魔性の王、喇叭の羽音 (カチカチチーズ)
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魔性の王、喇叭の羽音

 

 

 

 

 地中海に面したイタリア中部、トスカーナ州にある片田舎。

 牧歌的な長閑な少し探してみればどこにでもあるような小さな小さな農村。イタリアにある学校の多くは午前で終わるものが多く、この農村の子供らが通うものも例に漏れないのか、学校終わりの子供らが集まって遊んでいるような様子がちらほらと散見し、大人たちの働く姿や村よりややはずれ広々とした畑に囲まれた修道院へと向かう信心深い少女の姿。

 平々凡々であまりにもありきたりな世界。

 彼らの世界はこの小さな農村に収まっており、子孫の末までこの小さな世界で平和に生きていくのであろうことが窺える。

 何も変化はいらないのだ。

 

 

 

 

 

 

────渺

 

 されど、平穏は何時だって唐突に終わり、風が吹くものだ。それはこんな長閑な農村であっても変わることはない。

 瞬間、黒い一陣の風が農村へと吹き抜けた。

 しかし、黒い風は村人たちを一切害すことはなく、そのまま村人らに認識されることなく村を抜けていき、解けるように消えていった。

 はたして、その風はいったい何だったのだろうか。そう、疑問に感じるような人間はやはりどこにもおらず、村人はいつも通りに生きて

 

 

 

 

 

 瞬間────その平和に生きる村人たちは爆ぜた。内側からさながら腐乱死体か何かのようにその身体のいたる部分を膨らませ、内側から爆ぜその血肉臓物を周囲にばら撒いたのだ。

 そこに何も例外はなく、たったそれだけで村人たちは死に絶え、この農村から人間は一人もいなくなってしまった。

 いったい、何が起きたのかそれを知る者はどこにもいない────否、いた。

 

 

「呆れた話だ。覚醒すると同時にこれ、か」

 

 

 無数の死体の中心に立つのはなんとも時代錯誤極まりない風体の人間だった。

 黒いコートに黒い衣服、黒い靴に黒い手袋という肌を一切露出せず全身黒づくめに黒銀の杖。いや、それだけではない最も特異なのはその頭部。

 時代錯誤の象徴とも言える黒い鳥の嘴を象った仮面、所謂ペストマスクと呼ばれるそれで顔を隠し黒いフードを被った様はこんな人気の無いような場所でもなければ不審者として通報されかねない風貌である。

 声音からして男性であろう彼はそのマスクの下にある瞳を、視線を自分の最も近い死体へと向ける。

 血肉がばら撒かれた死体、だがしかしよくよく見れば何かがおかしいのが理解出来る。まだ思春期を迎えてもないような子供の死体だ。

 だがしかし、そのばら撒かれた手足の皮膚が異様にその毛深いのだ。視線をズラし他の死体へと向ければそれらも確かに毛深く、そして中にはその指に鋭利な爪が生えるモノ、靴を引きちぎりおおよそ人ならざるつま先に変わっているようなモノもある。

 

 

「獣になる前に殺してやるのがせめてもの情けというもの」

 

 

 彼らを殺したのは間違いなく、このペストマスクの彼だ。

 だがしかし、それはあくまで殺しただけでありこの死体の異常においては一切彼が関わっていない。

 彼はせいぜい、この異常を起こした存在が何者なのかを知り、異常に対して先んじて殺したに過ぎない。それが彼だ。

 

 

「神話に曰く、自身に使えるニュンペーの一人が大神に見初められ大神の子供を孕んだ事を知った際にはニュンペーを大熊へと変えた。キュベレーの系譜たる大地の女神すなわちは百獣の女王」

 

 

 一人。誰が聞いているわけでもなく、まるで誰かに語り聞かせるかのように静かに村の中を歩いていく。その足が向かう先は広々とした畑に囲まれたたった一つの修道院。

 

 

「───故に女神は人間を獣に変え、使役する。嗚呼、なんて憐れな話。獣に変わるなど.......まさしく病じゃあないか」

 

 

 そう言って、彼はその足を止めた。

 その場でまるで遊ぶ様にその手の杖を軽々と手足の様に操り遊びながら、首を何度も横に振る。さながら馬鹿にしているのか呆れているのか。

 

 

「事実、彼の女神は兄神と共に疫病と死の女神であると知られている。すなわちは獣化は病と言い換えても良いだろう」

 

 

 朗々と語りながら、杖を振るう彼はペストマスクのレンズから覗く瞳を爛々と赤く仄かに滾らせながら、その視線を修道院へと向けて嗤う。

 

 

「では、殺そう。病を、神を、一切合切高らかに杖を振り降ろして───さァ

 高らかに吹き鳴れよ

 第一に雹火降れり 第二に巨山が如き火降れり

 第三に彼方彗星降れり 第四に星砕けり なれば第五に何来る」

 

