魔入りました! 千雨さん (ちみっコぐらし335号)
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魔入りました! 千雨さん
一挙放送→魔入間原作に手を出した結果、普段千雨魔改造SSをカキカキしている者として、これはやらねばならぬと思った(使命感)
長谷川
所属、
兼――――――――悪魔学校バビルス一年
オタクな知識に明るくて
そして、何故大勢の悪魔たちの前でフリフリの衣装を着て煌びやかなステージに立とうとしているのか。
話は少々…………いや、かなり前まで遡る――――――。
◆
元々千雨の暮らしていた麻帆良学園は、下は幼稚園から上は大学院まで無数の校舎を持つマンモス校である。
生徒数は数知れず。文字通り学校関連施設だけで一つの街を形成している化け物学校だ。
そんな麻帆良学園では年に一度、全校合同の学園祭が催される。『麻帆良祭』と呼ばれるこの
それらの噂の真偽を確かめる気は千雨にはなかったが、『麻帆良祭は外部から多くの人間が訪れる巨大市場』ということだけは疑いようのない事実である。
三日間、混沌の
大勢が楽しむ祭りのさなか、人知れずとある陰謀が渦巻いていた。
『魔法使いによって
そう、魔法や魔法使いは実在していたのだ。
一応、犯人側には『世界平和のため』とかいう大層なお題目があったらしいが、そんなことをされては非常識、特にファンタジーな事物が嫌いな千雨は堪ったものではない。
しかも主犯格は全員千雨のクラスメイトだったのだから尚更頭が痛い。十歳で魔法使いな
なお、件のロボ娘・茶々丸は敵側だった。あと、自称『未来から来た火星人』で『
祭りの影で密かに繰り広げられていた、世界の行く末をかけた世紀の
そして、すったもんだの末に『
大変不本意ながら千雨が力を貸したのだから、勝ってもらわなければ困るのだが。
当然、大半の参加者たちはそんなトラブルがあったなどと知る由もなく、この年の麻帆良祭は幕を下ろした。
麻帆良祭終了から数日後。千雨は一人、『図書館島』を訪れていた。
図書館島とは、麻帆良学園に存在する『島が丸ごと図書館』という巨大施設である。
内部には数々の蔵書が収められており、戦前の稀書・奇書の類も多数。一般生徒では立ち入れない地下深くまで延々と書架が乱立し、書架の水没等の過酷な環境下であっても蔵書の経年劣化は皆無に等しい。
当たり前だが、この図書館島も
授業以外ではなるべく近づきたくない場所だが、今回千雨にはとある目的があった。
千雨が中身の感触を確かめるようにポケットを探ると、一枚のカードが指先に触れた。
その正体は、先日の麻帆良祭にて手に入れた『
他にも様々な機能があるが、詳しく考えると頭痛が酷くなるのでこちらの話は一旦脇に置いておく。
千雨が手に入れたアーティファクトの名は『力の王笏』。
一見、
趣味のブログが高じてか、
そして、アーティファクトと共に千雨が使えるようになった存在が『電子精霊』である。
ネズミかハムスターのような外観をしており、ネットにアクセスできる自我のあるナマモノ、と千雨は認識していた。
初対面で『電子精霊千人長七部衆』と名乗った通り七匹いる精霊たちは騒がしく、ここのところ千雨を辟易とさせていたが、ふと思い至ったのだ――――――『自らの運営するブログに応用できる、コイツら関連の知識があるのでは』と。
非常識はごめんだが、今までの日常生活でも麻帆良祭でも散々振り回されたのだ。
精霊だか何だか知らないが、迷惑料代わりに利用できるものは使ってやろうという魂胆で、千雨は図書館島にやってきた。
さて、図書館島に到着したのはいいが、仮にも魔法絡みの内容。
本があるとすれば、それは授業にも使われる上層ではなく、中層から下層だろう。
本質的には図書館内部を移動するだけなのに『図書館探検部』なる部活があるぐらいだ。図書館島は下手な迷宮よりよっぽどダンジョンめいている。
当然一般人、かつ帰宅部の千雨が何の備えもなく突入すれば普通に死ねる。というか確実に死ぬ。
そのため千雨はまず電子精霊を用いて、図書館探検部のデータベースから内部の
いくらバイタリティに溢れる麻帆良生とはいえ、
あとは装備品の準備だ。
懐中電灯やロープなどを荷物にまとめ、電子精霊の実体化用に電子機器の予備バッテリーを用意して、千雨は内部に突入した。
突入後、割と順調に事は進んだ。時間はかかったが、魔法書も収められている奥の区画に到着したのだ。
