骸骨ネクロマンサーは怖がられる【旧題:ゲーム世界でネクロマンチックな骸骨として自由に生きていく】 (毒肉)
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一話 サービス開始

 暇なので書いてます。
 文を書くのが苦手な一般学生なので、矛盾や誤字脱字等が目立つ事があるかもしれません。
 不愉快に思われた方は、ブラウザバックをオススメします。


『Free Race World Online』

 通称FRWO

 ダイブ型VRゲームの中でも、注目のゲームタイトルだ。

 ジャンルは剣と魔法の王道ファンタジー。

 レベルはスキルだけ存在し、種族やプレイヤーには設定されていない。

 職業システムは無い。

 その為、ステータスやスキルはプレイヤーの様々な行動によって成長する。

 高性能AI達で管理されたMMORPGだ。

 

 このゲームの最大の魅力、それはなんと言っても人外となってゲーム世界を楽しめる事だ。

 森精人(エルフ)山小人(ドワーフ)獣人(ウェアビースト)吸血鬼(ヴァンパイア)等の人に近いフォルムをした種族ならば他のゲームでも遊べるのだが、このゲームは粘魔(スライム)蜘蛛(スパイダー)(キャット)蠢く骸骨(スケルトン)にだってなれる。

 

 そう。謎の技術によって人型以外の異形となれるのだ。

 

 このゲーム、相当な注目されている。

 どれくらい注目されているかと言うと、作製会社がある程度大きめに想定していたレベルを大きく上回る反響があったくらいだ。

 なので、早い者勝ちを防ぐ為、応募をしてランダムに抽選する事を運営が発表している。

 当然、倍率は恐ろしい程に高くなったのだが……

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「当たった?!は?マジで?!?!」

 

 男に男勝りな口調で喋りかけている彼女は、羽崎奈乃花(はざきなのか)

 日焼けした肌にショートの黒髪、背が高く整った容姿をしているが、ゲームやアニメ等が趣味。

 俗に言う、運動出来る系オタクである。

 

「フッ、それがマジなのだよ!奈乃花君。」

 

 男は自慢げに言い放つと、奈乃花は目を細め一言。

 

「なんだよその喋り方、キモっ」

 

「は?」

 

「は?」

 

 一方がボケをかまし、もう一方が「は?」や「あ?」と返し、相手がオウム返しにそれを言う。

 これが男ーーー岡本涼真(おかもとりょうま)と羽崎奈乃花との何時ものやり取りである。

 

「で、そう言うお前は当たったのか?」

 

 涼真は「まぁ、どうせ当たって無いのだろう」と思い、皮肉を込めて質問してみる。

 

「いや、私の反応からして分かってるんだろ?」

 

 涼真は少し考えた後、

 

「あー、お前がなんかそういう事言うって事は、なんかある時だからなぁ……当たってるだろ、お前。」

 

「な?!お前、エスパーか?!」

 

 よっぽど驚いたのか、奈乃花は涼真の机を身を乗り出す様にして肘を伸ばし、両手で台パンをする。

 

「お前が単純なだけだよ。」

 

「ぐぬぬ……」

 

 奈乃花は悔しげに眉にシワを寄せ、歯を噛み締めて拳を握った。

 

「そう言えばお前も当たったって事は、種族はどうするんだよ?」

 

 主語の無い質問に、涼真は直ぐにFRWOの種族システムの事だと考えた。

 

「FRWOか?あー、運営が発表した中からだと……蠢く骸骨(スケルトン)だな。」

 

「スケルトンか、へー」

 

 奈乃花はなかなか面白そうじゃん、と腕を組んでふふっと笑う。

 

「人にばっか聞いてないで、お前のも教えろ。」

 

「私?私はそうだなぁ……やっぱり小天使(リトルエンジェル)とかじゃない?私ってかわいいし!」

 

 キャピ!と言う擬音が聞こえて来そうなポーズを取る奈乃花に、涼真は呆れた顔で口にする。

 

「は?天使?悪魔の間違いだろ。」

 

「あ"?」

 

「あ?」

 

「どう言う事なのか、説明して貰おうじゃないか?りょ、う、ま、くーん?」

 

<キーンコーンカーンコーン>

 

 目が笑っていない笑顔を浮かべながら、涼真に迫ろうとしていたその時、丁度学校のチャイムが教室に鳴り響いた。

 

「ほら、休み時間終わるぞ?」

 

「チッ、放課後覚えてろよ?」

 

 そう言うと、そそくさと自分の席に戻ろうとする彼女だったが、生憎先生に気付かれてしまう。

 

「羽崎ィ!授業は始まっている筈だが?

 金曜日で浮かれるのは分かるが、気が緩み過ぎじゃないか?」

 

「げッ、すっすいません先生!」

 

「しばらく廊下に立ってなさい!」

 

「ヒィッ……」

 

 肩を竦め、しょんぼりとした表情で奈乃花はトボトボと教室の出入口へと歩いて行く。

 

「あはははっ、日頃の行いが悪いからそういう事になるんだよw」

 

「何を言っている?岡本、お前もだぞ?」

 

「ハッハッハ……へ?今なんて言いました先生?」

 

 奈乃花を茶化して居ると、先生の思いがけない言葉に涼真は目を丸くして思わず聞き返す。

 

「だから、お前も連帯責任だぞって言っているんだ。当然だろ?

 羽崎が遅れた原因はお前と喋っていた事だ。

 それに、お前も時間になってからも羽崎と喋っていたのを先生は見たぞ。」

 

「なっ!?」

 

 教室がクラスメイト達の笑い声でどっと溢れかえる。

 先生はハァ、とため息をついている。

 まだ外に出ていなかった奈乃花は大笑いしながらこれから共に廊下に立たされる友人に声をかける。

 

「はははは!涼真!残念だったな!」

 

「いや、お前もだろ!」

 

 

 放課後、二人ともめちゃくちゃ怒られた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「はぁ、酷い目にあった。」

 

「誰の所為だよ!」

 

 悪態をつく奈乃花に、涼真は勢い良くツッコミを入れる。

 空はオレンジ色に黒く光り、もう時期日が落ちる頃合だ。

 車通りの少ない閑静な夕暮れの住宅街の道を涼真と奈乃花は歩いていた。

 しばらくの静寂の後、それをかき消すかの様に初めに口を開いたのは奈乃花だった。

 

「それで、いつ始められそうなんだ?」

 

「何がだ?」

 

 奈乃花はそんな事も分からないの?と言わんばかりの表情で言った。

 

「ほら、私達が怒られた原因になった、FRWOだよ。」

 

 涼真はあぁ、成程ね。と小さく呟き、少し考える。

 

「サービス開始って今週の土曜日だっけ?

 明日じゃん……普通に開始時刻に始められそうだけど、お前は?」

 

 そう答えると、奈乃花も少しだけ考え込んだ後、

 

「うん。私も明日に直ぐ始められそう。」

 

 ニッと笑みを浮かべ嬉しそうにそう言うと、そう言えば、と続ける。

 

「放課後、なんか昼間の埋め合わせをして貰える約束だったね?」

 

「は?約束してないぞ、そんな事。」

 

「チッ」

 

「おい、今舌打ちしたろ!」

 

「シテマセンヨー」

 

「吐くならもうちょっとマシな嘘を吐け。」

 

「チッ」

 

「おい、お前また……」

 

「はいはい、分かった分っかりましたよー」

 

「うざ……あ、もう駅か。」

 

 下らない会話をしていると、駅が前方に見え始める。

 

「じゃあ、また明日。チャットとかゲームの中とかで!」

 

「おう、じゃあまた明日!」

 

 奈乃花は少し駆け足に改札口の向こう側から大きく手を振る。

 それに対し、涼真も手を振り返す。

 

「俺も帰るか。」

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

『ピピピ、ピピピ、』

 

「んんっ、あと少しだけ…………もう朝か……。」

 

 自室に鳴り響くアラームの甲高い音と、カーテンの隙間から射す光に唸り声を上げながら、涼真は布団から起き上がる。

 涼真は寝癖を直して顔を洗い、朝食を済ませ、用を足し、自室の勉強机に置かれた大きなダンボールを開封する。

 そう、『Free Race World Online』を遊ぶハードだ。

 

「コンセントコンセント……あった。

 確かサービス開始は朝の九時。間に合いそうだ。」

 

 涼真が見る先には画面に【8:34】と映し出されたデジタル時計がある。

 

(今からキャラクリエイトしたら、九時に間に合うかな?)

