神浜アンノウンストーリーズ-Kamihama Unknown Storys- (TAICHI121)
しおりを挟む

甲の章 たかが噂、されど噂
たかが噂、されど噂 その1


お待たせしました。いやお待たせしすぎたかもしれません。完全新作です。どうせ不定期更新ですがよろしくお願いします。



昼休み、真山 当麻(まやま とうま)は赤毛のツーサイドアップでどこか幼さが残る少女にに声をかけられた。

「あのーレナちゃんと同じクラスの人ですよね?」

「そうですけど、どうしてそれを?」

「たまーにレナちゃんに話しかけてるのをなんとなく見るので・・・」

「はぁ、それなら君は水波さんの友達ですか?」

「一応そうです。その・・・」

「その?」

「レナちゃんとケンカしちゃって謝りたくて、だからレナちゃんを見かけませんでしたか?あ、私は秋野(あきの)かえでっていいます。」

「俺は真山 当麻(まやま とうま)です。で水波さんなら・・・」と当麻はレナが居た方を向くがしかし、

「あれ?さっきまであっちにいたはずなのに・・・」

そこにレナの姿は無かった。

「え?そうですか、ありがとうございます。」かえではそう言って立ち去ろうとするとあ、と振り向き

「もしレナちゃんを見かけたら私が探してるのを伝えて欲しいです。」と言い去っていた。

 

放課後、委員会の手伝いで荷物を運んでいた当麻は隣で一緒に荷物を抱えていた金髪のポニーテールの少女、十咎ももこに「なぁ、聞いてよ当麻」

「どうしたんです十咎さん。」

「まぁ愚痴みたいなもんなんだけど、また友達がケンカしちゃってさぁ」

「はぁ・・・あ!もしかしてそれって水波さんの事ですか?」当麻はすぐさま昼休みに訪ねてきたかえでを思い出す。

「え!?どうしその事を?」

「実は昼休みの時・・・」昼休みの出来事をももこに話す.

 

「なるほど、それにしてもまさかかえでが来てたとはねぇ」

「そうなんですよ」

「なら、アタシからも頼むよ。なんか最近レナのやつ、アタシたちを避けてる気がしてからね、何があったのか聞いてきてよ。」

「は、はい。」 

 

その日の夕方、

「すまない、そこのアンタちょっといいかい?」

帰路につき始めた当麻に一人の青年が声をかけてきた。カメオの付いたループタイを首から下げ、黒いYシャツの上にオリーブグリーンのモッズコートを羽織り、ジーパンを履いてて、肩掛け鞄に髪は黒髪でボサボサ、そして猫背だ。

「何ですか?」

「少し聞きたいことがあってね。・・・ああ、別に怪しいものじゃない少し時間をくれないか?」

 

当麻は言われるがままに近くの公園のベンチに座る。

「聞きたい事って何ですか?」当麻は早速青年に聞いた。

「"絶交ルール"って聞いたことあるか?」

「まぁ聞きかじり程度ですが、でも何故?こういうのは女子に聞いた方がいいと思いますけど・・・」

「俺は趣味でこういう都市伝説ってか怪奇じみた話を調べているんだ。それにこんな外見の奴が女子高生に話しかけてみろ、秒で通報されるぞ。」

「そうですよねぇ・・・ってそれ、趣味なんですか?」当麻はこの状況も十分事案モノだろ、と思いつつ返す。

「ああ、普段は神浜大に通ってるんだ、でその制服は付属校のヤツか?」

「えぇ附属校の中等部三年ですが・・・ってあなたの方は授業はいいんですか?」

「大丈夫だ。今日の分の講義はもう終わってるから本題に入らせてくれ。絶交ルールについて知っている事を教えてくれ」

 

仕方ないですね、と当麻は知っている事を話し出した。

"絶交ルール"

そんな噂が広まり始めたのはつい最近の話だった。

独特の語り口調だったのでよく覚えていた。

『アラもう聞いた?誰から聞いた?絶交ルールのその噂

フンだ!キライだ!ゼッコウだ!って言ったら見えないけどそこにある!

もしも仲直りしようとすると、連れて行かれてサータイヘン!

友達を落とした黒い少女に捕まると、無限の階段掃除をさせられちゃうって、

神浜市の少女の間ではもっぱらのウワサ

ヒーコワイ!』

 

実際問題それは所詮都市伝説だしなにより非現実的だからあまり信じはしない、というのを含めて当麻は話したがその青年は言った。

「もしそれが本当の事だったら?」

「そんな馬鹿な・・・たかが都市伝説、流行ってる噂ですよ」

「そうか・・・されど都市伝説、されど噂とも言うがな、じゃあもう一つ質問だ。」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えーと・・・いやまさか・・・」

当麻は何か嫌な予感を感じた。確かに自分のクラスにここ数日現れない生徒はいた、しかしこれがこの"絶交ルール"によるものなのか・・・しかしそんなのはあり得ないと顔を上げると青年が

「図星だな、恐らくそういう生徒が出たんだろうな」

「だからそんなのがあり得るわけがないですよ」

「そうか・・・ありがとう。とりあえず聞きたい事は聞けたから。おっとそういやまだ名前を名乗っていなかったね。柴田 薫(しばた かおる)だ。アンタの名前は?」

「俺は真山 当麻って言います。」

「そうか、当麻、何かあったらここにメールしてくれ」

そう言うと薫はメールアドレスの書かれたを渡した。

当麻はどうも、と言いながら眺めた。

「いやー俺はトークアプリとかは本当に関わってる人間としか交換しないからこうしてこの手の連絡はメールで受け付けているんだ、じゃ何かあったらメールしてくれ。」そう言うと青年もとい薫は公園から去っていった。

 

神浜アンノウンストーリーズ

 

story1. 甲の章 たかが噂、されど噂 その1

 

 

 

その日の帰り、バスの中で当麻はメモを眺めながら考えた。

もしかして水波さんが頑なに秋野さんに会わないようにしてるのはもしやこの"絶交ルールの鎖のバケモノ"からかえでを守ろうとしてるからだろうか?

いやいや、所詮そんなの都市伝説だからあるわけ無いだろうと否定してみるがさっき公園で話した柴田さんの言葉が脳裏によぎる。

 

"されど都市伝説、されど噂だからな"

 

もし本当にそんな恐ろしい事が起きているとしたら?

クラスメートの最近来なくなったヤツの原因が鎖のバケモノの仕業だとしたら?

でも・・・こんなのたかが噂、都市伝説だ。そう言い聞かせメールアドレスの書かれた紙をポケットに入れ、顔を上げるとするとバスの乗客がこぞってバスから降りてくるのが見える・・・

 

いや何かがおかしい!そう感じてしまって追うことにした。

急いでバスから降りてその集団に気づかれないように尾行する。

「な、なんだアレは・・・」

その客が何かに吸い込まれているのが見えた。

このままだと・・・最悪の事態が脳裏に浮かんだ・・・

「クソッ!追うしかない!」

当麻は急いでその集団を追う、どうにか最後尾の男にしがみついたが

「生気がない・・・ばんなそかな・・・・」

さらに急に周りの背景が変わった。

 

それは現代アートのようなサイケデリックな空間だ

 

「せめてこの人だけでも助けないと・・・」

どうにか男の人を背負い改めて周りを見回しながら

「うわぁ・・・出口は何処なんだよ・・・ってかここはどこだ?」

と取り敢えず歩き始めた。が、

 

「:<△+手△F♂な>!」

 

球体を繋げて二足歩行させたような"何か"が何語ともとれない声を上げ襲いかかってくる。

 

「ワッ!危な!」

当麻は間一髪交わすと一目散に走り始めた。

多分あの化物に捕まったら終わりだ。

足の速さには自信はあったが、背中に男の人を背負っているのもあるのだろうか。思ったより早く走れない。

「あ、あそこなら隠れられるか」

どうにかちょうどいい物陰を見つけ身を潜める事にした。

とりあえず背負っていた男の人をそっと下ろすと、

「とりあえず助けを呼ぶか」とスマホをポケットから取り出したが

「クソ、圏外かよ・・・」

はぁー、とため息をつくと

 

ガギン!

 

何か物音がした。

「ゲッ見つかったか!?」とその方向を覗いた。

そこには

「てりゃあ!」

 

「え?」

 

そこにはさらに信じがたい光景があった。

 

大剣を持った金髪ポニーテールの少女と、

ありきたりな魔法の杖を持った赤髪ツーサイドアップの少女そしてトライデント状の槍を持った水色のツーサイドアップの少女がさっきまで当麻を追い回していた化物達と戦っていた。

 

よく見るとそれは

(あれは・・・十咎さん?・・・あと確か秋野さんだっけ・・・?それにアレは・・・水波さん?ってなんだあの格好?日曜の朝か?)

 

脳内の?マークは一向に増えるばかりだ。・・・いやこうなればやることは一つ

「すいませーん!助けてくださーい!」

めいっぱい叫んで腕を振った

 

「ももこちゃん!レナちゃん!あっちに誰かいるよ!」

当麻に気づいたかえでは他の2人に声をかけた

「何だって!」

「ちょっと何よ!?」

「ほらあそこ!」

異形と戦いながら2人はかえでが指差した方向を向くと

「ええっ!なんでアイツがここに!」

「当麻!?何してんだ!とにかくすぐ助けに向かうから!」

敵を大剣で薙ぎ払いながらももこは叫び返した。

「って言ってもどうすんのよももこ!まだまだ使い魔は多いわよ!」

「アタシが助け行くからレナとかえでは援護をたのむ!」

「ももこちゃんそれは無茶苦茶だよ・・・」そうつぶやくかえでを尻目にももこは

「おりゃーっ!」大剣を振りながら当麻の元へ向かった。

 

「大丈夫か当麻?それにその人も・・・」

「その人は寝てるだけです・・・っていうかもう何が何だか・・・これ夢ですよね・・・」

「え、えーと・・・」ももこはなんとも言えない表情を浮かべるが

「なんだって!?今行く!」と急に険しい顔をすると

「あ。当麻、もう少し待ってて!」と残りの2人が居た方向へシュタッと飛んで行った。

「マジか・・・」

 

それから当麻が見たのはさっき自分を追ってきたり、ももこ達が戦っていた化け物の親分と思えしき大きな化け物と戦う3人だった。

 

どうにか3人が化け物を倒すと

「あれ?さっきまでのあの空間は?疲れてたのかな俺・・・」しかし足元にはさっきまで背負っていた男の人が相変わらずグッタリした様子で寝ていた。

「十咎さん!水波さん!秋野さん!助けてくれてありがとうございます!」

男の人をそっと置いて3人のもとへ駆け寄ると

「もう!かえでも足引っ張らないでよ・・・」

「あれはレナちゃんも勝手に突撃するのも悪いよぉ」

「まぁまぁ二人とも・・・」

レナとかえでが言い合っているのをももこが仲裁している真っ最中だった。三人ともあの衣服ではなく、見慣れた神浜市立大学付属学校の制服だった。

「それはどういたしまして!」ももこは二人をなだめつつ言った。

「待ってください!まだ聞きたいことが!」

「そ、それはまた今度!」ももこは分が悪そうな顔を浮かべながら二人とも調整屋に行こう、と2人を連れて何処かへ去ってしまった。

その去り際レナが「アイツは・・・ホントお人よしなんだから・・・」とつぶやいた。

 

「結局アレは何だったんだろう・・・って早く帰らないと!次のバス何時だっけ!」

 

やっべ、と当麻は来た道を戻った。

 

to be continued・・・




next Unknown Story

たかが噂、されど噂 その2


ということでどうもTAICHIです。最近はいろいろ手を出してます。詳しくはTwitter読んでください。
あとおまけでありそうなQ&Aを書きますね
Q「なぜ書いた?」
A「マギレコとケイゾクとSPECとTRICKと月9のシャーロックが面白かったからです。」

Q「もっとあるでしょ」
A「なんとなく堤幸彦作品のあの独特の雰囲気が合いそうだなと」

Q「堤幸彦って誰ですか?」
A「ググってください。」

Q「他の作品は?」
A「気が向いたら書きます。」

ではまた次回。


【さらにおまけのキャラ紹介】
真山 当麻(まやま とうま)
15歳 165cm
神浜大付属高校に通う中学3年生。
レナに片思いを抱いている。外見は赤茶色の短髪で前髪を立てている。
名前の由来はドラマ SPECの登場人物 当麻紗綾とドラマ ケイゾクの登場人物 真山徹から


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

たかが噂、されど噂 その2

お待たせしました。2話目です。
地上波の方ではSPECの再放送が始まりましたね。
今回は説明回です。では。


「アレは何だったんだ・・・」

 

その日の夜、当麻はあの出来事を振り返った。

 

片想いの相手が、よく見かける先輩が、仲間と共にまるでアニメや漫画で見るような格好をして前衛アートのような異形の怪物と闘っていた。

 

「あ!あの公園で会った柴田さんだっけ?あの人なら何か知ってるかもしれない!」

あの人は趣味でそういう都市伝説や怪奇現象とかを調べていると言っていた、それならこの手の話も幾らか知っている筈だ!

