東方転世界 幻想郷の第二人生 (塩漬け麦)
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【随時更新】キャラプロフィール

※注意
ネタバレを考慮しません。本編を見てからこちらをご覧下さい。


【クシー】

種族 妖精

能力 『腐敗と消滅を司る程度の能力』

登場原作 オリジナル

説明

外の世界から記憶を持って転生した妖精の少女。

前世では親の虐待を受け、友も失ってしまった為、この人生では成功することを目標にしている。

自分と同じような辛い思いを人にして欲しくないため、命を賭してでも他人を護ろうとするお人好し。

能力は強力だが、生物欲求が暴走する反動があるため、2、3回能力を使うと眠りこけてしまう。寝ている間でも近くの誰かに性欲を爆発させそうになるため、ルーミアが犠牲ゲフンゲフンお守りになってくれている。

前世から東方Projectは知っているので、ほとんど誰か分かる。

スペルカード

腐蝕「理を蝕んだ空間接合(リユニオン)

 

【ルーミア】

種族 妖怪

能力 『闇を操る程度の能力』

登場原作 東方紅魔郷

説明

ふらふらと彷徨う人喰い妖怪。この作品では割と知り合いを大事にする性格で、優しい。昼でも自由に活動しているが、とても弱い。

クシーと過ごすようになってからは、最初の友達かつ寝ている間のお守り役(ぎせい)となっている。

なお、過去に何かしら封印されることがあったようだが、まだ本編には出ていない。

スペルカード

闇符「ディマーケイション」

 

【フランドール・スカーレット(体質変化状態)】

種族 吸血鬼

能力 『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』『太陽光を操る程度の能力』

登場原作 東方紅魔郷

説明

謎の妖精メルバによって、太陽光耐性を手に入れた代わりに性格が一気に変わったレミリア・スカーレットの妹。

現在、瞳は蒼く、翼は黒く染まっている。

かつての好奇心と破壊衝動で動くフランと違い、良心の塊。

破壊能力が弱った代わりに新たな能力を手に入れたため、実力は衰えていない。

しばらくしたら元に戻るらしいが…?

 

【夢月】

種族 悪魔

能力 不明

登場原作 東方幻想郷

説明

姉の趣味に振り回される悪魔。メイド服もそのうち。

嫌なことは人に押し付けるタイプで、性格は自他ともに認める悪。

最近は落ち着いた生活がしたいと考え続けるようになった。

弾幕においてはかなりの実力者で、かつて霊夢を苦しめた存在。

 

姉のことは嫌いではない。

 

【メルバ】

種族 妖精と妖怪の子孫

能力 『???』

登場原作 オリジナル

説明

全身真っ赤な謎の妖精。霧の湖を襲撃し、妖精たちをさらおうとした。

フランドールを今の姿に変えたのも彼女で、理由は不明。

スペルカードの名前的に火系の能力だが、発動を消滅させられ敗北したため、実力は分からないまま。

白亜という存在につかえているらしいが……?

 

【博麗霊夢】

種族 人間

能力 『空を飛ぶ程度の能力』

登場原作 主人公(東方ゲーム全般)

説明

博麗神社の巫女で、妖怪退治の専門家。

この作品の霊夢は割と誰にでも優しいが、敵には容赦しない。

クシーには少し興味を持っているが、今の所何かした訳ではない。

能力を最大に使った無想天生は最強の技で、誰も手が付けられないが、今作ではまだ出てない。

 

【大妖精】

種族 妖精

能力 不明

登場原作 東方紅魔郷

説明

妖精の中でも比較的優しく、この作品では何故か影が薄い。気づかれない。

実力が低いわけではなく、それなりに戦うことはできる。

誰よりもチルノを信じており、彼女の行動の原因も大抵はチルノである。

 

【チルノ】

種族 妖精

能力 『冷気を操る程度の能力』

登場原作 東方紅魔郷

説明

霧の湖のリーダー的存在。大体の妖精と仲が良く、一緒にイタズラすることもよくある。

この作品だと自由気ままな妖精の中では珍しく仲間意識が高く、命を賭してでも大妖精ら友達を守ろうとする。

みんな知っての通りあまり頭は良くない。

スペルカード

凍符「アイシクルフォール」

 

【レミリア・スカーレット】

種族 吸血鬼

能力 『運命を操る程度の能力』

登場原作 東方紅魔郷

説明

紅魔館の主にして、フランドールの姉。今作ではそれなりにカリスマ性がないことは無いが、抜けている所も。

妹が大好きで、妹第一で物事を考える。最近妹が豹変したので対応に困っている。

クシーの運命を少しだけ理解しており、信用するに足りる存在と判断。フランを任せるくらいには信用している。

 

【十六夜咲夜】

種族 人間

能力 『時間を操る程度の能力』

登場原作 東方紅魔郷

説明

紅魔館のメイドで、仕事のできる有能メイド。

時間を止めることができるため、誰も気づかないうちに家事をこなしていることも。

レミリアに忠誠を誓っているも、生涯人間を貫いており、今のところ眷属化する気は無い。

DI○(隠せてない)のごとく技を見せ、時々ギャグキャラに走る。

 

【幻月】

種族 悪魔

能力 不明

登場原作 東方幻想郷

説明

レミリアとは少し違う悪魔。思考は狡猾で外道。他人を簡単に騙す。

基本人を信用しないが、レミリアには悪魔として少しだけシンパシーを感じたのか、悩みを聞いてあげていた。

妹が大好きだが、妹には塩対応されている。

弾幕勝負は得意で、発狂レベルの弾幕を乱射する実力者。




これからも更新していきます。


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プロローグ
来死回精


妄想の類をそのまま書き出しました。

注意
初めての小説ですので、かなりの素人の文は許してください。
下手な文でも大丈夫な方のみ、閲覧お願いします。


「はぁ…はぁ…」

 

 

僕は、逃げてきた。

あの最悪の両親から。裏切った友達から。誰も認めてくれないこの世界から。

 

 

行くあてもないまま僕は歩く。

 

 

 

「逃げ……なくちゃ…」

 

もう逃げてきて三日ほど経つ。

手足はもうほとんど動かない。呼吸も苦しい。一歩歩くごとに全身に痛みと疲れを感じる。

 

 

 

もうずっと何も食べてない。

 

 

 

意識がなくなる寸前の状態。吐き気を通り越した空腹感。視界はぼやけ、もう歩く意味すら忘れるほどに何も考えられない。

 

 

 

