かしてやる!!せいぜい訓練を怠らないことだな!」

 

別れの挨拶を済ませ車に乗り込む。この町に戻ってくるのも随分と後になるだろう。引越し先は鹿児島県、気軽に遊びに来れない距離だ。

車にエンジンがかかり走り出した。窓から上半身を乗り出し手を振る。俺の超マサラ人の異常な眼は離れて小さくなったルミの顔を鮮明に写していた。

涙を浮かべながらも満面の笑顔で俺を送り出すルミ… 目尻が熱くなってきた…喪失感が身体を駆け巡る。何か大きなピースが抜け落ちたかのように…

 

「サトシ…」

 

母さんが俺を抱きしめる。思わず泣いてしまった。大声で…この世界で自分から、心から泣いたのは初めてだった。それほどまでにルミの存在は自分の中で大きかったのだ。

 

 

 

俺たち真新家は町を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

というわけで来ました鹿児島!いい場所だなぁ〜!水がうまいし飯もうまい!!温泉も気持ちいい!学校でもよくしてもらっているしいい所だここは!

ここで知り合った二つ上の西屋森児先輩には本当にお世話になった。ここに来たばかりにおすすめの店を教えてもらったり組み手とかもしてもらった。

それまではルミとしかしてこなかったが、ルミの個性はバリバリの肉弾戦型だ。そして西屋先輩は身体そのものを樹に変え、トリッキーな戦い方をするので非常にいい経験になった。彼は幼少期に壮大な体験をしてきたらしい。彼がそれについて余り触れないので俺もそこは触れない。

 

そして今は中学2年、人間の人生の中で最も馬鹿になる年だとか言われる年だ。銀○玉で言ってた。まぁ同じクラスではそんな奴は1人ぐらいしかいないが…

先輩は無事、天下の雄英高校へと進学し、ヒーローになるために日々努力している。

 

因みにこの四年間、ルミとは会えていない。といっても連絡自体はほぼ毎日している。彼女ももう中学2年生、そろそろ色気が出始めるころだ。あとあそこも…

正直言って美少女すぎるので電話をするのが日々の楽しみになっていると言っても過言ではない。彼女は最近サイクリングにハマっているらしく、明日もサイクリングに出かけるそうだ。趣味の塊だな…サッカーに水泳、マラソンに筋トレ…そしてサイクリングか。

 

「ところでルミは進学どうするんだ?」

 

『まだ決まってねえ。本当は雄英高校に行くって言いてぇんだけどな…』

 

「そっか…ルミはオツムが弱いもんな…」

 

『うるせぇ!!けどやっぱサトシは雄英か!?いいなー!!』

 

「だろだろ!?これで俺がプロヒーローになったら雄英高校卒業生って肩書きで有名になってやるぜ!」

 

『そんな下心丸出しで受かるとは到底思えねーけどな』 

 

「まあ最高峰の高校だしな…そこまでトントン拍子で受かって有名になれるとは思ってないぜ。雄英高校ヒーロー科を卒業したからって人気ヒーローになれるとは限らないからな」

 

雄英高校、そこは前の世界でいう東大のようなものだ。入れれば将来は安泰と言われるほどで、現役のオールマイトやエンデヴァーも通っていたほどの高校だ。倍率は他の高校とは比べものにならないほどに高い。原作で主人公達が通う高校だ。そんは高校に俺は進学しようと思っている。他の高校と違って体育祭という世界に顔を晒せる機会が幾度となくある。うまくいけば学生の内に有名になることも出来るだろう。既に西屋先輩は体育祭で優勝し、様々なヒーロー、メディアから多大な注目を受けている。

 

『どっちが人気ヒーローになれるか勝負してんの忘れてねーだろな?』

 

「勿論。絶対勝つからな」

 

『こっちのセリフだっての。んじゃ、そろそろ寝るわ』

 

「おう、おやすみ」

 

電話を切り、夜食の残りのおにぎりを口内に詰め込み、エナジードリンクを飲もうと冷蔵庫を開ける。

 

「あれ?ないな。昨日は一本余ってたんだけどな…」

 

やはり夜中に勉強するならエナジードリンクは必需品だ。超マサラ人は睡魔に弱いのだ。二百円をポケットに入れて家を出る。親にバレるとめんどくさいのでこっそりと…

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

近くのコンビニでエナジードリンクを買ったサトシは、家に帰る途中にチンピラに絡まれていた。現在深夜1時、こんな奴らがいてもおかしくないだろう。

サトシが軽く殴りかかってくるチンピラ達をあしらっていると、突然1人のチンピラが吹き飛ばされ、呆然とするサトシ達の前に筋骨隆々な肉体を持ち、やけに攻撃的な笑みを浮かべた大男が現れた。

 

サトシは吹き飛ばされたチンピラを見る。吹き飛ばされ、ビルの壁に岩盤を作り上げたチンピラはどう見ても致死量の血を流している。

 

「ひ、人殺しッ!!」

 

「に…逃げろ…!!ヴィランだァッ!!」

 

