頑張って生き残るぜ!! (森羅万象を創造したい神)
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ステータス&スキル

主人公の情報

 

名前:黒刃 雷

 

本名:八雲 雷

 

種族:半人半神 (能力が影響したため、種族が変化した)

 

性別:男

 

前世:表・普通の学生。

裏・日本の特殊部隊の一員だった。その中でも、特に銃の命中率と剣の腕は部隊の中でもトップクラス

それと、前世でも親はいなく(戦争に巻き込まれて亡くなった)、施設で育った

……因みに、スキルに気配遮断系がないが、機械にも認識できないレベルまで、影を薄くできる

 

今世:特にない。(記憶を取り戻したのが、異世界転移の一日前だったから)

ハジメからは不思議な人と思われてる

 

===============================

黒刃雷 17歳 男 レベル:1

天職:剣士

筋力:10 

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:剣術・縮地・先読み・気配感知・創■・ベ■ト■操■[+高速■算]・■空■を■る・■世■■移・正■不■・完全解放・言語理解

===============================

完全解放時

===============================

八雲雷 ???歳 男 レベル:???

天職:??? 剣神 職業:世界管理

筋力:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

体力:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

耐性:■■■■■■■■■■■

敏捷:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

魔力:■■■■■■■■■■■■■■■■■

魔耐:■■■■■■■■■

妖力:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

神力:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

技能:剣術[+成長補正]・縮地・先読み・気配感知・創造・ベクトル操作[+高速演算]・時空間を司る[+次元掌握]・異世界転移・正体不明・境界操作・限界突破[+効果上昇]・神速[+効果上昇][+持続時間上昇][+思考加速]・魔力鎧・金剛[+部分強化][+集中強化][+効果上昇][+物理耐性上昇]・全魔法適正・魔法創造・地形操作・天変地異・蘇生・心理掌握・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+変換効率上昇Ⅹ][+集中強化]・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・恐慌耐性・全属性耐性・自動再生[+再生操作]・完全記憶・瞬間記憶・双剣術[+斬撃速度上昇Ⅴ]・二刀流[+斬撃速度上昇Ⅹ][+反応速度上昇Ⅹ][+抜刀速度上昇Ⅸ]・体術・逆境強化・言語理解[+高速解読]

===============================

 

スキル説明!!

 

創造

 

その名の通り無から創造ができる。

ただ、イメージができないものなどは創造できない

 

ベクトル操作

 

……アニメ見て?

主人公はまだまだ使いこなせておりません!!

 

時空間を司る

 

ネームセンス?なにそれおいしいの?……げふん……

その名の通り、"時間"そして、“空間"を操れる……

そっちに関してなら何でもできるスキル

後、これのせいで種族が変化した

 

異世界転移

 

異世界に転移する事が可能。

アニメの世界に転移する場合は、物凄い魔力を消費する (魔力消費量:100000(片道))

 

正体不明

 

とある問題児の能力

基本的には、同じ事ができる

例えば、第三宇宙速度なんて余裕で行ける…………まあ、使いこなせれば……だが

 

 

準主人公の情報

 

名前:南雲ハジメ

 

種族:人族

 

性別:女

 

===============================

南雲ハジメ 17歳 女 レベル:1

天職:錬成師

筋力:30

体力:30

耐性:30

敏捷:30

魔力:30

魔耐:30

技能:錬成・縮地・限界突破・獲得経験値量増加・無限成長・言語理解

===============================

 

スキル説明!! イエーイ!!

 

獲得経験値量増加

 

要するに、異世界でよくある成長チート

技術や、スキル……etc.も含まれるため、万能スキルである

 

無限成長

 

成長の限界がなくなるスキル

少しだけだが、成長速度に補正が付いてる

それと、若干だが死にづらくなっている

まあ、途中で死なれたら意味がないもんね!!

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

それと一つ、黒刃雷の方に魔法適正が書いてないが、一応は全魔法は使える……神がそうなるようにした

 

後、地球で、何でいきなり能力が使えるかというと、神に転生時に使い方が分かるようにかいぞ……げふん!!げふん!!……………………まあ、兎に角わかるようにしたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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転生 (変更)

変更:特典を一つ変えました



俺の名前は黒刃 雷

実は今、真っ白い空間にいる

自分も何でここにいるかわからないんだよ……

 

さっき、交差点を渡ろうとしたあたりからの記憶がないんだ……

 

う~む……

 

そんなことを考えていると……

 

「貴方は死んでしまったんですよ」

 

「うわあああああああ!!」

 

突然後ろから声がした

めっちゃビビったぜ……

……漏らすとこだった

 

「……誰です?あなたは?そして、死んだとは?」

 

「私の名前はエリス(どこぞの幸運の女神とは関係がありません)。最高位の神の一柱です。貴方は車にひかれて死んだんですよ」

 

マジかよ……

だから交差点からの記憶がないのか

……ヤなこった

まあ、未練なんざ特にないしな

あんな屑親……

 

「実は………………私が間違って死なせてしまったんですよ」

 

「ん?死なせてしまった?どういうことだ?」

 

「私が……………………………………こぼしちゃったんですよ……」

 