 

 それは唱だ。高らかに嗤いながら彼は朗々と唱を紡いでいく。紡がれる度に彼が後にした道や家屋、すなわち背後に転がる全ての死体が崩れ解け変わっていく。

 その光景はまさしく悪魔的であろう。安らぐべき死体がまったくの別物へと変化していくなど悪魔の所業という他ない。

 

 

「開くは穴 底無き釜が開かれり 奈落へ響く喇叭の音色」

 

 

 静かな筈の死んだ農村へと響き渡る喇叭の音色。否、それは喇叭などではない。

 何かの羽音が幾重にも鳴り響き、喇叭の様な音色を思わせ同時に無数の喇叭ならざる音が響く。それは何かが軋むような擦るようなぶつかり合うような音。

 瞬間、夜が訪れた。農村が闇に染まり歩き始める彼に追従する様に闇は広がっていく。

 

 

「奈落より来たれ────六足六節六羽の眷属 喰らい 貪り 埋め尽くせ」

 

 

 そう締めくくり、農村にそれらが溢れかえる。数など数える事など出来ないほど影か闇か、黒い六足六節六羽の赤眼の群れ。

 個々の隔てなど無いようなそれらはまるで飛蝗のような姿をしていた。

 『鎮魂曲第五番:奈落(レクイエムNo.5:エィビス)

 彼が嘗て、奈落の主であり破壊者たるまつろわぬアバドーンより簒奪せしめた権能である。

 無数の飛蝗がまるで一つの生き物のように、闇が蠢き彼を呑み込みながらそのまま修道院へと殺到していく。

 このまま修道院すら呑み込んで────

 

 

「まぁ、そうなるか」

 

 

 闇が内側から爆ぜた。青白い光が修道院から吹き出し、飛蝗を吹き飛ばしながら空へと昇り、次の瞬間には無数の矢となって降り注いでいく。矢は一切のズレなく、飛蝗たちを次々と撃ち抜いていき、飛蝗の群れから露出した彼へと襲い掛かる。

 それに対して、彼は回避の素振りを見せずそのまま全身に矢を受けた。

 そうして、矢の雨が降り終わるまで彼は全身矢達磨となり、光で出来た矢が掻き消え後には彼の死体が残り───

 

 

「で?」

 

 

 次の瞬間には蘇生した。

 全身の矢傷、服の穴すら修復してまるで誇りでも払う様に彼は軽く衣服を叩き、その視線を修道院へと向ける。

 そんな、視線に応えるように修道院は崩れていき、そこから何かが姿を現した。

 

 

「流石は神殺し、というべきか」

 

 

 そこにいたのは絶世の美女であった。

 さながら月光のように儚さを感じさせる青白い髪を腰まで伸ばし、豊満な胸や玉体を包む古代ギリシャのトガ、腰には糸杉の枝葉で組まれた腰飾り、随所に身に着けた金の装飾品とその手に握られた黄金の弓。

 鋭い満月が如き金眼は魅入ればたちまち狂気に陥ってしまうほどに美しい。

 そんな美女が大熊に腰掛け、彼を睨んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遠矢撃つ月と狩猟の女神にして獣の女王たるまつろわぬアルテミス。彼女が腰掛けるのはまつろわぬアルテミスがこのイタリア・トスカーナ州の片田舎に顕現する理由となった存在。

 普通に考えれば誰も気にせぬような片田舎の修道院、不埒な輩が刺激しないようにあえてそんな場所に封印された異形の獣であったアルテミスの眷属たる神獣。

 

 変な刺激を受けたわけではないがしかし、神獣を縁に彼女まつろわぬアルテミスはこの地に顕現してしまった。

 幸か不幸か、事前に顕現の兆しを捉えた魔女より情報を得ていた彼、第四の神殺したる魔王とここに対峙した。

 

 

「神殺し。よもや、一切の躊躇なく人間を殺すとは、な」

 

「獣となって家族友人に喰い喰われるよりはマシだろうさ」

 

 

 互いに互いを見下しながら、まつろわぬアルテミスと彼は静かにその場を動き始める。

 既に周囲から植物を喰い荒らし自己再生と自己増殖を終えた飛蝗が彼とまつろわぬアルテミスを囲んでいき、彼はその手の杖を軽々と回し

 

 

「では、殺そう」

 

 

 瞬間、杖を振るうと共に周囲の飛蝗がまつろわぬアルテミスへと襲い掛かり始めた。

 全方位からの襲撃、回避は困難。だがしかし相手はまつろわぬアルテミス。彼女の乗騎である大熊の神獣は速やかに群れの中で最も密度の薄い箇所を見抜き、駆けていく。まつろわぬアルテミスは神獣の背に立ちその手の黄金の弓に光の矢を番え次々と矢を放ち、飛蝗を撃ち落としていく。