「ぁぁ……僕は…死ぬのか……」

 

 

 

 

もう声も出なくなった。

雨の中、誰もいない街で、僕は一人、呻き声をあげている。

たまに通りかかる人も、僕は信じられない。

 

 

 

 

もう……ないのだ。

唯一の逃げ場だったネットも、好きな事の話題で盛り上がった仲間も。

 

 

生きる意味も、なにも、かも。

 

 

 

「ぁぁ…僕…は…」

 

 

 

もうじき僕は死ぬ。でも、生きて地獄を超える地獄を味わうより、ここで力尽きるほうがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、最後に。自分の願いが叶うなら。

 

 

 

「やさ……し…い、家……族が…欲…しかっ……」

 

 

 

僕は、自分の言ったことも分からないまま……路地に倒れた。

 

 

 

 

 

 

月の輝く夜、一人の少女が呟く。

「………何か、起こる気がするわ。新たな…異変が」

 

 

 

 

_____________________________________________

 

 

ここは…何処だ?

 

 

「僕……死んだのかな………?」

 

 

恐らくそうなんだと思う。

さっきまでの空腹感はなく、満足感………ではないが、気分がいい。

 

「死んだ」という事実より、僕には「逃げ切った」という事実のほうが僕にはでかい。

いざ死んでみると大分解放的だなぁ。溜まりきっていたものが全部なくなるようだ。

 

「はは………僕は………」

 

 

 

「自由だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

うん、すごくスッキリした。叫ぶっていいね。もう死んでるから叫んだって誰にも殴られない。最高だ。

 

 

 

それにしても、ここは何処だろう?

 

 

 

まさか、死後の世界ってこんな感じなのか!?何も無くてやることないとか?

それは勘弁して欲しいなぁ……せっかく解放されたのに……

 

 

一回寝たら何か変わるかなぁ?

 

 

ということで、僕は寝ることにした。

そもそも幽霊が寝れるかも怪しくはある。でもやることがないのだ。

 

 

 

「仕方ない、寝よう」

 

 

 

_____________________________________________

 

 

 

僕は、目を覚ました。

 

 

静かな朝の日差し。木や風のやわらかい音。人生で一番いい目覚めだ。

 

 

 

………ん?日差し?

 

 

いや待て。冷静に考えよう。僕は死んだはずだ。でもさっきと違って辺りは何も無い空間ではなく、居心地のいい山だ。

 

 

ここは死後の世界じゃないのか?

 

 

だとしたら、僕は一体どこにいるんだ?見当がつかない。

 

 

「とりあえず、歩いてみるか」

 

 

何となく発した僕の声は、普段よりかなり高い声だった。

 

 

「…………………え?」

 

 

気づけば、自分の背中に何かあるような気がする。

 

 

 

 

「…………羽………?」

 

 

 

 

一体どうなってるんだ?背中に羽なんて。でも無意識だったが飛べる。

自分の着ている服も大分フリフリしているもので、明らかに女の子の服である。しかも、見た感じ、自分の身長よりも明らかに小さい。なのに、フィットしている。

完璧だ。着心地が良すぎる。ずっと着ていたくなる。

 

だが、こんな姿、恥ずかしすぎる。

とりあえず、別の服に着替えるか…?

 

 

そう思って移動しようとした時、水溜まりに映った自分の姿を見て、固まってしまった。

 

 

 

 

 

 

「誰だ、これ…………ボク?」

 

 

 

そこに映っていたのは、かつての自分ではなく……

 

 

 

幼い一人の妖精だったのだ。




はい。原作キャラ出せませんでした。

次回は未定ですが、絶対作ります。
面白いと思ってくださる方がいたら嬉しいです。(序盤すぎて内容入って来ないけど)

頑張って作りますので、どうかよろしくお願い致します。

タイトルの読みは(きしかいせい)です。


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第一節 転生
第一話 妖精クシー


この作品についてです。
この作品はタイトル詐欺並みのゆるいストーリーになると思います。
思いついたことを書いているだけの作品なので、ストーリーの進展はまだ決まっていません。

あと、主は東方大好きですが、原作をやったことはほぼありません。
なので、原作キャラクターの性格、言葉、思考、関係性は変わってきます。

序章で何も進まなくてすみません。

それでも少しは見るよというやさしい方、僕は頑張ります。素人以下ですが許して。

第一話、開始です。


「この姿……あっ、『東方』の妖精に似てる……」

 

 

東方Project。僕がハマっていたゲームで、友達の家でやらせてもらってからすごく好きになって、スマホなんかで調べていたゲームだ。

 

結局その友達には縁を切られ、スマホは両親に叩き壊された。もう会うことはないと思ってたけど……まさか、僕が幻想郷に来ちゃったとか?

 

 

 

「あれは二次元だ。それはないだろ」

 

と、即割り切った。

普通に考えて、死んでゲームの世界に飛ぶなんて普通ない。

ここが異世界だとしても、幻想郷ではないだろう。

 

 

「でも、可能性はあるのかもしれない。でも、僕は何をしたらいいんだ?」

 

途方に暮れる。

まずは、この体に慣れようか。正直生前女性経験がないものだから、自分の体だとしても、いろいろ気になるのだ。

 

「とまあ、そこはどうしようもないだろ」

 

今やるべきことは、ここが何処なのか。そして、自分は何ができるのか。

よくあるゲームみたいに最強の能力を与えられたりは普通されない。そこは期待しちゃダメだ。

 

 

 

___________________________________________

 

 

目を覚ましてから約五時間。体内時計感覚なので、少しズレはあるだろうけれども。

 

まず、自分のできることだが、妖精らしく飛べるくらいだ。

東方のキャラみたいに、能力は持ってないように感じる。

 

もしここが幻想郷だったら、原作キャラには会いたいけど、危険すぎるな。

そんなことを考えていると、森に光が差した。もうすぐ出口なのかもしれない。

 

 

「……あのまま死んでても良かったけど」

 

 

「せっかく解放されたんだ。第二人生で、ボクは楽しく生きてやる!」

 

 

こうして、僕の妖精としての、第二人生が始まったのだった!

