仮面ライダーβ (King Kazu)
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選神使編
プロローグ&第1話~選ばれし戦士~


この作品はやや中二的な雰囲気が若干あります。
仮面ライダーを心から愛し、オリジナル仮面ライダーなんて絶対許さない!!
なんて方がいらっしゃいましたら、それはもう、すいません。


プロローグ~選ばれし戦士~

 

西暦2089年,8月1日 日本国 東京都新宿区

 

午前の新宿駅は夏休みの初日というだけあって、かなり混雑していた・・・。

「電車が参りまぁーす。お下がりくださぁい!」

駅員の声が微かに聞こえるが人々の声にすぐに掻き消され、最後までは聞き取れない。

 

そんな人混みの中、1人の少年がいた。神崎大翔(かんざきひろと)16歳。彼は両親を幼い時に亡くしている為、祖母に育ててもらっていた。

大翔は山手線のホームにいた。

あまりにも人が多い為、誰もが気持ち悪くなりそうであった。

そんな中、既に電車はホームへと滑り込んでいた。電車の風圧で我に返る人々・・・。

やがて、ホームドアが開き車両ドアも開いた。列の先頭にいた大翔は後ろの人達に押されて車内へと、入った。

車内は思った以上に暑く、苦しく密閉されているため、更に圧迫感を感じる。

大翔は山手線内回りを利用して、新宿駅から東京駅へいくつもりだったが、新宿の次の渋谷で降りることにした。しばらく走っていると、車内アナウンスが渋谷にそろそろ着く事を告げた。

大翔はほんの1分弱乗っていただけなのに、2日位乗っていた気分になった。

そして電車は渋谷駅のホームに入っていった。どんどん減速する車両。

停車位置まで3m程だった。が、次の瞬間。

ドドン!! 

凄まじい音が突然、車内に鳴り響いた。乗客の悲鳴がうるさい。

「どうやら、前の車両が爆発したようだな・・・。」

と、大翔は察した。

そして大翔の予想通り、大翔の乗っていた車両の前の車両とその前の車両が、爆発していた。 

「ちっ、面倒だな・・・。」

大翔は小声で、そう呟いた。

 

第1話~未確認生命体「テイラー」~

 

大翔は渋谷での爆発事件の後、この手の事件はあまり関わらない方がいいと考え、さっさと

渋谷駅を後にし、タクシーで東京駅へと移動した。

彼が東京へと足を運んだのには、特に深い理由などは無かった。

行き着けの武器屋があるから、ただそれだけである。 

もちろん武器屋とは、その名の通り危険な武器を扱っている。

なので、一般人や警察の目に届かないような、路地裏にありそして、会員制の店なのである。 

もちろん大翔は常連客の為、場所など地図を見なくても分かる。

彼が、この店と出会ったのは4年前,大翔がまだ中学生の頃、大翔の家が火事で全焼し、祖母が色々な物件を訪ねていた時、東京まで行って来ると祖母が言い、心配になってついて行った所、大翔は東京駅で祖母とはぐれ、駅構内をウロウロしていた所をスーツを着た男に連れ去られ、辿り着いたのがこの武器屋であった。

そして大翔は殺されると思い、覚悟をしていたらスーツの男が大翔に刃渡りが30cm程のサバイバルナイフを渡したかとおもうと、東京駅の迷子センターへ大翔を連れて行き、そのまま去っていった。以来、大翔はひきつけられるようにこの店の虜となり、常連客となった。 

しかし、初めてこの店を訪れた時のスーツの男はそれ以来1度も見ていない。 

そして現在、大翔はこの店へと足を踏み入れた。

店内には珍しく客がいた。大翔と同じ位か、もしくは少し下位の年齢の少女である。

大翔は少女に問いかけた。

「アンタ、見ない顔だがここ来んの、初めて?」

少女は無言で小さく頷いた。 2人の間にしばらく沈黙が続く。すると今度は向こうから、

「あなたは?」

と、問いかけてきた。 大翔は慌てて思わず訳の分からない事を口走った。

「うぇ?ああ、俺はここに来て、たったたくさんだな。」

大翔はチラッと少女の方を見た。 大翔には一瞬、少女が笑ったような気がした。

また沈黙が続く。 するとまた向こうから、

「私の名前は桐縞華梨(きりしまかりん)。15・・じゃない、今日で16歳よ。」

やっと会話になれてきた大翔は、

「へえ、俺は神崎。神崎大翔だ。同い年の16歳だ。ちなみにさっきは言いそびれたが、俺はここの常連さ。」

と簡単に自己紹介した。

「常連さんかぁ。ちょっと、ここの武器について教えてくれる?私、こういうのよくわかんなくって・・・。ほら!こいうのって、男の子とか好きでしょ!?」 

突然の質問に大翔は戸惑ったが、彼女の役に少しでも立ちたいと思い、ありったけの知恵を出し切った。

「ええと、まずこの拳銃がグロック17 Gen1で・・・」

大翔が説明を始めた途端、もの凄い音が鳴り響いた。急いで外の様子を大翔は見に行った。路地裏から全速力で走って、大通りに出た。

「・・・」

大翔は目の前の光景に絶句した。 

そう、そこは地獄と言っても過言ではない程の光景が待ち受けていた。

ビルなどの建物は全て倒壊し、焼けて人々も血だらけで体がもの凄い勢いで、燃えていた。 

そして、その光景の中で大翔は奇妙な物を目にした。

「ベルトの・・・バックル?」

気になり、拾い上げようとした。しかし、そのバックルらしきものは、どうやら金属製でとてつもなく重かった。

「うおおおおおおお!!!」

全力で大翔はそれを持ち上げた。すると眩い光がバックルから放たれた。

思わず大翔は手をはなしてしまった。 しばらく目を閉じていた大翔はゆっくりと目を開けた。 するとなんと、大翔の腰にあのバックルが装着されていた。そして、しなやかな鉄製のベルトも、大翔の腰を巻いていた。

「何なんだよ!?これ!!」

思わず大翔は叫んでしまったが、それ以上に驚く光景が大翔の前に広がっていた。

見たことの無い奇妙な生物が大翔の周りを囲っていた。その生物は大翔の身長と同じ位の二足歩行の生物であった。

「な、何なんだよ!?お前等!!」

必死で叫ぶが、謎の生物は答えずただ、じっと大翔を睨んでいる。

そのうちに、大翔を囲っていた謎の生物の一体が大翔目掛けて、飛び掛った。

「うわあっ!!?」

再び、目を瞑る大翔。

すると何処からか、声が聞こえてきた。

「我が名は、・・・。」

「!?」 

驚いた大翔はゆっくりと、目を開けた。

そこは何も無い暗闇であった。 自分の足元さえも見えない。

「誰なんだ!!?」

大翔が叫んでいると、再び謎の声が聞こえてきた。

「我が名はβ(ベータ)。」 「は!?β!?」

大翔は突然の応えに混乱し、思考を巡らせる余裕がなかった。

「貴様が望むのであれば、我は貴様に力を授けよう。」 

「望むって、何をだよ!? 力って、何だよ!!?」

ますます訳が分からなくなる大翔。

「では、簡潔に問う・・・。貴様は・・・助かりたいか・・。」

大翔の頭の中が急に整理された。もちろん、浮かんだ答えは1つしか、なかった。

「ああ・・。助かりたい・・・!!」

自分でも何を言っているのか大翔はよく分からなかった。 

でもあの、絶体絶命の状況を乗り越える方法はこれしかないと、考えがまとまった。

「ならば、我を呼ぶ唯一の呪文を授けよう・・・。こう唱えろ。」

βが静かに言った。

「変身と・・・。」

大翔はもう一度目を閉じ、そして開けた。

謎の生物はすぐそこまで、来ていた。大翔は叫んだ。

「変身!!」

大翔が叫んだ瞬間、ベルトが反応し、大翔の周りに眩く、神々しい神秘の光が生まれた。

光は大翔に飛び掛っていた謎の生物を吹っ飛ばし、大翔の周りにいた何体かの謎の生物も吹き飛んだ。

光が大翔を包み込み、ベルトが変身音を発する。

そして、変身音が鳴り止むと同時に、光も消えた。

光の中から現れたのは、全身を超金属で包み込んだ、仮面の騎士、「仮面ライダーβ」であった。

変身した大翔は不思議と気持ちが高鳴って、興奮していた。

大翔は今ならどんな事でも出来る。 どんな世界も変えることができる。 そう、信じていた。

そして思い切り謎の生物に殴り掛かった。

「うおおおおおぁぁぁぁぁっっ!!!!」

今までに発した事のない、雄叫びを上げる。

βの鉄拳が、謎の生物の腹に食い込む。メキメキッ!

