ソウルイーターRTA パイルバンカーデスサイズチャート (雑魚E)
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◇ゲームスタート~鬼神復活編
Part1:キャラメイク~チュートリアル


初投稿です(本当)

RTAの小説を見てなんだこの小説!?(驚愕)となって

もっと増えないかな~と思ってましたが

急に電波が飛んできてネタが湧き、無理やり形にしたので続くかは未定です
※(追記)続きました

原作とソウルイーターノットも持っていますが設定の間違い等ございましたらご指摘いただけると助かります。


パートナー(意味深)に求めるハードルが高いRTAはっじまぁるよー

 

 

 

 

今回は大久保篤様作の漫画、ソウルイーターがゲーム化した

 

【ソウルイーター ~君だけの共鳴旋律~】を走って行きたいと思います。

 

未プレイ兄貴のためにどのようなゲームか説明すると、原作開始より少し前の死神武器職人専門学校、通称死武専に入学するところから始まるアクションRPGです

 

主人公のソウルやマカ、デスザキット君やブラック☆スター様などなどとクラスメイトになれます。もちろん原作勢もプレイキャラに選べます

 

アクションも多彩で原作再現技はもちろん原作にはない武器も使用可能でモーションもかなり凝っています

 

また、コミュパートではパートナーはもちろん原作勢ともコミュニケーションを取ることが出来、フラグを立てれば親密な関係になれます

 

男同士でもな!お前ホモかよぉ!(歓喜) ちなみに女同士でもイチャイチャできます いいですわゾ~

 

ま、18禁ゲームではないので暗転して終わりですけどね。暗転後相手がほほを染めているのは教授!?これはいったい……!?

 

 

さて今回のレギュレーションは……先駆者兄貴が居ないので私が決めます。こんな素晴らしいゲーム走らないとか理解に苦しむね(ペチペチ)

 

まぁ理由を申し上げると良くも悪くもジャパンRPGなので一本道なんですよね、ショートカットも(ほぼ)ないです

 

先駆者が居ない以上普通プレイ動画にタイマーくっつけただけでもワールドレコードです

 

しかし私はウィダー用意のオムツ装備で臨んでおります、ウッソだろお前!?

 

 

さて、レギュレーションに話を戻しまして

 

・1週目、引継ぎなし

 

・鬼神阿修羅最終決戦で鬼神と戦闘する

 

の二つをレギュレーションとして定めます

 

まず一つ目ですがこのゲーム周回プレイが可能です。RTAなので当然セーブデータ削除からのNEW GAMEになります

 

そして二つ目ですが最終決戦はイベント戦です。一定時間耐えるとムービーが入りエンディングになります

 

ですがあまりにも能力が低いと主力に選ばれず、テキストだけ流れてエンディングに入ってしまいます

 

それを許可してしまうと退学にならない程度の学力と実績を積み上げてひたすらサボるゲームになってしまうのでこれを入れました。ほかのボスは評価稼ぎぐらいには狩ります。デスサイズになるチャートを取っていますがデスサイズになったからって鬼神戦に選ばれるとは限りません。いや、選ばれるんですけど鬼神と原作主人公組の戦いに集中できるよう雑魚狩りに回されることもあります。

 

 

計測開始はNEW GAMEを選択した瞬間、計測終了はエンディングが流れてTHE ENDが表示され切ったらです

 

なおタイトル画面でオプションを事前に変えることは許可します。では画面を動かします

 

まだタイマーは動いていません、まずはオプションを開きメッセージ表示速度を”瞬間”にします

 

そして戦闘後掛け合いを”OFF”にし、ウィンドウ透過率をMAXにします。これは戦闘中にキャラが話したりしますが会話ポップアップが意外に大きく、クッソ邪魔なので事故防止のためです。戦闘中の掛け合いはOFFすることが出来ないので通常プレイでも透過率は最大にしといたほうが快適です

 

さて、設定も終わったのでNEW GAMEを選択し、タイマースタートです

 

 

はーい、よーいスタート

 

 

OPは飛ばします。当たり前だよなぁ?

 

まず原作勢かオリキャラか選ぶ画面になりますが原作勢はイベントが多すぎるっピ!なので、すかさずオリキャラを選択します

 

キャラクリエイト画面に入ったらまず基礎能力値を”器用”と”魂”以外全部最低値にし、コストに還元します。これでコストが重いスキルやらなんやらが取得できます

 

性別は男、男は体力、力、耐久に成長ボーナスが付きます。女だと器用、精神、魂にボーナスです。

 

今チャートでは器用と魂を高めたいので女を選択したい所さんですが微々たるものなうえに女は体力と力の最低値が低すぎます。だから男にします。嬉しいだルルォ!?

 

そして職業欄を”武器”にします。職人ですと目当ての武器が引けないので俺自身が武器になることだ、をします

 

武器種は”パイルバンカー”。クリエイトコストが重いですが近接戦闘において暴力!暴力!暴力!と言わんばかりの高火力武器です

 

遠距離は……ナオキです……

 

残りのコストは”魂感知”取得に全部ぶっこみます、魂感知レベル2を取得したら余ったポイントは器用に全振りしましょう

 

名前は北条 基(ほうじょう もとい)、略してホモ君です。

 

日本人にしたのはマカが日系であり、椿も日本人であるので好感度ボーナスが付き、好感度を稼ぎやすいからです。会話を最低限にしたいのでこの差は後々響いてきます

 

外見もPS〇ばりにこだわれますがRTAなので初期状態です田中太郎って感じの黒目黒髪短髪のイケメンです

 

イケメンなのか……と言っても初期モデルをゲテモノにするわけないよなぁ?ま、ほかモブや原作勢も大概が美形なので相対的にフツメンでしょう

 

器用と魂以外最低値なので部分武器化や変形が早いだけのクソザコ杭打機です。なんでEAT目指してるんですかね……NOTで大人しくしてて、どうぞ

 

ゲームスタートを選択し、ソウルイーターの世界にイクゾー(デッデッデデデデ カーン)

 

 

 

 

 

クソザコ体力のホモ君が這いずりながらもクッソ長い階段を上るムービーをスキップします

 

初期体力よりも少し低いぐらいならこのイベントは挟まれませんがスキップ出来る上に器用と魂の値の稼ぎによるロスを比べるまでもないのであのステータスで始めました

 

歓迎会の教室に移動したら今年の新入生の職人の魂を原作初期マカよりも少し高いレベルの”魂感知”でチェックします。ここで共鳴率が90%を超える職人が居ればパートナー申請を行います

 

……が、そうそういるわけではありません、今回もいませんでした、大人しくブラックスターやマカの魂でも視姦して説明が始まるまで待ってましょう

 

先生はまだ死んで無いシド先生です、イケメ~ン?イケメ~ン おう、あく説明初めんだよ、あくしろよ(教員)免許もってんのか

 

説明が始まりますが世界観の説明なので当然連打で飛ばします。ざっくり説明すると悪いやつやっつけて魂分捕って強くなって魔女、狩ろう?と言った感じです

 

自己紹介がありますがここは礼節をもって話すを選択し、マジメ君を演出しましょう

 

 

 

【『自己紹介をするようだ……どうしようか?』】

 

 

【『>・礼節をもって話す』】

 

 

【『良い印象を与えたようだ……』】

 

 

 

はい、威圧的に話す、か、黙っている、さえ選ばれなければほか全部の選択肢良い印象を与えます。ですがマジメ君を演出したおかげで硬い印象を持たせ、彼方から話しかけられることは少なくなりました。必要なときに此方から話しましょう。威圧的に話せば全く話しかけられませんがヤカラに絡まれるので止めておきましょう。特にブラックスターには絡まれないように注意しましょう(2敗)

 

 

説明だけのちょろい初日が終わったら次は体力測定です。パラメーターで決まるので武器変身以外ケツから数えたほうが早い順位になることでしょう

 

ここぞとばかりに女生徒のブルマや揺れる桃を映すムービーが入りますが当然キャンセルだ 当たり前だよなぁ?

 

 

は? と憤慨しているノンケ兄貴のために右枠でムービー上映会しときます(音声は)ないです。

 

 

さて、ムービースキップとテキスト連打でクソザコ体力のホモ君の悪戦苦闘を見終わったら戦闘チュートリアルです。ここで強制的にパートナーを割り当てられますが暫定的なものなので気にしなくて大丈夫です。

 

 

さて、主人公の武器の姿であるパイルバンカーは殴る刺すの他に特殊技として機構を作動させて杭を打ち込むことが出来ます。さらに杭に魂の波長を流し込んで爆発を付与させることが出来ます。所謂爆発杭(ヒートパイル)ですね。

 

これの威力がご立派ァ!!でしてホモ君のクソザコ能力値の中でも高めの魂の値を参照とする攻撃方法なのでザコならクリーンヒット一撃で葬れます。チャージが必要ですが一度付与してしまえば暫く火力が爆上がりします。射出突きと違い隙が無いのも評価ポイントです。何よりフィニッシュブローに付けるとかっこいい+114514点

 

その代わり共鳴率が高くないと使用者にもダメージが入ります。ちなみに無効が95%~ ダメージ軽減特大が94~85% 大が84~75% 中が74~65% 小が64~55%となっております。無効以外でガンガン使うとそれだけで死にかねません、でも使います。RTAだしま、多少はね?

 

無効まで行くとまるでモン〇ンの爆破属性の様に敵だけが爆発し、怯みループに入ります。が、ボスは体幹が太すぎなのでめったに怯みませんが威力でごり押しできます

 

 

さて、武器変身のテストに話を戻しまして……職人プレイとは違って武器は使われる側です。キャラコンは出来ませんが攻撃には参加できます、FPSのヘリや戦車のガンナー席みたいな感じです。好感度をしっかり稼がないと言うこと為すこと却下されて勝手に動かれてしまうので注意しましょう

 

テストでは全身武器変形をして変形機構をガシャガシャやってればS評価くれます。評価ガバガバスギィ!とお思いでしょうが世界観的には全身完全変形すら難しいみたいっすよ。ま、器用最低値でも全身変形は可能なんですけどね。態々変形失敗のモデルは用意していないみたいです。当たり前だよなぁ?

 

今回のパートナーはモブのメスです。共鳴率は……36普通だ……いやいや低いわ。ハァー(糞でか溜め息)つっかえ!やめたら?EAT目指すの?やっぱメスはダメですね。早く装備してホラホラホラ

 

メスと合体(意味深)したらバコバコとピストン(意味深)します。それだけでSとれるし、ま、多少はね?

 

アッ!(スタッカート)暴れんなよ……暴れんな……

 

はい、このように武器プレイは職人の行動をあまり制御できません。このクッソ低い共鳴率ではできるサポートも限られていますがうまくバランスをとってやりましょう。此方が合わせるとアピール時間が減るので隙を見てガシャガシャしましょ

 

と、テストが終わりました。評価は……S、やったぜ。

 

 

やっぱメスはダメだな、凄腕のイケメンパートナーが見つか

今回はここまで。ご視聴有り難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

今日は死武専の新入生歓迎会だ。

 

教室の入り口に立ち、職人と武器にそれぞれのバッジを渡しながら昔を懐かしむ。歓迎会(ここ)でパートナーが決まる奴は多くはない。俺も昔はすぐには決まらず、結局ビンゴ大会の後のフィーリングパートナーゲームで今のパートナーと知り合った

 

と、不意に日本人の……武器の子が視界に入った。我があまり強くなさそうな……失礼だが、あまり個性を感じず、NOTに居るような子だと思った。

 

しかしその黒目は品定めするように周囲を……いや、職人の子だけを捉えていた。それも終わるとその目には——落胆、だろうか。一瞬だけ目にそれを見せ、すぐに目線を俺の方……出入口へ向けてきた。

 

と、そこで俺は新入生全員がそろっていることに気づく。その子を観察するのに気を取られてしまったようだ。新入生達に声をかけ、注目してもらい、話を始める。死武専は、力を持つだけでなく、それを振るう。あまつさえ悪人とは言え命を奪うのだ。規律に反するようならば容赦なく死武専の裁きを受ける側に回るだろう。話しながら目を見ていくと……

 

居た。

数名真剣に捉えていない者がいる。一人はおそらく上昇志向が高い……それだけならばいいが英雄願望もあるのだろう。どこか命を奪うことを軽く見ている。もう一人は……話を聞くのが得意ではないのだろう、立ちながらだというのに船を漕いでいる。そしてもう一人……

 

――あの子だ。あの子の目はもう品定めするような目ではなく、どこか諦めを伴った遠い目をしていた。話している俺の方を見てはいるが焦点が合っていない。俺の後ろの黒板……すら通り越して壁の向こうぐらいに焦点が合っている気がする。俺は名簿にその三名の欄にチェックを入れる……注意観察、と。

 

しかし俺はどうにもその子が気になって予定にはない自己紹介をしてもらうことにした。もちろん不自然の無いように全員にだ。

 

前端の子から始めてもらい数分……あの子の番が来た。あの子は自分の番になると、周囲を見渡しながら大きさはさほどでもないが良く通る落ち着いた声で

 

「日本から来ました。北条 基、北条が性で基が名です。私は武器で杭打機……パイルバンカーです。これから皆さんと共に切磋琢磨し、また、助け合って行きたいと思っています。どうか宜しくお願いします」

 

と、淀みなく答えた。ジュニアハイスクール……日本じゃ中学校……だったか?に通っている年にしてはしっかりとした自己紹介で、俺はさっきまでの態度とどこかズレを感じた。

 

皆の反応は前までと同じように拍手で答え、その内何名かの男子はパイルバンカーと聞いて目を輝かせている。

 

―― パイルバンカー。非常に珍しい武器だ。いや、本来工具であり武器ですらない。さらに魔武器であるならば俺は今まで聞いたことが無かった。

 

俺は連絡事項と今後の予定をまとめたプリントを渡し新入生に解散の旨を伝えた。明日は体力測定だ。今日の様にぼさっとしていてミスをしないようにしなくては

 

 

―― 翌日 ――

 

結果から言うと俺はさらにあの子……基のことが解らなくなっていた。あのどこを見ているか分からない目を今日もしていたり、自己紹介ではそれなりの自信を見せていたにもかかわらず基の体力測定の成績は惨憺たるものだったり、どうにもあの子の人となりがつかめない。全力で取り組んでいるのは震える足を手で支え、今にも崩れ落ちそうになってるのを見ればわかるが……座学の方が得意で自己紹介ではそれを言っていたのだろうか……?

 

今にも崩れ落ちそうなあの子を見て、はたして最後まで意識が残っているのだろうか、と、少し不安になった。

 

 

基は最後の種目、武器変形テストまでなんとか意識を保っていた。根性もあるし、わずかな違和感以外は問題の無いように見えた。しかし油断は禁物。俺は基の番になると一人の女生徒を呼びつけて基と組ませる。この子も基と同じくパートナーが決まっていない生徒だ。

 

俺から開始の合図を聞くと基はふぅっ、っと一息つき、その身体を”武器”へと変える。一気に全身変身すると彼女の右手に収まった。最初の内は全身の武器化すら難しいというのにずいぶんと慣れているようだ。

 

感覚を確かめるように何度も打ち出される杭に即席パートナーの彼女も驚いているようだ。彼女も自分の見せ場を作ろうと動きだし……つんのめった。魂の波長は辛うじてあっているようだが……

 

何度か蹴躓きながらも素振りできるようになってきた。……イヤ、これは基が彼女を導いている……?魔武器は通常の武器とは違う。魂を通わせれば力を加えずとも動く。

 

バランスが崩れそうになれば己が付いた右手を使いバランスを取り、ステップのリズムが狂えば手を大きく振り一息入れさせ、落ち着かせる。数分もすれば、軽やかに舞うように動けていた。

 

しかし彼女の顔には玉のように汗をかいていた。波長があっていない武器を使うのは魂にも、体にも疲労をもたらす。もうこの辺りで良いだろう。俺は評価を告げながら、様々な意味で目の離せない存在になったな、と内心苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

私は悪を挫き、弱きを助けるために死武専の門を叩いた。私は魔武器の血は引いていなかったけれど、それでもその目的はあきらめなかった。

 

私は職人になるために勉学に励みながらも鍛錬を欠かしたことはなかった。周りの子たちの中でも成績は上位で運動ではほとんど1位だった。しかしそれが慢心となり心のどこかで死武専をなめていたのだろう。

 

私より早く走れる子なんでごまんといた。私より体力がある子は数えるだけで気が遠くなりそうだった。砲丸投げも、反復横跳びも、背面飛びも。1位は、取れなかった。10位以下になる種目もあった。上位生徒から見たら私なんて生徒A……いやKぐらいだろう。

 

それでも、いや、そんなことで私はあきらめるわけにはいかない。ここでいじけてたらもっと離されてしまう。ぱんっ、っと両手で自分の頬を張り、気持ちを入れ替える。もう次で最後だ。

 

パートナーが決まっていない私は最後の方に呼ばれた。シド先生に呼ばれてみるとそこに居たのは……たしか、武器で、パイルバンカーの子。名前は……ホウジョウ……もと、モト……なんだっけ?

 

「北条基です、武器種はパイルバンカー、よろしくお願いしますね」

 

そうだった。基君だ。私は自己紹介しながら基君を見る。具合は悪そうに見えないけれど少しフラついていた。横目で男子の方を見ていたけど、少し……いや、かなり。運動は苦手みたいだった。

 

私はこの時、

(武器に職人のような運動神経はいらないだろうけど……アレはなぁ……ハズレ引いちゃったかな)

と思ってしまった。しかし周りから見れば能力が足りないのは私も同じだ。いや、むしろ職人である私の方が深刻なぐらいだ。その考えを振り切るように頭を振り、全力で臨もうと気持ちを切り替えた。それでも、私が頑張ることで基君の評価が少しでも上がればいいな、なんて甘いことを考えていた。

 

その考えは他でもない基君に打ち砕かれた。

 

基君は淀みなく全身を武器化し、私の右腕に収まった。重厚なフレーム、その中に見える鋭く光る杭。その杭がすべてを貫かんと力強く飛び出す。

 

私はしばらく基君に見とれてしまっていた。すぐに我に返り即席でパイルバンカーを扱ってみる。しかしながら右手に括り付けられていて両手持ち出来ず、稼働杭によって重心も動くため私は扱いきれずつんのめってしまった。

 

 

倒れる

 

 

そう思い左手を前にかざすがいきなり右手が180°後ろに振られた。基君が付けられている右腕は重く、それだけで何とかバランスを立て直すことが出来た。

 

私は動かしていない、しかし、ほんのかすかに、基君が安堵したような気配がした。

 

 

「今の……基君が……?」

 

「うん、魔武器は職人と魂を通わせればある程度動ける。貴女と僕ではあまり波長が合わないみたいだけど……やるだけやってみるよ、ホラホラ、どんどん行こうか」

 

 

私が右手に居る基君に聞けば基君は杭を射出しながらそう答えた。私はまたしても置いて行かれてしまったような感覚にとらわれた。何のことはない、そもそも最初から自分が後ろに居ただけのことなのに。私も前に進みたい。皆と同じ景色を見たい。いつの間にか俯いていた顔を上げ。基君を握りなおした。

 

そのあとはがむしゃらに武器を振り回し、どうすればバランスを崩さずに振れるか、足がもつれずに回避に移れるか、とテストだというのに不格好に武器を振り続けた。バランスを崩しそうになるたびに、足がもつれそうになるたびに、基君は私の右腕ごと動いてサポートしてくれた。何分そうしていただろう。何時の間にか、私は基君とダンスでも踊るように軽やかに動けるようになった。

 

しかし軽やかな動きと裏腹に私の体は鉛の様に重くなってきた。体力の限界だ。汗はだらだらと垂れ続け目に入り視界を妨げる。心臓ははちきれんばかりに動き痛みすら感じる。陸の上だというのに溺れそうなほど苦しかった。

 

でも止めたいとは思わなかった。もっと動いていたい。自分が成長していくのが自分で分った。そして感じた。基君の魂を。

 

焦っていた私とは真反対に凪いだ水面の様に落ち着いていて、基君の(それ)を感じていると――

 

「そこまで」

 

シド先生に止められた。その言葉を聞くと同時に私は片膝をついてしまった。武器化を解いて私を支えようとする基君を手で制しながら立ち上がる。シド先生にアドバイスを聞きながら息を整える。順当に基君の評価は良さそうだった。対して私の評価は平均。

 

場所を開け、待機の集団に戻るとき、思わず基君に声を掛けそうになった。

 

―― パートナーになってください、って

 

でも今の私じゃダメ。もっと実力をつけて、もっと前に進んで、皆と……基君と同じ景色が見れるようになったら……パートナーが居なかったら、きっと、お願いしよう。

 

 




シュタイン博士原作以前先生じゃなかったんですね……

名もなき女生徒は急遽シュタイン博士の代わりに出演していただきました。

今後出番は予定してないです。話聞いてなかった残り二人も登場予定はないです。


と言うかそもそも続くかもわからないです。

始めて文章を書いてテンション上がったので投稿しました。


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Part2:授業開始

続きました。




4/22修正
※実技授業を課外授業へ表記修正しました。
 鬼神の卵を悪人へ表記修正しました。
(”鬼神の卵と化した魂”はアニメ版表記だったので原作表記の悪人としました)


パート1がチュートリアルやっただけで終わったRTAはっじまぁるよー

 

 

皆さまご視聴有り難う御座います

 

今回は戦闘チュートリアルが終わったところからになります。(攻撃したとは言っていない)

 

体力測定が終わり、下校します。ホモ君は下宿に寝泊まりしてます。昨日泊まった時はイベントで飛ばされたので今下宿のチュートリアルが出ます。回復や簡単な作業が出来ます。今は気力体力共に尽きかけなので寝るしかできません。今日はもう寝ようぜ(MRGN)

 

 

 

オッハー!(激寒)しっかり眠れましたが空腹のまま睡眠したのでコンディションは万全とは言えません。回復効果のある朝飯も無いのでもらったお小遣いで行きがけにバナナでも買っていきましょう。

どうせ階段で吐いてるだろ(暴言)

 

階段で死にかけながらも教室に移動します。ブラック☆スターの登場イベントがありますがキャンセルで。まず教室に着いたらクラスメイトを”魂感知”でねっとりと見つめましょう。

 

はい、今日も波長の合いそうなホモは誰一人……いませんでした。波長が合う奴、わしのパイルを突うずるっこんでやるから、至急、メールくれや。

まま、ええわ、アナルは一日にしてならず、です。毎日チェックはしておきましょう。モブなので人ごと変わってるのか分りませんが毎日波長が変わっています。少なくとも外見は変わっています。イメチェンかな?話しかけて名前が付き、モブじゃなくなると共鳴率が固定されます。NOTクラスの奴らでも出入りしてんですかね……?

 

さて、やることやったので端の方の席について教科書を読む陰キャムーブでもかましましょ

 

これはロールプレイをしているわけではなく、授業や教科書を読んだり、話を聞いたりすると”キーワード”がもらえるからです。

 

このゲームは物を調べたり会話の中でキーワードを手に入れるとそれを交えて会話をすることが出来ます。キーワードが無ければ話すことが出来ません。つまり鬼神の居場所をプレイヤーが知ってようがキーワードが無い限り主人公は話せません。会話するには探偵の様に聞き込みをしてキーワードを入手する必要があります。先の例えでは鬼神復活後に”月”に高レベルの”魂感知”する必要があります。しかしどんな会話でもしてくれるわけではありません。いきなり梓にキャバクラの話しても会話になりません。そういう話はスピリットに振りましょう。

 

座学授業では、キーワードに登録されているワードから授業に関係あるものを聞かれることがあります。時間制限は特にないので一個一個説明を見ながらやれば初見でも答えられるでしょう。

 

聡明なホモの皆さんの中には「あれ?じゃあ余計なキーワード入れないほうがイベント発生しないからこれロス行動じゃん、再走して♡」とお思いのホモがいらっしゃるかもしれませんがそれは違います。

 

理由を説明しますとステータスの中にはレベルアップや成長点では上げることが不可能なステータスが設定されています。その一つが”学力(成績)”です。学力はどうやっても一気に上げることが不可能です。

 

上げ方の一例としましては図書館で勉強する。下宿で勉強する。難しい本を読む。授業に参加する。授業の指名に答える。などがあります。マグロ喰っても学力は上がりません。

 

先ほど申し上げた通り授業の指名は授業に関係のある単語がキーワードに設定されてなければ指されることはありません。ですが授業以外の時間はホモ君のクソザコパラメーターを優先的にどうにかしたいので教科書を読み込み、少しでも早く学力を稼ぐための行動をしていると言う訳です。どうせ後の方になれば授業からもらったキーワードが増えて指されることになるので早めに準備していた方がお得です。

 

授業が始まりましたが初日と言うこともあって指されることは滅多にありま……ファッ!?指されましたね……ですが初日と言うこともあって(二回目)さほど難しい質問ではありません。問題は健全な魂は健全なる精神と健全なる○○に宿る。○○を埋めよ……。答えはモロチン、肉体ですね。こうやって授業を受け、コツコツと学力を上げていかないとテストで追試になり多大なるガバを生みます。授業受けてるだけではギリギリ追試ラインなのでクズ運を発揮すると学力が足りません。だから、教科書を読んでキーワードを取得する必要があったんですね。

 

座学が終わったら課外授業です。掲示板から依頼をもぎってきておばちゃんに提出してクエストを受けます。これがその掲示板ですが……さすがに新入生、さらにパートナーのいない武器ともなればゴミ拾いや配達などの授業しか受けられません。大人しくゴミ拾いを受けましょう。

 

おばちゃんに小言を言われますが無視して一人で受けましょう。ちっ、うっせーな。反省してまぁ~す

 

デスシティに降りて町のゴミ拾いを行います。運が良ければひったくりや強盗などのイベントが起き、解決すれば討伐ポイントが加算されうまテイストです。死武専のお膝元なのに治安悪くなぁい?死武専生も血気盛んですしアメリカなんてこんなもんなんですかね(偏見)では甥の木村、加速します。

 

 

ホモ君ゴミ拾い中……

 

 

結局何も起きずにゴミ拾いが終わりました。ですが微量ながらも体力と精神が上がりますし何より死武専からの評価が上がれば正規に討伐授業を受けることが可能になりますのでこれからも文句ひとつ言わずに奉仕活動を続けましょう。これからは魂ガチャして授業受けてゴミ拾いする、をループさせます。パラメーターが低すぎるので他の行動の余地がありません。さっさと魂を食えればパラメーターの底上げが可能なんですが……悪人ー!はやくきてくれー!!動きがあるまで加速します。超スピード!?

 

 

ホモ君社畜の歯車中……

 

 

おっと、ゴミ拾いと階段往復の効果で下宿に戻っても行動できるぐらい体力が増えましたね。そうなればプロテインを購入し、スクワットをしましょう。主に俊敏が上がり副次的に体力と耐久も増えます。今日からルーチンにこれを組み込みましょう。また加速します。

 

 

ホモ君社会奉仕中……

 

 

【『絹を裂くような悲鳴が辺りに響く……』】

【『どうやらひったくりが現れたようだ』】

 

おっと、やっとイベントが出ましたね。今回はひったくりイベントです。暴漢イベントの方がうまあじなんですが……まま、ええわ。

 

ひったくりは主人公が目視できる範囲で発生し、発生した場所から主人公から逃げるように動き出し、一番近い裏路地に逃げ込みます。裏路地に逃げ込まれて一定時間経過か距離を離され過ぎるとイベントが終了してしまうので注意しましょう。いくつか先回りできるルートがあるので休日に探索してみるのもいいかもしれません。その時は不良に絡まれないようにしましょう。ですがこれはRTAなのでもうすでに暗記しております。体力が増えたといってもクソザコナメクジから運動音痴になったぐらいなので普通に追いかけても撒かれるだけです。魂感知しながら先回りしましょう。それでもギリギリです。

 

裏路地でひったくり犯と対峙すると戦闘になります。懐から取り出した獲物は……ナイフですね。銃だったら無様に土下座して許してもらいましょう。戦闘開始です。オッスお願いしま~す。

 

職人が居ないのでホモ君の爆発杭(ヒートパイル)も威力があまり出ません。ですが只のチンピラ相手には十分でしょう。ソロプレイ(意味深)なので自由に体を動かせます。多少のパラメーター不足はプレイスキルでどうにかしましょう。パイルバンカーはタイマンなら強いですのでドーンと行きましょ。手を杭に変えたら魂の波長を練って爆発を付与します。あとは殴るだけです。ね、簡単でしょう?

 

両腕で必死こいてガードしてますがお構いなしに爆発を叩きつけます。さすがパイル、体力ゲージがゴリゴリ減っていきます。あ、怯んで膝をつきましたね。よし、じゃあぶち込んでやるぜ!

 

杭をリロードし、射出しながらの突き攻撃、さらに爆破もおまけします。foo↑気持ちいい~ 10メートルほどぶっ飛ばしましたが命に別状はないでしょう(適当)

 

 

 

犯人を拘束し、バッグを取返してメスにつき返します。お礼アイテムは軟膏、回復アイテムですね。金くれよ……クソケチなメスは放っておいて事のあらましを死武専に報告します。実績値が一定を超えたのでおばちゃんに度胸を認めてもらい少し危険だけど簡単なパトロール任務を紹介してもらいました。俺にもちょっと、回してくださいよ~。今度からはゴミ拾いではなくパトロールに切り替えます。

 

パトロールはゴミ拾いに比べるとパラメーター上昇は低くなりますが戦闘が起きる可能性があります。戦闘経験値はゴミ拾いと比べるまでもないのでパトロールの方が効率は良いでしょう。さらにまた実績を積むと悪人討伐課外授業も受けられるようになります。パートナーがいればもう受けられる頃だと思いますが、使える職人が居ないので犯罪者どもをボコボコにして分からせてやりましょう。やはり暴力……!暴力はすべてを解決する……!

 

早速パトロールを受けましたがパトロール初回は空振りでしたね……スクワットしても行動できるので瞑想でもしましょう。瞑想は精神と魂が鍛えられます。終わったら寝ます

 

 

 

 

 

今日もまた魂ガチャして授業受けてパトロールに向かいます。

 

 

【「万引きだー!捕まえてくれ!!」】

【『店主であろう男の怒声が聞こえる』】

【『声のした方向から犯人と思わしき人物が走ってきた』】

 

 

はい、二回目にしてやっとイベントを引きました。しかししょっぱい、しょっぱいです。暴漢とかどうかすると悪人も出現するんですが……まま、ええわ。戦闘経験値と実績値が美味しいのには変わりありません。武器はメリケンサックです。飛び道具じゃなきゃどうでもいいです。この前とあんまり変わらないので倍速で。

 

勝ちました。戦闘開始前に商品ぶん投げてましたが……無事みたいっすね、そこにいる店主に返します。お礼は……盗まれた商品です。えぇ……(困惑)まぁ冷静に考えたら一回犯人の手に渡った商品なんて売りたくないですよね。それを恩人に渡すのか……(困惑) あ、中身はジュースでした。これぐらい買えよ。

 

 

 

まだ実績値が足りないのでパトロールを受けます。

 

【「助けてくれ~!」】

【『裏路地から助けを求める声が聞こえる』】

【『現場に行くと不良が気の弱そうな男を取り囲み小突いていた……カツアゲのようだ』】

 

 

カツアゲイベントですね。複数人を相手に出来て経験値がうまあじです。相手武器はバット、素手、ナイフの三人組です。三人に勝てるわけないだろ!と襲い掛かってきますがバット以外危険度は少ないです。多少大げさに距離を取ってバットが大振りを外した時にパイルをぶち込んでやりましょう。普通に死ぬと思うんですけど……残り二人はリーチで勝ってるので爆発杭(ヒートパイル)で大丈夫です。俺は誓って殺しはやってません

 

あ、カツアゲイベントのお礼はクーポン券、ショップで消費して割引で買い物できます。なめてんじゃねーぞ

 

 

今日もパートナーは見つかりませんでした。パトロールでストレスのはけ口を探しましょう。進展があるまで加速。36(倍)、普通だな!

 

 

 

暫くそんな荒んだ生活を送っているとようやく悪人討伐が受けられるようになりました。悪人は死神様のリストに載ってない善良な魂をかっ喰らってドーピングしてしまったステハゲや犯罪者です。悪人に人権はありません。フサフサのホモ君が引導を渡してやりましょう。覚悟の準備をしておいて下さい!

 

悪人なんかケツ穴にホモ君のパイルを突き刺してガバガバに

今回はここまで。ご視聴有り難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

もう限界だ。裏路地の生ごみを漁って空腹をしのぐのはもう御免だ。俺は只運が悪かっただけなんだ。俺が担当した商品がこけなければ、部長がギリギリまで上に報告を隠していなければ、上層部が事を穏便に済ませようとすれば、ゴシップ誌にリークされなければ……

 

 

俺はこんな目に合わずに済んだんだ……

 

 

ちらり、とスーツルックの女性の通行人を視界の端で見る。持っているのはトートバッグのみ……ポケットも盛り上がっていないしきっと財布もあの中にあるだろう。

 

お前も運が悪いんだ……恨むなら今日の俺に出会った運命を恨め!

 

女の腰にタックルをかましてトートバッグをむしり取る。女が悲鳴を上げるが周りの奴らは遠巻きに視線を投げるだけだった。そんな奴らに自分の時を思い出し少し苛立ちを覚えるが止まってやるいわれはない。バッグを抱え込むように持ちここ数週間で詳しくなった裏通りに逃げ込む。

 

財布の中身を抜いて、書類があったら腹いせにドブにぶち込んでやって……初めてする犯罪に興奮しながらバッグを確認していると前から足音が聞こえた。

 

 

「そこまでだ……!ハァッ、バッグを、ハァッ、返せ……!」

 

 

黒髪黒目のガキだった。追いかけてくるのが大人ではなくてまだ成長期ぐらいの子供であることに見当違いの苛立ちを覚えながら、どこぞの不良が使ってそのまま捨てたであろう赤さびの浮いた折り畳みナイフをポケットから取り出し、構えてガキに見せつけた。

 

ガキは少したじろいだがすぐにキッ、とこちらを睨み右手を”変な棒に変えた”

 

こいつ……死武専生か!他にも生徒がいるかもしれない、事を急いだ俺はナイフを腰だめに構えて突進した。

 

しかしそんな素人丸出しのタックルなんぞ死武専生が受けてくれるはずもない。よけられた俺は全く腰の入っていない腕だけの振りでナイフを振り回した。傷を付けて怯んだ隙に逃げよう。バッグを置いていけば追われないかもしれない。俺はナイフを振り回しながら距離を詰める。そうしてナイフがあいつの武器化した腕に触れた、触れてしまった。

 

どん、と言う音と衝撃が俺を襲った。手が痺れてナイフを取り落としそうになった。反射で目を瞑ってしまった俺が次に見た光景は……

 

 

目の前に迫りくる鈍い光を放つ(凶器)だった

 

 

とっさに俺は腕を交差させ受け止めてしまった。どん、と衝撃がまた俺の腕を襲う。それだけでは収まらず俺の腕を滅多打ちにしてくる。爆発が続き腕がもげてしまったんじゃないかと思うほどの痛みが頭を支配する。痛みで目がかすみ、ついには脚が笑い崩れ落ちてしまった。

あいつは俺の肩を左手で掴み右腕を引き――ガチャリと音がして棒が引っ込んだ――踏み込みながら、俺の腹を突いた。

 

それが目覚めてから思い出した裏路地での最後の光景だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

まったくついてない。今月に入って3回目だ。店もほっぽり出して声を荒げながら万引き犯を追う。尻尾を見せた今日こそあのガキを捕まえるのだ。もし取り逃がしたら奴はもうウチには来ないだろう。問い詰めた時に顔に一撃喰らって口から出てきた血をぬぐいながら万引き犯を追いかける。ようやっと万引き犯が止まる。その前には腕章を付けた死武専生がいた。最後にツキが来た。

 

「頼む!そいつが万引き犯だ!!」

 

 

「分かりました!……聞いていたな?商品を渡して、一緒に来てもらおうか」

 

 

あのガキは舌打ちすると商品を投げ、メリケンサックに指を通した。対して黒髪の死武専生は右腕を武器化した。

(職人じゃねぇのか……)

武器は職人を守る義務がある。と、言うことは彼はパートナーがいないのだろう。それをガキも理解したのか口を釣り上げて拳を振い武器の小僧に叩きつけた。

 

瞬間、炸裂音が響きガキが顔を歪ませる。苦痛の顔に。

 

小僧は怯んだ隙に武器化した右腕を何度も振り下ろす。痛みに耐えるために縮こまった所をアッパースイングで吹き飛ばした。1mは浮いたんじゃないか、とやけにゆっくりに進む景色の中、抜けたガキの歯が飛び散る様を見た。

 

 

万引き犯を拘束したり死武専に連絡し終わった頃を見計らって小僧に礼を言う。店をそのまま飛び出してきちまったからお礼に盗られたジュースをやった。ひきつった笑みを浮かべていたがああいう手合いは商品が目的じゃなく盗むスリルを欲しているのだ、商品に細工をしたりはしない。まぁ心情的に飲みたくないのは分かるし、礼としてはしけているから店に買い物に来た時にサービスしてやろうと決めた。が、それを伝え忘れていたし、小僧の名前を聞くのも忘れていた。それに気づいたのは店に戻ってからだった。

俺はうっかりする男だ。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

俺らはいつも通り気が弱そうなおっさんを裏路地に連れ込んで金を出させている所だった。出すもんださせて、それを数えていると急におっさんが叫びだした。黙らせるためにバットで腹を突く。

 

 

「オイオイずいぶん舐めたマネしてくれるじゃね~の?」

 

「やっちまおうぜコイツ」

 

「爪?前歯?どっちも?ぎゃはは」

 

 

それ(見せしめ)もいいが……今はここを離れたほうがいい、なんせセンパイは――

 

 

「死武専の奴らが来る前にズラかるぞ」

 

 

死武専の奴らに狩られたからな、奴らが来る前にさっさと姿を消す方がいい

 

 

「そこまでだ、君たち三人の魂は覚えた。逃げても無駄だ」

 

 

ちっ、もう来たのか……優等生なこって……ん?一人か?

……それなら幾分かこっちにも勝機がある。俺だって死武専に入学するハズだったんだ。やってやる。二人に小声で話す。

 

 

「おい……三人でソッコー砂にするぞ。俺が行ったら回り込んで囲め」

 

 

二人は死武専生にメンチ切りながら頷く

 

俺は怒声を発しながらバットを振り被った。振り下ろしたそれを死武専生は右手を武器化して受け止める。――コイツ、武器か!それならなおさら勝機がある!俺は大げさに距離を取る死武専生を笑いながら追い詰める。

 

 

しかし、当たらない。俺も喧嘩慣れしていると思っていたが間合いを完璧に把握されている。――これが死武専生か……ビビって大げさに距離を取っているのではなくて囲まれない間合いをキープしているだけだった。リーチは俺の方があるが残り二人はリーチ負けしている。せめて一撃入れないと、とてもじゃないが囲めない。俺は反撃を貰うのを覚悟で振りかぶりながら突撃する。

 

――当たる!十分引き付けて死武専生の脳天めがけてバットを振り下ろす。手に衝撃が伝わる。が、それは地面を殴っただけだった。

 

それだけではない。死武専生がバットを踏みつけているため俺は縫い付けられて動けなかった。二人が援護に来るが、遅い。奴は出していた棒を引っ込め振りかぶり――俺はそこでバットを離し防御した――俺の腹めがけて叩きつけた。

 

骨が軋む、肉が千切れる音が聞こえる。前面に出していた左腕からゴキンと音が聞こえた。俺は浮遊感を覚えながら体内から聞こえる不穏な音と激痛を感じていた。やがて重力にひかれて地面に叩きつけられる。ただの一撃でもう立ち上がれそうにない。腕を襲う激痛を地面に頭を擦りつけながら耐えていると爆発音が聞こえた。

 

その音は破れかぶれで突撃している二人に振り下ろされている暴力の音だった。

 

――住む世界が違う。俺は圧倒的な暴力を受ける二人を見ながら意識を手放した。

 

 



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Part3:パートナー

評価バーが赤く染まった。

一方投稿者の顔は青くなった。




評価、感想、誤字報告ありがとナス!ハゲみになります




完走目指して頑張ります。

シュー……1か2くらいの投稿スピードを目指していきます(厳守するとは言っていない)


やっとソウルをイートできるRTAはっじまぁるよー

 

前回はパトロールをしまくってようやく討伐課外授業を受けられるようになったところです。

 

討伐系の課外授業は常設ではないので無い時はパトロールでもしておきましょう。これまで通り登校→魂チェック→座学→課外→下校、後トレーニングを繰り返します。パトロールがそのまま悪人討伐に変わっただけですね。

 

ソロでの悪人の魂回収は目標30個以上50個以内です。

 

何故かと言いますと50個以上集めてしまいますとパートナーの強化が間に合いません。原作ストーリーは結構ハイペースで進んでいきます。修行してる暇はあんまりありません。

 

さらに早すぎてもパートナーがまだ弱い時期なので思うように動いてくれません。大幅に弱体化するとはいえまだ自分で戦った方が大分ましです。ですので固い悪人が現れてもごり押しできるステータスが確保される30個以上、パートナー強化が間に合うギリギリの50個以内としました。これを過ぎますとチャートが崩壊しますのでおとなしくリセットしましょう。(6敗)

 

いえ、出来なくはないのです。ただ原作が開始される頃には魔猫ブレア(クソメスネコ畜生)が活動し出しますのでパートナーとの絆が育まれていない状態だと猫の魂食わされて原作マカのように魂全没収されたりします。さらによしんばデスサイズになれたとしてもパートナーが戦いについていけず、どうしても強化が必要になって来ます。魂感知があるので魔女にも狙われやすくなりますしね。30個集める前に来るのは良いです、話しかけて放っておけばいいので。ただ他の武器に取られないように注意しましょう。

 

詰まる所回収した魂50個以内にパートナー見つからなければリセットです。

 

課外授業で出てくる悪人はランダム生成でそれぞれパワー、テクニック、スピードタイプがあり、さらに近距離、中距離、遠距離タイプに分類され、ほかにも色々な属性があります。攻撃偏向とかですね。慣れてくると行動パターンなんかがなんとなくわかってきます。今回の稼ぎのポイントは遠距離をどれだけ引かないかです。遠距離タイプは言うまでもなく遅延行為が盛りだくさんです。攻撃偏向が防御やカウンター、行動阻害に偏っていた場合は……もう気が狂うッ!(狂気感染土方)

 

さて課外授業一発目です。名目は……ダリル・J・クロスフォードの討伐、素手の連続殺人鬼の悪人を討伐せよ、件の悪人は非常に好戦的で体格が大きい、一撃に注意せよ。ですか。いいですね、素手なので近距離、好戦的なので遅延行為はほぼなし、パワータイプなのでそこだけ注意ですね。まぁホモ君のステータスではどのタイプでも注意しないとあっという間に床ペロします。では課外授業にイクゾー!(カーンカーンカカカカーン、デッ)

 

おばちゃんの小言を受け流して目的地に到着しました。フィールドは市街、遮蔽物が多いので遠距離でも安心!(時間が掛からないとは言っていない)赤っぽい魂反応はもうちょい先にいるようです。魂ゲージを溜めながら進みましょう。

 

居ました。ガチムチというかもはやダルマです。これマジ?上半身に比べて下半身が貧弱すぎるだろ……そんな膨れ上がった筋肉ではパワーがあってもスピードが殺されてしまうぞ……(CL)戦闘開始です。オッスお願いしま~す。

とは言っても職人もいない武器では満足に威力を出せません。的確に急所を爆破していきましょう。無理に強攻撃をあてに行く必要はありません。どうせダメージは微々たるものです。爆破はガード貫通なので怯み耐性が低い急所に当てていればいずれ体勢が崩れます。そこに変形攻撃を叩き込みましょう。ホラホラホラホラ、ホラホラホラホラ、はい 一発目~

 

顔面にパイルぶち込んだのに体力ゲージが2割ぐらいしか削れませんね。職人と一緒だともうちょいマシなダメージ出るんですが……レベルの低い職人のAIは酷いもので、すさまじい時間が掛かります。いや、ミフネとかこっちの入力を見てから超速反応の後出しじゃんけんしてくるのでAIが弱いわけじゃないんですが、初期状態のAIは酷いです。最終戦のブラック☆スターとかすごい頼もしいんですけどね。

 

と、話題がそれました。引き続き爆破小パンを顔面に叩き込んでいきましょう。初期AIではやってくれない戦法です。と、いうか上級AIでもワンパターンは好まない傾向にあるので上級でもあまり見ません。でも効率はいいです。多分これが一番早いと思います。はい二発目。

おっと、スタンが取れましたね。もう一発ぶち込みます。もう体力を半分以上削りました。相手は好戦的な性格なので突っ込んできます。遅延行為が無いのでRTA的には助かります。お前のことが、好きだったんだよ!(ストックホルム症候群)

 

おっと?カウンター気味に爆破が決まって体力が減りましたね。ごり押し出来そうなので強攻撃も狙っていきましょう。いい感じに体力が削れたので体勢を崩しましょう。よし、じゃあぶち込んでやるぜ!

削り切れましたね。工事完了です……魂をゴックンして帰りましょ。

 

戻ってきてデスシティの下宿です。今回はノーダメだったのでトレーニングをやりますが、体力が減った場合、きちんと手当をして十分な休息をとらないと次の日にダメージが持ち越されてしまいますので注意しましょう。明日からこれの繰り返しです。では動きがあるまで甥の木村、加速します。

 

 

 

 

 

…………動きがあるまで暇ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 す

 

  の

 

   で

 

     ぇ

 

       ~

 

 

 

 

み な さ ま の た め にぃ~

 

 

 

 

 

チャートについて、お話しします。

 

今回はパイルバンカーデスサイズチャートですがまず原作開始直前~直後程度にデスサイズになるように魂を稼ぎます。デスサイズになったからと言ってそれだけで鬼神に臨めるわけではありません。マカの様に特殊なスキルを持っているか、ブラック☆スターの様にクソ高いステータスが必要になります。

マカは【魂感知】に【退魔の波長】、さらに【勇気】を持ち合わせています。退魔の波長だけでも狂気を祓えるのに勇気が乗算されてまず狂気に落ちることはないでしょう。ソウルとの共鳴時【黒血】が付与されますがむしろメリットのみ適用される有様でまさに主人公と言えるでしょう。全部ポイントに還元してステータスに割り振ったら多分バケモノが出来ると思います。それぐらい所持スキルがレアスキルで溢れています。

 

逆にステータスの高さで鬼神に対抗していたのがブラック☆スターで、武器無しでもある程度戦えるほど高いです。原作ではエンディングで武器無しで何故か飛んでいました。ビームも弾くどころか掴んで投げ返していました。意味が分かりません。出来るのはブラック☆スターのみです。さすが玉も竿もBIGな男。

 

ホモ君はその間を狙っていきます。デスサイズの特殊能力、狂気耐性のスキル、火力に特化した武器種とステータス。MMOなどで言うダメージディーラーの役割を担ってもらいます。本来その役割はキッド君、ブラック☆スターですがどちらかと言うとブラック☆スターはタンクを兼ねてますし、キッド君もなんかいない時が多いのと中遠距離タイプなのでヘイト管理が被らないためホモ君をダメージディーラーにしました。

 

と、言うかそれ以外のマカのような特殊支援型だと稼ぎがしづらい。ブラック☆スターのような高ステータスは育成に時間がかかる。キッド君は言わずもがな死神です。オリジナル主人公では取得できないスキル【死神】を持っています。必然的にある程度形になるのが早く、ストーリーを突っ走れるダメージディーラーのメイクになりました。私は検証班では無いのでもっと効率のいいプレイがあるのかもしれませんが完全なチャートを作って走ってしまったら後続の走者が少なくなるので私が一番やりやすい形のチャートになりました。

 

皆も自分のチャート作って、RTA、しよう?

 

 

 

 

…………なんで?(殺意)嫌だって言っても君はするんだよRTAを(スタンド攻撃)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ時間が余っていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 す

 

  の

 

   で

 

    ぇ

 

     ~

 

 

み な さ ま の た め にぃ~

 

このような どうがを ごようい しました~

 

(例のBGM)

 

どこかで見たことある巫女「ぷは

おっと、等速になりましたね。きっと凄腕イケメンパートナーが……

 

 

 

 

ファッ!?回収魂45個!?やべぇよ、やべぇよ……ものすごい…朝飯食ったから……(意味不明)

まだあわわわわてるるようなじじじ時間じゃないです(錯乱)。残り5回のうちにパートナーを引けばいいんです。あ、今終わって残り4回。あっ、ふーん(SBYRN)ダメみたいですね(諦め)

 

ん?投稿してるという事はこの後パートナー来る事確定してるんだから白々しい演技はやめろって?

 

 

…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

うるせぇ!(豹変)

 

 

休みの日に前日から固形物を控えてまでRTAに臨んでガバ運で一日がふいになる気持ちが分かるか!?

あなたには分からないでしょうけどねぇ!?平々凡々とした、RTAを投稿して、本当に、誰が走っても一緒や、誰が編集しても。じゃあ俺がぁ!動画作成して!!このRTA界隈をォンフンフンッハ、コノ、コノアールァアアアアアアアアア↑↑↑アァン!!!!!! アゥッアゥオゥウア゛アアアアアアアアアアアアアーーーゥアン! コノハシリォァゥァゥ……ア゛ー! コノキロクヲ… ウッ…ガエダイ!コノ一心デェ …ハァハァ…一生懸命訴えてぇ、RTAに…縁もゆかりも無いゲーマーの皆様に期待されて、やっと!完走に!!なったんですぅ!!!(バンバンバン←机を叩く音)

 

 

 

 

……スゥー(ニチャ…)

 

 

失礼、取り乱しました。

フゥー、スっとしたぜ。おれは椿やソウルに比べるとチとCOOLじゃない性格でな~~激昂してトチ狂いそうになると泣きわめいて頭を冷静にすることにしているのだ。

 

 

そんなこんなしているうちにもう47個目回収しました。この時私は頭がピリピリして息が浅く早くなり、手が震えていました。そう、ソシャゲでウン十万溶かした時と同じ心境でした。いや、良い歳した社会人が貴重な休日にオムツ履いて下から色々駄々洩れにしながらゲームしてるのでこっちの方がダメージは大きいかもしれません。いや、まだ漏れてないですけど。震える手を制御しながらパートナーを探します。(流れが変わりそうなBGM)

 

 

 

 

66%、41%、59%、23%、74%…………94%。

 

 

 

 

 

 

94%!!(完全勝利したBGM)

 

 

 

 

 

やったぜ。(変態糞土方)やったぜ!(変態糞サイヤ人)やったわ。(変態糞娘)

 

 

やっと肩の荷が下りました。ですが油断はできません。話しかけてパートナーがいないかどうか確認しましょう。パートナーが居るのか?俺以外の武器と……お前のパートナーは、俺だと思っていた……今夜は、返したくない。テレレレレレレー↑↑(迫真)

あ、居ない?そう、よかった。君いい体してるねぇ!何職人?(やり)そう()……(激ウマギャグ)ボーナスが入りませんがまま、エアロ(青魔法)パートナー組んでくれない?大丈夫、大丈夫、へーきへーき、へーきだから。成績欲しいでしょ?ソロで、47個!ほら半分もあるからさ、もういこうぜ、チャチャっと……大丈夫だろもう? よしっ、キマリッ!ハイ、ヨロシクゥ!

 

無事パートナーを確保しました。名前はペグ・ユークバンク・ルーク君……長ぇな、ペグ君です。銀髪……っていうとかっこいいので白髪です。それほど高くない身長と垂れ目と困り眉が一部の性癖のお姉さま方や悶絶少年専属調教師に人気が出そうです。ペグ君もうまそうやな~ホンマ

 

 

 

ではこれからはペグ君と合体し肉体よりも深いところで繋がって棒状の物を出し入れし

今回はここまで、ご視聴有り難う御座いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

 

自慢だが俺は怪力だ。気に入らねぇ奴はこの剛腕でぶっ殺してやった。凶器なんてダサいものは使わない。これは喧嘩の延長線、死んだのは弱い相手が悪い。そんなこと言ってたらお尋ね者だ。ま、追っ手もぶっ殺してやるけどな

 

そこら辺の奴でもぶっ殺して酒でも買おうかと思ったが人が居ねぇ。クソ、気持ち良くない。早くぶっ殺して血を湧き立たせて強い酒を飲みてぇ。イライラするぜ。その辺の家ぶっ壊してやろうか。

 

 

「ダリル・J・クロスフォード、だな?……お前は死神様のリストに載った。お前の魂、頂こう」

 

「あ"?」

 

 

気持ち良くない。あぁ?気持ちよくねぇよ……なんだその目は……?

