歌って飯テロする予定 (狗妹)
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原作前
プロローグ
プレゼント・マイクSide
最初の出会いは薄暗く胸糞悪い地下だった。か細く、脆い・・・俺が握っただけでも折れそうな体。けどその瞳はまるで大粒の宝石のように美しく輝いていた。
その輝きに魅了されてか他の奴らに取られまいと我に返った時には養子縁組を済ませた後だった。
そのことについて最初は頭を抱えたがヒーローの仕事も忙しく独身謳歌していた自分がいきなり4歳児の子育てをすることになって毎日が行き当たりばったりの騒がしい日々だったがなんだかんだ周りも助けてくれたおかげであいつにもマシな生活をさせてやれることができたと思う。
そのおかげで暗く、汚いガキだったあいつも
「ひぃ
煌めくカラフルな美しい髪をてっぺんでお団子にしてそれでも収まりきらなかった髪が網戸から吹き抜ける風に遊ばれキラキラと背中で舞う。
付けまつげいらずのボリュームと長さはそこいらの女子よりも多く瞬きする度にバサバサと羽のようにあの時の輝きを維持したままの瞳を覆いつくす。
ガリガリの体だったのが華奢だがしっかりと肉付きもよくなり逆にえr・・・非常に健康的になった。
まあ・・なんというか見事なビフォー&アフターを遂げちまった。
いや、もともガリガリの初期から顔立ちはまぁまぁな方だなと思ったぜ?それがものの数年で絶世の美女に変わると誰が想像できるか!!
こいつの個性だけが原因じゃなく元の素質が一気に開花したようなゲームのたとえ的に言えば卵からかえったばかりのヒ〇バスを不思議な飴と道具で進化させてそこからまた不思議な飴をレベル上限まで与えた結果みたいな人間の進化の神秘を垣間見たわ()
「???どうしたの?」
「いや、今日も美味そうだな!」
机に置かれたつやつやと輝く白米を筆頭に匂いと味覚をダイレクトに食欲に刺激させてくる料理の数々。
毎日こいつの飯を食っているのに飽きないどころか胃と口は正直に鳴き、唾液を分泌させる。
ゴクリと喉をならし椅子にすわり両手を合わせる。
「いただきます!」
「いただきます」
まずは味噌汁で喉を潤す。
ゴクッ モグッ モグモグモグ・・・
「~~~っ!/////////」
キノコのうま味が汁に溶け出し口にキノコのうま味と味噌の濃い味を滑らかにさせてくれて喉を通すとじんわりと温かさと共にうま味が体に溶け出すのが分かる。
さらに具のキノコが噛めば噛むほど自身で出したうま味と味噌のコクとかおりを口いっぱいに広がらせる。
咀嚼したキノコから出る汁と味噌汁は少し違う。味噌汁は味噌とキノコ出汁の調和されたバランスの良い体を優しく受け止めてくれる美味さに対し
キノコからあふれ出た汁は一度出た自身のうま味を味噌の美味しさだけを掻っ攫いさらに自身の中に吸い戻すことによりさらに自身の味を強調させるインパクトの違う美味さだ。
たかが味噌汁、されど味噌汁。
その一言に尽きる。
味噌汁だけではなく他のおかずも同様。一流の料理人なんか目じゃないほどの幸福感と満たされる心と体に朝から食い過ぎたお腹をさすり食事を食べ終わり食器を洗っている養子の背中を見てから自身の体に視線をずらす。
「(本当にいい拾いもんをした)」
胃に入った美味すぎる料理は他の料理と違い【個性】によって作られた特別性であり食べたものはそのうま味に比例し体に栄養をいきわたらせる。
その浸透力は桁違いであいつの料理を食べている現在と過去の俺を見比べても年を取っているにも関わらず現在の方が【個性】のキレも身体能力も遥か上である。
個性【美食屋】
そう告げたあいつの個性はこの世界とは異なる美味すぎる食材がいる世界に行き来し、なおかつその食材で作られた料理は天にも昇る味と身体を驚異的な速度で強化するその個性はヒーローたちにとってとても喉から手が出るほどの逸材だろう。
しかもこいつの個性はこれだけではない・・・
「~~~♪」
チチチッ ピィー♪
「おい、また窓に押し寄せてんぞ」
「え?・・・あっ!ご、ごめん!ほら、これ食べていきなさい」
ピピピッ! チュン!!
窓にひしめく雀から始まりハトやカラスなどがキッチンのすぐ横にある網戸状態の窓にぎゅうぎゅうに詰め寄っている姿に押し花の鳥状態か?とまったく可愛いどころかドン引きするレベルの光景ももはや見慣れた状態で軽く注意すれば気が付いたあいつ・・
窓枠からベランダに移りガツガツとむさぼる野鳥のBGMを聞きながら入れられた食後のコーヒーに口をつける。
個性【言霊】
口に出した言葉が現実に影響する強力な個性だ。
まだ【美食家】だけなら施設でもギリギリ問題なかったがこの【言霊】は扱い方を誤ればとても危険な個性となる。
この個性をしればますますヴィランに付け狙われるであろう。
そしてそれはヴィランのみならず政府といったこちら側の人間にも狙われるであろう。
有無を言わさず即養子縁組したおれグッジョブ!!
今は鼻歌を歌えば鳥や野良猫など集まり戯れるていどの白雪姫レベルでとどまるがこれが絶望といった負の思いを口ずさめば・・・想像に難くないであろう。
今は俺やなにかとフォローしてくれている消太を筆頭に背後を固めてくれたお蔭で横やりはなくなりつつある。
というか扱い方を誤らなければ問題無いのにいちいち「もしも~」を前提に突っかかりやがって!
お金を稼ぎたいと福音が動画サイトなどでお試しデビューした時も歌に個性がのってないのに「これは洗脳にも匹敵する曲ですがやはり個性を扱いきれてないのでは?」と変な言いがかりをつけて寄ってきやがる。
ただ単にこいつの曲が最高なだけだろうが!!
確かに作られる曲はどれも心を揺さぶられるほど凄い曲ばかりで実際ランキングなどもデビューしてからトップを独占しているが!!!
消太の個性をもってしても曲のすばらしさは揺るがない!これが答えだろう!!
ちなみに俺の今のお気に入りは『クワガタにチョップしたらタイムスリップした』だ。
タイトルから吸引力がすさまじい。
前半から腹がよじれるかと思ったわ。
だが後半から雲行きが怪しくなり
聞き終わった後はティッシュを抱え込んでいた。
コメディからのシリアスのギャップが酷い。
腹抱えて笑い過ぎて出た涙がいつの間にか鼻をかんで流れ続ける涙に変わっていきティッシュが手放せなくなった。
そういったどんでん返し(いい意味で)があるこの曲は『先』の可能を知った上で『今』の生き方を否定するわけでもなく自分を信じ生きていけと背中を押されるいい曲だ。
ちなみに消太は二匹の猫の生き方を描いた曲がお気に入りらしいイヤホンでサビの「にゃんにゃんにゃん」が聞こえた。
昔から猫好きだよなぁあいつは・・・間違ってもうちの子に猫耳付けて可愛がるわけじゃねぇよな?な??
「あ、ひぃ兄!これ消太さんの分の弁当!」
・・・ダイジョウブ オレ 信ジテルモン
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受験前の雄英高校
福音から消太の分の弁当も受け取ったひざしは隣に置いてあるでかいランチボックス(ファミリー用)に入れて手を振り玄関で見送ってくれる愛息子を背に家をでた。
車を転がして自身の出勤場であるヒーローを生み出す一番有名な場所。国立雄英高等学校に着くと最初向かうのは職員室・・・ではなく教職員専用の更衣室だ。
そこでヒーロースーツに着替え荷物片手に職員室に向かう。
職員室に入ると気が付いた同僚たちが手を軽く上げたり声をかける。
「マイクか、はよう」
「おはようマイク。今日のお昼はなんなの?」
目線で軽い挨拶をしたブラドキングに対し、じりじりとミッドナイトが寄ってくるのですかさず両手でランチボックスを抱えてミッドナイトから離れようとする。
「はようさん。おい!こっちくんな!」
「えー?」
「毎日毎日飽きずによくやるな」
「好きでやってねぇ!!」
「ぶー」
「お前年をかんgゴフッ!!」
すさまじい速さでミッドナイトの拳がマイクの頬に直撃した。
しかし、そこはヒーロー。なんとか両足で持ちこたえ両手のランチボックスも落とさなかった。
片腕にランチボックスを抱え込むように持ち替え開いた片手を自分の殴られた頬に添える。
相当強く殴られたせいで頬は真っ赤に膨れていた。
「普通グーで殴るか!!!」
「いい?女性にとって年齢はデリケートなのよ???」
「「あ・・ハイ」」
思わずブラドキングと揃って返事をしてしまった。
そんな女性に畏怖を感じている二人を相澤ことイレイザーヘッドは呆れた視線を送った後また手元の書類に目を通した。
朝の茶番が一通りされた後各々のデスクに戻り校長が最後に入ってきて今日一日の仕事が始まる。
午前の授業も終わり「メシだー!」と騒ぐ生徒に「おら、次実施だろ、早く食いにいけよ!」と発破をかけた後そそくさと自分も職員室に戻る。
「お?」
「・・・・ん」
職員室に入るとマイクのデスク脇にあるランチボックスを開けて中身を漁るイレイザーヘッドを発見した。
イレイザーは気づくとランチボックスの中から包まれている大きな弁当をマイクに見せるように軽く顔近くまで掲げたあと包みを持ったまま自分のデスクに戻っていった。
元々栄養補給用のゼリーなど必要最低限でしかも時短前提で作られているモノしか口にしなかった相澤を心配し家に来させて福音の個性の修行もかねてという名目で飯を食わせていたが結果補給ゼリーを主食から外れたが福音に見事胃袋をつかまされてしまった。
体調も段違いに変わり、ドライアイの相澤を心配し目の粘膜を保護するビタミンAが多く含まれる食材を個性の世界(グルメ界)から調達し、それをメインにした相澤専用の弁当まで作られたおかげで彼の充血は原作の彼と比べてまったく気にならない程度まで回復した。それに伴い体のキレも上がり何故かイケメン度も増した。←??
