シズクルート (眼鏡最高)
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第一話 拾いモノ

ぽつり、ぽつりと、雨が降ってきた。本降りになる前にホテルに帰ろう。

少し急ぎ足でホテルに向った。

 

ここの路地を曲がれば、もうホテルだ。部屋に着いたらシャワーを浴びよう。そんな事を考えて路地を曲がったら何かを踏んづけた。

 

足を退けると男の顔面があった。男は気絶し血まみれで倒れている。

でも、なんで気が付かなかったんだろ。

 

よく観察して見ると男に傷は一つも無く、どうやら全て返り血のようだ。

 

思い切り男の顔面を踏んづけてしまったのでホテルに連れ帰る事にした。

重いので片方の足を掴み、引きずって運んだ。途中何度も頭をぶつけていたけど、大丈夫かな。

 

ホテルに着き部屋に入り男をドアの前に置き、私は雨に濡れたのでシャワーに入った。

 

シャワーから上がり男を見たが、まだ気絶中だ。

風邪を引くいけないので服を脱がせた。

安っぽい白と黒のストライプのシャツ、あと黒のジーンズを脱がせた。

衣服を脱がせると、懐からお手製ナイフが一本、腰からベンズナイフが一本、両足両腕にベンズナイフが一本ずつ、あった。

 

ナイフを机に置き、男の体をタオルで拭いた。

 

 

〜〜〜〜

 

 

うっう〜ん。頭が痛い。

 

「マジで痛い、頭ガンガンする」

 

起き上がり辺りを見回したが知らない部屋だった。ここはドコ?しかも俺パンツ一枚じゃないか誘拐か?いや俺を誘拐しても金なんて無いしな。そんな事を考えていたら部屋のドアが開き、眼鏡をかけた黒髪ショートの女性が入ってきた。服装はセーターにジーンズだ。

 

「えっと、どなた、ですか?」

何も分からないので、とりあえず聞いてみた。

 

「シズク。あなたは何者なの?」

ちょー淡々と女性に聞かれた。

 

「俺は、俺、は…、俺は誰だ?」

名前やら何やらが霞みがかかったように出て来なかった。

 

とりあえず俺とシズクさんは寝室から居間に移動した。ちゃんと服に着替えてね。

 

どうやら俺は記憶喪失っぽい、だけど思い出だけで良かったさ。赤ちゃんまで初期化してなくて良かったよ。そう思う事にした…

つか、シズクさんに聞いたが俺は血まみれで路地に倒れていたらしい。しかも返り血、自分が自分で怖い。よくシズクさんは俺を拾ったな、優しい人だぜ。と言うか、もしかして俺って危ない人だったのか?

 

「どうするの?」

ぽつりとシズクさんに聞かれたが…

 

「う〜ん、警察にでも行ってきます」

きっと公共機関なら何とかなるだろう。うん、大丈夫さ。

 

「そう。気を付けてね」

平坦な声と表情でシズクさんは言った。

 

玄関先に移動しシズクさんに挨拶をした。それにしてもシズクさんちっちゃいな、可愛い。

 

「じゃあ、色々とありがとうございました」

頭を下げ、シズクさんに御礼を言い歩き出そうとしたら。

 

「行ってらっしゃい」

シズクさんは手を振り、言われたので。

 

「えっと、行ってきます」

俺も手を振って答えてしまった。

 

 

 

で、警察署に来た。

名前が分からないなら無理だ、と言われたが腰にしがみつき何度もお願いし頼みに頼み込み、なんとか血で調べてくれる事になった。数十分ほど待っていたら、背後から声を掛けられた。

 

「おい、お前。とっとと流星街に帰りな」

はい?まったく意味が分からない。その後、野良犬でも追っ払うようにシッシッと手を振られた。

 

申し訳ないと思いながら唯一の希望、シズクさんにすがる事にした。

 

気合いを入れシズクさんの部屋のドアを軽く叩いた。

少し待っているとガチャとドアが開きシズクさんがあらわれた。

 

「お帰り」

 

「えっと、ただいま、です」

 

 

俺が警察署のいきさつを簡単にシズクさんに話すと。

 

「同じだね。私も流星街出身だよ」

シズクさんは相変わらずの無表情で、俺に告げた。なんでも流星街の住人は世界のデータベースに記載されないらしい。どんだけだよ、引きこもり国家か。

 

「私と一緒に帰る?」

少し首をかしげ、俺にたずねた。まるで女神様だ。

 

「あざすっ!是非!お供させてくださいませ!」

シズクさん何て良い人なんだ。俺って運が良いな。

 

あと俺が金を持ってないと言うと「私が出すよ」と答えてくれた。本物の女神様や。

 

「持ち物、持ってくる」

持ち物?突然どうしたんだ?シズクさんは部屋から出て行き、少ししてナイフを六本持ち戻ってきた。

 

「はい」

ドンと机にナイフを置いた。

 

「これは?俺の?ですか?」

 

「そうだよ」

 

いや、だったら、もっと早く出してくださいよシズクさん。記憶喪失の人間の持ち物あるなら、何か重要な手かがかりあるかもでしょ、と心の中で思った。

 

つか6本中5本が、まがまがしい形をしている。マジで俺は危ない人だったのか…。いやいや、きっとアレだ。このナイフは仕事用のナイフだよ…。いや!いや!こんなナイフが仕事用って…。

もう、この問題は置いておこう。うん、そうだ、どうせ分からないしな。

 

今度は一本だけ普通のナイフを手に取った。お手製感まる出しのナイフだ。よく見るとグリップの部分に名前みたいのが彫ってあった。は、る、と、ハルトか。これが会社名だったら泣けるな。まぁ名前が無いと不便だからハルトで良いかな。そんな感じで俺は自分の名前を決めた。

 

俺がぼーっとしていたらシズクさんが何やらガサゴソし、どこかに出掛ける準備していた。

 

「どっかに出掛けるんすか?」

 

「うん、散歩」

 

「お供して良いすっか?」

 

「いいよ」

 

で、ホテルから出た。

 

この町マーロは、古代の遺跡が沢山あり、巨大美術館、コロッセオなどなど、有名な観光都市だ。と観光パンフレットに書いてあった。

 

街並みを歩くだけで楽しいね。

そんな街並みを俺とシズクさんは、ぶらぶらしていた。夕方になり、そろそろ晩御飯を食べようと店を探していたら、見るからに不良の三人組にからまれた。めっちゃ怖いが男の俺が行くしかないよな。

 

シズクさんを庇うように俺は一歩前に出た。と同時に不良A君が奇声を上げ殴り掛かってきた。ヤバイ殴られると思ったが、体が勝手に動き不良A君の手首を捻り上げ、そのまま投げていた。続いて不良B君とC君が襲ってきたが、B君の腹に俺の拳が綺麗に決まり、C君の首筋にはナイフが当てられタラ~と一筋血が出ていた。

 

俺が茫然自失におちいっている間に不良君達は逃げていた。自分が自分で怖いです……いや、マジで!チョー怖い!自然にあんな事が出来るなん…

 

「ハルト、行こう」

考え込んでいたらシズクさんに服の袖をクイクイと引かれていた…。可愛い過ぎる!

 

「そうっすね!行きましょう!」

さっきまで考えていた事など、すっかり忘れ夕食を食べに行った。

 

 

晩御飯を食べ一息ついた頃、流石に先程の『不良に襲われ勝手に体が動く事件』の事がやっぱり気になり出した。

 

「あのシズクさん、…さっきの変じゃなかったですか?」

恐る恐る俺はシズクさんに聞いてみた。

 

「さっきの?」

なんの事?と純水に不思議そうな顔をしていた。

 

「えっと、不良に俺がした事ですよ」

 

「あぁ…。見事だったね」

 

「えっ、そんだけ」

 

「う〜ん。…綺麗だったよ」

 

この時ようやくシズクさんが天然なんだと理解した。

 

 

それからホテルに帰り、シズクさんはシャワーを浴びてる。シャワー音が聞こえてくるよっ、しかも鼻唄まで、なんかエロい。なんかエロい!大事な事なので二回、言いました!

 

しばらくして浴室からシズクさんがあらわれた…

その姿は、まさに女神。裸ワイシャツ姿で、グイグイ牛乳を飲んでいた。うつくしい。

なんか鼻血が出そう。あと他にも何か色々と熱いモノが出そう、だよっ!

 

いや、つか、いったい俺は何才だっ!青い春の中学生かっ!

ん?俺、本当に何才なんだ?分からないのでシズクさんに聞いてみた。

 

「俺、何才ぐらいに見えますか?」

 

「18才、かな」

 

「成る程〜」

そんぐらいに見えるのか。

 

「お風呂、入らないの?」

 

「あっ、入ります」

 

そして浴室に行くと、そこは楽園だった。

浴室にシズクさんの素晴らしくイイ匂いが充満していた。

そこで、目一杯スーハースーハーし、俺は自分が変態だと自覚した。

 

で寝る時間になったのでソファで寝ました。

 



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第二話 仲間

今日も今日とて、いい天気だ。

 

俺達は今もマーロの町にいる。なんでもシズクさんは趣味で集めてる物を揃えたい、らしい。でも、この一週間何度も美術館に通っただけだっだ。

 

そして一週間が過ぎた日の夜にシズクさんは、俺にホテルで待ってるように言い、どっかに一人で出掛けてしまった。

 

忠犬よろしく俺は待っていたが、いつの間にかソファで寝落ちしていた。

 

翌朝になり起きるとシズクさんは普通に朝食を食べていた。

 

俺も一緒になって食べ、朝食を食べ終わりのんびりしている。

暇なので椅子に座り新聞を読んでいたら、あの何度も通った美術館で盗難事件があったと書かれていた。う〜ん、物騒だね。悪い奴が居るもんだ。

 

昼までホテルに居たが、外に飯を食いに行き、その後カフェに寄った。

 

ゆったり二人でカフェモカを飲んでいたらシズクさんに声が掛かった。

 

「シズク」

声の方を見るとピンク髪の女性が立って居た。

 

女性マチさんはシズクさんと仕事仲間のようだ。

先ほど軽い感じでマチさんは「暇な奴は集合、来る」と聞き。

シズクさんは「わかった。行く」と答えていた。

 

俺が「サークルか何かですか?」と聞いたら。

シズクさんは「ううん、仕事」と真面目に答えてくれた。

 

で、マチさんは話し終わったはずなのに今も居座り続けている。

しかも茶を飲みながら、ずっと俺をガン睨みだ。マジで人殺せるよ…

 

「ふ〜ん、拾った、ね…」

シズクさんが俺との経緯を話し、マチさんは呟いた。

「結局、名前以外は分からない…か。怪しいわね」

また俺をジロリとマチさんは睨んだ。スゲー、怖い…

 

「マチの勘は?」

シズクさんは、いつもの無表情で尋ねていた。

ほとばしる殺気を放つマチさんに平然とな。

 

「…残念だけど、信用は出来る、と思うわよ」

少し間があり嫌々ながらマチさんは答えていた。

つか、そんなに俺が嫌いなのか…

 

「そう」

シズクさんは一言、呟いた。

 

 

その後マチさんの尋問のような質問攻めをくらい、別れ際に小さい声で「シズクに手を出したら、殺すわよ」真顔で言われました。ちびった…

 

ピンクの悪魔が去り、俺はテーブルの上に頭をのせ草臥れていた。

 

「大丈夫?疲れた?」

ほぼ無表情だがシズクさんは優しい口調で俺の事を心配してくれた。

癒される〜、やっぱ本物の女神様や。

 

「大丈夫です。癒されました」

シズクさんのお陰です。とは言えなかったけどな。

 

「なら、船のチケット買いに行こ」

椅子から立ち上がりシズクさんは言った。

 

「了解っす」

何故に船のチケットが必要か分からんが、是非も無し。

だって飯代からホテル代まで何から何までお世話になっているからな。

 

で、船のチケットを買った。

えぇ何故に船のチケットが必要かと言うと流星街に帰る為だったらしい。

もちろん俺の分も買ってもらいホテルに戻った。完璧なヒモだよ…

この御恩は必ずや、御返しします、シズクさん!

 

 

 

「シズクさん、痛くないですか?」

 

「ううん、気持ちいいよ」

 

「…痛かったら、言ってくださいね」

 

「うぅん、わかったぁ」

 

「…じゃあ、続けます」

 

俺とシズクさんは。

 

ナニをやってるか…

 

耳掃除さ!

 

耳掃除だよ!馬鹿野郎!

 

ホテルに戻り、シズクさんが耳掃除を始めたが手つきが危なっかしいので俺が代わりを申し出あんな感じだ。声が、声がぁ!エロ過ぎ!

でも、ただただ虚しいし、泣けてくるわ…

 

で、耳掃除は終わったがシズクさんそのまま俺の膝の上で、寝てる!

軽く揺さぶったが、ちっとも起きる気配が無い。寝顔が可愛いけれども、あんまりにも、あんまりだよ!天国のような地獄だ…

 

なんとかギリギリ熱いモノを俺は抑え込み寝た。

 

最初は微妙だったが、すぐにぐっすり寝れた。

 

 

 

翌朝、港に来ました。

 

港に停泊していたのは一船、ボロボロの今にも沈みそうな船だった。

 

仕方ないのでボロボロの船に俺は乗った。文句など言えません。

 

最初シズクさんは本を読んでいたが、今はハンモックで寝ている。

可愛い寝顔だなぁ。あぁ癒されるわぁ。

数十分ほど眺め、外の様子を見に行く事にした。

 

甲板に出ると、遠くの空が薄暗くどんよりしていた。嫌な天気だな。

 

しばらく船を散策し、シズクさんの元に戻った。

俺が戻るとシズクさんは丁度、今起きたようで背伸びをしている所だった。背伸び姿が、チャーミング!素敵だ!

 

で、俺とシズクさんは飯を食いに食堂に向かった。

 

サンドイッチとスープを食べていた時に船がギシギシ軋みながら大きく揺れた。ちなみ俺とシズクさんはスープを素早く手に持ったので無事だ。

う〜ん、しかし、この船は大丈夫なのか?

 

夜も遅くなったので俺とシズクさんは寝た。

 

はい。で、深夜。

 

木が激しくメキメキ破裂する音が聞こえ俺は飛び起きた。

悲しいぐらいハッキリと聞こえた。

 

ハンモックから周りを見ると、既に水がチョロチョロ床に浸水していた。

いや?!マジで難破?!どんだけボロいんだよ!!

つかシズクさん、まだ寝てるし?!

 

「シズクさん!起きてください!船!浸水してます!」

何度も揺さぶり大声を出して、ようやくシズクさんは起きた。

 

「ふぁ?どうしたの?」

寝ぼけた声が、可愛いなぁ。じゃなくて!

 

「船が浸水してるんですよ!逃げましょう!」

俺は真剣に鬼気迫る顔で言ったが。

 

「ホントだ。逃げようか」

のほほんと無表情で返事をした。

 

甲板に出ると、外は大嵐だった。強風で雨粒が顔面に当たり、痛い!

波は被るは、しがみ付いてないと吹き飛ぶ!

そしてバキバキ激しい音がし船が90度に傾いた。あんまりだよ…

 

「飛ぶよ」

雨と風が吹き荒れる中でシズクさんは言い、マジで海に飛び込んだ。

 

あぁ…、クソ!もう!どうにでもなれ!南無三!

 

海に飛び込み、何度も荒波にのまれそうになりながら、運良くシズクさんの元に流れ着いた。

 

「あっち、島、泳ぐよ」

指差して示しシズクさんは泳ぎ出した。既に溺れそうなのに…

 

あっぷあっぷ何度も沈みそうになり、俺は泳ぎ切った。マジ、づがれだ…

 

砂浜にあがり、荒波から逃げるように陸地の中に入った。

 

少し歩き大きな木のウロを見つけ二人で入り、嵐が去るのを待った。

 



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第三話 島

拝啓、名も顔も知らない父上母上、今、俺は、とても幸せです。

 

船が難破し、自力で泳ぎ、たぶん無人島に着いた。南国っぽい雰囲気だ。

 

しばらくし、夜が明け、嵐も去ったようだ。びしょ濡れだから、寒い。

で、おもむろにシズクさんは茂みに隠れ、少しして湿った服を脱ぐ音が、聞こえるがな!エロす!

 

そして現れたシズクさんの御姿は…、葉っぱ水着だ!

ひゃっはー!この野郎!生きてて良かったぜ!神様あざーす!

 

ただ泳ぎ疲れていたのか、俺は葉っぱ水着に着替え、寝落ちした。

 

 

 

で、たぶん太陽の位置からして昼頃だろう。そんぐらいに俺は起きた。

シズクさんは既に起きて果物を食べていた。俺が寝てる間に周辺を歩き、果物や湧き水を見つけた、らしい。俺はシズクさんが取った果物を頂き食べた。俺って役立たず、なのかな…

 

そんな落ちた気分もなんのその!今一度、明るい日差しで見るシズクさんの葉っぱ水着は最高だった、よー!

 

葉っぱ水着は前の部分やお腹は隠れているが、横と背中がガラ空きだ!

つまり横乳が!ハンパない!背中がキレイ!たまらんぜよ!

 

俺は深く葉っぱ水着に感銘していた。

 

しかし、だがしかし、誠に残念ながら服が乾いたので、葉っぱ水着様とは御別れになられました。俺は精一杯、目に焼き付けましたマル

 

で、とりあえず俺とシズクさんは島を探検し人を探す事にした。居ればいいけど、いなかったら、どうしよ。どうか居ますように、神様お願いします。のちに、この願いは最低な形で成就する。

 

数時間ほど密林を歩き、今は水を飲みながら休憩している。水分は大事なので自分のナイフで木を切り手製の水筒を作っておいた。ちなみナイフは海に浸かったのに一本もサビていない。すげーナイフだ。

 

また密林を俺とシズクさんは歩き出した。数時間ほど歩きシズクさんが立ち止まったのて休憩だと思い、どっこいしょと地面に腰をおろしたらヒュンと風を切る音が聞こえ、顔を上げると俺が先程まで立っていた場所に矢が刺さっていた。はい?何これ?

 

矢の刺さり具合から飛んで来た方向を見ると、仮面を付け、葦の服を着てる。どっかの部族っぽい人が数十人ほど、弓を構えていた。

 

人が居ればと言ったけど!もっと平和的な人々が良かったよ!

 

そして島の部族の人達は一斉に矢を放った。ヤバ!この状態じゃ!よけれねぇ!矢がグングン俺に迫り、矢の速度がスローモーションに見えるよ。

あぁ、これ死んだかも。

 

シズクさんに出会い、風呂の匂いをスーハーし、耳掃除の声はヤバかった、寝顔が可愛かった、葉っぱ水着は最高だったな。つか、しょうもねぇ走馬灯!しかも短い!