 

 

「見下してんじゃねぇよおぉ"!」

 

 

俺は腕を振り被ると生意気なガキに叩きつけた。直後、俺の顔が爆発する。俺の目はガキの腕そのものが変な棒になったのを見た。死武専の野郎……武器か。ガキが腕に着いた棒を俺の顔に当てたら爆発が起きた。爆発……銃?ショットガン?いや、棒に当たったら爆発した。銃口は無かった。爆発する棒、それだけだ。爆発の威力は大したことはない、俺の剛腕で捻り潰してやればそれで終いだ。少々うっとおしいがハエみたいなもんだ。当てさえすれば皆壊れる。他の奴らと同じようにな。そう思っていた。

だが――

 

 

「ぁグッ!!」

 

 

何度も打たれていると爆風で瞼が捲れ怯んで隙が出来た所に鼻先に爆発が叩きこまれた。堪らず尻もちをついてしまう。

 

 

「ごガッ!」

 

 

次の瞬間顔が跳ね上げられる。頭が揺れて一瞬天地が分からなくなる。が、思い切り足を踏みしめ地面を足の裏で感じ、拳を叩きつけて踏みとどまる。許さねぇ、絶対にひき肉にしてやる。俺は目を血走らせながらガキをぐちゃぐちゃにするために拳を振りかぶる。ガキの使う棒はゴミみたいなもんだ。当たったことすら分かんねぇぐらいだ。だが、爆発は面倒だ。腕で抑えようともこっちから殴っても骨に響くような衝撃が走る。ウザってぇ……俺に気持ちよく殴らせろよ!!

 

 

「ぶグゥ……!」

 

 

また体幹を崩された。次の一撃が来ると身構えたのがいけなかった。硬直した上半身が衝撃をいなす役割を十分に果たせず頭が揺れる。視界が歪む。天地と、左右すら不確かな世界に囚われ抜け出せない。ガキらしき影が近づいたと思ったら歪んだ視界が半分以上失われる。俺は歯が折れる感覚と背中に壁を押し付けられる感触をたっぷりと味わった。やがて背中に押し付けられた壁は地面だと理解するころには口の中にどろりとした血が溜まっていた。

 

 

「あアアァアアアッ!!殺すころす殺してやるッ!!」

 

 

こんなガキ一発当てれば満足に動けねぇんだ!!点じゃなく辺に薙ぎ払ってやれば終わんだよ!!足も速くねぇ、棒振り回す速度もねぇ!勘違いしてんじゃねぇぞ!!一発当たればテメェなんか!テメェみてぇなガキなんか!このダリル様の敵じゃねぇんだよ!!なのに……

 

 

「なんで、当たんねぇんだよ!!」

 

 

俺の拳の方が早いはずだろ!?なんで俺の拳よりあいつの攻撃が先に当たる!?なんで腕を振った先にあいつが居なくなる!?避けれない速さだろ!?あいつの大振りなんて楽勝に避けられるはずだろ!?なんで当たる!?なんでなんでなんで――

 

 

「上半身に比べて下半身が貧弱すぎる。それじゃ肥大した上半身を支えきれない。だから体重移動を見切られる……予備動作が遅すぎて逆に引っかかりそうだよ。下半身も鍛えたほうがいいよ、スクワットとか……来世があれば、だけど。」

 

 

「うるせぇ!うるせぇんだよ!!俺に指図するんじゃねぇよ!!この俺を見下してんじゃねぇよ!!」

 

 

攻撃を喰らい過ぎた。足がおぼつかない。拳に力が入らない。でもそれでも当たれば確実に殺せるんだ!当たれ!当たれ当たれ当たれ……

 

 

「当たれよおおおおぉ!!」

 

 

「連続殺人鬼、ダリル・J・クロスフォード……お前の魂、頂こう」

 

 

そして、崩れ落ちた俺の頭を掴み、杭の様に尖ったその先端を――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

最近北部のギャングだのブローカーだのがかなり大々的に狩られ始めた。まぁ殺人鬼の方が狩られてるからアタシらの仕事はむしろやりやすくなってる。東部と西部もかなり被害が出てるらしい。南部のアタシが簡単に空いた北部の権利を抑えられたのがその証左だ。欲しいものは全部獲ったし後はダミーを用意して隠れるだけだ。部下に移転の用意をさせ、通路から二つ間部屋を挟んだ部屋でワインを傾ける。部下が扱いやすいのは良いことだがクスリ臭くてかなわない。

 

 

「あ"、姐御(あ"ね"ご)!!」

 

 

「うるっさいわよ!今度は何!?」

 

 

チッ……コイツまた臭い落としてないわね……?まったく臭いったらありゃしない。やっぱり与えすぎは良くないわね、人手が欲しかったから長く使ってたけど……隠れるに当たって大幅に人員削減しようかしら、それがいいわね。まずコイツはいらないわ。

 

 

「こ、こごに侵入され"ました"!!戦闘員はもう壊滅状態でもう持ちま"ぜん!お逃げ下さい"!!」

 

 

「はぁ!?そんなになるまで報告止めてんじゃないわよ!!どこの勢力!?人数は!?」

 

 

「一人です!!おぞらく死武専かど!!」

 

 

一人ぃ!?素っ頓狂な声を何とか飲み込んで考えを巡らす。戦闘員はどういう訳か壊滅したらしい。おそらくもう戦えるのはコイツだけだろう。本部(ここ)には生成プラントがあるから下手な前線の支部よりも人員を割いていたはずなのに……いや、もうそういう段階じゃない。ブツや現ナマを抑えられるのはかなり痛手だが死武専に出しゃばられたんなら安いものだ。戦闘員の男に先導させ、ここを離れようとドアを開けさせる――

 

 

瞬間、ドアをぶち破りながら杭が男の腕を食いちぎった。

 

 

「ぐ、グオオオオォオ!!」

 

 

「貴女が首領だな?貴女は死神様のリストに載った。その魂、頂こう」

 

 

黒髪の子供が武器化させた自身の腕である杭を男に突き付けながらこちらを見て言い放った。黒髪、黒目、一人、武器、杭……北部を中心としてあっという間に裏の勢力を塗り替えたバケモノ。死武専の一人に戦闘員が壊滅したと言われた時から頭をチラついていたが願望がそれを否定していた。ターゲット討伐率は驚異の10割。逃げ切ったと思っても暗闇から、町並みから、果ては逃げた先に待ち構えている正義の執行者。爆発する可変杭を使う――

 

 

「死神の弔砲……!」

 

 

姐御(あ"ね"ご)!!逃げで!!」

 

 

戦闘員が弔砲の脚に残された片腕で縋りつくようにして抱き着く。ドアの方向には向かえない。残された道は――

 

 

「ちっ、ツイてないね!」

 

 

アタシは窓に足を掛ける。しかし三階から飛び降りるのは気が引ける。何かロープの代わりになる物でも無かったか、と部屋を振り返ると……

弔砲が男の背に杭を打ち込んでいる所だった。男は絶命しあっという間に物言わぬ魂に姿を変える。それを回収しながらこちらを目で捉える。漆黒の眼はアタシを見ていながら全く違うものを見ているようで気味が悪かった。弔砲が杭を引っ込めた音でアタシはやっと硬直が解け、その恐怖に押し出されるように窓から飛び降りた。

 

 

「あっ……ツぅ……!」

 

 

脚を強かに打ちながらも骨は折れていない様だった。まだ痺れが残る脚を引きずるように動かし、壁に寄りかかりながら逃げる。恐怖に駆られ先ほど飛び降りた窓に目を向ける。

そこには、ただじっとこちらを見つめる黒い双眸があった。ただの一瞬だったろうが、アタシには何分にも感じた。

――追いつかれる。痺れから鈍痛に変わった脚を無理やり動かしながら壁を引っ掻く様に逃げる。

裏路地に……!そこの裏路地には抜け道がある……!そこに行けば……!あいつは飛び降りて来ていなかった。まだ距離があるはず。アタシは裏路地への道の角を掴み体を滑り込ませる。

すると――

 

 

「あ、ヒッ!」

 

 

鈍色の杭が鼻先を掠めた

 

 

「……貴女の魂、頂こう」

 

 

死神の弔砲。ターゲット討伐率は10割。暗闇から、町並みから、果ては逃げた先に待ち構えている正義の執行者。

逃げ場はなかった。逃げる足ももう言うことを聞かない。ちくしょう、アタシが、アタシが……

 

 

「アタシが何したって言うんだい!?確かに荒稼ぎさせてもらったが殺される謂れは無いよ!死武専はただ金持ってるだけで人を殺すのかい!?どっちが悪人なんだか!!」

 

 

「……薬物製造、薬物売買、凶器準備集合、売春教唆。まだあるが……?」

 

 

「薬は合法の物だ!!死武専は守っちゃくれない!金が払えない奴に仕事を紹介しただけさ!」

 

 

そう、薬は新薬を作り続けて規制される前に型を変える。一回たりとも違法薬物を取り扱ったことはない。それだというのに死武専は反社会勢力だとこちらを潰しに来る。自衛用の武器人員だ。アタシ等は強引にブツを売ったりしない。快楽を求めてあっちから寄ってくるのさ、合法な、上物の、薬にね。うちから借金してまで買う奴もいる。そういう奴は”仕事”を紹介してやる。ただアタシ等は、合法な物を売って商売して、金に困ってる奴に仕事を斡旋してやっているだけだ。

そう――

 

 

「全部自分の欲を制御できないバカが悪いのさ!!アタシ等のどこを裁こうって言うんだい!?」

 

 

「…………」

 

 

リスト(死神)が間違っている!!アタシは、何も、全部、欲を制御できないバカが……!」

 

 

「――鏡見ろよ」

 

 

裏路地に響く破裂音。さっきまで喚いていた女の姿はなく。魂が浮いているだけだった。男子はその魂を掴み、飲み込み、書類を取り出して授業概要を確認する。

 

 

「”悪人”の討伐完了――帰ろう」

 

 

この日、また裏社会の情勢が大きく変わった。

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

僕、ペグ・ユークバンク・ルークは盛大に困惑していた。”あの”北条君にパートナー申請をされたからだ。

 

入学当初は全く話題に上がらなかった子。むしろ体力テストで死にかけていたって噂さえ聞いた。実際暫く死武専へと続く階段を手まで使って登っている姿を何度か見たことがある。今ではその影も無い、座学授業で成績優秀、課外授業も”死神の弔砲”なんて二つ名で呼ばれている。誰が呼び始めたのか分からないけれど。

クラスの何人かは、「ちょっと前まで階段上るだけで息も絶え絶えだったのにカッコつけて――」なんて云々かんぬん言ってこき下ろそうと必死だけど、そんなことするより自分も鍛えたほうがいい。北条君は努力していたんだ。全力で、最速で。成長しなければどんどん置いて行かれるだけだ。下に落ちてくることなんて、おそらくない。

 

僕も、弱い自分が嫌で、死武専に入ったんだ。でも、思うようにいかなくて、成長しているのか自分でもわからなくて、何度も北条君に憧れた。こんな僕がパートナーだなんて……北条君に迷惑じゃないだろうか?

でも、北条君は

 

 

「そんなの関係ないでしょ、君の魂が気に入ったんだ。それとも、もう他にパートナーが?」

 

 

「ううん!その……僕でよかったら、よろしくお願いします……」

 

 

「うん、よろしく、ルーク君」

 

 

「ペグでいいよ?」

 

 

「じゃあ僕も基でいいよ、ペグ君」

 

 

そうして僕たちは握手を交わしパートナーとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――でも、僕は、基君に憧れるばかりで、ちゃんと基君と向き合っていなかった。

もし過去に戻れるのならば、この時の自分に、拳骨をお見舞いして、説教してやりたい。

 




後5話以内には原作にたどり着けるかな……?


大量魂ゲット授業をウキウキで受けて最後のターゲット取り逃がしてガバったRTA文章も書こうと思ったけど蛇足っぽくなったので無しになりました。


ペグ君は16歳の168cmぐらい、
ホモ君は15歳の175cmぐらいをイメージしてます。

この設定は割と適当なので可変すると思います。設定ガバガバ。
ペグ君はホモ君より年上でホモ君より小さいとだけ思ってもらえれば。


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Part4:成長

週1、2投稿を目指すとは言ったが7日に1、2話とは言っていない……っ!

ノーカン……!圧倒的セーフ……!






通るかこんな言い訳っ……!




ごめんなさい






※5/16修正
 ブラック☆スターsideで間違いがあった4か所を修正
 ×モトキ
 〇モトイ

主人公の名前を作者が間違えるのか……(困惑)


やっと武器としてのスタートラインに立ったRTAはっじまぁるよー

 

前回ペグ君とパートナー契約を結んでもらった所からです。

 

 

やることは変わりません。原作始まるぐらいにデスサイズになれるよう課外授業を毎日受けます。

 

 

その前にペグ君のステータスをチェックしときましょう。ほーん……全体的に高くまとまってますね。良く言えば万能、ですが原作が始まればたちまち無能に転落することでしょう。精神が少し低いのも狂気感染しやすくなるのでまず味です。狂気耐性あるスキルとか……いらっしゃらないんですか?

 

え?そんなん関係ないでしょ、所持スキルは……【食いしばり】、のみ。ほーん……まま、ええわ。【食いしばり】は体力が一定以上のとき体力が0になる攻撃を受けても1残して耐えるスキルです。RTA的には攻撃特化であまり耐久に振らないのでタスカル。ですがクォレは最低でもホモ君が狂気耐性スキル取らんといかんですな。

軽くスキルについて触れますが、成長点を消費して獲得する方法とイベントによって取得するものがあります。ですが成長点での獲得はかなりの成長点を消費してしまいます。狂気耐性スキルはほぼ必須級なのでそれは取ってしまって構いません。最低でも原作開始前には取っておきましょう。ですがその他の各種スキルはイベントで取ったほうがいいでしょう。獲得するのにはポイントが大量にかかりますがスキルレベルを上げるのにはさほどポイントは必要ありません。初期のホモ君でも【魂感知】をレベル2まで上げれたのはこのためですね。

 

それと言い忘れていましたが”狂気耐性”と言うスキルはありません。マカの【退魔の波長】【勇気】、ハーバー君の【ドライ】なんかが狂気の耐性を付与してくれるスキルです。【退魔の波長】なんかは魔女、狂気なんかに特効が入りますが【勇気】や【ドライ】は戦闘では顕著な差は見られません。これは主にコミュパートでの好感度、友好度、信用値、疑惑値なんかの上下にかかわってきます。【勇気】は魂の共鳴をしていれば他のキャラにも耐性が付き、コミュでも大きなプラス補正が働く有能スキルです。また、特殊選択肢が多めにあるスキルです。

たいして【ドライ】は自分自身にしか効果が無く、コミュでもわずかながらにマイナス補正が付きます。ですが取得難易度は天と地ほど差があります。レベルを上げるための点数すら差が大きいです。

 

一番点数が低いスキルは【忘却】なんですが……どっちかっていうと耐性スキルではなく無効スキルになります。ジャスティンの【信仰心】と同じですね。これらのメリットは自身の無効スキルで無力化できる狂気にはめっぽう強いですがいざ強い狂気に当てられて無効スキルを貫通した場合何の軽減もしてくれません。【信仰心】はまだいいです。無耐性で計算されるだけなんで。【忘却】は今まで無効にしてきた狂気量に応じて上方修正されしっぺ返しを喰らいます。永続的発狂不可避。

 

さらに言うと【忘却】のレベルをいくら上げたとしても鬼神の狂気は防げません。南無。こんだけ書くとゴミスキルっぽく見えますが【忘却】に合わせて【頑強】と【忍耐】を取り、精神能力値が一定以上になると複合スキル【空元気】になります。

【空元気】になると狂気耐性スキルになり戦闘時でも常時スーパーアーマー状態が付与され異常状態時のステータス低下を一部無効化します。つよい(確信)

 

【ドライ】はひたすら課外授業行ってれば付く可能性があるスキルなんですが……ホモ君はまだついてないです。付かない時は付かないので原作始まる前までに付かなければさっさと大量に成長点溶かして取得しましょう。そのためにレベルアップボーナスでもらえる成長点を大量にため込んでいるのです。付かなかったらほぼ消えますけど。

 

育成方針が決まったところで課外授業に行きますよ~行く行く

 

ペグ君がいきなり実戦は危ないから、と訓練に誘ってきますが訓練などフヨウラ!ガン無視して課外授業もぎ取って来ましょう。友好度と信用値が下がり疑惑値が上がりますが魂を取得できるので問題ありません。(ドニ並感)

 

課外授業が始まったらまず魂の共鳴です。ペグ君は精神値が少し低めですが残りのステータスはこのレベルにしては高水準でまとまってるので失敗することはないでしょう。共鳴出来たら杭に魂の波長を込めます。これでぶん殴ればOKです。器用が高めといっても変形機能はまだ難しいっすね、まぁ追々で。

 

魂感知は共鳴してチャージが完了してからにしましょう。初陣なので場所が分かると準備も無しに突っ込んでいってしまいます。しっかりとチャージが完了して念のためワンテンポおいて魂感知します。見える見える……太いぜ。

 

悪人を発見したら殴ります。クソみたいな牽制置き弱が当たりましたが悪人の体力は3割を切っています。いい火力だぁ……(恍惚)まぁペグ君がちゃんと踏み込んで殴ってくれたら多分落ちましたがね、これから遠慮なく悪人をぶん殴れるように調教していきます。ノンケは調教が大変だ

 

ダメージ軽減特大がありますがノーダメではないためペグ君が硬直してしまったので仕方なしに自分で部分武器化して殴ります。チャージした魂の波長が残っているのでらくちんちん。一緒に止め刺した方がペグ君にも経験値が与えられますし最初の方はさっさと片付けてAIの行動レベル上げた方が効率がいいです。5回もすれば変形攻撃もできるようになるでしょう。また代わり映えのない稼ぎ行為をするので99個集まるまで加速。

 

加速中のことをざっと話しておきます。ペグ君はなかなかに優秀みたいで2回目できちんとぶん殴ってくれました。AIの思考ルーチンが防御に偏って無くてよかったです。パートナーとは下宿で一緒に住むこともできますが、遊びや訓練の提案を無視して課外授業に行っているため友好度が足りません。急がなければあっちから提案してくるのを待ちましょう。一緒の下宿に住むと友好度、信用値が日増しで上がっていきます。そのほかにもボーナスや特殊行動もあるのでRTAでも有用です。無きゃ無いでどうにかなりますけど。

 

ペグ君もステータスはともかくスキルは運なので狂気耐性スキルを取得することを祈ります。つかなきゃ回り道してスキルを取ります。無いととんでもなくロスになるので最悪ボル7工場の道化師までには獲得したい所さんです。その辺から狂気攻撃が盛んになってきます。戦闘中に発狂してハメられるとこっちまで気が狂います。世界観として大事な設定だけど狂気に耐性が無いキャラの人権が無い……無くない?ホモ君だけ持っていてもペグ君が落ちてしまえばただの杭打機です。デスサイズになったからと言ってギリコやジャスティンとは渡り合えません。よしんば勝てるプレイスキルを持っていたとしてもこの世の終わりみたいなクソダメージしか出ないので大人しくリセしましょう。

心配しなくても稼ぎの間に取得できる確率は低くないです。試走と検証を合わせると体感で4~6割取得でき――

 

 

なんで とうそくに もどす ひつようが あるんですかぁ?

 

 

 

 

 

 

あっ、死武祭(しぶさい)のイベントが始まりましたね。これはトーナメント方式で他の生徒たちとバトルできます。補正がかかっていて経験値がうまあじなので参加しましょう。どうせ課外授業もゴミ拾いかイベントの運営ぐらいしかありませんし。なお、この時確定で魔女シャウラがデスシティに出現するので99個魂を集めているとこの時点でデスサイズになれます、が、TASさんでもない限り間に合いません。大人しくトーナメントに出場登録しましょう。

おっすオラホモ、天下〇武道会に参加するゾ!一回戦はトム君!誰だよ(ピネガキ)

 

補足するとNOT原作でオックス君と戦ってたレイピア職人です。オックス君との戦闘中に不意打ちで拘束されてブスリ♂されて魔女シャウラに精神支配されてしまいます。多分二回戦はオックス君でしょう。さて戦闘ですが火力的にはこちらが圧倒的に勝っています、が当たるかどうかは別問題です。厄介なことにスピードがこちらを完全に上回っています。本来ならカウンターでどうにでも出来るんですがパートナー結成が遅れたのでペグ君のAIが対応できるか怪しいです。

 

 

ですのでぇ~

 

魂の共鳴をして杭に波長をチャージしたらカウンターのタイミングで自分でぶち込みましょう。力のステータスの参照がホモ君になり威力は激減しますが波長は二人で練り上げた物なのでダメージが期待できます。これを繰り返して……ウッソだろお前!スタンが入ったので残りの波長を変形攻撃に乗せて打ち込みます。落ちろ!……落ちたな(確信)やっぱ……パイルバンカーの火力を……最高やな!

 

 

 

 

二回戦はやはりオックス君でした。オックス君はふざけた髪型してるくせにそのじつりきは折り紙付きです。槍と言うリーチの長い武器、雷王震と言う隙はある物の至近距離対応の暴れ技、冷静なAI、常時ではないもののガードの無視の電撃攻撃。隙が無いよね、でもオイラ負けないよ。たまじっ……魂たちが躍動する俺たちの戦いを、皆さんに見せたいね。

 

ですが実際問題現時点のペグ君では力不足です。ここはジリ貧覚悟のガード重視で爆破の衝撃力で体感を崩す作戦を取ります。

 

あーやっぱり全然ダメそうですね。一回チャンスあるかどうか……出来ればもう少し経験値を稼いでおきたかったのですが……いや、行けるか……?よっしゃ!一回いけるで!削れ!!いよし!!オラァ!行け!!

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

なんでダッシュアタックを選択したのぉおおおお!?相手吹っ飛んじゃうじゃん!!もうだめだぁ……お終

 

 

スタン連になったんですけどwwwいただきま~すwww

ただしペグ君、テメーはダメだ。ホモ君が直接ぶん殴ります。はー何とかなった。チルドレンにあるまじき豪運-114514点。次の試合ブラック☆スターなんでおしまいですけど。

 

 

与えたダメージに応じて経験値がもらえるのでせめて一撃は入れたいと思います。

作戦はこうです。魂の共鳴をしてチャージ、のちに亀の様にガードを固めて相手のフィニッシュをノーガードで受け【食いしばり】を発動させます。【食いしばり】が発動するとすべての行動がキャンセルされてニュートラル状態に戻るのでフィニッシュの隙をついて変形攻撃を叩きこみます。ペグ君が変形攻撃してくれるかはちょっと怪しいですが攻撃してくれれば御の字です。さぁ、ホイ!(NITHRT殿下)

え?食いしばった後攻撃したら爆発ダメージでペグ君死ぬだろって?

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

そうだよ

 

ブラック☆スターはガードも回避もお太いので現時点これ以外カスダメしか稼げないし最悪完封されます。コラレラル・ダメージと言う奴です。ポケ〇ンと違って戦闘不能になっても経験値はもらえるのでま、多少はね?

 

そんなこと言ってる間に戦闘開始です。オッスお願いしま~す。カスが効かねぇん……

あぁ"〜い"っ"た"い"痛い痛い!なんだこのダメージ!?(驚愕)このままじゃ弱攻撃で削り殺されるぞオイ!このまま行くとじゃ食いしばり発動しなくなっちゃうよ……やばいやばい……

早く……早く黒星ビックウェーブ来い……早く……オラ来たァ!ここで魂の共鳴を要請してガードを解かせます。黒星ビックウェーブは無効化すると吹っ飛び効果が無くなるので狙い所さんです。ペグ君が最後の力を振り絞って出した攻撃は強攻撃でした。まま、ええわ(妥協)変形攻撃だとガードされる可能性も残ってたしま、多少はね?このまま殴りかかりたいですが死武祭ではどっちか戦闘不能になるとそこで戦闘終了になります。

この後死武祭が魔女に襲われて何やかんやあってNOTの生徒が討伐します。街うろつきなんてしてないんでイベントフラグ一つも立ってませんのでテキスト連打で終わります。

 

今回の死武祭イベントでなかなか経験値を稼げました。レベルアップでもらった成長点は大事に取っておきましょう。付かなかったら自分で狂気耐性スキル取る羽目になるんで。

 

次回は成長したペグ君がホモ君と無双し

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

 

基君とパートナーになって初めての戦闘は実戦だった。

訓練して動きの確認や作戦プランなんかも考えたほうがいいんじゃないかって基君に言ったけれど返された答えは課外授業の受諾書だった。不安を抱えながら電車とバスを乗り継いで目的地に向かう。基君は窓際の席でずっと風景を眺めていた。何か話しかけてコミュニケーションを取った方が良かったのかもしれない。緊張して乗り物酔いをこらえていた僕はそれどころじゃなかったけれど。

 

目的地に着いたらすぐ基君が武器化し僕の右腕に収まる。いつ悪人の襲撃があるか分からない事実が死武専で組手ぐらいしか経験してなかった僕の動きを強張らせる。基君が魂の共鳴を提案して来たけれど、もう近くに悪人がいるのだろうか?言われるがままに基君と魂を通わせ魂の波長を投げ渡す。それを基君が高めてまた僕に投げ渡す。それを繰り返していく……のだが、基君から返ってくる魂の波長の増加率が大きすぎる。僕は何とか波長を制御し、ほぼそのままで投げ返すことしかできなかった。

 

限界だと思って待ったをかけようかと思ったけれどその前に波長が投げ渡されるのが止まり基君の杭が薄く発光する。話を聞くと魂の波長を圧縮しため込み、解放することによって爆発を起こすらしい。この爆発の音が弔砲を呼ばれる所以か。こんな至近距離で爆発が起きることが少し怖かったが魂の相性が良いからそれほど痛くはないだろうと基君は言っていた。それでも不安なものは不安だ。やっぱり訓練を……させてくれないんだろうなぁ……

 

僕が渋い顔をしていると基君が悪人を見つけたと言ってきた。僕は肩を跳ね上げて辺りを見回すが基君が言うにはもう少し遠くに魂を察知したとのことだ。

魂感知。光の反射を目がとらえ脳が処理して映像を感知するように、魂を魂で感じて魂が処理しそれ()を感知する。天性的な才能がものを言い後天的に才能が開花することはまずないと言う。

それが魂回収率100%の一端なのだろうか。いくら位置が分かると言っても戦闘には直接関係しない。どうやって武器が職人なしにそこまでの実力を付けたのだろうか。ただ授業を受けてトレーニングしていれば体力テストクラス最下位の人物がそこまでたどり着けるのだろうか。僕はどうしても、基君にえも言われぬ不気味さを感じてしまう。

 

基君に促されてたどり着いた裏路地には腕がひょろ長く、血走った眼をしたいかにもな見た目の男が居た。左腕は半ばから一本の鉤爪の義手になっている。僕が出方を伺っているとフラフラとした移動で悪人が距離を詰めてくる。とりあえずの我流で武器(基君)を構えるが不規則な移動、リーチがつかめない攻撃に翻弄され全くもって攻撃が当たらない。そうしていると悪人がケタケタと笑いうねるような突きを放ってきた。

 

とっさにそれを弾くと前方から体全体に圧力が掛かった。事前に話を聞いていたがそれでも転ばないように耐えるのが精いっぱいだった。ダメージは無いがバランスが大きく崩れてしまった。そこに僕より早く回復した悪人が先ほどの爆発でひしゃげた義手を振りかぶり迫って来る。

不味い、直撃する――

 

 

 

 

 

瞬間に基君が武器化を解いてガードしてくれた。右腕の杭は収納されており爆発は起きない。そのまま鉤爪を跳ね上げると悪人の胴体を貫き、その内部で爆発が起きた。

悪人を一瞬のうちに魂にすると基君はそのまま右腕の武器化を解き魂をつかみ取る。それを口に持っていきほぼ咀嚼無しで魂を飲み込んだ。

 

 

「帰ろうか」

 

 

バランスを取るための間抜けなポーズのまま固まっていた僕に声をかけた基君は

どこを見ているのか、分からない眼をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は死武祭当日だ。二連覇と言う俺様のBIGな偉業にオーディエンスも盛り上がること請け合いだぜ。しかしその偉業を目前にしてNOTの小物が襲ったり襲われたりする事件が起きて全力で俺様のショーを楽しめてない節がある。全く、俺様のBIGなオーラに中てられて血が騒ぐのは結構だがこの俺様のショーにケチをつけるとは不届き千万だぜ。

 

 

「でも噂だと突然人が変わったようになったり不可解な行動を取ったりしてるから洗脳なんじゃないかって話だけれど……」

 

 

「そうだったらますます不埒なヤローだぜ。自分は隠れて俺様のショーを邪魔してるワケだからな。ま、それぐらいでBIGな俺様と俺様の偉業を隠せるわけないけどな」

 

 

椿の話が本当なら犯人はとんでもない根暗ヤローだぜ。これだから小物は小物なんだ。太陽にも等しい俺様の行いを真似しろなんてムチャは言わないが俺様の偉業に泥を塗る行為は小物オブ小物だぜ。ソウル風に言うとCOOLじゃない、ってな。

 

 

「それに俺様の優勝は揺るがないぜ、ヒャッハー☆」

 

 

「今年は私たちが優勝させてもらうけどね」

 

 

「お、マカ」

「こんにちは、マカちゃん、ソウル君」

 

 

「マカから聞いたけどよ……優勝賞品死神様と会えるだけだろ?……イッキにやる気無くなったぜ」

 

 

「甘いなソウル、前回俺様が優勝したことによって死武祭優勝者というポジションは格上げされこの上ない名誉なことになってるんだぜ?」

 

 

「はいはい、でも今年は基も出場するみたいだから油断できないんじゃない?」

 

 

「モトイ?誰だっけ……」

 

 

「ブラック☆スター……ほら、クラスメイトの武器でパイルバンカーの……」

 

 

「おぉ!確かにそんな小物もいたっけかな。なんで去年参加してなかったんだ?」

 

 

「課外授業に行ってたってのもあると思うけど……パートナーが居なかったのが一番の理由じゃない?」

 

 

「ふ~ん。ま、誰が相手だろうと俺様が負けるわけねぇぜ!」

 

パイルバンカーのモトイ、たしか一人で魂50個近く集めたとか言う武器の奴だ。「基を見習って一つでも魂を回収して見ろ」って死ぬほど聞かされたから名前は憶えてる。話をしながらマカ達と出場受付をして組み合わせ発表まで待つ。

 

やがて組み合わせが発表される。マカと当たるのは……結構後だな。ん?その前に、モトイって奴と当たるな……さて、お手並み拝見ってな

 

 

 

有象無象の小物を早々に蹴散らして観戦に移る。マカは……まだやってねぇな……面白そうな試合を探していると見たことねぇ武器を付けている奴を見かけた。

 

 

「あ、 あれが基君よ、パートナーは……ペグ君かな?」

 

 

椿が言うにはあれがモトイとそのパートナーらしい。右手についてんのは……杭?

元々工事機械で基礎工事に使う杭を地面に打ち込んだり、地面を崩したり均したりするものらしい。椿が言ってた。

だけどマカが注目する割には動きが硬いな。魂の共鳴をちょくちょくしてるが防戦一方だ。完全にスピードに翻弄されてんな。レイピア職人がバックステップをし、重心を少し後ろに移動させる。……踏み込み突きが来るな。間合いを覚えられちまったみたいだが……

走りだしが分かりにくい滑るような踏み込みで突きが放たれる。白髪の職人は反応が遅れてほぼ棒立ちだったが、武器の方が早く反応し武器化を解き、突きを放った右手を左脇腹に抱え、思い切り腹に右手の杭を打ち込んだ。

 

魂の波長の爆発が起き、レイピア職人が吹っ飛ぶ。……あれはしばらく動けない。杭が胃を持ち上げるように入ったし、小物にしてはなかなかの波長だった。意識ははっきりしていても体が波長にかき乱されて言うことを聞かないだろうな。実際、何とか立ち上がろうともがいたりレイピアを杖にして立ち上がろうとしていたが、戦闘中にそれは大きすぎる隙だ。

 

上から杭と魂の波長を打ち込まれ、今度は逃げ場のない力を一身に受けレイピア職人は意識を手放した。

 

……なんだか職人よりも武器が目立つ試合だったな。

マカの危なげない試合を見終わって、またしても最短で小物を処理してからさっきの妙な試合を思い返しているとその妙な試合をした奴と見知った顔が試合しているところだった。

 

 

「おっ、オックス君じゃねーか」

 

 

やはり今回も白髪の職人は動きが鈍く攻めあぐねていた。対してオックス君も威力の高い爆発に手を焼いているみてぇだった。

……あれ触っただけで爆発すんのか。鬱陶しいな

 

オックス君が勝負を決めようと渾身の突きを放つが、たまたま当たった杭から柄を掬うように爆風を受け体勢が崩れる。そこに倒れこむように突き出された杭と爆発を胸辺りに受ける。立ち上がったオックス君は爆風で頭が揺れたようで片膝をついてしまう。

そこにまたしても職人から離れた武器が走り寄り、相方の職人とは違った腰の入った一撃を叩きこむ。オックス君は倒れまいと槍で踏ん張るがそのまま後ろに転がったほうが良かった。足が言うこと聞かなかっただけかもしれねぇけど。

肩を掴まれもう一度一撃を叩きこまれたオックス君は立ち上がることは出来なかった。

 

 

「……つーことは、次の試合はアイツとか……」

 

 

 

 

 

なんか釈然としない気持ちのまま、その気分の元凶との試合が始まった。

 

 

 

戦ってみて分かったがやはり職人の技量はそこらの小物と変わり映えしない。武器による一撃以外言うことが無さすぎる。ガードの上からでも体が揺れてるしフェイントにも釣られまくっている。

 

 

止めに俺様必殺奥義、黒星ビックウェーブを叩きこんでお終い――

 

 

 

 

「ぐっ、おおおおおお!!」

 

 

「なっ!ぐっ!」

「ブラック☆スター!」

 

 

「くぅ……って、は?」

 

 

黒星ビックウェーブを耐えられて反撃されたと思ったが最後の力を振り絞っての一撃だったみたいでそのまま爆風に倒されて気絶しちまった。小物にしてはガッツがある奴だったがこの俺様の――

 

 

「ブラック☆スター!!後ろ!!」

「おン?」

 

 

椿の声に反応して振り返ると観客の一人が俺様に殴りかかってきた。こいつも俺様のBIG過ぎるオーラに中てられちまったか?攻撃をいなしながら周りを見るとさっきまでまともだった奴も虚ろな目をして武器を構え始めた

 

 

「なんだか面倒なことになってんな」

 

 

ちらりと横目で倒れている白髪を確認すると武器の奴が抱きかかえていた。戦闘は無理そうだ。

 

 

「まったく俺様がBIG過ぎるからって寄ってたかってきてもサインはやらねぇぞ?……行くぞ椿!!」

「はい!」

 

 

「俺様を倒してぇならこの100万倍は持ってくるこったなぁ!!」

 

 

 

 

――今年の死武祭は魔女襲撃と言うアクシデントがあったが重症者は多いものの死者は教師一名の被害で収まった

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

 

 

基君とパートナーになってからと言うもののほぼ課外授業に出ずっぱりだった。今日が死武祭だということを忘れるほど忙しかった。おかげでそこそこ戦えるようにはなったと思うけれどそれほど急がないといけないことなのだろうか。もちろん無茶な戦いはしないし、体調にも気を使ってもらっている。怪我をした時には治療してもらって安静にできている。もちろん悪人をのさばらせておくのを是としているわけではない。でも……基君は、なんというか、余裕を持たないというか……

……成功する人物って皆あんな感じなのかな……

 

 

 

一回戦の相手はレイピア職人のトム君だ。他の職人と戦ってみて初めて分かったけれど……強い。それはそうだ、僕が四苦八苦して倒している悪人を同じく倒してきているんだからそりゃあ強い。お互いに殺す気はないと分かっていても足がすくむ。トム君が少し離れたと思ったらそのまま姿が大きくなったように見えた。

それが特殊な歩法による急接近だと気づいたときにはもう遅い。レイピアの切っ先が鳩尾を狙って突き出されている。あぁ……当たる――

 

 

 

 

 

しかしレイピアが僕に届くことはなかった。基君が何時しかの様に割って入って防いでくれたからだ。そのまま基君は攻撃を打ち込む。吹っ飛んだ相手を上から打ち付け追撃し、それで勝負が決まった。

 

 

「ナイスファイト、ペグ。ちょっと荷が重かったかな」

 

 

「ううん……ごめん、何もできなくて……」

 

 

「いいや、そんなことないよ。職人と武器は二人で一つ。魂の共鳴が無ければ勝てなかったよ」

 

 

「うん……有り難う……」

 

 

基君はそう言ってくれるけど……僕はただ魂の共鳴をしているだけで戦闘に何一つ貢献していない。もし基君が魂の共鳴無しで同じだけの波長が生み出せるのならもっと早く、危なげなく試合は終わっただろう。

僕は、魂の相性で選ばれたに過ぎない。もちろんそれが重要だって言うことも分かってる。でも、僕以外に、相性が良くて、戦闘経験もある人が現れたら、基君は、僕を――――

 

 

 

 

 

 

 

そんな暗いことをぐるぐる考えていたらもう二回戦になってしまった。

相手はオックス君。魔雷槍のハーバー君を使い堅実な試合運びから広範囲ガード無視の雷撃まで使う。完全に僕より格上だ。基君の言う通りガード重視で戦っているが地力の差が出ている。まずリーチの差が顕著だ。何とか爆風で牽制は出来ているけれど何回も魂の共鳴をして精神力の消耗が激しい。肩で息をして上がらなくなってきた腕を振り回して牽制する。正直に言うとあの突きに当たったのはまぐれだった。槍が跳ね上げられて鋩が鼻先を掠める。そのまま倒れ掛かるように杭を突きこんだ。

崩れ落ちそうになる膝を掴んで踏ん張ると右手に基君が居ない。首を上げると基君はオックス君に追撃している所だった。僕とは違う体重を乗せた一撃。オックス君は耐えたけれどもう一撃の前に倒れ伏した。

 

 

やっぱり僕いらないんじゃ……

いや、そんなこと考えてるんだったら強くなる方法を考える方が建設的だ。大体弱くて役立たずなのが嫌で不安なら自分でどうにかしないと駄目だ。どうしようもない共鳴率のことを悩むより経験を積めばある程度は改善が見込める戦闘力のことだから道筋が分かりやすくていいじゃないか。よし、頑張るぞ!

 

 

 

 

…………と数秒前まで思っていたが次戦の相手を見て僕は絶句した。

ブラック☆スター。世界に名をとどろかせた殺し屋の一族、星族。その生き残り。喧嘩負け無し、中にはそこらの職員よりも強いなんて話すら聞く。不安と恐怖と諦めが頭を擡げる。それらを振り払うように頭をブンブンと振る。僕が組み合わせ表の前で気合を入れていると基君が作戦を伝えてきた。

 

 

「こんなに早く当たるとはね……良いのか悪いのか……ペグ、一撃に賭けよう。ブラック☆スターの大技まで耐え続けて、その大技を喰らいながら反撃する。…………やめとこうか?」

 

 

「いや、やるよ。」

 

 

「……そう」

 

 

確かに今の僕じゃそうでもしないとブラック☆スターに攻撃をかすらせることすら出来ないかもしれない。棄権なんて悪人相手に通用するわけない。強く、なるんだ。

 

 

そんな僕の気持ちを吹き飛ばすようにブラック☆スターの攻撃は痛烈だった。一撃一撃が吹き飛ばされそうなほど重い。中務さんはまだ忍者刀の形態しかとっていないのに対処が追い付かない。心が折れそうだ。視界がだんだん狭まってくる。

 

 

「来る!」

 

 

基君の声で一気に視界が開ける。ブラック☆スターの大技。タックルに魂の波長を乗せた一撃。ただそれだけ。

しかし込められた波長が強大であれば絶大な威力を発揮することを僕は知っている。耐えられなければそのまま終わり。耐えられれば一撃だけ入る。僕は防御ではなく攻撃するための体勢を取った。

 

 

「ぐッ!」

 

 

意識が吹っ飛びそうになる。体ごと吹き飛ばされないように足を踏ん張り歯を食いしばる。胴体に大きい穴が開いたみたいだ。頭が痛みで埋め尽くされる。

 

 

「オオォオォォ!!」

 

 

体に穴が開いてないことを確かめるように腹から雄たけびを上げる。少し目を見開いたブラック☆スターにお返しと言わんばかりに胴体目掛けて武器を叩きこむ。

当たったことを確認した僕は爆風に体ごと意識を吹き飛ばされた。

 

 

 

 

目を覚ますと死武専の医務室だった。メデューサ先生によると軽い打撲と火傷、後は魂の波長を打ち込まれたことによる怪我だけだったからしばらく安静にすればいいそうだ。気分が悪くなったら呼んで、と言い残してメデューサ先生は忙しそうに医務室を後にした。

後から分かったことだがデスシティーが魔女に襲われていたそうだ。そんな時に気絶していたのが申し訳なかった。

 

 

 

早く、強くならなきゃ。躰も、精神も、魂も。早く、速く。

 

 




小説書き続けてる人凄いですね、正直舐めてました。

本当に尊敬します


スタミナ切れが早い私ですが完走目指して頑張ります。


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Part5:変化

とうとう7日理論でもカレンダー一週間理論でも言い訳出来ない遅刻を犯しました。

だらしねぇな、自分!


悔い改めて頑張ります。


着々とデスサイズに向かって行っているRTAはっじまぁるよー

 

前回ペグ君と死武祭でブラック☆スターにぶっ飛ばされた所からです。

 

 

死武祭が終わった後、一番の変化と言えばシド先生が原作開始までロストするぐらいですかね。コミュ取らないんでどうでもいいですけど。

そんなことは置いておいて魂を回収しましょう。死武祭の経験でペグ君のAIもご立派ァ!になってきました。まだまだ選択が甘い時もありますが少なくともホモ君が直接ぶん殴りに行くことは滅多に無くなるでしょう(0になるとは言っていない)と、言う訳でまたしても稼ぎを加速します。

 

死武祭が終わったということは原作開始が近いです。もう少しで99個魂が集まりそうなのでちょうどいい速度とも言えるでしょう。なんでこれほど原作前の時間が多いかと言うと本来はこんなにも課外授業を受けずにバイトやコミュなど色々なことをやる為に設定された時間であると思われます。実際私の初見プレイではデスサイズになれませんでしたし、最終決戦にも呼ばれませんでした。狂気耐性スキルを取れなくて途中でBADENDに逝った視聴者兄貴も多いのではないでしょうか

 

しかも本編と比べるとボリュームはスカスカとも言えますがちゃんとNOTのシナリオもあります。色々なイベントやサブストーリーを楽しんでもらうための時間の猶予なのでしょう。本編開始すると、まとまったゆったりした時間なんて2、3回あるかどうかです。この時間でフラグを立てて原作開始後に必要能力値を満たしてイベントを起こすか

二週目能力値引継ぎで殺伐スローライフを過ごす、と言った感じが本来の原作開始前のこの空いた時間の使い方なのでしょう。実際原作絡まなくても学園モノとして面白いです。ボリューム少な目ですがそれは的外れな意見でしょう。

 

さて、もうかなりペグ君も戦闘に慣れ、一端の職人と言ってもいいでしょう。変形攻撃も使い、体術や回避などの精度も上がっています。これにより魂の回収効率も上がり順風満帆――

 

 

【「ねぇ、ちょっといい?」】

 

 

何だお前!?(驚愕)

 

 

【「私はジャクリーン・オー・ランタン・デュプレ……直接話すのは初めてだったよね?」】

 

 

名前長いんじゃい!はい、見ての通り魔角灯のジャクリーン姉貴です。キム・ディール姉貴とコンビを組んで……今もう組んでたっけ?忘れました。多分シド先生死んだから組んでるでしょう。おそらく。

コミュなんか取ってないのにいきなりイベント挟んでくるってことは……イヤ、ちょっと待ってください、これもしかして……もしかするかもしれませんよ?(ONDISK)

 

 

【「武器のみでもある程度戦えるようになりたいんだけど……時間があったら一緒に特訓とか……お願いできないかな?」】

 

 

やっぱりな♂

このゲームでは仲のいいキャラや武器属性が似ているキャラから特訓を申し込まれることがあります。ホモ君は自分からコミュなんてしていないので自ずと武器属性が似たキャラから特訓を申し込まれます。

ホモ君はパイルバンカーで刺突、打撃、爆発、片手、変形属性を持っています。対してジャクリーン姉貴はランタンで打撃、鎖、炎、爆発、両手、変形属性を持っています。原作キャラの中ではポット・オブ・ファイアに並んで重複属性があるので割と特訓を持ちかけられます。体感8割ぐらいはこのイベントが発生します。ですがこんなに早いのは珍しいですね。記憶にある限り数回しかありません。

貰える経験値がうまあじなだけでなくスキルが付く可能性が非常に高いイベントでもあります。自由時間が潰れますが元々トレーニングしかしてなかったので効率が良くなるだけです。ぜひ受けたい所ですが……武器のみ特訓ですか……これは一人で稼いでいた時間の方が長いからですね。ここはキーワードでキム姉貴を選択して了承を選びパートナー合同訓練にして……

 

 

 

ア!(スタッカート)

イベント発生するの早すぎてキムの名前がキーワードに登録されてないやん!なんでそんなに早く来るんですか!?ペグ君にスキル付けたいから特訓したいの!

キーワードの人物名欄ねっとり三回も見直しても無いものは無いんだよ!!

ですがリカバリ案があります。ここは自分のパートナーのペグ君の名前を出して……

 

 

 

だから無ぇっつってんだルルォ!?コイツ検索機能まで使い始めましたよ。やっぱガバなんすねぇ~

ほら、キム・ディール検索結果0件。これで登録されてないってことが分かり……

 

 

 

 

本名でも無ぇもんは無ぇんだよ!!キミアール・ディール検索結果0件!!これで分ったでしょ!?だから早くペグ君の名前を……

 

 

 

 

 

 

 

ウッソだろお前wwwキーワード設定無しで受けやがったwww

 

言い訳させてもらうとこの時私は「あーそっかキムと会ったことないんだったなー訓練後の会話イベントで聞き出してから誘ってパートナー合同訓練にすればいいや」と思っていました。これで聞き出すのが遅れれば遅れるほどペグ君の成長が遅くなりスキル抽選も遅れます。でも会話イベントの時にペグ君の名前出せばキムの名前も出るだろうし一回ぐらい誤差だよ誤差!

 

 

 

 

特訓は戦闘後に会話イベントが起こる感じで進んでいきます。なお完走するとアイテムとか場合によっちゃスキルを習得したりします。

でもスキルは好感度なんかが高くないと確率も低いので今回は基本的に経験値目当てですね。もらえる経験値は基本値に加え時間で加算されていきますがRTAで経験値欲しさにそんなロス行動はしません。負けても問題ないですがジャクリーン姉貴のAIを考えると勝った方が早いです。

弱コンボしてダウンしたら追撃、これを繰り返して終わりです。

……一方的に転がされただけだと思うんですけどこれで訓練になるんですかね?(素朴な疑問)

 

 

 

【「やっぱり強いわね。全然歯が立たなかった……」】

 

 

 

戦闘が終わったら会話イベントです。ここですかさずペグ君の名前を出し特訓への参加を頼み込みましょう。

私は「あ、ここでペグ君の名前出したら追加出来るんじゃね?咄嗟のリカバリーうますぎィ!!」とか思ってドヤ顔ましたがそれは頼まれた時に思いついてほしかったです。編集の時ドヤってやろうと動画確認したらただのガバでした。俺もお前の立場だったら死ぬほど恥ずかしいわ(同一人物)

 

【『>・褒める:〔ペグ・ユークバンク・ルーク〕』】

 

 

【「ありがとう……確か、あなたも最近コンビを組んだのよね?」】

【「私も最近コンビを組めて……キムって言うんだけど……――噂とか聞いてる?」】

 

 

はい、キム姉貴の名前をキーワード登録出来ました。これで今回駄目でもストーカーばりに毎回キムの名前出しときゃペグ君も来れるでしょう。たぶん。

この噂って言うのは金にがめつくそこらの人からカツアゲしたりだまし取ったりしてる事でしょう。ホモ君は雑談なんかしてませんし休日もトレーニングに費やしているためそんな情報なんて入って来ません。正直に知らんな。と言ってあげましょう。

 

 

【『>否定』】

 

 

【「そう……あのね、キムは、皆と自分から距離を置こうとして周りに強く当たってるけど本当は優しい子なの」】

 

 

自分から言うのか……(困惑)

 

 

【「だから……キムに何か言われても、嫌いにならないであげて欲しいの」】

【「勝手なこと言ってるのは分かっているんだけど……」】

 

 

あ、いっすよ(快諾)全然全然、何なら一緒に特訓しましょうよ。ペグ君も呼んでさ、仲いい人は多い方がいいでしょ(建前)だからスキルと経験値下さい(本音)

 

 

【『>・特訓について:〔キム・ディール〕』】

 

【「え?キムを特訓に?……聞いてみるけど期待はしないでね?」】

 

 

オッスお願いしま~す。そんなこと言ってますが受けてくれます。状態が敵対になっていなければ基本大丈夫です。話は以上なんで帰ってトレーニングしてプロテイン飲んで寝ましょう。

 

 

 

 

オッハー!(激寒)今日も授業受けて特訓ですが今日からペグ君を連れていけます。キムが来なくてもその場にいるので経験値はともかくスキル習得の抽選はされます。

おう、あく行くぞ。(待ち合わせ場所に)着くゥ~(キムが)居ますねぇ!居ます居ます。どう?(訓練に)出そう?

 

 

【「キム・ディール。本来なら拘束代もらうところだけど……そっちの授業料とチャラってことで」】

 

 

美少女といちゃつけるなら金払ってもいいんだよなぁ……(ノンケ並感)まぁ(どうでも)いいです。ほらペグ君も挨拶しなさい

 

 

【『>・友好:〔ペグ・ユークバンク・ルーク〕』】

 

 

【「よろしく、キム……さん。僕はペグ・ユークバンク・ルークです」】

 

 

【「ん、じゃ まぁ適当にやるか」】

 

 

 

キム&ジャクリーンペアと戦闘です。オッスお願いしま~す。

ペグ君も強くなってきましたし(敵じゃ)ないです。空飛ばれなきゃね。一番の遅延行動なのでお祈りしときましょう。空の王者(笑)ほど頻繁ではないのでそこは有情です。カウンター当てれば大ダウン取れるのもうまあじです。ペグ君がんばえ~

 

 

 

終わりましたね。思い切り爆発してた気がするんですけどそれは大丈夫なんですかね……?

 

 

【「有り難う、有意義な時間だったわ」】

 

 

ほんとぉ?(猜疑)

複数人での訓練だとランダムで会話イベントキャラが決まります。前回に引き続きジャクリーン姉貴とでした。パパっと当たり障りのない選択肢選んで、終わりっ!これ以降特訓がルーチンに加わるだけなんで加速します。

 

 

 

魂の回収個数も順調でパートナーAIの学習も変な癖が付かずにすくすく育ってくれています。早いうちから特訓イベントが来たのがどう響くかですね。

特訓イベントはそのキャラのレベルに応じて経験値がもらえるのでレベルが低い序盤ですともらえる経験値が低いです。しかし主人公だけでなく相手側にも経験値が入るので効率が悪いということはありません。

ただ言い換えれば終盤でも変わらない効率で稼ぎが行えるということですので時間単位での経験値で見ると終盤で発生したほうがうまテイストがあると言えるでしょう。

 

 

【「ねぇ、ちょっといい?」】

 

 

何だお前!?(2回目)

 

 

【「あの……この後なんだけど……時間あるかな?」】

 

 

あっ(察し)ふーん。これは……コミュイベントじゃな?

 

特訓後会話イベントが挟まり、さらにその後コミュに誘われることがあります。これについていくと好感度上昇やスキルの抽選が再度行われます。普通プレイでは発生すれば発生するほどおいしいイベントですが大体しょうもない会話と長ったらしいサブイベが始まるのでRTAではそこまでうまウェイがないです。さらにここでホモ君が行かないことによってペグ君にスキルの抽選を回すことが出来ます。

 

プレイヤーの意志でスキルを獲得できるホモ君と違いペグ君が狂気耐性スキルを獲得できるかどうかは完全に運なのでここで断ることによってペグ君にスキル抽選を譲渡しましょう。

 

 

【『>・断る』】

 

 

【「あ……そう、なんだ」】

 

 

【『気まずい空気が流れた……』】

 

 

好感度が下がるけど訓練イベントで上がってるから誤差だよ誤差!

