幻想怪奇録 (QAAM_M1911)
しおりを挟む

どこだかドア

「今日の秘封倶楽部の活動はどうしましょうかね。」

 

蓮子が言うと、俺の人生経験からの知識が警鐘を鳴らした。

 

俺の名前は明宏・J・ラザフォード。日本人とアメリカ人のハーフの大学生・・・と言うのが表の顔だ。

 

実際は齢200年を超える人間とは言えない存在。そんな俺が何故こんな場所に居るか、と言うと。

 

君たちは財団を知っているか?財団という存在は簡単に言えば、世に蔓延る異常存在を確保、収容、保護すると言う"SCP"という理念のもと活動していた組織だ。

 

していた・・・と言うのはどういう事だって?何、いつもの事だ。

 

またニッソがやらかしただけだ。

 

奴らGOCと手を組んで異常存在のヒューム値を1に戻す"幻想殺し"とか言うテレキル合金とスクラントン現実錨とアナスタサコス恒常時間溝を足しただけみたいな少年を作りやがった。おかげでほとんどのオブジェクトが破壊されるインシデントが起こった。クソトカゲも173も、例外なくな。あ、Dr.ブライトはまだばっちり生きてるぜ963も無事だ。

 

何より一番痛かったのが、テレキル合金が失われた事だ。アレが無くなったおかげで残ったオブジェクトがほとんど逃げ出しやがった。唯一の救いが、人が直接的には死なない様なオブジェクトである事か。

 

だから俺みたいなSCP性質な輩も出てる。俺は登録前にニッソにやられたから番号がないだけの、立派なオブジェクトだ。オブジェクトがエージェントやってんのかと突っ込まれるかも知れないが、それ以上に日本支部は人外多いだろ。理事長で俺の直属の上司のカナヘビからして爬虫類だし、、

 

まぁ財団についてはこのくらいにしておこう。俺はオブジェクトの疑いがある人物を調査している。

 

その中でも、とある家系があるオブジェクトと関連があると考えて財団のエージェントは代々その家系を観察している。だが、残念な事にその観察が報われる事は今まで無かった。

 

担当エージェントがインシデントによって死亡し、俺にこの任務の白羽の矢が立った。なので知識が中学生で止まっていた俺としては初めての学園生活を楽しんでいる訳だ。

 

・・・あぁ、仕事も忘れちゃいねぇぞ。その家系ってのがこの蓮子の家である宇佐見家だ。

 

高校から俺は入ったもんだからまずは観察だ。そんでオカルト系の本ばっか読んでたからどうにも怪しい。特に星関連の話題ばっかだ。

 

なんで俺は1548の改変した話を振ってみた。既に1548は特異性を消失していた為、オブジェクトの改変した話であればエージェントの必要に応じて話しても良いと言う事になっている。ねこですがわたしも特異性を消失しています。

 

するとビンゴだ。話をしていくにつれて彼女の家系では代々特異性が発現している事が分かった。最初の人物の居た時代は・・・俺の生まれた年近くだ。

 

だが子になるにつれて特異性は弱くなっていったらしい。彼女の能力は、星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かるというものらしい。初代はサイコキメシスとか色々使えたらしいが。

 

「裏表ルートに何かあったの?」

 

と発言した彼女はマエリベリー・ハーン。通称メリー。

 

彼女もまた特異性を持っている。彼女は境界の境目が見えるという。

 

俺はこれをクソジジイのポケットディメンションと同じものと認識しているが、メリーの発言からするとどうにも違うらしい。ポケットディメンションから生還して量産型500を飲んだ被験者の証言とは違うからだ。

 

そんで俺は都合が良いと思い、二人を纏めて観察出来る様に仲を引き合わせた。やはり特異性持ちは波長が合うのか、直ぐに仲良くなった。

 

「そうよ、今日のは廃病院よ。」

 

「そりゃオカルトスポットにありきたりな場所で。」

 

「まぁそうなんだけど。骸骨とかがたくさんあって床に奇怪な魔方陣が書かれてるらしいよ・・・」

 

「へー。」

 

俺は興味無しにジャンプをめくる。

 

「ちょっと、聞いてるの!?」

 

「私は聞いてるけど・・・その情報、前にも無かったっけ?」

 

「え・・・」

 

「あったあった。忘れてた?」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

そんなところで、注文していた昼飯が来た。

 

「よしやっと来たか。いただきます。」

 

「明宏っていっつもお肉ばっかだよね。野菜も食べなさいよ。」

 

「食べてるよ。外食ん時に肉食わなくてどうすんだ。」

 

「けど良くそんな量食べて太らないよね・・・男の子って良いわね・・・」

 

「そんだけ筋トレしてんの。」

 

エージェントとして身体を動かすのは当然。それの為の運動も必要不可欠なのだ。

 

そして第六感も必要になる。

 

「・・・悪い、ちょっとトイレ行ってくる。」

 

「また?」

 

トイレに駆け込んで、俺はサイドポーチの中からスクラントン現実錨を取りだして壁に突き刺す。

 

「・・・手応えあり。」

 

ヒューム値を戻す時特有の微振動が手に伝わってくる。

 

「どのヒューム値がおかしかったんだ・・・?」

 

とトイレを出てみた。

 

「・・・あぁ、あれか。」

 

壁に懸けられていたペナントである。あれの色彩が8900の影響下にあったのだ。

 