 

 

「嘗めるな!神殺し!!」

 

 

 飛蝗の包囲網を突破し、神獣がその場から跳び上がり彼と包囲網の上空に陣取り、そのままアルテミスは眼下へと無数の矢を放つ。

 無論、ただの矢ではない。先ほどのような飛蝗を撃ち落とすだけのモノではなく、一発一発がミサイルと同等の威力を孕んだ弾幕だ。

 それの飛来を飛蝗を通して察知した彼は次の札を切る。

 

 

「其は深淵 其は底無し 貪り 喰らい尽くす 奈落に光無し」

 

 

 彼は紡がれた唱と共に杖先を自らの腹に突き刺し貫通させる。

 傍から見れば気が狂った、と思われるその行為であるが同時に周囲の飛蝗が狂ったように叫び始め、羽音がけたたましく鳴り響き、次々と降り注ぐ光の矢の雨へと集り始める。

 光の矢へと触れた飛蝗はまるで植物でも齧っているかのように矢に喰らい付き、バリバリと恐ろしい咀嚼音をたてながら次々と光の矢を貪っていく。

 

 

「馬鹿な!?……そうか、アバドーン!我が兄アポロンと我らが討ったピュートーンの同一零落存在!!それより簒奪した権能を我が兄の権能と解釈して我が月光の矢を相殺したのか!!」

 

 

 自らの放った矢が貪り喰われていく様を見たまつろわぬアルテミスは飛蝗たちが自身の兄神に通ずる権能であることを看破し叫ぶ。そんな彼女を嘲笑う様に飛蝗の群れの中で彼は吐き捨てる。

 

 

「確かに拡大解釈をした権能だ。だが、病の神としての側面との拡大解釈による増殖性であって、これは純粋にアバドンの範疇だよ。まつろわぬアルテミス」

 

 

 言ったところで聴こえる筈もないな。

 そんな風には言って、ペストマスクの下で血を吐きながらも彼は次なる手札を切る。頭の中で同胞達のやり方が脳を過ぎるが元より楽しむつもりもなく、神であろうともそれなりに苦戦しながらさっさと処理する為に。

 

 

「アルテミスとは、処女神である。しかし、同時に多産を司る女神でもある。この矛盾とはそもそもアルテミスという女神がギリシャ神話ではなくギリシャの先住民族の信仰対象をギリシャ神話へと組み込んだが故の影響だ。───だが、そこはどうでもいい。そもそもアルテミスの兄神たるアポロンがヘリオースと同一視される事で太陽神となったように、狩りの女神であるアルテミスが月女神となったのには月女神セレーネーとの同一視によるものだ」

 

 

 杖を地面に突き立て、喇叭の様な羽音と軋む音が混じった音色が周囲に響き始める。

 

 

「月女神セレーネー!ティターン神族に属する彼女はゼウスとの間に子供を儲けている。そんな彼女は月であるが故に『新月』『半月』『満月』の三つの顔が存在している。この顔は月の満ち欠けであり時の流れだ、『満月』へと成熟していく『半月』は処女あるいは乙女であるアルテミス、満ち溢れた『満月』を母であり夫人であるセレーネー、そして暗く欠けていく『新月』を第三の顔である老婆ヘカテーとした!すなわちはアルテミスはセレーネーの側面を持ち、母である!」

 

 

 呪力が波打ち、飛蝗がより一層激しく動きまるでその場に釘つけるかのように次々とまつろわぬアルテミスへと殺到していき、無論まつろわぬアルテミスとて何もしないわけがない。それを迎え撃つように無数の矢を放っていくがしかし、最初の様にはいかないと言わんばかりに飛蝗たちは矢を咀嚼していき、まつろわぬアルテミスへと距離を詰めていく。

 それに対してまつろわぬアルテミスは今度は月光ではなく暗い矢を放っていく。それらは先の矢と違い、触れた飛蝗へと溶け込むように消えていき次々と飛蝗を落としていく。

 これは女神アルテミスが兄神アポロン同様に疫病を司る女神であると同時に産褥に苦しむ女に対して苦痛より逃れる為の死を与える神という側面を有しているが為の『死の権能』の行使。

 疫病であるならばアポロンの側面への拡大解釈として相殺する事も可能であろうがアポロンには『死の権能』はない。故に飛蝗は次々と落下していく。

 

 

「処女なれども母!嗚呼、致命的だな!そして、ヘカテーは冥府神という側面がある.......母であり冥府神、そして多産これらの側面を三位一体の女神であるが故に有するならば、何も問題は無い」

 

 

 そう言いながら、彼は右手の手袋を外して唱う。

 

 

「 一 二 三 四 五 六 七 八 九十 ────布留部 由良由良止 布留部

  天地の いづれの神を祈らばか 愛し母に 言とはむ」

 

 