と慌てて制服のポケットからメモを取り出すとスマホでメールを打ち始めた。

内容は自分が夕方話しかけられた真山当麻だということ、そして帰りに遭遇したあの出来事の大まかな説明。

すると数分で返事が来た。

『そうか、それなら詳しく話をしたい。明日授業が終わった後、学校付近のナストに来れるか?』

「やっぱり知っているのか・・・」

と呟き、16:50頃には来れそうですと返信するとスマホを充電器に挿して寝た。

 

神浜アンノウンストーリーズ

 

story2.たかが噂、されど噂 その2

 

次の日、授業が終わりファミレスへ向かうと窓際のテーブル席に薫がいた。

モッズコートは椅子に掛けている。それどころかパフェを平らげてカフェオレを飲んでいた。

どうも、と会釈をして椅子に座ると早速薫は言った。

「当麻、だったか。待ってたよ。俺は高いものを奢れはしないからな」

「そんな全然奢って貰わなくても」

「とはいえ、ドリンクバー程度なら奢るがどうする?」

「じゃお言葉に甘えて。」

当麻はドリンクバーを注文しコーラを取る。

 

「じゃ本題に入るか。」

「はい、お願いします。」

 

「当麻、アンタは昨日恐らく、いや確実に()()()()()()に遭遇した。」

 

「はい?」

「まぁいきなり言われてもピンと来ないよな」

「そりゃそうですよ」

「さて、どう説明したものか・・・」うむむと言いながら薫は考える、やがて椅子に掛けてあった肩掛けカバンから紙とペンを取り出すとパパっと絵を描き始めた。

 

「じゃ、この絵を見てくれ。」「ああ!昨日もこんな感じでした。」

薫の描いた絵は簡易的ではあるが、昨日の光景に似ていた。

「まず、これが魔法少女。でこっちが魔女だ。」

薫は武器を持った少女の絵と異形の大きい化け物の絵をペンで指す。

「どっちの事から知りたい?と行きたいところだが、この二者の関係上、まずは魔法少女について説明しよう。」

「はい。」

「まず魔法少女ってのはこのキュウべぇってこの生物、つってもこの絵はあくまでも魔法少女から聞いた俺のイメージでしかないがな」

薫は紙に書かれた白い猫とも狐とも犬とも取れない生き物の絵を指す。

「可愛いマスコットですね。」

「こいつは・・・なんと!願いを1つ何でも叶えてくれる!」

「お、おお」

「その代わりに魔法少女として魔女と戦わなきゃいけないって訳だ。あと魔法も使える。」

「なるほど。」

「しかしモノを買うときに代金を払うように、力ってのは()()が付き物なんだよ。」

「代償、とは?」

「これだ・・・つってもわからないか」

次は装飾の施された卵型の宝石の絵を指す。

「このソウルジェム、端的に言えば変身アイテムだ。」

「なかなかきれいですね。」

「まぁ色々な形があるからな、ってのは置いといて、とにかく魔法を使えば使うほどこれが濁っていく。」

「エネルギーを消費するって、事ですか?」

「まぁそういうことにしておこう。これが濁りきると」

「きると?」

「魔法が使えなくなる・・・そして最悪の場合死に至る。」

「なんて重い・・・」

「ま、なんでも一つ願いを叶えられるのであれば、俺は妥当と思うが。」 

「で、この濁りってどうにかならないんですか!」当麻は思わず言った。

「それでこれだ」薫はすぐさま装飾の施された黒い球体の絵を指す。

「グリーフシード、魔女を倒すとこいつが手に入る。で、こいつを使って濁りを取る訳だ。つっても無限ではなくコイツは使い捨てだけどね。」

「よかった・・・」

「ってのが魔法少女だ。分かったか?」

「は、はい。なんとなく。」

 

「じゃ、次は魔女について。」

「お願いします。」

「はい?」

「そもそも魔女は基本、結界っていう自分の巣に引きこもっている。」

「ああ、あのサイケデリックな空間ですか。」

「そうだ、魔法少女はこの結界を感知して、入り込むことができる。ま、そうでもしなきゃ魔女退治も大変だからな。」

「じゃ普通の人が結界に迷い込んだらどうなるんですか・・・」

「だいたい死ぬ。」

「え?」

「だから当麻、アンタはたまたま助かったんだ。普通なら死んでたかもしれないんだ。」

「死因は色々、使い魔っていう手下に殺されたり、結界の罠にはまって死んだり、魔女自体に殺されたりもした人もいたと聞いた。」

「は、はあ」

「そして何より、魔女は呪いを振りまく存在だ。」

「どういうことですか?」

「魔女はたまに普通の人を魅入る。魅入られるとあら不思議!操られるように集団自殺や事故を起こす。」

「だからあの時生気がなかったんですか・・・」

「ま、魅入られないように気を付ける事だ。」

「は、はい・・・ってか魔法少女しか対処できないんですか?」

「まるで怪異の専門家を見る目で聞いてきて・・・まぁ、魔女や使い魔は普通の人間でも対処できない事は無いんだけどね。これはその時が来たら話そう。」

「は、はあ・・・」

 

「以上が魔法少女と魔女についての大まかな話だ。」そう言い、薫はすっかり冷めてしまったカフェオレを啜った。

ふぅやっと終わったと当麻も炭酸の抜けたコーラを飲んだ。すると、

 

どすこい電話だよチェキラ♪どすこい電話だよチェキラ♪

変な着メロが聴こえた。

 

「あ、マナーモードにするの忘れてた。」どうやら薫のものだったようで薫はスマホを取り出した。

「え?なんですかその着信音?」

「あと歌は気にするな。ってことで離席させてくれ。」薫は席を離れた。

 

「もしもし?薫さん?」

「なんだ情報屋か。どうした?」

「薫さんがどうしてるかなーって、で、また例のうわさの聞き込み?」

情報屋、と薫に呼ばれた少年の声は尋ねた。

「いや実は・・・」

薫はさっきまで真山当麻という少年が魔女に巻き込まれて魔法少女に助けられたということ、そして当麻に魔法少女と魔女について話していたことを言った。

「フーン。折角だから彼に会ってみたいね。今から調整屋(こっち)に来れる?」

「俺は来れるが当麻は何て言うか。少し待ってくれ。」電話を保留状態にすると再び席に戻る。

 

「当麻、電話の相手がアンタに会いたいかこっちに来れないかって聞いてるが、この後時間はあるか?」

「ええ、いいですけどどこまで?」

「調整屋だ」

「調整屋?」

「まぁ、魔法少女関連で色々やってる所だ。説明は向かいながらするとして、調整屋はこの新西区内だからそんなに遠くないはずだ。で結局行けるのか?」

「・・・ああ、新西区内ならいいですよ。」当麻はスマホの時計を見ながら答えた。

「そうと決まれば早速行くか」

 

「もしもし、本人も了承したから至急そっちに向かう」保留を解除して手短に答えを話す。

「あいよ、待ってるよ。」と情報屋は電話を切った。

 

 

会計を済ませ調整屋に向かいながら当麻は聞いた

「で、結局調整屋って何者なんですか?」

「さっき言ったソウルジェムを弄ることで能力を引き出したりできる魔法少女がやってる店。」

「え、そんなこともできるんですか?」

「その代わり当の本人は戦闘能力は皆無だし、あの中は完全中立地帯だ。」

「ってかアレ重要そうなのに弄っちゃって大丈夫なんですか?」

「知らん、失敗しない程度にやるんだろう。」

「それならいいですけど・・・」

 

「着いたぞ。」そう言った二人の眼先には

「え?ここって廃墟じゃ・・・」神浜ミレナ座と書かれた使われていない施設があった。

「ま、一見はな。ほら、入るぞ。」

「は、はい!」

 

「あ、中は意外ときれいだ。」廃墟の中に入った当麻はそうつぶやくと

「あら~薫さんじゃないのぉそしてそこの子が例の彼ね」燕尾服を思わせるような衣服を着た銀髪の少女と

「あー薫さん、来たんだね。例の彼も一緒で。まぁとりあえず座ったら。」ソファにメガネをかけ、学生服にパーカーを着た前髪だけ金に染めているに七三分けのボブカットの少年がタブレットPCを弄りながらソファに座るよう促した。

 

当麻と薫はソファに座ると

「君のことはさっき電話で薫さんから聞いてるよ、当麻君。僕は情報屋の近藤 直樹(こんどう なおき)。呼び方は情報屋でも直樹さんでもお好きに。そしてあっちが」

「わたしは調整屋をやっている八雲(やくも)みたまよ、気軽にみたまさんとでも呼んでくれると嬉しいわぁ」

「みたまさんに直樹さん、よろしくお願いします。」

一通りの自己紹介をすると直樹は

「まぁ、当麻君。なんというか災難だったね。」

「そうですよ・・・悪夢だと思いましたよ。」

「ところがどっこい夢じゃないんだよねぇ。まぁ君は死ななかっただけラッキーだよ。」

「確かにそうですけど。」はぁーとため息をつく

「そういえば薫さん、うわさの調査の進捗ってどうなった?」

「ある程度全貌は分かった、うわさが実在する可能性がグンと上がった。」

「どうして上がったんだい?」

「彼だよ。彼から行方不明者が聞いたんだ」薫は隣に座る当麻の方を向いた。

「なるほど」

「え?・・・ああ、昨日のアレですか。ってかそうなんて言ってませんよ」

「いや、あの態度は言ってるも同然だ。で、あれからまた学校を休んだやつとか出たか?」

「まだですけど・・・ただ」

「ただ?」今度は薫が聞き返す

「その昨日・・・」

レナとかえでが喧嘩してレナが絶交だと言い出すほどになっていて、その事でかえでやももこが相談をしてきたという話をするとみたまが

「あらぁ、確かにここ数日はももこがレナちゃんとかえでちゃんを宥めながら来ることが多かったわよぉ、それに当麻君があの三人と知り合いなんて驚いたわぁ」

「ま、まぁ学校同じですし、」

 

ふーんとみたま達が相づちを打っていると

「おっす調整屋ー!・・・って当麻!?それに薫さん!?」

「え!?十咎さん!?なんでここに・・・あ、魔法少女だからか。」

「なんだ噂をすればなんとやらってやつか」薫も反応した。

ももこがやってきた。しかもその横には桃色の髪を後ろで軽くまとめた少女がいた。制服は当麻たちの着ていたものとはまた違っていた。

 

「あらぁ、久しぶりね、ももこ、最近来ないから寂しかったわ。」

「嘘つけ、客も多くなって、思い出す暇もないし、どうせ情報屋も一緒だっただろ?」

「そんなことないわよぉ?で、そこの当麻君とは知り合い?」

「ま、まぁね」

 

「あ、あの、この人が調整屋さんですか?」割り込むように桃色の髪の少女が口を開いた。

「あ、そうだった今日はアタシじゃなくて新しい客の紹介だ。」ももこは本来の用件を思い出し、言った。

「どうもー調整屋さんです。八雲みたまって言うのよ?以後、ご贔屓にして頂戴ね。」

「え、あ、はい・・・ところで、あっちの人たちは?」少女はソファに座っていた当麻たちのほうを見ていった。

「まず、メガネをかけてるのが」とももこが言いかけると

「自己紹介ぐらい自分でするさ、僕は情報屋の近藤直樹。こちらもご贔屓に」ソファから立ち上がって言った。

「あ、俺は真山当麻って言います!十咎さんと同じ学校です!」ハッと当麻も立ち上がり言った。

「・・・あ、これ俺も自己紹介しなきゃいけない感じか。俺は薫、柴田薫。」ソファに座ったまま振り向き薫は言った。

「まぁ、皆そんな悪い人ではないから。それはアタシが保証するよ」ももこが付け加える。

「は、はぁ・・・」気になることはまだあったが少女は返した

「ところで、まだあなたの名前をを聞いてないわぁ」みたまは話を引き戻そうしたのか少女に聞いた。

「あ、そうでした!私、(たまき)いろはって言います。よろしくお願いします!」少女、環いろははそう名乗った。

「で、調整屋。本題に入るけど」

「なぁに?」

「そのいろはちゃんのソウルジェム、ちょっと弄ってあげてよ」

「え?本当にそういうことができるんですか?」ソファに座りなおした当麻は尋ねた。

「ほら、当麻も興味を示してるし頼むよ。」

「あら、軽々しく言うけど、お代はもちろんあるのよね?」

「もちろん、アタシが持つよ!」

「じゃ、ついでに見学料もいただこうかしらぁ」

「え、それでお金取るんですか?」当麻は聞くが、

「いや多分調整屋ジョークだから気にしない方がいいよ」すかさず直樹が突っ込む。

「は、はぁ」

「ちょ、ちょっと待ってください!ももこさん!・・・あの、その、助けてもらった上にそんな・・・」いろはは何か後ろめたさを感じていた。

「まぁまぁ、こういう時はお互い様さ、それに、ほら、こういう時は喜ぶもんだよ」

「はい、ありがとうございます!」ももこに言われいろはは微笑んだ。

「で、その、ソウルジェムを弄るって・・・?」

「そうそう!それってどうやって?」いろはに続き、再び立ち上がった当麻も聞いた。

「ふふっ、それはね、」

「それは!?」

「あなた、いろはちゃんのソウルジェムにわたしが触れるってこと。そして、他の魔力を注いだりぃ、潜在能力を引き出したりするの。」

「ほら、さっき言った通りだろ?」

当麻の隣で薫が言う。

「でもほんとにそんなことが・・・?」今度はいろはが口を開いた。

「一度経験、見学するとびっくりすると思うわよぉ」

「そんな馬鹿な」当麻も口をはさむ

「いやいやほんとにびっくりするからね、さっそく始めちゃいましょう」

「あっ、はい!」

「それじゃあ服は脱いで、そこの寝台に横になってねぇ」

「はい、わかりま・・・脱ぐ!?」

「ばんなそかな・・・って事は?」

「脱いだ服はそこのカゴに入れて、そして、当麻君には悪いけど、男子たちはいったん出てってねぇ」みたまは笑みを崩さないまま言った。

 

「は、はぁ・・・」しぶしぶ外に出ようとするが

「おいおい調整屋、ジョークもほどほどにな」

ソファに座ったままの薫が振り向き、再び言ったが。

「わかりました!!」意を決した表情でいろはは言う

「分かるな!!!」

「ったく・・・調整屋、いじめるのもほどほどにな」

「ってことで嘘でしたー」とみたまは言った。

「ええ・・・」いろははなんだか興ざめし、

「よかった・・・」当麻は安堵した。

 

 

「はい、そうリラックスしてー・・・しんこきゅー」

「すーーーーはーーーー」

「ゆったりぃ、身を任せてぇ・・・大地に沈んでいく・・・しずかにー・・・しずかにー・・・」

「はぁ・・・」

 

「なんか催眠術というか暗示をかけてるみたいですね」寝台に寝てみたまの言われるがままにするいろはを見た当麻は言った。

「まぁまだ見せ場じゃないからな」となりに居る薫が言う。

 

「ってかこれってあんま見世物じゃない気がするけどなぁ」

「まぁまぁわりとみたまはノリノリだったしいいんじゃない?」

ももこに対し直樹がケケッと笑いながら言った。

 

