ハイスクール・ディスガイア (ボルメテウスさん)
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藤木大地(ネタばれ注意)

こちらでは、藤木大地の事について書かれております。
最初に藤木についての基本的な情報を書いておりますが、その後はネタバレが書かれておりますので、見る場合は注意してください。
また、現在のアンケートで行っている番外編のあらすじで、どんな話をしているのかについて書かれておりますので、知りたい人はぜひ見てください。


藤木大地

勝手なCV:阿部敦

見た目:FateEXTRA 岸波白野

概要

どこにでもいる普通の人間だったが、高校に入学する時に入ったカレー屋のバイトをきっかけに、この世界とは違う魔界の住人と関わる事になってしまった少年。

本人が知らぬ間に魔界の常識を刷り込みをされていた為に、多少の事が起きても普通だろうと思い込んでしまう。

性格は周りが呆れるほどのお人好しで、厄介な人物に好意を持たれる傾向にある。

しかし、魔界の住民たちとの交流のせいか、面倒と思ったことにはなるべく関わらない様にしている為、危機察知能力が高い

また、本人が知らない所でフラグを立てており、それが彼のさらなる強さを発揮している。

 

戦闘能力

本人は自覚ないが、キリア達との訓練によって、その力は既に上級悪魔を軽く超える程の力を持っている。

基本的に師匠とも言える存在であるキリアの使う超魔流で戦っているが、武器も一通り使いこなす事ができる。

また、様々な危機を乗り越えてきた影響なのか、時を止めたり、目からビームなど、常人ではあり得ない能力の数々を身に着けたが、これらは全て、「あっこれは夢か」と思い込んだ時にしか使えない。

それ以外のごく一部は使える。

 

対人関係

魔界の多くの住人と友好関係を結べている。

その中でもキリアとは師弟の関係であり、一番強い絆で結ばれている。

また恋愛関係に関しては無自覚だが、フラグを立てており、さらには本人が知らない所には子供ができているかもしれない。

 

ヒロインとの関係

風祭フーカ

ヴァルバトーゼをきっかけに出会った少女。

当初はあまり冴えない男だと思っていたが、とあるきっかけで好きになる。

だが、これまでの行動もあってか、ツンデレで接してしまう。

 

ウサリア

カレー屋で出会った事がきっかけ。

当初から仲が良く、兎兎魔界での旦那について考えた時に、まっさきに藤木を思い浮かんでいこう、彼にアプローチする。

 

リアス・グレモリー

彼がカレー屋のバイトをする以前に出会った事があり、それ以来好きになった。

幼い頃からの恋で出会わないと思っていたが、ライザーとの結婚式をきっかけに再会。

その後はなんとか話をしようとするが、様々なトラブルがあって、未だに話をする事ができない。

 

黒歌(仮)

まだ出会っていない。

 

ロスヴァイセ(仮)

まだ出会っていない。

 

メタリカ

夏の事件をきっかけに出会った少女。

最後の瞬間を見届けた後、こっそりと藤木の世界に来ていた。

 

ペタ(仮)

ゼタの娘。

夏の出来事がきっかけでゼタの相棒である藤木に興味を持つ。

今は未来の存在の為、出会う事ができないと思っているが、未来で藤木に会った時には遠慮なくアタックしようとしている。

 

ルカ?

夏の事件をきっかけに出会った少女。

名前の後に?を付けているのはルフラン本編をぜひ見て、その意味を知ってほしい。

そして、実はヒロインの中で一番藤木に近い人物でもある。

 

 

番外編ストーリーあらすじ(仮)

全共通あらすじ

高校になって、初めての夏休みに心を躍らせていた時、カレー屋の常連の一人のマオからVRを開発したので、実験台にならないかと誘われる。

嫌な予感をしつつも、VRに興味を持った藤木だが、それをきっかけに彼はとんだ災難な夏休みを送る事になった。

 

ファントム・キングダム編(ヒロイン:ペタ)

最強の魔王と呼ばれる存在、ゼタの魂が閉じ込められた本、全知全能の書。

藤木は他の魔王によって作られるゼタの魔界を舞台に、魔王ゼタと共に魔界征服の冒険に無理矢理される事になる。

番外編での内容:ゼタとの出会い

 

 

魔女と百騎兵 (ヒロイン:メタリカ)

強烈な匂いと共に目覚めたのは知らない家だった。

そして目の前には見た事のない少女、メタリカだった。

彼女の呪いによって、使い魔百騎兵となってしまった彼はメタリカの願いを叶える事になる。

番外編での内容:タイムスリップによって、幼い頃のメタリカとの出会い

 

ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団(ヒロイン:ルカ?)

謎の声に導かれ、本になってしまった藤木。

藤木はドロニアとルカと出会い、彼女達の目的である地下迷宮に挑む事になる。

その先に待ち構える、彼の世界の脅威と立ち向かう為に。

番外編での内容:全ての戦いが終わった後、ルカ?との最後の会話

 

 

夜廻(ヒロインなし)

不気味な街、現れる謎の怪物。

彼はその恐怖の町で、とりあえず殴り飛ばしながら、謎を解き、少女を守っていく。

規格外の強さを持った藤木の登場によって、恐怖の物語は何時の間にか

番外編での内容:夜道で怪物に襲われた少女との出会い

 

絶対ヒーロー改造計画

目が覚めると、目の前でひき逃げの現場だった。

そこで事故にあった青年から奇妙なベルトを託され、無理矢理ヒーローにさせられてしまう。

藤木は無理矢理絶対勝利マケレンノジャーとなり、ラスボスと戦う事に。

番外編での内容:田中デスダークとの戦闘になるが?

 



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第一章 本編始めました
カレーを食べるならば福神漬け


たまたま見たディスガイアのSSを見て、ディスガイアRPGをやって、興味が出て書かせてもらいました。



俺の名前は藤木大地。

 

どこにでもいる普通の高校生。

 

高校進学と共に、両親は海外出張する事になり、俺は夢の一人暮らしを送る事になった。

 

だが、一人暮らしというのは以外にもお金がかかり、仕送りだけでは生活ができない為、高校一年の時からとあるカレー屋でバイトする事になった。

 

そのバイトの内容は単純だが、それ以外がとても大変だ。

 

店主であるキリアさんは少し言葉が足りない所があるが、とても優しく心強い人物だ。

 

だが、時々冗談で言うのか30年不眠不休で混ぜ続けたカレーなど、名前からして冗談と思えるようなメニューがあるのがたまに傷だ。

 

そんなキリアさんのカレーを求めてか、日常ではとても見られないような人々と知り合いになった。

 

「藤木、甘口カレー二人前が出来た。

早く運んでくれ」

 

「あっ分かりました、キリアさん」

 

そう言い、先程まで自身の事についてをとあるゴースト風に振り返っている間に店主であるキリアさんの声を聞くと、俺はすぐに注文されたカレーをそのまま運んだ。

 

「甘口カレー二人前のお客様」

 

「おぉ、やっと来たか!早く持ってこい!!」

 

そう言ってカレーを待っていたのは兎のような独特な長さをした二本の髪をした少年で、その恰好は赤いマフラーに上半身半裸という、変わったファッションをしている人物だった。

 

「まったく……殿下、子供じゃないんだから少しは節度を持ってくださいよぉ」

 

そう言い答えた赤髪の少女を目を向けてみたが、これまで見慣れた衣服ではない何やらドレスを身に纏っているようだ。

 

「五月蠅いぞ、エトナ。

今はこのカレーを食べるのが先決だ」

 

「たく、この馬鹿殿下は」

 

そう言いながら、エトナさんはそのまま俺が運んだカレーを口にしながら、文句を言う。

 

この二人は会った頃から変わらずに悪態をついているが、なんだかんだ仲が良いのかいつも一緒にいる。

 

普段はもう一人も加えた三人で行動する事が多いが、今日は珍しく二人だけだ。

 

「なんだか珍しいですね。

ラハールさんとエトナさんの二人だけって。

普段はフロンさんもいるのに」

 

「あぁ、それはこの馬鹿殿下が勝手にどっかのお嬢様とボンボンの結婚式への出席に殿下が何も考えなしに了承しちゃたのよ。

それにフロンちゃんはさすがに参加できないから、今回は別行動」

 

「へぇ、結婚式ですか。

だから、エトナさんはいつもの恰好じゃないんですね」

 

そう言いながら今回はドレスを身に纏っているエトナさん。だからいつもの水着のような恰好じゃないのか。

 

「なに、藤木。

まさか、いつものセクシーなあたしの恰好を見られなくて、不満なの?」

 

「いや、まったくぜんぜん」

 

俺は二重の意味で断ると、エトナさんの額には青筋が

 

「おい、五月蠅いぞ。

エトナのぺったんこの事などどうでも良いだろ」

 

「こいつ、マジで殺してやろうか」

 

そう言いながら、不気味な雰囲気を出していた。

 

「にしても、面倒だ。

あの程度のに、なぜ俺様が。

んっ」

 

そうカレーを食べながら、面倒臭そうに呟くラハールさんは、ふと俺の方を見つめる。

 

「・・・、ふむ。

おいエトナ。結婚式、台無しにすれば予定は空くんだよな」

 

「えっ?」

 

何を言い出したのか、ラハールはやばそうな笑みを浮かべていた。

 

「えぇ、確かに。

そうですね」

 

その言葉と共にエトナさんも何やら晴れやかな笑みを浮かべていた。

 

「キリア、こいつを借りるぞ」

 

「ん?何をするつもりだ?」

 

キリアさんがふと顔を出していたが

 

「おい、藤木」

 

「はい?」

 

「結婚式を潰してこい」

 

「はぁ?潰すって、何を言って」

 

ラハールさんの言葉に俺は呆れながら、一瞬だけ眼を閉じて、再び開くと

 

「・・・はい?」

 

目の前に広がっていたのは、エトナさんと同じように豪華な衣装にタキシードを身に纏っている人物だった。

 

突然の事で戸惑いを隠せなかったが

 

「侵入者だ、捕らえろ!!」

 

「えぇ!?」

 

何が起きているのか分からない内に、一斉に襲われる。



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火の取り扱いにはご注意を

「全力全開あらすじ!

カレー屋で、バイトしていた俺は、どういう状況なのか、パーティ会場にいてっ、襲われています!!」

 

「貴様何を」

 

「ぎゃっ!!」

 

「こいつ!!」

 

その青年は自身の状況を話ながら、次々と襲い掛かる護衛である黒服達を倒していった。

 

その光景はまるでアクション映画を思わせる光景であり、次々と襲い掛かる黒服に対して、圧倒するように倒していた。

 

その光景を見て、圧倒されている悪魔の中に一人、苛立ちを感じていた。

 

「良い加減にしろっ!そちらがそのつもりならばっ容赦はせん!骨も残さず消し炭にしてやろう!」

 

「ライザーっ!!」

 

その中で、今回の結婚式の主役であるライザーは立ち上がり、その背中から炎の翼を生やし、青年に向けて襲い掛かる。

 

手に作り出した炎はそのまま青年に向かって襲い掛かるが

 

「熱いじゃないかぁ!!」

 

襲い掛かった炎を、何時の間にか手に持っていた鍋で叩き落した。

 

「なっ!?」

 

その光景にその場にいた全員が固まった。

 

上級悪魔であるライザーの一撃を、鍋で叩き落す。

 

「火を人に向けて放つし、金髪だし、さてはてめぇ不良だな。

しかも良い歳をしてっ!!」

 

「なっ!!」

 

ライザーを見つめた青年はそのまま突き刺すと共に、既に怒りで血が上っているのか、白目になりながら構える。

 

「ちっ、死ね人間っ「切り裂け、竜の双牙」なっ」

 

ライザーはそのまま攻撃を仕掛けようとした瞬間、青年はそのまま足を強く踏みしめる。

 

同時に迫っていたライザーは瞬く間に氷で覆われると共に、青年の姿は一瞬消える。

 

「がはぁ!?」

 

そして、ライザーは背後に立っていた青年が現れると同時に吐血を吐きながら、倒れる。

 

「何が起きたんだっ」

 

「今のは、超魔流、しかも氷で閉じ込める技という事は」

 

「まさか、キリディア様のっ!」

 

キリディアという名前が出ると同時に、青年はその場にいた全員が一気に注目した。

 

「えい」

 

「えっがはぁ!?」

 

戦いを終えた青年はそのまま息を荒げていたが、軽い声と共に青年は倒れた。

 

「まぁ、あっさり終わったわね」

 

その言葉を聞き、全員がその場を見つめた。

 

「エトナ様、これは一体」

 

そこに立っている女性と対峙し、サーゼクスは真剣な表情で見つめる。

 

「殿下がなんでも、結婚式が面倒だから潰すと言ったからね。

丁度良い奴として、こいつを送ったのよ。

まぁ、人間程度にやられるようじゃ、フェニックスも駄目ねぇ」

 

「聞きたい事があります」

 

「なに?

言っておくけど、私はこいつを連れて帰るだけに来たけど?」

 

そう言いながらエトナはそのままサーゼクスを睨む。

 

「なぜ、彼が超魔流を、しかもあのキリディア様の技を」

 

そう言い、サーゼクスはゆっくりと尋ねる。

 

「そんなの簡単でしょ。

こいつがキリディアの弟子だった訳よ」

 

その一言に戦慄が起きた。

 

「それじゃあ、またねぇ」

 

その言葉と共に、エトナは今度こそ、その姿を消した。

 

「キリディア、まさか」

 

「あぁ」

 

魔王キリディア。

 

かつて、魔界で最強の名を欲しいままに手にしていた氷の魔王。

 

その強さはサーゼクスを始めとした超絶者と同等か、それ以上に誇っている。

 

そして、キリディア以外にも4人の超越者がいた。

 

彼らは悪魔でありながら、魔界のルールには縛られず、その姿を表には決して見せない。

 

「まさかキリディア様の弟子だとは」

 

未だに驚きを隠せない中で、リアスは

 

「あれって、大地よね」

 

一人、青年の名前を呟く。



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ペーパーナイフは意外と使わない

「それで、婚約は結局」

 

「えぇ、破棄になったわ。

キリディア様が関与して、妨害した事も含めて、危険性が高い為にね」

 

その言葉を聞きながら、一誠は気絶している間に起きた出来事を聞きながら、困惑していた。

 

彼らは悪魔であり、主であるリアス・グレモリーとライザー・フェニックスの婚約を阻止する為のレーティングゲームに参加し、敗北した。

 

そのゲームで気絶している間に結婚式はキリディアの弟子だと思われる人物によって、中止された

 

「そもそも、キリディア様って何者なんですか?」

 

「そうだったわね、確かにイッセーにもアーシアにも、詳しい説明をしていなかったわね。

まずは以前に言った魔王の事は覚えているわね」

 

「えぇ、それは」

 

そう言いながら以前の修行において聞かされた内容を思い出す。

 

「私達の冥界ではなく魔界と呼ばれる世界から来ているの」

 

「えっそれって、何か違うんですか?」

 

その事に驚きを隠せずに思わず立ち上がる。

 

「えぇ、未だに謎の多く、おそらく宇宙と同じ程に広がっている魔界よ」

 

その言葉に疑問に思いながら、一誠は話を聞いていた。

 

「魔界の悪魔達は私達の知る悪魔とはまるで形が違うの。

基本は私達は人間の姿を模しているけど、彼らはその姿ではない者達が多いわ。

実際に人間界で残されている異形の悪魔は彼らである可能性もあるの」

 

「なっ!?」

 

その言葉を聞いて、驚きを隠せなかった。

 

自分達も悪魔だと思ってたが、歴史に残されているのは彼らの方という事実に。

 

「なんだか、少し驚きです」

 

「えぇ、こちらで活動しているのは私達だけど、その姿の驚きでおそらく残ったのでしょう。

だけど、それ以上に魔界の悪魔達は異常な強さを持っているの」

 

「異常?」

 

「えぇ、魔界に住むの悪魔は下級でも簡単に星を砕く事ができるのよ」

 

「それって」

 

「えぇ、その中でも彼らの頂点に立つ存在として知られている超越者が5人存在するの。

これも記録に残っている程度だけど」

 

そう言っていると、姫島が取り出したのは古い本だった。

 

「空を覆う程の隕石を落とす事ができるとされるラハール。

正面から敵う者は存在しない炎の拳を持つアデル。

あらゆる者を改造する最強の知識を持つマオ。

破壊と暴虐の帝王の吸血鬼ヴァルバトーゼ。

そして、最強の名を欲しいままに手にしていた氷の魔王キリディア」

 

「なんだか、スケールが違いすぎて、ついていけないです」

 

「そうね、正直、私達ですらおとぎ話の領域だから。

でも彼がそれに関わっている以上は」

 

「部長」

 

そう言いながら顔を俯くリアスを心配して、アーシアは声をかける。

 

「あっなんでもないわ。

とにかく、キリディア様が関わっている以上、その関係者である藤木君から話を聞きたいわ」

 

「藤木って、確かクラスメイトだけど、でもあいつ確か彼女いたような」

 

「そうなんですか?」

 

「えぇ、なんか噂程度ですけど、部長?」

 

一誠の言葉に驚いたのか、リアスは少し固まっていた。

 

「部長?」

 

「あらまぁ、固まっているわね、ふふっ」

 

その様子を見つめながら、何が起きているのか分からず、一誠とアーシアが首を傾げていた。

 

そして、一方、話の中心になっている藤木は

 

「今日も出前か。

面倒だなぁ」

 

そう言いながら、背中のバッグを背負いながら目的地に向かって歩いていた。

 

キリアのカレーは以外と零れやすい為、自転車では零れやすい為、基本は徒歩で行っている。

 

それでもほとんどが駒王町内なので、あまり時間がかからずに届けられる。

 

そんな藤木に迫る影が一つ

 

「首をぶっち切りぃ!」

 

その言葉と共に闇の中に紛れていた青年はその手に持った剣を勢いよく振り下ろす。

 

だが

 

「あっ痛っ」

 

「へっ?」

 

その言葉を聞いた瞬間、青年はそれ以上に手を動かす事ができず、剣はそのまま藤木が握りしめている。

 

「おい、良い歳して、こんなおもちゃで遊んでいるんじゃねぇぞ

 

そう言いながら、藤木はそのまま剣を手に取ると、そのまま両手で剣を掴む。

 

「チャンバラ遊びに付き合う程、俺は暇じゃないんだよ!!」

 

その言葉と共に藤木はそのまま剣を叩き折った。

 

「なっエクスカリバーがってめぇ何者だっ!!」

 

そう言いながら、青年はそのまま懐に入れていた銃を取り出し、引き金を引く。

 

だが

 

「だから、てめぇの遊びに付き合ってる程、俺は暇じゃないんだよ!!」

 

その言葉と共に青年に一気に近づいた藤木はそのままアッパーカットで殴る。

 

「ぐっがぁ」

 

そのまま青年は後ろに吹き飛ばされると同時に白目になりながら、気絶した。

 

「あっやべぇ。

とりあえずは警察に連絡しておくか」

 

その後、藤木が連絡した警察によって、青年ことフリードは銃刀法違反でそのまま逮捕された。

 

「あっどうしよう、なんかバックに入っていたけど。

・・・まぁペーパーナイフに使えるだろ」

 

そして、フリードが持っていた聖剣エクスカリバーはそのままカレー屋のペーパーナイフに使われる事になった。

 

この事実が知られたのは一週間後の出来事だった。

 




「平和な街に突然現れた謎の狂人フリード!
その脅威に立ち向かう為に美少女悪魔エトナの忠実な下僕、藤木大地」

「げっ下僕っ!?」

「だが、彼の前に現れたのは7本の聖剣。
対抗する為、美少女悪魔エトナが新たな武器を用意する」

「あれ、これ、なんだかぶよぶよしているけど」

「次回、真・悪魔美少女エトナ!
エトナと七本の剣!」

「えっこの剣って、もしかして」


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聖剣の新たな誕生

「さて、今日はバイトもないけど、どうするか」

 

先日の銃刀法違反の謎の変人に襲われた翌日、俺は暇を持て余していた。

 

キリアさんはカレーの材料を買いに行くと言って、いつもの新鮮な材料がある森に行っている。

 

俺も何度か付き合って行ったが、もう既にドラゴンによく似た蜥蜴や歩くキノコなどを見かけたが

 

「別に可笑しくはない。

普通の材料だ」

 

そう言いながら、食材を次々と収穫していた。

 

常連客であるラハールさんやエトナさんを含めても何も可笑しくないという反応をしていた。

 

「お前は直接食材を採っていないからな。

実際はこんな感じだ」

 

その言葉に確かに納得した。

 

俺は肉や魚を捕った事もなければ、野菜も収穫した事がない。

 

海外にも日本では信じられないような食材もあるから、おそらくは俺が知らないだけで実際にはあるかもしれない。

 

何よりも嘘をついていないと思うので、俺は信じる事にした。

 

「それにしても器用に作った物だな」

 

そう言いながら、俺は先日手に入れた謎のおもちゃを元に作られた包丁を握りながら、材料を切っていく。

 

元々おもちゃだと思っていたけど、キリアさんの知り合いが作り直して、何やら黄金の輝きを放つ包丁になってしまった。

 

見た目もそうだが、以外と切れ味も鋭い。

 

そのおかげなのか、崩れやすいトマトは1mm程の薄切りに切る事ができるし、好きな形に切る事もできる。

 

しかも魚も骨を切り取る時にも素早く切る事ができるので、厨房での作業が楽になっている。

 

何よりも、この包丁で作ったカレーはなぜかフロンさんやアルティナさんには好評だった。

 

そうして新しい包丁を斬っていると

 

「すいません、特性火竜カレーギガファイヤー仕立てをお願いしますぴょん」

 

「んっ、この声は、ウサリアか」

 

そう言いながら、俺は見てみると、そこに立っちいたのは黄色いウサ耳を生やした常連であるウサリアだった。

 

「あぁ、ちょうど仕込みが終わった所だから」

 

そう言いながら、俺は用意していたカレーを差し出す。

 

「やっぱり美味しいぴょん!!