と言う訳で何か変化があるまで加速。

 

 

 

 

 

 

 

【「ねぇ、ちょっとツラ貸しな」】

 

 

何だお前!?(天丼)

別にイベント挟まるのはペグ君がスキル獲得できる確率上がるんで良いんですが……あれから全部ジャクリーン姉貴からコミュに誘われています。えぇ……(困惑)こんなところで運使わなくていいから……(不安)

今回は初めてキム姉貴に誘われました。訓練イベで友好度上がったんですかね?でも断ります。オックス君と乳繰り合ってなさい。

 

 

【『>・断る』】

 

 

【「……そうかよ」】

 

 

ん?友好度低下のテキストが出ませんでしたね。まま、ええわ。多分小数点以下で下がったんでしょう。じゃ加速。

 

毎度イベントが起こる以外順調なのでそのまま何事もなく進んでくれ――

 

 

【「あのさ、この後時間あるかな?」】

 

 

――ませんでした。今度はペグ君にまで誘われました。ちょっとカーソルが彷徨ったのは受けた方がスキル付くのかほっといた方がスキル付くのか判断が付かなかったからです。

今回は断りましたが調べたところどちらでもいいみたいです。RTAでは断る一択でいいでしょう。チャートにちゃーんと書いておきましょうね。

 

 

【『>・断る』】

 

 

【「…………」】

 

 

【『悲痛な表情にさせてしまった……』】

 

 

 

ん?嘘、そんなに下がる?あれ?もしかして……(悪寒)

 

 

 

【「僕は……分からないよ」】

【「基が何を考えてるのか!何を思っているのか!何がしたいの!?分からないよ!!」】

 

 

【『走り去ってしまった……』】

【『パートナーとの間に亀裂を感じる……』】

 

【『パートナーとの魂の波長がズレてしまった!』】

 

 

 

 

 

 

あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"(バチバチマン)

あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"(サンダー)

 

ヌゥン!ヘッ!ヘッ!

ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛

ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!

ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!!!

フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!!!

フ ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥン!!!!(目力先輩)

 

 

 

 

 

クゥーン……(瀕死)

 

来てしまいました。波長ズレイベント。

このイベントはパートナーの好感度、友好度、信用値が下がる際にランダムで発生し、その下がり幅大きくなり、波長がズレます。以降職人は武器を装備できなくなります。

パワプ〇のトラックイベントみたいなもんです。しかしトラックと違いこちらのイベントに回避方法はありません。その代わりですがズレを治せると共鳴率がアップします。治し方はこれまたランダムでパートナーとコミュを取り続けるしかありません。RTAでこうなってしまったらリセ案件でしょう。

 

 

一応コミュ強化スキルが付いていれば治る確率も上がるのですが……今駄目元でスキル欄を確認しています。

 

 

 

【『【魂感知】lv2・【ポーカーフェイス】lv1』】

 

 

 

【ポーカーフェイス】が追加されています。断り続けた時についてたんですかね?……イヤ、ちょっと待ってください、これもしかして……もしかするかもしれませんよ?(ONDISK)

 

【ポーカーフェイス】のレベルを上げ、【鉄仮面】に進化させます。さらに【禅】、【精神鑑定】、【役者】のスキルを取ります。今までの成長点が溶けますが取ります。

さらに精神のステータスを一定まで上げると……

 

 

 

【『条件を満たしたため【鉄仮面】、【禅】、【精神鑑定】、【役者】のスキルが融合し【ペルソナ】に変化した!』】

 

 

やったぜ。成長点が足りてよかったです。【ポーカーフェイス】が自前で付いてなかったら足りませんでした。

スキル【ペルソナ】は別に守護霊みたいなのを出せるスキルじゃありません。

 

このスキルを持つキャラは精神に大きな成長ボーナスが付き、また、対人コミュニケートに大幅なボーナスを付与します。さらに、精神に関与するスキルに耐性をつけます。この効果は精神が高いほど強力になります。

そう、つまりこのスキルは狂気耐性スキルであり、今欲しいコミュボーナス付きのスキルなのです!

 

 

 

 

 

糞みたいに成長点使う割に戦闘でほぼ役に立たないしコミュなんてRTAではやらないからほぼゴミスキルですねクォレハ……

 

 

 

ズレを治せれば確実に1%は共鳴率が上がるのでダメージ完全無効が手に入ります。火力スキルの代わりは手数でどうにかすることにしましょう。終盤になればスキル付けられるかもしれませんが一番火力に不安があるのが魔女戦なのでそこまでやって駄目だったらリセを考えていました。

 

 

それは置いておいてペグ君にコミュ取りにイクゾー(デッデッデデデデ カーン)

 

 

許してくれよな~頼むよ~

 

【『>・謝罪』】

 

 

【「僕も言い過ぎたとは思ってるけど、基君も……」】

 

 

おっそうだな。本当に申し訳ない(メタルマン感)

 

 

【『>・謝罪』】

 

 

【「…………」】

 

 

許してくれるまで毎日付きまとうからな~?(犯行予告)

 

 

 

【「ごめん……僕、強く、なるよ」】

 

 

【『パートナーの覚悟が伝わってくる……』】

【『魂の波長のズレが解消された!』】

 

 

やったぜ。ペグ君マジもうヤダ最高かわいい……(バババババ)

まさか一回のコミュで成功するとは……やられてしまいました。まさかこんな(ペルソナの有用性)感じるとは思わなかったんでね……ステータスを確認すると共鳴率が95%になっています。1%だけか……まま、ええわ。ダメージ無効には届いてるんで。

 

早速キム姉貴達で試し斬り……試し撃ち?試し打ち?しましょう。

 

 

 

 

Foo↑気持ちイィ~これサイッキョ

もはやホモ君とペグ君は理不尽を押し付ける存在になってしまった……

反動ダメージ完全無効は火力スキル。はっきり分かんだね。でも遠距離だけは勘弁な!

 

 

 

 

このまま魔女討伐まで突っ走ってイキま

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

 

 

私は大切な秘密を持っている。

 

 

それは私のパートナー、キミアール・ディールが魔女だということ。

 

素行の悪さから来る”女子寮の魔女”と言った蔑称ではなく本物の、死武専と対立している、魔法が使える”魔女”だ。

私はキムの力になりたい。自分の魔法が再生魔法であり、魔女の本能”破壊の導き”を至上とする魔女界になじめず人間界にも魔女と言う肩書が邪魔をして他者との繋がりを持とうとしていない。

その末に金銭を重視して心の安定を取っている。私は偶然怪我をした野良犬に魔法を使っている所を目撃してしまった。他者と繋がることでばれた時に親しい人にも拒絶されるのが怖くて、それと同じぐらい繋がりを持った人が疎まれるのを恐れている。

本当は優しい子。それが私のパートナー。だから私はどんなことがあってもキムの味方でいて、守りたい。

 

 

だからもしキムが傷つき倒れても私一人である程度戦えるようになりたかった。

しかし武器のみでの戦闘を得意としている人物なんて居なかった。史上最年少13歳でデスサイズになったヨーロッパ地区担当のジャスティン・ロウが唯一として該当している。

 

最近台頭してきた北条 基が現れるまでは。

彼は入学時の体力テストでほぼすべての項目で最下位を叩き出したにもかかわらず短期間で50に迫るほどの魂を回収している。それも、自身(武器)のみで。

角灯の私は同じ戦闘スタイルの武器が居ない。だから少しだけ特性が似ている彼から何か得るものが無いかと駄目元で彼の元へ向かった。

 

 

「うん、良いよ」

 

 

拍子抜けするほどあっさり通ってしまった

もっとこう……他人とつるまないで一人で過ごしてるから断られるかと思ったけど簡単に特訓の約束を取り付けられた。

 

 

 

 

後日約束した場所に向かうと彼はもう着いていてアップをしている所だった。遅れたことを謝り、私も準備運動をする。

まず実力を知るということで武器化有りの組手を行った。

 

 

強い。この一言に尽きる。もちろんブラック☆スターのような規格外の強さではないものの派手さは無いが彼の強さは堅実だ。

爆発と言う大技を振り回すのではなく、置く、いや押し付けると言った方が正しいか。なんというか、圧力が凄まじい。

ブラック☆スターの強さは津波に巻き込まれるような、巨大な鉄球に吹き飛ばされるようなイメージだが、基の強さは巨大な手にそっ、と囲い込まれて完全に退路を断たれた瞬間握り潰されるような感覚だ。

 

私は何度も地面に転がった。そのたびに手痛い追撃を受ける。

反撃も無い、回避も無い、妨害も無い状態にし、強烈な追撃を放つ。効率的な作業(・・)だった。そう、戦闘にすらなっていない。しかし基は私を転がすだけでなくちゃんと指摘もしてくれた。

 

 

「ガードで受け止めきれないなら力に抗わず円を描いて逸らすように力を逃がすと良いよ」

「体勢が崩れてしまったら思い切って崩れた方向に飛んじゃうのも良いんじゃないかな」

「その場で立ち上がろうとするんじゃなくて回避しながら体勢を立て直すか転がって距離を取ってから立ち上がったほうがいいと思うよ」

 

 

その都度アドバイスしてくれているけどさすがに一回の特訓ではまるで習得出来なかった。

体勢が崩れても多少上手に転がれるぐらいだった。逃げ(転がっ)た先で潰されるけど。

 

 

「やっぱり強いわね。全然歯が立たなかった……」

 

 

「そんなことないよ。ちょっとアドバイスしただけなのに、すぐに意識して動けていたし……僕のパートナーぐらい呑み込みが早いんじゃないかな。あ、因みにペグって名前だよ」

 

 

さすがに職人並はお世辞が過ぎる。でも、さっきまでの醜態をフォローしてくれるのはうれしく思う

 

「ありがとう……確か、あなたも最近コンビを組んだのよね?私も最近コンビを組めて……キムって言うんだけど……――噂とか聞いてる?」

 

 

「いや……特には」

 

 

基の反応を見る限り本当に知ら無い様だ。あまり噂話とかしないのだろうか。

 

「そう……あのね、キムは、皆と自分から距離を置こうとして周りに強く当たってるけど本当は優しい子なの」

 

基は黙って真剣な眼をして聞いてくれている。

 

「だから……キムに何か言われても、嫌いにならないであげて欲しいの。勝手なこと言ってるのは分かっているんだけど……」

 

 

「うん、人間いろんなものを抱えているからね、しょうがないね……」

 

 

そう言う基はどこか遠い目をしていた。眉尻を下げてふと笑った彼は

 

 

「そうだ、そのキムさんも一緒に特訓してみたらどうかな?武器が戦闘できるようになるとそれまでの反応が違ってきてしまうから調整のために職人に使ってもらうのがいいよ」

 

 

「え?キムを特訓に?」

 

確かに武器は職人をサポートするために細かい体重移動や自身の重心などコントロールして一緒に戦う。特訓によって酷いズレが起きてしまっては本末転倒だろう。

だけど……キムが呼んでくるかはちょっと……分からなかった。

 

「聞いてみるけど期待はしないでね?」

 

 

「うん、お願い。パートナーを守るために自分一人でも戦えるようになりたい、って……ジャクリーンさんってキムさんのことが好きなのか」

 

 

「なっ!!」

 

基の爆弾発言に心臓が飛び跳ね顔が真っ赤になる。火が出そうなぐらい体が熱くなり(……多分出てたと思う)、思考が上滑りする。

 

「いっいやパートナーを組んだのはほっとけないと思ったと言うか何か気になったというかいや気になったっていうのも容姿とかそう言うんじゃなくて何と言うかそのあれであのそう魂が反応したって言うかなんというかとにかくそういう意味は無くって――」

 

ワタワタと腕を振りながら支離滅裂な言い訳……とも言えないような戯言をまくしたててしまった。

 

 

「い、いやLoveじゃなくてLikeと言うか、友愛みたいなニュアンスで……」

 

 

「そ、そう!そういうニュアンスで……」

 

 

「うん……じゃあその、特訓の件、キムさんに宜しく。」

 

 

「わ、分かったわ」

 

なんとも締まらない別れ方だったけど寮に戻ってからちゃんと忘れずにキムを誘った。理由もちゃんと筋が通ってたことだし、うん。

 

断られるかと思ったけれどキムは特訓に乗ってきた。

理由は――

 

 

「なんか色々噂立ってるけど、死神の弔砲なんて御大層な名前で呼ばれてるんだから実力はあるでしょ。それから技術とか戦術とか盗めれば御の字でしょ。もちろん無料(タダ)で」

 

 

死武専生なのだからと言う至極真っ当な意見が帰ってきた。……基とそのパートナーを金蔓にしないといいけれど……

明日が少し不安になってきた。

 

 

 

 

「キム・ディール。本来なら拘束代もらうところだけど……そっちの授業料とチャラってことで」

 

 

ほら開口一番こんなことを言う。実力から見てこっちが協力を乞う立場なのに……

 

 

「よろしくキムさん。で、こっちが僕のパートナーの……」

 

 

事前に話をしていた為か基は苦笑いしながらも大人な対応をしてくれた。

隣の気弱そうなパートナーは大丈夫かしら……

 

 

「よろしく、キム、さん。僕はペグ・ユークバンク・ルークです」

 

 

ちょっと気圧されているけれども怯えの表情は無い。まあ死武専生でEATあるならばこれくらいどうってことないか

 

 

「ん、じゃ まぁ適当にやるか」

 

 

キムの一声で訓練が始まった。

 

しかし基達を甘く見ていたとしか言いようがない内容だった。魂の共鳴から引き起される爆発は先日と比べ物にならないほどの威力で、自分のパートナーにもダメージを及ぼすほどだ。

空に逃れようとしてもどうしても安定するのに時間がかかる為その隙を狩られる。運よく飛びたてたとしても遠距離攻撃の無い武器同士どうしても接近しなくてはならない。すれ違いざまに攻撃を放っても逆に爆発により体勢を崩され叩き落される。

 

地上戦でも爆発が攻撃にも防御にもなっていて手が出ない。こっちは魂の波長を炎に変え噴出する為タイミング調整出来る代わりに爆発が起きるまでに目視、指令、発動、とタイムラグがある。基達はあらかじめ魂の波長を杭に閉じ込めて衝撃があった場合に爆発するのがデフォルト。そういう武器だ。その武器の性質の差が出てくる。

 

只ガードするだけで相手の武器を弾き体勢を崩す。かすっただけでも爆発が起きればダメージは必至。かと言ってカウンターを狙うにもそもそもの技量が高くこちらが隙を見せるまで堅実な動きを見せる。

 

結局その日は私たちが勝利することはなかった。

 

その後また武器のみの戦い方を教えてもらってから解散になった。別れるとき次の日にダメージが残らない手当の方法を教えてもらえて良かった……

 

 

 

そして何日か経ったある日――

 

 

「え?あんた実戦以外したことなかったの?」

 

 

「うん……僕ずっと訓練認めてくれないから基は実戦で鍛えるタイプだと思ってたから意外だったな……」

 

 

きっかけは何気ない会話からだった。

 

 

「そうなんだ……話したらずいぶんあっさり引き受けてくれたけど……」

 

 

「え、なにそれ。パートナーよりよその、しかも武器の方を贔屓したの?」

 

 

「キム、そんな言い方……」

 

ちょっとデリカシーが無いわね。なにか、理由があるはず……

 

 

「だって武器優先して、パートナーも呼ぶ理由がこっちの都合なんでしょ?何考えてるか分かんじゃん」

 

 

「…………」

 

 

あああ、ペグが俯いちゃった。

 

「だ、大丈夫。そ……それとなく聞き出してみるから!」

 

 

「なんであんたが張り切ってるのさ」

 

 

元はと言えば私達が原因みたいなものだからでしょ!

解決料だの仲介手数料だの言っているキムは放っておいて入念にクールダウンしている基に近寄り話しかける。ペグも居るし場所を移した方がいいのかな?

 

 

「ねぇ、ちょっといい?あの……この後なんだけど……時間あるかな?」

「ごめん無い」

 

 

0.5秒もかからずに断られた。

 

「あ……そう、なんだ」

 

 

「……お疲れ様。それじゃ。」

 

 

基はそれきり無表情になったまま別れの言葉を告げ、踵を返してデスシティーに降りていく。

普段の態度とは全然違った……やっぱり、何か言えない事情が……?

 

それから私は訓練が終わるたびに話しかけるけれど、結果は芳しくなかった。

そんなある日

 

 

「ちょっと考えがあるから私に任せてみな」

 

 

「大丈夫?無駄に煽らないようにね?」

 

そう言って基に話しに行った。

キムは何やら自信満々だが何をするつもりだろう?こっそりついて行って物陰で聞き耳を立てる。

 

 

「ねぇ、ちょっとツラ貸しな」

「ごめん忙しい」

 

 

またしても取り付く島もない。キムが噴火しないといいけれど……

 

 

「……そうかよ」

 

 

 

 

私の心配を裏切りキムはそれほど気にしていない様だった。キムはこちらを見つけて寄ってくると肩を組んで顔を近づけてきた。

え、ちょっとまって近い近い近い近――

 

 

「アイツ追うぞ」

 

 

「へぅ」

 

耳元で囁かれて変な声が出てしまった。

 

 

「だ、か、ら、尾行よび、こ、う」

 

 

解放されて冷静さを取り戻し先ほど言われた言葉を咀嚼する。

 

「すぐに帰る理由を探そうって言うの?」

 

 

「そういうこと。さ、行くよ」

 

 

そう言ってキムはズンズンと文字が見えそうな歩き方で行ってしまった。私も慌てて後に続く。

基がデスシティーに降りて行って寄り道をせず一直線に向かったのは――

 

 

「下宿?」

 

 

「みたいね……」

 

そこは学生向けに出されている下宿の一つだった。基はその中に入ったっきり出てこない。日が落ちるぐらいまで待っても一向に出てくる気配は無い。

確認のため表札を確認してみると確かにその下宿の一室に基の名前があった。大家さんに話を聞くと連日早く帰り外に出ているのを見るのは滅多にないとか。

 

 

「あいつ自宅に籠って何やってんだ……?」

 

 

「さぁ……?」

 

私にはその問いに応じる答えは持っていなかった

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

 

 

 

「っつー訳で早く自宅に帰ってはそれきりらしいけど」

 

 

「……用は何も分かっていないけれど、これ以上踏み込むのはパートナー間の問題かな、って……」

 

 

僕はその報告を聞いて困惑していた。ちなみに僕のパートナーの身辺調査の報告してくれたのはクラスメイトのキム・ディールさんとジャクリーン・オー・ランタン・デュプレさんだ。二人には特訓に付き合ってもらっている……のは立場が逆だ。でも、全員が基君に付き合ってもらっている、と言う表現が一番正しいかもしれない。

 

どうしてそうなったかを整理すると

まず僕のパートナーは訓練よりも実戦派で課外授業を通して自分を鍛えることを念頭に置いている――と、思っていた。が、ジャクリーンさんが訓練に誘ったところ二つ返事で承諾。その後二人のパートナーも呼んでの特訓となった。

僕の意見は聞き入れてもらえなかったが、こう言っては何だが、部外者の、ジャクリーンさんの意見を聞き入れる理由が分からなかった。

それでいて、ジャクリーンさんの意見を聞き入れた、のにも拘らず特訓後の誘いはすべて断っている。そして下宿に直帰してそのまま閉じこもったままだという。

 

僕はパートナーの行動原理が分からず混乱していた。

 

 

「ま、後は本人に問い詰めるしかないでしょ。これ以上部外者が嗅ぎまわるのも無理があると思うね」

 

 

「自分から言っておいてなんだけど、ごめんね?大した力になれなくて」

 

 

「ううん、有り難う。……ちょっと話し合ってみるよ」

 

思えばきちんと基と話し合ったことはなかった気がする。好きな料理とか、得意な科目さえも。きちんと話し合って、何を考えて、何を思っているのか。きちんと理解したい。

 

そう決意し基君に話しかける。

 

「あのさ、この後時間あるかな?」

 

 

「あー……ごめん、ちょっと難しい」

 

 

 

眼を伏せてぞんざいに答えた基君を見て一気に頭に血が上ってしまう。

何が難しいのだろうか、下宿に戻って部屋に閉じこもることがそんなに忙しいのか、パートナーにすら言えないことなのか、何を考えているのか分からない。僕に教えてよ。

 

 

「僕は……分からないよ……基が何を考えてるのか!何を思っているのか!何がしたいの!?分からないよ!!」

 

 

そう叫び自分が借りているマンションに駆け出す。しばらく顔を合わせたくなかった。おそらく基君は住所を知らないだろう。僕も基の住所を知らないのだから。

 

 

 

マンションの玄関を乱暴に開け放つとそのままシャワーも浴びずにベッドに突っ伏した。自分の中に渦巻く黒い感情に耐えるように手を握りしめ、歯を食いしばり、枕を濡らした。

 

気が付くと開けっぱなしのカーテンから朝日が差し込んでいた。そのまま眠ってしまったようだ。

シャワーを浴びて登校の準備をする。かなり早い時間だが、登校中に基と顔を合わせたくなかった。

 

 

死武専に着いてすぐ座学の用意をする。パートナー申請はしてしまったので基とは座学の席も隣だ。ペントレーと小物で長机に境界線を作り教科書を立ててそこに顔を隠す。我ながら子供みたいだけどそこまでして基の顔を見たくなかった。案の定基は早くに登校してきた。

 

話しかけてきたけれど机に突っ伏して会話を拒否する。何度か話しかけてきたけれどしばらくしたら諦めたようで静かになった。

暫くして教科書の壁を越えて手紙が投げ入れられた。そこには

 

『謝りたい。放課後△■教室に来て欲しい』

 

とだけ書いてあった。自分は人の話を聞かないのに自分の時だけはそう言うのか。

しかしいつまでも無視するわけにはいかないことは分かっていたので聞こえるように握りつぶしながらポケットに入れることで肯定を示した。

 

 

 

 

放課後。指定された空き教室に行く。

 

基はもうすでに教室に居た。顔を見ないように足元を見ながら要件を促す。

 

 

「まずは、済まない。ルークの気持ちも考えずに行動を起こしてしまって……」

 

 

ファミリーネームで呼ばれてしまった。別にそこまで怒ってはいないけれど……

いやいや、そもそも基君の態度が……

 

「僕も言い過ぎたとは思ってるけど、基君も……」

 

そう言ってちゃんと話を聞いてもらおうと目を合わせて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶句した

 

 

 

 

 

 

 

誰だ?この人は?

 

この顔が見えないものは何だ?

 

 

「本当に申し訳ない。言い訳になってしまうが――――」

 

 

この基君の声で空回りする言葉を紡いでるのは誰だ?

 

僕は目の前の人物の声が頭に入ってこなかった。

分かっている。分かってるんだ。この目の前の人物は基君だ。何故こんなことになっている?分かっている。僕が基に我が儘を……そうなることを()()()からだ。

基君にこうなって欲しい、って。だから凄く申し訳なさそうな(演技を張り付けた)表情をしているし、僕の事を考えて心から謝って(望まれた言葉をただ紡いで)いる。

 

最初から”こう”だったのだろうか?それに今さら僕が気付いただけなのだろうか?心が込められた非常に完璧な謝罪(基君の本心ではない僕が望んだ言葉)を受けながら思い返す。

いや、違う。少なくとも出会った当初はもうちょっと基君の”本心”に則った言動をしていた、と思う。

僕が、そう僕が彼の心を閉ざさせてしまったのだ。何かに追われているような急ぎ方も、不可解な行動も彼にとっては触れられたくない重大な理由だったのだろう。

 

 

 

僕は分からない分からないと騒ぐだけで、いや、実際今まで言ってすらいなかった。昨日ようやく話そうとしただけだ。基君と向き合おうとすらしていない。あれが基君の”普通”だったのかもしれないのに、周りと違うから理由を話してくれるだろうと勝手に決めつけていた。

 

基君が自分のことを話さず僕が基君のことを知らないように、僕も自分の話をしていない。家族がコンプレックスで死武専に逃げてきた、なんて僕も話したくは無かった。だから話していない。聞かれたら適当にはぐらかして追及を逃れる。

 

 

今の基君も同じではないだろうか。拒絶の仕方が尋常ではないけれどそれほど触れられたくない部分なのだろう。第一基君は傍若無人な訳ではない。怪我をしたままでも戦えなんて言わないし、他の生徒にノートを貸している所も見たことがある。

死武専の生徒の義務はただ一つ。デスサイズを作ること。基君はそれに向かい最短距離で進んでいただけ。ストイックとも言えるだろう。

 

急ぐ”理由”を知らないだけで、”目的”はしっかりと行動から理解することが出来ただろう。その”理由”が人に話したくないことならば。パートナーの僕は基君を信じるのが道理だろう。

基君は強い。いや、強くなった。成長率を見れば他に類を見ない。その心境は誰にも分からないだろう。何を考えているのか、何を思っているのか。そのすべてではないにしろ、ともに歩むことで、これから、少しづつでも知っていけばいい。

 

その為には――

 

 

「ごめん……僕、強く、なるよ」

 

 

 

まだまだ全然実力が足りない。僕はまだ体術ですら基君に劣っている。まだ基君と同じ目線にすら立てていない。また同じように基君が孤立してしまうことがあるかもしれない。今回は只僕が騒いだだけだけど……

これからは、何があっても、僕は、僕のパートナーを信じよう。強く、なるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから多少雑談して、いつものジャクリーンさん達との特訓に向かった。

その間、基君の違和感は無くなる事はなかった。

 

 

 

 

特訓中、ある変化に気づいた。基君の魂の波長の爆発が起きても痛みを感じなくなっていたのだ。まるでそよ風でも吹いているようだった。

恐らく、基君が自分を殺した影響だとは思うけれど、僕の気持ちが少しでも伝わった結果だと良いな、と思った。

 

訓練後にキムさんたちが話しかけてきた。どうやら心配させてしまったようだ。

 

 

「急に叫んだときはどうなることかと思ったけど、大した問題じゃなくてよかったよ」

 

 

「そうね、動きもさらに良くなってるし……仲直りした、ってことでいいのかしら?」

 

 

キムさん達は基君の違和感に気づいていないのだろうか

 

「うん、ごめんね。心配かけて……それで、何か基に違和感、とか感じないかな?」

 

 

「んー?そういや私達にも謝りに来たな。理由は言えないみたいなこと言ってたけど……」

 

 

「ええ、特におかしなとことは無かったと思うけれど……」

 

 

「そう、有り難う……」

 

 

 

 

 

”アレ”は何なのだろう……心配になると同時に、気づけたのが僕だけだという事実が、少し浮ついた気持ちにさせる。

……ちょっと不謹慎すぎる。

僕はかぶりを振ってまた決意を固めるのだった。

 

 

 




ちょっと校正が甘いのでもしかしたら大幅な修正があるかもしれません

あった場合追記しておきます。


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Part6:デスサイズ

短め


ちょっとなんか違和感がありますが原因が分からないのでそのまま投稿します。


原作が始まっていくRTAはっじまぁるよー

 

前回波長ズレを治してペグ君が反動ダメージ無効を手に入れた所からです。

 

 

早速で申し訳ないですが魂稼ぎを加速しています。その間に魔女について、お話しします。

 

このゲームでは魂を99個集めると魔女の討伐を任命されます。魔女は汎用魔女の他に武器の種類によって限定の魔女が出ます。パイルバンカーの場合はモズの魔女ですね。

 

汎用魔女は色々居ますが……パイルバンカーと相性が良いのはシャコとキツツキとカメレオンです。シャコは溜め突き攻撃が非常に強化されます。当たればあの鬼神に大ダメージを通せるほどです。ですが他の特殊能力は一切ありません。

 

キツツキは同じく突き攻撃にボーナスが付きます。が、全ての突き行動に付く代わりに効果が薄いです。しかし特殊能力が強力で突き攻撃にガードブレイク効果が付与されます。

 

カメレオンの魔女は言わずもがなアンジェラです。戦闘系ボーナスはありませんが姿を消せます。一旦姿を消せば探知系が居なければ一方的に溜め変形爆破攻撃を入れ放題です。ただアンジェラを食うためにはミフネを倒すかアラクノフォビア戦でブラック☆スターがミフネを倒してからアンジェラが保護される前にどさくさで殺害する必要があります。

 

モロチンそんなことをすれば信用度がフリーフォールして疑惑値が爆上がりしますし、まずミフネを倒すためには魂を80個は回収したいですしスキルも厳選したいです。それに出来れば職人でのプレイが望ましいです。無理をすれば、アンジェラの魂を喰ってデスサイズになれますが……そもそもボスにはほぼ効きません。無理をしてまでRTAに組み込むうま味が無かったのでアンジェラは今RTAでは除外です。

 

まぁ長々と語りましたがデスサイズになれれば基礎能力が上がるのでそれだけでクリアは出来ます。どの安定材料が増えるかなのでどれでも大丈夫です。さらに武器によって出る汎用魔女が選ばれるので意味が無かったりデメリットだけになる事はないです。

 

確率的には限定魔女のモズが高めでその他の汎用魔女が均等です。原作魔女は特殊なフラグがあるので狙わない限り討伐任務は出てきません。

 

 

さて、キム姉貴達と戯れながら98個まで魂を回収しました。99個魂を集めてしまうと魔女討伐を言い渡されてしまうのでその前にマカに接触してブレア討伐を受けているかどうか確認します。

 

 

【「あ、オハヨ」】

 

 

マカ姉貴成績冷えてるか~?(煽り)

 

 

【「あの魔女……中々一筋縄ではいかないケド、今日は大丈夫!作戦沢山考えてきたからね」】

 

 

おっと、もうブレア討伐を言い渡されて数ターン経過しているようです。もう99個目の魂を回収してもいいでしょう。ほらいくどー

 

TDN悪人なんて(ペグ君とホモ君の敵じゃ)ないです。(悪人に)勝ち目はありません。死んでしまいます。パパパッっと殺って、終わりッ MUR早いっすね……

 

 

【『死神様がお呼びだ……パートナーを連れて謁見しよう』】

 

 

【「ちっすっ!うす!!うい~っす!!おつかれさ~ん。調子いいみたいだね~」】

 

【「99個の魂を集めたワケだから次は魔女の魂なんだケド……サハリン州南部に魔女の目撃情報があったっぽいんだよね~」】

 

【「つー訳でくれぐれも気を付けて行ってらっしゃいな。……私は魔女に敗れ命を落とした職人を嫌と言うほど見てきたからね」】

 

 

目的地はサハリン州南部ですか。と言うことは武器別魔女のモズの魔女ですね。モズの魔女はパイル限定魔女のくせに非常にパイルと相性が悪いです。しかもこちらが不利と言う理不尽。

 

モズの魔女の基本戦術は鳥型の空中機雷を展開して逃げ回ります。この空中機雷が厄介でホーミングしながらこっちに飛んできたり直線で飛んできたりしてさながら弾幕ゲーの様になります。

 

その空中機雷は壁や攻撃などに触れるか自キャラが近づくかホバリング状態になってから一定時間で爆破されます。ホバリングしてから一定時間と言うのが嫌らしく飛んできた順でないので起爆順を覚えきるのは非現実的です。画面外にもばら撒かれますから。威力も割かし高くごり押し対策もされています。クソが(悪態土方)

 

たまに大隙晒して太い刺レーザーみたいなの吐きますがこれもまた威力が高くしかも多段ヒットなのでガードしても一気に削られるだけです。一応吹っ飛び効果が付いているので避けられないなら喰らった方がいいでしょう。そして何より距離が開いていてこっちがダウンすると当然の権利のように高確率でそのレーザーが飛んできます。一応向きは変わらないので真横に避けましょう。

 

機雷ばら撒いてたまにレーザー撃ってくるだけです。攻撃方法2種類。それだけですがこれが嫌らしい。どうしても被弾が多くなるのでさっさと終わらせるために火力スキルが欲しい所です。ホモ君スキル生えてない?

 

 

【「・【魂感知】Lv2・【ペルソナ】Lv1」】

 

 

生えてないっすね。ホモ君は生えていない……?(意味深)じゃあペグ君は?

 

 

【「・【食いしばり】Lv1・【心眼】Lv2・【直感】Lv2」】

 

 

ウッソだろお前……(愕然)なんで新しいスキルが二つも付いててそれがLv2なんですかね……?

あっそっかぁ(理解)そういえばジャクリーン姉貴振りまくってましたね。そりゃ付くわ。きっと三人で仲良く青春してたんでしょう。ホモ君は仲間外れです。RTAにおいてタイムは青春よりも重いからね、仕方ないね。

 

とりあえずスキルの解説をば

【心眼】はコミュ時選択肢増加、クリティカル率が上昇する、狂気に耐性を得る。で

【直感】はコミュ時選択肢増加、回避無敵時間が延長される。です

 

ペグ君はNPCなので実質クリティカル率増加と狂気耐性、後は回避無敵時間延長ですね。

 

 

 

あれ?もしかしてこれって……レスリングじゃない……!?

 

機雷は回避無敵時間延長スキルがあればギリギリ回避でぶつかって消せます。操作するのNPCですけど。

パイルバンカーは変形攻撃のクリティカルダメージにボーナスが付いております。他武器に比べて15%ほど上で特化武器には及びませんがそもそものダメージが高いのでクリティカル率強化スキルは十分火力スキルになります。当たればですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論:RTA続行

 

 

 

 

 

 

 

 

さっさと玄関に向かい出発します。イクゾー(デッデッデデデデ カーン)

 

 

 

さーやってきました樺太の大地!何かイベントがありますがテキストだけでムービーも選択肢も無いのでボタン連打で飛ばします。

 

魔女は地下室のホールに陣取っています。多分待ち伏せしてるんでしょう。雑魚は居ないので最深部目指して突っ込みます。着くゥ~

 

開けろ!デトロイト市警だ!(詐称)

 

 

【「ち……本当しかたない子……」】

 

【「貴方達に構っている暇はないの。だから……」】

 

【「――死んで頂戴」】

 

 

 

 

【〖BOSS:百舌鳥の魔女 モスボール・シュラ〗】

 

 

 

 

 

 

 

さぁ始まりましたモズの魔女、モスボール・シュラ戦です。NPCなんでどうしようもないですが取り合えず魂の共鳴のタイミングはこっちに主導権があります。お祈りしながら攻撃チャンス時にはしっかりとサポートしましょう。

 

……まずまずな立ち上がりですね。たまに喰らってますがちゃんと回避で避けてくれてます。AIレベルが低いと回避しようとして他の機雷に突っ込んでハマりますからよかったです。

 

機雷を掻い潜り追い詰めても油断しないようにしましょう。機雷発動時の刺はのけぞりなので至近距離で召喚されると多段ヒットして最悪死にます。レーザーの溜めモーションが見えたら変形攻撃を叩きこみ落ち着いて回避しましょう。

 

いいゾ~これ

回避スキルはモズ魔女特効ですねクォレハ……

 

順調ですし単調なので少し加速。

 

 

 

もう溜め変形攻撃ぶち込めば終わりそうですね。回復薬も底を尽きてしまいましたが間に合って良かったです。

おっとレーザー溜め始めましたよ、やっぱ隙なんすねぇ~。よし、じゃあぶち込んでやるぜ

 

突うずるっ――

 

 

 

 

 

 

アアアアアアアアア!(被弾)

 

 

 

 

仕留めそこないました……体力バーミリじゃねぇかよ!クリティカル出てたらそこで勝ててたんですが……

まぁしょうがあんめぇ。一発当てれば勝ちなので頑張ってペグ君(他人事)

 

 

 

あ、機雷にぶつかって死にました~(カッチャマ)

すかさずホモ君をパージ!体力が0になるとノックダウン状態になって行動が不能になります。その後一定ダメージか時間経過でGAMEOVERとなります。

 

つまり、ここでホモ君がさっさと止めを刺してしまえば何も問題は無いのです。機雷召喚されてグダりましたが倒せたので問題ありません。

 

ペグ君が死ぬ前に終わってよかったです。早速魂ムシャァしましょう。ほらデスサイズ(意味深)だぞ。見ろよ見ろよ。

 

 

 

くぅ~疲れました、これにてデスサイズ完成です!次回は原作が始ま

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

ついにこの時が来た。99個の人間の魂を回収した僕達は魔女の魂を求めてサハリン州南部へ来ていた。

町に着いて聞き込みをするとどうも見たことない赤いような紫のような、それでいて黒い鳥がちらほら見かけるようになったらしい。

 

その鳥が多い所に行くと大量の鳥に啄まれて殺され、死体が郊外の高いところで串刺しにされるそうだ。

 

地図を取り出し被害があった場所を線で結んでいく。すると浮かび上がったのは大雑把な楕円。

 

恐らくこの円の中に魔女が人を近づかせたくないものがあるのだろう。僕たちは準備を整えてそこへ向かった。

 

一日目。鳥を見かけることはあったが襲ってはこなかった。特に気になる物も見つけられなかったので明日は方角を変えてみる。

 

二日目。鳥に襲われた。何匹か吹き飛ばすと残りは逃げて行った。鳥の死体は霧の様に霧散していった。

 

三日目。基君が魂反応を見つけた。見たところ一般的な人間の魂らしいが魔女はソウルプロテクトと言う魔法で自身の魂を一般人に偽装する。おそらくそれだろう。

 

 

コンクリート打ちっぱなしの四角い小屋に入る。魂反応は地下にあるようだ。ただの小屋に偽装された上層部を捜索し、地下につながる扉を見つけた。

分厚い鉄板を吹き飛ばして梯子を下りる。

 

 

暗くて見づらいが、居る。

 

ブラウンの髪を一つに束ねた女性。こちらを見据える鋭い目には憎悪と、怒りが見て取れた。

 

……それと、焦り、そして苛立ちも感じ取れた。

 

 

 

「ち……本当しかたない子……」

 

 

 

だが、関係ない。すでに殺人を犯しており、魔女である。

 

 

 

「貴方達に構っている暇はないの。だから……」

 

 

 

魔女である場合現場判断で討伐を許可されている。きっと情報を持ち帰っても死神様のリストに載るだろう。――だから

 

 

 

「――死んで頂戴」

 

 

 

魂を、貰おう。

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ち……本当あの頭骨董品の奴らはどうしようもないわね……」

 

 

魔女である私、モスボール・シュラは対応の遅い魔女界に辟易としていた。

 

800年前にアラクネ・ゴーゴンは殺されておらず、死武専から逃げおおせ今まで力を溜めて復活が近いと予測される。

それを会議で警告しても復活してから叩くだの確証が無いのに動いて死武専に目を付けられるのが嫌だだの……彼奴の初動を挫かなければそのままズルズルと劣勢に持ち込まれるに決まっている。

 

警戒して彼奴の蜘蛛の目撃情報があったチェコから遠く離れたサハリン州に拠点を置いて眷属と魔法を使ってようやっと尻尾――いや、”巣”の跡か――を見つけた。

思ったより復活が早いらしい。このままでは数年以内……何かきっかけがあれば年内にも復活するぞ……!

 

それに彼奴を慕って集った組織が中々に大きかった。これでは魔女界が三つ巴ではなく二色に食い込むのがやっとになってしまう。それでも戦いになるのは魔女は個人同人が強大だからだ。魔ばあ様が動けばアラクネなんぞ一ひねりだろう。それが魔女界の慢心に繋がっている。しかしあの蜘蛛の事だから真正面から戦わないぞ。絶対。

 

今まで証拠がなければ動こうとしない魔女界を動かすため決定的な証拠を集めていたが派手に動きすぎたらしい。死武専に目を付けられた。

 

それもこれも巧みに痕跡を隠すアラクネが悪いし800年前のことを隠している組織が悪いし延いては頭骨董品の魔女たちが悪い。もちろん柔軟な頭を持った魔女も居るが権力者には居ない。魔ばあ様もどこか古いし。

 

 

現実逃避をしている場合ではない。(魔女)を狩りに来るということはおそらくデスサイズかそれに準ずるもの。油断はできない。上で爆発音が聞こえる。鍵開けておけば家無傷で済んだかしら……

 

情報持って帰ってそれでも動かなかったら魔女界捨てましょう。どっかに研究所作って同じような考えの魔女誘って共同研究して……良いわねそれ。そうしましょう。

 

ドアを無意味にぶち破ってきたのは子供。恐らくデスサイズの卵だろう。私の魂でデスサイズになる腹積もりか。

 

私の魂。軽くは無いぞ

 

 

「ち……本当しかたない子……」

 

 

私はさっさと帰って魔女界を出るんだ。ミサには参加してやってもいい。そういえば彼奴の妹のメデューサが死武専に潜り込んでいるらしいな。

他にも何名かデスシティに潜っているらしいが……何故そんなバレやすいところに潜伏するのか。バレて魔女狩りが激しくなって他地域にも飛び火させないでほしい。

 

 

「貴方達に構っている暇はないの。だから……」

 

 

可及的速やかに

 

 

「――死んで頂戴」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チーチチチユラユライクチッチユラ」

 

「スパイクマイン!」

 

 

この閉鎖空間でこの子たちを避け切れるかしら?

 

 

「「魂の共鳴!」」

 

 

魂の波長はごく普通な物。退魔の波長持ちではないわね。武器は……杭?銀の杭が弱点なのは吸血鬼よ。ま、私も杭を使うけれど

 

 

「弾けて刺さりなさい!」

 

 

「くっ……と」

 

 

嘘でしょう!?何この子飛び出す杭を見切って間をすり抜けたの!?どんだけ眼良いのよ……いえ、でも躰は着いて行ってないみたいね。何本か喰らっている。

 

良いでしょう。アナタの体力が尽きるのが先か、その杭が私を貫くのが先か。勝負よ!

 

 

「行きなさい!スパイクマイン×(バイ)2(ツー)!!」

 

 

 

 

――戦いはシーソーの様に拮抗して進んだ。

 

 

私が機雷を誘導して回避後の隙に叩きこめば減った機雷の間を縫ってこちらに肉薄し爆発を伴って杭を叩きつけられる。

これが存外芯に響く。何度も喰らっていられない。

 

それは向こうも同じようで血止めの軟膏を塗ったり気付け薬のようなものを呷ったりしている。

 

……ここらで勝負を付けようか。

 

 

 

「チーチチチユラユライクチッチユラユラシュライク……」

 

 

「落ち……ろォ!」

 

 

「カ……ハッ……!」

 

 

鳩尾に突きを喰らって視界が歪むが詠唱は終わっている。意識を手放さなければ――

 

 

パイルレーザー(百舌鳥の早贄)!」

 

 

私の勝ちだ

 

 

「ぐああぁああ!」

 

 

 

「ぐ……ゴホッ」

 

 

ぐ……何とか勝てたか……さっさとここを引き払わなければ――

 

 

「まだだ……!」

 

 

「何!?」

 

 

く……魔力の集束が甘かったか……!だがあちらも虫の息。今止めを刺してやる!

 

 

「スパイクマイン×(バイ)3(スリー)!!」

 

 

なけなしの気力を振り絞って魔力演算を必死に組み立て質よりも量で攻める

 

 

「く……」

 

 

「追い詰めろ!」

 

 

威力が低く当たっても杭が砕けてしまい有効打にはならない

しかしそれでいい

 

杭が掠り動きが鈍ったところに又杭が当たる。

どんどん杭に勢いを止められついには足を止め防御に回る

そうなれば威力を絞ってでも途切れさせず物量で攻める

 

 

「うく……あぁ!」

 

 

落ちた……!勝った!あとは武器も落として……!

 

くく……終わってみればなかなかいい実験素体が手に入っ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てゃ!」

 

 

「チッ……」

 

拘束しようと職人に歩み寄った瞬間武器が変身を解き殴りかかってきた

 

 

 

 

破れかぶれの武器に負けるか!

応戦するが攻撃を潰され逆にこちらのみ攻撃を受ける

 

武器の動きが思ったより良い!

 

と言うか突きの鋭さがあの職人と比べても増している気さえする。距離を離さなければ不味い。

 

 

「スパイクマイン!」

 

 

これで距離が――

 

 

先ほどの小僧の杭の間を通る気持ち悪い動きではないが発動範囲を見切られている

左右に振っても上下に散らしてもフェイントをかけても距離を詰められる

どうやっても離れない!なんだコイツも規格外か!そうかそうか!ふざけるな!

 

 

「待て!相方がどうなっても良――」

 

 

最後の記憶は視界一杯に広がる銀色だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

黒髪の少年は先ほど殺した女性の魂を掴み押し込むように飲み込む。

 

99個の人間の魂と1つの魔女の魂が武器をデスサイズにさせる。

 

 

飲み込んだ瞬間武器の内部から変化が始まる。力が溢れる。

 

 

 

――やっと。やっとこの時が来た。

 

 

「ハハ、は。ハハHAHAは」

 

 

――だけどこれで終わりじゃない。

 

 

寧ろここからが

 

 

 

 

『はーい』

 

『よーい、「スタート」』「だ」




やっと原作が始まる……


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Part7:心情

☆大☆遅☆刻☆



そろそろスタミナ切れてきました……


デスサイズがスタートラインなRTAはっじまぁるよー

 

前回魔女を倒してデスサイズになった所からです。

 

 

デスサイズになって義務だどうとか権限がどうとか何やかんや言われますがどうやらまだ学生でいて良いそうです。力あるだけでまだ子供だからね、しょうがないね。

 

ですがデスサイズの仕事は受けられます。さらにデスサイズの特権も使用可能です。エイボンの書でなんかしたい場合は死武専創立記念前夜祭前までに借りときましょう。マカに借りられてしまうので。

 

デスサイズの仕事はどれもうま味で最低効率の任務でも課外授業の最高効率に少し劣る程度です。これからはデスサイズの仕事が主となります。

 

デスサイズの仕事と言っても課外授業に毛が生えた程度の難易度でたまに調査や奪取、護衛なんかが挟まる程度です。早速仕事を……俺にもちょっと、回してくださいよ~

 

 

はい。怪しい集団の調査ですね。こいつは半スニーキングミッション的なアトモスフィアで敵拠点にランダムに設置されるポイントに赴き証拠物件として押収する任務です。

 

別にバレても問題ありませんが敵が一定数湧いてきます。それも別に倒さなくてもよいので今チャートでは進路を塞ぐような必要な敵だけ倒し後は無視します。

 

じゃあ証拠物件を押収しにイキますよ~イクイク

 

 

 

ミッションが開始されましたが派手にドンパチはしないのでデスサイズになったホモ君の特殊能力について、お話しします。

 

ホモ君の特殊能力【百舌鳥の早贄】はパイルバンカー限定の魔女、モスボール・シュラを討伐し、デスサイズになることにより習得します。

 

効果としましては杭の部分に圧縮した魂の波長を纏わせ、打ち込んだ後、それを離脱可能になります。

 

離脱させた杭はフィールド上に留まり様々なギミックを発動できます。

 

二本の杭の間に波長の壁を作り遮蔽物にしたり、杭そのものを爆発させたり、杭の周りに波長を流して痺れさせたり、杭の波長を取り込んで魂ゲージの即時回復などもできます。

 

しかし離脱した杭は徐々に魂の波長が減って行き、0になると消滅します。離脱した杭は取り込み可能ですが逆は不可。充電不可能の使い切り電池です。遮蔽物作るには結構波長が必要なので残量には注意しましょう。ですが無命令時の残存性は割かし高く戦闘中に杭自体が消える事はほぼないです。

 

 

まぁこの能力で火力出すには敵に杭打ち込んで爆破するのが一番手っ取り早いです。変形攻撃叩きこむたびに杭が刺さっていって追加ダメージも上がっていきます。

 

ギミックを発動するには杭に触らないといけませんが、行動不能時でもショートカットリングが開くので【衝撃時爆破】にしときましょう。

 

 

 

画面では使わずフツーに戦ってますね。雑魚しかいないからね。しょうがないね。杭のエフェクトが違うので前パートと見比べてみてください。

 

 

 

 

見つかってしまいましたが最後の証拠物件なので強行突破します。

 

あ、部屋の入り口が1つだけなので壁張ってますね。このように杭二つ使用のギミックは共鳴→射出→共鳴→射出→杭1に触れる→杭2に触れる。と結構時間がかかります。

 

攻撃スカ時にも近くの地面か壁にぶっ刺してくれるので攻撃をスカっても無意味になりにくくなりました。その代わり変形攻撃すると魂ゲージが持ってかれるのでリカバー用に器用と精神、魂はきっちり上げておきましょう。リカバリー用のリカバリーとかこれもう分かんねぇな?

 

 

証拠物件として押収したからな~?

 

もうこんな黴臭い所に用は無いので脱出します。先ほど申し上げた通り杭の操作自体は他の行動をしていても出来るので壁の向こうにいる敵に当たるように攻撃しながら解除します。

 

foo~↑気持ちイイ~。こういった有利状況を強引に生み出せるのがモズパイルの強みですね。

 

じゃあな!もうこんなところ来ねぇよ!

 

 

 

帰って美少女たちと戯れます。デスサイズになったから将来安泰で(安全とは言っていない)学校生活でもよく美少女二名侍らせている……(親密とは言っていない)

 

あれ?ホモ君カチグミでは?死ね(怨嗟)

 

 

 

【「この後時間あるかな?」】

 

 

 

こんな誘われちゃってさ(嫉妬)好感度地に落ちろ(亡者の嘆き)

 

 

 

【『>・受ける』】ピッ

【『 ・断る 』】

 

 

【『 ・受ける』】

【『>・断る 』】ピピッ

 

 

【『>・受ける』】ティロン♪

【『 ・断る 』】

 

 

 

 

ア!(スタッカート)

方向キー押しすぎました……(ガバ)

 

 

 

【『近くの喫茶店で会話を楽しんだ……』】

 

【『ジャクリーンからの相談に乗り、親睦を深めた』】

 

 

 

良かった。汎用イベントでした。ロスにして15秒ほどでしょうか、(全体から見れば)誤差だよ誤差!ほら、スキル欲しかったからさ……(言い訳)

 

 

 

【『・【魂感知】Lv3・【ペルソナ】Lv1』】

 

 

 

魂感知のレベル上がってますね。いらねぇ……

 

どうせなら火力スキルよこせ。覚醒とか。

 

 

こんだけ誘われてるのも珍しいですし火力スキルが付かなかったら最後の手段としてコミュ取ってもいいかもしれませんね。

 

こんな所で汎用イベ引いてスキル抽選引いて火力スキル引いて、なんて運ゲーなんかしたくないので御免ですが。

 

 

 

次からはデスサイズの地位にものを言わせ

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

 

 

僕たちは晴れてデスサイズとその職人となった。死神様とスピリット(デスサイズ)さんの話によると力はあれどもそれを振るう心構えが未だ不安定な学生なのでしばらく学生の身分でいて、成績で判断するらしい。

 

学業の傍らデスサイズの任務をこなしてそれも加味するらしい。……実際はデスサイズの担当区域の整理に時間がかかるからだろうけど

 

 

話を聞き終え、デスサイズとして初めて任務を受ける。

とある組織の調査。どうにも裏社会の組織にしては妙な動きがあるらしい。概要書類を読みながら基君と話をする。

 

 

 

「ようやくここまで来れた……ペグのおかげだよ。」

 

 

 

嘘。……基君は多分一人でもデスサイズになれた。

 

 

 

「デスサイズになったからってそこで終わりじゃないからね。きっと困難が待ち受けているだろう。一緒に頑張って行こう」

 

 

 

前者は本心。後者は社交辞令(口先だけの言葉)

 

 

基君は強い。きっと一人でも十二分に戦えるだろう。職人を付けるのは過剰火力ではないだろうか。プライベートのことはあまり聞かれたくないみたいだけれどこれは聞いても大丈夫な気がする。

 

一体何を目的として力を求めるのか。

 

死武専……さらにEATに入ったのだから少なからず世のためや……権力などが理由なのだろうか。

 

 

 

「基はさ……力を付けて何かを為したいの?それとも……力が欲しいの?」

 

 

 

基君はそれを聞くと顎に手をやり目を伏せ少し考えると

 

 

 

「そう……だね。 自分自身としてはちっぽけな自分がどれほど高みに行けるか挑戦したい気持ちが強いかな。」

 

 

 

本当。

 

 

 

「……もちろん、それだけじゃなくて認められたいって欲求もあるけれど。それで、結局キャパオーバーして皆に迷惑かけちゃったね。」

 

 

 

……本当。

 

 

これで分った。

 

ジャクリーンさんの頼みを聞いたり、授業中に消しゴムやシャープペンの芯をあげたり、休んだ人にノートを貸してあげたりしている基君が本心。

 

恐らく自分を過小評価し過ぎて止まってしまうと不安で仕方がないのだろう。……でも。

 

 

妥協していい事と妥協したくない事の線引きが酷く曖昧だ。

 

 

課外授業の前に訓練を入れるのは駄目。授業の後に訓練を入れるのは大丈夫。

だけど訓練の後に予定を入れるのは駄目。

予定を入れるのは駄目だけど途中まで一緒に帰るのは大丈夫。

家の中に入れるのも大丈夫。

だけどトレーニングをサボるのは駄目。

 

 

仲直りして(基君が隠れて)から基君を知るために家に入れてもらえないかお願いした。僕の緊張をよそにあっさり許可されたけれど。

 

家に近づけたくない、家での行動について話したくないのだろう、という僕の推理は外れた。

 

その時何故家でトレーニングするだけなのに時間が取れないのかつい聞いてしまったが、その時の基君の顔は

 

 

本心から”何を言っているのか分からない”と言った顔だった。

 

 

その顔に気圧されて質問を撤回してしまったが基君に回答の拒絶はなかった。

 

……今、ここで、探りを入れてみよう。

 

 

 

「……それは急がないと駄目なのかな」

 

「え?」

 

「基は余裕がない、と言うよりは急いでいる、と言った方がしっくりくる気がする。速く家に帰ってトレーニングを終わらせないといけないぞ、って誰かに急かされてるみたいに。」

 

「そう、かな」

 

「うん」

 

 

それきり基君はしばらく黙り込んでしまった。

書類を読みながら続きを待つ。

 

 

「……うん、そうだね。別にトレーニング終わったら勉強とか寝るしかやることないのに。そうだそうだ。なんでだろう。気づかなかった。()()()()()()()()()()()()()()

 

 

全部本心だ。

 

本人はなぜ急いでいたのか分からなかったみたいだ。

 

……でも、最後の一文は……基君は本心だろうけど、何か……違和感を感じる。とても、強い。

 

なら

 

 

「本当かい?()()()()()()()()()()んじゃ?」

 

「いや……そんなことはないよ。自分と周りを比べたことはあるけれど、自分で勝手に焦ってただけさ」

 

 

 

本当。

 

 

 

…………でも、分かる。

 

基君に纏わり付く()()の気配。

 

 

 

「また、周りが見えなくなってきたら、教えるよ」

 

「あはは……ご迷惑をおかけシマス」

 

 

 

 

何処の何が()()()()()()()()のかは分からないけれど、僕のパートナー(友人)に、好き勝手はさせない。

 

 

 

()()()基君も力を欲しているのは分かった。それは着実に実ってきている。でも。

 

 

 

僕は、基君ほど、強くは成れない。

 

 

けれど、僕は、彼と対等で居たい。

 

 

基君の力になりたい。

 

 

もう基君を、一人にはさせない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

 

 

クソッ(Damn it) なんてこった。まさか死武専に目を付けられたとは……

 

死武専は加入国全てに強制捜査の権利を持つ。だから金の動きには十分気を付けていたはずだが……

 

 

考えていても埒が明かない。もう中枢近くまで侵入されてしまった。恐らく腕利きの職人を送られたな

 

建物に被害はほぼ無い為場所の特定が困難だが、見張りと巡回員に連絡が付かない区域を結んでいくとほぼ一本の線が出来る。

 

少人数、もしくは小隊規模で一纏りで行動している。戦闘員を先回りするように誘導し、侵入者の目的であろう書類保管庫にも人員を向かわせる。

 

監視カメラを書類保管庫に切り替えると右腕に奇妙な機械を付けた人物が入り込んだ所が映った。

 

クソが!もう侵入された!