幻想殺しによって他者に深刻な害をもたらす様なオブジェクトはほぼ失われた。それと死亡する様なオブジェクトもだ。それにより963は所持者の記憶と意識を“無かった事にしてブライトの意識を上書きする“という性質だと再判明したが。

 

だから現在殆どのオブジェクトがsafe認定されている。原状Keter認定されているのはいつ動き出すか分からないブライト博士とオブジェクトではないのだがその凶悪な悪運を持つジェラルド博士である。ジェラルドは事故で006を被ったのだが焼却装置の故障が続いている為結局焼却処分されなかった。

 

「悪いな。」

 

「大丈夫大丈夫。でも結局活動のテーマないのよねぇ。」

 

「そうだよな。まぁ科学が発展しまくった時代だからオカルトなんてもんが解明されてったりしてんだろ。」

 

「そんな御時世だからこそ、でしょうが。不可解な現象を見付けるのが何がどうであれ面白いのよ。」

 

実際未だに解明されていないオブジェクトの特異性なんかもごまんとある。それ以上に、分からないから収容しているなんて側面もある。

 

「ま、今日は別にもう一つ用意してるわ。これよ。」

 

と、蓮子がスマホに映る画面を見せた。

 

「えぇと?“とある廃マンションの一室が、異世界に繋がっている“だってぇ?」

 

「扉を開けると、どこだか分からない場所に出るんですって。」

 

「何よそのねこ型ロボットの秘密道具みたいなの。」

 

「知らないわよ。だから今日はここに集まってもらったんでしょうが。」

 

と蓮子が言う。

 

「・・・まさか近いのか?」

 

「近いも何もあれよ。」

 

と指差すのはなるほど、確かに廃ビルだ。

 

「・・・はぁ。」

 

「とにかく、食べたら行きましょ!なるべく早くね!」

 

「そうね!」

 

「お、おいィ。俺は食事はゆっくり楽しむ派なんだが・・・」

 

俺は聞く耳を持たない蓮子とメリーに溜息をついた。

 

いつだってそうだ、二人に振り回されて必ずツケは俺が払う。どうせここの支払いも俺なのだろう、とそう思った。給料は出てるから良いが。

 

───────────────────────

 

いつも通り服に暗器と拳銃を隠して俺は二人に従う。

 

「おい、ここで合ってるんだよな?」

 

「合ってると思うわよ。この階の4号室だったかしら。」

 

「それじゃあ・・・ここだな。メリー、境界は見えるか?」

 

「えぇ・・・それもかなり大きい。」

 

確定だろうか。

 

・・・はて。俺はドラえ○ん以外でどこかでこんな物を知っている気がするのだが・・・

 

「それじゃあ二人とも、行くわよ!」

 

「おー!」

 

「!」

 

と、俺は閃いた。その瞬間にはコイツがオブジェクトである事を思い出した。

 

「マズ・・・」

 

と言った時には遅かった。二人は既に扉の向こうに入っていた。

 

正確には、森だ。

 

「? おーい、何してるの?」

 

「早く行くわよ。置いて行くよ?」

 

「あぁ、待っててくれ。靴紐が両方解けた。」

 

と靴紐を結ぶふりをして無線を起動させた。

 

「こちらエージェント・明宏。」

 

『こちらカナヘビ。どないしたん?』

 

「249を発見しました。」

 

『またあの二人かぁ。ま、いつも通りよろしくな。』

 

「はい。これより実験を開始します。」

 

『了解了解。ほな。』

 

と、俺はカナヘビに若干怒りを覚えつつもやることを果たそうと思う。

 

「悪い悪い。」

 

「遅いよ、ほら。素敵ね・・・」

 

そこには幻想的な夜空が広がっていた。

 

星空の瞬き。

 

一際明るく輝く木星。

 

空を切り裂く様に煌めくミルキーウェイ。

 

どれもこれもが、現代の人工の光が蔓延る都会では見れないものばかりだった。

 

「星が綺麗ね・・・」

 

「何よメリー、誰かに告白する練習でもしてたの?」

 

「そ、そんな事あるわけないでしょうが!」

 

顔を真っ赤にして叫ぶメリー。

 

と、今度は俺の電話が鳴った。

 

「はい。」

 

『カナヘビや。お主今どこおるねん?』

 

「さぁ・・・森で夜って事はブラジル?でも気候は日本と変わらない様な・・・」

 

『ワイの方じゃ別の結果が出とる。京都に居たんよな?今お主長野におるっちゅうことなっとるねん。』

 

「まぁ移動してるのは疑問がないんですが・・・長野?」

 

『そうやな。多分やけど、そこは──

 

と、いきなり通信が途切れた。

 

「電話が!?」

 

「見て!扉が」

 

バタン!と豪快な音を立てて閉まった。

 

なんてこった。帰る手段がない。

 

だがカナヘビはどうやらここを知っている様だ。多分、上にしか知られていないオブジェクトか何かだったのだろう。

 

であれば救出を待てば良いのではないか。

 

「・・・どうしよう。」

 

「夜、ね。けどおかしいわね。」

 

「どうした?」

 

「星を見ても場所が分からないのよ。」

 

「え?」

 

「時間は分かるか?」

 

「分かるわ。22時04分35秒ね。」

 

困った事だ。蓮子の能力が使えないとすれば歩いて出られるって訳でもなさそうだ。それにまだ稼動している空間系オブジェクトなのであればあまりスクラントンは使えない。アナスタコサスは無意味だ。

 

「メリー、さっきの場所に境界は見えるか?」

 