 

 

___________________________________________________

 

 

「…………これは」

 

森を抜け、しばらく飛んでいると、人里のようなものを見つけた。現代社会に生きた僕から見れば、だいぶ古風で、しかし暮らしやすそうな町だった。

 

でも、僕は妖精だから、一人で行くと可能性として何か良くないことになるかもしれない。基本、他人は信じられないものだ。

 

 

いきなり、どこへ行けばいいか、分からなくなった。

人里には行ってみたいが、誰かに縛られたくない。

 

考え込んでいたその時、

 

 

「助けてくれぇぇぇぇ!」

と、人間の悲鳴が聞こえた。

 

 

 

正直助けたくない。人間に対しては、前世の恨みが残っている。

でも初めてヒトの声を聞いたので、見物に行くことにした。

 

________________________________________________

 

 

「あなたは、食べてもいい人間だよね?」

 

そこに居たのは一人の男と……人食い妖怪、ルーミアだった。

 

………そう、ルーミアである。東方の。

ルーミアがいるということは、この世界は幻想郷で間違いないのだ。

 

ということは、やはり僕は幻想郷で生きていかなくてはならないのか。

 

面白そうなので、一部始終を見届けることにした。

 

 

 

 

簡単に話すと、

ただのお食事シーンだった。知ってたけどグロいので説明したくない。

 

「ん?あなたは……」

 

ルーミアがこっちに気づいてしまった。

 

「妖精?こんにちは、ルーミアよ」

 

ルーミアはこちらに近づくと、自己紹介をしてくれた。ルーミアって妖精だとこんなに態度変わるものなのかな?いまいち分からない。

 

「あなたはなんて言うのー?」

と、ルーミアが質問してくる。

 

 

何と答えればいいのだろう。

前世の名前だろうか。

それはあまり良くない。というか女の子らしくない名前は嫌だ。

と言っても、何かなかったかな……?

何か響きのいい名前……ギリシャ文字のアルファとか?うーん……

 

「ねえ、どうしたの?名前は?」

「えっと、クシー!ボクはクシーだよ!」

「そーなのかー、よろしくね、クシー」

 

 

元人間として、ルーミアが友好的だと、違和感がある。

この世界とゲームの幻想郷はちょっと違うとかの可能性もなくはないが…

 

「うん、よろしく」

 

 

今は深く考えず、優しく握手をした。

 

ここから僕は何をして生きていけばいいかまだ分からない。

 

 

でも、不思議とワクワクしている。

誰も信じてなかったはずが、ルーミアと少しだけ話した時、楽しかった。

 

 

この変な気持ちの正体に気づくのは、もう少し後だろうけれど。




こんがらがってきたらすみません。僕も今後これでストーリー作れるか疑問です。
あと、僕とボクは誤字ではなく、言葉の時だけボクになります。
少女ボ再生だとカタカナ感があるので…
ルーミアは今後クシーの最初の友達として作っていきますが、言った通りキャラはブレるでしょう。
他のキャラもぜひ出したい。でも出す口実が見当たらない。


良ければ出して欲しい原作キャラリクエストも活動報告からお願いします。

感謝はまだ少ないですが、いろいろ失敗したなーと思いました。謝罪は大量です。

というわけで、また次回。


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第二話 かつての記憶

伏線を入れるのは下手なので思いつき。
続きが気になるような作品は僕には作れなさそう。
クシーの能力は、考えるの大変なんです。名前を安易に考えた結果ですね。

期待はしないで、第二話、始まります。


「…………返して……」

 

 

「何言ってるの?こんなもの、あなたには必要ないわ。ゲームなんてあなたの役目にはいらない。そうじゃない?」

 

そう言って、母は僕のスマホを窓の外に捨てる。

ここは三階だ。恐らくスマホは壊れただろう。

僕は父に母に何か言ってと縋った。

しかし父も、

 

「必要ないだろ。お前が俺たちのために働くことにスマホはいらん。分かったらさっさと働け」

 

自分の仕事をほとんど押し付ける父。父は仕事ができると噂されてるらしく、企画書も完璧なのだとか。だから割と金持ちだが、その企画書を書いたのはどう考えても僕だ。そしてその手柄だけを横取りし、僕には二日に一回しか寝させない。

 

 

 

 

最悪だ。

 

 

 

 

「なあ、お前、なんで昨日約束を破った?」

 

友達に問い詰められる。

 

昨日、僕は友達との待ち合わせのため家を出ようとした瞬間、母に、

「ねえ、急にやることができたから、ちょっと手伝ってくんない?」

と、呼び止められた。

 

 

「僕、友達と約束って言ったよね?」

「言ったわね。だから何?こっち優先よ。早く手伝って」

どこまでも理不尽な母だった。

 

 

「ふざけないで。僕は今日は何があっても手伝わないよ」

「そう。わかったわ」

 

ほっとした後に、大きな爆弾を抱えてきた。

「今手伝わなかったら、今週一週間はご飯抜き、寝かしもしないわ」

……………どうしようもなかった。

 

「お前、これで五回目だぞ。一度も約束守ったことないじゃないか。」

「ごめん、それは、その……」

 

 

 

「もういい。絶交だ」

 

 

 

そうやって、僕にアニメや東方のことなど、色んなことを教えてくれた友達も僕の前から姿を消した。

 

 

 

 

 

「……………いやだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友達が欲しいよ」

______________________________________________

 

 

森の中で、僕は目を覚ました。

 

「大丈夫?うなされてたけど」

 

隣で寝てたルーミアが僕にたずねる。

「うん、大丈夫だよ」

 

彼女には、そうとしか言えなかった。

 

 

 

ルーミアと出会ってから、だいたい半月が経った。ほとんど動いていないので他の子と出会うことはなかったが、このルーミアは、思っていたよりもいい子だった。

僕は行くあてもないので、しばらくルーミアと過ごすことにした。

 

「食べられそうな草ある?料理するよ」

「今日はそこらにいた動物を狩ってきたよー」

ルーミアはそう言って、なんの肉かは分からないが、調理できそうな肉をドンと置いた。

 

 

 

「うん!人間じゃないのにおいしい!クシー、料理上手いんだねー」

「まあね……」

 

 

僕が料理できるのは、強制のようなものだった。両親は言うと本気で一週間何もご飯をくれないのだ。僕は家の冷蔵庫の中から賞味期限の切れた残り物を使って料理をするのがいつものことになっていたんだ。

 

 

「ねえルーミア。ちょっと聞いていい?」

「何?どうしたの?」

ルーミアが首を傾げる。かわいい。ここで一般のオタクなら襲いたくなるだろうが、僕は人間不信が抜けてないから、そんなことは無かった。かわいいとは思う。

 

 

「ルーミアには、友達はいるの?」

 

僕は聞いた。友達の輪を増やしたかったからではなく、単純に他に誰かに会って、この幻想郷について知っている人を探すためだ。正直僕にやることはないのだが、東方Projectは度々幻想郷に異変が起こる。そんな時に自分の身を守れるように、少しは強くなりたい。つまり、誰かに修行をつけて欲しい。

 

 

「うーん……霧の湖にいる妖精ならしってる」

「じゃあ、そこに連れて行ってよ!」

「分かった。ついてきて」

 

 

ついてきてって、軽いね。割と近いのかな?

