Lets ソウル戦機! (はるばーど)
しおりを挟む

原作開始5年前編
プロローグ


自分で投稿しておいてなんですが・・・めちゃくちゃですねこの設定。




ある日の朝、俺はいつものようにベッドから目覚め、いつものように学校に向かうための準備をする。いつものように電車に乗り、学校へ向かう。学校へついたら勉強し、部活動を行う。ちなみパソコン部である。そして、帰ってきてPS4をつけてダクソをプレイするかダンボール戦機を見る。夕飯食って、風呂に入って、そして寝る。それが俺のライフスタイルだった。

 

最近は、同じことのくり返しで飽きてくる気がする。というか新しいことをしようとしないから、自分でこの日常を作り出しているだけなんだが。

 

俺「なーんか、面白いこと起きないかなぁ。」

 

ダクソだと最近では攻略に飽きて対人ばっかりやっている。しかし、対人をやろうとしてもダクソは、発売日からだいぶ時間が立ってしまっているせいで、人口が少なくなっているので仕方なく、リア友と攻略or対人をやる。毎日こんなことをやっているので、なんてつまらない日々を送っているんだと思いつつ、いつものようにテレビに向かい、PS4をつける。

 

友達を呼ぼうと思い、スマホを取ろうとすると心臓が痛いことに気がついた。ヤバい、結構痛い。とりあえず、出掛けている母親に連絡をとろうとスマホ操作を試みるが、段々、心臓の痛みが増し、指の感覚もなくなってきたため操作がおぼつかなくなってきた。嘘、ヤバ。待って俺ここで死ぬのか・・・?ついに視界も悪くなってきた。どうやらガチの死期が来ちまったようだな。

 

「クソォ・・・、こんな事になるならもっと色んなことにチャレンジしてみるべきだったなぁ・・・」

 

片目に涙が浮かんでくるのが感じられる。呼吸も苦しくなってきた。心臓も痛い。あ、スマホ落としちゃった。やべ、体が倒れるのも感じる。そして、い、意識が朦朧として・・・俺の命は尽きた

 

 

 

 

 

 

・・・はずだったがいつの間にか俺は、横たわったまま、見知らぬ場所に放り出されていた。え?ん?あれ?俺さっき死んだよな?うん、確かに死んだはず。死因は明らかに心臓発作っぽいやつだったし、死に際に最後の一言っぽいことも言った記憶もあるし?

 

と、とりあえず立って辺りの様子を見よううんそうしよう。と思い立ち上がって、辺りを見渡そうと・・・そうとしたが首が動かないことに気がついた。?なんで首が動かないんですかねえ?寝違えでもしたか?でも一回死んだはずだから寝違るもクソもないか。

 

首が動かないので体ごと動かして辺りを見渡した。すると、近くに川があったので俺は川の方に向かい、覗き込んで自分の顔を確認した。そして俺は驚愕した。何故ならば水に映っていたのは・・・

 

 

 

 

俺の体がDARK SOULS3で装備しているラップシリーズの姿になっていたからだ。

 

 

 

 




イヤァァァァァア怖~い。という訳でね。ども、はるばーどです。完全に思いつきで始めたけれども出来ればどんどん続けていきたいと思ってますので改めて皆様、よろしくお願いいたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 出会い

DARK SOULS3の奇跡のスペル「雷の矢」の弾速、速すぎて避けられない・・・避けられなくない?しかも、威力高いし。


えぇ・・、俺の姿ラップになってるよ・・・あ、ここまで何があったしと思った人はプロローグを読んでどうぞ。

まぁ、ラップ装備は好きな部類の防具だしいいけどさぁ・・・と言ってはみるものの内心ちょっとつらいから下をうつむこうと思った、けど で き な い 。

 

 

そうだった、ラップ装備は防御力を上げるために首が固定になってるんだったよなぁ。マジかぁ・・・。今まで首が動かないからジェスチャーが変になるのが、ちょっと可愛いと思ってたけどこんなにもつらかったのか。

 

 

まぁ、言っててもしょうがない。少なくとも野蛮な人間に撲殺される確率はかなり減っただろう。そう自分を説得し、歩きだそうと思ったら何か背中からガチャガチャ金属音が聞こえてきた。気になったので背中に手を伸ばして、確認してみるとなんとそれは俺がDARK SOULSシリーズで愛用している黒騎士の斧槍だった。

 

 

結構嬉しい物までついてきた。これはありがたい。でもこれ、まず高校生以下の筋力と技量を持つ俺に使えるのか?と思い、とりあえず振ってみたが、意外なことに本家そのままの動きができるほど、体がスムーズに動く。これはいい。どうやら転生したときに筋力と技量も上がっていたみたい。ありがとう、神様。

 

 

これなら他にもDARK SOULSで使ってきた物があると思い、腰に手を伸ばすとやはりあった。これは・・・おそらく、幽鬼のサーベルだろう。黒騎士の斧槍が通じない大盾相手に使う、「崩しの連撃」という必殺の一撃が行える武器だ。これも愛用していた武器の一つなので嬉しい。

 

さっそく、動けるかどうかも確かめたが動ける動ける。戦技の動きもバッチリ動ける。もしかして、ゲームのステータスそのままなのかな?。でも武器が扱えるというのはとても楽しい。改めてありがとう、神様。ただこの剣、初めて間近で見たけど、どう考えても鞘が短い。ダクソの主人公はどうやって両手持ちしているのだろうか・・・。片手運用しかできない形してるだろこれ。

 

 

後、他に見つかったのは尾骨の槍、ヘビークロスボウ、 戦士の小盾があった。残念ながら他の物は見つからなかったが十分だ。というかあっても重すぎて持てないし。遠距離武器が2つあっただけでもデカい。

 

 

よし、遅くなったがさっそく辺りの探索といこうか。えーっと・・・回りは野原っぽい草むらで・・・ていうか草でかくね?え?そう思ってジャンプして辺りを見渡してみた。てかジャンプ力高いな、俺。

 

 

このでかい雑草の上に着地し、遠眼鏡があったので辺りを再度見渡てみる。すると車が見えた。あの形は軽トラックかな?ということは、この世界には、一応人間は存在しているのか。よかった、ここがどういう世界なのか聞ける。少々不安さもあるが、それ以上に好奇心も沸いてきたのでワクワクしながら人のいる住宅街を目指した。

 

 

 

~数時間後~

 

 

 

あれから結構歩いたけど・・・ここは巨人の国だったのか!?周りにある建物とか人間があまりにも大きすぎる。しかも、見たことない造りの建造物が沢山。ドラングレイグにしては近未来的すぎるような・・・うーむ、どうしたものか。それにさっきから関節が痛い。なんかビリビリいってるし、俺ついにロボにでもなったのか?そんな訳ないか、空腹による幻聴でしょう多分。

 

 

 

さっきから6時間くらい歩いてるし、そうだろう。てか転生以前からコミュ障な性格してたのに、人間がでかいとろくに聞き込みもできねぇよヤベェヨ、ヤベェヨ・・・。すると、どこからともなく

 

 

?「グゴォォォ・・・フゴォー・・・」

 

 

と聞き覚えのある寝息が聞こえてきた。この寝息は・・・あいつか!?あの愉快な戦士だよな!?絶対そうだよな!?期待が高まり、寝息の聞こえる方に俺は全速力でダッシュした。また会えるのかとワクワクしていると、足から途中でプツッっという音が聞こえ、俺はその場に盛大に転んだ。あ、足の何かキレたか。明らかに鳴ってはいけない音なってたよ。

 

俺「ヤべ、また・・・意識が・・・飛ぶ・・・せっかく話が出来そうな・・・人・・・が・・・。」

 

俺は、うつ伏せ状態で(また)気絶した。

 

すると、近くから誰かが歩いてきた。女の子みたいだ。そして、俺を拾い上げ、辺りを見回すような仕草をしていたがすぐに、自宅らしき道へ歩きだし、持ち帰った。





話全然進んでねぇし、ダンボール戦機要素一切ねぇ・・・。と思ったそこの貴方。安心して下さい私もです(泣)こんなに小説を書くのが大変だったとは・・・

ちなみに拾ってくれた女の子はオリキャラの予定です。まだ原作が始まる5年ほど前なので、バンやカズなどが出るにはまだ早いかなと思いまして、はい。言い訳です本当に申し訳ございませんでした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 少女の家にて

皆さんは、LBXの中で好きな機体はいますか?私は自分は、ゲームで作ったカスタムLBXです(めっちゃ自己中なヤツ)

それはともかく本編。今回はオリキャラ紹介回です。

《修正》少女の名前に違和感が生じたので、修正しました。


少女サイド

 

私の名前は、神谷 ルキア。年は11歳。このミソラタウンに住む哀れな女小学生です。何故ならば私は、既に両親を失っているからです。

 

 

父は、7年前に銀行強盗事件に巻き込まれ射殺。母は、父の死ではまだ動揺しない強い人でしたが、事件の直後弟を産んだ拍子に産後うつ病になり、精神科医院に入院してしまいました。そして、植物状態とやらになってしまったようです。幼かった私には理解ができずにいました。

 

 

私には2つ年上の姉がいます。名前は、神谷 クレイ。金髪で男気があり、強気で偉そうな口調が特徴です。ですが、母に似たのかとても前向きで優しい性格をしています。それ故に、自分も辛いと思っているはずなのに妹である私を励ましてくれます。ですが私を可愛がってくれた両親や姉には本当に申し訳ないのですが、私は立ち直ることができず、小学生にもまともに進学することができず不登校になっていました。

 

 

あぁ、ですが勉強や運動はきちんとしていますよ。姉や生まれた弟の足は引っ張りたくありませんので。そして、母のしょうがいしゃてあて?なる制度と父の生命保険のおかげでなんとかお金はもらえているので、経済面は心配ないと姉が言っていました。

 

 

私達には母の家系であるおばさんがいるので、月一くらいは様子を見にきてくれます。ですが、基本毎日保護者はいなくお金関係のやりくりは全て姉がやってくれています。小学生である私が言うのもなんですが、姉は家の支えとして人生を無駄に費やしてしまわないか心配です。

 

 

現在、弟は7歳になりました。名前は、神谷 アレン。性格は、やんちゃな性格ですが私に影響されたのか私語が敬語になりつつあります。彼は最近、流行っているLBXという玩具に没頭しています。CCMという昔の携帯電話みたいなコントローラーを使って遊ぶ玩具です。Little Batter eXperienceを略してLBXと呼ぶらしく、恥ずかしい限りですが私もLBXにはまってしまいました。今では、弟よりLBXについて詳しくなりつつあります。

 

 

ですが、LBXはその高性能のせいで人間にも甚大な被害がでているらしく、「危険な玩具」と認定され販売中止になろうとしています。なので、姉が買うことを許してくれません。実は、一回弟がLBXで両親の写真立てを壊してしまった時があり、姉が激怒して弟の機体を捨ててしまいました。そのときから、姉はLBXの話をするといつも不機嫌になります。危険だからというのは分かるのですが、あまり弟が泣きじゃくってしまって立ち直らない様子でいるので、流石の私でも少し可哀想に思えてきました。

 

 

LBXマニアになりつつあった私もかなりショックでしたので、姉には悪いのですが今日私は、弟にあげるために内緒でLBXを安い値段で譲って貰えるとこがないか探すことにしました。

 

 

今は、夜6時くらいですか。流石に帰らないと姉に怒られてしまいます。あれから結局譲ってくれそうなところはなく、色んな所当たってみては断られての繰り返しで、無駄足になってしまいました。

 

 

収穫なしでは弟に立つ瀬がないですし、姉にもどこに出掛けていたのか怪しまれてしまうでしょう。ですが、しょうがないです。悔しいですがまた出直しましょう。そう考え、再び歩きだそうとすると5mくらい先に何か人形の物体が落ちているのが見えました。

 

 

あれは・・・LBXでしょうか。小走りで近付き、拾ってみるとやはりLBXでした。ですが、変な形をしていますね。騎士のような見た目をしています。しかも、見たことないタイプです。どの資料にも乗っていませんでした。そう思い、気になって試しに首の部分を弄ってみようととしますが動きません。壊れているのでしょうか。でも、こんなところに落ちているなんて怪しいですし、誰かの落とし物なのではと少し心配になります。

 

 

ですが、明日に持ち越すと弟がますます落ち込むでしょうし、元の持ち主には悪いですが持って帰ることにしましょう。持ち主が探しに来たら素直に渡すことにしましょう。姉にはこっぴどく怒られそうですが。

 

 

さっそく、自宅にそのLBXを持っていた手提げ鞄に隠して帰宅しました。すると、いつもの様に玄関まで姉が出迎えてくれました。ちなみに姉には、Lマガジンという漫画を買いに行くと言ってあります。

 

 

「おかえり。遅かったじゃないか。」

 

 

「えぇ、遅くなって申し訳ありません。姉さん。」

 

 

「ふーん、まぁ無事ならなんでもいいけどな。で?漫画買えたのか?」

 

 

「いいえ・・・どこの書店も売り切れでして・・・。」

 

 

「あぁー、それは残念だったな。まぁ、しょうがない。ほら、ご飯できてるぞ。」

 

 

「すみませんいつも・・・。私が料理ができればこんな事には・・・」

 

 

「そうかしこまるなって、まだ小学生だろ。」

 

 

「すみません・・・。」

 

 

「もう、謝るなって。ほらその鞄、さっさと部屋に置いてこい。」

 

 

「分かりました。」

 

 

このような話の流れが私と姉のいつもの会話です。なんとか、LBXを所持していることはバレずに済みましたので自室に向かい鞄ごと置いてきました。この後、私達は姉の作ったシチューを食べました。相変わらずの美味しさです。

 

 

~3時間後~

 

 

 

食事や入浴を済ませ、9時半過ぎぐらいするのがいつもの流れです。姉と弟はいつも二人で10頃までテレビを見ています。

 

 

「では、姉さん。私は先に寝ます。」

 

 

「あぁ、お休み。私の可愛い妹ちゃん。」

 

 

「も、もう・・・やめてくださいよ姉さん・・・///」

 

 

「あはは~、姉上また照れてらっしゃる~。」

 

 

今、私の事を小馬鹿にしたのは弟のアレンです。我が弟ながら、落ち込んでいる姿を姉達になるべく見せないようにしてる姿には毎度驚かされます。ですが、今日だけはすぐに寝るわけにはいきません。ごめんなさい、姉さんと心の中で謝り、部屋に入った。

 

 

さっそく、私は勉強机にLBXを持って座り、初めての自力でLBXの修理に取りかかった。

 

 

~1時間後~

 

 

なんですかこれ・・・?見たことない内部パーツばっかり入っていますよ・・・。しかもCPUやモーター、コアメモリの周りには、バッテリー消費減少の補助パーツがびっしり組み込まれていますし・・・。そして、首はやっぱり動きません。固定されているのでしょうか?そして、これってレアモノではないのですか?などと色々分解し、調べながら疑問に思っていると突然LBXが起動し動き出した。そして・・・

 

 

~同時期、主人公目線~

 

 

あぁ・・・ここどこだぁ?光が見える。眩しい、電気スタンドか?でもよかった。まだ死んでないらしい。せっかく転生して生まれ変わった直後にさっそく YOU DIED とかゆうテロップ出てきたら話にならんしな。とりあえず、起き上がらないと。そう思い、体を動かそうするが体が動かない。ん?てかお腹の中がやけにスースーする。嫌な予感がし、目線を下に向けてみると、俺の腹の皮膚がなくなっていた。いや、取り外されてるのか!?

 

 

「エエエエッ!?エーッッッ!!?」

 

 

「!??・・・今、LBXが喋っ・・・たのですか?」

 

 

し、しまった。つい驚いて大声を出してしまった。あぁやっちまった。きっと俺はこの巨人の少女に殺されるのだろう。でかいのに少女と言っていいのか分からんが。殺されて、きっとどこかの教会かなんかで目覚めて「おお!死んでしまうとは情けない!」とか神父様とかに言われそう。

 

 

「あ、あの・・・貴方は一体・・・。」

 

 

「うるせぇよ!どうせ俺の事殺すつもりだったんだろ!?早くやれ!もう諦めたから!」

 

と潔く死を覚悟したのに、目の前の少女に掴まれ、胸に押しやられ口を塞がれてしまった。

 

 

「静かにしてください!貴方をここに持ち込んでいるのは内緒なんですから!。」

 

 

お、おう?マジ?この子もしかして、俺の事匿って暮れた感じ?ヤッベ、悪いことした気分になった。男としての俺のプライドがさらに下がった気がする。関係ないけど、この子の胸、めっちゃ居心地ええわぁ~。おっと、危ない。更に男としての威厳を失うところだった。

 

 

俺が落ちいたのを確認すると、机の上に再び降ろしてくれた。あの抱きしめられてる感じ、すげーよかったんだけどなぁ。ん、あぁいやいや、そんな欲望丸出しなこと言ってる場合じゃない。せっかくまともに話せる住民に出会ったんだ。色々聞いて置かないと。

 

「ご、ごめん。ありがとう、落ち着いたわ。ふぅ・・・あのー、助けてもらって言うのもあれですがここってどこなんですかね?どうやら知らないところに迷い込んじゃったみたいで。」

 

 

とこんな風に聞いておけば、なんとかなるだろって田舎のじいちゃんが言ってた。

 

「ん?あぁ、そうですか。でも、その前に教えてください。貴方は一体何者なのですか?ただのLBXではないようですが・・・。」

 

 

そうだった、自己紹介すらしてなかった。えぇーと、ヤベ前世に生きてた頃の名前が思い出せね。生まれ変わったから名前の部分だけ記憶がそぎおとされているらしい。どーしよーかなぁ。まぁ、ダクソのとき使ってた俺のプレーヤー名でも名乗っておくか。記憶がないから思い出せないってことにして。本当にそうなんだけども。

 

 

「俺の名は、ハルバード。そう呼んでくれ。元の名前は、忘れちまった。よろしくな。」

 

 

「名前を忘れてしまったのですか?ということは記憶喪失ですかね・・・?あ、申し遅れました。私は神谷 ルキアと申します。ミソラ小学校出身で5年生です。よろしくお願いいたします。」

 

 

おお、えらい紳士的な口調だな。てかそのなりと言葉使いで小学生なのか。あまりにも顔が大人びてて分からんかった。でも白髪だし、日本人ではないのかな?ジーンズとか履いてるし、少なくとも外国人の高校生くらいかと。

 

 

ん?待って、さっきさらっとLBXとかミソラタウンとか言ってなかった?流しちゃったけど、結構重要だった?と、とりあえず聞き違いだったことを願ってもう一回聞いてみよう。

 

 

「ああー、さっきLBXって言ってた気がするけど俺の聞き違いだったかな?」

 

 

「いいえ?言いましたよ?貴方は手のひらくらいの大きさですし。」

 

 

え?背筋がゾワッとした。いや、でもそれだったら周りの人間が巨人並みのサイズになっているのも、納得がいく。俺は自分が本当にLBXになってしまったのか確かめるために腕の鎧を外してみた。

 

 

「ちょ、ちょっと何を!?」

 

 

「いや、ちょっと確認するために鎧を外すだけだから。」

 

 

心配してくれたルキアちゃんにそう言っといたが、そりゃ心配するか。いきなり、鎧外しだしたらそりゃそうか。

 

 

「おう・・・マジか。」

 

 

つい言葉を漏らしてしまった。それもその筈だ。鎧を外したら皮膚が見えると思っていたのにもコアスケルトンが見えるんですもん。まぁ、しょうがない。おかしいと思った。さっきからお腹は空かないし、今さら気づいたが少し、ボイスが機械を通じて話してるみたいな声になってるから。

 

「さて、どうしたものかねぇ・・・。行く当てもないんだよなぁ・・・。」

 

 

と独り言を呟いていると

 

 

「あの、すみません!もし、元の持ち主などが分からないようでしたら、どうかこの家にいてもらえないでしょうか!弟がLBXが好きで、貴方を見せたら喜んでくれるかもしれませんので!どうか!この家にしばらく居てください!」

 

と真剣な顔で頼まれた。うーむ、ダンボール戦機の世界はちょっと忘れぎみだからなぁ。ここを拠点にして、ちょっとずつ記憶を思い出してくってのも悪くないだろう。それに女の子の頼みを断ったら申し訳ないし。よし、住もう。

 

 

「・・・分かった。ルキアちゃん、改めてよろしく頼む。」

 

 

こうして俺は神谷家に滞在させてもらうこととなった(正式じゃないけど)

 

 

 

 




今回は、オリキャラの紹介回みたいなものです。次回以降から多分LBXとのバトルや原作キャラクターに関わり始めると思います。
あ、ちなみに俺に取りついていたコアパーツは何かというと
CPU ユニコーンL500

コアメモリ フォトンα

モーター イプシロンEX99

バッテリー エレクトロンS100

補助パーツは BT消費軽減2、3
、4とオリジナル特殊モードチップとかなり高性能なモノが搭載されています。内部パーツ分かんないっていう人はぜひ調べてみてください。(多分、8割くらいの人が興味ないと思う)




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 指令!神谷姉弟を従えろ!

最近は、新型コロナが流行っているので、皆さんきちんと手洗いうがい忘れないようにしてくださいね!

え?私ですか?私はそもそもダクソ3ばっかりしてるから外出なんてしませんよ(すっとぼけ)

それはともかく本編いきます。


~ルキアの寝室にて~

 

さて、どうしたものかねぇ。というのも前回でルキちゃんのおかげで拠点を確保することはできた。しかし、どうやら事情を聞く限り、ここの家のBOSSはルキアちゃんの姉「神谷 クレイ」らしい。

 

なんでも彼女は、両親がほぼいない環境の中で二人の姉弟を彼女一人で育ててきた、とんでもない人のようなのだ。しかも、お金などの経済関係のやり取りも全て彼女が引き受けているらしい。天才かよ。某FBIドラマに出てくる捜査員のIQくらいありそう。

 

 

とまぁ、どうやら今は、まだ原作のダンボール戦機が始まる5年前の2045年のようだなのである。確かその頃はまだ強化ダンボールが発売されてなくてLBXは兵器に近い存在だったはず。

 

 

なるほど、家族には危険かもしれないとクレイさんは感じているわけか。実際、どんなに使う人が優しかったり、安全に扱える人でも悪用されてしまっては元も子もないからか。考えたな。ホントに中1の頭脳なんですかね。

 

 

ともあれ、理由は色々あるだろうがまずは彼女に認めてもらわないと始まらない。いつまでもルキアちゃんの部屋にいては彼女に迷惑をかけてしまうし、いつバレてもおかしくない。

 

 

彼女にどうやってLBXは無害と教え込もうか。話し合いが通じそうな相手ではないし、というかそもそもどうやっても勝てるビションが見えない。

 

 

頭の良さでは圧倒的に負けてるし、かといって実力行使とか仕掛けても誰か人を呼ばれてスクラップにされる気がする。ラップだけに。

 

 

1年後の強化ダンボール発売まで待つか?あ、いやそれは不味い。仮にOKが出たとしても、実は1年間ずっとLBX隠してました!てへ♪なんて言えない。絶対殺される。

 

 

あれ?もしかして詰んだか?どうやっても説得できる気がしない。なんかLBXが家に乱入してきて、俺がそのLBXを倒すなんていうヒーロー的な展開がなければ絶対無理。

 

 

あぁ、ダメだ。全然思い付かない。そうだ、俺は今は一人じゃない。こういう時は、ルキちゃんに相談しよううんそうしよう。

 

 

「ルキアちゃん、クレイさんに認めてもらうためにはどうすれば・・・」

 

 

って寝てるーっ!!?まさかの寝落ちですか!?マジか。でも、そりゃそうか。今日、彼女は弟の為に1日中町中を走り回ってたって言ってたっけ。

 

 

この姉弟優秀すぎない?絶対いい子達だよ。将来、凄い人になるよ。うん絶対。・・・仕方ない。考えてもしょうがないし、俺も寝ることにするか・・・

 

 

この身体どうやったら眠れるんだ?

 

 

~数時間後~

 

 

眠れないアル。全ッ然眠れん。現在、真夜中の3時すぎ。あぁ、最高。機械の体、ホンッットに不便。どうしよう。疲れてんのに・・・あ!そうだ!機械だからどこかに電源スイッチかなんかついてるんじゃないのか?そう考え、俺は体のあちこちにスイッチがないか捜索する。

 

 

あったあった。多分これ。なんで内部パーツに組み込まれてるんですかねぇ・・・。人間だったら心臓の部分だぞ。機械じゃなかったら死んでたわ。ったく、やっとこれで眠りにつける・・・そう思い俺は、モーターのスイッチを押した。そして、俺は一瞬にして眠りに落ちた。

 

 

~数日後~

 

 

ん、あぁ俺寝てたのか・・・。というか寝てるというより気絶してる感覚に近い感じだったな。目線を反らしてみると窓があり、窓の外から夕日が見える・・・ん?夕日?ヤベッ!?俺どんだけ寝てたんだ!?ヤバいヤバい。寝てる場合じゃない。この神谷家の攻略法を考えなければ。と考えているとルキアちゃんが物凄く不機嫌そうな顔でこちらを見ていた。

 

 

「・・・。」

 

 

「ど、どうしたの?ルキアちゃん?」

 

 

「どうしたの?じゃないですよ・・・貴方を再起動させるのどれだけ時間がかかったと思ってるんですか・・・」

 

 

あ、ヤベ。下手に電源スイッチ教えずに切っちゃたもんだから起動させてくれたのか。てか自分で起きられないのかよ!?

 

 

これじゃ目覚まし必須じゃんよ・・・。いきなり、信頼を失う形になってしまった。面目ねぇ・・・しかも、時計見たら日にちが3日くらいたっていた。ヤベエ・・・

 

 

「もう・・・次からは、気をつけてくださいよ。貴方は、弟の希望なんですから。」

 

 

嘘、俺そんな期待されてんの!?照れるなぁ~、こんな事言われたの生まれて初めてかも。期待に答える働きをせねばな。でももっと誉めてもらいたい。欲望丸出しだけど。

 

 

「ルキア姉さん~誉めすぎですよ~///」

 

 

「誉められたからって、自惚れないでください。」

 

 

しまった。めっちゃ辛辣な一言で返された。そして顔がすっごく怖い。気を抜きすぎた。そうだ、深呼吸しよう肺ないけど。すぅーっ、ふぅ、気を取り直して。信頼を得る方法を考えねばな。

 

 

よし、どうしよう。・・・うーむ、まずは弟くんの信頼を得るのが先か・・・?それでちょっとずつクレイさんの信頼を獲得していくみたいな。でもそれだと意味ないような・・・。でも人数が多くて越したことはないか。

 

 

「よし、ルキアちゃん。弟くん・・・じゃなかった。アレンくんと二人っきりの空間ってつくれそう?」

 

 

「はい、一応可能ですよ。」

 

 

「一応ってなんだよ・・・。でもいっか。よし。受け入れが早そうなアレンくんから先に打ち明けることにしたから、彼にはなぜ呼び出しをしたのかは理由は伏せておいてくれ。」

 

 

「了解です。」

 

 

そうして、一時間近くたった後。俺とルキアちゃんは、末子 神谷 アレンを呼び出すことに成功した。作戦はこうだ。まず彼には新しいLBXを受け取ったと第一に言う。

 

 

そして、俺がその場に合わせて事情を説明する。夢のLBXが喋りだしてたのまれごとをされたら、さすがにいくら賢かったとしても信用するだろう。自分で考えておいて、すっごく不安でしかないけど。しかも、単純すぎだし。

 

 

ルキアの部屋でスタンバっていると、ルキアちゃんとアレンくんが部屋に入ってきた。さぁ、ここからだぞ。緊張すんな俺。いけるいける。と某熱い男並みに心をほぐして、俺は神谷 アレンと初めての対面を待つ。この姉弟の弟だ。決して簡単には済まないだろう。

 

 

「話って何?ルキア姉さん?。」

 

 

「アレン、ちょっと貴方に見せたいモノがありまして。」

 

 

二人が扉を開けて入室してくる。俺は勉強机に立ったまま、黙っている。

 

 

「・・・え。ルキア姉さん。これって・・・もしかして・・・!」

 

 

「えぇ、新しいLBX。「「ハルバード」」です。」

 

 

さぁ!言ったぞ!どう反応する!?

