平和を守る者 (はすきるりん)
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帰還

「夜斗兄…生きて…生きてみんなの元へ…みんなを…守って…」

 

少年は夢を見た。とても懐かしい夢。

少年の相棒でありライバルであり家族だった人の夢

 

 

 

ツゥー

 

少年の頬を一粒の滴が撫でる。

少年はなぜ自分が涙を流しているのかわからない。

 

「あーまたこれか…」

 

少年はため息を吐きながら涙を拭い、自分が今乗っている小型艇にある一室で横になった。

 

(到着まであと30分か。早く帰って苺ミルク飲みたいな〜。…てか今回の収穫6本だけど良いよな?まぁ怒られたらその時はその時でいっか)

 

少年は大きな欠伸をすると、段々と襲ってくる睡魔に意識を手放した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(ゲート)発生 (ゲート)発生』

 

バチバチと黒い穴が突如現れると、それを知らせるサイレンが建物の中に響いた。

 

『遠征艇が着艇します。付近の隊員は注意して下さい』

 

黒い穴から出てきたのは、人が10人乗れるぐらいの小さな遠征艇だった。

無事に小型遠征艇が着艇したが周りの隊員たちはなにやらざわついていた。

 

鬼怒田「む?一ノ瀬のやつなにをしている!?」

 

忍田「まさか夜斗くんの身になにかあったのか!?」

 

林藤「いや、あいつのことだから中で寝てるんでしょーよ。…迅行ってやれ」

 

迅「りょ〜かい」

 

直属の上司からの命令を受け、迅は小型遠征艇に飛び乗ると、一つしかない扉を開けた。

 

まず、迅の目に入ったのはさまざまなデータが映し出されたモニターの数々。

複雑な数式や文字の羅列がズラーっと並べられているそれを、迅はちらっと覗くも全くわからずスルーした。

件の人物を探すべく動こうとしたその時、迅の視界の隅に映るソファの上でなにやら大きな塊を見つけた。

そっと覗くとそこにはスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている人影が。

髪はダークブラウン色でやや猫っ毛気質なのか柔らかそうな長髪。そして普段は起き上がっている一本のアホ毛は寝ているからか今はへたりと倒れている。

長いまつ毛やその整った輪郭はまるで人形の様。

誰がどう見ても美少女と答えるだろう容姿を持つその人物は、一応歴とした男である。

この男こそ、迅が起こしに来た件の人物、一ノ瀬夜斗である。

 

迅は寝ている夜斗の顔をぺちぺちと叩いて起こした。

 

迅「やっぱり寝てやがる…おーい夜斗!起きろー」

 

夜斗「ん…ふぁ〜。お~迅か。おはよ、からのお久〜」

 

夜斗は欠伸をしながらも体を伸ばし、意識を覚醒させていく。

頭をぽりぽり掻き、だるそうに立ち上がると迅から飲み物を貰った

 

夜斗「おー苺オレ!ありがとー!やっぱ遠征に帰ってきたら最初はこれだよ!」

 

大好物の苺ミルクを貰った夜斗は慣れた手つきでストローを刺すとゴクゴクとエネルギーを摂取した。

元気になったのか、さっきまで倒れていた一本のアホ毛が今ではピコピコと動いている。

 

迅「調子が戻ったら早く城戸さんとこ行くぞ!みんなお前の帰り待ってたんだからやることやって挨拶してこいよ」

 

夜斗「りょかーい」

 

夜斗と迅は遠征艇から降りると、城戸司令たちがいる方に向かった。

 

林藤「おー!夜斗おかえり、ご苦労さん!」

 

夜斗「ただいま林藤さん!皆さんもお揃いで!お久しぶりですね〜」

 

忍田「なかなか出てこないからなにかあったのかと心配したぞ夜斗くん」

 

夜斗「いや〜すいません忍田さん。やっぱ疲れて帰りは寝ちゃうんすよね〜今後は気をつけますよ」

 

鬼怒田「こちらとしてはその言葉を何回聞いたことか!これでトリガーの回収が出来てなかったらどーなるかわかっておるのか!」

 

夜斗「鬼怒田さん、そんな怒ると血圧上がっちゃうって…。あー、あとで渡そうと思ってたんだけど…まぁいっか。ほいこれ、あっちのトリガー6本、確かに渡したからね」

 

夜斗はそれぞれに挨拶を交わすと、鬼怒田に袋に入れた未知のトリガーを渡した。夜斗が渡すと今まで黙っていたボーダー最高司令官の城戸が口を開いた。

 

城戸「御苦労。向こうでの話を詳しく聞きたいんだが、そちらも隊員たちに挨拶をしたいだろう。明日は日曜だったな、明日また本部に来てくれ。今日はもう好きに休め」

 

夜斗「了解城戸さん。それじゃ皆さんまた後日って事で〜。あ、林藤さん今日そっちで泊まるから一応よろしくです。…んじゃ迅行こ〜」

 

林藤が「おーう」と返事し、夜斗はそれを聞くと迅を連れてその場を後にした。

城戸司令たちに挨拶を終えた夜斗と迅は、時刻がお昼近くなので一先ず昼食を取るべくラウンジへと向かっていった。

まだギリギリお昼前だからか食事をしている隊員が少なく、2人は簡単に席を取れた。

夜斗はカレーを、迅はお腹が空いていないのかお馴染みのぼんち揚を食べていた

 

夜斗「…それでさっき話してた続きだけど、もうすぐA級の人たちで遠征行く隊決めるんだっけ?」

 

迅「ああ。黒トリガーに対応できるA級チームを3つ選抜しなきゃなんだけどそのやり方がS級隊員との対決でな。今は俺と天羽が人型近界民役やるんだけど、きっとお前もやる羽目になるよ。俺のサイドエフェクトがそう言っている」

 

迅はニヤッとしながら自身のサイドエフェクト【未来視】でみた事を夜斗に告げると夜斗はうわぁ…と露骨に面倒臭そうに顔を歪めた

 

