[WR]FGORTA YAMA育ちレギュ [66日22時間15分32秒] (HIGU.V)
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FGOシャドウ・バーサーカー討伐RTA YAMA育ちレギュ
キャラクリ~完走まで


リハビリがてら流行りの小説形式に挑戦したので初投稿です。


はぁい、よーいスタート

 

というわけでタイトル通り、本RTAはFate/GrandOrder RPG(以下FGORPG)の、プロローグに当たる冬木ステージでの隠しイベント戦闘枠として名高い、シャドウ・バーサーカーの札害を目的とした、単発RTAです。

 

計測開始ポイントはタイトル画面のNew Game を選んだ時、タイマーストップはシャドウ・バーサーカー(以下シャドクレス)戦闘勝利による、トロフィー『廃城の陥落』が出現したタイミングです。

ルールとしては自陣営鯖によるシャドクレスへの攻撃禁止、シャドクレスをトレインして戦闘にまきこむのも禁止。遭遇エリアで自力で討伐します。MOD改造はなしのバニラ環境です。

 

FGORPGの人気なRTAレギュはやはり、1部か2部のクリア時のトロフィー取得RTAですので、長期戦になります。

そのため、そちらの走者兄貴達はキャラクリの際に豪運が発動したので妥協したり、

途中のガバも後で挽回したり、オリチャーでいくと宣言して続行してます。

RTAとしては、ちょっとズレてるかな?

 

本RTAは再走要求兄貴もニッコリの厳選に厳選を重ねた、KNPKなチャートで走ります。

単発の比較して短いレギュレーションなので、練習の際もだいたいこのキャラクリ厳選で

────3,40■■■は使ってます。

そのため、チャート自体に更新の余地がなければ、多分これが一番早いと思います、我々の勝利だ(フラグ)

 

こうして、ルールを説明している間に、画面ではキャラクリの厳選が行われております。(✕■■■倍速)

 

まだ続きますので、解説しますと、全トロフィーコンプで開放のチートモードを使った調査で、YAMA育ちと俗に言われる、魔術師ではない戦えるマスターは、プレイヤースキルがどれだけ高くても、土俵に上がるのに、必要な項目が複数あります。

じゃあ、なんでこんなレギュにしたのかというと、私がYAMA育ち系キャラ好きだからです。

葛木先生鯖の実装ま~だ時間かかりそうですかね?

まぁ、楽しみ方は無限大って、それ一番言われてるから。

 

そうこうしているうちに、録画が本走のデータにはいりますので、お約束をば

 

はぁい、よーいスタート

 

 

すでに親の顔よりも見たキャラクリです。最初の名前は何も入力せずスタート連打。

こうすると、入力速度的に最速です。名無しじゃ呼びにくいので、【大】英雄に【勝る】ようなマスターになれるように、大くん(仮称)としましょう。

 

性別は男、自キャラを女にするカマ野郎でもないので(挑発)

理由としては選択枠の上にあるのと、先程述べた土俵に上がれる確率が若干ゃ高いからです。

まあ厳選時間が2,3割増えるので良ければ、女でも問題無く走れるのでノンケ兄貴も走って、どうぞ。俺もやったんだからさ?

 

次は一般家庭か、魔術家系かの選択ですが、ここでRTAポイント。

大くんに(文化的な生活なんか)必要ねぇんだよ!!

選択肢に■■■して、入力せずに進みます。ここのタイミングと操作が慣れるまでリセポイントなので(114514敗)RTA走者になって、練習しよう!()

 

そして、鬼門のスキルと特性の部分です。魔術師なら属性や系統などを、パンピーならば部活や嗜好などを決める質問がでるのですが、大くんは(なにも)ないです。

そうすると、なぜかこの段階でステータスが閲覧できます。

本走ではステータス確認なんてやってる時間はないので、この段階で確認して厳選する必要があります。

だから、人としての最低限の尊厳を捨てる必要があったんですね(構文)

 

さて、今回調教する少年は■■、まだ0歳のこの少年は私の過酷な厳選に耐えることはできるのでしょうか、それではご覧ください(卍解)

 

 

 

 

スキル一覧

【一意専心A】【戦闘技術(カラリパヤット)】【対英雄B】【戦闘続行C】

マイナス特性一覧

【好色】【文盲】【カ■■■■■】

 

 

 

 

 

 

うわぁ、これがYAMA育ちですか。おまえ、サーヴァントみてぇだな?

 

と、凄まじい引きですが、実はこれでもギリギリだったりします。

具体的な基準は、身体能力へのボーナスと、戦闘スキル向上速度へのボーナスが一定以上必要なので。

ですが、走れる範囲ですから、■■■■回目の試走というつもりで開始しました。

結果から言うと高タァイムでしたので、初投稿しました。

 

既プレイ兄貴姉貴達はご存知ですが、操作キャラのスキル内容は鯖のものと=ではなく、人間の範囲でどれだけかというものです。

ランクも目安みたいなものなので、大くんは、

【信じたものに一直線な、しぶとい英雄殺しで、文字が読めない上にエロいこと好きで武術で悟れない■■■】

という、むかしのバトルラブコメ漫画主人公みたいな感じというだけです。

 

ステ確認を終えたので、ゲーム設定をしたら本格スタートです。

開始年代を人理焼却の24年前にして、場所はランダム……でも日本でもなく、最適を選びましょう。

素質にあった場所になります。多分インドの山奥で修行してる感じでしょう(虹男感)

 

 

それでは、影堕ちした大英雄の討伐に、イクゾー!

 

 

キャラ出自のムービーはキャンセルだ。

家庭を選ばない最適スタートですと、操作可能なキャラは幼少期で始まります。

さて、今回は。

 

────目覚めた貴方は寝蔵を塞いでいた石をどかして外に出た。

 

────今日の恵みを確認するが、死にかけの肉だけのようだ。

 

ふむ、第一条件クリアですね。

操作可能になったら、目の前のものを取得したらアイテムを確認、食料を選択して食べるを選択します。

 

────貴方は活力を得た。

 

あ、来ました。これで条件でのリセポイントは終了です。

この後はいかにチャート通りに行動できるかになります。

 

幼少期は自宅マップ、イベントマップの2つしかないです。

自宅マップでアイテムを使ったり、作成したりする、いわゆるホームです。

見ませんがステータスもここで見れます。

イベントマップはいわゆる通常プレイの街や学校などが1まとめになった場所で、修行や休憩などやることを決めるか、強制イベントが消化される場所です。

 

ゲーム内時間的には、初期状態では1年に3回くらいしか行動ができません。

食べるモーションが終わったら、イベントマップに移動して、修行を選択。

序盤は持久力を意識して上げる必要があるので、走り込みを選択。

 

 

あとは大くんがひたすらこの狭いところをハムスターみたいに走り回ります。

当然倍速しますが、修行終了までこんな退屈な画面が続きます。

ですので、退屈な皆様のために~。

 

 

今後の流れを説明します。

まずはとにかく持久力を目標レベルまで持っていきます。その後は戦闘訓練を気が狂うまでやりまくります。以上。

今回は天性の肉体♂を持っていないので、劣悪な環境でどうやってド迫力な肉体を作るかでしたが、デメリット特性がいい仕事してくれましたね。本当に食べてしまったのか?(ニヤリ)

 

大くんの現在の状況はシンプルで、よくわからない魔術師の工房近くの山にいます。

ろくでもない魔術師が失敗した色々な物や、要らなくなったものを廃棄する場所です。

ご丁寧に外にばれないように、結界がはられておりますね

 

完走後に確認したのですが、大くん自体も実験体の一つでどっかから買われてきた身でした。

要らなくなって裏山にポイしたら、しぶとく生きてたという感じですね(戦闘続行)

魔術師の鏡がこの野郎…(罵倒)

 

メタ的にはツッコミどころは多いですが、ゲーム的には孤児スタートの中で戦闘スキルを持つと、こういう形になります。そのための厳選……厳選、後そのための最適スタート?

 

買われる前に見様見真似で覚えた武術を一心不乱に自己流に磨きながら、たまに捨てられる実験生物とバトル!! 倒して食らったり、死体を有効活用したりして過ごします。全てはチャンス♂

 

この形の孤児スタートがカルデア合流には2パターンあり、魔術師に再度売り飛ばされる早期合流と、

強制イベントによる直前合流です。

 

どちらになるかは、人理焼却の時の年齢が10代以下ならば前者、そうでなければ後者になります。

一見前者のほうが早そうに見えますが、マシュや、死ぬ方のオルガ、隠れビーストくんとのハートフルイベントや、人間性を取り戻してく流れがあります。イベントに次ぐイベントで短縮ポイントもなく、倫理的に(魔術師として)まっとうな範囲でしか訓練できないので能力の伸びもバランス型になってしまいます。感動的だな、だが(タイム的に)無意味だ

 

一方後者は、ギリギリまで無茶苦茶な訓練を詰めます。将来的に隠れビーストとの距離感調整が必要、周囲からの好感度が稼ぎづらい、近代以降の鯖に嫌われる等、色々デメリットもありますが、それはゲームクリアに対しての制限がメインです。本レギュでは……なんの問題ですか?

RTA的にはうまテイストなので、大くんは24歳、学生(大嘘)でいてもらいます。

 

 

そうこうしているうちに、大くんが1度目の強制イベント、会話のできる人間との遭遇がきました。

 

────今日の恵みは珍しく生きているようだ

 

────貴方は

 

・声をかけ揺り動かす

・抵抗できないようにする

 

ここは上を選びましょう。3回あるイベントで2つ以上、下の選択肢を選ぶとガメオベラになってしまいます。

下のほうが共通して短いですが、最もタイムが大きいイベントにとっておきましょう。

 

 

「……子供?……そう、こんな子まで……」

 

このイベントは、大くんが発声を思い出すイベントです。

言葉は覚えてますが、ずっと一人なので喋っていない設定だそうです。はぇ~すっごい細かい。

でも、古今東西の英霊やスタッフ誰に対しても言語が通じるのはオカシィダルォ!!(豹変)

 

会話内容は適当に飛ばします。どうせ長くない命だし、パパパとやって、終わり!

幾ばくかの会話の後、寝床に運んで、死ぬまでたまに話をする関係になりました。

半死体を尻目に、特訓メニューを開始します。

 

1つ目のイベ後は持久力、持久力、戦闘技術のループに切り替えます。

やることは同じなので、甥の木村加速します。

ゲーム内で数年が経ち、操作モデルの等身が大人サイズの物になりました。

 

ここで、2つ目のイベントも発生しました。

先程少し述べた、実験体との戦闘イベントです。

内容は様々ですが、大体は死従の成りそこないみたいなのか、ゴーレムみたいのか、ホムンクルスとかです。

貰える経験点は同じですので、気にする必要はないです。

 

今回は、ホムンクルスのようです。

ところで、これを作った魔術師はどんな系統の使い手なんでしょうか?

不思議ですね。

 

まっすぐ此方に向かってくるので、攻撃に合わせて回避、懐に潜り込んで、当て身!!

見事に決まりました、1SK(シャドクレスキル)ポイントです

体制を崩したらそのまま蹴りを打つべし、打つべし、SKキック!!

 

マスターと言うか、操作キャラの戦闘ですが、どんなジャンルの格闘系スキルを持っていても、操作的には代わりがありません。魔術師ならば、魔術によって色々バリエーションがありますが、肉弾戦は武器の種類位です。

大くんは当然素手なので、それ用のモーションです、武術がわからなくても大丈夫、ゲームだから安心。

 

スキルとステでヒット時のダメージがきまります。今戦闘中の敵はフランス後半~ローマ前半位のレベル帯ですが、タイマンならば問題ないです。一意専心のおかげで、成長効率が高くダメージレースでは勝ってます。

やっぱり、YAMA育ちを……最高やな! ストーリーだと最終的には補助をかけてもらうか、装備を開発してもらわないと前線に出られませんし、鯖で殴ったほうが早いです。それでもバックアタック時や多方面作戦のときの戦力分散の際の安定感が断然違います。

 

プレイヤースキルが物を言うので、好みは別れますがね。

というか、色々やばいものを食ってたせいで、肉体にも何か変調が出てるみたいですね。RTAなので確認しませんが。

 

蹴り続けると敵が死にます。

 

────断末魔のような叫びとともにソレは動かなくなった。

 

────貴方は、身体に痛みを感じる場所を触ると、そこにはたしかに熱があった。

 

・楽しかったなぁ

・もっと上手に処理できたはずだ

 

上を選択っと。この後も肉を食べ、修行します。

幼少期の終わりまでひたすら戦闘訓練です。レベルを上げて物理で殴れるようにしましょう。

持久力が高いと、次のイベントまで2,3回多くできるので、うまあじです。

 

操作しての戦闘は先程のが最初でしたが、内部的には結構バトルしてるみたいですね。

どんな環境だよ……ホムンクルス、生死をかけた戦い、【好色】……あ、ふーん(千里眼)

 

3回目のイベントが起きるタイミングは確定です。

まあ、時計もカレンダーもないので、大くん的には不明ですが、前2つと違って朝起きた時に演出が入るのでわかります。

 

────貴方は目覚めた。今日はなにをしよう。

 

はい、体が一夜にしてマッシブな筋肉質体型になりました。切れてるよー!

どれかの鯖のデータ流用だとおもいますが、詳細は不明です。

要するに、本編用のキャラになったということで、開始の合図でもあります。

 

これ、マジ? 単発RTAなのに、ここまで長すぎだろ?

 

この状態になった後、外に出るともう戻ってこれないので、部屋の食料を全部食べてブースト。

カルデアに行ったら食べれないお肉だからね、仕方ないね♂

装備なんて上等なものはないのですが、ホムンクルスが落とす素材は所持しておきましょう。

魔術的知識がないのに、これだけの素材を?

 

さて、準備を終えたら外に出ます。

するとイベントがはじまります。

 

────貴方が外に出ると、遠くの方に何かいることに気がついた。

 

・様子を見る

・攻撃を仕掛ける

 

 

とっておいた下の選択肢を選びます。

アイサツ前のアンブッシュは1回まで許されるからヘーキヘーキ

 

────飛びかかった貴方は突然体の自由が効かなくなり、その場に倒れ込んだ。

 

「本当にいたとは……」

 

「ヤツの供述どおりですね、リーダーどうしますか?」

 

「命令通り、捕獲、いや保護する」

 

 

3人に勝てるわけ無いだろ! 馬鹿野郎俺は(シャドクレスに)勝つぞ!!

確定負けイベントなので、気にせず意識を手放します。

先にいったとおり、下が蛮族選択肢で、これまでに2つ以上選んでいると、手に負えないと判断されここで処理されます。

チートモードでアホみたいに強くしても負けます。3人は、どういうあつまりなんだっけ?(カルデア)

もう、君等だけで人理救って、終わりでいいんじゃない?

 

暗転して起きたらカルデア入りしてます(超スピード!?)。

イベントムービーが入りますが、いつもの適性が高い予備扱いというアレなので倍速です。

YAMA育ちで、社会性能力皆無の24歳を受け入れるカルデアの人材不足深刻すぎない?

 

操作を受け付けずに原作主人公が居眠りするイベントにそのまま移行するので、終わり次第Aチームを尻目に退避しましょう。この時点での大くんの注目度や価値なんてゴミみたいなもんです。名前もねぇ、職もねぇ、魔術と科学は何者だ。状態ですから仕方ないです。このゲームのレイシフト適正は初期の立ち位置以外には一切影響がないので、気にせずにウロウロします。目的地は自室です。支給されてガチャれる石や、回復アイテムを回収します。

 

────聖晶石✕3を手に入れた。黄金の果実✕2を手に入れた。

 

YAMA育ちレギュ(命名私)ですと鯖は強制召喚の1回のみです(それもレイシフトの位置調整次第で飛ばせます)

厳選も一切必要がないです。非常に簡単で、非常に走者に優しい。

鯖による攻撃は禁止しているので、基本的には令呪で原作主人公さんの所に加勢に行かせる形です。

それじゃあなぜアイテムを回収したのかというと、時間調整です。

ゲームでは一瞬ですが、内部的にはアイテムを回収すると時間が経過するようで、本社の如くカルデアが爆発します。多分隣の部屋では、主人公とロン毛のお兄さんがイベントをしてるのでしょう。

 

爆破が起こったら、あとは管制室に飛び込みます。この際マシュと主人公の方に行かないように注意しましょう。

会話イベントが発生してしまいます。約15秒ロスです。

 

『中央隔壁封鎖します。館内洗浄開始まであと180秒です』

 

このアナウンスが流れたら、位置取りをこのように、左半分が吹き飛んだコフィンから、二歩ほど右にスタンバイします。

検証の結果、この位置ですとMAPポイントでいうとX-Gの少し北にレイシフトします。ポジショニングをしたら、最初にして最後の休憩ポイントです。

メニューを開くと時間が経過しないので、ステ確認はできません。指のストレッチをしておきましょう。

 

これ以降の戦闘はすべて手動になります。

そして、肝心のシャドクレスですが、このままノーミスで挑んでも乱数次第で普通に負けます。

影でも大英雄、そう簡単に倒せるほど甘くないです。じゃあ、なんでアインツベルンは負けたんですか?

バーサーカーだからですね、所詮アインツベルンは御三家の敗北者じゃけぇ。

 

いくらYAMA育ちでも、人間では英雄に勝てません。シナリオ的にマスターだけで倒しても、その後の会話イベでは、鯖と一緒に倒したことにされます。まあ、シナリオは絶対だから仕方ないね♂

スキル対英雄でシャドクレスは多少ステータスが下がってくれます。あとは立川のセイヴァーもやってるこの格闘技で戦い、戦闘続行があるうちに押し切る。これで勝率は3割ほどです。そのうち7割弱は、倒した直後に出血ダメでGameOverでしたが、まあRTA的にはセーフです。

そう、厳選の段階で、土俵に立つためのメタスキル、戦うための戦闘スキル2つ以上、成長性を早めるスキル。全てが高水準で必要だったわけです。

 

『番号47 藤丸立香 番号48 未登録 2名をマスターとして再設定。アンサモンプログラムスタート。霊子変換を開始します』

 

大くんは仮称だから名前がないです(二度目)

それでは冬木にのりこめー。

 

俺の秘策見せてやるよ!!

 

 

 

画面切り替えが終了すると、廃墟とかした燃えた都市最初にして大くんの最後の檜舞台、冬木市X-Gに到着します。

 

通信状態確認! 不通だなぁ!

さて、現状の大くんですと、数で囲まれると死んでしまいます。ですが、このステージはシャドクレスさんが整地してくれており、ザコ敵が存在しません。最速を目指す大英雄の鏡、武器も身体もデケェな!

 

なので最後の準備を。さっき手に入れたアイテムをショートカットにセットします。1つずつ選ぶより、上から自動登録のほうが若干ゃ短縮です。これで戦闘中アイテムを使えます。

レイシフト前に行うと、極稀に消失してしまうバグが確認されてますので、安定をとってこのタイミングです。

 

ルートは当然覚えておりますが、南に進みます。すると、お誂え向けにイベントがありますという広場がありますので、そこに入ります。すると

 

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

はい、来ました。この声を聞けると安心します。

ああ、やっとRTAがおわるんやなぁって。

 

────黒い、黒い影を纏った、いや影そのものが漢の形をしていた。

────巌のような肉体が黒く揺らめき、此方を威圧している。

────あれは、警鐘のように、ただの人間には勝ち目がないことを知らせているのだ。

 

TDNは人間だった……?

 

さて、戦闘開始です。ちなみに上の文句はYAMA育ちだろうが、一流魔術師だろうが、パンピーだろうが、「」につながってる娘だろうが、同じです。なぜベストを尽くさなかったのか(物理学者並感)

 

まず大前提として、クロスレンジでの勝負です。エリチェンでのトレインもできないので、真っ向勝負です。

本家ヘラクレス(狂)と同じ斧剣持ちですが、モーションの種類は減っており、弱体化はしてます。

距離を離すと、地面に叩きつけて石礫で攻撃、中距離ならタックルしながら斬撃、それより近いと斧剣よりも掴みと投げをしてきます。必殺技的なモーションと、宝具はうってきません。シャドクレスさんありがとー! フラッシュ!

それでも今の大くんの耐久ですと、3回被弾でガッツ発動です。3回だよ、3回。

なので気合で避けます。そして懐に潜り込みます。

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

攻撃のタイミングは、この咆哮と同時にきます。聞いてからだと間に合いませんが、BGMとSEをOFFにしてVOICEだけにすると、音の入りのノイズを聞いてから避けられるらしいっすよ? 僕には無理です(半ギレ)

 

初手は必ず石礫なので、周りこんでダッシュ! スタミナを気にする必要はないので全力です。止まるんじゃない、犬のように駆け巡るんだ。

 

懐に入ったら、当て身でちまちま削ります。何度か攻撃をすると、武器をしまってくれるので、そこからはひたすらステゴロで殴り合いをしましょう。戦闘技術(カラリパヤット)のおかげで、防御に補正がききます。攻撃はガードしながら受け流すように避けましょう。

シャドクレスというより、シャドウ鯖には部位破壊の概念がないです。そのためどこを攻撃しても同じですので、本能の赴くまま、一番モーションが短く当たる攻撃を繰り返します。

 

「■■■ー!!■■■■■■■■ーーー!」

 

おっと、この咆哮は1/4削るごとにあげてきます。親切設計でホント助かる。

しかし、攻撃もより苛烈になります。狂化して、影化してこの技の冴え、誇らしくないの?

 

────生物としての格が違う!! こんな化け物に勝てるわけがない!!

 

・逃げる

・戦い続ける

 

馬鹿野郎! お前、俺は勝つぞ!!(対英雄)

大くんがビビってますが、気にせず続行です。

 

RTA最大の見せ場なのですが、地味な漢の殴り合いになってしまいます。

先駆者の天性の肉体持った一般人()にバフ盛り盛りして、回復じゃぶじゃぶ使ってビルとかぶっ壊しながら大怪獣戦闘ごっこしてるのもあるのですが、あれは、RTA的には真似できません。事前準備にかかる時間で人理修復できるって、それ一番言われてるから。

 

そうこうしているうちに、あと1/4まで削れました。

これ以降は、今までノーヒットで来ていたとしても、一発被弾でガッツ発動です。

最初から狂ってるのに発狂モードとかこれもうわかんねえな?

 

 

────黒い死神のような存在が、少しずつ此方の命を刈り取っている。

────底に穴の空いたタンクから漏れるように、身体のエネルギーが、酸素が、何もかもが抜け落ちていくのがわかる。

────まだ、戦えていること、いや立てていることが奇跡なのだ。

 

そして問題なのが、この辺で大くんのスタミナが切れます。

ご覧の通り、すでに1割ちょっとしかないです。

 

スタミナが切れると、行動を入力しても、受付までラグが発生します。

要するに、回避も攻撃もできなくなります。1%残っていればムーンサルト打てるのに、0だとジャブも無理です。

 

ここで、戦闘続行と先程回収したアイテムが生きてきます。一発被弾して、ノックバックと戦闘続行を発動、距離を詰められる前に、アイテムを使って立て直します。あとは、ノーミスで削りきればクリア、勝った! 第3部完!! でタイマーストップまでの流れです。

秘策が秘策じゃなくて、正道すぎるって? まま、そう焦んないで。

なにせ、召喚がいらないYAMA育ちでのマスターによる撃破ルートでしたので、以前のチャートでは、アイテム回収の時間で、素材を売った金で拳装備の武器を用意してたんですよ。確かにスタミナが切れるまでに削れるようにはなったんですが、それは乱打戦になったらで、アウェーボクシングみたいな動きをされたら結局ジリ貧でした。

そこで、基本に立ち返ってガチャ用のアイテムを回収しに行く必要があったんですね。

 

 

さて、ここで予定通りシャドクレスの大振りな攻撃を、あえて避けずにガードで受けます。

 

「────ッンガハァ!!」

 

操作キャラの初ボイスが、嗚咽混じりの悲鳴とか、ハーメルンも汚くなったものだな。(他人事)

 

────一撃だ、たった一撃で全てが吹き飛ばされてしまった。

────戦うと決めた決意も、背中を見せたくない矜持も。

────そしてなによりも、大嫌いな生存競争をするための虚飾も。

 

戦闘続行が発動、ダメージエフェクトで血塗れになった大くんがふっとび、広場の隅まで吹っ飛びます。森の強打者ゲームならヒット止まりですが、結構飛びましたね。

 

────戦うのは楽しくない。だけど楽しいフリをしないと心が壊れる。

────死にたくないけど、生きたくない。

────だって、自分の楽しいものは、すぐに壊れてなくなってしまう。

 

ゲーム的にはHP1で耐えた感じですが、普通は死にますよね。

ここで、アイテムショートカットを使用。登録されたアイテムが使用されます。

 

────それでも喰べなきゃ、恵みを貪べなきゃ、死んじゃうのだから。

────あの筋張った、生臭い、赤と白い物だけが、生きる糧なのだから

 

!!!【黄金の果実】は特性【完全肉食主義者】のため使用できません!!!

 

ヌッ!! ファ!? 

え、ちょっとまって、え?

 

!!!【黄金の果実】は特性【完全肉食主義者】のため使用できません!!!

 

>というか、色々やばいものを食ってたせいで、肉体にも何か変調が出てるみたいですね。RTAなので確認しませんが。

 

>肉体にも何か変調が出てるみたいですね。

 

ああああああああああああ!!!

もうやだああああああああ!!!

 

後から調べたのですが、大くんは劣悪すぎる環境に適応するために、後天で肉食主義者の特性を取得していました。

これは【カ■■■■■】と同じで、該当食材に追加バフを、それ以外は効果料減少ですが、完全がつくとさらにボーナスが得られるのと引き換えに、それ以外は一切受け付けなくなります。

何だこれは、たまげたなぁ。大くんはただでさえ【好色】なのに、肉食系男子とかやはり24歳は野獣だった・・・?

 

プレイ画面では、完全に焦って動きが固まってますね。無情にシステムメッセージログだけが表示されてます。

 

 

────黒い影が、今度こそ仕留めるという意思のもとに斧剣を手に取った。

────あの死神が3度踏み込めば、貴方は終わってしまうのだ。

 

────いままで食らってきた、全ては、あの漢の剣の染みになるのだ。

 

「死にたくない……生きたくない……死ねない……生きられない……」

 

おや、これは……?

 

「生きられないのに、死んでたまるかぁ……こんなの間違っている……」

 

ショートカットに登録する際に、自動で上から登録してました。なので、今回は他のアイテムを使用してしまったのでしょう。

困ったときのレバガチャですね。

 

────貴方の中にあった、眠っていた何本かの【回路】が回りだしたのを感じ取る

────その奔流は身体から地面へ周囲へと伝播する。

 

はい、回収していた石は3つ、つまり単発1回回せます。

初回ガチャは確定で鯖が来ます。何が来るかは基本ランダムですが。

 

────虹色に輝き出したその光は、一層目映く広がり、視界を覆った。

 

ここで星5を引く豪運、さっきのとで相殺ですかね?

 

────光が収まるとそこには一人の女が佇んでいた。

 

「サーヴァント、キャスター……」

 

────今まで見たどんな『人』よりもその肌は──燃える街から漏れる光が照らして──黒くて

 

「喚ばれて、しまいましたか」

 

────美しくて、不味そうだった。

 

 

 

はい、召喚完了です。ここまで空気読んで待っていてくれた、シャドクレスも、会話イベントまでは待ってくれません。

 

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

 

で~す~が~、初回召喚はイベントなため

 

 

────彼女との繋がりを確かに感じる。自分の何かが持ってかれている様子だが、死ぬようなものじゃなさそうだ。

 

回復が入ります。

しかもアイテムみたいに、1秒辺り10回復とかでなく、昔のゲームのように瞬時に回復です。

これは強い。

 

「マ、マスター!! あ、あんな物が来たら、死んでしまいます……!」

 

後数発殴れば死ぬので、問題ないです。

 

仕切り直しとばかりに、大くんは特攻していきます。念の為今引いた鯖には待機を命じます。

 

 

「そこで待ってて!!」

 

「!? ま、マスター? 何を」

 

最後の一撃くれてやんよ!! 渾身のSKキックを入れたら、

 

 

「■■、■■■、■■■ー」

 

 

!!!トロフィー『廃城の陥落』を獲得しました。!!!

 

 

 

はい、計測終了。記録は5時間30分でした。

完走した感想ですが、最後の召喚はやっぱりロスイですが、物語的には山場が作れたので、OKです。

最速の最適チャート? なんのこったよ?(すっとぼけ)

 

人理修復RTAに比べて短時間なんで、皆も走ろう!!

俺もやったんだからさ。

 

それではまた!!

 

 



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裏:レイシフトまでの彼の活動記録

自分が書きたくなったので、初投稿です。
長くなったので、裏話なのに補完しきれてないです。


首後ろを掴まれ持ち上げられたような。

夢現だった所を起こされたような。

 

そんなものが、自分の持っている大切な記憶だって言うことを、彼は当然のことだと思っている。

 

熱中していた物が何だったのかも、言語化できないのに。

そうなった経緯もそれを共有した人も、存在しないというのに。

 

 

「………………」

 

彼は、それでも自分が別段不幸だったり、幸せだったりという物を知らないし考えない。

尺度がないからだ。彼には自分と今しかない。

少しばかり考える知能と、言語化して整理できる知性。その程度しか持たないのだから。

 

 

「……!」

 

それでも茹だるような暑さは嫌いだ。

直ぐに、嫌な匂いがするようになるからだ。

それでもこの地域は特に暑いときに信じられない量の雨が降る。

それがなければ彼は渇いていたのだから文句は言えないであろう。

 

「…………ンッ!」

 

彼は今日も寝蔵からでると、目の前に落ちている物を確認する。

3回続けて有るときもあれば、7回寝てもないときもある。

だからこそ、あることを見つけたのならば、安堵感と喜びのような物を覚える。

 

久々の『恵み』なのでまずは、可食部の多い所に噛みつきたいが、こらえる。

数少ない自分の道具である、石と廃棄部を鋭く削った「剣」で腐りやすいものを取り除く。

 

それは一般的にはナイフと喚ばれるのだが、彼の10年の生において、さらに短い経験では、切れる長いものは「剣」と定義されるものだった。

 

一通り、取り除き終わったらあとは……

 

「…………」

 

獣のような、食事の時間だ。

 

 

「──ッ!! カフゥ!!」

 

生臭い、生きていた生物の肉を食らう時、彼は少しだけ思い出す。

違和感のような、そんな記憶を。

 

これを食べていたような気がするのだ、

昔、どこかで誰かと一緒に、それは何かもっと美味しいものを。

────いや、これは美味しいものではない。

空腹が満腹に変わっていく中で、四角い箱の中でせわしなく動く人を觀たきがするのだ

────その違いに気がついてはいけない。

 

自分の残香のような、記憶が名前すら忘れてしまった自分が、

人間であった頃の記憶が、今の野良の獣のような物だったように、すり替わっていくのだ。

 

それを学者は適応とよび、詩人は忘却といい、彼らは進化と命名する。

 

名前もない彼はそんなことを知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの時間をかけ、満足するまでの食事を終えると、後は眠るまで走る。

この10を10回数えた数踏みしめれば、同じ場所に戻ってこれるほど狭い場所で、彼がすることは、只々倒れるまで走るだけだった。

 

熱病に浮かされたように、少しでも長く走れるように自分が最も楽な形で走れるように、少しずつ 少しずつフォームを変えながらひたすら走る。

 

理由は大したものじゃない。なんとなく憧れた、なんとなく格好良いと思った。

そんなモノがそうしていたからだ。それは走って跳んで、靭やかに体が回り、伸びて戦う人だった。

朧気に真似して誰かとそれをやってみた。自分はいつもやられ役の丸い板を持った男の役だった。一度真似してベトベトする物を身体に塗って、大きな人に怒られた。

 

そんな、普通の子供ならば、誰しも持っていて、きっかけがあれば思い出すが、記憶の片隅の片隅にしまっておくようなもの。それだけが人でいられる(食べると寝る以外をする)理由だった。

 

もっと早く走ってあの動きをしたい。

もっと高く跳んで蹴り上げたい。

もっと上手く体をそらして、吹っ飛ばしてやりたい。

 

閉ざされた狭い世界では、食事があっても、心が腐り死んでしまう。

単純な子供ならばそれはもっと早い、だが彼は2つの点で不幸だった。

一つのことに取り組む能力に秀でてしまっていた。

取りつかれたものが、生の苦しみから解脱するものが極めるほど深いものであったこと。

 

だから、彼は狂って死ぬこともできなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走って、走って、走って。寝る前にはひたすら体を曲げて。

食べ物が来たら残さず喰らう。

 

そんな代わりもしない生活を続け、髪の毛が地面についてしまう程になった頃。

いつものように、恵みを確認に起き出した彼は、初めての出来事に出会った。

いつもみたいに、白い石のような肌の色ではなく、自分に近い色の肌の色だと言うことは珍しいが、そんなことではない。

 

それは、恵みが生きていたのだ。

いや、生きていたモノが来たことは多々あるが、それは明確な意識をもっていた。

呆然と地面に背中を付けて寝ているが、目は瞬きをして、眼球は動いている。

 

「……子供?……そう、こんな子まで……」

 

初めての状況にどうするか考えていると、それは此方に話しかけてきたのだ。

 

「……だ……ぁ……れ……だ」

 

彼は、痛みを覚えた時、力を入れる時。そんな時しか声を出すことをしていなかった。

しかし、会話という行為を覚えてはいた。

 

「私? さぁ、誰だったかしらね……それで、ここはそういうところなわけね?」

 

「? そ……う……と…こ…ろ?」

 

「血の匂いがするわ、殆ど鼻もきかなくなったのに、吐きそうなほどの匂いが」

 

彼は少しずつ、言葉を発するのだが、その恵みは此方よりずっと話す言葉が早い。

何を言っているのかわからなかったが、恵みなのには変わらない。

 

「ただでさえ歩けもしないのに、ここに落とされて右腕と腰から下の感覚もない、ただ死ぬしかないのならば、抗っても無駄じゃないかしら?」

 

だが、前に起きた時には大きな恵みがあったから、空腹ではない。

こんなことは初めてなので、どうすればよいかわからない。彼は困惑も相成って、食事という考えが無くなってしまった。

 

改めて恵みを觀てみると、放っておいても死にそうなくらい弱っていた。少しそれを残念に思った。そしてその残念という感情を、いや感情というものを覚えたその事実に、彼は驚いた。

 

「はなし…………できる…………恵み…………はじ…………めて」

 

「恵み……? ああ、やっぱり、そういうことね。アイツがやりそうなことじゃない……そう、ねぇ君、おはなしがしたいのかしら?」

 

「はなし……している……うん、はなす」

 

彼はそう、本当になんとなく。それだけの理由でその恵みを持ち上げて、自分の寝蔵まで持ち帰った。雨がしのげる穴蔵でしかなく、中にあるのは葉を集めた寝床くらいだ。

そこに、ゆっくり寝かしつける。運んでいる途中と寝かすときに、恵みは小さく叫んだが、恵みが叫ぶこと自体はたまにあるので、彼は驚かずに近くに座り込んで顔を覗き込んだ。

 

「もう、何日も生きられないでしょうけど、最後に死ぬ場所が、こんな所になるなんてね」

 

「恵み、はなす、どこから来た?」

 

「ええ、それじゃあ君に教えてあげるわ」

 

 

彼は、その日、初めて人という存在になれた。

 

会話というモノは人間にとって何よりも必要であること。

 

明るい光は太陽であり、暗い光は星や月であること、暑いのは夏であることのような形而的なことを知れた。

 

「白い石を……そうそうやって持ってみなさい」

 

石を打ち付けて火を起こすこと、恵みは火で焼いてから食べたほうがよいこと。

切れない髪の毛は燃やして短くすれば良いことも。

分け与えても、彼女は死ぬまで水以外を口にしなかったが、そんな生きるための知恵も。

 

「そこで、青年は剣をとったの、そうしないといけないと思ったから」

 

物語という物を知れたのも彼女がいたからであろう。

普通の子供が、長い時間のなかで経験していく多くのことを、急速に高い密度で彼は知っていたのだ。男女の差も、自分が憧れたモノの呼び方も。彼の生の中である意味最も充実した────

 

 

 

「さようなら、お姉さん」

 

「………………」

 

 

────4日間だった。

 

たった、それだけの時間、彼は人でいられた。彼女がどんな人物だったのか、名前も何も知らないまま、他の恵みのようになってしまった。

 

それはつまり、彼は今まで何を食べてきたのかを、強く意識させられることだった。

寝床から運び出して、何時もの平な場所に寝かせる。

 

「人は食べないと生きていけない、人は生きないと何も残せない、それでも私は食べたくない、私の意味は君が残すことがわかったから」

 

そんな言葉が呪いのように彼の耳に蘇る。

 

剣と呼んでいた、石のナイフで何度も何度も切る。

土がついてしまったが、なんとか切り取れたその一部分だけを寝床に持って帰り、後は穴を掘って埋めてしまった。

 

不思議とお腹は減らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからただ走るだけで、一日が終わらなくなった。

走っているだけだと思いだしてしまう。速く、速くと走るだけでは、考えてしまうのだ。

あの人から聞けた、少しばかりの知識でしかないが、自分の目指した動きを繰り返す。

蛇のように手足を撓らせ、地を這う様に身体を低くしたと思えば、高く脚を蹴り上げる。

 

意味など無かった体の動きに意味が出てくる。

この頃恵みが生きている事が、それも襲いかかってくることが多いことも追い風になった。

最初は人の形をした、よくわからないものだった。

雲のように真っ白で、ジタバタと動いて抵抗する程度だった。

 

最近では、寝蔵から出て近づくと襲いかかられるような、そんなものが普通だ。

 

 

 

「ハァ!」

 

 

いつものように、懐に入り込んで、弾き飛ばすように攻撃を入れる、体制を崩したら蹴りを入れて終わりだ。

悲鳴を聞きながら、動かなくなるまで蹴り殺す。

もうなれてしまったが、前は死にそうになるほど血を流すこともあった。

 

身体が大きくなってきたのに合わせて、生きていくのが難しくなってきた。

悲しいことが、辛いことが、増えたのではない。

 

楽しさを感じられない時が、退屈だと思うようになってしまったのだ。

 

「ああ、楽しかったな」

 

体を動かす以外にも色々した。

たまに混ざってくる抵抗が激しい恵みは戦闘にしか使えないが、不具があるものや、抵抗が少ないモノは────

 

「ああ、楽しいのにな」

 

昔よりも低くなった自分の声は虚しく消えた。

強くはなっているのだろう。身体は大きくなり、動きも軽やかになっているのだ。

あの人に教えてもらった、植えた木を毎日飛び越すのだって、もう背丈よりずっと大きくなった木を超える程飛べる。

今だって、自分よりも大きい恵みの動きをみてから、余裕を持って処理ができた。

 

それでも、ここから出られない。

自分の生きた意味を残せていない。

 

あの人に会ってから10回目の夏は終わるのに、自分はまだ始まれてもいない。

 

攻撃を受け止めた腕の熱は、痛くもないのにしばらく冷めなかった。

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※

 

 

 

 

 

その男から持ちかけられた取引は、彼らの所属している組織にとっては一考に値するものであった。

ホムンクルスというよりも、錬金術は魔術としてはメジャーな部類であり、使い手も多い。

しかしいかにメジャーとしても、魔術は魔術。

おおっぴらに自分の成果を公開するようなことはなく、その行為自体が、同業他社から忌避される。

 

魔術は人でなしのあつまり、根本的な目的以外に興味がない。目的が果たされるのならばその魔術すら捨てて飛びつく者が魔術師という、ある種矛盾した存在だ。

 

そういうお題目こそを掲げてはいるのだが、手段と目的が入れ替わってる者は一定数存在する。

魔術使いと言われる魔術自体が目的となり、魔術師の目的に興味がないものが呼ばれる蔑称だ。

 

今回の話はそんな男からだった。

 

「廃棄予定の実験体なんて、本当に見る必要あるんでしょうか?」

 

「さぁな、適正の条件すらよくわからないんだ、虱潰しに探すしかない」

 

 

「人理保障機関カルデア」それが、彼らの所属している組織の名前であり、彼ら自身は末端の現場職員、いわゆる使いっぱしりと喚ばれるものであった。

胡散臭い野良の魔術使いからの連絡で動くようなものは、その程度の人員だったが、逆に言うとそれでも動かさざるを得ないような、理由があったのだ。

 

「只々20体の確保していたサンプルの破棄を外部委託されているだけな気もします」

 

「実際の所そうなのだろうよ。だが一般人のカバーストーリーの流布や、魔術師の家に金を払うより、俺たち3人の人件費のが安いんだろうさ」

 

 

彼らの組織は、今とある素質を持つ人物を探している。メインのメンバーやそれを抱えるサブメンバーは目処が立っているのだが、予備の面子も考える必要があった。予定した数まではまだ足りず、インチキめいたスカウトまで始めている始末だ。

献血の振りをして都市を行脚しているなどと聞けばどれだけ困窮しているかわかるであろう。

 

────十数人、処分予定の人間がいる。それを君たちに提供しようというのだ。君たちがどういう基準で人を集めているかは知らないが、魔術すら知らない人間にも手を広げていると聞き及んでいるよ。そんなに後処理をするのならば、最初からなにもない人間がほしいのではないかい?

 

まさに此方の需要をしっかり満たしたような条件だ。他方に声をかけている以上、耳聡いものであれば自分から売り込みに来ることは珍しくない。事実Bチームまではそういった熱意かやる気がある人員で埋める事ができた。

 

よくいる魔術使いの、ろくでもない実験。ソレに巻きこまれた者、巻き込まれそうな者、まもなく巻き込まれそうな者、それらを一挙まとめて提供する変わりに、カルデアに要求されたのは僅かばかりの金と、新しい拠点としての人里離れた土地。言わば二束三文でしかなかった。

 

背に腹はかえられぬと、彼ら3人が向かうと案の定というべきか指定された数カ所の魔術使いの拠点には、鎖に繋がれ宙を見ているような者が殆どだった。

 

既に神秘に携わっていない社会では、死亡か行方不明になっている、消えても問題のない人材。

しかしながら、全くと言っていいほど使い物になりそうもなかった。

 

 

「次で最後です。ヤツ曰くとっておきの掃除夫だそうです」

 

「掃除夫? 実験体じゃないのか?」

 

「実験体等を破棄する所に、いつの間にか住み着いていた、恐らく生き残った実験体とのことで」

 

「12年前に妹を投げ捨てた後、死体が消えてたから、適当に戦わせてたら未だに生き残っていると笑いながら話してましたよ」

 

「また悪趣味だな」

 

山上にある古びた館。地元の人間にも怪談のような形で伝わっている建物へ、そして山頂を越えて反対側へ下っていくとその場所はあった。

 

「────総員警戒、血の匂いだ」

 

「隊長……あそこの岩が動いてます、誰か出てくるようです」

 

 

黒ずんで汚れた肌と、ボロボロの髪の毛。木の皮で作ったようなズタボロの服。野蛮を絵に描いたような獣のような男が、ふらりと此方に近づいてきた。それはこの世に本当に存在しているのかあやふやでありながら、強烈な違和感を放つ妙な男だ。

色鉛筆で画用紙に描かれた絵の一部がクレヨンで塗りつぶされているような、存在への違和感があった。

 

 

「あれが……こちらに近づいて……いえ! 襲いかかってきます」

 

「無力化しろ」

 

事前に警戒をしていたからか、驚くほどあっさり魔術にかかり倒れ込む。その途端今まで感じていたような違和感は霧消して、焦燥感のようなものも消え去った。

 

「本当にいたとは……」

 

「ヤツの供述どおりですね、リーダーどうしますか?」

 

「命令通り、捕獲、いや保護する」

 

その後、検査の結果不幸にも彼らの求める適正を求められる水準で所持していることがわかり、彼は「備品」として、カルデアに購入され配備されることになった。

どこまでも、筋書きのような話に首をひねるものはいたが、火急の事態である以上大きく声を上げる者はいなかった。なにせ彼らは世界の危機を目の前にしているのだから。

 

 

 

※※※※※※※

 

 

 

「所長、お忙しい中お時間いただきありがとうございます」

 

「気にしないで、レイシフト適正が高い、魔術師の元実験体が安価で手に入った以上、一度確認しておきたいのもあったから」

 

数千m級の山のその奥、余人では到底たどり着くことができない場所、それがカルデアの本拠地であり、今の彼がいる場所であった。

彼は目が覚めると、特に抵抗することもなく拘束されたまま、ここまで運搬されていた。途中で出された食事には、水を除いて口をつけなかったが、暴れることもなく不気味なほどおとなしかった。

 

「このように、特に暴れることもなく、会話での意思疎通も問題なくできます。適正はかなり高く、Bチームの平均を有意に超えております」

 

「本当に掘り出し物ってわけね」

 

「はい、此方に搬送しましたが、最終判断は所長におまかせするべきかと思い、此方に」

 

彼は小さな部屋の寝台に腰掛けて、目の前の鏡を見つめていた。身体は洗浄され、髪の毛も最低限整えられている。異様なまでに発達した肉体も相成って、どこかの格闘技の選手のような、ありふれてはいないが、特別な存在でもないように見える。

 

「年齢は推定22~5歳で、性別は見ての通り男性。何らかの魔術を受けたせいなのか、延々と同じ場所で恐らく20年近く生活をしていたようです。自身の名前すら持っておりません」

 

「魔術に関する知識以前に、一般の常識すら殆どないわけね」

 

「ですが、管理していた魔術使い曰く、定期的に戦闘用ホムンクルスをけしかけてましたが、それらをことごとく蹴散らし……その、肉を喰らって息永らえていたそうです」

 

「彼本人の意志はどうなっているの、一応聞いておくわ」

 

「初遭遇の際こそ襲いかかられましたが、それ以降は此方に協力的です。質問をしてくることはないのに、此方の質問には、多少語彙に違和感がありますが、しっかり答えております。我々が目的を持って彼を確保していることを納得している様子でした」

 

「まぁ、境遇を考えれば、襲いかかるのは当然ね。彼と話をしたいのだけど、できる?」

 

「はい、此方のマイクをお使いください」

 

 

所長呼ばれていた、銀髪の女性は、自身と同じ年頃に見えるその男に声をかける。

ガラス張りの壁からは、よく見えるが、向こうから此方は見えていないのに。声をかけた途端此方の方を見た気がした。

 

『そこのあなた、聞こえているかしら?』

 

「聞くができている」

 

『私は、この人理継続保障機関フィニス・カルデアにおける総責任者よ。私達はある目的のために貴方を購入したわ、危険を伴う仕事の為、できる人材が限られているの。あなたにはその仕事に従事してもらうのだけど』

 

「わかった、なにをする?」

 

『何よりも、私の指示には絶対服従よ、後で強制と暗示をかけさせるわ。基本的にやってもらうことはそれだけ、必要があれば、私の指示で動く。あなたに求めるのはそれ以上でもそれ以下でもないわ』

 

「わかった」

 

人形のようなものわかりの良さに拍子抜けするが、従順なことはよいことだ。横のスタッフを見ても、一事が万事この調子ですと言わんばかりに頷いてくる。

 

「魔術的な処置がされていないことを確認したら、私の指示に従うように処置しておいて、まあ所詮予備の予備みたいなものだし、最低限邪魔にならないようにしておけばそれでよいわ」

 

「かしこまりました。マスターとしての登録もしておきますが、名称はどういたしますか?」

 

「不要よ。雑に扱っても歯向かわないのならば、最低限人として扱っておきなさい、ただし彼が何かしら名乗ってきた場合はそれに変更するようにね」

 

今のカルデアには、成果という絶対的なものが足りない。そのためには弱いカードでもなるべく多く保持しておき、強いカードには最大限でのバックアップを準備する必要がある。ファースト・オーダーまでもう時間はないのだから、処遇が決まればもうトップの仕事はない。

 

彼女は足早にそこを後にした。もう見るべきものはない、そう判断したからだ。

それは正しく、彼女が彼と交わした意味ある言葉はそれだけだった。

 

 

※※※※※※※

 

 

彼の語彙にはなかったが、現在の彼の覚えている感情を言語化するのならば、それは失望であった。

目まぐるしい程、取り巻く状況は変わった。洞窟の中とその周りで全てが完結していた生活から、あっという間にあれよあれよとこんな場所まで連れてこられた。なんでも危険が迫っているから、そのために戦う必要があるらしい。

 

彼にはそれしかわからなかったが、周囲が慌ただしく動いている。自分に対してはそのへんに落ちている大きな木に対する扱いでしかない。

 

こんなに多くの人がいるところは初めてだ。

────でも、話をするのは難しい。

 

こんなに綺麗な場所にいるのは初めてだ。

────だけれど、意味のある事ができるわけではなかった。

 

恐ろしいほど清潔な、何もない部屋から出されて、自分の寝蔵と案内された部屋で、苦戦しながらなんとか渡された服を着て。そのまま、多くの人がいる場所に誘導された。

 

変わらなかったのだ。

一人で過ごしているの頃と、生きる目的と意味が、カラダを鍛えることしか無かった頃と。

いや、今はもっとひどいかも知れない。

 

「ここで待機をしているように」

 

「ああ、わかったよ」

 

どんな受け答えに対しても、何故か出てくる言葉は非常に短く簡素な最低限のものだけだった。

不思議と、人に話しかけてみるという勇気も湧いてこなかった。

 

 

しばらくすると、やってきた以前聞いた声を持つ女が、目の前で何かを話している。

内容はあいも変わらずよくわからなかった。だが、何か大変なことが起きているのであろうことは、なんとなく理解できた。

 

きっとここにいる人間たちは、それをどうにかするという使命感で生きる事を燃やされているのだろう。

なんて羨ましい。大変なことを、自分がやっている、何かを残せている。

 

そうすれば、その人は生きている意味と価値があるのだ。

 

沢山の人を殺しても、一人を救ったのであれば、その人は助けた人にとって価値があるのだ。

なんの意味を持って自分は喰らってきたのか、それを考えると頭が割れそうなほど痛くなる。

 

それを忘れられるのは、あの化け物と戦っている時だけ、いや、身体が痛い時や、思いっきり腹いせをしている時も別の意味で忘れていられる。自分には身体を鍛えて、幼い頃に憧れたあの動きを真似する。

それ以外の意味はなかった筈なのだ。それが段々とおかしくなってった。あの人に出会ってから、自分はおかしくなっていってしまっているのだ。

 

 

生きている意味とは、価値とは。そんなどうでもよいことを、「食事のときは特に」考えるようになったのは、とっても苦しくて気持ちが悪かった。

 

 

気がつくと、横にいた年若い男が床に倒れ込んで眠っていたらしい。疲れていたのであろうか? そんなどうでもよいことを考えながら、目の前の女の話を聞き流し続ける。

すると、話が終わったのか周囲からざわめきが聞こえ始める。自由に解散して良さそうだ。彼は足早にその場を後にした。衝動的に離れたものの、行ける場所などないので、さっき着替えた自分の寝蔵まで戻ってみた。

 

なにか使えるものはないのかと、あたりを見回すと、よくわからない石と、金色の木の実と思わしきものがあった。よくわからないがとりあえず持っておくことにする。どっと疲れが出たので寝台に横になろうとしたのだが、その瞬間だった。

 

地面が揺れるのと同時に、土砂崩れのような、低い音が轟いた。その瞬間体中の毛穴が縮こまるような、急に気持ち悪いほどの悪寒を覚えて身体の自由が急にきかなくなった。凍りつくような寒気で縛られて満足動けないなか、なんとか、ドアまで這いずるように近づき廊下に転がるようにでる。視界の先にかなり小さくなったが、先程眠りこけていた少年の背中が見える。どこかへ走り去っていくその姿が目に写った瞬間、身体に活力が戻ってくる。

 

自分でも理由はわからなかった。それでも、その少年の背中を追いかけるために彼は走り始めた。恐ろしいほど感じた身体の寒気はもう後かたもなく、驚くほど軽い身体で駆け抜けた。

廊下は、ところどころ崩れた壁や天井の破片が落ちており、光は弱く薄暗く、どこかで火が燃えているのか煙の匂いもした。走れば走るほど、その具合はひどくなっている。危険に向かって走っていることだけはわかるのに、生物がするべきことの真逆をしているのに、どんどん身体は軽く、口元もニヤけてくる。

 

ああ、楽しい!! 自分は今なにか危ないことをしようとしている!!

 

恵みと戦うときとは比べ物にならないような幸福感が彼の身体を包んでいた。

最初は小石ほどの大きさにしか見えていなかった、少年の背中が、飛びかかれば掴めそうな距離にあった頃、少年は目的地についたようだ。大きな扉で区切られた天井の高い開けた場所だった。

 

 

『中央隔壁封鎖します。館内洗浄開始まであと180秒です』

 

人の声だが、人間のものではないような声がその様に話しているのを聞きながら、彼は周囲を見渡す。瓦礫のような、割れかけた鳥の卵のようなものが並んでいた。遠くを見ると、あの少年が床に向かって何やら話しかけているようだが

 

『コフィン内マスターのバイタル基準値に達していません』

 

そちらに行こうという気持ちが湧いてこなかったので、周囲を探索することにした。

いつか話で聞いた、罪深きものが死んだら行く世界は、荒廃して燃えているという。

そんな言葉が思い出したということは、それだけひどい状態だと、彼自身が思えたのだろう。

 

部屋の隅の方までくると、ふと目に留まる卵の殻のようなものがあった。

それは、割れた部分から、細い少女の手が伸びていた。白くて、細い手だった。握りこぶしを作ったこともないような、手刀のために皮膚を固くしたこともないような、傷もついていない手だった。

 

壊れた所から、手の根本を覗き込むと、そこには案の定少女がいた。名前も知らない彼女は、彼には事切れているように見えた。

 

『番号47 藤丸立香 番号48 未登録 2名をマスターとして再設定。アンサモンプログラムスタート。霊子変換を開始します』

 

先程の少年のようにその手をにぎることが、何か正しいことのように感じたのだが、彼はそれをしなかった。只々呆然とその手をみて、開ききった目を見つめて、

 

「ああ、勿体ないね……」

 

そう小さくつぶやいた。

 

それを最後に、彼の意識は黒く塗りつぶされ、何も感じ取れなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




大くんの言葉は、参照相手が女性のため、妙に女ぽくしてます


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裏:レイシフト後の彼の活動記録

書き上がったので初投稿です。

大くんの呼んだ鯖が何なのか予想しながら読んでくれよな~頼むよ~

(真名隠しサーヴァントの真名の記載がございます、閲覧の際には十分にお気をつけください)


目が覚めても変わらず周りは燃えていた。

先程よりも空気は渇いているし、いつの間にか外にいるようだ。

 

「なんだぁ、これは」

 

彼には、当然のように魔術的な深い知識はない。というよりも社会的な常識はない。

だから、当然のように、自分がどのようにしてこの場に来たのかはわからない。カルデア所属になる際に基礎的なことの説明は受けているが、文字の概念すらイマイチ理解していない彼が、理解できるはずもなかった。

しかし、逆によく作用したことは、一般人ならば信じられない状況と思考を止めるものが、彼にとっては等しくわけのわからない状況なのだ。

 

彼にとって燃え盛り骸骨が徘徊する街も、200メートル以上の長さの電車が入り乱れる街もどっちもよくわからない場所なのだ。自分が知らないだけでそういう物があるのであろうという程度には理解できることが、彼自身の柔軟性がパニックにならない理由であった。

 

火種のパチパチと弾ける音、高い石の塊の間を風が吹き抜ける音。静寂とは言えないものの、先程までのけたたましい音が何種類も鳴り響くことに比べれば、ずっとましだった。

 

さっき廊下を走っていた時の幸福感のような充足感は冷えこそしたものの、彼の胸の中で渦巻いていた。

ショーが始まる前の暗転のような、なにもない今を、もうすぐ始まる何かを前に身体が無意識に震え始めていた。

 

 

「お腹すいたなぁ……」

 

 

彼は自分の持ち物を確認してみるがよくわからないものばかりで『食べられるもの』がない。

仕方なく懐に戻して、そのまま不気味なほど静かな街を進む。

街というものにはたくさん人がいる。そう過去に聞いていた彼は、いつもどおり周りに誰もいないことになんとも言えないもどかしさを感じながら歩をすすめる。

 

導かれるように進んだ先は、燃えた後延焼を防ぐために切り倒されたのか、開かれた広場がそこにはあった。よく整備してしまえば、人の集まる憩いの場にできそうな場所だが、彼はそんなことを微塵も感じなかった。

 

震える、身体が震えるのだ。

さっきまであった、もどかしさも空腹もない。熱病に冒されたような寒気による震えが全身を苛んでいた。

 

きっと、横に老若男女の誰かしらがいたのなれば、彼と同じ様に、何かしらの寒気と忌避感を覚えてしまうのだろう。生物が持つ根源的な恐怖感のようなものが、目の前からしているのだ。

 

だからきっと、その誰かが彼を見たのならば、異常なまでのその様子に、自分よりも鋭敏に同じ感覚を共有していると『誤解するであろう』

 

寒気も、発汗も、震えも、全ては歓喜と狂喜によるものだ。

 

彼は、感じ取ったのだ、この先に自身の運命が待っている。

一生のうちに、自分が必ず、自分自身の手で、どのような手段を使っても雌雄を決しなければならない、そんな運命がいるのだと、かれは獣のような……否、野獣のような感覚から感じ取っているのだ。

 

それは、興奮と武者震いだった。当然彼はそんな事経験もしたことはなかった。

それでもなぜか、自分が生まれた理由が目の前にいてそれがきっと分かるんだと。

そんな確信があった。駆け出していた脚は止まらず、広場の中ほどまで進むと、ついにそれは現れた。

 

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

 

黒い男だった。まるで影でできた人間だった。見たことないほど大きい。そして強そうだ。

彼は咆哮ではなく、その様相にこそ驚いた。だが、そういった人間もいるのだろうと、自分の見識の貧しさを恥じるだけだった。

そんな物を知らない自分でもわかった、あれはよく聞く「恵み」が襲いかかる前の威嚇なのだ。

だとすればやることは一つしかない。

 

「────フゥ」

 

大きく息を吐く。高く跳ぶ前には大きく膝を曲げる必要があり、靭やかに敵を打つには、逆にそらす必要がある。息を吐いた後にすることは、当然大きく吸い込むこと。目一杯吸い込んだ空気を惜しげもなく吐き出しながら、自分の感覚を信じて、駆け出した!

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

その声と同時に、彼の背丈ほどの剣をその影が叩きつけた。自身でも無意識に右から回り込み始めていた彼は、無事にそれを躱すことができた。その方向に体が動いた理由は、本当に単純だった。いつも見ていたドルヴァの周りの星の動きだった。本当にそれだけで彼は反時計回りに走ることを好んでいた。

 

全速力で、転がるようにかけて、まずは自分の拳の届く位置に入り込む。自分よりも大きい化け物を殴り倒したことはあるが、自分の頭のてっぺんが肩に少し届かないほど大きい相手は初めてだった。

頭上からもう一度と振り降ろされた斧剣を、彼はクルリと身体を捻って剣の腹を『気合で硬くして』肘と組んだ腕で弾き、自身の勢いを殺す。間髪入れずに、影の巨大すぎる故に空いた脇腹に、そのまま組んだ腕を素早く何度も打ち込んだ。

 

「────ッ」

 

僅かだが、手応えはあった。ならば戦える。こんな巨人の攻撃など、2,3回受ければ自分は死んでしまうが、ならば全て避けて、此方の攻撃を100か200当てればよいだけだ。

戦って道が拓けるのならば、それはもう彼にとってはできるかどうかの話ではなくなる。

 

やらなきゃ死ぬのだから、やるしかないのだ。

 

目の前の影は、持っていた斧剣を手放して、拳を打ち込んでくる。ああ、そうだ、それでいい。あの剣を持っている限り、此方は攻撃を『避けてから』打ち込まないといけない。それでは此方は体力がきっと持たない。

だけれど、拳ならば、『避けながら』打ち込めば良い。

相手からすれば、拳でも剣でも殺すまでの当てる数が変わらないだろうから、拳を選んだのだろう。それが何よりも彼にとってありがたかった。

 

瞬きを初めると同時に放たれた拳は、瞼がくっつく迄に此方に届く。早すぎて何も感じ取れないくらいだが、それは剣の先端だって同じ。さきほど硬くして、なお、剣の圧力で切れたのか、皮膚のあちこちから血が出ている。好都合だ。身体を蛇のように曲げて拳の着弾点よりズレて、再び腕を横からあわせる。

血で滑りが良くなった腕がそのまま相手の拳を自分の後ろに置き去りにする。弾かれた勢いをそのまま、身体のスピードを脚に伝えて『気合で硬くして』全力で打ち込む。

 

その反動で、1歩半ほどの距離まで後ろに飛ぶ。今度は上から組んだ腕を振り下ろしてくる。直感的にこれは組み付くわざと感じ、受ければ死ぬとわかった。だが、一度力を比べて見たくなった。その誘惑に蓋をしつつも、今度は地面スレスレまで自分の体を一気に折りたたんで、前に進む。予測で見えた着弾するポイントをずらして、勢いをそのまま、此方から飛びかかる。

 

まるで地面に飛び込んだような衝撃と、反発を感じたが、確かに効いた感覚だけはあった。

 

 

「■■■ー!!■■■■■■■■ーーー!」

 

 

「恵み」が弱った時、より力が強くなる、威嚇をするような叫び。

ああ、これだ。この感覚だ!!

 

これが聞ける時は、自分が生きている感じがする。ぶつかった衝撃で切った口に溜まった血を地面に吐き出す。

目に吹き掛けてやっても良かったが、そんなことに意味はない気がした。それならとっとと捨てて、空気を吸ったほうがマシだ。

 

こっちも叫んで気合をいれたいが、そんなことをして勝てる気もしない。目の前の男のほうが自分よりも数段強かった。ならば無茶をしてでも勝ちにいかなければいけない。

 

拳を握り込みながら、彼は駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※

 

 

写し身の写し身でしかない、その身であっても、彼は大英雄であった。

狂わされた上で、影に写し取られた彼には、理性など砂粒程しか残ってはいない。

行動原理は只々、この場所を守るだけだ。

 

もうなにもないこの城を。誰もいない城を。

 

近づくものは壊した、叩いて砕いた。見るだけで何もしないものには手を出さなかったが、こちらの場所まで来た全ての存在を叩き潰してきた。

 

 

だから、今回も同じだった。どれだけの時間この場にいたかを影は覚えていない。

だが、しばらく時間が空いたのは覚えている。

 

肉食獣ならば、久々の獲物と歓喜して襲ったであろう。

狩人ならば、冷静に隠れる場がないところに無警戒に来た所を襲ったであろう。

戦闘狂ならば、期待しながら襲いかかるのであろう。

 

彼にはそんな機能が残されていない。

只々近づいたものを排除するシステムに近かった。

一度近づいたものであれば、この場から離れようが、始末するまで襲いかかる。

 

その目的も忘れた彼は、使命感のような残り滓で叫び声を上げて、侵入者との戦闘を始めたのだ。

 

 

「■■■ー!!■■■■■■■■ーーー!」

 

 

痛覚すらない、怯むことはない、そんな彼が彼でもわからないが、目の前の男に押されていた。

死を恐れていないような、後何かが一つずれれば一撃で戦闘不能になるような攻撃の捌き方。

 

力では自分が勝っているであろう。此方は攻撃を避けるくらいなら、続けたほうがよいと、本能が言っている。

技でも自分は負けていないのであろう。確かに優れた動きだが、少しずつ消耗している。此方の技量と最低でも拮抗しなければこうはならない。

体格は言うに及ばずだ、懐に入られれば厄介だが、リーチは目に見えて此方が長い。

 

 

だが、彼は仕留めきれていなかった。原因などない。ただ言うべきは此方を常に見つめ続ける。

 

『爛々と輝く曇った目』だ、あんな物を見て十全な力を出せる者などいないであろう。

戦いに身を置くものであれば、なおさらだ。

 

勝利と死(輝きと曇り)を同時に求めるようなそんな輩はまともなわけがない、狂った彼をしてそう感じるのだ。

 

戦士と英雄は勝利を求める。死は恐れない、乗り越えるべきものだから。

狂信者は死の先を求める。勝利とはすなわち正しく死ぬことであり、同一のものである。

 

死に場所を探して戦っているのではない、相打ちに来ているのでもない。

生きるために死のうとしているのだ。生に絶望しているから、死なないのだ。

 

本能でそう感じた彼にとって、その違和感が多少なれど行動を鈍らせていた。

それこそが、今まで彼等が拮抗していた理由である。

 

だが、分水嶺は渡りきっていない。

 

彼は、勝利のために本能で感じ取っていた、その違和感を投げ捨てた。

 

 

「■■■ー!!■■■■■■■■ーーー!」

 

 

なんのために戦うかなど忘れ去った彼は、目の前の敵を打ち払うべく拳を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

だんだん呼吸が荒くなってくる。視界が青くなって、目尻に涙がたまる。

苦しくて投げ出したくなる。だが、動くのをやめた途端に、大木のような腕の餌食になる。

 

既に戦いを始めてからどれだけの時間が経ったかもわからない。

足が震える、恐怖で震えると思いたいほど、力が入らなくなってくる。

もう、攻撃を捌けているのは運が良いからなのだろう。

腕を硬くして横から弾いても、反動と余波で動きが止められる。

 

それでも、できることは攻撃しかない。

目の前の男には、負けることが許されていない。

勝たなければ、生まれてきた意味が全てなくなってしまう、そんな背中に絡みつき始めた喪失感が、彼を立たせている理由だった。

 

気合を入れ直す。まだ、まだできることがある。もうどうせ攻撃があたったら殆ど終わりなのだ。

振り下ろされ、此方の胸めがけて跳んでくる巨腕を右にも左にも避けることをやめ、脱力して後ろに倒れ込む。腕が鼻先をかすめたところで、勢いを再び脚に戻して、全力を持って蹴り上げる。

此方を殺そうとしている攻撃に当てたせいで、体勢が崩れるが、右手で地面を叩いてその場を逃れる。耳たぶをストンピングで弾かれた砂埃が叩く音で飛びそうになる意識が繋ぎ止められる。

 

地面を転がり起き上がる、もう目も見えなくなってきたが、構わない。

我武者羅に駆け出して、地面を蹴って高く飛び上がる。ぼんやりと見えた揺らめく影の肩めがけて膝を打ち込む。どうせ倒れないのだから、そのまま組み付いてしまうつもりだったが、そこが限界だったようだ。

 

宙を舞う此方を狙いすましたかのように、いや、まるで自分で当たりに行ってしまったかのように、杭のような見事な打ち込みが彼の身体を貫く。必死にかろうじて前に出していた手を硬くして受け止めようとするが、気の安め程度にしかならなかった。

 

まずは衝撃、続いて風を感じて、最後に痛みと音が体中を覆い尽くした。受け身など取れそうもない。食いしばっているが、噛み合せた奥歯が、まだあるかもわからない。

地面に弾みながら、吹き飛ばされているのに、打たれた所しか痛くない。

 

彼の膂力も決して貧相なものではなかった。だが目の前の男はすべてが規格外だった。

それでも転がる勢いが止まった後、彼は痛烈な痛みで気が狂いそうになりながらも、左手で地面を刮ぎ取り、拳に握り込んだ。そのまま渾身の力で、そこを支点に身体を持ち上げる。

 

「────ッンガハァ!!」

 

血を吐きながら、それでも気合と根性で彼は立ち上がった。

辛うじて、全身が軋むような痛みのおかげで意識を失っていない。意識を手放した方が楽になれるかどうかなんて、考えるに値しない。目の前の影を倒せなければ、何も意味がない。

 

それ以外には、何も価値がない。

 

速く速く戦わせてくれ!!

体の奥底からそんな声が聞こえるかのように、彼の身体は戦闘を求めていた。

きっと、子供の投げる石礫を食らっただけで、今の自分は倒れてしまうであろう、だが、今立っていることその事実こそが、何よりも大事だった。

 

彼は死ねないのだ。目的を果たして、自分の命の意味に価値を見出すまで。

 

ゴミクズみたいな人生を送っている彼は、ゴミクズにすら劣るような、おぞましい生き方しかできていない。

それは彼が今まで喰らってきたものを貶める行為だった。

 

人の胎から生まれたものも、ガラスの筒から生まれたものも、全てがこんなゴミクズ以下の、下等生物の排泄物程も価値がないモノにすら劣る事になってしまう。

 

「死にたくない……生きたくない……死ねない……生きられない……」

 

ならばこそ、彼は勝利を勝ち取る必要があった。

 

本当は、戦うことが楽しいわけではないのだ。

今までで積み重ねてきた人生が、これしかないのだ。

自分のこの体の冴えと、戦闘能力を否定することは、今までの自分の細く不揃いな轍にすら、土をかけることで。

 

それだけは許されないことだった。

 

 

「生きられないのに、死んでたまるかぁ……こんなの間違っている……」

 

ならせめて楽しもう。

戦って、勝ち取って、それで終わりでよいのだ。

 

価値ある存在と雌雄を決することができたのならば、自分の血肉となった、あの白い肉たちは、

討ち取った首と同等の価値を持っているのだから。

 

 

霞む視界が、再び剣を取り出し、此方へと歩を進める影を見据える。

立ち上がり、活を入れたが、強すぎる痛みで脚が動かせる気がしない。

 

なら、別の勝ち筋を探す。

脚が砕ければ拳で、拳が砕ければ歯で、敵を滅ぼし尽くす。

彼は無意識に、だいぶ慣れてきたのに、既にボロボロになってきている服の懐を弄った。

 

いくつか投げられそうなものがある、木の実は丸くて軽いが、極彩色の石は当たれば痛そうだ。

3つを握りしめ最後の抵抗とばかりに、影に向かって振りかざそうとすると、強く握りすぎたのか、石が砕けてしまう。

 

その刹那、彼の身体が硬く熱く強張った。

痛みだ、先程影に殴られたときのような痛みが、彼の身体から再び発せられていた。

 

自分の中の何かが、より鮮明に駆け巡っていくことを感じる。虹色の光が、地面より溢れ出し、環状に取り囲む。神秘的なその光景は、科学信奉者には訳のわからないもので、神秘信奉者にはありえないものであった。

どちらでもない彼はただ、その光景を目に焼き付けていた。

 

光が一層強くなっていく中、彼の左手の甲に、赤い文様が現れた。縦に長い楕円に左上の方向へと弧の形が大きく突き出て伸びている。右中央側からも同じく弧が小さく伸びる。左右非対称な歪んだその模様に、彼は一切気づくことがなく、光の先を見つめていた。

 

 

「サーヴァント、キャスター……」

 

光が収まるとそこにいたのは、女だった。

小さな白い帽子を頭に載せ、赤い宝石のあしらわれた装飾品が額を覆っている。髪は長い濡羽のように、腰元まで背中を覆うように伸びている。憂いを帯びた新緑のような瞳より下は、白い布に覆われていてもなお、美しさを感じられる。

そして何よりも、浅黒い褐色の肌を僅かな布が辛うじて隠している肢体は、蠱惑的で恐ろしいほどに実っており、魅力的という言葉が陳腐に聞こえるほど、美しい女だ。

 

「喚ばれて、しまいましたか」

 

長い杖を左に持ったその女は、暴力的なまでに浅ましい男の欲望を向けられるような身体を持ち、燃える街に照らされ、それはより一層美しかった。だからであろう、彼はその女を初めて、『食べたくない』と感じることができた。

 

 

その女を視界に入れた瞬間、まるで今まで囚われていた柵から開放されたように、身体が軽くなった。

後一度だけ、それなら動ける。

彼は此方に迫り来る影へと向き直る、光を直視したからなのか、今度ははっきり、その影が見える。

 

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

「マ、マスター!! あ、あんな物が来たら、死んでしまいます……!」

 

どんどん新鮮なことが起きる、自分に庇護を求めるようなことを言ってくる存在に、彼は会ったことがなかった。命乞いならば何度も会ったが、無視するか、聞き入れないかのどちらかだった。

だからこそ彼は、実に12年ぶりに、自分の意志を自分の意志で伝えることにした。

 

 

「そこで待ってて!!」

 

 

「!? ま、マスター? 何を」

 

 

 

走る、ボロボロの身体で、死体と見紛うような体躯で。

目指すは振り上げた斧剣を飛び込みながら振り下ろす影に向かって。

振り下ろされた斧剣はもう、見ていなかった。今はただ、そんなものよりも見たいものがあったから、彼は全力で駆け寄り、そして振り下ろされるのよりも速く、渾身の鍛え抜いた蹴りを、下から掬うように影の顔へとねじ込んだ。

 

着地は考えない、蹴りぬいた爽快感のまま地面に背中から倒れる。もしかしたら頭を打つかも知れないし、剣に切られるかも知れない。だが、そんな事は起きないという確信があった。

 

「■■、■■■、■■■ー」

 

断末魔だ。親の声など知らぬ彼には、子守唄よりも聞いた心地よい勝利を祝うその声を聞きながら、拳を宙へと振り上げた。

 

「勝っ────たぁ────!!」

 

地面に倒れ込んだ彼は、何もかも開放された気持ちから思わず雄叫びを、否勝鬨をあげた。

そんな事を生きて生きてしたこともなかった。

それでもそうせざるを得なかった。彼は人生で最初の歓喜という感情が処理できないのだから。

 

 

「マ、マスター!!」

 

逆さまになった視界に、此方へと駆け寄る女性の姿が見える。長い脚はすらりと伸びつつも、女性らしい曲線を描いている。脚の間には白い布がひらひらと風に舞っており、それがまた扇情的であった。

 

 

「アハハハッハ!! やった! やった! 勝った! 勝てた!! 俺の価値が! 勝った!!」

 

「お怪我を……ああ、ひどい怪我死んでしまいます」

 

 

彼女は杖を一振りすると、ポンッという軽快な音とともに、蛇女(ラミア)が現れる。いくらか彼女が言葉を紡いで、そのラミアから液体の入った入れ物を受け取ると、それを彼に飲ませた。

すると見る見るうちに、彼の傷はふさがり、色冷め始めていた顔も、血の気を取り戻す。

 

 

「ああ、ありがとう」

 

「いいえ、貴方が死んでしまえば、私も死んでしまいます」

 

「?? どういうこと? まあいいや」

 

 

彼は、満足に動くようになった身体を確かめるように、起き上がりその場で軽くはねて体を動かす。

 

「改めて、マスター私の名は────「よっと!!」きゃ! な、何を?」

 

「美しい人!! あなたのおかげで助かった。ありがとう!!」

 

 

体の調子が問題ないことを確認した彼は、そのまま女を『昔習った女性を抱き上げる作法』に従い抱き上げる。膝の裏と背中に手を回すということらしい。

 

そしてそのまま、森の茂みの方へと足を向ける。

 

 

「いえ、礼にはおよびません……あの、これは?」

 

「この嬉しさを、あなたと分かち合いたい」

 

 

彼女にはその言葉で、マスターの狙いを察してしまったが、それを認めるわけには行かなかった。それで安全が確保されるのならば全く構わないのだが、なにせこの場は、彼女が最も嫌う、危険に溢れた場所だった。

 

 

「そんな……困ります。マスターこの場がどんなところか、おわかりでしょう?」

 

「いや、わからないぞ?」

 

「それでは、まずお話しさせていただきます」

 

 

彼はその言葉にピタリと脚をとめた。不思議と彼女の話に聞き入ってしまうような、魅力と力があった。それはまるで、何千回も繰り返したかのような、熟達する必要があったような堂に入る語り口だった。

 

 

「ですが、その前に改めて名乗ることをお許しください。」

 

 

そこで一度小さく息を吐いた彼女は、身体を軽くよじり地面に降り立ち、彼と向き合った。

上目遣いで覗き込むように、彼女のマスターの顔を、透き通った瞳を見つめて、彼女は彼女の知るすべてを語るために、

 

 

────まずは自身の保身のための契約を迫ることにした。

 

 

「私の名はシェヘラザード。単純な一つの願いを聞き届けてくださるならば、私は永遠にあなた様を王としてお仕えするでしょう」

 

 

この時、彼は初めて、自分のいる状況が染み入った。

もともと与えられていた知識を、『人間』より聞くことができたからだ。

 

長い長い人理を取り戻す旅の一夜目はこうして幕を開けたのであった。

 

 

 

 




くぅ疲

みんなも、偉大なるbiim兄貴とでち公様を見習って、RTA風小説かこう!
単発でもレギュを決めれば走れるゾ。俺もやったんだからさ?(同調圧力)


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称号『自慢の拳』取得+人理修復RTA
(帰還)~(1枠目召喚)


はぁじまぁるよー!


もはや、RTAと呼べるかもわからないRTA開始すっぞおらー!!

 

レギュレーションは、ハードモードで、称号「自慢の拳」を取得して人理修復するRTAですわ。

リアルモードとかに比べれば簡単な難易度ですの。

気が向いたので走ることにしましたわ。

 

ノーマルと違うところはその都度説明いたしますが、大きいところとしては、鯖の召喚制限でしょう。1特異点をクリアする毎に(厳密には聖杯と一緒にカルデアに戻ってくるイベント毎に)主人公か、藤丸くん(ちゃん)のどちらかが1人召喚できるシステムです。

また、育成に必要な資源のリソースもそれに伴い増加してます。通常プレイのごとく一点特化で6章辺りまでゴリ押すのは中々難しくなります。

 

要するに使える鯖が少なくなるので、しっかり育成と作戦を立てていく必要があります。どの鯖が召喚されるかは、現地で手に入れた触媒で多少はコントロールできますが、それらのアイテムの回収には時間がかかるのが殆どで、RTAでは最低限になってしまいます。そのため、鯖運によって、オリチャーやアドリブ修正が必要になる、生放送向きの仕様ですね。

 

ちなみに、更に難しいリアルモードだと、出る鯖が固定になるのでチャートも組みやすいのですが、現地鯖にナーフが入るので、RTA的にはイヤーキツイッス。

 

 

前回完走した大くんのデータを選択してハードモードでニューゲームを始めます。

この通りハードモードは、召喚鯖が1体以下のキャラデータを読み込むことができますので、大くんをそのまま利用できます。エコの精神ってたいせつたいせつ。

 

大くんのデータはワークショップに上げましたので、誰でも走っていただけます。そうじゃないとレギュレーションにならないからね。

大くんでハードモードを走るので、ダイハードレギュと名付けることにします。

 

そして設定です。ハードモードはチュートリアルも飛ばせますので、当然スキップを選択します。

 

ここまでを選択してOKを押すと、もう一度タイトルに戻りますので、そこでニューゲームを開始したタイミングから計測開始。

 

 

これにより、冬木を攻略して、カルデアに戻ってロマニの話を聞いてるところから開始されます。当然のようにオルガはお亡くなりになってます。

 

それじゃあ、お約束いきましょう。

 

はぁい、よーいスタート

 

 

 

 

スタートしたら、まずはロマニと、ダウィンチちゃんから現状の話をされます。

何だこのおっさん!? と思った初見さんには、指揮官と博士ポジのキャラって覚えておけばいいです。

 

大くんは先程やっと、事の重大性を理解しているので、おとなしく聞いております。24歳新人職員です。

既プレイの方には退屈ですが、要するに、人類史壊れるぅ~! な状況なので、魔法のタイムマシンで、パパパっと行って、ステージボス倒して終わり!! という状況です。

 

元々、カルデアには48人というアイドルグループ並の人数のタイムマシンに乗れる適正を持ったメンバーがいたのですが、このゲームでは2人、しかもサブメンバーのサブメンバーのサブというような物しか残っていないわけです。

さらに、バックアップスタッフも結構な数ご臨終されておりますので、バックアップすらまともにできないという状況です。さらにさらにィ~? カルデアは電力を魔力に変換しているのですが、戦力の鯖を維持する事にも難儀する出力になっているわけです(ハード以上モード)。

 

はぇ~すっごい。なんか、絶望的。今後この限られた戦力で、7つの特異点を攻略していく速さを競うのが、本RTAの目的なわけですが、先駆者になぞり、基本的に1つの特異点の攻略に、ゲーム内時間で1ヶ月程度を予定しております。

 

速く攻略しても、結局ゲーム内時間で、年末までラスボスステージに行けないからです。加えて、イベントと俗に呼ばれる、極小特異点というものが発生してプレイ時間的にロスです。

通常プレイでのハードモードですと、前述の通り戦力が限られてしまいますので、イベントクリアで鯖召喚の権利を狙います。その為どれだけ速く特異点を攻略して、イベントを数多くこなせるが大事なのです。

通常プレイの方が駆け足になるRTAとは?(哲学)

 

ついでに、大くんが狙う称号に関しても解説しておきますと、「自慢の拳」は、操作キャラが素手で一定以上の功績点を獲得したときに得られるものです。累計加算タイプですので、基本的に1周で取るものではなく、戦うマスタープレイを何週かすると気がついたら手に入っている物です。

1周で取るのは中々に難しいものですが、功績点ですので、雑魚よりもボスを殴ると多く獲得できます。

 

そう、ハードモードにしたのも、このレギュにしたのも、一重に大くんが無茶な敵に挑む必要性を上げるためであり、見所さんの為ですね。

当然、称号は走る前にリセしてます。修業期間とシャドクレス分の功績が消えましたが、誤差だよ誤差。計算ですとギリギリ足りるはずです。足りない場合は7章に出てくる「なぜか抵抗しないラフム」を死なない程度に殴り続けることになりますので、祈りましょう。

 

そうこうしている間に、話が終わって、次の目的地第一特異点行きが決まりました。ゲーム内で1週間の時間があるので、休憩と召喚した鯖との親睦を深める、育成をする機会です。その前に、まずは冬木分の鯖召喚ですね。初期鯖は藤丸くんも大くんも既にいるので、ガバがなければ合計8騎の鯖を召喚できます。最後に召喚する鯖は、素材を集める時間がほぼないので、場合によっては召喚すらしないこともあります。7騎が召喚されて戦うなんて、まるで聖杯戦争みたいだ(直喩)

 

そのためここで選択肢です。

 

 

「召喚できるリソースは現在の所1騎分のみ、君たちのどちらかしか召喚できない」

 

────どうするべきか

 

・召喚を希望する

・今回は譲る

 

 

初回召喚は藤丸くんに任せます。マスターとしての素質が高いのと、藤丸くんにはリソースを一定数振り分けてると、素材関係なく鯖のレベル上げをしてくれます。ステージの推奨レベルが上限となってしまいますが、RTA的には育成時間も素材集めもいらないので、非常に旨味です。

念の為補足すると、ハードモードは鯖を増やして攻略ができないため、詰み対策のためかまず味レートで素材の変換ができます。後半の特異点素材が必要な鯖しか来なくても大丈夫ではあります。そもそもシェヘラザードからしてですし。

 

 

「俺はやらない」

 

「えっ? じゃあ俺が召喚する方が良いのかな?」

 

 

立香くんの場に流される感じを最高やなーって。

 

 

「……どう思う、レオナルド?」

 

「君が判断するべきだろう、ロマン。だが、自衛能力という観点で言えば、立香君のほうが心許ないのは事実だ」

 

「そうだね、わかった。今回は立香君に召喚してもらおう」

 

 

ハードモードの召喚は、強制参加イベントかつ、召喚後にオートセーブが入ります。加えて所謂アイアンマンモードというセーブデータは1つしか持てない仕様なので、これ以上のリセマラはできません。命は一つしかないから(至言)。厳選がいらないRTAなので、簡単でしょ?(白目)

 

 

場面が切り替わって、召喚用の部屋まで来ました。ノーマルモードだと召喚用のリソースが必要になりますがハードはそういった概念がないです。

 

ここで、画面では初回の召喚特有の触媒と縁について解説が入ってます。ゲーム的には触媒と喚ばれるアイテムを召喚時に消費することによって、召喚鯖の選択肢を狭めることができるシステムです。

今回は撮れ高の為OFFにしている縁システムは、簡単に言うと、特異点で出会う野良鯖と現地で仲良くなっておくと、召喚のときに出やすくなるという仕様です。

 

まあ、初回は特に触媒アイテムもないので、運ゲーです。

藤丸くんはどんな鯖でも、問題なく扱うことができる超一流のマスターです。操作キャラ如きが藤丸立香に勝てると思うな。元となったゲームの主人公のためなのか、あらゆる鯖と良好な関係を制限なく築くことができます。マスターの鑑や。

 

先程述べたとおり育成も自動でしてくれる事も合わせ、安定感が4部の承り並です。そのため、連続して戦闘ができない支援特化の鯖とかを引かなければどうにでもなります。引いてしまった場合は、タイムは犠牲になりますがクリアはできます。

 

逆に操作キャラには、それぞれ鯖に対する得手不得手が結構あります。マスクデータなので体感になりますが、わかりやすいのが魔術師と清廉潔白系の鯖は相性が悪いというやつですね。ストレス値の上昇が早まります。

鯖には好感度(絆)とストレス値が設定されており、前者は高いとステータスに補正が入り、後者はマイナス補正が入ります。一部鯖はストレスが一定以上だと言うことを一切聞かなくなりますし、特殊イベントでガメオベラになることもあります。逆に好感度が高くてもダメな鯖もいますので、甘やかせばよいとうものでもないです。

 

先程の例ですと、魔術師キャラは、選択肢に人間の屑が、この野郎! みたいな内容が出てくることがあり、該当の方(場合によっては両方OUTの事もある)を選ぶと、すごい勢いでストレス値が上がります。最小限の選択肢を選んでも場合によっては、鯖が操作不全になりタイムが壊れます。

 

話を戻して、大くんの場合ですと、前に少し述べたとおり、近代の鯖はだいたいOUTです。まあ、こいつナチュラルに人肉食うし残当。加えて処女性の属性を持っている鯖もかなり厳しいです。好色を持っていると、鯖が異性だと(両刀があれば同性でも)魔力供給(お約束)をしようとするので、ストレス値が上がる前に好感度を上げきるようなムーブが必要です。そんなちょろい鯖がいるわけ……いるわ……いますねぇ!!

 

逆に戦うのが好きな鯖とかですと、男女関係なく一定品質が保証できます。水着か通常スカサハ辺りですと、大くん自身の訓練イベントも結構発生するので、非常に旨味ですが、流石に狙えないので理想論です。逆にスカディは相性が微妙です。戦闘では支援できるけど、フラグ管理が非常にシビアで、非常に難しい。

致命的なのは、好色を持ってたらもう絶対ヤベー奴です。察して、どうぞ。カラリパヤットEXまで持っていったらワンチャンありますかね?

 

 

まあ、今回は藤丸君の召喚です。理想はアーチャー。遠距離や索敵ができる鯖がいるだけで、事故は非常に減りますし、シェヘラザードとマシュじゃ、対空戦闘がいやーきっついっす。ワイバーンが敵の主力なので、それが処理できるのならば、何でもよいです。また、総合的なタイムを考えると、初回に限り戦闘系ではなく、内政スキル持ちや非戦闘系の鯖でもうま味です。カルデアの復興が進み、取得経験値上昇や、疲労回復度上昇など序盤にほしい効果を得ることができます。第一特異点終了時のタイムは悪くなりますが、その後で十分巻き返しができるでしょう。

 

「施設復興」、「人理修復」。「両方」やらなくっちゃあならないってのが「マスター」のつらいところだな。覚悟はいいか? オレはできてないです(998敗)

 

 

「それじゃあ、立香くん説明したとおり頼むよ」

 

「はい!」

 

「先輩、ファイトです!」

 

 

マシュにがんばれ♥がんばれ♥されてーけどなー、俺も。

喚んでほしくない鯖はシンプルに、第三特異点までの野良鯖です。味方鯖は陣営にいると現地戦力としては出現しません。対消滅でも起こるんでしょ、きっと。

じゃあ術ジル引けば勝ちじゃん!! と思ったあなた、そんなんじゃ甘いよ。敵は此方にいようが問題なく出てきます。新レジェンド・ルールですね、これは。第4あたりまで行くと戦力に余裕が出てくるので、なんとかなります。

 

 

────藤丸の目の前で光が満ちる。

 

 

さて、今回は?

 

 

────それは、段々と光をまして行き、虹色の輝きを放つ円環へとなっていく

 

 

よし! 最高レアリティの鯖ですね。基本的に癖がある方が多いのと、育成コストも高いので、藤丸君に引かせたほうがうま味です。

また、引いたら厳しい鯖達の触媒を手に入れたら、自分で引く筋を潰す意味でも、彼に引かせるべきです。

それでも、藤丸なら、藤丸ならきっとなんとかしてくれる。

 

 

────光が収まると、そこに立っていたのは

 

 

「オレはアーチャー、ナポレオン! 可能性の男、虹を放つ男。勝利をもたらすためにやって来た、人理の英雄だ!」

 

 

やったぜ。索敵能力はともかく、アーチャーの鯖です。これは大勝利ですね。

 

 

「ナポレオン・ボナパルト!! 俺知ってる、不可能はない人だよね、マシュ!!」

 

「は、はい諸説ありますが、先輩の考えている人で間違いはないはずです」

 

「初代フランス皇帝のナポレオンとはね、これも縁なのかな」

 

 

ここで、ロマニとダウィンチちゃんによるナポレオン解説と、自己紹介イベントが行われますので、その間にシステムとしての解説です。

ナポレオンは弓兵のクラスですと、軍団を指揮する能力が失われる代わりに、砲撃に特化したキャラです。特に神性を持った敵に対しては強いので、強敵は神性持ちが多いこのゲームでは非常に優秀です。

周囲への火力支援もできるため、無駄が少ないです。最低限の近距離戦闘もできるのでマシュと合わせてチキンプレイに徹すれば負けはないでしょう。

 

第一特異点攻略に目処が立ったところで、今回はここまで。次回は特異点突入のための準備にイクゾー!!

 

 

 

 

 

 




恥ずかしながら帰ってまいりました。

ルールはだいたい説明しましたが、プロットもチャートもあってないようなものなので
そのうち矛盾するかもです。

その場合はもれなく失踪しますので(予告)


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(準備)~(命名)

混迷を極める中に一筋の光を見たRTAはぁじまぁるよー!

 

前回無事に、ナポレオン兄貴を召喚しました。(弓兵クラスなのでグランダルメは)ないです。部下の有能なハゲとかも一緒に来てくれると助かるんだけどなぁ~。

 

召喚も終わり、本日は解散ということで疲れた体を休めるために、マスターは各々自室で休む様に言い渡されます。移動している藤丸くんに話しかければ、彼や彼の鯖のイベントも発生しますが、特異点で長いこと野宿するので、一部イベを除きその時からでも十分です。

まずは自鯖としっかり意思疎通を取りつつ休むために自室へダッシュです。

 

到着したらずっと霊体化していたかの如く隠れていた、大くんの相棒のシェヘラザードさんを招き入れます。

 

────入って、どうぞ。

 

「お邪魔しますね、マスター」

 

部屋が無茶苦茶余っているカルデアでは、基本各鯖に自室が与えられます。マスターの近くの空いている所に入りますので、あまり気にしなくても大丈夫です。

 

────まずは

 

・改めて自己紹介

・好きなものを聞く

・明かりを消す

 

選択肢は上を選び自己紹介をしましょう。アイサツは大事、古事記にもそう書かれている。

 

 

────改めて自己紹介をすることになった。

 

「俺は……名前はない。好きに呼んで」

 

「お名前をお持ちでない……それは」

 

 

開幕、ヘビー級のボディーブローやめろォ!!(建前) ナイスゥ!!(本音)今後も名前の分だけタイムが短縮されるのでうま味ですね。と、このときは思ってました。

 

 

さて、シェヘラザードさんが自己紹介をしている間に、彼女について解説を。

千夜一夜物語の語り部です。以上!! いや史実(?)の話をする流れじゃないし、そもそも内容がアレですからね。何を語ってもネタバレになってしまいます。

千夜一夜物語、またはアラビアンナイトと呼ばれる話は、処女厨の王様が毎晩、『結婚、ベッドイン、処刑!! 結婚、ベッドイン、処刑!! 』のKBSを繰り返して国がヤバイヤバイ!! になった所を、大臣の娘シェヘラザードが、ピロートークで語り始めた無茶苦茶長い物語。というものです。話が長いのは大雑把に言うと、物語がマトリョーシカになっていて、劇中の人物が物語を聞くという形で話が展開していくからです。

 

まぁ、何が言いたいかとうと、無茶苦茶話すのが上手な、黒髪ロング褐色巨乳お姉さんということです。しかも子持ちだったりしなかったりします。それ以外に情報いる?

 

ゲーム的にはキャスターのクラスで召喚されます。

回復能力は持っていませんが、生存性能は高いです。デバフで相手の行動を縛ることと、ガッツという致死ダメージを受けた時に自動で発動する蘇生を自身や味方に付与とサポートもできます。

近接戦闘は苦手ですが、召喚獣感覚で精霊とかラミアとか鳥とか色々出せるのでできることは多いです。なによりも宝具がかなり尖った性質ですので、苦手な敵と得意な敵の差が大きいです。

 

性能は2回のアップデートを重ねて、産廃と呼ばれた頃とは大きく異なってますので、初期イメージが強くて使ってない兄貴達は育てて使え。(LV100宝具5並感)

 

「マスター貴方は……このような状況でも、怯えや恐れというものがないのですね」

 

 

ガバが怖いって、それ一番言われてるから。

自己紹介はひとまず終了。このイベント以降鯖に好感度が発生します。

召喚して、レベル上げて、そのまま出撃すると好感度補正が得られないので気をつけましょう(2敗)

 

先程の選択肢はベッドに入る前に、もう一度話しかければまた出せますので、もう一回~。

 

────好きなものを尋ねる。

 

じゃあ、まず年齢を教えてくれるかな?(お約束)

ふざけていますが、かなり大切な行動です。何が鯖のストレスになり、どうすれば好まれるかを操作キャラが把握していないと、一部のイベントが発生しません。また、この会話の後相手の好感度を大まかに知れるようになります。

 

「安全と安心が好きです。この状況で望めるものでは……あまりないのですが」

 

ヨシ!(現場猫) 一先ずひどく相性の悪い組み合わせというものではないですね。シェヘラザードの場合、言いよどんだり話を変えてくるのは自衛の為という設定で、要するに此方を警戒している状態です。そうではないのならば一先ず問題ありません。

 

「嫌いなものは……死んでしまうこと、です……特異点で死んだらカルデアに戻れますが、それでも死んでしまうのは恐ろしいことです」

 

 

こちらも大丈夫そうですね。彼女の言う通り、レイシフト中の鯖の蘇生はできません。ステラや掎角一陣は1回使うと、カルデアに帰ってしまいます。これもハードモードならではですね。まあ本人が戦闘で優秀なステラは兎も角、掎角一陣は現地鯖を弾丸に連打することも想定はしてます(魔術師の鑑)

 

さて、好き嫌いを聞いたので、鯖の好感度がわかるようになりました。まあ、大まかな範囲でですが。やり方はメニューの所持鯖から話しかけた時のセリフから判断できます。

 

 

「どうか、無理をなさらずに。ご自愛くださいね」

 

 

ん? この会話はなんでしょう。一応ダイハードレギュで走る前に、シェヘラザードのセリフはWIKIで確認してきたのですが、初めて見ますね。チャート上は「私を殺さないでください~」から派生するセリフが出るはずで、好感度が足りないと「お静かにお願いします~」系が出るはずなのですが。

まぁ、見落としていたとかでしょう。試走もしていない思いつきレギュですので。まぁ、悪い感じじゃなさそう? なので、このまま続行です。

 

 

ベッドに入って1日を終了させましょう……と思いましたがオリチャー発動です。先程の一番下の選択肢を選びます。

 

 

────明かりを消して、ドアにロックを掛けた。

 

────今日はもうベッドに入ることにした。

 

 

この選択肢も同様に1日を終えることができます。ただお休みイベントや、複数の鯖がいるときは2人目以降の来客などのランダムイベントを発生させないで、即就寝になります。部屋に鯖がいない時はドアを調べて選択肢を出せます。

基本部屋で起こるランダムイベは9割がうま味なので、可能な限り祈りながら寝ます。第6特異点までに発生しないと詰みかねるイベントもあるので、それが起こるまでは基本明るいままベッドで寝ることになります。

 

では、なぜ今回明かりを消したかと言うと、先程の通り、好色を持つなどの、特定条件を満たした操作キャラと鯖のイベントを発生させるためです。言ってしまうと部屋に対象となる鯖のみの場合に、明かりを消すと魔力供給(暗喩)を行うことがあります。

 

FGORPGはKENZENですので、直接描写がないのですが、起床後の処理に明確な差があります。

以下、説明のため、魔力供給を発生する状態のことを『条件状態』と呼称します。

 

条件状態には、様々な物があり好感度が一定以上などの物から、前世によるものまで多岐にわたります。

 

通常、非条件状態の鯖が部屋にいる状態で消灯すると、翌朝に切り替わり操作キャラのステータスが回復した状態で一人で目覚めます。

 

しかし、条件状態で消灯すると、起床した際に鯖がまだいる場合があります。場合があるの通りで、いないこともあるのですが、それでも条件状態であった場合は、ステータスの回復の仕方に偏りがあります。

魔力が減っていたり、スタミナが回復していない場合もあれば、精神疲弊度が大きく回復しているなど。場合によっては四肢の欠損なんかもあります。KENZENとは?

 

要するに、起きて部屋に鯖がいれば確定。いなくても回復の仕方を見れば察せます。

 

そして、シェヘラザードの条件状態は、操作キャラ側は好色などの、能動的性質。鯖側は一定の好感度です。非常にオーソドックスです。

そう、先程好感度の確認が今ひとつでしたので、ここで魔力供給するほどかの確認をしておきたかったわけですね。これが処女だと返り討ちに合うイベントやら何やらが起こってロスいので、シェヘラザード様様です。

 

 

さて、一夜が開けましたが、どうでしょうか。

 

 

────起床の時間だ。特異点へのレイシフトの準備をしなくては

 

 

一先ず部屋にはいないみたいです。急いでステ確認……ん? スタミナも魔力も正常ですね、疲弊度も変わらず。でも何故か知力ステが若干上がってます。え、なにこれは。ま、まあ知力はあまり使わないですが、あって困るものでもないのでいいでしょう。

好感度確認も魔力供給の有無もわかりませんでしたが、悪い状況ではないのでOKです。大くんベッドのシーツ確認とかできませんかね? 流石に無理ですね。

 

気を取り直して、今日のタスクをしていきましょう。以前述べたとおり、カルデアでは隠れビーストことフォウくんと可能な限り接触をしないように気をつけながら行動をする必要があります。また一般職員からも好かれにくいので、トラブルを起こさないようにしましょう。

その上で今日は冬木で獲得したリソースをシェヘラザードにドバー!! と注ぎ込みましょう。藤丸くんに渡す分も考慮する必要がありますが、彼の鯖は5,6章辺りまでは適正レベルの枷のせいでそこまで大飯食らいではありません。チュートリアルスキップで獲得した資源でも、必要量は足りてます。

 

次に大くんの制服を選びましょう。マスター礼装と呼ばれるものですね。これにより一般家庭操作キャラでも擬似的に魔術が使えるようになります。最初に選べるのは4つですが、カルデア戦闘服の場所替えスキルと、スタンスキルが強力なので今回はこれです。服にも経験値の概念があり使ってると強くなります。なので最後までこれで行くと思います。ですが召喚する鯖によってはお着替えシーンも入るかも知れません。高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応するチャートです。

 

 

これで部屋でやれることは終わりですので、外に出ます。まずは食堂に向かいましょう。この際に経路にシェヘラザードがあれば、部屋に行って合流します。

今回は……部屋は隣でしたが、不在みたいですね。ならばそのまま進みます。

 

 

「君はマスターの……」

 

 

ここでイベントが入ります。

キッチンスタッフがいないので、料理ができるバックアップの非専門職の方が今後対応することを聞かされます。

保存食でカルデア全員分の数カ月分の食料が元々あったので、そういった備品も含めて無くなる心配はしなくてよいのがハードモードの良いところです。

ただ、料理技能を持った鯖か操作キャラがいないと、食事による回復量が下がるので悪しからず。

 

大くんはここで食事をとりますが、彼は完全肉食主義者です。ガウェイン卿などの菜食主義者とは逆ですね。その旨を伝えて肉をもらいましょう。おっちゃん、SPAM缶3つくれ。

 

というか、普通人肉を必要にかられて食べた人って人肉を避けると思うんですけど、どうなんでしょうね。作ったキャラに言ってもしょうがないですが、ウミガメのスープにウミガメが入ってるとダメなタイプって、何なのよ?

 

 

「あっ! 俺と同じマスターの……」

 

 

準備期間の実質的な初日の本日は確定で、食堂で食事を取ると藤丸くんとのイベントが起こります。

このイベントは大事で、藤丸君にマシュと、今回はいませんが、同席していれば藤丸くんの召喚した鯖(この場合はナポレオンですね)との信頼度を大きく稼ぐことができます。これから戦う仲間なので、仲良くなっておきましょう。

 

それにしても名前がないの不便そうですね。皆も大くんと呼べばいいのに。でも名前がないのって呪術的に対象に取られ難そうで、うま味な気もする、しない?

 

 

「俺は、藤丸立香。まだまだわからないことばかりだけど、一緒に頑張ろう」

 

「私は、先輩のサーヴァントのシールダー・マシュ・キリエライトです」

 

 

はぁ~すっごい主人公ムーブ。

まあ、ここは適当に話を合わせながら、食事をしましょう。大くんは多分この1週間で、それまでの人生より多くのコミュニケーションをしてますね。コミュ力もきっとすぐに上がってくれるでしょう。あ、ゲームステにコミュ力はないです。コミュ障兄貴も走れるから、走って。

 

談笑しながら食事をしているとマスター全員(2名)に呼び出しがかかるので、管制室に向かいましょう。準備期間、要するに内政パートのチュートリアルです。

 

管制室に付きました。おや先程いなかったナポレオンとシェヘラザードもいますね。早速始まるのはまた、ロマンおじさんとダウィンチちゃんの説明です。お話が長いよー。まあ、リソースを使って鯖を育てる話です。さっきもう部屋でやったからヘーキヘーキ!

 

他にはシミュレーターを使った訓練などもこのタイミングで解禁になります。フランスに行く前に1回利用しておくとイベントがありますので、後ほど向かいます。

 

他にも、ダウィンチちゃんのショップとか色々あります。後はカルデアのライブラリーを調べると、敵鯖の情報なども見れますが、どの対象を見るかの所謂ひらめきがないと、目的の情報が見れないので、あまり意味はないです。EXTRAのモラトリアムに近い感じですね。というより内政パートがほぼEXTRAとCCCのオマージュなのでしょうか?

 

 

「さて、立香君はいいとして、キャスターのマスターは、そろそろ名前を決めてくれると私としても助かるのだがね?」

 

ん? なんかはじまりましたね。

 

「ボクも同感だ。君の生まれは資料を読ませてもらったからわかるけど、名前はカルデアにおいては必要になる」

 

 

そうだよ(便乗)。うわぁ……どっかの誰かが名前をつけなかったせいで、余計なイベントが発生してますね。まあ、本来走るチャート的には最適化してたから文句は言えません。

大くんでも、マサルダイモンでも何でもいいので、適当にお願いします。

 

────貴方の名前だ

 

・自分で決める

・なんでもいい

・誰かにまかせる

 

せっかくだから俺は下を選ぶぜ! 多分これはお願いした人の好感度が上がるタイプのやつですね。キャスター、任せた!

 

「マスターがいらっしゃった場所に準えて、私が命名するのであれば「シンドバッド」というのは如何でしょうか?」

 

「拘りもないみたいだし、それで登録しておくよ」

 

はえーすっごいビッグネーム。後で調べたらインドの風のアラビア語らしいですけど、それすらもサンスクリット語の祝福された道とかからなまった可能性があるらしい。というか、キャスターは設定状バグダードの話なのでは?

まあ、言葉に関してはサンクチュアリなので、論じてはいけない(戒め)

 

まあ、ゲーム的にはどうせマスターとしか呼ばれないので、何でもいいです。

無事名前もきまったので、後は1回シミュレーターで藤丸くんとの模擬戦イベをしてフランス旅行ですね。

おみやげはワイバーンジャーキーの予定です。

 

本日はここまでありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 




非常事態宣言で、仕事が1/4位になったので、書き上がりました。

拙作を読んで、もやもやした気分になり、
それをRTA小説を書くことで発散し、皆さんで自宅待機をしていただければと思います。



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裏:帰還後の各員の動向

RTAパートが書きやすすぎて、普通の小説書けなくなってきている。
メタ視点もカットも自在でできるとか、そら楽だよね。

構成上RTAパートでやってないところまで話が進んでます、すみません。
許してください! なんでもしますから!!(様式美)


既にチェックをかけられている。

 

 

カルデアの今状況は端的に言えばそういったものであろう。

首脳陣も、マスターチームも、バックアップスタッフも他大半が死亡したか、コールドスリープ中だ。皮肉にも人員が不足しているため物資は問題ない。

 

だが、魔力リソースすら心許ない、このままでは守護英霊召喚システム・フェイトも十全に使い切れないであろう。

 

そんなないない尽くしの中、たった二人だけ残ったマスターに全てを託す必要がある。その重圧を考えると、なんとも歯がゆいばかりだ。繰り上がりでカルデアの責任者になったロマニ・アーキマンは、技術局特別名誉顧問のレオナルド・ダウィンチの説明を補足しながら、痛感していた。だがその重さの性質は2人のマスター間で大きく異なっていた。

 

 

1人目、藤丸立香。

彼は本当にごく普通の家庭に生まれた、ごく普通の少年だ、レイシフト適性が高いこと以外、能力的に記載することがない。そうレポートに書かれている程の、まだ飲酒すらできない年齢の子供だ。

 

魔術のまの字も知らないままカルデアにつれてこられたが、高い適応力を持っているのか、元マスター候補で現デミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトと契約。そのまま現地で協力者を見つけて、冬木の特異点の解決を成功させた。それなり程度だが魔術回路も有している。

 

言い方は悪いが、彼は普通の人間なので、しっかりしたメンタルケアをすれば大丈夫であろう。いや彼の背負う使命の重さの前に、何をしても大丈夫ということはないのだが。

 

 

問題はもうひとりであろう。

2人目、名無しのマスター。

経歴はほぼわかっており、裏取りもできている。カルデアに備品として購入された、魔術師の実験体の慣れ果てだ。

本来は人間の身体だったようだが、筋力や身体能力が異常に発達しており、身体を構成する物質が、通常の人間と異なっている。魔術師曰く記憶が正しければ、消化器系に手を加えただけで後はそのままというが、食してきたものが問題であった。

 

彼をスカウトしてきた調査員の報告では、彼のいた場所には大量の人とホムンクルスの骨や髪の毛でできた日用品があったという。

奴は食料の供給もなく、彼は何と20年近い時をあの場所で生きていたはずだ。

と件の魔術師は供述していた。その結果が

 

(食人に抵抗がない、サーヴァントと戦える身体能力を持ったマスターか)

 

 

御す事ができたのならば、なるほど戦力になるであろう。

 

レイシフト適正も藤丸立香と大差ない、魔術回路も少ないが持っている様子で、カルデアからのバックアップが有れば、複数のサーヴァントの運用も可能なはずだ。マスターが自衛能力を持っているのは、守りの特化したマシュと契約した藤丸立香とならび、生存能力を上げてくれる。

 

というよりも、冬木の特異点では、通信が不通であったが、先っほど上がってきたログを見ると、シャドウサーヴァント、しかもヘラクレス相手に、キャスターの支援がない中で、肉弾戦を挑んで勝ったというのだ。その際の負傷も回復していたが、藤丸チームに合流する前に、解決されてカルデアに帰還していた。

 

戦闘技術は、調査員の報告では不明だったが、カルデアのテストで、カラリパヤットの流れをくむ独自の流派に近いということがわかった。

本来剣や槍なども扱う武術だが彼はもっぱら素手。棒術はたまに練習していたが、素手ほど馴染まなかったとのことである。

 

影とはいえサーヴァントを倒すほど習熟された武術と肉体。純粋な優秀な魔術師がいない現状、成程ありがたいスペシャリストのはずだ。

 

 

(文字を読むことも書くこともできないどころか、社会で生活したこともない。所長には絶対服従の契約をしたらしいが、その所長ももういない。だからと言って今から改めて矯正をかけて備品として運用するのは、憚られるし不安も大きい)

 

 

しかし、それは何をしでかすかわからない肉食獣が、調教師なしで隣にいる。

そんな現状なのだ。幸いというべきか、魔術への抵抗力は弱いようなので、魔術師の職員にはその様に申し伝えるべきであろう。

 

追い風なのは、彼が所長と魔術的な契約をする前から協力的なことだ。報告書には、初対面こそ襲いかかられたが、それ以外では「まるで自分の意志がないかのよう」非常に従順で抵抗もしないとのことだ。

 

 

(可能であれば、このまま。でも万が一のときは)

 

 

メンタルケアなどの療法は、社会性を持っていないと効果が薄い。可能であれば、彼を一人の人間としたいが、不可能であった時、彼が獣として動き出したときは、ロマニとしても決断が必要になるであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤丸立香は、昨日大変な冒険をして、信じられないような事態に巻き込まれながらも、いつもどおり空腹で目が覚めた。現金な自分の体に苦笑しつつも、彼は昨日、先任の後輩であるマシュに案内された食堂に向かうことにした。

道すがら、彼女のピンクブロンドの髪を見つけたので、一緒に談笑しながら食堂に入ると、今後は保存食を食べることになると張り紙がされていた。急に自分の置かれた状況を再認識しながらも、自国のありがたい諺に従い、食事を受け取った。腹が減っては戦ができぬのだ。

 

マシュと共に座って食べようかと振り向くと、まばらな人の中に、大柄な人物がなにかの缶詰を前に座っているのを見つけたのだった。

 

 

「あっ! 俺と同じマスターの……」

 

「ん? 昨日の……」

 

「ここ座っていいかな?」

 

「ああ」

 

 

一瞬マシュと視線を合わせてから、大柄な男の前に座る。立香は基本的に食事は大勢で取る派だった。

 

 

「俺は、藤丸立香。まだまだわからないことばかりだけど、一緒に頑張ろう」

 

「私は、先輩のサーヴァントのシールダー・マシュ・キリエライトです」

 

「よろしく頼む。魔術とかよくわからないが、それなりに鍛えているつもりだ」

 

改めて自己紹介をするも、名前を聞き出せなかった。立香は一瞬昨日名前を聞いてて、自分が忘れているだけかと思ったが、生まれてこの方人の名前を思い出せなかったことがないので、どうにも腑に落ちなかった。

 

「(先輩、この方はお名前をお持ちでない方です)」

 

「(へー、そういう人もいるんだ、不便じゃないのかな?)」

 

すると、できる後輩マシュ・キリエライトが左耳に囁くように回答をくれた。なるほど名前がないのか。見た所日本人ではなさそうだし、外国のどこかにはそういう所もあるのだろう、立香はそう納得した。

 

いただきますと小さくつぶやいてから、彼は自分の食事に手を付ける。立香は朝はご飯でもパンでもシリアルでも全く問題はない派なことを深く感謝した。ふと前を見ると、たまにスーパーで見るような輸入品の缶詰を持ち上げて覗き込んでる男がいた。

 

「えーと……缶詰の開け方わかる?」

 

「缶詰? 皮を剥いて食べるのか?」

 

「あぁー、ちょっと貸して」

 

どうやら、缶の開け方がわからなかったようだ。缶切りが必要なタイプかと思えば、立香の知るようなプルトップ型であった。まあ缶詰を開けられない人もいるだろう。立香はそう納得して変わりに開封した。プシュッという軽い音とともに、蓋が外れて中のピンク色の肉がみえる。

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとう」

 

男性は缶を受け取り軽く礼を言うと、缶を持ち握りつぶした。空いている上面から押し出された中身にそのままかぶりついた。随分ワイルドだな、お皿に出せばいいのにと思ったが、非常事態だし節約をしているのかと納得して食事に戻る。

 

「先輩、今の缶詰はお肉ですか?」

 

「確か、スパムっていうソーセージの腸に詰めてないやつだったはず、元々はアメリカの軍事レーションだったかな?」

 

昔にテレビで見たようなうろ覚えの知識で、立香は質問してきたマシュに返した。すると、男性の方も此方に向いて話を聞いている様子だ。

 

「食べたことない肉だが、すぱむというのか」

 

「外側にそう書いているから、多分そうだよ」

 

「あの、何故その缶詰だけを3つも食べているのですか?」

 

マシュの質問に確かにと立香は、改めて疑問に思った。食べ方もわからない、なにかも知らない。それなのに、同じものが3つもある。好物なのかと思えばそうでもないらしい。

 

 

「何でも良いから肉を頼んだらこれが出てきた」

 

「バランス悪いね、それ」

 

「俺は肉しか食わないから、沢山あるのを頼んだ」

 

「お肉しか食べないのですか?」

 

「ああ。だが肉なら何でも良い」

 

怖そうな見かけの男性の、ちょっとしたおマヌケエピソード。そんなふうに言えるこの談笑で。

立香は、ぶっきらぼうながらも、しっかり受け答えを返してくれるので、なんかゲームでそんな種族いたなぁ程度に思っていた。

 

 

だから、この先本当に何の肉でも良い。ということを知った時どうなるかなんて全く想像していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マシュ! 次は上からくる!」

 

「了解です、迎撃します!!」

 

 

シミュレータールームに、金属同士がぶつかりあったような甲高い音が響き渡る。マシュは構えた盾に伝わる衝撃に怯むことなく、デミサーヴァントとなり強化された膂力で弾き飛ばそうと力を入れる。

しかし、踏み込み力を入れようとする一瞬で、盾に感じていた重さは消え去ってしまう。

直様追撃が来ると盾を持ち上げて敵影を確認しようと覗き込む。

 

 

「だめだ!! 下!!」

 

「──ッくぅ!! 」

 

その瞬間に、まるで地面に這いつくばっている程に体勢を低くした敵が、盾の隙間より突進を仕掛けてくる。腹部へと伝わる衝撃に、マシュの口から空気が漏れるが、無理矢理組み付いてきた敵へと膝を入れることで、なんとか引き剥がす。

手応えは軽いが、初めてマシュから攻撃を当てることができた。

 

 

「大丈夫!? マシュ!」

 

「はい! 損傷軽微、問題ありません! ですが……」

 

「シンドバッドもノーダメみたいだね、人間ってすごいな」

 

 

彼らは今、訓練ということでシミュレーターで模擬戦闘を行っていた。傍らには、万一の際に止めに入れるようにと立香のサーヴァントのナポレオンと、シンドバッドと命名された彼のシェヘラザードが控えている。

 

そう、

 

 

「本当にサーヴァントと戦える程度の戦闘能力のようだな」

 

「ええ、マスターですもの」

 

立香とマシュは、マスターであるシンドバッド一人と戦っていたのだ。戦力の確認という意味もあるのだが、これには仕方ない事情があった。全員参加すれば数で勝る立香、というよりもナポレオンの攻撃をいかに避けるかになってしまう。

ナポレオンを除いた場合は、マシュがシンドバッドに抑えられている合間に、手数が圧倒的に多いシェヘラザードの精霊に立香が囲まれて終わってしまう。

 

訓練として成り立つのは、この組み合わせしか無かったのだ。

 

 

「にしても、俺のマスターの目は大した物だな。だんだん敵の動きと、盾のお嬢さん両方を見れるようになってきている」

 

「ええ、私のマスターも決め手は兎も角、体力は問題ないようですね」

 

 

二人は、目の前で繰り広げられる攻防を見ながらそう述べた。

そう話しているのだが、二人の間には3メートルほど間が空いていた。

 

 

マシュの盾を踏み台に立香に肉薄しようと宙を舞うシンドバッドを見ながら、ナポレオンは、シェヘラザードの方に話しかけた。これだけ離れていても普通の声量で会話ができるのはサーヴァントの所以であろう。

 

 

「というか、そんなに離れなくとも良いんじゃないか? マドモワゼル」

 

「すみません、臣下を大事にされていらっしゃったようですが、王相手はどうにも……」

 

 

 

 

シェヘラザードはナポレオンにというよりも、王相手にはどうにも距離をとっていた。

まもなく実質的な最初のミッションである、第一特異点へと突入する前の僅かなインターバル、後で思い出話しにできそうな光景の中で。

 

 

 

 

 

シェヘラザードが思い出すのは、昨晩のことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しますね、マスター」

 

彼女が初めて入ったマスターの部屋は、私物が一切ない無機質な部屋であった。それも仕方がないであろう、彼自身がここで就寝するのが初めてなのだ。持ち込んだものも全て没収されている以上、なにもないのは当然であった。

 

シェヘラザードは改めて、自分を呼んだ今生のマスターを見る。彼女からしては比較的馴染みのある日焼けした浅黒い肌、鍛え抜かれた筋肉質な身体。年の頃は本人も正確にはわからないとのことで、20と少し位だろうか。

 

彼の前に腰掛けながら、彼女は部屋に自分を害する危険がないことを確認し終えて一息ついていた。その様子を見たマスターは改めて口を開く。

 

「キャスター。さっきは、ありがとう」

 

「いえ、貴方に仕える者として微力を尽くしただけです」

 

口元は隠れたままだが、それでも相手に伝わるように、目尻を下げ微笑を浮かべながら彼女はそう口にした。嘘ではなかったが、明確な本音ではなかったからだ。

 

 

「それで、キャスターと呼べば良いのか?」

 

「はい。そうお呼びください」

 

「俺は……名前はない。好きに呼んで」

 

「お名前をお持ちでない……それは」

 

 

先程、あの燃える街で聞いてはいたが、目の前の男性は年齢の割に、恥じらう純朴な少年のように朴訥な所があり、話していると年の頃より幼く感じる。

そんな彼が、自身の名前を持っていないことに対して、何ら思っていないことは、ひどく歪に感じるのであった。

 

「いえ、承知いたしました。それではマスターとお呼びいたします」

 

「わかった。よろしく」

 

「はい、此方こそよろしくお願いいたします」

 

だが、既に契約は結ばれている。彼女の望みは死なないこと。基本的にサーヴァントとして呼び出された以上、最終的な終わりは死であることが多い。それでも彼女は死なないことそれを目的としているのだから。

 

「マスター貴方は……このような状況でも、怯えや恐れというものがないのですね」

 

「よくわからないから。キャスターは怖いのか?」

 

「ええ、とても恐ろしいことです」

 

「そうか」

 

彼女はマスターが本当に話すことに慣れていないことを、このやり取りで確信した。少年ですらない、まるで幼子のような受け答えだ。きっと、それほどしか人と関わってこなかったのであろう。

 

 

「もう少しお話しませんか? マスター」

 

「ああ、こういうときは好きなものを聞けばよいのだったか?」

 

「ふふっ……そうですね、その通りです。私は安全と安心が好きです。この状況で望めるものでは……あまりないのですが」

 

「そうだな」

 

「嫌いなものは……死んでしまうこと、です……特異点で死んだらカルデアに戻れますが、それでも死んでしまうのは恐ろしいことです」

 

「何もなせないまま死ぬのは怖い。俺はやっと、生きるを始められた。『俺も死ぬのが怖い』よ、キャスター」

 

 

だからこそ、人と関わる際に誰しもが身につける、社交性の仮面を彼女のマスターは持っていなかった。それ故に彼女はわかってしまったのだ。彼が先程あの燃える街で、何故果敢にあの恐ろしい影に挑んでいたのか。

 

 

「マスターは、今までどう過ごされてきたのですか?」

 

「ずっと、同じところで、同じことをしていた」

 

「いつ終わるのか、わからないまま……ですね? 」

 

「そう。戦う練習をして……恵みを食べて、倒して食べてた」

 

 

無限とも思える繰り返し。それが無為に終わらぬように、意味あるものにするために。それが彼にとっての手段と目的だったのだ。彼女にとってあの朝を求め、そのためにあらゆる手を尽くした絶望の日々と。擦り切れてしまった志があったのだ。

 

王の改心を願い出た彼女がやがて擦り切れた先に求めたのが、死ぬことなく生きることであるのならば、長年を禁忌を重ねながら無為に繰り返した彼が求めたものは、犠牲を上回るほどの自身への価値であった。

 

自身のすべてを費やしても、何も変わらない日々に、いつかを期待するしかない。

彼女はそれを経験したものとしてひどく共感してしまっていた。

 

なにせ、彼も擦り切れ始めている。

あの、勝鬨を上げた時、彼は歓喜に満たされていた。だが、それだけだ。

彼女にとっての一夜が明けただけ。彼はこれから、証明を続けなければならない。彼女が擦り切れてしまったように、彼もきっと摩耗していく。より強い敵をよりたくさんの敵を、無為にした日々の積み重ねが無駄でなかったかを示すために、その間に磨いた技を用いて。

 

 

「マスター。貴方はこれから沢山の苦難に出会うでしょう。それでもどうか、無理をなさらずに。ご自愛くださいね」

 

「ああ、わかった。キャスター」

 

 

もうわかっている、彼女がサーヴァントとして呼ばれてしまうことが、そもそもの彼女自身の望みと最もかけ離れていることに。

なればこそ、彼女が求めるのは絶対的な消失と言う名の、もう死ななくて良い救済であろう。

 

だから彼女は、触媒などで無理矢理呼ばれない限り、基本的に現界することはない。

彼女の望みが叶わないからだ。だが、今回彼女は召喚された。自身と近しいマスターに。

 

 

自身を座から消す事などできるはずもない、方法も知らない。

だが、

語られるものがいなくなれば、彼女はもう死ななくて良くなるのだ

 

 

 

 

彼女とて、自身が呼ばれた意味を理解している。人理を修復する責務、それは果たす為最善を尽くしましょう。ですが……

 

 

──マスターが、自身の価値を証明することに疲れて、目的がすり替わってしまった時は───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒に終わってくれるように、命令してくださいね、我が王。

 

 

 

 

 

 

「たくさんお話すべき事はございますが……閨で先程の続きと共にお話いたしませんか? 」

 

「……ああ! そうだな、キャスター」

 

 

明かりの消えた部屋で彼女は語る。生前に千と一度語った『殺されない為の物語』ではなく。これから毎日紡いでいくのは『共に終わる為の物語』を。

 

それは目的こそ違うが、生前と変わらない。家族も自身も既知も未知も、あらゆる手段を使い主君に取り入るのが彼女の生きる術なのだから。

 

 

 

 

 

 




そら(アガルタと終局の記憶も経験も情報もない中、人理焼却を知ったら)そう(改心前黒幕らしく、行動する)よ。

不夜キャスさんは、秩序・中庸なので、マスターには従うけど思うところはあるんですよー、多分。

大くん改めシンドバッドは、フィーリングでつけた名前です。キャプテンの中に入ってても、まあ別人だし良いでしょ。
冒険を志して、満足してやめたくなっても冒険に行かされて、やめて女と一緒に帰った男であれば誰でも。

ようやっと舞台設定の説明終わったし次回からサクサクイクゾー!




Q.不夜キャスさん裏切ったん?
A.別にそうじゃなくて、目的を決めただけ。

Q.シンドバッドはどうなるの?
A.自分の決めたことをやりきれば、セーフ。諦めたら……ナオキです。

Q,つまりどういうことだってばよ?
A.人理焼却が完遂されれば、その後もう誰も死なないですよね?

Q.でもそれって根本的な解決になってませんよね?
A.何の問題ですか♂

Q.エッチなことしたんですね?
A.「はい」


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(模擬戦)〜(邂逅)

進行ペースの遅さに定評のあるRTAはーじまるよー

 

前回は命名イベントが終わったところでした。

動けるようになったら、直ぐにシミュレーションルームに向かいます。

先ほど少し述べた通り、ここでイベントがあるからです。戦闘系マスターかつ、こちらに戦闘系の鯖がいないと藤丸君とマシュにマスターソロで挑むことになります。

 

え、なにそれは? (困惑) まま、ええわ。

 

このイベントは藤丸君の鯖と自分の鯖全員の好感度がまとめて稼げるうま味イベントです。1つの準備期間に1度しかできませんが、負傷状態などでない限り必ず行いましょう。

 

戦闘はスキップできないので、しっかり操作してマシュをボコりましょう。

一定時間の経過で終了になります。ノーダメクリアすれば、ボーナスがもらえますので、ヒットアンドアウェイで行きましょう。

 

この段階のマシュでしたら、十分に対処できるので、余裕があったら藤丸君に軽く一発入れましょう。経験にボーナスが入ります。

 

おらぁ! お前ムチムチマシュマロ目隠れ後輩とイチャイチャしやがってよぉ! (私恨)

はい、模擬戦終了。これで経験値も好感度もうま味です。

 

この後は、もう特異点まですることはないので、時間を進めてしまいましょう。寝て食って戦って寝てまた戦いに行くとか蛮族かな? 蛮族でしたね。

 

起きた時に出る選択肢で、日課をこなす。を選んでイベントスキップです。若干ゃ経験値も入り、時短できるので、経済的!! もしこの段階で、藤丸君の鯖が作家陣などの非戦闘系であれば、シンドバッド君をもう少し重点的に鍛えたほうが良いですが、今回は割愛できます。

 

 

と、いうわけで第一特異点の観測が終了、フランスはオルレアン近郊に行けるようになったので、乗り込め―!!

 

色々ロマニが説明してますが、行き先はフランスの100年戦争の中旬から終盤ごろです。

この戦争のおかげで、歴史的には云々という話です。

 

個人的には、序盤のthe Black Princeとかいう格好良すぎる名前の人が活躍している辺りが好きなのですが……はい、そこの世界史の授業が苦手だった人、先生に正直に言いなさい。そんな中で戦争と偉人には妙に詳しい兄貴とか、戦国時代と幕末に詳しい姉貴もいますよね、なんで?(純粋な眼)

 

 

ともかくフランスでは、ワイバーンを操る敵がうろうろしているので、それを倒しながら手掛かりを集めて、攻略する流れです。

途中可能な限り、現地の鯖と協力しましょう。これを怠ると、フランスはどうにでもなりますが、終局、ラスダンでタイムが壊れます。仲間を集めて次の町へ(至言)

 

 

「これより、ファースト・オーダーを開始する。マスター、両名はコフィンの中へ」

 

指示通りコフィンに入ったら、多少の会話イベントの後にムービーが流れて、特異点攻略開始です。

 

 

スタートしたら、まず初期位置の確認。コフィンを使ってレイシフトした場合、現地側からの干渉でもない限り、確実に、藤丸君と一緒の場所に出られます。

ですが、スタート位置は若干の誤差があります。ただ、フランスでは確定でまずジャンヌ・ダルクと合流しますので、あまり考えなくてもよいです。

 

周囲に敵影なし、ヨシ! 地形的にドンレミ近郊ですね、可能性も高い普通の乱数です。

 

通信が繋がり、ロマニが現状を確認してくる報告を垂れ流すので、偵察に出ると言って駆け出しましょう。なお、シンドバッドくんには、一切の索敵や千里眼スキルをはじめとする、斥候スキルはないです。正々堂々、王道を行く、正面突破のみですね。魔術に弱い、暗殺に弱い、いやーキツイっす。

 

一定距離の移動で、前方に敵がポップします。駆け出していると周囲のメンバーがついてきますが、直ぐに前方に敵がいることに気付いてくれます。

この際、遠距離攻撃手段を持つ鯖がいれば、直ぐに攻撃を開始して戦闘が始まります。

 

「ナポレオン! ドラゴンに攻撃して! 」

 

「ダコール!」

 

おー! さすがナポレオンですね、見事な支援放火です。砲兵は戦場の神って、それ一番言われてるから。

シンドバッド君もナポレオンに負けないように、こちらに押しかけてくる、低く跳んでいる一般雑魚ワイバーンを狙って攻撃します。

雑魚エネミーはどこを攻撃するかも大事になってきます。おらぁ! 牙寄越せ!! 余裕があったらこのように顔にも一撃を入れてやりましょう。

 

今回は、シェヘラザードさんが何かしらの支援をかけてくれてるみたいですね。与ダメが非常に安定してます。彼女の魔術は、ワンクッション挟む必要はありますが、汎用性はかなり高いです。というか……えぇ、マシュよりDPS高くないこれ?

 

あ、そうでもないか、マシュは防御で盾殴りができるけど、こっちは避けるからね。マスター用の装備が開発されるのを待ちましょう。

おらぁ!! ガンドパンチ!! 怯んだところに被膜を狙って足先を当てるようなキック! 被膜を部位破壊して墜落させたらボコるだけです!

 

やっぱ序盤の戦うマスターは別ゲー感がすごいですね。さてさて、ナポレオン兄貴のおかげで、戦闘も終盤です。

ですが、ガバらないように、油断せずに行こう。

 

おっと、ここで、特殊個体ですね。ハードモードでは妙に体力の高い敵が出てきます。ポップインフォ上ではわかるのですが、グラなどは同じなので気をつけましょう。こいつは倒すと貢献値がうま味なので、優先してぶっ殺しましょう。

 

噛みつき攻撃をスウェーでかわし、そのまま首を起点に掴み登って乗り込み、羽に関節技を決めましょう。

シンドバッドはカラリパヤットやってるからな、この位余裕余裕。ワイバーン如き、朝飯前です。

 

特殊個体を倒して、ちょうど戦闘終了。リザルトで取得物を確認。ふむ、全体の7割ナポレオンが倒してますね。まあ当たり前か。

 

現地雑魚エネミーは強化素材以外にもいろいろ落とします。肉などの可食部は、カルデアに納品しましょう。いくつかのエネミーの肉は、インベントリで選んで食べることもできます。食べる選択肢が出た場合は、積極的に食べて経験値を稼ぎましょう。

 

お、早速特殊個体の肉は食えるみたいですね、火を起こして焼きましょう。焼いている間に藤丸君が現地人と交渉してきてくれます。このワイバーンはフランス兵を襲っていた集団とのことで、感謝されるのですが……ってあれ? 確かこのイベントは、ああよかったです。殲滅が早すぎたためにタイミングがずれましたが、聖女様がご到着です。

本来は第2波にあわせて、合流してくれるのですよね。

 

 

フランス軍は、ジャンヌの姿を見ると、恐慌状態になります。なにせ彼らが戦っているのは、最近やっと墓地から舞い戻れるようになったラーの如く、死者蘇生されてよみがえったジャンヌなんです。な、なんだってー!(棒)

 

ジャンヌは、復讐の為に竜を操る竜の魔女として、フランス軍を襲っているという情報をここで手に入れます。許せねぇ!! ジャンヌダルク!!

 

白いジャンヌは仲間になりたそうに見ているけど、フランス軍には警戒されてます。あーめんどくせ。ジャンヌが2人に増えただけなのに、何を今更。ジャンヌなんだし増えるのは当然だろ、そんなんじゃ甘いよ?

 

皆が話をしているのを、肉を食いながら見ているシンドバッド君。調理の時間は一瞬で終わるのですが、これ内部的にはもぐもぐしながら話聞いてますよね、おなかすいちゃったのかな?

 

ま、まあ、食える時に食うのが戦士の務めだし、多少はね?

 

ともかく、ジャンヌダルクと合流した、カルデア一行は、フランス軍とは適当な距離をとることになります。事情を説明しても理解されないし、多少はね?

 

 

 

早速現地戦力1号と合流しましたが、これからもどんどん情報を集めつつ戦力を拡充していきましょう。天下統一する系のゲームですね、きっと。

 

さて、フランスにいる野良鯖ですが、ジャンヌを入れて7人です。エリちゃん、きよひー、すまないさん、ゲオル先生、マリーちゃん、アマデウス。

 

その中でエリちゃん、きよひーは固定で街にいます。

ジークフリートも同じくです。ゲオルギウス先生もイベント加入なので大丈夫です。

 

問題なのは、マリーちゃんとアマデウスコンビですね。奴らは3犬やコピペロスのようにフランス中をぐるぐると徘徊しています。

一定以上ピンチになると、近くに湧いて助けてくれるイベントが発生しますが、ピンチになるのはリスクが高いし、イベントも長いので、曲がり角でばったりで会えることを祈りましょう。パンを咥えて遅刻ギリギリに家を出よう!!

 

真面目に語ると、情報収集をしてると、そのうち話を聞けるので合流できます。合流時期が安定しないのが厄介という形ですね。

 

ジャンヌダルクから、フランスの現状を聞きだしたら、お空を見上げます。なんかすごい丸がたくさんあるよーというイベントです。露骨な伏線。

 

まだまだ会話が続くので、フランスでの、敵鯖についてお話しします。

敵は聖杯を持った、ジル・ド・レェ元帥。魔術に闇落ちした方のやつです。

聖杯を使って、配下の鯖を多数召喚してきます。でも、元帥にもなったやつが、戦力の逐次投入とか恥ずかしくないの?

 

初戦こそ、3体ほどきますが、その後は、各個倒していけば問題ないです。乱数が悪いと一気にワーときますが、序盤も序盤にやられることはないです。最終戦はラッシュされますが、弱体補正も入るので無問題です。

 

特徴として、全鯖がバーサク状態で来ます。高潔な武人でも、魔術師的なやり方を強制させる恐ろしい方法なのですが、狂化入っているからか、ステはともかく敵AIが普通より弱いです。ですが、鯖扱いなので、功績が高いです。稼ぎ所さん!!

 

メンバーは、ヴラド(串刺し)、ファントム(愛狂い)、カーミラ様(処女喰い)、狂スロット(王狂い)、アタランテ(ロリコン)、マルタ(猫かぶりの姿)、デオンくんちゃん(両性)、サンソン(処刑人)

 

なんだこのメンツ! やべーやつばっかじゃねーか!!

 

現状のメンバーですと、ジャンヌとマシュが前衛を頑張ってもらい、ナポとシェヘラで後ろから削る形になります。戦線が安定したタイミングで、ホイホイ前に出て、敵を殴っていきましょう。(マスターはダメージソースの可能性が)濃いすか?

 

 

焼けた肉を、仲間におすそ分けして、地道な草の根活動をしたら、フランス兵がいる近場の町に向かいます。黒ジャンヌとの邂逅の為です。

 

ちなみにフランス全土が舞台の特異点ですが、最初のステージだからか、そこまで広くはありません。ゲーム的には7つの特異点のうち、2,5,6,7、などと同じ、国単位の特異点なので、内部的にはきっと何日かかけて歩いているのでしょう。

 

というか、本当に第5特異点頭おかしい。シカゴアルカトラズ間って、車でも40時間くらいかかるんだよ? 睡眠入れるともっとだぞ、歩けるわけないだろ、いい加減にしろ!!……一応ライダーなどの乗り物を持った鯖がいれば、単独で行動してくるなどの選択肢も出ますが、多少デメリットもあります。

 

ここで一度、ゲームオーバーの条件に付いて確認しておきましょう。わかりやすいのはこの3つです。

 

1,操作キャラの死亡

2,藤丸立香の死亡

3,マシュの死亡

 

この3つ以外はそれぞれ特殊イベになります。あとはまぁ、タイムオーバーもありますが、RTA的には気にしなくてOKです。

 

何が言いたいかというと、操作キャラを藤丸君から離し続けると、ランダムで、即終わったりするんですよ。聞いていません。

 

操作キャラがいない所の戦闘は確率で発生し乱数だけで処理が行われるので、十分あり得るんですよね。ザコ敵にも負けたりします。

ゲーム内時間はむしろたくさん使って、実時間を短縮するのが、RTAなので、一緒に行動しましょう、合体してるから安心!

 

 

 

 

 

街に向けて移動していると、黒いジャンヌ本人が来るイベントが発生します。

このころはまだルーラーです。復讐者(ルーラー)はワイバーンを連れて攻めてきたようです。鯖を連れていないのはなめプですね。

 

彼女は、竜を強化するバッファーなので、気をつけましょう。また、ルーラー補正で鯖からのダメージも軽減するので、硬いです。バフデバフ巻いてるやつから倒すのは、古今東西の定石ですが、その硬さのために通常プレイでは取り巻きを倒していく方が安定します。

 

今回もナポに竜を頼みましょう。弊カルデアのドラゴンスレイヤーはナポレオンでござーい。神秘に強いし多少はね? シンドバッドチームは援護を中心に動きます。

 

少し経ち、敵の数がまばらになってきたので、RTAらしく攻めていきましょう。操作キャラを突っ込ませます。おらぁ! 功績点寄越せや!!

 

黒ジャンヌは旗と剣を使った近接格闘をしてきます。炎もバラマキして怖いですね。なので、インファイトです。こいついっつも近づいて殴ってんな。彼女は筋力が高いゴリラなので、1撃は重いですが、しっかりガードすれば問題ないです。おまえ本当に人間かよ!! って思う方は、YAMA育ちは楽いから走って、どうぞ。

 

実際、一流魔術師と厳選にかかる時間はそんなにないんですよ、スタート時点での汎用性は、確実に魔術師ビルドに劣りますが、序盤の火力に関しては大体上回れます。

Aチームプレイを目指すような、超一流魔術師になると話は変わってきますが。

まぁ、シンドバッド君は天性の肉体以外は理想形に近くなってしまいましたからね。いつの間にか悪食になってますし。

 

ともかく、黒ジャンヌを的確に防御しながら削っていきましょう。人型鯖は、戦闘系ガチ勢でなければ、顔への攻撃が有効です。が、さすがに何度もやると警戒されてガードされるので、ボディを狙いましょう!

 

味方にして育て切ると、趙火力アタッカー件バッファーとして強い邪ンヌですが、このレベル帯では、そこまででもありません。そもそも、アヴェンジャーになる結果の火力ですしね。

ですが、さすがに一人で倒し切るのは難しいので、ナポレオンやマシュ、シェヘラザードが周囲を片付けるまで、引き留める方向で生きましょう。何よりも、一応はBOSS属性持っているので、ポイントが美味しいです。黒ジャンヌくんもうまそうやなぁ、ほんまに。でも僕は黒いのより白い方が好きです! もっと言うと、インドの方が好きです(隙自語)。

 

 

さて、敵の撤退条件になりましたので、大人しく見逃しましょう。第一特異点攻略RTAをやるのならば、ここで捕縛してなぶってると、ジャンヌの厄介ヲタが全戦力と共に押しかけてきてくれるので、サクっと暗殺してしまうのが良いでしょう。一定以上のアサシンが気配遮断を持っていればできます。暗殺はすべてを解決する。

 

前にも述べた通り、しっかり時間をかけて攻略するので、ここは素直に見送りましょう。あくまで様子見、遊んであげただけみたいなことを言って帰っていきます。じゃぁな! もう帰ってくんなよー!!

 

リザルトを確認。うん、経験値が美味しい!!

 

マスターの経験値ですが、生存能力以外にも、鯖の能力に影響が出ます。一切戦わない、非戦マスタープレイでも、魅力や話術以外の能力を上げる意味があるのはこのためですね。まあ持久力が低すぎるとアメリカで間に合わなくなるか、イスラエルの砂漠でミイラになります。

移動系鯖が出たからと言って多用してると、事故ってその鯖をロストしたときに詰みます。足で稼いでなんぼやな。マスターは。

 

 

撤退イベント、というか、彼女が示唆するファヴニール田中とかいう巨大エネミーに関してですが、さすがにこれは殴れません。次ステージ以降の同じモデルを流用しているドラゴンは、隙あれば殴りに行きますが。

 

 

イベントあったら、移動を再開、ラ・シャリテを目指しましょう。

 

その間暇ですので、お話しします。さっきからサクサク功績点を稼いでますが、今後はかなり厳しくなります。仮想敵が武芸に秀でているものと、足回りで負けているものばかりだからです。

 

シンドバッドが戦えないのは、

まずアタランテ。追いつけないので、無理です。

いや、無理かわからないだろ!! 兄貴は、頑張ってみて。これができるってことは、アタランテと結婚できるってことだから。

 

ランスロットも、無理です。狂っても技量は冴え渡るとか何なのなの?

ヴラおじもダメです。遠距離近距離共に隙がなさすぎる。地面から杭が生えてくるのは、チートやん!!

 

デオンくんちゃん、とマルタの姉御はまだ何とかなります。

ただ、デオンくんちゃんは魅了がきつくて、姉御はタラスクがきついです。隙があれば狙っていく程度です。

 

ファントムは、戦えなくはないのですが、藤丸くんへの優先度が高すぎるので、戦ってもヘイトが向かず戦線が維持できなくなります。進行ルートの運が良ければいける感じです。

 

カーミラ様は……かわいいなぁ!! 貴人なだけあって、近接戦闘はそこまで出ないのと、気配遮断もD相当なので、戦場で補足できたらもう大丈夫です。安心して殴りましょう。ただし、山育ち女が操作キャラだった場合は、出血ダメ食らった時点で、ほぼ負け確になるのでかなり厄介です。やっぱり男が一番だな!

 

 

ともかく、今後はあまり功績ポイントを稼げないので、適度にマスター間の連携をとるふりをして、藤丸君を守る、攻勢防壁になりましょう。雑魚的でも殴ればポイントは入りますので。

 

あ、そうそう味方鯖の清姫だけど、よく地雷地雷言われることが多いですが、裏表がないどころか、表しかない、YAMA育ちには相性は普通だよ。清姫じゃなくてもわかるような嘘しかつけないので、問題はないです。

 

と、言っても現地鯖と仲良くなるのも基本は藤丸君に任せましょう。横で話を聞きながら、空腹になるたびに、ワイバーンの肉を食いましょう。あーうめぇな!

まあ、満腹でも食えなくはないのですが、こういう時間のある時に消費するのが良いです。

 

というか、こいつ本当にひでえな、戦闘になれば突っ込み、終われば肉を焼いて、話し中に食べる。自由人かな? まあ、何にも縛られたくない男なんやなーって。

 

 

 

兎も角、今後の流れは、バーサク鯖レンジャーの出現フラグを立てて、うろうろしながら、街を救っていきます。

その後、すまないさんのうわさを聞いたら合流。ゲオル先生と合わせて、ファフニール田中を倒したら、ジルを倒しに行きます。

 

町に入るたび、勇者ムーブのように使えるもの探したいですが、悲しいかな、入れる家はないので、アイテムはほとんど落ちてないです。触媒になる系のアイテムを入手できれば、モノによっては活用できますが、早々そんなものは落ちてないです。

 

あ、ファフニール田中の素材を持ちかえれば、すまないさんをほぼ確実に召喚できます。前衛系が第3特異点攻略後辺りまで出なかったら、呼ぶことも視野に入れましょう。

ドラゴン以外には、悪くない正統派セイバー。ドラゴンは絶対殺すマンです。ゲオル先生引いてたら、ほぼ確定で呼んでしまいましょう。大体の敵は冤罪剣コンボ、これで吹っ飛ばせます。

 

 

 

今後の予定が決まったところで今回はここまで。

次回はバーサク戦です。

 

 




イベント時系列はふんわりいじってます。

こんなRTA風小説読む時間があったら、神を撃ち落として?
まだ私も序盤ですが、シナリオが長い場合、翌日の更新がなくなります。
ご了承ください。


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(移動)~(聖人加入)

神を撃ち落としたので初投稿です。
弊カルデアでは、キリシュタリア様の実装を心よりお待ちしております。


そろそろ見所さんが心配なRTA、始まります!!

 

 

前回は、ラ・シャリテを目指す所でした。

白と黒ジャンヌに会うの両方のフラグを回収すると、

次の街でバーサク鯖が襲撃しているのに遭遇できます。そこで一番近い街に行く必要があるということですね。

 

道中にはぐれワイバーンがいたら、駆け出して殴りに行きましょう。その際、周囲には大抵フランス兵がいるので、多少無理にでも助けてあげる必要があります。一定以上距離があると、ナポレオンが敵を砲撃で沈めてしまうので、殴るのが無理そうなら藤丸君の周囲にいましょう。

 

基本的に移動中夜になる描写はイベント以外はないですが、2,3回遭遇戦をした後は、休憩を選んで体力を回復しましょう。ゲーム内時間を進めつつ素早く回復。ついでに皆と仲良くなれます。

 

 

ラ・シャリテが見えてきました。ここでは、ヴラド、カーミラが確定でいて、後はランダムですね。狂スロットがいた場合かつ、こちらにアルトリアシリーズのどれかがいると、ヘイトが全部そこに行きます。まともに育成をしてたら普通に勝てるので、むしろ事故は減りますが、こっちの戦力にはいないので一先ずおいておきましょう。

 

 

「先輩、見えてきましたね」

 

「うん、お昼時なのか、煙が上がってるね」

 

 

藤丸くんの観察力の高さはすごいですね。確かにお食事中ではあるんだよなぁ……

 

 

「メートル、煙の色が違う。あれは、敵襲があった可能性がある」

 

『ナポレオンの言う通りだ、前方で魔力反応!! 』

 

 

さて、いつも通りに突貫と行きたいですが、流石にここは先走ることはできません。

ロマニからのイベントが入ります。

 

 

『相手の目的は、人々を大量に殺すこと。可能であれば阻止をしたいところだけど』

 

「ドクター!! 人が襲われてるんだ! 助けにいかないと!!」

 

『敵の戦力もわからないうちに行かせられない。今解析をするから待ってくれ』

 

 

こんな感じのイベントをしている間に、敵がこっちに気がついて強襲してくるのですが……あれぇ、おかしいね、誰も来ないね?

 

 

「────!! マシュ上だ! メートルを守れ!!」

 

 

ファ!? 急に操作可能になったら、攻撃反応。ということはアタランテの宝具ですね。いやいやいやいや、そんなアーチャーみたいなことされるなんて、聞いてません。

 

兎も角此方も対応ですね。このタイミングなのは意外でしたが、強襲事態は有り得ることなので、対処法はあります。シェヘラザードのジンによる防御が耐えてくれるのでその影に滑り込みます。おっぶぇ!!

さすがのシンドバッド君も宝具はまともに食らうと死にます。鯖に守ってもらいましょう。基本的に自鯖は自動で庇ってくれるので、何とかなります。

 

 

「まだ、生き残っていたか」

 

「あら、処女は2人しかいないのね」

 

 

おっと、ここで来ましたか。他に姿が見えないということは、敵は3人というところですね。アタランテは支援の狙撃に徹底する様子ですので、頭数では何とかなりますね。

 

まあ、敵の元帥がこの街の規模ならば、3人でいいと判断したのでしょう。オラオラ! 速くかかってこいや!! バーサーカーなのに喋ってんじゃねぇよ!!

 

藤丸くんに、アタランテをナポレオンで抑えてもらうようにお願いしたら、シェヘラザードと一緒に引き連れてるワイバーンの処理を始めましょう。

ジャンヌがヴラドを、マシュがカーミラを抑えているうちに、戦線を安定させます。本当はカーミラに行きたいのですが、狙撃の可能性がある以上、あまり時間も掛けられません。ナポレオンが処理してくれればというところですね。

 

おら、一匹辺り10本位牙落とせ!! ワイバーンを攻撃しつつ、味方のHPには気をつけましょう。このマッチアップだと、マシュがやや不利、後は互角ですので、時々シェヘラザードにマシュの支援をさせましょう。

 

シンドバッドの攻撃だと、コンボを全部叩き込んでようやく1匹撃破程度です。しっかり、噛みつきをガードしましょう。おっと、マシュにカーミラのファントムメイデンが決まりそうです。シェヘラザード! 対英雄EXの効果見せてやれ!!

 

よし、ガッツが間に合いましたね。ついでにヴラドの火力も下がってます。

ジャンヌの宝具も発動したのにあわせて、藤丸がマシュを回復。良い連携です。彼の着ている初期服は回復ソースとしては結構優秀です。藤丸君はヒーラーポジだと思って動きましょう。

 

って、あれ、乱入のポップアップ。アタランテでも来たのでしょうか?

 

 

「A――urrrrrrッ!!」

 

 

狂スロ!? なぜ狂スロがここに!? 自力で脱出を!?

ふざけてる場合ではありません。こいつと戦うときは、先にも言いましたが、アルトリアがいれば、そちらに、いなければジャンヌに一直線に突っ込んでいく単純AIなのです。彼女はアルトリアではない(無言の腹パン)。

ですが、それよりも敵の頭数が増えたことが問題です。

 

あ、ヤバイヤバイ、ジャンヌを吹っ飛ばしてドンパチ始めました。ダメージは宝具で受けてないのですが、ヴラドがフリーになりました。ここで、藤丸くんに攻撃が行ったら終了です。

 

シェヘラザード! 突っ込め!! 突っ込めってんだよ!! と仮にやっても、彼女は動いてくれません。キャスターだもんね、仕方がないのでヴラドにちょっかいを掛けます。お前の相手はこの俺だ!!(諦め)

 

 

「貴様、人間の身で余に歯向かうか」

 

 

一部の敵はマスターの物理攻撃を当てると、こんなボイスを言ってくれます。そのためボイスコンプRTAは有数の苦行となってます。

 

 

「よかろう、馳走に預かるとしよう」

 

 

やめましょうよ! こんな事!! 平和が一番、ラブアンドピース!!

ああ、やっぱり、近寄らせてくれませんね。というよりも、戦闘自体しちゃダメな相手です。地面から生える槍をガードガードガード!! 回避も含めると、全く近寄れません。ここは諦めて時間稼ぎに徹しましょう。シャドクレス君より敵の火力は低いので、しばらくは持ちます。

 

なにより、今のヴラドはシェヘラザードのスキルとシンドバッドのスキルで、ステータスに結構なマイナスが入ってます。操作をミスしなければ何とかなります、だからさっき焦ってはいましたが、絶望はしなかったわけです。

 

というより、これはいけますね。回避と防御のパターンができて余裕が見えました。ここでシンドバッド君の現在唯一の遠距離攻撃を使います。ガンドォ!!

 

 

「不覚!」

 

 

よしっ!! 当たりました。いつもはそんなに簡単に当たらないので、パンチの距離で撃つガンドですが、当てれば問答無用で耐性持ち以外を数秒スタンさせます。この隙に逃げて建て直すか、攻めてポイントを取りに行くかです。RTAなので当然攻めます。槍を持っている敵ですので、懐に入ればこっちのものです。シンドバッド君は速度も結構ありますので、多分間に合うでしょう。

 

ダッシュ蹴りを入れて、インファイト開始です。流石に倒し切るのは夢のまた夢ですので、ガードをバッチリ決めながら、当て身でも何でも良いので攻撃を当てます。細かい攻撃を何度もあてていけば、ポイントを稼げます。

 

他の戦況を横目で確認しつつ、ヤバそうになったら、オーダーチェンジでシェヘラザードと自分の場所を変えます。もう、お前完全に鯖枠だな。

 

現在の設定ですと野良鯖の契約は全て藤丸くんに渡してるので、ジャンヌは弄れません。というより、現場指揮官は藤丸君で、シンドバッドは平です。自分より仕事ができる上、後輩と付き合ってる年下の上司とか、色んな人の心の傷えぐりそうですね。

 

いい感じに殴り合いしてますと、ダメージレースで負けているので、じわじわと此方が弱っていきます。他の状況はマシュは持ち直して藤丸くんの援護で優勢。ジャンヌはイーブン、シェヘラザードはワイバーン相手に何とかやってる感じですね。

ですがそろそろ、ナポレオンとアタランテのドンパチが決着付きそうです。初手の宝具で削りきられなかったので、ナポレオンが宝具撃って終わりですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん? 宝具?

 

 

「捧げよその血、その命を」

 

 

なんか、ヴラドさんスタンバってるんですが、……あ、そっかあ(納得)

ジャンヌ相手に打たせてなかったので、ヴラドが宝具を撃ってきますね。

 

オイオイオイ、死んだわあいつ(他人事)まあ、素直にシェヘラザードに変わろうと思いま……あ、やばシェヘラザードのガッツ切れてる。

 

この段階で自鯖ロストとか無理とか以前に、特異点のクリア時の好感度大量上昇がないのは詰みです。チャートもタイムも壊れちまうよ!!

 

仕方ないので、ライフで受けます。

シンドバッド! バックステッポでガードだ!!

 

 

血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)

 

 

はいだめー。余裕の致死ダメージです。ヴラドにも回復されてしまいました。

 

ま、戦闘続行のおかげで1残ってますけどね。流石にきついんで、オダチェンでシェヘラザードと場所を変えましょう。幸いバックステップとノックバックで、距離は空きました、彼女も少しは持ちます。合間に急いで肉を食って回復します。

 

 

回復中だが、ワイバーンだ!!

 

ここであたったら死にますので、絶対に避けましょう。誰かー!! 助けて!! ライダー!! 助けて!!

 

 

 

 

 

「咲き誇るのよ、踊り続けるの! いきますわよ!! 『 百合の王冠に栄光あれ(ギロチン・ブレイカー)』!」

 

 

ああああああああああ!! 本当に来ちゃった。ライダー・マリー・アントワネットとキャスター・ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトです、モーツァルト?(本物)

 

先にも述べた通りタイム的にはマズ味な、専用の美しいムービーとともに助けに来てくれます。その後長いイベントをはさみます。倍速しますね。

 

その間敵味方ともに動けませんが、時間は経過する為、肉を食べた分体力は回復しますので、一安心。

 

イベントの内容ですが、一言でまとめると『逃げるんだよおォ!』です。戦闘が終了します。できれば1騎位撃破しておきたかったですが、仕方ありません。大人しく撤退しましょう。リザルト良し!

 

イベント的にはアマデウスの音楽による撹乱の合間に、マリーの出した馬車に乗って撤退するという内容です。マリーの宝具は王権の輝きが力の源になっているらしく、馬に馬車、宮殿に盾までガラスのようなクリスタルでできたものを出します。お前、魔術師(マジシャン)みてぇだな。

 

特に対界宝具のクリスタル・パレスは非常に広範囲を守ることのできる鉄壁の守りです。ルートによっては、ファヴニール田中の攻撃に1日耐えるイベントもあるので、尋常じゃないです。

脚にもなる、守りもできる、魅了もできる。めちゃくちゃ可愛い経産婦です。無敵やん。

 

アマデウスも身体能力は兎も角、魔術と音楽による支援は非常に強力です。使い所さえ間違えなければ、大活躍できます。

 

何れにせよ合流する予定でしたので、会えた事自体は悪くないのですが、このイベントが10分近くあるので、できれば見たくなかった、更新の余地を残す走者の鑑です。

 

 

 

この合流イベか、街で情報収集をすると暴れまわってる巨大な竜を倒すため、噂の竜殺しと合流しようという目的ができます。そうすると今後敵の種類がウェアウルフになります。こいつの肉はおすそ分けしないようにしましょう(2敗)

 

まだ、合流して撤退したイベントが流れてますが……何で等倍に戻す必要があるんですかね?

 

 

「交換条件というわけではないのだが、彼女たちの治療を頼めないだろうか」

 

ん? これはまさか

 

 

「この娘達、町中で喧嘩をはじめて同士討ちになって倒れてたのよ」

 

「放っておけないから、マリアの馬車にのせて来たんだ」

 

「先輩、私もずっと気になってました後ろの席から大きな尻尾が見えてましたので」

 

 

おお! 鴨ねぎです。稀にあるのですが、すでにマリー達が他鯖と合流しているパターンです。エリちゃんときよひー、ゲットだぜ!!

 

固定で街にいる二人ですが、マリー達との合流の際にフラグが上書きされたのでしょう。この二人も合流イベが長いのですが、カットできました。さっきのロスはコレで相殺ですね。

 

これでこの後は、ジークフリートとゲオルギウスとの合流のみになりました。

ジャンヌとゲオル先生を揃えてすまないさんを治療。ファヴニールを倒して最終決戦の流れです。ふたりともいる場所は固定ですので後は向かうだけです。

 

この後はゲーム内時間的に余裕もできたので、調整しながら進みましょう。

 

 

一先ずイベントが終了すると、今日は休憩するかの選択肢出るので、当然はい。

回復してから進みますが、その前にこれはランダムイベントですね。

 

 

 

 

 

 

「シンドバッドさん」

 

────ジャンヌが話しかけてきた。

 

・答える

・無視する

 

上一択です。現地鯖のご機嫌は必ず取りましょう。

 

 

「なんだ?」

 

「先程の戦闘、ありがとうございました。お怪我の方は?」

 

「だいじょうぶだ」

 

 

肉食べたからもう元気です。

 

 

「一つお尋ねしたいことがあります。何故貴方はあの鎧をきたバーサーカーが襲いかかってきた時、ヴラド三世に挑みかかったのですが?」

 

「なんで?」

 

「貴方は人間です。確かに立香さんより鍛えてはいらっしゃるでしょう。ですが、あまりにも無謀です」

 

 

そうだよ(便乗) そんなことより宝具を受けて生きていることに突っ込もうよ。多分ヴラドもびっくりしてるよ。シンドバッドの戦闘続行は、1特異点で1回なのでもう使えません。ここからは1つのガバが命取りだ。

 

 

「貴方と立香さんは失われてはならないのでしょう? それなのに、何故貴方は一番に危険に飛び込むのですか?」

 

功績点とタイムのためですねぇ!!

 

────貴方は

 

・正直に話す。

・笑いを取って誤魔化す。

 

下選びたい……選びたくない? こんな社会不適応者のジョークとか無茶苦茶興味ありますねぇ!! ですが、ルーラーの前で嘘つけるわけないだるぉ!! と上を選択。

 

 

「敵がいる、だから倒す」

 

「それは……」

 

 

えぇ、こんなんで言いくるめられるの? その単純さとおっぱいじゃ聖女は無理でしょ(暴言)。

まま、ええわ。こんなところでサボってないで、速く藤丸くんのところに行ってなにかイベント起こしてきて。

 

「貴方がそう言ってしまうことが、周囲を悲しませる。そのことをどうか覚えていてください」

 

「わかった」

 

突発イベ終了。少し仲良くなれてるといいですねぇ。

 

ともかく、今日は就寝です。ゲーム的には一瞬ですが、その光景をシェヘラザードの膝枕で寝ていると脳内補完しましょう。ママの読み聞かせがないと眠れないよー。

 

 

起床したら、同じ様にのんびり移動です。今後ランダムでマルタの姉御の襲撃があります。

ですが、此方の戦力も一気に安定したため、気負うことはありません。本来の予定では、エリちゃん達と合流した際に、シンドバッド君が戦闘続行を発動していなければ、二人の仮マスターになるつもりでした。オダチェンの選択肢を増やすのと、令呪ブーストでエリちゃんの宝具を撃ち、一瞬で戦闘を終わらせるためです。

 

ですが、もう戦闘続行を使ってしまったので、全部藤丸くんにお願いしてしまいます。アマデウスを受け持つことも少し考えましたが、アタランテが宝具で強襲した際に捌ききれなくなるので、シェヘラザードだけです。

藤丸くん達はマシュがいれば、全部防いでくれますので、安心。

 

 

さて、この後は暫く退屈な移動が続きます。町1つ分のイベントをスキップしたからですね。これから合流するゲオル先生は、現在負傷中のすまないさんの治療に必要です。ですが、ジークフリートがいて、治療が必要という情報がないと、街を守るためと言って付いてきてくれません。

ですが、ファヴニールの情報さえ持っていれば、アレを倒す必要がある。と認識してくれます。前回ジャンヌ(黒いの)をボコった際に捨て台詞で知っているのと、一定以上のワイバーンを倒していると、ロマニがむむむっと考察してくれます。なのでもう十分です。

 

あとは、道中で一定数以上のフランス兵を助けていた場合、俺達で街を守ります!! とゲオル先生を説得してくれるので、1往復をスキップできます。今まで道中で何度も戦闘してきた結果が、ここにつながる、情けは人の為ならずってそれ一番言われてるから。

 

そんな形で、はい、合流完了。ゲオル先生ゲットだぜ!! 先生は自衛もできるので、シンドバッド君チームに入れましょう。さて後はすまないさんを助けるだけですが、彼を助けると、最終決戦までノンストップになります。

 

ゲーム内の日付はそこから、一定時間しか進みません。そのため現地鯖と仲良くなりつつ、ゆっくり進みます。いい感じの時間になってから助けに行きましょう。

という、方針を決めた所で、今回はここまで。

 

次回でフランスを攻略しきる予定です。

 

 





イベントのカットにつぐカット。
まるでRTAみたいだぁ・・・


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(探索)~(修復完了)

いよいよ大詰めなRTA始まるでガンス

 

 

前回は、無茶苦茶なショートカットをして、ゲオル先生達と合流したところまでです。

後は、すまないさんのいる街に行けば、自動的にイベント戦が始まります。

 

ここまでも比較的ゆっくり進んできたため、無駄に時間を掛ける必要はありませんが、調整のために道中の森に入ったりしながらフラフラ進みましょう。森の敵は素材がうまあじです。

 

おお、これだけ人数いると流石に遭遇戦程度は無問題ですね。フランス特異点チームは大まかには支援や防御鯖が味方、攻撃鯖が敵方という振り分けなので、ナポレオンみたいな火力支援がいると、いい感じです。

 

いい時間になりましたので、途中の街を経由してすまないさんのいる放棄された砦に向かいましょう。

 

っと、早速イベントです。バーサク鯖の襲撃とファヴニール邂逅イベントですね。今回はファントムとサンソンが襲いかかってきます。

 

ファントムは先程述べた通りですが、サンソンについては解説が漏れていましたので、改めて述べますと、悪と人間特攻を持っている鯖です。戦闘技術はそこまででもないのと気配遮断も低いので、まあどうにかできます。

さっきちらっと見た所、シンドバッドは混沌・中庸らしいので二重での特攻は乗らないゆえに、カーミラよりはきついですがまあ、何とかと言ったところです。

 

おまけのように出てきたファヴニールは、どっちにしろ一回はこのイベントを見ないといけないので、タイム的には問題はないです。内容としては、敵陣営の攻撃を一定時間耐えるか、一定ダメージを与えるかすれば戦闘終了になります。この段階のファヴニールはシステムギミック扱いで、ダメージを与えられません。一定周期で攻撃をしてくる置物です。

 

耐えるほうが簡単なのですが、その場合、マリー・アントワネットが離脱して時間を稼ぐという格好良いイベントが入るのですが、当然ロスですので、ダメージを与える方向で行きましょう。お前も来い!!

 

ムービーが終わり戦闘が始まりません!!

さっき森によってノンストップで直進していたので、ここで足を止めると、後方よりバーサクライダーが追いついてきます。本来は森で確定で出会うのですが、シンドバッド君の鍛えた健脚で移動しているので、ここまでトレインしてきました。

 

 

いや、内部的に元帥の指示で背後をつけながら、機会を伺っていたということでしょう。バーサクライダー戦と、ファヴニール邂逅イベントを同時に発生させて、一気に処理します。これにより、勝利条件の達成が容易になりました。バーサク・ライダーのマルタの姉御という、中ボスが増えてしまいましたが、ワイバーンの総数も増えたので与ダメ総数では達成しやすくなります。

 

 

ジャンヌとマシュの2枚盾を有するチーム藤丸に、ファヴニールとバーサク・アサシンズ+雑魚をお願いして、チームシンドバッドは、マルタとワイバーンです。

いままでは、シェヘラザードとシンドバッドという、タンクに不安のある編成でしたが、ここでゲオル先生という鉄壁の守護神が入ったことにより、マルタの姉御を抑えてもらえます。杖が拘束具な彼女は殴り合いに持ち込むと本気を出してくるので、余裕がないなら遠距離安定なのですが、距離が離れすぎるとタラスクが出てくるので、最初からゲオルギウスとタイマンしてもらいましょう。聖人同士のガチンコバトルです。

 

いつものようにシェヘラザードのジンと一緒にワイバーンハントの時間です。この段階でもウェアウルフを引き連れてくれて来ない敵ですので、多少苦労します。攻撃が当てやすい、人形の敵のほうが簡単って一番言われてるから。

 

藤丸チームは安定してますね。マシュ&ジャンヌで守り、馬に乗ったマリーが撹乱して、アマデウスが支援も妨害もして、ナポレオンが砲撃をばらまいてます。ファントムはきよひーが足止めしてて、サンソンもマリーを追いかけてるのをエリちゃんが槍でチクチクしてます。

 

あ、マルタ姉御が、タラスク出してきました。こっちも、もう十分ですね、一気に決めましょう。先生! お願いします。

 

「これこそがアスカロンの真実! 汝は竜、罪ありき! 」

 

いつ聞いても冤罪剣の呼び名はひどいと思うの。逃れられぬカルマ。

 

力屠る祝福の剣(アスカロン)!!」

 

「リヴァイアサンの子、今は人を守りしもの。流星となれ愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)!! はぁ!!」

 

マルタ姉貴が杖でタラスクを打ち出してきました。これで宝具同士がぶつかるのを尻目に、シンドバッドくんはいつものように突貫ダッシュです。

宝具は連発して打てないので、タラスクを先生が破壊する間に、マルタにダメージを稼ぎに行きます。ステゴロの聖女とタイマン勝負です。不意打ちとは卑怯だが有効なり。

 

「ぐっ!」

 

よし、ヒット。シンドバッドくんは男女関係なく殴りにいけます。男女平等パンチだオラァ! あ、マルタが杖を投げ捨てました。こいつバーサクとか言いながら、素の性格はほとんど変わってないんですよね。やっぱり、姉御なんやなって。

 

素手になったマルタさんは、まともに戦ったら勝てません。英雄でも王でもないので当然です。ですがゲオル先生との戦闘により結構削れているので、ここは押し切ります。畳み掛けるように、得意の蹴りを連打しています。

この前のアプデで、操作は同じですがモーションは、習得武術によって差が出るようになりましたね。シンドバッドくんもむっちゃ高く蹴り上げたり、回すような蹴りを放てて大満足です。パンチの距離から側面より回し込む蹴りで顔面を撃ち、踵落として、その勢いで地面に座り、足払いにつなげる。格ゲーみたいだ。

 

「きい……たぁ!」

 

反撃が来ます。直ぐに距離をとり、攻撃を潜り込むように避けるガードで弾いて、耐えます。カラリパヤットに熟達したものは、とにかくバネのように柔らかい体が売りらしいので、近接戦の防御には補正が入って結構耐えられます。

 

「てやぁっ!」

 

ここでゲオル先生がタラスクを撃破した様子です。こっちも決めましょう。もう一度接近して、蹴りの連打です。よし、削り切りました。尤も、とどめはシェヘラザードのジンのボディプレスでしたが。

 

「見事です……」

 

マルタを倒すと、ジークフリートの場所を教えてくれます。もう知っていますし、その場所に行けばフラグ関係なく見つけられるので意味ないですけどね。

 

「ただ、次にあったら、負けないからね、覚えてなさい」

 

マルタ様、聖女ロール、聖女ロールをお願いします。もう十分堪能したよ。

同時に、撤退条件のダメージも達成しましたのでまたも撤退です。ですが、マルタを撃破できたのはまあ今後多少楽になります。

 

 

全員無事撤退完了。さてリザルトは、あら、バーサク・アサシン両方倒しちゃってますね。ナポレオンの砲撃が強すぎる……。まあ最終決戦で弱体化されて出てくることもあるので、良いでしょう。

 

兎も角、カルデア一行は、マルタに教えてもらった体で、ジークフリートと合流しに行きます。廃棄された砦にいる彼の体を蝕む、黒ジャンヌの呪詛を聖人二人のパワーで打ち払います。

 

よし、ジークフリート復活!! 藤丸チームに入れましょう。

こっからはサクサク進みます。オルレアンの乙女が、黒いジャンヌ・ダルクに対して思うところがあるみたいなイベント挟まれます。こんな感じで、夜に物憂げに思案する姿はまさに聖女って感じですね。これが自分のことを自分自身の姉と思い込んでいる精神異常者になるのだから恐ろしい。

 

夜が明けて、オルレアンに進軍だ!! すると、どこからともなく噂を聞きつけたフランス軍も、オルレアンで雑魚敵をひきつけてくれます。軍団なのに移動速度が早すぎる、早すぎない?

 

 

そして前哨戦です、残っているバーサク・サーヴァントが全部襲ってきます。

奥にはファヴニールもいます。こっちは一定以上接近すると、すまないさんがぶっ倒してくれますので、無視しておk。ワイバーンなどのザコ敵は少ないですが、散発的に来ます。まあ、無視しても鯖の適当な攻撃で全部処理できます。

 

ですので、相手の戦力はランスロ、ヴラド、カーミラ、アタランテ、デオンです。こっちが自鯖入れて2倍以上の数ですね。ストーリー的には、鯖としての格云々言われますが、ゲーム的には問題なく処理できる戦力比です。

 

最初のステージなだけあって、強制離脱イベントを避けるようにプレイしていけば、こんなもんです。(前回のヴラド戦から目をそらしつつ)

 

はい、最終決戦の序章なのに、語るべきことがございません。

 

そこで、退屈な皆様のために────

 

 

 

今後召喚したい鯖についてお話します。

現在、ナポレオンとシェヘラザードとマシュの3人がチームカルデアの主戦力です。見て分かる通り、セイバーやランサーのような近接アタッカーが足りてません。ですが、次のローマはむしろ近接戦闘メンバーばかりになるので、急いで呼ぶ必要もありません。その次のオケアノスも海戦などもあるのと、ヘラクレスを相手取れる鯖が必要になるので、吟味の必要もあります。

フランスクリアの時点で、ジークフリートを呼べる触媒が確定で手に入りますので、フランス、ローマ、の枠はランダムで消化します。そのメンバーによっては、オケアノスクリア後に触媒を使う形です。

 

ただし、髑髏本尊というアイテムがランダムドロップなりで手に入った場合は、即刻藤丸くんに召喚させましょう。自分に来てしまったら、即ゲームセットです(96敗)

ですが、藤丸君なら、なんとかしてくれます。(ならない場合もあります)

 

話を戻して、次の鯖ですが、理想を言うのならばアサシンです。しかも近接戦闘も暗殺も両方できる鯖が理想的です。すべての条件を満たすのは、初代山の翁です。他にも李書文も大当たりですね。山の翁は好色を持っていると関係構築が難しくなる点があるのと、李書文は好戦性が高いので、チキンプレイに向かないという点がありますが、戦闘においてはこの2人が理想形です。

次は正統派のキャスターです。作家などではない魔術師ですね。彼、彼女らがいると、倒した鯖の一部を加工して持ち帰ることができるということで、戦闘した鯖や特異点で仲間になった鯖で好感度を上げれば、触媒の回収ができます。これで戦力の確保が非常に安定します。

 

基本的に、操作キャラと藤丸くんの魔術師としてのレベルがどっこいどっこいの時は、2人の鯖の数が同数の時のみ、どちらが召喚するかを選べます。つまり次回は確定でシンドバッドの召喚になるので、今から祈っておきましょう。

 

 

 

 

そうこうしてるうちに、バーサク鯖は撃破。ファヴニールにバルムンクを決めてます。RTAだと強敵感がないままに、おさらばです。

 

 

あとは、バーサクキャスターこと、ジル・ド・レェをボコって、白黒ジャンヌが会話イベントをしている時間を稼ぎます。要約すると黒ジャンヌは、子供の頃の思い出を持ってないんだなって。黒が否定したり怒ったりしてるので、その間ジルの海魔をひたすらボコりましょう。

この時ジルは倒さずに、弱らせるようにしましょう。倒してしまうと撤退されて移動後に戦闘になってしまいロスです。

 

話し合いの結果、皆が黒幕だと思っていた、竜の魔女は傀儡であり、闇落ちしたジル元帥が望んだ処刑されてフランスを憎んだジャンヌということでした。本体というか、生みの親はジルで、黒ジャンヌはジルの妄想の産物です。

 

あ、そういうの良いんで、最後に発狂モードの黒ジャンヌとの戦闘です。

ついでに倒しきれなかったジルも後ろにいます。この戦闘の勝利条件はジルの撃破です。ジルはバーサク鯖をもう一回呼んできますが、性能は大分下がってます。

 

周囲にはゾンビワイバーン海魔と大量の敵がいます。本来は黒ジャンヌが発狂するまでにジルが一旦引くからです。RTA的にはタイムを優先します。

 

さて、ここが令呪の使い所さんです。

 

「キャスター! やるぞ!!」

 

「はい、我が王御心のままに」

 

シェヘラザードに3画一気に令呪を使って宝具をぶち放します。

王だ!! 王だろう!? なぁ、お前王だろお前ら!