もうキリアさんと同じぐらいに旨くなったぴょんね」

 

「それは言い過ぎだけど、ありがとう」

 

そう言いながら、その笑みを見ながら、俺は思わず和んでしまう。

 

このバイト生活をしていると、色々なトラブルに巻き込まれるけど、ウサリアがカレーを食べている光景は和むので、続けられる。

 

「それで、その、夏休みにでも、ウサリアの住む所にでも遊びに来ませんか?」

 

「うん、時間があったら」

 

そう言うとパァと目を光らせてくれる。

 

「ここか?」

 

そうウサリアがカレーを食べていると、店に入ってきたのは

 

「んっ、お前は変態三人衆の一人のイッセー」

 

「それ、いきなりすぎて酷くない!?」

 

店に入ってきたのは、学園でも噂の変態イッセーだった。

 

「あぁ、悪い悪い。

それで、注文は?」

 

「んっ、そうだ。

なぁ、ここにあるメニューって本当にカレーなのか?」

 

「一応」

 

そう戸惑う声に思わず頷いてしまう。

 

ここにあるカレーはどれも絶品だが、そのメニューを見て、食べずに出ていく客も多い。

 

「それで、注文は」

 

「あっいや、今日は少し頼みがあって来たんだ」

 

「頼み?」

 

あまり接点のない俺に対してなんの頼みをするのか疑問だが

 

「っ!?」

 

「んっ?」

 

何やら、急に顔を青くしているけど、どうしたんだ?

 

「どうしたんだ?」

 

「具合が悪くなったぴょんか?」

 

「いや、分からないけど、なんというか、苦手な物となんか押しつぶされそうな物が同時に来たような」

 

「「???」」

 

その言葉に疑問に思い、俺とウサリアは首を傾げる。

 

「とっとにかく、その明日暇だったら、旧校舎に来てくれ。

部長が、その話がしたくて」

 

「部長?」

 

「とりあえず、すまんが、俺っもう気分が悪くなって」

 

そう言い、そのまま青ざめた顔でそのまま店を出ていった。

 

「どうしたんだ?」

 

「あっキリアさん。

なんか俺の学校のクラスメイトが急に気分が悪くなったようなんですよ」

 

「それは確かに心配だな」

 

「・・・大丈夫でしょうか?」

 

そう言い、ウサリアは一誠を心配そうに見つめるが

 

「まぁ、明日様子を見ておきます」



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怪しい宗教には注意を!

昨日の一誠の頼みを聞く形で、俺は今日は旧校舎に向かっていた。

 

普段はあまり行かない場所なので旧校舎に行くまで道に迷ったがなんとか辿り着く事できた。

 

「すいません、遅れまし」

 

そう言いながら、俺はドアを開いて入ってみると、そこにいたのは馴染みのある制服を身に纏っている一誠を始めとしたメンバーがそろっていた。

 

そして、その中で見た事のない白いマントを身に纏った人物がいたが、それを見た瞬間、俺は走り出す。

 

「なっどうしたんだ、藤木!!」

 

逃げ出した俺をすぐに一誠が掴んで、引き留めようとしたが

 

「無理無理!

だって、あれ見ただろ、痴女だぞ痴女!!」

 

そう言いながら、俺は指を刺したのは白いマントを身に纏って、その下には黒いボディスーツを身に纏っているのが見えた。

 

なので、オカルト研究部だと考えると、もしかして色々とやばい部活かもしれない!!

 

「なっ!?

貴様、我らを侮辱するつもりか!!」

 

「あんな身体にぴっちりとしたスーツを着て、マントを羽織っている奴、変態しかいないだろ!!」

 

部屋に入るのと同時に出てきた感想を素直に告げた。

 

「それは、その、否定できない!!」

 

一誠は一瞬、弁明しようとしたが、否定する事ができなかった。

 

「イリナ、お前も何を言っているんだ!!」

 

すぐに片言だが、青い髪をした少女は隣にいた少女に話しかけた。

 

だが、そのイリナという人物は顔を赤くしながら俯いていた。

 

「だって、ゼノヴィア、あんた思い出してよ!!

この国に来てから、私達、結構冷たい目で見られたのよ!!」

 

「おい、泣くな!

この程度、主への忠誠心だと考えれば」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺はさらに足を強く踏み出す。

 

「待ってくれ、落ち着いてくれ!!」

 

「お前こそ、考えてみろ!

もうスリーアウトだから、もう無理だから!

ぴっちりのスーツにマント、なんかやばそうに包帯で巻かれた奴、そしてなんか主への忠誠心!

これは、もう完全に怪しい人だから!」

 

そう言いながら、俺は俺の足に捕まっている一誠ごと走り出し、窓を突き破り、そのまま脱出する。

 

「いや、お前も十分に変だぞ!

なんで、二階から飛び出して、なんで無傷なんだ!!」

 

馬鹿野郎、ラハールさんが機嫌を損ねたりした時に逃げる為に決まっているだろ!!

 

あの人、容赦なく襲ってくるんだぞ!!

 

趣味が火遊びと言うだけあって、無茶苦茶火を投げてくるんだぞ!

 

おかげで火には慣れて、チャーハン担当だよ馬鹿野郎!!

 

「なっ奴は一体!?」

 

「あの子は藤木大地君。

暴虐の魔王、キリディアの弟子と呼ばれている噂の子よ」

 

「なっ」

 

何やら後ろで俺の事を話しているようだけど、今は逃げる事だけを考えよう。

 

くそっ、まさか痴女が待ち構えて、待ち構えて

 

「んっ待てよ?」

 

俺はそのままカレー屋へと足を踏み入れた瞬間

 

「あぁやっと来た、さっさと注文を受け取りなさいよ」

 

そう言いながら、カウンターに座っているのはこの前のような水着の恰好ではなく、黒い水着のような恰好をしたエトナさん。

 

「大地さん!

今度の日曜日にお姉様とデートに行きませんか?」

 

俺を待っていたのかテーブルに座っているのは身体に眼玉が付いている衣服を身に纏っているデスコ。

 

「んっ、どうしたんだ、大地?」

 

そして、現れた店長であるキリアさん。

 

「・・・・うん」

 

よく考えたら、似たような恰好をした人物が周りにいた事をすっかりと忘れていた。

 

けどまぁ、怪しい宗教に入るよりはマシか。

 

「まっいっか」

 

俺は先程までの出来事を記憶の彼方にして、バイトに入る事にした。



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慈悲な火山

「ふぅ」

 

あの痴女から逃げた次の日。

 

その日も朝からカレーの仕込みを終え、営業時間になり、ドアを開ける。

 

そろそろカレーを求めてか、ラハールさん一行か、ウサリアさん、それとも時々来る常連なのか。

 

誰が来るのか少しどきどきしながら、ドアを開けた。

 

「えー迷える子羊にお恵みを」

 

「どうか、天の父に代わって、哀れな私達にお慈悲おぉ!!」

 

店の丁度真横にどういう訳か、昨日見かけた痴女二人組がいた。

 

「店の営業妨害、辞めてくれませんか!!」

 

俺は思わず、叫んでしまう。

 

それに気づいた二人はすぐにこちらを向いた。

 

すぐにやばいと思った俺は勢いよくドアを閉めようとしたが

 

「待って、お願い話を聞いて!」

 

「そうだ、この恰好には訳がある!

そして、できれば、お恵みを!!」

 

「放せぇっ!!」

 

すぐに店のドアを閉めようとしたが、奴らも必死なのか、女とは思えない力で引っ張る。

 

ドアが壊れる心配もあって、加減しなければならないが、それでも想像以上に力がある。

 

「どうしたんだ、藤木。

店のドアの前で」

 

「キリアさんっ!

変態が、痴女がっ!!」

 

「だから、誤解だ!

話を聞いてくれ!!」

 

「そうよ、話し合えば分かり合えるはずよ!!」

 

「・・・ふむ、話がまったく見えない」

 

俺と痴女二人組の会話を聞いたキリアさんは少し悩んだ様子だったが

 

「とりあえず、中で話だけでも聞けば良いだろう」

 

「まぁ、キリアさんが言うならば」

 

俺は本当に仕方なしにドアを開けると、息をあげながら

 

「おい、本当にあの話が本当に思ってきたぞ」

 

「えぇ、あの力は普通の人間じゃ、あり得ないわ」

 

そう言いながら、何やら話しているようだが、無視して、そのまま店の中に入れる。

 

「それで、ご注文は」

 

「いや、実はその」

 

「お金がなくて」

 

「お帰りはあちらです」

 

金のない客には用はない。

 

そう言わんばかりに俺はすぐに追い出そうとするが

 

「まぁ落ち着け。

こいつらも何か困った事があったんだろう。

そうだな、ふむ」

 

そう言いながら、キリアさんは少し眼を瞑り

 

「丁度、新メニューを開発していた所だ。

その試食してもらって、感想を貰うのはどうだ」

 

「そうですか」

 

そう言い、すこしげんなりしながら、俺は答えるしかない。

 

「なっなんという人なの!!ううぅ」

 

「先程まで慈悲はないと思っていたが、この地で、ここまでとはっ」

 

そう言っていると、涙目になっている二人を見ていると、先程までの態度に少し罪悪感を持ってしまう。

 

「なんか悪いな」

 

「いっいえ、むしろこちらこそ、ごめんなさい。

まぁそれは、その、変な恰好で」

 

「まぁ一般人からしても、この恰好は変だというのは自覚しているからな。

教会から支給されるのはこれしかなくて」

 

そう言った二人の言葉に思わず頭を抱えてしまう。

 

どうやら、俺は想像以上に頭の可笑しい所らしい。

 

「それにしても、まさかキリディアの弟子さんとこんな所に出会えるとはね」

 

「んっ?

キリディアって、誰だ?」

 

始めて聞く人の名前に俺は思わず傾げる。

 

「ふむ、リアス・グレモリーから聞いたが、君はキリディアの弟子で超魔流の使い手だと聞いたが」

 

「いや、俺武術なんてできないぞ」

 

その言葉に互いに伝わらず、思わず首を傾げる。

 

「ふむ、なにやら可笑しいが、いや、ただの一般人なら仕方「おい、藤木。悪いがサラダ作ってくれないか」あっ分かりました。

すまんが、また後で」

 

「あぁ」

 

俺はそう言いながらキリアさんの元に行き、そのまま包丁を取り出し

 

「えっ」

 

「ほっ」

 

そのまま手に取ったレタスを切り刻み、サラダを作る。

 

「とりあえずは、これはサービスだ」

 

「あっあの、その藤木君一つ質問しても良い?」

 

「なんだ?」

 

「さっきの包丁、どこで手に入れたの?」

 

何やら、微妙な顔をしているイリナに

 

「なんか白髪の不審者が襲ってきたから、ぶっ飛ばしたらたまたま手に入れたおもちゃを知り合いに頼んで包丁にしてもらった」

 

「・・・」

 

「いや、あり得ないだろ」

 

その顔は驚きを隠せないようだったが、何があったんだ?

 

「いや、それエクスカリバーと言って、かなり「イリナ」なに」

 

「これ以上、彼に関して、安易か考えるのは辞めよう」

 

何やら疲れた顔をしているゼノヴィアがいた。

 

なんだ、失礼な奴らだな。

 

「すまない、それは私達の教会での盗品で。

それを取り戻す為に、この国に来たのだ」

 

「なんだと、まぁあれはやばい顔していたからな」

 

先程までの痴女のイメージだったが、その真剣な顔に思わず頷いてしまう。

 

確かに、あの時に出会った白髪の顔はかなりやばかったので、確かに盗品の可能性がある。

 

「だったら、どうしよう。

かなり形が変わっているけど」

 

「まっまぁ、返してくれれば、それで大丈夫だ。

それにしても、聖剣を包丁とは」

 

そう言いながら、何やら失礼な事を言っているな。

 

「とりあえずは一本回収だな」

 

「あぁ、あとはフリードの奴から他の聖剣を「できたぞ」その前に腹を満たそう」

 

そう言うと先程までの真剣な表情から一変、配られたカレーへと目を向ける。

 

「特性活火山カレーだ」

 

そこにあったのはまさに火山だった。

 

溢れ出る溶岩から取り出したと思われるようなルーが白飯の上に乗っており、時々焦げたように黒い煙が出ている。

 

そのカレーを見た瞬間、イリナとゼノヴィアはこちらを見つめた。

 

「これは本当に大丈夫なの」

 

「大丈夫だと思う」

 

イリナからの疑問の声に俺はどう答えるべきか分からない。

 

だがらこそ、俺は答えを濁した。

 

「ゼノヴィア、ここは、ってゼノヴィアっ!!」

 

「ふむ、見た目よりも味はいがいといける。

なかなかに美味だな」

 

そう言いながら、勢い良く活火山カレーを食べていた。

 

それは本当に旨いのか、既に皿からカレーが無くなりそうになっていた。

 

「イリナ、いらないなら、私が頂こう。

遠慮しなくても大丈夫だぞ」

 

「いや、頂くは!!

頂きますっ!」

 

そう言い、勇気を出して、食べたイリナは

 

「あれ、本当!

最初は辛くて熱いけど、癖になって」

 

そう言い、瞬く間に全てのカレーを食べつくした。

 

「ふぅ、これは本当に助かったわ」

 

「あぁ主に感謝だな」

 

そう言いながら、笑みを浮かべる。

 

「ふむ、好評のようだな。

ならば新メニューとして入れるか」

 

そう言い、キリアさんはそのまま店の奥へと入っていく。

 

「それにしても、店長さん良い人ね」

 

「あぁ、俺も良く世話になっている。

何かとカレーの作り方や護身術も教えてくれたからな」

 

「ふむ、本当に感謝だ、キリアには、あれ?」

 

すると何か疑問に思ったように首を傾げる。

 

「キリディアにキリア、あれ?」

 

「どうしたのゼノヴィア?」

 

「・・・いや、なんでもない。

とりあえずは感謝する、藤木。

この恩はまた何時か」

 

「あぁ、できれば、その恰好をもう少しなんとかしてくからにしてくれ

 

「・・・善慮する」

 

それだけ言い、その場を去っていた。

 

それにしても

 

「次に怪しい奴を見かけたら、ちゃんと警察に届けておこう」

 

そう言いながら、俺もまたバイトに戻る事にした。



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ラスボスVS中ボス

誰か教えて欲しい事があります。
どうしたらイワシの変換ができるんでしょうか?


ゼノヴィアとイリナの来店から数日後。

 

その日は俺はバイトの疲れもあってか、自宅で既に寝ていた。

 

寝ていたのだが

 

「眠い」

 

「頑張ってください、藤木さん!

この先から感じます」

 

現在、俺はデスコと共に騒音の元へと向かって歩いていた。

 

というのも、先程まで熟睡していた俺の元にフーカが現れ

 

『なんか騒音があるから、止めてきて!』

 

という無茶ぶりを言われた。

 

眠い中で突然来たので、迷惑だったが、駄々をこねられたので仕方なく向かう事になった。

 

ついでに当の本人はかなり眠たそうだったので、そのまま寝かせた。

 

騒音で寝られないんじゃなかったのか、という突っ込みたかったが、また来ても面倒なので俺はそのまま騒音の元へと向かった。

 

ついでにデスコはフーカの倍ぐらいに聞こえるらしいので、小さい子を放っておく訳にはいかないので保護者のような感じで付いていく。

 

「ここが騒音の元です」

 

「俺の学校じゃん」

 

辿り着いた場所はどうやら、俺が通っている学園である駒王学園だ。

 

思わず突っ込みたくなったが、とりあえず俺は騒音の音を取り除く為に入る事にした。

 

「ほう、侵入者か」

 

「なっ藤木君!!」

 

そこにいたのはボロボロの恰好をした一誠やリアス先輩、さらにはゼノヴィアなどここ最近になって、顔を見るようになったメンバーだ。

 

「藤木君、なんでここに」

 

「騒音がするから止めに来た。

ついでに、この騒動を起こした奴は」

 

「えっあそこにいるコカビエルだけど、まさかっ!!」

 

どうやら、今回の騒動は上にいるコカビエルとかいう奴らしい。

 

上を見上げると胸元を広げた黒い翼を広げた男がいたが

 

「・・・うわぁ」

 

正直な事を言って、いい年をしたおっさんの痛いファッションのようで、思わず声を出してしまった。

 

「レベルはまぁまぁですね。

まぁ余裕ですね」

 

何やらデスコが呟いたが、それよりもあまり子供には見せたくない男だな。

 

「デスコ、見ちゃいけません。

あぁ言うのは真似してはいけません」

 

「でも、フェンリッヒさんも似たような恰好をしていますよ」

 

「それはまぁ、うん」

 

普段から考えないようにしていたが、とりあえずフェンリッヒさんに関してはあまり言わないようにしよう。

 

「何やら相談事とは余裕だな。

ふふっ、感じるぞ、お前達からは強者の匂いが」

 

「うん、フェンリッヒさんと比べると、まだ常識的だった」

 

あの人は見た目はまだ常識的な所はあった。

 

とりあえずは話し合いをしたら別の意味でやばいので早々に片付けよう。

 

しかし、どうやって

 

「ふふっ、藤木さんお悩みですね」

 

何やら意味ありげな笑みを浮かべているデスコだが正直に言うと

 

「眠いからさっさと帰りたい!!」

 

「えぇ」

 

周りから何か言っているけど、関係ない!

 

俺は今、家に帰って、寝たい!!

 

「ではデスコの実力を発揮する時が来ました!!」

 

その言葉に笑みを浮かべたデスコはそのまま俺の前に出る。

 

「デスコは研究しました。

最近のラスボスの多くは昔のようにただ倒されるだけのラスボスだけではなく、最終的には仲間になったり、途中までは共に戦うラスボスもおります」

 

「まぁそれは確かに」

 

俺のお気に入りのサルトのラスボスもライバルだったり、ゲームでも途中までは協力してくれたキャラクターが実はラスボスだったりするパターンもあるからな。

 

「だからこそ、藤木さん!

ここはデスコと一緒にあの中ボスを倒しましょう!!」

 

「おい、そこの小娘」

 

さすがに中ボスという言葉が気に入らなかったのか、上にいた男も思わず声を出してしまう。

 

「別にそれは良いとして、どうやって一緒に戦うんだ」

 

「ふふっ、そう言えば、藤木さんには初めて見せますね。

良いでしょう、見せましょう、デスコの第二形態をっ!」

 

その言葉と共にデスコの背中にあった謎の触手の中へと入ると同時にその形は変わり、俺の手には人一人分の大きさの剣がそこにあった。

 

邪悪な紫色の剣に、黄色い目、一目で邪悪な剣だと分かるような見た目をしている。

 

というよりも

 

「なんじゃこりゃぁ!?」

 

「これこそ、デスコ第二形態!

魔剣バルムンクです!」

 

思わず突っ込むが、この子、一体なんなの!?

 

「ほぅ、少しは驚いたが、バルムンクか。

ならば、名にふさわしいか、俺が試そう!!」

 

「うわっ来た!!」

 

上にいた男が何時の間にか迫ってきたので、俺は思わず、剣を振り向き、構える。

 

同時に男の両手にあった何かと火花を散らしていた。

 

「ほぅ、その剣から感じ取る力、なかなかに面白い!!」

 

「いやいや、俺、そういうのは苦手ですから、本当に!!」

 

そう言いながら、目の前でドアップでハァハァと息を吐いているけど、キモイっ!?

 

想像以上にっ!?