 

 

 

 

 

 

「この辺のあたりのはずよ」

本当に近かった。30分程度だった。

これで、他の誰かしらに会える。僕は今、ちょっとワクワクしている。

「ここが霧の湖……………ん?」

 

 

辺りに焦げ臭いにおいが漂っていた。




ほーらまた変なとこで区切ったよー僕…
半分回想だったよ……!
本当ド下手ですね、文作るの。

次回は明日です。ルーミア以外も出てきますよ。
あとオリキャラはクシーだけじゃありません。他にも出てきます。

楽しみにしている人はいないだろうけど、第三話をお楽しみに!


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第三話 程度の能力

はい、続きです。
スペルカードや能力の出し方は分からないので、感覚です。
完全にオリジナルになっちゃいますが、許してください。

面白くないでしょうけど、見てくれた人には感謝です。
それでは、第三話、スタート。


「何……?この臭い」

「焦げ臭い…霧の湖に火を使う妖精はいなかったはず……」

 

ルーミアも頭を抱えて悩んでいる。

当然僕の記憶でも火を使う妖精はここにいない。

 

「となると……襲撃か?」

それに、これを放っておくと森にまで確実に影響が出る。早く何とかしなくては。

「ルーミア、行こう」

 

 

 

「……………これは………」

 

僕達が見たのは、苛烈な弾幕勝負だった。

 

 

「アタイが……みんなを………守る…」

 

 

右手にいるのは氷の妖精、チルノ。かなり弱っている。

チルノの下には、たくさんのボロボロになった妖精がいた。

 

 

「ふーん。サイキョーの妖精もこの程度ねぇ……」

 

左手にいるのは、真っ赤な炎を纏った妖精だった。恐らくこの焦げ臭い臭いの原因だろう。

しかし、こんなキャラ、原作にいただろうか。僕は見たことがない。

 

 

「はーぁ、割と面白くなかったなー。そろそろ全員まとめて焼き尽くしちゃおうかなー……」

 

 

炎の妖精はそういうと、フラフラのチルノに巨大な炎を投げようとした。

 

 

「アタイが……みんなを……」

 

目が虚ろになりながらも、友達を守ろうとするチルノ。

その姿は、正義のヒーローのようでもあった。

 

 

「終わりだァァァァァァァァ!」

 

 

炎の妖精がチルノに炎の球を投げた瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は、反射的にチルノの前に立ち、両手を広げた。

 

_____________________________________________

 

 

炎の妖精がチルノにトドメを刺す瞬間、傍観者となっていた私。

しかし、クシーという妖精は、なんの躊躇いもなく、本気で殺す気だったあの炎に飛び込んでいった。

 

 

 

そして…巨大な爆発音と共に、爆風が私たちを吹き飛ばす。

直撃したクシーは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()

 

 

ありえない。あれほどの力の攻撃を受けて、ただの妖精ごときが無傷でいられるはずがない。クシーという妖精は一体、何をしたんだろう。

 

 

「クシー……あなたは………一体何者なのだー………?」

 

__________________________________________________

 

 

「え……?何で………?」

 

 

炎を受けた僕の体は、傷一つついていなかった。

僕にそんな力があったのだろうか。

 

「は………?何で……ダメージがないんだよ!おかしいだろ……!」

 

炎の妖精も頭を抱えている。

 

これはチャンスかもしれない。

 

 

「ルーミア、チルノたちをお願い」

 

「……わかったのだー」

 

ルーミアがボロボロの妖精たちのところに飛んでいく。

 

 

 

正直、戦える気はしない。自分がなぜチルノの前に飛び込んだのかも分からない。

でも、自分の力は理解できた。

 

「僕の力は、『腐蝕』。『腐敗と消滅を司る程度の能力』。腐蝕といっても、腐らせることじゃない。例えば物質なら、分解し、消滅させることだ」

 

今ので判明した自分の能力を高らかに叫んだ。

 

この能力にも限度はあるが、今回は、爆発はしたものの、自分が触った瞬間に火球の火種を『腐蝕』、消滅させ、さらに爆発のダメージまで消したことで、ノーダメージだったということだ。

 

 

未知数すぎる。というかチートの類かもしれない。

 

 

でも、一つだけわかったことがある。

 

 

 

「計画のジャマをする……害虫ごときに……私は負けんぞ…」

 

 

 

僕は蝶のように美しい羽を持ち、

 

 

同時に、害虫のように残酷で、気味の悪い力をもっているのだ。

 

 

なら、それをよく使うのが、僕のやり方だ。

 

 

もうひとつ、目標ができたな。この力を使って、僕のように苦しむ人を無くす。

もうあのクズ共はこの世界にいない。なら、復讐心も忘れて、僕はこの世界で楽しく生きていきたい。妖精クシーとして、ゲーム世界のように、楽しく……

 

 

「だから、僕は負けない。この湖も、ボクが守ってやる!」

 

「チッ、クソがァ!いいだろう、少し本気を出してやる。」

炎の妖精は手を天に掲げ、

「炎焼『破壊の大火事(ブレイクファイアー)』!」

と、叫んだ。

 

 

初めて見た。スペルカードだ。

っと、喜んでる場合じゃない。まずはあれをどうにかしなきゃ。

しかし、避けても下の弱った妖精達に当てる訳にもいかないし、本当に大火事になったら大変だ。

 

 

「ならば、スペルカードを直接消去する!」

 

スペルカードの発動に腐蝕を使った。どうにかキャンセルできた。

 

 

「はぁ!?反則ダロォ!?」

 

「知るか。ガチの殺り合いにルールはない!」

 

ゲス発言にも聞こえるが、その通りでしょ?

