転生したらチートスライムになったので頂点を目指す (浅辺太郎彦)
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スライム1

どこにでもあるような普通の道、そこを浮ついた様子の少年が歩いていた。そして歩き出して数分たったころ、轟音が響いた。なぜなら家をトラックが貫き破壊したからだ。

 もちろん少年にも激突し、少年の骨は、きしみ、砕け、粉砕された。そして即座に死亡した。

 本来であれば消滅するはずだった少年の魂は、しかし別世界で一波乱を起こすのであった。

 

 

...んん?ここどこだ?え、なんで俺こんな大理石でできたギリシャ神話で神様が住んでるよーな場所にいんの?落ち着け落着けッ。

 

なんとなく思い出してきたぞ。え~とたしか先公に宿題出し忘れたから居残りさせられてんで、むかついたから誰だってするような買い食いをして帰ってるんだったよなあ。

 

さっき確かに下校してたつー記憶は確かだよな。1492年新大陸発見コロンブスミッキーマウスの誕生日は11月18日絶対正しい。あれえええーーーさっきまで確かに下校中だったよなあああ~~~。

 

誘拐でもされちまったのか、いやでもそれならこんな場所につれてこないはずだよな。誘拐されるんだったら誰もいない倉庫みてーな場所のはず。多分。

 

 

「ノックしてもしもお~~~し、お前の名前は久保龍之介、どこにでもいるような中学1年生ただし成績は平均以下と、これであっているか。」 

 

気がついたら後ろには謎の神々しさと邪悪さが融合したような不思議な男が立っていた。

 

「てめえが誘拐してくれたのか、いっとくが金なんてうちにはねーぞ。自慢じゃあないけど家はあんまり裕福じゃあない。」

 

「大丈夫だ。誘拐したわけではない。そこは保証しよう。」

 

ん、じゃあどうしてこんなところに俺はいるんだッ。

 

「じゃあなんでこんな場所につれてこさせやがった。誘拐じゃあねーんだったらお前が誰なのかくらい言ったらどうなんだッ。」

 

「私は、そうだな圧倒的な力を持った存在、一番近い存在としては神だな。そしてお前は死んだのだ。痛みも感じずに隣の家を突き破ってきたトラックにひかれてな。」

 

は、神様、そんなのありえねーっての。そもそも死んでんだったらどうして俺が地獄とかこっちの方が嬉しいけど天国とかに行かないんだッ。

 

「おいおいおいおいおいおいおいどこに俺が死んだっつー証拠があるんだよ。」

 

「では君の身体は何処にあると言うのかな、言ってみるといい。」

ケッ何言ってやがんだこのやろー身体が無いわけ無いだろこのウスラボケメっがっ。簡単に手を動かして確認できるッ。

 

ん、んん、んんん、腕がない。い、いやそんな訳はない素数を数えて落ちつけッ、例の天国を目指す神父のごとく2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,よしもう一度確かめてみるぞっ。

 

え、マジあうあああああああうあああああああああうわああああああ。

 

え、マジにないのか、というかガチのマジの本当にないのかというか俺は死んだのか。多分本当だろうな。絶叫しても息切れひとつ起こさないもん。てなるとこの人は本当に神ってことか。まじかよ無礼なことしちまった。

 

「・・・あのう、あなたが俺を殺したんですか。」

 

「いいや、それは完全に事故だ。そしてチャンスをくれてやる。」

 

え、まじ、蘇れるかもしれねえ。もうちょっとで完結する漫画とか読めるじゃあないか。

 

「チャンスってなんだ、もしかして蘇らせてくれるのですか。」

 

「いいや、違う。別次元に転生さしてやるのだ。」

 

転生かよ、でも転生したところでカルチャーギャップとか心配だし、もしよくあるラノベの主人公ならともかく噛ませかもしれないじゃあないか。

 

「転生される身でなんなのですけど蘇らせてもらえませんかね。」

 

「無理だな、なにせお前の肉体はミンチになっている。そんなボロボロになりもう一度死にたいならそれでいいが。」

 

 そうなのか、しょうがない。ですむかチクショウ、でもしょうがないか。それが現実なんだろう。まあこうなったらチート系の主人公になることを祈ろう。

 

「さて、転生先はええと、なんだっけそう微生物の集合体でその次元での一般的な呼称名はスライムだ。では転生させるか1,2,3、go。」

 

え、スライムかよ。スライムなら強いといいな。強い方の。そんな事を考えていたら意識が闇に落ちた。



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スライム2

暗ッ。

 真っ暗で何も見えねー。ここはどこだ?てか、どーなった?まるでわけがわからん、

 

 

 そこで、俺の意識は目覚めた。

 俺の名前は久保龍之介神様見たいなのに会って転生した。よし、覚えてる。ベネ。何も問題ない。ん、ここどこだ。まさか目がぶっつぶれたのか。

 

 オイオイ、ちょっと待ってやッ。人間は八割ぐれー目に頼るらしい。ってなるとやべーぞオイッ。落ち着け落ち着け素数を数えるのだっ。素数は孤独な数字だっ俺に勇気を与えてくれる。

 2,3,5,7,11,13

 

 よし、ほんのちょっぴりだけだが落ち着いてきたぞっいやッ、それもどうでもいい。そんなまぬけ事を言っている場合じゃあないか。あれ?ちょ、どうなった?

 

あ、そうかスライムになったのか。俺は焦って損した。いや、視覚がないのか?ヤバイけど仕方ない。

 

 俺の心に、かつて感じた事もないほどのものすごい不安と絶望感が押し寄せてきた。これはよぉ〜スライムみてーな下等な生物には感覚がないとかか?

 

いやいやいや、勘弁しろやボケナスッ。転生したらなんも感じらんねーとか最悪じゃねーかっ。

地獄じゃあねえかこれはヨォーッ!考えて見ろ、このままだと何も感じられず、何もわからない。 つまり人間にも戻らず、死にたくても死なないので考えるのをやめた。つー感じの目になっちまうじゃあないかッ。俺がいつそんな悪いことしやがったッ!そこまで酷いことしてねーぜッ!

 

しかしヤケになってから数分ほどしたころにとある一枚の落ち葉が落ちて来た。その感触があった。

 

 

やったッ。やったッ。やったッ。やったアアアぁぁ。未だ、真っ暗な中にいけどよぉーしかし、五感の内の触覚だけでも感じる事が出来たのだッ。感覚がないか半信半疑だったからよー。だが触覚があるってことは感覚があるって事じゃあねーか。やる気と希望がムンムンわいてくるじゃあねーかッ。オイッ。感触に感謝ッ!

 

 やる気と希望がムンムンわいてきたからよー、その草に意識を集中させたら自分の身体が動くのが解った。動いたッ。この時、はっきりと、自分の体と精神が完全に一致した感覚があったッ。問題なし。音が聞こえるようになったッ。周りの動物の息ずかいもわかるようになったッ。そして自分の体の仕組みもッ、どうすればどう動くかもッ本能で理解できたッ!

 

 俺の肉体はミジンコのよーな微生物のようになっている。だから水とほんのちょっぴりの食い物を細胞の一片一片で消化するだけで身体を大きくして増える事ができるッ。現にさっき落ちてきた落ち葉は、もう消化されている。 

 

 さらにこの体は目の代わりにワ〇ウのように風を読めるッ、さらにエアロスミ〇のように二酸化炭素で息のする場所が分かるッ。

 にしてもこの体なかなか便利だな。



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スライム3

いや〜感覚があってよかった。なかったら発狂するところだったぁ。にしてもこれからどーするかなぁ。

 

そう思ったとき、身体を強い衝撃を襲った。何ッなんだこれはッ、いや息をしているッ。とゆーことはこいつは動物だッ。恐らく狼だッ。

そう思った時身体の一部を噛みちぎられた。痛みはねーが何となく感覚でわかった。

クソがッ。このクソ狼(仮)どーしてくれるッ。取り敢えず腹立たしいが逃げるかッ。

 

そうして動いた時わかった事がある。それは俺は動くのがとてもッ、遅いッ。と、ゆーことだ。いやいやいやどーすればいいんだこれはッ。

そうしてるうちにも俺の身体は食われてゆく。クソッ、どうすればいいんだッ。ここで俺はもっかい死んじまうのかッ。

 

イヤっ、一つだけ可能性があるッ。コイツの肉体をッ、消化し食い尽くすのだッ。俺はこいつの肉体を溶かし、食らい始めた。コイツも食らい付いてきたがそれよりも全身で、肉体の一片一片で、細胞の一つ一つで喰らい尽くせる俺の方が早い。それから程なくしてコイツは息を引き取った。

 

 

◆◆

 

 

しかしこれからやることは決めた。あーゆー襲撃を防ぐことだ。

でもどーしようかね。どっちにしろこの体がどんなのか調べなくっちゃあなぁ。取り敢えずどんくらい動けるのかねぇ。

 

ん、身体の大きさが変わってね?・・・あ、そうか。さっき狼(仮)を食べたから大きくなったのか。だいたい狼(仮)を食う前より1,5倍くらい大きくなったのか。けどよォーどーしよーかそんなポンポンいいアイデアが出るわけねーしよォ。そう思ったときいい事を考えついた。

 

◆◆

 

獣が崩れ落ちる。身体がドロドロに溶けて。ヨシッ、いい感じだこれなら十分対応できるぞっ。これなら問題なく対応できる。えーっと最初より2倍くらい大きくなったのかな。

 

そうこうしているうちにあるものを見つけた。まあけものか、これ。ん、でも風の動きが違うな。まさかこれ人間か?しかしこれ死にかけてるのか?呼吸が荒くなっているし。そして呼吸が止まった。うーん、この人どうしよう。埋葬しようにも俺の身体じゃあ出来ないし。

 

待てよ、こいつの肉体を借りてしばらく生活できるんじゃあないか。そう考えて身体に入り込んで色々やってみたら明かりが見えた。うおっシャャャアッ。、これで視覚が使えるようになったぞォッッ。

 

多分だけどスライムの身体には目に該当するところがなく、人間には目があるから見えるよーになったんじゃあないかと想っている。まあ俺は生物学者じゃないからほんとかどーかわかんないけど。



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スライム4

何にしても視覚が手に入って良かった。俺はやっぱりよぉ〜、偉人じゃあないし視覚が無いとやっていけねー。でもまあ死体は動かせねーな。まだ完全にこの死体にスライムが行き渡ってないからだろうけど。

 

しかしこの死体ってどこのどいつのなんだろうかねぇ。正直この死体は俺が出来る事はなかったと言えどよぉ、こいつの死体が行方不明になっちまうからよぉ。流石に一回くらいは元の故郷に戻してやりたいなぁ。

 

でもよォ、こいつがどこで生まれたかもわかんねーしな。調べようにも言語の壁があるからな。多分この世界の言語って多分日本語じゃあないかも知れないしよぉ〜。つーか多分日本語じゃあねえよなぁ。日本語だったらいいよなぁ〜。まあ歩いて動かないとどーにもこーにもなんねーし。

 

ん、んんん、ヨシッ。この体の指の爪から、頭の細胞の一個に至るまで全てを支配できたのだ。よし、まあようやく歩けるようになったかァ。そうして動こうとした時、頭に大量の情報が流れ込んできた。

 

なんなんだッ、この記憶はッ。 ・・・この記憶は多分だがこの世界の言語だな。ってなるとこの記憶はこの死体のものか。まあ数時間もすればまあわかるようになんだろ。

 

それよりも言葉とかの誰にでも持っている記憶はともかくこいつ自身の記憶はないなァ。それにこの死体に目立った怪我とかもないし。じゃあなんでこいつは死んだんだ。ま、今考えてもしょーがねーが。取り敢えず言語の翻訳をするかァ。 

 

あれから多分数ヶ月が経った。思っあより数倍時間がかかっちまったなァ。数時間で終わると思ってた俺がバカだったッ。ま、済んだことをどーだこーだ言ったってあんま意味ねーけどよー。

 

ま、この恐らく数ヶ月くらいで新しい技が使えるよーになったしよぉ〜。スライムの身体の一部を、なんかこう身体の中で色々動かして指先から発射出来るつー技なんだけどよー、正直威力はあんま無い。つうか一応当たればスライムが相手を食べるからダメージはあるんだ。

 

けどよぉ〜、それにしたって普通に当てただけだと一瞬怯ませるくらいしか威力が無いし、なによりこの人間の肉体を得ちまったからよォ、スライムが一定量以上に増えちまうとこの身体まで食い始めるからある程度で増えるのを止めなきゃいけなくなっちまったからよォ、弾数にも気をつけて、打ちすぎには注意した方がいいな。だいたい動きに支障が出ないレベルなら満タンの時から100発くらいまでなら安全だな。

 

ま、取り敢えず人がいるところへ行くか。そもそもどっちに人がいるかも分かんねえし。ま、勘でいいか。歩いているうちに必ずたどり着くだろーし。

 

これが孤島だったらともかくとしても必ず人間はいるつー事がわかっているしな。わかっていない時に比べてりゃ希望とやる気がムンムンわいてくるぜッ。そうして俺は歩き出した。

 

んーもう数日くらい歩いたのに全然道とかが見えてこねーなァ。ん、ウォッ、崖かよあぶねーな。どんくらい高いんだ、この崖。、、、なんだあれ、つーかあれ民家じゃね。いよっしゃアァァッ。ここに人がいるぞッ。

 

そうして崖を慎重に降りていった。んー誰か居んのかな。

「すみませぇん。誰かいませんかァ」

んー誰もこねーな。もしかしてここ、廃屋か?呼びかけても誰も来ないし屋根とかもボロボロだし、まあちょっとここをお借りして拠点にするか。



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スライム5

 

スライムの身体は色々便利だけど徐々に蒸発して体積が減っていっちゃうのがなあ。まあ、あまり体積も減っていないしよぉ、取り敢えず水はまあ草とかからとればいいし、栄養分はまあ適当にスライムでトラップでも作ればいいか。

 

そうして人の痕跡を探していたら石畳が見えてきた。まあ良くあるファンタジー小説とかライトノベルのような街並みだ。

 

取り敢えずそこら辺にいる人に記憶がないと言ってみたら怪訝な顔をされて教会へ行くように言われたので教会に行くことにした。

 

教会に行くと神父に機密性のある別の部屋に連れて行かされた。その神父の言葉にはやはり信者にいつも語っているからかどことなく安心して自分の罪を曝け出したっていいように思えるような喋り方だった。神父の名前はアリウェーロさんと言うらしい。

 

そして会話したあと、とある奇妙なことを聞かされた。

「さて、君はこのナイフを見たことがあるかね。」

 

そのナイフは渦のような模様がしてあり、その紋様は壁にびっしりとへばりついているツタのように全体についていて、まあラノベとかアニメとかに出てきそうな感じだった。

 

だがまあ同然見覚えもなかった。

「、、、すみません、見覚えありません。」

「そうか、ではこっちは?」

それは透明なガラスでできたボトルだった。

その中にはキラキラした白い液体が入っていた。そっちも見覚えがなかった。

 

「こっちも見覚えがありません。すみません。」

「いや、良い、大丈夫だ。」

にしてもどう言う意味の質問だったんだろう、これらは。

あ、そうだ、転生者とかがいるかどうか聞いてみるか。

 

「あの、すみませんがひとつ質問いいですか。」

「ああ、いいですよ。まあ、私が知らないようなこととか、他の信者の秘密とかもあるのでどのような事も、とまではいけませんがね。」

「じゃあ質問をひとつ。別の世界から生まれ変わってきたり、来訪してきた人とかっていますか。」

「まあ、隠されているがいる。もしかして君は転生者かね?」

 

どうする、今までのことを話すか?転生してきたこととかスライムになった事とか。いやでも神がいたことは話さないでおこう。もしなんかあったら神父相手に面倒だし。信仰を傷つける結果になってしまうから転生してスライムなったことだけはなすか。

 

「実は転生者で、トラッ、いや事故で死んでしまったらいつのまにかスライムになっていたんです。それでこの身体は森であった人の肉体を借りているんです。住む場所とかを工面していただけると助かるのですけど。」

「わかりましたました。転生者なのですね。大変でしたね。そうですね、ではあなたには二つの道があります。

 

一つは前世の事も自分がスライムである事も隠して社会へ溶け込み生活する道。正直あまりオススメしません。隠して生きるのは大変だし手に職がないのでは生きるのもままならないしどっかの路地裏で死んでしまうのがオチだと思います。

 

そして二つ目のは裏社会のある盗賊ギルドに入ることです。まあ、ヒラからではなくそれなりの高い階級から始められるような試験を仲介しますし、まあ食いっぱぐれる事もないでしょう。まあこちらの方がある意味ギルドに守られるため、安全かもしれません。

 

まあ、どっちの道もまるっきり安全って事はないので私としては盗賊ギルドに入る事をオススメしておきます。

 

何せ盗賊ギルドは君のような訳ありがたくさんいるしまあ、こういってしまえばあれなのだが教会よりもよっぽど受け皿になっている気がします。

 

まあしっかりと悩んでみるといい。私は教会の仕事があるので少しあけますがまあこの部屋の中なら自由にしていいから。では。」

 

そう言ってアリウェーロさんは出ていった。・・・さてどうするかね。正直盗賊ギルドに入るのには抵抗がある。でも魅力的でもある。そんな事を考えていたら神父が入ってきた。

 

「俺、盗賊ギルドに入ります。」

俺はそう告げた。



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スライム6

言っちまったァ〜もう止められないがけどよォ。まあ今更どーだこーだ言ったって意味ねーしよォ。

 

「そうか。わかった、では数週間ほど時間ができますね。それまでは、そうですね。ところで君は文字が読み書きできるかね?」

「は、いいえ。すみません。読めません。」

 

「わかりました。では最低限の読み書きができるよう時間があったら教えますからそれ以外の時は人手が足りないのであとで道具を渡すから掃除でもしておいてください。

あ、そうだ君の名前はなんですか?」

「すいません、わかりません。」

「そうか、ならギルシアでどうかね?」

「ありがとうございます。わかりました。」

そう言って神父は出てった。

 

そうしてギルシアと言う名前を手に入れた。そのあとこの世界の聖書や詩を基にした語学用の教材を使い学習したり、掃除をしたりした。

 

あと驚いたのがエルフとかはあまりいないらしい。エルフは戦争を好んでいたけれど、戦争中に悪魔が現れてほぼ絶滅したらしい。少なくともエルフの里のようなものはないらしい。あと魔族とかは小競り合いはあるらしいけどわざわざ戦争するにも互いに大きな力を持っているし、山があるから戦争をするメリットがあまりないらしい。それにどちらにも交流のあるドワーフとかにも反対されるからと言うのもあるらしい。

 

そうして数週間ほど経ち掃除をしていた時、神父に呼ばれた。

「ギルシアくん、ちょっとこっちへきてくれないかな。」「は、はぁ。」

「ようやく試験を受けられるようになりました。ですのでいきますよ。」

「急ですね。まあいいですけどぉー。」

「仕方ないですよ。どうしても急にくるのだから。」

 

そうして市街を歩いているとすこし裕福な地域にある二階建ての一軒家で止まった。神父が一定のリズムでドアを叩き、すると自動で扉が開いた。

 

そうして二階につくと1人の男がいた。その男は中年の男でそれなりに顔はよくしかしどこか凄みがあった。

 

「やあ、アリウェーロまた見た目が変わっているな。そしてそちらが新人希望か?まあいい私は盗賊ギルド『アウロラ』の幹部のカレアーロだ。さて、早速だが私はこの業界において大事なことは覚悟だと思っている。そこで君には覚悟を示してもらいたいとおもっている。」

幹部のカレアーロさんははあの時アリウェーロさんがみせたあのナイフをとりだした。

 

「このナイフを適当に自分の身体にさしてみてくれ。まあ、安心してくれ回復魔法で治せるようにしてあるから。これは恐怖を覚悟で押さえて無視できるか、と言うことを試している。」

 

そう言ってカレアーロさんはそのナイフを渡してきた。正直ものすごく有利なものだった。

 

何せこの身体はよぉ〜この身体は傷つくけどスライム本体は傷つくことはあっつい熱とかものすごく強い衝撃でもなければダメージは与えらんねえからよォー、よかったぜぇー。

 

そうして俺のはらに深々と刺した。ん、なんだっ、意識が朦朧としてきたぞ。俺の身体はスライムだからダメージは無いはずなのに。

そうして俺の意識は闇に落ちていった。

 

ん、ん、何んだっけ、そうだ試験を受けに来たんだった。待て今は幹部の家にいるんだった。まずい、やばい、殺されるッッ。

 

「すいません、すいません、すびませぇん。殺さないでください。ほんとにすみません。」

 

「大丈夫だ。安心しろ。君にはスキルが目覚めているようだからな。」

「本当、本当にッ?」

「ああそうだ、安心しろ。ところで君の身体どうなっているのかね。スライム固有のものか。」

 

ん、俺の身体どうなっているんだ。身体がおかしい。バラバラになってスライムで糸のようにつながっているッッ。



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スライム7

本当になんなんだこの状態は。まるで人形のように腕が繋がっているしよぉ〜。ほんと身体がおかしい。いや元からスライムの時点でおかしいけどさぁ、もっとおかしくなっている。

 

「多分、違うと思います。さっきまでそんなことなかったんですけど。」

「じゃあ恐らくそれが君のスキルだ。おめでとう、君が入団する事を認めるよ。じゃあアリウェーロ、そこの新入りに説明しておいてくれ。ではまた。ああ、そうだ管轄とかは後で伝える。」

 

そう言ってオレ達は幹部のカレアーロさんの家をでた。あー入団できてよかった。入れなかったら多分のたれ死ぬことにならなくて良かった。いやまあ非合法組織だからなんとも言えないけど。

 

そして教会に着いたら、神父に話すから来てくださいと言われたので神父の部屋へ向かった。

 

「さてと、何から話すとしようか。まあスキルのことから話すとするか。まずスキルというものはまあ、魔道具を使うことによる魔法とは違います。違う点は、そうだなまず一人一人違う能力だということかな。それぞれの精神と言うよりかは魂によって決まるからです。スキルは簡単に言えば超能力ですね。

 

二つ目は1人ひとつのスキルしか持て無いと言うところかな。魔法とは魔道具の数だけ魔法を使えるのとは違うっていうのがあります。

 

 

三つ目は身体能力もスキルによって程度はあるけど強くなるって言うことですね。まあ、強くなる差は大きいですが。

 