「ん?何をこぼしたんだ?」

 

……嫌な予感が

 

「カレーをこぼしちゃったんですよ!!」

 

「…………………………………………ん?でもカレー関係なくないか?」

 

「えーっと……その~……実は運転手さんの心臓のところに何故かこぼしたカレーが転移しちゃったんですよ」

 

なんですと~!?…………………………じゃあ、俺が死んだのはほんとにたまたまなのか……

 

「だ、だから、異世界転生させてあげようかな~……と……思いまして……」

 

「マジですか?」

 

死因はちょっとあれだけど……

異世界に行けるのなら別にいいか……

 

「行くとしてもどんな世界だよ」

 

「私が転移させようと思っているのは【ありふれた職業で世界最強】の世界です」

 

「あ~……あれかー」

 

あんまり知らないんだよな……

アニメでもやってたけど、途中から見てなかったし

あ、南雲ハジメが奈落に落とされる……というのは知ってますよ

……誰に言ってるのだろうだろう自分は

 

「転生って言っても……自分そんな力ないですよ?」

 

「特典はもちろん与えますよ。なににします?鍛えたら神にまで至れるような能力やスキルなど。」

 

そうだなぁ……

強い能力……やっぱり東方projectの咲夜の《時間を操る程度の能力》とか?

後は地道に強くなるなら妖夢の《剣術を扱う程度の能力》だったか?

とかだな

最初っから最強とかだったら十六夜……何だったかの能力"正体不明"とか?

後は、どっかのロリコンの能力"ベクトル操作"とかかなぁ?

まだまだあるし……迷うぜ

 

「あ、何個までならいいんですか?」

 

「そうですね……五個までならいいですよ?」

 

五個か……ならば……

 

「決めました」

 

「じゃあ、順番に行ってください」

 

まず一つ目が……

 

「"森羅万象を創造する能力"」

 

「ほうほう……いきなりやばいの行きましたね~」

 

創造あればめっちゃ便利じゃん

ハジメを手助けしたいしな

 

「二つ目が、"時空間を司る程度の能力"です」

 

「その言い方は……東方の咲夜さんの能力の上位互換ですか?」

 

「ああ」

 

「(司るって思いっ切り言ってますがいいのでしょうか……神の権能みたいなものですよ?)」

 

「どうしたんだ?」

 

「い、いや?何でもないですよ?」

 

……なんか怪しいが、この際おい置おこうか

 

「……三つ目が"異世界に転移する能力"」

 

「む……………それだと私が【ありふれた職業で世界最強】に転移させた意味がないじゃないですか!!」

 

「まあまあ……落ち着けって……」

 

「まあ、いいですけどね……!!」プイッ

 

子供みたいだな……

 

 

 

「四つ目はベクトル操作です」

 

「はあ……分かりました」

 

む、いい年のおばさんが……

ひえっ……考えただけでしょ!?

 

「今、何か考えました?」ニッコリ

 

「い、いや?何にも考えてないですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

「五つ目が……札に書いた人(キャラ)に変身する能力です」

 

「……貴方、東方キャラに変身する気ですか?女装みたいになりますよ?その場合」

 

「……まあ、この能力たちでいいよ」

 

「そうですか……じゃあ、送りますね~」

 

「じゃあな……幼女神……」

 

「わ、私は幼女じゃないですか!!」

 

 

 

『転送に成功しました』



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異世界召喚

「んんんん~~~………………はあ……」

 

転生してから一日目

 

「赤ちゃんとかじゃなくてよかったには良かったけど……」

 

何で、異世界に転移する前日に記憶を取り戻すんだよ!?

剣術とかを使えるようになっときたかったのに……

 

「はあ……」

 

あと、困ることが一つ……

能力たちがちゃんと使えない……

例えば、ベクトル操作

この世界だと、身体能力を強化することくらいしかできなかった

時空間を司る程度の能力は

時間を若干早めたり、遅らせたり

空間は操れん……

 

要するに、異世界に行かなきゃダメだお?

ということか……

 

「やべ!早くしないと!?」

 

そんなことを考えてるうちに既に七時五十四分になっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきます!!」

 

まあ、返事は来ないけどな……

三年前に親は事故で死んでしまった

 

「ッ!!……このままでは間に合わん!!」

 

しょうがないか……

ベクトル操作で身体能力を強化した

 

「これくらいでいいか……」

 

そういった後、軽く踏み込んでジャンプした

 

「はあ……はあ……少し使うだけでも頭が痛くなる…………やっぱり屋根の上を走るのは気持ちいな~」

 

軽くジャンプしただけで屋根の上に乗ったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お?あれはハジメさんではありませんか」

 

屋根の上を移動しながら、チラッと下を見ると南雲ハジメちゃんがいた

 

「……フッ!!」

 

彼は、体に軽く力を籠め、跳躍した

 

ハジメの方に

 

スタッ「やあ、ハジメ」

 

「ひぎゃあ!!……な、なんだ……雷か……」

 

「このままだと遅れるぞ~」

 

学校にはもうすぐ着くが、教室の席に着席するまでの時間はないだろう

あ、残り三分を切った

しょうがない……あの手を使うか……

 