 

そう思っていると、デスコの剣先が鋏のようにぱかっと開いた。

 

「裂けた!?」

 

思わず叫んでしまったが、そうしている間にその一欠片が男の後ろへと飛んでいくが

 

「なっ」

 

「わははははぁ、油断大敵!!」

 

その言葉と共にそこからデスコが現れると共に蹴り上げる。

 

「なっだが、それは「おりゃぁ」まだあるだとっ!?」

 

デスコがいなくなった事で、俺の手元に剣が無くなったと勘違いした男だが、俺の手元には変わらず剣はあった。

 

なので、そのまま勢い良く切り上げる。

 

「行くですよ!!」

 

「あぁ」

 

とりあえず、男の顔面から逃れられた俺はそのままデスコに合わせる形で攻撃を仕掛けていく。

 

次々と切り上げ、攻撃を仕掛けていく。

 

そして、最後には

 

「「闘刃変形無双斬」」」

 

その言葉と共に目の前にいる男を切り刻んだ。

 

「って、切り刻んだ!!」

 

思わず、後ろを見たのだが、そこはあまり見られない光景が広がっていた。

 

「うわぁ、グロっ!」

 

「やった本人が言うか!?」

 

さて、どうしようか。

 

こういう場合はまずは救急車を

 

「まさかと思い、来てみたら面白いのがいるとはな」

 

「大丈夫ですよ、こういう場合はそのまま放置です」

 

「デスコ、そういうのは駄目だぞ」

 

「まさか、あのコカビエルを一瞬で倒すとは」

 

「ですが、お姉さまはよくやりますよ」

 

「だから、そういう真似は駄目だよ」

 

「しかも、ただの人間がやるとはな。

実に興味深い」

 

「とりあえず、近所迷惑は終わりましたし、帰りましょう」

 

「絶対によくないと思うけどな」

 

デスコに促されるまま、俺は帰る事にした。

 

正直な所、犯罪だと思うが、よく考えれば、日常的にもあるし、あとで警察に電話しとくと。

 

『・・・無視されたな』

 

「あれが、強者の余裕か。

面白い」

 

『いや、絶対に違うと思うぞ』




「コカビエルの計画を阻止した藤木達。
だが、彼の前に新たな試練が訪れた」

「まさか藤木が三大勢力の会議に参加させられるなんて」

「そう、イワシの刺身はとても貴重だという事に!!」

「なんだと思ったら、あんたこんな時にもイワシか!!」

「何を言っているんだバカ者!
イワシは鮮魚という事もあって、生で食べる機会はとても少ない。
家庭でよく食べ物でありながら、その食べ方はほとんどが焼いたり揚げて食べる事が主になる!
つまり鮭等に比べても、刺身としても寿司としても出るのは少ない。
つまりは、他の魚と比べても貴重な存在という訳だ!!」

「まぁ確かに俺もイワシと言えば、塩焼きで食べるのがほとんどだからな」

「というか、あんたはよく生で食べているよね」

「しかし、生で食べる事を忘れないのがさすがはイワシ愛溢れる日本人!
細かい骨を取り除いた先にある刺身や寿司はまさに絶品だ!」

「ついでに釜揚げしらすなども生の部類に入るのかな?」

「つまりは生のイワシが食べられる時に食べろ!
次回、イワシ王子!第8話!進め!魚強道!!」

「あれ、イワシの所、間違っていない?」

「いや、これで合っている!」


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魔王ラハール 降臨

その日、俺は一誠に連れられて、オカルト研究部へと向かっていた。

 

「・・・本当にいないんだろうな」

 

「だから、あの時は本当に偶然だったから」

 

そう言いながら、この前の痴女でヤベェーという印象だったゼノヴィアとイリナの二人を余裕で入れていたという事もあり、俺は結構警戒している。

 

「とりあえず、入るぞ」

 

そう言い、俺達はそのまま部屋に入っていく。

 

「んっ、先日ぶりだな藤木」

 

「ゼノヴィア?

なんで、学生服を着ているんだ」

 

部屋に入ると、なぜか学生服を身に纏っているゼノヴィアがいた。

 

その事に疑問に思うが

 

「実はお前がコカビエルを倒した後、あのお方と出会ってな」

 

「あのお方?」

 

その言葉に疑問に思いながら話始める。

 

「実はあの後、私は主がいないのに悩んだ時に、あの方が『愛』の素晴らしさを教えてくれたのです」

 

「あっ愛」

 

「・・・愛?」

 

その単語を聞いた時、俺は思わず冷や汗をかく。

 

「もしかして、お前、その会った人物って、フロンという人か」

 

「むっフロン様を知っているのか?」

 

「俺の店の常連で、愛兼特撮マニア」

 

普段はラハールとエトナさんと一緒に行動している事が多く、3人で行動している時はなぜか赤いウサ耳に赤い瞳をしているが、それ以外は青い目にリボンをしていた。

 

本人曰く「モードチェンジってロマンじゃないですか?プライベートと仕事を切り替えるという意味でも」と言っていた。

 

「おっおぉ!!

あの店にはフロン様も通っていた店とは!!」

 

「・・・まぁね」

 

「フロンとも知り合い。

もしかして」

 

「んっ?」

 

何やら疑問に思ったのか、リアス先輩が疑問に思うと

 

「一つ質問しても良いかしら」

 

「なんですか?」

 

「あなたの店で通っている客はどのような方々がいるんですか?」

 

その言葉に対して

 

「まずはフロンさんと一緒に行動しているラハールさんにエトナさん。

アツアツカップルのアデルさんとロザリンドさん。

よく怪しい調味料を持ってくるマオさんに不良だと言って、とっても良い人のラズベリルさん。

教育熱心なヴァルバトーゼ閣下にその執事で怪しい恰好をしたフェンリッヒさん。

あとは「いや、もう良いわ」そうか?」

 

俺が常連の客の名前を言っていると、徐々にだが、確実に顔を青くしたゼノヴィアとアーシア以外の全員。

 

「とりあえず、あなたの秘密が少し分かったような気がするわ」

 

「んっ?

別に秘密にしている事なんて、それ程ないですが」

 

あえて言うならば、俺の部屋にある大人の参考書程度だが、それ以外は特に大きな秘密なんてないはずなのだが。

 

「ふむ、なるほど、君があの時の少年か」

 

「んっ?」

 

そうして話している間に後ろから声が聞こえ、見てみると何時の間にか立っていたリアス先輩と同じ色の髪をした人とそれに付き添う銀髪のメイドさんがいた。

 

普通ならば、その見た目から驚くけど普段からラハールさんと関わっているせいで、そこら辺は結構鈍くなっている。

 

「あの時というのがよく分からないですが、とりあえず初めまして、藤木大地です」

 

「こちらこそ、初めまして、私はサーゼクス。

リアスの兄だ。

隣にいるのは僕の妻のグレイフィアだ」

 

「はぁ、お兄さんでしたか」

 

そう思いながらも俺は頷きながら

 

「あれ、学校の関係者?」

 

幾ら保護者でも学校に勝手に入る事はできないはずだが

 

「まぁ少しね。

それよりも君がコカビエルを倒したのは本当かい?」

 

話を逸らしたなこの人。

 

まぁコカビエルというのが、もしもあの変態だったら

 

「まぁ多分」

 

「そうか。

ならば、君に頼みたい事がある。

君に三大勢力会議に参加して欲しい

 

「お兄様っ!」

 

何やらリアス先輩が慌てた様子で叫んだが、聞いた事のない会議だな。

 

「彼はあくまでも一般人です。

それを」

 

「リアス、君も既に分かっていると思う。

彼は既にこちらの世界に足を入れている。

それもコカビエルを倒した本人であり、魔界の住人と接点がある以上、どちらにしても巻き込まれる」

 

そう言った言葉と共に本当に憂いている様子だが

 

「ほぅ、なかなかに面白い話をしているじゃないか」

 

「んっこの声は」

 

何やらよく分からない単語を並べてちんぷんかんぷんな時に窓の外から聞こえ、見てみると

 

「ハァ~ッハッハッハッハッ!!!!」

 

「あっこの声は」

 

その声に聞き覚えがあったので、俺はそのまま見ると

 

「あっラハールさん」

 

「「「「っ!!!」」」」

 

その場にいた全員が驚きの表情と共に見つめた。

 

「何をしているんですか、窓の外で」

 

窓の下で丁度立っていたラハールさんに向けて、手を振っていると

 

「何、面白そうな話を聞いてな。

おい、藤木、お前、三大勢力会議に参加しろ」

 

「またですか。

結構横暴ですよ」

 

「何を当たり前の事を言う。

そいつが何かするつもりならば、俺様が出向くだけだ。

まぁ、暇つぶしには丁度良いからな」

 

そう言いながら、ラハールさんはそのまま後ろを振り向いた。

 

「さっさと帰るぞ。

貴様のカレーをさっさと食いたいからな」

 

「はぁ、分かりましたよ」

 

そう言いながら、俺はそのまま手慣れた動きで窓から飛び出して、ラハールさんの横に立つ。

 

既にこの程度ならば地獄の特訓に比べれば楽な物だ。

 

「それじゃあ、また今度」

 

それを最後に俺はラハールさんと共にカレー屋へと向かった。

 

「まさか、本当に関わっていたとは」

 

「どうやら、想像以上の事が起こりますね」

 

そう後ろからまた会話を行っているが、気にせずに

 

「そう言えば、ラハールさんなんで部屋に入ってこなかったんですか?」

 

「何を言っている。

あそこには恐ろしい罠が仕掛けられていただろ」

 

罠?

 

そんなのが

 

「あんなムチムチに囲まれたら、俺様が死ぬぞっ!!」

 

「あぁ」

 

そう言えば、ラハールさんって、大きなおっぱい、苦手だったんだっけ。



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強くなる為にこれを喰らえ!!

「んっ、やはり貴様のカレーはなかなかに旨いじゃないか!」

 

そう言いながら、カレーをそのまま食べ尽くしたラハールさんはそのまま笑みを浮かべていた。

 

「それにしても、これからどうしよう」

 

「なんだ、貴様は三大勢力会議に参加する事に不満なのか」

 

「いや、別に俺はあまり気にしないので。

多分、ずっと寝ていると思うし」

 

「まぁつまらない会議にはそれに限るからな!!」

 

そうラハールさんは言っているが、実際に参加する以上はきちんと起きないといけないか

 

「なんだ、面白い話をしているではないか」

 

「んっ、ヴァルバトーゼさん?」

 

そうしながら入ってきたのは黒いタキシードに黒いマントという忠誠の貴族を思わせる恰好をしているヴァルバトーゼさんが入っていた。

 

そのように現実には見られない恰好だが、実際に似合っているので、特に問題ない。

 

「おぉ、ヴァルバトーゼか。

まぁな、三大勢力が何やら話をするらしい」

 

「ほぅ、三大勢力か。

まぁ今の俺はそれよりも重要な事がある。

藤木!」

 

「はい」

 

その言葉に合わせるように俺は既に用意していた油の中にとある物を入れる。

 

特性のルーを白飯の上に載せ、そして揚がったばかりの揚げ物をそのまま載せる。

 

「お待たせしました」

 

その一言と共にヴァルバトーゼさんに渡す。

 

「ふむ、では頂こう」

 

同時に揚げたての揚げ物と共にカレーをそのまま口の中に入れる。

 

「はふっ、うむっ、美味い!!

やはり、貴様のイワシの揚げ物カレーは美味い!!」

 

その一言と共にヴァルバトーゼが好評なカレーをそのまま口の中に次々と入れていく。

 

ヴァルバトーゼさんは俺が知る中でも一番のイワシ好きだ。

 

その情熱は熱く、以前まで魚はあまり食べない方だったが、ヴァルバトーゼさんから聞かされるイワシの魅力に取り付かれてしまった。

 

「それにしても、貴様も奇妙な縁に恵まれているな」

 

「そうですね。

店長にも世話になりましたし、ヴァルバトーゼさんのおかげでイワシの魅力に取りつかれましたし」

 

「ふっ、分かっているではないか。

貴様とならば美味いイワシの話ができそうだ」

 

そう言ったヴァルバトーゼは満足そうに笑みを浮かべていた。

 

「それにしても、駒王学園か」

 

そう呟いたヴァルバトーゼさんの事について、この事は特に気にしていなかった。

 

何やら気になる事を言ったヴァルバトーゼさんの言葉をその時、俺はあまり気にせず、次の日だった。

 

「という事で、案内頼むぞ、藤木!」

 

「えぇ」

 

帰ろうとした俺の前になぜかヴァルバトーゼさんが立っていた。

 

「ふむ、昨日のお前の言葉を聞いて、日本の教育機関に興味を持ってな。

少し迷惑になるが、案内を頼めるか」

 

「まぁ、ヴァルバトーゼさんには普段から世話になっているから、良いですけど」

 

そう言いながら、俺はそのままヴァルバトーゼさんを連れて、校舎を案内する。

 

さすがに未だに生徒が多い所には案内できないので、旧校舎に向かったら

 

「むっ」

 

何かに気付いたヴァルバトーゼさんは旧校舎の庭の方へと向かう。

 

「んっ?

どうしました」

 

「少し気になってな」

 

そう言いながら、向かった先には一誠に小猫ちゃんにゼノヴィア。

 

それに生徒会の匙に、まったく見かけない女子生徒だった。

 

「んっ、なんだ藤木。

見学しに来たのか?」

 

「見学とはなんなのか分からないけど、案内だ。

というよりも、なんか近くないか?」

 

そうしてなぜかゼノヴィアは何時の間にか俺の目の前までに来ていた。

 

「なに、気にするな。

これも愛だからな」

 

「・・・そうか」

 

「藤木先輩、そこは突っ込んでください」

 

俺が諦めたような目で言うと小猫ちゃんはそのまま突っ込んでしまう。

 

「フロンさんに関わったから、そこは気にしないようにした」

 

俺はそう言っている間に

 

「貴様、吸血鬼の癖に自分の力を使いこなせていない」

 

「それは、その、怖くて」

 

そう言いながら、見た事のない女子生徒と話しているようだが

 

「おい、藤木、あいつは誰なんだ?」

 

「んっ、なんか学校に興味が出たって、言ってさっき来たヴァルバトーゼさんだよ」

 

「「「なっ!!!」」」

 

その名前を聞いた瞬間、その場にいた全員が驚きを隠せないようだった。

 

「ならば、教えてやろう。

俺自身が強くなった方法をっ、その食べ物をっ!!」

 

「なっ、あるんですか!!」

 

そう言いながら、眼を輝かせていた。

 

「強くなる方法、確かヴァルバトーゼさんって」

 

「んっ」

 

そう言いながら、取り出したのは

 

「イワシだ!!」

 

「イワシ!?」

 

懐から取り出した新鮮なイワシを見せつけた。



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強くなる為の決意

最新話を間違えて投稿してしまいました。
迷惑をかけてしまい、申し訳ございませんでした。


「イワシですか」

 

イワシという言葉を聞いて、目の前にいる子は呆けてしまった。

 

「おい、ヴァルバトーゼさん何を言っているんだ」

 

「何って、イワシの事だろ」

 

何やら困惑している一誠に対して、俺は当たり前のように答える。

 

「でっでも、イワシで強くなれる訳」

 

「何を言っているんだ。

イワシは強くなるのに必要な要素が多くあるぞ。

DHA、IPA、EPAにぺプチなど多く含まれているんだぞ」

 

「はっはぁ、どういうのだ」

 

俺はそう言いながら、イワシに含まれている栄養素を伝えると、何を言っているのか分からず、思わず首を傾げる。

 

「つまりは、血液サラサラになって、生活習慣病の予防、さらには脂肪を燃焼させる事ができるとんでもない魚なんだぞ!!」

 

「それは確かに凄い!

なるほど、私も金が足りない時にはイワシに頼ろうとするか」

 

そうゼノヴィアは何やら納得したように頷く。

 

その意見は実に正しい。

 

「ですけど、生臭くて、嫌です。

人の血でも嫌なのに」

「「なにぃ!!」」

 

その言葉を放つと同時に俺とヴァルバトーゼさんは思わず叫んでしまう。

 

「まったく、何を言っている!

その程度の事でなんと嘆かわしい事か!!」

 

「まったくもって、その通りですよ!!」

 

「でも、実際に生臭いですよ。

私は特に気にしませんが」

 

そう、イワシに対する意見を言う小猫の言葉を聞く。

 

だがしかし

 

「良いか!

イワシ七度洗えばタイの味!

つまりはよく洗って臭みを落とせば、その身に秘めたタイに匹敵する力を発揮するのだ!!」

 

「えぇ、だからこそ、七度と言わず、気の済むまで!

そして騙されたと思って食べてみろ!」

 

「騙されたと思わないと駄目なんですか」

 

そう言いながら、小猫がジト目で見つめている。

 

「そんなので強くなれるか」

 

その声が聞こえ、見てみるとそこにはプリンを思わせる頭をした男性が立っていたが

 

「誰だ?」

 

「ヴァルバトーゼか。

あの頃から随分と変わったな」

 

「知り合いですか」

 

そう言うと、ヴァルバトーゼさんは

 

「まぁな。

久しいな、アザゼル」

 

どうやら、知っているようで、アザゼルと呼ばれた男性を見つめる。

 

その言葉を聞いた瞬間、皆は警戒しているようだけど

 

「まぁそんなに警戒するなよ。

たく、お前も結構変わったな。

あの頃と比べたら、弱くなったか」

 

「えっ?!」

 

アザゼルさんの言葉にその場にいた全員が驚いた様子だけど、そんなに驚く事か?

 

「いいや、俺はあの頃と比べて、強くなった。

そう、イワシの力によって!!」

 

そう言い、マントを翻した。

 

「くっくっ、そうか。

まぁ、あの頃に比べたら丸くなったから、そう思ったかもしれないな」

 

そう言いながら、アザゼルさんはそう言った。

 

「まぁついでに一つ確認したいんだよ。

この噂が本当かどうか」

 

「なんだ?」

 

そう言いながら、ヴァルバトーゼさんは堂々とした態度で

 

「お前、血を吸っていないよな」

 

「あぁ、それが約束だからな」

 

「なるほど、それでその力とは、本当に化け物だよ、お前達の魔界は」

 

そう言いながら、アザゼルさんは言う。

 

「行くぞ、他の施設も見学したいからな」

 

「あっはい」

 

それだけ言い終えるとヴァルバトーゼさんはすぐに歩き出そうとしていた。

 

「あの」

 

「んっ?」

 

そうすると、少女はそのままヴァルバトーゼさんに話しかける。

 

「血を吸わなくても、本当に強くなれるでしょうか」

 

何やら、先程の話を真剣に聞いているようだが

 

「知らん。

俺はイワシで強くなったからな。

ただ、言えるのは自分の決意で幾らでも変わる。

こいつのようにな」

 

「変われる」

 

その言葉を聞き入れて

 

「ではな、また会おう少年」

 

それだけ告げて、ヴァルバトーゼさんは歩き出した。

 

歩き出したのだけど

 

「あの、ヴァルバトーゼさん、少年って、あの子の事ですか」

 

「なんだ気付かなかったのか?」

 

「ええぇ!!?」

 

それまで少女だと思っていた人物は少年だったという事実に俺は思わず声を出して、驚いてしまう。



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その強さは

三大勢力会談当日。

 

悪魔、堕天使、天使が和平を行う為に行われている為、その為、会議の会場となっている学園の周りには結界が張られ、厳重な警備がされていた。

 

そして、三大勢力の会議を行っている場所において

 

「「ZZZZZ」」

 

会場でただ一人、悪魔でありながら魔界に所属していない魔王ラハールと、その付添いとして呼ばれた人間、藤木は寝ていた。

 

「こっこの状況で寝ているのか」

 

「まっまぁ彼らはあくまでも客人だからね」

 

そう言いながら、ラハール達を寝ている状況で、会議は進んでいた。

 

「んごぉ、あっ。

ラハールさん、ラハールさん」

 

「なんだ、このラハール様の眠りを妨げるのは」

 

「会議中ですよ、会議」

 

「なんだ、まだやっていたのか」

 

そう言いながら不機嫌な様子でラハールはそのまま起こすが

 

「んっ、なんだこれは」

 

「へっ?」

 

何か違和感を持っていたのかラハールは周りを見渡す。

 

「おぉどうやら魔王様も起きたようだな」

 

そう言いながら、アザゼルは起きたラハールに向けて笑みを向ける。

 

「おい、これはなんだ?

誰が時を止めたんだ?」

 

「ほぅ、まさかそこの子供が魔王と名乗る愚か者か」

 

「あぁ?

なんだ」

 

そう言っていると共に声を出した方向を見ると、そこには眼鏡をかけた胸元が大きく開いた服を着た女性が立っていた。

 

「なんだこいつは?」

 

「私は貴様のような偽物である魔王ではない本物の魔王の末裔カテレア・レヴィアタンだ」

 

「・・なに?」

 

「あっ」

 

そのカテレアがラハールに対して、偽物という発言をした瞬間、彼を中心に魔力が溢れ出す。

 

その魔力の余波だけで、会場になっていた教室は吹き飛び、全員がその場で立つ事だけでもやっとの状況だ。

 

「なっ!?」

 

「よもや、この程度の奴が魔王と名乗るとはな。

良いだろう、俺様の前で魔王と名乗り、さらに俺様を偽物扱いするとはな」

 

そう言いながら、ラハールはそのまま手に持った剣を構える。

 

「貴様をここで始末してやろう」

 

「ほざくな!!」

 

その言葉と共にカテレアはそのまま拳に黒い魔力を宿し、そのままラハールに向けて放つ。

 

強烈な一撃は確かにラハールに当たったが、その表情は何もダメージを受けていないのか、笑みを浮かべている。

 

「終わりか。

ならば、一発は一発だ、獄炎ナックル!」

 

その言葉と共に、その手に宿った炎の魔力が籠った一撃をカテレアに向けて放った。

 

放たれた一撃はそのまま外にいた軍勢へとぶつかる。

 

「なっなんなんだ、この馬鹿げた魔力はっ!?」

 

「おいおい、これで終わりとか言うなよ」

 

その言葉と共にラハールはそのまま手を前に出すと同時に、その手には先程以上の魔力が集まりだした。

 

「ぐっ、だがこれを耐えねばっ!!」

 

その言葉と共に既にラハールの強さの前に、撤退を選択すると共にカテレアは転移魔法を発動させる。

 

「そうか、ならば耐えて見せろ!!