まあ色々できるようになる超能力だって考えておけばいいかな。あとスキルがどんなものか聞くのはやめておいたほうがいい。スキルはどんなに強くても対策されてしまうからです。

 

まあスキルについてはそんなものかな。まあ次は君が所属することになったなった盗賊ギルド『アウロラ』についてかな。アウロラはまだ歴史は浅いけれど規模は相当なものだね。

 

まあその背景にはスキル持ちを大量に抱えていると言うのもあるがね。ついでに言えばそ私はアウロラの構成員ではない。まあフリーのスキル持ちだ。

 

アウロラにはたくさんのチームとそれらを束ねる幹部、そしてその上にボスがある、で幹部とかとは違うところにボス直属の人員がいるボス直属チームが存在するらしいけど詳しくは知らないな。

 

ま、アウロラとスキルの説明に関してはこんなものかな。ああ、所属がはっきりしたらここからは出て行ってもらうからね。

 

なにせ私はアウロラに入っていないからね。まあ、住むところは手配しておくから。まあ所属先がわかるまでに荷造りをしておいてくれ。」

 

それで神父との話は終わった。んーとりあえず、この世界の言語を学習するか。んーと、なになに、

『三十六の英雄、一の勇者に力を渡したり、勇者、世界ヲ超越したりて吸血魔人倒されたり。』

んー今までの話で確か英雄ってなんかスキル持ってる見たいだよな。もしかして英雄ってスキル持ちの話が伝わったのかも。

 

ん、ん、ん、待てよこれってスキルを進化させる方法なのかも。そしてスキルを進化させて元の世界に帰れるかもしれないッ。今は心臓が必要ないがあったら高鳴っていただろう。

 

そう思って神父に話に言った。そのことを神父に話したらもしかしたらそうかもしれないと言われでは私も異世界の情報とかが欲しいから自由に行けるために協力すると言ってくれた。

 

「よし、私のスキルを教えることにするか、ギルシア君私のスキルは他人のスキルをボトルに入れて保存し、他人にわけられる能力です。」

 

◆◆

 

スキル紹介のコーナー

 

このコーナーはスキルを紹介するコーナーです。本筋とは関係ないため読み飛ばして構いません。

 

スキル名『スライミー・スライミー』(この名前はこれが初めてでたところです。)

 

本体 ギルシア

 

パワー Cスピード C防御力 B持続力 A成長性 C

 

自分の肉体を分割できるようになる能力。ただし分割したパーツはスライムで繋がっている状態じゃ無いと分割できない。ただし分割してからならスライムが繋がっていなくても身体のパーツを操作できる。



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スライム8

え、なんだその能力強くね。いや強いって言葉で済むのか?要するにスキルを奪う能力だろ、主人公かよ。

 

「詳しく言うとボトルにスキルを保存できるようにできる効果をつける、そう言う能力です。ま、ここまで言ったから言いますけどこの能力は知れ渡っているからね。言いふらしても構わないよ。」

 

なんだこの能力は。やべえしたがう用意しなくっちゃあなぁ。ん、もしかしたらスキルを取られたら記憶とか無くなったりするのかな。

 

「さて、気付いているだろうが私はただの神父ではないんだ。私はまあフリーでやっているスキルのブローカーってところだね。ま、とりあえずもう遅いから寝なさい。」

 

いやーしかし元の世界に戻る方法があるとはなぁ。ま、だめもと程度に考えておくか。

 

その後数日間買い出しとか掃除をして、合間に荷造りをしていたら神父に呼び出された。

「ギルシア君、君の所属の手紙が来たよ。なんでもボス直属チームだ。ま、私もどんなものかわからない。だから今日中にここを出て行ってもらいたい。」

 

え、まじでいきなりボス直属チーム、イョッシャアァァ。これで俺もチート系転生者の仲間入りだぁ。でもまあボスとあったこともないのにどうなんだろう。まあいいか。いやーよかったよかった。

 

「ま、組織に入ってからのあれやこれやは同封されていたこの紙を読んでくれ。一応昼食くらいは食べていったらいいよ。ま、それまでにここを出る準備をしておいてくれ。」そう言って神父にバックを渡された。

 

俺は最後に食べる昼食までに荷造りをすることにした。とりあえず何持って行こうかなまあ数日分の服だろ。ま、半袖の物を持ってくか。長袖のだと濡れて皮膚にくっつくからあんま好きじゃあないからな。

 

んーあとは羽ペンとインクとテキストと、あと干し肉かな。ああ、それにナイフもか。んーあと入って一個か。えーとあと入れるべきなのはクマちゃん人形かハサミか、まあナイフで代用できるしハサミじゃあなくクマちゃん人形でいいか。

 

そうして荷造りをしていたらお昼どきになったので最後の食事を食べてから教会をでた。

最後に神父にとあることを言われた。

 

「これから大変になるだろうし覚悟が必要になるだろう。だが覚悟はそう簡単に生み出す事はできない。だが強いて言えば覚悟は理由でできているだろう。その事を覚えておけば多分生き残ることができるだろう。」

 

ふーんま、覚えとくか。そうして俺はこれから住む場所に行った。そこはとある石造りの建物の二階だった。そこにはシンプルなベッドと机だけがあった。

 

その後まあ色々物を買い寝た。金に関しては神父に渡されたものと金は最寄りの幹部とかからもらうらしい。あとその他指令とかは自動で紙が送られて来るらしい。

 

その後数日ほど普通に過ごした後ようやく指令が来た。ただなんでも幹部のところへ行ってから詳しく言うらしい。カレアーロさんのところだ。そこには入るための信号が書かれていた。

 

カレアーロさんのところへ向かい扉の前でモールス信号のように扉を叩いた。そしたら自動的に扉が開いた。

 

「さてと、手短に話すが君には暗殺をしてもらいたい。対象はジョベーノと名乗る男だ。お前にやらせる理由は単純にこいつもスキルを持っているからだ。スキルの内容は身体に鉄がくっつくようになると言うものだ。住んでいるところとかのその他事項はこの紙に書かれてある。なにか質問はあるか。」

 

え、殺しをするの、入って数日なのに。でもやらないっていったら即刻殺されるだろ、ええいぃもう考えるのはやめだ。あとでまた考えることにしよう。うん、うん。



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スライム9

そうしてカレアーロさんの家を出た。俺が、人を殺す。ほんとにか。そう言って手元にある紙を見ても俺が殺さなくっちゃあならない、そう書いていた。

 

そ、そうだあの神父。神父にスキルを取って貰えば殺したのと一緒だ。俺が殺さなくてすむ。それに神父もスキルが手に入っていいだろう。よし、よしそれがいい。

 

そうして数日前に出た教会に戻った。

「あのー、神父さま。いますか?ちょっとお話ししたいのですけど。」

そうして数分ほど待っていたら神父がでてきた。

 

そしてその事を話した。

「すみませんが、できませんね。そもそもそれは依頼になります。そうなると五体満足のままではあなたにはとても払う事ができません。強いて言えばあなたを実験動物として売り払うくらいしかありません。

 

それに殺しの覚悟も無いのにこの業界に入っていたのですか。それは戦争に駆り出されるのが嫌だと言う兵士や人を傷つけたくないと言う剣闘士のようなものです。そんな状態ではこの業界ではそう長く続けられません。

 

なのでその点については手伝う事はできません。ただし、それはあくまでも裏のスキルブローカーの私としての話で、神父としてなら手伝うことはできます。

 

まあ神父なので大っぴらにはできませんが神の像の前で祈る事はできます。なので神の像の前で祈ってみたらどうでしょう。」

 

そう言って神父は神の像の前に俺を連れて行った。俺は神父にもう締める時間だと言われるまでずっとその事を考えてみたが覚悟をつけるに足りる思考の決着はつかなかった。

 

俺は家に帰る前になんて鳥かはしらないし、そもそも鳥かもわかんないが鳥のような食感の肉にタレをつけた焼き鳥のような料理を三本ほど買って持ち帰った。

 

俺は家に帰ってからも考えたが思考に結着がつかなかった。油に火をつけて夜遅くまで起きていようかとも思ったがスマホの通信容量をもったいぶるのと同じようにつけなかった。そうしていたらいつのまにか寝てしまっていた。

 

ん、いまは、何時だ。起きてガラスがない窓から外を見るともう太陽がもう真上にくるかこないかの頃だった。

 

これは身体が殺す事を拒否しているからか、せめて一時的に寝させる事で忘れさせるからかも知れない。医学とか心理学に詳しくないからなんとも言えないけど。

 

あ、体積が足りない。そうだ、昨日の焼き鳥モドキを食べるか。だが味がしない。人間の肉体を得てから舌から味覚を感じるようになったのに。いつのまにか木や竹のようなものまでスライムの身体が溶かしてしまっていた。

 

そうしてまた神父の教会へ戻った。その紙には数日後の昼に殺す事、それとそこにはジョベーノがやった罪のリスト。例えば組織の金を日本円にして一千万円ほど横領したこと、組織の人員をその際何人も殺した事、それ以外にもよくあるゴロツキがやるような事が網羅されていた。それに住んでいる場所も書かれていた。それと行動パターンもだ。

 

だがそれでも思考に決着はつかなかった。そうして殺しの前日、その夕方になってしまった。

 

ああ、どうしてこんな事になっちまったんだろうな。俺がなにをしたって言うんだ。確かに盗賊ギルドに入っちまったのは俺だしその決断をしたのも俺だ。本当に俺がなにをしてしまったんだ。どう言う『理由』で俺がこんな目に合わなくっちゃあいけないんだ。

 

俺は暗殺の紙を読んだが全く持って良いことは書かれていなかった。もはやどう考えても社会のクズとしか思えなかった。

 

どうして俺は社会のクズのためにここまで悩まなくっちゃあいけないんだ。そうだ、こんなに理由があるのに俺は『覚悟』を決められないんだァ。

 

そうだ『覚悟』の『理由』があるのにどうして俺はここまで悩まなくっちゃあならないんだッ。殺しに必要な『覚悟』には『理由』が必要だッ。そして今回はあるッ。

 

もう悩まないッ。まるで小さな子供のように他者を害する事への恐れはもうないッ。もうこいつ、ジョベーノを殺す事への躊躇いは消えてなくなったッ。今日はよく眠れそうだ。



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スライム10

 

俺は今日のうちにジョベーノの家を下見しておく事にした。んーゴロツキが多くて治安わりー。えっとそこのボロ屋か。進入は簡単だろうな。

 

まあスキルを除けば多分簡単に殺せるだろうけどそのスキルがなあ。まあそこまで気にしなくても良いかも知れないがな。

 

身体に傷がつくとスライムで元に戻すには指に縫い物に使う針を刺したような傷でもだいたい一週間かかるしな。大怪我だとどれくらいかもわからないし。

 

それに熱とかだと俺の肉体は人間と同程度、つーか人間より弱いからな。まあスライムって微生物で変温動物だからいくら人間の身体を得ているって言っても弱いし。

 

そんな事を考えていたら鐘が鳴った。そうかもうこんな時間か。よし、今日はこの世界でも未成年だからって断ってきた酒を飲むか。この世界だと神の水って言われてるらしいしな。

 

そうして酒を適当に買って帰った。もったいないけど油をつけてパンと酒の夕食を取る用意をした。さてと、明日の成功を祈って乾杯。俺は酒を口に入れた。

 

入れたと同時に痛みを伴う熱さが舌と喉に感じられた。もちろん旨味とかそう言ったものは無かった。その瞬間だけ俺は殺しを忘れることができた。急いでスライムの部分ごと酒を吐き出した。

 

なんじゃあこりゃあ、こんなのでほんとうに美味しいのか。やっぱりアルコールってダメだ、ん、アルコール?そうかアルコールか、スライムって微生物だから消毒されちゃったのか。

 

まあいいか、パンで口直しといくか。井戸から水も汲んできたしこれらで減った体積を元に戻すか。

 

 

まあいいか、パンで口直しといくか。井戸から水も汲んできたしこれらで減った体積を元に戻すか。

 

よし、体積は満タンくらいまで戻ったな。明日は同じスキル持ちと殺し合うことになるしな。なるべく完璧にしないと。

 

じゃ、寝るか。たっぷりと。七時間ほどな。

 

んー朝か。昨日の残りのパンを食べながらジョベーノを倒す計画を立てる。まあ俺は夜で目が見えなくても風でどこに何があるかある程度はなんとかなるし。

 

ん、じゃあ俺のスキルで腕だけあっちに送ってスライムで喉とか鼻にスライムを詰めてそこからとどめを刺すか。

 

でも中身までは見えないしな、あの時も時間がアレで中までは確認できなかったし、資料にもないしな。

 

待てよ、俺のスキルを応用して目だけ取り出せないかな。そうして頭からうまく目だけ取り出せた。あと気持ち悪かった点として脳みそまで取り出せたから気持ち悪かった。

 

まあ無くてもスライムが本体だからあんまり関係ないけど。どーでもいいけどミイラって脳みそは鼻水を作るためのものだって言うらしい普通に生きてたら一生使わないであろうことを思い出した。

 

ま、まあ気持ち悪かったこともあったけど腕にスライムで保護し、くっつけて遠隔操作のロボットみたいにするか。ついでにスキルに名前もつけるか。そうだな、『スライミー・スライミー』にするか。自分のことながらダサい気がするがまあいいか。

 

さてとじゃあ詳しく資料を読み直すか。今までなんだかんだでやってたことと住所くらいしか読んでないし。

 

やってた事と住所は読み飛ばすとして、スキルのところを読むか。スキルは、やっぱり身体が、一定条件でジョベーノと戦った相手に鉄がくっつくことになるのか。磁石みたいだな。と言うかこれは磁石になるって言うスキルって捉えておいた方がいいか。

 

となると磁石になるスキルとして考えると例えばナイフを投げて必中させることとか、身体にたっぷりと鉄のものをくっつけて重くして動けなくする事とかか。

 

ナイフの方はスキルで分裂して避けれるな。それに当たってもあんまり意味がない。動けなくされても分裂して逃げて返り討ちにすればいいか。じゃあなんとかなりそうだな。

 



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スライム11

夜も遅くなってきたしジョベーノの家に向かうか。そうしてジョベーノの家に着いた。夜も遅くなっているし、明かりもないから俺がスライムで風の動きを感知できるのは圧倒的アドバンテージだからな。

 

ジョベーノの家に着いたのでガラスがない事に違和感を感じる窓から頭から取り出した目玉をスライムで保護しつつ右腕の甲にくっつけて入れた。

 

ん、こいつ目覚めてやがるッ。ええい、いっそ身体ごと突入してやらあ。俺は身体を窓に押しつけた。引っかかるところもあったけど、スキル『スライミー・スライミー』で分割して後から入れて無理矢理入った。

 

「っ、チックショウ暗殺者かよッ。オレは殺されねえぇ。たかだか金をちょっとハッピーになれる程度盗んだ程度でよおぉ。だがお前のことはよぉく知ってんだぜぇ。スライムなんだろ。ならよぉ、熱に弱いよなぁ。それくらいわかってんだぜぇ。」

 

そう言いながらジョベーノはベッドの下に隠していた魔術によって火をつけて温めるこの世界の暖房器具を取り出した。そして火をつけながら俺に触れてきた。

 

「これでもうお前はおしまいだぜぇ。もうここから逃れることはできねえぜえ。」

 

そう言いながらジョベーノはその暖房器具を炎を刃に見立て剣のようにおれにふるってきた。俺はとっさにスライムをその炎が当たるであろう腕に集めた。

 

前に見たときはせいぜい数秒ほどならば何も問題ない程度だったから正直油断していた。だがそのスライムを集めたところを蒸発させて、その上腕に焦げ目がつくほどの火力だった。恐らく魔法陣を加工しているんだろう。火力が相当上がっていた。

 

そうしてジョベーノはもう一度刃を振るおうとしてきた。俺は焦げ目が付いた腕を『スライミー・スライミー』で分離して回避した。

ま、これで勝ちだな。

 

俺は背後に回しておいた最初に暗殺しようとして失敗した目玉がついた腕からスライムを弾丸のようにして打つスライム弾をジョベーノの首元に打ち込んだ。ジョベーノはスライムが食らいつく痛みで暖房を落とした。俺は焦げがついたから分離した腕で少し燃え移りはしたが火を止めた。

 

そうして分離した腕を戻しつつ危ない暖房器具を俺の手元へ引き寄せた。あとはスライムはほとんどが水だからスライム弾を撃って消火しようとしたとき、ジョベーノは、信じられない行動をしてきた。

 

ジョベーノは炎の中から突っ込んできて俺の腕にナイフを突き刺してきた。その間五秒にも満たなかっただろう。そうして俺は暖房器具を取り落としてしまった。

 

ジョベーノはしっかりと暖房器具を点火し、その炎にナイフをくべて熱を与えた。俺はスライム弾を打ったが、炎で防御された。そして驚くべきことにジョベーノは自分の首を火傷では済まない熱を持ったナイフをスライムがついた首筋に触れさせた。

 

それによってジョベーノはスライムによるダメージを抑えられてしまった。

 

「これでよぉ、お前はもうおしまいだぁ。もうお前にオレは触っているんだぜぇ。オレのスキル『マグネスライサー』が発動するんだぜぇ。」

 

そう言いながらジョベーノは同じように炎で熱されたナイフを投げてきた。俺は避けようとしたら俺の身体が磁石になっているから不自然なほどに曲がり当たってしまった。チクショウ、どうするかッ。これでナイフも充分ダメージになっちまうしッ。

落ち着けッ、ジョベーノのナイフ投げは何発も叩き込まれないと致命傷にならないッ、俺のスライム弾は顔面に一発でも叩き込めば勝ちだッ。

 

だからジョベーノのナイフ投げと俺のスライム弾、どっちのリーチが長いか、その一点だッ。とりあえず下がりつつジョベーノにスライム弾を打ち込んでやるッ。

 

そうして俺はあとずさりしながら射程を測りながらスライム弾を撃つ、ジョベーノは接近して炎を俺に向けてくると言う構図になった。だがジョベーノは首のダメージであまり早く動けないみたいだ。

 

あれジョベーノの奴、熱されたナイフを投げてこないな。そうか、ナイフがあったまるまで少し時間がかかるのか。

 

よし、いったん開けた場所まで下がりつつ叩き込むか。ん、やべえ壁だッ。後ろまできちまったから壁にぶち当たっちまったんだッ。

 

ジョベーノの野郎わざとゆっくりきやがるッ。この俺をたっぷりと絶望感を与えてから殺すつもりだなッ。チクショウッ、ここでもうおしまいかッ。いやまて、一個だけ方法があるッ。間に合うかどうかわからないけどなッ、ためさず死ぬよりかは百倍ましだッ。

 

「これでほんとうのほんとによぉおしまいだぁ。逃げ道も、前への道も、栄光の未来への道も、物理な道も、全てが壁にぶちあたっちまっていけなくなっちまったなぁ。そしてよぉ炎とかの熱は効くとみたぜぇ。腕に焦げがあるしよぉ。びびってるしよぉ。これでもうおしまいだアァ。」

 

あの野郎たっぷりと話して優越感に浸ってやがる。だけどそっちの方がありがたい。これなら百パーセント生存できるッ。

 

「死ねえェエこの便所スライムがアァァ。地獄に落ちてオレを笑わせロォォ。」

 

俺は壁に向かって拳を無理矢理『スライミー・スライミー』で分割して全力で叩き込んだッ。そしてあらかじめスライムで食らってボロかった壁をより壊れやすくしていたッ。これらにより俺の体重だけで壊れるだろう壁はあっという間に崩れて俺は下がっての後ろに下がりジョベーノの炎を避けられた。

 

そしてジョベーノは隙ができているッ。今なら叩き込めるッ。スライム弾をジョベーノの顔面に叩き込む。そして手を離したからか暖房器具の炎も消えたな。

 

よしこいつのスキル『マグネスライサー』の能力が消えた感覚がする。ついでに火事にならないように消火しておくか。あとこいつが屈辱をうけるように勝利宣言でもしておくか。

 

「オメーは壁がどーだこーだ言っていたが壁っつーものはぶち壊しぬけるものだぜ。こんな風にな。ま、それができたらお前はこんなことになってないけどな。」

 

ん、ぶち壊しした壁の後ろに何かあるな。クワとか鎌とかたくさんあるな。元々農家がいたのかな。

 

ギャッ、足に何かあるッ。いやつかまれているッ。ジョベーノにつかまれているッ。こいつどうやって窒息状態から抜け出したんだッ。

 

ちょっと顔をみてらやる、ひっ、ジョベーノの顔焼けただれて見るに耐えなくなっているッ。そうかこいつ炎に顔面を俺が見てたあの間に突っ込んでスライムを炎で殺したのか。

 

こいつなにか喋ってやがるッ。

 

「壁ってものはよぉ、なんどもなんども現れてくるものなんだぜぇ。俺はもうおしまいだけどよぉ、おめえもオレのスキル『マグネスライサー』でおしまいだアァア。」

 

まさかこいつ鎌とかクワとかの思い農作業の器具でで動けなくして炎で焼き殺すつもりかッ。まずいッ。つかまれているから避けられないッ。足を分割してももう遅くて『スライミー・スライミー』でも避けられないッ。チェスや将棋でいう『詰み』にはまっちまったのかッ。いやまだだまだ何かあるはずッ。

 

だがそれも虚しく俺の肉体は押し潰された。

 

「この野郎ようやく押し潰されやがったぁ。圧迫祭りって奴だな。まあ念のためにここに火をつけてからここを出るかぁ。まあもうほっといても大丈夫だな。ここの火はもう消せないがなぁ。」

 

そう言ってジョベーノは出ていこうとした。そうしたときジョベーノは足になにか違和感があったようだ。

 

「なんだぁ。ん、ギィッ、これは腕ッどうしてこんなところにあるんだッ。どうしてオレの足にあるんだッ。」

 

ジョベーノはその腕によく見ると目玉がくっついていることに気づいたようだ。ま、それは俺の腕だがな。まったくやれやれって感じだな。

 

あとほんのちょっぴりで潰されて動けなくなるってところでなんとか腕と目だけ分割出来た。いやはや運が良かった。ま、そんなことを言ってやる義理はないしそもそも口は潰されて動かしても声な?てちょっぴりしかでないけどな。

 

「こいつまだ生きていやがったのかッ。まあいいッもっかい『マグネスライサー』でその腕も動け無くしてやるッ。」

 

ジョベーノの野郎ッ自分ごと俺を焼き尽くして道連れにするつもりかッ。このままだとスライム弾を喉に叩き込んでこいつを殺して脱出するのが早いか、俺が焼き殺される早いかの賭けに出てきやがったッ。