夜斗「迅が言うならもう確実だし仕方ないけどさ…俺黒トリガーは使う気ないよ?そもそも使っちゃったら誰1人として対応なんて出来ないでしょ」

 

迅「まぁ確かにその通りなんだが…俺が見たところ最初は普通のトリガーでやって後半ちょろっと加減して使ってたよ。範囲じゃなくて武器化して」

 

夜斗「あんま戦わせたくないんだけど、まあ事が事だし仕方ないか…責めて太刀川さん辺りとはやり合いたくないな…」

 

「ん?なんだ呼んだか?」

 

夜斗と迅の会話に、2人の声じゃない声が夜斗の後ろから聞こえ、2人の視線は声の主に向いた。その人物を見ると夜斗はあ…と声をこぼし、迅は軽く手を振っていた。

 

夜斗「あー、太刀川さん久しぶり〜」

 

太刀川「おー夜斗じゃねえか!お前いつ帰ってきたんだよ!」

 

迅「どーも太刀川さん。昨日言った通り、面白いやつと出会ったでしょ?」

 

太刀川「よー迅!そーいえばそんな事言ってたな。あれ夜斗のことだったのか!」

 

その声の主はA級1位の太刀川隊隊長、太刀川慶だった。そして彼の後ろには同じチームの太刀川隊の皆だった。

 

出水「あー!夜斗先輩久しぶりですね!」

 

「お、お疲れ様です!」

 

夜斗「久しぶり公平〜。あと君は…えっと…ごめん今思い出すからね〜。

えーっと…誰だ?」

 

夜斗は出水に挨拶すると、もう1人の人物の顔を見てう〜んと考えていた。おそらく印象が薄すぎて名前が出てこないのである

 

唯我「忘れるなんてひどい!俺っすよ!唯我です!唯我尊」

 

夜斗「あー!なぜA級にいるのかわからない子か!久しぶりだね〜強くなった?」

 

ポンッと手を叩き思い出した顔をする夜斗。

まだ唯我がなんか言っているがそれを無視して、夜斗は出水と唯我の後ろにいる人物に声をかけた

 

夜斗「柚宇も久しぶり〜。元気だったか?」

 

国近「あ、えっと久しぶり〜!も、もちろん元気だよ!」

 

突然声をかけられた太刀川隊OPの国近は普段のゆるい雰囲気はどこへやら、頬を赤くして軽くパニックになりながらも、なんとか返事した。

普段見ない自分たちのOPの様子に、太刀川はニヤニヤ顔、出水はまたか〜とため息を、唯我はえ!?どゆこと!?と首を、国近と夜斗の二人の顔をぶんぶん交互に見ていた。

 

太刀川「ていうか夜斗!帰ってきたなら個人戦付き合え!」

 

夜斗「いや俺さっき帰ってきたんですよ〜疲れてるんです〜!」

 

ぐいぐいと夜斗の腕を引っ張る太刀川に対して、夜斗はいーやー!と椅子にしがみ付いていた。

それから5分ぐらいずっと2人の攻防が繰り広げられていると、夜斗たちに近ずく数名の人物がいた。

 

「お前たちはもう少し静かに出来ないのか?」

 

「あら、本当に夜斗くんが帰ってきてるわね」

 

「やはりこのうるささはお前たちか」

 

「久しぶりだな一ノ瀬」

 

「ちょっと夜斗!帰ってきたなら連絡ぐらいしなさいよ!」

 

「おい小南もう少しボリュームを下げろ。おかえり夜斗」

 

「夜斗!よく帰ったな、相変わらず元気そうで何よりだ!」

 

「おー!夜斗先輩久しぶりっす!」

 

夜斗に声をかけたのは、上から風間、加古、二宮、東、小南、レイジ、嵐山、米屋だった。米屋は出水と仲が良く、よく3人でご飯をご馳走したりするぐらい仲良し、風間さんたちに関しては夜斗の後に入隊してきた面々なので、付き合いは長い。

 

夜斗「凄い豪華なメンバーが勢揃でわざわざどーもです。それで、皆さんお揃いでどうしたんです?」

 

風間「忍田本部長からお前が帰ったと俺たちに連絡がきてな。ランク戦室にいなかったからここだろうと考えて来てみれば、太刀川が騒いでる声が聞こえてこっちにきたんだ」

 

風間の説明に頭の?マークが晴れた夜斗は「わざわざすいません」と軽く会釈した。

そしてハッ!と今まで忘れていた、ある人物との激しい攻防戦を思い出した夜斗は、抑止力である風間さんがいる間にと太刀川に言った

 

夜斗「太刀川さん!また明日個人戦はやってあげますから今日は諦めてくださいよー!というか、風間さんとかにお願いしなさい!ホラ!ここにも戦闘バカいるし!」

 

すると夜斗は小南を指差した。

自分を馬鹿にされたと気付いた小南は「誰が馬鹿じゃー!」と夜斗に。嚙みついた。

 

先ほどよりも騒がしくなっていく中、嵐山が自身のスマホを夜斗に見せ、ある事を告げた

 

「すまないな夜斗。俺もお前は休みたいだろうと思うんだけど、忍田さんがこう言っててな」

 

夜斗は嵐山のスマホの画面を見るとそこに写っていたのは、忍田からのメールだった。

 

『もし太刀川たちが個人戦を頼んできたらすまないが受けてやってほしい。迅君から聞いたかもしれないが、近々遠征に行くメンバーを決めたり、ランク戦が近づいていたりするから隊員にも経験を積ませてやりたいんだ。

もし個人が大変なら変則チームを作ってやるでもいいから、どうか付き合ってあげてほしい。

夜斗くんさえ良ければ、御礼として後日なにかご馳走する。

どうか頼む 忍田』

 

夜斗「………」

 

夜斗はその内容を見終えると、目を瞑りそっと天を仰いだ。

そして大きなため息を吐くと凄い怠そうにしながらも

 

 

夜斗「…わかりましたよ。やりましょう」

 

そのお誘いを了承した。

 

(忍田さんこういう時ご飯ご馳走するとか言うんだもんなあ~。1人暮らしの学生にご飯奢るって…。それ言われたらなんでもやっちゃうじゃん!まぁ仕方ないか…)

 

こうして豪華メンバーによる変則チーム戦が行われることとなった。

 




夜斗はS級ですが、太刀川さんとかによく誘われることからポイント移動なしの個人戦は認められている感じです!