 

 

ソイツは唯一の出入り口に近づくとドアの左右に右腕の機械で薄く発光する杭を打ち付けた。

 

するとあっという間に半透明な壁が出来上がる。

 

何だぁそりゃ!?反則だろうが?

 

 

追いついた戦闘員が出来上がった壁に向かって攻撃を試みるがビクともしない。保管庫は全面防火構造で鉄板が入っている。手持ち武器じゃ短時間での破壊は難しい。

 

侵入者は壁に絶対の自信があるのか完全に後ろを向き書類を漁っている。アラクネ様との繋がりを示す致命的な書類は残していないが普通に違法な金の動きや犯罪を示す書類なんかは種類を上げると暇はない。

 

歯軋りしながら監視カメラ越しに死武専の職人を睨め付けているといくつかの書類をバックに入れ出入り口に向き直った。

 

もう物色は終わったらしい。腰を落として壁に突きの体勢をとる。

 

溜め込んだ力が解放されぶつかる瞬間に壁が跡形もなく掻き消える。そのまま戦闘員たちの塊に突っ込み――

 

 

 

弾け飛んだ。

 

 

直撃した者はそのまま破裂し魂になる。爆心地の近くにいたものは即死しなかったため躰のパーツが千切れ飛び周りの人間を巻き込み吹っ飛んでいく。

 

魂と血肉が乱舞する空間を通り抜けて奴は施設を後にした。

 

 

 

死武専が去ってからしつこく追跡、追撃を意見具申してくる部下に頭を痛める。まずは被害確認だろうが。

 

被害が上がるにつれて頭痛が酷くなってくる。完全に此処を潰せる建前を死武専に知られた。この拠点はもう駄目だ。

 

 

人事異動ついでに記憶操作して死武専に捕まる(トカゲの尻尾)役を選定しながら今回の職人の画像を保存する。銀髪の職人、アラクネ様が復活した暁には排除を上申してこの借りはしっかり返させて貰うぞ。

 

俺は残った証拠の隠滅を指示しながら決意を固めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

「え、いいの?」

 

「うん」

 

 

誘っといてなんだけど……OKもらえるとは思わなかった。仲直りしたとはペグから聞いてたけど、基は「ごめんね」と謝っただけで詳しくは聞けていない。

 

だから少し話を聞こうと思ったんだけれど……

 

 

 

「ねぇペグ、キム この後どっか喫茶店行かない?」

 

「うん、分かった」

 

「ん?奢りなら行ってもいいよ」

 

「ちょっとキム……」

 

「あはは……お手柔らかに」

 

 

まさかそこまで付き合ってくれるとは……せっかくだし色々聞いてもいいかしら

 

デスサイズになっても訓練を続けてくれているからあんまり強く聞けなかったし……今日はちょっと踏み込んで聞いてみましょう

 

 

「どこにする?あんまりそういう店詳しくないんだけど」

 

「DEATH BACKS CAFFEで良いでしょ、つぐみたちまたバイトしてるかもしれないし」

 

「場所どこ?」

 

「んーと――」

 

 

そのまま私たちはDEATH BACKS CAFFEに向かうことになった。

 

 

 

 

「――じゃあ本当にもう何ともないんだ?」

 

「うん、また一杯一杯になってきたらペグが叩き直してくれるってさ」

 

 

 

焦りと余裕のなさ。何とも拍子抜けする理由だったが同期でデスサイズになったのは基達だけだと考えるとそれほどの負荷がかかっていたとも取れる。

 

さすがに肉体的過負荷は健康診断で発見されれば治療されるだろうが精神的な過負荷は見つけづらい。ほんの少しのことで魂の波長はズレてしまうと習ったし、パートナーや自分自身も含めきちんと考えて向き合わなくちゃ。

 

 

「それで、さ」

 

 

基がマスターに絡みに行ったキムとそれを止めに行ったペグに聞こえないような声で話しかけてきた。

 

キム達を気にしながら「今回の醜態で思うところがあったんだけれど」と続ける。

 

 

「ジャクリーンはキムを守りたいから力が欲しい、って言っていたよね。もちろんそれは間違った方法じゃないと思うんだけれど、それってキムを一人ぼっちにしてないかな」

 

「え……」

 

「キムと話してみて、確かに何かを抱えて、他者との関わりを意図的に限定的なものにしていると感じた。でも、ジャクリーンのことは信頼している。」

 

「私を……?そう、だといいな」

 

「そうさ、でも。キムに『貴女の力になりたいから特訓している』って話したこと、あるかい?」

 

「ない、わ」

 

「そうなると一人で戦えるジャクリーンを見て、捨てられるかも、って――」

 

「そんなことしない!」

 

 

あ、しまった。つい大きい声を出してしまった。

 

キム達の様子を見るが混んで来た客や通行人の喧騒とマスターいじりで気づいていなかったようだ。ほっ、っと息を吐き基に向き直る。

 

 

 

「もちろん分かり切っているさ。でも受け取り方はその人の価値観、さらにはその時の精神状態にも左右される。僕の行動は傍から見てどうだった?」

 

「それ、は……」

 

 

理由を知った今でも不可解な行動と思える。これまでの付き合いで基は理由なしにそんなことはしない、と思っていたから余計に不可解だった。

 

実際は精神的な疲れにより正常な判断が出来なかったせいだというが、もしもっと変な行動を取っていたら信じられなかっただろう。

 

そんなことは絶対にないようにするけれど、もしキムが、魔女だとバレて、その時に私が何も言わずに一人で戦えるようになっていたら。

 

 

キムは、私を頼ってくれるだろうか

 

 

その時になってキムのために力を付けた、と言っても心から信じてくれるだろうか。居場所がなくなって。仲間だった人から疑惑の目で見られて。そんな精神状態でちゃんと客観的な判断が出来るだろうか。

 

 

 

「だから、話し合うって大事なんだよ。僕も身に染みてわかったよ」

 

 

 

私の心情の続きを話すように基がそう言った。ははは、と苦笑いしながらアイスティーに口を付けてからまた口を開く。

 

 

 

「口だけでもいけない、行動だけでもいけない。それ以前に自分自身をしっかりと理解していないといけない。とてもじゃないけど完璧に出来る人なんていないだろう。でも」

「きちんと向き合って、前に進もうとしていれば、きっと、いつかは分かるときが来ると思うよ」

 

 

 

僕が偉そうな口は利けないけどね、と付け加えて基は椅子に掛けなおした。

 

 

 

「魂を見て分かるよ。表面上つんけんしてるけど、とても優しくて、寂しがり屋で、臆病な人だ」

 

 

 

そう言ってキムを見る基の目は、深く、吸い込まれるようなのに、どこか透き通ったような黒色をしていた。

 

 

 

「真面目で、一途で、しっかり者で、でもどこか抜けてるジャクリーンと良いコンビなんじゃない?」

 

「え、抜けてる!?」

 

「ほらまた大声出さないで」

 

 

そう言われると二の句が継げない。

 

 

 

「でも ――綺麗だと思うよ」

 

「へっ」

 

「ジャクリーンの魂」

 

「あっ、あぁそう……」

 

 

そう言ってからかう様に笑う基の目を見ると顔が熱くなってしまう。

 

男子と話すのが初めてな訳じゃあるまいに。もうっ、どうもペースを乱されてしまう。あの深い深い黒い双眸に見つめられると心がざわついてしまう。

 

まるでどこかに繋がってそうな黒い黒い――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――でし――ぅか、ご――だ――さ』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?基何か言った?」

 

「? いや、何も?」

 

 

 

あれ……?何か人の声みたいなのが聞こえたような……?他の客かしら?

 

でも基の方から聞こえたような……?

 

 

 

「さて、そろそろ帰ろうか。結構長く居ちゃったし、早く帰らないと」

 

 

そう言って全員分の空の食器をもって立ち上がる。半分持とうとするが断られる。むぅ、こういう時手持ち無沙汰ね。食器返却の流れで基が会計も済ませちゃったし。

 

 

 

 

キムとペグの荷物を持ちながらさっきの話を思い返す。

 

自分に。相手に。きちんと向き合って前に進まなければ。寮に帰ったら、キムと話をしてみよう。分かりあえるまで。しっかりと。

 

 

 

 




週1か2投稿は努力目標とします。申し訳ございません。


後全くRTAには関係ありませんがアンケートを実施させていただます
出番が多くなるぐらいかな


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Part8:魔剣

前話の投稿一か月前!?うせやろ……?(震え声)



回を追うごとに文章量と表現技術と更新頻度落ちてる……落ちてない?



痛いですね……これは痛い……(焦燥感)


ボス戦以外あまり見所が無いRTAはっじまぁるよー

 

前回初めてデスサイズ任務をしてコミュガバった所からです。

 

 

 

原作はもう動き出していますが別にコミュる必要はないので引き続き任務を請け負います。特に見所さんも無かったので11.4514倍速します。ちょいちょい操作ミスがありますが面白くはなかったのでどうしても見たい方は動画説明文の所にタイマーくっつけただけの無編集版のリンクが張ってありますのでそちらをどうぞ。

 

こんだけせっせと任務こなしても最終章のキッドブラスタには及ばないんですよねぇ……

 

 

【『シド先生が亡くなってからずっとこのクラスの座学はプリント自習だった。しかし今回は先生が来るらしい。』】

 

 

【「あー黙れー。授業を始める!」】

 

 

【『あれは……』】

 

 

【「出席は面倒だから取らん。それと……」】

【「授業の終わりを定めるのはチャイムじゃない……この俺だ」】

 

 

【『やはり……デスサイズ(スピリット)さんだ。もしかして彼が……』】

 

 

【「オイ、デスサイズ!お前が担任になんのか?」】

 

【「あ?俺は臨時だ。明日から新任が来る。あとデスサイズ先生だろ?”先生”をつけろボケ!」】

【「さて授業……の前に、マカとソウル、死神様がお呼びだ。授業はいいから行ってきなさい。しっしっ」】

 

【「よし、では! 授業を始める。俺がお前たちの知らない世界を教えてやろう……」】

【「キャバクラ経済学……!どうよ?」】

 

 

【『……不安だ』】

 

 

 

お、ストーリー第一章が本格始動しましたね。まだどんどん進めて大丈夫です。また任務受けて時間を進めます。月月火水木金金(従軍先輩)

 

 

 

 

【『教室の噂話が聞こえる……』】

 

【「ねぇ~新任の先生ってどんな人だと思う?」】

【「ん~、デスサイズさんはカッコいいけど……アレだし……もうちょっときちんとした先生がいいな~」】

 

 

【『そういえば今日から新任の先生が授業するはずだ。どんな先生だろうか……』】

 

 

 

【「ふんぎゃ!」】

 

 

【『もしかして彼が……』】

 

 

【「はい♪授業を始めま~~す」】

【「今日は早速カエルの解剖をしますね~」】

 

 

 

【『……担任のようだ』】

【『あなたは魂感知能力で超一流の職人だと見抜いた。彼の魂から放たれる重圧はあなたの気を引き締めるのに十分だった。』】

 

 

 

この様に特定のスキルを持っているとイベントで追加ポイントを貰えることがあります。今回は精神と魂が微成長します。序盤も序盤なので誤差の範囲ですが積み重なれば大きくなるので成長点溜まったらスキルを取りましょう。

 

今回は魂感知をLv1でも持っていれば発生します。それに伴い次に起こるイベントが必ず発生するようになってしまうのですが……このチャートではどうしても魂感知が必要だったので甘んじて受けます。

 

じゃ、さっさと進めましょう

 

 

 

【「今日の授業はなんと……解剖実験!」】

 

【『新任の先生……シュタイン博士は解剖実験が好きなようだ……』】

 

 

【「はい、先生……シュタイン博士が担任になってから解剖実験しかしていないんですが……」】

 

 

【「今日はいつものカエルやらマウスとは違うモノをバラしちゃうよ♪」】

【「今回切ったりとったりくっつけたりする実験体は……天然記念動物!凄いだろ♪」】

 

 

【「あの……その鳥、絶滅危惧I類だったと思うんですけど……」】

 

 

【「俺がバラす前に絶滅されたら困るだろ?……と、そういえばソウルとブラック☆スターがいないけど……どうかしました?」】

 

 

【「二人ならいつものサボりです」】

【「まったくあのバカコンビは……あいつらでチーム組めばいいのよ」】

 

 

【「困りましたね~皆さんもう知ってると思いますが今日このクラスに新入生が来るんですよ」】

 

 

【『博士がそう言い切るや否や外……校門付近から銃声が聞こえた』】

 

 

【「博士!ソウルとブラック☆スターが誰かとケンカしてます」】

 

 

【「全く……ではパートナーのマカと椿は俺と一緒に来なさい。あとは自習」】

【「あ、そうだ。ついでにデスサイズの君とパートナーも来なさい」】

 

 

【『……早く移動しなければ』】

 

 

 

はい、でました。デスサイズだとキッドの顔見せイベントが挟まります。

調整してこのイベント後にデスサイズになってもいいのですがどっちにしろデスサイズになるとキッドへ顔見せしなきゃいけないのでポイント貰えるこっちを選びました。

 

校門に行くとムービーが入るのでスキップ。

内容としては

 

 

・死神様の息子が本人の希望で入学して来たよ

・二丁拳銃使いでつよつよだよ

・ソウルとブラック☆スターは波長が合わないよ

・ソウルに髪の毛切られて持病が出て一週間寝込んで1か月休学するよ

 

 

です。えぇ……(困惑)

 

 

 

【『色々あったがキッドの実力はかなり高いと言えるだろう』】

【『あなたは強大な潜在能力を感じ取り襟を正した』】

 

 

糞みたいなポイント増加量ですが糞を笑う者は糞に泣くのです。つまり野獣先輩を笑っている者は野獣先輩に泣かされる運命だった……?

 

キッド君はこの時あってないと本当に1か月は会えないです。キーワード登録も計算してチャートを組みましょう。

 

 

イベントが終わったので動きがあるまでさっさと加速します。超スピード!?

 

 

 

 

 

 

【「オイ、ひよっ子デスサイズとパートナー……ちっと来い」】

 

 

【『あなたはデスサイズに呼び出された』】

【『呼ばれた部屋に入るとシュタイン博士と随分顔色の悪い……眉間に穴の開いたシド先生が居た』】

 

 

 

【「来ましたね。さて、いきなりですが魔剣が現れました。大まかな場所の特定は出来ましたが万一を考えて人手が欲しい。そこであなた方に捜索の手伝いをしてもらいたい」】

【「ん?魔剣を知らないようですね。魔剣とは武器とその職人とみられる悪人でリストに載っていない魂を乱獲して力を付けています。これ以上放っておけなくなったので俺が呼ばれたんです。」】

 

 

 

魔剣イベントが来ました。

高ランクの職人もしくはデスサイズである、もしくはマカ、ソウルとエメラルド湖の殺人鬼ソンソンJ討伐任務を一緒に受ける。などすればイベントが発生します。

 

こ↑こ↓でクソ長ムービーが入るのでスキップ。

内容はソンソンJ討伐を終えたマカが大量の魂が一気に消えたことを感知して魔剣士クロナのいる教会に行き、戦闘開始するも不利になり撤退を試みるもソウルが切られてしまい、絶体絶命の所をスピリットとシュタインが助けに来る。というものです。

 

スキップしてもまだテキストが出るのでボタンは連打しておきます。

 

シュタインが魂威を叩きこむもカウンターのブラッディー・ニードルで負傷するイベントを挟み魔剣士クロナ戦です。なおスピリットを持ったシュタイン博士と共闘出来ます。

この戦闘はイベント戦闘なので負けるか勝つかするとムービーが挟まります。初期クロナのAIは回避をあまりしないので突っ込んでブラッディー・ニードルにドスドス刺されながらさっさと倒しましょう。

 

ロードが終わった瞬間からクロナを選択し攻撃提案をしまくります。ヘェイ!ルック!リッスン!ウォッチアウ!ヘェイ!ヘェイ!リッスン!リッスン!

ブラッディー・ニードルが突き刺さりま――

 

すん。えぇ……(困惑)

今のステップ回避じゃどう頑張ってもニードルぶっ刺さってると思うんですけど。

あっそっかぁ……【直感】の回避無敵時間延長のおかげで当たり判定が無敵中に当たって消えてるんでしょうね。

 

じゃあクロナ雑魚やんけ!ええの(スキル)獲ったわ!ペグ君、や~っておしまいっ

 

 

ヴォースゲー……みるみる三本もあるイチジク浣ち……体力ゲージが減って行きます。アァ…キ…キモチイイ……

 

削り切るとメデューサ登場ムービーが入るのでスキップ。

 

 

なんと予定より早く倒せてしまいました。やっぱ……パートナーの……ペグ君は……最高やな!

 

 

 

次回はついにあのヤバイつ

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

 

私の眼前に魔剣士が迫る。

 

 

「合点了解です」「グピ」

「でわ……」

 

 

数秒前に私を庇って切られ気を失ったソウルを抱え込み後悔する

 

「ソウル……ごめんね……私のせいで――」

 

 

どっ、と刃物が肉を切断する音が教会中に響く。

 

それは、私の首を魔剣が食んだ音ではなく――

 

 

「エ?何事!?僕のカラダが……」

 

腹半ばから刃に貫かれ動揺している魔剣士をドアの向こうから蹴りの追撃が襲う

その蹴りを繰り出した人物は

 

 

「シュタイン博士!?……それじゃ、この刃は……」

 

「――パパ参上!」

 

なんかパパがカッコつけてるけどそんなことより

 

「シュタイン博士!ソウルが!」

 

「応急処置は施したが……適切な治療をしないと危ないな……」

 

「見てないのね……」

 

「ま……まあまあ」

 

「……向き合い続ければきっと分かり合えます、よ?」

 

「結婚してないおまえらに何が分かるぅ?……しかし、鬼神と言ってもまだ卵、案外あっさり終わったな」

 

 

しかし魔剣士は何事もなかったかのように起き上がった。腹の傷は――

 

 

「傷口の血を固めて止血したぜ!おい!礼は!?」

 

「うん……あ、アリガト」「”ございました”は!?ボコるぞ!!テメェー」

 

「……へぇ」

 

「シュタイン博士……何なんですか?アイツらは……あんなの見たことない」

 

「”鬼神”……の卵。死武専が出来た理由だよ」

 

「死武専が……?」

 

「さてさて、一仕事しますかね」「オウ!」

「君たちはソウルを見といてください」「はい」「分かりました」

 

「オラ!クロナ何だらだらやってんだよ!!さっさとしねェーと今夜一時間おきに起こすぞ!!」

「ヤダやめてよ!!また目の下のクマがこくなるじゃないか……!僕、クマとどう接していいかわからないよ……」

 

「先輩?あの魔剣、防げるよね?」

「俺を誰だと思ってんだ?一児のパパだぞ!」

 

「しかし、何年振りかね~?お前と組むの」

「ははは……お互い年をとりましたね」「それを言うなよ……」

 

「僕頭にネジが刺さってるヒトなんて初めて見たよ……どう接していいかわからないよ」

「食え!!片っ端から喰え!!」

 

 

魔剣士が博士へ距離を詰める。片腕だけで振りかぶり

 

「わからないよぉ!!」

そのまま押し付けるように振り下ろした

 

見た目とは裏腹に重いそれを博士はパパを使って難なく受け止める。そのまま柄を使い魔剣士を掬い取ると地面へ叩きつける。そこへ

 

魂威(こんい)!!」

 

魂の波長を打ち込んだ。アレならあいつの体内に直接ダメージを与えられる!

 

「ガハッ!」

 

内臓にダメージが行ったのか黒い血が口から飛び散る

 

「もう一発……」

 

博士が溜めを作り掌底を構え、振り下ろされる

 

「なグッ……」

直前にシュタイン博士の背中に刺が刺さった

 

「あの時流した血が……!」

パパが切り裂いた腹から出た黒い血が地面に残っていた。そこから円錐状の刺が形成され博士を突き刺したのだ

それだけじゃない。流した血は、まだあった

 

魂の波長を打ち込まれた時口から飛び散った血、目を凝らすとそれが空中に漂っているのが見えた。

 

「博士!!」

「ブラッディー・ニードル!!」

 

博士はその場から飛びのき間一髪刺の包囲網を躱す

 

「血の一滴一滴が武器になるのか?何なんだあの性能は!」

「魂の乱獲によって造られた魔剣……

 ここで止めないと確実に”鬼神”になるぞ!

 それにあの職人と魔剣の魂……

 内向的な性格の職人をいじめっ子体質の武器が押し込めている感じだ。

 今はクロナ(いじめられっ子)ラグナロク(いじめっ子)に反発しているからまだいいが……

 完全に飲み込まれた時が危険だな。

 それにあの魂にまとわりついている蛇は何だ?」

 

「オイ!コラ!また今の技喰らったらクツにガビョウ入れんぞ!オラ!」

「そんなぁ~……ガビョウが入ったクツとの接し方がわからなきゃお外に出れれないじゃないか……!?」

 

武器が職人を小突いている所に博士が距離を詰める。

 

「わぁああ!」

 

また魔剣士がモーションの少ない片手の振りで魔剣を振るおうとするが攻撃の出どころで潰される。

これがシュタイン博士の戦闘スタイル……

武器(パパ)は完全に盾替わりにしてガードした後即座に左の――

 

魂威(こんい)!!」

 

掌底に込められた魂の波長は正しく威力を開放し魔剣士を内側に開く教会の扉ごと吹き飛ばした

 

「すごい……!」

 

「いきなりこっちに飛ばさないでくださいよ……びっくりした」

「……ペグ、一応戦闘準備を」「――うん、魂の共鳴」

 

シュタイン博士は血しぶきのカウンターをまた難なく躱し――

「ぐっぴゃぁああ♪死ね!!ネジメガネ!!」

 

時間差攻撃!博士は躰を捻り躱すが、躱し切れず頭を掠り眼鏡が落ちる。

 

「……解剖するぞお前!」

体勢を立て直すがそこにはまだ血飛沫が漂っていた。

 

「ぴぎゃぃあぁああ!これで終わりだぁ!クソネジ!!ブラッディー・ニードル!」

 

黒い針が博士に迫る。

 

 

 

 

瞬間

 

 

私の視界は白に染まった。

次いで感じる、爆音、圧力、ビリビリと空気を裂きながら余波が石畳を叩く。

 

 

 

「博士、加勢します。」「早く終わらせた方が良さそうなので」

 

今のは、ペグの攻撃?嘘……デスサイズになったのは分かっていたけどいつの間にこんな……

 

「お前ら……ソウル見てろって」

「いや先輩、ここは手伝ってもらった方がよさそうだ。基は魔剣と相性が良いだろう

 ……行くぞ」

 

「……行きます!」

 

ペグは宣言すると地を蹴り魔剣士に一気に詰め寄る

 

「ああぁあああ!!」

 

横薙ぎに魔剣が振るわれるがペグはそれを基でかち上げる

薄く発光した杭は魔剣に触れると爆発を引き起こした

 

周りの血は爆風で吹き飛び、近くで喰らった魔剣士は後ろにたたらを踏む

爆風吹き荒ぶ中でペグは涼しい顔をして杭を内部に引っ込めた

 

凄い……これだけ強い魂の波長もだけど共鳴率が高くなきゃパートナーにも牙をむく

さっきのペグを見れば高いレベルの共鳴率であることは想像に難くない

 

ペグは腰を落とし空手の正拳突きの要領でまっすぐ右手を突き出した

同時に杭が飛び出し強かに魔剣士の腹を打ち据える

 

「な……なにコレ!?うぅ……抜けないよ~……お腹に刺さった杭との接し方がわからないよ~……」

「うるせぇ!とりあえず立て!!アイツをぶっ殺せば解決すんだろ!!構えろ!」

 

あれは……基の杭の部分?ペグに目をやってみれば右手の基の杭はちゃんと付いてる

刺さった杭をよく見てみれば良く練られた魂の波長だということが分かった

 

「「魂の共鳴!」」

 

ペグ達は波長を練りながら魔剣士に突撃する

 

「こないでよぉ!」

 

また横薙ぎの振り、さっきの繰り返……

 

パシャン

 

と、魔剣と杭が接触する寸前に魔剣が黒い血になった。

まずい、あの魔剣……血、そのものが武器だった

 

ペグの目の前に黒い血が刺に変化しながら迫る。

 

「くそっ!」

「先ぱ……」

 

シュタイン博士がカバーしようと動くがもう遅い。黒い針たちがペグの体に――

 

「粗い」

 

――突き刺さる事はなかった

ペグは針の隙間を縫って身を差し込み全て針を回避した

 

「なぁにィ~!?クロナ!足りねぇ!もっとだ!」

「んひぃ~ぃいい……こないでったら!!」

 

一撃を弾きまた腹に一撃を叩きこむ

すると刺さった杭が爆発に反応し連鎖爆発を起こした

魔剣士の口からまた黒い血飛沫が上がる

 

ペグをそれを一瞥して軽くステップを踏むとまるで針が避けたかのようにペグ以外の場所へ針が奔る

そしてまた杭が刺さった腹に攻撃を叩きこむ

 

「ぐぇぴ!不味いぞクロナ!!刺さった杭の波長が内側からダメージを与えてくるし外側の爆発で血が吹き飛んじまう!!」

「うぅ……世界が歪んで気持ち悪いよぉ……歪んだ世界との接し方がわからないよお……」

 

 

「まさかこれほどとはね……いやはや、子供の成長は速い速い」

 

魔剣士を一方的に攻め立てるペグを見ながら博士が呟く様に言った

 

「あぁ……そうだな。っと、もうすぐ終わりそうだな」

 

戦況はあちらに傾くことはなくペグが主導権を握っている。

 

「「魂の共鳴!!」」

 

動きの鈍くなった魔剣士の攻撃の隙にねじ込むように強烈な一撃を叩きこんだ

 

一際大きい爆発が起き魔剣士を吹き飛ばす。

飛び散った血は針になる事はなく力なく地面に広がった。

 

「終わったか。……止めを」

「ガキども、俺らがやるか?」

 

「いえ、大丈夫です。お気遣い、有り難う御座います」

 

ペグが魔剣士に一歩歩み寄った瞬間、魔剣士の体が痙攣した。

 

「まぁああああぁあああ!!!」

「ぴぎぃええぇえええ!!!」

 

「何だ!?」

「……拒絶反応が起こっている」

「さっきまで一体化していた魂の波長がバラバラだ……」

「波長が合っていない武器を扱うことは出来ない、それが体内を巡っているんだ」

「ああなるのは当然、か」

 

体内から四方八方に刺が生え体が宙に浮いてしまっている。その刺も伸縮を繰り返していてとても不安定だ。

基では伸びている刺に対してリーチが足りないためシュタイン博士が魔剣士に近づく。すると、急に感じたことのない魂反応を感じた

 

「この反応……!博士!」

 

「あぁ……魔女だ!」

 

その魔女は箒に座りこちらを見下ろしていた

 

「魔剣士に、魔女だと……!?」

「しかもあの魂、半端じゃない。あの子の体に武器を入れたのもあの魔女か」

 

「アレが魔女の魂……!でも何で?さっきまであんな強力な魂、感じられなかった……」

「ソウルプロテクト、魔女が魂感知に対抗するために編み出した魔法。

 自身の魂の周りに魔力を展開して波長を消したり

 一般人の魂の様にカムフラージュしたりする魔法だよ。僕たちの時もそうだった。」

 

「アレが、ホンモノの魔女……あんな奴を倒してママやペグはデスサイズを作ったの……?」

 

それまでこちらを見下していた魔女だがわずかに手を動かし何かをしている。

一気に背筋が凍るような重圧が強くなる。

 

「全くクロナはだらしがない、帰ったらおしおきだわ……ネークスネークコブラコブブラ

 でもその前にあなた達も――」

 

 

「――おしおきよ」

 

魔女の目が妖しく輝く

 

「ベクトルアロー!!」

 

黒い矢印の魔力の群れが魔女の背後から現れ複雑な軌道を交えて殺到する。それに対し博士が一歩前に出て

 

「魂の共鳴――

 魔女狩り!!」

 

博士は魔女狩りで矢印を一掃する

 

「ふふ……さすがね」

 

その隙に魔女は蛇の使い魔を繰り出し魔剣士を回収した。

 

「今日のところはこの辺にしておくわ」

 

そう言い捨てると魔女は自身に黒い矢印を纏って高速で上空に逃げ去った。

 

「待ちやがれ!!」

「いや……いい……深追いは止めよう、ソウルの容体が心配だ」

 

ソウル……

 

魔剣士、魔女、博士……そしてペグと基。しっかり勉強して課外授業もこなして一度はデスサイズまで後一歩のところまで行けた。

けれど、討伐対象がブレアでなければ……あの魔女と同格の存在であったならば、私たちは、ここには居なかったかもしれない。

ブレアに会う前に死神様に言われたお言葉……それを理解していなかったわけでは無いけれど、本当の意味で分かってはいなかった。

私……力が欲しいよ……

 

俯いてソウルを見ていると、パパが肩に手を置いて、昔みたいに優しい声で話しかけてきた

 

「さぁ……帰ろうか」

 

 

 

 

 

 

ソウルの手術が終わるまで私はずっと保健室の前で待っていた。

1時間か……2時間か、もっと長いか、あるいは私が思っているよりも短いのかもしれない。

 

そしてやっと保健室のドアが開く。

 

「シュタイン博士!」

 

「あら?

 ずっとそこで待ってたの?シャワーでも浴びてくればよかったのに」

 

「どうなんですか……?ソウルは」

 

「手術は成功です。後は安静にしていれば大丈夫でしょう」

シュタイン博士はにっこり、ヘラヘラと笑いながら言った。

 

「よかった……!ありがとうございます!!

 あの~……ソウルの顔見てきてもいいですか?」

 

「ああ……良いですよ」

 

「はい♪」

 

ソウルはぐっすりと眠っていて……呼吸も落ち着いているしうなされてもいない

博士が行ったように安静にしていれば回復するだろう

 

「……」

 

ソウル……

 

 

『俺の職人に手出しはさせねェ!!』

 

ごめんね……

 

 

『俺は職人のために死ぬ覚悟ぐらい出来てんだよ!』

 

私のために……

 

「待っててねソウル。私もソウルみたいに強くなるから……!」

 

ソウルには聞こえていないだろうけど声に出して宣言する。私は、強くなる。

 

 

私が決意を固めていると保健室のドアが吹き飛んだ。何事!?

 

 

「大丈夫か!!ソウル!!」

 

ブラック☆スターがドアを蹴破って入ってきた。

そのままソウルに近づくとあろうことか馬乗りになって首を掴み頭を揺さぶり始めた

 

「大丈夫かソウル!!俺様が来てやったぞ!目を開けろ!俺様の笑顔は生きとし生けるもの全ての活力の元だぞ!!」

 

「ブラック☆スター!!」

 

安静にさせろ!!

私は本の背表紙でブラック☆スターのデコを殴りつける

血が噴き出るが関係ない

 

白目をむいて気絶したブラック☆スターを隣のベッドに寝かせる

 

「ごめんなさいマカちゃん……」

 

椿ちゃんが謝るけど椿ちゃんは悪くないよ

 

「あらあら、ドア壊しちゃって……

 ずいぶんにぎやかじゃないの♪」

 

ブラック☆スターが壊したドアから先生が現れた

 

「「メデューサ先生こんばんは」」

「オウ、ソウルを診に来たのか?」

 

あ、ブラック☆スターが復活した

 

「あの~?マカちゃん?」

「! はい、何ですか?」

 

「足にへばりついてるお父さん剥がしてくれるかしら?」

「白衣を着たマイ・エンジェル♡今日こそ君のメディカル・ラブで僕をいやしておくれ♡」

 

メデューサ先生の足元にはパパがだらしがない顔でへばりついていた

とりあえず脳天にマカチョップを決めて気絶させベッドに放り込む

 

「それにしてもソウル君大変だったようね」

 

「はい、すいません……私のせいなんです……」

 

 

「元気出して!マカちゃんはもっと強くなるワ!」

 

メデューサ先生が肩に手を置き目をしっかり見て断言してくれる

それだけでどんよりと沈んでいた心が軽くなる

 

「……!!

 はい!」

 

 

 

 

 

その後、ソウルの容体をしばらく見て、ひとりで帰った。

 

ソウルの為にも、強く、なるんだ

 

 

 




原作に乗ったのでコミック読み読み頑張って行きます

巻数的に2巻までしか行っていません(絶望)

ま、まぁ全部の話に絡むわけじゃないから……(震え声)






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Part9:超筆記試験

短めですがだらだら引っ張っていても増量出来なかったので初投稿です


遠距離も搦め手も火力で全部吹き飛ばすRTAはっじまぁるよー

前回クロナに爆発するほど滾った棒♂を突っ込んだ所からです。

 

原作が始まっているのでマカソウルブラック☆スター椿キッドリズパティに会えばストーリーを見れます。

が、RTAなのでそんなものはフヨウラ!

 

 

さっさと時を進めます。

 

 

 

そうして教室にエクスカリバーの花輪が出現したらそこから2クエスト受けます。

 

2クエスト受けた後に放課後、保健室に行きシュタイン博士と話し、トレーニングについて意見を求めます。

どれを伸ばしたいか聞かれますが魂を選択します。

 

そうすると皆さんご存じのあのヤバイ壺、もといヤバイ水

吸魂水を使ったトレーニングが解禁されます。

 

吸魂水は一回トレーニングするごとに5%の確率で魂に関連するスキルを入手できます。

習熟してしまうと以降トレーニングに出現しなくなってしまいますが習熟に要求される魂のステータス値がかなり高いので有用です。

 

wikiの稼ぎの項目にも書いてある由緒正しい稼ぎです

今チャートでも吸魂水ガチャを使っていきます。大体魂上げはこれのみで有用スキルが来るまで授業も特訓もしないのがスキル稼ぎの常套手段ですが

今チャートではこれまで通り任務も特訓も行います。

 

 

これまでと変わったところは吸魂水ガチャが増えた程度です。

 

一週目で阿修羅を倒すとなると最速チャートはかなり運が絡むチャートになってしまうので今RTAはしっかり稼ぎをする安定チャートです。

最速チャートでも走行時間がクッソ長いので私は安定を取っています。当たり前だよなぁ?

ここ更新余地

 

そしてこれが出来るようになるということは――

 

 

【『あなたはデスシティに突如現れた普通じゃない魂を探知した――魔女だ』】

【『パートナーと現場に向かおう……』】

 

 

出ました。エルカとミズネがメデューサに喧嘩売ってるのを感知するイベントです

魂感知を持っていると発生します。

選択肢は無いので連打で大丈夫です

 

例によって右枠にテキスト表示しときます

 

 

【『パートナーと合流し現場に向かっている途中にシュタイン博士とマカに会った』】

【『そのまま現場へ向かうとメデューサ先生がすでに現場にいた』】

 

 

【「メデューサ先生……」】

 

【「今……この辺に2つの魔女反応が――……」】

 

【「エエ……私もそれを感じて駆け付けたところです」】

 

【「もしかしてソウルをケガさせたトキの魔女かも……?」】

 

【「そうかもしれないわね……」】

 

【「いや、それは無いでしょう」】

【「あの魔女魔剣と職人を連れていた……ここに来たのがあのトキの魔女だったら」】

【「デス・シティーの真ん中で意味もなくプロテクトを加除したりはしないでしょう」】

【「職人と武器に何かしらの興味を持っているのは確かですから」】

【「ひっそりと身を潜め観察するんじゃないですか?」】

【「もし、ここに、居たら ですが」】

 

やっぱこの時点でシュタイン博士は気づいてんすかね~

 

【「まぁ……死武専に対してプレッシャーか何か与えに来たんじゃないのかな……」】

【「ホラ……不良学校が良くやる感じの」】

【「それにしてもメデューサ先生に怪我が無くて何よりです」】

【「保険の先生に倒れられたら大変ですからね」】

 

【「ふふ……本当ですわ」】

 

 

絶対気づいてるわ(確信)

 

 

【「でも もし……またあの魔女と魔剣職人に会ったら……」】

 

【「マカ!大丈夫か!?一人で行くなよ危ないだろ!!」】

 

【「ソウル……」】

 

【「! ……なんだよいきなり……」】

 

【「博士!!私……魂を強くするやり方を見つけました!!」】

 

【「そう!」】

【「じゃあ明日ソウルと二人で俺のところに来なさい」】

 

なにやらマカがケツイを固めていますがそんなに仲良くも無いのでこのイベントは終わりです

帰ってガチャして寝るぜ!

 

 

おはよう ダメージ。

アクションとはいえRPGですから稼ぎが単調なので加速します。

 

超スピー ――

 

【「あ、ちょっといい?」】

 

 

ファッ!?ペグ君!?まずいですよ!

 

 

【「もうそろそろ筆記試験だけど……大丈夫?」】

 

 

あぁん、何で?

 

 

【「勉強会するから!決定!じゃあ、場所取れたら連絡するね」】

 

 

(勉強会とかいら)ないです。

ですがこれは強制イベなので断れません。

 

と、言うのも学校関係者と一定以上の友好度があると勉強会イベントが発生します。

勉強会はターン消費無しで学力が自主勉3回分上がる救済イベントです

テキストだけで選択肢も無いので連打してフィニッシュです。

 

 

ってなんでキム姉貴とジャクリーン姉貴がいるんですかね……

ペグ君の友好度はまだわかりますがキム姉貴とジャクリーン姉貴の友好度がなんで高いのか皆目見当もつきません

 

プレイ中は気づいていませんでしたが今周は訓練後コミュが多く

毎回訓練してるとはいえコミュ断って微減少してるはずだから届かないはずなんですけどね……?

 

 

どうやらスキルが関係していそうですねぇ

そういえばペルソナはコミュ取る人に合わせて外面を変える野獣先輩みたいなことをして媚を売るスキルです

友好度上昇率がアップし、減少率が激減します。

 

じゃあ全部こいつのせいじゃねぇか!!

 

 

友好度調整こわるる~

ペルソナがコミュ関係のスキルだというのは理解していましたが

これほどの効果をもたらすとは知りませんでした。

 

因みにこの仕様を理解したのは編集時です。デデドン(絶望)

 

 

 

そんなことは露知らず勉強会を終えます。

フン、真面目に授業を受け遊びもせず勉強をしてきたホモ君の学力を見せてやるわ

 

 

超筆記試験では基礎学力を参照する固定値の他に選択肢がいくつか出てそれを答えればさらに加点されていきます。

 

問題自体はランダムで選ばれ難しいものは少ないのでささっと解いてしまいましょう

 

 

【『デスサイズを作るには99個の【???】の魂と1個の魔女の魂が必要である』】

【『・悪人』】

【『・人間』】

【『・哺乳類』】

 

 

悪人の選択肢がちょっと意地悪ですが人間が正解です。

 

 

【『魔女の本能は【???】に支配されておりそれこそが魔女の導きだとされている』】

【『・否定』】

【『・進化』】

【『・破壊』】

【『・排他』】

 

これは破壊ですね

こんな感じで問題を解いていくので加速。

出た問題は右枠に乗せておくので解いてみてください

答えは最後に乗せます

 

私はモロチン全問正解ですよ?ほんとだよ?

ちゃんとキーワード読めば原文ままで出てくるので暇なときに読んどくといいでしょう

 

 

オラ!順位見せてみろ!

何位だコラ!

 

ホモ君は93点8位……まぁまぁですね

 

 

【「テストお疲れ様。どうだった?」】

 

はい、勉強会イベントがあると勉強会メンバーで成績見せっこがあります

おうどうだった?まぁホモ君は文武両道なので93点の8位でしたが?どうでした?ん?

 

 

【「僕は95点で6位だったよ」】

 

お前なかなか……やるじゃねぇか……(震え声)

 

 

【「私は76点で39位だった」】

 

ヘッ、甘ちゃんが そんなんじゃ甘いよ(一転攻勢)

 

 

【「私は86点で21位だったわ」】

 

フン、ザコカ!

 

 

ペグ君とホモ君はパートナーですしこれはホモ君チームの完全勝利ですね!(勝ち馬に乗る屑)

 

さて、超筆記試験も終わったのでもうそろそろアレの復活です。

アレまで入れると動画時間が伸びてエンコが死ぬのでここらで一旦切ります。

 

次回はあの引きこもりを

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

その日はちょうど自宅で本を読んでいたところだ

 

そんな中、着信音が鳴り携帯端末のディスプレイには僕のパートナー……基から電話がかかってきたことを示す表示がされていた。

本にしおりを挟んで閉じ、一応メモとペンをもって電話に出る。

 

 

「もしもし?」

 

『ペグかい? すぐに外に出れるか!? 魔女だ! 二人も!』

 

「場所は」

 

『多分裏通りだけど……タバコ屋のある大通りに来てくれ。そこで合流しよう』

 

「分かった、2分で行く」

 

 

僕は鍵だけ引っ掴みオートロックのマンションを飛び出した。

人の家の庭も突っ切ることになるが緊急時だ、直線で移動する。

大通りに着くと基はすでに到着しており、裏通りを向き目を閉じて集中していた。

 

 

「基」

 

「うん、この先。シュタイン博士とメデューサ先生とマカもいる。急ごう」

 

「うん」

 

 

裏通りに入っていくと足音が横から迫ってきた。

軽い……けどメデューサ先生じゃない、マカさんかな?

 

 

「! っわ! て、ペグ達か」

 

「マカさん、シュタイン博士も向かってる」

 

「うん、魔女反応が!」

 

「……ソウルは?」

 

 

あ、本当だ 居ない。

足音も聞こえないけれど……もしかして

 

 

「あ、置いてきちゃったけど……」

 

「……マカはペグの後ろに付いてくれ、ペグ」

 

「うん」

 

 

武器無しで魔女を相手取るのは無謀だ

 

斥候は僕で殿は基と言った形で裏通りを進む。

ソウルプロテクトがある以上基の魂感知を頼りにし過ぎるのは危険だ。

 

注意しながらも裏通りを駆け抜ける。

 

 

「近い!その角だ!……シュタイン博士と……メデューサ先生が先に……!」

 

 

見えてきたL字路はちょうど角の上に建物が通っていて薄暗く見通しが悪い。

その手前にシュタイン博士が見えた。

 

 

「っ……!1つの反応が消え……いや、二つ目も消えた!」

 

 

戦闘音は聞こえなかった……逃げたか?

角を曲がり通路の先を見る

 

そこにはメデューサ先生しかいなかった。

恐らく一番到着が早かったメデューサ先生にシュタイン博士が問いかける

 

 

「今……この辺に2つ魔女反応が……」

 

「えぇ、私もそれを感じて駆け付けたところです」

 

「……?」

 

 

基が眉間に凄い皴を寄せているけど……どうかしたのだろうか?

 

 

「……いや、何でもない」

 

「そうは見えないけど……」

 

「シュタイン博士が言わないなら僕も何も言わないほうがいいんだろう、何でもないよ」

 

「……そう」

 

 

「おい、マカ! 大丈夫か!? 一人で行くなよ、危ないだろ!!」

 

 

端の方で小声で話しているとソウル君が来た。

 

それは本当にそう。前回魔女にひどい目に合わされたんだからもうちょっと慎重に行動してほしかった。

たぶんそれがマカさんの長所でもあるんだろうけれどちょっと危なっかしい。

 

マカさんはソウル君を見つめると胸……魔剣士につけられた傷に触れた。

そうして暫く俯いていたけれど顔を上げるころには強い意思が宿った眼をしていた。

 

 

「博士!!私……魂を強くするやり方を見つけました!!」

 

 

そう言い切ったマカさんの目には、意思と、勇気が宿っている気がした。

 

 

「……あれ!? 基!?」

 

 

路地から何時の間にかいなくなっていた基を探して角から顔を出すと基はもうだいぶ先まで行ってしまっていた

確かにもう用事は終わったけど……さっきの様子と言い、ちょっと気にかかるな……

 

 

 

 

数日後、僕のその違和感は正しかったと証明された

 

 

「基? どうしたの?」

 

「――の……違う――速く――」

 

「基?」

 

「ん? あぁ……何でもない」

 

 

授業中、任務中、特訓中ずっとこんな感じだ。

 

 

 

ふぅ、っと息を吐き”見る”ことに集中する

だんだんと余計な物が消えていき基だけが浮き上がって見えてくる

 

 

――あぁ、やっぱり変なのが”また”纏わり付いている

 

鬱陶しいなぁ……コレ(・・)が何がしたいかわからないけれど、基を”強さ”に引き付けているのは確かだ

強さを求めていること自体は基の本心だろうけど、”基”を歪めないで欲しい。

 

あれこれ考えている間に基はゆらゆらと帰路に向かってしまう

 

 

「あ、ちょっといい?」

 

 

基の肩を掴んで顔を覗き込む

反応は薄い

 

 

「もうそろそろ筆記試験だけど……大丈夫?」

 

「……ん? あぁ……大丈夫」

 

 

だめでしょ

これは多少強引に行った方がよさそうだなあ……

 

両肩に置いていた手を頬に持っていき目を合わさせる

少し反応があったが目が濁っており、黒目はタールで塗りつぶされた様だった

……早く基から出てって(・・・・)くれ

 

 

「勉強会するから!決定!」

 

「……えっ」

 

正面から耳に着くぐらいに顔を近づけ一方的に宣言する

少し目が困惑に染まり虹彩が見え始める

 

 

「じゃあ、場所取れたら連絡するね」

 

「あ、うん……」

 

瞬きを繰り返す基はまだ反応は鈍かったが目にはしっかりと意思が戻っていた。

多分もう大丈夫だろうけど廊下の角に身を隠して観察する

 

ポリポリと頬を掻いている基にはもう変な気配は感じなかった。

顎に手を当てて考え込んでいるのは予定を整理しているのだろうか

 

少し罪悪感が湧いたが、またああ(・・)なったら連れ戻すと約束したんだ。

 

 

「さて」

 

……とりあえずキムさんとジャクリーンさんも誘っておくか

 

 

 

 

後日。DEATH BACKS CAFFE(デスバ)で勉強会となった。

テーブル席をくっつけて教科書を広げる。

 

 

「はぁ~……ダルっ……もうさ、赤点回避だけ考えて選択題フィーリングで解くだけでいいんじゃない?」

 

「だめよ、キム。今回のテストはシュタイン博士が作ってるのよ。きっと選択問題は少ないに決まってるわ」

 

「思い込みは良くない……って言いたいけどシュタイン博士だから引っ掛け問題は多そうだよね……」

 

「まぁ、超筆記試験は魂学一つだけだから頑張ろう」

 

「だぁからその範囲が問題だっての! 魂の概念から反応現象までとか実質国語歴史数学科学生物じゃん!」

 

「それらの科目の総合応用力を求められるからなかなか大変よね……」

 

 

それは確かに去年も思った。

魂学と一口に言ってもその内容は歴史もあれば倫理もあり、果ては数学の公式や化学の知識が無いと解けない問題もある。

 

 

「それにさ、しょうがないのは分かるけど魂感知持ってる奴有利じゃん」

 

「それは、そうね……魂の反応とか波長の伝達とか想像するのと実際見るのだとだいぶ印象違うでしょうし」

 

「まぁ全員が全員持っているわけじゃないし配分は少な目だと思うよ」

 

「で、実際どんな感じなのさ、魂が見えるって」

 

「うーん……まぁ回収する前の魂が見えるって思ってもらえれば……」

 

「でもマカは博士の魂は全身を覆っても余るとか言ってたぞ?」

 

「あー……それは実際にはほとんど魂の大きさは変わらないんだけれど、

 強靭な魂ほど周りに纏う波長の密度が高く外から見た場合見かけ上の大きさが大きく見えるんだ」

 

「へー……」

 

「ねぇ、基はいつごろから魂が見えるようになったの?

 マカは補修の時見えるようになったって言ってたけど」

 

「ん?記憶があるときからずっと見えてたよ」

 

「ほ~ん じゃあさ、今まで見た中で一番大きな魂って誰なの?」

 

「…………」

 

「基?」

 

「……死神様」

 

「あー、そっか。 やっぱそうだよね」

 

「どれぐらいなの?」

 

「デスシティをすっぽり覆ってたよ」

 

「……へ?」

 

「いやぁ……何と言うか……さすが死神様だね……?」

 

「はぁ~規格外かよ」

 

「さ、雑談はここまでにして早く勉強始めよう?」

 

「うぁ~……明日からで」

 

「キム……それ明日もやらないやつ」

 

「あはは……」

 

 

少しぐだついたけれど勉強を開始する。

 

予習復習をきちんとしている基はもちろん僕も勉強はしてるし、

見たところジャクリーンさんもちゃんと出来ているし

キムさんも言動とは裏腹に……っていったら失礼か、

ともかく、普通に出来ていた。

 

今日しっかりやれば全員赤点とは無縁だろう

とはいえ油断は禁物、しっかりやるぞっ!

 

 

 

 

――数十分後、僕は置物になっていた

 

いや、勉強はしているけどね?

キムさんとジャクリーンさん、僕と基で並んで対面するような席配置だったけれど

今はもうキムさんとジャクリーンさんの隣に基が移動して教えている状態だ

 

二人も教えてもらえればそれで理解できるぐらいには頭は良い。

そうなればわからないことがあればその都度聞く方式でも勉強はスムーズに進む。

とりあえず僕だけ会話に入らないのはちょっと疎外感があったので応用問題について意見を求めた。

けれど

 

 

「ペグは僕が教えられることはなさそうだね。教える方に回ってもらえるかい?」

 

と言われ最初は僕も教える方に回っていたけど、基の方が教えるの上手いし

教えるのに言葉選びに詰まっていて基がそれをフォローしてくれてるうちに

質問が飛ぶのは基の方だけになった

 

いやま、別に? いいんだけどね? 全員いい点数は取れそうだし?

