ペルソナ∞ (ジャイル)
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プロローグ

気になってた作品が消えたので初投稿。


 ついにこの日を迎えたね

 

 そうですね、ベラノ様。しかしその台詞は来年まで取っておいた方がよいのでは…?

 

 それもそっか……そういえば準備はできた?

 

 はい、すでに各国の衛星のハッキングは完了しております。対カウンタープログラムも問題ありません

 

 それじゃあゲームを始めようか

 

―――――

 

とある日のIS学園、夜――

 

「明日から新学期ですね」

 

んー、と背伸びをしながら仕事を終えた先輩教師(山田真耶)後輩(織斑千冬)へと世間話を振る。後輩も仕事は終わっていたようでコーヒーを飲みながら相槌を打ちながら話に花を咲かせた。

 

「そうですね、今回も我々は1年1組ですか…先が思いやられますね」

 

頭を抱える後輩に先輩は苦笑していた。というのも一年前、後輩が初めて受け持った教室は問題児が多く揃ったクラスだったからだ。『やっかい者はひとまとめにしよう』という魂胆見え見えなクラスを副担任として任された初日から悩みの種は尽きなかったのだ。そんなクラスも丸くなり、平和になったのはつい最近のこと。ようやくストレスが減った矢先にまた新入生のクラス、しかも今度は担任を任されるという事態に後輩は手放した(バファ○ン)とよりを戻すことになったのだ。

 

「更識姉から解放されるだけ十分ですよ…」

 

「あはは…それにしてもクラス名簿見すぎじゃないですか?流石に全員覚えてるんじゃ?」

 

「あ、いや、そうですが念にはと思って」

 

「生徒を思いやる気持ちはいいですが、それで体調崩しちゃ目も当てられませんよ?寮に戻ってご飯を食べて明日に備えないと」

 

そう言って改めてクラス名簿に目を通しはじめた後輩を連れて寮へと向かおうとしたその瞬間―

 

 

 

 

「…!?」

 

―職員室中のパソコンが一斉に起動した。誰も操作していないのにもかかわらず、某動画投稿サイトを開き、砂嵐が映る生放送中の画面を全画面で映し出した。有事に対し身構えるまでの速さは流石といったところだが、異常事態にはそれだけではなかった。二人に支給されている端末も同じように点灯し、砂嵐を映しだしたのだ。

 

「まさか、アイツか?……いや、違う…」

 

心当たりのある後輩がこういう事をしそうな犯人(天災)の顔を思い浮かべるが、ここまで大きいことはしないだろうとすぐさま否定した。

 

既に寮に戻っていた他の教師が生徒を落ち着かせる声が聞こえてきたために二人は大丈夫だろうとその場を動かず画面を注視していた。それから数十秒後、砂嵐はゆっくりと止みその代わりに不気味に光る月を背中に二人の女の子が映っていた。

 

「…っ!」

 

その2人を見て後輩は息をのんだ。その二人はかつて接していた二人だったからだ。一人は自分の【(織斑一夏)】として、そしてもう一人は【妹】を救う情報を秘密裏にくれた【恩人(ラウラ)】として―

 

『我は人間の無意識よりいでし管理者、統制神ヤルダバオトの使徒、ベラノ』

 

『同じく、モイライ。これより我らが主からの宣託を下す』

 

『管理者の役目は、人類を正しい発展へと導くことである』

 

『しかし人類の愚かさと退行が示された今、それを粛正することが我らの役目』

 

『人類に任せておいては緩やかに破滅するのみ。最早更生程度では生ぬるい』

 

『よって、天よりの刑罰を下す』

 

交互に話しだしたベラノとモイライの二人。その内容をすぐに理解できる人はいなかった。後輩は映る二人に動揺して話などまるで聞いていない。何故、どうして、という疑問が頭の中を回り続けていた。話を終え、口を閉じた彼女が指を鳴らした。その瞬間、全世界で大規模な爆発が起こった。もちろんIS学園も例外ではなかった。