特攻で火力が上がる相手が、ヴラドしかいない? 関係ねえんだよそんな事!! それじゃあ、いままでの仕返しをタップリしてやるからなァ?

 

「たしか、こうだったな、『全ての令呪を持って命ずる!! 敵は全て王である! それらを宝具を持って打ち払え!!』」

 

「────求めたのは次の夜。そしてまた次の夜。これは私の言の葉が紡いだ、終わりなき願いの物語。千夜一夜物語(アルフ・ライラ・ワ・ライラ)

 

ボイスとともに、宝具演出が入ります。シェヘラザードの宝具は対界宝具。広範囲を攻撃する物です。語った物語が現実になる程熟練された語りとか、能力バトル物だと、無茶苦茶強力な噛ませ犬ポジションですよね。

 

はい、工事完了です。計算上バーサク鯖とジルとジャンヌ以外はこれで吹っ飛ばせるはずですが、おや。ジルとジャンヌしか残ってませんね。好感度が上がって火力が増してたのでしょうか?

 

ジャンヌはジャンヌ同士で決着をつけるかのように争ってますし、後は鯖の数でゴリ押しができますので、ここは休憩しておきましょう。手を休められる数少ない時間です、給水もしましょう。

 

 

はい、ジャンヌとジャンヌの勝負は、ジャンヌを倒したジャンヌが勝利しました。どっちだよ。ジルもマシュとナポレオンによってぶっ飛ばされてます。あ、ゲオル先生、今まで護衛アリシャス。

 

これにて特異点修復完了。ジルから聖杯を剥ぎ取って、テキトーなイベントを挟んだら、カルデアに戻って、再びモラトリアムです。

 

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────称号『救国の聖処女』を獲得しました。

────称号『薔薇の皇帝』が開放されました。

────称号『逆らわない忠言』を獲得しました。

────称号『忠言に溺れる』が開放されました。

 

 

 

 




オルレアン編終了。
裏やって、準備してローマに行きます。

アンケートというものを使ってみたくてやってみましたが、
やっぱ、皆ガバ好きなんスね。
俺もソーナノ……だったけど、書く側になると、色々思う所が。
大いに参考にさせていただきます。


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裏:突撃癖に関して

「レイシフト完了、成功です」

 

『周囲に敵影もない、一先ずは安心という所だね』

 

「ここが……百年戦争の時のフランス」

 

現代人にとっては、なかなかに見ることのできない透き通るような青い空、どこまでも広がる緑の地平線。だが、空には見た事もないような円環が浮いている。

 

「あれは……なんでしょうか? 当時のフランスでは観測されていた気象現象でしょうか」

 

『いや、そんなはずは、ってああ! シンドバッド君どうしたんだい?』

 

「偵察に行く!!」

 

「ああっ! 先輩、シンドバッドさんが走り出してしまいました!!」

 

「うん、わかる、俺も走り回りたい気分になったもん」

 

「いや、メートルこれは」

 

目の前の丘に向かって急に駆け出したシンドバッドを見つめながら、弓兵のサーヴァントナポレオンはそうつぶやく、彼の感覚がここは既に戦場であると告げていた。

 

それは直感と呼ばれるほどの物ではなく、単純に自身の積み重ねてきた経験という名の知識からくるものであった。

 

「恐らくだが、あの丘の向こうに何かいるかもしれない。」

 

「ま、マスターお待ち下さい、そんなに急いでは死んでしまいます」

 

ナポレオンがその様に警告するも、アラビア風な貴婦人のシェヘラザードは高いヒールの靴のまま、駆け出していってしまったマスターを追いかけている。サーヴァントなのに、マスターに追いついていない辺りがシュールである。

 

「向こうはギャグみたいになってるけど、大丈夫かな、マシュ」

 

「さ、さあ私には何とも。ドクター、スキャンの結果は」

 

『この反応は……そんな信じられない!!』

 

「ど、どうかしましたか?」

 

『竜種だ! 竜種の反応がある、15世紀のフランスにいるはずがないのに」

 

「えーっと、恐竜の生き残りみたいなかんじ?」

 

そんな風にのんびりとした感想を持っていた立香だったが、小高い丘の先から緑色の羽の生えたトカゲが姿を現したことにより、事態は一変する。

 

 

「ど、ドラゴンだ!! 本物!?」

 

「マスター、正しくはワイバーンです。」

 

「早くいかないと、あいつが囲まれるぞ」

 

「シンドバッド! 止まって! ストップ!!」

 

そう必死に叫ぶも声は届かない。当然だ、彼は適当に走り出したのではない、敵に向かって走り出していたのだから。なし崩し的に始まってしまったレイシフト先の初戦闘、立香はここ数日何度も頼んでいるお決まりの文句から指示を出すことにした。

 

「ナポレオン! ドラゴンに攻撃して! 」

 

「ダコール!」

 

大砲を構えたナポレオンの砲撃で一気に敵の数が減り、密度が下がっていく。そんな敵集団の中で、踊るように低く飛ぶワイバーンへと掴みかかり、流れるような動きで牙を折り、翼を折り戦闘不能にしている、シンドバッドの様子は只々異様だった。

 

話には聞いていたしマシュとの模擬戦でその動きも見ていた。だがそれは訓練であり、想像のような出来事を前に、足が竦んでしまいそうになる自分とは対照的に、水を得た魚のごとく、嬉々として戦場に躍り出ている、もう一人のマスターの姿。

その蹴りは硬そうな鱗を物ともせずに打撃を与えている。後ろからの攻撃には、見えているかのように体勢を低くして爪と牙を躱す。体勢を崩したかと思えば、彼のキャスターのランプの魔人のような精霊が現れて吐息を吹きかけて、とどめを刺している。

 

倒している数はこっちのナポレオンの方がずっと多い。マシュに守ってもらっている自分の方が、ずっと損耗は少ない。ゲームだとスコアが上なのはきっとこちらの勝ちであろう。それでも、彼の動きに見とれてしまった。

 

 

人間ってあんなになれるんだと。

冬木で見たキャスターやセイバーなどと違う人間でも、あんな事ができるのであれば、俺もあんなふうになりたいな。そう、幼い頃テレビの向こうのヒーローへ憧れるように、立香はそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌ・ダルクと合流したカルデア一行は、情報を集めるため、森の休息を終え、ラ・シャリテの街へと進軍していた。その途中で、竜を操る魔女、黒いジャンヌ・ダルクが現れたものの、様子見であったようで、ワイバーンをけしかけた後、シンドバッドに殴られて、撤退していた。

 

 

『シンドバッド君、何度も言うけれど、君はマスターなんだよ!!』

 

「そうだな」

 

『じゃあさっきは何で、あのジャンヌに殴りかかったんだい!?』

 

「そのほうが早いからだ。アイツが親玉なんだろ? 捕まえて殴れば聖杯とやらがどこにあるか、教えてくれるだろ。リツカ、マシュ、肉食うか? 良い感じに焼けたぞ」

 

 

確かに、敵の大将と見られる存在が単独で行動した上で、ちょっかいを掛けてきた。それだけならば、全戦力で敵を無力化する意味は出てくるであろう。しかし、それにしてもワイバーンの群れの中を掻い潜るように前に出て、サーヴァントと一騎打ちである。

 

 

「私は結構です。戦闘直後なので」

 

「俺はもらう。あ、美味しい。ワニの肉みたいな感じで淡白だね」

 

「結構いけるよな? キャスターとジャンヌに、ナポレオンも食うか?」

 

『シンドバッドくん!! 聞いてるのかい!?』

 

 

それは人間が行うにはリスクが大きいことであり、指揮官が難色を示すのは当然であったが、人員が限られている現状、ある程度仕方ないところがあった。

 

「まぁ、ドクトゥール。一概に間違った判断じゃなかったぞ。増援が来たら一息で此方に戻れる位置取りで戦っていた。何よりひきつけてくれてたおかげで盾のお嬢さんがメートルを十分に守ってくれたから、俺もスムーズに戦えた」

 

通信元のDr.ロマニは、シンドバッドに怒っているのだが、彼本人はどこ吹く風で、今倒したワイバーンの肉を支給されたナイフで捌いて、串に挿して火で炙っている。慣れた手付きの彼をかばうのがナポレオンという、不思議な構図だった。

 

「あの、シェヘラザードさん、彼はさっきもワイバーンを調理してましたが、何時もこんな様子なのですか?」

 

「えぇ……マスターは目の前に食べ物があると我慢できないようなので」

 

 

シェヘラザードはジャンヌの問いに苦笑しながらそう答える。人理を救う旅という重すぎる使命を背負っている、最後の数十人の人類だ。先程話を聞いたときは、もっとこうプロフェッショナル集団のような印象だったジャンヌ・ダルクだったのだが、既にアットホームな空気にやや馴染めないでいた。

 

 

『あー、あー、シンドバッド君。ワイバーンの皮膜と牙も回収してくれよ? 」

 

「レオナルド、わかっている。さっき言われた所だな。腐りやすい所以外は持って帰る。皆で食べるといい」

 

『ほら、ロマニもうすぐカルデアの食堂でワイバーンステーキが期間限定で追加されるみたいだ、そんなカリカリしてちゃだめだぜ? あと私のことはダヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ」

 

『レオナルド!!』

 

「ほら、マシュ一口食べなよ」

 

「は、はい、先輩それなら一口だけ」

 

 

泡沫の夢のような、特異点修復の旅で、彼らは確かに笑いあえる時間があったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いた、エ・シャリテの街。そこに待ち構えていたのは、2人のバーサクサーヴァントだった。方やドラキュラという概念に多大な影響を与えたヴラド三世。もう一方は女吸血鬼の象徴とも言えるカーミラ。

 

いや、実のところ戦闘の火蓋を切ったのは、正体不明のアーチャーだった。その何者かの矢を雨のように降らせる宝具で一気に距離を詰められてしまったのである。

 

なんとか、目の前の敵に対処しながら、敵を倒していくのだが、今まで順調だった戦いと大きく違う点があった。それはナポレオンという、カルデアの一番の火力がアーチャーの対処に釘付けになっており、実質的に機能していないということだ。

 

彼らには知る由もないが、黒いジャンヌが戦ったこともあり情報をある程度抜かれてしまっていた。敵の元帥がカルデアへの対策として、強力な砲兵の無力化を図るという、オーソドックスながら有効な一手を打ってきた結果であった。

 

ジャンヌとマシュでバーサクサーヴァントを抑えている間に、シンドバッドとシェヘラザードが立香を守りながらワイバーンを削っていく。しかし、ジワリジワリとカルデアが損耗していく。火力が足りていないのである。まさに敵の狙い通りの戦況の推移であった。

 

 

「っくぅ」

 

「マシュ!! 」

 

そしてついに均衡は破られてしまう、マシュがカーミラの吸血をまともに受けてしまったのだ。膝をついて怯んだマシュは、それでも懸命に盾を構えてはいるものの、体制を崩しているのは一目瞭然であった。

 

 

「隙をみせたわねっ! 血よ、血よ、血よ! 永遠の美、久遠の宴、老醜は刻の果てに! 」

 

「カバーは任せろ、キャスター!」

 

「むかーし、むかし……」

 

だが、それもシェヘラザードの支援によりマシュは何とか攻撃を耐えきる。直様、離れた所で旗を掲げるジャンヌに合わせて、立香は応急手当の礼装を発動させる。

 

立て直しこそしたが、やはりギリギリであった。

 

『立香くん、シンドバッドくん!! 敵の増援だ!! 』

 

「また、ワイバーンですか!?」

 

『いや、すごいスピードで捕捉しきれなかった! コレはサーヴァントだ!』

 

 

だが、ロマニから伝わる声が状況の悪化を知らせる。既にギリギリの状況だ。こちらのサーヴァントが敵を撃破できなければ、最悪無理やり撤退することも視野に入れなければならない。

 

「ジャンヌ!! 上だ!!」

 

どこから来るか見回していた立香は、視界に一瞬写った黒い影に反射的に叫ぶ。

 

「A――urrrrrrッ!!」

 

「ッ!! 問題ありません!! 立香さん! 危ない!」

 

乱入してきた全身黒い甲冑姿の男により、ジャンヌは更に弾き飛ばされてしまう。立香は思わず駆け寄ろうとするが、ジャンヌがその場を離れたことにより、敵のサーヴァントがフリーになってしまったのだ。

 

「血を求める!」

 

孤立した立香へと手をのばすヴラドと、慌てて身を捩る立香。走馬灯のように彼の脳裏に目の前の光景が焼き付く中、間髪入れずに割り込むものがあった。

 

 

「俺が相手だ!」

 

シンドバッドが、懐にしまっていたワイバーンの牙を思い切り投擲したのだ。それはヴラドの槍に弾かれるものの、場の流れを変える一手だった。

 

 

「貴様、人間の身で余に歯向かうか」

 

「かかってこい! 化け物!!」

 

 

地面から瞬時に生える槍という、非日常的がすぎる攻撃の中、シンドバッドは、まるで攻撃の形が予想できるかのように、紙一重で避けていく。蛇のように撓る身体で、濁流のように迫る攻撃の合間をすり抜けて行く。

隙を見つけ魔術で敵をひるませ肉薄するも、彼の攻撃では、到底強力なサーヴァントを滅せるわけがなかった。

 

 

拮抗したのも束の間、離れた場所にいる立香にも伝わってくるような、冷たい魔力の放出とともに。ヴラドが宝具を放っていたのだ。

 

 

血塗れ王鬼!!(カズィクル・ベイ)

 

「ぐはぁ!!!」

 

「シンドバッド!!」

 

「マスター!!」

 

ヴラドの身体より離れた無数の杭に貫かれ、後ろに飛んでいた勢いをさらに加速させ、ボールのように弾け飛ぶ。まともな人間ならば助からない。そう思える一撃だった。

 

中空に吹き飛ばされた彼は、何事かを呟く。するとそのタイミングで、真上に何かを投げていたシェヘラザードと場所が入れ替わる。

彼女は空中にいるままに、ランプの魔人のような精霊を呼び出して、ヴラドにけしかけているようで、暫くは大丈夫だ。

 

立香は急いで、シェヘラザードのいた場所へと目を向ける。きっとシンドバッドは場所を入れ替える戦闘服に登載された礼装を起動したのだ、彼はそしてそんな状況でも生きていた。

白い液体を身体中に掛けられた彼は、流した血とその液体にまみれていたが、膝を付きながらも立ち上がった。

 

 

「ドクター!! シンドバッドは!?」

 

『宝具を食らったんだぞ!! でも、何とか生きているよ。ああそうか、ヤムリカ女王の乳か!」

 

「問題ねぇ!! こんなの肉食ってれば治る!!」

 

 

ふらついた足元のまま、彼は懐から本当に肉を取り出してかじる。隙だらけだとワイバーンが襲いかかるのを地面に倒れ込んで避ける。直様起き上がり、ワイバーンの群れの中で彼は攻撃を躱している。立香の周りには、曲刀を持った小人のような精霊が守っているが、マスター二人が無防備な状態だ。

 

だが、彼らがここまで持ちこたえたことは、即ち生存への活路が開けたということだ。

 

その声は、鈴のように凛と美しく、高らかで、何よりも広く響き渡った。

 

 

「咲き誇るのよ、踊り続けるの! いきますわよ!! 百合の王冠に栄光あれ(ギロチン・ブレイカー)!」

 

 

ガラスの馬を駆る王女が、その声とともに宝具を開帳した。

二人の周囲を飛んでいたワイバーンたちが、馬の走る後に生まれるクリスタルに飲み込まれて、弾け飛ぶ。

戦場に生まれた新たな混乱の渦は続けざまに、新たな流れを生み出してく。馬にはもう一人男がしがみつくように乗っていたのだ。

 

「さて、こちらもやるとするか。死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)!!」

 

その男が馬から降り、指揮棒のようなものを降るうと、戦場に音楽が鳴り響く。その音楽は、まるで質量を持つかのように、周囲のワイバーンの動きを止め、何よりも敵の全てのサーヴァントの膝をつかせた。

 

「メートル!! 今は引くぞ!!」

 

「マシュ!! 撤退だ!!」

 

弓兵とはいえ、軍史に燦然と輝く天才ナポレオンは、引き際を見誤らなかった。ここで得た時間という資源は攻勢のためではない、撤退のために費やすべきだ。

彼のマスターも同意した様子で、直様走り出す。

 

 

「マスターの皆さん! 私の馬車にのってくださいな!」

 

「ありがたい、撤退支援は任せてくれ、シェヘラザードは馬車の守りを! マシュも今は馬車に乗り込め!!」

 

 

引くときは迷わず、一斉に。ナポレオンが檄を飛ばす中、カルデア一行は無事に初めての敗走に成功したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に撤退し、仲間が一気に増えたカルデア一行。一先ず細かい情報の共有は明日に回し体を休めることにしようと、焚き火の周りに寝床の準備をしているときに、ジャンヌは、カルデアのマスターであるシンドバッドに声をかけていた。

 

「シンドバッドさん」

 

「なんだ」

 

周囲は忙しく動いており、彼らの動きを気にする者は、彼の後ろで静かに佇むシェヘラザードだけだ。

 

「先程の戦闘、ありがとうございました。お怪我の方は?」

 

「だいじょうぶだ」

 

事実彼の傷はほぼ、快気していた。馬車の中でも一心不乱に肉に齧りつき、見る見る間に傷がふさがっていき、顔に血色が戻っていく様は見ている側が、あっけにとられるほどの回復速度であった。

 

「一つお尋ねしたいことがあります。何故貴方はあの黒鎧のバーサーカーが襲いかかってきた時、ヴラド三世に挑みかかったのですか?」

 

「なんで?」

 

「貴方は人間です。確かに立香さんより鍛えてはいらっしゃるでしょう。ですが、あまりにも無謀です」

 

 

その通りであった。直前にロマニに注意もされていた。それでも彼はジャンヌの抜けた穴をカバーするために、立香を守るために、ワラキアの英雄の英霊へと挑みかかったのである。

 

「貴方と立香さんは失われてはならないのでしょう? それなのに、何故貴方は一番に危険に飛び込むのですか?」

 

 

そう、マスターとはチェスで言えばキングの駒。攻撃に転用することはあってはならない。それを取られてしまえば終わりなのだ。そもそもレイシフト適正を持っているものが2名しかいない現状ですらまずいのであり、2名いるから片方は死んでも大丈夫というわけでは断じてない。

 

「目の前に、倒すべき敵がいる、そいつを倒さないと、俺は生きていくことができない」

 

「……!」

 

「よくわからないけど、7回強いやつを倒さないといけないのに、こんな所で死ぬならどうせ勝てねぇ。だから倒す」

 

「それは……」

 

 

ある側面においては真実であろう。藤丸立香が誠意を持ってサーヴァントを御して力にしている。段々と片鱗を発しているその生来の目の良さも相成って、彼はきっと司令塔になるのであろう。

だが、目の前の彼はサーヴァントがいれば埋もれてしまう強さ。それしか持ち合わせていない。ならば、戦いの中で生き残るには、戦うしかないのだ。足りぬのなら死ぬなら、足らすしかないのである。

 

既に生きている人類は数十名、その中で生きていくには、価値を示さなければ、アイデンティティは消え去る。人は人に必要とされて人になれるのだ。彼が人であるためには、必要とされる必要がある。そう彼は言いたいのだ。

 

 

「マスター、そろそろ今日は眠りましょう……」

 

「うん」

 

 

ジャンヌは、シェヘラザードの囁きに顔を綻ばせるシンドバッドを見て、自分に言えることがあるのかとは思いながらも、それでも口を開いた。

 

「シンドバッドさん、最後に1つだけ。貴方がそう言ってしまうことが、周囲を悲しませる。そのことをどうか覚えていてください」

 

「? わかった、気をつける」

 

いつか、貴方がこの言葉の意味を受け止めて考えてくれる時に、ふと思い出してもらればと思います。

彼女は音にしないで心のなかでそう呟き、彼らに背を向けたのであった。

 

 

 

 




葛木先生もキャス子の支援前にセイバーに殴りかかってたしセーフ!

あと、ナポレオンのフランス語をカタカナにするとすごいダサい……ダサくない?


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裏:他者との関わりについて

「うーんアンタは、そうね、クマね! 」

 

「クマ? クマとは何だ? キャスター? 」

 

「では、今夜は熊の出てくるお話をいたしましょう……ええ」

 

 

森の中を進む一行は、散発的に襲いかかってくるウェアウルフやワイバーンとの戦闘を終えて、一息ついていた。哨戒中のフランス兵が追われていたのを助けた形であり、既に助けられた兵士達は任務に戻っている。

休息が必要な人間は、3人しかいない現在のカルデア一行であったが、無理をする必要もないために、こまめに小休止を挟んでいた。

 

「エリザベートさんは、人を動物になぞらえて呼ばれるのですね、先輩は子イヌですし」

 

「ドラゴン娘らしい悪趣味な行いですね」

 

「なによ、アンタも似たようなもんじゃない!!」

 

どうやら、清姫とエリザベートは仲が悪いようで、事ある毎にこの様に衝突している。立香は、歴史上の英雄と協力して戦うと聞いた時に思った光景とはまるで違う現状に少しおかしくなる。

 

「ますたぁ、エリザベートさんがうるさかったら、言ってくださいね。静かにさせますから」

 

「うるさいのはアンタでしょうが!!」

 

「二人共、肉食うか……あ、こっちじゃない、これだ」

 

そんな二人の間に座っているのに、我関せずと肉を食べているシンドバッドは、酷く人間的にみえる。懐から取り出してた肉を持ち替えて、エリザベート達の前に差し出す。

 

「え、コレなんの肉よ?」

 

「さっき倒した、ワイバーン?」

 

「シンドバッドさん、それはエリザベートさんが食べたら共食いになってしまいますよ」

 

「清姫!! アンタね!」

 

「問題なのか?」

 

「アンタも、レディにひたすら肉を押し付けてるんじゃないわよ! クマ!!」

 

道中から休みなく周囲に肉を配っているのだが、戦闘が終わっても、同じ様に肉を配り歩くシンドバッドに、流石のエリザベートも堪忍袋の緒が切れた様だ。マシュですら既に言葉を出さずに動作だけで断っているのだから。

最もさっき迄渡していた、ひと晩かけてキャスターと共に加工した肉ではなく、先程ただ焼いただけの肉なので仕方がない側面もあるが。

 

「あ、子グマではないんですね。確かにシンドバッドさんは先輩より年上ですしね」

 

「フフフ、皆楽しそうね!」

 

「マリアあれには関わっちゃいけないよ」

 

戦闘の合間の一息で、これだけ笑い会える旅。カルデアの戦力はフランスに付いたときよりも6騎も増えているのだ。最初は緊張していた立香の表情も何度も戦闘を切り抜けたからか、朗らかなものになってきている。

 

 

「いいチームですね。この局面で気負い過ぎていない」

 

「だろ? 自慢のメートルがリーダーをやってるからな」

 

新たに仲間になったゲオルギウスも、総評するほどには、即席のチームにしてはまとまっていた。

 

だが、打倒すべき黒いジャンヌには、バーサクサーヴァントという強力な配下が存在している。此方が互角以上に戦えているのに、相手にはまだ余裕がある。気を引き締める必要があるのは事実だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シンドバッド君!また君は前に出て!!』

 

「ゲオルギウスが守ってくれてる。いまは殴る時だ!」

 

立ち寄った街で、待ち伏せと挟み撃ち。さらには敵の切り札とも言える邪竜ファヴニール。決戦もかくやという戦力のぶつかり合いが始まってしまった。

カルデアは現在ファヴニールの攻撃により半壊した市街地で乱戦をする立香達と、開けた場所にて追ってきたマルタを足止めするシンドバッド一行に分かれて戦っていた。

 

前方には強大な敵がいて、後方から聖女マルタが狂化されて襲いかかってくる中で、戦力の分断を提案したのはナポレオンだ。

即座にその状況判断でマスターを分けて行動するように進言、立香も同意して、ロマニも承諾し、数の多い立香組が市街地で2騎のサーヴァントとファヴニールを相手取り、シンドバッド組がマルタを足止めしているのだ。

 

 

現地のサーヴァントは、カルデアからマスターである二人を通してバックアップを受けることで、戦力が底上げされる。元々が聖人でありながら、騎士としての在り方としても一流のものとされるゲオルギウスは、同じく竜退治の逸話を持つマルタ相手に、一歩も引かない戦闘をしていた。

 

だが、マルタの宝具開帳により、彼も宝具を合わせる。かつて聖女マルタの沈めたタラスクが、ゲオルギウスのアスカロンを押し返している隙を見逃さず、術者であるマルタへとシンドバッドは殴りかかった。それをロマニに何度目かの注意を受けているのだ。

 

 

杖を手放したマルタは腰を低く落として、軽くステップを踏みながら構えた。まるで拳闘士のような構えに、聖女とは何かを考えたくもあるが、シンドバッドにとってはそもそも宗教の定義すらあやふやだ。ただ、杖を持っているより素手のほうが強いのだろう。

 

「せいっ!」

 

大きく背中をそらして上から打ち下ろしてくる拳を、シンドバッドは左手を内側に潜り込ませるように捻り、腕で絡め取るように外側に弾いて逸らす。そのまま右脚を小さな円弧を描くように蹴り上げて彼女の側頭部を狙い撃つ。

マルタも直様反応し、視線すらよこさずに左肘で蹴りを受け止めるどころか、そのまま彼のスペースに入り込みエルボーを入れてくる。シンドバットは即座に脱力し、上げた脚から踵を落としつつ、打ち込まれる肘を肩の上へとそらす。

 

崩れたバランスで打ち下ろすマルタと、両手でそらしながらそのまま足払いを掛けるシンドバッド。

当たり負けしたのは、シンドバッドであったが、やり取りにおいては彼の思惑が通った形だ。交差の直後、間髪入れずに二人はすぐさま体勢を立て直した。

拳の距離では分が悪いことを自覚したシンドバットは、直様蹴り主体で戦えるように脚を小さく使い距離を保つ。逆にマルタは、ステゴロ上等とばかりに勢いそのままに飛び込んでくる。

 

「ハレルヤッ!」

 

「重いッ! が! アイツほどじゃない!!」

 

蹴りの合間に打ち込まれた拳は彼の胴体に吸い込まれるように入るが、そのまま体の軸を起点に回して、拳を滑らせる。合わせて来る連撃も両腕を重ねてから弾き出し、勢いをつけた掌底で横へとずらす。ブレる軌道はごくわずかほどだが、できたスペースへと体を滑り込ませて掠められつつも躱す。

マルタの攻撃を捌いた彼は、そのまま彼女の胸へと飛び掛かりながらの膝を叩き込む。全力を込めた攻撃だが、マルタはダメージと言うよりも質量差による衝撃で後ろへと下がる。

 

再び距離ができるが、その刹那タラスクの断末魔が双方の耳朶へと届く、僅かばかりにマルタの瞳孔が動いた瞬間に彼はその場から飛び込むように姿勢を低くして踏み出し、地を這うように駆け寄る。

当然のように放たれたマルタの迎撃の拳を、まるで見えているかのように身体の側面で弾いて飛び上がって蹴りを叩き込む。低め、低め、真ん中、回して反対へと続けた連続攻撃。だが、聖女を投げ捨てたマルタはその程度では沈まない。

 

彼女が反撃へと移ろうとした瞬間、彼女の真上から、巨体が降り注いだ。それが目の前の男のサーヴァントによる援護であることに気づくと同時に、彼女は地面に倒れ伏したのである。

 

 

「見事です……マスター、よく私を止めてくださいましたね」

 

動けなくなった彼女は、合流したゲオルギウスにより守られたシンドバッドへと声を投げかけた。

敵意がないと判断したのか、ゲオルギウスも剣より手を離さないものの、警戒を緩めている。聖女らしからぬ戦い方をした彼女へと事実を指摘しない優しさを、聖人の彼はきちんと持ち合わせていた。

 

「ここから先に、かの竜殺しがいるわ。ひどい呪詛を受けているけど、聖人が二人もいれば解除ができると思うわ」

 

「何と! 聖女マルタ。貴方は、斯様になってもやはり聖女なのですね」

 

「この杖を持つ私は聖女マルタですから」

 

 

聖女と見紛う微笑を浮かべた聖女が、そう告げると、ゲオルギウスの後ろにいたシンドバッドは彼女に近寄って声をかけた。

 

 

「あんた、強いな。俺の攻撃が殆ど効かなかった」

 

「聖女ですもの……ただ、次にあったら、負けないからね、覚えてなさい」

 

「ああ!! 次はオレ一人で倒してやる」

 

拳を交わした者同士、通ずるものがあるのか、雌雄を決したばかりなのに穏やかな別れであった。

既にワイバーンは全滅している以上、シンドバッド組の戦闘は終了と見てよいであろう。

 

「マスター。終わったと報告しましょう」

 

「うん、わかった。ロマニ!! 終わったぞ!!」

 

『元気良い通信ありがとう。立香くん達も、サーヴァントを撃破して撤退するところだ。ポイントを示すからそこで合流してくれ』

 

「あと、竜殺しって奴の場所を教えてもらったぞ」

 

『確認してるよ、その件も合わせて、合流したら作戦会議だ』

 

 

ファヴニールという巨大な障害こそ現れたが、カルデアはむしろ勢いづいていた。

3人は、急ぎ合流地点へと駆けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、道中のどこかでの一幕。

 

「にしても、ジャンヌ・ダルクにマリーアントワネットとはね。因果なもんだ」

 

 

仲よさげに前方を歩くジャンヌとマリーを見つめながら、ナポレオン・ボナパルトはそう呟いてしまった。思わず漏れた独り言であったが、隣にいたマシュと彼らのマスターの耳には届いていたようだ。

 

「あれ? ナポレオンって二人より後の時代の人じゃなかった?」

 

「あ、確かナポレオンさんの奥さんは」

 

「マリー・アントワネットは、まーなんだ俺の2番目の妻の大叔母、まあ、遠い親戚ってことになるのかね」

 

「へぇー、そうなんだ」

 

資料によれば当人同士に面識はなく、死後にこんな形で会うとは双方考えていなかったであろう。

 

「でも、何でジャンヌまで?」

 

「そうだなぁ、長い話になるのだが……」

 

「聞かせてください。是非!」

 

「うん、俺も聞きたい!」

 

 

 

立香組がその様にナポレオンのカリスマ性の補強として使われた2名の女性の話をしている中、前方を歩く当事者である、マリーは突如ジャンヌへと抱きついて、頬にベーゼを送っていた。フランスらしく白百合が咲き誇っていると言えるだろう。

 

「っな!! 何をするんですか!」

 

「ふふ、どう? 良かった?」

 

「良かったかどうかではなくてですねっ! こういうのは結婚を前提とした」

 

「あーあ、出てしまったか、マリアの悪い癖が」

 

「あら? 皆さんはしないのかしら? こう、ハートがぐぐーーってなったらしちゃうものでしょう? 」

 

 

呆れるアマデウスと、周囲へと同意を呼びかけるマリー。そして顔を赤くしながら必死に問い詰めるジャンヌ。

全く異なる様相の3人を見ながらシンドバッドは隣にいるシェヘラザードへと、感じた疑問を問いかける。

 

 

「なあ、なんで女同士でキスしてるんだ?」

 

「ああ、マスター……その説明は、その、非常に難しいお話になります」

 

最近口づけを、性的な興奮を満たすために行うものだと教わったばかりの彼にとって、彼女たちの行いとは、全く理解できるレベルになかった。彼には色々と下地となる知識がないのである。

 

 

「おや、こっちのマスターは見た通りの堅物なのかい?」

 

「そういうわけでは……ないのですが、ああ、なんと説明いたしましょう」

 

「貴方もベーゼをしないの?」

 

「されるのは好きだぞ?」

 

「ま、マスターいけません!!」

 

自分の主人のフォローを精一杯しようとする彼女だが、肝心の庇われている側が状況を全く理解してなかった。

主従二人のそのやり取りに毒気が抜かれたように、クスクスと笑みを浮かべるマリーは。浮かべた笑みをそのままに、シンドバッドへと問いかけた。

 

「ねえ、シンドバッドさん。いいえマスター。貴方はマスターになる前に何をしていたのかしら?」

 

「ん? お前のマスターはリツカだろ? 」

 

「今は、目的を同じとするサーヴァントとして聞いているの。お答えいただけるかしら?」

 

シンドバッドは、一度横のシェヘラザードを見るが、彼女が目線を下に逸らすのを見て、自分で答えるところなのだとわかり、頭をひねる。何を言えばよいのかわからないのだ。

 

「ずっと一人で山で修行してた。じゃダメか?」

 

「立香さんからもそう聞いているわ、そうじゃなくてどんな物が好きで、何がしたくてここにいるの?」

 

シンドバッドは、その時の感想を言葉にするのならば、考えたことがない。であった。目的はある。自分の今まで積み上げた全てがいらないものじゃないって自分が思うために戦っている。だけど、やりたいこととか好きなことというのは、彼にとっては次元が異なるトピックだった。

 

「……強くなりてぇ。ああ、そうだ。キャスターに教えてもらった話みたいに。俺は強くなりたい」

 

それでも言葉を紡ぐのであれば、擦り切れてしまうほど小さな記憶を始まりとする、格好良い動きを自分もやってみたい。それだけだった。

 

「ナポレオンみたいに凄い銃も打てないし、この前の槍野郎みたいに無茶苦茶に槍を出せないけど、強いやつに勝ちてぇ」

 

負けてもいい、生きているのならば。だけど強くなるのをやめて勝てなくなってしまったら、彼の価値はそこで止まってしまうことになる。それは彼にとって死ぬことよりも怖いことだった。

 

 

「そう。それじゃあ、その目的を見失っちゃダメよ? ハートがぐぐーーってなったら、我慢をしないでね。そうすればきっと、後悔だけはしないでいられるわ」

 

微笑みとともにシンドバッドの両手をとって、彼の顔を見上げながら、彼女は彼に向けてそう結んだ。

 

「わかった。ありがとうな、マリー。お前良いやつだな」

 

「ふふっ、貴方もねシンドバッド」

 

そう言ってマリーは再びジャンヌの隣に舞い戻っていった。揺れて風とともに舞い上がった、彼女のシルバーブロンドの髪が陽の光に照らされてキラキラと輝いているのを見たシンドバッドは、自分でもよくわからない気持ちが心のなかで動いたのを僅かだが感じ取った。

 

ただ、サーヴァントと現代に生きる人間が、少しばかり言葉を交わした。

これはそれだけの話であり、それだけの事実であった。

 

 

 

 

 

 

 




裏パートが長引いてRTA感が損なわれそうで、怖いっすね。
元から無い可能師が)濃いすか?

本当は、2話でやるつもりだったんです。
RTA3話くらいに裏1の予定が伸び伸びになっただけなんです。

というか、鯖最大10騎とか、縛りでもなんでも無いよね?
単騎で走ってる人とか、単騎で走り終えて、2周目駅伝してる走者もいるのに。

作者にとっての書き分けが縛りの可能性が?


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裏:主従関係に関して

ジークフリートと無事合流できたカルデア一行は、明日敵の本拠地であるオルレアンへと乗り込む。少なくともそこに行けば、竜の魔女の本拠地を落とすという目的のために動ける。

敵の目的は、ファヴニールにより無限に生まれるワイバーンをジャンヌが操ることで、現地人へと復讐を果たすこと。その結果により大量の人々が死に、許容以上の人命が損なわれれば人理は崩壊してカルデアの敗北となる。

快進撃を続けてきたカルデアは、決戦で敵を打ち破る必要があるのだ。極端な話、ファヴニールに乗り、移動しながら行く先々の人間を手分けして殺されてしまえば、カルデアの負けになる。ファヴニールはジークフリートを殺しに来るのだが、それに賭けなくて良いように此方から挑みにいくのである。

 

勝利のための条件は、敵の戦力を集結させた所を叩き、再起までの時間を稼ぐと同時に首魁へとたどり付き、特異点としている原因の聖杯を回収すること。

だが、明確な敵の拠点にて待ち構えていることがわかったのだ。次の戦いで全てを決する。それができなければ負ける。わかりやすい状況だ。

 

故に決戦前夜の今はマスターとサーヴァントは身体を休める必要がある。一人として欠けることなく、ここまで来れたので、各々話すべきことはあるが、無駄な戦闘など以ての外であった。

 

「だぁ!! 負けた!!」

 

「マスター、お疲れさまです。ゲオルギウスさんもお付き合いいただきありがとうございます」

 

「いえ、仮初の関係とはいえ、マスターのご命令ですから。戦いは苦手ですが、お役に立てたのならばなによりです」

 

 

そんな中でシンドバッドは、自身のサーヴァントであるゲオルギウスに訓練をつけてもらっていた。

最初はゲオルギウスも難色を示したが、明日の戦いで突っ込んでいかない事を約束させて受けることにしたのだ。結果は当然のようにマスターの負け。アスカロンを拳で受け止める、腕で流し攻め込んだのだが、ゲオルギウスの守りを崩せずに動きが鈍った所に連撃を決められて、ダウンした首元にアスカロンを突きつけられれば、敗北を認めざるを得ないであろう。

 

「お前もつえーな。蹴りも拳も肘も全部止められた」

 

「これでも守ることに関しては、一日の長がありますから。ですがそうですね。マスターは攻撃を躱す事、受け流すことに関してはかなり熟達されてますね。ただ、私の守りを抜くほどの攻撃はお持ちではないように、攻撃に関してはまだ大きな伸び代があるでしょう」

 

ゲオルギウスは、マスターの攻撃を全て正確に捌いていた。背後に庇うべきものがいて注意を自身に引きつける必要もなければ、防御に専念した彼を白兵戦で抜けるサーヴァントは実のところそこまで多くない。

そのためかなり余裕を持って対処ができていた。しかし攻撃に転ずると、本当に現代の人間かと疑いたくなるような高い膂力と、鋭い防御の技術で攻め倦ねることになってしまった。結局は防御を固めできた隙にゲオルギウスが踏み込んで得た勝利である。

 

「ありがとな、ゲオルギウス」

 

「礼には及びません。それでは、私は戻りますので、息を整えたら休むように。後の護衛は任せましたよ」

 

「承りました」

 

シェヘラザードにそう告げて彼は他のメンバーが居る場所へと戻っていく。広い草原にはシンドバッドとシェヘラザードの二人だけが残る形となる。

剣戟の音が聞こえないように、少し離れた所にいるが、周囲には敵影もなく、多少離れているが現地フランス軍も着陣しているこの一帯は味方勢力圏で、気を抜けるわけではないが、過剰に警戒する必要はなかった。

 

「改めてお疲れさまでした。マスター」

 

「いいや、疲れたけど。そんなにじゃない。疲れ始めたらやられたから」

 

シンドバッドのスタミナが枯渇寸前になり、鈍った所をやられたのでなく、マックスパフォーマンスでなくなった辺りであっさりと返されたのである。少し休めば十分に回復する程度である。

 

「強かった、ゲオルギウスは。あの宝具って奴を使われなかった」

 

「そんな物を撃たれたら、死んでしまいます……」

 

「なあ、キャスターも宝具があるんだろう?」

 

シンドバッドは、何度もシェヘラザードに説明されて専門的な用語などは兎も角、大まかなニュアンスで現状や魔術について理解していた。だから、一番一緒にいる彼女の宝具に関しても、大まかにしか分かっていなかった。

 

「ええ、私の宝具『千夜一夜物語』は、私の語る物語を本物として、召喚するものです」

 

「普段使っているやつの、凄いやつってことだな?」

 

「……まぁそうですね。私が語ったお話、語っていてもおかしくないお話、私が語りたいと思ったお話。現実がその通りになります。そしてそれは等しく、恐ろしい王を遠ざけてくれます」

 

世界が本文だと信じ込むほどの語り手。それがシェヘラザードという真名の彼女。その宝具は、世界を騙す固有結界だ。自分の世界を外に出して世界を塗りつぶすのではなく、自身の現実をそのままに、世界を騙して顕現させるものである。

 

「前にも言ってた、王様に強い攻撃ってことなんだろ? 」

 

「そうですね、私が恐ろしい王と思ったものへの攻撃としては、より、その、何といいましょうか、威力が増します」

 

「ゲオルギウスみたいに、敵を王にできないのか?」

 

 

シンドバッドからすると、科学技術も魔術も同じようなもので、何ができるのか、どうすればできるのかというのはよくわかっていない。

それでも、戦いにおいてこうなったら有利になる。そういった判断ができる頭は備わっていた。

 

「そう……ですね。それでしたら、本当に危ない時だけにしていただきたいのですが、私に相手を王だと思い込ませる……それが良いかと思います」

 

「そんなことできるのか!! 」

 

「はい。マスターの左手にある令呪。それを使えば……あの、使い方わかりますか?」

 

「なんか、気合を入れて命令するんだろ? ガンド!!とか、場所変わる奴!! とかと同じで」

 

「はい、手に意識を集中させてこう言ってくださいね『全ての令呪を以て命ずる。敵は全て王である。それらを宝具を以て打ち払え』と」

 

シェヘラザードはゆっくりと、自分にとって危険な状況を打破させるために言うべき事を彼に伝えた。

 

「ん、相手は全部王様だぞ、ぶっ放せ!! ってことだな」

 

「はい。その気持ちを込めて、お教えした通りに命令してください」

 

口元を隠す布の下で、薄い笑みを浮かべながらシェヘラザードは己のマスターにそうお願いした。言うとおりにしたら良いことがありますよ。そう彼女は伝えただけだ。今日までと同じ様に。

 

「わかった。よし、それじゃあ帰ろう、キャスター。ここ寒いだろ?」

 

「ゲオルギウスさんが気を使ってくださったようですが、そうですね」

 

「特異点にいる間は、お話をしてくれるのだろ? リツカ達も聞きたがってたし、速く戻ろう」

 

シンドバッドは、仰向けになっていた体勢を脚を蹴り上げた勢いで身体を浮かせてその場に立ち上がる。軽く汚れを払い、焚き火の方向へと歩き出す。彼女も続こうと立ち上がり歩き出そうと向き直ると、此方に戻ってきたのか目の前にシンドバッドがいた。

 

「いくぞ、キャスター」

 

「はい……マスター」

 

彼はシェヘラザードの手を取り再び歩き出した。わざわざ戻ってきた理由も、手を引く理由も彼と彼女のどちらも確信を持てないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人間になるってコト? 」

 

「はい、先程アマデウスさんとお話して、色々伺えたんです。いろいろなものを見て、いろいろなものを残す。それが大事だって」

 

「うーん難しい話だね」

 

 

マシュ・キリエライトとそのマスターである藤丸立香も二人で話していた。話題は先程アマデウスから言われた言葉だ。この後の彼女の人生において、非常に大きな影響を与える、そんな言葉だった。

 

 

「俺なんて、ただただ流されるように生きてきたからね。今の状況だって流されてきているわけだし」

 

「そ、そんな! 先輩はこの特異点では、流されているようには見えません」

 

「いや、そうじゃないんだ。なんと言うかな。オレには凄いやりたいことがないんだよ」

 

 

藤丸立香は、普通の少年だった。日本の地方都市で生活していた、会社員の父と専業主婦の母がいる、ただの学生だった。街を歩いていて、そういえば自分も献血ができる年齢になったのだ。と思い出し、献血をご協力くださいという声について行き、あれよあれよとカルデアという、雪山の奥地に。

 

よくわからないままに使命を説明されたが、うたた寝している間に世界が滅んだ。彼が自発的に行動したことは、カルデアについて優しくしてくれた女の子が危険だと聞いて、助けに行きたいと思って、燃える部屋に飛び込んだこと。彼女の手を取ったこと。それだけなのだ。

 

あとはそう、言うならば状況がそうだから彼は目の前の選択肢を選んでいる。目の前にしか道がないから歩いているのだ。燃える街冬木で聞いた助けられなかった人の悲鳴は今でも耳に残っているけれど、それでも今人類最後のマスターの一人として頑張っているのは、マシュという女の子が隣りにいたからだ。

 

そういった意味で彼のやりたいことははっきりしているとも言えるのだが、彼自身がそういった感情に名前をつけらたことがないために、自身の中で何かが噛み合っていなかった。

 

「英霊の皆は、やっぱ凄いよね。皆自分を持っているんだ。何かをやり遂げた人もいれば、何かを作った人もいる。オレだって知っているような歴史上の人物達。言い方は悪いけど凄いのは当然だ」

 

「先輩、それは」

 

「わかってるよ、マシュ。皆は頑張った結果なんだ。そしてシンドバッドもね」

 

「シンドバッドさんですか?」

 

 

立香はここまでのフランスでの戦いを思い出す。今でこそ槍使いのドラゴンのエリザベートや、ゲオルギウスという前衛で戦えるサーヴァントがいるけど、最初の5人だった頃、マシュよりも前に飛び出して、ワイバーンを倒していた事を。森の木々の幹や枝を自在に足場にしてウェアウルフを仕留める様を。自分より強いサーヴァントに挑みかかるのを。

 

「あの人は、よくわからないけど、無茶苦茶まっすぐ生きてるよね? 」

 

「そうですね、シンドバッドさんは私もビックリするぐらい知らないことが多いです」

 

「ドクターに何時も怒られてるのに突撃やめないし。人間ってあんなに高く飛んだり速く動けるんだね」

 

「どうでしょう、ドクターは何か知っているようですし、もしかしたら理由があるのかも知れません」

 

 

二人は、シンドバッドがなぜアレだけ好戦的なのかの理由も、彼の生い立ちもほとんど知らされていない。山で修行していた所をカルデアにスカウトされた。そんな昔話みたいな内容の説明だけだ。

 

「そんなすごい人が、人類を救うために頑張ってるのに、オレは自分が何をしたくてここにいるかも見えてこないんだ。勿論、マシュとナポレオンのマスターとして頑張るつもりでいるし、頑張りたいと思ってるけどね」

 

「先輩のお悩みも難しいですね」

 

「そうだね、お悩み仲間だ」

 

立香は、笑いながらそう言うと地面に倒れ込んだ。マシュの横顔を見上げながら、フランスの旅路ももうすぐ終わるのだと改めて思う。

 

「一先ず、ナポレオンが褒めてくれた、目を鍛えるのを頑張るかな?」

 

「目ですか?」

 

「うん、事ある毎に、よく見ているって褒めてくれるんだ」

 

立香は事も無げに言うのだが、英霊同士の戦いを見ることができているだけでも十分以上に異常なことなのである。加えて今まであった人間の顔と名前が全て一致することも、学校においては、不良っぽい人も、ガリ勉ぽい人も、オタクぽい人も、先輩も後輩も。大抵の人と仲良くなれたことも。全てが『普通の範疇の中で』普通ではないことなのだ。

 

「でも、オレも一回やってみたいな、飛び蹴りでワイバーンを撃ち落とすの」

 

「それじゃあ、シンドバッドさんにやり方を聞いてみては如何ですか? 」

 

「アハハ、聞いてできるようになるかな? でも、そうだね。フランスが終わったら聞いてみようかな」

 

手探りでマスターをやっている立香は、フランスの特異点の最終決戦前夜にまた一つ自分のやるべきことを見つけた。それは、隣の後輩にもっと頼ってもらえるように、どんな形でも良いから成長したいな、という。

 

そんな、彼くらいの年頃の男の子ならば、誰だって持って然るべき感情の発露だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次からRTAに戻ります。


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第二特異点 永続狂気帝国 セプテム
(帰還)~(2枠目召喚後イベまで)


PU2では、星4鯖が11連で4枚来たのがハイライトでした……
ローマどこ? 此処? すべての道は通じてるんじゃなんですかねぇ?


そろそろ集中力が落ちてきたRTAはじまるよー

 

 

前回はおフランス旅行を終えて、無事帰国したところまででした、

あ、ダ・ヴィンチちゃん、これおみやげのマグカップね。大事にしまっておいて。

 

無事帰ってきたことにより、鯖の召喚権利を得ることができました。ハードモードになると、聖晶石とか存在しないし、この後直ぐに召喚の儀を執り行います。

加えて言うと、現地でのターミナルポイントの設置とかが要らなくなるんですよね。厳密には開始時に3騎ずつ連れていけるので、イベントとかで増やしていないと、ロンドンからターミナルを置かないとサブメンバーを呼んでこれない形ですね。藤丸くんはマシュ、こっちはシェヘラザードが固定なので、4枠が自由枠となります。

 

さて、召喚に入る前に持ち物を確認しましょう。聖晶石というガチャリソースがないので、そこにはランダム生成されたアイテムが落ちています。フランスで手に入るものにまともなものはないので、今回街を探索する時間を0にして何も回収してませんが。ランダムなアイテムのおかげで、2部の異聞帯鯖の触媒とか落ちてるらしいっすよ。確率は無茶苦茶低いですが。

 

じゃあ何故アイテムの確認をしたのかと言うと、散策の時間も雑魚刈りに費やしたので、どれだけ素材があるのかを確認するためです。素材系アイテムは全てカルデア保管という扱いになり、ここでしか使えません。技術部に渡して装備を開発してもらったり、鯖にあげてレベルと好感度を稼いだりと色々できることはありますが。さて、フランスでの収穫は、ほう、予定した数集まってます。これなら保険もきくでしょう。

 

 

それでは皆様お待ちかねのガチャターイム!!

バビロニアクリアでは召喚する意味がないので、後6回になります。つまり今の3人と合わせて9人ですね。

予定では、藤丸くんに1回多く引いてもらいます。よっぽど特異点での雑魚戦闘を避けてない限り、5騎までの鯖はレベル上限まで仕上げてくれるリソースを彼に渡すことは容易です。戦力は集中させろって、それ一番言われてるから。

 

「今回は、シンドバッド君に召喚してもらおうと思う」

 

「わかった、ロマニ。それで何をすればいい?」

 

 

召喚用の部屋に入ると、この様に召喚を半強制的に促されますから、抵抗せず指示に従いましょう。

 

前回ふわっと説明した通り、縁システムをゲームオプションから切っているのでこの場にいる藤丸くんを追いかけて清姫が来るということは、彼女自身を引き当てる乱数がない限り発生しません。ストーカーはキャンセルだ!(1U)

 

まあ、要するに本当に運ゲーとなります。早い段階でEMYニキが来てくれれば、ドラえもんのごとくこき使って色々短縮もできますし、作家系鯖しか来ないでカルデアが図書館になることもあります。

 

何度も言っているように、引いたら即終了の鯖がいますので、召喚の数はなるべく少なくしたいのですが、ロンドンまでは強制イベント扱いです。祈りましょう。

 

と、解説している間に召喚が始まりましたね、さーて今回のサーヴァントは?

欲張りは言いません、前衛でカチンコバトルできて、暗殺もできて、好色無鉄砲な主人とも上手くやれる、できれば皆で乗れる乗り物を持った鯖が来てくれれば、何も問題ありません!!

 

 

────目の前で光が満ちていく。

 

────それは、円環を作り回り始め激しく光出す。

 

 

 

ありゃ、これは……虹でも金でもないですね。

 

 

 

────光が収まると、そこに立っていたのは

 

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント、アサシン。マタ・ハリが通り名よ。よろしくね!」

 

 

よろしくねええええええええ!!!!(ヤケクソ)

 

はい、マタ・ハリさんです。彼女はアサシンのサーヴァントですが、気配遮断を持っていません。え、なにそれは? と思った方は、正面戦闘系の鯖かな? と勘違いするかもしれませんので、彼女は戦闘においては……その……ナオキです。

写真が残っている程度には近代の鯖ですので、戦闘力は察してください。史実的にはアナスタシアに次ぐ2番目に新しく生まれた鯖です。近代以降の鯖でガチンコできる新選組ってやっぱおかしいなって。

 

じゃあ、どんな鯖なのかというと、みんな大好き女スパイです。踊り子として男性を魅了して情報を抜き取るタイプの。しかも経産婦です!!(ここ大事)

 

要するに戦闘要員ではないです。アサシンではありますが、求めていた要素は全く合致していません。しかしチェンジはできません。

 

まぁ、できてもしないです。結構ボロクソに言ってますが、正直本RTAでは大は付かずとも当たりの部類です。対人での情報収集はお手の物であり、現地協力者の確保などもしやすいです。戦闘では、魅了をバラマキして怖いっすね。所謂デバッファーであり、強敵に対して通りの良いスキルも持っているため、攻撃性能に目をつぶれば、十分貢献できます。

宝具に至っては男女関係ない魅了です。キメラも機械も神も魅了されます。やだ、怖い。

 

加えて、育成コストが非常にお買い得という点も見逃せません。交換レートも含めると、シェヘラザードの育成コストで、彼女は4人ぐらい育てられます。今後加入するメンバーの分のリソースを確保しつつも、固定スタメンのシェヘラザードに大きくリソースを回せるのは、目に見えるメリットでしょう。

 

なにより次のローマでの敵は兵士。つまり男の人間です。シェヘラザードといい、マタ・ハリといい、魅了スキルが通じる相手ですので、その……パターンはいるとひどい絵面になります。ああ~もう敵中魅了まみれや!

 

A++という、かなりの高さの諜報スキルを上手く使えば、イベントをスキップできる情報がてにはいる場合もあるので、RTA的にはうま味がしっかり詰まったキャラとなります。

 

「マタ・ハリ!! あの女スパイの!」

 

「ごめん、マシュ。Dr.ロマンが興奮してるけど、有名な人なの?」

 

「はい、後でお話しますが、有名な方です」

 

 

ガチンコ戦闘ができる前衛アタッカーは次に期待しましょう。最悪すまないさんを喚べばおkですし。そもそもジークフリートはA級サーヴァントなんだよなぁ。弱点が有名すぎるのが傷ですが、戦闘できる、宝具で殲滅できる、人格もできる、ビキビキビキニ、1,2,3。超有能鯖であります。

切り替えて先に行きましょう。

 

「よろしくな、マタ・ハリ!」

 

「よろしくお願いします。」

 

「貴方が私のマスターね。お隣の方は先輩かしら? よろしくね!」

 

 

マタ・ハリを召喚したので、この後はマイルームに言って恒例の会話をこなしていきましょう。直様部屋の出口へと向かい……とここで強制イベントですね、これはまさか。

 

 

「シンドバッド君、少し話があるから、残ってくれるかい?」

 

「何だ? ロマニ?」

 

お説教イベントですね、本編ではあんなにのんびりのほほんとしたお兄さんですが、やはりトップとして何度も命令を無視して突っ込んでいくシンドバッド君に対して、ヤキを入れようとするイベントです。

YAMA育ちキャラで、命令無視を何度もしていると発生するイベントで、何回か起こるとギアスをかけられてしまいます。ゲーム的には、戦闘時にデバフがかかる感じですね。ただまあ第4特異点以降は発生しませんので、基本的には無視して良いイベントでもあります。テキトーに連打しましょう。

 

 

「フランスで、君は何度も敵に白兵戦を挑んでいった」

 

「白兵戦? 」

 

「直接戦ったことです」

 

「君はカルデアに残されたたった二人のマスターなんだ。何度も無理をして、その結果死んでしまうのは非常によろしくない。特殊な経緯でカルデアに来た君に対しては言いたくないが、無責任とも言える行いなんだ」

 

「よくわかんねぇが、危ないことをすんなって話か?」

 

「そうだ、その通りであり、わかっているのならば後方で自衛程度に戦う形で済ませてほしいのだが、そうも行かなくなった。マタ・ハリには悪いけど、今回期待してたのは、セイバーやランサーなどの、前に出て戦えるサーヴァントだった」

 

 

お話が長いよー(走者目瞑り連打中)

 

「だが、今回はそうならなかった。だからせめて君や立香君が少しでも無事に帰ってこれるような装備を、技術部に開発してもらうことになった」

 

さっき素材を見たときにはもしやと思いましたが、もう解禁されましたか。一定数の素材を持ち帰ると、技術部というよりもダ・ヴィンチちゃんが装備の開発をしてくれるようになります。6部なんかは装備開発をしてないと詰みの可能性すらありますが、イベント的な側面が強く変な縛りをしてなければ普通に開発が間に合います。

 

YAMA育ちは、この装備開発をしてもらうことが、ほぼ必須となっております。そして、実のところこれは一言でいうと『装備ガチャ』です。元ゲームにおける礼装システムをベースとした別物です。

素材を渡して、質問に受け答えしたら、ゲーム内時間数日で完成品が渡されます。たまに依頼してなくても自動でガチャが回されることがあります。

 

たまにワイバーンの牙しか渡してないのにガンドの威力を強化するグローブが出てくることもあり、WIKIもお手上げなランダム具合です。

 

まあ、回数をこなして、確率を収束させたいんで速く解禁できたのはグッドテーストです。

 

 

「それでも、無理をしないでくれよ。シェヘラザードも言い聞かせてくれるかい? 君の言う事ならよく聞くみたいだし」

 

「わかったぞ、ロマニ」

 

「承知いたしました」

 

技術部が解禁されたのならば早速、持ってる素材を必要分残して全部打ち込んでやりましょう。小出しにしてゴミみたいな、あ!!ダ・ヴィンチちゃん!! よろしくぅ!!

 

「お、ロマニのお説教は終わったかい?」

 

バッチェ絞られましたよ!! やめたくなりますよ、RTA!

 

「それで君はどんな物が欲しいんだい?」

 

そうですね、やっぱり僕は王道を征く……成長バフ系ですね!!

周回時の初期装備はそういうのが一番ってそれ一番言われてるから。

 

「強く成れるやつね。ふむ、任せ給え。この万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチがあっと驚く一品を作り上げてみせよう!」

 

オナシャス!!

実際、ダ・ヴィンチちゃんこと、レオナルド・ダ・ヴィンチは天才で、モナリザの外見も自作した人形をマスターに見立てて、体を変えているとか、お前人形師みてぇだな? Fateによくある女体化英霊じゃなくて、男性が女の子の体になっているだけです。風呂上り全裸らしいっすよ。気になったTS行ける兄貴姉貴は走ってどうぞ。

 

 

さて、装備開発を頼んだらマタ・ハリと交流を深めましょう。次の特異点までにゲーム内猶予は3週間程ありますので、ゆっくり仲良く慣れる時間はあります。そのためにも好きなことと嫌いなことを訪ねておきましょう。

 

シンドバッド君は、文明的な生活を送ってきた鯖。特にキリスト教圏出身の方。近代鯖との相性が悪いです。これはYAMA育ちに共通であるデータで、騎士と魔術師のような物です。

 

法どころか規則の概念に馴染みが浅い、人食いをする人物というのは文明社会に生きた存在から言えば近寄りたくいないのは当然ですね。

 

マタ・ハリは残念ながらガチガチに対象にはいってます。そのためシェヘラザードよりも重点的に好感度の管理が必要になります。

 

 

自室に戻ったら3人での会話を選んで、改めての自己紹介からです。

既に名前を持ったシンドバッド君は、普通の自己紹介ができるはずです。

 

 

「俺は、シンドバッド。好きに呼んでくれ」

 

えらいぞー。前より語彙が増えたのか、流暢に喋ってますね。

 

「私は、マタ・ハリ。陽の眼をもつ女と呼ばれたわ」

 

マタ・ハリの自己紹介が流れてますが長いので倍速で流します。

要約いたしますと、裕福な家庭で幸せに暮らしていたけれど、13歳のころ父の事業が失敗してそこからどこまでも転がり落ちていきます。第一次世界大戦の頃に踊り子兼、高級娼婦として軍の高官と一夜をともにしていたのですが。その結果、負けが込んだフランス軍に責任をなすりつけられて処刑されてしまいました。本当にスパイだった確たる証拠はないままに。

 

中々に壮絶な人生を送っている彼女ですが、19歳の頃に21歳差の旦那と結婚して、子供が2人いました。踊り子として活躍したのは、離婚後の29歳辺りから、処刑時の41歳まで。

 

そして英霊は全盛期の頃で召喚されます。

 

何が言いたいのかといいますと、設定上彼女は10代後半の姿の召喚となります。これは彼女が幸せだった、幼少期の頃でもなければ、ダンサーとして名を馳せ、スパイ活動をしていた成熟した姿でもないのです。暴力を奮って、浮気癖のある旦那さんと結婚した頃なのです。

 

全盛期が客観的な性能な為と割り切ってしまうのもよいですが、そういったバックグラウンドを考えると、色々感じるものが変わってきます。彼女が求めていたものに一番近かった全盛期はいつなんでしょうかね?

 

 

さて、身の上話も終わったようです。

このまま、好きなものと嫌いなものを聞いて好感度を確認してしまいましょう。

 

 

「気高い人間は好きよ。それが男でも女でもね。マスターがそうだと嬉しいわ」

 

【気高い】《形》上品で高貴な感じがある。品格が高い。

なんだこれは、たまげたなぁ。くっそ汚い語録を垂れ流しているシンドバッド君は、ダメみたいですね(責任転嫁)

 

まま、ええわ。気を取り直して嫌いなものも聞きましょう。

 

「権力を盾にする人間は嫌いよ。貴方はどうかしら?」

 

この辺にぃ! 主従関係にあると、誰彼構わず手を出す好色なマスターがいるらしいっすよ! じゃけんタイム死にますねー。

 

わかっていたが、いやーキツイっす。まぁストレートに言ってくれているので現状がマイナスではないはずです。マタ・ハリの場合、初手で貴方って魅力的な人ね? のような反応が来ている場合は、かなり警戒されてます。女スパイの面目躍如ですね、必要な情報は自分で引っ張り出すというわけです。

 

それで、好感度セリフはっと

 

「貴方にとっての価値ある物はなにかしら?」

 

初期値のままのようです。ここまでの会話で暫く話してもマイナスにはなっていないので、マスクデータ上致命的不和となっていない事は確認できました。

あとは、少しずつ交流を深めていきましょう。ランダムイベントのためにベッドに入ってしまいましょう。

 

 

はい、何も起こりませんでした。まあ、気長にやりましょう。

 

それじゃあ、今日はここまで。次回からセプテム攻略始まります。

 

 

 

 

 

 

 




シンドバッドの鯖は、私の絆10以上からランダムに決めてます。

孔明とマーリンとアーラシュが来てくれると助かるんだけどなー俺もなー
なお、話は壊れる模様。



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(準備)~(ローマ)

ローマ編始まります。

ローマ(特異点名)
ローマ(国名)
ローマ(都市名)
ローマ(文化)
ローマ(ローマ)

と書き分けが難しいですね、なんだこれは。


すべてがローマになるRTA、始まります。

 

 

前回はマタ・ハリを召喚してぐっすり眠ったところでした。ランダムイベは発生してませんね。でも相変わらず知力が少し上がってます。

かしこの物になって困ることはないのですが、鯖側からのバフなんですかね? あとでWIKIに書いておきましょう。

 

 

モラトリアムでやる事は本当にシンプルで、藤丸君チームとの模擬戦を1回。ダ・ヴィンチちゃんへの依頼した装備の受領。あとはトレーニングと鯖のご機嫌取りです。

 

レイシフト帰還からゲーム内時間で3日経過すると、バックアップスタッフさんたちも休暇があけるので、施設復興のお手伝いができるようになります。フランス前にできなかったのは、余裕がなかったんですかね?

現在カルデアの中で2,3を争う膂力の持ち主であるシンドバッド君は、瓦礫の片づけや物資の運搬を任されますので、ガンガン受けておきましょう。

 

メディアさんがいれば工房とかももっと直せましたが、まあシェヘラザードさんが、ちっこいジンっぽい何かを召喚して、細かい作業を進めてくれますので、空き部屋状態に戻すことは楽ちんちんでしょう。

 

フランスクリア後はこの内政パートにもしっかり力を入れておかないと、バックアップスタッフが疲労やストレスで逝かれて、稀に意味消失、つまり特異点先でロストしてゲームオーバーになります。その点ドクターって凄いよな、最後まで業務たっぷりだもん。

 

理不尽な仕様ですが、そういうものです。ゲームオーバー部分にしか作用しなければRTA的にはぎりぎりを攻めるのですが、鯖とマスターの疲労度回復や好感度UPなどのバフも付くので、頑張りましょう。目安としては瓦礫に埋もれた部屋がなくなり清潔な施設が戻るまでは、全力で行うとよいでしょう。そうすればマイナス補正は消えますので。

 

なによりも、一般スタッフ受けが悪いシンドバッド君は、お手伝いによって周囲に媚を打っておく必要がございます。

 

「あいつ野蛮で粗野な田舎者だけど、皆のために頑張るところのある働き者ね、人間食うけど」

 

と思ってもらえるように頑張りましょう。最後でどれだけ好感度稼いでも意味ないって? んにゃぴ……。

 

マシュと、藤丸君以外には知らされている情報なので、ランダムで二人にばれるイベントもあったりします。これは食人志向だけではなく、殺人経験や、人と何かの混ざりものである。といった、隠したい秘密があると発生するものです。

一番多いパターンは藤丸君の召喚した鯖に看破されるやつです。お仲間さんには同じ匂いがするとかそういう理論でばれるタイプのもあります。食人はあまりそういうことはないですが、正統なジャガーマンあたりですかね?

仲良くなる前にバレるとまあまあなロスですが、和解はできます。そういう意味でも仲良くなっておくうま味があります。

 

 

他にやることですが前回言った通り、マタ・ハリとのコミュニケーションは密! にとりましょう。プレゼントは逆効果です。ただ、彼の得意技の肉を渡すくらいなら、若干プラス程度なので問題はないです。効果も薄いですが。

会話イベントを興味なさげな反応がされるまで取っていき、その際にシェヘラザードと一緒に話しかけることを意識していきましょう。先駆者によると、男性キャラの場合、女性キャラと仲良いところを見せる方が好感度が上がりやすいとのことです。え、何それは?

 

また、シンドバッド君は、魔術耐性もくそ雑魚なので、魅了にはホモコロリ並の速度で落ちます。好色まで持ってますからね、仕方ないね。そのうち装備で補強したいところです。

そして魅了が良く効くキャラですと、マタ・ハリからの好感度は上げやすく下がりやすくなります。最悪どうにでもなると思われておいた方が良いのでしょうか?

 

藤丸君とも仲良くなっていきましょう。YAMA育ちですと、護身術教えるイベントなどが起こります。こんな野性味あふれるやつが教えられるんですかね? まあ、マシュとも実力が離れすぎてないので、目標にしやすいのでしょう。

 

次のローマでは、ラスボスの攻撃が非常に苛烈で、マシュ単体の防御だと抜かれて藤丸君がお亡くなりになられます。

一応解答は野良鯖のブーディカママの宝具と合わせるというものですが、アタッカーのスパさんと呂布ロボが消えます。

そもそもハードモードでは、敵の火力も上がるので、そこは耐えられてもその後の雑魚で事故る可能性もあり、保険はいくつあっても困ることはありません。

 

しっかり好感度を稼いで育成を促しましょう。ほらリソースだ! 受け取れ。そいつが君の力になるだろう。ナポレオンの強化も忘れずにオナシャス!

 

そうこうしている間に、ダ・ヴィンチちゃんより呼び出しが入りました。

前回預けた装備開発依頼が完了したそうです。受け取りに行きましょう。

 

おっす!ダ・ヴィンチちゃん! 遊びに来たぜ! 装備を早く出してくれ、もう待ちきれないよ!!

 

「やあ、来たね! 君からもらった素材をつかっておもしろいものができたよ」

 

アリシャス!!

 

「これは君達の耐久力を上げる礼装でね、ファヴニールをはじめとする竜の素材を使って疑似的に竜属性を補強する装備だよ」

 

ん? ファヴニール素材を渡すと出てくる、竜の鱗やら牙を使ったアンダーウェアなんですけど……これって確定で出るやつでは?

 

一先ず受け取って、持ち物を確認、装備して。そして所持素材を確認。

 

 

あれれ〜? おかしぃね? ファヴニールの素材がないねぇ?

 

 

 

 

 

 

あああああああああああ!!!! 依頼時に何も考えずに全部渡してたから、開発素材に使われてしまった!? 生きる意味を……失う!!

 

お前、技術顧問なんだから、あれで触媒召喚したらどうなるかくらい想像できるだろ!! なんで全部使った! 素材として一流なのわかるけど!!

 

あ、はいこれはやばいですね。保険としての装備開発のつもりが、保険をなくしてしまう結果になりました。ま、まだ正統派セイバーとか引けばいいだけだから。

 

最悪前衛が来なければその時はタイムが壊れますが、私がこのレギュの第一走者なのでWRです。気を取り直して進めましょう。切り替えていけ!

 

ここからは、復興の手伝い2、トレーニング1、鯖との交流2、で時間をつぶすだけなので、割愛します。

 

 

 

 

 

 

おや、これは夜の自室でイベントですね。

 

「マスター、今宵はとある王のお話をさせていただければと思います」

 

シェヘラザードさんの好感度が一定以上で発生するイベントですね。自分の身の上話をいつものお話し風に聞かせてくれます。シンドバッドの知力じゃ、そのままそういうお話として受け取ると思うんですけど(名推理)

一先ずは、好感度が順調に上がっているようで、ヨシ!!

ついでに横で聞いていたマタ・ハリも確認してみましょう。

 

「あら、マスター甘やかしてあげるわ……ふふっ」

 

 

こっちも一先ず上昇が始まっているようですね。

確認できたところで、今日は寝ます!!

 

ランダムイベント来い!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、来ません。起きろー起床!! いつものように知力が……なんで話術と器用も上がってるんですかね?

 

うーん、まあ器用さは兎も角、話術は元の値が低すぎるから、知力に伴って上がる形のバフですかね?

青ペンさんの宝具を取り上げて体に埋め込んでる感じで、永続バフが入ってるのでしょうか? まあ、ロスではないので、切り替えていきましょう。

 

その後も同じことを繰り返して。と、いうわけでローマに行けるように観測が安定しましたので、乗り込め―!!

今回も戦闘服で行きます。安定のオダチェンです。ナチュラルにマスターの位置も変えられるので、非常に有用で非常に便利なスキルです。

 

 

Dr.ロマンの説明は聞き流して、それじゃあ特異点にイクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)

 

 

 

今回のレイシフト先はローマ。西暦になったばかりの時代です。状況としては、ネロ帝の統治するローマ帝国に反抗する謎の勢力連合ローマ帝国が出てきて、さあ大変というです。

 

この章では、既に都市の周りに敵兵がうろうろしている状況で、長時間放置するとローマが陥落してゲームオーバーという特殊なシステムがあります。

周辺都市や橋頭堡のガリアなどを奪還することによって、ローマ近郊での敵POPをなくすことができますので、素早く周囲を制圧するか、ローマの周りをパトロールするか。いずれにせよ首都防衛がテーマです。お前、ストラテジーか?

 

敵の本拠地はある程度の候補からランダムに決定されるため、闇雲に探しても意味ありません。というよりも女神の託宣を受けるイベントをこなして、初めて本拠地が決定するという処理です。大体は現代のスペインあたりの位置になりますが。

本筋では首都防衛⇒ガリア奪還⇒女神の託宣を受ける⇒援軍合流⇒本拠地に攻め入る。

という流れですが、戦力に自信があるのならば、ガリアを取らずにどちらかが単独行動で女神と会ってきて、その間ローマ防衛。援軍が合流してから周辺を制圧してそのままガリア、本拠地と乗り込む。多分これが一番早いと思います。ですが、リスクが高すぎるのと、ブーディカと会えない可能性が怖いので不採用です。

 

今回の大まかな流れとしては、ガリア奪還をしている間に、シンドバッドチームで周辺都市の制圧に行き、マタ・ハリに情報収集をしてもらい、女神の居場所をGETします。それをネロに伝えてマッシリア辺りで合流して女神の託宣をに取りに行く形です。

 

これにより、操作キャラでローマ陥落のリスクを抑えつつ、藤丸くんの周りには精鋭なローマ兵が守っている中進軍して安全。完璧なチャートだ(恍惚)

 

さて話している間に、特異点につきました。

Dr.ロマンがローマというより、その時の皇帝をターゲットにしてレイシフトしたから、ローマに出てるはずだろうとか言ってます。外遊とかしてたらどうするつもりだったんですかね?

 

またしても平原MAPでスタートですが、シンドバッド君は今回は走り出さずにいい子にしてます。えらい! 知力上がった成果ですね。操作してないだけですが。

直ぐにマシュか鯖が戦闘の音を聞き取るので、団体行動を意識して、進みましょう。

 

戦闘をしているのは、赤いドレスを着た美女が率いる少数の軍団と、多数のこの時代の格好に即した装備の兵士です。超人的な身体能力で多数を相手取る美女が、この時代の格好をしたやつらを蹴散らしている。双方ローマの旗を掲げている。

 

多分普通は、美女が特異点の原因だと思いますよね? いいえ、違います。彼女こそがローマ皇帝です。

 

マシュも女性に加勢しましょう!! と言います。まぁローマを守っている動きをしているのが判断基準なので、一理ありますね。

 

この時女性と合流して、協力しますと打診するイベントを起こすのは藤丸君にしましょう。彼が現場指揮官ですし。シンドバッド君がでしゃばると、その……非常に面倒になります。

英雄ヘラクレスに憧れて、ライオンとレスリングしちゃった事もあるネロは、両刀使いで好色です。基本美少年とか美少女とかが好きなのですが、ムキムキマッチョはこの時代の価値観で言うと、古代ギリシャ的な美という扱いになります。古風で異国風な魅力がある判断となります。

 

はい、シンドバッド君は実はネロとの相性が良いです。白米と海苔の佃煮位の相性ですね(当社比)

 

その結果が会話イベントが連発してタイム壊れちゃ~う!! なので藤丸君に押し付け、もとい譲ってあげましょう。ほら、美女だぞ、喜べよ、仲良くなったら歌とか歌ってくれるかもよ? じゃ、俺ギャラもらって帰るから。

 

我らのリーダー藤丸君が会話イベントをしている間に、敵を素手で無力化していきましょう。

今回の敵は、洗脳された現地人。つまり、あまり殺しすぎると色々なペナルティが入ります。

人が死にすぎると人理崩壊もありますが、なによりも人間を平気で殺すようなやつは現代人からすると嫌われるらしいです。選んで殺すのが、そんなに上等かね?(古王)

 

お前ら魔術師のくせに今更善人ぶってんじゃねえよ!! と言いたいところですが、素直に殺さず倒していきましょう。この時代の人間は屈強な♂なので、とどめさえ刺さなければ、普通に無力化できます。

何よりも、シェヘラザードとマタ・ハリの魅了がとにかく刺さりまくります。そら、褐色爆乳お姉さんと、色白巨乳お姉さんが、異国情緒漂う扇情的な衣装で動いてれば、魅了されますね! これにはノンケ兄貴もにっこりでしょう。

 

そうして敵が鈍っているところを、片っ端から意識を刈り取っていきます。ナポレオンの砲撃にすら、怪我はすれど死なないようなローマ人なので、めったことでは死にません、全力で行きましょう。多少痛めつけて数を削ると一度撤退していくので、装備をはぎ取ってあげましょう。

そんな重いもの持ってると大変でしょ、お母さんが預かってあげます。親に預けたお年玉は戻ってきましたか?

 

彼らの槍や剣盾は、一般兵卒が使っているようなものでも、現代から見ればそれなりの価値になります。まあ古代ローマ兵の装備一式新中古品って、美術館とか博物館においてそうだし、多少はね?

 

一度撤退して少しすると、カリギュラ伯父さんが襲い掛かってきます。

ここで倒すこともできなくはないですが、今回敵にはお使いに失敗したレフおじさんがいます。彼は召喚に定評があるので、鯖を失ったら鯖を1人補充するという形で動くので、弱らせてリリースするのが一番効率的です。

 

またこいつも戦力の逐次投入かよ、舐めプしてるから負けるんだよ。まぁ、本気で来られると負けるので、適度に油断してほしいものです。カリギュラ伯父さんは皇帝なのに、狂化した為か高い身体の力を有しており、肉弾戦の練習としては丁度良いです。

 

藤丸隊長、ここは拙者が相手いたします。隊長やマシュの姉御が出るほどの敵でもねえです。

(稼ぎやすい敵なので、自分もらっていいすか?)

 

功績ポイントが美味しいので宝具を打たれる前にひたすら削っていきましょう。というか、体格も同じくらいですね、シンドバッドくんのほうがマッシブですが。直線的な突進と、腕を叩きつけてくるので、蹴りの当たりやすい間合いをとって、回避しながら攻撃しましょう。

宝具が来そうな予備動作を見たら、マタ・ハリかシェヘラザードに魅了をばらまいてもらいます。あわせ技で、生存の閨のフェロモンです。絶対いい匂いするゾ。

 

 

はい、狂化入ってるのに魅了入るとか、恥ずかしくないのかよ!? アルテミス様に顔向けできんのか? できちゃいそうですね、愛の女神ですし。

 

攻撃系の宝具ではないのですが、こっちに狂気をあててくるタイプですので、シンドバッド君がくらうとイチコロです。バーサーカーなのに味な真似を……。宝具が止まったらまた殴り続けます。しばらく殴っていくといい感じに削れるので、魅了が切れる前に引っ込みましょう。

 

はい、終わり!!

功績点も稼ぎ、敵戦力も削ることに成功しました。撤退するカリギュラを横目に、魅了を打ってくれた二人にはきちんと話しかけてお礼を言っておきます。小さなことの積み重ねが一番大事って、それ一番言われてるから。

 

 

カリギュラを伯父とよんでいたのを聞いたマシュとドクターがつっこみをいれて、ネロちゃまが自分こそが、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス。ローマ帝国の第5代皇帝と名乗ってますね。二人とも驚いているようです。冷静に考えてネロが男なわけないだろ!! いい加減にしろ。

男装の麗人設定なのですが、途中から忘れ去られてますよね。

 

ドクターの指示で、彼女に協力するように言われたら、ローマを目指すになります。藤丸、総督になるらしいよ。まぁまずは客将扱いです。客将という言葉って憧れますよね。男の子なら誰しも、戦乱の世に客将として徴用され、尊敬できる主君に天下をもたらす妄想をしたことありますからね。

 

道中も散発的にローマ兵が出てきますが、マシュの経験値にしてもらいつつ、近場の敵は殴りましょう。拳での功績点のたまり具合は順調ですが、ローマでは敵鯖は王様、つまりボスであることが多く、遭遇戦はほとんどない、まず味なステージです。微量でも稼げるときに稼げっていう話や。

 

 

おら! こちとらカラリパヤットやぞ!!

さっきのモラトリアムで、シェヘラザードか藤丸君に使い方を教わったのか、カラリパヤットの資料映像を鑑賞して、スキルレベルが上がってました。そんなんでいいのか? 最古の武術。

まあ、下地は20年間積み上げてきたし、後は技だけだったはずだし多少はね? 史上最強の弟子みたいなもんやろ(適当)

 

ともかく、目に見えて防御系の技術が上がったのか、それともダ・ヴィンチちゃんの装備のおかげか、被ダメが少なくていいですね。ローマ兵は殺して解体して食べるわけにもいかないですし。戦闘後のドロップで肉が手に入ったら事故だよ、事故。そういうわけで今回は魔獣が少ない為回復アイテムがまず味です。

そういう意味では、ジークフリートさんが呼べなくなりましたが、被ダメは減ったので、明確な安定感は上がりましたね、明日のタイムより今のタイムです。

 

 

ローマが見えてきました。この時代のローマはまさに世界の中心で、文化も教育も芸術も、全てがトップクラスだったとのことです。

職業軍人とかを持てる国というのがそもそも絞られますからね。




ローマシナリオ読み直して思ったのは、最近の章に比べて、
本当に短いという、短縮ポイントがないですね。

こんなの、RTAじゃないわ! ただの推し鯖で行く人理修復オリ主ものよ!!
だったら自分で書けばいいだろ!


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(ローマ到着)~(ガリア)

本日2話目です。


ローマをローマにしていくRTA、ローマ!

 

 

現在同行しているネロは、ブリテン島を制圧したという点は功績として挙げられてますね。まぁ、共和制ローマ時代のハンニバル辺りからローマを脅かす敵なんてほとんどいなかったのですが。フン族の方はもう少しお待ちください。

 

ローマをみて感動してるぐだマシュ尊い……お前等にきれいなものを見せたかったんだよ。当代の皇帝の案内でめぐるローマ観光とか最高ですな。おっと、喧嘩のようですね。

都市内部でも、謎のカリスマが漂ってきて、心が乱される人が出るのか、一度鎮圧するまで敵が出現します。さくっと倒して名乗りを上げましょう。喧嘩する元気があるなら俺と勝負だ!!

すぐに周囲が囃し立てる辺り、シンドバッドくんは本当この時代にいたほうが幸せになれますね。

 

 

道中トラブルばかりでしたが、王座の間に通されて、正式に協力体制になることを受諾します。

すると、話の途中で悪いが! 直ぐに都市防衛イベントが開始されるので、チームカルデアで迎撃に行きましょう。皇帝の直轄部隊のスペシャリスト集団とかワクワクしますね!

 

朝に特異点に入り都市周辺に、昼頃ローマに到着、そこから日が暮れるまで戦いが続きます。

マシュはともかく、藤丸君の体力お化けがこの章辺りから描写されていきますね。馬も無しにこれだけの距離の行軍を!?

 

都市防衛戦は、ナポレオンがずだだーんと打って、頭数減ったところを美女二名が魅了して、残りをマシュの盾とシンドバッドの拳で当身! してけばいいだけの作業なので、倍速します。

 

 

こんな絵面じゃ退屈ですよね、そこで~皆様のために~

 

 

 

 

 

 

この後の短縮ポイントに関してお話しします。

 

この特異点はあまり短縮できないところです。強いて言うのならば先ほど言った、女神の託宣を早めるくらい。

あとは最終決戦前にブーディカママが誘拐されるのを防いでおくことですね。後方に着陣されたバサカ勢が誘導されてしまうので、それを防ぐように軍団の後ろに回っておけば大丈夫です。

孔明とアレキサンダーは見敵必殺しましょう。おまえ、王だな? 王じゃない奴は男だな?

 

そして、敵は倒しすぎないようにしましょう。理由は前も言った通りです。流石にゲームオーバーになるほど倒したことはないので、大丈夫かとは思いますが。

 

そして小さいですが、一番の短縮ポイントがアルテラさんです。彼女に関しては、実装当時正体がわかってなかったのですが、いやぁひどい厄ネタでしたね。レフが切り札として出してましたけど、最悪上司に怒られてましたよね。

召喚前に聖杯を奪うのではなく、彼女が召喚されると面倒なレフおじさんをスパっとやってくれるので、出現を待ちましょう。

本来はエクスカリバーで戦うべき相手なのですが、普通に殴ってもOKです。召喚された彼女は開幕宝具ブッパした後、ローマに向けて比較的ゆっくり歩いていきます。聖杯から敵をばらまきながらの移動で、倒しながら追いかける面倒なイベントがあります。此処は俺に任せて先にいけ!! が何度も挟まれて、非常にロスです。

それを避けるために、宝具を防いで、その場で決着付けます。

 

どうやるかというと、まぁ、こいつ王なんですよねぇ(ニチャア)シェヘラザードさんの対英雄(譚) EXで、弱体化してしまいましょう、落ちろ!! 落ちたな。

返しで皆の宝具を叩き込んで、削り切れなくてもそれを起点に魅了ハメもできるので大丈夫です。いいですわゾ~。

 

それ以外は本当にシナリオ通り走る必要があります。ほんまつっかえ。もう1人くらい鯖が藤丸君についてると、ランダム戦闘で負けることがほぼなくなり、安定するので単独行動をお願いできるのですが。仕方がありません。

 

さて、ローマ防衛戦も終わりました。これにより名実ともにローマが我々の陣地となります。

本来はターミナルポイントを設置に行くイベントがありますが、既に持って行けるもの全部持ってきてますのでカットしよ!

 

ガリアに行って周辺支配を盤石のものにすると、ネロちゃまが言ってます。

ついでに、鯖に対抗できるのは鯖だけだという話をしてあげると、我々を重用してくれるので、スムーズに進みます。

この時YAMA育ちキャラは、お前鯖なんだろ? という問答が発生します。

ちなみに幕間では、ネロちゃまが、俺もソーナノ……という状況になります。これもうわかんねぇな?

 

そんな生身の人間のネロちゃまですが、ゲームでは鯖と変わらない性能で戦ってくれます。セイバーとしてはまぁ、普通3点! みたいな強さです。性能は防御型ですね、ガッツ3回という中々強力なスキルで踏ん張って戦うタイプです。皇帝特権とかいう、一部ユニーク以外のあらゆるスキルを一時的にインストールするチート能力も持ってますが、後に皇帝はだいたい持ってるスキルになりましたね。大胆なスキルは、皇帝の特権!

ある程度攻撃もできるジャンヌという使い勝手を意識して、マシュと組ませて戦うとよいでしょう。皇帝で指揮官が前線に出るのかぁ(困惑)

 

藤丸くん以外に鯖を連れた操作キャラがいると、十分な戦力があるので、別動隊をガリア以外の場所に行かせることをネロが提案してくれます。カルデアはロマニを経由して相互に連絡が取りあえる関係なので、指揮系統的には問題ないです。ボスも王しか出てこないので、シェヘラザードからしたらボーナスステージです。ですが、あえてここはロマニにお伺いを立てましょう。さっきのお説教で反省しているふりをします。

 

『わかった、ただし無理をしないようにこっちでも見ているからね』

 

すると、ロマニの態度が軟化します。リスクはあるけれど、鯖が2人いるしヘーキヘーキ。ついでにパパパって情報も集めてきます!!

 

ということで、兵士さんを連れて、ローマ周辺の都市を開放に行きましょう。といってもアバウトで大体ジェノヴァあたりにある所に回されます。

軍団を指揮するスキルはないメンバーですが、マタ・ハリの魅了に踊らされて親衛隊みたいのが形成されて士気は高い……とかそんな感じですね? 魅了万能説、あるとおもいます。

 

戦場までの移動は自動で行ってくれます。楽ちんちんですね。

着きましたが。さて、我々の敵は誰でしょう……あら、これは非ネームドの皇帝ですね。けーかちゃんが3人位さくっと殺したののどれかでしょう。まあ此処で出られて困るのはルキウス位です。アイツが出たら遠距離から砲撃でぶっ殺しましょう。神祖への尊敬値が高いので、AIの思考はわるわるなのですが、スペックが高すぎて近寄ると膾切りです。

 

周囲の兵士は兵士をぶつけることで、戦闘範囲での敵密度が下がります。予めお願いしておきましょう。基本的には無双ゲーよろしく、ボス対操作キャラの戦いですね。

 

はい、見つけました、本陣です。それにしてもイキイキと敵をふっとばしつつ、美女を後ろに控えさせているのを見ると、この時代に生まれてたら、シンドバッド君は兵士長とかに出世して、幸せに暮らせたんでしょうね。

 

はい開幕魅了! そして近づいてぶん殴る!

攻撃してきたらガードしながらつり出す、後ろの二人に攻撃してもらう! 鯖の指示は大まかにしか出せませんが、いい連携です、そろそろ宝具が来そうなので、もういっちょ魅了。マタ・ハリも宝具を撃ちましょう。

これでデバフの加算により、生身でも受けられるほど攻撃が弱ってますね。

 

はい、工事完了、制圧しました。撤退していく敵はそのままに、指揮官っぽい人にここの管理を任せます。制圧した都市に兵力残さなきゃいけないゲームって、大体だるくなるよね。

 

制圧した街ではマタ・ハリにお願いして、情報収集にいそしみましょう。

その間、兵士と仲良くなる感じで、レスリングで勝負でも挑まれておきましょう。所謂ミニゲームですね、マスターを使った魔術無しの戦闘で勝てばスキルの成長とアイテムが手に入ります。内部的には皇帝からもらった支度金を賞金にして、慰安している感じでしょうか? 制圧したばっかの都市で、率いていたやつの強さを誇示しているだけな気もしますが。

 

このミニゲームは経験値も入り、不足しがちな回復アイテムも手に入ってうま味です。内容に関しては、普段の戦闘よりぬるいので……YAMA育ちだとボーナスステージです。一般家庭の藤丸くんの幼馴染とかでも勝てるゲームですからね。お肉美味しいです。

 

さて、マタ・ハリが帰ってきました。よし、神を見た話を仕入れてきてくれましたね。

真昼間の数時間でこれだけの情報とか、さすがっすね。

 

それじゃあ、ガリア方面に向かいましょう。ロマニ―! こっち終わったー! あと神がいるらしいよ、地中海の島にー。

 

兵士さんたちは無理がきかないので、この場に置いて、3人で馬を借りて仲良く帰りましょう。シンドバッド君は乗馬スキルがないので、乗れません。雄の馬なら魅了でどうにかなりませんかね? 無理? そう……。

鯖なんだから走れって? 鯖だってことを現地の人に説明する問答が面倒なので、1つ目の選択肢で皇帝に合流、次に必要なものを聞かれたら、馬と物資と答えるほうが、話が早いんです。小さい短縮ポイント。

シェヘラザード馬乗れたりします?あ、無理? じゃあどうしようか? ばらして食べます? え、かわいそう? 馬刺しうまいのに……

 

常歩位なら、乗れるマタ・ハリが、楽しそうに乗ってるので良しとします。移動にかかる時間を加味しても、此方が大分早く到着しますので。イタリアの大平原を馬に乗って移動って、彼女からすれば贅沢な旅行みたいな物なんですかね?

それにしても、王様に恐怖感はあれど特攻宝具を持ってるシェヘラザードと、王様なんてちょっろいと言い切るマタ・ハリって、男の王相手には無茶苦茶強いですね、カエサルの方こっちで回せばよかったかもしれません。次回はないでしょうがチャートにちゃーんと書いておきましょう。

 

マタ・ハリはいなくとも、シェヘラザードは確定でいるわけですし。

 

マッシリア近くで落ち合うことになったので、のんびり移動です。イベントが少ないローマの特異点ですが、行軍していることを考えると、結構日数がかかってます。ジェノヴァ、マルセーユで400kmですから。

 

 

おっと、向こうも戦闘に勝利したようですね。はい、これで港で合流になります。藤丸君もさすがに軍団を指揮したナポレオンがいて負けることはなかったようです。

精鋭を指揮したナポレオンが砲撃しながら突っ込んでくるのに、相手はテキトーに相手せよという指示を受けただけとか、負けるわけがないんだよなぁ。指揮官の暗殺をしようにもマシュが守ってる、完璧な布陣ですね。

 

というわけで、海岸につきました。海の上歩いていくスキルがあれば歩いてもいいのですが、そんなものはないので、多分1日ここで待つことになりますね。予定通りです。シンドバッド君はここで、水泳の練習をしてもらいます。水泳や早食いなどの簡単なスキルは人間であれば、多少時間をかけて練習すれば必ず習得ができます。一般家庭でカルデア前に習得できるタイプの物ですから。

まあスキルというほど大したものではないけれど、次の特異点が海なので、落ちた時にスキルがないと、結構やばいです。安定を取ったチャートです。若干ですが、水辺での戦闘でもボーナスが入ったりします。イベントは起こしませんが、月の海でもバフ入るのは本当に草が生えますね。

 

藤丸君が来るまで泳ぎの練習をして、無事水泳のスキルを覚えました。水着マタ・ハリと水着シェヘラザードどこ? 此処? (幻覚) 藤丸チームも到着したので、あとはネロちゃまの操舵する『ドリフトする船』に乗って、名前のない島に行きます。

 

つきました。おぉう、ストレス値がすごいことになってる。鯖は霊体化すればノーダメなので、マシュ、藤丸君、シンドバッドの3人のみダメージです。イヤーきついっす。

そして降りた先には神霊サーヴァントのステンノがいます。Dr.がさんざん神は鯖になることはないです。と言ってましたが、彼女は例外的に戦闘能力がない女神なのでという理由で顕現してます。仲間としてついてきてくれません。

 

出会い頭で魅了をばらまいてくることもあります、その場合は、シンドバッド君は……はい魅了にかかってますね、こればかりは仕方ありません、女神さまのいたずらですからね。鯖とガチ恋していた場合、嫉妬とかされて面倒ですが、別にそういうのはないので、大丈夫でしょ。行動可能になったら、話を聞いて近くの洞窟にすげえものがあるぞということを聞いてきましょう。まぁ何も入ってないんですけどね、初見さん。

 

洞窟では死霊などの敵を倒していきましょう。攻略が難しい場合は一回砂浜に戻ると、エリちゃんと出会えます。テキトーに褒めると仲間になるので連れていきましょう。今回は突っ切りますが、ナポレオンの射線が通れば問題なく処理できます。こっからはチキンプレイだ!

 

最奥部まで来ました。キメラが宝箱を守ってます。キメラ君も……(素材が)おいしそうやなって。ブレスが痛いのでタイミングを読んで回避しつつ、囮として動きましょう。マスター(回避盾)とは?

ボスではありますが、功績点はそこまでおいしくないです。ナポレオンが適当に撃ってると弱ってくるので、ジンにタコ殴りにさせます。戦いは数だよ!

 

はい撃破。シンドバッド君はマシュの前でうろちょろしてるだけでしたね。蛇のしっぽが悪いんや。

 

 

宝箱の中身は何と空っぽ。まあ骨折り損のくたびれ儲けにはならずに、無事目的地を教えてもらえます。今回は、スペインの辺りですか普通だなぁ!

 

さて、帰るかって所に、カリギュラ伯父さんが襲いかかってきます。エリちゃんに加えてタマモキャットまでいるので、数で叩いて終わらせましょう。じゃあな! 伯父さん! ロストベルトで会おう!

 

素早くローマまで帰り、体制を整えて進軍です。帰りの道中鯖に強襲されるイベントは、周辺地域を制圧しているため、キャンセルだ!

 

本拠地を知るイベントをこなしたので、荊軻ちゃんと呂布が合流します。

 

本来は合流の際に敵に囲まれて、救援に行くイベントが発生しますが、周辺都市も抑えたので、無くなっております。ついでに言うとスパルタ!!も来てませんが、それはちょっとまずいかもしれません。

レオニダスさんは攻撃するときに使ってもいまいちですが、狭い峠とかに配置されると、尋常じゃないぐらい手強いです、盾サーの王なだけあります。(盾を持った鯖のこと)

 

普通にハードモードで走ったとき(試走ですらない練習)は都市制圧しても普通にスパルタ兵が沸いたのですが。

 

けーかちゃんはアサシンですね。失敗こそしましたが、始皇帝の暗殺にチャレンジしたヤバイやつです。酒乱で暗殺好きなお姉さんです、僕は大好きさ。

呂布さんは、アトラス院産のホムンクルスプレイでもしない限り、基本的に言うことは聞いてくれません。こんなんでも奥さんも子供もいたんだから、三国志の辺りの中国は魔境だよなぁって。

 

バーサーカーとして非常に素直な性能ですが、言うことは全く素直に聞いてくれません。基本的に有利なギミック位の感覚でいましょう。味方に陳宮がいた場合、ある程度のコントロールはできます。

 

 

ネロちゃまが戦車とかを準備して、いざ鎌倉! と行きたいですが、補給できるのは此処が最後です。ローマの城下で嗜好品とかを買って、進軍道中藤丸君とマシュに配れるようにしましょう。おっちゃん、肉くれ!! 後ろの二人用に美味いもんもくれ。

準備完了したら、ネロちゃまに話しかけて出発です。

ガリアまではノンストップでいけますので、防衛していたブーディカママとスパルタクスと合流します。ガリアを奪還するのが遅いと、この二人は敗北して消滅している場合があるので、今回は安定を取ったチャートでした。

 

スパルタクスは、共和政ローマ時代の剣闘士で、奴隷を率いてローマに反逆した奴隷です。体制に反逆する奴隷というバックグラウンドを持っているせいか、圧政者認定を食らうと、味方陣営壊れるなので、祈りましょう。襲い掛かられたら魅了をあてて、距離を離す必要があります。

 

今回は……大丈夫なようですね。まあシンドバッドくんは、走者の圧政を受けてた側の存在やし、多少はね?

 

一方のブーディカママは、非常に友好的なので、問題なくやれます。彼女はブリテンの勝利の女王で、旦那である王様を殺された後、娘2人しかいないので、ローマに相続を認められず。権利を奪われて、娘を奴隷にされたからローマに殴りかかった人です。ネロに負けますが、その事を恨んでないという人間の鑑です。でもローマは嫌い。経産婦な家庭的未亡人とか最高だな?

そんな彼女は目の前で人間を食ったりしなければ、全く問題ないです。イギリス由来の操作キャラだとハグしてくれます。されてーな俺もなー。

 

戦力も整ったので、一気に連合本拠地に乗り込めー!!

 

 



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(進軍)~(修復完了)

今思えば、ローマをクリアした時点でラスボスの正体と、マシュの真名に大体のあたりを付けられるんですね。


一気にローマを守り抜くRTA始まるよー!

 

 

 

ガリアで部隊と合流すると、藤丸くんが、どの様に戦力を配置するか聞かれます。介入しないこともできますが、ここは自分たちをバサカ勢と一緒に後ろにしてもらいましょう。敵が来たら勝手に突っ込んでしまわないように、後ろを希望します!!

斥候代わりの荊軻ちゃん、ネロ、ブーディカ、藤丸組が前、スパルタクスと呂布とシンドバッド組が後ろです。

 

数日間進軍をしていると、前方に敵が現れます、ダレイオス君が来た場合は罠です。周囲を警戒しましょう。

 

『前方に敵反応、立香君そっちから視認できるかい?』

 

「うん、槍と盾を持った人たちが道を塞いでる」

 

 

ダレイオスではないですが最悪です。前方にいるのはどうやらスパルタ兵つまりレオニダスです。となると、アレキサンダーは即仕掛けてくる場合がありますね。

 

通常出てくるダレイオスは、アレキサンダーが意図的に連鎖召喚させた鯖です。

それをしなかったということは、前方に既に足止めできる戦力はいると彼が判断してという形です。つまりは

 

『シンドバッド君! そっちにもサーヴァント反応がある、警戒してくれ!』

 

はい、攻めてきてますね。次の一手は一撃軽く当てて、敗走するかのように引いていくアレです。九州のやべーやつとか、ワールシュタットで蒙古がやった、あのお得意のやつですね。

死角に歩兵を伏せているのでしょう。一般兵士はそれで足止めして、騎兵で注意を引いて、本命を攻めるので、より凶悪ですね。

 

早速敵の騎兵が突っ込んできます。すぐさま飛び込むバーサーカー2人が戦闘を開始。騎兵の勢いが死にかけて、混乱と共に敗走していこうとする、はい、こ↑こ↓のタイミングです! マタ・ハリさんお願いします。

 

「令呪を持って命ずる! マタ・ハリ! 宝具で味方ごと動きを止めろ! 」

 

「了解よ、マスター。結び、開き、私という女に溺れて頂戴! 陽の眼を持つ女(マタ・ハリ)

 

マタ・ハリの宝具対軍宝具であり最大補足は100人。ゲーム画面上では全員余裕でいけます。彼女の宝具効果は洗脳です。マタ・ハリの操り人形にする強力な宝具ですが、狂化持ちには効かないのですが、ゲームでは普通に問答無用で効きます。攻撃防御にデバフもはいるので、サポートとしてはかなり強力です。

味方のバサカ勢も巻き込んで魅了と弱体をばらまきます。これは攻撃扱いではないので、トチ狂ってこっちへ追ってくることはないです。元から狂ってるけど。

 

魅了が外れてもデバフですので、どちらか一方でも足が止まってくれればOKですが、よし。今回は2人とも足を止めてくれましたね。

その間に敵騎兵の側面をついて包囲してもらいます。とにかく撤退されないようにしましょう。

指揮官の人が素早く軍を動かしてますが、宝具を撃ったら、側面から回り込むようにと指示をしていただけで、後は現場の方が頑張ってくれてます。

 

釣り野伏せの失敗を悟った敵は、歩兵を突撃させてきましたね。はい、敵の戦力の釣り出しに成功です。おそらく後方にいるマスターのシンドバッド君を誘拐することが目的なのでしょう。

包囲された味方を囮にして手薄な此方に来ました。兵士は兵士で足止めできてますが、アレキサンダーと孔明の二人で突っ込んで来てくれたので、シェヘラザードに魅了をばらまいて足止めしてもらいます。

アレキサンダーは対魔力があり、外れる場合もありますが、王ですので……。

はい、工事完了です……あとはここに敵がいると前方に合図を送れば、一足先に復帰したスパルタクスと呂布に料理してもらえます。さすがに介入できる余裕がないので、二人を連れて後退しつつ、ロマニに周囲に敵がいるかを聞いて待機しておきましょう。

 

狂戦士の前に出てきた王と軍師は、一瞬で撃破完了です。余裕の火力だ、馬力が違う。

 

問題は前方ですね。レオニダスからすると、

・本拠地へと続く道を

・敵の大群に攻められて

・狭い街道で着陣している

という状況です。さすがのローマ兵も分が悪いでしょう。戦闘民族ギリシャ人の中でも、圧倒的な強さのスパルタ兵がレオニダスの宝具が出てきているわけです。あいつらのキルレシオは本当におかしいですからね。

ここからの合流は難しいので視点を観戦モードにして戦況を見ましょう、同じ戦場扱いではありますので。最悪令呪で鯖を向かわせます。

 

案の定戦闘が開始して、今まで快進撃だったローマ軍が一歩も進めず、ファランクスで弾き返されてます。横から回り込むこともできないので、弓を浴びせてますが、怯むことなく耐えてますね。

まぁ宝具で呼ばれた兵ですので、反撃で結構な数のローマ兵に被害が出てしまっています。7章でもわかるように、レオニダスはこういう守勢に配置してこそのサーヴァントです。300で10万の軍勢と渡り合ったのは伊達じゃないですね。

 

ですが、藤丸君もここで切り札を切ったようです。虹色の光が軍勢を貫いてます。ナポレオンの宝具で正面からぶち抜く力技です。できた穴にローマ兵がなだれ込んで広げてます。ブーディカやネロも切り込んで行ってます。そしてそんな混乱の隙を、荊軻ちゃんがサクッとレオニダスを殺したみたいです。

 

王を失っても戦い続けた逸話がありますが、王の宝具ですしこれで終わりでしょう。大きな損耗なく切り抜けられました。これで藤丸君の鯖が作家とか対人に強いランサーとかだったら苦戦してましたが、やっぱ、ナポレオンを、最高やな!!

 

 

その後は大きな戦闘もないので、消耗を避けながら進軍します。

というわけで、敵の首都に到着、先頭集団に合流しましょう。

そこで明かされる衝撃の真実! 連合ローマ帝国の最高指導者は、初代ローマ建国王神祖ロムルスでした!!

 

問答無用で自分に心酔するカリスマをバラマキして怖いっすよね。まぁこれでもかなり人類のためを思って、敵のオーダーには応えつつ、手を抜いてくれてます。自分を救世主の糧にするとか、さすが国父やな! それでこそローマや!

 

ネロのメンタルが弱ってしまいますが、藤丸君が励ましたら、直ぐに元通りです。ちょろい。今を作るのは今を生きる人だって、それ一番言われてるから。

 

都市に入ると一般市民すら襲い掛かってきます。ゲームだと没個性的なローマ兵ですが、多分子供も老人も妊婦まで襲い掛かってきてるんでしょうね。ひどい絵面だ。

ロムルスの加護を受けている人たちは既に洗脳に近いので、魅了が通りづらいという特殊な状況になってます。

念による操作能力は早い者勝ちというやつですね。TGSは仕事して下さい。

 

 

ただ、その分スペックは低めの敵なので、シンドバッド君がシェヘラザードとマタ・ハリを守りながら進みます。はい、既に彼のほうが硬いです。鯖換算で耐久がC-位ありそうですね。

二人共、困ったことがあったらなんでもいうといい、きみたちは大事な戦力なんだ。

 

ある程度進むとけーかちゃんが抜け道を見つけてきてくれるので、一気に玉座まで向かえます。ナイスでーす! 君いい腕してるね、カルデアチームに入らないか?

 

冗談はさておき、通路を守る近衛兵を倒したら、ロムルス戦です。前述の通り全力で手加減してくれてますので、マシュとブーディカママで守り、ネロで攻めて、ついてきたバサカで殴れば勝てます。

まあ、呂布将軍はついて来てくれませんでした。仕方ないね。スパルタクスは、連合首都到着時にロムルスの姿を一度見てると、圧制者としてロックオンするので、同行してくれます。やさしい。ただ大分ダメージを受けているので、令呪を使って回復しておきます。

 

敵は魅了の通りはいまいちですが、狙っていきましょう。ここも、マシュがしっかり抑えて、ネロが覚醒して攻撃してくれます。邪魔にならないように動きながら戦ってもらいましょう。建国の父を越えようとする皇帝のシーンですので、イベント戦闘に近いです。

 

特に見所さんもなく、ロムルス撃破!! まさか本気出したローマがあんなにもローマだとは……この時の僕らは知らなかった。貴方ともロストベルトで会いましょう。

 

はい、そしてくろまく~(LTY)の登場です。17年前! 嘘やろ!?

 

レフ・ライノール・フラウロス。敵のラスボスの手下です。魔神柱という目玉のお化けみたいな姿に変身して襲い掛かってきます。通常攻撃が全体攻撃で目玉お化けの魔神柱は好きですか?

元ゲームだと、おやつ感覚で殺される魔神柱たちですが、このゲームFGORPGではただただ面倒です。タイミングを合わせて、皆を強化して一斉攻撃で落としましょう。

 

よし、さすがはナポレオン、強化を付与してくれたおかげで皆良いダメージですね、シンドバッド君はひたすら回避です。隙を見つけたら殴りに行きたいのですが、魔術がいや^〜きついっす。あ、でも装備で底上げされたおかげなのか、多少は耐えられるので、やっぱりここは攻める時でしょう。

 

「マスター!! 危険です!!」

 

ラスボス由来の敵生物は功績ポイントが非常にうま味です。というわけでダッシュ。攻撃はひたすら避けましょう、序盤でまだ火力が低い敵なので、受けられないことはないですが、当たらないに越したことはございません。

攻撃はどこに当てても同じなので、手近な目玉に石をぶん投げます。ダメージにはなりませんが注意を引けます。投石!! ってあれ? 若干のダメージが入ってます。まあ、目的の注意を引けました。

すると、一斉に目玉からビームが来ますので、避けます。バラバラに狙われる方がきついのでこっちの方が良いです。スタミナの節約を考えずに、緊急回避連打です。直接狙える距離に入ったら、全力で蹴り飛ばしましょう! おら、心臓落とせ!(魔神違い)

 

1,2発入れたら無理せず退避です。これだけで2,30ワイバーン位の功績ポイントです。1戦闘分以上のポイントが手に入りこれにはにっこりです。

 

 

っとあぶぇ! ビームがわき腹をかすめました。着ていてよかったダ・ヴィンチちゃん印のアンダーウェア。

兎も角、シンドバッド君がいい感じに時間を稼いだおかげで、雨霰のように全員の攻撃が決まっていきます。はい、フィニッシュはマシュの盾によるスラッシュです。振り下ろしなので、縦スラッシュですね(劇うまギャグ)。

 

何とか倒しました、ってシェヘラザードが無茶苦茶ストレス状態になってますね。

マスクデータとしてある、見えないストレス値じゃなくて、さっき島に行った時の生身勢のような精神ダメージです。

戦闘中にこんなに真っ赤になるということは、トラウマか何かでしょうか?

 

いやまあ、この人危険が嫌いだしそれ関連か。残り令呪はここで切りたくないですし、長い断末魔の間に様子を見ましょう。やっぱり恐怖のバステもらってますね。藤丸君に倣って励ましましょう。

だいじょうぶだって、安心しろよ、へーきへーきだから。

令呪での命令は、この後のことを考えると無理です。既に1画しかないです。

マタ・ハリの宝具で1回、スパルタクスの回復に1回切ってますからね。

励ますコマンドを連打してると、何とか正常に戻ってくれました。これで安心だぜ。

 

この後カルデア戻ったら、安全とか安心につながるものを贈りましょう。保険とか、防災頭巾とかですかね?

 

見下していた英霊に倒されて人間形態に戻ったレフさんが、本特異点のラスボスを召喚しました。

ようやく登場、アルテラさん。ローマ人が野蛮人と恐れるガリア人の中でも一際恐れられるヘルウェティイ族ですらビビるゲルマン人すら追い散らしたフン族の親玉のアルテラさんです(SPTI)

こいつらいつも東からの恐怖に襲われてるなぁ。あ、僕はグランドライダーはチンギス・ハンだと思います(唐突)

Fateにおけるアルテラさんは、フン族が掘り起こした遺物という扱いです。詳しい背景はFate/EXTELLAをプレイして君の目で確かめてくれ。今ならPC版もダウンロードで、外出せずに購入できるよ。

 

さて、動き出したアルテラさんは、まさに神の鞭です。栄華を誇った、西欧文化圏の国へと、その腐った根性を叩き直してやるための鞭というわけですね。はえーすっごい、人類種の天敵に通づる物があるネーミングセンスですね。すごいなーあこがれちゃうなー。

 

ともかく、レフをレ/フにしたら、開幕直後に、ほとんれい! が来ます。全力防御を要請しましょう。

 

このタイミングではシェヘラザードは宝具を打ちません。マタ・ハリは宝具でデバフを打ち出しましょう。王を宥める物語を語ってくれるでしょう。マタ・ハリの宝具はコストが軽いので、さっきのような遭遇戦でもなければ令呪は不要です。

後はブーディカと、マシュによって守ってもらいます。はい、光が消えましたが……よし、スパルタクスもギリギリ健在ですね。

 

ここで、シェヘラザードに令呪を使って宝具をお願いします。

 

「反撃だ! キャスター!」

 

「……『 千夜一夜物語(アルフ・ライラ・ワ・ライラ) 』」

 

ダメージは、まあこんなもんでしょう。そしてマタ・ハリのダブルクロスをお願いします。これで攻撃以外の行動を封じました。後はスパルタクスさんが

 

「反逆こそが我が人生。おお彼方の圧制者よ! 刃をもって汝を打ち砕かん!」

 

はいどっかーん。

ハードモードのアルテラの攻撃を、マシュとブーディカの守りに、シェヘラザードとマタ・ハリのデバフだけで受けた場合、ぎりぎりスパルタクスさんは耐えて返しで宝具をぶっぱしてくれます。

彼の宝具は雑に言うと被ダメが多いと強くなっていき、限界で爆発する。という感じです。被ダメが大きいほど大ダメージの大技です。しかも現地鯖の攻撃は味方を巻き込まないので、安心です。これで倒せなくとも、万全のナポレオンもネロもいます。攻撃をぶっ放せば受けきれるでしょう。

 

「マシュ、防御!」

 

おっと、まだ生きてたようです、先程から棒立ちしていたシンドバッド君に切りかかって来たのをマシュが防いでくれました。

今のをまともに食らってたらちょっとヤバかったですね。だが、動きが止まったボスがいるとは、稼ぎタイムです。マシュの盾を起点に一回転して踵落としを叩き込みます。

 

よし! 撃破! まさかのフィニッシュブロウです。藤丸君には感謝ですね。これでだいぶ貯金ができました。

 

聖杯も回収完了。第二特異点クリアだぜ!

 

それじゃあ、俺ら、聖杯もらって、帰るから……とばかりにローマを後にしましょう。この後残されたネロとかやばいですよね、気が付いたら内戦して終わってて、皇帝が、複数市民を切り刻んでたというわけですからね。

主要な人員も消えてしまってますし、相当きつい状況に立たされるでしょう。まあ史実でももうすぐ追放されるし、誤差だよ誤差。

 

以前は、シェヘラザードに万能薬作らせて、ネロの頭痛を直すとか考えましたが、現状の戦力で問題なくいけましたね。まあ、2重デバフ攻撃でスパさんが耐えられるとわかったとき、この攻略法しか出てきませんでした。

 

それ以外の敵はどうにでもなりますしね、介入しなかったレオニダス戦と、カエサル戦がひやひやしました。たまには攻めないとね。

 

はい、カルデアに戻ってきました。ローマ土産のマグカップをダ・ヴィンチちゃんに渡してセプテム終了です。

 

 

残る特異点はあと5つ。はたして、クリアまで私の集中力は持つのか。

そして、鯖は引けるのか? 両方怪しいですね。

 

 

 




また、魔神柱狩りしてぇな……


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裏:交友関係に関して

 

 

「やぁ、レオナルド、シンドバッド君から何を頼まれたんだい?」

 

「ああ、ロマニじゃないか」

 

 

無事正式な1つ目のレイシフトから戻り、特異点の修復を終えたマスターたちは、先程マタ・ハリの召喚に立ち会い、二人共部屋に戻っていた。

現状最高責任者である、Dr.ロマニもその召喚に立ち会い、問題児のマスターに注意をした後、ダ・ヴィンチのいる部屋へと脚を向けていた。

 

「フランスの特異点で倒したワイバーンやウェアウルフの素材。今回彼が持ってきたものだけで一財産になる程の量だけど、極めつけはファヴニールの鱗だね。彼が魔術師だったら、こんなに簡単に預けたりしないだろうね」

 

「そうだね……」

 

ダ・ヴィンチの指示で、どの部位を持って帰るべきかをしっかり聞いた上で、現地で解体して回収した数多の素材。当時のフランスにすらいないような魔獣や竜を含めて、非常に貴重なものだ。まともな魔術師であればカルデアに譲渡する際にも取り分をきちんと決めてからになるであろうが、彼は無頓着に可食部の肉の幾分かを除いて、あとは頼んだとばかりに全てを預けていった。

 

「此方に全幅の信頼を向けている、というよりも、疑うという概念があまりないのであろう。ある意味マシュよりも世間知らずだよ、彼」

 

「それはわかってるよ、今回のフランスで現地の勢力と上手く協力できたのは、藤丸君のおかげだった」

 

「そして、藤丸君が無事に帰ってこれたのは、彼が体を張って守ったからさ。適材適所だろ?」

 

「君は、随分彼の肩を持つね」

 

「そうかい? それよりその差し入れは私の分はないのかい?」

 

ロマニは持ってきたコーヒーを渡してないことに気が付き苦笑すると、軽く肩をすくめてから渡す。

 

「キャスターの言うことはきちんと聞いているけど、僕はあれは母親を重ねていると思う、どうかな?」

 

「ロマニもそう思うのか、まあ概ね同意だね。私も母とミラノで再会できた後、私の万能な才能に更に磨きがかかった。彼も同じか、少し違うかもしれないかな?」

 

ダ・ヴィンチはシンドバッドの置いていった素材を種類ごとに棚に選別しながら、ロマニに軽い口調で返す。彼女はそれ程大きな問題とは捉えていないようだ。ロマニはそれでも自分が感じる、少しばかりの焦燥感のような物が拭えないことが不安であった。

それでも目の前の万能の天才は、今の自分よりもよっぽど状況が見えているのであろうが、嫌な予感が消えないのだ。

 

「彼はマスターなのに戦闘の時前に出て行く。それがまるで全く別のなにかを基準に動いているように感じるんだ」

 

「彼の育ってきた環境と能力を考えればむしろおとなしい方だと思うがね?」

 

こればかりは、ダ・ヴィンチが正しいであろう。物心ついて以来、たった一人で山の中で命のやり取りをしながら生きてきた人間が、人類の危機だからといって、周囲の指示を聞いて動く?

そんな事三流作家の喜劇にすら書かれない話だ。

 

「私も何かしらが彼を突き動かしているとは思うさ。だけどそれに悪意は無いと思う。現状害はない、ならそれでいいじゃないか。自ら仕事を増やすこともないさ」

 

「……そうだね、それにあのマタ・ハリまで彼のサーヴァントになったんだ。何かあればこっちにもわかるような変化があるだろう」

 

「彼が敵に情報を漏らさないことを祈ろうじゃないか」

 

「ひどい冗談だよ、レオナルド」

 

「今の君の表情ほどじゃないさ、Dr.ロマン」

 

 

まだ、若干の違和感はあるものの、二人で話せたせいか、彼の持っていた疑いは少しばかり晴れていった。

この時はまだ、軽口が叩けるだけの余裕が二人にはあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて、よろしくね、マスター」

 

「ああ、俺は、シンドバッド。好きに呼んでくれ。名前もキャスターに付けてもらったくらいだしな」

 

シンドバッドの自室。彼がフランスに行っている間に、家主が読めないネームプレートが飾られる様になったその部屋で、彼は己の2名のサーヴァントを備え付けのソファーに座らせ、その前の床に胡座をかいて座っていた。

 

「私は、マタ・ハリ。陽の眼をもつ女と呼ばれたわ」

 

「マレー語で太陽や陽の目という意味ですね……失礼いたしました、私はシェヘラザード。キャスターとして召喚されました」

 

「二人共アラビアン・ナイトの? お話の中の人じゃなかったのね」

 

マタ・ハリは、マスターから隣に座る女性に視線を移す。褐色の肌に、中東風の扇情的な衣服を身にまとった美女だ。

そして何より、所作の一つ一つに、自分と同じ男性からの気を惹くための物を感じる。今スラリと長い脚を自然に組み直したのもそうだろう。この場にいる男性は1名のみ、先程の発言も加味すれば……彼女の頭脳はすぐに正解を叩き出していた。

 

「シェヘラザードに名付けられたの? 養子入りでもしたのかしら?」

 

「養子入りはわからねーけど、俺は名前がなかったからな」

 

「ええ、その……後ほどお話しますね、かなり込み入った話なのに、マスターがよく理解しておりませんので」

 

「そう? わかったわ」

 

マタ・ハリは一先ずそう返しながら、自らも脚を組み替える。床に座ってもあまり目線の高さが変わらない程度には巨躯の彼の視線が、自分の身体の下方へと向く事をしっかり確認しながらだが。

 

「よし、初めてあった人には好きなことを聞くんだよな? マタ・ハリは何が好きだ?」

 

その目線が下半身から順に上がっていき、双方の眼と眼が合った時に、見ていたものを悟られたのに僅かばかりの逡巡も感じられない様子をみて、マタ・ハリはもう少し話を聞いてみようと考える。

 

「そうね……気高い人間は好きよ。それが男でも女でもね。マスターがそうだと嬉しいわ」

 

「気高いってなんだ? 悪い、難しい言葉はわからないんだ」

 

「しっかりと自分のやりたい事を持っていると言ってわかるかしら?」

 

「えーと、頑張るのは得意だぞ?」

 

「あら、それは素敵なことね」

 

先程から、適宜フォローを入れていたシェヘラザードが助け舟を出さなかった結果、ややズレた納得の仕方をしている。どうやら嘘や虚飾ではなく素のままの反応が、珍しいことに成人した男性らしからぬ、ほぼスレたところのないようね。そう彼女は納得することにした。

 

「それじゃあ、嫌いなものは何だ?」

 

「私に対して権力を盾にする人間は嫌いよ。貴方はどうかしら?」

 

「命令されるのが嫌だってことか」

 

「私達はサーヴァント、貴方のその左手の令呪があれば逆らう事はできないの」

 

「ああ、赤いやつか。んじゃあ、今なら逆らえるんだな」

 

彼の左手にはたしかに令呪はなかった。カルデアのマスターの令呪は特異点に入る前に3画補充されるものの、今は帰還したばかり。全て使い切った彼は絶対の命令権をもっていなかった。

当然聖杯より知識を得ていたマタ・ハリは契約したタイミングで確認していた。自分の素性を知っている以上、男性のマスターと二人きりにすることなど無いであろう。そのために隣にシェヘラザードを座らせているのだと、理解も納得もしていた。

 

「よし。それじゃあ次の旅まで俺は令呪を貰わない。だから嫌なことがあったら言ってくれ。俺には難しかったらキャスターに言ってくれ」

 

「……本気かしら? 」

 

「おう! だってお前がなんか悪いことしても、ナポレオンとかマシュが止めるだろ。そうしない程度だったら何でも良いぞ。あと、俺の肉もやるよ、ワイバーンっていうでっかいトカゲの」

 

「マスター、あれは何度も言う通りドラゴンです」

 

突然漫才を始めた主従に、マタ・ハリはおかしくなってしまった。彼女の主観だと、ぼんやりと読み取れる程度だが、今まで自分を呼び出したマスターは男性であろうと、女性であろうと、彼女の事を真の意味で信用することはなかった。

だからこそ、こうして一挙手一投足を観察しながら、いかに自分の心がまた傷まないように関係を作っていくか。そう思ったのに。

 

「ねぇ、マスター貴方にとっての価値ある物はなにかしら? そのお肉なの?」

 

「いいや、俺の大切なものは勝つことだ。勝って……凄いことをして、俺が、俺の中にあるものが価値あるものだって証明するんだ。よくわかんないけど、今は人間皆が無茶苦茶になってて、きっとそれを倒した時、俺『達』は凄いやつになれるって思う。だから、勝つことが価値あることだ」

 

急に饒舌になったマスターの辿々しい弁舌を、マタ・ハリは殆どの部分で理解することはできなかった。ただ、彼女の新しいマスターは、生きることを、素晴らしい人生を送ることを諦めていないことはわかった。

 

「これからよろしくね、マスター」

 

「おう、よろしくなマタ・ハリ」

 

「『ご主人様』って呼んで欲しい?」

 

「好きに呼んでくれよ、最初に言ったろ?」

 

「ああ、マスターまたお教えすることが増えてしまいました……」

 

踊り子の彼女と、語り手の女性、そして世間知らずな主人。少し不安だけど、不思議と楽しくやれそうだ。マタ・ハリはそう思ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「持ってきたぜ」

 

「あ、ああ。ありがとう。そこの壁の前においてくれ」

 

ある日のカルデアの昼下がり。残された数十名の職員たちは、ようやっと見えてきた余裕を使って、施設の復旧を始めていた。遠くの備蓄倉庫にしまっていたものを、より近くの空き部屋へ。崩れてしまった部屋を修復して瓦礫を邪魔にならないところへ。言葉にすれば簡単だが、その多くは重労働であった。

カルデアは国連直下の組織であるため、非魔術師も若干名在籍しているが、業務の性質上ほとんどが魔術師であり、研究者気質の者たちであり、端的に言ってモヤシ集団であった。

 

フィールドワーク担当のマスターチームはほぼ全滅しており、身体強化などで補うにも限界はある。流石にこの状況で魔術をそんなことに使うなどと、というような輩は一人もいないものの、効率が悪いことは否めなかった。

 

「わかった、んじゃあ報酬をくれ」

 

だからこそ、マスターの片割れ仮称『シンドバッド』が見かねたのか自発的に手伝いを申し出たのは、彼らの感情を抜きにすれば、非常にありがたかった。今も食堂に保存食と調理用品の運搬をまとめて頼んだのを一度に持って来たくらいだ。

 

人間離れした膂力。まだ完全に力を引き出せていないものの、デミサーヴァント化したマシュに近接戦闘で上回れる。特異点では生身のまま何名かのサーヴァントと渡りあったという規格外の戦闘能力だ。

成程、肉体的には一流の専門家なのであろう。精神的にも手伝いを申し出る程度には善良だ。報酬を要求しているが、それだって

 

「ほら、ワイバーン肉の燻製とステーキだ。燻製は兎も角ステーキは早めに食えよ」

 

「ありがとな」

 

元々は彼が持ち帰ったワイバーンの肉を加工したものだ。他のスタッフも多少の制限はあれど無料で食せるものであり、功労者の彼にこそ所有権があるべきものだ。

 

全く嫌味を感じさせないで受け取り、礼を言って去っていくその姿は途上国に住んでいる少年のような純朴さがある。それでも彼が急に声をかけられて強張ってしまう理由がある。

 

「私も食料に見えているのだろうか……いや、やめよう」

 

重要なお知らせと今は亡きオルガマリー所長の署名入りで回ってきた連絡。それは彼の経歴であり、人の肉を貪り食う事で20年生き長らえた化け物であるという情報だ。

20年も監禁されて、食料として襲いかかってくる人間のみが渡される環境。そんな物を経験した人間は果たしてまともな精神状態なのか。悪意も害意も見えない素直な人間だからこそ、彼のように多くの職員が恐怖感を覚えているのだ。

 

 

肉を受け取った彼が軽い足取りで、他に困っている人はいないか、広いカルデアを巡回していると、目の前にフランスで共に過ごして話すようになった少年が通りかかる。

 

「リツカ」

 

「あ、シンドバッド良い所に」

 

「なんだ? マシュは一緒じゃないのか?」

 

藤丸立香。彼がリツカと呼ぶその少年はもうひとりのマスターであり、マシュ・キリエライトのマスターであった。

 

「何時も一緒にいるわけじゃないよ。それで今暇かな?」

 

「なにもしていないぞ」

 

「それなら、俺に護身術教えてくれないかな?」

 

彼とリツカは年齢も、生まれも、育ちも何もかも異なっていたが、シンドバッドは、人生で初めて友好的に話しかけてくる男に興味があり、立香も自分が魔術的なことや歴史的なことがわからないと、ちらりとシンドバッドを見て安心している。そんな不思議な関係だった。

 

「戦うのか?」

 

「いや、俺もシンドバッドみたいに戦えたらそれに越したことはないけど、せめてとっさに動ければ助かる命もあると思うんだ」

 

「強くなるのは良いことだな。いいぞ」

 

特に断る理由もないので、快諾するシンドバッドに対して立香はにこやかにお礼を言いながら、支給された端末を操作した。

 

「ありがとう。俺もこういう動きをやってみたいんだよね、流石に無理かな?」

 

シンドバッドは知らないが、板状のそれは立香には比較的直感的に操作できるタブレットであり、先程資料室から、教われそうな内容の映像をダウンロードしたところだった。

再生されるのは、二人の男性が何らかの武術の組手をするだけの動画だ。技をかける側が、変則的な動きで一方に迫り、受ける側も踊るような動きでそれをいなしている。

 

「……この動きだ……」

 

「ドクターに聞いたらカラリパヤットっていうんでしょ? ヨガみたいで格好良よね?」

 

「カラリパヤット……そうだ、カラリパヤット!!」

 

「うわぁ!! ど、どうしたのシンドバッド」

 

シンドバッドは、動画を見た時から、石のように固まり、目を皿のようにしてそれを見つめていた。その動きは、自分が思い描いていたものとよく似ていて、懐かしさと痛みを強く感じさせる。そんなものだった。

 

「俺のやってたのは、カラリパヤットだ」

 

「うん、そうだよね? なんか亜流っぽいってドクターは言ってたけど」

 

「ああ!! 俺はこんな動きがしたかったんだ、格好良いから!!」

 

「ええ!? シンドバッド、泣いてる!?」

 

彼は、自分の動きの名前を知らなかった。カルデアに入って知る可能性もあったが、誰もまさか本人が武術の名前すら知らないでやっているとは思わなかったのだ。彼自身のデータに、技能・カラリパヤットと書かれているのにも関わらずだ。シェヘラザードも当然把握しているのに。

 

「ありがとう、リツカ!! 俺は思い出せた。俺のやりたかったことを」

 

「えーと、どういたしまして?」

 

「それじゃあ、一緒に練習だな!!」

 

「あ、ちょっとまって、手加減、手加減はよろしくね!!」

 

シンドバッドは喜びに任せて、リツカを肩に担ぎ上げて走り出した。この後気合が入りすぎたシンドバッドの訓練を終えた立香は『カンフー映画を見ている方が勉強になった』とマシュとナポレオンにこぼしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、今宵はとある王のお話をさせていただければと思います」

 

消灯時間直前。今日も彼がお駄賃としてもらってきたワイバーンの肉のステーキを部屋で3人で食べていると、シェヘラザードがそう切り出した。

シンドバッドは、今日はどんな話をしてくれるのか心躍らせていたが、それでも何時もと違うその言葉の紡ぎ方感情の込め方を何となくだが、本能のようなもので感じ取っていた。

 

「とある国に王様がいました。彼はひどい裏切りを受けて、女性を信じられなくなってしまいました」

 

「なので彼は、毎日一人若い娘を閨に呼び、朝が来るとともに殺してしまいました」

 

「やがて街からは若い女性が消えて、国は暗く街の人から笑顔が消えてしまいました」

 

語りだしから、情感たっぷりにその唇から紡がれる話。シンドバッドは、無意識にしっかりと座り直して、彼女の話に耳を傾けた。隣のマタ・ハリも微笑を浮かべたまま、シェヘラザードを見つめていた。

 

「その国の大臣の娘は、そんな状況を憂い、自ら王のもとへと向かいました。夜も更けた頃、彼女は妹に王の部屋を尋ねるように申し付けており、そこで姉の話を聞かないと眠れない。そう駄々をこねてもらいました」

 

「……そして、姉は長い、とても長いお話を紡ぎ始めたのです」

 

「その話は夜明け間際まで続き、いつの間にか姿を消した妹ではなく、王が聞き入っていました。彼女は白み始めた空を見て、こう告げたのです」

 

「「今宵は此処まで」だろ、キャスター」

 

 

シンドバッドは、シェヘラザードの初めて見せる悲しむような、寂しいような表情を見ながら、今まで閉ざしてた口を開いて話に割り込んだ。

 

「お前の話なんだな、生きてた頃の」

 

「えぇ……よくおわかりになりましたね?」

 

「ん? なんとなくそうだと思った」

 

シンドバッド自身、なぜそんなふうに思ったのかは全くわからなかった。毎晩続く物語。そんな夢をどこかで見た気がした。

 

「聞いていただきたかったのです。マスター、私が閨で語るお話は、私が生存するために紡いだお話です。どうか、ゆめゆめお忘れなきよう」

 

「キャスターの話はわかり易いから、大丈夫だ。死にたくないんだな?」

 

語り手EXのおかげか、シェヘラザードが語った話は彼も容易に理解できるのであった。だからこそ、込められた感情の重さに彼は彼女の痛みを見たのである。

 

「……はい、私はもうあの夜のように死ぬ事に怯えて生きるのは嫌なのです」

 

シェヘラザードは、そう言いながら寝台に腰掛けていたシンドバッドの胸に撓垂れ掛かる。彼は前に教わった通り、ゆっくり髪を梳きながら、肩に手を回す。甘い香油の香りが彼の鼻を擽った。

 

「私をもう殺さないでください……」

 

「……うん、わかったよ、シェヘラザード」

 

シンドバッドは教わった通りにそう呼びかけながら、優しく髪を指に絡ませる。2幕目が始まろうとする時、ふと物音が聞こえてそちらに目線を向けると、いつの間にかマタ・ハリが目の前に立っていた。

 

「マスター、シェヘラザード。二人共甘やかしてあげるわ……ふふっ」

 

彼女はそう告げると、シェヘラザードを挟むようにシンドバッドの背中に腕を回して、彼の耳に口元を近づけて囁いた。

 

「力を抜いて……マスター」

 

シンドバッドは教わっていなかったが、大人しくその言葉に従ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでいいかしら? シェヘラザード」

 

夜更けどころか、夜明けが近い頃、『السندباد』と書かれた部屋より、二人の女が姿を表した。

 

「はい、ありがとうございます。マタ・ハリ」

 

二人は誰もいない廊下で、周囲に聞かれていないことを確認して言葉を交わした。

 

「同じマスターのサーヴァントですもの、お礼はいらないわ。それにしても貴方の言うとおりだったわね、疲れちゃったわ……睡眠はいらないけど私は少し眠るわ、お休みなさい」

 

「はい、おやすみなさい、良い夜を」

 

シェヘラザードはマタ・ハリを見送り彼女も自室へと入り、寝台に腰を下ろす。

マタ・ハリに語った事も嘘ではない、こうして夜を共にする事が大変であることは理解してくれたであろう。彼がこうしないと、より肉を、それもウェアウルフのような『近い物』を求めてしまうことも嘘ではない。

特異点では我慢してくれているが、その分がカルデアに集中しているのも本当だ。

なにより、カルデアに来て以降、彼がシェヘラザード以外に自ら手を出そうとしていないのも事実なのだ。だからこそ、マタ・ハリも納得して協力してくれたのだ。ここ2週間程話を続けた事、二人でいた事。全てが彼女の手段だった。

 

だが、彼がこうして、より普通の人間が欲する欲求にとらわれていくほど、彼は困難に打ち勝とうとするモチベーションをきっと下げていってしまう。

自己肯定感を勝利以外で得られることを覚えてしまえば、きっと彼もわかってくれるはずだ、自分の行いの恐怖を。常に生を勝ち取ることの絶望を。

 

普通の人はこうあるべきだと知っていけば、普通の人が求めることを知っていけば、彼は自分の生い立ちの歪さをどんどん克明に理解してくれる。

そうすれば一番信頼している彼女の言葉にきっと耳を傾けてくれるだろう。

 

「私は、ただ死にたくないだけなのです。もう二度と」

 

夜明け前のカルデアで、シェヘラザードは夜が明けることを強く願っていた。

 








また、裏が長引き始めたゾ



今まで言っていなかったのですが、改めて。
感想、批評お待ちしております。
RTA風パートは兎も角、通常小説はリハビリも兼ねてますので。








先程、殺生院キアラの絆が10になりました(小声)


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裏:二人の考え方

やっぱり3話になるじゃないか(呆れ)


西暦60年のローマ。そこでは2つの集団がぶつかり合っていた。

方や少数ながら、赤ドレスの美女に率いられた奮戦している集団。

方や大人数で押しつぶすように包囲を続ける軍団。

 

美女に率いられた少数は、健闘しているが多勢に無勢であり、徐々に押し込まれている。奮戦虚しく敗走も視野に入れなければならない、そんな最中、敵陣の後方で混乱が発生したのか、統率が乱れはじめる。

 

この隙を見逃さず、軍団を指揮しながら最前線で隕鉄の剣を振るっていた彼女は、大声で指示を飛ばし兵士に隊列を組み直させる。

追撃に備えて呼吸を整えながらも、油断なく構えていた彼女の周りにできた空白に飛び込んできたのは、まだ初陣も知らぬような年頃にしか見えない少年と少女であった。少女は巨大な盾を手にしており、様相は違えど兵士である事はわかる。

 

「助太刀します!!」

 

「うむ、その異様な装飾の服。ブーディカがよこした援軍か? 兎も角良いタイミングだ、余に続くがよい!」

 

敵から庇うように此方に背を向けて構える二人に、すぐに味方であることを察した彼女は、この好機を物にすべく動き出す。敵右翼集団で兵士が空へと吹き飛ばされているのを確認して、そちらに自らが切り込みに行き混乱を広げさせる。左翼側へは配下の兵士に押し留めさせ対応する。

 

勢いに身を任せて幾分も切り結べば、敵は一度後退していった。

すぐさま負傷兵を治療するように指示を飛ばし、今来た少年と少女に礼を述べる。

 

 

「先程は良い働きだった、貴殿等名は何と申すか?」

 

「カルデアより来ました藤丸立香といいます」

 

「私はそのサーヴァントのマシュ・キリエライトです。あちらの皆さんも我々の同胞です」

 

『自分はロマニ、遠方より彼らを指揮しています』

 

「うむ、立香がカルデア現場指揮官だな、そして声だけするロマニとやらが魔術師で、責任者というわけだな」

 

 

最近良く聞くサーヴァントという存在であり、味方であることを確認したネロはその後もいくつか質問を重ねていくのだが、それを妨害するように、雄叫びが戦場へと響き渡る。

 

「伯父上……」

 

「ネロオオオオオオ!!!」

 

「リツカ、任せろ」

 

それに立ちふさがったのはシンドバッドだ。周囲の静止よりも前に相手へと向かっていき、その恐腕とも言える攻撃を見事にいなしながら、自らの脚を敵の胴体へと叩き込む。以前よりも動きがスムーズになっている。

驚くべき身体能力ではあるが、周囲のローマ兵の反応は、化け物を見るような反応ではなく、強者を見るようなものであった。

 

「メートル、大丈夫だ万が一のときは俺も撃てる」

 

「うん、わかってるけど……多分必要ないみたいだ」

 

 

荒れ狂う獣のように襲いかかっていたカリギュラが、思い出したかのように、後ろに身体をそらして足で距離を取る、何かを仕掛けることが明白なそのタイミングを彼は見逃さなかった。

 

「マタ・ハリ、キャスター頼む!!」

 

「はいはい、これね? 」

 

「そう望まれるのなら」

 

すると荒狂っていたカリギュラの動きがピタリと静止する。その狂っている意識すら混濁しているような状況に、この場の誰もが明確な隙を見出した。シンドバッドはすかさず駆け寄り全力を込めての蹴りをカリギュラに叩き込んだ。

 

その拍子に、カリギュラは動きを取り戻したのか、一度大きく咆哮すると、全力で退避していく。

ナポレオンがすかさず追撃するものの、片腕を犠牲に攻撃を防ぎ走り去っていった。

 

「成程、あの者のようなサーヴァントを従えているのだな!!」

 

「ええと……道中お話しますね」

 

これが、この特異点でのローマ皇帝、ネロとのファーストコンタクトであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺に勝てたら、皇帝様からもらった金の残り、全部くれてやるぜ!!」

 

────ウォォォォォ!!!!!

 

西暦2000年代において、ジェノヴァと呼ばれる街、そこは連合ローマ帝国という、謎のローマ帝国によって実質支配されていたが、先程皇帝の派遣した少数の軍勢によって解放されていた。

もとより駐留していた軍勢の数は大したものではなかったが、絶対的な力を持つ王を名乗る化け物がいたために、住民は支配に逆らえずにいたのだ。それを打開したのは、白い服に身を包んだ浅黒い肌をした筋骨隆々の青年であり、佇まいからさぞ故郷では高名な戦士であったことがひと目に伺える出で立ちだ。

 

「これで良いのか? キャスター」

 

「はい、こうして占領された方へと広く知らしめることができます。そしてその間にマタ・ハリに情報を探ってきてもらえますので、マスターは挑戦者をひたすら怪我をさせないように倒して下さい」

 

「わかったぞ」

 

そんなシンドバッド将軍は、すべての市民そしてすべての兵士に対して、自分を倒してみろと広場で高らかに声を張り上げていた。彼の戦い振りを見ていた同行してきたネロ直下の兵も、見ていなかった力自慢もこぞって彼へと挑みかかる。

じゃれついてきた子供を剥がすような気楽さで、一人、また一人と猛者たちが倒されていき、周囲では解放された喜びからか、葡萄酒を片手に賭け事まで始まっている。

 

「どうした! ローマの男はそんなものなのか!? 5人まとめてかかってきやがれ!」

 

「お前ら! 将軍様の命令だ! まとめてかかれ!!」

 

「ウォォぉぉぉぉ!!」「行くぞおおお!」

 

肉体と肉体が激しくぶつかる様をシェヘラザードは少し離れた木陰より見ていた。周囲にはローマ兵士が立ってイベント事になってしまったこの場を管理している。将軍のお付きであり、彼に類する強者であると思われているからか、その美貌と惜しげなく晒した肌を前にしても声をかけられることもなかった。

 

「あら、マスターはまだやってるのね」

 

「おかえりなさいませ。ええ、あのように楽しんでいらっしゃいます」

 

そんな彼女のもとにマタ・ハリは戻ってきた。表情は明るくどうやらしっかり成果は合ったようである。

 

「それじゃあ、止めるのは悪いかしらね?」

 

「ですが、そろそろ挑戦者もいなくなるでしょう」

 

その言葉を待っていたかのように、シンドバッドが拳を突き上げると同時に、周囲が歓声を上げる。その声はどんどん大きくなっていき、「ネロ皇帝万歳! シンドバッド将軍万歳!」という声に変わっていく。シェヘラザードはそれを眩しそうに見つめていたのであった。

 

 

 

3人はその後、食料と馬を3頭貰い受けて、ジェノヴァを後にしていた。ロマニを挟んで情報の共有を行った結果、マタ・ハリの入手した古き神を見た船乗りの話は、港町であるジェノヴァでは大きく噂になっており、マシュたちも立ち寄った街で似たような話を聞いていた。情報を統合しネロに奏上して、ガリアを奪還したら、マッシリアで落ち合うことになったのだ。

 

荷物だけを積んだ馬2頭と、マタ・ハリが乗る馬は透き通るような青色の地中海を眺めながら、予定よりも早くマッシリア近郊へと到着していたのである。

 

街から少し離れた場所で一度休憩という事になると、シンドバッドはまた海へと駆け出した。彼はこの旅路の間、産まれて初めて見る海に心を奪われてしまったのか、泳ぐということを知らなかったのに、飛び込んでいったのだ。

カナヅチだということを知らなかったサーヴァント二人が、子供のように海へと入り上がってこない主人を微笑ましく見ていたが、やがて異変に気が付き慌てて助け起こしたのは笑い話であろう。

 

休憩の度に繰り返されるその子供のようなはしゃぎように、いつしか泳ぐこともできるようになったこともあり、二人は苦笑を浮かべながら適当な木により掛かるように腰を下ろした。

 

「マスターたら、あの調子じゃまだ暫く泳いでそうね。それまで少しお話しましょうか?」

 

「ええ、構いませんよ」

 

マタ・ハリはそう言ってシェヘラザードの横に体を寄せる。そのまま不意をつくように、彼女の腕を取り抱きつくように絡みとる。顔を耳に近づけて、周囲に聞こえないようにするためだが、手慣れている彼女がやると一気に妖艶な雰囲気が漂う動作だった。

 

「貴方は、マスターの事好きなのかしら?」

 

それは唐突な問いであるが、シェヘラザードも何れ聞かれることを想定していたものであった。

故に彼女は何時もと同じ様に、涼し気な微笑を浮かべながら、口づけができそうなほど近くにあるマタ・ハリの美貌へと言葉を返す。

 

「……ええ、私を殺そうとしない、良い王だと思っております」

 

「ふーん、そう。だから私もお誘いしてくれたのね? 」

 

「ご迷惑でなければとお伺いを立てた上ですが、不快でしたら私からマスターに申しますよ」

 

マタ・ハリはそんな顔の距離でも、変わらぬ明るい笑みを浮かべながら、シェヘラザードの言葉を否定する。

 

「いいえ、自分で決めたことですもの。演じる事は慣れていますし、必要なことでしょう?」

 

「はい、この人理が焼却された今、マスターの状態を良いものにするのは大事なことです」

 

「それに、あの子は悪い子じゃないもの。私がサーヴァントになって、こんなに楽しい旅ができて笑えるだなんて思ってなかったわ。なにせ私は陽の目を持つ女。あの街でしたように情報を集めることくらいしかできません」

 

マタ・ハリは短いながらも、此処までの旅路を改めて振り返る。

 

「でも、あの子はそれを自分のことのように褒めてくれた。戦うのは自分がやるから、調べるのをしてくれるのは嬉しい。一緒に来てくれて嬉しい。ですって……本当単純よね」

 

「ええ……そうですね」

 

海にきらめいて反射する光に眩しそうに目を細めながら、マタ・ハリは絡ませた腕を更に引き寄せる。

 

「だからこそ、もう一度聞くわ。貴方が彼を今みたいに導いたのは、彼が好きだからなのかしら?」

 

「彼に救ってもらうために必要と……そう思ったのでいたしました」

 

「……わかったわ。今は聞かないであげる。貴方がお話を紡ぐ事で此処にいるように、私も話を聞き出すことで、此処にいるのですもの」

 

マタ・ハリはそう言って、絡めていた手を離して立ち上がる。今までの会話を感じさせないいつものほんわかとした人当たりのよい笑顔を浮かべながらマスターへと手を振り呼びかける。

 

「マスター! そろそろ行きましょう? マシュ達を待たせてしまうわ」

 

「ああ、マタ・ハリ!! 」

 

シェヘラザードは、暑さの為なのか僅かばかりに浮き出た汗を自然な動作で拭いその様子を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事女神ステンノより託宣を受けたカルデア一行は、一度ローマに戻り体制を整えてガリアを前哨地として着陣していた。これより陣形を整えて連合ローマの本拠地へと進軍するのである。

 

「さて、立香よ此処までの尽力誠に大儀であった。うむ、希望すれば総督として任命して属州を預けても構わんぞ!」

 

そして今、バーサーカーを除くサーヴァント達と共にネロは軍議を開いていた。

最も話題は大分それており、まるでアイスブレイクのように切り出しているが、彼女は素で本気で話していただけである。

 

「いいえ、ネロ陛下。俺達はやることがまだあるので」

 

「むぅ……まあよぃ。だが、やるべきことが終わった後は必ず余の元を訪ねるのだぞ」

 

頬を軽く膨らませながら、ネロは立香に対してそう言った。それはともに行動している間に、立香がそれだけの信頼を得ていたということの証左であった。

 

「なあ、ナポレオン。リツカ無茶苦茶気に入られてるけど、何をしたんだ?」

 

「ん? そうさな、メートルは最大限自分のできる事をしていただけさ。キメラと戦った時にお前も感じたと思うが、メートルの目は既に一級のものだ。俺のグランダルメにも欲しいと思えるほどにな」

 

「そっか、アイツも頑張ったんだな。俺との特訓がきいたのかな」

 

シンドバッドは、会議というものが今ひとつわかっていなかったために、近くにいたナポレオンにそう尋ねるも、彼は気を害した様子もなくそう返した。そしてこの場はシンドバッドのそんな言動を咎めるようなものはいなかった。

 

「そして、シンドバッドも聞いたぞ。余の兵と共に都市を開放し兵士の慰撫までこなしたと」

 

「慰撫? ああ、街の皆と戦ってみたぜ。弱いやつはいなかったぞ、ローマは強い国だな」

 

「うむうむ! その通りである」

 

「ほらほら、ネロ公。話が全然進んでないよ」

 

それにそれた議題を修正したのは、ネロの宿敵であったはずのブーディカであった。先程シンドバッドも少しばかり話をしたが、ナポレオンと同じ兵に命令をするのが得意な人なんだ程度の理解である。

 

「そうであったな。我々ローマ帝国と連合ローマ帝国の決戦。その舞台である、敵本拠地は判明している」

 

『立香くんにわかるように言うとマドリードの辺りだね』

 

「魔術師のいう地名はわからぬが、ともかくそこまで進軍する必要がある」

 

ネロは小柄な身体を目一杯そらしながらそう宣言する。威厳に溢れた連戦連勝のローマ皇帝のカリスマがあった。

 

「ならば、私は先頭だな。斥候の真似事くらいはしよう」

 

『立香君達も前のほうが良いだろうね、レフの顔がわかるのは君達だけだ』

 

「当然余も前方で指揮をするぞ」

 

都市を攻略するほどの軍勢だ。普通に列を作って歩いても途方も無い距離になってしまう。着陣の位置を予め決めるのは重要であった。

 

「呂布将軍とスパルタクスはどうする? 前において敵が来たら追いかけていっちゃうよ」

 

「殿を任すとしよう」

 

「ネロ皇帝、バーサーカーの二人には舵取りがいるのじゃないか?」

 

「ナポレオンの言う通りだね、それじゃあ私が後ろに行こうか?」

 

ナポレオンの指摘に、ブーディカも納得してそう提案する。ネロもその点は考えていたようで頷こうとしたタイミングで、シンドバッドが声を上げた。

 

「いや、俺がいたほうが良いだろ。何かあったら連絡できるから」

 

「……確かにメートル、マシュとシンドバッドは、カルデアからの通信ができる。俺達に魔術師による通信ができない以上、どちらかが後方にいるべきだ」

 

「俺はレフって奴の顔知らないしな」

 

「シンドバッドさんもお会いしていたはずですが……いえ、ドクター私も賛成です」

 

『そうだね、シンドバッド君がバーサーカーの舵取りをできるかは……二人にかかっているけど、配置としては悪くない』

 

「決まったようだな! ブーディカは中央で全体の管理を頼む、一番早い故、何かあったらどちらにも救援に行けるようにな」

 

「了解よ」

 

その後、他にも敵が出てきた時の対応や、進軍速度などをネロが議題に出し、ナポレオンがそれとなく修正を促す発言をして、全体としての動きは決まり軍議は解散となった。

 

「マスターお疲れさまです」

 

「いい子に座ってられたわね~」

 

特に発言をせずに聞き手に徹していた二人が、シンドバッドへと労いの声をかける。実際じっとしているのが苦手なシンドバッドはローマに来てからは、今のように集団行動ができていた。

それは特殊な立ち位置とはいえ、軍の中という規律によって動く集団とともに活動したことが良い作用をもたらしたものかも知れなかった。

 

「ん、二人とも。ナポレオンってすごいんだな。俺あんなに難しいことわかんねぇ」

 

マタ・ハリに頭を撫でられながらも、シンドバッドは悩むような素振りを見せながら、そう呟いた。それは彼にとって、戦う者であったナポレオンが人を動かす事もできるという事実を再認識しただけであった。

 

「そうね、私もパリでお仕事してたけど、ナポレオンは彼らの誇りだったわ」

 

「彼のお話は、大変おもしろいものが多いですね」

 

「強いだけじゃないって……すごいな」

 

シンドバッドは自分が多くの物事を知らないことを、最近段々と強く自覚してきている。だからこそ自分よりも強い存在が、自分よりも見識が深い事で、周りが凄い事を日に日に理解していっているのだ。

 

 

「ナポレオンのようになりたいのですか?」

 

「いや、そうじゃない。でもそうだな、憧れる? っていうのか」

 

 

シェヘラザードは、目を少しばかり細めながらシンドバッドへと尋ねた。シンドバッドは珍しくはぎれが悪く何かを考えながら、必死に自分の感情を言葉として紡ぎ出した。それは1月前の彼からすれば考えられないほどの成長である。

 

「目標を持つ事は良いことよ。マスター」

 

「ああ、でもまずは、しっかり仕事をしないとダメだな」

 

マタ・ハリがゆっくりと優しく頭を叩きそう告げると、シンドバッドは気持ちを切り替えて立ち上がり歩き出した。向かう先は任されたバーサーカー2名の所だ。

自分よりも腕っぷしが強いであろう二人の所で何が学べるだろうか、シンドバッドは楽しくなって段々と足を早め、やがて駆け足で急ぐのであった。

 

 

 

 

 




リハビリ作品なので、感想批評募集中です。


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裏:成長

最初に異変に気がついたのはマタ・ハリだった。アサシンのサーヴァントである彼女の聴覚は人間を優に超えている。次にシンドバッドが空気が変わったことを感じ取り、そしてロマニからの報告がその事実を裏付けた。

 

『既にリツカ君には伝えて交戦中だけど、前方でサーヴァントとの戦闘が始まった。ブーディカもすでに援軍として到着している。そして敵は推定だが、レオニダス王だ』

 

「誰だ? キャスター」

 

「たった300の手勢で、ペルシャ軍数十万人を食い止めた守勢の王です、一筋縄ではいかないことでしょう」

 

シェへラザードもそう補足してシンドバッドは、前に強い敵が来たのだとしっかり理解することができた。だが彼の嫌な予感はその前方での戦いに起因するものではない。正体がわかったのに、理由のわからない震えのような感覚が彼にはあるからだ。

 

「多分こっちにも来る……うまく言えねえけど、嫌な予感がする。マタ・ハリもキャスターも気をつけろよ」

 

『シンドバッド君! そっちにもサーヴァント反応がある、警戒してくれ!』

 

シンドバッドのその嫌な予感は果たして正しかった。軍団が足を止めて前方に進めなくなったこの時に、後方より騎兵が突撃してきたのである。

 

「圧制!」

 

「■■■■■―――!!」

 

まるで反射行動のように、襲い掛かってきた敵へ飛びかかる狂戦士二人。指揮されている兵士も将軍に続けとばかりに突撃していく。敵の部隊と接敵しすぐさま敵味方入りまみれ混沌していく戦場。

だが、徐々に騎兵が弓を射掛けながら遠ざかっていくのが見える。サーヴァントならば、脅威度の高い者から潰すであろう、敗走する騎兵へと、此方の歩兵を活かせないように戦線を保つ敵歩兵は、彼らにとっては倒すべき敵ではなく障害程度でしか無いのだ。

 

シンドバッドは軍団同士の戦闘には明るくない、だが戦闘の駆け引きならば肌でわかる。今のこの膠着状態は、誘いである事を、彼は動物的な本能で察した。

 

「マタ・ハリ、宝具であいつらを止められるか?」

 

「まかせて! と言いたけれど、この数はちょっと不安が残るわ」

 

「令呪ってのを使う。できるか?」

 

「それなら任せて頂戴!」

 

シンドバッドは、マタ・ハリの宝具が対軍宝具であり、同時に100人を射程に入れることも言葉としては知らなかった。しかしたくさんの人間を惑わせる技だということは知っていた。彼の戦闘における動物的な感性が、今はそうすべきだと判断したのである。

 

「令呪を持って命ずる! マタ・ハリ! 宝具で味方ごと動きを止めろ! 」

 

「了解よマスター。さあ皆さん。結び、開き、私という女に溺れて頂戴!」

 

美しく舞う踊り子の宝具は、戦場へと広がっていく。桃色の風が吹いている用に錯覚できるほどの濃厚な色気が、軍団を包み込む。誰もが中心で舞う妖艶なる女性の虜へと堕ちるのだ。

たちまち敵味方問わずに多くの戦っていた兵が、恍惚と夢を見瑠うような形でその場に棒立ちへとなる。

 

「逃がさない様に囲め!!」

 

「隊長。多分、あいつらは囮であの岩の向こうに敵がいるんじゃねーか……ほら来たぞ!」

 

結果的に敗走していく敵を逃がさぬように組んだ包囲は、待ちぶせのため隠れていた兵が攻め込んできたこともあり、双方の敵集団に双方が囲まれるという、ひどい乱戦の状況を作ってしまった。

陣形は不利、勢いは同じでも、質に関しては呂布とスパルタクスを有しているこちらの方が上であろう。つまりは彼らの魅了が解けるまで耐えればこちらへと天秤は大きく傾く。

 

 

「マスター! また騎兵がこっちに来ているわよ」

 

なればこそ、その天秤の傾きを止めて取り戻そうと、敵の精鋭が飛び込んできた。シンドバッドにもわかる、一糸乱れぬ騎兵隊、それを率いている赤髪と隣の変な格好の男はサーヴァントであろう。

 

「キャスター!」

 

「承知しました」

 

今度はシェヘラザードの魅了をかけて飛び込んで来た2名へと妨害を仕掛ける。さらにどうやら片方は王だったようで、急激に脱力し、またがっていた馬にもたれこむように硬直してしまう。

 

「よし、一旦引く、」

 

戦って勝てないことはないほど理と勢いはある、しかし混戦の中で背後の二人を守る余裕もなく、何よりもそろそろ此処は危険になる。

そう判断したシンドバッドは、敵の動きだけ封じて、自身のサーヴァント二人の腰を抱え後ろに大きく跳躍する。まるで羽があるような高さと勢いで、その場を離脱した直後。

 

「愛!」

 

「■■■■■―――!!」

 

雄叫びと共に狂戦士が動きを止めた2名の敵へと攻撃を仕掛けた。土砂崩れが起きたような轟音と土煙を見下ろしながら、彼は抱えた二人の無事を確認する。

 

 

「あら、マスターいつの間にこんなに逞しくなられたの?」

 

「島で手に入った肉食ってから無茶苦茶調子がいい! ちょっと暑いけどな」

 

「ああ、こんな高さ、落ちたら生身なら死んでしまいます」

 

 

一先ず山場は過ぎたようだ、軍団の指揮を任されている隊長が再編する間、抵抗する敵を魅了しつつ無力化すれば良い。後方の戦いは過剰な攻撃戦力とそれを上手く支援する妨害により、早々に決着が着いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい防御です、一人一人が盾の扱いに熟達していて、そして自分ではなく隣の人を守ってます」

 

「マシュたちの攻撃でも崩せないのか」

 

「リツカ! 余とブーディカが突撃を仕掛ける、続け!!」

 

翻って前方の戦場に置いては

レオニダス王の展開した宝具によって、完全に進軍を阻まれていた。並のローマ兵士どころか、攻撃に特化してないサーヴァントの攻撃ではびくともしない堅牢な守り。攻められこそしていないが、千日手な状況である。

 

過去に存在した、脳筋理論を地で行く都市国家スパルタと、その精神の体現ともいえる王レオニダスに率いられた300の精鋭たち。それが街道の狭くなった渓谷にファランクス隊形で陣を敷いて、本居地への進行を守っているのだ。

 

単純な能力や膂力だけでも恐ろしいのに、この軍勢は今まで戦ってきたローマ兵ではなく、それよりも数百年前の人物たちであり、レオニダス王の宝具である。

それはすなわち、概念として彼らが守った物に近ければ近いほど、より強固な強さを持つということである。物理的な攻撃手段しか無いのならば巨大な竜が来ようと問題なく守りきれる。多数の軍勢を押しとどめて、本拠地を守るに関してはこれ以上の物はないといっても過言ではなかったのだ。

 

その証拠にネロやブーディカ、荊軻の攻撃は集中させてようやっと一人のスパルタ兵をひるませるにとどまる。

 

 

「ともかく、このままじゃあ守りを抜けない」

 

「はい、さすが伝説の盾を持ったサーヴァントの一人です」

 

マシュは妙な納得のし方をしているが事実として火力は足りていなかった。しかし突破口になり得るバーサーカーは此処まではすぐに来ることはできない。

 

「それでメートルどうする? 俺の宝具で蹴散らしてもいいが、俺の砲撃も王様までは届かない、それでできた穴もすぐにふさがれちまう」

 

「いや、敵を半分まで抜けるのならば……ネロとブーディカに切り結んでもらえばいける」

 

立香は今までずっと、300敵兵1体が倒される速さと、味方の被害を見ていた。

そしてこのまま続けても無駄であることを明確に理解した。

 

「ネロ、ブーディカ、荊軻!! 合図をしたら突っ込め!! ナポレオン! 頼む」

 

「ダコール!! 虹よ。虹よ!今可能性の橋を架けろ!空を征け 『凱旋を高らかに告げる虹弓』」

 

凱旋門の名を関した宝具が敵の堅牢な守りを溶かしていく。本来は神という神秘を殺すことに優れているこの宝具だが、出力自体も凄まじい。ランクAの対軍宝具というのは、とてつもない破砕を巻き起こしながら、確かに好機を作ったのだ。

 

直様ネロとブーディカとマシュの3人が飛び込む、兵士達も後に続いていき強引に穴を開けていく。レオニダスも召喚形態のためか鈍い頭で、敵の指揮官通りの3名の勇士が飛び込んできたのを確認し、槍と盾を握る拳に力を込める。

 

目前へと迫られたことで、いよいよ決戦と大きく盾を前に突合して、槍を振りかぶる。それが彼の最後の行動となった。

 

「次の死は私か、それとも敵か。それもまた人生さ。『不還匕首(ただ あやめるのみ)』」

 

影に潜む暗殺者の凶刃は、確かにスパルタ王の命脈を立ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レフ・ライノールがその化け物に転じた時、その場にいるすべての戦力の反応は狼狽であった。いや、スパルタクスだけは新たな圧政者の気配に笑みを大きく深めていたが、それ以外の心にはえも知れぬ拒否感という、生理的嫌悪のようなものが浮かんでいたのも事実であった。

 

『魔力数値計測不能いや、前例がないから測れない!!』

 

カルデアから届くロマニの言葉も軽口とは全く異なる切羽詰まるトーンであり、目の前にそびえる目玉と肉の柱は、それだけいびつでおかしい存在なのだと、この場の多くが認識を共有した。

 

「ダメ! 攻撃が通りにくい!」

 

「余の剣もだ!」

 

戦端が開かれ、ナポレオンの凱旋のカリスマによる支援があるうちは、ダメージが通っている感覚があった、しかし効力が薄れたのか今は耐え忍ぶので精一杯であった。

 

巨大な切り株に無数の目が生えたようなそんな化け物は、その日から無数の目より光を放ち、周囲の英霊たちに攻撃をしていた。いや、攻撃と言うよりもサイズからみれば駆除に近い。

狙いを定めて殺すのではなく、この辺にいるだろうとまとめて殺鼠剤をばらまく行為に過ぎないわけだ。

だからこそ、この場で戦えているのも事実であり、付け入る隙を探す精神的な余裕もあった。

 

「マスター! 私の後ろから動かないでください。」

 

「わかってる、けど、このままじゃじり貧だ」

 

既に神祖ロムルスという強敵を倒し、その前も都市を攻略するためにここまで攻め入っているのだ。消耗は無視できるほど小さいものではない。

 

 

「きゃ!」

 

「マタ・ハリ!! キャスターも大丈夫か?」

 

「ええ、よけるだけならばなんとか。ですがこのままでは、死んでしまいます」

 

カルデアのサーヴァントはナポレオンを中心とした支援と打撃のチームであり、現地勢力は荊軻、ネロ、スパルタクスが攻めて、ブーディカがその戦車で守るという数は十分にあったが、状況を返す手がこの場の戦力にはなかった。

もう一度ナポレオンが全員に支援をかけて、各々の攻撃を叩き込む。それができればあるいはと立香は思っていたが、時間が足りなかった。

 

そして、そんな時に突破口というのは、予期せぬ物事から始まるのだ。

シンドバッドは、マシュから少し離れた所で攻撃を躱していたが、だんだんとその動きを小さくしていった。まるでどのような攻撃が来るのかを見定めるような動きを繰り返していた彼は、戦闘の際にできた瓦礫をつかみ、突如魔神柱へと駆け出した。

 

「マスター!! 危険です!!」

 

シェヘラザードはそう叫ぶものの、彼はしっかりと落ちてくる光の軌跡が見えているかのように、危なげなく躱しながら速度を上げていく。

 

「無様ッ!」

 

だが、そんなこと敵は意にも介さない。羽虫が多少飛び交う軌跡を変えただけで人は何もしないように。

だが、その虫が顔にめがけて物が飛んできたら別だ、それが痛みを覚えさせるものであればなおさらである。

 

「無駄な動きをするなッ!」

 

 

「ッ喰らえ!!」

 

 

持っていた瓦礫を勢いに任せて投げつけると、紫色の破片を撒き散らしながら魔神柱に当たり砕け散る。その瞬間一斉に目がシンドバッドを捉え光を放つ。

 

それでもシンドバッドは勢いよく地面を転がるように逃げて、ついに敵へとたどり着く。そのまま勢いを殺さず渾身の蹴りを叩き込み、即座に切り返す。跳ねて、跳んで、走って、転がって。そうして彼は敵の攻撃を引き付けながら、此方まで戻ってくる。わずか30秒にも満たない時間であったが、確かに十分な時間を稼げた。

 

「マシュ! ネロ! 皆一斉攻撃だ!!」

 

火力支援を受けた味方達が一斉に魔神柱へと攻撃を開始する、いやその姿は既に蹂躙であった。サイズの差など関係ない、魔神柱は哀れ刈り取られるかのように致命傷をおびている。

 

それは、そのままこの世の終わりのような悲鳴を上げて崩れ始めていく、彼らは人のみで魔神柱を撃退することに成功したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、マスター、なぜあなたは、そう死に急ごうと」

 

「キャスター、どうした。あの攻撃は平気と分かっていた。それに、場所を変えるのもあった」

 

どうして彼はわかってくれないのであろう。それがシェヘラザードの心境の全てであった。たしかに身体に力はみなぎっている、怪我も最後に脇腹を掠めた光が、戦闘服を溶かした様に焼き切っているだけ。アンダーウェアは多少汚れているに過ぎない。

 

だが、もし当たりどころが悪ければ? 彼は既に帰らぬ人となっているであろう。そして連鎖的に自分もまた1度死ぬのだ。

 

「ああ……マスター」

 

千と一つの夜。その毎夜に潜む死の影から逃げ続けて。きらめく朝日を掴んだ頃には心は擦り切れてしまった。そして始まったのは、千を超える無限の死の記録が刻まれている。

彼女は意図的にもしくは無意識的に他の自分の死、即ち『記録』を見ないようにしている。それは彼女にとって正しい自己防衛である。

 

もう、戦場に立たねば死んでしまうこと。それは慣れてしまった。恐怖はある。されどそれは外を歩いていれば物取りに刺されるのと同じ、ありふれた恐怖だ。

 

されど、自分をここに留めている重石であるマスターが死ねば、夜明け前に自分は夕暮れへと戻るのだ。あまりにも喜劇で、どこまでも悲劇であろう。長い長い夜の先に待っていたのが、終わらない夜なのだから。

 

だから、自分は導いてきた。

サーヴァントは使い捨てにしてはいけません。

無茶な作戦をさせてはいけません。

危険なことをやらせてはいけません。

優しく接しないといけません。

 

上手く行っていたのだ、どんどん自分の言うことを素直に聞き、少しずつ賢くなり、無茶苦茶とも言えるアイデンティティが鈍ってきているのを感じていた。後少しだったのだ。マタ・ハリを抱き込めた結果、より早く進んでいた。少なくとも進軍中は戦うことよりも、自分たちのそばにいることを好むようになってきていた。それなのに、いきなり得体も知れない敵に飛び込んでいくのだ。

 

「大丈夫、俺は死なない、勝つまで死なない。だから大丈夫。キャスターをいじめない」

 

そんな彼女へと降り注ぐのは、彼女が教えた語彙を拙く紡いだ言葉の雨。

 

「さっきは、こうするのが早かった」

 

それは少しずつ彼女の心を抉る、だがこのようにしたのは彼女なのだ。

 

「死なせたりしない。痛いのと怖いの嫌なんだろ」

 

自分の思う通り動いてくれている、しかしそれが今は怖かった。

 

「だから泣くな、まだ戦いは終わってない」

 

それなのに、どうしてこんなにもその言葉を聞いていたいのであろう。

 

 

「ああ、マスターどうしてあんなに危険なことを?」

 

「キャスターが怖がってたからだ」

 

どこまでもまっすぐ彼女のために動いた彼は、彼女がそれをどうして喜ばなかったのかはわからなかった。そして彼女も、自分のために動かせた彼が、どうして此処まで愚直なのか、それが安心できないのかわからなかった。

 

「無理をしないで下さい、貴方が死ぬと私も死んでしまいます」

 

「キャスターがいないなら、俺は生きられない。だからきっと無理をする。でもそれが嫌だったら怒ってくれ、俺はわからないから」

 

想定通り自分を守る事の喜びと、それによって失われる可能性の恐怖。

想定を超えて守ろうとする恐怖と、それにより起こる想定以上の喜び。

彼女はそれを何と言うのかを、知識と紐付けができていなかった。

 

 

「いくぞ、キャスター。マタ・ハリ。またなんか来る。最後の敵だろうし、気合を入れるぞ」

 

「あら、お話は終わった? それなら了解よ」

 

「……はい、承知しましたマスター」

 

3人は目の前の敵を倒す為動き出す。

倒すべき敵だけを見つめるマスターの後ろには、自嘲のような笑みを浮かべる二人の美女がいた。

 




裏終わり!!
次からオケアノス準備編


それと、下の方ですが日間ランキングに乗っていたようです。
ご愛読ありがとうございます。
GW中まではこのペースが維持できると思いますので、今暫くお付き合い下さいませ。


感想批評お待ちしております。


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第三特異点 封鎖終局四海 オケアノス
(3枠目召喚)~(好感度稼ぎ)


オケアノス編、始まります。


海賊王に俺はなるRTAはっじまるよー

 

 

前回はローマをローマしたところまででした。

帰宅イベントは適当に聞き流し、成果を確認。それなりの数のローマ兵の装備が手に入ってますね。まあ敵の9割がローマ兵だったわけですし当然ですね。

シンドバッド君も結構成長してきましたね。身体能力と格闘戦闘能力は、近接戦もできるという程度の鯖相手なら互角に持っていけます。ただ宝具はダメージ計算式が違うのでくらうと終わる場合が多いです。無理をしてはいけない(戒め)

 

 

はい、それではさっそくガチャタイムです。今回の召喚は藤丸君にやってもらいます。次の舞台はオケアノスです。確定で最初にドレイク船長と合流して、そこから船での移動が中心となります。

味方になるのはアステリオスくんを除いて全員が遠距離が得意な鯖ですので、いかに敵に近づかれないように戦うかが次の肝となります。(守れるとはいってない)

戦う相手ですが、気をつけなければいけないのはヘクトールおじさんと、ヘラクレスだけです。というか、ヘラクレスが飛び抜けて危険で、あとはなんとかなります。しかしながらヘラクレスは足止めができる戦力がいないと、通常攻撃で1撃でこちらの戦力を持っていくこともありますので、対策は必須です。

 

そういった事情もあって欲しいサーヴァントは前衛ができる人です。ロボットでも狼でもいいぞ。

 

ジークフリートさんの触媒を落としたー! 落としちゃったー!!ので、是が非でも仲間にする必要があります。

最悪はRTAを捨ててクソ長いイベントをこなしてヘラクレスをイベントバトルで撃破することになります。タイムは壊れるぅ! しますが、これが一番確実です。

 

現状藤丸君が召喚したらダメな鯖はいません。いわゆる対立関係にある鯖がいるときに両方をそろえると、タイムが死にます。エジソンとテスラなんかはその典型ですね。

ただ彼らはマシな方で、タイム以外が死ぬ場合もあります。ダレイオスとアレキサンダーとか、頼光と酒呑童子の組み合わせですと、勝手に遭遇戦闘を行い、施設が壊れちゃ~う。スタッフ死にました~! が頻発してあーもう気が狂う!!

勿論片方だけなら何も問題がありませんが、その後来るとゲロを吐かずにはいられません。

 

 

召喚される候補ですが、あくまで若干程度の補正ですが、ハードモードは基本7クラスでまだ来ていない鯖が来やすくなるという救済仕様があります。偏ると戦力、素材の二重の意味で詰みますからね。

 

現在カルデアにいらっしゃるのは、弓、術、殺です。見事に後方に配置しやすい鯖はコンプできてますね、なんだこれは、たまげたなぁ。剣、槍、騎、狂どれでもよいので、ガチンコができる鯖がくればOKです。称号を取るために前衛ばかりいても困りますが、現状いなさすぎて功績に余裕ができてますので、今回はぜひともほしいところですね。

 

そこまで分の悪い賭けでもないですが、ここか次で来ないと、ロンドンでの最終イベントを越せない可能性もありますので、祈りのパワーを高めましょう。

 

一応ローマで触媒を探すことも考えたのですが、結局はランダムです。ローマのアイテム探索で確定で手に入るのがカエサルの月桂樹ですからね。ちょっと、価値が足りないかなって。騎兵で確定で来るのなら考慮するのですが。

 

あ、お話が終わったみたいです。藤丸君が召喚を始めております。

 

「それじゃあ、立香くん、前回みたいに頼むよ」

 

「はい!」

 

「先輩、ファイトです!」

 

 

さあ来い!

 

────藤丸の目の前で光が満ちる。

 

さて、今回は?

 

────それは、段々と光をまして行き、虹色の輝きを放つ円環へとなっていく

 

流石藤丸君!! さすふじです。あとは近接戦闘ができる鯖が来れば完璧です!!

 

────光が収まると、そこに立っていたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒロインX・オルタ、クラスはバーサー……セイバーです、たぶん。このお部屋、ちょっと寒くないですか。役立たずのエアコンをズババと斬っても、よいですか」

 

 

ユニバァァァス!! ユニバァァァス出身の鯖がきたあぁぁぁ!!!

藤丸君やべぇぞ、超絶強運ですね。さすが人類最後の希望のマスターです。

世界観は壊れますが、とにかくヨシ!

