雁夜おじさんは聖杯戦争を主人公補正とチート満載でやり直すそうです (そまっぷ)
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勢いと深夜のテンションで書き始めました。所々おかしいところもあると思いますが気にせず読んでやってください。


 

 

 

 

「「雁夜お父さん!!」」

 

 

桜ちゃんと凛ちゃんが俺を父と呼ぶ。

 

やった、やったよ。これが俺の思い描いていたトゥルーエンドだ。

 

ここに理想郷はあったんだよ――――――。

 

 

――――――――――

 

 

―――――――――

 

 

――――――――

 

 

―――――――

 

 

――――――

 

 

 

「起きんかバカタレ!!」

 

 

「ぐほぁっ!!?」

 

 

頭を何かで強打され、俺は起き上がった。

 

辺りを見回すと、そこは見た事のない場所だった。

 

あえていうのなら、道場の様に見える。

 

といつの間にか目の前に竹刀をもった女と体育着の少女がいた。

 

 

「おい、一体何がどうなってるんだ!?折角娘達と一緒に夕食を頂く予定だったのに!!」

 

「シャラーーープ!!いい加減に現実を見んかこのアホタレ!!」

 

 

その言葉と同時に、再び俺は頭を強打された。

 

 

「いたっ!?ちょ、やめてくれ!?というかここは一体、アンタ等一体誰なんだよ!!?」

 

 

俺の問い掛けに竹刀の女は殴るのを止める。

 

そして俺から一歩引いて営業スマイルで説明を始めた。

 

 

「私はこのタイガー道場師範、タイガである!!」

 

「弟子一号のイリヤでありまーーす!!」

 

 

うん。俺は変な夢を見ているようだ。

 

 

「これは夢だこれは夢だこれは夢だこれは夢だ……きっともう一度寝て目を覚ませば可愛い桜ちゃんと凛ちゃんが笑顔で起こしてくれているんだ。きっとそうだ。そうに違いない……」

 

「この道場は本編でサクッと死亡した惨めな貴方をお助けするQ&Aコーナー、タイガー道場でーーす!」

 

「本来はかませ犬雁夜などお呼びではない、言わば主人公の為の救済策でありまーーす!」

 

「誰がかませ犬だ!誰が!?」

 

 

失礼な夢の登場人物だ。

 

 

「聞いてみれば失礼な事言いやがって!!誰がサクッと死亡した!俺は聖杯こそ取っちゃいないが少なくとも桜ちゃんを助け出して……」

 

「ぶっぶーー。それ間違い。ていうかソレ貴方の痛い妄想。ハーイ、これが貴方の最後よー」

 

 

竹刀女が突然、妙な本を俺に見せる。

 

開かれたそれのある一文を見て、俺はその内容に驚愕した。

 

 

「な、なんだ……これ……?」

 

 

そこに書かれていた文章は、さっきまでの俺の行動が書かれていた。

 

 

「何でこんな事が書かれてるんだ……?この本は一体何なんだ!?」

 

 

俺は本を閉じる。そして表紙の題名を口にした。

 

 

「Fate/zero……?」

 

 

よく見たら表紙に書かれている絵はアインツベルンのサーヴァントだった。本当に、一体何なんだこの本は……?

 

 

「何だよこれ…?何で俺の事が書かれてるんだよ。それどころか他の陣営の事まで事細かに書かれてるじゃないか……」

 

「それは貴方が参加していた聖杯戦争を小説として描かれた作品よ」

 

「小説……だって?」

 

 

目を見開いて本を読んでいた俺に、突然体育着の少女がそう告げた。

 

 

「ここに書かれている事は第四次聖杯戦争の全てよ」

 

「一体誰がこんな物を……」

 

「それは私たちの世界の物じゃない。私達の世界よりも更に上位の世界の誰かによって作られたお話の一つよ」

 

「作られたって……嘘だろ……?」

 

 

俺の問い掛けに少女は何も答えない。それどころか同じ題名の本を何冊かよこしてきた。

 

俺はその本の数字の若い順から読む。そして、俺が死にもの狂いで戦ったあの争いの全てを理解して絶望した。

 

 

「どういう事なんだよ……こんな物を俺に見せて、一体お前らは何がしたいんだよ」

 

「最初に言ったでしょ?ここは本編でサクッと死亡した惨めな貴方をお助けする場所だって」

 

「でも主人公じゃなくちゃお呼びじゃないんだろう?この本を見る限り俺はずっと表舞台には出てこない。俺は主役じゃない」

 

「ええ、そうね。でもそんな事誰が決めたの?」

 

「な……に……?」

 

「この本では貴方は主人公とは程遠い存在。でも、それはその本の中での事。でも貴方は今はその本のストーリーから外れたこの世界にいる。想像してみて?もし、貴方が第四次聖杯戦争の全てを理解した状態で参戦するということは、即ち貴方はそのストーリーの主役になれるかもしれない。そうすれば、貴方が助けたかった誰もが幸せになれる。そうは思わない?」

 

 