仲間が殺されたチンピラ達は大声を出し、悲鳴を上げながら逃げるが大男が超スピードで追いつき、頭部を破壊する。

大男はチンピラ達の死体を放り、サトシの方へ振り返る。

 

「お前…強えな…名前は!?」

 

「…真新サトシ」

 

「そうか!俺はマスキュラー!お前、今の動き目で追えてたな!!いいぜ!そういうの!!久々に滾ってきた!!こいつら雑魚みてぇに真新…お前の血を見せろ!!」

 

マスキュラーの身体から筋繊維のようなものが現れ、右腕に纏わり付く。次の瞬間、サトシとの距離を一瞬で詰め、その剛腕で襲いかかる。

サトシはそれを咄嗟に左手でガードするが、グキャッと嫌な音が鳴り響く。

そのままマスキュラーに吹き飛ばされ、後ろのゴミ置き場に突っ込む。

 

「ハッ!!どうした!!そんなもんか!?今の感触!!確実に手応えがあったぜ!!どうする?泣いて許しを乞うか?尻尾を巻いて逃げ出すか?どっちもさせねえ!!俺はお前を“殺す”!!」

 

その時、サトシはゴミ置き場から飛び出し、渾身の一撃を叩き込む。しかし…

 

「いい攻撃だ…しかしやるなあ!」

 

マスキュラーの増幅した筋繊維の肉壁に阻まれサトシの拳は届かない。

 

「さあ…真新!血を見せろッ!!」

「うるさい!」

「ガッ…!!?」

 

左腕で無防備だったマスキュラーの頬に拳を叩き込む。完全に意識外からの攻撃だったため、一瞬意識が飛ぶが再び持ち直す。

 

「ぐッ…!!さっき左腕は確実に使いもんにならなくなったはずだ!!どうなってやがる!?まさかそれがお前の個性か!?」

 

「よく話す奴だ…」

 

ふらついたマスキュラーの足を払い、転ばせてから首を掴み押し倒す。掴む場所は首の頸動脈。ここでマスキュラーを絞め落とそうとサトシは力を込める。

 

「いいぜェ…最高だァ…コイツァ…血の見甲斐があるってもんだッ!!」

 

そう言いながら嗤うマスキュラーに悪寒を感じたサトシはマスキュラーから飛び退く。それと同時にマスキュラーの全身に大量の筋繊維が纏わり付き、体表が筋繊維に覆われていく。

 

「そろそろ本気…出すぜ…!!遊びは終わりだ!!精々楽しませてくれよ…なァッ!!」

 

先程までとは比べものにならない疾さと威力。腕をクロスに組んでガードするが、背後にあるビルを突き破り大通りへと出る。  

道路のど真ん中に着地し、飛ばされてきた方向を睨みつける。

周りから悲鳴やらが飛んでいるがサトシには聞こえない。聞く余裕がない。それほどまでにマスキュラーの力は強大だ。

 

「ハッハハ!!!今ので無傷か!!いいな!!昂ってきた!!!」

 

サトシが貫いたビルの穴から身体を覗かせるマスキュラー。その顔は狂気の笑みを浮かべている。

今、サトシは恐怖を感じていない。ある意味サトシはマスキュラーと同じ部類に入るだろう。

 

(なんかわくわくしてきた…!!)

 

そう、彼は戦闘狂だ。自分では気付いていないが、強敵との戦い…それはサトシに大きい刺激を与えた。

 

「ハハッ!!いい顔になってきたじゃねぇか!!」

 

サトシは自分の顔を触り、マスキュラーの言葉の意味を理解した。自分は嗤っている、と。

 

「そんじゃま…そろそろ血ィィィィィ見せろ!!!!!!」

 

マスキュラーの腕は先程までの倍以上の大きさに膨れ上がり、サトシに襲いかかる。ここでサトシが避ければ街に多大な被害を与えることになり、最悪二次災害で死者が出るかもしれない。しかしサトシちは始めから避ける、逃げるの選択肢はない。

 

サトシの選択したものは…

 

 

「なん…だとッ!!?」

「さっき遊びは終わりって言ってたよな?それは俺のセリフだ!」

 

サトシが選択したのは受け止める(・・・・・)。右手だけで増強されたマスキュラーの一撃を受け止めたのだ。驚愕の表情を浮かべているマスキュラーの拳をそのまま握り潰し、アスファルトに叩きつける。

 

「グフゥ…ッ!?」

 

そのまま追撃を仕掛けるが、マスキュラーはサトシが握っていた筋繊維だけをちぎり拘束から逃れることに成功し、サトシから必死に距離を取る。

 

「どうした?マスキュラーさんよぉ!こいよ!来なよ!!もっとバトルしようぜ!!」

「ハッ!!舐めやがって…!」

 

 

マスキュラーは足に、重点的に個性を使用する。筋繊維の巻き過ぎで太くなっていた足は、より慎重に、精巧に増強した為に、筋繊維は引き締まり量が増えたのにも関わらず、動きを阻害しない程の太さに仕上がっている。

 

「こんなに俺がマジになるのは久しぶりだぜ!楽しい…楽しいぞ!!追い込まれてからの極限の殺し合い(バトル)…!!上半身の方は下半身に重点的にしちまったせいで筋繊維の密度は甘めになっちまったが…!!今持てる全ての技術と力でお前を殺す!!」