 

「冬木で戦ったアーサー王でしょうか?」

 

「いや、マシュ、制服着てるわけないでしょ、え? 制服着た女子高生の英霊?」

 

「どどど、どういう事なんだい!?」

 

ヒロインX・オルタ

オルタの名を冠してますが、ヒロインXの別側面ではなく彼女をもとに作られた別物です。

青いアルトリアから見てオルタや槍シリーズというよりも、モードレッドに当たる関係性のサーヴァントです。ヒロインXを抹殺する目的で誕生しました。ダークラウンズのペンドラゴン卿です。

皆、考えるな感じろ。そうでなければ死ぬぞ。

 

現在相互理解イベントがおきて少しロスですが、この後の活躍を考えれば屁でもないです。

その間に解説ですね。彼女は文系のバーサーカーです。武装はライトセーバーで、フォースを用いて戦います。

本当頭わるわるだな、これ過去の英雄と一緒に戦うゲームだよね? え?原点から未来の主人公がいる? なんのこったよ?

 

ギャグ補正を抜きにメタ的に話しますと、アルトリア系列の派生であり、グラフィックもベースは同じです。戦闘エフェクトが異なりますが。スキルはほぼ全てが自分を強化するスタイルで、非常に高い戦闘能力を持っていながら、狂化もC相当であり、マスターとの意思疎通もしっかりできるタイプです。

中距離は雷撃で戦えますが、やはり持ち味は近接戦闘で、武器は形状を自在に変えられるため、多対一も一対一も行けます。さらにさらにぃ! 宝具も常時発動型のオーバーロードという扱いの攻撃であり、セイバーとして召喚されうる敵への特攻が入ります。

総じて非常に優秀な戦士と言えます。

 

デメリットはヒロインXがいると不安定になること、自堕落と面倒くさがりという特性のため、やる気の維持に結構なコストがかかることですね。甘いものをあげないと言うことを聞いてくれないと聞くとふざけるなぁ!(声だけ迫真) ってかんじですが。

登載された宝具のためにリソースを与えないと戦闘に参加しない。と言い換えれば納得できますね。特に変換効率の良い甘味類、その中でも和菓子を定期的に差し上げないといけません。手から和菓子出るようになりたかったなぁ……俺もなぁ。

 

総じて善良なマスターであるほうが相性が良いタイプです。藤丸君が使役する分には全く問題ないです。というよりも彼の編成はもうこれで固定で良い気がします。マシュが護衛して、えっちゃんが攻めて、ナポレオンが支援砲撃。完璧な布陣だ・・・。

 

前にも述べましたが、特異点に初期で連れていける鯖は、ハードモードですと3騎です。ターミナルポイントを設置後現地で編成の変更ができるようになります。

厳密には聖杯を得られないイベントをこなすと、マスターの成長でもう1人を最初から連れて行けるようになりますが、RTAではイベントをやるだけロスなので。

 

 

藤丸組の話が終わったようですね。結果的に3騎士がいませんが、いいバランスのチームとなりました。

藤丸くんに多めのリソースを分配して、もう大事なものはないのでダ・ヴィンチちゃんにアイテムをドバーッと渡してしまいます。

 

さて次は、自室に戻りましょう。さっき確認しましたが、シェヘラザードさんのストレス値が結構深刻な状態になってます。ステージクリアしたんだから、状態異常もクリアしてくれよー頼むよー。

ご機嫌をとる必要がありますが、こういうときは自室で起こるランダムイベントをまず消化します。基本的にプラスになりますので。

 

部屋に入ったら直ぐに話しかけます。

 

「マスター、申し訳ありません。少々疲れてしまいました、申し訳ございませんが本日は御暇させていただきます」

 

お? おつかれー。直ぐに帰ってしまいましたが、これも回復イベントです。問題ないでしょう。

疲れてしまった鯖が自室で一旦休んでくれると、レッドゲージだけは抜けてくれます。あとは適宜フォローを入れていきましょう。彼女の場合は基本的に話すこと以外の道がないです。カルデアに火災保険とかシェルターはないすかねぇ? あ、ない、そう……

 

続いて、こっちもイエロー一歩手前のマタ・ハリを処理していきます。やあいい天気だね?(コミュ障)

 

「ねぇ、マスター。もし私が貴方の事を好きになったって言ったら、信じてくださる?」

 

お、こっちは好感度イベですね。ローマではひたすら近くにいてもらったため、いい感じに好感度がたまってますね。

ただ、彼女は生前の関係上、物を貢いでも好感度が上がらないのに、似たようなイベントを起こしてくるんですよね。多分それ籠絡しようとしてるんだと思うんですけど(名推理)

 

────マタ・ハリの事を

 

・わからない

・信じる

 

信じる一択です(ボタン連打)

 

「わかんねぇ」

 

あ、やばばばっばばば、集中力さん!! なにやってるんですか!? まずいですよ!!

こんなギャルゲー初心者でも間違えないような選択肢になにミスってるんですか!!

でも僕はCCCの最後、BB! を選んじゃう派です(隙自語)

 

「うふふ、そうね、マスターらしいわ」

 

「本当かどうか分かんなくても、好きならそれでいいだろ。俺はマタ・ハリが好きだぞ」

 

おや、こっちの選択肢選んだことありませんが、なんか無難に終わってくれそうです。

YAMA育ち相手に駆け引きなんか必要ねえんだよ!! ってイベントだったんですね。はぇ~勉強になる。

 

会話イベントも終わりました。本日できることはもう無いので就寝しましょう。

 

就寝時イベントですが、以前より狙っているランダムイベントがあります。それは人間を食って育ったキャラに起こるイベントでして、その夜中お腹が減って食料を取りに行く時に、眠気と疲労でフラフラな女性職員を無意識的に食べようとするものです。肩を掴んだあたりで性的に襲われかけていると感じた彼女に確定で弾かれますが、とんでもない話だ。

 

相手が寝ぼけていたのもありただ起こしてくれただけと勘違いのままなっとくするのですが、結果的に仲間を害そうとした自身の嗜好について疑問を持ってくれます。このイベントを進めていくと、食事嗜好の矯正がなされて、謝罪イベを挟んでカルデア職員との和解にたどりつけるのですが、今回も起こりませんね。

 

これがないと、第6特異点のさまようもの相手に、何でお前ら共食いしないの? みたいなことを言って、それが芋づる式に現地ハサン→キングハサンに伝わり協力を得られずに、最終決戦で太陽3倍ゴリラを倒すイベントが発生します。そしてその次の特異点では……お察しください。

 

他にもイベント特異点を経験して成長して治すみたいなこともできますが、発生もさせないので、実質起こってくれないと詰みです。そのためにきちんとベッドでの睡眠をとってます。というか、好色のランダムイベントも引かないですし、別の要素が絡んでるのでしょうか。

 

さて本日の就寝イベントは……はい、起床。何もありませんでしたー。

今日もどうせ賢さがあがって……ないですね。器用と話術だけ上がってます。もう訳わかんねぇ!!

 

正直に白状しちゃいますと、大くんのデータを走った後に勿体ないからそのままノーマルモードでWIKIみながらせっかちプレイでクリアしただけなので、私自身の情報がかなりガバガバです。しかも前のバージョンで仕様が結構変わってます。

環境が変わったのも何もかもボス戦練習とかのデータにセラピストのお姉さんが来まくったのが悪いんや……来た時点でリセなんや……

 

一先ず気を取り直して、ダ・ヴィンチちゃんのところでガチャりに行きましょう。

 

「おや、来たね。この前の発明はどうだったかい?」

 

バッチェ使えましたよ!! 防御も固くなって擬似的に竜っぽく成れるとか、最高やな!!

 

「うんうん、それじゃあ次はどんなのが欲しいのかい?」

 

そうですね、今度こそ僕は、成長バフ系ですねぇ!!

鯖が少ないので、予定よりもシンドバッドくんが強くなってますし、何よりも賢さが上がり経験値効率が良くなってきたので、このまま鯖とガチンコできるまで育てたいっすね!!

 

「強く成れるやつね。ふむ、任せ給え。この万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチがあっと驚く一品を作り上げてみせよう!」

 

前も聞いたけど、オナシャス!!

 

 

さて、ローマが終わると、イベントと呼ばれる極小特異点が発生する可能性が出てきます。これを躱すことがRTA的には一番大事ですね。

時期的に問題ないように調整してますので、今回は安心ですが、短縮しすぎて発生リスクが有る場合は、無闇矢鱈と動き回らずに寝てしまうのが吉です。

 

モラトリアム期間は、いつものように模擬戦を藤丸くんとやる必要がありますが、まずはシェヘラザードさんのご機嫌を取れるようなものを探しましょう。ダ・ヴィンチちゃんなんか無い?

 

「ふむ、彼女が欲しがりそうなものね、これとかどうかい?」

 

子供向けの絵本ですね。フレーバー的には……ああ、最近の絵本なので英霊が知らないという理屈ですね。本来絵本は子供属性の付いてる鯖に上げると、普通に好感度が稼げるアイテムです。

確かにシェヘラザードはイベントで時代劇を見たりと、自分のレパートリーの増加に余念がないというより、趣味と実益を満たしてますが。これをあげてもちょっと……という感じはします。前は何をあげても意味なかったので。

 

どちらにせよ会話をしに行くので、ありがたく受け取りましょう。マイナスにはらないでしょう、多分。ありがとナス!

 

「なに、君が持ち帰ってきたものに比べれば微々たるものさ」

 

よく考えれば、作者ダ・ヴィンチちゃんの絵本とかくれたほうが、絶対喜ぶような気がします。まま、ええわ。急いでシェヘラザードの部屋に向かいましょう。

帰って休みますイベントを起こした鯖は、翌日の間はイベントなどが起こらない限り、基本的に自室にずっといます。

 

到着したら直ぐに入っていきましょう。自分から入っていくのだ。お、開いてんじゃーん!

おじゃましまーす!!

 

「マスター、おはようございます」

 

結構おしゃれな部屋じゃん! いや何も置かれてないんですけどね。

鯖の部屋に入るのは初めてですが、基本的に自室と何も変わりません。話しかけてさっきもらった絵本を渡しましょう。ままーご本読んでー

 

「これは……マスター、昨日は良く眠れましたか? あまり寝付きが良くなければ、此方を読み聞かせさせていただければと思います」

 

────本を

・読んでもらう

・遠慮する

 

何が万能の天才や、お前人類1や! 好感度イベントまでおきてるじゃないですか。やっぱり元男でいま女は、様々な視点から物事を見れて最強なんですね。当然先程のように焦らず、正しい選択肢を選んで読んでもらいましょう。

 

「頼む、キャスターの話を聞かないと、眠れないんだ」

 

こいつ寝落ちする気ですよ! まだ昼なのに!! まあ、本日限定タスクはないですし、模擬戦も向こうの育成が終わらないとできません。最終的にはモラトリアム期間は余りますから良いでしょう。

 

「ええ、かしこまりました。それではこちらにどうぞ」

 

────昔々、ある所に一人ぼっちの人喰い鬼がいました。

────彼はとっても残酷で、朝ごはんには子どもを食べるのが大好きでした。

 

おいこら! 万能の天才!! 話のチョイス!! 寝る前に聞く系の話じゃねーだろこれ。あーもうめちゃくちゃだよ。

何か元ネタか何かはあるのでしょうか? というかストーリー内で話が始まるとか、それもう千夜一夜物語じゃん。ただ本当に、作中作中作中作中作中作中作中作位までいかれるとタイムが壊れるので、キャンセルだ。

 

あれ? でもシェヘラザードさんの状態がグリーンまで戻ってますね。それに好感度がかなり上がってます。そんな大事なイベントなのでしょうか?

 

────倒れていた人食い鬼を少女はかわいそうに思い、家に連れ帰り治療して、得意な料理を振る舞いました

────すると人食い鬼は初めて食べるごちそうの味に感動してしまいます。

 

それにシンドバッド君の賢さも上がってます。あ、これかぁ!! ハードモードでシェヘラザードを初期鯖にすると、賢さが少しずつ経験値はいる様に、アプデか何かで修正されたんですね。運営さんありがとう!! フラーッシュ!!

 

「そして、二人は沢山の子供を授かり、末永く幸せに暮らしたのでした。めでたしめでたし」

 

「キャスター……おやすみ」

 

「はい、今宵は此処まで。お休みなさいマスター」

 

 

なんかいい感じに終わりましたところで、本日は此処までとします。

次回は、軽く準備してオケアノスにのりこめー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このお話の人食い鬼は、人食いのまま幸せになるお話でした」

 

自らの膝の上で眠る青年の髪をなでてからシェヘラザードは、読み聞かせていた絵本を手に取る。

 

「少女の得意な事によって、改心して二人が結ばれましたが……マスター、貴方はどうなるのでしょうか?」

 

最後のページ、人食い鬼と大人になった少女が子供達に囲まれて、赤子を手に抱くハッピーエンドの絵。

赤子を覗き込む子供の一人、彼の背中には後ろ手に回されたフォークとナイフが隠されている。

 

「あなたの優しさは尊いもの、それが続く限り私は貴方に語りきかせましょう」

 

彼女は物語るしかできないのだから、その結論になるのは至極当然であった。

 

 




型月WIKIが落ちててかくのすっごい苦労したゾ


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(準備)~(地図に記された島)

キーボードの調子が悪くて、無茶苦茶苦戦してます。
無線接続が弱いようです。


船酔いマスターは此処で終了するRTAはじまるよー

 

前回は好感度イベントを終了したところまででした。

現状シェヘラザードは予定以上に上がっており、次に来たマタ・ハリも順調に好感度が上がっています。ハードモードは通常プレイでもあとから来た鯖の好感度が上がりづらいので、後半はちょろい、もとい好感度をあげやすい鯖か、過去の特異点の現地鯖などで、好感度の底上げができていると、やりやすいです。

 

前回と同じ様に、カルデアの復旧を進めます。既に新たな施設を建てられるような状況で資材も余ってます。ですが十全に効果を発揮できる鯖があまりいません。ハードモードは内政の面で若干ゃ不利ですね。

 

適当に製作コストの安い劇場(ステージ)でも作りましょう。マタ・ハリもシェヘラザードもこれを使って読み聞かせや踊りで快適度をあげてくれます。

 

大事な料理要員が来てくれてませんが、マタ・ハリ辺りが作ってるのでしょうか? 適正がありそうなのが彼女くらいしかいませんし、万能の天才といえど、料理はどうなんでしょうね。

 

次は、ロマニに会いに行きます。前回お説教を喰らっているシンドバッドくんは、その後ロマニに話しかけると、現状のお説教ポイントがどのくらいかを教えてくれるのと、そのポイントが軽減されます。

敵が明確にわかって、彼の責任感がマシマシになる第4特異点以降は発生しないイベントなので、オケアノスから戻った時におきない程度に調整の必要があります。

 

おっす、ロマン。またサボり?

 

「シンドバッド君、お疲れ様。ローマではよく言うことを聞いてくれたね」

 

いやーそんなこと。

 

「これからも頼むね、でも無茶をしないよう」

 

うん、オカノオシタ……この感じはまだ余裕がありますね。と言っても次の特異点はそんなに独断専行できるポイントもないのです。要するに大丈夫そうというわけですね。

 

そもそものイベントのタイムラインが、ドレイクと合流→アステリオスとエウエウとオリオン&アルテミスが合流→黒ひげを倒す→ヘクおじを追跡→ヘラクレスから逃げる→アタランテとダビデ合流→決戦という形です。

 

短縮ポイントは……そーですね、決戦の部分くらいです。

オケアノスは海MAPを船で移動という関係で、フラグがシンプルです。一例を上げるとエウエウと合流すると、黒ひげが近くに現れ、黒ひげを倒すとイベントでエウエウがさらわれる事で、初めてアルゴー号が出現します。

 

そもそも天啓とかのスキルを持っていないと、進路は見えている所からしか選べません。最初から海賊船長などの自分の船を持った鯖がいれば話は変わってきますが。

 

広域殲滅宝具持ちと、水中で活動ができる鯖と、気配遮断持ちで、遠距離から黒ひげを倒して聖杯を回収。ということで特異点を終わらせることもできますが、その場合は例によって、終局で死にます(無慈悲)

最低限味方は一度合流する必要があるので、アルゴー船が出現しないと現れないアタランテチームと会うまでは大胆なショトカはできません。

細かい所は可能な限り短縮していく予定です。

 

一先ず、この後も数日間は復旧とコミュニケーションイベントをこなしていきます。

上がった賢さを活かすために、ライブラリーで武術の資料を読んで経験値をゲットすることを忘れずに。

 

 

「あら、マスター。ドクターが呼んでたわよ」

 

マタ・ハリに声をかけられましたが、これはメディカルチェックイベですね。受けたダメージが一定になるなどのフラグで発生するイベントですので、発生したら素直に行きましょう。無駄な抵抗するんじゃねぇ! 医務室に向かいましょう。

 

突くぅ!!

 

中に入るとシェヘラザードも合流して、現在の操作キャラの状態を丁寧丁寧丁寧に説明してくれます。操作キャラは一般家庭ならば、持久力が上がっているなどの健康診断に近く、魔術師ならば、魔術回路の調子や熟練度などです。YAMA育ちは戦闘能力がどう育ってるかがメインです。

 

「シンドバッド君、君はローマでダメージを受けた、しかし大きな損傷もなかった。その理由がわかったよ」

 

レベリングの成果やろ。此処まで来るの、本当きつかったスよ。

 

「落ち着いて聞いて欲しい、君は……いや君の身体は普通の人間とは異なってきている」

 

それは本当か? まあ、あの動きできて人間は無理でしょ。

 

「君は、食べた生物の性質を少しずつ自分のものにしているんだ」

 

え、なにそれは?

 

────ステータスが判明しました。

────マイナス特性【カ■■■■■】 → 【カニバリズム C】

 

ヌッ!! え、なにこれは。

 

「君は今まで膨大な量のホムンクルスを食していた、それでも彼らの大本では人間ではある。だから君は、単純に人間に近い外見で、高い身体能力を有している程度で済んでいたんだ。それがフランス以降君の主食はワイバーンになり、ワイバーンを大量に摂取し続けている。それがローマでも続いた結果、身体の変質が始まってしまった」

 

「君には、カニバリズム、つまり共食いという起源……なのかな、そういった物が備わっている」

 

「人間と人間に近いものを食していた所に、竜属性が強くなりバランスが崩れていった。そして、ローマではキメラを食した様々な生物の合成獣をだ、ギリシャ神話時代の化け物を。君は同族を食べる物なんだ。食人をすることをやめて化け物を食べる。その結果が逆説的に、君自身が食べているものが同族と判断されて、ドラゴンを含む多数の数多の生物を同族食いしていると見なされて、自分がそちらに引っ張られているんだ」

 

んにゃぴ……よくわからないっす。

 

「揚げた鳥を食ってたら鶏になるのか?」

 

「いや、幼少時から大量の魔力を帯びている物を食べていたから、君の起源が促進されていたのだろう。普通の食事なら問題はない、というよりそういう調整を受けた可能性が高い」

 

「だけど、君は魔獣、猛獣、竜、そういった物を食べるたびに、どんどん人間から離れていく。だが、飛躍的に戦闘能力は高まっていくだろう」

 

 

はえ~すっごい、ダークヒーローみたいな能力。

あ、流石に連打しながら調べるとWIKIにもありますねえ!

 

普通にYAMA育ちプレイで人を食べてた場合は問題ないけれど、最新verでは先天的に食人持ってるやつがホムンクルスと人間を食して育つYAMA育ちをすると、身体能力などが上がる代わりに、エネミー由来じゃない食べ物しか食べないと死にます。

食べすぎても死にます。とのことです。

 

聞いていません。

 

「既に君の身体に考えられる治療法は、ホムンクルスを食べること位だ、それでも延命措置に過ぎない」

 

え、どうすんのこれチャート壊れる!! というか、クリアが怪しい。いや本当前のバージョンとはもう完全に別物じゃないですかーヤダー!!

 

「とまあ、釘を差したけれど、実を言うと君の体質はカルデアに来た時点でわかっている。レオナルドはそれに合わせてきちんと対策を作ってくれている。フランスで言う通りに材料を集めてきたろ? さらにファヴニールの素材まで手に入った」

 

「この前渡した礼装。それで君の中の竜属性を補強している。竜由来の肉であれば、その礼装が安定化させてくれる。摂取した魔力をフィルターしてくれるんだ……といってもわからないか。ともかく、今後は特異点で拾った肉を食べるんじゃないよ、多少なら問題ないけど、続けていたら君は本物の化け物になる」

 

完全にお説教の延長戦ですね、ビビらせやがってよ!! とはいえ、ステータス画面になんかよくわからないゲージが追加されました。あ、これが満タンになったら死ぬ、0になっても死ぬ? 初回説明ありがとナス! 今後は彼の食事にも気を使う必要があるとか、やめたくなりますよーRTA!

今は20%という所ですね、まあ空腹の概念ができたようなものでしょう、誤差だよ誤差。幸いワイバーン肉は大量にありますし、今後も安定して入手できます。

 

気を取り直して次行こうぜ!

ガチャ結果の確認もとい、ダ・ヴィンチちゃんの所で装備の確認に行きましょう。

 

 

ダ・ヴィンチちゃん!! 礼装できたー!?

 

「おや、ロマニからのお説教されたのに、元気だね」

 

いやーバッチェ肝が冷えてますよ!!

もう拾い食いは懲り懲りだよー!! あ、でも色々食べて変質させたほうが火力は上がるみたいっすね。次走るときはそこのあたりも視野に入れましょう。

 

「さて、今回できたのは、これさ」

 

えーと、グリーヴですね。所謂すね当て付きの具足です。移動速度と脚での攻撃と防御に割と良い補正が入るようです。さらに対魔力換算でD-相当の耐性も持ってるようです。材料は言うまでもなく、ローマで集めた武具ですね。

対魔力は自前のものですと支援魔術を受ける時に、弱らせることができるということで、問題ないのですが。こういう装備の場合は固定ですね。D-というのは魔除けのアミュレット以下です。まあ、メインの効果はうま味なので良しとします。

 

あと、今まで散々殴ったり蹴ったりしてますが、自慢の拳は武器を装備していない状態での攻撃なので、蹴りでも問題ないですし、グリーヴも問題ないです。足装備だから安心。

 

 

一先ずできる事はやりました、立香くんとの模擬戦イベントは……はい、普通に全鯖連れての連携確認という名目ですので、勝てません。まあ、模擬戦だし、気にしないでいきましょう。

 

えっちゃんは制服が普段着で、戦闘時は暗黒卿の衣装になるみたいですね、藤丸くんの趣味かな? 設定上どんな武器でも問題なく戦えるので、きっと刃引きしたロングソードとかを本当は使っているのでしょう。

 

はい、開幕突っ込んできますので回避します。あ、雷撃ダメでスタン入った所切られました。ナポレオンの砲撃が落ちてきて、終了です。はや! もう終わり? 瞬殺やん。まあ、早く終わってもらうために動いただけですし(震え声)

 

さて、準備も終わりました。レイシフト可能な日まで倍速です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ウイイイイイイイッッッッス。どうも。まぁ今日はレイシフト、当日ですけども。

えーとですね、まぁ集合場所の、オケアノスに行ってきたんですけども、レイシフト先の海賊船、いませんでしたァ!! 海上です!

 

「ドクターぁぁぁ!」

 

『そんな、数値がズレてる!!』

 

うっそだろ、お前!! 一応低乱数であるんですよ、というかロードミスとかですかね? 海の上にだけは落とさないってロマニが豪語してたのに、水泳持ってなかったら死んでたぞ。

 

ってああマシュが死にそう!! お前礼装では泳いでただろ!

 

「昔、ある国に、長男アリ、次男ハサン、三男フサインという3人の王子がいました」

 

あ、シェヘラザードさんが魔法の絨毯を出してくれました。というか、これで普段から移動できれば良いんですが……それは。

さて、一先ず状況は安定しました、周囲を確認。船影……無し! 陸地……遠い! おいゴルァ! どうすんだこれぇ!

 

『すまない皆。一先ず陸地までナビゲートするから、その通り進んでくれ』

 

魔法の絨毯は中々はやいですがシェヘラザードさんに供給する魔力消費がかなりでかいですね、えっちゃんは海の上走って下さい。というか、ロマニお前も持ってんじゃない? 絨毯? 俺にもまわしてくださいよー。

 

さて、この陸地は……これ開幕からひどい滑り出しでしたが、見覚えのある海賊島です。

 

何とか到着、既に消耗が激しいので魔法の絨毯はしまっちゃいます。ですが結果的に海賊船占拠イベントをカットできたのでOKです。島の近くにレイシフトできるのならばそれに越したことはないです。

 

海賊島に着いたら、直にそのへんの海賊に話しかけて、この辺で一番偉いやつを聞きましょう。隣町の不良にてっぺん張ってんの誰だと絡みに行く感じでOKです。

 

こんにちわー! 死ね!

 

はい。この様にこの特異点の海賊は、遭遇したら一度ぶっ倒してからやっと話ができるようになるという仕様です。これがロスいんですよね。ともあれ、情報を得ました。直ぐにドレイク船長のところに行きましょう。

 

ドレイク船長と合流。此処でもなんでも言うことを聞いてもらうために戦闘です。功績点も大きいので直様蹴り飛ばしに行きましょう。こいつ拳全然使ってねぇなぁ。

 

フランシス・ドレイク、言わずと知れた大海賊ですね。存命中の人物かつ、武勇に優れるわけではないですが、艦隊指揮能力ということでライダー扱いです。大英帝国の海軍が強力になるというよりも、国が天下を取るきっかけを作った偉人です。史実では男性で、女王陛下の命令で海賊なのに軍人をしてました。

現在は聖杯を持っているので、基本的には鯖と同じ扱いになります。

 

戦闘終了したら宴会イベントをして、ドレイクが聖杯を持っていることを確認しますが、これは黒幕が送り込んだものではないので、そのまま返しましょう。

貰えるならもらいたいのですが、彼女が死んでもゲームオーバーになりますし、聖杯がないとHP1扱いになりますので。

 

そして翌日より船での移動になります。行く宛はないので魔力反応を目指すというイベントを見た後、全力で移動してもらいます。絨毯じゃなくて、船を操作できるようにしてほしかった。

 

道中ランダムで幽霊船とエンカウントして戦闘になります。基本的にロスですので避けましょう。どうしても無理なときは、ナポレオンに砲撃してもらうよう、藤丸くんに依頼しましょう。船の敵は船を倒すと全破壊になりますので。素材は拾えませんが、後で腐るほど戦いますからOKです。

 

到着した島では魔力反応に目掛けて全力ダッシュ。石碑がみえたら、投石をしてすぐに反転。血斧王エイリークが現れて追いかけてきます。近づいてきたら、シャドウですのでぱぱぱっと倒しましょう。そうすることでやっと地図が手に入ります。

 

近いところから回ろうと言われますが、えうえう達のいる島に行きたいと強く主張しましょう。駄々っ子かな?

 

群島の間を移動しているあいだ、マタ・ハリが海賊を魅了するイベントとか、シェヘラザードが船長に読み聞かせするイベントとかおきますが、適当に流しましょう。

 

島についたら、結界が張られるイベントが発生します。これでフラグが立ちました。

アステリオス君とえうえうに会いに行きましょう。

 

 




先天的にカニバリズムがついてるのはおかしいって、それ一番言われてるから。


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(ラビリンス)~(アルゴー船接敵)

1話がだんだん短くなってる……すまない……
5000字書くのに3時間かかる遅筆ですまない……


女神と怪物と海賊で旅するRTAはじまるよー

 

前回は、アステリオス君が宝具の結果展開される結界で、島をロックダウンしたところまででした。不要不急の外出を控えさせてくれるアステリオスくんは、今の日本に必要な存在であることは、確定的に明らか。

 

山肌の中腹に洞窟があり、そこから迷宮に入ります。最深部までダッシュ!! と行きたいのですが、この迷宮は入るたびに構造が変わりますので進みすぎると迷って死にます。

ドレイク船長が勘と運で全ての分岐で正解を選んでくれるので、それに付いていきましょう。

最深部の手前で、待ち構えていたアステリオスくんとの戦闘です。かわいいなぁ、アステリオスくん。一般的にミノタウロスか、ミノタウルスと呼ばれる化け物ですが、それはもう悲しいバックグラウンドがあります。

エウロペの子供が、ヘラクレスが取ってきた捧げものの牛をすり替えておいたのさ! とした罰で奥さんがその牛に発情するようになり、交配して生んだ子供がアステリオス君です。これだからギリシャは。

 

戦闘では、絶対にまともに攻撃を受けてはいけません。筋力A++というのは、尋常じゃないです。耐久も高いので魅了で動けなくしてから全員でタコ殴りましょう。えっちゃんの火力がなきゃまともにダメージが通らないです。

合間に懐に潜り込んでケリを当てる程度はします。敏捷はそこまででもないので、気合で避けます。

暫く削ってると、奥からエウリュアレが出てきます。えうえうは、自分を差し出すので、アステリオスを見逃して欲しいと言いますので、藤丸君に丸投げして誤解を解いてもらいましょう。

 

はい、えうえうゲットだぜ!

これによって黒ひげの船、アン女王の復讐号がPOPします。戻り次第、そいつ等が追いかけてくるので、強制戦闘です、さあ海賊解体ショーの始まりや!(解体する側とは言ってない)

 

黒ひげ勢力は頭数だけだとこの特異点最大で、黒ひげ、アン、メアリー、エイリーク、ヘクトールと5騎の鯖がいます。自分の勢力の鯖が船に乗っていると船のスペックが上がる化け物みたいな船です。

 

初回戦闘では、ヘクトール以外を相手にします。此処ではエイリークのみを脱落させてから黒ひげに挑みます。それ以上の脱落をさせると、ヘクトールおじさんが単独で突然襲撃されてより面倒になります。なにより、此処でかたをつけると船のスペックが足らなくて、アルゴー号から逃げ切れなくなります。

 

ということで、戦闘開始、海戦の開戦です。双方の船で1つのステージになってます。まずは此方の船に乗り込んでくる雑魚海賊を蹴り落としましょう。船の上で蹴り技で戦ってると、好色まで加味してなんかコックみたいですが、普通に拳も使います。格上相手は防御の為腕を多用しますが、格下ならば適当にケリを入れていれば倒せますから、メインは脚ですが。

 

此方の船が安定し始めたら、鯖に乗り移られる前に敵陣に切り込みましょう。乗り込めー!! 藤丸くんもマシュを伴い、えっちゃんと一緒に切りかかってくれます。ナポレオンは船首辺りから支援砲撃しててくれるので安心して戦いましょう。

シェヘラザードとマタ・ハリもドレイク船長の黄金の鹿号に残しましょう。流石に数で叩かれるリスクがあります。自陣の損耗が激しい場合は躊躇わずに令呪でシェヘラザードの宝具を撃ちましょう。王属性のエイリークだけきれいに倒せます。ヘラクレス戦の為に2画は取っておきたいですが、死ぬほうが大きいガバなので。

 

乗り込んだらバーサーカーから襲ってきますので、えっちゃんに倒してもらいましょう。こっちはマスターということもあり、アンとメアリーが同時に襲いかかってきます。アンの相手はドレイク船長の砲撃や銃撃で牽制してくれるので、残念ながらロリの方を相手しましょう。はーっつかえ、でもまあ、経産婦なので、許したる。

 

メアリーはカトラスを使った接近戦を仕掛けてくるライダーです。騎兵とは? ステータス的にもランサーに近い敏捷に優れてるタイプです。ま、まあ騎兵も早いし、多少はね?

今まで戦ってきた敵は、基本でかい奴らばっかなので、間合いは雑に詰めればおkでしたが今回は小柄な敵です。いつものように戦うと連撃をもらいますので、カウンター気味に一度斬撃を脚で弾いて、浮いた所に踵を叩き込む!! というのをベースに戦いましょう。

おおよそ2分ほどで、エイリークを撃破してくれると、黒ひげとのイベント戦闘。というよりも敗北イベントが発生します。

 

その結果、船の底に穴を開けられてしまいます。そんなんもう詰んでるやん……。

 

船のスペックで負けているので、エイリークが脱落して敵の船のスペックが下がったタイミングの今。つまり余裕のあるうちに逃げるという、引き際を見極めたドレイク船長の判断で撤退します。

しかし、船が沈みそうなので、アステリオス君が下から持ち上げてくれます。すっごい力持ちですね。ともかく、目的は達成したのでスタコラサッサです。

 

近くの島まで強制移動をしますので、そこでワイバーンハントの始まりです。一定数狩ると船の改造ができるようになりますので、無心で刈り取りましょう。また、島を探索してると、そのうちオリオンとアルテミスが合流してくれます。霊基はオリオンですが、実質アルテミスです。弓兵としては無茶苦茶強力で強いですが、戦闘時は基本此方の指示関係なく支援狙撃をしてくれるユニット扱いです。女神様だし仕方ないね♂

 

ワイバーンを刈り取っている間、単調なので倍速します。

 

その間皆さん退屈ですよね?

そこで皆様のために

 

 

 

 

 

 

シンドバッド君の状態について解説します。前回追加されたゲージによって、共食いをしないと生きていけない難儀な体質になりました。生きる意味を……失う……!

調べた結果ですが、これは所謂人外系の因子を持っている操作キャラが共通で持ってるゲージです。MAXになるか0になるとゲームオーバーは共通で、条件だけ個別にあるという感じですね。

シンドバッドくんの場合は、回復アイテムである、敵性生物の肉を食べると上昇。食べないと減少です。カルデア支給品などの回復アイテムも、肉でないと食べることができない縛りと合わせて、かなり悪食ですね。

 

一定期間食べないと数値が減るのではなく、ゲージの最小値が上がっていく形になります。どういうことかと言うと、今20ですが、このまま放置するとMAXの値が100から徐々に減っていき、同時に数字も徐々に減っていきます。最終的には上限80となり、現在の値が0になって死亡という感じですね。あー面倒くせぇ。

 

ダ・ヴィンチちゃんの礼装のおかげで、自分を竜だと強く思い込んでるので、人のままで竜由来の肉を食べることができます。それでも若干数値は上がっていきます。現在のペースでワイバーン肉のみを食べ続けた場合は、クリアするであろうゲーム内日数の12月某日までは、かなり余裕をもってクリアできるほどです。

 

ただ、この状態になってると、キメラの肉などを食べた際に、瞬間的に結構なバフがかかってくれます。デーモンの心臓なんかもです。基本的にはこれを使って強敵を突破する難易度に現行のバージョンではなっているとの事です。ダークチップ見てぇだな。

 

事実既に敵エネミーの、特に敵鯖のHPが何時もより多いなーと思ってたんですよね。チャートこそはないですが、有用なアイテムは把握しましたので、今後も必要があれば、ガンガン食べていきましょう。死ななきゃ安い安い。

 

 

 

 

さて、ワイバーンも狩り終えましたね。黄金の竜号になった船に乗り込んでリベンジマッチです。一定時間経過で島の外で此方を待っていてくれるので、藤丸くんに頼んでナポレオンの宝具をぶっ放してもらいましょう。

 

凱旋門ビーム!! Aランク宝具で、適正レベルの鯖ならば、相手に4騎以上の鯖がいれば最大乱数でも船も壊れないで、敵にダメージだけ入ります。オリオンの侵入作戦イベントをこなさなくて良いので、大変うま味です。その意味でも先程脱落させるのは1騎のみがベストでした。

 

混乱している所に今度は全員で乗り込みます。アステリオス、エウリュアレ、ドレイク、マシュ、アルテミスは確定なので既に数で有利な所な此方に、ナポレオンとえっちゃんという火力担当チーム。そしてシンドバッド君と、賑やかしデバッファー。負ける気がしません。

可能ならば、ここでヘクトールを限界まで弱らせておきましょう。倒しても死にませんが、深刻なダメージは引き継いでくれます。中途半端だと、なかよしの魔女さんが治療しちゃいます。

 

こういう狭い乱戦だと、敵鯖の位置さえ把握していれば、結構無理は効くので楽です。藤丸くんはマシュが守ってますし、一番危ないのが自分の鯖という。まあ、敵は海賊の雑兵なので魅了が通ります。彼女たちを守りながら雑魚刈りしていきましょう。

ヘクトールはえっちゃんとナポレオンが抑えてるので、アルテミスの狙撃に対抗してるアンメアに注意してればOKです。黒ひげはドレイクがいるとヘイトがかなり向くので、アステリオス君に横合いからふっとばされてます。狙撃を食らい続けたアンメアも、虫の息ですので、功績稼ぎに蹴り殺しに行きます。

彼女たちはどちらか一人を倒せば、両方消えます。でも魔力消費も1人分なので、釣り合いは取れてますね。マスケットを持っているアンに向けてダッシュ。銃撃は数発受けても大丈夫ですが、しっかり射線を見てから避けましょう。すぐにメアリーがフォローで背後から追いかけてくるので、その場で反転。

無防備に飛び込んできたメアリーの心臓目掛けて反転しながらの蹴りで削り取ります。はい、終了。

9割アルテミス様が削ってくれたので楽ちんちんでした。いやぁ、凄い爽快感。こんだけ戦力があれば、この後も余裕なんやろな(フラグ)

 

この戦闘の勝利条件は、ヘクトールを除く全ての敵の撃破になります。と言っても普通に戦っていれば、問題なく達成できます。はい、ドレイク船長が黒ひげを討ち取って戦闘終了です。

 

イベントムービーが流れて、黒ひげがヘクトールにアゾられます。負けたから裏切ったんじゃなくて、死にそうになるまでスキを見せなかったから裏切ったというのが、黒ひげのヤバイ所。ギリシャ神話でも有数の英傑相手に隙を見せなかったとか尋常じゃないっす。

 

黒ひげはこの特異点の聖杯を所持しています。それの回収がヘクトールの雇い主の目的だったわけです。シンドバッドが動けるようになったら、即座にエウリュアレの方向に向かって走ります。同時に、二人に魅了を発動するように指示しますが、流石に対魔力Bと仕切り直し持ちじゃ、期待できません。敏捷Aを若干でも減速させるのが目的です。なので、ライフで受けます。

 

ヘクトールの攻撃はクリティカルにもらったら死にますが、彼は明確な目的というよりも、マスターの指示には従うというスタンスです。彼のマスターは黒幕の傀儡となって、好きな人にはせめて最後まで楽しい夢を見てほしいと思ってる少女です。

 

なので、人類最後の2人のマスターの首へのヘイトは高くないのです。そのため仕留めるよりもどかすつもりで、横払いが来ます。これは何度やってもそうでしたので、決め打ちで防御します。はい、直撃ですが、問題ありません。耐えます。

ここで、えっちゃんが追いついて雷撃で牽制してくれます。俊敏Bのおかげですね。エウリュアレも状況を察して、マシュの後ろまで退避しました。そしてアステリオス君も襲いかかってきます。速度は向こうのほうが早いですが、弓兵が3騎いて、マスターも直ぐに殺せない状況に持ち込めました。

 

ここまで来ると、既にダメージを多く受けていた場合は、聖杯だけを持って撤退していきます。エウリュアレ防衛完了です。ステンノ様ならキスの一つもくれるのですが、エウエウはアステリオス君の心配に覆われて何もしてくれません。まあギリシャの女神の加護とか基本地雷です。【せっかくだけど遠慮します】

 

ドレイク船長が黒ひげとお別れイベントをしてますが、気にせず黄金の鹿号に戻っておきましょう。また海に落ちます。なにせ黒ひげの船は宝具ですからね。

既にシンドバッドくんは本物の英雄の通常攻撃に耐えられる硬さまで来ましたね。シャドクレスの頃より育っているとはいえ、今の硬さなら継戦能力は段違いです。

 

YAMA育ちビルドは大別すると、技量特化の暗殺型というオーソドックスなやつと、シンドバッドみたいな防御に振ったバランス型があります。どうせ鯖を倒すのは無理なのでおこぼれ狙う程度とかでいいなら、火力はあまりいりません。早く動けて守れて雑魚が狩れるほうが、MVPにはなれずとも、役割を得やすいです。

 

イベントが終われば、逃げたヘクトールを追いかけます。本来はエウリュアレも攫われてますが、それがないので、心配だぜみたいなイベント全部カット。小さいですが短縮は短縮です。

なんか鯖に心配されたり、アステリオス君にお礼を言われたりと結構イベント起きてますが、それでも短縮できているはずです。きっと、はい。

 

道中は適当に幽霊船を追い返しながら進むと、はい、見えてきました、アルゴー船です。

ギリシャ神話のスマブラみたいな、頭のおかしいメンバーが集う船です。船長はイアソン、船員はヘラクレスとメディア、そしてヘクトールです。ランサーならカイニスとか喚べば良いような気もしますが、メディアの言うことに従ってくれそうな鯖は実際いないでしょう。事実アタランテは離脱してます。ただ、何度も言う通りヘラクレスは本当に強くて厄介です。

 

エウリュアレが攫われてない以上、この場で得るものはないです。ダビデとアタランテを自鯖として召喚していて、なおかつ、アルテミス、アステリオス、ドレイクを除いて、9回殺す方法か、ヒュドラの毒をもっていれば、この場で最終決戦しても大丈夫ですが、ハードモードではリセマラ4桁しても無理でしょう。

 

実質的に船長の人望の無さでヘラクレスとヘクトールしかいませんが、気を引き締めていましょう。

 

 

 

ん?

 

 

 

 

 

あの~すみませ~ん。

なんかアルゴー船に金髪の娘がいるんですけどぉ。

 

拳構えてファイティングポーズ取ってるんんですけどぉ……

 

ポルクスとか書いてるんですけどー

 

 

えぇ……?(困惑)

 

 

 




ディオスクロイは航海者の守護神の双神が伝承が変わって、双子座になった人と神の双子。

カストルがケイローンの弟子で人間となっているのは、無辜の怪物的に神性を剥奪されからと解釈。

一度は人間だったとの発言から、名前のない神が与えられてつけられた名前が双子の名前と解釈。

つまり凡人類史人間のカストルと半神のポルクスは普通にアルゴー船に乗ってた。
二人の逸話は結構別々にある。

鯖として呼ぶ場合、ディオスクロイつまり双子座で喚べばダブルクラス。

なので、人の側面を切り取って単独で呼べるのではという解釈。

だって、イアソンがポルクスはボクシング凄いって言ってたし。

なので、バーサーカーポルクスちゃんです!!





何が言いたいかと言うと、与太イベやマテリアルが来る前に完結しないと矛盾する。
時限爆弾を仕込みましたということです。


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(敗走)~(修復完了)

星5配布は不夜城のキャスターっていう娘がオススメらしいよ。
僕はLv100宝具5フォウ2kスキルマで使ってるけど、すっごい強い。
味方にもガッツ付与して、敵が騎でも男で王なら割と耐えられる。
王への火力はイベント周回でも役立つほどの高ダメージをだせる。
だから、何を交換するか悩んでるなら、絶対孔明を交換するべき!!


もはやただの初見実況になり下がったRTAはじまるよー

 

 

 

前回はアルゴー号にたどり着いたところまででした。

ギリシャ神話の英雄が多く乗った船は、まあ逸話ができた時期とかいろいろありますが、大砲は積んでいません。そもそも船の製造様式が当時ではなく話が語られ始めた頃の造船技術ベースなのです。一種の現代知識チート的なものでしょうかね。

ですが、ヘラクレスが乗っているただ一点のためだけに、非常に凶悪で、その対策を考えてました。

 

ヘクトールは痛めつけて霊基に傷が入ってるということで、今後戦闘パートでは弱体化してくれるでしょう。ただこのおじさんは根本的にしぶといので、あとちょっとで倒せるからが非常に長いでです。山の4合目の辺りであとちょっとだよ、頑張ろ? とか言い出すやつです。

 

そして何よりも問題は、ポルクスですね。ディオスクロイとして召喚されれば、その冴えわたる剣の腕でセイバーなのですが、どうやら拳闘士としての側面で召喚されてます。

たしかにハードモードは乱数で敵が増えるというのはありますし、アプデのせいでしょうが、よりにもよってアルゴナウタイで鯖が増えて、それがポルクスとか頭おかしい。

 

素手で戦うなんて、ルーラーかバーサーカー位ですし、バーサーカーなのでしょう。彼女はシンプルに強いというか、ボクシングにおいてギリシャでは(ヘラクレスを除けば)たぶん1位です。

 

ディオスクロイでの登場が初めてで、小柄な女の子だなあ。とか思ってる兄貴達、そんなんじゃ甘いよ。ポルクスのボクシングでの全盛期の逸話は、立ち寄った島でポセイドンとニンフのハーフの巨人の王をボクシングで倒したものです。

この時なぜポルクスが戦ったのかと言うと、『お前らの中で一番強いやつを出せ』と言われたからなのです。

 

確かにアルゴー号からヘラクレスが離脱した直後のタイミングですが、あの英雄の寄せ鍋の中で、名だたる英雄を差し置いてボクシングに置いては最強だったのです。ヘラクレスがいた場合? なんのこったよ。

 

しかも策を弄したとかではなく、互角の殴り合いを続けて、相手が疲労した所にラッシュを畳み掛け、最後はグローブつけたまま殴り殺してます。え、なにそれは(ドン引き)

 

いやいやいやいや、実際どうするんですかこれ。

一先ず現在、イアソンが目的をペラペラしゃべってます。

彼の目的は、聖杯、えうえう、聖櫃。全部手に入れると理想の王様に成れる……はずだった。 って感じです。ヘクおじが聖杯をもって帰り、エウリュアレを未来の王の前に誘導してきたことを労ってます。あ、そういう解釈になるんですか。

 

実装当時はこんな三下で英雄を集めるのと、神の加護以外取り柄のない男扱いされてましたが、いまでは逆境になるほど覚醒する泥臭い指揮官ですからね。王の器はあったんですよ。その器を置く場所がなかっただけです。

 

まあ、ここで小物ロールを眺めているのも、通常プレイならば乙な物なのですが、名目上はRTAです、次行こうぜ。

 

本来は、エウリュアレの奪還が目的でしたが、聖杯が既にヘラクレスに守られたイアソンの手元にある以上。

 

『ヘラクレスに勝てるわけがない、皆一旦ここは逃げるんだ!!』

 

とロマニが警告してくれるので、来て早々敗走イベントです。ただこの警告とともに、敵が乗り込んできます。

 

パワーと耐久ならばアステリオス君も負けてませんが、それ以外ではヘラクレスの方が上、さらに彼は化け物退治のエキスパート。特攻ほどではないですが、与ダメに補正が入ります。

幸い魅了やデバフはまあまあ有効なので、マタ・ハリを援護につけましょう。男も女も両方行ける大英雄の鑑や!! えっちゃんとアステリオスが前衛、マタ・ハリが後衛。アルテミスの支援を受けてやっと互角という所です。

 

ドレイク船長は向こうの船のヘクトールに狙いを定めて、砲撃戦をしてイアソンを警戒してもらってます。イアソンを狙って、ヘクトールを釘付けにする形です。シェヘラザードは魔術というか、語りでメディアの回復を妨害する程度に動いてもらいます。

 

そして問題はマシュが止めてるポルクスちゃんですね。あーなるほど、フランスのバーサク鯖みたいな感じですね。

召喚したアタランテが離脱したので、その代わりを呼んだ感じでしょうか。フレーバー的に、イアソンの事です。遊撃と外部労働担当のヘクトール。最強の護衛ヘラクレスだけでなく、マスターが2人いるので、もう1つ戦力を手駒にしたいとメディアに言ったのでしょうね。

 

盾で受けてますが、形成はやや不利どころではなく、素直に劣勢ですね。ナポレオンも砲撃に参加してますが、少しやばそうです。

一先ずエウリュアレさんは後ろに下がっておいてもらいます。取られたら終わりですので。

 

さてシンドバッド君は、マシュの支援に走ります。何がボクシングだ、こちとらカラリパヤットだぞ。

ポルクスの動きは、セイバーのモーションとだいぶ違いますね、でもまあ何とかよけられ……てないですねぇ!! なんだこれは。異常個体みたいなステータスになってる。えぇ

 

そりゃマシュが押されるわけです。ですがこの状況で一番落とせそうな相手はポルクスなんですよね。ヘラクレスは単純にギリシャ最強で、それは世界的に見てもシンプルに最強クラスです。神とか、特別な概念を取り込んでるとか、そういうのを除いてですけど。

なので、本当にHPゲージが12本あります。

 

一応一定時間耐え抜くことでも勝利にはなりますが、厳しそうです。

ここは折角ということで、隠し持っていたキメラ肉を食べてみましょう。人外ゲージはうん、目に見えて上がりましたね。そしてこれは、かなり強いですね。全能力1ランク上がってますよこれ。

 

ブーストが切れないうちに殴ります。ポルクス勝負だ。とにかく相手に注意を向けさせ、攻撃をよけるということが大事です。ダメージソースではなく、回避盾です。火力はナポレオンがどうにかしてくれます。

 

ポルクスの打撃は基本的に手数特化のバーサーカースタイルです。実は175cmと長身な高さから結構な速度と威力で繰り出されるラッシュがいや~きついっす。ノックバックもエグいです。

しっかり蛇のポーズと言われる、身体を細くして、低く掻い潜るガードで下に回り込んみましょう。上手く回避できたのならば、組んだ腕での突きを顎と胸目掛けて打ち込みます。足のほうが火力が出ますが、蹴り技は防御につなげにくいです。

攻撃で弾いて隙を作ると、マシュがシールドバッシュで上からプレスしてくれます。力技で弾き返される前に跳んで、マシュの盾に思いっきり蹴りを押し込んで、一気に押し潰します。あとはナポレオンが吹っ飛ばして……よし、船から落としました。

 

ヘラクレス以外敵性勢力が船からいなくなると、アステリオスくんの離脱ムービーが流れます。何とヘラクレスを抱きしめて、動きを止めてくれます。

そしてはい、ヘクトールおじさんが宝具をぶっ放して二人でピンチョスみたいになります。そのまま海に落ちて。はい時間稼ぎ完了。足止めありがとう、必要な犠牲でした。牛君君の犠牲は忘れない。

 

被害はかなり大きいですが、なんとか逃げ切りました。地味にフランスもローマでも味方鯖の犠牲0でしたので、味方の脱落者は初めてですね。所長を除く。

まあ野良鯖の死なんて、大したことないって。自鯖の場合は、一部鯖の場合、好感度がめちゃくちゃ下がります。具体的にはシェヘラザードです。

 

さて、気を取り直してダビデとアタランテと合流です。アタランテはギリシャの女性弓兵としては非常に正統派かつ、強力です。ダビデは……まぁ黒幕関係者で色々知っているけど大した情報はくれません。

ただ聖櫃を持ってます。十戒の入ってた箱です。この辺を詳しく説明すると、宗教学と歴史学警察に怒られちゃうだろ!? なのでそのくらいの理解でいいです。

ともかく、これにエウリュアレを捧げれば、この特異点は破壊されます。神が生贄になるとエラーをはいて、貧弱な特異点環境はフリーズして壊れる感じらしいです。ヘラクレスも半神なのですが、そこんとこは大丈夫らしいです。ともかく、神を生贄にしてはいけない(戒め✕10)

 

さて、問題なのはこの後の動きです。通常プレイというか、藤丸君のソロプレイ(意味深)の場合は、エウリュアレを抱えた上でひたすら走りに走り続けて、ヘラクレスを狭い場所に追い込んで、どこかで全員で押し付けてアークに押し込み勝つという流れです。

 

アルゴー船から降りないイアソンとそれを守るメディア。そこに弓兵達でしこたま矢を打ち込んでから開戦したんや。その結果ヘクトールも釘付けになり、ヘラクレス単騎で襲撃してくれました。イアソンさんは、本当急所やね。

そしてヘラクレスが向こうの探知圏外に行くまで逃げたら弓兵も合流して、命がけの追いかけっこという流れです。でもヘラクレスは狂化しても世界を守るためにエウリュアレを捧げるのじゃなくて、殺そうとしてたと私は思う。大胆な自己解釈はファンの特権。

 

今回も弓兵で足止めをしてという流れのつもりですが、メディアリリィとヘクトールがいれば守りは十分でしょう。

予定では前衛サバがいれば、わざわざカタコンベまで行かなくても、森あたりで十分たたけました。前衛が決死の覚悟で足止めし、アルテミスの宝具を当て1回殺して、即復活までの若干の隙をつくり、そこにダビデが御体に触りますよをして聖櫃に捧げられて勝ちということでした。

 

しかし、もう一人敵がいるとなると話が変わってきます。

先程戦った感じ、宝具解放がなければギリギリシンドバッドくんで、キメラ肉を食べれば足止めができる感じでした。となるとこうしましょう。

 

「さっきのポルクスとかいうやつは、俺達でなんとかする」

 

はい、シンドバッドチームでポルクスを倒します。厳密には時間稼ぎです。そして、藤丸チームは予定通り森で決戦をお願いします。ナポレオンの砲撃は神への特攻を持つ、Aランク宝具です。決め手としては十分です。ただアタランテを借りましょう。彼女はポルクスにも面識があるでしょうし、知り合いなら殺して楽にしてさしあげろ。

 

あとは、オート戦闘で藤丸くんが『1回ヘラクレスを殺す』『ダビデが死なない』を達成できれば自動で勝利になります。干渉も鑑賞もできないので祈りましょう。ダメだったらしっかりチャート組んで再走ですね。

 

 

それでは、回復したらヘラクレス戦で使う予定だった令呪が浮きましたので、マタ・ハリに使いましょう。これで痛みを感じない状態に催眠してもらいます。大奥でやっていた酩酊と同じですね。これでゲーム的にはノックバックと怯みへの体勢が多少得られます。

気休め程度の効果ですが、多段攻撃してくる相手には十分有用です。

 

というわけで、事実上の最終決戦イクゾー!!

 

 

接近してきたアルゴー船に向けて弓兵が弓を射掛けてると、はい。予定通り、ポルクスとヘラクレスが追いかけてきました。

ナチュラルに海を走ってますが、ヘラクレスの方が早いため、エウリュアレを持って逃げる藤丸くんが砂浜から、平原、そして森へと近づく辺りで追いつかれます。えっちゃんと、マシュが森へと誘導しながら逃げるのを横目にポルクスに向かってアタランテに、弓を射掛けてもらいます。

 

はい、フィーッシュ!! こっちに走ってきますね。急いで山岳の方へ走りましょう。バーサーカーといえども聖櫃を起動させると、全力で妨害が来ますので距離はなるべく取りましょう。

 

一先ず傾斜のある場所で戦いましょう。気休め程度ですが、シンドバッドくんはYAMA育ちで、ポルクスが得意なのは古代ギリシャボクシング。本来はリングがないのですが、彼女はリングで巨人を打ち破ってます。あとアタランテも狩人です、山での戦闘経験はあるでしょう。フィールドパワーソースを得て先制攻撃です。

 

頼れる前衛がいないので、とにかく前に出ましょう。幸い向こうも近接オンリーのバーサーカー問題ない。シェヘラザードはジンで中距離攻撃、マタ・ハリはひたすらデバフを巻いてもらいます。ハートビームが好きです。そしてアタランテも正確な射撃でいい感じの支援をしてくれてますが……はい、削りきれませんね。ダメージがほとんど通っていません。

ただまあ、回避パターンは見えてきましたので、落ち着いて戦いましょう。殴ってきた腕は外に弾いて、可能なら掴んで組技に持っていきます。正統な英雄相手かつ、キメラ肉で強化していれば一瞬は取れます。ほどかれても、できた隙に味方の攻撃が行きます。

 

結果的にはディオスクロイで来られてほうが厄介でしたね。

現状のアルゴナウタイでは、カイニスが一番楽です。性別はないけど、唯一の王ですね……対王宝具というピンポイントかつボスキラーすこだ。

 

さて、何度も繰り返してこっちのHPは6割まで落ちてるのに対して、向こうはまだまだ7割ありますね。これはヘラクレスチームに期待……お、アルテミスの支援射撃が降ってきます。これは向こうは勝ちましたね。このまま押し切りましょう。

 

令呪を2画切って宝具チェインです。シェヘラザードの宝具は対王ですが、それだけではなく、相手の状態異常への耐性を一時的に下げます。ここにマタ・ハリの宝具の男も女も魅了する洗脳宝具で……はい、魅了入りました。

 

この隙に乗り込んできたえっちゃんが……はい、宝具をぶっ放してくれました。対セイバー特攻。セイバーとして召喚されうる敵への大ダメージです。ゲーム的には、元の霊基がセイバーならば特攻が入るので、ポルクスさんアウトー。

 

一気にレッドゲージまでいきました。そしてナポレオンの砲撃によりフィニッシュ。これで工事完了です。

 

戦闘が終了したら、リザルトを確認。はい、ワイバーンはありますがキメラの肉が底をつきました。仕方がないのでワイバーンを食べて、直ぐに黄金の鹿号に乗り込んでアルゴー船に乗り込みます。

 

ヘラクレスを失って精神的にボドボドになったイアソンくんのイベントはカットしよ!!

聖杯から、シャドウサーヴァントがきますが、今更そんなこんな……こんなものっ!!

ヘクトールが混じって最終戦です。死にぞこないにとどめを刺しましょう。HPを0にすると、エウリュアレに襲いかかるイベントが発生しますが、確定でえうえうが反撃して消滅します。へっ! ビビらせやがって!!

 

そして、ついに魔神柱降臨です。イアソンをリリースしてアドバンス召喚! 魔神フォルネウスです。

 

ヒーラーであるメディアリリィがサポートしてますが、大した敵ではないです。藤丸くんやってしまいなさい。いや、シンドバッドくんは令呪ないですし、ドクターも最終決戦って言ってますしね。

 

ドレイク船長の宝具、ナポレオンの宝具と連発して打ち込まれます。メディアリリィはこれで退場ですね。前回いなかったガチガチの前衛、えっちゃんのおかげで、ゴリゴリ削れます。マシュが藤丸くんを守っているので、邪魔にならないように、その近くにいましょう。

 

はい、特に見所さんもなく撃破完了。ヘラクレスの方がずっと強いわ。

これにて、オケアノス攻略完了です。

 

反省点としてはやっぱり、ヘラクレス戦を藤丸くんに丸投げして運ゲーしたことですね。戦力は最大限渡していたので、良いかとは思いますが、ちょっと攻略法としては正道からズレてるかな?

 

まあ運ゲーまで含めてRTAやなーって。

 

次回準備して、ロンドン観光です。スコーンにつけるジャムを持っていきましょう。

 

 

 





裏が長引く事が確定しました。

あと、来月の仕事が通常シフトの場合、GW明けで更新ペースがガクっと落ちるかもです。
自粛してくれることを祈ろう。


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裏:主従関係に関して2

密です。


 

帝政ローマという、西洋の歴史を語る上で欠かせない燦然と輝く大国。当然のように人類の歴史の起点となっており、特異点でもあった2つ目の歴史の淀みを正したカルデア一行は、無事帰還していた。

新たな戦力も加わり、現地で任を果たしたマスターは部屋へと戻っていた。

 

シンドバッドと名乗っている、名前を持たないマスターも、藤丸立香と同じ様にあてがわれた自室へと戻ってきていた。形式上護衛でもある彼の2名のサーヴァントも彼の自室までは連れ添っている。事実上不要ではあるのだが、ある種の大義名分とも言えた。

 

彼は、特異点攻略中には『そう教わったから』自身のサーヴァントとの魔力供給はパスを由来するものにとどめている。フランスでもそうだったし、今も出てきたローマでもそうだった。

故に帰還した日というのは、彼はそういう意図も勿論あったし、サーヴァントもその部分はドライに認識していた。

もとより生娘でもない彼女たちは、戦略的に考えてもその方が良いのと、嫌悪感を抱くような相手でもなかった。年齢を考えればもう少し自制を知ってほしいところはあるが、育った環境も同情できるものであり、なによりも特異点の攻略をしている間は我慢するという約束を守ったのだから、褒めてあげないといけない。

サーヴァントを守る代わりに、支援をして戦ってほしいという、やや歪な契約に対する信賞必罰である。

少なくともマタ・ハリはそんな思考であった。

 

「二人共、ありがとな。今回も勝てたのはお前らのおかげだ」

 

「ええ、マスターもお疲れ様」

 

なによりも、彼は思惑というものがない、非常にわかりやすい精神構造だ。彼女の働いていた『職場』よりの帰路、自分のことを見つめていた純朴な少年とそう大きな違いはないのであろう。

少なくとも『面倒な客』程色々な思惑や欲望とは無縁なことは、このローマの旅で痛いほど認識できていたのだから。

 

「マスター、申し訳ありません。少々疲れてしまいました、申し訳ございませんが本日は御暇させていただきます」

 

「そうね、シェヘラザード。今日は貴方がしっかり休むべきよ……サーヴァントでもね」

 

「ああ。さっきはあのでっかい目ん玉の奴と戦って疲れたんだろ? よく寝ろよ」

 

しかしながら、正直言ってこの場でのシェヘラザードの離脱は、先程の決戦の際に覚悟はしていたが、苦笑に近い感情が湧き上がってくるのも事実だ。別のベクトルで面倒な客と同じだ。主導権は容易に取れるし、従順で優しいので辛さはないが、疲れるだろうなという、諦観が彼女にはあった。

 

「マタ・ハリ」

 

「何かしら?」

 

シェヘラザードが退室して二人きりになった途端に、自身の名を呼んだマスターへと彼女は改めて向き直る。鍛え抜かれた身体が疲れを感じさせない声が、先程の考えを補強している。

 

「疲れてるなら、お前も休んでくれ」

 

だが、それ以上の優しさはあった。

それは客が気を引くために口にする優しさと同じであったが、チップを多く積まれるよりも、宝石があしらわれたブローチを送られたことよりも、彼にとっての大きいものを自分へと送ってくれているのがわかる。戦いと三大欲求しか無いような人間なのは、彼女は既によく知っているのだ。

 

「ねぇ、マスター。もし私が貴方の事を好きになったって言ったら、信じてくださる?」

 

ちょっとした冗談ではあった、だが問いは本気でもあった。言葉と所作と、何よりも自分のすべてを用いて、多くの男を魅了して、その魅了によりこの場にいる彼女にとっては、剣士が目の前にいる敵に剣を振るうように、寝室でそう問いかけるのは当然の動きなのだ。

 

勿論だと肯定した男がいた。その男が自分をスパイだと証言していたのを彼女は知っている。

そうだったら嬉しいと濁した男がいた。彼が別の踊り子も口説いているのを前室で知った。

信じられないと言った男がいた。彼は処刑の際に何か細工したようだが、無駄に終わったから彼女は英霊となっている。

 

「わかんねぇ」

 

その回答は、勿論経験があった。それは駆け引きとして本気にしてくれたら、自分も君を愛するよというモーションであったり、今日は気まぐれで持ち帰った女の言葉遊びを面倒になった人もいた。

 

だが、彼は本当にわからないから、わからないと言っているのだ。嘘をついて他人との距離感を調節する知恵も無ければ、人を愛して自分の物にしたいと思ったこともない子供だから、彼はわからないのだ。

 

「うふふ、そうね、マスターらしいわ」

 

予想通り、素直で飾らなくて、そして少しつれない答えだった。これが先程帰った彼女に聞かれた質問ならば、彼はきっと信じるというのだろう。彼女は柄にもなくそう思った。

 

彼女がこの場にいない理由とあの狼狽を見ればわかる。彼女はきっと私と同じで『愛に満たされなかった』のだ。だから、もう寂しくないように、まっさらなマスターを拠り所にしたのだ。

彼女の終着点は読めない、方法もわからない。

だけれどマタ・ハリは最初からわかっていた、同じ女としての経験と勘で感じ取った。彼女はマスターに委ねながら、マスターと共に終わろうとしている。そして

 

「好きかどうかが、本当かどうか分かんなくても、好きならそれでいいだろ」

 

「だって俺はマタ・ハリが好きだぞ。優しいし綺麗だし、一緒にいて楽しいから」

 

「マタ・ハリが好きと言うなら、それで俺は満腹だから」

 

このどこまでも素直で、拙い言葉しか紡げない、裏も表もないマスターにより掛かりたくなっているのであろう。たった1度しか旅をしていない自分がこうなのだ。

倫理も法も知らない彼は既成事実という考え方もないから縛れない。この肉体じゃ子供も産めないから繋がりも持てない。それでも彼と一緒にいることを彼が喜んでくれているのならば、それは一種の彼女が求めたものの別の側面なのだろう。

 

人間を食し、人を殺すことに忌避感を覚えず、社会における役割も知らない、粗野な野蛮人が、彼女にとっては、虚飾で身を包んだ女優にとっては、周囲を全く気にかけない生き様が驚くほど心地よいのだ。それが愚かなことと知っているからこそ、彼女は目が離せないのだ。

 

「それじゃあ、おやすみ。マタ・ハリ」

 

背一杯我慢をすることは、彼の単純な人間性において、彼が差し出せる中で、彼が考えた『1番の価値あるもの』。

それを惜しげもなく差し出す主人は、彼女が必要だったものとは少し違うけれど、確かに『大切なもの』をくれる男だった。

 

天井の明かりを消して、ベッドに腰掛けるマスターに背を向けて、彼女は『ドア』へと向かい、扉を開放する。そして一歩踏み出して振り返ると、イタズラげに笑みを浮かべながら声をかけた。

 

「マスター、寝る前にシャワーで汗を流しましょうね?」

 

「うん……わかった」

 

既に夜半、共同浴場などカルデアにはない。マタ・ハリは至極単純な一言を主人に忠言した。それが彼女の本日最後の『仕事』であり、そこから先は彼女の『プライベート』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めましてはじめましてだね、えーと謎のヒロインXオルタ?」

 

「えっちゃんで結構です。マスターさん」

 

同じ頃、立香も自室ではなく彼女に充てがわれた部屋でだが、新たに召喚したサーヴァントと交流を図っていた。生身の肉体を持つマシュは既に休んでおり、ナポレオンも自室に戻っている。新たに出会ったよくわからない人類史に存在しないけれどアーサー王に顔と声が似ているサーヴァントと二人きりだ。

それでも立香には恐怖もなく、若干の緊張だけだった。その緊張もどちらかと言うと、新しい人と仲良くなれるかな? といったものであり、張り詰めた空気とは無縁だった。

 

「わかった、えっちゃん。オレ達の戦いは厳しいけど、来てくれて嬉しいよ。これからよろしくね。」

 

「若干不本意な所はありますが、此方こそよろしくお願いいたします」

 

メガネを掛けた内向的な女の子。そういう風にしか立香は感じ取れなかった。とても剣を持って戦う英雄とは感じられないのだから。

そういう意味ではある種マシュに近い部分もあったが、それでも彼女の雰囲気のほうが少し気怠げだった。

 

立香は一先ずそういったときは相手にどうしてほしいかを聞くことにしている。モチベーションは大事だ。気の合う仲間内でも、同じことをして皆が楽しいわけじゃない。それをしなければ友だちになれないわけじゃないけど、知ってるほうがきっといい友達に成れるのだから。

 

「それでこの部屋なにもないけれど、なにか欲しい物ある? あ、空調の設定はこれでできるよ」

 

「ご丁寧にありがとうございます。マスターさん、私は魔力転換炉オルトリアクターで、オルトニウムを触媒にエネルギーを生成できるのですが」

 

「うん」

 

逸話のないサーヴァントが、よくわからない変換器を持っており、それによってよくわからない過程を経てエネルギーを製造する。普通の魔術師ならば此処で頭痛が限界を迎えるか、理解を拒むのだが、彼には良くも悪くも魔術的知識は素人に毛が生えた程度、特にツッコミを入れることはなかった。

 

加えて立香には、シンドバッドの契約しているサーヴァント、シェヘラザードの存在が知識として備わっていた。読んだことはないものの、アラビアンナイトというなんか聞いたことある話。その登場人物がサーヴァントになっているという理解があるのだ。

そのため、今の会話だけで彼女が自分の知らないSF作品のキャラクターか何かなんだろうな。と恐るべき慧眼で正解に近いところまでを見抜いたのである。

 

「その際に必要になるのが、甘い物です。特に高級和三盆を利用した和菓子が最高効率での変換を可能にします。勿論チョコレートに代表される洋菓子でも十分な出力を得ることができます」

 

「うん」

 

だが、この時点で彼は、話の理解の仕方を変えた。相手の言うことを自分なりに噛み砕いて理解するのではなく、そういったものなんだろうなぁ。と聞き流しながら理解することにしたのだ。正しい方法である。数多の並行世界で彼が、その背後にいる者たちが経験で学び取った技術だった。

 

「ですので、戦闘の際と待機時には……いえ、毎日手作りの和菓子が必要になります」

 

「今のカルデアにどれだけ備蓄があるかわからないけれど、甘いものがほしいってことはわかったよ」

 

「よろしくおねがいします、決して私が食べたいからというわけではなく、これは必要なことです」

 

そういう事になった。

色々制約はあるようだが、素直に新しい仲間ができたことは喜ばしい、立香はそう思ったので、彼女に甘いものをあげようと快く思えた。

そして、優しい彼は面倒をしっかり見るし、後輩も世話をやこうとするであろう。それだけでこの主従はうまくいくのである。

 

「えっちゃんは剣を使って戦うんだよね、今後マシュと一緒に頑張ってもらうよ。オレ達のサーヴァントは、マシュ以外近接戦闘が得意じゃないんだ。だからシンドバッド、もうひとりのマスターが戦うくらいなんだ」

 

それは立香の悩みであった。自分はマシュの盾の後ろか、護衛のサーヴァントの後ろで戦闘を見ているだけだ。だが、シンドバッドは時々というか頻繁に敵に殴り蹴りをして戦闘している。それはリスクが有る行動で、危険極まりなかったが、立香もそれが必要な局面だと感じることが多かったから止められずにいた。

仲間の危険が減る。代わりに女の子がその分危険になる。それは諸手を挙げて賛成できることではなかったが、それでもチームとして強い人が前に出るのは仕方がないことだと思っているのだから。

 

「ああ、さっきの人ですね。ダークラウンズで肉を齧って酒を樽で飲んでそうな」

 

「それはよくわからないけど、もうマスターは彼とオレの二人しかいないんだ」

 

「わかりました……燃えてしまったこの世界をヴィランの闇色に染めるまで、貴方の騎士になりましょう」

 

「それ言葉的に悪役だよね!! まあ、うんよろしくね」

 

こうして、カルデア念願の前衛サーヴァントは、燃費の悪いけど、すごく強い女の子となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャスター入るぞ」

 

シェヘラザードの部屋。魔力で編まれた肉体の使い魔たるサーヴァントにも当然のように与えられている部屋だ、そこには初めてと言って良い来客があった。彼女のマスターである。

 

「マスター、おはようございます」

 

彼は物怖じすることもなく、彼女の部屋に入ると、彼女が腰掛けていたベッドに拳一つ分の隙間を開けて腰を掛ける。礼儀は簡単に習ったものの、遠慮というものを十分には教わっていない彼は、彼女のまだ少し暗い雰囲気を気にしないでそういう事ができるのだった。

話ができる程度には、疲れていないと判断したのだから。

 

一晩、彼女の生前においては、とてつもなく長く絶望的なまで朝を遠く感じる時間。そこを彼女は自身の考えの整理にあてた。彼女はそう、死にたくないのだ、それは今も変わらない、彼女が死を避けるためにあがいたことが逸話となり英霊となった。

 

あらゆる方法を尽くして朝を求めた。その朝の先にあったのは次の夜だった。彼女にとって最初はあった崇高な志は、いつ摩耗したのかも思い出せないほど昔のことだ。

 

だからこそ、人理焼却。それを彼女は好機とみたのだ。触媒もなければ召喚されることも無いほど彼女は聖杯戦争へと参加をしたがらない。だが、サーヴァントの召喚というシステムがなくなるか、人理というものがなくなる。それが起これば彼女はもう死ななくてすむのだ。

 

二度と夜が明けなくなってしまえば、また夜になる恐怖を覚えずなくても良いのだから。

 

それが為に冬木で、あのメチャクチャな呼び出しに、死にたくないと言うだけの声に答えたのだから。マスターが人理修復という偉業に前向きで、可能な限り自分を危険に追いやらない。なるほど理想的なマスターだ。

サーヴァントを複数従えて、戦力を補充しながら戦う。これも良い。通常の聖杯戦争では、自分が6人の敵に狙われるのだ、ずっとましだ。

 

故に、マスターが善良であり、戦う事を諦めない限りは彼女はマスターにとって良い部下であり、良い母であり、よい女であろうとした。諦めてくれれば、彼とともに敵に下ってしまえば良い。それだけだったのだ。

 

夜毎に、今日ともにいて彼に足りないことを言い聞かせて、物語を紡ぐ。戯れに体をあずけることだって双方の目的にプラスに動くからである。

マタ・ハリを巻き込んだのもそうだ。マスターが奮起するのならば良い、弱さを出して自身の罪に耐えきれなくなっても良い。状況を早めたかっただけである。

 

「キャスター、今時間あるか?」

 

目的半ばでマスターが脱落したのならば、カルデアが持つ戦力は半減するであろう。唯でさえ絶望的なこの戦いはより険しくなり、彼女の目標に近づくだろう。だからそれで良かったのだ。

それでもあえて、マスターを殺して不確実な永夜を目指すよりも、両天秤で大穴にも賭けておく。それだけの話だったのだ。

 

「これは……」

 

だから、甘えるように、小脇に挟んでいたそれを渡してくる目の前の男への興味は、さしたるものではなかったのだ。

 

「マスター、昨日は良く眠れましたか? あまり寝付きが良くなければ、此方を読み聞かせさせていただければと思います」

 

だから、これは目的のために必要なことだ。王が眠れば自分を害することはない。王が健康ならばストレスで不安定になることもない。王が喜んでいれば自分を罰することはない。ただの処世術に基づいた行動なのだ。

 

「頼む、キャスターの話を聞かないと、眠れないんだ。昨日は寂しかった。このままずっとキャスターがいないと俺は頑張れないと思う」

 

話をせがまれること、それは彼女にとって安心を覚えることだった。明日が約束されたのだから。次があるということなのだから。自分と自分の技能に飽きられたわけではないのだから。

 

だから彼女は語るのは好きで、語ることを請われることは大好きで、語った物語を心から喜ばれると安堵と幸せを覚えるのだ。

 

それは、守ってくれて、怖いものから遠ざけてくれて、素直に言うことを聞いてくれることと比較ができないほどに。

毎夜無邪気に自分のすべてを求められて、差し出せばそれを喜んで、次を望まれることは、彼女にとってそれは最高の安全・安心だった。

 

「ええ、かしこまりました。それではこちらにどうぞ」

 

────嗚呼マスター、我が王。無邪気に私にすべてを委ねてくる人

 

────もっと、求めて下さい。貴方が望む限りあなたと共にいましょう。

 

────貴方が永遠の夜を望むのならば、それも良いことでしょう。

 

────ですが、貴方が夜明けを望むのならば。

 

「微力ながら、お話を紡がせていただきます」

 

 

マタ・ハリのようにすらりと細く美しい脚ではないが、王が好きだと言っていた膝にマスターの頭を招いて、彼女は語るのであった。

 

人食い鬼が、人食いのまま心を改めて幸せになるが、その業が断ち切れなかった話を。

 

いつか、そんな終わり方も、そういうお話だったと語れるように。

 

 

 




彼は浮気してるんじゃなくて、1番近くの女を愛してるだけなんです。
これだけははっきりと真実を伝えたかった。


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裏:人食いの化け物について

祝!! お気に入り334件!!
ありがとうございます。


そのうち人間でなくなってしまう。

言葉にすれば一言であるその事実は、言われた側の本人がよくわかっていないようだった。

向かい合せで椅子に座る医者と患者。正確に症状を告げて、患者が理解できないことは背後の付添人にわかるように噛み砕いてて話し終えた。

 

噛み砕いて説明したし、二名のサーヴァントはマスターの状態についてしっかり理解したようだ。しかしながら、やはりという表情である。この神秘の薄い現代で尋常じゃない身体能力を持ち、それが成長し続けている。此処に来るまでの食事と生活環境。それを考えてしまえば、そういう代償があっても不思議なことではないのだから。

だが、本人はそうまるで、余命宣告を受けた患者というよりも、ただ明日の天気が残念ながら雨だと言われたような。その程度の感じ方をしているようだった。

 

「この前渡した礼装。それで君の中の竜属性を補強している。竜由来の肉であれば、その礼装が安定化させてくれる。摂取した魔力をフィルターしてくれるんだ……といってもわからないか。ともかく、今後は特異点で拾った肉を食べるんじゃないよ、多少なら問題ないけど、続けていたら君は本物の化け物になる」

 

「あのワイバーンっていう竜のトカゲと、ホムンクルスっていう人間みたいのなら食べても大丈夫なんだな。それ以外は、食べると強くなるけど食べすぎるといけない。わかったぞ」

 

「……本当にわかっているのかい? 君は死というものが、わかっているかどうかも確認したいのだけど」

 

ロマニからしてみれば、最初から自由気ままに好きなように、限られた制限の中で最大に自由に振る舞うシンドバッドに思うところがないわけではなかったが。それは嫌悪というものではないし、そもそも感情で仲間や患者への態度を変えることはない。

それでも今のカルデアにおいては大変貴重なマスターであり、何よりも彼がその身を削って戦っていることは知っている。だからこその重ね重ねの確認だった。

 

「ロマン。俺は今すごい楽しい。皆大変だっていうのは知ってるけど、凄い楽しい」

 

「……あまり大っぴらに口にしてほしくないけど、君の過去と今の状況を比べれば、そうだろうねとしか言えないよ」

 

彼は背後に立って、少しばかり悲しそうな顔をしていたが、大きな狼狽も動揺も見せてない自分のサーヴァントの手を両手でそれぞれ引き寄せる。それを愛しげに自分の頬にこすりつけながら、強く宣言した。

 

「ロマン、人理修復が終わるまで、俺が戦えるなら、それで良い。仲間たちと戦えるのならばそれでいい。終わったらその時次にしたいことを考えればいい」

 

刹那的と言えるであろう、だが、希望というものがなく人生を消費していた彼にとっては、自由な1年間というのは、大きすぎて消化できないほどのものだ。ならば、最後に死のうが、化け物になろうが、その最後まで楽しいのならばそれで良いのだ。

 

サーヴァントとは、きっとこの戦いが終わればお別れなのだろう。今の自分に仲間と一緒に戦って強くなっていき、価値を証明する以上に、人生に価値を見出すことはできないのだ。

 

そもそも、カルデア以前の人生に価値を見出すとしたら、それは憧れたあの動きをしたいという情動だけであり。楽しいかどうかという測りはなく、それしか無かったからそうしていただけだ。

刺激というものはまったくない代わり映えがしない生活でしか無い、そんな彼の半生とよぶにはあまりにも長い時間。それしか知らないのだから。楽しい余生、この後やってみたいことなんて思いつくこともないのだ。

 

外への憧れ、自由への憧れ。そういった物を見てみたい、自分の知らないことを知りたいとマシュは思うのだろう。だが、自由すら知らない、将来へ夢見ることすら知らない。そんな人物にとって今以外はないのだ。

 

楽しいことでいっぱいだから、問題はない。今後しばらく楽しいことだけしか無いなら死んでも良い。彼の本心であり、彼自身の望んでいることであるが、彼が求めている理由ではない。それを彼はこの後の旅で知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダ・ヴィンチちゃんよりもらったグリーブをつけた彼は、特異点についてから、ローマよりも明らかに切れの増した動きで先陣を切っていた。

ロマニが観測を間違えたのか、海上に落ちた時も、彼のサーヴァントの出した空飛ぶ絨毯が海面に降りる前に飛び上がって乗り込んでいたし、島で出会った海賊が笑みを浮かべながら近寄ってきたのを、声をかけると同時に顎を砕く蹴りを放っていた。

粗野で力任せな行動ではあるのだが、この特異点においてはそれがマッチしていたのも事実であったので強く文句が言えるはずもなかった。

 

流石にドレイク船長と交渉しているときは自重してくれたが、戦闘になった瞬間にいの一番に蹴り掛かりに行くのだから驚きだ。前衛担当のサーヴァント謎のヒロインXオルタは、面倒くさがりだけど仕事はしっかりしてくれてるサーヴァントだが。サボれるのならサボるので、人知れず彼への好感度が上がっていた。

 

そんなこんなで無事船に乗っての旅が始まったが、そこでも幽霊船が現れれば、切り込んで蹴り飛ばしていき、亡霊が出ればサーヴァントともに乗り込んで亡霊を魅了して蹴り殺すの大活躍。

食事時は、海賊たちと共に肉を頬張り、マタ・ハリの踊りを見て褒め散らかし、シェヘラザードの話しを目を輝かせて聞きながら、初めて飲む酒を一口で吐き出したりと、もともと海賊だったのじゃないかという適応具合だ。

ローマでもそうだったが、彼の育った環境が、現代的ではないからなのであろう。

 

いくつかの島をめぐり、一際大きい島にたどり着いたカルデア一行。もとから、あの大きな島に行きたいと強くシンドバッドが主張していたこともあるが、カルデア側からの魔力の測定で、何かしらがそこにあるのであろうという認識もあったためだ。

現状のカルデアには何も目指すべきものも目的のためにやるべきこともわからないのだ。誰がどうやってこの特異点を滅ぼそうとしているのか、それがわからない以上、まさに虱潰しに動くしか無い。

そういう意味では現地のサーヴァントではないが、ドレイク船長と合流できたのは良いことであった。今後は良しきものにしろ悪しきものにしろ、魔力をたどれば、サーヴァントがいる。仲間に加えるか敵なら倒す。単純すぎるのだがそれしか今はできることがないのだ。

 

「船長!! 船が動きません!!」

 

「何バカなことを言ってるんだい!」

 

島の探索をしようと上陸して周辺を探っていると、ドレイクの部下からそんな声が聞こえる。カルデア側も察知したのだが、この島には結界が張られたのである。何かの宝具の余波に近いものであり、デミサーヴァントのマシュが全力で抗えば離脱できる程度ではあるが、船ごととなると少々荷が勝ちすぎる。

 

誘われるような形ではあるが、カルデアのマスター2人とその契約サーヴァントにドレイク船長を加えたメンバーでの島の探索を始めることになった。そして

 

 

「しね……このあすてりおすが、みな、ごろしに、する……」

 

 

巨大な地下迷宮の奥、そこには一般的にミノタウロスと呼ばれる化け物がいたのだった。

殺意を顕にして襲いかかる巨大な怪物。それでもカルデアは怯むことなく迎え撃った。マタ・ハリが惑わし、シェヘラザードが気をそらし、勢いが鈍った攻撃をマシュが受け止める。そうして出来たその隙へと、ナポレオンによって強化された全員が攻撃を叩き込む。言葉にすればシンプルだが、飽和戦術とも言える数で押す人間の戦い方だ。

 

敵には圧倒的な力もあった、信じられないタフネスもあった。それでも攻撃が通り、足止めが聞くなら、カルデアという戦力で十分対処ができる強敵である。

 

しかし、彼は敵ではなかった。女神エウリュアレを守るためにこの迷宮を作り上げた、悲しき怪物であり、アステリオスという名前を持った人間だったのだから。

 

「気に入った、あんたらアタシの船に乗りな!!」

 

「そっちの女神さんからは面白そうな匂いがするし、そっちの男はよく見りゃいい男だ、凄い強いんだ用心棒になってくれないかい?」

 

そして、世界初の世界一周を生存して成し遂げた船長の大きすぎる器によって、彼女の船には同行者が2名増えた。それだけの話である。

やっていることは乗り込んでの略奪と脅迫なのに、不思議と嫌味を感じないその手際。それはマシュの心に不思議と良く残るものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりお前強いな!! 船持ち上げるのか!!」

 

「あり……がとう」

 

懸念されていたエウリュアレを狙う敵である、黒ひげ一行を何とか撃退して。穴の空いた船をアステリオスが、その怪力に任せて島まで運んだ。まさにギリシャ神話の怪物の活躍とばかりの怪力であった。

しかしながら、穴の空いた船と、自分たちより強い敵。そんな絶望的な状況を前にして、一先ず休んでからこの島を探索することになったカルデア一行は、船から降りて思い思いに過ごしていた。

 

そんな中、シンドバッドはアステリオスへと話しかけに来ていた。お礼というよりも称賛を送りに来たのである。

 

アステリオスは、その経験上人見知りであり、何よりも自分の力のせいで、誰かを傷つけてしまうことに忌避感を覚えている。

自分へと高圧的だが、優しくして名前を読んでくれるエウリュアレに特になついて共に過ごしていたが、彼女が今この場ではなく、立香とドレイクと話しているため、所在なさげに砂浜に座り込んでいたのだ。

 

「アステリオスっていうんだろ、戦いばっかで話せなかったな、俺はシンドバッド。好きに呼んでくれ」

 

「シン……ドバッド」

 

「シンだけでいいさ、よろしくな」

 

話しかけてきたのは人間だ。向こうにいるますたぁと呼ばれてる人物よりは強そうだ。それでも自分よりはきっと非力だった。暴れる自分を止めたアイツより弱そうだったのだから。

 

「シンは、こわく、ないの、か?」

 

「何で仲間を怖がらなきゃいけないんだ?」

 

先程の戦闘で、斧を持った敵と打ち合った。その時の自分の力は見ているだろう。その前に直接戦ってもいる。自分より強い怪物は怖くて当然だ。

 

「ぼくは、かいぶつ、だぞ」

 

「俺達に悪いことをしてないなら、怪物でも聖女ってやつでも変わらないだろ」

 

アステリオスは、何故か目の前のシンの言っていることがよくわからなかった。アステリオスは、ミノタウロスとして死んだ怪物だ。人類に敵対的な存在としてサーヴァントになっている。それはメデューサや、酒天童子と同じそういった役割を持つものなのだ。

 

「お前のこと、キャスターに聞いたんだ。俺知らないことがたくさんあるから」

 

「うん」

 

「さっきの迷宮で、子供を食ってたんだろ? でも今は味方じゃねーか」

 

それを知っているのならば、人間ならばわかるはずだ。えうりゅあれのような神ではないのならば、自分がこわい怪物だということは知っているはずだ。

 

「くっちまうぞ」

 

「肉がそれしか無いなら、俺も食う」

 

「シン?」

 

「子供を食うのが怪物なら、俺も怪物だ」

 

アステリオスはわからない、目の前の人間はなんて言った? 子供を食ったのか? それは人間の子供なのか?

アステリオスは、知識として知っている。今を生きる人間も、自分のいた頃の人間も、人間を子供を食べることは、かいぶつであることを。

 

「お前、俺に似てるんだ。俺も山の中で沢山殺して、沢山食べた」

 

そして沢山使った。シンドバッドは最後だけ小さい声でいってから、座っていてやっと目が同じ高さにあるアステリオスにもう一度話しかける。

 

「それしか食べれないんだ、仕方ないだろ」

 

「シン、それは、ちがう」

 

アステリオスは、何となく覚えていた眼の前の男へのむずむずの理由がわかった。自分と違うのだ。知らないまま沢山殺して食べたことが、嫌で嫌で仕方がなかった。そう思えるようになった今の辛さを、彼は感じていないのだ。

それは怒ることでも羨むことでもなく、不思議なことだった。

どうしてそんなふうに笑えるんだ。

 

「しらなくても、たべた、しらなくても、わかってた」

 

「戦って倒して食った。どんなに弱くても戦って食った。死んでたのを食った。そうしなきゃ死ぬから」

 

そこが二人の大きな違いであった。最初から狂った化け物だったアステリオスと、狂った化け物になったシンドバッド。二人の出す結論は、お互いの考えるものの外側にあった。

 

「まあ、今はまずあの黒ひげを倒す。それが先だ」

 

「そうだ、な」

 

それはアステリオスにもわかることだ。自分をミノタウロスと呼ばない人間は、凄い嬉しい。大切なのだ。だけれど自分と同じかいぶつは、彼にとってはどうすればいいかわからなかった。

 

だから言われた通り、エウリュアレと一緒にいる。それが彼の出した結論だった。

だから、彼は自分の考えのまま、自分にできることを最後までやり遂げることになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと仕事が立て込んで短いです、
今日も忙しいので、明日はお休みするか短いのになるかもです。


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裏:アルゴノーツとの初戦について

毎度多くの閲覧ありがとうございます。
皆様の感想や無言の応援に何時も励まされております。
その力で、仕事をサボりながらかきあげました。


アルゴナウタイ。それは船乗りならば、冒険を憧れたものならば、一度は何かしらの形で名前を耳にする、ギリシャ神話の中でも有数の存在だ。

 

アルゴノーツともいわれる、アルゴーに乗り込み、神の加護を受け、神の啓示で集められた材料の船は、多くの島々を回り、問題を起こしながら解決して、不可能といわれた冒険を成し遂げた。

アルゴー船以外でも既に伝説を打ち立てているような英雄が集まるという、信じられないような状況だからこそ、その物語は後世まで語り継がれているのだ。

 

そして、その伝説が今彼らの目の前にいた。

 

カルデアは、黒ひげが隠し持っていた聖杯を奪取したヘクトールを追いかけて、ついにこの特異点で倒すべき敵というものを見つけた。それがそのアルゴー船だったのである。

 

船影が肉眼ではっきり見えるようになった時から、立香は思わず隣にいるマシュの手を握っていた。それは恐怖からでもあるが、隣にいる少女を離してはいけないという喪失への恐怖であり、ともに奮い立つためであり、逃げるためのものではなかった。

 

この距離からでもみえる船の中央に直立する巌のような男、アステリオスよりは小さいのであろう。だが、存在感威圧感という意味では、アステリオスなど比較にもならない。

 

『アルゴノーツ。そんな、僕たちの敵はヘラクレスだというのか』

 

通信の音声が入る。あまり世界史が大得意とは言えない人物でも、ヘラクレスは知っているものが多いであろう。ギリシャ神話の知名度だけで言えば、アキレス腱の語源になったアキレウスと並び破格の知名度を持つ大英雄だ。その大英雄が目の前の船にいる。その重圧はこれだけの距離を挟んでも伝わってくるものであった。

 

 

「よくやった、ヘクトール。まぁ子供のお使い程度こなしてもらわねばな」

 

「へいへい船長さん、これが頼まれた物だよ」

 

 

既に両方の船は、船二隻分のスペースを開けて平行に並んでいた。

敵は強大である。それでも、目の前の船に勝たなければ、人理修復はないのであろう。故に引くわけには行かなかった。

 

「それではわが友、ヘラクレス。あの船の女神を連れてきてくれないか?」

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

『ヘラクレスに勝てるわけがない、皆一旦ここは逃げるんだ!!』

 

なんの前触れもなく、無造作に戦端が開かれた。イアソンは、さも当然のように、この場にいる最強に指示を出した。それがすべての始まりだ。

咆哮と共に、ヘラクレスが黄金の鹿号へと飛び乗って暴れ始める。まさに暴風、とても人の形の存在が起こすものとは思えないほどの猛威が、そのままカルデアへと襲い掛かる。しかし、カルデアとドレイク海賊団も負けているわけではない。

すぐさま力では勝るアステリオスと、彼を支援するように謎のヒロインXオルタが切りかかる。

 

その様子を見たイアソンは、一度小さくうなづいた。

 

「ほう、テセウスのやつが殺したミノス王の牛じゃないか。よし、ポルクス、お前も応援に行け」

 

「……兄様?」

 

イアソンが、軽い調子のまま声をかけた女は、いうなればそう、喪失により狂っていた。目に正気が宿っておらず、何も見えていなかった。なにせ彼女は本来一人で召喚されることはない。

 

「違う、私はカストルじゃない……だが、向こうにでもいるんじゃないか?」

 

「兄様!!」

 

「全く、死んだ兄貴を追いかけて星座になるような女だ、狂ってしまえば見境がないぞ。それでも刃向かったアタランテよりはましか」

 

彼女は、ポルクス。人間に落とされ、神聖と不死性を一度失った兄を追いかけて、自身の神聖を分け与え、二人で星座へとなった。そんな逸話を持つ彼女は、一人でいることに耐えられない。

だからこそ、このような歪な召喚に応じた、いや応じさせられたのだ。

 

「んで、船長さん俺は?」

 

「お前まで行ったら誰が私を守るんだ!!」

 

「ああ、そうですね、おじさんはてっきりもう休んでいいのかと」

 

 

まるで彼らには緊張感などなかった、しかしそれは油断ではない。彼らの積み上げてきた数多の冒険からしてみれば、ただの障害物程度でしかないのだから。

 

 

「戦闘開始。マスター、指示を!」

 

「マシュ、防御を、何か突っ込んでくる。ナポレオンもマシュと一緒に足止め!」

 

「マタ・ハリはあのでかいのと戦う二人への援護!キャスターはあっちの船の一番偉そうなやつを狙え!」

 

一気に慌ただしくなる戦場。数の上では勝っていても、魔力供給という枷があり、なおかつ質という面では劣っているのは明確にカルデア側だ。

 

そして、間もなく飛び込んできた金髪の少女ポルクスはマシュの構える盾へと、光のような速さで飛び掛かり、その拳を叩き込んできた。

 

「ああ、兄様。そんな、兄様!! どちらに!?」

 

『立香くん! 彼女がポルクスって呼ばれてなかった? 』

 

ロマニは神話におけるポルックスと伝えられる存在と、目の前のバーサーカとの差異に驚いていたが、現場は冷静だった。

 

「マスター、ポルクスは兄カストルと共にふたご座になった英雄です。多分アーサー王と同じあれです」

 

「あれだね、わかった」

 

 

即座に順応するマシュと立香。デミサーヴァントの膂力をして、しびれるような重さの一撃だった。それでも踏ん張れば相手を止められる。しかしナポレオンが照準を合わせた瞬間に、マシュを射線上に割り込むように、ポルクスはステップを踏んだ。どう見てもバーサーカーの言動なのだが、戦いにおいては、その狂気は鈍らせるものではないのだ。

 

「食らいやがれ」

 

ポルクスが着地した瞬間、先程まで何かを口にしていたシンドバッドは一気に距離を詰める。もはや人間には目で追うことも難しいような速さだ。

彼に取って敵がどんな存在かわからないことは、何も問題はなかった。やることは1つだ。

あっちのでかい敵は、アステリオスがいれば、しばらくは保つけど勝てなさそうだ。それならば、早くこの女を倒してみんなで倒さなくてはいけない。

 

それだけを彼は思っていた。

しかし、無手で戦うことこそが最も得意な相手というのを、彼は相手した事がなかった。

シンドバッドの不意打ち気味の初撃は、しっかりとスウェーで避けられた。

そしてシンドバッドのがら空きとなったボディへと、ポルクスと呼ばれた金髪の少女より、彼の攻撃よりもなお早い拳が何度もまとめて叩き込まれる。周囲に響く音は単一に近いものであったが、殴られた側はわかる、これは連打だ。

とっさに身体の軸を無理矢理ずらして対応するものの、少女の細腕とは思えない、ありえない程のそんな力が感じられた。

 

 

「っぐぅ!! さっきの小さい海賊よりも重ぇ!! なんだこのバカ力女」

 

「シンドバッドさん! 大丈夫ですか」

 

『彼女はヘラクレス離脱後のアルゴー船で一番ボクシングが強い。パンチの届く距離で戦うのは無理だ! というか君は何で普通に立ってるんだ!』

 

強力な打撃だったが、それでも今のシンドバッドを殺すほどではない。パンチの軌道は見えなかったが、肩がぶれた瞬間にだけ衝撃だけが飛んできた。それならまだやれる。

シンドバッドは、マシュに一度視線を送り、再び敵に向かって走り出した。

 

「兄様を! 」

 

「いくぞぉ!!」

 

シンドバッドが前に出る、相変わらず女の拳は見えないが、ただ体がそう動きたいと思うように、経験と勘と本能に任せるがままに自身の腕を動かす。今度の打撃は左肩に当たったようだ。吹き飛ばされ、当然腕にまで痺れが走る。

だが、見えた。手は伸びてるわけでも、突然現れるわけでもない。すっごい力ですっごい早く殴っているだけだ。

 

ならばとばかりにシンドバッドは、三度走って近寄る。拳の届く距離は不利だとかそういうものではない。彼はポルクスが軽く踏み込み体が浮きあがった瞬間、自身の体を倒し、そして限界まで細く折りたたみ、地面に一体化するようにそらす。自在に撓るその身体はまるで蛇のように曲がっていき、ポルクスの攻撃が彼の体の上を通過する音を聞きながら、更に身体を回す。

クルリと腕を巻き込んで、合わせて組んだ腕を掌底を放つかのように、全身のバネを利用して全力で相手の胸元に叩き込む。

 

「ハァアアアア!!」

 

今まで此方を殴っていた剛腕の力を思わせないほどの、軽い柔らかい手ごたえと共に、ポルクスは2歩ほどたたらを踏む。その刹那を見逃さずに、マシュはずっと足元に力をためていたそれを開放し、一気に盾を押しつぶしに行く。

魔獣を殴り倒せるようなその勢いをサーヴァントの膂力でたたきつける。姿勢の崩れたポルクスはなおも抵抗するが、追い打ちのように、シンドバッドがマシュの盾に飛び乗るように蹴りを放つ。

 

「マシュ、シンドバッド! 今だ!」

 

ナポレオンのその声に二人が素早く飛びのく、ポルクスの両方のヒールが、船の床を踏み抜いて嵌っている。それは彼女たちにとって、殆ど影響がないが、確実に存在する致命的な一瞬の遅れを生んだ。

それでもポルクスはそんなことを気にしないように、構えを取ろうとするが、その一瞬の遅れが明暗をわけた。ナポレオンの神を落とす砲撃により、彼女はこの船より強烈に吹き飛ばされたのだから。

 

「はぁはぁ、はぁはぁ」

 

「状況更新。マスター、続けてヘラクレスを相手にしている人たちへの援護を」

 

アルゴー船よりもさらに向こうへと、とにかく殺すことよりも、吹き飛ばされるように叩き込んだ。まともに攻撃を食らった以上、幾ら狂戦士といえどもすぐには戻ってこれない。

 

だからこそ、このわずかな時間でヘラクレスをどうにかする。それが彼らには必要だった。

 

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

「うおおおっ!!」

 

 

しかし、既に時間は足りていなかった。ぶつかり合うバーサーカー達の戦闘はより苛烈になり、謎のヒロインXオルタが介入する隙間すらも無くなっている。

それなのに。

 

 

「────兄様を、兄様を返して!!」

 

はるか遠くに飛ばしたポルクスが、海の上を滑空するかのように、傷つきながらも向かってきているのを、サーヴァント達は目と耳で捉えていた。

 

そしてそれが、彼に最後の行動を決意させた。

 

「えうりゅあれ、まもる」

 

アステリオスは、ずっと行動を共にしていた、女神を一瞥だけすると、その力でヘラクレスに全力で切りかかった。その彼の一撃は確かに見事な物であった。

だが、彼はそれが意味のないことを一番理解していた。すさまじい轟音が鳴り響き、ヘラクレスが、あの大英雄がたたらを踏んだ。そして一瞬の静寂ののち、ヘラクレスは激しい咆哮を上げる。

 

「おや、さすがは音に聞こえた、ミノス王の牛。ヘラクレスを一度とはいえ殺して見せようとはね。でもまぁ彼は、12の試練をクリアしたヘラクレスは、最強でね。命のストックが12個あるんだ」

 

「そんな……」

 

ヘラクレスは、その逸話より自身への攻撃の殆どを無効化し、さらにその限られた攻撃でも、12回殺さないと死ぬことはないのだ。

だから、アステリオスのその全力の一撃は、わずかなスキを作るだけでしかなかった。

 

だが、彼にはそれで十分だった。ヘラクレスを上回る、地球上でも数少ないその怪力を用いて彼はヘラクレスを正面から抱きつくように抑えつけたのだ。

 

力はアステリオスの方が上、耐久も互角。だが、総合的な生命としての強さではヘラクレスの方が上。

それでも組み付いて離さないことは出来ている。巨体同士が、その場に縫い付けられたかのように、その場で意地と力を比べているのであった。

 

「おっと、ポルクス戻れ」

 

「兄様!?」

 

「いまなら、あの面倒な牛を殺せるな、ヘクトール」

 

「はい、イアソン様、ポルクスさんこちらに戻ってきてください」

 

アルゴー船まで、ポルクスが戻るが、イアソンはメディアを見ながらポルクスにそう命じた。彼女はアルゴー船の上で、一度その動きを停止する。それはただ、命令されたからであり、彼女の意思とは別であった。それでもイアソンを守る盾がもう一枚増えたのだ。

 

不毀の極槍 (ドゥリンダナ)

 

ヘクトールのその投槍が、ヘラクレスごとアステリオスを貫いた。胸元を貫通。サーヴァントの核と言えるものに、必ず致命的な損耗を与えている、誰もがそう思える一撃だった。

 

「ぐぅぅっ!」

 

アステリオスは確かに頑丈だ。だが、彼には12の命のストックなどない、ただ神の牛の血が入ることによるタフネスがあるだけだ。それでも彼は、ヘラクレスを離すことはなかった。

 

「おいおい、あれで死なないとか、おじさんも驚きだよ」

 

「ぼくは、ひとを、くったぁ!!」

 

彼はまさに、血を吐きながら叫んでいた。やりに貫かれ、大英雄になぶられながら、それでもその拘束は緩むことはなかった。

 

 

「アステリオス!!」

 

エウリュアレは、何事にも冷たく気怠げに人を誑かして遊んでいた女神は、感情をあらわにしてそう叫んでしまった。

 

「何を言ってるの! 早く逃げなさい!!」

 

 

それは誰が見ても不可能なことはわかっていた、だが、今戻らないと彼が死んでしまうこともわかっていた。つまり、既にアステリオスが助かる見込みは、彼抜きで、この一瞬でヘラクレスを倒すしかないのだ。

 

それが不可能である以上、彼が意識をもってヘラクレスに組み付いている限りが、ここにいるカルデア全員の命綱であった。

 

 

 

「しらなかった、でもくったぁ。わるいこと、した、ぼくは、かいぶつだ」

 

「えうりゅあれ、ますたぁ、ましゅ、みんななまえをよんで、くれた」

 

「ぼくの、なまえ、あすてり、ぉす」

 

「にんげんに、もどれた、うれし、かった」

 

ミノタウロスと呼ばれ、恐怖され、閉じ込められて、9年に一度の子供の生贄を食べた化け物。3度めの生贄に紛れた英雄の機転により討伐された人間の敵。

彼は、彼にとっては雷光を意味するそのアステリオスという名前を呼ばれること。それだけで彼の全ての願いを叶えたも等しいのだ。

 

だから彼はその献身を名前を呼んでくれただけの人へと捧げるのだ。

 

 

「でも、かいぶつは、たおされ、なきゃ」

 

「わるいこと、したら、ばつを、うけなきゃ、いけない」

 

彼は最後の力を振り絞るように、ヘラクレスを持ち上げると、力の限りの雄叫びをあげて、その身を船の縁まで運ぶ。

 

「しん、ぼくは、さきに、いくよ」

 

そしてアステリオスは、船より飛び降りた。腹に刺さった矢を抜けないように、深く自身の体に押し込んで、ヘラクレスと繋がりつつ、全力をもって大英雄を握りしめながら。

 

「野郎ども、船を出せぇ! 用心棒が男を見せたんだ! 無駄にするなよ!!」

 

ドレイク船長のその声が轟き、すぐさま船員たちは行動へと移る。

残酷ではあるが、それが最適解でもあった。エウリュアレは無意識に伸ばしていた手を胸元に戻すと小さくつぶやく。

 

「馬鹿ね、名前を呼んだだけなのよ。それがあの子にとっては何よりも大事でうれしかった。それだけのためにあの子は」

 

 

 

「っち、やられたな。あのバカ牛なら、ヘラクレスを半刻は拘束してるだろう。その間は船を動かせない。どいつもこいつも、何で俺の言うとおりに動かないんだぁ!!」

 

「ご安心ください、イアソン様、彼らには魔術でマーキングを施しております。何よりも女神を手にした彼らと、あの船長さんの元に、最後のパーツが集まるでしょう。あなたはそれを座して待ち、全てを手に入れればよいのです」

 

「ああ、その通りだメディア。よし、ヘクトール、ポルクス。一度体を休めろ。ヘラクレスが上がってきたら出港するぞ。船速は向こうの方が早くても、場所が分かるならその内追いつけるからな」

 

イアソンは、多少機嫌を損ねたが、そのままそう締めると、自身の椅子に腰掛ける。

彼の中には既に、自分が王となった、理想の王国。どんな英雄も恐れられずに民は安寧を得て暮らせる。自分をたたえる民の国の姿が見えていた。

そのような物は存在しないにも関わらずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「怪物は罰を受けなきゃいけないか」

 

「マスター」

 

 

戦闘が終わり、貸し与えられていた船室で少し休むことにしたシンドバッドは、二人のサーヴァントと共に体を休めていた。

ここには船員も近寄らない、魔が差して近寄ってくることもない。腕っぷしで他の船員を黙らせているので、この部屋の宝は船長の次におっかないと共通認識があるからだ。

 

だからこそ、先ほどのアステリオスの辞世の句は彼の心にゆっくりと染み渡る時間が作れていた。

 

「マスターも、そう思うの?」

 

アステリオスの言葉は、とても簡単だった。あれを理解できないという道理はない。彼は単純に、皆のために自分を犠牲にした。それだけである。

だが、それをしたいと思った動機は、みんなと一緒にいることが、エウリュアレと一緒にいることが楽しかったから。名前を呼んでくれて、人間として扱ってくれたのが、暖かかったからなのだろう。

 

あの行動も必要だった。少なくともアステリオスでなければ、2名以上のサーヴァントが足止めのために残る必要があった。一人でヘラクレスを抑えることができるのは、アステリオスだけなのだった。

だけど、最後の言葉、それは彼がそう望んで自らを犠牲にした意味の部分だ。

 

悪いことをした怪物は罰を受けて、討伐されなきゃいけない。

 

アステリオスを討った英雄テセウスが救いたかった、無辜の民、子供、そういった弱い物。それらを脅かしたのだから当然なのだ。しかしその脅かしたものが、子供だっただけなのだ。

 

「いや、俺には罰を受けなきゃいけないっていうのが、わかんねぇ」

 

アステリオスは、ミノタウロスから人間になりました。めでたしめでたしではなく、人間になったから、怪物を辞めなきゃいけなかった。怪物は討伐されて初めてお話を終わりにできる。

 

アステリオスにとって、子供を食べた時点で、どんな形であれ、自分は誰かに討伐されるものなのだ。

 

 

「二人には言うけれど、俺はずっと人とそれに近いものを食べて殺して食べてきた」

 

「そうしないと死ぬからだ。子供の間は、それがおかしいことだと思わなかった。大人になって、それはダメなことだとわかったが、止められなかったし、悪いという気持ちもなかった」

 

悪いことだとは、少しだけ聞いていた。だがそれは仕方のないことだ。弱者ほど這い上がるのが難しいように、強者程頑張りをしなくても多くの物を得れるように。ただ理不尽に必要なことであるだけだ。

 

「俺は、今まで食べてきた人間を無価値にしちゃいけない。だから俺がすごいことをしたら、自分の食べ物になった人間は、俺のためになっていたことになる」

 

「そう、逆説的、ってやつだ。その為に俺は戦って、強くなっていた」

 

「そうしたら、強い俺が役に立つ、今みたいな世界の感じになった」

 

「俺は、うれしかったんだ」

 

アステリオスにとっての贖罪が死ぬことならば、シンドバッドにとっての贖罪は生き抜くこと。それだけの違いだった。しかし、本来罪を償うのは楽しみながらしてよいことではない。自身がどう苦痛を受けて、それにより自分が納得できるかが大事なのだ。

 

そういう意味では、シンドバッドにとって、アステリオスとの出会いは、最悪の中の最悪の物であった。

 

どこだかわからない所にいた彼が、落っこちていたことを知って、ただただ楽しく這い上がっていくだけの人生を始めだした時に。

落とされたアステリオスは、落とされたのならば、最後まで落ちていかなければならない。そう言って本当に底まで転がり落ちていったのだ。

 

「マスター、それでは、あなたは人理修復を辞めるのですか?」

 

「いや、やめねぇ、もう止まれねぇよ」

 

「それじゃあ、マスターはつらいこと、痛いことがしたいの?」

 

「楽しいこと、気持ちいことだけをして、そのまま、食ってきたやつらを引っ張り上げたいんだ」

 

そう、結論は変わらない。彼はもう今から背負った荷物と一緒にそこまで戻ることはできない。登り始めたのならば、この荷物を天辺まで届ける。それしかできないのだ。

それしか道がなかった彼は、隣で荷物をかばいながら落ちていった先達を知ることによって、周りが見えるようになってしまった。

 

それは、ある意味、彼が人間として本当の意味でスタートラインに立った証だ。

周回遅れもいい所ではあるが、それでも彼はそのレースを走り切り、勝ち残ることが必要なのだ。

 

「シェヘラザード、マタ・ハリ。二人とも大好きだ。リツカやマシュにナポレオンも好きだ……でも、アステリオスは、格好良いけど、嫌いになっちまったかもしれねぇ」

 

お互い必要があれば、自分を犠牲にして状況を打破する考え方なのだろう。だが、そこにアステリオスは罰と報いを求めて。シンドバッドは自分の意義と価値を求める。その点だけが決定的に違うのだ。

別れ方が別なら、きっと二人は親友になれたであろう、二人の怪物は、相互の在り方の差によって決定的な違いがあった、ただそれだけだった。

 

それは言葉にするのならば、人生で初めての明確な自己嫌悪だった。

今まで強敵を前に揺らいだことも、傾いたこともあったが、それでもまっすぐだった彼が、一瞬振り返ってしまった。後ろにあるものを見てしまったからこそ漏れてしまった。本当の弱音だった。

 

 

 

 

 

 

 




ポルクスちゃんが兄様しか喋ってない……
離して召喚してなんだけど、逸話考えると離したらこうなるよなって

あと、シリアスな戦闘の地の文で、謎のヒロインXオルタは空気壊すってレベルじゃないからやめてほしいけど、仕方がない。


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裏:英雄を超えるということ

ポルクスちゃん、ヒール履いてるじゃないですか。
身長兄様と同じじゃないですか。
高さおそろいにするために高いヒール履いてるって考えると、むっちゃ可愛くないすか?




『もう一度作戦を説明する」

 

『この作戦の肝は、いかにしてヘラクレスをアーク、契約の箱に叩き込むか。触らせるかということだ』

 

『アークはダビデ王以外が触ると、それを捧げてしまう。だから、最後は彼に任せることになる』

 

『敵はヘラクレスとポルクス。ギリシャ有数の英雄たちだ。同時に相手をするのは不可能だ。だから、チームを2つに分ける』

 

それは作戦会議であった。いや、作戦の確認であった。既にマスターたちは予定している位置についている。同様にサーヴァントも所定の位置にいる。

現在のカルデアの戦力はアステリオスは減ったものの、イアソンより離反したアタランテと、ダビデ王が合流していた。そして、それこそが最後のピースを埋める一手が打てるものだった。

 

「あのポルクスは正気を失っている。私にもわかる、同じものをフランスでされたからな、その節は迷惑をかけた」

 

『シンドバッド君とそのサーヴァント、そしてアタランテは、ポルクスを誘引、足止めをしてもらう』

 

『残りのメンバーはヘラクレスを足止めして、1度殺して、その隙にダビデ王の聖櫃にヘラクレスをささげる。言葉にすれば単純だけど、どちらも耐え忍ぶ戦いになる。全員無事に帰還してくれ、藤丸君は脚のストレッチを欠かさずにね』

 

 

『シンドバッド君も無茶はダメだ……でも、さっきみたいにためらわないで使うことを許可するよ』

 

ここに最後の作戦は始まった。

 

 

 

 

「兄様は、兄様はどこ!」

 

「キャスター、マタ・ハリ、アタランテ、来るぞ!」

 

口に含んだキメラの肉。その瞬間体の中の何かが、食べたものこそが自分の肉であると、そう叫ぶかのように性質を変えていく。小さな竜かもしれなかった彼の体は、凶悪なキメラのような力を蓄えていく。見た目に変わりはない、だが、体はどこまでも冷えるも力がみなぎり、そして何よりもひどい空腹を覚える。

今ならきっと魔が差す────人が美味しそうに見える────ことはないであろう。それだけは安心できる。自分が怪物になったら、怪物しか食わなくなるのだ。気にすることはないのだから。人から離れるほどに禁忌から逃れられる。

 

荒れた山肌。歩く程度ならともかく、激しく走ったりすれば、足を取られてそのまま転がり落ちてしまいそうな、そんな場所。そこで神代の女狩人、アタランテは待ち構えていた。彼女にはこの程度の斜面は平地と同じように走れるし戦える、そんな彼女が遥か遠くのポルクスめがけて正確に矢を放つ、それが戦闘開始の合図だった。

 

叫び声からわずか数秒で、明確な敵意がこちらに向いたことがこの場にいる4人は感じ取れた。一息整えるだけの余裕はあったが、殆ど気休めだろう。ここにいる人間はただ一人、彼は既に覚悟をしっかりと決めていた。

先ほどは、マシュとナポレオンという3人で抑えられたのだ。今回は4人もいる、問題はない。そう思えるだけ彼は壊れていた。

 

「兄様ぁ!! どちらに!?」

 

「うるせぇ!」

 

そして戦端は開かれる。シンドバッドは傾いた斜面を事もなく踏みしめて走り出す。彼にとって、地面が水平であることのほうが違和感がある程度には、山で人生を送ってきているのだ。この場で数で敵を叩けることは、何よりも追い風である。

 

本来争いというのは高所をとる方が有利とされている。弓の射程も、視野の広さも、突撃時の突破力も、走破時のスタミナ消費も。何もかも高所に勝るものはない。それはこの場にいないが、ナポレオンのかの有名な三帝会戦を紐解けばよく分かるであろう。

シンドバッドもそれは聞いていたし、何よりも本能でもわかっていた。それでも彼は、低い方を選んだ。理由は簡単だ、敵が拳で戦うからだ。

さっき何度か拳で殴られた時に彼はわかったのだ、自分の強みで戦うのでは勝てない。相手をとにかく弱らせる。そうしないと戦えないと。

相手の主兵装が拳である以上、上から来るものへの迎撃に優れている。脚での攻撃もいなされるし、低い位置への攻撃への対処は攻撃と同時には出来ない。

この場は可能な限り相手に不利な環境を押し付けたのだから、シンドバッドはそれを全面に合わせるべきだ。そう、本能で感じ取っており、そしてそれは正解であった。

 

降り注ぐ拳をしっかりと受けて、胸元から腰目掛けて全身で突進をすれば、直様後ろへと飛び退き、アタランテの矢を避ける。理想的な流れ、それが出来ているのだから。

 

「────そして、一斉に襲いかかったのです」

 

「うふふっ。誘惑はお嫌いかしら?」

 

英霊のスペックをもってすれば、それも古代ギリシャにおける有数のそれであれば、地形の不利などはたいして気にもならない。だが、目の前のそれなりに固いだけの人間だけではなく、同じ時代を女だてらに生き残ったアタランテが常に狙っている。その上で、よくわからない小人や、意識をそらそうとする踊り子が彼女を妨害している。

 

濁った意識でポルクスは思う、致命的な攻撃は全て余裕をもって防げている。いや、それはあくまで、彼女の状況の打破を図る技を撃つリソースをそこに割り振らざるを得ない状況に陥っているからだ。

 

シンドバッドは、雨のように降り注ぐ拳をしっかり視ながらそれを手で捌いて躱していた。先ほど食した白いキメラの肉は、彼を一時的にだが『観える』ようにしていた。

熱だ、彼は熱源を感じ取るように、降り注ぐ拳を感じ取っている。早いし、多い。だけれども、あの前にいた場所で、気まぐれに、降り注ぐスコールと雨を全て避けようとした無意味な特訓を思い出す。それは、こんなところで彼を救っていた。

 

顔に当たりそうなものを横に外し、そして一瞬目的を見失った腕を掴み関節を取りに行く。気功によるマッサージがきくのだから、サーヴァントにも関節技は有効なのは当然の理だ。

しかし掴んで数瞬もすると、ポルクスは危機感を覚えるのか、即座に腕を振り払いに来る。そしてシンドバッドの空いた身体に追撃を入れようとすると、アタランテの弓が襲い掛かり、仕切りなおされる。

その繰り返しだった。

 

「兄様、兄様……にいさまぁ……」

 

「うるせぇ! さっきから、お前は何も見ないで、自分の事ばっかりじゃねぇか!!」

 

「シンドバッド、バーサーカーとはこういうものだ……いや、生前も割と似たようなものだったな。本当あの船は……」

 

「あら? 兄妹愛なんて素敵じゃない」

 

「あぁ、兄弟が兄妹となり、関係性が変わった事を、どうマスターにお話すればわかってもらえるのでしょう」

 

シンドバッド側は、勝てる気こそしないものの、負ける気はまだしないため、軽口を叩く余裕はあった。

しかし、シンドバッドは冷静に戦闘をしていたが、それでも内心は荒れていた。目の前の女のように、盲目に欲しいものを求めたかった彼は、いや、求めていた彼は、アステリオスの散り様を見たからこそ、苛ついていたのだ。

 

何が兄だ。一緒に戦っているアタランテから話は聞いた。

一緒に星になるほど仲の良かった兄妹。それがいなくなっていると、彼女はあのように不安定だったと。

カストルがヘラクレスと技を競っているときの彼女を、何倍も酷くした感じだ。霊基を無理やり歪まされての召喚なのであろうと言っていた。

キャスターが噛み砕いてくれないと、よくわからないのだが、そのカストルという兄がここにいないことだけが、彼女の原動力なのだろう。それ故に真っ直ぐ追いすがって、邪魔なものを殴り飛ばしていくのであろう。

 

宝具とかいう必殺技は、恐らく王を殺した連撃か。星座になったエピソードのように、自身が死ぬ代わりに、対象をも殺す何かであろう。そう当たりがつけられていたが、発動するような兆候は見られない。

 

このまま押し切ればよいが状況は膠着していても、ダメージはほとんど与えられてなく、唯一の前衛シンドバッドの消耗を考えれば、こちらが不利なのは明らかだった。最も、時間を稼ぐことだけを考えれば、なるほど余裕はあるのであろう。

 

それでもシンドバッドは果敢に攻め続ける。上から来る拳を避けるのならば、体を低くすれば届かない、そして彼の得意技はそうして地面に這うようにしてから始まる。

斜面と一体化したのではないかという姿勢から、足首をそして膝をしならせて、斜面に横たわりながら、急速に前方への蹴りが放たれる。全く別の思想と宗教形態より生まれた格闘技の多くは、ポルクスをして初見の動きである。

彼の狙い、それは先ほどの戦いで見えた彼女の隙。まるで戦闘に向いていない、不安定な靴。美しいシェヘラザードと同じヒールの細い部分を明確にとらえていた。

攻撃の当たった刹那、アタランテも併せるように矢を放つ。ポルクスは、それを避けるため、崩れた姿勢から、さらに不安定な体をひねる。顔と足への同時攻撃こそ躱したが、一瞬彼女は、無防備に地面にあおむけに倒れこむ。

 

「いい加減黙れ!! このバカ女!!」

 

シンドバッドは、その隙を逃さず、一瞬で上体を立て直し、鞭のように撓らせた右の拳を、背中側から左肩を触るほどに引き絞って、ポルクスの顔面へ全身全霊を込めて振り下ろした。

それは、殺しうるものではないが、明確なダメージである。だが、それよりもサーヴァントの顔へとクリーンヒットを当てた、そのことの方が重要であろう。

 

「兄さま兄さまうるせえんだよ、このバカ女!! いい加減黙りやがれ!! 此処にいねぇっつってんだろ!!」

 

地面にバウンドして、それでも立ち上がったポルクスは、一瞬呆けた表情を浮かべて、シンドバッドをその目で捉えると。彼女は、何事もなかったかのように、再び構えをとる。

 

「兄さまは、私を殴りません!」

 

「それがどうした! バカ女! 正気に戻りやがれ!! 見たいものしか見てないやつが、今ムカつくんだよぉ!!」

 

「シンドバッド、待て! 早まるな!」

 

再び組み合うようにぶつかる二人。賢くまとめた拳闘と古い武術のぶつかり合いではなく、唯の力のぶつかり合いのような組み合いだ。斜面へ転がり落ちては、立ち上がり、相手へと掴みかかる獣のような戦い。もはや支援ができないシンドバッドのサーヴァントとアタランテも見守る中、だが、狙い通り状況は膠着していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マシュ、後少し踏ん張って!! えっちゃんはマシュのフォロー!」

 

森の中、こちらはヘラクレスという、誇張なく敵味方認めるギリシャ最大の英雄と相対していた。どんな暴力をもはじき返すような、絶対的力を持った大英雄。それを立香はたった6名のサーヴァントで戦線を支えていた。

 

そのうちダビデは、気まぐれに投石だけをして、明確に一息半で動ける距離を保っていた。彼の仕事は、最後の一手なので、仕方がないと言える。だが、彼が切り札だということを悟らせないために格好の形で支援をしていた。

 

近づいて戦っているのは、マシュとえっちゃん、そのたった二人であったが、不思議と持ちこたえられていた。

それは様々な要因が合ったが、最も大きいのはヘラクレスの殺意がすべて、上空のエウリュアレへと向いているからだ。上空には、アルテミスとエウリュアレが矢を射かけている。エウリュアレの矢は魅了される以外ダメージはないが、アルテミスの矢は、確かにその大英雄を傷つけるもので、その対処に追われているのだ。神の攻撃はどれだけ規格を落とされても、ヘラクレスは負けなくとも無警戒ではいられないのである。

 

何よりもヘラクレスは、後方で常にこちらへ銃口を向けて力をためている男、ナポレオンにも意識が向いてしまう。上空のアルテミス、後方のナポレオン、どちらも彼を何度かは殺しうる攻撃である。

そして上空の牽制と援護とは異なり、ナポレオンの方は次の瞬間にも発射されかねないのだ。

 

それらのすべての条件が重なってようやっと、マシュは防御に徹して、えっちゃんは妨害に徹することができていた。ヘラクレスは鈍ってもなお、戦闘者としては優秀であり、このコンビネーションをまとめ上げている存在を強くにらむ。身体に張り付くような珍妙な服を着た、婚姻が結べるかどうかの年若い少年だ。

 

あの少年の鋭い目が、危うくなった部分へと手入れをして、この均衡を釣り合わせている。だが、無理やりにでも狙いに行くのは、攻撃を構えている帽子をかぶった男が怖い。1度や2度の命であれば問題ないが、あれは神を殺す武器。この身であれ、安々と受けてはいけないものだ。そして上空の女神も警戒するべきだ。

 

そう鈍った理性と本能に近い嗅覚で判断して、ヘラクレスは、まずは自分が動こうとすると妨害に回る、目の前の小娘二人への対処へと意識を戻す。

 

「■■■■■■■■■■■ーーー!」

 

 

今は確かに釣り合っているが、盾を構える少女は、だんだんと疲労をためているのも彼には見えていた。ならばとばかりに、周辺の木をなぎ倒しながら、大きく距離を取り、そして再び斧剣を叩き込む。

 

「ぐ!」

 

「マシュ!!」

 

「いえ。先輩、まだいけます!!」

 

「無茶するな、一旦下がって!」

 

 

立香もこの状況の難しさを痛感していた。今マシュが少し抜けたことにより、えっちゃんが雷撃での牽制ではなく、文字通り切り結び、鍔迫り合いでの勝負になってしまっている。

なにせ事前に彼女は言っていた。

あんな筋肉の塊みたいのと、私をまともに戦わせないでください。と

故に、立香は、雷撃の牽制中心に頼んでいたが、それでもこういう状況にはなってしまった。

 

(シンドバッドは、もっと少ない仲間でどうにかしてるんだ)

 

立香はヘラクレスの恐怖も強さも知っている。仲良くなったばかりの友達が目の前の男に殺されたのも知っている。許せないという感情はある、だけどこれは仇討ではない。

 

友達は立派に戦っていた、だから自分も負けられない、それだけだ。シンドバッドも囮を引き受けて遠くで自分が壁になって戦っているはずだ。だから自分もここで役割を果たさないといけない。だからロマンにも相談して、ここにこうして立っているんだから。

 

そして、ついに待ち望んでいた状況が訪れた。

 

えっちゃんがヘラクレスの豪腕で弾き飛ばされ、直線状に自分たち、ヘラクレス、えっちゃんと並び、自分のそばには消耗したマシュしかいない。

 

優先的に潰すべき指揮官との遮蔽物がなくなったヘラクレスは、そのまま地面を陥没させるほどの勢いで踏み込み、一気にこの状況の要へと迫る。リツカの判断は早かった。パスを通じてナポレオンへと指示を出す反応速度は褒められて然るべきだ。だがヘラクレスはそれよりも早かった。

持っていた獲物である斧剣をナポレオンへ向けて、片手で投擲したのだ。ヘラクレスは男性一人を街一つより遠くに投げ飛ばせる。投げられた剣は正確にナポレオンへと迫っていく。それによりナポレオンは、砲撃を一度辞めて、背後へと退避行動を取らざるを得なくなる。

すぐさま着地し再び構えるが、既に間に合わない。上からくる女神の矢も、すぐに来るのは、牽制程度の力だ。肩に何射か刺さるがなにも問題はない。ヘラクレスが不死の獣を含む数多の化け物を沈めてきた拳を振り上げたその瞬間。

 

「やれ!! えっちゃん!」

 

リツカはナポレオンへ指示を飛ばすよりも前に、令呪を切っていた。ナポレオンも勿論本命だったが、最初に切った札は完全に背後からのえっちゃんの宝具による強襲だった。

 

「オルトリアクター臨界突破! 我が暗黒の光芒で、素粒子に還れ! 黒竜双剋勝利剣(クロス・カリバー)!」

 

その一撃はセイバーである可能性がある者を殺す一撃。A+ランクの宝具はヘラクレスの命を一つ刈り取った。見事な奇襲であった。しかしそれは、刃により背中を切り裂かれるものの、ヘラクレスの持つ勢いまでは殺せていない。

ヘラクレスは、一度死んで濁った意識のまま、もう目の前に迫った盾の少女ごとその拳を少年へと叩きつけた、瞬間。

 

 

「オーダーチェンジ!」

 

「やあ、大英雄、そしてさようなら」

 

いつの間にか桃色の髪の少女は、緑髪の男へと変貌していた。それが彼の最後に見た光景だ。契約の箱。そう呼ばれる触れてはならない禁忌に、ヘラクレスは触れてしまったのだから。

 

 

「状況終了。先輩、やりましたね!」

 

「うん、服を変えておいてよかったよ」

 

マシュが駆け寄ってきて、やっと綱渡りの作戦が終わり、一息つく。しかし戦闘は終わっていない、次の敵へと立ち向かう時が来ただけなのだから。

 

「あ、アタランテちゃんがピーンチみたい。ダーリン、行くわよ!!」

 

「おい、ちょっと俺も休ませろ、いや大したことしてないけどってわあああああああ」

 

早速頼もしい援軍が行ってくれたようで、一安心した立香はパスを通じて話すことができない仲間へと大声で話しかける。

 

「ドレイク船長!! 終わった!!」

 

「あいよー! なんだい、アタシの出番はなかったってことか」

 

立香はヘラクレスを1度打ち取れる4つの方法があった。

見せ札のナポレオン、切り札のアルテミス、伏せ札のえっちゃん。そして最後盤外の隠し札がドレイク船長の宝具ともいうべきその艦隊による攻撃だった。

 

その為彼女は、この森を砲撃できる場所に船にて停泊して船員と共に照準を定めていた。最悪の場合、この島を挟んで反対側に来るであろう、アルゴー号から速やかに逃げるためでもあり、2重の意味で保険だった。

 

ともかく、最大の敵へラクレスを撃破したが、まだ戦いは終わってない、それでも

 

「シンドバッド、俺もやればできるだろ」

 

男の子として少しだけ見栄を張れたことが、彼にとっては嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

「……ああ、兄さま。また貴方と一緒に」

 

「っち、最後まで狂ってやがった」

 

「人間よ……我らを……」

 

「シンドバッドさん、これで終了ですね」

 

宝具を打っていたが、令呪の支援もあり、消耗は少なかった謎のヒロインXオルタがポルクスを切り裂いて、この島の敵性戦力は撃破し終えた。

 

その瞬間糸が切れたかのように、シンドバッドは座り込み、彼のサーヴァント2名も近くの石へと腰かけた。身体を変質させて、肉弾戦をして、令呪を2画切って宝具を打たせたのだ。

アタランテはまだ余裕こそあるようだが、この時は体を休めるべきであろう。

 

「ありがとう、たすかったぜ、リツカのナゾノヒロインなんとか!」

 

「よびにくいならえっちゃんで構いませんよ、シンドバッドさん」

 

「えっちゃん強えな、俺は20発は殴ったけど倒せなかった」

 

超常の力が暴風のように切り割いて森に広場ができたヘラクレスの戦場に比べれば、多少斜面が削れている程度のこの場所は、彼女のマスターの戦いより小規模であったのだろう。

それでもアルゴノーツの一員をアルゴノーツの支援を受けて、この場に留めていたのは事実である。

 

「やはり貴方はダークラウンズに入れる素質がありますね、後はオルタのサーヴァントを引ければ良いでしょう」

 

「よくわからんが、ありがとな」

 

 

残るはイアソンとメディアにヘクトールの乗るアルゴー号だけだ。

カルデア一行は重い体を動かして、黄金の鹿号へと脚を向けるのであった。

 

 

 

 

 




次からロンドン準備編

アンケートご協力ありがとうございます。
厳正な調査の結果、4割近い方がシェヘラザードを交換してくださるようで、何よりです。

真面目な話をすると、ちょっといちゃつかせ過ぎたな、話も進んでねぇ。
多分3が多いだろうけど、1はどれくらいいるんだろ?
的な気持ちでお尋ねしたら、まさかの結果で、かなり素で驚いてます。
いや、確かにそういう話のほうがアクセス多いなーとかは思ってたんですが、誤差だよ誤差でしたし。

私の過去の拙作を読んでる稀有な方がいらっしゃたらわかると思うのですが、
イチャコラさせなさすぎで、お叱りを食らった事もある作者なのです。
それをすっかり忘れてました。

ネタ選択肢を入れてましたが、非常に有意義かつ参考になる結果が取れました。
ありがとうございます。

貝殻は72個いりますので、皆さんもスキルマまで育成頑張ってくださいね。


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第四特異点 死界魔霧都市 ロンドン
(帰還)~(好感度稼ぎ)


邪ンヌ引けたけど、ルーラーは何時も土方さんで処理してるので新選組です。


霧が出てきましたねぇなRTAは~じまるよー。

 

前回はオケアノスを攻略したところまででした。

 

今回でシンドバッド君はかなり強化されましたね。サーヴァントは上限に対してレベリングで戻っていく形ですが、操作キャラは雑に強くなっていきますから、致し方ないのですが。

イージーモードだと特にですが、2週目以降に慣れた人がしっかり効率を考えてプレイするとマスターの戦闘能力って持て余すほど伸びるんですよね。

 

藤丸君はそのリソースがすべて魔力とかのキャパシティに向いているので目立たないですが。操作キャラは偏らせるので、如実にとがった性能のキャラにビルドされていきます。

 

戦闘力は勿論ですが、称号『自慢の拳』を取る上でのレギュレーションなので、帰還デブリーフィングしている間に、このへんで一度確認をします。

当然のように途中経過で貰える称号はいくつもあるのですが、フランス特異点の時に最後ポコポコ出てたみたいでうざかったんで、獲得通知を切ってたんですよね。

 

 

────称号『ロンディニウムの騎士』が解放されました。

────称号『嵐の航海者』を獲得しました。

────称号『双神の視線』を獲得しました。

────称号『宝具チェイン』を獲得しました。

────称号『ワイバーンハンター』を獲得しました。

 

うわ、めちゃくちゃ出る。えーと……はい、自慢の拳の進捗は52%。目標45で、40切ってると再走案件でしたので、かなり良いペースです。ただ今後出てくる敵を考えると厳しい物があるので、これからも油断せずに行こう。

 

まだ話していて時間も余ってるので、回収した素材を確認。

ふむ、特異点クリアのボーナスアイテムも含めて色々ありますが、見所さんがいない。大したことないですね。

触媒系アイテムも雄牛の革紐に、マストの切れ端のみ。どの船だかわからないと使い道がないじゃないか。後で全部素材として渡してしまいましょ。

 

 

 

話も終わったようで。さて、ついにやってきました。大事な大事なレギュラーメンバーの召喚最後の枠です。

 

操作キャラが一度に連れ歩けるサーヴァントは3人まで。藤丸くんはイベント特異点を攻略すると6まで増やせたりしますが、RTAでは意味ないですね。

育成の手間も考えると、基本的にこのオケアノスが、最後の戦力の召喚になります。

ただし、今回完全後方支援の作家鯖などが出た場合は別で、ロンドンでもシンドバッド君に召還してもらう予定です。

鯖の育成はどんなに遅くても第6特異点突入前にしておきたいので。

 

実質的にはアメリカ以降というか5と6の特異点の召喚メンバーは、一芸に秀でた控えスタッフのような扱いになってしまいます。その際に欲しいのはメディアさんとかエミヤとか俵藤太ですね。

まぁ、藤丸くんなら獲得リソースの5割渡していれば、マシュを含めて6人くらいは育成してくれますけどね。こちとら、素材とかもあるのでカツカツです。

 

まあ、何が言いたいかというと、今回の召喚は結構大事です、というわけですね。

今回戦っていて思いましたが、チームシンドバッドの戦力的にはヒーラーか遠距離アタッカーが足りてないということですね。先程のアタランテがいた時の安定感が尋常じゃなかったですからね。前衛アタッカー? 何のこったよ?(すっとぼけ)

 

後は、やはり今だにいない騎兵クラスの鯖でしょう。

ロンドンは最小の特異点(冬木を除く)ですが、その次が最大の特異点です。

ゲーム内でも数日で終わってしまうロンドンとは異なり、スタミナがへなちょこだとガチで移動だけで1月飛びます。ふざけんなァ!! 藤丸くんはローマの頃から行軍に徒歩参加しちゃう現代人だから……まぁYAMA育ちなためその辺は心配してませんがそれでも、移動で消耗するスタミナと溜まるストレスを考える必要はあります。

 

そういった意味ではマリー・アントワネットのような、戦闘能力はなくとも、たくさん人と荷物を詰められる、回復効果を持つ馬車を持っている鯖は大歓迎です。彼女がいると、移動でストレスもたまらず、疲労も回復していきます。

移動可能宝具で理想まで言うのならばラムセス2世こと、オジマンディアスですが、流石にきついでしょう。確率がけわしぃ……。相性自体は可もなく不可もなくです。好色も勇敢もOKなので。シンドバッド君が諦めねぇ限り、その先にファラオはいるぞ!

 

逆にNGなライダーは海賊です。船なんか必要ねぇんだよ!! 後はドラゴン田中ライダー系統の鯖もノーサンキューですね。乗れないです。

 

色々なバランスを考えると、5次ライダーことメデューサさんは、ペガサスという機動性、自身の戦闘能力の高さ。人食いへの忌避感無し、好色も好感度あればOK。とかなり相性が良いですし、現実的なラインでの理想形ですね。

 

要するに足を持っていて、マスターもそれに乗れて、優秀な戦闘能力があって、コミュニケーションがとりやすい。というわけです。

 

先にも述べた通り、ハードモードの救済でカルデアの鯖に基本7クラスが揃うまでは、空白のクラスが出やすくなります。明確な確率はないですが、普通にハードモードでイベントを使い召喚枠増やしていくと、マシュを含めて10人目迄に揃わなかったことはないので、結構な補整ですね。

 

別にランサーでカルナとか超強力な鯖が来ても問題はないのですが、魔力消費が高い鯖は、魔力無振りのシンドバッド君だときついです。カルデアからのオートリジェネで賄えるにしろ、器の大きさは固定なので。

というか、ステータス上がると魔力が増えるとかいう藤丸くんは、全部終わったら解剖されて研究されますね、クォレハ。え? シンドバッドも? 是非もないよねぇ。

 

 

 

────貴方の目の前で光が満ちる。

 

さて、今回は?

 

────それは、段々と光をまして行き、金色の輝きを放つ円環へとなっていく

 

イイゾーこれ! 俺の心の傷がどんどん癒されていきますよ! 

 

────光が収まると、そこに立っていたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ある時は、謎の高貴なセレブ、またある時は冷酷な吸血鬼! 」

 

 

 

おファッ!? 特殊演出ですの!?

 

 

「その真の姿は、巷を騒がせる謎の女怪盗! ミストレス・C!! これも運命かしら、召喚に応じてあげたわ!!」

 

 

ミストレス・Cだと!?……いや例によって例の如く、アプデで追加演出がはいったのでしょうけど……クラスは騎兵ですね。

 

………………騎? ってあっ! 水着枠か? 1部クリア後じゃなかったっけ?出てくるの

 

スペック見る限り、いやこれってもしかして、もしかするかも知れませんよ? 斥候としても使える犬2匹と、射撃による攻撃。何よりも、人数は最低限ながら、地上を長時間高速で走ることができます。

これは、この前のシェヘラザードの空飛ぶ絨毯の100倍以上の燃費ですね。

というか、カーミラか。人を食っていても、忌避感が薄い系の処女の血を吸う鯖ですね。

 

条件的にはほぼ満点ですね。育成素材がきついですが、此処でマタ・ハリの加入が生きてきます。リソースは十分です。というか、シンドバッド君の縁はマジで経産婦なんじゃないのか、これ。

 

 

一先ず召喚が終わったので、ダ・ヴィンチちゃんにさっきの素材を全部渡して、もうおまかせで作成をお願いしましょう。そしたらすぐに鯖を引き連れて、自室に戻ります。

恒例の質問、自己紹介好感度確認タイムです。

 

 

「俺の名前は、シンドバッド。よろしく頼む」

 

シンドバッド君、ついにまともな自己紹介ができるようになりましたね。賢さが溜まってんなぁ!

 

「今の私はミストレス・C。そうシンドバッド……今の貴方は、肉を配って、串刺しもされたのに生きてたくマ、マスターね」

 

おう、そうだよ。ガッツにはねぇ、自信があるんですよ。

そして、敵とは言え記憶持っているタイプですね。初期から好感度に期待できますよ!

 

名乗りがあれですが、このカーミラ様は吸血鬼が処女の血が好きとか、そういう感じの逸話を作った原因の人ですね。エリザベート・バートリの将来の姿という扱いなのですが。

まぁ、何をしたことかと言うと、伯爵夫人だったのですが、旦那さんの死後、老いていく自分に耐えきれなくなり、若さを求めて暴走した結果、少女の血を浴びる健康法を開発したのです。作業効率化のために、領地の平民だけじゃなくて、周囲の貴族の娘さんに、嫁入り後の礼儀作法を教えてあげるからいらっしゃいな? と貴婦人ムーブで集めた貴族の娘の血も浴びる、という一線を越えた結果、断罪されたという。

 

まあ、この経歴なのに、マスターの事も好きになってほしくなっちゃうワガママさんであり、WIKIによると全サーヴァントで最も好感度が上がりやすいとのことです。

 

自室に戻ったらとりあえず、何時ものように好きなものと嫌いなものを聞いて好感度を確認してしまいましょう。

 

「好みは、高貴で美しいもの。いえ、高貴でなくとも美しいものよ」

 

マタ・ハリが欲しくないものはだいたいこの人にあげればOKなやつですね、これ。エコの精神ってたいせつ。

 

「嫌いなものは私じゃない自分よ。あとはだらし無い身なりの人ね、プライドがないのはいけないわ」

 

こっちは、まあセオリー通りエリザベートと一緒にしなければ良いわけですね。アメリカでは少し気をつけるとしましょう。

 

そして現在の好感度は

 

ダダダン!! カッ!!(例のSE)

 

「あなたが盗んだものを、今度こそ私が盗みきって、もう完全に私から離れられなくするわ」

 

お、そうだな。まあエリちゃんシリーズが意味不明なのはいつものことですが、こっちから盗もうとしてるってことは大丈夫でしょ。

 

今回はシェヘラザードとマタ・ハリのストレス値は大したこと無いので、直ぐに就寝と行きたいのですが、その前に手に入れた大量のワイバーン肉を、食堂に持っていって加工してもらいましょう。

今日中に渡しておくと、明日から食堂を利用する際にワイバーンの肉を食べる事が出来ます。多少ロスですがゲージの事を考えると警戒しすぎることはないでしょう。現在34%ですので、多分大丈夫でしょうが、現状オリチャーも良い所なので、攻めた分守る!!

 

 

そして、自室に戻って……鯖がまだ皆いますね。はい、終わり! 就寝! 解散解散!!

ランダムイベントを引ける事を祈って寝ます。条件状態の鯖もいるので明かりは消さずにベッドにはいって寝ましょう。

 

 

 

さて……はい、何も起きません。

此処まで来ると仕様が変わった可能性を疑うべきですね。 というか現状人肉を食べる意味が失われているので、大丈夫かもしれませんね。

 

相変わらず、体力は減ってないですが賢さ、器用さ、話術が……耐久若干も上がってる……鯖との契約のメリットでしょうね。カーミラが耐久というのも変な話もしますが。

 

 

さて、起きたらすることは……実のところあまりないです。ロンドンにはマキリの散布した魔霧が、マキリの散布した魔霧が!! 広がっているため、対毒スキルを持っていないとスリップダメージが入ります。

 

周回しているプレイヤーからすれば常識ですが、メタ的にカルデアは現地についてからその事を観測して、初期スキルで毒99%カットの藤丸くんは無問題だったから、いやーよかった。ですみますが、操作キャラは……ナオキです。

 

勿論魔術師ならば問題ないですが、一般家庭やYAMA育ちですと、毒への対策は持ってません。救済として到着後のターミナルさん!! ポイントを設置したら、ダ・ヴィンチちゃんが半日で仕上げてくれます。

 

いつものように、一回は藤丸くんと模擬戦ですが……

暗黒騎士、砲撃兵、盾騎士 

VS

山賊、語り手、怪盗、踊り子

で勝てるわけないです。経験値が美味しいので後で流しますねー。

 

 

そして、ロンドンの特異点は、ゲーム内時間で、藤丸くんについて進むだけで3泊4日で終わります。わかる、この短さ? オケアノスとか2月近くかかってるのにです。

いやまぁ、ゆっくり時間をかけたいので、むしろロンドンのほうが問題児なのですが。

 

前にも述べた通り、オケアノスクリアは時間を費やしたので、今回はセーフですが、ロンドンクリア後は場合によってはイベントが入ります。それを回避するためにロンドン帰還後は一定の日付まで自室で眠るを連打することが推奨されます。

 

それでもリスクはつきまとうので、ロンドンは可能な限り時間をかけて攻略します。10日でゲームオーバーですので、1週間ほどかけれれば良いでしょう。

 

そういうわけで、現地についてから余裕もあり、この場で準備することが少ないのです。

内政能力のある鯖も全く来ないので、そっちは最低限で行きますから。

 

という訳で、シンドバッド君の訓練のためにライブラリーを見に行きましょう。映画を見れば戦闘能力が上がる、OTONAもそう言っていた。

 

「あら、マスター?」

 

予定変更です。マタ・ハリさんのランダムイベントですね。

 

「今少し時間あるかしら?」

 

ありますねぇ!!(走者の風格)

 

マタ・ハリに関わらず、メジャーな英霊ですと、起こるイベント、自分モチーフのフィクション作品の鑑賞です。これを視てどう思ったかを伝えるだけで、好感度が上がるうま味なイベントです。オススメはレオニダスで見るのがどう考えてもイランから怒られたけど、映画自体は面白いあれ、だったり。

クレオパトラが長すぎて操作キャラが寝ることで、好感度が上がるとか皮肉が効いてるやつですね。

アルゴーノーツとかは、英霊視点の解説や思い出トークでドン引きしながら振り返る感じで、それぞれの価値観が見れる楽しいイベントです。

作者出産のため休載していた教えてFGO要素ですね。

 

マタ・ハリは、作品が多すぎてもうわけがわからないですね。題材が題材だけにしかたないですが。世界一有名な考古学者のアレにも出てましたし。

 

「ねぇ、マスター。どうすれば彼女は幸せになれたと思う?」

 

そうですねぇ……やっぱりもっと外見偏差値が低かったら良かったんじゃないですか?

 

「うふふ、ありがとう……そうね、普通の幸せを得るには普通で良かったのよね、きっと」

 

お前、重いんだよ!! 今を楽しんでIKEA! お前もう生きて帰れねぇんだからな?

 

「あら、今日のマスターは昨日と違って荒っぽいわね……でも、その通りなのかもね」

 

ヨシ! 工事完了です。映画を見てるのか、3時間時間が飛びますが、好感度は時間よりも重いのでOKです。

 

ともかく、マタ・ハリと仲良くなったので、本日は此処まで。

 

 

 

 




露骨に ん? を置いていく!
こっから色々していくつもりなんです。
酒を飲みながら組んだこの完璧なプロット(33行)で!!




先駆者様のマリーの馬車で皆で旅してる所好き(小声)


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(模擬戦)~(拠点確保)

気がつけば約20万字ほどの長さに。
原作 FATE/ の RTAでタグ検索すると1番長い作品になってしまいました。
これも皆様の応援のおかげです。こんな色々アレな作品にお付き合いいただきありがとうございます。



遅延プレイをしていく哲学的RTA はじまります。

 

 

前回はカーミラ様が来たところまでですね。これでシンドバッド君の鯖はほぼ完成形となりました。3騎士を……見失う!!

 

まあ妨害遅延系の鯖で固めてると考えればよいでしょう。もうこの世の中にある美味といわれるデバフはもうすべて食べつくしちゃっ…しまったんだよ。なあ?

 

ダ・ヴィンチちゃんの装備ができるまでは、本当にすることはないので、藤丸君に雑に絡みに行きましょう。

 

お前さっき俺のことちらちら視てたよなぁ?

というわけで、何時もの模擬戦です。

 

 

この辺になってくると、YAMA育ちのデメリットが明確に見えてきます。それはズバリ魔力のキャパシティです。そもそもカルデアからくる魔力の中継のバッテリーであるマスターですが、だからなのか、育っていくと何故か魔力が成長します。

 

型月世界で魔力、というかMPの最大値が増えるのは尋常じゃない反則です。気軽に増やせるなら雁夜おじさんは、あんなふうにならなかった……事もなさそうですね、へたれだし。

まぁ、そういう仕様なので魔術師プレイは、支援や補助と自己防衛に特化させると強いわけですね。

 

さて、一般的なYAMA育ちビルドは魔力関連のステータス上げをしていないため、マスターとしてはD程度です。そっち方面に振るリソースがないので、仕方がないですね。

そもそも論で、本家本元のYAMA育ち主人公達は、魔術回路持ってない一般人のフリして暗殺できる方が強いという。

 

ですが、前回も軽く触れた通り、藤丸君は操作キャラとは違い、オーソドックスに能力が上がっていきます。強いて言うのならば、持久力と魔力が尋常じゃない速度で伸びていく感じですが。そのために、魔力量の差が明確です。

 

シンドバッドくんは自分が戦闘してなければ、令呪無しで宝具が1回打たせられるという所です。ローマでやった通りですね。鯖が戦闘を開始し始めると、令呪が前提の真名解放になります。

 

それが、藤丸くんはロンドンあたりまで来ると、エクスカリバー程度ならば通常戦闘と同時に打てます。最終的にはカルナとヘラクレスを戦闘させながら、マシュの宝具で守って、金時の宝具をぶっぱなして、ケロッとしてるほどです。

 

カルデアの施設のアップグレードを行わない限り、1日あたりに回復する量は一定ですので、正統派キャスターに霊薬を作ってもらわないと回復しきりませんが(職員製の市販品は効率がへなちょこ)キャパシティの差は本当にでかすぎる。

 

そういった事情もあり、通常戦闘で魔力放出ポンポン使って飛ばして来るタイプの前衛が藤丸くんにいれば、まずまともに勝負ならんのです。

 

今回の模擬戦も、しょうがないので襲ってきたえっちゃんをシンドバッド君が迎撃。流石に模擬戦では肉ブーストがないので、当たり負けします。

いやまぁ、グリーフでバーサーカーの攻撃を受け止められるだけ凄いんですけどね。

 

カーミラ様が犬を先行させて、拳銃で撃ってますが、うん。ナポレオンに普通に打ち返されてますね。昔の年代の鯖のほうが出力で負けてるとは。

 

ってあれ、マタ・ハリとシェヘラザードの攻撃が、マシュに結構通ってますね……ん? 攻撃バフ、しかも女性への強力なバフが入ってます。えぇ……嬉しいですけど、マスターに支援したほうが火力上がるって思っちゃいますね。

 

でもまぁ、シンドバッド君がやられたらゲームセットです。えっちゃんの剣は刃の本数が自在に増えるのでガードが難しいです。

2発もらうと雷撃を避けきれなくなってスタンが入り、ゲームセットなので時々肉を切らせて骨を守りましょう。

 

 

あ、藤丸君宝具とか切りましたよ! 模擬戦だぞ! いやまぁ、マシュのだから良いにしても。これでナポレオンの手が完全に空いてしまいました。思ったより持ちこたえてましたね、カーミラ。

ああ、そうかナポレオンは犬の相手をしながらだったから、カーミラで抑えられてたんですね。犬が苦手らしいですし。

 

そして、砲撃がまともにマタ・ハリとシェヘラザードの二人に当たり、えっちゃんの刃がこっちも首筋に添えられて、終了です。

 

まぁ、前回よりは戦えてますが、えっちゃんが最初から殺す気なら、魔力放出でシンドバッド君を押し出す形で、ひたすら遠くにふっとばされ続けれたあと、ナポレオンがズドンズドン打ち込んでいれば終わりですので。

 

こっちの勝ちの目? 開幕藤丸くんに魅了をぶち当てる。以上。まあ、経験値はもう既に勝敗に関わらない程になってるので、タイムを優先です。

 

 

 

それじゃあ、後は似たような日課をこなすだけなので、適当に倍速で流しますね。

 

 

 

 

っと、今度はシェヘラザードのランダムイベントですね。

 

 

「マスター、貴方は人理修復が終わったらどうするのでしょうか?」

 

ん、そうですね。2部は走らないので、終了ですね!

まぁ真面目に回答しましょう。選択肢は

 

────この戦いが終わったら……

・オレ、結婚するんだ!

・決めてない、旅にでも出る

 

どっちでも良さそうなので、上ですね。

 

 

「お知り合いでもいらっしゃるのですか?」

 

YAMA育ちなので、同窓会に呼ばれないです。相手はサーヴァントに決まってるんだよなぁ!? このイベントは好感度が一定以上ででる、結果的にどう応えても好感度が上がるタイプですね。

タイムと撮れ高を意識して選びましょう。走者が楽しめることが一番大事って、それ1番言われてるから。

 

 

「サーヴァントと結婚? それは、破天荒なマスターらしいですね、何方とですか?」

 

 

────相手は

・シェヘラザード

・マタ・ハリ

・ミストレス・C

・全員と結婚する

 

 

シンドバッドさんも、やっぱ好きなんスねぇ!(好色)他人は騙せても、自分に嘘はつけないから一番下です。さっきも言った通り、大丈夫だって、安心しろよ。前バージョンの試走では問題なかったので。

 

「……みんなで、暮らしたい。そう出来たら楽しいのでしょうね」

 

そうだよ。というか、冷静に考えて、シンドバッド君って本人意識してないけど、ムスリムの価値観なのでしょうか? インドの山奥ならワンちゃんありそうですね。それなら一夫多妻制もあたりまえだよなぁ!(開き直りC)

 

 

「彼女の言う通り、私はどうやらこうして過ごす日々ごと死ぬのが怖いようなのです」

 

「どうか、これからもお側に。私の優しい王。ここで死んだらまたあなたと離れ離れになってしまいますから」

 

 

やったぜ! 成し遂げたぜ! これはシェヘラザードさんの好感度MAX台詞ですね。一応数値としてはこれからも上がり続けますが、所謂絆5状態です。一先ずは安心ですね。ロンドンでのラスボス戦後までに初期鯖がMAXまで上がらないと厳しいので。

 

 

 

 

 

 

さて、時を進めよう。

 

 

 

ダ・ヴィンチちゃんの礼装ができたそうです。既に最初にもらったアンダーウェアは外せないですし、足装備もそこそこのがあるので、それ以外が良いですね。ちなみにシンドバッド君に支給されているものは、藤丸君もデザイン違いの物を所持はしているはずです。魔術と科学両方精通してる万能の天才は、共通規格の概念すらあるのでさすがですね。

 

ダ・ヴィンチえもん! リツカィアンとマシュ夫に模擬戦でいじめられたんだ! 秘密道具出してよぉ!!

 

 

「む、来たね。シンドバッド君。今回は1番の自信作だよ」

 

こいつ何時も自信作作ってんなぁ。

 

「早速装備していくかい?」

 

 

えーと、こ、これは!! 中学2年の頃に男子が一度は憧れる! 指貫きグローブ!! な、なんてことだ。彼女のセンス的にはどれだけ時代を先取りしてるんだ。やはり(万能の)天才か。

 

「君の持ち帰った布には何か海の守護神の加護があるようでね、それを牛皮と一緒に加工して、後は他にも色々加えたのさ」

 

性能としては、シンプルに素手戦闘時のステータス1ランクアップに、相手も無手の場合敏捷がアップ。さらに嵐の海にいる際に隠された効果を発揮するとのことです。

 

最後のは、まだ引き出しきれてない能力ということですね。どんなやべぇ物拾ったんだよ。

 

シンドバッド君にとっては文句のつけようがない装備です。オートデバフがはいって、とんでもないことになるぞ……相手が無手というのは、実は結構いて、ボスで言うとテスラ、ゴルゴーンも無手に入りますし、なんなら魔神柱もですね。

 

イヤ本当に前回ゴミ素材とか言ってしまってすみませんでした。

 

 

 

 

 

さて、準備は整いました。ロンドンに向かいましょう。

 

 

 

 

8人の大所帯になったカルデア一行で、レイシフト! まあ、スタッフが観測してるのは、3人だけなんですけどね。

 

ロンドンに着いたら、まずはステータスチェック。スリップダメージを受ける事を確認しましょう。

これは、想定よりダメージが少ないですね。幻想種というか、化け物に近づいているからでしょうけど、戦闘は正直事故が怖いので遠慮したいですね。

 

正規ルートですと少し待機すればモーさんが来てくれますが、此処はダメージを受けているとカルデアに報告を入れて、直ぐに移動して合流を一旦避けます。

 

 

『バイタルに異常だ! ここの空気には毒性の物が含まれている』

 

「空気に含まれているならば、治療ではなく、予防が必要になってしまいます」

 

 

シェヘラザードが、というか、治療ができるキャラが居ると、それじゃダメで、無効化しないと行けないという話をしてくれます。はー、つっかえ(予定通り)

 

そして大義名分を得たので、エリア移動して、屋内に押し入りします。流石に民家には入れないので店っぽい所に押し入りましょう。不法侵入、何のこったよ?

 

警察だ!! と家屋に侵入。ランダムでモブがいますが、ああ……イベント引いちゃいましたね。

 

 

「ここは、喫茶店みたいだね」

 

「先輩、これはなんでしょう。凄い散らかってます」

 

 

食料を提供する施設に入ると、モブがいなくて拠点化に安心できる場合があるのですが、まれにこういうことがあります。

 

 

「血の匂い。この量は……慣れてないなら視ないほうが良いわ」

 

 

さすが、吸血鬼ですね。はい、店が襲撃されて店主が死んでるイベントです。これがロックダウンして外出禁止になったロンドンの末路です。なおまだ三日目の模様。

 

マシュと藤丸くんのストレス値が若干上がるのとタイム的に若干ロスですが、トータルで見れば、プラスに収束するので、OKです。

 

ここで、霧の解析をしてもらい、毒対策装備の開発をしてもらいつつ、ターミナルポイントを設置して、それを受け取らないと! となるフラグを立てます。

 

これにより、開発の目処が立ったら、レイラインを探して、その上で拠点に使えそうな建物を探す。というアプローチでロンドン探索の拠点、ヘンリー・ジキル氏の邸宅へとたどり着くルートが使えます。

 

本来は、初見プレイした際にプレイヤーが毒でパニックを受けて、近くの室内に逃げ込んで起こる救済イベントですが。

これによって藤丸くんが勝手に移動することなく待ってくれるので、半日ほど時間を稼げます。

 

ただ、藤丸君との好感度が低いと、自分だけで探ってくるよ! といってモーさんと会って一直線に向かう流れになります。そのために模擬戦を毎回していく必要があったんですね。

 

 

「マスター、スピエルドルフとラインフェルトと一緒に周囲を探らせてくるわ、魔力を少しいただけるかしら?」

 

 

あ、良いっすよ! (快諾) ん? 貴方高ランクの単独行動持ってますよね? まあ魔力回すくらいなら。

 

 

「それじゃあ、失礼して」

 

「わ、わぁ!! 先輩! ミストレス・Cさんがシンドバッドさんの指を咥えてます」

 

「教育に悪い!!」

 

あのぉ~すみませ~ん!! ちょっと止めてもらっていいですか!? いま調子悪いって言ってるの!! パスから魔力持ってけって言ってんの! この状況で血を吸うとかお前頭エリザベートかよ!?

 

『ミストレス・C! シンドバッド君は今体調が悪いのに、何をやってるんだ!』

 

ロマニからもツッコミが、というか、普通にナポレオンとえっちゃん臨戦態勢でカーミラ見てますね。そら(新入りの悪っぽいやつが不調の仲間から採血したら)そう(反抗を疑って警戒する)よ。

 

 

「あら、マスターの許可はもらってるし、この位は問題ないのも知ってるわ」

 

「ええ、そうですね」

 

「そうなのよねぇ」

 

やだ、私の鯖の警戒心低すぎ……。マタ・ハリもシェヘラザードもそのままでしたし。まま、ええわ。体力なんてまだ8割5分ありますし。

 

 

「そうだ、ミストレス・Cは、ちょっとしか血を吸わないから大丈夫だ。俺は魔力がすくないから、この方が楽だ」

 

 

これ案外事実だから問題だったりしますね。

 

 

ともかく、カーミラ様と、同様に単独行動持ってるナポレオンが偵察に行ってくれますので、この場で待機です。まだ昼前ですが、此処で夜を越して明日の朝に移動になるでしょう。

 

このロンドンは、逃せないイベントが1つ、厳密には半強制イベントがもう1つありますがそれさえ意識していれば、問題はあまりないです。

 

家に引きこもった住人の殆どが餓死するか、魔霧ランダムガチャがSSRを引き当てれば終了なのですが、前者が10日というゲーム内時間があり、後者は首謀者を2人倒さないと発生しないので、大丈夫です。

 

ハードより難しいリアルモードだと本当に運ゲーになっていて、ごくごく稀にですが、ロンドン着いてモーさんと会ってる会話途中に、テスラがブリテン島消し飛ばしてゲームオーバーになったりするらしいっすよ? ゲーセンの脱衣麻雀でお金入れたら天和食らったみたいな話だな。

 

 

というわけで、待ってる間退屈ですよね。

そこで皆様のために────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(マスター、報告よ)」

 

おっと、カーミラ様からパスを通じての報告ですね。仕事が速いっすね、怪盗なので、事前調査のための複合スキル持ってますからね。

うっかり属性なのを除くと、マタ・ハリのできることをより広範囲にした感じです。

 

 

「(拠点になりそうなレイラインの通った家をみつけたわ、現地の碩学者がいて、協力を取り付けたわ)」

 

 

ファ!? やめてくれよぉ……

 

 

「(それと、不良っぽい騎士と、役者みたいな服着た大男のサーヴァントも見つけて合流してるわ)』

 

 

 

これで大幅短縮だぁぁぁ!! わーい RTAだぞー!!(白目)

 

 

 




あくまで現状のカルデアの戦力を書いておきます。


所属サーヴァント

剣:■■■■■■■ 
弓:ナポレオン マスター:藤丸立香
槍:■■■■■・■■■■■■■
騎:謎の女怪盗ミストレス・C マスター:シンドバッド
術:シェヘラザード マスター:シンドバッド
殺:マタ・ハリ マスター:シンドバッド
狂:謎のヒロインXA マスター:藤丸立香
盾:マシュ・キリエライト マスター:藤丸立香
■:■■■■■■


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(拠点確保)~(ジャック撃破)

俺と鯖との間で意識の差があるとは思わなかったRTA はじまります。

 

 

 

前回は、カーミラ様が頑張りすぎてくれたところまででした。一応情報自体は、シンドバッド君で握りつぶすことは出来ますが、周囲の好感度を下げるだけなので、素直に報告しましょう。

 

『それは朗報だね。シンドバッド君の消耗が激しくならないうちに、一先ずそこに移動しよう』

 

はい、そうなりますよね。というわけで移動します。

 

ロンドンではランダムにジャック・ザ・リッパーが襲いかかってくるイベントがあります。霧で正体を隠しながら襲いかかってくるのですが、元々霧なので霧が出てるから警戒して迎撃余裕でした。ができません。

ただし、初回のみファーストアタックは必ずマシュに来ますので、マシュを中心に添えて素早く移動していきましょう。そして可能であれば初回で無慈悲に仕留めましょう。

 

移動の間リカバリーのオリチャーを検討しましょう。

現状は、2日目の夜に出会うシェイクスピアと合流もして、モードレッドとも協力関係を結べている状況です。これにより1日半遅延するつもりが、半日分の短縮になっております。やべぇよやべぇよ。

 

ですが、このシェイクスピアとの合流こそが、欠かせないイベントだったのも事実です。

 

大まかなロンドンの流れをおさらいすると、現地の有識者たちが無線で連絡をとっている中、拠点で情報を収集して、アンデルセンと合流、魔本事件を解決。その後パトロールを一定以上すると、シェイクスピアと合流。その後警察署の襲撃で黒幕の正体を把握します。その後まあなんやかんやあって、黒幕という中ボス討伐が目的となります

ロンドンには、三人の中ボスP、B、Mがいます。PとBは鯖なので倒して終わり、それを倒すとMが本拠地でテスラを召喚するので、それを追撃して撃破。撃破タイムが遅いと、救済処置が現れて金玉コンビが召喚されます。

そして最終ボスを撃破して、聖杯を獲得すると強制イベント。という流れです。

 

そして、これが罠なのですが、金玉コンビの召喚がないと詰みます。は? って感じですが、この特異点で仲間になれる鯖は、味方が作家や学者。敵が魔術師と怪異に悪魔です。正面戦力がモーさんしかいないのです。

 

必要イベントをしっかりこなしつつ、時間をかけてしっかり攻略。そのためには手がかりを入念に探すか、見当違いのフラグを重ねていくしかないのです。

 

ただまあ、プラスな面もあります。そっちの方で時間を使えればベストですね。

それにはアンデルセンとシェイクスピアの2名が合流済みであることが条件となります。

一先ずはそこまで進めて行きましょう。

 

 

 

というわけで、ジキルの家に到着。モーさんとジキルはこの特異点の謎を調査している関係です。ちなみにモーさんことモードレッドの協力して戦ってくれる理由は、自分以外が父上の国を滅ぼすなんて許せないだそうです。ひねくれてますねぇ。

 

適当に挨拶をして、ターミナルポイントを設置しましょう。そしてシェイクスピアもちゃんといますね。カーミラ様はソファで寛いでますし。ナポレオンも本とか呼んでます。この家に11人はせまいな。

 

「来てもらって早速なんだが、ソーホーエリアにいた仲間との連絡が途絶えた。そこのレディ曰く、そのエリアは家屋から一切音がしない程静まり返っていたそうだ」

 

「ええ、不気味なほど静かだったわ」

 

これは、パトロールイベントを挟まずに、魔本イベントが開始してますね。カーミラ様はRTA走者だった……? まぁ良いでしょう。こうなってしまった以上、そこまでは進めるつもりなので。

 

さて、流石に耐毒装備の開発はまだですので、シンドバッド君は此処に残ることも出来ます。一緒に行ったほうが安全ではあるのですが、お言葉に甘えて待機しましょう。

藤丸君がこの程度で負けるはずはないです。実際この特異点は、ヘルタースケルターの強化個体程度しかまともな雑魚はいないです。

怖いのは本当にジャックちゃんだけで、モーさんを加えて前衛2名と護衛役1名に、砲撃支援1名とめちゃくちゃ手堅い陣営です。

 

「おや、吾輩に何か用があるのですかな? 」

 

藤丸くんを見送った後は、シェイクスピアに話しかけます。彼は固有技能のエンチャントを持っております。これによりその辺の石ころを概念武装に、曰くがきちんとあるものならば宝具にすることが出来ます。

 

はい、察しの良い方はわかりましたね。ここで持っている概念礼装を宝具にしてもらいます。アンデルセンも若干異なりますが、似たような能力を持っておりますので、作家2名にシンドバッドの強化をしてもらうのです。

 

通常プレイでは、好き勝手にこの特異点の謎を書き綴りまくってる作家鯖ですが、彼らはマスターやマスターの所持品を強化することができる鯖なのです。

 

ただ条件が厳しいのも事実です。

 

一つは何よりも時間です。彼らのその強化の過程は作品をかきあげて逸話を認めると言った形になります。どういう経緯でそれが彼らの言う所の面白い事を成し遂げたのか。それを作品にして貰う必要があります。

取材も必要ですし、納得するまで資料を読み込む必要があります。

 

そして、もう1つは簡単に触れた面白いことの部分です。彼らが興味を持ち、それをモチーフに作品を書きたいと思えるような面白いものでないといけません。

一般家庭出身のキャラが、人理焼却に立ち向かうだけで相当面白いと思いますが、人理焼却がテーマだと、人を対象にミクロに書くのではなく、全体を対象にマクロに書くので、尖っていないといけません。

 

「ほう、見るに、中々過酷な生い立ちのようで」

 

 

ですがこのようにYAMAという環境で育ち、この場にいる居残り組で本当に1番腕っぷしが強いシンドバッド君は、作家勢をして興味を引く題材に確定でなります。

YAMA育ちビルド共通の良いところですね。

 

時間の方は正統派キャスターがいれば、今まで集めた魔術的リソースで時間の流れを変えた固有結界の一歩手前の異空間とか作ったりできるのでしょうが。今回は別のアプローチを取りたいと思います。

 

それが、本チャートで確定でいるシェヘラザードさんです。彼女の好感度が高ければ高いほど、マスターとの絆が深まっているほど、相互理解も進んでおり、彼女の語り手EXにより、具現化されたミニチュアを作りながら一発で相手に理解できるようにシンドバッド君の物語を紡いでくれます。

 

ある意味こっちも固有結界に閉じ込めているようなものですね。

 

 

宝具にしてもらうシンドバッド君の装備は

 

・ワイバーンとファヴニールの皮で作られたアンダーウェア

・古代ローマ兵の武具を鋳潰して作られたグリーブ

・海の守護神の加護の布と、謎の牛皮で作られた指貫グローブ

 

全てレオナルド・ダ・ヴィンチが作ったという事も含めれば、宝具になってもおかしくないものですね。

それなりの面白い題材を、世界一の語り手が伝えて、世界有数の劇作家と童話作家が膨らませたら、最高の話になるでしょう。どれが宝具化されるかはランダムです。

 

『そんな事ができるキャスターがいるのかい!? わかった、どちらにしろダ・ヴィンチちゃんの耐毒装備はまだかかるし、その間に作成をしてみてくれ』

 

ロマニの許可も出ましたので、今後作家陣の書斎兼、藤丸君とシンドバッドの寝室になる隣室でシェヘラザードと一緒にシェイクスピアとOHANASHIをしていきます。

元々、合流してから3日で簡易的でいいので依頼して、締め切りが近くて中途半端になる。と言われながら頼む予定でしたが。此処で調整したいところですね。

 

シェヘラザードを利用するところの最大のメリットは、シンドバッド君一行がある程度不在にしても執筆が続くということです。一度語れば、その情報は全て作家陣に強制的に理解されるので。

流石に最初の説明の間はそばにいましょう、そうしないと取材が進みませんので。その場での待機になりますので、室内でできる戦闘の型の練習でもしてスキル上げをしてます。

 

『シンドバッド君、朗報だ。立香くん達が敵性サーヴァントを撃破して、現地のサーヴァントと合流してこっちに戻ってくるらしい』

 

おっと、向こうも無事に終わったようですね。これで、次はフランちゃんと合流するために博士の家に行くイベントをジキルが命令するまでは話は進みません。

 

藤丸組が戻ってきて……はい、アンデルセンも合流しました。早速書斎に来て、シンドバッドくんをこき下ろしてますね。

 

「何だこいつは? 人形のように空虚だな。与えられた役割を自分の目標と勘違いして死ぬまで走りきるようなやつだ」

 

RTA操作キャラなんて、そんなもんでしょ(マジレス)

 

「その上、童貞には吐き気を催すほどの染み付いた雌の匂いを漂わせている。それも揃いも揃って濁った沼のようなだ。面倒な女だけを引き寄せる誘蛾灯か? だが、お前みたいな人間を救うのは、お前と共に溺れるような物好きなのだろう」

 

このこき下ろしは、本当に多彩で同じビルドで同じような行動をしても、変わることがあるので、ランダムかと思えば、案外あってるところもあり面白いですね。

アンデルセンは、どちらかと言うとその人物を鑑定眼で見抜いて逸話を書いてくれるので、人物の強化に特化してます。メロン峠さんもこれと莫大な時間を利用してとんでもないことになってましたからね。

 

本来は、もう一回外の探索があるのですが、実質的に無駄移動をしていることもあり、今日は藤丸くんも休むみたいですね。こんな感じでロンドンは昼夜が明確にあるので、結構面白いんですよね。

 

ただ、マシュと一緒に向こうのソファーで休むみたいです。それは正しいでしょう。この部屋は既に作家の缶詰になってますからね。初日の夜はほぼ説明で使われますので、藤丸君の戦闘ログを見ながら加速していきます。

 

 

はい、朝です。すっかり体力も回復して、強制的にシンドバッドの冒険を作家陣の頭に叩き込みました。これによりあとは探索の合間に戻る毎に書斎に戻って、進捗どうですかー?をやるだけです。 しっかり忘れずに耐毒装備を受け取ってから行動開始です。

 

というわけで、ジキル氏に情報に更新はあったかを尋ねましょう。

 

「それが、昨日の朝まで連絡が取れていたフランケンシュタイン博士が音信不通でね」

 

はい、来ました。フランちゃん回収イベントです。ヴィクター・フランケンシュタイン博士という、フランケシュタインを作ったヴィクター・フランケンシュタイン博士の孫のフランケシュタインのところに行ってフランケシュタインを確保してくるイベントです。文字にするとこれもうわかんねぇな?