 

 

「す、すごいです!カッコいいですよ!もしかしてこれオレの為に?」

 

 

「もちろんです。」

 

 

「うわぁ!!凄い!ありがとうございます!ルキア姉さん!」

 

 

あれ?もしかして意外と正直な奴だったのか?普通に喜んでくれてるし。カッコいいとか言われたしテレるわ。このひねくれ姉弟の血をひいてるなら絶対思い通りにいかないと思ってたのに。

 

 

でも、そういえばアレンくんって7歳だっけ。いや、ホントに7歳か!?普通に中学生と間違えそうな見た目してるし!?ルキアちゃんも大概だったけどやっぱりこの姉弟ヤベエよ・・・。

 

 

「でも、ルキア姉さん。大丈夫なんですか?姉上に見つかったらいくら貴方でも・・・。」

 

 

と落ち込むアレンくん。話し掛けるならここしかねぇ!と思い俺は

 

 

「大丈夫だ。問題ない。」

 

 

とかっこつけて喋ってみた。これでただのLBXだとは嫌でも思わなくなるはずだ。

 

 

「え、えぇっ!?え、LBXが喋った!?」

 

 

 

「えぇ、アレン。紹介します、こちらは喋れるLBX」

 

 

 

「「ハルバード」だ。元の名前は忘れちまったがな。」

 

 

 

「このフォルムで喋るなんて!改めて凄いです!あ、申し遅れました。オレ、神谷 アレンです!」

 

 

「アレンくんだな。君の話はルキアちゃんから聞いてるぜ。さて、早速だけど君に頼みがあるんだが・・・」

 

 

「もしかして、姉上のことですか?」

 

 

「さすが、話が早いな。君にはクレイさんの信頼づくりの手伝いを頼みたいんだ。協力してくれるな?」

 

 

「はい!もちろんです!もし、姉上が許可してくれたら・・・ハルバさん!貴方を捜索してみてもいいですか?」

 

 

「ああ、いいよ。」

 

 

「随分、軽いですね・・・。」

 

 

「やった!これで近所の友達とやっと遊べますよ!では、何か協力できることがあったら呼んでください!失礼します!」

 

 

そう言うと彼は、嬉しそうに部屋から出ていった。あれ態度に出ないかちょっと心配だな・・・。ともあれ、アレンくんを早期に味方にできたのはかなり美味しい。さて、後は時間をかけて解決していくしかない。

 

 

あ、そうだ。確かこの世界は、学校にLBX持ち込みOKなんじゃなかったっか?訓練がてらルキちゃんにちょっと外に連れていってもらおうかな。気分転換も必要だろうし。

 

 

「ふぅ・・・ハルバさん。なんとか上手くいってよかったです。次は、どうすればいいでしょうか?」

 

 

「あ~、そうだねぇ~。LBXとして起動したのはこの家が初めてだから、出来ればちょっと外に連れていってもらいたいな。」

 

 

「LBXとして?・・・まぁ、気にしないでおきましょう。そちらにも、色々事情があるのでしょう。えっと、外に出たいのですか?」

 

 

「そうそう、LBXのことをもっと学習したいし。(それに、ちょっと、女の子と出掛けるのって楽しみってのもあるしボソッ)」

 

 

「何か言いましたか?」

 

 

「いや、いいえ。スミマセン、ドウカ連レテイッテクダサイ。ルキア姉様。」

 

 

「・・・分かりました、でも少しだけですからね?これはあくまでも姉さんに信頼してもらうための行動なんですから。」

 

 

そうして、明日はどうにかミソラ商店街に連れていってもられることになった。何か、クレイさんの目の前でLBXが活躍できる事件でも起きないかなアハハ。

 

 

そして夜が明けた

 

 

 

「ん~、おはよう。ルキアちゃん。」

 

 

 

「おはようございます。ハルバさん。今日は商店街に行くのでしたよね?」

 

 

「うん、そだよ。」

 

 

「分かりました。では準備しますので、少し待っててください。」

 

 

そういうと、彼女はいきなり目の前でパジャマを脱ぎ、着替え始めた。お、おいおい、それは不味いってルキアちゃん。健全な読者さんもいるかもしれないからさ。そこで着替えるのは・・・。ああ・・・。

 

 

俺はものすごくその場に残りたかったが、まだ男として終わりたくないので仕方なく(・・・・)ルキアの部屋から離れることにした。

 

 

~数分後~

 

 

「お待たせしました。行きましょうか。」

 

 

「おう、行こか。」

 

 

やっとLBXバトルができる・・・かもしれないと内に秘めつつ俺達はミソラタウンに出掛けた。え?待ってる間はどこにいたかって?

 

 

アレンくんの部屋に入れてもらってました。クソッ、失敗したかなぁ・・・。でもビンタとかされたら、さすがにラップ装備でもスクラップになりかねん。耐えるんだ俺。

 

 

~3時間後~

 

 

あれから今、俺達はミソラタウンから帰る途中でいる。この時代でも現代のゲーム作品の続編はあるもんなんですね。正直、驚いた。ドラ○エとかFFとかがおいてあったのは個人的に嬉しかった。内容、当初の面影全くといいほど残ってなかったけど。

 

 

LBXとしての収穫としては、リペアキットだっけ?回復薬みたいなのと、メンテナンスキットもルキアちゃんは買ってくれた。何も言ってないのに優しすぎだろ。マジで俺の女神になりつつあるな。

 

 

なお、LBXバトルはできませんでした。やっぱり、強化ダンボールが発売されてないからLBXは全面的に禁止になっているみたいだ。強化ダンボール発明早くしろ。トレーニングも出来ないし、つまんないんだよ。

 

 

さて、家の近くまできた。どうやってクレイさん説得するかなぁ。すごい、悩む。すると、家の方を向いていたルキちゃんの顔がいきなり青ざめ始め、そして歩くスピードが速まっていく。何か見えたのか?

 

 

「・・・!!」

 

 

「お、おい!どうしたんだ!そんなに急い・・・」

 

 

ルキちゃんが急いでいる理由が俺にもすぐに分かった。神谷家から黒い煙のようなものが、立ち込めていたからだ。何かあったんだ。俺が事件でもあってくれと願ったからか?

 

 

でも俺以外の人に危害を加えるのはゆるさん。どうせLBXじゃないのか?その場合、真っ二つにしてこの黒騎士の斧槍の錆びにしてやる。俺とルキアは、憤怒の感情を持ち、急ぎ神谷家に向かった。

 

 

 

 




はい、どもー。はるばーどでーす。今回は事件発生回(タイトル詐欺かも)です。実は、後一人オリキャラが登場します。ダクソから参戦のLBXです。次回は、絶対戦闘回になりますのでどうか気長にお待ち下さい。m(_ _)m

どうでもいいけど、俺がダクソ3で使っているキャラクターのステータスです。

SL170

生命力 45

集中力 12

持久力 45

体力 40

筋力 31

技量 40

理力 10

信仰 30

です。読者さんの中に145~180レベルくらいのデータ持ってる人がいればもしかしたら出会えるかもしれません。ダクソ民、もう一度増えろ(願望)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 VS獄炎の悪魔

自分は、「ダンボール戦機W 超カスタム」をプレイしておりました。物語が最後に進む前にランキングバトルとか、友達と一緒にローカル通信とかに挑戦してましたので、レベルが上がりまくっていて気が付いたらカンストレベル一歩手前くらいまで成長していた記憶がありますね。裏BOSSがハンマーの通常攻撃4~5撃で沈んでしまって唖然としました。ただ、難易度アルティメットは地獄だったぞ・・・。特に、ミゼルトラウザー破壊編が。

それはともかく本編いきます。


神谷家から煙が立ち込めている・・・!?姉弟は無事だろうか?雰囲気的に火事ではないみたいだな。きっと、LBXの仕業だろう。もう、イノベーターの刺客が・・・?でも、狙う理由がないんだよなぁ。じゃあ、一体誰が・・・?まぁいい。誰が何の目的であろうと潰すまでよ。

 

 

そして、俺とルキアちゃんはなんとか家に帰宅した。玄関も惨劇になっている。でも犯人がいるとしら多分、黒煙の出ている方向的にリビングだな。

 

 

「ルキアちゃん!リビングだ!リビングで何か起きてるんだ!」

 

 

「分かりました。おのれ・・・!私の姉弟に危害はくわえさせませんよ・・・!」

 

 

ルキちゃんの声から怒りの感情が伝わってくる。彼女もただの事故ではないことは悟っているのだろう。話を聞く限り、よりにもよってその姉がヘマしたなんてことはあり得ない。絶対に。

 

 

姉弟の無事を願いつつ、おそらく俺達は犯人のいるリビングに突入した。リビングは予想以上に荒れ果てていた。どうやら、窓が爆破されていたらしくそこから侵入されたのだろう。こんな状況で姉弟は無事なのか・・・?

 

 

「・・・ルキア!?来てくれたのか!?」

 

 

「姉さん!大丈夫ですか!?怪我はありませんか!?」

 

 

「あぁ・・・私は、とりあえず無事だ。だが・・・アレンが・・・突然LBXが襲ってきて・・・」

 

 

クレイさんは怪我したアレンくんと一緒にキッチンにへたりこんでいた。避難はしていたのか。でもクレイさんはボロボロだし、アレンくんは、よく見ると足に怪我している。

 

 

爆破されたときにガラスの破片が足に突き刺さってしまったようだ。凄く痛そう。でも、普通の7歳児のように泣こうとしないその志しは尊敬に値する。

 

 

「うぅ・・・あぁっ・・・」

 

 

アレンが苦痛の声をあげる。早く手当てしないと不味いな。でもいつ犯人が出てきて再び襲ってくるかわからない。俺は後で追い出される覚悟をし、ルキアちゃんの鞄から飛び出していった。

 

 

「ッ!??LBX!?なぜここにいる!?」

 

 

「話は後だ!ルキアちゃん!その二人と一緒にここから離れろ!ヤツがくるかもしれない!」

 

 

「LBXが・・・喋って・・・!?」

 

 

「クレイ姉さん!話は後にしてください!とりあえず、あのLBXは味方です!だから早く!ここから離れましょう!」

 

 

流石、ルキアちゃんだな。この状況でも冷静さを保つとはやりおる。すると、ダイニングテーブルが爆破された。元凶のおでましか。早く二人を逃がさないと不味い。

 

 

「おい!早くしろ!」

 

 

「姉さん!早く!」

 

 

「あぁ・・・分かった!誰だかわからないがここは頼んだぞ!」

 

 

そういい残し、二人はアレンくんを担ぎこの場から退避していった。

 

 

そしてついに、LBXが黒炎の中から姿を表した。俺は、背中に提げてあった黒騎士の斧槍を取り出し、構えた。やはり、LBXだったか。その姿は、まるで竜のようだった。頭が竜頭の兜 胴がハベルの鎧 手甲もハベルの手甲 足甲が溶鉄デーモンのような形をしていた。

 

 

・・・って、ん?めっちゃ見覚えのある姿してるぞ。いや、あれまんま俺がダクソ2で使ってた装備構成じゃねえのか!?なんでまた・・・。しかも、あの武器なんだ!?骨の拳とデーモンナックルが融合して一つの武器になってるだと!?すごい見た目になってるんだけど!?

 

 

なんというか・・・肩まで炎が伸びてるし、悪魔の拳みたいな見た目になっとる。神話に登場するイフリートみたいだな。うわぁ・・・せっかく軽くボコして楽に信頼を得られるチャンスだと思ったのにグギギ・・・。

 

 

しかも、初めて出会ったLBXがまさかの俺と同じ、ダクソからの刺客とはね。最悪だ。そして、相変わらず凄く固そうな見た目しとるわ、ハベル防具。

 

 

「オマエ・・・誰ダ?ナゼココニ騎士ガイル?」

 

 

しゃ、喋ったああああああッ!!??こいつも喋れるのかよ!?え?LBXってどんなやつでも喋れたっけか!?てか声低っ!?怖っ!完全に悪役声だよ!黒田 崇矢さんみたいな声してるよ!?大魔王もびっくりの悪役っぷりだよ!?

 

 

「マァ、イイ。誰ニモ我ガ野望ハ止メラレヌ。キサマガ何者デアロウトモ、我ノ邪魔ヲスルモノハ喰ライ尽クシテクレル。」

 

 

すると、そいつはいきなり飛び掛かりそして、拳のような武器で俺の顔面向かって殴り付けてきた。

 

 

「あぶねぇ!?」

 

 

俺は間一髪で奴の右ストレートをローリングして避けることに成功した。なるほど、手加減はしないってことか。話は、通じなさそうだしやるしかねぇ。さて、どうやって倒すか。いくら黒騎士の斧槍とはいえ、奴のハベルボディの前では棒切れ同然だ。奴の弱点でもある雷武器も今は持っていないしどうする?

 

 

確か、竜ってのは頭も弱点ってのも定番だったよな?なら作戦は決まりだ。頭をひたすら狙う。ただそれだけ。よし、それでいこう。まずは牽制しないと。

 

 

そう俺は考え、背負っていたヘビークロスボウを取り出して、即座に破裂ボルトを発射する。しかし、ハベルの鎧によってカキンと音をたて弾かれてしまった。まぁ、こんなもんだろ。相手の心を徐々に揺さぶっていくのが目的だし。

 

 

「ソノ程度カ?キサマノチカラハ、ソンナモノデハアルマイ。フンッ!」

 

 

奴は、煽ったあとに一歩下がり、床を蹴って物凄い速度で突っ込んできた。やっぱりな。そのスタイルは、遠距離攻撃の手段を持っていないから、近づくことでしか攻撃を俺に与えられないはず。俺は、突っ込んできたヤツの攻撃をいなし、隙ができたところに背中に斧槍で殴り付けた。

 

 

「何ッ!?グッ!?」

 

 

流石、黒騎士の斧槍。多少しかダメージを与えられないと思ってたけど、意外とダメージ入るじゃないか。

 

 

「フフ・・・ヤルデハナイカ。ヤハリ、キサマハタダノ騎士デハナカッタカ。コレハ楽シメソウダナ。」

 

 

あれ?こいつももしかして、自分のことLBXになったと理解していないのか?話せる状況さえつくれば、仲間に引き入れられるかもしれないな。でもまずは、倒さないとダメだな。どう考えても、話聞いてくれそうな感じじゃない。

 

 

「ナア、我ハコノ姿ニナッテオモシロイコトガデキルヨウニナッタノサ。見テ驚クナヨ。」

 

 

何やらヤツの両手が青白く発光し始めている。何やらエネルギーをためてるようだが・・・お、おい!ちょっと待て!!ヤベッ、これは食らっちゃダメだ!

 

 

Attack function 波功弾 !!

 

 

ヤツはエネルギーを一つに集中させ、俺に向けてそれを放った。音速を越えるような速度で飛んでき、それは俺の腹に直撃した。

 

 

「グハッ!!?」

 

 

もろに波功弾を受けた俺は、派手にぶっ飛び、壁に激突した。なんだこれ・・・?必殺ファンクションだと・・・!?ラップ装備の防御力でも防げないのかよ。体がビリビリ音を鳴らしている。これ防御貫通してんのか。

 

 

「ドウダ?我ノ必殺ノ味ハ。ビックリシタダロウ?」

 

 

「グホァッ!?・・・あぁ、見事だ。まさか、必殺ファンクションを使われるとは・・・」

 

 

 

「フン、コノ程度カ。期待サセオッテ。キサマモ他ノ雑魚共ト一緒デハナイカ。」

 

 

奴は、必殺ファンクションを食らった俺に対して呆れている。しょうがないだろ!??誰がダクソ民が、いきなり必殺ファンクションを使うと思う!?でも、幾度となく戦場を渡ってきたこの俺を舐めるなよ。次、必殺を打ってきたら、取って置きの一撃をくらわせてやる。

 

 

「シネ。残念ダッタゾ、セッカク強者二巡リ会エタト思セオッテ。」

 

 

奴は、再び両手にエネルギーを集中し始めた。奴の煽りは無視だ。すると、大量に集まったエネルギーを放出させようと、構え始める。今しかない!

 

 

Attack function 波功弾!!

 

 

再び高速でエネルギーが飛んできた。ジャンプだ!俺は波動を見事飛び越え、奴の背後に回ることに成功した。よし、これなら!

 

 

「何ッ!!??」

 

 

「全身全霊の一撃を受けとれえッ!!」

 

 

ザクッという音が響く。俺は奴の背中に致命の串刺し攻撃をお見舞いした。俗に言う、バックスタブというやつだ。満身しすぎたな。お前の敗けだ。

 

 

「ウグオオッ!!?」

 

 

そして、背中に突き刺さった斧槍を抜くために俺は奴の背中に両足を突きつけ、抜くと同時に乱雑に蹴り飛ばした。奴がでんぐり返しのように1回転をし、あお向けに倒れる。 奴の目から光が消えた。これは勝ったんだよな!!?そうだよな!?

 

 

「過信しすぎたな。俺をみくびりすぎだ。こちとら、今ここで死ぬ訳にはいかないのでな。」

 

 

かっこよく俺は、捨て台詞を吐く。ちょっと恥ずかしいけど。さて、案外あっさり決まったな。よかったよかった。回転薙ぎを使う間もなかったな。ダクソで対人やっといてよかったとこの時、初めて心から思うのであった。でも・・・ホントに奴は死んだのか?LBXが負けたときって、だいたい変な光がでて、ブレイクオーバーするよな。ってことは奴はまだ死んでない!?

 

 

そう思い、俺は奴に追い討ちをかけることにした。片手持ちにし、R2の動きで斬りかかる。後、もう少し・・・!しかし、振りかぶっている内に奴が目を覚ましてしまった。そして、奴が拳を斧槍の刃に打ち付けるような動きを合わせてきた。パンッとその場に弾かれたような音が響く。

 

 

なんだ・・・!?俺はその音が聞こえた直後に体制を崩してしまった。さらに、攻撃を弾かれたときに生じた隙を奴は見逃さず、俺の腹部にせいけん突きを撃ち込んできた。クソッ・・・一瞬、気付かなかった・・・。俺はパリィされて、攻撃を受け流されたのかッ・・・!

 

 

「フフフ、形勢逆転ダナ。小僧。一瞬、ヒヤリトシタゾ。マサカ、アノ一瞬デ「「波功弾」」が見破ラレルトハ・・・。ソノ判断力ト身体能力ハ認メテヤロウ。ダガ、詰メガ甘カッタナ。久シブリ二楽シマセテモラッタガ、コレデ終ワリダ。」

 

 

ダメだ・・・!殺られるッ!

 

 

そう思った、次の瞬間。奴の背後から何者かの影が現れ、武器のようなものを振り下ろそうとしている。な、なんだ・・・!?そして・・・

 

 

ガァン!!

 

 

と凄まじい金属音が辺りに響き渡った。しかし、俺は驚いて目をつぶってしまったため、何が起こったかわからなかった。ゆっくりと目を開く。すると、目の前にフライパンが出現していた。ん?フライパン?その上を確認すると金髪の女性の姿が見えた。

 

 

「な、なぜ、君がここに・・・!?」

 

 

「ハァ、ハァ・・・。助けてもらった、借りを返しに来ただけだ。気にするな。」

 

 

振り下ろしたフライパンを肩に提げ、ニカッととした表情をみせたその女性の正体は、なんと神谷 クレイさんだった。フライパンがあった場所には、奴がうつ伏せで伸びている。ハベルボディを持ってしても、あれくらいの巨大な金属で叩かれたら流石に耐えられなかったのか。

 

 

ざまぁみろ。無差別に家を奇襲した罰だ。

 

 

でも、クレイさんが来てくれなかったらあの時、俺はやられていただろう。そう思うとゾッとする。やっぱ、ダクソのときからそうだったのだが、ダウンした敵に対して甘い追撃をしてしまうのが、奴の言うとおり詰めの甘いところなんだよなぁ。まだまだ学ぶことは多そうだ。すると、玄関の方の扉からルキちゃんが心配そうな顔をして飛び出してきた。

 

 

「大丈夫ですか!?ハルバさん!クレイ姉さん!」

 

 

「うん、なんとか大丈夫・・・。少し危なかったけどね・・・。」

 

 

「少しどころか、私が駆けつける頃には、大分危なそうだったがな。」

 

 

「・・・そうです。すみません、助かりました。」

 

「そうだったのですか!?もう・・・心配させないでください、ハルバさん・・・」

 

 

とルキアちゃんは俺を抱きしめてくれた。やっぱり、あたたけえ・・・尊い・・・。はっ!?危ない危ない。また人間性を失ないそうになった。でも、慣れないんだよなぁ。

 

 

抱きしめてもらうのはできるだけ控えてもらわないと、いつ野獣になって襲いかかるか分からない。まあ、LBXだから野獣になるも糞もないのだけれども。

 

 

「しかし、あのLBXめ・・・。随分、家をめちゃくちゃにしてくれたな・・・。」

 

 

クレイさんが、疲れたような声で呟く。あ、忘れてた。ここ、自宅の中だったんだ。ヤベエ・・・。ダイニングテーブルとか黒焦げになってるし、本棚とかも何も入ってなかったけどやはり滅茶苦茶になっている。これは今度こそ追い出される流れになることを覚悟するしかないかな・・・。

 

 

「あ!あ、あのクレイ姉さん・・・。」

 

 

「ん?なんだ、ルキア。」

 

 

「・・・無断でLBXを持ち込んでしまって申し訳ございません・・・。」

 

 

「ん?あぁ・・・その事か。まぁ今は気にするな。この件は後で話そう。まずは、掃除をしなければな。ルキアはガラスの破片集めを頼む。そこのLBX!お前も手伝え!」

 

 

「お、おう!じゃなくて、はい!やります!」

 

 

とにかく神谷家の安全は確保できた。誰の差し金なのか。何の目的で・・・?でも、気になっていてもしょうがない。そう思う事にして、俺はクレイさんと共に掃除用具を持ち出しに向かった。

 

 

そういえば、フライパンの下敷きにされたあのLBXの処理はどうするのだろうか・・・。

 




はい、ということで。ども、はるばーどでーす。いきなり強敵との戦いになってしまった・・・。自分で考えていた話ともズレてしまったので、早く投稿できず申し訳ないです。

ちなみに、あの竜体モドキのは普通に海道 ジンより少し強いくらい持の戦闘力を持っていました。流石に強すぎた・・・。そしてクレイ姉さんイケメン過ぎ。女性だけど。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 家族会議

DARK SOULSシリーズでは、絶対に厨武器と呼ばれている武器が存在する。例えば、DARK SOULS3だけをやっていれば、輪の騎士の双大剣を想像するだろう。L1を連打するだけで勝ててしまうものなので嫌われ武器である。

だが、安心してくれ。初代DARK SOULSにはエグい武器や魔法が沢山あるから。緩やかな平和の歩みとか、初代神の怒りとか、結晶エンチャされた石の大剣などを見れば、きっと可愛く見えてくるから。


それはおいといて本編。


あの竜のLBXとの戦いから数日が経過した。アレンくんも幸い大怪我にならず、すぐ退院となって帰ってきた。その間、何があったかというとやはり近所の家に火事か何かだと思われたらしく、救援要請が警察にでていた模様で家に警官達がやってきた。

 

 

俺はてっきりLBXである自分を警官達に引き渡されると思っていた。しかし、神谷姉弟が全員で庇ってくれていたおかげで、俺は警官に引き渡されずにすんだ。

 

 

理由を聞くところによると、「お前は、命の恩人だからな。そんな、恩人を売るような真似はしない。」ということらしい。なんという、立派な人間性をお持ちの姉弟だこと。

 

 

あ、ちなみにその一言を言ってくれたのは、クレイさんである。カッコよすぎ。惚れそう。

 

 

しかし、犯人である竜のLBXも引き渡さなかったのは解せん。さっさと警察に引き渡せば、この後の取り調べが長引かなくすんだものを。なぜなのだろうか。

 

 

もしかして、弟の為なのかもしれない。奴を警察につきだせば、この事件をきっかけに本当にLBXという玩具は、取り扱い禁止ということに法律でなりかねないとでも思ったのだろうか。

 

 

だとしたらますます、神谷 クレイというこの女性は有能ということになる。やっぱり、この人元FBI捜査官かなんかだったんじゃないのか?と思うぐらい、優秀すぎる。

 

 

そりゃ、妹達も信頼してついてくる訳だ。だってこの人がいれば何しなくても生けていけそうだもん。料理もできて、家事もしっかりこなし、姉弟の面倒までみてくれる。完璧としかいいようがない。なんとなく、前世では兄弟が一人もいなかった俺としては羨ましくなった。

 

 

とにかく、この事件を警察はガス管の爆発事故として処理した。ガス管の爆発で窓のガラス割れるのか・・・?といった多くの疑問が残るが、気にしないでおこう。きっと察してくれたのだろう。そう思っとこう。

 

 

さて、現在に戻ろう。今私は何処にいるでしょうか?答えは簡単。リビングの机の上だ。

 

 

しかも、家族会議の真っ只中に正座されられている。嘘だろ・・・。リビングには机を取り囲む形でで3つの椅子が配置されていている。そして、それぞれルキア、アレンの順番で座っており、真ん中に代表でクレイさんが腕を組んで座っている形となっている。

 

 

現在は、午後6時。部屋は、机上の照明一つなので薄暗く重苦しい雰囲気をかもし出している。そして、ルキアちゃんとアレンくんは怯えた表情をしながら下を向き、黙り続けている。沈黙が続く中、先に口を開いたのは当然、暗い表情を浮かべていたクレイさんだった。

 

 

「さぁ、お前達。何か言いたいことがあるんじゃないのか?」

 

 

重量のある声が響きわたる。俺のことを隠していたのに対して、激怒しているのか?当たり前か。ずっと今まで安全のために禁止していたもんな。

 

 

でも、この状況の中でど真ん中に正座されてるのマジでキツい・・・。だってこの姉ちゃんカッコいいけど、怖いんだもん・・・。地獄の審判にかけられてるみたいなんだもん・・・。するとその時、

 

 

「ごめんなさい!姉上!!オレが悪いんです!」

 

 

とアレンくんが真っ先に謝った。お、おい・・・。大丈夫かよ?理由も思いつかずに特攻しちゃった感じするよ!?

 

 

「ほう、なぜそう思ったんだ?理由を私は聞きたいな。」

 

 

「え、えと・・・。それは、オレがLBXを欲しがったからで・・・」

 

 

その後、5秒くらい間が空き、

 

 

「それで・・・ルキア姉さんが・・・その・・・。」

 

 

とだけ言いアレンは、黙ってしまった。ヤバい。アレンくん、あまりの威圧感に負けて口ごもっちゃってるよ!?どうすんのこれ!?三人とも誰も悪くないし、俺何も言えないんだけど!?

 

 

 

「ルキア、お前なのか?LBXを持ち込んだのは?」

 

 

「・・・は、はい。アレンがLBXで遊べなくなって落ち込んでいる姿を見ていられなくなったんです。それで・・・。」

 

 

「それで?だから私に秘密でLBXを買いにいったのか?」

 

 

「ち、違います!買いに出かけたのは確かですが・・・。でも、ハルバさんが道に乱雑に捨てられていて・・・!LBXが手に入ると思うと耐えられなかったんです・・・!だから・・・無視できなくて・・・!」

 

 

ルキアちゃんが半泣きになりそうな顔を浮かべて、必死に俺とアレンくんを庇ってくれようとしている。この状況で何言えないのがマジでつらい。

 

 

「で?実際そうだったのか?LBXくん?」

 

 

ヤバい。俺に話を振ってきた!?でも真実を言うしかない。そうしなければ、ルキアちゃんと俺の努力が水の泡になってしまう。そして、アレンくんへの願いが・・・!