 

 ダンボールから出したフルフェイスヘルメットの様な機械を頭に装着し、電源を入れ、ベッドに横たわる。

 目元の部分に付いた半透明の板状のモノに文字が浮かび上がる。

 

 

ダイブしますか?

→[はい]

 いいえ

 

 

(はい、っと)

 

 思考操作で「[はい]にする」と念じると、NowLoadingの文字と残像を残し円をなぞる様に回るマークだけが書かれた画面に切り替わる。

 

 

NowLoading……

 

 NowLoading……

 

  NowLoading……

 

   NowLoading……

 

    NowLoading……

 

 

 

準備完了!

ダイブを開始します!

 

 

 準備完了の文字が浮かび上がると同時に、ピコン!と言う軽い効果音の様な音が鳴る。

 長ったらしいロードを終え、いよいよゲームが開始する。

 直後、涼真の視界は暗転し、意識が途切れた。




 不定期更新です。
 突然アイデアが湧かなくなってエタる事もあります。御容赦下さい。
 気長に更新を待ってくれると、助かります。
 良ければ、ブックマーク・高評価・コメント・拡散等々をして頂けると作者が泣いて裸で狂喜乱舞します。


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二話 チュートリアル

 まだゲームは始まりません……次で始まります。多分、恐らく、知らんけど。

◆あらすじ
・ゲームの抽選に当たった!


 気が付くと、涼真は背の低い草が青々しく生えた草原に居た。

 ポツポツと雲の浮かんだ良く晴れた空の眩しさに、少しだけ眉をひそめる。

 そして目の前に、白いワンピースに黒髪のロングヘア、肌が白く背の低い少女が立っていた。

 

「始めまして、岡本涼真様。(わたくし)は管理AI3-5、ミコとお覚え下さい。

 以後、よろしくお願いいたします。」

 

 ミコと名乗ったその少女は、ワンピースの裾の少し上をつまみ、翼の様に広げてお辞儀をする。

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

 空気読み民族・日本人の性なのか、反射でお辞儀と挨拶を返す。

 ミコは、ニッコリと微笑み話を続ける。

 

「では、早速キャラメイキングをさせて頂きます。そうですね……先ずはこの世界でのお名前を決めて頂きますね。」

 

 ミコがそう言うと、涼真の目の前に半透明のウィンドウの様なモノが現れる。

 ウィンドウには、長方形の図形が中心に書かれている。

 涼真が図形をタップすると、もう一つキーボードが付いたウィンドウが現れる。

 

(つける名前はもう決めて有る)

 

「確認します。【オーカ・ルト】様で宜しいですか?」

 

「はい。それでお願いします。」

 

「ちなみに、どんな意味なのか質問しても?」

 

「あぁ、本名が岡本なのと、オカルトや都市伝説が好きな事と、これから選ぼうとしている種族とプレイスタイルを考えてカルト、という事でオーカ・ルトにしました。」

 

「分かりました、良いお名前ですね。

 了解しました。オーカ・ルトで登録します。」

 

「お願いします。あと、長いのでルトって呼んでください。」

 

「了解しました、ルト様。では次は種族を選んで下さい。」

 

 ウィンドウが閉じ、新たなウィンドウが現れる。

 新たな現れたウィンドウには、様々な種族名がズラーッと並んでいる。

 オーカ・ルト(以下、ルト)は五十音順検索でさ行へと飛び、目当ての種族を見つける。

 迷わずタップすると、細かな種族説明とアバターのサンプル、種族のスキル等が表示されている。

 

種族名:【蠢く骸骨(スケルトン)

系 統:アンデッド

スキル:

《呼吸不要》《闇耐性Ⅰ》《飲食不要》

《打撃脆弱Ⅴ》《光脆弱Ⅴ》《浄化脆弱Ⅴ》

《暗視Ⅰ》《聖脆弱Ⅴ》《即死耐性Ⅰ》

《呪耐性Ⅰ》《病毒系状態異常無効》《炎脆弱Ⅴ》

《死霊術耐性Ⅰ》《負の力Ⅰ》《聖域時弱体化Ⅴ》

《肉体ペナルティ軽減Ⅰ》《光魔法習得不可》《聖魔法習得不可》

《スタミナ不要》

説 明:

 生前の怨念が残った死骸に魔力が宿る事によって発生したアンデッドの一種。

 しっかりと埋葬や葬式をされなかった者達、生前に強い未練や恨みつらみがある白骨化死体が動き出した姿。

 

 ルトはウィンドウに書かれた「この種族で決定しますか?YES/NO」のYESを迷わずタップする。

 

「【蠢く骸骨(スケルトン)】で宜しいですか?」

 

「はい。お願いします。」

 

「それでは、【蠢く骸骨】で登録させて頂きます。

 次はスキルを選んで頂きます。スキルは最大で25個選ぶ事が可能です。

 選んだスキルや選ばれなかった残りの枠はゲームが開始すると変更出来ないので、注意して下さい。」

 

「多いですね。」

 

「はい。本ゲームは職業システムが存在しない事と、スキルの獲得手段が難易度が高い場合が多いので、この場で多く選んで頂きます。」

 

 なるほど、とルトが頷くとウィンドウが入れ替わる。

 新しいウィンドウにスキルの名前がズラッと並ぶ。

 ルトは悩みながらも必要そうなスキルや面白そうなスキルを選んで行く。

 

(魅力的なスキルや似てるスキルが多くてどれを取るか迷うな……)

 

スキル:

《魔力操作Ⅰ》《魔力自動回復Ⅰ》《魔力感知Ⅰ》

《闇魔術威力上昇Ⅰ》《気配察知Ⅰ》《体力自動回復Ⅰ》

《死霊術威力上昇Ⅰ》《呪術威力上昇Ⅰ》《死霊術Ⅰ》

《鑑定Ⅰ》《錬金術Ⅰ》《闇魔術Ⅰ》

《杖術Ⅰ》《隠密Ⅰ》《言語学Ⅰ》

《無魔術Ⅰ》《風魔術Ⅰ》《水魔術Ⅰ》

《工作Ⅰ》《呪術Ⅰ》《魔力上昇Ⅰ》

《精神強化Ⅰ》《魔耐強化Ⅰ》《知力強化Ⅰ》

《俊敏強化Ⅰ》

 

(うん、こんなものか。)

 

 出来上がった事を察したのか、ミコは口を開く。

 

「スキルは決まりましたか?不具合が無いか、もう一度ご自分の目でご確認ください。」

 

 ルトは間違いが無いかスキル一覧としばらくにらめっこした後、問題無い事を確認する。

 

「問題ありません。コレでお願いします。」

 

「了解しました。最後に、アイテムを支給させて頂きます。

 いくつか選べるようになっているので、ご自分で選んでみて下さい。」

 

 そう言うとウィンドウには装備やアイテム等が並ぶ。

 タップすると、骸骨ーーー恐らくルトのアバターと思われる、がマネキンの様に服を着たり剣や盾を持ったりする。

 

(こんな所か)

 

・初心者の木の杖

・初級冒険者の長袖シャツ

・初級冒険者の長ズボン

・初級冒険者の靴下

・初級冒険者の靴

下級負傷魔術薬(レッサーダメージポーション)×5

下級魔力回復魔術薬(レッサーマナポーション)×5

 

(どうやら、アンデッドの保有スキル《負の力》で回復アイテムでダメージを受けて、負傷アイテムで回復するらしい。説明を良く読んでおいて正解だったな。)

 

「これでお願いします。」

 

「了解しました。では、次にチュートリアルを開始します。宜しいですか?」

 

 現れたウィンドウには「チュートリアルを開始しますか?YES/NO」という文字が書かれている。

 ルトはYESを押し、お願いしますと軽くミコにお辞儀をする。

 

「それでは、チュートリアルに移行します。」

 

 ミコがそう言うと、景色が一気に移り変わる。

 コケの生えた石造りの閉鎖的な、トンネルの様な場所。

 壁には松明が設置されており、周りを薄暗く不気味に照らしている。

 一言で表すならば「ダンジョン」と言う言葉が良く似合う場所だ。

 

「では先ず、ルト様は人外プレイヤーと言う事で、自分の体に慣れて貰います。」

 

 ミコがそう言った瞬間、ルトは全身の感覚に違和感がある事に気づく。

 肉や皮の感覚が無いのに体は動く何とも言い表しづらい不思議な感覚だったが、ミコの指示通りに軽い運動や体操をする事で少しづつ違和感は消え、馴染んでいった。

 

