デート・ア・ライブII 一宮スタート (綾風 零華)
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第1話 「再来」

皆さん、初めまして。綾風澪花です。この度は、この小説に目を通していただきありがとうございます。

この小説は、原作 デート・ア・ライブの続編という立ち位置で執筆しています。オリジナル精霊やオリジナルキャラも登場する予定なので今後の展開にご期待ください。


周りを見渡せば崩れた家やビル、助ける人の声、動物の鳴き声が聞こえる。

 

 

 ふと横を見やると、そこには額から血を流し私を抱いて守るように息を引き取った青年がいた。

 

 

少女は恨んだ。このような戦いを起こした元凶。本来ならば臨界に存在し、こちらの世界に来ることない者。

 

精霊。その精霊と呼ばれる特殊災害指定生命体が今まさしく私の上空で跡形もなく消し飛んだ街を見ていた。

 

手を伸ばし上空の精霊を掴もうとする…しかし少女の手は届かない。でも届かせたい。そんな願いを持つ少女の横に小さく、光り輝く宝石が落ちてきた。

 

 

 セフィラ…通称:霊結晶とも呼ばれるその宝石は手にしたものを精霊に変える力があるとされている。少女は迷いなくその霊結晶を手に取ると自分の胸に置き、こう願った。

 

「私の大切な物を奪わせない。そして…精霊を殺し尽くす」と。

 

 

そして少女は”精霊を殺す精霊”になった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

時は過ぎ、始原の精霊との決戦から約二年たった春。冬の時期には殺風景だった並木通りに植えられている桜の枝には小さく、開花の準備を始める蕾が見受けられるようになった。

 

 

 このままもう少し、気温が上がって行けば満開はもう目と鼻の先だろうとリビングから制服姿の五河士道は思っていた。

 

週間天気予報でも早くて一週間後には満開を迎えるという。桜にとっては非常に嬉しい気象条件であった。

 

 

 そして春といえば小中学生、高校生は新しいクラス、大学生や新社会人は新たな生活に足を踏み入れる季節でもある。その為か、テレビのCMも「新社会人応援キャンペーン」と題してお得な商品を必死に宣伝している。

 

まぁ…士道の家には必要なものはあらかた揃っている為、買う必要なんて無かったはずなのだが思わぬ誤算が生じた。

 

 

 それは同じく士道と同じ大学に入った夜刀神十香、鳶一折紙、八舞耶倶矢、八舞夕弦、時崎狂三の五人だった。この五人はこの世界において特殊災害指定生命体、通称:精霊と呼ばれる少女達であり、数年前まで発生原因、確実な殲滅方法が分からなかった。

 

そして彼女達だけが保有する始原の精霊に由来する天使と霊装はその強大な力故、彼女達は世界を殺すとも言われていた。だが、二年前に起きた始原の精霊との決戦以来力を失っており、精霊化は出来なくなっていた。

 

士道達が入った大学はノートパソコンが必需品で士道本人は運良く持っていた為、購入を避けれたが十香達はそもそもパソコンすら知らない為、買わなければいけないのだった。

 

 

 十香「シドー、どのパソコンがいいのか分からぬぞ!!どうしたらいいのだ!!」

 

不意に名前を呼ばれ声のした方を振り向くと、そこには宵闇色の長髪をポニーテールに結い上げた絶世の美少女が家電量販店のチラシを見ながら呻いていた。彼女こそが世界を殺すとも言われた精霊の一人。

 

夜刀神十香。出会った当初は名前がなかった為、夜刀神はかつてラタトスクの解析官であった村雨令音が、十香は士道本人がつけた。

 理由としては十香と出会った日が数年前の今日、四月十日だったと言うだけの安直な理由だけだった。

 

士道「そう言われてもなぁ…実際に見て見ないと分からないし、学校に持っていくのを考えると軽いのにしないといけないしな。」

 

耶倶矢「我が眷属よ。その事なら安心するといい!!この私に選べないものなどないからな。」

 

そう言いながら十香の持ってたチラシを持ち眺めるのは、高校の修学旅行先で出会った精霊。八舞耶倶矢。本来なら八舞という一人の精霊だったらしいのだが、何度目かの現界の際に分裂し今の状態になったという。

 

因みにもう片方の名前は八舞夕弦と言い、何かを言う前に二文字の言葉が必ず入る。鳶一折紙の事をマスター折紙と呼び尊敬している。

 

 耶倶矢「結局どれが良いのか分かんないし!!どうすんだし!!」と声を荒らげて机に突っ伏した。やはり商品に目移りして負けたらしい…

 

 士道は「あはは……」と言いながら頬をかく。それを横目で見ている彼女に目が行く。

 

 鳶一折紙、幼い時に両親を亡くしており。両親を殺した精霊を討つためにASTに入るも自分自身が親の仇だと知り、絶望した事もある。最後は士道に救われた精霊の一人。

 