 

矢が目と鼻の先まで迫り、シズクさんの焦ったような声が聞こえ、当たる寸前に俺は真っ黒い穴に吸い込まれるように落ちた。

 

√〻ゞ〆!?

声にならない程、痛い!!

頭がカチ割れる!

 

そして頭の中に念能力の事が一気に流れ込んできた。

だが部分的に、まだモヤがかかってる所があるな…

 

「つか凄く痛い…、シズクさんは?!」

 

上を見ると地面が透けて、地上の風景が見える。これは!パンツ見放題だ!いやいや違うだろ俺よ。今は、それ所じゃないだろ。キョロキョロ見回すと10mほど先にシズクさんを見つけた。綺麗に矢を避けてる。

 

シズクさんの足元まで歩き『ブラック・ラビット』から俺は出た。

 

普通、人が地面から出て来たら驚くと思うがシズクさんは無表情だった。まぁ今は置いておこう。矢がビュンビュン飛んで来てるからな。さっさと話さないと。

 

「シズクさん。今から俺の念能力の事を話します。『ブラック・ラビット』「黒兎の抜け穴」は地面の中を50mほど横に歩いて移動出来。『ホワイト・ラビット』「白兎の落し穴」は縦に一瞬で移動出来ます。弱点は、この念を使って攻撃すると全部が自分に跳ね返ります」

矢を避け逃げながら、俺は一気に話した。

 

「なんで、話したの」

シズクさんは無表情だが、微妙に不思議そうな顔だった。

 

「『ブラック』と『ホワイト』の念能力を話して初めて使える能力『ストレンジャー・ガイド』「異邦人の案内人」手を掴むと『ブラック』『ホワイト』が連動します」

 

俺はシズクさんの手を握り『ブラック・ラビット』を発動させた。

手が柔らか〜い。ちっちゃくて可愛いし、スベスベだ!

いや、だから違うんだ!今は、そんな時じゃない!俺よ!

邪念を振り払いシズクさんと一緒に地面に潜った。

シズクさんは地面が透けているのを見て「凄いね」と感想を呟いていた。

 

そこからは『ブラック・ラビット』で出たり入ったりを繰り返した。

 

部族の人達から逃げ延び『ブラック・ラビット』から出て、普通に歩いていた。そんな時シズクさんに声を掛けられた。

 

「話して良かったの」

 

「えっ?…念の事ですか?」

 

「うん」

 

「色々と多大に迷惑を掛けているので、俺が助けられるなら助けたいですから。それにシズクさんになら話して良いと思ったからですよ」

 

「…そう」

 

しばらく歩き、多分さっきの人達の集落が見えた。

 

また『ブラック』で潜りながら進み砂浜にカヌーっぽい舟があった。近くまで行き、見つからないように俺とシズクさんは舟に乗り込んだ。

 

いざ行かん!大海原へ!…後になって思うが航海にはしっかりと準備が必要です。海は広いよ、大きいよ。

 

島から脱出したのは良いが、凄く疲れたし眠い、念能力を使い過ぎたのか?俺はシズクさんに一言声を掛け気絶するように眠った。

 

出航して一日目、俺は殆ど寝て過ごした。二日目にはオールが流され、漂流状態に。3日目、完璧に遭難中です。幸いココナッツが三つあったので、まだ生きてます。

ココナッツが無ければ既に死んでたね、うん。

 

つか、こんな舟で外洋に出るのが間違いだった…

 

そして漂流生活の六日目に大きな船に救助されました。シズクさんは余裕そうな表情だったが、私は死ぬギリギリでした。

 

船員に飯と水を出され、ゴクゴク水を飲み、バクバク飯を食った。

水と飯が美味い!美味すぎる!こんな水と飯が美味いなんて感動で涙出る。マジ涙出る。ただ食い過ぎて、その後、俺は気持ち悪くなった。

 

一日ほどして船は近くの港に到着した。船長と船員達に御礼を言い、俺とシズクさんは船からおりた。

 

まず銀行に行きシズクさんはお金を引き出した。流石に疲れていたので、その日はホテルに泊まり俺とシズクさんはさっさと寝た。

久しぶりのベッド、フカフカだぁ。

 

お休みなさい…

 

 

 

俺は爆睡しました。

起きて時計を見ると昼過ぎだった。

シズクさんは出掛けてるようで部屋にいない。

 

ぼーっとしてたら、シズクさんが帰ってきた。

 

色々と買い物をしてきたようで、大き目の紙袋を一つ持っていた。

シズクさんは紙袋から地図を取り出し、眺めていた。

 

「仕事場所の方が、近いかな」

地図をにらめっこしながら呟いていた。

 

「俺が一緒に行っても良いなら流星街は後回しにして、先に仕事場に行きますか?」

 

「うん。じゃあ、それで」

 

そんな感じで行き先は変わり、大図書館の町に行く事になった。

 

目的地の大図書館の町まで馬車で移動する。幌馬車に揺られる長閑な旅だ。あの船旅とは大違いだな。優しいアルプスって感じだ。

 

一日ほど馬車に揺られ夜になり、今は湖畔の近くで野営している。

ちなみ同じ馬車に乗ってる人達は、お爺さんとお婆さん、父親と小さい娘、ご高齢の御者、俺とシズクさんだ。

 

そんな方々なので深夜の火の番は進んで引き受けた。

 

皆さんが寝る準備をし始めた頃、またシズクさんに耳掃除を頼まれた。嫌だが仕方なく耳掃除を始めた。何故に嫌かと言うと高確率でシズクさんは、そのまま俺の膝の上で寝る。実際は嫌じゃないが、心底困る…

 

案の定シズクさんは眠り、一人で火の番をしている。

 

丑三つ時に父親が起きて来て、軽く話し、からかわれた。

 

それから朝日が登り、お爺さんお婆さんに御者が起きてきた。

生暖かい目で見られたのが微妙な気持ちでした。

 

また馬車に揺られ、夕闇が包む頃に大図書館の町に到着した。

 

時間が時間なのでホテルに泊まり、寝た。

 



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〜オリ主、プロフィール〜

〈名前〉

『ハルト』

・漢字表記は「春兎」です。

 

〈性格〉

・アホ、頭が良いバカ。

・後輩気質のパシリ君。

 

〈武器・装備〉

・ベンズナイフ6本、お手製ナイフ1本。

・青黒いジーンズ、黒いパーカー、黒っぽいスニーカー。

 

〈称号〉

・狂喜の闇兎。△。

・オタ道の求道者。

 

〈念能力〉

『ラビット•ソウル』

・兎魂、読み方は、うさたま。

・特質系。

 

『ブラック・ラビット』

・黒兎の抜け穴。

・入った場所から50mぐらい横に歩いて移動が出来る。

 

『ホワイト・ラビット』

・白兎の落し穴。

・入った場所から50mぐらい縦に一気に移動が出来る。

 

『◯◯◯』

・◯◯◯

 

『◯◯◯』

・◯◯◯

 

『ストレンジャー・ガイド』

・異邦人の案内人。

・相手に『黒兎』と『白兎』の能力を話し、手を掴む事で『黒兎』と『白兎』が連動する。

・◯◯◯

 

 

〈注意点〉

・この念能力を使い攻撃した場合(出た場所から5m)は全て自分に跳ね返る。

 

〈備考〉

・ただ脱兎の如く、逃げる事に特化した念能力。

今の所は……

 

 

 

 

「愚痴とか色々」

・当初は弱っちい主人公を目指してましたが、頭使う戦いとか書けないので、わりと強くします。

・念能力はご都合主義です。

・10話からプロットが消えたので、酷い事になるかも。まぁ、あってもクソ以下の役に立たないプロットでしたが。



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第四話 図書館

馬車の旅は楽しかったが、やはりベッドで寝るのは素敵だ。疲れが癒され、俺は昼過ぎまで寝ていた。

 

当たり前だが起きた時にはシズクさんは部屋にいなかった。ただテーブルにメモが一枚、置いてあり「仕事、行ってきます。シズク」と書いてあった。字まで可愛いぜ。

 

とりあえず腹が減ったので街のカフェでパスタを食い、食後のティーを飲み終わり、暇なので有名な大図書館に行く事にした。

 

なんでも世界最大にして最古の大図書館『プレトサンドリア』三千年の歴史があり本館には薬草園が併設されている。医術や天文学など専門分野だけを集めた分館があり、その数は34もある。書物を集めに集めた学者達の夢と叡智の町、それがプレトサンドリアだ。全部パンフの受けおりです。

 

で件の図書館に向かった。本館ね。

外観は荘厳だった。白一色で、どでかい石の柱が連なり、まるで神殿のようだ。名前を書けば誰でも入れるようになっている。

 

中には棚があり、上から下までびっしり書物が並んでいた。でも上の本はどうやって取るんだろ?絶対、手じゃ届かないよ。

 

俺は図書館の案内板で気になった場所に向かっていた。それは「萌」だ。案内板には他には「神話」「生活」などは理解が出来た。が「萌」だけは分からなかった。

 

そして、その場所に俺はたどり着いた。

 

一冊の本を手に取り読んだが…、面白い!楽し過ぎるぞバカヤロウー!俺が読んでる本は「ズズミヤパルピの産院」だ。一生…忘れないだろう。たとえ記憶喪失になってもな!

 

そこから移動して机と椅子がある場所で俺は本を読む事にした。

 

俺が椅子に座り、さぁ読むか!と意気込んだ時に視線を感じた。気になり顔を上げ、視線の先をたどるとシズクさんが立って居た。

 

そのシズクさんの横には、あのピンクの悪魔マチさんも一緒に居た。後もう一人、スーツ姿の美人の女性も居る。シズクさん達がこちらに来たので俺は椅子から立ち上がった。

 

「暇してる?大丈夫?」

シズクさんは首を少し傾け、俺に聞いてきた。たぶん何もする事が無い俺を気にかけて声を掛けてくれたのだろう。

 

「暇っちゃ暇ですが、本好きなんで大丈夫です」

運命の一冊とも出会ったしな。

 

「あんた、まだシズクと一緒に居たの」

蔑みの目でマチさんは俺を見ていた。なんか…変な気分になっちゃうぜ!

 

「これが噂の、シズクが飼ってる男?」

スーツ美人から衝撃の言葉が出た。「飼ってる男」たまんねぇ!エロい!

 

今更だが、変態だとは認める。けど軽度の変態だかんな!

 

「違うよ。迷子だよ」

シズクさんは大分はしょった説明をした。まぁ人生に迷ってるし間違いでは無いな。

 

「ハルトです。シズクさんのお世話になってます」

とりあえずスーツ美人に挨拶した。

 

「パクノダよ、よろしく」

そうパクノダさんは言い、手を差し出してきた。

 

「よろしくお願いします」

手が柔らかいな。美人と握手できるなんて感無量だ。ただパクノダさんは俺の手をギュッと握り、なかなか離してくれない。何事!?

 

「駄目ね。無いわ」

しばらくしてから、やっと俺の手を離しパクノダさんは短く呟いた。

 

えっ!?何が!?もしくはナニが!?

 

「そう」

分かってます。そんな返事をシズクさんはした。

「夕方には帰るね」

俺に質問させる間を置かずにシズクさんは言い。パクノダさんやマチさんと共に、歩き去ってしまった。

 

うん、…本でも読むか。

 

この後になって知るが「萌」はラノベと言い、それらを好んで読む人種を「オタ族」と呼ぶようだ。俺も生粋のオタ族に生まれたかったぜ。いや、もしかしたら生粋のオタ族かもしれないんだ。うん、父母に恥じないよう俺はオタ道を極めるぞ!

 

そんな決意をし、ホテルに戻った。

あと数冊の本を借りた。

 

日が沈んだ頃、シズクさんはホテルに帰ってきた。借りた本を全部読んでしまったよ。まだ俺もシズクさんも夕食を食べて無いので、ホテルの食事所で夕食を食べに向かった。

 

シシカバブーを俺が食べていたらシズクさんが話しかけてきた。

 

「団長が会ってみたいって」

 

「なんでですか?」

ちなみ団長とはシズクさんの上司だ。変わった役職名だよな。

 

「わかんない」

 

「良いですよ。断る理由ありませんから」

 

部屋に戻り寝る間際になって思ったが、大事な部下に変な男が付いてないか確かめる為に呼び出されるのではと俺は考え戦々恐々した。だって職も無いし、金も無い、まるでダメ男だもの。俺は眠れぬ夜を過ごした。

 

無情にも時は過ぎ、日が昇った。

 

朝食を食べながら、それとなく団長さんの事を聞くと「とても強い」「本が好き」だった。どんな人か分からん。無情にも飯を食べ終わり団長が待つ場所に向かった。シズクさんに案内された場所はアジトっぽい古びた工場だった。何やっぱボコされるの!?

 

工場の中に入り進んで行くと広い部屋に出た。そこにはパクノダさん、マチさん、モジャモジャさん、その三人が居た。で、肝心の団長さんは…

 

「そこの部屋に居るから、入って」

シズクさんは扉を指差した。

 

「俺一人で、ですか?」

まさかの二人きり?団長と?

 

「うん、そうだよ」

今の「うん」可愛いなぁ、じゃなくて!マジでヤバくない?

 

「…わかりました」

チキンの俺は今更、無理です。とは言えなかった…

 

気合いを入れ、扉をノックし「失礼します」と部屋に入った。

 

そこにはアート的なコートに、髪をオールバックにしたイケメンが座っていた。つーか若い、それにオーラ的な、雰囲気的な、気的な、そんな見えない圧力が半端ないです。

 

しばしの間、じーっと団長は俺を見ていた。

怖くて目がそらせない…ちびる…

 

そして、いきなり。

「…無理だな」

 

はい!?何が!?まったく意味がわからないよ!?

 

「だが盗めなくて良かったか、シズクに怒られないですむ」

団長さんは独り言のようにブツブツ言っていた。

 

その後、何故か団長さんに「準団員、決定」と言われた。

 

俺と団長さんは部屋を出た。団長さんの名前は「クロロ、なんたら」で後半は覚えられなかった。後でシズクさんに必ず聞かなくてはな。モジャモジャさんの名前がコルトピさんだ。もちろん俺も自己紹介してホテルに一人で帰った。

 

 

それから一日が過ぎ、二日が過ぎた。

 

そして三日後の深夜に、慌ただしくシズクさんが扉を開け帰ってきた。俺はラノベを読んで起きてたが、こんな深夜にどうしたんだろ?部屋のドアが勢いよく開いて。

 

「逃げるよ」

俺が言葉を発する前にシズクさんは言ったが…

一体全体、何から逃げるのですか!?つか何をしたんですか!?

 

俺が何かを聞く前に、扉をバンバン叩く音と罵声が聞こえた。とりあえず俺はホワイト・ラビットを使いシズクさんの手を取り中に入った。ホワイト・ラビットは縦に50m移動が出来る念能力だ。中は四角い個室になっており左右に五ヶ所ほど丸い穴があり、右が上りで、左が下りだ。のぞき込み良さそうな穴からシズクさんと一緒に外へ出た。

 

場所は一階の天井だったので、地面に着地する寸前にブラック・ラビットを使い潜った。出たり入ったりを繰り返し、闇夜の中、飛行場にたどり着いた。つか宿泊代、払ってない…まぁ仕方ないよね。うん。

 

で、俺とシズクさんは止まってる飛行船に乗り込んだ。無断でな。

 

バレる事なく飛行船は飛び立ちグングン上昇している。

 

サヨナラ。図書館の町プレトサンドリア。

ラノベとの出会い忘れないよ。

 



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第五話 流星街

書くの面倒い…
手抜き、途中でダラけた。


バレれないように飛行機を降りて、電車っぽい乗り物に乗り、車に揺られ、一日ほど歩き、着きました。流星街。

 

見渡す限りゴミ山が広がってる。地図には存在しない、なんでも捨てていい場所、流星街。どんな場所か不安だったが、町に着くと意外に普通の町並みだった。シズクさんが言うには流星街の中にも危険な地域と比較的に安全な地域があるようだ。

 

シズクさんの家は町の近くにあった。入り組んだ路地裏の先にあり、上にも横にも建物がひしめき合う中の一階、レンガで出来た家だった。

 

木の古めかしい扉で、道路側に丸窓が二つあり、中はあたたかい雰囲気の家だ。リビングダイニングキッチンの部屋、あと寝室、風呂、便所がある。キッチンの近くにはテーブル一つと椅子が二脚あり、居間的な場所には二人用ぐらいのソファがある。このソファは俺の寝床だ。色々な物が雑多にある狭い部屋だけど、その狭さが良い感じになってるな。

 

で、俺はシズクさん家に居候している。お金が無いので御厄介になる事になった。今は職を見つけ少しずつだが返している。俺の仕事はゴミ山で「使えるゴミ」を探す発掘仕事だ。

 

仕事をシズクさんに紹介してもらう時、他の仕事の話しも聞いた。シズクさん曰く「掃除人や運び屋の仕事もあるよ。少し危ないかな」この掃除人や運び屋の仕事は給料が高い、だがしかし大半の人間が死人になって帰ってくる、とシャルさんに俺は聞いた。俺は思いました、大半の人が死ぬのに少し危ない程度なの!?シズクさん!?と。

それで俺は結局、無難なゴミ山発掘仕事に落ち着いた。

 

今日も今日とて発掘してます。

俺のブラック・ラビットを使えば楽々だ。地面の下から良さそうなゴミをゲット出来る。ここで「使えるゴミ」とは何か、簡単に言うと殆ど全てのゴミだ。産業廃棄物、化学薬品や有害物資系統も専門の所に行けば売れる物もある。もっぱら俺は金属類、足りてない部品を店で聞きその部品を回収している。爆弾や赤ん坊もいい値段らしいが、前者は怖いし、後者は無理です。

 

そんなこんなで今日の成果は、鉄の塊が五個とパーツ二つを回収した。ルンルン気分で工場で鉄を換金し、店でパーツ二つを売っぱらった。

 

ホクホク顔で家に帰ろうとしていたら獣に出会った。

その名はウボォーさん、たいへん凶暴、脳みそ筋肉、顔が怖い、とてもタチの悪い生き物です。

 

ウボォーさんは何故か俺と戦いたがる。俺が「弱者です」「戦いとか無理です」「許してください」と何度断っても諦めない。もうマジで勘弁して欲しい…

 

「何用でしょうかウボォーさん…」

うんざり顔で言うと。

 

「どうだハルト!戦う気になったか?」

微塵も俺の表情は気にせず、元気に笑っていた。

 

「だから…俺は弱っちい奴ですから、ウボォーさんが気にする必要なんて無い、塵芥のような男ですよ」

本音です。まるごと全て真実です。

 

「いや、俺の勘が言ってる…。ハルト!お前は強い!」

 

「…じゃあ、その勘は間違いです。訂正しておいてください。じゃっ」

俺はブラック・ラビットを使い逃げた。

 

あと何より重大な自分の記憶だが、さっぱり何一つ思い出せない。『私の事を知っていますか?』と書いたプラカードを持ち自分探しをしてみたが、借金やら、俺の子分、奴隷、クソのような奴らしか寄ってこなかった。まぁ俺も焦り過ぎて馬鹿な事をしたと思う。でも早く知りたかったんだ。自分がどんな人間だったのか…

情報屋で自分の事を調べてもらったが、名前すら合ってるか分からないのでは探しようが無いし、探すなら写真を使い地味にやるしかない、と言われた。ただ、その値段はべら棒に高かった。払えねぇよ、人生何回やれば貯まるんだよ、そんな値段でした。

 

地味に金を貯金する毎日を過ごし、数週間後。

ハンターライセンスの話しをシャルさんから聞いた。

 

スゲー特典が盛り沢山だった。ほとんどの国はフリーパス、たいがいの各種交通機関や公共施設はタダ、立ち入り禁止区域の8割に入れ、殺人すら免除になる。世界一儲かる気高い仕事らしい。ただシャルさんは「気高い」を半笑いで言っていた。

 

これは行くしかない。

プロハンターに俺はなる!ライセンスGETだぜ!