 

ともかく、藤丸くんが起きたらウェストミンスターへと向かいます。道中ホムンクルスは見かけたらコロコロしましょう。オートマタはどうでもいいです。食えないので。

ロンドンは雑魚ホムンクルスとヘルタースケルターばっかなので、シンドバッド君の稼ぎどころさんです。

 

特に何もなくフランと出会います。案の定博士は殺害されており、黒幕の名前と計画名が判明します。PさんとBさんとMさんの魔霧計画ですね。

帰りはフランをしっかり護衛しながら帰りましょう。彼女がいないとBさんの居場所がわからなくなってしまいますので。彼女の言葉がわかるのはモーさんとマシュ。あとは動物会話をもってる鯖だけです。

 

時間稼ぐチャートとして、フランちゃんを負傷させるということも考えましたが、鯖が大名行列のように護衛している中、怪我させられるのがジャックちゃんのみな以上リスクが高すぎます。

 

そこでカーミラ様が起こした短縮をカーミラ様にガバで取ってもらうことにしましょう。

 

フランちゃんを拠点に置いたら、作家陣に陣中見舞いをして直ぐに、カーミラ様の宝具、テスタロッサ・メイデン。

此方に乗せてもらい移動をします。藤丸くんは着いてこれないので置いていきましょう。今日は君が休んでくれ。

 

『時計塔が廃墟になっているから、郊外の方を調べてくる?』

 

そうだよ。なにもないことは確定しているのですが、情報が手詰まりの間に、情報収集を行う名目で高機動ができるカーミラ様の宝具で特異点の端の方に向かいましょう。

 

彼女の宝具は、フェ●ーリ・テスタロッサなので、マスターと詰めればもう一人くらいまで乗れます。鯖二人には霊体化して乗ってもらい、4人でロンドンのドライブと洒落込みます。

 

次に起こるイベントは警察署の襲撃なのですが、これは黒幕の1名のPが起こしたものであり、戦力の補充も目的としているのです。モーさんと藤丸君が昨日行きがけに倒してたメフィストフェレスの代わりの戦力確保です。ログ読んで笑いました、短縮がガチすぎる。

 

ジャックちゃんの魔力回収を目的としているのですが。既に彼らは一度ジャックちゃんとの戦闘を済ませているので街にマスターが出ている場合、ランダムで襲ってきます。

 

つまり、ジキル氏の家にマスター全員がいる時に、お腹をすかせたジャックちゃんが警察襲撃を起こすので、カーミラ様とドライブデートをして、藤丸君に待機をしてもらっている間は、警察署襲撃イベントがおこらないのです。

 

ただし、車を停めると襲いかかってくるのでカーミラ様に嫌な予感がするから、走り続けてくれといいましょう。調査が名目ですので、特異点の端っこに来たら縁を沿うように移動。他の都市にいけないことを改めて確認しましょう。

 

実際特異点は勢力圏と一口に言っていますが、異聞帯と違って明確な境界線はないとのことです。まあ、海をどこまで含むとか考えると仕方ないですね。なので、ゲーム的にはそれ以上特異点の原因から離れると観測できなくなる。といって進めなくなります。

 

じゃあ、なんで情報収集を許可するんだよって話ですが。

 

ともかく、特異点を一周するように、いつ襲いかかるかわからないジャックちゃんの恐怖に怯えながら走ります。テスタロッサが本気で飛ばして、カーミラ様のドラテクが超絶ならば2時間でグレーターロンドンを周り切りますが、半日かけてゆっくり回ります。

 

最後は可能な限り東側から、一直線で拠点に戻ります。これで、警察署まで移動する時間が長くなります。

 

なんとかジャックに襲われずに戻ったら、進捗を確認します。場合によってはシェヘラザードを置いてけと言われるので、そのとおりに従いましょう。

今回もみたいですね。あ、シェヘラザード此処は任せた。大丈夫大丈夫、死にはしないから。

 

さて、一息つくと、案の定警察署からの無線を傍受したので救援に向かうように言われます。そもそも、本来初日で、到着してモーさん合流、拠点設置、メッフィー倒す、フラン確保、ナーサリー倒す、アンデルセン連れて拠点に戻る、警察署に駆け込んでPとジャックと戦闘。までをするんですよ? RTAかな? RTAだったわ。

 

それを何とか2分割して行ってます。というわけでシェヘラザードだけ置いて警察署に直行です。実際シンドバッドくんの鯖は全員経産婦、つまりお母さんなので……狙われるリスクが高いです。

 

というわけで、全て惨殺されたお巡りさんを食べちゃったジャックちゃんと、そんなジャックに、ほぉらままだよーとなすりつけてくるPと対面です。

 

Pはすぐに逃げますが、此処での追撃はフヨウラ! あとで拠点を探し出してぶっ殺しましょう。場所は固定ですので、カーミラ様にこの辺調べてきてといえばOKです。魔術師の工房を攻め落とすとか、基本厳しいですが、現状の戦力ならジャックちゃんさえ此処で処理すれば余裕でいけます。

 

はい、解説している間にジャックちゃんをえっちゃんが膾切りにして、終了です。シンドバッドくんは、さっきから火力の上がった拳での戦闘でホムンクルスをぶっ転がしてますが、雑魚刈りに関しては安定感が凄いです。

 

令呪を温存しつつ、後敵の戦力は4人になりました。すでに夜ですので2日目も終わってくれたので、明日はPの所に乗り込めーをする事を決めて本日は此処までです。

 

 

 

 

 




多くの人が予想したであろう、ロンドン作家組を使った強化チャートです。
確定配置ならば、利用せざるを得ない。

最大の敵は締め切り(特異点修復)

原作のタイムラインが本当にRTA並の密度で恐れ入る。



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(散策)~(カルデア帰還)

ロンドンはちょっと納得行かない部分が多いので、そのうち修正入れるかもです。


前回はジャックちゃんをこともなげに撃破したところまででした。

 

Pことパラケルススの基本的な居場所は、シェイクスピアが本来ポップする場所の近くです。後でカーミラ様に探ってきてもらいましょう。おまぇアサシンみてぇだなぁ? 一先ず本日は戻って、2日目を終了と行きましょう。

 

 

戻ったら書斎に行き様子を見ます。すみませ~ん。木下ですけど、執筆まーだ時間かかりそうですかね?

 

 

「お前は馬鹿なのか? そもそも数日で1作かけというのが無理なのだ、大したものにならんことはわかっているのに、締め切りでせかしてくるな恥じらいがないのか?」

 

「吾輩もおおむね同じ形ですな。せめてあと3日間は頂戴したいものです」

 

進捗にあと3日かかるとのことですね。つまり5日間で一本でもなんでも作品を仕上げるということですね。そんなに早く執筆できるだけで大概なんだよなぁ。

まぁ二人とも本来は遅筆で、特にアンデルセンは高速詠唱もってるのになので。ロマニに進捗を訪ねて、判断を仰ぎましょう。基本は待ってくれます。

 

夜の間は特にすることがないので、戦闘後の場合はしっかり睡眠をとっておきましょう。特異点ステージで寝るのは珍しいですね。

 

さて、3日目です。おさらいですが、ロンドンは街中にうようよ敵が徘徊しているため、その中でも強敵に部類される、ヘルタースケルターに代表されるオートマタをどうにかしないと探索効率が悪いという話になります。

ロマニがやっと解析が終わり、ずっと科学と魔術の融合的なサムシングだと思ったら、宝具だったでござる。という結論をくれました。遅い遅い遅い。

 

要するに、そういったオートマタは宝具で出したのをリモート操作しているので、リモコンの方を壊しに行こう大作戦というわけですね。

 

そのリモコンの場所をどう探すかという話になりましたら、その前にカーミラ様に夜の間に探ってもらったパラPの本拠地を落とさないか? と提案します。

 

これによりオートマタが止まってない状況でパラPの本拠地をたたきに行くことができます。藤丸君もリモコンの位置が分からない以上、わかるところからやろう。と前向きに言ってくれます。

 

というわけで善は急げとばかりに直ぐに出発。この日の行動方針を決めるのに時間かかると、フランちゃんがリビングにやってきて、リモコンの位置が分かりますよと伝えてきますので、それより前に行きます。

 

というわけで、パラPの工房に到着。工房は地下墓地みたいですね。

 

ちなみにダ・ヴィンチちゃんとは生前の顔なじみみたいですね。かの有名な武器軟膏について話を聞いてみたいところですが、早速戦闘です。

押し寄せてくるホムンクルスはナポレオンにズドンとやってもらった後に、シンドバッド君とその鯖で抑えます。パラP本人は藤丸君に戦ってもらいます。

 

彼の宝具を撃たれた場合、周辺に甚大な被害が出るので、しっかりマシュの宝具で防いでもらい、そのすきにえっちゃんが切り結んでくれます。

 

いや、本当凶悪ですね、編成が。

 

数で押せばホムンクルス程度ならば、シンドバッドチームが相手できて、決戦を挑めば遠距離ではマシュがすべて防ぎ、バーサーカーが切りかかり、アーチャーが支援もしてくる。オーソドックスに強い、いいチームです。

 

急所であるマスターがシールダーの護衛がついているのと、YAMA育ちなので死ににくい。というのが安定感を増してますね。

 

ちなみに洗脳系の魔術を受けると、シンドバッド君はコロッと行きますが、その場合マタ・ハリがいれば魅了で上書きされます。好色のため魅了に対する被特攻になるので、大抵の精神的な異常は魅了で上書きできます。行動不能にはなりますがね。

 

というわけで、処理するかのようにパラケルスス撃破。内部調査は藤丸君に任せて、シンドバッド君は見張りをすると言って、外に出ましょう。今の戦闘音を聞きつけて、増援が着たら大変ですからね。

 

そしてここでこっそり、そろそろ限界なのでホムンクルス肉を食べておきましょう。ああ~生き返るわ~。

 

さて、此処で手に入る手掛かりは、他の首謀者の名前と計画程度です。わざわざイニシャルで呼んでるのに、自分から証拠を残していくのか。

 

そして、この際に本物の黒幕、Mに関する情報は集まりません。確実にBの情報が来ます。

Bことチャールズ・バベッジさんは、なんとフランの親戚のおじさんです。これはその後の水着イベでフォローが入ったりしますが、この情報を持ち帰ることによって、フランちゃんの協力的な姿勢が下がります。

 

本来は、一度オートマタを停止させてから分かる情報なのですが、バベッジが黒幕と伝えるとフランちゃんが逡巡して、発信源が分かることを言い出すのを遅らせますので、非常においしい。

 

大きく戦闘したので、昼過ぎですが一旦拠点に戻ります。

 

もうわかるかと思いますが、今回進んでるのは、正規ルートではなく、自力ルートといわれる、情報を自ら勝ち取って話を進める救済ルートです。

 

なので、この後魔術協会に行って情報を集めれば何かわかるかもしれない。というフラグが発生します。

 

 

夕方まで休憩を取ったら、魔術協会に行くぞー!!

作家組はついてくるのが本来の流れですが、執筆を頼んでると、気分次第で家にいてくれます。今回はしっかりと書いててくれるようです。代わりにジキルがついてきます。

 

作家か彼のどちらかがいないと、魔術協会というか時計塔の地下探索は非常に厳しいものになります。

地下数百メートルまで潜りますので。さて、時計塔の地下、霊墓アルビオンの入り口部分ですが、こちらは魔本系のエネミーが湧くくらいで、後はそこまででもありません。

ただし非常に構造がややこしいので、ルートをしっかり暗記しておきましょう。なぁに、ラビリントスよりはましだよ。

 

出発の際にアンデルセンが、召喚術について調べてこいと言ってきたので、それに関する部屋にフラグがあります。

というのもこのマキリが鯖の連続召喚をしているというのを本来はシェイクスピアの出現を目撃することによって情報を得るのですが、先程のPが研究資料を残して、その辺を把握している形ですね。より詳しいことを調べにいきましょう。

 

 

さて、目的の部屋につきました。本の持ち出しができないので、ジキルに中に入ってもらい、資料を読み終わるまで防衛線を引いて拠点防衛をすることになります。

アンデルセンもいれば20分程ですが、ジキルのみだと30分は防衛が必要になります。

まあ、本来は、モーさんとマシュとシェイクスピアだけで防衛した事になる場所なので、こんだけ鯖をぞろぞろ引き連れていれば結構余裕です。通路の前後から敵が来ますので、機械的に自分の前の一番近い敵を倒していきましょう。

 

あまり先行して殴りに行くと、孤立して集中砲火を食らいます。無理せず近くに来た本を叩き潰しましょう。

 

既にシンドバッド君の拳は、魔本を一撃でぶち抜くほどになってしまってます。

跳んで来る攻撃も腕のグローブで防御してくれるので、かなり安定して戦えます。

 

隠密行動にこそ向きませんが、とにかく死なないで敵をその場に食い止める。さらに、味方のデバフで弱ったらとどめを刺す。というスタイルが完成されてきてます。

 

まぁ、第5特異点で戦う相手の殆どは相手にならないんですけどね。兄貴の最終進化形態みたいな王様。インド兄弟、最古の龍殺し。死因がない師匠。近代の中国武術の極み。

出力が単純に高いのと技巧で攻めるタイプはきついっす。

でも一番きついのは、男性への絶対的な魅了を持つ聖杯の持ち主です。多分100万回やっても勝てないでしょう。

 

さて、ハイドにならないままジキル氏が資料を読み終えたので、すたこらサッサしましょう。帰るまでが遠足です。迷ったら、藤丸君が出口に歩いてくれるので、ついていくか、ロマニとマシュがマッピングしてるので見せてもらいましょう。

特に見どころもないので加速です。

 

はい、無事拠点まで戻ってきました。3日目もこれで終了ですね。

あとは、Bを倒して、Mと戦えば終了です。

 

 

3日目も終了。拠点に戻って、カルデアに情報を精査してもらいつつ、待機ですね。

この特異点では、自分の鯖だけでなく、藤丸君の鯖とも結構話せる機会が多いので、相性が悪そうな鯖とは絡みに行きましょう。シンドバッド君の場合はずばりマシュです。

 

「あ! シンドバッドさんお疲れ様です」

 

おつかれーっす。マシュは最近なんか困ってることないすか?

 

「そうですね、この特異点を早く攻略しないといけません」

 

マジメだなぁ。

実際の所あまり話しかけすぎると良くないのですが。こんなクッソ汚い語録ばっか使う男をマシュに近づけてはいけない。

 

「あの、シンドバッドさんは、サーヴァントの皆さんと、その……お付き合いしてらっしゃるのですか?」

 

そうですね……結婚の約束もしてますよ。冷静に考えてやばいやつ過ぎるな。

 

「そうなんですか! それはとっても素敵なことです!」

 

おまえもがんばるだぜー(適当)そんな感じで鯖と会話しつつ、また体を休めて一晩経過です。

 

4日目、この日はほぼ闇雲に手掛かりが来るまで、市内をパトロールとなります。効率を考えて、マスターが交互に出ていく形ですね。

 

フランちゃんが吹っ切れるのは、両方のマスターが手掛かりを一切つかめませんでした!!で帰ってくることからです。その為、シンドバッド君はなるべく熱心に、敵を倒していきましょう。経験値と素材を集め放題です。ボーナスステージかな?

 

実際、このステージで稼いだリソースを使って、次以降難易度が上がっていくのに備えないと厳しいです。藤丸君には若干余裕がありますが、こっちはかなりきつきつなので。

 

そろそろいったん戻るべきだと、ロマニに言われたら、拠点に戻りましょう。本当この特異点では、雑魚狩りしかしてないので、戦闘が単調ですね。

 

戻ったら藤丸組+モーさんが行ってくるので見送りましょう。作家陣は……まだかかりそうですね、鬼気迫る様子です。

 

本来はここで、敵の大ボスの召喚形態がどうこうといった話しが始まるのですが、まぁ知らなくても敵が強くなるわけではないので大丈夫です。

 

フランちゃんがもの言いたげな目でこちらを見てきます。話しかけてもわからないですが、一応話居かけましょう

 

「ウー……」

 

「あら、マスター、また女の子を口説いてるの?」

 

冗談はよしてくれ(真顔)

フランケンシュタインは、人間になりたいというか、愛がほしいタイプなので。仲良くなると、ちょっとフラグ管理が面倒かなって。可愛いですし水着とかすこではあるのですが、申し訳ないが少女はNG。藤丸くんの担当です。まあ、現在は鯖ではなくて、カテゴリー的には現地人です。

 

何を言ってるかわからないので、素直に謝っておきましょう。

 

藤丸君が来るまで、シェヘラザードさんと一緒に書斎に行って作家人を見張ります。

既に書き始めてから72時間以上たつわけで、進捗を確認します。

 

シェイクスピアは順調そうですね、アンデルセンより早く始めてますので。でも、タイプライターすらあんまりまともに使えないのはどうかなって。

アンデルセンはタブレット使いこなしてるとかすごいっすね。私はキーボードがないと書けないオールドタイプです、フリックもできません(隙自語)

 

200年前のデンマーク人にテクノロジーで負ける現代日本人の話はさておき、アンデルセンも案外書いてくれてますね。この特異点の決戦には間に合わなくとも、何とかなりそうですね。

 

 

さて藤丸君が戻ってきて、フランちゃんが決心してくれました。彼女の先導で、オートマタのリモコンのありかまで行けるようになります。藤丸君には連戦で申し訳ないけどイクゾー!!

 

そして、敵の位置がわかる以上、遭遇回避能力もあり、ほとんど会わずにサクッと、中継器の巨大強化型ヘルタースケルターとの戦闘です。

 

ここはカーミラ様の犬で注意をそらして、そこを全員で背後から攻撃すれば早いです。味方が多すぎて、強敵1体だけだとさすがに攻撃タイミングがなくなってきました。

 

さて破壊した残骸の資料を調べて、バベッジのフルネームが記載されているのを確認。

それでもフランちゃんは曇らないでくれますので、拠点に戻って4日目は終了。

 

 

明日の朝に無事止まったオートマタが一斉に再起動して、バベッジの本拠地に攻め込むイベントが発生します。それを倒すと、後はもう、流れるように最後まで一直線です。

 

結局伸ばしても5日ほどにしかなりませんでしたね。

開幕にカーミラ様が色々見つけなければもう少し伸ばせたかもですが、仕方ないです。

 

イベントが起こるかどうかは若干運頼みになりますが、1~3の特異点で時間かけてるので、そう長いイベントは発生しないです。一番可能性が高いのが監獄塔ですね。

あれは藤丸君が倒れてる横で、のんびりするだけのモラトリアムが長くなるイベントですので、適当に寝てればどうにかなりますし、むしろ強化しつつ、時間も短縮できるのでうま味だったりします。

 

明日の決戦に備えて、今日はもう寝ましょう。

 

 

朝です。ジキル氏の、オートマタが活動を再開した! という声で起きることになります。

これで、敵がリモコンを中継した遠隔操作ではなく、自分が前線に出て直接! 操作していることになり、フランレーダーを使って追っていくとバベッジがいます。

 

準備を整えて、いつ面+フランちゃんでレッツゴー!!

 

道中代わり映えしない移動シーンなので、雑談を。

 

この後のシンドバッド君は何が宝具になるかによって、戦闘での動きが変わってきます。

元々、体装備のどこかが宝具になるという体でふわっとしたチャート分岐を作ってました。脚ならば、回避盾の役割を明確に持てますね。雑魚敵を牽引しながら、蹴り殺していきましょう。

 

アンダーウェアは単純な防御力が高くなるので、今までと変わらない運用になりますね。

 

グローブの装備の場合は、火力が上がっていくので攻撃にガンガン参加したいですが、鯖を倒せるほどではないので、一番まず味ですかね。

 

さて、適当に今後の想定をしている中で、無事バベッジと遭遇。

こいつ、夢とか語り始めましたよ! 巨大なロボであり、倒すのは若干苦労しますが、戦略はワンパターンなので省略。

撃破すると地下鉄の駅の底に秘密基地作ったよとにっこり情報をくれますので、拠点に戻りフランを置いたら、最終決戦になります。

 

作家人の皆さん、進捗どうすか?

あ、だめ? でももう少しでできる?

そう……

 

『所長代理として、なるべく早い特異点の修復を求めるよ。でもそうだね、後1日なら待っても大丈夫。これから敵の本拠地に乗り込むんだ。その間に十分に体を休めてほしい』

 

ありがとナス! ただまぁ、テスラが来たら怖いので半日でいい(謙虚)。

日が暮れたら攻略に行くことを決めて、作家に最後の追い込みをしてもらいます。

おう、はよ書けよ。(豹変)

 

プレイヤーはメタ的に、最後に聖杯を回収するまで時間的余裕がある事を知ってますが、ロマニたちは当然知らないので、ここで完成させないとという感じですね。

 

予定してた時間になりましたが、宝具は出来てますか?

 

「ああ、間に合ってしまったよ」

 

「吾輩としてはこんな形での作品、合作みたいなものは不服でしたが」

 

「いつだって、読者は書きたいものではなく、書かせたいものを強要してくる」

 

文句ばっかですが、逸話のエンチャントが終わったようです。

 

宝具名 共喰う簒奪者(ロンリネスイーター)

 

ファッ!? これはシンドバッド君自身の逸話をシンドバッド君の体にエンチャントされた宝具ですね。一番確率は低いですが、大当たりです。

 

えぇ……エンチャントの内容的には、様々な物を食らいつくして、あらゆるものを自らの力にしていくという話の具現化。自分の身に着けている装備を、自分の体由来のものとみなし、十全に力を引き出す。常時発動の宝具ですね。ゲーム的には攻防バフ的な感じです。

真名開放すると、手に入れたものを無理やり自分の力として取り込むことができる、感じです。

 

んー……まぁ普通、3点。

ただ、今後どんな装備を手に入れても、それらのスペックが上がっているのは悪いことじゃないです。

 

ランスロットの宝具が自力で勝ち取った物限定になり、効果が劣化する代わりに、武器だけでなく防具にも判定が入る感じですね。

 

はえぇー……まぁ死ににくくなったことは良いことでしょう。

 

ただ、こういう全体的な自分強化なら、魔力キャパが上がったり、外付けバッテリー化できるみたいのが良かったですね。ともかく、感謝しましょう。謝謝茄子。

 

というわけで、作家人に別れを告げて……なんてことはせず、強制連行でラスダンに乗り込みます。

道中の敵相手に襲い掛かって、宝具『共喰う簒奪者』を試し打ち。打つというか確認ですけど。

 

敵の攻撃をガードして、おお、魔本なのに食べるコマンドが出ますね。魔本が食えちゃいました。どんどん悪食になってきますねぇ。

なるほど、要するに自分のキャパシティ内の物を自分に取り込む系ですね。生物なら一時バフ、物品なら永続弱バフと。こいついっつもバフられてんな。

 

しかし魔本を食えば、魔力を若干チャージできるのはいいことですね。メドゥーサの宝具を使って補充したのをマスター経由で他の鯖にドレインさせるのを簡易的に自己完結してる感じです。一度に腹に入れられるのは1体だけみたいですが。しかもご丁寧にゲージが上がります。

 

 

さて、気を取り直して進んでいき、最深部へ着くぅ!!

マキリのおっさん。若かりし頃はやっぱイケメンだったんっすね。

 

まぁ魔術王を目の前にして、服従のポーズしちゃってますけどね。おう、犬っぽくなるんだよ。

 

マキリ君には大した戦闘能力は無くて、この特異点をどう破壊するのか、という大それた話をしてくれます。それが今の人類の神話を電気文明の神話となぞらえて、ニコラ・テスラという、電気文明の最高神をブーストして呼び出して、その雷でブリテン島を焼き尽くすという、なかなか回りくどい計画を話してくれます。

 

マキリが英霊召喚の詠唱にはいったら戦闘開始。でも即攻撃しても間に合わないので、藤丸君の首をひっつかんで、マシュの後ろに行きましょう。召喚の余波で吹っ飛ばされて瓦礫の下敷きになります。マシュの盾の下に仲良く3人潰されておきましょう。

 

すると召喚されたテスラが、悠々と歩いて立ち去っていきます。他の鯖たちも結構遠くに吹っ飛んでますので、イベント戦というか、敗北戦闘みたいなもんですね。

ただダメージは殆どないので、瓦礫をどかしてもらったら追いかけて追撃戦です。

 

といっても、テスラさんは雷によるガードで守られており、それにより周囲が活性化して、エネミーも無限湧きしてきます。

防御を剥がすために、雷撃系のダメージで相殺と行きたいですが、えっちゃんではさすがに出力も足りません。

 

とにかく追いかけながら、攻撃のできる鯖にテスラを追いかけてもらい、シンドバッド君は雑魚処理です。ある程度進むとこちらを排除しようと攻撃が来ます。ここに全力で魅了を叩き込みます。お前の敗因それは男に生まれたことだ!!

 

当然、良い隙ができたのを鯖が追撃してくれますが、はい。雷撃で弾き飛ばされてしまいます。ですが、長い宝具演出を見ないで済みましたのでOKです。

 

ここで、藤丸君の体力と、シンドバッドの鯖もさすがに一旦休憩をしないとという事になり足止めが発生します。魔力が足りない。

強制イベントに近いですが、無理やり急行もできなくはないです。ですが、しっかりここで休んでおきましょう。

 

敵の狙いは、地上で雷をどばーっと出すことであり、具体的にはバッキンガム宮殿まで行こうとします。ここで藤丸君が動き出すのを待ってから移動を開始すると、画面外でテスラが、金玉コンビことキントキ・サカタと玉藻の前が足止めをしてくれます。その上ゴールデンの宝具で、相手のバリアを完全無力化してくれます。

 

というわけで地上に到着。移動の際は藤丸君が動き出せば後は大丈夫なので、シンドバッド君が背負いましょう。鯖にはなるべくフリーハンドでいてもらいたいですからね。

テスラがゆっくり歩いているのが見えますので、藤丸君にお願いしましょう。

あいつ電気神話の神とか言ってますんで、多分神っすよ(大嘘)

 

「凱旋を高らかに告げる虹弓!」

 

はい、ナポレオンの宝具で、かなり弱ってくれます。後は一気に前衛たちで強襲をかけます。忘れずに藤丸君と一緒に金玉コンビにお礼を言って、進みましょう。

 

テスラは、雷バリアさえ剥がせば、雷の出力が高いだけの普通の鯖です。肉弾戦で挑めば余裕です。到着するころには大体死んでますので。はい、テスラ撃破です。今回のボス戦本当に盛り上がんねぇな。

 

ですが、ここで、スペシャルゲストぉ!! 槍トリアさんのエントリーです。ワイルドハントの具現化で、敵を滅ぼすと決めたアーサー王とのことです。モーさんが、また俺を認めないつもりか!とわめき始めますが、無視だ無視!

 

はい、というわけで、実質的な最終戦闘、アーサー王戦です。やることはいつものです。

 

「キャスター令呪を以て命ずる、宝具を開帳せよ!」

 

「千夜一夜物語!」

 

はい、あの人王なんですよー。

男ではないので魅了は入らないですが、対英雄(譚)がぶっ刺さります。

後はモーさんに気の済むまで切り合ってもらいましょう。えっちゃんも入れておけば、負ける理由はないです。

 

アーサー王撃破。リツカ君が近寄っていきますね。たぶんえっちゃんが同じオルタって言ってたから、興味あるんでしょうか。改めて思えば、今までアーサー王関連の鯖、全部オルタですね。いやまぁイベントにした、正規のが出てきてないから仕方ないのですが。

 

さて、後は聖杯を回収に戻るだけです。

聖杯を回収することがトリガーでソロモン王が来ます。ソロモン王と、テスラを両方相手どれるのでなければ、初遭遇の際に聖杯に手を出すのはやめておきましょう。

強制負けイベントにつながりますが、魔神柱戦もありますので。というわけで、帰ってきた~!! もう脚が、パンパンだぜぇ!

 

聖杯を回収して、第4特異点を攻略完了です。

くぅ〜!疲れました。

 

するとBGMが一気に不穏になり、カルデアからの通信や干渉が一気に制限されます。ロマニ、強制ログアウトだ!(できない奴 ゥ!)

 

「カルデアか、わが偉業を前に、無駄無力無意味と知りながら抵抗を続ける哀れで無価値な存在」

 

というわけでソロモン王です。

厳密にいうと、自分のことをソロモン王だと思い込んでいるソロモン王の部下です。まぁ細かいことはどうでもいいです。

強制負けイベ戦闘で、魔神柱が複数襲い掛かってきます。負けイベですが耐えきる必要があります、藤丸君に令呪でマシュの宝具を切ってもらいましょう。

 

すると一瞬で野良鯖たちが撃破されて、アンデルセンとモーさんしか残りません。その後は会話パートに入ります。

アンデルセン君が鑑定眼で正体をおおよそ看破してくれますね。あくしろよ。

 

まあ、本筋には関係ないのでテキトーに倍速です。ちなみにこのソロモン王(仮)の性格は、話している人の性格に近しい人格を作って話するらしいっすよ。頭わるそーなギャルっぽいキャラが話しかけた時のげーくんみたい。見たくない?

 

 

そしてアンデルセン君を八つ裂きにして、こっちを『見た』後、満足したのか帰ってきます。ここに来た目的はしょんべんをしに来ただけなので。ナメプですが、それがないと詰むので文句は言いません。

 

というわけで第4特異点終了です。

 

今藤丸君を見た事で、監獄等イベントのフラグが立ちました。オガワハイムは時間的余裕がないので起きませんが、魔術王に呪われた結果が夢でちょこっと戦うくらいなら、安い安い。犬に噛まれたと思ってあきらめてくれ。

 

そして特異点から帰宅。もはや慣れたものですね。

 

 

 

今回のリザルトは……まぁまぁですね。それでは、藤丸君の様子を見ましょう。ここで倒れたら、イベント開始ですが

 

「あれ……なんだか……力が」

 

「立ってられ……ねぇ」

 

 

あーやっぱりイベントですねぇ。しかたないねー。それじゃあシンドバッド君、運んであげなさい

 

────共に倒れた立香の姿を見たあなたは、自分を見たあの瞳を思い出す。

 

────まるで締め付けられるかのように、あなたの体は動かなくなり、意識は闇へと沈んでいく。

 

ファッ!? は!? あああああああ!!

ロマニお兄さん許して!! タイム壊れるぅ! やだ!小生やだ! イベントやだぁ!!!

 

 

────目を覚ました貴方は、重い岩につぶされるような圧迫感の中身動きができなかった。

 

 

あああああああああ!!!!!

監獄塔ですらない!!!!

 

 

 

 




宝具名 共喰う簒奪者(ロンリネスイーター)
種別 対人(自身)宝具
ランク C
由来 生涯において、あらゆる物を奪って生きて自分の物にした事から
材料 各特異点で倒して自ら勝ち取った素材と彼自身の肉体
奪い取り自分の物にした物を自分に最大限役に立つように作り変える宝具能力。騎士は徒手にて死せずの劣化である。自分で倒した敵の物である必要がありるが、奪ったものであれば、その後誰の手が入っても問題はない。これにより自身の装備をDランク相当の疑似宝具にできるが、疑似宝具の真命解放は名前を明確に把握してないと行うことが出来ない。

宝具自体を真名解放した場合、敵そのものを自身の共食いの対象として強制的に捕食する。当然自身より力量が上のものであれば判定は失敗する。

補足:ロンリーイーターではない。




というわけで、特大ガバです!! やったね!!


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裏:ミストレス・Cに関して

今日はこどもの日ですね。
だからなんだという話ですが。


謎の女怪盗ミストレス・C。彼女はかすかな縁を頼りに召喚された。

リソースが十全に確保できておらず、縁でのつながりで呼ばれにくくなっている、カルデアの召喚システムの中でだ。

 

「ある時は、謎の高貴なセレブ、またある時は冷酷な吸血鬼! 」

 

名前も名乗らず、彼女が必死になって考えた格好良い口上を高らかに宣言すると、唖然としたような雰囲気が漂ってくる。

 

全く失礼なことだ。このGroovyな格好良さが何故分からないのか。

しかしながら、彼女のマスターである、変わらずに褐色の肌の男性は、呆れを宿さない目で此方の事をただ見つめている。そうだ、これでいいのだ。

 

きっと彼は覚えていないのであろう。必死になってここまで来た自分のことを。でも、それでも良いのだ。

 

「その真の姿は、巷を騒がせる謎の女怪盗! ミストレス・C!! これも運命かしら、召喚に応じてあげたわ!!」

 

自身の真名である、ミストレス・Cを告げるものの、周囲は相変わらず今一つな反応だ。

気にすることなく、彼女はマスターへと近寄り、マスターの瞳をサングラス越しに覗き込む。空虚でいながら情熱的。そんな何度見ても忘れられないその瞳を見て安心する。彼は、今回も彼のままなのだなと。

 

そして、またいるのかと。彼と同じだが、それよりも少しだけ明るい色素の肌を持つ女性を一瞥する。だが、まあ良い。自分だって、またいるのだ。偶然が重なっているだけなのであろう。そうだと思いたい。

 

どちらにしても、掌の上で何度も踊らされるのは慣れている。

ミストレス・Cは帽子を自身の表情を隠すようにかぶり直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーヴァントの勝ち組の証である水着。そして、それを纏うのは、まだまともな方のエリちゃんと名高い、大人となったカーミラの姿。それ自体はおかしいことではない。

 

サーヴァントはその英霊としての生涯を座に記録された存在。その情報をくみ取り、クラスという鋳型に鋳造されて召喚される。故に、生前全ての道具を持ってくることはなく、最も適した姿と道具を携えて現れるのだ。

 

しかし、記憶に関してはかなり個人差がある。生前の事すら朧気になっている特殊な生い立ちの者もいれば、他の聖杯戦争で召喚された記憶を明確に持っているものも。事実としてそんなことがあったのだと本を読む程度に知っているものもいれば、なるべく知らないでおこうと目を背けている者まで。

 

そして彼女は、その方面でのカテゴライズではとりわけ不思議な存在だった。

 

改めておさらいすると、実のところエリザベート・バートリーも、カーミラも一人の女の生きざまを基にしたサーヴァントである。名前こそ異なっているものの、所謂、通常とリリィの関係である。

そこに彼女自身の経歴から、カーミラという女吸血鬼が生まれ、彼女こそがそのカーミラであると歪められていき、汚れを知る前の少女としての姿と、妖艶な女吸血鬼の姿形に落ち着いたのである。

 

通常の召喚で呼ばれたエリザベートというのは、基本的には、わがままに自分のやりたいようにふるまう。マスターは彼女にとって、彼女の魅力を広めるという目的のためのプロデューサーやマネージャーであり、自分の役割であるアイドルであったり勇者にどっぷりとはまってしまうのだ。

 

そんな彼女は、この人理焼却においても何度も何度も召喚されていた。

特異点だけで3つ、他にも極小特異点を含めればその数は膨大。だが、野良ではなくマスターと契約をしたのは、『この並行宇宙』の中において、彼女の主観においては、全て同一のマスターとの契約だ。

 

『彼』との契約の際は、決まって未来のカーミラの精神性として召還される。彼女が嫌うエリザベートの身体に近い、やや若い姿で呼ばれたこともあった。それは『彼』と彼女を結びつけるものがそこに起因するからなのであろう。

 

そしてそれが変に作用したのか、彼女はその出会いを召喚が終わっても忘れなかったのだ。

彼女の主観は覚えている。朧気であやふやだが、『彼』と共に聖杯探索を駆け抜けて、そして『必ず志途中で死別する事』を。

 

彼女が召喚された旅は、全て一人の女の手によって終わりを告げていた。

 

それは自分が華々しく出演しデビューを飾った初舞台。脇役ではあるものの、存在感を誇示しながら演じた演目で、結局はその女のすべて掌の上だった。

まぁ、それは仕方がない。彼女の上司ですら、その女の掌の上だったのだ。

 

しかし、その因果が此処でも絡んでいるのならば非常に遺憾だ。

 

そして、今回のこの人理焼却という大舞台での彼女は、ヒロインではあるものの、汚れ役だ。いままでは座では兎も角、召喚される彼女が持っている記憶は、フランスで操られて戦ったものだけだ。カーミラとして召喚される以上、そうなるのは当然だ。

 

全ての旅で共通して、彼女は2番目か3番目に呼ばれる。フランスで縁を結ぶ以上、それは仕方がないのだ。1人目はずっと決まっている。

 

どうやら、彼女のマスターである『彼』には名前はないが、自分や1番目のようなサーヴァントとの相性が良いようだから。

 

『成し遂げた』今の彼女ですら全てを鮮明に覚えているわけではない。それでも彼女は、どんな形で彼と出会っても、楽しく良い関係を築けた。1番目がそう導いているのか、決まって優しくて、積極的で、情熱的に求めて。自身の美しさを何よりも見つめて認めてくれるマスターだった。

血を吸っても死なない程度ならば怒らない。それでいて、戦闘の際にも無茶な指示はほとんどしない。

 

 

呼ばれる前から好きなのではない。今まで呼ばれた際に、記憶は殆ど持ち越せていなかったからだ。それでも呼ばれる度に毎回好きになってしまう。

座での彼女は、何度も何度も好きな本を読むように、打ち切りになってしまったところまでの経験を反芻し続けていた。

 

擦り切れるほどそれを繰り返していった彼女は、禁忌としていた方法を行う。

それは自身とエリザベートの同一視。メカにも勇者にも鬼にも魔女にもアイドルにもなる謎すぎる存在エリザ。その存在によって、自分を変革。

 

もともとあった自身の可能性である、城を求めるために怪盗業にいそしむ姿に、エリザベートの記憶を持ち込んで、彼女は【バートリ・エルジェーベト】という真名をミストレス・Cとすることで、エリザベートでもあり、カーミラでもあるという状況でこの場に召喚されたのだ。

 

────あのエリちゃんならば、こんなことやりかねないであろう。

という人々の期待に満ちた願望と

────カーミラ様は水着でこんなこと多分しないし、こんな恥ずかしい名前を付けない。

という信仰を利用して現れた、エリザとエリザとエリザとエリザとエリザとカーミラが合わさり最強となったエリザベート。

 

それをサーヴァント界のトップカースト、水着サーヴァントという型に詰めるだけ詰め込んで、召喚されたのだ。

彼女はミストレス・Cである限り、エリザベートでもある可能性と、カーミラでもある可能性の両方を有することができるのだ。

さながら名前を告げたら、姿を消さなければならない怪盗のように。

 

そういう信仰により自らを霊基を変えた彼女は、おぼろげながらも何度も見たこの並行宇宙の記憶と、この世界で自身が召喚された特異点でのエリザとカーミラの双方から見た記憶と共に召喚されている。

 

その為エリザベートのスキルもある程度は使え、カーミラとしてのスキルも使える。竜でも吸血鬼でもあり、その気になれば負担は大きいが勇者にもなれる。

 

────うーんアンタは、そうね、クマね!

────あら、処女は2人しかいないのね

 

力を求めて、より明確な成果を求めて走り続ける。

彼女のマスターは、そう強い決心と決意をもって歩み続けると、必ずより大きな倒錯性を持ったサーヴァントを召喚してしまう。

 

彼の呼ぶサーヴァントは全て『愛が歪んでしまっている』

 

崇高な目的の為自分の身体を手段とし、愛を受け取れなくなった女。

手に入らない物の為に、身体を差し出し欲しい愛を遠ざける女。

自分の快楽に若さを求め、残虐な手法で処女の血を浴びる女。

 

段々と外れていっている。彼女を呼んだということは、あまり猶予は残されていない。

 

 

このままでは、『自らの悦楽という愛のために、何もかもを犠牲にする女』が呼ばれてしまう。

 

名前は会う度に異なるが、今生での名はシンドバッド。それはもう関係ない、彼女にとってはマスターでしかないのだ。

マスターは人理修復の偉業を成し遂げなくても、良いのだ。

 

 

背負った罪の精算のために、自らの価値を高める偉業(誰かの自慰行為)に付き合わなくてよいのだ。

 

人間自身の価値は、誰かに愛されることでも満たされるのだ。自己肯定をするのに、偉業はいらない。

既に分水嶺ぎりぎりだった。黒にするか、赤にするかで水着をじっくり選んでたら、危うく遅れるところだった。

 

 

必要なのは、目的はそのままでも、覚悟を鈍らせること。ここにいてもよいのだと思ってもらうこと。帰ってくることを意識させること。

既に1人目は最初の目的を、自身の生存の為この一度の死で終わりにしたいということを、諦めかけている。

ならばこそ抱き込むしかない。2人目もたまに見る顔だ。彼女は幸せな家庭さえ築ければよいのだ、どちらでもよいならば協力はこぎつけられる。

 

4人目にあの女が来たら、その時点で彼はすべてを投げ出してあの女に溺れる。そうしないためには、彼はこれ以上自らの価値を勝ち取る必要がないと思って貰う必要がある。

 

だからこそ、一通りの自己紹介が終わり、マスターが退出したマスターの部屋で、彼女はこう紡ぐのだ。

 

「マスターを私たちのものにしたいのだけど?」

 

言葉はもう少し選ぶ必要はあるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、マスター。どうすれば彼女は幸せになれたと思う?」

 

カルデアのライブラリー、その資料閲覧スペース。半個室の狭いソファーに寄り添って二人で座りながら、マタ・ハリは己のマスターにそう問いかけた。

 

彼女が見ているのは、生前の自分をテーマにした作品。女の悲劇的で情熱的な刹那の人生を描いた、映像作品だ。

作品自体に文句は実のところそんなにはない。主演の女優は可愛らしいし、フィクションが交えられてるが、大まかに自分の人生をドラマティックにしている。

 

ここまで恋が多い尻軽じゃないのだけどとは思いつつ、彼女は一緒に映像を見ていたマスターへと声をかける。

 

「男に好かれない姿の方が良かった。このマタハリは、綺麗だから男が沢山きてわからなくなった。だから、欲しい物はあるのに、最初に諦めた」

 

マスターはたどたどしく、ゆっくりとそう口にした。既に映像は本編が終わりスタッフロールが流れるばかり、文字が読めないシンドバッドがそれを読めるはずもないが、じっと画面を見ていた。まるで見た映像を必死に思い出すように。

 

「マタハリは負けないようにしてた、だから大きく勝てなかった」

 

それは奇妙な視点ではあったが、ある種彼の理解できる範囲でかみ砕いた内容だった。

 

美しい少女は、実家が貧しくなっても勉強を続けられた、しかし後援者からのセクハラに耐えかねて、中退した。結婚適齢期になった彼女は、お見合い新聞で年齢が離れたよく知らない男と結婚して浮気と暴力に苦しんだ。

子供が死んだことを責められたが、彼女は耐えてしまった。残った子供も連れて行かれたのは、当時の時代背景的には仕方のないことではあるが。

 

「負けてよかった。一回全部投げて、ほしいものを取りに行けばよかった」

 

その後も美しさを武器に多くの男に寄りかかり、多くの止まり木を作った。

しかし、彼女が欲しかったのは、立派な止まり木ではなく、細く貧しくとも枯れそうでもよいので、木に巣を作る事だった。

 

彼女はその場その場で、しっかり負けない選択肢を選んでいたが、それがゆえに大きく勝てなかった。それだけだ。

 

 

「うふふ、ありがとう……そうね、普通の幸せを得るには普通で良かったのよね、きっと」

 

「でも、マタハリより、マタ・ハリのほうがずっと綺麗で、俺は好きだ」

 

シェヘラザードとマタ・ハリの二人は、シンドバッドと既にそれなりに長い時を過ごしている。物事というものをそもそも知らなすぎるこの青年に、多くのことを教えて、ある種育ててきたとも言える。

女性への態度や接し方は、かなり二人の希望通りに導いてきた所は多々ある。それでもこの手のものは元来の気質による所は大きいのも事実。

 

つまり、マタ・ハリは優しく甘やかすことを中心に接してきた結果、普段は紳士的に優しく接してくるのに、サラリと言動の端々で口説いて来る上に、機会があれば獣のように求めてくる一途な男性になってしまった。

 

「あぁ、マスターだめよ。ここはお部屋じゃないわ。昨日と違って、ずいぶん荒々しいのね。でも、その通りなのかもね」

 

マタ・ハリは自分の腰に回った腕が抱き寄せるのではなく、持ち上げようと力の入れ方を変えたのを覚えてから、マスターの唇に指を当てておあずけをする。

シンドバッドは大人しく、そのおあずけをきく。ダメと言われたら我慢するしかないのだ。

 

「ああ、マタ・ハリは綺麗だ。俺のところにいる限りはずっと一緒にいて欲しい。戦いが終わって帰るまででいいんだ。いなくなるまで、いなくならないでくれ」

 

「ああ、もう。甘えん坊ね、マスター」

 

生来から出来ていたが、サーヴァントの身になってより軽やかに、それでいて確かに自身の重さを意識させるように、彼女はシンドバッドの膝の上に腰を乗せる。そしてしなだれかかると、耳元に小さく囁いた。

 

「マスター、部屋まで運んで頂戴。脚が痺れて動けなくなったの」

 

「わかった」

 

サーヴァントという不思議な生き物でも、脚はしびれるのか、シンドバッドはまた一つ賢くなり、彼女を横抱きで持ち上げ、部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本日のまとめ

カーミラがエリザベートの皮をかぶり、カーミラとエリザベートで手を組み、エリザベートの力を持って、カーミラの姿でミストレス・Cの名前で現れた。


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裏:今後の方針について

皆さんからよくわからない、そう言われました。

カーミラとエリちゃんがまたなにか変なことをやってる。
それだけで十分です。

私もよくわかってないので、大丈夫です。


シェヘラザードは崇高な使命感で動き始めた女性だ。

 

狂った王を止めるために、大臣の娘という立場で、自ら名乗り出て、王を諌めにかかった。最終的にその試みは成功したものの、大きすぎる恐怖のために、彼女の心は最終的に壊れてしまった。

 

それでも行い自体は尊いものであり、彼女の本質は善のものであり、本来はすべてを犠牲にするということを考えるものでもない。死という大抵の存在に平等に現れる物への恐怖が彼女の眼を曇らせるが、それでも彼女の死への忌避感は、個人の喪失ではなく。

 

『自身の愛しいと思うものと一緒に』死ぬことが怖いというありふれているが、だからこそ強い志を持った人間なのだ。

 

国を愛しているから、民を愛しているから、家族を愛しているから。それが彼女が立ち上がった理由であり、失いたくなかったものだ。

 

本来彼女は、触媒で無理矢理呼ばれないと、よっぽどの危機であるか、よっぽど相性や性質が近いものでなければ呼ばれることはないのだ。

 

だからこそ、彼女は最初から目的を変えたわけではない。ただ、自分を呼んだマスターへの思いが、ストックホルム症候群の様に変質してしまっていった。彼女もそれを理解した上で、その感情を制する事なく、あるがままに受け入れた。

 

召喚された冬木という街を含めて、4つの特異点を修復する旅。それは命の危険を伴うものであり、マスターも積極的にリスクを取りに行く動きをしてハラハラしたことは何度もあった。特異点では夜毎に多くの話を語り聞かせ、多くの物事を教えて。旅の合間には彼が望むように甘やかして、眠り聞かせた。

それは彼女としては、少しばかり不本意であったが、これほどまでに自身に戦うことを強制しない優しい王となったマスターや、たまに呆れたような目で此方を見る同僚と、このカルデアという組織の他のスタッフも。失いたくないと思い始めるのは当然だったのだ。

 

「マスター、貴方は人理修復が終わったらどうするのでしょうか?」

 

それでも、こんな話を聞くつもりはなかった。確かに彼の肌は昔より少し冷たくなってきている。新陳代謝も上がっているのか、匂いが濃くなってきている。

きっと、そんなに長くはないのであろう。それは何となくわかっている。だからこそ、今のこの旅を集中して取り組んでいる彼に、その先のことを提示するような、水を差す行いはしたくなかった。自分の命の保全上の意味でも。

 

それでも、先日の3人目のサーヴァントが召喚された日にした話が、ずっと耳にまとわいついて離れないのだ。

 

 

 

 

 

「マスターを私たちのものにしたいのだけど?」

 

まだ召喚されて半刻ほどしか立っていない中、ミストレス・Cと名乗ったサーヴァントは、部屋に残った、マタ・ハリとシェヘラザードに向けてこともなげにそう告げた。

 

二人共、妙にマスターへの距離感が近く警戒心がない彼女に対して、少しばかり引っかかるところもあった。だからこそ、途中で何度か目配せをしてきたサインに気づいたこともあり。普段ならば、ワイバーン肉を食堂で加工してもらいに行くマスターに同行することをやめて、この部屋で待つことにしたのだ。

 

 

「あら? サーヴァントはある意味マスターのものでしょう? それを逆というのはいきなり裏切るという意味かしら?」

 

妖艶でいて優しい女性でもあるが、気の強いところもあるマタ・ハリは皮肉げにそう返す。ミストレス・Cは帽子を外して、美しい銀髪をなびかせながら小さな赤い角を顕にして、帽子を腰掛けているベッドに置いてから、その言葉を待っていたとばかりに返す。

 

「まだわからないの? あなた達でしょう? マスターを甘やかしてるの」

 

「それは否定いたしませんが、そのマタ・ハリの質問にお答えいただけませんか?」

 

シェヘラザードも概ね同様の意見だった。なにせ相手はよくわからないサーヴァントである。ですがそれは藤丸さんの謎のヒロインXオルタという存在に比べれば些事でしょう。そんな風に思いながらではあるが。

 

「私は、マスターが人理修復のために駆け抜けるのなら、死んでしまっても我慢できるわ。戦いに行く旦那を支えるのは妻の役目ですもの。でも……このままだと」

 

ナチュナルに自分を妻という対して、二人は一度顔を見合わせるものの、どうやら彼女には彼女なりの事情があるようだ。二人はそう判断して続きを促す。

 

「このままだと、マスターは悪い女に引っかかって、人理修復を放り投げて、その女と一緒に世界を滅ぼすわよ」

 

荒唐無稽で馬鹿馬鹿しい。信じるに値しない唐突すぎる話。一蹴して問題ないようなものだ。だが、話を聞いていた二人は、本能のようなもので思ってしまった。本当に僅かばかりだ。それでも

────あっ、それありそうだなと。

 

なにせ、自分たち二人の影響を非常に強く受けている。彼自身が望んでいる使命感については手を加えてこそ無いが、言動も好みも所作も、何ならばテクニックや方法までも。彼の所作は二人の好みが結構出てしまっている程度に影響を与えている。

 

シェヘラザードと接する時は、甘えるように無防備に。そしてどこまでも優しく依存するかのようにして。マタ・ハリと接する時は、少しばかり強引にそれでいて真っ直ぐ求めてこようとする。

双方が双方のやっていることに一言申したい時はあるが、それもまたいいかとお互い暗黙の了解でサンクチュアリとしていた。

 

だからこそ、本気で彼を依存させようと、彼のことをどうでもよく思う程破滅させようと、身体も使って誘惑すれば……多分出来てしまうであろうな。と

 

 

「私は、わかりやすく言うと他の聖杯探索でマスターといた事がある。何回かね。でも全部同じ様にある女を召喚して、破滅に終わってるの」

 

信じたくはないものの、無視はできない発言である。

 

「名前は言わないわ。来たら困るもの」

 

「この後何か、触媒を手にするのでしょうか?」

 

「いいえ。マスターは人理修復に対して……というよりも、1つの使命感に集中するということが、生き様なの。そしてなぜか、それが強まるほど彼と相性が良いサーヴァントが呼ばれるのよ。だから、このままだと恐ろしいほどに愛に狂った女が、私の後に呼ばれるの」

 

ミストレス・Cは、思い出すようにそう語る、淡々と事実を確認するように、自分に言い聞かせるように。楽しい思い出がある。綺麗で大切なものが。彼女のこの並行宇宙の座には。この世界線だけの価値観しか持たない自分では、普通に彼を好ましく思い、彼を支えてしまう。

そして彼は走り切るために助走をつけて、加速して……奈落の穴へと落ちていくのだ。

 

「他の私の記憶を持ってこれたのは今回が初めて。だけどわかることがある。今みたいに彼を、マスターをそのままにしたら、取り返しがつかないことになる」

 

いつの間にか、マタ・ハリもシェヘラザードも話を聞き入っていた。こればかりは理屈じゃない、彼女たちは同じなのだ。ほしかったものをもう手に入れることができなくなった『女』の顔と声だったから。

 

「……それで、どうすればいいの?」

 

「協力してくれるのね?」

 

「話を聞いてからよ。私のマスターを、後から来た女に良いようにされるのは嫌なの」

 

マタ・ハリの発言は、少し棘のある言い方ではあったが、それはシェヘラザードも同じであった。これが交渉だとしたら現状把握よりも、相手の用件こそが最大限見るべきものであるのだから。

 

「簡単よ。彼にとっての優先順位。それを人理修復を1番でなくして、自分のサーヴァントに依存するようにすればいいの」

 

「……マスターであることを諦めさせるってこと?」

 

「違うわ。彼の背中を押しちゃいけないの。いいえ、彼が求めているものを私達であげるの、彼が満たされるほどね」

 

「マスターの求めてるもの……成功体験に基づく自己肯定よね」

 

それは、シェヘラザードもわかっていることだった。だからこそ、彼女はマタ・ハリを抱き込んだのだし。目的は変わっていない。

そして彼女は、きっと自分のマスターは最後まで諦めないで目的に向かって走っていく。そういう確信があったから、それまではついていく決意をなんとか固めたところだった。

 

「そうよ。彼が欲しいのは、自分が生きていて良いと思えること。そう確信できるほど、誰かに愛されれば良いの! そのはずよ……たぶん。ええ、きっと」

 

「貴方も確信はないのね。でも……えぇ、私は協力するわ。さっきも言った通り、ぽっと出の女にマスターを良いようにされるなんて絶対に嫌。それこそミストレス・Cが何を企んでいても、今後はマスターが私を求めるように、私を糧に生きるようにする」

 

マタ・ハリは変わらないようだ。まぁ彼女はマスターに求めている物に照らし合わせれば、現状をより強くしただけだ。第三者からのゴーサインが出ただけであるのであろう。

ミストレス・Cもそう言う以上、同じ様に動くのであろう。彼を自分たちで満たさないと、彼が死に、そして人理焼却も完遂される。それならばサーヴァントとして呼ばれた使命にも合致している。

 

だが、自分はどうであろう。未だに彼女は両天秤なのだ。マスターがまっすぐ歩み続けて、その先に勝利を掴むのならば邪魔はしない。

でも、途中で負けてしまったら、それはそれで、もう2度と英霊召喚という事象に付き合う必要はなくなるのであろう。それはある種の彼女の目標を達成したという意味でもある。

 

だが、最後まで彼がどこまで行けるのかを見てみたい。この優しい王が、優しいままに進めるのかを見てみたいのだ。

突然来たサーヴァントに全部持っていかれるのは釈然としない程度には、彼のことが気に入ってしまっている。

 

「シェヘラザード。貴方はどうするの? 貴方は何時もマスターがあの女に溺れるのを静かに見ていたわ。今回もそうするの?」

 

「私は……」

 

「貴方が怖いのは自らの死だけなのかしら? この日常と一緒に死ぬことのほうが怖いのではなくて?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉に返すよりも前に、マスターが戻ってきてしまったので返事を返すことはなかった。

なにせ、召喚初日から、血を見るような絡み方をする大型新人と、マスターの操縦をするのに手一杯だったのだ。

 

返事は彼女は今日までの幾ばくかの時間を用いて、何夜も考えた。そして、あやふやに見えた答えに名前をつけるために、マスターに話しかけに来たのだ。

 

 

 

「終わったらどうするって何だ?」

 

「この戦いが終わったら、何かしたいことはございますか?」

 

 

シェヘラザードはマスターにそう尋ねた。それは酷なことであることを知っているのに。

それでもそう聞かざるを得なかったのだ。

 

「結婚したい。キャスターの語った話は、皆そうしてた」

 

それは、立派な英雄譚に憧れて、そうなりたいと思う少年と何らさがない漠然とした、子供の持つ将来の夢だった。

 

「元いた所に、お知り合いでもいらっしゃるのですか?」

 

「いない。名前もないのにいないよ、皆しか知らない」

 

「それはつまり……サーヴァントと結婚すると? それは、破天荒なマスターらしいですね。マタ・ハリとそう約束しているのですか?」

 

それでいて、非現実的なものである。だが、取り繕って応えたのではないのであろう。つい、深く聞いてしまいたくなるほどに曇りがないのだから。

 

「いや、してない。でも皆と結婚したい。キャスターと、マタ・ハリと、ミストレス・Cと」

 

「そうですね、今みたいに皆で暮らしたい。平和な世界でそう出来たのならば、きっと楽しいのでしょうね」

 

 

やはり、彼女のマスターはまっすぐだ。真っ直ぐ自分が生きる許可を、自分に出せたら、やりたいことを思いっきりやりたい。それが、サーヴァントとの結婚である。とても危うい在り方で、とても難しい夢だった。

 

それならば、もう決めてしまおう。きっとまた、この仮初の生が終わったら、死に怯えるであろう。いつか自分に死をもたらす物が現れるのであろう、だがそれは今でもなければ、このマスターでもない。

こんな、悪い女ばかりにつかまって、良いようにされているマスターに、生前みたいにもう一度、自分のすべてをBETしよう。優しい王だ、気が触れて処女を殺したりはしてない。自分が導いた王に、自分が殺されてしまうのは、気まぐれという運ではない、自分の責任だとも言い訳できる。

 

「彼女の言う通り、私はどうやらこうして過ごす日々ごと死ぬのが怖いようなのです」

 

できることをいたしましょう。今までのように貴方に泡沫の眠りへといざなう物語を語りましょう。求められれば捧げましょう。皆で笑いながら進みましょう。

 

「どうか、これからもお側に。私の優しい王。ここで死んだらまたあなたと離れ離れになってしまいますから」

 

彼女はその日、人理焼却を望む自分を殺した。この死を今生の死にするために。この生をこのまま続けるために。分かれ道の行き先を定めたのだった。

 

 

 

 




今日のミストレス・C


(この霧でマスターの調子が悪い今、私の活躍を見せるときよ!!)

(他のサーヴァントの協力も取り付けたし、あとは勝つだけなのよ!)

(あ、なんかこの家が怪しいわね! 入ってみましょう)

(ふふっ、拠点と現地のサーヴァントとの合流が出来たわ! マスター喜んでくれるかしら?)


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裏:積み重ねに関して

シェイクスピアの作品引用は諦めました(ゲッソリ)
そのせいで予定より短くなってしまいました。

A Midsummer Night's Dream 位しか原語ではまともに読んでないです……
翻訳版もヴェニスの商人位しか読んでないのです……

読んだ理由? 学校で読まされただけです。他意はありません。
これだけははっきり真実を伝えたかった。


「以上が、マスターの今までの冒険となります……あの、今宵は此処まででよろしいでしょうか?」

 

特異点の中の、セーフハウス。そこの一室で何故か今までの冒険のあらましを話すことになったシェヘラザード。それは彼のマスターが、何故か作家陣に妙なインスピレーションを与えられたからである。

 

彼女自身が語ってもいない話も、語ってしまえば宝具にすることができるように、作家のサーヴァントは、作品という自身の制作物として扱うことで、他のものを宝具にする事ができるのだ。

この辺りは、正直何故そんなことができるのかと考えるだけ不毛なのであろう。

 

既に夜半を回っており、自然と此方の手狭な書斎は、シンドバッドのサーヴァントと作家勢で占領して、生活空間の方を、ジキル氏とモードレッドに立香のサーヴァント達がと棲み分けが出来ていた。

 

既に先程まで、時々その時作者はどう思ったの感覚で、質問をされていたシンドバッドは眠りについている。特異点の中では、彼はしっかりと任務に忠実だ。質問に答える時以外はトレーニングをしていたし、今も部屋の隅で丸くなって寝ている。ミストレス・Cの犬2匹と一緒に寝る姿は、まるで野生動物のようだが、その犬達にのしかかられて、少しばかり息苦しそうだ。

 

睡眠は娯楽であるサーヴァントにとっては必ずしも必要なものではない。マタ・ハリも椅子に腰掛けて何やら本を読んでいるし、ミストレス・Cに至っては、何かの地図に赤いインクで経路を書き込んでいる。ある種仕事をしているのは自分だけだった。

 

「ええ、吾輩は結局2回聞く事になりましたので、今日は完璧ですな」

 

「俺も一先ずは問題ない」

 

その言いぐさでは、また必要になるようだが、別に話がつまらなくても、疲れても死ぬわけではないので、彼女はそこまで大きなストレスを感じていなかった。そもそも生前から一晩程度ならば、行為の後に、死のプレッシャーに苛まれながら寝ずに語り聞かせることができるのだ。

彼女にとっては、腰掛ける椅子が硬い事くらいしか、マイナス要因がないこの状況ならば問題はない。

 

「そうですか。それでは私も休ませていただこうかと」

 

「まぁまて。世界有数の語り手がシンドバッドの冒険を語ったんだ、物書きの端くれとして対価を払わないのは道理が通らない」

 

「対価は、既にマスターの礼装の宝具化という形で頂戴しております」

 

「いえいえ、それは吾輩がやりたいと言い出したこと。むしろお付き合いを頂いている所に、資料としてとんでもないものも出された。作品を返すだけで済ますのは、筋が通りませんな」

 

 

正直、この二人の男性の異様なテンションの高さと、ものを書くのが好きなのか嫌いなのかわからないような姿勢は、苦手なのである。だが、無碍に出来ないので、先を促す。

翌朝、マタ・ハリに相談した所『貴方も似たようなものでしょ?』 と返されて凹むのは別の話。彼女だって、語る際に恐怖を覚えたというのに、新しい話を意欲的に仕入れ続けているのだから。

 

 

「それで、何を下さるのですか? }

 

「そうだな、アイツの持っている礼装だが、全ての由来はわかっているか?」

 

「はい、ワイバーンとファヴニールの鱗の肌着と、ローマ兵の武装で鋳造したすね当て、牛皮と海の神の加護がある布で作った手袋ですね」

 

「そうだ……どうやら、お前は、というよりサーヴァントの方は大凡察しているようだな。だが、あえて断言してやろう」

 

アンデルセンは、話を始めた途端、本を閉じて此方を見るマタ・ハリと、カードをいじりながら此方を見ているミストレス・Cを見て、口にしてないだけで、わかっていることを確認する。

 

 

「問題なのは、肌着でもすね当てでもない。双方ともそれなりの逸話がついている以上、このまま書いてやればそれなりになるであろう。だが、グローブ。これだけはものの種類が違う、なにせこの布は海の神ではない、航海の神の物なのだからな」

 

その言葉に、3人共「ああ、やはりか」という顔で肩を落とす。ミストレス・Cは手首を返してカードを投げるとアンデルセンの足元に刺さる。彼は一瞥だけして拾うことをしなかった。

 

「なんなら、牛皮の方もそうなのだろうよ」

 

「ちょっと! 予告状を投げたのよ!? 拾いなさいよ!?」

 

「うるさいぞ、竜の娘。処女じゃなくなって粋がっているのか? 生憎俺は盗まれて困るようなものはないから、予告状など出しても無駄だ」

 

その言葉に、一瞬顔を赤くするものの、直ぐに座り直して髪を耳にかけるようにかきあげて冷静さを取り戻すミストレス・C。その姿に、少しだけアンデルセンの目が開くものの、その間にシェヘラザードが一番近かったので、予告状を拾って読み上げていた。

 

「取り上げるべきなのかしら? だそうです」

 

「いや、それは止めたほうが良いであろう。あの男は今まで奪い続けてきた男だ。何かを奪われてしまえば、それに変な影響を受けるだろうよ。まぁ礼として差し出せるのはその助言くらいだ」

 

「現状維持ってことじゃないの」

 

マタ・ハリからすれば、何も変わっていないではないか。と呆れを覚えるのは当然だった。

 

「いや、無理矢理にでも止めるべきではないということがわかったのならば、それでよいであろう」

 

「確かに……あのような手に入れ方をしたのならば、きっとそうなのでしょう」

 

「それに俺が書くのは、奴の物語だ。今までの生き様と、これからの生き様を描けるようなもので。それぞれの礼装には変に価値を与えたりしない。銘を刻まなかった製作者の意図にあえて乗っかってやろう」

 

 

勝手に盛り上がって、勝手に話を収めた。まさに語るだけ語ったアンデルセンだったが、もとよりシェヘラザードは何かが欲しいわけでもなかったので、そのまま引き下がった。今はやるべきことに早く着手するべきなのだ。

 

 

「それでは吾輩からは、ふむ。何もありませんな。ですがそうですな。貴方の語りは私達ではなく、彼のために語っているのでしょうな。なにせ浮かんでくる情景がどうにも彼の表情などが妙に多かったわけですからな」

 

 

語り自体の感想をさっくりと告げたシェイクスピアは、そのまま執筆に戻ってしまう。それに不満があるわけではなかったが、図星を指されたかのような不快感があったのは事実だ。だが、蒸し返すことなく、小さくため息を吐いて火急の仕事に戻る。

 

 

「マスター、そのままでは寝苦しいでしょう、どうぞお使い下さい」

 

「ん……きゃす……ありが……と」

 

それは寝ているマスターの顔のそばで横座ると、軽く揺り動かし、耳元でそう囁いて。自らの膝の上に彼の頭を導くこと。少しだけまどろむように呟いた彼の上から、一言つぶやき小人で犬をどけると。ゆっくりと頭をなでる。

 

「お休みなさい、どうか良い夢を」

 

 

 

 

「あれで、マスターを目的のために利用していた悪女をやるつもりだったのよ? 笑っちゃうわよね」

 

「そうよね! というかスピエルドルフじゃなくて、私が布団に成ればよかったわ!」

 

「新人さん、これはね、順番なの。明日は私よ?」

 

 

その様子を見ていた二人は思わずそう言わずにいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ! 」

 

巣穴から無数に湧き出てくる虫の様に、狭い通路の四方八方より押し寄せるホムンクルスの群れ。その頭をシンドバッドはこともなげに一撃で粉砕する。

 

敵の首魁の一人、Pことパラケルスス。その本拠地にて彼らは戦っていた。パラケルスス本人には、立香のサーヴァントとモードレッドが敵を守る敵と共に相手取っており、シンドバッドはそんな彼らが十全に戦えるように背中を任されている形だ。

 

無造作に叩きつけられる人の成損ないのようなずんぐりとした丸いボディの腕をシンドバッドは、もはや避けることもせずに、下から脚で蹴り上げて、外側に弾き出しつつ頭部を肩を巻き込む様に蹴り飛ばす。

ブチリと肉が弾け飛ぶ音とともに、ホムンクルスの頭部と腕部が弾け飛び、機能を停止した。既に新手に背後を取られているが、彼は動きが見えているかのように蹴り上げた足をそのまま振り抜くと身体を後ろに垂れ込む。

 

そして、素早く軸足に体重をかけて踏み込むと身体が宙に浮いていく。地面に無防備に倒れ込むような形になるが、攻撃を飛び越えるように躱すことが出来た。軽やかに地面に衝撃を殺しながら肘で着地すると。そのままそれを起点に周囲に足払いを欠ける。

2体ほどバランスを崩した敵に向かい、直様二頭の犬が獲物へと食らいつくように襲いかかる。それを確認したのち、素早く背後の様子を見ると、ジンが吹く炎の後ろで、妖艶に舞続けるマタ・ハリと、涼しげに語っているシェヘラザードが見える。

 

「まだまだいくぜぇ!」

 

余裕があることを確認して、目の前の一回り大きなホムンクルスに飛びかかる、自身よりも二回りは巨躯な重量を乗せた打ち下ろしに対して、彼は馬鹿らしく真っ向から打ち合うように、拳を合わせる軌道で迎撃する。

しかし攻撃が当たるよりも前に、その赤い目に向けて銃弾が打ち込まれる。ミストレスの支援だ。シンドバッドは膝をさらに落とすことで、豪腕が振り下ろされる攻撃の下に潜り込むように飛び込んで、狙いがそれて空振らせた拳に合わせるように、落ちてきた顔へと突き刺すように拳を叩き込んだ。

 

水風船が割れるように頭部が吹っ飛んだホムンクルスは、断末魔を上げる間もなく絶命し、膝をついた。

 

「どんどんかかって来やがれ!」

 

此方が4人であり、半数が最低限の自衛ができる程度の戦闘能力しか持たない。それでいて敵方は30はくだらない数湧いてきている。

だが、既にシンドバッドはサーヴァントの支援を受ける必要を感じなかった。もちろん今のミストレスのような形はありがたいが、シェヘラザードやマタ・ハリによって弱らせなくとも、十分以上に戦えている。

 

彼は握りしめた自分の拳を強く意識する。この手を包む服は、肌に張り付く冷たい服は、硬いのに軽い靴は、自分を強くしてくれている。でもそれ以上に戦いそのものへの慣れが出来てきた。

 

こと人型の敵に関しては、20年近く命のやり取りを頻繁にしてきた。それが、この旅が始まり、様々な形の敵や、非常に強い人型のサーヴァントとの戦闘経験を得て、そして何より正しい身体の動かし方や技を見ることが出来た。

 

それらが重なり合い、膨大な戦闘経験によって培った戦闘法が、武術としての形をより作っていき、今実っていった。

只々集めていった高く積み上げていた塔を、この人理修復という旅路の中で、多くの敵と同時に叩く技、強敵からの攻撃を耐える技と、より先鋭化していき、ついに形が整っていったのだ。

 

今の彼は、考えるよりも先に体が動いて、するべき動作を想像できる。そしてそのとおりに体が動く。何よりもそれを抵抗なく彼は受け入れて動けているので、まるで以前とは別人のように、鋭く有効的な無駄の少ない動きができているのだ。

 

威力そのものは足りないであろう。だが攻撃力そのものは別段いらないのだ。仲間が、誰かがフォローしてくれるのだから、庇い合い、助け合ってそうできる状況を作る。そうすれば良いことを、彼は学習したのだから。

きっと今ならば、フランスで稽古をつけてくれたゲオルギウス相手でも、勝てなくとも負けることなく体力の限り戦えるであろう。

 

背後でマシュの守りと、それにぶつかる光がせめぎ合う波動を感じて、自分の体の形の影が足元に伸びていく。

後ろを振り向く必要もない。マシュとリツカなら耐えきってくれるだろうから、そしたら直ぐにナポレオンがドカンとうって、モードレッド卿とえっちゃんがズバッと切ればこっちの勝ちだ。

 

戦っている敵に、この逆光に怯む様子がないのが残念だが、彼は足を軽く踏み鳴らしてから、深く踏み込み、風のような速度で残党の処理に移るのであった。

 

 

 

 

 

 

 




どうでもいいけど、戦闘の時のシンドバッドの声帯は勝手にイアソンの物になる。
アラサーの男性の必修科目の影響ですね。


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裏:関係性について

書いてないシーンというのは、つまりそれを書くまで未確定。
どういう形にもなるのだ。
でも後から急に書くこともあるかも知れません。


魔術協会の調査が終了した日。もはや鬼気迫るという言葉が似合うほどの作家陣を避けて、シンドバッドは手狭になってしまったリビングスペースで体を休めていた。靴を履いたまま生活する英国人は、入室の際に靴をマットで綺麗にしてから入室する。そのため彼らの感覚であると、多少行儀が悪いという程度ではあるが、普通に床に座って、犬をなでながら中空を眺めていた。

 

しかし、何かを思い立ったのか、小さく頷くと自分のサーヴァントではなく、マシュの方へと歩み寄っていく。

 

「あ! シンドバッドさんお疲れ様です」

 

「おつかれ」

 

マシュは先程集めた情報を自分なりに整理して読み返していた。特異点にいる間は常にデミサーヴァントとしての霊基を纏うため、カルデアの時のメガネ姿ではなく、裸眼で読みふけっていた。そんな彼女はシンドバッドに気づくと、高低差の関係で顔を思い切りあげて声をかける。

自分に用事があるのであろうと、近づいてきた彼に意識を向けたのである。

 

「マシュは、大丈夫か? 俺はこれがあるけど」

 

シンドバッドはダ・ヴィンチちゃん特製の耐毒のお守りを触りながらマシュにそう問いかけた。すでに探索も3日目であり、聞くタイミングとしては遅すぎるのだが、マシュは律儀にきちんと応えた。

 

「はい、私はデミ・サーヴァントですので問題ありません」

 

「ならよかった」

 

「でも、皆さん苦しんでます。早くこの特異点を攻略しなくてはいけませんね」

 

「そうだな」

 

話しかけに来たのに、どこか不明瞭な様子のシンドバッド。マシュは少しばかり不思議に思い、何時もはどうだったかを考える。するとよく考えるとシンドバッドと話す時は、何時も間に先輩がいた事に気がつく。

誰とでも仲良くなれるマスターはシンドバッドさんとも仲が良いので、あまり話さない私達にも話を振ってくれます。と改めて尊敬を深めつつ、せっかくこんな機会ですしと、彼女も聞きたいことを聞くことにする。

 

「あの、シンドバッドさんは、サーヴァントの皆さんと、その……お付き合いしてらっしゃるのですか?」

 

マシュから見て、シンドバッドは数少ない先輩ではない人間だった。なんというか、彼女自身自分が色々足りないことを知っているが、彼は自分が足りないこともよくわかっていないようだった。『君は白いキャンバスみたいだ』と、この旅で自分のことを例えられたマシュ。どんな絵にもなるであろうという意味だと彼女は解釈している。

それならばシンドバッドはきっとそう、床と水だけ入った水槽だ。既に何になるかは決まっていても、ビオトープになるのか、水草水槽なのか。どう進むかがまだわからない。

 

だからこそ、聞いてみたかったのだ。いつの間にか召喚したサーヴァントととても仲が良い様子の彼がなにをしているのかを。どこまで行っているのかも少しばかり。

 

「ああ。キャスターも、マタ・ハリも、ミストレス・Cも皆好きだ。結婚もするつもり」

 

「っけ!? い、いえ。それはとっても素敵なことです!」

 

マシュは思いの外進んでいることを改めて意識する。なんかいつの間にか、勝手に先に行かれたような感じですごく不思議な、体験したことのないような思いが彼女の中に渦巻く。

 

「で、でもその。皆さんと結婚……なさるんですか?」

 

「皆好きだからな」

 

「……そういうものなんですね」

 

「そうじゃないのか?」

 

マシュはこういう時先輩がいれば、きちんと話をつなげてくれるのになぁ。と思いつつ、自分がそうできるようにならないと。とより成長することを決意した。

 

「キャスターは優しいし色々教えてくれるから好き。マタ・ハリは何時も一緒に遊んでくれるから好き。ミストレス・Cは……格好良いから好き」

 

「そうですね。好きなものは、きっと良いことのはずです。でも私は先輩がステンノさんに魅了された時、少し嫌な気持ちになりました」

 

マシュは、ふとローマでの出来事を思い出す。それは、彼女にとっても不思議なことだった。ステンノは確かに此方に嫌がらせのように試練を授けてきたが、それ自体はギリシャの神様だからと全然不快には思わなかった。でもその後はどうしてか、すこしばかり嫌な気持ちになった。

 

「それなら、そう言えばいい。俺も誰が一番好きって聞かれて困った。皆好きだから。それを皆に言ったぞ」

 

「それで、どうなりました?」

 

「好きに順番ができたら教えてって言われた」

 

「好きの順番……なるほど」

 

マシュは、何を話していたかも段々わからなくなってきたが、それでも初心に立ち返って思っったこと言いたいことは、しっかり立香に伝えようと決意した。

さっきから、少し離れた所でこっちを見ているマスターを横目に捉えながら。

 

少しばかり非難げな目でこちらを見るシンドバッドのサーヴァントから目をそらしながら。

 

「(そうですね、自分の恋路を話されたら恥ずかしいですよね! ごめんなさい)ありがとうございます。シンドバッドさん」

 

「どういたしまして。俺もマシュと話せてよかった」

 

シンドバッドはそう言って、元の場所に戻っていく。結局どういう用件なのかはわからなかったが、彼が満足そうなので、よしとすることにする。

 

立香とシンドバッドのサーヴァント達が、なぜか微笑ましげに自分たちを見ていることに気づかずマシュは、資料へと目線を戻すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、そういう形になったのか」

 

「やっぱり製作者として気になるのかい?レオナルド」

 

カルデアの管制室にて、レオナルド・ダ・ヴィンチは送られてきた情報に目を通していた。それは、シンドバッドの装備している礼装に対して、現地の作家の英霊がスキルを用いて、宝具と化したものである。

最初に話を聞いたときには、万能の天才たる自分であれば、似たようなことはできるであろうな。といったものであったが、そこにつぎ込む時間的リソースとそれに対する効果を考えれば出来なかった手法でもある。

 

「まぁ、彼自身を宝具としてより、後からの拡張性を高めたのは良いけど、その分なんというか突飛な感じがないね」

 

「いや、そんなに言わなくとも」

 

レオナルドとしては、自分より後の時代に生まれた二人の作家の作品に関しては、知識としては知っていても生前に読んだことは勿論ない。生前自身の作品を様々な形で批評されたことはあるが、このような形で評価された経験はなく、言い得ぬ感情が湧き上がってくるのは事実なのだ。

 

しかも、アンデルセンとやらには、製作者の意図まで見抜いた上であえてそこに乗っけてきたのだ。自分が思いついたのに、それをこんな事で誇っているのか? と言わんばかりに。

 

「まぁ、でもこれでシンドバッド君の命が守れるのならば、良いことじゃないか?」

 

「それは否定しないよ、ロマニ。そうだね、時間がつくれたら、私も立香くんに何かしてあげたいけれど……わざわざ宝具にする必要はないよね」

 

「ああ、まぁ確かに。なんていうか、立香くんはこのままで良いような気がする」

 

 

ロマニもそう云う通り、立香もシンドバッドと同様のものは渡されている。サイズは当然違うが。最も目的が若干異なる竜鱗のアンダーウェアしか彼は着用していない。後は単純な魔術よけのアミュレット程度である。

そもそも敵がサーヴァントである以上、マシュの守り以上に信用できるものがない。今回のロンドンのような、環境を害してくる形のものへの対応は必要であろう。立香にはなぜか高い耐毒性があり、必要なかったが。

 

「それよりも、7番目の神代環境への適応ができるような装備もそろそろ準備しておくべきだろう」

 

「わかってるよ。タイムスケジュール的にまだ余裕はあるけれど、ロンドンは短期間だから良いけど、管制室のスタッフの疲労もある。この限られた人数で3人を観測する必要があるんだ、そっちもどうにか出来ないかとこの天才は日夜研究中だよ」

 

「僕はそれよりも、根本的なリソース不足をどうにかしたいよ。見ているであろうアイツに頼るしかないのかなぁ……」

 

 

カルデアの快進撃、それを支える二人の悩みは尽きないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ、宝具もらってもそんなに戦い方が変わるわけじゃねーのな」

 

モードレットは、後ろで魔本を握りつぶして消し飛ばしたもうひとりのマスターを見てそう呟く。此処数日行動をともにしたことは何度かあったが、基本的にモードレッドは立香とともに行動していたので、あまり関わりがなかった。

戦力のバランスを考えれば、どう考えても護衛、砲兵、前衛と揃っている立香よりも、支援妨害に特化したシンドバッドのほうが良いのは誰が見ても明らかであったが、モードレッドがそう望んだためにそうなったのである。

 

それはモードレッドが、マシュ・キリエライトの持つ武装をみて納得したことからが大きな理由だ。盾野郎と呼ぶ英霊が宿っているマシュの事を気に入っており、英霊の真名を把握しているようだが、明確に告げることはなかった。

事情を知るサーヴァントと同行することで、彼女が英霊の真名を知ることができるかも知れないという点と、この特異点から仲間になったミストレス・Cが高い機動性を少人数限定とはいえ持っていることもあり、ロマニも強く口出しをすることはなかった。

 

しかしもっと根本的な理由として、モードレッドが彼の連れているサーヴァントのような雰囲気を持つ女性があまり好ましくなかったからである。

別に害を与えてきたわけでもないので、嫌いというわけではない。ただ苦手なのだ。まぁモードレッドから見ればよくわからないミストレス・Cという者以外は民草と見るべき存在である。嫌う理由も嫌いなやつに似ていると言った程度である。

 

そういう訳で、これまでの戦闘では、立香とともに最前線に出て、少し引いた所で数は多い雑魚を処理しているシンドバッド一行は、あくまで目の片隅に入れてフォローができるように観察する程度だった。だが、流石にこの最後の敵の本拠地に行く道中では、手に入れた宝具を試す目的なのか、肩を並べる機会が増えた。

 

 

「戦い方を変えることはできない。これしか知らない」

 

「ッは! 違いねぇ。にしても無手でマスターが戦うとか正気じゃねぇな。魔術とは行かずとも、自衛の銃くらいは持たされてないのか?」

 

「俺もシンドバッドも、魔術師じゃないし、銃の扱いがわからないからね」

 

 

 

追いついてきた立香がそうつなげるが、事実である。自衛用の武器を持ったマスターがパニックになって乱射するリスクがある以上、しっかりとした扱い方を学ぶ時間を作る余地、その時間をサーヴァントとの連携に当てたほうが、ずっと効率が良い。

 

故に、立香も礼装の基本的な魔術と、基礎体力の向上位しか自分を高めることはしていない。自分を守るということならば、マシュに全て任せているのだから。

 

「そーかよ。まぁシンドバッドは筋は悪くねぇ。円卓とは言わなくとも騎士くらいなら目指せるんじゃねーか?」

 

「それは嬉しい。ありがとう」

 

そう返しつつも魔本を吸収したシンドバッドは、少しばかり呆然と虚空を眺めていたが、新手が湧いてくると、すぐに構えを取り戦闘態勢へと移行した。

 

 

「どうやら、そろそろ敵さんの本拠地みたいだぜ」

 

徐々に広くなる通路と、前方より濃い霧と、魔力が流れてくるのを感じ取る一行は、敵の首魁3人組の最後の一人である、Mのいる場所までついにたどり着いた。

 

 

「来たか……カルデア。勝てない戦いに奔走する者達よ」

 

それは、この時代に生きている、普通の人間であった。いや、人間だからこそ、聖杯の持ち主に成れたのであろう。簡単に御すことができたのであろう。敵は魔術師であれば誰もが頭を垂れるような存在なのであろうから。

 

マキリが長々と御託を並べている間、シンドバッドは止まらぬ動悸と発汗に苦しみながらも、自身のサーヴァントの前に立つ。

 

そしてマキリが召喚の口上を読み上げ始めたその時、背筋に感じた直感に従い、近くにいた立香を掴む。

 

「なっ!!」

 

「マシュ! ヤバイ!」

 

そして、サーヴァントたちにも身を守るように指示を飛ばして、マシュの盾の後ろに転がり込んだ。普段ならば自分のサーヴァントをかばおうとする彼が、立香をなぜかかばいに走った。その意味はすぐに分かる。

 

狂化のための一節を追加された召喚が完了した瞬間。閃光と震動が走り、天井が崩落して来る。一瞬の出来事であったが、マシュは応えてみせた。盾をかまえ、そのサーヴァントの膂力で自身を含めて3人を庇えたのである。

 

他のサーヴァントも吹き飛ばされるほどの衝撃とともに現れたニコラ・テスラは、自身を呼び出したマキリがモードレッドによって一撃で葬られていることを気にもとめず、それでいて人理焼却の片棒をかつぐのに抵抗があるのか、走ることも飛ぶこともせず、ただ歩いて悠然と立ち去っていく。

 

直ぐに敵を追撃するかどうか何人かのサーヴァントは逡巡したものの、相手が仕掛けてこないならばと、警戒しつつもまずはマスターたちを助け起こすことにした。

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「な、なんとか」

 

「はい、無事です」

 

「平気……だ」

 

 

生身の肉体を持つ3人は無事だった事が確認できたので、彼らはすぐさま今歩き去った敵へと追いすがるのであった。

 

 

 

 




公園デビュー回

レイシフトしてから、あやば、空気に毒入ってね? とかロマニそれ人類最後の希望に対する態度なん? とか

魔術師や鯖、幻想種以外やばい。なのに現地人の非魔術師のジキル氏が大丈夫なところとか

そもそも人がいないロンドンに敵が徘徊しているのを、路地とかで建物を一切傷つけずに戦うとか

どうすればいいのかわからなくてただただ悩んだロンドン編終了です。


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星の三蔵ちゃん、天竺に行く
Go! West! Go!


西遊記はあまり詳しくないので、何故かめちゃくちゃ詳しい妹に聞いて勉強しました。
ところどころ西が最になってたのが不思議でした。



ホモは西を目指すRTA始まるよー

 

前回は、まさかの*いしのなかにいる*でした。

 

はい、というわけでこれは天竺に行くイベントとなります。

はーつっかえぇ、ほんまつっかぇ、やめたら? このRTA。

 

厄介なことにこのイベントはプレイタイム的には夏の水着イベントに次ぐ長さを持っています。時空間異常まで併発されており、現実の実時間と、時間の流れに差異があります。

 

要するに、ここでいくら時間を使っても、現実でのタイムラインに関しては、問題ないですよーという親切設計なわけです。

 

逆に言うとその設計ということは、クリアにそれなりに時間を有するわけです。

所謂単独隔離系イベントであり、鯖を呼べないということもあるので、魔術王の呪いで併発する可能性が高いイベントとなります。

 

 

さて、切り替えていきましょう。

クリア条件はいたってシンプルです。ガンジス川に行くことです。

途中出てきた敵を倒して、経典を集めながらですがね。

 

今シンドバッド君は大岩の下で封印されている状態です。

しばらくしたら、三蔵ちゃんが来て、開放してくれますので、大人しく待ちましょう。

 

 

すみませ~ん斉天大聖でけどぉ(大嘘) まぁだ時間かかりそうですかね?

 

なんか、イベントが始まりませんね。この時間に状態確認をしておきましょう。この特異点では鯖を呼び出せないという非常に厳しい縛りがあります。

救済措置として、仲間になる野良鯖の能力は高いですが。加えてシンドバッド君自身の能力に色々補正が入ってくれたりしますので、それを前提に作戦を考える必要が……

 

なんで錯乱がついてるんですかね?

いや、恐怖がついていることはよくあるのですよ。魔術王戦直後ですからね。それに岩の中にいますから。錯乱はSAN値チェック失敗したときみたいな状況ですから。

 

ああ自分の鯖とのパスが切れてるから、それでですかね?

うーん、そういう場合、ストレス値がすごい勢いで上がるんですけど、あんまり上がってないですね。あ、狼狽になった。

 

まぁはい、どうやら精神的に不安定というハンデがあるみたいですね。

救済措置とは(哲学)

 

っと、ここでようやく三蔵ちゃんが来てくれました。

何でも記憶喪失で、自分に弟子がいた記憶はあるけど、詳細が抜け落ちてるというよくわかってない感じです。

 

まぁ、この空間が早い話が仏になってしまったので、人類にはノータッチ(仏教的に)だけど、人間としての意識もあり、触媒で引っ張られた結果。

召喚するのではなく、アンサモンつまりつながりを思い切り引っ張って引き込んじゃった感じで、この不安定な状態になり天竺への旅をもう一回やってる三蔵ちゃんです。

 

 

三蔵法師というのは、三種の聖典を極めた偉い僧侶のことです。基本的には本場のお経を翻訳したすごい人を指します。要するに役職です。

 

仮に天竺に旅立つ前であれば、この時点では本来玄奘と名乗るべきであり、三蔵法師と乗っている時点で、天竺から帰ってきた後なんだというのが分かる。というネタバレを踏んだ気になる名前です。

 

この方も例によって例の如く女性となっておりますが、日本人ならば一瞬違和感なく受け入れてしまうのではないでしょうか?

中国からすると、なんで女なんだよ、お前ノンケかよぉ!? ってなるらしいですが、日本ですと三蔵法師の性別についてはあんまり考えないような立ち位置ですよね。

非オタに男の娘みたいな概念を説明するときに西遊記の三蔵法師みたいな感じでふんわりしてるというと大まかな合意が得られるのでお勧めです。え? 最後にドラマ化されたの10年以上前? なんのこったよ。

 

にしても袈裟に収まり切らない大きな五行山が連なっており、その格好で僧侶は無理でしょ。という感じですね。

 

はよたすけてくりぃー

 

「うーん、すごい色欲の煩悩を感じるんだけど、助けて大丈夫かなぁ」

 

おう、大丈夫だって、安心しろよー

 

「そうね、疑ってちゃ始まらないわ! 弟子にするんだもの導くつもりがなくっちゃね!!」

 

ということで、初期好感度は低めですが、何とか助かりました。

 

 

ここでカルデアからの通信がつながらない場合、最後まで一切情報的な支援もないまま戦わないといけないのですが。ダメみたいですね。まぁ多分藤丸君も気絶してててんやわんやなんでしょう。

そして、シンドバッド君も身体は置きっぱなしでしょうね。まぁ意識だけいくことなんてチャメシインシデント。

 

というわけで、今回の一番弟子として三蔵法師に同行することになりました。

筋斗雲こねーかなぁ……来ても乗れないか。

 

ここから少し行ったところに、沙悟浄、猪八戒が封印された岩があるので、そこに向かうようにお師さんに頼みましょう。そこまでに敵に出会うと非常に面倒です。御仏の加護にすがりましょう。

 

というか、本気でシンドバッド君が不安定な感じですので、一気に進んでしまいましょう。こんなんじゃ敵に出会ったらもう終わりですしお寿司。

 

 

はい、無事合流ポイントに到着。このイベントでのゆかいな仲間を紹介するぜ!

 

 

 

まずは、泣き虫お師匠! 三蔵ちゃん!!

 

槍の名手の武芸者、ついでに知恵袋役! 沙悟浄こと書文先生!

 

欲望に忠実なブタ、猪八戒ことダビデ!

 

そして最後に、白竜ポジ、飛将軍呂布!!

なんでも最近発覚した呂布ロボの秘密は、赤兎馬と融合してケンタウルスモードになれるらしいっすよ。化け物かな?

 

対空攻撃はダ八戒の投石、近接ならば3人とも戦えますので、搦め手以外にはめっぽう強い編成です。

 

このイベントに入ってしまったことはもう割り切るとして、1つだけ良いポイントがございます。それは、もう功績点を気にしなくてよくなるということです(ゲッソリ)

 

とにかく四方八方から敵が襲ってくるのをしのぎながら進んでいく関係上、戦闘回数は多くなり、範囲殲滅が得意なのがいないので泥臭い殲滅戦になります。

シンドバッド君も当然戦わなきゃいけないので、しっかり戦闘をしていくことで稼いでいきましょう。

 

というわけで、GO! WEST! GO!

 

サンフランシスコは天竺だった?

 

 

 

 

 

 

 

そしてここのイベント、恐ろしいことに一本道です。5体のボスを撃破して、ひたすら進むしかないので、火焔山に一回よらないことはできますが、哪吒遭遇イベントがなくなってしまうので、おとなしく従った方が安定します。

 

倒すボス敵は、ゴルゴーン3姉妹、モードレッド、ナイチンゲール、アルトリアオルタ、インド兄弟です。神話とアーサー王伝説の中に、近代の看護師が入り、キャラ負けしていないという事実。

 

迫りくる獣人をちぎっては投げちぎっては投げをしていくと、金角銀角銅角の住む洞窟に入れます。名前を呼ばれると、瓢箪の中に入ってしまうというやつですね。

 

ここは名前の存在しないシンドバッド君が、みたいな攻略法ができればよかったのですが、そういうのは対応してません。かなしぃなぁ。

おとなしくゴルゴン3姉妹をぶっ飛ばしましょう。基本的にはメデューサこと銅角をどうにかさえすれば、後は戦闘能力の低い女神です。

最初は魅了が平気なお師匠様に金銀の相手をしてもらい、野郎4人で銅角を沈めましょう。4人に勝てるわけないだろ!?

 

シンドバッドくんいまだに調子悪いので、先程道中で休憩したら、より体調が不安定になってます。こいつメンタルマジで弱弱すぎでしょう。まぁ被ダメ量は功績にあまり関係ないので、隙を見て殴っていきましょう。

ちょっとテコ入れが必要かもしれません。強化補正はいるはずなのにデバフ食らってるんじゃ仕方ないね。

 

一先ず銅角撃破! 彼女さえ倒してしまえば、後はこっちの物です。

 

後はひたすら泥仕合で、金銀姉妹を倒しましょう。狭い洞窟、破れた3姉妹、倒したのは男4人と僧侶が1人。何も起きるはずはなく。

 

金銀は完全に懲らしめてしまい。銅に関しては三蔵ちゃんが別を決めるイベントがあります。この状態じゃ望み薄ですが、仲間になってもらえないか一応聞いてみましょう。

 

お師さん、監視つけて連れてくのはどうすか? 弾除けにはなりますぜ。

 

「うーん、でもアタシの旅は3人と1頭なのよ、これ以上の道連れはいらないわ」

 

旅は道連れ余は情けないやつ! ですよ!

 

「よし、きめた! 写経でもしてなさい!お世話になった書蔵に紹介状書いたから、そこであなたは反省するまで般若心経を1万回写経!!」

 

 

「私的には理想の形ですね」

 

残念ですね、ここでヒンドゥースクワット1万回とかだと、ワンちゃん同行もあったのですが。仕方ないね。

 

さて、今度もひたすら西を目指しますが

その前に休憩して、直ぐに睡眠ではなく、会話を見る。を選びましょう。

仲間の会話がどんなことをしていたかを知ることができます。

 

ふむふうむ、あっ察し

 

どうやら、この旅において、肉以外のものを口にしていること、ひいては、宝具で実質的に敵を吸収すると、味がして、それが肉ではないことが混乱を招いているようですね。

え? 君共食い野郎でしょ? 食いに今更忌避感覚えてんじゃねぇよ!!

 

三蔵ちゃんの時代は肉食べないであれとかすごい……すごくない?

しかし、こればっかりはどうしようもないですね。いつもの鯖がいれば、シェヘラザードになんか出してもらえばどうにかできた気もします。

 

 

色々ストレスがあって、不安定になっているようですし、三蔵ちゃんには悪いですが、ここは倒した肉を食べてしのぐしかないですね。あ、ワイバーンみっけ! いただきまーす。

 

地味に人外ゲージも5割超えてますし、そのせいもあるかもしれませんね。

 

 

まあ、ここまで来た以上、続行しかないですね。

幸い、敵は倒せないほどではないです。今後の事を考えると少し宝具の真名解放は避けましょう。冷静に考えれば、パスでつながってない鯖しかいないのに、魔力ため込む必要ねぇなぁ? 令呪すらないし。

 

だだっ広い平原を超えてひたすら進みます。信じられるか? ゲーム内時間とはいえ、3か月こんな感じの道中なんだぜ? 外の世界では大体1週間くらい経過するはずです。

 

「ねぇ、あなたアタシの1番弟子やるまえ、何をしてたの?」

 

途中暇な時はこんな感じで鯖が話しかけてきますので、適当に返しておきましょう。

おう、考えてやるよ。

 

「そうじゃないの、なんていうか、あなたは目を離すととんでもないことをしでかしそうな気がします。うん、あとその戦い方、アタシが修行をつけてもらった方と同じやつよね?」

 

そういえばお師さんの師って……その辺出身でしたね。

この時代というか、三蔵ちゃんの時代には、インドでは既に仏教は廃れているという。

 

まぁ、宗教的柔軟性が売りだから、土着の信仰と合体しながら勢力拡大はできているんですよね。日本なんか仏さまって誰ですか? もわからない人も多い程度には定着してますしね。

もっと言えば、三蔵ちゃんの起こす宗派は、どちらかというと学派ですしね。

 

 

 

 

ちなみに三蔵法師は史実だと210cmも身長があったとか伝えられてます。

あ、そっかぁ!(納得)

 

そうこうしているうちに、モードレッドこと紅孩児に遭遇です。

 

多分この世界の彼、彼女? は、一ニを争うほど幸せなんじゃないでしょうか?

反抗期で仲が悪いとはいえ、尊敬できる父親と。

過干渉気味とはいえ、世話を焼いてくる母親がいる。

顔は父親に似て、声は母親に似ている。

多分両親どっちに似ても体は育ちますし。

食卓以外は平和な一家ですね。

 

まぁ、そんなの関係なくぶっとばしますけどね。

出力でこそ沙悟浄は負けますが、技では渡り合えますし。白竜は出力では勝ってますので、無理に攻めせずとも対処できます。

ビーム撃ってくる前に冷静に処理していきましょう。

 

って、あっぶぇ! 魔力放出で距離詰めて蹴っ飛ばしてきました。十字受けが間に合わなければ即(HPの3割を持って行かれて、そこからずるずると)死だった。

いや、鯖の特異攻撃防ぐマスターってやべぇな。何度も言うけど、先輩方に比べればまだまだだし、大丈夫でしょ。というか、状態異常も少し軽くなってきましたね。

 

 

ダビデ王のスリングがモー孩児をひるませた瞬間。釈迦の如来掌が見事に入り、ゲームセットです。

 

モー孩児は父上は優しいけど母上はマジでやべーから気を付けてという伝言を残して去っていきます。オタッシャデー

 

 

さて、火焔山に行きましょう。火渡りの加護があれば渡れるけど熱と煙でやられるので、結局渡れません。この僧侶、ポンコツ過ぎない? でもおっぱいあるのでノーチェンジです。

しかしこうやってポカをすることによって、哪吒が現れてくれます。彼?彼女? は三蔵法師が、御仏の加護を探すためのレンズのような役割だそうです。なんだよそれ?

 

んじゃ、おれ経典もらって帰るから。と、倒した敵の経典を勝手に回収して帰っていきます。

まぁこれで芭蕉扇もとい、エクスカリ芭蕉扇がないと、ここが通れないことが分かったので、ナイチンゲールこと羅刹女に会いに行きます。

 

ここでもカルデアの通信がない辺り、これは本格的に異空間に意識が飛んでるやつですね。マスターになるということは、夢の中も安全ではいられないってそれ1番言われてるから。

 

 

というわけでまさかまさかの、アメリカより先に出場のナイチンゲールです。

 

彼女に関しては説明不要でしょう。どう交渉しても決裂するので、うるせぇ! 行こう! ドンッ! とばかりに戦端が開かれるのを待ちます。

あくしろよ……おい、あくしろよ。

 

 

はい、戦闘開始です。ベッドを投げてきたりしますが、ブーストがかかっても、近代の看護師、基本的には、大したことは……いや、やばい火力ですね。え、なんで?

 

人型特攻だけではなさそうですし。でもまぁ、まぁ負けることはないですね。しっかりベッドを回し受けして、カウンターを叩き込んでいきましょう。はい、撃破。

 

あっ、シンドバッド君被特攻状態でしたね。えーと、好色が祟って女性からの特攻がついてますね。なるほど、禁断症状ですか。

えぇ……(困惑)ま、まぁええわ。あと女性は次の牛魔王だけです。気を取り直していきましょう。

 

山に戻って、芭蕉扇をエクスカリバーしたら、登山開始です。ここでも特に語るべきことはないですね、ワイバーン君を見かけたらとにかく真っ先に刈り取って食べましょう。

 

 

 

 

はい、相も変わらず経典を集めつつ到着魔雲洞です。

ここで、今明かされるこの特異点の衝撃の真実ゥ! (ナポレオン) が打ち明けられます。

 

三蔵ちゃんの仏としての側面と人間としての側面のコンフリクトを克服するための旅でしたというわけですね。

へぇーすっごい。失った経典は仏教における大事な概念と彼女の記憶だそうで、それを集めることによって、三蔵ちゃんは仏さまになったと。

いや、あぁ、宗教系は堀りすぎるとやばいので、この辺で。

 

なぜ、そんなことをしたかというと、牛魔王が仏さまに1つ取引をしたからですね、妻の料理を美味しくして欲しいという……消毒液の味しかしない食卓とは。一気にスケールが小さくなりましたね。

 

まあ、牛要素が胸の部分しかない牛魔王戦ですが、速攻です。宝具は相殺でもしない限り全滅するので、ひたすら攻撃を続けましょう。

ラムレイの速度が厄介ですので、ダビデが馬の脚を狙ってます。三蔵ちゃんも飛将軍に騎乗して戦いながらの釈迦如来掌は、距離関係なく御仏の加護が届くのならば届く掌ですので、それを軸に攻めるといいでしょう。

 

シンドバッド君はさすがに追いつけないので攻撃の当たらない位置で応援してましょう。がんばえー。こいつ初めてマスターらしいムーブしてるなぁ。

 

 

釈迦如来掌が入って、牛魔王撃破。

まぁ勝てなくても、弟子一行は問題なく進めたわけで、三蔵ちゃんが同行しないならば、最後のインド兄弟と戦う必要もないわけで……いや、RTA的にそうしたいのですが、せっかくイベント勢とあったならば、終局で来てもらえるように動きましょう。

 

 

山を抜けて南下していくと、そこはガンジス川でした。いや地形的に突っ込みどころがたくさんありますが、気にしてはいけない。

 

この川に三蔵ちゃんが無事つけば、弟子はお役御免。

 

最後の敵は彼女の恐怖心の具現化したもので、インド兄弟です。

まさかアメリカより前で、アメリカの2台巨塔と戦うとは、このRHKの目をもってしても見抜けなかった!!

 

ただ、あくまで、三蔵ちゃんの心の具現化ですので、イベントでは宝具は撃ってきません。安心安心。

それでもふざけた精度と火力で射ってくるアルジュナと、ふざけた速度で飛び込んでくるカルナが非常に怖いです。

ですが、ここはまだインドではない(天竺ではない)ので、知名度補正では西遊記の名前のメンバーの方が上でしょう(適当) 知名度補正って、この形の英霊召喚には何の意味もないよねぇ!

 

 

とにかく、最も火力の高い飛将軍の宝具で押し切れるように周囲で抑え込みましょう。まずはカルナよりアルジュナから狙います。

三蔵ちゃんが釈迦如来を撃ち込んでもいいですが、使い勝手の良さが高速読経のおかげで、圧倒的に高いので、温存しておきましょう。

シンドバッドくんは三蔵ちゃんの次にヘイトが高いので、囮として使い気をそらした所に軍神五兵! はい、アルジュナ撃破。

 

カルナは沙悟浄の槍と、ダビデの投石をものともせず戦っております。しかし、本来拮抗できるのがおかしい相手です。まぁ、三蔵ちゃんが恐怖しなければ、敵は弱まりますし、こんなものでしょう。おら! 最後の一発くれてやんよ!!

カルナも神槍无二打でフィニッシュ、ダ八戒の宝具? ははっ!

 

これで、天竺イベントクリア。

 

「お師さん、ついてきてくれないのか?」

 

お、シンドバッド君が勧誘してますね。まぁ、彼の主観では1クール分くらいの時間を一緒に旅しましたからね、でもここで縁を結んでもついてきてくれないんすよー。

 

「ゴメンね、アタシはやっぱり仏門の身だから。でも、もしどこかで人の私が召喚されたら、絶対力になるから、それは忘れないでね!」

 

「うん、お師さんありがとう。俺忘れないから」

 

感動的だな、だが無意味だ。どうせ次の次で多分合流できるでしょ。

 

ってありゃ、シンドバッド君のステータス、いつの間にか元に戻るどころか、補整が入ってます。そういや、途中から動きが良かったような。

 

まぁ、いいでしょう、結構な時間をロスしてしまいましたが、功績も余裕ができてますし、後はただクリアするだけです。この調子でいくぞ!

 

 

 




RTAパートだし駆け足です。

ですが、この章には書きたいことが沢山詰まってます。
裏が伸びても許してね。感想くださいね。


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旅は道連れ

祝! 赤評価復活!
これからも、評価と感想お待ちしております。
(こう書いたら橙にもどるお約束)


気が付いたら、よくわからないところにいた。体の上に重い土が乗っているみたいなまるで土砂崩れに巻き込まれたみたいな。

そんな感覚と苦しさにシンドバッドは目を覚ました。理由はわからないが、未だに冷汗は止まらない。

 

何とか思考を回して左手の令呪に皆との繋がりがないことに気が付く。それは全くないわけではないが、いつもならば大体どの辺にいるのかわかるのに、それが分からなかった。すごい遠い所なのかもしれない。

 

落ち込んでいく気分を何とか持ち直しながら、シンドバッドはこみあげてくる吐き気と涙を抑えながら、少しだけ見える隙間から、外の様子を見る。熱くも寒くもないが、息苦しくて視界がかすむ。

 

今までも身動きが取れなくなったことはあったが、ここまで不自由なのは初めてだ。

無理やり体をひねって、明かりの方に進もうとするも、びくとも動かない。

力ではどうにもできないのだが、お構いなしに彼は這いずり続ける。何かをするのを止めた瞬間に、自分が壊れる気がしたから。

 

「あれ、ここに誰かいる?」

 

「いる、出してくれ」

 

 

目を凝らすと明かりの処に女性の脚とみられるものが見える。助けてほしいという気持ちと、綺麗な人だといいなという気持ちがわいてきて、シンドバッドは少しだけ気分が落ち着く。

 

 

「うーん、すごい色欲の煩悩を感じるんだけど、助けて大丈夫かなぁ」

 

「でも、案内の妖魔とはぐれて、馬はたべられちゃったし、そもそもどういう状況かわからないし、一人じゃ寂しい……じゃなくて寂しそうだし」

 

どうやら悩んでいる様子だ。シンドバッドは、必死に身体を動かして身体を前に伸ばそうとするが全く動かない。

 

「だして、なんでもいうこと聞く」

 

一先ずは言葉で頼んでみることにした。

 

 

「よし、そうよね! ここはあたしが弟子にして導いてあげないと」

 

 

彼女は何かを唱えて、掌を突き出すかのように動くと、シンドバッドを押さえていた大岩は跡形もなく吹き飛んだ。あまりにもあっけないが、自分の上を貫いていった、強いのに、何故か怖くない力に一瞬驚くものの、ようやっと解放された。

 

やっと思うままに息が吸えるようになったシンドバッドは、匍匐前進の途中のような姿勢を崩して、そのまま転がり地面に仰向けに体を預ける。

そして女性がいるであろう方向を見上げると、そこには彼の1人目のサーヴァントと同じように黒い髪をした女性が、下着のような格好の上に、布をかけただけの格好で立っていた。顔は見えないが。

 

 

「ありがとう」

 

「お礼はいらないわ、だって、これもきっと御仏のお導きだもあの、あなた名前は」

 

「シンドバッドだ……です。そっちは?」

 

助けられたのでお礼をしっかり伝えること。そう教わっていた彼は姿勢を治すと素直にそう伝えることにした。女性は泣いた後のように、少し目が腫れていたが、優しそうに微笑んで応じてくれたので、シンドバッドは一安心だ。

 

「アタシはの名前は玄奘……三蔵法師の玄奘のはず。シンドバッド、あなたは今日からアタシの弟子だから、師匠様と呼ぶように」

 

「師匠?」

 

「そう、お師匠様」

 

「お師様、お師さん?」

 

「まぁ、それでいいわ。それでシンドバッドは、ここで何をしてたの?」

 

「わからない」

 

 

大岩に封じ込められるという問題を前にして、一度状況というものを忘れていた彼も、その枷が解放されたことによって、改めて現状を考える。

いつもは難しいことは周りのサーヴァントが考えてくれたから、よくわかっていなかったが、今はいない。何から説明をすればいいのだろう。

 

なにせ彼自身よくわかってないのだから。こういう時は1つずつゆっくり声に出してみよう。そう思った彼はまず口を開くことにした。分かる範囲で思い出していく。

 

「敵と戦って、負けたらここにいた」

 

「なるほど、負けてここに封印されたのね、うーん、土着の悪い妖魔だったのかしら? 煩悩は多そうだけど、そこまでアウトな感じはしないのよね。かといって手放しに大丈夫って言えるほどじゃないのよね」

 

なにやら、相互の理解に誤解が生じているが、これは致し方ないことだ。

それでも根は底抜けに善良で、どんな時も人の道を踏み外すことはない幸運を持つ徳の高い僧侶である彼女と。

悪意や害意はないが、規則を重要視していない彼というのは、相性が致命的に悪いわけではない。

 

「そうね、疑ってちゃ始まらないわ! 弟子にするんだもの導くつもりがなくっちゃね!!」

 

何やら向こうも考えがまとまったのか、元気いっぱいにそう腕を突き上げて宣言する三蔵に、シンドバッドは思い出すことを一度止めて、顔を見下ろすことにする。

 

「シンドバッドは、今日からアタシの弟子よ。アタシはよくわからないのだけど、西に行かなくちゃいけないの!」

 

「西? マドリード?」

 

「多分そこじゃなくて、天竺よ、天竺。なんか前も弟子と一緒に目指したような気もするのだけど、まあ、よくわからないこんな状況も、きっときっと超えるべき試練なのよ!」

 

「よくわかんないけど、ついてくぞ、お師さん」

 

「決断が速い所はいいことよ! それじゃあGo!!WEST!!Go!!」

 

「WEST!Go!」

 

ともかくそういうことになった。

 

シンドバッドはもしこの時同行していなければ、遠からずダメになっていたであろう。カルデアが今の形になってから、ずっとそばにいた、自分のサーヴァントがいない状況で。

精神的に不安定だった彼は、同行者と一先ずの目的を持つことで、問題を棚上げできたのだから。

 

そして、シルクロードを行く長い旅が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三蔵の旅が新たに始まったその日の夜。彼女はとにかくご機嫌だった。案内を頼んだ妖魔に逃げられ、道に迷い、馬は妖魔に食われて、一人で泣きながらさまよっていた。

そんな中で、ちょっと俗っぽい青年を弟子にした後、とんとん拍子に、まるでかつての弟子のように、旅の道連れができた。これでもう寂しくない! 目的もわかった! やるべきことも増えた! 寂しくない!

 

先程手に入った、経典を手にした時に戻ってきた記憶を整理すると。

孫悟空と出会った場所であったシンドバッド。

わかりやすく欲まみれの猪八戒ことダビデ。

冷静沈着で知恵ものである武芸者の沙悟浄こと李書文

白竜の代わりの呂布と呼ばれる大男

 

何やら以前の旅といろいろ異なるが、経典を集めながら天竺を目指すという目的もしっかりできた。今日はその記念ということで、野営でも気分は晴れやかだ。

 

「お師さんとシンドバッドは、睡眠が必要だけど、僕たちは食事もいらないから」

 

「然り、師匠もシンドバッドも眠くなったら休むとよい、寝ずの番など儂等弟子の務め」

 

「え? 本当にいいの?」

 

「まぁ、妖魔だしそういうものだと思ってくれればいいよ」

 

 

一人で旅をしていたころに比べれば、天と地ほどの差がある。道に迷い、苦労はするものの人の道を外れずに縁に恵まれて、良い道を辿れるのが彼女だ。

それは彼女のとびきりの善性と、ひたむきな努力家な姿勢によるところが大きかった。

 

しかし、この場で一人浮かれない顔をしている人物がいた。

 

それは、最初に会ったシンドバッドという青年。彼は人間であり、なぜか詳しい猪八戒いわく、人理焼却なるものを防ぐために戦っているカルデアという組織の、マスターと呼ばれる人間だそうだ。猪八戒の子供と戦っていて、どうやらこっぴどくやられてしまったとのこと。

 

まぁ生きているのならば、また修行して挑めばいいのだ。そう思い、三蔵は彼に話しかけることにする

 

「こら、シンドバッド。浮かない顔してると、嫌なものが来るんだから、思う所があるのならば吐き出しなさい!」

 

 

すると、火を眺めながらぼうっと座っていた彼は、小さく言葉を漏らす、

 

「お師さん、俺、寂しい。みんながいなくて、寂しい」

 

「あぁ、お師さん。彼は女の子を2,3人侍らせてたし、それがいなくなって寂しいんだと思うよ、その気持ちは僕にもよくわかるからね、アビシャクとか」

 

「え!? シンドバッド、あなた、お肉食べるだけじゃなくて、奥さんがたくさんいるの!?」

 

三蔵は、これはしっかりと自分の拙いながらも説法をする必要があると意気込むが、まずは食事だ。先ほどこの辺の植生にも詳しい沙悟浄が取ってきた「食用の木の実」をシンドバッドに渡して食べさせる。

 

「いやだ」

 

抵抗していたものの、無理やりに近い形で口に押し込むと、シンドバッドは、それを何度か咀嚼して、顔色を真っ青にしてその場から立ち上がり勢いよく駆け出した。

そして、直様近くの岩陰にうずくまり、今食べたものを全部嘔吐している。

 

「え、えぇ……そんなにダメなの?」

 

「うーん、これは重症だね」

 

三蔵は、まさかここまでとはと思いつつ内省する。以前の弟子たちに嫌いな野菜を食べさせた。苦い薬草を食させたときも似たような感じではあったが妙な違和感がある。

 

彼らは口に合わないという反応で、どちらかというと、口をゆすぐ程度だったのに対して、拒絶が強すぎる。

 

今はまだ修行中のみでありながらも、彼女はもう一度目を凝らして彼を見る。いつか偉くなる自分の囁きが聞こえる気がする。そして1つの事に思い当たる

 

 

「シンドバッド、あなた人食いね」

 

「へぇ」

 

「ほう」

 

「■■■……!」

 

それは正解に近かった。彼女も確信はなかったが、シンドバッドの態度でわかった。そして、諸国の王達が欲しがるほどの卓越した頭脳で、より推論を鋭くしていく。

 

「いいえ、人食いだったのね。それも、望んでいたわけではない」

 

「そうだ。俺は肉しか食えねぇ」

 

 

シンドバッドにとって、三蔵が守れというであろう、戒律はほぼ不可能といってもよかった。色欲は兎も角、食の部分が特にまずい。

しかし、三蔵は得心が言ったように笑顔を浮かべると、まだ話してる途中で再び戻し始めた、彼の背中をさすって、優しく声をかける。

 

「大丈夫よ。あなたが肉しか食べれないのは、問題だけど。悟空たちもまぁ似たようなものだし。それにその吐瀉は、もう人間を食べたくないからでしょ? それならばきっと、ええ、きっと御仏も強く咎めたりしないわ」

 

ここと違うどこかで、彼女はアステリオスという人食いの化け物と会い、彼ならば、しっかり反省して、それをしないように努める彼を大丈夫だと。そう諭している。

 

しかし、シンドバッドは、改心も罰を受けることもなかった。だからこそ、彼は自分の心が軽くなったのを許せなかった。

結局、何とか持ち直したものの、誰かの話を聞かないと眠れないという、シンドバッドのへんな癖のために、三蔵が覚えている限りの故郷での修行の話をしながら、二人はまどろむのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛んできた分銅付きの鎖を、シンドバッドは紙一重で避ける。未だに重い体だが、これに当たるほど弱っていない。

すぐさま鎖は、意思があるかのように横に巻き込まれていき、彼の首を取りに来るが、左によけた勢いのまま彼は体を地面すれすれまで曲げて、自分の上を通過させる。

人間一人を本気ではないとはいえ、仕留めきれなかったことに、一瞬だけこの攻撃をしたメデューサこと銅角の眉が上がるものの直様気を取り直す。

なにせ、一番弱そうなのでという理由で攻撃したので、他の強そうなサーヴァント相手に処理をしなければならない。

 

すぐさま、後ろに飛ぶものの人の身でこれほどの力が出せるのかと疑うほどの剛力により、巨大な装飾がついた槍のような武器が叩き落される。

 

「■■■■■■■■■■■―――!」

 

そして今度は神秘が薄いのに、恐ろしい冴えの槍が襲い掛かるので合わせて回避しようにも死角からの投石が彼女を留める。

 

「とあっ!」

 

言いたくはないが、こういった洞窟の中は、彼女の本領を発揮できるほど広くはない。近接戦闘に覚えがないわけではないのだが、ライダーの彼女ではハルペーもなく、徐々に押し込まれていき、一撃良いのをもらった後はすぐさま無力化されてしまった。

 

どうやら命は取らないようで、これならばと彼女も抵抗を緩める。そもそも敵は仏門の徒である、むやみな殺生をしない三蔵法師であれば大丈夫だ。

姉たちも正直やりすぎているし、この位で罰を受けるのもよいのではないかなぁ? 彼女の冷静な部分はそう判断した。

 

「あ、皆、やっと終わった? こっちもすばしっこくて大変だから、早く手伝って」

 

「全く魅了が効かないのはむかつくわね、私」

 

「そうね私、いまさら魅了がきくのが来てもね、駄銅角は負けたみたいだし」

 

シンドバッドは、三蔵の命令通り、飛び込んでいくも、わずか1秒足らずでエウリュアレの矢で貫かれ、魅了されてしまう。

 

「ぐぅ!!」

 

「あ、シンドバッド! 危ないブヒ!」

 

ダビデも同様に魅了されて動きが止まっているのを見るに仕方がないであろう。

 

だが、呂布がすさまじい勢いと圧力で突進するのを前に、もとより戦闘になれていない女神もとい、妖魔はそのプレッシャーと存在感に意識を割いてしまう。目にも留まらぬような速さで回り込んだ沙悟浄が、二人の首根っこをつかみ上げ、三蔵の前に放り投げた。

 

「みんな、ありがとう。よし、これで堪忍なさい」

 

そして最後は彼女のありがたい一撃で、この戦いは幕を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先の戦闘が終わってしばらく。彼は確かに不調であったが、自分の力がほとんど通じなかったことでシンプルにへこんでいた。

 

いままで、数で押してくる敵は問題なく対処できており、この旅路においてもそれは同様だった。獣人を倒すことにかけては、かなり自信がある。沙悟浄の人にも褒められた。

 

だが、今のような強敵が相手だと、どうしても力不足というよりも、いつもと勝手が違う歯がゆさを感じていた。

 

それは致し方あるまい。彼の戦い方は、チーム戦を前提にここ最近組み立てられていた。周囲のサーヴァントの支援や妨害を受けながら、時間を稼ぐというのが本分であり、ここまで攻撃的なメンバーと肩を並べたことはほとんどなかったのだ。

 

「やあ、シンドバッド、どうしたんだい」

 

「だ八戒」

 

「どっちかに統一して呼んでくれないかい? いやまぁそんなことはどうでもいいか、うん今日もお師匠様は綺麗だねぇ」

 

説法をしている三蔵をみながら。いつもと変わらぬ様子で軽く絡みに来るダビデこと猪八戒。

シンドバッドもこの旅が始まり2週間弱ということもあり、おおよそのキャラクターはつかんでいたが、こうして声をかけることはあまりなかった。

 

「ほら、みてくれよ。この財宝。僕がちょっと転がしてやれば、ちょっとした財産になる。愛人の5人6人を囲えるだろうね。さすがにお師匠様の金を残してからだから全額はポケットに入らないけど」

 

「猪八戒は、楽しそうだな」

 

楽しげに、奪い取った財宝を整理しているダビデに対して、少し不思議そうにシンドバッドはそう尋ねる。彼とは以前海ばかりの島で話したことがあるから、多少気安かった。

 

「当たり前だろう? 僕は確かに王様だったが、でも羊飼いとしてのんびり暮らしながら、愛人に囲まれる方の生活だって嫌いじゃない。それの為には、まず楽しく生きなきゃいけない」

 

「楽しく生きる?」

 

「そうだ。君は既に僕より強いだろう? サーヴァントの身でこういうのもあれだが、巨人退治以外の戦闘では君に勝つのは難しいだろう。でも僕の方がたくさん楽しいことを知ってる」

 

かつて、決して仕える王に疎まれても、暗殺の機会があってもそれをしなかったが、決して優しい賢王とは言えないダビデは、ふざけたように軽く続ける。

 

「なにせ僕はブヒるからね、かなりブヒれるよ。お師匠様に、金銀銅角にと。このような配役ならば、この後も期待できそうブヒね」

 

「ブヒ?」

 

まるで訳が分からない言葉を話し始めたダビデに対してシンドバッドは、怪訝そうな顔で問いかける。それはキャスターからも聞いたことがない単語だった。

 

「かわいい女の子を愛でることさ。君だってしてるだろ?」

 

「してるな」

 

「君は本来、もっとガンガンほしいものを取りに行くタイプだと思ったけど、色々遠慮してるのかな? まぁ、妻700人に300人位愛人を作るのも大概だし、良いと思うけど」

 

部下の妻に手をだして、托卵を企み、上手く行かなかったので戦地に送り出して殺した王様は、賢しげに語る。

 

「人の人生は短い。愛人10人に一気に振られるやつだっているんだ。もっと、欲を出していかないと」

 

「欲を出す?」

 

シンドバッドは、その言葉を反芻するかのように自分の中で繰り返す。

欲しい物をほしいから求める。与えられるから受け取るのではない、自分でその対象を愛することの大事さを。

 

「ぶひる……女の子を侍らせて、好きなことをする!!」

 

「そうそう、シンプルに好きなことをすると良い。行動の良し悪しは後で『誰か』が決めてくれる……ところであれから、女の子は増えたかい?」

 

「ああ、ミストレスCっていう、怪盗? のサーヴァントが」

 

「女怪盗、それはいい響きだ、僕ならその言葉だけでブヒれるね」

 

そこまで言うとダビデは先達としての顔となり、少しだけ佇まいをただす。

 

「僕と君はたった2回会って、少し話しをしただけだっただけれど、今は旅の仲間。それなら僕は先達として、君に人生の楽しみ方を教えようじゃないか」

 

 

「まず、女の子は可能な限りかわいい娘を可能な限りたくさん……は師匠様の前ではまずいな。うん、寄ってきた女の子はみんなくらいにしておこう。それを大事にする。かわいい所はどんどんほめて、自分のものにする。」

 

「自分から、好きにして、自分の物にする!」

 

「そうだ! 他人の物でも遠慮しないで、欲しかったらガンガン行こう! 王様に選ばれたのでもなければ、欲望に忠実に生きなきゃ、若い処女と添い寝するとかね!」

 

老年になってから、寒くて寝れないからという理由で、アビジャグという美しい処女を裸にしてともに寝ていた男は言うことが違った!

 

「シュナミティズムだな!」

 

「君、変に難しいこと知ってるね」

 

「キャスターにこうはなるなって言われた」

 

シェヘラザードはその日に合った出来事で、話す内容をきめるのであった。シンドバッドは、そんな彼女の優しい声音を久しぶりに思い出せて、少し楽しく嬉しくなった。猪八戒の言う通り、たくさん言いたいこと、言ってあげたいこと、したいこと、してほしいことが出来たのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃーてぇ! アタシが前旅した時には町とかあったのに、本当になんもないのね! 」

 

それはこの旅において、少々悩ましい所であった。

 

既に旅を始めて一月が経とうとしている。もとよりサーヴァントである身の者たちは問題はなく、乗馬に慣れている三蔵も、体力に自信があるシンドバッドも移動距離が長いことは気にはならないのだ。

 

それはそれとして、ずっと野宿というのは、なかなかに疲れるものだ。途中の町で食糧の補充などもできないのは、やはり厳しい物である。

 

なにせ、一切人が住んでる営みの様子がないのだから。

そう考えると、銅角が無事書蔵へとたどり着けたかは疑問が残るところである。

 

 

「だが、西遊記にしろ、その原点にしろ、立ち寄った街で三蔵法師が面倒ごとに絡まれる、または人助けに奔走するのは、お約束であろう。それがない分早く進めておる」

 

沙悟浄こと李書文は、冷静にそう返す。それは事実の一側面であった。幸い必要な旅糧は2人前であり、自然が多いここでは確保にあまり苦労もしない。

 

「ねぇ、李書文。それにお師匠さん。この旅路ってその時はどれくらいかかったんだい?」

 

ダビデ王のもっともな指摘に、自然に話として西遊記を知っている沙悟浄と体験しているはずの三蔵へと視線が集まる。

 

「ワシの知る限り、17年の物もあれば、10年の物もあるな」

 

「うーん、あんまり覚えてないのよね、そのへんふわふわしてて」

 

シンドバッドは、その言葉に思わず足を止める。

え、そんなにかかるのという感じだ。時間の感覚に無縁だった彼をして、ちょっと、それは困るという長さである。

 

「だが、それは立ち寄る国々で引き留められて、出国の許可を願い出るのに1月断食したりといったことや、ついてから各地を回り資料をまとめ、修行もしている。そんな時間等も含めてであるはずだからのう」

 

「そうね、移動だけならもう半分近くまで来ている……はず?」

 

シンドバッドは、人間が10年歩いてどれだけの距離をすすめるかの感覚や、地球の大きさもわかっていないので、本気で不安だったのだが、それが少しだけ今の言葉で落ち着いた。しかし、それでもまだ半分にたどり着いていないのである。

 

 

「お師さん、俺寂しい。みんなに会えなくてすごい寂しい」

 

「あわわ、シンドバッド、どうしたの!?」

 

「うーむ、これ完全にホームシックだね」

 

 

肉体こそ成人男性のそれだが、彼の精神性は正直かなり幼い。聞き分けこそいいものの、それでも今までずっと一緒だった自分のサーヴァントが傍らにいないというのは、強いストレスになっていた。

今までは環境の激変に適応する為に、全力であったが、余裕が出てきたのと、はっきり思ったことを口にするようになってきたことと、何より今の情報が重なり、情緒が溢れてしまったのだ。

 

三蔵はしばらく慌てて周りを見渡すも、弟子も馬も誰も助け船を出さない。まぁ、この中の全員子供ないし、養子はいたが、子育てに成功したかと言われれば、顔を背けるような者たちばかりだからである。

 

えぇ、私の人徳ってこんなはずじゃないのにと少しばかり凹みながら、泣いている弟子の前に立つ。子供のようにぼたぼたと涙を流している様子に、年齢と動作の差に違和感を覚えるも、彼女は意を決して、シンドバッドの前で大きく息を吸うと

 

「破ぁーーーーー!!」

 

大声をあげた。突然のことに驚いて目を丸くしている一行。当然シンドバッドもそのうちの一人だ。

 

「シンドバッド! アタシの今回の一番弟子! いいから聞きなさい! あなたは世界を救う旅をしているのでしょう!? なんでこんなところで挫けているのですか!? 」

 

それは、慰めではなく説法、というよりも説教だった。

 

「いい! アタシだって、一人でずっと旅してたら、そりゃ時々泣きたくなる時もある……かもしれません」

 

嘘である、この僧侶、一人になると心細くてギャン泣きする。

 

「だけど、その試練も修行なの、それを乗り越えて、立派な……そうあなたは立派なマスターになるんでしょ!」

 

「はいそうです」

 

「それなら、しゃんと背筋を伸ばしていきなさい。あなたの仲間に笑われないようにね!」

 

まだ、仏になっていない彼女は、シンドバッドにわかるレベルでの話となると、この程度しか言えない。

 

「少なくともこの旅では、アタシたちみんな仲間だし、楽しく旅ができているの。その今をより良い物にして、目の前の事からやっていきなさい。そして帰った時にいい話ができるように頑張りなさい! いいわね、師匠との約束」

 

だけれども、それでよいのだ。そのくらい簡単な方が心に響く者もいるのだから。

 

「わかった、ありがとう、おしさん」

 

 

シンドバッドはその言葉で改めて決意できた。そうだ、戻って報告して、それをほめてもらうまで、自分は頑張らないといけないのだ。なんとか立ち直った、様子を見た三蔵は満足げに頷くと、再び白竜の肩に飛び乗り、大きく前を指さす。

 

「それじゃあ気を取り直して、行くわよ! Go! WEST Go!!」

 

「Go! WEST Go!!!」

 

 

元気よく指差す三蔵の乗る呂布が歩き出すのに合わせて大声を上げる。それに続くように槍を担ぎなおして進む沙悟浄。

そしてシンドバッドは、袖で軽く涙を拭い、一度軽く顔を叩いて、一歩を踏み出そうとすると、歩き出す前に猪八戒に声をかけられる。

 

 

「まぁ、今度お師匠様の沐浴の時を楽しみにしよう。僕もさすがにバト・シェバでこりたから、見るだけだ」

 

シンドバッドはよくわからなかったら、そのまま頷くことだけにした。

なお、三蔵ちゃんの水浴びは袈裟だけを外して、そのまま入れるようになっているとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐るべき紅孩児の攻撃を前に、シンドバッドはまたしても歯がゆい思いをしていた。

以前よりかは多少動けるようにはなった。しかし、それでも呂布のような力はないので、まともに切り結ぶことはできない。

 

しかし、こちらが与しやすいと判断したのか、突然勢いをつけて飛び込んでくる紅孩児を地面に踏ん張り腕を重ねてその重たい蹴りを受けきる。

多少後ろに押された物の、しっかりと勢いを殺せた。

 

そのまま反撃とばかりに、小さくステップを踏んで拳を放つ。それ自体は軽く躱されるものの、仕留めきれなかった代償を支払うかの如く、仲間たちの集中攻撃がたたきこまれる。

 

結局その攻撃が起点となり、戦いのペースは三蔵一行のものとなり、紅孩児はあっさりと敗れた。負けても多少残念そうにする程度で、自分の母親には気をつけろとだけ言って、父親に会いに行くと帰って行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「やはり、筋は悪くない。基本はしっかりできているな」

 

「そうそう。というか、アタシは自分のやりやすいようにだいぶ変えちゃってるから、あんまり教えることはできないわよ」

 

 

道中、その日の寝る場所を見つければ、割と自由に過ごすことが多い。その中でも多いのが、このシンドバッドへの指導だった。

 

彼の武術は全く磨かれてはいないものの、ただただ原石を大きくし続けただけという所に近い。最近になって少し表面を研ぎ始めたものの、彼のスタイルにあった師がいなかったこともあり、どうしても伸び悩みがあった。

 

「カラリパヤットゥ、印度の武術だったな、まさか覚者も使っていたとは」

 

「んー私も教わったのは軽くで、あとは好きにやりなさいって感じだったから」

 

始まりすら、よくわかっていないほど古いカラリパヤットという武術、素手を中心とする少数派と、武器を使うことを前提とした多数派があるが、共通しているのは、暑い所の武術であるがために、鎧を着ないことを前提とした防御法である事だ。

 

体に油を塗り滑りをよくして、さらに傾斜と回転をつけて攻撃を受ける。高い柔軟性を体に持たせることがスタートであり、ヨガなども同じ源流に当たる。

それが発展していくことで、相手の動き心を感じ取り、合理的な動きで最小限の動きで相手の攻撃を逸らす。そういった武術である。

 

ある種近接かつ破壊力重視の八極拳とは対極なところもあるが、それでも李書文は、それなりに筋を見てやる程度には接していた。

 

少なくとも毎朝起きて戦型の稽古をして、夜寝る前にも動型の練習をして、道中の敵にも果敢に戦いに行く。それをサーヴァントでない身でやっているのだ。

先達として、彼の肩にかかっている重さを思えば、助言の一つするのが人情である。元来彼は合理的な考え方に基づいて動くが、人間的には決して悪ではないのだから。

 

「ずっと一人でその動きだけやってたのに、なんで防御の方が上手なのかしらね?」

 

「むしろ、防御の方だけやっていたからだろうな」

 

李書文はそう言うと、腰を軽く落とし槍ではなく拳を放つ。彼の強靭な体躯から繰り出される技は、晩年の恐るべき技の冴えではなく、荒々しい力に満ち溢れているが、それでも見事な一撃であった。

 

「今のは攻撃を全身ではなく腰より上だけで打ち込んだのだが、分かったか?」

 

「え、うん、もちろんわかったわ!」

 

「沙悟浄の足の踏ん張りが、いつもより緩かった。でもフェイントより重い?」

 

李書文は、師匠は兎も角、シンドバッドはしっかり見ていることを確認して続ける。

 

「どうやら、おぬしの攻撃は、常に全身を使っている。長い年月鍛えた柔らかい靭やかな体がそれを可能とするのだろうが、いかんせんその分なのか、細部ごとの鍛え方が足りていない」

 

「細部の鍛え方?」

 

それは中国武術六合大槍において、サーヴァントのランクでA+++というとんでもない評価の彼からすれば、実に初歩的なものであった。

要するに、全身を使った応用は非常に熟達しているが、個々の力の出力が足りていないのだ。

 

「全身を使った渾身の攻撃がどの姿勢でも出せる。確かにそれは有用であろうよ。だがそのためか、根本的な鍛え具合が足りていない。それでいて鍛え方も全身をまんべんなくと来ている」

 

そこまで言うと、先程の姿勢と似た構えを流れるように作る。

 

「先のように腕だけで仕留める。それができて、腕の力を全身で出すと」

 

同じような姿勢で、今度は宣言通り、踏み込みの衝撃をそのまま乗せて全身で一撃を打ち出す。

その拳は殆ど見えなかったが、風切りの音が明らかに違う。それは鈍く低い、音を超えた衝撃が周囲に響いた。

 

「こうなるわけだ」

 

「うんうん、そうよね、極めればこうなるものね」

 

三蔵は対抗するように掌底を素早く何度も前に突き出す。するとまるで手が複数あるかのように見え始める。これも御仏の加護のおかげである。恐らく。

 

「今全身で出せるものを、徐々に腰から下だけで、足だけでと基礎を上げていくのが良い」

 

晩年は近所の子供に武術を教える優しい老人であった彼は、若い頃は国に雇われ軍に訓練をつけるような人間だ、教えること自体はシンプルな以上に明確にわかりやすかった。

 

「八極拳の方であれば『多少』教えられるが、まあこれ以上は」

 

「いや、教えてほしい。強くなりたいんだ」

 

言葉にかぶせるように、まるで勢いをつけないと言えないのかと思うほどに、彼は強い決意と決心を持って口を開いた。

 

「『これ』はすごい大切だけど、これだけだと、そろそろ戦えなくなってきてるから」

 

シンドバッドにとって、名前も知らなかったこの武術は。生きる目的そのものであった。これを極めたいという気持ちは変わってない。それでも、彼にはその自分で完結させて高みへといく武術よりも、大切なものが、守りたいものが出来たのだから。

 

彼は静かにその場に膝をついて座り、深く頭を下げた。

 

「お願いします、稽古をつけて下さい」

 

「呵々、ならば、まずは石を割るところからだな、手刀で」

 

李書文は、あまりにもあっさりそう返す。まだ知らないようだが、なにせ彼には少しばかりの借りがあるのだから。

 

「あ、私もやってみたい!」

 

好奇心旺盛で向上心の塊のような三蔵は、なんかいい感じな光景の空気を読まずに入ってくる。二人はそれに苦笑を浮かべることもなく、向き直った。

 

「お師匠様は、掌で山を割れるであろうに。儂としては一手ご指導願いたいところなのだが、師匠であろう?」

 

「え!? いや私はほら、仏門での師匠であって、武術ではそのキャスターとかにきっとなるから!!」

 

ガチである、だが、キャスターだから肉弾戦で勝負しろという程だが。

 

こんな平和な道中で、シンドバッドは、今までの自分の目指した動きから一度遠ざかりつつも、その先を目指すことを始めたのである。

 

 

そう、彼はこの旅で、一人の男の子になっていくのだから。



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世は情け

多くの方に読んでいただき誠にありがとうございます。
誤字脱字が多い拙作ですが、今後とも宜しくお願いいたします。



地獄があるとしたら、きっとこんな光景なのであろう。

燃え盛る山というものを。シンドバッドは初めて見た。世界はまだまだ知らないことにあふれているのだと、改めて感動したのである。

 

現在火焔山を前にして足止めを食らう三蔵一行。絶対この山は面白いなどと言い出して一直線にこの山に来たものの、沙悟浄が芭蕉扇がいるのでは? と尋ねたが、功徳を積んでで火渡りがあるとの一点張り。

 

案の定、動けなくなり、呂布に助け出されたのであった。

なにせ、火渡りは炎への完全耐性であり、熱と煙に対しては効果がないものであったのだから。

 

 

「そもそも、お師匠様だけがいけたとして、僕らはどうなるのさ」

 

「2回目だからと言って、ずるをしてはならないということだ」

 

「■■■……!」

 

弟子と馬からはお小言を言われて、小さくなるものの、シンドバッドは背嚢にいれて担いでいた水を、金角と銀角から奪った絹の布にしみこませて、装飾のついた鋏と共に髪の毛を整えていく。チリチリになった髪の毛は見るに耐えなかったのである。

 

 

「あ、ありがとう、って妙に手馴れてるのね」

 

「練習した、髪を触ると喜んでくれるから」

 

「あ、修行の成果なのね、ならばよし」

 

 

しかしそんな一行の前に、突如高出力の魔力反応を伴った気配が勢いよく降り立った。

 

 

 

「玄奘三蔵嘆かわし、かつての清士の聖があたら卑しき凡俗女」

 

「な、なによ!」

 

「問答、終焉」

 

言いたいことだけを述べて、彼女は飛んで去って行ってしまった。斉天大聖と並び称される哪吒にとって、今の孫悟空のポジションのシンドバッドには興味もわかないようだ。

 

 

「イヤー全部持ってかれちゃったね。せっかくこの辺の妖魔が集めてた財宝も接収できたのに」

 

「というより儂らの物資事情が、妖魔が収奪したものだよりというのが、まぁ言わぬが花か」

 

だが、残されているものもあった。それはシンドバッドが、山の近くを跳んでるの見かけて嬉々として狩りに行った飛竜である。基本的に受動的に敵と戦っていた彼が、突然群れで飛んでいる竜に向かって駆け出して首を一撃で蹴り折ったのは、皆驚いていた。

 

 

「この山の炎で焼いておいたら、エコだよね」

 

「殺生の上に、お肉食べるのって……うーんでもワイバーンは動物に入る?」

 

「美味しいよ?」

 

シンドバッドはそう言いながら、綺麗に血抜きをして、ワイバーンを捌く。既に慣れた作業であり、食べて美味しかったところと、日持ちしやすい部分を邪魔にならない程度解体すると、棒に挿して火に近づける。立っているだけでも暑いためなのか、周囲に肉が焼けるいい匂いが漂う。

 

「うーん……一先ず芭蕉扇をもらいに羅刹女の所に行きましょう!」

 

一行は気を取り直して、羅刹女の住む向かうことになった。

 

 

 

 

自戒も込めてしばらく自力で歩きます。

 

そういった三蔵は、一行の一番前で旅慣れした小さく地面に足をするような歩き方で進んでいく。

 

そんな中シンドバッドは、久々に肩から人を下ろしている白竜に声をかける。

 

「白竜すげぇな、あんな火の中に普通に飛び込んでいけるんだもんな」

 

「■■■!」

 

「何言ってるかわからないけど、あの程度大したことないってことはわかるぞ」

 

シンドバッドは、何となくで感じ取った程度だが、そう言いながら小さく頷いた。そして呂布を見て改めて思う。

確かに白竜は、凄まじい強さで、戦闘においてはこの中できっと最強なのだろう。力に関しては正直まだまだ及ばないという認識がある。

 

それでも彼のように迷いなく炎に飛び込めるような思い切りの良さが、まだ足りていないかも知れないと彼は改めて感じたのだ。カルデアからすると、むしろ良すぎて困られているのだが。

 

 

「そうだよな、強いだけでもダメなんだよな、自分の力に自信をもって戦えないと」

 

「■■■■■■■■■!」

 

 

自分の行いが後世からどれだけ言われようとも、また主君をいつか裏切り、天下を狙うこの将軍は。自らの技に力に誇りを持たねば、何も始まらないことを明確に示しているのだ。なにせ彼が盟友と認めたのは、最も彼自身を有効かつ効率的に活用した軍師だった。

 

シンドバッドは呂布どころか三国志も知らない。だが、さすがに呂布が馬ではないことは知ってる。ダビデ王は昔の王様ということもあり、多分どこかの時代の人間なのだろう程度の理解だが。

 

 

「もっと強く! 魔術王なんてぶっ倒せるくらいにならなきゃな!」

 

「■■■■■■■■■────!」

 

それゆえにこの力強さに大きく憧れた、戦闘では最も高い膂力で敵を薙ぎ払い、何者も彼を止められない。そうはなれなくとも、そうなるために進み続けるのは大事なのだ。ローマで肩を並べた時はゆっくり見る余裕はなかったが、此の旅で見てきて格の差を感じている。

だが、それは膝を折る理由にはならない。

 

何を言ってるのかわからないが、まるで王をいつか殺すならば、それで良いと言うような、少し不安になるような感覚だけは残ったが。それでも自分の行く道の先に、呂布がいるのならば、そこまでは走れるということだ。

 

シンドバッドは決意を新たに、歩き出す。まずはお師さんに芭蕉扇って何かを聞きに行くのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、シンドバッド大丈夫だから、これ食べてみなさい」

 

 

今日も今日とで、満天の星空を見ながら眠れる贅沢が彼らを待っていた。

既に太陽は彼らを軽く追い越し地平線の向こう側へ、周囲は暗くあたりを照らすのは月と焚き火のみだ。既に慣れてしまったシンドバッドは雨の日でなければ、どうにでもなるので、火をおこした後残り少なくなってきたワイバーンの肉を食べていた。

 

しかし、そこで三蔵が意を決したように彼の前に桃を差し出す。どうやら彼女的にはワイバーンというよりも、この旅で常に肉しか食していない彼に思う所はあったようで。

精神的に安定して来たタイミングを見計らって、改めて肉以外も食させることにしたのだ。

 

理想を言えば、肉を食さないことだが、それは流石に直ぐには難しいこともわかる。ならば、せめて肉以外も食べることがはじめの一歩だ。

 

「やだ」

 

「やだじゃないわ、今日のアタシは本気よ! いい、アナタがこれを食べるまでアタシは一切食事を取らないわ」

 

「それじゃあ、お師さん……お腹減るんじゃない?」

 

 

勢いよく宣言して、腰に手を当てて立っている彼女を前に、シンドバッドは不思議そうに見つめる。食べなかったらお腹が減って辛いのに、何で食べないのだろう? 素で疑問で全く彼にはわからなかったのだ。

 

 

「シンドバッド、玄奘三蔵は断食をして相手に要求を認めさせたこともある、恐らく死ぬまで食わないぞ」

 

「え? 何で? 辛いんじゃそれ?」

 

「んー、シンドバッドにわかりやすく言うと、そういう修行みたいな感じかな?」

 

全くわからなかったが、そういうことらしい。

いつの間にか直立を終えて目の前に座り込んで、桃の入った籠をこちらに差し出している三蔵を前にして、シンドバッドも悩む。

 

「お師さん、俺肉しか食えない」

 

「知ってるけど、だからといってそのままでいいわけではないわ。シンドバッドが色々考えて経験して悩んでその上で、肉しか食べないのならば、アタシも目をつむったかも知れない。でも今のあなたは唯の、そう食わず嫌いなのよ」

 

 

三蔵は、しっかりと分かるように目を見ながらゆっくりと伝える。彼の手を一瞬だけ見て、少しだけ言いよどむものの、主張を変えることはない。

 

シンドバッドは以前口にした時の吐き気を思い出して、気分が悪くなるものの、尊敬するお師さんの話はきちんと聞くシンドバッド。しかし、それに従えるかどうかはまた別の話である。

 

 

カルデアに来てからのことを思い出す。

 

 

キャスターは、いつも優しく教えてくれた。ダメなことをしたり間違っている時は、そうではないですよと。そんな彼女に食べ物のことを注意されたことはない。

マタ・ハリは、ご飯を食べる時にしっかりと綺麗に食べることを、美味しく食べることを教えてくれたけれど、好きなものを食べる事になにも言わなかった。きっと問題はないのだろう。

ミストレス・Cとは一緒にステーキを食べた。やっぱり牛には赤が合うのだと言いながらで、とくに何がダメとかそういう話はしていない。

 

食事に限らず今まで自分になにかしろと言ってきたのは、そうした方が良いからであり、彼もそういうものなんだと納得できたから従ってきた。なんか、こう白い髪の偉そうなオル……オルなんとかは命令ばっかだったけどいつの間にかいなくなってた。

 

だから、きっとこれは自分の為を思ってのことだろう。そしてその時に修業のような辛いことをしてまでそう言ってくるのならば、それはすごく大切なことなのだろう。

 

良いことをしてもらったらお礼を言わなくてはいけない。そう教わったシンドバッドは、お師さんもつらい思いをしているのならば、自分もしなくてはと、思う。

 

「ん……」

 

でも踏ん切りがつかなかったので、籠から桃を取るのではなく、三蔵が此方に差し出している桃に手ずからかぶりつくことにした。

 

 

────血の味だ。

 

怪我をした時に口に入るあの生臭くて苦い。どろっとした味だ。

 

────泥の味だ。

 

地面に倒れた時にする、あの悔しくて悲しくて辛い苦い味だ。

 

────肉の味だ。

 

悲鳴が聞こえる。止めてくれと。ちゃんと殺してから食べているのにそう聞こえる。

 

────それは、罪の味だ。

 

 

吐き気と気持ち悪さと、そして何よりも悲しい寒い。

そんな激情が身体の奥底からせりがってくる。気持ち悪い、吐き出したい。

 

でも、これは修行なのだから耐えなきゃいけない。

 

歯を食いしばって、1/4程かじり取った桃を無理矢理咀嚼する。その度に、苦くて臭くて悲しくて重い味が体中に回る。目の前がぐるぐると回って気がついたら、地面に膝をつけて四つん這いになっている。

 

それでも、これを吐き出すことだけはしない。

 

「ッグぅううううう!!」

 

 

少しだけでも、嚥下すると、即座に胃液と一緒に喉から戻ってくる。涙と鼻水が出てくるが、それでもこれは耐えなくちゃいけない。だってお師さんが自分のためにくれたものだから。

 

それでも限界は来る。もうだめだ吐き出して楽になりたいと思った時、ふと顔を優しいものが包み込んだ。

 

「ほら、あとちょっと、頑張りなさい、全部飲みこんじゃって!」

 

三蔵は籠をいつの間にか避けて、シンドバッドの顔を胸元に抱え込んでいた。いま、シンドバッドが諦めれば、こんなに綺麗な人を自分なんかで汚してしまうことになる。

 

 

それだけは、絶対にできないことだ。

 

シンドバッドが最初に教えられたこと、それは女の子には優しくするだったのだから。

 

 

彼は意識がしっかりするように、自分の内頬を噛みしめる。皮が剥がれたのか肉がそげたのか、血の味がする。だがそれが何だというのだ。無理矢理口の中のものを飲み込んで。右手で自分の喉を思いきり掴み上がってこないように押さえつける。

 

呼吸も出来ないし苦しくなるが、この苦しみはもう慣れている。まるで体の中がひっくり返ったかのように蠢いているのがわかるが、段々と薄れる意識とともに、それも落ち着いてくる。

 

そして、吐き気の波も収まり、右手を離した所で、三蔵も彼を抱えるのを止めて、一歩後ろに下がる。

そしてその掌で、優しく彼の頭を撫でる。

 

 

「お師さん、俺はもう! 絶対に! 人の肉を食わない!」

 

涙ながらに彼はそう叫んだ。

 

 

「人は食べ物じゃない。だから『肉を食べる』以外も食べる!!」

 

 

 

 

 

それは、彼なりのごめんなさいであった。

 

今まで無数の人間や人間のなりそこない、ホムンクルスの命を奪って、そして彼はそれを零さないように、それらすべてを背負って走ってきた。

あの日、山の中で初めて会話ができる少女とあって、冷たくなった彼女の肉を一口だけ貪った時に決めたのだ。もうこれをやめてはいけないのだと。

 

こんな事をしても生き抜くのだから、こんなことしか出来ない人間だけど、こんなにも凄いことができる人間である必要があるのだと。

 

 

 

同じ所に在ったアステリオスは、罰を受けることで自分を一度終わらせた。でも彼が生前に子供を食ったことは変わらない。しかし、自分が自分を許せない限り、それでも彼は前を見ていける。

 

 

その時は不快だった。なんで全てを投げ出して楽になるように辛い罰を受ける。でも、そうじゃないのだ。結局これは自分が自分を許せるかどうかだったのだ。ならば、シンドバッドももう少しだけ頑張ろうと思った。

 

これからやることはきっとつらいのだろう。自分は自分が奪った命だけを食べて強くなった。その為に肉しか食べれなかった。

 

何でも食べられるのならば、あの死にそうな人たちをもっといい終わり方にしてあげられた。自分はきのこだって、木の実だって、木の皮だってなんでもあった。山には食べるものが無いわけではなかった。

 

でも自分が食べたいから食べて、それ以降肉しか食べなかった。それは彼なりの決意だったのだ。

 

自分の味わうのは、誰かの肉だけ。肉しか食べないろくでなしの前に、偶々その誰かに目の前のやつがなっただけ。食べられた人は仕方がなかった。決して良いものを食べたいから食べたんじゃない。それしか食べれないから食べられてしまった。

 

言う成れば彼は、今までただ『捕食』していただけ。そういう言い訳をしていたのだ。

 

つまりはそんな自分を騙すような、ちっぽけな誓いだったのだ。

だからこそ、彼は自分が生きるために、自分という存在を縮めて生きてきていた。

 

 

「キャスターに! お師さんに、皆に! 俺は誓う。たくさん食べて、俺はもっと強くなる」

 

 

だからこそ、今あらためて誓うのだ。皆が、いつも優しくしてくれる、大好きなみんながいないからわかった。

俺はまだ頑張れることがある。

 

ただただ、お肉ばかり食べていた子供が、嫌いなものを食べるのではない。

嫌いなものを仕方なく食べるのではなく、好きなものだと良いものを食べるのだ。

 

食べちゃいけないものは、もう食べないけれど。

そんな子供でもできる約束を彼は、大泣きしながら誓ったのだ。

 

 

シンドバッドは目の前にあるよくわからない桃だけではない、リツカも食べていた米というものでつくった粥という物も食べた。味は全然しなかったけれど、それでもそれは、彼が初めて取る『食事』だった。

 

 

「うん、うん! えらいわ! シンドバッド。それでこそアタシの今回の一番弟子ね!」

 

その声を受けながら、涙を流すほど辛い食事を彼は必死にこなしていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羅刹女からエクスカリ芭蕉扇を借り受け、山を登り、雲を抜けそれでも一行は西へと進んでいった。

シンドバッドは、より積極的に色々なものに興味を示して、まるで初めて旅をするかのようにメチャクチャな体力ではしゃいでいた。

 

そのためか、しばしば三蔵より怒られて、少し気の強い女性と戦ったりしてより女性に強く出れなくなってしまったが、それ以上に彼はこの試練の旅が楽しくてしょうがなかった。

なによりも、此の旅で思ったことを、お師さんやキャスターたちに話すことがとても楽しく、楽しみであった。

 

 

しかし、その旅もついに魔雲洞までたどり着いた。

 

ここは、西遊記において最後の関門であることが多い牛魔王の居城。この場を抜ければ後はただ進むだけで旅が終わるのだ。

 

そこで明かされたのは、この空間の真実。三蔵法師という偉大な人物と、成仏得脱して旃檀功徳となった存在の価値観の相違。人の歴史のうねりに過ぎないとする後者と、人として力になりたいと思う前者。

その鬩ぎ合いがおこした異常空間であり、改めて自分を見つめ直すために、記憶を経典に封じ込め旅路にばらまいた。この魔雲洞までくれば、全ての経典があつまり、彼女はこの空間の意味を思い出す。

 

彼女の旅はこの場で終わり、ただ終わりゆく人の世をみるだけの仏に戻るのだ。

 

 

「うるせぇ! 牛魔王!! お師さんは俺達と行くんだ! 」

 

そんな事は全くわからなかったシンドバッド。それでも目の前の乳はデカイが悪い女が悪者であることはしっかり認識していた。だからこそ、お前たちはこのまま先に進めば元のカルデアに戻れるという話などなんの意味も無かった。

 

「ほう、人類に残された二人のマスターの片割れは、話がわからないようだな」

 

「全くわかんねぇ! でも、お師さんが此処で止まるわけない! お師さんはずっと旅をして頑張ってきた人だから、仏とかよくわからないけど、ここで俺達を見捨ててさよならする人じゃない!!」

 

 

シンドバッドは知らない。彼女は確かにこの後天竺で編纂した内容と、多くの功績から死後に仏になるのだ。それはもう、人とは価値観が違う存在なのだ。だが、彼が旅してきたのは、人としての彼女の心残りである。

 

 

「兄弟子ばかりに良いところをみせられないブヒね」

 

「然り、平天大聖牛魔王に挑む一番槍は、儂の物よ!」

 

「■■■■■■■■■────!」

 

 

故に、彼女はこの場で止まることはない。

 

 

「そうよ! アタシ達は絶対天竺まで行くの! Go! West!」

 

「Go! West!」

 

人としてこの夢うつつのような場所で出会った仲間たちと、最後まで。それは少なくとも今まで歩いてきた彼女の嘘偽りのない、人としての心なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牛魔王を薙ぎ払い、西から南に進路を変えて暫く。長い長いこの旅路も終わりが近づいていた。空気の匂い、風の気配。それがここがもうすぐ別の国だということを感じさせる。今まで通った川とは違う、別の流れをくむ河の匂いそれが、彼らに届いているのだから。

 

「お師さん、天竺ってどんなところなんだ?」

 

「ん~そうね、アタシも別に観光とかをしたわけじゃないから、詳しくはないけど、そうね、皆必死に毎日を生きてる場所。かしら」

 

 

三蔵法師がたどり着いたときには、既に仏の教えは衰退を始めていた。それはこの過酷な土地に根付く宗教観が、より土地にあったものになっていったからでもある。それでも人の営みは変わらず。平和な街では笑顔が溢れ、目抜き通りもあれば人は賑わっている。

 

 

「俺、たぶん、その天竺? インド? って所で生まれたみたいなんだ」

 

「え!? そうなの!? てっきり絹之路のその先の人かと思ってたわ」

 

 

にこやかに話す話題が、何時もと同じなのは、別れが近いことがわかっているからなのか。そんなことなど考えずに一行の脚はついにガンジス川までたどり着く。

 

そこには2人の男が立っていた。沙悟浄はその知った顔と気配から、白竜はただ単純に敵だからとすぐに構えを取る。それを軽く手で制して三蔵は白竜より飛び降りて弟子たちに振り向く。

 

 

「たぶん、ここが旅の終わり。だってこの先に行くのは旅ではないから。目の前にいるのはきっとその『旅』が終わる事に対する私の恐怖の現われよ」

 

記憶を取り戻した彼女にはわかるのだ。此処が終着であり、この恐怖というのは、仏ではなく人として人類のために戦うという、今までの旅路を終えて進むことになるためのものである。だからこそ、彼女は晴れやかに笑った。

 

 

「私は、ちょっと頼りないところもある師匠だったし、こんなめちゃくちゃな弟子たちとの旅だったけど楽しかった。こんな感じの旅であるなら、新しい旅も楽しみになるほどにね! だから、目の前の恐怖なんてあんまりないわ!!」

 

 

徳の高い法師様でも、仏としての言葉でもない。只々彼女の思ったままの言葉だったが、弟子たちにはしっかり伝わった。

 

 

「んー僕としてはありがたいね、本来の力で振るわれたら勝ち目が薄そうだ」

 

「それでも挑むべき絶技はあるのであろう、本当血湧き肉躍る旅だった!」

 

「■■■■■■■■■────!」

 

 

シンドバッドは、少しばかり喉の下に不思議な痛みを感じながら、笑顔で拳を開いて半身で構える。

 

 

「お師さんの背中は俺が守るよ!」

 

「それじゃあ、皆。最後の戦いよ!」

 

 

そして、カルナとアルジュナの姿を形どった恐怖との戦いは始まる。

 

 

 

 

 

羽が生えたかのように飛び込んでくるカルナの槍を、沙悟浄の神槍は過不足なく受け、そして弾いていた。すかさず猪八戒の無数の投石が動き出しを抑え、歪な1VS2で場が膠着する。沙悟浄の負担が大きいが文句はいってられないであろう。

カルナを支援するかのようにアルジュナの弓から青白い光とともに矢が放たれるものの、白馬はそれを切り払いながら駆け抜ける。

 

 

しかし、相手は機械ではない。強力な弟子と騎乗馬がいなくなれば、倒すべき首級の守りが薄くなる。アルジュナは息を吸うように狙いを変えて、此方へと駆け寄ってくる三蔵法師と、シンドバッドへ狙いを定める。

 

「」

 

言葉を発することなく、またたく間に3射が放たれる。それは確実に人間を死に至らしめる威力をそして速度を持って突き進み、真っ直ぐ2人へと迫る。

 

「下段!」

 

刹那の一射目を彼は掌底を下方に打ち込み逸らす。それは驚くべき動きであったが、それでもタイミングと速度が合えば、十分にできるものであり、それだけの力を使えば残りには対処できるはずがない。

 

「上段!!」

 

しかし、シンドバッドは間に合わせてみせた。下に伸ばした腕の動きをそのまま肩と背中を用いて身体全身に伝え、逆の手を上向きに打ち出させたのだ。それは教わった冲捶を無理矢理に今の彼の身体で打ち出した一撃だ。

 

「もう一発!!」

 

それは即ち、その次に出るは当然肘打ちである。獰猛な虎の爪ような一撃を、彼は人に撃つわけではないので、渾身を込めた全力で叩き込んだ。

その結果、魔力で編まれた攻撃を彼はしっかりと受け、そしてその勢い任せの一撃で掌握した。

そう、彼の宝具『共喰う簒奪者』の能力により、彼が打ち下ろした授かりの英雄が放った矢の勢いを奪い、自分の物にすることで、衝撃も威力も相殺しきったのだ。

 

 

そして彼の作った3射という僅かな時間は、白竜がすべてを決するのに十分だった。既に駆け出していた勢いそのままに、一撃を放ちその芯を捉えた一振りで一刀両断にアルジュナを切り捨てる。

 

そして、三蔵もその隙に読経が終わったのか、薄く開いた目で、カルナを睥睨すると、大きく声を上げる。

 

 

「五行山! 釈迦如来掌!! 」

 

それは、シンドバッドと三蔵が出会った場所であり、借り受けた釈迦の力を十全以上に発した掌を避けようとするカルナ。しかし、目線を外した瞬間、彼の胸を肘打ちと槍が貫き完全に動きが止まってしまう。

 

その迫る掌を前にに彼は小さく笑って消滅するのであった。

 

 

あまりにもあっけない、一瞬での決着。

 

それは当然である、今の彼女には恐怖は殆どない。

あるのは始まるかも知れない、何時か何処かの旅への楽しみだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダビデ、李書文、呂布の3人が金色の粒子となりガンジス川のほとりに溶けていった。

この場に残るのは、此の旅を始めた二人だけ。

 

「お師さん、ありがとう。皆にも言ったけど、俺凄いたくさん色んなことが出来た! 」

 

シンドバッドは、此の旅で不安に押しつぶされそうだった彼はもう、いない。

此処にいるのは、三蔵法師の新しい一番弟子として千里を旅した男だ。弟弟子から多くのことを学び、旅を通して多くの出来事を学び、師によって外れていた人の道から少しばかり内側に戻ってこれた。そんな一人の男だった。

 

 

「シンドバッド、あなたはかなり手のかかる弟子でした。人間なのに人を食べるわ、殺生を好むわ、色欲にまみれているわと。枚挙に暇がないほどに」

 

そこで三蔵は厳しい言葉と裏腹に、優しい微笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。

 

「でも、何時も誰よりも頑張っていました。そのひたむきに努力して、楽しく色んな事に挑戦する姿は、この旅を楽しくしてくれました。これ以降も頑張るように、あと奥さんを大切にね?」

 

そう、シンドバッドは足りない部分は多かった。それでも生きている人間だった。

小さな事にも驚いては周囲に尋ね、決めたことをやるためにひたむきに努力して、何よりも周囲から多くのことを学ぶ勤勉さがあった。進む方向がひねくれていたが、それを正してしまえばきっと大丈夫だ。支える人も居るようだし。

 

そろそろ時間切れかなと、二人は同時に思う。

何となく、この世界が端から無くなっているような気がするのだ。きっと超えてきた山の向こうには『もうなにもない』のだろう。

 

 

「お師さん、ついてきてくれないのか?」

 

それは、いかな彼でも無理であることはわかっていた。それはなにか違うことなのだというのはしっかりと理解は出来ていた。それでも言葉が、少しだけ歪んで胸から漏れてしまった。

 

三蔵は一瞬だけ目を大きく開いて、驚いた顔をしたが、直ぐにアルカイックな微笑みを浮かべて優しく諭す。

 

 

「ゴメンね、アタシはやっぱり仏門の身だから────」

 

 

それは彼女が、説法を生業にしている彼女が、考えないでただそう半ば無意識に近い形で答えた言葉だった。弟子に伝えるには、そんな言い方が良いのであろうと、どこかで判断したかも知れない。

 

 

「────でも、もしどこかで人の私が召喚されたら、絶対力になるから、それは忘れないでね!」

 

だから、此方が正しい返答だったのであろう。

 

 

それは最後まで二人共気づかないままだった。

それはきっとどこかの作家に言わせれば悲劇で、どこかの文豪に言わせれば喜劇なのであろう。だが、これは唯の旅絵巻だったのだ。

 

 

「うん、お師さんありがとう。俺忘れないから。また修行つけて」

 

「もちろん!! 一番弟子に恥じない成長がないなら、スペシャルコースになるからね! だから」

 

 

既に足元は消えているシンドバッドに向けて三蔵は言う。

師匠として頑張った弟子に与えるべき褒美を。

 

この旅路で自分のみを守った弟子たちへのお礼をまとめてシンドバッドに授けてしまおう。生きているのは彼だけだ、きっと皆文句は言わない。

 

 

 

 

 

「貴方に『御仏(アタシ)の加護』を!」

 

 

 

 

その言葉を最後にシンドバッドはこの場から消えた。無事にカルデアへと彼の意識が戻っていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで彼の旅はおしまい。

旅路で得たものは沢山ありそれは得難い経験となって彼の力になるのであろう。

 

 

だが、本人と対象を含めて誰にも気づかれずに終わった、一つの初恋があった。

男はその思いの名前も表し方も知らず、女性は向けられたことを知らぬまま拒んだ。

 

 

二人の因果はそういう形で終わったのだ。しかし、双方とも良い別れと言える。

それがなによりも二人にとって1番の終わり方であったのだ。

 

 






星の三蔵ちゃん終了。

チャート作成段階で、シンドバッドのキャラクターに必要な環境、人、物。
すべてが揃ってる事に気づき、このようなルートになりました。
彼というキャラクターの掘り下げもほぼ終わったと言えます。

これにて、お話も折り返しを過ぎました。
今後ともお付き合い下さいませ。

感想・批評・評価 全てお待ちしてます。


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第五特異点 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
(帰還)~(好感度イベ)


今日から3連勤で1話が短くなります。
申し訳ございません。


ガバはガバでいられないRTA始まります。

 

前回は天竺到達RTAを見事にこなしたところでした。失った時間は大きいですが、成果物を確認すると決して悪くありません。

 

まずはなによりも本来の目的である功績稼ぎ。正直ワイバーン程度のザコ敵ばかりとの戦闘でしたが、既になんと7割ほどまで来ております。ロンドン終了時の予定を大幅に超えてますので、もう気にしないでもクリアできますね。リスクを取って強敵に挑む必要がなくなりました。

 

次にステータスの向上ですね、操作マスター特有の成長速度で、既にガチの戦闘系サーヴァント相手にも多少食い下がれるレベルまで来てます。武装がしっかりしているからですね。装備枠的にこれ以上の装備は増やせませんが、ステータスと装備的にもはや完成形が近いです。

 

次は育成用素材。もう貯金すら出来ましたね。敵も強くなってきましたので、素早く藤丸くんにも回しちゃいましょう。

 

最後、ステータスというよりも成長効率に補整が入りました。今後鍛えれば更に強くなっていきます。ちょっと遅いですが、あって困るものでもありません。ありがたく受け取っておきましょう。

 

 

さて、シンドバッド君の意識が戻ったところからです。案の定医務室ですね。周囲を確認……あれーおかしーねぇ。誰もいないねー。パスを確認すると、無事3騎ともつながりがあるのでソロモン王を前に人理修復を諦めた鯖はいないようです。まぁ鯖に使命に対する拒否権なんてないです。

 

一先ず移動を開始します。時刻は普通に昼ですね。寝ているわけでもないので移動開始です。日付を見るに第5特異点までおそらく数日しか余裕はなさそうです。

 

経過した日数は8日ですので、おそらく藤丸くんはもう戻ってきてるでしょう、戻ってきてなかったら即リセ案件なので、戻っている体で動きましょう。

 

体力が落ちてるので回復をしてから……なんで林檎が食えるようになってるんですかねぇ? ああ、イベント特異点クリアボーナスでバステが消えた感じですか。まあ売却専用アイテムになってたのに意味が出てきたのは良いことですね。人外ゲージをあげずに回復ができるのは、うま味です。

 

とりあえず林檎を齧りながら管制室へと移動してると、あ、曲がり角にPOPしましたね。

 

「マスター! ああ、お目覚めになられたのですね」

 

「大丈夫? どっか痛い所はない?」

 

「1週間以上寝てたのだもの、急に体を動かしてはダメよ」

 

自鯖との合流です。大丈夫だって、安心しろよ。ヘーキヘーキだから。なんか無茶苦茶近接戦闘スキル上がってるだけだから……精神と時の部屋か何かかな?

 

一先ず鯖を適当になだめつつロマニに報告に行きましょう。病欠明けは先ず上司に報告。そして同僚にお礼ですね。社会人の基本です。ッチ、メンドクセー

 

「シンドバッド君!! 君も目が覚めたのかい!? 体に異常はないかい?」

 

そのやり取り前もやったのでもういいです。

兎も角次の特異点までのタイムリミットと状況を確認しましょう。何々、全員無事に帰還はしてたけど、マシュの精神ダメがまぁまぁあるから、今は二人で療養中と。

 

アメリカの特異点は観測は順調で5日後に探索予定。

シンドバッド君が起きなかったらどうする予定だったんですかね?

 

ロンドンでの反省を生かして、より詳細に現地を観測中と。

当たり前だよなぁ?

 

藤丸くんが4騎目の召喚終了してて、彼の魔力キャパシティが上がり、同時に4騎程度のレイシフトが可能。

この後検査もするけど、シンドバッド君もそうなるはずです。まぁ弾除けは数いて無駄にならないのでOKです。

 

めぼしい情報はこのくらいですかね。時間がギリギリというわけではないので、しっかり準備はできそうです。どうせ装備枠は埋まってるので、ダ・ヴィンチちゃんガチャはキャンセルだ。間に合わないでしょうし。

 

イベント特異点、特に鯖が制限されているものに参加した後は、参加しなかった鯖との好感度が若干下がっている可能性があるので、しっかりとケアをしていきましょう。

ですが、まずは藤丸くんにも挨拶しつつ、鯖の確認です。

 

ハードモードで不在時に召喚された鯖は顔を合わせするまで、正体がわからないのです。この時点でロードし直しても何も変わらないので、さっさと確認して作戦を立てましょう。

 

んじゃあ、おれこの後バイトだから……

 

「立香くんの事も心配なのはわかるから許可はするけれど。君も明日までは戦闘訓練等の激しい運動は禁止だ。それと意識だけアンサモンされてたのはわかってるから、レポートを提出してほしいのだけど……」

 

(文字は読めないし当然書け)ないです。

 

「うん、じゃあ、今日の君の任務はサーヴァント達に自室でゆっくり何があったかを話すことだ」

 

あ、良いっすよ! (快諾)

 

 

というわけで、その場で簡単にソロマニに診られて、解放されました。元気よく走って藤丸くんの部屋に行きましょう。タイムは体調よりも重い。

 

到着したら、呼び鈴を押して待機です。

藤丸ー! 野球やろうぜー!

 

勝手に入ると、不法侵入ですよ! 不法侵入! そして好感度が下がります。

YAMA育ちですと、最初の1回はセーフですが、勝手に入ればその分イベントがあるので、待ったほうが早いです。

 

 

「シンドバッド! 目が覚めたんだね!」

 

そうだよ。藤丸も元気そうじゃねぇか?

 

「うん、色々あってね」

 

藤丸くんの魔力量が、もう完全に一流魔術師のそれを凌駕してるのですが、何なんですかねぇ。俺にもちょっと回してくださいよぉ。いや実際、天竺クリアで若干補整入って増えてはいますが、不安は残るほどです。

 

「藤丸さん、マスターは病み上がりで、体を休めるので」

 

うちのファーストサーヴァントが空気を読んで短縮してくれたので、話が進みます。お前のことが好きだったんだよ!(自明)

 

「あ、そうだね。それじゃあ紹介だけするよ。俺の新しい仲間の」

 

こ↑こ↓で、サーヴァントじゃなくて、仲間って言うのが藤丸君の藤丸たる所以ですね。

さぁて、新しいサーヴァントは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様がマスターの言っていたもう一人か、ロンドンでは世話になったな」

 

あぁ~!アルトリアの音ォ〜!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はランサー、アルトリア。マスターの召喚に応じ参上した。ラムレイ共々宜しく頼む」

 

 

下乳上!! 下乳上!! ですよ! ラムレイちゃんもいます。狭くないのかしら?

えーとこれで、剣以外の基本クラスは埋まった……感じですね!

 

キャラ説明は不要でしょう。1回人理を修復するまでに最低3回は立ちはだかるアルトリアシリーズの1人です。人類の敵かな?

顔か声が同じご親戚達まで含めると、大抵どこのカルデアにもいます。現にえっちゃんもいました。

どうやら、ロンドンでの記憶はないけど記録は認識している感じで、加えて流石に牛魔王やってた記憶はないようですね。

 

 

立ち位置的にはアルトリアシリーズの中では普通の程度に友好的で、アルトリア・オルタの中では非常に友好的です。剣オルタとその派生は、基本こっちを配下として見てきますが、彼女はその中で、こう敬語というか、此方を主人として立ててくれる所があります。

 

やはり胸の大きさは、器の大きさ。王のUTSUWAが東京ドーム数個分はあるのでしょう。

 

性能としていうのならば、ライダーの機動力を持ったランサーです。ガチ戦闘系鯖であり、主兵装はロンの槍。風王結界がバフ魔法になり、魔力放出と合わせて、凄い突進による突破性能を見せてくれます。良いチャージインだ!

 

宝具は本気を出すとヤバイので、抑えての発動になりますがそれでも広範囲に槍でブーストかけて風の嵐をブッパする範囲殲滅型です。この後のザコ敵は数が只々多いので役立つことでしょう。

 

デメリットは2つ、1つはやはり魔力消費でしょう。ヘラクレスやカルナなどの規格外の連中に一歩及ばないカタログスペックを持つということは、その分消費が大きいということですね。

現状の藤丸君の潤沢な魔力でも、ナポレオン、えっちゃんと同時に運用するならば、多少気を使う必要があるでしょう。いや普通の魔術師じゃ1人でも結構きついですからね。マシュで守り、ナポレオンが撃ち崩し、下乳上が突っ込み、えっちゃんが刈りとる。システムが完成されてますね。

これマジ? シンドバッドに対して鯖が強靭すぎだろ?

 

もう1つは、ランサーなのに敏捷が低いことですね。馬に乗っているからなのか、素の敏捷はそこまで高くないです。一応ラムレイはサーヴァントというよりも宝具に近い枠ですので、メデューサさんのペガサスみたいに出し入れできますが、基本出しっぱになります。

愛馬ラムレイは女の子。クールビューティー系です。どっかの京極のように変態性癖は持ってないまっとうな馬です。

 

総合的には大満足の引きでしょう。ここで下手に上乳上とか引かないでくれてよかった。6章が開幕ルキウス(偽)と合流した瞬間死人が出て人理壊れるぅ~するところでした。いや、うん。これでもアウトな気もしますが大丈夫でしょう。

 

なによりも、これで藤丸くんが足を手に入れたのが大きいです。アメリカ大陸が舞台な以上、流石にずっと徒歩や鯖に担がれてでは土台無理がありますから。

 

 

「宜しくな、アルトリア。カルデアはご飯が美味しくて良い所だぞ」

 

「ん? ああ、そうか。兵糧は士気を維持するのに大事なものだ」

 

 

シンドバッド君のこの返答は、多分牛魔王の願いを聞いた上でのですね。いや違うのよ、彼女は牛魔王ではない。

 

まぁ、挨拶も済みましたので部屋に戻りましょう。

 

 

「あ、シンドバッドさん。お待ち下さい」

 

えっちゃんが引き止めてきました、ほんまつっかえ。

 

「カルデアのライブラリーに先程いきなり追加されたものです。新着の一番上に。どうぞ」

 

────シンドバッド最西縁記を手に入れた。

 

あぁ、そういえば天竺イベのクリアフレーバーアイテムでしたね。文系鯖がえっちゃんしかいないのでそこ経由になったようです。うちのシェヘラザードは文系だと思うんですけど? え? 演劇系? 議論の余地がありますね。

 

ともかく、ありがと茄子!

 

というか、シンドバッドの西遊記って実際に探せばありそうだから困りますね。

一先ず部屋に戻って好感度イベントです。

 

 

 

着くぅ!!