「それじゃあ、ソウルジェムに触れるわよぉ」そう言いみたまはいろは手元にあった卵型のそれ、ソウルジェムに触れた。ソウルジェムはまばゆい光を放った。

そしてくっ・・・といろはが何かに堪えるとそのまま泥のように眠った・・・

 

しばらくしてソウルジェムから放たれた光が消え、いろはが起き上がった。

 

「あ、」

「どうやら終わったようだね」

 

「どう?体の調子はいい感じかしら?」起き上がったいろはにみたまはさっそく聞く

「えっと・・・さっきよりずっと良いです」

「フフッ、それなら成功ね、最初は体がだるく感じたり違和感があるかもしれないけれど、しばらくすれば少しづつなじみ始めるから」

「はい、ありがとうございます!」説明を聞いたいろはは返す。

「で、」

みたまは当麻の方を見ると、

「当麻君は見ててどうだった?」と聞いた。

「なんか・・・すごく神秘的でした」当麻は愛想笑いをした

「そう、それならよかったわぁ・・・・」みたまは安堵したが・・・

 

「ん?どうしたんだよ調整屋、急に神妙な顔しちゃってさ。」さっきの柔らかな表情から一変、神妙な顔を浮かべた。

 

「さては調整屋、なにかヤバイものでも見たな?」薫が言った。

 

「え?それっていったい全体どういうk」

「あら。薫さんは全部まるっとお見通しなのね?」当麻を遮りみたまは言った。

「なんだビンゴなのか」

 

「そうか、当麻君といろはちゃんには言ってなかったけど、彼女は"調整"をするときに客の過去が見えるんだよ」?マークを浮かべる当麻といろはに直樹が教えた。

「なんでそんなこと知っているんですか?」

「情報屋だから。」当麻を適当に直樹があしらう。

 

「そう、彼の言う通りよ」

「ってことは・・・」

「いろはちゃんの過去もみえたわ」

「え・・・」

「で、調整屋、アンタは何を見たんだ?」薫が水を差す。

 

「さすがにそれは言えないわ。」

「そうか・・・」

「とにかく、勝手に過去を見たのは悪かったわ。」

 

「でも一つ質問させてほしいの・・・あなた、何を願ったの?」

 

一瞬場が凍り付いた。

 

 

「わたしたち魔法少女が契約するときに叶えてもらった願いよ・・・」

 

「はい、もちろんです。私は・・・」

「私は?」なぜか当麻は言う。

 

「私は・・・」

「私は?」

 

「あれ?願い事・・・」

「え?」

 

「あっ・・・はぅッ!・・・またどうして!?」いろはは急に苦しみだした。

 

「いろはちゃん!」

「環さん!」

 

当麻とももこは叫んだ

 

「本当に調整は成功なんですか!?」そして当麻はみたまに言った。

「上手くいったはずよ・・・なのに・・・」

 

あの子は誰・・・?私の願いと何の関係があるの・・・?」

「ごめんなさい。苦しめる気はなかったの・・・・」みたまは謝罪した。

 

「あの()()()()()()()()、やっぱり私と関係があるんだ!」

 

()()()()()()()()?・・・なんだそれは?)薫はいろはの言葉に違和感を覚える・・・

 

「エクセレント・・・そりゃ調整屋が不思議がるわけだ。」やがて薫はにやりと笑いながらつぶやいた。

 

「あのー薫さん?」

「あの感じは多分薫さんのアンテナに引っ掛かったんだ。」当麻の疑問に直樹が答える。

 

()()()()()()()()とか言ってたがアンタ、そいつを探しているのかい?」薫はいろはに問いかけた。

「え?はい・・・あのー!何か知ってるんですか?」

「質問を質問で返すな、キュウべぇは知っているが、その小さいってのが気になって。そんな話誰からも聞いたことなかったからね」

 

「そうですか・・・」

そしていろはは何かを決心したように言った。

「やっぱり行ってきます!」

「いろはちゃん!まだ外に出ちゃだめだ!」ももこは止めるが、

「小さいキュウべぇ、だろ。アンタは自分の願いの正体をそいつが握っているんじゃないかって考えた?違うか?」薫が口をはさんだ。

「あーこれは完全にスイッチ入ってるよ・・・」直樹が小声でつぶやく

「そうです!私、小さいキュウべぇ(あの子)を見てからおかしくなったんです!知らない女の子の夢を見て、そのたびに胸がざわついて愛おしくなってもう・・・」

「もういい、アンタの事情はなんとなく分かった。その夢の正体を知りたい、だろ?」薫はフッと笑った。

「だから行ってきます!!」

いろはは走ってその場を立ち去った。

 

そして、

「当麻、こうしちゃいられない!追うから手伝え!」

「え?俺もですか!情報屋さんとか十咎さんじゃダメなんですか!?」

「いいから行くぞ!」言われるがままに当麻も薫と共に走っていった。

 

3人が続々と走り去って一瞬の静寂のあと、ももこは

「しまったぁぁぁぁあああ!!」

「どうしたんだい?何かまずいことでも?」いつの間にかはソファに座ったは直樹はももこに言った。

「まずいよ!いま外に出たら三人ともアイツにつかまるのに・・・」

 

「はぁはぁ・・ってあ!薫さん!!あれって・・・」当麻はいろはが路地裏に消えていくのを見つける。

「いろはだな、間違いない。行くぞ。」薫たちもいろはが消えた方面へと走る。

 

その頃いろはは・・・

「もしかしてあの時の・・・?」

紺色の髪の少女、というよりは女性に遭遇していた。どうしても先を急ぐなら自分を

「そう、まだ意識があったのね。邪魔が入ったおかげで遅くなったけどいまなら心置きなくあなたを町から追い出せる。」

はいろはに対しこう告げた。

「町から・・・追い出す・・・?」

 

to be continued・・・




next unknown story
たかが噂、されど噂 その3

Q&Aのコーナー
Q.SPECどこまで見たの?
A.某Hul〇で5話までです。

Q.堤作品で一番好きなのは?
A.神の舌を持つ男ですそういやヤメゴクまだ見て無いなぁ。

Q.結局のところ自分は何をされてる方なの?
A.ご想像にお任せします。

【おまけのキャラ紹介】
柴田 薫(しばた かおる)
主人公その2
19歳
176cm
神浜市立大学一年生。
神浜大始まって以来の変人と言われている。神浜市で起きている怪異について趣味で調査をしている。普段はカメオのついたループタイとよれよれの黒いYシャツの上にモッズコートを羽織り、ジーンズを履いている。そしてボサボサの黒髪。
甘党で缶入りカフェオレをいつも飲んでいる。
常に肩掛け鞄を持ち歩いている。
名前の由来はケイゾクの登場人物 柴田純から


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

たかが噂、されど噂 その3

アンナチュラルがプライムで配信されましたが、めちゃくちゃ面白いですね!
ってことで始まります。


「町から・・・追い出す・・・?」紺色の髪の女性からそう告げられたいろは。そこに

「オイオイ、だれかと思ったらやちよじゃないか」バサッとわざとらしくモッズコートを翻した薫と、

「そんな追い出すだなんて!」当麻が現れた。

「え?どうして・・・」

 

神浜アンノウンストーリーズ

 

story3.たかが噂、されど噂 その3

 

 

「薫・・・貴方、何しに現れたの?それに、彼は仲間?」

「まぁ彼は仲間ってか協力者ってとこかな?」

「そう・・・で、結局のところ、目的は?」

「彼女、環いろはの抱えてる謎に興味があってねぇ、実にエクセレント、と言ったところだ。で、やちよ、アンタは彼女をこの町から追い出すって言ったね。どうして?」

 

「薫さんってあの人と知り合いなんですか?」

「俺に聞くなよ・・・」

いろはと当麻がひそひそと話すのを尻目に女性と当麻の会話は続く。

 

「彼女はこの町で生き残れる力が無いのを証明してしまったのよ。」

「どうしてそんなことが言える?」

「彼女が魔女の結界の中で無様にやられている姿を見たのよ。」

「じゃ、それをアンタが助けて忠告したわけか?」

「概ねそんな感じよ。とにかく彼女には無理やりにでも出て行ってもらうわ。」

そう言ってやちよは薫の横を通り過ぎた。

「あの様子じゃダメかぁ・・・」

 

「さ、自分の街に帰りなさい。」

「やっぱり考え直した方が」後ろから薫が口をはさむが

「薫は黙ってて。」

「嫌です・・・私、目的があってこの町に来たんです!」

「そうですよ!追い出すなんてあんまりですよ!!!」

「・・・貴方のような一般人に言われる筋はないわ。」

「うぅ・・・」やちよの反論に当麻はひるんだ。。

「それに目的も果たせずに無駄死にしたい訳なの?」改めてやちよはいろはに質問した。

「でも、調整屋さんにソウルジェムを弄ってもらったのでもう大丈夫です。」

「はぁまたももこのお節介ね・・・」

(え?ももこ・・・ってことはこの人は十咎さんとも知り合いなのか?)と思う当麻と

「はぁ、それなら・・・」

「通してくれるんですか!?」期待するいろはの前でやちよは、

「かかってらっしゃい」パッと光に包まれ、私服から青を思わせるドレスにアーマーが付いたコスチュームに姿を変えた。

 

「わっこの人も魔法少女だったのか!」

「貴方がこの町で生きてこれるかどうかは、私の目と腕で判断するわ。」

 

(なるほど・・・そこまでして追い出したいのか)「当麻、危ないからこっちに来い。」

「え、あ、はい!」こそこそと当麻は薫の元まで行く。

「俺達は見物でもしよう。」

「で、でも・・・」

「安心しろ。ヤバくなったら俺が止める。」

「止める手段は」

「ある」

「どこから湧くんですかその自信は・・・」

「それにやちよなら、()()はしても、流石に()()はしないだろう。」

「ホントですか・・・」

 

いつの間にか白いフード付きマントを羽織った魔法少女姿のいろはとやちよの戦いはほぼ一方的だった。

「あー流石やちよだ。戦い方にスキが無い・・・」

「何解説してるんですか」

 

「うわ!」やちよの槍攻撃でいろはは防戦一方だった。

「所詮は付け焼刃ね。強化しても経験は追いつかないわ」

「お願いです!小さいキュウべぇを探しているだけなんです!!」

「薫が興味を示したのは・・・なるほど、あなたなら近づけられるのね・・・でもいい加減あきらめなさい!!」

 

「どうするんですか!薫さん!」

「まーそろそろ止めに入るか」当麻の慌てように反しのんきに薫が立ち上がろうとすると・・・

 

「まてーーーーーーい!!!!」

 

ダッといろは達の現れたのは

 

「いやはや、追ってきて正解だったよ」

 

ももこだった。

 

「十咎さん!?」

「ももこさん!?どうして?」

 

「どうせ心配で追ってきたんだろ?アンタのことだ」薫が言う。

「ああ、やちよさんがいろはちゃんを襲うのは予想してたからね。・・・にしても趣味の悪い女だよ・・・」やれやれ、とももこ。

「この町に無駄な死体を増やしたくない、それだけよ。」

「はっ、よく言うよ!大方、魔女の数が減るからだろ?それに魔法少女が増えれば自分の取り分も減る。だから力づくで追い出そうとしてるんだろ」

「マジかよ・・・」ももこの自信満々の推理に当麻はつぶやいたが、

「ももこ、残念ながらその推理は違う。」異を唱えたのは薫だった。

「な、なんで?」

 

「この間情報屋に聞いた話だが、どうも魔女は右肩上がりで増えているって聞いてな。むしろ人が必要な気がするがどうだ?やちよ、アンタは本当に死体を増やしたくないだけだろ?」

「まぁ、そうね。いい加減、誤解されるのも気分のいいものじゃないしね。」

 

「・・・とにかくやちよ、何をしたって彼女は退く気はない。だろ?」薫はいろはの方を見た。

 

「そうです・・・私はただ本当に小さなキュウべぇを探しに来ただけなんです」

「小さいキュウべぇ・・・そう、貴方なら近づくことができるのね・・・」

「やちよもその小さいキュウべぇを探してたのか。」薫はそうつぶやく傍らで、やちよはいろはに向かって

「で、あなたはその小さなキュウべぇをどこで見かけたのかしら?」と聞いた。

「えっ、あの、砂場の魔女の結界です・・・」

「ま、魔女の結界?」当麻は反応した。

「そう、それじゃあこうしましょう。()()()()()()()()()()()()実力を認めるわ。ハンデとして私はひとり、そっちはタッグで構わないわ。これで、どうかしら。」というやちよの提案に

 

「乗ったー!!!」ももこが声を上げた。

「ええっ!?」

「そんな十咎さん・・・本人を差し置いて無茶苦茶なことを・・・」いろはと当麻は口々に突っ込む

「認めてもらうなんてそんな・・・私は小さいキュウべぇさえ見つかれば・・・」

「これであの堅物が認めてくれるなら安いもんさ!!それに勝てば自由に探し回せるだろ?」

「は、はぁ」

「なるほど、ももこにしては考えたな」押されるいろはの横で薫が口を開いた。

「にしてはってなんだ!?ってか薫さんと当麻はどうするのさ?」

「そうだな、勝負事には1人でも多くの証人が必要じゃないか?」ももこの質問に薫は答えた。

 

「それってつまり俺も・・・ですか?」当麻は言う。

「そうだ。なかなか察しがよろしくてよ」

「なんでお嬢様風?」ももこのツッコミをよそに

「ええまたあの空間に行くんですか?嫌ですよ!」

「そうよ、流石に素人を連れて行くのは危ないわ。」

「安心しろ、護衛が4人もいるじゃないか」薫は嫌がる当麻と止めようとするやちよに言った。

「4人?ってまさか薫さんも戦えるんですか?」当麻の質問に

「さてどうでしょうね・・・」やちよと

「まぁ俺は魔法が使える訳でもなければSP〇Cホルダーでもないんだけどね・・・まっそれは後でのお楽しみってことで」薫が答えた。

 