そう語る少女。

 

 

「君は……何者だ?」

 

「ただの弟子一号よ。そして、上位世界の誰かのメッセンジャー」

 

 

俺は息を飲む。そしてあの本を読まされ、そして俺がこの世界に呼ばれた理由を尋ねた。

 

 

「君達は、いや、君を通している上位世界の誰かは……」

 

「ええ。上位世界の誰かは貴方が主役の第四次聖杯戦争を見たがっている。それも貴方自身が幸せになれるグッドエンドを、ね」

 

 

俺自身が幸せになれる物語。

 

願ってもない事だろう。なら……。

 

 

「やってやるさ……。俺は俺自身、いや、俺が大切だと思える全ての人達皆をグッドエンドに迎えてやる」

 

 

だけどその為には……。

 

 

「俺には力が無い……。イリヤ、だったか?もし俺を本気で助けてくれるというのなら俺に力を貸してくれ!!」

 

 

俺はイリヤへと尽力を願い出る。

 

そんなイリヤはなんだか小悪魔的な微笑みを浮かべていた。

 

 

「その言葉……待っていたっす!!ししょーーーーーー!!」

 

 

イリヤが叫ぶと同時に道場の引き戸が開き、竹刀の女が何だか大荷物で入ってきた。

 

 

「ししょーー!雁夜のやる気は十分っす!後は例の計画を発動すれば準備万端っす!!」

 

「よーーし弟子一号!!改造の準備を行うぞ!!」

 

「了解でありまーーす!!」

 

 

急に雰囲気が変わったイリヤに俺は引く。

 

っていうか改造ってな「眠れーーーーーー!!」ぐふぁ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると俺は、半裸で冷たい寝台の上に寝かされていた。

 

未だにぼぅっとする視界の端で、あの二人は俺に語り掛けていた。

 

 

「これで貴様の改造は終わった。ついでに睡眠学習であらゆるFateシリーズの知識を植え付けておいた」

 

「改造内容はオプションを開いて確認するっす。まぁ、雁矢自身のキャパシティが小さすぎてあまり詰め込めなかったのが残念っす」

 

「後はその場の勢いと運でやり通せ!主人公雁矢よ、期待しておるぞ!!」

 

 

再び俺の意識は朦朧とする。

 

きっとこのまま再び眠りに落ちてしまえば、恐らく俺はあの戦争の前まで戻るのだろう。

 

まだだ。まだ聞きたい事がある。

 

くそ……、もうダメだ。

 

 

 

 

 

 

オプションって……どうやって開くんだよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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プロローグから多数のコメント頂きまして、誠にありがとうございます。



 

 

 

 

 

目を覚ますと俺は、国内の空港にいた。

 

夢だったのだろうか。いや、そんな訳はない。

 

その証拠に、俺の体内には信じられないほど大量の魔力が渦巻いているのが分かった。

 

きっとこれが、あの道場で施された改造の一つなのだろう。

 

これだけの魔力があれば、少なくともバーサーカーを使役しても魔力枯渇による敗退は無くなる。

 

だが、これだけじゃいけない。

 

今は俺に施された改造とやらの成果を確かめなければならない。

 

その為には……。

 

 

「オプションって、どうやって開くんだよ……ハァ……」

 

 

考えてみたらゲームの世界じゃないんだから、スタートボタンを押したらウインドウが出てステータスやら何やら表示される訳じゃない。

 

目を瞑ってみたり念じてみたりしたがオプションらしきものは一向に垣間見る事は無い。

 

とりあえず俺はこれからのスケジュールを立てる為に手帳を出すために胸ポケットをまさぐった。

 

その時だった。

 

 

「うわっ!?な、何だこれ!?」

 

 

突然空中に『スーパーカリヤ・取扱い説明書』というウインドウが現れた。

 

まさか、これがオプションというものなのだろうか?

 

だけどこんな目立つ物、人の多いこんな場所で展開させておけない。

 

どうにかして消そうと試行錯誤してみるが、目の前のウインドウには不思議と触れる事が出来なかった。

 

目の前のウインドウを仕舞おうとしている俺を、空港利用者は不審者を見るような目で見る。

 

そりゃそうだろう。こんな所で訳の分からない物出してりゃ不審者ないし頭が可哀そうな人だ。

 

そうやってどうこうしている内に、俺はある事が分かった。

 

どうやら、目の前のウインドウは俺以外には見えていないらしい。

 

傍からみていると俺はただ宙を仰ぐ変人にしか見えていないようだった。

 

次に、このウインドウは俺が思った通りに見れるみたいだ。

 

俺に施された改造項目で、自分が大体の能力を知覚しているものであればその詳細を閲覧する事が出来るというものだった。

 

逆に、俺自身が知覚していない能力は詳細を確認できないという不親切設計だという事も分かった。

 

取りあえず今の俺が分かるのは魔力の大幅アップ程度だった。

 

だがまだ聖杯戦争までは時間がある。それまでに色々と試してみればいいだろう。

 

そして、このウインドウのオンオフの切り替え方が判明した。

 

 

 

それは俺の乳首だ。

 

 

 

 

乳首を押す事によってオプション画面のオンオフの切り替えが可能となる。

 

………………………。

 

どうしてこんな機能つけたんだあいつ等!!!!

