Fate/stay night KUR NU GI A (夜はねこ)
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プロフィール
名前 遠坂恵麗
愛称 エレ
性別 女性
誕生日 2月3日
星座 水瓶座
血液型 O型
身長 159cm
体重 47kg
スリーサイズ B78/W57/H80
イメージカラー 黒
特技 園芸
好きなもの 花、妹
苦手なもの 突発的なアクシデント
天敵 ギルガメッシュ、間桐臓硯
CV 植田佳奈
概要
穂群原学園の2年A組所属 。生徒会書記。遠坂凛の双子の姉として転生してしまった少女。
エレは魔術の才能は皆無で魔術回路も持ち合わせていなかったが、ある出来事により、デミ・サーヴァントとしての覚醒と前世の記憶を思い出してしまう。
容姿
容姿は双子の妹である遠坂凛にそっくりである。しかし彼女とは違い、輝くような金髪である。あと凛より若干胸が大きく見える。遠坂凛が黒のリボン、赤いコートであるのに対してエレは赤いリボン、黒のコートである。
覚醒してから目の色が赤色に変わった。デミ・サーヴァントととしての服装は、黒いドレスを身に纏いメスラムタエアが実体化している。
人物
受動的・内向的な性格。高い知性と誇りを持つ。
生真面目な秀才、恋にも真剣な少女。孤独・孤高で責任感が強い。
高いプライドと低い自己評価が同居するネガティブな優等生で、容姿端麗、文武両道、才色兼備。しかし、わりと泣き虫。
他人に厳しく、自分にはもっと厳しい。
デミ・サーヴァントになったからか、エレシュキガルの人格にひっぱられがちだが、彼女自身の人格もしっかり残っている。そのおかげか遠坂凛との姉妹関係は良好である。
ほぼ凛と同じ台詞回しではあるが、ところどころで上品なお嬢様口調になる。ふと素直になったり、パニックになったりした時に「~なのだわ」と語尾が大げさになる。
かなりのシスコンで、間桐臓硯絶対殺すウーマンである。
過去
魔術師の家に生まれながら、魔術回路を一切持たないことに幼いながら絶望し、凛や桜に嫉妬と羨望を抱いていたが、桜が養子になったときにそれは変わる。
魔術師というよりも魔術という存在が嫌いになり、これがなければ聖杯戦争なんてものは起きず、家族バラバラにならず普通に生活できたのにと思っている。
能力
魔術回路もなく、魔術の才能もなかったがある出来事により、冥界の女神であるエレシュキガルの権能を使えるようになった。
相手を自らの固有結界(冥界)に落とすことができる。「冥界にいる限りエレシュキガルの法と律には神であろうと逆らえない」という性質により冥界の存在に対しては強大な力を持つ。対抗するには生者でなくてはならない。
その手に持つ槍はネルガルから譲り受けた太陽の権能、「発熱神殿キガル・メスラムタエア」。その赤雷を纏った槍を自在に操る。また、檻を鐘のように鳴らすことで恐竜の化石を召喚することができる。
遠坂家の遺伝的特質として、詰めが甘く肝心なところで凡ミスを犯すという欠点を持ち、そこはやはり時臣の血を継いでいるといえる。通称「うっかり」。 しかし、凛以上にぽんこつ属性が前面に出やすい。
元は魔術師でなかったので、凛と違って重度の機械オンチではない。普通に使いこなせる。
ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
A B D B B A
保有スキル
対魔力(D)
魔力に対する耐性。Dランク以下の魔術を無効化する。冥界の陰気にひたされた事で死が日常化してしまい、対魔力が著しく下がってしまった。
陣地作成(A+)
冥界の七門を自在に呼び出す。エレキシュキガルが立つところ、即ち、死が容易に振る舞われる冥界となる。
女神の神核(B)
生まれながらに完成した女神であることを表す、神性スキルを含む複合スキル。精神と肉体の絶対性を維持する効果を有する。精神系の干渉をほとんど緩和し肉体の成長もなく、どれだけカロリーを摂取しても体型が変化しない。ただしデミ・サーヴァントであるためランクはB止まりとなる。