殴った謎の生物は吹っ飛んでいった。

大翔は今までに、感じた事のない快感を味わっていた。

大翔は気が済むまで、とにかく周りにいた謎の生物を殴り続け、蹴り飛ばし続けた。

大翔が我に帰った時には既に、大翔の周りにいた謎の生物は全滅していた。

「これがフルボッコって奴かぁ・・・。」

それが戦いが終わり、大翔が初めて発した言葉であった。

「神崎君!!」

呼ばれて振り返ると同時に、大翔の変身が解けた。

大翔の先には華梨がいた。

「どうした?」

大翔はけろっとした顔で華梨に問いかけた。

「さっきの戦い、すごかったね!」 「なんだ、見てたのかよ。」

大翔が驚いて言うと華梨がそうそうと、いった顔で、ある資料を大翔に見せた。

「なんだよ?これは?」大翔がすぐ質問すると、

「そう、それよ。それ。」

と、華梨が説明を始めた。

「この資料に載っているのはさっき、神崎君が倒した怪人、テイラーよ。」

華梨が言うと、「か、カイジン?」

と、大翔が言った。

「怪獣の怪に、日本人の人。それで怪人よ。」

華梨が混乱している大翔にそう言うと

「ああ、なるほど。それで怪人と。」

と、大翔も納得した。

「んで、そのテイラーっていう怪人は一体何なんだ?」

再び話が進み始める。

「うん、そのテイラーはどうやらアメリカのカリフォルニア州で、1度発見されているみたい。あと、ロシア北部でもね。日本で発見された記録は残ってないわ。」

「なるほど。テイラーは既に誰かが発見しているが、日本では俺達が第一発見者って事か。」

「そういうことになるわね。」

「ていうか待てよ。」

大翔が急に思い出したように言った。

「どうしてそんな情報をお前が知っている?」

「ああ、そのことね。すっかり言うのを忘れていたわ。」

華梨も思い出したように言った。

「大きな音が鳴り響いて、あなたが外へ飛び出していった後、私はすぐに部屋にあるPCに気が付き、すぐさま調べると、1つのファイルがあった。テイラーと表示されたファイルがね。」

「んで、そん中にテイラーの情報が入っていたと。」

「そう。それで、そのファイルをすぐに印刷してこの資料を作った。」

「しかし妙だぞ。」大翔が話を一旦、止めた。

「普通はそんな大切な情報は、頑丈なセキュリティーを施して保管しておくモンだろ?」

「うん。そこは確かに私も引っ掛かったけどあそこ結構ボロくて寂れてるし、まずそもそも、あの店自体があんまり人目の付かない場所にあるじゃん。」

「確かに言われてみれば・・・。」

大翔が納得しかけたのを確認し、華梨がいった。

「説明を続けるよ。まず、テイラーは主に、3つのタイプに分かれていて、1つが幼体と呼ばれる一番弱い奴、2つ目が熟成体と呼ばれるかなり強い奴、そして3つ目が究極完全体と呼ばれる3つの種類の中で一番強い最強とされる奴。」

華梨が一旦そこで話を区切ると、大翔が続きを話すよう促した。

「その3つのタイプの中で最も簡単なのが、幼体。幼体は1種類しか存在しないの。その名もノーマルテイラー。だからもう幼体=ノーマルテイラーね。」

「確かにムチャクチャ簡単だな。」

大翔が理解すると、華梨は続けた。

「でも、テイラーの中で一番弱くて簡単な代わりに一番、生息数が多いんだけどね。」

「それで、その幼体が進化すると次のタイプ、熟成体になるの。」

「数が多くて、その上進化までするのかよ!?厄介だなぁ、ノーマルテイラーは。」

大翔は心底、嫌そうにそう言った。

「でも熟成体も厄介よ。熟成体が3つのタイプの中で、一番種類が多いんだから。」

「はあ!!?テイラーってマジで何なんだぁ!?」

「まあ、熟成体の種類については出くわし次第、説明するとして・・・。」

「次は3つ目の完全究極体。これは熟成体の中でも選ばれしテイラーだけが進化できる最強のタイプよ。種類はたったの3種類しかないわ。」

「おおこれは重要だな。続けてくれ。」

「1つ目がゴッドテイラー。まさに、破壊神のような力を持つテイラー。こいつにかかれば、地球なんて一瞬にして宇宙の塵になるわ。」

「そして2つ目がマスターテイラー。こいつはかつて、世界を滅ぼしたという記録が残っているわ。そんな事、奴にとってはお遊びに過ぎないでしょうね。」

「そして3つ目がエンペラーテイラー。このテイラーは幼体と熟成体の全てのテイラーを服従させ、操ることが可能よ。」

「と、まあ完全究極体については、こんな所かしら。どう?結構恐ろしいでしょう?」

華梨は大翔の恐怖を煽るように言った。

「ああ。でも俺にはこのベルトがある!こいつさえあれば、俺はどんな困難にも打ち勝てるさ!!」

大翔は力強くそう言った。

こうして大翔と華梨の旅が始まった。

 




僕がこの小説を書こうとした理由は沢山ありますが特に書きたいと、強く思った理由は僕は仮面ライダーがとても好きだった事です。
特に好きなシリーズは「仮面ライダー龍騎」、「仮面ライダー555(ファイズ)」「仮面ライダーカブト」、「仮面ライダーW(ダブル)」の4つの作品でした。
その作品は全て共通点があります。
それは、主人公がそれぞれ自分の過酷な運命と戦い打ち勝つという所です。
だから僕はその4つの作品にとても惹かれました。
そして僕は小説も大好きでした。特にミステリー小説なんかは読んでいるだけで1日が終わってしまうなんてこともありました。
そこで僕は思いついたのです。
「仮面ライダーと小説、両方を合わせたらどうなるのだろう。」
しかし、その答えは既にありました。
小説仮面ライダーシリーズが既にあったのです。
ならばそれをも超える究極の作品を作ろう。
そう考え、辿り着いた答えがこの作品です。


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第2話~VSレックステイラー~

待たせたなぁ!お前等ぁ!!
ええ改めまして、こんにちは。King Kazuです!! 
ちなみに今回は成熟体の初登場です!!
それではどうぞっ!