ちなみに夜斗の過去は後々出しますが、小南とかと同じか少し前からの古株です

それではこれからよろしくお願いします、


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キャラ紹介

名前 一ノ瀬夜斗

 

PROFILE(プロフィール)

ポジション:オールラウンダー

年齢:18 誕生日:5月26日

身長:183cm 血液型:O形

星座:うさぎ座 職業:高校生

好きなもの:イチゴミルク、甘いもの、動物、ゲーム、料理、平和な日常

 

FAMILY(ファミリー)

父、弟

 

PARAMETER(パラメーター)

※ ()ブラックトリガー装備時

トリオン 50 (100)

攻撃 18(25)

防御・援護 12(20)

機動 10(15)

技術 10(15)

射程 12(20)

指揮 8(8)

特殊戦術 9(10)

トータル 129(213)

 

【サイドエフェクト】

超強化五感(ランクS)

字のまんま五感が普通の人の約5〜6倍優れている

また、この五感強化の割合はコントロールできる

例)味覚の割合を下げて視力を上げるなど。

発現時夜斗はかなり苦しめられたが、父や朝日の力を借りて徐々にコントロールできるようになった。

ちなみに夜斗は、常に味覚の割合を普通の人と同じにしている。

 

トリオン操作・感知(ランクA)

朝日(双子の弟)がブラックトリガーになった時に引き継いだもの。

トリオン消費を抑えたり、割合を少しいじれる

例)鉛弾の重さを少し軽くして弾速を少し上げる

脚力にトリオンを注いで脚力を上げたりなど

これにより、スナイパー用トリガーをセットする時は最悪1種類セットすれば、他のスナイパートリガーののような使い分けが可能。

 

 

感知は簡単に言えばレーダー探知機のような物。

自分を中心とした半径20mのトリオンを感知可能

シューター、スナイパー殺しのサイドエフェクト

他人のトリオン量を感じたりもできる

ただかなりの集中力が必要なため長時間の使用は頭痛を起こす

 

【TRIGGRE SET】

MAINTRIGGRESUB TRIGGRE
スコーピオンスコーピオン
バイパーメテオラ
アステロイドシールド
グラスホッパーグラスホッパー
    

 

※変更の際はその時に

 

【ブラックトリガー】

支配者(レクトルラ)

製作者:一ノ瀬朝日

指輪型のトリガー

ネックレスにして常に身につけている

 

【能力】

使用者のイメージした現象を具現化する

【姿】

上半身はところどころ模様のような鎧を着用し、うえから黒いロングコート風のを羽織っている。

【詳細】

・通常時

夜斗は影を広範囲に展開してスコーピオンのように刃を形成して変幻自在に攻撃したり、様々な武器へと形を変えて戦う。

また影の中を自由に移動したり、敵の攻撃を影で防御したり別の場所へと受け流すことも可能。

トリオン兵を影に取り込みトリオンへと分解し、データを解析することでほぼ制限なく出現させる

 

・覚醒時

背中に亜空の矛という8本の矛が出現

黒いキューブのようなものを瞬時に出現させ操り、敵を押し潰したり捕らえたりする

指を鳴らすとキューブが大爆発を生む

 

強力すぎるブラックトリガー故に長時間の使用後は寝込んでしまう。

 

【キャラクター基本情報】

ダークブラウンの癖っ毛で目元が少し隠れている(アホ毛が一本ぴょんぴょんしてる)

人形ように綺麗な見た目から美少女と間違われやすいが一応男の超美男子

(ボーダーの取材で雑誌に乗った時、その雑誌が普段の2倍以上売れたらしい)

 

性格

基本誰にでも優しい

頭がかなり良いため赤点型学生隊員のお勉強を見ることもある。

集中してる時などは視界を絞るために眼鏡をかけるので、宇佐美との交流は深い

褒める時、癖で頭を撫でたり勘違いをしてしまう行動を取るため、女性隊員は天然ジゴロと密かに呼んでいる。

また、近界民に良い奴が居るのは知っているが、近界民に父と弟を殺されてるため、トリオン兵などを相手にする時は無意識に冷徹さがでる。

個人戦でも徐々にだが多少性格が変わる




かなりのチートですが自重するにしますので!
それではよろしくお願いします!


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転送開始

どーも皆さん初めまして一ノ瀬夜斗です。

俺は今ランク戦室に向かっています。

しばらくしてランク戦室に着くと、なぜか周りの隊員たちがザワザワしてます。なんでだろ?って考えたんですけど答えは簡単でした。

 

隊員A「お、おい!あれってS級の迅さんとA級一位の太刀川隊だよな!?」

 

隊員B「それだけじゃねえ!A級の風間さんや加古さん、米屋先輩にB級上位の二宮さんに東さんも居るぞ!」

 

隊員C「あれって玉狛の2人じゃねえか!?」

 

隊員D「すげー豪華なメンバーじゃねえか!もしかしてランク戦か!?」

 

女隊員E「あの背高い人誰!?すっごいイケメンじゃない!?」

 

女隊員F「私あの人見たことある!前に雑誌に載ってた気がする!すっごい強いらしいよ!」

 

女隊員G「てか男?女?」

 

そこの隊員たちの言った通りメンバーだよ、メンバーが凄すぎんだよ!そりゃびっくりするよねー!こんな強者揃いなんだもん!

