ゴブリンスレイヤー 実況プレイ 裏 (猩猩)
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表には出せない話
「んん……んっ、むぅ……」
唇を重ね合わせ、互いに舌を伸ばし絡ませ合う。混ざり合った唾液がニチャニチャと淫猥な粘音を立て官能を煽り、その音に昂ぶった女魔術師はより激しく舌を動かす。
舌だけでは物足らず、身体を押し付け彼の逞しい肉体に手足を絡ませる。さらに装備の上からでは分からなかった意外に厚く逞しい胸板に胸を押し付け、本能の求めるままに可能な限り彼と密着する。
女魔術師が内心人後に落ちぬと自負している豊満な双丘を彼の胸板に擦り付け、その硬く逞しい戦士の素養を―――――否、強い雄としての身体を堪能する。ただそれだけだというのに自分で慰めた時よりも強い快感が豊かな胸を満たし、乳首が硬く大きくなっていく。
勃起した乳首を擦り付けると痺れるような快楽が胸から脳へ直接流れ込み、彼に絡みついている手足から力が抜ける。思わず首を後ろに反らしたため唇が離れ、女魔術師と彼との舌の間に唾液が銀色の糸となって橋をかける。
それが切れて落ちる前に今度は彼の方から唇を重ねてくる。女魔術師は舌を絡めようとするがそれより早く口内へと自分のものより太く厚い肉帯が侵入し、口腔を我が物顔で蹂躙してくる。
女魔術師はそれを歓喜を持って受け入れ、自分が屈服した事を示すべく奉仕するように彼の舌を舐め綴る。口内に流し込まれた彼の唾液を甘露のように飲み干し、もっと欲しいと態度で示すため浅ましく舌へと吸い付く。
「ちゅるるる……んっ、ふぅっ、んふっ……」
下腹に当たる熱く硬い物の感触に、女魔術師はトロンと顔を蕩かせる。娼婦のように淫らに身体をくねらせ、腹部を彼の逸物に擦り付ける。一見すると愛撫のようであるが、実際には女魔術師が快感を得るための行為だ。
以前ゴブリンに刺された箇所。もう傷も無くなっているが、そこへ愛しい相手のモノを執拗に擦り付ける。そうしているだけで恐怖が薄れ、その代わりこれからこの肉塊に刺されるのだという期待感が高まる。
いやらしく浅ましい女―――――いや、雌に成り下がったという自覚はある。だが彼の前だけでなら、閨の中のみならばむしろそちらの方がいい。
本能の赴くまま、逞しい雄に抱かれ屈し快楽を貪る淫らな雌。それが今の自分なのだ。そしてそれは強制されたのではなく、自分が望んでなっているのだ。誰にも文句は言わせない。
そして自分をそうなるほどに魅了したのは彼なのだ。責任はしっかり取ってもらわねば。
「んぷぁ……ねぇ、きてぇ……」
胎の奥、女の本能を司る場所がたまらなく疼く。その疼きの命ずるまま、女魔術師は身体を離してベッドに横たわると足を開き彼を求める。
自ら足を開いて秘所を曝け出し男を求める。昔の自分が見たら心底軽蔑する姿だろうし、今の自分にしても官能に酔わねば想像だに出来ぬほど恥ずかしい行為だ。しかし女として愛しい男を求める心に、雌として強い雄を求める本能に火が付いたならばむしろせずにはいられない。
一切触れられていないというのに、小水を粗相したように濡れそぼり秘蜜に塗れた秘裂に彼の視線が突き刺さる。羞恥と快楽が入り混じって全身を駆け巡り、思わず女魔術師はブルリと身体を震わせる。
これだけでは足りぬのかと思い、淫らに腰をくねらせ彼を誘う。あまりにも恥ずかしく心臓が破裂しそうなほど脈打つが、お気に召したのか彼が身体を寄せてくる。今度は期待と狂喜で胸が高鳴り、女魔術師の顔には自然と笑みが浮かんでいた。
醜悪でグロテスクで凶暴で、不思議と愛しく感じる彼の肉棒。猛り狂うそれが女魔術師の秘裂の入り口へと押し付けられ――――――
「はぁぁぁぁんンンンっっ……!」
割れ目を押し広げ、膣内へと挿入された。
膣肉は侵入者を拒むどころか受け入れるように蠢き、奥へ誘う。同時に熱く硬く逞しい雄根を捕食しようと強く締め上げる。だが彼の剛直はそのどちらの動きも意に介さず、一定の速度で女魔術師の膣内を自分の形に変形させながら最奥まで到達する。
「く、ひぃぃっ……かはっ……!」
胎内の最奥、女の最も神聖な場所。雌の根源。そこの入り口に彼の男根の先端が押し付けられている。
焼けた鉄杭がそこから伸びて脳天まで貫いているような錯覚に陥りながら、女魔術師は彼の身体にしがみつく。そうしたい、という気持ちもあるがそれ以上にそうしないと自分がバラバラになって何処かへ飛んでいってしまう気がするのだ。
首に腕を回し、両足を彼の腰にギュッと巻き付ける。彼の身体を引き寄せ、少しでもその身体を、熱を、存在を感じるために密着する。真っ赤になって快楽に悶える女の顔を彼に晒しながら、女魔術師は無我夢中で唇を重ね餓えた獣さながらに彼の唇と舌を貪る。
彼もまたそれに応え、女魔術師の身体を抱きしめてくれる。硬く強い腕に抱きすくめられ、舌と舌とでも交わりながら腰を動かされると女魔術師は意識が薄れるほどの快感に満たされる。
腰を引く時は先端の肉傘が自分の膣壁を余すところなくこそぎ落し、突かれる時はそれが膣内を強引にこじ開けてくる。そして最も感じる子袋の入り口まで剛直が突き入れられる度、脳内で雷のようなものが閃き目の前が真っ白になる。
こうなっては自分に出来る事などなく、女魔術師はただただ彼の身体を抱きしめ舌を突き出すだけの存在と化す。ロクに声さえ上げられず、雄に蹂躙されそれを悦ぶ一匹の雌に成り下がる。
そうしているうちに彼の息遣いが荒くなり、腰の動きが切羽詰まったものに変化していく。それが意味するところを理解している女魔術師はこれまで手足に力を込め、自分がそれを欲している事を伝えると同時に衝撃に備える。
言葉にせずとも意図が伝わったのか、彼もまた女魔術師の身体を痛いぐらいに抱き締めてくる。そして一際強く、殴り付けるようにして腰を思いっきり突き入れてくる。そして鈴口と子宮口とを密着させ―――――
「――――――――っっっっっ!!!」
女魔術師の胎内に大量の熱い物が流れ込んでくる。どろりとした灼熱の液体。彼の精。彼が自分で気持ち良くなってくれた証。雄の絶頂の証。
それによって女魔術師の子宮はドロドロに溶かされてしまう。いや、子宮だけではない。手も、脚も、全身が溶けていく。溶けた自分は彼と混ざり合っていく。そうすることで彼の身体をもっと強く感じる事が出来る。
快感で意識や手足が吹き飛ぶ感覚と、身体が溶ける感覚。それが同時に襲ってくるが、自分を抱きしめている彼の腕の感触と重ねた唇。そして絡み合った舌の感触が女魔術師に自分はここにいる事を教えてくれる。
あまりにも強い快感で絶頂を迎えるどころか、絶頂に達した事すら分からないぐらい脳が蕩けている。危険な状態だと心の冷静な部分が訴えてくるが、彼は女魔術師の状態などお構いなしに再び腰を動かしだす。
このままでは彼に性行為で殺されてしまう。だが構わない。むしろそうしてほしい。彼に求められ、貪られ、このまま死んでしまいたい。
そう訴える本能に従い、女魔術師は力を振り絞って自らも腰を―――――
パチリ、と開いた目に朝日が入って来る。痛いぐらいの光だが、脳の処理が追いつかない。
左右を見渡しても誰もいない。いるのは毛布に手足を全力で巻き付けている自分だけだ。
頭の中が冴え渡って来る。ここは宿の個室だ。自分1人が取った部屋なのだから誰もいないのは当たり前だ。つまり、彼と激しく濃密に交わっていたのはただの夢―――――
「~~~~~~~!!!!!」
なんという夢を見ていたのか。声にならぬ声を上げながら、女魔術師は毛布に顔を埋め転がりまわる。あまりに転がるものだからベッドから落ちるが、構わず床を転がる。
恥ずかしい。恥ずかしくて死んでしまいたい。いやどうせ死ぬのならばあの夢のように彼との情交で、あの逞しい身体に抱かれ凶悪な肉棒に貫かれながら……
自分の頭に浮かんだ考えがより羞恥を増大させる。今なら顔から呪文が出そうな気すらしてくる。
何とか冷静にならなければ。最近は余裕があるといえ、依頼はこなさなければならない。何時ものように彼と顔を合わせて、余計な事は考えずにいなければ。顔を合わせて、肌を合わせて……
結局この日、彼女は彼と顔を合わせるどころか部屋から出られなかった。
様子を見に来た女武道家だけは何かを察し「今日はちょっと」とだけ言い、魔法剣士は女性特有の日なのだろうと解釈しその日は休暇となった。
小鬼王との戦いが終わり、夏が間近に迫ったある日の出来事だった。
おめでとう ! 女魔術師 は ムッツリスケベ から ガッツリドスケベ に しんかした!
