アイドル事務所でドライバー兼警護担当になりました (三余)
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プロローグ
1話


≪これは近未来のお話、少し治安が悪くて物騒になった世界の中で逞しく生きるシンデレラ達と一人の運転手兼警護担当の物語≫

 

彼と彼女、武内プロデューサーと事務の千川ちひろは肩を揃えて春の陽気が残る夕闇の中を歩いていた。

「今日はお疲れ様でした!久しぶりに早くあがれましたし何処か呑みに行きますか?」

「そうですね、久しぶりですし行きましょうか。」

プロデューサーの方は癖なのか右手で後頭部を掻きながら相手は女性ということで先導して飲み屋街の方へと足を向け少し歩いた先で手頃な価格帯かつ空席のある丁度いい店を見つけ暖簾をくぐった。2人は有名アイドルが多数在席する芸能事務所勤めであり普段は忙しく中々この辺りの飲み屋街の情報は知らなかった。そんな二人が治安が良くない事を知る由もなく…。

数時間後、そこには出来上がった千川と快方する武内プロデューサーの姿があった。千川が吐く雰囲気を見せた為なるべく人気の無い場所へ行こうと路地を歩いていた時である、彼らの正面にいかにも怪しげな二人組がまるで良いカモが近づいてきたかのような目つきで近づいてきた。オマケに彼らは何語かさえも分からない言葉を叫びながら。そしてその手には艶かしく光るナイフを手にしていた。プロデューサーは咄嗟に彼女を後ろへ庇った。武内プロデューサーは男性の中でもかなりの巨漢である。それこそ仕事で勧誘を行っている最中に不審者扱いされる位にはである。しかし二人組は歯牙にもかけないようでナイフを見せびらかしながら近づいてきた。

「ちひろさん、私が引き付けるので逃げてください。」

「プロデューサーさん…足が竦んでしまって…」

当然である。夜間に、路地裏で、言葉も伝わらぬ男達に今正に教われようとされているのである。

二人が固まってる間に距離を詰めてきて手が掛けられようとして死を覚悟し目を瞑った時である。

耳を劈く破裂音が後ろから響いた。その音を響かせた男は素早く二人を押し除け前に出ると銃口を向け英語で大声で威圧するように警告を発した。その光景はまるで映画の撮影のようだったと後に武内Pはアイドル達に言ったという。

『Put down your weapon!!!』

突然の乱入に二人組は驚きつつも銃器には慣れているのか冷静に視線を切ることなく後ずさり一定の距離を取ったタイミングで走り去る。

そして2人を助けた"彼"は2人組を見送った後も緊張を切らさずに、ゆっくりとした動作で服を捲り、彼の茶色のような黄色のような色の角ばった形をした銃を臍前のホルスターに戻した。それと同時に聞き慣れたサイレンの音が遠くから近づいてくるのが聞き取れた。その音に少し安堵したのかまずはプロデューサーの方から言葉を発した。

「あの、助けていただきありがとうございます。」

「いえいえ、そちらこそ大丈夫ですか?二人共けがはありませんか?」

「はい、私は大丈夫ですちひろさんも…彼女も大丈夫だとと思います。」

「私も大丈夫です、プロデューサーが庇ってくれたので…」すっかり酔いも冷めたようでしっかりとした言葉が返ってきた。

「なら良かったです、そろそろ大通りにパトカーが来る頃だと思うので行きましょう。」

手短に言葉を交わし、まだ恐怖が抜け切らない2人を優しく彼はそっと後押ししながら歩いていった。

パトカーと合流した後はまるで手慣れた手付きで警察官に何かを見せ、テキパキと事務処理をしていく。そんな彼を別のパトカーに乗った2人はぼーっと眺めていた。その後はあっという間だった、落ち着いたタイミングで矢継ぎ早に事件について聞かれた後連絡先を控えられパトカーで自宅まで送ってもらってその日は終わるのだった。

翌日プロデューサーと千川ちひろは双方共に上司から常務に呼び出されて常務の部屋前で合流した。2人はお互いの顔を見合わせて昨日の出来事であろうことを予測しながら扉をノックし部屋に入る。そこには年齢を重ねて得られるであろう以上の雰囲気を纏う美城常務とその影にもう一人静かに座っていた。

常務は扉が閉まるのを確認すると張り詰めた声で話し始めた。

「昨日は災難だったな、ご苦労。身に染みて感じただろうが昨今の治安悪化に対して我々346プロは警備会社と契約を結ぶことになった。それに際してドライバー兼警護担当が常時着くことになった。そして彼が第一号として出向してきた長月涼亮だ。取り敢えず彼には武内くんの受け持っているアイドルの担当をしてもらう。今回はその報告になる。以上だ。」

