シスタープリンセス・オブ・エンジェルズ (平 一)
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シスタープリンセス・オブ・エンジェルズ

その昔、アニメキャラを悪魔や武器に例えたこのようなファンレターを、
出版社や放送局、制作会社に送っていた時期がありました。

私に限らず、様々な魅力を持った人物達の体系的な設定は、
色々な役割を持つ空想・実在の物や人の理解と、親近性があるのかもしれません。
それに何より、強い英雄や怪物、メカと可愛い女の子は、男の子の憧れです。

今、様々なモンスター娘や武器娘が活躍するアニメを見ていると、
感無量です(感涙)……ああっ!
(↑昨今の万物萌え化の風潮を作ったのは、貴様のようなキモヲタ共か~!とか、
だからって全部一緒に混ぜるな~!と、恒例の袋叩きに合う中二病オタク[笑])

作中で考えた内容は、後の『文明の星』理論(仮説)にもつながっています。
多彩な夢と希望そして刺激を与えてくれた、素晴らしいアニメ作品に感謝します。



(2003年頃から、出版社などに投稿した拙文です)

 

「シスタープリンセスのイラストストーリーを、再読しました」

「綺麗だね。夢のような情景と写真のような現実感、硬質な(きらめ)きと優しい温もり、精緻(せいち)な描線と豊かな色彩……ある種の神性、あるいは魔性さえ帯びた作品のように感じられました」

 

「というわけで、突然ですがシスタープリンセス・オブ・ダークネス続編っ!」

「ああっ、やっぱり~(泣)!」(笑)

「もっとも今回は、ただの魔物ではありません。彼女たちは人々に恐れられかつ忌み嫌われる悪魔、すなわち堕天使。しかしてその実体はむしろ天使、人類を創造した異星人たちの星間文明から、地球文明の健全な発展を助けるべく派遣された人々だった、というのはどうでしょう?」

「以前にも聖鬼魔Ⅱのメンバーで、同じような話を考えたよね」

「デビルマンやマクロスの設定の、明るい版です」

 

「彼女たちはその高度な技術力により、任務や状況に合わせてさまざまな姿をとることができます。人間が正確な観察や安全のために、カメラやデコイ、防護服や虫よけ等を使いながら、相手に気づかれぬよう他の生き物を観察したり、働きかけたりするのと同じです。本体は劇場版『ああっ女神さまっ』の如く地球外あるいは異次元に存在し、我々の目に見えるのは、その外見だけでなく人格もまた、その一部にすぎません」

 

「みんなの可愛い絵ハガキを机に並べて鑑賞しながら、地球支局の組織も色々考えてみました。全体は情報部・計画部・作戦部からなります」

「何だか『ガンスリンガー・ガール』の社会福祉公社みたいだけど?」

「いえいえ! ガンスリの〝妹〟達も可愛かったですが、こちらは悲劇ではありません。部の名前も、どうなっているかを知る事実認識と、どうすべきか考える意思決定、それを実行する現実行動という、合理的な業務段階による組織区分です」

 

「情報部、計画部及び作戦部の責任者はそれぞれ、雛子ちゃん(ベールゼバブ)、可憐ちゃん(アスタロト)、亞里亞ちゃん(ベール)。支局長は現在あまり動けないため、可憐ちゃんが代行することが多いです。彼女たちには自部署から補佐役の副官が1名、他部署から連絡・連携と研修のために出向してきた参謀が2名ついています」

 

〔組織図〕  【支局長】 主人公

 

【情報部長】  雛子(ベールゼバブ/地獄の女王)

【情報部副官】 凛々(ベルフェゴール)

【情報部付計画参謀】 千影(ダンタリアン)

【情報部付作戦参謀】 四葉(マルコシアス)

 

【計画部長】  可憐(アスタロト/魔界の実力者)

【計画部副官】 咲耶(ゴモリー)

【計画部付情報参謀】 鞠絵(ストラス)

【計画部付作戦参謀】 花穂(フルフル)

 

【作戦部長】  亞里亞(ベール/最大の軍団を保有)

【作戦部副官】 衛(アモン)

【作戦部付情報参謀】 白雪(モラックス)

【作戦部付計画参謀】 春歌(サブナック)

 

「ヒロイン・オブ・ヒロインズの可憐ちゃん、好奇心いっぱいの雛子ちゃん、大豪邸に住んでいる亞里亞ちゃんはすぐに配置が決まりましたが、3人以外の妹たちについても、適材適所を考えてみましたので、以下その理由を説明します」

 

