獅子と兎 〜ダンジョンの物語〜 (パーフェクトノックアウト)
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第1話
では、どうぞ。
「最期は好きなところで好きなように死なせてくれよ…………新友」
「レオーネ………」
「……じゃあな」
ロクでなしに落ちたどうしようもないアタシ、ナイトレイドのレオーネの人生は、こうして終わりを迎えた。
…………………………はずだった。
「なぁんで生きてるんだ〜?てか、何処だよここ?」
レオーネが気が付くと、彼女は何処かの路地裏にいた。しかも今の彼女の姿は、危険種と混ざりきってしまったよりも前、帝具「ライオネル」を使う前の人間の姿に戻っている上、その帝具が無い状態であった。色んな疑問を抱えながら路地裏を出ると、そこで見たのは……………………
「なんだ……こりゃ!?」
自分と同じ人間だけでなく、
耳がピンと尖ったような変わった人間、
小さいのに何処かの大人びた子供、
犬、猫、兎などの耳や尻尾が生えた奴らがわんさか居る街であった。
更に目を引いたのは、街で一番目立つ天空まで高くそびえ立つ、大きな塔であった。
「ここは帝都じゃない……いや、それ以前にアタシがいた世界なのか?地獄にしちゃあ突っ込みどころ満載だぞ!」
頭の中のモヤモヤを解消する為、情報収集を始めた。
……が、開始後直ぐに……
チンピラA「へっへっへ、こんな夜にイイ女が歩いているとはツイてるゼ!」
チンピラB「アニキ〜!カジノで大負けしちまった鬱憤、この姉ちゃんでスッキリさせようぜェ〜」
チンピラA「ソイツは名案だ!全員で愉しもうぜ!」
チンピラC「流ッ石アニキ!太っ腹ですぜぇ!」
……何処の世界でもこんなクズ共居るんだなぁ……
チンピラA「さぁ姉ちゃんよぉ〜、お愉しみの前に、暫く大人しくして───────────」
========================
「他にナンカ言う事あるかぁ?」
チンピラたち「「「ハイ、スミマセン。モウシマセン。」」」
取り敢えず、軽くフルボッコにしてやった!
ついでに有り金(迷惑料ダゾ!)分捕ってやった!
この場でコイツラをぶっ殺さなかったのは、この街、この世界についての情報を聞き出すためだった。道中アタシ等の手配書が一切見当たらなかったとはいえ、まだ何も解ってない段階で騒ぎを起こすわけにもいかねーし、大臣に一撃カマして、ヤツの処刑を見届けて、もうロクでなしの生き方をする必要は無いって思ってるんだろうな、アタシは………
「じゃあ、アタシの質問には全部答えろよ。良いな?アンダァーースタァーンド!!??」
チンピラたちは恐怖に怯え、極東の郷土作品の赤べこのように、首を縦に激しく振り頷いた。
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話をまとめると、
【この街は『迷宮都市オラリオ』と呼ばれ、】
【あのデカイ塔『バベル』の真下に、『ダンジョン』って言う危険……モンスターか…。ソイツらが無限に生まれる地下迷宮があると…】
【あの塔は只の建造物でなくて、大昔にダンジョンからモンスターが出で来ないようにする為の、蓋の役割として建てられたモノだそうだ】
【で、ダンジョンでモンスターをやっつけて、倒すと手に入る魔石やドロップアイテムを売り捌いて日々生活してる奴を『冒険者』がこの街には一杯なんだと…】
【この世界にはアタシ等人間…ヒューマン以外に、耳長で長寿のエルフ、背は低いが馬鹿力のあるドワーフ、褐色で闘争本能の塊みたいなアマゾネス、大人になっても子供サイズな小人(パルゥム)、犬耳のシアンスロープ、猫耳のキャットピープルなどの獣人と、色んな種族が居ると…】
そして、極めつけは……………
【なんとこの世界には、神が居ると………】
【天界の神たちは、刺激を求めて地上(下界)にやって来て、地上の奴らと楽しく過ごしてると】
……………………耳を疑ったアタシがチンピラたちをシメ治したのは言うまでもない…。
========================
「じゃ、色々と話聞けたから、アタシはもう行くぞ〜。次、バカなことしてたらマジでブッ殺ダゾ?」
チンピラたち「「「ハイ、スミマセン。モウシマセン。」」」
そう脅……忠告し、レオーネは去っていった。
「ダンジョンに行くには、まず冒険者の集まり、ファミリアに入団して、恩恵(ファルナ)って奴を貰わなきゃいけないって訳か……」
(話を聞いて思い出したんだけど、アタシの今の状況、前にタツミが読んでた『オーダーマン』のあの話と全く似てるような…………)
ナイトレイドのタツミは、帝都で人気のヒーロー漫画『オーダーマン』の熱からのファンで、仲間のラバックとごっこ遊びまでするほど好んでいた。その作品が、オーダーマンが悪者と相打ちになり死んでしまったが、気が付くと全く知らない世界で生き返り、新たな人生を歩んでいく、という形で最終回を迎え、タツミが二重の意味で号泣してたとラバックが言ってたのを思い出した。
(いや待て、あり得ない話が続いてどう対処すれば良いか分かんなくなってきたぞ………。はぁ〜、辞め辞め。これ以上はどう仕様もない。晩飯食って、一晩寝て、明日また調べ直すか………。)
レオーネは悩みながら、夜のオラリオを歩いて行った。
(あ、これっぽっちの金じゃ、高いヤツは食えないし、寝るのも野宿になるな………)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜おまけ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
チンピラA「ああ〜、イッテェ……。」
チンピラB「アニキ〜、大丈夫ですかい…。」
チンピラA「コレが大丈夫に見えるかよ…クソ〜、何者だあの女…アマゾネスでもねぇのに…冒険者の俺たちをボコボコにするなんて───────
チンピラC「…ん?あ、あのぁ、アニキ…。」
チンピラA「ああ?どうした?」
チンピラC「あの…金髪の姉ちゃん、冒険者の事はおろか……ダンジョンの事も、今日…初めて知ったみたいな…口ぶりでしたよね……。」
チンピラA「ああ、そんな感じだったな…。そいつが何だって………………………ッ!?」
チンピラB「え?どうしたんですか、アニキ?」
チンピラA「…おい、そんな事があんのか!?」
チンピラC「そっ!そうとしか、考えようがねぇんです……!」
チンピラB「ちょっとちょっと〜。どうしちまったんですか、アニキ?一体何の────────」
チンピラA「バカ野郎!まだ気づかねのか!?………あの女はなぁ、恩恵無しで冒険者の俺たちをボコボコにしたってことだよ!!!」
チンピラB「……は?、はぁ!?」
そう、このチンピラ三人、曲がりなりにもソーマ・ファミリアに所属する冒険者で全員level2であった。其れなりの強さがあったにも関わらず、同じ人間で、恩恵すら刻まれてない女に、一方的にボコボコにされたという事実を認識した瞬間、震えが止まらなくなってしまった。
その後この三人は、『一生あの女には逆らわない!』、『あの女に誓ってクズな生き方は辞めよう!』と心に誓うことにした。
━━━━━━━━━━━完━━━━━━━━━━━
如何でしたか?指摘、修正などあれば、コメントを。
最近始めたばかりで、超ド素人です。
ダンまちのクロス作品で、原作死亡キャラがダンまちの世界に転生して、原作キャラと絡みながら第二の人生を送る、的なお話でメインにしたいキャラが何人かいて、今回、「アカメが斬る!」のレオーネを入れてみました。
妄想を形にしただけなので、この先何処まで続くか分かりませんが、もしどんどん続けて行こう思ったら、レオーネの二つ名を募集しようかと考えてます。
長くなりましたが、これで失礼します。
ちなみに、原作別のキャラを入れたダンまち作品を作成中。
キャラのヒント「アカメが斬る!のアニメと同じ年に放送。尊い最期を迎えたあの剣士の二つ名は!ぜ…」
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第2話
この調子で、次、行ってみよー(棒)
……正直、素人が一日に二本の小説を書く、かなり疲労困憊(=o=;) 寝てもすぐは復活出来なかった………(-_-;)
初投稿日以降、創作意欲を燃焼しすぎたので、暫く止まってました。
こんなテンションですが、第2話どうぞ!