魔王玉!!」

 

その一言と共にラハールの手から放たれた火炎球はそのままカテレアへと激突する。

 

「ぐっきゃああぁぁっ!!」

 

全てが焼き尽くされる感覚に襲われながらも、必死に逃げる為に転移をしようとするカテレア。

 

全ての魔力を使い、耐えきったと思い、光に包まれた瞬間だった。

 

「おい、まだまだ終わっていないぞ」

 

「えっ」

 

その言葉と共に見ると、空には先程までカテレアを襲っていた魔王玉が無数に展開されていた。

 

それも視界を覆う程に。

 

同時にカテレアが転移する直前に魔王玉は彼女に激突する。

 

全ての魔王玉がカテレアの全てを焼き切り、同時にそこにいた全ての禍の団のメンバーを吹き飛ばした。

 

「ふんっ、この程度で魔王か、つまらん」

 

そう言い、何事もなかったように椅子に座る。

 

「うわぁ、えぐい」

 

その光景を見ていた藤木はただ、その一言しか呟けなかった。

 

「まったく、相変わらずとんでもないな魔界の悪魔は」

 

「そんな事はどうでも良い。

面白いのが見れると思っていたが、この程度とは帰る」

 

その一言と共にラハールはそのまま去っていた。

 

「くくっ、まさか魔王がここまでの強さだとはな」

 

「ヴァーリ?」

 

そう言っていると、その光景を見ていたヴァーリは笑みを浮かべていた。

 

「確かに今の俺では勝てないな。

だけど、それとは別に魔界の強さを少しでも味わいたいからな。

付き合ってくれよ、藤木大地」

 

「っ!」

 

その一言と共に戻ってきたヴァーリはそのまま藤木に向けて襲い掛かる。

 

同時に防御していた藤木はそれ程のダメージを受けない様子だったが、同時に構える。

 

「一体どういうつもりだ、ヴァーリ」

 

「どうもこうも、俺も禍の団という訳だよ」

 

その言葉と共に、その場にいた全員、特にアザゼルは驚きを隠せなかった。

 

「たく、色々と規格外だというのにな。

それで何時からだ」

 

「コカビエルを回収した時からだ。

あの藤木の強さを見た瞬間から、俺は既に魔界の奴らと戦う事しかないからな」

 

「ちっ、まさかこんな所でとはな」

 

「痛いな、たく、いきなり何をしやがる」

 

「この状況では、戦うしかないだろう」

 

「俺のは護身術だと言っているだろ」

 

そう言いながらヴァーリは藤木に対して攻撃を仕掛ける。

 

だが、同時に藤木に当てるはずだった拳は空振りとなり、残像だけ残していた。

 

「残像拳」

 

「っ!!」

 

同時に姿を消した藤木は背後からヴァーリを襲い掛かる。

 

だが、すぐに鎧でその攻撃を受け止める。

 

拳と鎧が激突する音が響く中で、拳が激突する音が周りに広がっていく。

 

「人間がここまでできるとは」

 

「それも魔界の恐ろしい所かもしれないな」

 

「おらぁ!!」

 

そうしている間にも藤木はそのまま蹴り上げ、ヴァーリから距離を離れた。

 

「なっこれって、どういう状況なんだ」

 

同時に聞こえた声に藤木は振り向くと、一誠がその場にいた。

 

「んっいたのか。

なんかよく分からないけど、喧嘩売られた」

そう言いながら、首を回しながら、姿が見えなかった一誠達にそのまま説明する。

 

「お兄様、これは」

 

「禍の団は既に全滅している。

あとはどうやら裏切っていた白龍皇だけだよ」

 

そう言いながら、未だに状況が理解できていないリアスはそのままサーゼクスに話を聞く。

 

「そういう事だ。

しかしがっかりだよ、赤龍帝、君がライバルだという事を」

 

「なんだと」

 

そう言っていると、ヴァーリはそのまま一誠を見つめる。

 

「君の生まれも育ちも全てが平凡。

まったく同じはずの藤木とはまるで天と地程に違いすぎる」

 

「なっ」

 

そう言いながら、藤木と一誠と見比べながら言う。

 

「いっその事、彼がライバルだったらと思うが」

 

「ライバルとか、俺は別に興味ないぞ。

第一、さっきから何の話をしているんだ」

 

そう言いながら欠伸をしながら、藤木もまた退屈そうにヴァーリを見つめる。

 

「俺はこの後、バイトがあるんだ。

悪いが、これ以上はお前の遊びに付き合いたくないが」

 

「ふっ、そう言うな。

もう少し付き合ってくれよ」

 

その言葉と共にヴァーリは藤木に向けて構えるが

 

「悪いが、こっからは俺が相手だ!!」

 

その言葉と共に一誠はその身に赤い鎧を纏い、そのままヴァーリへと戦いを挑む。

 

「さて、なんかよく分からないけど、どうやらあいつが代わってくれるようだな」

 

そう言いながら、藤木はそのままサーゼクス達の元へと向く。

 

「すいません、俺はもうバイトがあるから、帰らせてもらいます」

 

「えっあぁ、すまなかったね」

 

そう言いながら、藤木はそのまま校舎から出ていった。

 

「なんというか、あいつはあいつで色々と常識外れだな」

 

「まぁ彼らと関わっている以上はね」

 

その光景を見ながら、その場にいた全員は思わず苦笑いをしていた。



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奪われる夏休み

「いよいよかぁ」

 

そう言いながら、俺は今日もバイトに勤しんでいた。

 

ラハールさんがいつも通り暴れたり、なぜかアザゼルさんが教師として駒王学園に来たりと、色々なイベントが多くあったが、それでも明日は

 

「夏休みかぁ」

 

俺はそう言いながら、カレーの材料を次々と作っていく。

 

学生でも大きなイベントである夏休みに心を躍らせながら、何をしようか悩んでいる。

 

去年の夏は知り合いのマオさんが経営している魔立邪悪学園の修学旅行に参加され、見た事のない場所に次々と連れていかれた。

 

行く先々で赤い本とタッグを組んだり、夜の街で襲う不審者達を叩きのめしたり、知らない遊園地で変な獣を刈ったり、ラスボスのような田中デスダークと死闘を繰り広げたり、沼の魔女になぜか使い魔扱いされたり散々な日々を送った。

 

それでも彼らと出会ったのは今でも思い出深い。

 

「夏休みか」

 

そんなおそらくはゲーム5本分はできるだろう旅行を思い出しながら、遠い目をしていると、キリアさんから話しかけられた。

 

「えぇ、普段はできない事をしようと思いまして。

キリアさんはリーゼロットさんとどこか出かけますか?」

 

キリアさんは見た目は若く見えるが、奥さんがおり、何度か会ったがとても暖かい人という印象で、キリアさんとお似合いだと思っていた。

 

「そうだな、あいつにはいつも苦労をさせているからな。

たまにはどこか一緒に行くか」

 

そう言いながら、キリアさんの笑みもどこか穏やかだった。

 

このカレー屋を始めてから、忙しい日々を送っていたが、それでもこの日常を気に入っている。

 

「キリア様、それと藤木はいますか」

 

「・・・キリアさん」

 

「何も言うな」

 

店に入ってきた声を聴くと俺達二人は嫌な予感と共に入ってきた女性を見つめる。

 

そこには豪華な衣装を身に纏ったピンク色の女性が立っており、俺とキリアさんにとってはトラブルメイカーとして名前を覚えている人物であり、先程まで想像していたリーゼロットさんとは性格が正反対な人が出てきた。

 

「どうしたんだ、セラフィーヌ」

 

そうキリアさんは彼女を呼んだ。

 

「聞いてください。

今度、冥界で少し面倒なパーティが行われる事になりましたが、その日程で何か予定はありますか」

 

「パーティ?

予定と言われても、その日も仕事だが」

 

「そうですか、では藤木。

あなたがキリア様の代わりに一緒にパーティに出席するわよ」

 

「拒否権なし!?」

 

その余りにもの横暴な言葉に俺は思わず突っ込んでしまった。

 

「パーティに出席って、俺、そんな高い衣装は持っていませんよ」

 

「その点は問題ないですわ。

ウサリアさんやフェンリッヒさんが色々と用意してくれるそうなので」

 

「ウサリアは分かるけど、フェンリッヒさんまで?」

 

ウサリアの事は幼いながら主としての責任という話をよく聞いているが、フェンリッヒさんはなぜだ?

 

「とにかく、その日は予定を開けておくように。

当日は迎えも寄こしますので。

それではキリア様、藤木、ごぎげんよう」

 

そう言い、嵐のように去っていった。

 

「はぁ、何か面倒な事に巻き込まれそうだ」

 

「まぁ、もしもの時は呼べ。

力になる」

 

「キリアさん!」

 

俺はそのまま歓喜の涙を流してしまう。」




「次回、ハイスクールディスガイア、最終回」

「最終回!?」

冥界のパーティ

「色々とやばいな」

集う、魔王達

「おぉ、盛り上がりそうな展開だな」

藤木VS悪魔

「また物騒だな」

LAST 2020:アポカリス

「勿論だが、これは嘘予告だぞ」

「あっ、マオさん、という事はさっきのは全部嘘なんですか?」

「いや、最終回なのが嘘だ」


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ビイィィィーーム!!

その日、上級悪魔の社交界が行わていた。

 

冥界にいる若手の悪魔達が集う中で、彼らだけではなく、これまでは存在だけは知られた魔界の悪魔が招待されていた。

 

だが、その会場にて

 

―――ドオオオオオォォォッ!

 

その音と共に、そこには破壊され尽くした大広間だった。

 

そこではセファードルとアガレスの悪魔が睨みあっていた。

 

だが

 

「この我の前でそのようなくだらない事を話しているのか」

 

その言葉が聞こえ、その場の空間が一瞬で震えた。

 

同時に現れたの長身の男だった。

 

真っ赤な長い髪は癖が多く、まるでマントのように多かった。

 

「なんだぁ、てめぇは?

おっさん、その白目をどうにかならないのかぁ」

 

「・・・ゼタビーム!」

 

ぎゃあああぁぁぁ!!]

 

セファードルが男に向けて文句を言った瞬間、男の目から白い光が一閃。

 

瞬く間にセファードルは吹き飛ばされ、どういう原理なのか、彼の自慢の緑色の髪は真っ黒のアフロへと変わっていた。

 

「なっ貴様っ!!」

 

「この我に偉そうな事を言うからな」

 

「あれは一体」

 

そのあまりにもの光景に、その場にいた全員が驚きを隠せなかった。

 

「ゼタさん、何をしているんですか」

 

そんな男を呼ぶ声が聞こえ、その場が全員の注目はゼタから声の主である少年に目を向けられた。

 

「なんだ、藤木?

さっさと来るが良い」

 

「えっ藤木!?」

 

同時に会場に来ていた一誠達は驚きで声を出してしまう。

 

「んっ、一誠達もパーティに招待されたのか?」

 

「あっあぁ、お前はなんで」

 

「あぁ、それがな」

 

「私達の付添いですわ」

 

その声と共に現れたセラフィーヌは笑い声と共に現れた。

 

「えっと、この人は一体!?」

 

「あぁ、この人はセラフィーヌさん。

金持ちで色々な事をやっているらしい」

 

「えっと、それってつまり」

 

「まぁ魔王やっていますわね」

 

「まっ魔王!?」

 

その言葉に一誠を始め、全ての悪魔達が驚きを隠せなかった。

 

「なっなんで魔王様が」

 

「何を言っているのかしら?

私達の魔界では魔王の数なんて、星の数程いますわよ」

 

「えっえぇ、つまりは、その魔王って、悪魔の名前みたいな感じですか」

 

「いいえ、悪魔の中でも力がある者しかなれませんわ」

 

そう言いながら、セラフィーヌの言葉が真実であるように、彼女を中心に魔力は発した。

 

その魔力だけでも、超越者と呼ばれたサーゼクスと同等の迫力を感じた。

 

「この人はまたぁ」

 

「セラフィーヌさんは相変わらずだぴょん」

 

「へっ?」

 

同時に聞こえた声を見つめると、ウサ耳の黄色のドレスを身に纏っている少女が立っていた。

 

藤木はそんな少女の手を繋いでいた。

 

「えっと、その藤木君」

 

「んっ、あぁリアス先輩も来てたんですね」

 

「えっえぇ、あのその子は一体」

 

先程からセラフィーヌとゼタの迫力で全員が固まっている中で、リアスは別の事で固まっていた。

 

「始めまして、私の名はウサリア。

兎兎魔界の魔王を務めており、その藤木さんとは、その」

 

そう言いながら、顔を赤くさせながら、手を握っていた。

 

「んっ?」

 

ウサリアがそこから続けようとする言葉に藤木は首を傾げていた。

 

だが、リアスは彼女の言葉の意味が分かってしまい

 

「その藤木さんとあのリアスさんの関係は?」

 

「んっ、先輩と後輩だな」

 

「そうでしたか、良かった、これ以上は少しぴょん」

 

「少し!!」

 

その言葉でリアスはさらに慌て始める。

 

「おい、藤木さっさと行くぞ!!」

 

「あっはい!!

それじゃあ、リアス先輩達もまたあとで!!」

 

そう言い、ウサリアの手を繋いだまま、ゼタ達の元へと向かう。

 

「あらあら、これは大変そうですね、リアス」

 

「えっえぇ」

 

そんな中で、リアスは未だに戸惑いを隠せない様子だった。



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魔界の常識

若手悪魔の会合が始まり、数時間。

 

若手悪魔達のこれからの事についてを話し、同時に彼らの夢についてを発表し始めた。

 

その間、ゼタの表情が僅かに変わった瞬間があった。

 

「私は冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」

 

その夢を語るのと同時だった。

 

会場にいた初老の悪魔達を始め、多くが笑い始めた。

 

その笑い声が響いた中で

 

「話は終わりか。

まさか、我を呼び出したのは、貴様らの汚い笑い声を聞かせる為か」

 

その声に笑っていた悪魔達は同時に止まる。

 

「ぐっ、ゼタ殿だったか。

貴殿が魔王だと呼ばれているのは知っておりますが、冥界のルールには従ってもらわないと」

 

そう先程よりも弱弱しくも、だがしかし威厳を無理矢理保とうする声が聞く。

 

「ふんっ、魔界の事などほとんど知らない貴様らが?」

 

「魔界の事ならば知っておりますよ。

魔王ラハール、アデル、マオ、ヴァルバトーゼ、キリディアという5人の魔王を中心に支配されているという事を」

 

そう伝えるが

 

「ふんっ、魔界の事、本当に何も知らないようだな」

 

そう言いながら、ゼタはつまらなそうにため息を吐く。

 

「えぇ、私達も僅かに接触しているラハール様達がいる程度しか知らないので」

 

「ならば、少しばかり教えておこうか。

まず、貴様らの言うラハール達は我らの魔界でも上位に位置する強さを持つ者達だ。

それも、この冥界などとは比べものにならない程の悪魔共のな」

 

「冥界と比べものにならない?」

 

「魔界は一つじゃないという事だ」

 

その言葉に一同を驚きを隠せずにいた。

 

「一つじゃないですって」

 

「宇宙に地球があるように、魔界は貴様らが想像しているような一つだけではない。

ラハール達はこの冥界から近い魔界にいるから何度も来ているだけだ」

 

その言葉に驚きしかなかった。

 

これまで規格外だと思っていた魔界の存在が想像を遥かに超えた所だと聞き、未だに会場にいる悪魔達は眼を見開いていた。

 

「それでは、藤木君は一体何者なんですか」

 

「ただの一般人!」

 

その言葉で会場が一斉にこけたしまった。

 

「いえ、そこは何かしらの力を備わっているとかではないのですか」

 

「ないな。

奴は一般市民、それも結構善良な部類のだ。

だが、奴がキリディアと関わった事によって、奴は知らぬ間に大きな成長を遂げている」

 

その言葉を聞いて、一部の悪魔達は笑みを浮かべた、

 

これまで絶対的な上位の存在である魔王達に対抗できる可能性がある。

 

ただの人間があそこまで強くなれたのだから、魔界で力を高めれば、強くなれる。

 

「まぁ、我は貴様らが我が魔界に入った瞬間、焼き殺すがな。

魔界は貴様らが思っているよりも簡単ではないぞ」

 

そう、思考を読むようにゼタは言う。

 

「ならば、一つ、賭けを行ってほしい」

 

「賭けだぁ」

 

その言葉にゼタはさらに不機嫌になる。

 

「その藤木という人間とここにいる若手の悪魔一人と戦う。

そこで若手の悪魔が勝てば、彼らにも魔界での修行を行ってほしい」

 

「それで、我になんのメリットがある。

第一、藤木がなぜそのような事をせねばならない」

 

そう、あまりにも都合の良い賭けに対して、ゼタは怒りを覚えていた。

 

だが

 

「まぁ良い。

我は貴様らに望む事はないが、そうだな、藤木。

お前は何か望みがあるか」

 

「えっ俺?」

 

ゼタに呼ばれて、返事した藤木もまた不機嫌そうな顔をしていたのを見て、ゼタは笑みを浮かべていた。

 

「奴ら、お前が試合で勝てればなんでも言う事を聞いてくれるそうだぞ。

何か望みはあるのか?」

 

「望みかぁ」

 

そう言われ、藤木は真っすぐと

 

「だったら、会長に謝ってもらう事だな」

 

「なっ」

 

「ほぅ」

 

その言葉にその場にいた一同、特にソーナは驚きを感じずにいられなかった。

 

「なっどういうつもりだ」

 

「どうもなにも、ただ単にむっとしたからだ。

夢を発表する場なのに馬鹿にする言葉にな。

どうせ謝る気がないならば、願いとして、無理矢理でも良いかなと」

 

そう藤木は先程までの事を思い、言葉にした。

 

その言葉に

 

「プワハハハハハッ!!

さすがは藤木だ、お前は本当に斜め上の願いを書く奴だぞ」

 

そう、ゼタは笑みを浮かべていた。

 

「良いだろう、ならば藤木が勝った場合は、その提案にしよう。

どうだ、これならば、お前達がどちらに転んでも損はないだろう」

 

「ぐっ」

 

そう挑発するようにゼタは笑みを浮かべる。

 

「まぁ決まりきった勝負をするのも面白くない。

指名した悪魔は全ての眷属と共に藤木とそうだな、藤木のパートナーの二人を倒せば勝ちで良いだろう」

 

「パートナー、まさかそれであなたが」

 

「我はそのようなつまらない事はしない。

まぁ、どのような奴が現れるかは、当日の楽しみにしておけ」

 

そう言い、ゼタは笑みを浮かべる。



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常識って、なんだっけ?一般って、なんだっけ?

若手の悪魔達が集う場所において、魔界の悪魔と交流のある藤原大地とその相棒として呼ばれた謎の助っ人のコンビと上級悪魔とその眷属によるレーティングゲームが開始される。

 

舞台となっているのは地上の商店街をモデルに造られた結界に彼らは各々の開始地点に立っていた。

 

「それにしても、これ程の良いルールとはな」

 

そう言いながら大地の対戦相手であるディオドラ・アスタロトは笑みを浮かべながらルールを確認する。

 

今回のレーティングゲームにおいてのルールとしては、相手側のチームの全滅というルールだけであり、それ以外はどんな事をしても構わないというルール。

 

その為、ディオドラの勝利の為に上級悪魔はフェニックスの涙やゲーム開始直前に傭兵を投入するなど、本来ならば許されないような数々の手段を行っていた。

 

だが、ディオドラはそれに対して、何の罪悪感もなく、笑みを浮かべていた。

 

「このレーディングゲームに勝てれば、僕は」

 

その言葉を呟いたのと直前だった。

 

―――ドッカ―ンッ!ドッカ―ンッ!!