 折紙「やはり小型で高性能なパソコンに限る。でもそれを選べば士道の負担が増える。どうするべき?」

 

 夕弦「提案。マスター折紙、これ等どうでしょう。」

そう言いながら夕弦が指を指したチラシには、「学校や仕事場への持ち運びに最適なPCはこちら」と書かれたところに写っていた2台のノートパソコンだった。

 

 折紙「性能も中々、金額も丁度いい。これなら一人一万円出していけば買える。」

 

 士道「ん…そうだな。最低、一万五千円あれば大丈夫なはずだ。」

 無事に買うものが無事に決まり皆が一安心してる中、士道の前に座る少女が口を開いた

 

 狂三「随分と時間が掛かりましたわね。士道さん?あれこれ二時間くらいはこの話題だけで過ぎていますわよ。お店の開店時間まで三十分もありませんわ。」

 

 リビングの壁に掛けられた時計を見ながらそうため息混じりに言葉を発するのは黒髪を左右非対称で結び、左目だけ前髪で隠している少女。

 

彼女も元精霊であり、名前は時崎狂三。士道が会った中で唯一力を封印できなかった最凶の精霊。かつては時間を操る天使である、刻々帝(ザフキエル)を使い士道を過去や未来に飛ばしたり、相手の時間を止めたりしていた。しかし他の精霊と同じく始原の精霊との戦い以降、霊力を失っていた。

 

 士道「本当だ。みんな、すぐ出るから準備を………あれ…」

 

士道が言葉を言い終わる前に皆は支度を済ませ、外に出ていた。それ程に今日が待ち遠しかったのだろう。普段は大人しいあの折紙でさえ、支度を済ませ外で待機していた。

 

 ガラス越しに士道を見つめながら………

 

 士道「アノ………オリガミサン?な…何をしているので…」

 

 士道は頬に汗を浮かばせながらガラス越しに顔を押し付けて見つめる折紙に問う。

 

 折紙「くふのほふぁっている(来るのを待っている)」

 

 ごにょごにょとしか聞こえなかったが、大体言いたいことは分かっていた為、士道は大急ぎで支度を済ませ外に出た。

 

 外は快晴で風が少しばかり吹く非常に過ごしやすい感じがした。風が吹くたびに、早咲きした桜の花びらが宙を舞って地面にヒラヒラと落ちる。士道はそれを取りポケットの中に入れた。そして歩きだそうとしたその時

 

 

 「ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」

 

 

 天宮市全域にけたたましく鳴り響くそれは二年前まで幾度となく聞いた警報。空間震警報そのものだった。もう鳴らないはずだった警報に驚きを隠せない士道達は、はるか上空の空間が大きくゆがみ始めたのを静かに見つめる事しか出来なかった。そして次の瞬間、大きな衝撃波と共に周りの家や、マンション、交通機関等を跡形もなく消し飛ばした。そう、まるで…”あの時のように”




デート・ア・ライブII 一宮スタート いかがでしたか?

初めての小説投稿でだいぶ読みずらかったりとあるとは思いますが、今後の展開にご期待いただければと思います。それでは次回の作品でお会いしましょう

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第2話 「再来するかつての脅威」

久しぶりの投稿となります。設定やらなんやらで時間を消費してしまう毎日ですが、楽しく執筆しています。

今回は第1話「再来」の次話になります。


 「ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」

 

 

 天宮市全域にけたたましく鳴り響くそれは二年前まで幾度となく聞いた警報。空間震警報そのものだった。もう鳴らないはずだった警報に驚きを隠せない士道達は、はるか上空の空間が大きくゆがみ始めたのを静かに見つめる事しか出来なかった。そして次の瞬間、大きな衝撃波と共に周りの家やマンション、否、そこにあった全ての物を無慈悲に巻き込んだ。そう、まるで…”あの時のように”

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

時は遡って、空間震警報発令の三十分前。天宮市上空、フラクシナスEX。ラタトスクが保有する最新鋭空中艦であり、二年前まで最前線で精霊達と対峙する士道達を陰ながら支えていた空中艦である。幾度となくDEMと戦いその度に修復され、フラクシナスEXとして生まれ変わった。そのフラクシナスの艦橋にある椅子に座り、前面の巨大モニターに映る天宮市を見る一人の少女が居た

 

「士道達の様子はどう?」

 

そう問うのは赤髪で左右を黒いリボンで括り、上着を肩に羽織った彼女も元精霊である五河琴里。幼い頃に始原の精霊と会っており、その際に精霊化するも力の制御が出来ず暴走してしまう。一時期、鳶一折紙に親の仇と認識されていたが真実を知った後は和解し、今では協力関係にある。士道と同じ苗字を持つが実は血の繋がりは無く、崇宮真那が実妹にあたり、五河琴里は義妹にあたる。