 

 

「は、はい。クレイさん。確かに俺は、道に倒れていてたところをルキアちゃんに助けてもらいました。でもそれは、アレンくんを元気にしてあげたかっただけだと。実際、俺もその事を望んでいましたし。」

 

 

「そうか・・・。」

 

 

すると、今の一言に吹っ切れたのか、バァンとクレイさんは机に勢いよく両手を叩きつけた。そして、立ち上がり

 

 

「!確かに、弟のためにLBXを持って帰りたかった気持ちは分かる!私もLBXを禁止にして落ち込んでるアレンを見ているのは辛かった!後悔してる!でも・・・、なぜその事を!!アレンをなんとかしようと思ったその気持ちを・・・私に話してくれなかった!!?」

 

 

とルキアちゃんに向かって大声で叫んだ。衝撃だった。彼女が怒っていた理由は、決まりごとを破ってしまったことでも、LBXである俺を隠していたことでもなかったからだ。

 

 

家族で決めた決まりごとを視野にいれつつも、彼女は家族に困っているときは相談してもらいたかったからなのだ。・・・やっぱりこの人は、本当に家族を思いやっているんだ。そう痛快されられた。

 

 

「で、でも姉さんは、LBXを持ち込んだ場合即座に捨てるって・・・。」

 

 

「ああ、言ったさ。でも、だから?それはアレンの為だったんだろう?だったら、そう言って欲しかったよ。アレンの為になんとかしてあげたいってさ。」

 

 

「・・・。」

 

 

正論だ。でも、これは俺のせいでもある。彼女の話を聞いたときに内緒しなくてもいいとか色々考えてみれば、もっといい結果は生まれたかもしれないのに。でも、過去の出来事を今さら嘆いても、もう遅い。この状況をなんとかしないと。そう思っているとクレイさんは再び、椅子に脱力した感じで座りこみ

 

 

「・・・すまない。ハルバくん、だったか?見苦しいところをみせたな。私の悪い癖さ。家族のことになるといつも・・・」

 

 

と言いたいことを全部姉弟達に言い切った形で俺に謝罪してきた。そして、俺は

 

 

「クレイさん。二人は、悪気があって俺を拾ったんじゃない。俺も悪かったところもあった。内緒にしていたことは謝る。でも、記憶がないから俺には行くところも帰る場所もない。元の持ち主がどんな人物でどんな顔だったかすらかも覚えていない。二人は、その事を理解して匿ってくれた。俺の為でもあったんです。だから、こんな立場で言えないけど、二人を許してもらえないだろうか?頼む、二人は俺の恩人でもあるんだ・・・!」

 

 

と少々、アドリブが混じりつつも、俺はジェスチャー「土下座」をしながら彼女に頼みこんだ。見苦しいのはこっちだったかな?まぁ、しょうがない。二人の為だ。すると、クレイさんは、暗い表情から軽く笑いだした。そして、

 

 

「ふふふ・・・面白いLBXだ。玩具なのに、我ら姉弟のことを想ってくれているなんてな。全く・・・。わかった。お前は、私達姉弟を救ってくれた恩人だ。恩人に頭を下げられてはこっちもたまらない。」

 

 

「ッ!?姉さん、それって・・・!?」

 

 

「あぁ、ハルバくんをここに置いておくことを許可しよう。だが、忘れるな?もう二度と家族に隠し事はするな。関係に傷がつく行為は私が許さん。そして、ハルバ!置いてもらうからにはお前には家族を笑顔にしてもらうために相応の努力をしてもらうぞ!いいな!?」

 

 

「もちろんさ、よろしく頼む。クレイさん。」

 

 

「いいの!?姉さん!ハルバードさんここに居ても!?」

 

 

「あぁ、もちろんだ。但し、もう家具を破壊するようなことはするんじゃないぞ。」

 

 

「分かってますよ!オレ、もう二度としません!約束します!」

 

 

「よし、ならもう行っていいぞ。疲れただろう。」

 

 

「はい!」

 

 

アレンくんは嬉しそうに部屋に戻っていった

 

 

「それと、ルキア。・・・お互い家族を思いやってやったことなのに少々言いすぎてしてしまった。すまなかった。」

 

 

「大丈夫ですよ。クレイ姉さん。こちらこそ申し訳ありません。」

 

 

「だから謝らなくてもいいってのに・・・全くお前は。」

 

 

そして、この後、俺とクレイさんは大きさの違う手をつなぎ協定みたいなことを約束した。もちろん、LBXとして生まれ変わったからには、人を楽しませないとな。俺はそう思った。

 

 

ふぅ、なんとか一安心だぜ。これで、心置きなくこの家を探索できる。そう思い、ルキアちゃんを連れて家の探索を開始しようとすると、クレイさんが俺とルキちゃんに再び収集をかけた。なんだろう・・・?疑問が浮かぶがまずは行ってからだな。

 

 

「それとそうだ。すまない、お前達。二人にはこいつをどう処分するか決めてもらいたくて、再び呼んだ。」

 

 

彼女は、ポケットからあの竜のLBXを取り出した。忘れてた。奴には相応の罰が必要なんじゃないかな。よぉし、一発殴らせろ。

 

 

「おい!ハルバくん!早まるんじゃない!いまにもそいつを殴ってしまいそうなほど憎悪のオーラが漂っているぞ!ルキもなんか言ってやってくれ!」

 

 

「いえ、クレイ姉さん。もう、殴ってしまってもいいのではないでしょうか。」

 

 

と冷たい一言を返すルキちゃん。あ、クレイさんが「いや、何言ってんの?こいつ?」みたいな顔して驚愕している。

 

 

「ルキアまで、何を言っているのだ!ハルバくん、とにかくやめるんだ!」

 

 

いいや、ダメだ。俺は止まらねえ・・・!くらえ!我が渾身の一撃ぃ!俺は、奴の頭蓋目掛けて拳(セスタス付き)を振り下ろした。拳がガンと音を立てる。すると、

 

 

「い、痛えッ!!?。何すんだいきなり!?」

 

 

なんと、奴が目を覚ましてしまった。しまった、手加減無しで殴ったから結構響いたかな。あちゃー、ラリホーで眠らした敵を自分で殴って起こしてしまった感覚だわ。

 

 

てかあれ?なんか、声変わってない?「カバじゃなーい?」とかいいそう。家でも食いそう。いや、性格に言うとカタカナからひらがなになってるのだけどさ。

 

 

「お前ッ!?目覚めたのか!?」

 

 

「ハルバさん。ちょうどいい機会です。今のうちに粉々に壊してしまいましょう。」

 

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれよ!初対面ななのに粉々にするとかヒドいにも程があるじゃないか!?」

 

 

ん?今こいつ、初対面って言ったのか?ますます分からん。ここを襲った理由が聞きたかったのに、目覚めた瞬間いきなり記憶喪失にでもなったとでもいうのか?

 

 

「お前、俺達を襲ったことも含めて、もしかして何も覚えていないのか?」

 

 

「ああ、覚えてねえよ!あの時、死んで目が覚めたと思ったらいきなり神谷重工とかいう奴らに誘拐されて、洗脳術みたいなのをかけられたんだよ!」

 

 

奴は必死に弁解してくる。ってことはもしかしてこいつも俺と同じ転生者か何かなのか?死んで目覚めたとか、どう考えても俺と一緒の展開を送ってるみたいだし。

 

 

「なぁ・・・どう思う?二人とも。」

 

 

「うーん、どう考えても怪しいな・・・。」

 

 

「ハルバさんみたいに超高性能LBXかもしれません。即刻、排除が妥当かと。」

 

 

「どんだけ私のこと恨んでんの!?」

 

 

ツッコミを入れる謎の竜体モドキ。うーん、どうしようかコイツ。あ、良いこと思い付いた。

 

 

「ねぇ、二人とも。提案があるんだけど。一旦こいつと二人にしてもらえないかな?話し合いで解決できるかも。」

 

 

「それはなぜだ?ハルバくん、奴の言っていることは全て嘘かもしれないのだぞ?」

 

 

「クレイ姉さんの言うとおりです。貴方だけでは、危険すぎます。また、いつ襲いかかってくるか分からないのですよ?」

 

 

「いいからいいから。ここは、俺に任せてよ。LBX同士なら通じ合える話題もあるかもしれないしさ。」

 

 

奴もそうしてくれと言わんばかりに首を振って、何度も頷いている。気持ちは分かる。隣に殺意むき出しの人が睨んでくるんだからさ。意地でも居たくないのだろう。

 

 

「・・・分かった。くれぐれも気を付けるのだぞ。ハルバくん。」

 

 

「あの!姉さん!大丈夫なのですか?二人にしてしまっても!?。」

 

 

「まぁまぁ、ルキアちゃん。任せてくれよ。また、暴れだしでもしたらコテンパンにしとくから。」

 

 

「ちょっとあんた、何さらっと怖いこと言ってんの!?」

 

 

横からツッコミが聞こえてくるが、気にしないでおこう。ルキアちゃんも納得がいかなそうな顔をしていたが、一応二人には自室に行ってもらうことにして人払いを済ませた。さて、ここからが本題だな。色々、聞けそうなことがありそうだし。

 

 

「ふぅ、あんた。助かったよ。あの嬢ちゃんに睨まれたときには、流石の私でもびびったよ。」

 

 

「うん、まぁ・・・。気にすんな、悪い子じゃないからさ。あぁ、見えても。」

 

 

「そうか。いやぁ、しかし参ったな。私は、自衛隊でな。ペルシャ湾の機雷撤去にかりだされたから、戦闘機に乗ろうと思ったら急に気絶しちまって。気が付いたらここにいたって訳なんだがよ。信じてくれる訳ねっか。あんたも、会話はできるけどここで生まれたんだろ?あんたみたいに俺も、体がロボットみたいにされちまって、変な感覚だよ。」

 

 

やっぱり、転生者か。でもペルシャ湾の機雷撤去とか言ってたし、この人いつの人間なんだろうか・・・。もしかして、俺がいた時代からやってくるとは限らないのかな。当たり前か。どんな時代や人物でも、転生先は流石に決められないし。でも、この人なら自分が同じ転生者ってことを分かってもらえるかもしれない。そうなれば、大分心強い。なんとか、言いくるめなければ。

 

 

「いや、実は俺もなんです。」

 

 

「わっはっはははは。そうか!あんたもかい!・・・って今なんて言ったの?」

 

 

「俺も実は、一度死んだんですよ。おそらく、心臓発作で。」

 

 

「・・・本当に?」

 

 

「・・・本当。」

 

 

「随分、直球に言うんだね。あんた。」

 

 

「同じ転生者であろう人に言いくるめたこと言っても、仕方なくない?」

 

 

「そうか・・・。そうだよね。」

 

 

この後、3分くらい彼は、何やら考え込んでいる様子がみられた。無理ないな。いきなり、転生してから誘拐されて洗脳され、一般人襲わされて記憶失なったら。てか結構つらいな、それ。とりあえず、彼に名前を聞いてみよう。」

 

 

「あのー・・・。名前とかって覚えてます?」

 

 

「いや、過去に何があったとか出来事とかの記憶ならあるだが、名前だけはどうにも思い出せない。」

 

 

「そうですか・・・。お互いに何があったか話しませんかね?」

 

 

ということでおそらく襲ってきた犯人の正体は、実は俺と同じ転生者だったみたいなので事情をお互いに交換することにした。




いきなり、重い内容になってしまって申し訳ありません!だが、反省も後悔もしていない(報復霊に一回処されるべき)

神谷姉弟の口癖で誰か分かるように簡単に説明しますが

神谷 クレイが偉そうで割りと生真面目。

神谷 ルキアが超敬語で会話するけど性格が暗いので言うことも暗め。

アレンが明るい少年という感じ。原作突入までもう少しありますので、誰か判別できるようにお願いします(原作には、似たような口調のキャラクターがでてくる可能性があるので)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 新たな仲間

今、Youtubeで「ダンボール戦機」が配信されているので、物語を思い出すのに重宝してます。ダンボール戦機を知らない君も、この期にダンボール戦機全話制覇して、LBXを好きになろう!しかし、ダンボール戦機WだけDVDが少ないのは解せぬ。なぜだ。

それはともかく本編いきます。


「へぇ、そうなんですか。自衛隊の隊長だったんですか。」

 

 

今、俺は何をしているかというと過去から転生してきた、竜のLBXと話し合っています。おそらく、1960年代くらいの人間だと思われる。歳は40代だろう、多分。何も知らない人がここから読み出したとしたら、どういう状況か理解できないと思う。例えとしては、映画を開始40分後から見始めたような感覚。何を言ってるのかわからないと思うけど、安心してくれ。俺も分かってない。

 

 

「そうなんだよ。あのころは、世界中がまとまってない感じがあって大変なんだよ。・・・ところで2020年から来たって言ってたけど、もうその頃には空飛ぶ車とか出来てるの?」

 

 

「いや、普通に地面走ってる。」

 

 

「じゃあ、人々は電話とか自分で持っているのが当たり前になってたりする?」

 

 

「うん、そのところはそんな感じ。ていうかボタンがいらなくなってタッチ操作になったりするよ。」

 

 

「た、たっちそうさぁ?」

 

 

「まぁ、この時代でも多分存在してるから、自分でみてみるほうがいいんじゃないの?」

 

 

「そうだなぁ・・・。」

 

 

なんだこの会話。情報交換はどうした、情報交換は。とりあえず、俺はこの世界が未来であることを目の前のおっさんに説明した。流石になんとなく彼も察しはついていたらしく、すんなり納得した。だが、やっぱりこの家を襲撃をしたことは覚えていないようだった。

 

 

神谷重工という組織・・・。聞き覚えしかないその単語のことは一旦置いておいて。これで、彼をどうにかこの家に置いてもらえないか説得する必要がでてきた。理由としては、同じ転生仲間である彼を放っておく訳にもいかないし、何よりまた誘拐でもされて洗脳されたら、こちらもたまらない。この人、普通に強いし。俺は、襲撃時の状況を説明し、彼にどうにか姉弟に対して謝ってもらうように説得した。

 

 

「分かった。お前さんが言うなら、あのお嬢さん達に喜んで謝罪しよう。私もお前さんの協力なしでは、この世界に馴染めずに死んでしまうかもしれんしな。私も、置いてきてしまった女房のためにも、帰る方法を探したい所存なのでな。」

 

 

お、おおう。おっさん、奥さんいたんかい。この世界に来てから、家族思いの人にしか出会ってない気がするのは、気のせいだろうか?でも、家族思いは俺も一緒だし、大歓迎だけども。すると、コンコンと扉を叩く音がし、

 

 

「ハルバくん?そっちは大丈夫なのか?随分と長引いているが。」

 

 

話が長引いている我らのことを心配したのか、クレイさんがこちらの状況を確認してきた。おそらく、ルキアちゃんも一緒にいるのだろう。

 

 

「来たぞ。おっさんは覚えてないかもしれないけど、向こうはあんたにご立腹だ。気を付けてくれよ。」

 

 

「分かってるよ。私も、伊達にここまで生きてきたわけじゃない。せっかくなら、大人の謝罪というものを見せてやろうじゃないか、お兄ちゃん。」

 

 

あれ?俺、自分の年齢言ったか?いや、言ってないはず。でも口調とかで察せられるものか。まぁ、いいか。見せてもらおうじゃないの。大人の度胸ってやつをさ。

 

 

彼も迷惑をかけた実感は湧かないようだが、何度か飲酒で酔っぱらって友達に迷惑をかけたことはあったようなので、本人いわく慣れているらしい。ということなので、俺は二人の姉弟を招きいれるために扉に向かって話し始める。

 

 

「二人とも。竜のLBXから話があるそうだから、部屋入ってきて。」

 

 

「・・・?。分かった、入るぞ。」

 

 

二人が入室した直後、彼は正座をしすぐさま土下座に入れる体制をとった。流石、昭和の人。武士の名残が垣間見えたきがする。

 

 

「今回、お二方には随分迷惑をかけちまったようで誠に申し訳ないことをした。このロボットのあんちゃんにも、先ほど謝罪させていただいた所存でございます。お嬢さんらに許してもらえるなどとは思っておりませんが・・・。切腹でもってこの私、お詫び申し上げると存じます。」

 

 

と彼は、腰に下げていた「氷の刺剣」を左下に置き、初め、顔を下げた。えぇ・・・。切腹ってお前、確かに武士みたいな心構えはしてたなーとは思ってたけど、流石にそれはやりすぎなんじゃないの・・・。それもう、江戸時代の人間だよ。腹切りするとか、どんな教育受けてきたんだよ。

 

 

流石のクレイさんとルキアちゃんもその態度に対して、たじたじになっており二人とも、困惑する様子が伺える。数秒間、考え込んだ様子を浮かべた後にクレイさんが口を開いた。

 

 

「分かった分かったから。顔を上げてくれ。それでは我々の面子が・・・」

 

 

「嫌です。許してくれるまで私は、顔を上げるわけにはいかんのでな。」

 

 

武士道を貫いてるなぁ、このおっさん。でもいい心構えだ。操られていたときとは、大違いだなぁ・・・。でも、この素晴らしい状況の中ひとつだけ問題点がある。

 

 

それは、ルキアちゃんがいまだに漆黒のオーラを全開にしていることだ。気のせいだろうか、赤い稲妻もはしっている気が・・・。色のない彼女が持つ虚ろの瞳から、憎悪が沸々伝わってくる。

 

 

一旦、彼女と一緒にこの場を離れたほうがいいような気がしてきた。話し合いをいつぶち壊してしまうか分からん。とにかく、彼女を移動させよう。うん、そうしよう。

 

 

「ル、ルキアちゃん・・・?一旦この場から外れませんかね・・・?怒りが押さえられなくなりそうに見えるからさ・・・。ね?」

 

 

すると、クレイさんも薄々気づいていたのか彼女の方を向き、冷静な顔をし

 

 

「ハルバくんの言うとおりだ。ルキア、怒りは最もだがこの場は私に任せて外してくれないか?」

 

 

と彼女にこの場から離れるように指示してくれた。俺が何を言っても耳を傾けてくれなさそうだったから、ありがたいね。

 

 

すると、ルキアちゃんは一旦落ち着くために深呼吸をし始めた。そして、落ち着きを取り戻したのかいつもの冷静な表情を浮かべた。

 

 

「・・・わかりました。ですが後で話し合いの結果、教えてくださいよ。」

 

 

「もちろんさ。家族に隠し事は無しさ。お前達は、自室にいっててくれ。後で、私も向かうつもりだから、ハルバくんと一緒に待っててくれ。ハルバくん、頼んだぞ。」

 

 

「おうよ。これからの方針もルキアちゃんに説明したいし。行こ、ルキアちゃん。」

 

 

「・・・はい。」

 

 

ということで俺達は、一旦自室に向かうことになった。

 

 

~3時間後~

 

 

あれから俺とルキアちゃんは、帰ってきたアレンくんを加え、どうLBXバトルをするかなどを話し合っていた。どうやら俺はCCMに接続しても操作を一切受け付けないらしく、コントロールが上手くいかないらしい。原因は不明。完全に自我を持ってしまったらしい。

 

 

ということなので、もしLBXバトルとかになった場合、ルキアちゃんが戦況や情報を見極めてメールで俺に送ってもらう形になった。

 

 

なんだかドラクエのパーティーみたいになったけど、そもそも彼女はLBX操作が苦手だったみたいなので、丁度良かったのかも。そして、メンテナンス等はアレンくんが担当してくれることになった。少々不安ではあるがまぁ大丈夫だろう。きっと。

 

 

ていうか、クレイさんとあのおっさん遅くないか?あれから3時間近くたったのに一向に出てこない。生真面目そうな二人が話し合っているからかなのか?すると、隣室から扉を開く音がした。そして、こちらに近づいてくる足音がした。やっと終わったのか。

 

 

でもおっさん追い出されるんじゃないんかな・・・。仮に滞在を許されたとしても、ルキアちゃんに撲殺されそう。許してやる雰囲気0だし。すると、クレイさんが肩におっさんを乗せて部屋に入室してきた。

 

 

「すまない。遅くなったな。」

 

 

「それでどうなったのですか?クレイ姉さん。」

 

 

「ルキア。お前は納得できないかもしれないが、彼はこの家に滞在することになった。」

 

 

「・・・ッ!!??」

 

 

えぇ・・・。何故そうなったんだ?理由を聞いたところによると、クレイさんは彼の武士道っぷりに押されてしまったようだ。おっさんも家族愛が強く、共感できるところが多かったみたい。

 

 

でもこれでとりあえずおっさんは無事に預けてもらえそうだ。良かった・・・良かったのか?ルキアちゃんが再び、漆黒のオーラを纏い始めてるしいいのか?これで。すると、彼がルキアちゃんの前に立ち

 

 

「ルキアの嬢ちゃん。あんたが納得できないのは私にもわかる。だが、この埋め合わせは必ずする。だから頼む、ここに置いてくれないか?」

 

 

と再び頭を下げた。このおっさん頼み事してばかりだな・・・。流石に気の毒に思えてきた。でも、ルキアちゃんのことだ。そう簡単には許してくれるとは思えない。そう考えているとルキアちゃんが

 

 

「しょうがないです。私も許します。クレイ姉さんが許すなら。」

 

 

とあっさり許してしまった。いや、軽ッ!!??

 

 

ルキアちゃんて実はちょろかったりするのか?いや、でもクレイさんの影響か。きっとそうだ。そう思うことにしよう。ついでにルキアちゃんを怒らせたらクレイさんに絶対に立ち合ってもらお。なんとかなる気がする。

 

 

「かたじけない。このご恩は忘れない。ルキア嬢。」

 

 

「ル、ルキア嬢ってお前な・・・。ヤクザかなんかお前は。」

 

 

「あんた以外にはこの態度でいかしてくれよ。(小声)」

 

 

「氷みたいに冷たい性格してくれるルキちゃんに通じるのか?」

 

 

「何か言いましたか?」

 

 

とルキちゃんが凄い形相でこちらを睨んでくる。

 

 

「いいえ、滅相もございません。ルキアちゃんいえ、ルキア様。」

 

 

という形で謝罪しておいた。呆れた表情をされたがまぁ問題ないだろう。多分。

 

 

「そういえばお前の名前、まだ聞いていなかったな。」

 

 

とクレイさんが発言した。そういやそうだ。おっさんの名前、まだ決めていなかった。ドラゴンのLBXだから、出来れば格好いい名前にしたいけど・・・。

 

 

「私もハルバの旦那と同様に名前は忘れてしまった。だが、あんたら姉弟が決めてくれるのなら私も本望だ。」

 

 

と俺達に名前を決めてくれるようお願いしてきた。うーむ、どう決めようか。・・・とりあえず、ここは姉弟達に案を聞いてみますかね。

 

 

「どうする?3人とも何か名前決まった?」

 

 

「そうだ!これなんかどうですか?「スーパーメタリックアルティメットチャンピオンドラゴン」というのは?」

 

 

と提案してきたのはアレンくん。いや長いし、しかもダサい。却下で。

 

 

ただカッコよさそうな単語くっつけただけだし。やはり、7歳の男の子だとそういうことになってしまうのか。ここはカリスマ性のあるクレイさんに決めてもらいたいな。

 

 

「クレイさんはどうですかね?何か名前決まった?」

 

 

「オレの提案は無視ですか!!?」

 

 

とアレンくんが動揺しているが、このままスルー一択で。

 

 

「うーん、そうだな・・・。こういうのはどうだ?「ロックトカゲ」なんてのは?」

 

 

「却下で。」

 

 

と俺が無慈悲な返答を返すとクレイさんが「えーッ!?」みたいな顔をし始めた。

 

 

いや、あんたも大概変わってないよ?大丈夫?明らかにこいつのこと馬鹿にしてる感もあるよ?なんでも英語の単語くっつけりゃいいってもんでもないぞ!?

 

 

はぁ、これにはどうしようもない。ルキアちゃんにも提案してもらおうか。

 

 

「ルキアちゃんはどう?何か思い付いたかな?」

 

 

とルキアちゃんに質問を振ってみる。でも個人的に嫌な予感しかしない。しかも物凄く。

 

 

「そうですね・・・。ここは無難に「暗黒丸」とでも名付けて置きましょう。」

 

 

と得意気に発言するルキアちゃん。いや、何が無難に名付けようだよ!!?全然無難じゃねーよ!?悪意しか感じられないよ!?

 

 

なんかこう・・・もっといい名前あるでしょ!?神話の登場人物とかで例えば、アキレスとかさぁ!?まぁそれはオリジナルもうすぐ出てくるからダメだけど!?

 

 

あぁ、この人達ネーミングセンスないよ、絶望的だよ。あまりに完璧すぎると思ったらここに穴があったか。しかも姉弟揃って似てるってやっぱり遺伝だな。

 

 

「ああ!もういい!君達に任せていると日が暮れそうだよ!」

 

 

「そう言われてもだな・・・ハルバくん。君は何かいい案があるのか?」

 

 

うーん、確かに案があるかと言われてもまだないんだよなぁ。でもこの姉弟に任せていたらおっさんの名前がめちゃくちゃになりそう。なんとか呼びやすい名を考えなくては。

 

 

そうだな・・・、ヨーロッパ地方の竜の名前で何かいいのなかったかな?

 

 

「・・・そうだ!これなんかどうかな?【ドレイク】ってのは?ヨーロッパの中世に描かれたドラゴンの名前なんだけど。」

 

 

「おお!格好いいです!ハルバさん!オレが今考えていた「ゴルゴ・ゴールド・ドラゴン」よりずっといいです!」

 

 

「いや、しりとりじゃねえか!?もうちょいひねれよ!」

 

 

「私が今考えていた「ロック・ザ・ムサシ」よりずっといいな・・・。」

 

 

「私の「漆黒の瞳」よりも・・・」

 

 

「お前ら、絶対悪意あってそれ言ってるよね!?面白がってやってるよね!?名前つける気ないよね!?後、ルキアちゃんに至っては異名だよね!?名前じゃないよね!?」

 

 

と漫才コントみたいな会話をしていると、

 

 

「ありがとうな、オメーら。私のためにここまで考えてくれるとは、本当にありがとう。だが、私も「「ドレイク」」という名前が気に入った。今日から私は、この名を名乗りあんたら姉弟達に仕えさせて頂きます。」

 

 

と感謝の言葉をかけられた。三人とも「それほどでも」という感じに照れている。いや、名前考えたの俺なんですけど。

 

 

「そして、ハルバとやら。同じLBX仲間として、これからどうぞよろしくお願い致します。」

 

 

良かった。俺のこと忘れていた訳ではないのか。安心した俺は、彼と手を繋ぎ

 

 

「おう、これから頼むぜ。相棒、いやドレイクくん。」

 

 

と誓いを立てた。こうして俺達は、この姉弟「神谷家」を守る番人となったのだ。だが、このLBX騒動が切っ掛けとなり、世界の命運を左右する戦いに巻き込まれることをまだ彼らは知らない。




遅くなりました。はるばーどです。ここから、ダンボール戦機の原作キャラクターと関わり始めます。まだ、オリジナル展開は、続きますが近い内にイノベーターとの戦いに加わるのでもうしばらくお待ち下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 ダンボール戦機の始まり

皆さんは、DARK SOULSシリーズのキャラクターで何が好きですか?いろいろいますよね。例えばソラールさんとかジーク家の方々とか、スモウみたいなマニアなキャラが好きという人もいるでしょう。皆、好きなキャラがいて批判するのは良くないと常々思いますね。

え?僕の好きなキャラは何かですって?そりゃもちろん、パッチ(もといラップ)とフリーデ様ですよ何言ってるんですか。フリーデ様万歳!!(洗脳済み)


それはさておき、本編いきます。


あれから2年の歳月が経過した。それまで何が起こったかというと、1年前にLBXは本格的に禁止にされる危機を迎えようとしていた。それはこの俺「ハルバード」や相棒の「ドレイク」も例外ではなかった。

 

 

全てのLBXが廃止される。そんな時2046年に霧島平治という男がついにやってのけたのだ。彼は、「強化ダンボール」という代物を開発し、我々LBXを救う切っ掛けとなってくれた。強化ダンボールとは、内外からの衝撃を80%吸収してしまう革命的な緩衝材でつくられたダンボールのことを指す。要するにめっちゃ頑丈なダンボールのことだ。

 

 

人を殺めてしまいかねない力を秘めている俺達LBXは、その革命的な箱の中のみ、使用が本格的に許されることになったのだ。このおかげで俺達二人は、隠密生活を過ごさなくてよくなった。

 

 

しかしこの2年の間、俺達は何もただ指咥えて、強化ダンボールの発明を待っていたわけではない。ちゃんと来るべきときに備えて、特訓や役割などを決めておいた。俺も必殺ファンクションが使用可能になったし、ドレイクくんも本来の戦い方を思い出した。

 

 

新しく「キタジマ模型店」という店をクレイさんが発見し、気軽にメンテナンスをしてもらえる店を見つけてくれた。アレンくんのメンテは申し訳ないのだが、いろいろ無理があって直るどころかボディが傷つきかねん状態にされてしまう事態が発生してしまうので、ありがたい。いつか、アレンくんも頑張ってメンテの技術を学んでほしいとは思ってるんだけどね。いや、ホントにさ。

 

 

あ、ドレイクくんはクレイさんの専用機となり、武器を変更するために、キタジマ模型店に「綻び刀」と「聖壁の連装クロスボウ」を取り寄せてもらい、新たな戦士となった。

 

 

ちなみに初めに持っていた、「骨の拳」と「デーモンナックル」の融合体みたいな武器は、ルキちゃんに粉砕された。本人いわく「この武器から変更しないなら、私があなたを粉々に粉砕いたします。」とのこと。理由は、当然事件のことだろう。まぁ、仕方ない。でもドレイクくん、ちょっと泣きそうになっていたな。機械だから泣くも糞もないのだけれども。

 

 

そのような大きな変更点があり、俺達はついにLBXバトルというものを体験することに成功した。最初は少し不安だったけど、そこは流石俺。黒騎士の斧槍と同じく模型店から取り寄せた「アヴェリン」という三連クロスボウを巧みに扱い、試合をルキちゃんと共にこなしていったのさ。

 

 

今のところ、負け試合はない。正真正銘、全勝だ。そして俺達はいつしか二つ名がつけられていた。ルキちゃんと俺は「殺戮の八咫烏」、クレイさんとドレイクくんは「魔勇者」なんていう物騒な異名がミソラタウン中に轟いていた。

 

 

理由としては、俺達はおそらく奇襲攻撃やバックスタブ、盾によるパリィで攻撃を受け流し、致命の一撃をよくいれていたりなど狩人っぽい戦い方をしていたからであろう。だって並みの人、近づいたら武器を振ってくる人ばかりだったり、背中ががら空きだったりするんだもん。仕方ないね。

 

 

一方、クレイさんとドレイクくんの方としては恐らくクレイさんの方が印象深いのだろう。というのも、彼女はバトルが始まると某魔勇者さんのような、悪役にありがちな性格になってしまうのだ。笑い方も「フフッ」とかじゃなくて「フハハッ!」というな偉そうな感じになる。後、台詞も「我ら姉弟が真のLBXプレイヤーとなるのだ!」と言ったりしている。そりゃ、魔勇者なんて呼ばれるわ。

 

 

ここもクレイさんの悪い癖なんかなぁ・・・。人には必ず長所と短所が存在するってのもあながち間違いじゃない気がしてきた。今まで、隠れていたことだから気づかなかったけど。あ、ちなみにつねに二人タッグでバトルしてきました。基本、クレイさんがルキちゃんに一人ででかけることを滅多に許さないので。

 

 

さて、だいぶ脱線してしまったので現在に戻ろう。あれから、環境がどうなったかと気になる人もいるだろう。

2047年現在、クレイさんは中学3年生になりかなり大人びてきた。あちこち、いろんなところが発達してきて思春期真っ盛りの俺としては、困惑するばかりである。何かとは言わないが。

 

 

そして、なによりLBXを始めた。これが彼女の1番の変化だろう。なんと学年の中でも最強まで登り詰めたのだとか。流石クレイさんだなぁ。ドレイクくんも相棒が嬉しそうで満足そうだ。

 

 

アレンくんも9歳となり、彼はついにLBXを買ってもらった。種類は「ジョーカー」。ストライダーフレームのLBXで素早い動きを得意とするLBXだ。見た目はピエロみたいな形をしているので、まさしくトランプに描かれている「ジョーカー」そのものである。

 

 

しかし、成長していくにつれ段々やんちゃな性格が強まっており、すぐに危なっかしいことをしようとしてしまう。その度に心配して止めようとするクレイさんと喧嘩になってしまうこともしばしば。高確率でクレイさんが勝つけど。

 

 

そして、俺の相棒であるルキちゃんは中学1年生となった。通っている中学はミソラ第2中学校。原作の主人公である「山野 バン」はどこに通っているのか忘れた。でも、歳が離れているし、もし一緒の学校になったとしても会うことはないだろう。そもそも、もうどんな格好してたかとか覚えていないし。