第2話~VSレックステイラー~

 

西暦2089年8月2日 日本国東京都中央区

 

「はぁ、はぁ・・。」

その日、神崎大翔(かんざきひろと)と桐縞華梨(きりしまかりん)はテイラーの情報収集をするため、中央区内を転々としていた。

「そ、そろそろ休まねぇか?」

暑さに耐え切れなくなった大翔がそう口走った。

「駄目だよ。まだ収穫0なんだから。」

そう、華梨の言う通りまだ情報は1つも掴めていなかった。

それどころか、街を歩く人々にテイラーの事について聞く度に必ず、変な目で見られる。

つい先程もそうであった。

「すいませぇん。あの、テイラーという怪人を・・・」

華梨が言い終わらない内に、はぁ?というような顔をされた。

すると相手の反応を察したのか、華梨が慌てて付け加える。

「あ、別にあの我々、怪しい者ではないのでぇぇ!!」

「余計、怪しまれるぞ。もういいさ次、次!!」

と、大翔が華梨の発言をフォローする。 しかし相手はますます大翔達の事を怪しがり、逃げるように、その場から立ち去っていった。

そんな相手の反応に大翔は苛立ちを覚えていた。

彼等のやる気はみるみる下がっていた。

そしてとうとう大翔がギブアップし、休もうと言い出したのである。

「もう、休まないと俺達ぶっ倒れちまうよ!」

大翔が再び弱音を吐いた。

「で、でもこのまま引き揚げる訳には・・・。」

華梨が弱々しくそう言うと、大翔は慌てて訂正した。

「別に引き揚げようなんて言ってないさ。ただ、ちょっと休もうってさ・・・。」

大翔も流石にここまで来て、手ぶらで帰るのは悔しいらしい。

「そ、それなら断然、賛成。」

華梨も大翔の話に賛成した。

「とりあえず、どっか涼しい場所行こうぜ。」

大翔がTシャツに風を送り込みながら言った。

「あ、あそこなんていいんじゃない?ほら、武器屋!!」

華梨が大翔に提案した。すると大翔がもの凄い剣幕で言った。

「馬鹿っ!!あんまでかい声で武器屋とか言うなよ。」

「ああ、ごめんごめん。」

華梨も慌てた様子でそう言った。

そして2人は、2人が最初に出会った中央区の外れにある武器屋へと向かった。

「ふぃ~。着いたぁ~。」

大翔が先に店内に入り、その後に続いて華梨も店に入った。

大翔が椅子に腰掛け、華梨はPCをいじくり始めた。

しばらくすると華梨が突然、叫んだ。

「えええぇぇっ!!?」

「どうした!!?」

大翔がすかさず、叫んだ。

「て、テイラーのファイルが・・・、無いっっ!!」

華梨が喉に何かを詰まらせたようにそう言った。

「は!?でも店内は誰も入った形跡なんて無いぞ!?」

大翔が混乱して言う。

「だとしたら・・・。誰かがこのPCを・・・ハッキングしたって事・・・?」

華梨がそう言うと、しばらく沈黙が続いた。

「とっ、とにかく今は考えている暇なんて無い!!とりあえず、あの資料を出すんだ!!」

大翔が不安を隠せない様子でそう言った。

「資料って、テイラーの資料のこと!?」

華梨も慌てていた。

「そうだよ!それ以外にねぇだろ!!」

大翔が若干怒り気味で、そう言った。

「!!あの資料も無い!!」

華梨は再び叫んだ。

「何なんだ!?一体!!」

大翔は混乱の溝にはまった。

「あっでも、私のSDにも情報が・・・。」

華梨が一旦落ち着きを取り戻し、自分のSDカードを探し始めた。

その姿を見て、大翔も冷静さを取り戻しはじめた。

華梨はリバーブルディスクをPCに挿し、SDカードもリバーブルディスクに挿し込んだ。

SDカードのデータを調べ始めた華梨であったが、突然奇声を上げた。

「っっ!!?なんで!幾らなんでも有り得ないでしょ!!?」

大翔はPCの画面を覗き込んだ。

大翔は画面を見た瞬間、ガーン!と頭を殴られたような気がした。

画面にはただ、「このフォルダは空です」と表示されていた。

「幾ら何でも、SDカードの情報を奪うなんて、無理よ!!絶対に無理!!!!」

華梨が狂ったように叫んだ。

「とっ、とりあえず落ち着けって!」

今度は華梨が怒り、大翔が止める破目になった。

結局、華梨は不機嫌になり、口も聞かなくなって大翔が情報を1人で集める事になった。

大翔は何度も心の中で、呟いた。

(なんでこうなるんだ・・・。)

と・・・。

大翔は1つだけ、情報を手に入れる事ができた。

大翔が死に物狂いで情報収集している内に出会った、初老の男性である。

どうやら、彼はテイラーについて知っているらしく、大翔は彼に話を伺う事にした。

大翔は彼の家に招かれた。その家も武器屋と同じように、中央区の外れにあった。

「私の名前は、太田(おおた)。太田雅彦(おおたまさひこ)です。」

太田と名乗る男はまず、自己紹介から始めた。

「年齢は63歳。今は無職ですが、年金で暮らしています。」

「へえ、それで、ご家族は?」

大翔は質問をした。すると太田は少し、考え込んでから決心したようにして、話し始めた。

「実は私には妻と2人の息子がいましたが、テイラーに皆、殺されました・・・。」

太田は真剣な表情でそう言った。大翔は出されたお茶を1杯飲んでから、次の質問をした。

「次からは答えても、答えなくてもどちらでも構いません。」

大翔がそう言うと、太田は静かに頷いた。

「ではいきます。ご家族が亡くなられたのは、いつですか。」

大翔が問いかけると太田は答えた。

「7年前、私がまだ働いていた頃、3人とも同じ日に殺されました。」

大翔はメモを取りながら、質問を続けた。

「では、どこで殺されました?」

「私と妻と息子2人で家族4人の家族旅行をしていた時です・・・。アメリカへ行きました。 カリフォルニア州・・・。」

「ほほう、カリフォルニア州ねぇ。 それで、ご家族が殺される所は見ましたか。」

大翔が再び、質問をする。

「ええ、見ました。恐竜のような、とても大きい、角の生えたテイラーに食い殺されました。 私はたまたま物の影に隠れて助かりました。」

太田が泣きながら、答えた。

「そうですかぁ。んで、テイラーの存在を知ったのは?」

大翔が問う。

「はい、家族が食い殺された後日、日本へと帰国しようとした私が空港で、出会った、謎のスーツの男に教えられました。」

太田が言い終わると、大翔はメモをズボンのポケットに突っ込んだ。

「質問は以上です。今日はお忙しい所、わざわざ有難うございました。」

大翔はそういって、太田の家を後にした。

大翔が武器屋へと向かう頃には、もうあたりはすっかり暗くなっていた。

「うわぁ、もう真っ暗じゃねぇか。急いで帰ろ。」

大翔が走り始めた次の瞬間、大翔の脇に路駐してあった3台の車が同時に爆発した。

「うおっ!!」

爆風で吹っ飛ぶ、大翔。

(何なんだ!?俺の周りで一体、何が起きてやがる!?電車が爆破したり、ビルが爆破したり、今だって突然・・・。)

大翔は吹っ飛びながら、心の中で呟いた。

やがて、地面に叩きつけられる大翔。

大翔はすぐさま、受身をとった。

しかし立ち上がった大翔に追い討ちをかけるかのように、何かが大翔の体を突き飛ばした。

今度は受身をとれず、大翔は地面に頭を強く打った。

大翔は何とか立ち上がる事はできたが視界がぼやけ、歩く事さえままならなかった。

やがて、大翔の視界がはっきりとしてきた。

大翔を突き飛ばした者を大翔は捉える事ができた。

「な、お、お前は・・・!?」

同時刻、武器屋にて華梨は苛立ちのあまり、PCでこんな事を調べていた。

「SDカードのデータは、PCにSDカードを接続していない状態でも外部から入手できるのか」と・・・。

そんな、熱心に調べている華梨の背後に何かが迫っていた。

華梨は背後の気配に気付き、後ろを振り返った。

華梨が後ろを振り返ると同時に、華梨の意識が途切れた。

大翔はそのころ、目の前に突然と現れた怪人と睨みあっていた。

「そうか、お前か。」

そう、大翔の前に現れた怪人は、7年前太田の家族を食い殺したテイラー、

レックステイラーであった。

大翔は空を掴むように右手を挙げ、

「変身!!」

と叫ぶと同時に、左手をバックルに擦り挙げると同時に挙げていた右手を振り下ろした。

神の威光を放ち、闇を切り裂いて仮面ライダーβ が姿を現した。

「くたばれっっ!!」

βはレックステイラーに殴り掛かった。

レックステイラーもβに突っ込んでいった。

両者、激しくぶつかり合った。

当然、βの5倍以上ある大きさのレックステイラーがβを吹っ飛ばした。

しかし吹っ飛ばされたβはそんな攻撃もろともせず、華麗に着地した。

「よっと。」

大翔は既に次の攻撃手段にでていた。

(馬鹿め。あれはただの作戦だ!)