「で結局どうするのよ」やちよの質問に

「じゃ、この責任はすべて俺が受け持つってことでいいだろやちよ。」

「・・・本当に受け持つつもりね」

「そうだ。」

「・・・じゃ決まりね。」

「決まりだ。やるぞいろはちゃん!やちよに続いてももこがいろはに向かっていった。

「はい、わかりました・・・」いろはは若干食い気味に答えた。

「はぁ・・・マジか・・・」当麻は小声でつぶやいた。

 

 

「ありました、ここです」いろはに案内され、結界の入り口にやってきた。

一見そういう落書きともとれるソレは今にも吸い込まれそうな気配を感じた。

「魔力はどうだ?」

「まぁそこそこって言った具合かな薫さん。」魔力を持たない薫の問いかけにももこが答えた。

「しかし思ったよりも歩かされたな」結界を凝視しながら薫は言った。

「さすがに複数の魔法少女に狙われたら逃げたくもなるわよ。」

「なら、なんでさっき環さんをあんなにボコボコにできたんですか?」

「そりゃさっきの相手は小物一匹だから気が大きくなってたんじゃない?」当麻の問いかけにやちよが答える傍ら

「小物・・・」いろはは顔を曇らせた。

それに反応したのかやちよは「だからその分のハンデは付けたつもりだから、ももこと二人で頑張りなさい。強くなった実力とやらをせいぜい発揮してね。」といろはに向けて言った。かと思うと薫の方を向き、

 

「薫もそろそろアレの準備をしておいた方がいいんじゃないの?」

「いちいち鼻につく言い方だな」ももこは愚痴る。

「はいはい、今出そうと思ったところだ。」そして薫はそう言いながら肩掛けカバンから何かを取り出した。

 

「え・・・それって・・・」取り出されたものをみて当麻といろはは絶句した。

「ピ、ピストルですよね・・・」

「あ、本物だけど何か?」いろはの質問に何食わぬ顔で答える。

「へー本物・・って本物!?」

「嗚呼、本物だ。」

「こいつに特製弾をこめて・・・」

「ま、まさか、それで魔女とやりあうつもりですか!?」準備をする薫を尻目に当麻は聞くが

「そうでもしないと普通の人間は魔女とやりあえないからな。それにこの弾も対魔女およびその使い魔用の特注品だからね、俺はこれに幾らはたいたと思ってるんだ。」相変わらず顔色一つ変えず薫は答える。

「え、ええ・・・」

「ああ、さっき言ってたもしかして魔女に対抗するもう一つの方法ってのは・・・」

「強力な物理攻撃を浴びせる。この手に限る。」カシャ、と弾の入ったマガジンをピストルにセットしながら薫は言った。

 

「な、なるほど」と食い気味に当麻が相槌を打っていると

「薫、置いていくわよ」

「当麻も早く!」

やちよとももこに呼ばれるので

「さて行くか・・・」

「え、本当に大丈夫なんですか・・・」

「なぁにちょっとした探検だと思えば大丈夫だ。」

「は、はぁ」

「とにかく、絶対に俺から離れるなよ」

「はい!」

薫の警告に勢いよく返事をした。

 

「うわぁ・・・改めてきても気味の悪い空間ですねぇ・・・」結界に突入したなか当麻が感想を漏らしているのよそに

「じゃ行くぞ、先に親玉、魔女を倒した方が勝ち、いいね?」

 

はい、とか分かってるって、とか各々の返事が聞こえる中

「じゃゲットセット・・・レディ・・・ゴー!」薫の合図で一気に3人は走りだすが・・・

「あのなんで英語なんです?」

「別にいいだろさて、・・・さっそく追いかけるぞ」薫が当麻のツッコミをあしらい言った。

 

「え・・・」

「当たり前だろ審判なんだから」

「万が一魔女に遭遇したら?」

「その時に考える。」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃなかったら今頃死んでるよ」

「ま、まぁ確かに・・・」

「さっ行くぞ」

「・・・あ、はい!」と2人も走り出した

 

「おっと」

「あれ?環さんに十咎さん?」

2人は使い魔に囲まれているももこといろはを見つけた。

「まさかあんな序盤で苦戦してるとはね・・・危なっ!」

「わっ!」

薫はこっちの気配に気づいて襲って来ようとした使い魔に3発発砲した。使い魔はうめき声をあげて倒れた。

「はぁ人が喋っているのにマナーも知らないのか」

「あんなのにマナーなんてあるんですか」薫と当麻はぶつぶつ言いながら体制を立て直すと、

「モキュ!」何かの鳴き声がした。

「薫さん!今の鳴き声って」

「かわいらしい鳴き声・・・もしや」

「十咎さんたちの方からですね」

「行ってみるか」

 

2人がいろはたちの方へ駆け寄るとそこには

「モッキュ!モキュ!」

「あ!薫さん!当麻、これ見てよ!」

手招いているももこの方を見ると白い生き物・・・キュウべぇがいたが、

「これがあの・・・キュウべぇ?なんかイメージより小さいというか幼いというか・・・」

「エクセレント、こいつがいろはの探してた小さいキュウべぇだな?」

「は、はい!」

「モキュモキュモキュ!」

「なんだって?」

「それが、魔女のところまで案内してくれるって・・・」いろはは小さいキュウべぇを指さし言った。

「・・・この子がですか?」

「そうです、でも・・・」いろはは当麻の聞き返しに後ろめたそうに答えるが、

 

「信じてついていけば?」薫が口をはさんだ。

「そうだよ!今は魔女を狩るのが最優先だ!」

「モッキュ!モキュ!」

「ほらチビスケもそうしろって!」ももこは小さいキュウべぇの意思を汲んで言った。

「え、チビスケってこの子の事ですか?」

「え?そうだけど?・・・って今はそんなことはいいよ!とにかく今の状態じゃアイツに追いつけないし、ここは賭けるしかない!そうだよね薫さん!」

「ももこにしてはグッドアイデアだ」

「そうと決まればさっそく行くぞ!」

「はい!」

そうして4人と1匹は走り出したが

「あの、ホントに大丈夫なんですか?」当麻の質問に

「だから賭けなんだ。」薫が返した。

 

to be continued・・・




next Unknown Story

たかが噂、されど噂 その4

ってことでTAICHIです。いつものセルフQ&Aコーナーです。
Q.なぜ遅れた?
A.気分です。

Q.アンナチュラル面白かった?
A.面白かったです、あと同じ野木さんが脚本を書いたMIU404も見ればよかった、って後悔してます。

Q.結局のところSPECどこまで見た?
TVスペシャルの翔までです。

Q.次回はいつになる?
A.かけ次第上げます。

【おまけのキャラ紹介】
近藤 直樹(こんどう なおき)
17歳 166cm
神浜の情報屋を名乗る高校生。調整屋と業務提携をしている。独特な笑いかたをする。
外見は暗い茶髪のボブで、前髪に金髪メッシュを入れたヘアピンの付いたセンター分けの髪型。
大体は学生服にパーカーを着て眼鏡をかけている。
自他共に認める美少年。
名前の由来はドラマ ケイゾクおよびSPECの登場人物近藤 昭男+TRICKの登場人物 山田奈緒子より。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

たかが噂、されど噂 その4

この章はこれでラストです。長めですが始まります。


小さいキュウべぇに導かれるがままに4人は結界の最深部の入り口にたどり着いた。

「なんか一気に雰囲気が変わりましたね、なんか、こう禍々しさが増したというか」

「そりゃここから先は魔女のプライベート空間だからね、しかし本当に案内してくれるとは・・・薫さんは?」

「エクセレント、もっとコイツ(小さいキュウべぇ)に興味が出てきた。」

 

「・・・ってか追いつかれる前に突入したほうがいいよいろはちゃん!」

「え?あ、はい!」ももこに対して勢いよくいろはは返事をし、

「薫さん、やっぱり俺たちも」

「勿論追うぞ。」そして当麻の質問に対して薫が答えた。

 

「ジャギギ▲◇◎◎◇▼☆ー!!」

 

「えっ!?」

「いろはちゃん避けて!」「危ない!」入って早々いろはを魔女が襲い、ももこと当麻が口々に叫ぶ

「うわぁ!」いろはが防御の体制を取ろうとすると、

 

ビュン!

 

魔女めがけて魔力波が飛んできた

 

 

「え。今のは・・・」困惑する当麻をよそに

「・・・やっぱ来たか。・・・いや、もう来てたかっつてのが正しいか。」薫の目線の先にいたのは

 

「あら、そっちこそ遅かったのね」やちよだった。

 

「しっかし相変わらず強いことだ」見てみろと薫が気絶している魔女を指さした。

 

「一撃で魔女が・・・気絶してる・・・」

「すげぇ・・・強い・・・」

 

「待ちくたびれて魔女と遊んじゃったからね」やちよが答える。

 

「そんな・・・いくら何でも早すぎる・・・」頭を抱えるももこに対し

「いや違う。俺たちが来るのが遅すぎる、だろ?」薫が言った。

 

「よくわかったわね、それにこれくらいの力量差があるくらい、薫だけじゃなくてももこも気付いてるはずでしょ?」

「くっ・・・」「・・・・」やちよの指摘にももこといろはぐうの音も出なかった。

「要するに最初から勝負はついていた、と言いたいのか?」

「そんな・・・薫さんまで」薫の推測にまだ諦めたくないような口調で当麻が言う。

 

「その通り、最初からあなたたちの負けは決まってたわよ、だけど特別にもう一度チャンスをあげるわ」

「え、もう一度?・・・」やちよの意外な提案にいろはは驚く。

 

「えぇ、あなた、魔女を一人で倒しなさい、そうすれば実力を認めてあげる。私の食べかけなのはちょっと残念だけどね」

 

「んな無茶な・・・」改めて出された提案に対して当麻はつぶやく。

「馬鹿にするのも大概にしろ!人を弄んで!!」やちよの態度にしびれを切らしたももこが声を荒げた。

「落ちつけももこ。むしろチャンスじゃないか?それに、これは元々やちよといろはの問題であって、俺たちが口を出す問題じゃあない。」すかさず薫が宥める。

「そうよ、薫の言う通り、どうするかはこの子次第よ。」

 

「くっ、それはそうだけど・・・」薫とやちよの言葉にももこはぐうの音も出ない。

 

やちよは改めていろはの方向を向き、

「さぁ、どうするの?」と問いかけた。

 

「薫さん・・・」

「たぶん彼女はここまできて退くことはしないだろ。」当麻を薫が口を開いたとたん、

 

「それなら私は・・・今ここで魔女を倒して見せます」いろはは力強く答えた。

「そう、それなら見せてみなさい、神浜の魔女を倒すところを」

 

「頑張れよ、いろはちゃん」

「環さん、頑張ってください!」

「まーお手並み拝見ってことで」

三人がそれぞれエールを送ると、

 

「さぁ、魔女が動くわよ・・・」やちよが気絶させた魔女を見ていった。

 

「ズシャアァアァァ▲◇〇●◇----!!!」

「うわ!動いた!!」再び雄叫びを上げて動きだした魔女を見て当麻が声を上げた

「下がれ!ここはいろはに任せよう!」「は、はい!」薫の言うまま当麻は引き下がった。

「あ、だれかキュウべぇの事を!」

「え?あ、はい!」「プギュ!」当麻さんは飛んできたキュウべぇをしっかり両手で抱きかかえた

 

 

数分後

「効いてるんですか・・・あれ?」

「微量だが効いてるだろ」

「やれー!いろはちゃん!」

「・・・」

4人と1匹は魔女といろはの戦いを見守っていた。

 

当のいろはは

「それっ!」腕についているクロスボウを武器に戦っていた。

(効いてるけどこのままじゃ・・・)

 

「ジャギギ▲◇◎◎◇▼☆ー!!」

「おっと!」

襲い掛かる魔女の攻撃をどうにかローリングでかわす。

(普通に連射しても効かないのなら・・・)

いろははクロスボウを上に構えた。

 

「あ、クロスボウを上に構えた?」

「なるほど・・・そう言う事か」

「薫さんあの構えって?」ももこの疑問に薫は

「見ればわかるって」と答えた。

 

「いっけーーーーー!」一か八かいろはありったけの魔力の矢を連射した

それはまるで雨のようだ

 

「そうか!これなら一気に魔女にダメージを与えることができるのか!!」

「きれいだ・・・」

「ワンダフル・・・こいつは中々見どころがある」

「モキュ!」

 

そしてその矢の雨を浴びた砂場の魔女は

「ズシャ・・・ズシャ・」

と倒れた。

 

そして結界が晴れ、元の街の景色に戻った。

 

「や、やった!」

「エクセレン!」

「やった、いろはちゃん!」

それぞれがいろはをたたえる中ももこは

「どうだ!やちよさん!」と我が物顔で言った

「いやももこさんが得意げにならなくても・・・」

「さすがに実力は認めるわよ。ま、最初から大丈夫だろうとは思っていたからね。」

「だろうな、やちよは昔から優しいから。流石に簡単に追い出す真似はしまいと思ったよ。」

「え?そ、そうなんですか?」やちよの意外な発言と薫の返答にいろはは驚きを隠せない。

「えぇ、何となくだけどその人を見ればわかるわ」やちよが答える。

 

「あーだからあの時魔女を譲ったりしたんですか」

「やっぱやちよ、最初から退く気が無いのは分かってたじゃんよ」

 

「いや人を弄んだだけだ・・・」ももこは睨むように言った。

「十咎さん・・・」

「別に弄んでなんかいないわよ、目的のために導線を引いただけ」

「導線・・・?」

はてなマークを浮かべたいろはに

「探してたのはコイツだろ?」薫が当麻が抱きかかえている小さいキュウべぇを指差した。

「私の前に、このキュウべぇは現れてくれないから・・・」

「え・・・?」「そうなんですか?」当麻といろはが聞き返す。

「それにだ、ある時急にキュウべぇが全く神浜に現れなくなってな。そんで同じタイミングで現れたのがコイツ(小さいキュウべぇ)って訳、情報屋に教えてもらったときは半信半疑だったからまさか実在してたとはね。」薫が言う。

「・・・だけどこんなイレギュラー、どう考えても()()()()()にしか思えないのよ。」やちよが続く。

 

「ってことは・・・」と当麻がつぶやくのと、

「当麻ーッ!」ももこが叫ぶのと

「はっ・・・真山さん!」といろはが叫ぶのと、

ジャキッとやちよが武器を構えるのはほぼ同時だった。

 

「だから、私も一般人に危害を加えたくないのよ。だからすぐにそれをこっちに引き渡しなさい。」当麻に武器の槍を突き付けながらやちよが言った。

 

「え、え・・・」当麻は自分が置かれている状況を飲み込めず一瞬固まった。

 

やがてごめんね。と小声で言ったかと思うと「・・・十咎さんパス!」

「モキュ!?」キュウべぇをももこに向かって投げた!