多分この人たちがこんな固まってるの見ることそうそうないから、君たちちゃんと目に焼き付けとけよ〜

あ、女性隊員の人たちはありがとね〜。あと俺一応男、そこよろしく。

 

…あ〜柄になく興奮したな、一旦落ち着かなきゃな。

 

夜斗「それでチームってどうすんの?」

 

太刀川「唯我は逃げて、国近が居るから12人とOP1人だな。4人3チームが妥当だがOPあと2人欲しいな」

 

太刀川さんってこういう戦いが絡むと率先して動くのになんで大学のレポートとかやるの遅いんだろ。

まぁ太刀川さんのことだから特に理由とかなく、ただめんどくさいんだろうけど…

 

嵐山「すまないがまだ広報の仕事が残ってるんだ。ほんと申し訳ない!」

 

夜斗「いやいや、そんな気にしないでいいっすよ〜。遥達によろしく言っといてくだ〜さい」

 

嵐山「ああ!わかった!なるべく早く終わらせて観戦だけでもするさ!」

 

嵐山さんは頑張れ!と言って走って行った。

あの人ってほんと良い人だよな〜、嫌いな人居なさそう…

んで嵐山さんが抜けたから今居るのは唯我を除いた太刀川隊に風間さん、加古さん、二宮さんに東さん、それとレイジさんに小南、迅と米屋と俺ね。

これだったら…

 

風間「3.4.4チームが妥当だろう。だがやはりOPが欲しいな…あと2人探すか」

 

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」

 

風間「…宇佐美か、それに三上も…なぜここに居る?」

 

宇佐美「いや〜、最初は夜斗さん帰ってきたって事でおかえりー!って言おうと思ってて探し回ってたら歌歩ちゃんと会いましてね!それで探し回ってたらどこからか呼ばれた声がしたんで来てみたんですよ〜。

あ、夜斗さんおかえり!これいつものだよ〜」

 

夜斗「ただいま栞。お〜、いつもありがとね!歌歩ちゃんもおひさ〜」

 

三上「お、お久しぶりです夜斗先輩!これ私からも苺ミルクです!よかったらどうぞ!」

 

夜斗「え!わざわざありがと!ありがたく頂戴させてもらうよ〜」

 

いや〜、2人とも苺オレ買ってくれるなんて!これは今度お礼しなきゃな〜

…ん?なんか柚宇おとなしくないか?

…あ〜もしかして自分だけなんもしてないからとか?

もしそうなら別にそんな気にしなくていいのに〜

 

夜斗「ほれほれ〜どうした柚宇。柚宇は俺とめちゃくちゃゲームしてくれるんでしょ?

俺はその時間が結構楽しみだったりするんだけど。

それに帰ってきてから柚宇の可愛い笑顔をまだ見てないから、そんな難しい顔じゃなくていつものゆるふわな柚宇が見たいなー」

 

確か柚宇は撫でるってよりもポンポンされるのが好きだった気がするからな、これで元気になってくれればいいんだけどな〜

 

柚宇「か、かわいっ…!あ、ありがと夜斗くん!

ゲームやりたい時いつでも言ってね!いつどこにいても駆けつけるから!」

 

やっぱり難しい顔よりも笑顔の方が柚宇は似合う!

てかいつどこにいてもってお前はヒーローか。

まあでも本調子になったなら良かった良かった。

なんか男性連中がやれやれとため息ついて、女性連中は顔赤くしたりにやついたりしてるけど、わけわからんからとりあえずスルー

 

風間「話を戻すが宇佐美と三上この後空いてるか?チーム戦をするんだがOPが2人足りない。どうだ?」

 

宇佐美「お〜そんな面白そうな事、このあたしが乗らないわけないじゃないですか!」

 

三上「私も大丈夫です!」

 

風間「すまん助かった。それじゃチーム決めるか」

 

キランッ!と眼鏡を輝かせる栞にやる気十分な歌歩ちゃん

やっぱ風間さんがいるとスムーズに話が進むな、それにしてもチームね〜3.4.4で、忍田さんが言うにはこの人たちと戦った方がいい分けだから…

 

夜斗「チームなんですけど、俺が公平と陽介貰ってもいいですか?忍田さんのメール内容的に、一先ず隊長である皆さんと戦った方が良いと思ったんで」

 

太刀川「おーうちの出水と米屋か!AT、SHにARバランスいいし、そっちの方が面白そうだ!」

 

二宮「そうなると後は俺たちのチームだが」

 

加古「私、二宮くんとは嫌よ」

 

二宮「それは俺の台詞だ」

 

また2人とも言い合いしてる…この2人もう少し仲良くなれないのかな〜。

でも、よく考えたら毎回ギャンブル炒飯の餌食にされればそれだけ嫌になるか

あれ外れた時、普通に人殺せるレベルだと思うし。

まぁ俺は別に加古さん好きだから良いけど!

 

夜斗「もー適当にポジション別でジャンケンなりで勝ち負けチームに分かれちゃうとかは?レイジさんは東さんとで」

 

やるんだったらやるで早くしてくれー

もう苺オレ1パック飲み切っちゃうからね?

ズゾォーっと苺オレを飲み切るとどうやらチームが決まったみたいだ

 

チーム1 俺、公平、陽介、OPに歌歩ちゃん

 

チーム2 迅、レイジさん、小南、加古さん、OPに宇佐美

 

チーム3 太刀川さん、風間さん、二宮さん、東さん、OPに柚宇

 

チームはこんな感じに。

OPはあみだで決めてこんな結果。

チーム2は玉狛固まってるし、合わせやすい加古さんだから連携かなり決まりそう。

チーム3は一見ゴリ押しかなって思うけど、風間さん、東さん、二宮さんいるし、それぞれの役割がはっきりしてるし作戦細かそーだな。

太刀川さんは戦闘の時だけ冴えるし、なんや感やでうちが1番ゴリ押し系だな。

 

チームが決まった事で、今各々で集まって作戦タイムに入りますね〜

 

三上「夜斗先輩よろしくお願いします!」

 

夜斗「あははっ!さっき言いそびれたけどそんな堅くならなくていいよ!