 

丁度よくハンター試験が始まる時期だった。

 

すぐに俺はハンター試験に向かった。

 



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第六話 ハンター試験

テキトーです。




俺は今、焼き肉を食べてます。

 

 

シャルさんからハンター試験会場のメモをもらった。

住所はザバン市ツバシ町の2ー5ー10。

着いた場所は、こじんまりした定食屋だった。

 

酷いよシャルさん…

よくメモを見ると食事の指定と焼き方まで書いてあった。

 

とりあえず腹も減ったので定食屋に入りました。

 

「いらっしゃい」

かっぷくのいいオヤジさんの声を聞き。

 

「ステーキ定食、一つ」

普通に注文した。

 

「焼き方は?」

なんかオヤジさんの目付き鋭くなったよ!?

マズイ注文の仕方でもしたか!?

 

「弱火でじっくり…、お願いします」

ビビって丁寧にオヤジ様にお願いした。

 

すると美人の店員さんに、奥の部屋へ案内された。

 

そこには焼き肉が焼いてあった。

これステーキ定食!?ちがくねっ!?

いや、良い意味で期待を裏切ってくれたよ。

文句は何一つありません。オヤジ様、万歳。

 

焼肉を全てたいらげた。うん、満腹だ。

 

そういや、さっきから部屋が動いてる気がする。ってそんな訳ないか、ここ定食屋だしな。そんな事を考えていたらチーンと音が鳴り、ドアが勝手に開いた。俺はサイフを取り出していて、外の景色を確認していなかった。

 

あれれ?ここはドコ?

 

あきらかに定食屋ではない。人っ子一人いない薄気味悪い洞窟が暗闇の先までドコまでも続いてるような場所だった。なんなの新手のイジメか!?ドアは閉まって開かないしどうすりゃいい!?

 

俺が途方に暮れていたら、どこからともなく小走りで人間っぽいスーツを着た男がやって来た。

 

「お早い到着ですね。どうぞ、1番のプレートです」

何故かプレートを手渡された。

 

「あの、ここってドコですか?」

とりあえず場所の確認をしたい。

 

「ここはハンター試験会場ですが、間違いで来てしまったのです?」

シャルさん疑って、すいません。

 

「あっ、そうなんですか。いえ、ハンター試験を受けに来ました」

試験官の人かもしれないので丁寧に喋った。

 

 

さっきも人間っぽい人が言ったように、早くに俺は試験会場に来たようで試験開始まで後8時間もある。まぁラノベでも読みますかね。

 

『とある馬鹿の召喚試験』を熟読し読み終わったら、いつの間にか人が大勢いた。そして汚い悲鳴が聞こえた。そっちを見れば両腕を無くした男とピエロ男がいた。ピエロさんの話を聞いたかぎりでは、体がぶつかり謝らなかったから両腕を消したようだ。ぶっ飛び過ぎだろ!?ピエロさんスゲー怖いわ!危険人物だよ!俺は、ぶつかったら必ず謝ろう!つか絶対関わらないようにしよ!

 

そんな決心をしていたら「ジリリ!」と変な頭型の鐘を持った紳士っぽい素敵なヒゲの男性がいた。少し後で分かる事だが、この人が試験官のサトツさんだ。

 

一次試験は二次試験会場まで、ついて行く事が試験内容だ。俺は目立たないよう中間の位置をキープし走っている。

 

走り続けて、階段が見えてきた。

 

俺が走っていると前で、男の人と、女か男か性別不明の人が走りながら話している。立ち聞きするつもりはなかったが、話しの内容が聞こえてきた。

 

「感動した!めっちゃ感動しました!」

思わず二人に声を掛けていた。

 

話を聞いた事を謝ると、二人とも良い人で許してくれた。

そんな感じで、クラピカ、レオリオ、二人と仲良くなった。

 

しばらくして階段の出口に到着した。

 

見渡す限りジャングルだ。

なんやかんやでピエロさんが危ない事をしました。

 

その後ジャングルにレッツゴーした。

 

走っていたら霧が出てきた。

そして前からクラピカとレオリオを呼ぶ声がきこえたが、レオリオが言うように人が多くて前に行けない。名前を呼んだのはゴンと言う子で、キルアと言う子にはさっき出会った、とクラピカに聞いた。

 

それにしてもピエロさんの雰囲気がヤバイ。殺気がヤバ過ぎる。すまんな、クラピカ、レオリオ、二人に心の中で謝り、ブラック・ラビットを使おうとしたら後方集団は迷子になっていた。むろん俺も迷子だよ。何をしてくれとんじゃ前の人!さっそく失格かい!

 

ハァ、こんな事なら前を走ってれば良かった…

ウボォーさんやノブナガさんに絶対、笑われる…

 

俺が落ち込んでいたら、顔面にトランプが飛んできた。危なっ!

 

けっこうな人数がトランプで死んでいた。

トランプを投げたのはピエロさんでした…

 

そしてトランプ一枚でピエロさんは受験生をほほ皆殺し。

生き残ってるのは、俺、クラピー、レオ、チャイナさん、四人のみ…

 

チャイナさんがバラけて逃げる事を提案し、俺は頷いた。

 

三人が逃げたので、俺はピエロさんの所に戻った。

さっき逃げようとしたお詫びに時間稼ぎをね。

まぁテキトーに時間稼ぎしたら、ブラック・ラビットで逃げます。戦うとか無理だし、倒すのはもっと無理です。俺チキンだし、戦ったら100%殺されちゃうよ。

 

「どうも〜、こんにちは」

まずは挨拶!これ大事!

 

「やぁ♡戻ってきたのかい♤」

笑顔が怖い、ちびりそうだ…

 

「自分の名前はハルトです!血液型はAB型のカニ座!貴方のお名前は!」

まくし立てるように大声で俺は自己紹介した。だって気合い入れて言わないと怖くて言えない。

 

「くっくっくっ♡ボクの名前はヒソカ♢よろしくね♤」

わからんが声を出して笑ってくれたし掴みはOKか!?

 

そんな時に。

 

「なんだよハルト、戻ってきてたのか?」

レオなんで戻って来た!?俺さっさと逃げたいのに!

 

「いや、レオこそ何で?」

早く逃げてもらわないと。

 

「やられぱっなしはガマンできねぇだろ」

ひきつった笑い顔で言われても反応できないから!

 

で、レオは棒切れでヒソカに殴り掛かった。ちょっと待てー!?何をしてるレオ!?何をしちゃってくれてる!?

しかも素早い動きでヒソカが避け、レオの背後を取った。ヤバ!助けに行かないと!

俺はナイフを一本手に取り、走ったが、釣竿の浮きがヒソカの顔面に当たった。背後を見ると少年が立っていた。気配に気がつかなかった。つか勇気があるなヒソカに攻撃するなんて。

 

レオが「ゴン!」と叫び、クラピーに聞いた。

天然野生児のゴンだとわかった。

 

レオは殴り飛ばされ、ゴンは合格をいわれた。

俺の事はスルーだ。有り難い。

 

んで、レオはヒソカに運ばれて行った。

心の中で御冥福を祈った。すまんなレオ、ガンバ!

 

あとクラピーも戻ってきたよ。

皆は友情に厚いなぁ。とてもマネ出来無い。

 

その後ゴンの異常嗅覚で会場に着いた。

ゴンさん凄いっす!マジ凄いっす!

 

俺はレオの顔面を見て爆笑してしまった。

あんまりに酷いからさ。めんご。めんご。

 

そんな感じで、二次試験が始まりました。

 

倉庫の扉が開き、でっかい腹の大きな男性とナイスバディでファンキーな髪型の女性が居た。

さっきから鳴ってるの腹の音かよ、音鳴り過ぎ、どんだけ腹減ってんだ?

 

まず、大きな男性の試験。

豚の丸焼き。

 

豚を殴り、焼いた。

美味しそうだな。

俺も自分用に一匹やっとけば良かった。

 

はい。

次は女性の試験だ。

 

スシ。たぶん料理だが。

さっぱり、わからん。

 

なんやかんや。

角角鹿鹿あり。

全員、不合格になった。

 

あんまりだよ!

 

で、レスラーっぽい人がキレた。

いいぞ頑張れ!ちゃんと心の中で応援していた。

俺は怖いから言わないけどな。

 

んで、レスラーっぽい人が男の張り手でぶっ飛んだ。

やっぱ怖かったよ。言わないで良かった。

 

しばらくしてハンター協会の会長さん。

ネテロ会長が天空から降臨なさった。

いやマジで。本当にね。本当だよ。

 

話し合いをして試験が続く事になりました。

 

山に移動し、崖と崖の間にぶら下がってるクモワシの卵を取る。

クモワシの卵捕獲試験になった。

超怖い、でも念があるし、気合いで飛んだ。

 

ゆで卵を作った。

ゆで卵、うまっ!

 

そんな感じで二次試験は終わった。

 

 

今は飛行船に乗り、三次試験会場に向かっている。

 

俺は一人ラウンジっぽい所でラノベを読んでいた。

『小言シリーズ』の第一巻だ。

で、そのまま俺は寝落ちした。

 

 

 

 

『ハルト、起きて』

シズクさんの声がする。

 

シズクさん、おはようございます。

あれ?どうしてココに?

 

『心配だから来ちゃった…』

シズクさんは顔を赤らめ答えてくれた。

 

超!嬉しいです!

めっちゃ幸せです!

 

『ハルト、ご飯にする?お風呂にする?それとも私にする?』

シズクさんは、もじもじしながら顔を赤らめていた。

 

俺…、死ぬる…

『萌え』とは、死ぬこととみつけたり!

 

今なら天国にいける!

つか!ここが天国だ!

 

もちろん!シズクさんです!!

あらん限りの声で叫んだ。

 

 

 

 

「もちろん!シズクさんです!!」

 

俺は始めて…、自分の声で目が覚めた…

 

つか最初は夢だと自覚が出来なかった。

いや、自覚したくなかった…

 

しばらくは放心していたよ。

周りの目が気にならない程、放心していたよ。

後で悶絶したがな!

 

はい。

三次試験会場に着いた。トリックタワーの屋上。

制限時間72時間以内に下に到着する事が合格条件だ。

 

俺は真剣な表情で四人を見た。

 

「すまんな、勝負とは時に非情だ」

ホワイト・ラビットを使った。

 

「待っ」「裏切」「あっ」「ずるっ」

皆の中途半端な声を聞きながら俺は下に潜った。

 

そこからは何度もホワイト・ラビットを使い。

なんの問題も無く下までたどり着いた。

 

時間もいっぱいあるし、ラノベ読むかな。

 

『大神さんと更新料』を読み終わったが。

まだまだ時間がある。

 

寝るか。

 

俺は横になり、眠りについた。

 

 

何か圧力を感じる。

ぼんやり目を開けると。

ヒソカの顔がドアップであった。

 

「ぎゃあぁああああ!!」

俺は盛大に叫び声をあげた。

 

「やぁ♡起きたかい♤」

にこやかな笑顔だった。

 

「はい!起きました!ばっちり起きました!」

そりゃあ!すぐに目が覚めるわ!

起きぬけに変態の顔がドアップであれば誰だって起きる!

 

「所で何か御用でしょうか?ヒソカさん」

自分のペースに引き込む為、俺は話し掛けた。

 

「あぁ♤せっかくの機会だから君と戦おうと思ってね♡」

やぶ蛇だった!?

 

「いやいや、俺は凄く弱っちい男ですから、ヒソカさんと戦うなんて無理ですよ。瞬殺されてしまいます」

必死に説得したが、いきなり首筋にトランプが迫り、とっさに俺はナイフでふせいでしまった。

 

「やっぱり♢強い♡」

超、笑顔だった。

 

これは…、逃げるしかない!

 

俺はホワイト・ラビットを使い逃げた。

 

一つ上の階に行き、武器がいっぱいある部屋で待機する事にした。

そこにギリギリまで居たかったが人の気配がして戻る事にした。

 

戻ると人が増えていた。

どうやらヒソカも戦う事は諦めたみたいだし良かった。

 

あの四人、まだ来てないな。

 

そして四人は時間ギリギリで下に到着した。

 

俺が声を掛けると。

レオ、キルア、クラピーに文句を言われた。

ゴンだけが優しかった。やっぱ俺にはゴンさんだけだ。

 

そうして三次試験が終わった。

 

あぁ…早くシズクさんに会いたいな…

シズクさんに癒されたい…

 



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第七話 試験の続き

さらにテキトーです。


四次試験はゼビル島でサバイバル。

 

クジ引きで、狩る者と狩られる者を決める。

大雑把に言うと、ターゲットのプレートを奪い、自分のプレートを一週間守れば試験を通過できる。

 

俺が狩る相手は198番だ。

確か三兄弟の誰かだった気がするけど…わからん…

 

タワーの到着順で島の中に入るようだ。

嬉しい事に俺は一番で島の中に入れた。

 

森の中で息を殺し潜んでいた。

やっぱり、ここはゴツイ長男っぽい奴の後を追うかね。

後を追ったぉ。

 

次男っぽい奴と合流したぉ。

あとハゲの人も潜んでるぉ。

 

三男っぽい奴と合流したぉ。

キルアが居たぉ。

 

だって…

本当に、特に何も無かったもん…

 

 

で、キルアは三男に蹴られプレートをスった。

それが何と!俺のターゲット198番!

ラッキー!キルアに貰おう!

ただ間に入る隙が無く、兄弟がフォーメーションを作り、キルアが木を軽々と駆けて、上から次男の背後に降り立った。

次男の首筋にキルアは爪を当てていた。うん、次男の首筋から血が出とる。あと次男はハズレで、キルアのターゲットは長男のようだ。

 

よしっ、今なら行ける!

俺はキルアから貰おうと、潜んでいた茂みから出ようとした、が!

キルアの野郎、プレート投げやがった!

 

ハゲが最初に投げた方を取りに行ったので。

後に投げたプレートの方を俺は追った。

 

そしてプレートの数字は、19…7番…

 

あのハゲ!

こっちの197番じゃねぇか!

ちくしょう!ふざけんなよ!

 

俺の198番!!

 

 

クソ!

俺はハゲの方に向かって走った。

すぐに四つ這いで落ち込んでいたハゲを見つけ。

プレートを交換した。

 

一週間後。

 

試験、終了の放送が流れ。

 

四次試験が終わった。

 

 

 

今は飛行船に乗り、飛行船で面接を受けている。

 

ネテロ会長に、誰と戦いたくないか、そんな事を聞かれた。

 

はい。

最終試験はトーナメント戦。

負け上がりで、一勝すれば合格。

ハンターになれる。

 

ゴンがハゲにやられ、勝った。

俺はレオに勝った。

 

なんやかんや有り。

キルアがボドロさんを殺した。

 

 

ハンター試験が終わり。

キルアの事を話し合っていたら、お怒りのゴンが来た。

 

ゴンはキルアの兄ちゃんの腕をグワンッと掴み、席から立ち上がらせた。

あれ、兄ちゃんの腕が折れとるよ…、よくそんな事が出来るなゴン…

 

試験中とクラピーに聞いたがキルアの家は有名な暗殺一家らしい、確かに足並みや足音が変わってたし、雰囲気が時々ヤバかったし、肉体も変化させていたから、納得出来た。

 

そんなキルアの兄ちゃんに喧嘩を売るなんて…

俺には怖くて出来ません。

 

んで、キルア家へククルーマウンテンに行く事になった。

俺は帰りたかったが、ゴンがキラキラ見てきて断れなかったよ…

 

あとゴンの親父が一国の王様クラスの権力と莫大な金を持つ、謎の人物だとわかった。親父さん凄すぐる…

 

 

チケットを予約し俺達は飛行船、電車、バスに乗り継いでキルアの家に到着した。正確には馬鹿デカイ門の前だ。遠くに見える山から樹海まで辺り全てキルアの家らしい…

 

バスに乗ってた盗賊みたいな二人組が守衛さんから鍵を奪い横のドアから中に入ったが、骨になり出てきた。超、怖いんですが…、変な手っぽいの見えたし…

 

電話したが無理で、ゴンがキレ無理矢理中に入ろうとした。が、守衛さんに言われ考え直した。なんでも正門から入らないとミケと言う犬に食い殺されるようだ。つか犬にミケって笑えるわ。

そのあとレオには開けられなかった門を、守衛さんが筋肉ムキムキになり門を開け、中に入れてくれた。

ミケさんに出会ったが、ありゃヤバイ。とてもワンちゃんに見えません。うん、ミケと言う名前やっぱりかっこいいよね。

 

重たい門を開けられるようになるまで、何故か守衛さんの家で修行する事になりました。ちなみに俺は普通に4の扉まで開く事が出来たよ。俺って意外に凄い…のか?