━━━━━━━━━━━━翌朝。
「ふぁ〜〜〜、あぁ………。」
大あくびから始まった、オラリオの生活?二日目。
「寝心地、微妙だなぁ〜〜。スラムの頃を思い出すなぁ〜〜。(=o=;)」
結局、昨日は微妙な定食にしかありつけず、宿も確保できなかった為、何処かの民家の屋根の上で一晩過ごしたレオーネ。
太陽が顔を覗かせたと同時に目が覚めた。
まだ眠いが、バレる前にサッサと退散し、今日も情報収集に走る。
========================
━━━━━━━━━━━━夕方
「どこも似たような話ばっかりだったな…………」
「こいつはもう受け入れるしかないかぁ…………」
結局、昨日のチンピラ達から聞いた話と殆ど似た情報しか得られなかった。
新しく解ったのは、オラリオでもトップクラスの実力を誇る2大ファミリア、「フレイヤ・ファミリア」と「ロキ・ファミリア」の事だけだった。
(もしソイツラがアタシ等の世界にいたら、
・・・・・・・・・・・・
あの最強で最狂な最凶のドS女が特に喜んで襲ってそうだな…………)
・・・・・
かつて自分の体を切り刻んだある女将軍の事を思い出し、レオーネは身震いした。
「さぁて、新しい話もねぇし、これからどうすっかなぁ〜〜……………………ヒック。ホント、いい酒だなコレ……。」
レオーネは山盛りの料理と共に酒を頂いていて、すでに酔っていた。
昼間情報収集の最中、やはりと言うか昨日と同様、レオ
ーネの体目当てに下卑たオス共が言い寄って来た。(今回は人間以外にも猫人も含まれてた。)
まあ、毎度の如くボコボコに返り討ちにし、有り金(だから迷惑料ダゾ!)分捕ること10回、懐がどんどん重くなって来たので、今夜は奮発したんだとか。
「料理も中々だし、この酒とピッタリなんだよなぁ〜、この味、アカメもきっと気にいっておかわりという暴食に走るだろうなぁ………ヒック。」
もう会えない新友のことを思い浮かべながら、酒浸っていた……………。
========================
「ウ~〜ン、さぁて、どこの宿に泊まろっかな?」
食後、宿を探すレオーネ。今後の行動と、未だ腑に落ちない情報の真偽を整理したいからだ。
(神ねぇ〜〜〜。アイツ等、嘘ツイてる感じじゃなかったが、どうも信じられねぇんだよなぁ〜〜〜。ホントに居るんなら今すぐ出て来いや、カミサマや~い……。)
未だ会わぬ神を脳内でディスってると、視線のすぐ先の曲がり角で…………………
……ドン!
???「うぇ〜〜〜い、ヒック!」
……バタン!
ベロベロに酔っ払ったチビっ子がぶつかり、目の前で急に倒れた。
白のリボンで結ばれた、黒のロングツインテール。
紐で固定?された白のワンピース。
何故か靴を履いていない。
そして、ワンピースを押し上げる二つの双眸。
如何にも突っ込みどころ満載の少女であるが、レオーネの頭には、そんな㊙情報は入ってなかった。
(………………………チビっ子が酔っ払ってる!?)
如何にも未成年同然の外見をした少女がなぜか酔っ払ってることに非常に驚き、レオーネは冷静で居られなかった。
「オイお前!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
「ウェッ?!………ビ、ビックリしたぁ〜〜。」
意識はハッキリしてるようだ。
「しっかし、なんでちびっ子が酔っ払ってたんだ?」
???「失礼だな!ボクはこれでも酒が飲める年だぞ!」
「ええぇっ!!??そうなのかっっ!?」
???「其処まで驚くことないだろ……」
(人って見かけによらないんだな、ホント。前にぶっ殺したワイルドハントのチビ女も、見た目の割に馬鹿力だったしなぁ………。)
「あぁ、ホント悪い。子どもが酔ってフラフラになってるように見えたもんだから焦っちまってな………。」
???「まあ、この外見じゃそう思われても仕方ない………………ん?キミ、オラリオの住人じゃないのかい?」
「まぁ〜〜〜〜〜、そんなトコだ。昨日来たばっかりで、此れからどうするかを考えてた所だ。そもそもどうやってここに来たのか分かんねーし。」
???(……ん?今の言葉、何か違和感が……
………何か気になる子だな……良し!)
???「キミ、冒険者には興味あるかい?」
「冒険者?ああ、ある事にはある。ただ、明確に何やりてぇか、何目指すか、明確な理由がねぇ。ただまぁ、今後を考えたら、遅かれ速かれ、何処かに入ろうって気はあるな。」
(このままチンピラボコボコが続いたらかえって噂になるし、あ〜、【ガネーシャ・ファミリア】だっけ?そいつ等に目ぇ付けられるのはもっとマズイしな。)
【ガネーシャ・ファミリア】は都市の治安維持を務めており、Lv.5が11人と第一級冒険者が多く所属するオラリオ屈指のファミリアである。
要は、バカやってトンデモナイお巡りさん(冒険者)に要注意人物扱いされる訳には行かない為の措置として、何処かのファミリアの入団を考えていたのだ。
???「なら話は早い!早速だけどキミ!
ボクの【ファミリア】に入らないかい!?」
・・・・・・・・
「………………は?ボクのファミリア?」
チビっ娘の突然すぎるスカウトと、すっごく気になる発言に困惑し、レオーネは某チベットスナギツネのような顔でチビっ娘を見つめた。
ちょっと中途半端な感じで終わりました。
第2話を書く際、ヘスティアとベル、どちらと会って話が始まるか迷って、結果ヘスティアとの出会いからスタート、というストーリーにしました。
レオーネの正式入団は次回に回します。
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第3話
来週から特撮も新作エピソードではなくおさらい物。
仮面ライダーゼロワンの次回が気になる!
コロナウィルスよ、速やかに滅亡せよ!
コロナウィルスは、俺がぶっ潰す!
…て、感じでさっさと解決して欲しい。
気を取り直して、第3話どうぞ!
…………………今、コイツはなんて言った?
(キミ!ボクのファミリアに入らないかい!?)
(キミ!ボクのファミリアに……)
(…ボクのファミリアに……)
………………オイオイ待て待て。
レオーネはまだ酔った状態だが、頭をフルに回した。
…………た、確か…この世界の神ってヤツは……
①刺激を求めて地上(下界)に降りてきた。
②神の力は使用禁止になってる。
③命に関わる傷を負ったら、故郷?の天界に強制的に送り還される。
④そして冒険者の集団、ファミリアの主神、つまりはその創設者をやってる。
(今までの情報と、このチビっ娘の言葉を統合してみると……………コイツは…まさか……!!)