「なんか出せ!!」

大翔はそう叫んだ。

すると、βの右手に光に包まれた聖剣「βサーベル」が現れた。

「これこれ!こいうのだぁ!!」

大翔はそう言うと、すぐに構えた。

「たぁっ!!」

βはβサーベルをレックステイラーの方向に振り上げた。

βサーベルから衝撃波が放たれ、もの凄い勢いで衝撃波はレックステイラーに命中した。

「グルルオオオォォォォ!!!」

咆哮を上げるレックステイラー。

レックステイラーはそのままの勢いでβに襲い掛かった。

しかしβはβサーベルでレックステイラーを切り裂いた。

深い傷を負ったレックステイラーは逃げていった。

「逃がすか。」

そういって大翔はレックステイラーの後を追ったが、結局見つける事はできなかった。

1度、変身を解き大翔はとりあえずこの戦いの事を華梨に話そうと、急いで武器屋へと向かった。

「ただいまっ!!俺さっき・・・。」

武器屋のドアを勢いよく大翔はあけた。

しかしそこに華梨の姿はなかった。

「あ?怒ってどっか行っちゃた?」

もう1度部屋をよく確認すると、PCの付近に血と華梨の持っていたSDカードがあった。

「!? まさか、あいつ・・・。」

大翔は急いで店を出た。

(テイラーか何かに連れ去られたんじゃ・・・。)

大翔は何度も心の中で思いながら、華梨の無事を祈った。

こうして、大翔1人だけの、華梨捜索が始まった。




僕がこの小説を書こうとした理由は沢山ありますが特に書きたいと、強く思った理由は僕は仮面ライダーがとても好きだった事です。
特に好きなシリーズは「仮面ライダー龍騎」、「仮面ライダー555(ファイズ)」「仮面ライダーカブト」、「仮面ライダーW(ダブル)」の4つの作品でした。
その作品は全て共通点があります。
それは、主人公がそれぞれ自分の過酷な運命と戦い打ち勝つという所です。
だから僕はその4つの作品にとても惹かれました。
そして僕は小説も大好きでした。特にミステリー小説なんかは読んでいるだけで1日が終わってしまうなんてこともありました。
そこで僕は思いついたのです。
「仮面ライダーと小説、両方を合わせたらどうなるのだろう。」
しかし、その答えは既にありました。
小説仮面ライダーシリーズが既にあったのです。
ならばそれをも超える究極の作品を作ろう。
そう考え、辿り着いた答えがこの作品です。


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第3話~宿命の出会い!仮面ライダーα~

さぁっ! いよいよ、第3話突入!!
今回は新たな、○○が登場するぜ!
それでは、どうぞっ!!


(ここは・・・?)

桐縞華梨は回復しかけた意識の中で小さく思った。

「やあ。お目覚めかな?お嬢さん。」

(誰・・・?)

「あれ?まだ喋れる程、回復してなかったか。どうやら、意識が戻っただけみたいだね。」

華梨は状況が理解できなかった。

なぜなら彼女はさっきまで武器屋のPCをいじくっていただけなのに、突然見た事も無い男に、見た事も無い場所に、連れ去られていたからだ。

やがて、華梨の意識が回復し、華梨は話せるようになった。

「あなたは誰!?ここはどこ!?なんで私を・・・」

「おおっとぉ。あんまりうるさくされちゃあ、困るよ。まあ詳しい事は後で説明しよう。」

華梨が言い終わらない内に、謎の男が華梨の口を押さえ、質問の静止を促した。

同時刻、連れ去られた華梨を連れ戻す為、神崎大翔は都内中を死に物狂いで捜しまわっていた。

(華梨を連れ去った奴は多分、相当人目の付かない場所で、身を潜めているはずだ)

心の中で大翔の考えはある程度まとまっていた。

そして、大翔はいつしか華梨の事を「華梨」と、下の名前で呼ぶようになった。

そうして、捜索の場所は徐々に絞られていき、大翔は東京都郊外の廃工場に来ていた。

「やあ。待っていたよ。」

工場内に立ち入ろうとした大翔に突然、謎の声が飛んできた。

「誰だ。どこにいる。」

大翔は慌てず、冷静に問いかけた。

「話は聞いているよ。君が僕の仲間をボッコボコにしてくれたんだって?」

「仲間・・・?何の話を・・・。っ!!」

大翔は謎の声の存在がやっと分かった。

「仲間ってのは、恐竜見てぇなテイラーの事か。」

「そうさ。あいつはレックステイラー。頭は悪いが、力は強くてねぇ。」

「なるほどな。って事は、お前もテイラーなんだな?」

大翔は鋭い目つきで、そう問いかけた。

「正解だ。」

声と同時に暗闇の中から、影がもの凄い勢いで大翔めがけて突っ込んできた。

謎の声の正体はこの影であった。

大翔はかろうじて、攻撃をかわした。

しかし、大翔の前に立っていたのは、人間(男)だった。

「な!?人間だと!?」

混乱している大翔に問答無用で、その男は大翔の腹に蹴りを炸裂した。

「ぐはぁ・・・!!」

ゆっくりと前に倒れこむ大翔。

更にそこに追い討ちを掛けるように、その男は大翔を踏みつけた。

何度も何度も。

そして大翔が気を失いかけたところで、男は攻撃をやめ、呟いた。

「君は何にも分かっちゃ、いない。」

「ど、どういう・・こっ、事だぁ・・・。」

大翔は死にそうな顔で男を見上げ、問いかけた。

すると男は微かに口角を上げて、みるみる内に奇妙な怪人へと変貌していった。

「な・・・!て、テイラー!?」

大翔はさっきまで人間だった男が、全身、毛で覆われた鋭い牙のウルフテイラーへと変貌した光景に混乱した。

(おれは・・・夢でも見ているのか・・・?)

心の中で大翔は思った。

「さっきの人間の姿は本当の僕の姿じゃあない。」

「テイラーに、ごふっ!そんな、げふっ!ごふっ!!能力があったとはなぁ。」

大翔は血を吐き、笑いながら、ウルフテイラーを睨み付けた。

「さっさと死んで頂こうか。」

そう言い、ウルフテイラーは手でプラズマを生成し、大翔にそれを放った。

しかし大翔はそれを避け、なんとか、立ち上がった。

「変身・・・・!!」

大翔は変身ポーズをし、仮面ライダーβへと変身した。

しかし、大翔がβに変身した直後、後ろから何かに突き飛ばされた。

「うおっ!!」

大きく吹っ飛ぶβ。

大翔を突き飛ばしたのは、右腕のない、レックステイラーだった。

「てめえ!よくもあん時ぁ、逃げたな!!」

大翔が叫び、βサーベルを出して、レックステイラーに飛び掛っていった。

レックステイラーに切り掛かる寸前に、ウルフテイラーの発射したプラズマ砲に邪魔された。

「うああああっ!!」

再び、吹っ飛ばされるβ。

しかし、直ぐにβは体勢を立て直し、今度は距離をとってβサーベルから、衝撃波を放った。

しかし、レックステイラーはそれを軽々と避け、ウルフテイラーはプラズマ砲で衝撃波を撃ち消した。

「くそっ!!」

今度は、テイラー側が攻撃を仕掛けてきた。

ウルフテイラーがプラズマ砲で弾幕を作り、それを避け切れず、吹っ飛ばされたβの落下地点にレックステイラーが尻尾を構えて待っており、βが来たら尻尾を振り上げ、更にβを天高く吹っ飛ばした。