 瞬間、右手が炎上した。内側から火が吹き上がりみるみる内に彼の右手は炭化し始めていく。同時にまつろわぬアルテミスへと殺到していた飛蝗たちも次々に炎上し始めていく。

 それにはさしものまつろわぬアルテミスも驚きを露わにし、その炎がいったいなんなのかを瞬間悟った。それは自身を殺すものだ、と。

 

 

「貴様、神殺しッ!!」

 

 

 逃走。の二文字が脳裏に過ぎる。

 しかし、彼女は偉大なるオリュンポスが月女神であり狩りの女神。目の前の獲物が恐ろしてくておめおめと逃げれるものか。彼女のプライドが僅かにその判断を鈍らせた。

 神殺しの魔王との戦いのさなかでその僅かな隙は致命的である。

 とかく神殺しの魔王はどれほど危機的であろうとも僅かな隙よりチャンスを掴み取る怪物である。故にもはや遅い。

 気がつけば彼女の周囲を飛蝗がまるでボールの様に囲んでいた。

 まつろわぬアルテミスは飛蝗を退ける為に再び『死の権能』を振るうがしかし、飛蝗には何も影響が起きない。

 

 

「な、何故だ!?何故、死なない!!」

 

 

 無論、これにも理由はある。アバドンは人間に対して死すら許されない五ヶ月もの苦痛を与えると言う。無論、五ヶ月もの間苦痛を与えるというのならば飛蝗とて死ぬのは許されないものだろう。

 射抜いて破壊するならばいい、何らかの方法で権能事態にダメージを与えて殺すのならば問題無いだろう、だが死の権能では意味が無い。死など許されないものだから。

 先程落ちていった飛蝗たちは単に唐突な死の権能によって一時的に鈍ったに過ぎない。

 それを理解したまつろわぬアルテミスは自らの血の気が引いていくのを理解し、逃走を選んだ。だが残念な事に既に飛蝗によって囲まれており、次々と外から飛蝗は集まって包囲網の密度は恐ろしいものとなっている。

 

 

「あ、あ、あぁ.......!!」

 

「では、さようなら」

 

 

 そんな突き放すような声が聴こえてきたかと思えば炎上した飛蝗が次々とまつろわぬアルテミスと神獣へと襲いかかった。

 暴食の具現たる飛蝗は神獣へと噛み付き、まつろわぬアルテミスへと噛み付き、咀嚼していく。女神と神獣は彼らが身に纏った炎によって生きながらにして焼かれ喰われていく。

 悲鳴が響く中、彼は炭化し火が燻る右手を見下ろしながらため息をつき、懐から取り出した布をマスクにあてがう。

 

 

「.............残念なことだ」

 

 

 悲鳴すら聴こえなくなり、咀嚼音も消え羽音すら無くなったのを確認して杖を手に取り外した手袋を付け直して彼は村であった場所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イタリア・ミラノにある魔術結社『青銅黒十字』

 その拠点の一室、広い客間にて彼らはいた。

 金糸の様に美しい髪にクラシックドールの様な人間外れな美しさを持つ12、3歳程の容姿の美少女。

 青銅黒十字を象徴とする青と黒の二色を用いた衣服に身を包み美しい銀髪をポニーテールにして纏めた愛らしい少女───リリアナ・クラニチャールが金髪の少女の隣に何処か緊張した面持ちで腰掛けておりそんな彼女を流し目にしながら微笑ましそうな表情を見せる。リリアナもその反応を察し、顔を俯かせやや赤らめながら恥じ入る。

 

 そんな二人の対面のソファーに座りながら杖を弄るのはやはり、異彩極まりない風体であるペストマスクの彼。彼は彼女らへと視線をやってからリリアナへと助け舟を出した。

 

 

「リリィ、それで話を効かせて貰えるかね」

 

「あ、は、はい!ローカスト卿に頼まれました通り、先日の呪力の嵐について調査致しました所.............二柱の神が激突したことによるもの、であると」

 

「そう、か」

 

 

 なんとも伯爵が好みそうな話だ。

 そう呟きながら、ローカストは視線をリリアナの隣にいる少女へと向ける。その視線に気づいたのであろう少女が微笑みながら口を開いた。

 

 

「既に霊視を行いました所、奈落の君に近しい権能を有した地中海の支配者.......であるかと」

 

「と、なると.............バアルまたはそれの側面.......なるほど、となればもう片柱は異郷の神となるのかな」

 

 

 ため息をつきながら、ローカストはソファーより立ち上がり視線を女から切って、自身の傍らに立つ動き易い服装に身を包んだ蜂蜜色の髪を持つ女性を一瞥しベランダへと歩いていく。

 

 

「我が友、姫君、リリィ、次の戦いだ。喇叭が私を呼んでいる───」

 

 