 

「な!?」

「え!?」

「おおぅ」

宙を舞うキュウべぇをみて他の3人が驚く中

 

「えぇ!?んな急に言われても!!」ももこは困惑しつつもガシッとキュウべぇを受け止めた。

しかしやちよは即座に体勢を立て直し素早く槍を構えた!

 

「あ!ももこさん!」

「「しまった!」」当麻とももこが声をそろえてあげたが

「遅い!」

すでに攻撃態勢に入ったやちよにキュウべぇ共々攻撃された。

 

「ぐっ!」「プギュッ!」

 

「キュウべぇ!」「十咎さん!!」すかさずいろはと当麻が声をかける

 

「ようやく消せるわ」

「やちよ、本当にコイツを殺るつもりか?」薫はやちよに尋ねた。

「ええ。」

これは何をしても無駄か、と薫は引き下がった。

そしていよいよやちよがキュウべぇにとどめを刺そうとした時、

 

「やめてぇーーーー!!」

 

いろはが小さいキュウべぇを庇うように叫んだ、そして傷ついて吹っ飛ばされていたキュウべぇを抱き上げた。

 

「無茶すんな」薫が

「あなたもわからず屋ね、」武器を向けたままやちよがそれぞれ言う。

「この子が何をしたって言うんですか!」いろはが庇う。

「そうですよ!まだ何も悪いことしてないじゃないですか!」当麻もともに庇う。

 

「これからするかもしれない。」

「・・・確かにそうかもしれませんが!」当麻はやちよの反論に何とか返そうとするが

「リスクは早めに排除するものよ。」

「そんなことしたら聞けなくなっちゃう!あの子は・・・あの子は・・・私にとって、大切な子かのしれないのに!!」いろはは叫んだ。

 

「やちよ、こいつを殺すのを少し待ってやったらどうだ?こんなに必死だ。」そんないろはを見た薫はやちよに対し言った。

「嫌よ、そのキュウべぇに関わるとろくなことにならない。だから、今ここで消さないと」

「やっぱ退く気はないのか、残念。」やちよの答えに薫は残念そうに下がる。

 

そこからいろははキュウべぇをやちよの攻撃から庇い始めた。

 

「ここまで耐えたのは褒めてあげるわ。」数分後、やちよの視線の先にはやちよの攻撃からキュウべぇを庇い続けボロボロになったいろはがいた。

 

「薫さん止めてください!もう見てられません!」見ていた当麻は懇願する。

「さすがに魔法少女相手に戦えと?」

「じゃ十咎さん!!」

「行きたい気持ちは山々だけど・・・」

2人はそれぞれNOを出す。

 

「だけど・・・ここまでよ!」改めてやちよは攻撃の体勢を取る。

「だめぇ!!」「キュ!!」

止めるいろはとキュウべぇの叫びに対しやちよが

「そいつを離しなさい、貴方まで串刺しになるわよ」と最後の忠告をした。

「いやです!絶対に離しません!」しかしいろは一歩も引かない・・・すると、

 

(急に意識が・・・)

そう思ったのを最後にいろはは小さいキュウべぇを抱えたままその場に倒れた。

 

「いろはちゃん!」「環さん!」ももこと当麻がたまらず叫ぶ。

「わぁお」薫が言った。

「はぁ・・・だから言ったでしょ・・・貴方の自己責任よ。」ため息をしながらやちよが言う。

 

「で、これからどうする?このまま放置するわけにもいかないだろ?」薫が聞いた。

「どうすると言われても・・・あ!調整屋に運ぶのは!?」当麻が言った

「なるほど!その手があったか!」ももこがポンと手を叩いて言った。

「やちよ。どうする?」

「仕方ない、私も手伝うわ。だけど、」

「だけど?」

「運んだら私は帰るわよ。」

「まー運んでくれるだけありがたい」

 

 

 

 

倒れたいろはを調整屋に運び込み、寝台にそっと寝かせてやちよと別れる。

「ふーん、そんなことがあったのか、薫さんお疲れー」

「とはいってもまだまだ謎は多いけどな、」

薫は事の顛末を直樹に話しながら直樹とオセロに勤しんでいた。

 

「あの、何のんきにオセロやってるんですか?」「キュ?」小さいキュウべぇをを抱えた当麻と

「そうだよ、薫さんも情報屋もいろはちゃんに万が一の事があったらどうするのさ?」その横に座っているももこが口々に言ったが

「45対19で俺の勝ち。これでボドゲ勝負は俺の通算182勝181敗3引き分けだ。」

「ありゃりゃ勝ち越されちゃったか」2人には上の空だった。

「薫さん聞いてる!?」ももこは叫んだ

「あーまぁ大丈夫だろ」薫は適当に返したその時だった

 

「ハッ!」調整屋の寝台に寝かされていたいろはが目を覚ました。

「みんなぁ、いろはちゃんが目を覚ましたわよっ!」いろはを見ていたみたまの呼びかけに

「いろはちゃん、大丈夫!?」

「環さんが無事でよかった・・・」

「おーやっと目を覚ましたか」

「ホントだ」

4人はそれぞれ言葉をかけた。

 

「皆さん・・・」いろはは涙目になっていた。

 

「ど、どうして泣いているんですか?」当麻の質問にいろはは

 

「私・・・思い出しました・・・どうして魔法少女になったのか・・・」と答えた

 

「え・・・」「思い出せたのか。」ももこと薫が言う。

 

「私・・・妹のために・・・」いろはは続ける。

 

「妹?」ももこがは聞く。

 

()()()()()()()()()()()に魔法少女になったんです・・・!どうして忘れていたんだろ・・・こんな大切な事・・・」

 

「忘れてた、というと?」今度は薫が聞く。

 

「はい、ずっと一緒でした・・・」

 

「ずっと?」

 

「この間まで同じ屋根の下で、一緒に寝て、ご飯も食べてました。でもみんな消えてるんです・・・なかったことになってるんです・・・()()()()()()()()()()()()()()・・・」

 

「そんな事って・・・」ももこはつぶやく。

 

「でも実際にそうなんです!家に帰ってもういが居ないのが普通になってて・・・お父さんとお母さんと3人でいつも通りに暮らしていた」

 

「ばんなそかな・・・」

 

「私だってさっきまで自分の事一人っ子だって・・・」いろはは当麻に言った。

 

「にわかには信じがたい話だねぇ、薫さんは?」直樹が薫に聞くと

 

「妹の病気を治すために魔法少女になったはずなのに当の妹が行方不明、それどころかいろは本人もそれを忘れていた・・・エクセレント。盛り上がってきたじゃないか!」半ば興奮気味に薫は言った。

 

「要するに私が妹さんとあっていたとしても忘れているかもってことぉ?」

「おそらくそうだ。」みたまの問いかけに薫が答える。

「じゃあ、魔女の仕業かしらぁ?」

「長いこと魔女と戦っているけど、そんな魔女がいるとは・・・」

 

「いや、僕の聞いた話ではそんな魔女はいないね」それに対し直樹が否定した。

 

「じゃどうして・・・」当麻は首を傾げた。

 

「私が思い出せていないことが他に何かあるのかも・・・」そう言ったいろははは当麻の抱えるキュウべぇに触れた。

 

が、「モキュ」「・・・もう、あなたに触っても何も思い出せないね」いろは言った。

 

「でも、あなたがういの事を思い出させてくれたんだよね?」小さいキュウべぇにいろはそっと言う。

「モキュ?」はてなマークをキュウべぇは浮かべていたが、

「きっとそう、そうなんだよ・・・そんな気がする。」いろはは微笑んだ。

 

やがて涙をぬぐうと

「うん・・・決めた・・・」

「環さん?」

「私、また来ます・・・」

 

「まさか神浜(ここ)に、ですか?」

「目的は果たしたはずだろ?」当麻とももこが聞く。

 

「そうです、今度はういを探さないといけませんから・・・それに、」

 

「それに?」

 

「きっとこの神浜市のどこかに手掛かりががする気がするんです。ういが消えちゃった理由も、あの子が今どこにいるかも」

 

「すべてを思い出させてくれた小さいキュウべぇ(この子)がいる町だから・・・」

 

「・・・その記憶が何者かによって植え付けられた偽物である可能性は?」薫が口をはさむ。

 

「それでも私、この記憶を信じます。今の私は・・・環ういって妹がいる環いろはって思えるから」すっかり明るい顔になったいろはは自信高く返した。

 

 

 

 

「記憶を信じて、妹を探すのか・・・その覚悟、おれは気に入った。」薫は微笑んだ。

 

「アタシは大歓迎だよ、新しい仲間が増えるからね」

「私もお客様が増えるし無理に止められないわぁ。」

「みたまと同じく僕も新規の客はありがたいからね、歓迎するよ。」

「二人ともなぁ・・・」ももこはあきれるが

「うっふふ」「ウケケケ」直樹とみたまは笑った

 

「じゃ当麻、次来るまでチビスケを当麻に預けるけどいい?」ももこは当麻に聞いた

「うーん預けるって言っても親に何て言えば・・・ってかそもそもキュウべぇってどうすれば・・・」当麻は難色を示したので、

「んーじゃあ、アタシが預かるよ、どうもこの町から出たがらないみたいだからさ、」

 

「あ、じゃあよろしくお願いします!」「モキュ!」当麻は今度は元気でな、とそっとキュウべぇを床に置き、ももこの元へ向かわせた。

 

「ありがとうございます!」

 

「ところでさ、いろはちゃんだっけ?そろそろこの子に名前をプレゼントしない?いつまでも小さいキュウべぇ呼びじゃ不便だろ?」直樹が言った。

 

「略してちいべぇは?」

「チビスケじゃダメなのか?」

「フーミン、あるいはげろしゃぶ」

 

「いまいろはちゃんに聞いてるのから、部外者はお静かに」みたまが3人に話す

「でも、私が・・・いいんですか?」

「いいんだ、アンタの大切な存在だろ?」薫が答える。

「さっきげろしゃぶってつけようとした人が何言ってんだ」直樹が突っ込んだ

 

「それじゃあ、えっとキュウべぇちゃん・・・」

「却下。もう少しいい名前はない?」いろはに直樹があっけなく言う

 

「え・・・それなら・・・あ!モキュはどうですか?」いろはは何とかひねり出す。

 

「それいいねぇ!」「可愛いですね」「いいんじゃない?」「シンプルだ」4人がそれぞれ言う。

 

「じゃあモキュ、これから一緒にういを探してくれる?」

「モキュキュ!」いろはの問いかけにモキュは元気よく返した。

 

神浜アンノウンストーリーズ

 

story4.甲の章 たかが噂、されど噂 その4

 

 




next story5. 乙の章 絶交ルールの謎 その1
「あら、それはよかったわね」
「え?2人は付き合ってるの?」
「当麻、俺の助手にならないか?」
「2人ともいい加減にしてよ!!!」


あとがき
ようやく1章が終わりました。相変わらずの不定期更新ですがぼちぼちとやっていくのでよろしくお願いします。小ボケをはさむのは難しい。

Q&Aコーナー
Q.マギレコどこまで進めてるの?
A.7章途中までです。

Q.アンナチュラル見てるんだってね?
A.そう、個人的に5話と7話のラストって対比させてると考えてますがどう思います?

Q.主人公は誰なの?
A.一応薫・当麻を中心に物語を進めるつもりです。
ってことでまた次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

乙の章 絶交ルールの謎
絶交ルールの謎 その1


今週からメインストーリー2章です。といってもほぼオリジナルシーンですがね!それでは張り切ってどうぞ!