 

ええい、こうなったらこのギャンブルに勝ってやるッ。この俺が生存者だッ。こんなゴロツキに負けるこの俺じゃあないッ。

 

俺は口元まで寄って口を強引にねじ開けてスライム弾をぶち込んでやった。俺はこいつの肉体を少しでも指で壊してスライムで壊しやすくし、ジョベーノは炎に燃やされながらもジョベーノの肉体やスライムで保護されてなかなか燃えない腕をなんとか剥がそうとしてくる。そして腕を剥がそうとする力が弱くなって体感では数十秒程、でも現実では数秒ほど経ったころこいつの歯は全て抜けて、喉は破壊され、舌はただの肉に成り果てたころ呼吸が止まって死んだ。それと同時に磁力のような力もなくなり身体もうごかせるようになった。

 

な、なんとか勝てた。ヤバかった。激ヤバだった。まあ舐めてた俺も悪いが死ぬ直前まで食らいついてくるとは思わなかった。

 

っと感傷に浸っている場合じゃあないな。炎が回ってくる前に脱出しなくっちゃあな。肉体は相当傷ついているし動きずらいけど鞭打って動かないと。体積もあんま残ってないから消火もできないし。

 

ふーなんとか脱出できた。近くのゴロツキが炎を止めているな。多分だけど元々ジョベーノを監視していたアウロラの一員なんだろうな。

 

傷ついた身体どうしようかな。そうだ、『スライミー・スライミー』で分割して組み立て直して治せるかな。んーお、直せた。いやー良かった良かった。

 

ま、家に帰るか。昼までゆったりと寝よう。水を汲んでおくか。そうしてなんとか家に帰ってきた頃にはもう夜は開けかけて朝になりかかってきた。ま、もう疲れたし、眠いから寝るか。おやすみぃ。あ、水汲み忘れた。

 



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スライム12

 

んーおはよー。外をのぞいてみたら、だいたい日本時間で六時くらいの太陽の位置だった。だいぶ体積減っちまったからそうだな、水でも飲むか。そうして重い身体をえっちらおっちら動かし井戸までたどり着いた。

 

よっこらせ、この滑車わざわざ動かすの面倒っちいんだよなあ。せっかく異世界なんだから滑車くらい魔法で補助してくれたっていいんじゃあないか。お、よーやく水が入ってるバケツがあがってきた。

 

ちょっとばかし行儀が悪いけど直接水を飲むか。俺はバケツの水を頭とか身体にぶちまける。俺はスライムの身体だから、どこからでも身体から水をいつでもどこでも吸い取れるつー便利な身体なんだぜ。

 

んーでもやっぱり養分ッ、具体的には夜に食ったら絶対に太るよーなタレがたっぷりとかかった鶏肉っぽいあの焼き鳥もどきッ。でもま、金をいったん取りに部屋までもどるか。

 

あー面倒よのぉ〜。金を持ってから水を飲み、つーか水浴びかに行けばよかった。ん、テーブルの上になにかあるな。紙か、白くて薄っぺらいし。なんだ、あの紙はあんな場所にあったっけ。

 

なんか書いてあるな。えーと、なになに、幹部のカレアーロさんの家にえーと明日の昼ごろ来いってことと読んだら即刻この紙は消しされってことか。多分この紙は誰かのスキルで入ってきたんだろうな。すごいスキルを持ってるやつもいるんだな。

 

ま、どっちにしろ焼き鳥もどきは買える程度の余裕はあるし焼き鳥もどきを買いに行くか。なんだか昨日の死闘がまるでなかったような感じだな。あんなことがあってもなんもなかったような精神状態だな。

 

ま、せっかくだしお祝いに焼き鳥もどきをいつもならひと包みだけどせっかくだしいつもの二倍のふた包みかうか。(どーでもいいことだけど焼き鳥もどきは竹の皮を十倍くらい大きくしたような葉っぱで包まれている。この世界だとだいたい全部この葉っぱだからたぶん元の世界の日本のプラスチックのパックみたいなものなんだろう。)

 

そうして小銭入れからいくつか硬貨をきっちりきっかり値段どうりにわたして焼き鳥もどき二個を受け取った。今月ぶんの金がほとんどないのは見なかったことにしよう、そうしよう。最悪草を食べればいいし。まあそうなったら味を見たくないし身体で食べよう。

 

ま、今日は適当にグダグダしてすごすか。そうして食って寝て今日を過ごした。

 

おはよう、じゃ、幹部の家に行く準備をするか。比較的きっちりとした服を着て昼ごろになるまで過ごした。

そうして幹部のカレアーロさんの家に行く時間がきた。カレアーロさんの家に入るためにまたモールス信号みてーにトントンと叩いて自動的に扉が開いた。そうして道を進みカレアーロさんの部屋に着いた。

 

「さてと、ジョベーノを殺すことに成功したようだな。おめでとう。あれは試練だ。あのスキルを目覚めさせるかどうかと言うのはあくまで第一の試練だ。殺しでどうなるかと言うのが本当の試練だった。殺せないなら使えないし秘密を、スキルの試練を漏らすと困るからな。」

 

え、そうだったの。なんとか殺せてよかった。

 

「いえいえ、最後まで悩み抜いた結果ですし、誰だってできます。」

 

「そうか、それはそれとして本来ならば暗殺の代金を払って然るべきなのだろうがあの火事の分とトントンでなしになった。これからの未来ことは誰もわからないがひとつ言っておく。これから先もしかしたら君は暗殺任務をたくさんやってもらうかもしれない。さて、では帰りたまえ。」

 

「失礼します。ありがとうございました。」

 

チクショー金がもらえるはずだったのかよ。こーゆーのはないと思ってる時より、あったはずのものがなくなる方がつらいんだよなあ。



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スライム13

 

そうして幹部のカレアーロさんの家から出た。金はほんのちょっぴりももらえることはなかった。

 

どうしよう。誰かからカツアおっとじゃあなくてちょっと恵んでもらうか。でも厄介なやついるかもしれないし(例えば貴族)とかあとぶっちゃけ俺って多分下っ端なんだろうな。とゆうか下っ端じゃあなかったら暗殺なんてさせないしな。

 

そもそもあの時の神父の様子からつったってまーあんまり覚えてないけどなんとなく異世界人って言うものは珍しいし、あんまり失いたくないけど失ってもいい。そんくらいなのかな。

 

まあ下っ端じゃあなくても鉄砲玉とかの人材なのか。ま、そんなことをどーだこーだ考えても仕方ないけど。

 

しかしあん時ジョベーノから金を奪っておけばよかったかな。でもあんな状態だと金があるかも怪しかったしな。そもそもあんな状態で金を盗める余裕はなかったしなあ。

 

ほんとどーしよう。このままだと生命の危機にはならないけど尊厳の危機にあっちまう。いやまあ死ぬ危険がないだけ贅沢なんだろうけどよぉ〜。ん、なんか異質な音がするな。小さな音だけど叫んでるよーな声だ。俺がスライムで空気の流れに敏感じゃあなかったら気づかないようなちーさな声よのお。

 

これは、もしかして、もしかして、よくある、異世界御用達の、異世界ものの鉄板中の鉄板の、ラーメン屋に行ってトッピングにチャーシューがある確率と同じくらいにある、チンピラかァ。

 

現状俺もチンピラだけどよ。おんなじチンピラならよぉ〜奪ってもいいよなぁ。そもそもそんな盗まれるのがかわいそーだとか言うかもしれないけどそんなもの殺した時に捨てたッ。

 

お、ほんとに金ず、もといチンピラだッ。よしよし。これでなんとかなりそーだ。神様ありがとう。

 

「おいおいそこのあんちゃんよぉ〜。人から物をとるのはいけないと思うわけよぉ〜。だから俺に罪滅ぼしだと思って俺に渡しやがれッ。」

 

「オドレこら!!なに舐め腐っとること言っとるんじゃワレェア〜ッ。じっとしろよゴラッ。今から人生の先輩に対する無礼の代金分しばき倒してやルワッ。」

 

よしのってきたッ。これで金を簡単にゲットだぜッ。あのチンピラとの距離は二、三メートルくらいある。ふつーならパンチやキックは届かない距離だ。ま、俺ならスライム弾で攻撃できるけどちょっと遊びというかロマン技で行くかッ。

 

「食らえッ、先手必勝ッ、スライムパンチッ。」

 

このパンチはよぉ、俺のスキル『スライミー・スライミー』を利用して即座に腕の関節を外してリーチを伸すッ。さらにスライムを糸のようにしてそのスライムの糸を腕の中心に入れて弾のようにやって早いスピードにしてロープを伝うようにして腕を分割してさらにリーチを伸ばすッ。これが新技スライムパンチだッ。ほんのちょっぴり、いや結構技名がダサイ気がするけどめんどくさいからこのまんまでいいや。もっといいのがあったらそん時変えよう。

 

俺の腕はチンピラの顔面にぶち当たる。よし当たった。これは一発一発の隙がでかいけどその分リーチが最大で四メートルはある。最も長ければ長いほど隙はでかくなっちまったがなあ。俺の腕をスライムを操作して元の一個の分割されてない腕に戻す。

 

まだチンピラは倒れているな。ま顔面から鼻血を出して無様になるくらいの痛みはあるはずだ。それに顔面にうすーくスライムを覆わせているから呼吸はかなりしづらいはずだ。

 

ジョベーノの時は多分あいつも極限状態だったから身体に火をつけるなんてイカれたことができたけど今はただの喧嘩だしな。そこまでしないはず、しないよな。ま、炎もないし。多分安全だ。こいつ炎を出す魔法のこの世界におけるライターみたいのを持ってたら話は別だけど俺がスライムだって多分知らないだろうから多分大丈夫でしょ。



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スライム14

 

なにも死ぬことぁねーから後でスライムを外して呼吸はできるようにしてやるけど有り金は全部もらってくか。ま、服とかまでは取ってかないでやろう。男の裸なんて誰だって見たくない。俺だって見たくない。

 

ちょ、動くなや。金を探しづらいじゃあねえか。ん、顔面からスライムが落ちてるな。ま、なるべく早くやるに越したことはない。んー金ねえな。反対側にあんのかな。ひっくり返してみるか。よいせっと。

 

その時、ベチャァと、言う音がした。

 

なんだこの音、何処からしたッ。こいつ殴りかかってきやがった。嘘だろッ。スライムで溺れているはずだッ。

 

「テメェッ、なにしてくれやがったッ。なにを顔面にぶち当ててくれやがったッ。ブッコロロォォスッ。」

 

殴りかかってきやがったな。ま、さっきは何故かスライムが落ちてきたがま、人が殴ったところで大した衝撃でもないし問題ねーな。ま、顔面にぶち当たるのは精神的にいやだから手で拳をキャッチするか。

 

な、なにッ。キャッチしたと同時に手首から先にまるで40〜50キロくらいの『重り』をつけられてるようだッ。この腕になにが起こっているんだッ。

 

「もう一発だッ。いやッ、もう数十発叩き込んで潰してやるッ。」

 

『もう一発』、『もう一発』食らうのは非常にまずいッ。何かよくわからないが非常にまずいッ。クソッ、このカラクリは後で考えるッ。とりあえず『スライミー・スライミー』ッ。腕を分割して一旦脱出ッ。

 

うおっ、あぶねエッ。あと一瞬おくれてたら顔面にぶちあたってた。そしてこの俺はよぉ〜、何もせずに避けるなんてことはしねーぜ。頭があった場所にはスライムをまいて水たまりのようにしておいたッ。俺の頭を殴ろうとしてたこいつの拳にモロにスライムがくっついて居る。

 

「テメェェ、なめやがってこのドサンピンがッ。」

 

ベチャァと、また音がした。

 

アイツの腕にくっついていたスライムが落ちた。それと同時に俺の分割した腕の『重り』も消えた。

 

やっぱりアイツはスキル使いだッ。間違いなくッ。そしてスキルの中身は殴ったものを重くするッ。いや重りをつけるつー方が正しいか。五十キロから六十キロくらいか。

 

もう一発殴りかかってきやがった。ま、当たらないよーにうまく避けれる。アイツの拳は見事に外れて後ろの壁に当たった。振動で上に貼られている洗濯物を干している糸が揺れる。

 

ん、いーこと思いついたっ。俺はスライム弾を何発か発射する。弾はアイツには当たらなかった。

 

「テメェのぶち込んでくる水は無駄なんだよォ。当たるわけがねーぜッ。そんなスローなのはよぉ。」

 

アイツは何発も殴ってきているが避ける。んーこのままあの場所にうまく誘導するか。よしよし、うまく誘導できてるな。俺は行き止まりに背中がぶち当たった。

 

「テメェ頭脳がマヌケかァ。追い詰められてんのはテメェだぜッ。まあこのオレと、スキル『メタルス』に敗北を誓って有り金と服を全部置いてくんだったら許してやるぜッ。」

 

こいつ大方服とか奪ってもそのまま殴ってくるな。ま、俺の勝ちには関係ないけどよぉ〜。

 

「なに〜聞こえないぞ。」

 

「あ・・・あなたのおっしゃるとおりですチンピラさん。オメーに逃げられたり避けられたりするのもいやだからこうやって俺がお前を誘導したんですよ、俺は!」

 

俺が言ったと同時に上からスライムが落下してきた。

 

「俺の狙いははじめから洗濯物だったのよォ!」

 

俺がぶっ放したスライム弾ははじめから洗濯物に当てるのが目的でぶっ放したものだ。あの洗濯物は現代日本と違って植物でできてるからな。水もたっぷり含まれてるしスライムが増殖するには充分すぎるッ。



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スライム15

よし、今度はちゃんと気絶してるな。ここから復活されたらかなわんしな。じゃ、勝者の権利としてェちと有り金いただくとするか。そしてこのゴロツキから有り金をいただいた。だいたい現代日本の価値で三万ほどだった。

 

ふー、これでなんとかなるな。最悪栄養素も水分もたっぷり含まれているウンコを食べる事も覚悟してたからなぁ。いやマジで冗談抜きで出したてホヤホヤのウンコはスライムの栄養素としてぴったりだし、現にトイレにはスライムが湧きやすいからきちんと掃除して流さないといけないし。

 

さてと、よゆーもできたし焼き鳥モドキでも買うか。ま、一本だけだな。これでウンコとか葉っぱとか食わなくてすむな。よーし、せっかくだし茶でも買うか。やっぱりさぁーもと日本人だしぃ、茶でも(今は人間かどーかも怪しいけど)飲みたくなるなぁー。よし、茶も買おう。

 

その後一週間くらいたった。うん、何度見ても同じだ。『三万円』もあった俺の貯金がぁァ!!日本円換算で十二円ンんあああ〜〜んああああああ〜〜〜ッ!

 

焼き鳥モドキのせいだッ!あの野郎から奪った金がたっぷり『三万円』あったから金を貯めてるツボから金が出たり入ったりちょっとくらい使ってもいいかなあ〜なんて思ったりして俺の金銭感覚がマヒしちまったんだッ!

 

チクショーまた金欠だッ。ウンコを食べることも考えなくっちゃあいけねー。まじ最悪ッ。ん、なんか紙がある。また指令か。えーとなになに明日の夕方こい、か。なんでもいいけど金がもらえる仕事があるといーなぁ。とりあえず今日の夕飯は抜きで我慢するか。

 

その翌日の夕方、カレアーロさんの家に向かい、部屋に入った。それまでの道中には何もなかった。 

 

「さてと、また暗殺だ。最近キナくさい。まあ新しい幹部ができたからまあしかたないが。名前はエリベリオ、スキルの内容は徐々に若返らせる能力だ。こいつは幹部が新しくなったどさくさに紛れて着服して金を女に使い込んだ。その他はこの紙に書かれている。ここまででなにか質問はあるか?」

 

カレアーロさんは紙束を渡してきた。また暗殺か。やりたくねーな。まあしょうがない。殺るか。

 

「いいえ。別になにも問題ありません。」

 

「ではまた。達成したら会おう。」

 

そうしてカレアーロさんの家を出た。また暗殺か。一カ月も経ってないな。まあそうとうでかいしな。この組織。とりあえず紙束を読むか。

 

そうして家に帰り紙束を読んでひとつのプランを思いついた。

 

◆◆

 

エリベリオはムラムラしていた。金が尽きたのだ。今までモテたことなど全くなかった。エリベリオは性欲が強かった。だから風俗に通っていた。だがいくらスキル使いでもあまり多くの金はもらえない。幹部が新しくできると聞いた時にはすぐに着服し即風俗に行った男である。

 

だがその着服した金ですら使いなくなってしまった。そんなころ悪くはない程度の女がいた。まあちと老いているが若返らせればいいとエリベリオは思った。

 

「ねぇーお兄さん。一晩一緒にいない?」

 

エリベリオは即刻受け入れ、キスをした。

 

そのキスをした直後、口になにか入った。エリベリオは混乱した。呼吸ができなくなったのだ。喉に何かがつまった。エリベリオは服がバリバリと避けるほど掴んだがキスは依然止まらなかった。

 

エリベリオはとりあえずそこにある泥水で口を洗って呼吸できるようにしようとした。エリベリオはなんとか振り払って涙を流しながら泥水で口を濯いだ。だが泥水で口を濯ぐと余計に溺れた。いや、それどころではなく鼻も、目も、つぶれ、足に衝撃が加わった。喉や目、鼻は焼けるような痛みがする。エリベリオはそのまま死んでいった。

 



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スライム16

 

さてと、じゃ暗殺の用意をするか。この書類をざっと目を通した感じ、このエリベリオってやつは相当女癖が悪いらしいし、金ももう使いきっている。女癖もわるいしだからなると女を利用したらいいな。

 

つっても女なんてどうすればいいんだ。自慢にはならないけど女の知り合いなんて前世今世含めて片手で数えても指が余るくらいしかいないからな。

 

ん、まてよ。俺自身が女になればいいんじゃあないか。今の俺の肉体はスライムだからな。女の死体に入り込めば女に変装できるな。おお自分ながらナイスアイデア。

 

でも女になって変装してどうするかな。流石に男とやるのは嫌だしやっぱり寝込みを襲うか。いや、でも寝込みを襲うならあんまり意味ないな。女になる。

 

んーとなるとやっぱり女になるとか考えずにこう言うのもなんだけどオーソドックスに夜にこっそりと殺すか。

 

あ、そうだ。キスをすれば良い。キスをして口に直接スライムをぶち込んで窒息死させればいいや。嫌悪感はあるけど仕方ない。

 

でも死体はどうしよう。最悪そこらに転がっているから探すにしても美人なやつなんて死体じゃあなく、奴隷商人にとっ捕まって今頃お偉いさんのところでやることをやってるだろうしな。美人じゃあないやつは今頃死体で腐りはててるだろうし。

 

まて、俺には死体を扱っていそうな知り合いがいるじゃあないか。あの神父の教会には確かのたれ死んだ奴の死体があったはずだ。あの死体を借りて使えばいいな。元の死体の人はかわいそうだけどまあしょうがない。それにあの神父、何日か一緒にいたからわかるがあれは神を信じて神父になったのではない。あれは便利だから神父になったって感じだ。だからまあ多分死体を貸してくれるだろう。

 

善は急げだ。(今の俺の行動が善かどうかは知らんが。)さっさと行くか。んん、もう夜か。こうなったら迷惑だし明日行くか。とりあえず今日の夕飯はウンコにしよう。

 

ものすごく嫌だけど。体積が少し少なくなってきたから仕方ない。文字通り断腸してウンコを直接ぶち込んで体積に変えよう。この後ウンコを取ろうとしたら勝手にとるなと言われたのはまた別のお話。

 

クソ、物理的にも文字通りクソッ。体積が足りない。身体にあまり力が入らない。まあ仕方ない。まあ、仕方ない神父の所に行くか。

 

お、ようやく着いた。体積が足りないからあんまり力が入らなかったからつくのに時間がかかっちまった。ああ、あれだ。なんかこの感覚はあれだ。そう、プールに長い間いて身体が重くなると言うみたいな感覚だ。

 

まあこの暗殺終わったら多分収入あるだろうし我慢しよう。確か前回は火事の後始末で(俺が原因じゃあないけど。)金がかかっちまったからその分で消えたけど、多分このプランなら何も問題ないしな。

 

俺は扉を叩く。

 

「ノックしてもしもお〜し。神父様、いますか。」

 

「誰かと思えばギルシアか。なんのようかね。まあとりあえず教会に入れ。」

 

そして教会に入って死体の話をした。

 

「まあそう言う理由ならばいいでしょう。それならばまあ何があっても自己責任で。後で案内するので勝手に取ってってください。その間のあなたの身体は預かっておきます。」

 

お、よかった借りれた。でもなんで前回は正論で断ってきたんだろう。

 

「ありがとうございます。ところで何気ない疑問なんだけど前回はどうして協力してくれなかったのに今回は協力してくれたんだ?」

 

「ああ、あの前回はこの裏社会で生き残れるかどうかと言うものだからだ。基本的にスキルをあの試験で得たやつは一回殺しをさしている。それで殺れるかどうかで判別しているからな。」



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スライム17

地下に降りて遺体安置室に向かう。遺体安置室は食糧庫の反対にあった。遺体安置室は岩壁丸出しの部屋で死体は布に置かれている。正直結構寒い。十五人分くらいの死体が置いてある。さてと、じゃあ運ぶか。

 

お、なかなかマシな見た目してる死体があった。何人目かな、五、六人くらいかな。まあマシつったって現代日本と比べると悪くはない程度だけどまあこの世界には化粧品とかは少なくとも俺が知る限りでは安いのは売って無かったからな。だいたい俺の給金だと四カ月くらい分吹っ飛んじまうくらい高いからな。まあ俺が化粧する必要はないけど。

 

それに腐敗してたりと言うかハズレと言おうか使いものにならないような死体もあるしな。ある程度は身体に入って操ってから俺のスキル『スライミー・スライミー』で再構築アンド再形成である程度は何とかなるけど流石に腐敗臭なんかはどうしようもないから腐ってないのを選ばなくっちゃあならないのが面倒なところだ。

 

さてと、じゃあ入るか。お口からゲロをたっぷり出すみたいに身体からでて、この女の死体から水を一気飲みするみたいに入る。そうして布

 

そうして適当に服を着て適当に神父に聞きながら身体を変えていったらなかなかの美人になった。教会だからたくさんの人と会って悩みを聞いたり飯を恵んだりしてる神父にもちゃんと聞いてまあ美人だと言うお墨付きをくれた。