 

部屋に入ったら話しかけずにベッドで寝ます。ぬわあああん疲れたもおおおん。

これによって、個別に順番に話しかけたりせずに、強制イベントをまとめて発生させられますので。

 

────シェヘラザードに最西縁記を渡した

 

「これが、マスターの冒険譚なのですね」

 

「此処に書いてある事をマスターが体験したって事?」

 

おう、そうだよ。それはもう西に向かって走っていくだけの旅だったんだよなぁ。竹簡を普通に受け取るシェヘラザードと、不思議そうに見つめるマタ・ハリを見ると細かい年代の差を感じますねぇ。

 

「ちょっと、待ちなさいマスター。貴方どのくらい旅してたのよ」

 

そうですねぇ……一かニぃ……じゃなくて3だよ3ヶ月。

 

「さ、3ヶ月……それじゃあ、なによ」

 

ヌゥ!! カーミラが一気にストレスが上がりましたね。え、ちょっとまって下さい! まずいですよ!! どこに切れる所さんが?

 

「私と過ごしたのなんてまだ4週間もないのよ!!」

 

そう……(無関心) 確かにシンドバッド君の主観でみると、過去の女になってますね。笑っちゃうぜ! いや、まあ笑えませんが。

 

「でも、ずっと君を思っていた……だからこの旅を頑張れた。君のことを考えない日はなかった。1日たりとも。夜の月をみて毎晩君を思い出していた」

 

おファ!? なんだこのおっさん!?(素)

え、君キャラチェンしすぎじゃない。いやまぁYAMA育ちのこういう系譜のキャラですと、成人してから思考、嗜好、志向全てが変化することはあるのですけどね。

 

うーん、カタログスペック的には、問題なさそうですし、レベルアップとともに好色もレベルアップした感じですかね。

 

 

「え!? そ、そうなのね……それなら、仕方ないわね」

 

この方がちょろいのは何時ものことですね。ストレスも一気にマイナスまで行ってます。さすが新宿に2、3回ランチもってデートするだけで絆が埋まる鯖です。

 

「あら? マスター私にはなにもないのかしら?」

 

「言葉で言えないほど、たくさん言いたいことがある。マタ・ハリにも、シェヘラザードにも、ミストレス・Cにも」

 

好色というより、これTDN女の敵では? ボブは訝しんだ。

TDNは女の敵だった……?

 

 

「それでは、今宵……いえ、まだお昼ですが。本日は此方のお話をさせていただきます。マスターは補足をお願いいたしますね」

 

「飲み物を取ってくるわ、せめてブラッドオレンジジュースがあると良いのだけど」

 

「それじゃあ、私はお茶請けね、マスター食べたいものはある?」

 

 

ふむ、個別イベントには派生しないで終わりそうですね。

まぁ、既に好感度は十分稼げてますし、下方修正もないようなので一安心です。

 

 

「甘い桃が食べたいなぁ」

 




僕は南半球派なので。
アルトリア・ペンドラゴンA です。

天竺クリアアイテムが中国茶なの何か元ネタあるんすか?



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(準備)~(方針決定)

三蔵ちゃん(の中の人)結婚おめでとー


NYに行きたいかーなRTA 始まります。

 

今までで一番短い準備期間になりますが、やることは変わりません。藤丸君にリソース渡して、こっちも育成して。好感度を上げて、アイテムを補充して、模擬戦して終わりです。

 

模擬戦に関しては、もうこっちが絶対勝てるはずがないのです。そういう場合ランダムといいますか、そういった状況ですと、基本に立ち返ってみようということで、イベントが変化することがあります。

 

はい、マシュと藤丸君VSシンドバッドソロです。

 

ふざけんなぁ! お前だけ鯖と一緒とかおかしいだるぉ!!

そもそも頭数1の差は集団が大きくなれば小さくなるのは必然だって、それ1番言われてるから。

10VS11のサッカーより、100VS101の団体勝ち抜き組手の方がイーブンに近いのは確定的に明らか。

 

まま、ええわ、今回は許したる。

戦闘が複雑化すると長引きますし、こうすると藤丸君の本人性能に大きく経験が入るので、うま味です。チーム藤丸は既にかなり安定感がありますので、指揮官が大きくなればもう問題はないでしょう。

 

この後のアメリカでは、恐らくというよりも、ほぼ確定で別行動が中心になります。このシナリオ書いたやつ、絶対アメリカ住んだことないだろと思うようなふざけた移動距離をさせられますからね。

正規ルートですと、直線距離で1万3千キロ程です。豪州の外周1周り位ですね。毎日12時間時速6キロで歩き続けて半年です。実際は山や森街道を行くので、まあ、1年位はかかる道のりですね。車移動でも1月は見ておく距離です。

 

だれだぁ? シナリオ考えたやつ。どう考えてもアルカトラズが余計です。本当にありがとうございました。

 

通常プレイでのクリアは、アホほど何もない荒野やメガセコイアの森を歩くだけのプレイになります。ファストトラベル縛りのオープン洋ゲーFu●Kだから。

 

 

気を取り直して、戦闘に関してす。ここまでくるとマシュは円卓の騎士レベルのサーヴァントといって遜色ないです。火力こそ乏しいですが、カタログスペックと防御に関しては、普通の戦闘系サーヴァントレベルです。

寿命が30歳くらいまでしかないのを燃やしながら使ってるし、当たり前といえばあったりまえだよなぁ?

 

盾による縦スラッシュは小ジャンプでよけて、空中で前蹴りを放って距離を取りましょう。

既に走って横を抜くのは、よっぽどの怯みやノックバックを与えないと無理ですので。ややカウンター気味に行きます。

 

追加された掌底モーションで相手を吹っ飛ばしつつ、ガンガン攻撃してると、マシュの盾に隠れて藤丸君がガンドを撃ってきます。これの偏差射撃が、凄く嫌らしい罠だよ。

 

未来が見えてるというか操作ログ吸われてるんじゃないかというレベルの精度です。ラインの乙女かな? しっかり避け、られないです。

マシュからの一撃が来ますが、それまでに防御だけでもしておくと、ぎりぎりでガードが間に合います。

 

精度とタイミングを優先して、拘束時間が減ってる感じなので、魔力に対してガバガバなシンドバッドくんでも耐えられました。

守る!マシュの空中からの盾の叩き落しに、ジャスガをいれると、なんと後ろに伸ばした足を使って踏ん張った拳の打ち上げで相殺していきます。

 

えぇ……。

 

まぁこの位まで戦闘をするとストップが入るのでズボンで手の汗を拭いて握手しましょう。

勿論藤丸君とです。やっぱ好きなんすねぇ!

 

好感度も上がり、双方の友成長を確認できた、麗しい友情の図。いいゾーこれ。僕はぐだ子より女装ぐだ男の方が好きです。(唐突な自分語り)

 

模擬戦が終わったら急ピッチで物を揃えます。まずは食料。わざわざ肉を大量にストックする必要もなくなったので、なぜか無限に持てるリンゴを中心に。

他にもいろいろ細かい作業している間に、アメリカ攻略チャートについて、お話しします。

 

何度も言ってますが、最大規模の特異点ではあります。北部アメリカ大陸というよりは、現在のアメリカ合衆国48州の全域が特異点となっております。

 

敵は少々込み入ってますが、聖杯所持勢力は、ケルト勢です。メイヴを女王に、狂王クー・フーリン。これが事実上のラスボスです。

 

下士官クラスに、ディルムッド、フィン、フェルグス、ベオウルフと、ふざけた連中がいます。どれもこれも普通の劇やお話によっては主人公張れるスペックを持ってる感じです。

非戦闘系サーヴァントでは勝ち目もなく、戦闘もできるレベルの鯖ならば、数で叩けば何とかという所でしょう。

 

そして、ヘラクレスクラスに強いのが、食客アルジュナと、クー・フーリンの2名です。

都合上しませんが、アルジュナさんは本気で宝具開放すれば、大陸を消し飛ばしてゲームセットにできちゃいます。勿論聖杯のサポートがいりますが。

 

クー・フーリンは初見ならばという条件付きですが、スカサハに勝ちます。スペック的にはとにかく強いとしか言いようはないですが、個人の技出力なので、アルジュナみたいな反則は……まぁないです(ないとは言ってない)

 

あとは、メイヴですが、これは後述。

 

翻って味方を見ましょう。

いません。以上。

 

は? と思われるかもしれませんが、厳密な味方というのが、いないのです。

レジスタンスは、よっぽどがない限り敵対はしないので、彼らを入れるとしてロビン、ビリー、ジェロニモ。ラーマ(死にかけ)ですね。

 

沙悟浄、もとい李書文は自由人であり、基本手伝ってくれません。

スカサハは、頑張ってるとランダムで協力しに来ててくれます。

シータ……? 知らない子ですねぇ。

 

そして、問題児アメリカ合衆国軍です。

頭がいかれたエジソンと、エレナに、最大のネックであるカルナがいます。

 

細かいことをぶった切って言うと、この特異点ではいかにカルナを手札に加えるか、またはカルナ並みの戦力を持って臨めるかが非常に重要なポイントになります。

 

さて、話を戻しましょう。基本的にアメリカの特異点は、敗北条件としてローマと同じように領地の占領率があります。要するにケルト軍に戦線を押されすぎるとガメオベラです。

 

その為攻略法としては

1アメリカに付いて、戦線を維持しつつ、聖杯奪還したら裏切る。

というパターンと

2、正規ルートのようにアメリカと敵対して、戦力を集めてから戦う。

 

の2パターンが想定された道順です。

 

前者は、例によって例のごとく、終局で死ぬので厳しいです。所持している鯖次第ではアメリカについて、内側からエジソンを説得するルートなどもありますが、今回のメンバーでは無理です。

 

かといって正規ルートは無茶苦茶時間がかかります。RTAこわれるぅ~なので、採用するのならば、相当な短縮をしていく必要があります。

 

 

そこで、先駆者様に倣って、私が採用するのは、レジスタンス吸収型、独自戦力ルートでず。

 

やることはいたって、シンプル。正面戦力に秀でた藤丸チームで戦線を独自に維持してもらいます。この時余裕があれば、レジスタンスと協力した後に、アメリカに交渉を持ち掛けます。

 

差し出すものは、勿論戦力……ではなく、ナポレオンです。

この特異点なんと、軍勢のぶつかり合いなのに、指揮官や軍略に優れる鯖がほとんどいません。頭数がいるので、そんな中で、軍団を率いるものでは、人類史の四天王に入るナポレオンがいれば格段に味方の戦力が底上げされます。残りの3人は、ハンニバル、ハン、アレキサンダーですね。

 

 

そして、飲ませる条件は聖杯の使いみちについて交渉テーブルにつかせることです。

あとは、ナイチンゲールを連れてくれば彼女が何とかしてくれます。

 

レジスタンスの情報網を使い、戦力を集め、戦線はナポレオンが大部分を維持し。

敵に指揮官の鯖がでたら、ナポレオンを残して(単独行動) ラムレイに乗った藤丸君が殲滅する。

 

クー・フーリンが出てきても、えっちゃんと下乳上もとい槍上がいれば、十分に被害を抑えて撤退はできます。

 

デメリットは、やはり藤丸君の魔力消費ですが、覚悟完了してるので、きっと耐えてくれます。

 

そして、シンドバッドくんは、ラムレイよりもなお、長距離移動に適性があるテスタロッサで(宝具の事であり、実在の車には関係ございません) レジスタンスと共に、破壊工作や、戦力補充に努めます。

 

早い段階でシータの情報を知れたのならば、カルナに次ぐ此方のエースラーマ君が復活できます。

練習では、シェヘラザードの千夜一夜の能力では、体力は回復しても、呪いの解呪は完全にはできませんでした。

 

メディアさんがいれば、ルールブレイカーと婦長の治療宝具でシンプルに行けますので、楽だったのですが、ないものねだりは良くないです。シータ(エリクサー)は確定でアルカトラズにいます。

 

いや、本当背後取られてんじゃねーよ!!

シータイベントをこなさないと、ベオウルフもそこに居続ける事になるので、逆にその場でさっくり仕留めるつもりです。

 

 

さて、後はラスボス攻略法ですね。

 

いたってシンプルです。

藤丸君に全部倒してもらいます。

 

アルジュナはカルナなしで戦うとマシュがいないと勝てません。カルナを味方に入れるつもりですので、まあ、放置でOKです。

彼はカルナと戦うことが目的なので、カルナ戦をマッチメイクすれば事実上無力化できます。

 

狂王は、実は再結成したチームシンドバッドでも結構戦えます。

理由はもう『男で、王なので。(いつもの)』火力が足りないので時間はかかりますが、リソースをどばーとだしてしまえば、シンドバッドたち単体でも勝てます。

 

しかし、彼の隣には確実に女王メイヴがいて、彼女はシンドバッドの天敵です。回避不能の逸話による魅了が500%通るシンドバッドは絶対に勝てない為、こちらのかけた狂王への魅了切れの瞬間に負けます。

 

双方のキングを取り巻きが魅了しあうNTR合戦とか地獄絵図かな?

 

防ぐ手段は困ったときのマシュ。防御力無限というか、逸話による魅了なので、十分防げます。

 

決戦の着地点は2パターンあり、情報がどれだけ集められるかで、早いベリーハードモードか、普通のハードモードになります。この辺はアドリブでやっていくしかないです。

 

まとめると

藤丸君が

北米版グランダルメ!! のち 決戦!

シンドバッドが

ひたすら仲間を集めて次の街へ作戦です。

 

あ、そうだ(唐突)初期位置にもよりますが、章ヒロインのナイチンゲールは一定時間合流がないと自動合流が入るので、適当に待ちで大丈夫です。というか、アメリカなんだから多少知名度では劣ってもクララ・バートンで良かったのでは?

 

 

 

 

 

 

と、いうわけでレイシフトしていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

まずは初期位置を確認。人間の耳に聞こえるほどの近くで戦争をしています。

 

ロマニ……というよりカルデアの事前情報ですと、

合衆国カラーのバベッジと、アイルランドっぽい衣装の兵士が戦ってる情報しか持ってません。

なので、どっちが敵だよ。となりますが、ここは近づく前に冷静に魔力サーチをしてもらいまうしょう。

 

『人間がいるのは、そのロボットがいる方だけだ! 仮称アイルランド兵は、全部何かしらの魔術で生み出されている!』

 

これだけ言われれば、倒すべき敵は見えます。側面からぶち込んでやるぜ!

 

というわけで開戦です! マシュよ、法螺貝を鳴らせぇ!!

 

シンドバッド君はテスタロッサの助手席ではなく、ボンネットに乗ります。なんてことを……

 

やるべきことは、単純にナポレオンの砲撃支援により空いた穴めがけて突っ込むだけです。藤丸君もラムレイに乗って、下父上のお腹にしがみついてますね。ちょっとプニッとしてたりしてない? 大丈夫?

 

現在この辺にいるのは、先ほどのスキャンで雑兵のみだとわかりきっており、一気に蹴散らしてしまいましょう。

 

突撃―!!

 

はい、神秘殺しの性質のナポレオンの砲撃は、ケルトの連中にもガンガン入りますね。まぁノッブをより集団戦向けにした感じなので、当然と言えば当然です。

 

空いた穴に向けて突貫。適当なところで、藤丸君は降りてますが、こっちはこのまま真名解放です。

 

「夜闇を駆ける鉄処女!」

 

車でひき殺すのが宝具なのは、ライダーではよくあることなので、問題ありません。

そしてできたスペースに鯖を両脇にかかえて飛び込んで、もういっちょもってけと、マタハリの宝具を打ってもらいます。

 

「陽の眼を持つ女!」

 

開幕は魔力に余裕があるので大胆に使いましょう。

こいつら全員メイヴの魅了が入ってる状態に近いので、地味に耐性が若干ありますが、密集して集団になりレンジにたくさんいる以上、多少減らせれば、十分効果はあります。

 

シンドバッド君もガンガン殴りに行きましょう。ふん、雑魚がぁ!

一撃では沈みませんが、一撃で仕留められるワイバーンよりずっと当てやすいので、処理速度はこっちの方が上回れますね。

 

完全に無双ゲームになってます。

 

まぁ、軍勢をバッタバッタと切り捨てるのは英雄の華であり、この英雄達を大活躍させるゲームにおいてそれは正しい。大活躍してるのがマスターであることを除けば。

 

藤丸君の方も、マシュと連携して、ガンガン進んでますね。えっちゃんは飛び込んで後方をかく乱しまくってます。順調順調。

後で仕入れた上白糖3kgを藤丸君に渡しておきましょう。藤丸チームの弱点は料理ができないことですね。致命的じゃないか。マシュは早く旅館で修行してきて。

 

敵は無限に増産できるタイプなのですが、本拠地で生産されるタイプなので、ある程度殲滅すればOKです。

後は現地の兵力、もとい機械化歩兵団が何とかしてくれます。混乱させて分断すれば十分です。これぞ兵法だなぁ!

 

と、いうわけで戦闘終了。ナポレオンの砲撃とマスケットだかライフルだかの音は聞こえますが。終了といえば終了です。

 

ここで早速マタ・ハリさんに合衆国の人間に情報を聞いてきてもらいましょう。この時機械化歩兵に近づくと、サーヴァントなのでという理由で攻撃されます。

 

え、何その機能は? これは訴訟物ですね。

 

事前のカルデアでの作戦会議で、何時ものように現地勢力と協力することは決めてますが、単純に現地勢力と協力できないことをカルデアとしては知りません。

なので、この場で現地兵士目線の、サーヴァントのせいで戦線が維持できなくてやばい、という情報をしっかり入手しましょう。

情報収集に特化した鯖が2名いると、こういう面での短縮が非常に簡単で、非常に美味しい。

 

正規ルートは、藤丸君が気絶して、マシュは主体性がない為、ここからひたすら流されていきますが、この場で気絶するとかいうミラクルがなければ、こんなものです。こっちにはA++相当の諜報を持った鯖が2人もいるので、機械歩兵のいないところを見つければ余裕っすよ。

 

まぁさすがにこれだけド派手に、ケルトを蹴散らした相手に攻撃するとは思えませんが。

 

白旗でも振って近づけばいいすかね?(みんなのトラウマ)

 

はい、マタ・ハリが現場の偉い人との話ができるようにつけてきてくれました。ついでにアメリカの現状も手に入りました。これなら大丈夫そうですね。

 

会話イベントを挟んで、殲滅戦が終わったアメリカ兵たちは、陣地に撤退していくそうです。ついていけばナイチンゲールに会えますが、ここで賢い発言をして一旦止めておきましょう。

 

「アメリカ軍って味方なのか? あの油臭いやつ、ロンドンで戦ったやつだぞ」

 

そもそも、この時代は、独立戦争に勝った年なので、アメリカがこんなにド派手にできているわけはないのです。13コロニーの時代ですからね。

 

一先ずの敵がケルトだというのは戦って分かりました。恐らく明確な敵だということも。一切の幸福を認めず現地人を殺していると、暫定アメリカ軍から聞けました。

 

でも、聖杯を持っている勢力と、聖杯が欲しい勢力が争っているだけで、どっちも時代の異物である可能性は十分あるでしょう。第3特異点はまさに黒ひげとアルゴーがそんな感じでしたし。

 

声をかけて止まってくれるほど人間がいるアメリカ軍はともかく、無限に攻めてきて、ある日突然この大陸を襲っている奴らを放っておくこともできない。

 

という風に話を持ってきます。こいつ急に賢くなってますね。

 

いや、藤丸君自身、現代人の感覚として、マスケットとロボットが一緒に戦ってるのはおかしい。という感覚があるようですが。

 

というわけで、大統王なるアメリカをまとめ上げた人物の意図は探りたいけれど、この場は離れられないという状況にして、シンドバッド君だけで交渉できないか確認してくるという話で結論付けましょう。

 

こうして行き先を決めてしまえば、前線基地というより、野戦病院の辺りを拠点に藤丸君が戦線を維持してくれます。

 

その間に、エジソンに要求をたたきつけ、そのままレジスタンスに合流に行きます。時速300kmは余裕で出る車にかかれば、森と山以外はビュンビュン飛ばせます。

 

アメリカ軍の首都はデンバーという情報も得たので、その近くまで来たら、ミストレス・Cに予告状代わりに手紙を入れてもらいます。カルナが来てもこれで安心ですね。

 

 

どちらにしろハードモードではケルト兵を何度か叩かないと負けますので、ロマニも納得してくれます。事実情報収集と、戦闘担当ですっかり分かれちゃってますからね。

というわけで、方針が決まったので、次行こうぜ。




ひたすらサリーアン課題をやらされている気分になるアメリカ編。でも書いてて楽しい。
ボロクソ言ってるアルカトラズ、実は大好きです。でも脱獄者が生きてるかもの音声案内はそろそろ変えどきだと思う。

というかサンフランシスコの近く(アメリカ基準)に昔住んでたので。カリフォルニアが好き。
めちゃくちゃいい所ですよ。コロナが収まったら旅行に行ってみて下さい。

サワドゥにクラムチャウダーを入れたのがとても美味しいです。
ただ、夏でも夕方にクルージングするならダウンとかを着ていく事を推奨します。
普通に野生のアシカがうようよいる程度に寒いので、

観光案内をする理由?
ビリー君もゲームでしてたからです。彼の言ってたセコイアの森もすごいっすよ。


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(交渉)~(アルカトラズ)

お詫び

1.前回の描写で、狂ニキに王特性があるように書きましたが、シェヘラザード愛好家ならば当然知ってるでしょうが、クー・フーリン・オルタは王特性を持ってません。
ですが、今ならシナリオ中だけでも王を持って実装されるでしょうし王とさせていただきます。シェヘラザードさん的に、皆殺しだよ! って言ってる王を王認定しないほうが違和感ですしね。 あとがきに書く予定がすっかり抜けてました。

2.アメリカ軍の拠点がデンバーのはずがダラスになってました。単純にミスですので、修正してあります。ダラスはエリちゃんがブロードウェイを作ろうとしている場所です。ですがデンバーでなきゃだめです。

3.誤字修正が中途半端のものを投稿していたようで、何時も以上にボロボロでした。本当に申し訳ない。


罰ゲームは怖くないRTA始まるよー

 

前回は行動指針を決めて動き出したところまででした。

 

デンバーに居を構えている、大統王一行に、こちらは協力の用意があるということを伝えに行きましょう。

メタ的には、すっかり協力を申し込む予定ですが、一応小目的は、アメリカ軍の目的を探ろう! となっております。

 

周辺まで来たら、正面から行くと面倒なのでミストレス・Cに予告状を出してもらいます。これで敵意はなく、目的を知りたいという意思表示ができます。アポイントメントは大事。

その間にマタ・ハリは、近くの町というか拠点で情報を集めてもらいましょう。シェヘラザードは念のため待機です。

 

ミストレス・Cが予告した時間になったら、正面から堂々と乗り込みます。戦いに来たわけじゃないからね。

 

此方の持っている情報は、よくわからないけど大統王という存在のおかげで、一般人は戦えてる、皆東から命からがら逃げてきた。戦うつもりがない人たちも兵器工場に回されて大変苦労してる。という情報です。完全に戦時下ですね。

 

「あなたが、人類最後のマスターの一人? ふーん、なんだか懐かしい空気がするわね」

 

案内にエレナ・P・ブラヴァツキー夫人がいらっしゃいました。史実だと、まぁ色々ありすぎる人ですが、この特異点では旧知の仲であるエジソンに協力してます。

残念なことに、既婚者ですが経産婦じゃないのです……惜しいですね。

実はシンドバッド君、天竺ですれ違ってます。山を燃やしてた犯人です。

 

ともかく、此処は彼女の案内で謁見に行きましょう。

 

敵対しても殺害されることは、此方から害意を見せるくらいしないとないのですが、この後の交渉の成り行きの場合によっては、我々が拘束される場合もあります。

しかしながら、初回の拘束の場合はレジスタンスが確定で助けに来ます。

移動速度的に会いに行くよりも早く合流できるので、ここで拘束されようと、一旦解放されようと、どちらにしろ、タイムに差はなくてOKというチャート分岐になります。

 

「すまない、待たせてしまったかね? そう、この私が! トーマス・アルバ・エジソン! アメリカ合衆国の大統王である!! 」

 

というわけで、ライオン頭のおじさんがやってきました。鯖はドン引きしてますが、シンドバッド君は気にせず笑顔です。君地味にコミュ強だよね、受動的だけど。

右手で握手しに行きましょう。間違って左手を出すと好感度が下がります。インドの生活様式詳しい鯖がいるからですね。

エジソン自体に関しての説明は不要でしょう。エジソンを知らない現代社会人とは、会話が噛み合わないレベルのことが多いです、いい意味でも悪い意味でも。FGOの偉人の中では恐らくベスト5に入る知名度でしょう。海外鯖だけに絞ればナイチンゲール、ホームズとの3択ですかね?

 

握手の時は思いっきり力を籠めましょう。耐久EXなのでたぶん大丈夫です。なお、実験時の体力が評価されてないので、実際はそうでもないです。

 

肝心の話の内容は特にいうべきことはないです。こっちには戦力があって、それを今前線に張り付けてるから、目的を教えてほしい。あと、戦力出してくれれば連携が取れるなら取る。という方向ですね。

そうすると、エジソン式救済プランを説明されます。どうせシンドバッドくんには理解できませんが、ロマニが通信を聞いてリアクションしてくれるので、OKです。

 

要するに人類史は滅ぶから、アメリカだけで独立国家を作るという内容です。聖杯も俺たちが使う。計算上は、相手が見逃してくれれば行ける。嫌なら代案を示してみろ。というのが主張ですね。

 

ここで、エジソンの糾弾はしないようにしようね。ナイチンゲールがいないと押し切れません。

 

というわけでシンドバッド君は普通にこっちの主張を話してもらいます。

 

「俺たちは聖杯が欲しい。この旅の目的のために。魔術王は強いのわかってる、勝てるかどうかわからない。でも、戦って、皆を守る」

 

よう言うた、それでこそ男や!

 

エジソンはカルデアもこっちに合流してええで? と言ってきますが、カルデア自身がどこにあるかわからない以上、本当に合流できるのかということや、そもそもアメリカにはない資源はどうやって補填していくのやら。

魔術王に見逃してもらえても問題は山積みなんですよね。

 

この人類『保管』計画は2,3の勢力がやろうとしてますが、エジソンはその中でも2番目に質が悪いですね。できるけど、やるつもりのなかった人が一番マシだったというのは本当に笑える。

 

「俺一人じゃ決められない。リツカ、もうひとりの仲間のマスターと話さないと」

 

「うむ、それは道理だな。賛成する前に組織内の意見をまとめておく事は合理的な判断だ」

 

此方の初期対応が交渉であり、マスターの一人という立場である以上、初回で良い返事を得られないことを理由に、襲いかかるということはないです。このへんは現代的な文化人の良いところです。

 

「俺は……旅が終われるのならば、皆が笑顔で終われなきゃと思う。だからそれは、ここで戦ってる皆もそうだ。だから俺たちは敵を倒すのは協力するけど。その代わり、後で皆で話す時間が欲しい」

 

よく言えました。というわけで結論まで行けました。シンドバッド君言葉足りなすぎるけど、やりたいことを押し付けるだけじゃなくなったのは、成長したってことに見えてるでしょう。

 

『エジソン大統王、こちらにはナポレオン・ボナパルトが召喚されている。彼の指揮下にあなたの兵士を置けば、戦線の維持もより容易になるでしょう』

 

「後でリツカと話して、その時に協力してくれるって言ってくれると嬉しい」

 

「……わかった、一先ずカルデアとは非同盟の友軍ということで、前線では彼の指示に従うようにしよう。準備が整い次第、交渉のテーブルに就こうではないか」

 

成果としては90点は硬い内容ですね、立ち去りましょう。

 

 

「で、どうするの? ミスタ・エジソン」

 

「良いだろう。協力の見返りは法廷で勝負という事だ。此方も弁護団を用意させていただこう!!」

 

さて、これでOKです。後はロマニが調整してくれるでしょう。

特に襲われることなく帰してくれました。

 

「話はまとまったようだな」

 

あ、カルナさんちーっす。廊下で待ち伏せしてましたね、カルナさんが本気出せば、こっちを止めるのに間に合う距離ということですね。

 

「俺は、先に助けを請われたエジソンに微力ながら従うまでだ。人類最後のマスターの一人よ。醜悪な生きざまを足掻くが良い」

 

開幕全力煽りに聞こえますが、多分害意はないのでしょう、一言足らないだけですね。ジナコとカルナの関係性はまさに、双方が言葉が足らなさすぎる。

 

シンドバッド君はたぶん語彙力で意味が拾えなくて、声音だけで何言ってるか判断してる説ありますね? 笑顔で頷いてます。動物じゃな? 

 

 

ともかく、先触れ外交としての役目を果たせました。でも、美女3人連れて外遊する大使とか最悪ですね。高級車乗り回してるし。

 

 

「それで、どこに向かうのかしら?」

 

この後は、レジスタンスがいるデミングの町に向けてドライブです。

ワイバーンよりずっとはやい! なフェラー……ではなくテスタロッサメイデンでガンガン移動しましょう。ちなみに1000km程離れてます。

 

「とりあえず、川を下っていこう、ミストレス・C。運転ありがとう」

 

進む方向はわかっているのですが、いかんせんそこに向かう目印と、理由がございません。まぁ自鯖だけならば、こっちに行きたいと言えばその程度の融通は聞かせて動いてくれます。

 

 

『シンドバッドくん聞いてくれ』

 

お、ロマニからの通信ですね。藤丸君には早速動きがあったようです。

 

『現地のサーヴァントで、あのナイチンゲールと合流した。現在一緒に行動している』

 

え!? あのナイチンゲールと!? きっと伝記の通り、心優しい天使のような女性なんやろなぁ。

 

『そして、フィン・マックールとディルムッド・オディナの2名とリツカ君たちが交戦。傷を負わせるも、撤退されてしまった。得た情報によると、敵はケルト兵集団。それもトップは女王メイヴで確定だ、クー・フーリンもいるらしい』

 

んにゃぴ、よくわかんなかったです。まぁ、どちらかというと、シンドバッド君の外付け思考回路のシェヘラザードに伝えているのでしょう。キャスター、どうにかしろ。

というわけで、変わらず荒野をドライブです。車移動なので会話イベントがあっても移動が途切れないのでありがたいですが、この助手席に3人座るのは無理でしょ? シンドバッドくんの膝壊れちゃわない? 大丈夫? 霊体化してくれないんですかねぇ?

 

 

「マスター。前方に誰かいるわ、人間じゃない」

 

お、まだテキサス州にも入ってませんが、これは来ましましたね。

車を止めて、声をかけに行きましょう。

 

「すまない、君たちがカルデアだろうか? 」

 

あ、そうっすよ。そしておまえは誰だよ?

 

「失礼。だが、私の名を名乗っても、君たちは知らないであろう。故にこう名乗らせていただく、ジェロニモと」

 

ジェロニモは南部のネイティブアメリカンの方です。インディアンは差別用語ではないのですが、定着した固有名詞以外に使うと、結構ぎくしゃくするので、基本的には部族名で呼ぶのが良いでしょう。

そんな彼は、だまし討ちしたメキシコ軍にブチギレて、ゲリラ戦で戦い抜いた人物です。山岳での戦いに特化した訓練をして、奥さんが生涯で何人もいて、屈強な戦士です。それでいて戦いは終わったとして、聖杯探索においては、人類史の味方の立ち位置を崩しません。シンドバッド君との相性の良さは、食人以外完璧です。

 

彼は事実上のレジスタンスのリーダーであり、恐らく現地のアメリカ人として生きることを決意した方々や、助けて協力を勝ち取った人物をスパイとしてアメリカ軍に潜り込ませています。そのため、情報に関しては正直エジソン勢より多く持ってるという立ち位置です。

 

 

「聞く所によると、君達はアメリカ軍と手を組んだわけではないのだな?」

 

ね? 情報の伝達速度が速すぎる。

ですが、こう聞かれたのならば、はい。と素直に答えれば合流してくれます。

 

「そうか、ならば我々の目的と君達の目的は同じなようだ」

 

レジスタンスの目標は、正常なアメリカに戻すということです。結局のところ、この特異点は大統領魂が悪さをしなければ、もっといい感じだったはずです。

進軍を6割減らせるゲリラ兵もいるわけですし……愛国心に目がくらんで、プライドに囚われたエジソンは、判断をミスってますね。

 

「君たちの中に、治療に特化したサーヴァントはいないか?」

 

というわけで、ラーマ君回収イベです、合流ではないですね。この時点でのラーマ君は心臓の8割が破損して、呪いに苛まれている感じです。そんな状況で意識を保ってます。化け物かな? インドは本当もう。

つまりは、まともに戦える状況ではありません。ジェロニモの案内で、直ぐに向かいましょう。

 

ついたら、シェヘラザードに頼んで、どうにかできないか聞きますが、延命程度しかできないと言われてしまいます。やらないよりはましなので彼女に魔力を回して、状態を維持しましょう。

 

さて、ここが悩み所さんです。ジェロニモを藤丸君の処に送るか、ラーマと一緒に来てもらうかですね。ラーマ君の運搬は、揺れこそしますが、カーミラがいれば余裕ですしね。

 

本来はこの先の街に確定でいる、ロビンとビリーを回収してからのつもりでしたが、仕方ありません。

 

ジェロニモにはチーム藤丸に合流してもらい、ビリーとロビンの処に行って、協力してと伝令してきましょう。

 

藤丸くんの手元にジェロニモがいれば、レジスタンス兵たちも動かせるようになるので、ナポレオンがより盤石になります。

 

今でこそ占領地の割合的に余裕はありますが、藤丸君の魔力が心配です。将は消耗品ですが、兵は無料で替えがきくので(魔術師の鑑)

 

というわけで、ラーマ君だけ乗っけてメイデンで飛ばしましょう。ジェロニモはすぐにでも前線を支えてるもうひとりのマスターの所に行って欲しい。と伝えれば了承してくれます。

 

なんでラーマ君を連れているかというと、ルート分岐の為です。

 

運が良ければ帰り道に、普通なら行きに、悪ければ何もないですが、お待ちかねのイベントが発生します。

 

「ほう、サーヴァントどころか、大当たりを引けたようだ」

 

今回の運は普通だなぁ! はい、フェルグス叔父貴です。

両刀使いの絶倫の好色であり、狂王の命令を受けて、野良鯖狩りをしているそうです。

可能であれば、ビリーとロビンと合流した後に戦いたかったが、仕方ありません。

彼との戦闘が発生することが大事です。

 

ラーマ君と早目に合流+フェルグスに会う。この2つをこなすと、シータイベントが解放されます。前回軽く触れた、アメリカ軍の協力なしで行くベリーハードの速攻戦になりますが、それをするにしても、最低ラーマ君がいないと勝ち目が険しぃ……です。彼がいれば、まあ犠牲を覚悟でなんとかできるレベルになります。

 

敵のケルト勢力の鯖を倒す際にラーマが居ると、シータの事を聞くのですがフィンたちは知らないので、フェルグスとラーマの戦闘を起こす必要があります。

 

この広いアメリカの中の中で、この男二人が出会わないとだめなのです。離別の呪いさんは今日も気合入ってますね。

 

さて、戦闘です。この特異点のフェルグスは、禁欲をして戦うことにすべてを掛けて、戦闘力を上げてます。が、魅了は普通に通ります。仕方ないね(許容の心)

 

その凄まじい膂力でカラドボルグをぶん回してきますので、それはまともに受けないように戦いましょう。体が宝具になっておりますので、多少は耐えられるとは思いますが、カラドボルグの大元を考えると、過信は禁物です。

というか、爆発しない偽ではないカラドボルグが出てくるまで10年かかってるって意味わからないな。

 

後はひたすら、剣より近い間合いで肉体をぶつける事です。

相手の間合いでは絶対に勝てません、そうすると超絶インファイトもできる拳法ムーブの方がよかったりします。

 

周囲が直ぐに魅了とか弱体とかのデバフをかけてくれますので、対英雄のシンドバッド君はチームとしての総合力で上回ってます。

しかしながら、案の定火力不足で、このまま戦ってもやっぱり勝てないので、令呪を1画切りましょう。対象はカーミラです。王ではないので。

 

「令呪を持って、命ずる! ミストレス・C 宝具で攻撃だ!」

 

夜闇を駆ける鉄処女(テスタロッサ・メイデン)!!」

 

弱らせて宝具でひき殺して、終わり!!

 

 

 

撃破すると、車に積まれたままだったラーマ君が、フェルグスを問い詰めて、自分に似た女の子の場所を聞き出します。あ、ごめん君乗せたまま宝具撃ってたわ。

 

これでシータがアルカトラズにいる情報をゲットだぜ! そして、直ぐには向かわず、ロマニに報告を入れましょう。

 

「マスター、もしまだなら、恐らくダラスの先のアレクサンドリアという町に、サーヴァントがいるわよ」

 

それは本当か!? これはエリちゃんシステムによる予知なのでしょう。いや、なんだよそれって感じですが。

要するに、何度も出てくる鯖は、1セーブデータ内の記憶に連続性をもつ場合があります。アメリカにもエリちゃんはいるので、そこにカーミラが混線したのかもしれません。

 

でもそれなら、ダラスに若いころのあなたもいるのでは?

 

「まだ探していないのなら、探しなさいと。伝えてみればいいわ」

 

そうすか、まあいいでしょう。戦闘と運転で疲れてる所申し訳ないですが、またメイデンで移動しましょう。処女(メイデン)に乗って移動です。ラーマくんを抱えてるので、若干安全運転をお願いしたいですが、カーミラ様は騎乗スキルも運転免許もないです。

 

という事でデミング到着、ロビンとビリーを探しましょう。

まずは、信用してもらうために正面からまっすぐ行きましょう。

 

「やあ、こんな辺鄙なところまで、どうしたんだい? ここ数日はケルトの連中も休暇中みたいでね、見ての通りおもてなしはできないんだけど」

 

早速出てきたのはビリーくんですね。

ビリー・ザ・キッド、正統派な銃を使う英霊ですね。写真も残ってる程度には近代ですけど、YARIOの紅一点の後出しジャンケンみたいなカウンターを3発も技術でやる化け物です。

そもそも、アルジュナにダメージを入れる近代の英雄ってだけでだいぶやばいですからね?

 

ここは、素直にジェロニモに聞いてきたことと、もう一人にマスターが中心となって、敵を足止めしていること、を伝えましょう。

 

というよりも、ここで一人だけで話しかけられている時点で、信用されてないですね。

よくある人殺しのにおいがするとかでしょう。

 

「まぁ、ここ数日敵も来ないしおかしいとは思ったけど、本当に来てたんだ。おーい、グリーン、彼らは大丈夫だと思うよ」

 

「俺としては、そこのとんでもないもの乗り回してる女から、嫌なにおいがするんで、遠慮願いたいんですがねぇ」

 

「緑ネズミなんかに興味はないの、それで、返事は?」

 

ナチュラルに姿を隠して背後を取っていたのは、ロビンフッド。その名を冠するに値する者が複数いる中の一人扱い系の召喚になります。

彼は根は善良なひねくれ屋ですが、戦闘に関しては、妨害や罠、毒など。なんでもござれなタイプです。切嗣が呼んじゃいけないタイプの鯖の一人によくあげられてますね。

ともかく、合流したら事情を説明して、ロビンには藤丸君の所に行ってもらいましょう。彼のゲリラ戦の能力は尋常じゃないです。ナポレオンも優秀な山岳ゲリラ部隊の次に工兵部隊を指揮下に加え、圧倒的な戦力を使いこなしてくれるでしょう。

 

ロマニに聞けば現在地を示してくれます。

まぁログ見ればわかるのですけどね。快進撃を続けてるみたいですね、藤丸君は。

 

ビリーは可能ならば、ついてきてもらい、アルカトラズに同行してもらいましょう。拒否されたのならば仕方ないですけど。理由はまず、彼は火力と燃費が良いのと、準備を必要としないカウンター系の宝具であり、自衛戦力として優秀なこと。そして騎乗スキル持ちのため、万が一の場合にカーミラの運転を代わるという選択肢が出るからです。

 

 

これで藤丸君が嫁ネロを仲間にしてくれていれば、戦力的には野良エリちゃん以外全員を得た形になります。暫くは安泰でしょう。

アメリカ軍がどう転ぶかですが、デミングからアルカトラズまでの往復往復3,500km以上かけて、ラーマ君一人を回復させる価値は十分以上になります。

 

この特異点の味方になり得る鯖の戦力比ですが、カルナ5、スカサハ5、ラーマ4+他合計で6くらいの比率です。あくまでも個人としての正面戦力でですが、それくらいの価値はあるということです。

 

というわけで、ロマニに報告してシータを助け出しに行きます。建前上はシータという戦力回収のためです。

 

本来はただラーマが死にかけなのに、シータを助けるために4,500kmの距離を砂漠と森と3000mクラスの山を超えるとか言い出すのですが、彼は正気じゃないですね。いやまぁ、終局を見る限り意味ある行動だったんですけど。

 

というわけで、西部アメリカオープンカーの旅を流している間、倍速です。

 

その間、退屈な皆様のために(様式美)

 

決着のつけ方についてお話しします。

 

何度も言う通り、2パターンあり、1つは暗殺による短期決戦型。もう1つは軍勢を使って進軍する正面決戦です。

 

ケルトの伏札アルジュナがいる状況で、1つ目の暗殺での短期決戦をするには、弊カルデアの戦力では、ラーマ君がいることが最低条件です。此処までにアルジュナとタイマンできる鯖+ガチ戦闘系鯖が2体とかいれば、開幕速攻もできますが、事前チャートの通り現地で賄う範囲で動きます。

結果、味方鯖に多少犠牲は出ても、狂王、メイヴ、ジュナと一気に倒しに行きます。

 

メイヴちゃんの切り札召喚により、一気に占有率を取られてしまいますが、ゲームオーバーになるまでにボスを殺し切るのがこの暗殺方法です。

現在のナポレオンの行動は、その為の安全マージンもとい時間稼ぎをするために、頑張ってもらってます。

 

もう1つの決戦には、アメリカ軍の戦力、つまり数が必要であり、アメリカ軍の説得には、ナイチンゲールが必要不可欠です。

理由はエジソンが尊敬している人から、正論でぶん殴られないと目が覚めないからです。

此方は弊デアのメンバーですと、多分時間をかければマタ・ハリで篭絡(ガチ)できると思います。モールス信号で女性の太ももを触り口説き文句を送るとかマジ? 失望しました、交流を信奉します。ですがこれも、近くにカルナがいるのがネックですね。

 

こちらの方法は正規に近いものですね、暗殺イベントと挟まない短期決戦ですが。だからこそ、十分な鯖の数でもって戦えます。

何よりアルジュナをカルナで止められるので、安定感が跳ね上がります。雑魚程度は軍勢で露払いができるので、万全の体力で的に挑めるのもポイント。尤も敵の無限湧きを蹴散らしながら進むことになるので、別の難しさはあります。

 

この2つの分岐の判断基準がズバリ、ラーマくん復活の目処が立ったタイミングです。今回は運が普通でしたので、はぐれ鯖刈りをしてるフェルグスと会えました。

しかし彼が藤丸君の方に行くと、ラーマ君の希望のシータが助からない形になります。

一応救済として、フェルグス撃破後に現地人相手に情報集めると、低確率でワイバーンで女の子を運ぶのを見たという情報が入りフラグのフォローはできます。時間はかかるのでよっぽど運と戦力がない場合しかやりませんが。

 

ともかく、ラーマ君の傷を治すまでに戦力がどうなってるかで判断になります。

要するにこの特異点はモードレッドの声と同じ鯖に注目する必要があるということですね。

 

そうこうしているうちに、ビリー君と一緒にアルカトラズに到着です。休憩やザコ敵との遭遇戦があるため数日かかっていますが、いいペースです。既に天竺で時間を使っているので、アメリカは世界最速でクリアしても、イベント発生安全圏です。急げる限り急ぎましょう。

近くの人に適当に敷衍を借りるか盗むかしましょう。空飛ぶ絨毯は消耗がでかいです。

(この時代のカリフォルニア州は、開発のかの字もなくて、モントレーに探検家のキャンプがある程度なのでは? いや、よそう、きっと特異点による歴史の歪みの影響だろう)

 

さて、アルカトラズは、無数のワイバーンが守り、それをベオウルフが従えております。

ワイバーン肉をまとめて回収できる場所は、ここが最後になりますので、大量に仕入れていきましょう。シンドバッド君はリンゴを食うようになり人外ゲージは最大値が少し下がり、余裕があまりないです。影響の小さいワイバーン肉はまさに生命線となります。

既に身体能力も、もう言い訳ができないほどに人外になってきてます。多分ジークフリートの特効対象に入ってるでしょうね。

 

というわけで、上陸してすぐの場所で虱潰しにワイバーンを狩ります。敵将ベオウルフは素手と剣で戦うタイプなので、狭い所より開けた所の方が、こちらに有利です。城攻めをする際は、いかに指揮官を野戦に応じさせるか、それが大事って1番言われてるから(知将)

 

シンドバッド君は、蹴りどころか、パンチ一撃を顔にヒットさせれば、一撃でワイバーンをころころできるようになりました。

 

まぁ強化個体には、さすがにその限りではないですが。3桁に届くかどうか程のワイバーンを刈り取ると、ようやっとお出まし、ベオウルフ王です。

 

「グレンデルや火竜程とは言わねぇが、もうちっとマシな竜はいなかったもんかねぇ、まぁいいか、殴り合おうぜ?」

 

「お前が、ケルトのサーヴァントか」

 

「ああ、ベオウルフだ」

 

「! ベオウルフ……王!」

 

はい、名乗った瞬間シェヘラザードさんが認定しました。

 

もう一度言いましょう『王』です。そして、『男』です。さらに『対魔力』なしです。

やっちゃいましょうよ! やっちゃいますか? そのための拳! そのための右手(令呪)、後その為の宝具。宝具?

 

「シェヘラザード! 敵は王様だ! 令呪でぶっ放す!」

 

やる気が満々でいらっしゃる、『千夜一夜』にお連れして差し上げろ!

 

「はい、マスター。千夜一夜物語……」

 

戻ってきたら魅了をどばーっとかけて、後は殴り続けるだけです。おら、お前がやりたかった殴り合いだぞ、喜べよ。

 

無茶苦茶外道な開幕ぶっぱですが、逆に言うと、こうでもしないと殺し切れません。しかも放置すると、また襲ってきます。

耐久力も膂力も桁違いなのですが、シェヘラザードから見ると、完全に相性勝ちしてます。

消滅するまでしっかり殴り、ビリー君がヘッショドでとどめを刺すのを待ちましょう。

 

場合によってはガッツで大体一回は耐えるので、死亡確認のエフェクトが出るまで殴るのをやめてはいけません。

 

実際、単純に出力または、技量が上の相手と素手の勝負となると、シンドバッド君はさすがに厳しいのです。恨むなら自分の強さを恨んでくれ。

 

これで令呪はもう残り1画になってしまいましたが、必要経費の消費です。

 

シータちゃんのいる部屋までラーマ君を担いでいくと、彼の五感が突如失われます、離別の呪いです。立海の部長と同じ能力を使うサルの魔王。インド神話テニヌ理論はありそうだから困りますね。

 

どんどん弱っていくラーマ君を前に、一行のストレス値が上がりますが、シータちゃんは全てを察してお礼を言って、呪いを肩代わりして、キスして消えていきます。

 

二人は幸せなキスをして終了。悲しいなぁ……

 

シータちゃん実装はよ、ディオスクロイみたいに、ラーマ君と一緒のグラで頼みます。何ならラーマ君の課金スキンとかでもいいです!! お願いします! シンドバッド君が何でもしますから。

 

さて。ラーマ君が回復して完全復活したら、速やかに海を渡って帰りましょう。

これで、合流した際にアメリカ軍が交渉のテーブルについてくれるかどうかは、藤丸君の活躍次第なので、そこで暗殺か決戦の判断をします。

 

っと、ロマニからの通信ですね。戦闘中は非常事態以外つないできません。此方の現状を報告して、合流位置をもらいましょう。

 

『シンドバッドくん、悪いニュースだ。敵サーヴァント姿が見えない『推定アサシン』によって、合流したサーヴァント達、ジェロニモ、ネロ皇帝、ロビンフッドが……倒された。囮であったであろうフィンとディルムッドは撃破したが、ナポレオンも負傷、指揮はともかく、戦闘は難しそうだ。アサシンと思われるサーヴァントは撤退した以上、君の方にも行くかもしれない、注意して合流してくれ』

 

 

 

 

ああああああああああああああ!!!!!! もうやだああああああああ!!!!




しつこいほどの実際の距離表記は、藤丸君の体力お化けと健脚具合の描写のためです。
英雄に頼り切りとか思う方もいるかも知れませんが、アメリカ特異点の内容だけで、旅人として人類史に刻まれそうなレベルです。


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(合流)~(修復完了)

今日こそが我々人類の独立記念日なRTA 再開です。

 

 

前回は、仲間を集めきって、勝ったな! としたところまででした。

 

一先ずは、落ち着いて移動を開始、合流ポイントまで向かいましょう。

そして、その間に思いっきり狼狽しましょう。

 

あわわわわわわ。は? なにこれ? 野良鯖死にすぎ問題でしょ。ログを見るに、まぁ多分不意を突かれてさっくり殺されたみたいですね。

 

ナポレオンもカルデアに戻るほどではないですが、それなりのダメージのようで、

藤丸君たちのストレスも心配ですね。幸い占領率ゲージはかなり余裕があります。というか、来たときから見て結構押し返してますね。

 

 

冷静に整理しましょう。現状味方になりうる、エリちゃん以外すべての鯖と合流しているようです。

はい、そうです。良いニュースとしては、スカサハも既に藤丸君のところにいるところですね。合流タイミング的には、仲間が数騎離脱した後のようです。

 

なので、戦力的には暗殺失敗後の時点と比べても劣るというレベルですね。

ここまでの苦労は何だったんだ。

 

いや、まぁ戦力送ってなかったら、藤丸君が死んでたと考えれば、必要経費と割り切るしかありません。

 

一応敵の下士官クラスは削り取ったつもりでしたが、この推定アサシンというのが問題ですね。

 

姿を見せない程の気配遮断を持っていて、戦った後傷を残したものの、逃げおおせるとか、めちゃくちゃ厄介ですね。情報を集めましょう。

 

「ロマニ、そのアサシンの情報なんかないの?」

 

『ナポレオンが自爆に近い砲撃で吹っ飛ばしたんだ。その時に少しだけ赤い髪が見えた位だ。服装もわからなかったから全く見当がつかない、ただ武器は槍か拳のようで、切断ではなく、刺突に近い攻撃だったみたいだ』

 

 

あっ、ふーん(察し)

これは、稀にある野良鯖自体が役割変わってるパターンですね。ハードモードですと、初見殺しというよりも、2週目殺し的に味方や中立の野良鯖が敵に落ちてる場合があります。

 

となると、赤い髪で槍といえば、もうわかりますよ……ん?

気配遮断とはいえ、できるのか? エリちゃんに。いや、ともかく警戒はしておきましょう。

 

それにしても敵の戦力が残ってる以上、こちらとしても、アメリカ軍と協力して決戦に持って行く方向で動かないとだめかもですね。

 

エジソンが早く反応してくれればいいのですが。

すでにケルト兵は結構押し切れてますし、こちらというかアメリカ軍の補充システムも回り始めているようで。ただ、本当にロビンが落ちたのが痛すぎる。

ともかく、まずは藤丸君と合流して、戦力を集中しましょう。

 

ということで、モメントゴリー近郊の、集合ポイントに到着。藤丸君の天幕の近くまで来たら、声をかけに行きましょう。

 

 

「取ったっ!」

 

おファ!? アサシネイト!? アンブッシュアサシネイト!? ナンデ!! いきなり戦闘が開始しています。本拠地なのにいきなりの敵襲でシンドバッド君に槍がぶっ刺さります。

 

死ぬ! 死んじゃうぅ!! ……って、あれ!? 生きてるゥー!! ああ~生きてるよぉ~!

 

「イヤイヤ、早撃ちには自信あったけど、これに間に合わせられたのは自分でもびっくりだよ」

 

あ、ビリー君です! ビリー君の必中攻撃以外は必ず対処してカウンターできる。壊音の霹靂(サンダラー)が槍をはじいてくれたみたいです。あっぶぇ! 

 

さて、アンブッシュは1回までだ、アイサツをしろ(強気)

 

「儂の攻撃が放たれてから返されるとは、こちらのマスターも良い護衛がいるようだな、くく、たぎるわ!」

 

李書文さん! あ、そっかぁ、エリちゃんなわけないか、こんなスマートな作戦。

どうやら、完全にケルト陣営のようですね。圏境の効果を十全に発揮して暗殺して回ってるとか、EXTRA時空じゃねーか。ムーンセル君! 仕事して! 万能でしょ?

冷静に考えて、ビリー君が対処できたのは、ランサーの李書文が圏境で来たからですね。アサシンの圏境ならば、知覚は不可能だったわけで。雑に殺しに来るんじゃなくて、攻撃を弾いて必中で当てに来てたら、間に合わなかったわけですし。やだ怖い。やめて下さい……。

 

もう、藤丸君たちの天幕は近くな為、直ぐにでも駆けつけてくれるでしょう、よく見ると、無茶苦茶ダメージ受けてるようで、足もまともに動いてないです。ナポレオンと痛み分けになったと言ってたやつですね。

なるほど、移動困難になったから、撤退したふりをして、隙を狙ってたわけですね。

 

「沙悟浄……なんで」

 

ああ、シンドバッドくん、多分何言ってるのかと思われていそうですよ。彼視点じゃ旅の仲間に敵意を向けられてるわけですし。

 

「どっかであったか? まあ、良い。これからするのは殺し合いよ。お主の全力、見せてもらおう」

 

どちらにしろ、戦闘でしかないので、攻撃に行きます。

圏境からの无二打コンボがなくとも、彼の六合大槍は通常攻撃が高いです。しかしこれだけ弱ってたら、シンドバッド君だけでも削れるでしょう、鯖の魅了も運悪く入らなかったようなので。

ここでしっかり接近して、意趣返しと行きましょう。はい、上!、下!、肘! 槍はないけど、連撃ムーブで削りきります。

天竺で覚えたのか、どことなく中華チックなモーションのおかげで、気分が変わっていい感じです。

 

 

「むぅ、さすがに殺し切れなんだか……だが、楽しかった。名も知れぬマスター 、同流の輩よ、その技を磨くがよい」

 

李書文撃破です。お前散々梃子摺らせやがってよ!! そして、藤丸君たちもようやっと駆けつけてきてくれました。遅い遅い!

 

一応これで、謎アサシンも撃破したことを確認できましたね。複数犯でなければの但し書きはつきますが。

 

藤丸くんとの合流を果たしたので、ここで情報交換という名のリザルト確認ですね。

ふむ、やっぱりナポレオンは前線に出せないレベルの損耗ですね。だけどまぁ自殺覚悟なら宝具もぶっぱできそうです。最悪藤丸君に頼みましょう。

 

他は消耗ないですね、野良鯖は尊い犠牲だった。ごめんよネロちゃま。君の花嫁姿見たかったよ。

 

 

「あなたがもう一人の指揮官ですか、患者の治療の為アメリカ大陸を横断するその姿勢、素晴らしいものです」

 

ん? この声は?

 

「ですが、自身の傷を顧みないのはいけません、処置します」

 

で、でたぁフローレンス・ナイチンゲールぅ!!

はい、ナイチンゲールです。看護師の概念を変えたやべーやつです。スペックとしては、人間の形しているものをぶっ壊すのと、回復や治療に特化してます。基本的にはヒーラーとして使いましょう。

 

近代の鯖なのに身体能力が高いのは、彼女自身が強い信仰をされてしまっているからでしょう。なにせ看護師になるときには、彼女に誓いをささげますからね。

 

今回の召喚は、従軍看護婦をしていた辺りでの姿ですね。彼女の功績自体は、戦後にそこで得た知見を明確な数字と共に明らかにしたという、統計学的な功績という点が非常に大きいのですが。その点が、エジソンとも波長が合う所です。

 

まぁ、クリミアでも大概ですけどね、上司が邪魔してきたら、時の英国女王の手紙を携えて説得したり。病院での死亡率が彼女の献身で下がり、病棟や医者、看護師が足りなくなると、私費で病院建てて人員も雇ったりと。やれることは全てやって困難に挑むという姿勢を体現した人物です。

彼女が戦ったのは悪ではなく病気と衛生と死ですが、その姿勢はどの時代の英雄たちと比較しても遜色はないでしょう。

 

おとなしくナイチンゲールの治療を受けるシンドバッド君、その女は羅刹女じゃないから安心してくれ。というかシンドバッド君視点だと、これで天竺であった人物、アルジュナも含めて、全員また会うのか。

 

「シンドバッド、無事かい?」

 

あ、藤丸君ちーっす、おひさー。

 

「明日、アメリカ軍の大統王エジソンが、この場に来て話がしたいんだって、良かったよ間に合って」

 

それは本当か!?

うーん、トータルで見ればプラスですね。暗殺しようと思ったら手札にハンデス食らったかと思えば、コンボパーツが場に揃うという。

それならば大人しく翌日を待ちましょう、休憩も必要です。

 

さて、はじまったエジソンとの会談に関しては、基本的には放置で問題ないです。

 

自分の得意とする大量生産で張り合ったから、戦線がボロボロになって、市民に無理を強いていた。本気で戦うのならば、自分の得意な分野で相手のさらなる得意分野に挑むではなく、勝てる戦いで市民を守るべきだった。

 

現に手段を択ばないゲリラ作戦をしたり、優秀な指揮官に率いられた方が、損耗が少なく戦えていた。お前こそが治療されるべき患者だったのだ。

 

とナイチンゲールの連続攻撃が決まりますので。バーサーカーソウルですね、ええ、本当に。

 

しかし、それだけボロクソ言われても、また立ち上がるのがエジソンのすごい所です。消滅さえしなければ何度心折られても立ち上がるという逸話がありますからね。

弁護団(2名)のエジソンとの会談はわずか1時間もせずに終わり、協力体制を正式に組みます。

 

きっとかれらもカルデアの快進撃を見て、こちらに賭けてみたくなったのでしょう。正直分が悪すぎる賭けにしか見えないはずですが、それは。

 

ナポレオンが前線をつないだおかげで、後詰の戦力はしっかり整備も配備も完了してます。後は引き連れた軍勢と共に戦端を開きます。

 

本来は南北と同時攻略なのですが、敵が減っているのでしたら、一箇所に集中させて駆け抜けるのがベストです。

 

ナポレオンの稼いだ時間と改善させた戦況のおかげで、一点突破に戦力を集中させて、市民たちも北部進行ルートからの避難ができる余裕があります。

 

さすがのメイヴも軍勢を狙わないで、まるっきりフリーなところに、二十八人の怪物を産み落とすことはないです。それできるなら、初手でやって滅ぼすし、多分戦場にのみ生み出せるとか、そういう制約を結んでるのでしょう。

 

 

というわけで、体力を回復次第、最終決戦に乗り込みます。

急がないと、向こうは無限にケルト兵を増産できますからね。

 

スカサハもとい、おっぱいタイツ師匠は、クー・フーリンの足止めに行ってしまいました。挨拶して稽古つけてほしかったですが、仕方ありません。天性の肉体とかのスキルを教えてほしかったです。

 

さて出撃前の会議です。全軍で一気に、ワシントンへ行くことを提案しましゅ。藤丸君も当然賛成してくれま

 

「いや、ナポレオンと話したんだけど、俺は……ナポレオンには囮になってもらおうと思ってる」

 

は?

 

「ナポレオンとエジソン、エレナの3人で、ここから北部に進軍して、残りの軍はこのまま南部に向けて進軍。残りのみんなで一緒に、首都を叩きに行く」

 

いやいやいや、おかしいでしょ。そんなことしたら、ママに怒られちゃうだろ!?

 

「敵は当然ナポレオンの首を狙ってくる、此処の所戦場では、兎に角ずっと狙われてた。そこに大統王もいれば、敵の攻撃も一層厳しくなるはず。なにせ敵に抵抗できる人がいなくなるから」

 

藤丸くん本気で言ってる?

 

「あれだけ強いサーヴァントを使い捨てにするような王。きっと俺の知ってるキャスターとは違うはず。ずっと残酷で、ずっと強いと思う。だから、俺も本気で勝ちにいかなきゃいけないんだ」

 

あーなるほど。

北に軍勢(指揮官と大将首)

南に軍勢(現地勢力のみ)

 

で攻め込んで、敵の数を消耗させた所を、マスター2名+ラーマ、ビリー、カルナ、婦長で暗殺をすると。クー・フーリンをスカサハが足止めをするっていうのも、孤立させるためだと。

 

これどうなんでしょう。

軍勢と一緒に移動しないので、進軍速度は高いでしょう。馬でも借りれば、移動中の鯖の消耗もより抑えられますし、確かに早いです。ですが、これで二十八人の怪物に勝ち切れるかどうか。

 

藤丸君的には、メイヴはどうにでもなって、狂王がやばいという認識なので、周囲を手薄にして叩くということが作戦の骨幹にある様子です。そこにアルジュナと、メイヴがやばいことしてくるのが問題なんだって。

 

「仮とはいえ主だ、マスター、そう呼ぼう。それでマスター。敵にはアルジュナがいる。奴の相手は俺がすればよいのか」

 

「うん、お願いすることになると思う」

 

カルナさんが藤丸くんにナチュラルにアルジュナの存在を示してますが、アルジュナ把握してもこれなの?

 

「こうするのが、一番ここに住むみんなが苦しまないで済むんだ」

 

あー面倒くせ! それ言われると、強硬に反対しづらいんですよね。周囲の好感度を取るか、安定を取るかです。

練習の時に特に縛らないで、単体で決めに行ったことはあります。その時は暗殺をこのタイミングで行いました。戦線を維持したまま暗殺はなんとか成功はしましたが、かなりギリギリでした。

 

シンドバッド君がメイヴと相対する事ができない以上、マシュの盾の後ろに隠れることになります。その場合、アルジュナとカルナが一騎打ちできるとして、

狂王をラーマ、ビリー、えっちゃん、槍上で戦う感じですね。メイヴはうちの鯖たちを中心に戦わせるとしましょう。ぎりぎりですが、不可能じゃないです。

 

此処で藤丸くんに嫌われると、大ガバが起こるので、スカサハがダメージを与えて弱らせてくることを期待して、3正面作戦に同意しましょう。実際戦力は予定より減っているので、時間をかけて相手を削りながら行く2正面作戦は論外で、多少時間のかかる正面突破も厳しい。暗殺は出来ない以上同意しかないです。

 

まぁ、彼ら視点だと、何人死んでも特異点修復があるからでぇじょぶだ。という認識なのですが。

ローマ以来の軍勢との行動で、あの時と違い敵にやる気があるので、普通にこっちの兵士もバタバタ死んでいくのを見ていた、マシュと藤丸君がそう判断した以上、ドライブデート状態だったシンドバッド君は何も言えません。

 

 

「すまないな、メートル、嫌な思いをさせて」

 

「いや、俺がしっかり見てなかったからだ、ナポレオンもありがとう」

 

というわけで、再会したばかりのエジソンに別れを告げて、ナポレオンとエレナに囮になってもらい、出撃です。

 

シンドバッド君チームで4人、

藤丸君チームで4人

野良鯖が4人と12人の暗殺チームです。

いや、暗殺チームは名前が縁起悪いので、やめましょう。

 

 

目的地はワシントンDCです。間違えてワシントンに行かないようにしましょう(無敗)

この特異点は西暦1783年のアメリカで、ホワイトハウスは、1790年完成なので、多分これも概念と化したホワイトハウスなのでしょう。案外、エジソンというか大統領魂の宝具がこれで、ケルトに取られている説。

 

無事到着、この時点で多分シンドバッドくんの移動距離は6000マイル程ですね。マイルが溜まってんなぁおい。

 

本来暗殺チャレンジをした際は、パレードを開いてるので、道中で襲撃できるのですが戦力を拘束している為か、白家まで乗り込まないとダメみたいですね。

それでは、暗殺と行きましょう、皆チーズは持ったか!? 死因が努力で克服できるって、これマジ?

 

ホワイトハウスに入ると、さすがに気づかれます。というよりもいくら手薄とはいえ、顔の無い王無しに、敵の本丸まで来れるのって、本当にケルト。

 

「ッは、スカサハを殺したら、直ぐにやってくるとはな、手間が省けた」

 

と、いうわけで、唐突に最終決戦です。

此処からは本当にRTAして行きます。そうでもしないと戦線が抜かれて終わりかねないからです。

 

まずは宣言通り、カルナがアルジュナにむけて目でビームを打ってくれます。

狂王はタイマンなんてやってねぇで加勢しやがれ、っていう戦いに楽しみを覚えないタイプです。戦闘の為に何もかも削ぎ落とした状態故。

 

しかし、ラーマ君がすかさずインターセプト。この時点でいつもならシンドバッド君は殴りに行きますが、今回は自重。経血抜き経血入り蜂蜜酒をくらいますので。

ナチュラルに空を飛べるインド兄弟が、上空で北米神話大戦を始めます。インディアンの神話の戦いだからアメリカだな。

 

この後はもう、めちゃくちゃにやり合うしかありません。一先ず初手でこの特異点3回目の令呪を切って、千夜一夜物語です。

 

「シェヘラザード!! 令呪を持って命ずる! 宝具だ!」

 

自分から女王を名乗ってるのと、王様ですので。特攻対象認定は勝手にしてくれます。うぉ、あっぶね!! こっちに棘(ゲイボルグ)が飛んできました。

 

やはり、マシュの後ろが安定。かわいい女の子のお尻を見ながら安全に戦えるとか、桃源郷かな?

 

「千夜一夜物語……今宵は、此処まで」

 

開幕ブッパの千夜一夜の痛烈な王特攻を、ナチュラルに相手は耐え抜きます。それでも怯んだ隙に行動を封じるデバフをばらまきます。

親のデバフより見たいつもの光景(デバフ)ですが、これでチームシンドバッドのできることは終わりです。

何度も繰り返す通り、メイヴは近寄ったらOUT。対処はもうマタ・ハリの宝具で完全にマタ・ハリに溺れるように洗脳してもらうかしないと解けませんし、その場合どっちにしろ操作不能ですし。

 

クー・フーリンは一発でもゲイボルグもらうと、そこから分裂して全身がバラバラになります。そうすると死ぬので、ラーマ君と婦長とマシュとビリー君に戦ってもらいましょう。メイヴはこっちの鯖で行こうとしましたが、えっちゃんと槍上が押していけば勝てます。

 

このままですと最終決戦なのにカーミラくらいしか戦力になれないので、背後から押し寄せてくるケルト兵の足止めくらいはしましょう。

決戦で雑魚狩りをする、人間の屑。

 

時々上空のインド兄弟喧嘩の余波が飛んできます。しっかりガードしましょう。

 

そうこうしているうちに、メイヴが撃破されました。しかし同時にカウンター召喚で、二十八人の怪物が……どうやらアメリカ北部に出現したようですね。

位置的にはここから、ナポレオン達の中間地点の辺りですね。この二十八人の怪物は、メイヴの魔改造により、魔神柱が28柱合体して発生します。

ナポレオンたちがわずかながらも持ちこたえているうちに、くーちゃんを倒さねばなりません。

 

上空からの流れ弾はなくなりましたが、インド大戦は、まーだ時間かかりそうですかね?

 

実は藤丸君も令呪はあと1画しかないので、万が一のマシュシールドガードに備えて、攻めあぐねてますね。というか、えっちゃんと槍上も調子が悪い。魔力不足でしょうか?

 

ですが、ラーマ君とマシュと婦長でイーブンに戦えてるのと、狂王の動き出しをビリーくんによりサンダラーで妨害されている為か、十分此方が押してます。

 

『リツカ君! シンドバッド君! 急いでくれ!! さっきの召喚のせいで、ケルトの侵食の速度が速すぎる!! このままじゃこの特異点が持たない!!」

 

あーやばいっすね。この通信は本当にギリギリになってきたやつです。仕方ないですね。シンドバッド君ももう魔力はあんまないですが、宝具で無理ケルト兵に混じってたキメラをぶん殴ってから魔力だけを掌握。それをマタ・ハリに回して宝具をぶっ放してもらいます。

 

「陽の眼を持つ女!」

 

対象はザコ敵ではなく、狂王です。ほら、隙を作ったぞ!

 

「羅刹を穿つ不滅!!」

 

最後の一撃はラーマ君の気円斬でした。はい、特異点修復完了です。くぅ疲れ……

 

なんで? イベントが流れない? 魔神柱が残ってるから、特異点が修復されない? え? 何それは? 聖杯は取り戻したんだし、終わりでいいじゃん? こんなのあるの? え? 聞いてない。

 

あ、そっかぁ。聖杯の持ち主のメイヴが無理矢理召喚して、それを狂王に託して、その狂王を撃破したから、魔神柱を出す前に倒した扱いにならないのか。

いやまあ、タニキが魔神柱にならずに消えてくれたのはいいことですけど、敵の位置が遠い。

 

「……王は負けたようですね」

 

アルジュナ! え? カルナさん負けたの!?

 

「ご安心下さい。私に敵対の意思はありません。とどめを刺されずに、先約があるとカルナはあの醜悪な魔神柱の元へ飛んでいきましたよ」

 

あ、死にかけみたいですね。カルナさんが向かってくれてるのか。

 

「無礼を承知でお願いします。マスター……そちらの少年のほうです。私と一時的に契約していただけませんか?」

 

ん? なんか始まりましたね。

 

「貴方の手には令呪が残っている。それで私にあの魔神柱を撃つように命じて下さい。せめてもの罪滅ぼしです」

 

なんかよくわからないけど、兎に角ヨシ!!

藤丸くんも了承して、契約を結ぶと声が同じ主従が完成しました。

 

「アルジュナ、宝具であの魔神柱を倒してくれ」

 

「一切の邪悪、滅ぶべし……破壊神の手翳!!」

 

ここからは何も見えませんが、アルジュナから放たれた青い光が地平線の向こうに飛んでいきましたね。

 

『なんだ!? 凄まじい魔力反応だ! でも、これなら!!』

 

ロマニの通信ですが、もうこっちはできることはないです。

 

『魔神柱の消滅を確認!! 三人共お疲れ様! 第五特異点修復完了だ』

 

 

ぬわあああああん、つかれたもおおおん。

ともかく何とか終わってくれました。

 

今後を考えると頭が痛くなりますね。

まあ、今日はゆっくり休みましょう。

 

帰ったらシンドバッド君の最後の召喚です!

 

 

 




最近アクセス増えてて、ランキングの下の方にいたけど、今朝見たらなくて。
ランキングから消えたかー、また地道に頑張ろう。
と思ったら、いきなり13位とかになってて驚きました。
ありがとうございます。


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裏:マスターの成長に関して

読み返して自分でも混乱したので、ミストレス・Cの一人称を実験的にわたしになってます。
書き分けが出来ない筆力のマスターですまない……マタ・ハリと本当にわからなくなるくせに絡みが多いのです。
違和感があったら言って下さい。


ロンドンの特異点にて、カルデアはついに自身をこの人理焼却の実行者であると宣言する存在。魔術王ソロモンに出会った。自身の名前を呼んだだけで呪詛を掛けることができるような、超級の存在に『視られて』しまったマスター2名は、レイシフトから戻って直ぐに意識を失った。

 

彼らはまるで意識だけがどこかで戦っているかのように高熱に魘される1週間だったが、無事両名とも帰還した。その間のカルデアの空気は筆舌にし難い。

サーヴァントと医療スタッフのみが面会できる状況にしたくらいだ。数十名しかいないカルデアで。

 

帰還したマスターは揃って、サーヴァントがいない状況にされて、現地で出会った者たちと協力してきた。という。唯の夢ではなく、この人理焼却という不安定な状況だ、何があってもかしくはない。

過酷さで言えば立香の方がひどい環境だったようだ。しかしシンドバッドは時間がどう考えても10倍以上のズレが生じている。1日遅れて意識を取り戻した為、昨日終えた立香の検査の次に、本日は昨日帰還したシンドバッドの検査と問診であった。

 

「約束通り11時に来てくれたね」

 

「ああ、ロマン。時間は守らないと」

 

こんな簡単なやり取りだが、ロマニは内心舌を巻いていた。明らかに会話の知性が増しているのだ。動きも粗野であった所の多くはそのままだが、やはり少しばかり落ち着いて観える。

まるで子供が成長していったような変化であり、彼の申告は間違いではないのであろう。時間を守るというか、時計という概念に無頓着だった彼だ。

 

「君一人なのは珍しいね。別に一緒でも良かったんだよ。というか、シェヘラザードがいなくて大丈夫かい?」

 

「皆まだ寝てるから。疲れてるから、大丈夫だ」

 

「そうかい、それじゃあ始めようか」

 

しっかりと此方の目を見ることは変わらずだが、シンドバッドの目には、相手の話を聞こうとするだけではなく、傾聴というのだろうか、しっかりと相手を尊重して、理解しようとする姿勢が見え、本当に変わったとロマニは改めて、少しだけ笑みを浮かべる。

 

「君はロンドンから戻ってきた後、サーヴァントはいない状態で、現地の問題を解決してきた、違いないね?」

 

「ああ、気がついたら岩の下にいて、お師さんに助けてもらった。ごぎょうさんって所だった筈。その後は、ダビデ、沙悟浄、白竜とお師さんで、天竺っていうインドに旅をした。ずーっと歩いた旅で、色んな敵を倒しながら、多分100日くらい旅した」

 

やや主観的ではあるが、固有名詞をしっかり出しながら説明をしているシンドバッド。軽くメモを取りながらロマニは内容を噛み砕くためにいくつか問答をしていく。

 

「それじゃあ、質問だけど────」

 

恐らく昨日帰還した後に、サーヴァントと話したのであろう。謎のヒロインXオルタより報告のあった文書データはまだ目を通せていないものの、報告によると彼らの旅路がまとめられたもののようだ。それをベースに主にシェヘラザードとどのように説明するかを整理したのであろう。わかり易い説明で、なおかつ妙な所が細かい数字が出てくる。

ロマニは、若干覚える頭痛を無視しながら、シンドバッドの体験を聞き出すことをなんとかやり終えた。

 

「なるほど、君が斉天大聖の役回りで、西遊記を再現して、三蔵法師の人と仏の側面の折り合いをつける旅だったんだね。うーん、呪詛要素がまったくないな。案外どっかの誰かの善意での行いだったのかもね」

 

「非常に、感謝を皆にしている。もちろんロマニにも。沢山勉強できた良い旅だったから」

 

「無理に難しい言葉を使わなくて良いよ、でもそっか。いい旅だったんだね」

 

報告書の草案位はできたので、後はいつか時間が出来た時にまとめるとして、診察に入る。此方が問題なのだ。シンドバッドは、現地で3ヶ月程過ごしたという。その間多少の傷は負ったし、訓練をして中国武術の動きも身につけたという。そうでなくとも数千キロ単位の長旅だ。筋肉の付き方は当然のように変わっているであろう。

 

しかしながら、先程試しに習った型稽古をしてもらった所、違和感なく体が動くとのことで、それはつまりその旅での時間のズレた経験がフィードバックされていることになる。

 

「……アンダーウェアの下、大分侵食が進んでるね」

 

「ああ、皆も心配そうだった」

 

シンドバッドの身体は魔力で編まれた肉体にどんどん近づいている。竜に関しては装備している礼装のおかげでだいぶ軽減されているが、その影響なのか。アンダーウェアに面している皮膚は硬質化が始まっており、鱗のように冷たくなりかけている。

 

「バイタル自体は怖いくらいに正常だ。数値的にも健康ではある、過ぎるくらいにね。ただ……来年の今頃には、既に君はもう人間ではない、ナニカになっているだろう」

 

「うん。でもまだこのグランドオーダーは最後までできる? 大丈夫なはずだ」

 

「ああ、多少想定より進んでるけど、言いつけ通り殆どワイバーンしか魔力を経口摂取してないんだね。そこは保証しよう」

 

シンドバッドは、少しだけ安心したかのように肩の力を抜いた。彼はこの旅路で急速な成長を様々な面で遂げた。だからこそ、途中で終わるのは、自分の力不足以外は認めたくなかったのだ。

 

「お師さんに言われたんだ。俺は、目的を目的にしてるって。ずっと考えた。人理修復をするために、人理修復をしてるって」

 

「どういう意味だい?」

 

「ロマン、俺は悪いことをして生きてた。だからその分善いことをしようと思って人理修復を頑張ってた。でもそれじゃダメ、修行になってないって言われた」

 

難しい言い回しであるが、シンドバッドの中で明確な概念の言語化が出来ていないだけで、確信のようなものはあるのか、淀みなく彼は続ける。

 

「俺は、シェヘラザードと、マタ・ハリと、ミストレス・Cの為に、立香とマシュの為に、ロマンやダ・ヴィンチちゃんカルデアの皆の為に戦いたい。そう思ってるってわかったから、俺は戦うんだ」

 

目的の再定義化。人理修復のモチベーションが、人理修復をすることそのものになっていた彼は、天竺までの旅で大きくスタンスを変えていた。これまでの山を出てから出会った沢山の人達、自分はもうそんなに長くないけど、皆がそれを望んでいるのならば、喜んでくれるのならば、そのために自分は戦いたい。

自己犠牲でも自己満足でもない。皆が大切に思ってくれて、自分も大切だとわかったから、皆のために戦いたいのだ。

彼は仲間意識というべきもの、それにようやっと気づいたのだ。

 

「そっか、そうだね。うん、良いんじゃないかな」

 

ロマニは今度こそ、本心からシンドバッドに向けて称賛を送る。彼は半生の過ちから目をそらさずに、抱え込まずに、昇華してしまったのだ。ならば言うべきことはそれだけであった。

 

「ともかく、体のことや生活の事。なんでも困ったことがあったら言ってくれ。欲しい物でもかまわない。僕たちはそのために居るんだからね」

 

そう、バックアップのスタッフのトップとして締めくくると、シンドバッドは意外にも手を上げて主張してきた。

 

「ロマン俺欲しい物がある、相談したいことも」

 

「何だい?」

 

まずは自分のサーヴァントに尋ねる、頼むという癖がついている彼に限ってないであろうと思って告げた言葉だったのだが、別に社交辞令で言ったわけでもないので、素直に返す。

 

「大きいベッドが欲しい」

 

「あー……うん、シングルサイズしか備品はないから、空き部屋のベッドをもう1つあげよう、くっつけてくれ」

 

深くは聞くまい。ロマンはそう判断して、事務的にそう応えた。物はあるし使ってもないのだ。シンドバッドは身体が大きいから1つだと小さいのだろう。

 

「ありがとう。やっぱり聞いた通りロマンはいい答えをくれる。相談もいい?」

 

「ああ、聞くよ」

 

「たくさんの妻と愛人と上手くやるにはどうすればいい? やっぱり、空飛ぶ絨毯でデートをするのが良いのか?」

 

「……猪八戒から聞くように言われたのかい?」

 

「うん。すごいなロマン、そこまでわかるなんて」

 

ロマニは、何とか笑みを浮かべながら、無難な答えを返すのだった。アラサーのワーカーホリックの男性でしかない彼は、深く込み入った話はできないので当然である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、起きたの? 貴方が最後よシェヘラザード」

 

同時刻……より少しばかり前のシンドバッドの部屋。そこにはまるで部屋の主かのようにソファーに座りコーヒーを飲んでいるミストレス・Cがいた。シェヘラザードは何故自分が自室にいないかを思い出そうとして

 

「貴方もシャワー入ったら? ……その肌だから、余計凄いことになってるわよ」

 

「……はい、失礼して」

 

別に一度霊体化して戻れば良いだけなのだが、こういうのは気分の問題である。シャワーからちょうど出てきたマタ・ハリと入れ替わるように彼女も身体を清めるのであった。

 

 

「はい、シェヘラザード、ミストレス・Cが入れたインスタントコーヒーよ」

 

「ありがとうございます。改めておはようございます」

 

3人は改めてテーブルについて一服していた。彼女たちの視点では8日間昏睡状態にあったマスターの意識が戻った日、それはとてもめでたいことで喜ぶべきことだった。

 

「なんか変な感じだわ、そう思わない? 二人共」

 

「そう? わたしはいつものようにクールでエレガント、昼前のブレイク中よ」

 

「私は、変な気がします。朝と言うには遅いですが、起きてこの部屋で顔を合わせるのは初めてですから」

 

多少の報告や顔合わせの業務を終えたマスターは、再会を喜ぶか如く部屋に戻ると彼女たちをまとめて強く抱きしめて、溢れんばかりのお礼と親愛を示す言葉を降らせた。

最後の方は涙ぐんでいた様子だったが、正直力が強すぎて真ん中にいたシェヘラザードは死にそうになっていた。

 

「ああ、そういう事。わたしはロンドンに行く前だけだからかしらね?」

 

「何時もはちゃんと淑女らしく部屋に戻るじゃない?」

 

「ハレムでも部屋に呼ばれた場合は、自分の閨に戻りますし」

 

その後落ち着いたのか、えっちゃんから貰った竹簡をシェヘラザードが読みながら、マスターの大冒険の話をゆっくりと語った。語り手が読み上げるのだが、初見の話であり状況の再現はマスター自ら身振り手振りを交えての話だった。ベトナムのあたりから、山を抜け荒野を抜け、最終的にはインドまで。

3人の感覚や時代感は大きくずれがあるが、それでも共通してまともな人間が行う距離の旅程ではないことははっきりわかるものだった。

 

「……しょうがないわよね、すごかったもの」

 

「久しぶりだったから、ですよね……?」

 

「どうかしら、朝にわたしだけが少し起きれたけど、マスターは全然元気に出ていったわよ」

 

出会いや別れなどはあまりない人がいない世界の旅だったが、そんな中でも彼は多くのことを学び、成長し、克服し。なによりも得難い良い経験を終えて帰ってきた。

サーヴァントとしてとても誇らしく、そんな変わった彼が、変わらずに、いや今まで以上に自分たちに好意を示してきたことが掛け値なしに嬉しい出来事だった。

 

「……順番制にするのはやめましょう、死んでしまいます」

 

「賛成。激しいんじゃなくて優しいのがずっと続くのは、ヘンになっちゃうわ」

 

「わたしも賛成よ。一人では持ち帰ることが出来ない獲物ですもの」

 

彼女たちは、新たな協定を結び一先ず夜の事に関する反省を終える。なに、特異点に行くまでの辛抱だ。

 

「それでですが……マスターはどうなのでしょうか? ミストレス・C」

 

「ええ、私も気になります。これが貴方の知ってることなのかしら?」

 

表情を、困惑半分、嬉しさ半分のそれからマジメなものに戻したシェヘラザードはそう口火を切った。彼女たちにとっていちばん大事なこと、それはシンドバッドの行末だ。

 

「わたしも全部をみてるわけじゃないの。だから確実な事は言えないわ。でも、こんなことはなかった……はずよ」

 

ミストレス・Cは印象深い記憶を除いては持ち越せていない。あるのはただ1番持っていこうとしたシンドバッドの敗因と、偽りの無い自分の気持ちだけなのだから。

そしてその中で彼が天竺までの旅をしたという記憶は多分ない。確実とは言えないもののないような気がする。ないんじゃないのかしら、ええ、きっと無いわ! 無いはずよ! このわたしがそんな間違えるはずないじゃない。

 

「大事なのは、昨日わかったじゃない。もうマスターは人理修復を目的としてない、皆で生き抜くことを目的にしてる」

 

「この戦いの間、私達と生きる事。そのために戦うんだって言ったわね」

 

「改めて結婚の約束までしましたね」

 

そう、ある意味でミストレス・Cの目的は達成できているのだ。既にシンドバッドは、自分の生きる肯定感を得るために戦う事はない。守るべき物の為に戦うことを決意したのだから。

彼はもう、空虚な器が無限に自己肯定感を求めるが故に、女の悦楽のために溺れに行くことはない。

 

生物が生きるのは本質的には自分のためだ。人間もそれは同じ。だが、他の存在の為に生きるという側面があることを理解して、それも支柱にするというのは、人間の特性だ。

シンドバッドには今まで無かったものだ、彼は自己完結をやめ、周囲と周囲のために向き合おうとしたのだ。

 

「それじゃあ、一安心ってことにしましょう。正直私もこれで、あっさり他の女に全部持っていかれるのは受け入れきれないわ」

 

「はい、閨に来ないことが悲しくなる王は初めてですが、同感です」

 

「わたしも何か思い出したら言うわ」

 

きっと良い経験をしたのだろう、武術もその手のサーヴァントに筋を視てもらったとのことで、戦闘力もあがり、いよいよマスターのカテゴリーが疑問視されるようになってきた。

 

「桃、食べてたわよね」

 

「もう人は食わないから、肉以外も食べるって言ってたわね」

 

「ウミガメのスープを飲めるようになったのは、とても良いことです」

 

由来と原因の根が深すぎる為、あまり強く言えずにしていた治すべき好き嫌い……というよりも信条と心理的外傷後ストレス性障害が克服できたのはとても良いことだ。

 

「周りに優しく、礼儀正しくしながら、我慢もできるようになってました」

 

「自分で考えて、先のことを想定して動く知恵もついたみたいね」

 

「格好良い台詞をいいながら、庇ったりしてたわよね。わたしまだそういうのないんだけど?」

 

子供っぽかった情緒はそのままに、礼節を多少知るようになった。それも素晴らしいことである。

マスターの成長はサーヴァントとして非常に喜ばしい出来事なのである。

 

「気が付かないうちに子供が成長してしまった感じって、こういうのなのかしらね……」

 

「ええ、なんというかあんなに何でも私に聞いてきたマスターが、いきなり星見の話ができるようになってるのは、すこしショックです」

 

「わたしなんか、過ごした時間ですら負けているのよ!!」

 

しかしながら感情は別のものである。マスターが成長する下地はこの3人(概ねは二人だが)でつくってきた。人間性も社交性もだ。少しずつ少しずつ導いてきて、そろそろ応用編に移ろうとしたら、殆ど完成形が見える状態になって戻ってきたのだ。

 

可愛がってて此方にも懐いている飼い猫が、近所の人にはもっとべったりだったような。そんな得も言えぬ喪失感と敗北感があった。

昨日に旅の内容を話してる途中からあったのだが、合間合間で取ってくるスキンシップと口説き文句で流されていたし、その後は深く考える余裕など無いほど激しいものだった。

 

純粋な戦闘要員ではないとはいえ、サーヴァント3人がかりで勝てないどころか手玉に取られるとは、恐ろしい戦闘能力を有して戻ってきたと言える。

 

 

「ねぇ……」

 

そしてマタ・ハリは小さく呟く、彼女は切り出すべき話題を切り出す決意をしたのである。そう、これが本題なのだ。

 

「どっちが先に来たと思う?」

 

『綺麗な黒い髪をして、優しくて、胸も大きくて、しっかりしてるんだけど、どこか放っておけない所がある人』

 

それが、昨日マスターの口から評された、お師さんこと旅の仲間の説明である。

 

「恐らくは、私達に影響されて好ましく思いはじめて、そのまま……」

 

「やっぱりそういうことじゃない!! なんでよ! わたしが来るとこうなるの!?」

 

本人も気づいていない、竹簡にも記されてはいない。そして当人も気づかなかったであろう事実。それを彼女たちは、察してしまっていた。彼の態度、話す時の声音。そういうものに敏感な二人は確信を持って、3人目は嫌な予感と経験則も含めて強い疑念でとどまっていたが。

 

「マスターは、私達からはある種の……無償の愛を受け取っていました。好意的なのは当たり前であって、双方好意的なものが普通だったのです」

 

「すりこみね。説明通りなら、格好も薄着っていうところまで符合するわよ」

 

「わたしの部分がないわよ!?」

 

それは恐らく放っておけない所だろうと、二人は思ったが口にしなかった。

 

「好意の対象に近い、好みの女性はカルデアには……いませんでしたね」

 

「自分に好意を向けて来るかわからない段階で、気になっちゃって、優しくしてもらって」

 

「わたし達へみたいな気持ちができてしまった」

 

 

 

 

 

『ねぇ、マスターその、お師さんってどう思うの?』

 

『ん? 尊敬してるぞ、皆みたいに大事な人だ』

 

 

 

 

 

 

 

「「「初恋よね」」」

 

大事なのは今の関係であり、過去の女ではない。そのことなど百も承知なのだが、見せられてしまっては気になるのが人の性である。

 

「次の召喚で呼ばれないことを祈りましょう」

 

「そうそう会うことは無いでしょうが」

 

「ええ、きっと大丈夫よ」

 

3人はそう結論づけて、解散する。

その日の夜にどんな話をしようか、そう考えながら。

 

 

 

 

 




めちゃくちゃ長くなる裏(いつもの)


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裏:作戦と教育について

第5特異点の観測自体は、意識不明のマスターが居る中も続けられていた。ロンドンに続き、比較的近代であり、観測も安定していたために、彼らが戻り次第すぐにでも探索に取り掛かれる状況ではあった。

 

しかしながら先のロンドンでは、毒性の空気の中に雑に無防備にマスターを放り出すということをしてしまった為に、より正確な測定をできるように彼らは全力で取り組んでいた。

 

そんな空気に押され当然のように、マスターである立香も準備に勤しんでいた。

 

「はい、そうです。姿勢はそのまま、力を抜いて下さい」

 

「う、うん、わかった」

 

具体的には乗馬である。シミュレーターで作った荒野において、立香は召喚したばかりのサーヴァントであるアルトリア・ペンドラゴンオルタ(ランサー)と共に、彼女の愛馬ラムレイに乗る練習をしていた。

 

すこしばかり恥じらいながら、それでも前にまたがるアルトリアの腰に腕を回しながら、立香は揺れる馬上の人となっているのだ。

 

なにせ、次の特異点はなんとアメリカ大陸そのものである。これは今まで旅してきたフランス、西ヨーロッパとは比較にならないほどの広さだ。場合によっては移動が間に合わなくて、苦しい状況になるということも想定しなければならない。

 

そういった意味で、このタイミングでのアルトリアの加入は非常によい追い風だった。

 

立香は一般的な現代日本人の少年であり、乗馬経験は殆どない。いつか行った牧場体験で1度だけ乗ったのが、馬だったかポニーだったかロバだったか覚えていない位だ。

 

「バランスのとり方は良いですね、何かご経験が?」

 

「えっと、先輩のバイクの後ろに乗ったことはあるくらい」

 

それでも、彼は彼なりにしっかりとした体幹をもっており、多少の訓練をすれば超長距離の移動ではなく、隣の町までの移動くらいならば、馬上でも問題ないであろうという程だ。

 

最初はハラハラと不安げに視ていたマシュも、いまではその視線に込める熱を変えている。今まで急を要する移動は彼女が立香を抱えて走っていたので、そのお役目も基本的には御免になるということであるのが、彼女は少しだけ寂しかったのかも知れない。

 

 

「うん、ありがとう。アルトリア」

 

「いえ、サーヴァントとしてマスターの障害を排する為に全力を尽くす次第ですので」

 

「それでも、お礼は言わないとね、言える時にお礼を伝えないと」

 

立香は、少しばかり此処数日経験した出来事を思い出しながらそう漏らすのであった。

 

「……マスター。私にこのような贖罪の場を与えて下さったことに感謝しております」

 

「ロンドンで頼まれたからね、来てほしいなって思った」

 

立香はアーサー王という存在の強力さを知っている。しかしロンドンでの経験で自分には移動ができるライダーがいればより早く移動できるのじゃないかと思った。

 

そして、あのロンドンで出会ったこのアルトリアと、彼女が消滅前に少しだけ話して、消えゆく鎧の破片を託されて彼女と縁を結んだのだ。願わくば呼んで欲しいと。それだけが交えた会話だが、約束は此処に果たされた。

 

そう、藤丸立香は縁に恵まれているのだから。彼が思っている以上に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、リツカ訓練お疲れ」

 

「シンドバッド、ありがとう」

 

訓練を終えて夕食を取りに来た立香はシンドバッドから水を受け取った。マシュや他のサーヴァント達は連携の話があるということでまだ残っている。本当は立香も残るつもりだったのだが、体を動かしていたために、空腹と休息が必要と判断されたために、一人で先に食事を取りに来ているのだ。

 

「って、あれ? それって果物の缶詰じゃない?」

 

「ああ、食えるようになった」

 

「へー……長い旅だったんだって?」

 

立香は目ざとくシンドバッドの食べていた物が、今までの肉系の何かではないことに気が付き尋ねると、少しばかり逡巡が伺えるがはっきりとした答えが帰ってきた。

 

「ああ。ベトナムって所から、インドって所まで。西遊記っていう話を再現した旅だって」

 

「えぇ……なにそれ、俺とぜんぜん違う感じでヤバイね」

 

立香とて流石に読んだことは絵本程度でしか無いものの、西遊記の話は知ってる。その旅を再現ということは、かなりの時間の旅であったのであろう。

 

立香は自分の、あまり口にするべきではない気もするが、さわり程度に経験したことを離す。1週間の戦いの話を。

 

「そっか、リツカも大変だったんだな」

 

「そうでもないさ、俺は色んな人に支えられてないと歩けないことを改めて知っただけだよ」

 

立香はなんとなしに、シンドバッドの方を改めて見る。彼は食事を既に終えているがリツカの話に付き合っている。サーヴァント達が近くにいない食事の場合、彼は直ぐにサーヴァントの元へと行ってしまうのだが。やはり相手にも心境の変化があった様子だなと彼は改めて結論づける。

 

「リツカ、俺は皆のために頑張る。俺は……たくさんの人を食い物にして生きてきたから。でも罪滅ぼしとか、そういうのじゃない。皆のために戦いたいから、戦う」

 

「シンドバッド?」

 

「うん、言いたかっただけだから」

 

そう言うとやはり彼は立ち去ってしまう、どうやら今の言葉を言いたいがために残っていたようだ。少しばかり釈然としない思いを覚えたものの、立香は仲間が何か成長した、それが嬉しかったので良しとするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特異点に到着して直ぐに現地の武力衝突に介入したカルデア一行。戦いは収束し、匂いのひどい戦場跡から少しばかり離れた所で、今後の方針を決めるための話し合いをしていた。

この特異点の状況は非常にシンプルであったが、別の意味で非常に複雑な状況にあった故に。

 

「────っていうのが、私が聞き出した情報よ。軍人さん相手は話して大丈夫な話を聞き出すのは簡単だし、信憑性はそれなりにはあるはずよ」

 

戦闘中に感じた手応えと、何よりも戦闘の後にマタ・ハリが聞き出してきた話を判断すると、この特異点は2つの勢力に分かれて争っている様子だ。

 

1つはケルトを名乗る軍勢。雑兵はそうでもないが、サーヴァントと名乗る恐ろしく強い指揮官には手も足も出ないので、戦線はジリジリ後退していると。

もう一方の軍勢、アメリカ軍という現地勢力を母体とする組織の指揮官が言っていた。

 

「整理すると、ケルトが侵略者で聖杯を持ってる可能性が高い……ってところかな?」

 

「はい、マスター。私もそうなると思います」

 

こういった話し合いの場で、まとめ役かつ主導するのはやはり立香である。戦力を多く抱えるマスターという意味でも、社交性という意味でも彼が適任であった。

 

「メートル、それならこの後はアメリカ軍に協力するのか?」

 

「そうするのが良いと思う。現地のサーヴァントが協力してくれてるのかもしれないし」

 

立香の内心というよりも判断は既に大まかに固まっていた。今回はきっとアメリカ軍に協力して、ケルト軍を倒すという形なのだろうと、少しばかり頭痛を覚えながらそう感じていた。

 

「リツカ、本当にアメリカ軍って味方なのか? あの油臭いやつ、ロンドンで戦ったやつだぞ。それにシェヘラザードが言ってた、まだアメリカって国は小さい時期だって。でもあいつら凄いしっかり戦ってたぞ。それって何時もロマンの言ってる歪みってやつじゃないのか?」

 

此処で意外な意見をシンドバッドは主張してくる。今までこういった場では、「おう」と「わかった」と「なにすればいい?」くらいしか言ってこなかった彼の意見である。

しかし、それは考えて然るべきであった。

 

「オケアノス、あの海では聖杯を持っている勢力と、倒すべき勢力は異なってました。無尽蔵のケルト兵は聖杯による可能性が高いですが……」

 

「真の敵は別にいる可能性か、そうだよね、あのロボットはこの時代どころか、今にもないもんね」

 

マシュのつぶやきに乗る形で、立香は状況を再認識する。いままでの特異点はまず味方と合流してという形だったので、どうしてもその方向で考えてしまったが、全てが敵の可能性もあるのだ。

 

「ですがマスター。少なくとも我々だけで双方の軍勢を破るのは難しいでしょう」

 

アルトリアは今回から参加したメンバーであるが、生前は王であったためにこういう場でもしっかりと助言をしてくれる様子で、共通認識を示した。

 

そう、戦力としては十分なカルデアだが、数を相手にする場合は、マスターの魔力量がそのまま上限となってしまう。最終的に息切れを起こしてしまうために避けるべきケースである。

サーヴァントは戦闘機であり、補給無しに獲得できる戦果は限られている以上、可能な限り重要な目標に向けるのが正しいのだ。

 

「話が通じそうな王は、その大統王のほうでしょう。ケルトの方はその……基本的に野蛮です」

 

シェヘラザードが独自過ぎる視点だが、それもまた計算に入れるべき所だ、聞いた話では全く、少なくとも先の戦場も確認できたことで。ケルトには一人も人間がいないのだ。それは明らかに異常が関連していることの証左である。自国民は街で正常に活動しているとしても、兵士全てをまかなえる状況にあるのは聖杯か何らかの正すべきからくりがある。

翻ってアメリカはもう視てすぐに分かる、星条旗カラーのロボットと歩兵の混成部隊。明らかにおかしいが、現地で生活しているであろう価値観の人間が指揮をとっており、人間の匂いがするのだ、率いている大統王という頭の悪いフレーズが引っかかるものの、人間が統治している可能性が高い。

 

「今後戦うには情報以外にも、味方の軍が要るとおもいますよ」

 

「ローマみたいな感じになるかなぁ」

 

段々と話が進んでいく中、ロマニより観測結果をまとめた情報が伝えられる。それはケルト軍の侵攻が進んでいくほど、この特異点が人類史より剥離が進んでいくことだ。

 

「ケルトは敵なんだね、でも俺達で戦ってもキリがない」

 

立香は、判断を下すべき情報は集まったと感じた。

するべきことは情報と戦力の確保だ。そして恐ろしいことにこの場所は北アメリカ大陸の中部。先程の兵士は大西洋沿いから逃げてきたという。この特異点のスケールは本当に大きいのだ。

 

「リツカ、俺とミストレス・C達で、大統王に会ってくる」

 

「シンドバッド?」

 

シンドバッドが出した結論は、リツカの脳内の片隅にはあったものだ。

 

「俺達じゃ、この数の敵を全部倒すのは無理だ、俺達を狙いに来るならなんとかなるかもだが、数が多すぎるとできない。サーヴァントが来たら難しい。でもここを放っておけないんだろ?」

 

最適解ではある。最善な方法ではない。だが、400マイル位南に大統王の本拠地があるという言葉は2つの意味を表している。

 

1つは、立香がラムレイに乗って移動するのは不可能ではないが、厳しいということだ。2日程かかる距離だ。

 

そしてもう1つは、この広いアメリカ大陸スケールだと、首都の首の皮一枚まで戦線が押されてしまっているということだ。

 

それはつまり、戦線の維持は立香の強力な面子が、情報を探るのは足の早いシンドバッドがやるべきことであると意味している。

 

「そうだね、シンドバッド頼む」

 

なにより情報収集に優れたサーヴァントが2名もいる。適役と言わざるを得ない。だが、ローマとは違う程のスケールだ。情報を探るだけでローマの移動距離の1/3以上かかるのは厳しいと言わざるを得ない。

あの、立香でも知ってるし、憧れたこともあるスポーツカーは魔力で強化すればものすごい速度を出せるとのことだし、この形が最適だ。

 

『観測の方は任せてくれ、本当は戦力の完全な分割は悪手だけど、アメリカではそうも言ってられない、やっぱり事前の想定通り、完全に別行動になりそうだ』

 

ロマニも許可を出した以上、立香はせめて次に会う時は皆で笑って会えればと思った。

それが叶わない事など知る由もなかったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報収集という大事な任務を任されたシンドバッドは、全く心配しないで、人生はじめての快適なドライブという物を楽しんでいた。

ロンドンでも乗った車というこの乗り物は、霧の街を移動するだけのよくわからないものであったが、このアメリカではまるで違った。どこまでも真っ直ぐ伸びる人が進んだ形跡のある街道を、青い青い空を眺め自然に酔いしれながら風を感じるのだ。

 

それは、旅というものに楽しみを見出したばかりの彼の感性を大きく刺激した。非常に性能の良い車といえど、この時代のアメリカ大陸の西半分は開拓はほとんど進んでいない。当然悪路を行くために震動は激しいのだが、彼はそんな事が気にならないほどに楽しんでいた。

 

「どうかしら、マスター。ドライブというのも悪くないでしょう? 本当は摩天楼の夜景に映える車だけど、まぁ草原を走るのもいいわね」

 

「うん! 楽しいし気持ちいいな。ミストレス・Cが隣にいるから余計に楽しい!」

 

「ええ!! そうよね! マスターはわたしと一緒に居ると、嬉しいのよね」

 

彼のサーヴァントにして、運転手のミストレス・Cもごきげんであった。なにせこれは自分にしか出来ないこと。自分を必要としてくれる上に、このドライブデートができるのは自分だけ。

それを全力で楽しんでくれているのだ、彼女としてはようやっと春がきたような感覚だ。

 

気分を良くした彼女は、右手を少し滑らすかのように、彼の太ももに伸ばすと何故か掌ではなく、指先に柔らかい感触が突如現れる。

 

「きゃぁーこれすごい揺れて怖いわー」

 

「死んでしまいますー」

 

なんと、霊体化して、車体の後ろあたりに座っていたであろう二人が、いつの間にかシンドバッドの両太ももの上に横座りで腰掛けて、肩にしなだれかかっているのである。

 

「うん、二人共。揺れるなら捕まってくれ」

 

「はぁーい!」

 

「ありがとうございます」

 

シンドバッドは優しくそう言うと、二人の腰に手を回して、姿勢を安定させるように抱き寄せる。大柄な彼だからこそできることであった。既にミストレス・Cからはマタ・ハリの髪で彼の顔すら見えない。

 

「ちょ、ちょっと! あなた達サーヴァントでしょ!?」

 

「旅程の1/3が過ぎましたので……」

 

「調子に乗って飛ばしすぎたのね」

 

「ドライブデート中くらい我慢しなさい!!」

 

なにやら言い争いが始まったのをシンドバッドはにこやかに笑いながら見つめている。

ふと空を見つめる彼は、思いついたことを口にする。

 

「やっぱり、みんなと一緒が一番楽しい」

 

その言葉で、3人は少しだけ顔を見合わせると言い争うのをやめて、二人は彼の胸板を撫でる作業に、一人は運転に戻るのであった。

 

 

 

 

「……いや! なんでよ! 不公平よ! 」

 

だが、やはり納得行かないのか、怒りが再燃したミストレス・Cに向けてシンドバッドは姿勢を起こして顔を覗き込みながら誘う。

 

「ねぇ、今夜星をみながら草原を走りたい、二人で。だめか?」

 

「し、仕方ないわね。魔力を消費しないように休んでなさい!」

 

一瞬で機嫌が良くなったミストレス・Cを満足気に見ながら、シンドバッドは頷いて背もたれに体を預けるのであった。

 

 

 

 

「どんどん、質が悪くなってるわ、きっとあの女のせいよね」

 

「ええ、きっとそうです。私達は悪くないはずです」

 

 

いいえ、違います。あなた達の教育の賜であり、お師匠様は関係ないです。






乗馬もスポーツカーも乗ったこと無いから適当に書いてます。
違和感あったら言って下さい。


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裏:相互互恵について

話が進まない話


「マスターそろそろ時間よ」

 

ミストレス・Cのその声にシンドバッドは車の座席に預けていた体を起こす。今更寝る場所が変わると眠れないなどと言うような人間ではないが、それでもこうして寝心地の良い椅子に体を預けることができるのは、彼にとって至福であった。

 

デンバー近くの林の中で、自分のサーヴァントに起こされた彼は状況を思い出す。

 

「わかった、行こうみんな」

 

大統王というこの国のトップに会いに行くのだ。最初はそのまま乗り込むことも考えたが、やはり事前にアポイントメント? という挨拶をしておくのが良いでしょうということで、予告状を出してもらったのだ。何か違うような気もするのだが、大事なのは此方の姿勢である。

 

物の十数分程で要塞ともいうべき大統王の拠点へと到着する。

 

「ロマン、そろそろ入る」

 

『わかった、くれぐれも気を付けてくれ』

 

入り口を守る機械歩兵に連絡していたシンドバッドだというと、すんなりと門戸をあけられて、ここで待つようにと言われる。僅かもすると、案内の者であろうか小柄な少女が出てくる。

 

「あなたが人類最後のマスターの一人ね? ふーん、なんだか懐かしい空気がするわね。私はエレナ・ブラヴァツキーよ」

 

「シンドバッドだ、よろしくな」

 

「ええ、よくってよ」

 

子供のような外見だが、何となく大人っぽいなぁという印象を受けたシンドバッド。多分よくわからないけど、アンデルセンみたいなものなんだろうと納得し後に続く。

 

どうやら彼女は彼に興味がある様子だったので、適当に質問に答えていると、開けた部屋にたどり着く。

会議室というよりも謁見の間のような作りに、シンドバッドは何となくローマを思い出すが、シェヘラザードは敏感に王の匂いを感じ取る。わざわざ大統領ではなく大統王を名乗っているくらいなのだ。警戒に越したことはないであろう。

 

「もう間もなく来るわよ」

 

エレナは微笑を浮かべて、玉座の近くに立ってこちらを見ている。シンドバッドはどうすればいいかと一瞬悩んだが、直ぐに足音と共に声が聞こえてくる。

 

「ふっふっふっ、あまりにも早い接触だ。やはり私の行動は常に最善の手を打っていたのであろう、うむさすがは私」

 

「それもアポイントメントを取る文化的なマスターだ、ケルト何かとは大違い。つまり理知的な会話でこちらの仲間にできる、うむ非常に合理的だ」

 

「うーん、ミスタは本当に独り言の声量が大きいのよね、やめてって言っても治らないし」

 

シンドバッドは近づいてくる足音の感覚と、音の響き方から、戦っても強くなさそうだなと判断したものの、嫌な予感は背中の方からチリチリとするので、油断せずにその場で音の正体を待った。

 

「いや、待たせてしまったようで済まない。何分忙しい身でね」

 

そこに立っていたのはライオンだった。シェヘラザードも、マタ・ハリも、ミストレス・Cですら言葉を失うほどに、不思議な格好のライオンだった。

筋骨隆々で、カートゥーンのヒーローのような衣装を身にまとって、頭がライオンの巨漢男性。それが言語を介してコミュニケーションを取ろうとしている。

 

「私の名は、トーマス・アルバ・エジソン。アメリカ合衆国の大統王である!!」

 

それがエジソンと名乗り、大統王といっているのだ。完全に情報が渋滞している。

しかし、シンドバッドはまったく気にした様子もなしに、前に出て右手を出した。顔が猫の人間もいるんだなぁという理解である。器が大きいと言うより、底が抜けている。

 

「俺はシンドバッド。カルデアのマスターだ。です。」

 

「よろしくたのむよ……っていたたたた、え、君本当にマスターなのかね?」

 

エジソンは気にした様子もなくこちらに握手を求める青年に対して笑顔で受ける。しかしそのあまりの力強さに一瞬素が出てしまっていた。え、なにこいつ。という反応だ。

 

「俺たちは、カルデアってチームで、このアメリカに来たばかりだ。マスターは2人、もう一人はケルトと戦ってる、ます。」

 

「ああ、こちらもその情報については把握させてもらっている」

 

エジソンは簡単に手にしていた報告書のような紙を叩くと、そう告げてくる。

 

「さて、それでは今日君たちが来た目的を聞こうか、勿論この天才である私には見当はついているがね」

 

「情報と協力が欲しい」

 

シンドバッドはとにかくシンプルな物言いだ、それは勿論能力的にそうなってしまうのが大きいが、もとよりそういう性質でもあるからである。

 

「まず、アメリカは、聖杯を持ってるケルトの敵。これは間違いないか?」

 

「肯定だ。我々は侵略者たるケルトに立ち向かうべく戦っている。」

 

嘘はないようで、よどみなくエジソンはそうかえした。シンドバッドは頷きながら次に移る。彼は司会であり、考えたり発言するのは他にいる。

 

「あのロボットは何だ? 俺たちはあれとロンドンで戦った」

 

「ふむ、やはり天才同士、結論は似てしまうのであろう、あれはその改良品、動力を蒸気から電気にしたものだ」

 

エジソンもそこは聞かれるであろうと想定していたので、自慢げにそう返す。

 

何やら向こうは水蒸気? 電気? ってなんだと背後の女性に尋ねているが、まぁ些事であろう。

 

「それじゃあ────」

 

その後もあんちょこを見ているようだが、こちらに対して、新規に来た勢力が把握すべき情報を矢継ぎ早に尋ねていく。

本来は国のトップに対する質問でないものもあるが、エジソンは非常に丁寧にそれに応じた。それは相手がこちらに対してきちんとした敬意を払って、理性的に接してきていたからである。

 

「わかった、ありがとう。それでエジソンはどうやって、ケルトを倒すつもりなんだ」

 

「その前に、私の方からも提案があるのだが」

 

「なんだ?」

 

エジソンはそこで、回ってきたというよりも、割り込んで得た自分の手番に、彼の研究と試行錯誤と計算の成果たる、救済プランをカルデアへと提示する。

 

それは聖杯を用いて、このアメリカ大陸を人類史から切り離し、漂流させることによって、この大陸に住まう人間を救済するといった、早大かつ荒唐無稽な計画。

しかし聖杯のリソースがあれば、そして、魔術王からこちらに対する粛清がなければ可能であるという結論の物であった。

 

「というもので、我々はぜひ、カルデアにも協力を願いたい」

 

 

それは現在のカルデアが1つも持っていない、落としどころという、解決案であった。

今のカルデアは、ある種闇雲に戦っている。犯人の手がかりだけを追いかけて、どの様に犯人を捕まえるかを全く考えていないようなものだ。

 

だが、エジソンは違う、犯人を捕まえることよりも、手がかりを使って、事件を無理矢理に解決したと公表するという、落としどころを提示しているのである。

 

 

「勿論、今決めていただかなくてもかまわないとも、マスターが2名いるのだ。私としては、カルデアの総意として協力してほしいからね」

 

エジソンは満足げに自身の計画を離す。それは確かにカルデアが現状持っていない、1つの答えではあった。その手応えも彼にはしっかりとあった。

 

 

「んじゃあ、俺の言いたいことを先に言う」

 

「何かね?」

 

「俺たちは聖杯が欲しい。この旅の目的のために。魔術王は強いのわかってる、勝てるかどうかわからない。でも、戦って、皆を守る。そうしないのは戦うことを辞めるってことだ。戦うのならばみんなで最後まで走りたい」

 

青臭く辿々しい青年の主張は、まぁ多少なりとも出るであろうとエジソンは想定していた。

 

「だが、君たちは、私に交渉のテーブルにつかせる対価はあるのかね? 確かに今は劣勢だが、この後機械化歩兵軍団の再配備はより盤石のものとなる。工場の移設も終わり本格稼働をし始めたからな」

 

これは一種のブラフである、エジソンの言っていることはほとんどは事実だ。

戦力の拡充の目処が立ったことも。工場が本格的に稼働するのも。

 

しかしそれでも、現状のアメリカ軍にサーヴァントに対する解答は、ないわけではないが、おいそれと動かすことができない状況にある事に関しては触れられていない。広告宣伝や印象操作でより多くの物を得てきた男の、ある種老獪な発言であった。

 

「リツカのサーヴァントには、ナポレオンがいる。俺はナポレオンよりすごい指揮官を知らない。あんた達の軍(?)で、強い指揮官がいないなら、ナポレオンが欲しいはずだ」

 

シンドバッドの回答は非常にシンプルだ、札の切り方や、存在をにおわせる行動を一切してない。カードで言えば初心者でカモだ。

しかし出してきた手札がフルハウスなら話は変わってくる。

 

「な、ナポレオンだとぉ! た、確かに指揮官としては優秀だが」

 

「ローマでも軍を率いて、レオニダスってやつが守る峠を突破してた。あんたの軍がいればきっとすごい戦える。あとはアーサー王もいる、綺麗な姉ちゃんの」

 

「あ、アーサー王もかね!?」

 

まっすぐに自分の言葉を投げかける、それしかしていないが、盤石な戦力を持つリツカチームの存在は、エジソンを頷かせるまでにはいかなくとも、魅力を感じさせるには十分な物であった。

 

そしてそんな戦力の表明は、エジソンの想定をある程度揺るがす副次的効果をもたらしていた。このシンドバッドなる男のサーヴァントは、彼でも殴り合いで勝てそうなか弱そうな女性ばかり。大凡カルデアの戦力の4-50%程であろうという想定だったのだ。

それが、たしかに戦線を維持しているとは聞いているが、サーヴァントと交戦したという情報は入っていなかった。故に戦力に関して不足がある程度あるのであろうという見込みだった。シンドバッドのサーヴァントを視てその考えは補強されてしまった。

 

エジソンが一番怖いのは、アメリカ軍を蚊帳の外にして、そっちのけでケルトを倒して聖杯を回収されてしまうことだ。そしてナポレオンとアーサー王がいるのであれば、最近まで戦っていた敵国の英雄とは言え、そのカリスマで兵を寝返らせて、軍勢を作り、フィアデルフィアへと進軍する姿が、彼の脳裏には容易に浮かんでくるのだ。

 

「リツカに、俺のともだちに話してくれ、そうすればきっとあいつにまかせてみたくなると思う、だからナポレオンに兵士をつけてほしい」

 

「そうか、そういうことなら火急の事態だ、一先ずは前線を支えるという目的は一致している、うん、その範囲で同盟を結ぼうではないか!!」

 

前例を作る。それは政治においても軍事においても非常に大切なことである。

どんな小さなものでもそれがあるかどうかでその後の動き出しは大きく変わる。

前線とはいえ目的を一部を同じとして協力をしたということは、今後の交渉もより潤滑に進むであろう。

 

「後でリツカと話して、その時に協力してくれるって言ってくれると嬉しい」

 

「……わかった、一先ずカルデアとは非同盟の友軍ということで、前線では彼の指示に従うようにしよう。準備が整い次第、交渉のテーブルに着こうではないか」

 

ともかく現状としてはそういった形になった。

主張が違う2つの集団のファーストコンタクトとしては、理想的な落としどころであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、やっぱりどこか調子が悪いのでは」

 

マシュのその声に、立香は我に返る。既に何度目かわからないが、無限に押し寄せてくると錯覚するケルト兵を、ナポレオンの采配の元に屠った後だ。

 

「いやぁ、まさかマシュに求婚してくるような事が起こって気が気じゃなくて。それがショックだったんだよ」

 

「えぇ!? そ、それはいったい」

 

ナポレオンは、アメリカ軍の暫定的な指揮官となると、多少は勝手の違いに戸惑いつつも、見事に軍をまとめ上げていた。前面には耐久力の高い機械歩兵を、民兵の人間たちはその直掩での支援を。そういったシンプルな分け方だった。

 

数は少ないが存在した騎兵隊も、理想的なタイミングでの側面攻撃や、囮として有効に活用している。

 

立香も大まかな指示を出しているが、フリーハンドを与えるという判断をしたのも彼自身だった。

 

まずはこの窮地をしのぐ。戦線は本拠地から遠ざかるほど接触面が広く複雑になっていく、それからは細かい調整はいるが、今は全く余裕のない非常の事態であるのだから。

 

 

カルデアアメリカ連合軍として取っている作戦はいたってシンプルだ。遭遇戦を少なくして、高台を確保しながら前進を続ける。

 

ケルトの兵が、何も考えずに突撃しかしない以上、遭遇戦であろうが、野戦であろうが、海上戦であろうが、本質的な攻め方は変わらない。遭遇戦は、相手の数勢力位置まで探りながらの戦いであるが、相手の数が分からなくとも全力で前進して襲い掛かるだけの兵力であれば、とにかく有利な形で戦うのが必要だ。

 

騎兵などを使った敵の誘引を行い、そこをナポレオンと砲兵によって火線を集中してたたく。数が多い場合は、事前にラムレイとの突進で敵の足並みを乱してから正対する。戦略という面では立香はナポレオンには明らかに劣っているのだが、戦術という戦場の盤面に於いて彼はいかんなく力を発揮していた。

 

敵の弱い部分、崩れている部分、浮足立っている部分。それらを見つけてサーヴァントでたたく。非常にシンプルだが、難しいうえに効果的な行動。それをただひたすら繰り返していた。

 

相手にもその動きが伝わったのか、今朝方ケルトの勇士を名乗るサーヴァント2名と交戦になったが、此方の戦力と頭数が上回っていたために、撃破には至らなかったが、手傷を負わせ撤退させた。

 

しかし、此方の抱える問題はまだまだ大きかった。

 

先ほど合流した現地のレジスタンス組織のリーダー、ジェロニモと少しばかり話をしたが、やはりアメリカ軍の最終的な目標は、自分たちと異なるようであった。

ロマニから話を聞いているが、裏付けという意味では十分だった。

 

レジスタンスは純粋に自分たちの目的に近いこともあり、シンドバッドと遭遇してカルデアとの同行を決めてくれたとのことだ。

 

リツカは、熱っぽい体を何とかごまかしながら、戦場を進む。

呪詛を受けたのもあるが、何よりも単純な問題として彼は不調だった。

 

彼の体は、非常に重たい。気だるさというよりも、まるで自分が自分でないかのような違和感があるのだ。

 

そればかりは多少意識すれば無視できる程度だが、何よりも問題なのは目だ。

 

目がとにかく『みえ』過ぎるのだ。今までもナポレオンに褒められるほど戦場をよく見ていたし、超高速ともいえるサーヴァントの戦闘も目で見えてしまって指示を出せてしまっていた。

 

今は視界がまるでスローモーションになったかと自分で錯覚するほどに、観えすぎてしまうのだ。まるで彼自身のキャパシティが上がっていく速度に、器がついていけていないようだ。

 

勿論ロマニとの相談は済ませている。推論ではあるが、今までの聖杯を何個も回収するという偉業を成し遂げている影響ではないかとのことだ。

常人では考えられない、急激な魔力量の上昇と関連付けられている。

 

事実シンドバッドも、肉体の変質化だけでは説明できないほどに、急激に強さを増しているのであり、マスターである2名がこのグランドオーダーに伴って成長しているのは自明だ。

 

現象自体は特異すぎるものではあるが、そこまで怪奇な物ではない。しかしながらその速度が恐ろしいのである。

 

恐らくは、ロンドンが短すぎたというのが有力な結論だ。

 

そう、いうなれば、ロンドンと監獄塔と立香は2つも飛び級してしまったのだ。それまでは段階的に月単位の時間をかけて、体が馴染んでいたのだが、ここ3週間で2つの異常現象を解決した立香は、その速度に体がついていってないのだ。

 

それでもゆっくりと慣らしていけば、良くなるとのことで、自ら積極的に戦場で指揮を執っている。確かに初日に比べても戦闘中でも頭痛がすることは少なくなった。

 

ゲームの早解きをしすぎて、ロードが追い付いてないみたいだ。湯だった頭で半笑いで思いながら、リツカは平静を装っていた。魔力供給だって通常通りやっているつもりだ。

 

しかし、存在を立香の魔力経由に由来するところの大きい3名には彼の不調は伝わっており、それどころか彼に同調するかのように、多少調子を落としてしまっていた。気をしっかり持っている間は大丈夫なので、意識をしっかりさせなければと自戒する。

 

だが、立香は怯むことなく邁進する。今は唯できることをするだけだと自分に言い聞かせながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令官、貴方は何をしているのですか?」

 

「な、なんでもない」

 

 

だが、どうやら無理をしすぎるとヤバそうなので、程々にしよう。うん。




そろそろ


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裏:見るべきものに関して

いつになくダイジェスト風


「ラーマ様」

 

それは、シンドバッドには理解ができない光景であった。

 

道中いくつもの敵を倒し、そしてこの離れ小島のようなところまできて、ワイバーンと門番を倒して、ようやっとたどり着いた目的地。

 

なんでも怪我をしているラーマと同じサーヴァントで、その結婚相手がいるとのことだ。

 

インド神話という、すごい強いやつらがたくさん出てくる話の登場人物であり、だからきっと強いので助けに行こうという位だった。

しかしシンドバッドは、本人から心臓の殆どをつぶされて弱っている中、ラーマがいかにシータという女性を大切にしているかを語り聞かせられていた。

正直色々よくわかっていなかったが。

 

うんうんとうなづく程度であったが、コサラの少年王の価値観はシンドバッドには遠すぎたものの、好きな人のために頑張ってるということはよくわかったし、ラーマとしても、生まれはともかく、戦士足ろうとするその姿勢に多少は気を許していた。

まぁ、少なくとも奥さんを兄弟でシェアするよりは、3人の奥さんがいるほうが彼の価値観的には理解しやすかった。

 

だからこそ、このアルカトラズで、全ての障害を叩き潰した後、シンドバッドに担がれて、シータに会ったとききっと喜ぶであろうと、シンドバッドは単純に思っていたのに。

 

あまりにも運命は残酷であった。シータに近づくにつれて、ラーマの五感が喪失していく、音も聞こえず温度もわからない。そんな状態になってもなお、彼はシータを探して呼び続けていた。

 

シンドバッドは知る由もない、此処に来たのはラーマの呪いを解けるような、彼の生前を知る英雄の力を借りるためであったこと、離別の呪いの効果は絶対的であることも。

 

シンドバッドが見たシータという少女は、ラーマと似たような衣装の服に身を包んだ、マシュよりも幼く見える女の子であった。

しかしこちらと目が合った、というよりも肩に乗っかっているラーマの顔を見た瞬間から、印象は様変わりした。

 

そう、語彙力に乏しい彼ですら、花が咲いたように、そう表現したくなる程に表情に色がついた。奇跡を祝うかのように、彼女は顔色を変えて駆け寄ってきたのだ。

 

シンドバッドは、直ぐにラーマを下ろして壁に寄りかからせるが、ラーマは自分の状況にも、何よりも目の前の探す人に気づいた様子もなく、シータを呼び続ける。

 

手を握り、胸に体を預けても、愛おし気に彼の頬を両の手で押さえても、シータの愛にラーマは気づくことはないのだ。

 

「ずっと、お慕い申しております。今までもこれからも」

 

「シータ!! どこだ! 僕は、君が! 君さえいてくれればよかったんだ!!」

 

 

シータは、サーヴァントとしてここに呼ばれた、ラーマの霊基に乗っかる形でだ。

だから状況はよくわかっている。どちらかしか存在できないということも含めて。

 

呪いの方もラーマの姿を生前をよく知る人物と、強い治癒があれば治るであろうと、そういう初見であったが、シータにはわかってしまう。

既にラーマはほとんど死んでいるのだ。それ程の呪詛と技を受けたのだ、そもそも凡百どころか1流のサーヴァントでさえ即死である致命傷を受け、辞世の句程度ではなく、数日生き延びていることが異常なのだ。

 

ラーマ様はこのまま自分が遠ざかったら、きっと死んでしまわれる。そういう確信が彼女にはあった。

 

「皆様、ラーマ様をここまでお連れ頂き誠にありがとうございます。私はラーマ様とお話は出来ませんが、お姿をみて、こうして確かめられた。それがとても幸せです」

 

そしてそれだけ言うと、意を決したように、ラーマの唇に、己の唇を当てる。彼女の体は、サーヴァントが消えるかのように光の粒子になっていき、それがラーマの体を包み込んで、最後はまるで何もそこにはなかったかのように消えてしまった。

 

その光景を前に誰も口を開かなかった。

 

しかし、ラーマのまぶたがゆっくりと開き、そして目に焦点が戻る。彼は静かに立ち上がる。

 

「……なぁ、大丈夫か」

 

シンドバッドは、先程までの死んでいるようなラーマと受ける雰囲気の差に驚きながらも、何とかそう尋ねる。

 

「ああ、そうだな。僕は……いや、私は、いいや違うか。余は大丈夫だ」

 

ラーマは本当にわずかばかり感じられた唇のぬくもりと、彼の頬に垂れた涙を感じ入るかのように再び目ををつぶると、すぐさま王と戦士の顔へと戻る。

 

結局のところ、今回もまたシータとは会えなかった。だが、シータは己に会えたようだ。

それだけあれば、コサラの王は幾らでも戦える。シータがくれたこの十全な体をもって、この特異点の悪逆を打つ。

 

いつものことだ。

 

 

「行くぞ、シンドバッド。余は今完全に復活した。この身を使うとよい」

 

シンドバッドは、最後まで圧倒されていた。

 

それは単純にラーマの力強い在り方にではない。

 

彼の情緒では、シータとラーマ。永遠の求め合い続け、それでいて永遠に手にすることが出来ない。しかして一切の陰りも弱りも見せず、無限に輝きつづけるその愛の形は、全く理解できるものではなかったのだから。

 

 

それは、彼のサーヴァントにも聞くことはできないような。そんなものであり、聞いたとしても言葉を濁してしまう、人としての愛の在り方だった。

 

愛は盲目、目を曇らせてしまえば周囲は見えない。しかし、曇った目で相手を見ることができなくなる。

それでも双方に愛があるのなれば、それは何事からも勝てない愛であったのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

油断がなかったと言えば、なかったが、しかし慢心が皆無だったと言えば、嘘になる。

 

リツカは、その光景を前に一瞬だけ動きを止めてしまっていた。

 

「呵々、取った!」

 

アメリカに来てから2度目の敵サーヴァントとの闘い。こちらには味方の中で戦闘をするサーヴァントが数多くそろっているのに加えて、ジェロニモ、ロビン、ネロとこの特異点で出会ったメンバーもいる。

対して相手の数はわずか2名。2VS7の戦力比でこちらには、彼自身という指揮官がいる。自身の周囲には守るようにマシュといつでも支援ができるようにナポレオンが控えている。

故にフィンマックールがアルトリアとネロにロビン。ディルムッドがえっちゃんとジェロニモで戦っている形だった。

 

戦況は派手さはないこそ、こちらが堅実に有利に進んでおり、ディルムッドの槍の呪いなど、いくつか気を付けるべき要因はあるが、それも軽傷程度であれば、ナイチンゲールによる治療ができる。

 

だからこそ見逃してしまった。確かに一切の油断はなかったが、楽観はあったのだ、どうにかなるであろうと。

既にこちらの威力偵察は済ませている敵が、それよりも増強された此方に多少の手勢だけで飛び込んできた理由を。彼は深くまで読み切らなかったのである。

 

決壊は一瞬だった。戦闘は佳境に入り、フィンへととどめを刺すべく、ロビンとネロが切り結びにかかった。アルトリアも襲い掛かろうとした刹那、彼女はその直感に従って、チャージを即座に辞めて、ラムレイをその場にひきとどめた。それは英断であったが、伝達は間に合うことがなかった。

しかして、その感じたことを周囲へと共有する前にロビンとネロの体が近寄った瞬間、二人の胸から、長い槍が突如として生えたのだ。

寸分狂いなく霊核を貫いている一突き。それでもネロは勢いを殺さずフィンを打ち取って見せた。

 

「ロビン!」

 

ジェロニモは、共に戦ってきたロビンの無残な散り様に一瞬だけ意識を向けてしまう。

元より兵士ではなく戦士として育てられた身の上、だまし討ちを受けた仲間の復讐で立ち上がった男だ。わずかばかりでも気を取られてしまうのは、彼の生前の経験ゆえに仕方あるまい。

そしていつの間にか見えぬ影は彼の懐へと潜り込んでいたようで、先程と同様に核を、恐らく手刀で貫かれる。恐ろしすぎるほどの技の冴えだった。

えっちゃんはわずかに眉を動かすも、だからこそなるべく早い、安定化を。そのためにリスクを残せないと、バーサーカーらしからぬ冷静な判断で、ディルムッドの首を跳ねると、すぐ様、アルトリアの元へ飛び退く。

 

「全く見えませんでした。そちらは」

 

「ええ、私もです」

 

二人は背中を合わせて周囲を警戒する、姿は見えぬが、既に3体を殺めている敵だ。

どれほどの陰形であれ、本気で臨戦中のサーヴァント達が警戒したところを欺くのは困難である。

となればと、二人はそのまま警戒を緩めず、すぐさまマスターへと向かう。

 

立香も当然の如く、目の前で突如起こってしまったその信じられない光景を見ていた。傍らに控えるマシュと共に。

 

「マスター、敵です! 推定アサシン! ジャック・ザ・リッパーとは違って、本当に見えないタイプかと思われます!!」

 

「う、うん。そうだ、まずは敵の排除だ」

 

立香は自らと周囲を奮い立たせるかの様に大声を上げた、それはつまりこの場において、ほぼほぼ見ればわかるものであった、彼が本当に指揮官そして精神的支柱であることを示している。さらにマスターとも呼んでいる。

 

これで、現地人をマスターにしあって、本人は遥か後方にいるなどといったことをしていなければ。確実にこの場に立っている立香という存在が、ここにいる戦力のボトルネックであり生命線であることは明らかだ。

 

もちろん、正体不明の敵に味方がやられた直後だ、周囲を奮い立たせる方が、パニックになり逃げ出したり、縮こまるよりはずっと良いであろう。

 

「メートル!!」

 

立香はその声にとっさに、本当に無意識的に令呪を切った。誰に向かって放ったのか、何を願ったのかは大まかすぎるものであるが。

只々『頼む! 』と強い意識でナポレオンを見ながら念じたのは事実だ。

 

その結果ナポレオンは何かによって貫かれた左腕から胸にかけて強烈なダメージを受けたが、その場に相手を引きとどめていることに一瞬だが成功したのだ。

 

「マシュ!」

 

それは誰の言葉だったか、すぐさまナポレオンの方角へと向き直ったマシュは、背後にマスターをかばって盾を構える。

その瞬間ナポレオンの大砲から、強烈なエネルギーが照射され、辺りを包み込んだ。

 

 

これが事の顛末である。立香のある種初めての痛敗である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メートル気を落とすな、判断自体に間違いはなかった。敵のサーヴァントを見かけた以上、全力で挑むのは間違いないし、全く予見していなかった」

 

 

なんとか自陣に戻って、サーヴァントを治療できるナイチンゲールに親の仇を見るかのような目で視られながら治療を受けたナポレオンから、立香は静かに話を聞いていた。

 

 

「確認していた敵にそういう逸話を持ったサーヴァントがいない以上、最善を尽くしてた」

 

ナポレオンの言うことはある種の正解であり間違いでも会った。

 

これがサーヴァントを用いた超常の力のぶつかり合いである以上、どんな攻撃も可能性としてありえるのは事実だ。

しかし、一切感知できない暗殺や、この世界を次の瞬間に破壊できるような宝具を警戒してたら何も出来ない、ある程度は割り切って動くしか無い。

 

 

「そんな、はずはない、俺は見える目に頼って魔力でみんなを支えるしかできないのに、それもいまいちうまくできてなくて」

 

「いや、メートルは少なくとも戦いを始めたのはカルデアにきてから。訓練も受けていない新兵と同じだったのに、1年もしないでここまで来てる、それは十分誇るべきだ、月並みな言葉だがな」

 

「なぁに、1度や2度の失脚程度でへこたれる必要はない……それに俺がメートルの目をほめすぎたのもある、少しでも自信になればと思い称賛してたが。加えてこの特異点での不調に気づいて、そのままにしていたのも問題がある」

 

ナポレオンとしては、完全に友軍を失ったのは伏兵の存在に気づかないで誘引された指揮官の責任であり、この場合の指揮官は立香ではなく、ナポレオンであった。なにせ彼はマスターから任されていたのだから。

 

「取りこぼしたくないならこの先を考えるべきだ。やれることをやれ、やれる範囲のことをやれ、それだけだ」

 

成り上がり、追放され、そして舞い戻った。そんな輝かしいながらも、人間味あふれた波のある人生を送った彼だからの言葉。

 

「ああ、わかった。そうだよね、ナポレオンに教わって、軍団の動かし方とかを考えるだけ、無理があったんだ」

 

そう彼はあくまで人類最後のマスターの一人。兵を率いての戦いをするものではない。

ナポレオンが戦略レベルで動くのならば、リツカはその上の方針決定のレベルで動くべきというものだ。

 

 

ならば、これからも考えなければならない。なにせ、今までは図らずとも目的は同じだが、着地点は異なるアメリカ軍との共同戦線を一時的に張っていたが。

別段それを今日明日で解消するわけではない。しかし、アメリカ軍を抜きにして、敵の首級を取る戦力が揃いつつあったが、それも潰えたのだから。

 

だが、敵のサーヴァントは今戦った謎のアサシンと、1度だけ戦場で相対したクーフーリンのなれの果てのような姿のあの王と。メイヴという女王。

そして同様に遠くからこちらを見ていることを気が付いた、ナポレオン曰く、アルジュナと呼ばれていた、インドの授かりの英雄。

 

「ああ。まかせたぞ、メートル」

 

「うん大丈夫。だってサーヴァント相手に話して協力をもらうのが俺の役割だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

「とった!」

 

響いた声は幻聴だったか、本物だったか。

その致命の一撃確かにシンドバッドの胸を貫くものであった。

果たして本当に、不意の一撃をシンドバッドがよけられたのはあまりにも多くの幸運が重なっていたからである。

 

1つは敵の消耗が激しかったこと。敵は霊核にヒビが入るほどのダメージを受けており、まさに満身創痍。

しかして、その襲撃者は技量で戦うタイプであり、傷ついてなお一定以上の脅威度は持っている。それでもキレや技術が何段階か劣るのは事実であった。

 

2つは、護衛していたビリー・ザ・キッドの存在だ。

彼は車を降りたこの場所に嫌な予感を明確に感じており、ホルスターに手をかけたままでいた。彼の認識を技の発動を見てから引き上げる宝具に十分間に合うほどに。

 

最後は、襲われたその技への返し方を、シンドバッドはしっかりと教わっていたからである。

 

命を刈り取る槍を彼は耐えしのぎ、攻撃を叩き込んできた相手へと向き直る。

ロマニを通じて話は聞いていた、姿を見せないアサシンのような敵がいると。

だが、シンドバッドは知っていた、目の前にいるのは、決してそんなアサシンではない。

 

「沙悟浄……なんで、敵に」

 

「うむ? なにやら誤解があるようじゃが、改めて名乗ろう」

 

シンドバッドのその呟きに疑問符を浮かべつつも、その敵はバレてしまった以上意味はないと高らかに名乗り出る。

 

「儂の名前は李書文。ランサーとして現界しておる。別に魔術王の聖杯に請われたわけではないが、霞の中彷徨い、その果に殺しに正義を掲げない王の下でこの槍をふるっている」

 

それは、即ち敵だ。そうわかってもシンドバッドの脳は一瞬追いつかなかった。

 

「名も知らぬマスターよ、わが絶技の元に死ね」

 

李書文はそれだけ言うと、既に素人目にも見えるほど、ボロボロの体で拳を構える。

槍はすでに弾き飛ばされて使えるようなものではないが、それでも彼の徒手空拳はそれだけで十分に脅威だった。

 

「沙悟浄、俺だシンドバッドだ!」

 

「知らぬわ、くどい」

 

「そうか、覚えてないんだなあの旅の事は俺しか」

 

シンドバッドの言葉に取り付く島もなく、襲いかかる李書文。こちらにはラーマもビリーも彼自身のサーヴァントもいる。

こと数で言えばシンドバッドを入れて6人だ。

 

それならば、既に李書文にとってこの場は死地。1つでも多くの命を刈り取る為に、時間は惜しかった。

 

「っく!」

 

「ほう!? まさかお主もか」

 

李書文の冴え渡るその八極拳の絶技をシンドバッドは、教わった動き通りに返していく。理に基づいて放たれる拳故に、その理を知れば多少だが動きはわかる、勿論初撃だけだが。

 

力は条件が重なり、こちらと互角程、技はこちらが劣る。だが、総合戦力では此方が上。

 

なにせ、李書文は相対している男の背後で油断なく剣を構えているラーマと、銃を構えているビリーにも意識を残しているのだ。

 

シンドバッドは、すぐさま加勢に来ない仲間を少しだけありがたく思った。此処までに自分の武術は沙悟浄に習ったと言っていたからであろうか?

 

しかしそんな事はどうでも良かった。目の前の敵を止めるためにシンドバッドは駆けた。

 

自分よりも鋭い拳が本気で殺しに来る。だが、シンドバッドには李書文に勝っているものがあった。それは、命のやり取りの密度だ。シンドバッドは、人生の8割以上をいつ殺意が降り注ぐかわからない時を生きてきた。

 

年月や数では負けるであろう、だが、人生においての比重に関しては、勝っている。それは僅かな時間に全てを出し切ればという話だ。

 

だが彼はやってのけた。それは彼が強いと言うよりも、敵が弱っていた以外にないであろう。

 

決着は本当に一瞬だった。予め決めていたかのように、李書文の出した腕を、シンドバッドは下にはじいた。そして回してきた逆腕を上にはじく。

 

ああ、この技か。彼を彼たらしめる技。なんということだ。

 

そして、李書文の空いた懐に、人間ならばこうすれば緩んでしまうとシンドバッドが教わった部分に、強烈な肘鉄が入る。

 

「見事、やはり同門のものか。いや只の同流か、まぁどうでもよい」

 

負けたことを何も気にしていないように、李書文は身体が粒子になっていく中、笑いながらそう告げる。

 

あの優しく厳しく、何でも知っていた沙悟浄ではなく、武の道の邁進が全てであるその姿に、シンドバッドは、今更ながらに別人であることを強く認識できた。

 

「人類最後のマスターよ。星はお主でないものが集めるであろう。なれば、お主は技を磨け。あやつの言う通りな」

 

 

シンドバッドは只々、あの旅を思い出して、そして『敵』を屠った残心をそのままに消える金色の光を見つめるのであった。

 

 

 

 

たどり着いた、ワシントンDC。

ケルトを無限に量産する土地であり、聖杯によって異常強化された狂王クー・フーリンの本拠地である。

 

南からは停滞をさせるような軍勢で攻め、北には将と王を置いて攻め立てる。

単純なもののある程度は判断力がある敵の軍団は、明確に決戦をかけに来たアメリカ軍に関して、その数でもって対応をしていった。

 

その隙間をすり抜けるように、彼らは此処に居るのだ。

立香は、いまだに少し重いが、だいぶ落ち着いてきた体を引きずって、サ―ヴァントだけを連れて、敵の本拠地に来ている。

狙うは大将首ではなく、彼らの持つ聖杯である。

 

既に自分達は、アメリカ合衆国の為ではなく、人理修復のために戦うことを改めて決意していた。

 

「行こう、皆」

 

そして決戦が始まった。事前の打ち合わせ通り、アルジュナはカルナが封じる。メイヴは、えっちゃんとアルトリアで圧力をかけつつ、狂王はラーマを中心にビリーの援護で、そして退路の確保をシンドバッドとそのサーヴァントが、マシュはリツカの護衛であり、ナイチンゲールは突っ込みすぎないようにお願いして、基本は衛生兵である。

 

カルナとアルジュナが上空へと飛び去った後、打ち合わせ通り、シェヘラザードの宝具が周囲を包み王を殺す物語たちが襲い掛かる。

この場に残った敵は王であるが、聖杯で強化されているのか、これまでのように殺し切ることは出来ず、耐えきられた。しかし橋頭堡はできたとばかりに、攻撃は開始される。

 

 

敵戦力としては、とにかくクー・フーリンが圧倒的な膂力と致死性の攻撃をこれでもかというほどにばらまいてくる点において非常に凶悪だ。速度もすさまじい。

しかしラーマは一度戦い敗れたものの、今はそれよりもシータの力を得て、圧倒的に気力が充実している。おいそれと自由に動き回らせない。

出先をくじき続けるビリーの射撃も取り回しが良く、回転の速い宝具の真名解放で、明確に仕事をこなしていた。

 

しかし彼らはある程度の耐性はあるものの、気を付けなければならないのは、やはり女王メイヴの魅了だ。

それこそが最も警戒しなければいけないものであり、口を酸っぱくして言われたためか、シンドバッドも、今回は敵へと殴りにいかないほどだ。

 

 

立香も片時もメイヴより視線を切らないように、敵集団とややいつもより距離を置きながら、マシュと共に戦況の確保に努めていた。

 

「マスター!伏せて!」

 

マシュは時折飛んでくる、上空からの流れ弾や棘槍の防御に専念して、攻撃に参加できていない。

 

それでも充分以上の活躍をしており 、彼女自身も神経をすり減らしながら戦っていた。

 

なにせ彼女は最終防衛ラインとして配置されることはよくあるが、その場に彼女のみがということは、経験としてそこまで多くなかったのだ 。

 

 

 

そして、均衡が崩れていく。ライダーとはいえ、男に乗る者であるメイヴは、ラムレイの機動力に翻弄されていき、その隙をえっちゃんの雷撃に付かれ、あとは流れるように傷を負って倒れ伏した。

 

しかしながら後一撃で止めという所で、クー・フーリンの他のものを何も視ない、一切の被弾を厭わない割り込みと攻撃により、ラーマを含め一時的に下がらざるを得なくなる。

下がらざるを得なくなる。

 

合流こそ許してしまったものの、油断なくカルデアは相手を見つめる。

 

しかしその判断は間違いだった。すぐにでも襲いかかるべきだったのだ。

 

リツカは自身の熱が上がる錯覚を覚えながらも、幻聴のように響く声に従う。

 

聖杯を入手した、クーフーリンを倒すべきだと向き直るが、しかしパスを通じてナポレオンから、そして何よりも、ロマニからの通信が入る。

 

『大変だ! リツカ君! シンドバッド君! 急いでくれ!! 魔神柱が複数連なって召喚された!! 侵食の速度が速すぎる!! このままじゃこの特異点が持たない!!』

 

もう時間がない、それはしっかりと認識した。だが、こちらももう負けるつもりはない、戦って倒すだけだ。

 

ちらりとシンドバッドを見ると、彼はキメラ相手に蛇のような動きで首へと巻き付き、首の後ろから肘を叩き込み、一撃で絶命させていた。

見られている事に気が付いたようで、軽く頷くと、向こうも承諾したようだ。

このマシュの盾の死角でかわされたやり取りで、勝利の算段は建てられた。

 

3人の1流のサーヴァントによる近接戦闘、アーチャーによる支援、時々殴ってくる衛生兵。そんな状況でも、敵は、狂王はしぶとく耐えていた。

攻撃の速度は傷を受けてなお加速していき、予断を許さない状況が続く。

 

「マシュ、足に力を入れて、飛びかかれる準備を」

 

「了解です、マスター。お任せください」

 

だが、マシュもそんな中でさえ立香を信じて動いてくれる。しっかりと足で踏ん張りいつでも飛びかかれるように構える、そして決定的なタイミングは来た。

 

「陽の眼を持つ女! 」

 

甘く香るような気がするほどの色香が、桃色の風とみまごうほどの濃度で、立香の背後より、敵の動きをわずかばかり拘束する。

 

 

その女の舞を、それを感じた瞬間、マシュは立香の意図を察知して飛び込む。

彼女の盾という獲物は近接武器の質量としては最大級の物だ。それに押しつぶされるようにぶつけられれば、さすがの狂王も姿勢が崩れる。そしてそこに、魔力に一切の不満のないラーマの宝具が炸裂する。

 

 

負けじと迎撃のゲイ・ボルクを投げてくるが、巨大な看護師のメスによりその動きは大きく減衰させられる。

 

結局はよける間もなく、ラーマの刃に貫かれ、クーフーリンは消滅するのであった。

 

 

『やっぱり、聖杯を回収しても、聖杯によって生み出された異物を倒さないと特異点は修復されない!』

 

ロマニのその声に、反応するかのように、目の前にその白い衣装を血と煤でボロボロに汚したサーヴァント、アルジュナが現れる。

 

「皆!!」

 

「いいえ、私は敵ではありません、そして恥を忍んで申し上げます。私にその令呪で命じていただきたいのです。魔神柱を討つようにと」

 

そんな姿でも華のような香りを漂わせる彼は、やや遠慮げに立香に告げる。それは味方になるという宣言であった。

 

「約定と彼らに頼まれたのです。業腹ではありますが、助力いたします。せめてもの罪滅ぼしです」

 

立香は、アルジュナの契約を受け入れる。アルジュナは、微笑を浮かべて、鏃を取り出す。

 

「私としても人理を滅ぼすのは忍びないのです。今回こそ私情を優先させてしまいましたが、次があれば貴方に付き従いましょう。マスター」

 

「ありがとう、アルジュナ。

……令呪を持って命ずる!! 宝具で魔神柱を倒して!!」

 

そこから発した光は魔神柱を確かに滅ぼした。

 

お見事。そんな誰かの声を聞きながら、カルデアは第五特異点の修復を完了したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次からみんな大好き第6特異点。
シンドバッド君の最後の1枠も召喚されるよ!!
皆は誰かわかったかな?


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第六特異点 神聖円卓領域 キャメロット
(帰還)~(6枠目召喚)


文字数まちがえてた、ごめんね


もはや眠気が限界のRTAはーじまるよー。

 

 

 

前回は何とかかんとか、壊れたチャートに鞭を打って、アメリカの崩壊から人理を守ったところでした。

いやいや、クリアしたけど無理でしょ、なんだよあれ。これも一種のYAMA育ちの弊害に近いのですが。彼らは集団行動は苦手か普通という程度です。単独構想や方針に従うのは兎も角、自ら方針を決めてガンガン動いて引っ張っていくというのは難しいのです。

 

シンドバッド君が寝る度に今まで少しずつ上がった話術スキル程度では、藤丸くん/ちゃんのコミュ力A+++と社交性EXの前には何もできないのです。

 

さて、話を戻してアメリカは少々特殊で帰還時にイベントが挟まれます。

 

「あれ……? せん……輩?」

 

マシュの一時的離脱イベントです。まあ、彼女の体に限界が来て、倒れるというものですね。

 

この時点というよりも彼女は自分の寿命が、根本的に短いことは知ってますが、具体的な残りの数字までは知らないのです。

 

デミサバというどう考えても体に負荷がかかる在り方のため、そのせいで既に18歳位までしか生きることができない肉体です。なんてことを……(憤怒)

 

じゃけん、聖杯に願いましょうねー! としたいところですが、型月世界の聖杯って、基本何にもしてくれない万能の願望器という自己矛盾の固まりなので、願いをかなえることもなければたいてい状況を悪化しかさせません。

 

ほんまつっかぇ! やめたら、願望器!! 勿論まともに願いをかなえたケースもあります、例えばこのカルデアの設営過程の短縮とかですけどね。

要するに、聖杯くんは金! 暴力!! SEX!! のわかり易い欲望なら叶えてくれますので。やっちゃいましょうよ。

 

ともかく、聖杯が余ればなんとかなるかもね、みたいな話もこの後聞けますが、優しい嘘だよ。

 

あぁん……ひどい(希望を持たせるのは)やめてください。

 

というわけで、マシュ殿が顔や眼球から血を流して倒れます。まるで初めて絶唱した奏者みたいだぁ(直喩)

 

以前より藤丸君の好感度を稼いでいたのもあり、ここで突如、お前がやったのか!? みたいなこともなりません。いや、本当に好感度稼いでないと、錯乱して糾弾とかされるんですよ。信じて下さい!! やれば褒めてくれるからやりましたみたいなことはないです。

 

ともかくマシュを医務室まで運んで行かれるイベントが挟まって、そこから状況説明になります。

 

 

マシュはデザインベイビーであり、先代所長のマリスビリー・アムニスフィアの実験によって誕生させられたコントロールできる英雄の唯一の成功例である。

 

とまぁお話が長いよー。って奴ですね。

 

まぁRTA的には、マシュの能力が下がったりは特にないので気にせず接していきましょう。

きっとマシュもそれを望んでいたみたいですし。

 

 

藤丸君のメンタルが死にますが、次までには持ち直してくれます。一応1回程度、藤丸君とのイベント発生させて、救済をしておく必要はありますね。

さらに、藤丸君も体の精密検査をするとのことで、強制入院となります。

 

まぁ、ロンドンから戻って以来、スケジュールが詰め込まれすぎてたのと、原因に心当たりがある感じのようなので任せましょう。

 

そこまで見てやっと、帰還イベント終了、リザルトを見ておきましょう。

 

特に目ぼしいアイテムはないですね。仕方ないです。ワイバーンの肉は大量にあります、この分なら余裕で足りますので一安心です。

 

あ、ダ・ヴィンチちゃんの装備ガチャは第6特異点前に関してはお休みとなってます。彼女の装備開発の為ですね。

 

神代に適応する呼吸器がないと、今後詰むのでその辺を作ってもらいましょう。

 

 

というわけで自室に戻り好感度イベントです。

計算上ここでローマ前に呼んだ鯖はほぼ確実に、一先ずの絆上限まで行きます。

前も軽く述べましたが、上限が馬鹿でかいので、所謂一応の上限という形で、一定の値の後はフレーバーみたいになってるんですよね、絆システム。まぁLv5まで上げたと言えばわかりやすいでしょうか。

 

「マスター、私の気高い愛しい人、これからも思う存分甘やかしてあげるわ、ふふっ!」

 

「私に大事なものを盗まれたマスター、ずっとそばに置いて、私のものにしてしまおうかしら? 私のために頑張りなさいね」

 

 

二人共、コレは絆5まではいってますね。おぉう、さすカーですね、マタハリはもう長いので安定ですが、カーミラさん、ちょろすぎっす!

 

これによりスペックが上昇してますし、一緒に行動してればストレス耐性も上がります。過酷になる6,7前に来れてよかったです。

 

これで一先ず、シンドバッド君のメンバーは完成ですね、育成も終わりましたし、好感度もたまりました。

 

恐ろしいほど打撃力のない編成ですがまま、ええわ。一応聖杯を入手しない特異点をクリアしたので、随行できるサバが1枠増えてますので、増やせなくはないですが。

 

後は自室のランダムイベントだけ狙って寝ましょう。

 

「マスター、いいかしら?」

 

おう、あくしろよ。

 

「お慕い申し上げております」

 

お、そうだな

 

「ねぇ、やっとゆっくりできるし、お祝いしない?」

 

うーん、まぁストレスが軽減されそうなイベントですし、OKしておきましょう。部下を慰労するのも上司の努めだし、多少はね?

 

許可を出すと、いつの間にか自室に料理が並んでいます。え、赤ワインとかどうしたの、備品のリストにはなかったはずなんですけど……(困惑)

 

まま、ええわ。肉くって寝るだけで鯖全員のコンディションが良くなるとか、最高やん?

 

「カンパーイ」

 

卍解ー!

 

この、お祝いイベントは、トリガーが多いのでまれによく空気読まないタイミングで起こったりするんですよ。

具体的には藤丸君が監獄塔に囚われて倒れる時とか。今もマシュ倒れてるけど、自室で飲み食いするくらいはセーフでしょ。

 

いつの間にかベッドが2つになって、広くなったところに座りながら、3名の美女にお酌をさせて肉を食ってるとか、完全に悪役ですな。

 

「あら、お酒は飲めないの?」

 

酩酊はバステなのでNG。多分ムスリムだから駄目だと思うんですけど、あ、この豚肉おいしいっすね(支離滅裂な発言)

 

「マスター、私からも一口どうぞ」

 

謝謝茄子!

 

それにしても結局求めていたランダムイベント発生しませんでしたね。帰還直後が1番確率高いので、望み薄でしょう。

 

うーん、まぁ人喰わない奴らに人喰えよとか言わなければいいので、多少リスクは残りますがこのまま行きましょう。

 

「ねぇ、マスター……この後どんなことがあっても、私たちの事を、とっても大切にしてほしいの」

 

「どうか、わたし達を捨てないでちょうだいね」

 

おう、考えてやるよ。実際奴隷のように尽くしていく所存ですよ。

 

 

ということで、結局就寝しても何も起きず、スタータスが増えただけで翌日。マシュの様子がまだ体調がすぐれないとのことで、召喚は先延ばしです。あの盾が大事だからね、ちかたないね。

 

 

やることはもう訓練位しかないので倍速しながら、次の特異点の方針について話しましょう。

 

 

第6特異点は非常に特殊で、攻略速度までもが、現地の内容に影響を及ぼします。

 

素早く今まで攻略してここまで来ている場合、敵は十字軍で、ボスは偽リチャード一世だったりします。通常攻撃がエクスカリバーで、武器破壊してもエクスカリバーしてくる王子様の偽物です。あーもう一回言ってくれ?

 

こいつも大概ですが、時間経過でラムセス2世こと、オジマンディアスが聖杯を奪い取っていきます。このファラオは単純に敵として戦うと、めちゃくちゃ強いです。

しかし彼がつく頃には、たいてい獅子王(女神)が現れて、リチャードをぶっ飛ばして都市を築いてます。

 

終局を考えないRTAのようなごり押しプレイでもないと、基本はこの女神ロンゴミニアドが相手となります。

 

今回も確実にこっちのはずなので、現地勢力を説明すると、基本はアメリカと同じです以上。

 

ただし今回は、要するにケルトについて、アメリカ軍を落とす感じになります。

聖杯を持った勢力とレジスタンスに協力して、救済プランとかもってる連中をぶん殴っていきます。

 

 

6章のフラグは複雑骨折を起こしてんのかというほどに複雑で、基本的に臨機応変な対応が求められます。

 

理想手順は、砂漠スタートでハサンと敵対せずにエジプト領に到達。話を聞いて、聖都に転進。聖都の粛清を確認、ハサンと合流。ロンの粛清を確認。初代様の試練、ファラオの試練、決戦の流れです。

でも、この通り話が進んだことはリアルモード以外でないです。

 

徘徊するギフト騎士、さまよう者たち。何よりも初期位置が観測環境の複雑化によりランダムで、量産型アサシンの代名詞ハサンの数の多さ。これらの要素が複雑に絡まり、安定しません。

 

心がけるのは3つ

 

1つは、円卓の騎士は可能な限り殺意をもってあたる事。

 

ギフトもちで異常強化されてますが、単独で徘徊しているうちに数を減らすのがベストです。太陽ゴリラは殺し切るのに時間がかかるので、余力があれば程度でいいですし、そもそも門から離れることが少ないです。

 

2つ、ハサンは可能な限り生存させる。

 

1対1は弱いハサンですが、仲間にした時の情報収集速度は群を抜いています。ハサンの勢力地というか山の隠れ村開始ですと、1日あれば特異点の全容が確認できて、最高にうま味です。移動時間と信用を得る時間はかかるものの、安定チャートといったところでしょうか。

後半は、工作や撹乱、人質運搬などもできるので、便利です。召喚枠という手札を圧迫しない限りは優秀な戦力です、使いつぶしましょう。働けと初代様も申しておられるぞ!

 

3つ、団体行動を意識する。

 

これです。

この特異点は本当に敵のレベルが高くなっており、今までのように手なりで戦力をぶつけていくと、摩耗して普通に詰みます。クソゲーRTAはやめろォ!(本音) ナイスゥ!!(建前)

カルデア総力でかかっても倒せないようなキングハサンみたいのもいるので。まあかの御仁は敵対すると詰みですが。

惜しむべきは、移動に時間のかかる砂漠では、手持ちの戦力ではショートカットできないことですね。

シェヘラザードではちょっと砂漠が広すぎます。フェラーリは、燃費が悪い中でも飛ばせますが、マシュと藤丸君とシンドバッド君の3人が乗るのはぎりぎりですからね。

ラムレイも空を走らないと駄目でしょうから、消費がでかいはずです。砂漠以外の荒野なら消耗はしますがいけます。

 

そもそも砂漠を移動に関してなんとかできるのが、神霊レベルの権能を持った移動系宝具か、環境適応に特化したゴーレムや乗り物ですからね。バギーで進めたら苦労はしないんだよ。

あ、ハードモードはダ・ウィンチちゃん来てくれません。天才超絶有能美人秘書系サーヴァントは、キャンセルだ。

 

これマジ?ランスロットしばかなきゃ。

 

 

とにもかくにも移動と遭遇戦が鬼門です。まぁアメリカのように広すぎではないのでそれだけはマシです。

それにしても、『聖地』がまた誰かの手に落ちてるけど、まぁこの土地はねぇ、血濡れ過ぎだから……うん(ノーコメント)

 

 

戦闘面で脅威となる敵は、実のところ太陽3倍ゴリラを筆頭とした円卓の騎士くらいです。

ボスも強いのですが、相応といいますか、方や手加減をしてくれていて、もう一方は特攻というか、銀の弾丸2発持って戦えますので。

 

とにもかくにも、マシュの守る! が生命線です。騎士はどこに行っても人気、メイン盾となればなおさらです。すごいなーあこがれちゃうなー。

 

ギフト円卓は、モードレッド以外は、魅了が通るので、あと部下の粛清騎士も魅了が通るので。モ卿が一番、いやーきついっす(素)

 

 

 

キングハサンの試練は場合によってはシンドバッドさんはOUTかもしれません。その場合は入れなかったりするので、あきらめましょう。宗教が同じだったら、よりアウトですからねぇあの御仁。

 

次いこうぜ。

 

おっと、マシュが復帰してくれたようですね。

 

ロマニから、あいつもうすぐ死ぬけど、それ内緒にしてびっくりさせようぜ。と医者としてどうなのよと言う発言があるので、その指示に従いましょう。

 

いや、確かに今の旅を楽しんでいる女の子に、余命宣告が酷なのはわかるけど、一切伝えないで君の体に負担がかかってるだけだよ、の方が絶対やばいと思うんですけど(名推理 )

 

それじゃあ、召喚に イクゾー!!

 

 

もうここに来るとシンドバッド君的には、欲しい鯖はないんですよね。セイバーが可能性として高いので、紅閻魔あたりだと、最後にいい飯食えるぞ!!って感じでまさにうま味です。

 

ああ、あとイアソンもいいですね。一時的に戦力をグググっと増やせますし。

まぁ、名前を呼んではいけないあの人さえ来なければ、それでいいのです。いや本当に、もぅまぢむり。写経しょ……。

 

ここで来られるとかもう毎日令呪使って抑えつけて特異点に逃げ込むとかしないけど、逃げこんでいる間に職員籠絡されて意味消失もありますねぇ!!

 

あとは、ああ、砂漠のキャラバンを率いてた女王様とかもいいですけど、話が骨幹からぽっきりといって詰むので、やめようね。

 

「それじゃあ、シンドバッド君、多分今のカルデアでは、これが最後の召喚になると思う」

 

は? 6章クリア後があるやろ?

 

「サーヴァントを留めておく絶対的なキャパシティが足りないんだ。放り込まれた魔力が少ないようでね」

 

そう……まま、ええわ。聖杯手に入れたらまたどうにかなるやろ。

聖杯は1部ラスボスを倒したあとつかえるようになるレベルキャプ開放アイテムですので、本RTAだと完全にトロフィーです。はーつっかえ。

 

 

さて、気を取り直して召喚です!

 

 

 

────貴方の目の前で光が満ちる。

 

さて、今回は?

 

────それは、触媒と共鳴する様に、段々と光をまして行き、虹色の輝きを放つ円環へとなっていく

 

イイゾーこれ!強いやつなら残りのリソースを注いで育てることも検討しますねぇ! 

 

────光が収まると、そこに立っていたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いぞ!! 人間!! ポルクスを辱めた報いを受けろ!! 死ね!」

 

ファ!? いきなり攻撃とかやめてくれよ!

 

「に、兄様!! そうではないと申しておりますでしょう! 」

 

あ、ご無沙汰してますね。

セイバー枠が来てくれましたね。うーんどうなんだこれ……。

 

「改めて……我らディオスクロイ、お力になりましょう」

 

「不本意だ、ああ、不本意だがな!!」

 

 




露骨すぎた縁を結んじゃった娘です。
この兄妹はまだ流石に絆10じゃないです。

匂わせと言うか、わかり易いほどに要因を書いてたのですが、予想は合ってましたか?
本文で一度も名前をあげてない人が来る分岐は(書け)ないです


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(召喚イベ)~(出発)

お兄さん許して! お兄さん許して! タイム壊れる! タイム壊れるわ!


過熱したガバが、ついに危険な領域に突入するRTA、はじまります。

 

 

前回は新戦力を召喚した所まででした。

 

「か、カストロとポルクス!! 1度の召喚で2基のサーヴァント!? 2つのクラス!? ああ、もう!どこから突っ込めば良いんだ!?」

 

ロマン派ドクターがビンビンでいらっしゃる咥えて差し上げろ。

 

「オケアノスで会った、黒ひげ船長の船に似たような方がいらっしゃいましたね」

 

「ああ、女海賊の」

 

 

マシュちゃんのフォローが光りますが、それは、その……まずいですよ!?

 

「貴様! 我らを凡百の海賊風情になぞらえるだとぉ!! 人間がよくそんな大層な口をきけたなぁ!」

 

ヒェ! 全方面噛みつきがガンギマってるお兄様やめちくりー。いやまじでどーすんだ、これ。

 

「貴公らこそ召喚に応じたのだ。騒ぎ立てるのは、自身と主君の格を落とすことになるぞ。それとも不本意な召喚だったのか? 介錯を希望するなら仕ろう。何なら指名も許す余裕が此方にはあるが?」

 

ほらー。煽り耐性ないアルトリアシリーズの中では、比較的温厚……温厚? な槍上がインターセプトしてきましたよ。無茶苦茶皮肉ですが。

 

こっちはお前らを殺せるのがたくさんいるぞ。という発言ですが、事実なのでいいですね、はい。なお、施設の被害は考えないものとする。

 

「兄様、少しばかり口を噤んで下さい。失礼いたしました。我らディオスクロイ、改めてマスターのお力になりましょう」

 

「……ああ、力を貸してやる」

 

召喚イベントだけでロスをおこさせるとか、おまえカーミラ以上じゃねーか、こっちの事情も考えてよ。

 

「俺を殺しに来たんじゃないんだな」

 

「はい、誓いましょう、マスター。呼ばれたのは貴方の手にあるヒマンテス……少々趣は異なるようですが、それは私の……い、衣服とヒマンテスの切れ端からなるものです。それによって、私は此処にいます」

 

「お前があの海でポルクスから剥ぎ取ったものだ、忘れたとは言わせん」

 

あっ! これかぁ!! なるほど、そういうことね完璧に理解したわ。

 

ログにもありますが、これは触媒召喚です。オケアノスの戦利品であった謎の布とかの触媒アイテムを、この場に持ち込んで召喚したのでそれに引っかかった形ですね。

厳密には、アンダーウェアもファーヴニルの鱗が使われていますが、このグローブは触媒同士をかけ合わせたものであり触媒として制作されたものに近いです。エルキドゥのマスターみたいな判定なのでしょう。

それが、召喚サークルに手を翳したことで、その触媒を使って召喚するという扱いになってたというわけですね。装備は外さないと意味がないぞ! ってやつですわ。うーんこの。

 

ヒマンテスというのは、古代ギリシャのボクシンググローブのことです。拳武器の名前とかで見たこともある人もいるでしょう。謎の牛皮は、基本的に当時は牛皮でつくっていたことからですねぇ。

 

さて、来てくれたことはOKです。シンドバッド君が聞いている通り、殺しに来たわけでもないとのことです。

 

「……ポルクスが世話になった、その礼で今回だけ力を貸す。人間に借りを作るなど業腹でしか無いからな」

 

「はい、私もあの時アタランテと共に止めて頂いた。そのお礼を言いたいのです」

 

「わかった、それじゃあよろしく頼む。ディオスクロイ」

 

 

最初からそう言えばいいんだよ。

さて、逸話などをロマニが語っている間にここで少々解説を。

 

まず、戦力としてのディオスクロイに関してです。強い。以上。

ギリシャ神話の英雄で星座になっている連中です、まず雑にスペックは強いです。所謂A級サーヴァントです。基本的にはセイバーとしての召喚であり、双方が剣を用いたコンビネーションにより戦います。

ポルクスの方が無手と剣と近接戦闘を一通り修めており、カストロは馬術や戦術に秀でているというフレーバーはありますが、一旦忘れましょう。

 

所謂なんでも出来て強いというタイプではなく、近接戦闘において質の高さと2人という数を両立しているため、枠が限られているタイプの戦いでは十分強いです。素で空も飛べるタイプなので。

 

宝具も相手の守りを一切貫通して攻撃するので、総じてボスキラーなユニットですね。

兄カストロはアヴェンジャーであり、復讐に燃える程強くなります。妹ポルクスはセイバーです、拳闘ではなく剣闘で戦います。

 

地味に航海の守護者でもあり、軍略とカリスマの複合スキルで支援も出来なくはないです、自分たちで切り込んだほうが速いですが。突っ込めって言ってんだよ!!

 

デメリットは3つあります。小さいデメリット、普通の、致命的なのです。

 

小さい1つ目は、やはり数を自分たちの数でカバーしているので、軍団相手には有効なアクションが取れないことですね。指揮官まで突っ込んで斬首くらいです。一応王子様達なのですが、広範囲殲滅をもたないというタイプです。ここはまぁゲームシステム的に他で補うと言うか、ユニットの相性レベルです。

 

普通のデメリットは、お兄ちゃんを見れば分かる通り、かなり非友好的です。嫌いなもの人間ですからね。ちなみに好きなものは妹です。妹さえいればいい! というお兄ちゃんです。史実だとポルクスの方が愛が重いかんじですが、まぁ良いでしょう。

二神一体ということと、ポルクスは普通の神霊サーヴァント程度の友好度なので、ポルクスと仲良くしてれば、ある程度までなら大丈夫です。

 

後半に引いて好感度が足りなくて、足を引っ張る鯖というものの典型ですが、縁召喚というより、同一世界の記憶引き継ぎのおかげで初期値はまぁまぁある様子ですが。ほかがカンストなのに、これはちょっと……ですね。

好感度が低いと肝心な所で役に立たないことはあるので、注意が必要です。

 

そして致命的なもの。それは召喚形態と英霊としての格をみればわかるでしょう。

 

はい、魔力消費です。その2つの要素の相乗効果により、反則級サーヴァントを除けば最大クラスの魔力消費です。ダブルクラスの亜種である、1枠に2の肉体なので維持費は1体分というアンメアルールは適用されてくれます。このおかげで浮く魔力だけでも相当なものなのですが、戦闘時の消費は別個に負担が必要ということで。はい、兎に角魔力食いです。

 

シンドバッド君の魔力量は成長を加味して普通より若干ゃ上程度。基本的に戦闘しながらの宝具は令呪か、開幕ブッパ以外の選択肢がないほどでした。そこに戦闘しているだけで魔力放出を使って魔力を持っていくA級鯖✕2というのは、扱いきれるものではありません。

 

ディオスクロイとして運用していく以上は、戦闘能力以外は殆ど何も出来ません、せいぜい嵐の海を航海できるようになる程度でしょうか。シェヘラザード、マタ・ハリ、カーミラのような戦闘以外で支えてくれるポイントはないです。

 

シンドバッド君が運用するには、戦闘時のリソース全部注いでやっとという感じになります。そういった意味では下手な魔術師ビルドよりも、自分は魔力使わないで戦えるだけ燃費は良いのですが。

 

この致命的なデメリットを差し引いても、逆に言えば令呪2画で戦闘と宝具を頼むことで、大抵の敵は葬り去ってくれますし、魔力供給を多少絞っても技量で戦うタイプのポルクスは省エネスタイルでも大抵の敵とは戦えます。イメージ的には5次のセイバー(序盤)程度の困窮です。

今後は食事を与えるなどをして、少しでも魔力の足しにしてもらいましょう。残してはダメですよ、ディオスクロイ様。

あとは、第7特異点では、宮廷魔術師に回復薬を大量に作ってもらいましょう。第6でも可能であれば頼む方向です。

 

余談ですが、剣の腕に自信ネキのポルクスは自己流ベースで、復讐者のカストロがケイローン塾の塾生です。逆だったかもしれねぇ……! まぁ、人の身に落とされたから苦労したんでしょうかね?

 

 

さて、史実解説も終わりました。例によって例のごとく、恒例の質問、自己紹介好感度確認タイムです。

今度一緒にお話しようよ。シンドバッドは武術に夢中なんだ!

 

記憶持ち鯖は、固有会話が多くて時間もかかることが多いです。でもまぁ大体お話は聞いてるので、大丈夫でしょう。というわけで自室に移動。

 

「ここがマスターの部屋ですか」

 

「邪魔するぞ」

 

入って、どうぞ。

 

「改めて、俺の名前はシンドバッド。カルデアのマスターで、カルデアの皆の為に人理を救いたいと思ってる。そのために力を貸して欲しい」

 

おぉう、やっと……社会人になれたんやなって……。

シンドバッド君もしっかりお話ができるようになりました。話術の上昇ってすごい。改めてそう思った。

 

「私はポルクス、ディオスクロイの片翼です。以前の特異点ではご迷惑をおかけいたしました。その贖いの機会を下さったこと誠に感謝しています。マスター」

 

「カストロだ。ポルクスを辱めた貴様と主従関係を結ぶつもりはない」

 

やはり、ポルクスはかなり高い好感度スタート、カストロはマイナス……ではないですが、低めですね。カストロ基準では一応ちゃんと下駄は履いてくれているみたいです。

 

好悪もわかりきってるが聞いてみましょう。

 

「好きなものですか?」

 

「言ってやれ、兄だと。俺はもちろん妹の他に何があるというのだ」

 

「兄様、言い方……ですが、私の好きな物は私のために労力を割いてくれる、兄様のような方です」

 

「そうかしこまらず兄以外なにもいらない、と言ってやってもよいのだぞ」

 

「ですから、言い方が」

 

 

君達、ながい……長くない? (再確認) 答えが2つあって、それぞれに双方でリアクションするから4倍だよ、4倍。

こんな事したらタイム壊れちゃ~う!!

 

「嫌いなもの、人間に決まっている。それと貴様もだ」

 

「私は、特には……でも、もしイアソン船長にあったら、一撃……いえ、一言いわせてもらいます」

 

「ああ、確かにその礼をしなくてはな。特にイアソンと貴様としておこう」

 

 

えぇ……こうなんか、お兄ちゃんにむっちゃ嫌われてます。ただまぁ、好感度は嫌いを好きにするほうが、無関心を好きにするより簡単だって、それ1番言われてるから。

 

「マスター、私を打ち倒した人。あれから腕を上げられましたね」

 

ま、多少はね? というか流れるように個別イベントにはいりましたね。

 

「あの時、兄様がいない不安で狂った私を更に狂わされてしまった時。貴方の拳を受けた時だけ、兄様がここにいないことを思い出せました。それがあったので今此処にいます」

 

大胆な自分語りは女の子の特権! でも巻きでお願いしたいなーって。

 

「その御礼をしたかったので、少しばかり縁のあるものを最後に託せたのですが、どうやらそれがなくとも此処まで来られたようですね」

 

「ポルクスの好意を無駄にしたのだぞ、貴様は何故すぐに呼ばなかった!」

 

「流石は私を傷物にして、押し倒して、組み伏せた方です」

 

「だいたい、アタランテを味方につけ数で勝っていて、あの戦い方は何だ! もっとこう、やりようはあっただろう!」

 

「我らディオスクロイ、テュンダリダイとして受けた恩は返します」

 

「人間に貶められた上に、その人間に借りがあるなど、許されん!! 俺ではなく、ポルクスの名誉が辱められば尚の事!!」

 

「私が貴方を守護します。絶対に守護します。どうかお任せ下さい」

 

「貴様が冥府に落ちる時一度だけ掬い上げてやる、せいぜい感謝しろ」

 

あーもう滅茶苦茶だよ!! 交互に自己完結して喋らないでくれ。

ともかく、これで前衛戦力確保ぉ! です。

 

次の特異点は長丁場で素材もまぁまぁ拾えますので残ったリソースを全部与えて、今日はもう寝ます。

ディオスクロイとしての召喚だからか、それとも元からそうなのか、部屋は一つで良いそうです。ベッドは……あ、1つじゃ狭い? そうですよね。二人共結構大きいので仕方ないです。ベッドを運んであげて、はい、解散! 就寝! 朝だー!!