「では次に、ルト様は魔術を扱うという事なので、魔術の練習をさせて頂きます。

 なお、チュートリアルなのでスキルに経験値は入らないので、そこは御理解下さい。」

 

「分かりました。」

 

「では、先ずは自分の体の中に流れる魔力の流れを感じてみて下さい。」

 

「魔力の流れ、ですか?」

 

「はい。肉体の無いルト様でも、血の循環の様な感覚があるかと思います。それを感じるのです。」

 

 いきなりそんな事を言われても、とルトは思うが、直ぐにミコが言う体の中を巡るナニカの感覚を感じ取る。

 やがてそれが粘り気のある液体を掴む様な感覚で、形作る事が出来る事に気が付く。

 

「おお、中々良い線ですね。普通はもっとかかるものなのですが。」

 

「いえ、このゲームの前にやっていたゲームでも魔法職だったので、感覚は少し違いますが似た物があったので。」

 

「なるほど。では、そのまま魔術の発動まで行きましょう。魔力を手のひらや杖の先に送るのをイメージして下さい。

 そのまま流れる水や燃え盛る炎等、発動したい魔術のイメージをするんです。

 今回発動するのは闇魔術の初級魔術、<闇球(ダークボール)>です。影が玉になり、相手に当たるイメージをするのです。

 魔術は詠唱を行わなければいけませんが、普通はイメージすると詠唱句と発動句が頭に浮かんで来るはずです。」

 

 ルトは早速、言われた通りに想像してみる。

 すると直ぐに紫と黒の霧の様なモノがルトの手のひらに集まっていき、握り拳より少し大きめの球体が出来上がる。

 

「では、あちらの的に向かって発射するイメージで発動してみて下さい。」

 

 いつの間にか立っていた棒に大きな円形の的がついた物体を指差してミコは言う。

 

「闇よ、球となって敵を撃て!<闇球(ダークボール)>!」

 

 手のひらから放たれた球体は飛んで行き、的の中心より少しズレた位置に当たり、的にヒビを入れて消えていった。

 

「おめでとうございます。今のが魔術です。では、次の項目ですが、スキル《杖術》をお選びになられた様なので、杖の使い方についてになります。」

 

 ミコは説明を続ける。

 

「杖は、打撃系統の武器、及び魔術の発動を手助けする魔術補助具と呼ばれる物となります。

 使い方としては、敵にバットの様に振りかざして殴打する、魔術を手のひらではなく杖から発動させる事によって、同じ魔術でもより高い出力をする事が可能です。」

 

 実際にやってみて下さいと微笑むミコの隣に、頭上に【子供小鬼人(リトルゴブリン)】と書かれた小さなウィンドウが浮いている異形が現れる。

 肌はくすんだ緑、二つの角の様なコブ、猫の様に縦に割れた瞳孔に黄色の目。

 背丈は人間の子供ほどで、痩せているが筋肉はついているといった印象を受ける。

 口にはボロボロの牙が生えており、ヨダレを垂らしながら「ギギャググャ」と気味の悪い汚い鳴き声を上げている。

 手には不格好な棍棒の様な物が握られており、あれで敵を殴るのだと一瞬で理解出来る。

 

(いかにもThe・ゴブリンって感じだな。)

 

「準備は宜しいですか?では、戦闘チュートリアル、スタートです!」

 

(え!?戦闘?聞いてないですけど!)

 

 焦ってオドオドするルトとは対照に、リトルゴブリンはルトへ勢い良く突進する。

 

「チィッ!ええいままよ!」

 

「ギャギャッ!」

 

 幸い、ルトの持つ杖の方がリーチが長かった為、ゴブリンを先制攻撃する事が出来た。

 

「ギャグッ、!」

 

 ゴブリンは叩かれて痛そうにするが、物理に貧弱なスケルトンの体では、ゴブリンを一撃で仕留める事は出来なかった。

 

「グッギャギャルッ!」

 

 反応に遅れたルトに、間合いに入ったゴブリンがすかさず肋骨の辺りに棍棒を振るう。

 

「グハッ?!」

 

 ルトは痛みを感じないものの、あまりの衝撃に思わず声を漏らし、よろけて後退りしてしまう。

 ゴブリンは殴られた相手が苦しむのを見て喜んでいるのか、グギャグキャと笑っている。

 

「あんまり調子に乗るなよ!」

 

 ルトはそう言うと構えを取る。

 神経を集中させ、魔力を杖へと送る。

 

「闇よ、球となって…………」

 

 ゴブリンはルトの様子がおかしい事に気付き、慌てて距離を詰めて殴り掛かる。

 

「……<闇球(ダークボール)>!」

 

 しかし、ゴブリンの棍棒が届くより僅か先に、ルトの闇球が発動する。

 至近距離から放たれた魔術にゴブリンは吹き飛び、全身がポリゴン状のエフェクトに包まれて消えていった。

 

「お疲れ様です。ルト様。【子供小鬼人(リトルゴブリン)】の討伐、おめでとうございます。」

 

「ありがとうございます。」

 

 ぐったりした様子のルトに、ミコは語りかける。

 スケルトンの体にスタミナや呼吸と言う概念が無いが、精神的なモノや焦りからの解放等、慣れないルトはどうしても少し疲れてしまう。

 

「お疲れの様ですが大丈夫ですか?以上でチュートリアルは終了となります。お疲れ様でした。」

 

「大丈夫です……(貴方の所為なんですけどね。)

 ……お疲れ様でした。所で、今が何時か分かりますか?」

 

「分かりますよ、AIなので。」

 

 ミコは良く分からない事に胸を張りながら指パッチンをすると、ルトの目の前にデジタル時計の書かれたウィンドウが現れる。

 

「現在の時刻は8時59分。後ちょっとでゲームの正式サービスが開始となります。」

 

「ありがとうございます。」

 

 ルトはまだそんなに立っていなかったのかと考えたが、直ぐに時間加速でゲーム時間は現実時間の三倍という事を思い出す。

 

「では、そろそろお時間です。我々はプレイヤーの皆様のより良いゲームライフを、心よりお祈り申し上げます。それでは。」

 

「はい、ありがとうございます。お世話になりました!」

 

 別れの挨拶をミコに告げると、再び涼真の視界は暗転し、意識が途切れた。




 友達に【情景描写が少ない】【難しい漢字が多い】といった意見をもらったので、描写は増やしたのですが、漢字は少ない方が良いかどうか、感想にコメントしてもらえると今後の参考になります。
 また、矛盾や誤字脱字やらのミス、ここはこうした方が良いなどのコメントも、お待ちしております!

◆ステータス
名前:オーカ・ルト
性別:男
年齢:16
種族:
蠢く骸骨(スケルトン)
カルマ:-10(小悪)
ポイント:50

HP:10/10
MP:10/10(+2%)
STM:─/─
筋力:Ⅰ
物耐:Ⅰ
魔耐:Ⅰ(+2%)
健康:Ⅰ
器用:Ⅰ
俊敏:Ⅰ(+2%)
知力:Ⅰ(+2%)
精神:Ⅰ(+2%)

スキル
・種族スキル
《呼吸不要》《闇耐性Ⅰ》《飲食不要》
《打撃脆弱Ⅴ》《光脆弱Ⅴ》《浄化脆弱Ⅴ》
《暗視Ⅰ》《聖脆弱Ⅴ》《即死耐性Ⅰ》
《呪耐性Ⅰ》《病毒系状態異常無効》《炎脆弱Ⅴ》
《死霊術耐性Ⅰ》《負の力Ⅰ》《聖域時弱体化Ⅴ》
《肉体ペナルティ軽減Ⅰ》《光魔法習得不可》《聖魔法習得不可》
《スタミナ不要》

・スキル
《魔力操作Ⅰ》《魔力自動回復Ⅰ》《魔力感知Ⅰ》
《闇魔術威力上昇Ⅰ》《気配察知Ⅰ》《体力自動回復Ⅰ》
《死霊術威力上昇Ⅰ》《呪術威力上昇Ⅰ》《死霊術Ⅰ》
《鑑定Ⅰ》《錬金術Ⅰ》《闇魔術Ⅰ》
《杖術Ⅰ》《隠密Ⅰ》《言語学Ⅰ》
《無魔術Ⅰ》《風魔術Ⅰ》《水魔術Ⅰ》
《工作Ⅰ》《呪術Ⅰ》《魔力上昇Ⅰ》
《精神強化Ⅰ》《魔耐強化Ⅰ》《知力強化Ⅰ》
《俊敏強化Ⅰ》


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三話 初めての戦闘と配下

やっとゲームスタートです。戦闘描写ってムズくね?