別に先輩って呼ばないでもっと気楽でいいし、もう結構長い付き合いなんだしね!」

 

まだ関わりが少ない時だったらそれでもいいんだけど、もう歌歩ちゃんとは何回かご飯行ったりしてるしね。

なんか違和感感じるんだよね、歌歩ちゃんの先輩呼び。

 

三上「そ、それじゃ夜斗さん…って呼んでもいいですか?」

 

夜斗「歌歩ちゃんがそれでいいならいいよ〜。

2人も別に先輩って呼びづらかったらなんでもいいからね。

実際、2人は後輩ってより雅人とか鋼の距離感に近いし」

 

雅人と鋼ってのは俺と同じ学校に行ってる友達ね、2人ともB級でめちゃくちゃ強い。まだ帰ってきて会ってないから、また後日声かけよーかね

 

米屋「いや〜もう先輩で慣れてきてるんでこれで。

まぁ時々ぽろっと出ちゃうかもっすけどね」

 

出水「俺も槍バカと同じですかね。

でも夜斗先輩って時々太刀川さんよりも先輩なんじゃって思う時あるんすよ」

 

夜斗「ぽろっとぐらい別にいいけど。

んで、太刀川さんに関しては…まぁここだけの話、時々俺も太刀川さんってもしかして年下なんじゃ…って思う時あるしね〜あはは」

 

いやほんとあの人、個人戦頼んでくる時マジで子供みたいに無我夢中で誘ってくんだもん。

んでこっちが断ろうとすると苺オレで釣って〜まぁやる方としても太刀川さん相手なら楽しいから良いけどさー

でもねぇ?もう少し年上の余裕さってもんを出しても…

 

三上「あ、あの、それでどんな感じの作戦で…」

 

おおっとそうだった、作戦考えなきゃね。

歌歩ちゃんは他のOPと違って同じ隊の人がいない分けだし、色々聞いときたいよね〜。

確か10本やるんだったよね。

迅の予知てきに7本このチームでやって最後残り3本は黒トリガー使用かな

にしても作戦かー、このメンバーでの作戦って言ったら…

 

夜斗「陽介を前衛にして俺と公平でサポートかな?俺だったらSMとまではいかなくとも遠いやつ行けるし」

 

出水「どーせ夜斗先輩、アステロイド砲のこといってますよね?トリオン量バカ多いのもアレですけどアステロイドであんな飛距離おかしいんすよ?」

 

夜斗「量はともかくそーいう距離やら威力やらを少しいじれるのが俺のサイドエフェクトでもあるからね〜」

 

米屋「いや夜斗先輩のサイドエフェクトはどれか一つでも強いのに、両方ともってもはやチートでしょ…」

 

まぁ片方は俺のじゃないけどね〜。

もーそろそろ他のチームは作戦終わった頃かな?と思ってたらいつでも行けるって来たな。

こっちもいいですよー!っと。

 

三上「夜斗せ…夜斗さん転送まで30秒です!」

 

夜斗「はいよ歌歩ちゃんありがと〜。それじゃこっちの作戦なんだけど、まぁ色々考えたんだけどこれが一番やりやすいかなって思ってね」

 

転送まで15秒

 

三上・出水・米屋「…?」

 

転送まで10秒

 

夜斗「臨機応変に対応して潰す!」

 

転送まで5秒

 

出水「いいですね!」

 

米屋「はっ!おもしれぇ!」

 

三上「サポートは任せて下さい!」

 

よし!んじゃ久しぶりに遊ぼうかな!目指せ10連勝ノーベイルアウト!

 

転送開始!



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チーム戦①

今回の夜斗のトリガーセット

スコーピオン)M.S
アステロイド)M.S
メテオラ)M
孤月)M
バイパー)S
グラスホッパー)S

こんな感じです!


【ランク戦用スクリーン前】

 

〜夜斗達の転送同時〜

 

今本部にいる隊員の8割以上が集まり、皆の視線は巨大スクリーンへと向けられていた。今から行われるのは、ボーダー隊員の中でもトップの実力者が、一同に集まってチーム戦をするからだ。

そして、そんな熱い戦闘があると知ればこの人物が黙っていなかった!そう我らがランク戦実況の先駆者!

 

「どうもみなさんこんにちは!海老名隊OPの武富桜子です!

今回ランク戦もないのになぜ実況してるんだ?と思う方当然いらっしゃるでしょう

…ですが!この人たちが揃って戦うと知ればしない訳には行かないでしょう!

風の噂で聞いた瞬間のわたしのスピードは、最速トリガーの韋駄天以上でしょう!

そして解説には来る道中でたまたまお会いしたのでお声がけをさせて貰った所、すんなりOKしてくれたのは…“ノーマルトリガー最強の男”忍田真史本部長!

そして“鬼怒田開発室長と共にランク戦のシステム構築に貢献した”玉狛支部の林藤匠支部長です!よろしくお願いします!」

 

忍田「あ、ああよろしく頼む」

 

林藤「おう!よろしく!」

 

武富は余程今回の模擬戦が楽しみなのか、まだ始まってもいないのにテンションがMAXになっていた。

そしてその武富の圧に、林藤は普通に挨拶を返すも、忍田は若干押されていた。

 

武富「さあ今回の模擬チーム戦ですが、まず分かることが…とにかくメンバーが凄い!「ぼんち揚食う?」でお馴染みの迅隊員、A級の太刀川隊員、出水隊員に風間隊員、加古隊員、米屋隊員に玉狛支部の木崎隊員と小南隊員!

それだけじゃありません!B級からは東隊員と二宮隊員だ!