「ハジメ覚悟!!」

 

「な、何を……キャッ!!」

 

何とびっくり

お姫様抱っこをしたのだ

 

「済まない……ね!!」

 

そう言って彼は、

自身が出せるトップスピードで走った

 

「キャァァァァァァァァ!!」

 

抱っこされているハジメは、羞恥心で顔が真っ赤になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……はあ……ッはあ……着いた……疲れた上、頭痛い……」

 

あんなにも演算し続けたんだししょうがないか……

疲れたのは、これも演算のせいだろう

 

「だ、大丈夫?雷」

 

心配そうに見てくるハジメ

 

「い、いや、大丈夫だ……」

 

「そう?…………そういう風には見えないけど……」ボソッ

 

「(。´・ω・)ん?なんか言った?」

 

「いや?何でもないよ?」

 

ほんとかな~

ボソッとなんか言ってた気がするんだけど…………

まあ、本人が言ってないというのならいいか

 

「じゃあ、行くぞ」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメ達は、いつものように始業チャイムがなるギリギリに登校し、徹夜でふらつく体でなんとか踏ん張り教室の扉を開けた

 

その瞬間、教室の男子生徒の大半から舌打ちやら睨みやらを頂戴する。女子生徒も友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、あからさまに侮蔑の表情を向ける者もいる

 

極力意識しないように自席へ向かうハジメと雷

しかし、毎度のことながらちょっかいを出してくる者がいる

 

「よぉ、キモオタ共! また、徹夜でゲームか? どうせ仲良くエロゲでもしてたんだろ?」

 

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

世間一般ではオタクに対する風当たりは確かに強くはあるが、本来なら嘲笑程度はあれど、ここまで敵愾心を持たれることはない。では、なぜ男子生徒全員が敵意や侮蔑をあらわにするのか

 

その答えが彼女だ

 

「雷君、南雲ちゃん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメのもとに歩み寄った。このクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある

 

名を白崎香織という。学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる

 

いつも微笑の絶えない彼女は、非常に面倒見がよく責任感も強いため学年を問わずよく頼られる。それを嫌な顔一つせず真摯に受け止めるのだから高校生とは思えない懐の深さだ。

 

そんな香織はなぜかよくハジメを構うのだ。徹夜のせいで居眠りの多い雷とハジメは不真面目な生徒と思われており(成績は平均を取っている。雷に限ってはこの学校でトップクラスの成績を取っている)、生来の面倒見のよさから香織が気に掛けていると思われている

 

そんなハジメが香織と親しくできることが、同じく平凡な男子生徒達には我慢ならないのだ。「なぜ、あいつだけ!」と。女子生徒は単純に、香織に面倒を掛けていることと、なお改善しようとしないことに不快さを感じているようだ

 

「お、おはよう白崎さん」

 

「おはよう。香織さん」

 

うわ~お…………

物凄い殺気が……

 

「南雲君。おはよう。毎日大変ね」

 

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

来た~!!テンプレ勇者様!!

そして、正義&ご都合主義男さん

……マジで嫌いなんだよね

失せてくれないかな?

あ、八重樫雫さんはいていいよ?

あんな自己中心的な男と違ってしっかり者だしね

最後の男知らんな (目逸らし)

 

「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」

 

「はあ……テンプレ勇者マジでウぜえな……」ボソッ

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君達に構ってばかりはいられないんだから」

 

「いや、別に甘えてるわけじゃないから……」

 

「いや~、あはは……」

 

それ故に、彼らは笑ってやり過ごそうとする。が、今日も変わらず我らが女神は無自覚に爆弾を落とす

 

「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が雷君と南雲ちゃんと話したいから話してるだけだよ?」

 

ざわっと教室が騒がしくなる。男子達はギリッと歯を鳴らし呪い殺さんばかりに彼らを睨み、檜山達四人組に至っては昼休みに彼らを連れて行く場所の検討を始めている

 

「え? ……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

お前……ほんとに都合のいい頭してんな

 

「……ごめんなさいね? 二人共悪気はないのだけど……」

 

君のせいではないぞ!!八重樫雫様!!

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

昼休み~

 

「雷君、南雲ちゃん。珍しいね、教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」

 

再び不穏な空気が教室を満たし始める中、ハジメ"は"心の裡で悲鳴を上げる。いや、もう本当になしてわっちに構うんですか? と意味不明な方言が思わず飛び出しそうになった。

 

ハジメは抵抗を試みる。

 

「あ~、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」

 

そう言って、ミイラのように中身を吸い取られたお昼のパッケージをヒラヒラと見せる。断るのも「何様だ!」と思われそうだが、お昼休憩の間ずっと針のむしろよりは幾分マシだ。

 

しかし、その程度の抵抗など意味をなさないとばかり女神は追撃をかける。

 

「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、ちゃんと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」

 

俺は寝てるふりをしてるぜ!!

ハジメガンバレイ!!

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲達はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝にキョトンとする香織。少々鈍感というか天然が入っている彼女には、光輝のイケメンスマイルやセリフも効果がないようだ

 

なんか来た~!!

ハジメン可哀想……

でも、起きると面倒そうだし……

 

その時、クラスが凍りついた (物理的じゃあありません!!)