秘められた大王冠(A)
イシュタルから取り上げたとされる宝によって作られた女神の冠。天と地、表裏一体の女神としてイシュタルの持つ様々な権能を己のものとするが、その効力は若干、暗い(陰気)ものに変化している。
魔力放出(檻)(A+)
エレシュキガルは勤勉で真面目、そしてやや根暗な女神である。彼女は普段から暇さえあれば魔力を槍檻に蓄えており、戦闘の際、それを使用する。
冥界の護り(EX)
冥界の柱として捧げられ、支配したエレシュキガルの権能。その終わりまで冥界を統べた彼女は冥界そのものであり、また、冥界に護られる女王となった。味方全体を支援し、また、彼女の宝具の性能を変化させる。
宝具
霊峰踏抱く冥府の鞴(クル・キガル・イルカルラ)
ランク:A
種別:対山宝具
レンジ:10~999
最大補足:1000人
大いなる天から大いなる地に向けて放たれるものではなく、地の底から地続きに行われる冥界の女主人の鉄槌である。
地震、地殻変動によってエビフ山脈を崩壊させるアースインパクト。 宝具の神髄は『地形を冥界にする』事にある。
冥界であれば絶大な権力を持つエレシュキガルは、彼女と共に戦うもの、そのすべてに強力な護りを与える事だろう。
真名
メソポタミア神話に登場する冥界の女神。
クタの都市神。冥界の女主人エレシュキガル。
エレシュキガルという名前は「キガル(大いなる地、冥界)の女主人」という意味。
シュメール名はエレシュキガル、別名はイルカルラ、ベリリ。アッカド名はアルラトゥ。
アッカド王朝時代末期のウンマ市のルウトゥ王はエレシュキガルの神殿を建立し、王碑文の中で「日が沈む所の女主人」の美称を用いている。
神話においてはイシュタルの姉ではあるが、『イシュタルの冥界下り』等のエピソードから、姉妹仲は非常に悪いと言われている。
人間関係・関連人物
stay night
遠坂凛
双子の妹。昔は自分より優秀な彼女を見て羨望と嫉妬抱いていたが、桜が養子になってからそうではなくなった。しかしエレシュキガルのデミ・サーヴァントになってからたびたび凛がイシュタルに見えることが多くなり困惑している。しかし仲は良好。
アーチャー
凛が召喚したサーヴァント。凛とよく口喧嘩しているのを見て微笑ましく思っている。
衛宮士郎
同じく成り行きで聖杯戦争に巻きこまれた隣のクラスの少年。凛は君付けで読んでいるが、エレは呼び捨てである。
間桐桜
没落寸前の間桐家の養子に出された妹。とても仲の良い姉妹だったが、協約により彼女と深く関わることは禁止されていた。このため、本編開始時にはお互いに他人の振りをしている。 しかし、自分は魔術師じゃないからオッケーという謎の行動によりめげずに桜に話しかけていた。桜こそ最初は困惑していたものの、今ではそこそこ話すようになった。しかしまだ距離はある。
言峰綺礼
兄弟子。時臣亡き後、凛たちの後見人となる。煩わしく反発している一方で、魔術に才能のないエレに八極拳を教えてくれた人でもある。しかし、エセ神父呼ばわりすることもあるなど基本的には信用していない。父の仇でもあるが、桜を養子に出した父親をそこまで気に留めていないので、恐らく憎しみはない。
三枝由紀香
親友。唯一、エレをエレちゃんと呼ぶ人物でもある。彼女つながりで氷室鐘、蒔寺楓とも仲良くなった。
美綴綾子
凛の親友。友人。
柳洞一成
生徒会長。凛とは仲が悪いが書記を務めてるだけあってエレとの仲は良好。似ているが本質的に違うことを見極めてる様子。
ワカメ(間桐慎二)
妹の義兄であり親友の部活仲間。 凛に歪んだ好意を寄せているので好きではない。なんなら桜にひどいことをしてるので嫌い。勿論彼も呼び捨てである。
間桐臓硯
死ね‼︎
キャスター
青いローブを纏った男。エレ自身がランサーのデミ・サーヴァントになったことにより、こちらはキャスターになっている。メディア?誰のことかな??