最奥部にはまだ遠いが、物理的な攻撃魔法の呪文などとは関わりないためこの辺りで見つけられるはず。
ここまで千雨が来られたのは、地図の存在は勿論だが、電子精霊の存在も大きかった。
先行させた電子精霊にトラップがないか確認させたり、自分は安全圏に退避した上で、電子精霊たちに敢えてトラップを起動させたり…………多分、千雨一人では地下二階すら到達出来ずに諦めていた可能性が高い。
目的地到着後、千雨は電子精霊たちにめぼしい書物を捜索させ、ついでに自分の所まで持ってこさせていた。
別に彼らをこき使っているわけではない。素人で一般人の千雨が下手に手を出すと危ないからだ。
遠目で見ている今も本棚の陰から矢が飛んできたり、床が抜けたりしている。ここは忍者屋敷か。
これは安全上仕方のないことなのだ。
だから……そう、千雨にはコイツらを手駒としてこき使ってやろうという気は
「ちう様ー、それらしい本を持ってきました!」
書籍を抱え、ふよふよと近づいてくる一匹の
電子精霊にはそれぞれ『ねぎ、きんちゃ、はんぺ、こんにゃ、だいこ、しらたき、ちくわふ』とおでんに因んだ名前が付けられている。
おでんネタにしては名前が不自然に途切れているのは『四文字』という文字数制限のせいだ。半角カタカナ等と同じく、濁点半濁点も一文字としてカウントされている。今時時代錯誤も甚だしいが、容量不足だというのだからどうしようもなかった。
あと、名前のセンスについては同級生に聞いてほしい。名付け親は千雨の同級生で、千雨自身は命名にノータッチなので。
もしも千雨が名付けていたら、『ああああ』や『1』、『A』などの適当極まりない名前になっていた可能性が高い。
どちらのネーミングがマシかは神のみぞ知るといったところか。
「何々…………『電子戦の基礎』? 大したこと書かれてねーじゃねぇか」
千雨はパラパラとページを捲ると、溜め息を吐きながら本を閉じる。
電子精霊どころか、ごくごく普通のパソコンのプログラミングレベルの話しかなかったのだ。
初っ端から当たりを引けるとは考えていなかったが…………さすがに中身が残念すぎる。何でこんな地下に収められているのかは…………多分、文中に『魔法』や『精霊』などの単語が並んでいるからだろう。
機密情報の割に、中身のない内容だった。
「はい! 二番手しらたき! いい感じの書物行きます!」
「そーゆーノリはいらん。いいから寄越せ――――『よくわかる現代魔法~プログラミング編~』? ふぅん…………」
ペラペラと紙を捲る音が響く。
先ほどより、千雨の求める情報に近い系統の本だ。
しかし、千雨の持つ知識以上の物はなく、今一つパッとしない。目新しいものがないとでも言うか。
初心者の入門書としては悪くないのかもしれないが、千雨には得る物がなかったため、サラッと読み流してしまった。
元々、図書館島に来る前に、一通りのことは検索してきたし、電子精霊自身からも簡単なレクチャーを受けた。
そもそも、実働一回目から激戦で、否が応でもその辺は叩き上げられている。
では何故千雨がわざわざ図書館島まで足を運んだのかというと、昔ながらの裏技など、電子化されていない重要情報があるのではと睨んだからだ。
しかし、これは期待外れかもしれない。そも、技術や情報は日々更新されている。
魔法の世界もその辺は現実世界と変わらないのか。妙な所で夢がない。
もしかしたら先日マホネットとやらをつついて入手したものが、一番レア度の高い情報だったのかもしれない。
千雨は段々、そう思い始めていた。
因みにその内容は、魔法世界にある某国家の情報戦部隊がテロリストの電子ハッカーとバトった時の記録である。
十分過ぎるほどの
千雨が後で気付いたら『何で非常識に染まってんだ自分』と噴飯物の事案である。
その後も電子精霊たちは足繁く千雨に本を届け続けたが――――
「ちう様! これならどうでしょう!」
恐らく魔法使いの家庭用のものだろう。怪しいメールが届いたら開くな、URLをクリックするな、迷ったら何もせず専門家を頼れ、ということと似たような内容が延々と綴られていた。いや、当然文言は違うのだが。結局、ハッキング対策はどこも似通った対策になるのか。
無論、千雨が得るものはない。
「ちう様ちう様ー」
次いで手渡されたのは『よいこの電子戦』。
丸っこい文字が並び、可愛らしい絵柄の絵本。
だのに描かれているのは騙し騙されのドロッドロな抗争。昼ドラも真っ青な三角関係。一体どの層に向けたものだ。
物語が二転三転し、やけにドラマチックな展開で、これはこれで読み応えがある。