 

「五河士道……いえ…士道、及び他の精霊達に変化はありません。あの日から何も変わってませんよ。五河琴里」

 

 琴里の問いにそう返すのはノルディックブロンドの長髪が特徴の美少女で白い白衣を羽織り、モニターと睨めっこしていた。

 

「そのまま監視を続けてちょうだい。エレン。」

 

エレン、エレン・M・メイザース。かつてDEMの第二執行部長でもありながら、アイザック・レイ・ペラム・ウェストコットの右腕としてCRユニット(ペンドラゴン)を使用し十香達と幾度となく、戦いを繰り広げた最強の魔術師(ウィザード)である。そんな優秀で更に敵であった彼女がどうして、ラタトスク側に着いているのかと言うと、DEMのトップであったアイザック・ウエスコットが死亡し、行き場を失った彼女にラタトスク創設者のエリオット・ウッドマンが声をかけていたからだと言う。

 

 「しかし、あのウッドマンに頼み事をされるとは思いもよりませんでした。まさか「精霊達を守ってやってくれ」なんて言うんですから。」

 彼女からは、あの時のような残酷無慈悲な発言や表情は消え、普通の女性として着実に成長していた。

 

 「私もびっくりよ。まさか元々、敵である貴女をここに来させるなんてね。まぁ、来たからにはしっかり働いてもらうけど………」

 

 

 「ウゥゥゥゥゥゥゥ…ウゥゥゥゥゥゥゥ」

 

 突如として艦内に精霊観測アラームと赤文字で空間震警報発令の文字がモニターに映し出される。始原の精霊が居ない今、生みの親が居ない今、ここに精霊が来ること、そして何より生まれることなんて有り得なかった。でも、その警報音が現実だと嫌でも感じさせようとする。

 

 「まさか…エレン!!観測状況は!!」

 

琴里は若干の焦りを見せるもののすぐにその表情を変え、エレンに状況を確認するように伝える。

 

 「霊力レベル観測不可能…空間震レベル……観測不可能。五河琴里、明らかにこれは異常です。」

 

 その瞬間、モニターに映し出された天宮市の中心を空間震が襲う。そしてそこに存在した物を一瞬のうちに吹き飛ばし直径二キロにも及ぶ大きな穴を作り上げた。

 

「なっ…………!!」

 

 琴里は画面越しに大きく抉られ地面が陥没した町を見て息を呑んだ。何度もこの景色が夢であって欲しいと自分に言い聞かせた。だが、画面越しに映る悲惨な状況がそれを許さなかった。目を背けるなと言わんばかりにそのモニターが景色を見せつける。そこで琴里はようやく、現実を受け止めた。

 

「………顕現した精霊は?」

 

 琴里は息を整えエレンに問いかける。この規模から精霊と断定するには少しばかり早すぎる気がしたが、今まで起きた空間震の記憶と照合すると非常に似通っていた為、早い段階でこの規模の空間震は未知の精霊によるものだと断定した、いやせざるを得なかった。

 

「五河琴里…観測結果が出たのですが……」

 

エレンは青ざめた顔でデータを琴里のコンソールに送信した。

 

「この観測結果…そんな……ねぇエレン。この照合は正しいのよね?」

 

琴里は椅子から立ち上がり、巨大なモニターに映された大きなクレーターとそこに佇む1人の少女を見つめながらこう呟いた。

 

「無神論のバチカル……対応する天使は悪魔(サタン)…」




第2話「再来するかつての脅威」如何でしたか?長文を作るのが苦手なもので1000文字ちょいの短い話となってしまいがちですが、不定期ではありますが少しずつ長くして行ければと思います。

それでは次回、デート・ア・ライブII第3話「叛威霊装・i1 バチカル」でお会いしましょう。

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第3話 「叛威霊装i1・バチカル」

この話は、第2話 「再来するかつての脅威」の次話となります。




「無神論のバチカル……対応する天使は悪魔(サタン)…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 琴里は息を呑んだ。何故なら、その名前は十香達、精霊が持つセフィラ(霊結晶)があるとされるセフィロトの樹の下側に存在し、セフィロトの樹とは全く逆の性質を持つとされる、クリフォトの樹に出てくる名前そのものだったからだ。

 

 「これなら、この観測不可能な霊力にも納得がいくわ。でも…十香の反転体でも強力な力を持っていたのに、顕現時から反転体となると話は別ね…」

 

そう。精霊は深い絶望に落ちた時、霊結晶の反転という現象が発生し、姿、人格、天使等のあらゆるものが変化する。記憶に関しては、反転前の記憶は全て忘れてしまう為、対処が難しい。

 