 

一週間で全員が門を開けるようになり、キルアの家に向かった。

 

使用人の少女と、なんやかんや有り。

使用人の家でキルアを待ってる。

 

コイン遊びしてる。けど雰囲気が…、ゴトーさん怖過ぎ…

 

いざという時、頼りになるゴンさん。

今回もゴンが頑張り助かった。

 

で、キルアが来た。

 

やっと帰れる…

 

なんか疲れた…

 

早くシズクさんに会って癒されたい…

 

 

「聞いてるのか?」

 

「んぁ?」

クラピーに話し掛けられたが、まったく聞いてなかった。

しかも、いつの間にか門の所まで来ていた。

 

「はぁ、なんでもない」

何故かクラピーは呆れ顔になった。

 

その後。

「再開はヨークシンシティで」

と約束し四人と別れた。

 

 

さて、帰りますか。

 



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第八話 寄り道

糞です。
あと二三ヶ月、消えます。
戻らない場合は、死んでます。


飛行船の故障で温泉郷に寄る事になった。

エンジンからモクモク煙が上がった時は死ぬかと思ったね。いや、マジで。なんとか近場の空港に降りて、一週間ほど修理がかかるらしい。

ここまで料金が払い戻しになり「船か電車をご利用してください」と言われた。

 

俺はせっかく立ち寄ったので温泉に入る事にした。

この町の特徴は温泉だ。古代の人達が使っていた温泉を今も使っている。

見た感じでは、遺跡の温泉プールだ。水着を必ず着用だしな。

まぁイメージと違ったが、コレはコレで良い感じだ。

 

温泉卵を食べて、温泉に入った。

 

あぁ〜、気持ちいい。癒されるわぁ。

寝っころがれる場所で体を伸ばし、目元にタオルを乗せ、ゆったりしていた。あぁシズクさんに会えたら、もっと癒されるのになぁ。そんな事を考え、場所を移動しようと立ち上がり、辺りに視線をやると隣に…

フチに黒い眼鏡が置いてあり、顔にはタオルが乗っていて、スクール水着を着たナイスバディな女の人が居た。そして、ネームプレートに「しずく」と書いてあった。

 

しばしの間、俺は凝視していた。

 

「シズクさん?」

思い切って声をかけると。

 

「ん?」

女性はタオルとり、置いてあった眼鏡をかけた。

「ハルトだ。久しぶり」

シズクさんでした。本人でした。

 

「えっあぁ、お久しぶりです。…いや!そうじゃなくて!?なんでシズクさんが!?つか何故にスクール水着!?」

 

シズクさんは欲しい物があるので温泉郷に来たらしい。あとスクール水着は団長さんからのプレゼントらしい。もしかして団長もオタ族なのか!?いや早計だな、コレはじっくり考えねばな。うむ。

 

それにしてもスクール水着の「しずく」の文字が伸びて実にけしからん事になっとるで!スクール水着って何が良いかわからなかったが、生を見るとやっぱイイネッ!たまらんぜよ!

 

あぁ…、やっぱりシズクさんと居るだけで癒されるわぁ。

相変わらず綺麗だなぁ。くぅ、濡れた黒髪が色っぺー!

 

そんな感じでシズクさんと温泉を回った。

3時頃に温泉を出て、町をブラブラ見て回り、良さげなお店に入った。

 

少し早い夕食を食べる事にした。

俺はカルボナーラを、シズクさんはペペロンチーノだ。

食い終わり、シズクさんが泊まってるホテルに向かった。

 

シズクさんに「部屋、一緒で良い?」と言われ。

俺は即座に「もちろんっす!」元気良く、お返事した。

 

シズクさんと話をして、7時頃にシズクさんが風呂に入り、お風呂からシズクさんが出て、俺のお風呂の番になった。

ふと洗濯籠に目をやると、そこには!シズクさんの下着が!ぬっ脱ぎたて…、最近、欲を放出してないのでヤバイ…、あぁたまらねぇ…

それに久しぶりにシズクさんに会えて気持ちが…、高ぶってるよ!

 

あぁ勝手にライトハンドが、無理矢理レフトハンドで押さえつけ、なんとかギリギリ踏みとどまった。本当はクンカクンカしたかった…

かわりに風呂場の残り香を精一杯クンカクンカしましたマル

 

そろそろ寝る時間になったが、なんとベッドが一つしかなかった。またソファで寝るのか、まぁシズクさんと一緒の部屋で寝れるなら良いもんさ。

だが!しかし!なんと!

 

「一緒に寝る?」

シズクさんが普通に、そう言った。

 

「はい…?」

はい?

 

「じゃあ、行こ」

手を握られ寝室に向かった。

 

「ふぁい?」

コレは夢ですか?夢だよね?うん、夢さ。

 

ちなみシズクさんの寝間着は、いつものワイシャツ姿だ。

たまらなく良い、いつ見ても太もも最高だな。

 

で、シズクさんが先にベッドに入り眼鏡をベッド脇の机に置いた。躊躇っていたらシズクさんに促され俺もベッドに潜り込んだ。

 

「おやすみ」

シズクさんは静かに言い、俺に身を寄せてきた。

これ…、夢じゃねぇええええええええ!!

腕枕に重みが!しかも近いからイイ匂いが!もう!ヤバイ!

 

俺の葛藤的な思いをよそに、あっという間にシスグさんは寝た。すこやかに寝た。すーぴーすーぴー可愛い寝息をしながら、寝た!

 

…無理、無理、無理、無理、無理!無理!無理!無理!無理!むーり!りーむぅ!

もう!よく分からんが無理だ!

 

そんな頭が爆発して新しい世界が開けるようなエネルギーが脳みそを駆け巡り、悶々と、悶々と、悶々と、夜を過ごした。

天国のような地獄。もしくは、地獄のような天国だったよ。燃え尽きたぜ。灰も残らねぇよ。

 

当たり前だが、一睡も出来なかった。

窓から日が射し込んできてる…

 

不眠状態の俺とは違い、爽快に背伸びをしシズクさんは起きた。

 

「シズクさん、俺、寝ます」

それだけ言って死んだように寝た。

 

 

俺が寝てる間にシズクさんは、金剛龍、もしくはダイヤモンドドラゴンの鱗を取り、俺が起きたぐらいにダイヤの鱗を持ち帰ってきた。シズクさんは、このダイヤモンドの鱗が欲しかったようだ。

 

シズクさんの目的も終わり。

帆船じゃない、外輪付きの船で移動した。

今回は普通の船旅である事を願うばかりだ。

 



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第九話 白亜の町

多少は正気に戻ったので、クソみたいな小説になると思います。

あとプロット的なモノが消失しました。


一応、無事に船旅は終わった。

海獣や海賊に遭遇したが、沈没しなかったので良しとしよう。

凄くハードルが低い気もするが気にしたら負けだ。うん。うん…

まぁ確かに思っていた船旅では…、なかったがな!!

 

で、俺とシズクさんが到着した街は港町だ。でも、ただの港町では無い。街の両脇が断崖絶壁で、真ん中が段々になっていて、そこには白い家々がつらなっている。ドアだけが青い、オサレな街並みだ。

 

街の通りをブラブラしながら歩くと、どうやら丁度良く今日は祭の日らしい。街を歩いてる人や、カップルであろう男女が祭の話をしている。まったく嬉しそうな顔しやがって…、このリア充どもがっ!滅んでしまえっ!

 

ひとまず落ち着く為に、ホテルを探した。

部屋に荷物を置いて、しばし休んだ。よし、もう大丈夫。オールオッケー。その後また街をブラブラしてからカフェテラスの洒落た店に入り夕食をとった。夕食を食べ終わり、街の端の断崖絶壁に行ったりして日が沈み、俺とシズクさんはホテルに戻る事にした。

 

ホテルに戻る途中で、俺とシズクさんはパレードに出くわした。

牛っぽい動物が、車輪が付いた縦に長い車を引いている。その車には煌びやかなネオンが取り付けられ、無駄に豪華で眩しい。しかも周りでは、テンション上がりまくりの人達がハチャメチャな踊りを踊っている。

 

そんな光景を見ていたら、パレード車の上から俺とシズクさんの方に物が投げられ飛んできた。

飛んできた物、シルクハットと白いワンピース服を俺は掴み取った。パレードを見ていたら分かるがパレード車からは時々、物が投げられ、みんな喜んでもらっている。

 

せっかくなので俺とシズクさんは貰った物を着てみた。

もちろん俺がシルクハットで、シズクさんが白いワンピース服だ。

うん、可愛いね。まぁ服の上から着込んだからジーパンが見えてるけど、それでもシズクさんのワンピース姿は可愛いなぁ。

 

パレードを眺めながら、ホテルに向かった。パレードの通り道から外れると、一気に静かな街並みになり、祭りの熱も消えた。ただ、かすかに遠くから祭りの音が聞こえる。

なんとなく夜空を見上げると、綺麗な三日月が浮かんでいた。

 

風流を感じていたら、無粋な声で現実に引き戻された。

 

「あいや!待たれい!」

「そこにいるわ!キリングラバーズ!」

「「我ら雷風兄弟が成敗致す!」」

 

うん?誰…だって?

つか、なんなのコイツらは意味が分からん…

 

「あー、キリング?ラバーズ?…なんなのそれ?」

意味不明なので黄色着物と青色着物の兄弟に聞いてみた。

 

「シルクハット!白いワンピース!」

「間違いなく!キリングラバーズ!」

「「我らブラックリストハンター雷風兄弟が成敗致す!」」

 

なん!?だと!?BLハンター!?

俺って何か悪いことした…っけ?

そう言えば…図書館で本を返してない…。慌てて夜逃げしたからなアレの性か?…つか、なんで夜逃げしたんだっけ?

いやいや、落ち着け俺。この兄弟が、ただ勘違いしてるだけだよ。「キリングラバーズ」って「殺人鬼の恋人」だよな?言われた事ないし、完璧に人違いだろ。それにシルクハットと白いワンピースは祭りで貰った物だしな。うん、人違いだよ。

 

「人違いですよっぉおおおお!!」

俺が喋ってる途中で黄色の方が突然、刀で切りかかってきた。攻撃を避けながら横を見れば、青色の方は槍でシズクさんに切りかかっていた。

 

たっく、なんで勘違いで襲われなきゃいけないんだよ。面倒な奴らだな。ベンズナイフを一本取り出し、構えた。はぁ〜、…行くか。

 

ナイフで剣をさばき、避け、避け、俺は逃げていた。ときどき「くっ」とか「ぐっ」とか声を出しながら数十合ほど斬り合い、俺のナイフは空に飛んだ。

 

黄色は大きな動作で刀を振り上げ、俺を殺しにきた。ギリギリで刀を避け、隙だらけな脇腹を、もう一本ベンズナイフを取り出し、 切り裂いた。またたく間に黄色は崩れ落ちた。二本目のベンズナイフには即効性の麻痺毒が塗ってあるから、これで終わりだな。

ふぅ、疲れた。

 

シズクさんの方を見ると、青色はドタマかち割れていた。脳みそが飛び出てグロい、それに体がビックンビックン痙攣していて更に気持ち悪い…

 

まっ、いきなり襲ってきたんだ死んでも文句は言えまい。

ほっといて、さっさと逃げるか。面倒な事になりそうだしな。

ホテルはキャンセルだな。まったく無駄に疲れた。

 

そんな時に、突然、路地裏の暗闇から声が聞こえた。

 

「今日は、いい月夜ね」

綺麗な女性の声だったが、それは底冷えするモノだった。

 

暗闇から最初に出て来たのは、シルクハットに燕尾服の男性、次にフリフリの白いドレスを着た女性が現れた。美男美女だが、雰囲気がヤバイ…ヤバ過ぎる…

 

「こんにちは。今日は人を殺すには良い日ですね」

男性がほがらかな笑顔で話し、さらに言葉を続けた。

「さぁ楽しい楽しい…、茶会の始まりだぁ!!」

途中まで普通だったが、後半は怖過ぎる笑顔で叫んでいた。

ヤバイちびりそう…、いや…すでに漏れたかも…

 

男性は楽しそうに叫びながら、シズクさんに向かって走り出した。

女性はニッコリ笑って俺を見ている。

 

「もしかして…、キリング、ラバーズ、さん?」

恐る恐る俺は女性に聞いた。どうか違いますように祈りながら。

 

「ふふっ、そう呼ばれる事もあるわ。でもね…私達は恋人では無いのよ、夫婦なの。」

楽しそうは声を出し、俺の疑問に答えてくれた。補足付きで。

 

「あっ、あぁ、そうなんですか」

馬鹿のような声を出し、俺は頷いていた。

 

「ふふっ。そうなの、よろしくね」

何故そんな笑顔なのか、ホントに何が楽しいのか分からないよ。そして女性は白いフリフリドレスの裾を持ち上げ、ナタを二本ガーターベルトから取り出した。途中まではテンション上がったが、ナタが出て来てドン引きした…

 

「さぁ殺しアイましょう。…あぁでも、ふしだらな女だと思わないでね。私が愛してるのはシェードだけなのよ」

何を言ってんだか、さっぱり分からない。顔が美人なだけに、狂った笑顔が超怖い。帰りたい…、おうち、かえる…

 

「話してばかりじゃ…つまらないわね、そろそろ始めましょう」

そう女性は言い、まっすぐ俺に向かってきた。満面の笑顔でな。

俺は声を大にして言いたい……(つまんなくないよ!むしろ、つまってます!めちゃくちゃつまってます!)と。

 

そんな俺の思いを知らない女性は、ナタを振り上げ、襲いかかってきた。

ナタの初撃をナイフでさばいたが、うん、強い。その後もナタが嵐の如く俺に襲いかかってくる。右や左、上や下、まさに縦横無尽にナタの攻撃がやってくる。こりゃマズイ、あきらか俺より強い。このままじゃ死ぬな…マジで死んじゃうよ。

攻撃をふせぐので精一杯だ。まぁその防御も完璧には出来ず、体中に裂傷が出来てるんだけどね。ホント詰んでる。その後も、なんとか致命傷だけは喰らわないよう、避け、逃げ、ふせいだ。しかし、血の量が洒落にならないほど流れてるな。

 

「あなた、つまらないわ。もう終わらせましょう」

先程までと違い、からっぽの無表情で女性は俺に言った。

こんだけ俺を切り裂いといて、つまらない、とは…なんなんだよ…

 

そして女性は動き出し、あっという間に俺の目の前に居た。

今までと比べる必要もないほど、その一撃は早く、真横から俺の首に向かってナタが迫った。首を傾けたが、避けきれず首にかすった。血がヤバイ、片手で傷口を押さえていたら、もう一本のナタが俺の頭に振り下ろされようとしていた。それは、ゆっくり、スローモーションに見えた。

 

あっ、死んだ。

 

と、思ったら勝手に体が動いた。

逆に女性を切り裂いていた。

 

「あはっ。斬られちゃった…」

そう言って女性は倒れた。すると、すぐさま…

「リッ!?リリー!!」

あらん限りの声で男性が叫んでいた。

 

男性は倒れた女性に駆け寄り、言葉を交わしている。うん、女性は生きてたようだな。で、話し合いが終わったのか男性は、すくっと立ち上がった。女性をお姫様抱っこしてね。

 

「今日は、ここらで御暇します。また会う日まで、ごきげんよう」

そう男性は言い、颯爽と、颯爽と走って行き、見えなくなった。

 

ちなみにシズクさんは俺に駆け寄って来て「大丈夫?」と俺の事を心配してくれた。マジで嬉しい、けど…

 

「死にそう、です」

瀬戸際ぐらいに危険です。血がアホみたいに流れてる…

 

「じゃあ。病院、行こっか」

シズクさんはカル〜イ感じで言った。

マジで本気で、命の危険なんですよ、シズクさん。

 

 

 

 

病院に入院しました。

当たり前だが、俺は入院しました。

 

体中の裂傷は血を流し過ぎて危険だったし、ショック死していてもおかしくない、らしい。首筋の傷は少しズレていたら噴水のように血が飛び出ていたと、お医者様の先生に言われた。

 

四日ほど入院し、傷が治ったので退院した。

その日に、俺とシズクさんは流星街に帰る事にした。

善は急げだ。また殺人鬼に出会う事になったら、たまったものではない。

 

その後、ドラゴンっぽい生物で移動しました。

 

とても早かったです。

とても高かったです。

死ぬかと思いましたマル

 



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第十話 帰郷

もう、やめたい…


星がまたたく夜、流星街に帰ってきた。

懐かしき我が家、シズクさん家を見てシミジミと思った。俺はインドア派だと、家が一番だと、確信したね。…なんかこみ上げてくるものがある。色々あったからなぁ…

 

その日は疲れていたので、家に入り、すぐさま寝た。

 

数日のんびり過ごし、またゴミ探しのバイトを始めた。状態の良い家具を売ったり、まだ使える重火器を売ったり、そこそこの収入になった。

帰りがけに飯の材料を買い、ウキウキ気分で家に戻った。

 

「ただいま帰りました。シズクさー、ん…」

扉を開けると、そこには当たり前だがシスグさんが居た。

ただし、見知った顔の人達も何故か居た。ウボさん、ノブさん、マチさん、フェイさん、フィンさん、シャルさん、コルさん、の七人だ。狭い家がさらに狭く感じる…いや実際に狭くなってるのか…

 

つか!なにゆえ!この人達がっ、ここに居る!?

そして何故!最後の良心フランさんがここに居ない!?

 

「久しぶりだな!ハルト!」「おっ、戻ったか」「元気そうじゃねぇか、すぐヤレるな」「良かったネ。これから痛めつけるヨ、元気じゃないと殺りがいないネ」「ハンターライセンス取れた?」「久しぶり」「ふんっ」

訳わかんないのでいっせいに喋らないで欲しい。

 

そして訳のわからぬまま外に連れ出された無理矢理。しかもシスグさんは「頑張ってね」と手を振り俺の事を見送った。気分はドナドナだ。

 

ついた場所はゴミ山の一角、わりと平らな地面がある所だった。

 

「殺されそうになった、らしいな」

とノブさんが言い。

 

「俺達が鍛えてやるよ」

とフィンさんが続け。

 

「さぁ!派手に殺ろうぜ!」

とウボさんが締めくくった。

 

…つかウボさんの趣旨違くない?

そんな事を思ったのもつかの間、いきなりウボさんが殴りかかってきた。後ろに飛びのいてよけると、豪腕は地面に当たり、アホみたいに地面を陥没させていた。

 

当たってたら死んどるわ!

馬鹿なのかこの人!いや実際に!馬鹿なんだ!

これだから脳筋は嫌だ!