 

 

最近、彼女はLBXである俺にべったりである。いや、恋仲って意味じゃないよ?とりあえず中学に入学して、不登校からは脱却したものの、中学校はLBX持ち込みありなので結局友達ができずに1日の8割ほどは俺といる生活となっている。俺と姉弟としか会話しない形なので、基本的に教室にいる。まぁ、暇潰しになるからありがたいけどね。

 

 

けどそんな様子なので、周りの生徒からは変人扱いされている。いじめに合わないか心配ではあるが・・・。でも、ルキちゃんは、嫌がらせをしに来た男子生徒とかは軽くあしらっているので問題ないだろう、多分。でも本人いわく、友達は俺だけで十分らしい。だから人の友達はいらないのだそう。照れるけどやっぱり少し心配ではある。

 

 

現在、2時半過ぎ。相変わらず彼女は教室の机に座って窓を見つめながら、5分休みを過ごしている。ルキちゃん、今日体育の授業以外全く席を立っていない気が・・・。流石に心配なので周りに気を配りつつ、俺は彼女に話しかけることにした。

 

 

「なぁ、ルキちゃん。学校終わったらさ、久しぶりにキタジマによってかない?最近、LBXバトルやってないから暇になってきたしさ。」

 

 

「・・・そうですね。気に入った店もありますし、そちらもよりつつキタジマに行きましょうか。」

 

 

「おう!」

 

 

とだけ言って、ルキちゃんとの会話は終了してしまった。慣れない学校生活が続いているからか、疲労しているのだろうか。可哀想に、一緒に遊んでも気が晴れるのかな・・・。そんな心配事を考えつつ、俺は授業が終わるのを待つことにした。

 

 

~3時間後~

 

ようやく学校の授業が終わり俺達は今、予定どおりキタジマ模型店に来ていた。理由は、さきほども行ったとおり最近、LBXバトルをしていないので、ここの店長に馴らしてもらうためだ。そんなわけで、俺とルキちゃんは早速店に入店することにした。そして、ここの店長がいつものように出迎えてくれた。

 

 

「おう!いらっしゃい!ってルキじゃないか!?今日は、またどうしたんだい?最近顔を出していなかったじゃないか。」

 

 

この人は、朱色の髪が特徴であるキタジマ模型店の店長さんである。奥さんの咲さんと一緒にキタジマ模型店を経営しており、非常に優秀で愉快なお人達である。実は店長が俺達のオリジナル武器を制作してもらっており、アヴェリンや綻び刀もその一つだ。どうやって作ったのかは教えてくれなかった。地味に気になるところではあるが

 

 

「ええ、お久しぶりです。店長さん。今日は最近あまりLBXバトルをしていなかったので、店長さんか咲さんにお相手してもらって、馴らしてもらおうと思いまして。」

 

 

「おお、そうだったのか!だが生憎、咲は今商品の仕入れのためにちょっと出掛けていてな。よかったら、俺が相手になろうか?」

 

 

「お願いいたします、店長さん。」

 

 

ということで予定どおりLBXバトルをすることになった。店長さんが使うLBXは「グラディエーター」。ナイトフレームのLBXで、総合的なバランスが施されている機体。武器は一般的に転売されている「グラディウス」と「ラウンドシールド」だが特殊な強化されているようで攻撃力、防御性能が高い。しかも、この機体は店長さんがさらにカスタマイズを施して、更に強化されている。故にかなり強い。

 

 

さっき無敗といったが、実は俺達らは彼には一度も勝てていない。いや、正確には訓練に店長さんが付き合ってくれていただけで、正式に勝負をしたことはないのだけれども。だから無敗ってことにしている。でも彼はかなり手強い、それだけはいえる。

 

 

「よし、ルキ。今日もいくぞ!「グラディエーター」!!」

 

 

と掛け声をあげ、箱のようなジオラマにLBXを投下する。この箱こそが、安全に勝負できる「Dキューブ」と呼ばれる闘技場だ。このジオラマの背景は「草原」。障害物が比較的に少なく戦いやすい舞台だ。しかも、緑がきれい。

 

 

「・・・いきます。「ハルバード」。」

 

 

俺は、静かにジオラマに投下される。相変わらずルキちゃん、覇気がないなぁ・・・。 でも、久しぶりの強敵とのバトルだ。楽しまなければ。

 

 

バトルスタート

 

「さぁ、どこからでもかかってこい!」

 

 

「では。行きます。」

 

 

今回は盾を持っているということで「幽鬼のサーベル」を持ち出してきた。これなら、強固な守りでも容易く突破できるだろう。と開幕、店長さんは挑発するような動きをしてきた。グラディエーターは剣を前に出しながら構えつつ、こちらの様子を伺うような体勢をとっている。

 

 

(ハルバさん、彼は右向きに斧槍をいなそうとしています。)

 

 

と頭のなかにルキちゃんの助言が浮かんでくる。前にもいったとは思うが、実のところ、彼女はLBXの扱いがかなり苦手なのである。しかし、ルキちゃんは相手の動きを読むのが得意なのだ。この前、戦ったときその読みに助けられた。

 

 

そこで、CCMのコントロールがなくても動ける俺が敵を相手にし、ルキちゃんに状況分析や相手の動きを予測するなどをおこなってもらいながら、メールで情報を送って貰うというわけだ。多少、ズルいとは思うが勝てればよかろうの精神でいっているため関係ない。いいね?

 

 

話を試合に戻そう。店長は盾をうまく扱い、カウンターをおこなう戦術を得意としている。そこで、俺達はアヴェリン(クロスボウ)と幽鬼のサーベル(曲剣)を使えば守りを崩しつつ、攻撃を叩き込めると考えたのだ。そうと決まれば、早速彼女に指示を仰ぐことにしよう。

 

 

(ルキちゃん。この守りをどう崩していく?)

 

 

(そうですね、まずはアヴェリンを使って遠距離から攻めていきます。そして、敵を挑発しつつ攻撃を誘えば、必ず必殺ファンクションを叩き込む隙が生まれるはずです。)

 

 

流石ルキちゃん。相手と多くの対戦を積んできて、指示が的確になってきている。よし、その戦術でいこう。早速俺はアヴェリンを取り出し、グラディエーターに三連発ボルトを叩き込む。しかも、この矢には少し特殊な改造を施してある。それは矢の先端部分に火薬を詰めて爆発する仕組みになっているというもの。これならば相手の動きを制限することができるし、それなりにダメージも通る。

 

 

「ば、爆発したッ!?面白い改造をしているじゃないか、ルキ!だがやられたからにはこっちも仕掛けさせて貰おうか!」

 

 

こうして店長との実戦へ向けての特訓が始まった。

 




遅くなってすみませんでした。はるばーどです。こっから原作キャラクターとのバトルをお届けいたしますのでどうかよろしくお願いいたしますm(_ _)m


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 キタジマ模型店~果たし状

ついこの間、ダンボール戦機とダンボール戦機Wの全話放送を全て観てきたのですが、やはりダンボール戦機は最高っすねぇ。特に戦闘シーンのクオリティが昔のアニメとは思えないレベルなんですもん。


え?WARSはどうしたんだって?さぁ、知らないですねぇ(すっとぼけ)


それはさておき、本編いきます。



さて、戦闘開始だ。現在の状況としては真っ直ぐ相手のグラディエーターが盾を構えながら突撃してきているという感じである。しかし、こちらにはルキちゃんという強力な司令塔があるのだ。今度こそ勝とう。

 

 

俺は釣られて突進してくるグラディエーターに一発かましてやろうと斧槍を上に振りかぶる。だが

 

 

(いけません!そのような安易な攻撃では簡単に回避されてしまいますよ!)

 

 

とルキちゃんから警告を受けた。俺だって何もただ戦いの中、ルキちゃんの指示通りに動いてきた訳じゃない。ちゃんと予測して攻撃をふったのだ。この攻撃はただの釣りでしかない。そして、避けた相手の回避後を狩る。それくらいなら流石の俺にだってできる。

 

 

(大丈夫だ、ルキちゃん。俺に任せてくれよ。それくらいならばルキちゃんの力を借りなくても出来るぜ。)

 

 

カッコいい台詞をふった。もしかして、俺って結構いけてる?いやー、流石のルキちゃんでも動じない訳がないでしょ、これは。そう満身92%の考え事をしていると

 

 

(違います!ハルバさんの考えていることはわかっていますが、相手にも読まれているのですよ!ジャンプで回避してください!)

 

 

え、マジ!?俺は咄嗟に言われたとおりに攻撃を中断して、その場でジャンプし、後ろに後退した。グラディエーターは、読みが外れたのを察したのか同じく後ろに後退した。

 

 

恥ずかしい。ドヤ顔して、決め台詞決めたと思ったのに。これじゃただ恥をさらしただけじゃないか。やっぱり、ルキちゃんの方が状況分析力が優れている。大人しく、ルキちゃんに判断を任せよう。

 

 

(ごめん、完全に慢心でした。それで?どうやって戦う?)

 

 

(全く・・・頼みますよハルバさん。パートナーなんですからちゃんとしてくれなきゃ困ります。・・・さて、まずはアヴェリンで揺さぶりをかけていきましょうか。そして、相手の後ろに回ってお得意の串刺し攻撃・・・何て言うのかは忘れてしまいましたが、それで一気に決めさせて貰いましょう。)

 

 

えーと、多分串刺し攻撃というのは背後をとって致命の一撃を入れる「バックスタブ」。通称「バクスタ」のことかな。よく、対戦中に決めたりしているから彼女にとっても定着してきたのだろう。確かにそれならばどんな機体でも大ダメージ必須だ。

 

 

というか短期間で決めるのか。でも、そうでもしないと、いくらラップ装備の防御性能が高いとはいえ、グラディエーターの攻撃力も高いので、いつまで持つかわからない。長期戦は不利だ、店長さんには悪いが決めさせてもらおう。

 

 

俺は早速、アヴェリン(クロスボウ)を取り出した。そして、片手でリロードを行い矢を込める。さらにルキちゃんが俺の無茶な要望を受けてくれたおかげで、再びDARK SOULSの道具を再現することに成功したのだ。

 

 

その名も「破裂ボルト」と「爆裂ボルト」。破裂ボルトは発射時に拡散をおこし、範囲攻撃を繰り出せる。威力はお察しの通りだが、こけおどしくらいにはなる。そして、爆裂ボルト。こちらは矢の先に「グレネードS」をくっつけた代物。着弾時に爆発をおこし、高いダメージを期待することができる。ちなみに作ってくれたのはルキちゃんである。

 

 

まぁ、説明ばかりしていてもしょうがないのでとりあえず、爆裂ボルトを相手の盾に向けて発射した。もちろん、受けられてしまうが無傷ではすまない。さらに爆風により、盾に相当の不可をかけられるはずである。

 

 

ガキンッ!っと弾かれたような音が聞こえてきたが案の定、爆風により少しだけグラディエーターに貫通ダメージを与えることができた。その証拠に機体の色が少し黒っぽく変貌している。

 

 

「ほう、爆発する矢か。なかなか面白い改造だな。だがその程度ではこのグラディエーターは倒せないぞ?」

 

 

と褒めつつも多少の煽りを店長がかけてきた。この状態を保ち続ければ、いずれは痺れを切らして突っ込んでくるはず。しばらくの間、攻撃を回避してはボルトを撃ち込む体勢を繰り返していると、店長の表情が少し曇ったのが伺えた。そして、グラディエーターも彼の気と同時にこちらに向かってきた。

 

 

「そこだッ!」

 

 

グラディウス(剣)を振りかぶって、切りかかってきた。俺は攻撃を透かすようにすばやく背後に周り込む動きをおこなう。いきなり背後にとられることを予測できなかったのか、判断が遅れているようだ。

 

 

「貰いました!」

 

 

ルキちゃんがそう叫ぶと同時に、俺はグラディエーターを背後から斧槍で突き刺した。コアが貫かれ、機体から光が漏れ出す。そして、BREAK OVERした効果音が鳴り響く。俺達はついにキタジマ模型店の店長から勝利をもぎ取ることに成功したのだ。

 

 

「やりました!初めて勝ちました!」

 

 

「くぅ~ッ!!やられた!つい釣られた~。・・・ふぅ、何を言っても負けは負けだな。おめでとうルキ、強くなったな。」

 

 

「ありがとうございます。いえ、まだまだですよ。これからも頑張っていきますので、どうか付き合って下さいね。」

 

 

「おうよ!次こそは絶対に勝つからな!見てろよ!」

 

 

「望むところです!・・・あの 、申し訳ないのですがまたメンテナンスお願いしてもよろしいですか?弟に任せると壊しかねないので・・・。」

 

 

「了解!任せてくれよ!」

 

 

それはありがたい。マジでアレンくんにメンテを任せると逆に部位破壊されるのではと思うぐらい、雑に修理されてしまう。というか、あれ修理といっていいのか・・・?

 

 

とにかくアレンくんを罵るのはこれくらいにして、店長にメンテを任せることにした。

 

 

~30分後~

 

 

あれからメンテが終わり、俺はルキちゃんにお返しされた。そして、お客さんがいつの間にか増えていた。パッと見て、小学3年生くらいの茶髪の少年。現在は午後の5時半ごろ。こんな時間だから帰ったほうがいいのではとも思いつつ、あまり気にせずに俺とルキちゃんは帰宅することにした。

 

 

とルキちゃんが自動ドアからキタジマ模型店を去ろうとすると少年が目を輝かせて話しかけてきた。

 

 

「お姉さん、凄く強いんだね!さっき店長と戦ってるの観てたよ!おれも早くLBXほしいなぁ・・・。」

 

 

どうやら観戦者だったようだ。にしてもこの子どっかで観たことあるような・・・?いや、気のせいか。でも、観戦してくれていたということはよほどLBXが好きなのか、それとも我々が戦ってるのをただ観に来たのか・・・なんにせよ、元気のいい少年だ。将来おこるであろう、大事件に立ち向かってほしいものだね。

 

 

「そうですか。頑張ってくださいね、強くなったら是非、お相手しますよ。」

 

 

「うん!約束だよ!お姉さん!」

 

 

とルキちゃんが小さな約束を少年とした後、俺達はキタジマ模型店から家に向かって出立した。

 

 

~神谷家にて~

 

 

という訳で家に着いた。現在俺達は玄関の真ん前に立って扉を開けようとしているところ。しかしルキちゃんが何かに気付き、1mほど離れたポストに向かって歩き始めた。

 

 

「?ルキちゃん、どうした?何か手紙でも届いてたのか?」

 

 

「・・・えぇ、紙がポストからはみ出ていたものでつい。」

 

 

何だろうか。でも、大した内容ではないでしょう、きっと。ルキちゃんは手紙をポストから取り出し、玄関に向かって引き返した。

 

 

「姉さん、アレン、ドレイクさん。今帰りました。」

 

 

「あ、お帰りなさい!ルキ姉さん!」

 

 

「お、お帰り。ルキ、またキタジマにでも行ってたのか?もしそうなら、私達も誘ってくれればよかったのに。」

 

 

いつもの姉弟達が笑顔で出迎えてくれる。あぁ、なんて幸せなんだろう。こんな姉弟いないよ?家族思いにもほどがあると思わせるくらい、積極的に接してきてくれる。前世でも母は接してくれていたが、流石にここまではなかった。母さん、今俺はたくましい姉弟と共に元気で暮らしてるぜ。だから、心配しないでいてほしいな。

 

 

「えぇ、特訓に行っておりました。店長さんに勝ちました。結構、危なかったですが。」

 

 

「そうだったのですか。お疲れさまです・・・って、え!?姉さん、店長に勝ったの!?凄くないですか!?姉上でもまだ勝っていないというのに!?」

 

 

「嘘。ルキ、店長さんに勝ったのか!?今では実力はお前の方が上だな・・・。だが、見てろよ!すぐに追い付いてやるぞ!覚悟してろ!」

 

 

あ、そっか。クレイさんは、まだ店長さんには勝ってないんだったけか。ヤバい、また敵をつくってしまったかもしれない。今度また対戦とか持ちかけられそう。でも、その時は返り討ちにしてやるつもりだけど。

 

 

「お!帰ったか!ルキ嬢ちゃんにハルバの旦那!台所きてみろよ!今日は肉じゃがをつくってくれたんだぜ!?流石、クレイちゃんだ!そんなとこ突っ立ってないで早く、食べようぜ!?」

 

 

とドレイクくんがテンションが上がった状態でこちらに飛んで来た。あれ?クレイさんが心なしかこちらに背中を向けて顔を赤らめてる。意外と褒め言葉に弱いのかな。今度試してみよ。ていうかさ、

 

 

「お前、LBXなのに飯が食えるわけないだろ。」

 

 

「貴方がいいますか・・・。」

 

 

「そんなことは気にすんなって!さぁ!食べようぜ!飯が冷めちまう!」

 

 

前世はどんな食いしん坊だったんだこのおっさん。まぁ、いいや。呆れつつも、俺達はひとまず飯を食うことにして手紙の内容を確認することにした。

 

 

~3時間後~

 

 

夕飯から寝る準備までが一通り終わり、届いた手紙を姉弟全員で確認することになった。さて、どんな内容かな。好奇心を胸に秘め、俺達は手紙の封を開封する。すると、こんな内容が記されていた。

 

 

~殺戮の八咫烏こと神谷 ルキへ

最近、現れた凄腕のLBXプレーヤーが我々の領地を荒らしているとの情報が入った。そんな貴様に我等がリーダー、郷田 ハンゾウが果たし状を申し入れるように我等に頼んできた。明日、午後の5時。ミソラ第2小学校の裏倉庫に集まれたし。

 

By 矢沢 リコ~

 

 

という内容だった。ていうか果たし状?俺らそんなに有名人になるくらい勝ちまくってたっけ?照れくさい気もするがなんか、面倒くさいことになりそうだ。と思った矢先、クレイさんが受ける気満々の笑みを浮かべいる。え?

 

 

「フハハハ!面白いじゃないか!ルキ!この果たし状受けるべきではないのか!?これは我々の力を見せつけるチャンスだぞ!」

 

 

「・・・す、少し待って下さい!クレイ姉さん!これは果たし状ですよ!?私だけで行くのは流石に危険すぎです!」

 

 

全くもってその通り。こんなもん受けてもしょうがない。無視が妥当だ。もし、ヤンキーみたいなムッキムキの大男でもでてきて、LBXバトルとかいう以前に体術でねじ伏せられるかもしれないし。流石に小学生だからそんなことはないとは思うが、ルキちゃんが危険な目に会うのは俺にとってもたまったものではない。

 

 

「誰が、お前達だけで行かせると行った?」

 

 

「「え?」」

 

 

俺とルキちゃんは困惑の一声を上げる。いや、そういう問題じゃないでしょ。なんとか説得しなければ。

 

 

「あのクレイさん、そういう問題ではなくてですね。これは我々自身がまた危険な目に会うかもしれない問題でし」

 

 

「よし!明日、そのなんとか中学の倉庫とやらに行ってみようぜ!」

 

 

「流石、ドレイクさん!話が分かるな!」

 

 

いきなりドレイクくんが話を割って、果たし状を受けることを凄く嬉しそうな様子でクレイさんにすすめる。っておいいいいッ!???余計なこと吹き込むじゃねえええ!?・・・はぁ、駄目こりゃ。諦めて行くしかなさそうだ。頭上のルキちゃんの様子を伺う限りでも諦めた感じの様子が伝わってくる。

 

 

「・・・分かりました。行きますよ、でもLBXバトルのリーダーは私達ですからね?」

 

 

「ああ、もちろんだ!でも、大したことではなかったら我々も自由にやらせて貰うぞ!」

 

 

「了解です!姉上!早速、明日に向けて全員のLBXを整備してきます!」

 

 

「「それは止めろ。」」

 

 

「それはやめて下さい。」

 

 

「それはやめてくれ。」

 

 

とメンバー全員から拒絶されるアレンくん。ああ、すねちゃったし。だが、これもこちらの命がかかっておるのでな。ここは耐えてくれ、頼む。ちなみに上から数えて俺&ドレイクくん、ルキちゃん、クレイさんの順である。

 

 

「・・・さて、折角なので会ってみましょうか。その郷田 ハンゾウというお人に。」

 

 

「お、おう。」

 

 

やっぱり、聞き覚えがある名前だが、もうダンボール戦機のことはこの何年かでほとんど忘れてしまったので、気にしないでおこう。でも、店長以来の猛者かもしれない。ちょっぴり好奇心を内に秘めて明日、郷田 ハンゾウのアジトに向かうことになった。

 

 

 

 

 

 




また、遅くなり申し訳ありません。どうも、はるばーどです。次回は、あの地獄の破壊神「郷田 ハンゾウ」とその仲間達とのバトルです。でも、実力はこちらの方が上という設定なので、一方的にボコる感じになると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 後の「地獄の破壊神」


黒騎士斧槍が好きな私ですが、最近「亡者狩りの大剣」という武器も愛用しています。DARK SOULS2に登場する、とあるNPCが装備しているものでドイツ流の剣技を振るうことができるカッコいい武器です。ちなみにDARK SOULS2では名称が違い、さらに亜種も存在しておりました。というか最近、ダクソをやっていなかったからか勘が鈍ってきて対人の勝率が下がってきたのだが・・・?


気付いたら登録者数が7人まで増加していました。登録してくれた7人の皆様、本当にありがとうございます。とても励みになります。頑張って製作していくつもりなのでこれからもどうぞお付き合い下さい。


それはともかく本編いきます。


昨日、俺達は郷田一味から果たし状を受け取った。なんでも強者になりつつある俺達を討ち取り、さらに世間に名を知らしめるとのこと。だが、選ぶ相手を間違えたな。その郷田一味とやらは。俺達「神谷姉弟」に挑んだこと後悔させてくれる。

 

 

何より店長さんや奥さんの咲さん、学校での先輩や後半など様々な相手を倒してきて、かなり動きや読みが冴えてきてきたといえる。そう簡単には倒されてやるつもりはない。と思いながら俺達は明日の決闘に備え、就寝した。

 

 

~次の日の夕暮れ時~

 

 

郷田一派に言われたとおり、俺達は学校裏の倉庫にやってきた。来るなとあれほど言われていたのに、アレンくんまでいつの間にかついてきていたのは少し誤算だったけど。

 

 

でも、まだまだ俺達ほどに及ばないとはいえ、並みのLBXプレーヤー以上の実力は彼も備えている。そんじょそこらのプレーヤー程度の実力では相手にならないほどの力は持っているので大丈夫なのだろう。

 

 

少し進んだ後、なにやら柄が悪そうな3人組が俺達の前に立ちふさがってきた。どうやらこいつらが郷田一味のようだな。

 

 

メンバーは、背の低い金髪の女の子とでかい間抜け面をした大男。大男の方は、腕にダンボール戦機と書かれた菓子袋を抱えていて、中身の菓子をバリボリ貪っている。

 

 

ちょっぴり美味しそうだな。そして、もう一人は髪を青色染めているガリッガリにやつれた男がでてきた。なんか、肌も白っぽいしカメレオンみたいだな。うわ、舌なめ回した、汚いな。

 

 

「来たな、『殺戮の八咫烏』。」

 

 

「おいどん達にビビらずにここまで来たことは、褒めてやるでゴワス。」

 

 

「最近、生意気な上級生がここらをうろついてるって噂は本当だったようだな。だが、こちらも縄張り荒らされちゃあ面子が立たないってもんよ。痛い目に会って貰うぜぇ、先輩さん達よお。」

 

 

と言われた。縄張り?やっぱりヤンキースタイルじゃないですか。けどしれっとと最後に喋ったガリガリ君の飯草がなんか嫌味っぽくて腹立つな。ほら、ルキアちゃん達もなんか言い返したれよ。俺は事情が事情だから喋るわけにはいかないけれども。

 

 

「約束通り、その挑戦受けて立ちます。ですがまずは大将に合わせて下さい。話はそれからです。」

 

 

「簡単にリーダーに会わせるわけにはいかないね!まずは私達がどれくらいの実力かどうか見極めてやんよ!」

 

 

いきなりDキューブを投下されバトルを申し込まれた。そして、裾からLBXを取り出してきた。手に持っているのはおそらく『クイーン』。何フレームかは忘れたが固有必殺ファンクション『グレイスミサイル』が使える機体だったはず。これでも、LBXのことは勉強したのだ。

 

 

「『クイーン』!出撃だよ!」

 

 

「『ナズー』投下でゴワス!」

 

 

「『マッドドッグ』!イッヒヒヒ!」

 

 

とクイーンに続けて二人のLBXも投下された。見た目はなんかガン〇ムに出てきそうな形してる青い奴とカメレオンみたいな形をしている緑の奴。本人に似た機体だなこれ。カメレオンみたいな奴に限ってはまんま自分のこと意識してるだろ。

 

 

「さぁーッ!!ここで自己紹介とでも言っちゃう!?」

 

 

「でゴワス」

 

 

「あれやんのかよ・・・。」

 

 

ってこのタイミングで自己紹介とな!?随分遅いな。というか自己紹介とかお子ちゃまか(笑)

 

 

「『クイーン』のリコ!」

 

 

「『ナズー』のテツオ!」

 

 

「『マッドドッグ』の「時間の無駄ですので早く始めましょう。」

 

 

ひでぇッ!!?自己紹介中に割り込み、ルキアちゃんが無慈悲な一言を郷田三人朱に浴びせた。そのあまりに無慈悲な一撃に呆然と立ち尽くす郷田一味の三人。

 

 

ちょっと気の毒に思えてきたかもしれん。振り向くとクレイさんはルキアちゃんの意見に同意と言わんばかりに頷いている。いや、あんたも案外冷たいね。

 

 

「だから嫌だって言ったんだよ!俺はぁ!!?」

 

 

と名前を最後まで言わして貰えなかったカメレオンくんが絶句する。いやだったのかよ、そりゃ戦隊もののヒーローみたいにはいかないけれどもさ。

 

 

「あぁ、そうかい。じゃあ時間の無駄にならないぐらいの早さでコテンパンにしてやるよ!」

 

 

おっと、やっとやる気になったか。待ちくたびれたわ。よし!出撃しよう。

 

 

「行きますよ、クレイ姉さん、アレン。」

 

 

「あぁ!『ドレイク』!」

 

 

「了解、姉さん!『ジョーカー』!」

 

 

「・・・『ハルバード』。」

 

 

ジオラマに降り立つ俺達。舞台は『山岳』でルールは『アンリミテッドレギュレーション』。このルールはあってないようなルール。どういうことかというと何してもいいし、しかも負けた場合自分のLBXは破壊される。つまりルールなしというわけだ。

 

 

「・・・?一体は『ジョーカー』だけど他の2体はみたことないね。テツオ!ギンジ!ぶっ壊してリーダーに見せるよ!」

 

 

と呼び掛けて『クイーン』が襲い掛かってきた。武器は判別不可な片手銃。でも、マシンガンタイプのものであるのは間違いない。あれ?ナズーが水に飛び込んだ、あの機体は水陸両用か。ルキアちゃんに報告して作戦をたてて貰うか。

 

 

『なるほど、わかりました。一旦アレンを戦わせて様子をみましょう、彼も実力はあるはずです。どうせなら、見せてもらいましょう。』

 

 

『ええ!?・・・まぁ、いいかこんな雑魚共には負けんだろう。』

 

 

ということなので俺は山岳の頂点部分に立ち、見物することにする。サポートでクレイさんが入ってくれるようなので危なかったら引かせようか。

 

 

「じゃあ!行きますよ!はぁッ!!」

 

 

ジョーカーがクイーンに片手剣で切りかかっていく。かなりスピードが速いな。腕をあげたというべきだ。流石、アレンくん。

 

 

「こいつ速い!?・・・なーんてね。」

 

 

あ、回避されてさらに背中にマシンガンによるカウンターを受けてしまったアレンくん。集中砲火を防ぐために『綻び刀』を持ったドレイクくんが二機の間に割って入る。そして、凄まじい速度で刀を振る舞い弾丸を全て切り裂く。いや、あんたも凄まじいな。

 

 

「テツオ、侍みたいな奴は厄介そうだがお坊ちゃんの方は弱そうだぞ。」

 

 

「でゴワスな。畳んでしまうでゴワス!」

 

 

おっと?なんかいきなり袋のネズミにされそうな雰囲気になってきたぞ?大丈夫か?でも、後で俺がさくっと片付けてかっこよく魅せるためだからな。我慢我慢。・・・自分で言ってるけど、とんでもなく俺達汚いことやってると思い始めてきた。

 

 

ナズーが水面から飛び出して来た。そしてアームクローからビームのようなものを発射し、アレンくん達に奇襲を仕掛けてきた。

 

 

そして、今まで姿を消していたマッドドッグが射撃と共に追い討ちをかけてきた。なるほど、姿だけでなく能力までもカメレオンを物にしているわけか。ならば・・・

 

 

「アレン!今のうちにルキアのところまで後退するんだ!」

 

 

「は、はい!クレイ姉さん!助かります!」

 

 

アレンくんはクレイさんとドレイクくんの援護を受けて無事に後退することに成功する。しかし、向こう側もそう簡単には逃がしてくれない。クイーンが高い機動力を駆使し、ジョーカーを追撃に向かう。

 

 

「こいつでとどめだ!」

 

 

ナズー、マッドドッグも飛び出してきて三人同時にアレンくんに総攻撃を仕掛けた。

 

 

もう流石にみていられないので、俺は武器を斧槍から直剣に取り変えて、聖光を発射した。ナズーの片腕部が吹っ飛び、空中を舞う。

 