僅か数秒の内に整理し、疑問に対する答え合わせと証明の意味合いも兼ねて、レオーネはチビっ娘に質問をぶつけた。
「オイ、まさかお前が神ってやつか!?」
「そうだよ。神に会うのは初めてかい?おっと、まだ名乗って無かったね。ボクはヘスティアだ。コレでも、【ヘスティア・ファミリア】の主神さ!」
「…………………………………………………………………………………………………」
十秒間の沈黙の後、
「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!?????」
夕日が沈むと同時に、雌獅子の本日最大級の驚愕の絶叫がオラリオに響き渡った。
========================
━━━━━━━━━━━━━━数十分後
「いや〜、神様会ったことねぇから、どんな神々しいモノか思ってたが、何かスゲー想像の斜め上だったなぁ。」
「まぁ、ボクらなんてこんな感じだよ」
(いや、軽すぎるだろ……。)
大絶叫の後、少し落ち着いたレオーネは、チビっ娘神ことヘスティアと打ち解け合っていた。
「で、ファミリアの主神ってことは、それなりにメンツは揃ってるのか?」
「あぁ…一人だけだね……。」
「オイオイ、不人気ってヤツか?」
「そんなことないやい!ファミリアを始めたばかりだから、まだ零細なんだよ。」
ヘスティアはたわわな胸を揺らしながらプンスカになった。
「あぁ、そういうことか。悪い悪い。」
(しっかし、ホントデカイな……マインが長年居たせいか、『ツインテールといえばペッタンコしかいない』というアタシの認識は間違いだと証明されちまったぞ…………。)
『悪かったわね!!!』……と、何処かから仲間の声が聞こえたが、気のせいとしよう……。
「それでレオーネ君。改めて聞くけど、ボクのファミリアに入団してくれるのかい?」
「いいぜ。なんかほっとけ無いし、アンタと一緒に居ると楽しそうだしな。」
「ホントかい!?ありがとう!!あ、後ボクの事はヘスティアで構わないよ。これから宜しく!」
「あぁ、こっちこそな。」
二人は愉しく駄弁りながら、ある場所に向かっていた。
「で、この先か?お前のファミリアのホームは?」
「そうだよ。良いところだから、期待してくれよ!」
「ほぉ、ソイツは愉しみだ。」
━━━━━━━━━━徒歩数分後
「…………………………………………………………………………………………………」
「さあ着いたよ。ここが僕達のホームだ!」
そこにあったのは立派な城……ではなく、見事なお屋敷……でもなく、かなり年季の入った、外観が非常にボロボロの教会であった。ナイトレイドのアジトと比べても月とスッポンであった。
「……マジか?」
「マジだよ。」
「……お化け屋敷か?」
「失礼だな!コレでも中身はスゴイんだぜ!地下に隠し部屋があって基本はそこで生活してるのさ!!元々ここはファミリアを始めるときに、神友のヘファイストスから受け取ったものなんだ。」
(まぁ、ボクがグータラして追い出されたときに与えられたトコだなんて言えないけど………)
そう、ナイショ。
(一発でコイツの生活レベルが分かっちまうとか、一瞬コイツを貧乏神だと思っちまったのは言わないようにしよう……)
というのもナイショ。
「さっき零細とは言ってたが、ここまでとはな……。」
「うぐ………ま、まあこれからだよ!新しい団員も入ったことだし!ドンドン大きくしていけばいいさ!貧困なんかに負けないぜ!」
……この神様、本ッ当に良いやつだな。超がつくほどの善人…イヤ、善神か。マインやチェルシーなら『甘い!』って即突っ込むだろうけど、コイツを見てると、アタシが世話になった帝都のスラムの皆を思い出すな…貧しくて辛くても、雑草魂一つで日々を乗り越えていく、そんな逞しさに溢れた人達だったなぁ…………。
「これからはレオーネ君も加わるから、そう遠くない未来、こんな貧乏生活ともオサラバできるよ!」
前言撤回だ………まるっきりヒモの発言じゃねぇか。さっきの言葉も神の威厳も台無しだぞ。
ここまで来る途中、生活費稼ぐためにバイトやってるなんて言ってたが…芋売とか、店番とか…ソレ神がやることか?
ホントいろんな意味で台無しだぞ、この駄目神………
「そういや、一人団員がいるんだよな?」
「そうさ!ボクのカワイイ家族、ベル君の事さ!雪原を駆け抜ける白兎のように、身も心も真っ白な純粋な子だよ!!」
グイッ!
「お、おう…そのベルってヤツ、兎人か?」
「いいや、君と同じ人間だよ。あ、これだけは言っておくよレオーネ君?」
「?」
まだ何かあんのか…?
「ボ!ク!の!ベル君には手を出さないようにね!」
…………………え?そこ!?
「彼はホントに真っ白な子なんだ!ボクにとって大事な子供なんだ!だから─」
「ああ、分かった分かった。取って食うなんてことはないからな。まぁいい男だったら軽いスキンシップくらいは─」
「んん??」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
「……ジョークだ。」
ヘスティアの威圧を受け、レオーネは一瞬ビビった。
(オイオイ、このちっこい体の何処に今のトンデモナイ恐ろしさがあったんだ……油断なんねえな、神様!)
「とにかく、ボクのベル君にヘンなことはしない様に!いいね!?」
「だから分かったって。」
「じゃあ、改めて部屋に行くよ」
こうして、レオーネの第二の人生が始まった!
如何でしたか?
今回はヘスティアとの駄弁りがメイン。ベルを誘惑しそうな女は絶対に入れない、なんて考え全開のヘスティアが、唯一レオーネを受け入れたのは、前回レオーネに感じた何かが非常に気になった点が大きいですね。それについては次回に回します。
レオーネの性格上、ベルに絶対過度なスキンシップをするのは確実ですが………
ベルとの出会い、恩恵の刻みも、次回に回します。
ではまた!
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第4話
その理由はあとがきで!
滅亡迅雷netに接続………!
オットぉ、謎の電波が……。
雷、復活!「滅亡迅雷net」のロゴが入ったシューズ履いてました。プレバンで出てきたりして……。
………クローズビルド、ホントのホントに、SHF化して欲しい!!!
オットぉ、最近の葛藤が漏れてしまった…
気を取り直して………………
………えぇ…第4話、どうぞ。(貴乃花親方テンション)
━━━━━SIDE:???
(ん………もう朝か…)
少年は目を覚ます。
何時ものように朝起き、朝食を神様と二人で食べ、ダンジョンに出発し、夕方に神様が待つホームへと必ず帰る。そんな、いつも通りの朝がまた始まる。
が…………
(あれ?神様、また僕の毛布に潜り込んだのか…)
彼のいつも通りは、昨夜から変わった。
(んん?神様、背伸びたのかな……?)
いつもと違う身体への感覚が、僅かにソレを語る。
(大きい?…色々と…)
そして目を開けると………
「んぅ………スー………」
そこに居たのは黒髪ツインテールのロリ神ではなく、グラマーな長身金髪の女性が、寝息を立てていた。
「ホ、ホワァアアアアッッッ!?!?!?」
ドグシャ!!!ガララッ!!!ゴキン!!!
少年は大慌てで飛び起き、盛大にズッコケた。
雪原のような白髪、ルビーの様に燃える赤目、幼い顔つきと華奢な体格も含めると、まるで兎を思わせる印象が大きい。
しかし少年は、その白髪が燃え上がるほど、その赤目よりも真っ赤に染まるほど、純情で初心であった。
【ヘスティア・ファミリア】唯一の団員で冒険者の少年、ベル・クラネルは新団員の刺激的(無意識)な挨拶?で朝を迎えた。
=======================
「レオーネさん、朝から心臓に悪いですよ…」
「いや〜、酔っ払ってウッカリ少年の寝床に潜ったまま寝ちゃった、テヘ♡」
・・
「テヘ♡、じゃな〜〜〜い!入団して早々また何やってるんだい、レオーネ君!」
いつも以上に愉しく、騒がしくなった【ヘスティア・ファミリア】の朝食。イヤ、これからも騒がしくなる事だろう。
朝ごはんを食べながら、ベルは昨日の夜の出来事を思い返した………………
━━━━━━━━━━時は昨夜
僕がホームで神様の帰りを待っていると……
バタン!
「たっだいま〜!ベル君!!」
「あ、神様。おかえりなさい、ってうわぁっとと!」
抱きッ!
神様が帰ってきた。こんな僕をファミリアに入れてくれた、素敵な神様、ヘスティア様が。
「ボクのベルくん、今日も無事帰ってきたね!」
「ハイ!実は─」
「おおっと、ボクから先に話があるよ!驚き給え!なんと、ボクのファミリアの新しい団員が一人入団したんだよ!」
「え、ホ、ホントですか!?」
「ホントのホントさ!連れてきたから、紹介しよう!」
(ど、どんな人だろう…ちょっと緊張するなぁ……いやいや、新しいファミリアの家族になる人だから、ちゃんと歓迎しないと…!)
………いきなり新団員さんが来るって聞いて、ちょっと緊張しちゃったけど、もう大丈夫。良し!
「さぁ、来ていいよ!」
………元気に出迎えよう!
シーーーーーーーーーーン…………………………。
………でも、誰も現れない。
「あ、アレ?おーい、レオーネ君〜?」バタン!
………神様は新団員さんの名前を呼んで、その人物が待っていた?扉を開けたが………
シーーーーーーーーーーン…………………………。
………返事すら返ってこない…。
(神様、嘘ツイてる感じはしなかった…じゃあ、新団員さんは何処に─)
「……フゥッ(息)」
「ヒョオワァアアアアアアッッッッッッ!?!?」
……な、何だ!?背後から何かが耳を!?