今までの反転現象は反転前の状態から、深い絶望に落ちてからのものだった為、比較的対処しやすかったが、今回は現界時から反転状態という極めて異例な状態での現界だった為、対処法が無いのが現実。

 

因みに、精霊は元々、反転している状態が普通だったらしいが、始原の精霊である崇宮澪が今の状態へと変化させたという。

 

琴里は観測結果や今までの自身の経験から一時的であれ、あの精霊から逃げる策を思案するが、必ず超えなければならないの大きな壁にぶつかってしまう。

 

 それが、「精霊化不可現象」と呼ばれるものだった。十香を含め10人の精霊達は、始原の精霊との決戦の後、全員が突如として精霊化出来なくなってしまっていた。それ以降の再検査で霊力もセフィラも一応、微量ながら残っている事が確認されたがセフィラ(霊結晶)は本来の機能を失っている状態だった。

 

 「こんな状態で反転精霊と出くわしたら、士道も十香達も為す術なくやられてしまうわ…何としてでも、失われた本来の機能を取り戻さないと。」

 

 琴里は唇を噛んでモニターに映る謎の反転精霊を見つめる。

 

 「本来の機能が失われているなら、それを思い出させればいいのでは?」

 

 エレンがコンソールを触りながらそう言葉を発する。確かに、「思い出させる」それが出来ればどれだけ良かったことだろうか、しかし、琴里は口調を少し強め反論する。

 

 「思い出させる……でもその為にはあの精霊と対峙する必要があるのよ!?タイミングを1歩でも間違えば死んでしまうかもしれない危険な行為なのに!!」

 

エレンはため息を付いてから、精霊化出来ない事への焦りが見え始めている琴里にほぼ答えとも言える言葉を発する。

 

 「私は別に"必ず対峙しなければならない"なんて言ってはいませんよ?その光景を見ればいい、貴方たちが散々みてきた最悪の現実と向き合えば良いだけです。それに……もう、五河士道と彼女達は気づいてるようですよ?五河琴里…。」

 

 エレンはとある場所の監視カメラを中央の大型モニターに映す。そこには、最悪な現実を突きつけられながらも力強く立つ士道と数名の精霊の姿が映っていた。

 

 「………士道、貴方は本当に変わらないわね…どんな状況でも精霊を助け出そうとするその意思、忘れていたわ。」

 

 琴里は息と気持ちを整え、髪留めに使っている黒リボンも結び直し、チュッパチャプスを口にくわえる。そこには、かつてフラクシナスと多くの仲間と共に精霊を救い続けた五河琴里の姿があった。

 

 「さぁ、"私達のデート(戦争)"を始めましょう!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 どれほど時間がたっただろうか。ふと、自分の足場は酷く崩れ落ちていた。否、崩れ落ちたというより陥没と表現する方が正しいだろうか。

 

大きさとして直径二キロというところだった。周りには崩れた建造物等が多く見受けられた。少女は陥没した地面を歩きながら、広範囲に渡り更地と化した天宮市を見つめた。

 

 「ここが…人の住む世界…この酷く醜い、世界に取り込まれた精霊が…私の大切なものを奪い去った……。見つけ出して、私の手で葬り去ってやる!!」

 

少女は澄み切った青空を見上げながら絶望、怒り、憎悪と言ったあらゆる感情に心が塗り潰されていく。普通ならこんな快晴の空を見れば心が晴れていく筈だが、逆に心が塗りつぶされていく。

 

それだけ、私は怒っているのだ、私はあの精霊を憎んでいるのだ、と簡単な答えを導き出し、自身の心に言い聞かせる。

 

しかし、悪い気分には一向にならない。寧ろ、心が穏やかになっていく。何故なら"あの精霊"に「怒りに任せて力を振るえばいい」と言われてしまったからだ。そう言われてしまったら断る理由も少女には無かった。

 

"あの精霊にあの約束を守ってもらう為にも"

 

少女は自身の身長を優に超える大剣型の天使を顕現させ、左足を少し前に出し、大剣をもった両手と共に身体を大きく右に捻る。

 

そして、少女は数秒の瞑想の後、大剣を右から左に力強く薙ぎ払う。すると霊力が大きな衝撃波となり、ギリギリ空間震からの被害を免れた場所を直撃する。

 

衝撃波をモロにくらった場所は一瞬で更地と化し、つい数時間前まで人が住んでいたとは思えない程、悲惨な状況になってしまった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「なんだよ。これ……これじゃまるで、生き地獄じゃないか。」

 

 士道は突然起きた出来事に理解が追いつかなかった。天宮市の半分が突然の空間震で更地になったと思いきや、中央には大きなクレーターと一人の少女が立っていたのだ。それを理解しろと言われても、すぐには理解できるわけがない。

 