「見えないわよ・・・いきなり消えたわ。」

 

となればどこだかドアの約500回目の当たりを引いた。深海や宇宙に繋がらなかったのが救いだ。

 

「・・・とにかく、進もう。俺から離れるなよ、守ってやれないぞ。」

 

「う、うん・・・」

 

少女二人を後ろに、俺は袖から出した暗器を構えて前進していった。

 

「なんで暗器持ってるの?」

 

「何となくだ。」




今回登場したもの(名前が出ただけはノーカン)。

Author: Dr Gerald
Title: SCP-249 - どこだかドア
Source: http://www.scp-wiki.net/scp-249
CC-BY-SA 3.0

Author: tunedtoadeadchannel
Title: SCP-8900-EX - 青い、青い空
Source: http://www.scp-wiki.net/scp-8900-ex
CC-BY-SA 3.0


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人食い

「暗いな・・・」

 

「そりゃそうでしょうが、夜なんだから。」

 

と、メリーがツッコミを入れる。銃にはタクティカルライトが標準装備されているのだが正直使う気にはなれない。というか二人の前で銃を使う事はしたくない。

 

最悪、二人には伝えていない方の俺の特異性を使えば何とかなるかもしれない。が、二人にショックを与えてしまうのは明らかだ。最悪記憶処理で済まないかもしれない。

 

「・・・本当に、どこなのかしら。」

 

「電話が通じないってのはまぁ分かった。山奥のどこかだろうな。」

 

「いや、もっと凄い所かもしれないわよ!」

 

「蓮子は蓮子で危機感持ってないしなぁ・・・」

 

月明かりを頼りにして、森の中を突き進んでいった。

 

 

 

何かがガサゴソ、と茂みを掻き分けて走って行った。

 

「猪か?」

 

「なーんだ、猪ね。つまんないの。」

 

「いや猪でもヤバいからな十分に。」

 

と三人はついに何かを見付けた。

 

・・・黒い球体だ。光さえ吸収してしまいそうな程の、だ。

 

「何これ・・・固体じゃないのかしら?」

 

蓮子がいつの間にか前に出てそれに触れた。

 

「ちょ、何してんの!?」

 

「面白い物がようやくあったのよ?調査するのは当たり前じゃない!」

 

「毒だったらどうすんだよ!?」

 

「大丈夫よ、現に害はなさそうだし。」

 

と蓮子が何かをつまんだ。

 

「んー?何かなこれ。」

 

「は、放した方が」

 

とメリーが言いかけた時だ。

 

「いたたたたたた!?何!?」

 

「キャッ!?」

 

蓮子が声に驚いて手を離した。

 

すると黒い球体が薄れていき、中から少女が現れた。

 

「下がれ!」

 

俺はその特異性を直ぐに感知し、二人を下がらせる。

 

二人に言ってある特異性は、“物体の特異性を発見する“というもの。蓮子の家に伝わるアイテムがどれか、という問題程度であれば難無く全問正解出来るし、財団に伝わるオブジェクトクラスも大体分かる。

 

この少女であればEuclidか。

 

「少女が寝ているのにいきなり頬を抓るなんて、いささか酷すぎると思うんだけど?」

 

「ご立腹みたいだね。それについては謝るよ、うちのバカが余計な事をしたね。」

 

「ちょっとバカって何よ。」

 

そんな蓮子の声は置いといて、だ。

 

明らかに少女の目には怒りの炎が渦巻いている。

 

少女の腹がぐぅ、と鳴った。

 

「けど丁度良いのかな、ご飯になりそうだし。」

 

「やっぱそれ系か・・・」

 

俺は小さく呟いた。オブジェクトの中には人を食う奴もいたから特に驚きもしない。

 

だがとにかく、蓮子とメリーはやらせはしない。

 

「二人とも、どっか茂みに隠れろ!」

 

「え・・・でも明宏は」

 

「良いから早くしろ!!」

 

叫んだ。こんなところで二人を殺されたら何が財団か。何がフィールドエージェントか。

 

財団の理念は確保、収容、保護。だが、それ以上に一般人を守る事にあるのだ。

 

そんな初心を忘れる様なバカではない。

 

「二人はやらせない・・・」

 

「別にあなたを殺して食べるだけでも事足りるんだけど・・・逃げないのは死にたがりだからかしら?」

 

「死にたがり・・・か。近いかもしれないな。」

 

200年生きてきたのだ。死に興味があると言えばある。

 

むしろブライト博士の様に願望者かもしれない。

 

だから俺は二人にのめり込んだ。二人を守る事にこそ、俺は存在意義があると信じて。

 

「自分を捨てて、俺は戦う。」

 

「・・・バカ、ね。けど嫌いじゃないわね。」

 

少女の瞳が紅く妖しく輝いた時、俺の瞳は蒼く輝いていた。

 

─────────────────

 

「何よ・・・あれは。」

 

少女からは光の弾が放出され、明宏を襲っていた。明宏は現在何とか避け続けてはいるが、彼にも体力はある。息が若干上がっている。

 

「どうするのよ・・・とんでもないとこに来ちゃったわ・・・」

 

「ど、どうにかして明宏を助けに行くのよ!それで帰るの!」

 

「帰るって言っても、どうやって帰るのよ!」

 

蓮子の声に、メリーは肩を震わせた。

 

確かにそうだ。先程入ってきた扉は閉まって見えなくなっている。

 