そう告げると長月と呼ばれた彼、そう昨日の彼は立ち上がり握手を求めてきた。

「長月です!これからもよろしくお願いします!」

 

 

これは硝煙の薫るようになった世界でも強く活動するアイドルとその裏で日夜安全を守る男の物語。




初投稿でこれで良いのか分からないですが…今までは読むばかりだったので今度は書く側になってみました!
御照覧頂ければ幸いです。最初に出すアイドルは誰にしようか悩みつつ次回を書こうと思います。


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業務開始!
主に担当となる問題児達に引き合わされるの巻①


LiPPSみんなかわいいですよね、まじで1番を決められない魅力的なメンバーが揃ってると思う。そんな彼女等の担当となった彼は絶対苦労すると思う、だって問題児の集ま(ry


常務の部屋で手短に挨拶をした"彼"こと長月涼亮は武内Pに連れられて主に担当となるアイドルに会う為に広い社内を移動しているところであった。

「やっぱ346プロは大きいですね〜、今まで赴任した先で一番デカイ建物ですねコレは」と思わず心の内を漏らす。

「一応芸能事務所としては最大規模ですからその本社となるここがデカイのも当然といえますね」と武内P、どうやら彼の説明を要約すると346プロ所属の全てのアイドルがここに集い、ダンスや歌のレッスンを行い、なんと撮影やCD制作も一部行っているとの事だ。そんな話を聞きつつ彼は大雑把な見取り図を頭の中に組み立てて行く。警護担当として万が一が社内で起きた時のためである。

完全に自分の世界に入っていた涼亮に武内Pは昨日の話を切り出した。

「改めてになりますが昨日はありがとうございました。」

「いや、礼には及ばないですよ。ただ今日の仕事先の人を助けたとは思っても居ませんでした。」と笑みを返す

「そうなんですか。私はてっきり昨日の今日で貴方を見つけて常務が直々にスカウトをかけたのかと思いました。何やら社内に警備部門を作りたいが人が集まらないらしいという噂がありまして…」

「前々からウチの会社と交渉についてたんですよ、自前で信頼できる人を集めるのは今のご時世至難の技ですからね、それで話し合いの結果ウチは信用を勝ち取って晴れて警備委託をされたと言う訳です」

20XX年に大陸で発生した紛争により難民が流入した結果、人だけでなく武器や薬物も国内に入り急速に悪化した治安に対処する為に警察官の重武装化だけでなく警備員の武装化が決定、銃刀法と警備業法が改正され1号から4号警備全てで必要に応じて講習を受けた者が銃器を持てるようになっていた。しかし施工されても審査する警察が中々首を縦に降らず許可が降りにくいのが実情であった。そんな中ウチの会社は元警察官僚の顧問のお陰かコンスタントに許可がおり、主に4号警備の所謂ボディーガードをメインとした業務でコンスタントに成長していった。因みに許可が降りるには何重もの身辺調査と安全講習、技能講習をクリアしないといけないし好きな銃を持てる訳ではなく許可が降りる使用弾薬にそった銃を合わせなければならない。この手続きの煩雑さ、そして専門知識の必要な銃火器という点が合わさって恐らくプロダクション内での計画が進まないのだろう…と涼亮は考えていた。

そんな事を考えていた所で目的のアイドルが居る部屋に着いたようだった。

「この部屋に担当をしてもらうLiPPSのメンバーが居ます、これからどうかよろしくお願いします。」と深々としたお辞儀と共に口から出る言葉に涼亮どんなメンバーなのだろうかと考えたが想像も出来なかった、が数分後頭をそこまで下げる訳を充分に理解することになる。

 




自分の妄想を文字起こしするのってなかなか大変ですなコリャ。四苦八苦しながらも頑張りますのでどうかよろしくお願いしますね


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主に担当となる問題児達と引き合わされるの巻②

前回からの続きです。
主人公の涼亮には個人的な趣味でGLOCK19Xを持たせてます。定番だけど19Xなのが乙なポイントだと思ってる厄介なオタクが書く小説、気が向いたらどうか読んでやってくださいm(_ _)m


扉を開けるとそこにはソファーでまるで家かのようにだらけた姿勢でゲームをする者、スマホでSNSをチェックしているであろう者、何もしていないがニコニコと楽しそうなハーフっぽい顔立ちの者、そして全てを見守るかのように部屋の隅に佇む者…正に三者三様、十人十色の様子であった。