 そう語りながらベランダへの窓を開けば次の瞬間にはローカストは巨大な鴉へとその姿を変えて、夜空へと羽ばたいて行った。その後ろ姿をリリアナと姫君と呼ばれた少女は礼をして見送り、友と呼ばれた女はその身を光輝く粒子へと変えてローカストの後を追う。

 

 

 

────八番目の魔王誕生前夜である。

 

 

 

 




ローカスト

 まつろわぬアバドーンを殺した事でアイーシャ夫人の次に王となった第四の魔王。
 ペスト医師の様な格好をしたサルバトーレ・ドニ同様イタリアを中心として活動しており、『青銅黒十字』を傘下としている。
 飛蝗の羽音で喇叭の如き音色を響かせ、巨大な渡り鴉の姿で現れる魔性の王である。まつろわぬアルテミスを殺した事で第七の権能を獲得した。


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魔王内戦:その後

 

───「ありえない」なんて事は有り得ない

 

 

 

 割れたペストマスクから覗く赤眼不機嫌そうに細まり、それに応えるように微かに周囲の空気が揺らぎ石造りの床や壁ひ天井、部屋そのものが軋む。

 それに対して周囲の者たちが一様に息を飲み、冷や汗を垂らし始める中、彼の傍らに立っていた彼女が口を開いた。

 

 

「我が運命、そう何時までも引き摺らない方がいい。彼らが怯えているぞ?」

 

 

 蜂蜜色の短髪に豊満な女性らしい身体つきの彼女───嘗て彼と殺し合った末に討たれ簒奪された権能『白き女王の寵愛(ホワイト・オブ・ランシア)』によって顕身した槍の女神(ランシア)───が彼、ローカストへと苦言を呈す。

 何より信頼を置く、騎士であり友である彼女の言葉にローカストはため息をついて、軽く周囲の者たちに謝辞を示した。そうすれば部屋が軋むのも止まり、彼らは一様にその緊張を解いた。

 そんな彼らへと視線をやりながら、ローカストは再びため息をつく。無論、今度は胸中で隠してだ。

 ローカストの視界、会議室のような一室で並び座っているのは皆一様におおよそ常人と言える存在ではなかった。

 例えば、やや暗めな肌に子供程の体躯特徴的な長耳と嘴のように長い鼻の老人と言うべき男。

 例えば、猪をやや人間に近づけたような顔立ちに毛皮で覆われた身体の上に簡素な皮鎧を身につけた巨漢と言うべき体躯の男。

 例えば、蠱惑的な容姿と男を誘惑する為に創られたとしか言えない衣服に身を包んだ蝙蝠の翼と蛇の尾を生やし、山羊の角を側頭部から伸ばした女。

 例えば、机の上に帽子を被った首を置くという猟奇的な行為を行う、首から上のないローブに身を包む男。

 他にも多々いるが皆、どれも人間ではなかった。

 ゴブリン、オーク、サキュバス、デュラハン、エトセトラエトセトラ。そんな彼ら人外を見回し、ローカストは三度目となるため息を胸中の中でついた。

 

 そうして、思い返されるのは自分がなぜこんな廃城同然の場所で彼ら人外たちの上座に座しているのか、その始まりとなった出来事。

 無論、最初はそこまで大した出来事ではなかった。

 極東で目覚めたという最後の王と呼ばれるローカストをはじめとする神殺しの魔王を滅ぼす勇者。そんな存在と相打った末の同胞である『草薙護堂』。

 彼の元へと集まった同胞たち述べ六人。

 魔王のほとんどが激突するという正しく『魔王内戦』と呼ぶべき厄災を出来うる限り鎮圧───乗じて煩わしい『黒王子』と『剣の王』を焼き殺すつもりであったが───する為にその内戦へと首を突っ込んだ結果、『夫人』による流れ弾に巻き込まれた挙句に彼女の有する『通廊』に吸い込まれ気がつけばまったくの別世界にある魔王城の玉座の間へと吐き出されてしまったのだ。

 残念な事に次元間移動の権能を持たぬ、ローカストには元の世界へと戻る術はなかった。

 

 故に苛立ち混ざりに玉座にふんぞり返り、喚き散らしていた如何にも魔王という風貌の存在を嘗てまつろわぬアルテミスより簒奪した権能を使って黒死病(ペスト)を発症させた後に飛蝗たちの苗床にしたわけであるが……。

 

 

 

 

 

 気がつけば、魔王になっていた。

 

 

 

 魔王である自覚はある。だがしかし、それはあくまで魔術師の王すなわちカンピオーネとしての自覚であって、こうしてまったく見知らぬ異世界で彼ら魔族と呼ばれる存在たちの王としての自覚などあろうはずがないのである。