別に勉強に対して心配はしてないよ? 別に

ただ……

 

 

「――で、ここはこうなるんだ。大丈夫?」

 

「オウ、ばっちり。……てかお前腕太くね? シャーペン指三本で折れるだろ」

 

「いや……折ったことないし……」

 

「相当鍛えて……おぉっ!? お前腹筋バキバキじゃん!」

 

「ちょっとキム……」

 

「いやホラ!お前も触ってみって!!ヤベーぞコイツ!」

「やっ、ちょっ、待――あっすご……じゃなくてごめん! はやく手ぇ放してキム!」

 

「はぁ……他のお客さん……はいないか」「ねぇ」

「ともかく、ペグの勉強の邪魔だから静かにね? 今はお客さんはいないけど」「二回言う必要ないよね?」

 

マスターをからかいながら基が言うけど別に気にしてないよ?

ちょくちょく話が脱線してそのまま僕が置いてけぼりになるのなんて全然気にならないよ?

 

すぐそっちの会話に戻るのもぜーんぜん問題ないよ?

試験勉強のためにここに来たわけだし? 基は元に戻ってるし? 目的は達成してるからね?

 

全然関係ないけど試験結果を楽しみにしておくことだね……全然関係ないけどね

 

 

 

 

 

そうして試験が無事――(ブラック☆スターが吊るされていたりソウル君がカンニングウェア没収されたりキッド君が倒れたりしたけど)終わり

試験結果が通達された。

特訓メンバーは前の勉強会の面子なので成績の話を振っても怪しまれない。余裕ぶっているようだけど背中に気を付けることだね! 基!

 

 

「テストお疲れ様。どうだった?」

 

「93点で……8位だったかな」

 

「マジか……さすがデスサイズ」

 

「あんまり関係ないと思うわよ……?」

 

 

ふふふ……勝った……!

 

 

「僕は95点で6位だったよ」

 

「うぉ!マジか!二人そろってよ~……」

 

「流石ね……」

 

「…………凄いな」

 

「私は76点で39位だった」

 

「私は86点で21位だったわ」

 

「二人ともいい成績じゃないか」

 

「あんたら二人とも一桁順位じゃんか……」

 

「継続は力なりってことね……さて!特訓も続けていかないと、ね!」

 

「あぁ、始めようか」

 

 

ふふ……何の気なしに流した風にしているけど

僕の成績を聞いた瞬間目の端が歪んだのは見逃してないよ

 

僕だってやればできるんだから

 

ちゃんと見ててよね?

ふふっ

 

 




こんな青春過ごしたかったな~俺もな~

なお超筆記試験順位表はアニメでは掲示板だった気がしますが
原作では描写が無かったため個別通達と言うことにしておいて下さい


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Part10:鬼神阿修羅

お盆休みに仕上げたかった……!(願望)


どんどん狂っていくRTAはっじまぁるよー

前回筆記試験タッグマッチでメスチームに完全勝利した所からです。

 

超筆記試験が終わると第一章と言うか序章の締めのイベント鬼神復活が始まります。

フラグ管理によっては連戦になる可能性もあるので何かのミスでそうなった場合は回復アイテムを買い込んでごり押しで突破するか大人しくリセしましょう。

 

今回のチャートではメデューサはイベントのみ、クロナを無視、フリーの茶番をさっさと突破して鬼神に一直線です。

デスサイズであると高確率でクロナ対応を任されますがマカに押し付けるので問題ありません。

 

信頼値と友好度が高ければ共闘を持ちかけられたりしますがいくらペルソナ付いてても一回しかコミュ取ってないので大丈夫です(ほんとぉ?)

 

 

さて、そうこう言っている間に前夜祭が始まりました。

 

 まず死神様の挨拶を聞き流し動けるようになったらいくつかの人物を調べます

ダンスしているキッド組、床に座って料理をむさぼっているブラック☆スター組、そしてバルコニーに居るソウルかテーブルに居るマカを調べられます。

この中で2組に話しかけるとスピリットとマカが踊り始め、ソウルとマカのフラグが潰れ調べなくとも良くなるので距離が近いキッドとブラック☆スターを調べ

そのまま出現したスピリットを調べ、最後にシュタインとメデューサへ向かいます。

 

全員を調べるとフラグがアクティブになり、シド先生が登場します。この時、ホモ君が定位置に移動するまで会話ウィンドウが出ないのでシュタインを最後に調べた方がわずかに早くなります。

 強制土葬(メガトンコイン)で階下に落とされたら会話イベントです。

選択肢は無いので連打しましょう。途中で暗転が挟まりキャラの服装が変わりますがまだ会話は続くので連打は止めずにしておきましょう。

 

会話が終わるとロードが挟まり、また会話が続きます。この時、メデューサの目の前で作戦会議が開かれるので一瞬会話送りの手を止め一応配置を確認しておきましょう。

シュタイン博士がこっち向いたら連打を止めて会話を見ます。お前さっき俺らが着替えてる時、チラチラ見てただろ(因縁)

予定通りクロナ担当になりました。この後メデューサのイベント戦が挟まるので指が疲れないぐらいの連打を再開します。

 

 このメデューサは固定位置からベクトルアローを飛ばしてくることしかしません。

しかし検証班によるとこのベクトルアローはシュタインルートで戦う時の物より威力が2割ほどまで落ちているらしいです。

その代わり対象を絞らず広範囲に撒き散らすここ限定の物になっております。

ぶっ刺されながらも進んで大したことないな!と思った兄貴も居るのでは?

 

 さて、メデューサ戦が始まりました。

始まったらまずブラック☆スターの後ろに隠れましょう。人間の屑がこの野郎……

ブラック☆スターはベクトルアローを相殺しながら進むので必然的に後ろに飛んでくるアローが少なくなります。

俊敏値もこの時点ではバケモノではないので多少遅れるぐらいで済みます。

俊敏値がクソザコナメクジのタンクビルドの場合はアローに威力が無いのでガードしながら進めばいいです。

鈍足で紙装甲で低体力の火力ブッパマンビルドの場合はつみです でなおしてまいれ。

 

と言う訳ではありません。ちゃんとクリアできる方法があります。

回復ごり押しするか、実はシュタイン博士も後ろにいるので逆走してシュタイン博士の後ろに隠れましょう。

スピリットを使っているシュタインの攻撃判定は広く、真後ろに居ればほとんど当たりません。じりじりと進む博士の後ろに付いて進みましょう。

また、イベントの発生条件は自キャラが奥にたどり着く以外にもシュタインとメデューサの距離が一定距離になれば次に進めます。

なお、その場合でも主人公は突破したことになっています。えぇ……(困惑)

 

 はい、特に画面には触れることも無くメデューサ突破です。

次はクロナ戦ですがマカに譲れと要求されます。友好度や信頼値が足りなくても断るを3回選べば戦えます。全イベント戦コンプ縛りの人はどうぞ。

カーソルはデフォで受けるの位置にあるので連打でOKです。映像フリー戦へ急ぎます。

キッドの銃が効かないイベントを見て戦闘開始です。

 

戦闘が開始したら魂感知を行います。これでイベントを挟み戦闘終了です。

魂感知があれば映像を送っているだけのフリーを見破ることが出来ます。次はエルカ、実体フリー戦なのですが……

 この時何やっても鬼神は復活します。どれだけ鬼神の袋に攻撃しようがフリーとエルカを倒そうが幻覚でしたで済まされ鬼神は復活してしまいます。

二週目でどれだけ高い狂気耐性スキルを保持していようが復活します。悲しいなぁ……

 

ですのでさっさと注射器壊してイベントを進めましょう。注射器を鬼神に刺されるか注射器を壊せばイベントになります。

エルカ本体に攻撃し過ぎると幻覚でリセットされるので正面から殴りましょう。

注射器の耐久は低いので2、3発殴れば壊れます。

 

 イベント後鬼神阿修羅(全裸)戦が始まりますが自キャラが戦闘不能になってもキッドとブラック☆スターが戦闘不能にならないとイベントになりません。

下手にこっちにタゲ貰うと変なことになる可能性があるので大人しくしておきましょう。

キッドとブラック☆スターが戦闘不能になりました。鬼神復活のイベント後、暗転してセーブ画面になります。

 この時のセーブ画面ではキャンセルボタンではカーソルがいいえに行くだけなのでしっかりと選択しましょう。終わった気になって画面から目を離してはいけない(戒め)

 

 

所で五段重ねミズネとブレアのキャットファ

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

今日は死武専創立記念前夜祭だ。正装(スーツ)に着替え死武専中央塔ホールに向かう。

 

そうしてホールで待っていると死神様から挨拶……本当に挨拶だけだった、が終わりキッド君の挨拶に移る。

しかし性格通りきっちりした挨拶は始まってすぐ大声で遮られる。

 

「ひゃっはぁあ!!

 俺だ!俺様だ!!ここにいる全員俺様を目に焼き付けろ!」

 

ブラック☆スターだ。壇上傍のカーテンに上り全員から視界を確保している。

 

「え~……今こうして死武専が世の平安を保っていられるのもすべ「俺様の後光に焼かれないよう慎重かつ大胆に目ん玉かっぴらいて俺様を見ろぉ!!」

 

「……エ~と、なんと言うか」

 

「俺様の伝説て「虫酸ダッシュ!!!」

 

ブラック☆スターの妨害に堪忍袋の緒が切れたキッド君がブラック☆スターを蹴り落とす

 

「何すんだ!俺様の輝きを妨げやがって!」

「たわけめ!うつけめ!邪魔しているのは貴様の方だろうが!俺はきっちりと挨拶をしたかったのに!」

 

そのままもみ合いの喧嘩に移行する。

キッド君が顔面にパンチを入れカウンターにブラック☆スターが腹に蹴りを入れてそのまま距離が離れ喧嘩は終了した。

 

「クソ……

 鬱だ……

 死のう……」

 

「まったく……誰の祭りだと思ってやがんだ」

 

「少なくともお前のじゃねェーな……」

 

ソウル君の言う通りである。

まぁちょっとしたハプニングもあったけど死武専創立前夜祭は予定通り開催された。

 

 立食パーティーでみんな着飾って音楽に合わせてダンスしたりしている。

こういったパーティーは良い思い出が無い。挨拶回りが無いだけ随分とマシだけど。

 ……ここには姉さんも兄さんも居ないし挨拶回りに連れまわされることもない。

けれども逆にやることが無いとそのことを思い出してしまう。

 料理でもつまんで気分を変えようか……いや、あまり食欲が無い。水でももらって風に当たろう。

 

 バルコニーの手すりに寄りかかり水が入ったグラスを傾ける。

グラスを手すりに置くとカラン、と氷が鳴った。……そういえばまだ慣れてない頃も気分が悪くなると水を持って逃げてきたな、と昔のことを思い出した。

 

いやいや、気分を変えようとしてきたのにこれじゃ逆効果だ。軽くかぶりを振り結露して水滴だらけになったグラスを額に当て熱を取る。

眉間を伝って水滴が服に入るが止める気にはなれなかった。頭が痛い。

……少し離れた方がいいな。仏頂面でいたら場が白けてしまう。

会場から出ようと身を預けていた手すりから体を起こすため少し後ろに重心を傾ける。身を振って起こそうとする瞬間に人影が現れた。

 

「ペグ……大丈夫かい?」

 

「あ……大丈夫だよ、ちょっと……疲れただけだから。」

 

「シュタイン博士かメデューサ先生を呼ぶかい?」

 

「大丈夫だって。 ちょっと人混みに酔っただけだから……」

 

「そう……保健室は閉まってるから悪くなったら先生に言うんだよ」

 

「はは……うん、そうする。ありがとう、基」

 

会話をしたことで少し楽になった。基を見送り、今度こそグラスを返しに行こうと手すりから離れる。

その時、丁度二つ離れたバルコニーにソウル君が居るのが見えた。

ソウル君は手すりに突っ伏して何の気なしにグラスを揺らしていた。

 

「ソウル君、気分でも悪いの?」

 

「! ペグか……なんでもねぇよ、こういうのはどうも苦手でな」

 

「はは……僕も。 ちょっと人に酔っちゃった」

 

「ダリぃな……フケるわけにもいかねぇしよ」

 

「ソウル、ペグ」

 

「ンあ、……マカか」

 

「こんばんは」

 

「こんばんは、 ……基ならあっちに居たよ」

 

「ん? あぁ、さっき会っ――」

 

いや、どうやらマカさんはソウル君と二人で話したいみたいだ。ここは素直に従っておこう。

 

「――ありがとう、マカさん、 それじゃ」

 

グラスをもって回収所に行くと椿さんと会った。同じく食器を返しに来たのだろうが……量が尋常じゃない。

向こうでブラック☆スターが皿の山を量産している。椿さんが往復するよりも早く空皿を作っているので周りに皿の壁が出来てしまっている。

 

「た……大変そうだね」

 

「あ、ペグくん こんばんは」

 

「こんばんは、……手伝おうか?」

 

「ううん、大丈夫、気にしないで。パーティーを楽しんで」

 

「そう……?無理しないでよ?」

 

椿さんと別れ出口へ向かう。だいぶ気分も良くなったし顔でも洗って出直そう。

 出口付近に行くとシュタイン博士がメデューサ先生とダンスをしていた。二人とも笑顔だけど……その笑顔がなんか怖い

横を通って行けなさそうな雰囲気なのでしばらく待つ。そうしてステップが止みダンスが終わ……

 

 え? メデューサ先生がシュタイン博士を抱き寄せて、ふいに顔を近づける。ちょちょ

これってキス――

あ、いや、人目が――

え、基なんでガン見してるの――

そうじゃない、早く離れなきゃ――

そうこうしているうちに二人の唇が重なっ――

 

「シュタイン!!!

 早く!!

 みんな!!早くココから出ろ!!!」

 

「シド先生!?」

 

 傷だらけのシド先生が転がり込んできた

と、同時にメデューサ先生が弾かれたように走りだし僕の横を通り抜ける。

思わず目で追ってしまうがすぐにシド先生に向き直る。見た感じ背の上部、肩甲骨の辺りから腰に掛けての火傷がひどい。

 

「大丈夫か!?」

 

「あぁ……爆発の寸前地面に潜ったんだがこのザマだ……

 それより早くここから……罠が仕掛けられてる、

 奴らは鏡の中から出てきた死神様と死武専生が集まる今日この時を待っていたんだ……!」

 

「!! メデューサは!?」

 

「えっ、さっきそっちに……」

 

 メデューサ先生が走って行った方を確認する。

丁度バルコニーへ出て手すりを持ち身を翻して外へ飛び出して行った所だった。

 

「魔女反応!! 3つ!……! いや、さらに5つ!!」

 

基が武器に変身しながらとんでもないことを言う。

 

「魔女!? 罠って!?」

 

「くぅ……お前らだけでも……!」

 

パリパリと部屋全体が揺れる。外を見ると薄く幕が張るように光が漂っているのが確認できた。

 

「間に合ってくれーーっ!」

 

「空間が歪んでいく……

 マズイ!閉じ込められる!?」

 

「行くぞ!

 ……強制土葬!!」

 

 床から棺桶が足元に出現する。普通の棺桶との差異を上げるとすれば底が無い事だろうか。

そのまま自由落下が始まり下の階へ落とされる。着地し、上を見上げると薄く発光した壁が途中に出来ており上の様子は確認できなかった。

 

「いてて……

 職人は全員着地成功かよ……やっぱ違えな……」

 

「さらに追加……魔剣も居る」

 

基が言い切るや否やくぐもった爆発音が外から染み入ってきた。天井からぱらぱらと建材が脱落する。

 

「何が……」

 

「みなさん、落ち着いて聞いてください。

 緊急事態です。死武専の地下には狂気の始まり、初代鬼神が封印されています。

 そして今、保険医として潜入していた魔女……メデューサが鬼神をよみがえらせようとしている

 これは絶対に阻止しなければなりません!」

 

「メデューサ先生が……魔女!?」

 

「死武専にそんなモンが封印されてんのか!?」

 

「確かなようだ。俺も父上から聞いたよ

 父上はその鬼神の封印のためにこの地を離れられない」

 

「何!?死神のダンナはここを動けなかったのか!?

 ただの引きこもりだと思ってたぜ」

 

「ともかくです、死人(シド)君の機転を無駄にできません。

 地下へつながる隠し通路へ案内しましょう。みなさん、ついてきてください!」

 

 この後、正装……特にマカさんがピンヒールで戦闘に向かない服装だったので一度ロッカーへ向かい着替えてから地下通路へ向かった。

秘密の地下通路……コンクリートなどではなく自然の切り出した石材で作られている。その緩やかな斜面をただひたすらに下って行く。

 

「けっこう走ってるよな~ なっ、マカ、モトイ

 この先の魔女の魂反応は?感んの?」

 

「ううん……今はプロテクトをかけてるみたい」

 

「魔剣は1キロ行かないぐらいのところに居るけど……

 いや、近くにもう一人……」

 

「え? あ! 博士!!」 「えぇ」

 

「間違いない……このひわいでサイテーな感じ……

 パパ!」

 

「ひわいでサイテーな感じって……」

 

スピリット(デスサイズ)さんだ。柱に寄りかかるようにして僕たちを待っていたみたい。

 

「よくあの魔法から逃れられましたね」

「女のケツ追っかけるのは誰よりも速い」 「さすが……」

 

ひわいでさいてーなかんじ……

 

「ともかく、助かりました。武器無しでどこまでやれるか不安だったんで

 先輩……この先に?」

 

「あぁ、待ち構えてる」

 

 あぁ、さっきのはジョークで緊張をほぐしてくれたのかな

あんまりにも真面目な顔で言うから分かりにくかったよ

 

「みなさん、ここからは何が起こるか分かりません。

 武器の方は決して人間の姿に戻らないように。一撃で命を落とす危険性があります」

 

「……」「はい」「お……おう」「ほ~い」「……」

 

「……おい、何か聞こえないか?」

 

恐らくこの中で聴覚が一番鋭いであろうブラック☆スターが声を上げる。

 

「え……?そ、そう?」

 

皆が耳を澄ますと今までの会話を聞いていたかのように足跡が聞こえ出す。

 

「足音……」

 

「おそらく最前線で張っているのは相手が多人数で来た場合袋叩きにされない力と自信を持っている者……」

 

シュタイン博士の言葉に応えるように魂の波長が吹き荒れる。ソウルプロテクトを解除した――魔女

 

「やはりあなた達ね……クス

 待っていたわ」

 

魔女……メデューサ。

 

「少しばかり俺から作戦を授けます。気張らずに聞いてください。

 

 相手の出方はだいたい予想がつきます

 第一の足止めにメデューサ

 

 そこを抜けてきたものを抑える第二関門に魔剣。その二重構造

 

 そして残り二人が目的の初代鬼神に向かっているでしょう。

 前にマカが会った狼男が不死の体を生かした捨て身のガードで”黒血”を死守する……

 

 そこで我々が取る行動ですが——

 

 まず俺がメデューサを抑える

 

 君たち4人は出来るだけ早くメデューサの壁を突破してください。

 そしてこの中で一番機動力のあるキッド君、君が鬼神に向かう敵二人を追うように」

 

「分かりました」

 

「ブラック☆スターとペグはキッドとマカが先に進める様魔剣を抑える。

 魂の波長を打ち込めるブラック☆スターと基なら魔剣に決定打を与えられる」

 

「おう」「はい」

 

魔剣……今度こそ仕留める

 

「そしてマカ、メデューサと魔剣を突破し、早くキッドに追いつき二人で”黒血”を破壊する」

 

「はい!」

 

「最後に……これだけは守ってください

 命だけは落とさない事!

 わかったな?」

 

「「「「はい(おう)」」」」

 

「敵の前で作戦会議?

 ……物凄く筒抜けよ」

 

「あれ? あなた死武専の保険医でしょ?」

 

博士が眼鏡を取り臨戦態勢を取る

 

「減らない口……いいわ――

 始めましょう。

 ネークスネーク、ネークスネーク――」

 

「いいですか、一度に突破しようと考えなくていい

 隙は絶対に現れます。焦らず、冷静に

 ――来るぞ」

 

「ベクトルアロー×(バイ)3(スリー)!!!」

 

矢印の雨。魔女の背後から巻く様に矢印が殺到する。同時に僕たちは走り出した。

 

「デススライド!」

 

キッド君がスケボーを使って矢印をレールの代わりに使い一気に抜ける

 

「先に行ってるぞ」

 

「ペグ!ブラック☆スターの後ろに!」

 

基に言われてブラック☆スターを見ると矢印を切り裂いて直進している。

ブラック☆スターが通った後ろは矢印の密度がかなり薄い。

 

「ちっ……ベクトルの60%をペグへ」

 

 ブラック☆スターを諦めて魔女がこちらに寄越す矢印を増やすが一手遅い。ルートはもう完全には塞げない

 

「はぁっ!」

 

 どうしても避けられない矢印を爆発で吹き飛ばす。

周りの矢印も軌道が変わり十分なスペースが出来る。そこへ腕を差し込み重心を前へ

 

そのまま腹に当たる軌道の矢印を躱すために前宙する。着地の瞬間、次に迫って来ている矢印が顔に当たらない様にスライディングし

基を振り上げ道を拓く。立ち上がり右足を軸に180°左回転し右に体を移す。

 

バク宙し空中で矢印を踏み体を正面に向ける。足が流されないようにすぐに跳び、未来位置の密度が薄い場所に飛び降りる。

殺到する矢印に半身になって身を差し込みステップを踏む。後は基を振れば突破できる。

 

「おのれ!!」

 

ブラック☆スターはまだ見えるがキッド君の姿はもう見えない。速く追いつかないと。

 

暫く走り、少し開けた場所に出ると魔剣が待ち構えていた。

 

「ん、来たか。俺様のソロステージでもよかったんだが

 特別にお前らも登らせてやるぜ」

 

「魔剣は液状化と硬質化を使い分けて攻撃してくる

 気を付けて」

 

基を握りなおし、魂の波長を練る。

 

「待って!ブラック☆スター、ペグ!」

 

「? どんくさいお前にしては早かったな」「どうかした?」

 

「ここは私にやらせて」

 

「何?」

「無茶だ」

 

「俺たちの攻撃は魔剣に通用しないぞ」

「バカ野郎!俺様のステージを邪魔すんじゃねぇ!」

 

魔剣との間に割って入られる。刃は向いていないが鎌によって明らかに威嚇している。

 

「おい、おじょうちゃん!

 調子乗ってると殺すぞテメェー」

 

マカさんはまっすぐ魔剣を見据えて動かない。もう魔剣の事しか目に入って無いみたい。

 

「……! 優等生のマカがセンセイの言いつけを守らないとはね

 何? 反抗期?」

 

「うるさい」

 

口元は笑っている。そうか、ソウル君が受けた傷の借りを返したいのか

 

「いいぜ、このステージ譲ってやる

 だが無理だと思ったら俺様を呼べ

 小物のため駆けつけて熱烈解決してやるぜ」

 

「ペグ、波長の杭を打ち込めば多少戦えるように――」

 

「基、それは野暮だよ

 ……これはマカさんの問題だ」

 

「え? いやでも……

 ……分かったよ」

 

 基は納得していない様だったけど魂の波長を投げ返してこない僕に諦めたのか折れてくれた。

ごめんね、でも、分かる気がするから。

 

「行くぜ、速☆星(スピードスター)!」

 

ブラック☆スターが斜め上に跳躍して魔剣を飛び越す。

僕は魔剣の左手側から突破する。

 

「上!?

 でもいいもん、背後からの方が接しやすいから……

 死んでね。スクリーチα(アルファ)!」

 

 右手に持った魔剣の切っ先を左手側から背中に回す。このまま右回りに回転して斬撃を放つのだろう。

基を伸ばして柄を抑え振り始め潰す。

 

「うじゅ!?」

 

そのまま後ろ蹴りを繰り出しマカさんに引き渡す。

 

「エイ!」

 

マカさんがうまく魔剣士を拘束した。これで大丈夫だろう

 

走り出し、完全に前方に意識を回そうとした瞬間に魔剣士が後ろから飛んできた

 

「うわ!?」

 

思わず突きで打ち返してしまう。仰向けで飛んできたが打ち返してうつ伏せに飛んで行った。

マカさんを通り越して入り口付近で滑走が止まる。

 

「ちょ、進行方向に飛ばさないでよ……」

 

「へへ、ごめんごめん」

 

「めちゃくちゃだよ、いきなりボコボコ……

 あんな横暴な子とどう接していいかわからないよ……」

 

「殺せ!

 クロナ!小僧二人はもういい!

 今は目の前の小娘に集中しろ!」

 

「うん」

 

どうやら僕は見逃してくれるようだ。今度こそ僕は最初の広間を後にした。

 

 石柱が倒れ足場が悪いカーブがかった道を進む。途中で爆発音が聞こえ、しばらく進むと壁に大穴が開いていた。

どうやら遠距離から攻撃を行っているようだ。気を付けて進もう。

 

「――ォオオ!」

 

さらに進むとブラック☆スターの声が聞こえた。声の大きさから恐らく近くにいる。

道に覆いかぶさっていた石柱を潜り抜けるとまた大広間に出る。そこでキッド君とブラック☆スターが不死の狼男と対峙していた。

 

「うぉっ!何だオメェー!!」

 

「おい見てみろよあの男――

 左足に()()足枷をつけてないよ」

 

「何!?

 本当だ!何て奴だ」

 

なんとなく分かった。キッド君は多分面倒くさいやつになってた。

 

「……! あの狼男、魂が無い

 と、言うより多分奥に本体が居る」

 

「え? ……本当だ。砂埃が体を貫通していってる」

 

「……映像か何かか!」

 

「フフ……ここまでのようだな」

 

「魔眼……これはあんたの魔法か?」

 

「あぁ、空間魔法 映像転送(フォワーディング・ビジョン)

 俺のライブ映像を指定した場所に映し出す魔法さ」

 

「クソ! まんまと時間を稼がれた……行くぞブラック☆スター、ペグ」

 

「うん」「オウ! 暴れたんねェ」

 

 広間を後にして深部に向かう。

キッド君が先行しブラック☆スター、僕と続く。全力で走っているがブラック☆スターには追い付けない。

戦力の逐次投入にならないといいけれど……

 

そこまで考えたところで社に着く。と、同時に爆発音が響く。銃撃の音も絶え間なく聞こえてくる。

お願い……間に合って――!

 

 社に突入すると黒い液体が入った注射器が奥に転がっていくところだった。

傍に女性とブラック☆スター。黒血に射線を通しているキッド君とそれを体で遮る狼男。

 

狼男の方は大丈夫、すぐに注射器に駆け寄る。ブラック☆スターが刀を注射器に振り下ろす

刀が届く前に黒く丸い生物が尻尾?を使って注射器を弾き飛ばす。

注射器は放物線を描いて――

 

注射器を目で追っていたら見たことのない包帯男が目の前にいた。

鋭い手刀と触手のように包帯が飛んでくる。

 

「なっ」

 

手刀をスウェーバックで避け触手をヘッドスリップで躱し腹に杭を打ち込む。

手ごたえがまるでない、しかしよく似た雰囲気を、知っている。

 

「——グ!? ペグ!?」

「っ 幻覚か」

 

よく似た感じ、基の、周りに居るもの、それと同じ雰囲気――

だったら、基は?

 

いや、今考えることじゃない。注射器はどこだ

 

「んぐぐ……」

 

あった。自分としてはあまりその場から動いていないつもりだったが5mは移動している。

もう封印の袋に注射針が食い込む寸前だ、シリンダーに力が籠められる。ギリギリ間に合うか!?

 

「遅ェんだよクソ女!

 今度こそもらったぁ!!」

 

ブラック☆スター! 十分間に合う距離だ!

 

 

 

……しかし、ブラック☆スターは見当違いの方向に跳躍し、注射器ではなく、拘束具がつながっていた像を破壊した。

 

 

まさか……幻覚を見てるのか!? 杭をリロードし、注射器に飛び込むようにして突きを入れる。

注射器の黒血が舞い散る。しかし、その形がブレたかと思うと柱に形を変える。

 

「んう!?」

 

僕も何時の間にか見当違いの方向に攻撃を加えていた。

後ろを確認すると袋に注射器が刺さっていた。シリンダーは奥まで押し込まれている。

確認した直後、袋から暗い波長が吹き荒れる。狂気が空間を支配していく。種類は違うがよく、知っている。

 

「やっちゃった……」

「やった」

「なんということだ……」

 

「オイ……待て、なんでだよ

 俺たちの勝ちだろ?

 俺は注射器をぶっ壊した、黒血の注入を阻止しただろが!」

 

「ブラック☆スター、よく見て

 君が切ったのは石像の方だ」

 

「んな……嘘だろ

 失敗……?」

 

 

「――クソっ

 死ねえええぇええ!!!」

 

 キッド君が袋に銃を乱射するが袋が破ける気配すらない

やがて袋の一点が膨らみ地面に落ちる。膨らみの先は顔のような凹凸が見えた。

これは、袋じゃなくて、鬼神の皮だったのか

 

 そうこうしている内に上半身まで鬼神が出てきた。

袋についていた鎖を引きちぎるように下半身が振るわれる。糸のように鎖がちぎれ飛び皮が張り付き足が見えてくる。

 

鬼神はその足で立つと皮の”ズレ”を直すように腕の皮を引っ張りパチンと戻した。

 ゆっくりと歩を進め黒血を注入した女性の前に立つ。恐る恐るといった動作で女性の顔を覗き込む。

 

「ぎゃあああああああぁああああぁあああ!!」

「ひぃエエエエエエエエエエエ!!!」

 

「な……なに!?

 エルカに……」

「びっくりしている!?」

 

「うるせェなぁ……

 あいつが、鬼神……

 椿、モード妖刀だ 起きぬけブッコロス!」

 

「無理よ……ブラック☆スターの体はもうボロボロ……

 これ以上妖刀を扱えば私はあなたの魂を削り取ってしまう……」

 

「黙って言うこと聞け!

 早くしろ!モード妖刀だ!」

 

「できません!」

 

「じゃあお前はそこで見てろ!」「ブラック☆スター!」

 

「俺たちも行くぞ!」「ほい!」「オ……オウ……」

 

「僕たちも……」「駄目だ……!」

「え?」

 

基が絞り出すような声で制止する。

 

「無理だ……少なくともこの戦力じゃ……!

 逃走経路を確保しなければ……!」

 

「でも二人が……!」

 

僕たちが二の足を踏んでいる間にブラック☆スターが腕の一振りで弾き飛ばされた。

 

「く……!」

 

 ブラックスターが魔女たちに人質に取られないよう位置取りを行う。

その間にもキッド君がやられてしまった。

鬼神はこちらのことは気にも留めず皮を引き延ばし包帯のように体に巻き付けた。

 

「スッポンポンじゃないか!!

 重ね着しなければ!!

 いいよなぁ!!マッチョはな!!」

 

 何かよくわからないことを言い出して天井を突き破り逃げ出して行った。

上を見ていると視界の端から人影が飛び出し鬼神が足場に使っていた長い皮膚の包帯を掴む。

 

「「マカ!」」

 

マカさんが鬼神を追いかけて行ってしまった。ついていくにももう包帯は無いし、さすがにこの縦穴を登って出るのは危険だ。

事ここに至っては魔女たちを束縛したほうがいい。情報が手に入る。

 

「ふん……やる気か?」

 

狼男がヒトから獣に姿を変える。

 

「一応言っておく……投降しろ」

 

「そいつは聞けん相談だな

 ああ、思い上がりさぁ」

 

「そうか……

 魂の共鳴」

 

「ウールッフウルブスウルフウルブス――」

 

「氷錐体」「フっ!」

 

足元から高速でせり出してくる氷の円錐を殴って砕く。その間に接近を許してしまうが近接戦闘はこっちも望むところだ。

 

「ホオォオォウ! シッ! シッ!」

 

 足枷のついた脚での後ろ回し蹴り、間合いが少し伸びる。

避け切った所に移動を制限する弧を描くようなジャブに最短距離を走るジャブ。

何とか受けることが出来た。見た目通りの力だ。急所に大きいのをもらえばいつでも倒される。

 

思ったよりも素早い一連の攻撃に対処を変える。捌き続けて大きい隙にカウンターを打ち込むことにする。

リロードし魂の波長を杭に込める。手を出せば逆にこちらが隙を晒すことになる。

 

「ほう? いいだろう……その誘い、乗ってやるぞ」

 

右の二連を躱し、返しの左膝を受ける。その左を踏み込んでの右のミドルキックを流しこちらが踏み込む。

が、氷柱生えてきて行く手を阻む。

 

「なかなか、だが……」

 

 狼男が飛び込むように接近し上から抱きつくようにして腕を振るう。

これは誘い、隙だらけだが飛び込まず後ろに逃げる。

地面を蹴る瞬間何かが飛んできていることに気づいた。

 

つららだ。腕を振り下ろす際に一緒に飛ばしていたようだ。身を縮め半身になって防御する。

右脇腹に二本、脚に三本刺さってしまった。指の太さもないが、じくりと痛む。

 

 狼男はその脚力で一気にこちらとの距離を詰める。

左が来る。脚に力を籠めるが思ったより動かない。パキリと音がした気がした。

今は確認できないがどうやら当たった所を凍らせる効果があったようだ。避けられない。

 

後ろに仰け反り倒れるようにして回避する。ゆっくりと景色が流れ、天井の割合が多くなってくる。

この間合いなら届か――

 

「ニィ」

 

「ぐァっ!」

 

 狼男には指先に氷でできた爪が生えていた。

その分間合いが伸び右肩に突き刺さる。

 

爪の力を流すように回転する。無事な左足を軸に回り右足を踏み込み基を構える。

凍傷になったのか燃えるように痛いが踏ん張る。さっきの大振りで無防備になった脇腹を狙う。

 

が、あと一歩、踏み込めない。

そのまま狼男の左二の腕辺りを突く。

杭が射出され毛皮を貫き骨を断つ。内部から爆発を起こし腕を断裂する。

 

「クぉおっ!」

 

 ガランと波長で練られた杭が落ちる。

狼男は腕を残して後ろに跳躍した。仕切り直しか。魂の波長を練り杭をリロードする。

 

「ふぅむ……ちまちまやってる時間はないんだが……

 ……どれ、やるか」

 

一言二言何かを呟きカパリと大口を開ける。ビリビリと空気を震わせ魔力が狼男の口内に集まっていく。

 

「くっ」

 

 思い切り地面を蹴り全速力で駆けるが酷く遅い。

間に合うだろうか、避けたほうが、いや、後ろには皆が居る。

必死になって狼男に近づく。あと2歩。

 

「魔眼ほ――」

「あぁぁあああ!!!」

 

最後の一歩を踏み出すと同時に杭を打ち込む。

射出された杭が背骨を砕き、爆発によって腹膜を吹き飛ばし肺を捲り上げる。

上半身は辛うじて広背筋で繋がっている程度だ。もう一撃――

 

「な!」

 

腹に突き刺した右手を掴まれた。眼前に光球が突きつけられる。

 

「魔眼砲」

 

不死の力を甘く見ていた。攻撃力を過信しすぎた。刺されたせいで肩に力が入らない。振りほどけない。

脚ももう動かない。終わっ……

 

「ペグ!」

 

基が武器化を解き僕に覆いかぶさる。駄目だ、武器のままで居――

 

 

細切れになった思考の中、光線が僕たちを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……?」

 

 激しい頭痛で目を覚ます。隣に基が倒れている。

背中側と腕、脚を武器化し光線を防御したらしい、赤熱した体から煙が上がっている。

 

「ク……カハ……」

 

息がある、辛うじて意識もあるようだ。激痛に襲われ気絶し、痛みで起きるを繰り返している。

 

「フリー!」

 

 狼男の片割れが腕を持って行ったり狼男を介抱している。もう胸のあたりまで完全に再生している。

対して僕は立ち上がることが出来ない。また意識を手放さないようにするだけで精一杯だ。

 

「ぐむ……さすがに時間をかけすぎたな、ずらかるとするか」

「ゲコッ」

 

女性はカエルに姿を変え完全に再生した狼男の肩に乗る。黒い丸い生物はいつの間にか居なくなっていた。

狼男は鬼神が開けた縦穴に飛び込んでいった。

 

「うぅ……ぐ……」

 

負けた……いや、見逃された。去り際につららでも投げて止めを刺すぐらい訳ないことだっただろう。

それをしないってことは……障害とも思われていないってことだ。

 

基はデスサイズになったのに……いや、基は通用している。僕が、全然、足りない。

 

僕が、基の、足枷になっている。

 

隣の基を見る。いまだ赤熱している体は痛々しく、不甲斐ない自分に怒りを感じ、基に手を伸ばすが

 

その手は届くことなく地面に落ち、僕の意識は闇に消えた。

 

 




※追記あり

ちょっと気になったのでアンケート置いておきます ※終了しました。

作中視点に入る時の
~~side
この表記を消すかどうかです。

消すにしてもどうしたらいいか決まってないのでとりあえず消すだけ消して記号で区切るだけにするか、
書き出しの辺りで誰視点かわかる描写を加えるか
そもそも一人称視点ではなく三人称視点にするかです。

もし変わった場合は次話から変え、時間が出来たら投稿済みの話も変える予定です。



※追記
アンケートまで取ってその内容を反故にするのは大変恐縮なのですが、
考えた結果side表記は修正することにしました。
side表記を削り、文章の中で誰が語り手なのか分かるような表現にします。


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◇アラクノフォビア編
Part11:蜘蛛恐怖症


お待たせして申し訳ありません


ガバのリカバリーが新たなガバを生む無限回廊なRTAはっじまぁるよー

前回鬼神が復活したところからです。

 

 

いきなりですが、スキル、【超魂感知】について、お話しします。

 

超魂感知能力とはB・Jことぶったたき・ジョーが待つスキルでソウルプロテクトなどを無効化し、会話選択肢が増えるスキルです。

このスキルはシナジースキルと言って複合スキルとは違って条件を満たせばスキルが変化するタイプです

 

複合スキルの【ペルソナ】の場合【鉄仮面】、【禅】、【精神鑑定】、【役者】のスキルがあり、一定値の精神ステータスがあるとこれらのスキルが消費され、新たに【ペルソナ】が追加されます。

 

シナジースキルの【超魂感知】の場合、【魂感知】をLv.5にしており、【精神鑑定】を持っている場合、【魂感知】がLv.5の【超魂感知】に変わります。

また、何らかの原因で【精神鑑定】が無くなったり、Lv.が5を下回ると【魂感知】に戻ります。

 

そう、このゲームはスキルを組み合わせる際、シナジースキルに必要なスキルと複合してしまうスキルをやりくりする必要があるのです。

今この時、【精神鑑定】は【ペルソナ】に変質してしまっているのでたとえホモ君の【魂感知】がLv.5になったとしても【超魂感知】になることは――

 

 

【『条件を満たしたため【魂感知】が【超魂感知】に変化した!』】

 

 

ホッホッホアーーー!

 

 

はい(フラグ回収)

いや違うんです、聞いてください

先ほども申し上げた通り【精神鑑定】は【ペルソナ】に変質しています。ですから【超魂感知】になる条件がそろっていないのです。

ではなぜなってしまったか。

 

 

 

……私の調査不足でした(敗北宣言)

シナジースキルは組み合わせにより変化するスキルであるため【超魂感知】のキースキルは【精神鑑定】が基本ですが、これを素材とする複合スキルの中にも条件を満たすスキルがあるのです。

つまり【ペルソナ】は【精神鑑定】の代わりになるスキルだったんですね。

 他にも代わりになるスキルで取得してしまいやすいスキルは把握していたのですが……甘かったですね。そもそも魂感知Lv.5まで上げるつもりなかったですし。

ページ送りがおっそいです。プレイ中私は

 

え?なんで?吸魂水ガチャで変なの引いた?いやでもシナジーになるスキル引かないはず……

あ、章クリア報酬のスキルで引いたか?

 

と混乱してました。

実際は吸魂水ガチャのどこかで魂感知を引き3から4になり、章クリア時に付くスキルで魂感知が4から5になりペルソナとシナジー発生で超魂感知になったものと考えられます。タイミング的にこれが一番有力です。糞が(悪態土方)

 

【『あなたは類稀なる観察眼と高い魂感知能力により偽りを見通す(すべ)を手に入れた』】

 

【『現在のデスシティには狂気が蔓延っている。鬼神の狂気の残留、魔女の魂、人々の悪感情』】

【『鬼神の狂気の残留をたどると月にたどり着く。あなたは鬼神は月に居ると確信した』】

【『魔女の魂はデスシティーに 4 つ。その中にはあなたの知る魂があった』】

【『キム と メデューサ だ。あなたは見たすべてのソウルプロテクトのカムフラージュパターンを覚えた』】

 

【『大多数の黒い感情に曝されるが、あなたはおくびにも出さずデスシティーの現状を飲み込んだ。』】

 

最後の一文は狂気耐性がある場合追加される文ですね。超魂感知能力を持ちながら耐性スキルを持ってないと発狂するんで気を付けてください。あぶねぇ

 

アラクノフォビア編のプロローグを全力で飛ばします。

ホモ君の章クリア報酬は魂感知で確定ですがガチャで何か手に入ってるかもしれません。確認しましょう

 

【『・【超魂感知】Lv.5・【ペルソナ】Lv.1』】

 

分ってたけど火力スキルが入ってないのが悲しすぎますね。ペグ君はどうでしょ

 

【『・【食いしばり】Lv.2・【心眼】Lv.2・【直感】Lv.3・【魂の共振】Lv.1』】

 

【魂の共振】がありますねぇ!魂の共振は職人と武器が少し離れていても魂の共鳴が行えるスキルです。共鳴と共振って同じ意味じゃないですっけ?知らんけど

ともあれこれでかなり攻撃の幅が広がりました。自分で操作して攻撃できるのはかなり大きいです。ペグ君も戦ってくれるので単純に考えてヘイトが二分の一、攻撃チャンスが倍、単発の攻撃力は下がりますがこれは大きい。

とはいえホモ君もペグ君も一人で戦うようなスキル構成ではないので状況を見て操作を切り替えていきましょう。ペグ君の加入も少し遅かったので攻撃の穴を埋める良いスキルです。

 食いしばりと直感もレベルが上がっているので回避タンクとしても有能です。後は素手スキルがあれば完全に分離ビルド組むんですが……ペグ君のスキルは選択できないので祈祷力が試されます。魂威とか格闘系スキルが期待されるところです。回避タンクなのでカウンター系とかでもいいですね。

 

【『デスサイズに招集がかかった……死神様のもとへ向かおう』】

 

デスサイズであると招集がかかりますが現状維持を言い渡されるのでどうでもいいです。その間に今後の予定について、お話しします。

 

 全く予定にない無用の長物スキルを抱えてしまったのですが逆転の発想、ここでオリチャーを発動。せっかく無駄にコミュスキルを持っているのでクロナイベントを咥えます。

走者一人なんだから元からオリジナルでオンリーワンとは言ってはいけない(ナンバーワンとは言っていない)

クロナイベントは糞根暗性別不詳魔剣士を陽キャの中に放り込みお前も家族だと言葉で腹パンし続け魂に仲間意識を植え付け鬼神封印の人柱に進んでなってもらうのが目的です。最低だな。

このまま行くとスパルトイに入るのでクロナ関係の面倒くさいイベントをスキップ出来ます。あと鬼神戦で凄い楽。

ノーミスで成功すればかけた時間がチャラになるどころかおつりがくるのでヘーキヘーキ。

 

 あとは本来対抗授業まで動く予定はなかったのですがペグ君が有能になってくれたのでブラック☆スターと一緒にミフネにちょっかい掛けに行きたいと思います。

ミフネは全滅か一定ダメージを与えるかでクリアですが、一定ダメージを与えてクリアの場合のみ確定でスキル抽選があります。

ペグ君の加入が少し遅く、安定のためにこれを挟みます。このイベントは発生が早い、クリアまでが速い、スキルがうま味、と三拍子そろっているので序盤のリカバリーに使えます。

 

 

後にジャスティンが鬼神の居場所を知っていると襲撃を掛けてきますがジャスティンを倒すかイベント完遂しない限り絡んで来ます。今回はイベント完遂の方を選びます。

 超魂感知能力がある限り付き纏われるのでさっさとぶん殴って正気に戻してやりましょう。ちょうどコミュスキルもあることですし。無駄に。

また、ジャスティンが正気でいると月のイベントがかなり楽になります。とりあえずデスサイズ招集イベント終わったのでさっさと任務受けて時間を進めましょう。

 この時点からちらほらボス級討伐系任務が増えてきます。なんといっても討伐するだけだから時間がかからない。ぜひ優先して受けましょう。ただし遠距離系であることが分かっている場合は控えましょう。タイムが死にます。

 

教室にクロナが出現したら話しかけて学校案内イベントを起こしましょう。

 

【『魔剣士クロナが教室にいる……魔女から”保護”され近々入学する予定と聞いたが……』】

 

【「あっ、オハヨ 今ね、クロナに死武専を案内してあげてるんだ」】

 

【『 ・挨拶』】

【『 ・心配』】

【『>・喜び』】

 

【『一緒に死武専で学べるなら嬉しいと伝えた』】

 

とりあえずどれでもいいですが適度な距離を保って構ってやれば友好度が上がります。このイベントからクロナが地下に出現するようになるので毎日挨拶して友好度を稼いでおきましょう。どうせ10秒もかかりません。ロスも積もればガバとなるという言葉もありますが後で全部回収できるので問題ありません。

 

【「無理だよォ~……こんなに入り組んで広い場所との接し方が分からないよ~」】

 

【『クロナは学校生活に大きな不安を抱えているようだ……』】

【『無理に大勢の前に出ることはない、気が向いたときに頑張ればよいと伝えた……』】

 

【「あっ、じゃあさ、こういうのはどう? 詩を書くの♪」】

 

クロナの詩は精神値が高ければ読んでもデメリットは無いです。だから友好度稼ぎに読みます。

次々に犠牲者が増えてますが兵器なんですかね……?

 

【『皆の反応を見る限りクロナの詩に不穏な気配を感じる…… どうしようか』】

 

【『>・見る』】

【『 ・見ない』】

 

当たり前だよなぁ?

 

【『これは…… なんて暗さだ…… 前向きな言葉全てを否定して闇がひたすらに広がるかのような気分にさせられる……』】

【『あなたはとても暗い気持ちになったが、何とか耐えることが出来た』】

 

【『クロナに非常に心動かされる凄い詩だと伝えた……』】

 

どんなこと書いてあるんですかね……人々を笑顔にする見る抗うつ剤である野獣先輩と真逆の事でも書いてあるんでしょう。

ともあれ、これからはクロナに媚売って信用を勝ち取りましょう。

 

クロナの友好度稼ぎはコミュ取らないでイベントと毎日の挨拶だけでこなそうとすると結構ギリギリなので選択肢は全部友好度が一番上がる選択肢にしましょう。

ですのでストーリーミッションのくせにまず味なチェコイベントにもついて行ってゴーレム掘ってギリコとアラクネと顔合わせします。いざ鎌倉。

 

 リーフ村に着くゥ~。

SUL兄貴のバイク定員オーバーだと思うんですけどどうしたんですかね?

 

 リーフ村の最古のゴーレムは高火力高耐久低速度の典型的なパワータイプです。

予備動作をしっかり見てギリギリまで攻撃しましょう。また、回転斬り攻撃は削り効果があるのでしっかりと範囲外に退避しましょう。

ガードするとスタミナとガード値が削られて大隙晒すことになるのでロスです。ゴーレムは元々の体幹値が高く回復値も高いので怯みません。

体力が6割切った時、3割切った時にそれぞれ周囲に蜘蛛の糸を撒き、当たると行動不可のデバフが付きます。

解除する方法は無いので実質即死攻撃です。ガー不なので当たらないようにしっかりと避けましょう。予備動作は割と長いですが殴ってる暇は無いのでさっさと退避しましょう。

 

暴ス!!いいよ!来いよ!

 

【〖BOSS:リーフ(ビレッジ) 最古のゴーレム〗】

 

 三人に勝てるわけないだろ!早速ペグ君が獲得したスキルのお披露目……と行きたいですがゴーレムは防御力が高く、ペグ君が素手だとダメージが通らず、ホモ君が分離しても攻撃力が下がるだけなので今回は分離無しです。次回に期待。

弱弱中溜めのコンボが予備動作のリズムに合い、一番ダメージレートが高いです。武器プレイでは二回目の弱が終わる前に上か下、どちらかに注視を振ると中が出ます。その後、注視を継続していれば溜めまで打ってくれるので注視のタイミングだけ注意しましょう。

 

 後いちぃ……か2コンボくらいで体力が6割 切りそうなので集中します。蜘蛛の糸の予備動作は俯いて震え、腕が少し上がった後にゴーレムを中心に放射状に広がります。空中にもちゃんと円柱状に当たり判定があるので注意しましょう。

震え始めたら注視して仕切り直しを連打。回避出来たら床の蜘蛛の巣のエフェクトがちゃんと消え切ったのを確認して突撃です。

 同じことの繰り返しなのでこの後のことを。ゴーレムを倒すと次はギリコ戦になります。ギリコは溜め攻撃に削りが付与されておりガード主体で戦うのは危険です。

溜め攻撃はジャンプしてからの攻撃なのでジャンプを見たらとりあえず後ろに回避するといいです。例外的に後ろ回し蹴りがジャンプしない削り攻撃なので不安な場合は背中が見えたら回避してもいいでしょう。

 

 さて、二回目の蜘蛛の巣も回避できたので後は消化試合です。コンボにこだわる必要はもうありません。ささっと倒してしまいましょう。

倒すとアラクネ復活のムービーが挟まりギリコ戦です。マカが離脱しますが開始30秒ほどでジャスティンが援護に来ます。

ジャスティンが来てから一分で戦闘は強制終了です。

 

暴ス!!

 

【〖BOSS:人形技師(エンチャンター) ギリコ〗】

 

 

まず始まったらジャンプが来ないか確認し

いきなりジャンプかよ?ツッパリらしいな

狙いがクロナなのでまま、ええわ。ギリコは機動力が高く防御力もあまり高くないので分離して戦ってもいいですが何しても1分半で戦闘が終わるので適当に流してリアル体力を温存してた方がいいです。

大ジャンプされると注視が外れるので着地したら注視しなおしましょう。

 

【「死武専生のみなみな様!!相手もたった二人だけですしとっとと終わらせるんで」】

【「しばらく待っててくださいねェ!!」】

 

来ましたか。後は大体ジャスティンがヘイト稼いでくれるので鼻でもかんでおきます。まだ時間があるので飲み物を注ぎます。

まだ時間があるのでしょうがなく操作をします。とはいっても溜め攻撃をガードしないようにすれば問題ないので回避系AIになっているペグ君はあまり心配はありません。

 

1分経つとゴーレムを残してアラクネとギリコが撤退し、ジャスティンが法を守る銀の銃(ロウ・アバイディング・シルバーガン)でゴーレムを何とかしてくれるムービーが挟まり任務完了です。

 

ボス二連戦あるのにゴーレム分しか経験値もらえないまず味なストーリーミッションでした。

 

 

次はうま味ミッションなので期待が高ま

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

僕はそろそろ死武専に入学になるらしい。

メデューサさまが死武専に狩られ、マカと……友達、になった僕。

 

メデューサさまに悪事を強要されていたとして、保護観察期間に善行を積み、死武専の模範となる生徒に成れれば保護観察が解け、正式に死武専生になるらしい。

 

でも……世界との接し方が分からないよ……

 

さっきのも全部青いコワい顔をしたゾンビの人が言っていただけだ……

 

僕……どうしたらいいかわからないよ……

 

メデューサさま……

 

 

 

ヘヤノスミスでうずくまっているとふいにドアがノックされる。

ここのドアは内側に開くんだ……ヘヤノスミスは開けたドアの死角になるからいきなり対面することはない。

 

「失礼しま~…… あれ? 誰も居ないけど……」

 

「マカ」

 

「うわっ! そんなカオスな場所で何やってんの!?」

 

部屋に入ってきたのはマカだった。友達……の顔を見て安心する。

 

「ヘヤノスミスにいると落ち着くんだ」

 

「そんなエリアに名前つけないでよ ほらッ」

 

言いながらマカは手を差し出してくる。手を取り立ち上がり声を掛けようとするけど、何を言っていいのか分からない。

 

「………… あ……あの」

 

あれから時間も経ってるし久しぶり……で、良いのかな? 何しに来たのかな? あ、その前にあいさつ? えっと、この間はありがとう?