だが、これは千雨の望む物ではない。
元あった場所に返却させた。
因みに、先ほどから電子精霊たちが呼んでいる『ちう様』とは千雨のことである。
その由来は、千雨がブログで用いているハンドルネームで、それ以外の用途はない。
大人気ネットアイドルの『ちう』と同じなのはあくまでも偶然なので、両者の関係はない。
そう、
「『魔法世界におけるプログラミングの重要性』!」
「重要性を説くばっかで実物の話に全く触れてねえ! 駄文! 次!」
「『電子精霊の生態』!」
「ほぉん、新規契約には役立つのかもしれないな。で、お前らはお払い箱でいいのか?」
「いやです!」
「なら働け」
「サー、イエッサー!」
「アンカーちくわふ! こちらをどうかお収めください!」
「『電子精霊のきもち』。契約者は精霊に優しくしよう――――って、テメーらの願望ダダ漏れだろーがッ!!」
叫ぶと同時、バンと本を投げつける。
本は大切に、なんて今後は口が裂けても他人には言えそうにない行為である。
というか、これだけ本が山のようにあるのにハズレしか引いていないのは何故だ。
大声を出したおかげか、少しだけ冷静になった千雨。
本に当たっても事態は変わらない。
図書館島の蔵書のおかしさは、ここを管理している魔法先生のせいである。
つまり、麻帆良が全部悪い。
本を拾いに行こうかな、と視線を上げた時、
「あ」
つい、声が漏れる。
先ほどの本を投擲した衝撃のせいか、何かが書架から落ちたのが見えたのだ。
床に落下したのは――――一冊の古びたハードカバー書。
「…………何だこの本?」
何の本か覗き込んだが、書名が読めなかった。
日本語は勿論のこと、英語でもないだろう。千雨の英語の成績は特段優れているわけではないが、英語か否かの判別ぐらいはできる。
そもそも現行のアルファベットですらなさそうだ。
西洋魔法によく用いられているというラテン語やギリシャ語か、と思ったが――――
「データベースに該当言語なしです」
「一般目録にも見当たりません」
「魔法の書物の類かとー」
と口々に電子精霊が言う。
さすが麻帆良、
二割関心、八割呆れながら、千雨は古本を元あった書架に戻そうと手に取った。取ってしまった。
そうして――――気づいた時、既に千雨は魔界に迷い込んでいた。
屋内にいたのに、何故か屋外、それも明らかに麻帆良ではない場所。というか現実とは思いがたい風景に、しばし呆然となる千雨。
そして、カチコチに固まっていた千雨を轢きかけた馬車に乗っていたのが悪魔のサリバンであり、その孫(ということになっている)人間の
混乱する千雨を見て事情を察し、すぐにここが『魔界』であると説明し始めたサリバン。
幸いだったのは、彼らが下校途中だったということだろう。馬車内で簡単な説明を受けながら、千雨は即座にサリバンの邸宅まで連れて行かれた。
この時の千雨には知る由もないが、魔界の大多数の悪魔にとって、人間は『存在しているかわからないけど何かすげー食い物』である。
もしもそのまま外に放置されていたら一体どうなっていたことやら。
「――――気付いたら
千雨の対面に座るのは悪魔、サリバン。
禿頭に角が二本、まあるいレンズの眼鏡のせいで視線は読めない。好々爺然とした御仁であるが、悪魔である。
そう、悪魔。魔法使いだけでも頭が痛いのに。
当然、千雨は魔界だなんて危険で非常識な場所に長居したくない。
こちらからもアレコレと情報を開示し、何とか帰る方法がないかと訊ねたのだが、
「うん、
肩を落としそうになったが、彼の含みを持たせた言い方に千雨は気づいた。
「『すぐには』ということは――――」
「君が言ったように、そのカードに感じる微かな繋がりを辿れば、元いた場所に君を帰してあげるのは不可能ではないだろう」
だが、とサリバンは言葉を続ける。
「人間界への干渉は禁じられている」
重苦しい声に息が詰まりそうになる。
あまりの重圧感。しかし、サリバンの後ろに立っている入間の存在に千雨は気持ちを持ち直す。
そうだ。こいつ、間違いなく一度は
何らかの譲歩、ないし保障がなければ千雨とて引き下がれない。何せ、自分の命に関わる問題なので。
千雨は必死だった。
「でもあなた、一度やってますよね? なら、二回やるのも同じでは?」
「うーん、でも君の場合は微妙に運命が捻繰れているからねー」
「…………それ、私がひねくれ者って意味ですか?」
「まー当たらずとも遠からずというか。ともかく、膨大な魔力と繊細な術式が必要だから、すぐには帰せないってこと」