美味しい料理に舌も体も満足した相澤は時間の有効活用の為の時短飯よりも食欲が勝つのは明らかで休日にはちゃっかりマイクの家にお邪魔して飯を食う始末。
というものそれも休日の食生活を心配したひざしが相澤を誘ったのがきっかけである。
最初は弁当だけで十分だと断ってたが舌も胃も福音の料理になれてしまった頃ついに欲に負けて家に行った。
お弁当も美味しいが出来立ての料理といったらなんと贅沢なことだ!と最初の一口で固まり宇宙猫状態になりながらも口と箸だけは動かしてた。本能か?
近くのデスクを見れば黙々とけど早い箸使いで口に入れるイレイザーの姿。
心なしか周りに花が浮いているような錯覚を受けるほどのがっつきようだ。頬いっぱいに食べる姿はハムスターに通ずるものがある。しかし実際は成人した立派な男性であり無愛想、個性故の睨みつけるのが癖になった生徒には怖いと評判の眼光をもったヒーローである。この姿をみた生徒は2度見どころか3度見しても現実を受け入れるのに時間はかかるんじゃないか?
マイクもランチボックスから成人男性が食べるには大きすぎる弁当を取り出し蓋を開ける。
「いただk・・・・」
「・・・・」じー
「・・・」じー
「・・・相変わらずあからさまじゃねーか?」
すぐ脇にいるミッドナイトと食堂にいたはずのランチラッシュが食い入るように見ている。ほかの職員にいたヒーロー達も視線は相澤とマイクの弁当に向かっている。
「す、すいません。いつみても時間経過しているのにも関わらずこの見た目の美しさや匂いといい個性で生まれた食材を使った料理はとても気になりまして・・」
「あんたやイレイザーの髪や肌を見るとその原因を探らないわけにはいかないのよ!」
女として美の追求は一生付きまとうもの。あの無精髭を生やした髪もセットもしないいい意味で自然体というしかない髪型をしたイレイザーでも今はよく見れば艶のある髪に張りのある肌。その異変に気が付かない女がどこにいる!洗顔用品は?シャンプーは??と詰め寄る女性陣にイレイザーは「メシを食ったらなった」としか言わない。
マイクも副業があるとはいえ男性ながらサラサラの枝毛も見当たらない長髪で肉体を酷使するヒーロー業の中、些細な変化で現れる肌荒れなども見当たらず羨ましいほどもっちり肌だ。
気が付いた女性陣が相澤とマイクを囲み顔や髪をべたべた触り抜け出した後の二人はまるで追いはぎされた後のようだったと遠目で見ていたスナイプが話した。
ランチラッシュもマイクの養子である福音の事はマイクが話していたので多少は知っているがその個性の一つである【美食屋】というのは自分の個性とは似て非なるものでとても興味を抱いていた。
個性で発動した扉をくぐれば未知の世界でそこには人はおらずこの世界にはない食材は山ほどある。
その食材は今の所その個性を持っている福音本人しか扱えない(マイクや相澤が挑戦したが切れ目を入れただけで腐ったり毒化したりしたらしい)その食材を使った料理はどんな高級食材や一流料理人が作った料理よりも勝るであろう。
ただの水でさえ世界中の名水よりも勝る美味さで一口だけもらった教員全員がその個性の凄さにある意味戦慄した。
「(ただの水でこれほどなら料理したものは・・!!)」
それから福音が知らずのうちに教師陣の中で有名になっていった。
しかも食べた料理はこの世界とは栄養素も、吸収も段違いで素早く体に栄養をいきわたらせていく。
これだけで言えば料理系の最上位の個性といえるが
この素晴らしい食材が獲れる『グルメ界』と呼んでいる彼はこの個性で食材の調達、料理する以外の使い道を編み出して見せた。
それは『グルメ界』にいる生物の擬態だ。
彼のカラフルな髪もその個性の効果らしく軽く説明されただけでも戦闘面でも強個性となると彼の将来が楽しみでしかない。
前にマイクの待ち受けに鮮やかな白い毛をもった美しい狼になった福音の姿があったが他にも翼をもった大型の猫化になっている姿を待ち受けにしたイレイザーに見せてもらった。
完全擬態の他に一部擬態もできるがまだ精密な個性操作が出来ず完全擬態の方がやりやすいとのこと。
しかし擬態しないで持っている肉体の強化や髪は肉眼では見えない触覚の糸を出す超触覚を持っておりまだ完全とまではいかないがそれでも探知や戦闘面で活躍できるであろう。
むしろここまでできてなんで個性名が【美食家】なんだろう?と聞いたヒーロー達がそろって首を傾げた。
うらやむ視線ももはや当たり前になりスルースキルが上がったマイクは素早くしかしよく味わって完食した。
「あ~」と落胆する声もするがこれは!俺の為に!わざわざ朝早く作ってくれたの!!
「相変わらず美味しそうな匂いだね」
「校長!」
ひょっこりと職員室に入ってきたネズミでありながこの学校の校長を務めている根津はヒーロー達が集まっているマイクたちのデスクに近寄った。
「そういえばそろそろ受験シーズンだけど・・・推薦じゃなく一般で受けるって聞いたけど本当にいいのかい?」
「え?ああ・・あいつ自身どれだけヒーローとして通用するか実力をためしたいと言ってたんで」
複数で強い個性を持ちプロヒーロー達からもお墨付き(胃的にも)をもらいながらも慢心せず挑む姿は保護者として、先生という職業柄で見ても嬉しい姿勢である。
「うんうん、あの子なら十分に受かるだろうね・・・・今のうちにこれを渡しておいてくれないか?」
「え?はあ・・・てっ、コレ!」
そう言ってポンとマイクのデスクに折りたたんだメモ書きを置いた。
その紙を開くとネギや梅などネズミが食べてはいけない食材が書かれていた。
「バナナやリンゴも迷ったけどあの子の個性から出てきた食材ならいけるかもしれないから除外したよ!」
「作らせる気満々かよ!!!」
ちゃっかり抜け目ない校長であった。
「ひぃ兄?これ・・・」
「すまん・・・多勢の圧に負けちまった」
福音の両手には食材などの書かれたメモ書きがいっぱい載っている。
根津校長を発端に他にも美容にいい食材やら未知の食材のリクエストなどマイクに書いた紙を押し付けた。
拒もうものなら個性を使ってでもお前の弁当を毎日狙いにいくとまで言う始末。
「・・・諦めろ」
と一言いう相澤についに頭を抱えて頷くほかなかった。
というか受かる前提で話を進めんな!いやうちの子は絶対受かるだろうけど!!