ギルガメッシュ
アーチャーの彼には「よっぽどのアレか勇者でないと話も通じない暴君」として半ば諦めの視線を向けている。せめてキャスターの「落ちついた頃」のギルガメッシュになってくれないかなぁ。
アサシン
黒い塊。即退場。good luck!
※もう一度 概要を 隅々まで 読みましょう。
Fate/stay night KUR NU GI A、及び ネタはあげるから誰か書いてくれシリーズは「コイツ全く書く気ないやん、クズだな、ぺっ。」ぐらいの気持ちで読め!むしろ私が文章化してるのが気まぐれなだけなんだ!私を蔑め!!コイツ何言ってんのとか思うかもしれないが私も自分で何言ってるかわからない!
たくさんのご感想ありがとうございます!続くかは未定ですが、とりあえず設定を読んでその後を想像してみてください。楽しいデスヨ!私も文章化できないときは、よくします。
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運命の夜
走る。走る、走る、走る。ただひたすらに遠坂
生徒会の仕事で、少し遅くなった帰り道。黒い塊と青いローブを纏った男が戦っているのを見た。しかしそれは人ではない、ナニカだった。アレは怖くて恐ろしいものだ。逃げなくてはいけない。
走って、走って、走って。その先は行き止まりだった、絶望。
「」
黒いローブを纏い、髑髏を模した白色の仮面のナニカが私に話している。恐怖でもはやソレが何を話しているかもわからなかった。異様に長い腕に意識もいかない。
短刀が振り下ろされる。嫌だ、死にたくない。まだ凛と一緒にいたい。それにあの子ともう一度笑い合いたいのに…。私が魔術を使えれば何とかなったのかしら、と思う。ああ、駄目だ。こんなときに、嫌いな魔術を頼るなんて。でも。だけど…。『諦めるの?』どこかで声がする。諦めたくない‼︎私は、まだ死ぬわけにはいかない‼︎
カッと光が自分の体に集まる。
黒い塊は一度距離を取り、後ろに下がった。向こうも驚いただろうが、一番驚いたのは私自身だ。しかし驚くことに、自分の口からすらすらと言葉が出た。
「サーヴァント・ランサー。召喚に応じ参上したわ。一個人に力を貸すのは不本意だけど、呼ばれた以上は助けてあげる。感謝なさい。」
「ランサー…だと?まさか…そんな…先程までただの人間だったはず…」
そう、黒い塊の言う通り。私は人間。のはず。
「…。……。………。って、何コレェ!?」
もう一度言おう、一番驚いているのは私だ。
自分が身に纏うは制服ではなく、黒いドレス。いや、姿を確認しなくてもわかる。これは、この霊基は。冥界の女主人、エレシュキガル。
そして自分の前世を思い出す。いや、正確には自分に前世というものが存在していることを、だ。詳しくはわからない。ともかく、自分には前世があってこの世界はゲームやアニメになったものだということ。エレシュキガルはその『Fate』シリーズの別のゲームに出てきた存在であること。
それから、自分が遠坂凛の双子の姉で、魔術回路のない遠坂家の劣等生が何故かデミ・サーヴァントになっている。マスターも自分自身。意味がわからない。
困惑と疑問と驚きでいっぱいいっぱいだが、まずは目の前の黒い塊ーーーーアサシンをどうにかしなければならない。
お互い時が止まったように固まっていたが、私はやっと口を開く。
「こうなったからには仕方ありません。戦うからには手加減はできないわ。覚悟なさい!」
そう言ったことでやっとアサシンも我に気づいたらしい。短刀を構え直している。
「いいわ、地の底まで落としてあげる!」
一瞬のことだ。自分の5本の神槍が浮かび上がり、そして放つ。アサシンは短刀で槍を弾くが腕に一本突き刺さる。すかさず、私は腰につけていた鳥籠を鳴らす。地面から冥界の怪物が顎を開き、アサシンを呑み込む。そのまま口を閉じて冥界に引きずり込んだ。
「何!?」
固有結界。いくらエレシュキガルだとしても、元はただの人間なのだ。本当のエレシュキガルのように冥界に落とすことはできない。魔術回路も持っていなかった私がコレをできるのは彼女のおかげではあるが。