 

もはや、確認するまでもなく、何時ものように何時もと同じだけ賢さと話術と器用さと耐久が上がったのを確認して、藤丸君に喧嘩を売りに行きます。

 

藤丸ー、野球しようぜ!

 

というわけで模擬戦ですが、今回はマシュは様子見ということでお休みさせたいという提案が来ますので、えっちゃんと槍上だけを用いて2VS2での勝負になりました。ナポレオンの解説とシェヘラザードの実況に、マシュも大満足でしょう。

 

2VS2……つまり、こっちはディオスクロイのみです。なんかたんねぇよな? でもマスターの戦力を考えると……いや、どうなんだこれ。

 

まぁ魔力消費の確認という意味では丁度よいですね。

 

はぁい、よーいスタート。

双子VS双子のように顔と声が似ている他人の対決です。

 

同じ戦場程度でしたら、別行動は基本問題ないので任せましょう。えっちゃんはポルクスが、槍上はカストロが凌ぐみたいですね。

 

開幕から魔力放出でえっちゃんがポルクス……ではなく、横を抜いてこっちに来ますね。ちょ、ちょっとまってください!

 

「させません!」

 

すかさずポルクスちゃんも自分自身をセントエルモとすることで、強化してブロックしてます。いやー凄いっすね、でも目に見えてシンドバッド君の魔力が減りますね。

あ、カストロ君も強化されてます。こっちは馬上槍を、その場に踏ん張って受けきってるようです。ラムレイにも蹴られてますがダメージを気にせず切りかかってます。復讐者は傷を受けるほど強くなりますから、理にはかなってますが、こっちの事情も考えてよ。

 

シンドバッドくんも負けじと藤丸君へとダイブをかましましょう……あっぶぇ! 雷撃がとんできました。藤丸君の位置取りが嫌らしいですね。かならずサーヴァントの視界範囲を抜けないと肉薄できないようにしてます。

あーめんどくせ。

 

というわけでカストロ君に加勢する方向に切り替えましょう。

 

「邪魔だ!」

 

兄様許して! そんな文句言わないでくださいよー。ラムレイは一先ず左側面を狙います。槍の稼働域の関係上、回転が入る分避けるモーションが間に合いますので。風を使われても、嵐への加護があるので、今なら一定の耐性があったりします。

槍上への攻撃はほぼ通りませんが、ラムレイならばひるませるくらいは出来ます。騎兵は側面が弱い。古事記にもそう書いてある。

 

そして怯んだ隙に、カストロ君の怒り任せの一撃で槍上を上からの切りつけで抑え込みます。もっと技量使ってほら、ケイローン先生が反対側で泣いてるぞ、星座的に。

 

ポルクスちゃんは、えっちゃんが雷撃で失った一手分のアドを逃さず攻め立ててますね。クレバーで手数が多いしっかりとした戦いです。

 

このまま藤丸くんまで駆け寄って……ってガンド!? それを人間に向けるな!! 当たればビーストも足止めする呪いとか、魔術の概念壊れるぅ!!

流石に魔力不足で、身体能力にデバフがかかってるけど誤差なため回避が……あー……当たってしまいました。コレはゲームセットですね。仕方ないね♂

 

「人間! 貴様のせいで負けたではないか!」

 

「兄様、マスターは兄様を助けようとして」

 

でも、これでわかったことはあります。一先ず宝具を使わせなければ、多少は戦いながら、シンドバッド君も動けます。ですが、これでも結構消耗したので、持久戦は向かないです。

この短時間で既にいっぱいいっぱいに近いですからね。ディオスクロイを戦わせる時は、マスターが前に出すぎて電池切れになるリスクを想定しなくてはいけません。

 

それでも連戦や、敵中突破などは厳しいでしょうが、強敵の抑えをシンドバッドチームでもできる様になったのは、良い収穫でしょう。

 

 

もう、モラトリアムでやることはないですし、日数を進めて、ディオスクロイの好感度を稼ぎつつ、神代というか、全環境でも呼吸できるアイテムだけ貰って出発しましょう。

 

 

それでは、エルサレムに イクゾー!!

 

 

 

 

 

 




グローブが衣服のどの部分を用いられた物かは、被告人黙秘により不明である。


正ヒロイン3人が一言も喋ってませんが、行間ではきっと色々してるはずです。


あと誰か息子のために、オリュンポス姉弟とディオスクロイのスワッピングバトル物のSSか薄い本をかいて下さい。お願いします! カストロ君が何でもしますから!!


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(到着)~(正門)

荒野を行くRTA始まります。

 

設定のぶっ飛び具合なら1番の特異点に到着したところまででした。

まずは初期位置とカルデアとの接続状態の確認です。

 

 

『皆、聞こえるかい? そこが1273年のエルサレム……のハズだね、周囲に特異点の理由らしきものはあるかい?』

 

ロマニの通信は良好であるということは、砂漠ではないです。まあ見ればわかりますが。気温摂氏48度で魔力が枯渇した荒野です。デスバレーも霞む死の荒野ですね、ちょうど特異点の中心に出たようです。これはうま味です。

 

「うん、ロマニ聞こえる。そして……一面大地が燃えてる」

 

「資料ではこの時代のエルサレムにこのような気象状態は確認されてません」

 

『何だって!? すでに広範囲に影響が及んでいる状況だね、でもオケアノス程じゃないか』

 

実際、全部海になってるとかもうわけわかんねぇよ!? ですし。

砂漠なら、水源を探知して貰えばよかったのですが、この荒野ですと、指標になるものがまったくないんですよね。

 

ちなみに本来の特異点の位置的には、シェヘラザードの出身地に近いのですが、ここが既に地理とかもうかなりあやふやになってるため、土地勘系の恩恵は受けられません。ただしキャメロットの王城は作りそのままですので、ベディか槍上いればOKです。

 

「一先ず、周囲を探索しよう」

 

「了解です、マスター」

 

はい、小目標が設定されました。手がかりを探すというくっそアバウトなやつです。

砂漠スタートではないので、大まかに聖都方面に向かいながら村人を探しましょう。なぁに歩いてればそのうち会える。心をなくしたものは水をあげると後で恩返しをしてくれるイベントがありますが、RTA的には基本無意味なので、しっかり処理しましょう。生きてる意味がない人間は札害しましょうねー。

 

「マスター、よろしいでしょうか」

 

移動開始の前に槍上からの割り込みが入りましたね。これはひょっとすると、ひょっとするかも知れませんよ。

 

「根本的な原因かどうかは不明ですが、1つご報告があります」

 

「なに、アルトリア」

 

「この特異点にロンゴミニアドがあります」

 

あ~良いねぇ! これは大幅短縮が期待できますよ。アルトリアランサーズの使うロンゴミニアドは所謂電話の子機のようなものであり、親機は世界の最果てに立っている塔で、その権能を子機の所有者が使えるということですね。

なので、ロンゴミニアドを持っている彼女にはわかったのでしょう。

 

簡単に説明が入り、方針が定まりました。一直線に聖都(ロンゴミニアドのある場所)行きです。途中うろつかなくなった分、困っている山の民を見つけたら必ず助けましょう。

先も言った通り草の根活動は、RTA的にはまず味ではありますが、短縮しすぎて0になると、全く信頼が足りなくて山の民そのものを敵に回すことになる場合もありますので。

 

何よりも厄介なことに、マシュがこの特異点だと人の受けが非常に悪いです。まぁ悪の親玉の軍勢と同じ人種で同じ装備してれば、そうなります。でも顔を見せたことない関係でアルトリア顔は問題なかったりします。これもうわけわかんねぇな?

 

移動はスポーツカー1台と馬1頭です。英霊勢はジョギングか、マシュのように車の上に座ってます。だから高級車の上に鎧をつけたまま座っちゃ、ダメだろ! いや本当に。

 

この特異点で初めて聖都に着くと必ずもうすぐ聖伐と聖罰が行われる所に出くわします。この際にまだルキウスと合流していなければ、此処で合流できます。お得です。

 

「メートル敵だ……匪賊、いや盗賊か? 前方から此方に向かってくるぞ」

 

アーチャーが開けた場所で敵を発見できないわけもなく、どうやら現地人第一号が、心を失った者のようですね。11人で国籍がバラバラで軍属とかっぽいやつも居る集団に襲いかかるとか、心じゃなくて理性と知性がなさすぎますね。

 

さくっと片付けましょう。カストロ、ポルクス任せた。俺はシェヘラザードのミルクでも飲んでまってるから。

 

「人間、貴様何をしている?」

 

「マスター、行きましょう!」

 

やめてくれよぉ……。君らが燃費悪いから省エネモードなんだが?

仕方ないので車から降りて走っていきます。ギリシャ勢なので、勇を見せるのが好感度上げには楽ですので。

 

しかし、接敵前にコレは勝負突くぅ! 感じですね。ナポレオンがずどーんと砲撃落としただけなのに、直ぐに散り散りと逃げ去っていきます。ふん、雑魚が!!

逃げ遅れたやつに攻撃をしにいくのも、この灼熱環境ではスタミナが勿体ないですが、ポーズだけでもしておきましょう。

 

「マスター、何者かが此処に近寄ってきます!!」

 

『すごい魔力反応だ!! こんなサーヴァント見たことがないぞ!?』

 

「遠くに騎兵の、いや騎兵隊の音も聞こえる。この音は重装騎士の集団が来るぞ」

 

見知らぬ反応、重装騎士の集団の報告。第6特異点。何も起こらぬ筈がなく……

来ちゃいますね、ええ。

 

「ああ、私は悲しい……戦闘の音につられて来てみれば……ああ、なんということだ」

 

はい、ギフト円卓騎士です。一人目はトリスタンとの遭遇ですね。実装時はヘイトを尋常無いほど稼いで、あらゆる方面を燃やしてましたが、直後のイベントでギャグ落ちというか、素がギャグキャラ過ぎることがわかったトリさんですが、ここではガチです。

 

獅子王の円卓を獣共の集まりとみた彼は、獣のように礼などを失するように敵も、無抵抗の民衆も、ミスした味方もぶっ殺します。そのためのギフト、後そのための反転? 反転!

その結果、毒では死にません。残念な事に。

 

戦闘方針としては、奴は弓の弦を弾いて音や真空の刃を飛ばして来るので、攻撃を見切るのが非常に困難です。風除けの加護持ってるハサンが何度も技を見てるのに避けられないという、チートぶりです。

 

そのため、耐久に自信がある鯖以外は突っ込ませてはダメです。今のシンドバッドくんなら、急所引きをしなければ案外耐えられますが、無理は良くないでしょう。

なにせ、ギフト円卓は対英雄の対象外なので。それに基礎スペックが跳ね上がっているためにまともにぶつかるときついです。

 

 

ですが、ここで会えたのはまさに僥倖です。さくっと殺して戦力を削いでしまいましょう。シンドバッドくんは側面から攻める粛清騎士をディオスクロイ以外のメンバーと受け持ちます。

 

「シェヘラザード! 皆を守って!」

 

「承知しました」

 

「グレーテ、マタ・ハリ!! 支援を!」

 

「はいはい、マスター」

 

「ミストレス・Cは一緒に撹乱を頼む!」

 

「任せなさい!」

 

ディオスクロイはシンドバッドくんの比較的近くで騎士をガンガン撃破してくれます。こうすれば藤丸パがトリを数で押して戦えます。

 

シンドバッド君の格闘能力はもはや、数打ちの敵であれば全然戦えます。そうなるように育成もしっかりして、ガバのおかげで予定よりも強化が進んでます。

 

粛清騎士の剣士タイプはそのまま鎧の上からぶち抜いてやりましょう。懐に入れば兜に数発当てれば怯むのでOKです。槍はカーミラの犬か銃撃でヘイトがそれた瞬間に近寄って重そうな獲物を弾いてそのまま、弓タイプにぶつけるように吹き飛ばします。

 

勿論魅了で足が止まってる奴らは、壊せるなら壊して、遠いなら放置です。

凄まじい勢いでシンドバッド君の魔力が持ってかれてますが、ディオスクロイは既に周囲の敵の殲滅を終えているようですね。これで安心だぜ。

 

藤丸くんは、トリの攻撃はマシュがマスター警護でしのいでますが、ナポレオンの砲撃と、えっちゃんの強襲と、槍上の突破力を前に優勢ですね。

令呪すら使わずギフト円卓狩れるとは、育成をしっかりしたかいがありますね。

 

 

「マスター!! 伏せて!」

 

「ポルクス!?」

 

ファ!? いきなりポルクスちゃんに引き倒されました。地面がアツゥイ!

かと思えば、直ぐ横を赤白いbiimが横切ってます。あっぶぇ!! 死ぬかと思ったわ。

 

「おい、トリ野郎苦戦してんじゃねぇか。つーか、お前が戦ってるの、敵のアーサー王だろ? それなら当然俺の獲物だよなぁ!?」

 

 

バカ息子が来ちゃいました。これはマズイです、

恐らく開幕宝具の真名解放でぶっ放したようですが、狙いが藤丸くんじゃなくて槍上だったために、直感かなにかで躱してたおかげで此方の被害はなしです。シンドバッド君のやけどを除けば。

 

「おい! 人間いつまでポルクスに掴まっている! 離れろ!」

 

「兄様今は戦闘中です。あの小柄な騎士は我々が抑えねば」

 

「……っ! 仕方あるまい! 征くぞポルクス!」

 

幸いモードレッドは騎士としてはダメダメなので、この特異点では部隊を率いることもなく遊撃していることも多々あります。明確な目的行動をしている限りはそうではないのですが、自分の目的を優先するあまり将として動かないとか……そら、そうなるよ。

 

ともかく、盗賊、円卓、騎士、円卓と初期ラッシュを喰らっている状況ですね、正直円卓のどちらかは倒しきれない事を覚悟する必要があるかも知れません。

 

一先ず、騎士は残りわずかですので、シェヘラザード達に任せて、シンドバッドくんはディオスクロイと共に、こっちにクラレントぶっ放してきたモーさんに向き直ります。シンドバッド君自体は既に攻撃に行くのはリスクが高すぎるのですが、回避行動を取る必要があるので、ターゲットしておきましょう。

 

ディオスクロイへは、兎に角魔力の供給を意識しましょう。ワイバーンが混ざる編成も場合によってはあるのですが、無いようなので仕方がありません。

一先ずロンドンで手に入れていたソウルイーターの肉を喰いましょう。既にゲージはイエローゾーンですので、避けたかったのですが、此処で令呪は最低でもキングハサンまでは3画持っておきたいので。

 

これで多少はましになりました。後はディオスクロイのコンビネーションアタックでモーさんを押し留めて貰えるように戦うだけです。

彼女は暴走のギフト、これにより自身の霊核が臨界になろうと出力を出し切ります。要は自爆技と宝具連打ができるわけですね、いやーキツイっす!

 

幸いというか、調整として多少威力は控えめになってます。それでもマスターがまともにくらうと死ゾです、避ける事を意識しましょう。だから、近づいて視界に入れる必要があったんですね。

 

藤丸くんのトリスタン戦は……あーダメっぽいですね。ウチのサーヴァントが、魅了の切れた粛清騎士相手に苦戦したのをフォローしてもらってます。

トリスタンも防御に徹しつつ、徐々に後退していってます。藤丸君と分断されてしまうと最悪なので、深追いはしないようにしてもらう以上、限界距離があります。

 

なら、せめてこっちはと行きたいですね。シンドバッド、ふんばれ! 死ぬ気で魔力を回すんだ! とりあえずワイバーン肉を喰いながら避けまくれ。

 

 

「突き立て、喰らえ! 十三の牙! 」

 

「オルトリアクター、臨界突破! 我が暗黒の光芒で、素粒子に還れ!」

 

 

って、藤丸くんガチで殺意高くないすか? その2つ同時運用とか、わかってたけど魔力潤沢スギィ! 俺にもちょっと回してくださいよぉ!

 

あ、そっかぁ。シンドバッド君と藤丸君で魔力供給すれば無敵なんじゃ、やっぱりホモじゃないか。

 

おぉう、流石に槍とライトセーバーに削り取られて、トリスタンが死にましたね。いいぞーこれ。今度ハロウィンで会おうな。

 

「ッチ! トリ野郎の役立たずが、これ以上獅子王の戦力を削られるわけには」

 

このまま、モーさんに押し切りたいですが、藤丸君が動けないみたいですし、ナポレオンも砲撃じゃなくて大砲で殴りながら騎士と戦っている以上、こっちには戦力の更新がないですね。

 

「モードレッド卿!! 救援に参りました!!」

 

あ、増援がわきましたね。これがランスロットだったら流石にやばいですが、唯の粛清騎士の一団のようです。

 

「おう、良いところに来たなぁ。俺は聖都で獅子王に報告しなきゃなんねぇ! どうせ軍隊は死ぬんだ、派手にぶつかってけ」

 

逃げられますね。

喧嘩売りに飛び込んできて、成果出せずに逃げ帰るとか恥ずかしくないの? (煽り)

 

「うるせぇ!! 砂の連中との戦いの前にトリスタンが王の許可なしに死んだんだ、そのままにすると王を煩わせちまう」

 

こいつ、本当にモードレッドか? ていう位INTが高いですが、まぁこの特異点ですと、結構騎士としての自分の在り方を守っているのでこんなものでしょう。

 

しかたないので、ディオスクロイに……数相手は苦手ですが、仕方ないです。

 

 

「俺が突っ込むからフォロー頼む!」

 

「はい、守護します!」

 

 

ポルクスちゃんの近くで戦いましょう。やばかったらなんとかしてくれます。とりあえず1撃でももらうと昏倒しかねないので、回避重点です。

細かくステップを踏んで避けつつ、柔らかく身体を曲げて潜り込ませるように懐に入り、肘鉄を心臓に向けて打ち込みます。格闘術も如実に上がってますね。

 

「人間! 魔力をもっと寄越せ!」

 

無理ですぅ! せめてワイバーンがいたらシンドバッドくんの宝具を真名解放して魔力として食べるのですが、此処は人間の敵しかいません。人間を食ってるのをハサンに見られるとか、最悪の中の最悪なので、やめようね!

 

「ッく! ならば俺が出る! ポルクスの玉体に傷でも付かぬよう、二人で後ろに控えていろ」

 

実際、そろそろ限界が近いですのでそうしたいのですが、数がキツイです。だが、間に合いました。

 

「男しかいないのが不満だけど、仕方ないわね」

 

「シンドバッドさん、掴まってください!」

 

テスタロッサが此処まで突っ込んできました。騎士を弾き飛ばしながら。マシュを助手席に乗せてるので入れ替わるように乗り込みます。

 

これで安心だぜ!

 

 

なお、マスター2名とも魔力不足に陥っている模様。まあ敵は処理できましたので、移動しながら回復を待って、聖都に行きましょう。

 

ヨシ! あら方片付きましたな。

 

『皆、急いでその場を離れるんだ!! 凄まじい魔力が上空から降ってくるぞ! 普通の宝具の1万倍以上の馬鹿げた出力だ!!』

 

 

 

あぁぁ!!! もうやだぁあああ!!

 

これは、獅子王のロンゴミニアドによる粛清の光です。一定時間戦闘を同じ場所でしてたりすると降ってきます。対抗手段は覚醒マシュの宝具+防御か回復宝具、またはステラで相殺です。

 

東の隠れ村はトリスタンが場所を確認して、それを報告して半日たってから落ちたこともあり、獅子王に情報が届いた判定で強制移動をしなくてはならないというものです。

 

幸いなことに、通信があってからカーミラと槍上の機動力でなら十分退避は出来ます。戦闘中の場合? ナオキです。

 

藤丸くんは今回馬に乗れるコンディションじゃないほど魔力消費してるので、テスタロッサに乗せましょう。

 

騎士は放置してスタコラサッサです。

 

「まさか……いや、そんな事が」

 

なんか槍上が意味ありげなセリフを言ってますが、藤丸君もシンドバッドくんも魔力消費でグロッキーなので、話が続きません。

 

『よし、そこまでくれば大丈夫だ、一応衝撃に備えてくれ』

 

はい、遥か後方に着弾。見事にクレーターが出来ます。これのせいで砂漠以外はのんびり戦闘ができないのが厳しいんですよね。罠を張って円卓を釣りだして各個撃破みたいなことをさせないためのフェールデッドリーでしょうけどね。

 

しかし、収穫は十分です。トリスタンの撃破に、獅子王というワード、異常強化されたサーヴァント。後は聖都正門でガウェインの『今から皆様に試練を与えましょう』が終われば、円卓サイドの情報収集は終了といえます。

 

順調な滑り出しですね。

 

 

「マスター、マシュ、シンドバッド、聞いて下さい。この特異点私はお力になれないかも知れません」

 

は?(威圧)

 

「あの光はロンゴミニアド。私の宝具を解放したものです。あれが敵によるものであれば」

 

ちょ、ちょまって、カメラ止めて下さい!

 

「この槍を目印に打ち込まれた可能性があります。カルデアに帰還させることもご検討下さい」

 

 

あああああああああああああああ!!!!!!!

なんだよそれ! アイフ●ンを探す感覚で、ロンゴミニアドサーチとか反則じゃねええかぁ!

 

ちょっと、王様、マズイですよ!

 

冷静に考えましょう。

まず槍上は来てすぐにロンゴミニアドを察知していた以上そういう仕様ではあるのでしょう。槍上は、メイド上や弓上と違って単独行動は持ってません。

 

マスター無しではないため、単純に距離を明けると、戦闘は出来ないがその場にいることはできるでしょう。

 

あれ? 逆に言うとラムレイでずっと走り回ってもらえば、無茶苦茶いい囮になるんじゃね?

 

「……だめだ、アルトリアは大切な仲間だ。死ねなんて命令も殺すことも出来ない」

 

そうだよ。それに砂漠に行けば観測されなくなりますし、直ぐ帰るのは勿体ないです。

 

「今はそのロンゴミニアドの方に行こう。それから考えよう。ちょうどあの光の跳んできた方向だ」

 

よう言うた! それでこそ男や!

 

本当に常に捕捉されているかも怪しいですし、獅子王結構普通に寝てばっかだし、なんとかなるでしょ、ヘーキヘーキ! 最悪どうにかなる方法はありますからね。

 

 

というわけで、正門へイクゾー! デッデッデデデデ!

 

 




円卓野郎勢は、ガウェインが好きです。
話が合いそうな気がします。CCCの頃から。


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(聖抜)~(砦潜入)

全然関係ないんですけど、思い出したので。

以前私は妹と6章の舞台を最前席で観劇できたんですよ。
終わった後、公演中に外れたのかダ・ウィンチちゃんのネックレスの紅い宝石が足元に落ちてたんですよね。
それを見た衣装自作するレイヤーの妹が、一通り眺めて裏側とかも見てなるほどと言ってから係員に返したんです。

どうしたのか聞くと、
「おおよその衣装の素材や調達先と予算感、どこに力入れているのか。そういうのが何となくわかった」
とのことで。その時思ったのが。

やっぱり型月的に魔術師の身体を構成する物を他人に解析されると、ダメってことですね。

お前のことだよソロモン王。


敵はキャメロットにあるRTA始まります。

 

 

 

前回は、トリスタンを撃破して、モ卿を多少損耗させて、ロンゴミニアドが降ってきたところまででした。盛り沢山すぎぃ!

 

一先ず現在あれからゲーム内日数的に、数日が経過して正門の近くまで来ております。魔力リソースは1戦闘分くらいは回復してます。寝て起きて全回復とはいかなくとも回復できるって、ゲームみたいだな。

 

第5から第6特異点までは比較的タイムスケジュールにも余裕があるので、修復が進んで、カルデアからの魔力も安定してきたのでしょうか? そんなの関係なく藤丸君が強くなってる説。宝具2連打ならぬ同時発射はおっぱ おっぱげた。

 

ともかく、現状検討するべきは獅子王が槍上をロンゴミニアドを探すぞォ〜! でこっちの居場所を探せているかどうかですね。

一応あの後追撃がないので、もしかしたら、宝具を打って出力を上げたことで感知されたかもしれません。

 

そうだと言ってほしいですね。お願いします!

 

 

さて、間もなく到着したら聖抜です。その間にこの特異点をおさらいがてら、説明しよう!

 

この時代の歴史は、いろいろな思惑が重なって十字軍によって聖地奪還をしようとする本来の動きですが。その十字軍が内輪もめの結果撤退せずにいつまでも残るというのが魔術王の狙いでした。死霊化した十字軍が支配する聖地を奪還するとか、色々問題ありすぎない?

 

しかし、聖杯からオジマンディアスを召喚してしまい、聖杯ごとぶんどられます。バーサクサーヴァントになるほど器が小さくなかったということですね、マルタとポルクスはダメでしたが。さすが最も偉大なファラオ!

 

そして、自身が召喚されたということは、エジプトが召喚されたということで、砂の領地というよりもエジプトの多くの時代をオアシスごと召喚してます。は? 反則すぎやろ。

 

そして、十字軍はどこからともなくやってきた獅子王の円卓とぶつかります。それなりに強かったようですが、円卓側が1名の犠牲のみにより撃破されました。

ぶんどったエルサレムの上に、ロンゴミニアドの殻で覆ったキャメロットを呼び出して、1週間にいっぺんくらい、現地民を集めて、聖抜します!! と宣言。

これにより、死の荒野ではなく最高の都で働いて幸せに生活できます。ということですね。

 

まぁ実際には秩序・善以外の人間は保管するに値しないと、はじいて。残りは魔術王に殺されるのかわいそう、人類かわいそう、殺そう。となり殺してるわけです。

 

やっぱり女神というのはクソ、クソですよ! クソ!

 

 

この聖抜の責任者は、正門の守護神、不夜のガウェイン。日中3倍のガウェインが常に日中状態で襲い掛かるという悪夢です。所謂みんなのトラウマ枠ですね。助けてギリシャの女神様!

 

まぁともかく既に夜中ですが、間もなく聖抜が開始されます。正門の近くにきたら、鯖は霊体化してもらい、テキトーにはぎ取ってきた襤布でもかぶって、避難民に紛れ込みましょう。

周囲を粛清騎士に囲まれますが、大丈夫、ヘーキヘーキ。どーせぶっ飛ばすので関係ないです、簡単だから。騎士勲章置いてけ。

 

 

『な、なんだ凄まじい魔力反応!』

 

「え? 俺寝過ごしてた!?」

 

「いえ、マスター、違います一瞬で昼になりました!?」

 

 

ということで、急にサンライズどころではなくお昼になりました。聖抜スタートです!

 

 

「マスター! 城壁の上を、あれは……」

 

「あの槍は!」

 

「やはり、城壁の上にいるのは、私のようです」

 

 

ほんま、アルトリアはこれだから。人理を守るより人理を滅ぼそうとする回数が多いとか、恥ずかしくないのかよ。

 

 

さて今回は……まぁ今日は聖抜、当日ですけどもぉ。えーとですね、まぁ集合場所の、聖都キャメロット正門に行ってきたんですけども。合格者は1人も付近にいませんでしたぁ。

 

茶番はおいておくとして、全体では3名。あ、サリアさんやん。呪腕さんの元カノの。初回だからメンツ確定ということですね。

 

獅子王による選別が終わりますと、選別された人は連行され残りは殺されます。まずは混乱させないように、対象者の確保に騎士がきます。

 

 

「あれに紛れて入れないか?」

 

「やってみましょう」

 

とこんな感じで正門にガンガン近づいていくので、ついていきましょう。

 

あ、粛清騎士が戦闘態勢に入りましたね。って、獅子王さんがまだ帰ってないで、こっちを指さしてるんですけど。

 

「ガウェイン卿、あそこだ。隠しているようだが近くに来れば分かる」

 

「承知いたしました、我が王よ。そこの者ども! 止まりなさい! 」

 

あ、これはまずいですよ! 一直線に太陽ゴリラが来てますし、外側では、粛清騎士による聖罰が始まってます。まさに地獄絵図です。

 

 

「我らの王、獅子王の命により! そこにいる不届き者を排除するのです!」

 

「先輩!周囲を囲まれてます、それよりも」

 

「皆どこにも行く場所がなくて逃げてきたのに、それを殺すなんて!!」

 

 

一先ずこちらは戦闘は問題ないほどには回復してます。できますが、状況がまずいですね。

 

シンドバッド君は外側に走っていきましょう。粛清騎士相手ならば、十分戦えます。

 

「リツカ! 退路を作る」

 

「わかった、マシュ、敵が来るぞ!」

 

「は、はい、ですが」

 

そして、この特異点のマシュは精神的デバフがかかってます。円卓に対して戦う覚悟を決めるまでは、防御はともかく、攻撃に関してはかなり消極的になります。

 

それでもガウェイン(昼)は強敵ですが、槍上とえっちゃんとナポレオンがいれば 十分に戦えます。

 

此処は任せてシンドバッド君は、とにかく避難民を逃がします。適当に外に逃がせば良い囮になります。

市民ユニットは広範囲に散らばさせるのは基本です。守る義務がないならですが。

 

粛清騎士自体は、とにかく魅了! 魅了! 魅了! で、押していきます。ディオスクロイよりも、マタ・ハリ&シェヘラザードに魔力を回していきましょう。二人ともこのアクションに関しては省エネタイプなのでそんなにきつくないです。

 

「ミストレス・C! 回り込むぞ! 皆乗れ!」

 

難民集団を追い越したら、カーミラに車を出してもらい、包囲網の側面から突っ込みます。

 

「二人は俺を守って!」

 

ディオスクロイは近くの敵や、飛んできた矢を切り落としてくれるオプション感覚です。とにかく戦場を広く持たせて。騎士を混乱させていきましょう。

 

作戦というか戦略は、兎にも角にも敵の戦線に負担をかけるのが先決です。

 

『シンドバッド君大変だ! こことは別の地点でも誰かが戦ってるんだけど、そこに目掛けて、敵サーヴァントが接近してる! ギフトとか言ってたすごい力のサーヴァントだ!』

 

 

え、なにこのラッシュ。

 

円卓の戦力はギフトを持ってないあっくんを除くと。

ゴリラ、トリ、ヒトヅマニアという野郎3人と、モ卿で4人しかいなかったりします。残り3人で1人は撃退、1人は負傷ということは

 

「遊撃騎士ランスロット、遅参した!! 獅子王の聖抜を乱す賊め、成敗してくれる!」

 

ああ、きたよ。剣の技量以外まるでダメな男こと、ランスロット卿です。

 

獅子王に新しく仕えられてうっきうっきですが、ナチュラルに裏切ったり、美女をコレクションしたり、見当違いな因縁をつけて、自分の分も働いてる同僚を闇討ちしたりと。

トリとは別の意味でこいつはダメだと思われたやつです。狂ってる方が評価が高いことからもう察せますね。

 

 

そんなランスロットが襲い掛かってるのは、われらがベディヴィエール卿です。

 

こっそり聖抜に紛れて聖都に不法侵入ですよ! 不法侵入! を狙ってましたが。

殺される民を見て(見ぬふりをしてたけど、少年少女が立ち上がってるのを見て恥ずかしくなり)剣を取ったいいヤツです。

 

こんなかわいい顔してるけど、187cmあるガタイの良い大男だったりします。通常の騎士の3倍の能力を誇る騎士であり、この特異点のヒロインです。誰が何と言おうとこの章のヒロインです。いいね。

 

ともかく、加勢して時間を稼ぎます。既に西側から東側までぐるっと側面をなめるように移動した結果、騎士の半数以上が混乱して、散り散りと難民が逃げて混乱してます。

 

ディオスクロイで切り結んでもいいですが、ここはまず

 

「マタ・ハリ! シェヘラザード!」

 

ということで、マタハリは宝具、シェヘラザードは魅了してもらいます。

 

「私という女に、溺れてちょうだぁい。陽の眼を持つ女!」

 

はい、とった!! ランスロットは魅了が効きます。人妻からの物であれば、ほぼ確実に効きます。使命よりも女を、人の物を取った騎士の逸話ですし、おすし。

 

「飛び乗れよ!」

 

「ッ! ありがとうございます!」

 

というわけで、ベディを回収します。

彼はサーヴァント反応はあるのに、なぜか霊体化もできないので、車に飛び乗ってもらいます。なんでですかねぇ?(すっとぼけ)

 

そして、このまま中央を突っ切って藤丸君を拾いに行きましょう。

ランスロットというかギフト円卓2体と、増援の可能性があり、周囲の人間を守りながら騎士に囲まれて戦うとか無理です。

 

ああ、そして流石太陽ゴリラ。数の優位で押しているのに、全く勝ち切れてません。

いやまぁ3倍ということは、雑に全能力に++がついてるわけで、尋常じゃないのは事実です。

実際彼と相性がいいのはベディ曰く、技量で受け流すタイプでランスロットだと。3倍でも夜まで耐えるほどの技量で最後には勝てるということでした。

 

翻って藤丸君の編成は、技量よりも出力でぶん殴るタイプが多い為、相性が悪いでしょう。というか、技量特化がうちのポルクスちゃんしかいないって脳筋集団じゃねーか(いまさら)

 

ですがこのまま勢いをつけて突っ込めば、

 

「カストロ! ポルクス!」

 

「指図するな! 人間!」

 

「兄さま、ここは合わせてください!」

 

「っぐ! 新手! 」

 

横からの奇襲。いや本当騎兵の基本にして奥義の運用です。ナポレオンに教わったのでしょう。騎兵要素も軍団要素も無いですが、気にしない。

 

太陽ゴリラを双子剣で縛った後、それで少しでも押しとどめて、車の質量で吹っ飛ばします。あぁ、もう傷と凹みばっかだよ。

 

そして怯んだ隙に、逃げるんだよぉおお!

 

『立香君! 此処は撤退だ! 難民の皆も守れなくなるぞ!』

 

「わかってる!! 」

 

正門から離れる指示を受けてないガウェインと、遠征から戻ったばかりで馬が消耗しているランスロットですので、十分逃げ切れます。獅子王はボスなのでとっとと帰ってます。神特有の慢心。

 

ええ、逃げ切れますが、こちらの消耗も深刻です。

 

シンドバッド君は宝具まで撃ったのでもうほぼガス欠。数日休まないと戦えません。藤丸君の方も厳しそうですし、マシュも精神的に弱ってます。

なんとか安全なところまで逃げ続けると、

 

「あ、周囲が暗くなりましたね」

 

はい、昼から夜に戻るので、もう大丈夫です。エリアが異なる判定です。本来なら粛清騎士の追撃がありますが、十分以上にかく乱できたので、それもない感じですね。

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、ご決断を」

 

そしてリザルト確認している間に唐突に始まる評決である。ほら!ラブアンドピース!みんな!愛だよ愛! やめましょうよ! こんな事!

 

「ガウェイン卿が言ってましたね。獅子王は、その槍に価値は見出してないが力を振るえば、そこにいつでも裁きを落とせると」

 

あぁやっぱり、近づくことと出力を上げるのがトリガーになってるんですね。となると

ハサンの隠れ村に行くのはやめた方が良いですね。

まぁ普通に考えれば、そもそも敵の発言ですし、ブラフの可能性はありますが。女神に限ってそれはないか。

 

現在この避難民と共に、移動しているわけですが。戦闘結果を読んでる裏でベディが驚いて泣き出すイベントがあったり、色々ありましたが、適当に倍速してました。

 

そんな彼の口八丁で、山の村まで案内してほしい、代わりに守護ってやると、用心棒ムーブで同行してますが、槍上の離脱が必要な場合キッツいっすね。

 

「霊体化しても、同じ場所にいれば察知される可能性があります。お側にいることはできません」

 

「それならどっかで一旦待機しててくれれば」

 

「離れれば魔力の消費も大きくなります。数日に1度はマスターの近くで休む必要があります。そしてこの特異点は中々に大きい、数日で終わるとは思えません」

 

 

議論が白熱してますね、足を引っ張りたくない槍上と、味方を見捨てられない藤丸くんの対立ですね。

 

────どちらに味方しよう

・王様には帰ってもらう

・どうにかできないか考える

 

うーん仕方ないですね。これは本当は使いたくなかったのですが、手札の切り所さんですね。

本来はハサンの足りない好感度稼ぎ用のアイテムですが、正直ハサンと協力できるより、槍上の方が戦力としての価値は大きいです。

 

なにせ最低限情報さえくれれば、ハサンはどうにでもなりますので。

 

 

「シェヘラザード、ジゥデルの魔法の袋を出してくれるか?」

 

「可能です。それならばあるいは、ですが……」

 

『そうか、無限に食べ物の出る袋なら!』

 

 

サーヴァントは気休め程度ではありますが、食事で魔力を回復できます。戦闘では本当に気休め程度の足しですが、魔力消費をしない待機時であれば、食事も案外馬鹿にできないリソースです。

 

このジゥデルの魔法の袋を使えば、食料を拠出することができます、できますが……

 

『だが、シェヘラザードの宝具というより固有結界で出したものだ。その魔力消費は彼女が、ひいてはシンドバッド君が負担することになる』

 

はい、これは無限に食料を、魔力の限りだすというものです。飽くまでお話による再現なので、込めた魔力によります。そうじゃなきゃ本当になんでも出せちゃいますからねぇ。

 

ただ、シェヘラザードのお話は、語り手から離れても効果は変わりません。エミヤの投影と同じですね、固有結界由来の物ですから。世界を騙すほどの語り手EXは伊達じゃないです。

 

要するに、袋から食料を出す時だけ、魔力が持って行かれます。

距離によるロスはないですが、これでシンドバッド君の魔力負担が増えることになります。しかも変換効率はビックリするほど悪いです。

 

本来は、ハサンにこれを分け与える、しかも(教派は兎も角)宗教が同じシェヘラザードとそのマスター(肌の色も近い)で信用を得る予定だったのですが、仕方ありません。

 

 

「マスターこれで確かに私を留めることはできるでしょう。しかしそれは」

 

「いいって、王様。あんたがいないとリツカが困るなら、こうするべきだ」

 

 

そうだよ。実際決戦の時に素早く本拠地に肉薄できないと、弓矢とか裁きとかが怖すぎるので。元々作戦は機動力前提の動きですので、それができないのはこのカルデアの戦闘特化したメンツばかりでは厳しいです。

 

ヘラクレスとかギルガメッシュとかいれば、力技で正門をぶち抜くこともできたのでしょうけど、このメンバーでは厳しいです。

 

と、いうわけで

 

 

「シンドバッド、あなたに感謝を」

 

「無事に生きて帰ってきてくれよ、王様」

 

「アルトリア、気をつけてね」

 

槍上からの好感度がググーンっと上がりました。これ行動を評価されてるというより、食べ物渡したことの比重が大きいのでは?

 

「我が……いえ、王よ」

 

「ベディヴィエール卿、貴公の会うべき王と、返すべきものは私にはない。だが、その忠義は褒められるべきものだ。胸を張って歩むがよい」

 

「もったいなきお言葉です、王よ」

 

 

というわけで、槍上離脱、地味にベディの秘密全部看破してるけど、まあ仕方ないですね。

 

槍上はあくまで槍をメインウェポンにした結果、カリバーの加護を抜いて、体が成長というより変質していったIFです。

だけれど、最後は人間のまま終われたアーサー王なので、死後はアヴァロンに行ってるわけです。ですがだからこそ、槍の危険性及び『そうならなかった』可能性も想定しやすいのでしょう。

 

そう、このベディは聖剣を返せないまま1500年さまよって、擦り切れてしまい生きながら石になっていました。それをマーリンが今更力を貸して、アガートラム(大嘘)を装備して獅子王に会いに来ています。

 

いや本当、獅子王が悪事を働く前に、ちょいと千里眼使って会わせる事もできたのに、これだからグランドろくでなしは。もっと言えば放浪している時にどうにでも出来たろ。いや送り出したマーリンは別並行宇宙のマーリンですけど。

 

アサシンやランサーとまではいかないが、キャスターにもアーチャーレベルの格を持ってほしいものですね、グランド。

 

 

兎も角、べディと一緒に村までの護送を完了、地味に道中のワイバーンを殴り倒して、食料にして、周囲に配ってます。

まぁベディはゲイザー飯とか始めてるし、うん。難民の方にはワイバーンの方がおいしかったそうです。

 

不毛な砂漠の近くに住む民族にまずい飯扱いされるブリテンの食文化とは、500年前(ブーディカの頃)には美味しい料理があったが、全て潰えているという残酷さ。

 

 

「待たれよ、貴様らは何者か」

 

ということで呪腕のハサンさんが来ます。彼は目的地の村の守護をしている方で、なんと、この時代のハサンです。第2特異点のネロと同じですね。厳密には英霊のようですが、なんか終わった後残るとか、かと思えば食事ができない身体だとか。うん、やめましょう。

 

この特異点には多くのハサンが召喚されており、ハサンたちは、多くの隠れ村をそれぞれが守護しつつ、力をためている状況です。

 

3勢力の中では飛びぬけて貧弱ですが、情報収集能力に関しては実は群を抜いてます。土地勘+民衆の協力+暗殺者集団という完璧な理由ですね。

 

ここまでの行動次第によっては敵対はなくとも戦闘の1,2回はあるかと思いますが

 

「実のところ、貴方がたの活躍は見させてもらっている。円卓の騎士、その中でもあの悪逆トリスタンを討ち取ってくれたこと、誠に感謝する。かの者に葬られた同胞は多い」

 

ありゃ、好感度は問題なさそうですね。善行を小さく積み上げるより、敵の首を持ってきた方が早いのはわかりやすくて、はい、いいですね。

 

というわけで、問題なく入村。何もない村でギリギリで生きている状況で、狩りをサーヴァントの力でしてやっと回るのに。

その状況で50人の難民を受け入れるとか、戒律がしっかりともいえますが、根本が善のものの集まりですね。

こういう所はこっちの宗教の方が良い面はありますよね。

 

まぁ、聖地の取り合いは、原作厨とアニメ厨と映画厨の意見の食い違いみたいなものですからね、はい。

 

 

というわけで村でこの特異点最大の火力を持つ味方鯖、大英雄アーラシュさんと合流です。

 

「よう、アンタらがカルデアのマスターか、へー、ほー」

 

この気さくでちょっとだけみすぼらしい装備の兄ちゃんこそ、この周辺地域ではもう、大英雄のアーラシュです。(二度目)

 

実際、英霊が本名名乗って、同名の別人扱いされるギャグとかできる程度には、偉大な名前です。

 

彼も困っているハサンというか村の人のために協力しているという心優しき鯖です。

 

ハサン的にも受け入れやすい人選だったのか、他のハサンとも別に敵対している様子はないです。

「この特異点で出会った、わが最大の盟友」とかいわれます、異教徒なのに。

 

さて、ここで情報を交換するフェイズです。ハサンにこの特異点の勢力図を聞いていきましょう。

 

本来はここで1週間ほどかけて消耗した体を休めるという必要があったのですが、その筆頭のベディも消耗が全然少ないので2日程度で十分でしょう。本日は寝て、明日は軽く肉を集めて出発の予定です。

 

しかしシンドバッド君の魔力消費が何もしないで、本当にギリギリ回復程度で釣り合ってるんですが、かなり絞り取られてますね。

あの槍上ずっとハンバーガー食べたりしてないっすよね? フィッシュアンドチップスもアウトだぞ。

 

 

そしてここでの情報交換により、十字軍関連の流れと、ファラオ関連の話も聞けます。あ、いいですね。はい。

これにより目的にファラオに会いに行くも追加されます。

 

本当は、開幕ファラオに合って、戦闘を申し込むのが一番楽です。あのタイミングだと 『オ/ジマンディアス』になっているので。

何と初代様が首をはねて、天命の時期を乱数調整してくれてたんですよね。

 

「貴方がたの力を見込んで、どうしても頼みたいことがございます」

 

ん? これはイベントですかね。

 

「ハサンの1名が敵に捕らわれておる。それを助け出してほしい。その見返りとして、我らを……いや、我らの戦力をお貸ししよう」

 

おぉ、これはいいですね。静謐のハサンちゃんを助けて、ついでに三蔵ちゃんと藤太も近くにいるので可能ならば回収して。

戻ったら、初代様のお力も得られるとか、最高ですね。先にこれをこなして、戦力固めてから、砂漠に殴り込みに行きましょう。

 

ということで、さっさと就寝。この特異点も家でしっかり休んで夜が経過し回復させることができます。

 

本来肉集めの予定ですが、此方の戦力に余裕があり、大英雄アーラシュが残ってくれるようです。それならば肉集めもいらないですね。

 

ハサン先生が同行するとのことで、昼頃にはもう出発です。消耗がのこってますが、道中多少回復するし誤差だよ誤差。

 

移動中暇なので、ここで現状を総括して振り返りたいと歩もいます。

 

このRTAの目的です。

今更感はありますが、そろそろ完走も見えてきましたのでおさらいです。

条件は2つ、1つはキャラビルの方向なので割愛、

もう1つの条件称号『自慢の拳』の取得です。

 

実は、既にこれ、既に獲得直前です。

多分7章に行く前か、7章開始直後には達成できるでしょう。ああ、やっと無駄戦闘が終わるんやなって。

 

なので、今後は完走、つまりタイマーストップポイントです。

 

それはずばり、ラスボスを倒したところではなく、その後皆で逃げて、藤丸君が終局特異点を脱出し、画面表示が真っ白になったら。そこが計測終了となります。

 

要するにゲーの字を倒して、逃げ切るまでというわけですね。といっても終局はイベント戦闘ばかりで、タイムには大きな差がないのですが。それは飽くまでしっかり現地の鯖と仲良くなってきた場合です。それが足りないと地獄のフルマラソンをする羽目になります。

一応現状可以上になるようにしてますが、後は本当に最後の審判を待つだけです。ぶるっちゃうよ。

 

ともかく、今後はシンドバッド君は戦闘するよりも、タァイムを優先していく所存ですということですね。

 

そうこうしているうちに、静謐ちゃんが囚われている砦近くに到着。

 

「む、戦闘中のようですな、この隙に侵入してしまいましょう」

 

この砦は、恐らくこの特異点で最も不幸な場所です。上司がクズで、襲撃に2度もあい、味方に仲間を殺され、飯がまずく、最終的に切り捨てられる事が確定してます。大丈夫? O-人事する?

 

円卓のそういう所が、ブリテンの崩壊を招いたんやなーって。

 

ともかく、攪乱がきいているのならば好都合です、裏手の外壁を飛び乗りましょう。

ここで足を残す意味でカーミラ。室内戦闘に向かないナポレオンの単独行動コンビは、万一のために外に残ってもらいます。そこに咥えて近接戦闘が出来て、マスター不要のベディヴィエールも待機です。

 

スムーズに逃げる、円卓がPOPした時対策、攪乱、保険。用途は色々で、万能ねぎよりも万能な活躍が期待できます。

 

というわけで突入メンバーは、ワシ、シェヘラザード(鍵開け)、マタ・ハリ(諜報)、ディオスクロイ(荒事)、藤丸(主人公)、マシュ(毒対策)、えっちゃん(略奪)、ハサン(全員のフォロー)です。

 

音を立てずに城壁に上る為、ポルクスちゃんがマタ・ハリをかかえて、シンドバッド君がシェヘラザードを抱えて、ハサンが藤丸君を抱えて飛びます。ちょっと、待って! なんかおかしくない。まま、ええわ。

 

潜入成功、地下を目指しましょう。えっちゃんは食料を襲撃しに行って、2重撹乱をしてもらえますが、確保の目処が立ったのと。ディオスクロイとマシュしかガチンコできないのは魔力と火力がきついので、キャンセルだ。

 

ハサンさんの導きのまま進んでいくと、怨霊エネミーとかが出てきま……

 

「えーいっ!」

 

「しぇーい!」

 

したが、消えました。サラバダー。

 

 

そして合流できました。なるほど、捕まる前で、逸れる前だったというわけですね。

 

「お師さん!! お師さん!!」

 

「ほら、トータ見なさい。私の溢れんばかりの徳の高さでいきなり弟子入りよ」

 

「いやいや、俺は弟子では、ああまあいい。俺は俵藤太よ。そこな玄奘三蔵法師の元にいる」

 

()()()()()()!() あたしは玄奘三蔵! 御仏の導きによりここを旅してるの! こっちは()()()()のトータよ」

 

ということで、戦力ゲットだぜ。三蔵ちゃんは最終決戦において、消耗品の聖都の門の鍵です。大事に使いましょう。

 

藤太君は世界中の王がドラフトで配下を決めるなら、満場一致で1位指名されるでしょう。そんなスペックの弓兵です。彼がいれば多分ブリテン滅ばなかった説ありますねぇ。尋常じゃない宝具を持っています。

 

「はじめまして、俺は藤丸立香、カルデアのマスターだ」

 

「そのサーヴァントのマシュ・キリエライトです」

 

「……マスターのシンドバッドだ、うん……そうだ、宜しくな! 二人共!」

 

ともかく、行きがけの駄賃で合流したのならば、静謐ちゃんも一気に回収に行きましょう。最深部にいますので。

 

「この部屋ですな」

 

でも直ぐに近づくとやばいので、藤丸君に鍵を開けに行ってもらいましょう。彼女は鎖で縛られて、地下牢で拷問を受けてました、対魔忍みたいに! 対魔忍みたいに!

 

なお、触ったら竿役が死ぬ模様。

 

 

「今解くから、少し待ってて」

 

藤丸君がto loveるイベントを起こしている間に、三蔵ちゃんと適当に情報交換でもしておきましょう。

 

「お師さ……三蔵法師は、砂漠に入ったのか?」

 

「弟子入り希望なら遠慮しなくてもいいわ! ええ、見てきたの……砂漠の向こう側までね」

 

友好的なようでなによりですね、ええ。さすがに記憶の引継ぎはしてないので、最初から好感度激高みたいなのはないですが、十分です。

彼女は秩序・善なので、何ならロンの中に入れる魂ですし。

 

「シンドバッド、他にも仲間はいるのか?」

 

「ああ、外に何人か」

 

「あちらの立香といい、お前といい、多くのサーヴァントを従える将の器なのだな」

 

藤太君も基本的には非常に友好的です、目の前で人間を食ったり、おにぎりを踏みつぶしたりしなければOKです。

 

さて、藤丸君が毒無効をつかい何でも毒殺しちゃう系ヒロインにフラグ立てた所で、急いで戻りましょう。

 

「急いで東の村に戻りましょうぞ」

 

ほら、先生もそういってるぞ。というわけで、東の村へ。そしたら砂漠へとんぼ返りです。立地的には此処からのほうが近いですが仕方ないでしょう。帰るまでが依頼なので。

 

「それにしても、ここ数日は光が降ってきませんなぁ。だいぶ遠方の方にのみ降っている様子です」

 

槍上これは本気で囮してますね。そんなことしなくていいから(良心) 俺の魔力回路壊れちまうよ!

 

いやまぁ、不意打ちロン! で役満当てられて跳ぶよりずっとましですけどね。

 

 

というわけで、帰りましょう!

 

 

 

 

 

 




なんでこんなに書いてもエジプト領にはいってないの……RTA風小説なのに、おかしい。

魔法の絨毯の時も書きましたが、シェヘラザードの語りは魔力消費に難がある、アヴィ・ケプロン先生と同じ系統に勝手にしました。そうでもしないと、本当になんでもできるんですよ、この人。ご了承下さい。



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(エジプト)~(修復完了)

RTAなんだから終盤になれば戦力に余裕がてくるのは、仕様です。
そして最終局面で運ゲーするのもね。


ファラオがピラミッドを落とすRTA 始まります。

 

東の村に戻ってきましたが、誰かいますね。

 

「ようやく着いたか、呪腕の、そして静謐のも無事のようだな」

 

「百貌の! なぜここに」

 

「煙酔のから聞いてな、奴も今こそ一致団結するときだとのことで。聖都に最も近いこの村で合議を開くつもりのようだ」

 

 

おーハサン達生きてるんすね。

 

「藤丸殿、シンドバッド殿、ご助力ありがとうございます。報酬通り、我らハサン。全力であなた達をキャメロットまで送り届けましょう」

 

うん、じゃあ早くキングの処に行きたいんすけど。報酬をくれよなーたのむよー。

 

「えぇ、ですから。我らが戦力になると」

 

は? そんなんじゃ戦力になんねぇよ(暴言)

 

「ご協力いただけるのは、全てのハサンなのですか?」

 

あ、ベディヴィエール卿、そうか君は知ってるっすよね、言ってしまいなさい。

 

「この地に召喚され、今も残る16のハサン、および私、歴代全てのハサンの全員が力になります」

 

「……それは、初代の山の翁という方もですか?」

 

 

はい、ベディは困ったら初代に会うようにねとグランドクズ野郎から聞いてます。よくやったぞ、クズ。

 

「なにぃ! 貴様どこでそれを!!」

 

とまぁ、そらこうなるわな。でも情報『初代山の翁』も手に入りましたので、ひとまずはOkです。

 

「戦力が増えるのはありがたいけど、無理にとは言えないよ、戦う気がない人は巻き込めない」

 

「はい、先輩、その通りですね」

 

ほら、いい子ちゃんペアは妙な勘違いをしてますが、これでいいです。

 

「あんたらが決めてくれ、どのみち、エジプトの方に行かないといけない。獅子王には聖杯はなかった」

 

とまぁ、こんな感じで、ハサン会議で初代の力を借りるかどうか検討してもらいながら、その間にファラオに会いに行きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはりエジプトですか、私も同行しましょう」

 

アルトリア院!

 

 

 

え、なんでここにいるんですかねぇ。

 

「この特異点をラムレイで駆け回っていました。その結果、あの砂の地域ではロンゴミニアドは落ちてこなかったのです」

 

おまえ、そんな事検証してたんか、賢すぎぃ!

 

「そして、どの位の出力で感知されるかもおおよそ学べました。マスター、シンドバッドあなた方に感謝を」

 

Foo~! いいぞぉこれ。アーサー王の強さは、技量じゃなくて、戦いの中での対応力の高さってそれ、初代から一番言われてるから。

なお、初見殺しにはひとまず引っかかる模様。小次郎、キャス子、ギル、葛木先生、うん。

 

「シンドバッド、すみませんが魔力を補充するために、かなり大量の食べ物を出させてもらった」

 

「平気だ」

 

壊れてんだよなぁ、魔力回路がよぉ、お前のせいで。すみませんじゃねぇよしゃぶれよ、おい(豹変)。冗談はさておき予定より速い合流でなによりです。本来はエジプトから戻ってきて合流のつもりでしたからね。

 

 

「……私には強がってもよいが、力が抜けるときには抜いておけ」

 

「ああ」

 

「よし、話はまとまったようだなメートル。ところで、これだけサーヴァントがいるんだ、誰がついてくるんだ?」

 

そーですねぇ……やっぱりここは、三蔵ちゃんと藤太ですね。ベディはどうします?

 

「アタシは行くわよ!、砂漠は行ったけど、ファラオには会えて無いもの」

 

「師匠が行くなら、俺もいかねばなぁ」

 

「私も行きます」

 

 

というわけで、イツメン+3の14人の大部隊です。ですがまぁ、まず今宵は宴じゃぁ!! とーたくん見せてやりなさい。

 

「美味しいお米がドーン!」

 

「えぇ! これが宝具!?」

 

「一切戦闘能力のない宝具……こんなものが」

 

藤太君の合流後に、村などで休憩を選択すると確定でイベントが起こります。時間はロスですが、ストレス値が一気にリセットされ、体力も魔力も大きく回復するので中盤で1回あるとうま味です。

 

 

 

さて、適当に倍速してイベントと夜が明けたら出発です、今度こそエジプトに

 

「ねぇみんな悪いんだけど、まず行きたいところがあるんだ」

 

は? 藤丸ええかげんにせいよ。

 

「昨日の夜、ここに住んでるおじいさんから、あの砂漠には少しだけ変なところがあるって言われて、それが俺、どうしても気になるんだ」

 

ん!? これはまさかの

 

「はい、あの時先輩が話してらっしゃったという方ですね。お話は聞こえなかったのですが、何という方なのですか?」

 

「ニザールって言ってた」

 

ファーwwww これはアトラス院イベントです。

 

うーんどうなんだ。正直スキップしても大丈夫なのは確認済みですが、マシュの真名解放(真)と、ロマニへのフラグと面倒なことは多々あります。時間的にはロスです、ロスですが……

 

これクリアすると、山の翁の参戦の特急券なんですよね。

 

本来は令呪を温存していたことから分かる通り、霊廟で静謐ちゃんが操られるイベントをこなして、大奥コンビの宝具コンボで彼女を支配下におくことで、力を認めさせることにより。情報を集めてこいすらなくその場で認めて貰う予定だったんですよね。

往復で結構時間使うので、それのスキップも考えればイーブンということでいいでしょう。

 

「わかった、兎に角早く行こう」

 

おう、あくしろよ。

というわけでアトラス院まで移動です。砂嵐が濃くて、スフィンクスが守っている場所でもあります。並のサーヴァントを上回る神獣が複数いる場所であり、大まかな場所で近づくと三蔵ちゃんが見つけてくれます。勿論今回みたいに情報があればピンポイントで見つけることも出来ますが。

 

移動は当然のごとく倍速です。ザコ敵だけで、砂漠で遅い移動とか、見所さんなんていませんので。

 

というわけでアトラス院に到着しました。まずはスフィンクスを蹴散らすか、入口を見つけるかしないといけませんが……

 

「きゃあああああああ!!」

 

「お師さん! 」

 

「シンドバッド! 」

 

「マスター!」

 

お、やりました三蔵ちゃんが落とし穴を見つけてくれました、シンドバッドくんで一気に突っ込むと、そんなに深くない穴ですので、普通に入れます。皆も続いて入ってくるのでこっちのほうが速いです。

 

アトラス院は、確率でホームズが待ち構えてますが……いませんね。仕方がないので奥に進んでいきます。しっかりマッピングをしても結構迷います。最悪帰りは回り道ですが確実に出れるルートを誘導してくれる三蔵ちゃんに付いていきましょう。

 

道中の敵は大したこと無いので、藤丸君にまかせて、たまに殴ってガンガン進みます。

 

ちなみにこのアトラス院、人が一切いません。装飾がついた部屋を適当に調べると、書いてある名前から、此処が2016年のアトラス院だと気づいてくれます。通信が回復してからですけどね。

 

というわけで最深部に到着。適当にソロモン王に関する情報と、マシュの英霊の真名をつかみましたが……ロマニの正体に対する疑念と、2004年冬木聖杯戦争の勝者が前所長だというのも、なんで2016年まで人類を放置して燃やしたのかに関する情報も取れませんでしたね。

 

ホームズは話が長いので面倒ですが、まあバビロニアでギル様に教えてもらえるのでどうにでもなります。

 

「ギャラハッド……それが私に力を貸してくれている英霊の名前」

 

「はい、そのとおりですレディ。彼と円卓を囲んだ者は、貴方に相対した時それを感じ取れるほど、貴方の在り方は彼のように純粋です」

 

「アルトリアさんも……」

 

「ええ、マシュ。申し訳ございませんが把握はしていました。しかしギャラハッドが名前を明かさなかったのならばと、その意志を尊重しておりました」

 

というわけで、マシュもこれで自分も円卓の霊基を引き継いでるし、間違ってる円卓を正すのも仕事だとそのうち振り切れますのでOKです。

 

というわけで更に南下してエジプト領の複合神殿を目指します。

砂漠スタートだとナビゲーター代わりのニトクリスちゃんがいるのですが、厳密には誘拐されてるのを助けるのですが、今回はいないので自力で行く必要があり、要するにスフィンクスラッシュです。

 

跳んでるのはナポレオンにまかせて、それ以外は兎に角ディオスクロイに全力魔力を送って、マシュと一緒に本陣を護衛の役割で動きましょう。

幸い殴り殺すのは無理ですが、猫パンチ程度なら受けても耐えますし、当たり負けもしません。火力にも振ったYAMA育ちなら神獣刈りできるらしいっすよ、シンドバッドくんは耐久型なので無理ですが。

 

ちなみに、ニトクリスちゃんですが、開幕百貌のハサンに誘拐されてますが、これを助けないで尾行していくと一定の所でスフィンクスがハサンに襲いかかります。10回ほど見ましたが、1度も誘拐成功しないです。百貌さんェ……幸運Eじゃ仕方ないね♂

 

10体以上のスフィンクスを複合神殿の近くで倒すと、イベントが始まります。

 

【不届き者共、偉大なるファラオの統治する、この複合神殿にいかなる要件で尋ねてきたのですか!】

 

空にニトクリスちゃんが浮かんだら、OKです。後は藤丸君とベディと三蔵ちゃんがどうにかしてくれます。後ろの方でじっとしてましょう。

 

「おい、人間。戦闘での魔力の供給が足りん。どうにかならんのか」

 

「マスター、兄様は体調を心配されているのですよ」

 

それは君達が大飯食らいすぎだからなんだよなぁ……費用対効果としては十分ですがね。

 

ともかく、鯖と雑談しながらエジプトに到着。

本来は顔通しフェイズをして、特異点1周して状況を把握したらまた来てバトルして仲間になるといういつものアレですが、今回は1周してここに来ているので、すぐに戦闘になるでしょう。

 

「この神殿、キャメロットと同じよ」

 

「対粛清宝具、ファラオもこれで魔術王から皆を守るのかな?」

 

「もうすぐのはずです、直接聞くしか無いでしょう」

 

ということで、人理焼却に対する解答その3、エジプト式救済プランです。聖杯も確保してリソースもあり、広大な土地という基盤と、そこの民やオアシスがある環境で、魔術王からの攻撃にも耐えられて、民を生かしながら隔離できる、一番マトモなやつですね。

 

最も、ナイル川で栄えた文明を、点在するオアシスで支えきれるかは微妙なところではありますがね。エジプトの衛星写真を見ると、ああ此処で人々は栄えたんだなと言うのがはっきりわかるので偉大なナイルの凄まじさがわかります。

 

「遅い! 天文台のマスター共よ! 誰を待たせたかわかっているのか。太陽神ラーの化身にして地上の支配者。ファラオ、オジマンディアスであるぞ!」

 

というわけで、ファラオ、オジマンディアス様です。ちゃっかり横にニトクリスちゃんもイたりします。彼に関しては逸話を語ると考古学論文になってしまうので割愛します。最古のファラオではなく、最優のファラオで、どちらかと言うと中興の祖というのが勘違いされやすいところですね。

 

古さで言うとニトクリスの方がずっと昔です。ギル様とそんなに変わらない程度には彼女は過去のファラオですが、ファラオはその遺体をしっかり埋葬されて一人前なのに、彼女は溺死心中してファラオとしては中途半端なのでこんな性格だとのこと。

 

この特異点では、まさにジョーカーというか、最大勢力です。単純に持っている戦力というかリソースの量では獅子王のロンゴミニアドにすらある程度やりようがあるという個人の宝具というトンデモですね。

 

そんな彼は、自分と一緒に来てしまった君臨統治する民を守るために、身動きができなくなってしまいます。しかしそれでも何らかのアクションを起こそうとしたら、キングハサンに首をすぱっとやられてしまったというわけです。

カルデアへの協力も、理念自体はまぁ認めてやらんことはないが、それにふさわしい実力を示せ! という感じです。

 

彼は、聖杯に自身の血をいれることでソロモンの72柱の第7位アモンと、元々同一視されるエジプトのラーをオーバーレイ!! して自分自身をアモン・ラーの魔神柱とする超絶能力を披露してくれます。

なお、本人そのまま戦ったほうが強いらしいです。

 

と、言うわけで戦闘です。

 

と言っても、あまり問題はないのです。彼が本気であればこの神殿内に毒が満ちて耐毒スキルがあっても死にかけるというものなので、それがない以上きっと本気じゃないのでしょう。

 

オーソドックスに魅了が効かない相手との戦闘をしていればOKです。ディオスクロイの魔力供給を全力でしていれば、ナポレオンが砲撃して、藤太が米をふらしてるのを横で見ているだけで終わります。

 

というわけで撃破。ローマみたいに味方の戦力が足りなくて、シンドバッドくんが稼ぎがてら殴りに行くのは、もう必要ないんやなって。

 

そして普通にサーヴァント体に戻って、ニトクリスを含めて勝負です。こっちはシンドバッドくんには仕事があります。魔力供給をシェヘラザードに回して、ジンを召喚してもらい、ニトクリスのメジェドさまを抑えます。あれあんなギャグっぽいですが、割ととんでもない代物です。

 

ディオスクロイもニトクリスの方に行ってもらいましょう。オジマンディアスと話してた藤丸くんがお相手して差し上げろ。

 

「シンドバッド、手伝うわ! ええーい!」

 

「ありがとう。三蔵法師!」

 

「へへーん! 殊勝な態度で敬ってくる、弟子希望者ですもの」

 

というわけで、守りも盤石になりましたので、此処で決めましょう。

 

「令呪を持って命ずる! ディオスクロイ! 敵を無力化しろ!」

 

「はい、マスター! 兄様合わせて下さい!」

 

「まて、ポルクス!お前が先だと」

 

令呪も切ってしまいます。というかこの後の戦闘は、ガウェインは3倍がない状況で、モーさんとランスロ、場合によってはあっくん。気をつけるべき戦闘は2回だけですので。此処が令呪の切りどころさんです。

 

殺しちゃうと戦力が減るので、うさ耳っぽい飾りを落としてもらいましょう。

そしてニトクリスを止めると、いつものが出来ます。

 

「シェヘラザード!」

 

「はい、今宵はこのお話を……」

 

『王』で『男』ですので、はい。隙を作って、そこを藤丸くんが叩けばOKです。愛妻家のエピソードと、その妻の美しい保存状況の墓から一途なイメージがありますが、ファラオであるので、普通にその……はい。

 

「おはぎ食べ放題の為に行きます。オルトリアクター、臨界突破! 我が甘味への渇望の前に散れ! 黒竜双剋勝利剣!」

 

というわけで、えっちゃんの十字切りでオジマンディアスも撃破。

 

これでエジプト勢が仲間になったぜ! 本当、力だけでどうにかしていくスタイルが人類史救ってるの、皮肉効いてていいと思う。

 

戦闘後は4日後に決戦するという情報をもらって、その時はスフィンクス集団を貸してやるという約束を取り付けました。

ここから東の村までなんと、早馬で3日かかるのにです。

 

時間がギリギリなのは事実なので、問題はないです(走者並感)。

エジプトとの同盟を結ぶと、どうやって察知したのかわかりませんが、キャメロットの戦力の徘徊が終わり、聖都を囲み始めます。

 

というわけでもう無警戒で最短距離を移動して帰ります、秘技大エジプト返しですね。

 

「ご無事に戻られたようで何よりです」

 

着くゥ!

 

「どうやら、ファラオとは同盟を結べたようですな、此方の兵も明後日の決戦に合わせて動かせますぞ」

 

当然のようにハサンは此方の状況を把握してます。やだ、こわぃ。やめてください。さて、アトラス院フラグを回収したので恐らくキングの強力な協力を受けられるでしょうが、念の為確認です。

 

「それで、その初代様っていうのは力貸してくれるのか?」

 

「それが、貴方がたが出峰された後、アーラシュ殿の所にお姿を見せられた様子で」

 

「おう、なんでも力を貸してやるって、言ってたぜ」

 

なんか回りくどいですが、まま、ええわ。場合によってはガウェインの不夜無効+足止めの両方ではなく、どちらかだけの場合もありますが、大勢に影響はありません。何よりもトリスタンが居ないことで此方の負担が非常に少なくて、非常にタイムが美味しいです。

 

獅子王は聖杯はないので、新規戦力召喚をホイホイしてこないのがいいですね。

 

兎も角決戦までは村で休むを連打して、さくっと最終決戦まで行きましょう。この時点での此方の戦力は通常ルートに比べて

 

IN アーラシュ・ハサン数名

OUT ランスロット・一般兵1000名

 

というところでしょうか。トータルではプラスですね。

そう、アーラシュが居るので最悪1回の裁きミニアドは無力化出来ます。決戦の戦力を嫌って野戦へ打ってきた場合、その時点でアーラシュと三蔵ちゃんを生贄に一気に詰みまで持っていけます。リチャージできず、聖槍を展開したら、ファラオビームで崩してその隙に空から強襲ができるからですね。確率は低いですが狙っていきましょう。

 

さて、開戦です、今回は

 

「この地に住まい、武器を手に取った兵どもよ! 我らが同胞よ! 我々には初代山の翁様のお力添えがある! 勇して進め!!」

 

────その言葉とともに砂嵐が戦場を包み込んだ。

 

よし、一先ずは不夜無効はしてくれるようですね。副次的に弓も無効化されてます。

 

聖都攻略について、お話します。

簡単に言うと3段階あります。まずは野戦フェイズ、敵将はガウェイン卿、勝利条件は正門の突破です。この正門は破壊や悪意害意のある攻撃では一切開かないです。破壊力でこじ開けるのなら、アステリオス君クラスの筋力を数人揃えて物理的に力だけで開けるか、三蔵ちゃんのような慈愛の掌で開ける必要があります。

先に言っておくと、開けゴマは効きません。当然試しましたとも。

 

そこを突破すると市街地戦です。ここで残りのギフト円卓との戦いとなります。ゴールである城スタートで、此方に向かってくるので回避は困難です。ですがゴリ押しが効くので冷静に対応しましょう。

 

最後が城内での戦闘です。ここは倒しそこねた敵が追撃してくるのを排除しつつ、此処を守るエリート粛清騎士を倒して玉座に向かうところです。

 

 

分かる通り最初の野戦が鬼門です。とにかく三蔵ちゃんを正門まで連れていくことが肝心です。というわけで、もはやお約束となったカーミラの運転とラムレイによる強行突破で一気に進みます。

 

「此処は通しません!」

 

あ、ガウェイン君ちーっす……キングさん来ないみたいですね。仕方ないので戦闘です。ですが藤丸くんには先行してもらいましょう。

砂嵐が切れた瞬間に退却する事ができるのはこっちの方なので。

 

「リツカ! 先にいけ! ここは俺達にまかせてな!」

 

と、シンドバッド君が格好良いセリフを言ってるので、車に乗ってた彼の鯖と一緒に足止めして撃破を狙います。

アーラシュ、藤太、三蔵ちゃんベディ達は現地の馬に乗ってるので、ラムレイと一緒に正門に向かってもらいます。

 

「太陽が中天に無いからと、甘く見たな!」

 

いえ、アナタに対して慢心をしたことはないです。なので全力で行きます。

 

「令呪を持って命ずる! ディオスクロイ! 宝具だ!」

 

「ようやくか、人間! その目に焼き付けよ」

 

「我らの絶技を!」

 

開幕ディオスクロイで攻撃してもらいます。二人の宝具は、どんな防御も貫くので、最悪不夜の状態でもダメージは通せますので。

 

「「双神賛歌!!(ディオスクレス・テュンダリダイ)」」 

 

「ッぐぅ! この威力! 貴方がたは神ですね!」

 

そうだよ。そして開幕宝具を受けて怯んでる瞬間にやります。

 

「3人共!」

 

「その姿はあまりにも優美……あくまでも上品……そして、あからさまにセク・スィ!」

 

「うふふ、誘惑はお嫌いかしら?」

 

「今宵は……どのようなお話をしましょうか?」

 

はい、トリプル魅了攻撃です。これで完全に動きを縛ってしまいましょう。堕ちろ! 堕ちたな!

 

魅了が効いてるうちにシンドバッドくんで殴れれば殴りたいですが、あ、ポルクスちゃんが冷ややかに股下から上まで切り上げましたね。ヒェ!

 

「ポ、ポルクス?」

 

「マスター、兄様急ぎましょう。皆さんはだいぶ先に進まれてます」

 

と、いうわけでガウェイン卿撃破です。まぁギフトが無い敵に令呪1画切ればこんなもんです。

 

というわけで、カーミラの車に乗って正門に急行です。っと遠くで正門が吹き飛びました。ステラではなさそうなので、三蔵ちゃんがやってくれたみたいですね。ありがと茄子!!

 

そのまま市街地に一気に入ってしまいます。ロマンぃ! 今何キロ!?

 

『立香くん達は既に城の近くだ! って、うわぁ! 凄い魔力反応が!』

 

はい、勝ちました。目の前に光の壁が展開されていきます。これはロンゴミニアドの機能を発動させたということです。恐らくガウェインの死亡がトリガーになりましたね。このままだと人間の標本にされてしまいます。

 

ここで長いムービーが入ります。ファラオが神殿とピラミッドで飛んでやってきて、biimを打ってピラミッドを落とす。お約束のあれですね。要するに粛清機能を捨てて防御に入った所を強襲してくれたわけです。おかげで壁が壊れて、時間制限もなくなりました。

 

って、なんかピラミッドの爆発だけじゃない大爆発が起きてるんですけど。

 

『立香くんと同行していたアーラシュが宝具をつかったんだ。シンドバッド君、悪いけど急いでくれ! 円卓は全員倒したけど、立香くんは自分のサーヴァントとべディヴィエール卿しか周りに居ないんだ!』

 

なんか、ものすごい勢いで藤丸くんも戦闘してますね。ともかく城まで来るまで乗り込みましょう。何なら城内も階段までは車で。道案内はロマニがガイドしてくれます。

 

「リツカ! マシュ! 間に合った!」

 

「シンドバッド! 皆!」

 

「ご無事だったんですね」

 

というわけで、玉座直前で合流できましたので、このまま決戦です。

 

といっても、これ殆どイベント戦闘なんですよね。

語りパートで「私は諦めたんじゃなくて一番いいことをしたんだもん!」と女神が言うのに「異議あり!!」 ってすると宝具が飛んでくるので、それをマシュが覚醒して受けきり、ベディも右腕を完全開放して切りかかります。

 

そう、彼の右腕はエクスカリバーをマーリンが改造したものだったのです。な、なんだって。

 

というイベントが終わり、ようやっと戦闘開始。といってもマシュが獅子王の圧倒的な攻撃をガッチリ全部ガードして、おかしいダメージ倍率を誇るベディの右腕が光り(ガチ)一気に削り取ります。

 

なにせアーサー王の死因は直接的にはエクスカリバーが原因ですからね。クラレントの傷とかそういうのではなく、エクスカリバーが返還されたことによる死なので、2重に逸話をなぞってる形です。

 

適当に支援しているだけで、獅子王撃破できます。

 

「ディオスクロイ! 君達に力を!」

 

「人から女神になった者などォ!!」

 

「アナタの守護は歪んでいます!」

 

余った令呪でディオスクロイを強化して、マシュの後ろに下がっておきます。此処は世界の果てであり敵の増援はないので、本当に数の暴力になります。

 

はい、ベディの剣が見事に入って工事完了です。

 

ベディが聖剣を返すムービーが流れますが、こんなにあっさり勝って良いのか状態ですよね。逆です。ここまでベディを守って、マシュのメンタルも良い状態で来れたからこうなのです。ロードカルデアス+死にかけのベディだと、無茶苦茶苦戦します。

つまり、この章の肝はマシュのメンタルケアとベディの介護なのです。

 

目の前では、ロマニがソロモン王の手がかりや、7番目の聖杯とそれのある時代などの情報を手に入れてますね。どうでもええわ。

というわけで、既にオジマンから聖杯を貰っていた藤丸くんがいるおかげで、直ぐに帰還が始まります。

 

色々ありがとなー!

 

さて、次は最難関の7章です。

油断せずに行こう。

 

 

 

 




ロンゴミニアドがナニカ調べてこいって、手元に現物があるのに言われると思わなかったので、こんなルートに。

そして、細かい内容は裏に丸投げをしていく。
露骨にぼかした辺りも回収する(予定です)



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裏:主従関係に関して3

ちょっとしたお祝いをしましょう。

 

そんな誰から出たかわからない言葉で、シンドバッドは自分のサーヴァント達と自室で小規模な食事会を開くことになった。

 

アメリカ大陸の広大なスケールでの旅は、また彼の心に大きく刻まれたが、別段何をやったわけではない。それでも自分のサーヴァントがやりたいと言って、自分がそれが出来、好意的な行動であれば彼に断る理由などはないのだ。

 

アメリカの旅はたしかにハードだった。マシュは今も医務室で寝泊まりしている。シンドバッドもお見舞いに行ったが、もうすぐ元気になるとのことで、召喚と次の旅はもう少し先と聞いて今は訓練くらいしかすることがないのだから。

 

部屋のソファーに座りテーブルに食べ物を並べて食べる。シンドバッドにとっては最近でこそ朝夕を食堂でサーヴァントと食べるということはあったが、こういった形で4人だけの食事というのはあまりない経験だった。

 

「ほら、マスターこれも美味しいわよ。はい、あーん」

 

横からマタ・ハリがナニカよくわからない食べ物をフォークに刺して差し出すので、よくわからなかったが、食べて良いのだと判断してそのまま食いつく。赤いすっぱい物だったが、よくわからない新鮮な味に目を白黒させる彼は、続けて反対側からシェへラザードの手が伸びてくるのに気づくのが遅れてしまう。

 

「こちらもどうぞ、恐らく次の特異点の場所と時代では、こういった物が主食となるでしょうから」

 

こっちは茶色の柔らかくて苦いものだ、不思議と懐かしい味がするが、どこで食べたのかは全く思い出せなかった。

 

「マスター、こっちはどうかしら?」

 

「んー、変な匂いだな」

 

ミストレス・Cから勧められた赤い飲み物は少し舐めると、なんかぼやけて苦い味がしてよくわからない。正直食べ慣れた肉をずっと食べるほうが美味しいのだが、それでもこの3人と一緒に食べる事の方が楽しくて嬉しいので、シンドバッドはニコニコと笑っている。

ああ、そうだ。皆が大切だなと。彼の乏しすぎる語彙では言い表せないが、きっと幸せというのではないか?

 

「マスター、わたしは貴方の事が欲しいの」

 

「うん」

 

「誰かに盗られるなんて、考えたくもないほどにね」

 

いつの間にかテーブルの向こう側にいた彼女は、シンドバッドの膝の上に腰掛けて、彼の下顎に手をかけながらそう囁きしなだれかかる。シンドバッドは、彼女の銀色の細い髪の毛を指で梳きながら、話半分に頷く。サラサラでよく指に絡む彼女の髪が彼のお気に入りで、こうして近くに来れば手で弄んでしまうのだ。

下から上へ、頭の小さい角が生えている所まで大きくスライドさせて撫でながら、いい匂いだと感じ入っているシンドバッドに、ミストレス・Cは続ける。

 

「どうか、これからもわたし……達のマスターでいてよね」

 

「当然だ」

 

「私からもよ。ねぇ、マスター……この後どんなことがあっても、皆をとっても大切にしてほしいの」

 

マタ・ハリはそう言いながら、髪をなでていた彼の手をその手で取り耳元にそう囁く。

 

なんでそんな事を言われるのか、全く彼にはわからなかった。だっていちばん大切なのは、此処に居る皆なのに。皆のために今自分は頑張っているのに。

少しくすぐったい吐息に笑いそうになるのを我慢しながら、彼は同じ様に頷く。

 

「大丈夫、俺は皆が大好きだから」

 

「その皆の中でもし、1番大切な人ができたら、その時は教えて下さいね」

 

今度はシェヘラザードまでもが同じようなことを言う、彼女は少し離れたところにいるままだが、それでもその眼差しは真剣だった。

 

だからきっと、自分にはわからないけど何かがあるんだろうなと、シンドバッドは直感的にそう思った。

 

「わかった、その時は言う。でもそれでも皆が好きだ」

 

 

 

 

と、そんな決意を固めて数日後、彼のもとに新しい戦力が訪れた。

 

「遅いぞ!! 人間!! ポルクスを辱めた報いを受けろ!! 死ね!」

 

「ッくぅ!」

 

彼らを召喚した瞬間。シンドバッドは凄まじい悪寒と共に、召喚が終わったと魔力的繋がりを感知した瞬間、後ろに跳びながら、前方に蹴りを放った。手応えはなかったが、その行動は正解だった。なにせ見たことのない男の、多分サーヴァントが切りかかってきていたのだから。

 

「マスター!! 」

 

「て、敵性のサーヴァントの召喚!? そんなカルデアのシステムではありえない!」

 

周囲が騒いでるが、光が収まり焦点が定まるまでも油断なく構える彼と、立香のサーヴァント達。そしてそこに立っていた存在こそが、2人で1枠のダブルクラスサーヴァントという特殊な霊基を持つディオスクロイだった。

 

「も、申し訳ございません、兄様! そうではないと言いましたよね!」

 

「だがポルクス!!」

 

男の方にシンドバッドは見覚えはあるようなないようなという曖昧なものであったが、女の声を聞いて思い出した。ああ、あの

 

「あぁ! 馬鹿女! 馬鹿女だな! 来てくれたのか!」

 

「貴様ァ!!」

 

「兄様!!」

 

あの海に囲まれた島で、何度殴っても起き上がってきた、無茶苦茶強い女である。シンドバッドは引っかかっていた疑問が解消されてすっきりして、構えを解く。どうやら男の方は馬鹿女の兄のようだし、あんなに殴ったから怒るのは当然だ。

 

こっちが構えをといたら、男の方は顔を歪めた後、剣をおろしてくれた。どうやら落ち着いてくれたようで、女と並び立って此方に名乗ってきた。

 

「改めて……我らディオスクロイ、お力になりましょう」

 

「不本意だがな!!」

 

「ディオスクロイ? よろしくな」

 

変わった名前だなとシンドバッドは思う。男のほうの名前だろうか? でも確か前にロマンやアタランテはポルクスと言っていたと思うし。

 

「(マスター、二人の名前がディオスクロイで、兄のほうがカストロ、妹がポルクスですよ)」

 

「ああ、そういうことか」

 

少し首を傾げただけなのに、シェヘラザードからの声が繋がりを通じて響いて答えてくれた。成程ここがカルデアっていうみたいに、彼奴等がディオスクロイなんだなと。

 

「俺を殺しに来たんじゃないんだな」

 

「はい、誓いましょう、マスター、その手にあるグローブで喚んで頂いたこの身は、あの時の恩を返し、人類を守護いたします」

 

「ポルクスの言うとおりだ。ポルクスの衣服を剥いて、ヒマンテスと掛け合わせて作った武器だ、何故それを直ぐに使わなかったのか文句を言いたい所だが」

 

シンドバッドはよくわからなかったが、兎に角敵ではないのならば問題はないようだ。

 

「だが、ポルクスが世話になった。その礼で力を貸してやろう。人間に借りを作るなど業腹でしか無いからな」

 

カストロの方もそう言ってくれているのだから。

立香のサーヴァントも武器こそ手にしているが彼らには向けていない。きっともう大丈夫なのだろう。

 

シンドバッドは召喚が終わったと思い、彼らを連れて自分の部屋に行くことにした。令呪の補充も出来ている以上、大丈夫であろうと判断されてそれは許される。なにせ、カストロとポルクスだ。

ギリシャ神話でも上位に入る、有数の英雄である。戦力となることを本人たちが申し出ているのだから、それに縋るしか無い。ポルクスの方は、アルトリアと同じ理由であり、何よりも、現状魔術王に届く刃を用意する手立てに見当がついている者はいないのだから。

 

「改めて俺はシンドバッド。カルデアのマスターだ。名前はそこのシェヘラザードにつけてもらった。カルデアの皆の為に人理を救いたいと思ってる。そのために力を貸して欲しい」

 

シンドバッドはかつて全く気にかけることもなかった、名前という文化の価値をしっかりと理解して、誇らしげに自分の名前を名乗る。

彼は自分の名前が好きだった。大切な人から貰った初めて自分が貰った大切な贈り物だとわかったのだから。

 

「私はポルクス、ディオスクロイの片翼です。以前の特異点ではご迷惑をおかけいたしました」

 

「カストロだ。ポルクスを辱めた貴様と主従関係を結ぶつもりはない、力を貸してやるだけだ」

 

「ポルクスとカストロだな。ポルクスが妹でカストロが兄様。覚えた、宜しくな」

 

だから名乗られた名前はしっかり覚えようとする。幸いにして覚えやすい名前だったので、問題なく記憶できた。

 

「ポルクスはこの前戦ったよな、あの時はひどいこと言ってごめんなさい。今が普通なんだよな?」

 

「はい、マスター。あの時は兄様がいないことと、そういう召喚であったために不安定でした」

 

「我ら双神は常に共にあるのだ。無理矢理呼び出したイアソンに会った時は止めるなよ、人間」

 

「? ああ、わかった、カストロ」

 

一先ずは、前回のことは気にしないということで、シンドバッドはこれから仲良くなるために好きなものを尋ねることにした。今までのサーヴァントにもやってきたことであり、そうするものだと彼は考えているから。

 

「二人の好きなものは何だ? あと嫌いなものも」

 

「妹だ、他になにかいるものがあるか? 嫌いなものは人間だ。人間」

 

「兄様のように、どこか放っておけないけど優しい人が好きです。嫌いなのは今はイアソン船長です」

 

「ん? わかった、覚えとく」

 

その後もいくつかの会話をしたが、シンドバッドにも分かる範囲で、ポルクスは今までのサーヴァントと少し違うような気がしたが、カストロはよくわからなかった。

 

なので彼らの部屋を用意するのを手伝い、ポルクスがシェヘラザードに連れられてシンドバッドサーヴァント女子会なるものに参加しに行った時に、シンドバッドは思い切って彼に聞いてみることにした。

思い切って彼に聞いてみることにした。

 

「カストロはアヴェンジャーってやつなんだよな」

 

「ああ、そうだ。俺を矮小な人間へと零落させた人間への憎悪が、俺を掻き立てるのだ。ああ、憎いとも! 人間がな!」

 

それはまぁわかっていた。立香が行っていたところにもアヴェンジャーは居たらしいし、それに復讐というものはよくわからないけど、相手に殴られたから殴るというのはわかる。

 

「人間っていうのは、皆か? カルデアにしかもういないけど」

 

「そうだ。俺は人類という適当な話を語り継いだ奴らが憎い! 人理など燃えてしまえば、人類が滅んでしまえば良いとすら思えるほどにな! だが、それ以上にポルクスは人間を守護したいと、そして借りを返すからと力を貸している。それだけだ」

 

そこまで言い切ったカストロは、シンドバッドに向き直る。男性にしては少しだけ小柄なゆえに、シンドバッドよりも2周りは小さいが、背負った威圧感はとてもそんな小ささを感じさせないほどのものである。

 

「だから先に言っておく! 人間! お前を主などとは断じて認めんぞ!」

 

「シンドバッドだ」

 

「何だ?」

 

「俺の名前はシンドバッドだ、人間じゃねぇ」

 

 

シンドバッドは別に怒っているのではない、只々彼にはわからなかったのだ。何故自身の名を呼ばないのかと。そしてそれは非常に単純かつ面倒な彼の勘違いが根底にある。

 

シンドバッドにとって、自身に敵意を向けるものは須らく殺意を向けてくる敵であった。人食い故に向けられていた悪感情程度は彼自身が全く気づいていないものであった事も大きい。

 

そう、彼は敵対はしないが、自分のことが嫌いな非友好的な存在というものに、人生で初めて相対しているのだ。

仲間なんだから皆仲良く。敵なんだから殴り蹴り殺す。そんなシンプル過ぎる倫理観こそが彼の在り方である。それはシェヘラザード達の話す内容がそういった二元論に基づいているからでもあり、そしてウマが合わない人間というものが、彼には長く存在したことがないからである。

 

「貴様など、人間で十分だ」

 

「何だとぉ! 俺達は仲間なんだろ!」

 

「仲間ァ? 俺にはポルクスがいればそれで良い。お前など魔力を俺に渡すだけで良い」

 

カストロもカストロで結局の所、この召喚自体が、限りなく否に近い了承であった。ポルクスを触媒で召喚するので自身が召喚されるだけならば、そもそもシンドバッドに従っていないことすらありうるのだから。

ポルクスが非常に意欲的にシンドバッドに助力したいのと、その理由がポルクスの失点にあるので、兄として最愛の妹に協力しているというのが彼のスタンスだ。

 

「違うだろ! サーヴァントじゃねーか!」

 

「貴様ァ!!」

 

そしてシンドバッドも、この場合のサーヴァントというのは、彼にとっては大切な仲間という認識なのである。両者はどこまでも平行線であった。

 

「そういえば、貴様はマスターという役職ながら、その拳で戦うのだったな。いいだろう筋を見てやる、我が師ケイローンの真似事だ」

 

「良いぜ! こっちだついてきな!!」

 

「その威勢がどこまで続くか見ものだな! ポルクスが戻るまで立ってられると良いな、人間」

 

二人はシミュレーターへと向かう。シンドバッドにとってコレは戦力以上の意味で成長が見込める戦いであり、この凝り固まった神にしても、最新の人間の英雄の在り方を知るものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「粗茶ですが……」

 

シェヘラザードの部屋、そこには4人の女性の姿があった。彼女が杖を一振りすると、小型のジンがさっとお茶を淹れて此方まで持ってくる。ミストレス・Cと、マタ・ハリからすると見慣れた光景なのだが、ポルクスはどんな魔術だろうかと、真新しい現象を興味深そうに見ていた。

 

「では、改めて。私はキャスターのシェヘラザード、とある長い物語の語り手です」

 

「マタ・ハリよ。アサシンのクラスで召喚されたわ。生前は踊り子と娼婦をしてたわ」

 

「はい、お二人はお久しぶりですね、その説はご迷惑を」

 

この二人とは、オケアノスで戦った記憶がある彼女は朧気ながら覚えていた。此方の動きと意識を誘導しようとしていた二人だと。成程そういった職業もサーヴァントになるのかと。

 

「わたしはミストレス・C! 謎の美しき女怪盗よ」

 

「クラスはライダーです」

 

「ちょっと込み入った事情があるみたいで、何時もこんな調子よ」

 

「は、はぁ……よろしくお願いします」

 

最後の一人は、よくわからないが、自分たちのように召喚の際に特殊な何かがあったのだろうと彼女は適当に結論づける。

 

しかし、彼女は改めて3人を見渡す。あまり自分も人のことを言えるほど着込んでいるわけではないが、3人共非常に扇情的な格好をしており、肌の露出が非常に多い。

あの噂に名高いレスボス島に迷い込んだかのようね。と内心呟きながら彼女はこの会の趣旨を尋ねる事にする。

 

「それで、どういったご用件ですか? 」

 

「親睦を深めたい……というのも勿論ございます」

 

「ほら、私達女所帯だったわけで、これから新しい娘がはいったから一応聞いておきたかったのよ」

 

「兄様抜きの話ですね」

 

「ええ、わたし達と上手くやっていけるかの確認というか……報告というのかしらね?」

 

ポルクスはできればマスターとカストロの近くになるべく居たいのだが、そういった要件であれば吝かでは無かった。アルゴー船でも女性は少なかったがその割には、まあある程度は結束していたと言える。

 

「特異点にいる間は勿論無いのですが、私達はカルデアにいる間……その、マスターと魔力供給をしているのです」

 

「ま、魔力供給を!?」

 

魔力供給である。読んで字の如くである。

 

「だから、夜とかマスターの部屋に行くときは、ちょっと気をつけてねって話よ、ごめんなさいね」

 

「い、いえ。まぁ英雄色を好むのはギリシャでは当然でしたし」

 

実際の所そうである、ギリシャでは他人の妻を殺して奪ったり、気に入った少年を自分の従者にしてあれやこれやしたり、他人の妻に動物に化けて近寄り托卵したりはよくあることだ。何なら最後は主神の所業だ。

なので、行為自体にとやかく言うことはない、だが身近な人物のそういった事情を知り多少動揺しただけである。

 

「マスターったらああ見えて可愛い所あるのよ?」

 

「そこが良いんです」

 

「ええ、ただ少しやりすぎなのよね。貴方は……その」

 

惚気が始まったかと思えば、此方に振られるのかとポルクスは少し身構える。

 

「一応聞くけど貴方とあのお兄さんは……」

 

「に、兄様とはそういった関係ではありません!」

 

当然である。サーヴァント同士で魔力供給ができるのは玉藻くらいなのだから。

 

兎も角伝えたいことは伝えられたので、3人は肩の荷を下ろすことにした。ヘンに潔癖なサーヴァントでなくてよかったと一安心だ。まぁギリシャな時点で大丈夫だとは思っていたが。

 

「ポルクスさんも、魔力が必要になったらいらしてくださいね?」

 

「えぇ!? いいんですか! それ……あっ!」

 

マタ・ハリが冗談めかしてそう言うと、何かに気づいたかのようにポルクスは勢いよく立ち上がる。

 

「に、兄様が戦闘訓練を始められたようなので、様子を見てきますっ!」

 

それだけ告げると、お茶ありがとうございましたと言いながら、彼女は早足に部屋を後にした。シミュレータールームへと向かうのであろう。

 

 

 

 

 

 

「んー……これは白かしらね?」

 

「灰色に見えたけど」

 

「今の所は白ですね」

 

 

そういうことになった。



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裏:第6特異点活動記録

繋ぎ回です。


燃えている地面、乾ききった風。何よりも空気が薄く感じるこの死の荒野で、カルデアは襲いかかってきた敵と戦っていた。先程凄まじい光の槍が背後に落ちてきており、敵の将の一人を撃破はしているのだが、散発的に現地の盗賊と思わしき、既にほとんど人でなくなったものを相手にしている。

 

カストロは、非常に不本意だが納得していた。此処に来る前の模擬戦でも、先程の突発的な遭遇戦でもわかったが、このカルデアというチームは強い、確かにディオスクロイは超級の戦力として歓迎はされているが、その力が絶対に必要だったかと言うと、微妙なところであろう。

アルゴー船と同じだ、全員が一騎当千、万夫不当の大英雄の集まりであり、多少どころか、ヘレクレスが欠けても揺るがなかったように。

 

戦っているのは軽く蹴散らせば散っていく程度であるが、それでも散発的に襲いかかられる中、もうひとりのマスターである人間は馬上でサーヴァントに抱え込まれながら、うつらうつらと船を漕いでいる。先の戦闘で消耗しているのはわかるが、この環境で休めるその度胸は凄まじいものである。

 

戦闘をしているのは自分とポルクス、そしてポルクスと契約を結んだ人間であり、あちらの主従ほどではないが魔力の消耗はある。それでもこの人間はこんな劣悪な環境で敵へと果敢に殴りかかっている。

 

先日一度、人間とは直接戦ったことはあるが、技量は稚拙で未熟……それに尽きると切り捨てるのが難しい程度には習熟させている。非常に腹立たしいことに。

サーヴァントほどではないが膂力もあり、何より攻撃を凌ぐことにかけては、かなり場数を踏んでいるのか、彼をして秀でていると言わざるを得ない。

 

もちろん殺そうと思えば殺せる程度の存在だ。だが一太刀のうちにとはいかない。そして元来マスターとサーヴァントである以上、初撃で屠れないのならば、同格のサーヴァントがその隙を埋める事ができるわけだ。

 

それができるサーヴァントが此方の人間の分隊には居なかったわけで、自分たちは歓迎されているが。向こうの人間の分隊は真逆で、自分たちでも苦戦するような戦士達と、万を超える軍勢を率いた近代の大英雄と、生半可な攻撃を防いでしまう盾持ちがいる。

 

認めよう、こんな滅びかけの中良い船員を募れたものだと。

カルデアには多くはないが、一定の人間が居て、この分隊2つだけが現地に行く乗組員である。港から指示するひ弱な男がいるが、実質的には船長が2名居るようなものだ。それでもしっかり連携をとって、対等の関係を結んでいる。

 

これならば直ぐにポルクスに縋らなかった理由もわかるというものだ、なにせ此方の人間の魔力は潤沢にあるとは言えない。

 

────彼は知るよしはないが、これでも異常に魔力量が増えており、この時代の平均的魔術師を超えつつあるのだが。

 

それ故に搦め手に秀でた女のサーヴァントを連れているのであろう。シンドバッドと名乗った人間は今もカストロの横で、その拳で襲いかかってきた人間の武器ごと砕いてしまっている。

見たことのない流派を基礎としている戦い方だ。あんなに身体を歪曲させるなどとは無駄が多いのではないか? 攻撃を取るのではなく弾いてできた合間に多重をかけて硬い打撃を撃つのは、対人にのみ有効で非効率的では? そうは思うが見事に使いこなしている。

 

しかし、いつの間にかポルクスが教示していたのであろう、よく知る拳闘の動きも見える。後でそれはポルクスに確認するとして、こんな人間が住むには適さない場所で、我らディオスクロイという超一流のサーヴァントを戦闘させながら、戦いに挑めるその姿勢。

 

 

 

ああ、人間はしぶとく生き残っているわけだと、反吐を吐きたくなる思いであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苛烈過ぎる光景だった。獅子王の聖抜という名の唯の粛清は。1000人は居なかった、しかし数百人は優に居たのだ、ここに避難してきた無力で善良な民達は。

それが、たった3人のどんなときでも善性を保つとされた民を除いて、全員を殺すと一方的に決められたのだ。

 

立香は今まで5つの特異点を回ってきた。そしてその中では多くの人の死に触れてきた。

フランスでワイバーンに襲われる人、ローマで戦争で潰える人、オケアノスで嵐の海に飲まれる海賊、ロンドンの霧に飲まれる人、アメリカの戦災で倒れる人。その多くは敵に、明確な死という要因により、亡くなったのだ。

 

いうなれば、それはそういった命の終わりがあったから死んでいったのだ、しかし立香はコレはちがう。そう直感的に感じた。

 

そう、あの高くそびえる壁の上で、此方に指を指しているあの槍を持った奴が、殺してあげるという恩着せがましい思いで押し付けてきているのだ。

悪意じゃない……今まで感じた色んな敵からのそれは無いと思う。

 

言うならそう、オケアノスであったメディアのそれに近い、正しいことをしてあげているだけのような、そんなズレで殺されかけている。そう感じたらもう彼は止められなかった。

 

無理矢理宝具を同時に撃ってもらった反動なのか、身体はまだ痛い。だが令呪をまだ使ってはいけない、そう感じたから無茶をしたのだ。

 

ならば、今日もそれを貫くだけ。

 

「我らの王、獅子王の命により! 貴方がたを排除する! 異なる星の元現れた者共よ! この聖剣で切り捨てる!」

 

「マスター、お気をつけ下さい。サー・ガウェインは日中では円卓で最も強い騎士でした。そして此処はどうやら例のギフトとやらで、常に昼になっているようです」

 

「わかってる! 皆行くよ!」

 

立香はこの特異点の倒すべき敵を見つけた。それならばもう前に進んでいくだけだ。此処で倒しきれるかどうかではない、間違ったものを見つけて、それを目の前でやられた時に、自分にそれを正す力があるのならば、正しいことをするのだ。

 

だから、自分はあの燃えさかる部屋で、マシュの手を取ったのだから。そんなマシュが今は調子が悪い、ならば自分がその分奮起するだけだ。

アメリカでは不調だった部分に関しては既に馴染んだ。先日のモードレッドのビームだって視界の端に見えたから皆避けられた。

 

立香の目と思考速度はもはやサーヴァントの超速戦闘に対して、殆ど負荷もなく付いていくことができるほどにまでなってしまっていた。だからこそわかる。目の前の騎士ガウェインの恐ろしさが。

 

「リツカ! 俺は退路を作る! そこの強いのは任せる!」

 

「わかった、シンドバッド頼む!」

 

 

自分たちが本気で戦力を分散すればこの場で多くの人が助かるであろう、だけれど逃げる途中できっと皆殺される。ならば、ここで止めるしか無いのだ。

 

退路にしたって必要だ。シンドバッドがやるって言ったのならば、きっとそれはできるのだろう。彼はやるって言ったことは今まで全部やってきた。強い敵にも今はあのギリシャの双子座の人達がいる。ならば自分はこの強敵を倒すだけ。何時も通りの役割分担だ。

 

マシュとあの騎士を戦わせてはいけない、そんな漠然とした不安はあるものの、立香はガウェイン卿へと挑みかかるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「槍を使い続けたアーサー王ですか……」

 

「うん、そういってたよねぇ、マシュ」

 

「はい、槍を持って敵を討滅した王の側面だとのことです」

 

円卓を退け、避難民を守る代わりに現地勢力の村へと案内してもらうことになったカルデア一行。アルトリアが離脱したが、一先ず先程合流したべディヴィエールは同行することになっていた。

 

先の戦闘で成り行きとは言え、共に戦っただけであり、シンドバッドが多分味方でここのサーヴァントだと思ったから連れてきた。とふんわり無警戒に接していたが。

旧知と顔が同じであるとアルトリアが評したことと、なにより彼女の姿を見て彼が泣き出して膝をついたことから敵である心配はなかった。

 

最も、避難民からするとあの円卓の騎士の仲間割れなのかと見られているフシはあったが、彼らも命の恩人かつ現在の生命線であり、表立って悪感情を向けることはなかった。

 

「改めて、先程はお見苦しい所をお見せしました」

 

「そんな! ベディヴィエール卿がアーサー王に会えたんです。ああなるのはおかしくないと思います」

 

「俺も聞いただけだけど、自分の支えた王様にまた会ったなら、それは素敵なことだよね」

 

「よくわかんねーけど、気にすんなよ」

 

ベディヴィエールからすると、あのアルトリアは自分の探していたアルトリアではないということは、すぐに分かった。それでも、ああ、それでもだ。

彼女の有り様を見て、何より彼女が言外に認めたこと。それでわかってしまったから泣いてしまったのだ。

 

感涙の滂沱ではない、慚愧の落涙だ。あの槍を持って戦っていただけでああも変わるのだ。外見ではない、立香やマシュ、シンドバッドに対しては柔らかいが、あの敵への底冷えするような有り様は、変質の証左だった。

 

「いえ、ですが。あなた達の目的はあの聖都を治める獅子王に会うことなのでしょう?」

 

「はい、そうです。そうですよね? 先輩」

 

元気よく返事を返す桃色の髪の少女。マシュ・キリエライトと名乗ったことに少しばかりの驚きを覚えたが、きっとあの騎士のことだ何か理由があるのであろうと、ベディは特に言及していなかった。

 

「それは……うん、そうはなると思うけど」

 

「聖杯もってなかったんだよな、ロマン?」

 

『ああ、その通りだシンドバッド君、君時々鋭いよね』

 

遠見の魔術かなにかで繋いでいる姿の見えない声の主は、此処に居るマスター達の司令官であるとのことだ。

カルデア、彼を送り出した魔術師マーリンから聞いていた現地で協力できるであろう勢力。目的は聖杯の回収とそれによる歪んだ特異点の修復。紛うことなき人類の正義の味方だ。眩しいほどに。

 

「でも、王様もいってたよな、あの聖都は槍だから、あれがあると特異点はそのままだって」

 

「うん、だから俺達は聖杯も見つけて、その上であの獅子王を倒さなきゃならない」

 

「獅子王だけが目的ではないのですね。ですが」

 

「はい、私達は協力できると思います」

 

 

マシュと立香の2人は主従であり、ベディヴィエールをして眩しい善性を感じられる。純粋な、本来であれば守られるべき無辜な民。

旅慣れた歩き方に、しっかりとした筋肉の着き方こそしているが、彼らの旅が始まる前は、どこにでも居る普通の少年少女だったのであろう。そう感じた。

 

もう一人、シンドバッドと名乗った青年は、粗野な態度であり。貧民層で昼から喧嘩に明け暮れていそうな、荒事慣れしている筋肉の突き方と動き方だ。連れているサーヴァントたちもどこか秩序を軽視しているような、そんな印象を受ける。

 

それでもあの聖罰の中で、彼へと迷うことなく救援の手を差し向けてきた。湖の騎士の弱点をいきなり巧みかつ明確に突いて、無力化した手際は相当なものだ。

 

話してみれば、立香に比べて言葉使いが荒っぽいが、別段悪人ではないようだ。ならば問題はないのであろう。

カルデアは円卓ではない。アーサー王が配下であるということに思うところはあるし、アーサー王と似た顔でメガネを掛けて、先程からアメを舐めている少女もいる。きっと多くの力が集まる同じ方向だけを向いた組織なのだろう。

 

あの獅子王の円卓も割れているのか、席は殆ど揃っていないようだ。自分達の円卓だって、同じ様にアグラヴェインの離脱から、徐々に歯抜けになっていった。願わくばこの組織が無事に目的を果たし、この人理を救ってくれることを祈ろう。

 

ああ、自分はとても人の為に祈れるような、思えるような人間ではない。

不忠で不届きな騎士だが、そう思いたいと思える自分に、彼は鞭をうてるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大英雄アーラシュ・カマンガー。まさか本物を見られるとは」

 

「知り合いなのか?」

 

隠れ里だ! リツカがそんなふうに興奮する村についたカルデア一行。山肌に張り付くように、そして何よりも周囲から視線が通らないようにと彼らの知恵で作られた村だ。

何度もの十字軍による侵略と略奪より耐える為にこうなっていった、適者生存の在り方であった。

 

ようやっと腰を下ろせて休める場所についた夜。シンドバッドは何時もより大分魔力の回復が遅い中、焚き火を囲んで談笑する輪から少し離れてシェヘラザードと二人で話していた。

 

二人の視線の先には、快活に笑いリツカの背中を叩く青年の姿が。なんでもしがない弓兵といっていたが、そんなはずはないであろう。

沙悟浄やアタランテのような、何かに対して一生懸命に頑張った人と同じ匂いがするから。

 

「いえ、彼はその……私の故郷では大変有名な大英雄なのです、当然お話もございますよ」

 

「この国が生まれた所なのか?」

 

「そうですね……少々異なります。私とアーラシュさんは、もう少し南東ですね」

 

シンドバッドにはよくわからなかったが、それでもあの人の頭の骨みたいなお面をかぶったハサンというサーヴァントが色々ルールに厳しいのはわかった。そんな男が凄い信用していて、尊敬もしているのだ。きっと凄いのだろうという理解だ。

 

「あの英雄の話は、私も妹に言い聞かせたものです、何度もねだられ私も憧れた程に」

 

「ふーん」

 

「自らの身体が砕け散っても、争いを収める為の一射を放った大英雄、こんな所で会えるとは」

 

それは、ベディが王様に向ける目と少しだけ違って、でも同じような、そんな眼差しだった。大切なもの、思い出を。それを尊ぶものであるが。

 

シンドバッドにはそういう経験がないので、わからなかった。

彼にとっての思い出は、この旅だけだと言っても過言ではない。そんな生き様なのだから。

 

 

「ま、マスター?」

 

「ん、何?」

 

だからシンドバッドは、シェヘラザードの首筋に手を添えて、自分の方に抱き寄せると、無理矢理胸に抱え込んだ。まるで猫や犬を抱き寄せるかのような粗雑な、何時もと全く異なる抱き寄せ方に、そしてこのタイミングでのその行動に、シェヘラザードは思わず疑問符を浮かべてしまう。

 

 

「あの、これは?」

 

「……あっち見ないで、俺を見てよ」

 

少しだけ焚き火から離れているのに赤くなった顔で、シンドバッドは自分の心を素直に口にした。

 

なんか嫌だった。あのすごいアーラシュのことをシェヘラザードが見ている目は、好きじゃなかった。リツカと話している時に向ける目とは違ったから。

 

「……はい、失礼いたしました、我が王。」

 

シェヘラザードは一瞬だけ、キョトンと目を丸くするものの、直様にこやかに、たおやかな笑みを浮かべてそう返す。

 

そうするとシンドバッドは不思議と嬉しくなって、きっとこれからも楽しい思い出ができるのだろうと、そう根拠なく思うのだった。

 

 

 




でも次から三蔵ちゃん合流の話だゾ


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裏:サーヴァントに関して

寝落ちして書き終わったの6時半ゾイ


囚われたハサンを助ける。そんな簡単とは言わないが、わかりやすい任務は、依頼してきたハサンというサーヴァントと共に行われた。何でも襲名制という形のものでサーヴァントをやっており、そのために同じ名前のサーヴァントがたくさんいるとのことだ。

 

敵の砦に捕らえられている以上、救出は難しいことではあるが、あのギフトというものを持っていないサーヴァントすらいない砦であれば問題はなかった。

 

ハサンとの情報共有で、獅子王の円卓に残る騎士の数と名前が分かり、ベディヴィエールの知識も相成って、奇襲という意味で最も脅威度が高い弓兵のトリスタンを先につぶせたのは、まさに僥倖といえるであろう。

 

だからこそ、この砦へと攻め込むときも、3人を外に残したうえで、高い塀を音もなく飛び越えて、中へと入っていくことができた。

 

「む、この砦のつくりはなかなか難解ですな、まるでまっすぐ歩いているようで少しずつ下っている。今は地下3階ほどですな」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「全然気づかなかった」

 

こういった情報に関してすごく詳しいハサンというサーヴァント、強さは正直そんなにすごく見えない、シンドバッドは正面から殴り合えば勝てそうだと思えるほどには。彼は呪腕の呪腕たる所以を知らないのである種当然の判断ではあったが。

 

しかし、その情報を集める能力というのは非常に高くみており、こういったサーヴァントもいるのだと改めて思ったのであった。

 

「あら、マスターは私じゃ満足できないのかしら?」

 

「そうじゃない、マタ・ハリにはいつも世話になってるから」

 

「そう、わかればいいわ」

 

隠れて情報を集めるのと、紛れて情報を集めるのはどちらもやり方が違うだけなのだ。

さて、そんな風に幾何も地下牢を進んでいくと

 

「この先で戦闘の音がしますな」

 

感知にも優れるハサンのその声を頼りに進んでいくと、そこには2人のサーヴァントしかも不思議な様相の者たちがいた。

 

「ええーい! ああ、もうここどこー!」

 

「三蔵よ、少し静かにしてくれ。俺たちの方に死霊がわんさか寄ってきておる」

 

 

その姿は、シンドバッドにとって忘れられないものであった。黒く長い濡羽のような髪に、編み笠をかぶり、下着と見まごう服に布を羽織っただけの姿。そして優しい慈愛の宿る優しい笑み。玄奘三蔵その人であった。

 

「お師さん! お師さん! 来てたのか!?」

 

シンドバッドは、まるで逸れた親を見つけたかのように、片手間に目の前の骸骨の敵を倒して、三蔵の前に走り寄る。

会いたかった。会ってお礼を言いたかった。そんな純粋な気持ちで彼は三蔵の顔を覗き込むが、その瞬間固まる。

ああ、直感でわかった。この目じゃない。自分はこの目で見られたことはないのだと。

 

()()()()()()!() あたしは玄奘三蔵! 御仏の導きによりここを旅してるの! こっちは()()()()のトータよ」

 

「いやいや、俺は弟子では、ああまあいい。俺は俵藤太よ。そこな玄奘三蔵法師の元にいる」

 

ああ、そうか。シンドバッドは、わかってしまった。沙悟浄とおんなじなのだと。あの天竺までの旅路を覚えているのは自分だけであって、羅刹女も紅孩児も、牛魔王も、誰も自分のことを覚えていなかったのだから。

 

だけど、嬉しかった。会えたことが嬉しかった。沙悟浄や紅孩児と違って、羅刹女みたいに敵じゃないことが嬉しかった。

だから寂しかった。覚えてないことが寂しかった、弟子にして導いてくれないことが寂しかった。

 

だけど、お師さんからも教わったのだ、辛いときこそ前向きに笑顔で西を目指すのだと。

 

「はじめまして、俺は藤丸立香、カルデアのマスターだ」

 

「そのサーヴァントのマシュ・キリエライトです」

 

「……マスターのシンドバッドだ、うん……そうだ、宜しくな! 二人共!」

 

そう元気に挨拶して、それで彼は元の位置に戻る、お師さんならリツカやマシュの事もきっと気にいるし、仲良くなれるだろうから。

 

そうして先に進むと目的のハサンがいたらしい。毒が怖いのでと部屋の入口で待っていると、三蔵法師と呼ぶことにしたお師さんではなく、その一番弟子の藤太という弓兵のサーヴァントから話しかける。

 

「シンドバッドは、この三蔵と何やら縁でもあるのか?」

 

鋭いな、シンドバッドは素直にそう思った。まあ弓兵というのは戦略という凄い広い視野が必要なのは、ナポレオンからも聞いていたし、猪八戒も色々なことを見ていた。そういうものなのだろうとシンドバッドは納得して頷くことにする。

 

「いや、前に少し」

 

「え? そうなの、うーん……君みたいな頑張ってる人のことを忘れることはないと思うんだけど……んー?」

 

「まぁ今はどうでもいい、それより二人はこれからも付いてくるのか?」

 

「もっちろん! 端まで見てきたんだもの、色々言いたいことが出来たわ!」

 

「この後現地の村々へと赴くのだろう? ならば俺の宝具がきっと喜ばれるだろうからな!」

 

とびきりの、ああ、わかっているほどに善い人達なのが、シンドバッドにとっては救いだった。なんでも三蔵法師は天竺の修業を終えて帰ってくる途中のつもりらしい。自分たちとの旅の後じゃないけど、きっとたくさん勉強できたんだろう、牛魔王を倒した後のような格好良いお師さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰路、の間も特にロマニの導きが悪くて敵に囲まれるなどと言ったこともなく。無事に東の村へと戻ってこれた一行。ハサンたちも連合軍というものを作って聖都と戦う事を決めたようで、今宵は歓迎の祭りだと、藤太が米を無茶苦茶たくさん出して振る舞っている。

 

楽しそうにおにぎりという料理をするリツカやマシュに、おはぎを作るようにえっちゃんが要求したり、兎に角騒がしくて皆笑っていた。

 

「シンドバッド。此方にいましたか」

 

先程突然戻ってきた王様が近寄ってきた。ラムレイの姿は見えないのに、何時もより大きく見える、久しぶりに会うからだろうか。

 

「どうした、王様?」

 

「いえ、改めてお礼を。あの袋のおかげで私は任を果たせました」

 

「シェヘラザードのおかげだ」

 

後で確認した所、日数で考えれば10人分くらいの食事を食べられていたようですとのことであり、それがシンドバッドを多少疲弊させることにはなったが、十分以上の結果は得られていた。

 

「いつもの貴方らしくもない。あえて言わせてもらうのならば、自分のサーヴァントとよく話をすると良いでしょう」

 

それだけ言うと彼女は去っていく。何がしたかったのだろうか? シンドバッドにはわからなかったが、こういう事はよくあることなので、気にすることもなく近くに来ていそうなワイバーンが居ないか、村の入口から外を眺めていると。またもや彼のもとに来客が訪れる。

 

「マスター、此方にいらしたのですね」

 

「ポルクス、どうしたの?」

 

そこに居たのは、この特異点から同行することになったサーヴァントのポルクスだ。今までこういった自由に行動して良い拠点での時間も含めて、カストロとともに居ることが多かった彼女が、此処に居るのはとても珍しく感じた。

 

「マスターは、何か悩みがあるのでは?」

 

「ああ、ある。けどどうにもできない」

 

シンドバッドは別に強がったり虚飾で自分を大きく見せるということをしないので、素直にそう答えると、ポルクスは金色の髪を揺らしながら近寄り、彼の手を取った。

 

「マスター、私生まれてから殆どずっとお兄様と一緒なんです」

 

「うん、仲良しだから」

 

「はいっ! とっても仲良しですけど、そんな兄様は昔……ええ、人間であった兄様はケイローンのところへ修行に行ってしまいました」

 

双子座として語られる、ポルクスとカストロ。アルゴナウタイで旅をして、テセウスが奪った妹を取り返しに殴り込んだりと、共に冒険した二人。その二人の唯一と言っていい離れていた時期、それはカストロが修行して、ポルクスがポセイドンの加護を得るほどに暴れまわっていた時期だ。

 

「その時の寂しさは、今でも覚えています、私と兄様はいつでも一緒なのです。だからオケアノスでは」

 

「気にするな、俺も……サーヴァントの皆と一緒に居なかった時は怖かった」

 

「マスターは、いま寂しそうです」

 

ポルクスはシンドバッドが黄昏れている理由は知らなかった。小耳に挟んだ程度の彼の旅路の一部が原因であることは理解していなかった。それでも大事な人においていかれた彼女の経験が、そう直感させていた。

 

「そういう時は、体を動かして思いっきり暴れるのが1番です」

 

そしてポルクスはどこまでも単純な解決策を提示してきた。カルデアと同じ様に彼女は拳を構える。拳闘の時間であった。

シンドバッドもそれもそうだなと納得して構えを取る。

 

「兄様! 合図をお願いします」

 

「いいだろう、やりすぎるなよ」

 

そしていつの間にかいたカストロが二人の間に立ち突発的にシンドバッドの訓練が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

エジプト領であるらしい、砂漠への旅の途中。シンドバッドはミストレス・Cの運転する車の助手席に座り流れる景色を眺めていた。他の移動速度に合わせるため、比較的ゆっくりとした速度だが、風当たりが気持ち良い。

 

「ねぇ、マスター」

 

「なに、ミストレス・C」

 

そんな中ミストレス・Cは思い出したかのようにシンドバッドへと声をかける。それは彼女がずっと考えていたことである。

 

「あの、三蔵ちゃんとやらは、どうかしら?」

 

「どうって、お師さんはお師さんだ」

 

シンドバッドは、そうとしか答えられない。此方のことを覚えていない様子だけど、自分が世話になったのだから、しっかりとお礼ができるように頑張らないといけない。

前の旅では沢山世話になったのだから。

 

「……ねぇ、マスター。わたしも同じだと言ったら驚くかしら?」

 

「同じ?」

 

何時もはまっすぐに、此方の顔を覗き込むように話しかけてくる彼女が、運転に集中してるのか、前を見つめながら、少しだけ不安そうにぶっきらぼうに聞いてくるので、シンドバッドは座り直して、彼女の涼し気な横顔を見つめる。

 

「そうね、わたしが……マスターとそう、前に結婚してたけど。マスターがそれを覚えてないの」

 

ガタリと、車の後ろで音がしたが、シンドバッドは気にせずに考える。今はミストレス・Cとお話をしているのだ。自分はお師さんと旅をした。でもお師さんは覚えていない。

ミストレス・Cもどこかで自分と結婚してた。でも自分はそれを覚えていない。

 

「寂しいの?」

 

「どうかしら、わたしは今のマスターとの関係が好きよ」

 

サングラスの上から、少しだけ目を此方に向けながら、ミストレス・Cはそう返す。自分で答えは出ているのに聞いてきた。それがよくわからなかったけれど。シンドバッドはわからない時は思ったことを話すことにしているから、そのまま口を開く。

 

「俺は、ミストレス・Cが悲しいのは嫌だ。覚えてなくてごめんなさい。でも、だったら今をもっと楽しくしよう」

 

「ええ! それが1番よ。そうでしょう、マスター」

 

彼女からしたら、それを覚悟で彼に会いに来たのだから。シンドバッドは、そんな事を全く知らないし、知ってもらうつもりもないけど。それでもきっと、今のシンドバッドは自分の言葉が1番届くから。だから彼女はそう口にしたのだ。

 

「それでいいの。楽しくしてもらうほうが嬉しいでしょう」

 

「ああ!」

 

「楽しくしてもらうには、こっちから楽しませないと、そうよね」

 

「そうだな」

 

シンドバッドは、彼女の言いたいことはわからなかった。それでも言っていることはわかった。お師さんが覚えていなくて寂しくても、会えたから嬉しい。それならもっと楽しくするために、楽しまないといけない。

この特異点の旅は大変だけれど、それでもできることはあるかも知れない。前みたいに師匠じゃなくても、とっさにお師さんと呼んじゃっても。いまは三蔵法師っていう仲間なのだから。仲間として一緒に旅をすればいいだけだったのだ。

 

「俺、色々考えすぎてた」

 

「そうね、似合わないわよ」

 

「ありがとう、ミストレス・C」

 

困った時はやっぱり自分のサーヴァントに相談する。そうして此処まで来たのに、ヘンに自分で色々考えようとしてたのが良くなかったみたいだ。自分はまだまだ色々知らないことが多いと言うのに。

 

「ねぇ、ミストレス・C」

 

「なにかしら、マスター」

 

「結婚してた時って、子供何人居た?」

 

男シンドバッド、子供は結婚したら出来ますよというシェヘラザードの言葉をそのまま信じている模様。

 

「ろ、6人くらいよ!」

 

「そっかー楽しみだな」

 

また、後ろでまたゴンという音がしたが、シンドバッドは気にせず戦いが終わったあとのことに思いを馳せるのであった。

 

 

 

 

 

 

「あいたたたた、ごめん! シンドバッド」

 

「大丈夫、三蔵法師は怪我はないか」

 

アトラス院、その入口はなんと落とし穴であった。先行し肩で風を切り歩いていた三蔵法師が先ずそれに引っかかり、マスターなのに前の方に歩いていたシンドバッドは、すぐさまそれを追いかけたのだ。

 

「マスター! ご無事ですか?」

 

「死んだか? 人間」

 

「兄様!」

 

直様機動力では随一のディオスクロイも駆けつけて、後続も続々と続く。広い砂漠で、多くの障害があるなか、偶然とは言え最適な入り方を見つける三蔵法師に、シンドバッドはやはり御仏の加護ってすごいと改めて思った。

 

「入り口も見つかったな」

 

「そうね、それにしてもシンドバッドは面白いサーヴァントを連れてるのね」

 

ディオスクロイ、というよりもカストロを見ながら彼女は言う。霞む程度の知識ではあるが、サーヴァントというのは、マスターの事を大事にするものではないのかと感じたからだ。

 

「ああ、大切な仲間だ。シェヘラザードたちとは結婚の約束もしてる」

 

「ええ、私達とマスターはそれはもう、仲良くやってるわ」

 

マタ・ハリが踊るように浮いて彼にに近寄り腕を取る。その様子を三蔵法師は少しだけ目を見開いて見ると、困ったような顔をして笑う。

 

「んー、そっか天竺出身で、奥さん沢山居るのが普通なんだっけ」

 

「よくわからないけど、そうだ」

 

「あんっ!」

 

その言葉を言いながらも、構えていたシンドバッドは、マタ・ハリの腰に手を回しながら後ろに跳び下がった。

 

「人間! 我らを面白い呼ばわりとは何だ!」

 

「兄様! そういうところです」

 

「そういうところだぞ、カストロ」

 

よくわからなかったが、ポルクスが言うのならば、そうなのだろうと、反射的に返したが、カストロはより怒ってしまったようで、剣を振り回してくる。ポルクスが横から止めてくれるので、マタ・ハリを抱えながら、地下の狭い所で追いかけっ子が始まる。

何でお師さんじゃなくて自分が追いかけられてるのがわからなかったが、シンドバッドはマタ・ハリの助力も得ながら逃げ回るのであった。

 

 

「せ、先輩! なんか大変なことに!」

 

「えっちゃん、危なくなったら止めてあげて。おーい、シンドバッド、先に行くよ」

 

立香は慣れたもので、マシュの心配を他所に雑にそう呼びかけて奥へと進んでいく、此処に来たいと行ったのは自分なのだから。

 

三蔵法師は、カルデアのやりとりに目を白黒させながらも、軽く笑って、彼の後を追うことにした。




基本いつでも隣りにいるマタ・ハリさん

アステリオス君を殺したテセウスに昔連れ去られて、オデュッセウスが仲裁して結婚相手が決まった、ディオスクロイの妹を、パリスくんが連れ帰って起こったのがトロイア戦争。

ギリシャ勢は皆顔見知りとか親戚ばっかで大変。


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裏:この先について

吹きすさぶ砂嵐の中、カルデアを筆頭としたサーヴァント集団は、左翼側から、正門へと強襲をかけていた。現地の兵力とその指揮をするハサン以外、それら全ての戦力が今此処にいる戦力であり、この特異点で最大の戦闘集団と言っても過言ではなかった。

 

「藤太! もっと飛ばせないの!?」

 

「ええぃ、三蔵よ。お前も馬には乗れるだろうに!」

 

「軍馬は無理よ! こんなに早いと落ちちゃうでしょ!」

 

愉快なやり取りをしているペアも居るが、アーラシュも騎乗もないのに馬に乗っているし、ベディヴィエールは慣れた様子で、左手だけで手綱を握っている。

 

「見えてきました、聖都の守備隊です」

 

「うん、俺達の任務は兎に角撹乱。手空きができたら壁を超えるけどハサン達が内応するのを待つべきだと思う」

 

正直な所戦力としては、女神となったアーサー王以外はこれだけのメンバーがいればどうにかなるであろうし、その女神もディオスクロイを全力で支援すればどうにか出来なくはないであろう。ギリシャ神話の英雄で神核を持っているというのはそれ程なのだ。

 

故に1番の問題はどの様に侵入するかというところであった。なんとあの聖都はペラペラ喋る騎士たちから得た情報からすると、悪意のある攻撃は一切受け付けない、エクスカリバー由来のものでは壊せないとのことであった。

 

ナポレオンの宝具を試しても良いかも知れないが、それでも恐らく難しいとのことであり、一先ずは周囲の戦力を殲滅して正門前を確保して、敵を誘引するのが目的だった。

 

「カルデア! 此処は通しません!」

 

「ガウェイン卿……」

 

そして、当然のようにこれだけの戦力を前に、出てくるのは円卓の騎士である。不夜のギフトが効果を発動していない中、彼はそれでもこの場で王のために全力を賭してこの場を守るのだ。

 

前方に立ち塞がるその影を見て、立香は一瞬だけ戦力を検討するが判断を下す前にエンジン音が大きくなり、自分たちを置き去りにする赤い影。

 

「リツカ! 俺が行く!」

 

シンドバッドがボンネットに立ちながらそう言ってくる。マスターの居ないサーヴァントでこの場でガウェイン卿と戦うには最低2名以上を残す必要があり、自衛のこと、そしてシンドバッドのサーヴァントの性質、それらを総合的に判断して、彼はこの分担が最適と判断する。

 

「此処は俺に任せて、先にいけ!」

 

「それは、死亡フラグだよ! でもまかせる! アルトリア!」

 

「承知しました」

 

立香は自分をのせているラムレイとアルトリアに右から抜くようにお願いして、後は任せることにした。他のメンバーも付いてきているのを確認して。

 

 

「オラァ!!」

 

「太陽が中天に無いからと、甘く見たな! 」

 

シンドバッドは、まっすぐに敵に近づく車の先端から、タイミング良く飛び上がる、その時速数百キロという速度の助走をつけて、ガウェインに向かって思い切り飛び掛かり拳を叩きつけたのだ。

 

ガウェインはすぐさま迎撃か、回避かの判断を迫られる。普段であれば攻撃を躱して首を取ることも出来たであろうが、あの質量が此方に迫っている以上、万が一防がれた場合、此方が不利になると考え、攻撃をガラティーンでいなしつつ飛び退いた。

 

「この程度の攻撃しかできないサーヴァントが、私を止めるなど!」

 

「俺は人間だ! お前らみたいな奴が嫌いな人間だ」

 

マスターがいの1番に飛び込み、それを追撃するように車が突撃する、そんな5世紀の騎士からすれば意外過ぎる攻撃。それによって出来た隙は非常に大きかった。

すれ違う瞬間か、その前に高く飛び上がっていたのか。双子座の戦士ディオスクロイ。彼らに向けてシンドバッドは全力で叫んだ。

 

「令呪を持って命ずる! ディオスクロイ! 宝具だ! やっつけろ!」

 

「ようやくか、人間! その目に焼き付けよ」

 

「我らの絶技を!」

 

ディオスクロイの宝具、それは唯のコンビネーション攻撃である。しかしながら、それはギリシャで勇を示し、星座になった双子の絶技だ。加えてポルクスの神核とそれとつながったカストロの神格も神霊そのものの出力まで上がり、あらゆる防御を貫く攻撃となるのだ。

 

「「双神賛歌!!(ディオスクレス・テュンダリダイ)」」

 

単純にして強力無比。2名による同時の剣技と言うだけであり、何かしらの防御でそれを受けるのは非常に困難なのだ。

 

ガウェインもすかさず上からの強襲へと対応すべく聖剣と、なによりその膂力で受けるが、手数と何よりもその速度での攻撃、こちらのガラティーンの真名解放をも許さぬ連続攻撃に、凌ぐだけで精一杯であった。

 

そもそも、この宝具を受けて立っていられるだけで、十分に破格なサーヴァントである証左なのだが。

 

嵐のような連撃を何とか受けきり、反撃をとばかりに太陽の聖剣へと魔力を回そうとした瞬間、踏み込み姿勢を低くした彼が見据えた先に3人の女が見せつけるように車の上に立っていた。

 

「その姿はあまりにも優美……あくまでも上品……そして、あからさまにセク・スィ!」

 

その姿は此処からでもわかるほどに、妖艶で。

 

「うふふ、誘惑はお嫌いかしら?」

 

此方を魅了する浅ましい女のそれで

 

「今宵は……どのようなお話をしましょうか?」

 

豊満な体つきであった。

 

「……見事ッ!」

 

良いものを見た。ガウェインは受けた攻撃に対してそう素直に評した。恐らく先程の双神の剣技に対してのものであろう。

 

ガウェインはその攻撃を前にして身体が完全に硬直して、特に顔と目線を動かせなくなってしまったのだから。

 

「死になさい」

 

そしてそんな彼の隙を見逃すことなく、ポルクスは無慈悲にガウェインを切り裂いた。見事な逆袈裟斬りであったが、カストロの顔からは流れるはずもない、冷や汗がたれていた。

 

シンドバッドも、よくわからなかったが、少しだけ寒くなったので気を引き締めて先を目指すことにするのであった。

 

「ポルクス、カストロありがとう。二人はやっぱ強いな」

 

「今更気づいたのか? 人間」

 

「ええ、マスターどんどん頼って下さい」

 

心強い自分のサーヴァントと、また少し仲良くなれたのを感じて、シンドバッドは笑顔で車に飛び乗るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今だー!! 梯子をかけろ!!」

 

「矢は降ってこない! 今のうちなんだ!」

 

「熱した鉛を降らせてやれ!」

 

「梯子を崩せ! 正門は鉄壁だ!」

 

 

攻城戦、それは多くの犠牲を攻勢側が払う、出血を強いられる戦いである。それが力なき唯の民であれば尚の事だ。勿論戦闘を生業としているものも居るのであろう、だが兵の質という観点で見れば、聖都側は連合軍の3倍ほどであり、地の利まで得ている。言う成れば盤石な守りを崩すことは出来ない、そんな命の浪費であった。

 

もちろん、ハサンが影に忍び入ろうとしているが、この都市は善でないもの、招かれないものを受け入れない。都市ではなく所有者の居る道具なのだからある種当然ではあろう。

 

それでも戦闘中であり何かしらの穴はあるはずと、どうにか、どうにかして同朋の命を燃やしてえた時間で、経路を見つけようとハサン達が走る中、別のところでもその声を聞き続けていた女性が一人いた。

 

 

「そっか、アタシが呼ばれたのって、この時のためなのね」

 

「どうした、三蔵!」

 

「藤太、いい? このまま真っ直ぐ走らせなさい! 合図したら右に曲がるの、立香! マシュ! アタシは向こうに行って来るわ!」

 

「三蔵ちゃん!?」

 

立香達のラムレイを旗艦とする艦隊のように、カルデアとその同行者達は正門を目指して外壁を沿うように駆けていたが、突如三蔵は緩やかに曲がらずに、隊列を離れるように動き始めた。

 

立香はその動きをみて、様々なこの旅で見てきた英雄たちを重ねたが、だからこそ何も言えなかった。ただ少しだけ拳を握って、そして笑って頼むことだけが彼に出来たことだった。

 

「頼んだ! そしてこっちは任せて!」

 

「ほら、藤太、今よ!」

 

「ええい! ままよ!」

 

そして藤太の操る馬は正門の姿を捉えるべく、戦場の真ん中へと駆けていく。三蔵には声が聞こえてしまったのだ。

彼女が何時も指針としているどうするべきかという声が。その声は壁を壊せとも、皆を助けろとも言っていない。砂漠の向こうに行け、あの砦に行けと言ったきりだったその声がいま再び彼女の耳に届いたのだ。

 

思うままにせよと。

 

三蔵は聞いてしまったのだ、この地に住む純朴で善良な民の声を。この戦場で自分の無力と仲間の無事を思いながら無謀に挑むものを。苦しみ逃げたいと嘆くものの声を。

 

だからやるのだ。それは彼女がそう決めたからであって、ここで命を捨てるべきだと言われたからではない。彼女は人の道を間違えることはない。

 

それは彼女の意思によってなるべきものであり、だからこそその声が聞こえた瞬間に彼女は好きなようにすることに決めたのだ。

 

 

「アタシね、今とっても嬉しいの。アタシの旅で得たものが色んな人の考えをつくって、皆を動かして、頑張っているんだもの!」

 

「おい、三蔵! 馬の上に立つな!」

 

「天竺への旅でも、そこの修行で得たものも、持って帰って広めたものも」

 

彼女は思い出す、あの天竺への旅路を。愉快な弟子たちと共に巡った時に失敗し、笑い合いながら目指した旅路を。

 

「また、天竺をめざしたことも! だから、弟子が頑張ってるのだから、師匠はもっと格好良い所見せないとね!」

 

経典を集めたことを、人としての自分は捨てるべきものではなかったことを、無邪気に慕ってくれた弟子達がいたことを。

 

「見えた!」

 

二人の乗る馬は正門を捉える。この聖都を守る絶対の防壁。あらゆる害意が通じないその門を。彼女は何百何千と呟いた言葉を口にして、構えを取る。そして優しく柔らかく手を添えると、それを解放した。

 

「ファイナル・釈迦如来掌!!!」

 

それは彼女の霊基のキャパシティを超える一撃だった。それは光よりも早く届く慈愛であった。相手を救いたいという慈愛が形どったものであり、そのまま門戸を吹き飛ばし、聖都の守りを崩す一撃であった。

 

そしてその代償は大きい。彼女は力尽きたかのように落馬し倒れ込んでしまった。身体からは、サーヴァントが座に帰る前触れのように、金色の粒子が溢れ出している。藤太は慌てて馬を止めると彼女に駆け寄る。

 

「三蔵、お前これは、何故そこまで無茶をした」

 

「ねぇとーた……アタシがんばったよね」

 

既に声も聞こえていないのかこちらの問いかけに返さない三蔵は、それでもたおやかな笑みを浮かべながら砂嵐の舞う聖地で見えるはずもない空を見ていた。

 

「頑張ったごほうびにさ、今度は、どっかの雪山に召喚されて、そこでまたでしをとって、しゅぎょうするの……きっとたのしいわ」

 

そこでは、立香もマシュもきっと一緒だ。これで3番弟子までそろう。一緒に御飯を食べて砂漠なんかを歩いてみて、雪山を行くのも良いかも知れない。

 

「おとうとでしができれば、きっともっとがんばってくれるよね」

 

ちょっとだけだけれど、前に見たときより成長していたいつか取った弟子は、このキャメロットの地では自分はいらないだろうと、そう思えるほど仲間に囲まれて、奥さんとも仲良くて。なによりも、とっても楽しそうに旅をしてて。

 

だから、次の旅があったら、そこでは弟子としてもっと導くのだ。

 

「ああ、そうだな」

 

「ごくうたちもさいしょは、てきだったもの、きっとだいじょうぶよ……」

 

そう言って彼女の身体はエーテルとなり溶けていった。彼女が残した最大の成果は確かにカルデアへと繋がったのであろう。大金星である。ならば、この旅路の弟子である彼がすることは一つ。

ここで破られた門を守りに戻ってくる敵の騎士たちへと、たらふく米を振る舞うだけだ。

 

「さて、やるとするか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見事であった……ベディヴィエール卿。お前の忠義然と受け取った」

 

「勿体なきお言葉です……我が王……よ」

 

 

女神ロンゴミニアド、圧倒的な力を持ってしまった女神へと至ったアーサー王はしかし、カルデアを前に敗れ去った。あらゆる攻撃を通さない、真名を知ったマシュの盾と、アーサー王の死因たるエクスカリバー、そして単純な戦力の数によるものであったが、女神は破れ、今ベディヴィエールから聖剣を返されたのだ。

 

これにより、彼女は滅ぶ。この世界の果てで一人死にゆくのだ。聖剣を渡し塵のように消えた一人の忠義の騎士へと、彼女は少しばかり思いを馳せたが、残された時間を使うべくこの場まで来た3人の人間をみる。

 

小さい。吹けば飛ぶほどの人間だ。とびっきりの善性を持つものが2名と、人間らしく汚れた者が1人。そうだ、人間はこうして多くのものが混ざり社会を作り繁栄した。こうして神を倒すように。良いものだけを残すということが、自分の好みによる選別だったのだと、改めて理解する。

 

「カルデアのマスターよ」

 

「なんだよ」

 

「なんだ」

 

魔術王と視点を共有した、神となったアルトリア。自分は魔術王の前に、いや、彼の用意した7つ目の特異点の絶望を前に膝をついた。だが、それを越えたとしても……ならばこそと彼女は言葉を残す。

 

「良きものよ、星を集めよ、どんな時も輝く星を、己の手で」

 

それは、最後の路へと至る為のものだ。その前の原初の地獄を乗り越えねば意味はない、しかして……彼が今まで集めてきた星全てが輝かねばその後はないのだ。後1つで見つかる星は多くはないであろうが、それでも探し続けるのだ。星見の魔術師よ。

 

「己の路を刻むものよ、磨け自分を、刻みつけるように、語られるように」

 

それは、最後の先のためだ。この旅路の果てに待つ者たちのために。多くのものが待つところまで彼は行かねばならないのだから。原初の地獄とその先を超えてまで、彼は跳んでいかねばならないのだ。星見の英雄よ。

 

「……どういう意味?」

 

「……全くわかんねぇ」

 

怪訝そうな顔を浮かべるが、伝えられるのは此処までだ。

 

「次の特異点、それは原初の地獄。紀元前の人が神と袂を別たった時代。そこに魔術王は聖杯を送り込んだ。その聖杯こそが、魔術王の在り処を示す唯一の標となる」

 

この言葉があれば、カルデアはたどり着くであろう。

ついぞ姿を見せなかったあの者や、懐かしいあの者が何をしているかは知らないが。それでも行ってもらわねばだ。

 

女神ロンゴミニアドは、一気に消えゆくカルデアの者たちを見ながら玉座へと体を預けて人類の未来を思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 




明日からバビロニア! 目標通り5月中に入れるぞ。

6月もモチベのため更新を止めたくないのですが……どうでしょうかね?


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第七特異点 絶対魔獣戦線 バビロニア
(帰還)~(好感度稼ぎ)


祝! お気に入り1000突破。
投票者50突破。

拙作をこれからもよろしくお願いいたします。



後は駆け上がるだけのRTAはっじまるよー。

前回はなんとか女神ロンゴミニアドを倒したところまででした。所詮奴は北半球。南半球の素晴らしさが分からぬ王よ。

 

これによって後残る特異点は1つ。バビロニアのみとなりました。此処まで長かった。

 

この最後の特異点は測定と観測に手間がかかりますので、これから多少の時間的余裕があったりはします。

 

現在のゲーム内日付的には、リミットまで残り2か月ちょっとの余裕がありますが、11月に入るともうイベントが行われなくなるのと、戻ってきて1週間は4章の眠らせてくるやつみたいなのが差し込まないと発生しないので、既に非イベント安全圏に入ったと言えます。

 

要するにここからは、本格的♂RTAが始まります。何を犠牲にしてもタイムを縮めていくしかないということです。更に言うとバビロニアは野良鯖とかほぼ居ないので、最適化だけを考えていけます。

 

これまでで準備できることですと、まずはこちらの戦力の確認からでしょう。

 

ディオスクロイにキャメロットで得た素材等のリソースをどばーっとつぎ込んでしまいましょう。これでレベル的にはほぼ上限ですね。いいですね、はい。

バビロニアの後は、シームレスに最終章が始まりますので、ここが最後の稼ぎ所さんになります。多少届かない分は、空いた時間でシミュレーターでなぜか手に入る腕を狩って稼ぎましょう。

チームシンドバッドは目処がたったとして、チーム藤丸の方ですが、ここでついにレベル的には上限まであげてくれるようになります、後ほど残ったリソースはすべて回してしまって底上げしてもらえばよいでしょう。ディオスクロイが加入したとは言えこのカルデアのダメージソースの殆どは彼らの編成によるものなので。

 

 

さて、今回は先にRTAらしくどこを短縮するのかということを解説します。

このバビロニアは……時限爆弾が2つほどセットされているという大変面倒な特異点となっております。

 

ゴルゴーン、厳密には自分のことをティアマトだと思い込んでるメデューサを倒すと、終わりが始まります。それまでにバビロニアの防衛態勢を整えておかないと、滅んで終わります。は?

 

そして、その後も出てくるティアマトを早く攻撃して進化を誘発させすぎても詰みます。

ラフムが飛んだら基本的にはもう無理ですね。彼女はペルシャ湾スタートでバビロニアを真っすぐ歩いてきますので、適切なタイミングで到着するように調整がいります。

 

ティアマトの倒し方は冥界に落として総力戦をする。という王道ルート以外ですと、固有結界に封じ込めてそこで殺す。という方法もあります。原初のママは他に命があると死なないので、別個の世界に隔離する必要があるということですね。神話は基本的にとんちなので、異常強化したエミヤならぬEMIYAがいれば勝てたりしちゃう恐ろしさ。

 

後者をするにあたっての最低条件として、必要なサーヴァントは固有結界役が2名以上、殺し切れる超火力鯖2騎以上と大変シビアな為、今回は採用の方を見送らせていただきます。今後のご活躍をお祈りしております。

 

所有鯖が全部信長になってるとかの人なら、わりと普通にできます。神を殺す固有結界という、ピンポイントメタになっておりますので。しかも、異教の神を殺すやつなので、強いです。

 

ティアマトに関してはこのバビロニアにおいて、最大のジョーカーであるマルドゥークの手斧、これの切り方が重要となっております。ゴルゴーンを倒す際に使用することが推奨されるので、そこで切るのが普通ですが、ここで温存することにより。

この特異点の最大戦力のケツ姉にデバフが入らず、マルドゥークの手斧はティアマトに対して絶大な特効が入ります。

極端な話この斧を当ててしまえばあとはどうにかできます。

 

なので、斧なしでゴルゴーンを倒すというのが、求められる事となりますね。

 

彼女を倒すには力のもとである、鮮血神殿を破壊する事が大事で、その為にはエクスカリバーが1,2本あればできます。まあ今回は、神の建造物を壊した逸話のナポレオンがいますので、問題ないですね。

 

というわけで、詰めまでの手順に関しては、大まかな物ができてます。

問題はもう1つ、ギルガメッシュ王による、リアルウルク経営シミュレーションです。

こっちに関しては現地に行ってからでないと、厳しいものがあります。

 

現状ここまでのサーヴァントで戦力も鍵も足りていると言えます。

ちょっとチームごとに偏りがありすぎるのが問題ではありますが、魔力量の消費まで考えるといいバランスです。なので気を付けるべきことは、損耗を受けないことです。

マスター側の人材減はゲームオーバー案件ですが、鯖は特異点から戻れば復帰します。1特異点辺り1つの残機ストックです。

今までパーフェクトゲームというか、こちらからの途中離脱者はほぼいない状況で来れました。今回もそれを目指すといいますか、そうしないと明確に突破できないで詰みかねない局面が出てきます。命を大事にして、生きようね。

 

さて、ロマニの長い話も終わりましたし、好感度とストレスを確認。

ストレスはなし、よし。

好感度は、結構たまってんな、ディオスクロイ。やっぱ一緒に戦うのがギリシャ鯖の最適解だって、それ一番言われてるから。

 

彼らを絆5にするまでに必要な信愛度はカーミラ5人分だぜ。

 

一先ず本日は就寝と行きましょう。特にイベントもなく起床。いつものようにステータスが微増して、結構な積み重ねになりましたね。賢さと話術なんて、マイナススタートだったのに平均より低いくらいまで来てますし。

 

さて、召喚のためにロマニに声かけに行きましょう。

おーい、ロマニ、聖杯増えたけど結局召喚できんの?

 

「それが、カルデアとして維持できるサーヴァントの上限に達してしまっているから、もう召喚ができないんだ」

 

んー……? あ、もしかしてディオスクロイが2人分と判定されちゃってるんですかね?

これで8人のサーヴァントを呼べるはずなんですが。

 

でも本当正直ここで、新戦力ガチャしてもリソースが足りないんですよね。藤丸君が呼ぶことになると分けたリソースは均等に与えられるので、十分な強さにはなりませんし。こっちでも魔力消費の関係上たいした活躍はできないので。藤太君の触媒を手に入れていた場合即決でした。彼が居るだけで大抵の街の食糧問題は片付きます。

 

まぁ、先も言った通り戦力は足りてますからね。気にせず行きましょう。そもそも同行できるメンバーの上限にはなってますし。

 

「あ、次の特異点の観測にはもう少し時間がかかるよ。今は極小特異点みたいな歪みもあるけど、放っておいても問題なさそうなもの位だ。人理焼却の修復とともに消えるよ。よほどのことがない限りは」

 

ん、おかのした。まぁいまさらイベントできませんしおすし。

 

「最後の聖杯が、魔術王へとつながる手掛かりになるのならば、それを回収してしまえばこちらの、カルデアの居場所も向こうから見えてしまうということだ」

 

まぁ、今のカルデアはどこにあるかわからない不確実さが売りというか強みなんで、みーつけたされたらそうなりますよね。

 

「だから、こうやってゆっくり準備できるのは今が最後になるだろう。しっかり準備をしておくように」

 

 

そういうわけなので、アイテムの整理もしておきましょう。バビロニアではワイバーンなどの竜種がいますが、魔獣も普通にうじゃうじゃいます。

 

現在のシンドバッド君の人外ゲージは結構なものになってきてますので、現状75%くらいまで来てます。

 

通常戦闘ではワイバーンとかのドラゴン以外に宝具を使ってブーストをかけるのはやめようね。

それでもキメラや魔獣に関して使うことで、非常に強力なブーストがかかります。竜っぽい魔獣がいたら、とりあえず食ってしまいましょう。

 

 

というわけで、次は好感度イベントを消化していきます。好感度上限まで行っている鯖は稀に結構有用なプレゼントをくれたりするので、釣った魚にも餌を上げるようにしていきましょう。というわけでまずはシェヘラザードの部屋です。

 

おじゃましまーす。ってあれ、入れません。留守のようですかね? んー此処に居るはずなんですが。

 

「マスター!? ちょっ! ちょっと待って頂戴。わたし達今取り込み中で」

 

「ごめんなさい、今はわたし会えないのよ」

 

「マスター、申し訳ございません」

 

ん? また初見のイベントですね。というか皆いる感じですねディオスクロイ以外ですが。

サプライズバースデーでもやってくれるのでしょうか? 誕生日イベントは大したもの貰えないのでまず味ですし、誕生日設定してないからなにもないはずです。あ、だからへんな挙動なのでしょうか。

 

 

まぁ、そういうイベントもありますので、仕方ないので他のイベントを進めていきマシュ。

 

つーわけでマシュちゃーん、体調どうすか? (死期が近い可能性が)濃いすか?

 

「あ、シンドバッドさん! はい、大丈夫です」

 

マシュはこの時点でというより、前から自分の寿命について知ってました、知ったうえで彼女は戦うことを選んでます。だからこそきれいな美しいものなんやなぁって。

 

「あと、特異点は残り1つ。最後まで頑張りましょう」

 

お前も頑張んだよ!! 彼女の決意表明は一度聞いておくと、特異点中の回想が短縮されるので先払いのほうが安いです。

 

ですが、あんまり関わりすぎると、あれがああしてああなので、この程度で。視界に入れないようにしてますが何時もヒヤヒヤですわ。

 

後はダ・ヴィンチちゃんの処にもイクゾー。結果的に装備はもういりませんが、魔力を回復できる滋養剤等を仕入れておきましょう。コンビニやドラッグストアで市販しているレベルのものよりはマシなのを彼女ならつくれますので。

 

「やぁ、よく来たね」

 

おっすお願いしまーす。

述べた通り装備に関しては更新の必要性も必然性もないので、素材は全部投げてしまいましょう、勿論育成素材は別です。

 

「うーん、やっぱり魔力が厳しいと感じたのかい?」

 

そうだよ、ブライダルチェストとか作れないんすかねぇ?

 

「時間が足らないのだよ、この万能の天才たる私も1年くらいの時間がなければ、擬似的な第二種永久機関やリソースをつくるなんてできないのさ」

 

そう……(無関心)。じゃけん雑貨だけもらって帰りましょうねー。ダ・ヴィンチちゃんお手製のお薬はそこそこの効果があります。もうリソースを出し渋る必要もないのでたくさん頼んでおきましょう。

 

「うむ、承知したよ」

 

こんなところですかね。

藤丸君との模擬戦は最後になるんで、もう少し待ちましょう。

 

にしても結局施設の拡充はちょっとしたステージを作っただけでしたね。料理スキルすら持ってるのがいないのは予想外でした。さて、次に藤丸君に絡みに行きましょう。

 

 

「ん? シンドバッド、今はメートルの所に行くのはやめたほうが良いぞ」

 

食堂の入り口でナポレオン兄貴が門番してますね。おっすおっす。

 

「今は、王様たちのご機嫌取り中だ」

 

食堂の入り口からのぞき込むと、おおっと、藤丸君もやりますね、えっちゃんを膝の上にのせておはぎを食べさせながら、背中に槍上が寄りかかって寝てます。こうはならんやろ。なっとるんだよなぁ。

 

ちなみに彼はよっぽどのことがない限り、放置しておくとマシュとの好感度がぶっちぎってマシュルートに入っていきます。

名前を言ってはいけないあの鯖とか、その天秤の反対側とかがいてもなので……筋金入りといいますか。

 

まま、それなら逆に良いです。藤丸くんの鯖と絡んで好感度上げとこうと思いましたが、そんなことよりも主従の絆をあげるほうがご機嫌も良くなりますからね。

彼の鯖の為大まかにしかわかりませんが、そんなに悪い評価でもないので、保険程度でした。

 

 

そろそろ終わったと思いますし。自鯖の方に会いに行ってみましょうか。

テキトーに絡んで後は訓練と就寝を繰り返すスタイルで安定を得たいので、

 

シェヘラザードさんちーっす。

 

「マスター……はい、こんにちは」

 

最近どうなん?

 

「……そうですね、私達の旅路は後少しなようで、まだ長いものです、ゆめゆめ油断無きように」

 

お、そうだな。特に何も貰えませんでしたが。ままええわ。次行こうぜ!

 

 

マタ・ハリも近くにいるので声をかけに行きます。

 

「あら、マスター。どうしたの、私に何か用かしら?」

 

特にはやってないんすけど、暇なんで。

 

「それなら、一曲おどりましょう? せっかく舞台があるのですもの」

 

ダンスは……苦手だな。新宿の潜入くらいにしか役立たないスキルですし。

 

「下手でもいいの。今のマスターがどう踊るかを見ておきたかっただけだもの」

 

こっちも特に収穫はなしですね。一曲踊って多少のステを得ただけです。全くの無駄ではないですが、まぁいいでしょう。

 

 

続いてはカーミラですね。ちょろい彼女ならばきっと何かくれるでしょう。

……ってあれ、いませんね。まぁ鯖とのパスが繋がってるのに場所がわからないこともありますし。三蔵ちゃんとか勝手に砂漠のシミュレーションで迷子になったりしてますからね。

 

仕方ないので期待の薄いディオスクロイです。普通に部屋にいるので自室に戻るついでですね。

 

「マスター? どうしました」

 

「人間、何の用だ、我ら兄妹の語らいを邪魔する程の用件なのか」

 

んー、この塩対応。兄様の声はこわいけど美少年顔枠だけど身長はデカイってどの層に刺さるんでしょうね。気を取り直して差し入れを渡しましょう。

カルデアの備品に酒なんて物はないので、食い物です。

 

ギリシャ名物ヤドカリ料理ですね。いや絶対当時ヤドカリとか食ってなかったと思いますが、回収したものの中にあるので。フレーバー的にスタッフからは好評らしいです。

 

「カルキニオンだと?」

 

「これ、食べれるのですか? でもいい匂いですね」

 

おう、怖いなら食わなくていいぜ。ビビリの兄様はよ。と適当に挑発しながら1つ食べると。

 

「言ったな、人間! 良いだろう我らスパルタの王族でもあった身。それを満足させてみると良い」

 

即落ち2コマ並の速度で受け取ってくれます。

 

「もう、兄様ったら、あっこれ美味しいですね」

 

ポルクスちゃんはもうそのままの君でいて下さい。君にもゴッフ所長のクロワッサンを食べさせてあげたかったんや……

 

一先ず、好感度を結構稼げたので良しとしましょう。

 

できる準備もだいたい終わってきましたし、バビロニアが見つかり次第出発ですかね。

 



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(模擬戦)~(不時着)

7章プロローグでちょっと早い新年の挨拶。とかしてるのに
普通に1月半位かけて攻略してるの何なん?(半ギレ)


生きているなら神様も殺すRTAはじまります。

 

前回は雑多なイベントをだいたい消化したところまででした。

あとするべきイベントである模擬戦をこなせば、ダ・ヴィンチちゃんに発注してたお薬を受け取ってカルデアとはおさらばになります。

マイルームに戻れるのも……これで終わるんやなぁって。

 

というわけで、最後の模擬戦と行きましょう。好感度的にはディオスクロイを除いてもう十分な感じはしてますが、最後のこのイベントに限っては必須となってます。

 

カルデアのマスターとしてこの後の戦いに全力で挑もう的なお題目として、全力で戦う感じとなります。しかもマスターは初期位置から動けないでマスターとしての能力で競うという感じです。

なるほど、今までの特異点でお互い積み上げてきたものを、マスターとしての能力だけで競い合うという、熱い展開ですね。

 

ふざけんなぁ!(声だけ迫真)

 

こっちは殴ってなんぼのビルドやぞ。普通の魔術師にしたって多少の支援魔術なんかはしますし。完全に一般家庭マスター同士が想定されているやつですね。

 

これに勝つと地味に称号が手に入ったりしますが、いらないです。まぁ適当にやって流しましょう。あまりにも惨敗過ぎると好感度が下がったりしますので、適度に頑張りましょう。

ちなみにこっちが作家とか音楽家とかしかいなくて、向こうにヘラクレスとカルナとギルガメッシュがいたりしても同じです。クソゲーかな?

 

「それじゃあ、いくぞシンドバッド!」

 

「勝負だ、リツカ!」

 

 

と始まっちゃいましたね。一応前回の総力戦よりかは相性が戦力差は縮まっています。頭数で5VS4であることと、単純に最後に入ったディオスクロイのおかげで戦いになってくれます。

 

マスターへの攻撃はなく、EXTRAみたいな感じで鯖が複数いるという環境なので、ナポレオンの砲撃でマスターをズドン、終了。はないから安心ではあります。

 

というか、ナポレオンとカストロ君しか男が居ないので、魅了が効かなくて辛い……辛くない? 次のバビロニアでもそうですがね。3女神同盟と性別不明と原初の女神とかふざけてんのかよ、こんなんじゃ魅了はめになんないんだよ。

 

ともかく、ディオスクロイのペアでマシュ、えっちゃん槍上を留めてもらいつつ、ナポレオンにはマタ・ハリとシェヘラザードで執拗に妨害をかけまくります。フランス男なんてパパパってやって、終わり!

 

「行きなさい!」

 

カーミラの犬がマシュへと襲いかかってますね。ああ、コイツラの頭数入れて、更にシェヘラザードのジンなんかも考えると、数では圧倒しているという点はあるんですね。兎も角ワンコは大した攻撃力こそないものの、盾役のマシュを十分その場に食い止められますし、その間に車に乗りながらハンドガンで支援射撃してます、やっぱり一人だけ世界観違うな? いやえっちゃんも別世界観なのでSFとファンタジーとアクションでクロスオーバーだな。

 

ともかく嫌な感じで均衡したので早めに決めに行きましょう、早仕掛けしてミスって負けなら十分です。何より魔力量で惨敗してるので。

 

「シェヘラザード宝具だ!!」

 

「はい、承知しました」

 

シミュレーターに致命的な損害を与えない宝具はOKという事で、こっちは条件的には有利ですね、何よりマシュ以外王とか本来お客さんの編成なんだよなぁ。

 

まぁ、マシュに防がれるでしょうが。あーキャメロットの音! 何度見たかこの宝具。王の話とキャメロットが無限に続く防衛戦はRTAではキャンセルだ。

 

でもまぁ、お前のここが隙だったんだよ!

 

「カストロ! ポルクス!」

 

行けるところまで突っ込んでもらいましょう、宝具も打てなくはないですが、そこまで無理をする必要性はないので。

 

「マタ・ハリ!!」

 

マシュの盾ガードが妨害に入ろうとしますが、そこはマタ・ハリさんで止めてもらいます。耳元で囁いて後ろから行動を阻害するアサシンムーブ。

 

というわけで撃てる手は全部打ちました。あとはディオスクロイが鯖の誰かを戦闘不能にしてくれてれば……ダメみたいですね。

 

槍上の突進がカーミラの車を吹き飛ばしてます。いいチャージインだ。

それをナポレオンがナチュラルにエアリアルしてディオスクロイに向けてふっとばしてますね。カーミラには一旦宝具の車を消してほしいですけど、やっぱ戦闘ガチ勢ではないので、こういう時の判断が遅れてますね。ディオスクロイが分断され、えっちゃんがカストロの首に刃を突き立てて、1名脱落。

 

ルール上ディオスクロイ両方OUTなので、勝ち筋が消えましたね。

 

素直に降参しましょう。いやまぁ、だってこっちの火力の8割はディオスクロイですし。千夜一夜通らなかったら負けですし。

 

「俺の勝ちだね、シンドバッド」

 

「ああ、リツカの勝ちだ」

 

マスター同士の格闘戦で決めましょうよ!! それ以外勝ち筋がないのはもう仕方ないですからね。

 

さて、後は特異点の特定までトレーニングと就寝を繰り返して……準備できたみたいですね。最後にリソースをディオスクロイにブチ込んでやるぜ。薬も回収していざ鎌倉!

 

いや、本当に鎌倉武士大活躍の特異点なんで。

 

さて、本来ならセーブロードで厳選する要素がここからはじまります。アイアンマンなんで無理ですが。それはずばり、初期位置問題です。

 

今までの特異点も多少初期位置にランダム性はありました。しかしながら攻略の順番が変わるだけで本質的には問題はないスタートだったと言えます。その理由はやはり戦力が100%の状況でのスタートのみだったからでしょう。

 

しかしながら今回このバビロニアに関しては、都市に結界が貼ってあるためはじき出されます。カルデア技術者ルートとかであれば初期位置を厳選出来たりしますが、そういうのがないと何が起こるかと言うと、藤丸君と逸れてスタートになります。しかも上空にぶっ飛ばされます。でも落下ダメージに関しては着地まで魔法の絨毯でOKです。

 

これが本当にキツイのです。ディオスクロイ来なかったら、令呪きってでも魔法の絨毯を使って合流ポイントまで移動するつもりでした。途中ワイバーンなどの竜種、イシュタルかキングゥに絡まれたら終わりです。

 

あ、キングゥで思い出しましたが、野良鯖を暗殺する対鯖察知能力は持ってる様子ですが、人間個人を識別する気配察知は出来ない仕様のようです。ポンコツかな? と思いますが、ピンポイントでマシュに向かって遠くから跳んでくるのに、会いたくない賢王が近くにいることがわからないイベントを再現するためでしょう。

気配察知は犠牲となったのだ……シナリオの犠牲にな。

 

何がいいたいかというと、一度顔を合わせるとエレちゃんとケツ姉の勢力圏以外でその鯖を連れてるとランダム遭遇イベントが発生する可能性があります。そして、その時に倒しきってしまうとそれはそれで面倒です。霊体化してもらい、後は祈りましょう。

 

さて、それでスタート地点の話ですが、ロマニのナビゲーションで合流地点が指示されますので、普通にそこに行けばいいわけですが。基本的に藤丸君はエルキドゥのフリをしたキングゥに騙されるイベントを消化してるので、とりあえずウルクに行け!! となります。

 

問題はこっちのチームです。基本的にはウルクから数十キロ圏内ランダムとアバウトです。北の壁近くの場合、一先ず壁へと向かいレオニダス王と合流を目指します。魔獣に囲まれて堕ちた場合、マタ・ハリの宝具の魅了でカバーしましょう。厳しいですが、何とかなります。

 

最悪なのが、南側の密林に堕ちた場合ですね。基本RTA的にはゲームオーバーです。ウルより南であれば、もう確実にOUTです。密林でジャガーマンの奇襲に勝てるわけ無いだろう!!

 

先駆者様がやっていましたが南の密林ですと、ジャングルを抜け都市に入り、ケツ姉のお気に入りになって孤軍奮闘して時間を稼ぐという行為が必要になります。

 

そうなった場合、ひたすらプレイ時間がかさんでいきます。YAMA育ちなので、そんなに相性は悪くないのですし、密林の女神の侵略リソースの分、王様のウルク経営が楽になるので安定に安定をとってタイム以外は大丈夫なルートではあるのです。

 

密林の中でも北の方ならば逃げ切れれば勝てます。戦闘回数が少なければの条件が付きますが。ディオスクロイに令呪で支援して藤村に鉄槌をくれてやりましょう。奇襲がこわいので、初戦で痛めつけさえすれば問題ないです。

 

それ以外でしたら、まぁウルクへとドライブして先にカルデア大使館の設置でもしてましょう。

 

さて、最後のレイシフトです。気合い入れていきましょう! 神代呼吸器のマフラー装備完了! 装備良し! イクゾー!

 

 

 

さーて今回の初期位置は────

 

 

「きゃああああああ!!」

 

「マスター!!」

 

「どういうことなのよおおおおお!」

 

あー……そう来ましたか。一先ず鯖を回収してシェヘラザードに正気に戻ってもらいましょう。

 

「シェヘラザード! 魔法の絨毯だ!」

 

「……はっ! そ、そうですね」

 

鯖なのに放心状態になってて困りますね。というわけで魔法の絨毯に……あのーすみません。マスターですけどぉ。なんで自分で出してすぐに乗っちゃうんですかねぇ。

 

主人だけ落下していくんですが!!

 

まぁ仕方ないです。鯖は最悪霊体化すれば問題ないですが、マスターは普通に死にます。なので編成次第で此処は即詰みポイントではあるのですよね。まぁシンドバッドくんなら、この高さでも耐えられますけどね。

 

 

なにせ、ここペルシャ湾沖上空ですからね。どんだけぶっ飛ばされたんだよ。

下は海なのでしっかり足から落ちれば何とかなります。構えましょう。YAMA育ちの宝具持ちならば耐えられるでしょう。

 

 

「世話が焼ける!」

 

「カストロ! ありがとな」

 

とかやってたらカストロくんが抱えて絨毯まで運んでくれました。優しい。マタ・ハリとカーミラはポルクスちゃんが回収しているようですね。あ、そっかぁ君等飛べるもんね。

 

「マスター申し訳ございません。突然のことで」

 

そら語り手のお姉さんが空中からフリーフォールを心構えなしにできるわけないので仕方ないね。

 

そんなことより状況の把握と行きましょう。残念なことに陸地が辛うじてという程度でしか見えません。令呪はギリギリいりませんが。初っ端から大きく魔力を消費する事になってしまいました。

 

「ここは……懐かしい匂いがします」

 

「どこの海だ? ギリシャではないようだが」

 

「はい、兄様」

 

実はシェヘラザードさんの出身地だったりします。この辺り。知名度補整? ねぇよそんなもん。一先ず消耗を考えずに上陸しましょう。所謂水質観測所の近くに着きます。

 

『シンドバッド君! 無事かい!?』

 

今更ながらの、のろまなロマニ通信ですが、仕方ありません。仕様です。一先ず彼に合流ポイントと状況を尋ねましょう。

 

『立香くんは……ひと悶着あったけど予定通り現地の勢力であるエルキドゥと合流してウルクを目指している。君たちから見てウルクは……北西の方向だ。そこで合流して欲しい』

 

一先ず問題なくキングゥは向こうに行ってくれたみたいですね。こっちに来たらむちゃくちゃキツイので、良しとしましょう。神性特攻やめてちくりー。

 

ともかく、ウルク以外安全ではないのですぐにでも移動しましょう!

 

 

 

 




毎日更新だと、このくらいの長さが上限になりそうです。基本はこれの半分ちょっとでしょうか。

活動報告へのコメントありがとうございました。


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(ウルクへ)~(大使館)

祝! 5月中毎日更新達成! & 50日間連続更新!
褒めて! 質に関してはあまり言及しないで褒めて!



人類最古の過労死が触媒になるRTA はじまります。

 

 

前回はペルシャ湾へとダイブ! をかます所でした。陸地に着きましたが、既に魔力は1戦闘分ほど消費してます。命には変えられないから仕方ないね。

しかし此処は神代で空気中の魔力が尋常じゃないのが理由なのか、シンドバッド君呼吸してるだけで雑に回復してますね。魔力ってそういうものだっけ?

 

ともかくカーミラ様の宝具に乗ってウルクを目指しましょう。この特異点は明確に徒歩移動の距離調整が絶妙で、おそらくギルガメッシュ王の都市計画によるものでしょうが都市間の移動が徒歩1日単位になる感じです。

基本は歩きでの移動で、非常時はマーリンが馬車を出してくれます。ようするに車移動ができるだけで結構な短縮になるというのがありがたいです。

 

「ねぇ、マスターお願いがあるのですけど」

 

ポルクスちゃんですね、この特異点では基本的に頑張って貰いたいのでお願いは可能な限り聞いていきましょう。

 

「私もこのくるま? に乗ってみたいです!」

 

「ポルクス!? なぜそのような!」

 

あ、いいっすよ。別にシンドバッド君の鯖がどんな感じで移動しようと問題はないです。飛ぼうが乗ろうがあまり変わりません。というわけで膝の上にポルクスちゃんと……カストロ君を乗っけて出発です。

 

「兄様も乗りたかったのですね」

 

「違う!」

 

やっぱ好きなんすねぇ〜。

 

「あの、わたしの宝具なのだけど」

 

「ごめん、今回は頼む」

 

オッス、おねがいしまーす。

 

というわけでガンガン移動しましょう。残念ながら途中に湿原があるので、若干迂回したほうが速いです。後ほどウルクでマシュが受け取るア・メンボとかいう魔道具を改造してつけてもらいましょう。

 

少し移動すると捨てられた石像3兄弟が待ち構えています。後2回はこの道を使うので、あまりにも近くを通る場合は破壊しておくのもありです。2回迂回すると、別の敵に遭遇するリスクもあるので、最短ルートの開拓をしておきましょう。

 

今回は直撃コースですので、普通に戦いましょう。

 

「皆、戦闘だ!」

 

この巨像達はスプリガンのモーション流用ですので、遠距離からチマチマやれば負けませんが、消耗を恐れずにガンガン行って倒しきってしまいましょう。

 

ポルクスとカストロで1体を倒してもらっている間に、シンドバッド君が1体とタイマンして時間を稼ぎ、残りの鯖で1体を止めてもらいます。早く倒した鯖がシンドバッドと合流するという流れが1番安定します。

 

スプリガンは踏みつけ攻撃が痛いので、近くによる場合は移動を意識しましょう。基本巨体と戦う時は膝を狙うのが吉です。というわけで振り下ろしをステップで横に避けるより、身体を低くして股下を通り抜けます。がら空きの膝裏に、全力の肘鉄を打ち込んでやると!

 

────称号『自慢の拳』を獲得しました。

 

はい、きました。良いダメージだったのと、何よりもこれでマスターで戦闘する意味が消え去りました。まぁ今後とも殴り殴られするのですが。ともかくこれでバランス崩して怯むので、無理ない程度に削りつつ距離をいい感じにとっておきましょう。

 

「おまたせしました!」

 

っと、ポルクスちゃんがこっちに来ましたね。早ない!? ディオスクロイの攻撃性能考えれば納得ですけどね。直ぐに膝をついてるスプリガンを斬首してフィニッシュ。シェヘラザード達の方もカストロが……はい、殺しきりました。

 

いやー大分安定してきましたね。準ボスクラスのエネミー程度なら3体来てもこんな感じでいけます。だいたいこの巨像は、量産魔獣の上位個体以上、指揮官クラス未満の性能ですので、この特異点でもあの物量で押されなければ十分いけるでしょう。

 

ともかく、巨像討伐が終わりましたので、ウルクへと急ぎます。やっぱりフェラーリの速度を……最高やな! 藤丸くんが3日かかるルートを数時間で到着です。

 

城塞都市ウルクは、正直未来に生きすぎてます。都市の区画整理や貨幣制度などの先進的なものを導入して、無限湧きしてくる北の魔獣戦線を維持できるようにしてます。当然門番が立っているため、入る際に色々聞かれますが問題はありません。

 

「止まれ! 見たことのない顔だが、どういった要件だ」

 

「はじめまして! 私達はカルデア! 旅の一座よ」

 

マタ・ハリさんが適当に言いくるめてくれますので。問題は王様への謁見ですね。まぁ統治している神殿まで行ってしまえばどうにでもなるので此処を抜けることに注力しましょう。

 

「きっと、私達ウルクの人の力に成れると思うの……ね?」

 

「わ、わかりました。一先ず難民ということで許可証を出しましょう」

 

ちょろいぜ。まぁ実際戦力になりに来ましたでどうにでもなるのですが、穏便に行きましょう。というわけで藤丸くんより一足早く入国。ロマニに報告すると目的をくれます。

 

『ウルクに入れたんだね……って何だこりゃー! これが紀元前の都市!? 完全な戦闘都市じゃないか!?』

 

ギルガメッシュのことだから、暴君に支配された閑散とした恐怖政治の都市でしょうとか言ってた男のセリフですが、適当に流して先に進みましょう。中心の高台を目指せばいいので迷うことはないです。

 

というわけで神殿に到着。流石にこの辺で護衛に止められますが、マタ・ハリさんに頼めば多分行けるでしょう。話術スキルというか諜報A++とフェロモンBは、この街で八面六臂の大活躍をしてもらいます。

 

「む、あなた達はもしやカルデアという者では?」

 

おや、情報が通達されてますね。まぁ千里眼持ち2名とかいれば何でも出来ますからね。速いことは良いことです。

 

『どうやら藤丸くんは川の上流から渡し船で向かうようだ。もう少しかかるようだしギルガメッシュ王との会談はまかせるよ』

 

もとよりそのつもりですが、若干ゃ不安ではあります。まぁ此処まで戦ってきたマスターやし大丈夫やろ。

 

「おや、はじめましてだね。シンドバッド君」

 

おファ!? この胡散臭い声は?

 

「ボクは魔術師マーリン。今はギルガメッシュ王の宮廷魔術師なんかをやってる、マーリンお兄さんと読んでくれたまえ」

 

「よろしく、マーリン・オニイサン」

 

「うーん、すこしニュアンスが違うから、マーリンでいいよ」

 

マーリンです。根っからの人でなしで実際人ではない夢魔との混血です。彼はギルガメッシュ王の右腕としてこの特異点で大活躍してくれるのですが、というかまってここにマーリン居るってことは、藤丸君の方、誰行ってる?