 これがローカストたった一人だけでこの現実に立ち向かわねばならなかった場合、間違いなく絶叫しながら渡り鴉へと顕身した後、魔族人間の区別無く飛蝗を率いて疫病と死と狂気をばら撒くこととなったであろうが、この世界に住民にとって幸運な事にこうして自らの友であり騎士である槍の女神(ランシア)を呼び出す事が出来てしまった。

 流石に身内がいる前ではローカストも理性的に振る舞わねばならず、こうして自身を魔王として崇め始めた彼らに君臨せざるを得なくなった。

 

 

 彼らの言い分はこう、だ。

 曰く、この世界はおよそ亜人と魔族の二種類の文明圏が存在しており、互いに敵対している。

 神々が齎したという勇者によって先々代の魔王が滅ぼされた結果、魔族の文明圏は大きく衰退しかれこれ数百年が経つものの先代の魔王は自身の力と血筋を理由に魔族を統治すらせずただただ税ばかり搾り生きていたという。そんな誰も彼もが追い詰められたこの世界で魔王として魔族の文明圏を取り戻して欲しい。

 

 どんな小説だ、とローカストは胸中で吐いた。リリィが密かに書いている小説の方がまだ現実味があろう。

 だがしかし、傍らに立つ槍の女神から正しく目は口ほどに物を言うという言葉の通り、圧を感じ仕方なしにそれを了承した。

 既にこの世界での程度は理解しており、神々の勇者というあまりにも厄ネタにさえ気をつければなんら問題がないだろう、とローカストは考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「考えていたんだがなぁ……」

 

 

 そんな、この世界にやってきて何度目になるかも分からぬため息をつきながらローカストは目の前に立つ青年を見据える。

 白い衣に健康的に焼けた小麦色の肌、強い力と意志を感じさせる青い瞳、そしてアジア人の様な顔立ち。そして何よりも重要であり特徴的であると言えるのはその両手で握られた刃。

 白金の両刃であり刃渡りは一メートルほど、そしてその刀身は鉈の様に分厚く幅広い。正しくその美しさに勝る刀剣などこの世には存在しないであろう。そんな感想すら湧いて出てくる様な刃であり、それと同一のものをローカストは知っていた。

 ローカストの保有する権能の一つに嘗てまつろわぬエロースより簒奪した権能『受苦の二矢(ラヴ・オア・ディスライク)』というものがある。

 神話にてコルキスの王女メディアにエロースが行った様に金の矢で貫き、自らの支配下に置いた神祖グィネヴィアが曰く、『救世の神刀』。魔王を滅ぼす最後の王が振るいし、天を引き裂き星をも墜とす竜殺しの鋼であり、大地母神の精気を奪い白き恒星となる末世の宝刀。

 

 

「神々が齎した勇者、魔王を滅ぼす勇者.......なるほど、確かに..............この世界における最後の王、というわけか」

 

 

 目の前で神刀を構える青年から感じる力はなるほど、確かに下手なまつろわぬ神を超えている。だがしかし、『草薙護堂』が対峙したという最後の王ほどの存在ではない、とローカストは感じ取った。あくまで彼は神刀をこの世界の神々より与えられた存在なのだろう。

 ならば、気をつけるべきは神刀だけである.......あるのだが

 

 

「魔王ローカスト!僕はお前を絶対に許さない!!多くの街を、多くの国を、多くの人々を苦しめ滅ぼしたお前だけは!!!」

 

「……そうか」

 

 

 一体全体どうしてこの様なお決まり極まる展開に自分があうと考えるだろうか。

 確かにこの世界に来て、魔王として君臨してからそれなりに魔王らしい悪虐を行いはした。

 例えば、飛蝗に穀倉地帯の畑だけを襲わせた事。

 例えば、経済都市に対して疫病を放った事。

 例えば、エルフ族の森を神殺しの炎で焼き払った事。

 おおよそ、元の世界では出来ないことを気持ち楽しんではいた為こうして勇者の怒りを向けられるのは仕方がないことではあった。

 

 

「やる気に満ちているところ、悪いが……大人しく退く気はないか?その神刀を置いて退くなら、我々もこの地から手を引き、現状の勢力圏で満足するが?」

 

「魔王の言葉なんか信じられるものか!」

 

「…………そうか」

 

 

 勇者の返答にローカストは予想通りと言わんばかりに首を横に振りながら、割れたペストマスクの下で眼を細めながら、フードを引っ張り深く被り直す。

 それを皮切りにローカストの意識は戦闘へと切り替わった。

 そんな魔王の雰囲気を感じ取った勇者はその神刀を握る手を強め、神刀に雷が迸り────

 

 

「 毒を以て毒を制し 毒を食らわば皿まで 」

 

「雷撃よ!!」

 

 