何かおかしいかな? でもあいさつなんてわからないよ……

 

「あの…………えっと……」

 

なにか……何か言わなきゃ…… ……言わなきゃダメかな? 友達……との接し方が分からないよ……

 

「これからよろしくね!」

 

「あ……」

 

マカが拳を差し出してくる。拳タッチなの? でもなんかアレだし…… 拳と握手じゃもっとアレだし……

 

「よ……よろしく……」

 

拳に指先を乗せるだけに留まった。これで……いいのかな?

 

「へいへいっ」

 

マカの後ろから金髪で眼帯をした女の人が現れた。

 

「こちらはマリー先生」

 

「初めまして

 私も明日から始めて先生になってみんなを教えることになったの……

 これからいろいろと勉強しないといけなくて……

 そういう意味ではクロナと同じね

 一緒にガンバりましょ」

 

頑張る、その言葉を聞くと耳のあたりがキュっとする。でも、この人がイイヒトだってのは分かる。返事をしないといけないことも。

 

「……ぅん……」

 

「よろしくね」

 

 

 それから二人に連れられて死武専の中を見て回った。

最初のうちはガンバれてたけど見た部屋が10を超す辺りからやめたくなった。お泊まり室のヘヤノスミスが恋しいよ……帰りたいよ~……

 

最後にマカ達がいつも勉強している教室に案内された。僕たち以外誰も居ない教室でマカの話を聞いていると人が入ってきた。

あの人は……前、教会で会ったことある……?

 

「どうも、マリー先生、マカ、ソウル。 ……今日からだっけ?」

 

「うす」

「あっ、オハヨ 今ね、クロナに死武専を案内してあげてるんだ」

 

「あー……基君も生徒だっけ…… ……補助教員にならない?」

 

「頑張ってください、先生」

 

「うわぁ イイ笑顔」

 

「っと……会ったことはあるけど面と向かって自己紹介は初めてかな…… 僕は北条 基。デスサイズスの一人だ。」

 

やっぱり。メデューサさまも名前を出していた時もあった。

 

「あの……ぅ……クロナ……」

 

「よろしくね、クロナ」

 

基は僕の眼をしっかり見据えて離さない。どうしよう……接し方が分からないよ……

 

「なァ……どうだ?校内を回ってみて……上手くやって行けそうか?」

 

ソウルが学校見学の感想を求めてきた。そんなの全然

 

「無理だよォ~」

 

「そんなことないよね♪」

 

そんなことあるよォ~……この広さでそのすべてに人が収容されるとか居場所がないよ~……

 

「死んじゃうよォ~……」

 

「だ……大丈夫だって みんなついてるんだし」

 

「無理だよォ~ やってられないよォ~ ヘヤノスミスの所に行くよォ~」

 

「蹴り飛ばしてェ~……」

「やめろって……」

 

「無理だよォ~……こんなに入り組んで広い場所との接し方が分からないよ~」

 

「……別にいいんじゃないかな? 最初は別室でも……」

 

「どういうことだよ基」

 

「日本じゃクラスに馴染めなかったりする子は保健室で授業受けたりする。

 クロナも基本部屋で授業受けてたまに部屋から出るぐらいから始めたほうがいいんじゃないかな。

 まずは自分で部屋のドア開けられるようになるところからじゃない? 急に初めても潰れちゃうでしょ」

 

「でもよォ……」

 

「あっ、じゃあさ、こういうのはどう? 詩を書くの♪」

「グっ……詩ってお前ッ……”詩を書くの” くはは」

 

マカチョップがソウルの頭頂部を捉える。

 

「いてェ~」

 

「私もね、何か悩んだりしたときは良く詩を書くんだ♪」

 

「マジかよ……お前ホント暗いやつだな 相談に乗ってあげますよ?」

 

神速のカドマカチョップがソウルを動かなくする

 

「一緒に書き合いっこしようか」

 

「マカが言うなら……」

 

マカと詩を書き合いっこすることになった。

詩って良く分からないけれど自分の気持ちを言葉にして飾っていくものだとマカに聞いたのでそのまま実践してみる。

 

30分ぐらいで出来た。

 

「で……でで……ででで……でき……で……」

 

「できたの?」

 

「うん」

 

「どれどれ……」

 

マカとマリー先生が僕の書いた詩を読む。

 

「なんて暗いの……」

「生まれてきてごめんなさい……」

 

何やら呟いてヘヤノスミスへ行く、マリー先生とマカもヘヤノスミスが好きなのかな、おそろいだ。

 

「オウッオウッオーーウ

 外はいい天気だってのによ室内で何やってんだこのネクラハゲ共

 まぁな、俺様は太陽とイコールで結ばれる男

 俺様が居るところが屋外と言っても過言ではない

 俺様を見れば光がある!だから――」

 

また見たことある人だ。確か地下で……

名前は知らない、後にブラック☆スター、とマカから教えてもらった。

 

「ほれ」

「ん?何それ…………

 

 ……生まれてきてごめんなさい」

 

「すげぇ破壊力だな……

 

 …………」

 

みんなヘヤノスミスへ移動する。落ち着くよね。

 

「…………うん。 何と言うか、しみじみ染みわたるような詩だね…………うん

 でも、何も思いつかない訳じゃなくてよかった。

 これがクロナの持ち味かもしれないけど、もう少し明るいことを考えても

 疲れないようにしていこうか」

 

基はそう言うけど明るい所は疲れるよ……ずっとヘヤノスミスで過ごしたいよ~

 

「でも……」

 

「お、もと……ん?どうした?」

 

この前会った非常に顔色の悪い男の人が教室に入ってきた。

 

「青い人が居るよォ~……接し方が分からないよ~……」

 

「あぁ……大丈夫大丈夫。 良い人だから……先生の一人だよ。どうしても慣れないなら後ろに来な」

 

青い人の視線を切る様に基の後ろに隠れる。この人白目しかないよォ~……

 

「……それで、どうしたんですか? 死人(シド)先生?」

 

「あぁ、梓から連絡があってな。 チェコで軽い事件があったらしい。

 課外授業と言うことでマカに受けてもらって、クロナを見学につけようかと思ってな

 その様子だとお前も付いて行ってもらった方がいいかもな。

 頼れる先は多い方がいいだろう」

 

「分かりました。 マカ! 大丈夫?

 俺はペグ呼んでくるからクロナよろしく」

 

僕達はチェコ、レーフ村に行くことになった。

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

 

ソウル君のバイクにサイドカーを付け、僕が乗り込み基は変身して腕の中。

後の三人はバイクに乗っている。明らかに定員オーバーだけど何とかレーフ村に到着した。

 

歓迎されていない雰囲気だけれど一人、案内を買って出てくれた人形技師(エンチャンター)の人が居た。

しかし、基はどうやら何か気になることがあるようだ。睨め付けるようにじっ、と案内人を見ている。

 

「…………」

 

「基?」

 

「何でもないさ…… 案内してくるのは間違いなさそうだ、付いていこう」

 

何か、はあるね。

それからしばらくパイプが伝う森の街道を進む。

 

「オイッ ……どこまで行けばそのゴーレムがあるんだよ?」

 

「もうすぐさ……」

 

「さっきからそればっかだな……」

「いや、もう来るよ。」

 

「基?どういう――」

 

言いながら変身し僕の腕に収まった基に質問を投げる前に地響きが森に広がった。

近い。木をなぎ倒す音も聞こえる。

 

「………… 全く、堪え性の無い女だなァー」

 

森の奥からオーバーオールのような装甲を纏った二足歩行のゴーレムが僕達の目の前に現れた。

これが、事件を起こした暴走ゴーレム……?

 

「どうやら……もう隠し通せないらしい…… いや、隠す必要が無くなった、か」

 

隠す?どういうことだ?

 

「ソウル……武器に……!?

 嘘……どいういうこと?」

 

「ガキでも職人……気が付いちゃったみたいじゃん?

 ここまで漏れていれば当然ですよね

 ンン!?ですよね?ん?私の言葉使いが定まってねぇですね?」

 

「どうなってるの……?ゴーレムは物でしょ?生きてるはずがない……

 なのに……魂の波長を感じる……!」

 

ゴーレムに魂の波長……?だから基が探知できたのか?

 

「ギァハハハ!ようやくこの日が来たんだ……800年だぞ?

 死武専にマークされねぇように800年ヘラヘラヘコヘコして来たんだ

 小一時間愛想笑いかましてたんじゃねぇんだぞ?」

 

800年……?何を言って……

 

「職人なんていらねぇ、自分で作ったゴーレムに使わせる!」

 

「あいつ……魔武器か!?」

「それに……魂の波長があるゴーレム……この村は何なの?」

 

「チェーンソー……ギミックは問題なく動くと見たほうがいいだろうね」

「鍔迫り合いは質量もあって無理そうだね」

 

「殺意

 剥き出し

 八つ裂き」

 

ゴーレムが上段に振りかぶり迫って来る。狙いはマカさんだ

振り下ろされたチェーンソーはマカさんの隣の地面に楽々とめり込む。

 

「直ちに攻撃を中止しなさい

 続ければ……お前の魂……狩るぞ!」

 

「まだエンジンはかかってないぜ?」

 

ゴーレムが勢い良くチェーンソーのエンジンスターターを引き上げる。

チェーンソーの刃が回転を開始し、魂の波長をまき散らす。数メートル離れている僕たちの方にも強烈な圧がかかる。

 

「ぐっ…… 基、魂の共鳴」

 

そうこうしているうちにもゴーレムが破壊を拡大させる。

杭に波長を込め終え、一気に懐に潜り込む。

 

「うっとおしいしんだよ!!」

 

「むっ」

 

チェーンソーが地面に突き刺さりそのまま周囲が薙ぎ払われる。

大柄だから接近してしまえば攻撃は激しくないと思ったがあてが外れた。

 

「何か遠距離で攻撃できれば……

 あ!クロナのスクリーチα(アルファ)!」

 

「あぁ? 俺たちは見学のはずだろ?手は貸さねェよ

 アメ玉3個くれてもなァ……」

 

「じゃぁ四つ!」

 

「バカヤロ~!言葉の綾だろうが!本当にアメ玉欲しいわけじゃねェよバカ!」

 

攻撃来てるけど……カウンターは入れられるけど止まらないだろうからそろそろ回避に入って欲しい。

 

「6個ならどうだ!」

「……」

 

「数の問題じゃねェ!」

 

「うわっ 来た!

 じゃ、じゃあ……

 15個!!」

 

「なァにィイイ!!」

 

チェーンソーの軌道はクロナさんの方に向き、ラグナロクを直撃するルートだ

ラグナロクはともかくクロナさんは大丈夫かな?

 

ゴーレムの一撃がラグナロクを捉える。

クロナさんを中心として地面が放射状に割れる。しかしクロナさんはしっかりと立ち、ラグナロクもチェーンソーの刃を受け止めている。

 

「別に3個でも良かったんだが……ぐぴぴ、交渉するもんだぜ

 ……黒血舐めてんじゃねェーぞ!

 ぴぎェええええ!!!」

 

上から押し付けられるようにして受け止めていたチェーンソーを30cmにも満たない腕の可動範囲で跳ね上げた。

黒血……ここまでの能力があるとは……

 

「ちょっと小振りになったみたいだけど……」

 

「問題ねぇ!殺すぞ!ボケ!」

 

「僕に当たらないでよ……

 スクリーチα(アルファ)!」

 

「よし、今だ!」

「僕たちも行くよ」

 

体勢が崩れたところをマカさんが滑る様に右脇腹を切り裂く、続いた僕が左鎖骨辺りに杭を打ち込む。

……? 何かおかしい。人体じゃなくゴーレムだという差異は分かるがそうじゃなくて

何か、いる。

 

「っ 回避っ!」

 

「え」

 

切り裂かれた脇腹と打ち込まれた杭の隙間から何かが溢れ出す。辛うじてそれを回避したが何が出てきたかはよく見えなかった。

薙ぎ払いの追撃が来る。崩れた体勢を立て直し距離を取ろうとするがマカさんが動いていない。

 

「くっ!」

 

間に割って入りチェーンソーの腹を下から打ち上げる。

わずかにだが軌道が変わりマカさんの頭をかすめるように通り過ぎていく様子がスローモーションで映る。

がらん、と波長の杭が落ち地面に不格好に刺さる。まだマカさんは微動だにしない。動けないのか

 

「クロナさん! マカさんを遠ざけて!」

「うじゅ~」

「マカ!大丈夫か!?」

 

ソウル君とクロナさんが二人でマカさんを街道の脇に移動させる。

 

「……なんだ? ……糸!?」

 

「ゴォオオオ……」

 

……? ゴーレムが大人しくなった?

それと森の中を黒い生き物が這い回っている。……これは――

 

「蜘蛛」

 

「蜘蛛がゴーレムに集まっていく……」

「黒い絨毯みたい……」

 

「何だ? ゴーレムに這い上がっていくぞ」

「ゴーレムの中の波長に引かれているんだ……」

 

「ん……」

 

「クロナ?」

 

「守るよ、マカ」

 

マカさんはクロナに任せても大丈夫そうだ。

ゴーレムに群がった蜘蛛達は一塊になって段々と人の形を模っていく

 

「この波長……」

「基?」

 

「あ、ああ……

 この人、この、波長……」

 

「似てる……」

 

「メ……メデューサ様……」

 

この人が……? あまり、雰囲気は似ていないけれど……

 

「アラクネ、とりあえず現状の説明だが、 ……?

 …………必要ねぇってか」

 

チェーンソーの男の話を手で遮り、こちらを見据えてくる魔女。

 

「マカ……ソウル……

 知ってますのよ、昨日の晩どっちがカレー鍋を焦がしたかで喧嘩したでしょう?」

 

「な……!?」

「なんでそんなことを……」

 

反応を見る限り嘘と言う訳ではなさそうだ。

 

「ペグ……無くしたと思ってる栞は玄関のシューズボックスの上ね

 宅配迎えた時に本を置いた衝撃で抜けたわよ。

 

 基……中々に面白い()になってますわね。このまま見ていても面白そうだけれど……

 どう? (わたくし)の下へ来――」

「黙れ」

 

「――そう

 まぁいいわ……」

 

アラクネも基の()()に気づいているのか。僕の栞も心当たりがある。全くの嘘ではない。

何か……恐らく先ほどの蜘蛛を放ってそれを通して見ていたのだろう。僕たちが狩った魔女も見た目が動物と大差無い魔法生物を放っていた。

 

「そしてクロナ……

 (わたくし)の妹 メデューサの子か……

 愉快ですわ♪ ずいぶん愛されなかったみたいで……

 (わたくし)がめでてさしあげてよ」

 

「クロナ、耳を貸すな」

「大丈夫、僕たちが……」

 

「オーホホホホ

 愉快ですわ」

 

挑発するように波長を当ててくる。ざらついた粘着質で表面を撫でるような……

詰まる所、不快だ。

 

「まぁああぁあぁあ!!」

 

「クロナさん!」

 

「行けクロナブッ殺せ! やっと調子出てきたなぁ!ぴぎぁほ~い!!」

 

クロナさんが魔女に距離を詰め切りかかる

しかし黒血により見た目より重い魔剣の一撃を魔女アラクネはどこからか取り出した扇で片手で受け止める。

全く体幹が揺るがなかったところを見ると何か魔法的な仕掛があるかもしれない。

手首だけで剣を押しのけるように扇を払い、そのままクロナの首を打ち据える。

 

「ショック……800年で私叔母さんになったのね……

 不愉快だわ、そんな子消して頂戴、ギリコ」

 

「ほいほい」

 

言いながらチェーンソーの男が蹴りを放つ体勢のまま、動く動作を全くしないで距離を詰める。

チェーンを足の裏に纏わせ高速回転させて移動しているようだ。

意表を突かれた。だめだ。間に合わない。

男の靴がクロナさんの鳩尾に沈む。そのまま腰を回転させてクロナさんを吹き飛ばした。

 

「うぐ……

 あああああ――

 あ!?」

 

クロナさんは立ち上がり、男に向かうが、蹴られた胸のあたりから黒い液体……クロナさんの血が弾ける。

 

「な……!? 黒血をキックで切り裂いた!?

 そんな馬鹿な……!」

 

違う、只のキックじゃない。軸足だけでなく蹴り足にもチェーンを巻いていたんだ。

 

「鋸脚

 回転速度2速……十分だな」

 

「この程度の傷黒血を固めて止血してやる

 オラッ! 御礼ッ!」

 

「う、うん……ありがと……」

「御座いますゥッ!!」

 

「へぇ……器用な奴らだ……」

 

「クロナさん!マカさんの傍にいて!」

 

「あぁ? 何だテメェは?」

 

「ペグ・ユークバンク・ルーク……デスサイズスの北条 基のパートナーで

 オランダ系の貴族……ルーク家の三男坊ですわ

 しかし……フフ、お兄さんお姉さんに比べると……何と言うか……

 あぁ!……可愛らしい、ですわね?」

 

コイツ……

 

「落ち着いて、ペグ」

 

「デスサイズスか……真っ二つにして魂を喰うしかねぇな」

 

男が両足を地につけて高速で滑って迫って来る。

勢いのついた後ろ回し蹴りを左手で上に回し受けし、鳩尾を狙う。

 

しかし男の体が真横にスライドし躱される。

チェーンでの移動……厄介だな……

 

「あぁ? どうした? 棒なんか振り回しても当たらなきゃ意味ねぇ……ぜっ!」

 

二連の蹴りを躱しまた杭に波長を込める。

バックステップで距離を取りポイントへ誘う。

 

「HA HA HA! 細切れにしてやるよ」

 

足に回転方向の違う二つのチェーンを巻き片足で回転しながらの蹴り。

フィギュアスケートのスピンの様に高速で回り波長が刃となって周囲に飛び散る。

 

杭を伸ばし、波長に触れるように押し付ける。

爆発が起き、刃の弾幕の密度が薄くなる。その隙に目的地へ移動する。

 

「オラどうしたァ!? 逃げてばっかじゃねぇか! 白モヤシが!」

 

男が屈みながら滑ってくる。一瞬で良いから隙が欲しかったんだ。

ゴーレムの攻撃を弾いた時落ちた杭に触れる。

先ほど外した杭との間に波長の壁が出来上がる。男は壁に勢いよく衝突した。

 

「ごォッ……!」

 

リロードしながらジャンプして壁を飛び越える。

打ち下ろす様に男の腹めがけて基を突き出した。

 

「ガァッ!」

 

外された。

チェーンを腹に巻いて鎖帷子の様に防ぎ、回転で衝撃を逃がされた。

すぐさま地面に埋まった杭に命令を送る。波長を周囲に流し込む指令だ。

 

「ぬぐっ……!」

 

また一瞬の隙は作れたが杭に波長を込めている時間は無い。リロードだけして二撃目を叩きこむ。

しかしそれも腹のチェーンの回転数を上げられ抜けられてしまった。

 

「上等だ ガキかと思ったがなかなかやるじゃあねぇか」

 

(ひじり)――十字手刀」

 

「……!? っとぉ!」

 

男の後ろから十文字の斬撃が襲う。それを間一髪躱し、僕と襲撃者との距離を取る。

あの人は……

 

「あんだ!? テメェー……!」

 

「デスサイズスの一人、ジャスティン=ロウですわ」

 

「デスサイズス? おかわりかよ」

 

「ジャスティンさん」

 

ジャスティンさんは後ろのマカさん達を一瞥して微笑むと男に目線を向け直し声を張り上げた

 

「死武専生のみなみな様!!相手もたった二人だけですしとっとと終わらせるんで

 しばらく待っててくださいねェ!!

 

「……ケッ! 気に入らねぇな……!」

 

「ジャスティンさん、加勢します」

 

「あなたは……」

 

「他にかまってる場合かァ!? ボケが!!」

 

男が跳躍しチェーンを脚だけでなく肩を通して全身に巻き回転を始める

そのままジャスティンさんに向かって落下し踵落としを決める。防がれた踵を基点にチェーンを逆回転させ逆の脚で蹴り上げが放たれる。

 

「異端者の話なんか聞く耳持たねぇってか!?」

 

一つ一つが必殺になりうる威力だ。機動力の差が表れやりにくい。攻撃後の隙もチェーンの機動によって少なく攻めあぐねてしまう。

 

首枷の籠手(カルカン・ブラ)

 

ジャスティンさんの腕が首枷となり一瞬の隙を突き男の脚を拘束する。

 

「愛の頭突きです!!」

 

「……っの野郎ォオ!!」

 

脚を拘束され頭突きを食らった男は強引に転がり、背中と手で回転……ブレイクダンスのように回りジャスティンさんを軽々振り回す。

ジャスティンさんは振り払われてしまったが男に隙が出来た。爆発に巻き込む心配もない。男に駆け寄り相手を腕の内側に入るくらい深く踏み込み腰の回転を持って杭を叩き込む。

またしてもチェーンに阻まれ杭は刺さらなかったが爆発と衝撃は伝わった。

 

「この……! 白モヤシども……!

 俺を見ねぇで戦うガキに死神にケツ穴振る何言っても聞かねぇクソ神父が……!」

 

「見ない?」

 

どういうことだ? 基のあの状態のことか? でも基のあれは見られていないはず……

 

「チッチッチッ」

「あん!?」

 

「唇の動きで分かってますよ

 汚い言葉……悪い子だ」

 

「読唇術が使えたのか……!

 今までワザと聞こえないフリかよ

 ムカつくなァ……お前……」

 

「ギリコ」

 

「あぁ!? ンだよ!?」

 

「私……大声で怒鳴る子キライよ」

 

「……なんだい?姐さん……」

 

「ゴーレムのエネルギー(寿命)がそろそろ切れますわ……退却しましょう」

 

「何?」

 

「迎えも待っているわ

 戦いの場ならこれからいくらでもあります」

 

「しょうがねぇな、あとは頼んだぞゴーレム

 白モヤシども……顔は覚えたぞ

 いずれブッコロス!!」

 

ギリコと呼ばれた男が魔女アラクネを抱え森の中へ入っていく。

 

「待ちなさい 逃がしませんよ!」

 

ジャスティンさんが逃げる男に構えるが、ゴーレムが身動きの取れないマカさんを狙って拳を振り上げる。

 

間に入って左鎖骨に刺さったままの杭を叩き爆発を起こすが効果は薄い。左手程度なら捥ぐことが出来ると思ったが意外に中が詰まっているようで表面装甲が剥げるだけだ。

 

注意を僕に向けることが出来たがこの巨体とタフネスは厄介だ。杭を打ち込んでも周りが抉れるだけで停止するには及ばない。

鈍重というほど動きも遅くなく痛みで怯むこともない。分かりやすい急所があれば……頭か?

 

「皆様! 伏せてください!派手に行きます!!」

 

ジャスティンさんが宣言したおかげでゴーレムの注意がそちらに向いた。ジャスティンさんは左の手のひらを突き出し右手で左肘辺りを持ち右手の前腕からギロチンの刃を生やしている。

 

死の街におられる私たちの神よ 御名(みな)が正とされますように――」

 

「オイ……祈り始めたぞ!?」

「そんな……祈りで魂の波長が上がっていく!?」

 

神よ 私をあなたの平和の使いにしてください……

 私は正義の柱…

 信仰の刃――」

 

ジャスティンさんがゴーレムの拳を跳躍して躱す。

そのまま身を翻し刃をゴーレムの首元へ向ける。

 

父と子と精霊の御名(みな)によって――

 法を守る銀の銃(ロウ・アバイディング・シルバーガン)

 

放たれたギロチンの刃によってゴーレムの首が落とされる。

ゴーレムは機能を停止し崩れ落ちた。

 

「さあ皆さんも祈りましょう……」

 

「……」

 

皆と一緒に祈る。どうか何か起きても皆が無事でいられますように。

 

ジャスティンさんと比べれば僕は只の生徒に過ぎない実力だ。速くデスサイズの職人にふさわしい実力を付けなくては。

 

「さて、死武専に戻りましょう。

 皆さんが無事で何よりです」

 

鏡で死神様に報告し、帰投準備に入る。

しかしマカさんがまだ体を動かせないらしい。

 

「あのアラクネって魔女がかけた魔法全然解けないな……」

「弱りましたね」

「うじゅ~」

 

マカさんは今ジャスティンさんが乗ってきた改造バギーカーに連結された棺桶に寝かせている。

 

「だからってこの中はないよね」

 

「でもな……この辺に足になりそうな物無いし……」

「動きを止めるだけの魔法と決まったわけじゃないから念のため……じゃダメかな……」

 

サイドカーに乗せたほうがいいんじゃないかと言ったけど首にも力が入らないらしいので危ないからと却下された。

 

「治す方法はさっさと帰って博士に聞くしかないな」

 

「そうですね、博士なら知っているかもしれません。 なんてったって博士ですし」

 

「うん、博士だし博士だし」

 

「その博士依存の方針はどうなの」

 

「はい♪マカ お花」

 

「うん、うん……ありがとうね」

 

死武専に着いてもマカさんの遠い目が戻る事はなかった。

 




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Part12:強靭な魂

 

なんでこの人急いでるの? なRTAはっじまぁるよー

前回アラクノフォビアが結成されたところからです。

 

まず保健室へ行きます。見舞いイベントが発生してブラック☆スターが退室したら『追いかける』を選択して死人(シド)とナイグスの話を盗み聞き、研究所へ行くブラック☆スターについていきましょう。

 

ブラック☆スターと一緒にアラクノフォビアの魔道具研究所にいざ鎌倉。

 

 

さて、ミフネ戦です。

 

ミフネ戦は負けてもストーリーは進みますが経験値とスキルがもらえなくなるので負けたら今の状態だとリセ確定です。

攻略方法ですがまだ本気を出してきていないので乱立の並び等は使ってきません。刺さった刀の場所に注意して立ち回りましょう。ほらいくど~

 

暴ス!行きますよ~行く行く

 

【〖BOSS:用心棒 ミフネ〗】

 

 

ブラック☆スターもいるのでうまく使ってタゲを散らしましょう。機動力が違いすぎるので基本的に攻撃を受けるか躱すかして反撃しましょう。

 隙を見てそこら辺に杭を刺していきセンサースタンなどのトラップや壁にしとくと行動を制限出来て攻撃チャンスのが増えるので積極的に仕掛けていきましょう。特にセンサースタンは当たらないものの足を止めてガードしてくれるのでとりあえずこれにしとけばいいです。余裕があったら後で壁にして誘導しましょう。

注意する攻撃は加法ぐらいです。セリフとともにターゲットの方向へ構えを正すのでよく見て判断しましょう。なお、ターゲットとの間に入っていると普通に巻き添え喰らうので真横より後ろへ逃げましょう。ターゲッティングされたら……頑張れ。

 

 さて、ここらでペグ君が手に入れたスキルのお披露目でもしましょうか。パイルダーオーフ!

 

このように分離して距離が離れても魂の共鳴が行えます。モズパイルの場合変形攻撃を行うと魂ゲージがなくなるので分離はご法度でしたがこれで手数を稼ぎながらの高火力が期待できるようになりました。さらにAIガバを防ぐこともできます。代わりに人為ガバの危険が増えますが。

 

 

ともあれミフネと大乱闘ももうそろそろ終わりそうです。三人に勝てるわけないだろ!

 

【「無限一刀流……加法――」】

 

アッ

 

【「一本!」】

 

オッブエ!

フレーム回避が成功してよかったです。加法を受けるとガー不で残りの2~12本確定ヒットです。そのまま乗法も喰らいます。相手は死ぬ。

いたいけな武器のホモ君を狙うとは侍の風上にも置けんな。今からお前らに罰を与えっからなぁ。もう許せるぞオイ!

 

【「無限一刀流……加法――」】

 

お願い許して!

 

【「一本!」】

 

へっ甘ちゃんが

 

二度と使ってこないでください、お願いします、何でもしますから!

怖いので回避無敵延長を持っているペグ君に避難します。走者の屑がこの野郎……

 

ほら……ね?安定を取るのも大事というか……ペグ君もホモ君のサポートがあって全力で戦えると言うか……適材適所と言うか……

 

あ、そんなこと言ってたらモス爺さんが狙撃されましたね。任務(工事)完了です……勝てばいいんだ勝てば(見逃された側)

 

さっさとリザルトをすっ飛ばして貰ったスキルを確認します。どんなんざんじょ

 

【『・【超魂感知】Lv.5・【ペルソナ】Lv.1・【跳躍】Lv.1』】

 

跳躍ですか……これは回避系スキルで、ステップやジャンプの距離が長くなるスキルです。無敵時間は変わりません。場合によっては邪魔になるスキルですね……

まぁまだいいです。諸刃とか付かれたらパイルの攻撃力も相まって複合スキルにするかリセするしかなくなります。

さて、ペグ君は?

 

【『・【食いしばり】Lv.2・【心眼】Lv.2・【直感】Lv.3・【魂の共振】Lv.1・【軽業】Lv.1』】

 

軽業が付いてますね。軽業とは攻撃モーション中にステップやジャンプでモーションをキャンセルできます。また、ステップをステップでキャンセルしたりできる回避強化系スキルです。ざっくり言うと限定的ですがモーションキャンセルできるスキルですね。

ヒットアンドアウェイが簡単になりますが調子に乗ってドゥエドゥエしてるとあっという間にスタミナ無くなるんで注意です。AIはその辺優秀なんでペグ君の心配はないですが。

 

 これで回避タンクの安定性がさらに増しましたね。

ちがう。いやめっちゃ有能だけどそうじゃない。

ペグ君は基礎ステ均一系で攻撃貧弱ボーイだから攻撃スキルが欲しいんです!

ホモ君がバフ系支援スキル取って強化しようにも離れてても効果あるスキルはポイント高いし一つ二つじゃ……

ですが事故を減らす安定材料が増えたと喜んでおきましょう。

 

と言うか波長事故引いた時点で完走を目的に走っているのでこれからも安定志

今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

今日もマカさんのお見舞いへ基と一緒に向かう。

あの後、博士に診てもらい、数日経てば魔力が霧散していって自然に治るとのことだった。

 

右腕……の手先だけは動くようになったらしいけれど肩や脚など主要部位は全く動かせないらしい。

意識ははっきりしているし、痛みも無い健康体みたいだから余計につらいだろう。

 

 でも、キッド君やブラック☆スター達もお見舞いに来てくれていて、にぎやかで退屈してなさそうで良かった。

 

 

「オイッ マカ、お前の苦手な物ってなんだ?

 取ってきてお前の隣においてやるよ」

 

「もういっぺん言ってやるよ

 お前のアキレス腱をズタズタにしてやる」

 

 ……ちょっと賑やか過ぎるけど。

 

「水拭きよりメイク落としとかの方がいいんじゃね? ロッカーにあるよ」

 

「うん、お願い……」

 

「確か除光液で落ちたはずけど……顔だしオイルのメイク落としのが良いかな?」

 

マカさんの顔に落書きされたブラック☆スターのサインをどうにかしようとしていると死人(シド)先生がやってきた

 

「相変わらず賑やかだなァ……」

 

死人(シド)、何か用か?」

 

「ナイグズ、少しいいか? ここではちょっと、な」

 

「分かった」

 

そのまま臨時の保険医をしているナイグズ先生を連れて廊下へ消える

 

「あ、アルコールでも落ちなかったっけ? 除菌用のあるよね、保健室だし」

 

「あ、本当? ……にじみはするけど、完全には落ちないかな」

 

「やっぱ必要かぁ、取って来るわ」

 

「ペグ」

 

「ん?」

 

基の視線の先には廊下に出ていくブラック☆スターとソウル君の姿があった

 

 

 

 

 

 

「何だ?死人(シド)

 

「東アジアの梓から連絡が入った。 マカ達が戦った魔女アラクネの組織

 『アラクノフォビア』の研究施設の一つを発見したらしい

 何かよからぬ魔道具を造っているようだ

 

 今回の任務は研究所に潜入し、その魔道具の内容と使用目的を暴き、破壊することだ

 すぐに発つぞ! マカの世話はマリーに任せておいた」

 

「流石梓だ、抜け目ない―― 場所は?」

 

「梓が案内してくれる。 そのままバックアップにもついてくれるそうだ

 行くぞ」

 

「助かるな」

 

廊下では死人(シド)先生が任務の話をしていた。

そこから少し離れた廊下の影にブラック☆スターとソウル君、さらに後ろに僕と基が控えている形で盗み聞きをしている

 

魔女アラクネを首領とした組織、アラクノフォビア。

首領が復活を果たしたことで今まで潜伏していた構成員たちが組織立って行動を始めることだろう。

僕達もいくつかの研究施設や資金確保のための裏組織を潰してきた。今回は魔道具の研究施設らしい。

 

「ソウル……椿を呼んできてくれ」

 

「! ブラック☆スター……お前」

 

死人(シド)たちの後を追ってその施設をブッ潰してやる」

 

「無茶だ! 俺もその魔女をこの目で見たんだ、ただものじゃないぞ」

 

話を遮る様にブラック☆スターが魂威で壁を破壊する。

1mほど蜘蛛の巣状にひびが入り、パラパラと壁材が廊下に転がる。

 

「マカの仇は俺が討ってやる

 仲間に手ェ出す奴は許さねぇ」

 

「だったら俺も――」

 

「ソウルはマカについててやんな」

 

「……わかった」

 

「なら、僕達なら?」

 

「! ペグ、基……」

 

姿を晒しながら話に入る。

 

「これでも一応デスサイズの職人だよ?」

 

「デスサイズの手帳があれば追跡は楽になると思う……

 気は進まないけど、止めても行くんだろう?」

 

「……悪いな」

 

「一本前か後の飛行機には乗りたい、早く行こう」

 

僕達は死人(シド)先生達を追って東アジアへ飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

死人(シド)先生を追って魔道具研究所があると思われる竹林へ侵入した。

基が魂感知で道案内してくれてるから迷わず進めるけれど視界が悪く、まったく同じ風景が続くためコンパスや道しるべが無いとすぐに遭難してしまいそうだ。

 

少し開けた場所、地下茎が伸びないように地中に壁が埋まっている区画に、その建物はあった。

凡そ二階建てに見え、瓦のように細かい板材を張り付けた屋根、カムフラージュか何か他に理由があるのか建物に這うパイプは”節”が付けられており、不思議な雰囲気を纏っていた。

恐らくこれが魔道具研究所だろう。

 

「この後のプランは?」

 

「真正面から乗り込んで潰す」

 

言いながらブラック☆スターが正面の入り口に突撃する。それは作戦って言わないよ……

 

「オラオラオラ!! 超絶BIGな俺様が出張ライブに来てやったぞ!」

 

挑発の効果は目に見える形で、すぐに起こった。

建物からアラームが鳴り響き、非常灯が点灯し回転する。

その後すぐに刺股や警棒などで武装した警備兵たちがわんさか出てきた。

 

「基、魂の共鳴」

「椿、モード忍者刀」

 

 

警備兵の質はそれほど良くはない。

波長の爆発で吹き飛ばせばもう起き上がってこない。

ブラック☆スターの体術でもほぼ一撃で沈められている。

 

「どんどん出てこい! 片っ端からぶっとばしてやる」

 

 

「随分と元気なお客様だ……」

 

しゃがれた老人の声がのびた警備兵が転がる広場に広がる。

背が小さく、シルクハットをかぶった鼻の長い老人は後ろに同じくらいの背丈の小さな女の子を連れていた。

 

「魔女……」

 

基が不思議なデザインの帽子をかぶった女の子を見て呟いた。

 

「あの子が……?」

 

「あ~~! お前はァ!」

 

どうやら魔女らしい女の子がブラック☆スターを指さし叫んだ

 

「ん!?」

 

「知り合い……?」

 

しかし答えを聞く前にさらに奥から人影が現れた。

 

刀の束を携え、隙のない体重移動の完璧な歩法で距離を詰めてくる。……この人、凄く強い。

 

「テメェー……」

 

「強靭な魂……」

 

「用心棒ミフネ……どうしてあなたが!?」

 

「………… 俺は子供を守る為……アンジェラを守る為刀を振るってきた……

 なのに何故子供のお前がまた俺の前に立ちはだかる……」

 

……子供を守る為? アンジェラ……あの子か?

 

「どうした?

 ……アンジェラ、こちらへ」

 

老人が女の子の手を取り、男……用心棒ミフネ見せつけるように不敵に笑った。

……人質か?

 

ミフネと呼ばれた男は黙ってこちらに向き直り、一本だけ腰に差していた刀を抜き放つ。

 

「……いざ勝負!」

 

「おもしれぇ」

 

「……いくぞ

 無限一刀流」

 

ミフネが宣言し刀の束を振り上げ、全ての刀が鞘から滑りだし竹林の狭い空に広がっていった。

やがて重力に引かれ刀が落下し地面へ突き刺さる。

 

「地面に突き刺さっているだけで

 一本一本から威圧感がある……」

 

「あの人……強いよ」

「うん」

 

「だから…… アレをやろう」

「え! 今?」

 

「元より数的には有利だ、どこまで通用するか試しておきたい」

「でも……」

 

迷っていても相手は待っていてくれない。

瞬時に間合いを詰め元々手に持っていた刀でブラック☆スターへ向け縦に一閃する。

それをブラック☆スターは椿さんのモード忍者刀で受ける

 

しかしミフネはそれに止まらず右脚を曲げ近くに刺さっていた刀を足で掴み掬う様に振るう

 

ブラック☆スターはそれを受けていた刀を支点にして体を回し入れ替え回避する。

さらに回転で生まれた勢いを裏拳に乗せ反撃する。

 

しかし、裏拳が入ったかと思ったが既の所で受け止められていた。

 

迷っている場合じゃない、基を手放しミフネに向かって駆け出す。

 

「刀をいなし、躱し、即座に反撃……

 動き一つ一つで分る……

 成長した。

 これだから子ど――」

 

「シッ!」

 

言い切る前に基の右腕の杭がミフネの顔を掠める。

射出された波長の杭が放物線を描き不格好に地面に突き刺さる。

避け切ったところに僕も拳を放つ

が、難なく躱されバックステップで距離を取られる。

 

着地地点に回り込んでいた基が追撃の杭を振り抜いた。

刀で防がれたが込められた波長が解放され()()()()()()()()()()()()()()

 

反撃の横薙ぎを基が躱し少し間が空く

 

「む……こちらの子もなかなか動きが良い……」

 

「デスサイズと、一応その職人なので」

 

手ごたえはなかったけど作戦自体はうまく行った……

基が言い始めた作戦――

 

職人と武器の距離が離れた状態で魂の共鳴を行う。

 

基が魂の波長のコントロールに長けていて、常に一定の波長でいてくれるから何とか出来る芸当だ。

予め覚えておいた基の波長を探し、波長を引っ張ってきて増幅し、また基の波長を探し、そこに感覚だけを頼りに投げ渡す。

これを繰り返して魂の共鳴を行う。魂の波長はぴったりと合わせてやると電気の様に誘導され波長の道がつながる。

 

 でも直接繋がっている訳では無いからうまく増幅できているかちゃんと確認できず不安だった。

何とか成功してよかった……訓練に付き合ってくれたキムさんとジャクリーンさんには感謝しないと。

 

「………… こんな子供が」

 

「子供子供って舐めてんじゃぁねーよ

 『成長した』だァ?俺様は一回

 お前に勝ってんだよ!!

 エラソーにしやがって……」

 

ブラック☆スターの言葉に反発するように魔女……アンジェラが声を上げる

 

「偉そうなのはお前だァ! ツンツン頭!

 ミフネは子供好きだから

 お前みたいな子供が相手だと

 本気で戦えないんだもん!

 本気のミフネはもっとすごいんだぞ!!」

 

「……どうして、そんな人が……」

 

本当に、どうして……

死神様は魔女だからと言って無条件に刑を執行するような方じゃない

昔は過激な方だったらしいけど、今は割とテキト……おおらかなところがあるから……

 

「手加減など許さんぞ? わかって、いるな……?」

 

老人が念押しするようにミフネに問いかける

いや、問いというより釘を刺しているようだ

本当に、アラクノフォビアはあの子の保護をしてくれるのだろうか……?

 

「…… いくら、相手が『子供』だったとしても

 同じ相手に2度、負けるわけには行かない」

 

ミフネからのプレッシャーが強くなる。魂が見えなくとも感じる波長は質量を持っているかのように僕たちを押し付ける。

 

「椿…… 鎖鎌だ」

 

先手を取ったのはブラック☆スター、刺さっていた一つの刀を回り込むような経路を辿ってその奥にある竹に鎌を引っかける。鎖を引っ張りテンションをかけ刀を弾きミフネに飛ばす。

 

「お前ェの刀、逆に使ってやるぜ!」

 

しかしミフネは回転して飛んでくる刀の柄を難なく掴む

ブラック☆スターもさほど効果は期待していなかったようで既に次の攻撃の動作に入っていた。

 

上から放物線を描き、頭上を越えるような軌道から急に鎖の支点が空中にあるかのような小さな半径での上方斜め後ろからの攻撃

魂を通わせれば力を掛けずとも動く魔武器ならではの挙動だ

ミフネはそれを目視で確認することなく後ろに跳んで回避した

 

「逃がすか!」

 

ブラック☆スターはさらに鎖を振るい鞭のようにうねりを送り攻撃を重ねる。

ミフネはそれを上に跳んで避け、跳ぶ直前に回収していた刀を合わせ、持っていた三本の刀を投擲した

 

三道射(さんどううち)

 

投げられた刀はすべて鎖の穴を通して地面に突き刺さり椿さんとブラック☆スターを地面に縫い付ける

なんて精度だ……!

 

着地し、打ち付けられた刀をさらに食い込ませるように踏みつけながらブラック☆スターに迫る

そして間合いに入る直前にそばに突き刺さっていた刀を抜き袈裟懸けに振り下ろす。

 

ブラック☆スターは後ろに反ることで躱すがミフネはそのまま刀を振りぬき、鎖を縫い付けていた刀を打ちそれを装備し

攻撃の終わり際の隙と”起こり”をつなげて流れるような連続攻撃を放った。

と、同時に振りぬいた方の刀を勢いのままに僕へ投げつけてきた。

 

「くっ!?」

 

予想外のことが起こってミフネに向かう足が止まってしまったが刀をキャッチすることはできた。

そのまま刀を持ち更に距離を詰める

 

ブラック☆スターは二撃目も躱したがまた鎖を刺されバランスを崩される。

そこへミフネの手が伸び――

 

「モード煙玉!」

 

――きる前に椿さんが煙玉にモードを変えた

分厚く、飲まれれば文字通り一寸先も見えない煙はミフネの追撃を逃れるのに十分機能した

 

「シッ!」

 

「ぬ……」

 

煙で見えないが声から察するに基がミフネに攻撃を加えているみたいだ

続いて僕も煙に突っ込む

気配がする方向に憶測で刀を振るう

 

金属質のもので防がれた感触があったためこの辺りにミフネがいる。

おおよその場所の当たりを付け、慣れている突きでの攻撃に切り替える

 

突きのほとんどは何も触れなかったが、いくつかは刀に擦れた触感があったからいなされているようだ

まさか、この煙の中すべて見えているのか……?

 

僕の考えに答えるように殺気が迫る。

ほぼ反射で刀を左に構える。

 

同時に刀から強い衝撃が伝わり押し負けそうになる。

無理に対抗せず膝の力を抜き、上に力を逸らす

そのまま姿勢を低くし足を払いを掛ける

が、何の手ごたえもなく空振りになる。

 

不利を悟り転がるように煙の範囲外に出る。

 

煙の中に響く爆発音を聞く限りではまだ基は打ち合っているようだ

戦闘中でもまだ非接触共鳴は出来ているけど……また中に入るか?

 

逡巡していると煙が逆巻き一転に集中していく

 

「モード妖刀」

 

ブラック☆スターの手元に集まった煙は禍々しい黒い一振りの刀へ変わった。

煙が晴れて姿を現した基は肌に赤い線が増えていた

血が垂れていない所を見るに紙一重で躱せているようだけれど対するミフネは無傷、爆発によって腕周りの服は焦げているが刀を握っている手などはダメージは無いように見える。

 

「ヲオオオオオオ!

 (かげ)(ぼし)!!」

 

枝分かれし、鋭い刃となったブラック☆スターの影が起き上がり、密度の高い斬撃の乱舞を舞う

それを真正面から受け、ミフネはすべて捌き切っている

 

「こんなものか……

 妖刀……」

 

「あっ」

 

斬撃の密度が薄くなっているスペースに倒れこむようにしてミフネが身を滑らせた

確かに僕なら抜けられる密度だったけどまさか僕より二回り以上大きい体格の男が抜けられるとは思わなかった。

 

「”無限一刀流”

 加法『一本』」

 

「ぐぅ……!」

 

ミフネは倒れる寸前まで行った躰を一歩で立て直し、なおかつそれを力強い踏み込みに昇華し刀を振るう

ブラック☆スターはそれを影ではなく妖刀の本体で受け止め体が押されないよう、影で自分を縛って耐えていた。

 しかし、それが仇となり追撃を避ける選択肢が取れない状態になった

 

「二本」

 

「何っ……!?」

 

ミフネはすぐさま傍に刺さっていた刀を抜き取り別角度から攻撃を加える。

まずい、完全に捉えられてる。

 

「三本

 ……シッ!」

 

「くっ……!」

 

僕と基を寄せ付けないように相手しながら高速で刀をブラック☆スターへ打ち付けていく

 

「四本」

 

次の刀の補充がてらにミフネが基に投石を行い、その場へ縫い付ける。

僕もブラック☆スターの目の前まで来れたのにまるで追撃を防げない。

 

ブラック☆スターへの攻撃を防いでも力負けして次の動作が一手遅れる。

刺さっている刀の把握と誘導、そして位置の調整が巧みだ

 

無理に割り込んだりしたからか、何か所か痛みが残るダメージを受けてしまった。

傷を受けてまで攻撃を妨害しようにも、時に剛で、時に柔で臨機応変に対応されてしまう

特に体格差からの純粋な力押しでは勝ち目が万に一つもない。

 

 攻撃は基本躱してどうしても防ぐときは基の爆発杭(ヒートパイル)で力の差をごまかしていたからハッキリと弱みが出てしまった。

刀を装備してこれほど押されているのだから武器は職人の力を増幅させるとはいえ基を持ってもどこまで対抗できるか……

 

力強い構えからの風のような歩法、フェイントに騙され横をすり抜けられる。

ミフネに何とか追いすがるが片手ですら簡単に押し負ける。

基も当たりさえすればミフネを吹き飛ばし得る威力があるが触れられなければ発動しない。

 

基が杭を打ち込み壁を張っていくがミフネはその間をすり抜けていく。

完全に閉じた壁を三割ほどまで張り、ブラック☆スターに打ち付けられた刀が十二本になったところでミフネの動きに変化があった。

 

「乗法」

 

ミフネがブラック☆スターへ向けて駆ける

タイミングを合わせて基と並んで立ち塞がるが、僕の蹴りは掴まれ基の杭はヒットポイントをずらされ逆に抜ける方向に加速させてしまった。

 

ミフネとブラック☆スターが交差し、次の瞬間ブラック☆スターに打ち付けられていた刀が弾け飛んだ。

 

一瞬、コマ送りの様に見えた動きの中で分った。打ち付けられていた刀を瞬時に弾き、十二本全ての刀でブラック☆スターを切ったんだ。

 

「ブラック☆スター!」

 

「もう十分だろう、キズは浅い

 椿と言ったな

 さっさとその子を連れていけ」

 

見逃してくれるのか? やはり、本当は優しい人なのだろうか

 

「何故あなたほどのお侍さまが魔女の手先に……!?」

 

「お前たちは何故ここに来た?

 ……死武専の敵、魔女の施設だからか?」

 

「私たちの友達の娘が魔女アラクネの魔法で苦しんでる……その仇です」

 

「……そうか

 それは、すまなかった」

 

「あなたが謝る必要はないです……あなたは優しい人

 こんな組織で力を揮ってはいけません……

 あなたのような武芸を持った子供好きの方が死武専生の導き手……

 教師になっていただけたら……」

 

「何ッ!? 俺を教師にだと……!?

 ……

 ……

 ば……ば……馬鹿を言うな……」

 

あれ? なんか普通に説得出来そう

 

「確かに死武専と魔女界は敵対しています

 ですが死武専は魔女だからと言う理由だけで

 迫害するような組織ではありません!」

 

椿さんの説得に便乗する形で勧誘をしてみる。

 

「それに、僕もデスサイズになれたおかげで

 一般生徒よりは発言力が高いはずです」

 

それに基も乗り、説得を重ねる

 

「しかし……」

 

「ミフネさん」

「考えてみてください」

「お願い、します……」

 

「俺はアンジェラを……」

 

このまま押し切れないだろうか……

 

「ゴホッ!

 クソっ、また手加減したなテメー……!」

 

ブラック☆スターが起き上がった。

刀傷が全然無かったからそうだと思ったけどやはりミフネさんは峰打ちで攻撃していたらしい。

 

「ふん……ずいぶん好き勝手を言う……

 魔女は成長すれば破壊の導きに支配される

 それを押し込め続けていれば

 いずれは破綻する運命なのだよ……

 ミフネ、早くそいつにトドメを刺せ」

 

シルクハットの老人が口を挟んでくる

確かにそうかもしれないけれど

今から解決策を模索し続けていれば何とかなるかもしれないだろう!

 

「……もう勝負はついている」

 

「生かして帰す理由が無い

 さもなくばアンジェラ様の保護は無いと思え

 アラクノフォビア(ここ)にいれば

 アンジェラ様の安息な未来はひらけているのだから」

 

「まだ勝負は付いてねぇだろ……!

 俺はまだ立てる!

 まだ戦えるぞ!」

 

「ダメ……! ブラック☆スター……」

 

「………… すまない」

 

「駄目だ!」

 

基がミフネとブラック☆スターの間に割って入りミフネさんを突き飛ばす。

不意打ち気味に入ったが刀の腹でガードしていたのが見えた。

 

「ミフネさん、よく考えてください

 裏社会に身を置き続けて

 アンジェラちゃんがまっすぐに育つと思いますか」

 

「貴様……アラクネ様の創造する世界に唾を吐くか

 そもそも表だの裏だの決めるのは勝者だ

 勝者の死神は力を持った個を恐れるあまり

 魔女を排除したのだ!」

 

「違う!そういった考えにさせたのは

 魔女が規律を、人の和を乱すからだ」

 

「つまり突出した個である魔女はいるだけで

 人の和を乱す悪だとして裁かれるわけか

 話にならんな。 ミフネ、さっさと殺せ」

 

「すまない……俺は」

 

ミフネさんが基を向き直り刀を構える。

 

「俺がアンジェラを守る」

 

今まで見ていたものとは全く別次元の速度、一瞬で基の目の前まで迫る。

 

「基ッ!!」

 

「”無限一刀流”……加法」

 

沈み込んだ体勢から左脇腹を目掛けて切り上げようとしている。

基は、右腕だけを武器化している。

刀は、峰ではなく、刃を基に向けている。

手加減は、無い。

 

「『一本』……?!」

 

「えっ」

 

結論から言うと、ミフネさんの放った攻撃は基に当たらなかった。

 

僕もよく見えなかったが、避けようとした基の体が、不自然に刀の範囲外まで弾かれたようなような挙動をした。

 

「なるほど……

 足を武器化して動作を見せず飛びのいたか」

 

基の足元を見ると踵のあたりから杭が伸びていた。

それでいきなりズレたような動きに見えたのか……

 

「ミフネさん、お願いです

 僕はまだ子供かもしれませんが

 これでもデスサイズです

 あなたやアンジェラちゃんが邪悪な存在だとは思えません

 すぐに死武専に、とは言いません

 話が付くまでアラクノフォビアに加担することは……」

 

「俺は元々裏社会の住人だ……

 人も殺した、さんざん悪事にも加担した

 今更表に出られるはずもない」

 

「それでも!」

 

「次は外さん

 ”無限一刀流”……加法」

 

ミフネさんは右手で構えた刀を左半身の方へ持っていき……抜刀術のような構えを取る

脚に力を籠め、またしても掻き消えるような速さで距離を詰める。

 

基も切られる直前に反応しまた同じように後ろに二段階の回避を行う。

 

「同じ手を二度は食わん」

 

左から右に振り抜いた反動で回転し、そのまま踏み込み二撃目を構える。

基はまだ着地もしていない。

杭もリロードされていない。

 

「『いっぽ……ン!?」

 

しかしミフネさんは刀を振ることが出来なかった。

 

基は足の杭に波長を込めており、回避の瞬間杭を射出し、波長を周りに流すよう指令を出したのだろう。

その領域にミフネさんが踏み込み、波長が足から流れ込み行動を阻害させたんだ。

 

「次から次へと……

 子供の発想は柔軟だな」

 

「ミフネさん……確かにあなたは罪を犯したかもしれない

 ですが、やり直せるんです

 僕にはあなたが死神様のリストに

 載り続けるような人だとは思わない」

 

「しかし……」

 

また攻撃が止まった

聞く耳はあるみたいだ

どうにか聞き入れてくれないか……!