涼亮に続きプロデューサーが部屋に入ると漸く視線が入口に集まり涼亮の存在を認知させる。

「彼が皆様のドライバー兼警護をこれから担当する事になります、長月涼亮さんです。皆様ご迷惑をお陰しないようにお願いします。それと自己紹介も宜しくお願いしますね。」とプロデューサーが言うとまずソファーでゲームをしていた綺麗な銀髪をした少女が反応した。

「お、彼が噂のプロデューサーとちひろさんを助けた人?塩見周子で〜す。よろしくね〜」とかるーく挨拶をする。そんな自己紹介を聞いて先程までスマホを弄っていたピンク髪のいかにもなギャルが周子に反応する。

「こら!これから私達の担当になるんだからちゃんと挨拶しなきゃでしょ!アタシは城ヶ崎美嘉!よろしくね!」と快活な雰囲気を言葉に乗せて自己紹介をした。グループ内の立ち位置的にオカン的なポジションなのだろうと涼亮は思わずにはいられなかった。

次に自己紹介したのはハーフっぽい顔立ちの子で

「どもども!宮本フレデリカだよ〜、日本語しかシャベレナイデース!ヨロシクオネガイシマース!」との事だ。根は悪くなさそうだなぁ。不思議ちゃん枠かな?

とぼんやり考えていると部屋の隅に佇んでいた例の子が近づいてきてまるで品定めでもするようにこちらを見てきた。一通り見て満足したのかようやく口を開く。

「速水奏よ、これからワタシの事をちゃんと守ってね。私達からしたら白馬の騎士って所かしら、ふふっちゃんと働いたらキスしてあげるわ」とワザワザ耳元で色っぽい声で囁き流石の沈黙を保っていた涼亮もここで少しだけ口を開いた。

「年上をからかうんじゃないよ(笑)」と言いながらまるで子供扱いするかのように髪の毛をぐしゃっと撫でてあしらった。その時奏の口から不満の声が聞こえたような気がしたが気にしない。 

ここでこの部屋で自己紹介をしていないのが自分だけだと気付き自己紹介を口にする。

「これからキミたちの担当ドライバー兼警護担当の長月涼亮です、歳は23歳で少し上位だろうから気軽に声を掛けてください。よろしくね。」と言うとおもむろに服を捲り臍前から拳銃を取り出した。銃口を上に向け弾倉を抜きスライドを引いて弾を取り出し安全化してから、そしてこう続ける。

「君達を守る上で自分が側に付かされたと言う事はコレを万が一にも使う可能性があるかもしれない、その時は指示に従ってね。」と言う。

流石にこれには茶々を入れずに頷くメンバー。

プロデューサーも「私からもよろしくお願いします。」と続く。

「これで全員ですか?」

「いえ…一之瀬さんが…あと一人いるのですが今日はまだ居ないようですね。そのウチに来るとは思うのですが。」との事らしい。自由人か。とツッコミを脳内で入れる。

「取り敢えず今の所はこれで全員ですね。あちらに長月さん用のデスクを用意してありますでそちらに荷物も運ばせて頂いたので荷解きしながら待ってましょうか。」

と提案を受けたので了承した。奥のデスクへ向かうと銃の管理に使うまるで縦長の金庫のようなガンロッカーが備え付けられておりこのスペースのみで事足りるようになっていた。流石346プロと思いつつ書類やら筆記用具を机に出した後にガンロッカーを開ける。そこには彼が所持許可を受けた.223レミントンを使うAR,12ゲージのショットガン、そして彼が愛用し常に携帯しているGLOCK19Xの予備とソレをピストルカービンにするキットが納められており、棚の上には各種弾薬とマガジンが山の様に置かれていた。

ソレを見た面々は「えいがみたーい、ねぇねぇ一つちょうだいよ」「すごっ!」「わーお!」「ふーん」と想い思いの反応をする。誰だ欲しいとかいうやつ、やらんぞ〜と気の緩んだ返事をしながら一通りのモノは揃ってる事を確認して扉を閉めた。願わくば使う機会が無いことを祈りつつ。そして使わなければならない機会が来たら躊躇なく使う事を天に近いながら…

 




キャラを喋らせようとすると中々難しいってことがヒシヒシと伝わってきますね…
キャラ崩壊しないように色々再履修しつつナチュラルな会話をもっと増やして行けるように頑張ります!