それの繰り返しで、なすすべもないβは、ただただ攻撃をくらい続け、大ダメージを負っていた。

βはあまりにもダメージをくらい過ぎて、変身が解けかかっていた。

(もう、終わりだ・・・。)

心の中で大翔は決意をした。

その時であった。

何者かが、目にも留まらぬ速さで、レックステイラーとウルフテイラーを地面に叩きつけた。

「なっ!?誰だ、お前!!?」

βの前にいたのは、βと同じく、金属の鎧で身を包んだ仮面の騎士だった。

「俺の名は黒崎慶吾(くろさきけいご)。またの名を仮面ライダーα(アルファ)。」

「仮面・・・ライダー・・・?」

大翔は混乱して問いかけた。

すると、黒崎と名乗る男は驚きながら言った。

「なんだよ。アンタだって、ライダーじゃねぇか?まさか、アンタ今までライダーの事について何も知らなかったのか!」

「はぁ!?俺はそのライダーとかいう変なのじゃねぇよ!一緒にすんな!」

喧嘩腰になって2人が話していると、レックステイラーが慶吾の後ろから慶吾に不意打ちを仕掛けた。

「おい!後ろ・・・」

大翔が言い終わらない内に、αとなった慶吾はレックステイラーを返り討ちにし、倒れていた、ウルフテイラーの上に重ねて、叩き付けた。

大翔はレックステイラーが意識を失ったのを確認すると、話を続けた。

「さっき、お前、俺に向かってライダーだとか言ってたけど、俺はβだ!ライダーとかいうのなんかじゃない!!」

大翔がそういうと、慶吾は変身を解き、笑いながら反論した。

「だから、アンタは仮面ライダーβなんだって。」

「訳がわかんねぇよ。とにかく、俺はβだ!!」

大翔はそう言い切った。

「あっそ。ま、じきに分かるだろうな。」

慶吾は呆れながら言った。

「ぐ、何だと・・・!?」

慶吾の高飛車な態度にとうとう我慢の限界がきた大翔は慶吾の胸倉を掴んだ。

「おいおい、そんな態度でいいのかよ?そんなんじゃあ、教えてやれねぇなぁ?」

慶吾が余裕な顔をして、そう言った。

「何!?どういう事だ!教えるって、何をだよ!!?」

大翔は胸倉を掴んでいた手を放し、聞いた。

「霧縞華梨の、居場所だよ。」

慶吾は冷静に言った。

「何!?教えろ!!」

大翔は叫んだ。

「だから、言ったろ。そんな態度じゃ、教えてやんないってな。」

慶吾は大翔を嘲笑うように言った。

「頼む、この通りだ!教えてくれっ!!!」

大翔は土下座して、慶吾に頼んだ。

心の中では殺したい気分だったが、抑えて土下座した。

「いいぜ、教えてやろう。」

慶吾は了承した。

「そこに倒れている、ウルフテイラーが連れ去ったのさ。場所はヤツに聞け。」

慶吾はウルフテイラーに視線を向けながら、説明をした。

「それは・・・本当なんだな?」

大翔は静かに言った。

「嘘をついても俺に得は無い。」

慶吾が面倒臭そうにいった。

「分かった。」

大翔はそう言うと、ウルフテイラーの前に立った。

「おい、霧縞華梨は何処だ。教えねぇと、殺すぞ?お前も、恐竜野郎も。」

大翔は倒れているウルフテイラーの腹の上に足を乗せて、ゆっくりと言った。

「し、知らねぇなぁ。そんな女。」

ウルフテイラーは苦しそうに答えた。

「何故、名前だけで女だとわかる?人間でもないお前が。二度は言わねぇぞ。」

そう言い終わると、大翔は乗せていた足を振り上げ、思い切りウルフテイラーを踏みつけた。

「がふっ!!」

さらに踏みつける。

大翔は本気で殺そうとした。

「わ、わかった!!教える、頼むから蹴るな!!!!」

ウルフテイラーは恐怖の声をあげた。

「はっ。無様だな、テイラーでも死には恐怖するのか。」

「案内しろ。」

大翔はそう言いながら、足を退けた。

「わかった、ついて来い・・・。」

ウルフテイラーはそう言うと、フラフラ走り出した。

その直後に慶吾が仮面ライダーαに変身して、大翔を背中に乗せたままウルフテイラーを尾行した。

それから30分後、3人は千葉県の東京湾沿いのとある廃工場にいた。

「テイラーって、廃工場が好きなのか?」

大翔が呆れながら、言った。

「この奥に、女は居る・・・。」

ウルフテイラーは慶吾と、大翔に言った。

「行くか。」

αに変身したままの慶吾が大翔に言った。

「おい、ちょっと待て!!こんなあっさり、入れてくれる筈がないだろ!!?きっと、何かの罠に決まってる。」

大翔が慌てて慶吾を制止した。

「罠だって、証拠はあんのかよ?例え、罠だったとしても、とりあえず入ってみなきゃわかんねぇだろ。」

慶吾はそう言いながらずんずん進んでいく。

「ちょ、いくら何でもアバウト過ぎるだろ!!?」

大翔がまた、慶吾の足を止めた。

「だったら、俺一人で行く。」

慶吾はそう言うと、背中にいた大翔をドサッと降ろして進んでいった。

大翔はその後、何度か声をかけたが返事が無かったので、とうとう諦めた。

慶吾はそのまま、進んでいくと地面に横たわっている華梨を見つけた。

「目立った外傷は無さそうだな。」

そのまま、慶吾は華梨を抱き上げた。

が、慶吾は自分の手に何か固い物があたっているのに、気が付いた。

「何だ・・・?」

恐る恐る、華梨の背中を見てみるとそこには水がないと、消せないような勢いで燃える導火線に繋がれたダイナマイトがあった。

「なっ!!?」

慶吾は思わず声を上げてしまった。

その声を外に居る大翔は確かに聞き取った。

「どうした!?黒崎!!!?」

大翔はそう叫びながら、急いで変身した。

その時、慶吾は華梨の腰に巻き付けられていたダイナマイトを外す事に成功した。

しかし、ダイナマイトの導火線は既にダイナマイトまで30cmの距離もなかった。

慶吾はそれに気付き、華梨を抱いたまま全速力で疾走し、外に居る大翔に大声で叫んだ。

「逃げろ!!!!!!」

理由など説明している時間はなかった。

それでも大翔は危険であると気付き、全速力で疾走した。

大翔はβに変身しているおかげで、廃工場からかなり離れる事ができた。

その数秒後だった。

廃工場が大爆発をした。

どうやら、あのダイナマイトの他にもたくさんの爆弾が廃工場にはあったらしく、その爆弾に発火して、連鎖爆発し結果としてこのような大爆発を起こしたのであった。

慶吾も大翔も変身していたため、爆発の影響は受けなかった。

もちろん、慶吾に抱かれていた華梨もだ。

そして、幸いにも爆発した廃工場の周辺には建物がなく、人もいなかったため、被害は出なかった。

その後、慶吾と大翔は現場から少し離れた場所で再会し、変身を解いた。

「いやー、お前の叫び声を聞いた時はマジでビビったぜ。」

大翔が言った。

「フン。お前が助かったのも、この女が助かったのも、俺のおかげだ。少しは俺に感謝するんだな。」

慶吾は大翔の無傷を確認したのか、また偉そうな態度をとってみせた。

「ケッ。わかってるっての。ほら、とっととそいつよこせ。」

大翔はムッとしながら言い放った。

「ほらよ。」

慶吾はそういうと、とっとと華梨を大翔に渡して去っていった。

「あばよ!!糞が!!!」

大翔は別れ際、慶吾の背中に言い放った。

慶吾は振り向かず、そのまま去っていった。

そうして、その日は幕を閉じたのであった。




いやぁ。
今回は随分と長くなってしまいました。
それでは、皆さん次回もお楽しみに!!
では!!