「まるで平和ボケしたこの街への鉄槌ですわね。精霊という脅威が去ったことで警戒心が無くなり、薄れたこの街へ対する警告なのかもしれませんわね。"まだ驚異は存在する"…"現実から目を逸らすな"と言わんばかりではありませんか。」

 

狂三は謎の精霊から襲撃を受け続ける天宮市を見つめながらそう呟いた。確かに狂三の言うことも正しい、つい数年前まで精霊という驚異がこの街を襲っていた。それに対抗する為にASTの発足や都市開発の一環として避難用シェルターの設置が行われてきたが、あの日、士道と精霊たちは始原の精霊"崇宮澪"と激しい戦闘を繰り広げ、勝利した。

 

それから、精霊の出現やそれに伴う空間震の発生は無くなったが、それをいい事に政府は天宮市に整備された全避難用シェルターの廃止、ASTの解体を指示した。

当然ながら、一部の市民は反対をしたがその願いが叶うことは無かった。

 

その結果がこれだ。街は再び世界を殺すと恐れられた災厄に蹂躙され、人々に訪れた平和は一瞬で砕かれた。否、砕かれたと言うより"消し去られた"の方が正しいだろうか。暴虐な迄の一撃、それは街を破壊するどころか建物ひとつ残らない更地へと変えてしまったのだから。

 

「シドー、私達は何もできないのか…?」

 

十香が希望を消しさられ絶望した人々のような弱々しい声を出す。それもそのはず、つい先程までそこには街が確かにあった。だが、その見慣れた街がたった一人の少女に跡形もなく消し去られたのだ。

 

「一体どうすれば……あの精霊を止めようにも、十香達は精霊化出来ない状況にあるというのに…」

 

士道は尚も更地と化した街に佇む少女を見て拳を握った。しかし、士道は止める以外にももう1つの考えを持っていた。それが接吻(キス)による霊力の封印だった。士道の身体には、接吻(キス)をする事により精霊の持つ、霊力を封印できる力があった。

 

士道はこの最悪な状況でもあの精霊を救おうと考えていた。その考えを察知したのか狂三は口を開く

 

「ふふっ、こんな時でもあの精霊を倒すのではなく救おうとするその意思…実に素晴らしいですわ。なら、私から先陣を切らせてもらいますわね。八舞さんと折紙さんは私の後に続いてくださいまし。」

 

狂三はそう言うと手に持っていた荷物を士道に預けると目を瞑る。そして静かに右手を空高く伸ばし静止する。

 

「狂三……」

 

士道にはこの行動の全てが理解出来なかった。この最悪な状況の中、狂三は右手を上げ静かに迷走し続けている。

 

そして、次の瞬間。狂三の口から聞きなれたあの言葉が発せされる

 

「さぁさぁ!!おいでなさいまし!!再び貴方の力が必要となりましたわよ!!刻々帝!!(ザフキエル)」

 

刻々帝(ザフキエル)、それは狂三が顕現させる最凶最悪の天使。時間を操るその天使には幾度となく襲われ、そして助けられた。狂三はその強力無慈悲な天使を再び顕現させたのだった。

 

「きっひひひひひ。さぁさぁ、刻々帝(ザフキエル)!!私達のデート(戦争)を始めましょう!!一の弾!!(アレフ)」

 

狂三は背後に出現した大きな時計のIから霊力を取り出し短銃へ取り込ませ、自身のこめかみを撃ち抜いた。その刹那、狂三は一瞬にして未知の精霊の上空に瞬間移動し攻撃を仕掛けた。

 

「あの動き、一の弾(アレフ)か!?」

 

士道は驚きを隠せなかった。狂三は精霊化不可現象の中で天使を顕現させ本来の力で未知の精霊と対等に渡り合っていたからだ。

 

「貴様は…"旧型の精霊"か」

 

未知の精霊は口を開くと狂三の攻撃をいとも容易くはじき返す。

 

「きっひひひひひ、旧型の精霊?それは私たちの事ですの?もし、そうなら…あなた達は新型の精霊とでも呼べばいいでしょうか!!」

 

狂三と新型と呼ばれる精霊が戦っている中、折紙も狂三と同じ動作をしあの言葉を発する。

 

「士道や、精霊達の為にもう一度力を……お願い。神威霊装・一番(エヘイエー)!!」

 

すると、狂三と同じように折紙も精霊化し本来の姿を取り戻す。折紙の顕現する天使は絶滅天使(メタトロン)と呼ばれており、複数の形態を駆使しながら攻撃を行える万能型の天使である。

 

そして、折紙も戦闘に加わり戦局は有利になると思われたが、新型の精霊は今までと変わらず攻撃を避けつつ、強力な技を繰り出していた。

 

「折紙さん、わたくしが敵の動きを止めます。そのうちに冠砲(アーティリフ)の準備を!!」

 

「分かった…。後は任せる」

 