 

ただ前世の美人とは結構違うけどそこはまあ異世界だからしょうがない。よく言われる事だけど平安時代とは全く美人の基準が違うしな。まあ俺が来る前にも異世界人がいたらしいから結果に通ってはいるけど。例えば貧乳が巨乳みたいに素晴らしい物だと思われてるとかな。まあもうスライムになったから性欲なんて消え失せたけど。美人だとは思っても性的欲求は感じない。

 

あと服というか身につけているものも『スライミー・スライミー』の効果に適用されるらしく服も分割して改造できた。あと汚れも身体に移せた。超能力だしこの世界には魔法とか魔物があるファンタジーやメルヘンみたいな世界とはいえ不思議だな。まあ俺の低能脳みそじゃあ仕組みはわからないし、考えたところで「ドーダコーダ」言うわけではないしな。

 

まあそれで一般的な服装に「直して」からでかける時、神父が声をかけてきた。

 

「これが終わったら死体を返すついでによってくれ。話したいことがある。とても大切な事だ。まるで神を大事にする様にこの話を大事に覚えて置いてくれ。」

 

なんだろう。話ってのは。なんか嫌だな。職員室に説教で呼ばれるかもわからないなんで呼ばれるか全くもって心当たりがないときみたいだ。

 

しかしこんな雨が降った後にできる若干土が混ざってる水たまりより浅い作戦だから失敗するかもしれないな。まあ多分大丈夫だけど。なんとなく。

 

多分ここが書類に書かれた通るルートだよな。(たぶん、きっと)お、よしよし、きた。

 

さてと適当に誘ってみるか。よし、キッチリと引っかかってくれたよこいつは。どうしてこんなノンキしてられんだ。まあたしか書類には組織に狙われてるって気付いてないらしいけど。

 

よし、こいつに自然なかたちでキスができたな。クソ、気持ち悪い。我慢我慢ッ。そうしたらそのまま口にスライムを口から口にぶち込む。

 

そうしたら口呼吸はできなくなって陸地で溺れ始めた。慌ててスキル発動もしていない。ついでに口から溢れた水が鼻にも入って呼吸ができなくなった。陸地だが気分は大海原に飲み込まれていく苦しみだろう。




今更ではありますがここまで読んでいただき、お気に入りしていただいた方。ありがとうございます。これからも質を良くするために努力させていただきます。


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スライム18

脈が止まったな。念を込めてもう一、二発くらいスライム弾を叩きこんどこう。そうしてスライム弾を叩き込んでこいつがあの世に叩き込まれたのを確認したあと、こいつの死体を運び出す。

 

クソが。動かすのが大変だぜこりゃあヨォー。いまは女の身体で筋肉量ダウン中だしいくらスキルのパワー増加も漫画雑誌についてくるおまけ程度の意味しかないからなー。人によってまちまちらしいし昔のスキル使いは抜きたてホヤホヤの木をぶん投げたり家をぶん投げたりっつー身体おかしいレベルのパワーのヤツいたらしいけど多分嘘やろうなあ。 

 

こいつをえっちらおっちら運んだ先は便所だ。便所になんで運んだかと言うとまあ自然な形で死なせるためだ。前回は死亡と同時に火葬があったけど今回はスライムが街中にいる死因と言う条件で一番多い場所便所だからだ。

 

なんでかって言うと便所にはションベンという名の水分と糞と言う名の養分の二つが揃っていてスライムが増えるのにピッタリだからな。スライムができて夜便所に行こうとしたらスライムに飲み込まれて食われて窒息死アンド遺体を食われると言うこの異世界での死にかたの中で嫌なヤツランキングでも作ったら上位入りが確定レベルの嫌な死に方があるからそれに偽装する。

 

あとは適当にスライムを身体中にぶちまけとけば良いでしょ。よし終わった終わった。神父のところへ行くか。なんとなく嫌だな。まあ良いや。恩があるし。肉体も元のにしないといけないからな。

 

身体を動かしながら教会へ向かう。裏手から入って入る。表の扉は大きいから開ける時の音がでかいからな。

 

「神父さん、いるか。戻って来たぞ。」

 

裏手口から入ると神父は椅子に腰掛けてワインを飲んでいた。

 

「その身体はギルシアですか。首尾はどうですか。」

 

「パーフェクトだ。アイツは跡形もなくスライムに喰われるはずだぜ。」

 

今の会話で思い浮かんだんだけど、たしか鳥葬って言う鳥に死体を食わせるのがあるらしいけどこの世界のどこかにはスライムに死体を食わせるスライム葬があるかもな。まあまったくもって現状には関係ないけど。

 

「そうかですか。ワイン飲みます?」

 

「いいや、いらねー。ワインとかのアルコール類は好かないからな。」

 

まあほんとはワインとかのアルコール類を飲んだが最後スライムも微生物が集まって出来たものだから舌が殺菌消毒されて地獄を見る羽目になるからな。

 

「そうですか。とりあえず肉体を元のに戻して来てください。そんな女の身体だと違和感がスゴイ。」

 

「わかった。」

 

そうして一回地下にある遺体が置いてあるに戻ってこの肉体を元の顔と体型にしておく。この世界の死生観とか死んだ後にどうなっているかとかは知らないけど、日本の仏教では地獄の船の渡賃が必要らしいからな。金がないがせめてもの気持ちに置いておくよ。

 

そして帰ってきたぞ俺によくなじむこの肉体よ。やっぱり筋肉量が違うな。体重バランスもしっくりくる。これからも基本的にこの肉体を使おう。さてと、服を着るか。

 

しかし話ってなんだろう。なんとなく話を聞くのは嫌だな。

 

「おい、神父さん、肉体を元のに戻して来たぞ。服もバッチリだ。」

 

「よし、では話しますか。あの勇者の話、あの英雄の話です。」

 

「ああ、あの勇者に力をまとめたつー話だろ。」

 

「それであっています。その話を調べるために別の宗教や各地の神話、民話なども今まで知らなかったから調べてみましたが同様のものがありました。つまりあれはスキル進化法で正しいと断定できます。ですが他にもいくつか条件があると思います。」

 



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スライム19

 

え、まじでッ、ほんとに。よしッ。よしッ。非常にいいッ。あのなんかテンションおかしくなってた時のがあってたのかよッ。あんなの適当にくっちゃべっただけなのに。これでスキル進化させて元の世界に帰れるかもしれないッ。

 

読みたい漫画だってたっぷりあるし、多分新刊が出てるやつもあるだろうからな。数ヶ月程度しかこの世界にいないけど帰りたくなったことなんて数えるなら両手の指が3セットくらい必要になるくらい帰りたいからな。

 

そりゃあもちろん愛着だってあるしあの世界に帰って何をすると言われたらなんとも言えないけどな。きっと帰りたいつてことには理由がねえーんだろうなッ!本能ってやつなんだろーなッ!

 

とりあえず方法をきかなくっちゃあ始まらないからな。例えば五万人を殺して生贄にして覚醒するとかなら無理だからな。俺のスキルじゃあ暗殺ならともかく殺戮には向いていないからな。なにせ自分の身体を分割するだけだもん。暗殺特化だ。結構応用効くけどな。

 

とゆーかこいつ一応ほとんど信じていないとは言え神父なのに各地の神話とかよく調べようと思ったな。

 

「そ、その方法ってのはなんなんだよォー!そのスキル進化の方法ってのは。早くおしえるんだよォーッ!」

 

「その方法と言うのは各地によって違います。口で伝えられて来たからなのか、それともスキル進化の方法、便宜上、そうだなこのスキル進化の方法を『祝福』と呼ぶことにします。

 

まあその『祝福』の方法は多少違いはあれど囲まれた場所で満月の反射光を浴びながら三十六人分の魂を一分三十五秒以内に奪い自分のものとしその上でとある術式によって出した毎回違うであろう言葉を言います。

 

すると『祝福』が行われると言う話だ。恐らく多分、きっと間違っていません。」

 

「・・・いくつか質問してー事があるんだがよォー、多分、きっとってゆーのがどーにも信頼ならねーんだがよォー。そこんとこバッチリなのかよォー。保証できんのかッ。失敗するかそもそもこの方法がなんかの罠でとり殺されんのはやだゼッ。俺はよォッ。」

 

「大丈夫だ。保証できます。問題ない。百七十五年ほど前にとある水と油、西と東のように間反対の二派閥があったのだがその二派閥のどちらでも同じ事が記されていた。恐らくだがどちらもスキル進化の方法を試せないでいたのでしょうね。

 

この方法は困難だしそもそもスキル使いが安定して生み出せるようになったのは五十年ほど前だから稀にしかいない。いまなら千人に一人程度だが、五十年ほど前は人口も少ないため、そうだな、国に十人ほどいるかいないか程度です。」

 

「それなら大丈夫そーだな。まあそれはそれとして一つ目の疑問はなんであんた分の単位使ってんの。この世界にはねーはずだろ。そして二つ目の疑問は魂を奪うってどうやればいいんだよ。そしてファイナル質問はその術式ってなんだよつー三つだ。仏の顔と同じ三つだ。」

 

「では最初のなんで私が分とかメートルの単位のことを知っているかと言うことに関してですね。これに関してはシンプルかつ簡単な物で私は前にも転生者にあった事があるからです。なぜか転生者は方法こそ違いはあれなぜかそちらにおける中学校といいましたか。その年齢までしかこないからです。だから電子機器とか言う仕組みとか蒸気機関の仕組みはわかりません。」



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スライム20

 

メートルとかわかるってことは転生者って結構多いのかな。ま、どーでもいいけど。あ、でも漫画の続きは聞きたいかな。

 

「二つめの質問は簡単です。殺す。それだけです。」

 

「オイオイオイオイ、そりゃあ俺には無理ってもんだぜ。別に殺すのは必要だし『理由』もあるからいいけど俺のスキルは暗殺特化、暗殺とかならともかく人を殺すのは最低三十秒はかかる。

 

それも抵抗しないつー条件の元でだ。簡単な計算でよぉー三十かける三十六1080秒、分なら18分だぜ。一分三十秒以内に殺し尽くすのは不可能ってものだ。どーすりゃあいいんだ?」

 

「そこのこの魂を奪うために殺すと言うのは普通ならばと言う話です。スキルと魂は深く結びついています。そこで私のスキル『ハードドリプトン』名前を言うのは初めてでしたか。まあ私の『ハードドリプトン』このスキルを奪う効果には実はスキルだけではなく魂も一緒に奪っています。まあ私の持論ですがスキルは魂の発現だと思っています。」

 

「そいつはいいな。でも三十六個もスキル持ってんのか。あんたのスキル『ハードドリプトン』だっけ、それ戦闘能力は無さそうだしちょっとばかしプライドを傷つけたらすまないけどスキルを取れるとは思えないんだよ。まあ俺もスキル使いと戦ったのはちょっとしかないから俺が言うのもあれだけど。

 

と言うかあんた前にスキルの事をベラベラ喋るなって言ってなかったっけ。なのにそんなに喋っていいのか。関係ないけど。」

 

「ああ、それに関しても問題ありません。そうですね。説明にも便利ですしちょっと話す場所を移しましょうか。」

 

「どこいくんだ。懺悔室にでもいくのか。」

 

「行けばわかります。」

 

そうして俺は神父に連れられてこの教会の神様の像がある場所に連れて行かれた。

 

「ここで話すのか。ちょっと椅子がクッションないからちょっと硬いし寒いからやなんだよなぁー。なんでここまできたんだ。」

 

「まあちょっと見ててください。」

 

そう言って神父は神社とかにあるお賽銭箱に手をかけて上の蓋を外した。そして下にある金を引き出すための底を引き出した。

 

「なに、賽銭ドロボーでもすんの。なんかバチが当たりそうでやなんだよな。いやまあ盗賊ギルドに入っといてなんだが。」

 

「そんな下らないことじゃあありません。ここを見てください。」

 

柵を乗り越えてそこをよーく暗い中で見てみたら扉があった。正直明るいところで見てたらわかんなかったと思う。たぶん。

 

「間違ってたらすまねーけどの扉ってなんだ。」

 

「それは今からわかりますよッ。」

 

神父がその扉を開けたら地下へと続く階段があった。いよしッ。これはいい。すごくいいじゃあねぇか。やっぱり地下室つーのは誰もが男ならば好きになる響きがあるんだよなぁー。

 

「なんだこれスゲーッ。すごくいいじゃあないかッ。」

 

「とりあえず入ってみてください。」

 

そう言って神父は俺に明かりを手渡してきた。

 

「ああ、そうだ。紙を持ってたらその明かりで燃やしてください。」

 

「たぶん持ってな、いやまってちょっとあった。クソッ、スライムに半分くらい食われちまっているじゃあないか。結構書くの面倒だったんだぞ。これ。」

 

それは今回の敵の能力とかをまとめた紙だ。いや、もう紙と呼ぶにはちょっと言えなくなるくらいの状態にスライムに喰われてなっている。

 

文字は読めなくなってる。俺はあんまこの世界の読み書き上手じゃあないのに。特に数字、テメーややこしいんだよ。クソがッ。主に点が三つあるやつが七で、点が一つのは一つーのがややこしいんだよッ。そーいえばなんかのアニメのアニオリでこんな数字に関してのやりとりであったな。

 



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スライム21

 

まあ数字のことなんていまには関係ないけどな。手にある紙を強く握ってスライムで食い散らかして無くす。

 

「これで完全完璧に紙はなくなったぜ。これで大丈夫か。」

 

「まあ大丈夫です。許可します。では入りましょう。」

 

地下にある階段を下って十分ほどするととある部屋があった。地面が剥き出しで、至る所に棚と、棚の中に直接文字が書かれた木箱があった。そしてひとつだけ机と椅子があった。

 

「スゲー、けどよぉ〜あんたのスキルは掘るのに適していないスキルだろ、どうやってこんな地下室を作ったんだ。」

 

「ここはそもそも私が作った場所じゃあないんです。前に魔物が山脈の向こうにいると言う話はしましたっけ。」

 

「いやーあったような気がするがあんまり覚えていないわ。」

 

「じゃあ再び説明しますか。」

 

「すんません、ほんとすんません。」

 

「別にへるもんでもないんでいいですけどね。まあ簡単に概略を説明するととある一つ大きな山脈があってそこには巨人とか吸血鬼とかの魔物と一般的に呼ばれている生き物がいるんですが昔侵略してきたんですよ。

 

そしてその時の言ってしまえば隠れ家ですよ。そうですね、その侵略から百四十五年ほどたちますか。ま、その隠れ家を借りてるわけです。」

 

「ふーん、で、どうしてこんな場所まで連れてきたんだ。」

 

「二つほど理由がありますが、一つ目は『祝福』を隠すためです。なにせ『祝福』なんてのはとてつもない危険を孕んでいますからね。二つめはスキルをたっぷり持っている事を示すためです。そこにある木箱をとって開けて見てください。」

 

ふーんま、言われたしとってみるか。よ、ん思ったより軽いな。中にはえ、なにこれ怖。箱には一本のボトルとクッションがわりのおがくずが入ってる。

 

ここはまあいい。これは多分スキルを封じ込めてるボトルなんだろう。ボトルにはキラキラした何かが入ってる。割れちゃあいけないからおがくずが入ってるのもわかる。

 

問題は箱の蓋の裏にはびっしりと文字が書かれてる。なんでこんなに書かれてんだってくらいびっしりと炭で。なんで紙が入るくらいのスペースがあるのになんでやんないんだろ。紙ってそこそこ高いけど買えないくらいじゃあないし、ケチなのか。

 

「スキルのボトルがはいってんのか。つまりこれ全部スキル?すごいな。三十六個ですまないだろ。」

 

「だから大丈夫と言ったんですよ。一分三十五秒以内に頑張れば自分にさして手に入るでしょう。」

 

「じゃあ『祝福』の用意はできたってことか。」

 

「いいや、まだです。毎回違うであろう言葉ってのが残ってます。この言葉はとある魔法陣を使えば分かります。その言葉によってどんな能力かが変えられます。つまり、能力を選べると言うわけです。」

 

「じゃあすぐに選ぶわ。」

 

「それは無理です。なぜならその魔法陣ができてないからです。なにせどの文献にものってないもので解析に時間がかかるんです。」

 

「じゃああとどんくらいかかるんだ。」

 

「少なくてみて十年はかかります。」

 

そうか、あと十年は異世界暮らしを我慢すれば良いのか。ま、しょうがない。我慢しよう。帰るアテがないよか百倍マシよ。

 

「そうか、じゃあ仕方ないか。」

 

「そうです。ところで正直もう寝たいので話が終わったので帰ってもらっていいですか。」

 

「はいはい、分かりました。じゃあオレも帰って寝るわ。」

 

さてとじゃあ俺も帰るか。



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スライム22

 

ふーおはよ。誰もオレ以外にこの部屋にいないけどなんとなく癖でやっちまうんだよな。まあ悪くないけど。

 

昨日は遅かったしすぐ寝ちまったな。昨日の話で帰れるのは十年後って言ってたけどま、百パーセント帰れないよかましよな。

 

そもそもこんな世界でいくらのし上がっても結局はズルで手に入ったような人生、つーかスライム生だしな。どうせ二回めなら誰かのためになるような事をしたいな。

 

ま、つっても盗賊ギルドに入って殺しをした時点で大概もうグズのゴミだからな。殺しをした時点でどんな慈善事業したところでよくて地獄だ。もう後戻りなんてできない。だからま、生きてるうちにエンジョイしたい。

 

ま、報酬は多分くれるだろうし今度は大切に使わなくっちゃあなあ。あんな糞を盗もうとしたら止められるなんて気分サイテーだったぞ。地獄はあれよか辛くない事を祈っとくか。

 

ん、机の上にまた紙があるぞ。これは幹部の家に行くって内容だろ。これはもしかしていやッ、もしかしなくても報酬もらえるかも知れねーッ。

 

今日の夕方だなッ。ま、それまでゆっくりしとくか。いや、やっぱり慈善事業でゴミ拾いでもするか。地獄の刑期が短くなるかも知れない。つーか実際のところ紙がいるんだから地獄だってありそうだ。

 

無償の愛とは天国へ行くための見返りって言うが実際のところ本当にそーなのかも知れないな。最もオレは地獄の刑期を短くするためだから違うけど。

 

ゴミ拾いしてたら夕方になった。いやゴミ拾いってのは間違ってるか。スライムで食ってなくしてるだけだからな。ちょっと増えすぎて持て余したら適当に燃やしたりナベに入れて蒸発させたりして処理した。

 

スライムってだいたいおなべとかに入れて日光が長時間当たるところにおいとけば勝手に蒸発して消えるんだよな。弱点だから覚えとこう。

 

ゴミはだいたい天然の植物とかのゴミだから食えたな。釘とか金目のモンはちっちゃい子が拾ってった。

 

ま、夕方になったし幹部のカレアーロさんの所に行くか。いつも通りになんの問題もなく幹部のとこへ来れた。

 

「失礼します、カレアーロさん。」

 

「ギルシアか。では呼んだ用事を早速話させてもらう。二つほどある。まずは報酬だ。」

 

そう言ってカレアーロさんは適当に布袋を放り投げて来た。しかしそれは結構重い。つまりたっぷり入ってるってことだ。報酬がッ!よし、非常によしッ!一生付いてきますッ!カレアーロさんッ!そんな事を心の中に秘めながら手に持つ。

 

「そして二つ目は仕事だ。」

 

カレアーロさんはまた資料なのか数枚の紙束を出して、その上にお札?か、とにかくなんか呪術師が悪霊を封印する時に貼ってそうなお札が紙束の上にある。

 

「こんかいやってもらう仕事はとても大切な事だ。今までの仕事とは訳が違う。だから経緯から説明しよう。認識に間違いがあってはならない。

 

その紙に場所が書かれているがウェッシ村と言うとあるここから近い漁村がある。その漁村は規模は小さいが貴族とかにも食べられるような魚が取れる。だが最近取れなくなった。商売も失敗するようになり徐々にアガリも少なくなった。

 

そして同時期にとある怪異が起こった。ウェッシ村ではエニーラと言う神が信仰されていた。この町にあるような教会みたいな大きな神じゃあなく、あくまでその漁村でのみ信仰されている神だ。

 

その神が祀られる場所の扉が勝手に空いたらしい。そのエニーラに使える巫女は祟りとか言って騒いでいる。そしてエニーラを祀っていた商店が壊された。

 

そこで私たちはとある可能性を考えた。スキル使いがその事件を起こしたのではないのかと。さらにそのスキル使いが不漁にしたのではないのかと。

 

そこでスキル使いに調べてさせてみたらそのスキル使いは十三日後海に浮かんでいた。ボロボロでな。

 

そこで君にはその村を調査してもらいたい。しかし一刻でも早く解決してほしい。だが祟りかも知れないからお札をつけとく。なんかの役に立つかも知れない。

 

もしスキル使いが関わってそれが確かなら殺しも許可する。ただし、連絡員がその紙に書かれているからその連絡員に許可をとってからだ。では三日後から調査を始めてくれ。調査の方法等は紙をみて確認すること。では。」

 

そう言ってカレアーロさんはオレをカレアーロさんの屋敷から出した。なんか面倒くさそーだな。ま、いったん確認するか。この紙束を。

 



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スライム23

オレは自分の部屋に戻ってから灯りをつけてこの紙束を読んだ。ん、これ結構遠くね。だいたい馬車で四時間くらいかかるじゃあねえか。歩くと丸一日か。

 

ならば、よーし、馬車に乗ってみるか。馬車と言うものに乗るのは初めてだから楽しみ。馬車は前に見たことかあるがなかなかのパワーとスピードだ。このギルシアの前世で生まれた時代では車しか走っていなかった。

 

しかし神の祟りねぇ。まあオレは神様かな、神様だっけ。まあ転生させられるだけの存在が有るんだからまあ祟りをする神だっていてもおかしくないけどさあ。ま、大方スキル使いのやったことだろうな。

 

さてと読み終わったし寝るか。おやすみ。ああ、そうだ灯りを消さないとな。

 

おはよう。さてと、タクシーの馬車版みたいなのを借りれる所に行くか。でもその前焼き鳥(こないだ店の人が鳥を殺してたから焼き鳥で確定した。)を食べてからいくか。

 

バランスが悪い気がするけど、スライムだから関係ないね。結局のところスライムの体積がたっぷり充分にあれはいいのだ。

 

んー結構高いな馬車代、こないだの報酬の四分の一くらいが消し飛ぶな。行き帰りで二分の一か。まあしょうがない、諦めよう。馬車を借りて乗り込むか。

 