そしてあの様な奴らが他にも居るかもしれない。その考えが蓮子を冷静にさせた。

 

「とにかく、考えるのよ。」

 

二人は茂みから様子を伺おうとした。

 

だが、目に飛び込んできたのは・・・黒髪でセーラー服を着た少女だった。

 

───────────────────

 

「あはは!お兄さん本当に人間なの?」

 

「人間・・・だと思うよッ!」

 

暗器で迫る光の弾を弾いて言った。自分で言うが、かなり人を外れている様な事をしていると思う。

 

「・・・蝿みたいにちょこまかと・・・ぁあもう鬱陶しい!!」

 

ついにキレたらしい。少女は闇から数本の触手を生成し、鞭の様にそれをしならせた。

 

反応が少し遅れ、暗器を身代わりにしてそれを避けた。

 

闇の触手は暗器をいとも容易く捩曲げていた。

 

「畜生!」

 

「もう武器はおしまいかしら?なら・・・」

 

俺に向かってかじり付こうとする少女。だが流石にそれは慢心し過ぎではないか?

 

 

ダン、と一発。マズルフラッシュが焚かれた。

 

 

「え・・・・・・」

 

撃たれた少女は何が起きていたのか全く分かっていない様だった。

 

肩を撃ち抜かれた少女はそのまま地上へと倒れ込んだ。

 

「・・・オブジェクトクラス、Euclidか。それにしても光を操るのか・・・。」

 

色んなオブジェクトの収容に使えるかも知れない・・・と思った。

 

なのでその少女を収容の為に持ち帰ろうとした・・・

 

 

 

その時。ピクリ、と少女が動いた。

 

生きていたのは想定範囲内だった。

 

だが撃たれた方の腕を動かすとは思いもしなかった。

 

「Fuck off!」

 

そのまま地面に投げつけ、浮いた所を回し蹴りで吹っ飛ばす。

 

だが少女はその勢いを殺した上で、こちらに間を待たずに突進してきた。

 

「いただきまーすッ!」

 

「ぐっ!」

 

首筋を狙って少女が口を開ける・・・食いちぎるつもりだろう。

 

だが流石に避けられない。少女はそれほど速いのだ。

 

左腕を犠牲にして拳銃を撃つ、それしかないだろう。

 

俺は左腕を首筋をかばう様に少女の前に持ってくる。

 

 

だが。

 

「その手に引っ掛かると思った?」

 

少女は闇を作り出し、俺は視界を奪われた。

 

(どこから来る・・・!?)

 

この闇の中では迂闊に動けない。どこに居るか分からないのだし、闇の外に出たとしてまた作られるのがオチだ。

 

拳銃を右手で構え、ナイフを左手で持つ。

 

目を閉じ、周りの音を鮮明に聞き取る。

 

・・・・・・待て、今何かドサリ、という音が聞こえた。

 

恐らく音量からして・・・誰かが倒れた?

 

「・・・・・・ッ蓮子!メリー!」

 

状況はもしかしたら最悪かもしれない。この目で見るしか方法はない。

 

急いで音の方向へ走り、闇から脱出した。

 

あの金髪の少女は見当たらない。それを見て、俺は更なる悪寒がした。

 

──────────────────

 

「蓮・・・子、メリー?」

 

茂みの中で目を閉じている二人を発見した。

 

急いで俺は二人の頸動脈に手を当てた。

 

・・・セーフだ。寝ている・・・というより意識を失わされたとみた方が良いかもしれない。

 

「・・・闇、か。」

 

俺が闇、と聞けば同僚の消照闇子を思い出す。

 

俺の所属している部署は全員が異常性を持っている。中には俺や闇子の様にオブジェクト認定されていたものもある。

 

その中で人類に友好的、かつ自在に制御出来るか人類に無害な制御を持つ者がその部署へと編入される仕組みだ。

 

恐らくだが・・・カナヘビが知っていたからにはここは何らかの空間的オブジェクトの内部だと考えて良い。で、反応がまぁ緩かったので、そこまで危険ではないはず。人食いは居るが、別にそれは危険ではない。

 

ここの内部に居る者全員が何らかの異常性を持っていると考えて良さそうだ、それが一番危険なのだ。

 

「・・・さて、と。どうしようかな・・・俺二人を同時に運ぶ事なんざ出来ねぇぞ。」

 

だが二人は既に深い深い眠りの中、今日は移動出来なさそうだ。

 

「・・・しょうがないな。」

 

今日は徹夜になりそうだ。二人を危険な目に逢わせないためにも、俺は夜通し見張りをする事になったのだ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暁に染めよ木漏れ日の花

蓮子が目を開けた。

 

「・・・ん、起きたか?」

 

「う、うん・・・明宏は大丈夫なの?」

 

「これくらい大丈夫だ、鍛えてるしな。」

 

メリーは俺が夜中に火を起こしている時に一度起きた、が俺の姿を見るなり安心したかの様に再び眠ってしまった。

 

「起きていきなりで悪いが、質問良いか?」

 

「う、うん・・・」

 

「お前らを襲った奴ってどんな格好だった?」

 

「え、えっと・・・黒いセーラー服だったのは覚えてるよ・・・?それと黒い髪・・・とにかく、真っ黒。」

 

これで確定した。確実に消照闇子だ。

 

そして、ここに彼女が来たという事は直ぐに助けが来る。

 

少なくとも、財団はこれに干渉する位の事は出来る様だ。だが、果たして大部隊が来れるか、と言われるとそうでは無いかも知れない。

 