 

拳を避けたり、逃げていたら、ウボさんに「戦え!ハルト!」と言われた。無理をおっしゃる。さらに俺が逃げて避けていたらウボさんが地面を殴り、土煙りが上がった。視界は最悪、しかも…隠か。

念を使い、ひとまず俺は逃げた。下からウボさんを探し、見つけた。ウボさんから10mほど離れた真後ろに俺は出た。静かに抜き足差し足で近付き、ナイフを一閃した。それは見事なカスリ傷をウボさんの体につけた。よしっ。

 

しばらくしてヘナヘナとウボさんは倒れた。麻痺毒の話を俺はウボさんに説明してあげた。その後、全てのナイフを取り上げられ、俺の攻撃力はゼロになった。ついでに念能力も使うなと命令された。

そして修行と言うなのイジメが幕を開けた。

 

フルボッコ、修行と称し皆で俺をフルボッコだ。

途中フランさんが来たので、えっぐえっぐ涙をこぼしフランさんに抱きついた。しかしフランさんは「よし、今度は俺と殺るか」笑いながら言い放った。その後も修行は続き、やっと夕方に終わった。俺は大の字で地面に寝転がっていた。

 

フェイさん、マチさん、あの二人は本気で殺しにきてた。フランさんの攻撃もヤバ過ぎた。こんなん修行じゃない!絶対違う!イジメだ!恨みがましい目で皆様方を見ていた。

 

するとシャルさんが俺に近付き「この修行ね。シズクが皆に頼んだんだよ」見下ろしながら笑っていた。へっ?と俺が困惑していたら、シャルさんは立ち去っていた。

 

 

 

 

今日も今日とて地道味にバイトをしている。よく分からない薬を拾ったり、精巧に出来た等身大の人形を拾った。それらを売り払い、まぁまぁの金になった。

 

家には戻らず、ゴミ山の一角に向かった。

あれから、自主的に修行をしている。修行の相手はだいたいノブさんとウボさん、この二人とやり合う事が多い。ぶっちゃけ修行つーか、中身は殺し合いだ。

 

そして今日、ノブさんとウボさんの二人に飲み行かないか誘われた。もちろん早く帰りたいので断ったが、無理矢理に連行された。

 

酒を飲まされ、飲まされ、無理矢理に飲まされ、俺の意識は混濁していった。急性アル中で死ぬかもしれないと思いながら。

 

 

 

次に気がついたのは、朝だった。いや、昼かも…

つーか頭が痛い。すごぶる痛い。ガンガンする…

 

頭から手を離し、ふと手の甲を見たら…、蜘蛛がいた!

ひぃ!?と情けない声を出し、手から蜘蛛を払い落とそうとしたが、取れなかった。そもそも取れるはずがなかった…

 

だって、その蜘蛛は、イレズミだったから!

 

ぼーぜん…だった。朝起きたら手に蜘蛛のイレズミが彫られてた。なんで!?どうして!?こうなった!?

 

寝こける二人をグワングワンに揺さぶり、起こした。ウボさんは「頭いてぇ」と言い、ノブさんは「気持ちワル」と言っていたが、んなこと関係ねぇよ!それどころじゃねぇよ!

 

落ち武者とゴリラの話をまとめると。

一度俺はぶっ倒れ、しばらくして起きたらしい。しかし記憶がないよ。その後さらに酒を飲み続け、テンションが上がり、何故かイレズミを彫りに行く事になった、らしい。

大事な所が抜けとるわっ!!肝心な部分がねぇよ!!ふざけてんのかっ!

 

しかし、落ち武者とゴリラは「番無しのイレズミだ。準団員だからな」「似合ってるぞ」良い笑顔が、心底腹立たしい。

 

また眠り始めた落ち武者とゴリラの顔にイタズラして俺は帰った。

 

家に着いたのは12時頃だった。当たり前だがシズクさんは起きていた。俺は昨日と今日の出来事をシズクさんにありのまま伝えた。別に愚痴では無い!けっしてな!

 

俺が全てを話し終え、シズクさんが発した言葉は「名前、私もアダ名が良い」だった。落ち武者とゴリラはアダ名じゃないですから、むしろ蔑称ですからね。しかしシズクさんはアダ名が良いと頑なに主張した。でも俺に素敵なアダ名が思いつくはずもなく、とりあえず「シズク」の呼び捨てに落ち着いた。

 

なんか疲れた。頭、痛いし…疲れた。寝みぃ…

そんな事を俺がつぶやくと。

 

「寝る?」

そう言いながら、シズクさんが自分の太ももに手を置いた。

 

「いっ、いいんですか?」

俺の声、震えてないよな?

 

「うん。いつもハルトがしてくれるから、お返し」

いつも膝枕してて…、良かったぁ!!

 

「じゃあ、失礼いたしますです」

ド緊張しながらシズクさんの太ももに頭をのせた。

 

膝枕、癒されるぅ〜

凄くいい匂い。する!

つか、やわらかい。

天国や!ここはヘヴンや!

 

はへぇ〜

 

ウトウトしながら思った。

明日からもバイト頑張ろ。

とうぶん修行は辞める。

 



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第十一話 デート

迷走してます。
色々と挫折しました。
プロットが無いと駄目だ…


今日もゴミ発掘をしていたら、なんと山ほどの宝石を見つけた。

ゴミ山の奥、ゴミ洞窟の奥深くに、黒光りする綺麗なスーツケースがあり、その中にはダイヤやルビーなど沢山の宝石があった。

 

飛ぶように俺は即効で宝石を換金しに行った。全ての宝石を店主に渡し、査定まで時間がかかるので暇つぶしに店内を見ている。

 

嬉しいのだが、いまいちテンションが上がらない。

数日前、知らない間に手の甲に蜘蛛のイレズミを彫られた。まるでヤの付く職業の人、もしくはギャの付く黒スーツの人だ。今は隠す為に、黒い革手袋をしている。ぼーっと店内を見ていたら…

 

「あら、こんにちわ。偶然ね」

どこかで聞いた事がある声だったので振り向いたら…

 

「………」

あの殺人鬼の女性が居た。この前とはまた違った白いドレス姿だった…フリフリが増量してる。確か…名前はリリーさん…だったな。

 

「どっ、どうも。お元気そうで何よりです」

言葉にしてから思ったが何を言ってんだ俺は…馬鹿か!

 

「ふふ、えぇ。綺麗に切られたから綺麗に治ったわ。でも…ウィルが貴方を必ず殺すって言ってたわね」

 

「えっ?」

たぶんウィルってのは、あの燕尾服の男性だよな。リリーさんの旦那…そりゃ嫁を傷つけられたら怒るか。命、狙われてるのか俺…

 

「でも止めたから安心してね。あなたを殺すのは私だもの」

にこやかな笑顔だった。一瞬でも安心した自分が馬鹿みたいだ。泣けるぜ。

 

「…ここで、ヤるつもりですか?」

いつでも逃げれるうに準備しながら聞いてみた。

 

「昼間には殺人なんてしないわ。綺麗な月も出てないでしょう?」

さも当たり前のように女性は言ったが、理解不能だよ。でも今の時間帯は殺られ心配が無いのはありがたい。俺が一安心していたら女性はリリーさんは続けて喋った。

「貴方も、そうゆうモノあるでしょう?」

 

「はい?」

マジで意味が分からん。

 

「貴方は命が危険にならないと本気を出さないのかしら?それとも、そのギリギリを感じて楽しんでるのかしら?」

 

「いやいや、そんな事これっぽっちも無いですよ」

なんだ、その危な過ぎる思考は。

 

「ウィルはね、切るのが好きなの。私は表情を見るのが好きなの。私達って同類だけど、まるで別の生き物みたいよね」

最初に「そう」と、どうでもいい感じで受け流し、リリーさんは独り言のように喋った。

 

「はぁ…」

つまり今のは殺人の趣向的な事だよな。

何故俺に話す、まったく意味が分からん。

 

「それではね。また綺麗な月夜に会いましょう」

俺がボケッとしていたら、リリーさんは「ごきげんよう」といった感じで店から去っていった。

 

その後、店主に換金できたて言われ、ようやく俺は我にかえった。

 

むちゃくちゃ背後を気にしながら、わざわざ遠回りして家に俺は帰った。

 

五日ほど俺は家に引きこもった。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

バイト代が十分に貯まった。

よしっ。シズクさんに今までの恩返しだ!

だから!デートに誘った!よっ!

 

昨日、食事を食べ終わり二人でソファに座っていた。シズクさんは本を読み、俺はテレビを見るともなしに見ていた。緊張していたが、なんでもないように俺はシズクさんに尋ねた。

 

「明日、暇ですか?」

「ううん。本を読むから暇じゃない」

「あ〜、…なるほど。あのですね、良かったらですが明日どっか二人で行きませんか?」

そこで始めてシズクさんは顔を上げ、少し間があってから一言短く答えた。

「…いいよ」

 

 

そして今日、デート当日。

俺が外で待ち合わせしたい胸を告げると、シズクさんは「面倒じゃない?」と素で言っていた。ある事ない事をテキトーに言い、最後は納得してくれた。俺はさ、デートっぽくしたかったんだよ!

 

崩れ落ちた時計塔の横で待っていたら、遠目からシズクさんが来たのが見えた。いつも通りのジーパン・セーター姿だが、可愛いぜ。

 

「さっきぶりだね」

こっちに歩いて来たシズクさんは手を振りながら、そう言った。

 

「そうっすね…」

なんか違う気がする…

まっ、いっか。

「じゃあ行きましょう」

 

「うん」

 

 

以外にも流星街はちゃんとしてる場所が多い。流星街には区画があり、0〜60(俺が知ってるのは)ある。ちなみに番号が0に近いほど治安がいい。ただし例外もある、4がつく数字は流星街でも激危険な場所になる。無法地帯で、歩いてるだけで殺さる可能性がある。

区画ごとに特徴があり、0〜10は真新しいビルの町並みが多く、だいたい一日に10人ぐらい人が死ぬ。11〜20は煉瓦の町並みで、だいたい一日で20人ぐらい死ぬ。俺とシズクさんが住んでるのは、この20番街にある。後は段々と死ぬ人が多くなる感じだ。

 

今、向かってる場所は5番街にある映画館だ。

ベタだが仕方ないだろ…童貞には!これが精一杯のデートなんだよ!

 

はい。無事何事も無く映画館にたどり着いた。今は何を見るか二人で相談している。1番「ラブレター」ベタベタの恋愛モノ。2番「スキュラの秘宝」ハラハラの海洋活劇。3番「サムのピクニック」夜眠れなくるホラーサスペンス。

しかし、悩む必要は無いな。1番の一択だ。それは何故か、シズクさんが読む本は恋愛モノが多いのだ。俺が「ラブレターにしますか?」と聞くと、シズクさんは「うん」と頷いていた。可愛い…

 

俺はチケットを買いに行き、シズクさんにチケットを渡そうと声を掛けた。

 

「シズクさん、チケットです」

普通に、普通に声を掛けた。なのにシズクさんは。

 

「………」

無言で、そっぽを向いた。

えぇ?!何かした?!おれ?!

う〜ん、あっ、あぁ、忘れてた。つか、まだ慣れないな…

よしっ。心の中で気合を入れ、声を掛けた。

 

「シズク、チケットだよ」

俺が名前を呼び捨てで言うと。

 

「うん」

そっぽをやめて、返事をしてくれた。

 

一週間前「シズク」の呼び捨てになったのだ。しかし慣れない。ただシズクさんに、さん付けすると口を聞いてくれない。あと何故か、出来るだけ素の喋り方にするようシズクに言われた。慣れない、マジで慣れない。

 

その後ポップコーンとコーラを買い。映画を見た。

 

なんつーか…、よく分からない。内容だった…

たぶん、俺には難し過ぎた…

高尚すぎた映画だった…

 

ただシズクが楽しめたようなので良かった。

 

見終わった後は、とりあえずトイレに行った。

早く行かねばヤバイ。漏れる!

 

その後は近くの本屋に立ち寄った。

好きな小説家の続編や新刊があり俺は二冊の本を手に取り、シズクは有名な恋愛小説を手に取っていた。けっきょく二人で五冊の本を買い。ブラブラしながら家に帰った。

 

いつも通り俺が夕食を作った。でも今日は豪華バージョンだ。

イタリアのフルコースっぽい感じで作った。まぁ所詮はエセだけどね。面倒なので前菜やパスタ、肉料理など全部テーブルに並べた。奮発して買ったワインもある。パーぺキの完璧だ。

 

食事を食べ終わり、いよいよ本日のメインイベントだ!

プレゼント!渡すぞ!

 

シズクは茶を飲みながらソファで本を読んでいる。ドッキドキのド緊張しながらシズクの隣に座った。行くで!やる時きゃやる男だ!

 

「あの、これ、どうぞ」

リームーでした…。なんとか、かんとか包装されたプレゼントを渡すのが精一杯でした。でした…

 

「これ…プレゼント?私に?」

 

「はい。そうっす」

 

「開けていい?」

 

「どうぞ。でも、あの、高くて良いモノじゃないですよ」

 

シズクは華麗にスルーし、包装を丁寧に開けた。出てきたのは俺が買った逆十字の銀色のネックレスだ。あぁは言ったが、そこそこ奮発して買ったモノだ。さっそくシズクさんはネックレスを首にかけた。逆十字を手に持ち、頷き気味に見ていた。

 

「ありがと」

…シズクが笑っていた。

はっきりと笑顔を見たのは初めてで俺は呆然とした。

その後、俺とシズクは普通に本を読み始めた。

アレだ。なんか感情が一周して冷静になった。そんな感じ。

 

本を読み始めて思ったが、ヤバイ。

シズクは本を読むと色々な姿勢をとる。横に座ってる俺に寄りかかってきたり、俺の膝の上に頭をのっけたり、背中合わせになったりする。

今まで一番ヤバかったのは俺がソファで仰向けに寝転がっていたら、その上にシズクが腹ばいで乗っかり本を読んだ事だ。顔が近いは、胸は当たるは、相変わらずイイ匂いだは、最上で最高でした。ただ息子様が暴れて暴走する寸前だったがな。ふっ。

 

ちなみに今日のシズクの姿勢は、俺の肩に首を傾け寄りかかってきている。やべぇ…シズクから、いつもと違うフローラルな香りがする。本に集中できねぇ。

 

仕方なく俺は本に栞を挟んでサイドテーブルに置いた。ハァと心の中でため息を吐き、目をつぶり目頭をほぐしていたら肩が軽くなった。たぶんシズクがどいたのだろう。

 

ジュースでも取りに行くか。

そう思い目を開けたら、シズクの後ろ姿があった。

そしてゆっくりシズクは俺の太ももに腰をおろした。

はい?はーい?はい!?why!?who am i!?いや!俺は俺だ!つか、なんなんだコレは一体シズクは何がしたいんだ!

 

それにしても、いつも以上にいい匂いだし、密着してる面積大きいし、この体勢はヤバイ!しかしシズクは俺の胸中も知らず寄りかかってきた。俺とシズクは頭一つ分ほど身長が違うので、苦しくはないのだが髪の毛から直に素敵な匂いがする。

名も知らぬ父上母上ご報告があります。息子様が起きました。なんとか股で挟み込み押さえているが、ヤバイです。ムリです。ナニが!ナニぞ!このヤロー!

 

しかも!しかもだ!

シズクは座り心地が悪いのか、お尻で俺の股間辺りをグリグリしてきた。その周辺はヤバ過ぎです。ようやっと良い座り心地を見つけたのか動きを止めた。マジでぇ果てるべぇ。やっ……ぼいっ!

ギリギリアウトのセーフ!いやいや!違う!ギリギリセーフのアウト!いやいや!これも違う!もう!訳わからんが!とりあえずセーフだ!

くそっ!このままじゃ頭が沸騰するわ!ヤバイ!マジ!やべぇ…

そして何を思ったのか俺はガシッとシズクを後ろから抱きしめた。

 

「んっ」

シズクは小さな声をもらし、顔を少し横に向け俺を見た。

「あったかいね」

若干、照れてるように見えた。

 

今日は…色々な事があり過ぎたよ…

キャパオーバー、もしくはブラックアウト、あるいはブレーカーが落ちる、または気絶、俺は意識を失った。

 

 

 

 

あったかい。柔らかい。気持ち良い。

まどろみの中、俺は幸せを噛み締めていた。

この抱き枕は最高だな。…いや待て俺って抱き枕持ってたか?

それに何故か近くから寝息が聞こえる。ゆっくり目を開けると、シズクの後頭部が見えた。ふぅ…。とりあえず辺りを確認した。ここはソファで、毛布がかかってあり、俺はシズクを抱きしめ寝ていた。つまり、あの後そのまま眠り続けたのか。しかし、…俺の半身が暴れん坊将軍になっとる。いつでも戦える状態だ。

 

あぁ、つかシズクの体って柔らかいな。凄く抱き心地が良い。それに、やっぱりいい匂いだ。寝ているのでシズクの頭に顔を埋めて匂いを嗅いだ。今更ながらに思うがシズクの事が好きだな。すげー好きだ。思わずギュッと抱きしめたら「んっ」とシズクは声を出しモゾモゾ動き出した。どうやら起きたようだ。ちなみに息子は、いつの間にか治まっていた。

 

「おはよう。シズク」

俺は抱きしめていた腕を放し、ソファから落ちないよう片腕でシズクを支えた。

 

「おはよ、ハルト」

シズクは目をこすりながら起き上がり、サイドテーブルにあった眼鏡をかけた。まだ目や表情がトロッとして眠たげだ。可愛いなぁ…

 

うん。

今日も一日、頑張りますか。

 



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第十二話 お酒

なんと言うか…
ごめんなさい…


いつも通り仕事終え、スーパーで買い物をし、帰路についた。

 

ドアを開けて「ただいま」と言ったがシズクの姿は見えません。明かりがついてるから家には居るだろうけどね。で、俺が食料品を冷蔵庫にしまっていたら。

 

「お帰り」

シズクの声が聞こえたので振り向くと、黒色のシンプルなニットワンピを着たシズクが立っていた。……肩が露出してエロいし、綺麗な美脚が…白い太ももが凄い出てる。パンツが見えそうで見えない。エロい!エロいぞ!!大事な以下略。

 

「どっ、どうしたんすか、その服」

 

「…変かな?」

 

「いや!とっても可愛いし!凄く似合ってますよ!」

 

頑張って、良かった…

 

 

 

で、なにゆえシズクがニットワンピを着ていたのか。それは今日、女子会をやるかららしい。なんでも数日前に女子組で買い物し服を買ったので、服の見せ合い&飲み会をする事になったらしい。

 

つか!その服で外に行くの!?パンツが見えちゃわないか!?いや…でも普通は何か履くよね。タイツ履いてないから、ホットパンツ的な物とか履くよね?もし、もしもニットワンピだけで外に行ったら…、どうしようスゲー心配だ!

 

しかし、その心配は杞憂に終わった。

数時間後、大量の酒を持ってマチさんとパクさんが家に来た。

宅飲みかいっ!

 

マチさんとパクさんはシズクの服を褒めていた。俺にはさっぱ分からない用語を使い褒めていた。その後、パクさんに軽く挨拶をされ、マチさんにはガンを飛ばされた。ちなみに二人はいつも通りの服装だった。

 

隣の部屋から「乾杯」と女性三人の掛け声が聞こえた。

シズクに一緒に飲まないか誘われたが、女子会なので俺は遠慮し、寝室に移動して本を読む事にした。数時間ほどラノベを読んでいたら、ドアがノックされたので開けると、少しばかり頬が赤くなっているシズクが立っていた。今すぐ襲いたいぐらい、可愛い!