クソッ、馬車がこのくらい辛いとは思わなかったぞ。なにせ揺れまくって景色は常にブレるし、なにかを飲もうとしたらすぐにこぼれる。ヒマを潰す余裕なんて全然ない。

 

それまであった馬車に対する幻覚と言うものが見事なまでになくなってしまった。後に残るのは物すごく辛い現実のみよ。

 

さてとたしか連絡役がいるはずだしそこにいってみるか。あ、でもなんか美味しい屋台とかあるかもしれないし見てくか。

 

ほしいのがなにもなかったよ。なにせ寿司しかねえ。寿司がジャンクフードくらいの安い値段、オレが住んでるとこの二分の一くらいの値段だった。

 

いや寿司って元の世界でも元はジャンクフードだったんだっけ。大方オレの前の転生者が伝えたんだろうけど、オレ寿司、つーか刺身もだけどなんか苦手なんだよな。絶対に食えない。でもまあご飯があるってわかったのは収穫だな。買い込んで行こう。

 

ま、とりあえず連絡員の所に行くか。えーのここのはずだ。別段珍しくもないとなりに民家があるような場所だ。とりあえずこのドアを叩くか。

 

「ノックしてもしもお〜し、し・トウ・れいぃぃ、だれかいますかぁ。ギルシアと言うものですけどぉ〜。」

 

「あなたがギルシアさんですか。連絡員を承っている『アウロラ』情報部ウェッシ村担当のアルッペです。では手短にやってもらう事を話すのでなかに入ってください。」

 

なかから出て来たのはよくいるよるような顔をした男で顔や身体にはメガネをかけてるみたいな特徴はまったくなくてひとこと話した程度ではすぐに忘れてしまうような感じだった。

 

「とりあえずなにが起こっているかは知っていますか。」

 

「ええまあたしかなんか商人の家が壊されてなんかこの村の土着の神が祟りを起こしたとか言う話でしたっけ。」

 

「ええ、その認識で間違いありません。とりあえず今日は休んでもらって構いません。住める場所には後で案内します。あと、生活費はこちらで支給するので毎日ここに生存確認を兼ねて来て下さい。ただし今から渡すこの紙がないと渡せないので注意してください。今から渡す紙は四六時中持っててください。」

 

そう言ってアルッペは紙を渡してきた。なんにせよ生活費が支給されんのはありがたい。これで贅沢できる。

 



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スライム24

「とりあえずここに泊まってください。ま、ちょっと汚いですがまあ我慢してください。」

 

その場所は住宅地の二階にあるホコリがたっぷり溜まってて相当、数ヶ月から数年くらいかな、使われてねーんだろうな。ま、スライムをゾーキンがわりにしておけばいいからな。それに家具もけっこーボロイが平民、つーか俺よか劣るけど壊れる気配はない。

 

「ありがとうございます。これですごく充分です。」

 

「あとひとつ、明日の昼過ぎくらいまでに来てください。調査をしてもらいますがその説明をします。連絡はこれだけです。では。」

 

そう言ってアルッペは出て行った。その後振り向いたら影も形もなくなってたからあっという間にいなくなってたらしい。すごいな。

 

しかしやっぱり埃っぽいぞ。なんとかしなくっちゃあなあ。うーん、そうだ。手と目だけを分割して掃除をさせておいてオレはちょっと街を適当にぶらつく事にした。

 

手と目だけでもだいたい三、四キロくらいは遠隔操作できるからな。やっぱり便利よのぉ〜俺の『スライミー・スライミー』、ま、腕がないのを悟られないようにポケットに入れとこう。

 

うーん、やっぱり魚しかないな。豚肉とか、鳥肉とかあんまない。あっても高い。やっぱ魚しかないのか。しょうがない。焼き魚でも適当に買って食うか。えーとあそこが魚とか売ってる市場か。

 

タコとかアワビとか沢山あるな。お、この魚カッコいい。まるでダーツみてーだ。なんというか流線型つーんですか速さしか考えてないフォルムつーかまるでランスみたいに尖ってる。物は試しだ。不味かったら腹の中に分割して直接入れればいい。

 

「スイませェん、この魚いくらですか。」

 

「てめー目ん玉付いてんのか。この街の者じゃあねえみてーだが目ん玉は世界共通でだれにだってあるだろ。自分でみろッ。」

 

値札を見ろってことか。それにしてもちょっとキレすぎじゃあねえの。まあいいけど。なになにえーと数字はややこしいけど、うん、間違いない。日本円で三百五十円くらいか。

 

「すまねー、ちとこの市場のマナーを破ってしまったんだったら謝るよ。だから三本くれ。」

 

そうして俺はまだある方の腕で代金を出して払う。

 

「ありがとよ。ところであんた腕がなくて目が潰れてるだろ。」

 

え、なんでわかったの。

 

「まあ、たしかにそうですけど、どうして。」

 

「この魚の名前、知ってるか。って知ってるわけねーか。じゃあこの魚はヴェルナつーんだが、この魚のヴェルナっての語源はこの街の神が語源なんだよ。

 

その理由はなものすごい速さで突っ込んでくるからなんだよ。なんせ人が死ぬことだってあるくらいにはな。まあ習性を利用したらたっぷり取れるからなんだよ。で、その習性ってのはな、暗くすると突っ込んでくるんだよ。で、船の底に光るように魔法陣を描いて明るくした上でうまく刺さるようにするための板を突き出してそこに突っ込ませて捕まえるんだよ。

 

でも、事故で手とか目を失ったやつだっている。ま、だからだ。じゃ、ここまでの情報料としてもう一本買ってくれ。」

 

「わかったよ。けどそんな事はペラペラ喋っても良かったのか。企業秘密じゃあないの。」

 

「ああ、そこんとこは大丈夫だ。なんせこんなの聞けば分かるからな。ま、味は保証するよ。」

 

オレはもう一本分払って合計四で四本もらった。なんかぼったくられた気がするがまあいいか。騙された方が悪いしな。俺が百パー悪い。ま、慈善事業だと思っておくか。



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スライム25

 

さてと、この魚のお味はぁ〜お、お、おおおォォ!ウンまああ〜いっ。こ、こっこれはああ〜っこの味わあぁ〜つ、サッパリとした魚によーくタレがからみつくうまさだ!!

 

なんというか『モッツアレラチーズとトマトのサラダ』のようなうまさだ!単品じゃあそこまでうまくないんだろうけどこのタレと魚の相性がバツグンにいい!

 

いやーいいもんみっけたな。寿司だけしかねーから困ってたからな。四本買ったけど後悔はスライムの細胞ひとつ分もない。

 

さてと帰って寝るか。明日からは大変そうだ。なんせ『アウロラ』の幹部からの命令て大変なのばっかりだからな。じゃあおやすみ。

 

おはよう、さて、行くか。えーと間違ってないよな。まちがってたら困るからな。

 

「ノックしてもしもお〜し、し・トウ・れいぃぃ、起きてここにいますか。」

 

「はい、はい、いますよ。ではこちらへ来てください。」

 

そう言ってアルッペは椅子に座る事をうながしてきた。ん、この椅子フッカフカだな。今度同じの買いたいからどこで買ったのか聞こう。

 

「とりあえずこの二つの紙を見てください。」

 

「スイませェん、ちょっと俺文字を読むの苦手だからかわりに説明してくれると助かるんですけど。」

 

「じゃあ私が説明します。こちらに書かれているのが天候で、こちらがこのスキル犯罪もしくは祟りと思われる事をまとめたものです。

 

そしてこれらを調べた結果とあることが分かりました。それは天気が荒れている時にこのスキル犯罪と思われることが起きています。」

 

「でも天候が荒れた事が分かったからどうしますか。俺の残念オツムじゃあよくわかんない。」

 

「天候が荒れている時にスキル犯罪もしくは祟りが起こる、そして前提条件としてこの街は漁師が多い。

 

これらのことがらから私達『アウロラ』の情報チームは恐らく漁師が船が出せずに休みになるからと考えて漁師が犯人だと推察しました。念のために祟りならば海が荒れていると強くなると言う逸話はなかったことも含めて漁師が犯人だと考えました。

 

そしてもう犯人となる漁師の絞り込みは済んでいます。『アウロラ』情報部が漁師に入り込み調べ上げた結果残り一人にまで絞り込めました。その容疑者の名は『イーニン』と言う名前です。一人でヴェルナと言う魚を捕まえて生計を立てている独身です。」

 

「じゃあその『イーニン』を殺せばいいと言うわけですか。」

 

「いいえ、襲いかかってこない限りば大丈夫です。このボトル、あなたを『アウロラ』に紹介したあのアリウェーロと言う神父のスキルで作られたこのボトルがあります。

 

このボトルをスキル使いに当てると魂とスキルを吸い取れます。これで捕獲してから別の体に仕込んでどう言うスキルか、なぜやったのかどうかを聞き出し場合によっては『アウロラ』に入れさせます。ただ、祟りだと判断したら私の所に来てください。」

 

あの神父ああ言う名前だったのか。神父としか言ってなかったから忘れてた。と言うかやっぱり反則級じゃあねえか。警戒しとこ。いくら味方でも反則すぎて信頼ならない。

 

「ではここにそのイーニンの船が戻るであろう場所です。」

 

アルッペはそう言って紙を渡してきた。

 

「恐らく夕方くらいには戻ってくると思われるのでそれまではそこで待機しておいてください。さて、渡すのを忘れていましたがこちらが生活費です。」

 

「ありがとうございます。では早速行かせていただきます。」

 

さてと、金も手に入ったしまあ適当に竿でも買うか借りたりして釣りでもして時間潰すか。

 

まったく釣れない。適当に木製の竿を安く買って餌もつけたけど釣れない。このままじゃあ魚じゃあなくて竿が夕飯になっちまうぞ。

 

なんだあの人、女か。遠目だとよくわからないしな。どうせ釣れないなら見に行くか。

 



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スライム26

 

「スイませェん、悪いわけじゃあないし、俺もそうなんですけど、漁師じゃあないのにどうしてここにいるんですか。」

 

この人、なかなか美人やっちゃのぉー。全体に網のような模様がある長袖の服に町中にあったマークのペンダントをつけた格好をしている。

 

あくまで俺の主観だけど一つの大きな街の中で一番かもしれないくらいには美人だ。現代でも下手なアイドルよか美人だ。しかしなんでこの世界には化粧品がない、というか高くてあまり買えないはずなのに。

 

ま、俺は情欲はあんましないがな。と言うか性欲と子供を増やすためにある。そしてそれはスライムである俺は常に増殖しているから性欲はない。まあ前世の名残で少しはするけどな。

 

別のスライム、便所にいるスライムを慈善事業で掃除した時の事だがトイレだからかもしれんがまったくエロさを感じなかった。

 

まあ俺の前世も今世も小さい俺の息子がスタンドさせる事は『スライミー・スライミー』で可能だけど精液は出せないし、かわりにスライムを出す事は可能だけどもその場合女性の下半身にある放送禁止用語となっている場所に出したが最後、放送禁止用語の場所からスライムに食い荒らされて死ぬだろうな。

 

「ええ、この街を見守ってらっしゃるエニーラ様への水を汲みに行くのです。ところであなたは誰ですか。この街の人じゃあないみたいだけども。」

 

んーなんて言おう。まあ商人でいいか。

 

「失礼、私は商人の下働きで少しばかし主人について来て暇をもらったので少しばかり釣りをしていたら誰かが来たようで気になったので。ところであなたはこの街の神のエニーラ様の神官ですか。」

 

「ええ、そうです。この街を見守っていらっしゃるエニーラ様に私は使えています。ところで釣りがうまくいっていないのですよね。」

 

やっぱりか。肩にあるマークはこの街で信仰されている神のエニーラのサイン、キリスト教の十字架のようなものをつけていたからな。

 

「ええ、才能がないのかまったく釣れませんでした。」

 

「ならエニーラ様に祈ってきたらどうでしょう。エニーラ様はこの街の漁を手伝ってくれるので。釣りもきっと支援してくれます。」

 

「ありがとうございます。」

 

ま、この後の暗殺って言って良いのか分からんがうまく行くように祈っとくか。ゲームのガチャで最高レアを出せるようにな。

 

えーとここがエニーラっていう神か。石造りのなんというかギリシャの彫刻のような感じだな。魚、ん、これ昨日たべたヴェルナみてー。というかたしか神の魚とか昨日そんな事言ってたな。台座にはアワビが埋められてる。両手で網を持っている。

 

と、もうこんな時間だな。『イーニン』って奴のところに行くか。お、いたいた。さてとスキルをボトルで奪って、てとれない。ミスったか。だが夜まで粘ってなんどもスキルを奪おうとしたら取れないということが何回も起こった。

 

おかしいな。不良品か。とりあえず夜になって『イーニン』が帰っちまった。なんでだ。もう誰しもが寝静まるころに奇襲を仕掛けて見たがスキルは取れなかった。なんでだ。とりあえずアルッペのとこへ行くか。

 

「アルッペ、いるか。」

 

「ええ、いますよ。終わりましたか。とりあえず中に入ってください。」

 

「実はな、なんど取ろうとしても取れなかった。」

 

「それはっ。」

 

そう言った時、なにかが突き刺さって来た。

 



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スライム27

な、なんだこれはッ!これは、あの魚だッ!昨日食べたあのヴェルナって言う魚だッ!あの魚は凄いスピードで突っ込んで来るとか昨日言っていたッ!

 

欠損をすることか多いらしいから欠損した奴が多いって言ってたからなんとなく覚えてたッ!

 

どうしてこんなものがっ。ここは陸地だぞッ。しかも屋内だ。なにか天候の異常かッ。カエルが降ってきたりすることだってあるって聞いたことがある。

 

「ギルシアさんッ、これはおそらく祟りですッ。」

 

「どう言う事だッ!スキルだって言ってたじゃあないかッ!スキルはなんだってアリだッ!魚をぶっ飛ばしてくるって言うスキルだってあってもおかしくないじゃあないかッ!」

 

俺は『スライミー・スライミー』でスキルを奪うボトルを持たせた腕を分割して扉を開けたと同時にスキルを奪うことができるようにした。そのあと扉を開きずらいようにスライムで扉の枠を壊して開け辛くした。

 

「まあこれがスキルかどうかはどうだっていい。とりあえず俺を盾にして攻撃されないようにしておけ。」

 

「わかりました。私はスキル使いじゃあありませんので戦力になりません。」

 

お、扉を何者かが開けようとしてきた。スライム弾を開けたと同時にぶち込めるようにしておく。これでスライム弾に対処してあるうちにスキルを奪って倒せるようにしておく。

 

ヴェルナを銃のように扉に打ち込んできたな。スライム弾ッ!よしッ、防御してきたなッ!スキルのボトルを叩き込むッ!これで勝利ッ!だがその正体不明人物はそのまま動いていたッ!

 

お、おかしいッ!たしかにッ!百パーセント確実に叩き込むことができたハズだッ!素足に叩き込むことができていたはずだッ!

 

ん、この正体不明の人物は女か?ああ、たしかに女だッ!いやまてこれはどこかで見た事があるッ!この人物はあの神官だッ!あの美人の神官だッ!間違いないッ!

 

「テメーラはヨォー、このオレ様をヨォーこき使わせようってんだなぁーッ!オレ様はヨォー『感謝』と『礼儀』と『取引』を忘れた奴に罰を与えようとしただけなのにヨォーッ!」

 

「どう言うことだッ!俺はおまえを働かせようなんてしてねーぞッ!そもそもあんたは

 

「百パーセント関系あるッ!オレ様はこの街での『信仰』を受け取り、その対価として、『神からの恵み』をやるッ!これは公平かつきっちりとやる必要があるッ!そしてオレ様が主にやる対価の『神からの恵み』は、豊漁ッ!大漁だッ!これはきっちりやるッ!だが子供は漁をしないッ!

 

だから例えばネコがいなくなっちゃったから見つかりますようにって言うオレ様を『信仰』する小さい子供が願ってきたんだったらオレ様はやってやるッ!なぜならその子供は『信仰』はしているが対価を払えないッ!願わなくっちゃあオレ様は仕事ができないッ!だから公平にやるためにやってやるッ!

 

だがあの商人は大漁の願いをしているにもかかわらず商売繁盛も願っていたッ!それは不公平だしオレ様の仕事をそれ以上にやらせていたッ!だから暴力を加えたッ!それを止めようとするおまえたちも同罪だッ!だから殺すッ!」

 



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スライム28

 

こいつイカレ頭か。思考回路がまったくわからん。いくら美人でも前世でもこんなの見たら幻滅するだろうな。

 

「やはり祟りでしたか。」

 

あの美人だけどもイカれてる神官に聞こえないようにアルッペが小さな声で言ってきた。俺もイカレ神官に聞こえないように小さな声で聞く。

 

「どう言う事だ。祟りって。スキル使いじゃあないのか。」

 

「先程スキルを奪うためのボトルでもスキルを取れなかったと言っていましたよね。それに奇襲をかけてましたけど確実に当たって成功していました。ですがスキルを取れなかった。そこから考えると祟りです。

 

ですがこの祟りと言うのはあくまでスキル使いじゃあないのにも関わらずスキルを、いえ、スキルのような現象を起こす事、また先程のような信仰とかを述べている点から神からの祟りと考えています。『その神自体が憑依して攻撃してくる』言ってることがわかります?」

 

「・・・そのつまりスキル使いじゃあなくて『神』ってことか?」

 

「その種のものを今までどこかでみたことは?」

 

「あるならこうして驚いていないよ・・・今オッたまげてるのが初めてだ。」

 

「なあにくっちゃべっとるんだッ!神への祈りか?なら受け取らないように頼んどいてやるよッ!」

 

なるほど、神だってわかるならこれらの発言は納得できる。思考回路は神なんだから人間、いや、俺はスライムか。まあ人間とかスライムとは思考回路が違ってもまあおかしくないな。

 

ッ、あいつヴェルナを弾丸にして打ち込んできやがったッ!二発も喰らっちまったあじゃあないかッ!くそッ、人間だったらやばかったな。だけども俺はスライムだ。ダメージにはならない。

 

いや、ダメージになってるはなってるけどもな。内臓が一つ破裂したのと肋骨が一本砕けた。けども俺はスライムだから内臓が破裂しても意味はない。

 

『スライミー・スライミー』、肉体を分割して組み替える。肉体に突き刺さってるヴェルナを床に落とす。ついでに肋骨とかもなおしとく。

 

神ならばプライドも高いだろうからま、一発煽ってキレてくれば隙が出来るかもな。それに俺はともかくアルッペは当たったらヤバイからな。俺にヘイトを向けさせておければいいか。

 

「神ってのもその程度か?俺はまだ全然余裕だぜ。俺がダンスを踊れるならブレイクダンスを踊れるくらいにはなァ!ま、俺はダンスできないがな。」

 

「テメーラはどこまで無礼をかませばきがすみやがるんだッ!」

 

よし、あの神プッツンしやがったな。けども何発当てても俺には効かないからな。ま、人間だったら脅威だからな。人間だったら下手すりゃ二桁単位であの世へのバスチケットを強制的に渡されてたとこだ。後ろのアルッペには

 

「エエ、そんなもんかぁー?仮にも神さんがよぉ〜その程度か?ビビってた俺が恥ずかしいぜ。」

 

「テメーはヨォー、このオレ様を舐めくさってやがるなァーッ!このオレ様がその程度かと思うかアァーッ!!」

 

あの神官ッ!身体の網模様のところから漁に使う網を出しやがったッ!ダメだッ!避けられんッ!まるでイワシみたいに捕まってしまったッ!

 

「このオレ様は賢い。オレ様はもうヴェルナで攻撃はおまえにはしない。スライムか?まあいいッ!燃やしちまえばいいからなァーッ!!」

 

このクソったれ神ヤロウ俺を燃やす気だッ!しかし『スライミー・スライミー』ッ!身体をこの網目に沿って分割してこの網の牢獄から脱出するッ!



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スライム29

 

「危なかったァッ!正直捕まえられちまうところだったよ。でも、マジで、ほんとにやれやれって感じだな。大変って奴だぜ。」

 

「テメーはヨォーッ!どこまで残念タマシイなんだッ!おまえは確実にッ!地獄へ叩き込んでやるッ!もう網を使わないッ!直接炎であぶってやるッ!」

 

アイツ炎を刀の刃のように直接切りつけてきたッ!しかしッ!俺の最初にボトルをたたきつけた腕はまだくっつけていないッ!

 

俺は最初に切り離した腕をラジコンカーみたいに操作して俺に切りかかってきたこの神官、いや神が宿ってるから神か?まあどっちでもいいけど。まあ神官でいいか。神官の足首をつかむ。

 

「ウオッ!ウオォォッッ!」

 

よしッ!見事なまでにすっ転んだな。俺はすっ転んだ神官の腕を蹴り付けて炎の明かりを取り上げる。ちょっとばかり床に燃えうつったところはスライム弾で消火する。

 

まあこいつも人間の肉体を使ってんだから炎は効くだろう。俺も似たようなもんだしな。まてよ、肉体を操る、なんかいいことを思いついた。ま、いいけど。

 

背中に炎を押し付ける。まあ顔とかにはさすがにやらない。肉体を操ってるってんならあくまでこれは人形みたいなもんだからまあナイフとかでは有効打になりにくい。人形で言うんだったらナイフとかはちっさい傷をつけるようなもんだ。意味がない。

 

「ギイヤァァァッッ!!この破れた網みたいな役立たずのクソヤロウがッッ!ウオォッッ!神を舐めてるんじゃあないぞッッ!この汚らしい便所のゴミがァァッッ!」

 

こいつッ!仮にも神ってことか強引に飛び上がってこの部屋から脱出しやがったなこのヤロウッ!神はあの世にお送りできないってんなら神官だけでもあの世に送ってやるッ!

 

「このオレ様は脱出方法も残しておいたんだよッ!このフンズマリどもがァァッ!」

 

こ、これはッ!アワビやヒトデッ、ホタテみたいな貝がまるでパズルのように組み合わせて箱を作って海への水が満たされている道を作ってやがるッ!

 

こ、こいつ神だッ!この力をッ、この状態を見たらやった奴が確実に神だッてわかるだろうッ!誰だって神をの存在を信じるッ!そう、まるでモナリザをみたら一瞬ですごいってわかるようにッ!そう思わせるパワーがあるエネルギーがあるッ!

そして海までの水槽の中でヴェルナに自分を引かせて猛スピードで逃げているッ!走っても間に合わないッ!