◆あらすじ
・キャラ作って魔術使った!


 目が覚めるとルトは木の生い茂る森の中に居た。

 

 通常、FRWOでは人間(ヒューマン)やそれに近い種族が住む「始まりの街」がスタート地点となる。

 しかし、種族に魔物や動物等を選んだプレイヤーは山や森、海や洞窟等からスタートする様に設定されている。

 もっとも、このゲームの最大の売りは異形の人外になれる事であるので、人間の街が普通、という事も無いのだが。

 

「とにかく、今は敵を倒して他プレイヤーと接触ふるのが目標かな。……なんか反応があるな、これはスキル?《気配察知》か?」

 

 頭の中にどちらの方向にどのくらいの大きさの生物が居るのか、大雑把なイメージが浮かぶ。

 ルトにはその気配に見覚えがあった。

 

(この感覚は知ってる……子ゴブ(リトルゴブリン)か?)

 

 ルトは茂みの奥に居るリトルゴブリンの存在を認識すると、《隠密》を発動させ、直ぐに詠唱を開始する。

 

「……闇よ、球となって敵を撃て!<闇球(ダークボール)>!」

 

 不意打ちで回避が出来ないゴブリンは、吹き飛ぶ。

 

「グギャッ、!」

 

「流石に一発では無理か!水よ、球となって敵を撃て!<水球(アクアボール)>!」

 

 杖から産み出された水は球体を形づくって行き、反撃の隙を与えずにゴブリンの体に命中する。

 

「ギャ、ギャ……」

 

 ゴブリンは体力が削り切られたのか、淡く光るポリゴンとなって死体が崩れる。

 《闇魔術》《水魔術》《気配察知》《隠密》のスキルレベルが上昇している事を確認する。

 死体があった場所には、ゴブリンの持っていた棍棒と小綺麗に切られた肉塊、骨の何本かが落ちている。

 

「《鑑定》。」

 

 ルトはウィンドウに表示された鑑定結果を覗き込む。

 

「【小鬼達の低品質の棍棒】【子供小鬼人の鎖骨】【子供小鬼人の肉塊】……なるほど、これを使えば……!」

 

 ルトはある事を思い付く。

 

(これは、もっとドロップアイテムが必要だ。)

 

 即座に《気配察知》に意識を集中させ、近くに居る魔物を探す。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「風よ、球となって敵を撃て!<風球(ウィンドボール)>!……ふぅ、これで十匹目か。」

 

 リトルゴブリンの上位種、【小鬼人(ゴブリン)】からドロップしたアイテムを回収し、魔力回復までの休憩をする。

 

「それにしてもここら辺はゴブリンばっかりだ。

 たまに獣型や虫型の魔物も居るけど、ほとんどゴブリン、ゴブリン、ゴブリン……何か集落かダンジョンか何かがあるのかね?」

 

 独り言で悪態を付くルトの《気配察知》に、またもやゴブリンの反応が引っかかる。

 

「ひぃ、ふぅ、みぃ、……子供五体に普通一体か、分が悪いな。」

 

 相手はこちらには気付いていない様子だが、それも時間の問題。

 恐らく仲間が大勢居なくなった事で、集団行動を取り始めたのだろう。

 

「よし、本当はゴブリンの本拠地を潰す時に使う予定だったけど。」

 

 そういうとルトはこれまで倒して来たゴブリンの骨をアイテムストレージから取り出し、杖を持ち詠唱を始める。

 

「既に死した骸よ、我が配下となり敵を討ち取れ!<下級不死者創造(ロークリエイトオブアンデッド)蠢く骸骨(スケルトン)>!」

 

 ゴブリンの骨はカタカタと音を立てて動き始め、関節がくっつき、欠損した部分が少しづつ再生される。

 やがてゴブリンの全身骨格がルトに跪く。

 

「《鑑定》。」

 

名前:無し

性別:無し

種族:

蠢く骸骨(スケルトン)(小鬼人(ゴブリン))】

カルマ:-15(小悪)

ポイント:0

 

HP:34/34

MP:7/7

STM:─/─

筋力:Ⅱ

物耐:Ⅱ

魔耐:Ⅰ

健康:Ⅰ

器用:Ⅰ

俊敏:Ⅱ

知力:Ⅰ

精神:Ⅰ

 

スキル

・種族スキル

《呼吸不要》《闇耐性Ⅰ》《飲食不要》

《打撃脆弱Ⅴ》《光脆弱Ⅴ》《浄化脆弱Ⅴ》

《暗視Ⅰ》《聖脆弱Ⅴ》《即死耐性Ⅰ》

《呪耐性Ⅰ》《病毒系状態異常無効》《炎脆弱Ⅴ》

《負の力Ⅰ》《聖域時弱体化Ⅴ》《肉体ペナルティ軽減Ⅰ》

《光魔法習得不可》《聖魔法習得不可》《スタミナ不要》

《棍棒術Ⅰ》

 

(魔力はあと半分くらいだな。思ったよりもアンデッド作成に魔力を使ったな。

 召喚は数分で消える見たいだから、敵に人数がある以上使いたくないし。

 性能テストを兼ねて俺は少し援護するくらいだからこの魔力量でも十分かな?)

 

 

 ここで、《死霊術》について少しだけ補足をさせて頂く。

 現在《死霊術》でルトの使える魔術は<下級不死者創造(ロークリエイトオブアンデッド)>と<下級不死者召喚(ローサモンオブアンデッド)>の二つである。

 この創造と召喚の違いを少しだけ解説する。

 

 創造は何か材料を触媒として使い、アンデッドを作り出す魔術である。

 創造は触媒を使っている為、時間制限が無く、成長するというのが特徴だ。

 また、創造は使用した触媒によって強さや種族、持っているスキル等が細かく別れるので、自由度の高い物と言えるが、当然触媒が強ければ使用魔力も高くなってしまう。

 

 一方、召喚されたアンデッドは使用魔力が少ない変わりに、時間制限付きの成長しないと言うものである。

 ちなみに、時間が経ってしまうと、霧の様に消えてしまう。

 

 

「あのゴブリンの小隊を倒せ。俺も魔術で援護する。」

 

 ゴブリンのスケルトンはカタッと音を立てて頷くと、どこからか取り出した棍棒を手に持ち、一直線にゴブリン達のもとへと走る。

 それに気付いたゴブリン達も、戦闘態勢に入る。

 

 ゴブスケ(ゴブリンのスケルトン)は子ゴブに先制攻撃をして一体を倒す事が出来たが、二体の子ゴブに殴られ、致命傷をおってしまった。

 

(不味い、《殴打脆弱》の事を忘れてた!)

 

「我の魔術で街すらも埋め尽くさん!<魔術範囲小拡大(ローエクスパンションマジック)>!

 呪いよ、奴を傷付けよ!<小負傷(ローダメージ)>!

 呪いよ、奴の躰を堕落させよ!<身体能力微減少(ローフィジカルダウン)>!」

 

 ルトは《無魔術》で範囲を拡張した《呪術》をゴブスケを含む(・・・・・・・)全体にかける。

 

 アンデッドは《負の力》によって一部のバフをデバフへ、デバフをバフへと変換する。

 つまりゴブスケには回復と物理能力上昇、ゴブリン達にはダメージと物理能力の減少がされるのである。

 僅かではあるが、ゴブスケの傷は癒えていき、ゴブリン達は弱っている様に見える。

 

「カタカタカタッ!」

 

 ゴブスケは反撃とばかりに自分を攻撃したゴブリン達を殴りつける。

 弱体化と仲間を殺された事によって、残りのゴブリン達は逃げようとするが、ゴブスケに二体ほど殴り殺されてしまった。

 ゴブスケは残り一人も殺そうとするが、ルトがそれを止める。

 

「待て、そいつは殺すな。逃がせ……うん、支援をしながらなら中々使い物になりそうだな。」

 

 ルトの言葉にゴブスケはカタカタッと嬉しそうに骨を鳴らす。

 

「既に死した骸よ、我が配下となり敵を討ち取れ!<下級不死者創造(ロークリエイトオブアンデッド)蠢く骸骨(スケルトン)>!」

 

 ルトは小鳥型のモンスターの死骸を取り出し、魔術を発動する。

 ルトは鳥スケ(鳥のスケルトン)に逃げていくゴブリンを追いかけさせる。

 

 ちなみに、鳥スケの素材となった【斥候燕(スカウトスパロウ)】は生き残る為に隠密能力と監視能力を進化させ、敵から逃れる事が出来るようにした、と言う設定のモンスターである。

 

「行け。ゴブリンの跡をつけて、アジトがあったら戻って俺達に知らせろ。

 後、俺が着ている装備と似たような装備をした奴らが居れば、それも報告してくれ。」

 

「ピィッ!」

 

 鳥スケはどこから発声したのか分からない鳴き声を上げ、カタカタと飛んで行った。




太陽の外層大気の最も外側にある、100万ケルビン を超える希薄なガスの層》(wiki原マ)ウイルス、早く収まってくれ!
 オンライン授業がつまらな過ぎて死にそうなんだ!