魔関署にバレたくないしね! あ、滞在中の衣食住の保障はするよ。その代わり入間くんの相手になってね。
と、手をヒラヒラさせるサリバン。
この口振りだと、魔界には人間界との関わりを制限する組織があるのだろう。『魔関署』というのが組織の名前か。
しかし、どうもこの悪魔、ノリが軽い。
いや、悪魔だということはこれっぽっちも疑っていないのだが。
答えは一つしかない。
「――――わかりました」
「おや、やけに素直だね?」
「こちらが頼んでいるわけですし」
悪魔相手にそのぐらいの対価なら、甘んじて受け入れるべきだろう。
向こうにも生活がある。彼らが原因というわけでもないのに、それを無理やり破壊させるのは、いくら悪魔相手でも気が引けた。
そう、今回の事態は千雨の自業自得に近いのだ。
あの時図書館島に行かなければ。如何にもな怪しい本に直接触れなければ――――。いくら後悔しても手遅れなのだが。
ともあれ、衣食住の保障は得られた。
だから、帰れるまでしばらくの辛抱だ。
「オッケー。それじゃあ、そうと決まれば早速準備だ」
「あの…………準備って、何の?」
「うん? そりゃあ学校の」
「はい?」
まさか魔界に人間の学校があるのか――――と思いきや、入学先は悪魔学校・バビルスだという。
在校生は疎か、教師やその他関係者全員が悪魔だ。
当然、千雨は拒否しようとしたが、
「入間くん目立ちたくないって言ってたしー、友達多い方が入間くんが楽しいだろうからー」
終始『入間のため』と口にするサリバン。
その後ろで入間がペコペコ頭を下げているのが見えた。
なるほど、何故魔界にいるのかは不明だが、彼はよほど
そして何となくだが千雨は彼のタイプを察した。
彼は生粋のお人好し、かつトラブルメーカーだ。
ちょうど麻帆良学園で教師として修行中の魔法使い、ネギ・スプリングフィールドが似たようなタイプだった。
毎度トラブルによるストレス被害を被っていた千雨にはわかる。このタイプは本人の意識・無意識に関わらず、周囲を引っ掻き回していくのだ。
サリバンは早速、使用人らしい悪魔のオペラと一緒に、千雨転入のための算段を始めていた。
既に彼の中で千雨が悪魔学校に入るのは確定事項なのだろう。力関係的にも否とは言えない。
悪魔のサリバンは勿論恐ろしいが、入間への溺愛っぷりを見るに、入間とのトラブルも厳禁だろう。
こうして千雨の、サリバン(とついでに入間)のご機嫌を伺いながらの魔界生活が始まった。
因みに、千雨にとっての第一関門は食事だった模様。
むしろ何故このゲテモノにしか見えない料理をムシャムシャと平らげられるんだ、入間は。
まず、サリバンが理事長を勤める
周りは入間以外、全員が悪魔だ。
悪魔学校に向かう直前、人間の匂いを消すという特殊な香水を振りかけられながら『人間だとバレたら食べられちゃうかもしれない』と入間に聞かされ、千雨の心臓は縮みあがった。
ちょっと待て。命の危険があるとか聞いてない。
半端な時期の新顔となれば、当然注目は集まる。つまり千雨は、目立ちたくない入間の代わりに耳目を集める囮なわけだ。
ここでの千雨は入間の親戚、つまり
まあ『入間と親戚』というのは種族的な意味では間違っていない。人間は二人しかいないし。
入間と同じ『
が、それ以上に入間が目立つ事態が多発したため、千雨がスケープゴートの役割をどれだけ果たせたかは不明だった。
千雨は初授業の前に、ナベリウス・カルエゴ監督の下、使い魔召喚をやらされることになった。
イレギュラーな『転入生』に対応し、十段階ある悪魔としての
使い魔召喚について、入間から事前に『うっかりカルエゴ先生を使い魔にしちゃった』と顛末を聞いていた千雨。
設定上の親戚とはいえさすがに二人連続で同じことが起こっては怪しまれるだろう、と千雨は何とか電子精霊を使い魔だと誤魔化した。
因みに、厳粛を旨とするカルエゴに誤魔化しが効いたのは、千雨を心配した入間が側で見守っていたおかげである。『悪魔が使い魔にされる』という前代未聞の恥辱を思い出すこともあり、カルエゴは入間に並々ならぬ感情を抱いていた。
なお、千雨の
先日『
魔術が使えないと人間だとバレるかもと聞き、急いで入間の持つ『悪食の指輪』と同じ魔力を貯蔵できる道具をサリバンに用立ててもらったり。
入間に付き合って魔具研究
麻帆良祭といい、
なお、千雨がストレス解消のために執筆していた、オフラインストレージのブログ記事は増え続けた。
ネタバレは悪い文明! 粉砕する!
ということで、ネタバレ防止のため来週に続く!!