 

俺は変態か!!?

 

まあ、人が居ない時にだけスイッチすればいいか。うん、そうそうバレるものじゃないよな。

 

取りあえず分かった事実を纏める為に、俺は手帳を開いた。

 

そして気づいたんだ。今日が一体何の日かを。

 

 

「大変だ……。くそっ!間に合ってくれ……」

 

 

俺は荷物を引っ掴んで冬木を目指した。

 

あの子を助ける為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ……もうこんな時間か……」

 

 

冬木に着いた時にはもう日付けは変わっていた。

 

それでも俺は深夜の街を駆け抜け、間桐邸を目指した。

 

なんせ今日は、桜ちゃんが遠坂家から間桐家に養子に出される日だ。

 

早くしないと蟲蔵へとやられてしまう。そうなったらある意味手遅れだ。俺の、いや、桜ちゃんの幸せの為にそれだけは何としても阻止しないといけない。

 

だけど、行ったからといって俺に阻止できるのか?

 

臓硯は勿論、臓硯の蟲は強力だ。改造されたといっても自身の能力が如何程のものか分からない俺に何ができるのだろうか?

 

だけどそれでも桜ちゃんだけは救わなきゃ。

 

そう心に誓い、間桐邸へと急ぐ道中で俺はある店の前で足が止まった。

 

それは深夜営業もしているごく普通のコンビニエンスストアだった。

 

普段なら雑誌の立ち読みで時々足を運ぶ事もある。

 

だけど今は必要ない。こんな所に立ち寄っている暇なんてない。

 

だけど俺はこの店に心惹かれた。

 

立ち寄らなければいけない。

 

そう誰かに強要されているかの様に感じた。

 

そして俺はそれに従う様に、店内へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桜ちゃん!無事か!!?」

 

 

間桐邸に入り、一番にそう叫んだ。

 

だけど誰の気配も感じなかった。

 

 

「蟲蔵か……」

 

 

俺は間桐邸奥の蟲蔵への入り口へと急ぐ。

 

そして道中コンビニ店で手に入れた幾つかの品を準備した。

 

こんな物が役に立つのか分からない。

 

それでも俺は信じている。

 

きっと俺が主役のこの聖杯戦争における、最初の難関を突破出来る可能性を秘めた物だという事を――――――!!

 

 

 

 

蟲蔵に飛び込むと、そこには嫌がる桜ちゃんを無理矢理引きずる臓硯の姿が見えた。

 

 

「臓硯!!桜ちゃんを放せ!!」

 

 

俺は石段を駆け下り、臓硯と桜ちゃんの背後へと近寄った。

 

そこまで来ると臓硯は立ち止まり、俺の方へと視線を向けた。

 

 

「何じゃ、誰かと思えば……。その面もう二度とワシの前に晒すでないと申し付けた筈だがな」

 

「うるさい!!桜ちゃんをこちらへ寄越すんだ!!」

 

「ほほう。余程この小娘が大切に見える。ならば……」

 

 

臓碩はそう言いながら枯れ木の様な腕で桜ちゃんを軽々と持ち上げた。

 

 

「何をする気だ!?」

 

「なぁに……そんなに大切ならば」

 

 

臓硯はチラリと蟲共が蠢く蟲蔵を伺う。

 

まさか……。

 

 

「ほうれ!拾ってくるがいいわ!!」

 

「助けて!おじさんっ!!」

 

 

蟲蔵へと放り投げられ、今まで黙っていた桜ちゃんは俺に助けを求めた。

 

その瞬間、俺は臓硯を脇目に落ちていく桜ちゃんへと駈け出した。

 

 

「うおおおおおおおおおおおっっ!!!」

 

 

文字通り駆け飛んだ俺は桜ちゃんを空中でキャッチした。

 

だがそうした所で空を飛ぶ術の無い俺は重力に従って下へと落ちていった。

 

桜ちゃんを抱えたまま、俺は背中から底へと落ちる。

 

蟲が下敷になったお陰で肉体的なダメージはない。

 

だけどすぐに周りの蟲共は俺達を苗床にしようと群がってきた。

 

 

「お、おじさん……」

 

 

桜ちゃんは俺の腕の中で体を震わせて不安げに呟く。

 

俺は彼女の不安を少しでも和らげようと優しく体を抱きしめた。

 

 

「大丈夫だよ……おじさんは桜ちゃんを助ける為にここに来たんだ。おじさんがどうにかする。少しの間だけ我慢してくれ」

 

 

俺は桜ちゃんにそっと囁く。

 

その所為もあってか、桜ちゃんの緊張がほんの少しだけ和らいでいた。

 

 

 

だが次の瞬間、俺達の体は蟲共によって覆い隠されてしまうのだった。

 

 

 



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