桂ヒナギク in the 仮面ライダー電王 (桂ヒナギク)
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第01話:ヒナギクとモモタロス

 黄色い光の玉が負犬公園の上空に複数現れる。

 その内の一つがジョギング中の(かつら) ヒナギクの中に入り込んだ。

 ヒナギクの体から砂がこぼれ落ち、それがイマジンの幻体を作る。

「お前の望み──」

 イマジンが言い切る前に、ヒナギクが踏みつぶす。

「うん?」

 違和感を覚えたヒナギクは立ち止まって足下を見る。

(砂……?)

 その砂がイマジンに変わる。

「お、お化け!?」

「お化けじゃねえ! イマジンだ!」

「ヒマジン?」

「そうだ……って、イマジンだ!」

「で、そのイマジンさんが私に何の用かしら?」

「お前の願いを叶えてやる。お前が払う代償はたった一つ。時間だ」

「願いね……。何もないわ」

「それじゃダメだ! 何か言え!」

「そう。じゃあ──」

「言っちゃダメ!」

 ヒナギクが言い切る前に別の声が(さえぎ)った。

 その声の主がやってくる。

「誰?」

「私はハナ。そいつにお願いごとをするのはやめて」

「これ貴方の知り合いかしら?」

「いや、違うわ。そいつはね、取り憑いた人の時間を代償に願いを叶えようとする者よ」

「私、憑かれちゃったの?」

「ええ」

「お祓いしたいんだけど……」

「そいつは無理な相談だな」

 と、イマジン。

「無理なの?」

「こいつらは願いを言うまで離れないわ」

「じゃあ、どうしたらいいの?」

「放置でいいわ」

「放置ね。分かったわ」

「貴方、名前は?」

「桂 ヒナギク。ヒナギクでいいわ。それより、さっきこいつらはって言ってたけど、何体かいるの?」

「ええ」

「イマジンって何者なの?」

「未来人よ」

「未来人?」

「自分たちの都合のいいように歴史を変えに来たのよ」

「ハナさんは何者?」

「私も未来人」

「イマジン……じゃなさそうだけど……?」

「私はイマジンの影響を受けない特異点よ」

 その時、負犬公園が荒野に変わった。

「何が起きたの!?」

「イマジンの影響が出てるわ!」

 ハナは走り出す。

 ヒナギクが後を追う。

「どうするの!?」

「契約者を捜すわ」

「契約者?」

「説明してる時間がないわ! 手伝って!」

「手伝うたって、どういう人を捜せばいいのよ?」

「放心してる人を捜して!」

「分かった!」

 ヒナギクたちは荒野を出て放心している男を見付けた。

 ハナが男に駆け寄ってチケットを(かざ)すと、チケットに日付と時間が表示された。

「しまった! 電王がいないわ!」

「でんおうって?」

「時の運行を守る戦士よ」

「それ、私に出来ないかな?」

 ハナはヒナギクに憑いているイマジンを見た。

「何だよ?」

「貴方、力を貸して」

「はあ?」

 ハナはヒナギクにライダーパスを差し出す。

「これは?」

「ライダーパス。これで電王に変身して」

「変身って、一体どうすれば……?」

「パスを開く!」

 ヒナギクが言われるがままにパスを開くと、腰にベルトが出現した。