 

彼らの目の前、光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する

 

その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

 

数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた



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お話し☆

ふう……

ようやくか……

ハジメは……

後ろにいるのか

あまり、離れすぎるのは良くない

 

地味に、後ろで香織が倒れてる

 

この広間にいるのは彼達だけではない。少なくとも三十人近い人々が、ハジメ達の乗っている台座の前にいたのだ。まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で

 

彼等は一様に白地に金の刺繍がなされた法衣のようなものを纏い、傍らに錫杖のような物を置いている。その錫杖は先端が扇状に広がっており、円環の代わりに円盤が数枚吊り下げられていた。

 

その内の一人、法衣集団の中でも特に豪奢で煌びやかな衣装を纏い、高さ三十センチ位ありそうなこれまた細かい意匠の凝らされた烏帽子のような物を被っている七十代くらいの老人が進み出てきた。

 

もっとも、老人と表現するには纏う覇気が強すぎる。顔に刻まれた皺や老熟した目がなければ五十代と言っても通るかもしれない。

 

そんな彼は手に持った錫杖をシャラシャラと鳴らしながら、外見によく合う深みのある落ち着いた声音でハジメ達に話しかけた。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

あのおっさん……狂信者か……

ハジメと色々、話し合わないとな

……原作を壊すわけにはいかんからな

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

雷達は場所を移り、十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に通されていた。

 

この部屋も例に漏れず煌びやかな作りだ。素人目にも調度品や飾られた絵、壁紙が職人芸の粋を集めたものなのだろうとわかる

 

おそらく、晩餐会などをする場所なのではないだろうか。上座に近い方に畑山愛子先生と光輝達四人組が座り、後はその取り巻き順に適当に座っている。雷とハジメは最後方だ

 

ここに案内されるまで、誰も大して騒がなかったのは未だ現実に認識が追いついていないからだろう。イシュタルが事情を説明すると告げたことや、カリスマレベルMAXの光輝が落ち着かせたことも理由だろうが。

 

教師より教師らしく生徒達を纏めていると愛子先生が涙目だった。

 

全員が着席すると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイドさん達が入ってきた。

 

(紅魔館のメイドよりは…………………………………………咲夜の方がいいな)

 

こんな状況でも思春期男子の飽くなき探究心と欲望は健在でクラス男子の大半がメイドさん達を凝視している。もっとも、それを見た女子達の視線は、氷河期もかくやという冷たさを宿していたのだが……

 

「まあ、しょうがないか……」ボソッ

 

「どうかしたの?雷」

 

「いや、何でもない」

 

雷も傍に来て飲み物を給仕してくれたメイドを凝視……しそうになってなぜか背筋に悪寒を感じ咄嗟に正面に視線を固定した

 

誰だ?二人……くらいから見られてる?

後ろからもすごい見られてる

これは、ハジメか?

 

チラリと悪寒を感じる方へ視線を向けると、なぜか満面の笑みを浮かべた香織と雫がジッと雷を見ていた。だが……雷は見なかったことにした

 

「こっわ……」

 

「フフフ……」

 

ハジメからもすごい笑い声が!!

思わず背筋が伸びてしまう

 

全員に飲み物が行き渡るのを確認するとイシュタルが話し始めた。

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

そう言って始めたイシュタルの話は実にファンタジーでテンプレで、どうしようもないくらい勝手なものだった

 

要約するとこうだ

 

まず、この世界はトータスと呼ばれているぞ♥

そして、トータスには大きく分けて三つの種族があるそうじゃよ?

それは、人間族、魔人族、亜人族である……らしいぜよ?

 

人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい

 

この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている

 

魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きいらしく、その力の差に人間族は数で対抗していたそうだ。戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。

 

それが、魔人族による魔物の使役だ。

 

魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のことだ、と言われている。この世界の人々も正確な魔物の生体は分かっていないらしい。それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく強力で凶悪な害獣とのことだ。

 

今まで本能のままに活動する彼等を使役できる者はほとんど居なかった。使役できても、せいぜい一、二匹程度だという。その常識が覆されたのである。

 

これの意味するところは、人間族側の〝数〟というアドバンテージが崩れたということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えているのだ

 

大変だね~

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

無理です♥

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

お、愛子様!!

いってやれ!!

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が全身に押しかかっているようだ。誰もが何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

「……俺ならいけるがな」ボソッ

 

愛子先生が叫ぶ。

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

 

「そ、そんな……」

 

愛子先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

 

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

 

「なんで、なんで、なんで……」

 

ここで来るんだろう?

テンプレ――――

 

未だパニックが収まらない中、光輝が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。その音にビクッとなり注目する生徒達。光輝は全員の注目が集まったのを確認するとおもむろに話し始めた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

――――勇者さん?

みんなで人殺しをするぞ~!!と言ってるようなものだぞ

イシュタルにとっちゃ~扱いやすいな……とでも思ってるんだろ

 

結局、全員で戦争に参加することになってしまった。おそらく、クラスメイト達は本当の意味で戦争をするということがどういうことか理解してはいないだろう。崩れそうな精神を守るための一種の現実逃避とも言えるかもしれない

 

「はあ…………俺は正直言ってクラスメイトなんざどうでもいいんだ……一部を除いて」

 

「ははは……」

 

ハジメさん!!苦笑いすな!!