燃え上がる校舎たち、巻き起こる熱風と炎、そして遅れて聞こえてきた悲鳴。これらによって、ようやく彼女はこの惨状に気が付いたのだった。すぐさま生徒の無事を確認するため、二人は寮へと向かった。

 

『主からの宣託は以上。なお、反逆の翼を用いて刑罰から逃れようとする姑息な賊が現れないよう、ISのコアは爆破(処分)した』

 

『これで第一の刑罰は完了。次の執行日は日本時間6月1日午前0時だ』

 

『最期に無様に足掻け』

 

『ではまた会おう』

 

そう言い残し、生放送は終了。画面は砂嵐へと戻り、すぐさま操作される前の状態へと戻ったのだった。しかし、わずか数フレームだけ映ったメッセージに唯一反応できた天災はただただ涙を流していた。

 

 

 

 

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2話

チラ裏に掲載予定だったのにできなかったので初投稿です。今度こそ大丈夫なはず。


一時間後、ドイツ郊外の廃工場―

 

「いっちゃん…」

 

「時間通り来ましたね、篠ノ之束。待っていましたよ」

 

「……もう束お姉ちゃんで呼んでくれないんだね」

 

「何故、あなたをそんな愛称で呼ばないといけないのですか?」

 

時間通りに廃工場に来た私を待っていたのはいっちゃん(ベラノ)だった。その足元はおびただしい程赤黒く染まっていて、嫌でもあの事件を思い出させる…

 

「本当にごめんね……私があの時、間に合っていれば……」

 

「『間に合っていれば』?何を言っているのですか、あなたは確実に『間に合っていた』じゃありませんか」

 

「………え?」

 

「誘拐される前から織斑一夏の身を案じていたあなたは宿泊先のホテルから会場までのカメラをハッキングして監視していた」

 

「そ、そんな訳…」

 

「そして万が一に備え自分自身もドイツ郊外に潜伏して救助できるようにスタンバイしていた」

 

「ち、違…」

 

「でもあなたは行かなかった。瀕死である友人の妹よりも彼女を殺した機体に目を、心を奪われたから」

 

「そんな事ない…」

 

思い返されていく二年前のあの日、いっちゃんの言う通り私はいっちゃんを守るために凡人共が使っていたカメラを利用して危害が及ばないようにチェックしていた。ちーちゃん一強だった当時、第二回のモンドグロッソで連覇するのは誰もが予想できていた。だからこそそれを面白く思わない糞共が優勝を阻止しようとしていた。でもちーちゃん相手に正面からぶつかっても勝算がある訳無い。そいつらもそこまで頭は回ってたみたいで、いつからかいっちゃんを影で狙うようになっていた。いっちゃんを人質にとればさすがのちーちゃんも要求を呑むだろう、と。

 

そんなある時、いっちゃんを映していた監視カメラが突然壊された。すぐに調べると物理的な破壊みたいでこっちではどうしようもなかった。すぐに会場付近のカメラを全部確認した私がようやく見つけたころには、既にここに連れて来られていた。震えていたいっちゃんを解放するために私はすぐに向かった、はずだ。

 

「では、この音声を聞いてもらいましょう」

 

そうして流されたのは私が見たことも無いISにテンションを上げている声だった。たしかにあの時、現場で第二移行した機体が気になったのは事実。でも―

 

「…こんな事、言った覚えなんてないよ…いっちゃんが作ったダミーでしょ…?」

 

「そんなつまらないもの、作る理由がありません」

 

投げ捨てられたレコーダーを私お手製の機械で調べた……結果は―

 

「当人に悪気があろうと無かろうと、覚えていないものですよ」

 

―本物だった。

 

「じゃあ…本当に……わた、しは…」

 

「ええ。ようやく自覚したんですね。あなたが彼女を見殺しにしたんです」

 

 

 

良かったですね、あなたもこれで人殺しの仲間入りですよ。

 

 

私が…殺した…?



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