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主に担当となる問題児達と引き合わされるの巻③

一通りの荷物を確認し終わった涼亮は武内Pに今後のスケジュール確認をする事にした。彼の仕事は運転手兼警護なのでルート確認をしつつ危険箇所のチェック、万が一の場合の対処法、警護に使う武器の選定などなどやる事は山ほどあるので早いに越したことはない。

 

「プロデューサさん、仕事のスケジュールを自分にも回していただけますか?色々確認しておきたい事があるので。」

「はい、わかりました。後程支給されるPCとスマホの方に転送させて頂きます。直近数日は主にレッスンなので特に何かある事はないと思いますのでご自身のやるべき事に集中して頂いて結構ですよ。」

 

と会話を済ませた所で涼亮は射場へ行く事にした。彼のように銃器を携帯し警備業に就く人間は拳銃は一週間に50発以上、小銃は100発程度の訓練が推奨されている。これはあくまで推奨なのだが許可が下りるか否かの際に財務状況的にこれらの訓練が可能か、そして訓練可能な環境が整えられるかも大きな鍵となっているらしい。そして346プロはその広い土地を活かし本社地下に射場を作ってしまった。なんでも美城専務がゴリ押しで進めたとか何とからしい。涼亮は愛用のホルスターと同じメーカーのボストンバッグを広げ各種ポーチがついて盛られたプレートキャリア、ファーストラインが入っているのを確認するとガンロッカーから各種マガジンと9ミリの弾薬2箱分と.223レミントン(5.56ミリ)の1箱20発入の箱を8箱用意して放り込んだ。次に色々なロゴのシールが貼られてまるでスーツケースのような見た目の縦長いハードケースを用意してこれまたロッカーから取り出した小銃をその中へ入れる。それを持って移動するとさながら流れのバンドマンである。フロアからエレベーターに乗り地下2階に到着するとそこは打ちっぱなしのコンクリートに埋め込まれた電球が等間隔に並ぶアングラな光景が広がっていた。そのエレベーターから降りた目と鼻の先にはフェンスとその横に光るモニターがあり、どうやらそこに通行証を当てる事で扉が開くようであった。

その先には見学者用兼射手が準備等をする為に仕切られたエリアにベンチが並び、仕切られたエリアのずっと右の奥には土嚢やタイヤが積まれており、その目線の先まで天井には紙的を送るレールが走っていた。確認が済むと黙々と拳銃と小銃のマガジンに弾を詰める。今日は射場が貸し切り状態なので基本動作とバリケードを設置して移動しながらの射撃訓練をするつもりだったのでフルロードにする。装填し終わり装備を着込むとまずはライフルに載せたサイトの明るさを調整する。それが済んだら入念にドライファイアを2丁共に行ってフィーリングを確かめる。悪くないといった感じであった。

そこからまずは小銃を20発ゆっくりと正確に射撃をする、ここまで行ってきたドライファイアからのゆっくり正確に射撃を行うのは涼亮の欠かせない訓練でのルーティンであった。

その後設置したバリケードを使い体を隠しての射撃、すぐさま次のバリケードへと移動して射撃…を繰り替えていった。これが中々にキツいのである。全身に着けた総重量何十キロの装備と約3キロのライフルを持って走っては止まり撃つ、走っては止まり撃つ…射撃中に動揺する訳には行かないので体力作りには気を使っている彼にとってもそれは同様であった。

そうしてクタクタになった彼が決まって行う最後の射撃ドリルはライフルを2発射撃しすぐさまセイフティを掛け、その腰に下げた拳銃へ持ち帰る所謂rifle to pistolと呼ばれるものであった。疲れてクタクタな時でも常に射撃を行えるような状態を作り続けるのが目的で護り手たるものに必須のスキルである。

只管に頭で考えず同じ動きをミス無く繰り返す、弾が無くなりスライドストップが作動すれば素早く弾倉を交換して既定の数を的に撃ち込む。涼亮はこの頭より体が本能的に反応するまでに体に動作を落とし込めていると言う事に心の底から満足していた。

 

『パンッ…ガシャッ…』

 

と拳銃に持ち替えて一発を撃った所で最後の一発だったらしくホールドオープンして彼の愛銃はその動きを止めた、そしてその場に久し振りの静寂が広がったのであった…。それを目と耳と体全身で理解した涼亮は訓練が終わりである事を悟り小銃と拳銃のみをセイフティエリアに戻しその傍らにあるコートブラシを手に取り自らが放った弾の数だけ地に落ちている薬莢を一纏めにするのであった。そんな時自分以外来る事の無いこの階にエレベーターの呑気なベルの音が響き、その中から一人の少女が現れるのが見えた。

 

「この"ニオイ"を創ったのはキミかな♪♪」

 

 

 

 




今回はほぼ射撃で終わってしまいました
しかしながら表現が難しく中々上手く行きません…筆のスピードを上げて慣れるのみでしょうか…これからも、良ければ読んでやってください!


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