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ステータス

スキルを増やしました


戦争参加の決意をした以上、雷達は戦いの術を学ばなければならない。いくら規格外の力を潜在的に持っていると言っても、元は平和主義にどっぷり浸かりきった日本の高校生だ。いきなり魔物や魔人と戦うなど不可能である。

 

しかし、その辺の事情は当然予想していたらしく、イシュタル曰く、この聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】にて受け入れ態勢が整っているらしい。

 

王国は聖教教会と密接な関係があり、聖教教会の崇める神――創世神エヒトの眷属であるシャルム・バーンなる人物が建国した最も伝統ある国ということだ。国の背後に教会があるのだからその繋がりの強さが分かるだろう。

 

雷達は聖教教会の正面門にやって来た。下山しハイリヒ王国に行くためだ。

 

聖教教会は【神山】の頂上にあるらしく、凱旋門もかくやという荘厳な門を潜るとそこには雲海が広がっていた。

 

高山特有の息苦しさなど感じていなかったので、高山にあるとは気がつかなかった。おそらく魔法で生活環境を整えているのだろう。

 

雷達は、太陽の光を反射してキラキラと煌めく雲海と透き通るような青空という雄大な景色に呆然と見蕩れた。

 

どこか自慢気なイシュタルに促されて先へ進むと、柵に囲まれた円形の大きな白い台座が見えてきた。大聖堂で見たのと同じ素材で出来た美しい回廊を進みながら促されるままその台座に乗る。

 

 台座には巨大な魔法陣が刻まれていた。柵の向こう側は雲海なので大多数の生徒が中央に身を寄せる。それでも興味が湧くのは止められないようでキョロキョロと周りを見渡していると、イシュタルが何やら唱えだした。

 

「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん――〝天道〟」

 

その途端、足元の魔法陣が燦然と輝き出した。そして、まるでロープウェイのように滑らかに台座が動き出し、地上へ向けて斜めに下っていく

 

どうやら、先ほどの〝詠唱〟で台座に刻まれた魔法陣を起動したようだ。この台座は正しくロープウェイなのだろう。ある意味、初めて見る〝魔法〟に生徒達がキャッキャッと騒ぎ出す。雲海に突入する頃には大騒ぎだ。

 

 やがて、雲海を抜け地上が見えてきた。眼下には大きな町、否、国が見える。山肌からせり出すように建築された巨大な城と放射状に広がる城下町。ハイリヒ王国の王都だ。台座は、王宮と空中回廊で繋がっている高い塔の屋上に続いているようだ

 

ふーん……ふぁああ……んん……眠いな~

正直どうでもいいから転移魔法とかないの?

 

 

自分達の帰還の可能性と同じく、世界の行く末は神の胸三寸なのである。徐々に鮮明になってきた王都を見下ろしながら、雷とハジメは言い知れぬ不安が胸に渦巻くのを必死に押し殺した。そして、とにかくできることをやっていくしかないと拳を握り締め気合を入れ直すのだった

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

王宮に着くと、ハジメ達は真っ直ぐに玉座の間に案内された

 

教会に負けないくらい煌びやかな内装の廊下を歩く。道中、騎士っぽい装備を身につけた者や文官らしき者、メイド等の使用人とすれ違うのだが、皆一様に期待に満ちた、あるいは畏敬の念に満ちた眼差しを向けて来る。ハジメ達が何者か、ある程度知っているようだ

 

雷とハジメは居心地が悪そうに、最後尾をこそこそと付いていった。

 

美しい意匠の凝らされた巨大な両開きの扉の前に到着すると、その扉の両サイドで直立不動の姿勢をとっていた兵士二人がイシュタルと勇者一行が来たことを大声で告げ、中の返事も待たず扉を開け放った

 

イシュタルは、それが当然というように悠々(ゆうゆう)と扉を通る。光輝等一部の者を除いて生徒達は恐る恐るといった感じで扉を潜った

 

扉を潜った先には、真っ直ぐ延びたレッドカーペットと、その奥の中央に豪奢な椅子――玉座があった。玉座の前で覇気と威厳を纏った初老の男が立ち上がって待っている

 

その隣には王妃と思われる女性、その更に隣には十歳前後の金髪碧眼の美少年、十四、五歳の同じく金髪碧眼の美少女が控えていた。更に、レッドカーペットの両サイドには左側に甲冑や軍服らしき衣装を纏った者達が、右側には文官らしき者達がざっと三十人以上並んで佇んでいる

 

玉座の手前に着くと、イシュタルはハジメ達をそこに止め置き、自分は国王の隣へと進んだ

 

そこで、おもむろに手を差し出すと国王は恭しくその手を取り、軽く触れない程度のキスをした。

 

そこからはただの自己紹介だ。国王の名をエリヒド・S・B・ハイリヒといい、王妃をルルアリアというらしい。金髪美少年はランデル王子、王女はリリアーナという。

 