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千雨、アクドルのステージに立つ
気になる人は原作七巻までチェックしてから読んでくれよな!!(ステマ)
「『アクドルくろむ』のライブチケット…………ねぇ?」
呟きながら、千雨は指に挟んだ紙片を揺らした。
この
先の
千雨は入間ら共々魔具研究
一応、誤解を招かないように説明しておくと、千雨が選択科目で女子限定の『サキュバス先生の誘惑授業(はぁと)』を選んだのは選択肢の中で一番マシだったからである。
拷問学は論外、実技は危険、魔界の薬学は人間界では役に立たない…………と省いていった結果、残ったのがこの授業だった。
時々授業内容にバカバカしいと思うことはあるが、サキュバス仕込みの男のハートを掴む技術は麻帆良に帰ってからも使えるだろう。
閑話休題。
廊下で遭遇した際、ライムから『三位の努力賞とは僅差だった』という話を聞かされた千雨。
曰わく『誘惑した相手から貢ぎ物としてチケットをもらったけど、これから用事があるから、
お礼としてライブチケットをもらったが、千雨にはそもそも『アクドル』自体がわからなかった。
そこで携帯端末で調べたところ、アクドルとはどうやら人間界のアイドルに似た存在ということがわかった。
悪魔には暴力的・加虐的な思想が高ぶるストレス周期、通称『悪周期』がある。
ひどい時には仕事もままならないなど、かなり厄介な代物らしい。
この悪周期を抑えるため、悪意を興奮に変換して発散させる行為が『悪を取る』、すなわちアクドルの由来だ。
人気のアクドルは魔界ではかなり重要な地位を占めており、『くろむ』はその中でも若手エース。そのライブチケットはなかなか手に入らないのだとか。
「――――あ、千雨。こんなところにいたんだ」
「入間か」
よく知る声が聞こえたため、千雨は携帯端末から顔を上げた。
前方から歩いてくるのはいつもの三人組。
入間を中央にして、脇を二人の悪魔が固める陣形である。
アスモデウス・アリス。
スラリとした高身長で桃色の髪の男の悪魔。火炎魔術を得意とし、
一年首席としての立場を特待生入間に奪われ、初めは目の敵にしていたが、入学早々決闘を行い、己を下した入間に心酔することになったという経緯を持つ。
千雨との仲は可もなく不可もなく、といったところか。
入間についての話がウザい時もあるが、礼節を重んじる悪魔らしくそれなりに常識を兼ね備えた性格である。尤も悪魔の常識なので、人間からすると非常識に感じることも多いが。
件の決闘の詳細も、アスモデウス本人から聞かされたものだ。その語り口は過度な修飾語句がうざったかった、とだけ記しておく。
ウァラク・クララ。
腰まである黄緑色のストレートヘアにこめかみの辺りに生えたグルグル巻きの角、子供っぽい見た目の女の悪魔。『見たことのある物を出せる』という家系魔術の使い手で、
麻帆良学園の能天気なノリを十倍濃縮したような性格なので、千雨的には苦手な相手である。
だが、入間同様、クララは千雨にもよくくっついてくる。何故か。本当にどうしてかわからないが。
なお、悪魔たちの名前は『家名・個人名』の順になっているので、日本人と同じように名前を呼べばまず間違いない。
千雨は専ら他人のことを名字で呼ぶ。相手が魔界の悪魔だろうがそれは変わらない。
しかし、
そんな千雨にしては珍しく、入間のことは名前呼びだが、こちらは
己の安全のためならば、異性を下の名前で呼ぶくらい安いものだ。
同じ
『入間軍団』などと渾名されるこの集団は、第一学年でも屈指の有名グループである。一年生で『
合流した入間らに千雨がチケットの話をすると、なんと三人も同じライブのチケットを手に入れていた。ものすごい偶然である。
曰わく、放送
だが、貰ったのは三枚、入間たちは四人。人数とチケットの枚数が合わなかったので、どうするか相談するために千雨を探していた、とのこと。
そういえばライムと話している時に、入間を呼び出す放送が掛かっていた気がする。
恐らく、その時に放送室かどこかでもらったのだろう。
心配されていたチケット枚数の問題も知らぬ間に解決していたとわかった。
チケットが入手困難なほど大人気だと噂のライブだ。せっかくの貰い物を使わないのはもったいない。
四人は急ぎ放送
そして、ライブの開催時間になった。
千雨たちがこれから観るのは、
四枚とも全てVIPチケットだったので、四人揃ってVIP席に着く。
着席してすぐ千雨が思ったのは、観客側の威圧感がすごい、だ。
何せ全員悪魔である。スペースに余裕のあるVIP席でも近くの観客が気になるし、轟く歓声は半ば雄叫び。
襲われることはないと九割方確信していても内心ビビる。
しかし、くろむの歌を聴いて、千雨は一瞬周囲の観客のことを忘れた。忘れるほどに聴き入ったのだ。
ああ…………なるほど。このライブの出来なら、悪魔たちの熱狂っぷりにも納得だ。
顔立ちの愛らしさなどは生来の資質だが、その生かし方をよく心得ている。
くろむは文句なしに輝いていた。
もし
だが、ここは魔界。
千雨はただの学生で、今はただの
ライブをトコトンまで楽しみ、吸収できる技術を吸収していこう。