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第4話~ばあさん~

大変お待たせいたしました!!
まあ、いろいろあって、しばらく投稿できませんでした。
また、これからドンドン」投稿していきますので、どうかこれからもよろしくお願い致します!!
では、第4話どうぞっ!!!!


第4話~ばあさん~

 

西暦2089年8月3日 日本国東京都新宿区

 

街の外れにあるマンションの前には2つの影があった。

「いいか、もしダメだって言われたら、帰れよ?」

神崎大翔(かんざきひろと)だ。

「いいよ」即座に桐縞華梨(きりしまかりん)が答えた。

大翔は言葉の代わりにどうだか、という顔をしてマンションの中に入っていった。

それに続き、華梨もマンションの中に入っていった。

2人はエレベータに乗り、大翔が壁にある液晶パネルに表示されているB10~30の中から30の部分をタッチした。

エレベータが静かに動き出した。

しばらく沈黙が続いたが、その沈黙を破るように華梨が言った。

「ベルト・・・は?」

「あ・・・。・・・・!!!」

なんと大翔はβのベルトを落としたのだ。

しかも今更になって気づいた。

「あ、昨日武器屋で一晩過ごしただろ?きっと武器屋だようん!絶対そうだ!!」大翔は泣きそうになりながら必死に作り笑いをした。

「そ、そうだといいけど・・・。」

華梨は慰めるようにそう言った。

華梨が言い終わったと同時にエレベータのドアが開き、自動アナウンスが30階に到着したことを告げ、2人は降りた。

301と書かれたドアに付いているタッチパネルに大翔が手をかざすと、ドアが開いた。

そう、ここは大翔と大翔の祖母が住むマンションなのである。

「神崎・・・、ここが大翔君が住んでる部屋かぁ・・・」

華梨は表札を見ながら呟いた。

「じゃ、ばあさんに確認とるからちょっとここで待ってて」

大翔はそう言うとドアの向こうへと消えていき、やがてドアが閉まった。

 

「た、ただいまばあさん、実は訳あって・・・」

大翔は部屋の奥の椅子に座っていた祖母にどうして自分が2日間も家に帰らず、外にいたのかを説明しようとしたが祖母が手でそれを制止した。

「大翔、お前さんがどうして2日も家を空けたのかは全てわかっている」

祖母は大翔に背を向けて座り続けながら続けた。

「しかし、お前さんがあの力を手に入れる日が来るとはねぇ・・・」

大翔は恐る恐る聞いた。

「ばあさんはその・・・知ってるの?βのこと・・・」

しばらくしてから祖母は話し始めた。

「実はあのベルト、お前さんの父さんであり私の息子、つまり神崎航大(かんざきこうだい)が作ったのさ・・・」

大翔は心臓が飛び出る位、驚いたが、冷静に質問を続けた。

「それはもちろん、対テイラー用に・・・だよね?」大翔は勿論、祖母はテイラーの存在は知っていると思っていた。勿論、その通りだ。

「ああ、航大は仮面ライダーβに変身してそれはもう、莫大な数のテイラーを倒していったのさ」

(βの本当の名前は仮面ライダーっていうのか!!そういや黒崎がそんなこと言ってたっけ・・・)大翔は聞いていてふと思い出し、納得した。

祖母は続けた。

「だがある日、いつものように航大がテイラーを倒していると、突然航大の前に完全究極体のゴッドテイラーが現れてね・・・、航大はあと少しというところで負けてねぇ、お前さんの母さん神崎結衣(かんざきゆい)と一緒に殺されてしまったのさ」

大翔は今初めて自分の両親の本当の死因を聞かされた。

今までは2人は事故で死んだとしか聞かされていなかった、それも今自分の目の前にいる、ただ一人の肉親に。

しばらくは言葉がでなかった、大翔の頭の中は真っ白だった。

「すまないが、お前さんが力を手に入れた今、どうしても言っておかなければと思っていたのさ。このベルトは今日からお前さんの物だよ」

そう言うと、祖母はβのベルトを大翔に渡した。

「どうしてこれを・・・!?」大翔は反射的に聞いた。

すると祖母は笑いながら、言った。

「言っただろう?お前さんに何があったのか私は全部知っているってね。だから昨日の夜、お前さんが武器屋で寝ている間に勝手に頂いたよ」

大翔はまた驚いた。自分の祖母にそこまでの行動力があったとは予想外だった。

大翔が驚いてベルトを見つめていると、祖母が付け足すように言った。

「あの娘(華梨のことだ)、中々可愛いじゃない。あんた、頑張りなさいよ」

「ああ、じゃあばあさん、俺行って来るよ。」大翔は力強くそう言った。

祖母は無言で頷き、大翔は部屋を後にした。

結局最後まで祖母は大翔に背を向けたままだったが、想いは通じ合ったのだろう。

それ以上そこに言葉は要らなかった。

 

外で待っていた華梨は大翔が出てくるなり聞いた。

「どうでした?中に入れて・・・って、ああ!!それはβのベルト!?どうして・・・」

混乱している華梨に、大翔は今まで祖母と話したことを全て話した、祖母は全て事情を知っていたこと、自分の父がβのベルトを開発しそれにより、ゴッドテイラーに殺されたこと・・・。

説明が終わると華梨も納得した。

「では、行きましょう」

華梨はそう言ったが、大翔は賛成できなかった。

自分だけならまだしも、華梨も一緒に行くなんてとても危険過ぎると思った。

「華梨、俺はお前を巻き込みたくない。だから、お前はこのまま帰れ。短い間だったが、世話になったな。」大翔はそう言うと華梨に背を向けて歩き出した。

しかし、それを華梨が呼び止めた。

「待って!!私は既にテイラーに目をつけられているわ!!このまま帰ったって、また命を狙われる。それに私に戦闘能力はないけれども、情報収集が得意だから、きっとあなたの役に立てる!いや、立ってみせる!!!」

大翔は黙って聞いていた。

華梨は続けた。

「だからお願い、私も一緒に連れて行って!!一緒に戦わせて!!」

しばらくすると大翔が口を開いた。

「そこまで死にたきゃ、勝手にしろ。命の保障はできねぇぞ?」

華梨は嬉しい気持ちで叫びたくなったが抑え、歩く大翔の後ろを黙って着いていった。

こうして再びテイラー討伐の長い戦いは幕を開けたのであった。

 

 




さあ、今回の仮面ライダーβいかがだったでしょうか?
本編では紹介することが出来なかったのですが、大翔の祖母の名前は神崎園子(かんざきそのこ)と言います!!
ではでは次回も乞うご期待!!!


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第5話~激昂の騎士~

今回は大翔の知られざる一面が明かされる!?
ではどうぞ!!