しかも「一緒に飲も」と言われ、…危うく理性が飛びかけた。他にも色々と飛び出しそうだったのはご愛嬌さっ。皆もよくあるよね!

で、寝室から出ると、パクさんはボーイッシュな服装に、マチさんはスカートを履いていた。そして何故かマチさんに殴られた。

 

シズクにポンポンとソファを叩かれ、俺は隣に座った。マチさんとパクさんは一人用のソファに座っている。

 

シズクに酒を注がれ、俺も飲み会にくわわった。

グビグビと女性三人は酒を飲みまくっている。ほんのりシズクとパクさんは頬が赤くなっているが、マチさんはいつもと同じ表情だった。三人は普段よりも色々な事を喋り、俺は相槌をうったり頷いていた。んで、しばらくするとシズクが…

 

「暑い…」

突然と言い出し、ニットワンピを脱ごうとし出した。

 

「脱ごうとしない!」

即効で止めたが、服がずり上がってヤバかった。

 

その後も「暑い脱ぐ」「駄目だから!」「ヤダ」「いやヤダとか言われても…」「脱ぎたい」「じゃあ着替えてきてください」その間ずっと俺は服をおさえていた。しばらく攻防が続いたがシズクの動きが止まった。

 

「じゃあ、脱がして」

そう言いシズクはバンザイしている。

 

「なんでやねん!」

めっちゃ可愛い仕草だけど、意味が分からん!

 

俺の言葉を聞きシズクはコテッと首をかしげた。どうゆう事、そんな感じの表情で不思議がっている。可愛い!じゃなくて!もう話が噛み合わねぇ!まぁ最後は話てないけどね!

 

なんと言って断ろうか迷っていたら「ガンッ」と凄い衝撃が後頭部にきた。超!痛い!頭をさすりながら振り向くと、空の酒瓶を手に持ち仁王立ちし、ガン睨みしてるマチさんがいた。超…怖い。つか、あの酒瓶で殴られたのか…血出てないよな。

 

「うおいっ!シズクから離れろ!このヤロウー!」

若干、酔っ払った口調でマチさんに怒鳴れた。

 

「いや!押さえてないと服を脱ぐから!」

 

「どけ!」

そう言われマチさんに蹴飛ばされた。

マジで痛い。とくに頭が。膝を付き俺は唸っていた。

 

「お疲れ様」

振り向くとパクさんが優しく笑っていた。それからパクさんに「お話しましょう」と言われ一人用ソファをパクさんの隣に持ってきた。パクさんと話を始めたら何故か、しょっぱなから異性のタイプを聞かれた。

 

「だから、タイプは?」

何故かパクさんは小声で、顔を俺に寄せてきた。

 

「えっと、そうゆうの分からないんです…。可愛いとか、素敵だとかは、思いますが…ぶっちゃけ恋愛とかの意味が分からない」

とりあえず俺も小声でパクさんに話をした。

 

「そう」

ポツリとパクさんは頷き、俺から顔を離れた。

 

なんとなしにシスグの方を見ると、何故か不安げな目で俺を見ていた。

 

 

 

その後、まったく表情は変わってないがマチさんが酔っ払っていたので、俺が肩をかし途中まで送り、あとはパクさんが肩をかし、二人は帰って行った。見えなくなるまで俺とシズクは二人を見送った。

 

「帰りますか」

 

「んっ」

 

夜の道をブラブラしながら帰っていたら。

「アイスクリーム食べたい」

シズクがコンビニを見ながら指差した。

俺に振り返り「いい?」と尋ねたので。

「もちろんです!」と元気よく答えた。

 

シズクにはコンビニの外で待ってもらった。だってニットワンピだけを着てるから、太ももがギリギリまで見えるし、肩が出てエロいし、あと谷間が見える!

手早くアイスクリームを二つ買って、外で待ってるシズクに一つ手渡した。

 

「落とさないようにね」

 

「うん」

 

久しぶりにアイスクリーム食ったが、うまいな。

二人でアイスクリームを食べながら、ゆっくり歩いていたら。

「ひゃっ」と変な声をシズクが出した。

横を見ると、アイスクリームさんが神々の谷間に落ちていた。

落ちていたよ、アイスクリーム、谷間に!

谷間に!落ちたよっ!アイスクリーム!

ふぅ…落ち着け俺。よしっ、もう大丈夫だ!もうクール!

それにしても…、けしからんな!羨ましいアイスクリーム様めっ!なんか卑猥に見えるわ!と冷静に落ち着いて俺が思考していたら…

 

「ちべたい…、とって」

 

えっ…、えええぇぇぇぇぇ!!

 

「んっ」

そう言いシズクは胸を突き出してきた。俺が呆然としていたら、ふたたび「んっ」と言い胸を突き出した。そして俺はハチミツに誘われる蝶の如く、ふらふらと手を伸ばした、谷間にな!

アイスクリームの塊を神々の谷間からそっと取り出した。誓って言うが乳には触れてない!つか触りたかったけども!…触る勇気が無かった。俺は涙を飲んでアイスクリームを遠くへ投げ捨てた。別に食べたかった訳では無いっ!断じて無いっ!そうゆう事にしといてくれ!!

捨てたアイスクリームの代わりに俺のアイスクリームを渡そうとシズクに声をかけようとしたら。

 

「まだ残ってる。舐めて」

 

チーンもしくはゴーン俺の脳味噌に多大な衝撃がきた。

待て待て、落ち着け、俺。空耳かもしれない。

いや、空耳だよな。うん、空耳だよ。

 

「ごめん。今なんて言った?」

 

「残ってるの舐めて」

 

へへっ、へへっ。そりゃ残ってるよ。アイスクリームが落ちたんだもの。谷間にアイスクリームが、まだ残ってるけども!舐めてって!えっ何!?なんなんの!?これはナニしてイイのか!?それとも襲ってイイのか!?俺は混乱していた。大混乱していた。

 

そして俺が大混乱中に、数人の男達があらわれた。

ちなみに一人の男の頭には何故かアイスクリームが付着していた。

なんだろう?新しいファッションだろうか?奇抜だな。

で、そんな変な男とその仲間に襲われ、止む無く皆殺しにした。

よく分からんが人を殺して、俺は冷静さを取り戻した。

 

まず、シズクの谷間に残ってるアイスクリームを自分の服でぬぐい取り、シズクの手を取り、足早に家に帰った。家に到着し、俺はシズクを風呂場に押し込めた。

 

どっと疲れソファに寝転がった。

その後、あまりに長い間シズクが風呂に入っていたので。

俺は寝落ちした。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

女子会から二週間後。

よく晴れた空の下、俺はシズクの手を握り、街を歩いていた。

 

昨日、シズクが眼鏡を壊して家に帰ってきた。両方のレンズが壊れ、無残な物になっていた。なんでも仕事中に眼鏡を壊したらしい。なのて今日、新しく眼鏡を買いに行く事になった。

 

ちなみシズクが何度か壁や標識にぶつかりそうになったので、今は俺がシズクの手を握りメガネ屋に向かって歩いている。しかし、手が柔らかい!女の子の手って感じ!気分最上!

あと今日のシズクの服装はいつもと違う。白いワイシャツ赤いボタン、黒いジーパン姿で、ちょっと凛々しく可愛い感じだ。マジでキューティ!

それに何と言ってもシズクの眼鏡無しバージョン姿も可愛い。眼鏡が無いので、いつもより顔がよく見える。やっぱり顔の作りは綺麗だと改めて思った。うん、眼鏡無しも可愛いぜ!

 

そんなこんなで眼鏡屋にたどり着いた。

 

丸めがね。アンダーリム。ナイロールもしくはハーフリム。モノクル。縁無し。銀縁、赤縁、黒縁。その他にも沢山のメガネがある。

 

色々な眼鏡を試着してるシズクは、べらぼうに可愛かった。まぁ結局は前と同じメガネをシズクは買っていた。あとスペア眼鏡を二つ買っていた。

 

めがねもしくはメガネまたは眼鏡の説明を一つ一つしたい所ではあるが、俺の眼鏡に対する情熱熱意やる気パッションは、こんな文章的なモノでは書けるはずも無いので割愛する。

 

めがね屋を出て、カフェに寄ってから俺とシズクは帰路についた。

で、帰り道の途中いきなり雲がよどんだと思ったら、これまたいきなり雨がザーザー降り出した。大きな雨粒が大量に降り、俺とシズクは急いで近くの軒先に駆け込んだ。

 

頭や服の雨粒を払ったが、だいぶ濡れていた。寒いな。

俺はシズクの方を何気なく見て、口をあんぐり開けた。透けてる…シャツが透けてブラが見えとる。色は黒だ!超!色っぽい!それに雨で髪や服が濡れてエロい!

しかし何故ブラが黒に?今まではスポーツブラっぽい物だったのにな。…いや!落ち着いて考えてる場合じゃなかった!シズクに上着かさなきゃ!

 

「はい、これ着て」

シズクの方を見ず、俺は自分の上着を差し出した。

 

「見た?」

 

「えっ、いや、あの」

俺がしどろもどろになっていたら。

 

「ふふっ、ありがと」

めずらしくシズクは声を出し笑った。

その後お礼を言われ、いそいそと俺の上着を着た。

 

 

雨が上がりそうにないので、俺とシズクは走って家に帰る事にした。

家に着き、俺はバスタオルだけ貰い、シズクを先にシャワーを入らせた。濡れた服を脱いだり、濡れた頭を拭いていた。

 

ふとテーブルを見ると雑誌が広げてあった。

旅行雑誌のようで「霧の都」と書かれたページが開いていた。なんとなくだが見た事があるような…気がする。ほんのかすかに既視感があるだけだが一度行ってみるか、何かの記憶を思い出すかもしれないしな。ぼんやり、そんな事を思った。

 



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第十三話 地下都市

大変遅くなり、すいません。
前半、意味不明な説明文。
後半、ツギハギで、文を書けてない。
前後合わせて、何を書きたいのか意味不明


赤黒くて、どす黒い、夢を見る。

 

 

 

 

危険な国は数あれど、世界で一番危険な街の断トツ一位、それがここ『暗黒の街マルクドキア』だ。いっけん摩天楼が乱立して綺麗に見えるが、地上は雑多な街並みで荒廃してる。

 

街に居る人々は、黒い服を着た恐い人達、派手な髪型や髪色のチンピラやヤンキー、つまり「僕達ゴロツキです」といった感じの人しかいない。ときどき普通の人を見るが、悲愴感ただよう表情で黒服の人達に連行されている。うん…

 

世界で一番危険な街だと言ったが、摩天楼群の街の治安は良い。地上の街は優しいのだ。しかし、問題は地下にある。むしろ地下が諸悪の根源だ。

 

ここで一つ昔話がある。

大昔、ある宗教Aが違う宗教Bに異端扱いされ、この街の近くにある洞窟に逃げ込んだ。元々あった洞窟も入り組んでいたが宗教Aの人々が頑張りまくり、洞窟を縦横無尽に掘りに掘りまくった。長い間は平和に暮らしていた。しかし、とうとう宗教Bに地下都市の存在がバレ、宗教Aの人々は地下に篭り激しく抵抗したが、滅ぼされた。血みどろの殺戮が行われ、異端の宗教の根城だった事もあり、長い間、洞窟は放置された。

 

そして、そんな場所に目を付けたのが世間からハミ出した者達だ。最初は盗賊が隠れ家にしていたらしい。それからまた幾星霜の時が過ぎて、犯罪者や闇の人間が集う場所になった。『暗黒の街マルクドキア』またの名を『暗黒地下街マルクドキア』世界一危険な犯罪都市だ。

 

はい。で、なにゆえ俺が、こんな…こんな場所に来てしまったかは以下にのべる。

俺が『霧の都ロヴェルディ』に行く事をシズクに言うと、シズクも一緒に行きたいと言った。が、その前にマルクドキアに寄ってから行かないかと言われ、深く考える事も無く即断で俺は頷いた。あの時、頷く前にしっかり調べていれば…こんな、こんな場所に!ちくせう!

 

俺とシズクは流星街の近場にある空港から快適な空の旅で一気にここまで来た。ちなみに俺達は、まだ地上の街に居る。地下の街に行くには色々と方法やルートがあるらしい。そして、これから地下に入ります…テンションだだ下がりです…

 

20分ほど街から歩いて着いた場所は、ぽっかり開いた洞窟の入り口だ。超雰囲気ある…、超嫌な予感しかない…、超行きたくない…。しかし、シズクが行くのだから仕方ない。シズクが懐中電灯にスイッチを入れ、俺も電気をつけた。俺は諦めシズクのあとに続いて洞窟の中に入った。

 

洞窟に入って、すぐ!

ビックなスネーク…大蛇に襲われた。つーか洞窟の中は化け物どもがウロウロ、ウヨウヨいた。ここはダンジョンか何かっ!馬鹿野郎!

 

二、三階ほど下に降り、たぶん街の方に向かって移動している。その間にも魑魅魍魎的な生物が襲ってくるので、ぶっ倒し薙ぎ払っていた。40分ほど歩くと、段々と魔物の出現率が下がり、まったく出なくなった。そして整備された階段が見えてきた。

 

その階段をシズクは降りて行き、それに俺も続いた。何度か横に行ける通路があったがかまわず降り、そして七、八階ほど下に降りると「もうすぐ大通りに出るよ」とシズクが俺に振り向いて言った。階段の踊り場から横の通路を歩いていると騒がしい音が聞こえてきた。

 

通路を抜けるとまばゆい光が見えた。

 

一瞬、目がくらんだ。懐中電灯の光とは比べる必要が無いほど地下都市のネオンの光はギラッギラッ眩しく輝いていた。大通りの入り口の両脇には、いびつな十字架っぽい大きな石造があった。大通りに入ると、あちこちに大小さまざまな光り輝く看板があり、遠くには光る風車と光る像が見える。ときたま場違いに十字架っぽい古い石造がちらほらある。前から通り過ぎる人々は、エロい服のお姉さん、怖い黒服の人達、見るからに怪しい人物、盗賊やゴロツキっぽい人、そんな方々だった。

 

まるっきり夜の街って感じだ。ネオン眩しっ。

街並みをそれとなく見ていたら、一瞬凄い視線を感じた。すぐに振り向いたが、誰の視線かはわからなかった。ずっと後ろを見ていたらシズクに声を掛けられた。たぶん変な表情で俺は頷き、シズクの後を歩き出した。

 

はい。また街の説明だっ!

地下10階〜30階ぐらいが『地下都市マルクドキア』の範囲内らしい、なんでも不思議な石があり、その石の内には魔物とかが入ってこないらしい。あとマルクドキアに来た理由はシズクの欲しかった本が見つかり受け取りに来た。

 

大通りの階層から5階ほど下に降り出た場所は、薄ぼんやりした街頭の街並みだった。どうやら、ここは闇市場っぽい場所のようだ。すこぶる怪しい店々が並んでいる。

 

入り組んだ街並みを進み、とある商店に入った。

店内は本どくとくの匂いが充満していた。棚にはところせましと本が並び、通路にも本が山となり積み上がっている。何語かわからない本や辞典並にぶ厚い本、薄っぺらい絵本まである。

 

店内を見るともなし見ていたら、カウンターの奥からヒゲの爺さんが出てきた。好々爺っぽい爺さんだが、目に剣呑な雰囲気がある。まぁ暗黒街の住人だからかね。

 

で、シズクは爺さんと話し始めた。どうやら値段の交渉をしている。しばし時間がかかり、ようやく値段が落ち着いたようだ。シズクが代金を払い、俺達は店を出た。

 

当たり前だがシズクは本を一冊持っていた。あと店を出て気が付いたが、紙切れ一枚を持っていた。

 

「その紙、なんですか?」

思わずシズクに尋ねた。

 

「宝の地図。賢者の本が眠ってるらしいよ」

 

「えっ…」

 

なんでも、さっきの本屋の爺さんが本の代金は半額で言いから、この宝の地図に描かれている本を取ってきてくれないか、自分は歳で取りに行けない。まぁシズクはご覧の通り話を承諾した。すっごく胡散臭い…まぁ行くけどさ。

 

下へ下へ、ズンドコズンドコ、進んで行く。途中までは順調に地図通りに進めていたが、居住区から少し離れると、ザ・洞窟と言う感じになった。ライトの明かりだけなので見にくいし、岩が邪魔で歩きにくい、それから何カ所か洞窟が崩落し行き止まりになっていたので迂回しながら地味に地道に洞窟の中を進んだ。そこからも地道に地道に進み続け、俺とシズクはひらけた場所に出た。目測だが天井は30m以上はありそうで横にも無駄に広がっている。ライトを照らしても見えんな。

 

「あれ、なんだろう」

洞窟に響く声でシズクが呟いた。

 

「へっ?なにがですか?」

 

「あれ、火、かな」

シズクが指差した方向を見ると、確かに篝火っぽい明かりがポツンと洞窟の奥にあった。

 

「人が居るんですかね?行ってみますか」

 

「うん。そうだね」

二人並んで篝火っぽいモノの方へ向かった。

 

で、到着しました。

人はいない。しかし、火はあった。

細長い円錐の先で炎が燃え盛っている。

 

「つか人いませんね」

 

「そうだね」

 

あったかいなぁ。それにしてもコレどうやって燃えてんだろ。昔の人の篝火とか?いやでも何百年も燃える訳ないしな。と呑気に俺が考えていたら…

 

円錐が微妙に揺れ、ついでに地面も揺れ、地面の中からトカゲが飛び出してきた。俺とシズクは後ろに飛んで避けた。今一度トカゲを見ると尻尾と眼が燃えとる。うん、さっきまで篝火だと思ってたのはトカゲの尻尾なのか…、お前は提灯アンコウか!どうやって燃えてんだよ!眼熱くないの!?

 

適度な間合いで火トカゲを見ていたら、軽く息を吸い込む動作をし出した。あぁ…コレはヤバイな。そして俺の予想通り火トカゲは口から炎を吐き出した。ちなみに火炎放射ではなく、炎弾を口からゲロろりやがった。

 

一撃がデカイな。炎弾を避けながら思ったが、俺って攻撃力不足だよな。ナイフオンリーとかキツイわ。もっと攻撃性が高い念能力が良かった…かな。いや、でも、やっぱり手応えがないと駄目だよな。うん?