「ニャッハハハハハ!!初心な反応だな、少年!!」
……高らかな声のある方に振り返ると、其処には見知らぬ女の人がいた。露出の多い格好をして、とても目のやり場に困るけど…でも、一体いつの間に背後に居たんだろう?
「コラァ、レオーネ君!いきなり何やってるんだい!というか、いつの間に部屋に入ってたんだい!?」
「あんた等がハグし合ってる間にこっそりと。第一印象はこのぐらいの方がいいだろ?」
「全く気づかなかった……キミ、一体何者なんだい?」
「アタシはなぁ、ミステリアスなお姉さんだ♡」
「そういう事じゃなーい!」
「ニャッハハ、ホントいじり甲斐のある神様だな!」
「………ハッ、神様、もしかしてこの人が…?」
「ハァ、そうだよベル君。彼女が新しい団員だよ」
「おっと、自己紹介がまだだったな。
アタシはレオーネだ。宜しくな、少年!」
「は、初めまして!僕は、ベル・クラネルって言います。こちらこそ、よろしくお願いします!」
「そう固くなんなよ、気軽に行こーぜ気軽に!」
「あ、すいません」
「ホラ、また固いぞ。ハハハ!」
「アハハ……」
………とても気さくなそうな人だな……さっきのにはホント驚いたけど…この人が新しいファミリアの家族……一緒に冒険してくれる仲間が出来て、ホント嬉しい!神様、ありがとうございます!
━━━━━━━━━━そして現在
(ホント、賑やかな人だな……)
「昨日言っておいたハズだよレオーネ君、ボ!ク!の!ベル君に色目を使うんじゃないと!!」
「分ーってるよ、アンタが先に目ェ付けたんなら盗ったりしねえよ。只こっちの少年も中々いじり甲斐有るし、からかいたくなるんだよ(・∀・)ニヤニヤ」
「アハハ、程々にですよ……」
━━━━━SIDE:レオーネ
アタシがこの少年に抱いた印象は……
(ベルは本当にからかい甲斐のあるヤツだな。声はどことなくラバっぽいな、スケベな部分を全て引っこ抜いたアイツのチビバージョンといえばしっくり来る。貴族の坊っちゃんだったから、丁寧語も加えると完璧だな………改めて思うとヤなヤツだな、ラバは……)
いじり甲斐があり可愛げのある少年であり、
(英雄譚か………ヘスティアも言ってたが、想像以上に真っ白だな……初めて会った頃のタツミ以上に何も知らなさ過ぎる……そしてマインとチェルシー風に言うなら、甘い………)
純粋過ぎる少年であり、
(ここオラリオは帝国程でないにしろ、冒険者の欲望に満ちた上、ダンジョンはちょっとの油断が命取りになると聞く…この少年の心が折れねぇか心配だな……)
世の醜悪さに無知過ぎる少年だと思った。
(ま、ソイツは少年のこれから次第だな。アタシも支えてやるし……)
故に、アタシが何とかしてやるか!
………昨日、例の神の恩恵ってヤツも刻んでもらったことでアタシも晴れて冒険者の仲間入りだ。腕がなるねぇ〜。
.....
……………だが、ベンキョウは想定外だな……
如何でしたか?
今回、恩恵を刻む話をするといったな、
………アレは嘘だ。
アッ〜〜〜〜〜〜!!!
………すみません、冗談です。
あっちこっち参考にしてたら凄ーく時間が掛かっちゃいました。原作キャラの恩恵はどんな数値から始めようか、色々見ても思いつかず、結局次回に回すこととしました。
失礼ながら、感想でアドバイスとか込だと有り難いです。何分シロートなので……。
ではまた!
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第5話
一つ! 別名 「火の玉○○○」
二つ! 将来の夢は、お嫁さん
そして三つ! 魂
???「さぁ、アタシは誰でしょう!」
━━━━━━━━━━SIDE:レオーネ
━━━━━━━━━━再び昨夜
「じゃ、冒険者の証である恩恵を刻む前に、上を脱いでそこにうつ伏せになってくれるかい?」
「ホイ、分かった。」
レオーネは上着をあっさり脱ごうとするが、振り返ると、
「………あ。」
顔を真っ赤にしたベルが居た………
「……何だ少年、見たいのかぁ?」
「ファッ!?!?」
「レオーネ君、何言ってるんだい!?ベル君!君は外に出てるんだ、イイね?覗くんじゃないぞ!そういうのはダメ、ゼッタイ!!!」
「ししし、失礼しま〜〜〜〜す!!!」バダンッ!
「ホント面白い少年だな。」
「全く……それじゃ始めようか。」
(『神の恩恵』……たしか、神の血を媒介にして神の言語『神聖文字』を刻んで、魂を強化する神業だったな……。さて、願わくはあの力でも出てくればなぁ─)
「って、何じゃこりゃぁああッ!?!?」
「?」
絶叫するヘスティアが見たそのステイタスには、
=======================
レオーネ
Lv.1
力:F395
耐久:F370
器用:F360
敏捷:E450
魔力:H50
《魔法》
【リオネス】
・獅子の半獣人への変幻
・身体能力、五感強化
・詠唱式
【解き放て、内なる魂 手懐けろ、外なる本能】
・解除式
【野生よ、静まれ 獣よ、眠れ】
・魔力枯渇で強制解除
=======================
いきなりトンデモ?な内容であった。
(な、なんだこのステイタス!?そしていきなり魔法も出てる!てゆーか変身魔法!?ホントに何者なんだレオーネ君は!?(ヒョイ)「あ!?」)
「ヘ〜どれどれ………コレ、何て、読むんだ?」
この世界の共通語(コイネー)を知らないレオーネは、ヘスティアからステイタスの内容を聞かされた。
「で、アタシのステイタスさ、これって高いのか、低いのか?」
「イヤイヤイヤ、レベル1でコレは凄いほうだよ!」
(ステータスの数字の隣にある文字(アルファベット)はランクみたいなもので、最高のS〜最低でIという感じで格付けされてるんだとか。普通は全てI0から始まるが、偶にぶっ飛んだステータスの奴も居るんだとか…もし居たらチョイとバトって…ゲフンゲフン。)
(ま、アタシはロクデナシ時代から帝具使って結構ハッスルしてたし、大臣ブッ殺す時のあの姿もあって、この結果なのかも知れねーな…。ライオネルが無くなって多少差し引きされてる感じはあるな……。)
(死んで生まれ変わっても経験が反映されたってのは驚きだな…。)
(で、魔法ってヤツがコイツとはな……初めて帝具手に入れた時と同じくらい運命感じるな〜。タダ魔力っヤツが何でアタシに宿ったのは謎だな〜。)
(イヤ、心当たりがあるとするなら、ワイルドハントの年増ゴスロリチビの気味の悪い攻撃喰らったせいで、アタシの身体に異変でも起きたってとこだろうな…インクルシオみたいに環境に適応して進化する帝具では無いにしろ、ライオネルの素材の危険種も、それなりの生命力と強さを誇ってたって文献に載ってたから、ソイツが絡んで何かが染み付いたのかもな………)
僅か数秒の思考の後、
「ま、何がともあれ、コレでアタシもダンジョンに行けるんだな!」
「いいやまだだよ。明日そのステータスをギルドまで持って行って、冒険者登録して、勉強会を受けたら、晴れてレオーネ君も冒険者の仲間入りなんだよ。」
「ああそっか、勝手に入ったら怒られるし、そいつは忘れちゃイケないな、ウッカリ…………………………………
……………………………………………………………ん?………ベンキョウカイ?」
突如、カタコトになるレオーネ。
「イヤイヤ、チョットマテ。冒険者はダンジョンに行って、モンスターやっつけて、大金を稼ぎまくる、ソレだけなのに、ベン⤴キョウ⤵?、がホントに必要なのか……?」
「当然さ!冒険者の基本からダンジョンの危険性、出てくるモンスターの種類まで、学ばなきゃいけないことは山程有るんだよ!其れだけ、ダンジョンは甘くないってわけさ!」
「…………………………」
今度は無言になったレオーネ。
「それにレオーネ君、さっきの言葉で共通語すら読めない様だったから、合わせて覚えてくるといいよ。読み書き出来ないのは基本的に問題だから………」
「…………………………」
無言を貫くレオーネを見て、
(あ、この子絶対、勉強苦手でサボる系の子だ……)
ヘスティアの推察は、遠からずも当たらずも、イヤ、100パーセント的中である。
スラム育ちのレオーネさん。スラム時代から色々とやらかしている。
田舎者の少年を騙して晩飯をタダ飯同然で奢らせる
上司のとっておきの酒を全て飲み尽くす
挙げ句の果て至るところから借金して踏み倒す
そしてオラリオでチンピラから有り金を取り上げる
罪状満載の『悪い子』であった。
例の家業を除けば、気さくでグラマーなお姉さんだが、こうも『悪い子』だと、『良い子』のお勉強をほっぽり出すサボり魔なのだ。『悪い子』のレオーネさんが『良い子』のお勉強を大人しく受けると思うか?答えは否!!である。
ヘスティアは、更に何か言おうとしたが─
「じゃあアタシ寝るわ、ベッドで良いかー(棒)」
「ってレオーネ君!話は─
「寝ミーから明日にするわ、グッナ〜イ(棒)」
ホント自由すぎるな君は!?(最後の言葉は何処で覚えたんだ!?)」
=======================
「神様たち……まだ終わらないのかな…………………………ファ…ハ、ハックシ!!」
衝撃の数々であったのか、二人はベルの事をすっかり忘れ、当の本人は寒空の夜の中、2、3時間ほど薄着で外に放置状態であった
=======================
「……………………………………」
夜、レオーネは寝付け無かった。理由は至極単純。
(ベンキョウカイは勘弁してくれ〜〜〜!!!)