第5話~激昂の騎士~

 

西暦2089年8月3日 日本国東京都中央区

 

街の外れにある人目の着きにくい寂れた武器屋に神崎大翔(かんざきひろと)と桐縞華梨(きりしまかりん)は居た。

結局、大翔のマンションを後にした2人は何の手掛かりも行くあてもなく、辿り着いたこの武器屋でこれからどうするかを考えていた。

「とりあえずまずは、情報収集だよな」大翔はどこか遠くを見つめる様な目で呟いた。

「でも、今まで通り徒歩で移動するのは肉体的にも精神的にも負担が大きいから・・・地下鉄なんかどう!?タクシーやバスなんかよりはずっと安いよ!!どう!?」華梨は名案と言わんとばかりに、自慢げな顔で大翔に聞いた。

「馬鹿言え!!これまで俺は電車でテイラー共の仕業であろう爆発事故に巻き込まれそうになったんだぞ!?公共交通機関なんて使えるかっての」大翔は素早く切り返した後、しばらくしてから突然手を叩いて言った。

「そうか、自分で移動すりゃいいんだよ!!バイクだバイク!!!」

「え・・・?でも免許は?それにもし道が渋滞していたら・・・」華梨はそう言ったが、大翔は完全に無視して自分のノートpcを取り出すと、中古のバイクを販売しているサイトを調べ始めた。その内、華梨は諦めただ横で大翔のpc画面を眺めていた。

それから1時間ほど経った時、突然大翔が叫んだ。

「よし!!コイツに決めた!!!!」

華梨は拡大されたそのバイクの画像をみて大翔に聞いた。

「何?これ?隼(ハヤブサ)・・・でいいの?」

「そう!!最高速度896km/hの超速いバイクで2060年モデル!!いやぁ、こんな代物がたったの25万円だもん!!絶対買うわ!!」大翔は完全に興奮し切っていた。

「よくわからないけれど、25万もどうやって払うの?」華梨は聞いてみた。

「俺の両親が万が一のために俺に残しておいてくれた貯金。全部で500万あるから25万位、何でもないわけ。いやぁ、こんな所で貯金が役に立つとは」大翔は満面の笑みで答えた。

(こんなことに使っていいのだろうか・・・)と華梨は思っていたがこの大翔の買い物が後にとんでもなく役に立つとは、この時は思いもしなかった。

翌日の8月4日あに2人は台東区の上野にある中古バイク販売店へ行き、大翔の注文したバイク、隼2060年仕様を取りに行き、ついでに2人分のフルフェイスヘルメットを購入した。

帰りは勿論バイクで帰るのだが、2人だったので2人乗りで帰ることにした。

「そういえば大翔君て、バイクの免許持ってたんだ。」出発際に華梨がヘルメットを着けながら言った。

「ああ、16歳の誕生日の1週間後に取ったぜ。勿論、俺の高校では禁止されてたけどな。」大翔はバイクを起動させながら得意げに言ってみせた。

そうして2人は店を後にして、武器屋へと向かってバイクを走らせ、しばらくは楽しんでいた。

しかし、突然の出来事だった。

大翔の後ろでガッという鈍い音が鳴ったと同時にバイクの後ろ側が急に軽くなった。

大翔はすぐにテイラーの仕業だとわかった。

大翔は周りに車両がいないことを確認してから、バイクを急ターンさせて華梨を連れ去ったテイラーを追跡した。

どうやら華梨を連れ去ったテイラーは飛行することができるらしく、しばらくは姿を追えていた大翔もとうとう見失ってしまった。

「糞っ!!また俺は華梨を守ることができなかった!!また、奴らに拉致されちまった!!!どうして俺はこんなに弱いんだぁぁぁ!!!!!!」

大翔は自分の無力さを呪い、力の限り、バイクのハンドルを叩いた。

「大翔よ・・・。力を望んでいるのか・・・。」聞き覚えのある声が大翔の脳内に響いた。

(βか!!?頼む、俺に華梨を助ける力をくれ!!)

今度は声に出さなくても、心の中で喋るだけでβには通じた。

が、返ってきた返事は意外なものだった。

「お前にはもう力を与えた。あとはその使い方を知るだけ。それができるのは、力を手にしたお前だけだ!!!」そう言ったっきり、βの声は聞こえなくなった。

大翔は酷く悩んだ。唯一の頼みの綱が切れてしまった今、自分はどうすることもできないと思っていた。

「でも、何とかするしかないんだ!!テイラーを倒す力を・・・、華梨を助ける力を持っているのは俺しかいないんだ!!!!」大翔は自分に言い聞かせ、闘争心を燃やした。

「変身・・・!!!」大翔は静かに呟き、仮面ライダーβに変身した。

さっきの自分の想いが自分自身に伝わったのか、大翔のバイク「隼」はその姿を変え、仮面ライダーβ専用バイク「ライトニングファルコン」となった。

βはライトニングファルコンに飛び乗ると、そのまま空を飛んだ。

「どうやら、コイツは飛行できる上、ミサイルも撃てるようだな。よぉし、いっちょあの空飛ぶテイラーさんにぶちかましてやっか!!!」

「追尾ミサイル装填完了」機械音声がそう告げる。

βはすぐに華梨をさらったテイラーに追い付き、追尾ミサイルを10発連射した。

本当はもっと撃ちたかったが、一度に撃てる量がそれだけなので、仕方なく我慢した。

後ろからの不意打ちにより、華梨を連れ去ったテイラーは1発も弾を避けることができず、そのままフラフラとゆっくり落ちていった。

βもそれに続いてゆっくりと降下した。

追尾ミサイルを喰らい、倒れこんでいたのは熟成体テイラーのバードテイラーであった。

「お前ら本当に汚ぇヤツらだよな。俺よりも弱い華梨にばっか手ぇ出してよ・・・」

βは吐き捨てるようにバードテイラーに言った。大翔は本気で怒っていた。

「当たり前であろう強い者と弱い者がいれば弱い方を敵に回して当然ではないか!?人間よぉぉ!!!」バードテイラーは焦りながら必死で叫んだ。

「お前らテイラーはそうすることでしか生きていけないんだろ?」β、大翔はバードテイラーに冷酷に言い放った。

「テイラーだけではないッッ!!人間とて同じことだぁぁぁ!!!」バードテイラーはもう動くことすらままならないのに、口から黒い体液を吐き続けながら叫んだ。

「もう、お前に言うことは何も無ぇ・・・」βは最後にバードテイラーにそういうと、ベルトにある赤いスイッチを押した。ベルトの仕組みなど全く知らなかったが、本能がそうさせた。

「ライダーキック」ベルトから機械音声が発せられ、それに続くように大翔が叫んだ。

「ライダーキック!!!」

ベルトのバックルは変身の時とは違い、淡くも力強い光を放った。

その光はやがて、βの全身へ流れ込みとうとう、体全身を包み込んだ瞬間、右足だけがとてつもなく強く光り、その光った右足はバードテイラーの頭を直撃した。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

バードテイラーは爆破した。

βは変身を解くと、大翔に戻った。

華梨は少し怯えていたが、いつも通りの大翔の顔を見て、安堵した。

その様子を見た大翔も心の底から安堵した。

 

大翔はしっかりベルトを腰に巻いたのを確認すると、華梨を再び後ろに乗せ、バイクを走らせた。

「これ、他の人のバイクじゃないの?」華梨は心配そうに聞いた。

しかし大翔は今度は驚かなかった。

「これは俺の力で変えた隼の姿だよ。名前は・・・」大翔が考えていると、

「ライトニングファルコンだ・・・」とβの声が聞こえたきがしたので、

「ライトニングファルコンだ!!どうだ、かっこいいだろ!!」と自慢げに大翔は言った。

「そんなことよりも今日の夕飯は私が作ってあげる!!だから帰りにスーパー寄ろう♪」と華梨は丸っきり聞いていなかったので、大翔は転びそうになって2人で大爆笑した。

 

2人のテイラー狩りはまだまだ続くのであった。




次回の仮面ライダーβはついに、βの好敵手、仮面ライダーαが登場!!
彼の目的とは一体!?
そして、βに新たなフォーム登場!!
次回も乞うご期待!!!