 

 

「クソっ!仕方ない、撤退してやる!」

 

そういうと、炎の妖精は逃げていった。

 

 

「……ぃやったぁー!守ったぞー!」

 

 

「ルーミア、勝ったよ…!」

「うん、見てた…けど…」

 

驚いている。規格外だったのかな。

「ボクはやったよ……初戦で……勝った……んだ…」

安心すると、唐突に眠気が迫ってくる。力を使いすぎたのかもしれない。

 

 

「クシー…?ねぇ…?クシー!」

 

返答もできず、意識を失った。




なろう系に近くなりました。面白くなかったらごめんなさい。
追記すると、クシーの『腐蝕』は接触しないと発動しません。明らかにチートですが。

あと、腐蝕は手しか反応しません。今回発動したのは、偶然クシーが押し返そうとしたからです。

あとルーミアがちょっとオリジナルヒロイン化してきてる。

敵のキャラは完全僕のオリジナルです。またそのうち出ます。
スペルカードは6秒で考えたものです。

ということで、今回も面白くなかったらすみません。
次回からは、原作キャラとの出会い編になるかも。そろそろメインキャラ出してあげないと。

というわけで、私の作品面白かったよーという優し〜い方は第四話をお楽しみに。


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第四話 戦いはすぐ来る

一難去ってまた一難。
シリアスはなしにしたいんですけどね。しばらくはこの調子かも。

今回はおまけが多いです。ごめんなさい。
ということで、第四話、期待しないでどうぞ。


「クシーさん……起きましたか?」

 

 

「………んぐ……むぅ……」

 

目を覚ますと、そこは森の中だった。

僕が一番最初に目覚めた時に似てる風景だった。

 

 

自分の「程度の能力」を使って何となくわかってきた気がする。まず、腐蝕を使うことには制限がある、ということだ。恐らく発動条件は「接触」、それも手のみだ。

手以外で使うのを試した訳では無いが、発動した時は必ず手で触った時だった。だいたいそうだと仮定していいだろう。

 

「あのー………クシーさん?」

 

次に、使うと、強力な眠気と空腹感が襲ってきた。食べて大してたっていなかったのにあれほどだ。つまり、使うことで「生物欲求」、要するに本能的な欲が暴走し始めるのだろう。食欲と睡眠欲だけならいいが、最悪の場合もう一つの欲が体を支配し、恐ろしい絵面になるかもしれない。それは何としても避けたいところだ。

 

僕はまだ、何もしていない。そう、何もしていないのだ。なら大丈夫だ。

自己解決したところで、現状を確認したい。

 

「クシーさん?気づいてます?」

 

この森は最初の森と同じであるのは間違いない。だとしたら、ルーミアやチルノ達はどこに行った?そして、今何をしているんだ?

もしかしたら気ままな妖精のことだし、僕の安全が確認されたらどこかへ行ってしまったのかもしれない。まあ、別に一人でも僕は構わないのだがね。

 

「あのー………」

 

まあ、ルーミアがいなくなったのは少し寂しいかな……過去と同じで人は僕から離れていく。それが今回も同じ結果になっただけ。何も悲しむことは無い。

たかが一週間一緒にいただけの仲だ。悲しくなんかない。

 

「あのー……クシー……さん……?」

 

そう、本当に、悲しくなんか…

 

どうしてだろう。

不思議なことに、目から汗がたれる。

 

 

「クシー…さん……泣いてるんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?いつからいた?」

_______________________________________________

 

「ひどいです。起き上がってからずっと話しかけてたのに!」

 

「ごめんなさい。自然の色と同化してました」

 

「私そんなに影薄いですか………?」

 

彼女は東方原作で見たことがある。確か大妖精だ。中ボスで目立たないキャラだったなー確か。でもチルノと仲がいいため、二次創作では度々出てくるキャラである。

僕の名前を知っているのは、多分ルーミアあたりから聞いたのではないかな?

 

「えっと……それで、大………えっと……どちら様でしたっけ」

 

今気づいて渾身の演技。さすがに一度も話していない人の名前を言うのはまずい。

 

「私は大妖精。貴方の助けてくれた妖精の一人です。この辺りにずっといますが、あなたのような妖精は見たことないですね……」

 

「あ、あー…最近生まれたのでね……」

 

ちょっとだけ自分が妖精なの忘れてた。

 

「あ、それで大妖精さん、なんでここにいるんですか?」

 

「あ、そうだ……一番大切なことを思い出した……チルノちゃんたちが捕まっちゃったんです!早く助けないと!」

 

大妖精ちゃんが慌て始める。というか忘れてたの?そんな重要なこと。

 

「なんだって!?ルーミアもか!?」

 

「はい……あの場にいた私以外はみんな連れてかれました。この間の妖精とは違う人ですが……」

 

これはまた重大なことになった。さすが異変大国幻想郷である。

 

でも、一時期森とか燃えてるはずなんだが、「主人公」達は来ないのか?

主人公がどう動くにせよ、それは僕が動くかどうかには関係ないけど。

 

僕はルーミアやチルノを絶対に助ける。

ようやく見つけた友達を失いたくない。

 

僕は人道を失ったタイプの復讐者ではない。

自分と同じように…自分と同じようでなくとも…

苦しむ誰かを必ず助ける。そうやって僕は前世への復讐をしたい。

 

「行くよ、大ちゃん。みんなを助けに行こう!案内して!」

 

「………はい!」

 

僕達は、さらなる戦いへ挑む………

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

 

「大ちゃん…なんで大ちゃんとボクは助かったの?」

 

「私がクシーさんを隠したのと、私自身は何故か気づかれませんでした。」

 

大ちゃん、やっぱり影薄いんだな。

 

 

_________________________________________________

 

《読まなくてもいい内容です。つまりさらなるおまけです。》

 

 

事態が落ち着いた森………私、ルーミアは、友達、クシーの看病をしていた。

あの後、彼女は二日間ずっと眠っている。なぜなのかは、私にも分からない。

クシーの優しい寝息がすぅすぅと聞こえてくる。

 

「すごいね、あなたは」

 

実際その通りで、クシーはチルノを圧倒した妖精の攻撃を受けて無傷、スペカを消失させ撤退させたのだ。普通の妖精にできる芸当ではない。

 

でも、この寝顔を見ていると、そんなに強い少女には見えてこない。不思議なものだ。

 

「……ルー………ミア………」

 

ぼそぼそとクシーが何かつぶやく。聞き取れなかったので顔を近づけると……

 

 

 

 

んちゅっ

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかのキスされた。

 

「ひゃあっ!?何するのだー!?」

 

驚いて顔を離すが、体を掴まれて動けない。

どうにか離れて欲しいが、もがくと、さらに抱きついてくる。

 

クシーよ、寝てる間になんてことを!