後は、騎士団長や宰相等、高い地位にある者の紹介がなされた。ちなみに、途中、美少年の目が香織に吸い寄せられるようにチラチラ見ていたことから香織の魅力は異世界でも通用するようである

 

その後、晩餐会が開かれ異世界料理を堪能した。見た目は地球の洋食とほとんど変わらなかった。たまにピンク色のソースや虹色に輝く飲み物が出てきたりしたが非常に美味だった

 

ランデル殿下がしきりに香織に話しかけていたのをクラスの男子がやきもきしながら見ているという状況もあった

 

ハジメとしては、もしや矛先が殿下に向くのではと、ちょっと期待したりした。といっても、十歳では無理だろうが……

 

王宮では、ハジメ達の衣食住が保障されている旨と訓練における教官達の紹介もなされた。教官達は現役の騎士団や宮廷魔法師から選ばれたようだ。いずれ来る戦争に備え親睦を深めておけということだろう

 

晩餐が終わり解散になると、各自に一室ずつ与えられた部屋に案内された。天蓋

付きベッドに愕然としたのは雷だけではないはずだ。雷は、豪奢な部屋にイマイチ落ち着かない気持ちになりながら、それでも怒涛の一日に張り詰めていたものが溶けていくのを感じ、ベッドにダイブすると共にその意識を落とした

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

翌日から早速訓練と座学が始まった

 

まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた

 

メルド団長本人も、「むしろ面倒な雑事を副長(副団長のこと)に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫なのだろう。もっとも、副長さんは大丈夫ではないかもしれないが……

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

 

ハジメ達もその方が気楽で良かった。遥か年上の人達から慇懃な態度を取られると居心地が悪くてしょうがないのだ

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

「アーティファクト?」

 

アーティファクトという聞き慣れない単語に光輝が質問をする。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

なるほど、と頷き生徒達は、顔を顰めながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。雷とハジメも同じように血を擦りつけ表を見る。

 

 すると……

 

===============================

黒刃雷 17歳 男 レベル:1

天職:剣士

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:剣術・縮地・先読み・気配感知・創■・ベ■ト■操■[+高速■算]・■空■を■る・■世■■移・正■不■・完全開放・言語理解

===============================

 

表示された。

 

雷は自分のステータスを眺める。他の生徒達もマジマジと自分のステータスに注目している。ハジメもまじまじ見てるな

 

文字化け多いな……

 

メルド団長からステータスの説明がなされた

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

雷は自分のステータスを見る。確かに天職欄に〝剣士〟とある

 

雷達は上位世界の人間だから、トータスの人達よりハイスペックなのはイシュタルから聞いていたこと。なら当然だろうと思いつつ、口の端がニヤついてしまうハジメ。自分に何かしらの才能があると言われれば、やはり嬉しいものだ

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

この世界のレベル1の平均は10らしい。

……(。´・ω・)ん?

ハジメが……ステータス聞きに行こう

 

「ハジメどうだった?」

 

「……えーっと……はい……」

 

どれどれ?

 

===============================

南雲ハジメ 17歳 女 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:錬成・言語理解

===============================

 

ありゃりゃ……

後でこっそりとスキルをあげるから

そんなに落ち込まないで!!

 

「雷のは?」

 

「ほい」

 

俺のやつを見せた瞬間、あからさまに落ち込んだ

 

「ハジメ……そんなに落ち込むなって……大抵、弱いやつが大抵後々チートになるんだから」

 

ん?勇者君のステータス?どんなんだっけ

 

============================

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

==============================

 

まさにチートの権化だった。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

 

「いや~、あはは……」

 

団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜きそう

 

流石テンプレ勇者……チートだな

……一部のスキル削除してやろうか?

 

「雷!!顔が怖いよ?」

 

「ん?……ああ、済まない」

 

俺、顔に出るレベルで嫌いなのか

テンプレ勇者のこと

 

だんだん乾いた笑みが零れ始めるハジメ。報告の順番が回ってきたのでメルド団長にプレートを見せた。

 

今まで、規格外のステータスばかり確認してきたメルド団長の表情はホクホクしている。多くの強力無比な戦友の誕生に喜んでいるのだろう。

 

その団長の表情が「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した

 

「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

歯切れ悪くハジメの天職を説明するメルド団長。

 

その様子にハジメを目の敵にしている男子達が食いつかないはずがない。鍛治職ということは明らかに非戦系天職だ。クラスメイト達全員が戦闘系天職を持ち、これから戦いが待っている状況では役立たずの可能性が大きい。

 

檜山大介が、ニヤニヤとしながら声を張り上げる。

 

「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

 

「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

 

「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」

 

何で、戦うこと前提なんだ……

生産系の人まで戦う必要ないだろ

……こっちまでイライラしてきた。

少し、ステータスを弄らせてもらうぜ?

ハジメ?