◆ステータス
名前:オーカ・ルト
性別:男
年齢:16
種族:
蠢く骸骨(スケルトン)
カルマ:-10(小悪)
ポイント:50

HP:10/10
MP:17/17(+4%)
STM:─/─
筋力:Ⅰ
物耐:Ⅰ
魔耐:Ⅰ(+2%)
健康:Ⅰ
器用:Ⅰ
俊敏:Ⅱ(+4%)
知力:Ⅱ(+4%)
精神:Ⅰ(+2%)

スキル
・種族スキル
《呼吸不要》《闇耐性Ⅰ》《飲食不要》
《打撃脆弱Ⅴ》《光脆弱Ⅴ》《浄化脆弱Ⅴ》
《暗視Ⅰ》《聖脆弱Ⅴ》《即死耐性Ⅰ》
《呪耐性Ⅰ》《病毒系状態異常無効》《炎脆弱Ⅴ》
《死霊術耐性Ⅰ》《負の力Ⅱ》《聖域時弱体化Ⅴ》
《肉体ペナルティ軽減Ⅰ》《光魔法習得不可》《聖魔法習得不可》
《スタミナ不要》

・スキル
《魔力操作Ⅱ》《魔力自動回復Ⅱ》《魔力感知Ⅱ》
《闇魔術威力上昇Ⅱ》《気配察知Ⅱ》《体力自動回復Ⅰ》
《死霊術威力上昇Ⅰ》《呪術威力上昇Ⅰ》《死霊術Ⅱ》
《鑑定Ⅱ》《錬金術Ⅰ》《闇魔術Ⅱ》
《杖術Ⅱ》《隠密Ⅱ》《言語学Ⅰ》
《無魔術Ⅱ》《風魔術Ⅱ》《水魔術Ⅱ》
《工作Ⅰ》《呪術Ⅱ》《魔力上昇Ⅱ》
《精神強化Ⅰ》《魔耐強化Ⅰ》《知力強化Ⅱ》
《俊敏強化Ⅱ》


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四話 作戦、計画、対策

 更新遅くなりましたね……
 色んなプラットフォームでの更新を開始しました!


 ルトが寄ってきたモンスターをゴブスケと倒して待っているとしばらくして、鳥スケが帰って来た。

 

「ピピィッ!」

 

「お疲れ様、鳥スケ。見つかったか?」

 

「ピッピ!ピィピーピッ!」

 

 鳥スケは嬉しそうにルトの頭上を飛び回り、ルトの指先へ止まる。

 

「なるほど分からん。鳥の言葉なんて分かるはず無いか。」

 

 鳥スケはルトの指の上で、ピ?と首を傾げる。

 

「じゃあ、こうしよう。YESで一回、NOで二回、それ以外で三回鳴いてくれ。分かったか?」

 

ピィッ(YES)!」

 

 鳥スケは力強く一回鳴く。

 

「よし。じゃあ、ゴブリンのアジトは見つかったか?」

 

ピィ(YES)!」

 

「それは良かった。じゃあ、俺と同じ様な服装の奴は見つかったか?あ、言い忘れて居たが、種族は問わないぞ。」

 

「……ピピィ(NO)…………。」

 

 見つけられなかった事でルトに何か言われると思ったのか、それとも何か悔しさ等思う所があったのか、鳥スケは悲しげに弱々しく二回鳴いた。

 

「いや、そんなに落ち込むな。本来の目的では無いし、ここら辺にプレイヤーが居ないって分かっただけで収穫だ。」

 

「ピッピピィ……」

 

「じゃ、ゴブリンのアジトまで案内頼めるか?」

 

ピィッ(YES)!」

 

 立ち直ったのか、元気に一回鳴く。

 任せて!と言っているような気がした。

 

「じゃあ任せる。おいゴブスケ、行くぞ。」

 

「カタカタッ!」

 

 木にもたれ胡座をかいていたゴブスケが立ち上がり、骨を鳴らして返事をする。

 ルト達は鳥スケの後を追って行く。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 しばらくすると、木や藁で作られた家が立ち並ぶ集落の様な場所に辿り着く。

 そこには多くのゴブリン達は焚火の上に獣を吊るし、汚らしい笑い声を上げて飛び跳ねていた。

 

「《鑑定》。」

 

(子ゴブや普通のゴブリンだけじゃなく、【上位小鬼人(ホブゴブリン)】や【小鬼人長(ゴブリンリーダー)】ってのも混じってるな。

 数も多いし今は様子見か。)

 

 ルトはゴブリン達をギリギリ《鑑定》の届く位置から眺め、冷静に分析する。

 

(もう少し配下の数と俺自身の強さを上げてから一気に殲滅するか。)

 

 こうして、ルトのゴブリン殲滅計画は幕を開けたのだった。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 ゴブリンの偵察から帰って来たルトは、先ずは拠点を作ろうと考える。

 基本、アンデッドは日中ジワジワと体力が削れる、身体能力にマイナス補正が付く等のデメリットが存在する。

 ルトはこの問題を《呪術》の逆デバフにより、ある程度抑える事が可能だが、それでは何時までもMPと状態異常の管理等に追われてしまう。

 何より、基本的に魔術以外の行動は配下にやらせるのがルトのプレイスタイルであり、強味であり弱味だ。

 このままでは今以上の強敵と対峙した時、配下を使う為に自分が危ない目に会いかねない。

 日光の避ける場所と日光対策はルトにとって何よりも優先されるべき事なのだ。

 その次に配下の生産と自身の強化、そしてその次が敵対分子の殲滅である。

 

「そうと決まれば早速作るか。一から建てるのも面倒だし、そこら辺の崖に横穴で掘るかな。

 俺は筋力が弱いから掘れないし、そうなるとゴブスケだけじゃ心許ないな。もう何体か作るか。」

 

「カタカタッ!」

 

「どうした?仲間が増えるのが嬉しいか?」

 

「カタッ!」

 

「そうか、じゃあ少し待っててくれ。……魔力は満タン、始めようか。」

 

 ルトはそう言うとアイテムストレージからゴブリンの骨を取り出し、一体分づつ山積みにしていく。

 

 このFRWOはステータスに関する事、例えば筋力なら筋トレ、魔力や知力ならば魔術を使う等をする事によってステータスが成長する。

 そして断続的な《呪術》と敵との戦闘でルトの魔力量は確実に成長していっている。

 

「既に死した骸よ、我が配下となり敵を討ち取れ!<下級不死者創造(ロークリエイトオブアンデッド)蠢く骸骨(スケルトン)>!」

 

 しかし、そんな増やした魔力も二体ものスケルトンを作る事によって、簡単に消費されてしまう。

 消費した魔力を初めに貰ったのポーションで補い、新たに作られたスケルトン達にも《呪術》を行使する。

 

「成功だ。お前達は今日からゴブ(ツー)とゴブ(スリー)だ。」

 

「「カタカタッ!!」」

 

 二体のスケルトンは嬉しそうに骨を鳴らし、胸に手を当てて敬礼する。

 

「うん、いい心構えだ。早速だが、そこのゴブスケと一緒に洞穴を掘って欲しい。道具は…………そうだ道具、道具が無かったんだった……!」

 

 ルトは自分の道具の存在を思い出し、落胆と思考の間に揺れる。

 

「硬い骨で掘削出来たりは……」

 

 僅かな期待を抱いて質問するルトに、ゴブスケ三人衆は申し訳無さそうに首を横にカタカタと振る。

 