そして最後に!誰だこのイケメンは!初めて見る隊i…あれ?わたしこの人雑誌で一度見たことありますね!

一体どんな方なのかそれも含めてまず忍田本部長お願いします!」

 

忍田「ああ。まず皆んなも分かる通り、今から戦う隊員は全員がトップの実力を持っている。各々が個人戦をやっているのを見かけたことがある隊員はいると思うが、このメンバーでの試合はそう見れるもんじゃない。

そして武富隊員も言っていたあの人物。

彼は一ノ瀬夜斗、S級隊員だ。

そして彼は旧ボーダー時代からの隊員で、隊員の中じゃ一番の古株だ。

彼の実力は飛び抜けていてな、先程、武富隊員は私を“ノーマルトリガー最強”と言ってくれたがそれは違う、“最強は正しく彼”だ。

今私と彼が戦っても引き分けにできるかすら怪しいな」

 

忍田のその発言にその場にいた隊員達は一斉にざわつき始めた。

それもそのはず、忍田はノーマルトリガー最強と呼ばれ、A級の部隊、個人、攻撃手で1位の太刀川慶の師匠でもある。そんな男が引き分けにすることも難しいと言っているのだから。

 

武富「そ、それ程ですか!ですが今回はチーム戦!しかもその一ノ瀬隊員は3人チームということで数で不利に思われますが林藤支部長どうでしょう?」

 

林藤「そうだなーまずチームをおさらいするか。

4人構成のチームは2つ。

1つは迅、小南、レイジに加古ちゃん、OPに宇佐美

2つは慶、蒼也、匡貴に東、OPが国近ちゃん

最後に3人構成の夜斗に出水と米屋、OPに三上ちゃん

中々にどこもバランスがいいチームだ。

そして宇佐美も国近ちゃんもチーム内に同じ隊のやつがいるから緊張もまあしにくいだろ。

逆に三上ちゃんは同じA級隊の2人の動きは分かるが、夜斗のはあまり知らないだろうからそこでどうなるかだな。

まぁでも夜斗に関しては実力トップってのもあるが、トリオン量でも俺たちとは別格だからなー!匡貴が確か一番多いかった気がするんだが、夜斗はそれの4倍はあるからきっと面白いのが見れるよ」

 

武富「4倍ですか!?お二人がそれほどの評価をする一ノ瀬隊員!一体どんな戦いをするのかわたし気になって仕方ありません!

そうこうしてるうちに各チーム徐々に合流しています!

おーっと!そして注目の一ノ瀬隊員が動いた!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時は転送開始まで遡る

 

『転送完了』

 

よーしやるかー!えーっとステージは…市街地Bねシンプルでいい感じだな

とりあえず敵さんはどーすんのかな?

…あーまずはやっぱ合流ね、それじゃうちも便乗して合流しちゃおうかな

 

三上『夜斗さんレーダーに反応がありません!おそらくバッグワームで接触は避けて合流するみたいです!」

 

夜斗「はいよありがとね歌歩ちゃん。

…おーい2人とも俺間にいるからとりあえず集合して」

 

出水『出水了解!』

米屋『米屋了解!』

 

さてさて、一応東さんが陣取った建物よりかは高い建物に着けたことはラッキー。

んじゃ2人が来る前に誰が合流してるのか確認しとこーかなー、って言う間に2人とも来ちゃったか。

 

出水「夜斗先輩着きましたよーって中々良い位置っすね」

 

米屋「お前と夜斗先輩はな!攻撃手の俺からしたらなんもできないからつまらん!」

 

まぁ陽介の言い分もわかるけどーまぁまずは我慢してね、後でたっぷり戦わせてあげるからさ

んじゃみんなの様子を見るためにもちょっと視力上げようかな

 

夜斗「歌歩ちゃん視覚情報リンクしてくれる?」

 

三上『了解です!視覚情報を共有します』

 

出水「うおー!建物の汚れとかすげーめっちゃ見える!あ!太刀川さん!それにあっちは迅さん達だ!」

 

米屋「もうどこも集合してんなぁ、てかやっぱ夜斗先輩のサイドエフェクトずるすぎでしょ!《超強化五感》でしたっけ?」

 

夜斗「なかなかかっこいいでしょ?。

あ、それで公平さ、敵ん中で一番近くに東さんいるでしょ?あそこ撃ってくんない?

俺ここで太刀川さんたち散らして行かせない様にするから、速攻で陽介と一緒にまずは東さん落として。あの人に仕事されるのは厄介だからね」

 

出水「了解!それじゃ“ハウンド”」

 

米屋「んじゃまずは1pt取ってきます!」

 

夜斗「いってらっしゃいー。おーし歌歩ちゃん、一旦視覚共有解除して2人のサポートお願い」

 

三上「了解です!」

 

よし、これで2人にとって厄介な狙撃手が落ちる。

んで太刀川さんたちは、ここで当然助けに行くよな〜

まぁさせないけどね、“アステロイド”

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【実況】

 

武富「な、なんだこの巨大なトリオンキューブは!?でかい!でかすぎる!そしてそのトリオンからから放たれるのは4個に分かれたアステロイド!分割したのにも関わらず大きすぎるアステロイドは、太刀川隊員たちと東隊員の間に炸裂!忍田本部長これにはどう言った狙いが?」

 

忍田「おそらく牽制でしょう。東隊員を助けに行こうと動けば、自分はいつでも落とせるぞと。並の射手相手なら三人は構わず動きますが、一ノ瀬隊員のポジションは万能手、しかも完璧万能手に近い人物です。そして何より射手の腕なら二宮隊員や出水隊員を遥かに凌ぎますからね。これはまず東隊員は取られるでしょう」

 

忍田の解説通り東は米屋により緊急脱出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜斗「よし2人ともナイス。それじゃそっから1対1でもやってみるか、三上ちゃんすまないが太刀川さんと二宮さんにマーカー着けてくれる?あと北東で開けてる場所と、南東での曲がり角が多いとこにもマーカーお願い」