 

檜山が、実にウザイ感じでハジメと肩を組む。見渡せば、周りの生徒達――特に男子はニヤニヤと嗤っている

 

「さぁ、やってみないと分からないかな」

 

「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」

 

メルド団長の表情から内容を察しているだろうに、わざわざ執拗に聞く檜山。本当に嫌な性格をしている。取り巻きの三人もはやし立てる。強い者には媚び、弱い者には強く出る典型的な小物の行動だ。事実、香織や雫などは不快げに眉をひそめている。

 

香織に惚れているくせに、なぜそれに気がつかないのか。そんなことを考えながら、ハジメは投げやり気味にプレートを渡す

 

ハジメのプレートの内容を見て、檜山は固まった

 

「な、なんだこのステータスは!?」

 

そういわれたハジメは困惑した様子で自分のステータスを見た

 

===============================

南雲ハジメ 17歳 女 レベル:1

天職:錬成師

筋力:30

体力:30

耐性:30

敏捷:30

魔力:30

魔耐:30

技能:錬成・縮地・限界突破・獲得経験値量増加・無限成長・言語理解

===============================

 

「あれ?」

 

ハジメが最初に見た時とステータスが違うのだ

 

「ハジメ……お前……チートだな」

 

ハジメは困惑しながらも、内心喜んだ

これで、あいつらにもいじめられないんだ!!と

 

そして、その後は雷のステータスを見せた

 

「剣士……の割にはスキルが多いな……文字化けが多くて分からんし……」ブツブツ

 

……もういいのかな?

 

「あの~?メルドさん?」

 

「……おお、すまんな」



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あ、やり過ぎた

駄文の神の力を解放した作者


現在、ハジメと雷は訓練の休憩時間を利用して王立図書館にて調べ物をしている。その手には〝北大陸魔物大図鑑〟というなんの捻りもないタイトル通りの巨大な図鑑があった

 

「雷まで来なくても……」

 

「いやいや、知識があれば生き残れる確率が高くなるからな……」

 

前世でもそうだった

戦争の中でも生き残れたし

……戦争といえば、俺右肩を一度銃で撃ち抜かれたことあるんだよね

その後すぐにそいつを撃ち殺したが……

 

ハジメは、しばらく図鑑を眺めていたのだが……突如、「はぁ~」と溜息を吐いて机の上に図鑑を放り投げた。ドスンッという重い音が響き、偶然通りかかった司書が物凄い形相でハジメを睨む

 

「ハジメ……疲れたのか?」

 

「う、うん……」

 

「はあ…………――――――――"ヒール"」

 

「うわっ……疲れが……………………………………ん?魔法使えたっけ雷?」

 

「……ああ、使えるぞ?」

 

「す、すごいね……」

 

「そんなことないだろ……」

 

……さっきから司書が凄い睨んでる。ハジメに。

 

ハジメにそのことを言ったら、すぐに謝った

 

「す、すみません」

 

その後、ハジメはおもむろにステータスプレートを取り出し、頬杖をつきながら眺める。

 

===============================

南雲ハジメ 17歳 女 レベル:10

天職:錬成師

筋力:60

体力:60

耐性:60

敏捷:60

魔力:60

魔耐:60

技能:錬成・縮地・限界突破[+効果上昇]・獲得経験値量増加・無限成長・言語理解

===============================

 

これが、二週間みっちり訓練したハジメの成果である。ちなみに皆さん大好き光輝様はというと、

 

==================================

天之河光輝 17歳 男 レベル:10

天職:勇者

筋力:200

体力:200

耐性:200

敏捷:200

魔力:200

魔耐:200

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読

高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

==================================

 

それと、ハジメには魔法の適性がないこともわかった。

 

魔法適性がないとはどういうことか。この世界における魔法の概念を少し説明しよう。

 

トータスにおける魔法は、体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することはできず、どのような効果の魔法を使うかによって正しく魔法陣を構築しなければならない。

 

そして、詠唱の長さに比例して流し込める魔力は多くなり、魔力量に比例して威力や効果も上がっていく。また、効果の複雑さや規模に比例して魔法陣に書き込む式も多くなる。それは必然的に魔法陣自体も大きくなるということに繋がる。

 

例えば、RPG等で定番の〝火球〟を直進で放つだけでも、一般に直径十センチほどの魔法陣が必要になる。基本は、属性・威力・射程・範囲・魔力吸収(体内から魔力を吸い取る)の式が必要で、後は誘導性や持続時間等付加要素が付く度に式を加えていき魔法陣が大きくなるということだ。

 

 しかし、この原則にも例外がある。それが適性だ。

 

適性とは、言ってみれば体質によりどれくらい式を省略できるかという問題である。例えば、火属性の適性があれば、式に属性を書き込む必要はなく、その分式を小さくできると言った具合だ。

 

この省略はイメージによって補完される。式を書き込む必要がない代わりに、詠唱時に火をイメージすることで魔法に火属性が付加されるのである。

 

大抵の人間はなんらかの適性を持っているため、上記の直径十センチ以下が平均であるのだが、ハジメの場合、全く適性がないことから、基本五式に加え速度や弾道・拡散率・収束率等事細かに式を書かなければならなかった。

 

そのため、〝火球〟一発放つのに直径二メートル近い魔法陣を必要としてしまい、実戦では全く使える代物ではなかったのだ。

 

ちなみに、魔法陣は一般には特殊な紙を使った使い捨てタイプか、鉱物に刻むタイプの二つがある。前者は、バリエーションは豊かになるが一回の使い捨てで威力も落ちる。後者は嵩張るので種類は持てないが、何度でも使えて威力も十全というメリット・デメリットがある。イシュタル達神官が持っていた錫杖は後者だ

 

「どうしたんだ?ステータスをそんなに見て」

 

「……魔法使いたかったな~」

 

「ははは……まあ、ないもんはしょうがないだろ」

 

「……まあ、そうだね」

 

獲得経験値量増加を与えて思ったことがある

ハジメの成長速度おせえな!?