「う〜〜〜〜〜ん……………」
ずっと、悪夢にうなされていた。
=======================
━━━━━━━━━━現在
(はぁ〜〜、思いっきりバックレてぇ〜〜〜〜。)
朝食後、ベルと共に冒険者ギルドに向かうレオーネの頭の中は、勉強会に対する憂鬱さと逃避行で一杯であった。
「レオーネさん、コレばっかりは避けようがありませんから、諦めて下さい。」
「へーへー、分かったよ……」
(絶対分かってないかも……)
ギルドに着くと、ベルはギルド職員でアドバイザーであるハーフエルフの女性、エイナ・チュールと会った。
「あら、ベル君。今日はどうした…の……?」
エイナさん、ベルの隣に居るレオーネを見るなり、
「ベ〜ル〜く〜ん、そこの女の人は、
だ〜れ〜か〜な〜〜〜?(疑)」
ベルが悪い女に引っ掛かったのかと思い、怒りと疑惑の目をベルとレオーネに向ける。
「ご、誤解ですよエイナさん。この人はウチのファミリアの新団員ですよ。」
「………え?新…団員?」
エイナはベルから、レオーネのステイタスが書かれた紙を受け取り、そのトンデモ?な内容に驚きながら、レオーネを見た。
「そーそー。この少年とはそういう関係じゃねぇから。あぁ、具体的にどんな関係かと思ったのは敢えて聞かねぇから安心しな。」
「ッ!?、ゴ、ゴホン!失礼しました!私、冒険者のアドバイザーを務めるエイナ・チュールです。」
「ヘスティア・ファミリアの新団員のレオーネだ。」
「では、手続きをするので、あちらの待合室でお待ち下さい。ベル君には別件で話があるから……いいね?」
「ハ、ハイ…。じゃあレオーネさん、また後で。」
「あいよ。」
気軽に挨拶を交わし、待合室に向かうレオーネ。
後にレオーネは、この時先に一人で待合室に入ったことを後悔することになるが、それが最初の失敗となるとは思わなかった………。
━━━━━━━━━━━━━━━数分後
数分待った後、エイナの説明を交わし、冒険者登録を終えたレオーネ。
「レオーネさん。最後に個人的に大事なお話があるので来ていただけますか?」
「おう、いいぜ。」
(コレはベルとの関係性、まだ疑ってるな…?ちゃんと誤解がないよう説明しないとだな……。)
この勘違いが、レオーネ第二の失敗であった。
=======================
「ここでお話しましょう。」
「ん〜?ここは一体─」
バダンッ!
「え?」
ガチャ!
「え!?」
突然閉じられたドアとカギ。
「……………(^_^)」
笑顔のままこちらを見るエイナ。
(こ、ここは…………!)
徐々に明るくなったその場所は、数台の机と黒板のある部屋。そこがどんな場所なのか分かると共に、レオーネの表情はどんどん青くなっていった。
(ま、まさか……………嵌められた!!)
あっという間に、『悪い』ライオンはまんまと檻の中(講習会会場)に誘導され、閉じ込められた。
「お、おい!これはなんの真似だよ!」
「ごめんなさいね。本来はここまでする必要は普通は無いんですけど、ベル・クラネル氏から受け取った手紙を読んだ以上、こういう措置を取ることとしました。」
「……は?…て、手紙…?」
━━━━━━━━━━━━━━━数十分前
レオーネが待合室に向かった直後のこと─。
「あぁエイナさん。これ、神様から預かった手紙です。」
「ヘスティア様が私に?」
その手紙には、こう書いてあった。
─御機嫌よう、アドバイザー君!
─ボクのベル君がいつも世話になってるね。
─前置きは置いといて、本題に入ろう。
─ボクのファミリアの新団員が冒険者登録で今日来るんだけど、彼女相当の勉強嫌いだから、講習会は彼女が絶対逃げないようにして、徹底的に知識という知識を叩き込んでもらいたい!
─コレは彼女への愛のムチだと思ってほしい。ボクのベル君へのイタズラの数々へのお返しでは無いよ。無いったらない。
─と云うわけで、やり方は全てキミに任せてもいい。何なら一週間閉じ込めてもいいから、後は宜しく!
by 神ヘスティア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「……と、言うわけです。(^_^)」
(あ、あんのロリ神ぃぃぃいいいいいい!!!)
ヘスティアはレオーネの勉強嫌いに気づいた上で、レオーネが眠った後、手を打っておいたのだ。正に用意周到。
レオーネの本日最後の失敗は、ヘスティアの事を未だに甘く見てしまったことであった。
「じゃあ、僕ダンジョンに行ってくるので、レオーネさんのこと頼みます、エイナさん。」
入り口の小扉から、ベルが顔を覗かぜた。
「え!?ちょっと!?ま、待ってくれ少年!?」
レオーネはベルに最後の希望を抱くが、
「レオーネさん」
最後に見たベル・クラネルは、
「頑張って下さい。」
光が籠もってない、正に死んだ魚のような目で励ましの言葉(死刑宣告)を送って(告げて)レオーネに別れを告げた。
「………………………………」
「じゃあ、これから一週間、みっちり講習を叩き込みます♪」
「うわぁぁぁん!少年だけはアタシの味方だと思ったのにぃぃぃいいいいいい!!!」
こうして、レオーネにとって最悪過ぎる、地獄の一週間が始まった。
………………レオーネさん、南無(合掌)………………
会社に行きたくな〜い……というコロナ明けの憂鬱感で世の中が満ちている今日この頃、如何お過ごしでしょうか?
今回から、前書きをバージョンアップ。たまーにダンまちに絡ませたい候補の死亡キャラをヒントと共に挙げちゃいます。
もしかしたら新作も作ったりして………
レオーネのステータス、これで良いのかまだ微妙なので、多分修正入れるかも…後、アドバイスと指摘は何時でもどうぞ〜。
レオーネのあの姿は魔法として扱います。
後、話が結構長引いちゃいましたが、次回、レオーネが漸くダンジョンにレッツガオー(ゴー)!
ハイ!アルトじゃ〜ないと!!
では最後にもう一度、大事な事を
………………レオーネさん、南無(合掌)………………
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第6話
一つ! 魔眼
二つ! 別名 「○○殺し」
そして三つ! 新しいライフワークは、シ○○○の手作りバターケーキ
???「ん?私が誰なのかですか?ふふ、教えません。」
━━━━━━━━━━そして一週間後の夜
その日、何時ものようにダンジョンから帰還したベルは、ふと、彼女の事を考えていた。
「そう言えば、今日が講習会最後の日だったなぁ…レオーネさん、あれからどうなってるんだろう……。」
あの日、エイナとヘスティアの共謀?に近い行動で講習会会場に誘導されたレオーネは、一週間エイナの授業を泊まり込みで受ける羽目になったのだ。
何故泊まり込みなのか?