 

三上『は、はい!…こんな感じでどうでしょう?』

 

北東がおー公園ねいい感じだな、んで南東もいいやりやすそうだな。

流石歌歩ちゃんだね

 

夜斗「バッチリだよ、ありがと。もう分かったと思うけど、陽介は北東で太刀川さん、公平は南東で二宮さん、それぞれ誘導してあげるから楽しんで来いよ。7連勝したら3人でご飯ご馳走するから出しつくせよ〜あと歌歩ちゃん地形データとかわかる範囲送って。そしたら2人のサポート重視で引き続きよろしく」

 

出水『よっしゃ!やるぞ槍バカ!焼肉だ!』

 

米屋『誰が槍バカだこの弾バカ!だがこれで俄然面白くなってきた!』

 

三上『了解です!データ送信完了!ご飯楽しみにしときます!』

 

ご飯の話したらみんなそればっかになってるけど…まぁいいか!歌歩ちゃんは別でラーメン屋にも連れてってあげよ。

とりあえず蒼也以外は散らすから、データとか見てトリオン感知して…“トマホーク”

 

夜斗は9×9×9=729に分割したトマホークを三等分し、1人あたりに243個のトマホークを放った。

一つ一つ自在に軌道を操り、太刀川を北東、二宮を南東そして風間を自分の方へと誘導していく

 

よしよし、良い感じにばらけさせたかな

んでさっきから大人しい迅たちは…

 

夜斗が視線を下に向けると、地面に亀裂が入り、そこから大量のアステロイドが夜斗を襲った。

 

まぁコソコソと近づいて来てたのはわかってたよ。そして後ろには加古さんの“ハウンド”でしょ?

 

夜斗はアステロイドを、グラスホッパーで素早くかわすと、予想通り回避した先にはハウンドが放たれていたが、夜斗は特に焦ることもなくバイパーで相殺した。

 

小南「今回は絶対勝ーつ!」

 

迅「俺も少し本気で行くからな、夜斗」

 

夜斗「流石の連携だねー、んじゃ…」

 

上から戦斧を構える小南、右からは迅がスコーピオンの二刀流で迫って来た。

それまでの一連の連携を見た夜斗は、

 

「一気に4pt貰うね?」

 

ニヤリと不気味な笑顔を浮かべた



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チーム戦②

夜斗は不気味な笑みを浮かべながら、迫って来る迅と小南を見ていた。

 

夜斗「桐絵には悪いけど…先に落ちてもらう」

 

夜斗が小南に殺気を放ち、小南はその殺気にゾクッと体が恐怖に包まれ隙ができた。夜斗はその一瞬を逃さなかった。

小南がなんとか戦斧を振り下ろした瞬間、何故か攻撃を仕掛けた小南が後方に吹っ飛んだ。

 

小南「なんで…ってまさか!」

 

小南は吹き飛びながらも自分がいた所を見た。そこにあったのは夜斗の前にシールドのように設置されてた正方形の板。

 

小南「グラスホッパー!?」

 

夜斗「正解」

 

夜斗は小南を追撃しようと、身体を低くし跳躍しようとした。

だが、そこに迅がスコーピオンで夜斗の背中を狙った。

 

迅「…やべ!」

 

迅は、夜斗の背中を刺そうとしていた腕を引っ込め、胸の前にシールドを設置した。そして迅がシールドを設置したと同時に、夜斗の背中から薄く鋭いスコーピオンが伸びてきたが、シールドに阻まれ、スコーピオンが半分折れて地面に突き刺さった。

 

迅(あぶね〜!こいつ可能性のある未来が多すぎて俺のサイドエフェクトがあんま意味ないからな)

 

迅はバックステップで一旦距離を取ろうとしたが、バランスを崩して転倒した。

 

迅「…え?」

 

迅は自分の足を見ると、そこにあるはずの足はなくトリオンが流れていた。

迅はまさかと思って夜斗の足元をよく見ると、夜斗の足場にかなり小さく亀裂が入っていた。

 

迅(”もぐら爪(モールクロー)”!?いや、だったらもう少し大きく亀裂が入ってるはずだ…まさか!?」

 

迅は先ほど、自分のシールドによって折れたスコーピオンを見た。普通なら折れたスコーピオンは消していたりするが、このスコーピオンは折れた状態のままだった。

 

夜斗「お、結構あっさり種割れちゃったか」

 

夜斗は背中から生やしたスコーピオンを、本来ならスコーピオン2本を繋げて距離を伸ばす“マンティス”を応用させ、シールドによって折れたように見せスコーピオンを一本分解させ、地面に残し“もぐら爪”で地面からスコーピオンに繋げて、再び“マンティス”を発動させ迅の足を斬ったのだ。

しかも夜斗はその一連の流れを瞬時に行った。

それほどの戦闘センスと技術を兼ね備えているボーダー隊員は、おそらく現在所属している中にはいないだろう。

 

夜斗「それじゃ宣言通り、桐絵から」

 

夜斗は小南を落とすため跳躍した。右手には孤月を装備し、一気に小南との距離を詰める。

だが小南もやられっぱなしではない。メテオラでの両攻撃を夜斗に浴びせるも、グラスホッパーでパチンコの玉のように射線を避け、小南を切り捨てた

 

『戦闘体 活動限界 緊急脱出』

 

夜斗により光の柱になって消えた小南。おそらく栞に愚痴るだろうな、なんて考えが脳裏に過ぎるも、まだ戦闘はお終わってないので切り替えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、スクリーン側では

 

武富「一ノ瀬隊員!見たこともない技術で迅隊員の足、そして小南隊員を落とした〜!少数チームが2点リードだ!それにしても一ノ瀬隊員が迅隊員の足を奪った方法はなんなんでしょう?忍田本部長わかりますか?」

 