 

「な、何だ!?その武器!?」

 

 

クレイさんが驚いた表情をして疑問を問いかけてきた。そう何を隠そうこの武器は『ロスリックの聖剣』。病弱であるロスリック王子が持つはずだった伝説(多分)の剣である。

 

 

両手銃と剣を組み合わせて作りました。画面の前の諸君、今反則だと思ったな?大丈夫、勝てればなんでもいいんだよ。

 

 

「姉さん、そろそろ本気で行きましょう。いつまでも雑魚供に構っている暇はないので。」

 

 

「そうだな。では・・・本気でいかせてもらおうか。」

 

 

「何ぃ?」

 

 

と矢沢 リコ等がクェッションマークを出しているがもう遅い。ドレイクさんが刀を鞘に納め、居合を構えつつ一瞬の隙にナズーの懐に飛び込んだ。

 

 

そして、鞘から綻び刀を取り出し高く掲げる。ドレイクくんは敵を頭上から真っ二つに切り裂いた。爆破を起こし、ナズーは跡形もなく砕け散った。

 

 

「ッ!!??」

 

 

おお、流石ドレイクくん。見事ナズーを仕止めたね。また、水中に逃げられてしまうと厄介だったからこれで戦況は大きく変わるだろう。後は、クイーンとあのマッドドッグとかいう野郎だけだな。

 

 

「な、なんで・・・」

 

 

「何やってんだよッ!!?」

 

 

「・・・けっ、またテツオがドジったか。なら久しぶりに俺もやるかぁ!?」

 

 

「ちょっと待て!そっちにはルキア姉さんが!」

 

 

アレンくんが叫んだ通り、確かに二機のLBXはこちらに向かってきている。しかもマッドドッグは姿を消すステルス能力で視界から外れた。そして、クイーンはマシンガンをこちらに向ける。かなり絶望的な状況に見えるが、だがなんていうことはない。なぜなら俺は『鉄塊』だからな。

 

 

「大将の首貰ったぁ!」

 

 

クイーンが俺の頭部を狙っている、しかし、背後からアレンくんが飛び出してきてクイーンを両断した。

 

 

「嘘ッ!?クイーンが負けた!?でも大将の命運は尽きたね!」

 

 

今まで姿を眩ましていたマッドドッグが背後から攻撃を仕掛けてきた。鉤爪が振り下ろされ、ガキン!という金属音が辺り一面に響き渡る。しかし、体には傷ひとつついていなかった。

 

 

「何ッ!!?傷ひとつついていない・・・だと!?」

 

 

俺は何事もなかったかのようにマッドドッグの方を振り向き、腹部にロスリックの聖剣を突き立てる。腹部から光が漏れだし、マッドドッグは大破した。やっぱ固いわ。この装甲。

 

 

「ふぅ、片付きましたか。」

 

 

「俺達が・・・。」

 

 

「負けるなんて・・・?」

 

 

「引き上げるよ!」

 

 

と三人は一目散に倉庫に逃げていった。どこまで雑魚臭を漂わせるんだこいつら。とにかくこのまま逃げられてしまっては俺達の気が収まらないので、ルキアちゃんに指示をして俺達は郷田一味を追いかけることにした。

 

 

倉庫の奥の方に着いたが、見事に逃亡されてしまい変な地帯に迷いこんでしまった。暗いし、引き返した方がいいと思ったその矢先に怪しい場所を発見した。

 

 

なにやら青い柄の服をきた女の子が扉の前に立っているが、こちらに目も暮れないので気にせずに入室した。中には秘密基地みたいにソファーやなんやらガラクタが転がっており、中心にはジオラマが設置されている。

 

 

「ここか?郷田とやらの本拠地は?」

 

 

「・・・誰かいます。構えてください。」

 

 

ルキアちゃんが指差した方向には確かに誰か背を向けた人物が立っているのが見える。緑色の髪をしており、学ランを着ている。更に竹刀も担いでいて完全に不良臭を漂わせていた。

 

 

背後から扉が閉められた音が聞こえる。振り替えると逃げたと思っていた三人朱がいて、完全に包囲されていた。逃げ場はもうない。郷田との戦闘に完全勝利して、気持ちよく脱出しようか。

 

 

「・・・おめぇか。『殺戮の八咫烏』って奴は。女だったのか。」

 

 

「なんだと!?ルキアを愚弄する気か貴様ッ!!?」

 

 

「落ち着いて下さい、クレイ姉さん大したことではないでしょう?とはいえ・・・女だからといってあまりなめないでもらいたいです。貴方が郷田さんで間違いないですね?」

 

 

とクレイさんとルキアちゃんが言い合うと郷田がこちらを振り向き、乗っていた段差から飛び降りてきた。

 

 

「そうだ。俺が郷田だ。」

 

 

堂々と自己紹介をし、学ランの懐からゴツゴツしたLBXが取り出された。なんか『ハカイガー』に似た機体だな。でも少し違う、胸部の部位に砲問がついている。確信した、絶対そこの胸部からエネルギー光線みたいなの発射される。しかもパワー型だから防御力はあまり関係なさそうだ。

 

 

「お前ら全員で掛かってきな。3対1でもまとめてにぶっ潰してやるぜ!」

 

 

「ふん、我々も舐められたものだな。貴様の望み通り袋叩きに「待ってください姉さん。」

 

 

クレイさんの台詞に割って入るルキちゃん。そうだ、元はといえば俺達『殺戮の八咫烏』に向けられた招待状だった。大将である俺達が真っ向勝負で受けて、返り討ちにしてやるっていうのが筋ってものでしょ。

 

 

「郷田さん、招待状は私に宛てたものでしょう?なら私と一対一で勝負しましょう。大将同士なら文句無しのはずです。」

 

 

「いいだろう、受けて立つぜ!この『ハカイオー』でぶっ潰してやる!」

 

 

「・・・『ハルバード』。」

 

 

相変わらず覇気がない掛け声だったが早速、ジオラマに降り立つ二機のLBX。ステージは『古代遺跡』余計な地形が少ない決闘向けの場所だ。そして相手の武器は・・・ゲームとかでは『破岩刃』だったかな?

 

 

ノコギリ状の刃が連なっており、とても剣カテゴリーとは思えない形状になっている。間違いなくくらったら即お陀仏だな。でもその分動きには制限がかかるはず。丁寧に裁いていこうか。

 

 

「ふふふ、始まるよ・・・。リーダーの破壊のショーが。」

 

 

「今度こそ奴も終わりだな。」

 

 

「行くぜ!」

 

 

ハカイオーが動いた。全力でダッシュ剣を片手に持ち、左に振り上げる。俺は斧槍で受け止め、致命傷を避けようとする。ぐぉ・・・なんて重さだ、やはりまともに受け止めちゃ駄目だ。

 

 

『大丈夫です、ハルバさん。私に策があります。』

 

 

『ん?マジで?頼む教えてくれ!』

 

 

「どうした!?受けるだけで精一杯かぁ!?」

 

 

「おいルキ!?そのままだとパワーで押しきられてしまう!攻撃をいなすんだ!」

 

 

そしてハカイオーとのつばぜり合いは5秒ほど続き、破岩刃を弾き再び、にらみ合いの体勢に入る。この間に俺はルキちゃんから指示を得ることに成功している。なるほど、そういうことか。

 

 

『・・・ということなのですが出来ますか?』

 

 

『OK、そういうことなら任せてくれ!』

 

 

「チッ、一気に決めるか。」

 

 

と作戦を実行しようとしたその時、ハカイオーの様子がおかしい。胸部の部位にエネルギーが集中している。確信した通り、必殺ファンクションが放たれる前兆だ。

 

 

『おい!あれヤバくねぇか!!?』

 

 

『ハルバさん!あの必殺ファンクションを使いましょう!』

 

 

ああ!そうか!あれを使えば完全に無効化できるはずだ。

 

 

 

Attack function 鉄の体!

 

 

 

俺は一瞬のみ呪術の火を生み出し、胸に火を押し当てる。するとみるみる体が鉄のように硬質化していき、完全なる『鉄塊』と化した。我ながらどっから呪術の火出したんだって話だけど。

 

 

Attack function 我王砲!

 

 

ハカイオーの胸部からキャノン砲が発射された。凄まじい炎の周りに稲妻が走っているのが見える。それほど磁場に力がかかっているということなのだろう。だが耐えてみせる。

 

 

「あいつ、我王砲をまともに受ける気かよ!?正気の沙汰じゃねぇな。」

 

 

「リーダーッ!!やっちゃえーッ!!」

 

 

灼熱の炎が飛んで来るが、俺は受け止める。熱ッ、これがハカイオーの力か・・・。でもDARK SOULSで何度も受けた呪術『混沌の火の玉』や『黒炎』に比べたらなんでもない。2発受けたら即死よりは・・・まだ。

 

 

そして斧槍を前方で回転させ、炎をかき消す工夫を重ねる。これで我王砲を無効化してやる。皆が消し炭になったと感じたその時、爆煙の中から無傷の『ハルバード』が姿を表した。ルキちゃんを除く姉弟も含め、この場のいる全ての人間が驚愕した。

 

 

『流石、ハルバードの旦那。やりおったわ。』

 

 

「ハルバードくん・・・本当に凄いな。我々も負けてられないな。」

 

 

クレイさんとドレイクくんは尊重してくれ、アレンくんは感動したのか目を輝かせてこちらを見ている。素直に照れます。よし、これだけのエネルギーを放ったんだ。しばらくは動けないはず、こちらも必殺ファンクションをお見舞いだ。素早くルキちゃんがCCMを操作し、必殺ファンクションに必要なエネルギーが送られてくる。

 

 

「何ぃ!!?我王砲を防ぎきりやがっただと!?」

 

 

「だからおっしゃったでしょう、舐めてもらっては困ると。ではこちらもお返しします。・・・必要ファンクション。」

 

 

Attack function 英雄の突撃!

 

 

俺は斧槍を手元で回転させ、一気に英雄の力を解放した。斧槍を両手で突き出し、突撃を始めるとみるみる必殺ファンクションの影響でグレイブが『グンダの斧槍』の形に姿を変えていく。ハカイオーの胸部に斧槍が突き刺さり、押されるごとに斧槍が食い込んでいく。

 

 

コア内部が粉砕される金属音が聞こえ、最後に突き刺さったハカイオーを回転しながら豪快に持ち上げる。そして一気に前方の遺跡に向かって投げつけ叩きつけた。ボロボロになったハカイオーはあっという間にBreak overとなってしまった。

 

 

「ハカイオーが負けた・・・だと?・・・ふっ、やるじゃねえか。やっぱり噂通りだったな!じゃ、どこかでまた会おうぜ!」

 

 

一方的に彼はそう言い残すとハカイオーを回収し、倉庫の窓から飛び出していった。遅れて三人朱も脱出していく。ふぅ、やっと終わったか。これでしばらくは果たし状なんてものが送られてくるなんてことはなくなるだろう。

 

 

「・・・結局、彼は何が理由で私達に果たし状なんて送ったのでしょうか・・・。」

 

 

「さぁ?私達が最近LBXで暴れまわってるから、勝負でもしてみたくなったんじゃないのか?・・・まぁ、とにかく勝ったんだルキア。格好良かったぞ。」

 

 

「・・・そんなことありません。」

 

 

「ルキ姉さんとハルバさん凄く格好良かったですよ!」

 

 

と二人から褒められる俺達。ルキちゃんの言うとおり、何が目的だったのかは分からなかったが無事に郷田に打ち勝つことができたので、俺達は家に帰宅することにした。

 




どーも、はるばーどです。遅くなってしまって申し訳ないです・・・。でも、話の全体的な構成は出来上がってきているので投稿ペースは上がると思われます(おそらく)。ということで次回もぜひ読んでいって下さい!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 フードのイケメンさん

ダンボール戦機でもDARK SOULSシリーズでも鎌という武器が存在しており、どちらのシリーズもなかなか面白い動きを行います。ダンボール戦機では空中を飛び上がったりして上手く相手を拘束したりなど、DARK SOULSでも似たカテゴリーで火力はそこそこですが拘束能力が高い武器なので使っていてとても楽しいですね。ダンボール戦機でもフリーデ様みたいに鎌二刀流とかできないかなぁ。

それはともかく本編いきます。


郷田達と対戦して3日が経過した。それからあらゆる場所で「郷田を神谷 ルキが討伐した」という噂話が流れ始めた。噂は中学校にも流れ始めているのだが、一つ心配なことが増えた。それはルキちゃんの心情である。というのも普通なら噂程度では動じない人が多いのだが、なにぶんルキちゃんは慎重で神経質な性格の持ち主。少しでも噂話が耳に入ると、過剰な反応をしてしまうのだ。例えば、恐怖を感じて体が震えてしまうことや他人を睨み付けてしまうようなことだ。

 

 

このような環境に慣れていないのに加え、彼女は今まで噂されるような立場を望んでこなかった。故に、ルキちゃんには現在相当の負担がかけられている。流石に心配になってきてなんとかしてあげたい気持ちなのだが生憎、俺の体はLBX。人間相手ではどうしようもできない。

 

 

自分のCCMから教師などにメッセージを送るという手もある。しかし、流石に送られた相手は不気味に感じてしまうだろうし、もしかしたら余計にルキちゃんに迷惑をかけてしまうかもしれない。というわけで絶賛苦戦中なのだが、ルキちゃんが小声で話し掛けてきた。

 

 

「・・・あの、ハルバさん。後でお話に付き合って貰えないでしょうか・・・?学校では少し・・・落ち着かないのです。」

 

 

『おう、いいよ。なんでも話してくれ。力になれるかもしれないからね。』

 

 

「・・・ありがとうございます。ハルバさん。」

 

 

いつも以上に挙動不審になっているのが分かる。ここで人生いや、LBX生のセラピーといこうか。もうこれダンボール戦機の内容からどんどんズレていっている気がするが、2050年になれば大事件が起こるだろうし問題ない。ということなので俺達は学校が終了した後、自宅の近くにあるという大橋で話をすることにした。

 

 

現在、俺達は例の大橋の真下にいる。実はここは最初に俺が転生し目覚めた場所なのだ。意外と神谷家の近くにあったらしく、町からは5分程度で行けてしまうところだった。随分と遠かった気がするが、俺がLBXとなり体が小さくなってしまったから遠く感じてたのだろうな。すると、俺はゆっくりと鞄から取り出され、コンクリートに置かれる。それに続き、彼女も腰掛けた。

 

 

「あの、ハルバさん。最近私の様子はどうでしたか?何か心配させるようなことはしていませんでしょうか?」

 

 

「うーん、強いて言うなら少し変わった。」

 

 

「例えば・・・どのような・・?」

 

 

自覚症状がないのか。まぁ、そりゃそうか。自覚があったらこんなこと聞かないもんな、普通。

 

 

「例えば、顔色が悪くなってた。小声で誰かが喋る度に顔が青くなっていって睨み付けそうになってたよ。後は体が震えてたかな、ちょっと心配になったよ。」

 

 

「本当にちょっと心配になるレベルの話ですか?だいぶ気に掛けてくれていたじゃないのですか?」

 

 

ちょっと怒ったような声でツッコミされる。ああ、ヤベ。早く正直に言えば良かった。でも、うだうだ言ってもしょうがないので謝ることにする。

 

 

「ごめん、実はめちゃめちゃ心配だった。」

 

 

素直に謝ると彼女は少し微笑みを浮かべた。

 

 

「・・・フフ、わかってますよ。貴方はLBXでありながら、とてもお優しいですものね。」

 

 

「そんなに率直にいわれると・・・照れる。」

 

 

「・・・もしかしたら、貴方が人間なんじゃないかって思ってしまうのです。機械である限り、その様なことはないですが。」

 

 

微笑んだ後、彼女は見た目は普通そうな顔つきに戻ったが目だけが少し悲しみの色に変わった。姉弟以外頼る人がいない彼女としては、色々なことを考えてしまうのだろう。

 

 

「・・・たとえ俺が人間じゃなくてもさ。俺はルキちゃんのLBX、『鉄塊』なんだぜ?ずっと一緒の相棒なんだからさ。人間とかLBXとか考えることはないんじゃないかな。」

 

 

「そうでしたね。私達はこれからもずっと一緒に生きていくのですよね。・・・頼れる人はもう2人と2機いるんでした。ならまだ私は安心していいということですか。・・・そう思うだけで胸の部分がほっこり暖かくなってきます。落ち込んでいてもしょうがないですね、キタジマ模型店にでも行きましょうか。なんだか遊びたい気分になってきました。」

 

 

「待ってたぜ!その言葉!んじゃ、早速いこうか。・・・といっても俺はルキちゃんに運んでもらわないとキタジマどころか家にも帰れないんですけどね。」

 

 

「フフ、わかってますよ。」

 

 

彼女は腰元に下げていたスクールバッグに俺を入れ、立ち上がった。しかし、進行方向に謎のフード男が立ち塞がっていた。歩くのを辞めたのを察し、俺はバッグから顔を覗かせる。

 

 

うわぁ、いかにもヤベェい奴に目をつけられてしまったかもしれん。だって姿が完全に不審者のそれなんだもん。黒のフード付きのパーカーに赤いズボン。さらにはサングラスまでかけていて、誰がどう見ても不審者にしか見えない形なのだ。そう考えていると、奴は口を開き何か喋りだした。

 

 

「お前か。最近、郷田を倒したって噂の女子中学生ってのは。」

 

 

ルキちゃんは警戒心を強めた。何しろ相手は大の大人だ。しかも、男ときたらたまったものではない。力技では確実に負けてしまう。襲われでもしたら確実に終わりだ。人間相手に危害をくわえるのは気が引けるが、いざとなれば俺が出よう。

 

 

しかし、LBXになったとはいえ、俺も大人相手では恐ろしい。背中に冷や汗がつたわるのを感じる。・・・俺、汗なんてでないはずなのになんでそう思ったのだろうか。心の中で漫才をしていると男が軽く笑い、こう言った。

 

 

「フッ、随分と威勢がいいじゃねぇか。安心しろ、別に捕って食おうなんてしねぇよ。ただ、知り合いが最近、物凄く強いプレイヤーに負けたと言っていたもんでな。ちょっくら、顔を拝みに来ただけさ。後、そこから顔を覗かせてる奴もな。」

 

 

どうやら男はルキちゃんを襲うつもりはないらしい。しかし、そう言われても説得力がない。姿が姿なので素直に信じることはできない。騙されて普通に襲われてしまってもおかしくない。ってえ?今この人俺のこと言ったのか?ますます信用できなくなってきた。ていうかなんでバレたし。完璧な立ち位置だったはずなのに。しかし、だからといって目の前でペチャクチャしゃべる訳にもいかないので、とりあえず黙っておこうそうしよう。

 

 

「おっと、自己紹介がまだだったな。俺は『檜山 蓮』。『ブルーキャッツ』のマスターをしている。」

 

 

と自己紹介を済ませると男はフードとサングラスを外して素顔を露にした。・・・あら、イケメン。紫色の髪に瞳、細い顔立ちにりりしい鼻。これ絶対女の子達にモテるやつじゃん。ルキちゃんも想わず、見とれてしまっている・・・かと思ったが違った。さっきと変わらない怖い表情のままだった。顔だけで判断しないということは流石といったところか。これもクレイさんの言い付けなのだろう。

 

 

「ブルーキャッツってあのキタジマの隣にあるカフェのことですか?そこのマスターが何故私のところへ・・・。」

 

 

「言ったろ、俺は郷田の知り合いさ。少し、店に来てみないか?話はそこでしよう。」

 

 

「どうしましょう・・・ハルバさん(小声)。」

 

 

「どうするって言われてもなぁ。・・・まぁ、多分大丈夫なんじゃないかな。いい人そうだし。」

 

 

「・・・分かりました。とりあえずついていくことにします。ですが・・・ハルバさん。私に何かあったら・・・どうなるかお分かりですよね?」

 

 

凄い形相でこちらを睨んでくるルキちゃん。いや、止めてくれよ。それ普通に怖えぇから。デリートキーで消されそうだから。

 

 

「お前ら、何してんだ?来るのか?」

 

 

「・・・えぇ、いきますよ。」

 

 

「よし、じゃあこっちだ。」

 

 

というわけで俺達は檜山 連という男についていくことにした。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

しばらく歩いた後、本当にキタジマのほぼ隣でカフェを発見した。堂々と『Blue Cats』と看板まで下げてられている。俺、なんでこの3年間気づかなかったのだろうか・・・。早速、檜山 連につられて、玄関から入店する。すると、真正面にあるカウンターに郷田 ハンゾウが座っていた。

 

 

「郷田、戻ったぞ。」

 

 

「おう!レックス!俺の言ったとおり、橋のふもとに居たろ!?」

 

 

何故、俺達のいつも集まる場所がバレているのだ。あの場所を知っているのは他にクレイさんとアレンくん、そしてドレイクくんしかいないはずなんだけどな。まぁ、色々調べられたら出てくるのも当然か。レックス・・・どっかで聞いたことあるような・・・。

 

 

「・・・ッ!?郷田さん来ていたのですか。それに・・・お仲間達まで。」

 

 

「よっ、久しぶり。」

 

 

「でゴワス。」

 

 

ああ、本当だ。よく見たら郷田だけじゃなくて、周りにいた子分たちもいる。相変わらずあのデカい奴はスナック菓子つまんでるし。でもあのカメレオンみたいなやつはいない。どこかに出掛けているのだろうか。しかし、この檜山 蓮という男、郷田達とどういう繋がりなんだろう。こんなヤンキー達と関わりがあるとは到底思えないんだけど・・・。

 

 

「さて、お前。名前は『神谷 ルキ』で間違いないな?」

 

 

「えぇ、そうですが・・・。このような場所で一体どんな話が・・・。」

 

 

「ああ、それなんだがな。お前、『アングラビシダス』ってLBXの大会は知っているか?」

 

 

アングラビシダス?前に聞いたことあるぞ。確か地下で行われる残虐非道なLBX大会のことだっけ。負けたLBXは容赦なくスクラップにされるとか。まさか俺達がその大会に出場するとか言うんじゃないだろうな?だってその大会の参加者って、確かヤベー奴らばかりじゃなかったか?町の不良とかゴロツキ、さらにはマフィアまで来ているなんて噂されている。そんな危険なところへルキちゃんを行かせられない。頼むからそんな馬鹿なこと言うなよ、お兄さん。

 

 

「・・・聞いたことはあります、とても危険な大会だと噂です。ですが、その大会と私が何の関係が・・・。」

 

 

「ここへ呼んだ理由はお前に『アングラビシダス』出場してもらいたいからだ。」

 

 

「・・・ッ!?」

 

 

口に手を当て驚愕するルキちゃん。ってええええッ!?ホントに参加が希望だったの!?ちょっと待て待て。一体どうゆうこと!?

 

 

「まぁ、驚くのも無理はない。ただ、お前は強い。だからこのアングラビシダス、『闇の大会』の王者になってもらいたい。」

 

 

「ちょ、ちょっと待って下さい。なぜ私なんですか。他にも強いプレイヤーは沢山いるでしょう?なぜ私だけ・・・。」

 

 

「安心しろ、アングラビシダスはチーム制だ。お前の兄弟もスカウトするつもりでいる。」

 

 

い、いやー、だからといって安心できる訳じゃないんだよ。だってマフィアだよ!?・・・でも、騒ぐこともないか。もし襲われたとしても保証はしてくれるでしょ、普通に考えて。

 

 

「あ、アングラビシダスで何かあったとしてもそれは自己責任だからな。」

 

 

と矢沢 リコ。いや、自己責任なんかい!無理やり連れてきたお前らが責任とれよ!

 

 

「で?どうだ!?参加してみる気はねぇか!?お前が王者になってくれれば俺達も動きやすいからよ!」

 

 

と郷田。いや、だからお前らのことはは知ったこっちゃないってばよ。俺は目線をルキちゃんに向け、誘いを断ってくれと言うようにシークレットサインを送る。しかし、俺の願いは届かず

 

 

「・・・まぁ、大会なら構いません。こちらも退屈していたところですし。」

 

 

とあっさり了承してしまった。ルキちゃん?なにしてるのかな?こんな危ない大会に出場させるわけないだろ!もし、クレイさんが知ったらどうなるか・・・。すると、入り口から他の客が入ってきた。誰だろう、この話をするのに他の人がいると少し不味い気がするのだが・・・。

 

 

「檜山さ~ん、集まる場所はここでいいんだよな?・・・っておお!ルキ!お前もここにいたか!」

 

 

「来たか、クレイ。」

 

 

「クレイ姉さん!?何故ここにいらっしゃったのですか?」

 

 

なんと入店してきたのは、制服姿のクレイさんだった。遅れてカメレオンのやつ。おそらく檜山さんは彼女にも声をかけていたのだろう。それで迎えに奴を向かわせた訳か。最近、クレイさんはカフェに行きだしたと言っていたが、まさかここだったとは。て言うかこれもう大会参加不可避ジャナイデスカヤダー。

 

 

「何でって、ルキ。私ら姉弟が『アングラビシダス』に招待されてるってこと知らなかったのか?」

 

 

「・・・知らなかったです。ですが理由がないと怪しすぎます。姉さんはちゃんと理由を聞いたのですか?」

 

 

そうだよ。いきなり参加を希望されても、よっぽどの理由がないと怪しすぎる。大会参加にはお金も掛かるし、それを全て負担してまで俺達を希望するのは何でだ?

 

 

「檜山さんがな、『理由を知りたいならアングラビシダスの王者になれ』って言っていたのだ。私は少なくとも犯罪ではないと思っている。それに・・・郷田もいるってことはきっと面白いことに違いない。だとは思わんか!?ルキ!」

 

 

出ました。クレイさんの究極のワクワクモード、これが発動するともう止められない。普段、姉弟の世話役をしているクレイさんにとってこのような出来事はそうそうない。その為、凄まじい好奇心が沸き上がって体を押さえられなくなるそう。彼女の相方であるドレイクくんが言ってた。ちなみに郷田と戦う前も出ていたらしい。

 

 

「・・・気持ちは分かります。ですが「よし、お前も参加だな!檜山さん、早速説明を頼む!」

 

 

っておいいいいい!ルキちゃんの意見を遮るじゃねえええええッ!ほらぁ、ルキちゃん落ち込んじゃったじゃん。少し涙目になってるよ、悲しそうなお顔になっちゃったよ!?

 

 

俺は気分が落ち込んでしまったルキちゃんを化粧室に連れていき、慰めてあげることにした。まぁ前もルキちゃん、似たことをカメレオンくんにしてたし、これでおあいこじゃないかな。

 

 

そう言い聞かせ、慰めることに成功した俺は再び、彼女にカウンターに戻らせるように言った。流石にやり過ぎたとクレイさんも気がついたようで、きちんと誤ってくれた。

 

 

「さぁ、お前ら。会場に行くぞ。」

 

 

「行くって・・・檜山さん、流石に今から会場に向かう時間はないですよ。もうすぐ5時になりますし・・・。」

 

 

「安心しろ、時間はとらせねぇよ。」

 

 

すると彼はカウンターから移動し、近くにあったおそらく地下に向かうだろう扉を開いた。え?まさか会場って・・・。

 

 

「そうだ。アングラビシダスはここの地下で行われるんだ。」

 

 

「「ッ!!?」」

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

少し長い階段を下っていくと明かりが見え始め、人の気配がした。確かにここの地下には人が大量に入れるだけの空間があるようだ。

 

 

「着いたぞ。ここだ。」

 

 

そこには、まさに闇の大会にふさわしい会場が広がっていた。まるで闘技場だ。下のフロアにジオラマが設置されており、そこで既に何人かのチンピラが楽しくバトル・・・というよりLBXの破壊を楽しんでいた。いかにも荒くれの溜まり場というかなんというか。地上ではかなり浮いた存在感のルキちゃんだが、ここでは似たような暗い人物も多そうなので溶け込みやすそうだ。

 

 

しかし、ルキちゃんは女性。しかもか弱そうな見た目をしているため、周りからの視線が気になる。俺が言うのもあれだが、ルキちゃんははっきり言って中学生にしては美しい。それにより、男どもの視線を釘付けにしてしまっている。やめろやめろ、ルキちゃんに寄るんじゃない。嫁入り前の家の子に何かしたらぶっ飛ばしてやる。

 

 

「随分と・・・賑やかな場所なんですね。」

 

 

「そりゃそうだ!何せここははみ出し者達の聖地だからな!お前も気に入っただろ!」

 

 

と郷田が言う。・・・まぁ、確かに言えてるけどな。この時代はどうやらケンカするときにもLBXを使う。昭和の時みたいに特有の拳で語り合うみたいなことは遠い時代の話なのだろう。平成の頃にももう古臭い芸当だったけど。

 

 

?「おい、お前。いい面ぁしてんじゃねぇか、ちょいと顔を貸せよ。」

 

 

巨体でオレンジ色のモヒカンをしたすごく個性的な大男が近付いてきた。なんだとッ!!?と言い返したくなったが・・・いやいやでかすぎでしょお前。ルキちゃんの身長も結構あるけどこいつは彼女の1.5倍くらいのデカさだった。すると、ルキちゃんがいきなり手を捕まれ、どこかに連れていかれそうになる。

 

 

「ちょ、ちょっと!どこへ連れて行く気ですか!?」

 

 

「新入り臭かったんでな。ちょいと可愛がってやろうと思っただけさ。」

 

 

ほう、俺達に挑むつもりか。チンピラごとき、ねじ伏せてくれる。その傍らで心配そうにこちらを見送る郷田三人朱とクレイさんを押さえる郷田。そして、檜山さん。心なしか檜山さんはこちらの強さを見るためにわざと連れてきたのだろう。ズル賢い男よ。

 

 

案の定、ジオラマに立たされLBXバトルをさせられることになった。でも、どうやらリンチやチーム制ではなくタイマンのようなので安心した。流石に3対1とかになったら泣く。DARK SOULSの暗い森の庭並みの地獄絵図と化すのだけはなんとしても避けたい。

 

 

「では行きますよ、ハルバさん。」

 

 

『おう!』

 




お久しぶりです。はるばーどです。大変遅くなって申し訳なかったです。下書きのデータが消えたりなどトラブルがいろいろあって手こずってしまいました。こんな調子ですがまだまだ続きますので、これからもよろしくお願いいたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 地下の洗礼(笑)

すみません、テスト習慣に入ってしまったので中々投稿できませんでした・・・。申し訳ないです。気になっている方が多いと思われますのでさっさと本編いきます。今回は、原作キャラクターボコボコ回です。


 

現在、俺達は今『ブルーキャッツ』の地下にてLBXバトルを仕掛けられ、ジオラマ前に相手と向き合っている。観客の呼んでいる名前によると相手の名前は『首狩りガトー』という奴らしい。まぁ、名前からして負けたLBXの首をもぎ取るとか絶対に相手の首を刈り取るまで戦いをやめないとかそんな由来でついた二つ名だろう。

 

 

さて、もうすぐバトルが開始ということで相手もLBXを取り出している。ガトーが手にしたのはおそらく『ブルド改』。もともとパンツァーフレーム(足がキャタピラ)の機体である『ブルド』を改造してスピードを強化したもの。足がキャタピラではなくタイヤになっている。でも、タンクである以上細かい動きはできまい。後だし戦法でなんとかなるだろう。

 

 

さて、俺も出るかな。ルキちゃんは、すぐさま俺を取り出してジオラマに投下する準備を整える。

 

 

「『ブルド改』!見参!」

 

 

「・・・『ハルバード』。」

 

 

さて、ひと暴れしますかね。この地下にも俺達の名を刻み込んでやる。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

おう!皆!覚えてるか!?私だ!ドレイクだ!最近、相棒ばかり活躍していて私のことなんて忘れたなんて思っちゃいないか?だが残念、この通りピンピンしているぜ!