 

上半身は甘いと言っているが、それでも先程までとは違い、筋繊維の量が増えたにもスレンダーな体型になっている。

 

「ハァッ!!」

 

マスキュラーは先程よりも疾く、より強い一撃を繰り出してくる。それをサトシは難なくパンチで相殺する。正面からの突破は不可能と考えたマスキュラーはサトシの理不尽なほどの力に疾さで対抗する。

 

「そらそらそらそらァア!!!」

 

四方八方から打撃の雨がサトシに襲いかかる。前後から、背後から、上空から、その全てをサトシは相殺、回避、いなして捌いていく。

超マサラ人の動体視力は雷撃をも回避出来るほどのものであり、サトシは高速で動くマスキュラーを目で追えているのだが、追えて対応出来るだけでその疾さで動けるわけではない。せいぜい全開で走るトラックぐらいの速度しか出せない。

そのため自分からマスキュラーを攻撃することも出来ず、迎撃狙いで行くしかない状況に持ち込まれている。

 

「そらよッ!!」

 

マスキュラーが背後に周り、接近したのを察知したサトシは振り返り迎撃の態勢に入る。しかしそれはマスキュラーではなかった。

 

接近していたのは恐怖に顔を歪めて泣いている金髪の少女だった。

大きさからして小学生くらいで、服装からして何処かから観光にでも来ていて逃げ遅れたのだろう。

 

「クッソ…!!」

 

サトシは少女を軽く受け止め、すぐに走れ!と叫ぶ。

 

「甘ぇな!!」

 

その隙をマスキュラーは見逃さず、サトシの腹部を、下から持ち上げるように蹴り上げる。

 

「グッ…!!」

 

そして上空に放り出されたサトシをマスキュラーは跳躍で追い越し、剛腕を振りかぶる。

 

「潰れろォォオオ!!!!」

 

マスキュラーの腕には更に大量の筋繊維が絡み付き、その大きさはまるでロードローラーのようだ。それはサトシに襲いかかり、体全体を筋繊維が包み込み、威力が爆発する。

 

まるで強力な磁石同士が反発したかのようにサトシは弾き飛ばされ、アスファルトを砕き、深く陥没し大穴を開ける。その穴は深く、底が見えないほどだ。

周りで見ていた野次馬達は死んだだろうとサトシの命を諦め、ヒーローはまだ来ないのかと悲鳴を上げながらその場を離れる。

 

しかしマスキュラーは違った。手応えはあったが、この程度でサトシが死ぬ男ではないと、戦ったマスキュラーにはわかっていた。

大穴の中にいる見えぬ強敵を今か今かと待ち続ける。タイムリミットは雑魚(ヒーロー)が到着するまでだ。強敵との殺し合いに第三者の横槍が一番白けるというものだ。

 

「助けてくれたお兄さん!!頑張れーー!!!」

 

先程助けられた少女は姿を現さないサトシに声援を送る。

 

「うっせーなァガキが…」

 

マスキュラーが少女に気を取られたその瞬間、大穴を覗き込んでいたマスキュラーの足元が崩壊する。

 

「ウオッ!!?来たか!!」

 

大穴からキラリッと白い輝きが瞬き、白い光線を足から放ち飛翔してくるサトシの姿が見えた。

 

「その態勢なら…!!避けれまい!!!」

 

「面白えッ!!」

 

足場が崩され、宙に浮かされた状態のため、回避行動がとれない。そしてパワーでは確実にサトシに劣っているのは明確だ。その中でマスキュラーが選んだ行動は防御だ。攻撃に全て使っていた筋繊維を防御に回し、今取れる最大の防御態勢!!

 

「原作リスペクトだ…!!SMAァァァァァァァァアアSH!!!!!」

 

サトシの拳とマスキュラーの肉壁が衝突する。そのままマスキュラーの肉壁は勢いでビルに叩きつけられ貫通し、口から血が溢れだすが、背後のクッションとなる筋繊維を出す余裕などない。

サトシの光線は更に強く輝き、出力が上昇する。

 

「うおぉぉおぉおぉおぉおおおおッッッッッッ!!!!!」

「グオォォォォォォオオオオオォォッッッッッ!!!!!」

 

様々な建物を貫通し、暗くなり静かになった商店街へと舞台は移る。

 

そして地面に叩きつけられ、ミシミシッとマスキュラーの筋繊維が悲鳴を上げる。幾度と無く建物に叩きつけられたため、マスキュラーは既に満身創痍だ。

 

「ウーーーーーッ!!ハーーーーーーッ!!!」

 

サトシの拳は肉壁を遂に貫き…本体のマスキュラーに到達する。マスキュラーは薄れ行く意識の中で、必死に回避する。しかし直撃は避けられたものの左眼を潰され、頭には大きな傷を負ってしまった。

 

「そこまでだヴィラン!!」

 

商店街にようやく現れたヒーローにサトシがそちらに気を取られた瞬間、マスキュラーはサトシを払い落とし距離を置く。

 

「チッ…邪魔が入りやがったか…まぁいい。楽しかったぜ…!!またバトろうな(殺し合おうな)…!!名は覚えた…真新サトシ…!!」

 

マスキュラーは僅かな余力を振り絞りその場から離脱した。

 

サトシもヒーローやら警察に捕まると面倒くさいことになりそうなので、全力でその場から離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、マスキュラーは負った傷を癒す為に活動を一時辞め、傷が癒えた後もサトシとの戦いに勝つ為に修行を続けた。

 

 

 

 

 

 

「そういえばあんな奴原作でいたな!」

 

そう帰ってから気づくサトシであった。



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入学

ようやくだ。遂にここまで来た!