「……そうか…………骨で掘れたら良いんだけどなぁ……あ、そうだ!骨で掘れ無いなら骨を使って掘れば良いんだ!」

 

「「「カタカタ?」」」

 

 ゴブスケズはルトの発言を聞いて不思議そうに互いを見つめ合って首を傾ける。

 

「つまりこういうことだ。俺の《工作》スキルで骨のピッケルを作れば良い、って話だ!」

 

 ゴブスケズが納得したかの様に頷いていると、ルトはストレージからあるだけの骨を集め、周囲の木に絡まっているツタを採取し、組み合わせていく。

 

「これをこうしてこうか?いや、上手くいかないなぁ。……お、《工作》レベル上がった!…………なるほど、ここをこうすれば良いんだな…………?」

 

 鳥スケが周囲の見回り、ゴブスケズが寄ってきたモンスターを倒している中、ルトは試行錯誤してピッケルを完成させようとする。

 

「あーなって、こーなって…………出来た!……もうこんな時間か。」

 

 気付けばゲーム時間内でログインから六時間が過ぎ、初めはレベル1だった《工作》が3レベルまで上昇していた。

 

「おいお前達、ピッケルが完成したぞ。目指すはあの崖だ。」

 

 ルトは遠くの方に木々の間から見える、ルト達が今居る位置から一番高い崖を指差し、ルト一行は目的地へと歩き出したのだった。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「……やっと着いたな。もっと近場でも良かったかも。」

 

 愚痴るルトを横目に、ゴブスケズは早速ピッケルを手に持ち、岩を掘り始める。

 静かな森の奥では、風とそれに揺れる木の葉の音、鳥スケとさえずりやゴブスケズの骨の音とカンカンという岩を削る音が良く聞こえた。

 

「俺も待ってる間に何かするか。そういえば、ポイントを使ったスキルの習得はまだだったな。」

 

 ポイント。FRWO内において自分の習得可能なスキルを一覧から選び、獲得する際に消費する物の事である。

 これは配下を持ったルトだからこそ開示された情報だが、主人は自身のポイントを使って配下にスキルを覚えさせる事も可能である。

 

 ポイントの入手方法は主に三つ。

 一つ、初めてゲーム世界に降り立った時に貰える50ポイント。

 二つ、ボスと言われる強力なモンスターを初めて倒した際に貰える10ポイント。

 三つ、全プレイヤーの中で一番最初にダンジョンやボスや新しい分類のアイテムを発見した際に貰える15ポイント。

 ルトが所持しているのは現在50ポイントである。

 

 ルトがメニューウィンドウからスキル習得を選択すると、五十音順にスキルがズラッと並ぶ。

 スワイプしながらに流し見ていると、《採掘》の文字が目に入る。

 

(これをゴブスケズに習得させたら、拠点作りが捗るかな?……一つ3ポイントか。出費はかさむけど、拠点は早く出来た方が良いし、《錬金術》や《工作》で鉱石類は今後使う事が増えそうだし、取っておくのも手かな。)

 

 ルトは《採掘》の文字をタップし、9ポイント支払ってゴブスケズにスキルを取らせる。

 

「カタッ?」

 

「カタカタッ」

 

「カタカタカタッ!」

 

 直後ゴブスケズの岩を掘る動きやスピードが目に見えて早くなり、ゴブスケズは御礼をしているのかカタカタと骨を鳴らした。

 

「ピピピッ!」

 

「なんだ鳥スケ、お前も何かスキルが欲しいのか?」

 

ピッ(YES)!」

 

 鳥スケはルトの指先に止まると、その通り!と言わんばかりに翼の片方を挙げて一回鳴いた。

 

「分かったよ、可愛い奴め。どれが良いんだ?」

 

 ルトはウィンドウの前に手を持って行き、鳥スケにスキル一覧を見させ、スワイプさせて行く。

 

「ピーピッ!」

 

「ん?これが良いのか?」

 

 鳥スケの翼の先には《監視》の文字があった。

 ルトは3ポイントを支払い、鳥スケに新しいスキルを与えた。

 

「これからも頑張ってくれよ。」

 

ピィッ(YES)!」

 

 鳥スケは嬉しそうに鳴くと、見回りなのか森の中へ飛んで行った。

 

「さて、自分のスキルを増やしますか。」

 

 ルトは自分のスキルと習得可能スキルを見つめる。

 

《魔力操作Ⅲ》《魔力自動回復Ⅲ》《魔力感知Ⅱ》

《闇魔術威力上昇Ⅲ》《気配察知Ⅱ》《体力自動回復Ⅱ》

《死霊術威力上昇Ⅱ》《呪術威力上昇Ⅱ》《死霊術Ⅲ》

《鑑定Ⅱ》《錬金術Ⅰ》《闇魔術Ⅲ》

《杖術Ⅱ》《隠密Ⅱ》《言語学Ⅰ》

《無魔術Ⅲ》《風魔術Ⅱ》《水魔術Ⅱ》

《工作Ⅲ》《呪術Ⅲ》《魔力上昇Ⅲ》

《精神強化Ⅰ》《魔耐強化Ⅰ》《知力強化Ⅲ》

《俊敏強化Ⅱ》

 

「残り38ポイント、使うとしたら30代までかなぁ……」

 

 ルトは独り言を呟きながら画面をスワイプしていく。

 

「とりあえず、光以外の魔術を取っとくか。3ポイントだし。」

 

 ルトは6ポイントで《火魔術》《土魔術》を習得する。

 

「ちょっと余っちゃったなぁ。2ポイントで取れるスキルは……お、《細工》ってのがあるのか。」

 

 《細工》とは、《工作》や《錬金術》、《鍛冶》といった物を生産するスキルにちょっとしたギミックを施すスキルである。

 生産プレイヤーが発展して欲しい、工夫して色々な効果のアイテムを作って欲しいと言う運営の意向により、《細工》の必要ポイントは低く設定されているのである。

 

 ルトは迷わず《細工》スキルを習得した。

 丁度そのタイミングで、ゴブスケズが洞穴を掘り終わり、ルトのもとへ駆け寄って来た。

 

「掘れたのか?お疲れ様。」

 

「「「カタカタカタッ!!!」」」

 

 ゴブスケズは返事をする様にに骨を鳴らす。

 中に入ると、人二人通れそうな通路の奥に、十畳程の部屋があった。

 

「良いじゃないか!三人ともお疲れ様。掘り終わって直ぐの所を悪いが、これからお前達やこれから増やす配下用の部屋と、アイテムを保管する物置部屋を作って欲しいんだが、お願い出来るか?」

 

 ゴブスケズはカタカタと首を縦に振る。

 

「ありがとう。それと、掘った時に出て来た岩なんかは俺に渡してくれ。もしかしたら鉱石が混じっていたりするかも知れない。」

 

 ゴブスケズは再び首を縦に振り、ツルハシを手に持ち作業を再開する。

 

「さて、俺はさっき思い付いたモノの実験でもするか。まずは素材だよな」

 

 ルトは独り言を呟き、顎に親指の腹と人差し指の横腹を当てながら、洞穴から出ていったのだった。





名前:オーカ・ルト
性別:男
年齢:16
種族:
蠢く骸骨(スケルトン)
カルマ:-12(小悪)
ポイント:30

HP:10/10
MP:31/31(+6%)
STM:─/─
筋力:Ⅰ
物耐:Ⅰ
魔耐:Ⅰ(+2%)
健康:Ⅰ
器用:Ⅰ
俊敏:Ⅱ(+4%)
知力:Ⅲ(+6%)
精神:Ⅰ(+2%)

スキル
・種族スキル
《呼吸不要》《闇耐性Ⅰ》《飲食不要》
《打撃脆弱Ⅴ》《光脆弱Ⅴ》《浄化脆弱Ⅴ》
《暗視Ⅰ》《聖脆弱Ⅴ》《即死耐性Ⅰ》
《呪耐性Ⅰ》《病毒系状態異常無効》《炎脆弱Ⅴ》
《死霊術耐性Ⅰ》《負の力Ⅱ》《聖域時弱体化Ⅴ》
《肉体ペナルティ軽減Ⅰ》《光魔法習得不可》《聖魔法習得不可》
《スタミナ不要》

・スキル
《魔力操作Ⅲ》《魔力自動回復Ⅲ》《魔力感知Ⅱ》
《闇魔術威力上昇Ⅲ》《気配察知Ⅱ》《体力自動回復Ⅱ》
《死霊術威力上昇Ⅱ》《呪術威力上昇Ⅱ》《死霊術Ⅲ》
《鑑定Ⅱ》《錬金術Ⅰ》《闇魔術Ⅲ》
《杖術Ⅱ》《隠密Ⅱ》《言語学Ⅰ》
《無魔術Ⅲ》《風魔術Ⅱ》《水魔術Ⅱ》
《工作Ⅲ》《呪術Ⅲ》《魔力上昇Ⅲ》
《精神強化Ⅰ》《魔耐強化Ⅰ》《知力強化Ⅲ》
《俊敏強化Ⅱ》《火魔術Ⅰ》《土魔術Ⅰ》
《細工Ⅰ》


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五話 成功の素

課題メンドクセー!