「お願い、メスラムタエア!冥界の護りを知りなさい!出でよ、発熱神殿!これが私の『霊峰踏抱く冥府の鞴クル・キガル・イルカルラ』!!」
いきなり宝具を使うとは思わなかったのだろう。
「ぐああああっ!こんな……はずでは……!」
消滅していくアサシンに問う。
「ねえ、あなたのマスターは間桐臓硯?」
問いかけても返事はない。
「そう……いいわ。教える気はないのね。さようなら、アサシン。」
完全に消失したアサシンを見届け、固有結界を解くと、着ていたものも制服に戻っていた。どういう原理なのか。視界の隅で蟲が動く。
「…… 間桐臓硯。いえ、マキリ・ゾォルケン。聞こえているのでしょう?………貴方、殺すわ。」
殺意を向ける。これは、遠坂恵麗でもエレシュキガルでもない感情だった。『わたし』の感情だ。いや、桜のことを気にかけている遠坂恵麗と既に同化していた。前世を思い出すーーーこの世界を思い出すことは全てを知ることと同義だ。あの子…桜を助けるのは偽善かもしれない。私の我儘かもしれない。桜にとっては迷惑かもしれない。彼が先に助けるかもしれない。だけど、あの男だけは殺さなくてはいけない。そう思った。
ふと我にかえる。…このデミ・サーヴァント化について凛にどう伝えようか。そう思うと一気に殺意が焦りに変わる。
ともかくもう遅い。私は急いで家路についた。
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日常
「……。」
生徒会室では花瓶に入った花が一輪飾られている。そういえばどの教室にも必ず花が一輪あるな、と思いだす。
「ん?どうした、衛宮。花を見つめて。」
生徒会室で無心に花を見つめている衛宮士郎に柳洞一成は問いかけた。
「え?いや…意識したことなかったけど、この花って誰が置いてるんだろうって。この校舎の全教室に必ず花を置いてるだろ?大変じゃないのかなって。」
「なんだ、知らんのか。」
「え?」
意外そうに呟く柳洞に衛宮は驚いた。
「知ってるのか?」
「割と有名な話だぞ。それに知ってるもなにも、遠坂は生徒会の書記だからな。花についてもわざわざ置いてもいいか聞きに来たぐらいだ。」
「遠坂?」
衛宮の疑問に柳洞は顔をしかめた。
「おい、衛宮。間違ってもあの女狐のことではないぞ、遠坂凛じゃない。似ているが本質が違う。その双子の姉のーーーーーー」
そのとき生徒会室の扉が開いた。金色の髪の彼女は何故か、スコップやら手袋やら長靴やら、肥料までを片手に抱えて立っていた。
「ええと、取り込み中だったかしら?」
遠坂恵麗。件の遠坂凛の双子姉である。彼女は柳洞と衛宮を見て首をかしげていた。
「いや、平気だが、それは?」
「花壇に花を植えようと思って…。その許可をもらいに来たのだわ。」
何やら気恥ずかしそうに、視線を彷徨わせている。衛宮は遠坂凛とも遠坂恵麗とも今までまともに会話をしたことはなかったが、確かに双子であろうと、本質は違うのかもしれない。
「別に、構わんぞ。」
「……何の花を植えるんだ?」
「へ!?」
いきなりほぼ初対面の衛宮に話しかけられて驚いたのだろう。彼女は手に持っていた荷物を全て落としてしまった。
「あ、悪い」
驚かせたせいだと自負し、拾うのを手伝う。
「…… ブーゲンビリア?」
種の袋に書いてあった名前を読み上げる。いかんせん、衛宮は花の知識に乏しく、その花がどういうものか理解できなかった。
「魂の花、とも呼ばれるな?」
「ええ、柳洞は知ってるのね。」
「どんな花なんだ?」
「それは咲いてからのお楽しみなのだわ、ええと、衛宮!」
そういえば、名乗っていなかった気がする。
「ああ、うん。衛宮だ。衛宮士郎。」
「そう、私は遠坂恵麗。…それじゃあ、私はこれで。」
「ああ。」
嵐のようだったが、彼女はよほどブーゲンビリアという花が好きらしい。優しい微笑みだった。
ーーーーーーーーーーー
衛宮士郎主人公との初会合が生徒会室にて園芸セットを持った状態で、というのは些かどうなのだろうか。
それはそれとして、凛には未だ自分がデミ・サーヴァントになったことを伝えられていなかった。普段は人間なのだ。あの時は殺されそうになって必死にあの状態になったという感じだった。簡単にいえば、どうやってあの姿になるのかがわからなかった。伝えられたとしても、その証拠がないのだ。どうしようもない。