 唱を口ずさむと同時に勇者がその神刀を掲げ、次の瞬間には雷撃がローカストを襲った。

 牽制の一撃か、大ぶりなそれは軽々とローカストに避けられるがしかし、それは当然と言わんばかりに既に勇者はその場を駆け、ローカストの首を狙うべくその神刀をふるった。

 回避直後の一撃は常人相手であれば間違いなく致命のそれであるが相手はカンピオーネ。その生き汚さに由来する直感に従い、その断頭の一撃を紙一重で回避して見せる。

 回避した際に軽く肌が裂けたがローカストは気に留めず、そのまま蹴りを勇者の胸部に叩き込んで見せた。

 

 

「づぅっ……ハアァ!!」

 

 

 胸を抑え、やや後退するものの勇者はすぐに雷撃を放つ。先のそれとは違い、まさしく雷霆というべきいくつもの雷撃を束ねたものだ。ローカストはペストマスクの下で眼を見開きながらも叫ぶ。

 

 

「邪魔だ!!」

 

 

 瞬間、ローカストを中心に焔が滾り噴き上がる。神刀はそれ自体が鋼の軍神であり迸る雷がその証明。故にローカストは『鋼』の雷を相手に神殺しの焔を叩きつけた。

 その際に権能行使の制約により、手袋の下で右腕が炭化したが気に留めず、雷撃を打ち消されたことで眼を見開いている勇者に対して次の手札を切る。

 

 

「 来たれ我が盟友 白き槍持つ鋼の女神 アマゾネスが女王!! 」

 

 

 高らかな叫びと共に雷鳴が天より鳴り響きわたり、ローカストはその身を渡り鴉のそれへと顕身し、その場から高速で離れると同時に天空より白い稲妻が勇者がいる場所へと文字通り叩き込まれた。

 ローカストが第六の権能・『白き女王の寵愛(ホワイト・オブ・ランシア)』。

 嘗てのまつろわぬ神であった頃のそれに限りなく近い肉体と力を与えられた槍の女神による高高度からの一騎駆け。無論、ただ高高度から駆けるのではない彼女の持つ馬上槍の穂先に収縮した雷電のエネルギーと熱、そして衝撃をもってあまねく竜蛇を殺す秘技『隕石落とし(メテオ・ストライク)』。

 事実、その破壊力はこの戦場でも発揮され先ほどまで勇者とローカストがいた場所を中心として直径15、6キロメートルほどの巨大なクレーターがそこに広がっており、辺りには巻き込まれた亜人や魔族だったものらの残骸が僅かに残っているばかりであり、その光景を上空より見ていたローカストは舌打つ。

 

 グィネヴィアから得ていた情報の中に神刀は不滅であり、最後の王が倒れればそこに遺物として神刀は残る、とありクレーターの中心どころかどこにもその神刀は見当たらない。

 つまるところ、勇者を仕留めることは出来なかったという事実がそこにあり、同時にローカストはその場から大急ぎでその場から旋回しようとして────

 

 

「オオオォォォッ!!」

 

「ギィィィイッ!?」

 

 

 いつの間にかに頭上より落下してきた勇者の一撃をその翼へ叩き込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 振りぬかれた神刀によって、その肩翼を切り裂かれローカストは墜落した。

 クレーターへと墜落したローカストはその顕身を解き、右腕からとめどなく血を流しながらペストマスクからも血を吐き出す。

 地を這う無様な姿を晒しながら、ローカストはいたる箇所に火傷を負った勇者を見上げる。

 勇者はおそらく先の『隕石落とし』で負ったのだろう火傷にその端正な顔を苦痛に歪ませながらもその神刀を握る手に力を籠めて満身創痍とも言うべきローカストを見下ろす。

 片腕を失ったローカスト、いたる箇所に火傷を負った勇者。これだけならば、間違いなく敗北するのはローカストであるがその実態はいまだローカストの呪力は健在であり、体勢を立て直すことが出来ればまだ勝ちの目は十分に存在している。

 だが、その立て直す隙などどこにもない。

 

 

「これで、終わりだ!!」

 

 

 そうして勇者は神刀を振り上げる。

 

 

「いや、忘れては困るな勇者────」

 

 

 ローカストへと振り下ろそうとし、瞬間それはやってきた。クレーターの中心部より、雷鳴を轟かせながら一直線に勇者へと文字通り突撃してきた存在。

 白い神馬に跨り白い鎧とサーコートを纏った槍の女神。『隕石落とし』ではないが彼女の槍突撃(チャージ)は正しく槍の女神というべき速度と威力を以て勇者へと放たれ、勇者は神刀の腹で槍を受け止める。不滅である神刀は砕けることなく槍の女神の槍突撃を受け止めるがしかし勇者の身体能力ではその威力・速度までは押しとどめることはできないのか勇者はそのまま地面を削りながら吹き飛ぶ。

 そうして、出来た時間を利用しローカストは立ち上がり、彼の傍らに槍の女神は神馬に跨ったまま佇み口を開く。

 

 