受かったらまず間違いなく迫られるであろう福音に不甲斐なさと申し訳なさにしばらく福音を抱きしめ全力で撫でて謝るひざしを見ておろおろするも大きな背中に手をまわしポンポンとあやす姿は息子というよりよm・・・・
げふんげふん
今日も仲よろしい家族である。
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入試試験編~
入試試験日の朝
もうそろそろ日が出そうな時間帯。
大きなダブルベットで眠る2人のうち一人が静かに体を起こす。
隣に目をやると綺麗な金髪をベットの上に広げすやすやと気持ちよさそうに福音のお腹あたりに手を回しているひざしの姿があった。
いつも騒がしく、けど生徒からも慕われている彼の今の素顔はかわいらしいと感じてしまう。しかしヒーロー業と教師、さらにラジオDJを務めているハードスケジュールにも関わらす体はたくましく男らしい。
一言でいえば脱ぐとすごい。ひざし以外にも以前に消太が泊まりに来た際に風呂上りで見た時も不摂生な食生活な割にガッシリとしていて思わず自分の体と見比べてしまった。
チート特典付きの転生なだけあって男女問わず目を奪う容姿だが。前世女だった自分が願った所為かどっちかというとこう・・・・体は男なのに括れもあるむっちり尻付きのナイスバテーな一応男の体になった。
どんなに筋トレしようが尻は良い弾力を維持したまま硬くならず上半身を鍛えようと腕立て伏せをすればなぜか腕ではなく胸の肉が付く始末。
Aカップほどに膨らんだ胸に美女っぷりにますます磨きがかかる福音にひざしと消太が揃って頭を抱えてしまった。
それ以降どう筋トレしても腕力や柔軟性など上がっているのに外見にあんまり反映されないことに次第に実力が付いているならそれでいいんじゃね?と言うひざしに消太と福音が首をかしげながら無理やり納得したのだ。
当本人である福音も女だった記憶があるので筋肉もりもりマッチョしている(来世の)自分の姿なんぞ思いつくはずもなく・・・また今世が男になるなんて思いもしなかったのでまだ女性寄り(絶世のが前につくが)の方がありがたいのでもう無理に男らしさを追求することもやめて逆にせっかくもらったこの美しい容姿をさらに磨くためチート特典の一つの個性をフル活用した。
いやー、トリコ能力マジチートだわ。
しかも基本己の肉体を使うバトルがメインであり個性重視のこの世界では肉体に関係する個性ではない限り最低限の筋肉をつける程度のヒーローが多い。
もちろんひざし達はそんな事はないが。前世でモブといっていた名もない漫画で出されるヒーロー達など実際に見かけるがどれもひざし達と比べて頼りないとも思えてしまう。
さらに私の個性を使った料理を食べてからますますひざし達の肉体はたくましく。しかしボディービルダーみたいに【見せる為の筋肉】ではなく柔軟で己の力を瞬時に生かせられる筋肉に磨き上げられていた。
前世喪女だった自分としては眼福もいい所だ。もうどんどん磨き上げられていく自分と保護者達の肉体を見て調子に乗ってどんどんグルメ界にいって食材を使った。
そのおかげで戦闘力もあがりどんどん獲れる食材レベルも上がってさらに私たちも美味しく強くなるという良循環!
最初は「なんで王道系チート個性じゃないの?」と疑問を投げていたが使ったら2つとも王道というよりバグ性能高い個性で恐れおののいた。
個性【美食家】はトリコの食材を獲って食べる以外にも私の髪・・本家でいうサニーの能力や驚異の身体能力。小松シェフのように食材に愛されその調理方法が分かったり・・・・なにより人外のキャラに化けられるというまさに【美食屋トリコ】の世界観を一つの個性に詰め込んだ破格の個性だ。
人の能力は私自身の能力で。原作キャラのパートナーアニマルのテリー達といった人外のキャラは体全体を変異すればそのキャラの戦闘力が得られる。
今の所バトルウルフでもテリーやハイアンパンサーのリッキーなどしか変身できない。
八王クラスなんて到底まだ先でUSJ編までには3桁レベルは軽く食べていきたい。
ちなみにひざしさんはテリー派で消太さんはパンサー派だった。
猫好きでも大型猛獣の分類でオマケに羽生えてるけどいいの??
あ、ちなみに私。この世界の知識をもっております。
記憶が戻った時にはマイクの養子になってて記憶戻る前の記憶と前世の知識もあってショートしてた・・・
うん、いきなりぶっ倒れたりマイクさんには本当にあの時お世話になりっぱなしだった。
医者はPTSDによるフラッシュバックからのパニック症とか言ってたけどただ単に知識INしてからの私の状況把握と原作キャラの突発な登場に頭が付いていかなかっただけですハイすみませんでした。(土下座
そして今は金稼ぎ程度にお世話になっているもう一つのチート個性・・いや正確には個性は使ってないけど前世よりはるか未来の設定なのに漫画の世界観だからか前世の曲なんかがなかった。いくら調べてもボカロも知っているアニソンも全くなかった。
これには結構ショック受けた。
それでホームシックさながらボカロの歌うたってたらひざしさんに「hooooooo!!!!なんだその歌は!!自分で考えたのか!天才か!!!うちの子マジエンジェルぅううう!!」と聞かれててあまりのもベタ褒めしてきたので調子に乗って動画投稿・・からの人気が出始め自分でも世話になりっぱなしなのは前世成人済みの記憶がゆるさないので顔出しNGでシンガーソングライターとしてデビュー。
結果紅白まで呼ばれる始末。けどさすがに顔出しNGだし辞退した。めっちゃもめたけどひざしさん達が対応してくれたありがたやありがたや!
そういえばデビュー時もひざしさんが何かと対応してくれてたな。恩返しのつもりで稼ごうとしてたのに世話になりっぱなしで申し訳ない・・・けど印税とか稼いでいるから!まだ未成年でこれくらいしかできないけどこれから頑張るから!主に原作崩壊とか!(メメタァ・・・
「おはよう」
「おはよう、ひぃ兄」
後から起きたひざしが席につくのを確認して料理を机に並べる。
席に着くと机に置いてあるリモコンを手に取りすぐテレビをつける。
ラジオも好きだがテレビも好きなひざしは朝一ですぐテレビをつける。
といってもまだ朝日が出て間もない時間帯で面白い番組などやってるはずもなくニュース番組に切り替えて見る。
「はい、昨日は和食だったから今日は洋食風にしてみたよ」
「おお!希望通りだぜ!めっちゃ朝から豪華さがヤベェェエ!!」
十黄卵のとろふわオムレツに牛豚鳥の厚切りベーコンとあらびきソーセージ。飲み物もは私が牛豚鳥の牛乳にひざしはその牛乳を使ったカフェオレ。
他にも出来立て熱々のパンにキューティクルベリーを使ったソースを被ったヨーグルトなど朝食並みに豪華な料理が並べられている。
「今日は試験日だしお互い頑張ろうね!」
「おう!福音も大丈夫だろうが気をつけろよ?っと・・いただきまぁあす!!」
「うん、いただきます!」
そう、今日は雄英高校の入試試験日。
教師であるひざしは試験会場の最終確認などやる事が多くいつもよりも早く出る予定だ。なので自分も日が出るまえに起きたのだが朝ごはんを完食したひざしはその後着替えて支度を・・せずまだ椅子に座りゆったり食後のカフェオレをすすってる。
「・・はぁ・・うめぇ・・余韻に浸かりてぇえ」
「嬉しいけど時間大丈夫?」
「・・はあ、そうなんだよなぁ・・・けどこの満腹感をまだ堪能してぇんだよ」
「もう・・・はいお弁当。あと頼まれたコレも一緒にいれていいの?」
「おう、ありがとな」
渋々椅子から立ち上がり洗面台に向かうひざしに机に置かれたいつものランチボックスに弁当と蛇口がついた中身入りの大瓶を保冷剤と一緒に別袋にいれてボックスに入れる。
スムージーには疲労回復や治癒特化系の食材をメインとして野菜と果物を調合した特製品である。
前に怪我をして固形が食べれなくて泣いてたひざしの為に作った時大好評だった。
今は前回よりもレベルが高い食材で作ったので前よりも効果てきめんであろう。
それにしてもコレが必要なほど入試試験を用意する側は大変だってことだよね・・・今夜のご飯疲労回復系でいこうかな?