狂三が珍しく指揮を取りつつ新型精霊の動きを間一髪で交わし続ける。そして、ある程度距離を取ったところで刻々帝(ザフキエル)が登場する。

 

「刻々帝(ザフキエル)二の弾(ベート)」

 

狂三はIIの文字から霊力をを吸収し、短銃に込めて敵精霊に向けて発泡し、動きを止めた。

 

「今ですわよ!!折紙さん!!」

 

狂三は上空で待機する折紙に指示を送りその場から離脱する。これも全て狂三の作戦であり、互いに動いている状態では勝ち目は無いため、どうしても敵精霊を足止めする必要があった。

 

そしてその足止めしている最中に折紙の天使が持つ複数形態のうちの一つである冠砲(アーティリフ)で退散に追い込む作戦である。

 

「絶滅天使(メタトロン)…冠砲(アーティリフ)!!」

 

折紙が二の弾(ベート)を撃ち込まれ動きが制限されている敵精霊に向けて、冠砲(アーティリフ)を発射し直撃させる。そのほんのコンマ1秒前に、弾の効果が切れた為、強力無慈悲な攻撃をモロに食らった…はずたった。

 

しかし、敵精霊は強力無慈悲な攻撃を食らったのにも関わらず霊装に傷1つ付いていなかった。

 

「あらあら………タイミングもバッチリだったはずでしたのに」

 

「確かに直撃させたはず、どうして傷一つ付いていないの」

 

狂三と折紙は驚きを隠せずにいた。強力な力をものともせずに、敵精霊はその場にたち続けているのだ。

 

「颶風騎士(ラファエル)縛める者(エル・ナハシュ)!!」

 

するとその声に合わせてペンデュラム状の天使が敵精霊を拘束し、再度、敵精霊の動きを完全に止めてしまった。

 

「成功。何とか間に合いましたね。」

 

颶風騎士(ラファエル)締める者(エル・ナハシュ)。その天使は八舞夕弦が顕現させるペンデュラム状の天使であり、天を駆ける者(エル・カナフ)を発動する際は弦の役割を果たす。

 

「マスター折紙、時崎狂三…ご無事ですか?」

 

夕弦は2人を心配して声を掛ける。

 

「私は大丈夫。問題ない」

 

「私もですわ。でも、流石にもう避けきれませんわよ。」

 

2人は苦悶しながらも次の一手を考えていたその時、敵精霊が遂に動き出した。

 

「驚愕。夕弦の締める者(エル・ナハシュ)が通用しません…!!」

 

敵精霊はペンデュラムの先を掴み、士道の真横に居る耶倶矢を目掛けて夕弦を投擲し、2人を一撃で戦闘不能にさせる。

 

「くっ……うぅ……夕弦…」

「驚愕…力が通用…しま…せ……ん」

 

耶倶矢はぶっ飛ばされてきた夕弦を受け止めきれず、近くにある山の中腹に、夕弦は近くの集合住宅にまであの、たった一撃で飛ばされてしまった。

 

「耶倶矢!!夕弦!! くそっ!!」

 

士道は苦悶の表情を浮かべながらも目の前で起きている戦闘から顔を背けることはしなかった。

 

「さぁ…残りはお前たちだけだ。どうする。大人しく降参するか?」

 

敵精霊は狂三と折紙に少しづつ近づきながら、そう言葉を投げかける。

 

「降参…ですか。きっひひひひひ、この私が簡単に降参するとでも思っていますの?」

 

「降参なんてしない、士道や、精霊たちの為にも…!!」

 

敵精霊はその言葉を聞くと大剣を振り上げ、言葉を発する。

 

「私は叛威霊装i1・バチカルの使い手。そしてこの魔王こそ神絶魔王(イェツェールサタン)である。食らうがいい!!そして絶望と涙でこの世界へ贖罪しろ!!」

 

少女は神絶魔王(イェツェールサタン)を振り下ろし狂三達に強力な一撃を与えようとしたその瞬間。

 

"一人の女王(プリンセス)が大剣を持ってその一撃を相殺した"




第3話 如何でしたでしょうか?デート・ア・ライブ本編では裏方で少しづつ動いていた狂三ですが、今回の世界線では積極的に戦いに行くという狂三にしては珍しい動きを入れてみました。

いやぁ、しかし…あの精霊怖すぎでしょ…(笑)

夕弦の天使を掴んで投げ飛ばすなんて中々のぶっ壊れキャラを作ってしまったなぁと……でも、逆にそれに立ち向かっていく精霊達のカッコよさにも目を通して頂けたらと思います。

それでは、次回 第4話「眠りから覚める女王(プリンセス)」でお会いしましょう。

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第4話「眠りから覚める女王(プリンセス)」

長文執筆に慣れてきて時間を忘れてしまうほど没頭するようになってきました。この調子で矛盾しないようにストーリーを作っていきたいと思います。


"一人の女王(プリンセス)が大剣を持ってその一撃を相殺した"