普通はそれまで身を隠しておくのが安全だろうが、あの闇の少女の事もある。移動しておいた方が無難かもしれない。焚火しちゃったし。

 

「メリー、起きれるか?」

 

「・・・うん。」

 

メリーが弱々しく返事する。

 

「無茶して身体壊す事はさせないからな。それこそ詰みだ。」

 

「えぇ、分かってるわよ。メリー、行くわよ。」

 

「・・・」

 

メリーの表情が明らかに疲弊している。

 

「・・・仕方ない、メリーを背負う。蓮子、先導を頼めるか?」

 

「分かったわ。えぇと、昨日はあっちから来たんだっけ?」

 

「違う。右から来たんだ。」

 

メリーを背中に背負い、俺は立ち上がった。

 

メリーの全体重が俺に預けられた。

 

「メリー、掴まってろ。」

 

メリーの手に力が若干入り、どうにか落とされまいと俺に密着する。

 

「・・・大丈夫ね?」

 

「こんくらい平気だ。先を急ごう。」

 

と、俺は蓮子に追従しようと足を動かそうとしたその時。

 

「明・・・宏・・・」

 

「メリー?どうした?」

 

「私の・・・ポケット・・・」

 

「蓮子!ちょっと待っててくれ!」

 

「えぇ!?」

 

蓮子がぱたぱたと戻って来る。というか二人にダメージの差が出過ぎている気がする。

 

「ポケット・・・え。」

 

腰付近にあるので触るのが憚られるが、仕方ない。サソリでも入ってて蓮子が刺されたら危険だからな。

 

まぁ結局、そんな物は入っていなかった。入っていたのはペンライトだ。

 

特異性がある、な。何の特異性かは分からないが。

 

「・・・ライトか。けど持ってたのか?」

 

メリーが首を振る。

 

「・・・よし、もう良いか?ライトは俺が持つ。」

 

「先頭なんだから私が持った方が良いんじゃないの?」

 

「今は明るいから良いだろ。さ、進むぞ。」

 

─────────────────────

 

「・・・あれって何?」

 

気付けば山の斜面へと来ていた。そして、何やら哨をしている人・・・ではなく、黒い翼の生えた者が多数居た。

 

ただ、所々に聞こえる“赤子“とか“攫う“などの単語が気になる。

 

「・・・分からないけど、見付からない方が良さそうだ。回り道しよう。」

 

「・・・無理ね、向こうにも居るわ。」

 

翼こそ生えていないが、狗か狼の耳が生えていた。

 

「・・・整備されてない山の斜面、降りれるか?」

 

「無理よ、今私スカートなのよ?」

 

どうやら戦闘は避けられない・・・が、こんな大人数を相手にする必要は無いし、そもそも特異性すら分かっていないのだ。

 

「少ない人数を最速で屠る必要がある・・・か。サイレンサーあったらな・・・」

 

支給されたM92Sは正確無比で強度もある、がこんな状況ではサイレンサーが無ければ意味が無い。

 

であれば、アレを使うべきだろう。

 

そう、“財団神拳“だ。暗殺術としても使える為、かなり優秀である。

 

だがここで忘れてはならないのが、“殺し“はダメだ。

 

というか危害を加える事自体回避したいのだが、そうも言ってられない。

 

「・・・向こうだ、行こう。頭下げて、ゆっくりな。」

 

「うん。」

 

「メリー、ちょっと揺れるよ。」

 

未だ目を閉じて唸るメリーに声をかけ、俺は進み出した。

 

 

 

「・・・居た。多分あそこが一番地形的に少ない。蓮子、メリーをちょっとの間頼む。」

 

森で唯一木が生えていない場所。ここは哨が最小人数で済む、がそれでも二、三人は居るだろう。

 

三人に気付かれないように行動する必要がある。

 

息を殺し、叢に隠れ、匍匐前進。

 

「・・・しいんだよね。はたてさんの新聞って情報が古いんだよねー。その分正確ではあるけど。」

 

「えー?そうかな。文さんの新聞って直接取材行ってるから結構正確だと思うよ?はたてさんってほら、外出ないし。」

 

「二人とも・・・しっかり見張りして下さい・・・」

 

右に居る真面目な見張りをどうにかすればなんとかなるかもしれない。

 

まず右からやろうと思って立ち上がろうとした瞬間。

 

何かに見られた感覚がして、その場に身を固まらせた。

 

「・・・二人とも、行きましょう。人間二人が入ってきてます。」

 

「嘘でしょ・・・」

 

「ほら、行くよ!」

 

と三人は哨台から飛び降りて茂み・・・蓮子とメリーの居る方向へ向かって行った。

 

「まずっ・・・!」

 

懐から拳銃を抜き、死なない部位・・・腕を狙って撃つ。

 

だが当たったのは一発のみ。先程まで左で喋っていた奴だ。

 

「ぐっ・・・後ろに!?」

 

「見落としてましたか・・・しかも哨台の下ですか・・・」

 

「私と椛でやる、アンタは報告に!」

 

「うん・・・」

 

負傷した個体は逃げて行く。いや、援軍を呼びに行くのだろう。

 

「短気決戦だ・・・覚悟ッ!」

 

俺が拳法の構え・・・“解放礼儀“をとると、二人は盾と大型の片刃剣を取る。

 

刹那の膠着の後、俺が動いた。

 

「“共振遠当て“」

 