 

今俺がいるのは雄英高校の校門前だ。その巨大な雄英高校前には同じように校門を潜り抜ける若人達の姿が。

そう、今日は待ちに待った雄英高校一般入試の日だ。それを受けるために鹿児島県からはるばるやって来たのだ。

 

そんな原作の舞台となる雄英の敷地に足を踏み入れ、雄英の教師に筆記試験会場に案内され、自分の席に着く。どうやら席は同じ中学で固められるようだ。現に前の席には顔見知りがいた。

 

「よう、シゲル」

 

「やあやあサトシくん!遅かったじゃあないか!俺はもう既に模試の準備は完了してるぜ?」

 

コイツの名は大木戸(おおきど)シゲルだ。皆さんご存知、アニメでも出てきたオーキド・シゲルの容姿をした誰かだ。いや、知り合いだけども。

鹿児島でコイツと出会ったが当時の性格がめんどくさかった。キザったらしくて最近剣盾でよく見るギャラドスのような自信過剰、まあ悪い奴ではなかったがめんどくさかった。最近は落ち着いてきていて、あの頃を黒歴史と宣うのでよくそのネタでからかっている。

どうやらコイツはゲームのグリーンと性格が混じっているように感じる。アニポケのシゲルが「ボンジュール」とか「バイビー」って言うか?

 

まあコレはどうでもいい。1番驚いたのが大木戸幸成の存在だ。まさか彼までこの世界にいるとは…この世界でのオーキド博士は『個性とネズミや猫などの動物との関係性』をテーマに研究しているらしい。

雄英の校長先生が実験動物にされそうで怖いんだが…

 

その後も、シゲルと雑談していると教師が教室に入室し、遂に入試が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

なるほど、簡単じゃないな…

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

筆記試験が終わり、次は実技試験だ。間に昼休憩が挟まり、昼休憩が終わる頃には受験生全員が説明会場に集まっていた。

内容は原作と同じように、会場敷地内にいるロボヴィランを倒していけばいいらしい。なるほど、簡単だな!しっかりとお邪魔ヴィランこと0Pヴィランも存在しているらしい。

 

説明が終わるとバスに乗ってそれぞれの試験会場へ。実技試験は同校とは離されるらしい。シゲルは違う会場に行ってしまった。

 

 

『スタート!!!』

 

 

こちらも原作と同じだ。唐突に試験は始まり多くの受験生が固まる。その間に事前に知っていた俺は市街地に向かい駆け出す。

そこからは作業だ。ヴィランは目に入る限り破壊し、ピンチになっている受験生を助けたりしていた。ヴィランの装甲は脆く、全て一撃で粉砕する。というか脆くなかったら試験的に駄目だよな。

最後に出てきた巨大ヴィランもワンパン。土手っ腹に風穴を開けておいた。修理費ってどのくらいなんだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

モニタールームで受験の全工程が終了した後、試験の映像を見ていた教師達は全員驚愕していた。

 

「ミサイル直撃したのに無傷だ!!というかあの服どうなってんだ!」

 

「なんなんだこの子は!?あの0Pヴィランを一撃で粉砕したぞ!!」

 

「…それ以前にも前年よりも強固にした仮想敵が苦戦させることもなく屠られている」

 

画面に映し出されたのは、嗤いながら0Pヴィランを撃破したサトシだった。一見戦いを楽しんでいて周りを見てなさそうに見えるが、見た目とは裏腹に周りで窮地に陥った受験生達を助けている。

 

「彼の個性は一体………『超マサラ人』…?なんだこの子供が考えそうなふざけた名前は…」

 

「ドレドレ……タシカニフザケタ個性ノ名前デスガ、コノ個性ノ能力モフザケテイマスネ……正ニ子供ノ思イツイタ『僕ノ考タ最強ノ個性』」

 

サトシの個性の詳細の欄には超パワーが出せる。体は頑丈になり車に轢かれても無傷。高速で移動出来る。空を飛べるetc…

 

「これ…診察した先生大変だったでしょうね…」

 

教師陣は同時に頷き、苦労しただろう医者に同情の念を送る。

 

「さて、ヴィランPは68P…レスキューPは35P…合計103Pで恐らく…間違いなく今年の主席さ!」

 

合計103P、コレは今までの雄英高校の最高記録を上回る。天下の雄英でこのポイントだ。下手すればそこらのプロなど手も足も出ずに負けてしまうだろう。実際は殆どのプロヒーローが彼を止められない…

 

彼に対抗出来るのはNo. 1ヒーローオールマイトなどのサトシよりも力が上の者、18禁ヒーローミッドナイトのようなデバフ系のヒーローくらいだろう。

というより力においてサトシを上回っている者はオールマイトしかいないわけだが…

 

 

「では次はこの---」

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

あっという間だったが雄英高校の受験は終わり、結果は合格。主席だとさ。楽勝だぜ(実技のみ)

そういわけで雄英高校の近辺のアパートを借り、引越し業者さんからダンボールが届いたので開封して部屋作りに勤しんでいる。

 

あ、そうそう。ルミも雄英程ではないけどかなりの名門のヒーロー科に受かったらしい。幼馴染みとして鼻が高いぜ!