「闇よ、槍となって敵を貫け!<闇槍(ダーク・ランス)>!」

 

 ルトは杖を前に突き出すと、空中に影を集めたかの様な槍が現れ、オオカミ型モンスター──【六足狼(セクスタプルウルフ)】に向かって撃ち放たれる。

 

 これは《〇魔術》系スキルがレベルⅢになると覚える呪文、<(ランス)>シリーズである。

 基本的に属性系の魔術スキルは、レベルⅠで<(ボール)>系と<着火(ティンダー)>や<水生成(クリエイトオブウォーター)>等の生活魔術、レベルⅡで<(アロー)>系と<(ウォール)>系、レベルⅢで<(ランス)>系……

 と言った具合に、FRWOの魔術はスキルが上がる度に少しづつ呪文が開放される仕組みとなっている。

 勿論、例外は存在するがそれはまた別の話である。

 今回使用した<槍>系は貫通力に特化した刺突攻撃型の魔術だ。

 

 放たれた<闇槍>は六足狼の脳天へ吸い込まれ、顔面を貫通する。

 

「ギャヴンッ!」

 

 小さく悲鳴を上げた六足狼はバタリと横になり、そのままポリゴンとなって霧散する。

 

「そろそろ良いかな、」

 

 ルトは独り言を呟きながらステータスとストレージを確認する。

 

カルマ:-18(小悪)

ポイント:30

 

HP:18/18

MP:58/58

STM:─/─

筋力:Ⅱ

物耐:Ⅱ

魔耐:Ⅱ

健康:Ⅰ

器用:Ⅱ

俊敏:Ⅲ

知力:Ⅳ

精神:Ⅱ

 

「あー、疲れた。いや、体は疲れないんだけどさ……」

 

 ルトはウィンドウを覗き込み、ステータスの成長に一種の達成感を感じながら拠点へと向かっていた。

 

 こうなった訳には主に三つの理由がある。

 一つはある程度の格下ならば自分一人で対処が可能な事の確認。

 次にスキルのレベル上げやステータスの成長。

 三つ目は《死霊術》《工作》の練習や実験になる素材集めである。

 

 ちなみに物理ステータスが上がっているのは、【群生魔鼠(コロニーラット)】という群れで行動する小型犬サイズのネズミ型モンスターに囲まれ、魔力が枯渇し何とか杖で応戦したからである。

 魔術防御系のステータスが上がっているのは、同じように魔術を使う【小鬼人の魔術師(ゴブリンメイジ)】というモンスターに遭遇したからである。

 

(はぁ、鼠の時は死ぬかと思った……でもゴブリンメイジは収穫だな。火属性の攻撃を受けると《火脆弱》のレベルが下がっていく、つまり繰り返し弱点を突かれれば《脆弱》スキルは下がる。

 しかし、どうやって死なずに弱点ダメージを受けるか……いっそ自分でそういう装置でも作るか?)

 

 ルトは考えながら歩いていると、いつの間にか拠点の前へ戻っていた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「とりあえず実験をするか。先ずは骨を出して、《工作》で……」

 

 ルトは骨を組み合わせて行く。

 すると、ゴブリンの全身骨格が出来上がる。しかし、普通のゴブリンとは明らかに違う点があった。

 腕が四本ある(・・・・)のだ。

 

「既に死した骸よ、我が配下となり敵を討ち取れ!<下級不死者創造(ロークリエイトオブアンデッド)蠢く骸骨(スケルトン)>!」

 

 瞬間、組み合わせた骨達はガラガラと音を立ててに崩れた。

 

「駄目かー、行けそうな感じはするんだけどなぁ。何が足りないんだ?《死霊術》のスキルレベル?魔力量?それとも《工作》のレベルか?それとも他のスキルが足りないとか?こういう事に関わりそうなスキルと言えば何がある……?」

 

 ブツブツと独り言を漏らしながら顎に手を当て、ぐるぐると同じ所を何回も何回も回る。

 

「あ、《錬金術》ってキメラとか作れそう。」

 

 思い付いた、と呟くと善は急げと言わんばかりにルトは素材集めで《鑑定》しながら集めた薬草や毒キノコ達をストレージから取り出し、木で作ったまな板の様な物の上に置く。

 

「うん、作り方がさっぱり分からない。多分必要な道具とか要りそうな雰囲気はあるよな……後で掲示板で情報収集するとして、何か違うスキルを取ってみるか?ポイントは出来れば使いたく無いが……背に腹は変えられないか。」

 

 ルトはスキル一覧にある《召喚術》《付与魔術》を6ポイントで獲得する。

 

「ボスなんかまだ見つけてないのに、痛い出費だな……」

 

 ルトはボヤきながら《召喚術》と《付与魔術》の説明を読む。

 

 召喚術。

 その名の通りモンスターを召喚する魔術の一種で、死霊術で出したモンスターより長い間現界する事が可能である。

 また、召喚術は召喚したモンスター──召喚獣を強化する魔術にも秀でている。

 召喚獣のレパートリーは術者が一度倒した事のあるモンスターに限られており、召喚に対応していないモンスターも存在する。

 召喚獣の強さは召喚時に注いだ魔力分だけ強くなり、当然魔力を節約すれば召喚獣も比例して弱くなる。

 成長はせず、召喚獣の倒したモンスターのドロップアイテムが術者に手に入る。ただし、ドロップ率に超マイナス補正がかかる。

 術者と同一のスキルを召喚獣が持っていた場合、そのスキル経験値も極僅かながら術者へ入る。

 

 付与魔術。

 生物、非生物に限らず様々な効果を付与する魔術の一種。

 魔力を消費し続ける事で、一度付与すると異常が無い限り魔術が解ける事の無い《継続付与》と

 少ない魔力で期間的に付与する《簡易付与》がある。

 また、生物やモンスター以外の物品に付与する場合、付与に時間がかかってしまう。

 

「現時点では骨キメラ計画に使えないな……レベル上げてみるか。」

 

 ルトは召喚可能なモンスターがリストにされた物を見る。

 

「今まで倒したモンスターはだいたい載ってるな。」

 

 ルトはリストにあった名前を見て思わずにやける。

 

「我が配下となり、敵を討ち取れ!<召喚(サモン)小鬼の魔術師(ゴブリンメイジ)>!」

 

 ルトが呪文を唱えると魔法陣が現れ、その中からポリゴンが溢れ出しゴブリンを形作って行く。

 

「ギャ。」

 

「成功だな。《鑑定》。」

 

名前:無し

性別:男

種族:

蠢く骸骨(スケルトン)

カルマ:-12(小悪)

ポイント:30

 

HP:11/11

MP:27/27

STM:8/8

筋力:Ⅰ

物耐:Ⅰ

魔耐:Ⅱ

健康:Ⅰ

器用:Ⅱ

俊敏:Ⅰ

知力:Ⅱ

精神:Ⅱ

 

スキル

・種族スキル

《ゴブリン言語》

 

・スキル

《魔力操作Ⅰ》《無魔術Ⅰ》《杖術Ⅰ》

 

「命令だ。今から外に居るモンスターを手当り次第倒して来い。」

 

「ギャギャギャ!」

 

 ゴブリンメイジは返事をすると、森の方へと歩いて行った。

 

(意味も無く召喚したけど、《召喚術》とその他のスキルレベルが上がるから良いか。)

 

「次は付与魔術だな。」

 

 ルトは自分を標的にし、呪文を唱える。

 

「彼の者の力を増幅せよ!<筋力簡易付与《インスタントエンチャントストレングス》>!」

 

 突如、ルトの体からは力が抜け、杖を手から離してしまう。

 

「うおっ何だこれ、デバフ……《負の力》の効果か?」

 

 ルトは急いで自分にかけた付与を解くと、体が一気に軽くなった。

 

「焦ったー、《負の力》忘れてたー。」

 

 ルトはふぅ、と額に流れていない汗を手の甲で拭き取る。

 

「さてと、確認も済んだ事だし、錬金術と他プレイヤーの同行を調べる為にも、掲示板でも除くか。」

 

 ルトはメニューから掲示板を選択する。

 ルトは総合掲示板というタイトルのスレッドをタップし、アクセスした。




次回!みんな大好き掲示板回!