俺は何故本編ではなくこちらに時間を……
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表には出せない話・2
彼女がドスケベなので初投稿です。
夏が過ぎ、収穫祭も近付いたある日の事。
「別の自分が見える鏡?」
「正確に言うと『別の四方世界の自分』だな。こうなっていたかもしれない、あるいはこうなるかもしれない可能性の話だ」
掌ほどの大きさの長方形の鏡―――――金属の縁取りのついたそれを差し出しながら、魔法剣士が女魔術師の言葉に訂正を加えてくる。
「それと、見えると言うよりも体験すると言う形らしい。なんと言えばいいのか……舞台の役者になって、役を演じるようなものと言うか……俺もよくは分からないのだが」
「そんなもの、何処で手に入れたの?」
「外なる神から託宣があってな。街外れの森で言われた場所を掘ったらすぐに出てきた」
「なんて言うか、ありがたみが薄いと言うか……」
「言うな。同感だが」
女武道家の言う通り、神の託宣を受けて手に入れた品としては少々経緯に難がある。そういう物はもっとこう、冒険の果てに手に入れるとか仰々しいものであって欲しい気がする。
まあ神は神で何かしらの考えがあるのかもしれないが。
「外なる神曰く『試練を多数乗り越えた報酬』だそうだ。単に見えるだけでこちらから干渉は出来ないし、見えるのは一回だけ。そして良い可能性が見えるとは限らないと言っていた」
一党の人数分、つまり三枚あるそれを配布しながら魔法剣士は神からの託宣の内容を告げてくる。鏡は意外に重みがあり、見た目以上にずっしりとした感覚が掌に伝わる。
「全員の報酬だそうだから、好きにしてくれていい。使うのもよし、使わず取っておくのもよし、なんなら売り払うのも構わない。そう言われた」
「随分いい加減って言うか……」
「本当に報酬って感じね。受け取った側の自由って」
「まあ神からすれば要らないものを恵んでやった、という事なのかも知れんな。我々ごときが神の御心を知るのは難しい」
魔法剣士が掌で鏡を弄びながら肩を竦める。確かにこの四方世界に生きる者達からすれば、この鏡は文字通り神器の一つだ。しかれども神々からすればこれと言って価値の無い、ありふれた品なのかもしれない。
「そういうわけだから、コレの処遇は各自自由にしてくれ。俺は使ってみるつもりだが」
―――――――
「可能性、ね……」
宿の自室で鏡の表面を布で清拭しながら、女魔術師は呟く。どのような可能性が自分にあるのだろう。
悪い方で真っ先に浮かぶのは、あの洞窟で死んでいた事だ。魔法剣士がいなかったら、彼が解毒剤を持っていなかったら。自分は間違いなく死んでいた。いや、自分だけでなく一党が全滅していた可能性すらあったのだ。
逆に、上手く行っていた可能性だってあるだろう。横穴を開ける音に気付いていたり、もっとちゃんと準備していたり。何かしらの要因でゴブリンスレイヤーが早く来ていたり。良くも悪くも可能性は様々だ。
「こうなるかもしれない」という未来の話となると、ちょっと想像もつかない。未来を見たとしてもそうなるかもしれない、というだけで絶対ではないと言われたが、ちょっと期待してしまう。
(ちょっとぐらい夢見て、期待したっていいわよね)
彼と、魔法剣士と結ばれて。竜も倒して四方世界に名を馳せて。望むもの全てを手に入れた未来。それがあるかもしれないと期待したってバチは当たらないはずだ。
勿論、その可能性があるから必ずそれが見れるとは限らないのは承知している。しかし願うのは自由だ。
(出来れば、け、結婚してる未来とか……いえ、そこまで高望みはしないから!せめて、せめて恋人になってるぐらいは……!)