「パスでバックルにタッチして」

 ヒナギクはパスでバックルにタッチした。

 すると、ヒナギクは光に包まれ、仮面ライダー電王・プラットフォームに変身した。

「これは……」

 電王は自分の体を改めた。

「行くわよ」

 二人の下に時の列車デンライナーが現れる。

「これは?」

「デンライナー。列車型のタイムマシンよ」

「わーお」

「兎に角乗って」

 電王はハナと共にデンライナーの操縦席に乗り込んだ。

 ハナは電王から受け取ったパスに先ほどのチケットを入れ、マシンデンバードにセットする。

「これでイマジンが向かった過去に行けるわ」

 電王はマシンデンバードに跨がり、アクセルを回した。

 デンライナーが過去に向かって走り出す。

 辿り着いたのは、一九九三年十月九日の昼だ。

 デンライナーが止まると、電王が降りてくる。

 電王は町の破壊を繰り広げるイマジンの下へと駆け付けた。

「何だ、お前?」

 電王はデンガッシャーを組み立て、ソード状にする。

「は!」

 イマジンを斬りつける電王。

「俺の邪魔をするってか」

 イマジンは電王に反撃した。

 吹っ飛ぶ電王。

「ヒナギク、イマジンの力を取り込んで!」

「取り込む?」

「ボタンを押すのよ!」

「ボタン?」

 手当たり次第にボタンを押すと、赤いボタンで反応があり、音楽が流れた。

 電王はパスでバックルにタッチする。

{Sword form}

 電王にイマジンが入り、アーマー装着され、デンカメンが現れてソードフォームになる。

「俺、参上!」

 電王はファイティングポーズを取った。

「貴様、目的を忘れたか」

「目的? はんっ! 俺はこういうのがやりたくて来たんだ!」

 電王はそう言って怒濤の攻撃をイマジンに浴びせる。

「おらおらおらおら……!」

 電王はイマジンをフルボッコにし、パスでバックルにタッチする。

{Full charge}

 デンガッシャーの刃先が外れる。

「行くぜ! 必殺……俺の必殺技、パートワン!」

 電王がデンガッシャーを振るうと、外れた刃先がイマジンを襲う。

「うわああああ!」

 イマジンは悲鳴を上げながら爆裂霧散した。

 電王はベルトを外し、変身を解いた。

「やったわね」

 と、ハナ。

「何か呆気無(あっけな)く終わっちゃったわね」

「さあ、帰りましょう。貴方の時代へ」

「うん」

 ヒナギクとハナはデンライナーに乗り込み、食堂車へ入った。

 そこには、ヒナギクに憑いた赤い鬼のイマジンと、乗務員のナオミ、それからオーナーがいた。

「よう!」

 イマジンがヒナギクの方を見る。

「貴方、さっきのイマジンね?」

「ああ」

「名前は?」

「名前? そんなのねえよ」

「じゃあ私が付けてあげる。……モモタロス」

「気に入らねえな」

「文句を言うなら斬るわよ?」

 ヒナギクが木刀・正宗を握る。

「そんなもんで斬れるかよ」

 ヒナギクはテーブルに置かれているコップを正宗で真っ二つにしてみせた。

 ビックリするモモタロス。

 

 

 

 To be continued...

 