それはレオーネが誘導されたあの教室は、余りにも勉強嫌いが過ぎる冒険者に、徹底的にダンジョンの知識を叩き込む為に予め作られた、宿泊施設付きの特別な勉強部屋なのであった。
どんな特別かはご想像にお任せする。
色々と勉強不足なレオーネの為とはいえ、少々やり過ぎなのでは、と思いながらホームに着く。
「ただいま………ってレオーネさん!?」
しかし扉を開けると、其処には──!
「……………………………………」
ベルが目撃したのは、ヘスティア・ファミリアのホームで、一匹の雌獅子がベッドに顔を伏せ、暗〜いオーラを発し、まるで屍のように動かなくなっていた光景であった。
「あ、あのー、レオーネさん?」
「…………………………」
無反応。まさに屍のようだ。
「……ブツブツ………ブツブツブツ……………」
しかし、よく聞くと何か呟いていた。
「冒険者は冒険してはいけない……冒険者は冒険してはいけない……ダンジョンでは何が起こるか分からない……ダンジョンでは何が起こるか分からない………ブツブツブツ…………」
エイナがよく言う口癖と、講習会で学んだ内容を繰り返し呟いていた。
「うわぁ……。」
レオーネの有様に、若干引き気味のベル。
かく言うベル自身も、エイナの勉強会をみっちり受けて、ダンジョンに行ってきた以上の心労を味わったのだ。なので、この一週間レオーネに何があったか直ぐに察することが出来た。口にするのがとても恐ろしいので、内容は割愛しよう。
只これだけは言える。
『悪い子』にとっての地獄が、そこにあったと。
「や、やぁ…お帰り、ベル君……。」
「ただいま、神様……えっと……レオーネさんは、大丈夫、何ですか?」
「あ、ああ……うん、ちょっとやりすぎたかも…。」
「ちょっと所ではないような……。」
今のレオーネはさながら、トラウマを克服しようとトラウマに挑戦したが、余計ダメになってしまった、という状態に近いほど、『悪い子』から『ダメな子』にランクダウンしてるかの有様であった。
「しょ………少年〜〜。」
「はい?」
「ちょ〜っとこっち来てくれ……。」
顔を伏せながら手招きする猫。(ライオンだが…)
「な、なんですか?」
何処か具合でも悪いのか、と思いながらレオーネに近づくベル。
次の瞬間、レオーネが目を光らせ─!
ベルに一瞬で抱きつき、ベッドに引き込んだ!
「「ッ!?!?!?」」
突然のハグに驚き顔を真っ赤に染めるベル、そしてベルがハグされたことに驚き固まってしまうヘスティア。
「う〜〜〜ん〜〜〜。少年は抱きやすいな〜〜〜。」
「レ、レレレレレレオーネさん!?」
ベルの顔はどんどん真っ赤になっていく。
ヘスティアは固まったままである。
「あ〜〜、癒やされる〜〜〜。」
(何で抱きつくことに癒やしを感じるんですか!?)
こんな状況でも、ベルは自分の魅力に無頓着である。
なお、ヘスティアは未だに固まったままである。
「レオーネさん、とにかく離して下さい!色々と…当たってるんですけど…!神様も、見てますから!」
「ん〜〜〜〜??」
(イヤイヤ、何ですかその『だから?』みたいな表情は!?)
何を言ってもベルから離れないレオーネ。
そうこうしてる中、とうとうロリ女神の怒りが臨界点を迎えてしまう。何処からか、ゴゴゴゴゴゴ、という効果音でも聞こえそうになるくらい怒りが溜まりに溜まったのだ。
「あ、ああああああああッ、レオーネ君ッ!!!ボクのベル君に何やってるんだいッ!!!!」
「癒やしをもらってる…。」
「癒やしって何だ、癒やしって!」
「ん〜〜、少年の可愛さ?」
「可愛さ!?」
「くぅ〜〜〜っ!独り占めなんてズルいぞ!それなら、ボクだってベル君に癒やしを貰うぞ!」
そう言い、ヘスティアまでベルに抱きついたのだ。
「ちょ!?か、神様〜〜〜ッ!?」
これで今のベルの状況は、前と後ろから柔らかい感触を受けているという、世のオス共が見たら血の涙を流すほどウラヤマ、な光景である。
「なんだよ、ヘスティアは何時も少年と一緒だから、これくらいいいだろ〜。」
「だからって、ボクの目の前で堂々とやっていい訳にならないぞ〜!」
何時の間にか、女同士の不毛な争いが始まった。
一方、二人の女性に抱きつかれたベルの心境は……
(ふ、二人とも……ホント、色々と当たってるんですけど……!!)
片やロリ巨乳。 片や長身巨乳。
前と後ろから、見事過ぎる女の武器をグイグイ押し付けられて、ベルの顔は自分の紅瞳の色以上に真っ赤に染まる所か、紅蓮のように燃え上がっていた。
そして……
(…げ………限……界………………)
羞恥心は臨界点をフルスロットルでオーバーし、彼は意識を失った。
========================
翌朝、レオーネとヘスティアは顔つきがツヤツヤであった。地獄の一週間によるランクダウンが、まるで嘘のように消え失せ、気分爽快な顔つきであった。
反対にベルは、あの後二人に抱き枕にされ、ゲッソリとしていた。まるで魂が抜けた人形のようだったとか。
しかし何とか調子を取り戻し、何時ものように朝ごはん(ジャガ丸くん)を食べ、ダンジョンへの準備を始めた。
そして、今日からレオーネの初ダンジョンである。
先ずは謝罪を。
レオーネとヘスティアによるベルのスキンシップな話が長くなりすぎたので、ダンジョンの話は次回に回します。
本っっっ当に話が間延びすぎて、お待たせしすぎて、予告を破ってすみません!
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第7話
一つ! 復讐
二つ! 何でも喰らう左腕
そして三つ! 別名「○禍○○主」
???「コレが!アタシのヒントだ!!」
─ダンジョン内─
ベルと共にダンジョンにやってきたレオーネ。
「これがダンジョンかぁ。ワクワクするなぁ少年!」
「レオーネさんはしゃぎ過ぎですよ。気持ちは分からなくもないですけど…。まさかエイナさんの授業忘れては無いですよね……。」
「今その話はヤメロ、三途の川が見えちまう……。」
(思い出す所か、もうこの世の悪夢そのものとして頭に染み付いちまったんだよ………)
やはり、エイナの勉強会の地獄は、完全には解消されてなかった。
「そう言えばレオーネさん、本当に武器は使わないんですか?」
「まぁな。今まで刃物で戦ったこと無かったし、ガキの頃から拳オンリーだから、殴って倒すのがアタシの戦い方。簡単でいいだろ?」
「でも、モンスターには触ると毒にかかるものも居るので、殴ってばかりは問題なんじゃ……」
「あ〜、そんときはアレだな!岩をぶん投げる!或いは岩で押し潰す!」
(凄い適当だなぁ………)
若干適当な所もレオーネらしい所である。
「さぁ〜て、始めるとしよっか!」
軽く準備運動をし、レオーネは身構えた。
『解き放て、内なる魂 手懐けろ、外なる本能』
呪文を口にした途端、レオーネの身体が変化し始めた。
【リオネス!】
ショートヘアの金髪は鬣のように長く伸び
頭からピョコンと獣の耳が立ち
両腕両足は獣のソレへと変貌し
オマケに尻尾まで生えた
その姿は、まさに百獣の王の名を冠する獅子そのものである。
「おー!やっぱりこの姿になるのかイヤ〜久しぶり!そしてこの姿になるとやっぱ昂ぶってくるなぁ!」
「す、凄い…!コレが、魔法!」
ベルは初めて見る魔法に心踊らせていた。
「ハッハッハ、凄いだろ少年。……………でも感想は後にしな、構えろ。」
「え?」
ベルは辺りを見廻すが…
「?…レオーネさん、何も出てこな──」
「危ねぇ!!」バキッ!!!