「じゃ、先行ってくるな」
「うん、いってらっしゃい!!」
ニコッと頭を撫でて玄関を出たひざしを見送り自分も頑張ろうと張り切って入試の最終持ち物チェックをしようとパタパタと自室に駆ける。
いよいよ原作が始まるのだ。用意はやりすぎなほどちょうどいい。
時間はまだあるし救助用に再生屋が使っていた食材も予備で確保しておこうかな?と考えるほどどうやら自分はかなりテンションが上がっていることに気づく。
原作に本格的にかかわる今日。ドキドキする気持ちを抑えパン!と顔を叩く。
もうこの世界はペラペラな紙の物語ではない、現実なんだ!と気を引き締めた。
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入試試験当日
「今日は俺のライブへようこそぉおおおお!!!エヴィバディセイヘイ!!!」
受験会場に
掛け声に合わせて乗った方がいいのかと思ったけど絶対に近くにいるかこの光景を監視カメラあたりで覗いているであろう消太さんが頭を抱える事案が発生しそうなのでやめた。
受験生皆がシーンとマイクの掛け声に圧倒して黙っている間にマイクは気にせず高いテンションのまま説明していく。
筆記試験で皆気を張り詰め脳をフル活用した後にこの声量は頭に嫌な意味で頭に響く。
しかしいつも聞きなれている福音にとってはさほどダメージはなく。「相変わらずだなー」と受験生にあるまじき楽観的な感想を心の中でつぶやいた。
そんな福音の周りでは福音の美貌に別の意味でざわざわしていた。
「(綺麗・・モデル?)」
「(髪もカラフルだけど地毛なのかな?綺麗だなー)」
「(こ、声かけてもいいかな?)」
「(胸はないけどいいな)」
マイクもひと際目立つ福音に気が付き、そして周りの反応に「(うちの子きれかわだろ!でもジロジロ見んじゃねぇ!)」とイラつきを声量アップで自身に注目させる。
さらなる音量アップに耳に手を当てる受験生がちらほらいた。
いくら耳が痛かろうとも説明はタンタンと校訓まで説明しだす。
<Plus Ultra>・・・訳すと<更に向こうへ>。ナポレオンの言葉だがヒーローを目指す今の自分たちに当てはまる言葉に白けたり耳を抑えていた受験生たちの緊張が一気に高まっていった。
「はいスタート」
が、先ほどとは打って変わって軽い声音に受験生は戸惑う。
その中でいち早く動いた福音が飛び出していった。
その福音の姿に「え?」とさらに?マークを浮かべるがマイクの「実戦にカウントダウンなんざねえんだよ!」という声に慌てて走り出す受験生たち。
そんな受験生など目もくれず着々とロボットを髪で倒していく。
他の目から見ればロボットが勝手に吹っ飛ばされたり壊れたりしているであろう。
福音の髪から肉眼では見えない触覚の糸を操りロボットを倒すと同時に範囲にいる受験者を索敵し被害を被らせないよう移動する。
現在福音がいる会場には原作の主人公達がいなかったので思う存分個性を振るう。
「いっ!・・」
「おい、大丈夫か?!」
時間が経過すると同時にけが人も増える。触覚を駆使して時たま大ジャンプをして高い位置からあたりを見回し危なくなったら触覚で軽く敵の攻撃をいなしたりする。
その中で前世の記憶に見覚えがある人物たちを発見する。
金髪の黒いメッシュがはいった男子とノースリーブから複数の腕を生やした大柄な男子。
金髪の男子からは片足の膝から下の部分のズボンがなく素足は赤く爛れていた。
動けない金髪男子を大柄の男子が抱き上げロボットの攻撃をかわす。
しかし2体目が後ろから現れ2人に襲い掛かる。
「フライ返し!」
「「!!!」」
空から現れた福音は背後のロボットを吹っ飛ばす。突如現れた福音に2人は驚く。もう一体のロボットも何もしてないのに吹っ飛ばされる。
キラキラと輝くカラフルな長い髪とその美貌に試験中ながら2人は魅入られる。
「大丈夫か!」
「あ、お、おう!」
「!・・すまない、助かった」
ふんわりと降り立った福音に慌てて返事をし返す。
「その怪我・・火傷か?」
見るとかなり広い範囲で火傷の後がある。これで歩けと言う方が無理なほどだ。
「ああ、ほかの受験者の攻撃を食らっちまって・・」
「さすがに怪我人を見過ごせないからな・・」
大柄の男子が近くの瓦礫に金髪男子を下す。
「・・ちょっと待ってろ」
そう言ってごそごそと腰に巻いたポーチから緑色の包帯と水を取り出す。
火傷部分を水で洗い緑色の包帯、ドクターアロエで素早くまかれる。
「え、すごっ!!・・て!俺の事はいいって!!」
「怪我人を見過ごすヒーローがどこにいるんだ」
「!」
「ほらアンタも・・その腕だしな」
「!!気づいてたのか」
頷いていた大柄の男子にも素早く水で血と汚れを洗い流しロボットの攻撃で受けたであろう怪我にドクターアロエを巻いていく。
「すまない」
「わ、わりぃ・・!!!」
「なっ!!」
「・・えぇー・・デカくない?」
突如地響きと轟音に頭を上げるとビルに匹敵する大きさの巨大ロボットがこちらに向かってくるのが見えた。0ポイントの仮想ヴィランだ。
「む、無理だ!」
「こんなの滅茶苦茶よ!!」
「に、逃げるぞ!」
近くにいたらしい受験生達はこちらに巨大ロボットから一目散に逃げたす。
しかし福音はそんな受験生とは真逆に巨大ロボット相手に迎え撃つ姿勢をとる。
そんな福音に2人はぎょっとした様子で見た。
「お、おい!まさかアレとやり合おうってのか!!」
「・・・ヒーローがヴィランから逃げてどーするの?」
「「!!」」
「少なくても俺は勝てっこないからって逃げる馬鹿にはなりたくない」
そういって2人に背を向ける。
鮮やかな髪がふんわり広がり見えない触覚をさらに限界まで広がらせる。
足に力を貯めてジャンプしようと膝を曲げる。
「待ってくれ!俺も行く!」
「お、俺だって君一人いかせるk・・痛っ!!」
大柄の男子と金髪の男子が呼び止める。金髪は無理に立ち上がろうとして火傷を負った足に力を入れてしまい痛みが走ったのかすぐ座り込む。
「・・・いいのか?お前ら怪我人だぞ?」
「「怪我の一つで泣き言うなんてヒーローじゃねぇ!(じぁない!)」」
先ほどの恐怖などな感情は消え去り覚悟を決めた少年たちにはヒーローとして大事な思いが目に灯った。
「・・・俺は山田福音。個性は・・色々出来るが髪を自由に使える。」
「!!俺は障子目蔵。個性は複製腕と言って手や目など複製できる。」
「俺は上鳴電気!個性は電気を放ったりできるんだ!」
うん、知ってる!とは言えず。表面上は頷くだけにしといた。
「・・なるほど、じゃあこんな事できるかな?」
二人に思いついた作戦を話す。
触覚で障子たちを巻き取りヘアネットを駆使して近くのビルに飛び乗る。
「いい?俺が合図したらだからね!」
「ああ!」
「おう!」
その返事を聞いた後すぐそばまでいる巨大ロボットに思いっきり近くの瓦礫を触覚で掴みロボットの関節部分に当てる。
「今だ!」
「いくぞ!」
「ああ!」
障子は上鳴を背負ったままビルの上から触覚で浮いている瓦礫を足場にロボットに近づく。
そして目の前の巨大ロボット目掛けて上鳴をぶん投げた。
「くらえ!!」
BZZZZZZZZZ!!!!!!!!!!!と轟音が鳴り響く。
無差別放電130万ボルト!!!
瓦礫でひび割れた関節部分から電流が回り巨大ロボットは黒煙を上げながら停止した。
「上鳴!」
落下する上鳴を障子がすかさずキャッチしまだ浮いている瓦礫に着地する。
「う、うぇーい」
「だ、大丈夫・・そう、か?」
「う、うーん??」
「しゅーりょー!!!」
マイクの声がエリア全体に響き渡る。
「終わったか」
「うぇい?」
「コレがさっき言ってたショートした状態だよね?」
「おそらくは?」
「うぇ~い」
「ま、まあここではアレだしひとまず降りようか?」
先ほどの真剣な表情と打って変わって見事なアホ面を披露する上鳴に戸惑う障子。
福音自身が前世の記憶(知識)があるので笑うのを堪えひとまず今の足場(触覚で掴んでいる瓦礫)から降りる事にした。
また障子が上鳴を背負い集合場に向かうとボロボロの受験者たちの姿がちらほらいた。
その中央には希少な治癒の個性を持つ有名なヒーローことリカバリーガールが受験者達のけがの手当てをしていた。
「お前さんらも・・おや?」
「俺の個性で出したもので一応手当はしたんですけど」
「うぇ~い~」
「個性を最大まで使った副作用で今この状態なんです」
まだアホ化から戻ってない上鳴を見せる。
「この緑色の包帯はお前さんかい?」
「はい、ドクターアロエという俺の個性から出した植物で外傷の他火傷とかも効果あるんです」
「・・・ほう、一回とってもいいかい?」
「はい」
仮設ベンチに下した上鳴に巻いていたドクターアロエを取るとあんなに爛れていた大火傷が皮膚が赤くなる程度まで回復していた。
「・・・(明らかな重度の火傷の跡・・・けどもう完全に皮膚が再生しているのかい?なんちゅう性能だい)」
「うぇい!」
「な!あんなに爛れていたはずだが・・・」
「効果あるっていったでしょ?獲るの大変な分効果もテキメンなんだよね」
「これならこのまま巻いた方が速いかもねぇ。この緑の包帯はまだあるかい?」
「はい、予備も多めに持ってきてます。けどこれ素早くまかないといけないのでやりますよ」
「なら頼もうかね」
障子たちと別れその後予備のドクターアロエをすべて使い切るまで手伝った。
リカバリーガールにお礼を言われた後会場入り口まで戻るとそこには先ほど別れた上鳴と障子が門の所で立ち止まっていた。
「障子と・・上鳴?もう帰ったんじゃ?」
「いや、コレの礼を言ってなかったと思ってな、ありがとう」
「そうそう!!それとお礼にお茶おごるからあと連絡先も下さい!」
手当した腕を見せる律儀な障子とは違いアホ化から復活した上鳴からは下心丸見えなセリフが飛び出る。
「お礼なんていいのに、あと上鳴、男の連絡先聞いてどうする?別にいいけどさ」
「「はっ?」」
「え?上鳴はともかく障子も気づいてなかったのか!!」
確かに容姿や高い声音の事は完全に自他ともに認めるけど雰囲気とかで分かんなかったか?一人称も俺にしてるのに!