「凛々ちゃんは技術者です。科学・技術は社会的な事実認識のなかで、最も重要です。知的生物は『ああいうときにはああなる、こういうときにはこうなる』という法則や、『ああすればああなる、こうすればこうなる』という技術、すなわち一般的な事実認識を得て、様々な場合に応用することにより、環境に働きかける力を飛躍的に増やします。それは、仲間同士の利害を調整して大きな社会の運営を可能にする、『ああいうときはああすべきである、こういうときはこうすべきである』という公平で能率的な法律や、それらの体系である制度、すなわち一般的な意思決定と共に、文明を支える2本柱のひとつです。彼女が情報部の副官として最適任な理由は、そこにあります」

「情報部は必要に応じ、文明支援計画を守るための諜報活動も行いますが、現在は比較的平和なので、人類の発展を助けるための研究と調査が主な仕事になっています」

 

「悪魔ベルフェゴールは、美しい人間の姿で現れます。本来の天使の姿を思わせる、美しく輝く白衣も似合うかもしれません。それは普段研究所にいて人間との接触が少なく、変身する必要がないせいもありますが、人類の立場に立ってその幸福を忘れずに仕事をしたい、という気持ちのためでもあります」

 

「次の千影ちゃんは、他人と違う世界に住んでいる、ただの不思議ちゃんではありません。深い思索に裏打ちされた哲学者です。哲学は事実だけでなく、価値観も取り扱います。彼女の場合、本領はそちらにあります。人は、人々は、どうあるべきか、何をなすべきか。彼女は普段人々に見過ごされているような分野も含めた、ありとあらゆる知識や学問を研究し、そこから導かれる多様な価値観をよりよい政策の決定に役立てるとともに、情報部の情報収集や分析が適切なかたちで行われているかどうか、チェックする役割を担っています」

 

「書物を携え、無数の顔を持つ悪魔ダンタリアン。彼女が様々な年齢・職業にある同じ女性の姿で、次々とまたは同時に現れて人間に語りかけるのは、同じ人間でも状況により異なる意見をもちうることを忘れずに、それでもなお最大多数の最大幸福を実現できる政策を追求するため、対話を通じて人間を知り、また人間に考えてもらうためなのです」

 

「四葉ちゃんは現場主義です。どんな自然法則も、実証なしでは仮説にすぎないように、社会的な事件もまた、個別的な事実の積み重ねなくして全体の真相を明らかにすることはできません。年若い彼女にとって、複雑で大局的なことを考えるのはまだ苦手です。しかし作戦部出身の彼女には、情報部の活動を支援するため真実に食らいついてゆく集中力と、万一妨害があっても、それを実力で排除できるだけの強大なパワーや持久力があります。時には勇み足もありますが、彼女の明るさと素直な人柄は、その失敗を補って余りある魅力を、彼女に与えています」

 

「大きな翼と蛇の尾をもち、火を吐く狼の姿をした猛将マルコシアスの姿は、狙った獲物は逃さない彼女の性格とともに、情報部員の護衛役というもうひとつの役割もあらわしています。そしてその鋭い牙は、人間の姿になったときには、あの愛くるしい八重歯になって、別の意味で大変危険なものになることは言うまでもありません」(笑)

 

「おませな咲耶ちゃんは、計画部の副官です。計画部といっても、実際には計画というかたちで体系化される社会的な意思決定、すなわち政策の決定を行うところです。『ああすればああなる、こうすればこうなる』という事実認識だけを集めても、意思決定にはなりません。『私はああなってほしい、我々にはこうなるのがよい』という、欲求・需要を加えなければ、意思決定はできません。政策決定を行う者は、人々をとりまく状況だけではなく、人々が抱く気持ちや感情をもよく知って、時には活かし時には制しつつ、最終的には適切かつ最大限に両立させうる決定をしなければなりません。恋愛を巡る人間関係は、可憐ちゃんが得意とする家族愛・人類愛をめぐる関係より狭いものですが、時にはより強く、複雑な欲求の衝突を取り扱わねばならないことがあります。つまり彼女はより生々しい、実務的なレベルにおける人々の欲求の把握・制御能力に()けた人物であり、それが人間の姿をとったときの性格にも現れている、といえましょう」

 

「悪魔ゴモリーとしては、ラクダに乗った美しい女公爵の姿で現れます。凛々ちゃんや可憐ちゃんと同じ人間型ですが、彼女たちのように人間の身になって考えるためというより、万一の際に人間に対し、影響力のある対外交渉官の役割を果たすため、魅力的で威厳のある姿をとっているのかもしれません」

 