「!?」
不意に顔を上げると、レオーネの蹴りがゴブリンの頭を捉え、砕いたのだ。
ダンジョンはモンスターが無限に生まれるという、正に危険地帯と言っても過言では無い地下迷宮。今倒したゴブリンは、何の偶然か天井から生まれ、そのまま落ちてベルに襲い掛かったのだ。
しかし、レオーネは魔法で変身した事で五感全てが研ぎ澄まされており、人間にとって死角である頭上からの奇襲にも反応できたのだ。レオーネの場合は、『以前の家業』の事もあるので、変身しなくても気配だけで気づけたが。
「ボーっとすんな!来るぞ!」
「は、はい!!」
ベルが構え直すと同時に、ゴブリンが四匹ほどこちらに向かってくる。
「ほー、あれがモンスターか。なーんか弱そう……いや、慢心はダメ、だったな。」
「レオーネさんは、そこで見ててください!」
「お手並み拝見だな、じゃあ少年の戦いぶり見せてもらうぞ!」
「はい!」
ベルはナイフを構え、ゴブリンと対峙した。その様子を、ジッと観察するレオーネ。
(ナイフでの接近戦が少年のスタイルか。しかし、分かり易いな……。タツミは元軍人の爺さんから色々と叩き込まれてきたって言ってたな。タツミと少年を見比べれば一目瞭然だが、少年のコレは態々比較の必要が無い程分かり易い。)
ベルの戦い方を見て、ある事を評価するレオーネ。その間、ベルはゴブリンを倒し終えた。
「少年はさぁ、戦い方とか一切習ってない感じだろ?」
「……分かっちゃいます?僕オラリオに来る前は、ただの農民だったんです。だから戦闘の経験とか余り無くて。」
(全部我流……ホント勇気あるな……。)
「やっぱ一回でも良いから、腕の立つ冒険者の誰かに教えを受けた方が少年の成長にも繋がると思うぞ。」
「やっぱりですか?じゃあ─」
「あ、悪いがアタシはあんま教え上手じゃねえから他を頼ってくれ。」
「そ、そんなぁ…。」
話し込んでいると、今度はゴブリンが六匹やってきた。
「よし少年!次はアタシ一人でやらせてくれ!」
スイッチを切り換え、瞬間、ゴブリンの群れに勢いよく突っ込むレオーネ。
「え、ちょ!?レオーネさん!?」
レオーネのスピードに呆気にとられるベル。
「オウラァ!」
ぶつかる直前に高く跳び、天井を強く蹴り、最後尾にいた一匹を右手で押し潰し、着地と同時に左手の爪で一匹を引き裂き、勢いを利用してカポエイラのような回し蹴りで二匹、そして背後から襲ってきた一匹を裏拳で倒した。
この攻防、僅か十秒。
(す、凄い……!)
レオーネの戦いぶりに見惚れるベル。
しかし、当の本人は何処か不満げであった。
(コイツら危険種ほどではないな……おっと、エイナも言ってたな、『ダンジョンでは何が起こるか分からない』…あ〜、ホント染み付いちまったなぁ……それに……)
エイナの授業を思い出し、もう一つ気になった事を考えていると、今度はコボルドが十匹ほど襲ってきた。
「また来たのか、団体さんがゾロゾロと。少年、まだやれるか?」
「はい!まだ行けます!」
「よし。もうひと暴れと行くぞ!!」
その後、調子に乗って5階層まで進み、帰ってきた時の報告の際に、鬼の形相を浮かべたエイナから二人揃って長〜いお説教受けたのは言うまでもない。
ホントにホントにホントにホントにライオンだー♪
レオーネインダンジョンの第7話、如何でしたか?
先ずは投稿が遅れてすみません。
最近の忙しさとストーリーの構想が出ない事もあって、遅れちゃいました。
後、自分の技量故、原則小説は一ヶ月に三話しか遅れそうに無いことを申し上げておきます。送るときは日曜日に限定します。
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第8話
一つ! かつての職業は「木こり」
二つ! 相棒は「黒○○○」
そして三つ! 別名「○薔○の○士」
???「そうさ。泣くなよ、ステイクール。」
━━━━━━━━━━夕方
ホームである教会に帰り着き、【ステイタス】更新をしていたが、そこでベルに驚きの成長があった。
「あ、あのぅ…神様、これ、内容間違ったりしていませんか……?」
「……君はボクが簡単な読み書きもできないなんて、そう思っているのかい?」
「い、いえっ!そういうことじゃなくて………」
レオーネも後ろから今日の【ステイタス】更新の紙とこれまでの更新の紙を見ると、こりゃ聞いたとおり確かにえげつない上がり方してるな、と驚きの反応を見せた。
「か、神様っ、でもやっぱりおかしいですよ!? ここっ、ほら、『耐久』の項目! 僕、今日は敵の攻撃を一回だけしかもらってないのに!」
「……」
ここ最近の自分のステイタスの上昇がおかしい、というベルの疑問に、何故か不機嫌な顔で無視を決め込むヘスティア。
ちなみにレオーネの【ステイタス】の伸びは普通。
「だからやっぱり何かがっ……あ、あの、神様?」
「……」
ヘスティアの機嫌の悪さの理由をレオーネは知っている。理由はもちろんレアスキルのことだろう。
(【憧憬一途】。早熟するってのは、そういう意味だったのかよ…。そりゃヘスティアが拗ねる分けだ。)
レオーネが講習会を受けていた頃、ベルはダンジョン内でミノタウロスに襲われ、その窮地をロキ・ファミリアの冒険者『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインに助けられ、その時に彼女に対し強い憧れを抱くようになった。
憧れの対象者への想いの強さによって【ステイタス】の上り幅が上昇するレアスキル。そしてヘスティアはベルに想いを寄せているが故に、彼の憧れの対象である『剣姫』に対して嫉妬しているのだ。現にヘスティアは不機嫌そのものなのだが、ベルは一向にその理由に気づかない。
(ベルも大変だなぁ。痴情のもつれとか気をつけろよ?愛ってやつは厄介なもんだ。深けりゃ深いほど、愛は時に自分や相手も第三者さえも傷つけちまう。場合によりゃあ何処ぞの『絶対正義』以上に面倒な感情だ。)
夕日が沈みかけ、晩御飯の時間なのでヘスティアに呼びかけると、たまには外で食べようじゃないかと言い出し、西のメインストリートにある【豊穣の女主人】という酒場へ行くことになった。
但しヘスティアの場合、ストレス発散のヤケ食いが主な理由であるが。
(ふーん、あの酒場かぁ…楽しみだ。)
レオーネは何故か愉しい気分であった。
========================
─豊穣の女主人─
「飲み物は行き渡ったかい?それじゃあ改めて、レオーネ君の入団を祝って!乾杯!」
「「乾杯!」」
三人はお酒を頼み、乾杯を交わした。レオーネはカウンターに並べられた料理を食べながら今後のメニューに追加して行くものを想像している。料理の値段はお高め(ボッタクリレベル)だが、中々の美味揃いなのだ。すると、
「おや、また来たのかい?レオーネ。」
カウンターから乗り出し、1人の風格のある、食堂のおばちゃん風の女将が話しかけてきた。
「ヤッホー、ミアばあちゃん!」
「ミア母さんと呼びな!」
女将は【豊穣の女主人】の店主、ミア・グランド。とあるファミリアの団長を勤めていた元冒険者である。
「此処の料理と酒、スゲェ気に入ったからまた来ちゃった!」
「嬉しい事言ってくれるねぇ。常連が増えるのは良いことだよ。」
更に、店員であろう女性がベルに話しかけてきた。
「ベルさん、来てくれたんですね。いらっしゃいませ。あら、隣の方々は?」
「こんばんはシルさん。この人たちは僕のファミリアの神様、ヘスティア様と同じ団員のレオーネさんです。」
「こんばんわ。レオーネ君とベ!ル!君!と!一緒に住んでいるヘスティアだよ。よろしく」
「アタシはレオーネだ。最近ファミリアに入団した新米だ。宜しくな。」
ヘスティアは威嚇しながら挨拶し、レオーネは気さくな感じで挨拶する。そうすると、シル・フローヴァと呼ばれる店員はクスクスと笑いながら二人に自己紹介をした。
「レオーネ君は、この店に来たことがあるのかい?」
「まぁな。」
実は、オラリオに来て二日目の夜にレオーネが晩御飯を頂いた酒場が、ここ【豊穣の女主人】なのだ。そのため、女将と店員(シルを除く)とは面識があるのだ。
ここでレオーネはふと、ある事が気になっていた。
(しっかし、此処の店員は、元傭兵か冒険者か何かか………?)