後ついでにシゲルも受かったらしい。まぁ受かるとは思っていたが…なんか腹立つ。

 

部屋作りも超マサラ人の前にはあっという間に終わり、生まれ変わったアパートの一室で豆茶を飲む。美味しいなぁ…

 

明日は入学式だ。主席が新入生代表として教壇に立つらしいが、それは筆記試験の方の主席がするらしい。俺のテストの点数が聞きたい?え!?そんなの雄英高校にあったっけ?覚えてないな…

 

まぁそんなわけでまだ9時ですが寝ます。超マサラ人は朝に弱いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

おはよーございまーす!

雄英高校ヒーロー科、A組の教室にやって来ましたサトシです。ドアを開けると生徒はチラホラと。黒板に書かれた席に向かうと、お隣さんが急に立ち上がった。

 

「ねぇねぇ!君もA組だよね!?僕は地転 転知(ちてん てんち)!!君の名前は?」

 

ピンク色の長髪を後ろで雑に束ねた中性的な顔立ちをした少年に俺は顔は引きつってしまった。なんだコイツは…普通初対面でここまでグイグイくるか!?というかA組の教室にいるんだからA組に決まってるだろう…

 

「お、俺は真新サトシ。これからよろしく…」

 

「真新サトシ…じゃあサートンだね!僕のことは転ちゃんって呼んでいーよ!」

 

少し話しただけでわかった。こいつ馬鹿だ。何回かこんな奴に出会ったことがあるので確信出来る。教室にまた生徒が入ってくるとじゃあねとだけ言ってそちらの方へ駆け寄っていった。

 

「なんなんだアイツ…」

 

「災難だったっすね…転知とは同中なんすけど…アイツ理性蒸発してんで諦めて欲しいっす。っと、俺の名前は雷撃 静動(らいげき せいどう)!よろしくっす真新くん!!」

 

黄色の髪の毛が静電気で引っ張られているようなチャラそうな少年に声をかけられた。どうやら地転と同中のようだ。…しかし理性蒸発してる癖によく合格したな…不思議だ…

 

「あぁ、よろしく雷撃」

 

そう彼に返すと、あっ…と口を押さえて頭を下げてくる。

 

「す、すいません…!!急に馴れ馴れしくしちゃって!!嫌だったっすよね?中学の頃から友達にいきなり馴れ馴れしくすんじゃねぇって怒鳴られてたんすけど…つい…本当にすみません…」

 

急にブツブツと暗い雰囲気になっていく雷撃。俺的にはその態度の急変を辞めてほしい…

 

「いや、別にいいぜ。気にしてないし」

 

「…本当か?」

 

「ホントホント…」

 

そんなやり取りをしているとチャイムが鳴り、教室に禍々しいフェイスマスクをした男が入ってきた。ふと周りの席を見ると全員集まっている。ということは彼が先生なのだろう。

 

「我ハ君ラ1年A組ヲ受ケ持ツコトニナッタ『エクトプラズム』ダ。イキナリデ悪イガ体育館ニ移動シテモラウ。地転転知。新入生代表ノ演説ハ考テキタカ?」

 

「もっちろん!!しっかりと徹夜して考えたよ先生!」

 

お前が筆記の主席かよォォォォオオオオオ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

地転転知はアホだが馬鹿ではないことが証明されてしまった。アイツに負けるとかマジで悔しい。因みにシゲルも同じクラスだ。アイツはアイツで女子と話していたので放っておいた。コミュ力高いよなホント…羨ましい…

 

アホの割にしっかりと練られた演説をされ、アイツの頭が良いってことに納得してしまった。精神的ショック。そうして無事に入学式は終わり、教室でプリントをもらい解散となり、雷撃とシゲル、そしてシゲルと帰ろうとしていた金髪ショートヘアの、片目が隠れているメカクレ属性の美少女と一緒に帰ることになった。

 

「私は竜間龍子。この前の入試の時は貴方凄かったわ」

 

「お、おう…よろしく…真新サトシだ…何処かであったけ?」

 

「直接じゃないけどね。あの0Pヴィランをぶっ壊した時はかっこよかったわよ!ズガーンッて!!」

 

どうやら彼女は俺と同じ試験会場にいたらしい。しかしこんな美少女がいたら少しでも目に入っているはずだが……はて?