「え、ええええええぇぇえええ!!!」
「お、男・・なのか?」
「だ、だって・・え?男!!コレで!!」ビシッ
「指ささない!・・まあよく間違われるけども」
「俺っ子だと思った・・・」ガクッ
「そんなうなだれるほどか?」
膝をついてうなだれる上鳴と未だ信じられないというような顔でこちらを見る障子に苦笑いしか出ない。増やした目でジロジロ見ても変わらんぞ?
「い、いや!何かの縁だし交換しよう!」ガバッ
「いいけどさ」
「ああ」
復活した上鳴と障子と連絡交換し後日に合格通知を受けとったが3人共無事に合格したことが分かり共に喜んだ。
<食材説明>
・ドクターアロエ
外傷はもちろん、火傷や凍傷などで壊死した細胞組織をも治癒してくれる天然の包帯。
1m数十万円するほど高価で、大抵の傷ならこれに治癒力で十分に治療が可能。
原作では再生屋は必ず持っている必需品らしい。
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入学準備
3人共入学が確定し本格的な人学準備を進めている中、チャットアプリから通知が来た。
電気『おーい!暇かー!』
『暇っていうか上鳴は準備おわってるの?』福音
障子目蔵『引っ越しの荷物を整理してた所だ』
自撮りアイコンの上鳴と最近捕獲に成功したフグ鯨の刺身盛りをアイコンにした福音。
そしてチャットアプリ初心者で初期のままの無地アイコンの障子という性格が分かりやすいアイコンが目に留まる。
ちなみにその後フグ鯨はマイクとイレイザーと3人胃の中に納まりました。
次の日揃って顎が筋肉痛になったがフグ鯨のヒレ酒まで堪能した2人はまた食べたいと口を零した。
電気『いやさー、用意していたけど。手紙とかいれる四角いプラスチックケースあるじゃん?』
障子目蔵『これか』
障子目蔵『<透明のファイルケース画像>』
電気『そうそう!それよ!それさっき踏んずけちまって壊したんだよ』
『あらら、怪我は大丈夫?』福音
電気『へーき!それで買い物行くんだけど一緒に行かねーかなって!』
電気『障子もこっちに引っ越してきたことだし!』
『俺もペン入れとか見たいし別にいいよ』福音
障子目蔵『俺もかまわない』
電気『おっし!じゃあ明日の10時ごろに〇〇駅の東口に集合でいいか!』
『あそこだとすぐ近くのモールに行くのか?別にいいよ』福音
障子目蔵『こちらに土地勘はないから任せる』
急に決まった用事だが3年間使っていたペン入れもボロボロで取り替えないといけないなと思っていた所だったので上鳴の申し出はありがたかった。
===次の日===
「いやもう完全に女じゃん!モデルじゃん!」
「え?どこが?」
「すべてが!!!」
「・・・・」コクコクと上鳴に同意する
福音が着てきた私服は女性ものという訳ではないがゆったりとした透かし入りのオーバーサイズの淡いミント色のカーディガンと細い脚を強調するデニムパンツに白のシャツを着て足も花びらの刺繍がある白く動きやすいスニーカー。
カラフルな髪は頭のてっぺんで桜の花びらのチャームが付いた一本刺しでまとめてあり団子から垂れている残りの髪がふんわり春風に遊ばれている。
肩掛けの大きながま口バックも相まってマネキンのような洗練された美しさを自然体で着こなす福音に2人は「あれ?ここファッション会場じゃないよな?」と疑問を浮かべる。
和柄なんてゴツイ人や古臭いイメージという思いがあった2人の概念を覆すハイセンスな着こなしをしている福音に見惚れた。
前世でも結構和風系など大好きでレジンなどで小物を作ってたりしてた福音は今世でもその趣味を継続させている。
一本刺しも福音オリジナルである。だって現在のヒーロー名を見てわかる通り国際化が進んで和柄とか和雑貨など扱っている所が少ないこと!京都とか一部の地域で土産用とかほとんどで実用モノなんて前世より少ない!
だからこそ初めにボカロ曲で【千本桜】を筆頭に和風系曲を流した時は社会現象まで発展するほど取り上げられた。
現在和風系の曲を出せばそれにこじつけて和小物系を売る店も多い。
そんな和をうまく取り入れた福音の姿は目立つ容姿も相まってモデルや女優か?と人々の目をくぎ付けにする。
「じゃ、行こうか?」
「「お、おう(あ、ああ)」」
半分上の空状態の2人を連れて駅の広場から離れる。
「やべえ、完全に女の見た目なのに別の意味でドキドキする」
「といってもコレが普通なんだけど?」
「上鳴と同意見だが。人目が集まるが寄ってこないな」
「そりゃあこんな完璧美人に気軽に声かけられねーよ」
「もう慣れた」
「これを慣れるとか無理だろ・・」
「ずっと勧誘とか一目惚れです!とか言われ続けてストーカーまで頻繁に起これば嫌でもなれるぞ?」
「「・・・うわぁ」」ドン引き
なおその人たちは相談や愚痴を受けた保護者(マイクとイレイザー)の手によって処置された事を福音は知らない。
モール内でも引く先々で人の目が集まり2人は居心地悪そうに目的のものを買い込んで福音を連れてモールから少し離れた公園に出た。
綺麗すぎて声はかけづらいが少しでも見続けたい野次馬達がモール内で3人を追いかける。
勇気ある若者が声をかけようとすれば2人より先に福音が気安く声かけようとすんじゃねぇとばかりに冷めた視線で追い払う。
それでも集まりすぎる野次馬にさすがの福音も2人に気を付かせモールを離れる。
「なんか・・・ごめん」
「平気だ」
「目的のものは買えたし大丈夫だって!それにヒーローになったらあれぐらい注目されてファンからキャーキャーいわれるだろ!それの練習だと思えば・・!」
「「((・・・いや、それはどうだろう??))」」
どこまでもポジティブな上鳴に障子と福音は上鳴の今後を心配した。
「あ、そうだ!」
ふと思い出したかの様に大きなガマ口バックを開きごそごそとあさる。
そしてガマ口から出てきたのは明らかに容量オーバーの重箱だった。
「「待って(待て)!どこから出した!!」」
「?ここから」バックを見せる
「どう考えても入り切らねーだろ!」
「何というか・・なんでもありだな?個性か?」
「そんな所。で、お昼食べれてないでしょ?結構料理は個性もあって得意なんだよ。お近づきの印もかねて作って見た」
「山田の個性って結局なんだ?髪じゃねーのかよ」
「うーん?まあ髪も個性の一部だよ。で、食べない?食べる?」
「「食べる!(食う!!)」」
追いかけまわされて体力を使い過ぎた2人にとってはありがたい申し出だった。
大きな重箱の中は育ち盛りの男子達には嬉しい唐揚げや一口ハンバーグなど好きそうな具が沢山入っていた。
2人に割り箸と紙皿を渡し、そろっていただきますとそれぞれ具をつまみ口に運ぶ。
「「!!!!!!んんんん!!????」」
上鳴の口の中でサクサクの衣の中からあふれ出た肉汁とうま味広がりゴクリと喉を鳴らす。あっさりとしながらも今まで感じたことないほどの鳥のうま味たっぷりな唐揚げに一個食べただけ何に目を白黒させる。
ドリルバードで作られた唐揚げは脂肪が少なく高タンパク低カロリーで発展途上の筋肉にとても効果的で今の2人にはもってこいの食材だ。
片や2段目に入っていたタコ飯のおにぎりを口にした障子は最初の一口をずっと咀嚼している。
噛んでも噛んでもタコの弾力が歯を押し返し無理に噛み切るとタコなのにイカの特有の甘味を含んだ美味さが魚介の美味さを吸い込んだご飯のうま味、甘味と合わさり満たされる。
イカスタコと呼ばれる10本の足をもつタコなのにイカの美味さも上乗せされる食材は障子にとっては未知の遭遇ともいえるであろう。
食べてるのはタコなのかイカなのか。いや、それすらどうでもよくなるほど今はこの味を堪能したいと口を動かす。
「「ごちそうさまでした」」
「はい、おそまつさま」
普段より何倍も咀嚼する数が多くそしてゆっくりと時間をかけて味を堪能した。
口も胃も満足感にあふれていて、自然と心込めた食後の挨拶が口からこぼれた。
「やばい・・めっっちゃくちゃ美味かった」
「すまん、かなり食べてしまった」
「いや、好評なようで作った甲斐があったよ」
「いやマジ山田ってヒーローじゃなくて料理人目指せよ!ぜってー通うから!」
「だが断る」
「本当にその道いけるぞ?」
「障子まで・・・」
自分もその美味しさを理解しているからこそ2人の言葉に理解できる所はあるが。
食材も混みで戦闘面でも活躍するこの個性を使うのはヒーローになるしかないと思う。
あと原作的にも(←メタい
「あーまた食いてぇ」
「機会があればたまにおすそ分けするさ」
「マジか!!」
「!!いいのか?」
「う、うん」