彼だけが声を聞けるという外なる神。名前も知らないその外なる神に、生まれてからこれほど真剣に祈った事はないと言うぐらい真摯な祈りを願いと共に女魔術師は捧げる。
そして期待と緊張に震える指で持って、縁に付いた出っ張り―――――この神器を起動するための部位を押し込みながら、女魔術師は鏡を覗き込んだ。
―――――――
「んっ、チュッ……ちゅぶ、ちゅっ、ンふぅ……チュチュ、ちゅばっ、レ、ロォー……」
ベッドに腰掛け生まれたままの姿になった彼の前に跪きながら、同じく一糸纏わぬ姿となった女魔術師はそそり立つ彼の肉棒へ奉仕していた。力強く脈打ち情交の度に自分を鳴かせるそれの先端に口付け、先端を咥え込み頬も使って刺激を与える。
かと思えば口から離し、舌を口外へ突き出し裏筋を根元から先端までつーっと舐め上げてやる。
熱烈な口奉仕で彼が時折声を漏らす。普段あられもない声を出される側なのは自分だが、この時ばかりは立場が逆転する。それが楽しく、彼が自分で感じてくれている事が嬉しくて女魔術師はますます奉仕に熱を込めていく。
勿論ただ楽しいだけではない。火傷しそうなぐらいに熱く、自分が愛用している杖よりも頑丈に思えるぐらい硬い彼の逞しい肉棒。口腔で、唇で、舌でそれを味わっているだけで女魔術師の身体は昂ぶり、下腹部がズクンと疼き出す。
「んぐっ、ぐっ……ガポッ、グポッ、んふうぅぅ……んじゅるるる……」
はしたなく浅ましくみっともない。そう頭では理解しているが、そんな事はどうでもいい。本能の命じるまま、音を立てて彼の肉棒を喉まで使い咥え込む。頬をすぼめて口吻を伸ばし、だらしなくいやらしい顔を作りながら熱烈な吸い付きを行う。
すぼめた頬の内側を竿に擦り付け、亀頭を喉の限界まで飲み込む。そうして根元まで咥え込み、肉棒を彼から引き抜かんばかりに吸い上げる。
彼の上げる可愛い声と、喉から鼻へ抜けてくる雄の香りが女魔術師の理性を蕩かしていく。蕩けた理性は獣性と化し、女魔術師によりこの雄を味わうよう命じてくる。それに抗う理由はなく、女魔術師は次なる行為へと移る。
「ブホッ!」
泥の中に嵌まった足を無理矢理引き抜いた時のような音。およそ人の口から出る音ではない。だがそれを立てた事を恥ずかしく思いながらも、同時に「私はこれだけ貴方に夢中なのよ」という証のように思いながら女魔術師は淫蕩な笑みを浮かべ彼を上目遣いで見る。
彼は―――――表情こそいつものように変わりないが、そっと手を伸ばし奉仕を褒め労わるように女魔術師の髪を手で梳いてくれる。その行為に雌ではなく男を想う女の心を刺激され、子宮ではなく胸が高鳴る。
その高鳴る胸―――――女魔術師自慢の豊乳を自ら掴み、彼の剛直を左右両脇から挟み込む。
冒険者になったばかりの頃―――――もう3年も前になるが―――――から人後に落ちぬと内心誇らしく思っていたそれは、今やあの牛飼娘に勝るとも劣らぬほどたわわに実った。
そして彼に愛され、嬲られ、貪られた事により言葉では言い表し難い艶をも得た。そんな豊かすぎる双丘で肉棒を挟むと、胸の中を焼けた鉄杭が貫いているような感覚を覚える。
「んっ、ふぅ……っ! これ、私も気持ち良くなっちゃうのが難点、ね……っ」
自分の手には収まりきらないほどの豊かすぎる乳房を自ら揉み込み、彼の肉棒を圧迫する。さらに上下に動かして乳肉を擦り付け、熱く硬い胸の中の雄へ刺激を加えていく。
並みの男なら―――――他の男になどやったことはないしやるつもりないが―――――完全に乳肉に埋もれるか、ともすれば潰れてしまうのではないかという胸奉仕。だが彼の逞しく立派な剛直は乳圧に負ける事なく乳肉をグイグイと押し返し、竿は完全に埋もれているが先端はその立派な傘を張った頭を谷間から突き出している。
ギュッ、ギュッと柔肉を内側へ押し込めながら強く揉み込む。女魔術師の官能の高まりに合わせ揉むと言うよりも潰すと言った方がいいぐらいの力になっていくが、雌として火のついた彼女にとっては痛みではなく快感しかない。
「んあっ……ンチュ、んふっ、んぶぅ……はぁ、んむっ、レロォ……」
先走りを漏らしながらピクピクと震える彼の亀頭に、目尻をトロンと下げて媚びるような表情を作りながら口付ける。そして舌を伸ばして鈴口を舐め回し、濃厚な雄の匂いを放つ先走りを舐め取っていく。
先端だけでなくカリの裏側や筋の部分にまで舌を伸ばし、飴に夢中になっている子供のようにピチャピチャ音を立てながら舐め回す。
甘くなどないしむしろ僅かな汗でしょっぱく、他の男に嗅がされでもしたら躊躇なく蹴り飛ばすような臭いしかしない。だが彼のは、彼のものだけは別だ。味と臭いはお世辞にも美味とは言えないが、女魔術師の官能を燃え上がらせ狂わせる魔性のモノなのだ。一度知ってしまったら求めずにはいられなくなる麻薬だ。
口と乳肉で奉仕を続けていると、彼が呻き声を漏らし手を彼女の頭に添えてそっと押してくる。これは彼が達しそうな時の動作である事を知っている女魔術師は、名残惜しさを感じながらも舌を引っ込め爆乳の間から肉棒を解放してやる。
喉奥で彼の精液を受け止めて飲み干すのも、顔を白く染められて彼の臭いと熱を沁み込ませられるのも、胸に浴びせられてこの豊かな果実が誰のものか刻み込まれるのも、女魔術師はどれも好きなのだが彼は中々そうさせてくれない。代わりにこの後彼女の好きなようにしてくれるために文句はないのだが。
「ふぅ……っ、んっ……ちゅっ、れろっ、ふぅん……」
二人揃って立ち上がると、どちらからともなく唇を重ね舌を絡め合う。ぬりゅぬりゅと濃密に舌を絡ませていると不意に強く舌を吸われ、快感で舌と脳とが痺れてしまう。その痺れた舌を優しく隅々まで舐められると、女魔術師はウットリとした表情で彼の胸板に身を預ける。
そして濃厚なディープキスをしたまま、女魔術師は彼の首に腕を回す。彼は心得たもので女魔術師の胸に勝るとも劣らぬタップリと肉の乗った尻を武骨な手で掴むと、その逞しい腕の力を使い一気に持ち上げる。
「んあぁあっ、はっ、あぁぁぁぁんはぁぁぁぁっ……!」
物売りが前に荷物を抱えるような体位で、ゆっくりとだが止まる事なく奥まで挿入される。立派な肉傘が膣壁を掻き分けズブズブと埋まっていき、その後からやって来る竿は自分が得意とする火の呪文よりも熱く剣よりも硬い。
はしたないなどという言葉ではもう収まらない、下品で淫らな体位だが女魔術師はこの体位が一番好きだった。彼の首にしがみつき、ゴツゴツした手で尻肉を掴まれ、彼の鍛えられた逞しい腕によって自分の身体全てが支えてもらえる。
足は彼の余分な贅肉を持たぬ胴に巻き付ける事ができ、密着すれば自分の大きな胸肉全てで彼の厚く逞しい胸板を感じる事が出来る。
そして―――――
「あおっ、おおぉぉぉぉゥッ!」
ズンッ、と彼の肉棒の先端が最奥、女魔術師の子宮に達し入り口へと突き刺さる。女魔術師の自重によって発情し降りてきた子宮へと亀頭が深く深く埋め込まれて行く。
この充足感。彼の身体を自分の身体全てで感じ、自分の最も深く神聖で大事な部分で彼の雄を味わう。これが出来るからこそ、この体位を女魔術師は最も好んでいるのだ。
大きく太い彼の肉棒が自分の膣壁を押し広げ、自分の形にしている。このまま形を覚え込まされるのも素敵だと思うが、だが今はもっと気持ち良くなりたい。
それは彼も同じだったらしく、すぐに腰を動かし出し抽送を開始する。ズブズブ、ヌチュヌチュと下品極まりない破裂音と粘音を部屋中に響き、恥ずかしさと興奮、そして快感から女魔術師は膣肉で彼の肉棒を締め付ける。
形どころか脈打つ血管の鼓動まで感じれるほど密着したというのに彼の動きは止まらず、絡みついてきたのを幸いとばかりに肉傘で膣壁を隅々まで余すところなく擦り上げる。
「あぁ、んんーっ! くひっ、はぁぁぁぁっ!」
かん高く鳴き叫びながら、彼の力強い突き上げでよがり狂う。ズンズンと子宮を叩かれるたびに脳内で快楽が弾け、官能が爆発する。
ブルンブルンと揺れる豊かすぎる乳房の感覚さえ気持ち良く、揉まれるのでなく掴まれているだけの尻肉すら快感を覚える。全身の性感が高まりすぎ息苦しいほどに悦楽に溺れて行く。
「ひぐっ、んふっ! んちゅっ、んぷぁ、あひぃぁっ! んむぅ、はぁ、んんんッ!」
突き上げながら彼が唇を奪い、舌で口内を犯してくる。上と下の口両方で彼を味わう幸福と快感にウットリとしながらキスに応じ、身も心も彼に委ねる。
腰を迎え、唇を突き出し、両胸を押し付ける。尻を突き出し彼の肉棒を受け入れ、色っぽく振り乱す。若くして名を売り、そろそろ中堅すら脱しようという冒険者が。その昔は都の学院を首席で卒業した才媛がこんな痴態を晒しているなどと誰が想像するだろうか?