 

 

クレイの姉貴がと久しぶりにLBXバトルができるって言っていたもんだからどんな所かと思って来てみたけど、意外にも楽しそうじゃねえか!何て言ったっけな・・・『アングラビシダス』だったか?

 

 

今は、相棒の『ハルバード』とルキ嬢ちゃんがガトーとかいうチンピラと戦っている。連れていかれたときは私も姉貴も肝冷やしたが、あんな奴は正直相棒の敵ではない。こっそりガトーのステータスを郷田とやらに見せてもらったが、はっきり言って数値が天と地の差だった。

 

 

ガトーは、相棒がやってくれるとして俺達はどうしようか。折角来たんだし、どうせならここらの連中と戦ってみたい気はする。あ、あの紫色の髪をした兄ちゃんなんてどうだろう。なんか、カードみたいなの取り出して、一人でニヤけてるけど何やってるんだ?

 

 

「ん?どうしたんだ?ドレイク。あいつがどうかしたのか?」

 

 

「いや姉貴よぉ、こんなコロシアムに来たからにゃ一人くらいぶちのめして帰りたいじゃないか。だからあの強そうな兄ちゃんがいいんじゃないかと思ってだな。」

 

 

「ふむ、なるほど。確かに最近はルキが少々目立っているようだからな。我々も名を広めなければな。妹に抜かされているようでは姉の名が廃る。」

 

 

姉貴は、やる気になったようでその中学生くらいの兄ちゃんに話し掛けた。

 

 

「おい、お前。この私と勝負しないか?見たところお前、退屈しているだろう。」

 

 

「ん?へぇ、これはこれは噂の『魔勇者』様じゃないか。探す手間が省けたな。」

 

 

「なんだ?私のことを知っているのか?」

 

 

「知ってるも何も・・・あんたら姉弟はここミソラタウンのトップに近い存在なんだぜ?お前らを狩って成り上がるのは最近のLBXプレイヤーの目標になってるのさ。そして、俺もその一人。」

 

 

「ほう、元から我々とやるつもりでここに居たのか。ならば話は早い。早速、ジオラマに向かおう。私が直接相手になってやろう。」

 

 

「フン、ムカつく女だぜ。まぁいい。行こうぜ、その偉そうな口も叩けないように徹底的に叩き潰してやる。」

 

 

そうして俺達はルキ嬢ちゃんや相棒のいるジオラマに向かうことになった。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「さぁ、始めようじゃないか。」

 

 

早速、バトルが始まろうとしている。この兄ちゃんはどうやら地下で有名な奴らしく『箱の中の魔術師』なんて呼ばれていた。名前は『仙道 ダイキ』しかし、私にはどうにもわからない。なんでコイツらはそんなにあだ名をつけて討ち取ろうと躍起になるんだろうか?私の生きていた時は、勝負に名も糞もなかったんだがな。

 

 

「『ジョーカー』!」

 

 

「『ドレイク』ッ!」

 

 

私達はジオラマに降り立った。辺りの風景は『野原』だ。障害物が少なく、タイマンには向いてるって相棒が言ってたな。私が今回『聖壁の連装クロスボウ』を二丁担いできた。子供の頃に剣道を習っていた私には『綻び刀』もいいのだが、やっぱり軍人をやっている身としては、現代兵器に似たこの武器の方がしっくりくる。何より二丁同時発射すると6連射ボルトを発射できるのが素晴らしい。流石、相棒。いい武器を用意してくれるじゃねえか。と仙道はタロットカードを取り出してなにやら、苦い顔を浮かべる。

 

 

「『悪魔』の正位置か・・・。フン。」

 

 

タロットカードをしまうと早速、ジョーカーが巨大な鎌を取り出してこちらに急接近してくる。やはりアレンと同様、スピードタイプか。コイツはちと面倒だな。障害物があろうが無かろうが、普通に発射しても命中する要素がない。しかし、対策を全くしてこなかった訳ではないのでね。私は『闇のボルト』と『爆裂ボルト』に装填し直し、リロードする。

 

 

「フン、甘い!」

 

 

ジョーカーはリロードの隙を狙い、刃を膝の間接に突き立てた。なるほど、若造のくせして中々腕は立つようだな。だが、こっちは・・・なんて言ったっけそうだそうだ『熔鉄デーモンの足甲』でできているのだ。この装甲は鉄に近い強度を誇る。

 

 

「どうした?この程度か?かすり傷一つ入っていないぞ!」

 

 

クレイの姉貴が仙道に対して煽る言動をとる。でも、相手は所詮中学生。今は冷静でもすぐにこちらの挑発に乗るはずさ。

 

 

「それはどうかな?『魔勇者』さんよ。」

 

 

ジョーカーは今度は私の周りを旋回し始めた。何か仕掛けてくるな。5回ほど旋回した次の瞬間、なんとジョーカーが増えた。しかも、3体に。

 

 

「分身!?」

 

 

「これが俺の『箱の中の真面目』その真骨頂だ!はなっからまともにやり合って勝てるとも思っていないのでね。」

 

 

ジョーカー、いやジョーカー達は私を取り囲むように包囲している。しかし、私は違和感に気が付いた。私の感じる限りでは熱反応が3つ共に存在している。何故だ?今、目の前にいるジョーカー達は分身じゃないのか?だとしたらハッタリ噛ましていることになるな。

 

 

『クレイの姉貴、ちょっと気になることがある。試していいか?』

 

 

『あ、ああ、構わないが・・・どうした?』

 

 

『私の予想が正しければ・・・』

 

 

よっと。私はジョーカーの動きを予測し、走った先の足元に爆裂ボルトを発射させる。すると、ジョーカーは飛び上がって避けた。再び発射するとそれも避ける。3発目も4発目も。

 

 

「どうした?悪足掻きはよせ。どうせお前には見極められまい。」

 

 

余裕綽々の仙道は無視。だが、今私の前に見えている3体のジョーカーは全て実態か。フン、なんだそういうことか。脅かされたぜ、叩きのめしてやる。ついでにズル小僧に占いなど無意味だということも教えてやる。

 

 

「フィナーレだ。あばよ、『魔勇者』。」

 

 

仙道はにやけると同時に三体一斉に襲い掛かってきた。この状況を切り抜けるにはこの技がぴったりだな。

 

 

『姉貴、頼む!』

 

 

「そうくると思っていたぞ!必殺ファンクション!」

 

 

Attack function 『神の怒り』

 

 

すると、体の周りに白いエネルギー状の霧が収縮している。それと同時に頭の中に何らかの怒りがこみ上げ始めた。ウッ、今にも頭がはち切れそうだ・・・!私は地面に膝をつき手を握り締め、手のひらに力を込める。ジオラマ全体が揺れている。初めて使ったが、神の怒りとやらはこんなにも強大なのか!今度から、私も少しは神とやらにも感謝せねばな。

 

 

約1.5秒ほどで怒りが蓄積された。私は両手を掲げ、体に貯まったエネルギー、いや憤怒を解き放つ。一瞬の白い波動が放たれた。波動がジョーカー達を襲う。すると、僅か1秒に満たない間に3体のジョーカーは跡形もなく消し去られた。

 

 

それだけではない。平原のジオラマにも風穴のようなクレーターのような黒く大きな穴ができている。ほう、これが必殺ファンクションか・・・!素晴らしい。これなら相棒とも肩を並べられるかもしれんな。しかし、相当体力を消耗する。改善が必要になる。

 

 

「バ・・バカな!?ジョーカーが一撃で吹き飛んだだと!?」

 

 

「フハハハハッ! 跡形もなく消え去ったようだな。・・・フフフ、圧倒的じゃないかドレイク。流石の力だ。」

 

 

「チッ!いいか?今回はたまたま負けたが、次はそうはいかないぞ!」

 

 

仙道はキレ気味でセリフを吐き捨て、ジオラマから去っていった。いいぜ?リベンジならいつでも受けて立つつもりだ。まだまだアイツも若い。しかし、あいつならまだ強くなって帰ってくるのだろう。40年近く生きてきた感がそういっていた。

 

 

すると、隣のジオラマ付近から歓声が上がった。どうやら、相棒もガトーとやらに勝ったようだな、流石だ。ルキ嬢ちゃんが相棒を回収し、此方に向かってくる。さて、私達も行こうか。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

さて、終わった終わった。今回戦ったガトーとか言う奴、はっきり言うと弱かった。いや、厳密に言うと弱くはない。むしろ、他の奴らよりも充分強かった。しかし、いかせん奴は火力に頼りすぎていた。ダクソ流に言うと特大武器ブンブンマンと言ったところだな。

 

 

バズーカ砲を持っていたが、ただぶっぱなしてくるだけだし、近づいてアックスを取り出したと思ったらばか正直に斬りかかってくるだけ。なので背後に回り、バックスタブをお見舞いしてやった。案の定、一撃でした。もうちょい体力ふろうぜ・・・。

 

 

ガトー、めちゃくちゃ悔しがっていたな。しかし、ルキちゃんと俺が強者であることは伝わったらしく「いつかぶっ潰してその変なLBXの首をもぎ取ってやるからな!?覚えておけよ!」と吐き捨てて去っていった。アイツ・・・強くなるのかな。もし今度会ったら、稽古つけてやろ。いつか現れるバン君がもうちょっと苦戦する顔がみたい(ゲス顔)。

 

 

といつの間にか参加していたクレイさんがドレイク君を持ってこちらにやって来た。どうやらあっちも勝ったようだ。え?なんで分かるのかって?だってクレイさんがいかにも勝ち誇ったような顔してやって来るんですもん。久しぶりに見たわ、あんなに嬉しそうな表情してるクレイさん。

 

 

「・・・随分、機嫌がいいですね、クレイ姉さん。」

 

 

「当たり前だろ!ルキ!何せ久しぶりにお前やアレン以外を相手してかったからな!気分いいに決まっているだろ!」

 

 

「は、はぁ・・・そうですか。それは何よりです。」

 

 

ちょっぴり、申し訳なさそうな態度を取るルキちゃん。実は彼女の言った通り、家では何度も対戦をしている。しかし、7割近い確率でルキちゃんが勝っているのである。しかも、大体勝因はバックスタブによる一撃であった。

 

 

DARK SOULSでは指輪などで対策を練ることはできるが、LBXともなるとコアを防御する手段がほぼない。盾を持てば格段に有利だと思うのだが彼女は「盾を持つことは強さを捨てるのと一緒だ!」と言い張るので中々、盾を持とうとはしなかった。

 

 

食わず嫌いか偏見なのでは・・・?と思う訳だが気持ちは分かる。なんか、デカめの盾を持つと大盾でもない限り、小物感が凄い。プライドが高いクレイさんに取っては盾を持つことは恥と感じているのだろう。というような理由があり、ここのところ連敗続きだったクレイさんは少しストレスがたまっていたようだったのだ。

 

 

そう考えるとなんだか申し訳ない気持ちになる。しかし、彼女が「稽古に遠慮はいらん!全力で掛かってきてくれ!ルキ!ハルバ君!」と言ったので文字通り、こちらは一切手加減はしなかった。イライラしている姿は我々には見せなかったが、ずっと耐えていたと考えると胸が痛い。後、半分サンドバッグ状態になっていたドレイク君、ごめんね。今度、リペアキット奢ってあげなきゃ。

 

 

「なんだ?私達のことを気に掛けてくれていたのか?心配することはない、私が言い出しっぺなのだからな。しかし、今度こそはお前達を倒してみせるぞルキ!」

 

 

「・・・い、いえそういうつもりでは・・・分かりました。望むところです、いつでも受けて立ちます。」

 

 

「よくぞ言った!流石、私の妹だ!その調子でこれからも頼むぞ。」

 

 

クレイさんは元気よくワシャワシャとルキちゃんの頭を誇らしげになでる。ルキちゃんは少し照れているようで目線を一生懸命ずらそうとしていた。やっぱ可愛いよ、この姉妹。素直というかなんというか。

 

 

しかし、本当に中の良い姉妹だなつくづく感じさられる。聞いたところによると、彼女達は今まで姉妹喧嘩をしたことは1度もないんだとか。アレンくんとクレイさんが喧嘩をすることは時々あるみたいだが、大体ルキちゃんが中に入って事情を聞くとそれだけで場が自然と和んでしまうらしい。

 

 

やっぱり、ルキちゃんは女神か天使の化身なんじゃね?というかクレイさんとアレンくんが喧嘩をするところ想像つかないんだけど。何が原因でなんだろうか。遊びのやり取りとか?辞めた、詮索するだけ無駄だろう。

 

 

しばらく姉妹のやり取りを見守っていると檜山さんと郷田がやって来た。

 

 

「おう!お前ら!あいつらに勝ったのか!やるじゃねえか!」

 

 

「どうやら、地下の洗練は終わったようだな。どっちが洗練していたのか分からなかったがな。フッ、これならここの王者になるのも苦にならなそうだ。」

 

 

いや、何故その流れになるん?あっ!そうだ!まだ聞いてないじゃないか。ここの王者になる理由。

 

 

「・・・檜山さん。ところでなぜ私達をここの会場に連れてきたのかそろそろ理由を教えて貰えないでしょうか。」

 

 

「・・・ああ、いいぜ。だがお前達が王になるまでそれは教えられない。知りたいなら、戦って俺に挑めるくらい成長したときに聞くといい。」

 

 

そう言うと彼は背中を向け、元のブルーキャッツの地上へ戻っていく。・・・そっか。思い出してきた。俺達はもう・・・あの戦いに巻き込まれ始めているのかもしれない。そして、彼は檜山さんは強い。間違いない、とてつもなく強いプレーヤーだ。それだけは覚えてる。

 

 

しかし俺は知っているとはいえ、ここまで隠し通されるとはな。いいだろう、なってやろうじゃねえか。このアングラビシダスの王者とやらに。何より、ここの王者になればあの『山野 バン』達と戦えるって事だろう!?彼は自分の父親の為にここの大会に参加するはずだ。俺は、この世界に来てそれだけが目標だった。LBXとなった今では、原作の主人公に勝ちたいと思うのは必然的だ。そう思うとワクワクしてきたな。

 

 

『・・・なにやら面白そうな展開になってきたじゃねえか、相棒。』

 

 

ドレイク君も興奮してきたようだ。クレイさんのポーチから顔を覗かせているが見えるが、かなり嬉しそうな表情をしている。LBXに表情も糞もないけどな。

 

 

「そうとなったらルキ!アレンも連れてくるぞ!そして、私も強くなるつもりだ!お前達よりもずっとずっと!だから稽古に付き合えよ!ルキ!」

 

 

「・・・はぁ、気があまり乗らないですが仕方ありませんね。私達が王者になって必ず理由を聞き出しましょう、檜山さんから。」

 

 

「そうだな!では、私は早速アレンを呼んでくるぞ!行くぞ!私に続け、お前達!」

 

 

「はぁ!?なんで俺達が!?」

 

 

クレイさんは郷田三人朱達を引っ張って物凄い勢いで自宅に向かった。あの様子だと理由を聞くことなんてすっかり忘れてるんだろうなぁ・・・。しかし、やっぱり彼女はボスの風格があるんだな・・・とつくづく思わされた。

 

 

「ハルバさん、本当によろしいかったのでしょうか・・・。このような形で了承を得てしまいましたが・・・。」

 

 

「大丈夫でしょ、俺達なら。なんかあったとしても俺とドレイク君が命を掛けてでも君達を守るからさ。」

 

 

「・・・時々、LBXとは思えないほど臭い台詞をいいますよね。ハルバさんって。」

 

 

「グッ・・・、うるさい。」

 

 

「フフ、冗談ですよ。そんなに気にしないで下さい。既に貴方達二機には、充分楽しませて貰ってますので。」

 

 

そして、彼女は僅かに微笑んだ。さて、やってやりますか、この戦い。すまないが今の俺達は誰にも負ける気がしない。たとえ、『山野 バン』や秒殺の皇帝『海道 ジン』が立ち塞がってきたとしても。

 

 




はい、どうもはるばーどです。今回は原作キャラクターをボコボコにしましたが、次回はおそらく原作キャラクターにボコボコにされる回だと思います。なので、原作キャラクターがボコボコにされるのを見て不愉快に思った方々、安心してください。次回、姉弟全員で掛かっても勝てない相手に出くわすので(泣)。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 特訓


おい!前回から何日間投稿してしねぇんだ!・・・本当に申し訳ない。時間が足りなくて中々書き上げれませんでした。


それはともかく本編いきます。


 

 

あれから3日が経過した。学校は土日休みに入り、ルキちゃんやクレイさん、アレンくんは2日だけ自由な日に突入した。

 

 

俺達は檜山さんに土曜日、ブルーキャッツに収集をかけられている。この3日間、俺達は地下の猛者達をほぼ全員叩きのめし、王者一歩手前というところまで来た。というか猛者といっても井戸の中の蛙といったところか、対した奴らはいなかった。

 

 

あの『首狩りガトー』と『仙道 ダイキ』くらいがかなりの実力者だったようで、一二を争うほどだったみたい。でも、そこで俺達が洗礼を下してやって圧倒的な実力を持つものもいると気付かしてやったという訳だ。

 

 

『首狩り』以上のパワーやスピード、読み、全てが上回っている『ハルバード』と『箱の中の魔術師』仙道 ダイキのトリック、ズル賢さ、理不尽を全て上回っている『ドレイク』。地下にとって波乱のLBXプレーヤーとなった俺達。そこで遂に俺達は檜山さんへの挑戦権を獲得した。あ、でも理不尽差は余計だったかも。

 

 

しかし、檜山さんは手強いはず。そう考えた俺は特訓をすることを姉弟達に勧めた。檜山さんは「3人全員で掛かってこい」と言っていたのだが、そう言えるほど自分に自信があると感じた。生半可に挑めば返り討ちにあって即お陀仏だろう。

 

 

クレイさんやルキちゃんは3対1では流石に楽勝に勝ててしまうのではと思っているようだが、俺はそうはとても思えなかった。ので一応リハビリがてらルキちゃんとクレイさん、アレンくんを入れて三人で1対1対1の乱闘を行うことになった。

 

 

仲間から孤立しても、充分戦えるようにするためだ。早速、家の庭でクレイさんがDキューブ(ジオラマ)を展開させる。

 

 

「おい、ルキ!今日こそはお前達に勝つからな!覚悟しろ!」

 

 

「オレも姉さん達に負けないように特訓してきたんだ!唯ではやられませんよ!」

 

 

「・・・望むところですよ。しかし、私も負ける訳にはいきません。全力でいかせてもらいます。」

 

 

今、姉弟達が述べた通り、俺達は戦闘スタイルを 見直し、武器を変更してきた。

 

 

ハルバードは『サイズ』と『戦士の円盾』に『連射クロスボウ』そして『ハンドアクス』。

 

 

ドレイクは『アーロンの妖刀』に『聖壁の盾』それと『聖壁の連装クロスボウ』。

 

 

ジョーカーもダクソ仕様の武器を生産してもらい、『鴉羽』と『セスタス』をそれぞれ持ってきたのだ。

 

 

全員がパワーアップした為、一筋縄ではいかないだろう。だが、いくら姉弟と言えどもこっちも負ける訳にはいかない。アングラビシダスの王者、その頂点に立つのはこの俺『ハルバード』と神谷 ルキだけさ。

 

 

「出でよ、『ドレイク』!」

 

 

「『ジョーカー』!!」

 

 

「・・・『ハルバード』」

 

 

俺達が降り立ったのは『城塞』のジオラマ。中世のお城を主軸として作られた舞台で、その内部で戦うことができる。クレイさんがこのジオラマを気にいったらしくキタジマで買ってきたとのこと。この三体の機体は欧州方面の雰囲気がただよっているので、この場所はうってつけだ。

 

 

 

バ ト ル ス タ ー ト

 

 

 

「行きますよ、クレイ姉さん!」

 

 

先に仕掛けたのは意外にもアレンくんだった。全速力でドレイク君に襲い掛かり、鴉羽で心臓部を一突きにしようとする。

 

 

しかし、黙ってやられるほどクレイさんも阿保ではない。ひらりと攻撃を回避し、鞘から『アーロンの妖刀』を抜刀する。そして、刀を横向きに掲げ、刃の部分を器用に掴む。アレンくんは回避行動をとろうとはかるが、それを待っていたかのようにドレイク君は回避に合わせて刀を降りおろした。

 

 

「危なッ!?」

 

 

アレンくんは一瞬焦ってはいたが、落ち着きを取り戻して冷静に刺剣を扱い、妖刀を弾きつつ一歩距離をとる。そして『鴉羽』の代名詞といえる『投げ羽』を投げつけ、弱点である間接部分を狙う。

 

 

ナイフの一本がドレイク君の肘をかすったが、傷1つついていない。流石、ハベルの手甲。相変わらずの防御力だな。ドレイクはジョーカーの攻撃を透かしたのを確認し、刀を腰に刺して大きく屈んだ。そして、素早く抜刀する。これが属に言う『居合切り』というやつだ。

 

 

しかし、アレンくんは素早くCCMを動かし、ジョーカーの左手に装備している『セスタス』を使い、まるで戸を開けるような動きをとる。カウンターである『パリィ』をし、確定反撃を行おうとしているのだ。

 

 

カウンターが決まると思った次の瞬間。二機の間から大きな鎌のような形をしている刃が振り下ろされた。その鋭い一撃は二機に当たることはなかったが、地面に叩きつけられて、大きなヒビをいれた。驚いた二機はバックステップとバク転で後退する。

 

 

そう斧槍の『サイズ』を割り込ませたのは、この俺『ハルバード』もといルキちゃんだった。

 

 

「・・・ズルいですよ、アレン、姉さん。二人だけでなんて。私も混ぜて下さい。」

 

 

「おお、すまんな。ついつい夢中になってしまってな。すっかり忘れていたぞ。」

 

 

「二人ともボーッとしている暇はありませんよ!」

 

 

体制をすぐに立て直したジョーカーが投げ羽をこちらとドレイクに向かって投げつけてきた。いいだろう、この俺とやろうってかアレンくん?地獄をみせてやるぜ。

 

 

俺は猛ダッシュでジョーカーの背後に回り、斧槍をコア部分に突き立てる。しかし、前方にローリングで転がられていまい、バックスタブは失敗した。

 

 

「・・・チッ。」

 

 

「さすがに、毎回背中を取られている訳にもいきませんのでね!必殺ファンクション!」

 

 

Attack function 「リカールの連撃」!

 

 

『リカールの連撃』!? これまた予想外の技が出てきたもんだ。でも、流石に当たらん。俺はバックステップを駆使し、後方に下がる。

 

 

しかし、進行方向にはドレイクが立ち塞がっており、俺は背中を蹴られてジョーカーの方に押し返された。

 

 

『何ッ!?』

 

 

「ルキ、折角弟の初めての必殺ファンクションなんだ。それくらい受けてやれ。」

 

 

「なっ!?」

 

 

押し戻された俺は小盾を構え、最低限の防御を試みる。ジョーカーは刺剣を上に突き立て、狙いを済ます。そして、一気に素早い連撃を繰り出した。一部は盾で防ぎつつも、やはり軽さを重視したせいで盾の防御する面積が小さい。なので所々連撃をくらってしまう。

 

 

「どうだ!少しは効いたでしょう!ルキ姉さん!」

 

余裕綽々だな、アレンくん。だが、『鉄塊』の真髄はこんなものじゃない。みせてやるよ、新しく手に入れた『特殊モード』って奴をな。

 

 

「・・・モード切替ですね、ハルバさん。了解しました。・・・『メタリックモード』発動。」

 

 

Metallic Mode 起動!

 

 

全身が鉄の光沢に覆われ始め、体が銀色に変貌していく。更に、サイズには徐々に『暗月の光の剣』というエンチャントが塗られていき、完成した。これが『メタリックモード』だよ、アレンくん。

 

 

「なっ、なんですかそれ!?」

 

 

「ついに秘策を出したなルキ!なら私もモード切替だ!『モンスターモード』!」

 

 

Monster Mode 発動!

 

 

ドレイク君が持つ『アーロンの妖刀』が青色に鈍く光輝いた。そして、刃を自分の腹部に向けた。なんとその刃を腹に突き刺した。

 

 

『何ッ!?切腹だと!?血迷ったか、ドレイク君!』

 

 

『ハハッ!この武器がどういう性能をしているかはお前さんが一番良く分かっているはずだろう!?』

 

 

そうだ、彼らの武器『アーロンの妖刀』は誰かの血を吸収して、力を帯びる狂気の武器。そして、その刃は自分の血でも強化ができる。LBXには血はないがモーターに含まれるガソリンがある。何故かは知らないがそれで代用可能らしい。

 

 

DARK SOULS2でも自身の体力を削って強化ができた。前に教えたことを早速活用してきたか。でもこれは少し不味いのでは?この『メタリックモード』は防御力と攻撃力が格段にはね上がるが、集中力(バッテリー)を大幅に消耗する。

 

 

つまり、どういうことか。『アーロンの妖刀』は血を帯びると火力が上昇するだけでなく、オーラにより刀の長さも変化する。集中力が低下した状態では避けきることは難しいからだ。さらに、素早く動き、トリッキーな戦法を得意とするアレンくんが相手では徐々に体力を消耗していくだけになってしまう。

 

 

さて、どうしたものか。しかし、ここは厄介なジョーカーから消すのが得策だろう。彼には申し訳ないが先に潰させてもらおう。しかし、先に仕掛けてしまうと丁寧にあしらわれてしまうことは火を見るより明らかだ。ここはちょっかいを出してカウンター狙いでいこう。

 

 

『ルキちゃん。アレンくんは厄介だ、ここは一つカウンター狙いの反撃でいかないか?』

 

 

『いえ、それでは拉致が空きません。アレンは奇怪な戦法を得意としています。ここは鉄の体による高防御力をいかして少し力押しの勢いでやりましょう。変に動きを変えてしまっては逆に怪しまれてしまうと思いますので。』

 

 

『オッケー、じゃあ回転薙ぎとかダッシュ攻撃を駆使すればいいかな?』

 

 

『どんなに指示を出しても実際に動くのはハルバさん、貴方です。動きは貴方に任せます、ですが今回の二人は手強いです。用心してください。』

 

 

『了解!』

 

 

すると、早速ドレイクが猛ダッシュでこちらに近付いてきている。刀の十八番である素早いダッシュ攻撃を行う気だ。

 

 

「おい、ルキ!何処を見ている!?」

 

 

ほら来た。お得意の突き攻撃。読み通り俺は横に突きを回避し、斧槍を振りかぶる。しかし、後ろに回ったときに肘で体をどつかれて少しよろめいてしまった。

 

 

『グエッ!?』

 

 

『隙だらけだぜ相棒!』

 

 

凄まじい速さの突き刺し攻撃が飛んでくる。俺はなんとかいなそうと試みたが胴体に少しかすった。致命傷ではないがパックリと鎧(胴体)に小さめの穴が開いている。そして、武器によるつばぜり合いが始まる。

 

 

『ちっくしょう、やってくれるじゃねぇか。御返しだ!』

 

 

俺はドレイクに盾で彼の腹を思い切り殴る。流石のハベル鎧とはいえ、打撃には穴がある。よろめかせることくらい訳はなかった。

 

 

『ウグッ!?』

 

 

そして、俺は斧槍を思い切り、真上から振り下ろす。しかし、ドレイクはすぐに体制を立て直し、直ぐ様回避する。もちろん斧槍は命中せず、地面に叩き付けられた。再び地表に大きな亀裂が入る。チッ、脳天勝ち割れると思ったんだがな。

 

 

『お、おい!ドレイク、無事か!?』

 

 

『ああ・・・すまん、クレイ姉貴。お前が教えてくれなかったら脳天勝ち割られていたな・・・。全くあの二人の力は恐ろしいもんだ。』

 

 

どうやら二人の会話を聞く限り、気合いの一撃がくるということを寸前にクレイさんが察したらしく、直前にドレイク君に教えて回避に成功した。こんなところか。運のいい奴め。しかし今日は、空振りばっかりだな。そろそろ一発くらいは当てたいところではあるぞ。

 

 

「こうなったら一気に決める!必殺ファンクション!」

 

 

Attack function 『闇喰らいの居合』!