口角を上げた千雨は、クララから受け取ったサイリウムを暗がりの中で振った。
昼ライブ終了後、入間がスタッフに連れて行かれた。VIP席特典の抽選とやらに入間が当選したのだという。
気になる特典の内容は『くろむとのおしゃべり権』。控え室でくろむと一対一で会話することができる、ファン垂涎の特典だ。
ともあれ、このメンバーの中にそこまで熱狂的なくろむファンはいない。
運が良いな、楽しんでこいよ、と千雨たちは入間を送り出した。
程なくして、入間は帰ってきた。
帰ってきたのだが、何やら大変なことなったらしい。
「何、くろむが!?」
「熱で倒れた!?」
「このままだとライブ中止!?」
連れて来られたスタッフ用の通路で各々叫ぶ。
自分たちのチケットの回は終わったが、くろむのライブにはまだ夜の部が残っているのだ。
これは一大事だとワーワー騒ぐ悪魔二人を横目に、入間がコソッと千雨に耳打ちしてくる。
くろむの正体が実はクロケル・ケロリだった、と。
「………………はい?」
クロケル・ケロリ。確か、同じ
大きな丸眼鏡を掛けていて、教室でも授業でも隅の方で大人しくしている印象だが――――。
「あ」
そういえば、よくよく考えてみればケロリとくろむは顔が一緒だ。髪型や髪色が違うが、そんなものはカツラを使えばいくらでも変えられる。
いつも伊達眼鏡を掛けているな、とは思っていたが…………ああ、そうか。あれは認識阻害
学校でも目立たないように徹底していたわけだ。
それにしても本当に入間はトラブル体質である。
詳しい事情を聞くと、神経を逆撫でどころか
恐らく、目立ちたくないのに目立ってしまう入間と
いつも入間に振り回されている千雨には、手に取るようにその情景が浮かぶ。多分入間は無害そうな顔をして、致命的な一言を言ってしまったのだろう。
悪意がない方が
それにしても、
「正体を隠してアクドル活動、か…………」
ぼそりと千雨は呟く。
何とはなしに、『家族を見返したい』と言うくろむの事情と自分が重なった。
麻帆良の認識阻害の影響を受けなかったために周りと馴染めず、ずっと独りきりで。
それでも誰かに自分を認めてほしくて、こっそりブログを利用したネットアイドル活動で己を満たしていた自分と。
――――このまま、くろむのライブを中止にさせていいのか?
――――いいわけがない。
千雨はぐっと拳を握り締めた。
とどのつまり、千雨と
だから、くろむのライブ失敗が自分のことのように感じられて、嫌な気分になる。
ついでに言うと、ネトア/アクドル活動でチヤホヤされて承認欲求を満たしているところまで二人は被っているのだが、幸か不幸か千雨はそこまで気づかなかった。
「パフォーマンスでも何でもします! だからライブの中止は待ってほしいんです!」
入間も責任を感じているらしい。
中止にするのは待ってほしい、とくろむのマネージャーだという女性悪魔・マルさんに頼み込んでいた。
しかし、
ただ悪周期のストレスを発散させればいいわけではない。
観客は『学生アクドル』という
だから、くろむほど洗練されておらずとも、『若くて多少の素人感があっても許せるかわいい学生パフォーマー』でなければ観客は満足できない――――と。
「へえ………………若くて、多少の素人感があっても許せるかわいい学生パフォーマー、ねぇ」
ニヤリと笑う千雨。何だ、
目的の人物、クララとパチリと目が合う。クララは入間とアスモデウスを指差し、親指を立てた。
まあ、つまりだ。千雨とクララは今、恐らく同じ発想に至っている。
超
何せクララは、見たことのある物であれば何でも用意できるのだ。
「おい、ウァラク」
「オッスちうっち、ガッテンだー!」
にゅっとポケットから服を取り出すクララ。
これがウァラク家の家系
「お、おい待て! 一体何をするつもりだ……?」
アスモデウスの震え声が耳朶を打つ。
質問という体だが、彼には既に答えがわかっているのだろう。顔色が悪くなっている。察しがいいのも考え物だ。
「なぁに、とっておきの
「すっごいのつくるよー!」
じりじりとにじり寄る女性二人に、怯える男性二人。
男性二人の服が引っ剥がされ宙を舞うまで、そう時間はかからなかった。
後に入間はこう語る。
あの時の千雨の表情は悪魔以上に禍々しかった、と。
◆
――――時は戻って、現在。
入間、アスモデウス、クララ、そして千雨の四人は、くろむのライブ会場である
クララと共に、入間とアスモデウスを『若くて多少の素人感があっても許せるかわいい学生パフォーマー』風に仕上げたところまでは千雨の計画通りだった。
しかし、気付けば千雨も衣装を着せられ、このザマだ。
三人だけにやらせるつもりだった
先ほど、一瞬だけクララと心が通じた気がしたが、どう考えても一時の気の迷いであった。やはりクララは苦手だ。
みっちりと居並ぶ大勢の観客に、思わず唾を呑む千雨。
元がわかるような半端なメイクはしていない。おまけに今回はプロの手まで借り受けた。
だから正体がバレる心配はない、はずだが…………。
ここまで来たらやるしかない。
バレないから大丈夫、バレないから大丈夫。あと観客の爪とか牙とか角とか羽は全部飾りだから怖くない。そう、ここはハロウィンパーティーの会場だ。