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

少女は呆然と目の前でやられていく精霊を見ていた。次の瞬間、一人の精霊が敵精霊に飛ばされ、戦闘不能に陥ってしまった。それでも、彼女は動けなかった。身体が言うことを聞かない。

 

そう、身体が現実から目を逸らし続けてしまう。再び、こんな日常が来てしまったことに驚きや不安…色々な感情が少女の心を推し潰そうとする。

 

「降参?きっひひひひひ。私達が貴方に降参するはずありませんわ。」

 

「そう、貴方に降参するはずがない。士道や、他の精霊達、ここに住む人々の為に」

 

ボロボロになりながらも敵精霊と交戦する二人の精霊。その精霊に敵の強力な一撃が振り下ろされるその刹那。

 

少女の身体は自然と空を舞い、敵の強力な一撃を手にした天使で相殺した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「くっ………っ!?」

 

「私達は…確かにあの攻撃を食らったは…ず……これはどういうこと」

 

狂三と折紙は霊力でバリアを貼って攻撃を防ぐ体制に入っていたが、襲ってきたのは並の人間では立っていることさえ出来ない程の強力な衝撃波とその際に地面から舞い上がった土煙だけだった。

 

「折紙、狂三…大丈夫か。」

 

そう声を掛けるのは、紫の公女型霊装をまとい、精霊として完全な姿に戻った精霊:夜刀神十香だった。十香は敵精霊の強力な一撃を左手で受け止めており、右手に持つ天使:鏖殺公(サンダルフォン)で敵をその場から立ち退かせた。

 

「二人とも、待たせてしまったな。もう大戦局を高台から見つめる士道と吹き飛ばされた八舞姉妹の救出に向かった。

 

「貴方も邪魔立てすると言うの…私の願いの成就を!!」

 

敵精霊は神絶魔王(イェツェールサタン)を振るい鏖殺公(サンダルフォン)と激しい鍔迫り合いをする。

 

「貴様こそ、その願いを叶える前にこの街の有様を見てみろ!!小さな子供から大人までもが…逃げることさえ叶わず、貴様の暴虐な迄の力の犠牲になったんだぞ!!」

 

十香は神絶魔王(イェツェールサタン)をはじき、右から左へと鏖殺公(サンダルフォン)を振るい、衝撃波を繰り出す。

 

「それがどうしたというの!!願いを叶えるにはそれ以上の犠牲が必要なだけ!!」

 

ぶつかり合う魔王と天使。強力な一撃が幾度となく両者から繰り出され、そして、互いにその攻撃を避け続ける。

 

「お母さん……何処にいるの…」

 

一人の子供が泣きながら更地と化した街を歩きながら母親を探していた。そして、ボロボロになった廃ビルの近くで力尽きたのか座り込んでしまう。

 

その瞬間、後ろのビルが大きな音と共に崩れ、子供の座っている場所に瓦礫が迫る。

 

「鏖殺公(サンダルフォ……)」

「神絶魔王(イェツェールサタン)!!」

 

十香が鏖殺公(サンダルフォン)を振るい、衝撃波を生み出すより早く、謎の精霊が神絶魔王(イェツェールサタン)を投擲し、瓦礫を粉砕し子供を助けた。

 

「あ…ありがとう。お姉さん…。」

 

「すぐにここから居なくなって………危険だから。」

 

敵精霊は子供を離し、再度、神絶魔王(イェツェールサタン)の刃先を十香に向ける。

 

「貴様…本当は人間が好きなのだろう?」

 

十香は敵精霊にそう言葉を投げかける。それもそのはず、敵精霊は見ず知らずの子供を助けた安全なところまで行くのをずっと見つめていたからだ。

 

普通の人助けなら、道を教えるなどの初歩的なものが思いつくが、敵精霊は明らかにそれ以上の事をしていた。まるで"精霊になる前から人助けをしていた"ような感じだった。

 

「そうよ。人が大好きなのよ…でも、あの大火災は多くの人を失う羽目になった…挙句の果てには助けられてしまった…。だから、私はその大火災を起こした精霊も…その時、この世界で過ごしていた精霊も殺す。その為に、精霊になったのだから!!」

 

敵精霊は神絶魔王(イェツェールサタン)を全力で振り下ろし地面に亀裂を発生させ十香を亀裂の奥深くに叩き落とそうとした…が、十香はその亀裂を軽々と飛び越え敵精霊の神絶魔王(イェツェールサタン)を鏖殺公(サンダルフォン)で押さえつけた。

 

「だからと言って…この街に住んでいた人々を巻き込む必要があったか!!よく考えてみろ!!」

 