 

僕だって二人をどうにかしたい!

 

「ミフネさん!

 死神様は昔は厳格で厳しい方だったと聞きましたが

 今は柔軟なお方です!

 どうか……どうか……!」

 

「だが……」

 

「どうしたミフネ……?

 所詮勝者の傲りが生んだ

 子供の無責任な口約束だ

 同じ魔女の世界を選ぶ方が

 ずっと賢いじゃないか……」

 

「俺は……」

 

「ミフネさん!

 話を通して見せますから、こんな組織とは手を切っ――」

 

このまま押せばアラクノフォビアと関わりを断ってくれるかもしれない

うまく行けば、死武専にも……

 

「――うっ……?! ア……あぁ……! ぐ……

 ハッ、ハッ……ハ、あ……あっ……

 が、あッ」

 

「基!?」

 

急に基が苦しみ始め、膝から崩れ落ちる。しばらくガクガクと震えたかと思えばピタリと止まり何事もなかったかのようにゆっくり立ち上がった。

 

「基……? 大丈夫?」

 

基は返事をせず全身を武器化して僕の右手に収まった

 

「もと」

「ミフネは敵だ」

 

「え?」

 

「早く倒すんだ」

 

「何を言って……」

「倒さないといけない」

 

「どうし――」

 

そこまで言ってはっとする。

動揺を消してよく目を凝らして右手の基に集中する

 

すると、もはや腕が隠れて見えないぐらいの歪みが見えた。

 

「う……基……!」

「そうしないといけない」

 

マズい……こんな時に……!

 

「………… その子の言う通りだ

 死武専と魔女は敵同士、戦わなくてはならない」

 

「そんなことは……っ!!」

 

基に気を取られてミフネさんを懐に入れてしまった。横薙ぎに刀が振るわれる。

 

「”無限一刀流”

 加法『一本』!」

 

「ぐうっ!」

 

重い……!基の本体側で受け止め左手も交差させ何とか踏ん張る。

 

「二本!」

 

二本目も何とか腕をずらし肘のあたりで受けることが出来た。

しかし移動しようにも打ち付けられている一本目の刀からまだ押し込まれていると錯覚するほど圧力を感じる。

 

二本目も同じく手が離れているにもかかわらず凄まじい力で押されている感触がある。

 

「三ぼ――」

 

防げない。

ここまでか――

 

 

 

鮮血が吹き上がる。

 

 

 

 

僕の血ではない。

 

基の血でもない。

 

 

血飛沫の発生源を見るとシルクハットの老人の左上半身が弾け飛んでいた。

 

一拍置いてミフネが虚空を切り、凄まじい衝突音が広場に響く。

 

 

狙撃だ。

恐らく弓梓さんの。

 

「狙撃か! どこからだ!?」

 

老人の問いは爆発音で答えられた。

 

研究所の一角が弾け飛び赤い炎に包まれる。

続いて上の階の方から念入りに何度も爆発が起こる。

恐らく死人(シド)先生の任務が終わったのだろう。

 

研究所から白衣に蜘蛛の面姿の研究員が転がる様に飛び出してくる。

 

「モスキート様!爆弾が至る所に……!

 この施設はもう持ちません!

 早くご避難を……!」

 

「血だ…… 血が足らない……」

 

「モスキートさ

 ぐふっ」

 

モスキートと呼ばれた老人は研究員を尖った鼻を伸ばし、白衣の研究員を突き刺して殺した。

言動からして血を吸えば回復できるのだろう。……鼻から?

 

「待てよ!

 ……決着付けようぜ」

 

老人も逃げ、アンジェラも付いて行ったためここにはもう用はないと言いたげに去っていくミフネさんの背中にブラック☆スターが言葉を投げかける。

 

「あせるな…… お前は強い

 そのまま前を見て進めばいい

 そして椿の中の『もう一つの存在』を理解しろ……

 すれば妖刀も応える」

 

ブラック☆スターとの打ち合いで感じるものがあったのだろう。

ミフネさんはアドバイスを残してくれた。

 

「俺は刀にはこだわらないが……

 良い、刀を持ったな」

 

「当たり前だ」

 

やっぱり……教師になってもらえないだろうか……

帰ったら死神様に報告……

の前に始末書かな……

 

「魔法で苦しんでいるお前の友人に

 こいつを渡してやってくれ」

 

そういって何か小さい物を投げ渡す。

二つ絞りの丸い袋……飴玉?

 

そうして気が付くと音もなくミフネさんの姿は消えていた。

 

しかし、基の周りの歪みはまだ消えていない。

どうしようか……

 

「基……基?」

 

基は呼びかけには応じず武器化を解除する。

 

「はぁ……んんっ……!

 が、アアッ!」

 

頭を抱えてうずくまったかと思ったら体を反らして仰向けに倒れる

そしてピクリとも動かなくなった。

 

「ちょっと……基!」

 

倒れた基に駆け寄り膝に寝かせる。

 

脈はある。呼吸も正常。瞳孔は……

 

「う……」

「基! 気が付いた?!」

 

「ここは……」

 

「急に倒れたからびっくりしたよ」

 

「ペグ……」

 

「ん? どうし――えぇ!?」

 

基が泣いている。

目を歪め、下唇を噛み、声を震わせて涙を流している。

 

「え、と もとっ えっ だ、大丈夫?」

 

「ペグ……」

 

「うん……?」

 

「ごめんなさい……!」

 

「え……?」

 

基はそう言い切るとまた意識を失った。

 

今までと違う、暖かい魂が感じられた。

1分か、10秒か分からないが暫く呆然としていると、基が急に起き上がった。

 

「基……?」

 

だよね?

 

注視しても歪みは見られない。

基、のはず。

 

「うん? どうしたんだい? ペグ」

 

「え? いや、その、さっきの……」

 

「……何かあったっけ?」

 

基の周りに注意して言葉を紡ぐ。

今はもう歪みは無くなっている。

 

が、あの暖かさも無くなっている。

 

「その、涙」

 

「――ああ、ごめんね

 転んだ拍子に目にゴミでも入ったんだろう」

 

……え?

本心だ。さっきまでの事を覚えてない?

自分の顔に触れて初めて涙を流していたことに気が付いたようだった。

 

でも、歪みは見られなくて…… じゃあさっき泣いていた基は?

言っては何だけれど、初めて会った時の基よりも自然な気がする。

 

あの、謝罪は、勘だけれど、魂から絞り出した本心だと思う。きっと。

 

本当の基が居て、嘘ではない基が居て、そして基じゃない歪みが居る。

しかし喧嘩した時より前の基はどれだ?

どれでも無いように思う。

 

だけれど、さっきの心から何かを言えていた基は確実に居る。

あの凪いだ湖面を思わせる暖かい波長を放っていた基は絶対に居る。

 

今は何もできないけれど、僕はずっと一緒に居よう。

基が誰にも知られずどこかへ消えてしまわないように。

何かあれば助けてあげられるように。

 

今の僕じゃ基の足枷になってしまうかもしれないけれど、それでも。

 

一緒に居よう。

 

基が、心から笑える日が来るまで。

 

僕は、基のパートナーだから。

 

 

基にハンカチを渡しながらそう、思った。

 

 

 




戦闘描写が難しい

特に強敵との闘い


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Part13:矢印の向く方向

遅れました


 

当初のチャートから外れていくRTAはっじまぁるよー

前回ミフネと戦いあんまり役に立たないスキルを引いたところからです。

 

 

 いきなりですがメデューサが魂を逃がした蛇が子供の体を乗っ取るムービーが挟まります。キャンセルで。

 

 次のストーリーイベントまで時間があるので、それまで汎用依頼と特訓をこなしながら、毎日クロナのところへ通い詰めて時間消費の無い雑談一回のみで友好度を稼ぎます。

 

 クロナのメデューサ決別死武専ルートに入るとちょくちょくメデューサがちょっかい掛けてきますが、鬼神戦が大幅に安定、高速化するので決別ルートを採用します。

 

 特に注意する点はありませんがあえて言うなら連打で会話二回目を選んでしまうと時間が消費されるのでそこぐらいです。毎日お話しして友好度稼いでイベントを起こす……ギャルゲかな?

 

【「うじゅ……」】

 

【『>・雑談』】

 

【「あ……うん……」】

 

【『クロナと雑談を楽しんだ……』】

 

 これだけです。雑談汎用イベントはロードも無くテキストメッセージも短く、ガッツリコミュするよりも毎日少しづつ雑談であげる方が結果早いです。そもそもコミュはランダム要素があるので計算が面倒です。即興チャートなので固定値で計算を楽にします。

 

 稼ぎの目安ですが挨拶の文が変わったらルート変更フラグの前準備終了です。その後、メデューサの生存を伝えればフラグが立ち、マリー先生に盗聴器を仕掛けるイベントで盗聴器を渡してもらえます。

 

 任務受けて少女と戯れてクロナと雑談するだけなので加速。

 

 ここでクロナ死武専ルートについて、お話しします。

 クロナ死武専ルートとは、その名の通りクロナが離脱せず、死武専に所属し続けるルートをクロナ死武専ルートと言います。

 クロナが自分の意志で前を向いたり、メデューサの中にわずかにあった母性と家族愛が見えるのが特徴のルートです。プレイヤーの中にはメデューサの心情について解釈違いがあるとして好き嫌いが分かれるルートですね。

 

 でもこの動画ではイベント完走しないから安心! そもそもイベント完走には一回ストーリーをクリアする必要があります。クリア前に終了する選択肢もありますが最終ステータスに違いが出るので実質罠選択肢でしょう。

 

 そもそもメデューサはテスカトリポカに魂を映さ

 なんで等速に戻す必要があるんですか?

 

 

【「あ……ども……」】

 

 はやこいつもう終わりかいな

 挨拶文が変わったので必要友好度は大丈夫そうです。

 

 ペルソナ付いてるおかげで早めに終わったみたいですね。役に立ったな。すかさずここでメデューサの生存をタレコミます。

 

【『>・雑談:〔記憶した魔女の魂〕』】

 

 なおここでのキーワード選択でメデューサを選ばないように。普通に昔話されてフラグが立たずに終了します。

 しかしメデューサと邂逅までに間に合って良かったです。前提としてクロナがメデューサと会う前までにこっちからメデューサの生存を伝えておく必要があります。

 

 後はもう友好度稼ぎはいらないのでパーティーイベントも蹴って盗聴器イベントまで待つだけです。イクゾー(ボンバーマン)

 

【『今日の授業はアラクノフォビアに対する対抗授業だ』】

 

 おっと、その前に対抗授業の班決めがありましたね。順当に行けばオックスキムキリクの班にぶち込まれることでしょう。

 

【『あなたのチームはオックス、ハーバー。

  キリク、ファイア、サンダー。

  キム、ジャクリーンと一緒のチームなった』】

 

 順当。ナニモイウコトハナイ

 

 はいはい加速加速!

 

 

【「会いたかったわ、クロナ」】

 

 オォン、メデューサ生存ムービーが来ましたね。この後のマリー先生に盗聴器を仕掛けられるイベントが盗聴器をホモ君に渡してもらえるイベントになります。

 

【「エルカ、例の物を渡して頂戴」】

 

 お、この後ですね、テキストは連打。

 

 

 

【「マリー先生……実は、相談したいことがあって……」】

 

【「ん、そうね……もうちょっとで仕事終わるから

  うちに来る? お茶でも飲んでゆっくり話しましょう」】

 

 ん? このイベントってマリー先生の家まで行ったっけっかな?

 

【「ゲコ、うまくやれた?」】

 

【『ただいま』】

【『おかえりシュタイン』】

 

【「ゲココ、聞こえる聞こえる♪」】

 

 ンアッーー!

 

 盗聴器貰えてないやん! 盗聴器が欲しくてクロナに媚売ったの!

 どぼじでごん"な"ごどに"な"っ"だの”おおおぉぉぉ!

 

 さて、クソどうでもいい茶番は置いておいて冷静になって考えてみましょう。

 

 クロナルート分岐に必要なのは友好度とメデューサに会う前に生存を伝えることの二つがフラグになります。

 今回はしっかりと生存を伝えているので友好度が怪しいですね。

 ですが話しかけた時の文章はちゃんと変わっていました。では何がいけなかったのか。その謎を解明すべく我々はwikiの奥地へと向かった。

 

 wiki情報によると会話文が変わる友好度はイベントに必要な友好度より低いみたいですね。

 

 これやんけ!!

 これ!1!

 やんけ!!れ!

 

 ですがまだ終わっちゃぁいません。まだリカバリーは可能です。

 

 このイベントはクロナがコミュ可能キャラになってからメデューサに会うまでの時間が短いことから厳密にはメデューサの生存を先に伝え、その後友好度を稼いでも大丈夫です。

 欠点と言えばもうBREWはどうしようもない事です。無理すれば仕掛けられた盗聴器もどうにかできますがさすがにリターンが見合いません。BREW死武専確保ルートの方が微妙に早い程度なので。

 文章が変わっている所からほぼラインギリギリの状態だと言うことは分かっています。多分パーティーに参加していれば足りたぐらいに。もったいない。覆水盆に返らず。

 

 それと文章が変わった後に雑談もしていましたがメデューサ生存のタレコミはルート分岐で必須ですが、疑惑値が上がるだけで友好度が上がらないイベントなのです。ですから、あと一回雑談してもう一回話しかければ大丈夫でしょう。

 

 やはりチャートに無いきちんと調べてないイベントを挿入してはいけない(戒め)。

 

 まぁもう引き返せないんでこれからも続けるんですけどね。ハハッ(夢の国チキンレース)

 

 

 

 お泊り室へどーん!

 クロナァアア!

 お前がやったんだろ……お前がやったんだろ!?

 

【「…………あの。これ……」】

 

 良かった。無事に発生しました。

 

【『クロナから【メデューサの発信機の抜け殻】を受け取った』】

 

 けっ、ブツを受け取ったらこんなじめついた所に用はねぇ、二度と来ねーよぺっ

 後はマカと宜しくやってなさい。

 

 しかしマカと宜しくヤったら百合なのかノーマルなの

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

――――――

――

 

「や、クロナ」

 

「あ……ども……」

 

 北条 基。このヒトは僕の事をよく気に掛けてくれる。

 

 

「はいこれ、いなかった時の授業のノート」

「今日は気圧が低いらしいから無理しないようにね」

「あぁ、この先に人が結構たむろしてるみたい。……別な道通るかい?」

「しんどくなってきた? はいこれ、毛布と耳栓。あっちにベンチがあったはず、今なら人が居ないよ」

「お疲れ、ゆっくりでいいからね」

 

 

 外に出たがらない僕に毎回付き添ってくれて、僕に負担にならない距離感でずっと居てくれる。僕が何か困ってしまっても何も言っていないのにすぐ気づいて解決してくれる。

 

 

「ほらこれ、人に話しかけられたとき、あらかじめ決めた文があれば受け答えしやすいんじゃないかな?」

 

 そう言って一緒に作った”自己紹介カード”は基もマカも居ない時に大いに役に立った。少なくとも、話しかけられて、無言でお泊り室へ逃げ帰るようになることは少なくなった。本当に。

 

 何人かは新しく……その、友達、も出来た。

 まだどうしていいかわからず逃げてしまうことも多いけれど、数は少ないけれど友達に助けられて、その、楽しく、過ごせてると思う……タブン……

 

 死武専は世界の警察を担い、そしてそれを育てる機関であるから押しが強い人が多い――ちょっと多すぎる、よ――

 

 マカやマリー先生もよくしてもらってるけど、二人が言う様に友達は全く作れなかった。

 最初はマカと親しい友達と少し仲良くできたぐらいだ。

 

 そんな僕に友達が出来たのは、基による所が大きい。

 基はまず、僕にどうして友達を作ったほうが良いかの説明をして、僕の意見を聞いて――と、言っても僕は全然喋れなかったのに、すぐに理解してくれた――

 それで、僕が頑張れる範囲での人付き合いの仕方を教えてもらった。

 

 そして接しても消耗しないヒトたちを紹介してもらって、いろんな話を聞いて、いろんな話をして、いっぱい失敗して、同じ数だけ立ち直らせてもらって、手伝ってもらいながらも、友達を立ち直らせたりして……

 

 人の暖かさを、知った……と、言うよりも、理解し直した……?

 

 僕の母……、メデューサさまは思い返してみれば、方向性はズレていたけれど、そこに愛はあったように思える。

 だからこそ、今、世間一般の言う普通の情と言うものが受け入れ難かった。でも、完全に普通である必要はないと、基が教えてくれた。示してくれた。

 

 今でこそ自分が変わったと思えるけど今ここで思い返すまで自分が変わったとは思ってなかった。

 

 今では授業に――後ろの端の方でだけど――出て、友達とお話しして、遊ぶ約束をして、明日を楽しみにしながら眠りにつく。

 ちょっと前までの僕が聞いたら信じられないんじゃないかな。

 

 

 でも、僕の友好関係は広がったけれど、深くはない。

 僕が初めて自分から、自分だけで作った友達も、今では基の方がずっと親しい。

 その友達の、むずかしい課外授業の達成祝いに何か送ろうと思っても、苦手なものも、好きな物も分からない始末だ。基が僕より親しいことはあまり寂しくはないけれど、全然友達の事を知れていないことに、自己嫌悪と、少しの焦りを感じる。

 

 けど、そうしてウジウジして何もしない事は本当に何にもならないことを教えてもらったから、お祝いは送ろうと思う。

 ……基に相談することになるけど。

 

 

 基に相談するとあっさりこともなげにと答えてくれた。その友達はお菓子が好きらしいので基のおすすめの店を紹介してもらう。

 ……知らなかった。必要になるまで知ろうとしなかった。気持ちが後ろ向きになってくるがひとまず反省会は後回し。基とその店へ向かう。

 

 僕は、基やマカ、みんなに貰ってばかりだ。迷惑をかけっぱなしだ。

 

 でも、貰ってばかりじゃなく、僕もいつか、少しずつだったとしても――

 

「返していきたいな……」

 

「ん? どうしたの、クロナ」

 

「ぇあ?」

 

 どうやら、口に出てたらしい。

 こういう時、基には隠し事が通用しない。最初から正直に話したほうが基の時間を奪わないで済む。

 

「えっとね、僕は……皆に……その、迷惑ばっかりかけて……」

 

「死武専の皆は迷惑だったらバッサリ言う人ばかりでしょ。

 嫌だったら離れていく人ばっかりだよ」

 

「うん、そうなんだけど、そうじゃなくて……

 その、どうして、僕に……僕の、傍に居てくれるの?」

 

「友達の傍にいることに明確な理由は必要かい?」

 

「その、僕も……友達の力にはなりたいけど……

 何も、返せないから……」

 

「クロナ、もう、貰ってるよ」

 

「え?」

 

「クロナは友人のために贈り物をしようとしている。

 しかもその理由は借りを受けたからじゃなくて純粋にお祝いをしたいから。

 そういう選択が出来るのは素敵だと思うよ」

 

「でも……それは、普通だから、そうしようと思って……」

 

「確かにそれが良いとは教えたけれど実行に移したのは君だ、クロナ。

 結局は他人にどんなことを言われたりされたりしても選ぶのは本人でしかない。

 ま、例外や特殊なことがあるから僕の想定してる前提では、って付くけど……」

 

 そこまで言って、並んで歩いていた基は少し前に出て僕に振り返る。

 

「君が昔魂を集めていたのも君が決めたから。

 君が今友達のために思いを伝えようとしてるのも君が決めたから。

 君がどういう生き方するかは君が決めることだ

 ……死武専の規範に沿って欲しい、友人でいて欲しいと思って色々言っているのは僕の都合だ。」

 

 僕を覗き込む基の瞳は黒く、どこまでも深かった。

 

「友人関係なんて損得じゃないし……

 まぁそれなりに打算とかはあるだろうけど……

 クロナは頑張って、今のクロナなりの世界を創ってる。

 その中で、皆に対する感謝の気持ちとか、頑張ろうって向上する心とか、今回みたいに誰かのために動けるところとか、本当にたくさん、僕が欲しい物を、持ってるよ。

 だから、僕はクロナと一緒に過ごしたいんだ」

 

「それって……?」

「ぴぃぎゃああああぁあ!!まだるっこしぃ!!

 ンだそれ!? 話が繋がってねぇ上に結局答えてねぇじゃねぇか!!」

「ラグナロク」

 

「ははっ、ごめんごめん、持論を語るとどうしても話がズレってっちゃうんだよな……

 そうだな、貰ってるってのはクロナの迷惑をかけたくないって気遣いや、返していきたいって気持ちをたくさん貰ってるってことかな、分かるからね」

 

「でも……思ってるだけじゃ、変わらないし……」

 

「クロナは、気持ちだけもらっても役に立たないから要らないと思うのかい?」

 

「そんなこと……!」

 

 ……そういう……こと?

 でも、僕はあまり口に出して伝えられないし、僕の気持ちなんかが、対価だなんて、おこがましい……

 

「計算じゃなく、素で人の事を思える人は、一緒に居て心地いいよ。

 言えなくても、伝えられなくても、分かるからね、僕は

 ……気持ち同士が釣り合わないなんてことは無いさ」

 

「あ……うん……」

 

「ま……不安になったらとりあえず美味しい物食べて、暖かくして何も考えずにたっぷり寝るのが一番だよ」

 

「そうだ!! 菓子屋に行くってのに何止まってんだ!! 早く食わせろ!!」

 

「そうだね。

 ごめんね、行こうか。

 お詫びにラグナロクに何か奢ろう」

 

「なぁにぃ?

 ……お前ぇ……話が分かる奴じゃねぇか」

 

「僕はクロナから欲しいな~」

 

 歩き出した基がおどけたように語尾を上げてこちらを伺う。

 

「あ、うん。

 が、頑張る」

 

 小さいけれど、いつものお返しが出来る。頑張ろう。

 

「じゃあ、交換っこしようか」

 

「え、でも、いつものお返ししたいから……」

 

「じゃ、お返しのお返しだ」

 

「えぇ……?」

 

 どうしよう、無限ループだよぉ……ループとの接し方が分からないよ……

 

「はは、

 さ、もうちょっとで着くよ」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 基が案内してくれたお店はこぢんまりとした温かい雰囲気の洋菓子屋だった。

 今回は贈り物だから足の速いものは買えないけれど、シュークリームや各種ケーキなどいろいろなお菓子を取り扱っていた。

 

 基が言うには、プレゼントを送ろうとしている友達は甘いものは好きだけど、チョコと、コーヒーも苦手らしい。

 

 友達にはナッツが入ったクッキーを、基にはラングドシャクッキーを丸めた……所謂シガレットクッキーにホワイトチョコを掛けたものを選んだ。

 

 

 会計を済ませて路地裏のちょっとした公園のベンチに座る。

 ここは碌な遊具もないせいか人が来ない。でもキチンと清掃が行き届いておりゴミもなく、過ごしやすい公園だ。

 

 ここはマカに教えてもらった。直射日光も射さないし、それでいてほどほどに明るいし、静かだし外で読書したいときに使うんだって。

 

 友達に送るクッキーをベンチに置き、自販機で買ったお茶のリングプルを開け一口飲む。

 ラグナロクは缶を噛んで穴を開けもう全部飲んでしまった。

 

「はい、まずはラグナロクの分ね」

 

 基が取り出したのは透明な袋に入ったブローチのようにきれいなキャンディクッキーだった。

 

「へへ、やったぜ」

 

 ラグナロクは袋をひったくり上を向いてざらざらと口に入れる。

 もう、せっかくきれいなんだからもうちょっとゆっくり食べても……

 

「いい歯ごたえだ、気に入った

 もっとくれてもいいんだぜ?」

 

「また今度買ってくるよ」

 

 基は苦笑いしながらもう一つの袋を取り出す。

 

「はい、どうぞ、クロナ」

 

「ありがとう……

 えと、これ、僕、から……」

 

「有り難う」

 

 紙袋の中を一緒に確認する。

 

「わ……!」

 

 紙袋の中、さらに包装されて入っていたのは小さく、白く、まんまるのクッキーだった

 

「スノーボールって言ってね、冷たくはないけど口溶けは雪みたいなクッキーだよ。」

 

「へぇ……かわいいね」

 

 基も紙袋からクッキーを取り出す。

 

「これは……チョコ掛けシガレットか

 ありがとう。ホワイトチョコ好きなんだ」

 

 交換したクッキーを二人で食べる。ラグナロクに何個かとられたから二人じゃないか。

 それを見てた基にシガレットを貰ったり、ラグナロクがゴネて結局基から貰ったり、そのお返しにスノーボールをあげたりしていたらあっという間に食べきってしまった。

 

 

 ◆

 

 

「……冷えてきたね、そろそろ帰ろうか」

 

 夕方と言うほどでもないけど太陽が傾き建物により日が遮られ薄暗くなってきた。気温も少し下がったように感じる。

 

「うん……そうだね。あの……今日はありがとう」

 

「ん……どういたしまして、だ」

 

 基は食べ終わったクッキーの袋を畳み、荷物を持ち立ち上がり、近くのダストボックスへ入れる。

 そのままこちらを振り返り手招きする。僕も立ち上がり基の後につき公園を後にした。

 

 

 ◆

 

 

「あ……犬……」

「ん? ほんとだ」

 

 犬種は分からないけれど、耳が垂れていてぼんやりとした顔の犬だ。

 

「どうし――あっ!」

「おっ」

 

 トテトテと近づいてきたのでしゃがんで目線を合わせようとしたら、しゃがんだ瞬間紙袋をひったくられた。

 あの中には友達に渡すクッキーが入ってる。

 

「ま……待って!」

「あっ、クロナ」

 

 紙袋を咥えた犬を追いかける。

 犬は全速力ではないものの裏路地の狭い道を通る為、あまり距離が縮まない。

 

「待っ――あぅ!!」

 

 暫く追いかけていると、裏路地に転がっていた瓶を踏んで転んでしまった。

 犬が曲がり角を目指して走る。見失ってしまう。

 

「待って……待って……!」

 

 急いで立ち上がり後を追う。

 犬はすでに曲がり角に差し掛かり、もう隠れる寸前。というところで角の影から手が伸びて犬を持ち上げた。

 

「どうどう、ごめんね、返してもらうよ。」

 

「あ……基……」

 

「はい、クロナ

 中身大丈夫かな?」

 

 基に紙袋を渡され中を確認する。

 ……良かった。割れてない。ちょっと裏路地通ることになったけど紙袋の中にさらにビニールの包装できちんと密閉されてるし……大丈夫だよね?

 

「うん、大丈夫じゃないかい?

 心配なら買い直すかい?」

 

「ううん……今から戻ってもお店閉まってるかもしれないし……

 明日じゃないとまた課外授業でいなくなるらしいから……」

 

「確かに今から戻ったら間に合わないかもな……

 うん、『犬も思わず食べたくなるクッキーだよ』って渡してみたら?」

 

「や、それは……

 素直に言って嫌って言われたらもう一回買うよ」

 

「大丈夫だとは思うけどね、確かに綺麗とは言えないけどゴミ溜めって訳でもないし」

 

 話しながら表通りに移動する。犬も付いてきたからしっかりと袋は胸のあたりで持っておく。

 

「うん……ありがとう。あ、お店教えてもいいかな?」

 

「もちろん」

 

「ありがと……明日渡し……あ!

 明日って基たち来れないんだっけ?」

 

「キッドの家でパーティーだっけ?

 ごめんね、任務が入ってるから僕とペグは欠席だ」

 

「そう……」

 

「楽しんでおいで。

 ……っと、あげられるものは何もないんだ。ごめんね」

 

 さっきの犬がふんふんと鼻を鳴らしながら基に纏わり付く。

 

「だからなにも持ってないって、ごめ――

 あ、が……っ!」

 

 いきなり基が崩れ落ち膝をつく。

 

「基!?」

 

「うっ……ぐ、あ……あぁ……」

 

「だ、大丈夫? 基」

 

「………………」

 

 立ち眩みか何かだったのかすぐに落ち着いた。

 基はゆっくりと自分だけで立ち上がった。

 

「キャン!」

 

 さっきまで基に心配そうに鼻を擦りつけていた犬が一鳴きして裏通りへ走り去る。

 何かに怯えたような様子だったけど、周りには僕達以外なにも居ない。

 

「基……?」

 

 基は痛みで苦しむでもなく、心配させまいと笑うでもなく、一切の感情を読み取れない無表情でこちらを見つめる。

 その瞳は暗く、意思のようなものは感じ取れない。

 

「メデューサ・ゴーゴンは生きている」

 

「え?」

 

 基の口から不意を突いて出た言葉の意味を理解するのに数秒かかった。

 

「メデューサ・ゴーゴンは生きている」

 

「え? メデューサさまが……?

 何で……」

 

「メデューサ・ゴーゴンは生きている」

 

「なんで……どうして……?

 どうしてそれを僕に……?」

 

「…………」

 

 基は眉一つ動かさず何も言わずこちらを見つめるだけで何も言ってくれない。

 

「そ……れを、僕に、伝えて、どうしろって……」

「そうならなければならないから」

 

「それって……?」

 

「伝えなくてはならない

 大きく外れてはならない

 そうならなければ捨てられる」

 

「どういう……」

 

 問い詰めようとするが基の体からふっ、と力が抜け膝から崩れ落ちる。

 

「あっ……」

 

 さっきまでの異様な雰囲気に圧倒され動くことが出来ず基は前のめりに倒れた。

 そのままピクリとも動かない。

 

「も……基……?」

 

 傍に寄り仰向けにして状態を確認する。

 正常に整った息をしている。外傷も無い。表情も強張っていない。

 こういう時頭を揺らしてはいけないって習ったから肩辺りを叩き呼び掛ける。

 

「ねぇ……基? ……基!」

 

「ぐ……」

 

「基……! 大丈夫?」

 

 基が少しうめいて細く目が開かれた。

 

「君は……?」

 

「え?」

 

「あ……確か……教会で……」

 

「……っ」

 

 僕を……忘れてる?

 

「ここは……デスシティ?

 どうして君が……?

 ……いや、そうか、君と僕は……」

 

 基はぐったりとしながら、うわごとのように言葉を紡ぐ。

 

「すまない……名前を、聞いても……?」

 

「……クロナ、だよ。 基……」

 

「……そう、ありがとう、クロナ。

 僕が、迷惑を、かけると思う……

 でも……どうか……どうか――」

 

 段々と声がか細くなって行き、またしても基の動きが止まる。薄目から見える眼球は濁ったまま微動だにしない。

 

「えっ? 基? 基!?」

 

 必死に呼びかけると徐々に目の焦点が合ってくる。

 目が開かれると同時に基は跳ね起きた。

 

「よかった……基……」

 

「……ごめんクロナ調子が悪いみたいだ

 先に戻らせてもらうよ

 この埋め合わせは必ずする」

 

「もと――」

 

 基は一気にそれだけ言うと裏路地のから飛び出していった。

 

「んだアイツ

 ヤクでもやってんじゃねぇのか」

 

「そんなこと……」

 

 目の前であんなことが起こったため、ラグナロクの言葉に

 ない、とは僕は言い切れなかった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 友達にクッキーを渡し、たいへん喜んでもらったからお礼をしようと基を探すけれど見当たらない。

 

 マカが言うにすでに任務に行っており今日は死武専に来ていないらしい。

 そこから今日のパーティーの話に移り、僕も言いふらすことではないかと考え、昨日の事は基が帰って来てから聞こうとそのことは一旦意識の外へ追いやった。

 追いやってしまった。

 この時マカに基の事を話していたら何か変わっていただろうか。

 

 

 

 

 

 放課後になり、皆でキッドの家へ集まり、パーティーが始まった。

 そんなに騒がしくなくて、僕が何かしなくちゃならないことも無くて、みんなとちょっと会話したりして、パーティーを……パーティーを楽しんだって言えるのかなこれ……

 

 ともかく、皆良い人達だと再確認できたし、皆が……その、僕と友達だってはっきり言ってくれた。

 

 

 

 パーティーが終わり皆帰路につく。

 キッド達が途中で抜けて帰って来なかったけれど……大丈夫かな

 

「気にすんじゃねェーよ

 キッドだって”こまい”男だが実力者だ

 まぁ? 俺様と比べてしまうと生きとし生けるものすべてが矮小な存在になってしまうが?

 どっちにしろ心配することじゃねぇ

 ぜってぇ帰ってくるからよ」

 

「そうだよ、クロナ

 いっつも細かくて忘れがちだけど死神なんだから心配いらないよ」

 

「うん……」

 

「……クロナ!!

 今度はうちに遊びに来い!」

 

「ラグナロクみたいに食べっぷりがいいと料理も作り甲斐があるわ」

 

「うん……!」

「うるせェ誰が行くか」

 

 

「くしゅっ」

 

 マカがくしゃみをした。

 太陽が完全に隠れ月が爛爛とした目でデスシティーを見下している。

 

「さすがに冷えてきたな

 さっさと帰るか」

 

「じゃあな」

「バイバイ」

「また明日」

 

 

 死刑台屋敷から少し歩いたところで解散となった。死武専のお泊り室へ向かう。

 

「オイ! クロナ! テメェ―も料理の上手いやつパートナーにしろ!」

「僕のパートナーはラグナロクでしょ

 ……楽しかったね、パーティー」

「ケッ お前ぇーは単純だな」

 

 

『みんなクロナの友達だよ』

『みんな逃げたりはしない。自分のペースで輪に入って行けばいいさ。別に焦ることは無い』

『オイ! クロナ! お前をいじめるやつが居たら遠慮なく言えよ。俺様が月までぶっ飛ばしてやる』

 

 今日のパーティーで皆に言われた言葉が反芻して笑みがこぼれる。

 友達。全くもって理解できなかったコミュニティ。

 貰ってばかりだと思ったけれど、最近僕からも『つながり』が伸びているような気がする。

 理解できるまで親身になって付き合ってくれた基には感謝しかない。

 

 そう、感謝だ。

 基に言われたようにもう少し謝罪では無く感謝を伝えられるようになろう。

 明日、基が居たらパーティーのことを話して、ありがとうって伝えて――

 

「ふふっ……」

「随分と嬉しそうね、クロナ」

 

「……え」

 

 闇夜に溶け込むようなローブ、独特の雰囲気。

 小さい女の子の体になっているが、判る。

 

「会いたかったわ、クロナ」

「め、デューサ、さま……」

 

「うれしいわ、こんな姿になってもわかってくれるのね

 情けないでしょ」

 

「……おれと同じで小さくなったな」

 

「本当に……生きてた……」

 

「えぇ、クロナに会いたく――

 ()()()?」

 

 メデューサさまの纏う雰囲気が一気に探るようなものに変わる。

 僕は僕の遅すぎる失言に気づいた。

 

「……あっ」

 

「……クロナ、お母さん本当に心配したわ」

 

「……うん」

 

「でも、本当によくやったわ――

 ――そのまま死武専で()()()を続けて頂戴」

 

「エ!? す、スパイだなんて僕は――」

 

「そんな謙遜しなくていいわ

 スパイをするために死武専に潜り込んでくれたんでしょう?

 ――(母親)のために」

 

「ぼ……く、は」

 

「さあ、手始めに誰が私の生存を掴んでいたか教えて頂戴」

 

「ア、あぁ……」

 

 心臓を掴まれたかのように痛い。走ってもいないのに息が上がる。視界がぼやけ、狭まっていく。どうすればいいか分からない。分からない、分からないよ……!どうしたら――!

 

「ホージョーもといとか言ったかァ?

 クソカス波長を叩きこんでくる武器のアレだ」

 

 ラグ、ナロクっ……!

 声を上げようとしても喉がヒクつくだけで声が出ない。

 

「デスサイズの……

 そう……有り難う、有益な情報だったわ

 それと、死武専のどこかに秘密の保管庫があるはず……それを見つけて頂戴」

 

「ぼ、くっ……! 死武専に、友達! が、居て……

 そんな、裏切る、なんて――」

 

「――クロナは、お母さんのためにやってくれるでしょう?」

 

 その、問いかけるような目に、わざとらしい口調に、考える意志を奪われそうになる。

 死武専の友達の顔が頭に浮かぶ。裏切る……? 皆を……?

 僕は――

 

『伝えなくてはならない

 大きく外れてはならない

 そうならなければ捨てられる』

 

 ――急に、様子がおかしい時の基の言葉が浮かび上がった。

 大きく外れてはならない? 捨てられる?

 

 ――僕は、結局、メデューサさまの子だから、メデューサさまから大きく離れたら、捨てられてしまうのだろうか。

 

 ――基は、僕を捨てるのだろうか。

 

 

「クロナ?」

 

 メデューサさまが返事を待っている。

 

「――合点、了解です」

 

「……良い子ね、クロナ」

 

 

 俯き、しばらく歯を食いしばっていると何時の間にかメデューサさまは居なくなっていた。

 引きずる様に、歩を進める。

 

「ぐピピ

 おもしろくなってきたぜ」

 

 ラグナロクの言葉に何も言い返さず、まっすぐお泊り室へ戻り、部屋の隅に行き、クッションを抱いて寝た。

 夢は、見なかった。

 

 ◆

 

 次の日、僕は授業を休んだ。

 

 

 体調不良を伝えて休みの許可をもらい、ベッドに座っていると日が傾きかけたほどの時間に窓からエルカが顔をのぞかせた。

 

「ゲコ

 こんな危険な場所に何度も出入りしたくないのよね、まったく……

 で? 保管庫の場所の見当はついたの?」

 

「死武専は広いから……立ち入り禁止区域なんて初めて入ったし……入り組んでるし……」

 

 嘘だ。今日は一日ずっとベッドに座っていた。

 

「そう、私は手伝えないけどね

 早く見つけてちょうだい、ここ来たくないのよ」

 

『私も数日で見つかるとは思ってないわ

 クロナはよくやってくれているわ

 そうね……保管庫調査と並行して別な任務を与えましょうか

 今……シュタイン博士はどうしているの?』

 

 エルカの体内にいるヘビからメデューサさまの声が聞こえる。

 

「……シュタイン博士とはあまり会わないからわからないけど

 今はマリー先生をパートナーにして一緒に住んでるみたいだよ」

 

『マリー……どんな先生なの?』

 

「凄く優しくて、いつも僕の事気に掛けてくれる、暖かい人だよ」

 

 本当に。

 僕とは違って。

 

『へぇ、そうなの

 ……良いわ。その優しさにつけ込みましょう

 エルカ、例の物をクロナに渡して頂戴』

 

「ゲロッ」

 

 エルカは、一つのサインペンを吐き出した。

 

『そのペンの中には盗聴器が入っているわ

 それをマリーに仕掛なさい』

 

【KILLコーンカーンコーン♪】

 

「ゲコ、放課のチャイムね

 私は人通りが多くなる前に退散するわ

 頑張りなさいよ」

 

 エルカが去った後の窓の縁は、矢印がワンポイントのサインペンが横たわっているだけだ。

 僕は何も考えずサインペンをひったくってお泊り室を出た。

 

「……別に俺はよォどっちの()()()()になっても良いんだがよぉ?

 どっちつかずってのが一番詰まんねぇぜ

 どうすんだよ、クロナ」

 

 ラグナロクを無視して昇降口を出る。

 

「無視すんじゃねー

 それ持ってきたってことはメデューサに付くのか?

 ……メシ少ねぇんだよなァ、せめてお前が作れるように教えて――」

「うるせェ!! テメェ()が基を売ったんだよ!」

「あぁ!?」

「もう戻れないんだよ!」

「ンなもん黙ってれば分かんねーよ!」

「判るさ! 基は!」

「判ってもこっちに教えたのはアイツじゃねーか!

 秘密にしとけなんて一言も言ってねーぞアイツは!」

「黙ってろよ……!」

「意気地なしかよ、道にへばりついたガムが」

 

 それきり二人で黙りこくって正面階段で立ち尽くす

 

「あれ!? クロナ?

 気分はもう良いの?」

 

「はい……

 実は、聞いてもらいたい――」

「先生バイバーイ」

 

「オウ

 さようなら~

 

 ……ここじゃなんだし、うちくる?

 お茶でも飲みながらゆっくり話しましょう」

 

「……うん」

 

 

 僕はペンを握りしめてマリー先生の後を追った。

 

 

 マリー先生は研究所のカギを開けて明かりをつけていく。

 シュタイン博士はまだ帰って来ていないみたいだ。

 

「はい、茶葉無かったからコーヒーだけど」

「ありがとう……」

 

「ホントこの家研究道具しか無くてねェ~

 このカップとか私が全部そろえたのよ」

 

 かわいらしいカップとソーサーだ。

 しかしチクリチクリと胸を刺す痛みが感想を言うのに邪魔をする。

 

「確かに至る所に女がちりばめられてんな」

 

「あんまりやり過ぎるとシュタインに怒られちゃうの

 それが最近の先生の悩み

 クロナも何か悩んでるの?」

 

「……」

 

 マリー先生は黙っている僕をせかすことなくコーヒーを少し飲み、柔らかい笑みを携えて僕の答えを待っていてくれている。

 

「僕は――

 僕は、どうして許されたんですか?

 ……変われるわけがない。どこまで行っても、僕は変われないんだ」

 

「……」

 

「ずっと……ずっとメデューサさまに言われて……

 いくら死武専の教えを今から守っても、やったことは変わらない」

 

「クロナ、そう思える時点で変わってるのよ」

 

「……」

 

「私たちが狩ってきた本当の悪人ってね

 大なり小なり自分の事しか考えてないのよ

 もちろん規律があるからそれ以外にリストに載ることもあるけど……

 自分の事しか考えない悪人は更生の余地はない」

 

「僕も……」

 

「クロナは違う

 変わりたい、って思えるなら変われるわ

 自分の事しか考えないなら悩んだりしないわ」

 

「でも、僕は……!」

「おい、なんで俺の分のコーヒーがねェんだよ

 くれよ」

 

「え、ラグナロクって口無いのに飲めるの?」

 

「あるぞ

 飲めるぞ」

 

 マリー先生の言葉に口を開き舌を突き出して見せる。

 

「うわッ!

 びっくりした~……

 じゃあ、入れてくるわね

 ちょっと待ってて、クロナ」

 

 マリー先生が台所に消えたのを確認してラグナロクが小声で話しかけてくる。

 

「おい、どうすんだ?

 やるなら今のうちにやれよ」

 

 このペンには盗聴器が付いている。

 壊したり捨てたりしても全部わかるだろう。

 これを渡された時点で選択肢は無いんだ。

 

 ……いや、選択肢は二つある。メデューサさまの元へ戻るか、裏切って死武専に居るか。

 決めなきゃならない。今、ここで。

 

「あ、砂糖いる?」

 

 マリー先生が戻ってきてひょこりと部屋に顔をのぞかせた。

 ラグナロクの体が跳ねるが僕は何も感じなかった。バレたらもうそれでよかった。

 

「お……おう、砂糖でもミルクでもなんでも入れてくれ

 たっぷりとな……」

 

「ん、分かった」

 

 マリー先生がまた台所に引っ込む。

 僕はペンのキャップを取り、マリー先生のコーヒーに盗聴機能を持つヘビを仕込んだ。

 

「お、やったな」

 

 とりあえず抜け殻になったペンをソファの下へ転がして入れる。

 手持ち無沙汰になったのでカップを持ち、コーヒーを口に入れる。

 パサパサになった口にコーヒーが広がる。角砂糖を三つ入れたのに酷く苦かった。

 

 

 

「お待たせ」

 

 マリー先生がラグナロクに淹れたコーヒーを置き、向かいに座り直してヘビの入ったコーヒーを口にする。

 メデューサさまのヘビが好機を逃すとは思えないが一応カップすべて飲ませるべきだろう。

 

「それでね、クロナ

 自分がしたことで苦しいって思えたり

 変われないって悩んだりできるならあなたはもう変わりかけてるのよ」

 

「僕が……?」

 

「そう、クロナはすっごく真面目だから、これ! っていう決まりが無いと悪い方に考えちゃうのよ

 リストに載っていない者の魂を狩るのは悪い事、じゃあ没収されたらそれでおしまいなの?

 って感じで」

 

「……言われたことしかできない、いや……言われたこともできない僕は……」

 

「はいぐるぐる考えない!

 何が正しいかなんて私も……いえ、誰にも分らないのよ

 とりあえずいつも通り過ごして知ってそうな人が居たら聞いてみましょう、おー!」

 

「……」

 

「…………考えないことは悪いことだけれどね

 考え過ぎて動けなくなっちゃうのもいけないわ

 だから! 私がクロナの味方になるわ!」

 

「え……?」

 

「何があってもクロナを信じるし、クロナの味方でいるわ」

 

「……っ!」

 

 声が出そうになった。もう僕はマリー先生を裏切っているのに。

 動揺をごまかすためにカップに口を付ける。つられてマリー先生もカップに手を伸ばす。

 盗聴器が入ったカップに。

 

 僕がヘビを入れたカップに。

 

「あの!」

 

 僕が切り出すとマリー先生の動きが止まる。

 

「……そこまでしてもらうのは、その」

 

「いいのよ、初めて請け負った私の生徒だもの

 それに、教師と生徒以前に友達でしょ?」

 

 カップがテーブルに戻される。

 気のせいか、カップの中で何か蠢いた気がした。

 

「……ごめんなさい」

 

「謝ることじゃないわ

 むしろ大したことできなくてごめんなさい」

 

「……そんなこと……ないです

 マリー先生と話せて……すごく、楽になりましたから……」

 

 もう、ここに居たくない。

 会話を切り上げて、席を立つ。

 

「本当?

 私もクロナの力になれたら嬉しいわ」

 

「もう遅いし……帰るね」

 

「いつでも来なさい」

 

 目を合わせていられなくなって、逃げるように部屋を出る。

 

「あ、まってクロナ」

 

 玄関のドアを掴んだまま、首だけ振り返る。

 そこには、ヘビが入っていたペンを持ったマリー先生が居た。

 

「これ、クロナのじゃない?」

 

 どうやら勢いよく投げすぎたせいでソファの下を通り過ぎてしまったみたいだ。

 

「……うん、ありがと」

 

「気を付けて帰るのよ~!」

 

 

 ◆

 

 

 ツギハギ研究所を後にしてデスシティに戻り死武専を目指す。

 途中、裏通りによく知った気配を感じた。

 

 何も考えず裏路地に入る。

 

「ゲコ

 どう? うまくやれた?」

 

 カエルに変身しているエルカが聞きながらラジオのような魔道具をいじる。

 しばらくするとノイズの中から聞き覚えのある声が聞こえ始めた。

 

『ただいま』

『おかえりシュタイン』

 

「ゲココ

 聞こえる聞こえる♪」

 

 マリー先生とシュタイン博士の声だ。

 あの後全部コーヒーを飲んだのか、それとも最初の一口で忍び込んでいたのか

 考えても、知っても無駄なことだ。

 

「けど……どうやってあの女に飲み込ませたの?

 近くに仕掛けたら夜中に動き出して入り込む予定だったけど……」

 

「楽勝だったぜ、マリーのコーヒーにポタリと忍ばせてやった」

 

「へぇ、あのヘビには盗聴機能とメデューサの魔力が込められている……

 これであの女と共鳴すればシュタインの狂気も加速する」

 

「もう、遅いし

 疑われないように戻るよ」

 

「あっ、クロナ

 ヘビの操作性は良くないからバレる危険性があった

 それを解消したのだからメデューサもきっと誉めてくれるわ」

 

 

 僕は何も言わず振り返らないで死武専に戻った。

 今日も、部屋の隅でクッションを抱いて寝た。

 

 

 黒い、海に、沈む夢を見た。

 

 

 ◆

 

 

 朝が来た。

 まるで寝た気がしない。

 

 今日も休みたくなった。

 抱いていたクッションをさらに強く抱きしめる。

 

 そうして何かから逃避しているとお泊り室のドアがノックされた。

 

「クロナ?

 昨日休んだみたいだけど……

 放課後ここ来ても居ないからどうしたのかな、って」

 

 基だ。

 いつも嬉しい出迎えが、今日は煩わしく感じる。

 

「知ってるんじゃないの?」

 

「え?」

 

「何してたかなんて、どうしたのかなんて」

 

「クロナ?」

 

「どうせばれるだろうから言うとマリー先生と話してたよ

 ツギハギ研究所で」

 

「マリー先生? ――ッ」

 

「気づいた?

 そうだよね、ソウルプロテクトを見抜けるんだからわかるよね」

 

「クロナ」

 

「そうだよ、基が言っていたようにメデューサさまは生きていたよ」

 

「クロナ」

 

「基は何を考えて僕に教えたんだい?」

 

「クロナ」

 

「……なに?」

 

「部屋に、入っても良いかい?」

 

「……好きにすれば」

 

「うん、好きにする」

 

 ドアが開かれて基が入ってくる。

 まだ授業開始にも早い時間だから周りに誰も居ない。

 

「それで? 僕はメデューサさまを裏切ればよかったのかい?」

 

 クッションに顔をうずめたまま話す。隣に座った基を見れない。

 

「でも残念だったね、メデューサさまには基が気付いてるって話しちゃった後だよ」

 

 肩に手を置かれて体が強張るがそれ以上何もされなかった。

 

「僕は結局変わることなんてできないんだ」

 

 自分に言い聞かせるように言葉を口に出す。

 

「クロナ」

 

 隣に聞こえる声に心臓が早鐘を鳴らす。

 

「すまない」

 

 体に掛かる圧に強張るが数瞬置いて抱きしめられているのだとわかった。

 

「すまない」

 

 繰り返される基の謝罪の言葉に何故か涙が出る。

 

「どぅ……じでっ! 僕は……っ!

 マリー先生に……っ! 基に……っ! っぐぅ……!」

 

「大丈夫」

 

「な……にがっ!」

 

「大丈夫だから」

 

「うぐ……あああぁ……!」

 

 

 僕は意味のない言葉を発しながら泣いた。

 

 僕が落ち着いたのはもう昼になろうかと言う時間だった。

 

 その間基はずっと励ましの言葉をかけながら抱きしめて背中をさすってくれた。

 

 

「大丈夫、何とかなるさ

 ……ずっと、ここに居ればいい」

 

 その言葉は、何の保証も無いのに、僕の心にすとんと落ちて。

 

「クロナ、死武専の皆と一緒に居てくれ」

 

 僕を、縛り付けて。

 

「それに、世界中どこに居たとしても見つけ出せるさ」

 

 皆と居たいと思ってしまう。

 

 

「ごめん……ごめんなさい……」

 

「大丈夫だから……

 何とかなるし、するさ」

 

「基……」

 

 僕も、何も考えずに流されないようにしたい。

 まずは、自分でどうしたいか、主体性を持てるようになりたい。

 

 僕は、どうしたい?

 

 僕は、皆と一緒に居たい。

 

 皆と一緒に居るためには……

 

「あ……そうだ

 …………あの、これ……」

 

「これは……?」

 

「この中に……その」

 

「……あぁ、なるほど」

 

「僕が持ってるより基が持ってる方が役立てられそうだから……」

 

「うん、有り難う」

 

 まだ、メデューサさまを裏切る心が決まったわけでは無い。

 ラグナロクの言う通りまだどっちつかずのクズだ。

 

 それでも、間違っていても、自分で選んで進みたい。

 

 僕がしたいことを……あ。

 

「基」

 

「うん? どうかした?」

 

「……ありがとう!」

 

「……どういたしまして!」

 

 

 なんにも状況は良くなっていないけれど、僕達は笑いあった。

 何とかなってしまいそうな気がした。何とかならなくても後悔しないような気がした。

 何が面白いのかわからないけれど、笑いがこみあげてきて、笑った。

 

 本当に、ありがとう、基。

 

 

『――回は――ま――りがと―――い――た』

 

「……?

 基、何か言った?」

 

「いや? 何も?