 

「あの時会場で大きなドラゴンを見なかった?」

 

そこで試験会場の一角で大暴れしていたドラゴンを思い出す。腕を振り落とすだけで数体を破壊していたドラゴンを。

 

「あのドラゴンか?」

 

「正解よ」

 

なるほど…そういえば胸があったな…言ったら殺されそうだが…

 

「俺は雷撃静動!よろしくっす!」

 

「俺は大木戸シゲルだ。よろしく頼むよ」

 

今日知り合った異性と下校ってシゲルはすごいな…やっぱり小学生の時にチアガールが取り巻きにいたからか?あれシゲルの個性で作られた物って大木戸博士に聞いたんだが…そう思ったら悲しい奴だなコイツ。

 

「ん?なんだいサトシくん。その哀れむような目線は…!!」

 

「いや、小学生の時の取り巻きを思い出してな。あれシゲルの個性だったろ?」

 

顔を伏せたシゲルの耳が真っ赤になっていく。それはまるで黒歴史を友達の前で親が口を滑らした時のように…ふと思い出しただけの言葉を言っただけだが、面白そうなので雷撃と竜間にヒソヒソと打ち合わせをし、シゲルをもっと煽る。

 

「この俺様が世界で一番!強いってことなんだよ!」

 

「サートシく〜ん…」

 

「ん?」

 

シゲルの周りに砂の粒子が地面から舞い上がっていく。凄く嫌な予感がする。

 

「吐いた唾は飲み込めぬって言葉知ってるか?」

 

「知ってる。逃げるぞ雷撃、竜間!!じゃあシゲル…「「バイビー!」」」

 

「サァアトォォシィィイ!!!!」

 

シゲルの周りには武装したいつぞやのチアガールズが…

 

「「「逃げろォッ!!」」」

 

ワーワー言いながら逃げる俺たちを鬼の形相で追いかけるシゲル。

青春してるなぁ…

 

こういうのってやっぱいいな…

 




今更ながら人物紹介


・真新サトシ    
男 《超マサラ人》
今作の主人公。原作は朧げながら覚えている模様。頭は中の下ぐらいでそこそこ。



・兎山ルミ
女 《兎》
後のミルコ。男勝りな性格。サトシの幼馴染み。



・西屋森児
男 《樹林》
後のシンリンカムイ。サトシが引越し先で出会った先輩。今では雄英でブイブイ言わせている。



・マスキュラー
男 《筋肉増強》
筋骨隆々な肉体に、常に攻撃的な笑みを浮かべている大男。通称「血狂い」
饒舌でプライドが高く、サトシに完敗したので猛烈特訓中。ウォーターホースの死は免れたのだった。



・大木戸シゲル
男 《ゴーレム》
ポケモンのシゲルとグリーンが混ざった存在。キザで自信過剰と、少年期は悪い所だけが混ざっていた。ボンジュールやバイビーは黒歴史。
アニメでいたチアガールズは今作では自分を持ち上げるために個性で作ったゴーレム。精巧に作れば作るほど頑丈になるが破壊力は下がり、適当に作れば脆くなるが破壊力が上がるという変わった個性。一度作ったゴーレムは記録され、念じるだけで作り出せるがスペックは多少落ちる。



・地転転知
男 《???》
モデルはFateのアストルフォ。髪を後ろで雑に結んだポニーテールバージョン。
理性が蒸発しているが馬鹿ではない。勉強は出来る。因みに入試の際のテストはオール100点。



・雷撃静動
男 《???》
髪が静電気で逆立っている。雷撃のイメージは上鳴の顔を濃くした感じ。
地転転知とは同中だがそこまで面識はない。急に馴れ馴れしくするため、そういうのが苦手な奴が激怒。それがトラウマであり、ついつい馴れ馴れしく他人に接する自分を嫌っている。



・エクトプラズム
男 《分身》
まだまだ新米の教師。しかし若手ながらもなかなかの強者。強力な個性に加え、それに奢らず、蹴り技を主体に戦う。
元遅刻常習犯


・竜間龍子
女 《ドラゴン》
後のリューキュウ。何処の高校に通っていたのか不明、そしてミルコと同い年と調べたらわかったので雄英にぶっ込みました。


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個性把握テスト

さて、入学式も終えて遂に雄英での日常が始まった。と言っても授業事態は他の高校よりもレベルが高いというだけで今までとは大差なかったが…

昼休みには食堂で学食を食べ、それが終わると午後からは待ちに待った『ヒーロー基礎学』!!