2人の食いつきが予想以上に強くて嬉しい誤算を感じながら頷くとパァア!と背後にお花を咲かせる今年高校生になる男子2人が可愛すぎて胸を抑える。
その後基本なんでも作れると言った福音に2人は「ハンバーガーはつくれるか?」や「たこ焼きとか作れるか?魚介類全般さばけるのか?」と質問攻めされた。
それぞれの好物を聞いて次の機会に作る事を約束した後。前半の疲労はもはや吹っ飛び食後はご飯の話オンリーで終わった。
その後ラインのアイコンがその日のお弁当のアイコンに変わり晩御飯を食べたばかりなのにお腹がすく事案が発生し上鳴と障子が福音に対し文句をいう為アプリを開いた。
<食材説明>
・ドリルバード
転させて高速で飛行できる鳥獣類で、弾丸のようなスピードで頭上から突進して襲ってくる。
嘴はとても頑丈でドリル状になっているため、コンクリート壁を軽く突き破るほどの威力を誇る。
肉は脂肪が少なく高タンパク低カロリーで、良質の筋肉を作ったりダイエットをするにはもってこいの食材である。
・イカスタコ
10本の足を持つイカしたタコ。その身はイカのように甘く、タコのように歯ごたえがある。
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入試試験別視点
雄英高校の教師一同、気が遠くなるほどの受験生たちの採点をこなしていく。
毎年の事ながら気力と胃に一番ダメージが来る作業で現実逃避も辞さないと思考を投げ出したくなるのを踏ん張って黙々とペンを動かしていた。
この期間だけは日を跨ぐごとにゾンビ個性が付いてしまう。
しかし今年は一味違う。
例年同様に大量の受験生の履歴書や動画を確認しているが顔色もいい。
徹夜もしているが肌艶もよく生き生きとしている。
その原因となっているのが皆のそばにある緑色の液体が入っているコップの中身であった。
福音が個性で持ち帰った食材で作られた特性スムージー。
実はその中身は最近いけたベジタブルスカイの野菜を中心としたものである。
「もう!こんな凄いのを今まで独占していたなんて!!」
一杯目で栄養がいきわたり体が負担を感じないほどスムーズに消化してしまい全員トイレ行きになった。
味も今まで食べていた野菜は腐っていたのか?と思うほどスムージーなのに各野菜の味がうま味を調和しながらも主張してくる
もはや飲んでいるというよりも食べているような感覚で無意識に咀嚼をしてしまう
噛んでいるとどんどん野菜や果物が顔を出す。
トマトのフルーティな甘味が来たと思いきやコクのある甘味が際立つバナナ、かと思いきやほうれん草などの葉物特有の苦みが口の中の甘味を消すと同時にうま味と野菜特有の甘さを優しく口に広がらせるので飲み物というよりも料理、しかもデザートみたいな甘さだけではなくちゃんとした一品の料理として認識されるであろうものであると食べてから実感する。
余韻に浸かりつつもどんな美容品でも手に入れられなかった艶肌をたったスムージーを飲むだけで手に入れたミッドナイトはイレイザーとマイクに食って掛かる。
「独占してねーさ!あいつ自身も獲れる食材に限りあるし無理はするなって言ってんだぞ!それでも俺の為にって料理してくれてたり今回だって無理いって特性スムージーを作ってくれたんだZE!」
「それにあいつ自身個性の強化も伴い獲れる食材の【レベル】が高ければそれに比例して効果も増す。しかし早急にその個性ばかり強化すれば偏りが生まれる。それは合理的じゃないしあいつの為にならない」
「うぐぅ・・・そうでしょうけど・・そうでしょうけど!!!」
唸るミッドナイト。教師としての面で正論をいうイレイザーと保護者として、ヒーローとしても自分の欲の為に福音に無理をさせられないと言うマイク。
他の教師たちもミッドナイトの言葉に頷くもマイクたちの反論にも納得してしまう。
「・・・・」
一人無言で空になったコップを持ったままそのコップを見続ける新米教師がいた。
「その様子だと効果は上々という所かな?」
「っ!根津校長!!」
気配もなく近寄り声をかけてきた根津にオールマイトはビクッと肩が大胆に跳ねた。
「凄いね、飲み物だけでもここまでとは想定を遥かに上回るよ」
「ええ、本当にここまでとは・・」
巨悪との戦いの末の代償に深手を負った体は回復することなく悪化をたどっている。
胃をすべて摘出し本来ならヒーロー業でさえ危ういものを個性のごり押しで無茶をし続けた体はボロボロだ。消化もほぼできないので食欲があっても固形なども受け付けられない体は点滴や固形以外のもので栄養を無理やり取っていた。
味なんて二の次どころか美味しい食事など疾うに諦めていた。
しかし、このスムージーは己の体の消化能力でさえ負担することなく全身に栄養をいきわたらせた。
野菜の優しい味わいとうま味もあってもはや諦めていた食を味わうという行為を堪能させてくれたこのスムージーにどれほど感動したであろうか。
人間の3大欲求である食欲は生きている中では必要不可欠な行為でありとくに人間という生き物は食事の中で味を楽しみより美味しさを求める生き物である。
不味いものを食べた所で精神的にもデメリットが多くメリットなどわずかしかない。
それほどまでに美味しく。しかも自分の体でも負担なく栄養が獲れる料理に出会えたことに感動とうれしさなどがこみ上げてくる。
さらには栄養はいきわたっているおかげなのか力が漲ってくる。
栄養をボロボロの体が素早く取り込み自己治癒能力を活性化させてくると同時にマッスルフォームになった時に補っていた力がさらに増した。
2、3杯と飲むごとにスポンジが勢いよく水を吸うが如く栄養を欲し、素早くしかし体に負担かけずに栄養をいきわたらせていく。何杯目かわかないお代わりを飲んだあとの自分はどの薬を頼った時よりも体調が良くなっていた。
「先ほどの映像から見ても他の受験者達を陰ながら守りつつも最低限の被害で仮想ヴィランを倒しているね。君たちの成果かな」
「あいつは教え込むとどんどん吸収していたので教えがいがあるんですよ」
「うちの子は物覚えがいいんですYO!」
サポート(料理)もさることながら戦闘面なども他の受験者達との差がありすぎる。
2人のプロヒーローに教え込まれた技術は福音の実力をさらに高めもはや一般受験者とは判断力、戦闘力などの差が一目瞭然なほどであった。
「けどこれじゃあこの子基準で見ると他との差がありすぎますね」
「確カニ、平均デ見ルナラ他ノ受験者ノ不合格者ガ多クナッテシマウ」
「うん、そうなんだよ。しかしそれだと他の受験者達も可哀そうだし・・なにより!またこの山を洗い浚い手直ししないといけないのさ!」
「「「「「おうふ」」」」」
小動物が指さす先にある山に教師たちは顔を顰める。
「うんうん、皆もいやだろう?けどこの福音君の評価も平等にしないといけない・・・ならばこの子は【雄英推薦の特待生】として扱おうかと思ってるんだ」
「!!」
「雄英推薦・・ですか?」
「うんうん、実力的にも申し分ないけど中学校では推薦枠は使われているから雄英みずからのスカウトという形にすれば一般の受験者達との比較も問題ないだろう」
「・・・なるほど、確かにその方が合理的ですね」
「それに伴い1枠入れる形でA組を21人の枠にしてくれないかい」
「・・・一人増えた所で問題ないです」
「あ~イレイザー?また今年もやるのか?」
「ほどほどにしなさいよ?」
「それは結果次第ですかね」
フンと書類を軽く手でたたくイレイザーに同僚たちは頭を悩ませる。
その様子に?を浮かべたオールマイトだが横にいた根津にイレイザー恒例のアレを聞かされたあと顔をさっと青ざめた。
「(oh・・・・緑谷少年大丈夫かな??)」
高校初日からの高い壁に当たるであろう弟子に不安が隠せないオールマイトであった。
<食材説明>
・ベジタブルスカイ
上空2万メートルに位置する天空の野菜畑。
独自の野菜が無数に育つ野菜天国であり、辿り着いたのはまだ数人だが、行った人はほとんどが菜食主義者になって帰ってくるほどの美味しい。
ちなみに今回のスムージーはスカイベジタブルの野菜メインに他の果物もチョイスして入れているのでビタミンも豊富。けど食材名は出してないので省略させていただきます。
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入学初日
早起きし、弁当と朝ごはんを作り自分より早く出勤した保護者を見送った後忘れものがないか確認しながら真新しい制服に腕を通す。
「~~♪」
鏡の前で鼻歌を歌う。前世のペラッペラなコスプレ衣装ではなくちゃんとした生地で作られた制服に胸が高鳴るのは仕方がない。男子用でズボンではあるがそれでも嬉しいことには変わりない。
ピッ
チチチッ
カー!