 ……さて、それより……」

 

「なに?」

 

「サボったことなんて言い訳しようか?」

 

 時刻はもう昼休みになるかどうかだ。午前の授業を丸々サボってしまった。

 

「……どうしようか」

 

 肩をすくめた基と見つめ合い、吹き出して僕達はまた笑った。

 

 

 




今回このような出来の話になってしまって誠に申し訳ございません。

作者の腕不足でBREWを死武専が所持する、と言うよりメデューサが所持していないルートをどうしても書くことが出来なかったのでRTA走者のミスと言う形で整合性を取ってしましました。

安直な整合性の取り方で気分をそがれてしまった方もいらっしゃると思いますので、
これからはこのようなことが出来る限り無いように気を付けて書いていきたいと思います。


大変申し訳ありませんでした。


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Part14:聖剣伝説

一周年投稿は出来ましたか?
出来ませんでした……

完全にスタミナ切れたのでガバガバ投稿間隔になります。
正体表したね


 伝説って?なRTAはっじまぁるよー

 前回ガバのリカバリーをしようとしてガバってリカバリーしたところからです。

 

 今回の主なイベントはアラクノフォビアに対する対抗授業です。ここで共鳴連鎖のチュートリアルが入ります。

 前回班分けまで終わっているので今回はどういったシステムか説明が入ります。

 

 の、前に一つ注意事項があります。

 それはこのタイミングからクソイベの判定が毎ターン発生することです。

 

 ついに来てしまったヒーロとエクスカリバーのイベントです。

 

 しかも対抗授業開始からBREW争奪戦前までと言うクソ長判定期間。

 

 十中八九判定に引っ掛かります。

 

 何がクソかと言うと発生すると普通に時間の無駄と言うこと、さらに可能性が低いとはいえマイナススキルが付く可能性があります。

 プラス効果、もしくは一長一短あるスキルはすべて獲得可能スキルから外れているという徹底ぶり。

 

 さらにはRTAにはあまり関係ない事ですがこれは確定の負けイベントです。

 

 攻撃が当たった後にダメージを無効化して残像を出してテレポート回避するのでまずダメージ判定を出せない、

 攻撃技ヒーロ・ザ・アトミックも発生時無敵の1秒間全画面判定の多段ヒット技、

 しかも一発の威力が高い、ガー不、連発する(死体蹴り)、声優の迫真煽りの演技と徹底的にプレイヤーの神経を逆なでします。

 

 そんな負けイベントを押し付けてくることからロールプレイ最大の弊害と言われるヒーロ。

 通常プレイで回避したい場合は盗聴器イベントが終わったら行動前に逐一セーブしてヒーロが来たらリセットして直前の行動を変えましょう。

 

 上述の方法で回避は出来ますがRTAでは長い期間でのリセマラなんてやってられないので祈祷力が試されます。

 

 なおwikiの情報から試算するとセーブ無しでイベント期間中完全に回避できる確率は0.012%とのこと。

 

 おっ、確率99.988%とは良心的なガチャだな。

 ランダムイベントの確率を上げてイベントフルコンプを簡単にするゲームの鑑。

 走者の敵がこの野郎……クソが(悪態糞土方)

 

 こんなことなら完全不可避の方が妥協出来て心情的に楽なのに……

 

 

 まぁそれはさておき対抗授業について、お話しします。

 

 アラクノフォビアに対する対抗授業は全5回のイベントで

 毎回ステータスのチェックが行われ、規定値に達していれば達成となり共鳴連鎖チュートリアルが発生します。

 

 ステータスの条件を達成済みであるとその後のイベントとして補正値の高い訓練を行うことが出来ます。

 達成していない場合、足りないステータスの分が5回に分けて上昇するので実質救済イベントです。

 

 なお授業のコマがそのまま対抗授業に入れ替わるのでイベント中であってもステータスの調整は可能です。

 

 少し詳しく話しますと5回の配分は毎回計算し直されますので魂が20、精神が10足りなかった場合、初回は魂が20÷5で4、精神が10÷5で2上がります。

 その後、特訓で魂が10上がったとすると次のイベントでは魂が6÷4で1、精神が8÷4で2上がります。

 最終日目前でマイナスイベントなどが起き、下がった場合でも最終日に帳尻合わせが起きるので積むことはありません。

 

 BREW争奪戦時までに下がっちゃった場合は……共鳴連鎖無しで頑張ってください……

 

 共鳴連鎖は戦闘中条件を満たしているとボタン表示が現れ、押すとQTEが始まり、時間内に正しいボタンを押してゲージを溜め切ると一定時間共鳴連鎖モードに入ります。

 

 共鳴連鎖モードになると味方のAIが切り替わり非常に精度の良い連携をしてくれるようになります。

 それだけでなく、一部スキルの条件が緩くなったり、強化されたり、クリティカル率や命中率などの参照値が共鳴連鎖しているキャラで一番高いキャラの値が参照されるようになります。

 また、合体必殺技を繰り出すことが可能です。

 

 QTEでは制限時間と入力受付時間があり、入力受付時間内にボタンを押せないか、受付時間が過ぎると制限時間にペナルティが付き、0になると失敗となり共鳴連鎖のリチャージが始まります。

 

 これは各ステータスを上げることで難易度の緩和が出来ます。

 魂を上げると失敗時、共鳴連鎖モード終了後の再使用までの時間が減ります。

 精神を上げると成功時のゲージ上昇率が増えます。

 器用を上げると入力受付時間が増えます。

 気力を上げると制限時間が増えます。

 

 なお、共鳴連鎖モード自体の時間や強化率はステータスでは変動しないので強化したいのならば【鼓舞】や【指揮】などのスキルを習得しましょう。

 

 共鳴連鎖が強力とはいえ現時点ではオックス、キリク、キム達としか使えず、他キャラを追加するには友好度を上げてイベントをこなす必要があるので今RTAでは(出番はあまり)ないです。

 

 さて、能書きはここまでにして、対抗授業にいざ鎌倉。

 

 

 …………

 

 

 良し(ベネ)ッ!(黄金だから)

 一回目の子安カリバー判定を潜り抜けました。

 なお当然の権利のように登場すると予測してチャートを書いているのでこれ以降いちいち判定回避にリアクションはしません。

 

 一時停止も面倒でしょうから例によって連打で飛ばした会話を右枠に表示しておきます。

 右枠のネタ探しが面倒なわけでは無いですよ? 本当ですよ?

 

 

 【『今日の授業は実技だ。

   以前分けられたグループで集まり、シュタイン博士の説明を聞く……』】

 

 

 【「揃いましたね

   これからチームで魂の波長を合わせる練習を始めます」】

 

 【「これを何故行うかですが……

   最近増えてきている反社会的勢力のアラクノフォビアに対する対抗の為です」】

 

 【「そしてどうして出来て欲しいかですが……

   武器と職人、これらは魂の共鳴によってより強くなる。

   さらに共鳴した状態で共鳴している別の武器職人と共鳴する……

   ”共鳴連鎖”……そう呼ばれる技術」】

 

 【「額面通りに共鳴するわけではありません。

   他者と魂で繋がり、感じ、伝える技術……

   直接的な破壊力の向上ではなく、渾然一体となり連携を強化する」】

 

 【「さて……他の生徒の魂が邪魔になってもいけないので距離を取ってあります

   私は他の生徒たちに説明してくるのでさっそく始めちゃって下さい」】

 

 

 はい、操作可能になったらチュートリアルテキストを5回送って共鳴連鎖を始めます。

 間違って6回押すと攻撃に化けてロスとなるのでしっかり5回数えて送りましょう。

 

 

 QTEは組み合わせ無しの単体なのでしっかりと見て素早く正確に押しましょう。

 

 

 よし(中野君)

 

 よし ヨシ(相撲部)

 

 ア!(スタッカート)

 

 よし、zy(MUR)

 

 よしよしよ~し(野獣)

 

 

 無事発動しました。

 一回失敗しましたが四捨五入すれば0回なので実質ノーミスです。

 

 しかし一回ミスったのにも拘らずこの早さ。ゲージがもりもり溜まっていくのでこれは精神値が相当高いですね。

 ペルソナのおかげで精神値に結構な成長バフがかかっているようです。

 

 これは是非とも精神で威力が上がる火力スキルが欲しい所さんですが、筆頭スキルの【専心】は一つの攻撃行動を使い続けることで攻撃力が上がるスキルです。

 

 一回目は補正無し、二回目に精神値の10%が攻撃力に加算され、最終的に10回で80%まで基礎攻撃力が加算されます。

 これにクリティカルが発生するととんでもない火力が期待できますが、”一つの攻撃行動”と言う範囲がキツく、パイルバンカーでは爆発杭(ヒートパイル)の爆発ダメージですら補正が消えます。これはキツい。

 

 さらに言うとパイルバンカーは爆発と薙ぎ払い以外範囲攻撃が無いので雑魚敵に群がられると面倒です。

 射出突きを強化したくともそれをするには射出突きのみを当て続ける必要があり、射出突きは隙が非常に長い。私はTASさんではありませんので普通に攻撃した方がダメージが出ます。

 ですので【専心】をパイルバンカーに付けるのはあまりベターな選択とは言えないでしょう。

 

 ちなみに最大限活用したい場合はハンマーか大剣がおすすめです。

 ダッシュ攻撃が威力が高く、どちらも衝撃波が出てある程度の範囲攻撃なので前後にステップしながら餅つきしてるだけでとんでもないダメージが出せます。

 

 【専心】やそれを十分に高められる精神ステータスを稼ぐのに時間がかかるのでチャート組むのが面倒ですがうまくチャートを組めたら戦闘の難易度をぐっ、と下げることが出来そうですね。

 誰かチャート組んで走って見て下さい(他力本願)

 

 

 ほかにも精神値を参照して攻撃力が上がるスキルはありますがどれも副次的な物であり、成長点の無駄なのでイベントで付いたらいいな、ぐらいの気持ちで行きます。

 そもそも【ペルソナ】が精神を参照する狂気耐性スキルですから腐ってません。モーマンタイ。

 

 

 さて、対抗授業は成功したので次からはステータス上げが出来るので全部のステータスが直接少しづつ上がる組手を選択し続けましょう。

 ここで明らかに力や体力等が低い場合は素振りや走り込みを選択して修正しておきます。

 

 組手はチームの中でランダムに組んで余った方と戦います。

 多少時間はかかりますが上がるステータス値合計は断トツです。

 

 遅延行動を取るキムが仲間になるようお祈――

 

 

 【「そこのお前」】

 【「1から12の中で好きな数字は何だね」】

 

 

 

 あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)

 

 

 【『>・1』】

 【『 ・2』】

 【『 ・3』】

 【『 ・4』】

 【『 ・5』】

 【『 ・6』】

 【『 ・7』】

 【『 ・8』】

 【『 ・9』】

 【『 ・10』】

 【『 ・11』】

 【『 ・12』】

 

 

 選択肢がうるせぇ!

 チッ……(ニチャ)やっぱり来ましたか。

 エクスカリバーとヒーロに絡まれました。

 

 この選択肢は12を選ぶとクソ長いテキストが見られるだけで特に意味はありません。

 連打で1を選択で構いません。

 

 

 【『>・1』】

 

 【「バカめ! 君に選択権などない」】

 【「私の伝説は12世紀から始まったのだ」】

 

 

 うるせぇ!(TKNUC)

 

 

 【「無礼者に教育してあげよう」】

 【「伝説を垣間見たまえ」】

 

 

 可及的速やかに殺してくれ(敗北主義者)

 

 

 【「さぁ、伝説を刻んであげよう」】

 【「この、ヒーロ・ザ・ブレイブがね」】

 

 

 オッスお願いしま~す(快諾)

 

 

 【「伝説を刻んであげよう」】

 【「伝説を刻ん【「伝説を刻んで【「伝説を【「伝説を【「伝説を刻んであ【「伝説を刻んであげよう」】

 

 

 うるせぇ!

 アピール連打してないで攻撃して来い!!

 

 なおこちらから攻撃しても回避されてまた煽られるだけなので(回避後は確定アピール)攻撃してはいけません。

 このにらめっこが3分続くこともあります。

 地獄か……

 

 

 【「ヒーロ・ザ・アトミック!!」】

 

 

 おっ、25秒ですか。割と早い方です。絶対にアピール一回はしてくるので最速は多分5秒くらいでしょう。うざいので検証はしてないです。

 

 

 【「ヒーロ・ザ・アトミック!!」】

 【「ヒーロ・ザ・アトミック!!」】

 

 

 止めろめろめろヒーロめろ!!

 ホモ君のライフはもう0よ!

 

 

 【「これが伝説さ」】

 

 

 だ↑ま→れ↓!

 ハァー……(クソデカため息)

 

 余計な精神力使いましたね。

 スキルを見て余計な物が付いてないことを確認したのでようやく一息付けました。

 

 

 今度こそ授業で組手を選んでお祈りします。

 

 おっ、初回のパートナーはキムジャクリーン姉貴ペアになりました。幸先いいですね。

 

 

 キリクとオックスが敵チームとなりますが、キリクについては左右で属性が違うのでポット・オブ・サンダーのスタンに引っ掛からないように、オックスは雷王震の予備動作にしっかり反応して回避しましょう。ペグ君が直感持ってるのでこちらはあまり問題ないでしょう。

 

 いざ鎌倉

 ゲージ溜めて共鳴連鎖発動してぶん殴って突き刺して、終わりっ!

 

 (ステ値上昇合計値が)うん、おいしい!

 これを繰り返します。エクスカリバーはもう出ないので安心!

 

 

 

 同じ生徒とはいえデスサイズなのにみっともなくガチでやって恥ずかしくな

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

――――――

――

 

 

 

 

「伝説の聖剣……エクスカリバー……」

 

「聖剣のパートナーに……”英雄”に成れれば……もう僕を誰も馬鹿に出来ない」

 

「やるぞ!!」

 

 

 ◆

 

 

 今日もブラック☆スターの技の実験体から始まりパシリや雑用押し付けに走り回り一日が終わる。

 

 そんな灰色の毎日も今日までだ!

 

 

 僕は図書室で借りた”聖剣伝説”を頼りにエクスカリバーが眠るとされる悠久の洞窟へたどり着いた。

 そして決意を胸に洞窟に入る。

 

 薄く水の張った道を進んで行くと、円く少し開けた空間に出た。

 洞窟の最深部で在ろう空間の中心には神々しい剣が突き刺さっている。

 

 これが……

 

「聖剣エクスカリバー……」

 

「――悩める若人が伝説の色香に誘われてまた現れたようだ……」

 

 空間を支配するようなプレッシャーの中良く通る声が洞窟に響いた。

 

「私の武勇伝を聞かせてあげよう」

 

 

 

 

 

「うああぁあぁああぁ!!」

 

 

「フフフ……残念な人たちだ……

 今まで僕を馬鹿にしてきたツケだよ」

 

 

 僕はエクスカリバーと契約を果たした。

 たった1000の項目を守るだけで”勝利”と、”栄光”が手に入る。

 

 たった今から灰色の毎日は過去となり、これからは約束された伝説が待っている――。

 

 

 

 

「ヒーロ・ザ・アトミック!!」

 

 まず初めに愚かにも伝説に突っかかってきたブラック☆スター、デスザキッド、キリクルング。校内きっての武闘派3人を軽くのしてやって死武専をしめた。

 さらに――

 

 

 

 

 

 

「キャアアアァアア!!」

 

「ただののぞきじゃない

 伝説的のぞきだ」

 

 存在感を示すために僕を下に見ていた女子が集まっていた更衣室に侵入した。

 

 

 この僕の未来には栄光への架け橋が架かっている。

 僕は選ばれたんだ!

 

 素晴らしい毎日だ――

 

 

 

 

 

 

「ん! あそこにいるのは僕をいつもパシリにしている女子ではないか

 エクスカリ――」

 

「……」

 

 我が相棒伝説の聖剣エクスカリバーの様子がおかしい……

 パシリにしている女子の方を向いてはいるが視線が少しズレているような……

 

「エクスカリバー?」

 

「――気に入らんな……」

 

「え?」

 

「力の……いや、外部のか?

 何処のどいつかは知らんが――少し灸を据えてやるとしよう」

 

「エクスカリバー……?」

 

「ヒーロ、あの黒目黒髪の小僧は誰だ」

 

 エクスカリバーがステッキを向けた先には先の女子と会話している男子生徒の姿があった。

 

 僕はその生徒の事を良く知っている。

 

「あぁ、今はまだ生徒に籍を置いているけれどデスサイズスの一人、北条 基だよ。

 面倒見がいいヤツでね。僕もよく勉強や特訓を見てもらったよ」

 

 しかし気に入らないとは……? 数日の付き合いだけれどエクスカリバーが基のような人間が嫌いと言う訳でもないだろう。

 それに素で悪感情を表に出しているエクスカリバーは初めて見る。

 

「行くぞヒーロ、項目通り三歩後ろに付くことを忘れるな」

 

「あっ、待ってよエクスカリバー」

 

 

 そう言うとエクスカリバーはまっすぐと基の元へ向かった。

 

 

「そこのお前

 1から12の中で好きな数字は何だね」

 

「え?」

 

「バカめ! 君に選択権などない

 私の伝説は12世紀から始まったのだ」

 

「えっと……」

 

「無礼者に教育してあげよう……

 伝説を垣間見たまえ」

 

 

 そう言うとエクスカリバーは武器化し僕の手に収まった。

 

「エクスカリバー? 彼は礼儀正しく、仲間思いのそこらの小石とは違う人物だよ?」

 

「小僧そのものが問題ないのは私も分かっている。誰だと思っている

 少し取り決めに障るかもしれんが……放っておくよりはいいだろう」

 

 基には問題がない? じゃあ……

 

「周りが問題なのかい?」

 

「そうだ。しかし、詳しく知る必要はない

 伝説的な私が吹き飛ばしてやれば目が覚める可能性がある、とだけ知れ」

 

「そうかい……」

 

 なるほど、朱に交われば赤くなる

 あの頭の軽そうな女子にいいように使われているかもしれない

 

 冷遇時代から良くしてくれた友人の危機を救う僕

 まさに勝利と栄光の伝説の英雄ヒーロの伝説の一ページ!

 

 

「基……僕が助け出してあげよう……」

 

「えっと……ヒーロが本気で気遣ってくれてるのは分かるけど……

 何の話? 勘違いしていないかな?

 本当に決闘しないといけないのかな?

 一応デスサイズだから立ち合いはいらないけど……」

 

「ふっ……構えてよ……

 今までの僕じゃないことを君に見せたいんだ」

 

「んー……

 言ってきかなそうだしそれならま」

「行くよ!」

 

 僕は瞬時に距離を詰め横薙ぎにエクスカリバーを振るう

 基はそれを体勢を低くすることで躱し、後ろに転がり距離を取る

 僕の一閃の速度は光にも食らいつく。見てから回避は不可能だ。

 と、言うことは突進の体勢から正確に次の攻撃を読み取って見せたに他ならない

 さすがだ

 

「ちょ!

 いまペグ居な……」

 

「貰ったぁ!」

 

 先ほどの一閃よりも速度を重視した突きを立ち上がりの体勢の基に放つ

 剣先は基の肩に吸い込まれる

 

 当たった!

 

「危っ……ないなぁ!」

 

「何っ!?」

 

 確かに当たったはず……手加減したとはいえ速度は本気も本気だった

 エクスカリバーに手ごたえは感じない、時空間全てを容易く切り裂くからだ

 直撃したはずの基の肩をよく見ると出血していないどころか服に綻びすらない。ならば……

 

「当たっていない……?」

 

「まぁね……」

 

 素晴らしい、さすがは伝説が築かれる前から僕の親友でデスサイズであった基だ

 

「まぁヒーロは予備動作とか読みやすいし……

 と、言うか酷くなってない? 大仰と言うか……」

 

 伝説的攻撃を二度も防ぐ、伝説級の偉業だ。伝説の周りには伝説が集まりやすいのだろうか

 

「パートナー……に選んだ人物にちょっと思う所はあるけれど――

 が、出来て嬉しいのは分かるけれどちょっと羽目を外しすぎじゃないかな……」

 

 

 これは僕も本物の伝説的必殺技で答えるしかない……!

 

「行くよ! これが僕の伝説的必殺技だ!」

 

「あぁうん、聞いてないのね……」

 

 エクスカリバーと魂を共鳴させ刀身に波長を込める。

 これは基の爆発杭(ヒートパイル)に似た技術だ

 

 ……もしかしたら僕と基がパートナーになり伝説を築くもしも(IF)があったかもしれない……

 しかし! 僕は君の教えを胸に伝説の階段を駆け上る!

 

「これが、僕の、決別の一撃だぁ!」

 

「ちょっと……これはまずいかな……!」

 

「ヒーロ・ザ・アトミック!!」

 

 

 魂の波長が吹き荒れ、黄金の爆発が僕の背を叩く。

 そして背後に響く金属音……

 金属音?

 

「驚いた……」

 

 そこには全身武器化し、アトミックを防いだ基の姿があった

 

「ぐ……うぐ」

 

 武器化を解くと満身創痍の基が現れる

 大ダメージで立つことすら出来ていない

 しかし……

 

「僕の伝説的必殺技に耐えるとは称賛に値するよ」

 

「ざっけんな!

 いきなりいちゃもん付けて不意打ちかましてきたのはそっちじゃんか!!」

 

「キム……私の後ろに……!」

 

 新たに生まれた小さな伝説に心でうれし涙を浮かべていると基の悪い友人の女子たちが噛みついてきた

 大方、寄生先の一つが僕にいいようにされているのが面白くないのだろう

 しかし、そんな悪を断じるのも伝説の役目!

 

「エクスカリバー……ぁ?」

 

 不意にエクスカリバーが武器化を解き、僕の手から離れる。

 

 そして神々しい伝説的後光を纏うと浮かび上がり――

 

 

 

Excalibur(エクスカリバー) ── From(フロム) United(ユナイデット) Kingdom(キングダム)!!*1

 

 

 基に追撃を放った

 

「エクスカリバー!?」

 

「ああっ! 基?!」

 

「オイふざけんな! やりすぎだろアレ!」

 

 二回、三回と爆発が重なり基を空中に巻き上げる

 舞い上がった体はやがて重力に引かれ大地へと転がった

 

 

 伝説的な僕の友だとしてもさすがに心配になるダメージだ、女子に続く形で僕も基へ駆け寄った。

 

「基! 大丈夫!?」

 

「頭揺らすな、変な呼吸してないか?」

 

 

「ぐ……ぅ……」

 

 

 なんと! 伝説的な僕とエクスカリバーの猛攻を受けてなお意識があるとは!

 うつ伏せに這いつくばり顔も地面から離せていないが目には強い意志が宿っており基が全く折れていないことを雄弁に物語っている。

 

「すばらしい……すばらしいよ……」

 

 僕はあまりの感動に涙を流し拍手をしていた

 

「っ……! テメェ……!」

 

「待ってキム、まずは基を保健室に……!」

 

「わかってるよ! タンカ……ねぇのか

 ゆっくり仰向けにして、上持つからそっちは脚持て」

 

 女子たちは基を保健室まで運ぶようだ

 僕も同行し、基に伝説的なエクスカリバーの話の数々を教えてあげたかったがそろそろ朗読会の時間だ

 武勇伝の披露はまたの機会に取っておくとしよう

 

「あれでも祓えんか……力の……いや、あやつはそこまで粘着質ではない……

 規律に伝えるか? いや、放っておいているならそう言うことだろう……」

 

「エクスカリバー?」

 

「ふん、どちらにせよ子供をいいように使い自分は裏に潜む様な者に大したことは出来んだろう」

 

「……」

 

「行くぞヒーロ

 朗読会の時間だ」

 

「あ、うん 分かったよエクスカリバー」

 

「そうだ、ほうじ茶が切れていたな

 帰りに買ってイッキシ 行くイッキシ ぞイッキシ」

 

「……」

 

「心配するなただのくしゃみだ

 イッキシ

 イッキシイッキシイッキシ

 イッキシ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだコイツは

 

 くしゃみを連続でするなんて考えられない

 

 駄目だコイツ元の洞窟に戻しておこう

 

 

 

 

 

 

――――――

――

 

 

「お、揃いましたね」

 

 

 今日はアラクノフォビアに対する対抗授業、その実技の初日だ

 僕達のチームは僕をリーダーにメンバーは僕のパートナーの基、キムさんの組、キリク君の組、オックス君の組の4つの組で一班になる。

 

「じゃ、授業の内容ですが……集まった班の中のパートナー組で共鳴を行ってください。

 さらに組の間で共鳴した状態のまま班の間で共鳴を行います

 難しい技術ですが……あなたたちなら習得できるでしょう

 これはセンスの問題なので最初からどうこう言われると

 逆に習得しづらくなってしまう可能性があるので

 まず最初は手探りでやってみてください

 では、私は他の生徒たちに説明してくるのでさっそく始めちゃって下さい」

 

 そう言い残しシュタイン博士は他の班にも説明するためにこの場を去った。

 

 僕たちはまずどういったアプローチで授業に臨むか意見をすり合わせていた。

 

 

「つってもやる事決まってんだからよ、良い感じに即興(ジャム)ればいいだろ」

 

「それはなんとなくで波長合わせられるキリクだけでしょ」

 

「キムの言う通りですよキリク

 波長がズレた時誰に合わせるのか、修正するときのリズムの戻し方など決めておくだけでやりやすくなります。」

 

「そうだね……基はどう思う?」

 

「う……ん、キリクは探知が鈍いし肌で感じないとわかりにくいだろうから

 まず僕達とキリク達でやってみて、うまくできたらキム達を入れて

 僕たち、キリクの順で共鳴の輪を繋ごうか、キリクはコツを掴んだら早いしすぐフォローに回れるようになると思う

 その後もうまく行ったらオックスも入れて同じ順番で。

 どうかな」

 

「うん、いいんじゃないかな」

 

 話がまとまり、キムさんとオックス君が邪魔にならない程度に距離を取る。

 そしてキリク君と向き合いまずはパートナー同士で共鳴を始める。

 

「とりま、そっちに合わせるぜ?」

 

「ううん、僕達はもう似たようなことやってるから……

 キリク君は自然体で居て」

 

「マジか?」

 

「あぁ、やっぱあれってそうなんだ」

 

 基との非接触共鳴は共鳴連鎖とよく似ている。

 厳密にいえば共鳴連鎖は魂の波長のやり取りは副次的な物で主目的は魂での繋がりによる高次元な連携だ。

 普通の共鳴が自分の分を足していくバケツリレーなら共鳴連鎖はバケツ同士をホースでつないで疑似的に一つに見立てている。

 

 一方僕たちの共鳴はバケツの水を放り出してバケツで受け止める行為だ。

 当然ながらロスが大きい。基の高い魂感知能力と波長操作によって何とか形になっているだけだ。

 

 今回は波長を投げ渡す必要はない。ただ、波長を感じて、共鳴すれば良い。

 

「と、言う訳だから

 準備は良いかな?」

 

「おう、もうバッチリだぜ」

 

 共鳴で高まった……何と言ったらいいか……魂の感覚を

 基の力も借りて手を伸ばして触れる様にキリク君へ伸ばす

 

 キリク君の波長と触れた、と感じたらビリビリと体と思考の同期がズレるような気分に襲われた。

 

 気持ち悪い

 

 その感覚を拒絶しようとする瞬間にとん、と隣にある魂を強く感じた。

 何千回、いや何万回と共鳴した基の魂。

 基の魂を強く感じることでズレの感じ方がだいぶ改善された。

 基が間に入ってくれたおかげで冷静に分析することが出来る。

 

 この感覚は、キリクの見ている世界だ

 繋がることで他人の感覚を理解できてしまい、自分の世界とのズレで酔ってしまう。

 

 無理に、自分に当てはめて理解する必要はない。

 ただ、信じて受け入れて

 相手も信じて自分で居ればいい

 

 

「すっ、げ……」

 

 キリク君の声が自分の内側から聞こえた気がした

 

 

「まずは成功、かな」

 

「うん……これで戦えっていうのはまだ難しいかもしれないけど」

 

「いや~やっぱさすがだな

 さらっとやっちゃって

 次私だっけ?」

 

「おう! いつでもいいぜ

 タイミングとリズムはなんとなく理解した」

 

「むしろ僕らは次の方が楽かもね

 いっつも組手してるから波長とか慣れてるし」

 

 

 軽口を叩き合って少し笑いあった後、キムさんは表情を引き締め、目を閉じ波長操作に集中する

 僕達も集中しつながりを意識しながら接触の瞬間に備える

 

 

 来た

 

 

 凛々しくて、ちょっと棘があって、でも、優しくて、何かに怯えて、あきらめて。

 本当に基の言う通りで、少し笑ってしまった

 

 それが、共鳴したようにまた笑いが伝染する

 

「な……なんですか?

 大丈夫なんですかこれは」

 

「ハハ、(ワリ)ぃオックス、なんかさ、すげぇんだよ

 何て言ったらいいか……

 でもま、すぐ判るさ」

 

「……まぁ行きますよ

 ペグ、キリク、キムの順でしたね」

 

「さっさとしな~

 マジ言葉じゃ伝わんない凄さだかんな

 ひひ~」

 

 

 一呼吸おいてオックス君の波長と共鳴する

 真面目で、冷静で、だけど熱くて、まっすぐで。

 

 波長が安定したので次いでキリク君、キムさんと共鳴連鎖が移る。

 

 

 9人の魂が繋がりそれぞれの意思が混ざり合う

 驚き、興奮、喜び、全能感、信頼、自信、喜び、不安、安心、喜び、闘争心、喜び、喜び――

 ……って伝わってくる感情の比率が偏っている

 

 特にオックス君の喜色が凄い

 

 

「……オックス、キモい」

 

「はぅあっ!」

 

 

 キムさんの言葉に刺されオックス君が轟沈し共鳴が綻び連鎖が途切れる。

 

 ……いやまぁ、気持ちは分からなくもないけど……

 

 気を取り直して共鳴連鎖を繋ぎ直す

 今度は皆一斉にやってみる。

 

 少し不安だったけれど、何とか破綻せずに全員いっぺんに連鎖を繋ぐことが出来た。

 

 

「ふむ……軽く動く分には問題はありませんが……

 戦闘中など高い負荷が掛かった場合にどうなのか不安ですね」

 

「あー、まぁ授業はとりあえず出来るようになれって話だからまずは良いんじゃね?」

 

「でも”対抗授業”、なんでしょ?

 戦えなきゃ意味ないよ」

 

「うーん……2-2に分かれて摸擬戦とかやっておこうか」

 

「そうだね……じゃあ最初の――」

 

 

「驚いたな……」

 

 次の特訓の内容を考えているとシュタイン博士が戻ってきていた。

 

「一週間の内早くとも2、3日はかかると踏んでいたんだが……

 初日……しかもこんな短時間で共鳴連鎖が出来るようになるとは」

 

「シュタイン博士」

 

「へへっ」

 

「博士、この後の授業はどうなるのですか?

 とりあえず2-2に分かれて共鳴連鎖中の戦闘行動がどのような物か

 確認しようという話になったのですが……」

 

「そうですね……

 最終的にそうした方が良いでしょうが

 今すぐにそういった行動をすると共鳴連鎖に良くない癖が付く可能性があります。

 今日のところは共鳴連鎖の発動、維持について習熟してください」

 

「分かりました

 付きましては、内容についてアドバイスが欲しいのですが……」

 

「まずは今まで通り輪になって行ってください

 そして起点人を決めます、そして起点人が合図無しで共鳴連鎖を始めてください。

 その後30秒連鎖を維持、そして解除をします。

 次の起点人は好きなタイミングで連鎖を仕掛けてください。

 急な共鳴連鎖に対応、維持できるか、これで鍛えられるはずです。

 これぐらいなら変な癖は付かないでしょう」

 

「ありがとうございます、博士」

 

「二日目からは2-2に分かれての摸擬戦も許可しましょう

 ちゃんとローテーションを組んで固定化しないように

 あ、場所の調整もあるんで今日はくれぐれも先ほどの内容でお願いしますね」

 

 そっか、戦闘にもなれば周りの生徒に影響が出ちゃうか

 始める前に博士が見に来てくれてよかった

 

「それじゃ、私は他の生徒の説明が残っているので

 ……期待していますよ」

 

 

 そう言い残しシュタイン博士は去って行った。

 

「へへ、期待してるってよ」

 

「まあね、お金持ちに成る為にはこんなところで躓いていられないし

 同然よね」

 

「さて、じゃあさっきの方法を試してみようか

 起点の人はまずキリクから時計回りで」

 

 

 その後の内容も難なくこなし、通常での共鳴連鎖はマスターしたと言ってもいいほどの練度になった。

 明日からは分かれて2組で共鳴連鎖しながらの摸擬戦になる。

 とりあえず放課後のキムさん達との特訓は共鳴連鎖しながら激しく動けるかを重点的に確認した。

 

 

 ◆

 

 

 授業がうまく行って、油断していたと言われればそうかもしれない

 でも、これはどうしようもないと思う……

 

 僕は基が倒れたと聞いて保健室に走った。

 保健室まで行くとジャクリーンさんがドアの前に立っているのが見えた。

 

「ジャクリーンさん! 基が倒れたって……!」

 

「あぁペグ、そうなのよ

 いきなりヒーロの奴が突っかかってきて……」

 

 ヒーロ。EATクラスの職人で今だ固定パートナーが見つかっていない人だ。

 良く基が気に掛けている生徒の一人で、気が弱そうで良く事を押し付けられている。

 もし僕が基と出会わなかったらこうなっていたかもしれないと、僕もヒーロの事は気に掛けていた。

 

 しかし、数日前に聖剣を手にしてから過剰に自分を押し付け、何でも力で解決しようという動きが強くなった。

 死武専の校風的にそれ(弱肉強食)は間違っていないけど……明らかに恨みを晴らす私怨が多分に含まれていた。

 

 基は、「急に力が手に入ったから気が大きくなっているだけ、少しすれば落ち着くよ」と言っていたけれど見通しが甘かった。

 現にわずか数日で友人を保健室送りにするまでエスカレートしている。

 

 ……いや、これは僕の個人的な気持ちか

 死武専では生徒同士の決闘(腕試し)は無問題だし、保健室送りなんて日常茶飯事だ。

 

「それで、基は……」

 

「えぇ、それは大丈夫

 打撲と少しの火傷、あとは脳震盪でしばらく寝てればよくなるらしいわ」

 

「入っても大丈夫?」

 

「え!?

 そ、そうね……えーっとぉ……

 んん"っ……んっんんっ」

 

 ジャクリーンさんはなぜか咳払いをし始めた

 いや、処置中だったりしたら入らないし駄目だったら待つけど……

 

「どうしたの?」

 

「いやちょっと……

 そうね、ちょ……っとだけ待っててもらえるかしら」

 

「うん、分った

 治療中なの?」

 

「……ちょっと、わからないわね、ぅん……」

 

「……なんで?」

 

 何か隠している

 嘘について基相手ほど判るわけでは無いがわざとらし過ぎる

 

 多分キムさん関連だとは思うけど……

 そういえば居ない……中にいるものだと思っていたけど、そうなると僕が入れない理由が分からない。

 キムさんは特に医療班ってわけでもないし、治療を手伝っているわけでもなさそうだし……

 

「シュタイン博士は何て?」

 

「あ、えぇ、さっきも言ったように

 安静にしてればじき良くなるって」

 

 話を逸らせてあからさまに安堵している。

 それに処置自体は終わっているようだし処置中だから入れないことはない様だ。

 ますます言葉を濁す意味が分からない。

 

「それで、キムさんは」

「あ、あー! そうねー!

 そ、そろそろ出てくると思うんだけどー!」

 

 いきなり声を大きくして中に聞こえるように話す。

 やはり中にキムさんが居るようだ

 

 ……キムさんは中で何をやってるんだ?

 

「あの」

「外でごちゃごちゃウルセーんだよ」

 

「キ、キム」

 

 あ、出てきた

 

「普通に見舞ってただけだっつぅーの

 ノックして入ってくりゃ良いだろーが

 ……そりゃ私らしくないかもしれないけどさ

 ……基には感謝ぐらいはしてるさ」

 

 ああ、それで

 キムさんは身近な友達には何も言われていないが

 口さがない人たちには拝金主義者とか金だけで動いて人を護る心が無いとか色々悪口を言われている。

 

 ジャクリーンさんはそんなキムさんのパートナーだからデスサイズの基が負けて少しパニックになって対応が少しおかしかったのだろう。

 そういうとこあるし

 

 

「……うん、それで基は?」

 

「なんともねーよ

 20m位の高さから落ちた時はマジビビったけどな

 多分もうすぐ目ぇさますんじゃねーの」

 

 ……それは聴いてない

 

「じゃ、私ら帰るわ」

 

「あ、うん!

 運んでくれて、ありがとうね」

 

「……じゃーな」

「どういたしまして、それじゃあ」

 

 

 キムさんたちを見送り、保健室の中へ入る。

 

 ベッドに横たわっている基は少なくとも外傷は見られなかった。

 

「ん……」

 

 ベッドの横の椅子に腰掛けると、すぐに基は目を覚ました。

 

「あ……ペグ……

 ごめんね、負けちゃったよ」

 

「そんなことは良いよ

 体は大丈夫?」

 

「ああ、もう何とも無いさ」

 

 そう言いながら基は体を起こす

 動作を見る限り無理している様子は見られない

 

「ジャクリーンたちは?」

 

「もう帰ったよ」

 

「今……

 うわ、1時間ぐらい経ってるのか」

 

「明日、多分授業で摸擬戦することになると思うけど、大丈夫そう?」

 

「もちろん

 まだちょっと怠いけど明日には治ってるさ」

 

「無理はしないでよ?

 それじゃ、僕も戻るから」

 

 問題無いようだし、一応念押しして僕も退室した。

 

 

 ◆

 

 

 翌日、基は問題なく全快し僕の右手に収まっている。

 

「さて、組分けはどうしましょうか」

 

「あ、それならまず私をペグ達と組ませてくれ

 共鳴連鎖しながら戦うのがどんなもんかの流れを掴みたい

 いつも付き合ってもらってるから波長合わせんのが楽だからな」

 

「おし、んじゃオックスは俺とだな」

 

「では! その次はぜひ僕と!!」

 

「わかったわかった、どうせ順番だからそんな変わんねぇだろ」

 

「それじゃ、とりあえず向かい合って連鎖したらスタートで」

 

 

 位置について、共鳴連鎖を繋げる。

 

 お互い様子を見て、数秒空白が生まれる。

 

 基の杭をリロードした音が合図となり弾かれたように二人が接近してくる。

 

 

 狙いは僕

 キムさんの援護が十分間に合う距離、掛け声はいらない、ただ、波長に思いを乗せて届けるだけで了承の意思が帰ってくる。

 

「ヴォル……ッ ランタン!」

 

 丁度僕らの間に壁を作る様に炎を放射してもらう

 

「くっ!」

「チィ!」

 

 キリク君は空中に逃げ、オックス君はバックステップしながら槍を回し炎をかき消す

 

 キリク君は炎よりも高く飛び上がっているため視線は切れていない。

 だけどここは、あえて炎を突っ切ってオックス君に向かう。

 

「っ!」

 

 炎の壁の向こう、計算通り察知してくれてジャストタイミングで振られた雷槍の柄を()()()キャッチする。

 

「な!?」

 

 瞬間遅れて基が右手を武器に変身させながら炎から飛び出し、槍の射程の内側、オックス君の懐へ潜り込む。

 

 オックス君は踏み込んで右肩側から袈裟気味に振った関係上、体勢を立て直して基に向き直るには左手を離すしかない。

 槍の柄も僕が握っているため咄嗟の防御には使えない。

 雷王震などの電撃技は溜めが無ければ威力は出ない。

 

「~~っ!」

 

 オックス君は左手を離しての防御を選択した。

 

「ぐぅっ!」

 

 波長の乗った射出突きを受け爆風で真横に飛んでいく。

 

「くそォオラッ!!」

 

 落ちてきながら放ってきたキリク君の炎の手刀を避けカウンター気味にボディへ拳を入れる。

 

「んぐっ……

 ラァ!」

 

「うっ……!」

 

 やはり僕の素の攻撃じゃ威力不足だ。

 ポット・オブ・サンダーの張り手を喰らう。

 

 そこへキムさんの援護が飛んできてまた距離が開く。

 

「オックス! 大丈――おぉ?!」

 

 キリク君がつい声に出しながら安否を確認すると

 そこには左腕を少し掲げる格好――ガードの体勢で腕を胴体に杭で固定されているオックス君が居た。

 

「だっ……大丈夫なのかソレ!?」

 

「う……動かせませんねこれは……!」

 

 オックス君が身じろぎするが腕を動かせば胴体が動き、胴体が動けば腕も動く。

 片腕でも槍は使えなくも無いがほとんど動きを封じた形になった。

 

「オッケー

 なかなかいーカンジじゃん?」

 

「ぐあー……

 負けたか……

 てかこの杭どう対処すりゃいいんだよ!」

 

「杭の通り道を2点以上作らない、避ける、もしくはより強い波長で砕く……とかかな」

 

 基がそう言いながらオックス君に刺さった杭を波長に還元する。

 

「砕けんのなんてブラ☆スタぐらいだろ

 俺は純粋に波長込めんのそんな得意じゃねーし」

 

「キッド君も行けるんじゃないかな」

 

「ああそっか、あの弾魂の波長だっけ」

 

「と、ゆーか『左だけは気持ちが悪い! 右もやってくれ!』……とか言いそー」

 

「さすがに戦闘中はそんなこと言わない……と、思う……」

 

「言い切れないのがまた……」

 

「で? オックス、もう大丈夫そーか?」

 

「えぇ! 君の思いで完全復活……いえ、前より元気になりましたよ」

 

「あー、はいはいさっさとやるぞー」

 

 

 

 この後すぐ、キムさんオックス君組との摸擬戦が行われた。

 

 戦闘の内容は、まずキムさんが上空に逃げ、浮き上がるまでの時間をオックス君が稼ぐ作戦で来た。

 オックス君は待ちの姿勢、槍を頭上で回し、雷王震の溜めをしている。

 

 対する僕たちは無理に攻めず、一旦キムさんを飛ばせ、出方を伺った。

 空中からヒットアンドアウェイするにもキムさんには武器に跨って飛んでいる関係上、中遠距離攻撃手段が無いのでどうしても体当たり等すれ違いざまの近接攻撃になる。

 そうなれば二人で固まっている僕達に分がある。それは向こうも承知だろう。

 

 しかしリーチの有利はかなり向こうにある。

 この射程の不均衡をどう扱うかで勝敗が決まるだろう。

 

 睨み合いを崩したのはオックス君

 溜めは止めずに距離を詰める。雷王震を起点に攻撃を組み立てるようだ。

 

 キリク君に狙いを伝えて動いてもらう。

 

 オックス君の雷王震の範囲はほぼ半円状。特段モーションはいらない。

 挟み込むように左右に散って圧をかける。

 

 完全に挟み切る前にキムさんがキリク君へ急降下攻撃を繰り出した。

 

 攻撃の瞬間前方に炎を吹き出し、急停止からのその反動での前宙返りによる後ろからの攻撃。

 非常に対処しづらい攻撃だったがキリク君も前転することによって衝撃を緩和し、致命打になることは無かった。

 

 そこにオックス君の追撃が入るが、僕が動くとすぐに追撃に行くを止め、距離を離した。

 徹底的にアウトレンジからのヒットアンドアウェイに徹するつもりのようだ。

 

 さすがにこれを続けるのはうまくない。

 今度は僕達から接近する。

 キリク君にはオックス君をキムさんの間に挟むように突撃してもらう。

 

 僕もわざとらしくなり過ぎないように距離を取りながら突撃する。

 

 オックス君が雷王震の構えを取る。

 攻撃範囲内に入る瞬間、キムさんが狙い通り僕に急降下を開始する。

 

 電撃が体を駆け巡る。

 耐えられる程度の威力ではあるが、さすがに身が竦む。

 

 その硬直を狙ってキムさんが攻撃を加えてくる。

 それを僕は竦んだまま……両手でガードした。さっきと同じ手だ。

 

 キムさんの顔が驚きに染まる。

 

 僕は基をキリク君の方へ投げていた。

 キリク君も両手をクロスしてガードしている。そこへ基が電撃が走り終わった瞬間変身を解き、キリク君の腕を踏み台にしてキムさんの横合いへ飛びかかる。

 

 足から杭を射出して脚力だけで飛ぶよりスピードも乗っている。

 回避が間に合わずキムさんは脇腹に杭を受けて墜落した。

 

 

 

 

 

「あばばばば……」

 

「大丈夫? はい、っと」

 

「うぐ……めっちゃ痺れる……」

 

「逃げられると厄介だから今回は波長が流れ込むようにしたからね」

 

「クソー……基居る方が全勝すんじゃねーのかこれ……?」

 

「流石はデスサイズ……立場は同じ生徒ですが格の違いが感じられますね……」

 

「オイオイ……一回で諦めるような男じゃないぜ?俺は」

 

「うーん……でもどうすっか……

 ちょっと作戦ターイム!」

 

「うん、分った

 5分ぐらいしたら始めよっか」

 

 

 各々息を整え、少し離れて作戦を立てる。

 そして5分経ち、摸擬戦が開始された。

 

 

 

「行くぜッ!」

 

 

 始まった瞬間キリク君が大地を蹴り距離を詰めてくる。

 キムさんはキリク君のほぼ真後ろに付きランタンの鎖を長く伸ばしている。

 

 これでキムさんは隙が大きいが大火力な爆炎を高頻度で放てる。

 止めるためにはキリク君を突破しなければいけない。なかなかにいやらしい手だ。

 

 対してこちらは逆にオックス君を先行させ、僕が隙を探り一撃を叩きこむ作戦だ。

 

 2対1ではさすがに不利が過ぎる。僕が矢面に立ちキリク君の猛攻を受け止める。

 

「うおおぉおっラァッ!」

「えいっ」

 

 キリク君の素早いインファイトに時折飛んでくる援護爆撃。

 オックス君に射程ギリギリで戦ってもらって、うまく射程の不均衡を押し付けてもこの勢いだ。

 こちらのミスや動きの読み違いなど少しの差で天秤が一気に傾きかねない。

 

 隙は無くはない。少し無茶をしてかなりのダメージ覚悟で杭を打ち込みに行くかと考えながら

 右手側から飛んできたランタンを流す様に左へ弾く。

 

 その瞬間、キリク君が鎖を掴み、弾かれたランタンを引き戻した。

 一瞬の不意、体が反応せず左肩に直撃を喰らう。

 

 電撃が僕の体を走る。

 ポット・オブ・サンダーの電撃を鎖を通して流された。

 さらにランタンから爆炎が迸る。

 

 硬直している体で爆発を受け脳が揺れ、平衡感覚が薄れて足元がふわつくが何とか受け身を取り、体勢を立て直すが、ワンテンポ動作が遅れている。

 そこへキリク君の右のストレートが迫る。

 少し離れた距離を助走に使い、オックス君をキムさんを使って足止めして、誰にも邪魔されず渾身の一撃が放たれる。

 

F・F・F(トリプルエフ)(フレイム・フリント・フィスト)!!」

 

 何とか腕を交差させガードを作るがそれごと体に叩きつけられる。

 これを受け止めるのは無理だ。

 

 そう判断して自ら後ろへ飛び、受けた衝撃をいなして回転エネルギーへと逃がす。

 1、2回転目は遠心力により頭方向へのGがかかり、視界が赤みがかるが、3回転目に基で地面を打ち、ひねりを加えて半身になりながらスライディングするように着地をする。

 

 杭に波長を込めながらオックス君を挟撃している二人へ肉薄する。

 三人の応酬の中に飛び込み、オックス君の攻撃は邪魔せずに、盾としての役割を担う。

 

 先ほどまでのキムさん達の戦法の猿真似だがこれが存外有効的だ。

 邪魔になり普通存分に戦えない距離。

 しかし共鳴連鎖により”無理をすれば出来る曲芸じみた動き”

 から

 ”思いつけば即興でも出来る程度の動き”になっている。

 

 オックス君の攻撃の隙を僕が、僕の射程不足をオックス君がそれぞれ補っている。

 

 キムさんと連携して懐に飛び込んでインファイトに持ち込もうとするキリク君に杭を引っ込め牽制する。

 杭をリロードして生まれるリーチ不足はオックス君に補ってもらう。

 

 相手方も体勢を立て直し、間の空間には電撃と炎が飛び散り打撃と斬撃の風が吹き荒れる。

 

 次の一手、僕は強引に踏み込み杭を射出しながら振り上げる。

 それはかすりもせず、振り切ったため上体が流れる。アッパーカットをスカして出来た隙に、両手を組んだアームハンマーが叩きこまれる。

 

 電撃と炎が爆ぜ、後ろに居たオックス君も巻き込み吹き飛ばされる。

 

 だけど、それでいい。

 さっきのアッパーの時に射出した波長の杭が、重力に負けくるくると回転しながら落下してきている。

 

 吹き飛ばされながら波長を練り、頃合いを見て踏ん張り、落下ポイントで止まる。

 

 基の杭は飛び道具ではない。波長で練られた杭は射出と同時に剥離するが、静止状態で真横に射出してもせいぜいが3~5mほどしか飛ばない。

 しかも弾いて飛ばしているだけなので回転しながら飛んでいき、間違っても遠距離攻撃にはならない。

 しかし、罠には十分なる。

 

 二人が追い付き、キリク君が拳を振りかぶり、キムさんが後ろからランタンを振り下ろした瞬間、間に波長の杭が落下して突き刺さる。

 着地と同時に杭を中心に波長が流れ、二人の足から這い上がり体を硬直させる。

 

 オックス君とは共鳴しているので特段支障はない。

 すでに振り下ろされ、慣性で落下してくるランタンをオックス君が危なげなく弾く。

 

 踏み込みながらリロードし、腰を入れて正拳で基を突き出す。

 波長の杭はキリク君の腹を突き刺さし貫通し、キムさんも縫い付けて爆発し、吹き飛ばす。

 

「ぐ……っ ゲホッ」

「いっ……た~」

 

「ちょっと動かないでね……

 はい、もう大丈夫 ほら」

 

 基が駆け寄り、二人を縫い付けている杭を消して、手を貸し立ち上がらせる。

 

「結構ギリギリでしたね」

 

「結局全勝は止めらん無かったか……」

 

「と言うかいっつも思うけどそれ()ズルじゃん、インチキインチキ」

 

「別にズルと言う訳じゃ……」

 

「デスサイズの能力でしょ?

 私達デスサイズじゃありませ~~ん」

 

 キムさんが小さい子供のように異を唱えるが、そもそも杭が剥離するのは止められないらしいのでどうしようも無い。

 

「と、言う訳で基包囲網を結成します」

 

 ……ん?

 

「オックス、キリク、私、対ペグ、を開始しま~す」

 

「いやいや、さすがにそれは……」

「おもしれぇ

 デスサイズと俺たち、どれ(くれ)ぇ差があるか興味あるぜ」

 

「多勢に無勢……ですが、ぜひ経験してみたいとは思いますね」

 

「いや、ちょっと……」

「流石に授業中に遊び始めるのは……」

「遊びじゃねぇ! 分断されて一人で戦うことになるかもしれねぇだろ?」

 

「いやそれは他の授業でやるよ……

 今は共鳴連鎖の授業で……」

「私らの共鳴連鎖の練習にはなるから」

「それでしたら先ほどの戦いで思いついた作戦がいくつかあるのですが……」

 

「おっし、作戦会議終わったら開始だかんな」

「よっしゃああ! やってやるぜー!」

 

「いや……授業……」

「諦めよう……基……」

 

 その後の戦いではとにかく逃げ回り、壁を張って行動を阻害し、地雷を埋めて各個撃破して何とか勝利した……

 そもそもこんな戦いするなら素直に逃げると思う……

 虚しい勝利だった……

 

 二回戦目(やめて欲しい)は途中でやってきたシュタイン博士に止められ、説教を受けた。

 特にリーダーの僕は統率不足を理由に長く怒られた。

 

 今日はもう疲れたよ……

 その日はベッドに入ると気を失う様に寝てしまった。

 

 次の日からはちゃんと指示に従ってくれるようになったから昨日の事は無駄じゃない……

 と、思おう……

 

 アラクノフォビアは日に日に勢力を増していっている。

 本格的な衝突は、もうすぐそこに迫っていた。

*1
私の伝説は12世紀から始まった――あれはモン・サン=ミシェル……いや、プロヴァンスの保養地だったか……私はある人物を探していてね、『彼』は私の伝説を語る上で重要な人物であり、例えるなら本にブックスタンド、服にトルソー、ジャパーンカリーに福神漬けと言った所か……そうだ思い出した、チェコのプラハだった、しかし探しているのは『彼女』だったか……彼女は私の265番目の女で賢い女だった……彼女と私は……そう、ウィーンで舞踏会を楽しんでいた時だった。その時に私は……いや待て、キューケンホフのチューリップを一緒に見ていた……いや見ていたのは私一人だ。その『彼』は便宜上そう言っているだけで本当のところ『天国』と言った方が正しいかもしれない。それもただの言葉でしかないがね……それもこれもすべてビックベンの前での出来事――関係ない話はさておき、私の伝説を語って行こうか




おまだセ
長らくお待たせしてしまって申し訳ナス!

これからまた間隔空くかもしれませんし進捗気になる人は私のマイページにツイッターのリンク張ってあるのでそこからツイッターへどうぞ

書いた時には進捗を文字数で上げています
それ以外はほぼツイートしてないのでフォローする必要はないです

ハーメルン内で急かすと対運される可能性があるので進捗どうですかと言葉をかけたい人もツイッターへどうぞ


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