名前:オーカ・ルト
性別:男
年齢:16
種族:
蠢く骸骨(スケルトン)
カルト:-18(小悪)
ポイント:24

HP:18/18
MP:58/58(+8%)
STM:─/─
筋力:Ⅱ
物耐:Ⅱ
魔耐:Ⅱ(+4%)
健康:Ⅰ
器用:Ⅱ
俊敏:Ⅲ(+4%)
知力:Ⅳ(+8%)
精神:Ⅱ(+4%)

スキル
・種族スキル
《呼吸不要》《闇耐性Ⅰ》《飲食不要》
《打撃脆弱Ⅴ》《光脆弱Ⅴ》《浄化脆弱Ⅴ》
《暗視Ⅰ》《聖脆弱Ⅴ》《即死耐性Ⅰ》
《呪耐性Ⅰ》《病毒系状態異常無効》《炎脆弱Ⅳ》
《死霊術耐性Ⅰ》《負の力Ⅱ》《聖域時弱体化Ⅴ》
《肉体ペナルティ軽減Ⅰ》《光魔法習得不可》《聖魔法習得不可》
《スタミナ不要》

・スキル
《魔力操作Ⅳ》《魔力自動回復Ⅳ》《魔力感知Ⅲ》
《闇魔術威力上昇Ⅳ》《気配察知Ⅲ》《体力自動回復Ⅲ》
《死霊術威力上昇Ⅱ》《呪術威力上昇Ⅱ》《死霊術Ⅲ》
《鑑定Ⅲ》《錬金術Ⅰ》《闇魔術Ⅳ》
《杖術Ⅲ》《隠密Ⅲ》《言語学Ⅰ》
《無魔術Ⅳ》《風魔術Ⅲ》《水魔術Ⅲ》
《工作Ⅲ》《呪術Ⅳ》《魔力上昇Ⅳ》
《精神強化Ⅱ》《魔耐強化Ⅱ》《知力強化Ⅳ》
《俊敏強化Ⅱ》《火魔術Ⅱ》《土魔術Ⅱ》
《細工Ⅰ》《召喚術Ⅰ》《付与魔術Ⅰ》


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六話 【次回も】公式スレその一【掲示板回】

今回短いっス


【サービス】総合雑談スレ1【開始!】

1.名前:名無しの人間

ID:■■■■

ようこそ!FRWOの総合雑談スレだ!

自由に書き込もうぜ!

最低限のルールは守らないと運営に消されるから要注意だ!

荒らしは基本無視しろ!

>>980 次のスレ立てよろしく!

 

2.名前:名無しの人間(ヒューマン)

ID:■■■■

>>1 スレ立て乙

 

3.名前:名無しの人間

ID:■■■■

>>1 乙

 

4.名前:名無しの(シープ)

ID:■■■■

>>1 乙

 

5.名前:名無しの山小人(ドワーフ)

ID:■■■■

>>1 乙

 

6.名前:名無しの人間

ID:■■■■

あれ?無駄に高いイッチのテンションには誰もツッコまないの?

 

7.名前:名無しの小粘魔(リトルスライム)

ID:■■■■

>>6 多分わざとだぞ‪w

 

8.名前:名無しの人間

ID:■■■■

>>7 なるほど‪w

 

9.名前:名無しのイッチ

ID:■■■■

かなしい

 

10.名前:名無しの犬獣人(ウェアドッグ)

ID:■■■■

>>9 草

 

11.名前:名無しの魔猫(デヴィルキャット)

ID:■■■■

>>9 www

 

12.名前:名無しの異角度との混血児(ハーフティンダロス)

ID:■■■■

 それにしても、やっぱりみんな種族が豊かだな。

 

13.名前:名無しの武器憑(リビングウェポン)

ID:■■■■

>>12 それな

 

14.名前:名無しの小芋虫(スモールワーム)

ID:■■■■

>>12~13 お前らががそれを言うな‪w

 

15.名前:名無しの動死体(ゾンビ)

ID:■■■■

>>14 オマエモナー

 

16.名前:名無しの子鮫(リトルシャーク)

ID:■■■■

>>14 い‪wも‪wむ‪wし‪w

 

17.名前:名無しの小芋虫

ID:■■■■

>>16 お前も大概やろ!

 

18.名前:名無しの禿鷹(ヴァルチャー)

ID:■■■■

>>17 美味しそう

 

19.名前:名無しの森精人(エルフ)

ID:■■■■

>>18 食おうとするな‪w

 

20.名前:名無しの魔鼠(ラット)

ID:■■■■

>>18 草

 

21.名前:名無しの小芋虫

ID:■■■■

>>18 ちょ、さっきから執拗に追いかけてくるデカい鳥お前かよ!

 

22.名前:名無しの禿鷹

ID:■■■■

 ほんのり甘味がきいていて、とても美味しかったです。

 

23.名前:名無しの山小人

ID:■■■■

 喰われた‪w

 

24.名前:名無しの下級吸血鬼(レッサーヴァンパイア)

ID:■■■■

>>22 食レポするな‪w

 

25.名前:名無しの人間

ID:■■■■

 てかホントにみんな変わった種族やな

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

58.名前:名無しの屍喰鬼(グール)

ID:■■■■

>>56 草生える‪w

 

59.名前:名無しの団子虫(ピルバグ)

ID:■■■■

>>58 草に草生やすなホモガキ!

 

60.名前:名無しの触手の塊(ローパー)

ID:■■■■

【速報】街に入った俺氏、NPCに瞬殺される

 

61.名前:名無しの狼獣人(ウェアウルフ)

ID:■■■■

>>60 何故入ろうと思ったのか、そして何故その種族を選んだのか、誠に疑問である。

 

62.名前:名無しの触手の塊

ID:■■■■

 正直、人間とも仲良く出来ると思って近づいたら、住民は逃げ惑い、プレイヤーらしき人達と警備兵風の人達にボコられた。ぴえん

 

63.名前:名無しの人間

ID:■■■■

>>62 ローパーがぴえんって言うなジワる‪w

 

64.名前:名無しの触手の塊

ID:■■■■

 しかも、人間の言葉が分からなかった。

 よく良く考えれば、《ローパー言語》っていうスキルがあったんだよね。

 

65.名前:名無しの(キャット)

ID:■■■■

 私は普通に入れたよー

 

66.名前:名無しの小粘魔

ID:■■■■

 どうやら、その警備兵風の人達は「騎士団」と言われる人で、この世界の警察的な存在みたいだ。

 多分、現状どのプレイヤーよりも強いと思う。

 

67.名前:名無しの触手の塊

ID:■■■■

>>65 羨ましいしいなぁ!おい!

>>66 お前もモンスターやろ?なんで知ってるんや!卑怯もの!

 

68.名前:名無しの子供小鬼人(リトルゴブリン)

ID:■■■■

>>66 まだ初日だしな。当然だ。

>>67 八つ当たりがひでぇ‪w

 

69.名前:名無しの小粘魔

ID:■■■■

>>67 《言語学》と《隠密》、その他色々情報集めるのに使えそうなスキルを取って、水路とかから情報を集めた。

 

70.名前:名無しの人間

ID:■■■■

 俺が何となく見ていた水路にもお前が潜んで居た……?!

 

71.名前:名無しの小粘魔

ID:■■■■

>>70 イツデモミテルヨ

 

72.名前:名無しの(スパロウ)

ID:■■■■

 じゃあ、PM(プレイヤーモンスター)は街に入れないって事でおk?

 

73.名前:名無しの小粘魔

ID:■■■■

>>72 おそらく。入れても言葉分からないとキツいぞ。

 

74.名前:名無しの人造人間(ホムンクルス)

ID:■■■■

 その分スキル多いから良いだろ。

 

75.名前:名無しの小粘細胞(リトルショゴス)

ID:■■■■

>>74 尚、その分の中には《脆弱》系も入る模様。

 

76.名前:名無しの小魚(リトルフィッシュ)

ID:■■■■

>>75 悲しいなぁ‪w




次回も掲示板っス


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