だがこれが本当の自分なのだ。誰にも見せない、彼にしか見せない自分の本性。淫らで浅ましく、雄を求めてやまない雌。愛する男に抱かれる悦びに耽溺する女。
誰にも言うつもりはないが、今だけは全身でそれを表し彼に伝える。この娼婦よりも卑猥で夢魔より貪欲な痴態こそが、本当の自分に相応しい姿なのだと。
「あうぅ……んひぃ! はぅ、ふぅ、わ、わたしぃ、はぁんっ! も、もう……っ!」
急速に全身へと満ちて行く官能に、女魔術師は自分の限界が近い事を彼に伝える。彼もまた自身が同じである事を告げると、猛然と腰を使い出す。
女魔術師もそれに応え、腰と胸をピッタリと彼に押し付けて腰を迎え入れる。熱く潤んだ瞳で彼を見つめ、甘く蕩け切った表情を晒しながらその時を今か今かと待ち望む。
全身で快感が膨らんで行く。だが子宮の中で膨らむそれが何処よりも早く大きい。それが膨らみきって破裂する瞬間――――――
ビュルリ、と。音が聞こえたような気がするほどに、勢いよく肉棒の先端から煮え滾ったように熱い精液が噴出された。
「あぁああおおおおおおぉぉぉぉおおんんんんっっ……!」
恥も外聞もなく、ケダモノのように吼えながら女魔術師はその熱に焼かれ絶頂に達する。濃厚で大量で力強い精液が子宮の中に注がれ、子袋を満たしていく。彼の剛直が跳ね精が噴き出すたびに、熱くドロリと粘度の高い液体が自分の中へと入って来る度に女魔術師は絶頂へと導かれる。
強烈すぎる快感に限界までのけ反り、舌を口外に突き出しながら吼え叫びながら絶頂を繰り返す。出来る限り手足に力を込めて彼の逞しい身体にしがみついていないと、本当に自分の身体が何処かへ「イク」気がするのだ。
その姿勢のまま数秒、彼は精を吐き出し女魔術師は絶頂し続ける。それが終わると彼は女魔術師の身体を抱き寄せると、勢いよくベッドに腰を下ろした。
「はひゅっうぅっ……!」
緩んだ子宮口に亀頭が突き刺さり、衝撃と快感に女魔術師は奇矯な声を上げる。そのままピクピクと痙攣していると彼が唇を重ねて来る。勿論彼女はそれに応じ、深く口付けを交わす。
部屋の中に二人の荒い呼吸音と、唇を食み舌を絡め合う音だけが響く。汗まみれの身体を密着させ、抱き合いながら二人は夢中でキスを続け唾液を交換し合う。
暫しの間そうしてから唇を離すと、二人の間にキラキラ光る銀色の橋がかかった。それが切れて落ちて行く様子を眺めながら、蕩けた表情で女魔術師は甘い吐息を漏らしながら彼の耳元へと口を近付ける。
「このまま……今度は抱き合ったまましましょ……」
彼の精力は一度では収まらない。自分の性欲は一度では満たされない。故に交わる時は一度や二度では終わらない。
だから彼は女魔術師の言葉を当然とばかりに受け入れ、再び腰を動かし出す。女魔術師もまた、自由に動ける体位となったのを幸いと彼と呼吸を合わせて腰を動かし出す。
そうして淫靡で、濃密で、卑猥な情交はまだまだ続いて行く。彼の精力が尽き、彼女の性欲が満たされる時まで延々と。
―――――――
「今日は休ませてだって。昨晩あの鏡使ったみたいだけど、見た光景がよっぽど衝撃的だったみたい」
「そうか」
女武道家の言葉に魔法剣士は頷く。どんな可能性が見えたかは女魔術師自身しか知りえないが、何か悪い物を見てしまったのだろう。
実際には毛布に包まって羞恥心で死にかけていたのだが、それを他人には口外しない情けが女武道家にはあった。
「悪い事をしたかな」
「んー、でもまあその可能性も指摘されて見たわけだし」
気に病む事はないわよ、と女武道家は言ってくれるが自分が渡した手前やはり気になる。あまりに精神的な負担をかけたようならば何かしてやらねばなるまい。
「そういえば、そっちはどんなの見えたの?使ったんだよね?」
その問いかけは話題を変えるためか、純粋に興味があるのか。恐らくは半々ぐらいであろう。だがいずれにせよ自分も女魔術師も気遣っての発言である事を理解している魔法剣士は、その問いに答えることとした。
「神の託宣を受けずに、故郷―――――都で冒険者になっていた」
「えっ、都の生まれだったの?」
「ああ。それで、冒険者登録を済ませた所で一悶着起きてな……」
登録を済ませどうしようかと思案に暮れていた所で、酔客に絡まれている女性を成り行きで助ける事になった事。
助けようとしたはいいが相手が武器を抜いたために大変な事になりかけたが、貧乏貴族の三男坊だという騎士に助けられた事。
志はいいが感心はしないと言われた事。しかし昔そういう冒険者がいたのを思い出したと貧乏貴族の三男坊に気に入られた事。
その騒動を見ていた新人冒険者に気に入られ、一党に誘われ加わった事。
一党の面々は、太陽を信仰する聖騎士。少しばかり過激な女剣士。小太りで控えめな魔術師。ちょっとぶっ飛んだ―――――婚約者に通じる狂気的な何かを持った治療師だった事。
彼らの一党に入って初めてのゴブリン退治で、以前自分達がやったような―――――だがあれとはまた少し違う魔神を退治する事になった事。
無事魔神を退治して都へと戻り、祝宴を上げた事。その席で小太りの魔術師が魔神相手の冒険を中心にしたいと言い出した事。それを是とし、後に悪魔退治の一党として名を上げた事。
それらを女武道家に語り終える頃には、まあ女魔術師への負い目とか心配はもうだいぶ薄れていて。
少なくとも彼にとっては、非常にいい物を神から賜った、で終わる話だった。
ジキヨシャ「頑張ったしご褒美上げてもいいよね! あっ女魔術師ちゃんなんか祈ってる。よーし願い通り恋人になった世界線見せてあげよう!場面は適当でヨシ!」
Q.恋人になった世界線の女魔術師ちゃん、現在と比較してドスケベ過ぎない?
A.
現在の女魔術師ちゃんは聞きかじりの知識と魔法剣士君の筋肉しか知らない。そこから妄想する事しかできない。
なので正常位ぐらいしか知らないからその妄想しかできない。
言うなれば白磁等級のドスケベ。
恋人になった世界線の女魔術師ちゃんは本格的に色々知識を仕入れているし、休暇の度にガッツリドスケベして経験豊富。
なので色々試して自分の一番好きな体位が駅弁だと知った。あと咥えるのも挟むのも飲むのもかけられるのも好き。
言うなれば銅等級のドスケベ。
Q.この世界線の女魔術師ちゃんは最終的にどうなるの?