 

皮膚とか固そうだから狙うなら目玉なんだけど燃えてんだよな…とりあえず行くか。まっ、我慢すりゃ大丈夫だろ。ナイフを取り出しごちゃごちゃ考えるのをやめた。

 

やるか。

まず右目から刺し、次に残った左目を刺そうと思ったが、ナイフの毒が効いたのかピクピクしたかと思えばバッタリと火トカゲは倒れた。終わり?案外あっけない…

 

「火トカゲ、美味しい、らしいよ」

シズクが俺の方を見ながら言ったその一言は心持ち冷たい印象がした。

 

「そうなんですか?」

俺は疑問形で返答したが、シズクはクルリと俺に背を向け…

 

「うん。でも毒で、食べられない」

そう言い歩き出した。

 

えっ?

食べたかった?

つか俺が悪いの?

つかつか怒ってる?

 

「…次、次っ、火トカゲ出たら毒は使いません。ノーポイズンで倒します!」

なんとか俺は頑張ってシズクに声を掛けたが…

 

「火トカゲは絶滅危惧種で数が少ないから滅多に遭遇は出来ないよ」

あぁ無情。女神の慈悲は無かった…

 

そんな感じで火トカゲを倒した場所から先に進むと、トロッコがあった。遺跡よりは新しいが、なかなかの年代を感じる。場所の雰囲気には合ってるし味はあるけど…乗りたくはねぇな。だってサビだらけでボロいし今にも崩れそうだ。

 

なにはともあれ今現在俺は「乗って行こう」そのシズクの一言でトロッコに乗っています。ガラガラと車輪の音を響かせ、颯爽と風を切っている。言わせてください。…超、楽しい!ハンパないっす!トロッコ最高!

 

右に曲がり左に曲がり、今はグングン早い勢いで下り坂をくだっている。少しスピードが出過ぎてる気がしたので俺は軽くブレーキをかけた。キキッーと金属のこすれ合う音が聞こえ、そのあと、バキンッと何かが壊れるような音が聞こえた…

 

「「………」」

俺とシズクは無言で見つめあっていた。

 

「今の、なんの音?」

 

「えっ、えっと、たぶん、ブレーキが、壊れた、かな?」

シズクの顔が見れず、俺は明後日の方向を向いて答えた。

 

「う〜ん、どうやって止まろう」

 

「トロッコの速度が緩まるか、止まるの待ちます?」

 

「それは無理だよ。この先、線路がないから」

 

「えっ?」

線路が、無いっ!?

 

前方を見ると、確かに途中から線路がなくなっていた…

なんでだ!?線路はどまでも続くもんだろがよ!?

 

「ヤバイよ!?シズク!?」

マジでどうするyo!死んじゃうyo!

 

「うん。だから、どうしよっか?」

首をコテンと傾けてる姿が可愛いなっ!

 

「あっ」

「えっ?あああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

シズクに見惚れていたら、トロッコは空を飛んでいた。死ぬ。マジで死ぬ。これは死にました。暗くて下が見えねぇ!

 

そして無駄に俺は叫びながら、バッシャーンと水の中に落ちた。水中から水面に俺は出て、荒い息をしながら思った。俺、生きてる。冷たい。と。

 

「ふはっ、冷たいね」

水面から顔を出したシズクはあさっての方向に話し掛けていた。つか…

 

「シズク、眼鏡は?」

 

「あれ?ないね」

顔に手をやり、シズクは確かめていた。

 

「とりあえず岸を目指しますか?」

 

「うん」

 

俺はシズクに声を掛けながら先頭で泳ぎ始めた。少しばかり泳ぐと、前方に砂浜が見えた。砂浜に上がり気づいたが地底なのに微妙に明るい、天井を見れば何かがキラキラと淡く輝いていた。まるで星空みたいだ、むしろ星空より綺麗かもしれない。

 

そして…

もう一つ重大な事実に俺は気がついた。

シズク、びしょ濡れ、エロス!

メガネ無しversionも可愛い!

 

ジーパンとセーターがぐしょ濡れで、そこはかとなくエロス。また風呂上りとは違って、濡れた髪がエロい。白い綺麗な肌が水に濡れて、エロチック。

 

しかし、すぐにデメちゃんで乾いた。

ありがたいが…、悲しいぜ…、ふっ…

 

で、俺とシズクは、わりと歩けそうな場所を見つけ進んだ。シズクが何度かコケそうになったので手を繋いで歩いている。そのまま道なりに行くと、洞窟を見つけた。この中も洞窟だが、先に進めそうな小さい横穴の洞窟だ。他に進める場所もないので洞窟に俺達は入った。

 

洞窟に入り、右に曲がると、幻想的な景色があった。周りの壁の所々に小さな蒼い石がキラキラと輝いていた。ただただ綺麗だった。天井で光ってたのと同じ物なのかな。

 

「…滲んで、よく見えないけど、綺麗」

 

「えぇ、とても綺麗です」

 

しばし二人で、その景色に見とれていた。

チラリとシズクを見たが蒼い光の中にいる、その姿は…

 

「行こっか」

 

「えっ、あぁ、はい」

 

蒼い洞窟の中を進んだ。しばらく歩くと、丸い綺麗なドーム状の広間に出た。奥には祭壇っぽいのがあり、周りには水の堀があった。なんか宝物ありそうな雰囲気!惹かれるように歩いて行くと、水面が揺れ…

 

「これ…蛇なのか?」

水を滴らせた三つの首がある大蛇が現れた。

でけぇな、おい。ナイフでヤれるか?

 

「あっ、シズク。コレ食いたい?」

同じ過ちを俺はしないぜ。ふっ。

 

「コレって、どれ?」

シズクは少し目を細めながら右や左を見回していた。ホントに目が悪いんだな。

 

「えっ、えーっと、目が無くて、三つの首がある紫色の大蛇です」

 

「んーん。美味しくないから、いらない」

 

「へー、そう…」

食ったことあるんだ…

それにしても、倒せる気がしない。

 

右の首がお襲いかかってきたのでよけながら、ナイフを念で強化した。チラッとシズクを見るとギリギリで攻撃をかわしていた。う〜ん、メガネ無くても大丈夫かなぁ。いや心配だわ。

 

「俺がヤりますから、シズクは下がってて」

言うだけ言って、蛇の胴体を切りつけ、黒兎を使い地面に潜った。目が無い蛇、おそらくピット器官を頼りにしてるんだろう。なので蛇の背後に出て、もう一度蛇に切りつけ、俺は堀の水場に入った。

 

十秒ほど水に浸かり、水から出て、白兎を使った。三つ首蛇の上に出て、真ん中の蛇の頭に飛び降りしがみついた。うぉ!?暴れ過ぎ!しかも高くて怖いわ!そろそろいいだろう。念の為に軽く蛇に切りつけたが、大丈夫だな。とりあえず一本目だ!

 

頭蓋にナイフを刺し、もう一方の手でナイフを取り出し、刺し、刺し、交互に刺しまくり、真ん中の蛇頭の力が抜けて倒れ始めたので、右の蛇頭に飛び移った。

 

疲れるから、あんまりやりたくないが、さっさと終わらせる為にナイフから念を伸ばし、交差するように蛇の頭を切りつけ、首を斬り落とした。残った左の首は、喉元にナイフを刺し、そのまま地面に落ちる勢いで、切り裂いた。なかなか疲れた。

 

「終わった?」

少し離れた場所からシズクに声を掛けられた。

 

「はい。終わりましたよ」

 

その後、祭壇に置いてあった本を見つけ、帰る事にした。

元来た道を戻り、湖の場所では迂回しながらトロッコの路線がある所まで、なんとか辿り着いた。そこから地道に、えっちらほっちら上り坂を登った。はぁ、早く風呂に入りたいなぁ。

 

で、ようやっと平らな道に出て、大きな広場に着いた。が。

盗賊団があらわれた。

 

20数人の盗賊団で、多分カシラは斧を持ったヒゲ男だろう。いかつい顔に眼帯、これが盗賊団の頭じゃなければ一体誰だと言うくらい、盗賊団の頭の鏡みたいな顔だ。

 

「頭を狙ってくるんで、近づいて来る奴はやっちゃってください」

さすがにシズクを守りながら戦うのは厳しいので、頭を潰した方がやりやすいだろう。

 

「うん。わかった」

言うやいなや、俺に向かってデメちゃんが振り抜かれた。

 

「危なっ!?」

 

「あれ?ハルトまだ居たの?」

 

「いやっ、はい!今から行くんで、じゃっ!暴れて良いですよ!」

すぐさま俺は走り出し、邪魔な盗賊を切り裂き、真っ直ぐ頭に向かった。振り下ろされた斧をよけ、一閃、首を斬りつけて鮮やかな血が吹き出た。生き残っていた盗賊の奴らはびびり逃げ出した。

 

やっと一息ついた時。

だだ漏れの殺気が俺に当てられた。

…これ隠す気がないなよ。

 

「誰だ」

出来るだけ冷たい声でクールに言った。

 

出て来たのは、金髪の青年だった。なかなか整った顔立ちをしてる。しかし、目つき悪過ぎる。あと顔に一文字の傷がある。少しアウトローっぽいな。

 

「何か用かい?」

だんまりだったので俺から声を掛けた。

 

「くっくっくっ。…何か用かだと?」

歪んだ笑顔で笑っていたが。

「むろんテメェを殺す為だ!!」

憎悪むき出しで俺を睨んでいた。

 

「君に何かしたっけ?」

まったく、ちっとも心当たりが無い。

 

「そうだろうな…、テメェにとっては!当たり前の事だったろうよ!」

 

「本当に悪いんだけど覚えてない。俺は君に何をしたの?」

 

「…俺は、…覚えているぞ。血だらけの父を母を妹をジャックをマリアを燃え盛る我が家を…」

 

「ごめん。人違いじゃない?」

 

「テメェの顔を、忘れるかよ。忘れるはずがないだろう。闇兎」

その青年は、血の涙を流していた。

「リグレット、フィールド」

そして絞り出すように呟いた。

 

マジで人違いじゃないのか?でも、まるっきり何もかも覚えてないよ俺。…人違いでないなら。記憶喪失前の俺が…、やった?

 

考えていたら真っ直ぐ青年は俺に向かって走り出していた。しかも、いつの間にか手には槍を持っている。俺は黒兎で潜ろうとしたが、潜れなかった。つかヤベェ!ギリで槍をかわし、ナイフで牽制し、距離をとった。

 

「どうしたよ。驚いた顔してるぜ闇兎」

睨むような冷めた目で俺を見ていた。

 

なるほど、こいつの念能力か。んー、練や纏は出来るな。念の能力が使えないのか。しかし、自分は念能力を使えると、なかなか反則的な念能力だ。どうしたもんかねぇ。

 

「困ったもんだ」

槍の攻撃をかわしていたが、何故か、ナイフが弾き飛ばされたので、腰からナイフを取り出した。この槍も特別な能力があるのかね。何してくるか分からんし、生かして仕留めるのは無理かな。うん、無理だよ。

 

また青年が攻撃をしてきたので、仕方なく数合斬り合い。

 

「シズク!今だ!」

 

「くっ!?」

青年は焦った表情をし、一瞬俺から目を離した。

 

「ん?」

シズクは遠く離れた場所で小首をかしげている。

 

「はっ?」

青年の一瞬の隙に、俺はナイフで首を切り裂いた。

膝から前かがみに倒れ、ピクピク痙攣し青年は息絶えた。

 

「お疲れ、手伝った方が良かった?」

近づいて来たシズクが聞いてきたが。

 

「いえ、隙を誘う為に言っただけなので大丈夫です。さっさと帰りましょう。早くお風呂に入りたいですしね」

笑いながら話し、歩き出した。

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

俺は電脳ページを開いた。

 

闇兎、検索。

 

それは一発で出た。

 

 

 

『通称』

・狂喜の闇兎

手配写真は無かった。

 

『罪状』

・放火

・器物損壊

・死体遺棄

・連続大量殺人

 

『容姿』

・男、黒髪、詳細不明

 

『能力』

・転移系統(推定)詳細不明

 

『活動場所』

・アイジエン大陸全域

 

『特徴』

・ナイフによる殺傷、体の一部にウサギのマーク

 

マークは…

不気味に笑っている兎の横顔だった。

 



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第十四話 霧の都

決めました…
あと三話で…
絶対に終わらす!
もう!やってられるかっ!





やって来ました!霧の都ロヴェルディ!テンション上がりまくりだぜ!とは、いかなかった。

なぜなら最終列車に乗り、夜遅くに着いたので、どこもホテルが満室だった。都会のど真ん中で、まさかの野宿?

 

駅の近場のホテルは空いてなかったので、俺とシズクは二手に別れて少し遠くまで歩いてホテルを探すことにした。

 

できるだけ明るい通りを歩いているが、怖そうな若者や危なそうなお兄さん達がチラホラたむろしてる。カツアゲされそうで、マジ怖い。

 

目線を合わせないようにウロウロと辺りを歩き回っていたら、夜露に濡れた路地裏から、ナイフの斬り合う音が、確実に聞こえてきた…

分厚い雲で月明かりもなく、暗くて先が見えない…

 

んー、関わらない方が良いな。うん。と心の中で諸手を上げて決めたが、女性のうめき声が聞こえてきた。

 

はぁ…

やっぱり助けに行かないとマズイよなぁ。

あぁ、もう、仕方ない。

 

腹を決めて路地裏を進むと、地面に倒れてる女性、あと男性がメスを右手に持ち立っていた。特徴をあげるとすれば、女性は目が死んでる、男性は目つきが凶悪だ。

ちなみに詳しく現場の状況を言うと、男性は女性の首元にメスを突きつけ、今にも殺そうとしていた。

う〜ん、どう見ても悪者は男だよね?

 

「こんばんは。え〜っと痴話喧嘩では無いですよね?」

声を掛けると二人はいっせいに俺を見た。ちなみ自分でも何を血迷って先ほどの事を聞いたのかは謎だ。つーか、変な匂いがする。なんの匂いだろ?んー、まったく分からん。

 

で件の男性と女性だが。女性は男性の隙をつき砂を投げつけ、その隙に女性は立ち上がり距離をとっていた。なかなかやるね。

 

トライアングル!?

失礼。今の状況を説明しよう。

何故だが三すくみの状態になっていた…

なにゆえ三つ巴?

いつから俺って参戦したっけ!?

 

意味不明な膠着状態が続いていた。切実に帰りたい。マジで関係ないもん。おれ。

 

そんな時に動いたのは、第三者ではなく、第四者だった。まず最初に警笛が、次に騒ぐ声が、ついで足音が聞こえ、姿を表したのは二人の警察官だった。

しかし、ただの警察官じゃない!なんと犬面だ!完璧に顔が犬だ!獣人初めて見た!

 

「いたぞー!!ここだー!!」と一人目の犬面警察官は大声を何度も上げ、二人目の犬面警察官は警笛を赤い顔で鳴らしまくっていた。

 

気が付けば、男性は遠くに逃げ、女性は既に消えていた。逃げ足、はやっ!

 

つか俺も逃げた方が良いのか?と思っていたら俺は多勢の犬面警察官に包囲された。なんか可愛いなぁとのんびり思っていたのも束の間、ブルドッグっぽい犬面警察官の「かかれ!!」の掛け声で、いっせいに犬面警察官が飛びかかってきた。

 

あっけなく俺は捕まった。お縄でグルグル巻きだ。つか俺が何をした!何もしてないぞ!ただホテルを探し歩いていたら、変な女性と男性に会っただけだ!

 

何一つ俺の主張を通らず、ドナドナ的な雰囲気で警察署に連行されそうになっていた。そんな時。

 

「警部、彼の犯行では無いでしょう」

見るからに探偵っぽい服装の人が登場した。顔を見ると、またも犬面だ!

 

良いぞ探偵ワンちゃん頑張って!でも犬面警部は探偵ワンちゃんの言葉を聞かず、俺を警察署に連行した。ちくしょう!一瞬でも可愛いと思った自分が憎い!

 

その後、俺は牢屋に入れられた。

で、その日は、そのまま牢屋で過ごすことになった。毛布一枚とか、感謝感激だな。はぁ、もう寝よ寝よ。

 

 

明けて翌日。

取り調べ受けて分かったことは、今この都ロヴェルディには無差別殺人が起こってるらしい。昨日も殺人事件が起こり血眼になって探していたら、俺を見つけたらしい。

 

何度も「お前が犯人だろ!」と言われたり、首をしめられたり、照明を向けられたりしたが、その度に俺はを振った。苛烈な取り調べを受けているのだが、これには訳がある。

俺のナイフだ。右手に一本、左手に一本、腰に一本、懐に一本、右足に一本、左足に一本、合計六本のナイフを持ってたからだ。しかも五本はベンズナイフ、まぁ、まともな人間だとは思わないだろう。

 

ただ、なんとか昼頃になって誤解はとけた。

誤解が解けた理由は三つある。

①パスポートの入国日を見て、これまでの殺人が無理な事。②最初に出会った犬面警察官の証言で、他に男性と女性が居た事。③ハンターライセンスを持ってる事だ。

 

あとナイフの件は「自衛の為に、今の世の中、物騒でしょ」と無難な言い訳を口にした。

 

そして、ようやく俺は釈放された。

ちなみにカツ丼は出なかった。

けっこう、楽しみにしていたのにな。

 

 

 

街をブラブラ、あてもなくシズクを探してる。

一人って、寂しいなぁ…

まっ!シズクはいなかいけど仕切り直しだ!

 

『霧の都ロヴェルディ』蒸気機関で色々な機械を作っている都市だ。機械の蒸気、それに霧が発生しやすい場所なので『霧の都』と呼ばれている。あと街の中心には無いが、街の外部には何十本もの細長い煙突が天高く伸びてる。

 

う〜ん、やっぱり、何となく、この町を見たことがあるような気がする。気がするけれど、まったく思い出せない。

 

とりあえず腹が減ったので飯を食べようとしたが、マネーが少なかった。仕方なく安いファーストフードを食べた。まぁ美味しいんだけどね。

 

腹も膨れたので、俺は名所巡ることにした。時計塔、宮殿、ブリッジ、図書館、美術館。パンフを見ながら有名どころをプラプラしながら見ていた。

 

そして迷子になった。煙突が近くに見えるな。いつの間にか街の外部の方に来てしまったのか…。しかも、パラパラ雨まで降ってきた。踏んだり蹴ったりだよ。

 

ひとまず、近くの軒先で雨宿りした。

服の露を払いながら、なんとなく隣の精肉店を見ていたら、昨日見た、目が死んでる女性がいた。

しかも目が合っちゃった…

 

「どうも…」

女性の掠れた声が聞こえた。

 

「どうも」

俺はビビリながらも、平静を装った。なんも知らないし、なんも聞いてません。だからお助けを。

 

「雨宿りなら…、店に…、どうぞ」

 

「そんな大丈夫ですよ」

マジで本気で大丈夫っす!