そう自己暗示し、一歩を踏み出す。
『我ら! イルミと愉快な仲間たち!!』
マイクを通し、クララがそう堂々と宣言した。
今か今かとライブの開始を待ち望んでいた観客の目には、美少女アクドル四人組が立っているように見えるだろう。
実際の内訳は『女装二(うち人間一):珍獣一:人間一』と、とてもアクドルには見えないラインナップなわけだが。
「イルミ? 誰だそれ」
「そんなアクドルいたか?」
そんな観客のざわめきが千雨の耳まで届いた。
――――聞いたことがない? それはそうだろう。むしろあって堪るか。
名前の由来は極めて明白。イル
安直過ぎる。偽名としてもそれはどうかと思うレベルの単純な音の置き換えだ。
しかし、本人が自分の名前と認識できなくては
だからベッタベタな名前にもゴーサインを出した。
まあ、もし偽名がバレたとしても芸名という言い訳が効くし、第一考えている時間が惜しかった、ということもある。
グループ名について、千雨は考えることをやめた。
「――――行くぞっ!」
スピーカーから軽快な音楽が流れ出す。
余計なことに思考を割くな。今、この瞬間のことだけを考えろ。
覆水は盆に返らない。賽は既に投げられたのだ。
「っ」
リズムに合わせ、舞台の上でステップを刻む。
千雨には多少ダンスの心得があるが、男二人にはない。……いや、もしかしたらアスモデウスは社交ダンスならできるかもしれないが、今求められているスキルとは微妙に違う。クララは論外。
だから、彼らにまともなダンスをさせることは諦めた。
故に千雨から出したオーダーは一つ、『派手にやれ』。
轟、と肌を舐める炎がステージを橙色に染め上げる。
アスモデウスが得意とする火炎魔術だ。
幾重にも生み出される大迫力の火の壁。
当たれば即お陀仏な灼熱の劫火が、黒髪ロングのカツラを被った入間に殺到し――――紙一重でスルリと抜けた。
いや、炎が軌道を変えたのではない。入間がギリギリでよけたのだ。
当たりそうなのに当たらない。逃げ場がないのに避けている。
入間が持つ圧倒的危機回避能力の賜物だ。
入間は千雨と同じ人間のはずだが、彼は危機的状況に瀕すると『本当にあれは人間にできる動きなのか?』と疑うほどの超人的センスを発揮するのだ。
とはいえ、これは例えるならサーカスの動物が火の輪くぐりをするようなもの。
それっぽく見えるように千雨が多少フォローを入れているが、本質的にダンスではない。
だが、
「なんだあの子の動き!?」
「すげえぞ!!」
「なんて前衛的!!」
「いいぞ、もっとやれ!!」
クレイジーな催し物が好きな
というか、これを『前衛的なダンス』と評価できる悪魔の感性とは一体………………いや、深く考えたら負けだ。
ステージの隙間、動きの合間にクララがドコドコとよくわからない打楽器を打ち鳴らしている。
単体では意味不明だが、舞台全体として捉えれば、演出の予測不能感に一役買っている…………はずである。多分。
問題は出演者側にも予測不能なことだが、これも千雨たちで何とかうまく転がしていくしかあるまい。
クララに関しては、最悪パフォーマンスのマイナスにさえならなければいいのだ。
「黒髪の子、カワイイ!!」
「イルミちゃんいいぞ!」
「炎の美人、スラッとしてる…………踏まれたい……!」
「燃やされたい!」
「普通の感じの子いいな!」
「事務所の新しいアクドルか?」
「一人だけ明らかにジャンル違うだろッ!!」
掴みはオーケー。むしろ、素人にしては出来ている。
さぁここからだ、と千雨は呼吸を整えた。
ただ奇天烈なだけのサーカスじゃない。ちゃんと
バックグラウンドで流れていた一つ目の曲が終わる。
千雨は汗ばむ手でマイクのスイッチをオンにした。
いつ、
三十分か一時間か、それとも…………今日はもう動けないかもしれない。
――――だが、それでもやると決めた。時間を稼ぐ、と。だから、やってやる。
千雨はマイクを力いっぱい握った。
ここからは打ち合わせ通り、歌の時間だ。
『――――――――――――ッ!!』
この短期間に覚えたフレーズを無我夢中でシャウトする。僅か数十分前に頭に叩き込んだくろむの持ち歌だ。
歌詞を間違えたらアウトだが、怖がっていたら観客を魅せられない。
客席で沸き上がる観客の咆哮がビリビリと煩い。
この悪魔どもめ、こんなところで全力を出してくるなよ。
そんな感想はおくびにも出さず、千雨も負けじと声を張り上げる。
千雨の歌声に合わせ、半ば裏声の
男女の役割が逆だろうと思わないでもない。しかし、ぶっつけ本番で練習も調整もロクにできなかったのだ。仕方ない。
普通こういう時は
アスモデウスには裏声のコーラスだけやらせておく。
クララはその辺、そもそも期待していない。
彼女に普通のことはできないと信用しているからこそ、千雨は『歌が始まったら何か楽しそうなことをしておけ』と丸投げしていた。
そういうわけなので、ここは千雨が請け負うしかないのだ。声が枯れ果てるギリギリまで。
飛び散る汗が照明の光でキラキラと輝く。
ふらつきそうになる足。床を勢い任せに踏みしめ、疲労を誤魔化す。
――――どれだけ時間が経った? どれだけ時間を稼げた?