しかし今回は…

 

「今日ノヒーロー基礎学ハ個性把握テストヲ行ウ」

 

「個性把握テスト?」

 

「テストォ?僕テスト嫌いだなぁ…退屈だもん」

 

教室に入ってきたエクトプラズム先生が開口一番に放った言葉に雷撃が頭に?を浮かべ復唱し、地転はふざけたことを吐かしやがる。

 

「概要ハグラウンドデ説明スル。体操服ニ着替エテグラウンドニ集合ダ」

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

「ソフトボール、立チ幅跳ビ、50m走、持久走、握力、反復横跳ビ、上体起コシ、長座体前屈、コレラノ競技を中学ノ頃カラヤッテイルダロウ?個性禁止の体力テスト。今回ハソレニ個性ヲ使用シ自分ノ最大限ヲ知ッテモラウ」

 

「おおーーーー!!!個性ありで出来るのか!!ヤッベーー!!!」

 

「イェーイ!!って僕の個性じゃ何も出来ないね…」

 

ツンツン頭の目付きの鋭い少年が、満面の笑みを浮かべてテンションを上げている。そしてその横では地転が肩を落としている。

しかし個性把握テストか…俺も普段の記録と変わらんしなぁ…俺の常時発動型だし…

 

 

 

 

 

そうして始まった個性把握テスト!!まずはソフトボールから。

 

 

「発射ァァァアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

金髪ロングの少女は腕を大砲に変え、球を弾代わりに高らかに叫びながら撃ち出す。それは綺麗な曲線を描き、眼に見えなくなるまでずっと宙高く空を飛んで行った。

 

大 砲花(たい ほうか)、記録1810m」

 

大砲花か…いや…美人だし胸もデカいんだけどなぁ…

 

「ブワァーーッ、ワァーーーハッハハハッハッハッハッハーッ!!!見たかァア!!これが我が個性の力だァァアッ!!!」

 

ちょっとうるさい…

ん?俺の記録?俺は1645mだったぜ。大砲には勝てなかったよ…

 

 

 

 

 

続いて立ち幅跳び。

 

「そらよっと!!」

 

フライボードのように手から水流を放ち宙へ浮かぶ。先程はしゃいでいたツンツン頭の少年だ。そのまま限界まで浮かび続けた。

 

出水 射蔵(いずみ しゅうぞう)、439m」

 

出水…あの水は何処から出しているんだ?周りの空気から?それとも体内の水分?うーん…気になる。

因みに俺は315mです。

 

 

 

 

 

次は50m走。

 

 

「フッ…!!ダリーな…」

 

赤い髪を七三分けにしている少年の下半身は膨張し、筋肉が膨れ上がる。そしてダルそうな声を出しつつも、超スピードでゴールを通り過ぎる。

 

増田 筋太郎(ますだ きんたろう)、2,6秒」

 

クソォ…!!長距離なら勝てたのにィ…!!俺にもっと瞬発力があれば…!!

 

 

 

 

 

 

 

そして次は持久走。

 

「これは負けられないワン!!グルル…アオーン!!!」

 

「こっちこそ!!負けるもんか!!行くぞ、高速移動だ!!」

 

持久走は子犬から狼男へと変貌した少年と俺での一騎打ちとなった。増田ァ!は俺達の後ろにいる。やはり初速度だけしか彼には速さで負けていないので安心した。

 

 

 

 

結果、勝利したのは俺だった。最後の彼は完全にスタミナ切れだった。しかしさすがはマサラ人の体だ。これだけ走ったのに疲れが殆どない。なんなんだこの無尽蔵な体力は…

 

隣で息を荒げながら寝そべる、狼男から子犬の顔に戻った少年に手を差し伸べる。

 

「お前すげえな!!俺は真新サトシ!!」

 

ニッと笑い、少年は俺の手を取る。

 

「僕の名前は狼牙(ろうが)ポチ。よろしくね」

 

……奇妙な友情が結ばれた。この繋がりを大事にしようと思う。

しかしポチか…

 

(((((名前可愛い…!!)))))

 

狼牙を除く全員の心の声が一致した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は握力。

 

「うーおーおーおーおー!!」

 

非常にゆっくりとした声で力を込める亀。バキリッと嫌な音を立てて握力計を破壊する。な、なんて奴だ…!!

 

亀井 鈍兵衛(かめい どんべえ)、測定不能」

 

握力計を破壊するとは…!!とんでもねー奴だ…!!力だけでいえばこのクラス…いや、プロヒーローの中でもトップクラスなんじゃ

 

 

バキッ!!

 

 

…あ

 

「真新サトシ、測定不能」

 

意外と脆かったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

そして次は反復横跳び。

 

「こいッ!!」

 

シゲルがチアガールズを創り出し一緒に反復横跳び。どうやらゴーレムのものもカウントされるようで結果は186回。汚い、流石シゲル、汚い。

 

 

 

 

 

 

お次は上体起こし。本気でやると、ペアを組んでいた増田ァ!くんは全身の筋肉を増強させ、必死な形相で足を抑えていた。お前の筋肉は飾りかおおーん?

 

 

 

 

 

そして最後に長座体前屈。体が硬くて大変だったが頑張り乗り越えた。このクラスでは化物のような奴はいなかった。

 

「待てィ!!俺を忘れて貰っちゃ困るっすよ!!俺は中学の頃からある異名を持っている…それは…長座体前屈の雷撃っす!!」

 

雷撃がビターンと腹と地面をくっつける。はぁー、凄いけど異名がダサい。

 

 

 

 

 

 

全ての競技が終わると総合ランキングが表示された。俺は見事に一位!!やったね!!まぁ原作のように相澤先生じゃないので最下位でも除籍はないです。

その後、授業が終わると、シゲル、増田ァ!、他数名を除き、クラスの皆で親睦を深めるためにマックもといマクドに訪れた。ハンバーガーが美味しかったです、まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