 

あーこれはヤバイっすね。いや、キングゥ相手にも普通に戦えば十分勝機はありますが、奇襲を受けて鯖が脱落したら最悪なんてもんじゃないっすよ。

 

「もうひとりのマスターは一緒じゃないのかい?」

 

「エルキなんたらって奴と一緒にこっちに来てる途中だ」

 

「マスター、エルキドゥですよ」

 

ナイスゥ! シンドバッド君が持っている情報では、完璧な解答です。

案の定マーリンが胡散臭い笑みのまま情報をくれます。

 

「エルキドゥ? それはおかしい。彼は既に亡くなっているからね」

 

「サーヴァントなんじゃないのか?」

 

「んーそうは思えないな、アーキマン聞いてるんだろ?」

 

『マ、マーリン!? なんでお前が!』

 

あくしろよ

 

「立香くんと一緒にいるエルキドゥの外見はどんな感じだい?」

 

『えーっと……緑の髪で白い貫頭衣の美少年? 美少女?』

 

「それは偽物だね。直ぐに対処したほうが良い。詳しいことは省くが、彼は敵として行動してるよ」

 

何とかなりそうですね。こっちも話を進めましょう。マーリンがここにいる理由はよくわかりませんが、藤丸君が生きてウルクに来るのならばどうでもいいですし、今から向かってもどうせ間に合いませんし大した援軍にはなれませんからね。

 

「さて、こちらも話がしたかったんだシンドバッド君、カルデア最後のマスターの一人。君はこの最後の特異点で戦うに値する人間かい?」

 

あたりまえだよぁ。今更戦わないとかありえないんだよなぁ。

 

「勿論だ。俺と皆は戦いに来た。これまでと同じ様に」

 

「そうか……うん、いいだろう。私も覚悟を決めた。本腰を入れて力を貸そう」

 

というわけで、マーリンについていき王様に謁見です。彼は過労死するほどに仕事をしてます。政治を任せられる部下など居なかった時代の本当に最古の英雄なため、すべての指示と判断を彼一人で行い、都市どころか国の運営をしています。独裁者が死ぬほど忙しいというあれですね。

 

「やあ、王様、お客人だよ」

 

「そうか、手はず通りに適当な家と雑用でもくれてやれ」

 

「了解了解。というわけで君達の家へと案内しよう」

 

はい、こっちを見ようともしないで拠点と仕事だけよこしてきました。ここで噛み付いても良いのですが、時間と王の体力を浪費するだけなので大人しく従いましょう。

 

「何をすればいいんだ、あと敵ってなんだ」

 

「道すがら説明するとしよう」

 

というわけで、マーリンからの特異点の現状を説明を受けている間にこの後の流れをかんたんに説明しましょう。現状この特異点の勢力は表になっているのだけで4つです。

まずは、味方のバビロニア勢力。中立の女神イシュタルという徘徊エネミー。敵対している北の女神ゴルゴーン(ティアマト)と南の女神ケツァルコアトル。

 

3女神同盟が敵だと説明を受けますが、ティアマトしか正体がわかってないとか言い出します。女神に千里眼向けた瞬間最終戦争になるので仕方ないとのことです。はーつっかえ。

 

というわけでやることは、中立のイシュタルの引き込み。3女神同盟および隠れ女神エレシュキガルの認知、ゴルゴーン以外の懐柔。準備ができたらゴルゴーン討伐。あとは流れるようにです。

 

前にも行った通り、住民トラブルをガンガン解決して、ウルクの治世を安定させて賢王の仕事を進めつつ行います。ウルク市民は半年前に、半年後滅ぶけど戦うやつだけ付いてこい! とされて付いてきてる人達ですが、その分生活に無理が生じてます。それが王のリソースを圧迫してます。

 

そう、最後の最後で非戦闘要員の鯖が活躍する機会がきてます。一応今後は藤丸君が付いたら戦闘や護衛などをまかせて、こっちは配達や住民トラブルを解決といきましょう。

 

という間に拠点に到着しました。まだ昼間なので今日の仕事を探しましょう。

 

「それじゃあ、ボクは王様に報告して娼館にでも行くとしよう!」

 

「マーリン、お前怪我してるのか?」

 

ん? なんですかね、このイベント。

 

「いやー、怪我をしているわけではないんだけど、ちょっと寝付きの悪い子の子守に苦労しててね、簡易的に工房を作ったこの都市から離れられないんだ」

 

あぁ……読めてきました。思えば第5特異点でもこいつ来ませんでしたね。本来ニコラを召喚したり、霧をおこして支援したりしてくれるのに。マーリン弱体化とか、これ大丈夫なんですかね。

 

「心配しなくとも、サーヴァントの私は魔力の関係上、花を咲かす程度しか出来ないからね。王様がウルクの大杯で召喚した影響なのか。その分ここで彼の手伝いをしているから、これからも顔を合わせるだろう」

 

まぁ、こっちからどうにかできることは少ないのですが。探索などのイベントに同行しないのはちょっと厳しいですが、フォローしていくしかないでしょう。

 

というわけで、お仕事を探します。今後毎朝今日の仕事をシドゥリさんを筆頭に王からお使いで持ってきたりしますが、適当に住人に話しかけたり、サーヴァントをその得意分野に振り分けることで仕事をすることも出来ます。

 

シェヘラザードは娯楽を求めている系の相談に、カーミラは探しものや配送に。ディオスクロイは討伐や力仕事などにといった具合です。

マタ・ハリは当然娼館に行ってもらって……ということは出来ません。このゲームは健全なので、普通に情報収集をしてもらいましょう。浮気調査とかありますし。

 

『シンドバッド君、朗報だ。立香君はエルキドゥ、いやキングゥと名乗った敵を撃退。現地サーヴァントと合流してこちらに向かっている。今日はどこかで野営だが、明日には着くだろう』

 

お、良い連絡ですね。乱数に勝ちました。というわけで便利屋さん開始です!

 

『ただ、令呪を2画使用してしまった。今後はその辺りのフォローも頼むよ』

 

ん、おかのした。

って、2画!? なにがあったん!?

 

『どうやら彼が聖杯を持っているようだから、すこし無茶をしたようだ』

 

なるほどぉ、それは仕方ない……ん? その情報知ったらまずくない?

 

特異点の修復にはティアマト討伐と聖杯の回収が必要で。ティアマットを討伐するにはキングゥの聖杯を海に投げ込まないといけません。

だから、適当に仲間同士で殺し合いをしている所を放置するのが良いのですが。

 

まぁ、仕方ありません。切り替えていきましょう!

 




というわけで、6月ですが1日か2日休みをもらいます。
その後は可能な限り更新をする
不定期な毎日更新で行こうと思います(矛盾)

あと20話は行かないと思います。


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(雑用)~(エリドゥ)

再開です。


世界最古のシムシティRTA はぁじまぁるよー

 

無事ウルクについたところまででした。ここから2週間は基本的に雑用をするだけの日々となってしまいます。

 

基本的には倍速をかけ続けます。ディオスクロイ的にもこの時代の人間はしっかり神への信仰があり、やる気に満ち溢れているからなのか、そこまで当たりが強くないです。というかカストロ兄様はゴルゴーン見ると、その人の振り見て我が振り直せ状態なので。

 

ともかくガンガン周辺トラブルを解決していきましょう。食堂の店主が目玉レシピが欲しいと言えば、ニーズを調べたり、子供を1日面倒見てほしいと言われれば語り聞かせ。蜂の巣を駆除してほしいなら蜂を殴り。河の鰐退治をしてBBQを開催したりしましょう。兎にも角にもガンガン仕事です。

夜も夜で娼館の酔っぱらい客とかを鎮圧したりと大忙しです。

 

藤丸君も来て仕事を手伝ってくれます。まぁ特にいうべきこともないので倍速はそのまま。

 

そして、彼は案の定といいますか、アナちゃんをひっかけてきたそうです。マーリンによって神性を封じられてますので、正体不明()状態の鯖ですが、この特異点での銀の弾丸です。大事にしましょう。

 

ただただ同じような日々が続きますが、藤丸君が入手した女神イシュタルの情報がアップデートされたあたりで一度王様に報告に行きましょう。

 

3女神同盟について教えてくれます。シドゥリさんがですが。あ、白旗っていうのはですね……。

 

現在のウルクの鯖は周辺を警護してはぐれ魔獣を刈り取ってる牛若丸と弁慶。新兵の育成と北の壁の指揮を執っているレオニダス。以上です。

もう3人仲間がいたが殉職しているとのことです。星5シールダーレオニダスさんの実装まだ?

 

ともかく、王様から直接では最初の仕事をもらいましょう。20日仕事するか一定以上の貢献度を上げればOKです。今回の2週間は早い方ですね。

 

「我が直接仕事をくれてやる。南の密林の中にある都市ウルとその先のエリドゥを調査してこい」

 

というわけで南の密林に行きましょう。通常は目的は単純な状況の調査ですが、ウル市までは最低でも行って戻ってくる必要があります。

 

マーリンが同行しないということですが、まぁこれだけいれば何とかなります。ジャガーマンの奇襲だけはとにかく警戒していきましょう。道中移動も徒歩前提MAPの為ラムレイとフェラーリでガンガン進めます。さすがに密林の中は進めないので、そこからは徒歩になってしまいますが。

 

さて、この密林は女神ケツァル・コアトルの領域を意味しており、このエリアでは魔獣には襲われません。エジプトと似たようなものですね。その代わりまぁ、ビーストマンみたいなのが時々襲ってくるので適宜滅ぼしていきましょう。

 

道中マシュに情報収集はマタ・ハリとカーミラに任せてくれ、魔術的な調査を頼むと伝えておきましょう。

というわけでジャガーマンが襲ってきましたのですが2,3回殴ると逃げ去っていきます。(ここまで巫山戯た成りをしている英霊を掘り下げる必要性は)ないです。次行こうぜ。

 

というわけでウルに到着。

この町では、フィールドの男を生贄に捧げる! ことで魔獣にも襲われないで平和に暮らしてます。その分若い男が少ない街です。エロゲの田舎みたいな設定だな?

 

適当に話を聞いてきてもらいましょう。

本来はここでジャガーマンの強襲に遭って、逃げ帰ってしまうのですが。

 

「マスター、ここを支配している神の名前が分かったわ……ケツァル・コアトルよ」

 

「毎日100人の生贄を南のエリドゥに連れて行ってるらしいわ」

 

と、いい感じの情報を手に入れられました。ここで選択肢です。ウルクに戻って報告するか、エリドゥに行って調査するかという2択になります。安定を取って戻るのも手ですが、藤丸君の令呪が2画を消費している以上、体勢を立て直すということも難しいです。というわけで、エリドゥまで行きます。ガン攻めのチャートです。

 

道中ロマニのありがたいケツァル・コアトルの解説を聞きつつエリドゥへ。歩いて4時間程です。この時点までに3回ジャガーマンが襲ってきてたのならば、交渉して仲間にできますが、まだ2回なので自力で頑張りましょう。

 

エリドゥ到着。ケツァル・コアトルは色々あってプロレスというか、ルチャを気に入ってしまった女神です。器を乗り換えていくスタイルなのもあり、今は女性です。

彼女をここで仲間にするのが今回の目的です。最悪の場合でもマルドゥークの斧の視認と無事に帰ることが大事です。

 

午後の一定の時間を過ぎれば、彼女は自身に課した【100人以上と1日で戦わない】という縛りのおかげでいきなり襲い掛かってきません。

 

「おやぁ? こんなところに人間でーす! しかもウルの人たちじゃありませんネ」

 

さて、この陽気なお姉さんですが、現状ただの敵の幹部としか思われていないので、ジャガーマンからの情報が欲しかったのですが仕方ありません。

 

カルデアの目的としてはあくまで人質を助けることと安否確認。

 

「どうしてウルから人をさらっていったんだ!」

 

「それは私が、女神で、人間が大好きだからでーす!」

 

ケツ姉は何というか、悪びれてるというか、逆に全く悪びれてないというか。視点が主神という高次にありすぎて、やっていることの判別がつきにくいです。

 

「今日はもう100人と戦ってしまいました。でも、どうしてもと言うのなら挑まれた戦いは断りませーん」

 

というわけで戦闘です。敗北イベントになります。

いやだって、ダメージ通せるのえっちゃん位ですよ。悪属性は火力がなさすぎる。

 

一定時間耐えれば勝ちですので、果敢に前に行くより様子見をして隙を伺いながら攻撃していきましょう。

 

くれぐれもディオスクロイの宝具とか使っちゃダメです。

彼女の無敵性は『攻撃を通す』ディオスクロイでは、『受け付けない』という神の権能は抜けませんので。

ともかく戦闘終了、ここで彼女が弱点を教えてくれればそのままイベントにつながるのですが

 

「逃げるのならば追いませーん、私は三女神同盟で最も強い主神! 挑戦はいつでも受け付けまーす!」

 

あーあ、失敗のようですね。仕方ありません。それでも女神と一戦して、エリドゥに来て斧を見たという情報は入りましたので、帰りましょう。帰ろう、帰ればまた来れる。

 

RTA的には多少ロスのように、ガバったようにも見えますが、実際は後半おつりがくるので大丈夫です。なにせ水質調査などの任務は車で行って帰るだけですからね。車で動けるので、移動よりもイベントを積み重ねる方が大事です。

 

というわけでウルクに帰還、道中もう1回ジャガーマンが来ましたが、適当に処理。ともかくジャガーマン2回目を倒してウルクに帰還。報告は直接お届けしましょう。

 

「ほう、期待以上の成果だな」

 

実際王様はマルドゥークの斧の所在と、住民の安否も確認してますし。進行フラグは女神の名前とウルに斧がないの確認ですが、安否情報で街の士気が上がり都市の効率化が進みます。

 

というわけであとは王様がナピシュテムの牙をどれだけ作ってくれるかです。なんとこの都市を囲む牙ですが、6日で完成してます。化け物かな? まだ猶予まで時間があるので、材料を渡せばもう1周とか作ってくれる場合もあります。

 

木材の調達依頼が来たら最優先で行いましょう。

 

「北の壁に行き、レオニダスと共に新兵の訓練をしてこい! もう1人は引き続き町の雑用をせよ」

 

となるとまた別行動ですね、どう考えてもシンドバッドがステイの方が良いので。アナちゃんもこっちに残るとのことで、花屋の店番でもお願いしておきましょう。

 

というわけで再び倍速。7日周期で進軍してくる魔獣たちに間に合わせるため、藤丸君には頑張ってもらいましょう。次のピークでニップル制圧戦のはずです。

 

というわけで加速。おっと、木材の補充も来ました、藤丸君は水質調査に王様と行くようです。

 

これは確定でドゥと賢王が出会うイベですね。前回多少痛めつけたとはいえ、聖杯は奪えなかったので、普通に襲ってきます。最も警戒してくれてるので、今後動きやすくなりますけど。

 

ウルクはキャメロットと違って、徘徊敵がキングゥ以外大したことないのでガンガン単独行動していきましょう。まぁこっちも撤退は出来なくない戦力はいるので。

 

 

 

さて適当に木材を運びまくりましょう。ポルクスちゃんに切ってもらい、シェヘラザードに縛ってもらい車で引くだけです。やっぱりスポーツカーじゃなくて軽トラの方が良かった説ないすかね? 処女も軽トラでデートに誘われたら悲鳴を上げるでしょうし、行けるって。

 

 

というわけで適当に倍速してると、いよいよニップル救出作戦! に入ります。ここでゴルゴーン(ティアマト)との初対面になります。

ありがたいことにイベント戦闘です。魔獣が多すぎるからでしょう。陽動部隊と救出部隊に分かれての戦いとなります。一定時間経過か、ニップルに到着することで、エルキドゥとゴルゴーンが出現してきます。

 

ゴルゴーンというかティアマトは石化の攻撃をしてきますが、対魔力Aかマシュの盾がないとやばいです。振動を感知したら逃げられるように動きましょう。

 

 

「よく来られましたな!」

 

というわけでレオニダスと共同戦線です。どこに配置されるかは基本的には固定で救出部隊ですが、稀に陽動部隊の方になることもあります。救出部隊の方がリスク高いですし、それならそれでいいんですけどね。

おっと、普通に救出部隊のようです。

 

というわけで作戦開始です。とにかく魔獣を蹴散らしながらニップルを目指します。相手にするは基本的にはぐれ魔獣なので大したことはないのですが、時間をかけるほどウルクの損耗が大きくなりますので、急ぎましょう。

 

というわけでニップル到着。餓死者が出てて女子供老人以外は逃がした、残りを今回助ける。ということで、そんなのを戦場を経由して護送するというとんでも作戦でしたが。

 

「やぁカルデア! この廃墟が君たちの墓標になる」

 

と、ガチギレキングゥさんが待ち構えてます。

 

ただでさえ精神的に不安定なのにカルデアに負け気味でイライラしてますね。戦闘を開始しようとするとムービーが流れて……はい、でました。全鯖で最大級のトップとアンダーの差を誇る女神ゴルゴーンです。

他の巨女たちは基本体型はストーンとしてるか、不定数値のばっかなので。彼女は、カテゴリー的には経産婦に入らないこともないので尚ヨシ!

 

ともかく、体の部分で10m全身で数百mのラミア形態の女神です。

 

まともに戦うならば、こんな開けた所では、音速を置き去りにしたしっぽ攻撃が飛んできますので、まず無理です。

 

『逃げるんだ! 急いで北壁まで!』

 

とロマニの指示が出ますので、直ぐにとんずらをかましましょう。キングゥはママが近くにいて精神的に持ち直したのか、舐めプで攻撃はあんまり仕掛けてきません。

というか、マーリンがいないので無茶苦茶厳しいですね。ともかくアナをかばいつつ車で一気に逃げます。藤丸君もマシュと一緒にラムレイに飛び乗ってます。

 

実際にここでは逃げられるかどうかは、割と運です。まぁ足で走っても何とかなる場合があるので本当に運ゲーです。

 

「時間を稼ぎます!」

 

「ギリシャの怪物だ、任せておけ! 」

 

っとディオスクロイが戦ってくれますね。まぁ同郷の怪物というのは同郷の英雄にとって基本的には相性が良いです。英雄は怪物を倒し、怪物は民衆を襲い、民衆は英雄を排斥する。見事な3竦みですので。

 

というわけで、急いで逃げます。ってやばい。

 

「来い! ディオスクロイ!」

 

安定を取って令呪で回収します。今尻尾攻撃でなく本気の石化の魔眼が入りそうでした。対魔力Aはありますが、それでも動きは鈍りますので、そこからのハメも十分ありえます。牽制ではない魔眼は絶対に避けましょう。

 

っと、何とか安全圏近くまで来れました。

 

ここまで来るとレオニダス王のムービーが流れて、石化の魔眼を筋肉(と盾)ではじき返すという凄まじい技を見せてくれます。やはり筋肉、筋肉は全てを解決する。でも、無効はしてないので、石化してここで離脱です。そんなぁ!

 

 

 

「いいだろう。この王の矜持に免じて、今日は引いてやる。だが10日後だ! 10日後! 10万の子と共に、ウルクを喰らいに来てやる」

 

と余裕の撤退宣言をしてくれました。実際、ゴルゴーンは中途半端に戦力が削れてますからね。

 

彼女たちは、神殿で次世代の子供の開発をしてるので、時間は基本有利に働きます。

人間など大したことはなし、疲弊したタイミングでケツァル・コアトルに横から攻めてこられる方が怖いという戦略的判断でもあります。あとイシュタルもね。

 

というわけで、ウルクまで敗走しましょう。

そしてなにより、ここで牛若丸ちゃん生存です。藤丸くん達の逃げる速度が速いとこっちのフォローに無理やり来ないので、こういううま味があります。

これによりケイオスタイドの守りが多少緩和されましたね。うれしいうれしい。

 

はい、ウルクに戻ってきました。王様に報告します。ここで女神を味方につけるという判断をしてくれるので、時短していきましょう。

 

「我の宝物庫の3割を貸し与える、イシュタルを口説き落としてこい、立香よ」

 

「シンドバッド、貴様はケツァルコアトルだ、アーキマンよ解析は出ているのであろう」

 

『あ、ああ。あそこには神殿があった。その形状からして頂点、そこに彼女の象徴たる核となっているものがある。それを壊せば、彼女は弱体化するはずだ』

 

「倒せとは言わん、可能な限り無力化してこい、貴様一人でだ。後ろを気にしていたらティアマトと戦うこともできん」

 

とおもったら、まさかの王様からの無茶ぶりでした。いやまぁ、そのつもりだったのでいいですけどね。

 

「藤丸には牛若丸を、シンドバッドには弁慶をつける。頼んだぞ」

 

「僕もここから応援してるよ」

 

お前は働け、マーリン。

 

さて、まずは大使館で1日は休みましょう。ストレスがエグいことになってますので。

 

「私は、マシュの方についていきます」

 

アナちゃんは藤丸派のようです。おう、かまへんで。ただ育ったらこっちおいでや。お姉さんには内緒でな。

というわけで、いざアステカ! いやジャガーマンはマヤの方ですが。

 

「シンドバッド殿、弁慶はぜひ走らせてやってください」

 

「はっはっは、義経様はさすがでございますな、こういう時こそ冗談を忘れてはいけない」

 

「いや、私は至極まじめだが?」

 

と、源氏漫才は適当に流して出発です。ジャガーマンはもう一回遭遇すれば、と噂をすればですね。

 

「二度ある事は三度あるのか? ある時はジャングルを走る美女!またある時は謎の女教師! その正体は」

 

「とぅっ!」

 

「ジャガーマンである。説明しよう! ジャガーマンは心臓1つで100万倍パワーを出し戦うぞ!」

 

はい、色物枠のようで、ガチな鯖ジャガーマンです。というわけで、倍速してたので実質初戦闘です。

 

毎度のようにディオスクロイで左右を囲み、ジンで上から炎を浴びせて、たまに魅了で意識をそらそうとして、犬をけしかけてればオッケーです。数の暴力でゴリ推していく。やっぱ戦いは数ですね。

 

「この武蔵坊弁慶!マスターの盾となりますぞ」

 

今回は盾まであるので、安心して戦えますが、この後のことを考えてシンドバッド君も動きます。

 

「ポルクス! 地面に落として!」

 

「はい、マスター! 兄様行きましょう!」

 

「わかった!」

 

まずは木の上から叩き落してもらいましょう。落ちてきたところを弁慶に獲物を封じてもらい、

 

「おいてててててて、何そのカレー食ってそうな格闘技」

 

タイミングを合わせて全体重をかけて首を引き倒して絞めます。膂力では確実に負けてますが、不意打ちで落とせば一瞬は決まります。抵抗が強くなったら、一旦離れます。うまく決まりました。

 

「そこー!反則! マスターまで戦うのずるい! マスターが戦ったら、きっと悲しいことになるんだぞ! おいしいご飯を作るのがマスターの仕事! 先生は許しません!」

 

と会話を振ってくれたら、素直に会話に答えていきましょう、基本的には。

 

「あんた、強いし、綺麗だしすげぇな、仲間だったら嬉しいのに」

 

「何っ!? これでもジャガーは高位の分霊、勧誘する行為は無礼だ! 心臓をよこせ! 仲間にしたいのならにゃ!」

 

「残念だ、あんたみたいな綺麗な人がいれば、ケツァル・コアトルとも戦えるのに」

 

「なります! 仲間に!」

 

ちょろいぜ。

彼女の名誉のために行っておきますと、待遇が良いからという理由もありますが、神話的解釈により、ケツァルコアトルと敵対することが彼女の在り方なんですよね。でも、勧誘難易度の容易さは非常に低いです。

 

「おう、よろしくな、ジャガーマン!」

 

仲間を増やして次の町へをしていく。

 

ジャガーマンの先導で、少しだけショートカットしつつ、ウルに到着。一晩休憩したら、直ぐにエリドゥに向けて進みましょう。そろそろ彼女の1日100人ルールがエリドゥとウルで賄えなくなり、ウルクに出張する時期です。

そんな事したら、賢王のリソースがえげつないくらい削られるので、やめようね。

 

ガチ物のドラゴンライダーのケツァル・コアトルは機動力では基本勝てません。でも奇襲を仕掛けない正義の味方です。ヒール役は似合わないわけじゃないのがいい所でーす。

 

エリドゥに着きましたが、ここで最終確認です

やる事とはシンプルに神殿の破壊ではなく、ケツァル・コアトルに勝つことです。

 

え、いや何言ってんのという所ですが、YAMA育ちで彼女の事情を聴いた上で戦いを挑む場合、会話内容が少しだけ変わります。

 

ケツ姉は結局のところ、人間の多様性を認めたうえで、戦えないような人でも戦うことを選べるというものを見て、多様性の広がりを愛でているタイプの女神です。時に厳しく時にやさしく人を導いた主神は格が違います。

 

通常ルートのように藤丸君が飛び込んで納得したのは、戦わないものである彼が、戦いその上で、戦わないことを選んだという想定を超えた判断をしたからであり、単に戦って勇気を示す。それでいい敵ではないです。

 

彼女との問答の間耐えきるというのが一番良いです。

 

 

というわけで、いくぞー!

 




投稿がなくても7時にUAが増えてるのを見ると、少し嬉しくなりました。
今後とも宜しくお願いします。

ポケモン来る前に終わらせないとヤバイだろうな、うん


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女神を落とす時

ちょっと変なことやってみました。



「よく来ましたね人類最後のマスター、こうして会うのはニ度目ですね」

 

「ああ、そうだな」

 

茹だるような熱と湿気。シンドバッドにはなじみ深いこの暑さ。その中で悠然と自身の神殿を下って此方を睥睨……いや、慈愛の目で見てくる女神ケツァル・コアトル。

鳥の羽で作られた飾りをつけた美しい女神だ。

 

人が神から離れて歩き始めた最初の時代に降り立った女神は、人の最後の勇壮な戦士である人間を、とても愛おしいものを見るような目で見つめていた。

 

「あんたは、なんでこんなことをするんだ、前にも聞いたけど。又聞く」

 

「簡単でーす。だって、そうしないと彼らは戦えないからです。悪い女神にさらわれている。だから戦う訓練をする。あと少しで滅ぶという中で戦う彼らが、希望を持ち続けられるように」

 

それは、人ではありえない視点。世界最古のシュメール文明の地、このメソポタミア文明の地に生きるものは知っている。もう間もなくこの地に逃れられぬ滅びが来ることを。

そんな中でも前を向いて生きることを決めた民は、それでも三女神という暴力を前にして、膝を折りかけた。

 

自分なんかで膝を折ってしまってはいけないのに。あなた達の王様はその先を見ているのに。

 

だから人の勇気を延焼させた。自分という恐怖、それに抗う土壌を作る。燃え尽きてしまう人間もいるであろう、だが、より一層と輝く人間もいるであろう。

 

「わかんねぇ、あんたの言ってることはわかんねぇ」

 

「仕方ありませーん。私は神。神としてこうあるようにと動きます。でも、ルチャは大好きでーす」

 

おちゃらけた様に、いや本心ではあるのだろう、シンドバッドにはそれが分かった。根拠なんてものは持ってないが、そんなものに頼る生き方をしてこなかったのだから。

 

「それじゃあ、なんであっちの町全員にしてやらないんだ、あっちの町の人、泣いてたぞ、悲しんでたぞ!」

 

「だって、戦いを作業にしてしまってはダメでしょう? それは魂が輝く時、一人ひとり大事に楽しく戦わないといけませーん」

 

生贄として出される。それは悲しいことだが、それで救われる命があるならと勇んで自らを差し出す心の強い人もいる。彼らが志願して立ち上がっていけば、そうして残るのは、負い目と引け目で心をぐちゃぐちゃに壊されていく人だけだ。

 

生贄が生きて訓練をしてるなんて知らない。戦いに敗れたらどうなるのかも知らない、だからこそ本気で挑んでくる、本気で敬う。それは複数の用途に無駄なく人間を運用している、かつて王でもあった神の在り方だった。

 

決して蔑ろにしているのでも、弄んでるのでもない、上手に愛でているのだ、彼女は。

 

「あなたも戦いは楽しいでしょう?」

 

「ああ、そうだ、楽しいさ」

 

シンドバッドの本質は変わらない。彼は人間性を獲得するまでに戦いしか知らなかった。つまりは生存と闘争こそが彼の人生そのものであり、この旅路でもそれを続けている。

しかしながら彼はその中で多くのものを手に入れて、多くの目的を見つけて、多くの出会いがあり、いくつかの別れの上で、彼は戦うことの意味を目的を見出していた。

 

ケツァル・コアトルは彼の本質を読み違えていない。楽しみで人間に試練を見出す神は、正しく自身と共感……否、在り方そのものが自身の信徒になりえる人間が、遥かな未来の先にいる事に歓喜していたのだから。

 

「だからこそ、楽しいからこそ戦いをするんじゃない! 戦いが楽しいのは勝った時でもない、守り切ったときだ!」

 

「そう、それがあなたの答えですか」

 

「そうだ!」

 

戦い続けて、およそ同じ時代の人間のスケールから外れて、人の道からも外れて、いろんな助けをもらって這い上がってきた。戦うことは楽しい、でもきっと皆こう言うだろう。

 

「戦いの後が楽しいから戦うんだ! 戦いが楽しいだけで戦うのは終わった!」

 

それは戦うことを知らなかったのに戦っているリツカとマシュ。怖いのになんで戦うのかと聞いた時に教えてくれたこと。それは戦いの後の『楽しい』の為に戦う。

 

「ん~!最高です! 本当に、あなたはきっと旅の中で成長をしたのね!」

 

体を震わせながら、腕を抱き喜びに打ち震えるケツァルコアトル。きっともう一人の少年もそうであろう、戦えない無力な人間が、それでも立ち上がって戦うのだろう。

 

戦わなくてよい時代に生まれた人間が、戦うために震えをこらえて立ち上がる。嗚呼、なんて素晴らしい!

 

戦うことしかできない人間が、戦うことの無意味さを知って、それでも戦う。ああ、とても良い!

 

「お姉さん感動しましたー! でもリングに上がったのならば、やるべきことは一つでーす!」

 

ああ、人よ。どうか死なないでくれ、ずっと広がっていろんなものを作り出していってくれ。弱い物醜い物、そんなものでも、どこまで飛び越えていくような。

 

シンドバッドは構える、そして小さく息を吸う。

 

「令呪を持って命ずる、シェヘラザード、皆。女神以外を止めてくれ」

 

それは、シンドバッドにとっての決別だった。

これは無意味な命令だった。無意味な戦いだった。無駄な行いだった。

もう戦う必要はないほどに力にも仲間にも囲われて、戦わないと自分を見出せないわけではない、戦うのが楽しいわけでもない。

 

それでも、シンドバッドは戦うのだ。

 

「お前の考えは嫌いだ! 人間は! 人間の物だ! 魔術王のものでも! 神のものでも! ない!」

 

それが答えだ。

 

結局難しいことはわからない、でも間違っていることをやらされるのが嫌だから、それに抗うのだ。ただただ、お前の思い通りにはならないと意地を見せるために足掻くのだ。

嫌なことをするように言ってくるから殴るのだ。それがやりすぎてたり間違ってたら仲間が止めてくれる。人は一人じゃどこまでも未完成だけど、役割を分け合えるのだから。

 

 

 

強力なサーヴァントを数十のワイバーンを抑えるのだけに任せて、シンドバッドはケツァル・コアトルに向けて飛び込む。今までで最高の踏み込みだった。きっと間違いなく会心の出来だった。

 

それでも女神からすれば遅いのだろう。

 

前にエリドゥに来た時、楽しそうにずっと格下に技をかけたり、わざと隙を作っていた。戦いそのものを楽しむために。必死で戦う人間を愛でるために。

 

そんな風になってたまるかとばかりに、シンドバッドは踏み込む。そっちがその気なら、こっちもその気だと。

こちらに向けて構えて全力で受け止めようとする女神からぶつかるのを避けるように、横に切り返して距離を取る。一撃も当てずに彼は逃げたのだ。

 

「そんなぁ! イケずでーす!」

 

そう、シンドバッドはその勢いでそのまま、全力で後ろに飛びのいたのだ。地面を踏みこみ一目散女神から離れるように。

 

「うーん、それならこっちも」

 

ケツァル・コアトルは、いつもの逃げようとする生贄にするように、普通に近づいて、掴んで、空中に投げ飛ばそうと、一瞬で距離をつめる。ジャングルであろうとリングの上であろうと、彼女を止められるものは居なかった。

 

そして、瞬きの間に追いついて、シンドバッドの腰へと手を伸ばす。これで終わりね。と彼女が思った瞬間。彼女の手はするりと、いやぬるりと手が外された。

 

まるで水の雫が地面に落ちるかの様に、シンドバッドは体を捻りながら、地面へと体を折り畳んでいた。

 

「見事な回避でーす、お姉さんちょっとだけ驚いちゃいました」

 

人間と戦うとき、彼女は武器をパイプ椅子以外は使わない。そうでないと楽しめないからだ。

今回も素手で掴もうと加減して抑え込もうとしたが、見たことのない避け方で外されてしまった。柔軟性と摩擦による回避である。

 

「異種格闘技対決ですか? 受けて立ちまーす!」

 

「っし!」

 

強い、圧倒的に強い敵だ。今まで戦った敵では一番だとシンドバッドは確信する。いまの掴もうとしたものも、取られたら負けてたような背筋の冷えを感じた。

それでも戦い続けるしかない。まともに一撃もらえばそれで終わりだから、耐えて逃げるしかない。

 

「んんー見えてきました。回転と柔軟性。それからその服ですね!」

 

ケツァル・コアトルにして、シンドバッドの物は初見の武術形式だった。しかしだからなんだというのだ。時に地を這い、体をひねり、こちらのチョップや蹴りを交わしていくシンドバッドに、ケツァル・コアトルは慣れたように笑う。

 

「でもお姉さん、その程度でどうにかなるって思われるなんて、大変不本意でーす!」

 

しかし、それだけだった、彼女は直ぐにシンドバッドの動きを読み、体重の移動先を見て、理解した。動きは体幹の軸で体重を移動し、その軸で回って攻撃をいなしている。ならば軸の移動先に、彼女は殺す気で腕を振り下ろした。

当たれば確実に殺せるが、殺してもすぐに奮励して生き返らせればよいだけだ。

 

シンドバッドは、その攻撃をよけることはできなかった。しかし、彼は己の肘と腕で確かに反らした、受け流したのである。奮励が発動した様子も、彼自身が食いしばった様子もない。だが、彼女は力加減を間違えたつもりはない。

 

だが彼女が見誤っていたとすれば彼に『ついている』ものであろう。ケツァル・コアトルは創生の神話で王だった。そして悪と戦う英雄でもあった。それを見逃さなかった女がいた。それだけだ。

 

彼はそのまま流れるように、しびれる右腕ではなく、左手で拳を作る。そして直様ケツァルコアトルの振り下ろしてきた、弾いた腕に向けて拳を叩き込む。

力と何よりも初速に優れた気合を込めた拳闘の拳だ。

 

そして、開いたボディに向けて、全身を沈め力の流れを集中させて、師より習った肘鉄を女神の臍に向けて打ち込んだ。

 

僅か半歩の後退。それが彼の得た成果だった、しかしながら元よりシンドバッドはケツァル・コアトルに攻撃が効くとは思っていないし、そう聞いている。故に直様指を相手に向けると叫ぶ。

 

「ガンド!」

 

彼女に痛みはない。彼女は善の神であり、最高神だ。善の最高の存在である彼女を倒すには、悪が必要だ。悪でなければ彼女を打倒できない。だがそんなことはどうでもよかった。

 

彼にはあの燃える街で、自分の運命と戦った日に。自分の攻撃がほとんど通じず死にかけた時には、もっとひどい絶望があった。巌のような腕の攻撃は何もかもが致死性で、こちらの攻撃は効いている気がしなかった。

しかし今は違う、多くのものを彼は持っている。

 

楽しむという人間に備わった機能で磨いてきた一つの武術だけではない。旅で多くの物を得たのだから。

 

人を壊すための技、素早く拳で戦う技。この丈夫な服と体。

だからこそ、彼の手から出た丸い呪いが、一瞬だけケツァルコアトルを止める。

 

彼は険しい旅路を踏破したのだ。

 

「光よ、ここに!」

 

「罪を、ここに!」

 

ワイバーンを片付けて、増援をジャガーマンと弁慶に任せたディオスクロイは、彼らが認めたマスターの敵へと上空より強襲をかける。その勢いと完全に同時にニ箇所へ三連撃。そして痺れた身体。彼女は痛みを一切覚えないまま地面に仰向けに倒れ込む。

 

「凄いコンビネーションでーす! それも空中技! 双子! スター選手も夢じゃないね!」

 

「オーダーチェンジ!」

 

その言葉とともに、双神は消えてシェヘラザードがふわりとシンドバッドのそばに現れる。しかし彼女は宝具など打たずにそこで驚いたように微笑み叫んだ。

 

「پایین!」

 

シンドバッドは、1度大きく息を吸い、2時の方角を見て呼び寄せる。彼の仲間で最も有効な攻撃ができるサーヴァントを。

 

「ミストレス・C!!」

 

「纏うは血の色、息づくは夜。狙った獲物は逃さない。そう! これが今年の冬の鋼鉄の処女!『夜闇を駆ける鉄処女』!」

 

ディオスクロイの3連撃で体を倒した彼女の上に、空から赤い4輪が降り注ぐ。流石の彼女も根っからの悪の宝具による攻撃を受けダメージが入ってしまうであろう。彼女はそういう存在だ。

 

「こんなの反則でーす! パイプ椅子どころの話じゃありませーん! でもルール無用なヒールをそちらがやる以上、こっちも受けて立ちまぁす!」

 

だが、それでも彼女は倒せない。5臓6腑に衝撃が走り、彼女の身体を地面へと埋め込んでいく。それでも彼女は動かす力をすべて右腕一本に集めて車を投げ飛ばした。

 

多少消耗はしたが、後数秒もすれば痺れも取れて、起き上がれるであろう。そしてこのシンドバッドの連れている7騎のサーヴァントで攻撃が彼女に通るのは、今の車の持ち主だけ。

それがわかった彼女は、少しだけの落胆と、無謀に挑みかかってくる人間を慈しむ思いで胸がいっぱいだった。その思いを味わいながら身体を起こそうと力をこめる。

 

 

「はぁい、女神様。私は陽の目を持つ女よ、おそろいね?」

 

しかし、そんな彼女にマタ・ハリは、ふわりと忍び寄ってしゃがみ込んで、突然耳に甘噛みをしてそう囁いた。ゾワリと中々感じたことのない不思議な感覚が女神を支配する。これは攻撃ではなく、唯の親愛を示す愛撫にすぎない。悪以外への絶対性は害に対してであり、防げるものではなかった。

 

普段は街での情報収集が常だったマタ・ハリの8面六臂の大活躍だった。

 

 

「あああああん! お姉さんびっくりしました! 耳はズルいです!」

 

そして、その稼いだ時間こそが9死に一生を得ることを可能にした。そう場は整い、終わったのだ。

 

「10……今宵はここまで」

 

その言葉を聞いた瞬間、ケツァル・コアトルは凄まじい悪寒を覚えて動き始めた身体を跳ね起こして、直ぐに構え直した。

 

「リツカから聞いたぞ、これで10秒だ」

 

「? それはどういうことですか?」

 

彼女がルール無用の異種格闘技と認めて、そして地面に脚以外をつけて、10秒の間倒れていた。事実だけを書くとそういうことになる。

 

「ポルクスは言ってた、今のリングの上で戦うルールは、地面に倒れたら負けだって」

 

「カルデアの資料で確認しました、兄様とマスターと一緒に」

 

「ああ、そうだったな、ポルクス。全く人間は惰弱になったものだ!」

 

ケツァル・コアトルは、何か嫌な予感を覚えた。

そうまるで。アステカとマヤ文明がごっちゃになった観光客が、神殿の観光をしているのを知ったときのような。そんな微妙な予感だ。

 

「シェヘラザードが、ずっと数えてたぞ」

 

「聞こえるように、そして『貴方のこの世界』を騙すようにですが。しっかり数えてました」

 

シェヘラザードは、戦いに参加しないように命令を受けた立ち位置の者は────世界を騙すほどの語りを用いて────自然に語っていた。その声は女神の耳朶にも確かに響いていた、思い返せば数字は聞こえてきていた。

まるでそれが『そこ』にあってもおかしくないような形で1から10までがだ。

 

「それって、俺達の勝ちだよな! ルチャってプロレスってやつだろ? 紐に囲まれた所で戦うやつ」

 

そして、藤丸立香という少年は、格闘技に関しては正直あまり詳しくなかった。ポルクスと一緒に見た、現代の拳闘の戦い(ボクシング)と、ルチャ(プロレス)が、シンドバッド知識レベルで明確な差別化が指摘できるほどのものはなかった。

 

倒れたらカウントを数える奴というくくりだった。ホールドして3秒ではなく、ノックダウン10秒ルールだった。

彼らの異種格闘技の知識はパンクラチオン(腕を上げて降参したら負け)で止まっていた。

 

ケツァル・コアトルはシンドバッドが挑んできた異種格闘技を認めて、ルール違反を認めて、それでも勝ってみせると豪語して。10秒間地面に横たわっていた。

 

ずるくて、卑怯! 策を弄しに弄した搦め手!!

それでもたしかにシンドバッドは自分の体に攻撃を当てて、追撃もして、体の動きを縛った。そのあと10秒起き上がれなかったのは彼女が何をするのかと、楽しんでしまったから。

 

好き勝手にやった人間が、ルールを押し付けてきた。それは神の愛を跳ね除けるために。

 

「んー! お姉さんびっくりしました!」

 

「? もしかしてなんか違ってたか?」

 

「いえ、もうこれでいいわ! はい、たしかに私の負けデース! 油断し過ぎちゃいましたね」

 

人はもう目の前だけを見て走っている。他のものは顧みないで。それを上からいじって遊ぼうとした自分の負けだ。

いつだって人間はそう。思いもよらないことで争い諍って、それがとても愛おしい。

 

「良し! それじゃあ! 力を貸してくれ! 神様!」

 

酷く歪な、人類最後の勇士。

その在り方を異教の女神は愛おし気に見つめるのであった。

 

 

 

「いいわ。お姉さん、頑張っちゃう!」

 

 



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(斧確保)~(ゴルゴーン戦)

前回のあらすじ

生贄の選別を終えて家路へ向かうルチャ部員達。
油断からか、不幸にも赤塗りの高級車に追突されてしまう。
左腕をかばい10カウントを取られたケツァルお姉さんに対し、
車の主の主、広域指定暴力団カルデアのシンドバッドが言い渡した示談の条件とは・・・。


当て逃げこそが正義のRTA もう始まってるぅ!

 

前回は令呪は使ったもののケツァルコアトルを倒したところまででした。

 

「はいはぁい! お姉さん、3女神同盟やめまーす! シンドバッド君の仲間になっちゃいまーす!」

 

「私の初めてのルチャでの敗北を奪ったのだから、これはもう女神的にはお気に入り案件でーす!」

 

とにもかくにも損耗が激しいので、一旦ここで休憩を取ります。

 

「さて、ここに来たのはあの斧の為ですね」

 

それは事実ですが、別に今回はゴルゴーンの神殿を破壊することに使いません。本体の女神にぶん投げる予定ですので。

 

「でもこれ投げられるのか?」

 

アステカ文明というよりマヤ文明、つまりククルカンとしての彼女の後輩が建てたピラミッド。チェチェン・イッツァの高さが50mほどで、この斧は刃の部分だけでこれの倍くらい大きいです、デカすぎんだろ……

 

「んーそうね、30kmなら狙いもつけられまーす。頑張ればその3倍は投げて見せまーす!」

 

やっぱり女神ってすごい、改めてそう思った。

 

「それならここでいいか。よくわからないけどあの斧を使えるようにしておけって、王様は言ってただけだ」

 

「それなら、神に特攻を持った敵で固めた、防衛装置の破壊だけお願いしまーす」

 

ん、おかのした。ディオスクロイ……はダメみたいですね。あ、この編成やっぱ神特攻にも弱いわ。ジャガーマンと弁慶でどうにかしましょ。ランサー自害せよ。

 

「なんか、すごい格好良い見せ場を奪われた! そんな気がする! 私の知らない所で、金髪美少女に弟が取られたような!」

 

SSF

さくっと片づけたら、帰りは飛竜に乗って帰ります。ケツァル・コアトルお姉さんは自分の名前がついた恐竜を操れるとかその理論は、んにゃぴ、よくわかんなかったです。

 

というわけでジャングルの淵まで送ってもらいましょう。さすがに車で行けるところは車で移動します。対応力が違いますからね。

 

因みにジャガーマンは生贄の監督をするように命令されてます。

 

 

というわけでウルクに帰還。1日で終えて戻ってこれました。もう夜ですが。早速マーリンと賢王に報告です。

 

「ケツァル・コアトルを仲間にしてきたぞ!」

 

「ほぅ! それは中々の働きだぞ、して、件のジャガーマンとかいう面白神霊もいるのか?」

 

いないです。

 

ってあれ? 普通に王様ぴんぴんしてますね。あんなにたくさん仕事して、死にそうって感じなのでは?

 

「なに、王様は君たちのおかげで、1日1時間も睡眠がとれているからね。しかも1日3回も5分休憩がある」

 

真っ黒ってレベルじゃねーぞ。

 

 

 

まぁ明日くらいには死んでるでしょ(慢心)

 

一先ず大使館に戻って、今日は休みましょう。寝る!

 

 

そして直ぐに起床、起きろ朝だぞ!

 

 

藤丸君が戻るのは明日の午後の予定なので、今日は壁工事の手伝いに行きましょう。南の方のウルクのドッキリびっくりメカのやつです。

基本肉体労働ですね。ディオスクロイと3人で行きます。残りはテキトーに頼んでおきましょう。

 

長かったこのウルクもあっと1週間ちょいでお別れなので、気合を入れて働きましょう。まぁ倍速しますが。

あれ、夜になっても町は普通ですね、更に飛ばして朝になっても全然王様が死ぬ気配がないです。

 

ん? もしかしてマーリンが本当に仕事してるやつなのでは、これはやばいな。

 

となると冥界関連のフラグが全く立ってないという。クタなんて行ってないから、そもそも藤丸君が浮浪者のおっさん(グランド)と会ってるのか? んーまぁ藤丸君に任せればいいでしょ。

 

一先ずはこの後もやることは変わらないのですが、現状を確認しましょう。

考えるべきはともかく、最後のティアマト戦といえます。

飛行能力を奪って、あとはエレちゃんが頑張ってくれればどうにかなります。

 

ケツ姉が生存してると、エレちゃんも無茶に生者に権限を渡さないで済むので、終局で助けに来てくれたり来なかったりするのですが、まぁいいでしょう。

 

おっと、藤丸君も戻ってきましたね。

 

イシュタルも一緒のようです。

 

道中鬼に襲われたから討伐した? まぁ仕方ないね♂ 反英雄ですし、仲間になる可能性もあったのですが。

 

純正の鬼はフラットで、混ざりものになるとカーブするというルールがある以上、純正の鬼にはちょっと……。

 

 

さて、これでゴルゴーンの侵攻まであと6日です。

結局ギルガメッシュが死んでませんね。仕方ないので、イシュタル様に話しかけましょう。地味に初対面だったりします。会話が長いし演出が多いので嫌なのですが。

 

「なんで、イシュタル様は3女神同盟に入ったんだ? この国の神様なんだろ?」

 

「はぁ!? 私がそんなのに入ってるわけないでしょ!?」

 

はい、フラグ回収です。これによりケツァル・コアトルさんがイシュタルの所業にあきれて、衰弱死が多いということと、イシュタルが呼び出された形から、エレシュキガルじゃね? と判断してくれますが……。

 

これ大丈夫でしょうか? いえ、なんというか。何か大事なことを忘れているような。

まぁともかく、この時代は地面を掘れば冥界に行けますので、冥界の真上の街クタまで行きましょう。ここは地獄の一等地って地味に嫌ですね。

 

この冥界ですが、基本は神ほど弱体化してしまいます。サーヴァントは一応は死者なのでそこそこ影響を受けるわけですね。

 

そういう訳で、ディオスクロイは連れていかないのも手ではありますが。

 

「いくぞ、人間。さっさと終わらせる」

 

「マスター、お供しますのでご安心ください」

 

んまぁ、兄様は人間やしヘーキヘーキということです。

ケツァル・コアトルに後をまかせて、地獄の底まで行くとしましょう。

 

『ロマニ、繋がってるー? 』

 

というわけで冥界下りですが、基本的にイシュタルに関する下げ質問にこたえるだけです。藤丸くんがどんどんエレちゃんを褒めていくのを見てるだけになります。そういう奸計だったのか……!

 

賢王も過労死してないので、完全自力で行かねばなりません。

藤丸君が神妙な顔してますので、フラグ的には大丈夫な気もしますが、若干ゃ不安ですね。

 

というわけで7の門まで倍速。

イシュタルが手のひらサイズの妖精さんになったら、ついに対面、3女神同盟の最後の1柱エレシュキガルです。イシュタルと意識を分割したり、要素を半分こしてたりしてなかったりしてます。

 

彼女は女神たちの中では最弱……ジャガーマンに劣る格の低い神霊よ。ですが、冥界では真逆で基本的に無敵です。それでも話を聞いてくれるようにするために戦いますが。

 

案の定ディオスクロイも調子が半分ほどしか出てないですね。

 

「我らは1年の半分を冥界で過ごす身!」

 

「この程度の苦痛、どうと言う事はない!」

 

格好良いこと言ってくれてますが、いやまぁそれでもシンドバッド君の鯖の中では一番戦えるので頑張ってもらいましょう。

 

ガルラ霊を従えているエレシュキガルは、周囲のガルラ霊を。要するに取り巻きを倒せばもう一回会話イベントが起きますので、そこまでの辛抱です。

っとあっぶね。もう令呪は1画しかない以上切れないですので、一気に片を付けるのではなく、安定を取りましょう。

 

 

 

というわけで、何とか倒して、会話イベントが開始。遠くから見守ってましょう。ヘンに絡むより藤丸くんがなんとかしてくれます。外見も女神と似てるし。

 

何時ものように藤丸君の説得が光ります。通常よりも会ってる回数が少ないはずなんですけど、それでもだいぶ好感度獲得している様子ですね。

 

「人は、弱いよ。戦うのも怖い。でも何でもかんでも神のせいにするのは間違ってる」

 

「それは、それは辛いことだわ! 人には神様が必要なのよ」

 

まぁ適当に問答をしてますが……。

ファ!? 動かしてないのに!?

いきなりシンドバッド君が崖から落ちました、ちょ、ちょとsYレならんしょこれは……。

 

 

「既に天命亡き者が、何故足掻き彷徨う」

 

あっ! やっべ、キングハサン様じゃん。何となく思ったけど、リツカ君話してない系じゃねぇ?

そもそも第6特異点で、直接会ってないのは、こっちの戦力が充分だったからという理由で納得してましたが、シンドバッド君がOUT認定をくらってる様子ですね。

 

あーこれは……最悪詰みましたね。

ここまできて、という思いはありますが、正直ケアをあまりしていなかった所もありますので。

 

彼はシビアに力を貸すに値するかどうかを、常に評価を入れて判断しているのですが、弊カルデアでは霊廟にも行ってないので、シンドバッド君からすると完全初見ですね。

しかも藤丸君にも、弟子にあたる呪腕さんが最後まで使命を全うする手助けもできていないので。借りもないわけです。

 

まぁ、ビーストを倒しに来てはいるのでしょうが……

 

「あんた、誰だ」

 

というか、鯖も助けに来ないんですが。

 

「女神の遊興に同調を示しつつ、抗った。理解を示すであろうお前の天命は、それこそが終わる所だった」

 

操作は効かず、絶壁の僅かな取っ掛かりで、大剣を持ったドクロ顔の大男に詰められるとか恐怖で発狂しそう。

 

「貴様! 何をしている!」

 

「マスターご無事ですか!?」

 

ディオスクロイ! 信じてたよ! 助けて!! いや間で構えてなくていいから…って冷静に考えてこの人に近接戦闘で勝つにはヘラクレスとスカサハレベル連れてこないと無理じゃねーか。

 

「紛れ込んだ者よ、何を思い戦う、何を思い抗う」

 

「みんなのためだ!」

 

「否、天命が尽きた汝には、既に何もない」

 

「うるせぇ!!」

 

「いい加減何でも知ったような口きかれてわけわからんことを言わせるのはいみわかんねぇんだよ」

 

「俺は戦いたいから戦って、皆が好きだから頑張って、大好きだから抱きしめるんだ!」

 

「お前の事情は知らねぇ! 気に入らないなら殺すでも黙ってるでもいい! でも俺は、好きなようにやる!」

 

「信仰亡き者、全てを得る迄戦うか。ならば天命まで走り戻るが良い。解なりや」

 

 

あ、操作が一瞬で戻りました。キングも消えてますし。

そしてそのままワープしてきたご老人がエレちゃんをずんばらっと、契約だけ切ってます。軌道修正完了ですね。成し遂げたぜ。

 

ボケ老人ですし、よくわからない拘りがあったのでしょう。ディオスクロイもありがとナス!上まで連れてってくれ。

 

さて、エレちゃんの協力を取り付けたら、ささっとウルクまで戻りましょう。これで3女神同盟の2つを崩しました。2位、3位を味方につけて、1位を打倒ではなく、1,3を仲間につけ2位を倒すという悪どさ。まぁ3位の女は何もしないのですが。

 

ついでにこれで、この文明で衰弱してた人の意識が戻ります。女神の正体は見てなかったのに、きちんと死体は保管していた賢王まじ賢王。

 

結局正規ルートと同じ日数になってしまっていますが、ウルクの出力が見違えるほど高いです。問題はマーリンがいないことですが、大丈夫でしょう。

 

というわけでティアマト(ゴルゴーン)戦です。

 

王様より仕事の褒美でもらったラピスラズリを全開に使っていきます。ダ・ヴィンチちゃんの霊薬は即効性のもので、今後はこの宝石が生命線になります。何故もっと早くくれなかったのか?

 

そして、それで底上げした魔力で、ナポレオンが神殿を破壊した砲撃で、本気で神殿を壊しにかかります。女神ケツァルコアトルは北壁でジャガーマンと共にエルキドゥと魔獣戦線の足止めです。源氏主従も同じく壁で人間を率いて戦ってもらいます。

 

ケツ姉は、斧を使わないで足止めに専念できます。

 

 

 

 

というわけで、出発! ウルクからジャングルを迂回して、神殿を目指します。神殿の場所はナチュラルにイシュタルが把握してます。マーリンも何なら場所は知ってたりします。

というわけで神殿につきました。

 

「ナポレオン……頼む」

 

「ああ! 任せろメートル!」

 

何度か軽く説明してきましたが、彼の弓兵としての宝具はスフィンクスに撃った砲撃からくるもので、神への、何よりも神殿への特攻がございます。いや実際に撃ったかどうかではなく、可能性の男である彼がそうしたであろうと思えば、そうなのです。

 

「凱旋を高らかに告げる虹弓!!」

 

虹色の光がズドーン! って、なんか普通に防いでいるんですが、やば…やば…わかんないね?

 

「約束したんだ。あのキングゥと戦った時に! だから、頼んだ!! 令呪を持って命ずる! ぶっ放せ! ナポレオン!!」

 

過剰出力(オーバーロード)!!」

 

 

いやいやいや、ここはナポレオンの切りどころじゃないでしょ! 宝石ももっと割りまくって!

 

「俺の霊基を食いつぶした一撃だ! これで虹はかかる! メートル! 男を見せろよ! 」

 

 

まじかよ。そういう……関係だったのか。

戦力を脱落させる意味……ああ、千里眼勢は、こうなるのが見えてて。藤丸君には、これが最後の敵に見えてるからか。

 

ともかく、ナポレオンがカルデアに帰還しました。

マスターが戻れば再会できますが、このバビロニアではさようならです。

いやーキツイっす(素)

 

ともかく止まってられないので進みましょう。

道中はちょっとグロい光景が並ぶので、加速しますねー。

溶けかけの人間による魔獣工場は、キャンセルだ。

 

っと、つきました、ゴルゴーンです。

 

神殿が破壊され弱体して、自身の死因を持って召喚されてる銀の弾丸のアナちゃん。そして巨体を生かしきれない屋内戦闘。

これだけの条件に、イシュタルが味方して戦うのでようやっと勝てます。

 

シンドバッド君は功績値が足りてなければ、ここが最後の稼ぎどころさんなので、全力で殴りに行きます。足りているので今回はやりませんが、急所を登って、顔や胸などを殴るのがダメージ的にアドなので、そうしましょう。他意はないです。

 

 

「何だ! その醜いサーヴァントは! キングゥ! アレをこちらに近づけるな!」

 

錯乱してくれる合間に適当に切り刻めば、ハイ一丁上がり。宝具すら使ってないですが、イシュタルとマシュだけでも倒せる敵ですので。

 

「マシュ、立香ありがとう、楽しかったですよ」

 

そしてアナちゃんが心中して冥界に落ちていくのを眺めて工事完了です……。

 

 

そして、彼女が死んだことにより、本物のお母さんが復活します!

次回ウルク、死す!!デュエルスタンバイ!

 




RTA風小説なんだから展開がガバでも速いことが正義なんだよ!(暴論)


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(復活)~(修復完了)

数で女神をぼこるRTA はじまるよ!

 

前回は自分のことをティアマトだと思い込んでいるティアマト(ゴルゴーン)を実はゴルゴーンだったアナ(メデューサ)を使って倒したらティアマト(ティアマト)が復活したところまででした。

 

 

まずは振動を感知して、聖杯の器である、キングゥを倒しに行きます。

いつもの馬と車に乗って、魔獣戦線の北壁へダッシュです。

 

ゴルゴーンの生み出していた魔獣は大本を倒した時点で消えます。幹部級は残りますが、軽く吹き飛ばせる程度です。最短距離を行きましょう。

 

稀に此処で確保している場合もあるのですが、基本的にゴルゴーンの増援にすら来れなかったキングゥは逃げて行きます。

 

「すみません! 逃げられてしまいましたぁ!」

 

 

まぁこればかりは仕方ないです。こちらの討伐に反応して、全力で逃げの一手を打つので

ともかく、とんでもない魔力反応がペルシャ湾沖に現れたというロマニの悲鳴を聞いて、ウルクへと戻りましょう。

 

 

『皆急いでくれ! この数字は! 計器の故障でなければ数億単位の敵が発生しているぞ!!』

 

 

ウルクに到着すると、既に敵の一波が物理的に間に合わないであろう速度でやってきて侵入してますので、まずは防衛戦です。しかも市街地での遭遇戦に近い形になります。

とにかく市民に襲い掛かられる前に倒せば倒すほど、この後の防衛戦が楽になりますが、どれだけ急いでも北壁を経由した時点で、ラフムはウルクに群がっています。市街地戦ですが、とにかく物損は気にせずに戦い続けましょう。

 

 

『皆! ウルクの人が襲われてる!!』

 

「やぁああああ!」

 

マシュにも気合が入ってましゅね。まぁお仲間だしね。

此方の戦力はナポレオンとアナが欠けていますがこの段階のラフム程度なら、シンドバッド君でも全然倒せます。古代人より強い現代人とは……。

 

そして市街地戦イベントが起こると確実にシドゥリさんがいなくなります。かなしぃなぁ。

 

逃れられぬカルマ。助けるにはそれこそ、最初からこの特異点で口説き落としてずっと行動を共にするとかしないと、基本さようならです。

兎に角仕方ないことと割り切って戦いましょう。夜になると彼らは帰っていきます。

なぜかラフムはウルとエリドゥ、ジャングルを拠点にしているので。

 

さて、思い出していただきたいのは、エリドゥに斧を残しているということです。そう、これらからラフムがいる中突っ込んで、投げてこないといけないのです。何の問題ですか?

 

理由は単純で、斧の届く距離までウルクに近づかれた時に、ケツァル・コアトルが無事かどうかは正直分からないからです。

 

ティアマト討伐戦は復活直後の遭遇戦と、進行を食い止める防衛戦と、冥界や固有結界内部で行われる討伐戦があります。

 

最初の遭遇戦の段階は海の近くで戦いますので、斧の狙いもつけやすいんですよね。

なによりラフムを置き去りにするワイバーン移動で海まで行けるので。対応しやすいです。

 

というわけで、ウルに調査に行くように王様から命令を受けて出発です。落ち込んでいる暇なんてないんだよなぁ。マーリン? 奴はもう居ない! ティアマト(本物)が起きたら彼は消えます。

 

王様的には水質調査もしてほしいそうですが、まとめてやってやらぁ! とばかりにやっていきましょう。

 

というわけで出陣。行きはワイバーンではなく普通に移動しましょう。

 

「んーお姉さんにも運転させてほしいネー!」

 

だめです。

 

カーミラが健在な以上、最大戦力を移動に割り当てるわけないんだよなぁ。助手席で我慢してどうぞ。

 

「あの、これわたしの車よねぇ?」

 

というわけで、ジャングルに来たらワイバーンに乗り換えてウルに到着。基本人間は全員殺されてます。なんてことを……。

たのしもうね! 感覚で殺されていますので、見るとストレスですが、どうせここから見るのでケアはしないでいいでしょ。

 

「食わねぇで殺してんのかよ」

 

お、そうだな。

 

ウルにラフムは大した数がいないようですね、どっちに屯っているかは割とランダムです。急いでエリドゥまで向かいましょう。

 

 

 

はい、到着ぅ! 今更ですが、ウルクの兵力は、つまりは源氏主従は町と壁を守っています。お使いに回しても良かったでしょうが、戦わない人はニップルまで下がっているので。町の防衛は大事です。

なので、同行はイツ面-ナポレオンに、ジャガーとケツ姉とイシュタルの新生3女神同盟です。

 

 

というわけで、エリドゥに到着です。ここでは、趣味の悪いことに人間を殺し合わせて楽しむという、人間の真似事をし始めてます。新しく発生した異形生物が人間の模倣をするのは、本当に不気味な気持ち悪さがあります。おっと、そして……。

 

「気づかれた! 皆戦闘準備を!」

 

はい、抵抗しないラフムが来ました。来ないで(切実)。

彼女はもうそのままの外見で、人には戻らないのです。ティアマト復活後にギル様が死ぬと復活後に死んだ人間は蘇生するらしいので、介錯しましょう。シンドバッド君が1,2発殴ると、イベントが入ります。

 

「何言ってるかわかんねぇ、だからあっちいけ! 行ってくれ!」

 

というわけで追っ払いましょう。藤丸くん達が何かを察する前に。此処で足を止めてる時間なんて必要ないんだよ!

 

 

というわけでラフムのコロッセウムに強襲です。中にいる人間を助けつつ、しばらくすると、強制イベントキングゥの制止が始まります。

 

「なんて醜いんだ! 意味のないことばかりして、無駄に殺して! 君達は母さんの失敗作だ!」

 

彼はまぁ、普通に不意打ちを受けて死んでしまいました。どれだけ油断してたって話ですが、仕方ないね。

最初の遭遇戦で危惧した形で、もし早めに聖杯を回収していた場合、眠っているティアマトは起きずに、人を全部殺すまでラフム初期型を量産してきます。一定以上地面を埋めると完全復活をしますけどね。聖杯もないのに。むちゃくちゃ時間がかかりますので、キャンセルだ!

 

というわけで、聖杯を分捕られたので、それを追いかける敗北イベントです。

ジャガーマンは街に残って避難誘導と、斧の確保を依頼しましょう。密林にてジャガーは最強。

飛行型ラフムはこちらの最速に適応できるように進化するので、基本追いつけません。

というか、ナポレオンいたら撃ち落とせたんじゃないすかね? これ。

 

イシュタル様はどう? できそう?

 

「ちょっと! コイツ等うじゃうじゃと!」

 

って、ああ、ラフムに無茶苦茶群がられてます。

そして聖杯を海に投げ込まれてしまいました。ありがとナス!

そんな浅瀬で大丈夫か? 地母神(海住まい)とは。

 

一先ずは水質調査観測所の灯台に移動して、海の状況のデータを確認しましょう。これがないと最後対策が立てられなくなって詰みますので。ロマニが解析もしてくれるから安心。ついでにここにマシュ用拡張装備ア・メンボがあります。回収しておきましょう。

 

しばらくすると水位が急上昇するイベントと共にお母さんが帰ってきます。生き返るわぁ^~

これでまずは第一段階頭脳体復活です。こいつは普通に倒すことができます。簡単に言うと無敵属性がついているコアだけが露出している状況ですね。

 

斧を残している場合、このタイミングでケツァル・コアトルには斧を回収しに行ってもらいましょう。しばしの別れとなり、今後の移動は海の上を走ります。

 

上空に花火を打ち上げれば、お姉さんが斧を投げてくれるデリバリーサービスです。マーリンはいませんが合図程度ならば、シェヘラザードでも出せますので。

 

 

というわけで、頭脳体戦ですが、特にいうべきことはありません。攻撃もしてきませんし、海上を走るテスタロッサ・メイデンで近寄ってサーヴァントで攻撃しましょう。浮力はともかく動力は何だよ?

 

さて、既に海はケイオスTIT、もといケイオスタイドまみれや。これは平たく言うと聖杯の泥で汚染されてます。落ちたら即死ですし、なんか近寄るだけでも火傷を負います。地の利を得られるってつらいなぁサム。

 

特に抵抗はなく、攻撃してれば倒せますから、焦らず行きましょう。

 

 

「Ahhhhhh!!!!! 」

 

とまあ、わりとこうあっさりめに海に沈んでいきます、お、大丈夫か大丈夫か?

そして、これでついに機能としては完全復活お母さんです。こいつ何重ロックかかってんだよって感じですが仕方ありません。

さて、ここからが本番です。

 

『やったか!?』

 

とロマニが死の宣告をしてきますので、マシュと藤丸くんも車に飛び乗ってもらいましょう。

マタハリに騎乗Bくらいあったら、運転をまかして、カーミラは援護射撃とかできるんですけどね。彼女騎乗が上手そう(意味深)だし、あってもいいだろうに。ないものはしょうがないので、仕方ありません。

 

『超強力魔力反応!? ああ、もう何度目だ!? 聖杯なんか比較にならない! これは、まごうことなき神の創生だ!?』

 

地面からオベリスク感覚で、海からティアマトします。はい、ここです。シェヘラザードに合図を出して、リスポン狩りと行きましょう。

マーリンビーコンがない以上、目視で狙えるこの距離で待ってもらう必要がありました。ジャガーマンに周囲を維持させて、ケツァル・コアトルの投げ斧で……よし、ヒットしました。これでほぼ大丈夫です。

 

「Ah────hhhhh!!!!! 」

 

マルドゥの斧はティアマット神の死因、不死の彼女ですが、これで消えない傷を負います。リソースが再生に回り、よっぽどのことがない限り飛行能力を獲得しないで歩いてきます。

それでも特攻の神話時代の物を受けて、死なないとかふざけてんのかな?

 

ともかく言われなくともスタコラサッサです。ケツァルお姉さんとジャガーを拾って、ワイバーンで帰ります。シンドバッドくんはもう魔力限界近いですね、ディオスクロイを使ってないのにこれだとかなりきついですが、連戦ばかりは仕方ありません。

 

まずはウルクまで戻って戦果報告です。

 

「ほぅ! ティアマトめに斧を当てたか! さすがだな。女神にも見るべきものはいるということか」

 

 

既に日は沈んでおり、ここでの作戦会議が最後になります。

斧を当てていれば2日間の猶予があるでしょう。ティアマトが上陸して泥をドバーも朝になるまでしてこないので、まだウルクの周囲には牙壁もありません。

 

そうして、イシュタルが賢王に良いからグガランナをだせやこら、と言われますが。落としたー! 神話の牛落としちゃったー! しているポンコツ女神がいますが、適当に流しましょう。でもこういう抜けてるところの可愛さは、イシュタルのほうが、エレシュキガルより上でしょう。

 

ロマニからの情報で神の目的地がウルクで一直線で進んでいたこと、そして3女神からの他に生命がいるところではティアマトは死なない。という情報。それらを総合して、冥界に叩き落してぶっ殺す。という方向に話をつけて、それまで耐える。

 

そういうことになります。

 

賢王がエレちゃんに話をつけて、ウルクまで冥界の領域を拡大するように指示しますが……

 

「実はもう掘り進めているのだわ!」

 

と、割ととんでもないことを言い出してきます。そのおかげで明日の夕方には冥界トンネルが開通します。つまりは明日の朝から夜まで耐えれば勝ちですね。

 

ゆっくりというわけではないですが休みましょう。薬を飲んで、宝石砕いて寝る!

 

 

というわけで最終決戦です。

まずはティアマトが上陸して、泥をばらまき始めます。これが津波となって襲い掛かりますが、一先ず2重の壁が何とかしてくれます。

こちらは全戦力で女神の津波を見届けてから戦闘となります。

 

津波を焼いても、既に女神が足から泥をお漏らしして出してることが最初からわかってるので、意味ないと判断されます。

こちらも非戦闘要員の避難は済んでおり、彼らはニップルでラフムに襲われているのでしょう。源氏主従が守ってくれてますが。戦力は集中しろと思いますが、敵の数が多すぎるので、ニップル自体が囮として敵の引きつけをしてくれます。命を削った囮になってくれているわけですね。

 

ウルクの牙壁も立派なものが出来ているため、十分ケイオスタイドの津波第一波にも耐えられます。

 

何よりもウルクのディンギルからの支援砲火は、今までに助けた人数ボーナスにより相当なものとなってます。無限に湧いたラフムへのダメージソースとしては割と優秀です。

 

といっても、今日の夜には冥界が開通しますし、飛ばなきゃ問題はないので、基本的には近づいてラフムを狩りつつ、母さんが変な攻撃をしたら妨害をする、という流れで大丈夫です。それでも何度か飛行型ラフムによる足止めがはいりますので、その都度戦っていきましょう。

 

「Ahhhh!」

 

ケイオスタイドも、牛若ちゃん培養液ではなく、いい感じにただの聖杯の泥ですし、アイアンメイデンがその上を走れるので、ある程度は安定しますが、必要に応じてケツ姉のワイバーンに乗せてもらいましょう。

 

っと、いい感じにラフムを倒せて安定して来ましたね。しかし魔力が限界ですので、一旦引いて、回復しましょう。

 

 

 

 

……ん?

 

 

 

「Ahhhhh----!!」

 

『ティアマトの頭部に反応が集中している、いや、上半身全体だ! 角の部分に何か変化が起こってないか!?』

 

いやまて、あの孤独で長いシルエットは……

 

「まぎれもなく翼です! 角が角翼になっていきます!」

 

は? お前死因の斧食らって、神話的解釈で死なないのはともかく、翼出してんじゃねーよ!! いい加減にしろ!! 生命力無限大かよ! 無限大だったわ。

 

「母さんは地の女神よ! 空を飛ぶなんて!」

 

そうだよ。地の女神(海から来て空へ)やぞ、陸海空制覇とか絶対的勝者かよ。

 

嘆いても仕方ありません。飛んで動くと速度が急激に上がります。まともにやっても意味がありません。地面に落とすしかありません。

 

「これ以上は! させません! 私は蛇! 私は炎!『炎、神をも灼き尽くせ』!!」

 

ケツ姉が特攻してくれますが……これじゃあ効かないです。罅は入るのですが、いや斧のダメージがあれば行けるか…?

 

一先ず堕ちた彼女を回収します。戦えなくとも、泥に堕ちた場合の被害が洒落にならなさ過ぎますので。

 

女神にダメージを通せるのは、かなり手段が限られています。というわけで、ゴルゴーン! ゴルゴーン早く来てくれー!

 

って……ん? 来ませんね。

 

……あれ? そういえば花屋イベントの花飾りの輪もらって無いですね?

マシュも移動中何も言ってなかったですね……

 

アナはというかゴルゴーンは、花屋のおばあちゃんの花を手向けることによって、最後の力で復活してくれます。その際にゴルゴーンに混ざり合っての蘇生となるのですが……。

 

あー……これは詰みましたかもですね。保険と割り切って確認を怠りました、これは痛いですね。どうすっぺ……。

 

 

「人間! どうする! ここで終わるのか!? 貴様は!?」

 

兄様が叫んでますが、あぁー……ワンチャン行けるか? というかやるしかないか。どちらにしろ飛行性能を持っているか、超巨大でもないと、角まで攻撃が届かないわけですし。できれば温存したかったのですが、仕方ありません。

 

「カストロ、できるのか?」

 

「当たり前だ、我らを誰だと思っているのだ、マスター!」

 

「ポルクス、頼めるか?」

 

「お任せください、マスター! 我らディオスクロイ、カリュドーンの雪辱を果たしてみせます!」

 

最後の令呪の切りどころさんです。ディオスクロイに、霊基が砕けるほどの威力で神核を起動してもらいましょう。

 

「令呪を持って命ずる! ディオスクロイ! 双神として輝け!」

 

「神核接続!」「神核励起!」

 

「力、光、我らこそ!」「天空にて輝く愛!」

 

「『双神賛歌(ディオスクレス・テュンダリダイ)』!」

 

防御を貫通して神になった双子の一撃で、ティアマトの角は見事ポッキリ折れました。

そして、そのまま双子はカルデアに帰還していきました。流石にそろそろマズイですね。

 

ですが、これで一先ずは飛行不能になりました。恐竜みたいな形態になるまでは、大丈夫のはずです。まずはこちらも限界なので体勢を立て直しましょう。

 

ウルクに到着。既に両マスター共に欠員1騎ずつ、双方令呪0。ケツァル・コアトルは戦闘不能、ジャガーマンとイシュタルも疲労気味。

 

魔力はもうほぼないです。最後のお薬を一本ずつ藤丸君とキメて、王様からもらった宝石を全部割ってしまいましょう。多少はましになります。

高台まで来てみれば、敵がもう直前まで来ていることに気が付けます。

 

「よくやった、カルデア。貴様らは確かに我の見た光景を上回らせたのだ。期待がV字回復するとは、この我をして驚きだ」

 

「賢王?」

 

「ギルガメッシュ王?」

 

「もうよいのだ、マシュよ。もう戦いは終わっているのだ」

 

しかし、この時点で、夕方までなっているので、防衛戦は勝利です。ここから確定でイベントが入るので。はい、ティアマトの狙撃イベントで王様と分断されます。

 

「『人よ、神を繋ぎとめよう』」

 

するとキングゥが神を繋ぎ止める鎖でティアマトを拘束してくれます。聖杯を再装備した英雄王お気に入りの兵器の後継機が費用対効果最大を叩き出してくれました。

 

この間に少しだけ休めますので、なんとか息を整えましょう。するとイシュタルによって、ウルクごと穴をあけて冥界に落とされます。

 

「さぁ、カルデアよ、原初の女神を倒す栄誉をくれてやろう!」

 

「任せたわよ! ジュベル・ハムリン・ブレイカー!!」

 

 

というわけで、冥界バトルです!!

最終決戦にイクゾー!!

 

 

「先輩、掴まって下さい!」

 

「皆、俺に掴まれ!」

 

数キロほど落下していきますが、女神はあんまりダメージを受けてません。ですが、冥界には生命がいない、だから倒せるという神話的頓智が有効となります。

 

というわけですが、彼女は泥をばらまきながら子供を作ってきますし、最終形態でジュラ紀まで逆行しやがります。

 

しかし、これでもう本当に最後です。奴は地下深くに落ちていきますので、追いかけに行きましょう。

 

「えぇ!? あなた達だけしかいないのかしら!?」

 

エレちゃんがドン引きしながら、冥界での飛行権限をくれるので、ここからは走っていきます。車で。もはやなんでもありだな。

 

 

この状態のティアマトは泥を出して冥界を侵食しようとして、魔神柱ではなく、自分の子供たちを召喚。そして、支配率をあげて抵抗したら飛び去ろうとしますが、さっすがにこれは飛ばれたらアウトです。

 

「やぁ、皆。遅れてないよね」

 

泥に花が咲いたということは!

 

「マーリンお兄さん、アヴァロンから走って来たよ!」

 

マーリンが来てくれました。これで勝つる!

彼は命を生み出す泥の機能を侵食や子供の発生から、無害な花を咲かす物にしてくれます。

 

「二人とも、君たちはここまでの旅をやり遂げた。ああ、誇ってくれたまえ」

 

指の一振りで、こちらを回復させてくれます。泥の飛沫で火傷とかしてたので、Foo~!! 気持ちぃ!

 

「ボクや王様、キング君はずっと君たちを見ていた、君達は二人いるからって手を抜くことはなく、最後まで走り抜けた。だから僕らも信条を曲げて君たちの力になろう!」

 

そして、待ちに待ったキングハサンの一撃です。

 

「汝の天命は尽きた。獣の如く成り果てた女神よ────あの鐘の音が聞こえるか?」

 

彼? は一撃で、ティアマトというかビーストの翼を折り、定命という概念を与えます。殺すことに特化した一撃です。冠位って基本こうやって投げ捨てて使うものですからね。

 

ともかくやっとこさ、これで条件はイーブンです、時間制限付きで殺せる敵をたくさん殺し切れば勝てる、魔神柱以上の敵を? 勝てなくない? 馬鹿野郎お前!! 俺は勝つぞオイ!

 

 

ティアマトの子らはまぁ強いですが、即死がききます。キングハサンの1撃でどうにかしましょう。ようやっと彼も助力してくれますので、藤丸くんも頑張ってくれます。

兎に角決戦戦力の藤丸くんを女神まで持っていく事が仕事となります。ラムレイ! スリップストリームでついてこい!

 

もう、シンドバッド君に出せる戦力はございませんが、皆で車に乗って、魅了をばらまきながら陽動をこなしていきましょう。

 

そして子供たちを倒せば、真打の登場です。

もう、獣なのか、女神なのか、恐竜なのか訳わかんなくなったけど、胸はしっかり大きいティアマト戦です。

 

「えっちゃん! アルトリア! 宝具は!?」

 

「マスター! 魔力がもう足りません!」

 

「申し訳ありません、此方も」

 

「っく、此処まで来て!」

 

藤丸くんも此処までの子供達との連戦で、流石に限界が近いですが、こっちの真打ちも来てくれます。

 

「火力が足らぬか? いいだろう我が力を貸してやる、光栄に思えよ」

 

冥界下りをしていた、戦闘経験絶頂期のギル様です。

彼の火力で押し切るので、藤丸君もマシュで守ってもらいつつ、槍上とえっちゃんで切り飛ばしてもらいます。

 

「天地乖離す開闢の星!!」

 

 

この一撃で崖壁を登っているティアマトが、遂に力尽きて落ちていきます。冥界で死に、復活できないまま深淵へと。これできっと虚数空間ではなく、本当に消滅します。

 

「ミストレス・C! 追いかけて!」

 

「マスター掴まってなさい!!」

 

親離れ成功ですね。と行きたいところですが、なんと聖杯はあいつの頭にあります。アクセル全開にかっ飛ばして回収に行きましょう。

 

マーリンが稀に走って回収してくれますが、それがないとまさかのここまで行って終了というクソ仕様です。

 

 

よし、回収! ぬわああああああん疲れたもおおおおおん!!

 

 

後は地上に戻って、終わりです。

 

長い長い戦いだった。

 

戦力を本当の意味で使い潰しちゃいましたね。

 

まぁ、もう後は強敵といっても、イベント戦がほとんどです。最後まで走り切りましょう。

 

 

 




RTAパートはゲと対面まで書けてます。
でも裏からなので、もう少しまたれよ。


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裏:関係性と評価について

その獣は、常にその少女と共にいた。

あのろくでなしのクソ野郎に追い出され、人と関わりを持つと自分がどうなってしまうかを正しく理解していた彼は、純粋で真っ白な、自分と他人を比べて憐れむことも羨むこともしない少女と共にいた。

 

自分がどういった存在なのかを気取られぬまま、比較的に平穏に過ごしていた。それでもあのクズを見かけたら天誅を食らわせるつもりだが。

だからこそ、彼は少女の腕の中で過ごしていた。

 

そしてこの巣が燃えた時に、美しいものを見た。

お互いがお互いを思い、身を投げ打ってもかまわないという心。

 

その輝きはそれからの旅でもずっとあり続けて、彼女と彼の美しいものを見れた彼は、そのままでいられた。

 

フランスで、ワイバーンに怯えながらも立ち上がり、ローマで意思に反して戦う人を乗り越え、オケアノスで在り方が悪でも悪者でないと知り、ロンドンで人との関わりを知り、アメリカで人の営みの流れを知り、聖地では自身の在り方を見つめ直した。

そんな二人を彼は、祝福したかった。

 

「フォウ!」

 

「あ、フォウさん、お見舞いにいらしたシンドバッドさんは、先程お帰りになりましたよ」

 

この少女の旅路を最後まで見る。それが今の彼の目的である。この少女とあの少年。それ以外には、ある種全く興味がないのだから。

 

その彼の考えは、彼が彼でなくなるそのときまで、終ぞ変わらなかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは簡素なステージ。たまに気まぐれに彼女の同僚が話を語ったり、彼女自身も踊ったりと何回かは使ったという程度の場所。生前働いていた『ミセ』の設備と比較しても大差ないような、いうなれば前時代的な設備。

部屋の照明は落とされて、それでも壇上だけが明るい中で、彼女はマスターの、シンドバッドの手を取っていた。

 

「そうそう、上手よ。右足はこっち、左足はこっちよ」

 

「あ、ああ。難しいな」

 

「あら? 筋は良いわよ、武術をやっているからかしら?」

 

お世辞にも軽やかにとは言えないが、それでも楽しそうに踊る二人。マタ・ハリも社交ダンスやフォークダンスなどは専門ではない程度だ。基本は自分を魅せる踊りが本職なのだから。

そんな事はどうでも良いほどに、彼女は楽しげに男を誘わないで踊っていた。まるで今目の前の男性の姿を目に焼き付けるように。

 

 

「ねぇ、マスター」

 

「なんだ……グレーテ」

 

「フフ、覚えてくれたのね……そうね、マスターはいい子だもの」

 

くるりとターンして少しだけ相手に体重を預けて彼女はそう呟く。それは確かめるように、そして自分に言い聞かせるように。

彼女の通り名は通り名でしかないが、それでもそうして喚ばれたから彼女はそう名乗っている。しかしながら本名を、何よりもそのあだ名で呼んでもらいたい時もあったのだから。それは出会いという意味ではどこまでも幸せなことだ。

 

通常の聖杯戦争はこんなに長い期間やらない、呼ばれるサーヴァントだって、もっと戦闘に向いたものになるであろう。この出会いは本当に掛け値のない奇跡なのだから。

 

「……もうすぐお別れなのよね」

 

「ああ、もうすぐ終わる」

 

「……そうね、ええ」

 

彼女は先程言われた言葉を思い出す。そして出された提案のことも。それは、ある意味裏切りであり、だからこそ自分には相応しいのであろうと、そう感じてしまった。

 

「私は、貴方の力に成れていたかしら?」

 

「勿論だ! グレーテが居なければ、俺は頑張れなかった」

 

心からの言葉、彼にはウソをつくという概念が存在していない。それはそういうふうに設計されたのではなく、そういう風に育った……もとい育てられたからでもある。だからこそその言葉を信じられないのは、自分を信じられないことと同じである。

 

「嬉しいわ、私はそんなに強いサーヴァントじゃないもの」

 

それは事実であり、彼女がいないと局面として困ることは殆どないであろう。それでも彼女はローマより5つの特異点を旅したサーヴァントであり、シンドバッドにとっての特別な存在だった。

 

「強いとか役に立つとかじゃねぇ。一緒に居たいから一緒に居てくれた。だから俺は嬉しかった、グレーテじゃなきゃダメだった」

 

力がないならば彼自身が頑張ればいい、それでもダメならば、リツカの仲間を頼ればいい。彼にとっての旅とはそういうものだった。

 

「笑ってくれたから、優しくしてくれたから、一緒に居てくれたから俺は頑張った! 皆自分のやれることをすればいい。それが嬉しいことならもっと良い」

 

魅了することにかけては、ケルトのメイヴに劣るであろう。情報を集めるだけならばミストレス・Cで事足りるであろう。軍勢の意識を逸らすのも、そのまま滅ぼしたほうが速い。

魔力消費の軽さという、ある種性能の低さこそが彼女の最大の利点であった。

 

しかし、そんなものに何の意味もなかった。彼のもとに来たのはマタ・ハリであり、一緒に旅したのが彼女だった。

 

そう、もっと簡単に言うのならば、好きになった女性だから、それでいいのだ。

 

「次も最後も頑張ろうな」

 

そして、その言葉をその意図を理解した彼女には、もう迷いはなかった。サーヴァントの身でできることは、やりたいことは全てやろう。それが彼女の出した結論であった。

それが望まれていないことだとしても。

 

「……ええ! そうね、その後も、ねっ?」

 

「ああ!」

 

いつの間にか音楽は止まっていたが、二人はそのまま舞台の上で笑い合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは、なんというのでしょう、独特な味ですね」

 

「食えなくはないな」

 

「そうか? うめぇだろ」

 

ここはディオスクロイの部屋。この部屋への立ち入りができる人間など彼等のマスター位しかいないであろう。

彼等はマスターが急に持ってきていた、謎のヤドカリ料理を食べる羽目になっていた。別段マズイわけでもないが、何故そんなものを今持ってきたかという疑問に答えないまま、入室して自分の部屋のように座り込んだシンドバッドに対して、カストロは言いたいことはあったが。

ポルクスに食べ物を持ってきたのであれば断るわけには行かなかった。

 

「それにしてもマスター。なぜ急に?」

 

ポルクスの疑問は最もだ。なにせ今まで時間が合えば、いっしょに食事を取るということもあったが、こうしてわざわざ彼らの部屋に訪れて、ということはなかったのだから。

 

「んー? 気分だ、そうしたいと思ったからだ。ポルクスもカストロもまだあってそんなに時間たってないけど、この前の戦いは忙しかったし」

 

いうなれば気が向いたから。それだけではあったが、意外にもカストロでさえ嫌そうな顔をそこまでしていないのだ。

この男は復讐すべき人間ではあるが、それでもポルクスが共に旅をしたいと思った男であり、そして何よりも神であろうが人であろうが、態度を変えることはなくディオスクロイとともにあった。

それは、このような特別な存在である彼等を、ただのそれなりの戦力として扱ってきた、あの船のことを思い出させて。あそこも、あまり悪い居心地ではなかったから。

 

「まぁ、こうして食事をするくらいなら付き合ってやらんこともない、ポルクスは健啖家故な、カルデアの備蓄を気にして遠慮しているのだ」

 

「兄様!?」

 

「そうなのか? まだたくさんあるから、平気だぞ?」

 

男二人に、特に兄に対して恨みがましい視線を向けながら彼女は、それでも手は止めないで食事をとっていた。それをカストロは美しいものを見るように見つめる。彼にとっての数少ない大事な存在、それは最愛の妹ポルクスなのだから。

一方シンドバッドは前に出て武器で戦う女はたくさん食べるのだと、ポルクスとリツカのサーヴァントを思い出しながら新しい誤解を覚えていた。

 

「だが、せめて酒はないのか? 白い葡萄酒がよいな」

 

「その通りですね、兄様。慧眼です」

 

シンドバッドにはわからないことだが、酒というものは大変人気のようだ。しかしカルデアの備蓄に酒は調理用のものしかない。ダ・ヴィンチちゃんなら作れるそうだが、マスター達が酒を飲まない、好まないために、他の職員も我慢している様子だ。

 

「ないと思うぞ」

 

「そうか、久々にポルクスの酌で飲めれば良いと思ったのだが」

 

「そうですね……次の特異点で機会があれば、マスターもご一緒に」

 

「ああ! 楽しみだな」

 

この前飲んだワインという赤いのはあまり得意ではなかった。それでも、仲間が誘ってくれたのならば嬉しい。シンドバッドは笑顔で二人に答えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら? 今帰りなの」

 

「……? ミストレス・C?」

 

「ええ、そうよ」

 

 

ディオスクロイの部屋からの帰り道、廊下を歩いていたシンドバッドは、サーヴァント

ミストレス・Cにすれ違った。

彼女は、いつもの赤い足が見えるドレスではなく、光っているどこか金属みたいな服だ。肌を惜しげもなく晒して、黒いサングラスと赤いブーツが格好良く光っている。端的に言って目に毒であったが、シンドバッドは気にせず声をかける。

 

 

「どうした? なんか、違うな?」

 

「ええ、わたしもいろいろ思う所があったの、今度……いえ後で話せると思うわ」

 

「うーん?」

 

「それじゃあ、良い夜を、貴方」

 

彼女はすれ違いざまに、シンドバッドの頬に唇を落とすと、そのまま去っていった。

シンドバッドは妙な違和感があったものの、彼女を見送り、やっぱり食堂へと水を飲みに向かうことにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、マーリン。ようやっとカルデアが来る様子だな?」

 

「ああ、そうみたいだね。君はあれから何か見えたかい?」

 

「見てすらいないわ、たわけが」

 

ウルク、紀元前2600年という人類にとっては立ち上がり歩き始めた時代。

そこの都市の王座にて窮屈そうに座り、隣の男に声をかける賢王ギルガメッシュは、ようやっとひと段落がついた仕事を頭の外に追いやっていた。

 

「我が見たのは半年後全ての民が冥界にとらわれてしまう光景。故にこそ、民を決起させお前を喚んでやったのだ」

 

「うーん、僕としても、もっと綺麗な物語になると思ったら、変なのいるからあんまりやる気なかったんだよね」

 

でもさすがに呼ばれたから来たけど。そう漏らす人でなしは、あまりにも軽い口調だった。言う成れば推しているアイドルグループのユニットに、推しメンとそうじゃないのが混ざったような、たったそれだけの口調だ。

 

「何、貴様は魔力も融通してやっていたのであろう? 後はあのウドの細木の人生相談にも乗ってやった。十分であろうよ。ナイルの辺りの奴らではないが、きちんと埋葬しとけばこうはならなかったものを」

 

「まぁ、僕は君との契約通り、子守だけここでしてるよ。寝付きが悪くてね」

 

「たわけ、最低でも宮廷仕えの魔術師の仕事をさせるのは止めぬからな」

 

賢王様は、さぼり癖があるが有能な男という使いづらい駒も問題なく使えていた。むしろ変に都市の外に出さない以上、遊びが少なくレスポンスもよい為、想定よりも仕事が片付いてしまっているほどだ。

 

「だがお前の言うことにも、一理はあろう」

 

ギルガメッシュは、半年前に比べて少しばかり痩せたような気がする自身の身体を特に労ることをせずに語りだす。

 

「必死に綱渡りをしているようでいて、奴らは必死になりきれていない。このウルクの地を踏むことは許せるが、配下にしてよいかは」

 

「まぁ、ちゃんと目で見てからだよね」

 

超越者同士だからこそのテンポがずれた会話を、彼らはジグラッドにもうすぐ上る朝日を受けながら、只々紡いでいるのであった。

 

 

 

 

 



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裏:恋愛観と死生観について

ガチャを回せ


「マシュ! 防御!」

 

 

「へぇ、すごい反応だ、素直に驚いたよ、なんだかんだで6つの特異点を踏破してきただけのことはあるようだね」

 

杉の森の中、周囲には何がいるかもわからない、地の利もない。そんな中で立香は敵の罠にはまってしまっていた。彼は既にこの状況が相当やばいことをしっかり認識している。肉食獣の巣に知らずに入ってしまったような、そんな恐怖に背筋が凍りそうになる。

 

ドクターから彼はきっと味方だよ。とお墨付きを得ていたエルキドゥが、いきなりドクター自身により、彼は敵らしい!! 気を付けて! といわれたのであるのから。正直巫山戯るなと言いたいくらいであった。

そしてその通信で歩みを止めた立香に対して、変わらず微笑を浮かべていたエルキドゥは、一切気配も浮かべた微笑を消すこともなく、攻撃を仕掛けてきていたのだから。

 

 

「メートル! よくわからんが敵だ! 下がれ!」

 

「マスター、指示を」

 

立香の編成はシンドバッドのそれに比べて、圧倒的に戦闘に特化している。それでも慣れない森の中なので、自分の足で進んでいた彼は、ラムレイに乗るアルトリアの後ろの、さらにマシュの後ろで守られながら、敵となったエルキドゥを睨む。

 

「あと少しだったんだけど、まぁいいか。僕はキングゥ。母さんの子さ」

 

「皆! 敵は強い! 全開で行くぞ!」

 

えっちゃんとアルトリアがすさまじい勢いで彼の魔力を持って行く。並の魔術師どころか、一流の魔術師でさえ意識を持って行かれるような消費量に、それでも彼は表情を変えずに、ナポレオンと共に後ろに下がる。

まずは敵の武器を見るべきだ。先ほどの鎖のようなものだけなら良いが、場合によっては、攻撃の始点を潰す必要がある事もある、マシュは前にいてもらうべきか少しばかり逡巡してしまう。

 

 

「いや、思った以上だ、訂正するよ、カルデアのマスター。確かに君は母さんと戦いに来るだけの力はある。君の言葉で言うと、土俵に上ろうとすることはできるよ」

 

 

緑髪の少年は、楽しそうに、そして温度を感じられない笑みを浮かべて、腕を横に振り払う。すると無数の楔のようなものが現れて、四方八方より此方へと襲いかかってくる。金色の光沢に反射した光はまさに死神の鎌の光と相違はなかった。

 

ナポレオンが撃ち落とすのが最も有効な様子だが、えっちゃんは十分近接戦闘をできているし、アルトリアも、回避しながら隙を伺えている。

 

「おや、この少女も人間なんだろ? よく戦っているけど、恐怖で膝が震えているよ」

 

マシュは状況に混乱していた。敵を敵として切り替えるには、半日以上楽しくおしゃべりした今、エルキドゥは彼女にとっては既に旅の同行者だった。直様にはいそうですかと刃を向けるのは難しい。それでも必要だと彼女はわかっているから、身体だけでも動かそうと踏ん張っている。

 

何よりも、この神代の魔力が濃すぎる環境に、未だ完全には体が慣れきれていないのか、調子が上がらなかった。

 

「【マシュ! 避けろ!】」

 

「きゃぁぁ!」

 

その刹那、その一撃は別に致命傷ではなかった。立香は自身でも半場無意識に令呪を行使して彼女を遠ざけたからだ。それでも彼女はその遅れと力技での回避運動を突かれて、吹っ飛ばされてしまう。立香の目をしても追いきれない、凄まじい速力の攻撃だった。

 

マシュが吹き飛んだことによりエルキドゥ、否キングゥは笑みを今までの微笑から邪悪なそれへと性質を変えた。酷薄で見下すようなそんなものへと。キングゥはマシュの崩れた体勢を逃さないとばかりに、すさまじい速度で飛び込んでいくが。

 

「功を焦ったな!」

 

「逃しません!」

 

えっちゃんが鎖を切り飛ばすのではなく、自身の得物に絡みつけて雷撃を流しながら渾身の力で引っ張った。バーサーカーの膂力に引かれたキングゥは、数瞬もせずに切り離したが、その半呼吸に満たない隙を、ラムレイに乗ったアルトリアは見逃さずに、必殺のチャージをお見舞いしてやった。

 

「っくぅ! 神の成り損ない如きに!?」

 

それは数多の敵を屠ってきた、渾身とまでは行かないが、事実として損害を与えるには十分以上の攻撃であった。左腕の布を赤く染めるも、直様血の噴出は止まっていく。サーヴァント特有の回復速度を鼻で笑うようなその速度に、立香の目はある存在の可能性を感じ取った。

 

 

「傷が、ふさがった!」

 

『うわぁ!リツカ君!聖杯反応だ!』

 

 

それは、この旅での目的の1つの聖杯であり、そして今までこれほどまでに早く聖杯を見つけられたのは、オケアノスだけだった。

あれはあの時代独自の聖杯であり、直接的に必要な物ではなかったが、今回のこれは敵が持っている以上、真贋に拘らず最低でも回収すべきものである。

 

勿論これを回収しても、エルサレムのように他の原因を排除しなければ、修復は完了しないであろう、しかし大きな前進になるのは事実だ。ならば此処はいきなりだが踏ん張りどころでもある。

 

「せ、先輩!」

 

「マシュ、大丈夫か!?」

 

 

既に令呪を1画切っている。それ自体は悪い判断ではなかった。聖杯を持つ相手に令呪を切って戦闘を有利にしているのだ、問題はないであろう。

だが、現状千日手だった。

 

ナポレオンの砲撃では鎖への対応としてはともかく、本体には当たらない距離で、

えっちゃんは速度も攻撃もかみ合っているが、即ち天秤は傾いていないということであり、このままでは決定打にはならない。

アルトリアが遊撃のように中距離で圧をかけて、それを警戒して若干鈍っているキングゥ相手に何とか持っている状況だ。

 

マシュがマスターの守りに専念して、前線の戦いに合流できないほどのレベルである以上、膠着状態、いや向こうには聖杯という無限のリソースがある以上、こちらの魔力が尽きていずれ負けてしまうであろう。

 

 

「メートル、どうした?」

 

「……マシュが、いやなんでも」

 

「おいおいメートル、水臭いぜ。あんたは俺たちの主なんだから、ドーンと構えてな。今までだってできたんだ、なんも心配はいらない」

 

思えば、彼はマシュの次に長くいるサーヴァントだった。勉強は、とりわけ世界史はそこまで得意でもなかった彼でも、その名前をしっかり知っていた大英雄。フランスの英雄ならばとりあえず彼と言えるほどの存在だ。

そんなナポレオンはいつも立香の足りないもの、欲しいものを持ってきてくれていた。

不可能を可能にする、可能性の虹をかける男という看板に一切の偽りはなかった。

 

ならばこそ、立香も可能性を見せなければならない。

ここで聖杯を取れれば、マシュの負担は小さくなる。第7特異点という魔境もそうだが、更にその後にまだ魔術王も控えている。

 

いやそんなことじゃない、ただマシュを目の前の敵は攻撃してきた。

こっちに親しげに接してきてからだなんて、なにか事情はきっとあるだろう、それは勿論後で聞く。だけど。

 

「俺のマシュにケガさせたんだ! ナポレオン! 一発当ててやんなきゃ、筋が通らない!」

 

「そうだ、メートル! お前はいつだって全力で前を見て走っていけ! 尻拭いは俺がやってやるからな!」

 

立香はウルクに着いてたった7時間で、3画しかない令呪の2画目を使う。言い訳ならば、十分ある。英雄王並みの強敵相手で、聖杯を持っている、誘い込まれた場所での戦闘。味方と逸れている。いや、何も無くてもそうしてたかもしれない。

大切なマシュの為に彼はここまで頑張ってきたんだから。燃える管制室で手を取ったときから、彼は首ったけなのだから。

 

「情熱的に誰かを愛する! 俺はそういう男だ! 呼ばれた理由もきっとそれだろうな! 俺達の縁はきっとそれさ!」

 

「ああ! 行くぞ!」

 

「凱旋を高らかに告げる虹弓!!」

 

そうして放たれる防御を貫くその一撃は、確かにキングゥの体をとらえたが、

 

「すまない、逃げられたようだ」

 

光が収まった後には底に誰も居なかった。そして上空には飛行機雲が遠くへと伸びている。

 

「いや、大丈夫……そんな気がする」

 

キングゥはその攻撃を食らってしまってはいけないという、謎の悪寒を感じ取り全力の逃走を図った。捨て台詞すら残さずにだ。

 

だが、全サーヴァントでも最も強力な存在に比肩するエルキドゥを、その聖杯で強化改造したものを、2016年のマスターが2画の令呪だけで追い払ったのだ。

 

それはまさに、このウルクに上がる反撃の狼煙であった。

 

 

「っち、流石に遊びすぎたか。カルデア、たしかに油断ならないね。アイツとも合流するだろうし……仕方がない母さんが起きるまで、手出しはなるべく控えるべきか」

 

なにせ、何よりも貴重である『時間』を立香は相手から勝ち取ったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お届け物だ」

 

現在のアラビア半島その付け根、地球上でも有数の肥沃な大地がメソポタミアだ。川に挟まれた場所という意味の中州にある巨大都市、それが英雄王、否、賢王が治世するウルクだ。

 

木材という加工しやすく燃料にもなる資源が慢性的に不足している土地だが、穀物も、それに伴い、家畜も、何よりも水と泥は無数にあるこの地域は。希望と笑顔にあふれて人々は活気づいて日々を謳歌していた。

なにやらすごい女神に狙われ続けていて、現に北の壁は大変だ。だが、それでも民は笑う。彼らの王様が、この後最後まで戦うか? と本気で聞いてきたのならば、民はついていくだけなのだから。

 

そんな王様がここ半年新しい配下をたくさん雇った。あからさまにこの辺に住む人間と顔のつくりが違う者たちをだ。噂に聞く西の果てのナイル川の者なのであろうか? ともかく服装も顔立ちも違う者たちが大活躍をするという噂は、このウルクでも直ぐに広まった。なにせ彼ら彼女らは目立つからだ。

 

それでも、そんな新しいニュースにもなれ、ウルクの民に新たな常識が根付いた頃に。

久しぶりに新たな異国顔の集団が現れた。何でもカルデアという旅の一座らしく、街の雑用を何でも引き受けてくれるという触れ込みだ。

男が4人、女が7人の集団は、見事に直様生活に溶け込んでいた。

 

「あっ、シンドバッド君」

 

「川で洗濯してきた、清潔な布を受け取ってきた」

 

諍い事も子守も、浮気調査までこなす中、特に黒髪の少年二人と桃髪の少女は愛想がよく人気だった。その人気なシンドバッドは、朝注文された布を配達先の建物まで運んできたのである。

 

「え!? シンドバッド君きたの?」

 

「何何? 店長また指名してたの?」

 

時刻は昼前といったところ、飲食店であれば仕込みなどで忙しい時間帯であろうが、ここは夜に営業している。少し前に昨夜の客を送り出し、仮眠や休憩などの時間帯である。

 

「これからまだ仕事なの?」

 

「んー、昼過ぎにシドゥリが何か持ってくるまで、多分今日は何もないぞ」

 

雑用に非常に適正のある彼のサーヴァントが手分けして、多くのことをやっている為に。こうして彼の手が度々空くほどに、かなり効率よく雑用をこなせていた。

 

「あら? それじゃあ少し休んでいきませんか?」

 

「私、異国のお話聞きたいわ!?」

 

「仲良くなりましょ? あの娘とマーリンさんとみたいに、ね?」

 

ここに朝1番の依頼で、布の洗濯とそれを乾かして持ってくる仕事を頼まれるのはよくある事なのだが、毎度のように彼は囲まれてしまっていた。

 

それは彼が、このような職業やあり方をしている女性に対して、どうにも好かれやすいような所作を教え込まれているからなのであろう。

 

「おい、人間! 早くしろ! ポルクスが待っているぞ!」

 

しかし、シンドバッドが返事をする前に、迎えがやってきてしまった。いつも怒ったように荒々しいカストロであり、彼もまた密かに視線を集めていた。それ自体は別段珍しいこともでもないであろう、何分彼は目立つのだから。

 

「わかった……御免。それじゃあ、行くけど、どうか本当の名前だけでも教えてくれないか?」

 

「え?」

 

「今晩眠るときに、貴方のことを思って眠れるように」

 

全て、シンドバッドはこういった風に言われたのならば、身体に撓垂れ掛かかられたのならば、こういった返答をするべきであると。残念なことに教え込まれているので、言う成れば別れの社交辞令だと思ってやっている。

ちょっとぎこちないが恥じらいなく真剣に言っているのだ。

 

色めきだす女性たちへと手を振り、カストルを連れ立ってシンドバッドは、店を後にして。

 

「お前……いや、何も言うまい」

 

「カストロも、店の部屋で話したかったのか?」

 

「行かん!……なぁ、人間。今までポルクスは共に来てはいないか?」

 

「いや、この仕事の時にポルクスは一緒に来てないぞ」

 

「そうか……ポルクスはな俺と同じものが好きになるのだ。嫁取りのときのようにな。それ故にいつの間にか両方いける口になってしまってな……」

 

「んー?」

 

ともかく、主従は大使館へと戻るのであった。平和なウルクの一コマはあと半月ほどは保たれるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とて、空をイシュタルが飛行機雲を作りながら飛び、魔獣が源氏に討たれる。シンドバッドは木材を運ぶ。のどかな風景があった。

 

「このまま、こんな風に過ごせたらと、私は思ってしまいます」

 

シェヘラザードは切り株に腰掛けて、片手間にジンを動かしながら、そう言い出した。シンドバッドも、マタ・ハリも、ミストレス・Cも、ディオスクロイも彼女のことを見つめる。全員が既に片手間に作業ができるほど手慣れているからだ。

 

それぞれが思っていることは異なっているが、彼女の発言自体を真っ向から否定するものはいなかった。

 

「すみません、時代が違えど私にとってこの空気は、哀愁を覚えてしまうようです」

 

それだけ言うと、彼女は立ち上がり作業に戻る。シンドバッドはその言葉で考える。

 

後どれだけみんなと一緒に居れるのだろうかと。別に戦ってその結果いつか終わってしまうのは、怖いし抗うけど、そういうものだとわかっている。

 

でも、その時にみんなが笑っていないのは嫌だなぁ。

それはこの場にいるサーヴァントだけではない、皆だ。カルデアのスタッフという数十名の人数だが、それはとどのつまり全人類と言う意味でもあった。

 

でもきっと、寂しいを理由に止まることはない、シンドバッドはもうそうやっては生きられない、好きなことをして、好きなように戦い、好きに考えて、生き続けるのだ。彼が知らない言葉で言うのならば刹那的で享楽的なのだ。

 

明日すごい強い敵が出てきて勝てなくても、最後まで勝つために戦う。

今日を全力で生きるから、明日も全力で生きる。

この瞬間が楽しいのは、今まで皆と頑張ってきたから。

 

戦いに勝っても、もうそんなに長くないかもしれない、でも問題はない。

戦ってきたことが楽しいのだから、此処まで色々あったけど走ってこれたのが嬉しいから。

ベッドの上で死ねることは、幸せなんだってそういう話を聞いた。勝てばそれができるのらしいし、自分は幸せなんだろう。シンドバッドは根拠もなくそう思った。

 

「死んだら、今まであってきたサーヴァント達やお師さんにも、またあえるのかなぁ」

 

少しだけ楽しみが出来たような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、シンドバッドとリツカのお家、カルデア大使館。んーすごいネー!」

 

女神を味方につけた日の夜、ウルクに戻った一行は報告を終え、拠点へとに戻ってきていた。ケツァル・コアトルは先ほどから、シンドバッドの近くをずっとうろうろしていたが、部屋の見学のつもりか、今は2階3階と駆け回っている。

 

「人間よ、いやあえて言おう。今を生きる人間である我らの召喚主よ。ゆめゆめ、忘れぬことだ……女神に気に入られると、幸福か破滅のどちらかしかないぞ」

 

珍しいというレベルではない、おそらく初めての。カストロからの優しい言色での発言に、シンドバッドは首をかしげる。

 

なんかちょっと嫌な女神だった。だから戦った。頑張ってみんなで倒した。そしたら仲間になった。それでいいじゃないかという程度の、非常にシンプルな理解をしているシンドバッドには、生憎と伝わり切らなかった様子だが。

 

「部屋は空いてるけど、ケツァル・コアトルはここで寝るのか?」

 

そもそも女神って寝るのかという疑問もあるが、彼女は今は味方でも、元は敵対してウルクを滅ぼそうとしていた3女神同盟の一員。端的に言ってウルクの民へと合わせる顔がないのである。

 

まぁウルクの人も直接的にエリドゥやウルに親戚がいる人以外は、大した敵意もなく、へーそうなんだ程度の反応であろうが。

神が身近である為、異国の神が一悶着の後に味方してくれるという状況こそ喜びはすれ、人を攫っていくのには、そこまで大きな違和感がないのであろう。

なにせ、被害人数で言えば圧倒的に北の魔獣の方が多いのもある。

 

「ええ、ここで寝かせてもらうわ! それじゃあ宿代替わりに……」

 

そういったケツァル・コアトルはぐいっと顔をシンドバッドに寄せて、両頬へと手を当て抑え込む。シンドバッドは抵抗もせず受け入れていたが、周囲のサーヴァントは色々な意味で気が気ではなかった。

 

「んー、シンドバッド。あなた……もう殆どドラゴンになってますね」

 

ケツァルコアトルは、彼の瞳を覗き込みながら、急に真面目な顔に戻ってそう告げた。

 

「ああ、わかるのか」

 

シンドバッドは上着を少し開けさせると、そのままアンダーウェアもめくる。脱ぐことに羞恥心を覚えない彼は平然と肌を見せつけた。そうして顕になった彼の肌は、既に竜鱗のような模様が出始めて、硬質化していた。色も彼の肌の色に緑や赤色を混ぜたような、濁った色へと変わり果てている。

 

「痛みはないのですか?」

 

「ああ、全く無い。この服を着てれば、まだしばらくは大丈夫だ」

 

服を着ながらそう答えるシンドバッド。後3か月もしたら、彼は人でなくなる。しかしそれよりも前にこの戦いは終わる。何ならば、死んでいる可能性だって普通にある。なれば問題などなかった。

 

「シンドバッド、賢しく勇敢な人よ、貴方は私のモノになる気はありませんか?」

 

「何だそれ?」

 

ケツァル・コアトルは神霊だ。自身の分霊をそのまま送り込めるほど強大な神であり、太陽と金星の神性であり、信仰が途絶えた今も太陽として人を見守っている。自身の明確な領域を持つ神だ。故にこそこの誘いは願望などではなく、事実としてできるものだ。

 

「魔術王を倒した後でもかまいません! 頷いてくれれば迎えに行きます! 勿論貴方が望めばサーヴァントも一緒で構いませんよ」

 

覗き込んだ世界で、人間の営みを見つめて。なぜかプロレスにドハマリしてしまった女神は真面目にそして少しだけ茶化しながらそう紡いだ。

 

「私の元では、人を喰う事も……まぁ厳密には私の領分とは相反しているのですけど、そんなに珍しいことではありません! 皆で幸せに戦ったり過ごせます」

 

「いやだ」

 

神に見初められそうになって、その事実をわかっている彼のサーヴァント達が口を挟まなかった。それは彼女たちにとっても悪い提案ではないのであろう。それでも彼は嫌と感じたから断った。

 

「別に、ケツァル・コアトルの事は嫌いじゃない。でもそれは違う。上手くいえないけど俺の力で、俺達の力で掴んでない」

 

わかっていない彼はそう言って断った。きっと自分のことを思って、自分をどこかで死なないようにしてくれるのであろう。それは違う気がした。頑張っているんじゃないからだ。

 

「だって、俺はまだ死んでない。最後まで行ってない。俺の旅は、終わるとことんまでで旅なんだ。最後まで行ってないのにやめられない」

 

「それならば、貴方が死ぬ時に迎えに行きましょう」

 

「それはもう、俺の旅じゃない。先が天竺じゃないなら、川で旅は終わりだった」

 

楽しく今を生きる。頑張ってどこまでも走る。それが彼の旅だった。色んなものを色んな人から受け取って。兎に角頑張って奥さんを大事にするように言われた。

 

だから、最後の時まで走り抜けたかった。行き先がわからない死ぬという事も実はやってみたかった。

 

ある種の歪みだった。大切なものがあるから、失いたくないものがあるから。だから人は生きるけど。彼は今日大事にした以上に明日も大事にする。残してしまうことに後悔がないほどに彼は、サーヴァントを仲間を皆をその瞬間その瞬間に大事にしてしまう。

 

最後まで楽しく生きる。それはつまり最後も楽しくないといけない、最後が来ないといけないのだ。

 

「残念です、お姉さんふられちゃいました」

 

それでも、ケツァル・コアトルは言葉とは裏腹に笑顔で彼を見つめていた。くるりとターンをして、彼のサーヴァント達、特に双神以外へと向き直り、より笑みを深くした。

 

「ということなので、頑張ってくださいね?」

 

それだけ言うと、私はもう寝まーす。と彼女は二階に上がっていく。本当に話は終わりのようだ。

 

「女神にしては、物分りが良すぎないか?」

 

「はい、兄様私もそう思います」

 

女神が身近な二人は、彼女の行動に違和感を強烈に覚えていたが。

ともかく、カルデア一行に強力な戦力が合流した日の夜はその様に更けていった。

 

 

 

 

 




6/11にガチャを回すのです。
最も可愛い星4鯖が手に入ります。


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裏:認めたくされるもの

それは一瞬の出来事だった。

冥界にてリツカがエレシュキガルという女神と話してると思ったら、シンドバッドはまるで子猫が親猫につかまれるように、素早くそしてすさまじい力によって、地面より引き摺り下ろされ、投げ捨てられた。

 

別の世界を跨いだとかではない、ただ一気に移動しただけであり、その事に誰も気づかれていない絶技があっただけである。

 

「既に天命亡き者が、何故足掻き彷徨う」

 

底に立っていたのは、巨躯であった。ヘラクレスのように横に大きいわけではない、ロマンのように細いわけでもない。それでも大きいと感じる不思議な存在であった。

そして何よりも死そのものを感じる不思議なそして恐ろしい重圧を放つ存在だった。

 

こんな、死というものがあふれている場所だから、薄れていた彼の死という生物としての根源的な恐怖が。大きすぎる存在感から、圧倒的な威圧と共に目の前から発せられていた。

 

いうなればそう、死が形を取るのであれば、きっとこの男なのであろう。そんな存在であった。

 

「あんた、誰だ」

 

「只々享楽に耽け、この地では女神の遊興に同調を示しつつ、抗った。理解を示すであろうお前の天命は、そこでも終わる所であった」

 

シンドバッドは動けなかった。それは問答に対する返答ができないというわけではない、ただ状況の変化が大きすぎてついていけなかった。圧倒的な威圧感もある種の死への恐怖感もあったが、明確な敵意がなかったからなのか、身体が戦闘用のそれへと意識を切り替えられずに混迷の中にいたのだ。

 

「研鑽を忘れず戦い続け、使命無き戦いの果てに、なに故怠惰へと堕ちる」

 

目の前の存在が、その構えた大剣を少しでも振るえば、シンドバッドの命はそこで終わるのであろう。それ自体への恐怖がないわけではないが。しかして動けるわけではない。

 

「成程、汝は己が命運を未だ知らんなればか」

 

「貴様! 何をしている! 」

 

「マスターご無事ですか!?」

 

そこに星のごとく現れたのは、彼の最も新しいサーヴァントディオスクロイであった。ロマニからの通信すら聞こえない状況で、それでも彼等は此処へと重い体のまま飛び込んできた。

 

「紛れ込んだ者よ、何を思い戦う、何を思い抗う」

 

「知るか!」

 

そして情けないことにやっと、仲間が来て声が出せるようになった彼が出せた声はそれだけだった。それでも本心からの魂の叫びだ。訳知り顔で色々言ってくる奴らなんてもううんざりだ。自分にとって良いものをくれる人は、何時も目線を合わせてくれた。足らない自分が理解できるように言ってくれていた。

本来、相手に何かをするように言うのならば、相手に合わせて歩み寄って言うべきなのだ。こんな風にわからせようともしてないのに、あれこれ言ってくるやつは今まで倒した悪い奴らと同じなのだ。

 

「敵なら力づくでも言うことを聞かせてみやがれ! 味方だったらわかるように言うか、うだうだ言わずにやってから言え!」

 

あまりにも暴論、態々このような手段まで使って見定めに来た、最大限の助力に対して────勿論彼は知るよしもないのだが────言って良い言葉ではなかった。

 

しかしながら、山の翁も見誤っていたことがある。シンドバッドはそう、信仰の民でもない、只々研鑽を積んでいただけの只人でしかないのだ。

 

「生涯を賭す程の研鑽を続け実った者よ。全てを得る迄戦うか。ならば天命まで走り戻るが良い。解なりや」

 

故にこそ彼は認めた。彼の在り方を。その天命の形を改めて見定めた。女神からの包容を跳ね除けてしまった、御仏の加護だけを纏い、終わりへと向かう者だと。その終わりの可逆的な歪みをそれすら乗り越えるであろう、強い意志を見たために。

 

山の翁はそれだけ言うとその場から霞のように姿を消す。まるで今までそこには何もなかったかのように。

 

シンドバッドは、踏ん張っていた脚の力が抜けたように膝を着いて息を整える。あまりにも状況が特異で、呼吸が乱れてしまっていたのだから。

 

「二人共、ありがとう。大丈夫か? 」

 

「はい、ですが礼は不要ですマスター。こちらこそ、遅れて申し訳ありません」

 

「いや、本当に助かったし無事だから平気だ、ありがとなポルクス」

 

近寄り頭を下げるポルクスの頭へと、思わずという形で手を伸ばして軽く撫でてて彼は立ち上がる。やっと動けるようになったのだから戻るだけだ。そびえる崖を見ると少し気が滅入るが。

 

「人間よ……俺とお前の約束は、これで成った事にはならない、だから安心しろ」

 

しかし、カストロはそう言うとシンドバッドの手を取り、ふわりと浮かび上がる。どうやらかなりの距離を堕ちてしまったようだからか、その手で引き上げてくれるようだ。この冥界の地から。

 

「ああ、頼む」

 

シンドバッドは、安心して彼に任せることにした。自身のサーヴァントで最も強い彼等にも全幅の信頼をおいているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走る、走る。ただただ、数が多すぎる敵と渡り合うために。

 

ここはそう、あらゆる意味での原初の地獄。生きているものは誰彼構わず襲いくる死に怯え、死をもたらすものは笑い続ける。そんな地獄だ。

 

ティアマト、原初の女神が目覚めてウルクを襲い一日たった。彼女の先兵であるラフムたちは既にジャングルへと引き上げていっていたが、それでも多くの爪痕が残り、再び日の登った今となっては、このエリドゥは星の数ほどの敵に呑まれていた。

 

既に、カルデアとラフムの戦端は開かれてしまっている。

人を見世物のように殺すこの異形どもに、一切の我慢も慈悲も見いだせなかったからだ。

 

その在り方はまさに獣だ。知性ある人ではなく、ただただ獣のごとき醜さがあった。

なにせ、こちらが今まで敵対していた、キングゥを後ろから刺して、聖杯を奪い取るほどであるのだから。

 

「追いかけなきゃ!」

 

立香は魔術的知識に乏しい、それでもこの旅を経て分かったことは、聖杯というモノは本当に碌でもないということである。

敵味方が入り乱れるこの混沌とした状況で、それでもその事実で直感的に何をすべきかが分かった彼は走り出す。頼れるのは自分のサーヴァントと、出会ったケツァル・コアトルだ。なにせ、既に敵のラフムは飛べるように進化してしまっている。

 

1日で数千年分、否、数万年分の進化をする。そんな理不尽な生命体は、既に言語を操り、飛行能力を持つ個体という多様性も有するようになっていた。

 

「まとめて切り払います!」

 

リツカのサーヴァントであるえっちゃんがそう叫び、雷撃で近くの敵を一斉にひるませて、瞬く間のような動きで、獲物を二刀流に持ち替えて、ラフム共を切り飛ばす。

 

「ハァッ!!」

 

そこにアルトリアの風による一撃が追撃することで、周囲の敵を弾き飛ばし、周囲に一時的な空白地帯を作る。

 

「今ね!」

 

そこにワイバーン、もといケツァルコアトルというべき翼竜が滑り込むように、3体着陸する。

直様リツカはそれに飛び乗りマシュの腰にしがみつく。ドラゴンに乗れるのは、騎乗EXを持つ選ばれしドラゴンライダーだけであり、騎竜らは全て、ケツァル・コアトルの指示に従うのみだった。

 

それでも騎乗Cを持つマシュの方が、まだ体幹が安定しているのだから仕方がなかった。シンドバッドも同様に飛び乗りしがみつく。サーヴァントも飛べないものは同様に飛び乗りしがみつく。そしてすぐさま彼らは飛びあがり、敵の追跡を開始する。

 

倒れたキングゥがどこに行ったかは気にはなるが、視界に留める余裕はなかったのだから。

 

「大丈夫? シンドバッド?」

 

「ああ、問題ねぇ、へーきだ、まだ俺はへーきだ」

 

「マスター……無理をなさらずに」

 

立香は、個人の戦闘能力では圧倒的にシンドバッドに劣る。それでも彼はなぜか膨大な魔力を有することになった。それはシンドバッドにはない物であり、だからこそ立香は強力なサーヴァントを複数従えても、平気な顔で運用できていた。

つまりは逆にマスターとしては、シンドバッドを圧倒していると言える。

 

しかし、シンドバッドは、それ程の魔力がない、あのディオスクロイもアルトリア以上に魔力を食うらしく、全力で戦わせられる時間は少ない。長期戦というよりも此処数日のゴルゴーン討伐作戦より、睡眠時間以外は常に戦っているような状況。シンドバッドは既に限界が近かった。

一方で立香はナポレオンが脱落しているので、むしろいつもより余裕があるほどであった。

 

この特異点で、シンドバッドが戦える回数はあと1回、多くても2回である以上、立香は踏ん張る必要がある。魔力は1日寝ただけですべて回復するわけではない以上、この後までも。決意を新たに、既に豆粒ほど小さく見えるラフムへと彼らは向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふわふわと地面がないのに踏みしめられる足場で戦う。いろんな時代を回ったカルデアのマスターたちにも体験したことがない感覚にも、一切戸惑っている暇はなく敵が襲い掛かる。

 

ティアマットの11人の子らは魔神柱よりも固いが、助力してくれるアサシン、通称キングハサンは一太刀でそれを切り飛ばしていく。

 

 

「契約者よ、わが剣を存分に振るうが良い」

 

「ああ! ありがとう、助かるよ」

 

「契約者の盟友に対する仕打ちへの礼故に。気にすることはない」

 

「よくわかんないけど、頼む」

 

「承知した」

 

 

立香は走る。気持ち一つで上にも下にも走れるのだから不思議なものだ。シンドバッドは既に離れた所にいる、彼は冥界を走るスポーツカーで敵をかく乱しているのだから。

ディオスクロイへの令呪での宝具使用で供給した後、目立った消費こそないが、既にぎりぎりであり、この後も回復できるかも怪しい物であった。

 

それでもここが踏ん張りどころであるのはわかっている。

女形の巨大な恐竜が泥を生み出して、それがすぐさま花を咲かす中空で、スポーツカーが走り、骸骨の剣士が化け物を切り飛ばす。夢に出てきたらどんな内面だろうと思えるような不思議すぎる光景だ。

 

 

切って切って切り飛ばしてもらって、とにかく進んでいく。魔神柱より強い敵がバッタバッタと切り伏せられていくのに変な笑いを覚えながら、立香は最後の力を振り絞り、ティアマトまでたどり着く。

 

戦えるのは、ハサンと、アルトリア、やや疲労気味のえっちゃんに、マシュ。シンドバッドは新たに生もうとする雑魚が来ないように変わらず魅了をしながら車で走り回っている。

 

「Ahhhhhhhhh────!!!」

 

大きい。近寄ってわかるのはそのサイズ感だ。今まで戦った敵に大きなものはたくさん存在したが、まるでスケールが違う。建造物のサイズではない、山を見上げるときのサイズ感だった。

 

「ほう、火力が足らぬか?」

 

そしてそんな山をどう崩そうかと悩んでる時に、最後の援軍が来てくれた。

 

いつの間にか遠くで座ってこっちを見ているだけのマーリンではない。いや彼が傷を負って、泥の無効化がなくなれば負けるので正しい判断だが。

この場にいるのは、英雄王のギルガメッシュである。

 

「王様!」

 

「こうも呼ばれてしまえば、温めた場に出てやるのもまた王の威厳というものであろうよ」

 

彼は冥界下りを成し遂げた姿、そう、この冥界が彼にはよく馴染む霊基の姿での参陣である。

今まで自重して魔術師としてふるまっていた彼ではない、宝物庫にも戦闘力にも性格にも自重する事を知らない、圧倒的な強さがあった。

 

「立香よ、ここまでよく走り抜けた。シンドバッドもだ。貴様らのつけた道。半歩届かぬ分は埋めてやろう、感謝しながらその先へと進むが良い」

 

立香は英雄王が持つ魔力が急速に高まるのを感じる、必要なのは一撃を叩き込む隙だ。ハサンは既に切りかかっている。

 

「皆!」

 

それだけで充分だった、彼の視線は動き出そうとしていた自身のサーヴァントを捉えていた。後は合図だけだったのだから。雷撃と風が女神の行手を阻み、暗殺者の剣が脚を壁へと縫い付ける。

 

その一瞬ですべての命運が決まった。

 

 

「『天地乖離す開闢の星!! 』」

 

乖離剣が振るわれた後それでも女神は肉体を保っていた。しかしながら彼女を構成する核は致命傷を受けて、機能を停止していた。そして原初の女神は、深く深く落ちていく。

 

それは死因のない彼女の、死であった。

 

 

このウルクの冥界で、立香とシンドバッドは味方の犠牲がありながらも、泥だらけに成りながら勝利を掴んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくやった、カルデアよ」

 

すべてが終わったウルクの地で、特異点の修復が間もなく開始される前、何故普通に復活しているのかわからない、賢王の前に一行は居た。

 

「シンドバッド、手に入れた聖杯を見せてみよ」

 

「ああ。これだ」

 

シンドバッドは先程なんとか死にものぐるいで回収した聖杯をギルガメッシュへと手渡す。この王様は色々言ってきたけれど、最後まで味方で指示をくれたので、シンドバッドは素直に従った。

 

ギルガメッシュは受け取り、つまらなそうに一瞥すると、呆れたように言い放った。

 

「やはりな、これをカルデアに持ち帰れば、魔術王も貴様らを補足する。だが敵の本拠地はわかるぞ」

 

そう、この聖杯こそが、唯一魔術王が直接送り込んだものであり、そのためにこの聖杯は最後の修復すべき場所への切符でもあった。

 

「ほら、返すぞ受け取れマシュ」

 

「は、はいありがとうございます!」

 

つまりは、カルデアはついに最後の決戦へと向かう準備が整ったということになる。

そしてマシュが受け取ったことにより、改めて聖杯の回収が成功したと見なされたのか、召喚されたサーヴァントと立香達は足元から消え始める。

 

「ありがとうございました、ギルガメッシュ王!」

 

立香は自然と礼を言っていた。今まで特異点で1番険しいものだったが、それでも平和な古代の街も謳歌できた。人はこんな昔から懸命に生きていたのだと知ることが出来た。

 

「はい、ご協力感謝します」

 

マシュも旅という形でない、長期間の特異点は様々な経験をすることが出来た。きっと彼女はこのウルクでの生活を忘れることはないであろう、死するときまで。

 

「いい街だったぜ、ウルク!」

 

シンドバッドは、最も長くこの街で暮らし多くの人々と関わってきた。彼の人生でカルデアの次に使った寝台はこのウルクのものであろうと言えるほどに。

 

 

「ああ、忘れていた。ウルクを訪れた旅人に何も土産を渡さぬなど、王として恥ずべきことだ」

 

ニヤリと悪戯げに笑った賢王は宝物庫から何かを取り出した。

 

「まずはマシュ、これは我からというわけではないがな」

 

マシュが受け取ったのは抱えるほどの大きさの粘土板だった。そこには彼女には読めないが、複数のタッチでの文字が彫られていた。

 

「ウルクの民よりの感謝状だ、心して受け取れ」

 

「あ、ありがとうございます!! カルデアで大切に読ませていただきます!」

 

思わずという形で受け取り、そしてその意味を知ったマシュは喜色を満面に溢れさせて、礼を告げていた。これは彼女の頑張りの印なのだから。

 

「立香、貴様にはこれだ」

 

「えーと……札束、じゃなくてくじ引きの券?」

 

「ああ、いずれ使うことになるであろう。10万枚分程恵んでやる」

 

立香は帯封に包まれた札束のようなモノを受け取った。AUOくじと書かれた超ご機嫌なくじ引きチケット。それがナニカ彼にはよくわからなかったが、きっとなにかすごく大事なものなのであろうと、ありがたく受け取った。

 

「シンドバッド、貴様にはウルク名物冷えた麦酒だ」

 

「ありがたく受け取らせていただきます、です」

 

「かしこまらずとも良い」

 

王から物をもらった時の対処法は、耳にタコができるほど教わっているシンドバッドが、妙な言葉で受け取ったジョッキはたしかによく冷えていた。

 

「えっ!?」

 

「そ、それって!?」

 

「どうした、マシュ、立香。お主等にはまだ少し早いぞ。マシュは18、立香は20になってからのはずであろう?」

 

シンドバッドは酒はあまり得意ではなかったが、それでも貰ったのだからありがたく受け取ることにした。

 

「貴様は下戸と聞いてるぞ、無理に飲まずとも良い。何、貴様のサーヴァントにでも預けておけば、その味がわかる頃に飲めるであろうからな」

 

上機嫌でそう笑うギルガメッシュ。まさにしてやったりという表情だ。シンドバッドは1番近くに居た驚いて固まっているミストレス・Cへと麦酒を渡して、改めてお礼を言うことにした。

 

「ありがとう王様。楽しみにする」

 

「ああ、それでよい。精々上手くやるが良い」

 

そろそろ時間切れであった。最後の場所、魔術王の居城へ向かうために。戦いを終わらせるために。カルデア一行は向かわねばならないのだから。

 

「最後に聞こう、ウルクはどうであった?」

 

3人はその質問に思い思いの、しかし全く同じ感想を声を揃えて返しながら、この特異点を後にした。

 

 




次から終局! 多分短い! というか何とか2話分にしてる程。

今年の水着はきっと、マタ・ハリが来るよ!
来なかったら水着でイチャイチャする話を書いたって構わないよ!


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終局特異点 冠位時間神殿 ソロモン
(帰還)~(玉座)


これはひどい。
日刊に久々に乗った日の話がこんなので申し訳ない。


紡いだ絆で道を開くRTAいよいよ最終章です!

 

前回は聖杯を回収して、ウルクから戻ってきたところまででした。

これによりあと数日でソロモンの待つ特異点、冠位時間神殿ソロモンへと引き寄せられてカルデアが消滅します。は? なんてことを……お前のせいでなぁ、壊れてんだよなぁ、カルデアがなぁ、おい。

 

その為1日だけ休んで、ちょうど24時間後に出発という決定になります。1日休むだけで疲れ取れるんすかね?

 

シンドバッドくんの鯖育成はもうほぼ終わってるので、申し訳程度に藤丸くんへとリソースを送り、先に帰ったディオスクロイを労って、まだ朝ですけど、一旦寝てしまいましょう。ストレスはまだなんとか許容範囲ですが、疲労度が尋常じゃないですね。

 

そして仮眠が開けると……おお! 最後だからなのか、全能力育ちましたね。まぁウルクでの戦闘ではあれだけひどい経験を大量にしたし、当然ではありますね。睡眠でステータス育つゲームは育成の管理がめんどいけど楽しい。

 

この後は兎に角タイム短縮のためにできることをしていきましょう。まずこの後はイベント戦闘ばっかです。そのためタイムに差がつきにくいです。そうなるともはや細かい所でどれだけ短縮できるかというのが肝となります。逆に言うとパターンが固定されやすいため、比較的練習もできる所です。

 

まずは回復用のリソースを可能な限り用意しておきましょう。なぁにもう使いみちがないので買い込んでしまいます。

というわけで、ダ・ヴィンチちゃんの所に忘れずに顔を出しましょう。

 

ちわーっす、三河屋でーす!

 

「んー? どっちだい?」

 

作業中のようなので、しっかり声をかけましょう。こっそり入ると稀に変なトラップが起動したりしてタイムも体力もロスいので。

 

「ああ、シンドバッドくんか。なんの用だい?」

 

この辺にぃ、疲労回復用の薬の屋台来てるらしいんすよ。

 

「うーん、なくはないけど、そんなに長い戦いにはならないと思うよ。それよりも、しっかりサーヴァントと話しておくといい、勝った後のことを考えるとね」

 

2部も1.5部もやらないので大丈夫です。いや、やるわけないだろ! いい加減にしろ!! そもそも寿命がつきちゃーう!

1部のEDを見て操作不能になった所で終わる予定ですので、ガンガン行きましょう。

 

「泣いても笑っても、君は人間で彼らはサーヴァント。今みたいに過ごせるのは、カルデアがこんな特殊な形になってるからだよ」

 

ん、おかのした。実際人類の最高戦力のサーヴァントのバーゲンセールってレベルじゃないからなぁ……状況が特殊すぎる、生者よりも死者が多い職場とかに普通になりますからね。今を生きる人の意思とは?

 

まぁでも、最後の好感度イベントでなんか補正とかかることを祈って一通りこなしましょう。起きたばっかなので、即寝て時間は飛ばせませんしね。

 

「……マスター?」

 

ポルクスちゃんです。カストロ兄さまも一緒にいます。彼等には本当にお世話になった。いい感じにシンドバッドくんの功績が溜まって、前衛をやる必要性が薄れた辺りでの加入。もう少し早く来ることがわかっていたら、魔力にも振っておくべきでしたねぇ。

 

「此方にいたんですね」

 

おう、そうだよ、暇だなー、やることねェなぁー。

 

「人間、貴様はこの後の戦いが、最後の戦いになるのであろう」

 

その通りです。兄様はいつも良いことを言うなぁ。凄いなー憧れちゃうなー。

 

「存亡をかけた栄誉ある戦いで終われるか、それは喜ぶべきことであるな」

 

嫁の取り合いと、嫌がらせの戦いで死んだ男が言うと重みが違いますね。いやギリシャ神話の英雄って大体が最後の死に方地味だったり酷かったりなんですけどね。

 

「人間、お前はポルクスと俺をよく使った、魔力は矮小で苦労させられたが、及第点をやろう」

 

ありがと茄子! やっぱりカストロくんも……うまそうやなぁ。

 

「人により歪められた生き様を持っても、貴様は人を憎まなかった。それによって変質したのにな……ああ、誇れることだ」

 

今日は何か兄様むっちゃしゃべりますね。お話が長いよー。でもこいつのおかげで短縮できたタイムやリカバリーを考えると……まま、ええわ。今回は許したる。

 

「兄様ばっかずるいです! マスターも兄様を独り占めしないでください!」

 

やだこの娘、強欲が過ぎる。お前らのことが好きだったんだよ……。

 

「マスターあなたに救われた私と兄さまの魂、まだ恩は返し切れてません」

 

そんなことないと思うんですけど(名推理)

 

「必ず、あなたをお守りします……最後まで、兄様と」

 

一先ずディオスクロイも……好感度MAX超えましたね、自殺命じて好感度上がるとか、さすがやなって。ポルクスちゃんに兄様ごと抱きしめられながら、シンドバッド君はこれで鯖を完成体に出来ましたね。ダメージ受けてるのは目をつぶろう、うん。

 

 

 

 

 

 

さて次に行きま……まーた部屋でみんなダウンしてるんですけど。えぇ……(困惑)

最終決戦前にたるんでるぞ、ちょっと夜勤入れてやるから来い!

 

「あ、シンドバッド」

 

やっべぇ藤丸先輩じゃん……タイム壊れるから話したくないなぁ……

彼はマシュのことで今メンタルが結構限界になってます。近づくとロスいイベントが連発します。そんな事しなくて良いから(良心)

 

最終的に助かるから安心しろって、何のためにこっちがアレの視界に入らないように動いてきたと思ってんだよ。

 

「……ねぇ、シンドバッド。お前も、そうなのか?」

 

なんのこったよ(すっとぼけ)

 

「マシュは、もう長くないって聞いてるよね?」

 

あ、ふーん(察し)

 

今の事実だけ並べると、次の戦いが終わった後、まともな人間でいられるの、もう藤丸君だけですねぇ! シンドバッド君は、バビロニアの無理の影響もあり、ソロモンで最後になりますからねぇ!

 

やっぱり壊れてるじゃないか。1.5部は無理、終わり! 閉廷! 以上! みんな解散!

 

「ああ、戦うのはこれで最後だ」

 

「……そっか、それでいいの?」

 

「俺の番が来ただけだ。もう俺の服の下は、鱗みたいになってるしな」

 

悲しいなぁ。

 

「だから、リツカ。最後まで頑張ろうな」

 

「ああ、わかったよ」

 

藤丸君のストレスが溜まってんなぁですが、作戦開始までにはどうにかなるでしょう。

ディオスクロイ以外は、明日の戦闘でももうあんまり使いませんし、寝れるようになったので今日を終わらせてしまいましょう。

 

 

 

 

 

というわけで、本RTA最終日です。

今日も能力が各種上昇してますが、要因がもうわっかんねぇな、お前どう?

 

 

 

さて、9章まで来ましたね、あとはもう駆け抜けるだけです。

 

「いいかい、3人とも、今回のレイシフトは、片道しかできない」

 

「そもそも1つの空間として概念上は地続きになっているからね、接触面でしか移動はできないんだ」

 

んにゃぴ、よくわかんないっす。

 

まぁ、要するに、何時もはレイシフトで入って、終わったら自動で帰ってこれたけど。今回は走って戻ってくる必要があるということです。これ実際大事な。藤丸君が玉座の外ついてタイマーストップですので。かわいいマシュちゃんの手をつかんで離すなってやつです。

 

そして、ダ・ヴィンチちゃんからの説明をそのまま引用しますが、終局特異点は上陸作戦、攻城戦、撤退戦の3本立てが攻略の柱となる電撃作戦です。特異点を守って来た側が、遂に世界をぶっ壊す側に回ります。

 

この特異点は要するに冬木の大聖杯と同じで、ソロモン王の死体を腑分けしたりしなかったりして、宇宙に見立てて作っている固有結界というわけです。

 

そこから潤沢に魔力が供給されて、72柱の悪魔たち、ようするに魔神柱がポンポン生えてきます。面倒なことにこいつらは途中にある力の拠点を守っています。彼等を全滅させると城門がひらきますので、それが第一段階となります。厳密には全滅じゃなくて、復活速度を上回る速度で殺し続ける形ですが。

 

そしてそのまま城門までたどり着いて、玉座へと向かい首を取る。これが第2段階となります。

 

最後は城の中でソロモン王を倒して、無事に帰るまでが遠足というわけですね。そしてこの上陸及び攻城戦。これが非常に長い長いムービーになります。

 

ここでは、今までの特異点で出会ってきた敵と味方が、マスターを助けるためにこの場に集うという激熱展開なのですが。その激熱展開こそが、ここまでのRTAをRTAさせないための最大の罠でした。

ここで出てくる魔人柱は、スケールこそ小さいものの、無限湧きです。72柱いる限り、無敵かつ、72を維持されるという特性がある為。とにかく殺し尽くしつつ、殺し続ける必要があります。

 

そして、この各拠点で戦ってくれるのが今までであった鯖となります。特異点の思い出を築き上げた鯖は、本当にこの旅で出会った鯖です。シドニー・マンソンや月島さん、藤原もきっときてくれるでしょう。

 

要するに、各特異点で無視して進んだ場合、終局に来てくれません。ただ出会っていればいいだけと結構緩い判定ではありますが、その分シビアに救済なしでやって来ます。

 

今まで、態々時間をかけて、広いエリアに鯖が広がっている特異点はわざわざ合流していたのは本当にこのためです。

こうしなければこの特異点の勢力が、拠点の戦いで敵の戦力ゲージを減少傾向で維持できないという状況になってしまいます。

 

イメージとしては拠点ごとに100%の戦力の敵が出てくるので、そこで最低限1回はこっちとバトルをします。半分ほど削れば、後は現地の連中が殺しつくしてくれます。

 

どんなに出会った数が少ない特異点でも、最低限でもゲージを0まで1度削ってしまえば、それの維持位はしてくれます。

 

そして、各拠点で0まで削るをし続けた場合、ラスボス戦前に魔力と戦力が摩耗して、マシュへの魔力供給ができず詰み案件となります。できても、タイムがお亡くなりになられます。

 

この駆けつけてくれる戦力を星になぞらえ、宇宙を模した固有結界での決戦に、サーヴァントが次々と降ってくる流星群。獅子王やメディアリリィはこれを起こせと言っていたというわけだったんですね。

 

 

 

 

ともかく、最後のレイシフトが開始されました。

ごめんね、なんか裏で始まってました。

 

でも最初はレフ教授がロマニにお前のこと好きだったんだよ……って大胆な告白は魔神の特権! なんてやったり。

ロマニが「いやです。」というだけですね。ダ・ヴィンチちゃんがこいつ俺のモノだからアピールする、ホモの三角関係です。壊れるなぁ。

 

まぁ後は適当に無限魔神柱を見て、ピンチになり、カルデアが破壊されそうに成っていき……はい、始まりました、激長いイベント。白いジャンヌさんから始まり、英雄たちがやって来て格好良いこと言ってます。

 

初見では感動しますが、単調なイベント戦闘が7,8回続くわけで……皆さん退屈ですよね?

 

そこで皆様のために~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完走してない感想でもお話しましょうかね。このタイミングしかないので。

はい、というわけで反省会でもしましょう。

 

まずは何よりも最大のガバ、ジークフリート触媒消失事件ですね。

 

いやぁ焦りました。あれはまさに救済措置といいますか。ハードモードはマシュとジークフリートだけで、ほぼ全ての特異点がどうにかなる程度には有能な組み合わせなんですよね。

基本セイバー枠はよっぽどの引きを前半でしていない限り、彼にするのが安定です。チャートにもちゃーんとそう書いてある。

 

結果的にはディオスクロイがセイバー枠で来てくれましたが、彼をもう少し早い段階で呼べていれば、全体的にもう少し攻めた動きができたはずです。

 

後は、全体的に今の背景見てくれれば分かるのですが、特異点の鯖と出会いすぎましたね。いやまぁ、イベント発生させるガバがあったのもあり、カルデアの戦力が6ではなく8体の連れまわしが可能になりました。双子のおかげで9でしたが。

それもあって、各拠点が無茶苦茶スムーズに進んでます。アメリカはカルナというか、エジソンとだけ出会って後は本拠地チェストで良かった。

 

今後走る人が居たら、イベントの中でも短いものを調整して誘発できるのであれば、それを攻略する代わりに、全体をもっと攻めてもいいかもしれませんね。召喚鯖によってはイベントにフラグにと連動してるので検証は大変ですけどね。

 

それでも第4のロンドンはもとより戦力不足が否めないので、そこだけはしっかり出会い厨をしたほうがいいかもですけど。

 

 

後は召喚した鯖の総評ですけど、シンドバッド君、藤丸君合わせてのMVPはやはり、ナポレオンでしょう。

 

いや、シンドバッドの鯖じゃないのかよって話ですが、実際彼は必ずすべての特異点で、砲兵か、皇帝か、将軍のどれかで大活躍してるんですよね。

 

軍を率いても、戦っても支援しても、方針を決める助言でも、全て高水準です。

ガチンコ近接戦闘はデフォルトでいるマシュが守れば何とか出来てしまいますしね。

 

 

逆に、活躍がピンポイントだったのは、カーミラですね。ほぼ脚でした。マタ・ハリは対人はともかく、対軍相手はかなり強力な魅了ハメもできたし、王キラーはボスキラーでしたし。うん。脚自体はRTA的には大活躍どころの話ではないんですけどね。巡航速度で彼女以上の鯖はそうはいませんし。

 

今後同じく、YAMA育ちレギュで行くとするのならば、初期鯖は馬か車かバイクを持ってる人がいいかもしれませんね。貢献度の稼ぎやすさも加味すれば、バイク王かロリンチちゃん辺りですかね。能力だけなら考えるのならば、アキレウスでしょうがね。速い強い硬いは実際やばい。

 

シンドバッド君の鯖は、しっかり役割を持てる感じで良かったですね。YAMA育ちは魔力効率まで含めると、運用可能なキャパシティの評価は中の上くらいになりますが。それでも軽めの鯖が多くて攪乱に特化できたのは良い分業でした。

 

機動力もつデバフユニットを追いかけると、高火力重装甲ユニットが殴り込んでくるというカルデアの編成は理想的でしたね。

 

そうこうしているうちに、最後の拠点につきました。ここは8つ目の拠点です。1つにつき9の魔神柱がいる以上、どしても発生する余り場所です。

 

 

ここは所謂イベントで出会った鯖などが来てくれるわけですが……

あ、来ましたね

 

「フハハハハハ!」

 

「この笑い声は!?」

 

「俺を呼んだな!?」

 

呼んでないです。

あっ、彼は魔術王の呪いから藤丸君を守り続けてた、緑の不思議な妖精さんです。

 

あとジャンヌオルタもいます。まぁ聖女様の近くでは戦いにくいですからね。後はタマモキャットに、謎のヒロインXまでいます。誰? 状態ですが、まあいいでしょう。多少心もとない戦力で仕方ないですが。質は充分です、サクッと削って後を任せましょう。

 

えっちゃんと謎のヒロインのW自称セイバーアタックが決まれば、後は放置でOKです。

 

 

『その先が、ソロモン王の玉座だ! 最後の決戦だよ』

 

いよいよ、ゲー君のおうちに突入です!!

ロマンも準備しとけよ、マスクとハンカチを忘れずにな!

 



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裏:積み上げてきたもの

遂に準備は整った。

 

最後の特異点。今まで回った7つの特異点、そこで手に入れたものはあまりにも多い。

それでもそれらは十分な準備ができていなかった。 

 

聞いていた話は唐突すぎるものであったが、それでも少しずつ準備はしてきていた。

元々の目的が作り替えられた後も、習慣として続けてきたことが、実ってくれたのだ。

 

そして遂に手に入れたのだ、最後の手札もこの手に。後はもう周囲に対する裏切りだとしても、それを行うだけなのだから。

 

奇しくも、最後の難関になるであろう2人も心境の変化から消極的協力、ないし中立となった。彼らには彼らなりの目的ができたのであろうが、問題はなかった。

 

あとはカーテンコールを待つだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様、何の用だ」

 

カストロは、隣に伴って歩いているポルクスと共に、目の前の怪盗、否、女怪盗の格好をする女へと構える。

それは彼女の手に、ここにはないはずの葡萄酒とグラスがにぎられていること、それが理由ではない。なにせこの場は、この部屋はディオスクロイの私室なのだから。

 

「あら? マスターに葡萄酒が欲しいと言ってたと聞いたから、持って来たのだけれど?」

 

あけっぴろげなその態度に、彼らは毒気を抜かれる。すわ荒事かと思えば、なんとことはない、酒席への誘いというわけだ。勝手に部屋に入る非常識さを問うべきであるが、正直王族であったとは言え、ギリシャで船旅までしてた彼等からすると、部屋に帰って神が居たとしても、まぁそういうこともあるであろう。という感覚なのだ。

土産片手の女1名など何の問題でもない。

 

「それで、何の用だ、貴様は」

 

「ええ、返答次第では」

 

しかしながら、ディオスクロイにとってのシンドバッドのサーヴァントは、大きく絡むことはないが、別段敵対する理由もない程度の関係。戦闘で連携することが多い分、下手すると、立香のサーヴァントたちのほうがよく会話している可能性があるほどだ。

 

逆に言うと態々尋ねてきた理由と、その内容次第ではということである。

そもそもギリシャの勇士と、戦いを生業にしていない者たちで、根本的にあまり話が合わないのだ。ポルクスは単体で少しばかり話をすることもある様子だが、カストロに関しては基本そうではないのだから。

 

「ちょっとした用事よ、話したいこともあったから」

 

この女と戦うことになれば、この距離で室内であれば、3秒と立たずに彼女は負けるであろうが、それでも余裕は崩さなかった。

カストロとしても、あの車という宝具がない上に、開けた場所でもなければ、一切の脅威を感じない相手だ。警戒すべきはあの質量と速度のみである。

 

「早く話せ、何の用なのだ?」

 

卓に着き、グラスとワインを受け取って唇を濡らしてから、カストロはそう尋ねる。

 

「簡単よ、あなたと妹は、マスターの為に本気で戦うサーヴァントかしら? その確認ね」

 

その質問に一瞬だけ苛立つが、すぐさま彼のその怒りは沈静化する。それは彼のあり方の問題ではなく、彼等の姿勢の問題であると気付いたためだ。

 

「呼ばれた分の仕事は果たす。今までのでは不足か?」

 

「私は、何をおいても守ります、疑われるのですか?」

 

程度の差はあれど、兄妹の答えの方向性は同じであった。冷たい表情を向けられながらも、それを聞くと満足したように、彼女は立ち上がった。

 

「ならいいわ」

 

そしてその指さばきでポルクスめがけてカードを投げると、何事もなかったように部屋を後にしようとする。

 

「招待状よ、今度こそは読んで頂戴ね」

 

その言葉を最後に彼女はふわりと部屋から消えた。カストロは最後まで彼女をにらんでいたが、ポルクスが小さく息を飲むのを聞いて、彼女の方へと向き直る。

 

「どうした、ポルクスよ? 」

 

「い、いえ、兄さま」

 

せいぜい耐えることね。そう書きはじめられたカードの続きを二人は覗き込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンドバッドの部屋で、彼のサーヴァントたち3名は起き上がった。格好がつかない、腰砕けに成りながらではあるが、

 

「……皆さん、起きてらっしゃいますか?」

 

「えぇ、なんとかね」

 

「わたしも、死にそうですけど」

 

3名は魔力だけは潤沢に回復しているが、体を動かす気力もないために、一度霊体化して直様もとに戻る。そして一息つくと片付けを始めながら雑談に興じる。

 

「思えば、私達3人でこうしていることも自然になりましたね」

 

シェヘラザードからしてみれば、二人は後輩だ。彼女は冬木から此処まで共にシンドバッドと歩んできたのだ。色々思うところが無いと言えば嘘になるが、ローマで共にマタ・ハリと巡り、今思えば笑える程度に小さい衝突をした。

 

「そうねー、マスターに誰が1番好き? って聞いてみたくなるわ」

 

マタ・ハリはイタズラ気にそういいながら振り返る。特異点においては余り彼女が活躍を見せられたことはなかった。それでもずっとシンドバッドの隣に彼女は居た。シェヘラザードが後ろからついてきているのを横目で確認しながら、気まぐれに彼の腕をとったりもした。

 

「その話題はやめましょう、ええ」

 

ミストレス・C 、彼女は距離感の詰め方というもの色々と誤っていた。崇高な目的意識を持ってここにマスターを救いに来てみれば、何のことはない。自身が召喚されて数日後にあのグローブを装備した時点で、彼は救われていたのだから。それでも彼女のあからさまに悪な在り方を否定しないマスターとドライブをしたのは彼女にとっては大切な思い出だ。

 

「いつからか、夜更けに閨を後にする事ができなくなりましたね」

 

「天竺から戻ってきてからよ」

 

「その話も止めなさい!」

 

彼女たちにとって、その話は聖域と化している所があった。あのキャメロットの地でまさかの再会をした時。アメリカで李書文と記憶を分かち合えず、記憶が無いことに覚悟ができていたけれど、心底落ち込んでいた主を見て胸中複雑だったのだから。

 

「ポルクスさんは、どうなのでしょうか?」

 

「変わらず兄様と仲良くやっていてほしいわね」

 

「賛成よ、汚れ無い乙女とは言えないけど、ここに居ないタイプだもの」

 

ディオスクロイというギリシャ神話の中でも最強とまでは行かないが、総合的にトップクラスの戦力。魔力供給という問題は最後までつきまとったものの、それでも大きく活躍した。

なにより、彼等が来なければ最後の彼の枠に居たのは、ミストレス・C曰く付きのヤバイ女であった可能性が高いのだから。

 

「他にも現地で女神に気に入られたり」

 

「お店の女の子に狙われてたり」

 

「ヤバイアサシンにも狙われてたみたいよね」

 

振り返れば、あっという間の旅路だった。最初から同じ目的を目指す仲間ではなかった。目的も合流した時期も違うのだから。それでも旅の理由は、段々と共有されていった。

 

「放っておけない人です」

 

「目が離せないわよね」

 

「でも、頼りになるのよね」

 

彼女たちは、そしてこの場に居ないディオスクロイも、シンドバッドを仕えるべき主として、その目的を目標を尊重したくなったのだ。

 

人類を救う。そのスケールの大きさをおそらく彼は自覚していないところがあるであろう。人の営みというものを彼がまともに見たのは、恐らくウルクが最初なのだろうから。

 

それでも、カルデアの20名に満たないスタッフ。何よりも仲良くなった人達のために、贖罪でも自己満足でもなく、戦いたいから戦って救うと決めたのだ。

 

「そう、とても、とても格好良くて優しくて……」

 

マタ・ハリはそこまで言うと、堪えきれずに、膝を着いてしまう。

 

「あぁっ、マスター! どうしてなの? どうして貴方は!」

 

「マタ・ハリさん……」

 

涙声で彼女はそう慟哭する。彼の前では耐えていられた。素敵な女性として、姉のように恋人のように接してくる綺麗な人だって、彼にそう思ってもらえるように振る舞い話せた。

それでもこうして思い出に浸っていると。こう思ってしまうのだ。

 

嗚呼、あんまりだと。

 

人生の殆どを、年齢を24歳としてもその95%を、過酷で無味乾燥とした日常で過ごして、残りは戦いの日々。人類の命運がかかった重い責任ある戦いに、余り理解せぬまま駆り出され、活躍して、使命感をもってそれに当たった。

 

その報酬という名前の仕打ちが、解決すると同時か、しばらくしたらの死亡だ、あと3ヶ月もつ? そんなはずはない、その猶予は聞く度に短くなっているのだ。残り時間は。彼が戦い魔力を回せばもっと短くなる。

最後の戦いを終えれば、きっともう幾許も無いのは容易に想像がつく。

 

「なら、貴方は辞めるの? マタ・ハリ」

 

ミストレス・Cはどうでも良さげにそう返す。彼女からしてみれば、マタ・ハリは別にどうでも良いのだから。居なくとも計画に支障はないのだから。

 

それでも、こうしてあえて聞いているのは同じマスターに仕えた仲だからだ。

そしてマタ・ハリもわかっているのだ。もう、どうしようもないことを。だからこそ彼女の提案に乗ったのだから。成功は約束されているのだ、後は心をどう定めるかだけ。

 

「いいえ、私もやる。ごめんなさいね、弱気になってた」

 

寄り添っていた、シェヘラザードに支えられ立ち上がった彼女は、強い意志を持って二人を見つめる。彼女にはするべき役目はないけれど、もっと言うのならば、彼女たち全員にもうすべきことは殆どないのだけれども。

終局特異点、最後の戦いの場でシンドバッドの活躍を、格好良いマスターを見るために前を向くのだ。

 

「裏切りましょう、皆で」

 

「はい……」

 

「勿論よ」

 

彼女たちはそう決意を新たにすると、部屋の掃除に戻る。だってきっと、この後の最後の夜もまた使うのであろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何とか耐えきった」

 

「すごい反応です! 無数の英霊たちがこの場に呼び込まれて、いえ、やって来ています!」

 

魔神柱の集合体という、尋常ではない相手に。あわや押し潰されそうになったカルデア。もはや物理的にこの神殿と面しているカルデアは、その魔神柱の触手に捕らわれていたが、奇跡が、紛うことない奇跡が彼等を救ったのであろう。

 

無限にあふれる魔神柱を止めるのは、無数に現れる数多の英雄たち。縁とその縁をたどり、世界を救うためではなく、あの人間に力を貸してもよいとこの神殿へ自主的に来るのだ。

 

既に道は開けた。この冠位時間神殿において、72の魔神柱は無限に供給されるのであろう、だがその速度は有限なのだ。補充しきれないほどの数を倒してしまえば良い。言葉にすると単純であるが、尋常ではない手段。しかしこの場に置いてそれは十分可能な行いであったのだから。

 

シンドバッドは、マシュは、そして立香は駆けていく。時間は余り残されていないらしい。2016年が終わってしまえば、もう歴史は修復不可能になる。そうでなくともソロモン王が、魔術の王が次の仕事とやらを終えてしまえば終わりなのだから。

 

 

 

「ふむ、見違えるほど強くなっていましたね」

 

ゲオルギウスはそう述懐する。視線はそのまま魔神柱に向けて、腕は休ませないままだが。

少しだけ、本当に気まぐれ程度に筋を見ただけの、子供のように物を知らない人間だった。それが今の僅かな共闘でわかるほどに、一端の戦士で、一廉の男になっていたのだから。

それは彼の教義的には少しばかり目を瞑らねばならないが、それでも祝福したくなるほどに、良い出会いと良い別れを重ねてきたのだろう。この場に来たものの多くはシンドバッドではない、立香の方の縁を目掛けて来ているであろうが、それでもきっと彼にだって結んできたものはあるのであろうから。

 

 

 

 

 

「シン、きみもみつけたんだね」

 

アステリオスはその豪腕を思い切り振るう。人類史の中でも一際優れたその膂力で魔神柱を切りつけているのだ。それでもこの場においての彼は、別段凄まじい戦力ではない。

そんな事は関係なく、只々友達がまっすぐ前向いているのが、彼にはとても嬉しかったのだから。

 

「イアソン、見たか? ディオスクロイの表情」

 

「ああっ!? こっちにはそんな余裕はねぇ! いいからヘラクレスの援護をしていろ!」

 

アタランテは、何度ももう乗ってやらぬと決めたアルゴー船の上で、今しがたすれ違ったかつての船員を見て思わずそう言葉が漏れた。

弓兵の自分しか見えなかったのかもしれない。ヘラクレスが狂っていなければ見えたであろうが。

 

「ポルクスはともかく、カストロまで味方にするか。存外良いマスターだったわけだ」

 

アタランテはたった一度共闘しただけだが、あまりにも無茶をする男だった。まだまだ何も足りていない男だったが、あのディオスクロイが仕えるほどのマスターに成ったのであれば、あの戦いで自分の果たせたフランスの贖罪は。たしかに実を結べているのであろう。

 

彼女は少しだけ気合を入れ直して、船長の情けない悲鳴を無視しながら矢を番えるのであった。

 

 

 

 

 

「呵々、シンドバッドよ、なんだあの技は!」

 

アメリカとケルト。相容れない集団が力を合わせた戦う場所で、李書文は楽しげに笑っていた。なにせ、自分の教えた技を更に変な形にして振るっている男が居たのだから。

 

「柔軟性と、理による破壊、そこに拳闘まで加えて……もはやナニカわからんぞ!」

 

彼が最初に目指していた武術の息遣いはたしかに感じるが、もはや流派ではなく武術自体が異なるような、そんな仕上がりになっていたのだから。

 

それでも、たしかに彼は教えられた技を、自分の物にして戦っているのだから。

 

「因果なものだ、迷惑料で教えた結果、倒された儂が、再び会うことになるとは」

 

アメリカでは、気がつけばケルトの尖兵となっていた。そして弱っていたとは言え、人間に止められたのだ。また鍛え直さねばと思った矢先、あの巫山戯た天竺の旅。そこで絡繰りを知ったときには変な笑いが出たものだ。

 

しかし、今となっては良い経験であろう。確かに自分の研鑽が彼の一助になったのだから。

そして、もし仮に次に会ったら彼と自分は、教える教えた、救う救ったの関係なしに、貸し借りがない状態なのだから。

 

「その時は何、技比べで死合うのも良いであろうな!」

 

そんな、夢物語を抱いて彼は槍を持って敵へと挑むのであった。

 

 

 




次で完走です。


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(魔術王)~(タイマーストップ)

ぬわああああああああああん!
つかれたもおおおおおおおん!(フライング)


ついに来るところまで来てしまったRTA、始まってるぅ!

 

前回は何とかソロモン君の中を走り抜け、ゲーティア君のお部屋まで来たところでした。ソロモン君の中あったかいナリ。

 

「我が名はゲーティア! 魔神王ゲーティア!」

 

さて、魔神王ゲーティアさんですが、その正体は、なんと! レメゲトンに出てくる悪魔のあれです。

 

いや、要するに、ソロモンの持ってた悪魔使役能力の擬人化です。もっと大雑把に言うと、世界最古の擬人化ポンコツAIです。

 

生前のソロモン王が、チキンかつ無気力のろくでなしの人でなしだったので、千里眼で色々見えているのに、『え、そんなん関係ないでしょ』と多くの人の不幸をそのまま放置して、死に至る光景をそのままにしていました。

 

いやまぁ王様がパンピーの生死全てに関わったら、仕事量どころの話ではなく、統治制度壊れちゃう! なので仕方ないでしょう。

生前のソロモン王は魔術の祖ですが、その神から与えられた全能を1回しか使わないほどにやる気がないので。神の声が聞こえた時に指示通りそのように動く。そんな上司の指示の時だけ働く公務員みたいな仕事っぷりでした。

 

そんな、人間の死を見続けて、いや……十分堪能したよ……(満身創痍) いやだぁもう十分だ、もう十分だろぉ……(絶望) もう十分だ。やぁ、もう……もう勘弁してくれ……(発狂)。

と我修院チャレンジに失敗したゲーティア君は、なんと自力で復活して『いえ、まだこれからですよ』と、ソロモンの死後に計画を考えます。

 

こんなに意味もない形で死ぬ人類、醜い、醜くない? じゃけん有効活用してあげましょうねー。

 

というわけで、彼の目的は、死という概念かわいそう、人類かわいそう。そんな概念、俺はぶち壊してやるよ!

 

と、死のない生命体で満ちる星を、俺自身が星になる事で、1からでなく0からやり直そうとするっていう奴です。

 

憐憫した挙句に地球の創生まで回帰するという。Wサービスですね。

 

 

死のない生命体で満たしたいなら、どっか他所でやれよって感じですよね。別の星を作ってそこで勝手に。

でも、こんな死んじゃう醜い物、地球の支配者とか、ぼったくりやろ! ほんまつっかえー。何が霊長1や! と価値がない人類がかわいそうだから、この俺が価値を作り出してやろう。と、新しい生命体を作る燃料として使おうとします。無駄だらけの醜い生き物だったけど、最後に俺に貢献できてよかったね。

 

でもそんな星になるなんて大偉業、たくさんのエネルギーが必要になります。直ぐ滅ぼすと、人類の数が足りません。

だから、わざわざ、彼が動き出した紀元前1000年ごろではなく、そこから3000年待って、人類を増やして、充分なエネルギーを確保する必要があったんですね。

 

 

「お前らは本当に度し難い、無駄だとわかりきっているのに抗おうとする」

 

ここでの彼の語りもまぁ、結局の所人間がかわいそう、でもマシュは好き。っていうことを言いつつ。いかに自分のやることが素晴らしいかを説いてくれます。

 

詳しく知りたい人は、自分で走ろう。それじゃあ攻略法の話に移りましょう。

 

ラスボスである魔神王戦ですが、これはイベント戦闘です。以上。

いや本当にそれだけなんです。いわゆる負けイベント戦闘です。此処まで来てかよって感じですが、一定時間経過か、一定のダメージでまた会話パートに戻ります。

 

この際にこっちが宝具まで撃ってしまうと、カウンターで雑に此方の戦力が殺されます。いやまぁ何もしなくても、普通にこっちの鯖消えてくほど強いのですけどね。

 

そして、その戦闘の後、第3宝具「誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)」を撃ってきます。クソ強宝具やめて下さい。

 

いきなり第3ってなんだよって感じですが、詳しいことは省くと、この時間神殿というステージが第2宝具です。魔神柱が無限に復活するやつです。そして第1宝具は実のところゲーティア君は知らなくて、仮想として第3宝具の運用という形で、さっき述べたやり直しの事にしてます。

 

さて、第3宝具です。人理焼却して得たエネルギーの事を意味します。つまりこれは、人類3000年の総熱量をぶつけてくる、尋常じゃない必殺技でして、理論上これは防御することができません。三千年に勝てるわけ無いだろ! というか使って大丈夫なもんなんですか? 集めるエネルギー量計算してるのに。

 

これを防げるのは、(彼女が諦めない限り)防御力無限のマシュのキャメロットや、防御力という概念ではないもので阻む全て遠き理想郷といったもの位です。キリ様はどうやって倒したんだこれ?

 

他の対処法をあげるとすれば、あとは完全覚醒したやべーやつ右3。彼女に人の全てを使って気持ちよくなるという大願成就を果たしてもらってもOKです。(OKではない)

なお、そのお方は、知生体への絶対的特攻を持っており、知生体そのものでもある魔神達は……どうなったかはゼパルで検索検索ぅ!

 

 

ともかく戦闘では、勝てません。短縮できる部分も少ないので、消極的に耐える感じで動いていますが……まぁ仕方ないですけど普通にこっちに被害出てますね。

というか、ネガ・サモンで攻撃通らないから、怯みやノックバック無くカウンターしてきて、こっちの鯖はほぼ全滅しちゃいます。グランドである、ビーストでもある、魔力無限のせんと君Lv100強い。

 

マシュ以外が生き残れるかはかなりランダムです。死んでもカルデアに戻るだけですけどね。

 

今回は……おぉう、前衛の藤丸くんの元で戦っていたえっちゃん、槍上はともかく、ナポレオンまで退場してます。こっちの鯖はもう最初からあれ何で、はい。ディオスクロイが満身創痍で居るけど吹き飛ばされてて実質戦闘不能、女性3人は攻撃の余波だけでやられてます。

 

つまりぜんめつめつめつです。いやむしろマスターはなんで立ってるんだよですね。

 

「空に輝く光帯。惑星を統べる火を以て、人類終了を告げる……

────『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)』」

 

というわけで、第3宝具の即死攻撃が降ってきます。

 

 

「……そっか。わたしはこの時の為に生まれたのですね、ドクター」

 

お前に、そんな事しなくていいから(良心) って言いたかったんだよ……しかしながら、彼女がこの攻撃を防がないと、帰り道すらも消失してしまいます。ここでマシュは退場してもらいましょう。色々ありがとなー。

 

「……でもちょっと悔しいです。守られてばかりだったから、最後に一度ぐらい、先輩たちのお役に、立ちたかった……」

 

なお、ここまでの戦闘の内容は、映像がカルデアにも配信されてます。この光景を見ても、泣き崩れること無く使命をまっとうするスタッフの皆さん、誇らしくないのかよ?

 

そして、この攻撃を見届けたことで、自称ソロモンだった、ゲーティア君は手札をすべて晒したこととなります。3つある宝具、第1宝具がわかっていないこと。ペラペラさっき喋ってましたので。加えて、その運動性能や戦闘能力、なによりも話したがり解説したがりの慢心野郎であることも見えていたわけですね。

 

そうすると、勝利を確信したということで、ようやっと医者のおっさんが走ってきます。

既にカルデアはかなり引き寄せられており、王座まで走る距離も短縮されてしまっています。帰りなんかは王座とほぼ面してますからね。

 

ドクターは、大事にしてたマシュが焼け死んだのを見て、

 

【よしっ、これなら勝てそうだな。生まれてきた意味ってやつだよ、うん】

 

って納得してやってくるとか、指揮官としては本当優秀だけど、何となくゲー君があきれる気持ちもわかっちゃうがします。

もうちょっとこう、感情を出そうよ。本当に。

 

嘆いてもしょうがないから嘆かない。とか人間やないやん。

 

 

 

「無駄な事だ。ああ、まったくもって無駄な事だ」

 

全力で煽ってくるゲーティア君。彼の中の1/72くらいが嘆き悲しんでいるからこその言葉であり、それを素直に表せないからのこの歪みというのは、こっちがやっぱり人間っぽいっすね。

 

「うあああああああ!!!!」

 

と、藤丸君が一発殴りに行こうとしてます。

 

「いいだろう、藤丸立香。マシュ・キリエライトの弔いだ。貴様には1発殴らせてやる、意味はないがその資格くらいは認めてやろう」

 

「リツカ! ダメだ!」

 

と無駄だから受けてやろうとするので、藤丸君を止めましょう。だが、言質は取ったぞ。一発受けるんだな。

 

「いやぁ、その蛮勇は少し待ってくれないかな? 二人共」

 

きたー、メインロマン来た! これでかつる。

 

「貴様は!? なぜだ!? その霊気は!? 馬鹿な!! ありえない!」

 

ゲーティアぁ!! なぜ 君が第一宝具を持たずにソロモンに変身できたのか。なぜ 人理焼却式を生み出せたのか。なぜ、指輪が9つしか無いのかぁ……。

 

その答えは ただ一つ! 君がソロモン王本人がいることを観測出来ていなかったからだ!!

 

というわけで、実はロマニ・アーキマン事医療部門責任者兼、カルデア所長代理は、11年前の聖杯戦争で、マリスビリー・アムニスフィアに召喚された、ソロモン王が受肉じゃなくて、普通の人間に成った姿だったんだよ!

 

な、なんだってー!

 

まぁ、彼についても本編をやって、どうぞです。評価はかなり分かれると言いますか、うん。

 

ただ一つ大事なのは、その能力ですね。ゲー君は第一宝具がなんだかわからないので、仮想として運用してました。後、実は彼の左手の中指指輪はレプリカです。ホム君の言ってた初見なのに違和感があるてやつです。今回は会っても居ないけど。

 

そして、その本当の第一宝具は、10個の指輪が揃って初めて発動できる、本当の意味で自身のやったことを終わらせて、その次に行くというものです。

 

少々複雑なので雑に言うと、ソロモンは死ぬ絶対的自殺の宝具です。

ゲー君もソロモンの体を使ってるので、魔神柱の結合がほどけて、不死性がなくなり、死に絶えます。ははっ、ざぁこ♥

 

これは、英霊の座からすらも消えるという尋常じゃない宝具であり、シンドバッド君の相棒シェヘラザードが最初に求めたものでもあります。

 

「第一宝具、再演───『 訣別の時きたれり。其は、世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)』」

 

まぁ、覚者とは違う形でゴールをするというもので、その結果ソロモンことロマニ・アーキマンは消えていきます。後は無事帰るんだよーという言葉だけを置いて。うん、おかのした。

 

最終回特有の退場ラッシュ、嫌いじゃないけど、好きじゃないよ。

 

「ドクター……」

 

「リツカ、いくぞ、かえるんだ……」

 

ともかく、これで無事終わりました。くぅ疲。シンドバッドくんの人外ゲージがいつの間にか9割5分越えてるけど、些事です、些事。

 

後は1キロほどある道を走り抜けて、マシュの手を掴めばタイマーストップ、つまりゴールとなります。

はい、マシュは生きてます。厳密にはこの空間内での死亡は、死亡じゃないとのことで、多分時間が独立してるとかですかね?

 

 

『二人共急いでくれたまえよ! ギリギリまでカルデアは君達を待ってる!』

 

「走れ! 崩れるぞ!」

 

ダ・ヴィンチちゃんの通信を聞きながら、全速力で気持ちよくウィニングランと行きたいですが、本当の本当に最後の敵、人王ゲーティアが出てきます。

 

「ようやっと、私とお前たちは共通の見解を得た、お前達を生かしては帰さない。ここで、私と共に滅びるがいい」

 

「ゲーティアァ!!」

 

「しつけぇ野郎だなぁ!!」

 

既に滅びる運命が確定して、崇高な目的もなくなり、信じてたものも自身の絶対性もなくなり、限りある命を得た。その上で思ったゲーティアという存在個人としてのことが、お前ら許さねぇブッ殺す。とか本当人間味あふれてますね。

 

「既に魔神も、神殿も朽ちた。人理焼却も、間もなく私の消滅とともに棄却される。だが、最後の勝ちだけは譲れない……! 始めよう、カルデアのマスター達よ。お前達の価値を、私の手で焼却する……!」

 

そしてサーヴァント無しでこいつに勝たねばなりません。此処まで来てステゴロかよ! 通常プレイなら、鯖喚べますけど、余力を投げ捨てているはずなので。

まぁ双方もう体もボロボロなのですが、基本は令呪3画を込めた必殺パンチで倒せます。

 

「ふざけんなぁ! リツカの邪魔してんじゃねぇ!」

 

「ゲーティア、俺もお前を許せない!」

 

でも。バビロニアで3画使ってるので、それから1日しか立ってないし、1画しかチャージできてない? そんなの関係ねぇんだよ!