始めてきた時は頭がモヤモヤし、飲み過ぎで酔っていた為気づかなかったが、店主のミアも、殆どの店員も、只者では無いと感じ取ったのだ。
(店員の内、茶髪の女と猫人の黒色と茶色は中々だが、特にエルフの店員、リューだったか……足運び、体感、覇気…アイツだけは群を抜いている……それに、何処かアタシらに通ずる気配を感じる…まさか………)
レオーネはリューに対し、かつての自分と何処か似ているとシンパシーを感じた。
(ミアばあちゃんは豪快そうな雰囲気だけど、色んな奴らと対峙してきたから分かる……こりゃ、アタシじゃ勝てねぇな………決して堕ちない難攻不落の要塞みてぇだ)
心の中で【豊穣の女主人】の店員達をそう評価し、気を取り直して食事を楽しんでいると、出入口の扉が開き数十人の団体客が入店してきた。
「ミーアさん!入るでー!」
団体客は三人の対角線上のテーブルに座っていく。
ふと視線をベルに向けると硬直し、何故かあわわと言いながら団体客に目を向けていた。
視線の先には金髪の端麗の女性がいる。あれがベルを助けた『剣姫』アイズ・バレンシュタインか?と考え、ならばあの団体がロキファミリアなのかと確信する。
「な、なんでロキがここに…!」
如何にもゲッ、という表情を浮かべるヘスティア。
(前にヘスティアと仲の悪い神が居るって聞いたが、あの赤髪のヤロウがそうか………ヤロウ?…て、よく見りゃ女じゃねぇか!というか、マインより小っさ!まな板か!?)
またまた心の中で神(ついでに仲間)に対し、失礼な事を考えていたレオーネ。心の中で良かったが、もし口に出して本人に聞かれていたら、間違いなく最終戦争が勃発してもおかしくなかっただろう。
しかし、この夜のバカ騒ぎが、眠れる獅子を目覚めさせることになるとは、この時はまだ、誰も知らない。
次回、レオーネがキレちゃいます。
更に、次回の死亡キャラコーナーは特別編。
あるドラマのキャラが出てきます。
ではまた!
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第9話
一つ! 「家族」に手を出す者は情け容赦無し!
二つ! 捨てられた者達が集う街の「守護神」!
そして三つ! 彼らは「無慈悲なる街の亡霊」!
?????「此れでも解らないのか………
だったらお前は助からない。」
「遠征お疲れちゃん!今日は宴や飲めやー!乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
ロキ・ファミリアは乾杯するとガヤガヤと話しながら酒や料理に手をつけていた。その様子を、レオーネは目だけを向けてジッと見ていた。
(ロキ・ファミリア…オラリオの二大派閥の一角…実際見るのは初めてだが、バケモノ軍団かよ……どうすりゃあれ程の箔が付きやがる……大半は発展途上の有望株、件の『剣姫』と狼人、アマゾネス二人はブラートやスーさんに匹敵するレベルだな……が、……小人、エルフ、ドワーフ…あの三人はダントツだ…格が違いすぎる……あのファミリアだけで帝具使いどころか『あの女』と渡り合えるかもしれねぇな……)
かつての家業故、相手を観察する癖はそのままであった為か、ロキ・ファミリアの面々を心の中で評価した。まぁいいか、と気を取り直し、レオーネは酒を飲みながら、食べ物を口に運んでいると
「おいアイズ!今日のあの話を聞かせてやれよ!」
先程の狼人の男性が一際大きな声で喋り出した。
「あの話?」
「あれだって、帰る途中で何匹か逃がしたミノタウロス!最後の一匹、お前と俺が5階層で始末しただろ!?そんで、ほれ、あん時いたトマト野郎の!」
ピクリと耳が震える。ダンジョンにてベルがミノタウロスに襲われかけた所を、アイズ・ヴァレンシュタインに救われ、その際、ミノタウロスの返り血を浴びてしまった事をレオーネは思い出した。
「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら、すぐ集団で逃げ出していった?」
「それそれ!奇跡みてぇにどんどん上層に上がっていきやがってよっ、俺達が泡食って追いかけていったやつ!こっちは帰りの途中で疲れてたってのによ~」
ベルに視線を向けると、顔を俯かせ、拳を握りしめ、ぐっと堪えて話を聞いていた。
「ベ、ベル君。気にしなくても─」
「それでよ、いたんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせえガキが!」
ヘスティアがベルを気遣う声を遮るように、構わず話を続ける狼人。
「抱腹もんだったぜ、兎みたいに壁際に追い込まれちまってよぉ!しかも、アイズがミノを細切れにしたからそいつ全身にくっせー牛の血浴びて…真っ赤なトマトになっちまったんだよ!」
そう言うと銀髪の狼人は腹を抱え、店内に響き渡る声で大笑いした。
その話を聞いていた他のお客さんもつられて笑いを噛み殺しながらニヤニヤと笑みを浮かべる。
「それにだぜ?そのトマト野郎、叫びながらどっかいっちまってっ…ぶくくっ!うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんのおっ!」
「……くっ」
「アハハハハハッ!そりゃ傑作やぁー!冒険者怖がらせてまうアイズたんマジ萌えー!!」
「ふ、ふふっ…ご、ごめんなさい、アイズっ、流石に我慢できない…!」
笑いを堪えきれなかったのかほかのロキファミリアの団員もクスクスと笑い出す。
「いい加減そのうるさい口を閉じろ、ベート。ミノタウロスを逃がしたのは我々の不手際だ。巻き込んでしまったその少年に謝罪することはあれ、酒の肴にする権利などない。恥を知れ」
「おーおー、流石エルフ様、誇り高いこって。でもよ、そんな救えねえヤツを擁護してなんになるってだ?それはてめぇの失敗をてめぇで誤魔化すための、ただの自己満足だろ?」
「これ、やめえ。ベートもリヴェリアも。酒が不味くなるわ」
「アイズはどう思うよ?自分の目の前で震え上がるだけの情けねぇ野郎を。」
「……あの状況じゃあ、しょうがなかったと思います」
「なんだよ、いい子ちゃんぶっちまって。…じゃあ質問を変えるぜ?あのガキと俺、ツガイにするならどっちがいい?」
「……私は、そんなことを言うベートさんとだけは、ごめんです」
「無様だな」
「黙れババアッ!…じゃあ何か、お前はあのガキに好きだの愛してるだの目の前で抜かされたら、受け入れるってのか?」
「……っ」
「そんなはずねえよなぁ。自分より弱くて軟弱な雑魚野郎に、他ならいお前がそれを認めねえ」
「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ」
最後の言葉が聞こえると同時にベルは走り出して店の外へ出る。
「ベル君!」
ヘスティアが声を掛けるが聞こえていないのかそのまま走って行き、ヘスティアもベルを追いかけるために走り出した。しかし、レオーネだけは黙ったまま何食わぬ顔で席に座ったままであった。
「……クラネルさんを追わないんですか?」
横からがリューが声をかけ、睨むようにレオーネを見ていた。咎めている、ようにもとれる。
「ここで気にかける方がヤボってヤツだぜ。『漢は傷つく度に磨かれていくもんだ』って、アタシの仲間が言ってた。少年だって漢だ。だから、今は気持ちを抱えず全部吐き出した方がいいんだよ。──ハァ〜……まぁ、しかし…」
レオーネは酒杯を置き、ため息を零すと。
(………いい加減口閉じろや、犬っコロッ!!!)
『ッ!!!!!』
突如、店内に殺気が溢れ出した。
今この時、眠れる獅子が久々にあの時の感覚とともに目覚めたのだ。。
「この世で最も大切な事は『信頼』であるのなら、最も忌むべき事は『侮辱』する事と考えている」
─ポルポ─
レオーネがちギレのストーリー。上のセリフは今回の話にピッタリ?と思ったので書いてみた。しかも、偶然にも本文の内容と前書きのコーナーのキャラの特徴と一致?しました。因みに、本文を書き上げた後で気付きました。
ではまた!
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