そして次の日、午前の授業はキング・クリムゾンで消し飛ばされ、午後のヒーロー基礎学の時間となった。

 

「今日ノヒーロー基礎学ハ『鬼ゴッコ』ダ」

 

エクトプラズム先生が手元のボタンを押すと、教室の壁に亀裂が開き、その中から大量のトランクが詰め込まれた棚が複数出てきた。

 

「コレハ君達ニ入学前ニ送ッテモラッタ個性届ト要望ニ沿ッテアツラエタ『コスチューム』ダ。各自、着替エガ済ンダ者カラグラウンド・βに集まるように」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

というか化学の力ってすげー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更衣室で依頼したコスチュームに着替える。上は青いジャージに…まぁ説明するのがめんどくさいので“ポケモンXYサトシ”でググっておいてくれ。何故にXYの服装?と思うだろう。しかし考えてみて欲しい。無印や他の服装は全部10歳の俺、サトシを基準としてデザインされているんだ。15歳の俺にはもう似合わない。XYのサトシのデザインはかなり大人びていることもあり、現在の俺とかなり衣装が合うんだ。因みに帽子は無印のやつだぜ。

そしてこれは全部普通の服屋で揃えたものだ。通常サポート会社に学校を通してコスチュームを依頼するのだが、俺の個性上、服が破れる事はない。マサラ人って不思議!靴下も穴が空いたことないもん。一体どうなってんだこの体…

 

最後に、救助用の包帯やら縄などが詰め込まれた、質量保存の法則を無視したリュックを背負い、グラウンドβへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

どうやら俺が一番乗りのようだ。まだ誰も来ていない。まぁそれが当然だろう。コスチュームは大体のものは私服より着づらいし、今日貰ったばかりの物なので着方がわからないのもあるのだろう。

少し待っていると、2番目に来たのは、顔が黒髪に隠れた貞子のような格好をした女子。長い髪は胸元まで伸びている。髪の毛洗うの大変だろうなぁ…

 

「やあ!俺は真新サトシ!これからよろしくな!」

 

ひとまず自己紹介すると、ビクッとしながらも返してくれた。

 

「…深縛 呪理(しんばく じゅり)、よ…よろしく…お願いします…」

 

どうやら彼女は話すのが苦手のようだ。なのでほぼ一方的になってしまったが、話をしていると、続々とコスチュームを身につけたA組が集まってきた。

 

「サトシくん、そんな軽装で大丈夫なのかい?俺はお爺様が用意してくださったこの耐熱、耐電、耐寒、全てが備わった最高級品の繊維で編まれたコスチュームさ!」

 

グリーンのコスチュームは黒いデニムシャツに薄茶のズボンというゲームでのチャンピオン戦時に着ていたような格好をしている。どうしてそうなったか、果たして偶然なのか…

 

「俺のはユニク◯で揃えた激安コスチュームだぜ!

 

「!?普通にそれ大丈夫なのか!?」

 

「多分!!」

 

「皆揃ッタ様ダナ」

 

教員用通路からエクトプラズム先生が現れ、今回のヒーロー基礎学の内容について説明された。

 

「君達ニハコレカラ『ヴィラン組』ト『ヒーロー組』二分カレテ2対2ノ“鬼ゴッコ”ヲ行ッテモラウ!!そしてコンビニツイテハ既二コチラノ独断デ決マッテイル!」

 

 

そうして映し出されたものには、俺のコンビとなる人物の名が載ってた。

 

「大木戸…シゲル…マジかよ…」

 

そして対戦相手は大 砲花、蝶野 雨緑(ちょうの うりょく)。あの大砲となんか聞いたことある名前の二人組…

 

「せいぜい足を引っ張らないでおくれよサートシくん」

 

「こっちのセリフだぜ!」

 

始めての共闘…上手く連携出来るのだろうか…




・大砲花
女 《大砲》
腕や足を大砲に変えることが出来る。金髪ロングのデカパイ。しかしうるさいのがたまにキズ。
ジョジョのシュトロハイムがモデル。書いてて一番楽しい。


・出水射蔵
男 《水の発生》
後のウォーターホースこと洸太くんの父さん。本来ならマスキュラーに殺されるはずだったが、サトシのお陰で生存が確定した。おめでとう!名前、口調は妄想。



・増田金太郎
男 《筋肉操作》
幽遊白書の戸愚呂弟の赤髪七三分けバージョン。炭酸が苦手で、やる気が殆ど感じられないめんどくさがり。



・狼牙ポチ
男 《狼男》
狼の異形型。しかし普段は小さな体格ということもあり、子犬にしか見えない。丸い物を集中して見ると、狼男へと変貌する。顔が厳つくなり、仲が良かった友達に泣かれた時は3日ほど部屋に閉じこもった経歴がある。名前がコンプレックス。


・亀井鈍兵衛
男 《亀》
亀。説明終了。遅い、力が強い、以上!



・深縛呪理
女 《???》
貞子のような容姿をした少女。意外に肉付きが良く、ムチっとしている。



・蝶野雨緑
男 《???》
一体何者なんだー(棒)!


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