獲得経験値量増加でようやくテンプレ勇者と同じかよ……

 

「そうだ、雷のステータスは?」

 

「見るか?」

 

「まあ、気になるね」

 

「どうぞ」

 

ポケットから取り出し、ハジメの方に放り投げた

 

「おっと……どれどれ?」

 

ハジメが見てみると……

 

===============================

黒刃雷 17歳 男 レベル:2

天職:剣士

筋力:12  [+正体不明発動ERROR]

体力:12  [+正体不明発動ERROR]

耐性:12  [+正体不明発動ERROR]

敏捷:12  [+正体不明発動ERROR]

魔力:12  [+正体不明発動ERROR]

魔耐:12  [+正体不明発動ERROR]

技能:剣術[+斬撃速度上昇]・縮地・先読み・気配感知・創造・ベクト■操作[+高速演算]・時空■を司る・■世■転移・正■不明・言語理解

===============================

 

「うわ~……」

 

「そんな目でこっちを見るな!!」

 

凄いジト目で見てくるハジメ

そんな目で見ないで!!

照れちゃうでしょ!!

 

「また、しょうもないこと考えたでしょ?」

 

「む………なぜわかった!?」

 

マジでびっくり……

香織といい、雫といい……何で俺の考えてることが分かるんだ……?

そんなスキル俺もほしいぃぃぃぃぃぃぃ!!

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

訓練施設に到着すると既に何人もの生徒達がやって来て談笑したり自主練したりしていた。どうやら案外早く着いたようである。ハジメと雷は、自主練でもして待つかと、支給された西洋風の細身の剣を取り出した。

 

と、その時、唐突に後ろから衝撃を受けてハジメはたたらを踏んだ。なんとか転倒は免れたものの抜き身の剣を目の前にして冷や汗が噴き出る。顔をしかめながら背後を振り返った雷は予想通りの面子に心底うんざりした表情をした

 

「よぉ、黒刃。なにしてんの? お前が剣持っても意味ないだろが……」

 

「いや、俺の天職剣士なんだが……?」

 

「チィッ……こいつイラつくし俺らで稽古つけてやんね?」

 

一体なにがそんなに面白いのかニヤニヤ、ゲラゲラと笑う檜山達。

 

「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」

 

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能の剣士様のために時間使ってやるとかさ~。黒刃~感謝しろよ?」

 

ほんとに不愉快になるな……

スキル……増やすか

 

「はあ…………」

 

ハジメに目で大丈夫だぞ!!……と伝えた

 

訓練施設からは死角になっている人気のない場所に来ると、檜山は雷を突き飛ばした。

 

「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」

 

檜山、中野、斎藤、近藤の四人が雷を取り囲む

 

「ぐぁ!?」

 

その瞬間、背後から背中を強打された。近藤が剣の鞘で殴ったのだ。悲鳴を上げ前のめりに倒れる雷に、更に追撃が加わる。

 

「ほら、なに寝てんだよ? 焦げるぞ~。ここに焼撃を望む――〝火球〟」

 

 中野が火属性魔法〝火球〟を放つ。が……

 

「効かねえよバーカ」

 

雷に向かっていた火球が雷の体に当たる寸前で消え去った

 

「な………!?……グッ……ここに風撃を望む"風球"!!」

 

風魔法を放ったが又もや当たる寸前で消え去った

 

「雑魚共!!」

 

そういった後、彼の姿が消えたかと思うと、

近藤の背後にいた

 

「お休み~」

 

「グッ……」バタン

 

雷は近藤に手刀で気絶させた

 

「な……!!調子に乗るなぁ!!」

 

取り巻きの一人が剣を抜いて、迫ってきた

 

「剣を抜いたか」

 

「おらぁ!!」

 

取り巻きの一人が思いっ切り剣を雷に向かって振り下ろした

その攻撃を僅かに身体をひねっただけで躱し、

 

「ふん!!」

 

顔面を思いっ切り殴った

 

「ぐおがぁ!!」

 

「やべ!」バタン

 

気絶してる……

思いっ切り殴りすぎたようだ

 

「まあいいか」チラッ

 

「ヒッ!!」

 

と、そこで……

 

「何やってるの!?」

 

びっくりしたなんせ、ここに来たのが香織だったのだから。香織だけでなく雫や光輝、龍太郎もいる

 

「何をした!!雷!!」

 

「うっせえ。テンプレ勇者」

 

「なん……」

 

「"時間停止"」

 

めんどくさそうになりそうだったので時間を止めさせてもらった

 

「さらば!!俺はダンジョンに行かせてもらうぜ!!……と、今回のことは一応紙に書いておこう」

 

 

「じゃ、またな!!」



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