 

「なっ」

 

拠点に鳴り響く爆音、同時にディオドラの眷属と雇った傭兵達は次々と悲鳴と共に脱落していく。

 

「何が起きたんだ」

 

「悪いが、手加減はなしだぜ」

 

その言葉と共に拠点に突っ込んできたのは車だった。

 

同時に車から飛び出たのは対戦相手である藤木だった。

 

「まさか、こんなに早くから来るとはな」

 

いきなり先手を取られた事に呆気に取られたディオドラだったが、瞬時に思考を切り替える。

 

「だが、これで爆弾はなくなるはず。

そうなれば」

 

そう思ったが、爆発は未だに鳴りやまず、むしろ増していく。

 

「なっ」

 

「オラオラオラオラァ!!」

 

その爆風の中で、藤木は次々と襲い掛かる傭兵達へと攻め込んでいく。

 

攻撃を仕掛けるも、一瞬で避けられると同時に、まるで時間を止めたように一瞬だけ消え、同時に周りにいた全ての傭兵達を吹き飛ばした。

 

「何が起きているんだ、これは」

 

「チョコレート!」

 

そのふざけた言葉と共に見つめると、そこには手には木製のバットを持ちながら、その近くには大量の爆弾を抱えた少女が一人立っていた。

 

頭にはまるでペンギンを思わせる帽子を被っており、容赦なく次々と爆弾を放っていく。

 

「なっまさかあいつが助っ人だとでも言うのか」

 

「フーカ!!」

 

「分かっているわよ!!」

 

二人が叫び合うと同時に頷くとフーカの手には爆弾を一つ手に取ると同時に先程のように打ち込む。

 

撃ち込まれた爆弾は音速を超えて、藤木の元へと向かっていき、道中にいた全ての悪魔達は避け、その先には藤木がいた。

 

「ドラァ!!」

 

だが、藤木はそのボールに対して、蹴りで応戦した。

 

その足には炎を纏っており、爆弾は一瞬で炎を纏い、ディオドラを守るように集まっていた眷属と傭兵達の元に

 

「しまっ!」

 

その言葉を終える前に、これまでとは比べものにならない程の爆発が起きた。

 

一瞬の出来事だった。

 

これまでにない程に絶対的に勝利の可能性があったにも関わらず、一瞬で窮地に陥れる。

 

「ぐっこのままじゃっ」

 

そう言いディオドラは危険な賭けに出る事にした。

 

それは、初代ベルゼブブの子孫であるシャルバからオーフィスの「蛇」だった。

 

それを使えば、現状を変えられる可能性があった。

 

ディオドラはすぐに蛇を飲み込むと

 

「おい、まだ戦えるだろ。

さっきのアナウンスで、まだあんたがいるのは知っているんだぞ」

 

その言葉が聞こえた。

 

背後から感じて、見つめると、そこには藤木が立っていた。

 

「このゲームにどんな意味を持っているかも分からないし、てめぇからははっきりと言って下衆の気配がするからな」

 

「下衆だと」

 

その言葉にディオドラは藤木を睨みつける。

 

「そういう奴は大抵変な事を考えている。

そういう奴に対しては、俺は容赦しないと決めており、お前に対して可哀そうとは全く思わない」

 

「ぐっ!!」

 

完全に舐められている。

 

その言葉を聞いた瞬間、ディオドラに感じたのは確かなる怒りだった。

 

「だが、このまま何の抵抗もないてめぇを倒したら、俺にとっては後味が悪いのが残ってしまう。

てめぇはどうやら怪我を一瞬で治せる何かを持っているようだな。

それを使うのに何秒かかる?

治ったのと同時に、てめぇに技を叩きつける」

 

「なっ」

 

その言葉はこれまで見下していた人間が、自分を見下している。

 

その事実を知ると共に、ディオドラに、溢れるばかりの怒りが出ていた。

 

それが皮肉にも蛇を飲み込み、パワーアップした事により、通常ではあり得ない程に力を上げていた。

 

「お前のような人間風情がこの僕に対して」

 

そう言いながら、目の前でフェニックスの涙を口の中に含むと同時に

 

(だが、これは僕にとってはチャンスだっ!

この状況で、貴様を深手を負わせて、人質に取れば勝てる可能性は十分にあるっ!!

後味が悪いなど、卑怯な手だとか、便所の糞にも匹敵するその考えが僕にチャンスを与えてくれた!)

 

同時にフェニックスの涙によって、身体の傷が治りそうになった瞬間

 

「貴様のような人間に対しての勝利では、過程など、どうでも良いんだよぉ!!」

 

傷が完全に治りきる前にディオドラはその手に魔力弾を作り出し、放った。

 

一瞬で視界を埋める程の巨大な魔力弾を避ける手段はなく、この時、確かな勝利を確信していた。

 

「勝っ「オラぁ!」がはっ!!」

 

だがその魔力は一瞬にして、炎を纏った藤木の拳によって散ってしまう。

 

「オラオラオラオラオラオラァ!!」

 

同時に叩きつけられる目に止まらない程のラッシュ、それによって宙に舞ったディオドラに対して、回転蹴り。

 

一瞬で何百という拳と蹴りを喰らいながら、皮肉にも蛇によってパワーアップしていたディオドラは耐えてしまった。

 

そして、最後に拳にこれまで以上の炎を拳に纏うと同時に

 

「奥義!烈火武神撃」

 

その言葉と共に、藤木はディオドラに拳を叩き込む。

 

同時に完全に吹き飛ばされたディオドラはそのまま退場する。

 

「しょっ勝者藤木&風祭コンビ」

 

未だに状況が分からない中で司会は確かに藤木達の勝利を宣言した。

 

「いえぇい!」

 

「楽勝」

 

そのアナウンスが聞こえると同時に二人はハイタッチする。

 

同時に彼らは会場へと戻ってきた。

 

「にしても、いきなり呼ぶなんて、まったく、こっちの予定も考えなさいよ」

 

「ごめん、けど、フーカが一番頼りになるからな」

 

「えっ、うぅ、それは、なんていうか、当然じゃない」

 

そう言い、フーカは少し恥ずかしがったのか、そのまま帽子を深く被りながら、顔を赤くさせる。

 

「えっ、どういう事」

 

「あらあら」

 

そんな会場に戻ってきた事で繰り広げられた甘い雰囲気にリアスは戸惑い、それを見ながら姫島は笑みを浮かべていた。

 

「藤木、その子は一体」

 

そんな中で一誠は気になり、共に戦ったフーカについて質問する。

 

「えっ私?

まぁ自己紹介ぐらい良いけど、私は風祭フーカ、どこにでもいる普通の中学生よ」

 

「普通」

 

「なによ?」

 

その言葉を聞いて、一誠はどんどん自分の中にある普通という言葉に対して疑問に思えてきた。

 

目の前にいる自称一般市民である藤木は悪魔になって身体能力が上がったはずの一誠よりも遥かに高い身体能力を持っており、バットを持って、平気に爆弾を打ち込むフーカ。

 

はっきり言って、非常識とも言える。

 

そんな中で、匙は

 

「藤木」

 

「んっ、なんだ?」

 

「そのありがとうな。

会長の事で世話になった」

 

そう言い、匙は戻ったばかりの藤木に対して、頭を下げた。

 

「別に、俺もただ単にむかついただけだからな」

 

そう言い、藤木は既に興味がなくなったように欠伸をしていた。

 

「夏休み、とりあえずはバイトでもするか。

まぁ知り合いに会いに行くのも丁度良かったしな」

 

そう言い、藤木はそのまま出ていこうとした所で、一誠は

 

「藤木、頼みがある」

 

「なんだ?」

 

一誠はそのまま真剣な表情で

 

「俺を鍛えさせてくれっ!!」

 

「えっ、嫌だよ、めんどくさい」

 

そのまま頭を下げたが

 

「俺はもっと強くならないといけないだっ!

だから」

 

「別に俺はそんなに強くないぞ。

俺に護身術を教えてくれたキリアさんやアデルさんの方が強いし」

 

そう言っていると

 

「ほほぉ、これはラブの匂いね」

 

そんな中でフーカは何人かに目を向けて

 

「ねぇねぇ大地」

 

「なんだ」

 

「あんたが鍛えないならば、私が師匠になりそうな人を紹介しようか」

 

「えっ!!」

 

それは思ってもみない提案だった。

 

「勿論、私が気に入った奴らだけよ。

そうねぇ、そっちの藤木と話していたあんたと、会長の為にラブだった男子、それとあそこにいるオーラのある人とかどうかしら?」

 

「俺か?」

 

それに驚いたのはサイラオーグだった。

 

「だって、この場にいる男の中で一番強いと思ったからよ」

 

「まさか、こうして鍛えられる機会が来るとはな、願ってもない機会だ」

 

そう言い、笑みを浮かべる中で

 

「そうは言うが、フーカ、誰か心当たりはあるのか?」

 

「そうね、私の所は無理だし、下手な所じゃ死んじゃうからね。

レッドマグナスの所で良いんじゃない」

 

「よりもよってあの人の所かぁ」

 

その名前を聞いた瞬間、藤木は頭を悩ませる。

 

「えっ、レッドマグナスさんって、そんなにやばいのか?」

 

「まぁ灼熱魔界の魔王と呼ばれていて、頼りになる兄貴分で、結構強いよ。

ただ」

 

「ただ」

 

「・・・とりあえず、ガンバ」

 

「ちょっ」

 

その不安が残る言葉を残して、藤木はその場を去っていった。

 

その後、夏休みの間、一誠達は灼熱の中で地獄が待ち受けるのは、彼らはまだ知らなかった。



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受け入れるとは

その日、俺はバイトをしていた。

 

「それにしても、驚いたよ。

まさか大地がここにいるとは」

 

「俺も驚きですよ、まさか邪神ヴァルヴォルガさんがこっちに来るなんて」

 

そう言いながら、俺はカレーを皿に移して、渡す。

 

「あれ?

僕の名前は言わないの?」

 

「いや、少しやばいと思って」

 

そう言いながらカレーを受け取った邪神ヴァルヴォルガさんの上半身が答えた。

 

凶悪な見た目とは違って、優しく気弱な性格な彼には何度も助けられているいるが

 

「今、この場で名前を呼んだら消されそうな気がして」

 

「???」

 

なぜか先程からネズミが俺の頭から離れない。

 

未だに出しても良いか分からない状況なので、あえて出さない。

 

そんな風に接客していたら

 

「おい、藤木はいるか?」

 

「んっアザゼル先生、珍しいですね」

 

そうしていと、入ってきたのはアザゼル先生だった。

 

少し困った顔をしているが、すぐ近くにいる邪神ヴァルヴォルガを見るとさらに驚いた様子だった。

 

「たくよぉ、お前の所には本当に常識外れな事ばかり起こるな」

 

「えっ常識外れな事?」

 

「嘘っ!?どこどこ?」

 

俺と邪神ヴァルヴォルガさんはすぐに周りを見渡すが特に変わった様子は見られない。

 

「いや、なんでもない。

まぁ、そんなお前だからこそ頼めるかもな?」

 

「???」

 

アザゼル先生はそこから頼み事について、話始める。

 

ーーー

 

オーバーワークによって、倒れてから私はずっとベットにいた。

 

イッセー先輩や部長、仲間達に心配されてしまい、同時に自分の力の弱さを実感してしまう。

 

そんな中

 

「失礼、入るぞ」

 

「えっ?」

 

部屋に入ってきたのは、なんと藤木先輩だった。

 

「どうして」

 

「んっ、まぁ、なんだ。

アザゼル先生に頼まれて見舞いだ。

まぁ、困っている後輩を助けるのは当たり前だしな」

 

そう言いながら、先輩はそのまま座る。

 

私が知る限り、一番才能がなく、それでいて一番強い存在。

 

そんな先輩を前にして私は

 

「すいません、帰ってください」

 

情けなくなってしまった。

 

イッセー先輩が来た時、力を確実に上げていたのを分かっていた。

 

魔王レッドマグナスによる特訓の成果なのか、その力は以前とは段違いなのは見ただけで分かる。

 

だけど、それ以上の先輩を前にして、私は

 

「事情はアザゼル先生から聞いたよ。

まぁ、受け入れられない部分を使えという感じで」

 

だが、先輩はそのまま座る。

 

既に見た目ではあまり戸惑いを見せず、未だに悪魔などの存在をただの人間である先輩に対しての説明だろう。

 

「だからこそ、似たような人を俺は知っているから、少し放っておけなくてな」

 

「似たような人?」

 

その言葉に私は少し、気になってしまった。

 

「俺に護身術を教えてくれたキリアさんの話になるけど、良いかな?」

 

「キリア」

 

その名前を聞き、私は少し興味を持った。

 

私達よりも遥かに強大な存在である魔界の悪魔。

 

その中でも特に最強と呼ばれる5人の悪魔の一人である暴虐の魔王キリディア。

 

少し前に先輩の様子を見る為に訪れて、見たが、噂で聞いたような狂暴な力をまるで感じられなかった。

 

「キリアさんは昔、大切な人の仇を討つために戦っていたらしいんだ。

その中で、キリアさんを苦しめたのは昔の自分にあった破壊衝動だったんだ」

 

「破壊衝動」

 

「あぁ、抑えるのが難しく、ずっと否定していたんだ」

 

その話を聞くと、私は恐れながらも今の自分と重ねてしまう。

 

暴虐の魔王と呼ばれる程の破壊衝動、それに飲み込まれてしまうかもしれない恐怖は私と同じだった。

 

「けど、キリアさんはそんな過去を打ち勝てたんだ。

どんな方法だと思う?」

 

「それは、力を使いこなす?」

 

「いいや、キリアさんは『過去の自分を拒絶し押さえ込むのではなく受け入れてさらけ出す事』なんだ」

 

「受け入れる」

 

それはアザゼル先生からも言われた。

 

けど、そんな簡単な事では

 

「キリアさんもそれをするのには苦労したんだ。

当たり前だよ、それは当たり前の事であり、とっても難しい事だから」

 

「当たり前で難しい」

 

そう言いながら、藤木先輩はそのまま私を見つめた。

 

「この二年間、俺は色々な人と出会った。

夢だったかもしれないような現実味のない出来事を。

その中には俺自身も信じられないような真っ黒い物があったし、受け入れにくかった。

けどさ、ゆっくりで良いんだ、オーバーワークしても悪い事だけど、やっても良いと思う。

だって、それも何かを見つけるにはきっと必要な事だから」

 

そう言った先輩の言葉は温かく、心地好かった。

 

そうして、話してみて、少し分かったかもしれない。

 

普通に当たり前のようにいる暖かさ。

 

そんな先輩だからこそ、集まって、力を貸してくれるんだと。

 

だからこそ

 

「先輩、私に護身術を教えてください」

 

「いや、俺は教えるのは苦手なんだけど」

 

「後輩は先輩に甘えたら駄目なんですか?」

 

そう私は訪ねると困ったように頭をかく。

 

「下手くそでも、良いか?」

 

「はい」

 

少しでも自分の中にある力に勝つために。

 

 



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暴走

その日、サーゼクスさんからの招待でまたパーティに呼ばれた。

 

それも今度はキリアさんも一緒に行く事になった。

 

「パーティか、またか」

 

「こういうのは余り慣れていないが、合っているのか?」

 

「それは、さぁ」

 

俺達は互いのスーツを見ながら、合っているのかどうか悩んだ。

 

こういうパーティに関してはセラフィーヌさんの方が詳しいが、残念ながら、彼女は出席していない。

 

他にもロザリンドさんなどがいれば良かったかもしれないが、今回は都合が合わず、俺とキリアさんだけの参加になった。

 

「それで、聞くけど、パーティ会場ってこの先なのかな?」

 

「分からない、とにかく城もあるし、あそこまで行こう」

 

そう言いながら、俺達は森の中を歩きながら、目的地に向かっていく。

 

実は先程までカレー屋で仕事をしていたので、そのまま走ってパーティ会場に向かったのだが、その場所が分からず、こうして俺とキリアさんは森の中を迷いながら、パーティ会場へと向かって行った。

 

「キリアさん、こっちはあれ?」

 

そうして森の中を歩いていると、何時の間にかはぐれたのか、キリアさんの姿が見えない。

 

「まじでどうなっているんだ?」

 

森の中をなんとか通り抜けた先に見えたのはそこには小猫ちゃんと見た事のない黒髪の着物の美女がいた。

 

 

「パーティとは聞いていたが、この状況はなんだ?」

 

「せっ先輩」

 

「んにゃ?

一体誰にゃ?」

 

「んっ、始めまして、藤木大地です」

 

とりあえず、知らない相手という事もあって、俺はすぐに自己紹介をする事にした。

 

「へぇ、藤木大地、噂のかにゃ。

そんな先輩がいるとは、白音もなかなか人気があるにゃ。

私は黒歌、白音のお姉ちゃんにゃ」

 

そう軽く挨拶しているが、白音というのがこの状況から見て、小猫ちゃんの事を言っていると思うけど

 

「それで、そんなお姉さんが、怯えている後輩に何の用ですか」

 

状況が分からないが、俺はとりあえず小猫を庇うように前に出る。

 

「別に、ただ今夜はお姉ちゃんと一緒に来て貰おうと思っただけにゃ」

 

「お姉ちゃんね。

そう言われても、全然違うな、髪の色が」

 

そう言いながら、見比べても、小猫ちゃんの白髪と目の前にいるお姉さんの黒髪を見比べても色が違う。

 

そんな特徴を見ている中で

 

「藤木っ小猫ちゃん」

 

「部長、一誠先輩」

 

「んっ、リアスさん達も来たのか」

 

「この状況は」

 

「さぁ、今来た所だからさっぱりだけど、どうやらそうとう問題があるようだな」

 

そう言いながら、俺は準備体操を行っていく。

 

目の前にいるあのお姉さんと小猫ちゃんがどういう経緯で分かれたのかも、先輩なだけの俺が知る訳はないけど

 

「とりあえずは、困っている後輩を助けるのが先輩の役割だからな。

小猫、下がっていろ」

 

「へぇ、それじゃ、おいらに相手をしてもらおうか」

 

そう準備していると、襲い掛かってきた何かに対して、俺はすぐに後ろへと跳ぶ。

 

同時に見えたのは西遊記を思わせる中国の鎧を身に纏い、その手には一本の棒を手に持っていた。

 

「おいおい、今度は孫悟空のコスプレか?

まったく、常識はないのか」

 

「それをお前が言うのかい、藤木大地。

しかしまぁ、お前に付き合ったら、こんな大物までいるとはね」

 

「あんまり傷つけないでよにゃ。

見たら、結構好みなんだから」

 

「好み?

どういう事?」

 

何やら俺を見つめる目が怪しいが、一体なんの話をしているんだ?

 

「ふふっ、まさかここで貴様に会うとはな」

 

「んっ?」

 

そんな事を言っていると、聞こえてくる第三者の声を見つめると、そこには巨人が立っていた。

 

人間よりも巨大な気味の悪い存在が現れた。

 

「なんだにゃ、あんたが何の用だにゃ」

 

「そんなの、言ったじゃないか。

復讐したい奴がいるから、来るって。

そして、どうやら、いたよな百騎兵よぉ」

 

「百騎兵?」

 

「トトペペぇぇ!!!!」

 

―――

 

その言葉と共に藤木の雰囲気が一変した。

 

聞き覚えのない百騎兵という名前と共にこれまでの雰囲気からは感じられない程に、遠くにいた一誠達ですら感じる程の強烈な闇を感じた。

 

「これは一体」

 

「こいつ、本当にただの人間なのかっ!」

 

眼はまるで黄金に輝く目へと変わり、藤木の身体から溢れ出した闇はそのまま何かへと変わっていく。

 

その光景を見つめながら、トトペペは

 

「やはり、あの時の喋り方からして百騎兵か。

だが、貴様を殺した後は、あの魔女をもう一度拷問するとしようかぁ」

 

そう言いながら、トトペペは笑みを浮かべていた。

 

「藤木先輩っ」

 

闇に飲み込まれそうになった藤木を見て、かつての黒歌を重ねたように涙を流す。

 

その時だった。

 

「落ち着け、藤木」

 

「っ」

 

聞こえたのは声だった。

 

冷たくも、誰かを思いやるそんな声が響いた。

 

同時に現れたのは一人の男だった。

 

タキシードを身に纏い、黒いマフラーを巻いているその男に一誠達は見覚えがあった。

 

「キリアさん」

 

それは藤木のバイト先の店長であり、彼に超魔流を教えた張本人であるキリアだった。

 

「お前のその力は誰かを傷つける為の力か?