 

でもヨォー、相手がヴェルナを使うんだったら俺も同じように使えば良いだけだッ!俺は扉を破壊するために破壊するために扉に突っ込まされた哀れなヴェルナを手に取って投げるッ!

 

さっき手に取ったヴェルナはスライムで俺の肉体のように操ってかわいそうだが神官をヴェルナに追わせる。あの神官をおしてるヴェルナは神官の重さ分遅くなってるからな。俺が操ってるヴェルナで神官を強引に動きを止めさせる。



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スライム30

 

「クソガァッ!この肥料になるしか能がないクソ魚どもがッ!どうしてこのオレ様を裏切りやがったッ!このゴミ魚どもがァァッ!」

 

「やれやれってえ感じだぜ。ギリギリ間に合ったようだなあ。あとほんのちょっぴりでも遅れてたら完全に逃げられてた。」

 

貝のプールの中で止まっているこの神官になんとか走って追いついた。マジやばかったな。

 

「ククククククククククククフフフフフフフフフあハハハハハフハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァァッ!」

 

この神官は喉から血が出るほどの大きな声で叫びやがった。こいつついに狂ったか、いやまあ俺も狂ってるようなもんだけど。と言うかそもそもこいつはただのイカれポンチのスキル使いだっただけのを俺が勘違いしてただけか?

 

まあいいか。殺すためにそこらに転がってる漁に使う銛で脳漿ぶちまけさすか。いや、それだと俺なら生き残る。足にさして動けなくしておくか。

 

「このマヌケがあああアアアぁァァッッ!テメーの耳がただの穴で助かったッ!この便所のドブのドブチがァァッ!」

 

こ、こいつッ!ヴェルナをいつのまにか用意していたッ!ま、まだいいッ!ヴェルナでさっき追跡させたヴェルナでもう一度同じ事をすれば良いだけだッ!クソッ!さっきまで追跡させていたヴェルナはもうあの神官が操っていたヴェルナが刺さり動けなくなっているッ!

 

しかし運が良いぜ。さっき俺がとらわれていた網を持ってきて良かった。魚を取るための網だけど神官とかも取れるな。俺はスライム弾で押すことによってで遠くまで網を飛ばす。

 

「な、なんだ動きが遅いぞ、ち、違う遅いのではないッ!網にとらわれているのだッ!な、なぜだッ!」

 

「網を返品してやっただけだぜ。神さん。そして十数メートルだけ運んだとこで逃走劇は終わりだな。」

 

「ヴェルナどもッ、こいつの足に突撃しろオオぉぉォッ!」

 

ヴェルナどもが俺の足にブッ刺さりやがってきやがったッ!しかし『スライミー・スライミー』、ヴェルナが刺さった場所を分割しろッ!

 

これでちょっと動きずらくなったが動けるようになったッ!そしてこの神官を陸に打ち上げるッ!魚のようにな。

 

そして間髪いれずに足に銛をぶっさすッ!これで動けなくなったから全体的に何度も刺す。頭にも腕にも。これで普通の人間なら死ぬはずだな。

 

「オレ様は忘れねえッ!テメーの顔は決してッ!オレ様の長い神生でも一番刻み込まれたッ!この報いはッ!償わせてやるッ!かならずッ!明日ッ!また新しい身体を操ってッ!償いをッ!」

 

まだ生きてやがったッ!でももう動かなくなった。海産物でできたプールももう初めからなかったかのようになくなっていくな。だけどヴェルナと神官の遺体だけが残ってやがる。後始末が面倒なやつだけ残ってやがる。

 

「ギルシアさん、大丈夫ですか。」

 

アルッペは物陰から出てきた。まあ無能力者だから隠れてたんだろ。

 

「すまないんだけどこの街から逃げる用意をしてくれないか。」

 

俺は何があったか、そして多分明日にもまた来るだろう事を。

 

「そうですか、ですがもうすでに手配をすませています。すぐに逃げてください。私は別口から逃げます。」

 

「俺が護衛しなくてもいいのか。あんたスキル持ってないだろ。」

 

「いえ、私はスキルを持ってなくても別のスキルを持っている人を護衛につけるから大丈夫です。」

 

「ならいいけど、どこに行けばいい?」

 

「さっきまでいた場所です。多分もうあります。」

 

「ありがとう。一生忘れない。」

 

「そんな暇があったら早く逃げた方が良いですよ。」

 

よし、では馬車がある場所に行くか。つーかいつの間に読んどいたんだ。あの時か。戦闘開始まえからか。すごいな。お、あった。馬車が。

 

そうして俺は馬車に乗った。あ、やべ、金忘れた。クソッ!

 



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スライム31

あーチクショーッ、殺した分の金忘れちまったぁ。ハァ、しょうがないか。あれより長くいたら殺されてもおかしくないからな。

 

あれ神らしいからな。あのままだと四六時中狙われていつかは取り殺されるだろうからな。逃げるしかない。まああんなことできるほどのパワーがあるスキルは多分ないだろうし。てなるとスキルじゃあなくてやはり神ってことになるよなぁ。

 

でもあれ一概には言えんけど日本円で二十万くらい、ほぼ全財産あるからな。なにせ鍵なんてろくにないからいつ盗まれてもおかしくないからな。

 

誰かからカツアゲでもするか。この肉体はいかにもチンピラ風、というか元々この身体の持ち主はたぶんチンピラだしな。

 

まあ、俺の命のねだんよか安いからまあいいけど。これの報酬ってもらえんのかな。まあ天運に任せよう。

 

そんなこんなで命がけで逃げ帰り自分の家に帰った頃にはもう朝日が登ってきていた。ただいま。あ、また紙がある。誰がいちいち置いてんだろ。俺みたいなクズのためにたいへんだな。

 

なになに、今日の昼来いってことか。要約すると。それまで仮眠でもするか。いや、やめとこう。これで寝ぼけて遅れでもしたら殺されかねん。目覚まし時計は現代日本換算で百万はするがな。ちょっと手が出ない。

 

まあ、全財産の日本円換算で一万で適当に鳥でも買うか。昨日は魚食ってたからな。鳥が食いたくなる。

 

そして適当に鳥を焼いたものを買ったあとまた幹部のカレアーロさんのとこへ行った。道中とくになにも無かった。

 

「さて、ギルシア、今日までよくやってくれた。この事件、ウェッシにおける祟りを解決、と言うと違うか。解明したことに対する報酬がこれだ。」

 

え、まじで、解決してないのに。まあもらえるなら文句ないけど。これでなんとかなった。

 

「ありがとうございますッ!」

 

「それからあのウェッシには近づくな。行きもするな。」

 

「もちろん。」

 

「では次まで適当に仕事をこなしておいてもらおうか。」

 

そうして幹部のカレアーロさんの家からでるか。あー良かった良かった。金がもらえて。本読んで食ってねるか。

 

おはよう。さてと、じゃあ適当に焼いた鳥でも食って仕事するか。そして適当に金を渡して食った。

 

さてさて、普通の仕事するか。ま、その仕事ってのはショバ代を回収して幹部直属の部下に渡すのが仕事だ。まあこんなんでいいのか感があるがな。

 

ん、ここは初めてだな。今まではなかった。新しく店出したのかな。

「ノックしてもしもお〜し、し・トウ・れい、アウロラの物ですけどぉ〜。」

 

「どうもどうもアウロラのショバ代回収にきていただいて。まあまあ、中に入ってもらってください。」

 

「ではお言葉に甘えて。」

 

中にはいろいろと荷物や木箱、棚や薬がたっぷりとあった。

 

「こちらで何でも屋をやらしていただきます。ウェルと言う者です。あなたはギルシアさんですよね。」

 

「ええ、まあ確かにギルシアですが下っ端ですよ。名前を覚えていただかなくても大丈夫です。」

 

「いえいえ、あなたはアウロラの次期処刑チームと言われていますよ。」

 

「どうしてですかね。俺はただのゴミなのに。」

 

「いいえ、祟りを解決できてる時点でもうスキル使いの中でも上位にはいりますよ。」

 

そんなすごいんかな。そりゃゲーム風に物理ダメージ殆ど無効やから強いけど炎とか酒にも弱いしな。

 



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スライム32

「まあ俺なんてのは将来地獄に落ちてるようなカスですからね。どうせそのうち道端に転がってるだろう。なので処刑チームには入れないと思います。」

 

どうせいつか俺はすぐ死ぬだろうからな。なにせ人殺してんだもの。後悔はないがいつか天罰は来るだろうな。

 

「まあ、いわれてるものは言われているのだからしょうがないです。まあ、これを差し上げます。」

 

ん、なに棚をガタガタ言わせながら出すんだ。透明な何かが入ったビンを出して。あれくれんのか。なんだろ。

 

「これは水分を含んだものに当てると爆発が起きるものです。まあ知り合いの錬金術師からのものです。武器としてお使いください。」

 

え、めっちゃ危ないじゃあねえか。まあ便利なものは便利だから厳重に保管しとこうあ、そうだ。身体の中に入れとこう。内臓とかいらないしな。と言うか必要なし。だってスライムだもの。

 

「こんな良いものをありがとうございます。これを買う事ってできますかね。もしくは作り方を教えてくれたりは。」

 

「作り方は私も知りませんがね、作った錬金術師とのつながりがあるので言っていただけると販売できますよ。」

 

お、よし。なら気軽に使える、いや使えんか。爆発ってことは音がたっぷりでるだろうからな。俺のスキル『スライミー・スライミー』は暗殺、と言うか奇襲特化だからな。最後の手段程度に考えとこう。

 

「なら良かった。ありがとう。それはそれとしてショバ代、だしてもらいましょうか。」

 

「ええ、もちろん。こちらです。」

 

そう言って袋を出してきた。きっちりきっかりぴったりだった。

 

「ありがとうございます。では。」

 

フカフカなソファーから立ち上がってドアの鈴が鳴るのを聞いてから出た。そして集めたショバ代を担当に渡してから部屋に帰った。

 

ただいま。あー、疲れた。この爆弾を腹にこめてっと。グロに注意ってなるからあそこではやんなかった。流石にキチガイ頭の俺でもそんくらいの社会常識はある。

 

なんかこれだとテロリストみたいやっちゃのぉー。まあこれは正真正銘の最終手段にしとこう。マジで俺も巻き込まれてしまうかもしれんからな。自爆になるかも知れん。

 

ベットに寝転んでいたらとてつもなく奇妙なことが起こった。なんだこれ身体の動きが遅いぞ。なんて言うのか、ゲームのラグと言うか、精神に身体が追いつかないと言うか。

 

汐◯初流乃のスタ◯ドの初期のやつ食らったような感じだ。なんだこれ。俺の残念オツムがとうとうイカレちまったのか。いやスキルか?

 

あ、元に戻った。なんだったんだ。なんと言うか奇妙な時間だったな。三十分ないくらいか。ほんとになんだったんだ。まあ被害ないからいいけど。

 

そっから雑事とかをこなして数十日ほど経ったころいつもの紙が机の上にあった。えーとなになに、また呼び出しか。めんどっちいのー。まあしょうがないか。

 

そしてまたカレアーロさんの所に行った。

 

「ギルシア、今回はとても重要な事が託される。説明しよう。十数年ほど前に一つの街が壊滅した。とある集団によって。その名はデスソラ、その集団は全て心の芯からイカれている。

 

例えるのであれば普通のキチガイが頭のネジがこわれているとするのならばデスソラは頭の構造自体に矛盾が存在して根本的に歪み、狂い、壊れている。そう言う集団だ。

 

その集団は殆ど壊滅させたがすこし逃してしまった。その集団は歪んでこそいたがその歪みを隠すのはできる。そのグループの中でのまだ頭がマシな方の輩の居場所を発見した。そいつを殺して欲しい。」

 



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スライム33

「そいつの名はレニン、スキルはわからない。ただ、頭がそこまでおかしくないと言うのはわかっている。言ってしまえば成り行きでデスソラに入ってしまったのだろうと私達は考えている。なるべく早くだ。なるべく早く殺して欲しい。」

 

その後、書類を渡されて部屋に戻った。デスソラってのかよくわからないけどまあ俺はシンプルな事をやるだけだ。シンプルに殺すだけだ。でもスキルがわからないのは怖いな。まあこんなのは夜に寝てる内に奇襲すればいいけど。

 

さてと、じゃ、こう言うのはさっさとやるのに限る。住所に関してもさっさと行けるな。馬車を使わずに行けるな。馬車に乗る金はないからな。それに苦手意識があるから乗らないに越した事はないからな。ん、乗る金がないって言うからじゃあねえかっつーツッコミは聞こえんな。

 

そして時間は飛んで夜になった。確実に寝てるな。ならこの持参してたナイフはある、位置は大丈夫、ならば目玉を分割して手の甲にくっつけて。

 

俺の新技スライムキャノンッ!名前は気にするな。なにせ三秒で考えた。この技、スライムキャノンは十メートルくらい先まで腕を飛ばして遠隔操作のラジコンみたいに動かすって技だ。・・・これ、スライムキャノンじゃあなくてスライムラジコンの方がいいかも知れんな。

 

まあそんな俺の全くないネーミングセンスの事は置いといて俺の腕は窓にきっちりきっかりとくっついたな。これでよーく観察するんだ。動きの音が最低限になるようにして、床に寝てるからバレンように、いまだッ!ナイフで首を切りさけッ!

 

チッ、即死になる前に防がれたか、それにナイフも取られた。まだなにも問題ない。未だ想定内だ。傷口にスライム弾をぶちこむッ!傷口に塩を塗り込むならぬ傷口にスライムをぶちこむってな。

 

ん、スライム弾が何かに当たって防がれたか。なんに当たってしまったんだ。スキルかも知れない。

 

なら一旦腕を移動させて、俺本体が突入する。窓からなるたけ音がしないようにしてな。

 

まあ前にアウロラが俺をかばってくれるって前にも言ってた。まあ鉄砲玉だしかばってくんないかも知れんけど最悪肉体を変えれば文字通り別人になり変われるからな。

 

そして食らえッ!落ちてる腕と俺本体に残ってるもう一本の腕の二つの角度から同時発射するスライム弾ッ!

 

アイツが持ってんのは一本のナイフだ。一本のナイフで二つを防御するってのは難しい事だぜ。最悪腕とかナイフに当たっても有効打だぜ。少なくとも腕かナイフに当たってしまったらナイフは持てねーな。

 

ナイフを投げて防御しようとしてるな。しかしいくらナイフ投げが上手くても二つの防御は、なにッ、どちらも防がれたッ!

 

そして俺の胸に二つの穴が当たった。

 



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スライム34

 

俺の胸に二つの穴がある。一つはナイフがぶっ刺さったからつーから分かりたくはないけど理解はできる。だがもう一つは穴が当たった。そう形容するしかねえ。穴だけがあるッ!ナイフは刺さってないのにッ!

 

肺に穴が開きやがった。まあ俺はスライムだから意味ないけどな。クソッ!『スライミー・スライミー』、組み立て直して穴を塞ぐ。

 

だが喉元に刺さったナイフで相手さんは喋れないな。それにあれはもう助からねえな。回復術師とか言うやつはほぼ死にかけでも助かるだろうが外には行かせねえ。

 

スライム弾を出入口のとこに打ち込んでスライムのトラップを作っとく。これならむしろ逃げてくれた方がトラップに引っかかってくれてありがたい。

 

相手さんは出入口から出ようとしてるな。牽制して誘導するためにスライム弾を撃って追い立てる。

 

チッ、間一髪ってところで気づいたか。本能か、それとも理屈か?まあとにかく俺に向かってきたか。まあいい、俺の足元にはスデにッ、スライムを巻き散らかしといた。突進してくればいいカモだな。

 

なにッ、いつの間か炎を持ってきやがったッ!ナイフはいいが炎はまずいッ!炎はダメージになるッ!

 

仕方ない、ここはあえて避けないッ!混乱してるフリをするんだッ!俺に考えなしの牛さんが赤い旗を振られたら真っ直ぐに突進してくるように誘導するんだッ!

 

よしッ、足にスライムがまとわり付いたッ!これで位置がわかるッ!そして攻撃はあえて受けてこのまま首を絞めてやるッ!鶏みたいになァッ!

 

腹だなッ!腹に攻撃しようとしてくるッ!覚悟を決めてダメージ覚悟で確実に殺すッ!腹に当たってッ!どうしてだッ!

 

なんで火傷がッ!目にくるんだァッ!腹と目にダメージがあるッ!当たったのは腹だけなのにッ!どうしてだッ!どう言うスキルなんだッ!

 

クソッ!でも冷静に考えて見ればパニックになる必要はねえよなぁ。学校の試験で面倒くさい問題はやる必要ねえよなぁーッ!基本問題をきちんと解けば良いよなぁーッ!こいつをよぉーッ!ダメージ覚悟して殺せばよぉーッ、スキルがなんであろうとも関係ねえなぁーッ!

 

あと五発くらいらなら食らっても行動に支障はない。全身全霊を込めて首を絞め上げるッ!クソッ、苦しみ紛れで腕を焼いてきやがったッ!なにッ!腕に当たったはずなのにッ!ダメージのくるはずのない手のひらにもダメージがッ!腕と同じくらいのダメージがッ!

 

腕と同じくらい?そうかッ!こいつのスキルはッ!与えたダメージを好きな場所にもう一個増やすって言う能力だッ!間違いないッ!

 

テストで例えるんだったらよぉーッ!簡単な問題解いてたら難しい問題の解き方がわかったって感じだッ!結構ノンキできるくらいには気分がいいぜッ!

 

まあいいッ!このまんま首を締め上げてもいつ死ぬかわからないッ!だからッ!俺の指を鼻に突っ込むッ!こいつの鼻くそを取ってやるためじゃあないんだぜェー!こいつを窒息させてやるためだぜ。喉が完全にふせげたッ!



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スライム35

このまま溺死すんのを待てば勝利ッ!下手に策を練って戦って墓穴を掘るよりかはこのまま安全かつ確実に行くぜッ!

 

なにッ!クソッ!死にもの狂いでの力で小指を噛みちぎりやがったッ!まずいッ!今ので一瞬覚悟が弱まってしまったッ!

 

しかしまだスライムがあるッ!スライムで喉元を喰らいながら窒息させてるはずだッ!結果的には無意味ッ!悲鳴もあげられない筈だッ!

 

まて、こいつ窒息してないんじゃあないかッ!スライムの反応はッ!たしかに肉食獣のライオンさんとかに食われたかのような穴が空いているッ!

 

喉元には一切触っていなかったはずだッ!いつ、どうやって突破して来たんだッ!

 

いやまて、噛みちぎられた?そうかッ!アイツのスキルで結果を二つに増やして喉のスライムにダメージを与えたんだッ!しかも最初に与えた出血は残ったスライムで出血を止められてしまっているッ!

 

しかし今度はキッチリと心臓をナイフで刺して殺してやるッ!それなら回避不能ッ!それにスライムで血が止まっているとはいえスライムで皮膚を食い破るからいつかは脊髄を食い破るッ!

 

冷静になって考えりゃあそこまでピンチじゃあないッ!むしろこちらが有利だッ!ならば俺は安全策を取るべきだッ!安定して逃げ道を封じる、それが勝利ッ!わざわざ心臓を刺す必要はないッ!

 

逃げ道に俺は仁王立ちだ。絶対に逃がさないって言う蜘蛛のような気持ちの覚悟でなァーッ!

 

ん、酒の瓶を取り出して来たな。なに。するつもりだ?投げる気か?アルコールは弱点だからな。まるでウイルスみたいに殺菌消毒されちまう。だがその程度で逃すのを許すほど俺の覚悟は生っちょろいものじゃあないぞ。

 

なにィッ!ワインを自分の頭に叩きつけたッ!頭蓋骨が割れるくらいにッ!クソッ!足に怪我が当たったッ!怪我と言う結果だけが来たッ!

 

しかし『スライミー・スライミー』、怪我を分割して肋骨とかから骨の成分を持ってきて直すッ!とりあえずこれで死ぬまでの足止めは可能ッ!

 

なにィィィッッ!!あ、アイツさっきの炎をッ!自分の頭にッ!燃え移らせやがったァァッ!炎が全身に回るッ!

 

まずいッ、火傷がアイツの身体にくると同時にッ!俺の身体にも火傷ができてしまうッ!火傷に当たってしまったァァッ!これは有効ッ!スライムの身体の弱点ッ!

 

アイツにスライムをぶっかけて消火するかッ!いやそれじゃあ炎の勢いの方が強いッ!まてッ、これなら足止めできるかもしれないッ!しかし失敗したら死ぬかもしれないッ!

 

ええいッ!アイツは全身犠牲にしたんだッ!俺も死ぬ覚悟をしなくっちゃあ勝てるわけがないッ!腕を関節を外して伸ばしッ!酒を取るッ!その酒を腕にぶっかけるッ!



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スライム36

 

ここでぶっかけたアルコール分に炎をつけるッ!チクショーッ!泣きっ面に蜂って奴だッ!全身に火傷が当たっているッ!

 

だがこのままなにもしなかったら脱走されてしまうッ!それだけは避けなければならないッ!そのためには覚悟が必要だッ!アイツの肩には傷が付いているなッ!

 

けどアルコールでスライムが殺菌消毒されてしまうからなッ!火傷が当たってる上にアルコール、それにさらに炎でスライムを焼き殺すッ!腕がほとんど動かないッ!

 

だが炎を纏った、いや燃えてる腕ならばッ!スライム弾はよォォッ!燃えているんだぜェッ!だが一発だけだッ!スライムの残量はスライム弾なら一発分だけしかないッ!それにすぐにうたなくっちゃあその一発ですらなくなるッ!

 

だから確実にッ!あの場所に叩き込まなくっちゃあならないッ!この燃えるスライム弾をぶちこむのはあのポイントだッ!

 

俺の指から飛んでったスライム弾は肩をかすめて天井に当たった。これで、どうだァァッ!そして即ッ!燃えている腕を『スライミー・スライミー』ッ!切り離すッ!

 

切り離された腕は水分はなくすぐに燃え尽きるだろうがなどうだっていいッ!腕が落ちる時に金属の音がしたがそれだってどうだっていいッ!

 

俺は無理矢理抱きついて動きを止めるッ!これならば動けんだろうッ!こいつが死ぬまでの時間稼ぎにはピッタリだよなぁーッ!

 

それにどうせアイツは俺を突破してくるんだッ!オレがアイツならば普通に突進するねッ!それを捕まえるにはどっちみち抱きつかなくっちゃあならないからなァァッ!