 

「是非…」

売り物の肉に隠れて見えなかったが、女性はナタを手に持っていた。

 

「はぁい」

なんか変な風に声が出てしまった。

雨はザーザー降りになっていた。

 

 

 

精肉店に入ると、ところせましに肉の塊が吊り下げられていた。うん、だって精肉店だからね。

ハハハッ!

 

つか女性はドコ行った?

仕方なく店の中を見ていた。

そして店の奥で…

 

ん?

これって…何の肉だ?

なんかアレに似てるけど、まさかね。そんな訳がないよね。うんうん、きっと猿とかの肉だよね。うんうん。

 

「何か…、気になる?」

女性に背後から声をかけられた。

気配で分かってたけど、声が怖い!

 

「いえ、特に何もありません」

俺は首をプルプル横に降った。

 

「その肉は…、ブタよ」

何も聞いてないのに女性は答えた。

俺の馬鹿!肉を見過ぎだ!

 

「ブタかぁ」

猿じゃないのかぁ。マジかぁ。ブタかぁ。

 

「…なに?」

じーっと女性に見られている。

 

「えっ、いえ」

汗、吹き出てないよね?

 

「なに?」

さらにじーっと見られた。

マジ目が怖いよ。

 

「いや、猿の肉かっでえい!?」

話してる途中で、いきなり斬りつけられた。

 

「これだから男って嫌だわ」

ナタを手に持ち、汚物でも見るかのように俺を見ていた。しかし、すぐにブンブンとナタを振り回してきた。

 

「まったく、いきなり、なんだ」

間違いなく殺人鬼なんだろうけど、なんでこうなる。ホント嫌だわ!

 

「野蛮で汚い、獣の以下だわ」

話が通じねぇ!だから殺人鬼ってヤダ!

 

「ちょっと落ち着こう!」

店から出ようとしたが、いつの間にかシャッターが降りていた。マジかい!

 

「旅行者でしょ、死んでも、誰も気にしないわ」

 

「連れが居るわ!」

ちっ、右手、切られた。

 

「じゃあ、その連れの人も殺してあげる」

 

へぇ。

「じゃあ、先に俺がアンタを殺すよ」

一撃で頚動脈を切り裂いた。

 

派手に血が吹き出て、辺りを汚し終わると、一つの死体が出来ていた。

 

んー、返り血は付いてないな。しかし右手が痛い。居住区の方に向かい、布を使い応急処置をした。まぁ大丈夫だろう。

 

せっかくだから、肉、少し貰うか。

良さそうな肉を選び、居住スペースのキッチンで肉を焼いた。もちろんミディアムだ。肉を食ったが超美味い。さすがは肉屋さんの肉。うまうま。

 

食べ終わったし逃げるかね。

いちおう証拠隠滅の為に火を放った。

よしオッケー。逃げましょう。

 

スタコラさっさと裏口から店を出た。

雨上がりの街に、とけ込んだ。

 

 

 

 

人のいない方、いない方に、向かって歩いていたら、たぶん貧民街のような場所にたどり着いた。

 

う〜ん…

右手が痛い。どうしたもんか。

わりと布に、血が滲んでる。

 

「おじさん怪我してる!わかった!先生の家がわからないんでしょ!私が案内してあげる!」

 

いきなり幼女に「おじさん」と呼ばれ若干悲しかったが、否定する間もなく手をグイグイ引かれ、歩いて行った。

 

たどり着いた場所は、なかなかのボロさの小屋だった。幼女が「先ー生!患者さーん!」と大声で叫ぶと、ドアがガコンと変な音をたてて開いた。

 

出て来たのは、ゆる〜い表情のゆる〜い感じの白衣を着たゆる〜い男性だった。

 

「ありがとう、リノア。でも今は危ないから、あまり外に出ちゃダメだよ」

まず白衣の男性は幼女に話し掛けた。

 

「はぁ〜い」

幼女は不満タラタラな声で返事をしていた。

 

その後も幼女と男性はやり取りは続き、いつの間にか幼女は男性と遊びに行く約束を取り付け、帰って行った。やり手の幼女だな。

その後、俺と男性は幼女を見送った。

 

「すいません。お待たせしました」

やわらかい表情で男性は話し掛けてきた。

 

「いえいえ。でも、お金が少ないんですが…」

恥ずかしながら昼飯を食べて、ほぼ金が無い。

 

「あれ?私のこと知りません?」

男性は不思議そうな表情だった。

 

「いやぁ。あの子に手を引かれて…」

アハハと渇いた笑いで誤魔化した。

 

「あぁなるほど。私は無料で治療してるんですよ。ここ、番外地区で医者をしてます。マグノです。どうぞよろしくお願いします」

 

「無料ですか?」

生活どうしてんの?

つか番外地区ってなんだ?

 

「はい、そうですよ。ちなみに番外地区の方々にお世話になって生活してます」

笑いながらマグノさんは答えていた。

 

で、ようやく家の中に上がらせてもらった。

椅子に座り、右手の傷を見てもらった。一通り傷を確認すると、マグノさんは医療道具を取りに行った。

 

最初に変な匂いの消毒液を、傷にぶっかけられた。超しみる…、慣れた手つきで縫合し、あっという間に治療が終わった。

 

それにしても、この消毒液の匂い。どっかで嗅いだことあるなぁ。どこだっけ?

クンクン手当てされた場所を嗅いでいたら…

 

「気付いちまったか?」

知らない男の声が聞こえた。声の方を向けばマグノさんが立っていた。しかし、雰囲気が違う。まるで別人だ。

 

おもむろにマグノさんは、いや男は、蛇口から水を出し、手で髪を濡らし、オールバックのようにすると、あの日に出会った。凶悪な目つきの男の顔があらわれた。

 

俺は思った。

さっきまでと、顔、別人じゃん…

 

「バレたからには死んでもらうぜ」

いきなりメスで切りつけてきたので、俺は椅子から飛び上がるように立ち上がり避けた。

 

すぐコレだから。

ホント殺人鬼ってヤダわ。

 

「あんたマグノさんじゃないよな。誰だ」

ナイフを一本取り出しながら尋ねると。

 

「さぁ知らねぇよっ。ただコイツの面倒事を見てやってるだけさ。なのによっ、コイツは俺の存在を知らねぇ。まったく嫌になるぜ」

男は、喋りながらも斬りかかってくる。

「だが、まぁ、いいさ。あの幼女、あの幼女をバラしたら、コイツはどうなるかねぇ、あぁ、たまらねぇなぁ。血まみれで入れ替わったら、さぞ面白いだろうなぁ」

 

「よく喋る。耳障りだ」

新たに出したナイフで、心の臓を一突きした。

 

口から血を吹き出し、膝からガックリと床に倒れた。死に顔は、笑ってるマグノさんの顔だった。

 

少し血が付いたので、包帯で血を拭い去り、ここから出ることにした。たてつけの悪いドアをこじ開け、プラプラと街を歩き出した。

 

 

 

 

あれからテキトーにプラプラ歩き、少し疲れたので、今は路地裏の隅に座り込んで休んでいる。

 

ぼーっと宙を見ながら休んでいた。

 

「見っけ」

シズクが立っていた。

 

「シズク…、久しぶり」

たぶん疲れきった声だったんだろう。

シズクは無言で俺の頭をポンポンと撫で始めた。

 

 

 

あの後シズクが泊まってるホテルに向かった。色々とあり過ぎ、疲れたので、俺は寝た。すぐに寝た。

 

翌日。

起きてからシズクに今まであった事を話した。逮捕されたり、殺人鬼に出会ったり、殺人鬼に出会ったり、そんな事を話した。

 

シズクの話も聞いたが、特にコレと言った大事件はなかったようだ。ただ、ヨークシンで仕事があるので、このまま行くとのことだ。

 

俺もヨークシンには用事があるので、シズクと一緒に行くことにした。

 

まったく殺人鬼だらけの街だったな。

ホント疲れたわ。

 







あとがき
今さらですが読んでくださり、ありがとうございます。
評価などもつけて頂き、ありがとうございます。

書くのが遅くなり、すいません。

誤字脱字は脳内変換でお願いします。
それでは失礼しました。


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第十五話 ヨークシン

すいません。
テキトーです。
ごめんなさい。


これと言った問題もなく、予定より早くヨークシンに到着した。いつもこんな感じだったら良いのにねぇ。

 

ヨークシンの雰囲気は、活気がある普通の都会的な感じだった。可もなく不可もなく、いい街だね。うんうん。

 

で、この前の街では連絡が取れず、当てもなく探し回るハメになったので、俺とシズクは話し合い、ケータイを買うことにした。

 

もうすぐシズクは仕事に行くので、その前にケータイショップに向かった。

 

ケータイショップにはさまざな種類のケータイが沢山あり、どれにするか俺は迷っていた。しかし、シズクがポケットから紙を取り出した。

 

さきほどホテルでシャルさんに電話し、どんなケータイが良いか聞いたらしい。流石はシズクだ。

 

メモにはビートルと言うケータイが良いと書いてあったが、シズクが選んだケータイは、スマホと言う機種だった。シャルさんに聞いた意味が…

 

俺とシズクはホテルへ帰路についていた。前日まで暖かな日が続いていたが、この日は冷えこみ、息が白くなっていた。

 

「今日は寒いね」

そうシズクは言い、私服の首元を伸ばしていた。

 

「上着、着ます?」

俺は寒がりなので、いつも厚着をしている。だから上着一枚ぐらいなら余裕がある。

 

「…うん。借りる。ありがと」

ちょっと迷ってからシズクは返事をした。

 

俺は上着を脱ぎ、シズクに手渡した。それを着るとシズクはクンクン匂い嗅ぎ出した。

 

「変な臭いします?」

 

「ううん、ハルトの匂いがする」

 

俺、鼻血、出てないよな?

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

シズクは仕事に行き、俺は暇していた。今日も今日とて、街をプラプラしようとホテルを出た。

 

大きなホテルの前を俺がテクテク歩いていたら、豪華なリムジンに、やわらかく「ガンッ」はねられた。地味に痛い。しゃがみこみ俺は自分の足をさすった。

 

ホテルに入ろうとしていたのでリムジンの速度が遅く、たいした怪我はしてないが、地味に痛い。地味痛い。やっぱ…わりと痛い。

 

するとリムジンから、警戒するように猿顔の男、くまが凄い男が出てきた。

 

そしてリムジンの後ろの車からは。

「クラピー!? 」

クラピーが現れた。

 

「ハルト、大丈夫か?」

しゃがみこんでいた俺に手を差し伸べた。

 

「ん、あぁ。地味に痛かったけど、怪我はないぞ」

クラピーの手を掴み、俺は立ち上がった。

 

「そうか。良かった」

 

「仕事中?」

 

「あぁ、そう…」

クラピーが喋ってる途中で。

 

ビルの角から凄いスピードで車が三台、曲がってきた。しかも窓からは覆面してる奴らがマシンガンを持ってる。そして銃口が、こっち向いてる。

いっせいにマシンガンが火を吹いた。

 

ついてねぇ〜、マジで!

とっさにリムジンの後ろに、俺達は飛び込むように逃げた。アホのように、マシンガンの音が響きぱっなしだ。

あっ、タイヤのパンクする音だ。

 

「ねぇクラピー。これ、どうすんの?」

 

「隙を見て反撃する」

 

「しゃあない。乗りかかった船だ。手伝うよ」

 

「すまない。助かる」

 

「また後でな」

ブラック・ラビットを使い、俺は沈んだ。

襲撃者達の背後、ビルの隙間に、はい出た。

 

今もマシンガンの弾丸が雨あられと降っている。代わりばんこに撃ってるから止む気配がない。時間も過ぎだし、敵との距離もある。そろそろ行きますか、ね。

 

一番右端の敵に狙いを定め、一直線に向かって走っていたが、覆面が気づいた。流石にこの距離じゃ気がつくよねぇ。投げナイフは、苦手なんだよねっ!

こっちに向いていた覆面の眉間にナイフは突き刺さった。

 

眉間からナイフを回収していると、チェーンやら、念人形が、敵を倒していた。俺も、もう一人ほど覆面の首の頸動脈を斬り裂いた。

 

覆面の半分は死に、半分は捕まえた。

いやぁ疲れたわぁ。

 

その後、お嬢様っぽい女の子が護衛に守られホテルに入って行った。俺はホテルのロビーで待たされた。茶を飲みながら椅子に座って待っていると、くま男とクラピーが現れて、俺はくま男に礼を言われ謝礼金をわたされた。なかなかの金額だ。お金持ってんねぇ。

 

くま男が去り、クラピーに食事に誘われた。

 

「で、なんの用なの?」

ホテルの向かいにあるカフェに入り、奢ってもらったチーズハンバーグを食いながらたずねると。

 

「話が早くて助かる。実は私の雇い主のお嬢様が君の戦闘を見ていてね。どうも気に入ったようで、君を護衛のメンバーに加えたいと言ってる。どうだろう、やってくれないか?」

だからチーズハンバーグを奢ってくれたのか!はめられた!

 

「給料もいいと思うのだが」

そしてクラピーに見せられた小切手にはゼロが沢山!

 

「喜んで引き受けよう!」

俺はクラピーの手をあつく握った。

 

俺とクラピーの話がまとまった丁度その時、先程のお嬢様が護衛と一緒にホテルから出てきた。確か、ネオン・ノストラード?だっけ?

 

お嬢様を見ていたら、派手な音をたててホテルのロビーに突っ込んできた車、そこから銃を持った覆面の男たちが現れ、お嬢様に向けて銃をぶっ放しはじめた。

なにこれ映画?

 

はぁ、マジでリアルがこれって嫌になるわぁ。

また襲撃者かい!猪突猛進か!

 

客たちはワーキャー騒いでる。そんな、てんやわんやのロビーに落ち着いた足取り入ってきた奴らに目が向いた。

 

一人目は袴に、上半身が裸、そして目隠しのように包帯を巻いてる男。二人目は、巨大な注射器を背負ってる白衣の女性。三人目は、狐のお面にスーツ姿の男。

 

めっちゃ怪しい。むしろ怪しんでくださいと言わんばかりの格好だ。しかも、その怪しい三人組は真っ直ぐに、お嬢様の方に向かっている。

 

嫌な予感しか、しない!

 

「クラピー、あれ」

ため息つきながら三人を指差した。

 

「手練れだな」

 

マジで面倒くさい…

「俺が仕掛けるわ。撹乱よろしく」

 

ホワイトラビット(白兎の落とし穴)で2階に上がり、もう一回ホワイトラビットで1階の天井に出た。シャンデリアに掴まり、下の喧騒を眺め時間が過ぎるのを待った。おっ、クラピーが仕掛けた。俺も行くかね。シャンデリアから手を離し、ナイフを抜き、静かに下へ落ちた。

 

白衣女に迫り、すれ違いざまに一太刀切りつけ、ホワイトラビットを使い地面に潜った。毒のベンズナイフだから余程の怪物じゃなきゃ死んでるはずだ。

 

横にスタコラ移動してホワイトラビットで1階に上がった。うん、白衣女は死んでるな。クラピーがスーツ男と戦って、包帯男はお嬢様の方ね。

 

「そこの包帯男!止まれ!」

かけ声と共に、そこら辺に落ちてた皿をぶん投げた。しっかりと包帯男は皿を避け、こちらに向き直った。

 

目に包帯を巻いてるのに、ちゃんと見えてるんだな。で件の包帯男は拳を構え、待ち構えている。格闘系なのか?

 

駆けながらナイフで横斬りしたが、体さばきでかわされたが、胴がガラ空きだ。追撃をしよう斬りかかると、包帯男の胴体に四角い割れ目が出来て、それが扉みたい開いて槍が飛び出してきた。あわててブラックラビットで地面に沈んだが、頬が少し切れた。

 

び、びっくりした。

観葉植物の影に隠れるようにして地面からはい出た。包帯男を様子見していたが、槍は既に消えてる。と言うか胴体に収納されるように戻っていった。

 

仕方ない、いつまでも見てるだけじゃ終わらないし行きますかね。

 

何度かナイフで攻撃して分かったことは、体中から武器が飛び出てくる。背中、腕、足などなど、体に扉が出来て、開くと武器が飛び出してくる。

 

ビックリ箱かよ。いや、こんな危険なビックリ箱があってたまるか。つか、殺りづらい体だ。めんどい。

 

このまま時間稼ぎしてクラピーが来るのを待とうかな、と思っていた時に、包帯男が仕掛けてきた。

 

手のひらから鎖を出し、見事に俺の腕を捉えた。鎖に引っ張られて、たたらを踏んだ。意外に馬鹿力、腕がちぎれるわ。俺が頑張って踏ん張っていたら、包帯男が力を緩めたので、思わず前につんのめると、奴は素早く接近してきた。

 

ブラックラビットを使おうとしたが使えない。つまり、この鎖は包帯男の一部だと認識されてる訳で、能力を話さないとブラックラビットが使えない。使えたとしても包帯男も入って来れる、と。マジついてない。

 

それにドンドン鎖の長さが短くなってる。

そして取っ組み合いの距離、これはマズイな。

飛び出して来たら、よけるのムズイ。

そんな事を考えていたら額が開き、金棒が飛び出た。

 

金棒は俺の頭を直撃した。

 

脳が揺れ、視界も揺れ、記憶も揺れた。

 

頭、いた。

血がダラダラだよ。

うん、殺そう。

 

とりあえずキンタマを蹴り上げ、鎖を外した。あ〜あ、跡ついちゃってるなコレ。SMは趣味じゃないのに。

 

あぁ。それにしても。

頭が痛い。ズキズキする。

どうやら金棒の痛みだけじゃないみたいだ。本当に強い衝撃で思い出す事ってあるんだなぁ。

 

ボクは念能力を思い出した。

暗闇の落とし穴(ダークホール)

手を地面につけ、能力名を言い設置する。

黒兎と白兎と繋がっている。

入った者を殺すしかココから出られない。

出られるのは一人だけ。

 

さっさと殺ろう。

 

「どうしたの?攻めて来ないのかい?」

さっきまで怒涛の攻撃をして来てくせに、今は棒立ち、それから包帯男は慌てるように拳を構えた。

 

仕方ない。

「なら、こっちから行くよ」

 

ただナイフで斬りかかり、攻撃されても、斬りかかる。何度目かの包帯男の攻撃でわざと飛ばされ、地面を転がりながら「〜〜〜」ボクは呟いた。

 

大勢は崩したまま、そりゃ好機と見るよね。包帯男はボクに向かって走って来た。

 

ボクの少し手前で。

包帯男は地面に落ちていった。

 

ボクも暗闇に沈んだ。

 

暗闇がボクを塗り潰し染め上げる。

 



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