俺が、お前に技を教えた時に伝えた言葉を覚えているか」

 

その言葉を聞くと共に、先程まで溢れ出た闇は瞬く間に吸い込まれていき、ゆっくりと深呼吸をしていく。

 

「俺のこれは、自分の身を、そして周りの人を助ける為の力」

 

「あぁ、例え悪夢だろうと、なんだろうと、それを忘れるな」

 

その言葉と共にキリアと共に藤木はゆっくりとトトペペに向く。

 

「小猫ちゃん。

少しだけ時間をくれ、こいつをすぐに倒すから」

 

「先輩」

 

同時に藤木とキリアは背中合わせに同じ構えを取る。

 

「なんだぁ、あの時みたいな力を出さないのか?」

 

「悪いな、お前程度にはもったいないからな。

あれは、俺とメタリカとの絆の証みたいだからな。

夢の中だろうと、お前に使うかよ」

 

「だったら、死ねぇ!!」

 

その言葉と共にトトペペはその巨体を宙に舞い、襲い掛かる。

 

だが、その攻撃に対して二人は避ける事なく、そのまま蹴り上げる。

 

「ぐっ」

 

同時に地面は簡単に割れる。

 

それでもトトペペは止まる事なく、その巨体から来るパワーで蹂躙するように襲い掛かる。

 

周りに生えていた木は簡単に倒れる。

 

だが

 

「虎口裂破拳!」

 

その言葉と共にキリアから放たれる一撃が、トトペペの巨大な腕を一瞬で凍らせる。

 

「なっ俺の腕があぁ!!」

 

「俺の拳が真っ赤に燃えるっ!!」

 

トトペペは余りの痛みで叫んでいる間に同時に宙に飛んでいた藤木はそのまま拳を燃やしながら、その一撃を凍っているトトペペの腕に向けて放つ。

 

「獄滅魔炎拳っ!!」

 

「ぎゃああぁ!!!」

 

凍っていた腕は炎によって焼けると同時に溶けた氷によって水蒸気となって、辺りを包み込む。

 

「くそっあいつらはっどこだっどこっ」

 

そう周りを見渡すトトペペだったが、既にキリアと藤木の二人は一気に懐に飛び込むと同時に掌をトトペペに向けていた。

 

「「超魔流合力奥義」」

 

二人は合わせながら、その掌からは光が溢れ出し

 

「「無明神水」」

 

その言葉から放たれるのと同時に青い光がトトペペを一瞬で包み込む。

 

同時にトトペペの姿は跡形もなく、無くなる。

 

「にゃっ、にゃぁ、まさかここまでとはにゃ」

 

そう言いながら、消え去ったトトペペを見つめながら、暢気に感想を呟く。

 

「まだやるか?」

 

そう言いながら、藤木は黒歌を睨む。

 

「いや、やめとくにゃ。

こんだけとんでもないのを見せつけられた以上はにゃ」

 

そう言いながら、黒歌はゆっくりと見つめた先には藤木の背中を見つめている小猫だった。

 

「それに、少し安心したからにゃ」

 

「んっ?」

 

そう、無意識に呟いた黒歌の言葉は藤木は聞こえた。

 

「それじゃあ、またにゃ」

 

その言葉と共に黒歌は完全にその姿は消えた。

 

「先輩」

 

「あっ、その悪かったな、なんか変なのを見せて」

 

そう言いながら、普段通りの藤木へと戻った。

 

「お前、さっきの奴は」

 

「あぁ、まぁ昔の知り合いだ。

変な薬で、デカくなった奴だ。

まぁ夢みたいな出来事だったはずなのにな」

 

そう言いながら、藤木は少し無理をしたような笑みを浮かべる。

 

「キリディア様」

 

「悪いが、今の俺はキリアだ」

 

「そうですか、それではキリア様。

藤木の先程の姿は一体」

 

その中でリアスはキリアに対して、疑問をぶつける。

 

「俺にも分からない。

俺達と交流を持つ前には確実に持っていないはずの力だが、何時の間にか宿った力だ。

それがどのような意味を持つのか分からないがな」

 

その言葉に不安を覚えるリアスだったが

 

「だが、あいつならば、受け入れるだろう。

どんな闇でも、それを受け入れる事ができるあいつならばな」

 

そう言ったキリアの顔はどこまでも晴れやかだった。

 

「信じているんですね」

 

「まぁな。

お前達もだろ」

 

「えぇ、勿論」

 

 




「というよりも、お前、なんだよあの無明神水って!?
しかも他にも炎とか氷とか出してっ!?」

「んっ技の事を言っているのか?
それはお前がそう見えているだけだろう」

「はぁ?」

「超魔流は放つ時に気合を入れると、周りには炎が出ていたり、氷が出ているように見えるんだ。
実際に人から炎とか氷が出る訳ないだろう。
あれだって、ハッケイの応用だよ」

「・・・絶対に常識人じゃないよ、お前は」


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決めるぜ覚悟!

トトペペの奴がなぜ生き返ったのか、そもそもあの時の奴は本当に俺の知っているトンペペだったのか。

 

あの時は目の前の戦いと自分の中にある何かを収める事しか考えていなかったが、こうして冷静に考える事ができると次々と疑問が思い浮かばれる。

 

夏の時に見た夢のような出来事がもしも全て事実で、俺と戦ってきた奴らが全て復活するとしたら、果たして今の俺に勝てるだろうか?

 

夢の中での百騎兵やヒーローのような力がない今、トトペペ以上に厄介な奴らがよみがえったら

 

「あの、藤木さんですよね!!」

 

「んっ?」

 

そんな考え事をしていたら、後ろから声をかけられ、振り返るとと紅色の少年が立っていた。

 

「君は?」

 

「僕、ミリキャス・グレモリーと申します!

その、ディスガイアのファンでサインください!」

 

グレモリーという名前を聞くと、ちょうどリアス先輩を思い出し、先輩の弟だろうかと思う。

 

だが、それ以上に

 

「……ディスガイア?」

 

まるで聞いた事のない単語に俺は思わず首を傾げた。

 

「へぇ、さっそくファンに会えたようねぇ」

 

そんな俺とミリキャス君の話を聞きつけたのか、やってきたのは黒いドレスを身に纏ったエトナさんだった。

 

「あっエトナさんもっ!!」

 

何やら盛り上がっているようだが、ディスガイアなど聞いたことのない俺は❓マークしか出てこない。

 

「なぁ、エトナさん。

ディスガイアって、なんですか?」

 

「あぁ、あんたを主役にしたアニメよ」

 

「あっアニメ!?」

 

その単語を聞いて、俺は驚きを隠せずにいた。

 

「どっどういう事なんですか!?」

 

「まぁ、殿下やヴァルバトーゼが魔界の事について知ってもらう為に作った奴よ。

調子に乗って攻め混む冥界の奴らを黙らせる為に去年からやっているわよ」

 

そう言いながら、エトナさんが取り出したスマホにはディスガイアの画像が貼られていた。

 

「なんか、色々と違いますが」

 

画像を見てみると、俺の知り合いの特徴が良く伝わるポスターだった。

 

俺の知らない間にこんな事になっているとは

 

「一応共通の主役は藤木という事で私達が各々の魔界で作っているわ。

いやぁ、これがなかなかに財布に貯まるから、私も助かっているわ」

 

「こっこの人はっ!?」

 

まさか、知り合いによって、いつの間にかアニメにされているとは、想像もしていなかった。

 

「というよりも、よくアデルさんやキリアさんは許可出しましたね」

 

あの二人はこういうのには興味が出ないと思うが

 

「アデルの場合はアクターレの奴が、キリアの所はクリフトとセラフィーヌがやっているわ」

 

「あっなるほど」

 

だが、出た名前を聞く共に納得した。

 

「というよりも、この番組のポスター色々とあれですね。

なんか、女子との絡みがありますね」

 

特にどういう理由なのか、ラハールさんの所とアデルさんの所はエトナさんが俺のヒロインのような立ち位置なんだけど。

 

 

「そんな気にしなくても良いわよ。

それよりも、ファンサービス、ファンサービス」

 

「ぐっ」

 

色々と訴えたい所だけど、エトナさん相手に勝てるとはおもえない。

 

なので

 

「とりあえず、応援、ありがとう」

 

「はっはい!!」

 

そうすると、握手をして、嬉しそうにしてくれる。

 

「それでは、僕はお母様の所に戻りますので」

 

「おう」

 

そう言い、俺はそのままミリキャス君を見送った。

 

「・・・それで、何を悩んでいるのよ、あんた」

 

しばらくして、ミリキャス君が見えなくなった所で、エトナさんは真剣な表情で俺を見つめた。

 

「ばれました?」

 

そう言い、俺は向き直す。

 

「事情は少し聞いたわ。

あんたが夢に出てきた奴が現実に現れたんでしょ」

 

「えぇ、信じれられないよう内容ですが」

 

俺はそう言いながら、ゆっくりと思い浮かべたのはトトペペの戦いの時の光景だ。

 

あの時、俺はメタリカを、ピスコをっ

 

「もう後悔したくないって、顔ね。

だったら、私達から提案があるわ」

 

「提案?」

 

その言葉に疑問に思うが

 

「今のあんたじゃ、力の制御ができない。

あれがいつ暴走するか分からない状態はあんたも嫌でしょ」

 

「・・・勿論です」

 

「だったら、決まりね、という事でマオ」

 

「・・・マオ?」

 

その言葉を聞き、俺はゆっくりと後ろを振り向くと

 

「とうとう覚悟を決めたか、藤木。

何、心配するな、我の改造は完璧だからな」

 

その言葉と共に現れたのは眼鏡をかけた知り合いマオだった。

 

同時にまるでというよりも、絶対にマッドサイエンティストの笑みを浮かべていた。

 

「あっやっぱりな」

 

そう断ろうとしたが、瞬間、俺は一瞬で意識を消されてしまった



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衝撃の転校生

「おっおい、藤木、大丈夫か」

 

「・・・あぁ」

 

夏休み明け、あのパーティの後、藤木の姿が消えた為、部長も含めて心配していたが、夏休み明けの教室には藤木がいた。

 

ただ、いつものような様子ではなく、机の上でこれまでにない疲れを見せていた。

 

「なんだ、藤木?

あの後、何があったんだ?」

 

「色々あった。

マオさんや色々な人に付き合わされた

 

「あっあぁ」

 

その一言を聞いて、俺も納得した。

 

というのも、俺は匙とサイラオーグさんの三人は藤木の知り合いであるレッドマグナスさんに会ったが

 

「超絶な特訓を始まるぜ!!」

 

その一言と共に、俺達は命懸けのサバイバルが始まった。

 

単純な拳ではレッドマグナスさんの身体に傷一つつける事ができず、なんとか貯めた魔力で放ったドラゴンショットも全然聞いていない。

 

匙が力を弱めようとしたが、レッドマグナスさんの桁違いの魔力で反対にパンクになって倒れるし、サイラオーグさんは簡単に吹き飛ばされた。

 

それでも、命懸けの特訓の中で俺達は急速に力を高めていき、なんと奇跡的に禁手が使えるようになった。

 

まさかサイラオーグさんにもあったとは驚きだったけど、その時は三人で勝てると確信したが

 

「ほぅ、これは楽しめそうだな。

だったら、少し力試しに超絶轟筋のユニバースッ!!」

 

その言葉と同時にこれまでだけでも十分すぎるぐらいの力を持っていたレッドマグナスさんが既に見上げるのがやっとなぐらいの大きさへと変わった。

 

「「「あっ死ぬな」」」

 

その後、容赦ない攻撃の中で俺達は生き残った。

 

同時に俺達はこれまでにないぐらいにパワーアップしたのを実体験する事になった。

 

そして

 

「藤木?

あぁあいつも俺のライバルであるキリアや同じぐらいに強い奴らから特訓を受けているからな」

 

その言葉を聞いて、藤木の強さにも納得した。

 

だが、それまで特訓を受けていた藤木ですら、ここまで疲れているとは、どんな特訓を受けたんだ。

 

「一誠はレッドマグナスさんに特訓を受けたんだろ。

何か知らないのか」

 

「その話をするな!!」

 

俺も同時に頭を抱えた。

 

俺の中にある壊れそうな常識をおっぱいでなんとか留めているのだから。

 

「おっおい、大変だぞ、このクラスに転校生が来るぞ!

しかも女子が二人だぞ!!」

 

「なっなにぃ!?」

 

その言葉にクラスの全員が驚きの声をあげた。

 

同時に教室に先生が入ってくると

 

「このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新しい仲間が増えます。

じゃあ、入ってきて」

 

その言葉と共に入ってきたのは栗毛のツインテールの見慣れた少女だった。

 

「紫藤イリナです、皆さん、どうぞよろしくお願いします」

 

なんと、俺の知り合いのイリナだった。

 

だが、もう一人の方の転校生は何故か藤木の元へと行くと

 

「さっさと起きろ」

 

「がぁ?!」

 

なんと藤木をそのまま足蹴りにした。

 

「なっなんだって、はぁ!?」

 

転校生を見た藤木は何やら驚いた顔をしていたが、転校生はそのまま悪戯に成功したように笑みを浮かべると

 

「キヒヒヒ、そこの馬鹿とはまた今度だ。

という事で、私は芽多理花様だ。

よろしく頼むぞ」

 

そのまま芽多さんは笑みを浮かべていた。

 

というか、藤木

 

「お前、転校生と知り合いって、どういう事だ!!」

 

「詳しく話ぇ!!?」

 

クラス中の男子が一斉に藤木に詰め寄った。

 

「えっなんで」

 

だが、藤木は心、ここにあらずという表情だった。



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それが愛ですっ!!

「藤木君の知り合い」

 

「はい」

 

あの騒動から放課後に移り、俺達はそのままイリナを連れて、部長達が待っている部室へと来る。

 

そこで、イリナの自己紹介が終わり、先程までの藤木の事についてを話した。

 

「転校生の事だったら私も聞いたわ。

でも、芽多理花って」

 

藤木の身に起きた出来事と共に部長も同じように思ったらしい。

 

「部長達も思いました」

 

「どういう事?」

 

俺と部長に子猫ちゃんはその名前を知っている為、思わず頷く。

 

「何か知っているのですか?」

 

「はい、俺達が森で襲われた時に藤木が呟いたのが「これはメタリカと俺の絆の証だって」と言ってました」

 

あの時は目の前の戦いと噂に聞いていたキリアさんの強さに驚く事しかできなかったけど、今朝のあの反応や名前から考えても、一致する。

 

トトペペという奴とどんな関係なのか疑問だけど、もしもあの力と関係があるのか?

 

「気になるわね」

 

そう言い、部長も気になったように頷く。

 

「けど、その事について知っている人なんて「いるぞ」えっ!?」

 

俺達が頭を悩ませていたら、ゼノヴィアが答えた。

 

「いるって、あぁ!」

 

「とりあえず、電話して聞いてみるか?」

 

その言葉と共に、電話してから数分後、部室に白い光と共に現れたのは白い天使が現れた。

 

見た目がアーシアに似ている所もあり、成長したアーシアを見ているような気分だけど、この人は

 

「お忙しい中、申し訳ございません、フロン様」

 

「ふっフロン様って確か」

 

藤木がよく話す特撮バカと言っている人物だけど、目の前にいる人が本当に!?

 

「良いのですよ、悩んでいる人を助けるのも、また私の仕事ですから。

そして、初めまして、私はフロン。

魔界で、天使長をやらせてもらっています」

 

「魔界に天使」

 

「そりゃあ、天使ぐらいいますよ」

 

そう言いながら、目の前にいるフロン様が話してくれる。

 

聞いてみると、とても藤木の言うような特徴はないのだが

 

「それで、藤木君についてですか?」

 

「はい、転校生である彼女と知り合いのようでしたが」

 

「可笑しいですね、藤木君に女の人の知り合いは高校に入ってからですから」

 

そう言ったフロン様は首を傾げた。

 

「そっそれで、具体的に、その、どんな知り合いがいるんですか」

 

「なるほどなるほど、これは愛ですね!!」

 

すると、フロン様が何やら騒ぎだした。

 

「あっ愛?」

 

「ふむふむ、良いでしょう。

嫌ぁ、藤木さんは以外にも異性にモテますから」

 

「もっモテる!?」

 

その言葉に反応したのは部長と小猫ちゃんが反応した。

 

それとは別にアーシアとゼノヴィアは別の意味で反応しているが

 

「なんだって、私の所でもエトナさんも少し怪しいですけど、確実に恋愛が見えるのはウサリアさんとフーカさんですけど、これがなかなか」

 

なるほど、あいつ、意外とモテるのか。

 

だが、思い出したメンバーは全員が胸が可愛らしいメンバーが多いな。

 

「あっ、でもあの時の出来事がありますからね」

 

「あの時のって」

 

「・・・なんでもありません」

 

フロン様はそのまま消えていった。

 

ふむ

 

「気になる所で帰らないでください!」

 

「いやぁ、別にそれ程の事では。

まぁ普通に考えたらねぇ」

 

「何があったんですか」

 

「あっそれでは私、見たい特撮があるので帰ります!」

 

その一言と共に、その姿は完全に消えた。

 

「えっ何が、どういう事?!」

 

フロン様が置いていった爆弾のせいで俺達は未だに波乱に満ちていた。

 

「はぁ、とにかく、今度のディオドラ戦の事も考えないとね」

 

その言葉で再び気を引き締めた。

 

「あの時の試合はほとんど参考になりませんでしたが」

 

ディオドラは先日、家のアーシアに結婚を申し込んできた野郎だからな。

 

あいつの試合は二回見たけど、一回目の藤木の試合は容赦ない藤木の戦い方であまり参考にならなかった。

 

けど、その後も何か急激なパワーアップが見られて、怪しい所もあったので、油断はできない。

 

それでも、この夏の地獄の特訓を乗り越えた俺も負けていられないからな。



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ラハールの弱点

藤木と転校生との関係が気になりつつも、もうすぐ始まるであろうディオドラとのレーティングゲームに俺達は緊張していた。

 

少し前にディオドラの奴がアーシアとのトレードを申し込んできた事もあって、俺は余計に勝つ為に気合を入れていた。

 

だが、奴はなんと禍の団と手を組んでいた。

 

そして、俺達はそれによって、周りを渦の団に囲まれ、絶体絶命のピンチだった。

 

だが、そこに現れたのはなんとオーディンの爺さんだった。

 

オーディンの爺さんのおかげで少し状況が理解できた。

 

「ふむ、まぁ儂だけじゃないがな」

 

「えっ?」

 

その言葉に疑問を思っていると、空が光始めて、思わず見つめてしまう。

 

「ハァーッハッハッハッハッ!!」

 

「なっなんだ!?」

 

突然聞こえてきた声に俺達は驚きを隠せず、思わず上を見つめると、そこには信じられないような光景が広がっていた。

 

あり得ない数の隕石が次々と降り注いでおり、俺達を囲んでいた奴らは次々と潰されていった。

 

「あれは一体」

 

「なんだ、この程度かつまらん」

 

その言葉と共に一つの隕石が俺達の近くに落ちたと思ったら、そこから出てきたのはなんとラハールさんだった。

 

「えっと、なんで」

 

それはオーディンの爺さんでも入る事しかできなかった結界にどうやって入ったのかという疑問だったが

 

「あの程度の結界で、俺様が止められるとでも思ったか」

 

出てきたのはとんでもない一言だった。

 

この人、俺が知っている魔界の悪魔の中でも一番やばい奴だと再確認してしまう。

 

「それに暇潰しに見に来てみれば、つまらん事をしているからな。

直接潰しに来たんだ」

 

「えぇ」

 

相変わらず、行動がめちゃくちゃすぎる。

 

レッドマグナスさんもとんでもなかったけど、あの人は意外と話しやすい所もあって、俺の夢についても意外と理解があって良い人だと思ったけど、このラハールさんは本当に無茶苦茶だ。

 

「殿下ぁ」

 

「がはぁ!?」

 

そんな事を考えていると、今度はラハールさんは頭上に降り注いだ隕石によって、潰されてしまった。

 

「あら、潰れてしまった?」

 

その言葉と共に、隕石から降りたのは際どい水着の恰好をした女の子だった。

 

見た事のない子だったけど、なんというか、小猫ちゃんと同じぐらいの体系だった。

 

「あぁ、あんた、今私の胸を見て、なにを思った」

 

「いっいえ、何も」

 

「何にもないですってぇ!!」

 

「いや、そんな事言っていないです!!」

 

何やら、誤解はしていないが、それでも異常なぐらいの殺気が俺を襲っていた。

 

「それよりも、お前は俺様の心配をしないかバカ者!!」

 

その言葉と共にラハールさんは軽々と隕石を吹き飛ばし、そのまま近くに来ていた敵を吹き飛ばした。

 

「ちっ」

 

「今、舌打ちをしただろ」

 

「そんな事ないじゃないですか」

 

そう言っているけど、あの時、本気の顔をしていましたが

 

「とにかく、貴様らはさっさと、あのいけ好かない野郎を叩き潰せ。

この辺にいる雑魚は俺様が相手してやる」

 

「あれ」

 

そう言って、ラハールさんはそのまま背中を向けた。

 

この人、以外と良い人かも

 

「えぇ、でも殿下、ここに来る前はあいつをぶっ飛ばすって言ってませんでした?」

 

「予定変更だ!

それに、こんなムチムチが大量にいる所にいてたまるかぁ!!」

 

「むちむちっ!?」

 

その怒鳴り声と共にラハールさんはそのまま敵がいる方へと向かって行った。

 

「むちむちって、もしかして」

 

「私達の事ですか?」

 

そう言われても、俺にとっては幸運ともいえる環境だったけど、まさかあの魔王様にとっては不運だったとは

 

「もしや、魔界の悪魔はおっぱいが「それ以上言ったら、ぶち殺すわよ」すいませんでした!!」

 

俺が言おうとした時、エトナさんは取り出した槍をそのままこちらに向ける。

 

くっそぉ、勝てる気がしないっ!?