「……………っ!?」

 

十香の言葉に敵精霊が反応したのもつかの間、突然周りを見渡し頭を抑え苦しみ始める。その動きはまるで"何者かからの支配から開放された"ような感じだった。そして、敵精霊は口を開く

 

「私は………一体何を…人々を殺めたと言うの…自分の願いの為に?あの大火災より多くの人間を…?この力は人々を救うものじゃないの………」

 

その時、敵精霊の記憶にノイズに混じって凛とした声に白いドレスを身にまとった精霊。"あの精霊"と呼称される彼女との会話が思い出されていく。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「この力は、…々を救うものだ……。これ……を振……る…ば、人々……救われ……て、邪……者…精霊…………と攻……食……う。さぁ、本気で………力を振………い……よ。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「私は……私は何をしたの…この力で…この力で何をしてしまったの!!…私はただ…願っただけ…"大火災で亡くなった人たちを生き返らせたい"と……なのに、人が倒れているのは…苦しんでいるのはなんで……なんでなの!!」

 

敵精霊は自問自答を繰り返し、自我が崩壊しかけていた。

 

そして、意識は深い闇の底(ゼロ)に堕ちた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その頃、フラクシナスの艦内にはけたたましく警告のアラームが鳴り響いていた。

 

「エレン。この状況は何!?反転体が黒い球体に包まれたと思ったら、急に霊力が強まりだしたわ…」

 

琴里はコンソールに映る「霊力観測不能」の文字を見てエレンに状況を伝えるように催促を促す。

 

「…私にも分かりません。反転体である精霊にはこれ以上の変化は無いはずでは?」

 

エレンはそう琴里に告げる。確かに精霊には十香達のような通常の姿と、深い絶望を知った時に霊結晶が反転し、生まれる反転体しか確認されていたなかった。

 

しかし、琴里はある事を思い出す。精霊は本来、反転体が通常体だと聞いたことがある。その際に、十香たちは"始原の精霊である崇宮澪によって姿を今の姿に変えられた"とも教えてもらった事がある。

 

もし、反転体を中心として右側が十香達の姿であるなら、左側にそれと対になる存在があってもおかしくないのだ。もし、あの精霊がその対となる存在へと変化しているなら、対抗策は限りなくゼロに近づく事になる。

 

反転体や十香たちの様な精霊を凌ぐその力。神をも恐れぬ力の体現者。琴里はその正体をこう名ずけた。

 

……… "神格体"と………

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「私の大切なものを二度と奪わせない。」少女はそう口にし"精霊を殺す精霊"になったはずだった。

 

だが、記憶の片隅にもうひとつの記憶が存在していた。そこには純白のドレスに顔をベールで包んだ少女が私を見ていた。知っている記憶には存在しないその少女は口を開いてこう告げる。

 

「君は、人が好きなんだね。でも、この大火災でここに住んでる人達は全員死んでしまう。私になら、この結末で亡くなった人を救える手段を持っている。さぁ、どうする?」

 

そう問いかけられた私は、迷いなく謎の少女から霊結晶(セフィラ)を受け取る。そして、少女はまた口を開く。

 

「その力は本気で振るえば振るうほど周りの人を幸せにして、この結末を作り上げた精霊に暴虐な迄の力の発揮する。つまりは人類の希望だよ。」

 

その言葉を聞いたと同時にその記憶はそれ以上の情報を教えてくれなかった。一体、どちらの記憶が正しいのだろうか。それに何故、あの時子供を無意識に助けたのか、何故。亡くなった人、苦しむ人を見ただけで…ああも、悲しんだのだろうか。

 

理解できない。理解できない。何も分からない…、何故悲しんだ。何故、子供を助けた。あの力を振るえばみんな救えると言う言葉を信じたのに、現実は違った。

 

一瞬、見えたあの景色はなんだったのだろう。人々は救われるどころか、地面に突っ伏しピクリとも動かなった。辺り一面は更地になっていたあの景色は…

 

少女は頭を抑え苦しむ。心の底からあらゆる負の感情が湧き上がる。どれが本物だ。どれが偽物だ。あの記憶はなんだ。希望、絶望?あぁ、モウ、ドウニデモナッテシマエ…

 

少女はあらゆる負の感情に満ちた表情で新たな魔王を手に取る

 

その力は"世界そのものを絶つ"という人を愛しながらも人を救えなかった少女に相応しい魔王だった。

 

その名は絶世魔王(イーレヴェスへレヴ)




人を愛し人を救えなかった少女は自身が取り込んだ霊結晶(セフィラ)に隠された新たな力を無自覚に呼び覚ます。それは神に等しき力にして反転の上位互換

そして、精霊として完全覚醒した夜刀神十香。彼女は新たな力の前にひれ伏すか…それとも……

次回 第5話 「反転…そして……」

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