手から一定の音波を発生し、離れた場所にある物体を共振させて物体を破壊する拳法。

 

先ずは盾からだ。

 

盾が異常な振動をしているのを察知した二人は直ぐに盾を手放す。

 

「遅かったか。」

 

共振遠拳をやめると直ぐに右足に力を込めて思いっきり二人の方へと跳ぶ。

 

そして手をピンと伸ばし、突きの構えをとる。

 

「“衝撃波手刀“」

 

衝撃波を手に纏わせ、一瞬だが刃物と切り結ぶ事が出来る様になる。また、岩であれば砕く事なく貫通させる事も出来る。

 

相手もかなり反応が良く、手刀を剣で弾いた。

 

「“竜巻共振拳“」

 

基本は共振遠拳と同じだが。さながらローリングバスターライフルの様に回って、対象に脳虚血を一瞬引き起こさせて失神させる拳法。

 

これは流石に剣では弾ける筈が無い、そう思ったのだが。

 

「・・・ォォォオオオオオオオ」

 

「・・・遠吠え?」

 

狼の様な遠吠えが辺りに木霊した。二人とも女性らしいから凄い光景だが。

 

それで音波が相殺されたらしい。どうやってノイズキャンセリングしているのかは甚だ疑問だが、戦闘を続行・・・

 

 

 

・・・いや、逃げた方が良いか。

 

先程の遠吠えは良く響いていた。お仲間は沢山居るようだから、ここで争って勝とうが包囲されておしまいだ。

 

「“天殺・認識災害の構え“」

 

遠吠えをしてるので動けない二人にこれを見せる事で、麻痺性の認識災害を引き起こした。・・・蓮子見てないだろうな?

 

直ぐに俺は二人の元へ行き、メリーを担ぐ。

 

「やられた、逃げるぞ!」

 

「ええ!?こ、この斜面を!?」

 

「やるしか無いんだ、行くぞ!」

 

“テレポ遠当て“を繰り出して進行方向にある木を破壊しながら走り抜ける。俺と、俺に担がれている状態であれば量子歩法で木をすり抜けられるが、今は蓮子が居る。見捨てるなどの行為は御法度だ。

 

「ちょ、木が!」

 

「何でか知らねぇけど行幸だ!走れ!」

 

「ああもう!覗かないでよっ!」

 

普段は意識してない癖に、何故今羞恥心を出すのか。

 

土煙が立つ程の速さで足を動かし、必死に逃げる。

 

だが相手は翼がある。どう考えても飛ぶ方が落下運動的にも速くなる。

 

「そこの!諦めてお縄に」

 

「“量子指弾“」

 

とにかく群がって来る奴らを潰さなければならない。幸いにも指は五本あるから五人相手は出来る。

 

だが正直走っている状態では辛いし、何より蓮子がバテてきている。

 

「蓮子!大丈夫か!?」

 

「大丈夫・・・!何とかするから!」

 

息切れしている様にしか見えない。俺は蓮子をメリーとは逆の腕で担ぎ上げる。

 

「ちょ・・・」

 

「心配すんな!スピード上げるぞ!」

 

テレポ遠当てをしなくて済むのが正直楽になった。体力はほぼ無尽蔵・・・と言いたいが、四分の三を切っている。山の下まで持つ気がしない。

 

「蓮子!俺のポケットからペンライト取れ!目くらまししろ!」

 

「わ、分かったわ・・・!」

 

蓮子がポケットを探るので速度を下げる。だが直ぐに見付けてくれた。

 

「えぇとスイッチは・・・これね!・・・何これ!?」

 

「何だ!」

 

「光じゃなくて・・・闇が出てる!」

 

決まりだ。闇と言えばアイツの専売特許。コレもアイツの持ち物で、万一の為に渡してくれたのだろう。

 

「とにかくソイツらに当てろ!前見えなくて木に当たるかもしれんからな!」

 

「分かった!」

 

背後からバギッ、ゴギャッと言う音が聞こえるが、全てアイツだ。闇子だ。流石は元Keter、戦闘力なら抜群・・・どころか俺よりも高い。

 

「変な音してるけどコレ大丈夫なの!?」

 

「木にぶつかって骨折れてるだけだ、心配すんな!それより俺ら殺されかけてンだぞ!?」

 

眼前が開ける、とそこは川だ。

 

考えている暇は無い。

 

「“明鏡歩法“!」

 

「明宏どんだけバカなの!?水の上歩くとか頭沸いてるんじゃないでしょうね!?」

 

「知るか!出来てるから良いだろ!」

 

と蓮子がギャーギャー騒ぐので集中が切れた。

 

ぬるん、と水面を左足が通過した。

 

「あっ」

 

俺らは川の流れに流された。

 

しかも後ろから来ていた奴らからの謎の光弾の至近弾を貰って蓮子まで気絶した。

 

「クソッ!メリー、蓮子!」

 

どうにか二人を引き寄せ、水辺に上がろうとする・・・が、一人ならまだしも、二人となると泳ぐ事がままならない。

 

「・・・倒木だ!」

 

俺は必死に足を上げて倒木に掴まろうとするが、後ろからの光弾で流木が真っ二つに割れた。

 

しかも先から聞こえる音は・・・滝だ。

 

財団神拳でも空を浮く事は出来ない。二人だけでも何とか岸に・・・いや、二人だけだと後ろから来ている奴らに結局殺される。

 

万事休す────

 

───と思ったその時。

 