「毬絵ちゃんは情報部から計画部に来ています。もともと身体が弱いこともあり、沢山の本を読んでいる文科系の女の子で、悪魔としてもそういう属性をもっていますが、それこそが彼女を、調査部と計画部をむすぶ得難い人材たらしめています。なぜならば、どんな科学技術があっても、どんな政策をとっても、社会的・文化的な背景や実態を無視して人々の活動を規制したり、奨励したりするのは難しいからです。生命倫理や銃規制、あるいは様々な人権の問題に対する各国の対応の違いは、このことを物語っています。科学が導く未来の社会的変化と、現在の人々の欲求が食い違う時に、それを説明し、調和させる手段を与えてくれるのが、地理学・歴史学・社会学・文化人類学・心理学・教育学などのような、人文科学系の学問なのではないでしょうか」

 

「悪魔ストラスとしての彼女の姿は、冠を被った足の長いミミズクですが、女の子なのでティアラにしてもよいでしょう。遠隔探査能力に優れ、攻撃・防御力は少ないのですが、飼犬のミカエルというのが実は3つ首の地獄の番犬ケルベロスなので、心配はありません。さらに言えばこのミカエルも、猟犬や闘犬ではなく番犬なので、本当は賢くおとなしい性格なのですが、大抵の場合は外見だけで解決するので問題はありません」(笑)

 

「花穂ちゃんは作戦部から計画部に来ています。作戦部出身といいながら、彼女自身はあまり大きな魔力を発揮できません。あるいはしません。しかし、人間としての彼女がチアリーダーをしているのと同様、他者の士気を引き出すという、ある意味ではより恐るべき能力を持っています。士気、すなわち組織的な活動意欲というものが、軍事や警察など権力的な活動だけでなく生産・福祉活動、さらには創作やスポーツといった文化的活動においても、いかに重要なものであるかはいうまでもありません。ただし文明社会の健全な組織においては、事の理非や善悪、後先(あとさき)を考えず旗振りや煽動(せんどう)を行ってよいということにはなりません。活動内容や方法の適切さについてある程度自分で認識・判断したうえで支援する必要があり、でなければ効果も続かないでしょう。そういう意味で、他者の士気を鼓舞(こぶ)する活動とは、現実行動でありながら、極めて深く社会的な意思決定と関わる、責任の重い活動といえます。彼女が計画部で学び、働くゆえんです。また、それには高度な知性も必要とされます。そのせいか、彼女自身も一見非力ですが、要所要所で臨機応変に行動することで、強大な魔力にも優る貢献をすることがあります」

 

「悪魔フルフルとしての姿はコウモリの翼と蛇の尾、人間の胴体と腕をもつ鹿で、雷を操る他には夫婦愛をもたらしたり、隠れた秘密を教えたりする能力しかないとされていますが、実はその最も重要な『他者を動かす力』ゆえに、それ以外の力は使う必要がない、ということなのかもしれません。あたかも人間としての彼女が、幼く頼りなげなドジっ子でありながら、その一生懸命さと健気さで、世の多くのお兄ちゃんたちのハートを(とりこ)にしているのと同じように……」

 

「作戦部の副官は言うまでもなく、体育会系でスポーツ万能の衛ちゃんです。部長の亞里亞ちゃんが大局を見て、組織全体を動かすために判断する管理職的な立場であるのに対し、現実に動く実戦部隊を直接指揮することが多いようです。しかし、それは彼女が筋肉だけの強者であることを意味しません。実は地球文明支援組織であるところの『悪魔軍団』(!)は、大部分が現地採用の職員です。地球外や他次元、平行世界から侵入した生物や人工知能、人造生物あるいは残留思念(ただしSF的=疑似科学的に説明可能なもの)など、様々な魑魅魍魎(ちみもうりょう)も、撃退・締め出しすべき相手を除き、説得や取引によって支援活動に従事させています。何だか昔の植民地兵のようですが、そもそも彼女たちは地球人類と比べ、まだ存在も明かせないほど文明水準が高いので仕方ありません。利権というより福祉を目的として、将来における地球の星間文明加入に向け、周辺生物も含めた良好な関係を築くため、高度な技術と配慮に基づく、地方分権や官業開放のような民主的権限分与を試みています。そんな寄合(よりあ)い所帯の統率には、やはり優秀な頭脳も必要です」

 

「最も強健な悪魔アモンとしての彼女の姿は、(ふくろう)の頭に狼の上半身、蛇の下半身という異様な形態なのですが、悪魔軍団の中でも最大の作戦部を預かる亞里亞ちゃんが、実は量的には最大の情報を処理しているという事実は、その補佐役である衛ちゃんもまた、文武両道の逸材(いつざい)であることを教えてくれます」

 