あれこれ考えて花壇に向かっていると、見慣れた自分の半身がこっちに向かって歩いており、思わずかけよった。
「凛?珍しいわね、いつもより早いじゃない。」
「家の時計、一時間ズレてたみたいなのよ。そういう、エレは……また花いじり?」
昔、私はいつも自分より早く出て行く私に何をしているのか凛に問い詰められたことがある。花のことを言えば呆れたようだった。
「は、花いじりという言い方はやめてほしいのだわ‼︎」
「はいはい、頑張ってね。」
これではどちらが姉かわからない。だが仲が悪い訳ではない。
しかし、時計の時間がずれていたーーーーということは今日は凛がアーチャーを召喚する日なのだ。そのことを頭の片隅に残して私達はわかれた。
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2月1日
すみませんでしたッッッm(_ _)m
全く気づかなかった自分が怖いです。
居間の方から爆発音がして目が覚める。大方、凛がサーヴァントの呼び出しに少々失敗した音だろう。
しかし、サーヴァント召喚など知らない魔術の魔もわからないような遠坂恵麗がしなければならない行動はひとつだった。
「凛!何があったのかしら!?」
居間の扉が倒されており、居間の天井はボロボロ。床は瓦礫にまみれ。そんな現場を見てエレは顔を青ざめる。女優になれるかもしれない。
ちょうど凛とアーチャーが話終わったらしい。アーチャーの顔は見えなかったが、凛のやばいといった表情が見てとれる。
そして、謎の男性と凛の密会。それに遠坂恵麗は、
「……。………ええと、お幸せに?」
「ちょっと待て!」
部屋をあとにしようとしたエレを、凛は全力で引き止めた。
「何を勘違いしてるか知らないけど、これはサーヴァント召喚‼︎聖杯戦争よ!前説明したじゃない!…あれ?説明したわよね、私⁉︎」
「さーゔぁんと?うーんと、うん。せーはいせんそーはわかるのだわ!」
「説明してなかった⁉︎」
賑やかな会話を織りなす彼女達を見て、しびれを切らせたアーチャーが凛に問いかける。
「凛、彼女は?」
「え?ああ…双子の姉よ。エレ、アレはアーチャー。」
「ええと、遠坂恵麗なのだわ。よろしくね、あーちゃー。」
「ああ。」
アーチャーの中にマスターの姉とはいえ、サーヴァントもわからない少女をここに残しておくのはどうなのか、という疑問が残る。
「ま、そういうことでアーチャー。最初の仕事だけど」
「早速か。好戦的だなお前は。それで敵はーー」
何処にいる、なんて続けるアーチャーの前に、凛はポイっとホウキとちりとりをアーチャーに投げつけた。
「下の掃除、お願い。私も明日学校があって休息を取らないと行けないし、これから簡単にエレに説明と今後のことについて話さなきゃいけないし。」
「ーーー」
呆然とするアーチャー。
内容の理解に苦戦し、待つこと五秒。
思考を取り戻したアーチャーは、ホウキとちりとりを強く、握りしめた。
「待て、お前はサーヴァントを何だと思っている」
「使い魔でしょ?」
「ーーー」
その言葉を飲むアーチャー。
「ちょっと待った。何故私がこんなことーー」
「アーチャー。これ、マスターとしての命令・・。貴方と私はサーヴァントとマスターなんだから、しっかり私の話は聞き分けないと。ね?まぁ、貴方はその程度じゃどうってことないだろうけど、私の疲れは明日以降の貴方に直結するのよ?そんな状態の私を戦闘に駆り出すのも、自殺行為じゃない?」
「…ッ、地獄に落ちろ、マスター。」
苦虫を噛み潰したような顔をしたアーチャーに凛は不敵に笑って
「エレ、行くわよ。」
「えっ、でも手伝ったほうが…」
「いいのよ。」
エレの手を引いて去っていく己のマスターを見てぼんやり思う。勿論、髪色などの細やかな違いはあるが容姿は瓜二つであった。双子であるので、当然といえばそこまでなのだが。…しかし、根本的な面は全く違うようだ。あの二人の性格を足して2で割れないだろうか、と考えながらアーチャーは掃除を開始した。
サーヴァント・サマーキャンプのエミヤの霊衣、かっこよすぎでは?