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第6話~招かれざる客~

今回は少し読みやすくしたぞ!!
まあ、詳しい部分は読んでからのお楽しみだ!!!
では、どうぞっ!!


第6話~招かれざる客~

 

西暦2069年8月4日 東京都中央区

 

いつものように神崎大翔(かんざきひろと)と桐縞華梨(きりしまかりん)は、2人の活動拠点である寂れた武器屋に居た。

昨日のバードテイラー討伐で2人共、疲れ切っていたのである。

華梨は今日、午前10時に起きたのだが、大翔に至っては午後1時半頃に起きた。

そして朝食(昼食ともいえる)を取った2人は、疲れながらも休む暇は無いと考え、再びテイラーについて情報収集を始めようとしていた。

 

ガチャ

 

大翔が入り口のドアノブに手をかけた時、勝手に扉が開きそこには1人の男が立っていた。

 

「お、お前は・・・!!?」大翔はかなり驚いた。

「?誰?誰か知り合いでも、来たの?」華梨も入り口のドアへ向かった。

 

そこに立っていたのは以前、大翔に手助けをし華梨の命を救った、黒崎慶吾(くろさきけいご)だった。

 

「よお、久しぶりじゃねぇか。2号ライダーさんよぉ・・・」大翔は敵意むき出しで挨拶した。

「それより何故、ここがわかったのか聞こうじゃないか・・・」大翔は早速質問をぶつけた。

「こんな玄関先で立ち話するのも、なんだ。とりあえず中に入れろ」慶吾はそう言うと、大翔をずいと押しのけ、部屋の中の椅子に座った。

 

(誰だろうこの人・・・?)華梨は思っていた。

 

華梨は慶吾の事を知っている筈が無かった。

慶吾は華梨の命を救ったため、華梨の事を知っているが華梨はその時、気を失っていたため、慶吾の事を知らないのである。

 

「まず、最初に言っておくが俺は2号ライダーではない。そりゃ、お前からすりゃ2号だけどよ。いいか、お前はβ、俺はαだぞ・・・?」慶吾は幼稚園児に質問するような言い方で言った。

「てことはお前が1号で、俺が2号か・・・」大翔は今初めて、βがギリシャ文字のβであることに気づき、少し恥ずかしがって言った。

しかし大翔は話をすり替えるように話題を戻して言った。

 

「それより、お前がどうしてこの場所を知っていたんだ!?」

「それは簡単な話。俺がこの店のオーナーだからだ」

 

3人とも黙っていた。

 

「・・・え?」大翔が発した言葉はそれだった。恐らく、華梨も一緒だったであろう。

「お前が?ここの?オーナァァアア?」大翔は思わず叫んだ。

 

無理も無いであろう、今自分の目の前に座っている男に突然そんなことを告げられたら、誰もが驚くであろう。

 

「そうだ。で、今日はオーナーとしてお前らに伝えに来た」

「何をだよ?」

「しばらく、まあテイラー討伐が終わるまでだ。ここはお前らが自由に使っていいぞ。寝泊りもしたきゃ、勝手にしろ」

「ええええええええええええぇぇ!!!!??」

 

大翔と華梨は2人同時に驚いた、この男の口からそんな言葉が出るなんて。

しかし大翔はすぐに落ち着きを取り戻し、聞いた。

 

「それは礼を言う。だが、聞きたいことがあるのだが・・・」

「何だ、テイラーについてか?」

 

大翔はそれについても聞きたかったが、他に気になることがあった。

 

「アンタはその・・・、何歳なんだ?店のオーナーってこたぁ、20は・・・」

「18だ」

 

即答だった。勿論、大翔はその答えにも驚いた。10代で店のオーナーを務めているとは中々大したものであると。

大翔はまだまだ気になることがたくさんあったので重ねて質問をした。

 

「アンタの中にもいるのか?その・・・αが・・・」

「勿論、力を持つもの(ライダー)の中には必ず化身が存在する」

「化身って何だよ?」

「まあ、ベルトに組み込まれた人工プログラムだ。その人工プログラムはベルトの適合者の一部として、適合者の都合に応じて脳内に現れる」

「て、適合者?」

「そのベルトの装着者のことだが、だれでもなれるわけでは無い。ベルトと適合する人間は選ばれた者だけだ。まあ、1人とは限らないけれどな」

 

一段落ついてから、再び大翔が聞いた。

 

「あんたはどこでどうやって活動してしているんだ?一体どれだけのテイラーを今まで倒してきた?」

「それは言えんなぁ、で、質問はもう終わりか・・・?」

「な、どういう、ガハッ!!!」

 

突然慶吾が大翔のみぞおちに拳をめり込ませた。

大きく後ろに吹っ飛ぶ大翔。

 

「大丈夫!?」華梨が急いで抱えた。

「な、て、てめぇ・・・。どういうつもりだ」大翔は悶えながら、聞いた。

「そうですよ、いきなり!!」華梨もこればかりには口を挟んだ。

「お前がβの適合者として相応しいか、俺が確かめてやる・・・。変身!!」

 

慶吾はそういうと右手を前に突き出して掌(てのひら)を上に向け、左手の拳を握り、そのまま右手を左側に大きく弧を描くように回しながら、そのまま右手をバックルに擦るようにかざした。

 

「変身」バックルから発せられた機械音声が告げ、光の中から仮面ライダーαが現れた。

αはそのまま変身していない大翔に容赦なく襲い掛かった。

 

「ふざけやがって、返り討ちにしてやる!!変身!!!!」

 

大翔もすぐに変身した。

 

「変身」βのバックルの機械音声の音と、αの拳がβの腹に当たる音が重なった。

あと少しでも変身が遅れていたら、大翔の命は危なかった。

大翔も反撃に出た。

βサーベルを取り出し、αの体を斜めに思い切り切った。

後退するα。

αはすぐさま、α専用武器「αブラスター」を取り出した。

「マシンガンモード」αブラスターから機械音声が告げる。

次の瞬間αブラスターの銃口から火花が激しく散ったと同時にβの体に弾が全て命中した。

 

「ぐっ!店がメチャクチャになるだろ!?アンタそれでもオーナーかぁぁぁぁぁ!!」

 

βは力任せにαに突っ込んでいき、αごと店の玄関をこじ開けて外に出た。

そのまま倒れる2人。

その隙を見て、上に乗っていたβが思い切りαの顔面に拳を叩き込んだ。

 

ガッ!!!

 

だが、αはビクともせず、むしろβの拳にダメージが加わった。

 

「痛ぇぇぇぇぇ!!!」

 

今度はβの隙をみてαがαブラスターの銃口をβの顔面に突き付け、マシンガンをぶっ放した。

強制的にβは変身を解除された。

αは変身を解かずに、その様子を黙って見ていた。

 

「ぐ・・・まだ終わってねぇんだよ!!!へんし・・・」

 

大翔は再びβに変身しようとしたが、αにそれを止められた。

 

「もう十分だ。お前は戦い方を分かっていない。だから今お前は俺に負けたんだ」

「何だと!?」

「いいか、次会った時は俺は今度こそ本気でお前を仕留めるぞ。お前も負けんよう、特訓するんだな。」

 

そう言い残すとαは変身を解き、店の前に停めてあったα専用バイクにまたがり、そのまま走り去っていった。

 

「大丈夫!?」急に華梨の声が聞こえて大翔は我に返った。

「ああ・・・アイツ、相当強いぞ・・・・。」大翔はどこか遠くを見るような目で呟いた。

 

その直後に大翔はライトニングファルコンにまたがり、テイラーを倒しに言ってくると華梨に告げ、走っていった。

大翔は新しい自分を創るため、テイラー相手に特訓をすることを決意したのであった。




次回の仮面ライダーβはまた新たなテイラーが登場!!
乞うご期待!!!!


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