 

クソッ、ジリジリと押されてやがるッ!燃えてんのになんてパワーだッ!まるでブルドーザーのようだッ!まるで大人が大人気なく相撲で押すかのようなパワー関係だッ!

 

クソッ、上はまだだッ!んッ!下にはあれがあったァァッ!しかし一手ッ!一手これに使ってもいいものなのかッ!ええいッ、これをしなくっちゃあ敗北だッ!やるしかないッ!覚悟をキメロォォッ!

 

俺はナイフをおもいっきし蹴り上げるッ!さっき落とした時の音は金属音ッ!金属音がなるようなのは少なくともナイフくらいしかないからなッ!

 

そして蹴り上げたナイフは見事にナイフが肩に刺さったッ!これは間違いなく運だッ!計算じゃあなく完成に幸運だッ!今ならば運命に味方されているッ!

 

運命がまだ味方しているうちに勝利を掴むッ!肩からナイフを取り出すッ!そしてこのナイフを天井にぶん投げるッ!

 

天井に当たったナイフは一気に崩壊が起こるッ!さっきの燃えるスライム弾は天井にぶち込んでたんだッ!天井はシロアリかなにかに喰われてボロボロだったッ!

 

スライム弾ならばそこまでの威力は出せないッ!しかし燃えるならば可能ッ!そしてこの隙におもいっきし腹を蹴り上げるッ!

 

こいつはほんのちょっぴり後ろへ下がるッ!しかしほんのちょっぴりで充分ッ!これでこいつだけが天井のガレキに叩きつけられるッ!



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スライム37

なんとかこいつはガレキに埋まったなァ!ヤバかったッ!一手でも間違えてたら死んでた。人間だったらハアハア言ってんだろうくらいには興奮してる。

 

あー、でも後始末しないとな。仕方ない。やるか。ま、とりあえず立ち上がるか、いつまで経っても寝転んでるわけにはいかん。

 

よっこらせっ、うわっ、立とうと思ったら失敗しちまった。チッ、片腕失ったからか。スライムの身体は下等生物だからか痛みがないから安心しきって忘れてた。

 

あれまだ使い物になるか。あー、こりゃ使い物にならんだろうな。完成に骨を串にした焼肉になってる。

 

まあスライムの細胞一個分も後悔してないが片腕での生活は相当大変だろうな。片腕には一時的には腕をラジコンみたいにしてなったが本格的にはなったことないからな。

 

結果的には身体中に火傷が当たってできた火傷と、肺には穴が空いてんな。あと足にも負傷あり。それと喜べないが片腕修復不能だ。

 

やれやれだって感じだぜ、としか言いようがないな。本当これからどうしよう。つーか後始末することも大変なくらい細胞もなくなってるしな。

 

後始末もしなくっちゃあなあ、報酬貰えねーからな。あー、でもそんなのできるほどの体力もないからな。仕方ない、報酬はまだ諦めるか。

 

まあこんな大怪我おっといて無報酬ってのもまあ不満がないわけじゃあないがそもそもこの世界には労働基準法ってのは言葉だけならあるかもしれんけど多分そんなの知るかって感じで無視されて来たんだろうな。

 

まあ奴隷よかマシよな。奴隷になるよりかはまだなんもなかったら報酬貰えるぶんだけマシだ。それに下手すりゃ死んでたわけだからな。死ぬよりかは万倍マシだと思う。

 

はぁー、でもまあ片腕は精神的に痛いな。俺はスライムだけどスライムで身体を操ってるだけだからな。言ってしまうと人形が傷ついた時、人形使いは簡単な傷くらいならば治せるがウデが折れたら治せんのと同じだ。

 

まあとりあえず一旦回復するか。とりあえず葉っぱでも食うか。ウンコを食うのが多分スライムを増やす分には最適解なんだろうが江戸時代みたいに肥料に使うらしいしな。精神的には本当にほぼ死にかけでもなければするつもりはない。帰って寝るか。

 

おはよう、おーおーまた呼び出しがありやがる。はぁー、面倒くさいな。まあ仕方ないな。我慢するか。

 

そしてかカレアーロさんの屋敷にまたノックして入った。

 

「今回はよくやってくれた。しかしそれだけの怪我は放っておくと困るだろう。回復術師を紹介しよう。ただ、その分今回の報酬はなしだ。」



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スライム38

 

「あ、ありがとうござます。」

 

「ではこれを持っていけば治せる。地図も書かれているが読んだら即燃やすなりなんなりして消せ。では早く行け。なるべく悪くなる前にな。」

 

俺はカレアーロさんの家を地図とチケットを受け取ってから出て行った。マジか、腕治せんのか。

 

そうか、ここファンタジー世界だもんな。そりゃ回復術師の1人や2人いるか。でもまあ相当珍しいんだろうな。まあそりゃそうか。簡単に治せるわねーわな。

 

まあ、とりあえず行ってみるか。なになに、おけ、覚えた。手で握って地図をスライムに食わせて消す。

 

えーと、確か位置はここだな。裏路地なんかじゃあなくて至って普通のマッサージ屋だな。とりあえず入ってみるか。

 

「ノックしてもぉしもぉ〜し、だれかいらっしゃいますか。アウロラのギルシアですけど。」

 

「アウロラからのご紹介ですか。チケットはございますか。」

 

「ええ、ここに。」

 

俺はチケットを手渡すとよーく念入りに確認された。まあ貴重なんだろうから当然だけども。

 

「確認しました。奥へお進みください。」

 

奥へ進むとこの世界では珍しい清潔さがあった。まあこの世界の治療施設だからそりゃそうか。それに俺以外にも異世界人はいるらしいしな。清潔って概念があるんだろう。

 

「これをつけてください。」

 

これは、目隠しか。まあそりゃそうか。これを見られたら困ることがあってもおかしくはないな。企業秘密ってやつか。

 

まあつける。当たり前だ。

 

「ではなぜ来たんですか。どこを治してもらいに来たんですか。」

 

「この、腕がまるまる一本ないんですけど。治すことってできますかね。流石に無理ですかね。」

 

「できますよ。では見せてください。」

 

俺は上半身の服をまるまる脱ぐ。下着は来てないしスライムでベタつくから半袖だからすぐ脱げた。

 

「火傷もひどいですね。と言うかなんでこれで生きてたんですかね。ここまで酷くて元気してた人は初めてですよ。」

 

あ、そうか火傷もあったか。スライムだからかあんま意味ないからな。無視してたけど人間だったらやばいのか。

 

「ではこれから回復します。」

 

うお、うお、なんかすごい。腕が回復していく。なんか腕が出来てくる。なんかすごい。語彙力ないけど。

 

ん、火傷も治っていくな。火傷も治ることには損はないからな。まあ得した気分だ。そうして数十分ほどそのまんま寝転んでたら腕が元通りになった。

 

「はい、これで終わりです。これで完璧。では帰って大丈夫ですよ。」

 

「こちらこそありがとうございます。腕を治してくれて。ほんとありがとうございました。」

 

さて、帰るか。しかしまたすげーな。ありゃあ現代日本よか凄いぞ。さすがファンタジー世界ってことか。

 

でもどう言う仕組みなんだろ。まあいいか。どうせ俺は残念脳みそだからな。そもそもスキルなんてものがある世界なのにいちいち仕組みを求める方が間違ってんな。



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スライム39

 

ふう、あー、違和感なしになった。片腕ないのは本当不便だったからな。片腕なくなったのは俺のミスだからな。

 

正直言えば最初に殺し切っておけばこの腕を失わずに済んだ訳だからな。いやもう治ったが。だからこそこの腕を治してくれたのはありがたいと言うかわざわざ治してもらう必要なんてないからな。

 

だって俺捨て駒だからな。最大限に俺に有利に解釈しても結構使えるがそれだけの捨て駒だろうしな。俺より強いであろう処刑チームってのがいるらしいし。

 

まあいいか。それなりに幸福に暮らせるのが人生、いやスライム生か。まあどうせ地獄行きだろうがね。別に国王とか望んでない。

 

ま、帰るとするか。腕も治ったし。腕ってのがあると身体のバランスにも関わっているっぽいから転びかけたことは結構ある。

 

ん、なんだこれ。スライム団子、本当だ。スライムみたいになってる。現代日本でよく想像されるほうの奴だ。俺みたいな雨がたっぷり降った後の水溜りみたいなやつじゃあないぞ。

 

一個買ってみるか。金を渡してっと、さてではいただきます。なんだこれはぁぁぁーーッ、ンマイなぁぁぁ!!ぷにぷにしててオイしーッ!

 

わらびもちみてーでうまいッ!俺前世ではわらびもち大好きだったからなぁーッ!なんかそんな感じでうまい。ちょっとばかし口についちゃったけど。まあスライムでたべればいいからな。

 

今日はいい日だ。オイしいものを発見できた。ま、こんくらいのご褒美は許されるだろう。こんくらいの幸せくらいが身の丈に合ってる。

 

と言うか奴隷に落とされないだけマシよな。俺か前に見て悲惨な奴はあえてギャンブルでイカサマつかって勝たせておいてギャンブルをなめてきた頃に後戻りできんほどに負けさせて奴隷に落とすってやつだ。ありゃ悲惨だった。現実世界の悲惨が見えた。

 

まあそれならばそこそこの自由と金と寝れるだけでもマシやな。まあインターネットとかスマホないのは辛いケド。まあそんくらいは我慢しよう。

 

ん、ありゃ何でも屋の、なんだったかな。ああ、そうだ。ウェルとか言ったっけ。いやー、ボケ始めたか。そんな歳じゃあないだろうけど。と言うかそもそもスライムにボケが存在すんのか。

 

まあいいや。ん、ウェルさんと言えばあのダイナマイト使えば良かったか。いや、それだと暗殺にならんか。いやでも暗殺ってのはたしかだれが殺したかわからん殺しのことだったっけ。うろ覚えだけど。

 

それならどっちみち暗殺じゃあないな。なにせ爆破音がした後出てきたら一発でわかるし。いや、火事も同じか、じゃあデメリットねえな。

 

いやデメリットしかないか。なんせ炎ならある程度なら耐えられるけど爆破は死にかねん。まあ指名手配されようが逃げられる自信はあるけどそれはなんとなく嫌だし。



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スライム40

 

「お、ギルシアさんじゃあないですか。いやはや大変でしたね。」

 

「どう言う事ですかね。どれに対してですか。正直大変な事が多すぎでよくわかりません。」

 

まあ俺は前世就職活動する前に死んでしまったからよくわからんが結構働いてんじゃあないの。ま、俺にはわからないけど。

 

「いやいや、こないだデスソラの一員をたおしたじゃあないですか。あれはなかなかでかい仕事でしたよ。」

 

「いやいや、別に大したことじゃあ有りませんよ。別に俺じゃあ無くても多分殺せると思いますよ。」

 

実際あそこまで大事になったのは最初に殺しきれなかったからで別に俺じゃあ無くてもあそこできちんと殺し切れば充分に誰でも殺せるだろ。なんだったらスキル使いじゃあ無くても殺せる。

 

「そんなこと有りませんよ。処刑チーム案件ですよ。デスソラの組員打倒は。」

 

「ところでどうしてこんなこと知っているんですか。あなたアウロラのものじゃないでしょう。」

 

「何でも屋と言うのはきちんと知識を仕入れていないといけないものなのですよ。こんな裏とつながっているのはね。」

 

「ふーん、そうなんですか。」

 

さてと、帰ってから寝るか。ボチボチ日も暮れて来たしな。そうだ。焼き鳥でも買うか。竹串まで全部食べてやろう。

 

そして翌日、またショバ代を回収している。今度はスムーズに回収できてる。ウェルさんのとこからもしっかりと。

 

あと、なんか最近はコロコロ取る場所が変わってんだよな。なんでもアンジェロってやつが新しく幹部になったらしいからな。

 

まあ俺は金は欲しいからな。だれだって欲しい。俺だって欲しい。だからちと羨ましい。まあそんな事はどうでもいいや。めんどくならなきゃいいけど。

 

と、ここが最後か。なんでも本屋?珍しいな。この世界は紙自体は珍しくもないけども本はなぜか手書きで一個一個うつすしかないからな。

 

奴隷にやらせるしかないらしいけど奴隷に字を教えるのも大変らしいから高いんだったっけ。ほんとなんで活版印刷がないんだろう。まあ俺も活版印刷が聖書を普及させたくらいしか知らんけど。だからまあなんかあんのかな。

 

ま、俺が本に関して考えたってどうだっていいしな。別に本なんてどうだっていい。まあそりゃ価値がないなんて言わないけど。

 

ま、中見てみるか。ん、あー、こりゃあ、どっちかって言うと代筆屋に近いな。この世界じゃああんまり字を読み書きできなかったり、そもそも文字を知らんって奴もいるからな。でもまあそんなとこに本屋置いといて意味あんのか。



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スライム41

「あのー、だれかいらっしゃいますか。アウロラのものなのですけど。」

 

「はい、これですね。」

 

そう言ってきっちりと渡された。しかしこんなに本があるのはなんでだろう。本なんて高いのに。

 

「どうだっていい、シンプルなことなんですけどどうしてこんなに本を持っているんですかね。貴族でもないのに。不快なら答えなくていい。世間ばなしなんですが。」

 

「それはあなたには関係ないですよね。ま、いいでしょう。答えはシンプルな事で心が、世界に答えがあるからですけど。全てが、それこそ死後の世界や私以外の精神の有無も全てあると分かるからです。」

 

何言ってんだ。こいつ。狂人か。そもそも質問に答えていないじゃあないか。この世界の言葉間違えたか。まあどうでもいいや。

 

ま、一旦これ渡して帰るか。そうして俺はいつも通り渡して帰ってから焼き鳥を買って食って寝た。やっぱ焼き鳥うめーや。おやすみ。

 

おはよう、チッ、またなんか来てるよ。見なかった事にしていいかな。ダメだよナァー。ハァー、仕方ない。読むか。はい、いつもの呼び出しね。まーた暗殺かよ。治安悪すぎじゃあないか。

 

ま、仕方ないか。明日じゃあダメだしな。そういえばなんか貴族に入れ替わりが起こったから治安悪くなったとかならなかったとか。

 

名前はたしかアンジェロとか言ったっけ。クソ、アンジェロとか言うやつめんどくしやがって。ん、アンジェロ、そういや新しい幹部もアンジェロとかいったっけ。てなると名前が違わないから同一人物か。

 

なんか物語の悪役みたいだな。よくある裏社会とつながりある貴族としてはありがちだな。しかしメンドクしやがって。この世界には魔法とかあんなら適当に呪いでも探せばありそうだしやってみるか。ま、冗談ダケど。

 

そうしていつものごとくカレアーロさんのところに向かう。もう道を完璧に覚えたよ。何回も来たからね。来るって事は殺しだからな。あんまきたくは無いけど。まあ仕方ないか。

 

「さて、今回はスキル使いではない。この男は実は魔族のスパイだ。人肉を喰らうタイプのな。だから確実に殺して欲しい。今回は時間も何もかも指定されている。」

 

そのあといくつか説明されてその魔族のいる場所を教えられた。そして能力はシンプルに人間への擬態ともとの姿へと戻るだけでシンプルにパワーが強いだけだってさ。まあ、多分これ楽だと思う。と、いま余裕ぶっこいでたな。気をつけなくては。

 

そうして二日後、きちんと予定の場所へ向かった。しかしスキル使いでもないのに俺がいく必要あんのか。まあいいか。

 

「お、あんたが新入りか。ほれ、腹減ってんだろ。これどーぞ。ほれ、食えよ。同じ魔族のよしみだ。てにいれんのが面倒な天然ものの人肉だぜ。豚肉は入ってないぜ。」



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スライム42

あ、ああ、そうか。こいつら食人種だから人肉分けて来たのか。あー、そりゃそうか。まあ人間で言うんだったらメシをお裾分けするようなものか。いや、天然ものってたからそれよりかは貴重なんだろ。

 

て、ことは人間で言うんだったらもの凄く高いステーキを始めて会う新入りに対して奢るって感じなのか。うわ、きっといいヤツじゃあないか。

 

まあそんなことはどうだっていいけど。殺すことには変わりはない。鉄の板がデコピンしても曲がらないのと同じようにな。でもまあ食人はことわっとくか。べつに食べちゃまずいわけじゃあないけど食いたいわけでもないし。

 

「あー、べつにいいです。腹一杯、胃袋満タンって感じです。なんで先輩が先に食ってください。」

 

「お、そうか。でも先に食っておけ。いつ食料がなくなっても知らんからな。食えるときに食え。」

 

ハァ、仕方ないか。クソ、なんとなくヤダからなぁ。人間の倫理観ってやつかね。まあ仕方ないか。覚悟キメないと。

 

「じゃあ、貰います。」

 

「そうか、ほれ。さっきも言ったけど人肉だけだぜ。魔界のまずメシみたいに牛とかの肉は入ってないし。人肉百パーセントだ。」

 

「いただきます。」

 

うっぅ、う、ま、マズい。油たっぷりのやつだ。油がある上にクサイ。焼き鳥とは雲泥の差だ。少なくとも俺には合わない。

 

ま、マズいッ!さっきとは別の意味で!美味しいように見せかけないと人間、いや、スライムか、まあいい、魔族じゃあないとばれちゃあダメだ。

 

『スライミー・スライミー』ッ!肉体をバレないように組み替えて喉から直接胃に落ちるようにする。そして顔も操作して普通の表情で固定する。

 

大丈夫、バレてないよな。バレてても殺す自信はあるが難易度は減らすにこしたことは無いからな。

 

「食い終わったみたいだしじゃ、案内するからついてこい。」

 

よし、バレてない、そして後ろを向いたな。俺は身体に埋め込んでおいたナイフで首を掻っ切る。悲鳴すら上げずに倒れ込む。

 

ナイフにはスライムが塗られてあるからな。勝手に急速に傷口が広がっていく。そうしてすこしたって死んだらしい。まるで化け物のようになった。これが死んだってことらしい。

 

そうして死んだのを確認したらどこからともなくアウロラの後処理班が死体を急速に片付けてゆく。これで完璧に終わった。よし、これでこんかは終了だ。そしてたしかもう帰って良いらしいから帰るとするか。家には昼に買っておいた焼き鳥が待っているからな。さてと、じゃあ帰るか。

 



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スライム43

 

さてと、終わったし帰るとするか。そして家に着いた。あー、疲れた。精神的にものすごく、たっぷり。

 

とりあえず焼き鳥を温めて食べるとするか。俺がスライムだからか魔法使えんからわざわざ高いってほどじゃあないが薪を買わなくっちゃあならないからな。

 

お、ついたついた。じゃ、焼き鳥温めてっと。それまでに下からあらかじめくんでおいた水を出してっと。

 

その水を炎にかけて水がお湯にして、沸騰して来て音がなってからやっすい、と言うか普通くらいの茶葉で紅茶を作る。

 

そして多分、だいたい三分くらいたっただろうから紅茶を飲むけど、それに砂糖をたっぷりと加える。これを飲むのが毎日の楽しみなんだよなぁー。まあ疲れていたからより美味しい。

 

しかし俺の頭だいぶおかしくなって来たな。なんつうか人を、と言うか魔族か。まあ知能がある存在を殺したのに平気で茶あ飲めてんのがなあ。

 

はあ、サイコパスって言うのか。なにも感じなくなって来やがった。まあ自覚できてるうちは大丈夫なのか。ま、ダメだろうな。たぶん狂人なんだろうな。

 

まあ考えた所でどうでもいいか。こんな事を考えた所で一文にもならないし、こんな事を考えても後悔がほんのちょっとも芽生えてこないからもう人として終わってんだろう。

 

と、焼き鳥が焦げちまいそうだ。よっと。危なかった。さてと、ではいただきます。あー、やっぱうまい。人肉とは比べ物にならん。なんで人を食ってる種族がいんのか不思議になる。

 

さてと、残念だけど食い終わったし。火を消してっと。こんくらいかな。ちょうどいい量のスライムを入れて火を消して、じゃあおやすみ。

 

と、朝か。まあボチボチだな。今日は一日中休日だからな。暇だしボチボチ散歩でもするか。インターネットもゲームもなろう御用達のハーレムもないし。

 

ん、ああ。そうだ。本でも買うとするかな。そうと思えば俺は善じゃあないが善は急げだ。金持って向かうとするか。

 

お、あんなとこになんでも屋のウェルさんじゃあないか。なんか箱持ってんな。なにやってんだろ。あそこそこそこ人通るぞ。ん、なんか見えなくなったな。

 

「ウェルさん、なにしてらっしゃるんですか。荷物置いて。その荷物は見えなくなったケド。」

 

「あー、見られちゃいましたか。いやなに、なんでも屋の仕事の一環ですよ。まあ誰かは言えませんがね。」

 

「そうですか。ありがとうございます。」

 

そしてウェルさんとあって数分ほど歩いた。お、あんなとこに神父さんがいる。なんであんな路地裏にいるんだろう。いや、あれはアリウェーロさんじゃあないか。俺を引き取ってくれた。なにしているんだろう。



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スライム44

 

「ギルシアじゃあないか。私は見ての通り神父のボランティアをしているんだよ。神父は便利だが、こんなことをしなくっちゃあいけないって言う点ではマイナスです。」

 

「そうですか、大変っすねー。どーせ暇なんで手伝いましょうか。」

 

「いえ、大丈夫です。それにあなたは休暇でしょう。月並みな言葉ですが休暇はきっちりととり休んだ方が良いですよ。ああ、そうだひとつ大事なことを言わなくっちゃあならないんでした。」

 

「なんすか。つーか大事なことなら早く言ってくださいよ。」

 

「では教会で話しましょう。ちょっと大事な話なので。」

 

そして目を盗んで教会の賽銭箱から下の地下室に入った。しかしなんでまたこんな場所にきたんだ。面倒くさいほかねー。

 

「実はですね。『祝福』の魔法陣が見つかりました。」

 

え、『祝福』って言うとあのスキル強化の、あの元の現代日本がある世界に帰るって言うあの方法。いよしッ!いよしッ!