 

弾幕の球でショックを起こして話そうとしたが………

 

「誰………か……そば……に……………いて…」

 

と、悲しそうな声が聞こえた。

 

「………………仕方ないなぁ」

 

その夜は、添い寝をして眠った。

 

 

 

 

______________________________________________

 

 

「ルーミアちゃん!チルノちゃん!誰かから襲撃されたよ!」

 

大妖精が大慌てで報告しに来た。

 

チルノも大分慌てている。

 

「仕方ない。大妖精、クシーをお願い」

 

「分かりました!」

 

私たちで、何とかしなくちゃ。

私たちは戦闘態勢に入る。

だが、遠くから聞こえてくる声に覚えがあった。

 

「大ちゃん、ルーミア、この声って……」

 

 

 

「ルーミアとチルノか。捕まえればいいんだな?」

 

「そうだ。モタモタしてないで早く捕まえろ。」

 

見慣れない妖怪と、もう一人。

 

 

 

「………………サニー……?」

 

 

性格の豹変した、サニーミルクだった。




原作キャラを出したいけどゲームの順番になりがちだから飛んだキャラを出しました。

あと申し訳程度の百合要素。ゆりゆり。

この作品のルーミアはかなーーりいい子です。あと霧の湖の妖精と友達設定です。
この作品の大妖精は……柱みたいな……「影薄い的な意味で」
大妖精の影薄設定は別のゲームのあるキャラから頂きました。笑

妖精ばっか!別のキャラも出したい。誰出して欲しいかな?数少ない読者、リクエストしてみて?すみません、なんでもないです。

妄想の塊、頻繁に不定期更新!第五話もお楽しみに!


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第五話 限界を超えて

さて、オリキャラが増えてきました。原作出せよな僕。
スペルカードのイメージは個人的な物なので、だいぶ設定が違うと思います。

ここからは原作キャラも増やしていきたいなー。
ということで第五話、何となく読んでください!


勢いで飛んできたが、この間勝てたのはマグレだ。

あの妖精が自分の能力の正体に気付かず、かつ撤退してくれたからだ。

この前僕が能力を使ったのはたったの「二回」。それだけで自身にあの眠気が襲い、眠ってしまう。

しかも大妖精によると三日は眠っていたらしい。頑張っても眠気に耐えられるのは『三回』、かつ眠ってしまった場合はゲームオーバーである。妖精だと「一回休み」になるのかもしれないが、そんなことを考えてる余裕はないし、みんなを助けられないのには変わりない。

 

つまり、この戦いで僕が能力を使えるのは、『約三回』である。

ついでに僕はまだ弾幕が使えない。使い方を知らない。

 

きっと大妖精にも苦労させてしまう。

でも、希望が無いわけじゃない。その三回の能力で、ギリギリまで抗うのだ。

 

「…………行くぞ」

 

_____________________________________________

 

「ここです」

大妖精が指したのは、森の端、人里に近い位置にある謎の廃墟だった。

こんなところ、原作では見たことがない。

 

「…行こう、大妖精」

 

壊れかけの扉から中に入る。壁もボロボロで、誰も住んでいなさそうだ。

でも、それ以外に何も見つからない。ボロボロなだけで、人の気配も感じない。

 

「…なんなんだよ、一体…」

 

僕はため息をつき、近くの壁に腰掛ける。

すると、ガコンという音と共に背中の壁が外れた。

 

「うわぁぁぁぁ!」

「クシーさーーん!」

 

その奥は隠し階段になってて、そのまま僕は転がっていった。

 

 

「いてて…」

 

幸い、怪我はなかった。しかし、こんな所に地下通路があったとは。

……………微かに人の声が聞こえる。

 

「大ちゃん、こっちだ」

 

大妖精を連れて、声のする方へ向かう。怖かったが、聞き覚えのある声だったので、確信をもって歩いていった。

 

 

そこには……

 

「くそー!幻想郷サイキョーのあたいがなんでこんな所にー!」

「仕方ないよ……少し落ち着こう?」

 

喚くチルノと慰めるルーミアがいた。特殊な鉄格子で監禁されている。

 

「ルーミア!」

「チルノちゃん!」

 

僕と大妖精は鉄格子をどうにかしようとするが、開ける方法が分からない。

仕方ない。ここは一回目の能力で消すしかないか。

僕は鉄格子を握り、『腐蝕』を発動する。鉄格子は一瞬で錆び、ボロボロになって砕け散った。

 

「大ちゃん……!」

「チルノちゃん!」

 

チルノと大妖精はお互い抱き合っている。やっぱりとても仲がいい。

そして僕はルーミアと向き合う。

 

「助けに来たよ、ルーミア」

「クシー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後ろ!」

 

その言葉に反射し、咄嗟に後ろからの拳を避け、腕を掴んだ。

 

「くっ……気づかれるとは……」

 

その腕の持ち主は黒い髪の妖怪か人間。僕は原作で見たことがない。この間の妖精の仲間かもしれない。

 

「あんた……何者だ?」

「私か?私は……ただの工作員だ」

 

その言葉の意味を考えた時、横からの光線が目に入った。僕はギリギリで避けることができた。

 

「サニー……なんであたい達を捕まえたんだ!」

サニーと呼ばれた光線を撃った妖精は、ニヤリと笑い、何も言わずに僕とチルノを攻撃する。

突然の攻撃に対応できなかったチルノを、僕は反射的に能力で庇ってしまっていた。

残り一回である。既にものすごい空腹感と睡眠欲が増している。もうすぐ理性を失ってしまうかもしれない。

 

「よくやった、サニー」

「あたしにかかればこんなもんよ」

よく見ると、サニーの目には光が灯っていないように見えた。

 

(もしかして、あれは、操られているのか……?)