A.順調にいけば金等級のドスケベになります。彼女はその素質があります。
Q.魔法剣士君が見た可能性凄い……凄くない?
A.彼は実のところ、ジキヨシャの介入がない方がドラマチックな人生が待ってました。この四方世界においては。
Q.女武道家はどんな世界線見たの?
A.剣士君も無事に洞窟から生きて帰って来て冒険者を続ける幸せな世界線です。
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表には出せない話・3
※今回は語尾に♥をつけたりするので、そういう表現が苦手な方はブラウザバックしてください。
安心してください、ゴリラ本編も書いてますよ。
byとにかく明るい作者
【金等級
目の前の光景にごくり、と生唾を飲み込み、女魔術師はブルリと身体を震わせる。それは僅かに恐怖を伴う震えではあったが、要員の大半は淫らな期待によるものだ。
いま彼女の目の前には、雄々しくそそり立つ肉棒が―――――― 二本存在する。そしてその持ち主は勿論二人いるわけだが、実質的には1人だ。
《
その呪文を使用した彼と、生み出された分身。その二人が今女魔術師の目の前に逞しい勃起を突き付けている。この行為を提案したのは自分だが、あまりに卑猥で女魔術師の劣情を煽る光景に圧倒されてしまう。
なにせ彼一人でも、彼の肉棒一本だけでも毎回自分は鳴かされ狂わされ魅了されてしまうのだ。それが二倍となるともう想像もつかない。
冒険者となって五年。仲間と共に数多の冒険をこなし、四方世界のあちこちを巡り、遂に竜をも倒し夢を叶え名を馳せた。だが目の前の光景は女魔術師が今まで遭遇したどんな怪物よりも恐ろしく、どんな財宝よりも魅力的で、どんな冒険よりも期待を抱かせる。
「はぁ……む……んぐっ、んじゅるるるっ、んぶぅ……♥」
覚悟を決めると、何時ものように大口を開け彼―――――本体の方の逸物を一気に根元まで咥え込む。折角分身を出してもらったものの、やはり最初に咥えるのは愛しい男本人のものでありたい。
かと言って分身の方を放っておくわけではなく、手を伸ばし竿を握る。よく手に馴染んだ熱く硬い感触に本人そっくりだと内心歓喜しつつ、手を上下に動かし竿をしごいてやる。
口内から鼻に抜けて行く雄の臭いを楽しみながら唇を伸ばし、じゅるじゅると音を立てて啜りながら東方の火男のように唇を突き出す下品極まりない口戯で奉仕する。
「んぼっ! はむぅ、んっぐぅっ♥ んふぅぅ……ぐぽグポッ♥」
根元から先端まで舌で舐め上げながら、彼の肉棒を口から抜き取る。最後まで強く吸いついていたせいで抜く際に卑猥な音が立ったが、もうそれを恥ずかしがる段は過ぎ去った。
休むことなく今度は分身の方の肉棒を口に含む。立派な肉傘も、太く逞しい竿も、焼けるような熱さも、鍛え上げた鉄のような硬さも間違いなく彼のモノだ。それが二本もある悦びに打ち震えながら先程と同じように無我夢中で吸い付き、淫売の如く貪り出す。
無論本体への奉仕は忘れず、裏筋を指でなぞり根元まで到達するとそこに存在する睾丸をやわやわと揉みほぐす。その中身を御馳走して貰う身として、いずれそこで作られた精で己の胎に子を宿す者として感謝と期待、そして持ち主である彼への愛情を込めて熱烈に、丹念に手で奉仕する。
「ぷぁっ……レロレロッ……♥ ちゅる、ぢゅっ、ペロペロ、ちゅばぁっ……♥」
口で咥え込むのを止め、二本同時に顔へと近付ける。そして根元を左右それぞれの手で擦りながら、贅沢にも二本いっぺんに舌で舐め回す。
いつもより二倍の量の雄の香り。それは鼻から入り脳内全てを満たす。いつもより二倍の先走り。舐めても舐めても尽きず溢れ出て女魔術師の情欲の炎を燃え上がらせる。
こんな淫乱な女が、つい近頃一党の仲間達と共に竜をも屠り名を轟かせた冒険者だと誰が思うだろう?在野最高の銀等級にして、金等級に上がるやもしれぬ西方屈指の大魔術師だと誰が信じるだろう?
だがそれで構わない。所詮風聞しか知らぬ者どもの事など女魔術師は歯牙にもかけない。顔も知らず話した事もない連中の偶像を裏切ったから何だと言うのだ。
女として、雌として、己をあるがままに解き放つ。それを受け止めてくれる愛しい男に抱かれ、満たしてくれる強い雄とまぐわう。この幸せ以上にそんな事が大事なはずがない。
彼と自分が愛し合うこと以上に、他人からの評価が大事になるなどあり得ない。
「れろぉ、ちゅるっ、ぢゅーっ♥ んはっ……ねぇ、もう我慢できないの……♥」
二本も咥えてしまっては、彼が限界を迎えるより早く女魔術師の我慢の限界が来てしまう。身体がくの字に曲がるほど子宮がキュンと鳴き、まだ何の愛撫もされていないというのに太腿近くまで濡れるほど秘裂が涎を垂らしてしまっている。
あの魔女以上に育ち―――――半ば彼に揉まれ育てられた豊かすぎる胸でも二本同時に味わってみたいが、それをやるだけの余裕はない。しかし胸と秘所、あるいは口と秘所両方で彼の肉棒を同時に味わえるのだ。
それで十分―――――否、過分に過ぎる。ひょっとしたら今日自分は本当に狂うか、快楽と幸福の中で死んでしまうかもしれない。
彼―――――本体の方がベッドに横たわる。女魔術師は淫欲に蕩け、期待に満ちた笑みを浮かべながら彼の上に跨る。そして肉棒に手を添えて位置を調節すると、腰を下ろし自ら膣内へと咥え込んでいく。
「んぁっ、はっ、おっほおぉぉぉぉぉっ♥」
雌鳴きを上げながらズブズブと彼の逞しい肉棒を、一気に奥まで飲み込んで行く。彼のモノしか知らないが、代わりに数え切れぬほどの交わりですっかり彼の形に変わった膣内はあつらえたようにピッタリと彼の剛直を全て胎内へ収める。
子宮口は鈴口に情熱的な口付けをし、膣壁は浮き出た血管一本一本にまで合わせた形となる。根元まで一切余すところなく吸いつき、全身全霊で持って自分とつがった雄をもてなす。
口の端から涎を垂らしながら、彼の分身のモノを待つ。上の口と下の口とで味わうなど想像するだけで達してしまいそうだ。早く、早く欲しい。
だが分身は彼女の口に近付くどころか離れてしまう。そしてベッド脇のサイドチェストから何かを取り出してくる。あそこには
戻ってきた分身は薔薇水を掌に付けると、女魔術師のタップリと肉のついた臀部をそのゴツゴツした手で撫で回してくる。大きさに見合わぬ敏感さを持つ女魔術師はそれだけで嬌声を上げて膣をギュッギュッと締め上げ、それによって感じる熱く硬い雄根の感触によってさらに大きく声を上げる。
「ひゃんっ!」
尻を撫で、揉んでいた指先が菊座に触れる。想定外の感触に思わぬ声を出してしまい、恨めしげに振り返って分身を睨みつける。
「はうっ、うんっ……はぁっ……♥」
だが指を尻穴に入れられ、腸壁をグニグニと刺激されると目と身体から力が抜けてしまう。
いつだったかはもう思い出せないが、ここも交合に使うと知って好奇心を抑えきれなくなった女魔術師はある日洗浄した上で彼に指で刺激してもらったのだ。