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第02話:ヒナギクとウラタロス

 荒野を走っているデンライナー。その食堂車には、ヒナギクとモモタロス、ハナ、ナオミの姿があった。

「ねえ、モモタロス」

「何だ、ヒナギク?」

「貴方と私、被ってない?」

「何が?」

「戦闘用の武器」

「それは俺も思った」

 デンライナーが二〇一四年二月の銀杏商店街に着く。

 ヒナギクはデンライナーを降りた。

 走り去るデンライナー。

 ヒナギクは喫茶どんぐりに入る。

「いらっしゃい、ヒナちゃん」

 と言うのはマスターの加賀 北斗(かが ほくと)だ。

「マスター、コーヒーちょうだい」

「分かったわ。ちょっと待っててね」

 ヒナギクは席に着き、コーヒーを待つ。

「はい、おまちどおさま」

 北斗がコーヒーをヒナギクの前に置く。

 ヒナギクはコーヒーを(すす)る。

「あれ? 豆変えた?」

「よく分かったわね」

 扉が開き、客が入ってくる。

 その客は、水色短髪で童顔の男、綾崎(あやさき) ハヤテだった。

「ハヤテくん、お久し振りね」

「お久し振りです、マスター」

 ハヤテがヒナギクに気付く。

「ヒナギクさんもお久し振りです」

「久し振り。最後に会ってから、八年になるのかしら」

「そうですね」

「ハヤテくん、アテネとはどうなったのかしら?」

「結婚しました」

「そうなんだ。私はまだ独身よ。東宮くんにプロポーズされたけど」

「結婚するんですか?」

「しないわよ」

「そうですか」

「じゃあ、私は行くわね」

 ヒナギクは飲み終えたコーヒーの代金を払って店を出る。

 そこへ黄色い光の玉が現れる。

「人魂?」

「違う! イマジンだ!」

 モモタロスが言う。

 玉はヒナギクの体に飛び込んだ。

「うっ!」

 砂がこぼれ落ち、亀型イマジンに変わる。

「お嬢さん、貴方のお願いを叶えましょう。貴方が払う代償はたった一つ……」

「お願いなんてないわよ」

 デンライナーがやってくる。

 ヒナギクはその食堂車に乗り込んだ。

「うわっ!」

 水色の亀イマジンがヒナギクの体から投げ出された。

「てめえ、俺のヒナギクに何しようってんだ?」

「誰が貴方のよ!?」

 亀イマジンは立ち上がる。

「あ、先輩ですね?」

「ああ?」

「僕より先に憑いたから先輩」

「おうよ」

「亀さん、貴方は何で私に憑いたの?」

「可愛いから。僕は可愛い女の子に目がなくてね」

「そう。貴方にも一緒に戦ってもらうことになるわね。名前を付けましょう。……ウラタロスでいいかしら?」

「別に、僕はどんな名前でもいいさ。でもウラタロスはネーミングセンスがないんじゃない?」

 ヒナギクは正宗を握る。

「木刀なんかでどう……!?」

 ヒナギクが正宗を振るうと、衝撃波がウラタロスを(かす)った。

「わーお」

「おい、ヒナギク。今の技、俺に教えろ」

「教えてほしいの?」

「ああ」

「絶対教えないわよ」

「ケチ」

「ケチで結構」

「へえ。お嬢さん、ヒナギクって名なんだ」

「うん」

「で、一緒に戦うって?」

「貴方には電王になってもらうわ」

「電王か。別に構わないよ」

「ありがとう」

じゃあ──ヒナギクはデンライナーを降りた。

 同時にどんぐりからハヤテが出て来る。

「電車?」

 走り去るデンライナー。

「あ、ハヤテくん、見ちゃった?」

「見ました。今の電車ですよね? 線路もないのにどうやって走ってるんですか?」

「電車じゃなくてタイムマシンよ」

「タイムマシン!?」

「詳しいことは言えないけどね」

 ヒナギクはそう言って歩き去る。

 

 

 負犬公園のベンチに座る三千院(さんぜんいん) ナギがイマジンと話をしている。

「願い事? どんな事でも叶えてくれるのか?」

「ああ」

「そうか。じゃあ、ハヤテが欲しい」

 契約が成立し、実体化するイマジン。

 イマジンはハヤテを捜しに出た。

 ハヤテを見つけ、ナギの下へ連れて行く。

「お前の願いは叶えてやった。時間はもらう」

 イマジンはナギの記憶を辿って、彼女がハヤテと初めて出会った時間と場所に向かう。

 放心するナギ。

「怪物がお嬢様の中に!」

 そこへヒナギクがやってくる。

「モモタロスの情報は正しかったみたいね」

 ヒナギクはチケットをナギに(かざ)した。

 チケットに日付と時間が現れる。

 ヒナギクはパスを取り出して開き、出現したベルトのバックルにタッチした。

「変身」

 光に包まれ、電王・プラットフォームに姿が変わる。

「ヒナギクさん、その姿は?」

「電王。時の運行を司る戦士よ」

 電王は現れたデンライナーに乗り込み、マシンデンバードにチケットを入れたパスを差し込んで過去へ向かう。

 過去に着き、イマジンの下へ行くと、イマジンが負犬公園で暴れていた。

「待ちなさい!」

「ああ?」

 振り返るイマジン。

「何だ、てめえ?」

「電王よ。噂くらいは聞いてるんじゃない?」

「電王だと? 裏切り者め」

 イマジンが電王の懐めがけて駆ける。

 電王は青いボタンを押して、パスでバックルにタッチした。

{Rod form}

 アーマーとデンカメンが出現してロッドフォームになる。

「お前、僕に釣られてみる?」

 電王はイマジンの攻撃をひらりとかわし、デンガッシャーを竿状に組み立てた。

「それ!」

 デンガッシャーでイマジンを突く。

 怯むイマジン。

 電王はパスをタッチした。

{Full charge}

 ソリッドアタックで敵の動きを封じ、デンライダーキックを叩き込む電王。

「うわああああ!」

 イマジンは爆裂霧散した。

 電王はベルトを外して変身を解いた。

 デンライナーで現代へ戻るヒナギク。

 

 

 To be continued...

 



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