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IF
高い知性と誇りを持つあまり、冥界の主人という役割に殉じてしまい、がんじがらめになってしまった。美しいものを妬み、醜いものを笑い、欲しいものは他人の手に渡らないよう殺してしまう。
植物の成長と腐敗を司り、蛇や竜を使役し、冥界の使いであるガルラ霊を自在に操る。そして槍のような檻を自在に操り、ある時は敵を串刺しにし、ある時は魂を閉じ込め、ある時は稲妻を起こす。
地上の光も彩りも温もりも、一切冥界には届かない。けれど、せめていかな汚辱や苦痛にも苛まれることのない清浄なる静謐を。メソポタミア世界の全生命が最後に辿り着く霊安室、その平穏と安寧を保証した。
しかし、地上と自由を知る事なく神代と共に“私”は消えた。
「夢か....」
エレはそう呟きながら目を覚ます。これはきっと女神エレシュキガルの過去だろう。デミ・サーヴァントになったとはいえ、他人の記憶を盗み見ているようで気分はよくない。
結局、あの後凛に聖杯戦争の説明を長々と聞かされた。言葉を挟む余裕はなく、自分がデミ・サーヴァントになってしまったことは言えなかった。
そんなことを考えながら階段を降りリビングへ向かう。時刻は午後7時。学校を無断欠席してしまった。
「凛の説明ってわかりやすいけど、流石に疲れたのだわ」
リビングにはだれもいなかった。おそらく凛とアーチャーは下見に出かけたのだろう。リビングの椅子に座る。まあいいか、これでゆっくり…。ゆっくり?
「……ちょっと待って。よく思い出しなさい、遠坂恵麗。今日って確か衛宮が…。」
ガタッと音を立てて立ち上がる。が、また座る。そうだ、私が行って何になるのだろうか。私がいなくても物語は滞りなく進むだろう。むしろ行けば邪魔になるかもしれない。
「ん?でも私はランサー…。つまりクー・フーリンがいない?」
それは困る。あ、いや勿論、衛宮士郎に死んでほしいとかではない。原作の衛宮士郎は、夜の校庭で争うランサーとアーチャーを目撃して、ランサーに心臓を一突きにされて即死寸前の致命傷を負い、凛に蘇生される。
しかし、衛宮士郎の生存を察知したランサーに再び襲われ、逃げ込んだ土蔵で偶発的にセイバーを召喚し、争いを収めるべく魔術師同士の殺し合いにその身を投じることになるのだ。
もし、衛宮士郎がセイバーを召喚しなかったら?もし彼が聖杯戦争に参加しなかったら?彼がいなければ救えた命も救えないかもしれない。
そんなありとあらゆる『もし』が頭の中で、浮かんでは消える。
「ああもう!考えるのも面倒なのだわ!とにかく行けばいいのよ!」
立ち上がり準備する。行ってから考える。これでいい。足手まといになろうが、取り越し苦労になろうが、まずはその場所に向かうことからは始めよう。
短くていいなら更新できることに気づいた(多分、おそらく、きっと)
(´-ω-`)
投稿は……頑張ったらクリスマスぐらいにはできる……と思われ…がくっ(死
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