いろはが妹のういを探す決心をした次の日の神浜大学の昼休み。

学食のテーブルでやちよが食事を始めようとすると、

「よう、」薫が声をかけてきた。

「何の用かしら薫。」

「いやぁ昨日の報告を一応しておこうと思ってね。あのあと帰っちゃっただろ?」

「用事はそれだけ?」

「あと()()()についての情報交換でもする?」

「・・・それもいいわね。」

 

「ってことが一連の出来事。彼女、環いろはには大げさだがこの世界から消えた、あるいは消された妹がいたんだ。」昨日のことを話しながら薫はかけそばをすすった。

「環さんに偽の記憶が埋め込まれてる可能性は?」

「いや、その線はおおいにあるが今は消している。彼女の気持ちを否定するのもどうかと思うからね」

「あるいは大げさだけど世界が改変された可能性は?」

「そんなことを魔法少女の力をもってして可能か?ましてやキュウべぇでも流石にそこまでの大仕事ができるか?」

「さて、どうでしょうね。」

と話し合っているところに

 

「え!?ええ?」大柄めの男性が驚いた様子で見てきた。

「あ、宮沢教授」気づいた薫が声をかけた。

「こんにちは、宮沢教授。」やちよも挨拶をした

 

「え?何?神浜大一の変人と?神浜大一の美人が?こんなところで?もしかして付き合ってる?」宮沢教授と呼ばれた男性は驚いた様子で聞くが、

「いや、単なる世間話です。」薫がいう

「ホントに?」

「ホントです。」今度はやちよが言う。

「まぁ、あんまこういうのにオジさんが首を突っ込むのもねぇあれだし・・・」宮沢教授はその場を離れた。

 

「ま、彼女はまた神浜(ここ)に来るよ。妹がいようがいまいが関係なく。」

「そう・・・」

「どうした?みふゆの事か?俺も心配だが・・・」すこし暗い顔をしたやちよに薫が尋ねた。

「・・・」

「・・・じゃ、話は変わるけどあのキュウべぇの事はもういいのか?」やちよの心中を察したのか薫は話題を変える。

「もういいわよ。だってあの子は環さんにとって大切な子でしょ。」やちよは優しいほほえみで答える。

「それなら安心だ。」薫は言った。

「でも、何か悪さをしたなら狩る必要はあるけど、」

「じゃ、認めてるってこと?」

「一部はね、」

 

「ところで薫、絶交ルールについて何かつかめたかしら?」

「あーそれなら、ほら、さっき話した真山当麻ってやつが居ただろ、彼から有力な手掛かりをつかめてねぇ」

「どんなの?」

「どうも数日前からも学校に来てない奴がいるって言っててねぇ。それも数人。」

「薫は絶交ルールの仕業って考えてるのかしら?」

「もちろん。やちよは?」

「私もよ。」

「じゃ放課後の予定は?」

「今日は開いてるわ。」

「じゃ聞き込み調査でもする?」薫はやちよに聞いた。

「たまにはそれもいいわね」やちよはうなずいた。

 

 

ところ変わって神浜大学付属学校。当麻は昨日の出来事を振り返りながらため息をついた。

「あれマジで夢じゃないのか・・・」購買で買ったパンを袋ごと机に置きながらつぶやく。昨日、あの後ももこが連絡先を交換した。そして成り行きでいろは、直樹、みたま、そして薫とも連絡先を交換した。次の朝、トークアプリの画面を見てやっぱり夢じゃないと何度も確認した。確実にとんでもないことに巻き込まれた、そう思うと、ももこからメッセージが来た。

『当麻、時間があるなら相談に乗ってくれない?』

『いいですけどどこで?』

『外の庭園のベンチだけどいい?』

当麻はOKのスタンプを送ると庭園に歩く。

 

庭園に付くとベンチでももこが手を振っていた。

「あ、十咎さん!」

「当麻―!こっちこっち!」

ももこの隣に座わるとさっそく当麻は

「相談って・・・・また水波さんとあの秋野さんの事ですか?」

「お察しの通りだよ、あとそれにアタシの事はももこでいいよ」

「じゃ、ももこさんやっぱり秋野さんと水波さんがケンカしてるんですか?」

「そう。もう絶交寸前。」

「絶交・・・」まさかと思い当麻は

「あの、ももこさんもしかして絶交ルールって知ってます?」

「え?・・・・ああ!あれかー、薫さんが追ってるていう?」

「もしかしてももこさんも薫さんに聞かれたんですか?」

「ああ、でもそんなに詳しいことはわからないって言ったよ。でなんかあったら連絡してくれ薫さんに言われたっきり。」

「はぁ、であの2人に何かあったんですか?」当麻は話を戻そうとする。

「そうそう、その話がしたいんだよ、かえでとレナの奴がさ、またケンカしちゃって・・・・」

「またってことは何回もケンカしてるってことですか?」

「そう、何回も。」

「じゃなんで俺に相談するんですか?みたまさんとかやちよさんとかもっといい人がいるはずなのに。」

「やちよさんはその・・・」当麻の質問にバツが悪そうな反応をすると

ブルブルブル

当麻のスマホから着信音が鳴った。

「あ、すいません。・・・薫さんからだ。」

「薫さんが・・・?あ、ああ出ていいよ。」

 

じゃすいませんと当麻は電話に出る。

「もしもし?あの薫さん?どうして電話を?」

「ああ当麻。ちょっと手伝ってほしいことがあってね。」

「なんですか?」

「絶交ルールの調査、あと少しで謎に近づけそうなんだ。もう少し聞き込み調査をすればたどりつけるかもだがなおとといも話した通り、やちよと俺だけじゃ怪しまれる。」

「はぁ・・・そんな事昨日も言ってましたけど、ももこさんとかに協力してもらえば・・・」

「・・・当麻、昨日のあのギスギスした空気を忘れたのか?」

「確かにももこさんは妙にやちよさんに対するあたりが強かった気がしますが」

「だからだ、俺の助手(仮)にならないか?」

「(仮)ってなんですか・・・まぁ暇ですしいいですよ・・・」

「じゃ放課後、学校前のバス停で。」

「はい!」

 

その後、当麻はももこにチャイムが鳴る寸前までレナとかえでの仲に関する愚痴を聞かされた。

 

「そいじゃ、当麻!何か困ったらまた連絡するよー」

そういい当麻はももこと別れた。

 

神浜アンノウンストーリーズ

 

story5. 乙の章 絶交ルールの謎 その1

 

その日の夕方、

「はぁー疲れた・・・」と当麻、

「真山君も疲れてるし、薫、そろそろ休憩にしましょ?」やちよの問いかけに

「情報も整理したいし、この近くのドーナツ屋にでも行くかい?」薫が答えると

 

「ほんと・・・よく絶交だって言ってたはず・・・」誰かのつぶやく声が聞こえた

 

「絶交?」

「だれか絶交って言ったわね・・・」

「あっちの方からだ、やちよ、どうする?」

「もちろん行くわよ」

3人は声のした方へ向かう。

 

「おいおい今、アンタ絶交って・・・おや?」

「あら、」

「あの人って確か・・・」

3人が向かった先にいたのは

 

「え?え?」

 

3人を見て困惑するいろはだった。

 




next story6. 乙の章 絶交ルールの謎 その2

Q&Aのコーナー
Q.池袋ウエストゲートパークのアニメ見た?
A.すっかり忘れてた。ごちうさとアサルトリリィしか見てねぇので

Q.メインストーリーはどこまで書くつもり?
A.一応一部の終わりまでは

Q.キャラのイメージCVとかある?
A.あんまり決めてないですが直樹だけ阪口大助さんボイスです。

それではまた次回、さいなーらー!(某番組の天の声風)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

絶交ルールの謎 その2

今期はドラマはネメシス・アニメは原作をよく読んでいたドラゴン、家を買う。とブルリフとOPにPUNPEEさんとスカートが参加しているODDTAXIを見ます。
そんでここではご無沙汰です。始まります。


「確か・・・やちよさんに真山さんに薫さんでしたっけ」突然現れた3人を目の前いろはが言う。

「ご名答。覚えくれていたねぇ偉い偉い」薫が返す。

「そんな、・・・あんなに狙われたら流石に覚えてますよ、お二人は付いてきてくれましたし・・・」

「ま、まぁ成り行きですけど、」

「とりあえずやちよに警戒するのはやめてくれ、そいつの事情についてはやちよに話してある。」やちよに対して警戒している表情をするいろはに薫が言う。

「そう、私たちは忠告しに来たのよ。」

「忠告・・・ですか?」

「まぁ、そういうところ。」

「この町の中では絶対に、()()なんて言っちゃだめよ、」

「へ?」

「特に誰かに仲違いした時に言ってみなさい、たちまち絶交ルールの噂に囚われてしまうから・・・」

「何言ってるんですかこの人?」いろはではなく当麻が小声で薫に聞いた。

「忠告だよ。」

「でも、噂に囚われてるって・・・」いろはも尋ねた。

「仕方ないなぁ、こんな話が最近流行っててね・・・」

『アラもう聞いた?誰から聞いた?絶交ルールのその噂

フンだ!キライだ!ゼッコウだ!って言ったら見えないけどそこにある!

もしも仲直りしようとすると、連れて行かれてサータイヘン!

友達を落とした黒い少女に捕まると、無限の階段掃除をさせられちゃうって、

神浜市の少女の間ではもっぱらのウワサ

ヒーコワイ!』

「と、いうのが絶交ルールの噂さ。」

薫は絶交ルールの噂の語り口を語った。

 

「今のがそのうわさですか?」

「絶交と言えば最後、何があっても謝罪の言葉を口にしてはダメ。」

「ほんでやっぱ謝りたいと謝った瞬間たちまちバケモノに囚われちゃうのさ。・・・と言われてるけどねぇ」

 

「そんな突拍子の無い話を言われても・・・」

「信じておきなさい。今のところ"神浜うわさファイル"では非常に信憑性の高い噂だから。」

「何ですかその"神浜うわさファイル"って」

「・・・神浜にあふれているうわさをやちよが纏めたものさ。どうもここ最近その噂たちがこぞって怪異や都市伝説のように現実になってるらしく、大変だ」

「そして現実になったうわさ次第では行方不明者だって出てる・・・」

 

「ばんなそかな」

「そんな事って・・・」当麻といろはは返した。

 

「残念ながらホントだぜ。なんならそのキュウべぇと同じぐらいの謎だ、」

「えっ!?・・・ところで、やちよさんはまだモキュを狙っているんですか?」

「やっぱりまだ諦めて無いんですか?」

「だってさやちよ、結局コイツの処遇はどうするの?」3人の問いにやちよは

 

「環さん、あなたの回答次第よ。悪さをしてなければ狩る必要もないでしょうし」

「悪いことなんて起きてません・・・あったとしても、妹の事を思い出しただけで・・・」

「薫の言う通り・・・でも、そんな身近な人を忘れてたの?」

 

「・・・はい、ただ、お父さんもお母さんも妹のことは憶えて無いし、あの子の物も何も残ってないから・・・」

 

「要は証明のしようが無いと?」薫が聞く。

「・・・そうです!」

 

「でもやっぱりそんな身近な人を忘れていたのは絶対おかしいですよ・・・偽物の記憶だったとかは?」怪訝に思った当麻はいろはに聞いた。

「・・・それは分かりません、でも、あの子を思う度に温かい気持ちになるから・・・」

「なるから・・・?」

 

「だから私は思い出したことを信じてますし、妹を探したいと思ってます。」

「・・・つまり悪いことは起こってないと?」

「はい!不思議なことは起こっても悪いことは起こってません!」いろはは言い切った。

「ならよかったわ。・・・私から言う事は無いわね・・・」

「一応右に同じくってことで。」

「それに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「え?」

「ど、どういうことですか?」やちよの意外な発言に当麻といろはは首をかしげると、やちよは改まった様子で

「・・・気にしないで、それじゃあ2人とも、行くわよ。」

「おう」「え、あ、はい!」

 

「うわさに気を付けなさい、とにかく忠告はしたわよ、」

そして3人はその場を立ち去った。

 

そのあと近くのカフェで情報をまとめるべくお茶をしたが、当麻はさっきやちよがいろはに向けていった、『分からなくはないしね・・・環さん、あなたの気持ちも・・・』という言葉の意味が気になって仕方がなかった。

聞こうにも、直後の態度を見る限りやちよは答えてくれそうにない。そうこう考えているうちに

「ねぇ、今日はここで解散ってことにしないかしら?」やちよが言った。

「ああ、まぁこんな時間だし、今日はここらで打ち止めでもいいだろう。当麻は?」

「・・・あ、はい!俺も今日はここまででいいと思います。」当麻はハッとなり、つい答えてしまった。

「じゃあ、決まりね」

 

会計を済まし、3人はそれぞれ店をあとにした

「じゃ、また明日ー、何かあったら連絡する」

「ええ、分かったわ。」

「当麻もよろしくー」

 

その日の帰り道

「・・・当麻、帰り道の方向が同じなのか?」薫と当麻はともに帰路についていた。

「いや・・・どうしても聞きたいことがあって」

「嫌だ」

「即答ですか?」

「どうせやちよの事だろ?」

「そうですけど・・・薫さんなら何か知ってるかもって」

「まぁ知っちゃあいるが答えたくない。それだけ。」

当麻はそこを何とか、と言おうといしたが、薫の様子をみても、答えてくなさそうだと感じた。

 

そして会話のないまま公園の前を通りかかると、何かを言い争っている声がした。

 

「薫さん、あれって」

「おお、ももこ達じゃあないか」

「しかもまたもめてますよ」

「どうする?仲裁しに行くか?」

「え?」「じゃ仲裁しに行ってみるか」少し困惑する当麻を放棄し薫は公園に向かった

「ちょっと!流石に女子同士のけんかに割り込むのは・・・」

さすがに異性の喧嘩に入るのはまずいと考えた当麻も追った。

 

「だーから、落ち着けよ、いったい何で喧嘩してんのさ」言い争うレナとかえでをなだめるているももこの後ろに

「よう」「十咎さんどうしたんですか?」当麻と薫があらわれた

「薫さん、当麻、この2人に何か言ってくれない?全くアタシの口を聞いてくれないんだ。」

「ふーん」「それだとなおさら無理な気が・・・」

「とにかく頼むよ」

「仕方ない、ROSSのカフェオレ3本で手を打とう。」

「え?引き受けるんですか?」

「悪いか?」

「いや別に」

「ってことで」薫はバッとコートを揺らすとレナとかえでの元へ行く。

 

「やぁ何をもめてるんだい?」

「そんなの薫さんには関係ないでしょ」レナが言った。

「そうだよ薫さんは黙ってて!」便乗するようにかえでも声を上げた。

 

「ほら言わんこっちゃないですよ」当麻はそんな3人を見てももこに耳打ちをした。

「ROSSのカフェオレ、あとでレナとかえでにも1本づつ買わせるか」ももこも当麻に耳打ちをして言う。そこに

「あれ、ももこさんに真山さん?」いろはが現れた。

 

「関係ないとは限らない、とりあえず何でもめてるか教えろって」それでも薫は同じ質問を投げかけた。

「だから薫さんには分からないわよ!」

「だから薫さんは黙って!」レナとかえで、薫は互いに一歩も引かない状態だった。

「おいおい年上になんて口の利き方をするんだ?俺はいいが他だったらなんていう?」

「う、う、うるさい!もうかえでとは()()なんだから!」

「あー言った!そう言うならレナちゃんとは()()だもん!」

 

薫がくるっとももこと当麻の方向を向き、一言

「失敗した」

「やっぱ薫さんに頼むんじゃなかった」ももこがやっぱり、という顔をする当麻を差し置き言った。

「そういうことは軽々しく口にすんな、ってか、これで何回目の絶交だよ?」

「そうだ、だから何があったか教えてくれ」ももこに続くように薫もいったが

「・・・・・・」レナは一瞬黙り込んだと思うと

「いちいち首突っ込むなこの過保護お節介野郎と面白がりボサボサ野郎!」声を荒げダっと逃げ出した!

 

「な、お、おい!レナ!」

「地味に傷ついたぞ」

 

「ちょっと水波さん逃げないで!!」当麻はレナを追い駆け出した!