それは今までとはまた違った快感を女魔術師に与え、脳と心に禁断の快感を刻み込んだ。こちらを弄られながら彼に突かれるのは、形容しがたいほどに痺れる快感だった。
以来彼と交わる時は前もって清めておくのがすっかり習慣になってしまっている。だから弄られても問題ないが、まさか分身はずっと指で弄り続けるつもりなのだろうか。そうすると彼の空いた手はどうなるのだろう。
まさか彼の手にも収まりきらぬほど大きくなったと言うのに、以前よりむしろ敏感になったこの双丘を嬲るのだろうか。膣も尻も胸も同時になど、刺激が強すぎる。だがその刺激が欲しい。
それをねだろうとした直後、尻穴に直接薔薇水が振りかけられ女魔術師はまた素っ頓狂な声を出してしまう。いったい何を考えているのか。尻穴の入り口だけでなく内部にまで入れられ、滑ってしまった。滑って―――――
「……ふぇっ?」
まるで少女時代のような声を出してしまう。自分の思いついた可能性にまさか、と思うが彼女の明晰な頭脳はそれ以外の答えが存在しないと告げてくる。
分身が薔薇水を剛直にタップリと擦り付けているのを見て、間違いないと確信する。これはつまり―――――
「お尻に……挿入る、の……?」
恐る恐る呟く。彼が頷くのを見て、女魔術師はゴクリと音を立てて唾を飲み込む。確かに指二本が入るぐらいには使っているが、指よりずっと太い彼の肉棒を受け入れるなど考えた事も―――――いや、妄想した事はあるがやった事はない。
まして既に膣内へ一本咥え込んでいるのだ。指ですらよがり狂うのにそんな事をしたら自分は、自分は……
「……いいわよ、来て♥」
自らの手で尻たぶを掴み、尻穴を左右からグッと広げる。滑稽なほどに卑猥な格好をしているのは分かっているが、彼にならばむしろ見せつけたい。自分の全てを知っておいて欲しい。
肛虐の悦楽に狂うかもしれない。いいではないか。そうなったとしても後悔はない。彼の手で狂わされるなら、女魔術師は本望だ。
そう考えていると分身が肉棒の先端を菊座へと押し付けてくる。そして熱く硬いそれがゆっくりと穴を押し広げ、立派な肉傘が腸内へと―――――
「お‶っ♥」
内臓が押し上げられるような感覚。普段の性交とは全く異なる圧迫感。そして、言い表し難い快感。それらを受け取った時、裏返ったケダモノの、雌の、自分の声が聞こえた。
「ぐっ、ぎいいぃぃぃっ、ひ、ぐぅぅぅぅううぅぅっ♥」
焼けた鉄の槍で肛門から脳天まで貫かれるような錯覚。自分が串刺しになり、百舌鳥の早贄のようにされた姿を幻視する。
当然彼のモノはそこまで大きいわけもないのだが、尻穴から伝わって来る熱と質量はそう思わせるほどで。さらに腸壁越しに膣内を満たす彼の肉棒と腸内に入ってきた分身の肉棒が擦れ、全く未知の快感を生み出してくる。
そして何より、初めての尻穴挿入だと言うのに女魔術師の身体はそれを苦もなく受け入れていた。幾ら薔薇水で潤滑を増しているとは言え、彼の大きな肉棒をグッポリと根元まで飲み込んでしまっている。
流石に恥ずかしいと思う反面、彼のモノを受け入れられる悦びがある。尻穴まで彼に捧げ、愛されている幸福がある。
あらゆる箇所で彼と交わり、愛し愛され、快感を得ている。そう考えればこれはむしろ誇らしい事にすら思えてきてしまう。いや、それでいいのだ。
(今の私は、彼の―――――彼だけの雌だもの……♥)
雌がつがった雄以外の事を気にする必要などない。大事なのは雄に気持ち良くなってもらい、雌自身も気持ち良くなる事だ。
「ぐぅ、はぁ、ひっ……♥ ね、ぇぇ……んっ♥ 動く前、にぃっ……お願いが、ある、の……っ」
潤んだ瞳で彼を見つめながら、女魔術師は口を開く。このまま突かれてみたいのは山々だが、どうしてもその前に確認しておかなければならない事がある。
雌の獣性を僅かに残った人の理性で抑え込みながら、彼女は震える声で訊ねる。
「このままされて、気持ち良すぎ、てぇ……っ、くはっ……♥ 狂っちゃったら、責任、取ってくれる……?」
狂うこと自体は構わない。彼に狂わされたのなら、壊されたのなら。それはそれでいい。だがその後捨てられでもしたら、などと言うのは想像することすら避けたいぐらいに恐ろしい。
もう自分は彼抜きの未来など考えられない。彼と一生を生きて行きたいのだ。彼と家庭を築き、彼と共に日月を重ね、彼と共に老いて行きたい。
そんな想いを込めた女魔術師の哀願に対し、彼は「当然だ」と頷いた。狂ったとしても変わらず愛し、傍にいるといつもと変わらぬ口調で断言する。
「――――――っ!」
その言葉を聞いた時、女魔術師の中で歓喜と安堵、恋慕が弾け思わず絶頂に達してしまう。こんな痴態を晒す淫らな自分を、この上さらに淫靡な姿を見せ狂ってしまうかもしれない自分を彼は愛してくれている。
不安も恐怖も一瞬で吹き飛び、胸の中には暖かな物が。胎の奥には熱い物が宿る。喜びのあまり目から一筋の涙が流れ落ちるが、もうそれを拭う時間も惜しくなった。
「じゃあ、動いて……私を、竜殺しの冒険者なんかじゃなくて……貴方の雌だって、分からせて♥」
一つ頷き、彼が分身と共に腰を突き入れてくる。分身とは完全に同調しているため、全く同時に二本の剛直が最奥まで侵入してくる。
その衝撃と快感に、女魔術師は聞くに堪えない声を上げた。
その後の事は、女魔術師はよく覚えていない。ただただ喉が枯れ果てるまで絶叫し、彼によがり狂わされ、膣内と尻穴で絶頂し続けた。
本当に狂うか壊れるかと思ったが、どうやら耐えきったらしく意識がハッキリと戻った時には彼の腕に抱かれ、逞しい胸板に身を預け朝を迎えていた。
しかし新しい扉を開いた彼女は結局戻れないところまで踏み込んでしまい―――――5回に1回は《分身》を使って二人掛かりで責められるのを望むようになってしまった。
とはいえそれが他の誰かに知られるはずもなく、彼女はあくまで「竜殺しの冒険者」として名を馳せたのだった。
【女魔術師のドスケベ等級の目安】
白磁等級→聞きかじりの知識で妄想する程度。まだ健全の範疇。
黒曜等級→少し知識を仕入れたり、実物を見た事がある程度。
鋼鉄等級→自分で本当に経験した辺り。そろそろドスケベと名乗れる。
青玉等級→経験を積み始めた頃。正常位だけじゃなく他の体位にもチャレンジし出す。
翠玉等級→咥えるとか挟むみたいな奉仕に手を出し始める。
紅玉等級→駅弁みたいな難易度の高い体位も含め、いわゆる四十八手コンプする頃。飲んだりかけられたりが好きになるし好きな体位を完全に把握する。
銅等級→玉舐めやひょっとこフェラが奉仕内容に加わる。仮にハーレムルートに入った場合、令嬢と一緒に彼を愛したり彼に愛されたりするようになる。つまり3Pが許容範囲になる。
銀等級→「どうせなら色々仲良くした方が彼を愛せるし彼に愛されるし、気持ちいいのでは?」と考え令嬢とする事にも抵抗感がなくなる。咥える時に恥じらいゼロ本能むき出しで咥えるようになる。