だとしたら、何かサニーにかかっている術を外す方法があるはずだ。

 

「みんな………僕がサニーを戻す。みんなにはあの妖怪を攻撃して欲しい。手伝ってくれる?」

「「「もちろん!」」」

 

 

「くらえ!凍符『パーフェクトフリーズ』!」

「闇符『ディマーケイション』」

 

ルーミアとチルノのスペルカードが黒い妖怪に炸裂する。黒い妖怪も負けじと応戦する。互角の勝負だが、二人には大妖精のカバーがある。恐らく負けないだろう。

 

そして僕は、サニーミルクと一体一のタイマン状態。

僕の能力でサニーを元に戻せたら勝ち、僕が倒れたら負けだ。

 

 

「ふん。何もしてこないのか?ならこっちから行ってやろう」

 

サニーミルクは攻撃態勢に入り、

 

「日符『アグレッシブライト・改』!」

 

スペルカードによる攻撃を始めた。異様な光の屈折による先の読めない攻撃に、僕は、苦戦を強いられていた。

 

足に当たった。

 

羽に当たった。

 

反対の羽にも当たった。

 

でも、ここで諦める訳にはいかない。

廃墟は崩壊し、向こうの戦いも長期戦になっている。これ以上長引いたら、せっかくの優勢も変化してしまう。

 

ここで決めなければ。

 

最後の力を振り絞って、サニーに突進する。

 

「まだ来るのか!?いい加減倒れろ!」

 

弾幕はさらに強くなる。でも、僕は飛ぶのをやめない。

光が、僕の左腕に当たる。既に僕の体はボロボロだった。

 

 

届け、届け、あと少しー……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………即席スペル……腐蝕『理を蝕んだ空間接合(リユニオン)』」

 

自分の目の前とサニーの目の前の空間を無理やりくっつける、最高にカッコ悪い技。

 

サニーの弾幕をすり抜け、手が届く所まで接近する。

 

「しまっ………」

 

__________________________________________________

 

疲れと、怪我と、能力の副作用で、意識を失いかける。

3人も既に疲れきっている。そして、僕は気絶したサニーとともに地面に倒れ伏していた。

意識が途切れる瞬間………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妖精の割にはやるじゃない。あとはこの博麗の巫女に任せなさい」

 

頼もしい、「彼女」の声がした。




スペルカードは6秒ルール!
即席スペルということで、名前も即席です。単純にクシーに合うスペルが考えづらいだけです。

クシー編、一章は次の六話で終わりです。と言っても、区切りという意味です。
つまりは一旦激闘が終わるということですね……。

あと、やっと「彼女」が登場します。幻想郷の顔ですもんね。

ということで、また次回………


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第六話 真の始まり

一章最終回。
まあ何もしない回ですけどね!


「うーん…」

 

目を覚ますと、見慣れない和室。一体ここはどこなのだろう。みんなはどこに行ったのだろう。

 

「あ、起きた?」

 

一人の少女に声をかけられる。

 

「ルーミア……」

 

一緒に戦ってくれた僕の最初の友達、ルーミア。人喰い妖怪だが結構優しい。

 

「えーと、あれからどうなったの……?」

「紅白の巫女が援護してくれたおかげでアイツは撃退できたよ。サニーミルクもまだ気絶してるけど無事。それでクシーは巫女の神社に特別置いて貰ってるの。」

 

「ちなみにあれから何日経った…?」

「四日半ね」

 

四日半……前回が三日だったから、一回能力を使うと一日半寝てしまう計算かな?でも能力行使が一回なら眠気もそこまで感じなかったし、使った回数×1.5日は合っているのだろうけど。

 

「ところで、寝てる僕の世話をしてくれたのはルーミア……?」

「え?あっ、うん………/////」

 

ルーミアが頬を赤く染める。

 

「え?僕が寝てる間に何かあったの……?」

「な、何も、ない…………よ?/////」

 

凄く気になる。

 

 

 

 

話をまとめよう。

謎の敵は撃退、逃走。また襲って来るかもしれない。油断はできないだろう。

チルノ、大妖精達は霧の湖に帰ったそうだ。

チルノとはあまり話していないが、大妖精はいい子だった。影薄いけど。

サニーミルクはルナとスターが引き取って、まだ気絶しているらしい。

 

そして、僕とルーミアは、紅白の巫女……博麗霊夢の神社に泊めてもらい、ルーミアは僕の面倒を見ていた……ということだ。

 

 

こんな流れで主人公と会うとは思っていなかった。

 

 

僕は元気になったので、今は博麗神社の外で日向ぼっこをしている。

現代日本に比べて自然の多い幻想郷で日向ぼっこをするのはとても気持ちがいい。

 

ぐぅーーーー……

腹がなった。

 

そういや四日何も食っていないのでは!?

しかも能力の反動で余計腹が空く。気持ち悪い。

 

ちなみに前回は二人のところに行く前に食事を取っていた。空腹に気づかないくらいには焦っていた気がする。

 

「おはよう。お腹空いた?」

「………霊夢さん……」

 

博麗霊夢さんは僕にちょっとしたおにぎりを差し出した。

 

「あ……ありがとうございます」

「いいのよ。というか私名乗ったっけ?」

やっば。

 

「博麗の巫女ともなると名前くらい知れ渡ってますよ!」

「そうね。ルーミアか大妖精あたりから聞いたのかしら」

「ま、まあそんなところです」

 

危なかった。名前には気をつけよう。変なことをすれば、「あの人」に目をつけられるかもしれない。それは何となく嫌だ。僕はなるべく平和に生きたいのだ。

ちょっと焦りながらおにぎりを全て飲み込んだ。

 

「美味しかったです。本当にありがとうございます」

「あんた、妖精にしてはだいぶ大人しいというか……礼儀正しいというか…謙虚ね」

「変でした?すみません」

「問題ないわ」

 

霊夢さんはとても優しかった。妖精である僕にもちゃんと優しかった。

 

 

 

 

僕の体が元の調子に戻った。盛大に怪我をしていた足も羽も問題なく動かせるようになった。

 

「あら。元気そうね。もう大丈夫ね」

「はい。結局一週間も滞在してしまってすみません」

 

人間だったら完治までもっとかかっただろう。全治四ヶ月は確実の怪我だったが、この体はかなり怪我の治るスピードが速かった。

 

僕の体も治ったので、そろそろこの家を出る時だ。

 

「霊夢さんも、ルーミアも、本当にありがとうございます!」

「私はいいのよ。元気そうで良かったわ」

「クシーが無事なら……良かったわ……/////」

 

……一週間ルーミアはこの調子である。

 

「えっと……ルーミア、どうしたの?」

「私はなんでも……」

「あーこれね。実はあんたが寝てる間にあんたがルーミアの」

「わーーーーーっ!わーーーーーーーーーっ!」

 

(本当に何があったんだ……?)