 

「その方法があんだったらさっさといいやがれェエッ!ハァー、ハァー、すんません。興奮しすぎました。」

 

「ええ、本当です。実はほんとにうっかり忘れてたんですよ。昨夜ようやく見つけました。ただ、少しばかし欠点があります。」 

 

「なんすか、死ぬとかじゃあないならいいけど。」

 

「いや、この魔法陣は欠落があったから満月の日にしか『祝福』が行えなくなるってだけです。それだけです。」

 

「全然、大丈夫すよぉ〜。そんくらいウェルカムって感じッ!むしろ月一で行うことができんなら大万歳ッ!」

 

「ならば、いま言葉を調べますか。」

 

「ええ、やりますよ。まあ俺が善かはどうかは別として善は急げって言うじゃあないですか。いまやらせてください。」

 

「ならばこの魔法陣に手を当ててください。」

 

「オーケーオーケーわかりましたっと。」

 

差し出された魔法陣に手を当てるとその魔法陣の周りにわけがわからないような文字が描かれ始め、それが書き終わったら神父は紙を取り上げた。なんか綺麗やっちゃなぁー。それにどう言う仕組みなんだろう。

 

「しかしなんであんたが『祝福』しないんですかね。あんたでよくないですかね。」

 

「まあ正直に言わせてもらうのならばあなたはモルモットってわけですよ。失敗する確率はほぼないでしょうが失敗した場合があるかもしれないので。」

 

「あー、そう言う事ですか。まあ信頼できんので大丈夫、このままやりますよ。それに加えて元の世界に帰れるならば命を賭け金にするのはある意味当然ですっよ。」



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スライム45

 

そして神父が潜水艦の潜望鏡のような物で外に人がいない事を確認して賽銭箱から外に出る。純粋でどうでもいい疑問だけどどうやって設置したんだろ。

 

ふー、これで戻れるようになるめどがついたのはすごくいい。落ち着いて来たけど嬉しさと興奮は未だある。いやはやこんなに早く帰れるなんて。

 

よし、今日は本屋で本買うから晩飯は葉っぱにしようかと思ってたけど今日はいい日だ。こんなお祝いごとにはゼータクが必要ってもんよよのぉ〜。恩赦が戦争で勝った時に与えられるように。

 

ま、本屋に行くのが先だな。たしかこないだ取ったあそこだな。名前は、ええと、なんだっけ。まあいいか。場所さえわかってりゃ問題ない。

 

お、ついたついた。名前はえーと、なになに、デルソラか。なんだっけ、デスソラって言うこないだ殺したあいつの所属してた組織と似た名前だな。

 

さてと、どれ買おうかな。まあ神話でいいか。神話ってのに興味があるからな。えーと、なになに。うわ、高い。まあ仕方ないか。店に入っといてなにも買わないってのは無礼だからな。

 

そして金を払って焼き鳥を買って帰った頃にはもう夜だった。火をつけて明かりにして、それで焼き鳥を熱くして食べた。

 

あー美味しかった。この世界だと七味とかが高いから七味をたっぷりかけて食べれないのが残念ポイントだけどまあそれを差っ引いてもうまい。

 

さてと、火に向けて指を向けてえーと、これくらいかな。よし、スライム弾を放った。ちょうど火でスライムが死滅するけど火も消えるくらいの絶妙なさじ加減で打った。じゃ、おやすみ。本はまた今度読もう。

 

おはよう。まーたなんか来てるよ。紙がいつも通りに来てやがる。はいはい、また暗殺、つーか殺人かよ。ハァ。ただの面倒くさいだけってなってる自分がいるや。まあいいか。

 

さてと、いつも通り昼に行きますかね。金が結構ないから焼き鳥は我慢我慢。はあ、葉っぱでも食べるか。麻薬じゃあない奴だ。金がないから食いたくても食えない。

 

そしていつも通りカレアーロさんのところについた。

 

「今回は君にやってもらうのは暗殺ではなく、諜報だ。最近、冒険者として名をあげてきた転生者がいる。名前は藤塚透と言う。私から見れば異世界人、君の世界の住民だ。そいつにこの紙をなんらかの方法で渡して欲しい。これにはすこし細工をしている。それを渡して欲しい。

 

あと、金がないのだろう。先払いで渡しておく。何かあったら教えろ。そして最後になんとなくで良いが感想を聞かせてくれ。これが今回の任務だ。」



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スライム46

 

そうしていつも通り書類を渡されて帰った。ふぅー、今回は殺しじゃあなくてよかった。殺しはまあもはや慣れちまってるがスキル使いが多いからな。

 

と、殺しを面倒くさいだけってなっちまってるのいい事なのか、悪いことなのやら。まあいいか。どうせ俺は地獄だかに落ちるだろうからな。どうせならハッピーに暮らした方がいい。

 

と、要するに接触してこのなんかへんな文様のある紙を渡せばいいのか。魔法に関係あんのかな。じゃあ、そうだな。

 

まあ、とりあえず金ももらった事だしその冒険者ギルドとやらに行ってみるか。んで、まあ適当に雰囲気でも見てみるか。

 

と、なかに入って見たらこれはまあ良くある感じのやつよのぉー。よくあるファンタジー世界のやつだな。

 

しかしこの世界の冒険者ってのはあくまでも俺が考えた事だけど動画投稿サイトで飯を食っているやつみたいなもんだ。もっとも命の危険があるって事が違うけど。

 

しかしいないみたいだな。仕方ない、適当にぶらぶら歩くか。お、あんなとこに武器屋がある。ちと俺のナイフは錆びて来たから新しく買わないとな。

 

うお、色々あるな。武器がいろどりみどりって感じだ。いやちみどろみどりって感じか。・・・ヤバイ、なんか俺の精神だいぶへんな感じなってる。まあ自覚できてりゃイカれてないフリすりゃいいからいいか。

 

お、このボウガン高い。なんでもドラゴンの素材を使ってて現代日本換算で百ミリメートルの鉄板を打ち破れるんだってさ。値段はえーと、日本円換算で、これは、二億ゥ、ヤバイな。なんかの間違いで壊したりしたらヤバイな。まあこれは英雄とかが買うんだろうな。

 

俺は大人しくこの安い、いや、安くはないか。さっきの二億がおかしいだけでこれもそこそこする。

 

でも毒が長続きするらしいからな。毒もスライムも同じだからこれは必要経費だ。そう自分を納得させて二本買った。ついでに手入れ道具も買った。

 

そんなこんなでナイフを買ってみた。ナイフは自分の腕を『スライミー・スライミー』で埋め込んだ。錆びないようにして。

 

さてと、冒険者ギルドで適当に来るまで待っとくか。ん、なに、ギャンブル?ほー、サイコロでか。いーこと思いついた。

 

俺はサイコロにスライムをつけてイカサマしてバレない程度に儲けた。万一バレてもどうせもう来ないから大丈夫。

 

お、よーやくきた。名前はたしか藤塚透って言うか数人の女を連れてやがる。なんだろう。ものスゴイ敗北感を感じる。なんだろう、差がすごい。

 

俺は地獄行きの盗賊ギルドの鉄砲玉、それに対して藤塚透は女を連れて歩ける英雄。何というか女に対してはなぜか羨ましさは湧かないんだけど社会的地位が違いすぎる。

 

とりあえず話しかけてみるか。殺さんでいいだけマシよな。そのあと偶然を装って話しかけるとするか。俺は知らんがそこそこ有名らしいしな。話しかける理由には充分すぎる。偽名で名乗ろう。いや、前世の名前でいいか。

 

「すいませんけど、ちょっと隣いいっすかね。」

 

「ああ、全然いいよ。オーケー。」

 

「ん、て言うかあんた藤塚透さんですか。」

 

「ああ、そうだぜ。そう言うあんたは。」

 

「ええと。俺は久保龍之介です。」

 

「え、あんたも転移者?マジで?その割には金髪だけど。」

 

「あ、やっぱあんたは転移者なのか。俺は転生したんだ。だからこの世界の体になってる。」

 

「ふーん、やっぱ転移者だけじゃあなくて転生者もいたんだ。」



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スライム47

 

「しかしあんたも日本人だとはなぁ。あれ、でもその名前はそれ前世のでしょ。この世界に転生してからの名前はなんてゆーの?」

 

「この世界で親からもらった名前はギルシア、ほんのちょっぴり格好いい名前だろ。しかしこの世界の言葉どうやって学んだんだ。」

 

「ん、ああ、そうか。あんたは転生者か。だからあの苦労も楽だったのか。オレはレノンって言う人が異世界のことをよく知っててな。

 

だから保護してくれたんだよ。もっとも最近いなくなっちまってこんなふうに冒険者やり始めた。」

 

「へー、ん、でもあんたは転生者じゃあなくて転移者なんだろ。ぶっちゃけ現代日本の学生が冒険者できるとは思えないんだけど。」

 

「いやそれがね、なぜかオレに攻撃してもかすり傷か元々当たんないのよ。ほんと何故かって感じ。まあそれを利用してオレがおとりになってやってんの。」

 

「それが異世界特典ってやつか。あんたの。」

 

「そうかもしれないは。じゃ、名前でもつけてみるかな。そうだな。『ウィーアーキングダム』ってところかな。」

 

「ふーん、いいんじゃあないの。俺ネーミングセンスゼロだから本当かどーかわかんないけど。」

 

「ていうかあんたにはなんか転生特典とかあんの。ちょっぴりでいいから見せてくんないか。」

 

うーん、さてどこまで見せたものか。まあそうだな。ほんのちょっぴりのくだらない手品でも見せてやるか。

 

「じゃあよーく見てなよ。今からほんのちょっぴりだけ見せる。」

 

俺はそこら辺にあったお水が入ってるコップに指を突っ込んだ。

 

「なにやってんだ。それは指を洗うやつじゃあなく飲み水だぞ。しかも安心安全なやつだ。もったいない。」

 

「ここからが肝心なのよん。目ん玉飛び出さないように抑えときな。」

 

俺は指に入れたコップをひっくり返して上下逆にして普通なら水がこぼれる状態にした。だけど水はこぼれなかった。

 

それから俺はそのコップをゆっくりと上にやった。そうすると水がコップの形に固まってプルプルしていた。

 

まあこれの種は非常にくだんなくてスライムは見えにくいし今はあかりもあんまないから見えづらいけど水をスライムで支えて落ちないようにしてるだけ。

 

「す・・・すごいッ!水がプリンみたいに・・・これは本当すごい。」

 

「これがすごいと思う〜?」

 

「え?」

 

「これがすごいと思うかときいたのだ。」

 

「もっもちろんだ。」

 

「フーンそうかいじゃあもっと近づいてよぉーく見てみろよ。そこのお姉さんたちも。」

 

藤塚が連れてきた女もよーく来たところで俺はちょっとした意地悪をした。水をスライムで破裂させたのだ。

 

「うわああっ。ひでーことしやがって。オレはともかく彼女たちが濡れちまったじゃあないの。」

 

「まあまあ、水も滴るいい男って言うじゃあないの。」

 

「それもそーだな。おまえ面白いなぁー。」



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スライム48

「いやはやこの世界でも元の世界のやつと会えるとはスゲー幸運だな。」

 

「なあ龍之介、ひとつ相談していいか。」

 

「ん、別にいいけど。でも今日会ったのにか、そんなに信頼してんの。もーちょい俺を警戒した方が良くない。」

 

「いや何となくわかるよ。きっといいヤツ。そうね。かんってやつ。それじゃあダメか。」

 

「いやそんなら別に良いけど。で、その相談ごとってなによ。」

 

「実は、オレ貴族になるんだが。」

 

「へー、すごいじゃあないの。まあ英雄って呼ばれるくらいだからな。ま、そりゃそうか。」

 

「ま、つったって屋敷一軒だけのやつだけどもで、本題はここからなんだけどなんでもこんど公爵になるアンジェロって奴の派閥に入らないかって打診があんのよ。」

 

ん、アンジェロ?アンジェロかぁー、どっかで聞いたことある気がするな。ああ、そうだ。なんか最近幹部になったとかなんとか。って事は幹部と貴族兼任してんの。

 

よーやるな。でもまあ俺から言わせてもらうんだったらやめさせたほうがいいからな。盗賊ギルドの鉄砲玉やってる俺が言うのもなんだが盗賊ギルドに関わるとろくなことにゃならねぇ。

 

ただのゴミの俺が言うのもなんだが俺よりもカスな立場のやつなんざごまんといる。主に奴隷だ。奴隷は法律上では獣人しか強制的にはしちゃあいけなくて、人間はあくまで金銭面でか犯罪を犯したものしか奴隷にしちゃあいけない。

 

ただまあ適当に騙して借金で首が回らないよーにすればいともたやすく奴隷におとせるからな。だからあってないようなもんだ。

 

「んー、その派閥には入んない方がいいぜ。そのアンジェロにはちと悪い噂を聞いている。と言うかその悪い噂の元凶だ。」

 

「どう言うこと。詳しく説明してくんない。」

 

「実はな、そのアンジェロってやつは盗賊ギルドの幹部なんだよ。」

 

「え、それマジで言ってんの。」

 

「大真面目に言ってるぜ。こいつはほぼ百パーセント本当だぜ。盗賊ギルドの幹部だ。下手すりゃ利用するだけ利用されて骨までしゃぶられるどころかその骨まで肥料されかねん。」

 

「うわー、マジか。でもじゃあ中立でいるか。」

 

「ま、それが安心だわな。幸いにもあんたは英雄だ。下手に手出しは出来んだろうしそれならまだマシだな。まあその分出世はできんかもしれんけど。」

 

「かまわん、かまわん、オレは彼女たちとのんびりまったりと、ってそう言うわけにはいかないけどオレは少なくとも彼女たちが不便しないくらいの生活でいいからな。つーかそれはどこで知ったんだ?」

 

「いやまあ俺はこの世界で生まれ育ったからな。ツテがあんのよ。」

 

ま、嘘だけど。俺も盗賊ギルドの一員だからって言えるか。

 



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スライム49

「と、もう帰んなくっちゃあなあ。ちと時間が過ぎすぎてる。」

 

「え、もうか。やっぱ楽しい事って短く感じるもんだな。」

 

さてと、ここからが肝心だ。ここからをしっかりとこなさなくっちゃあなあ。これをミスるのはまずい。

 

「あ、そうだ。この本貸してやるよ。この本面白いぜ。」

 

「ん、なになに、あ、これトリスの英雄譚じゃあないか。」

 

俺が取り出したのはこないだ本屋で購入したあの本だ。この本にはちとスライムで細工してある。そう、渡せと言われた紙を仕込んである。

 

「しかし本ってたけーのにいいのか。結構高いだろ。これ。」

 

「あくまで貸すだけだぜ。この世界で生きてたらきっとまたいつかのどっか出会えるだろうから返してくれよな。それまでに読んどけよ。」

 

「ふーん、じゃ、いつかのどっかで返すとするよ。じゃあな。いつかのどこかで。」

 

「おう、またな。どこかであおう。」

 

ふー、結構いい時間を過ごせた。任務だったけど。本当にいい時間だった。こんなゴミの俺にとっては本当に。今度は任務抜きで話したい。まあこの世界で生きていれば会う機会があるだろう。そこでまた会うとするかな。

 

さてと、じゃ、帰って焼き鳥食って寝るとするかな。さっきの冒険者ギルドで買っといたのよねん。はてさて美味しいか、まずいか。シュレディンガーの焼き鳥って感じだな。食ってみるまでわからない。

 

そしてゆっくりと焼き鳥食って起きた。シュレディンガーの焼き鳥はうまい方だった。タレじゃあなくて塩もイイねー。軟骨もあったからよりハッピー。

 

と、また紙か。ま、どーせいつものだろう。ん、あれいつもの場所じゃあないぞ。なんで。え、マジでなんで。俺なんもしてないよな。まさか処刑されちまうのか。え、ほんとなんで。俺多分なんもしてないはずだぞ。いや、殺しはやってるけど命令にはきちんと従っているのになんで。

 

ええい。こうなりゃやけっぱちだ。いつも通り行ってなんか殺されてしまいそうになったら思っきし抵抗してあらがってやる。それくらいやってもいいくらいには忠誠誓ってるぞ。

 

ま、早とちりかもしれないけど警戒に越した事はないからな。警戒して損はないならするのがお得ってもんだ。まあなんかあっても困るしな。

 

そうしてその場所に着いたら耳栓をつけ、目隠しをさせられた。そして腕を引っ張られて馬車に詰め込まれてどこかに着いた。そこには一人の老人がふかふかそうな椅子に座っていた。

 

「やあ、私はアウロラのトップのギレニアだ。」

 



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スライム50

 

まって。オレの残念脳みそじゃあ理解が追いつかない。なんで俺がアウロラのボスの前にいるの。え、マジでなんで。処刑ならばこんなんやらんよな。

 

動揺を誘うつもりか。いや、それならやってないのがおかしい。それならすでに攻撃してきてるはずだ。てなると本当にアウロラのボスって事か。でもなんで。俺鉄砲玉で明日死んでもおかしくないようなやつよ。

 

「なんでかって顔してるね。じゃあなぜか教えてやろう。ロート、説明してやりなさい。この歳になるとちと厳しい。」

 

するとアウロラのトップのギレニア、いや、ギレニア様って読んだほうがいいか。まあ心の中だからどっちでもいいか。

 

まあそのギレニア様の隣から十五くらいの少年が出てきた。そいつは腰に銃、それも火縄銃みたいなのじゃあなくてリボルバーのだ。西部劇でよーく使われてるようなやつだ。

 

「はい。あなたは教会で神父してるアリウェーロと繋がっていますね。」

 

うわ、なんか裁判みたいだな。もしくは悪役令嬢ものの断罪シーンでもいい。ま、どっちも直接見たことないから想像でしかないから本当に正しいか知らんけど。

 

「ええ、まあ。繋がりって言っていいかわかりませんけど。あくまで保護された。それだけです。」

 

「わかりました。そのアリウェーロはデスソラの設立者だったことが発覚しました。それによりあなたはデスソラの一員である可能性が出てきました。と、言うよりかはデスソラに入る可能性が高いと判断されました。」

 

え、まてまてまてなんで。デスソラに入ってなんてないぞ。ああ、そうか。無意識の内にデスソラと近しくしていて後々デスソラに入れいようとしてたのか。もしくは演技してるかと判断されてるわけか。

 

とりあえず次の言葉が行動で考えよう。この位置ならばこのアウロラのボスを殺せるからな。どうせ地獄か死んだ後は地位なんてかんけーねーからな。せめて道連れにしてやる。

 

「なのであなたには禊をしてもらいます。免罪符を買うかのように。罪を犯したものがブタ箱にぶち込まれるように。

 

そしてその禊は現在進行形で裏切り者が出ています。具体的には幹部アンジェロとその部下、そして処刑チームです。これらに加えて見かけたらで良いのでデスソラも。これらの討伐が禊です。」

 

これって多分なんだけど裏切り者が出ててそれの処刑のために俺呼ばれたんじゃあないの。恐らくアンジェロが裏切ってそれに呼応して処刑チームも裏切ったと言う流れなんだろう。

 

で、その処刑には本来なら処刑チームが当たるべきだけど処刑チームも裏切ったから俺を使ってんだろうな。

 

まあこれ断ったら多分殺されるだろうしな。そうだな。それ考えるとやっぱこっちにつくしかないか。ハァ、死ぬ気しかしないけど覚悟を決めてやるか。

 

「ではこちらが資料です。お使いください。またこれは通信に使います。ボス、ギレニア様のスキルによってこの紙に話しかければそれでわかるので。」

 

そうして俺はもっかい目隠しさせられてから馬車に乗り込んで家に帰った。さてと、この資料は隠してっと。そしてそばにはスライムのトラップおいとこう。

 

と、そうだ。焼き鳥食いに行こう。金はそこそこあるからな。これからどうなるかわからんしな。

 

よしよし。ボチボチかえた。いただきます。そうして焼き鳥食った。やっぱうまいな

。ごちそうさま。

 

あ、そうだトイレ行こう。この肉体は人間で言うアカの代わりにしょんべんするみたいだからな。そうして公衆トイレに行ってから帰ろうとした時。足元が爆発した。

 



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スライム51

ウオォッ!襲撃かッ!どこからだ!周りにはあんま人影はないな。となるとトラップと考えた方がいいな。

 

この世界にも爆弾はあるからな。俺の身体の中にもある。しかし足が吹っ飛んじまったじゃあないか。『スライミー・スライミー』で足を治す。

 

しかし変な匂いはしないな。それに加えて音も小さい。となるとこれはスキルによるものと考えるのが妥当だな。

 

そういえばさっきもらった資料にたしか物体を触ると爆弾にし、その爆弾を使うスキルの奴がいたな。となるも処刑チームのメンバーか。名前までは覚えてないがスキルの内容は軽くなら覚えておいたからな。

 

しかしこの爆弾はいつ設置されたものだ。俺がトイレに行かなかったらこの爆弾は発動しないからな。となると俺を尾行することによって恐らくだが小石のようなものを爆弾にし、地雷として置いといたのだろう。

 

しかし土煙がすごい。ならばスライムの風を、空気の動きを感じる力に頼ったほうがいいな。それに加えて相手からも見にくいってわけだ。

 

そうなると俺の方が情報においては有利だな。風を読める分有利となる。となると逆にこちらがトラップを仕掛ける番だ。

 

アイツのスキルには一つの弱点がある。それは市街地では目立ってしまうことだ。つまりは市街地まで逃げ切れればいい。だから市街地まで百メートルほどあるから逃げ切ればいい。

 

だが市街地まで逃げるのには俺にもあまり得策ではない。いつでも奇襲をかけられてしまうわけだからな。と、考えるとどちらが得か。

 

四六時中追いかけられるものか、それとも立て直しを図るか。これならばまだここで相手した方がいいな。ここから逃げても問題の先送りにしかならない。

 

つまりは借金みたいなものだ。ここから逃げると利子までくっついちまうがココでやれば利子はつかないからな。

 

となるとこっちはトラップを仕掛けてくればいいわけだ。ん、何か飛んできたな。まさか爆弾かッ!しかしスライム弾ッ!迎撃しろッ!

 

スライム弾は俺の約二メートルほど前で飛んできたものに炸裂して爆発が起きた。恐らくは何かにぶつかったら爆発が起きるのだろう。とりあえずこれでごまかせたか。

 

不審に思ったらしいな。もう一発投げてきた。なら同じ事をするまでだ。スライム弾ッ!命中ッ!ん、爆発が起きないッ!

 

そしてその爆弾は俺の皮膚にダメージを与えた。所々には肉も見える。骨も少しばかし折れたな。とりあえず応急処置を施そう。『スライミー・スライミー』!骨を治す。

 

近づいては来ないか。しかし危なかった。なぜだ。接触したのにもかかわらず爆発した。となるとこれは恐らくだが接触起爆ともう一つ好きな時に爆発出来るようにしているな。



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