 

 

再び、ドレイクは刀を納刀し凄まじい闇のオーラを全身から放つ。おっと、ここで必殺ファンクションを発動してきたか。ここは一つ冷静に回避して・・・

 

 

「姉さんがいくならオレも!必殺ファンクション!」

 

 

Attack function 『氷の波動』!

 

 

マジ!?お前も必殺ファンクションを放つのか!?なんでこのタイミングで!?不味い、二人から必殺ファンクションを放たれては流石に避けきれない。どうする・・・!?

 

 

はっ!?そうだ、忘れていた。いい防御技があるじゃないか。正直、上手く決まる保証はないがやるしかない。

 

 

『ハルバさん!こ、これ一体どうしたら!?』

 

 

『まだ慌てる時間じゃないよルキちゃん!大丈夫!秘策があるから!』

 

 

「・・・仕方ありません。必殺ファンクション!」

 

 

Attack function 『モーンの怒り』!

 

 

俺は斧槍の刃を地面に突き立て、全身に力をこめる。凄まじい怒りの力が全身を襲った。この『神の怒り』のような怒りの技は皆、使用者の怒りを使って放出するらしい。その証拠に今まで、味わった憤怒の記憶が一気に呼び起こされる。

 

 

そして波動を放った瞬間、凄まじい光が見えた。エネルギーとエネルギーがぶつかり合い、ドレイクやジョーカーが飲み込まれるのを確認した瞬間、俺は意識を失った。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

~ 神谷 ルキ side ~

 

 

「な、何が起こったのですか・・・!?」

 

 

必殺ファンクションとのぶつかり合いが発生し、ジオラマから眩しく光が点灯して私達は一瞬視界を奪われました。しかし、光が収縮してからジオラマに目を向けると私達のLBXが全てブレイクオーバーし、横たわっていた。

 

 

「お、おい!ルキ!何が起こったんだ!?」

 

 

「何が起きたかはこっちが聞きたいくらいですよ、クレイ姉さん・・・。」

 

 

「オレが思うに必殺ファンクション同士がぶつかり合って、とてつもないエネルギーが発生。ですが彼らはそれに巻き込まれて耐えられなかった・・・。こういうことなのでは?」

 

 

「ってことは?この勝負は・・・。」

 

 

「引き分け・・・ということになりますね・・・。」

 

 

まさかの出来事に私達は唖然としていた。こんなことが起きるとは思っていませんでしたから。必殺ファンクション同士がぶつかり合うとてっきり相殺され、消滅すると仮定していたのに。

 

 

・・・っとそのような事を悠長に考えている場合ではありません。ハルバさんやドレイクさんを早く起こさないといけません。アレンのジョーカーのような通常のLBXは一定時間休ませて、メンテナンスしてあげれば再起動は容易なのですが、この2機は何かが違う。

 

 

実をいうと、一度ブレイクオーバーしたときに何日も起きずにもう二度と彼らに会えないと思ってしまった時があったのです。通常のLBXのようにただメンテナンスを行えばいいという訳ではありません。

 

 

彼らは自分の『意志』が備わっているため、扱いは普通の人間と大差ありません。なので、ここは水を少々かけてあげましょう。LBXは防水機能も備わっているので、ダメージはないに等しいでしょう。

 

 

私は早速、台所に向かってガラスのコップに少量の水を注いだ。そして庭に引き返し、横たわっている二人(?)に冷水をかけてあげました。

 

 

「冷たッ!?」

 

 

「うわっ!なんだ!?敵襲か!?」

 

 

ふぅ、今回はすんなり起きてくれました。いつもならこんなにあっさり起きてくれないので、それは手がかかります。ですが、早く起きてくれて良かったです。死んでしまったのではないかとヒヤヒヤします。

 

 

次回、俺達はついに檜山 蓮に挑む。





前回、レックスにフルボッコにされると言いましたが、ちょっとまだ早いと判断したので間に特訓回を挟んでみました。次回は確実ですので気長にお待ち下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 対決!伝説のLBXプレイヤー


お久しぶりです。モチベーションが復活したので再開します。ダクソ3がおもろいのがいけない(言い訳)

呪術面白い


本編いきます。


「よし、お前ら。覚悟はいいか?」

 

 

「「ゴクリ」」

 

 

檜山さんが呼びかけ、俺たちは同時に息を飲む。いよいよ今日は檜山さんと一騎打ちの日。場所は俺達が出会ったあの橋の下。特訓を重ねたとはめちゃくちゃ緊張する…………。

 

 

なんたって伝説のLBXプレイヤーなんだぜ?強くないわけがない。ああー、ヤダヤダ。まぁ、こんなことを心の中でずっと思ってたってしょうがないのだけれども。

 

 

「今日は俺に特訓の成果を見せる日だ。アングラビシダスでは、負けたら即座に相手の期待は破壊される。だが、俺にとってお前らが負けると困る。だからお前らのチームワークを見せてみろ」

 

 

というと店の奥から、勢い良く郷田が出てきた。勢い良すぎて店の扉粉砕とかすんなよ…………?って待て待て待て。は?もしかして怠慢じゃないの?俺、バリバリそのつもりで特訓してきちゃったのだけれど。なんてこった、これは更に予想外だ。

 

 

「待ってください、檜山さん!代表を決めて貴方と一対一でバトルするという話ではなかったのですか!?」

 

 

ルキちゃんも流石に話が違うと予想した様で、彼に対して抗議する。よしよしいいぞ、もっと言ったれルキちゃん。こんな話許されるか。俺は複数戦は苦手なんだ。

 

 

「なんだお前ら。まさかにルキに伝えてなかったのか?」

 

 

とクレイの方を向いて言う郷田。クレイは恥ずかしそうに頬を赤くし、額に汗を流している。おい、ちょっと待て。まさか

 

 

「…………すまん、ルキ。言うのを忘れていた。今日は私とお前の二人でチーム戦ということになっていたんだ」

 

 

マジかよ。……………仕方ないか。どのみちそんな予感もしたし、想定して凄い武器(・・・・)も持ってきたから大丈夫でしょう…………。本当に大丈夫かな?

 

 

「姉さんのことですから、そんなことじゃないかとは思ってましたよ……………」

 

 

ルキアちゃんも同じように呆れている。流石、姉弟。パターンは心得ている。でもなぁ、この流れだと郷田と組んで相手するんだろ?郷田だけでも、結構面倒くさかったから勝てるか怪しいな………。

 

 

「しかしだなルキア!私達が組むとなれば敵なし!ではないか?」

 

 

ルキアちゃんと肩を組んで、クレイさんは俺達を鼓舞する。…………そうだな。俺達が組めば敵なしだ。何が伝説のLBXプレイヤーだ、やってやろうじゃねぇの。

 

 

心なしかルキアちゃんも満更じゃなさそうに微笑んでいる。口元だけだったけど、俺には彼女がとても嬉しそうに見えるよ。この姉弟と出会えてマジで良かったな。見てるだけでこっちまで嬉しくなってくる。

 

 

「気合いは十分そうだな。じゃあ始めるぞ。」

 

 

檜山さんはそういうとDキューブを展開し、バトルフィールドを用意した。郷田もヤル気満々だ。もうハカイオーを準備し終えている。ていうか郷田は一体何処に機体をしまっているんだ。懐か?懐なのか?

 

 

「行くぞルキア!私に続け!【ドレイク】!」

 

 

「…………あの、仮にも私が代表ですからね?」

 

 

「行けーッ!姉上達!」

 

 

早速、俺たちは同時にフィールドに投下された。戦場は【地中海遺跡】。火山の近くに聳え立つ遺跡が舞台。比較的足場が悪くて、下手したら溶岩にドボン。そんな超危険なステージ。うっかり足を滑らしでもしたら、どんな機体であろうとも問答無用で即死。ヒェッ

 

 

俺は変なとこで足場に躓いたりするから、これだけは注意しなければならない。何で折角、機敏になったのに対してこういううっかりな部分は消えてないんですかね。

 

 

「【ハカイオー】ッ!!」

 

 

「【Gレックス】!」

 

 

相手のLBXも投下されたことだし、さて行きますか。まずは相手の確認から。郷田は相変わらず【ハカイオー】。この鉄塊の防御力を持ってしても崩されそうになる凄まじいパワーを持っている機体だ。コイツは確実に放置しちゃいけない。

 

 

でも俺が一番危険視しているのはやはり目の前のコイツ。見た目は完全に【バーンナックル】を持った【サラマンダー】。けど所々違いがあり、何より威圧感が違う。モデルの機体にはなかった紅の色は正に本人の闘志を表しているみたいだ。

 

 

ナックルということでリーチは短いが、連続攻撃のラッシュは総合の威力が高い。一気にたたみ掛けられては、自慢の防御力も紙切れ同然となってしまう。近付けさせない立ち回りが要求されるだろうな。

 

 

だが今回も武器を変えてきた。その名も【煙の特大剣】。

 

 

馬鹿げた重さとデカさが売りの処刑用弾頭剣だ。振りは遅いが、絶対的な威力を誇る。しかも、この世界だとこの武器は【ハンマー】の部類に入るらしい。確かに刃の部分が潰れて打撃になっているので仕方ないとは思うが、俺は納得できない。

 

 

どうみても【破岩刃】をもへし折りそうな見た目してるから、ハンマーっぽいけどさ。それでもね?

 

 

しかし、振りが遅いという弱点はデカイ武器を使っている以上どうしても限界が出てしまう。そこで生半可な俺はカバーする方法を思い付いた。というよりルキアちゃんの案だけど、彼女が言うにはこちらも格闘術で対応すればいいとのこと。

 

 

煙特のおかげで素手の攻撃力(筋力)が大分伸びたため、接近戦もこれで問題なし。後は実戦でテクニックが生かせるかどうかだ。

 

 

「行くぜ!クレイ!」

 

 

「フハハハハ!貴様の実力で私に勝てると思うのか!」

 

 

郷田がドレイクくんに向かって突撃していった。やっと戦えることになって躍起になっているのだろう。そして、相変わらずキャラが崩壊するクレイさん。もう慣れた。

 

 

しかし武士道を備えているドレイクに加え、冷静に状況判断し指示を下すクレイさん。郷田はたとえ瞬殺はされなくとも苦戦は必至となるな。

 

 

破岩刃の攻撃をいとも簡単に刀の刃で受け流し、臨戦状態に持ち込んだ。流石、ドレイクくん。ハカイオーをこちらにむかわせない立ち回りを意識している。

 

 

そして、俺達大将同士はまだ睨み合っている。まだ、まだ耐えるんだ。こういうときはしびれを切らした奴こそ瞬殺される。我慢比べと行こうじゃあないか。

 

 

「………ふむ」

 

 

なんと先に動いたのはまさかのGレックス。郷田の援護に向かおうとしている。彼とクレイさんは相性が悪いと見抜いたのか!

 

 

『ルキアちゃん!Gレックスをクレイさんの元に近付けさせちゃ駄目だ!連携でもされると動きづらくなる!』

 

 

『……………了解です!』

 

 

ズドンと進行方向に煙特を叩きつけ、救出を妨害する。分厚い刀身がGレックスの進路を阻んで、彼は再びこちらに向き合った。

 

 

「何処に行くつもりですか?貴方は私とデートの予定では?」

 

 

「やはり、そう上手くはいかんか。ふっ、面白い」

 

 

真っ直ぐ此方に向かって突っ込んできた。あぁ、ヤバいヤバいどうしよ。今まで戦ったことがないからどんな動きをしてくるのか分かんないぃ

 

 

待てよ、透かして相手の胸ぐらを掴むというのはどうだろうか?かなり危険だけどやるしかない。瞬殺されては大将の名が廃る。

 

 

えーい!どうにかなっちゃえー!

 

 

俺は思わず目を詰むって、動きを読んだ方に腕を伸ばした。すると手のひらに何か固い感触が伝わった。

 

 

ん?あれ?掴めた?マジで掴めたの!?本当に!?

 

 

『ハルバさん、凄いです!』

 

 

よぉーし、やってやるぜ。俺は状況を判断し、Gレックスをその場に叩きつけた。反動で相手の機体が宙を舞う。

 

 

攻撃の手を緩めないように、跳びすぎないように上手く調整しながらジャンプし、左足でキック、そして右足で追撃を叩き込む。

 

 

防御力が功を奏したのか、通常よりもダメージの通りが良い。固いからキックの威力が上がってるってだけど、まさかの蹴り二発で胴体に傷をつけられるとは思わなんだな。

 

 

そして、急降下で着地して更にジャンプ。Gレックスに渾身のげんこつをお見舞いする。相手は吹き飛び、頭部に傷が入った。

 

 

うわ、思ってたより強烈だ。これ下手したらそこらの武器で殴るより強いんじゃねぇの?

 

 

『ハルバさん、まだです。とどめを刺して下さい!』

 

 

あっといけない。そうだった。まだ試合続行中だったんだ。俺は背負っていた煙の特大剣を取り出し、Gレックスに向かって思い切り振り下ろそうとした。

 

 

「あっ!?待て、貴様!何処へ行く!?」

 

 

「うぉぉぉぉぉッ!!」

 

 

クレイさんが戸惑いの声を上げた。凄く嫌な予感がする。目線を瞬時に反らし、隣の様子を伺うと

ハカイオーがいない。何処に行ったし。

 

 

 

 

ガン!

 

 

 

 

煙特が何かに弾かれる音がした。おいおい、もしかして…………?

目線を元に戻すとハカイオーが煙特の間に入って一撃を受け止めていた。

 

 

「何…………!?」

 

 

すると、俺は脇腹部分を何かで殴られた。ラップ鎧の数少ない装甲が薄い部位をバーンナックルで貫かれていた。

痛ってぇ…………。もろにいかれてしまった。このままだと意識を失う。せめて一矢報いてやるわぁ…………!

 

 

「ぐぉッ!!?なんてパワーだ………!?」

 

 

ハルバードの底力に郷田も驚いている。そして、俺は勢いに任せ煙特でハカイオーを叩き潰した。

 

 

ていうか一つ言いたいのは

 

 

 

こ ん な 大 事 な と き に 煙 特 と か 慣 れ な い 武 器 使 う ん じ ゃ な か っ た よ

 

 

 

俺はハカイオーと共にブレイクオーバーし、それと同時に意識を失った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

何…………何だここ。夢の中の世界か?ぼんやりと背景が見える。家の玄関前だ。神谷家の住宅。灰色の髪の少女が誰かに引き取られている様子だ。

 

 

引き取った親の元には金髪の少女が堂々とした態度で、だが優しく手をさしのべている。灰色の髪の少女はそっとその手を取る。

 

 

誰だろうか。どうにも見覚えがあるような………?あ、そうか誰かと思ったら。あぁ、そうかそうか。もしかして彼女達は

 

 

 

血の繋がった姉弟じゃないのか。

 

 

 

 


 

 

 

 

起きて………!起きて下さい、ハルバさん………!

 

 

「お、おうふ………」

 

 

「あぁ、良かった!目を覚ましたのですね………!」

 

 

「ん、あぁ…………おはよう、ルキアちゃん。…………ここは?」

 

 

見覚えがある景色から目覚めた。見覚えがある天井。ここはルキアちゃんの部屋だ。どうやら負けてここまで意識不明だったみたい。あの夢はなんだったんだろ。ルキアちゃんとクレイさんの出会いを指しているようだったけど…………

 

 

でも確証がないし、必ずしも彼女達の話とも言いきれないな。今は言うのは止めておこう。

 

 

「あ、そうだ。勝負は………」

 

 

「……………負けました。けどテストには合格だと」

 

 

「そうか…………俺もまだまだだな…………ってちょっと待て、今テストには受かったって言ったか!?え!?なんでよ!?」

 

 

「『お前達はまだまだ未熟だが、信念はしかと見た』とだけ。認めてくださったようです」

 

 

「てことはつまり………」

 

 

「えぇ、ハルバさん!私達、ついに地下大会の頂点に立ったんですよ!」

 

 

よっしゃぁ!やってやったぜ!ここまで必死こいて頑張った甲斐があった。これで少なくとも何も栄誉を残せないで死ぬことはなさそうだ。

 

 

「あ、そうだ。クレイさんとドレイクくんは?」

 

 

「お、ハルバくん!目覚めたのだな!」

 

 

噂をすればなんとやらってやつだ。クレイさんが満面の笑みを浮かべて部屋に入ってきた。ずいぶんと嬉しそうだなおい。勝てたことに浮かれているのは俺達二人だけじゃないらしい。

 

 

「君のお陰だぞ、ハルバくん!お前のおかげで我々姉弟は名誉の一歩を踏み出せたのだ!………ま、まぁあの後私は無様に負けてしまったがな………!兎に角、君たちLBXのおかげだ!何故、私はLBXを禁止していたのだろうか。思えば馬鹿な判断だったよ」

 

 

お、おいおい。興奮しすぎて早口になってるぞ。落ち着け落ち着け。まぁ、確かに彼女の気持ちも分かる。まさかここまで有名になれるとは思いもしなかった。

 

 

いつしか誕生する山野 バンに会える日も近いかもしれない。時間軸が拗れるかもという考えもちらつくけど、そんなことを気にしても日が暮れるだけだな。いずれにしても、これで主人公に会える確率はグンと上がったわけだ。

 

 

「それでだな、私はお前達とだな!」

 

 

「姉さん!落ち着いて下さい!」

 

 

「フフ、ハハハッ!」

 

 

「ハルバさん?」

 

 

「いや、ごめん。君たちを見てるとつい可笑しくて」

 

 

「フフフ、そうですね。元はといえば姉さんが面白いことをペラペラ言うからですよ」

 

 

「何!?ルキア!ペラペラとはなんだ!ペラペラとは!」

 

 

 

こうして俺達はアングラビシダスの王者一歩手前まで駆け上がった。どうなるかなんて分かんないけど、この人たちとなら頑張って生きていけそうな気がする。

 

 

「あ、そういえば今何時?」

 

 

「午後の7時だが…………ん!不味い!夕飯の準備をすっかり忘れていた!」

 

 

「…………私も忘れてました。よく考えてみればお腹が空きましたね……」

 

 

「もう面倒くさいから、デリバリーでいいんじゃね?」

 

 

「…………そうだな、今日はお祝いがてら何か頼むとするか。ルキア、何がいい?」

 

 

「…………そうですね…………私は……」

 

 

 

こんな感じで頑張っていきます。

 

 





次回は久しぶりにほのぼの回です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 もう一人の伝説あらわる


ダンボール戦機だと何故か鎌がハンマーの部類に入っていた記憶があります。

アニメだと軽々振り回してるキャラ多いですが、あれ実際使うとなると癖が強すぎる(体験済み)


ロマンはありますけどね


それはさておき、本編行きます


「すまない、ルキア。今日は留守番を頼んでも良いか?」

 

 

伝説のLBXプレイヤーとの対戦から数日たったある日。突然、お洒落をしたクレイさんがルキアちゃんと俺に話し掛けてきた。

 

 

珍しいな。何の用なんだろう。クレイさんのことだからさぞかし大切なことなんだろうな。この時俺はそう思っていた。

 

 

「え、えぇ、良いですけど………。何処か出掛けるのですか?」

 

 

「あぁ、実は友から遊びの誘いを受けてしまってな。アレンも連れていくし、気の毒だがお前には残ってほしいんだ」

 

 

「………はぁ………なるほど、分かりました。残りますよ」

 

 

少しため息をついた後にルキアちゃんは彼女の依頼を承諾した。ちょちょ、そんな悲しい顔すんなよ。俺まで悲しくなるじゃないか女神様。友達ならここにいるだろ?ね?

 

 

「ドレイクも残していくから、退屈はしないと思うが………念のためにスペアの鍵を置いておくから出掛けるときは使ってくれ。では行くぞ、アレン!」

 

 

「あ、あの!………もう………相変わらずの身勝手ぶりですね…………」

 

 

「うん、同感」

 

 

「然り」

 

 

ルキアちゃんは俺を肩に乗せて、自室から一階のリビングへと足を運んだ。今は午前9時。まだ、彼女は朝ごはんを食べていない。珍しく1人と男2体でのむさ苦しい空間となってしまった。

 

 

あ、でも、だからって彼女を襲ったりなんてしないからね?そこ勘違いしないように。襲いたいくらい可愛いけどさ。

 

 

「ハルバの旦那、随分悪い顔してんな……。」

 

 

「え?何の話?」

 

 

確かに悪い笑みを浮かべている(つもり)だったが、俺は惚けた声でドレイクに返答してやった。つかLBXなのに表情も糞もあるかってんだ。

 

 

まぁ、とにもかくにもまずは彼女の朝ごはん考えないと。どうしようかな。LBXの俺らが考えるのもどうかと思うけど、どのみち戦闘がない限り意外と暇なのよね。一応、前世の趣味であった生物観察とかも難しいわけですしおすし。

 

 

「ルキアちゃん、俺らが朝ごはん作るよ」

 

 

「え!?」

 

 

「おいおい、ちょっと待ってくれハルバの旦那。君はどうか知らんが私は料理をまともにやったことがないぞ?」

 

 

「俺も経験があるとは言えないけどやるしかないっしょ」

 

 

「なんでその判断になるんだ!?」

 

 

相変わらず漫才が始まってしまう。不味いな、このままだと始めるもんも始められんぞ。

するとルキアちゃんがすっくと立ち上がり、俺達に向かって言った。

 

 

「なら三人で協力して作りましょう。私だって料理もマスターして姉さんに自慢してやるんです」

 

 

お、良い気合いだ。クレイさんに自慢するとなれば相当な覚悟が必要だが、対抗してみたくもなる。だって勝ったらドヤれるじゃん。あのクレイさんだよ?某出来すぎ君みたいなステータスしてる人に自慢できるんなら相当のもんだ。

 

 

「そしたら………何を作りましょうか?」

 

 

「何ってそりゃあ…………男ならとんこつラーメンでしょ」

 

 

「なんでよ!?ねぇ大丈夫?頭大丈夫?なんでそのチョイスになるんだよ。ラーメン、しかも豚骨とか意味わからんわ。もっとマシなものにしろ」

 

 

「それに私、女ですし…………」

 

 

ナイス突っ込みルキアちゃん。

 

 

「えーっ…………ならそうめんで」

 

 

なんでそこでそうめん来た?明らかに季節違いだし味覚が180度ぐらい回頭してるだろ!?こってりからあっさりしすぎだろ!もっと朝飯らしいの行こうぜ。トーストとか目玉焼きとかさぁ。一体前世でどんな食生活してたんだ、このおっさん。

 

 

「………あの、私そうめんはちょっと………」

 

 

「贅沢な嬢ちゃんだな………。ならスパゲッティとかどうだよ」

 

 

「なんでお前は麺類しか薦められないんだよ!頭に小麦粉でも詰まってんじゃねえの!?」

 

 

「あ、スパゲッティいいかもしれません」

 

 

「いいのかよ!!」

 

 

 

 

ということで三人でカルボナーラを作った。途中、ドレイクくんが材料の配分を間違えたり、ルキアちゃんが麺の茹でる時間をミスってしまったり、俺は首が動かなくて鍋をかき混ぜるのが非常に手間取ったなど問題は多々あったけどなんとか作ることができた。

 

 

なんかすげーLBXっぽいことやってない気がするのは気のせいだろうか。いや、きっと気のせいだろう。そうに決まってる。そして、こんなじゃ到底、クレイさんにドヤるなんて無理な話だ。鼻で笑われるぞ………。

 

 

 

 

「……………美味しかったです。ハルバさん、ドレイクさん」

 

 

「そりゃ、どうも」

 

 

「お前、材料の量間違えた以外何もやってないだろ。あ、いやいやルキアちゃんもよくやってたよ。気にしないで」

 

 

「お腹も満たされたなりましたし、それでは…………二人とも一緒にキタジマでも行きませんか?」

 

 

「お、いいんじゃない。行こうよ」

 

 

「何か面白い(ブツ)でも売ってたら買おうじゃないか、ルキア嬢ちゃん」

 

 

俺達は早速ルキアちゃんのバッグに潜り込み、いつもの店に出掛けた。さっきも言ったがなんか結局やってることあんまり変わんないような気がする。まぁ、いいけど。

 

 

 


 

 

 

「おや、いらっしゃ~い。ルキア、今日はメンテナンスキットでも買いに来たのかい?」

 

 

相変わらずよそよそしく店内に入ったルキアちゃんを、随分とワイルドな格好をしたお姉さんが出迎えてくれた。

 

 

この人は『北島 沙希』さん。店長の奥さんでめっちゃ男勝りの性格をした明るい人だ。

 

 

もはや常連客となりつつある我々とは顔馴染みになってしまっている。友達が少ないルキアちゃんにとっては良いことなんだろうけど。

 

 

「………いえ、今日は姉さんが用事のため出掛けていて暇を持て余していまして………立ち寄っただけです」

 

 

「へ~、あのクレイが妹を置いて抜け駆けとはねぇ。珍しいこともあるもんだ」

 

 

「ぬ、抜け駆けだなんて失礼な……………!姉さんだって私以外の人と関わりたいこともあるでしょう……!」

 

 

「ごめんごめん、まぁゆっくりしていってよ。あ、そうだ。最近うちにあんた以上に立ち寄ってる子達がいてね。良かったら相手になってあげてよ。あんたもきっと気に入るからさ」

 

 

常連が増えただって?ここ最近はルキアちゃんを含め、神谷姉弟以外に来てる人なんてみなかったけどなぁ。

 

 

確かにアングラビシダスとか学校とかの関係でキタジマによる機会は減ってたけど、それでも短期間だ。一体どんな奴らなんだろ。

 

 

と噂をすればなんとやら。店の自動ドアが開き、茶髪の少年とその友達らしき人が三人入ってきた。…………ん?茶髪の少年?