金等級→上記の通り《分身》で二人の魔法剣士君相手にしたり、ハーレムルートの場合大乱交ドスケベシスターズ(竿姉妹的な意味で)がむしろ好きな方になる。女魔術師の到達点。
白金等級→ここまで来ると対魔忍とか、エロ尼僧とか、歩くセクロスとか、淫魔艦の領域。流石に無理。
魔法剣士君の方は精々翠玉止まりなのだけれど、期待に応えて尽くすのが喜びなので恋人である女魔術師の要求を満たしてあげようと頑張ってる。
幸い生命力を伸ばす方向でビルドされたため女魔術師の性欲にもついて行けた。あとスタポ。
なお情事ではこんな風だが、女魔術師は外だと5年後の時点でも手を繋ぐだけで顔が赤くなる。純情ドスケベ。
流石に書き過ぎたんで、暫くこっちの更新は休んで本編に集中します。
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表には出せない話・4
今回はだいたい紅玉~銅ぐらい想定です。
「なんて言うか、色々酷い事件だったわね……」
自宅の椅子に腰かけ、机に突っ伏した女魔術師は疲れたように呟く。行儀が悪いのは百も承知だが、そうせずにはいらないほど身体と心が重い。
彼と一緒にちょっとした買い物へ出かけた。ただそれだけのはずだったのだが、気まぐれで小物を売る店に入ったのが悪かった。
狭い店内には店員の姿はなく、声をかけても誰も出てこず。暫く待っても人が現れぬ事に不信を抱いた彼に従い、店の奥へ入ると―――――
そこには、女性の死体が横たわっていた。
当然速やかに通報し、調べは官憲に任せた。
その後の調べで被害者は店の主の妻であることと、素手で首を絞められ殺されたこと。そして手の大きさから男に絞殺されている事が判明した。
後は見つけた時の様子を供述し、それで終わるはずだったのだが……第一発見者であることと、男である事から彼が疑われたのだ。
憤慨した女魔術師は費用を惜しまずあらゆる伝手を使い情報を集め、それを基に彼と推理を行い真相に辿りついたのだが……
「その……する時に趣味で首を絞めて、やりすぎて死んじゃったって……」
犯人は、女性と密通していた近所の男だった。
男はこの推理を聞かされると全てを認めて、大人しく自首をした。
これで彼の疑いは晴れ、無事に事件は解決した。しかし何とも言えぬ真相に怒りも萎えるほどの疲労を感じ、女魔術師はこうして机に突っ伏している。
彼にお礼を言われ労ってもらえるのは申し分ない報酬ではあるが、それをもってしても女魔術師の心は晴れない。
と言うのも―――――
「……最中に首を絞めたり、身体叩いたり、縄で縛ったりって……」
そういう趣味があると聞いた事はある。だが実際にその存在を目の当たりにすると、やはり驚きと困惑が大きい。
女魔術師とて彼と交わるのは大いに好むところではあるのだが、そのような行為は考えた事もない。
また、彼もそんな行為を求めて来た事はない。そもそもそんな趣味があるということ自体知らなかったようだ。
この殺人はそういった趣味によるものではないか。その可能性に気付いたのは女魔術師であり、彼はその可能性の存在すら気付かなかったのだから。
「痛いし苦しいだけよね?」
女魔術師の問いかけに、彼は深く頷く。そう、どう考えてもそれが快感に繋がるとは思えない。
冒険者として様々な祈らぬ者と戦う中で、首を絞められるとか殴られるという経験には事欠かなかった。
だがそれられによって感じたのは、痛みと死に繋がる恐怖だけだ。
(彼にされれば違うのかしら)
ふとそんな考えが頭をよぎる。彼に首を絞められ、叩かれ、縄で縛られる。そうされたら快感が生じるのだろうか。
ちょっと想像してみるが、どうにもそれが気持ちいいとは思えない。だが実際にやってみたらまた違うのだろうかとも思ってしまう。
そんな事を考えていると、彼が女魔術師の顔を覗き込んでくる。
顔が近い事に―――――数え切れないほど直接触れてきたというのに、何故かそれに恥ずかしさと照れを感じてしまう女魔術師は慌てて身体を起こす。
恥ずかしさに頬を赤らめた女魔術師に対し、彼は一言「試してみたいのか?」と。出会った頃と変わらぬ落ちついた声音で、とんでもない言葉を投げかけてきた。
一瞬言葉の意味が理解できず、キョトンとする女魔術師。だが理解が追いつくと耳まで赤くなり、けれど内心を正確に言い当てられた恥ずかしさから二の句が次げなくなってしまう。
そう。自分は確かに「彼となら試してみたい」と考えていたのだ。彼と一緒に気持ち良くなれるかもしれない。なら試してみたいと、女魔術師は考え始めていた。
そんな気持ちを言い当てられて、女魔術師は羞恥で動けなくなってしまう。その様子は彼に対する無言の返事となった。
―――――――
人が望んでいる事をしてやり、喜ばせてやりたい。人の期待に応えたい。人の為に動きたい。彼の基本的な行動原理を述べるなら、こういう事になる。
女魔術師はそんな彼の人となりを好ましく思っているし、そんな人柄を愛している。だが、こういう時もそれが発揮されるのは良いか悪いか判別がつかない。
「……い、嫌じゃないわよ?ただその、凄く変態的な事に手を出しちゃった気がして……」
互いに生まれたままの姿になり、ベッドで向き合いながら女魔術師はごにょごにょと呟く。
女魔術師の望みを理解した彼はそれに応じ、彼が自分の好奇心を受け入れてくれる事が嬉しくなった女魔術師は素直に内心を打ち明け。
その結果、これから被虐性交を試す運びになったのだ。
経緯そのものは嬉しくはあるし、どんなものか試す期待もあるのだけれど。何やら踏み込んではいけない一線を越えてしまったような気もしてならない。
彼に言った通り嫌ではないのだが、自分が変態に近付いたようで酷く恥ずかしいのだ。
「んっ……」
そんな女魔術師の顎にそっと手を当てて上を向かせると、彼が唇を奪ってくる。何度しても、何度されても彼との接吻はたまらなく甘美で胸が高鳴る。
唇を重ねると、どちらからともなく舌を伸ばし絡め合う。
「んちゅっ、れろっ、ぴちゃっ……んむっ、むぅ……」
蛞蝓の交尾のように執拗に絡ませ、唾液を交換し合う。徐々に激しさを増すそれは唇を離す事なく続けられ、次第に息苦しくなってくる。
だが彼との、愛しい男との口付けによって生じる苦しさはむしろ心地よく。離すどころか女魔術師は彼の首に、彼は女魔術師の背中に腕を回すと抱き合いより密着していく。
豊かに実った双丘が彼の逞しい胸板に当たる。ぐにゅりと女魔術師自慢の豊乳が形を変えて、その刺激が快感となり脳内に伝わって来る。
胸の先端に鎮座する乳頭は痛いぐらいに尖りきり、彼の胸板にも負けぬほど硬くなる。コリコリとしたそれを彼に擦り付けながら、女魔術師は無我夢中で彼との口交に没頭する。