「何か」に足首を掴まれ、水中に引き込まれた。

 

そして間もなく、俺の意識は冷たい暗闇の中に引きずり込まれていった。




登場オブジェクト

Author: home-watch
Title: SCP-835-JP - ゼノフォビア消照闇子
Source: http://scp-jp.wikidot.com/scp-835-jp
CC-BY-SA 3.0

Author: Kwana
Title: SCP-710-JP-J - 財団神拳
Source: http://scp-jp.wikidot.com/scp-710-jp-j
CC-BY-SA 3.0


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一先ずの休息

「・・・知らない天井だ。」

 

お決まりのセリフを言うと、俺は周囲を見渡す。

 

人工呼吸器・・・しかも、一昔前だったが財団で使っていたやつに酷似しているのだ。そんな物がある・・・という事は、十中八九財団に関係している場所である。

 

改めてメリーと蓮子の状態を見る。

 

蓮子は無事・・・なのだが、メリーの状況がよろしくない。闇子にしては珍しいミスだ。後で説教だな。

 

持ち物の確認・・・はしなくても良さそうだ。俺が持っていた物が全てベットの隣にある机に置かれていた。

 

その中からピルケースを取り、中から赤い錠剤・・・500-dgを取り出す。

 

それでメリーに飲ませようとしたその時だ。

 

「目、醒めたかい?もう500-dgは飲ませてあるよ。」

 

「誰だ?・・・の前に、財団の者か?」

 

と言うと扉を開けて突っ立っていた青髪の少女は頭を掻いた。

 

クラスは・・・safeか。戦闘能力はそこまででもない。

 

「職員じゃ無いんだけど・・・何て言うのかな、オブジェクトだっけ?」

 

「・・・俺と同類だな。」

 

「ありゃ、君もオブジェクトだったの?それなのにエージェントしてるって・・・」

 

「そういう部署が出来たんだよ。」

 

と言って俺は置かれているサイドポーチの中から使った事は今まで一度もない名刺を取り出した。

 

「エージェント・明宏。財団日本支部理事長直下部隊“すー1“所属ね・・・」

 

「あぁ、君は?」

 

「私は河童の河城にとり!人間とは度々良くしてもらってるよ!」

 

「財団ともか?」

 

「いや・・・財団とは、ね。流石にマズいと思われちゃったみたいでこういうのしか・・・」

 

まぁ妥当な判断だろう。恐らく機械を自己流に復帰させるとか、そんな感じだろう。変なもん復旧されたら困る。

 

「で?俺らを助けた理由は?」

 

「まぁさっきも言ったけど懇意にしてもらってる人間を見殺しにするのはね。それに財団神拳使ってたでしょ?見殺しにして私が殺した事にされちゃ堪らないからね。」

 

「おい、待て財団神拳漏洩してんじゃねぇか!!」

 

誰だ管理ここまで杜撰にした奴。

 

「まぁまぁ大丈夫だって、私ら機械弄り専門だから運動は苦手でやらないよ?」

 

「漏洩してる時点でダメなんだよ・・・あれ門外不出で研究員だけが自由にコピーできるんだぞ・・・?」

 

「門外不出なのに自由にコピー・・・おかしくない?」

 

そんなの知らん。編み出した奴がそうしろ言ってんだからそうなってるだけであってだな。と俺は言いたくなったが喉の奥に押し込んだ。

 

「で?ここのオブジェクトって一体何なんだ?」

 

「すっごく簡単に言うよ?忘れられた存在が侵入してくるのさ。」

 

「忘れられた・・・ってそれ結構やばくねぇか?」

 

もしクソトカゲが忘れられたらここに来る事になる。それだけはマジで避けたい。

 

・・・後に知ったことだが、消滅したオブジェクトは0匹のイナゴ状態になっているらしいので忘れられたとしてもここには来ないのだとか。

 

「・・・とにかく。俺らはここから脱出したい。何か方法を知らないか?」

 

「まぁあると言えばあるよ。はいこれ。」

 

と差し出して来たのは無線。それも百年前位の。

 

「なんだよこれ?」

 

「財団直通の無線。これで誰か呼べばいいと思うよ。」

 

「なんでこんなもん・・・」

 

と思ったが、そういえば日本支部はオブジェクトが安全だと分かったら遊び始めるクセがあるのだった。大方壊れたもの送ってどうなるか遊んでるのだろう。

 

「・・・まぁ良いや。使わせて貰うぜ。」

 

と、俺は受話器を取って繋がるのを待つ。

 

 

 

『・・・もしもし?河童のにとり君かいな?先日な』

 

「俺ですよカナヘビ理事長。」

 

『・・・明宏君かいな。どうやtt』

 

「なんてもん隠してるんすかアンタは!!!?」

 

『うっさいな!訳があるん事忘れとるんか!?』

 

「訳ってなんすか!それを聞いてから処すか決めますんで!」

 

と、カナヘビにここ、幻想郷についての説明を受けた。ざっとこんな感じである。

 

─────────────────────────

 

SCP-████-JP “幻想郷“

 

OB:Euclid

 

特別収容プロトコル:セキュリティレベル5の職員と財団日本支部理事長直下部隊“すー1“の隊長と幹部ら、許可を得た人物にのみ存在が知らされます。それ以外については厳重に秘匿します。ごく稀に迷い込む人物が出るので、出来る限り捜索をしてください。出来るだけ干渉は避けて下さい。避けろっつってんだろ!