 

「たくっ、今回の戦いにあいつはいないのかよ」

 

「えっと、エトナさん、あいつとは」

 

「なんでもないわよ。

それよりも、面倒ねぇ」

 

そう言っていると、エトナさんはディオドラが向かった場所を見つめると

 

「爆破するか」

 

「えっ」

 

その一言が何を意味しているのか分からない間にエトナさんの周りに何やらペンギンのような何かが召喚されたが

 

「行ってきな、プリニー共!!」

 

その言葉と共にプリニーと呼ばれた奴らはそのまままるでミサイルのように飛んでいき、ディオドラがいるだろう神殿へと向かい

 

―――ドッカ―ン

 

次々と爆発していった。

 

それはとても綺麗な爆発であり、神殿は瞬く間に崩れ去って

 

「って、アーシア!!!」

 

俺は思わずエトナさんに詰め寄った。

 

「あの、俺達、あそこに捕らえられているアーシアを助けるのが目的なんですけど!!」

 

「えぇ、だって面倒なんだけど」

 

そう言いながら、欠伸をしているけど、この人は

 

「それに安心しなさいよ。

私としても、あいつが嫌がるような事はしたくないから」

 

「えっ」

 

その言葉と共に見てみると、神殿には確かに当たっていたが、俺達が昇るはずだった階段などは崩れており、丁度目の前まで来ていた。

 

「まさか」

 

「構っている時間はないわよ。

あんたらが、思っている以上に今回の敵は面倒なんだから」

 

「面倒って、一体」

 

そう言おうとした瞬間、地面に何かが落ちる音がした。

 

それは人の腕であり、見てみると大きな目と口を上部に持つ異形が大量に存在した。

 

「なっ」

 

「ぼさっとしていないで、さっさと行くわよ」

 

エトナさんはその言葉と共に槍を投げて、そいつを倒したけど、神殿から似たような奴らが次々と現れる。

 

「なんだよ、あいつらは」

 

「さぁね。

ただ、藤木を恨んでいる奴が送り込んできた刺客のようね」

 

その言葉に一瞬、トトペペの事を思い出す。

 

あいつが、過去で一体何をしたのか、気になる所だけど

 

「イッセー君、今はアーシアちゃんを助ける事に集中しよう」

 

「あぁ、そうだよな」

 

目の前にいる奴らがどんな事情を持っているのか知らないし、不気味なのは変わりない。

 

何よりも、今はアーシアを助ける事に変わりない!

 

「待ってろ、アーシア!」



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夜の再会

夜に感じる視線。

 

転校してきた彼女の正体についてを未だに知らない俺からしたら、連日から付きまとうその視線が気になっていた

 

ゆっくりと歩いていてもまるで、何時でも襲えるような、そんな不気味な雰囲気を出しながら。

 

「まったく、なんだよ、この視線は」

 

そう言いながら、俺は後ろを振り返る。

 

誰もいない。

 

だが視線を感じる。

 

その視線を俺はどこか知っているような気がする。

 

そうして、俺はそのまままた家に帰る為に前を見ると

 

「うわぁ!?」

 

先程までなかったはずの黒い人影がそこに立っていた。

 

電灯だけが光っており、僅かに見えたのはまるで黒い何かだった。

 

だが、それに俺は見覚えがあった。

 

「よまわりさんなのか?」

 

あの時、少女から聞いた伝説にいたよまわりさんだと気づくと俺はゆっくりと尋ねる。

 

よまわりさんは俺の言葉を聞いたのか、そのまま黒い身体が反転し、まるで人の口を剥き出しになったような姿へと変わった。

 

襲われると、一瞬思ったが、よまわりさんはまるで俺以外の何かを警戒するように見回っていた。

 

「敵、まさかっあいつかっ!!」

 

その言葉に合わせるように現れたのは気味の悪い蜘蛛だった。

 

蜘蛛の大群は赤い糸を吐きながら、俺に襲い掛かろうとしたが、よまわりさんがそのまま糸を振り払って、そのまま蜘蛛を蹴散らす。

 

「よまわりさん、これは一体」

 

「まったく、お前は本当に面白いのを引き寄せるよな」

 

「っ!?」

 

聞こえてきた声は聞き覚えがあった。

 

あの夢の時、助けられなかった彼女の声。

 

俺はその声の方向を見ると、駒王学園の制服を身に纏っているが、魔女を思わせる帽子を被り、腰まで伸びた金色の髪、何よりも緑色に輝く瞳が俺の知る彼女の証明だった。

 

「メタリカなのか」

 

「久しぶりだな、百騎兵、いや、クロ?

それとも、こっちの世界での名前の藤木の方が良かったか?」

 

次に出てきたのは、メタリカと俺しか知らないはずの名前であるクロだった。

 

その意味を知っているのも俺とメタリカの二人しかおらず、俺はそれ以外の誰にも言っていないはずだ。

 

「本当におまぶわ!?」

 

涙が出そうになりながら、見つめると、メタリカはそのまま俺を蹴り飛ばした。

 

「なっなにをするんだぁ!?」

 

「五月蠅い!?

よくも私以外の奴と仲良くしていたな!!

お前は私の使い魔なんだから、私以外と仲良くするなぁ!!」

 

「うわぁ、それ、相変わらずどうなんだよ、たくっ」

 

傍若無人とも思える発言の数々だが、それらを聞けて、俺は同時に嬉しくなって、涙を流す。

 

そんな俺を察したのかよまわりさんが何時の間にか蜘蛛達を倒し終えたのか、ハンカチを俺に渡してくれた。

 

「ありがとう、よまわりさん。

あんた、結構良い奴なんだな、本当に」

 

あの時は少女を助ける為に逃げていたが、本来は優しい存在だと知り、そこからあいつを倒す為に協力した味方だ。

 

「というか、あの時のは夢じゃなかったのか?」

 

「そんなの、私が知っている訳ないだろ。

けど、私はお前の事を知っている。

お前は私の事を知っている。

それで十分じゃないのか」

 

「まぁ」

 

その言葉に多少の違和感を持ちながらも納得する。

 

「まぁそれはそれとして、なんでお前がここにいるんだ」

 

「いや、さっきの台詞を無視か。

たく、お前は変わらないな」

 

俺の言葉を聞いて、少し呆れたようだったが、すぐに持ち直したメタリカは

 

「私自身も分からないさ。

目が覚めたら、全然知らない文明の機器に囲まれていた。

どうやら、どっかのお嬢様の身体だったみたいのようだがな」

 

「あっ」

 

その言葉を聞くと共にメタリカと似た少女の事を思い出す。

 

確か、重い病気でもう生きる事が出来ない程だと聞いたが、もしかして。

 

「なんだ?」

 

「なんでもない。

それよりも、今はこいつらだな」

 

そう言いながら、俺は見つめた先はよまわりさんによって潰された数々の蜘蛛の残骸だった。

 

もしも俺の予想が正しければ

 

「こいつらは山の神の手下共だ」

 

疑問は確信に変わると共に、すぐに山の方を見る。

 

山の神がもしもいるとしたら、あそこにいる可能性がある。

 

だが、今の俺で果たして

 

「おい」

 

「って、うわぁ!?

マオさんっ?!」

 

声が聞こえて、見つめると、そこにはなんとマオさんが立っていた。

 

「マオさん、なんでこんな所に?」

 

「なに、少し用事ああってな。

それにしても、神の手下共か、これはこれでなかなかに良いサンプルじゃないか」

 

そう言いながら、潰された蜘蛛達を見て、マオさんはすぐに涎を出し始めた。

 

「おい、このクソガキはなんだ」

 

「クソガキとはなんだ、小娘。

まぁ良い、おい藤木、さっさとこいつの本体を捕りに行ってこい」

 

「捕りにって、どこにいるのか。

それに俺が勝てるかどうかなんて」

 

「それならば既に解決している」

 

同時にマオさんが何時の間にか用意したのか青い鳥を思わせる籠手となぜか古い漫画に出てくるような宇宙船が一つ。

 

「貴様の力を解放する為のだ。

貴様の夢に出てきた力は大抵再現できるようにしていた」

 

「マジですか!?」

 

日々、この人の頭はやばいと思っていたが、そこまでできるようになっていたとは。

 

「そら、さっさと本体を連れてこい!」

 

「ちょ、マオさん、押さないでっ!!」

 

マオさんはそのまま俺を宇宙船に押し込むと同時にスイッチを押した。

 

「ちょ、待っ」

 

同時にロケットは点火され、俺はそのままどこかに飛ばされた。



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青い炎

あと少しだった。

 

エトナさんがここまで道を開いてくれて、あんとかここまでたどり着けた。

 

だけど

 

「アーシアっ!!」

 

すぐ目の前にアーシアがいるのに、その先に進むことができなかった。

 

無数の蜘蛛の糸によって動きが止められ、その先にいるアーシアもまた蜘蛛の糸に繋がられていた。

 

「あはっははっやっぱり、僕達は神によって祝福されているんだあぁ」

 

そう言いながら狂ったような声を出しているディオドラの背後に立っていたのは不気味な奴だった。

 

そこには身体全体に無数の目玉を持ち、奥に二本の足があり、手前の左手の目だけ潰れている。頭部に目玉が集合しており蜘蛛のような姿に似ている。

 

そんな奴が俺達の邪魔をしていた。

 

「さぁ神よ!

僕とアーシアを結んでくれぇ!!」

 

そう言いながら、神と呼ばれた奴はそのまま赤い糸をディオドラとアーシアに伸ばしていた。

 

「くそっ」

 

なんだか分からないが、それでもこのままでは何か危険だと思い、手を伸ばす。

 

だが、蜘蛛の糸によって前に進む事ができない。

 

「くそっ」

 

進む事ができない、もう絶体絶命の状況だった

 

「あの人ハアァあぁ!!」

 

「はっ」

 

どこからか聞こえてきた声と共に神と呼ばれた奴に勢いよく何かが当たった。

 

その衝撃でそのまま後ろへと倒れた。

 

「ぐぇ」

 

出てきたのは巨大な奴は、一昔前のロケットだった。

 

ロケットはそのままディオドラの真横に降り立ち、その衝撃で吹き飛ばされる。

 

そのロケットの窓から出てきたのは

 

「ふっ藤木っ!?」

 

現れたのは、なんと藤木だった。

 

「たく、マオさんめぇ。

こんな所に詰め込みやがって、今度会ったら覚えていろよ。

んっ、一誠に先輩達」

 

何が起きているのか分からないように見つめている藤木だが、その背後にはディオドラが既に攻撃しようとしていた。

 

「後ろだっ」

 

「もう遅いっ!!」

 

その言葉と共に放たれた魔力の一撃は真っすぐ、藤木に向かって飛んでいた。

 

だが

 

「ドラァ」

 

藤木はそのまま魔力をそのまま殴り返した。

 

「なっあれはなんだっ!?」

 

その藤木の腕に装着されているのは青い籠手だった。

 

俺の持つ赤龍帝の籠手とも違う、これまで見た事のない奴だった。

 

「なっなんだっそれはっ!?

お前がっなんで神器をっ?!」

 

「神器?

なんだ、それ?」

 

そう言いながら、藤木はこれまでと変わらない態度でそのままアーシアと神を見つめた。

 

「山の神、まさか悪夢の続きしたいようだな」

 

その言葉と共に藤木は拳を握りしめると、その拳には緑色の魔力が込められ、そのままアーシアを縛り付けていた糸を殴った。

 

「ピラーブレイク」

 

その一言と共に、アーシアを縛っていた糸は斬られ、同時に緑色の泥が周りに散らばった

 

 

「なっ何が」

 

一瞬の出来事で困惑している間に

 

「一誠、パス」

 

「えっうわっと!?」

 

藤木はそのままアーシアを俺に向けて投げてきた。

 

「きゃぁ!?」

 

「うわっと」

 

俺はすぐに抱きかかえ、前を見る。

 

「ボクノアーシアヲカエセ!!」

 

おいでおおおいでおおおいでおでいでおいいで

 

 

「っ!?」

 

アーシアがこちらに来たのと同時にディオドラと山の神がこちらに迫っていた。

 

だが

 

「「これ以上、好き勝手させるか」」

 

俺と藤木の言葉が重なると同時に俺は禁手(バランス・ブレイク)になると同時に藤木の身体が一瞬だけ青く輝くと同時に

 

「ドラァ!!」

 

その言葉と共に巨大な物音と共に山の神が地面へと倒れ込む。

 

「ドケエェェ」

 

「無駄だ!!」

 

俺はそのまま突っ込んでくるディオドラを殴り返した。

 

ディオドラはそのまま地面へと叩き込む。

 

同時に藤木の方を見ると、そこには山の神が放っただろう糸が燃え広がっていた。

 

ただし、その炎は青く燃えていた。

 

「なんだ、あれは」

 

「これで、とどめだ」

 

その一言と共に地震に匹敵する揺れが響いた。

 

「あいつは本当に」

 

そのあまりの事に思わず呟いたが、同時にとんでもない速さで走ってきた藤木が来た。

 

「なっ藤木!?」

 

「何をしているんだ?

さっさと逃げるぞ」

 

「逃げるって、どこに」

 

「いや、ラスボス?を倒したら、建物が崩れるのは当たり前だろ」

 

「えっ、そんな当たり前って」

 

そう言っていると、本当に建物が崩れだした!?

 

「こんな展開ありかよ!?」

 

途中までのシリアスな流れが吹き飛ぶように俺達はそのまま神殿から逃げ出した。

 

戦いが終わった後、藤木とエトナさんの姿は消えてしまった。

 

魔界関連の事については、もう細かい事を気にしてはいけないと、思わず悟ってしまった。



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手袋な謎

運動会が無事に終わった俺は久しぶりにオカルト研究部に招待された。

 

「それで聞きたいのだけど、あなたのあの時持っていた物ってなんなの」

 

「えっ、マオさんから貰った物なんだよな。

確か、ここら辺に」

 

その言葉と共に取り出したのは、あの時に使った道具を取り出す。

 

あの時は俺が夢に見た百騎兵の力を再現する事ができた道具だが、今はただの手袋へと変わっていた。

 

「こっこれが」

 

「あぁ、こう、腕に嵌めて、気合いを入れたら」

 

その言葉と共に俺の腕に合わせた百騎兵の腕に代わり、その手甲には青い炎が灯った。

 

「な、なんなのこれは?」

 

「キヒヒ、なんだ説明していなかったのか」

 

「ぐへぇ」

 

同時に俺の頭に乗った声と共に聞き覚えのある声があった。

 

「いきなり現れるなよ、メタリカ」

 

「キヒヒ、使い魔の世話をするのが主人の役目でしょ」

 

その声と共に見つめると、学生服を身に纏っているが、その頭には魔女の帽子を被っているメタリカがいた。

 

「えっ、つっ使い魔!?

えっえっ!?」

 

その言葉にその場にいた全員が驚きの声しか出せなかった。

 

「というよりも、お前は本当にどうやって来たんだ?」

 

「来たんじゃないがな。

まぁお前の知っている私が死んだ時に、この世界の私も死んで、魂だけの私がこの世界の私の身体に入って、こうして生きている訳だ」

 

「????」

 

何がどういう事か、俺の頭に入ってこなかった。

 

「まぁ馬鹿なお前に説明すると、私もお前と同じ夢を見たんだよ。

お前は百騎兵、私はメタリカという違う視点でな」

 

「あぁ」

 

その言葉で少し納得した。

 

まさか同じ夢を見ていたとはな。

 

「だとしたら、俺の知っているメタリカなのは変わりないんだな」

 

「あぁ、その通りだ」

 

そう言いながら、笑みを浮かべるメタリカ。

 

「それで、あなたは何時まで、彼の頭の上に乗っているのかしら?」

 

「キヒヒ、こいつは私の物だからそれは当たり前の事だろ?」

 

その言葉と共にメタリカは挑発するような笑みを浮かべており、グレモリー先輩の間に火花が走っているようだ。

 

「んっ、もう一つあるな」

 

俺はそう言うとマオさんから受け取ったもう一つの手袋を嵌めると、同時に百騎兵の青とは対照的な赤い籠手に変わった。

 

その手甲には百騎兵とは違い、古い本を思わせるボロボロの手袋に手甲には黄色い目が現れる。

 

「なっなんだ、それは?」

 

「そもそも、その手袋は一体なんなんですか?」

 

姫島先輩の言葉と共に、俺はマオさんから受け取った説明書を見つめる。

 

「なになに、この手袋は俺と契約した人物を通して、自身の力を再現する事ができる」

 

「つまりは私の場合は、百騎兵な訳だが、おい、これはなんだ」

 

「契約と言われてもなぁ」

 

その言葉と共に思い出すのは

 

「あぁ、ルカか」

 

「るっルカっ!?」

 

「また新しい女の名前!?」

 

その言葉を聞き、メタリカとグレモリー先輩、さらには小猫ちゃんまで反応した。

 

「お前、何時の間にハーレムを作っているんだ!!」

 

「おいおい、あのなぁルカは10歳ぐらいの子供だぞ。

そういう関係じゃないし、夢の出来事だから」

 

「夢の私がいるんだが」

 

そうメタリカは呆れたように見つめる。

 

「とにかく、これからは私の使い魔として、こき使うから覚悟しろ。

という事でさっさと帰るぞ」

 

「俺、バイトがあるんだけど」

 

「バイト?

なんだ、私が養ってやるんだが」

 

「悪いが、自分の分ぐらいは自分で稼ぐよ。

だったら、メタリカもカレーを食べに行くか?」

 

「・・・・まぁ良いだろ」

 

そう言いながら、俺はそのまま歩き出した。

 

「・・・おい、藤木、その」

 

「んっ?」

 

「なんでもない」

 

兵藤が何か伝えようとしたが、途中で止めてしまった。

 

疑問に思ったが、特に気にせず、俺はそのままバイト先に向けて、歩き出した。

 

(芽多さんを頭に乗せたまま行くのか)



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エトナとプリニービーチ

「やってきたわよ~海!!」

 

「なんだか盛り上がっているなぁ」

 

「ここに来た瞬間からテンションアゲアゲっすねぇ、エトナ様」

 

俺がバイトの久しぶりの休みを取って、部屋でのんびりと過ごしていたら、突然やってきたプリニー達に連れ去られた。

 

連れ去られる途中でプリニー達よって、無理矢理水着姿に着替えさせられて、気が付くと目の前には見た事のない砂浜に立っていた。

 

「当然でしょ、ここの冥界は有名な観光スポットなの。

ここのスイーツも気になっていたから、それに」

 

その言葉と共に、エトナはそのまま空から降り注ぐ太陽を見つめる。

 

「降り注ぐ太陽、きらめく海。

そこにこの絶世の美少女であるエトナ様がいれば、最高のロケーションでしょ」

 

「それで、俺をなんで呼んだんですか?」

 

そこまで聞けば、俺がいる必要なくない?

 

「何を言っているの、プリニー達の雑用以外にあんたには私と一緒にいてもらないといけないの。

一人でできる事は少ないからね」

 

「はぁ?

そういう物か?」

 

あまり海に来た事のない俺はあまり予想はできなかったが、エトナさん自身が言うならば、別に良いけど

 

「エトナ様、なんだかいらないツンデレをやっているっすね」

 

「まぁ自分の恋についてはあまり言わないからっすね」

 

「えい」

 

「「ぎゃあああああ」」

 

「ぷっプリニー!?」

 

俺が目を離している間に、プリニー達は遠くに投げられ、爆散した。

 

何が起きたのか分からずに困惑してしまう。

 

「さぁ、藤木、さっさとパラソルにオイルを用意して、この海を楽しみわよ」

 

「えぇ」

 

あまりの理不尽に俺は呆れながら、そのまま砂浜へと行こうとすると

 

「あれ、立ち入り禁止?」

 

その看板を見て、何なのか分からずに困惑していると

 

「おいおい、君達。

ここから先の海は今は立ち入り禁ってぐぇ!」

 

「どういう訳かしら?」

 

海に入れない事に困惑していると、エトナがそのまま監視員の人の胸倉を掴んだ。

 

「いっいや、その、謎の怪物が現れてっ!?

危険ですので、ぐぇ!?」

 

エトナはそのまま監視員を捨てると

 

「だったら、狩ってやるわぁ!!