「~♪・・あ、ヤバッ!」
鼻歌につられた鳥がまた窓に張り付いていた。
来てしまったものは仕方ないのでそっと置いてある鳥のえさを外に投げた。
この白雪姫スキル(個性)も早いところマスターしないとそのうち個性関係なく家をえさ場認定して近所迷惑になってしまう。
しかし思わず鼻歌を歌ってしまうほどこの日を待ち望んでいたんだ。
るんるん気分で入学日を待っていた福音にひざしも「ウチの子キュートすぎるんだけど!!」と相澤に鬼電をかまして次の日説教されたが、るんるん福音の動画を差し出してなんとか許しを得た。
なお、撮られていた事に気が付いてない福音は後日その動画の存在を知って顔を真っ赤にしながら「消して!」とわめくも時すでに遅し。
教師陣皆にホッコリ動画は布教された事実にその場で膝をつき、ゴメン寝状態のまま相澤の置いてあった寝袋を占拠し拗ねた。スマンとあやまる相澤とひざしに拗ねたまま寝袋を占拠し続けた福音。その光景も動画撮影されていたことに福音は気が付かない。
家を出て学校に行く途中、制服も相まって余計に視線を感じるもスルーして歩く。
見えてきた学校にもう規模が前世の大学とかよりも規模が桁違いで凄いとしか言えない語彙力も消し飛ぶほどスケールが違い過ぎるのだ。
しかももうすぐで主人公達に会えると相まって変な緊張も生まれる。
とはいっても保護者筆頭に先日友達になった障子や上鳴とのおかげで心臓がバクバクして呼吸が荒いなどのひどい症状とまではいかない。せいぜい冷や汗が出るくらいだ。
深呼吸をし冷静を保ちつつも門をくぐり校舎に入る。
漫画でもアニメでも詳細に紹介されていなかった校舎を遊園地に来た子供のようにキョロキョロと見渡しながら目的の1-Aの教室に到着する。
デカすぎる扉に手をかけ高鳴る気持ちを抑え込んだまま横にスライドさせる。
もうすでに半数以上が登校していたらしく一斉に音がしたこちらに視線を向けられた。
カラフルな長い髪とその美しい美貌を兼ね備えた人物を見て無意識に魅入られてしまう。
しかしそんな視線など慣れてしまった福音は原作主要キャラにあえた事により野次馬精神がキャーキャー騒ぐ。
必死に野次馬心を抑え込みぐるりと教室を見渡すとその中に見覚えのある大きな体格と金髪の姿があった。
「福音!こっちだ!」
「おー!二人とも早いな。おはよう」
「おはよう、さっき来たところだから早くはないぞ」
視線をかいくぐり2人のもとに行く。
黒板に貼ってある席順を見ると窓側の一番奥の端っこだった。
21人でどうしてもあまりがある分ボッチでつらいと思う半面自分というイレギュラーがあっても20人全員いてくれてホッと安堵した。
前は八百万さんか・・・・うんデカイ。なにがとは言わないが。前世女としてみれば肩こり大丈夫かな?今世の性別無視して心配してしまう。いや本当に胸がでかいと言ってもあまり女から見ればデメリットが結構あるんだよ?
かわいい下着がないとか肩が凝るとか走るのしんどいとか色々・・・うん、女性には色々とあるんだよ!!(切実な叫び)
「もう昨日なんか寝れなかったしその所為で朝飯抜きになるし危なかったぜ!」
「いや、気持ちは分かるが・・」
「飯って・・ここで食べていいなら少しなら出せるけど・・それっていいのか?」
「マジか!手作り??」
「わっ!急に詰め寄んないでよ!」
お腹に手を当てて空腹アピールしていた上鳴がキラキラ目を輝かせて詰め寄る。
上鳴の手作りというワードに障子もそわそわと視線をこちらに向けてきた。
「というかここに着くまでになにか食べなかったのか?」
「さすがに登校初日から遅刻はヤベーなって思って考えてなかった!」
あっけらかんと言い張る上鳴に頭を抱えそうになる。
普通なら入学初日は入学式などで大した事は起きないが・・・この後起こる出来事を知っている福音は食べさせていいのだろうか頭を悩ませる。
「なあなあ何作ったんだ?」
「今あるのは軽食用のおにぎりぐらいで・・」
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け
ここはヒーロー科だぞ」
寝袋に包まれた不審者らしき見た目の男が現れ教室にいた全員がその男に注目した。
ただ唯一その男の存在をしっている福音は「(あ、消太さんだ)」と呑気に見ていた。
固まる新入生たちを気にせず纏っていた寝袋から抜け出し全身黒い服装とセットされてない乱雑な髪形、無償髭とさらに不審者率が高まっていく姿が現れる。
「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たち合理性に欠くね。」
そう言い放った相澤にまた少しざわつくも相澤は教室内の生徒を軽く見渡した。
そこには福音の姿もあったが目で挨拶をされた。
他の生徒がいるなか反応はしなかったがそれでも目線はあったので福音はなにも言わず大人しく様子見をすることにした。
「担任の相澤消太だよろしくね。」
相澤の担任という言葉にさらにざわつきが増すも相澤は無視してごそごそと寝袋の中から体操服らしき服を取り出す。
「早速だがコレを着てグラウンドへ出ろ。」
有無を言わせない謎の圧力に抗う事なく生徒たちは渡された体操着を手にその後言われた更衣室に向かう。
男女隣同士で言われるまま着替えようと更衣室に入っていくが・・・
最後に福音が入ろうとした時ピンク肌の女子は慌てた様子で福音の腕を掴んだ。
「ちょっ!そっちは男子の方だよ!」
「え?」
「女子はこっち」
「綺麗な見た目でおっちょこちょいだね」
「えっ!待って!俺男だよ!」
ぐいぐいと女子更衣室に引っ張られ慌てて訂正する福音
『え?(は?)』
初対面が多い中綺麗にハモッた。
この見目麗しいどうっからどう見ても絶世美女が・・・男??