 

説明:SCP-████-JPは長野県██市山中にある空間的異常性です。通常この範囲を区切っている“結界“に生物が触れても異常性は発揮されません。異常性が発現するのは、ヒューム値が0.9以下の生物やオブジェクトが触れた場合です。それらが“結界“に触れた瞬間、オブジェクト内に転送されます。(これを“幻想入り“と呼称する)オブジェクト内には多数のオブジェクトと思われる生物や人間が生息し、人間ではない生物の殆どが人間に危害を加えます(以下、この様な生物を“妖怪“と呼称する)。妖怪や異常性のある人間には多くの種類があり、それぞれにOBが付けられる事になります。以下、オブジェクトの説明に入ります。閲覧にはセキュリティクリアランスレベル4が必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリアランスレベル4を確認・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Loading............

 

 

 

 

 

 

 

 

 

............complete

 

 

 

01 “八雲 紫“

 

OB:Keter

 

特別収容プロトコル:収容不可能と推測されますが、基本的には友好的であるので動向の監視をしていて下さい。それ以上の干渉は禁止されます。

 

説明:01は金髪の少女であり、非常に胡散臭いです。01は空間を繋ぐ事の出来る“スキマ“と言われる空間を生み出す事が出来、それによってテレポートを行います。また、聞き込み調査により。概念の境目を操るなどの芸当を可能にしている事、SCP-████-JPの産みの親の一人である事が判明しました。

 

 

 

02 “博麗 霊夢“

 

OB:Euclid

 

特別収容プロトコル:一ヶ月ごとに彼女の住む博麗神社の“賽銭箱“にこちら側の通貨で一万円を支給してください。また、彼女にインタビューなどを行う場合にはこちら側の通貨で二万円を報酬として支払って下さい。

追記:絶対に怒らせるな、絶対にだ。

 

説明:02は日本人の少女であり、SCP-████-JPに置ける人間と妖怪のバランサーの役割を担っています(“博麗の巫女“と呼称されている)。02は空を飛ぶ事や、次元に干渉して別次元に飛ぶ等の異常性を持っています。

 

 

 

03 “高麗野 あうん“

 

OB:safe

 

特別収容プロトコル:02と同様にしてください。

 

説明:03は緑髪に頭頂部から角の生えた狛犬の妖怪です。02の住む博麗神社の“守護霊“と主張していますが真偽は不明です。性質上人間を襲う事は敵対しない限りないと思われます。

 

 

 

04 “クラウンピース“

 

OB:Euclid

 

特別収容プロトコル:02と同様にしてください。また、彼女と接触する際には対ミーム措置を受けてからにしてください。

 

説明:04は金髪のアメリカ人風の少女です。決まって星条旗を纏ったピエロの様な格好をしています。04は妖怪の中でも“妖精“という分類に入る様で、死んでも生き返ります。彼女の持つ松明には“見ると狂わされる“異常性があり、これにより接触した機動部隊が同士討ちになり02の怒りを買う事になりました。

 

 

 

05 "天狗"

 

OB:Euclid

 

特別収容プロトコル:彼らの領土である"妖怪の山"には立ち入ることのないようにして下さい。万が一立ち入らなければならない場合には、長である"天魔"から許可を得て下

 

 

「長ぇわ!!!」

 

『喧し!説明せぇ言うからや!』

 

「ったくさぁ、今俺が欲しい情報は何だと思います?」

 

『そんなん脱出方法に決まっとるやないか?』

 

「だからそれを早く寄越せ言ってるんですよ!どうすりゃいいんすか俺以外の二人気絶してるんすよ!?」

 

『しゃーないの。機動部隊派遣するから、上手く合流して帰ってこ。』

 

「だからッ・・・ぁあもうキレた!」

 

明宏が無線を置いた。

 

「あ、あはは・・・大変そう・・・だね。」

 

「大変どころじゃないよ全く・・・」

 

明宏はピルケースに入れてある飴型胃薬を口に放り込み、身支度を始めた。。

 

「で、帰れそうな場所。アンタ知ってる?」

 

「知ってるともさ。博麗神社さ。」

 

「あー、さっきの報告書にあったな。んで?02に帰らせてとでもせがむのか?」

 

「財団だからそんな事しなくても大丈夫でしょ。」

 

「ま、それもそうか。」

 

俺は寝ている二人の脈を測定するが、特に異常はなかった。

 

「・・・よし、二人が起きたら出発したい。すまないが、天狗・・・合ってるよな?そいつらの領域から出来れば見つからずに出たい。ルートを教えてくれないか?」

 

「もちろん。えーっとねー?」

 

背負っていた鞄からキーボードを取り出して操作すると、壁が退けられてモニターが出現する。そして地図が出てきた。恐らく、赤い点が現在地か。

 

「博麗神社がここ、ここから見て南東だね。だけど見つかりたくないなら一回西に行った方が良いかな。」

 

「何でだ?」

 

「君たち、天狗の領域を横断する気かい?」

 

「・・・そうだった。」

 

明宏は二人の額に手を乗せた。

 

財団神拳"元素功法"の効果と意識の回復効果を他人に与える技、"元素秘孔法"で突く場所を探している。

 

探し終え、秘孔を突くと二人の意識が浮上してくる筈だ。

 

「・・・じゃぁな、もう会わない事を祈ってるよ。」

 

「全く、財団の盟友たちはいけずなんだから・・・」

 

俺は二人を抱えて走り出した。

 

扉は量子歩法ですり抜けた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。