少し意識が薄くなるほどに続けていると、彼が女魔術師を制し唇を離す。まだ口だけだと言うのに女魔術師の瞳は潤み、顔は蕩け切っている。
身体の方も《
本来女の身体が男を、逸物を受け入れられるようになるにはもっと手間のかかるものらしい。しかし女魔術師は初めて彼と結ばれた時からずっとこうだ。
自分がおかしいのかと思った事もある。だが、考えて見ればこれが、こちらのほうが正しいと言い切れる。
身も心も欲している男と交わるのに、手間暇のかかる準備が必要なのがおかしいのだ。
「来て……」
ベッドに寝そべり、両足を広げ秘所を彼の眼に晒す。指で秘裂をくぱぁと開き、雄を求め涎を垂らす陰唇を見せつける。
この上ない羞恥ではあるのだが、彼に対し自分がどれだけ彼の事を求めているのかを見せれるこの行為を女魔術師は密かに気にいっていた。
「んっ、ふぅぅぅうっ、はぁぁぁ……」
割れ目に熱く硬いモノが押し付けられ、女魔術師の膣内に灼熱の侵入者がやって来る。
彼の雄根を入れる鞘の如く、その形に作り替えられた膣はすんなりと最奥までの侵入を許し。しかし出る事は許さぬとばかりに彼の剛竿に媚肉を纏わりつかせ、蠢いて離さない。
今や女魔術師の膣壁は彼の逸物の形どころか、浮き出た血管の一本一本さえも感じ取れる。それほどに鋭敏で、身も心も捧げた雄の為の形に変化していた。
熱く、硬く、大きく。自分の中を全て充たす彼の肉棒。動かずとも入っているだけでたまらなく気持ち良く、気を抜くと絶頂してしまいそうになる。
いつもならばここから激しく腰をぶつけあい、ケダモノとなって激しく互いを貪り合う所だが今日は違う。それは目的ではない。
彼の瞳を見つめながら、女魔術師はこくり、と頷く。それを合図に彼のゴツゴツとした手が、数多の傷跡が残る強く勇ましい両手が彼女を喉へと伸ばされる。
「ぅぐっ……」
優しく喉にかけられた手が、そっと彼女の気道を圧迫してくる。呼吸は出来るが息苦しさを覚え呻き声を上げ、女魔術師は身悶える。
(苦しい……苦しいだけ、ね……)
被虐の悦びは感じられない。彼の眼にも可虐の悦びはない。ならもう止めていいのではないか。
そう考えた矢先、女魔術師は自分の心中に全く予想しなかったモノを見つける。それは一気に燃え広がり、彼女の思考を焼いていく。
(今、私……彼に、命を握られているんだわ……)
もしも彼が力を強めたら。本気で首を絞めて来たら。間違いなく窒息し、絞殺されてしまう。
いや、その前に彼が本気で殺す気ならば首の骨を折られるだろう。
自分はもう彼の女、彼の雌だという自覚はある。身も心も彼に染められた。だが、命に関してはそう考える事はなかった。
だが今は、最後に残ったそれを。自分の生死すらも彼に支配されている。真の意味で、彼に全てを捧げている。
被虐とはまた違う、言うなれば支配される悦び。それが女魔術師の全身を貫き―――――
「……ふっ、あぁぁっ!」
彼女は全身を大きく痙攣させ、深い絶頂に達した。
官能が全身で弾け、続け様に二度三度と絶頂する。あまりの気持ち良さに口を開き、舌を突き出していたためだろう。彼が慌てた様子で手を離す。
心配そうな顔を見せる彼に、女魔術師は微笑みながら心配ないと告げる。そして快感に震える腕を彼の背中に、力の入らぬ足を何とか彼の腰へと巻き付けると耳元で囁く。
「後で、話すから……」
そう、話は後だ。燃え広がった想いは理性を焼き、情欲と一体化した。それはもう女魔術師の全身へと伝播してしまっている。
つまりは、だ。
「私を、滅茶苦茶にして……」
もう我慢できないということだ。
女魔術師の求めに応じ、彼が唇を奪い腰を使い出す。女魔術師も舌を、腕を、脚を彼に絡めて一つの肉塊であるかのように密着し、それに応える。
そこにいるのは既に冒険者などではなく、お互いを求めてやまない一匹の雄と一匹の雌に過ぎなかった。
―――――――
いつものように、いつもよりも激しく。二人は寝台が軋むほどに激しく、長く、情熱的に交わった。
そうして精も根も尽き果てた後、女魔術師は彼の腕を枕にし、肩を抱かれながら余韻に浸る。
快感に痺れた身体と頭が休まるまでのこの時間は、蜂蜜のように甘く蕩けるようなひとときだ。
「……ううん、首を絞められるのは苦しいだけだったわ」
彼の言葉に女魔術師は首を横に振る。そう、それ自体は苦しいだけだった。
「でも、貴方に命を握られてるんだって、全部支配されてるんだって思ったら、なんだか……凄く、ゾクゾクしちゃって……」
あるいはそれが自分の性癖なのかもしれない。愛する男に全てを支配されること。これも一種の被虐快楽なのだろうか。
そんな女魔術師の様子を見ていた彼が、何かを思いついたように小さく「そうだ」と呟く。そして事もなげにこう言い放った。
『そういうのがいいなら、首輪でも着けて見るか?』と。
首輪。犬猫が着けるアレ。それを認識票の代わりに首に巻き、鎖をリードにして彼がそれを持つ。彼に飼われる一匹の雌となって、身も心も命も尊厳も何もかもが彼のモノに―――――
「……っ!」
その光景を想像しただけで、軽く達してしまう。それはダメだ。もう戻ってこれなくなる予感しかしない。開けてはいけない扉が開いてしまう。
だが、しかし。抗い難い魅力も感じてしまう。それが言い表し難いほどに気持ち良く、愉しいのは間違いない。
彼にリードとなる鎖を引っ張られ、犬猫のように撫でられたら。獣のように首輪をしたまま交わったら。どれほど気持ちいいだろうか。
凄まじい葛藤に苛まれる女魔術師。その様子を見た彼は「嫌ならやめよう」と言ってくるが、女魔術師は「嫌ではない」と必死に否定する。
ダメだとは思う。だが、可能性を消してしまうのは絶対に嫌だと思う程度には惹かれている。どうするべきか。
「……き、機会と言うか、興味が湧いたら!私がしてみたくなったら、しましょ!」
とりあえずは保留。そう大声で告げると、彼は黙って頷いた。
(や、やっぱり変態すぎるものね!首輪とか!でも、好奇心が湧いちゃうといけないから可能性だけは残しておくべきよね!)
そんな風に胸中で言い訳を並べ立てる女魔術師。そんな彼女を様子を見て、彼はほんの少しだけ苦笑していた。
彼女は時折、欲しいものを欲しいと言わず意地や見栄を張る。だが張り続ける事は出来ず、そのうち諦めて恥ずかしそうに素直になる。
どうせ今回もそうなるのは間違いない。彼はそう確信していた。
そして彼は、彼女のそんなところも心から愛していた。
彼らの拠点から遠く離れた街で。
やたら人目を気にする女魔術師と、何時ものように落ち着いた様子の彼が二人並んで首輪を物色するのは。
それからほんのひと月ほど後の事だった。
知的で強気な顔立ちと性格のムッツリはM傾向があって首輪されるのが大好き。
プラトンもそう言っていた。アリストテレスかもしれない。
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