「え?・・・・え??」
「いやいやいやいや!男!!嘘だろ!!胸ないけど今まで見た中で一番美女キタコレ!と感激したのに!!」
「あ、あの・・確か精神病でそういった病状の・・」
『・・・・』(絶句)
「え?そんなさらっさらの天使の輪をつけたロン毛とばっさばさの長いまつげで真っ白卵肌で????は??」
思い思いに否定的な言葉を口にして現実逃避する。
腕を掴んだままもう片方の指を福音に向けたまま「え」しか発音しないピンク肌の女子。
一番小さい男子生徒は血走った眼で嘘だ!!と叫び。
女子生徒の中で一番大きい()高い位置で髪を結わいている女子が心配した様子で見つめ。
思考が整理しきれてない数人が目を福音に向けたまま固まったままで。
茶髪の女子生徒が福音の上から下まで見てその美貌が女の自分よりもはるか上に凌駕するという事実に受け止めきれなくて背後にコスモと猫を浮かべる。
「あ~、分かる。俺も未だ信じられないし」
「・・・」頷く
「え?嘘でしょ?障子、上鳴」
「いや、マジで。今からでもぺったん女子だって言えば許せる」
「許すもなにも男だっていってるでしょ」
深々と頷く上鳴と障子に内心「(気持ちは分かるけど十数年男やってきたから少なからず男っぽさあるでしょ)」と思っていた福音の気持ちをたやすく打ち砕かれる。
そもそも女目線の男っぽさなんてただの想像なので実際の男性から見てその<男っぽさ>というのは全然男っぽさなんて無いしむしろオレっ娘や男の娘の仕草にしか見えない。
無理して俺と言っている感じしかしないのにそのままの男女入り混じった口調のままなのはひとえにマイクなどの保護者がその容姿で野郎口調なのは反抗期っぽいので嫌だという身勝手な理由と前世の口調を引きずったままなのが主な原因である。
マイクのフォロー()も相まってちぐはぐな口調も相まってなおさらオレっこ美女という位置づけになっていたのにここで福音本人からの男性発言にクラス一同(うち3名除く)が嘘だ!と心が一つになった。
その後説得するも「なら証明しろ!!その服の下にかくされた白く輝くらt」と荒い息で詰め寄る小さい男子生徒にドン引きし時間も押している中、結局福音一人トイレで着替える羽目になった。
なお、後をつけようとした小さな男子生徒は障子を筆頭に取り押さえられて渋々更衣室で着替えた。
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体力テスト
パソコンもまた初期からですが治りましたので妄想がはかどり次第頑張って続けようと思ういますのでかなり遅い投稿ペースになると思いますが頑張っていこうと思います。
数々のコメントなどありがとうございます。
着替えた後全員校舎かた出てグラウンドに出た。
グランドには自分たち以外どの学年、クラスの人もいないので困惑の表情を各々浮かべながらも相澤の元に集合した。
「今から、"個性"把握テストを行う」
「「「「個性把握テストォ!?」」」」
相澤の突発なテスト宣言に一同さらに困惑し「入学式は!? ガイダンスは!?」と問いかけるも相澤の無慈悲な進行の元開始された。
ボール片手にクラスを見渡し一瞬福音と目が合ったがただでさえ目立つ容姿で個性も実力も把握済みの福音ではレベルが違いすぎると即判断し近くにいた爆豪に視線を向けた。
「爆豪。中学の時、ソフトボール投げ何mメートルだった?」
「67m。」
「じゃあ“個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。思いっきりな。」
不愛想に答える爆豪に相澤はそう言ってボールを投げ渡した。
爆豪は受け取ったボールを大きく振りかぶり
「死ねえ!!!」
大きな爆音と共にボールは一瞬で遠くに飛ばされた。
他のクラスメイト達は爆豪の死ねというヒーローにあるまじき掛け声にスンと真顔になってしまったが相澤が持つ液晶に705mと記録が示されると「おお!」と歓声が周りに上がった。
個性を使うことを前提にした測定テストは下がっていたやる気を大いに上昇させた・・がそんな浮足立つ彼らを見てまた相澤の強烈な言葉が発せられた。
「面白そう・・・・・か。ヒーローになる三年間。そんな腹積もりで過ごす気でいるのか?」
ぼそり。と小声ながも凍てつかせた声音にゾクリと背筋が凍った。
福音はこの後の出来事を知っているがリアルでのこの相澤の声音を聞いてサッと顔色を変えた。
「良し……ならトータル成績最下位は見込みなしと判断。――“除籍処分”にしよう」
無慈悲な相澤の発言に生徒らも反論を述べるもまた強硬な態度のまま開始された。
皆各々の個性を使い最下位にはならないよう全力でテストを行う。
【上鳴電気視点】
「うう、腹減ってるのに・・・・」
「すまん、先生にちょろっと聞いてみたけど個性の関係上料理を渡すのはNGといわれた」
「美味い上個性ともに身体回復など効果がすぐ現れてしまっては己の全力とはいいがたいか・・・」
「ちくしょー!もう少し先生が遅く来てれば食えたのに!」
「そこ、うるさいぞ」ギロッ
「「「すみません」」」
鳴りそうなお腹をさすりながら落胆する入学当日からなんでこんな目にと思いつつ次の測定場に向かった。
入学前日から寝られずにいた結果。遅刻しそうになり朝飯を抜いてダッシュで家を出た。
なんとか遅刻せずに済んだが朝から体力を使ったなと机に伏してしたがぞろぞろと同じクラスの男女が揃う中最近仲良くなった体格がいい障子と見た目が派手(綺麗という意味で)な山田の姿が目に入った。どうやら同じクラスだったらしい。
嬉しさを隠し切れず下がっていた気力も上がってわいわい話していた矢先・・・・正直不審者にしか見えなかった先生?に促され着替えて外に出たら個性を使った測定テスト!!!
しかも最下位委は除籍!!嘘だろ!!最初個性を使えるテストなんて面白そうと思ったのに無慈悲に奈落に落とされた!
けど先生の目も声もおどろおどろしくとても冗談を言っているようには見えない。
俺含めて全員が全力で取り組んだ。
俺が知り合った複数の腕を持った大柄な体格が特徴的な障子は握力で圧倒し「タコって…エロいよね」といった峰田とかいう小さなヤツには思いっきりうなずいてしまった。・・・障子と山田にはあきれた目で見られた。
そしてもう一人の知り合い、おそらくクラスの中でも個性、外見ともに目立っている山田は見えない髪の触手を使いはたから見れば浮いているように見えた(前回試験の時にどうやって瓦礫を浮かせたのか教えてもらったから俺と障子は知ってるけどな!)立ち幅跳びを無限をただき出したりそのままボール投げも髪で吹き飛ばして上位に入り込んでいた。
もともと見た目でかなり目立っていた山田だったけど個性もはたからみたら浮遊系なのか髪を操る個性なのかいまいち判断できないだろう。実際俺もわからなかった。つか誰も言われないと分からないだろ!
俺も負けてはいられないと気力を振り絞りなんとかなんとか最下位になならなかったが
最後の最後で最下位の緑谷がまるでオールマイトみたいなパンチでボールを吹っ飛ばし唖然としていたところに。
「ちなみに除籍は嘘な。君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」
とあっけらかんと言い放った言葉に驚き安堵した。けど全力でやったせいか安堵した直後今まで忘れていた空きっ腹がぐー、と鳴った。
先生にテスト終了だ言われ、外からまた校舎に入り更衣室で着替える。しかしテストで個性も体力も使ったせいで胃袋はテスト前よりも盛大に大きな訴えを鳴らした。
「はら・・へった・・」
「お前さっきも腹なってなかったか?」
「いやだって今日朝飯食ってこれなかったんだよ」
「それでか。アメぐらいならあるぞ」
「まあ入学一日目でこんなに体力を使うとは思わねーもんな」
あきれ顔の瀬呂やうなずく峰田。砂藤が数個アメを取り出すが俺は首を横に振った。
「あんがと。けどこの後山田にもらう予定だから大丈夫」
訴え続けるお腹を押さえて素早く着替え続ける。
「あ!、お前あの男の娘とどういう関係だよ!」
「関係~?・・・料理がめっっっっっっっっつちゃ!!!!うまいダチ」
「うるさっ!どんだけうまいんだよ!」
「だが事実だな」
「って、お前が答えるんかい!」
やけに力が籠ったセリフに瀬呂が耳をふさぐしぐさをするが深々と頷く障子にすぐ突っ込みを入れた。
「そんなに美味いのか?」
「「美味い」」
障子と即答で答えた。
出会って浅くとも何回か山田の飯や菓子を食べていくと好きでハマっていたハンバーガーも店じゃなくて山田の作ったハンバーガーが欲しくなった。ハンバーガーは一回しか食ってないのに!!ジャンクフードってみんな同じだろ!!と思ってなのに!!外側はふわっ!内側のは少し固めで焼いたらしく香ばしいパンの香りが最初に鼻を通って大きく口を開き歯を入れるとゴロゴロとっけど硬すぎない肉からじゅわ!!と肉汁が溢れてその下のレタス?野菜?から野菜の甘味と肉のうま味?とかジューシーさが合わさってそれをすいとったパンが口にさらにうまさを爆上げさせるんだよ!!
もう肉が肉々しいとか!店のペラい肉とは次元がちけーんだよ!!
けど肉だけがメインじゃねーんだよ!パンも野菜もすべてがメイン!!なんだよ!アレを食べたあと店でハンバーガー食ったけどすっっっごく「これじゃねぇ」って思っちまったんだよ!!
あ~~も~~!!!!思い出しただけにさらに腹へったぁああああ!
「と、いうことでもう限界だからお先!!」
もう腹のみならず口までよだれで訴えまくっているので着替え終わった矢先荷物をもって更衣室から出た真っ先に山田に向かう為に!!!
「いやいやいや!!あいつなんで今言いやがった!!」
「やべぇ・・腹減った」
「俺も今鳴った」
「山田さんの料理がすごく美味いということはそれほど料理もしていていることなのでは?それならばヒーローとして栄養バランスも自分で管理しているんだろうな。けど山田さんの個性と関係はあるのだろうか」ブツブツブツ
「うるせーぞ糞ナード!!」
「はんばーがー・・・」遠い目
「おいしっかりしろ」
「なあ障子・・・っていねぇ!!」
「いつの間に!!!」
食べ盛りの年頃男子どもは突如放たれたテロをもろに食らって胃に大ダメージを受けた。
しかも体を酷使した後なので追加ダメージが半端ない。
とんでもねぇヴィラン(飯テロ犯)だよ!!!
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