「な!!」足の速い当麻はレナとの距離をどんどん縮めている、そこに、

「わぁ・・・」と小声でつぶやくいろはの姿を見た当麻は「あ!環さん!ちょうどよかった!水波さんをつかまえて!」と叫んだ。

「え?え?・・・止まってぇー!」わけもわからないままいろはは変身し叫ぶ。

「アンタ・・・! くっ!」このままだとレナは挟み撃ちになってしまう。ならばと「アンタ、真山の知り合いか何か知らないけど、容赦はしないからね!」カッとレナが光に包まれたと思えば彼女も魔法少女姿に変身した。

 

「わわっ!変身した!」一瞬当麻は立ち止まってしまった。

「ここまでくればその射程も形無しね!」レナはいろはに接近し言い放った。しかし一瞬ひるんだとはいえ当麻はまだ追ってくる。

「ならばこれでもくらえ!」

「な!?」「なに!?」

再びレナが光に包まれたと思うと

 

そこにはいろはの姿があった。

 

「え!?私!?」

「た、環さんが2人!?」当麻といろははまたひるむ

「スキあり!」いろはに変身したレナは通せんぼしたいろはを軽く吹っ飛ばす。

「キャッ!」「環さん!」

「フンッ、事情も知らない奴が纏めて首突っ込んでじゃないわよ!」

レナはそういって当麻たちの方を向くと

「バーカ!」

そう言い放って走り去っていった。

「あっ水波さん!」

「うーん逃げられたか」

 

「ってかあんなに絶交って言ったらまずいのでは?」ふと当麻がつぶやいた。




next story6. 乙の章 絶交ルールの謎 その3

不定期更新なのでこんなに間が空いてしまいましたが私はお元気なのでご心配なく。
とりあえずしゅみ丸出しメーカーでオリキャラの設定も固めてます。
ってことでまた次回。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

絶交ルールの謎 その3

ようやくかけました。MIU404が意外にハードなストーリーでびっくりしました。
あとマギレコ2期も楽しみです。



レナに逃げられた後、薫・当麻・いろは・ももこ・かえでは近くにあったカフェにいた。

「当麻もいろはちゃんもこれ、アタシのおごりでいいから。」

「えっ。いいんですか?」「あっ、そんな私・・・」

「アタシらの喧嘩に巻き込んじゃったし。」

「え?でも薫さんは?」

「えーとあの人は・・・さっき缶のカフェオレおごるって言っちゃったからいいかなって。」そんな薫は4人の話に目をくれず当麻の隣でパフェを食べていた。

「それに前に助けてくれたお礼もまだしてないし、」かえでが言った。

「え?2人は前にあったことがあるんですか?」

「そう、挨拶はまだだけどね。」どうやらかえでといろはは面識があるようだった。

 

2人が自己紹介をしている横で

「ももこさん、」

「どうした?」

「結局のところ水波さんと秋野さんの喧嘩の原因って?」ふと当麻がももこに聞いた。

「それがさ、聞こうとしてもだんまりなんだよ。」

「え?」

「まぁレナとかえでの喧嘩なんて日常茶飯事だし、ま、たいていはレナが原因で頭が冷えたら2人とも反省するんだけどね。」

「はぁ、でもさっき()()って言ってましたけど大丈夫なんですか?」

「大丈夫って・・・」かえでがふと首をかしげる

「なんか()()()()()ってのが流行ってて危ないって聞きましたけど、」

「そうだよ、真山さんの言う通りですよ、」いろはも乗った 

()()()()()・・・それって薫さんから聞いた?」ももこの問いにいろは

「はい、あとその時やちよさんもいました」と答えた。

「なんだぁ・・・まぁやちよさんも薫さんも単なる噂オタクだし、当麻もあの2人に付き合うのもほどほどにしなよ、それに()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだから、」笑いながらももこは言った。

 

「それはどうだろうね、」パフェを食べ終わったのか顔を上げた薫が言い放った。

 

「あ、薫さん、聞いてたの!?」

「こんな至近距離で聞こえない方がおかしい。俺達は趣味とはいえ本気で調査してるんだ。」

「でも本当に絶交ルールなんて存在するの?」ももこのさらなる問いに薫は一言、

「どうだろうね。」とだけ言い放った。

 

「かっこつっけてますけど薫さん、口にクリームついてますよ」当麻が小声で隣にいた薫にそう言った。

 

神浜アンノウンストーリーズ

乙の章 絶交ルールの謎 その3

 

翌日、ミレナ座にて

「薫さん、それは本当かい?レナとかえでの奴が絶交って言いだしたって」パチン

「本当さ。このままももこたちを追えば絶交ルールの噂の正体を確かめられそうな気がするけどいかんせんももこが頑なにうわさの存在を信じないからね」パチン

薫と直樹は将棋をしながら会話にふけっていた。

 

「まーやちよさんとの確執もあるし仕方ない気もするけど、薫さんはこれからどうするつもり?」パチン

「取り敢えず当麻に監視させる、本人が釣れなかったらアンタに監視役の仲介でも頼むさ。」パチン

「あのね、僕の本懐は情報屋であって仲介は本来みたまの仕事だからね、あ、王手」パチン

「あー積みだ、参りました。」

「これでボクの182勝182敗3引き分け。どうする?みたまも呼んで一旦お茶にでもするかい?」

そんな会話をしていると

 

「こんにちはー」「あらぁ、いろはちゃん。」

いろはが訪ねてきた。

 

「「「神浜市にはびこる噂?」」」

「はい、皆さんなら何か知ってるかなと」いろははどうやら噂について聞くべくやってきたらしい。

「例えば、調整屋さんには可愛い女の子割引があるとか?」

 

「調整屋ジョークは置いといて、そこはやっぱり僕やみたまよりこの薫さんの方が詳しいんじゃない?」慣れたような口調でみたまのジョークをかわしつつ直樹が言った。

「無視されるのはつらいわよぉ」

「ここ最近で神浜市に変な噂が広まってるのは確かだ、でもだ、どうして違う街に住んでいるアンタがこの街の噂に興味を示すんだ?」みたまを無視し、薫はいろはに聞いた。

「あの、実は絶交ルールって噂が気になってて」

「あぁそいつは有名な噂だね、なんならさっきまでその話をしたところだ。」

「有名・・・」

「もちろん情報屋や私も知ってるわよぉ」

「おそらくいろは、アンタはさしずめ昨日のあの件が気になってここに聞きに来たんじゃないか?」

「どうしてそれが!?っていましたっけ。」

 

「もしかしてまたレナとかえでがケンカしたのかしら?」

「そうです・・ってまたって?」

「レナとかえでのケンカはね、日常茶飯事なのよぉ」

「よくある事なんですか?」

「そう、よくある事なの」

「で、アンタはその絶交ルールの話を思い出して俺に聞いてみようってことになったのか?」

「そうです、ももこさんにも話したんですけど信じてもらえなくて・・・」

「まあ、そりゃそうだよね。」

「え?」直樹の意外なリアクションにいろはが思わず首をかしげる。

「どうしてなんですか?もしかしてそういう話が苦手とか?」

「それはだね、その噂をやちよさんが中心に騒いでるからだよ。ね、薫さん?」直樹が椅子に腰かけたまま薫に顔を向ける。

「勝手に巻き込むな。」

「ともかく、水と油って言うか火に油というかS極同士、とにかく引き合わないのさ。」

「つまり、発信元が原因ってことですか?」

「そうだよ、まぁ昔はあんな険悪ムードじゃなかったんだけど。でも今じゃももこも悪態だらけさ。」

「やちよさんは変になった あいつは自己中になった モデルの仕事をする奴なんて鼻に付くだけで気に入らない・・・とにかく言い出したらキリがないわよぉ」

「ま、昔から仲が良かった分ひがみもその倍ってことじゃない?」直樹がそう言い終えると

 

「あれ、みんな揃ってなにしてんだ?」「薫さん、呼ばれたんで来ましたけど、って環さん?」今度は当麻とももこがやってきた。

 

 

「そのケンカの事なんだけど、おかしなことがあって、」昨日勃発したケンカについて話してたと、直樹が説明するとももこはこう口を開いた。

「ももこのおっさん臭い所?」

 

「絶対違うでしょ」みたまのあからさまなボケに直樹が冷静に返すと

「レナとかえでのケンカの事だよ!!」

「え?まだ仲直りして無かったのか?」薫が尋ねた。

「そうですよ、2人とも反省して仲直りするんじゃないんですか?」いろはも続くと

「それが薫さんに呼ばれてここに向かう途中ももこさんがレナが謝りに現れないとかどうとか言ってて・・・」

「そうなんだよ、当麻にはもう話したんだけど、一向にレナが謝りに現れない。それどころかアタシらを避けてる。」

「マジか?」

「マジ、しかも、かえでも意地になって最近一人なんだよな、」

「それ大丈夫なのかい?今まで聞いた中じゃ一番深刻な気がするけど。」直樹が聞くと

「大丈夫かって聞かれたらそうじゃないけど、もちろん仲直りして欲しいよ」

「じゃあ、俺たちでその仲直りを手伝う事ってできませんか?」

「あら、それなら私達も手伝っちゃうわよぉ?」

「当麻はいいけど、調整屋も情報屋も薫さんもどうせ報酬が居るだろ?」

「ない方がおかしいわよ」「仲直りは専門外だし高くつくよ」

「ほらな、それに、調整屋も情報屋も傷つけたくないし。」

「は、はぁ・・・薫さんはどうなんですか?」

「まぁやらんこともない。」

「・・・あのいいですか?、もしかしてレナちゃんは絶交ルールのこと」

「ないない、当麻の奴にも言われたけどうちのチームに限ってそれはないって」

「じゃただ単に互いに頑固になってるだけって言いたいのか?」

「なら私もその力になりたいです。」

「いやその心遣いはありがたいけどさ、もう少し様子を見てみるよ。」そう言い張るももこを尻目に当麻が小声で「大丈夫かなぁ」とつぶやいた。

 

to be continued・・・




next story6. 乙の章 絶交ルールの謎 その4

今回は場所の設定のあれこれを。
神浜市立大学
やちよ・薫が通っている。宮沢教授もここの教諭。
ちなみに薫は民俗学・心理学・社会学を中心に学んでいるらしい。

神浜市立大学付属学校
ここでは男女共学。
当麻は中等部にいる。

調整屋(神浜ミレナ座)
一応調整屋兼情報屋の拠点にもなっている。
情報屋の拠点があるのは直樹曰く「非武装地帯で安全だから」
また薫は暇つぶしと称してよく訪れてはボードゲームで勝負をしている。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

絶交ルールの謎 その4

アニレコ二期始まりましたね。
4話阿鼻叫喚なラストでしたね。
それでは始まります。


ももこがレナとかえでについてもう少し様子を見ると言い出して数日が経った

「で、薫さん、ももこは大丈夫なのかい?」

「俺に聞くなよ。当麻、あの三人について何か変わった様子はあったか?」

「うーんレナとかえでは相変わらず避けあってる感じでしたし、ももこさんはたんだんイライラしてますよ、あ姫だ」

薫たち三人は坊主めくりをしながらももこ達の動向について話し合っていた。

「じゃあももこさんは大丈夫じゃないんじゃあ・・・」

その横で坊主めくりに参加はしてないものの耳を傾けてはいたいろはが口を挟むと。

 

「あーーーーーー!!」

 

そんな叫び声と共にももこがずかずかと入ってきた。

「あらあら」「ああやっぱり」

 

「なーんでアタシがこんなに我慢しなきゃいけないんだ!!」

「どうしたんですかももこさん」起こった様子のももこに対し当麻が尋ねる

「もう辛抱ならん!こうなったら介入してやる!」

「そんなしばらく様子を見るって・・・」

「過保護とでも何とでも言え!」

「誰も言ってませんって!とにかく落ち着いてください!」当麻はももこをひたすら宥めようとするが

「いいや落ち着いてられるか!アタシがアイツら二人の面を突き合わせてやる!!」

「いやいや強引に合わせたら逆効果ですって!」

「いいや行くからな!」ももこは一向に聞く耳を持たない。

 

「なんとなく予感がしたけど結局こうなったか。」薫が言い合う2人を尻目に言う。

「ももこさんまで暴走したらどうなっちゃうんですか?」

「ま、ボクが思うにロクな事にはならないよ。」いろはの質問に直樹が答える。

その答えにいろはは少し考え込むと、

 

「あの、皆さん」と口を開いた。

「なぁに?」「何だい?」「何だ?」

「何かあったら教えて貰ってもいいですか?私、今日もういの事調べるので、」

「いいわよ」「あいよ」「分かった。」

そう言うといろはは調整屋を出た。

「はぁ、ももこさんも出ていっちゃいましたよ」ももこと言い合い少し疲れた様子の当麻がため息交じりに言った。

「当麻くんは止めたのぉ?」

「止めましたけど」

「まぁももこは頑固だからしょうがないわよぉ」みたまは当麻に同情のまなざしを向けた。

 

 

 

「薫さんってゲーセン行くんですね」

当麻は薫に誘われゲームセンターにいた。

「まぁね。」薫はそう言いながらダンスゲームに興じていた。コートと肩掛けカバンは当麻に預けていた。

タタタタタと高速ステップを薫が踏んでいた傍らで

「ん?」当麻はその何かに視線を感じた。

その視線の先では

「まさか店内ランクの1位が薫さんだったなんて、それにどうして真山も・・・」そうつぶやいていた人影があった。

「あれは水波さん・・・?」

 

「ちょっと薫さん、」

「なんだ人がハイスコアを出した後に」

「誰かがこっちを見ていたような気が」踊り終わった薫に当麻は声をかけた。

「やっぱりね、おそらくその誰かさんはレナだよ、」

「え?」

「前にももこがここはレナの行きつけだって言ってたんだ。俺もここが行きつけだけど」

「で、追うのかい?」コートを着ながら薫は聞く。

「うーん、絶対口きいてくれなさそうですし・・・」

「じゃ、今日は解散にする?」

「解散で。」

 