武富に聞かれた忍田は、その方法を説明した。C級隊員は説明されてもどれほど凄いのかあまりわからなかったが、その他のモニターを見ていたA、B級隊員は一ノ瀬の凄さに驚愕していた。

 

林藤「あいつはボーダーにあるトリガーは全部使いこなせるからな。個人戦をやってないだけで、あいつの技術と実力は実際どれもマスタークラス、うちのレイジと同じ完璧万能手と一緒だ!それにあいつは対複数戦においては滅法強いから、他のチームは夜斗を10本中、半分ぐらい落とせたら大勝利じゃねえかな」

 

武富「は、半分ですか…では一ノ瀬隊員がどれくらい落とされるのかそこにも注目していきましょう!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

桐絵は落としたな。あとはレイジと望、それと完全に盾役の迅か…

レイジはここで俺を落とすつもりか全武装(フルアームズ)を起動してるし、望はハウンドを展開、蒼也はバッグワームでチャンスを伺っているのか知らないが待機中。となると次に取りやすいのは…

 

夜斗「バイパー」

 

加古「やっぱり私よね」

 

全武装のレイジを相手にするなら、1体1の方がやりやすいからな。

レイジの狙撃防止のため望を間に挟むか

 

夜斗はグラスホッパーとアステロイドを巧みに使い、加古の背後に回りレイジと夜斗で加古を挟むような立ち位置にした。

だがレイジはハウンド弾のアサルトライフルで夜斗だけを狙い、加古もアステロイドを夜斗に放った。

 

夜斗「“アステロイド”、“バイパー”」

 

それを夜斗は、加古のアステロイドを、かなり細かく(・・・・・・)分解した同じアステロイドで相殺し、バイパーでレイジのハウンドを打ち落とし、さらに余ったバイパーでレイジを奇襲するも、全武装の防御により阻まれてしまう。

そして加古は再びアステロイドを展開したその瞬間、加古は姿を消すと夜斗の後ろに。“テレポーター”という、目線の先の数十メートルの距離に瞬時に移動できるトリガー。

それを使用して再び、夜斗をレイジと挟み撃ちにすると、2人同時にアステロイドを使用。

それをグラスホッパーで横へ回避。しようとしたその時、夜斗の回避先へ壁が出現し進路を塞いだ。

防御用トリガーの“エスクード”。任意の場所に障壁を発生させるトリガーで、このトリガーと相性が良く、装備している人物はこの中で1人しかいない。

迅はニヤッと笑みを浮かべた。どうやら夜斗が回避する未来を見て、進行方向へエスクードを発生させたようだ。

退路を絶たれた事で加古とレイジのアステロイドに挟まれる夜斗。

だが瞬時に夜斗は足元にグラスホッパーを出して思いっきり踏む。

宙に逆さまになりながらもなんとかアステロイドは頰をかすめる程度に避けると自分が設置していた罠を発動させた。

 

夜斗「…アステロイド」

 

ぼそっと呟くと、加古とレイジの足が蜂の巣になった。

加古とレイジは一瞬何が起きたか理解できなかったが、すぐに自分たちの足を撃った物の正体が分かった

 

加古「“アステロイド”…残していたのね」

 

レイジ「まさか加古のアステロイドを相殺した時からか!」

 

加古とレイジの読み通り、その正体はアステロイド。夜斗はサイドエフェクトによりトリオンの操作が他のボーダー隊員よりも桁外れに優れている。

例えばアステロイドを細かく分解しても、さらにその一個を複数に分解することが可能なのだ。その小さいアステロイドを地面に撒き散らし、罠として忍び込ませていたのだ。

 

足がなくなり、倒れる加古とレイジ。だが地面に触れる瞬間、2人の体は上へと跳ね飛ばされた。夜斗が2人の地面にグラスホッパーを設置したのだ。

そしてレイジの方にさらにグラスホッパーを展開させ加古の方へと近づかせると、夜斗自身もグラスホッパーを使い、レイジと加古から少し距離を取った。

その様子を見ていた迅は冷や汗をかきながらも、空を見上げて軽く笑った

 

迅(あ〜こんな未来見たくなかったな…)

 

迅は見てしまったのだ。自分たちがこれからどうなるのかを…

一方で夜斗は悪魔のような笑み浮かべながら、自身の莫大なトリオンキューブを出現させると数個に分解することなく、そのままキューブの状態で加古達へ投げ込んだ。

加古とレイジは自分たちの結末を悟ったのか、目を瞑り抵抗することもなく投げ込まれたトリオンキューブに当たった。

その瞬間

 

ドオォォォン‼︎

 

巨大な爆発があたり一面を飲み込んだ。

夜斗はグラスホッパーでさらに距離をとったので爆発に巻き込まれることはなかった。

 

その爆発の中、緊急脱出(ベイルアウト)を意味する光の柱が3本昇った。

しばらくして爆発が止み終えると、さらに別の方で3本緊急脱出した。

 

三上『夜斗さん!出水先輩が二宮さんと引き分け、米屋先輩が太刀川先輩の右腕を奪い他にも多数の傷を付けて緊急脱出しました!

あとは風間さんと太刀川さんだけです!』

 

夜斗「了解。2人とも大奮闘で凄いじゃん、お疲れ様。これは焼肉は一番上のコース決定だね。

まぁすぐに終わるから次の準備でもしときなよ」

 

出水「おー!ありがとうございまーす!」 

米屋「くあ〜!今度こそ勝てると思ったんだけどな。次にリベンジだな」

 

公平も陽介も、あの2人をそこまでやったのは素直に凄いな。

これで残りは負傷者の慶に蒼也ね。立場が逆だったら色々とめんどくさいけど、片手の慶に俺は手こずらないし蒼也の戦法は俺には効かない。

少し意地悪だけど中距離を保ってやり合うか

夜斗はサイドエフェクトで風間と太刀川の居場所を特定し、2人への攻撃を開始した。

 



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