「どうやら、まだまだ問題ないようだな我が運命」

 

「右腕が…、落とされ、たんだが?」

 

 

 左手でペストマスクを抑えながら、血と共に言葉を吐くローカストに槍の女神は問題ないな、と言わんばかりにその背を叩いて、視線を勇者が吹き飛んだ方向から動かさない。

 

 

「卿の事だ。特段、問題ではないだろう。それよりもだ、勝てるか?」

 

「……草薙護堂から、聞いた。最後の王はその時代のカンピオーネの数によってその力を変動させるらしい。でだ、まあ、それは……私たちの世界の最後の王だけの話と信じたいが、まあ、どちらにせよ私一人しかいないなら変わらんか。で、ああ、勝てるかどうか、か……まあ、結局は『鋼』だからな」

 

 

 そう口にして、ローカストはいつのまにやら持っていた杖であろうことか自分の心臓を串刺した。

 気が狂ったのではないか、と他者に思わせるその行動に傍らの槍の女神は眉一つ動かさず、代わりに左腕だけで抜くのに苦労しているローカストの代わりにその杖を勢いよく引き抜いて見せた。口と右腕、そして胸からとめどなく血を流しながら、ローカストはそのペストマスクの下で嗤ってみせ

 

 

「『医神の霊薬(リザレクション)』……ッ!!」

 

 

 次の瞬間にはまるで時間でも巻き戻ったかのように全身の損傷が蘇生された。

 右腕の欠損すら蘇生され、軽く腕の調子を確かめるように腕を回しながらローカストはその視線を勇者がいるであろう方向へと向けて紡ぎ始めた。

 

 

「 ああ 鴉の嘶きが都市を砕く 尊厳を汚す 我が嘶きは友愛の証明なれば 我を呼びたし

30の軍勢 地獄の大いなる伯爵 我魔性のモノ 」

 

 

 紡がれた唱が終わると共にペストマスクの嘴部分の両側面に緩やかなカーブを描くように亀裂が生じていき、ゆっくりとペストマスクが割れ開き、ほんものの嘴へと変化していく。

 両腕は巨大な黒翼へと変化し、ブーツは鉤爪へと変貌し周囲に黒い羽根をばら撒きながらローカストはその姿を巨大な渡り鴉へと顕身させた。だが、変化だけでは足りないのか、周囲に散らばった羽根が何羽もの鴉に変わっていく。

 その様を見ながら、ローカストは羽ばたいて────

 

 

「 高らかに吹き鳴れよ

第一に雹火降れり 第二に巨山が如き火降れり

第三に彼方彗星降れり 第四に星砕けり なれば第五に何来る」

 

 

 黒い風が吹き抜け、鴉たちを殺した。

 

 

「開くは穴 底無き釜が開かれり 奈落へ響く喇叭の音色

奈落より来たれ────六足六節六羽の眷属 喰らい 貪り 埋め尽くせ」

 

 

 そう締めくくる事が合図であったように周囲の鴉の死骸が次々と無数の飛蝗へと崩れ解け変化していく。

 彼ら飛蝗の羽音が幾重にも響き、次第に喇叭の音色のように変わっていく。

 既に三つの権能を同時に行使している。それだけでも頭痛が起き、内臓がひっくり返りそうになっているが『白き女神の寵愛』はその特性故に発動さえしてしまえば影響はない。故に現状は二つ行使しているようなもの。

 

 

「 一 二 三 四 五 六 七 八 九十 ────布留部 由良由良止 布留部

天地の いづれの神を祈らばか 愛し母に 言とはむ」

 

 

 だから、四つ目の権能を行使する。

 全身が炎上する。血が煮え滾り始める。権能の制約による炭化に加えて権能三重行使による付加で発狂死してしまいそうな頭痛と内臓が引き千切れ、血管が避けるような痛みが全身を襲う。

 

 

「だから、どうしたァ……!!!」

 

 

 激痛?発狂?炭化?()()()()()で死んでいたら始めから神なんぞ殺せるものかよ。

 飛蝗たち同様神殺しの焔をその身に纏いながら、周囲の魔族・亜人らの残骸すら飛蝗に造り変えながら、正しく厄災としか言えぬ存在となり、騎士を従えてローカストはこちらを見上げている勇者を見下ろして────

 

 

「殺す」

 

 

 喇叭の羽音を背に魔性の王は高らかに嘶いた。

 

 

 

 

 




権能
・『鎮魂曲第五番:奈落』.......アバドーン
・『母恋し焔の万葉歌』....... 火之迦具土神
・『医神の霊薬』.......アスクレピオース
・『魔性の渡り鴉』.......ラウム
・『受苦の二矢』.......エロース
・『白き女王の寵愛』.......ランスロット・デュ・ラック
・『降り注ぎしは病に狂気、死の雨』.......アルテミス


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