 

そのための右手、右手? ……あと、そのための拳! 拳? 鍛え抜かれたマスターの身体能力、見たけりゃ魅せてやるよ!

 

YAMA育ちなめんじゃねーということで、思いっきり駆け寄って、右ストレートでぶっ飛ばします。

 

「名もなき男、貴様と私は、今まさに同じ視点に居るのだな」

 

「洒落臭ぇんだよ! 一々周りばっか気にしてんじゃねぇ!」

 

「然りだ、ああ。なるほどこういう心持ちなのか」

 

色々背負っている物を捨てて、最後に思ったのが、道を阻んだ人間を害したいというどこまでも人に寄り添ってて好き。戦闘自体は行動をさせるとキツイので、ひたすらインファイトで殴り続けて、久々にシンドバッドくんの宝具を使って、無理やり取り込もうとしてやり、拘束しましょう。

 

「消えやがれ!! ボッチの傲慢野郎! 『共喰う簒奪者(ロンリネスイーター)!』 お前を食らい尽くす!」

 

「ここまでか……いいや、ここからだ!」

 

そして、動きを止めてしまえば、最後は藤丸君の1画令呪パンチができるように、彼目掛けてぶん投げます。

 

「リツカ!」

 

「うおおぉ! ゲーティアァ!!」

 

「ああ、実に……素晴らしい……命だった」

 

マシュの仇です、お前、一撃は食らうって言ってたよな?

 

 

ということで、人王ゲーティア撃破!

 

くぅ疲れました(2回目)

 

時間がないので、さっさと行こうぜ!

 

そもそも、魔神王ゲーティアくんをソロモンが倒した時点で、この領域はソロモンの体で作ったという場所なので、空間の崩壊が凄い勢いで始まってます。

 

「走れ! 走るぞ! リツカ!」

 

「ああ、わかって、る!」

 

止まるんじゃない、犬の様に駆け巡るんだ! と走り抜けます。彼のスタミナは限界ですが、普通に此処でもたつくと無慈悲に藤丸くん間に合わないですからね。オケアノスでのお前はもっと輝いていたぞ!

 

「あそこだ!」

 

そして、ゴールが見えてきました。最後は崩れかけの階段を駆け上がります。ここはしかし、確定で最後の数歩となると、足場が崩れていきます。藤丸くんがギリギリ届かないような距離で。

 

「先輩!」

 

といつの間にかマシュがリスポンしてます。彼女はフォウ君によって蘇生されて、いつの間にかこの特異点の端っこである出口の近くに立っており、気がついたら藤丸くん達が走ってきているという主観です。ビースト4も倒せましたね。くぉれは。

 

そして、空間が収縮して居るため、この玉座の外に出れば、取り込まれる寸前だったカルデアへレイシフトできます。というわけで

 

 

 

最後の短縮ポイントです。

 

 

 

前方のゴールにマシュが見えたら、その時点で藤丸君を思いきりつかんで、ぶん投げます。これにより、最後の彼の階段が間に合わなかった、マシュが見えた!? という2分ほどのモノローグを挟んだ疾走と、引き上げるための踏ん張りイベントを丸々カットできます。やらない意味はありません。

 

 

「行けよぉ! リツカァ!」

 

「シンドバッド!」

 

 

当然、シンドバッド君は反作用で道を踏み外して、虚数空間へと落ちていきますが短縮のため必要な犠牲です。

 

ですが、彼が死に切る前に、リツカ君がマシュの手をつかんでぇ────

 

っここです! タイマーストップ!!

 

同時に時間神殿も崩壊します! 操作キャラが死ぬ前に彼等は脱出しましたので、人理修復も成功してます。映像もエピローグの物が始まってますね。

感動的だなぁ……あ、操作キャラ死亡の実績も来ました。どうでもいいわ♂

 

タァイムはどう? といことで、大事な記録は66日22時間15分32秒!!

 

これはWRですよ、WR!!

 

事前にとってありますので、称号というか、レギュ条件の『自慢の拳』もきちんとあります。

このレギュレーションを守った上では、これが最速でしょう。まあデータ読み込み使っているので参考記録ですがね。そもそも速さだけならYAMA育ちじゃないほうが良いという。

 

お約束の、完走した感想ですが、長時間の通しに何度も死にたくなりましたが、こんなクソみたいな進行を見ていただいた皆さんに感謝を送ります。というか気力が限界でもうそれくらいしか出てきません。

 

今度もし走る人がいたら、チャート公開したら走ってくれるでしょ。

既に改善点は示したし、頑張って走って? 俺もやったんだからさ?

 

 

 

ともかく長時間のお付き合い誠にありがとうございました。

 




裏:はないです。完走です!

今日中にあとがきあげます。

ありがとうございました。


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■■■■■ ■■■■■■ ■■■■
あとがき~


お気に入りが1000を越えたVer


くぅ疲れました。

これにて完結です。

 

という冗談はおいておきましょう。

 

FGOでRTA風でそもそも後追いなんて、キワモノも良い所の内容の話ですが、ひとまず走り切りました。

 

言いたいことは色々ありますが、まずは顰蹙を買うでしょうが、それでもあえて言わせてもらいましょう。

 

 

FGORTA風小説では私が一番早い!

 

少なくとも今日現在、私は完結までさせました。

 

だから、私が1番偉い!!

 

文句があるなら冬木から終局まで通しで書いてから言え!!

 

というか、他の人達早く書いて!!

 

読みたい!

 

 

ええ、こんな感じの気分です。ハーメルンで文句言える人10人居ないですよね。

 

本当に疲れました。自分でもなんでこんなものを書き始めたのかよくわかりません。

 

なんかこういう風にしたら良いや。っていう風に思い込んでからは、毎日夢中で書いてましたね。

 

お気に入りが千を超えるとは実は思っていなくて、ただ自己満足で書くだけの話だったのですが。気がつけばこんな形になってました。

 

RTA風ジャンル自体は、一時の勢いは落ちましたが、安定して定着しましたね。この作品自体は、結構後発ですけど、他原作では完結作品もちらほら。1割弱程度は完走してます。

 

FGO原作は、開拓者様(あえて名前を本文ではあげません)の影響からか、ループが生む歪みみたいなのがテーマになっている作品が多い印象ですね。

でも、書こうと思ってわかったんですけどそれ、執筆カロリー高いんですよね。後追いでやるとほぼエタるでしょこれ、って正直思う程度に話作らないといけないわけで。

だって、本編と過去編の進行とキャラの立ち位置を考えながら、オリジナリティを見出しつつ、あの無茶苦茶長い原作を描写って、険しすぎます。

 

さらに、RTAぽくゲーム的要素を融合させつつ、淫夢語録も使っていかなければならない。

 

開拓者様は、それで話を考えているでしょうからともかくとして、他の方はどうなのでしょうね? 大体読んでますけど、2月以上更新ないのも含めて、オルレアン突破したのって5,6個ですよね。今50弱程ありますが。

 

完結する気がないものを書き始めて楽しいんですかね? 書きたいシーンだけダイジェストにしてもいいと思うんですけど。

 

だから、この作品その辺りの面倒な事は、もう一切合切切り捨ててます。試走時の記憶で例のあの人の記憶に走者が怯えてるだけです。

 

書いて、兎に角書いて。習慣になって、義務に成ってその先にその義務感が楽しくなって、大体書いた日数休みをもらって、また続きを書いて。それでやっとこさ書ききったわけです。

 

同調圧力しておいてあれですが、その先は地獄だぞ。ですね。

 

あと、この作品お気に入りの数に対して、しおりとUAが妙に高いんですよね。しおりなんかお気に入りの5割超えてた時期ありました。

お気に入りに入れたくないのか、しおりを挟む必要性が高いのか? どういうことなのでしょうかね?

 

途中でよくわからない電波を受信した結果、よく分かんないうちにキャラが強くなったり、よくわからないキャラが出たりと、よくわからない話でした。カーミラを出す理由が無理やり過ぎましたね。WIKIとかアプデとか言い出さず、普通に夏イベも出てくるとかにしておけばよかったです。

 

FGOを題材とした架空のゲームなので、別の意味で色々ファジーに要素を詰め込んでしまったと思います。

 

気が向いたら、各キャラから見た視点の話も書いてみたいなぁと思います。

 

あとは、ケツァル・コアトル戦も、妥協しないで、RTA風に書けていたらと思います。

 

それでは

 

また何処かでお会いできることを楽しみにしてます。

 

あ、それと、尋常じゃない量の誤字修正報告ありがとうございました。

今後も少しずつ直していきます。

 

作者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というお話でした……」

 

 

「こちらのお話は、ある並行世界、此方を観測し得る世界にいる、ただ時間を持て余した素人作家が書いたお話です」

 

女は只々語る、元より彼女にとってできることはそれだけなのだから。

 

「RTA風、という定形詩と申しますか、書き手の労力を減らすことに特化した、急ごしらえのお話です」

 

作家は物語を書くのであろう、英霊と化した彼等は、多少興味をそそる題材を逸話として書き綴ることができる。それは宝具をも生み出すことができるほどのものだ。

 

芸術家は作品を作るのであろう、そういったものであるかもしれないという逸話があれば、その作品自体が独立したものとして動き出すこともある。

 

噂は英霊を生むのであろう、人々が共通して認識する怪異やおとぎ話は、時として人理に根ざし英霊となってしまうこともある。

 

ならば、語り部は? 彼女が語るということはどういうことなのであろうか?

 

「このお話は、とある場所でひっそりと、世界の片隅に少しだけ読まれていたお話です。それでも【千】を超える人が知るお話となりました」

 

彼女はたった今幕を閉じたその、低質で散文的な、鋳型にはめられた、只々事実を断片的に語った、低俗な冗句混じりの主観的に歪められた話を語り終えた。

 

それは何とか用意することが出来た、間に合わせの話。それでも彼女の大切な人が綴られた話、一人の青年の1年に満たない旅路が綴られた話。多少事実と異なることがあるが、そんなものはあって当然でしょう?

 

「皆様も知るように、主人公の名前はシンドバッド。彼が大まかに7つの大冒険をするお話でした」

 

シェヘラザードは、彼女の千夜一夜物語は、来歴からして元々の話のみというものではない。西洋世界に翻訳される際に、そうであろう話が混ぜられていき、肥大化していった物語だ。

それ故にサーヴァントの彼女は、厳密には彼女が生前語った話でなくとも、語ったであろうと思われる。語ったであろう。そういった話ならば、彼女が語ることのできる話となるのだ。

 

「語り手は私シェヘラザード、内容は世界を救った一人の男のお話でした」

 

彼女ができるのはただ語るだけ。世界が信じるほどの存在感を持って語るだけ。何が千夜一夜物語に該当する物語なのかは彼女自身によって決められる故に、彼女はこれを彼女が語った、王を楽しませる話として語ったのだ。

 

つまりは、この素人が書いた5流小説を、自身の物語として多角的な要素を抽出して【世界に信じ込ませた】

 

「これで、準備は整いました、私は中身を用意する係ですから」

 

「準備は終わった? シェヘラザード?」

 

そこに、私は怪盗ですと、自己主張をしすぎている服に身を包んだ女が現れる。

エレガントで、ビューティーそして何よりも、セクスィ……その女の名は……ミストレス・C。流離いの美しき女怪盗である。

 

「こっちも準備ができたわ、後は招待状を送れば始められるわよ」

 

彼女は、ずっと探していた。あの女にマスターが取られないで済む道を。そうすると意外とあっさり答えは見つかったのだ。

 

ああ、そうだ。自分の目的を思い出そうと。

 

彼女は、カーミラの霊基がベースとなる英霊だが、縁を割り込ませるために、エリザベートとしての出会いまでも利用して召喚された。

故にこそ薄れていたが、彼女の本来の目的、それは

 

「お金は十分稼いだ、内装も拘れるわよ。建材だって遠慮しないで出せるわ!」

 

城を持つことである(本当です)

 

エリザベートよりも先に水着という、サーヴァント界のトップメタへと上り詰めた彼女の目的は、さらなる格の違いを見せつけるために、城をスピーカーやらアンプやらにしたドラゴン娘とは違う、格式高い城を持つことである。

 

サーヴァントが城を持つとは? という疑問はあるであろう。しかしあるのだ、この大安売りされているとは言え、人類の最高戦力であるサーヴァントが野良猫感覚で住んでいるような場所が。

 

「それでは行きましょう、私達の新居へ」

 

「マタ・ハリが掃除しているみたいね、手伝わないと」

 

それは、どのようにして観測されたのか。存在しないはずの特異点だ。

人理が焼却されて発生する特異点なのに、消えない特殊な特異点があったのだ。

 

人理が焼却された2016年の時間軸、その流れの上に2重に重なる通常存在し得ない、矛盾する特異点があった。

2つの可能性が偏在しているのではない、連続性がある事象が同時期同時刻に発生しているという、致命的な問題。

 

それを見つけた彼女たちは、親和性の高さからそこを使うことに決めたのだ。その場所を、その特異性をさらに塗りつぶすことで。

 

元より人理が修復されても、狂ったように消えない点である故に。

 

そう、二人が戻るのは、この世界でも有数の特殊な特異点。2016年の事象と2015年の事象が重なり合い同時に存在する場所。

 

 

ぐだぐだと双璧をなす与太イベントの聖地。

 

開発ペースの遅延によって生まれた矛盾の一つ。

 

 

────ハロウィン特異点である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最終特異点 千夜一夜魔城 チェイテ

 

始まります。

 




今まで聞いていたのはゆっくりボイスではない! 17歳おいおいボイスだったのだよ!

というわけで、ついてこれる奴だけついてこいッ! な。完走後のおまけ話。

何のために今まで基本夜明けに話を上げていたと思う!?
何で、お気に入りが1000越えたらタグが増えたと思う!?
全部これがやりたかったからだよ! 本編にも裏にも色々詰めたよ!!
1000以下で終わった時用のEDもあるのだよ!
リハビリはもう終わりだこのやろう!
私は好きにした、君らも好きにしろ!

唯でさえこんな話を読んでる、数奇者の読者を、完結表示で更にお気に入りから外して、厳選して上で、

もう何もかもがひどいイベントで締めます! (ちょっと書き溜めるけどね)

文句があったら、FGORTA1部通しか、普通にFGO本編二次、完結まで書いてから言って?

オレもやったんだからさ……


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魔術協会では評価されない項目ですからね

再会します。

お気に入り減るどころか増えてありがたい限りです。
感想も、読了ツイートも評価コメもありがとうございます。
後の個人的な実績解除は、評価の棒グラフに色がつけばトロコンです。

そして、尋常じゃない数の誤字脱字報告ありがとうございます。
本当に申し訳ありません。

改めてここから先は更に人を選ぶと思います


“ーーーついて来れるか”




人理が焼却されたらしいけど、気が付いたら人理が修復された。

よくわからないけど、時間は経っているし、カルデアに問い合わせをしよう。

 

そんな消費者センター感覚での問い合わせも一通り落ち着き。

 

とても迷惑な野郎の起こした、世界最大の殺人事件は、犠牲者が結局カルデアの中からしか出ないという、不思議な結果に終わった。

 

藤丸立香の功績は、魔術師の納品した、とある備品の疑似ホムンクルスが、最終的には死んでしまったが、非常に優秀だったからなんとかなったという風に、かなり矮小化されて伝えられることになった。

 

捕食の起源を持ったそのホムンクルスに過去の優秀な魔術資源を与えて戦闘をさせ、魔力だけは優秀だった藤丸立香はその場でサーヴァントと共にいただけという具合である。

 

そんなごたごたも落ち着き、魔術師協会が、監査団を手配しようにも政治ゲームでの駆け引きが続き、難航している空白の時間帯。

 

そこから物語は始まる。

 

藤丸立香は。広くなったように感じてしまうカルデアの中をふらふらと歩いていた。

 

人類最後のマスターと名実ともに名乗れるようになった彼は、別段何かが変わったわけではない。開位だか、冠位だか、よくわからないものは貰えるみたいだが、それで給料が上がるわけでもなさそうだ。

 

そもそもほしいものは支給品で賄えるし、散財先もないわけだし。

 

 

「あ、先輩」

 

そんな彼に声をかけてきたのは、マシュ・キリエライト。カルデアに所属する普通の少女である。

あの、終局特異点でどう考えても致命傷を負ったはずの彼女は、しかし生きていた。

 

二人で見上げた、あの奇跡のような青空の美しさは、今でも覚えている。

 

しかし、その代償なのか、彼女のデミサーヴァントとしての戦闘能力はなくなり、正真正銘、普通の人間の女の子となってしまっているそうだ。

 

それでもレイシフト適性はあったり、少しだけならばサーヴァントとしてふるまえたりと、意味不明な所も多いのだが。前例もなく実害もないので、そのまま放置されていた。

 

「マシュ、どうしたの?」

 

立香は、暇だったこともあるが、マシュが少し困っている様子であったので、声をかけることにした。

 

「それがですね、備品を管理しているのですが、少し変なのです」

 

「備品管理?」

 

「はい、チェックをしてました」

 

人理焼却以前から、Aチームに所属していたというマシュは、生まれ自体は特殊な物の、カルデア職員としての仕事も多少はあった。デミサーヴァントとして前線に出ていたころは、そういった雑務はあまりできていなかったが、それでも能力的にできないわけではなく、何より今はそんなに仕事も用事も無いので、順当に復帰したと言える。

 

 

「備品がどうしたの?」

 

「はい、先輩と……シンドバッドさん達が回収してきた、魔術素材等の、希少素材たちです。」

 

「あー、俺達が集めたやつね。それがどうなったの?」

 

 

魔術の衰退が激しい21世紀。レイシフトという、ほぼ完成品なタイムマシンと強弁できる手法を多用して、多くの時代を駆け抜けた。その結果、カルデアに備蓄されている希少な素材は、魔術師垂涎の物であり。それらの管理は現状のカルデア責任者であるレオナルド及び、マシュ、立香の3人に限定されていた。

 

膨大な数量がある物品もあるゆえに、権限と時間のあるマシュにお鉢が回ってきたわけだ。責任者のダ・ヴィンチちゃんは多忙なのだから。

 

 

「数が合わないとか?」

 

「はい、結構な数の物が減っています、そして一部が多く残ってます、見たことがないのもありますし」

 

早速保管場所へと移動した立香とマシュ。

二人もすべての素材をきちんと把握しているわけではないので、管理してたダヴィンチちゃんの書類を片手に、二人のIDでのみ入れる保管庫の中で、在庫の確認を始める。

 

「増えてる?」

 

「はい、こんな感じのものが」

 

「かぼちゃ?」

 

マシュが持ち上げて見せてきたのは、片手に乗る程度の小さいかぼちゃの形を模したオブジェである。シックな色使いが、妙に上品でインテリアとして使えそうである。

 

それでも増えているのは明確におかしい。

 

何か、コンビニの品出しバイトみたいだなと、少しだけ倒錯的な想いになるが、増えるという謎の単語に引っかかった立香は、思わず首をひねる。

 

「こんなの集めてたっけ?」

 

「それが、去年の夏ごろ……大体、ロンドンに行く前くらいから、定期的に在庫が増えているようなのです。」

 

「えぇ……?」

 

それはなんとも不可解な話である。

 

そもそもこの魔術素材達は特異点から帰ってきて、直ぐに納品に近い形で補充される物である。ロンドンのころからこんなものを集めていたであろうか?

 

「ま、まあ多くあって困ることはないし、それで逆に減ってる素材は?」

 

「はい、品目数は多くないのですが、この辺の物が」

 

「うーん……ランプとか、矢尻に卵が少しずつか。って……えぇ!?」

 

「はい、そうなんです」

 

数が合わないので赤字で表示されている素材一覧を見て、リツカは思わず声を上げてしまう。

なんと回収された聖杯の数が足りていないのであるから。一大事である。

 

「冬木からウルクまで、私達は8個の聖杯を集めました、ここには8個の聖杯があります」

 

「うん、俺も一瞬納得しかけたけど、確かもらってたよね」

 

「はい、その筈なので数えなおしてもらったのですが」

 

第7特異点。あの原初の地獄の果てに、マスターとマシュはかの人類最古の王(本当に最古というわけではない)から褒美をもらっていた。リツカのそれはよくわからないので、こちらも部屋のオブジェとなっているが、マシュの粘土板は召喚触媒としても利用価値が高いので、ここに保管されている。

 

「シンドバッドの、麦酒の器がここにない?」

 

「カルデアに持ち帰った記録はあるのですが、1日しかない準備期間のどたどた、ごたごた、ばたばたで、どうなったかわからないのです。」

 

そう、かの賢王はウルクの大杯。という実質聖杯みたいなものを、シンドバッドによこして見せたのである。王の器がでかすぎる。それを求めて、歴史を捻じ曲げるために殺し合いに何度も参加してる王達ー? 聞いてるかー!?

 

しかし、やっぱり一大事である。

 

「シンドバッドさんは……」

 

「ああ、彼はもう」

 

もうひとりのマスター、シンドバッド(仮称)は、最終的に終局特異点、冠位時間神殿においてMIAとなり、最終的にカルデアはその作戦で2名の未帰還者を出していた。

残りの1名は、カルデアの英霊召喚実験成功例第一号、ソロモン王こと、ロマニ・アーキマンである。

 

 

ロマニは自らの仕事を片付けに行って、見事完遂し、そのまま消えてしまったのだから。

 

シンドバッドは、冬木を除くすべての特異点で、立香と共に人理を修復するために尽力した、戦友ともいうべき存在。シンドバッドと俗に呼ばれているのも、彼は正式な氏名がないマスターだからである。

 

立香は、人理修復が成った後、彼について調べてみた。その結果わかったことはほとんどない。彼には過去というものが記録として存在していないのだ。

それは別に不都合に感じた存在に抹消されたからではなく、本当に何かしらと関わったり、何かをなしていないという端的な事実が書かれていただけである。

 

だから、本当にこのカルデアでの思い出だけが、立香にとっても恐らくシンドバッドにとっても唯一の記録であり、記憶なのだ。

 

思わず立香の記憶が飛躍していく。最初はその人間離れした身体能力に憧れたこと。少しずつ仲良くなって組手をしたら、教えるのが下手くそ過ぎたこと。自分のサーヴァントで上手く彼と連携できたことが嬉しかったこと。別々に悪夢を見て戻ってこれたことを喜び合えたこと。共に最後まで走り抜けられたこと。

夜寝れなくて廊下を歩いてたら彼の部屋から、サーヴァントが出てきたのを見て少し気まずい思いをしたこと。マシュの手料理を巡って彼とドクターとで、3人でダンスバトルをしたこと、ボロボロに負けて2位だった。慌てたマシュが作ってきたデザートを賭けてフリースタイルラップバトルに発展したこと、ドクターと激戦の末辛くも勝利したこと、シンドバッドはボロボロのビリだった。

 

そして、いなくなった後に、彼が人食いだと知って、少しだけ驚いたこと。

 

その彼は、立香をかばって、終局特異点の崩落に巻き込まれて消えていった。

 

カルデアへとレイシフトで帰還した後に、すぐさま確認したものの、彼のコフィンには何もなく、数値は彼をロストしたことを示しており、ソロモンとの戦闘でカルデアへと死に戻っていたサーヴァント達も、そのまま消えてしまっていたのだから。

 

「確かにこれは、問題だけど、どうにもしようがないね?」

 

「はい。ですが、聖杯の紛失は始末書で済むのでしょうか?」

 

済まないであろうから、カルデアの記録上回収した聖杯は8個になっているのであろう。

どうするべきかと二人で頭を悩ませていると、館内放送での呼び出しが入る。

 

『あーあー、立香君、それから、マシュ。私の部屋まで来てくれたまえ。お出かけの準備をしてきてくれよ』

 

「この声は、ダ・ヴィンチちゃんだね」

 

「はい、お出かけ? どういうことでしょうか?」

 

 

二人は、疑問符を浮かべつつも、指示に従い、準備のために自身の部屋へと一度向かうのであった。

 

 

 

 

 

「やぁ、来たね二人とも。忙しいところ済まない」

 

ダ・ヴィンチちゃん。カルデアに正式な形で残った最後の英霊だ。

 

立香のサーヴァントの霊基パターンは補完しているために、彼の旅の仲間だった今はいない3名のサーヴァントは気まぐれに呼び出されたり呼び出されなかったりしている。もう聖杯探索は終わったのだから。

 

「それでどういったご用件でしょうか」

 

「うん、お手紙が届いたのさ」

 

「お手紙……ですか?」

 

カルデアはとある僻地の雪山の奥の標高数千メートルという絶界も絶界にある。もはや秘境といっても過言ではない、通常郵便なんて補給物資に紛れて届くかもしれないといった程度だ。

 

「二人宛にね」

 

送り先の書いていない、無地の封筒を手渡すと、ダ・ヴィンチは机の下にしゃがみ込みごそごそと物を引っ張り始める、どうやら作業の途中のようだ。

 

仕方なく二人は肩を寄せて封筒を覗き込む。

 

「誰からでしょうか? 先輩のお知り合いですかね?」

 

「いや、そんなはずは……って、うぁ!?」

 

封筒を裏返すと、確かに宛先にカルデア、藤丸立香宛になっていたが、切手を貼るべきところには、なんと、【キスマーク】がついていた。

 

「せ、先輩! これは、あの噂のっ! どこの女のよ! これ! って言うべき所なのでしょうか!?」

 

「ちがうよ! 知らないよ! 絶対に違うよ!」

 

立香は驚きつつも。どこかの国がそんなキスマーク切手のサービスを、何かのイベントでしてたのを何かで見たような……と思いつつ、封を開ける。

 

すると中には一枚のカードが入っていた。

 

「あれ? これって」

 

その瞬間立香とマシュは、突如としてレイシフトをする時のあの妙な引っ張られる感覚に苛まれる。

 

「せ、先輩! 何かとてつもないことが起こってます!」

 

「えええええ!?」

 

「ああ、やはりこうなるようだね、立香君これを」

 

 

ダ・ヴィンチちゃんはそんなに驚いた様子もなく、立香に向けて、四角いランドセルぐらいの箱を投げ渡す。思わずということで受け取ったが、どうにも重たいそれが何かは一切わからなかった。

 

「え!? なに? これぇ!?」

 

「お守りだよ、試作品のね。それじゃあ行っておいで」

 

穏やかに手を振る、ダ・ヴィンチちゃんに、謀ったな! という思いを抱きながら、二人はレイシフトしていくのであった。

 

 




基本こんなノリです。


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夢の中で逢ったような?

「ここは?」

 

立香が目を覚ますと、彼は地面に横たわっていた。少なくとも此処はカルデアではないことが分かる、なにせ土の上だ。

 

今までレイシフトを用いて様々な時代と地方を回った……とは少し言い難い、なにせ8回のレイシフトの内訳は実のところ、1回は自分のいた国の日本で、あとは西ヨーロッパが3回、アラビア半島の上付近西アジアが2回に、アメリカが1回、よくわからないところが1回なのだ。ユーラシア大陸の東側や、中南米などは全くご縁がないのである。

 

それでもわかることは、この土の匂いは嗅いだことはなく、こんな紫色の空も見たことはなく……

 

「えぇ……なにこれぇ」

 

こんな変な城は見たことがないということだ。

 

その城はまさに不気味に聳え立つという表現がふさわしかった。

 

はるか遠く、山の頂上には荘厳な作りによって日本人の西洋の城のイメージみたいな建物があり、そこからは、山の斜面に沿っていくつもの丸みを帯びた屋根の作りが特徴敵な、中東風の建物がトグロを巻くように細い廊下のようなものでつながっている。

 

まるで素人に中東風の城を作ってと頼んだ結果、なぜかインドと混ざって小さいタージマハルがたくさん置かれて、真ん中にノイシュヴァンシュタイン城を置きました。

という造型が狂っていた。

 

「先輩、無事ですか」

 

マシュも近くにいたようで、直ぐに駆け寄ってくるが、その格好が彼には見慣れた、しかしあり得ないものであった。

 

「マシュ!? そ、その格好!」

 

「えっ? はい! いえ、この格好はその!? 決していつも通りじゃないわけではないです。この下には誓って普通のスタッフ用の服を着ています、本当です!」

 

「いいや、それは知らないけど。何でサーヴァントの格好をしているって事だよ?」

 

 

そう、マシュはデミサーヴァントとしての格好していたのだ。マシュ・キリエライトは デミサーヴァントとしての力の大半を失い、普通の少し体が丈夫な少女となっていたはずだが。

何故か此処に来た時の自分の格好に驚いて、とっさに霊衣を展開したら出来たという。一体どんな格好だったというのだろうか? 疑問は尽きないが状況の把握が先決であろう。

 

「カルデアとの通信もつながらない、か」

 

改めて周囲を見る。

 

目の前にあるのは、立派な城というよりも、もはや山だ。なにせ螺旋状に登山道がある山の道中に離宮のような形で建造物があるのだ。まるでそこを経由しないと一番上にたどり着きませんと自己主張しているように。

逆に言えば、露骨なまでに今回行くべき目的地であるであろう、城は目の前にあり、周囲には何もない。というよりも、山の上に立つ城なので、ここからわざわざ下山して散策という感じではない、此処より麓の方向には何か霧のようなものも出ている。

 

「マシュ、あれ何かわかる?」

 

「いえ、カルデアのデータベースでも、これと似たようなものを見た記憶はございません」

 

まるで英雄博士なマシュのその言葉に対して、立香はつまりこれはかなり特殊な状況だと理解した。

彼のサーヴァントの一人、謎のヒロインXオルタ。通称えっちゃん。彼女と親睦を深めるにつれて聞いた話、それは世界にはサーヴァント・ユニバースという別宇宙があり、そこにはたくさんの色物……もとい複合的な要素を持た英霊がいるとのことだ。

 

「だめだ、ここはレイラインがないみたい。サーヴァントが召喚できないよ」

 

立香は手に持っていた荷物を一度置いて、マシュが居るのでその盾を用いて、自身のサーヴァントたちを呼ぼうとするものの、それらしい反応は帰ってこない。手には令呪もあるので、これを使えばあるいはという所だが、マシュの方を見る。

 

彼女は久方ぶりの霊衣に少し戸惑っているが、その動きは彼が見てもしっかり以前通りであり、充分以上にサーヴァントとして戦えるであろう。魔力の繋がりもしっかり感じることを考えると、彼女への支援に使うのが最も確実性が高い。

 

そこまで考えると、立香は意識を切り替える。

別にこれは、今までのレイシフトと違い、何かを回収したり、倒したりするのではなく、帰ることが目的だ。

 

ここへは、手紙を受け取ってきた以上、相手に用事があるのであろう。ならばそれを聞きに行かなければならない。

 

「マシュ、いこう。何があるかわからないけど」

 

「はい、先輩、そうするほかなさそうですし」

 

二人は、まずは城門というよりも、高級住宅についている豪華なフェンスをとてつもなく大きくしたゲートっぽい物へと足を向けるのであった。

 

 

「ごめんくださーい」

 

「誰かいませんかー」

 

唯一の入り口のようなここには誰もいない上に、呼び鈴も付いていなかった。周囲を囲う城壁を越えること自体はマシュに頼めば不可能ではなさそうだが、相手が何もアクションを見せていない以上、一度考慮の外に置くことにする。

 

 

「あら、お客様?」

 

暫くすると、パタパタと音を立てて、どこか聞いたことある声と共に、一人の女性がやってきた。コルセットとエプロンをつけた、オレンジ色の露出が多めの服装は、見覚えのある人物の物であった。

 

「マタ・ハリさん!?」

 

「? どこかでお会いしたかしら? 私はマーガレットよ?」

 

しかし、彼女はこの1年近い間苦楽を共にした仲間と瓜二つであった。というよりもその名前からして恐らく本人であろう。

 

どういうことであろうかと頭を悩ませる間もなく、立香とマシュにはそれぞれは推察されるアイデアがあった。

 

立香は、アーサー王のあれだなぁと思った。アルトリアが、冬木のことをあんまり覚えてないないということに加えて、完全に別人な体つきだった事。そういうきっと同人の空似的な物なのだろうと。

 

マシュは、ギルガメッシュ王のような物でしょうか? と考えた。ウルクで出会った賢王は老年期のそれであり、最後の時に出会ったのは冥界下りのころ。目の前の彼女が役名であり通り名を名乗っていないのは、かの王のように、まだそこになっていない彼女なのではないかという一歩踏み込んだ考えであった。リップの色というか、メイクが少し変わっているからの判断である。

 

二人とも、息をするようにサーヴァントがいる事に関しては、何の疑問も抱いていない程度には毒されていた。

 

 

「あの、私たちここに気が付いたらいたのですけど」

 

「そうなんです、ここの人に呼ばれたと思うんですけど」

 

 

 

「あら、そうなの。私はここで家政婦みたいなお仕事をしてるのだけど、確かに来客がそのうち来るとは聞いているわ」

 

にこにこと笑いながら、マタ・ハリもといマーガレットはそう答える。不思議な笑顔であったが、二人は顔を見合わせると、やっと話が見えてきたなと納得する。

 

恐らくこの城の主が、この事態の元凶であり、解決のカギになるのであろうと。

 

「それでは、案内していただけませんでしょうか? 決して怪しいものではございませんので」

 

「お願いです!」

 

「わかったわ、ついてきて頂戴」

 

マーガレットは特に悩む様子を見せることなく、朗らかにそう答えると、ゲートから数歩下がる。すると、おどろおどろしいチープなホラー映画のように。大きなフェンスがギーと音を響かせながらゆっくりと開いていく。

 

「んーこの音は嫌いそうね、油をさしておかなくちゃ」

 

「は、はぁ」

 

マシュにはわからないが、立香は雰囲気あるなぁと少し興奮していた。なにせ紫色の空、不気味な城っぽい建物、さび付いたゲートとくれば、これはもうお化け屋敷的な物なのであろう。

 

絶対に、何が出てきても驚かないぞ。人理を修復するために世界中を駆け回った俺が、この程度に驚くものか! としっかり決意を固めたのである。

 

「それで、ここの主人はどんな方なのですか?」

 

マシュの疑問は当然であろう、敵対的な人物であれば、本拠地に乗り込んでいくというのはリスクを伴う行動だ。魔術師などであればなおさらである。

 

「道すがらお話しするわ、それとごめんなさい。実は設計ミスがあったせいで、本館というかあの城まで行くための入り口が用意できてないの」

 

とんでもない構造的欠陥であった。超常の城は目測で壁面が数十メートル以上あり、さすがのサーヴァントの膂力でも壁面を人間を抱えて登るのは無理であろう。

 

「えーっと、それでどうするんですか?」

 

「安心して、あのハレムの離宮はそれぞれつながっていて、ここから順番に離宮同士をつなぐ渡り階段と廊下を順番に進んでいけば、最後に城につくわ」

 

立香はこの時点で嫌な予感がした。なにせ建物は中東風とインド風がヘンに混ざっているのに、接合部の階段は白い大理石のようなもので出来ており、ギリシャっぽい柱が建っているのだ。つまり【順番に通っていかねばならない、長い長いギリシャ風の階段の先にある目的地】なのだから。

 

「あの、それって、もしかしなくても」

 

「それぞれのハレムには、雇われの護衛がいて、彼らを倒さないと進めないから気を付けて頂戴ね。」

 

あれだー! これはあれだ! と立香は心の中で叫んだ。見上げてみると、巨大な建物なのに距離感が狂うほど遠い上に、ショートカットが出来ない。

つまり、そこに行くまでに、まっすぐではなく、いくつもの離宮を経由して敵を倒して進む。急に空間の何かしらの数値が下がっていったような気がする。

 

 

「先輩?どうしましたか?」

 

「いや、なんでもないよ。それじゃあ、マタ……じゃなくてマーガレットさん、案内お願いします」

 

「まかせて、2名様ご案内でーす」

 

 

こうして立香たちは登り始めることになる、この長い長いロードを。

 

 

 

 

 

 

 

1つ目の離宮へ入った一行。といっても門の横の横のドアから入って、壁に沿った円形の階段を、美しいらせん状のそれを上っただけであるが。

 

「それで、なんでわざわざ離宮を守ってるのでしょうか?」

 

マシュの疑問はもっともだ。なにせ自宅である。こんなことをする必要性はないのであろう。

 

「当家ではお客様にもそれ相応の格式が求められる、ゴージャスでラグジュアリーな城だからよ。って、女主人は言ってたわね」

 

「ん? どこかで聞いたような言い回しだなぁ」

 

「そうですね、なんか最近聞いたような気がします」

 

そしてそのような雑談を交えながら、何とか登り切った先に待っていたのは、何時かの過去で少しだけ会った一人の女性であった。

 

「やっと来たわね、シャバ僧ども……じゃなかった、よくきましたね、皆さん」

 

いきなり台無しであったが、そこに立っていたのは、黒く長い美しい髪が、白を貴重としたスポーティーな水着と真っ白な肌とのコントラストが美しい、活動的な印象を受ける美女であった。

 

「えーっと、聖女マルタではないでしょうか? 装いは異なりますが」

 

「うん、カルデアの記録で見たよ、間違いないと思う」

 

そこにいたのは聖女マルタ、なぜか水着で、聖女の杖も聖骸布もまとっていないが、神聖な雰囲気を漂わせている女性であった。

 

「このような、贖罪の機会を与えてくださったことに感謝して、全力で行きます。しっかり受け止めなさい」

 

それだけ言うと、彼女はステップを踏み始める。

何らかの会話や情報をもらえる前に、鉄火場の空気になってしまい、顔を見合わせるものの、やるしかないと判断して、久方ぶりの戦闘の脳に自分を切り替える。

 

「マシュ! 行くよ!」

 

「はいっ、先輩!」

 

「ハレルヤ!」

 

「たああああ!」

 

聖女のこぶしと、ラウンドシールドがぶつかりあった。甲高い金属通しがぶつかったような音が響き渡る。やはり聖女の拳は一流の武具なのであろう。

 

「くぅぅぅ、凄まじい威力です。ですが、耐えられないほどではありません! 耐えてみせます!」

 

「私の拳は悪魔や死霊を鎮めるもの。善性のあなたに対しては、ただのか弱い女性の細腕としての威力しかありません。強く感じるには何かやましいことがあるのでしょう」

 

いや、そんなわけないだろ。立香はそう思ってしまったが、色々と台無しなので、口にすることはなかった。

 

 

 

 

「これで終わりです!」

 

「くうううう」

 

戦いは泥臭く、グダグダになっていったが、最終的にはマシュが勝利した。立香の支援と、何よりも聖女マルタは宝具を使うことなく、ただ近づいて殴ってくるだけであり、少しずつマシュが押し勝ったという形だ。

 

「ふうぅ。良いでしょう、私の負けです。ここを通り先へとお進みなさい」

 

彼女はそういうと、体が金色の粒子に包まれていく。全く致死のダメージなどを受けて無く、ただ負けを認めただけであるのにだ。

 

「あら、帰っちゃうの?」

 

ずっと静観していたマーガレットは、聖女マルタに向けてそう話しかける。どうやら、致命傷を与えたわけでもないのに、どんどん消えていくのは聖女マルタの意思のようだ。

 

「ええ、当然です。私は主婦の守護聖人ですし、充分な贖罪も果たせました。故にもうここにいる理由もありませんので」

 

「そう、それなら仕方ないわね」

 

「はい。それでは良きご加護がありますように」

 

彼女はそう言って、消えていった。あっさりとした退場に立香は少し面食らうものの、彼女の言う通り先に進めるのだから、問題はないであろう。何よりもやるべきことがしっかりとわかったのだ。後は進んでいくだけである。

 

「それじゃあ行きましょう。この先は長いわよ」

 

「そうみたいだね」

 

離宮を抜けて3人は次なる離宮へ向かうための渡り廊下を進んでいく。

山の斜面に作られたこの離宮郡の移動は実質的には整備こそされているが、普通に登山である。健脚には自信がある為大した苦にはならないが、それでも少し汗ばんできたなと思うあたりでようやっと次の離宮へとたどり着く。

 

「やぁ、待っていたよ」

 

そこにいたのは、馬にまたがった美少年だった。赤髪の美少年である。

 

「それじゃあ、早速始めようか」

 

挨拶もそこそこというレベルではなく、もはや実質的には奇襲と呼ぶに近いタイミングで、たどり着いた2人へと騎馬による突撃をかけてくる少年。まさに問答無用の一撃であった。

 

「先輩!」

 

「マシュ!耐えてくれ」

 

「もう、危ないわねぇ」

 

 

マーガレットは、慣れた様子でいつの間にか、壁沿いに離れた場所に移動しており、立香もマシュの盾で騎馬突撃をとどめている間に距離を取る。

これにより、敵の奇襲による優位性を潰し、運動エネルギーも無くした。

 

止まっている騎兵ほど脆い物はない。それは彼の二人目のサーヴァントに教わった戦術概論の中で口を酸っぱく言われていたことだ。

 

「今だ!」

 

「やぁあああ!」

 

 

マシュは相手を逃がさぬように押しとどめていたエネルギーを左にいなし、側面を取って、そのまま盾を回転させて、騎手である少年に引っ掛ける。

 

「おっと」

 

落馬しそうになった彼は、素直に高く飛びあがることで、無事に自らの足で、しっかりと地面に足をつけた。

 

「うん、やるねぇ」

 

「先輩!! この方はアレキサンダーさんです!」

 

「軍団を率いらせたら大変だけど、今は彼しかいない!」

 

「心外だなぁ、僕はブケファラスと共にここにいるよ」

 

そして駆け寄ってきた愛馬へと再び騎乗しようとする彼。状況はまた、振出しに戻ったと言える。

 

しかし、既に言う成れば敵は将であり、王が単身で護衛も付けないでいる状況で、対する此方は、騎士により攻め立てている。

 

「あぁ、やっぱりだめかぁ、せっかく再戦の機会をもらったのに」

 

少しずつ刈り取るように、何とか押し切ったマシュ。体力的には消耗があるものの、怪我などは無く、完全勝利ともいえる。敵対していたアレキサンダーは地面に大の字に寝転がってぼやく。

 

「まぁいいか。楽しかったし、それじゃあこの後頑張ってね」

 

彼はそれだけ言うと、金色の粒子になって消えていく。どうやらそういうシステムのようである。

 

「少し休もう」

 

「そうですね、マーガレットさん申し訳ありませんが」

 

「お茶が入ったわよー」

 

 

移動と戦闘を、マシュ一人だけでこなしている為、疲労がたまっていた二人は、この場で休もうとするのだが、いつの間にか端っこにティーセットと、席が用意されていた。

 

「じゅ、準備いいですね」

 

「全く気づきませんでした」

 

「はぁい、召し上がれ」

 

客人をもてなすのは当然とばかりに、二人にサーブしていくマーガレットの姿を見ながら、二人はまだ続きそうな戦いを考えて、まずは体を休めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たか!」

 

「遅かったですね!」

 

次の離宮へとたどり着いた立香たちを待ち受けていたのは、これまでとは違い2名のサーヴァントであった。

 

「我ら、双子座の力を持つ、神聖なる衣を纏い戦う戦士!」

 

「その名もジェミニ仮面である!! 」

 

 

そこに立っていたのは金色の髪を持つ、同じくらいの背格好の男女一組。バタフライマスクのような仮面で顔を隠した二人は、それぞれの獲物である、剣と盾を構えてそう高らかに宣言してきた。

 

「ほ、本物だああぁぁ!!」

 

「本物ですうううう」

 

 

二人の発した本物という言葉の意味は少し違ったが、概ね驚きという感情は共通できていた。

 

「ふふふ、立香、マシュ。よくここまでたどり着きました。この場は我ら、ディオス……ではなくジェミニ仮面が相手となります」

 

金色の髪を謎の風にたなびかせながら、女性のジェミニ仮面はそう宣言し。

 

「無事に通れるとは思わないことだな」

 

此方もどこからか吹いている風に衣服を揺らしながら、男性もそう続ける。

 

「せ、先輩どうしましょう、カストロさんまでボケに回ってしまってます」

 

「くぅ、普段はいい感じにどちらかが突っ込みに回ってくれるというのに……」

 

立香はこの場の空気感というものにだいぶ毒されて、すでに適応出来てきていた。

しかし問題である、なにせ敵はギリシャの英雄二人組である。数でも質でも神秘でもはっちゃけ具合でも負けているのだから。

 

「ふふ、ここを通りたければ、お菓子を渡すか、私たちを倒すかのどちらかです!」

 

「好きな方を選ぶが良い、人間よ!」

 

はて? どうしてそのような話が? 立香は急に変わってきた敵の主張に一瞬思考が止まるが。つい癖で携帯してしまっている和菓子が荷物にはあった為に、一先ずそれを献上することにする。

 

「えーっと、ポルクス、カストロ。これでいいかな?」

 

「なんだ、これは、なぜ豆を甘くしている?」

 

「ですが、兄様。これはえっちゃんが美味しそうに食べていたやつですよ」

 

「む? そうかでは食してみよう、ポルクスに万が一があることを考えて俺が先に食べよう」

 

「兄様! 3つしかないのです、ここは慎重に。我々はいつでも一緒、そうでしょう? 同時に食べましょう」

 

「ああ、そうだな、ポルクス。だが、残りの1つというのも具合が悪い。奴にでも持って帰ってやるとするか」

 

「それならばしばしの我慢ですね」

 

 

なんか、本当に落差がひどい。何か自分はピントを合わせ間違えているような、そんな違和感がある。だがしかし状況は彼を待ってくれなかった。

 

「さて、確かに菓子を受け取りましたので、通っても良いでしょう! ですが!」

 

「貴様の国の神話では、仲間を募るときに甘い菓子を送るのだそうだな」

 

何やら始まってしまっている、マシュの方を振りかえると、彼女はすっと目をそらした。孤軍奮闘である。

 

「こうも請われては仕方がありません、立香に同行しましょう! 兄様!」

 

「ああ、ポルクス、この先もまだ見ぬ強敵が控えているからな、力になってやろう、人間」

 

「改めて紹介しますと、私はPとでも呼んでください、どうでしょう兄様! いい名前ですよね?」

 

「ああ、お前の美しさがよく表れている、良い名だ、俺はCとでも呼べ」

 

かくして、立香の旅の一行にジェミニ仮面が仲間に加わった。バタフライマスクをした謎の双子戦士、いったい彼らの正体は何者であるのか、謎が謎を呼ぶ中、この謎特異点の探索はついに後半戦へと突入する。

 

 

 




一体何者なんだ……(いつもの)


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Interlude-1

 

 

 

 

落ちていく、どこまでもただただ。上とか下とか、そもそも重力とは何か? そんなあいまいな空間であるが、人々の認知によって下に落ちるという世界法則がある限り、たとえ人でないものによって作られたとしても下へ落ちていくのだ。

 

思い切り投げた。思い切って。

 

だから彼はここにいるのだ。

 

ふと後ろを見つめると、不安定に点滅している光帯はより一層明滅している。ちかちかと光って明らかに危険なのが素人目にもよく分かるほどだ。

 

それを見ることで、ようやっととも言うべきなのか。彼はもう間もなく旅を終えるのだと、そう強く理解した。

 

良い旅であった。

もしかしたら人よりも恵まれていないのかもしれないし、人よりもずっと恵まれていたのかもしれない。そんなことがわからない程度に彼は共感性というものが無かった。いや、あったかもしれないが、育つことはなかった。

 

一人で閉じていた彼の世界は、たった一年で多くの物によって広がり輪を作った。

 

楽しい旅だった。見たことのない景色しかない。行ったことのない場所でしかない、あったことのない人しかいない。新鮮さと未知しかない冒険だった。

 

自分の価値を求めるために、自分が生きている為に戦うものが、いつの間にか戦うことだけが目的ではなくなり、そして、皆のために戦いたくなった。そう、戦うことは手段から目的になり、最後には手段の1つになったのだ。

 

 

 

多く人からもっと多くのものを受け取ってここまで来れた。

 

────ああ、楽しかった。

 

 

光源が光帯以外すべて消えたこの空間で彼は、ただ遠ざかっていく出口だったものを見つめていた。

最後に友達────そうきっとそう呼ぶのだろう────無事だった友達を見つけた。死んでしまったと思っていたあの娘は、こっちに手を伸ばしていたけれど、もう一人の友達は間に合わないのがわかったから、思いっきり投げつけた。

 

無事にカルデアに、家に帰れたのか少し心配だ。ロマンも居なくなったし、自分も居なくなるから、やることはたくさんあるのだろうということだけはわかった。

寂しくはなかった。何時も一緒に居たサーヴァント達がいなくても、十分以上の物をもらっているのだから。

 

 

────やはりこうなったのか

 

────マスター、遅れました

 

声が、聞こえた気がした。倒れこんでいた彼が首を上に向けると、そこには体のいくつかの部位が無くなって、ボロボロになりながら、肩を組んで、血だらけのまま近寄ってくる彼のサーヴァントがいた。

 

「ディオスクロイ」

 

ああ、まだ自分は声を出せたのか、そんな驚きと共に、しっかりと明瞭な声がなにもないこの場所に響き渡った。

 

そこにいたのは、彼のサーヴァントの中で、まだカルデアへと戻っていなかった二人であった。

 

既に体はほとんど消えかけている為、ただただ無理やりこの場に留まっているというのが見て分かるものだ。なにせ、声も出せないほどに白い服が赤く染まっているのだから。

 

「ありがとうな、いままで」

 

彼は看取るという概念をよく理解していない。それでもきっと、終わるときに笑って、仲間と一緒に終われれば最高だとは思っていた。しかし望むべくして一人ここに残った以上、多くは求めまいと思っていたが、最後に仲間がいてくれたのは嬉しかった。

 

────この空間では、死ぬことは出来んぞ

 

それはこの時間神殿という特殊な空間故に起こる例外的処理であった。

人類の時間軸より外れた、一つの宇宙であるこの世界は、死という現象が現在の時間軸と結びつかないのだ。終わりを否定するために作られたこの神殿ではただ消滅するだけなのであろう。

 

「なんだ、じゃあどうなるんだろうな」

 

よくわからなかったが、ここで終わると、綺麗に終われない。そういうことだけはわかった。少しばかり残念だ。それでも大好きな仲間達が皆ではないけど、一緒にいるのならば、悪くない。そう思った。

 

ディオスクロイ、不思議な仲間だった。仲良くしようとするポルクスと、嫌ってくるカストロ。それでもたった2つの特異点を一緒に回って、楽しく過ごせた。大事なのは今までの時間の長さじゃなくて、今どれだけ一緒に居て楽しいか。長いとは言えない彼の人生において、確証を持って彼が学んだことである。

 

「マスター、貴方に、心残りは、あり、ますか?」

 

ポルクスの優しい声が聞こえる。きっと自分と違って全身が痛いだろうに、声を出してきいてくれるのだ。それがとても嬉しくて、申し訳なかった。痛い思いをしないでいてほしかった。悲しくなるから。辛いことをしないでほしいのだ。楽しくなくなるから。

 

「いや大丈夫。やることは、だいたい終わらせたから」

 

いろんなことをした、だからもう十分だ。さっきのロマンも言っていた。自分の生きる意味、生まれた意味は死んだときに初めてできる。ロマンはやり残しがあったから、それを片付けた。と言ってた。

 

それはきっとすごいことなんだろう。よくわからないけれども、皆驚いていたから。

だから、ロマンはすごいことをしていなくなった。最後まで自分でそう思っていればいい。同じように自分も立香を助けていなくなるなるなら、ああ、充分だ。

 

でも、なにか言うとすれば、一つだけあった。立香をみてずっと思っていたことが。

 

「いつも、魔力足りなくて、ごめんな」

 

強いて言うならそれかなと、彼は思った。

だって、立香の仲間はあんなにぶんぶん戦えてるけど、ディオスクロイは、いつも思い切り戦えてなかった。

 

「やっぱ、神様だから、俺にはつよすぎたな、二人とも」

 

きっと考えれば、シェヘラザードにも、マタ・ハリにも、ミストレス・Cにも。立香もマシュにもダ・ヴィンチちゃんにも。カルデアの皆にも心残りはあるだろうけど。

 

今出てきたのはそんな言葉だけだった。

 

「そうか……こうなっても、我等を神と呼ぶか」

 

「我等は古き神性。統合され取り込まれた一部ですが……はい、ありがとうございます」

 

段々と意識が薄れてきた。痛いところもないのに、怪我をしているところもないのに。空間が壊れようとしているからなのかもしれない。

 

「ならば、最後に命じてみるがよい、貴様のマスターとして最後の命令だ。従者として1度だけ聞いてやる」

 

シンドバッドは1画だけ残った、自分の手の令呪を見る。そう言えば使わなかったなぁと。何かできるわけでもない。もうとっくにカルデアには間に合わない。そもそも逃げるときに使っても、何も出来なかっただろう。

 

ならば、さっきの心残りをなくすだけかなぁ、シンドバッドは、少しだけ命令を考える。そして直ぐにそれを伝えることにした。

 

「ディオスクロイ、いい神様になって、楽しく生きて」

 

曖昧過ぎる命令だった。それはまるでサーヴァントに対する命令ではなかった。

しかし、ニュアンスという概念での命令であり、それが彼の最後のマスターとしての仕事であった。特にカストロは何時も自分のサーヴァントであることに怒っていた。結局彼は最後までカストロの人間への復讐心というものを理解し共感することはなかった。

だって難しいから。シェヘラザードにもわからなかった、神が人となって伝えられた結果本当に人となったという話はよくわからなかったのだ。そもそも神の概念も最近知ったくらいなのだから。

 

ポルクスはずっと、自分が悪いと思っていた。あれはさっき倒したゲーティアってやつが悪いのに。だからずっと協力してくれたけど、そうじゃなくてもっと、もっともっと一緒に楽しく旅ができたらもっと良かった。そう思ったから。

 

きっと彼等は二人で居る時が1番楽しいのだろうから。

 

「確と受け取った、マスター」

 

「貴方の命令我らディオスクロイが、遂行いたしましょう」

 

二人はマスターへと────もはや、皮膚が冷たくなっているシンドバッドへと触れる。

 

それは彼らが何れこうなるであろうと、癪だけれど聞いていたから考えていたこと。そんな事に意味があるのかと思っていたが、それでも彼等の神としてあり方の1つである、

 

何の意味もない彼らのもう1つの宝具。先程潰えたソロモン王の第一宝具とは似て非なるそれ。

 

「主神ゼウスよ! 貴方の子たるディオスクロイのポルクスが願い請う!」

 

「その兄、テュンダリダイのカストロも同じく願い奉る!」

 

それは、彼らがふたご座という星座になった逸話の再現。

双子として生涯の殆どを共に過ごした、異父兄妹。彼らの死因の再演である。

 

「わが身を捧げ願います。どうかこの身を、冥府へと落とし給え!」

 

「我らの神性を分け与え給え!」

 

ゼウスの子ではないと、人間として伝わり、人に陥れられたカストロの。死んで冥府に堕ちた彼と、ゼウスの子故に不死である故に、引き上げられたポルクスが、悲しみ嘆きゼウスへと願ったこと。

 

その神性を分け合うことで、人間だったカストロが半分は神であり、二人揃って半死半生として過ごせるようになり、二人は死後の半分は冥界で暮らし、残りを星座として天空で暮らすようになった、神話的結末。

 

冥府の管理神ハデスまで至った魂を、冥府の入り口まで引き戻す代わりに、自身の神性を失うということの再現、死が決まったものを、死者の国のなかで最も生者に近い場所に動かすという、根本的に使い道がない宝具だ。

 

ポルクスの神核とつなげることで、双方の神性を高めて、完全な神へと近づく。彼等の基本宝具、双神賛歌(ディオスクレス・テュンダリダイ)とは全くの逆だ。

 

シンドバッドの死は確定している。しかし空間的な不都合で彼はこの空間が壊れきる前に、ほどけた光帯と共に消えて、現実の時間軸の死として記録されないまま、只々無意味に消滅するであろう。

 

その彼を彼らの宝具により、冥界の入り口、つまり死んだ状態へと強制的に持って行くのだ。シンドバッドは、古代ギリシャの人間でもない。ディオスクロイとは、宗教も時代も価値観も土地も何もかも違う人間だ。

 

故に星座にするように、神性を譲渡することなどできない。ただ彼等の神核の神性を押し付けて、人の死の部分だけを再演させるものだ。

 

ディオスクロイの神性は2人の器に満ちていたが、人間の伝承により歪められたのだ。だからポルクスの分を二人で分けて星座へと至った。

 

この宝具を使うということは、人間により歪められた自身を認めるということだ。神として請われたことを、自身の言葉を曲げないように成すという形で。

 

人間への復讐心で走ってきた、アヴェンジャーであるカストロも消滅するであろう。神性を与えるポルクスも同じくだ。

 

それでも、良い神様だと言われたのだから。

共に戦い、認め合い、全幅の信頼を向けてきた人間に、真っ直ぐと信仰されたのだから。人類史という一つの流れの先達として、人並みの死すら迎えられない主人へと少しばかりの餞をする程度構わないであろう。

 

「「『双星降誕(ディオスクロイ・コンストレーション)』」」

 

その言葉とともに3人の体は光り輝き、粒子となってどこかへと消えていった。

こうして、シンドバッドは冥府へと落ちて死んだ。冠位時間神殿の中で人知れずに立ち消えたのではない、彼は明確に死に至ったのだ。そしてその代償にディオスクロイも消え去った。跡形もなく消え去ったのだ。

 

そこに唯一残ったのは、彼等の持ち物ではないが、懐に入れていた、一枚のカード。

 

胡散臭い女怪盗より受け取ったそれには

 

「耐えなさい、そしてマスターが望めば介錯してあげてほしい。それは私達には出来ないことで。最後の時に共に居れるのはあなた達だけなのだから」

 

そのような書き出しのものであった。



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立香の旅をずっと支えてきたサーヴァント達だ!

「私は悲しい、数合わせで呼ばれたのに、会話すらなく倒されるなんて」

 

バッサリと、一瞬で首をはねられた一撃で屠られて、ほとんど会話をすることもなく第4の離宮のトリスタンは切り捨てられた。ただただハロウィンで会う約束をしていたような気がするだけの男はそのまま消え去っていく。問答無用の見事な斬首であった。

 

「え、えーと、4つ目突破です」

 

それでもしっかりと状況を報告してくれるマシュ、流石に開幕速攻にもほどが会ったと思っていたが、仕事はこなしていた。

 

「もう、二人とも張り切りすぎよ」

 

「ですがここには大したものはないでしょう?」

 

「ああ、そのはずであろう」

 

マーガレットの言葉に対しても、悪びれた様子もない彼等は果たして本当にギリシャの英雄なのであろうか?

ともかく一瞬でこの場の刺客を倒してしまったので、先に進むことにした。

 

 

「だいぶ上ってきたけど、そろそろ折り返しかな?」

 

「どうでしょう。遠近感が狂っていて、近づいたのかどうかわかりにくいですね」

 

 

実際に何があるのかわからないが、こんな面倒くさいことをしなくてはならないことが、此処にいざなった相手からして、何かしらの意図があるのであろう。そこは立香にも確かに見えてきた部分であった。

 

正直なところ、黒幕の正体もなんとなくわかってきた。しかし動機、それが分からない。というよりも方法はもっとわからない。

 

敵の思惑に乗るということはあまり得意ではないのだが、それでも乗り越える必要があるであろう。

 

戦力としては、ジェミニ仮面というマシュも連携を取りやすい、強力な仲間が加わった。これで不足する場合は、根本的に問題があるのであろう。立香一行は第4の離宮を抜けて第5の離宮へと階段を駆け上がって……はいないが、しっかりと登っていた。

 

「あの、お二人は飛べるのでは?」

 

マシュは律儀に立香の後ろを歩くジェミニ仮面に関して、思わずという形でそう尋ねた。なにせこのような形の建物に態々付き合うだけでも驚きなのに、飛ぶことすらしないのだ、何か理由があるに違いない。

 

「お前たちを運んではいけないからな」

 

「はい、しっかり自分の足で進むことも大事です」

 

実際、敵が出てこないとのことなので、道中で魔力消費を無駄にする必要がないのも事実であった。マシュは納得して彼等と歩調を合わせて進むのであった。

 

 

 

「よう、来たか……待ってたぜぇ」

 

「ほう、なかなか骨のある男のようだ、P気をつけろ」

 

「はい、C兄さま」

 

今度こそ完全に見たことのない刺客を相手に立香は思わず身構える。

 

「俺はベオウルフ、細かい御託は良い、始めようぜっ! ぶん殴り合いをよ!」

 

筋骨隆々で上半身をむき出しにした筋肉質な大男。堂々たる佇まいは歴戦の猛者のそれを感じさせられる。少なくとも油断のならない相手であることは事実だ。

 

名前を名乗った以上、マシュは敵の英雄の正体をすぐさま看破する。

 

「ベオウルフ王! イギリス最古の叙事詩の登場人物です!」

 

「皆気をつけ……て?」

 

しかし、よく見ると、その男は目の前のテーブルの上に鉄板皿を置いて、何かの肉を焼いて食べていたのだから、不思議な光景であった。

 

「あぁ? これか? ドラゴンステーキだ」

 

もしかしたら、竜殺し特有の試合前パフォーマンスなのかもしれない。

 

 

「相手にとって不足はない!」

 

「行きましょう! 兄様、マシュも付いてきてください!」

 

「はい! 戦闘開始します!」

 

火蓋を切ったのは、ベオウルフの拳が、カストロの盾をとらえた音であった。

マシュよりも素早く動き、圧倒的に早い。それでいて、攻撃の邪魔にならぬような位置取りを意識した、盾使い。しっかりとその場に構えて、後ろに攻撃が行かないように守るマシュの使い方ではない、攻撃的に相手のリーチやスペースを狂わせる、盾の使い方であった。

 

実は、こうして同じ敵に挑むということは初めてであり、近くで戦うということもなかったマシュは、しっかりと、盾サーの先輩の動きを観察する。

 

今彼女がこの体な理由も不明だし、この経験が後に役立つかもわからなかったが、上昇志向の塊である彼女は自分のものにしようと、必死だった。

 

それはある意味、この変な空間である場所の解決というよりも、事態に深刻さをそこまで感じていないからの余裕とも言える。

 

「しゃらくせぇ!」

 

「力はヘラクレス並みか! 化け物じみているなぁ!」

 

「ですが、ボディがガラ空きです!」

 

ポルクスが目にもとまらぬ速さで、死角へと回り込み、すぐさまその剣で胴を打つ、それすらも、ベオウルフは動物的な反応で無理やりに対応してくる。

 

だが、マシュはそれが自分に求められた動きなのだろうと、構えていた力を一気に開放して、その盾の質量と勢いで押しつぶすように、上から抑え込む。

 

「そうか! マシュは重量級だから!」

 

「いくぞ、ポルクス!」

 

「はい、兄さま!」

 

「効くかああぁぁ!」

 

マシュのシールドの重量と勢いにすら耐えて、そして、ジェミニ仮面のコンビネーション攻撃にすら耐えていたが、それでもダメージは深刻であったようで、マシュを弾き飛ばすも、膝をついている。

 

Pはすかさず、剣ではなく自慢の拳を膝をついているベオウルフの顔へと叩き込む。彼女がいた時代では反則ではなかった。殴りやすい位置にいる方が悪かったのだ。

 

「ぐぅ!」

 

「やりましたっ!」

 

「ああ、見事なワンツーだったぞ」

 

Pの攻撃により、無事に5つ目の離宮を退けることに成功したらしい。

 

「やったね、マシュ。お疲れ様」

 

「先輩、お話があります」

 

鎧とラウンドシールドを纏って戦うために、普段はともかく、戦闘中は布製の服のジェミニ仮面よりもはるかに重い彼女は。先程の聞き逃せない一言を放った立香にそう詰め寄るでのあった。

 

 

 

 

 

 

「よ、よくぞここまで来ましたね、立香、マシュ」

 

 

たどり着いた第6の離宮にいたのは、冥界を写す鏡を持つファラオである、ニトクリスであった。天空神ホルスの化身でもある彼女も、このような狂った場所にいる。

それが立香にとっては自身の考えに、確信を持つ事に至れた。

 

「そっか、やっぱりここ、冥界だったんだね」

 

「ええ、空の色もそれっぽいですし、やっぱりそうだったんでしょう」

 

「それっぽい試練もやってるし」

 

マシュと二人で納得する。エレシュキガルに会いに行った時みたいなことをやらされながら、紫色の空を見上げると、目の前のニトクリスは不思議そうな顔をしてこちらに対して言葉を投げかけてくる。

 

「え? 違いますけれど?」

 

まさかの全否定である。これには立香とマシュの二人は驚くしかあるまい。なにせやっと話が見えてきたと思ったら、全然違ったのだから。

 

「め、冥界編と混ぜた感じじゃなかったんだ」

 

「あなた方は冥界にどんな偏見があるのですか!?」

 

ごもっともではあるのだが、状況が状況ゆえにその誤解も仕方なかったのかもしれない。なにせ立香にもマシュにも心当たりが多かったのだから。

 

「それで、お前は我等と戦うのか?」

 

「地の利は我等にある、神殿に作り変えても居ない以上……」

 

 

ジェミニ仮面は、獲物を構えて、油断なくニトクリスを睨んでいた。事実冥界でもなければ、ファラオの神殿でもないこの場で、しかも屋内で戦士と戦うとなると、彼女にとっては非常に不利な戦いになるのは事実である。

 

「確かに私がこのまま戦えば負けてしまうでしょう!」

 

ニトクリスは戦闘による逸話があるものではない、それは当然の帰結だ。

 

「それでも私はファラオ! 引くわけにはいかないのです!」

 

それは彼女の矜持であり、この場を任された責任というものであった。

 

「かかってきなさい、ギリシャの戦士たちよ! ナイルは時として嵐の海より恐ろしい物です!」

 

しかしながら、開幕のPの一撃により決着がついてしまった。

 

「っく!! 負けました!」

 

メジェドの攻撃がマスターを害するリスクをマシュが無力化してなくなるうえに、速き二人の戦士を前に彼女が勝てる訳もなかった。

 

そして彼女もまた、特に致命傷を負ってはいないが、体が消えていくようだ。

 

「うーん、皆さん帰られちゃうのね」

 

「こんなところにいられますか! 」

 

「まぁいいわ、また来てくださいね?」

 

マーガレットの見送りで、ニトクリスは消えていく。マーガレットは惜しんではいるものの、なんというか、形だけ聞いているという印象を受ける。悲しんでいる風でも残念である様子もないのだ。それは一体どういうことなのだろうか?

 

立香の考えにまた違和感が浮かび上がるものの、必要なのはこの先である。

 

「それにしても、これで6つ……あと半分ってところか」

 

「え? 12個もあるのですか?」

 

立香的にはここは冥界だと思っていたので、7個かなぁなんて希望もあったが、それが潰えた以上、12個の可能性が出てきたわけではある。それは御免被りたいし、いい加減疲れも出てきたし、不在にしているカルデアも心配だ。連絡も復帰しないのである。

 

「安心して頂戴、次で最後よ?」

 

マーガレットは、にこにこと笑いながら立香へとそう告げる。長かったこの離宮の旅ももう終わるというのだ、それは苦労が報われるというものである。

 

しかしながら唐突である、冥界でもないのに7個しか無いなんて。

 

 

「それじゃあ、もうひと頑張りだ」

 

「了解です! 先輩!」

 

 

最後の離宮、その前まで何とかたどり着いた立香達。確かに気が付けば、いつの間にか欧州ぽいつくりの城も近くにある。山もほぼ頂上で、この離宮からは渡り廊下のようなもので、白とつながっている。

 

「長かったですねぇ……」

 

「うん、本当に」

 

「なんだもうへばったのか、人間」

 

「もう、兄様そう言ってはダメですよ、二人共もうひと頑張りですから、頑張りましょう?」

 

 

やいのやいのと会話しながらドアに声をかけるものの、ふと立香は気づく。

あれ? いつの間にかいままで先頭で案内をしていたマーガレットの姿が見えない。しかしそんな疑問は扉を開けた瞬間に吹き飛んだ。

 

これまでの離宮は内部のインテリアもシンプルで、中世風の建物というイメージをそのままハンコで押したような形だった。しかしここは違う、まず部屋が暗いのだ。オレンジ色の垂れ幕までかかっており、紫色の間接照明までが反射する煙のようなものまで焚かれている。よくわからない祭壇もあり、周囲にはマリーゴールドの花が積み上げられている。

 

見たことのないが、何となく雰囲気が伝わる異国のお祭りのそれだった。

 

「え?」

 

「こ、これは!?」

 

二人が呆然としながら足を踏み入れると、ジェミニ仮面はふわりと二人の前に出て、油断なく武器を構える。

 

するとその瞬間にバタン! と大きな音を立てて背後のドアが閉まり、部屋中の蝋燭がおびただしいほどの数火が灯っていく。

 

「よく来ましたね!」

 

吹き抜けになっている建物の、上の階の手すりの上から声が響く。

右手を上に上げた、シルエットだけ見えるが、顔は全く暗くて見えない。

 

人間の形のシルエットではない、まるで巨大な何かを背負っているような、明らかに数人分の横幅がうごめいている。

 

「誰だ貴様は!」

 

「姿を見せよ!」

 

その異様な姿にジェミニ仮面は、鋭い声でそう言うが、張り詰めた様子はない。ただ、そう聞いてみただけという所の物が大きいのだ。

 

「お祝いをすると飛んできましたねー!」

 

「あ、この声は」と立香は思った。そしてマシュも、察してしまった。

 

「とぅ! ようこそ! 私の離宮へ! 歓迎するわ! お祝いですもの!」

 

そこにいたのは色とりどりの装飾に身を包んだ一人の女であった。蝋燭の炎がついに部屋全体を照らすと、その全貌が見えてくる。

 

全身を最低限覆い隠し、過剰な装飾を身に着けたその女は、金髪と羽飾りを揺らしながら、情熱的に踊っていた。

 

「ディア・デ・ムエルトスの祝いですね! おねーさん! 恰好間違えちゃったわ!」

 

ケツァルコアトルがサンバカーニバルの格好で踊っていた。

 

「えーっと、マシュ!」

 

立香は、先程ジェミニ仮面の前に突き放された分、マシュを前面に出すことにした。サーヴァントの後ろに隠れるのが、マスターの仕事なのだから。

 

「え、えーっと。お久しぶりです、ケツァル・コアトルさん。その格好は?」

 

「ええ、今日は死者を呼ぶディア・デ・ムエルトスね! お祝いをするって聞いたから、気分が上がってたらこんな格好になってましたー!」

 

それは違うのだが、マシュは一つずつ確認していく。

 

「えっと、ディア・デ・ムエルトス、死者の日は8月の物で、多分これじゃないです」

 

死者の日自体は、現世に戻ってきた死者を払ったり退けるのでなく、ともに楽しむお祝いであり、よくハロウィンやお盆などとの共通点が語られるが、夏の祭りである。

文化的にスペインが入ってきて、カソリックが広まっても広く親しまれているお祭りである。

 

「この飾りはどうしたのですか?」

 

「がんばりましたー、お菓子も用意して、お花も置いて、半分は野良ジャガーにやらせましたけどね。今はもう帰ってるから安心してね」

 

「な、なるほど。それは安心です」

 

これ以上場の混沌具合が上がってしまえば取り返しがつかないことになってしまう。そういう意味では安心であった。

 

だが、ともかく理由は何であれ、目の前に立ちふさがっているのは事実。しかも今回は自分のサーヴァントすらいない状態での戦いだ。

 

シンドバッドは奇襲をついて、神をルールで縛って倒していたけれど、ここにはそれができるほどの敵はいない。どうするべきなのかと悩むが、

 

「行くぞ! P!」

 

「はい兄様!」

 

ジェミニ仮面は問答は終わったとばかりに切りかかっていく。

 

「んー!相変わらずのヒールねぇ!」

 

この場にえっちゃんが呼べればと思った立香であったが、Pの剣がかすった瞬間にその考えは変わる。ダメージが通っているのだ。

 

「そうか! サンバで来ているから、戦う神の側面が前に出て! 絶対的な善性が失われているんだ!」

 

「サンバだからですね!」

 

立香は天啓を得たとばかりに、敵へと向き直る、無敵性がなければ十分戦える敵である。

 

「行くぞ! マシュ!」

 

「はいっ! 先輩!」

 

広いとは言え室内の中で戦う4人が入り乱れて、部屋の飾りがどんどん壊れて、より混沌とした内装へとなっている。立香はそれを少しだけ後ろめたく思いながら、戦いへと集中するのであった。

 

 

 

「空中技だと!」

 

「さすがのコンビネーションね!」

 

戦いは既に佳境に入っていた、両者ともに傷を負っており、戦況は互角。数で勝ることを考えれば、こちらが押されているといっても過言ではない。

 

数で勝っていて、戦力が優位ではないということは、敵は各個撃破という至極まっとうな選択肢で、いずれ有利になることができるのであるのだから。

 

しかしサンバケツァル・コアトルはそんなことをせずに、観客を盛り上げるように派手な技をかけて、そして技を受けてのやり取りを続けていた。

 

「マシュ! 令呪をもって命ずる! 思いっきり飛び込んで、押し込めっ!」

 

「了解です! はぁ!」

 

立香はこのタイミングだとばかりに、マシュに令呪で支援する。着地の衝撃を殺す為に、体勢に一瞬の隙が生まれた瞬間を見逃さなかったのである。気合を入れた掛け声とともに、彼女は突撃していく。

 

「真正面から受け止めまぁす!」

 

しかしケツァル・コアトルの力の前ではマシュの突進は受け止められてしまう。それでも令呪の力を受けてマシュは踏ん張る。このタイミングこそが勝機だと、いままで連れ添ったマスターの声でそう、確信したのだから。

 

「もう2画合わせて命ずる! マシュ踏ん張れ!」

 

「はいっ! マシュ・キリエライト! 全力で行きます!」

 

それでもカタログスペックで劣っている以上、この均衡は一瞬で崩れるものであった。だが、いつも彼がやってくれていた、強敵の意識をそらす行為。それを今回はマシュがやったのだ。

 

後はきっと決めてくれるはずだ。

 

 

「畏れよ」「崇めよ」

 

「天にて輝くもの導きの星」「我らは此処に降り立たん」

 

「『双神賛歌!』」

 

あらゆる防御を貫くその攻撃は、見事にケツァル・コアトルへと致命的なダメージを与える。まるで本来はこうしていれば倒せたのだというように、彼等の全力の一撃は確かにケツァル・コアトルへと通じ、見事勝利していた。

 

「お見事でーす!」

 

しかし、彼女は倒れても尚、楽しそうに笑っている。

彼女はそのまま何も言わずに消えていった。

 

まるで自分の役割を終えたかのように。

 

 

「さて、立香、マシュ」

 

「次が最後です、行きましょう」

 

ジェミニ仮面は、今の戦闘で宝具を発動したが、それでも正体に関しては何も言わずに先へと歩き出した。立香は終わりが近いことを感じながら、マシュと共に歩き出す。

 

きっとこの先に答えがあると思いながら。

 




今週中に最後まで行きます。


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詳細不明な内容で、高額報酬な大事な仕事の依頼

構成上短いです。


全ての離宮を抜けて、立香たちはついに城の奥へとたどり着いていた。

 

「やっとつきました……」

 

「長かったね……」

 

渡っている空中回廊から覗き込むと、今まで自分たちが必死に登ってきた道のりが見える。最初の離宮がおもちゃのように小さく見えるということはと考えると、それなりの距離であったのだろう。

長く感じた要因は決して距離によるものでなかったような気がするのだが。

 

案内役のマーガレットはいつの間にかいなくなっていたが。場内に入ると、道順がしっかり示すように蝋燭の明かりが道を照らしており、まるで誘導されるような形で、一行は歩みをすすめる。

 

よくわからない絵画や、壺などが並び掃除や管理がきっと面倒だろうなと思いながら、慎重に進んでいくと。意外とすんなり最奥の部屋までたどり着いた。

 

なにせ巡回している人影が一切ないどころか、城は静まり返っており、人の気配がないのである。呼び止められるなどの妨害は一切なかったのだ。

 

誘導されたその部屋は、玉座といった謁見を目的とした部屋ではなかった。しかしかなり広い、城のサイズ感に則った部屋ではある。

役割を言うのならば私室とするのが正しいのであろう。日用品は高級感あふれるもので整えられていたが、近代のイギリスのアンティークが多いのは趣味の為であろうか?

 

 

「よくきましたね皆さん」

 

「ええ、遅かったじゃないの」

 

「うふふ、ごめんなさいね、騙して悪いけどこれもお仕事なの」

 

そして、いなくなっていたマーガレットも何食わぬ顔で、応接用のソファーに腰掛けていた。そんな彼女の横で入室した立香達へと声をかけたのは、ある種予想通りの二人であった。

 

「やっぱり、マーガレットは俺の知ってるマタ・ハリだったんだね」

 

「ミストレス・Cさん! シェヘラザードさんも!」

 

「どうだったかしら、私たちの城、千夜一夜チェイテ城は?」

 

「お楽しみいただけましたか?」

 

 

まるで、当然ことのように質問をしてくる二人、だが、立香にはまず確認しなくてはいけないことがあった、それはジェミニ仮面についてもである。

 

「ここにいるみんなは、シンドバッドのサーヴァントだよね」

 

そう、召喚主であり、マスターであるシンドバッドが未帰還になったとき、彼らはカルデアから消えていた。座に帰ったのかとも思われていたが、霊基パターンはしっかりと保管していたため。3人の女性陣に関しては、彼女たちが同意すれば、連続性をもって、召喚に呼び出されるであろうという見方であった。

しかし依代となるマスターがいない故に召喚されては来なかった。

立香も別れこそは悲しい物であったが、シンドバッドのサーヴァントである彼女たちを、緊急性がない限り、自分が呼ぶというのは、何か違うと思ったし、そしてディオスクロイに関しては霊基パターンすら戻らないままに消失していたために、今日まで至るのである。

 

「ええ、そうよあなた達のこともよく知っているサーヴァント、その認識で間違いないわ」

 

「そんな、どうしてこんなことを!」

 

マシュの言葉には様々な意味を含む。このような場所に来てしまった故に、彼女はデンジャラスな格好をする羽目になったのもあるが。

何よりもこんな異常な空間を作ってしまえば、人理が乱れてしまうと彼女が思ったのが何よりも大きい。

 

「あら? 私たちがしゃべると思っているの?」

 

マーガレット、もとい、マタ・ハリは不思議そうに、それでいて妖艶に笑う。彼女のその微笑みを前にマシュは思わずたじろぐ、罪悪感や躊躇い、そういったものが感じられないものであった。

 

「それよりも、やっと来てくれたのだし、女主人としておもてなしをしないといけないわね」

 

ミストレス・Cは怪盗の格好でメタリックな銃を構えて、此方へと歩み寄ってきている。明確な此方への対峙意思を感じさせる動きである。

 

「申し訳ございませんが、私たちの要件を済まさせていただければと思います」

 

あの、非交戦性の塊のようなシェヘラザードでさえ、杖を構えて立ち上がった。

忘れてはいけないのは、彼女たちは戦いに関する逸話も技術も道具を所持しているわけでもない。しかしそれでもサーヴァントだ。人類を遥かに超える身体能力を持った、人類の運用できる最強兵器の端くれなのだ。

 

 

立香は戦闘への気配と、何よりも数的な不利を感じ取った。なにせ自分たちはマシュとジェミニ仮面、いやもう十中十でディオスクロイ、しかも行方不明であった彼らだ。

それはつまり、彼等はシンドバッド陣営のサーヴァントなのである。

 

彼らが敵に回れば、自分とマシュの2名に対して、相手の本拠地で、正面に3名のサーヴァント、背後にトップサーヴァント2名という状況で挑む形になる。

 

それはどんなに好意的に見繕っても、勝ち目という物が一切見えない絶望的という言葉ですらぬるいと感じられるような戦いになってしまう。

 

ちらりと横目で、背後の入り口付近のドアで手持ち無沙汰にしていた二人を確認する。

すると意外にも、彼等は今まで敵を前にするとやる気満々で武器を構えていたのに。自然体でそのまま佇むままであった。

 

「この程度の相手、自力でなんとかしてみるがよい」

 

「立香、マシュ頑張ってくださいね!」

 

仮面も外すこと無く、そのまま何事もないように戦いへの不参加だけを告げる。Pは手を振って応援までしているほどだ。つまりは確証は持てない。しかし直様自分たちを害することが目的なのならば、此処までにいくらでも機会はあった。信じて進むしか無い。

 

「マシュ!」

 

「はいっ! これが最後です!」

 

盾を握りしめて彼女は思い切り正面の敵へと踏み込むのであった。

 

 

「いやです、これは、死んでしまいます!」

 

「弱気になっちゃダメでしょ! ほら、立香? こっちみて?」

 

「あなた達遊んでないで! スピエルドルフ! ラインフェルト! 撹乱するのよ!」

 

 

戦況は端的に言えばカオスであった。マシュのチャージアタックを正面から受け止められるサーヴァントが敵に居ないのだ。辛うじて、シェヘラザードの呼ぶジンだけは多少拮抗するが、マシュが充分押し切れる程度。むしろ2犬のほうが、彼女の行動を拘束して来るので邪魔なほどだ。

 

そして立香はひたすらマシュの後ろ姿だけを視界にいれている。不思議と視線が惹きつけられるような気がして、マタ・ハリから来ているであろう、魅了が効いていなかった。

 

そして、あっさりと天秤は傾き始める。

もとより、デミサーヴァントとはいえ、1年の間、最も前で敵の攻撃を受け止め続けた騎士の英霊の力で戦う少女。戦いを好まない女性陣へと果敢に挑みかかっていけば、どんどん彼女たちは部屋の隅へと追い込まれていく。

 

「ガンド!」

 

「ありがとうございます!! これで終わりです!」

 

立香が、犬の動きを支援魔術で一瞬止めたそのチャンスを彼女は、最大限活用した。もう一匹の犬に向けてラウンドシールドを振るい払い、弾き飛ばした。

そしてその場に盾を置いて彼女はその身1つで飛び込む。腰には帯剣している彼女はめったに使うことのないその剣を抜き放ち、素早く当身と足払いをかけて全員を転ばせた後に彼女たちへと突きつける。

 

「抵抗は無駄です! 降参してください!」

 

動くスペースもなければ、目の前の敵にすべての行動を抑えられている状態で、3人のサーヴァントはあっけなく、コーナーに追い込まれて倒れてしまっていた。

 

苦笑しながら両手を上にホールドするマタ・ハリ、ふてくされたように座り込むミストレス・C。そして直様額を地面へとこすりつけるシェヘラザード。

 

一瞬で勝敗は決まったようである。

 

「戦闘終了です」

 

「お疲れ様、マシュ」

 

終わってみればあっという間であったという勝負に安堵した立香、後は原因を聞いて解決というわけだが。

ジェミニ仮面は決着がついたから近寄ってきたが、少し離れた所で此方を、いや少しはなれた所にあるマシュの盾に潰されかけた犬を助け起こしている。

 

敵だとしてもすぐに襲いかかってくるという様子ではなさそうだ。

 

「それで、どうしてこんなことをしたんですか?」

 

立香はもしかして彼も居るのではないかという予感を覚えたが、そんなことはないようだと状況を考える。こういう風になっても彼が来ないとは、立香には思えなかったからだ。

 

 

「立香さん、貴方のいた国の謝罪、土下座。これは誠心誠意を込めた謝罪であると同時に、首を差し出し、生殺与奪を相手に委ねるという意味がございますね?」

 

頭を下げたまま、彼女はそう続ける。長い黒髪が彼女の体に絡まっているが、苦しそうには見えない。

 

「……ですが、この謝罪にはもう1つ大きな意図がございます。それは、この土下座は表情を取り繕う事無く、顔を隠したまま謝罪できるのです」

 

 

その瞬間、部屋の明るさが急に変わったのに気づく。光だ、光がジェミニ仮面の方向から、つまりは背後から差し込んでいるのだ。

それがナニカもわからないまま、立香は反射的に前に飛び出し、マシュの元へと転がり込む。

 

「先輩!!」

 

「マシュ!!」

 

なんとか転がり込んだ二人は直様体勢を立て直そうとするが、立香は、マタ・ハリに腕を、ミストレス・Cに脚を掴まれてしまう。

 

「はぁい、ストップよ」

 

「ちょっと大人しくしててちょうだいね」

 

その言葉は拘束した立香ではなく、マシュへと向けたものであった。

あ、ヤバイ! そんな感情が彼を満たす中、ゆっくりと立ち上がるシェヘラザードを、彼は目をそらすこと無く睨むのであった。

 



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Interlude-2

それは、ある日のこと。万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの元に一通のカードが届いた、それがすべての始まりであった。

 

時は2015年の秋。まだ人理焼却がなされる前。

自室兼工房としているところにたった一枚だけ、いつの間にか正体不明のカードが混ざっていたのだ。

 

彼、いや彼女はその何も書かれていないが、確実に自分のものではないカードを調べると、驚いたことにこの時代のものではない、どこか別の世界から紛れ込んだものであるという観測結果が出たのだ。

 

「んー、これは報告するべきかなぁ?」

 

たかがカード一枚、万能の天才が、科学技術と魔術を融合させたカルデアで合間を縫って程度だが、2月ほど研究して分かったのがそれだけである。プライドと実利、そして現実的に、ファーストオーダーという大きなプロジェクトを前に。彼女の知的好奇心程度の探求は一先ず脇に置かれたのであった。

 

 

────そしてあの日人理が焼却された。

 

多くのスタッフが亡くなった中、彼女は何とか冬木から戻ってきた2名のマスターと生き残ったスタッフをロマニと共にまとめなければと決意して、自室で今後について考えていた時、部屋の片隅に置いてあったカードに違和感があった。

 

そのカードには文字が浮かび上がっていたのだ。

 

それは、この人理焼却という事象が確定したために、そのカードへ元々文字が書かれていたことになったからである。そんな事を知る由もなく、だが彼女はその聡明な頭脳で正解に近い確信を得ていた。

 

「なるほどね、これはイースターエッグではなく、タイムカプセルか」

 

それは、要約すると書いてあることは一つ。カルデアの備品として所属したマスターの装備開発の依頼であった。

 

カードの送り主は、ある特異点より、多少はこちらに干渉ができる様子であり。そのマスターにより、カルデアへといずれ呼ばれる可能性があるというものであった。

 

今後の情報や、黒幕の詳細そういったものは一切かかれていなかったが、聡明な彼女にはわかった。

 

「あえて書いていないのか、検閲でもされたのか、まぁ理念はわかるし良しとしよう」

 

このカードの差出人は、恐らく味方に近い立ち位置であろうと。なにせカルデアに都合の良い事が書かれていないのだ。要求自体は、自身が材料を手に入れてマスターの安全を考えれば作成をすることも頷けるものであり。そもそもが、未来の自分が作るであろう物であるのだから。

 

ただ気になったのは名前を刻まないで、空白のままにしてほしいという不可解な注文であったが、彼女はそれに従うことにした。

 

「このデザインは明らかに、私が作ったものを誰かが書き写しているね、うん、よく見たから分かるよ、なにせ死後まで私のせいになっているものが多いくらいなんだ」

 

未来か過去の自分か知らないが、既に命名しないという風に彼女自身が決めて作っているらしいのだ。ならばその自分の芸術性を曲げることはできない。

 

そうして彼女は、備品ゆえに優先度が下げられていた、名無しのマスター候補生の生態管理のための素材開発のタスク。そのプライオリティを書き換えた。ロマニにも納得できる不審がられない説明をきちんとした。

 

なにせもうその存在は、名無しの備品ではない、人類最後のマスターの片割れなのだ。その体調管理は最優先事項と呼んでもよいであろう。

その彼の持つ捕食、略奪という相手を食らう性質を少しでも緩和する理で作られた服、そしてグリーヴ、最後にはグローブ。名もない『3つのものに彼は支えられる』人間となるように彼女は物を作り与えたのである。

 

その後も旅は続いたが、カードはそれから特に大きな変化はなかった。しかし、オケアノスより帰った彼が召喚したサーヴァントを見た時、彼女は確信した。

 

ああ、彼女かと。なにせ手に持ったカードを名乗りと共に見せびらかして見せたのだ。

 

しかし、彼女からの接触は意外なほどなかった。それ故に彼女は冷静に推察した。

渡すべきものを渡す。そのように指示したのは彼女自身ではなく、同位体か同一別時間帯か何かなのであろうと。

 

そこからの彼女は一先ず指示もなく、何よりもロンドンより戻った後のドタバタを越えたあたりからは、しっかりと成長が見えた彼らをみて、自身の役割はもう十分なのかと、納得していた。

 

「私が思考して導き出した結論を、一瞬で察した作家連中にはやや腹が立ったけれどね」

 

だが、あの日第6特異点よりマスターたちが無事帰還した次の日、10月31日に彼女の前についに現れたのだ。

 

────流離いの女怪盗、ミストレス・Cが

 

「お邪魔してるわよ」

 

ダ・ヴィンチちゃんの工房を自室のように、我が物顔で声をかけてくる。それはカルデアの警報システムを誤魔化すほどの潜入技術であるが、そもそも彼女の霊基はカルデアのものにあるのであろう。

普通に自身の渡していたカードを目印にダ・ヴィンチちゃんの工房へと何食わぬ顔で侵入していた。

 

「なるほど、ちょうど1年前だね、このカードが来たのは」

 

ダ・ヴィンチちゃんには日付とカードの因果関係という要素を一切考察する材料がなかった。しかし記憶はしっかり保持していたために、全く同じ日付に現れた瞬間におおよそは察せていた。この日付10/31だけ、人理焼却前に彼女は大きな干渉ができたのだと。

 

「正解よ、ただ私は人理が焼却された以降の10/31より後ならば、存在が確定するけれどね」

 

「ふーん、それで私の作品は期待に添えるものだったかな?」

 

過程も理由も省いて、尋ねたのはただただ製作者としての確認だけであった。優秀すぎる彼女の脳裏には、多くの情報が、多くの推論があり、彼女が今日この日に、この形で現れたことで、ほぼ正解に近いものを導き出していたのだから。

 

「ええ、あなたのおかげよ。報酬になるかはわからないのだけど」

 

そして女怪盗は追加の注文を投げかけた。現在はウルクへと突入するのだという準備の時期で、非常にバックアップスタッフたちは多忙だ。

 

「なるほど……こうなったのか、彼は」

 

だが、それでも、そういった結末になるのであれば、彼女としても元々用意があった物の作成を進めることと、既に作っていた物をまた作る程度であれば、やる価値はあると確信できた。

 

「まったく、人をただの便利屋扱いしないでほしいのだけれどね」

 

「ごめんなさいね。でもカルデアにはそれだけの対価を支払う用意があるはずよ」

 

「そういうことなのだろうね……わかった、どうやらそれを支払うのは私ということになるようだし、受け入れようじゃないか」

 

ダ・ヴィンチちゃんは、カルデアの召喚システムに関して少しだけ細工をした、システムへの介入などは彼女には出来ない。ただ行ったのは、召喚されているサーヴァントの表示といった、情報の紐づけを行えなくするちょっとしたものだ。

それによって、既にカルデアの召喚システムでは限界までサーヴァントがいる、そう表示するようにしたのだ。

 

既にカルデアのキャパシティ的に新しいサーヴァントの維持をする余力はあまりない以上、その程度は問題はなかった。

 

「なんとか間に合わせてみせようじゃないか」

 

そして依頼された二つの物へと取り掛かるのであった。

 

 

ダ・ヴィンチちゃんの工房を後にしたミストレス・Cは、誰にも気づかれぬままに懐かしいカルデアの設備を歩く。もとより施設設計の段階の想定よりも、多くの人が亡くなっているため人が少ないので無人だ。

この土地自体にはあまり思い出は多くない為に、彼女はすぐさま目的の女性の部屋に入る。

 

「ごきげんよう、皆さん」

 

その部屋には3人の女性がいた。

 

部屋の主であり、褐色の肌に青い布で申し訳程度に身を包んだ、語り手のキャスター・シェヘラザード。踊り子のような衣装と、エキゾチックなアクセサリに身を包んだアサシン・マタ・ハリ。そして完全に鳩が豆鉄砲を食らったような、否、自身の過去がロボやビキニアーマーに身を包んでいることを知ったような顔をしている女怪盗・ミストレス・Cが。

この部屋にはシンドバッドのサーヴァントが3名いたのである

 

「なっ、なっ!!」

 

「しーっ! 静かにして頂戴、自分が増えるくらいよくある事でしょ?」

 

黒い水着に身を包んだ自分に対して、怪盗姿の彼女は呆れたように宥める。この自分程ではないが、他二人のサーヴァントも驚いている様子だ。

まぁ無理もないであろう。立場が逆だった時には、大いに驚いたことであるのだし。

 

「お話をしましょう、私たちが幸せになる為の、お話を」

 

そして、前置きもなくミストレス・Cは3人のサーヴァントに向けて語りだす、彼女の計画する面倒な規模の詐欺事件を。

 

「結論から言うわ、あなた達は、マスターの事好きだと思うけど、この関係をいつまで続けたいと思う?」

 

それは、失意のままに生前を終えた者、欲しいものを手に入れる事ができずに潰えた者、理想の前に摩耗して消えた者、その3名に対する分かり切った問いかけであった。

彼女たちの理想に近い終りが見えてきている今を、どう思っているのかという根本的な問いかけであった。

 

「わかってると思うけど、マスターは長くないわよ、次と最後の戦いを終えたら、もう寿命まで数日になるわ」

 

それは客観的な事実であり、何よりもこの3人が見て見ぬふりをしていたことであった。

結局のところ、このカルデアに呼ばれたのは、人理焼却という例外的すぎる異常事態があったからであり、この大きすぎる殺人事件が解決すればそれで終わりだ。

解決してくれてありがとう、それじゃあ後は今を生きる人間の仕事だから、また困ったら呼ぶね。そう言われて座に帰らされることだってありうるのだ。残りの人間が僅かだからこそ成り立っている異常過ぎる均衡状態は、勝っても負けても終わりが見えているものでしか無い。

 

どれだけのことを成したとしても個人で英霊を所有できるという事はない。なにせ彼女たちの維持する魔力はカルデアが負担しているのだから。英霊を使役するというのは、一流の魔術師並のリソースを持ち、自分で魔力供給ができ、英霊がそのダウンサイジングに同意して、双方の同意があって初めて実現するのだ。

 

「それで、あなた達は良いのかしら?」

 

どこまでも挑発的に、自己紹介すらなく説明を始める彼女。それはそう以前やられたからでもあるし、何よりも詳しく説明するよりもまずは冷水をかけて現実を見させてやる必要があるほど、彼女たちはのぼせ上がっているからだ、

 

「詳しくお話を聞かせてください」

 

それに対して一番早く返せたのは、シェヘラザードであった。彼女からしてやはりマスターの消失に伴う死というのは、祝福すべき形でなければという思いがあった。たしかに彼女は、そういった別れすらも容認する、そう思って此処まで来た。紆余曲折はあったが折り合いは付けた。それでも蜘蛛の糸が垂れてくるのならば、掴んでしまうのが彼女のあり方であった。

 

「ええ、いいわよ……と言うよりも、こっちはもうほとんど終わっているのよね」

 

そうして彼女は計画を語りだした。多くの偶然と、それをつかみ取ったことにより、自分達がどこまでできたのかを、そしてそのためには何をするべきなのかを。

 

「マスターを殺しなさい」

 

そう、それは矛盾であった。マスターのために、マスターを殺す事、それがこの馬鹿馬鹿しい女の情念を起因とした、はた迷惑な事件を起こす上での最低限の条件だ。

このまま流れるようにマスターが死を迎えてしまえば、彼女たちに事をなす猶予は与えられない。最後に必要なタイミング、終局特異点でマスターを殺すことが何よりも必要であった。そこから続きを話そうとする女怪盗に対して、部屋にノックの音が響く。

 

「シェヘラザード、それに皆、居るか?」

 

「マスター!? ちょっ! ちょっと待って頂戴。わたし達今取り込み中で」

 

マスターであるシンドバッドが訪ねてきたのである。突然の事態に慌てながら、水着姿のミストレス・Cは声を上げる。

 

「ごめんなさい、今はわたし会えないのよ」

 

それに続くように、怪盗の彼女も扉越しに声をあげる。ちょっとしたいたずらごころから出たものである。

 

「マスター、申し訳ございません」

 

シェヘラザードのその言葉に、少し不思議そうにしながらも、シンドバッドは離れていった。女性には色々あるので、素直に従うように熱心に洗脳、もとい教育されている彼はそういうこともあるのであろうと納得したのであろう。

 

「貴方が返事してどうするのよ!」

 

マタ・ハリは呆れていた、少し考えればおかしいことに気が付かれるかもしれないことに。話の核心はまだ見えてきたばかりだが、秘密裏に行うものであることははっきりしているのだから、

 

「いいえ、マスターは……最後まで私たちを疑わないわ。どんな終わり方になってもね」

 

それは、彼女の経験によるものであった。介錯の必要なく戻ってきたために、直接自分たちが手を下したこともあるという事を彼女は知ってしまったのだから。

 

「説明はしたわ、後の方法は任せるわよ、双子に関しては次に戻ったときに話を通しておくから、それまでに考えをまとめておきなさい」

 

そう言って彼女は部屋を後にした。きっと彼女たちは悩みに悩んで、自分たちと同じ結論を出すのであろう。それが嬉しくて悲しいことであった。ああ、自分たちはどこまで言っても浅ましい女達なのであろうと。

 

そうして、他にも少しばかり拝借する用事も済ませて、彼女は帰るべく廊下を歩いていた。いや本来どこからでも戻れるので移動という行為には意味はない。それでも彼女は、彼女だけが許された特権を行使するかのように、カルデアの廊下を歩いている。

そして目の前より目当ての人物が歩いてきた。

 

「あら? 今帰りなの」

 

「……? ミストレス・C?」

 

「ええ、そうよ」

 

少しだけ不思議そうに此方を見ている、『元』マスターを視野に入れると、彼女は薄く笑いながらふわりと軽やかな身のこなしで近寄る。

 

「どうした? なんか、違うな?」

 

「ええ、わたしもいろいろ思う所があったの、今度……いえ後で話せると思うわ」

 

彼女はそう、眩しいものを。もう此処まで純粋で全てを委ねてくるような瞳を見ることはないのであろうと、そう確信していたからこそ、この光景を目に焼き付ける。

 

「ワインは口に合わないかしら?」

 

「まだ、あんまり得意じゃない」

 

なんでもない会話、これができることが何よりも彼女にとっては嬉しいことであった。

それでもこれをいつまでも続けるわけには行かない。彼にはまだ使命があるのだから。それを邪魔することだけは許されないのですから。

 

「うーん?」

 

「それじゃあ、良い夜を、貴方」

 

そう言って彼女は、薄暗い廊下へと身を躍らせる。変わらず不思議そうな顔をした彼をその場に残して、するべきことをするために。



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Indelible Illusion

名曲です。


「どうしてこんな事をした……ですか。今、すべての準備は整いました」

 

自ら倒れ伏していたシェヘラザードは、ゆっくりと立ち上がりながら、立香の問いかけに対してそう答える。

彼女は別に最初からカルデアを、立香を、シンドバッドを裏切っていたのではない。最初こそ彼女なりの思惑があったが、それはもう溶けて無くなっている。

ただ、あの時。終局特異点に向かうときには、もはや猶予はないと考えて行動に移したのだった。

 

「もともとミストレス・Cは城の内装の為、ロンドンの頃よりこっそりと盗みを働いていました」

 

シェヘラザードはインテリアとして飾っているワインのボトルや、そもそも他の多くの家具へと視線を向けながら、そう紡ぐ。それはミストレス・Cの女怪盗としての彼女の在り方であろう。別におかしいことではない、倫理観には反しているが、彼女は悪の英霊であり、そういったあり方なのだから。

 

「そして、ずっと千里眼を持つ者たちは知っていました、私たちがこの時間の狭間で何をしているのかを」

 

魔術師マーリンは推している男の子の近くにいる男のつまらない結末を見た。人としてただ終わることもできない、汚れ切った男だと、あれに対して協力する意味を見出せなかった。

それでも邪魔をするほどの醜さではなく、結果的には見事に自分がファンになった彼を盛り立ててくれた、故に邪魔もしなかった。

 

賢王は全てを見た上で、趣味が悪く、醜悪な遊びだと皮肉げに笑っていた。だが、懸命に自分の力だけで立ち上がり、自分の力だけで進もうとして行くシンドバッドが、最後につかんだものが仲間という有り様を見て、彼は面白半分に与えたのだ。ウルクを救った報酬を。

 

「私たちの手には、過程を省いて結果を作り出せる、ウルクの大杯がありました。でも本当に欲しいものはその過程を選ぶ必要がありました」

 

シェヘラザードはこのような回り道をするはめになった理由を、只々語る。

 

「このお城はミストレス・Cの持っていた、いえ、厳密には彼女のエリザベートとしての部分の物でした。特殊な時間軸にあり、多くの可能性と混沌を内包する、あやふやな場所です、それはとても好都合でした」

 

なにせ、人理という何層かに重ねたスクロールにさらにZ軸方向に離れた所にあるのだ。焼かれて空白化した所に現れた2016年のハロウィン。それと、存在しないはずの『人理焼却されている2015年』のハロウィンに、存在の可能性がある2017年のハロウィンが同時に偏在しているのだから。此処はハロウィンである異常性がある限り、逆説的にどの時期でもあるのだ。

 

「私たちはこの場にマスターが終局でなくなる前に、カルデアに戻らず退避しました。聖杯を供給源として。まぁ彼女だけはこの城を依り代としていましたが」

 

そして、シンドバッドは死んだ。彼女たちにとって予想外だったのが、彼の人生の終わり方は、場合によって死ぬことすらできない可能性があった事であろう。必要によっては、帰った後に殺す可能性があったのだが、それすら出来ない、時間神殿で事象の中に消えることがわかってしまったから、ただ見ていることしかできなかった。

しかし、それもディオスクロイの献身により、彼は双子神により冥界へと捧げられるという死因を得ることができた。

 

「この場にディオスクロイの二人がいる以上、もう成功はするはずなのです、彼等は死因ですから」

 

それは、彼女の語りが故に起こってしまう矛盾。存在しえない人物を語って世界を騙すのではない、存在する人物を逸話を語って、世界に信じ込ませる。そしてその逸話をもって、この縁をもって呼び出すのだ。

 

逸話はたった20名にも満たない人間が知るのみだった、それでは足りないから持ってきた。間に合せの彼の話。それをひたすら語り終えて、彼は非常にマイナーな都市伝説までに、そう本来英霊には成れない程度の、幻霊ほどに呼べるようにはなっている。つまりは、もう場は整っている。

 

「立香とマシュ、あなた達は7つの離宮を抜ける行程で、彼の冒険を簡易的に再現してきてもらいました。それによってより強固なものとなる、あなた達に被せたロールがより、世界を消せない幻想で満たします」

 

シェヘラザードは立香を見つめながら、そう優しく問いかける。それは労るような、慈しむような笑顔であり、冷たく狂った独善的な女の情念の笑みだった。

 

「他者を食い物にしたり、騙し騙されたり、そして悪魔を退けて女の元へ帰るお話を、あなたたちはご存じのはずです」

 

その話こそは、世界一有名な船乗りの話、多くのおとぎ話として語られている架空の人物の話である。子供向けに大衆向けに脚色や編纂がなされ結末や仔細は異なる。それでも7つの冒険を中心に冒険した船乗りの話である。

合わせる幻霊は同じ名前を持ち、7つの冒険を果たした、航海の神に守護された勇士である。

成したことの実例は、人理焼却から救ったということで、人理焼却から救ったものに再演させている。

 

「そこに相乗りさせていただきます。本当に、準備は整いました」

 

そう、マシュが彼女たちを下す際に、投げ捨ててしまった盾は、既に部屋の中心で光を放っている。周りはディオスクロイに囲まれて彼等は静かに成り行きを見つめている。その時点で彼女たちの準備は終わっているのだ。

 

「逆順なのです、私達が呼んでくるような形ですと、恐らく望まぬ『モノ』になってしまいます。なにせ彼が来る時は自身を犠牲にして戦うときですから。だから私たちは、ここまでとにかく『ここにきてもおかしくない状況』を作り出してきました。故にここについに叶います」

 

もはや、立香を押さえることすらしないで、シェヘラザードの横にマタ・ハリとミストレス・Cは並び立つ。あっという間のようで、ひどく長い時間を費やしたような気がする。

 

「逸話を語り、世界を限定し、信じ込ませました。座に持って行かれているわけでもなく、守護者としての契約も結ばない彼は。その全盛期を呼び出してしまえば、それはもう人ではない形に成り果てているのです」

 

「私たちと共に戦った彼、その欠けた部分をあなたたちの認識、それをこの私が語ったという、この空っぽの船乗り、名前が同じ彼の方に注ぎましょう」

 

この部屋には予め記されていた、世界一の船乗りの物語。聖杯により魔力は十分に存在している、そして依り代のホムンクルスも納品済みだ。最も、聖杯がある以上、絶対に必要ではなかったのだが。

 

「そして私達に危機が迫り、立香とマシュも危機に陥りました、ならばきっと……」

 

そして場に光が満ちていく。それはこの場の誰もが馴染み深いものであった。最後に呼ばれた双子ですら自身のときに経験しているのだから。

 

「せ、先輩! 」

 

「そっか……そういうことだったんだ」

 

マスターである立香にはわかった。サーヴァントが来ることが、どこまでも面倒なことをして縁と因果を結んだ理由も。

 

呼び出されるのは、特例的な英雄であろう。この世界でないところでのみ語られている都市伝説、マイナーな伝承、それで呼べる程度の幻霊。それをこの世界での活動する『名前』という鋳型に注ぎ込む。既に世界は騙せている、魔力も足りている、触媒の死因もいる、そしてマスターもいる。きっかけとしてのイベントもこなしている。

 

逆説的にすべての要素がそろい、そしてなによりも。きっと、彼がまた来たいと思ってくれたから、この召喚は始まったのだ。

 

あの終局特異点、冠位時間神殿で、縁という細い道筋を手繰り寄せて、単独顕現もないサーヴァントたちですら、僅かな縁をたどって走ってきてくれたように。最もこの場にいる人たちに会いたい彼が、ここに来るのだ。

 

より光が満ちる、室内を真っ白な光が包む。目も開けられないようなその輝き、それが薄れていくと、そこに立っていたのは、一人の青年だった。

 

アラビア風のパンツに、はだけた上半身を覆う上着、腰に短い曲刀を携えた。髪の色も少し違う気がするが、目が合った瞬間に理解した、ああ、この表情の動かし方は、きっと彼だと

 

「サーヴァント! アルターエゴ・シンドバッド!! 召喚に応じ推参した!! どうだ! 決まっただろ? ちょっとだけ勉強もしたんだぜ? でもまあ、うん。会いたかったよ、皆!」

 

立香は、今まで抱えていた、ダ・ヴィンチちゃんから渡された荷物に伝わる震動とマスターとしての経験で、一人の英霊がリストへと追加されたことを確信した。これがきっと簡易的なカルデアの座なのだ。ここに霊基グラフが記録されていっているのだ。

 

この彼は、この場の聖杯によって召喚されているのだろう、この特異点のようなものは、ハロウィンがある限り不滅なのだろう。

 

だけど

 

「お帰り、シンドバッド」

 

「ああ、立香も、また会えたな」

 

また、自分が呼べばきっと彼は来てくれるようになったのだ。

世界のどこかで少しだけでも、彼を覚えていてくれる人がいると、世界が認めてくれたのだ。

 

「「「「「マスター!!」」」」」

 

 

色めきだって、召喚された彼へと飛びつくいくつもの影。それに少し遅れてもう一人。

そのにぎやかな光景を見て、立香は、マシュと顔を見合わせる。

 

「一件落着かな?」

 

「はい、そうですね」

 

なにせ、ハロウィンの特異点は、帰った後も残り続けるのだから。人理に悪影響を与えていた、2016年のハロウィンを切り離して。

用は済んだから帰っていいよ。とばかりにどんどん消えていく二人の体、少しご無体な気はしたが、それでも笑顔のまま二人は帰る。とっても嬉しいお土産を手に、カルデアに戻れるのだから。

 

「立香! また困ったら呼んでくれ! 今度の俺はもっと頭がいいから、きっと力になる!」

 

「ああ、約束だ!」

 

「はい! また会えたら嬉しいです!」

 

聖杯からの知識を得た彼が紡いだ、その言葉を聞いて二人はカルデアへと帰還する。多くの世界を救って、その別れ方は様々だったが、それでもこの別れもきっと良いものなのだろうと、二人は笑いながら帰ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、お帰り、二人とも」

 

その声に目を開けて周囲を見渡す二人。景色は先程と変わらない様子で、戻ってきたのはダ・ヴィンチちゃんの工房であり、時間も殆ど経過していなかった。少なくとも半日以上はあそこに居たという認識だが、まぁそういうものなのだろうと、納得することにした。

 

「さて、早速だけど、報告がある、心して聞いてくれ」

 

「あの、まずは謝罪と説明が先だと思うのですけど」

 

マシュの冷静な指摘はしかし、彼女に笑顔で黙殺されてしまう。まぁ基本的に英霊というのは我が強いためこうなるのは致し方ないであろう。

 

「あの特異点は現在2016年の10月31日上にあってね、この事象が帰結したのがその日なんだよ」

 

冠位時間神殿というあやふやな場所から、彼らはその時間的不確かなままに2016年10月31日へと移動していた。

 

「だから、シンドバッド君の命日は、2016年の10月31日ということになるんだ、その試作品の霊基グラフはそう記録されているのさ」

 

彼女は笑いながらそう続ける、イタズラがバレてしまった子供のように。とっておきのサプライズパーティーを成功させた少女のように。

 

「そして、その日からカルデアのサーヴァントの召喚枠は1つ埋まっているんだ」

 

ガタリと小さい音が聞こえた。

 

「ロマニが疑問に思っていた、サーヴァントキャパシティがなぜか埋まってしまっているということ。それは所属がカルデアだが、誰にも召喚されていない状態のサーヴァントがずっといたということだ。どちらにせよあれ以上は連れて行くことも出来なかったからね」

 

「マスターである君は、特異点で退場したサーヴァントを、カルデアで再度召喚して、連続性を保って呼び戻せる。その行為を用いて説明するのであれば、そのサーヴァントは呼び戻されないまま、ずっとカルデアにいたということになる」

 

「今の君は、もう呼んでしまっているのだけどね。なにせあんなあやふやな場所で結んだ縁だ、ヘンに作用してもおかしくはないであろう?」

 

「ということで、これからよろしくな!」

 

それはいつかきっとの再会が、今日この場になったという事である。もう何度目かわからないなか、立香はマシュとともに、後ろに立っていたサーヴァントへと飛びかかるのであった。

 

立香の目に写ったのは、そのサーヴァントとしてのステータスと真名。

それを読むまでもなく、誰だかわかったのだから。

 

 

 

 

マスター:藤丸立香

 

真名:シンドバッド

 

クラス:アルターエゴ

 

宝具:共に征く七つの海(アルフ・ライラ・ワ・ライラ)

 

 

 

 

 

 




剣:ディオスクロイ マスター:シンドバッド
弓:ナポレオン マスター:藤丸立香
槍:アルトリア・ペンドラゴンA マスター:藤丸立香
騎:謎の女怪盗ミストレス・C マスター:シンドバッド
術:シェヘラザード マスター:シンドバッド
殺:マタ・ハリ マスター:シンドバッド
狂:謎のヒロインXA マスター:藤丸立香
盾:マシュ・キリエライト マスター:藤丸立香
分:シンドバッド マスター:藤丸立香


70話の前書きは誤字でもネタでもなく、要約でしたという話。
明日の更新、つまり次で終わりです。


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今宵は此処まで

エピローグです。


それはどこかの不思議なお城のお話です。

 

そこには一人の王様がいました。

 

彼はずっと一人で暮らしていました。長い間一人でいた王様は人と話す事を忘れてしまいます。

 

ある日王様は、このままだと世界が滅びてしまう、そういう予言を聞いて旅に出ます。誰もいない国よりも、誰かと一緒にいる方がいいと思ったのです。旅を始めた王様は世界を救うために、多くの仲間と一緒に7つの海を股にかけた大冒険をはじめました。

 

友達や3人の美人な奥さん、腕利きの戦士たちと一緒に世界を滅ぼそうとする悪魔を倒した王様は、戦いの果てに死んでしまいます。

 

戦士と一緒に、とても綺麗な奥さんを助けるために、友達を救うために悪魔と相打ちになった王様は、皆に感謝して死んでいったのです。

 

そんな王様は、目が覚めると不思議なお城に帰っていました。

 

不思議に思いながらも、周りには多くの仲間が、あの戦士たちもいます。そう、一人だった王様は、皆が戻ってきてほしいという声を聞いて、お城まで帰ってこれたのです。

 

こうして王様は、3人の麗しくで器量が良くて素敵な奥さんと、名もない戦士たちと一緒に、時々友達のところに遊びに行きながら楽しく暮らしましたとさ。

 

めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……このような感じでしょうか?」

 

ある日の千夜一夜チェイテ城の昼下がり、多くの物語を記憶し語っていますが、この度は自身で物語を記してみるという全く別のことに挑戦しています。

 

それは、彼のいる証をより強固にするための物で。半分は手慰み近かったのですが、始めてみれば意外と気づくことも多いものです。たった数分で語り終える短いお話にも、これだけ書き手に込められた思いはあるのだと、また一つ語り手としての技量があがっている気がしています。

もはや、時間的な束縛から切り離されたこの城では、私達は飽きるまで語れますし、好きなだけ書ける以上。少しでもなにか糧となれば、それは何れどこまでいけるかの楽しみになるのですから。

 

この城は、時々ハロウィン要素が暴発する以外、特に過ごすことに不満はないのです。

 

生活能力という点に関しては、私も含めて、マタ・ハリ以外は全員が平均未満なので、彼女がヒエラルキーのトップにいますが、基本的に各々が思い思いに過ごしています。

 

「マスター! 今日はクリンチを練習しましょう!」

 

「ポルクス待て! 服装を考えろ! おい! シンドバッド! くっつきすぎだ!」

 

窓から見えるディオスクロイのお二人は、結局この場に残っています。彼らがそもそもこの場にいるのは、マスターが召喚され得るからという理由でしかない訳なのでしたが。

他の聖杯で呼んだサーヴァントたちと違い、彼らは気が付けばこのあやふやな世界にいらっしゃいました。結果的に、本来は3人だけのつもりのこの城で暮らしています。まぁ賑やかしにはなるので良いでしょう。

 

何よりも、マスターも喜んでいるのです。それは私達にとっても嬉しいこと。

 

 

「ポルクス、カストロ、いくぞ!」

 

「行きますよ! 兄さま!」

 

「まてっ! なんでいつも2対1になる!」

 

「だって、ディオスクロイがそろったら敵無しなんだろ?」

 

「そして兄様はマスターと組もうとしませんし」

 

「こうなるよな?」

 

聖杯からの知識が入ったのか、以前よりだいぶ大人っぽく、普通の人らしさも出ているところがあって。時々昔のあの、何もかもを自分たちに委ねていた頃と違うということを、強く感じてしまいます。それでも一人前の男性になったのですから、それはとても良いことなのでしょう。寂しくはありますが。

 

愛の向きも重さも量も質も、何も変わっていないものが向けられています。それならば、それ以上を求めること無く、こういったあり方を愛でていければ、そう思ってしまいます。

 

「戻ったわよ。あら? シェヘラザード、あなただけ?」

 

ミストレス・Cは変わらず気ままに怪盗をしています。時々立香さんの所にもちょっかいを出しに行っているそうで。というよりも、彼が召喚している方の『シンドバッド』に会いに行っているのでしょう。

まぁ、どちらも彼ではありますし、多少思う所がないこともないのですが。彼女の特権でもありますから。

 

「今回もまた、美しいものが手に入ったわ……ああ、これでまたビューティーでエレガントな、私達に相応しい物を手に入れることができた。あの小娘、もとい自分にはできないことよね」

 

既にどこかに置いてきたのでしょう、彼女の手には何もなかったのですが、恍惚とした表情で、私の後ろのソファーに体を預けて、こちらの方を向きながら彼女はどこまでもリラックスしています。一応この城の持ち主でもあるので強く文句は言えませんね。

 

「みんなー!ご飯できたわよー」

 

そこにマタ・ハリの声が響くと、窓の外の3人もそして私達も直ぐに移動を開始します。なにせ彼女は普通に専業主婦に近い生活をしているのです。

日がな一日、庭仕事や掃除に食事を作ったりと、楽しそうにしています。私は元々王妃と言う事になりますし、ミストレス・Cは変わらずミストレス(女主人)、ディオスクロイはあれで、スパルタの王族で戦士。マスターは言うに及ばずです。

 

「マタ・ハリ! 今日のご飯は?」

 

「あら、マスターおなか減ったの? 今日は、ケールのスタムポットよ! 好き嫌いはダメだからね?」

 

食卓に用意された席は6つ。それぞれが不思議な因果で、一人の人間の処に集まったわけです。ああ、本当にこんな生活はずっと続いていくのでしょう。代わり映えのしない日々が延々と、永遠に。

 

ああ、願わくば……

 

「みんな、大好きだ。ありがとうな、一緒に入れて嬉しい!」

 

 

彼のこの言葉が心からの本心であるように。そう願ってしまうのです。テーブルの向かいに座りながら、私は彼の笑顔を見続けます。死ぬことがないこの場で、世界が終わるまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生と死の差というのは、現在を生きている生物の主観的な捉え方の差でしかない。

高次の次元から見た場合、生物が生きているのか、死んでいるのかということ自体が論ずるに値しないのだ。そもそもその区分で生物の状態を生死という『状況』に分類したいとしても、自身の意識以外に自身の生死すら認識できていない以上、何を持って他者が『生きている』とするのか。

 

哲学的ゾンビとはすなわち、唯そこに実在するということの保証なのである。どんなに親しくなっても、相手のことを思っていても、それが自分と同じ主観をもって、共感した上にその行動を返すのか、ただそうあれかしと誰かに決められているのか、自分が認識している相手はいるのか。それすらも判別する方法も本質的には存在しえない。

 

だからこそ、人は自分だけは良いものにしようと足掻く。その方法は、努力して積み上げるものもいる。何もせずひたすら進む者もいる、欺き奪い取るものもいる。そういった多様性のある環境で、どれだけ自分が『強く在れる』かというのが、その人の人間的な生き方というものである。

 

死後の英霊というものが珍しくはあるが存在するこの世界で、今を生きる人にどれだけの価値があるのであろうか? 何が自身の生死を分けているのであろうか?

それは恐らく、自身の生き方がどれほどに誰かを巻き込んでいるかであろう。人を人たらしめているもの、生物を生き物と示しているもの、それは存在があやふやである、他者からの視点、刺激、反応、そして強い感情なのだ。

 

例え自分以外全ての人が、そうあれかしとされた反応を返すだけの、いっさいの自由意思が存在しないものであっても。それでも相手に自分と同種の自己があり、自分の存在定義を相手に委ねたいと思う。そう思えることこそが生きている証拠なのだ。

 

マシュ・キリエライトは自身の生まれてきた意味を知り、それを全うして、自身の生を終わらせようとした。彼女は人よりも短く終わりが設定されているが、周りを見れば彼女より醜悪な環境に生まれて、凄惨な死を遂げ得るものなどごまんといる。そもそも自意識を確立し、食事があり、飢えがなく育つことができていること自体を喜ぶ人もいる。

 

ただ彼女は、何も知らぬまま生き、旅路で多くの色彩を得ることで。最後に自分の答えを得たのだ。結果的に何者かに拾われて、生をつなげたのだが、それは偶発的なものでしかない。

 

ロマニ・アーキマンはどうであろう? 彼はそのマシュを見て、自身のやっておくべきだったことを改めてみる機会を得た。当時の環境としても特殊すぎる、上位の存在に何を願うかと問われた彼は、見る力を知る力こそを望み、それにより何も使わずに一度は生を終えた。

その際に残してしまった、巻き込んだことの片づけをするという形で、彼は本当に終わりを迎えた。生前自身のすべてを終えて、次に進めた人類というのは本当に少ない、彼は独自の方法でそこに至った、確かに生きた人であった。

 

それであるのならば────

 

ただ一緒にいるだけならば、『彼』が生きている意味はない。

きっと彼の在り方はどうしても変わらないからだ。終わりに向かって走っていく彼とは、一緒に居られない。

 

故に、最も苦しみが少ない形が良い。

人であるかどうかというものすら論じなけらばならないほどに変質していった、雑種の竜や、キメラになる彼ではない。そんな彼の形で一緒にいるのならば、安らかに眠っていてくれればよい。

 

そしてなによりも3人は、自分たちと近い形でいる『彼』の方が望ましかったのだ。

 

人の顔を持ち、二足歩行で、優しく接してくれて、激しく求めてくる。そういった性質を持っている『彼』の方が、本物の生きている『彼』よりも求められているということだった。

 

別にそれは裏切りでもなんでもない。だが、同時に別のものへの裏切りであった。

ただ、好きな人に理想の形であってほしいと思うだけの、浅ましくて、それでも人が相手に求める事である。

 

だから、『彼』には死んでもらったのだ。

 

だって、死んでくれた方が、より理想に近い『死ななくて、殺さない彼』が『優しくて、溺れてくれる』彼が『老いることなく、変わらない』彼が手に入るのだから。

 

彼女たちの選択がそうである以上、あと大事なのは、受け手側の感情だけなのであろう。

 

どんな形の方法でも、彼を満足させられるのであれば、きっと彼と彼女たちの関係は良好だ。一夫一妻の論理感がない故に、奥さんがたくさんいても、それで円満にやっているのならばよいのだし。一人と一人の関係でも、求めるものが一致していないのならば、それは不幸せな関係になる。

 

そして『彼』にとっては、好きな人から『何かしらを』貰えるのであれば、なんでも嬉しいのだ。

 

それは死でも苦痛でも絶望でも、『愛』という形であれば、どんな刺激でも。無味乾燥であった人生を歩んできた彼にとっては、声を掛けられるで嬉しかったのだ。子供が好きな人からの反応が欲しくて、嫌がらせをしてでも注目してもらうように。

彼はどんなものでも良いのであり、最初から好意的にこちらを篭絡しようとする、奪おうとするという存在の、探り程度の行為ですら、砂漠にまかれる水ほどに吸収してしまう。

 

自身の存在を、人生を否定して、都合の良い形に歪められて、永遠に閉じ込められることすらも、彼にとっては深い尊い愛情と等しいのだから。

 

いかに不健全でも、彼女達が幸せであればよかったのだ。

 

しかし、なぜかわからないが、余分な物も付いてきた。あの双子神は、彼等なりに正しく導こうとしている。それはきっと、規範的に考えれば良いことなのであろう。

 

それ自体は、彼女たちにとっては不快ではある。フリーライドをされたような気もする。しかし、彼等こそが一番やりたくない仕事をこなしてくれた以上、何も言えないのも事実であった。

 

ならば、ちょっと怪しい趣味まで嗜むことが心配だが、もう離れることもない場所に来た以上。多少の不満には目を瞑ることだ。

 

それが彼女たちの処世術、欲しい物を欲しいだけ手に入れたいが、最低限を手に入れたのならば、妥協をする。諦めるというものだ。

この少し足らなく感じるくらいが良いのであろう。

 

そんなどこまでも独善的、否、利己的な彼女たちの企みは成功した。してしまった。

ここに全てを暴く正義の味方はもう来ない。そうなり得る人物は抱き込んで、報酬を渡して帰ってもらったから。

正義の組織ももう来ない。正義の味方と組織への貢献を考えれば、わざわざ労力を払うこともないであろう。一つはそちらに置いている以上、これ以上を求めてくることも感情的にないはずだ。

 

これは、女達の生んだ醜悪な人形劇。糸を操る者も、操られる者も、紛れ込んだ者も、等しく踊り続ける歪んだ喜劇。だが、百点満点で不満がない。永遠に続く夜明けだけがそこにあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、マスター、準備できたわよ、入って頂戴?」

 

マタ・ハリのその言葉に導かれる様に、彼は気が付けば浴槽に体を預けていた。場所は豪華な装飾に包まれたタイル張りの部屋、湯気が広がりつつあるこの部屋にいるのは二人だけ。

 

「かゆいところはないかしら?」

 

「あるものなのか?」

 

「あら? こう言うのは気分の問題よ?」

 

広い浴室には、平均的なサイズともいえる、相対的には小さい浴槽が中央に置かれているだけ。この形式は、きっと日本人にとってはあまり馴染みがないものであるが、シンドバッドにとっては関係がなかった。入浴というもの自体をそこまで好むことはなかったが、好きな人と行うことということに意味があり。マタ・ハリもこの行為自体への憧れがあるからそうしているのであって、機能性など求めていないのだから。

 

「はい、髪の毛終わったわ」

 

彼女は甲斐甲斐しく世話を焼いているのだが、シンドバッドは少々複雑な気分だ。なにせこのようにされると昔を思い出すからである。一人で何も出来なかった、あの旅のはじまったばかりの頃を。

 

「それじゃあ私も失礼するわね?」

 

彼女は泡を洗い流して軽い調子でそう言うと、ふわりと回り込んでそのまま狭い浴槽にするりと体を預ける。人ひとり分のお湯が溢れて外に流れていくが、二人共気にもとめていない。それほどに相手に夢中なのだから。

 

「ふぅ、いい湯加減ね?」

 

「ああ、流石だよ」

 

思わずといった様子で漏れた言葉。彼女は体の力を弛緩して彼へと寄りかかる。状況的にそれは自然な行為であり、誰も見ていない以上止めるものなどいなかった。そしてふとと言うよりは、改めて確認するかのようにシンドバッドの胸板をなでる。

 

「ああっ……ちゃんと温かいわね、本当に」

 

「お湯が暖かいからな」

 

「もう冷たくならないでね……マスター」

 

「ああ、グレーテわかってるよ」

 

生前、鱗のようになり、見た目通り冷たくなっていた彼の忌むべき肌はもうない。なにせ、彼は召喚される際に、そのように調整されたのだから当然だ。人と同じ普通のものがあるだけ、違いを述べるとすれば

 

「傷、やっぱり残ってしまってるのね」

 

体を預けることで、より近くで見る彼の肌にある、無数の戦傷だけであろう。

彼がこの体になってから、肌を合わせる度に、こうする度に何度も見てきてはいるが、見る度に思い出してしまう。

シンドバッドの体は聖杯によって呼ばれ、半ば受肉に近い形でこの世界に固定されている為に、生前の体の傷も再現されていた。勿論、爬虫類のような、竜の鱗のようだった肌はなくなってはいる。それは嬉しいことであるが、経験として得た傷は残したせいか、事実としてそこにあるのだから。

 

「ん、やっぱり嫌か?」

 

「そんなことないわ! あなたが守ってくれた証ですもの」

 

シンドバッドが前線に出て戦い傷を負っていたのは、それほど長い期間ではない。大まかに言うのなれば、オケアノスまでだ。それ以降は、常にサーヴァントが前に出れるまでの、支援程度に活躍する程度だった。

それでも彼の体の傷は多く、それが彼の旅路の険しさを表している様子だった。

 

「あなたは、いつも新しいことを頑張って覚えていくから、私は少し不安なの」

 

「そうか?」

 

彼女は、ローマより旅を共にしてきた。出会った当初の彼は、話すことすらたどたどしさがあるほどに、無知で普遍的なことを知らない人間だった。しかしローマでは初めて海を見て、彼は泳ぎたいと思い泳ぎを覚えた。その後も、閨で囁けばその技も覚えていき、戦い方も新たな武術を身に付けた。ダンスだって教えてみたら直ぐに覚えて上達した。そう、彼は成長をする人間であり、向上心に溢れていた。

 

「私には眩しいわ、先生になる夢も、いい奥さんになる夢も諦めちゃったから」

 

それは彼女の生前の後悔、美しすぎるゆえに、若く優しいがゆえに、彼女が巻き込まれていったこと。生前の不幸の始まり。それを話しながら、落ち込んでいく気分を感じ取ったのか、太い腕が彼女の臍の下鼠径部の辺りに回り込み、きつく抱き寄せられる。痛みとそれ以上の充足感が、心の自尊心を舐めて彼女を絆していく。

 

「グレーテは頑張ってるよ……俺はずっと見てる」

 

「ええ、ありがとう……でも時々考えてしまうの、こんな過去を持った女は、貴方お嫌いかしらって?」

 

「そんなことは全くない、信じてくれる?」

 

なにせ彼の過去こそに、何ら大きなものはないのだ。最低限の生きてきた道筋という虚無に近い物が辛うじてあり、そこに特別意味はない。故に、彼女がどんな過去があろうが、今ここに居られる以上、全力で受け止めて、一緒に居たいという気持ちだけだから。

 

「今、一緒にいる、それで楽しいから嬉しい」

 

シンプルだが、それゆえに強烈な結論だった。二人とも、複雑な経緯があってここにいる。今また会えているから嬉しいのだ。

 

「そうね、らしくなかったわ」

 

彼女は笑顔で彼の肩に頭を預けて、下から彼の顔を覗き込む。彼女の太陽が陽の目に映り込む。

 

「一緒に、今を楽しまないとね」

 

「ああ、そうだな」

 

その人の肌を感じられる体を愛おし気に撫でながら、彼女はこの日々が続くことを祈るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、飲みなさい」

 

「ありがとう」

 

ミストレス・Cは相も変わらず盗んできたものを愛でながら、勝利の美酒に酔っていた、その美酒も盗品ではあるのだが、彼女的には問題はない様子だ。愛しい男に酌をさせ、自分も注いであげる。それは彼女の至福の時なのだ。

 

「本当に、ここまで長かったわ」

 

「ごめんね、迷惑をかけて」

 

「いいえ、私は怪盗。欲しいものはどんな手を使っても奪い取るもの、ただ今回は、なかなか大きい獲物だっただけのことよ」

 

そうは言うものの、彼女が果たした役割は大きい。彼女がいなければ、仮にシンドバッドが普通に最後まで人理修復を果たしたとしても、その後死に絶えて終わりであったであろう。

正攻法では、何をしても彼の寿命というものは取り除けない。逆説的にメディアなどの神代のキャスターと十分なリソースがあればあるいは……というものではあったが。それでも消耗した寿命の殆どは戻ってこなかっただろうから。

 

たった20名も知らない英雄譚を、守護者にもならずに、怪物の痕跡を残さずに、この場に呼び戻す。タフな仕事だったが、それでも充足感は大きい

 

「マスター、私の真名、気になるかしら?」

 

実は今まで一度も聞かれなかったことを気にしている彼女。明かすことが自身の矛盾になってしまうゆえに、名乗ることはできないのだが。

 

「いや、ミストレス・Cはミストレス・Cだ。俺にとってはそれだけで良い、それだけで十分だよ」

 

「そ、そう?」

 

彼にとって彼女は、ただの大切な人。もとより名前を持たなかった彼にとっては、呼び方は相手がその名前を気に入っているかどうかだけが重要であり、呼んでほしいのならばそう呼ぶという形だ。一人の例外を除いては。

 

「そうね、そういうものなのかもね……って、グラス、全然減ってないじゃないの?」

 

シンドバッドのグラスは一口しか減っていない、彼は酒がやはりまだ得意ではなかった。まぁ仕方ないことであろう、彼にとって発酵しているもの、それそのものに馴染みがないのだから。

 

「ごめんね、ちょっと得意じゃないから」

 

「そう? それじゃあ……こういう趣向はどうかしら?」

 

彼女は彼のグラスを手に取り、口に含むのかと思いきや、それをその場で少しだけ傾ける。すると、当然中身はこぼれていくのだが、水着で抑えられていたものを、さらに左腕で包み込むように抑え、持ち上げていたことにより、首筋をつたって、谷間に赤い水溜りができる。

 

「さぁ? 飲んでみて頂戴?_」

 

「う、うん。わかった」

 

イタズラ気に笑う彼女は、この夜がずっと続けばよいと、そう願うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、やっと起きましたね!」

 

どうやら、良いのをもらって、少しばかり気絶していたようだ。シンドバッドは少しばかりぼやけた意識で、すぐに状況を確認する。

 

「だいぶ強くなりましたけど、まだ拳闘では負けませんよ、マスター!」

 

「ポルクス、こいつは厳密にはもうマスターではないのだぞ?」

 

「あ、そうでしたね兄様」

 

起き上がると周囲にはディオスクロイの二人がいる。シンドバッドは、また稽古をつけてもらっている途中に気を失っていたのであると再認識すると同時に、僅かばかりの悔しさを覚える。それは仕方がないことであるが、本能のようなものだ。否定など出来なかった。

 

「好きに呼んでいい、俺は気にしない」

 

シンドバッドは立ち上がりながらそう告げる。そして時計を見ると、気を失っていたのは、ほんの数分という所であった。それでも意識を手放したのは事実である。

 

「やはり、基礎的な数値が上がったからか、見違えるほどの耐久力にはなったな」

 

基本的に辛口のカストロもそういうほどには、シンドバッドはサーヴァントとなって強くなっていた。もとより肉体に関してはかなりの物だったが、その強度の屋台骨を担っていた『多くの物を取り込んだ』という事実そのものが、器が変わったことにより無くなってしまっている。

 

それでも、シンドバッドという幻霊に近い英霊を器に使ったことと、ベースの彼がもとより技量で捌くタイプであった為に、総合的には大きな戦闘力の上昇が実現されていた。

 

「マスターが一角の勇士になられて、私も師匠として鼻が高いです、スパルタ流は正しいのですね!」

 

「ああ、そうだなポルクス、お前の美しさに俺もいつも鼻が高いぞ」

 

「俺も二人が楽しそうで鼻が高いぞ」

 

ずれた発言を返しながら、もう一回と姿勢を低く構えようとするが、やはり足元がふらつく。ダメージはそれなりに大きい様子だ。

 

「あっ! マスター!」

 

「無理をするな」

 

一瞬で両腕を両方から取られて、倒れないように支えられる。こんなやり取りももはや慣れっこであったが、昔に比べて仲は深まったのであろう。シンドバッドはあまりそう感じないのだが、他の人達がそう言っているわけだし。

 

しっかりと重心が定まったのを確認すると、二人はそのまま顔を覗き込む、焦点が定まっているかの確認であろう、双子故に造形が似通っているが、性別が違う二人の顔をこうしてみると、少し不思議な感じはするが、とても美しい相貌に吸い込まれそうになる。

 

「カストロ、睫毛長いな?」

 

あまり近くで見ることのない、二人のグレーの瞳を注視しながら、シンドバッドはそう漏らす。自然に出た言葉で他意はないのであろう。

 

「むぅ!? 何だ!」

 

「兄様、ファイトです!」

 

思わず後ろに跳び退るカストロ、あわや尻餅をつきそうなほどの急撤退である。シンドバッドは疑問符を浮かべながら、更に謎の声援を送っているポルクスの肩に手をかける。急にバランスが崩れたので致し方ない、なにせちょうどよい高さにあるのだ、

 

「というか立てるではないか!? えぇい!! とっととポルクスから離れろ!!」

 

「あっ、もう兄様ったら、私はどちらでもよろしいのに……」

 

双子は何時ものように楽しそうに掛け合いをしている。空に浮かぶ星にすらなったこの神様は、シンドバッドにとって、最強の仲間であり、その象徴的な存在である。信仰という概念を、知識でしか知らない彼が、もし神を信じるとしたら、きっと彼等なのであろう。

 

そんな視線に気づいたのか、二人はいつの間にかじゃれ合いを止めて、此方へと歩み寄ってくる。ふわりと飛び上がり、今度は腕ではなく両手を双方から取られて、中空へと身を投げ出す羽目となる。堕ちても死ぬわけではないが、どんどんと高さを増していく中、双子は空いた手を繋ぎ合い、3人で1つの輪となる。

 

「本当に、ずっと一緒にいましょうね、マスター私達の大切な人」

 

「俺とお前は、ポルクスに捧げられた者同士だ、果てることは許されない」

 

吐息が掛かりそうなほどに顔を寄せられて、シンドバッドはそれでもしっかり耳に届く声を聞いて力強く頷く。

 

「勿論だ、これからも俺を導いて欲しい、二人にはずっと一緒に」

 

その言葉は満額の回答だったのだろう、双神は更に勢いをまして登っていく、日は暮れて紫の空は薄暗いなか、蒼い光が彼等の金糸のような髪に反射している。

 

「元より我等は、欲しいものは奪ってきた身です。余り期待をもたせると、本当に貰っちゃいますよ?」

 

「ローマにある我等の神殿、今残っているのは柱のみだという、3本だけのな?」

 

元より二人はギリシャの生まれ、神であったものではあるが、その文化に深く根ざしている。

故に、何時かレウキッポスの様になってしまうかもしれない。それでも3人は今日この日を楽しく生きるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足を絡める。彼がこの場から離れぬように、貴方の温度を感じられるように。

腕を取り、包み込む。貴方が此処に居たくなるように。

身を委ね、頭を預ける。自分の香りを染みつけて示しているように。

 

そして、彼の耳朶に響くように、甘く優しく蠱惑的に囁く。

 

「……今宵は、此処までといたしましょう?」

 

そんないつものルーチンワークを終えて、彼女はただ同じ寝台の上で、彼の隣に横たわっていた。

 

サーヴァントになっても、もはや彼女の物になったといっても過言ではないほどに、目の前の男を染め上げたのに。それでも何時か、目を離せばどこかに行ってしまうような。そんな漠然とした不安に苛まれる時がある。

 

彼女は何時だって、寝屋の上にいる男を信用できない、生前から、魂からそういうものだからだ。それでも、全幅の信頼と、根の深い依存をこちらに向けるように、彼のことは育て上げてきた。だからこそ、彼女は安心してすべてを委ねつつ、同時により多くを求めようとする。

 

「ふふっ、そんなに気に入ってくださいましたか」

 

「うん、すごく良かったよ」

 

余韻が残る甘い痺れと、今も少しだけ弄られているもどかしさを感じながらも。それでも息を乱さぬように、少しの合間で呼吸を整えること。それは語り手としては必須の技術であり、彼女もサーヴァントである以上、その程度の事は容易かった。

 

「ふふっ……頑張った甲斐がありました」

 

だが、それでも少しだけ肩で息をするように嘯けば、彼は優しく肩を抱き寄せて、逞しい腕で包み込もうとする。

ああ、これだ。こんな風に、どこまでも優しく私を包み込み、安寧を感じさせて欲しいのだ。

 

狂って殺すことはないでしょう、怒って罰することもないでしょう。激しく求められて死んでしまうことは……もしかしたらあるかもしれませんが。それでもきっと、死ぬ前の部分で止めてくれるように、仕込みもしておりますと、きっと彼女は言うのであろう。

 

それは、欲しいものを時間をかけて、欲しい形にして、欲しいようにした。まさに欲しいがままの女の手腕に裏打ちされた確実な成果であった。

 

「どうした?」

 

此方に気を遣うように顔を覗き込んでくる、その彼の額に汗一つ書いていないのは少し癪だが、今日はそれでも良いのだ。本当に彼を溺れさせるのならば、もう既に一人だけでは足りないのだから。

 

虚脱感と共に体を寝台にあずけて、少しずつ思考が正常に戻ってくると、彼女はもっと欲しくなってしまう。

彼女の体は既に悲鳴を上げているが、心もまた別の悲鳴を上げている。浅ましくも求めている。

 

『欲しい、欲しい、もっと欲しい。もっと私に溺れて、もっと安心させて、もっと安寧をください』

 

愛と生存欲が結び付き、生前の恐怖と生存本能ゆえに磨いた技能は、暴走を始めている。

死への恐怖という、マイナスの物から逃げるために踏ん張った彼女は、その技術を遺憾無く発揮して、プラスの極点へと、上り続けてしまう。

 

彼女にとって、現状維持こそが目的であり、それが不満なのだ。既に安全と感じているのに、今を安全にするということは、次が安全でないかもしれないという思いに、徐々に置き換わっていく。

そして今の幸せを、『より強くしたい』という思いが、欲深く浅ましい女へと思慮深い彼女を変貌させていくのだ。

 

人というのは、危険なところから戻ってきた事に感じる安堵感そのもので興奮してしまう。その興奮が強すぎる故に心を壊した彼女。生存への回帰が、生きる前提にあった彼女にとって、絶対の安定という今の場においては、通常通り満足するには、常に満たされ続ける必要がある。

 

それこそ、もう2,3人増えてもらって、まとめて同時に求めてもらい。結果死にそうになるくらいの方が、彼女にとっては安心するのかもしれない。きっと彼は殺さないという確信があるゆえに、同時に彼女はより強く求められたいと思ってしまうゆえに。

 

「ふぅ……すみません、マスター。私はどこまでも、卑しい女のようです」

 

彼女にとって、行為も手段であり、目的ではない。生きる事、自身の周りごとの幸せの存続が、目的であるのだから。安定しきった今の状況は少しだけ危険であるのだ。

 

「どうしたの?」

 

そんなことを露とも知らずに、この男は私という沼に入ってくる。少々大きすぎる故に、膝までつからせようとまだ余裕があり、どんどん深く潜ろうとしてくる事が心地よい。そう彼女は思ってしまう。

 

「ふと、考えてしまうことがあるのです、英霊にとって逸話の再現というのは、宝具であるということを」

 

「今なら、少しはわかる。だから続けてよ」

 

昔なら、どういうことだ? そう帰ってきたことが、こうして聞いてくることが、少しだけ悲しい。これは彼女が教えたことでなく、サーヴァントになったことで、頭に入った知識なのだろうから。

 

「きっと、難しいでしょうけど。私のこの宝具は、私が語ったことで世界を騙す物語の再演ですが、それはすなわち、私が生き残るための術そのものとも言えます」

 

「そうだな」

 

シンドバッドは気にもしていないが、彼女の所作のすべては、一人の王の関心を得るために磨かれたものである。満足させ、期待させ、殺されないように働き続けた、そのすべてが千夜一夜物語である。そういう解釈は別段おかしいことではない、なにせ彼女は、語り手であると同時に、その物語の登場人物なのであるから。

 

「この宝具は生前の私の技量の再現、生存のために取った行動すべてが宝具であれば、もしかしたら騙せるかもしれません」

 

「……何が欲しいの?」

 

シンドバッドは、賢くなった、いや平均的な聖杯の常識を中途半端に入れられた程度ではあるが、それでも多少のことは知った。そしてその知識と、何よりも経験則が、今まで長いこと接してきた彼女を見て、きっと何かをしようとしていることは、強く分かった。

 

どんなに馬鹿馬鹿しくても、どんなに難しくても、それが自分の協力がいることであるのならば、力になりたい。

それはシンドバッドの存在意義、彼が人間性というものを辛うじて失わないでいれたのは、確かに少年の頃の一人の女性のおかげだ。彼女がシンドバッドに人間性という種を植えた。

その発芽しない種だったものが、育ち実を結んだのは、ほぼ全てこのシェヘラザードが懇切丁寧に水を与え世話をしたからである。

 

彼にとって、サーヴァントに序列は一切ない、それでも一番自分を大きく構成しているのは彼女なのだ。

 

「私が、あの王から殺されないためにしたことの一つが、あなたともできるかどうか、試してみたいのです」

 

シェヘラザードは、というよりも千夜一夜物語は、多くの人の手によって、多くの改編と編纂がなされており、オリジナルなどあってないようなものだ。

そして、その中には様々な結論と枝葉の分岐があるとも言える。大きな流れの中に手を加えた人物の意思が多く介在する故に、逸話自体の遊びが非常に大きいのだ。

 

「婚姻というのは、つまるところ、家同士のつながりを、血で結んで強くするものです。それゆえに不貞は許されないのですが」

 

彼女の倫理観的にはそのような解釈となる、家の繋がりを血で結ぶのだ、夫婦同氏は他人なので、証を作って契約とするのだ。それによって彼女は殺されなかった。そうされる話もある。

 

「できるかな?」

 

「やってみましょう、私にも曖昧なので、丁寧に何度でも」

 

それはこれから千と一つの夜程は繰り返してみようとする、彼女との新しい試みだった。シンドバッドは何時もそうだ。彼女がそういうのだから正しい。歪んだ関係だ、不健全ですらある。しかし彼等の主従は全幅の信頼を向けられた彼女が絆されたから続いている。これもまた主従のあり方の1つなのであろう。

 

「私と貴方の間に、子供を3人程授かれるか、やってみましょう?」

 

千夜一夜物語の終わり、王妃シェヘラザードは子宝に恵まれて、王様は長い夜を経て良い心を取り戻し、幸せに暮らしたという終わりまでなぞる。逸話再現という宝具の昇華という実験。きっと長い険しい道程になるであろうが、二人なら歩いていける。道がなくなればそのままそこに居ても良いし、別のところを目指してもよし、戻ってきても良い。何をしても彼女とならば楽しいと思える彼なのだから。

 

「それじゃあ、もう一回頑張ろう」

 

「い、いえ、次からで充分、あっん、マスターそんな、いけません……」

 

そうして夜は更けていく。だが、朝は必ず来るのだから、彼等のお話はここで終わるが、朝と夜は巡り回るのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────そうして、6人は末永く、楽しく暮らしたのでした、めでたしめでたし……」

 

女は、長い長い話を終えて、読んでいた書物を胸にしまい込む。

 

「物語は、ここまでです。だって、もう日も登りきってしまいましたので」

 

外から差し込む光は眩しく、夜はずっと遠くに行ってしまったのであろう。

だが、日はまた沈むのだ。

 

 

「それでは、皆様、良い夜をお過ごしください……ご清聴ありがとうございました」

 

 

 



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あとがき(真)

←エピローグ
同時更新です。
私事ばかりなので、最後の予定だけみればいいと思います。


恥の多い執筆を続けてきました。

 

その結果当SSはなんとか完結しました。

(最近の人はSSって言葉あまり馴染みがないようですね)

 

とにかく止まるんじゃねぇぞ……の精神で走り続けました。

筆が速いわけでもないので、毎日書く義務感がないと明日でいいや精神が発動して、一切書けなくなるからです。

 

色々その辺に関してはお言葉もいただいておりますし、誤字脱字報告の履歴がすさまじいことになっているのに、まだ読み返して自分で見つける以上、もはや読み物として最低限の体をなしてないような気もします。

 

そこに関しては、忠言耳に逆らう反省点として、真摯に受け止めつつ、逐次加筆修正していく所存でございます。(でも260回誤字報告もらってるのはヤバイとは思った)

 

 

 

さて、いかがでしたでしょうか?

 

と言われても何も思う所はないと思います。要するに、書きたかったことは、メリーバッドエンドというわけです。ハッピーに見えるけど、結局の所、彼は仲間を救えず(なにせこの後のカルデアの事を考えると)、従者に裏切られ、いいように改造されて、一生監禁される。という形ですからね。

 

配布サバイベントという形で書いた最終章ですが、立香君サイドだと、英霊として登録された、やったー! これからもよろしくね! ですけど。

この話の方では、永遠に代り映えのしない城の中で過ごし続けるという、彼女の因果を継承した話となります。

まあ、主人公復活したしええやん、と思っている人もいれば、いや、これ復活といえないやろがい! の人もいてくれれば幸いです。

 

僕は歪んな女性にいいようにされる男性が書きたかったので。

 

ちなみに、終わり方の解釈は任せます。全部が起こっているのか、どれかはフィクションなのか、そもそも話は実在したのかも。

 

 

 

 

本編全般ですが、いくつか回収していない伏線がありますが、まぁそういうこともあります。すみません。

 

でも、あえてしてないのもあったりします、本当に申し訳ない。

 

絶対に回収しない話ですと、シンドバッド君がダ・ヴィンチちゃんからもらった絵本はゼラルダと人食い鬼というものです。特に意味はありません。

 

今だから言えることですが、FGOの二次でもう読めなくなっている作品がハーメルンにありまして。圧倒的に執筆速度と、展開からファンになったのですが。

それのYAMA育ち枠のマスターが私は大好きでして。

 

あんなふうな作品書きたいなぁとぼんやり思ってたものと、RTA要素と、その後性癖にドストライクした不夜城のキャスターと、その辺の要素が混ざってできたものです。

 

お察しの通り、この話は、意図的に掘り下げていないというよりも、極力主題であるシンドバッド君とその周囲以外の描写を省きました。

 

マシュの成長物語とか、立香君が覚悟が決まっていくところとか、両マスター間の鯖の交流とか、ソロモン王関連とか。現地サバとの関係性も。

 

とにかくシンドバッド君主観で見える範囲というものを意識して取捨選択しつつ、最低限藤丸君チームの必要事項を書くという感じです。

 

そうでもしないと話が書ききらないのと、進まないというのは身に染みて分かっていたからです。

 

それでも書けていないところが多々あったりしますが、(6章の聖都攻略戦とか本当は書くつもりでした、匙を投げましたすみません)まぁこれもこの作品の反省点としましょう。

 

 

 

 

鯖に関しては、とにかくエミヤと槍ニキシリーズは出さないぞの精神で書いてました。いやだってRTAで動かしたら無理が発生しますし。同じ理由でメディアさんも。まぁキャスター枠埋まってましたしね。その辺は15年でやり尽くされてますし、研究されたルートではなく、新規開拓レギュという体ですし、建前上は。

 

裏話として、バーサーカーの枠は、プロット上頼光ママでした。でも設定を固めている日に型月WIKIが落ちたので、狂は持ってないからマテリアルも見えない故に、えっちゃんになりました。結果的には良かったと思います。というかポルクスちゃんが可愛そうなことになってしまいます。

 

検討段階で、他には、土方さんとか、ジャガーマンなんかも候補でしたが、今の形に落ち着きました。

逆に、ディオスクロイはほぼ勢いですね、第3特異点辺りから、話の流れに面白みが足りないので、ランダム要素というか、元のシナリオを大きく外す要素を一つは入れるということで、実験的に書いてみたら、なんか面白くなりそうということで、ポルクスちゃん出てきました。まぁ地味にというか、派手に人気が出た双子なので良しとします。本当なぜこうなった。

 

人気といえば、三蔵ちゃん。彼女との関係は、シンドバッド君を語るうえでだいじではあるのですが、謎の人気の高さに驚いてます。

いやまぁ確かにしっかりヒロインぽく書きましたが、ここまでとは。天竺の旅で、ほぼ完成された彼の精神性に、別れと忘却という概念を、旅の仲間の李書文と三蔵ちゃんは刻み込む造りにしました。

キャメロットで最後に思い出したけど、それはまぁ、原作通り予定調和であり、特別な因縁はないです。

 

作品を通してのシンドバッド君の強さは、我ながらいい感じの調整じゃないかなと思ってます。結局彼の鯖撃破スコアは、ローマで名無しのサーヴァントを倒した1体のみ。あとは必ず戦闘系サーヴァント共に戦って、引き分けという程度になっております。

その結果、そんなにYAMA育ち要素がない? そういうこともあるのでしょう……

 

 

キアラさんに関しては私は本当に大好きで、彼女も呼びたいなぁと下半身で思っていたんですけど、彼女の掘り下げというものは、本気で取り組むと、まぁ、察して? というほどになるのと。先も述べたテーマがぶれるので没に。

彼女はメインヒロインかラスボスでないと輝かないと思いました。こういうキャラと組ませる場合は。

同じ理由でBBちゃんも没。結構候補として最後までいたんですけど、便利で万能な後輩で、エッチすぎるので、話が広がりませんでした。

 

ケツァルお姉さんとかも呼びたかったのですが、七章がフリーズするので、NGになりました。複数サバ呼ぶ作品はその辺の選定が厳しいですね。

 

前にも書きましたが、ナポレオンのおかげで戦闘という面にはかなり楽ができてます。勝利は前進するのです。

 

まだまだ書きたいことはありますし、忘れていることもありそうですが、切りがないのでこのへんで。

 

この物語は前の話をもって完結です。完走して完結しました。

故に、今後は不定期におまけ話を書く程度です。

今まで本当にありがとうございました。感想、評価、そして閲覧も、全て励みになりました。

 

ということで、書く予定を軽く列挙して置きます。

 

 

確実に書くもの

・お気に入りが1000行かなかったエンディング(クリフハンガー)

 

気が向いたら書くもの

・サーヴァントシンドバッドのマテリアルと小話

・TSシンドバッドIF

・イベントや鯖がたくさんでる話の絡み

・コッショリ話

 

それでは、また何れおあいしましょう。

ありがとうございました。





それじゃあ俺、経産婦3人を相手できるように、中東辺りに修行に行くから失踪します。


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キャラクターマテリアル

商業作品に自作キャラの設定を入れて書いた二次創作の
自作キャラの設定とかもはや黒歴史ノートでは?

とは言いつつ、明かしておいたほうが良い設定を載せておきます。


真名 シンドバッド

 

クラス アルターエゴ

 

属性 人・混沌・中庸・男性

 

身長/体重 185cm・90kg

 

『彼の物語は女達に編纂された』

 

レア 4

Cost 12

イベント配布サーヴァントである。

 

保有スキル

 

スキル1 女難の相 B CT9

自身にターゲット集中状態付与(3T)

+スターを獲得10~20個(Lv)

+HPを1001減らす(デメリット)

 

スキル2 戦闘続行(偽) A 12T

自身に『ガッツ発動時攻撃力上昇20%(2T)する』状態を付与(5T)

+自身にガッツ状態(1回・3T)【HP2000~4000(Lv)】を付与

+3ターン後自身にガッツ状態(1回・3T)【HP1001】を付与

 

スキル3 セントエルモの火 B CT8

NPを20~30(Lv)獲得

+ランダムで1つの効果を適用(1T)

1ターン後に自身にスタン状態を付与(デメリット)

またはクリティカル威力上昇50%

またはArts性能上昇30%

または攻撃上昇30%

または無敵貫通&必中&弱体無効

 

宝具(Arts)共に征く七つの海(アルフ・ライラ・ワ・ライラ) EX

自身の宝具威力をアップ(1T)20%

+敵全体に強力な攻撃

&〔経産婦〕特攻(OC:特攻威力UP 200~300)

 

クラススキル

女神の寵愛D;自身の〔神性かつ女性〕の敵からの攻撃に対する防御力をアップ 10

単独行動B:自身のクリティカル威力をアップ 8

 

パラメータ

筋力B

敏捷B

耐久B+

幸運EX

魔力D

宝具EX

 

 

セリフ

 

召喚 サーヴァント! アルターエゴ・シンドバッド、召喚に応じ推参した。どうだ? 決まっただろ。ちょっとだけ勉強もしたんだぜ? でもまあ、うん……会いたかったよ、マスター。

 

レベルアップ 修行、鍛錬、大歓迎!

霊基再臨1 服は変わらないよ、面倒だし

霊基再臨2 おー、気合はいってるね。

霊基再臨3 この体、前よりずっと丈夫でありがたいな。これならもっと……

霊基再臨4 雨と星が降り注ぐ空の下で、君とどこまでも戦いたい。って、柄じゃないかな? 本来以上の力があると、浮かれ過ぎちゃうね。

 

会話1 7つの大冒険っていうけど、海はそんなに行ってないんだよな、俺もこの体も。

会話2 この肉美味いな、食うか? 両脚羊って言うらしいぞ?

会話3 武術は俺の誇りで、生きた証なんだ。色々混ざって不格好だけど、極めていきたいってずっと思ってる。

会話4 シェヘラザード! 君がいてくれると本当に嬉しい、一緒に頑張ろう! ……え? 嫌だ? 寂しいよぉ……。

会話5 麗しのマタ・ハリ! 俺の愛の形、また君の踊りを見せてくれるかい? 俺だけに。それとも俺と踊ってみる?

会話6 ん? 失礼、そこの尻尾が素敵なお嬢さん? どこかであったことはないかな? え? ナンパ? うーん否定はできないかな? あ、ちょっと!

会話7 やぁ、そこのお姉さん、きれいな銀髪と素敵な爪だね? 処女じゃないから美味しくなさそう? ふーん……それなら少し、テイスティングしてみないか?

会話8 ポルクス! カストロ! 俺の剣! 今度はともに戦う勇士として会えた! 頼りにしてるし、してくれよ? じゃあまず、向こうの部屋のイアソンに殴り込みだ!

 

好きなこと 優しい人が好きだな、後は格好良いやつも。強いなら最高かな。

嫌いなこと 怠けている奴は嫌いだな、やりたいことがあるなら、直ぐにやるべきだろ?

聖杯について 願い? 俺はないかなぁ……なあ? みんなはあるか? もう願った? そっかー……じゃあおいしいご飯だな!

 

絆Lv1 マスターは戦闘せず、後ろにいると良いぜ? それが一番安全らしいぞ。なんてな!

絆Lv2 ほら、マスターこれ落としたぜ。ん? ベッドに落ちてたぞ。しっかり管理しておけよ?

絆Lv3 やりたいことを早く見つけて、すぐに始めるべきだ。後悔はしないようにな

絆Lv4 いい女にはたいてい胸に秘めた毒があるよ。でもその毒が美味しいのなら、人生楽しいぜ?

絆Lv5 マスターも物好きだなぁ。まぁいいけどね。なぁ、今晩語り明かさないか? きっと楽しいぜ、俺の閨でさ。だめ?

 

イベント なんか向こうが盛り上がってるみたいだ。船でも着いたのか?

誕生日 生まれた日? よく覚えてるもんだな、そんなもん。日付って、何の意味があるんやら。

 

キャラ詳細

 

千夜一夜物語の中で、アラジン、アリババに次ぐ知名度を持つ話、シンドバッドの冒険、その登場人物である。しかしこれら3つは全て、後からフランス人に書き加えられたとも言われている。

話は、船乗りを志した青年の冒険譚ではあるのだが、基本的に騙されたり失敗したり巻き込まれて、命からがらも逃げ帰る話である。様々な物語でモチーフにされている知恵と機転で解決というよりも、幸運と残虐性という所が大きく、罪なき捨てられた人を殺して生き長らえるという話もあったりする。

 

そんな話に出てくるシンドバッドという無慈悲な原典、多くのフィクションのシンドバッドと呼ばれる人物への冒険心溢れる人物という共通認識、その合間を縫うように原典の語り手が差し込んだのが、この英霊シンドバッドである。

月の裏側で行われていた、神霊のキメラ作成手法。その方法と、新宿で行われていた幻霊召喚、それらをインスパイアした形で、オリジナルの逸話で縫い合わせたのがアルターエゴ作成法であった。

 

基本的に本人は気さくで協力的な為、底抜けな善性を持つように感じ取れるが、これは悪意がないだけであり、自制心があるわけではない。その為、必要があれば、笑いながら人も殺すし、何なら敵を犯して食らうこともできる、そういった歪な精神性を持つ。

だが、女達の企みによりその形はさらに歪められ、生前の記憶も関わり深い人物のものしか持たない。自分自身すら見失いながらもシンプル故に彼の有様は変わらない。その日を楽しく目一杯過ごす。もうそれしか知らないのである。

 

女難の相 B

基本的に彼を好む女性は、自分に都合の良い男性が欲しいという願望を持った女性である。それは女神から不幸な人妻まで多種多様だが、純粋に人間性を好きになるという無垢な少女は存在しえない。

本質的に自分本位な彼は、そもそもが特別な誰かへと愛を向けるという概念が存在しないので、動物のなつきのような感覚で接してくるからだ。それ故に、それが心地よいと思う心に隙間と問題のある女性が寄ってきてしまうのである。

 

戦闘続行(偽) A

7つの冒険を生き抜いた、悪運の強さという原典及び、中身の生存に優れた技量。その2つが昇華された、今を生き抜く生存性と、状況の詰みを解消する悪運が合わさった複合スキル。強力であるが、本人は余り使いたがらない。泣かれるのが嫌だとのことだ。

 

セントエルモの火 B

科学的な現象ではなく、彼を捧げた双神の加護が気まぐれに降り注ぐ在り方。

本当に困ってしまった際には、どこからともなく2柱の光が舞い降りて、敵を薙ぎ払い、嵐の海をも超えていくらしい。

 

宝具

共に征く七つの海(アルフ・ライラ・ワ・ライラ)

ランク:EX 種別:対人宝具

原典シンドバッドの7つの航海を超えたという逸話に、内容物シンドバッドの7つの世界を正したという逸話を重ねて織り上げた宝具。多くの物を奪い、多くのものに好かれ、多くの宝を得た旅路。その最後の航海の果てにつかんだものが、彼にとっての唯一の価値あるものだった……ということになっている。

実際は彼をデザインした存在が、宝具までは作れなかったために、自身とお揃いの名前にしましょう。というフィーリングで決まったものだ。だが、彼女の入れ子式の箱の中にあるべきという関係性のため、彼女の宝具の中の一部という解釈がなされてしまう。

変質はしているが、多くの旅路(夜)を超えるため、あらゆる手段で世界を騙し思い通りにする。という効果が、彼独自の要素で発動する。しかし、レディキラーは程々にしてほしいとの事だ。

 

困難に打ち勝とうと前を向いて進み続けるマスターを得た時、きっと彼は大きく力になってくれるであろう。私利私欲のために他人から価値を奪おうとするマスターでも彼は活躍するであろう。彼が嫌うもの、それは意思なき停滞である故に、呼び出そうという意思さえあれば尊重してくれる。

しかし、魔力供給は切らさぬよう。彼は悪食で大食漢なのだ。貴方であれ、貴女であれ、あげられるものがないのならば、『何か』を取られて食べられてしまうかもしれない。

 

経緯上致し方ないのだが、彼にとっての男女の識別基準は、体格や声の高さ体の構成要素ではなく。ある局部の膨らみの有無が殆どを占めている。故に、性愛の対象に関しても同様で、温かく綺麗な存在であれば良いだけだ。

彼のその嗜好は、萌芽初期段階で最も気に入られた彼の作り手が基準であるために、そういった肉感的な女性が中心にはあるが、はずみ程度で性別や種族関係なく彼は手を出してしまうのであろう。ゆめゆめ変な趣味を目覚めさせぬよう、注意していただきたい。

 

 

 




中1の従兄弟の設定ノートは、母親と共用のスマホにパスつけたメモで保管されているという事に、時代を感じました。

僕の初代黒歴史ノートは一太郎でしたねぇ。

あ、シンドバッド君のマテリアルでした。どういう調整を施されたか、察してあげてください。


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IF END 最後の海

青い海を見ていると心が落ち着く。

生前海を見た時は、幸せな時だったから。

最後に見た海は黒く濁っていたけれど、ローマの海、どこかの海、アメリカの海、ウルクの海、その全てに違う表情があって、違う感情があったから。

 

同じ椅子に座り続けて、ただ待つという事。それは前までならばずっと難しい仕事だと思う事だったが、今は全くそう感じない。何もしないまま、此処で座って過ごし続けるのも悪くはない。座っていれば考えられる、考えれば思い出せる、楽しかったことを、自分というものを。

 

なにせ、今はもう彼を支え続けた3枚の羽根はもうないのだから。

彼の心は穴が開いたのではない、穴とは、周囲全てに物質が存在するから、穴なのであり、空虚の部分が、物質そのものより大きいのであれば、それは穴ではない。ドーナッツにはあるが、フラフープに穴はないのだ。

 

そういう意味では彼はもう終わっている。持っていた小さな使命感というものもなければ、摩耗していく意思というものもない、ただただ元の形に戻ってしまったようなものだ。

 

いや、その元の形から、大きく浸食を受けたいびつな形ではあるが。

 

『全員、揃っているようだな』

 

 

声が聞こえる、男の声だ。別になじみがあるわけではない。この声が聞こえたのならば、気が付いたら用意されている席について、ずっと黙り込んでいるだけで良いのだから、話なんて聞いている事もないのだから。

 

『インド異聞帯の空想樹も伐採されて、カルデアは今こちらに向かっているのであろう』

 

『ええ、彼らは船も手にいれちゃったから』

 

金色の髪、それ自体は別に思う所はない、あんなに長い髪そのものへの憧憬はあるが、色々と違いすぎるのだから。

 

会議はどんどん続いていく。話は相変わらず理解できない、思い出すのは過去のこと。作戦会議に参加したこともあった気がするような曖昧な思い出。自分ができることだけでなく、他にできそうなことを探していた時期があったという思い出。

 

『それで、いい加減予備の備品は喋ってくれねぇのか? 律儀に通り過ぎてきたわけでもないから、正直顔すら知らないんだわ』

 

『ああ、そうだな。だが、彼は聞いているし見ている。ただ恐らく座る椅子を間違えているだけだ。すまないが、もう一つ右の椅子に腰掛けてくれないか?』

 

その声には従おう、そう思う不思議な力はない。従いたいと思う心が動かないのだ、それでもなにかがある気がするから、なによりも、いい加減うっとうしくもあるので言葉通り隣のいすに座る。仕掛けも仕組みもさっぱりなのだ。だが、そこに座ると自分の姿が見えるらしい。

 

『へぇ、こんな奴いたっけか?』

 

『名前もない、備品扱いだったから覚えはないであろうが。彼は我々と違い、人類最後のマスターだった。人理の修復をなした、偉大な【先達】だよ』

 

『っは、それで死んでちゃざまぁねぇだろうよ、俺達が言えたことじゃねぇか』

 

『……同感だな、あの諦めの悪い藤丸と違い、こいつには意思が感じられない』

 

 

ふじまる。その名前は聞いたことがある、その名前は自分がつかんで放り投げた男の名前だ。

そうか、彼はまだ戦っているのか、嵐の向こう側で。ああ、そうだった、だから自分はここで待っているのだ。嵐のこちら側で。

 

『名もなきマスターよ、私は君に尊敬の念を抱いているが……だが、かといって我等の席は埋まっている。君に与えられる異聞帯は存在しないし。その場にいる理由、それは君の交わした契約によるものだ』

 

金髪の男は力強く宣言する。

 

『だからこそ、その海を君に任せる。自由に使ってくれ、我々を裏切ってもよい、敵に与してもよい』

 

冷たい表情で、その男はこちらに言い放ってくる、熱を感じない、そんな言葉を。

 

『我々と同じことをしても良い、戦力は全て自由に使ってくれて良い、いや既に動かしているのだったな』

 

『頼む仕事はただ一つ、人類最後で最も優秀なマスターを私の前に持ってきてくれ。それは別に、君でも彼でもいいのから』

 

「……あぁ」

 

小さく頷く、それが最後に与えられた仕事だから。

席から立ち上がりその場を後にする。話は終わったのだろう、そういう空気だけはまだ感じ取れるのだ。

 

白い石でできた壊れかけの城、そこの何もはめ込まれていない窓から、外を見つめる。何処までも海が続く代わり映えのない景色だ。

そこから天を見上げる、強力な女の気配がある。それがあればもっと楽に勝つ事ができるのであろう。

 

だが、それは違うと思った。だから使わない。

 

そうして、少しだけ残る自分の心を覗き込む、今やりたいことは何かを知るために。

もう一度会いたかった。いなくなってしまった、3人の(ひと)に、その為ならば、もう何もいらなかった。

 

それでも彼はここにいる。まだ、辛うじてマスターとして立っている。

彼は他の7人の────今はもう5人しかいない様子だが────選ばれた秘匿者(クリプター)ではない。

 

そう、彼はマスターだった。

その手には令呪が刻まれていて、彼には強力なサーヴァントがいる。強力ではないサーヴァントもいた。

 

だが、彼はもう燃え尽きてしまっている。ここにいるのも、その神とやらの気まぐれによるものであろう、その神が認めた男への、ちょっとした支援物資でしかないのであろう。

 

どうでもよかった。

もう自分の呼んだ彼女たちは二度と帰ってこないのだ。自分がこうして戻ってきてしまったせいで、彼女たちの霊基との接続も消えてしまった。

もう、彼が呼んでも彼女たちは、カルデアに霊基が残っていたとしても連続性を保ってくることはないのだ。

会えたとしても、それは座にいる彼女たちしかもう呼べないのだ。自分の知っている彼女たちはもう居ないのだから。

 

 

ならばもうどうでもよかった。やることがあるのならばするだけだ。

やりたいことはもう2つしか無いのだから。

 

「マスター……終わったのですか?」

 

「お前もたまには眠れ、戦いが近いのであろう」

 

しばらく話を続けていた様子の机の光が消えると、後ろから声がかかる。この声だけが、目覚めてからの彼を彼たらしめる繋ぎ止める楔であり、ともに居たいと思える理由だ。

 

一切の衣服をまとわぬ二人は、1枚の布だけで体を隠しながら、体を預けていた寝台から声をかける。

金色の髪、浅縹の瞳、似通った美しい相貌。美しい彫刻のような躰を持つそれらが持っているのは

 

────強い人間への怒り。

 

それが彼らのすべてであった。

 

「……あぁ」

 

「やはり、カルデアが来るのですね」

 

「人間……汎人類史の、俺をゆがめた人間達が」

 

彼らは、彼らだけは。彼が今の形になってからもずっと側にいた。

少しだけ背負っているものが違うようだが、以前と同じような。

否、それ以上の関係を築くことができた。

 

 

厳密には、自分の知っている彼らとは違う様子だが、それでも彼らは自分のことを知っていた。

彼女が捧げて、彼も捧げられた。そういう関係の彼らは、名前のないこの男の残り香を知ったらしい。

どうでも良かった、仲間が自分と一緒に居てくれるのならば、それで。

 

あの、何もないよくわからない空間で漂い消え去った後、光に話しかけられた彼は、あれよあれよとここにいる。

 

地球はもう滅んで白くなっているし、カルデアももう潰れて新しくなっているらしい。

マシュとふじまるりつか、すこしだけ聞き覚えのある二人はわかるけど、後はもう顔も名前も思い出せない。

 

そいつらをここで倒す。それが役目。

でも負けてもよいらしい、勝ったら金髪の人の所に行って、対決をする必要があるらしいが、興味がなかった。

 

もう何もない彼は、何もないまま朽ちていく。

ただ、この双子だけが彼の生きる理由であり、動機であった。

 

「さぁ、こちらに……そして我等に魔力を、マスター」

 

「我等の物になれ、人間」

 

腰を掛けていた窓枠より立ち上がり、寝台へと倒れこむ。

あとはただ貪られるように、彼らへと魔力を渡すだけ。

 

生き返ったこの体は、以前のように動くし、魔力も以前とは比べ物にならないほど供給できる。

もう顔以外が鱗だらけのこの体は、この海の空気に良く馴染んでいる。

3人で魔力を分け与えあった後だけは、少しだけ頭が澄み渡る、その間にするべきことはしてきた。

 

そう、既に戦う準備は終えた。

 

この広い海原の、いくつかあった島は、上の女によって全て海に沈めた。

クロミアだかクルミアとかいう、強くなれるやつは念入りに壊した。

狂ったポセイドンとかいうおっさんは、邪魔だから金髪に送り返した。

そして、この出口近くの島だけが海の中の最後の陸地で、ここに常に上にいる女の目を向けさせている。

あと一人でもこの島に人が来れば直ぐに焼き尽くしてもらえるように。

艦隊は海中に並べて、同士討ちしても攻撃する事の許可も出している。

 

それでもなお、りつかとマシュは、ここに来る気がしている。

 

 

双神を従えた名前のない男は、そこできっと彼のサーヴァント共に戦うことになるであろう。

 

この海で生きている人間が自分しかいないこの世界で、彼はただ、崩れかけの部屋にて静かに待ち続けるのであった。

 

自分を終わらせてくれる友達を。




こちら、お気に入りが1000件を越えなかった場合の終わり方としていたものに、
大幅修正を行ったものです。


終局で死ねない彼は、見つかって使われるという終わり方です!
異聞帯は7つだけど、一箇所が、お、空いてんじゃーん!
となったので、ハートフルストーリーにならないように、かわいいヒロイン達と一緒に、もうすぐお友達がくるのを待つお話です。

全体的に薄味なのは、もう語れるほど彼の中身が残ってないからです!
この後どうなるかは、神のみぞ知るです。


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