 

 

「店長~。今日もよろしく……あ、沙希さん!今日もLBX使わしてもらっていい?」

 

 

「あ~、いらっしゃい。いいよ、ちょっと待っててな」

 

 

ルキアちゃんは目立たないようにするために店の端のほうに寄り、商品を見るふりをしながら彼らの様子を伺っている。

 

 

普通なら「たかが子どもだろ」と言いたいところだけど生憎、俺も前世の頃は自分より年下の子どもは苦手だった。だからルキアちゃんの気持ちが理解できる。なんというか…………非常に扱いづらい。何するか分かんないという所もあるし。

 

 

『なんだよ旦那。たかが子どもだろ?』

 

 

『黙らっしゃい!!!』

 

 

ドレイクくんが俺の心の中を見透かしたように言ってきたため、げんこつをお見舞いしてやった。俺の(プライバシーゾーン)読んでくるのやめい。

 

 

それはさておき、どうやらこの子達はLBXを持っていないらしく、店で貸し出している機体を借りて遊んでいた。まぁ「グラディエーター」とか「ウォーリアー」とかその辺り。

 

 

しかしあの茶髪の少年、妙にLBXを扱うのが上手い気がする。なんと言って良いのか悩ましいが、技を置くタイミングが的確で短期で勝負が決まってしまう。空振りが少ないんだ。そのためとことん無双状態を続けている。

 

 

『あの小僧、やけに腕が立つな』

 

 

『あ、ドレイクくんもそう思う?』

 

 

『思うな。一度手合わせしてみたいものだ』

 

 

『止めとけ止めとけ、強いとはいえ君だったら一瞬で型がついちゃうから』

 

 

そして、しばらく俺達三人はあの少年たちの様子を観察し続けた。俺は記憶の何処かにあの少年たちの存在を知っているような気がしたからだけど、なんでだかドレイクくんとルキアちゃんも様子を伺っていた。

 

 

誰だっけ…………!?すげー、重要な人だったような気がしたんだけどなぁ。

 

 

朱色の髪をした奴が「また負けたーッ!」と嘆いていた。桃色の格好をした少女も嬉しそうにしていた。………郷田以外とまともにバトルしたのいつ以来だっけなぁ。なんだかバトルしたくなってきた。

 

 

すると、例の茶髪の男の子が此方の存在に気が付いたらしく、此方に向かって声をかけてきた。

 

 

「お姉さーん!良かったら一緒に遊ばないー!?」

 

 

「!?…………あ、私のことですか……!?」

 

 

「そうですよ!そんなとこでいつまでも私達のことを見てるんだったら一緒にやりましょうよ!」

 

 

 

『『『バ、バレてたーッ!!』』』

 

 

 

CCMの画面に三人のシンクロした思いが伝わってきた。考えてたことは皆、一緒だったみたい。やっぱり、好きだわ。お前ら。

 

 

 

「そ、そこまで言うなら仕方がありませんね。私でよければ良いですよ、やりましょう」

 

 

「「「やったぁ!」」」

 

 

三人ともよほど嬉しかったのか、ハイタッチまでし始めた。やれやれ、そこまで言われたらルキアちゃんも断りにくいでしょ。それじゃ、いっちょやったりますかね。

 

 

「行け!『グラディエーター』!!」

 

 

「………………『ハルバード』」

 

 

久しぶりの怠慢バトルが始まった。武器もまたまた変えてきた。今回は『聖者の二股槍』。

 

 

ダクソ3本編だと産廃から成り上がった超優秀な槍である。かつては火力低い、重い、スタミナ消費エグいの三拍子が揃った武器だったけど大幅変更されて生まれ変わった。

 

 

カウンター(パリィ)に弱いという弱点は健在だけど、このぐらいの歳だとそうそう取られることもないでしょ(投げやり)

 

 

相手の確認も忘れてた。機体は『グラディエーター』。言うまでもないスタンダードな機体。武器は『グラディウス』。店長で慣らされた、以上。これ以上言うこともあるまい。

 

 

「凄い!お姉さんのLBX見たことないタイプだよ!レア物?」

 

 

「……………まぁ、そうですね。そういうことにしといてください」

 

 

「すげーッ!」

 

 

三人の子どもたちからステージの中を覗き込まれてジロジロと見られる。や、止めろテレるじゃねぇかよ。そんな見んなっての。心なしかルキアちゃんも嬉しそうにしている。表情からはとても読み取れそうにないけど、俺にはそう感じる。

 

 

「それじゃあ行くよ!」

 

 

先に仕掛けてきたのは、グラディエーターのほうからだ。普通のダッシュ攻撃を狙っている。

ひらりと避けて、グラディエーターは転びそうになる。

 

 

『槍の反撃を気にせずに斬りかかってきたか…………。となればチクチク戦法で何とかなりそうかな』

 

 

『えぇ、大丈夫そうですね。ですが念のため、接近戦も警戒したほうが良いかと』

 

 

ルキアちゃんも相手が強力かもしれないと見越して俺に警告をしてくれた。確かに言えている。隙を見て片手剣ブンブンされて瞬殺でもさせられたら目も当てられない。

 

 

こちらのリーチ圏内に相手を収めつつ、俺は槍を構える。あ、でもダクソみたいにただ突く以外の攻撃もできるんだよな。なぎ払いとかで牽制出来るかもしれん。

 

 

回避をされ続け焦りが出てきたのか、幸いにも相手は盾を構えることを忘れているようで、冷静さを失っている。小刻みにダッシュをし、盾の合間を縫って刺突攻撃を叩き込む。

 

 

一発、また一発と着実に入れていく。

 

 

「う、不味い…………!ライフがもう少ししかないぞ………!」

 

 

「どうしたんだぜ!?お前、いつもはもっとやるほうだろ!?」

 

 

「あのお姉さん、思ってた以上の腕前だわ……!」

 

 

おいおい、俺達舐められてたってことか?そいつは心外だな。ちょっと俺、プチッときたぜ。いくら突撃中に転んだり、読みを外してあらぬ方向に武器振って変な空気を生み出す俺でも、感覚が鋭いだけの単純な相手には負けない。

 

 

『…………ルキアちゃん。ちょっと俺、プチッときちゃったかもしれん』

 

 

『…………珍しいですね。どうしましたか?何か気に食わない一言でも混ざってましたか?……しかし私は構いませんよ。ハルバさんの自由にしてもらって』

 

 

『サンキュー、久々に思い切りやらせてもらうわ』

 

 

俺は早速、動きを多少変更することにし、槍の柄を深めに持ち変える。

そして、横なぎの攻撃でグラディエーターに猛攻を仕掛ける。

 

 

「動きが変わった!?」

 

 

「…………その盾が気に食わないのですよ……なので、こちらも攻撃方法を変えたまでです」

 

 

ルキアちゃんがその場のアドリブで少年に揺さぶりをかける。実際は盾を構えることを意識させる囮だ。俺は防御の隙を見て、一気にバックスタブ(背面取り)で勝負を決めるつもりでいる。

 

 

向こうもこちらの攻撃を受ける一方になってしまい、今度は攻撃するタイミングを見計らっている。

俺は指で小招きをし、相手を挑発する。

 

 

「これならどうだ!」

 

 

相手は姿勢を屈ませて、切り上げをしそうな構えをとってこちらに向かってきている。これは………いける!

 

 

相手は剣の間をすり抜け、俺は時計回りに走って機体の背後へ回る。

 

 

そして、決まった。

 

 

槍が相手の胴体を貫き、青白い光が漏れ始める。これは体力が尽きた証拠。グラディエーターから槍を引き抜き、見事ブレイクオーバーさせることができた。

 

 

少年たちは唖然としている。何も動かない表情がそれを物語っていたから。

 

 

「………ふぅ、とりあえずなんとかなりましたね」

 

 

ルキアちゃんが済ませた表情を浮かべて、その場を去ろうとした。俺も彼女の肩に乗り、続こうとする。

 

 

「お姉さんとっても強いんだね!ボコボコにやれちゃったよ。ところで名前は?」

 

 

「…………人に名前を聞くときはまず自分から名乗るべきでは?」

 

 

「あ、そうだね。俺の名前は山野 バン(・・ ・・)!お姉さんは?」

 

 

何ぃ?山野 バンだと!?あ、あ、あれか!?あのバンか!?将来世界を救う天才少年のあの山野 バンなのか!?このガキんちょ達が!?もしかして、隣にいる二人は『青島 カズヤ』と『川村 アミ』!?

 

 

…………これは………俺、とんでもないことをやってしまったかもしれん。急に寒気がして、額から冷や汗が滴る(ような気がするだけなのだろうけど)

 

 

ルキアちゃんは少し俯いて考え耽った後に山野 バンと名乗る少年に向き直り、自身の名前を名乗った。

 

 

「…………ルキア。神谷 ルキアです」

 

 

名乗った後に彼女は、何も言わずにキタジマ模型店を去った。しかし、ルキアちゃんから楽しそうで優しい笑みが溢れたのを俺とドレイクくんは見逃さなかった。

 

 

あの後、俺達は帰宅し彼女に山野 バンという少年がどういう少年なのか説明した。時空間が歪むとかそんなことは考えてられない。彼女達の立場が危うくなるかもしれないと感じたからだ。

 

 

あの少年にだけは会いたかったけど、会いたくなかった。関われば間違いなくイノベーターなる刺客と戦う羽目になる。そうなれば、この姉弟の命が危ない。

 

 

だが二人とも(ルキアとドレイク)動揺せずにただ俺の話を聞いてくれた。ドレイクくんは俺の正体をしっているから良いが、ルキアちゃんは何故こんなことを話すのか理由も聞かなかった。まるで俺がどういう存在なのか分かっているみたいに。

 

 

「ルキア!今、帰ったぞ!」

 

 

「ルキア姉さん!ただいま!」

 

 

まさか時空間とか未来に悩まされる日がくるとは思わなかった。まぁ、いつか来るかなとは薄々感じてはいたけど。

 

 

…………なんとかしていくしかないのかもな。自分はLBX(ラップ)。答えはおのずと見つかるかもしれない。

 

 

もしかしたら彼が(パッチ)呪いを解いてもらったときのように進めば何かあるかもしれない。確証ないけど。

死んだ俺が転生して生まれ変わった理由ってひょっとして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人たちに出会うためだったんじゃないか

 

 

今はそんな前向きな気持ちになれる。そのために今を大事にしよう。そんな想いに耽りながら、俺は姉弟が夕食をとっている光景を眺めていた。






次回、最後の仲間あらわる


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 最強の姉弟達 前編


今回、最終回ということでちょっと長めです。
ラスボスは結構、重要場面で登場するアイツ(・・)です。

後、最後のオリキャラ出ます。これ以上でないんで許して下さい(汗)

それでは最後の闘いへどうぞ。



「ちょっと、あんた達でしょ!コイツら連れてきたの、なんとかしてよ!」

 

 

「黙れ!わざわざ助けに来てやったというのに何だその言い草は!」

 

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着いてください。

言い争っていては切り抜けられるものも切り抜けられませんよ?」

 

 

 

俺達は今、走っていた。そう猛烈に走っているのだ。え?何に追われているのか━━━って?

そりゃ皆さん、決まっているじゃあないですか。LBXの大群に追われてるんですよハハハハ

どうしてこうなった。

 

 

因みに喋っているのは、上から知らない気が強そうな朱色の髪のお姉ちゃんとクレイさん。

そしてもう一人のおっとりした顔立ちで赤髪を添える知らないお姉ちゃん。マジで誰だコイツら。

 

 

LBXの大群に追われている原因はもちろん、俺達ではない。

元から追われていた彼女達を助けに入った結果、こうなったのだ。

夜に殺戮ロボット集団から逃げ回る日なんて最悪の気分だ。

ルキアちゃんからもうんざりしている気配が伝わってくる。

 

 

おっとりとしたお姉ちゃんが突拍子にこんなことを言い始めた。

 

 

 

「あ、そういえば白髪のお姉さん彼らと同じようなロボットを持ってましたよね?

なら、そこのロボット達をささっとやっつけちゃってくださいよ!」

 

 

 

と明るく一見簡単そうに聞こえる言い方で無理難題な話を持ちかけてきた。

 

 

何言ってんの、この人!?大丈夫!?状況判断きちんと出来てる!?

無理だよ!?明らかにあいつら数十体以上の数いるんだぞ!?

お姉ちゃん、軍隊を目の前にして、『お前一人で相手しろ』、って言われたことある!?

 

 

 

「…………無茶言わないで下さい……!

流石に限度というものがあります………!数が多すぎです!」

 

 

「あ━━そ、そうですよね………!ごめんなさい、強そうなロボット持っているものですから………つい………」

 

 

 

何故俺達は今、このような状況下に陥っているのか。それは数日前にある事件が起こったことが切っ掛けだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

俺達はごく普通の日々を送っていた。

学校に行き、LBXバトルをして遊んだり、姉弟と食事したりと時が来る(・・・・)までのんびり生活していた。

 

 

ある日の休日のことだった。(うち)に大量のLBXが押し寄せてきたんだ。

しかも、それらのLBXは全て『神谷重工製』のもの。俺とドレイクくんはそれらを迎え撃った。

 

 

けれど敵数の波はやむどころか勢いを増している。危険な日々が継続中なのだ。

 

 

 

「…………何なのでしょうか。このLBX達は」

 

 

「んー、分からん。しかもなんで狙いがここなのかということがまず分からん」

 

 

「相変わらず根拠のない回答ですね………ハルバさん」

 

 

「だってしょうがないじゃん。分かんないものは分かんないんだもん」

 

 

「それはそうですけども………」

 

 

 

俺とルキアちゃんは自室に似て、同じ疑問をぶつけ合っていた。

数日前からうちに進軍するLBXの刺客。それが何故、()動きだしたのか。そして狙いが俺達姉弟なのか。

 

 

可能性として考えられるのは、おそらく俺とドレイクくん。

異質な機体とされる俺達は、世界征服を企んでいる組織(多分)としては無視できない存在なのだろう。

 

 

しかもドレイクくんはその組織に捕まって利用されていた時期がある。姉弟の家を襲ったのもそれが理由だ。捕まったドレイクくんを奪い返しに来たのだろう。

 

 

彼と『神谷重工』との繋がりはパッタリと途絶えた━━━━━と勝手に我々が思い込んでいただけらしい。

 

 

何より恐ろしいのはその俺達(・・)の情報が組織に漏れている、ということだ。

このままではLBXの襲撃は止まらない。根本的に解決しないと彼女達(姉弟)に迷惑がかかってしまう。

 

 

俺が最も恐れていた事態が起こってしまった。

 

 

話し合いから数時間がたった今。日が陰り、時はもうすぐ丑三つ時那留であろう真夜中。辺りはすっかり暗くなって、人々は寝静まっている。

俺とドレイクくんはとある計画を実行することにした。

 

 

それはLBXである俺達二人(ハルバードとドレイク)で神谷重工の拠点である『エンジェルスター』に乗り込むという作戦だった。

 

 

中々無茶な作戦で実に無謀だと自覚はしているつもり。

危険は重々承知しているし、もしかしたらここ()に帰ってこれないかもしれない。

 

 

しかし、これは俺とドレイクくんが招いた問題。招いた俺達が後処理をするべきだろうと判断を下した。

ドレイクくんはこれは自分のミスだ、とこの事態を嘆いていた。その償いの意味も籠められているに違いない。

 

無論、神谷姉弟にこの事を知らせてはいない。彼女達は被害者だ。

怪我でもさせてしまったら、俺とドレイクくんの心臓が持たない。罪悪感で寝込んでしまうかもしれん。

それは流石に言い過ぎかもだけどさ。

 

 

だから用意周到と言われそうなほどに多重の誤魔化しをかけ、決して察しが良い彼らにも気付かれないように準備してきた。

 

 

わざわざルキアちゃんのベッドの側で就寝するふりをしたり、換気口をバレないようにこっそり剥がしておいたりと兎に角、迷惑をかけないように様々な準備をした。

 

 

 

 

のだが━━━━━━

 

 

 

 

「おい、お前達。何処へ行くつもりだ?」

 

 

 

外に脱し、ようやく後始末に乗り出せたと思いきや、聞き覚えのある女性の声が背後から聞こえてきたのだ。

 

 

 

「「エッ!!?」」

 

 

 

そこには長女『神谷 クレイ』さんと次女の『神谷 ルキア』ちゃん、そして三男の『神谷 アレン』が待っていたかのように佇んでいたんだ。

なんでバレたのかは分からない。けれど大体、察しはつくというもの。

そもそも、我々二人がこのような思いを抱いていることを既に悟られていたということなのだろう。

 

 

 

「何やら君達LBX組がコソコソと動いているとルキアから聞いたものでな。

探ってみれば、さぞ面白そうなことを考えているではないか」

 

 

「えーと………何のことか存じ上げませんが……」

 

 

「しらばっくれても無駄だぞハルバくん。

知らぬというならば何故、このような時間に外出しようと考えたのか教えてもらいたいものだな?」

 

 

 

威圧感が伝わる声色で答えを要求するクレイさん。怖い。

分かってはいたけど流石というところか。家族のことなら何でもお見通しってわけらしい。俺達の想像を遥かに上回っている。

そしてちゃっかり二人の姉弟も一緒にいた。三人は怒っている処か寧ろ、喜びの念を抱いているように見えるのだ。

 

 

 

「…………私を置いて行くなんて酷いじゃありませんか、ハルバさん。

私達二人はいつでも一心同体ですよ?」

 

 

「あー………一心同体かどうかは知らないけど、そうだね」

 

 

「ルキア嬢ちゃんやクレイの姉貴、アレンくんを置いて行くなんて俺達なりに下した判断だったが、どうかしてたと思う。でも今回ばかりはだな━━━━」

 

 

 

家族を巻き込みたくない。俺も(ドレイク)も彼らに抱いている気持ちは同じだ。

一度、俺達は彼女達にこれ以上関わってこないように呼び掛けてみるつもりだった。

しかしクレイさんが呆れたようにフッと鼻で笑い、俺の忠告を遮った後にこう言った。

 

 

 

「『私達に迷惑はかけたくない』━━━だろ?

そんなことは承知しているさ。

お前達二人の優しさはよく知っているし、私だって同じような立場に置かれれば同じ判断を下すだろう。

LBXである身でありながら我らによく尽くしてくれる。感謝しても仕切れないさ。

 

 

 

 

 

━━━━だがな、我々とてその受けた感謝を返さぬほど恩知らずでもない。だから私達にも手伝わせろ」

 

 

 

堂々としたクレイさんの口から溜めて返された言葉が心の奥に突き刺さる。そんな感触がする。

『カッコいい』、その言葉が相応しいと言える彼女の姿。さっきの問い掛けのときの恐怖が嘘みたいだ。

 

 

クレイさんに続くように俺を掌に乗せ、ルキアちゃんも語りはじめた。

 

 

 

「……………私だって、もう姉さんやアレンに守られるだけの一人ぼっちの女じゃないんです。私はもう何が来ても臆しません。…………恥ずかしい話ですがこう想えたのも

 

 

 

━━━━━ハルバさん、貴方のおかげなんですよ?あの時、貴方が私の前に落ちて(・・・)いなければ…………ね」

 

 

「グッ……………!?」

 

 

少々、頬を赤らめながら照れ臭そうに感謝を述べるルキアちゃんの言葉に、意識せずに声が漏れてしまったのを実感した。

俺のおかげ……………?本当にそうなの、ルキアちゃん……?

 

 

「ドレイクさんだってオレたちを救ってくれたんだよ。出会ってオレたちの人生を変えてくれたんだ!

まぁ、出会ったときはどうなることかと思ったけどね…………!

 

 

 

でも二人のおかげでオレたちの絆がさらに強まったのは間違いないよ………!」

 

 

「アレンくん………。言うじゃねぇか、それでこそ男だぜ……!」

 

 

 

男気を見せたアレンくんに対して、ドレイクくんが誉め称える。

 

 

なんでだろうね俺達。こんな人達を守ろうとしてたんだぜ?これじゃ守るどころか、逆に守られる立場だ。

しかもまだ高校生にも満たない年齢の若者達に。情けない話だけどこの人たち(神谷姉弟)は俺達よりも全然強くて逞しい。

 

 

知ってはいたけど、人間というのは命が脅かされる状況に陥ると大抵は、我が身を大事にする。ここまで他人、しかもLBXである俺達二人を信じるなんてそうそう出来るものじゃない。

 

 

 

「さぁ!行こうではないか!目的の地へ!」

 

 

 

クレイさんが目的地を指差して前進を始めた。ルキアちゃんとアレンくんもその跡に続く。

 

 

 

「あ、待って!」

 

 

「ん?何だ今更、臆したのか?それでも構わないがお前達がなんと言おうと私は行くぞ?」

 

 

「そっち逆!逆方向なんだよ!!姉貴!!」

 

 

 

クレイさんはしまった、と言わんばかりに顔に手を当て、急ぎ戻ってきた。

よくみると若干赤くなっており、この仕草はそれを見せまいとする行為だと分かる。

 

 

 

「……………それを先に言え……!」

 

 

 

目的地を教えていなかった彼ら(姉弟)に俺達は神谷重工の本拠地に乗り込むという計画を説明した。

行き先は『エンジェルスター』

いずれ『山野 バン』達も乗り込むであろう組織の建物だ。

 

 

 

 


 

 

 

 

とここまでが乗り込んだ理由だ。そして何故このような状況になったのか、今から説明しよう。

まず俺達は予定どおりエンジェルスターに乗り込むことに成功した。経路はショッピングモールの地下通路。

 

ドレイクくんが操られていたときに使用していた地下通路だと聞かされた。どんな仕事をやらさられていたのかは聞かなかった。

きっと想像も付かないようなことをやらされていたのだろう。多分。

 

 

で乗り込んだはいいものの、誰が組織の上官で何処で何の指令が下されているかなんて分からなかった。

下調べもせずに直接乗り込んだつけがここで来てしまった。唯一助かったのが、意外と警備が笊だったこと。一回も見付からずに済んだ。

 

 

そして、迷うこと数十分。警備員が歩き回る中、研究室っぽい場所に出たときだった。

俺達はアイツ(・・・)らに出会(でくわ)した。

 

 

 

「ふぅ………………ここまでくれば一安心でしょうか」

 

 

「幸い警備が手薄だったのが功を奏したか。━━━━━しかし何なのだこの部屋は。見たところ研究室のようだが」

 

 

《small》「隠れろ三人とも!誰かいるぞ!」《/small》

 

 

三人はあわただしくも静かに物陰に隠れ、研究室の奥の部屋へと忍び寄る。

ドレイクくんの呼び掛けがなければ危うく警戒心なしで特効してしまうところだった。これに助けられた。

 

 

しかし彼らの肉眼と聴力ではほぼ何をしているのか確認できないため、俺達LBX隊が直接探ることにした。

思えば、この時に行動しなければこんなめんどくさい事態にならなかったかもしれない。

 

 

 

?「だから私達は知らずに迷い込んじゃったっていってんのよ!

いきなり意識が失くなったと思ったらいつの間にかこんなとこにいたの!」

 

 

「そんな戯言が通じると思うか!怪しい女共め、何が狙いか白状したほうが身のためだぞ?」

 

 

?「ほ━━本当に迷ってしまっただけなんです。信じてください!」

 

 

 

紅の髪と金色の髪をした少女二人が、ここの警備員らしき男と何やらもめていた。

男は彼女達に銃口を向けている。どんな事情であれ、穏やかな話ではなさそうだ。

共に観察しにきたドレイクくんが俺に選択肢を掛けてきた。

 

 

『どうする、旦那。助けに入るか?』

 

 

『いや、下手に救出に行ったらルキアちゃん達が捕まりかねん。

それにドレイクくん正気か?危機的状況にあるとはいえ、他人だぞ?助ける義理なんてない』

 

 

『だがな!?それでも━━━』

 

 

 

ドレイクくんが正義感の衝動に刈られ、俺の考えに反発しようとしたその時、クレイさんからの通信が入り、講義は中断された。

 

 

 

『━━━━行け、二人とも。彼女らを助けてこい』

 

 

『━━━ッ!?

だけどクレイさん!あの二人は━━━』

 

 

『聞こえなかったのか?これは命令だ。

私達のことは構うな。あの二人の救助だけに集中しろ』

 

 

『………姉さん!そうは言っても私達はどうするのですか………!

いきなり人助けに介入なんてしたらどうなるか…………!』

 

 

『━━━私の命令に逆らったらどうなるか忘れたか…………!?

お前達はただ、私のことを信じてくれればそれでいい……!』

 

 

 

いつも彼女に逆らうと強面の表情で叱りつけるものだが、今回ばかりは違う。

組織への憤怒からか俺達の身を案じている状況の焦りからか。

 

 

焦りとは少し違うな。この判断からしてクレイさんなりの信念が伺える。

クレイさんは欲張りだ。何もかもを救おうとこ試みる癖がある。昔の自分だったら、なんて甘ちゃんな考えだ、と思っていただろう。

 

 

けれど自分も人の事は言えない状況下に立たされているのを忘れてはいけない。

元はといえば、俺達二人の我が儘をこの姉弟は自らの身が危険になろうとも付き合ってくれたのだ。

借りは返さねばいけない。

 

 

 

『はぁ━━━━━しょうがない、やるよドレイクくん』

 

 

『━━━━━旦那………!

そうこなくちゃ、一暴れしてこの戦いに終止符を討とうじゃないか!』

 

 

 

机上から飛び出し、俺達は警備員に不意打ちを仕掛けた。

(ハルバード)形態変化(メタリックモード)をし、全身全霊の体当たりを繰り出す。硬化したこの(アーマー)は鉄板に等しい。

 

 

体当たりは警備員の頭部に直撃。自分で仕掛けておいてなんだが痛そう。

そして、頭を抱えた警備員の前にドレイクくんがジャンプをし、口から竜頭ブレスならぬ、睡眠ガスを浴びせた。

LBXには当然効果はないけど、ドレイクくんは秘密任務を遂行するようにカスタマイズされた機体。対人機能もバッチリ備わっている。

 

 

 

「ちょ、何よこのロボット!?」

 

 

 

驚いた様子で身構える二人の少女。訓練された警備員が気絶させられたんだ。そりゃ、びっくりもする。

 

 

 

「で、でもホタルちゃん!このロボットさん、私達を助けてくれたみたいだよ…………!」

 

 

「そんなわけないじゃない!これも芝居だったらどうするのよ!」

 

 

「そこの二人!芝居なんかじゃない、助けにきたんだ!」

 

 

 

警備員が気絶したのを確認した姉弟は、少女達の安全を確認するために近寄ってきた。

だけどあまりに都合が良すぎるこの展開に彼女達は若干、混乱しているようだ。

 

 

ウィィッ━━━━━ン、ウィィッ━━━━ン

 

 

 

突如、サイレンが鳴り建物全体が警戒態勢に突入した。どうやら見つかってしまったらしい。

研究室の入り口が勝手に開くのと同時に大量(・・)のLBX軍団が押し寄せてきた。

 

 

あ…………これヤバくね……………!?

 

 

「お前達、この二人の少女を連れて走れ!」

 

 

クレイさんが覇気の籠った一言で二人の姉弟(ルキアとアレン)の動きが的確になる。二人は少女達の手をつなぎ、逃げるように説得した。

 

 

 

「え、え?でもどうやって逃げるのですか………?」

 

 

「………話は後です。今は私達に従って下さい」

 

 

 

ルキアちゃんが冷静に対応し、慌てる赤色の少女を宥める。

この状況下でここまでの対応力を見せている形だとから、彼女も充分に成長したという証拠が垣間見えていることが分かる。

 

 

俺達は研究室の裏口から脱出することにした。 でここからが問題だった。なんとか第一難所は突破した。けれど、今度はその倍の数の軍が押し寄せてくるのだ。

しかも、見つけ次第すぐに発砲までしてきた。

 

 

俺らは今回、組織の狙いを暴くのは断念した。この段階で調査などと抜かしていれば間違いなく消される。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

しかし、結局どうすることも出来ずに逃げ回っている今の現状に繋がるというわけだ。

なんでカッコつけてこんな阿保な作戦に挑んでしまったのかな俺は。

 

 

「このまま逃げ回っていてもきりがないな。

アレン!潜入したときの搬入口を覚えているだろ!そこへ彼女達を連れていけ!」

 

 

「し、しかし姉さんは!?」

 

 

「私はルキアと共にここに残って時間稼ぎをする!

心配は無用だ!我々姉弟の力はこんなものではない!そうだろ!?ルキア!ドレイク!ハルバード!」

 

 

『『おうよ!(えぇ!)』』

 

 

 

アレンくんが俺達を案じて不安そうな表情を浮かべている。

だが心配は無用だと言わんばかりにクレイさんはいつも以上にやる気に満ち溢れた表情を浮かべた。

その余裕が彼にも感じ取れたようで自身の姉達に対してあちらも笑顔で心配はいらないと伝えてきた。

 

 

彼ら達が完全に逃げ切ったのを確認するまでは敵の軍勢を掃討し続けるしかない。

正直、どこまで持つか分からんがやらないより幾らかマシなんじゃないかな。

 

 

 

「行くぞ『ドレイク』!」

 

 

「…………『ハルバード』」

 

 

 

普段通りの掛け声と共に俺達は戦場へと降り立った。武器は『赤柄のハルバード』。対応力がかなり高いことで有名で非常に強力な武器だ。

火薬と鉄臭いこの香り。あんまりいい気分にはならないな。戦場の匂いだ。なんとも血生臭い。

 

敵は『デクー』に『デクーカスタムR(監視)型』それに『アヌビス』か。

この編はまぁいいと仮定しよう。けれど俺はさっき研究室で嫌なものを見た。

 

 

どうやら映像にされていたのは新型(・・)のLBXだった。名前は確か……………なんてったっけ。

兎に角、そいつはデクーに似ていたがそれよりも遥かにとても強そうな機体だった。早く来る前にコイツらをやっつけておきたいところ。

 

 

「一気に決めるぞ!ルキア!」

 

 

「……はい!」

 

 

 

《big》『『必殺ファンクションッ!!』』《/big》

 

 

 

ドレイクくんは『裁きの構え』。俺自身は『風車輪』を放った。

風を纏い勢いが増した斧槍の豪快な一振と刀の刃から放たれた歪な紫紺の波動がLBX軍団に襲いかかる。

一機一機がまるで杏仁豆腐を切るかの如くにスパスパと両断され、風に煽られおもちゃのように宙を舞う。

 

 

 

『いいぞ!これだったらヤツ(・・)が来るまでの時間は大いに稼げるはずだ!』

 

 

 

しかし、現実はそう易々と上手くはいかない。恐れていた予測が現実になってしまったからだ。無数に押し寄せるLBX軍団の中にデクーのような機体が現れた。

だけどデクーなどの雑魚とは放っているオーラが違う。

 

 

 

『なんだぁ!?コイツは!?他の奴らとはまた違った気配を感じるな………!』

 

 

「潰すぞ!ドレイク!災いの種は早めに摘むに限る!」

 

 

 

考えるよりも身体が先に動き、ドレイクくんがクレイさんの指示により俊足で謎のLBXに近付き、刃を突き立てよう(・・)とした。

だが刃は弾かれ、よろめいたドレイクくんは壮大な隙を晒してしまった。

 

 

 

(しまった………!!)

 

 

 

LBXは持っていた武器を「コンバットナイフ」に切替え、ドレイクくんの分厚い装甲を貫いた。

ナイフが胴を貫通し、青い光が内から漏れ始める。鈍い音が辺りに響き渡り、ブレイクオーバーとなってしまった。

 

 

 

「ド━━━━━━

 

 

 

 

《big》『『『ドレイク!!!』』』 《/big》

 

 

 

三人の大声が建物中に響き渡った。あんなにあっさりと決着がついてしまうとは…………。

コイツ、よく考えてみれば、パリィをして致命の一撃、というDARK SOULSの戦闘システムを理解しているようだった。

それはLBX相手でも充分に通用するし、何より腕が立つことは間違いない。

 

 

すると謎のLBXの瞳がひかりだし、音声を発した。

 

 

 

 

『私は…………『マスターコマンド』

海道様によって作られた新型自立可動式LBXである。貴様らの実力は既に解析済み。

大人しく投降しろ。さまなくば敗北は不可避だ』

 

 

 

マスターコマンド……!

これがアングラビシダスの前の闘いで最も激しいものになるということを俺達は後に知ることになる。

いよいよ始まりの終わりを告げる最終決戦、その火ぶたが切って落とされた。





マジで学校と小説を両立させんのキツイ………。

けど、俺はやります。皆様、こんな亀みたいな投降頻度ですがあげれば必ずお知らせします。

気長にお待ち下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。