「情報部から作戦部に来たのが、白雪ちゃんです。料理といえば味覚の芸術、好みや価値観が大切のように思われますが、彼女にとって重要なのはまず知識や技術です。調理の素材や方法とその順序、調味料の種類や分量、栄養バランス、どうしたら美しく仕上がるか、毒の部分を取り除けるか……これらを間違えてしまうと、料理の意義が損なわれたり、食べられなくなったりしてしまいます」

「それはまた現実の日常生活に関わる、自分や相手に働きかける度合いの大きい活動でもあります。同じ芸術でも、視覚や聴覚、嗅覚、触覚を通じたものは、人間の生命まで左右することは少ないでしょうが、料理は食品という、生命維持に直接関わるものの感覚、すなわち味覚に関するものです。さらに広げて、芸術以外の文化活動を見ても、判断・決定に至る過程を楽しむ知的遊戯(ゲーム)や、場合によっては身体を動かすスポーツ以上に、料理というものの影響は大きいでしょう。仕事の時には目が覚める、病気のときには消化のよい飲食物をとったり、相手と仲良くしたければ、美味しい食事を一緒にしたり……自己や他者に作用する力が大きいのが、料理です」

「もちろん料理の技術は、軍事・経済活動における技術のように相手を動かすこと自体が目的ではなく、あくまでも楽しみ、楽しませることを直接の目的とする、文化的な性格をもった技術です。しかしそれでも、彼女が人間の姿をとるときに選ぶ、料理が得意な少女という属性は、文明支援組織の技術部から作戦部に出向した、〝実働部門における技術的助言者(テクニカルアドバイザー)〟という本来の姿をよく表しているといえます」

 

「人身牛頭の悪魔モラックスは、魔法の石や薬草の使用法、占星術を教えたり、使い魔をくれたりするといわれますが、これは彼女が物理学や化学、天文学や生命科学、さらには現代では当然それらに不可欠となる情報工学など、人類文明の発展に役立つ科学・技術に造詣(ぞうけい)が深いことを示しています。彼女が仲間や人類に提供してくれる知識や技術もまた、その料理と同じように、人々の心を豊かにし、よりよく生きる力を与えてくれるでしょう」

 

「春歌ちゃんは弓や薙刀(なぎなた)といった武道から華道や茶道まで、習い事に熱心な少女です。洋の東西を問わず、戦闘や調理などの実利的な技術や活動が、文化的な性質を帯びていくのはよくみられることです。しかし、特に日本においてはそれが、元々の分野を超えた社会生活や人生の全般にわたる、道徳・倫理や生き方といった価値観にまで、昇華されることが多いように思われます。そうした発達は、時には形式的で非実用的なものとして見直されるべきこともありますが、様々な地域や時代に適した文化・価値体系を形造るうえで、重要な意義をもつことはいうまでもありません。そう、彼女は計画部の出身者です」

「戦争の中であっても戦いのルールが求められる如く、一方的な文明支援活動でも、それが一定の基準に従って行われているかどうかという、チェックは必要です。例えばある国の技術や経済だけを発展させても、それに見合った政策や価値観を担える人々を育てないと、人口増加・資源消費や格差拡大の急速化に対応できず、文明の健全性が損なわれてしまいます」

「春歌ちゃんはそうした失敗を防ぐ、政策実施のチェックのために、計画部から作戦部に派遣されました。つまり彼女は、同じ計画部から情報部へ出向した千影ちゃんと、対になる存在といえましょう。彼女たちの星間文明は長い歴史をもち、幾多の文明間交流を経て築き上げられたものなので、独善や停滞に陥ることなく、多くの種族の発展に貢献してきました。地球文明がよほど例外的なものでない限り、春歌ちゃんの承認と協力のもとで実施された文明発展支援活動は、必ずや我々に繁栄と幸福の未来をもたらしてくれることでしょう」

 

「悪魔サブナックとしての姿は獅子の頭をした戦士で、築城や外傷の治癒(ちゆ)を行えるといわれていますが、これは彼女が戦うだけの存在ではなく、建設的な活動も得意とし、さらには戦う場合であっても、巻添(まきぞ)え防止や戦災復旧の重要性を心得ていることを示しています。もっとも現在の地球人が彼女たちと戦っても戦争にならないので、現在のところ彼女の仕事といえば、彼女たちの正体を探ろうとする人間や、外から妨害をはかる異星人に、いかに犠牲や副作用を出さずに諦めさせるかを、考えることぐらいでしょう。白雪ちゃんの護衛を頼まれることも、あるかもしれません。この2人が仲良く談笑しながら歩いている情景は、想像しにくいかもしれませんが、何だか見てみたい気もします(笑)」

 

「以上が私の妄想した、シスタープリンセス・オブ・エンジェルズです」

「いつか物語を書いてみたいね……」



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