藤木、あんたも手伝いなさい!!プリニー共!!!」

 

「はい!!」

 

「了解しましたっス!!」

 

エトナはそのままどこから取りだしたのか、ロケットランチャーやミサイルなどを取り出し、その顔からは怒りしか感じられなかった。

 

その迫力に俺達は思わず、返事してしまった。

 

それと同時にエトナは引き金を引きながら、海にいた人を襲う存在を次々と宙へと舞っていた。

 

海へと打ち上げられたのは鮫や巨大なイカ、さらにはアンコウ、マグロあり得ない生き物がいた。

 

「それにしても、イカか。

イカソーメンに刺身、今日の夜は豪勢だな。

それにシーフードカレーかぁ」

 

俺は次々と打ち上げられた生き物の下処理を行っていく。

 

キッチンは何時の間にかプリニー達が用意してくれたので、すぐに準備を行っていた。

 

「はぁすっきりした。

まぁ、こんなので良いか」

 

そう言うとエトナさんはそのまま持っていた武器を投げ捨てる。

 

「それにしても、汚いビーチね」

 

「いや、エトナ様がやりましたっすね」

 

「なんか言った?」

 

「なんでもありませんっす!!」

 

そう言うと共にプリニー達はエトナによってミサイルの焼き焦げなど片付け始めた。

 

「さて、それで食事は用意している?」

 

「一応は、簡単な奴ならば」

 

「よし、それじゃあ、さっさと食べるわよ」

 

そう言い、エトナはそのまま美味しそうに料理を食べ始めた。

 

「んっ?」

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんか人影が見えたような?」

 

「気のせいじゃない?」

 

「そうかなぁ?」

 

疑問に思いながらも、特に気にする必要もなく、料理を作り続けた。

 

―――

「くっ!!

まさか、あのような奴がいるとはっ!!」

 

「曹操、あれは一体」

 

「おそらくは魔界の悪魔だろう。

なるほど、噂と同じぐらいに凶悪な奴らだ」

 

「まさか海でレオナルドの実験で作り出した魔獣をあそこまで簡単に焼き払われるとはな。

しかも料理されているとはな、本当に常識が通じないな」

 

「とにかく、ここは撤退だ」

 




「山の神を倒した藤木さん!
そんな彼の前に現れたのは衝撃の存在が現れます!」

「衝撃って、どんな存在なんですか」

「そして、さらには北欧から侵略者の襲撃が藤木さんに襲い掛かります。
その時、新たな力が藤木さんの危機を救います!!」

「新たな力って」

「次回!魔界刑事フジキ!
知らなかったでは済まされないぞ」

「トト様!!」


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素人だと思っていたら、実は経験者になっていた

「案内ですか?」

 

「あぁ、その頼む!!」

 

そう言いながら、いつものようにバイトをしている時に俺に頭を下げていたのは、俺の知り合いであり、護身術を教えてくれたアデルさんだった。

 

俺の護身術は基本はキリアさんから教えてもらった超魔流という武術だが、アデルさんの武術はかなり威力があるので、一撃必殺の時にはアデルさんから教えてもらった武術を参考にしている。

 

そんなアデルさんが、なぜこのような事を?

 

「実は、今度あいつと出かける事になったけど、こっちの土地勘はあんまりなくてな。

おすすめの店とかあんまり知らないんだよ」

 

「そうでしたか、まぁここはデートに来る場所じゃないですからね」

 

あらためて、見るがキリアさんの店は昔ながらの雰囲気があるカレー屋であり、気軽に入れる雰囲気もあって良い店だと断言できる。

 

だが、デートするのに良い場所かと言えば、少し首を傾げるが

 

「そう言っても、あのロザリンドさんですよね。

うぅ~ん」

 

何度か面識があるので、性格は知っている。

 

だが、あの人の好みが果たして合うのかどうか、分からないし。

 

「とりあえず、今度の休みに色々と見て回りましょう。

そこで良いデート場所が見つかるはずです」

 

「本当か、すまないな」

 

「いえいえ、いつも世話になっていますから」

 

俺はそう言いながら、できたカレーをそのまま渡した。

 

「そう言えば、お前は彼女とか作らないのか?」

 

「彼女?

いや、そもそも、俺ってそんなにモテないですから、彼女はいませんよ。

女の子の知り合いは多いですけど、でもなぁ」

 

思い浮かべるだけでも、学校でも先輩や後輩にも知り合いはいるが、付き合う程に仲が良いのか疑問に思う。

 

だからと言って、フーカはこちらに好意があるとは思えないし、メタリカとエトナは完全に下僕扱い。

 

結構仲の良いウサリアもさすがに小さい子すぎるからダメだろ。

 

「まぁ確かに」

 

同時にアデルさんも納得したのか、頷いた。

 

アデルさん自身も知っているメンバーの為、簡単に想像ができたのか、かなり呆れた状態だった。

 

「だけど、お前は色々と考えないといけないぞ。

その内、知らない内に子供ができていたりするぞ」

 

「はははっ、まさかぁ、幾ら俺が鈍感でも、子供ができる訳ないでしょ」

 

そう言いながら、笑っていると、ドアが開いた。

 

この季節では少し寒いだろう半パンにぶかぶかの服、さらにはぼさぼさの金髪の子供が入ってくると同時に、きらきらとした目で俺を見ていた。

 

「とっトト様だぁ!!」

 

そのままその子は俺の元へと来ると、そのまま抱き着いた。

 

「とっとと様?

て、俺は神様じゃないぞ」

 

言葉の意味が分からず、思わず首を傾げてしまう。

 

「えっ、トト様はトト様だよ。

そう、カカ様が言っていたよ」

 

「カカ様?

いや、誰?」

 

「えっトト様、カカ様を知らないの!!

そんなひどいですよ、そんなのひどいですよ!!」

 

「いや、えっどういう事!?」

 

何を言っているの分からず、俺は思わず混乱する。

 

「いや、えっと、お嬢さん。

そのトト様とカカ様というのがよく分からないけど、少しお兄さんに教えてくれないか?」

 

さすがに状況が分からなかったので、アデルさんがすかさずに入ってくれた。

 

「トト様はトト様だもん。

ドロのトト様だって、カカ様が教えてくれたんだから」

 

「ドロって、どういうんっ?」

 

そこで話がよく見えなかったが、少し落ち着かなかったが、少し冷静に考えてみる。

 

「えっと、ドロちゃんにとって、カカ様って、どんな人なの?」

 

「カカ様はね、とっても優しくて、いつもニコニコ笑っているの!

トト様の事もいっぱい話してくれてたんだ。

トト様の世界に行くのも夢だって、カカ様が言っていたから」

 

「世界っ、それって、まさか別の世界の」

 

その一言に俺達は驚いてしまう。

 

目の前にいる子は別の世界から来たという。

 

メタリカの一件もあり、夢で会った人物が実際に会う可能性もあると考えていたが

 

「そう言えば、カカ様はトト様の事をレキテーちゃんって呼んでいました?

どういう意味なのか、ドロにはさっぱりわかりませんが」

 

「・・・レキテーちゃん」

 

その一言を聞き、目の前にいるドロという子を見る。

 

あらためて見ると、見た目の特徴は確かに似ている。

 

だが、もしも

 

「聞きたいけど、そのカカ様の名前って、もしかしてだけど、マズルカだったりする」

 

「あぁ、やっぱりカカ様の事を知っているじゃない、トト様の嘘つき!!」

 

「おい、マズルカって、誰なんだ」

 

「えっと、俺が夏休みにマオさんの実験に付き合わされた事を話しましたよね」

 

「あぁ、確かに聞いたが」

 

「そっその時に会ったのですが、最後の会話で子供ができたと言っていたけど、俺そういう記憶もなくって、そういう相手がいるのだと思っていたですけど」

 

「おい、まさか」

 

同時に俺達は思わずドロを見つめる。

 

「私、ドロ!

トト様とカカ様の娘なんです!!」



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罪人は償えるか

正直の真実、まさか俺に子供ができていた。

 

あまりにも急展開過ぎる為に、俺はどうすれば良いのか分からないが、とりあえずはドロは本当にルカにそっくりな容姿だ。

 

さらには容姿だけではなく、色々な所がルカに似ている為、無関係ではないという事がよく分かった。

 

「今日はどこに行くんですか!!」

 

「まぁドロが行きたい所かな?

ドロはどんな所に行きたい?」

 

「美味しいのを希望します!!」

 

「そうか、分かった」

 

そう言いながら、俺はドロの手を繋ぎながら、町を歩いた。

 

休日という事もあって、人込みが多く周りにはカップルが多い。

 

「あれは、やっぱり藤木さんですよね」

 

「えっえぇ、けど、あの子、小猫よりも年下で、まだまだ小学生よね。

えっそれじゃあ、もしかして」

 

何やら後ろから声が聞こえてきたけど、特に気にせずに歩いていると

 

「あっ」「んっ」「あら」「ほえ?」

 

そう歩いていると、前方から人影が見え、見てみると、そこにいたのはイッセーと姫島先輩だった。

 

「えっ、あれ、藤木、こんな所でどうしたんだ!?」

 

「んっ、お守り」

 

「はい、初めまして、ドロと申します!!

トト様がいつもお世話になっています!お世話になっています!!」

 

「あら、良い子ねぇ。

あれ、それよりもトト様って?」

 

「んっ、トト様はトト様ですよ」

 

姫島さんはそのまま気になったのか、質問しているが、ドロは疑問に思ったように首を傾げる。

 

「えっと、トト様とは一体なんなのかしら」

 

「あぁ、えっと、なんというか。

どうやら、この子、俺の娘らしい」

 

「むっ娘!?」

 

その言葉に驚いたのか、一誠は大声を出してしまう。

 

「そう、藤木君の」

 

「うん、トト様はこの前初めて会った時から優しかったんだ!

カカ様から聞いていた通り、とっても頼りになって、大好きなんだ」

 

「そう、良かったわね、藤木君のように優しいお父さんで」

 

「うん!!」

 

そう言ったドロの表情を見つめながら、姫島さんはどこか遠い目で見つめていた。

 

「んっ?」

 

同時にこちらを睨む何かに気付き、俺はドロを抱えると共にその場を飛ぶ。

 

それと共に襲い掛かってきた奴の正体を確かめるように睨むと

 

「おいおい、いくらなんでもこれは馬鹿げてるなぁ」

 

「藤木、知っているのか?」

 

「まぁな」

 

同時に俺は構えながら、目の前にいる存在を見つめる。

 

「まさか襲ってくるとはな、ニムト」

 

そう言いながら、目の前にいる巨体の男、ネルドに向けて俺は叫ぶ。

 

「見つけた見つけた見つけた」

 

「っ」

 

「なっなんだ、あいつは」

 

その異様な雰囲気に思わず一誠は怯んだが、俺はそのままゆっくりと構える。

 

「すぅ」

 

ゆっくりと深呼吸をすると共に周りを見つめる。

 

周りの雰囲気は赤く、黒い異様な様子と共に見覚えのある人物が次々と現れる。

 

「こいつの事を知っているのか」

 

「夢の中でだけど。

それに」

 

その言葉と共に周りを見渡せば、そこに囲んでいたのはあの街の住人が多く集っており、そいつらは全員が顔に紫色の何かに覆われていた。

 

「さてっと、厄介な事になったな」

 

そう言いながら、俺はドロを抱きかかえる。

 

「まったく、異様な雰囲気だと思って来てみれば」

 

その言葉と共に空から降り注いだのは、炎だった。

 

炎はそのまま固まっていた住人を焼き尽くした。

 

「アデルさん」

 

「よぅ、藤木。

それにドロじゃないか」

 

「わぁ、アデルさん!!」

 

「あっアデルって、確か」

 

アデルという名前を聞いて、一誠達は何やら驚いた表情をしているようだけど

 

「それよりも、藤木、こいつらは?」

 

「死人ですよ。

大昔に死んだ罪人らしいですけど」

 

「なるほど、だったら、プリニーにしてやるとするか」

 

そう言いながら、アデルはそのまま構える。

 

「だけど、この数をどうするんですか?」

 

「心配するな、すぐに片付くよ」

 

「えっどういう」

 

その言葉を聞き終える前に残っていた住人達は一瞬で凍る。

 

同時に優雅に降り立つ人影が一つ

 

「まったく、デート中なのに、無粋な奴らだな」

 

そこには赤や黄色の大きなリボンとフリルをあしらった、黒い胸開きドレスを身に纏っている女性がいた。

 

「おっロザリンドさん。

という事は今日はデートという訳でしたか」

 

その人物の名はロザリンドさん。

 

アデルさんの恋人で10年以上のラブラブで、周りからは早く結婚しろと言う程のラブラブっぷりだ。

 

「それにしても、このような事をしたのは一体何者なんだ?」

 

「まぁもしも夢の通りだとしたら、少し犯人は想像できますけどね」

 

そう言い、周りを見つめると、既に元の景色に戻っていた。

 

「ドロのせいでしょうか」

 

「はぁ、そんな訳ないだろ。

さてっと、どうしたもんかなぁ」

 

そう言いながら、俺はこれから起きるだろう厄介な事に頭を抱える。



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修羅場な家

あれから、俺は特に気にする事もなく、そのままドロと一緒に家に帰った。

 

あの時はアデルさん達が対処してくれたが、今後もあいつらが襲ってくる可能性はかなり高いと考えている。

 

夢の中でしか見た事のない光景とはいえ、奴らの容赦ない行動はとても恐ろしい。

 

その一部を見た事のある俺にとってはもしも現実で現れた時の事を考えると、少しだけ震えてしまう。

 

「トト様」

 

そんな俺を心配したのか、涙目で俺に寄り添ってくるドロ。

 

その姿はやはりルカと重なっており、そして、名前の元となったであろうドロニアさんの事を思い出す。

 

「んっ大丈夫だよ」

 

俺はそう言いながら、心配しているドロの頭を撫でながら、今後の事を考えていた。

 

「あいつらは多分不死身だよな」

 

あの時、確実に倒せたという実感はない。

 

おそらくは何度も襲い掛かってくるだろう。

 

そして、ルフランが関わっている以上、そのバックにいるだろう黒幕はおそらく間違いなく

 

「だとしたら、どう対処したら」

 

「たく、珍しく悩んでいるじゃないか」

 

「ぐぇ、メタリカ!?」

 

そんな悩んでいる俺を足蹴りにしながら現れたのはメタリカだった。

 

「んっ?誰?」

 

「あぁ、なんだこの餓鬼は?」

 

突然現れたメタリカにドロは疑問に首を傾げ、メタリカも見知らぬドロに対して疑問に思ったのが見つめる。

 

「ドロ、そいつはメタリカ。

結構頼りになる奴だぞ」

 

「まっまぁな、この泥の魔女であるメタリカ様に不可能はないからな!!」

 

俺はそのままメタリカを紹介すると、何やら上機嫌になったのか、笑みを浮かべる。

 

「メタリカ、こいつはドロ、俺の娘らしい」

 

「・・・はぁ」

 

そして、俺の一言を聞いて、先程までの態度が一気に冷めたように睨まれる。

 

「初めまして、ドロと申します!」

 

「・・・どういう事だ」

 

ドロの言葉を自己紹介を聞いた後、俺に睨みつけるメタリカ。

 

「いや、俺も最近まで知らなかったけどな。

どうやら、ルカが俺の知らない間にそのまぁ、やっていたらしい」

 

その言葉を聞いた瞬間、やばいと思った俺はそのままドロの耳を塞いだ。

 

「はぁ、それってお前が寝ている間に―――をされたのか、この―――――――がぁ!!」

 

予想通り、メタリカの口から飛び出たとんでもない言葉に思わずくらっとしてしまう。

 

「???」

 

一方、俺に耳を塞がれて、何を言っているのか分からないドロは首を傾げるしかなかった。

 

「はぁはぁ、たっく、貴様はぁ!

まぁ、もうどうでも良いわ。

それよりも話を聞かせろ」

 

「えっと、あぁ、そうだな」

 

俺はそう言い、これまでの経緯とルフランでの出来事を全てを話した。

 

「ほぅ、それはそれで興味深いな。

不死身の罪人ねぇ」

 

「あぁ、どうしたら良いのかと」

 

そう言いながら、悩んでいると

 

「ちょっと、さっきの大きな声なんなの!!」

 

「突撃デス!!」

 

「うわぁ、増えた!?」

 

そう言っている間にもさらに数を増やしたのか、フーカとデスコが入ってきた。

 

「あぁなんだ、小娘はぁ」

 

「なによ、不良が何の用なの」

 

メタリカとフーカは互いに睨みあった瞬間、険悪になっていた。

 

その険悪な雰囲気に俺は挟まれてしまい、思わず胃が痛くなってしまう。

 

「うわぁ、凄いですよ恰好良いです!!、

 

「そうですか?

えへへえぇぇ」

 

それとはまるで反対にデスコとドロはとても良い雰囲気になっていた。

 

なんだかほっこりするなぁ。

 

「とりあえず、小娘はさっさと帰れ。

こいつの問題は私が解決するからな」

 

「はぁ、何を言っているの?

藤木、あんたも困っているならば、私達に頼りなさいよ!!」

 

「何か悩み事ですか?」

 

「いやぁ、信じられないけど」

 

それから俺は二度目になる説明を行う。

 

「へぇ、それだったら、良い方法があるわよ。

まぁ裏技みたい方法かもしれないけど」

 

「えっあるの!?」

 

フーカからの言葉に驚いた俺は思わず詰め寄ってしまう。

 

「そうよ、まぁヴァルっちやエミーゼルの協力が必要だと思うわ」



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赤い月

久しぶりの更新で、短めで申し訳ございません。
今回はディスガイアでも有名なあれが出てきます


「ふぅ」

 

あれから、何度もルフランの街の住人が襲いかかってくいた。

 

「無駄ぁ!!」

 

そう言いながら、ニムトの巨大な拳が襲いかかるが、手から溢れ出す炎の勢いで殴り飛ばす。

 

殴り飛ばした事によって、周りにいたルフランの亡霊達も巻き込み、そのまま周りを見渡す。

 

ルフランの街の住人が襲いかかってきたのは夜という事で、月が浮かんでいた。

 

「さて、もうそろそろだな」

 

「あぁ」

 

そう言いながら、見つめた先には変わらずルフランの街の住人は変わらずに襲いかかっていたが

 

「さて、準備は良いかな」

 

「なに?」

 

俺の言葉に疑問に思ったルフランの街の住人だったが、次の瞬間、空に浮かんでいた月に大きな変化が起きた。

 

それは黄金に輝く月ではなく、真っ赤な月が浮かぶ。

 

「あれは一体」

 

「赤い月だよ」

 

その月が見えると共に、自然と聞こえてきた声。

 

同時に

 

「あっああぁ」

 

その叫び声と共にニムトを始めとしたルフランの街の住人達が次々と浮かんでいった。

 

「俺達、消えるのかっ!?」

 

「さぁな。

だけど、エミーゼルから聞いた話だと転生するらしいな」

 

この現象について、俺も詳しい事は聞いていないが、それでも

 

「お前達が少しでも安らげるのを祈っているよ」

 

「・・・お前」

 

その言葉が届いたのか、ニムト達を始めとしたメンバーは次々と成仏していった。

 

やがて、ニムト達が消えた後

 

「それで、お前があいつらを差し向けた奴か」

 

そう言い、後ろにいた奴を睨みつける。

 

そこには気味の悪い笑みを浮かべる男が立っていた。

 

「役に立つと聞いて、差し向けたが、こんなにあっさりと対策されるとはな」

 

そう言いながら、降り立った男を睨みつけながら

 

「初めましてだな、藤木大地。

我れこそは」

 

名前を名乗ろうとした奴に向けて、俺はそのまま接近し、殴り飛ばす。

 

「おいおい、いきなり殴るとは常識がないぞ」

 

「死人をこんな扱いにさせた奴には一発殴らないと気が済まないんだよ!!」

 

俺はそのまま再び殴り飛ばそうとしたが、横から何か襲い掛かってきたので、俺はすぐに構えて、それを受け止めた。

 

「野犬、いや、狼!?」

 

そこには今の日本ではあり得ない大きさの狼がいたが、俺はそのまま狼をそのまま投げ飛ばす。

 

「紹介しよう。

これは我が息子、フェンリルだ」

 

「フェンリルか、なんか知らないけど、そんな大きな犬を連れてくるなよ」

 

そう言い、俺は睨みつける。

 

「まぁオーディン相手には亡霊も効かないし、藤木大地。

お前との戦いはまた別の機会にさせて貰おう」

 

そう言い、男は姿を消した。

 

「ちっ、殴り損ねた」

 

俺はそう言いながら、舌打ちする。

 

「どうやら、お困りのようだにゃ」

 

「んっ?」

 

聞こえてきた声に振り替えて、見ると、そこには確か

 

「小猫ちゃんのお姉さんの黒歌さん?」

 

「にゃん、覚えていて、嬉しいにゃん」

 

そう言いながら、黒歌さんは俺に近づき、寄り添う。

 

「なんの用ですか?」

 

「いやぁ、さっきの奴を殴りたいなら、少し協力したいと思ってにゃん」

 

「協力?」

 

疑問に思いながらも

 

「まぁ、細かい事はどうでも良いか。

あいつからは聞きたい事もあるしな」

 

なぜ、ルフランの街の住人の亡霊を連れてくる事ができたのかについて聞きたかったからな。

 

「まぁ、とりあえず俺は少し早く帰らないといけないから」

 

「にゃ?

何かあるかにゃ?」

 

「いや、娘が待っているから」

 

「???

確か、藤木は高校生だったはずにゃ?」

 

「あぁそうだぞ、ただ、俺も知らない間にできた子供なんだ」

 

「・・・なんか色々と気になるにゃ。

ついていっても良いにゃ?」

 

「別に良いぞ」

 

 



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