(今の水波さんが謝る気配はなさそうだし、もし謝ったとしても絶交ルールが本当だったら・・・でも2人があのままなのもちょっとな、)帰路に付いた当麻はそんなことを考えた。

 

 

神浜アンノウンストーリーズ

乙の章 絶交ルールの謎 その4

 

 

 

翌日、ミレナ座にやってきた当麻は

「ということで手伝わせてください!」そういろはがももこに頼み込む瞬間を目撃した。

「確かに妹たち3人に似ているとか何よりかえでの事を心配くれてるからなぁ・・・よし!この際いっちょ手伝ってもらうか!!お、当麻、ちょうどいい所に!」

「どうしたんですかももこさん?」

「実はいろはちゃんが2人の仲直りを手伝ってくれるって!」

「それをどうして俺に?」

「まぁ当麻も手伝ってくれないかなぁなんて?」

「いや別に嫌って訳じゃないですけど・・・あ、薫さん何か言ってました?」

「何ごまかそうって・・・まぁ頼もうと思ったんだけどねあの様子じゃぁねぇ」ももこが指さした先には

「ったくももこもももこで本当にバッドタイミングな奴だな」薫と

「まぁ災難だったね薫さん、あと1段で完成だったのに」直樹が

そうぶつぶつ言いながらトランプタワーを作っていた。

「何か介入したら怒られそうだろ?」

「そうですね」

「あっ」またパタパタとトランプタワーがくずれた。

「ももこ、」薫の呼びかけにももこはビクッと体が震えた。

「か、薫さん?」

「俺もその仲直りとやらに協力させてもらおう。」

「え?」トランプを片付けながら薫が放った言葉にももこは困惑する。

「まぁタダとは言わないけど、こういう時は交渉していいんだぜ?」薫はチラリとみたまと直樹の方を見る。

「あら私?」「なんでボクの方も?」

「んな事言ったって調整屋の要求は生々しいんだよ、まだ情報屋の方がましだ」

「まぁ周りにいる使い魔を倒してくれかコーラを数本買ってきてくれって言われれば無論後者を取るよね、ま、ボクはあんまり専門外の事をしたくないのが本音だけどね。」

 

「さて、いろはは何か頼まないのか?」薫が改めていろはに問う。

「え、そんな私は・・・」いろはは謙遜するが

「じゃ、いろはちゃんへの報酬は妹ちゃん捜索のお手伝いかな、」

「いいんですか?」

「ああ、何か困ったことがあったらいつでも呼んで」

「ありがとうございます!」

「じゃ俺はカフェオレ1杯で手を打とう?どうだい?」薫は交渉を持ち掛ける。

「うーん何か裏がありそうだけどなぁでもそれで済むんだったら手伝ってもらうかぁ」

「じゃ決まりだ」

「あ、俺は全然大丈夫です、報酬とかそんな・・・」愛想笑いを浮かべる当麻に

薫が「いや何か頼んだ方がいいぞ。例えば・・・」と薫がささやくち

「あ!水波さんの連絡先!!」当麻が急に思い出し叫んだ

 

「大胆だなぁ・・まぁいいけど・・・」少し驚いたももこはやれやれと仕草をしながら言った。

 

「うーんももこさんの作戦って上手くいくんですか?」

「どうだろうね。」

作戦決行の日、ももこが提示した作戦はあまりにも強引なものだった。

ももこが委員会帰りのかえでを、いろはと薫と当麻が3人がかりで委員会終わりのレナをそれぞれ確保し待ち合わせ場所に誘導するというものだった。

「あまりにもこう強引と言うかお粗末というか荒っぽすぎるというか」

「まぁももこの作戦だ、本人があの自信だ。よっぽど勝算があるんだろう?」

「そもそもももこさんが言う"エサ"で水波さんが釣れるんですか?」

 ももこが言う"エサ"とは史乃沙優希という彼女が推しているアイドルの野外ライブがあると騙ればホイホイついていく、というものだったが、

「まぁ彼女は警戒心が人一倍強いからな、」

「ってかみたまさんも言ってましたけど、好きなものでだましたら絶対怒りますよね?」

「まぁオタクは敵に回さない方がいい、古事記にもそう書いてあるし、」

「たぶん古事記には書いてないですけどそうですよねぇ」

 

しかし不安がある、という薫の提案でそのエサで釣るのはいろはの役割、何かあった場合は当麻と薫でサポートするという事になった。

 

が、

「うーん委員会ならこんなに遅くなるはずはないんですけど」

「まぁこんな日もあるさ」

「まさか作戦がバレたとか・・・」

「んな訳ない・・・いやももこの事だ」

一向にレナが現れない。

 

すると突然、待機しているはずのいろはとで隠れている2人のもとへ駆け寄る、どうやら一大事だという表情をしていた。

「レナちゃん今日は委員会なかったみたいです!!」そういろはは言った。

しかし薫は冷静に

「で、彼女はいずこへ?」

「ゲームセンターらしいです!」

「よし、ここからも遠くないはずだから急ぐぞ。」

薫たちは急いでゲーセンに向かった。

 

「いろは、ももこの奴、テレパシーか?」

「はい、そうです!」ゲーセンに向かう途中の薫の問いかけにいろはが答えるが

「テレパシー?」当麻が困惑する。

「ああ、言い忘れてたけど魔法少女同士はテレパシーで繋がってるから。」

「それ早くいってくださいよ!!」当麻はしれっと出てきた情報にツッコみ、そしてこう嘆いた。

 

「ももこさんもなんて行き当たりばったりなんだ!!」

 

 

ゲームセンターにたどり着くと当麻が口を開いた。

「案外近くてよかったですね・・・」

「さてとレナを探すんだろ。」しかしやはり薫は冷静に言う。

「そう、でしたよね!」いろはが返す。

 

ゲーセンにたどり着いた3人はレナを捜索を始めると

「あ、あれって・・・」いろはが人影に気づき、指さした方向には

「この台判定おかしくない!?」とダンスゲームをしていたレナが愚痴をこぼしていた。

「意外に早く見つかったか、じゃあ作戦決行だ。」

「なんか怒ってますけど・・・」

「でも今行かないと逃しちゃうんじゃ」いろはの心配に当麻が返す。

 

「ふぅ・・・よし!行ってきます!」いろはが深呼吸し、レナの元へ向かった。

「じゃ、俺たちはあの筐体の影にでもかくれるか」

 

「あの、薫さん、どうして作戦に協力したんですか?」物陰に隠れたまま当麻が薫に問いかける。

「・・・」しかし薫は沈黙していろはとレナの方向を見つめたままだ。

「もしかして絶交ルールの正体を確かめるつもりですか?」

「・・・」相変わらず薫は無反応だ。

 

「当麻、マズいぞ。」急に薫が口を開いた。

「もしかして作戦が失敗したんですか?」

「そのまさかだ、ほら」そう言う薫の視線の先には案の定好きなもので釣ってきたいろはに怒った様子のレナが

「そこにも誰かいるんでしょ?」と薫たちの隠れている方向を指さした。

 

「ももこだと思った?残念!柴田薫でしたー」「ふざけてる場合ですか」薫と当麻が物陰から現れた。

 

「なんで薫さんと真山までももこに協力してるのよ!とにかくレナ、絶対に行かないからね!」

「これに関してはももこを止めなかった俺が悪かった。代わりに謝罪しよう。」

「アンタの謝罪は要らないわよ!」

「まぁまぁ水波さん」ペコリと頭を下げる薫に怒りが収まらないレナを当麻が落ち着かせようとすると、

 

「レナちゃん!」とレナを呼ぶ声がした。

 

「え?かえでちゃん・・・?」

現れたのはかえでだった。

「ええ!?秋風さんはももこさんが連れてくる手筈じゃ!?」

「どうやら考える事は一緒だったなで、やっぱり目的は仲直りかい?」

かえでに薫が問う。

 

「だってレナちゃんが謝ってくれないので・・・理由を聞こうと思ってもどこかに逃げちゃいますし」

「あのねぇ、かえで、レナは()()したの。謝る理由なんてないわよ」かえでの説明に強い口調でレナは言う。

 

「あの、水波さんってまさか絶交ルールの事・・・」

 

「え、ま、真山!そんな訳ないでしょ!」

誰もが図星じゃんと思うリアクションを取るレナはさらに続ける。

「そもそも、あ、あんな訳の分かんない話をレナが信じると思う!?」

 

「でもレナちゃん、いかにもって反応してたよ」かえでが指摘する。それも申し訳なさそうな表情で。

 

「とにかく!そんなバケモノにさらわれるなんて話、全然信じてなんていないからね!!それにかえでは絶交してるんだから・・・その・・・もう来ないで!謝罪も何もいらないから!!」

「あ、ちょっと待ってよ!!」

そんなかえでの声には目もくれず、レナはその場を全速力で逃げ出した。

「水波さん待って!!」当麻も全速力で追いかける。

 

「薫さん、どうするんですか!?」

 

「俺たちも後を追うぞ」慌てた様子のいろはに薫は答えた。

 

 

レナを追い市街地に出た当麻に電話がかかってきた。

「こんな時に、あの、もしもし?」

「当麻!今どこにいる?」

「薫さん!?いま水波さんを追いかけてるとこなんで分かりませんがでもそんな遠くまでは行ってないはずです!ってか薫さんはどこにいるんですか!?」

「詳しい説明はあとだ!今からいうポイントまでレナを誘導しろ!挟み撃ちにするぞ!」

「そのポイントってのは?」

「ここ近隣のNOWSONの場所は分かるか?」

「どこのですか?」

「ここ近隣で隣にカフェがあるNOWSONだ!とにかくそこの角の路地まで逃げ込むように誘導してくれ!」

「は、はい!」

薫に言われるがままに当麻はレナを誘導した

「ちょっと!真山の奴どこまで追うつもり!?」そのガッツと足の速さに改めてレナは驚くが、それでもレナは止まろうとしない。

 

そして、

ここなら、真山の奴をいったんやり過ごせるかもしれないとレナは角の路地に隠れてやり過ごそうとしたが

「おっとそうは問屋が卸さないぜ」

奥の角から薫といろはとかえでが姿を現す。

しまった、とレナは引き返そうとするがそこには追いついた当麻が現れる。

「すごい、本当にレナちゃんが来た・・・」いろはは驚く

「ど、どうしてここが分かったのよ!」

「ここ近隣で路地に隠れるなり撒くなりするならここしかないだろ?レナ、まさか簡単にこっちのトラップに引っかかるとは」まるで犯人が吐くありきたりすぎるようなレナの質問に薫は答えた。

 

「さっきからなんでみんなして追いかけてくるのよ。だって、もうレナ達は」

「水波さん、それは違うよ。。本当は秋野さんと仲直りしたいんでしょ?」そうどこかもの悲しげな顔で言いかけたレナに当麻が言った。

「そもそもアンタもなんで協力してるのよ、真山、薫さんに言われたの?」

「それもそうですけど、ももこさんやさっきの秋野さんが可哀想だったからです。」

うんうんと横にいたいろはもうなずく。

「俺もぶっちゃけ絶交ルールの事が気になりますけど、それ以上に可哀想な気がして。」どっちにしろ放っておけなかったんです、と言いかけたその時、

 

「真山さん、もういいです。レナちゃん、謝らせて!!」

しびれを切らしたのか、かえでがレナに向かって強く言い放った。

「やめて、」レナが急に慌てだした。

 

「ううん、謝らせて!」かえでが強く声を上げる。

「やめろって言ってるでしょ!!」レナも声を上げる。

 

「薫さん、やっぱ止めた方が」「いや、このまま見ておこう。」

 

「ごめんなさい!レナちゃん!」

 

「あ、謝った・・・」「言ったねぇ」

 

「別にこれまでの事は謝って欲しいわけじゃないからその・・・また、一緒に戦って!」

 

「ちょっ、この、バカ!もしさらわれたらどうするのよ!!」

 

「やっぱり水波さんって」

「絶交ルールのこと信じてたのか・・・」

「やっぱりね。それでかえでやももこの奴を避けてたのか」

かえでの全身全霊の謝罪と焦るレナをみた薫たち3人が口々に言った。

 

「・・・信じて悪い!?」

 

「悪くないさ、基本この国は自由信仰だからね」薫が返す。

 

「そう言う事じゃなくて!レナが絶交なんて言ったせいでかえでがさらわれたら・・・」

「でもその割には何も起きてないですよ」

「やっぱりももこちゃんが言うようにどうせ噂なんだよ」レナの心配に当麻とかえでが言うが・・・

 

「な、なに!!」「ま、魔女!?」

急に周りの光景が変わった。

しかしそれは魔女の結界と雰囲気が違った。

「いや、魔女の結界とは雰囲気が違う!」薫がいそいそとカバンから拳銃を出す。

 

「じゃあアレって・・・」当麻が指さしたのは

 

|『』『』『』『』!!|

 

人語を介さないそれは錠前のようなバケモノだった。

 

「・・・知らん!とにかく気を付けろ!」

「し、知らんって!そんな!」

 

|『』『』『』『』!!|

「キャッ!」バケモノはかえでを拘束した!

 

「まさか本当に秋野さんをさらいに!?」当麻は叫ぶ

「そのまさかです!かえでちゃんを守らないと!」拳銃を構えた薫と変身したいろはとレナは臨戦態勢に入るが

 

「ダメだここで撃ったらかえでに当たる!」そう言って薫はチッと舌打ちをする

 

「かえでを離せぇッ!!」そしてレナはトライデントのような槍で錠前のバケモノを攻撃しようとしたが

 

「な!?」

 

そのバケモノは結界ごと姿を消してしまった。

 

「逃げられた・・・」「き、消えた・・・」当麻とレナはあっけにとられていた。

「本当にさらわれたんですか・・・」

 

「そう考えるのが妥当だろう。」いろはのつぶやきに薫が答え、

 

その場に一瞬の静寂が走った。

 

to be continued・・・




next story7. 乙の章 絶交ルールの謎 その4

さて、2章も次回かその次で終わらせられそうな感じがしてきました。

ちなみに最近はプライムにあった大豆田とわ子と3人の元夫を見てます。主題歌のPresenceだけでも聞いてほしいです。(ダイマ)

本日のおまけコーナーはありません。悪しからず。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。