悪魔二人はともかく、入間の方も体力はまだ大丈夫そうだ。入間は修羅場慣れしていて意外と持久力がある。
となると目下最大の問題は千雨だった。
観客を楽しませるためには全力でやれねばならない。
だが――――その全力はあとどれくらい保つ?
時間の感覚すら覚束なくなる中、火照る身体を冷気が包み込んだ。
舞台袖から形作られるは水晶が如き氷結の道に、割れんばかりの観客の歓声。
『――――いつまで私のステージで暴れるつもりです?』
衣装の袖で汗を拭う。声の主を見ずとも千雨にはわかる。
アクドル・くろむが復活したのだ。
「おせえんだよ…………!」
体調不良であったことなどまるで悟らせない。くろむは背筋をピンと伸ばし、ステージ中央に向かいカツカツと歩いてくる。
「その…………ありがとう。本当にありがとう」
礼を告げるくろむに疲労の色は見られない。
本当にもう大丈夫なのだろう。千雨たちの前座としての出番は終わったのだ。
このまま潔くフェードアウトして――――
「待ちなさい」
くろむはステージを降りようとしていた入間と千雨の手を掴んだ。
「ここはプロの舞台です。最後まで責任をもってください」
「ええっ!?」
「私は限界ギリギリなんだが――――ああ、くそ、最後までやればいいんだろ…………!」
マイクを通さない小声でのやり取りが終わるとイントロが流れ出す。
これがくろむの
『キミの小悪魔黙示録!!』
千雨は何故か、くろむのステージで入間と共に歌っている。客席から響いてくる歓声は先程の比ではない。
ちらりと舞台袖を覗くと、アスモデウスもクララもとっくに退散してステージを見守っていた。すんなり撤退できて羨ましい。
こうなれば、毒を喰らわば皿まで、だ。
持てる力の全てを、今この瞬間のパフォーマンスに注ぎ込む。
くろむの曲を歌いきり、三人で大歓声につつまれて――――。
気付いた時、千雨は楽屋にいた。
すぐ隣では入間が心配そうな顔で椅子に腰掛けている。
「――――――大丈夫、千雨!?」
「耳元で……叫ぶんじゃねぇ…………」
千雨はソファに寝かされていた。楽屋の天井を見ながら唸る。
体力も気力も限界まで搾りきって、意識をとばしていたらしい。
千雨が目覚めたと知るや、代わる代わるスタッフが現れた。皆、夜ライブ成功の立役者に感謝しているのだ。
スタッフの『ありがとう』という一言を聞く度、じわじわと実感が湧き上がってくる。
――――良かった。やり遂げたのだ。
少し休んで、体力も回復した。
歩けるようになったので帰ろう。
すくっと千雨が立ち上がった時、誰かが千雨に駆け寄ってきた。
直前まで入間と話していたその女性は、くろむのマネージャー・マルさんだった。
「いっそ一人だけでいい! あなた、アクドルに興味ない!?」
「は…………はい?」
「よし、逸材一人確保ォ!」
「って、え? ちょ、待っ――――」
マルさんに連行された千雨は、後日『謎の学生アクドル・れいん』として華々しくデビューし、くろむと度々タッグを組むことになる。
アクドル
その後も、千雨が密かに抱いていた『元の世界に帰るまでなるべく平和に暮らしたい』というささやかな願望は、性格改変魔術をかけられ乙女モードになった生徒会長アザゼル・アメリをプロデュースしたり、変な気の回し方をした
ちう様まじデビきゅー!
…………いやホントにこれ千雨魔改造物じゃないんですってば。
ちう様が入間くんと同じように魔界の魔術を扱ってたり、もし収穫祭辺りまで続くと「あなたの
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