 

「そうだ。アイツらの話だけど」

「アイツら……あの妖怪たちのことですか」

「そうよ。アイツらはまた来るわ。あなた達を何らかの目的で捕まえようとしてる。気をつけてね」

いずれはまた戦いになるのだろう。僕も気をつけなければ。

 

「分かりました」

「よし!それじゃ、困ったことがあったらまた来なさい。次は参拝客として迎えてあげるわ」

 

霊夢さんと別れを告げ、僕とルーミアは飛び立つ。

ここから、ようやく僕の生活が始まる。

 

 

さあ、第二人生は絶対に幸せに生きるぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、僕どこで寝ればいいんだろう」

「最初の時みたいに野宿でいいんじゃないの……?」

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

 

 

「ところで、あんたを四日間も眠らすその能力って何なの?」

 

「『腐蝕』………ボクの能力は、『触れた物を腐敗・消滅させる程度の能力』です」

「何それ……かなり強そうな程度の能力ね。制限がなかったらかなり危険よ」

 

それは確かに僕もそう思う。

 

「実際相手の弾幕も消せます」

「うわぁ……」

 

本気で引いてそう。

 

「でも……制限があるんです。この能力を使う度に、本能的欲が高まるんです。生物の三大欲求……特に睡眠欲が強力で、三回も使えばこの通り、四日眠り続けます。他の二つがどうなっているのかは寝ているので分からないです」

 

(他の二つ……あっ、ふ〜ん(察し))

霊夢さんは何か納得したような顔をしている。何でだろう。

 

 

 

 

(それで寝ている間、一番近くにいたルーミアを襲い、全身をまさぐって……思い出しただけでちょっと笑えるわ)

 

(怖い……!なんでクスッと笑った……!?)




はい。一区切りさせました。
この世界の霊夢さんは普通にいい人です。はい。

と、ルーミアの乙女化はさらに進む……クシーそこ代われよ!(迫真)
クシーが寝ている間の世話役はずっとルーミアなので暴走の被害者はルーミアですが、他の人と一緒になったらさらなる事案が発生します。

良ければ活動報告にリクエスト募集がありますので今後出して欲しい原作キャラをリクエストしてください。読んでくれる人として覚える為にもね!

旧作キャラでもありだけど繋げるの難しそ。まいっか。

次回は第二章!第七話にしてクシーとは別視点から始まります。たぶん!
それでは、僕の妄想の塊にまたお付き合いください!


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間章 フランドールの新体験【フラン編】
第七話 破壊少女の物語


さて、第二章…フランドール編です!
僕の好きなキャラを独自の設定で生かしていきます……!
どうかゆるく見てってください!

ゆるくしたいって言ってる割に小シリアスが抜けない。


クシーが博麗神社で療養している頃………

 

紅魔館では、当主レミリア・スカーレットとメイド長の十六夜咲夜が会議をしていた。

 

「問題はただ一つ。今度の『幻想郷大祭』でフランを連れていくかどうかよ」

「はい…」

 

幻想郷大祭。幻想郷の住人で集まり、楽しむ、霊夢と紫主催の大宴会である。

紅魔館の住人も、レミリア、咲夜、パチュリー、小悪魔、美鈴は参加することになっていた。

 

そして、取り残されたフランを留守にさせるか、連れていくか。

正直メイド妖精だけではフランを放ったらかしにする可能性がある。

 

だが、フランに祭りのことを伝えれば、行くと言い出して聞かないだろう。でもフランを連れて行って、色々破壊されても困るのだ。沢山の人が来るから尚更である。

 

「簡単に言って、取り残して紅魔館の物が破壊されているかハラハラするか、祭りに連れて行ってそこらの物が破壊されないかハラハラするかよ」

「詰んでません?」

 

「た、多分そんなことはないわ」

 

レミリアも困っていた。フランにも祭りには行かせてあげたいが、フランがやらかして尊厳が失われることも怖かった。

 

「本当にどうしましょうか」

「悩むわね」

 

 

 

 

 

 

そして、私は。

相変わらず地下室に1人だった。

メイド妖精が話してるのが聞こえたので、私以外が祭りに行くことは知っている。

でも、きっと私が行ったらまた迷惑をかけて怒られるのだ。

 

それは私も嫌だった。

 

「………はぁ。行きたかったな」

 

 

 

 

 

「なら、行けばいいじゃない」

 

 

 

 

 

どこからか、突然声が聞こえた。

不気味で、怖くて、どこか優しい声だった。

 

「あなたはだれ……?どこにいるの……?」

 

「我はメルバという。遠くから魔法で話しているからそこにはいない。」

 

謎の存在はメルバと名乗った。

 

「メル…バ……?何しに来たの……?」

 

メルバはクスッと笑った。

 

「簡単だ。我はフラン君を祭りに出してあげようと思ってね。僕の言うことを少し聞いてくれればいい。白亜の頼みだから、ちゃんとサポートしてあげるよ?」

 

どうも胡散臭い言い方だ。

 

「白亜……?だれ……?」

 

「そこは気にしなくていい。我が聞きたいのは一つだけだ。」

 

 

「祭りに、行きたいか?」

 

 

 

 

私は、正直に答える。

 

 

 

 

「……行きたい。…………みんなと遊びたい!」

 

少しの間があって、

 

「…よく言った。フラン君、今日の夜、紅魔館の外に来るといい。」

 

メルバはそう言って、通信を切った。

 

「………わかった」

 

「……今夜…………か」

 

 

 

 

 

 

「来てくれたね」

 

私は言われた通り夜に紅魔館の外に来た。メイド妖精のスキをついて抜け出してきたのだ。

 

メルバという少女は、羽の燃えた、紅い妖精だった。

メルバが悪そうに笑う。

 

「さて、これを君にあげよう」

 

メルバは謎の紅い尖った宝石を私に差し出した。

その石に何か強い力があるのはわかるが、具体的な内容は分からなかった。

 

「さて、それじゃあじっとしててね」

 

そう言って、メルバはその宝石を持って………

私の胸に突き刺した。

 

「あっ…………がはっ……何を…………」

 

全身に激痛が走る。今にも気絶してしまいそうだった。

 

「大丈夫。体に害はないよ。」

と、メルバは言うが、信じられなかった。

 

「お……まえ…………!」

 

私はメルバを強く睨みつける。メルバは全く怯えず、

 

「ごめんねフランちゃん。僕の主人の頼みなんだよ」

「破……壊…………して…や………」

 

もう声を出すことも辛かった。

 

「二ヶ月後に元に戻る。祭りの次の日だ。それまで君は」

 

メルバは真面目な顔で、

「太陽に勝てる」

と呟いた。

 

それが最後の記憶だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ラン……………フラン………………」

 

声が聞こえる。

 

「フラン!大丈夫!?」

 

目を開けると、日傘を差したお姉様と咲夜が私の顔を覗き込んでいる。

 

「お姉………様…………?」

 

お姉様が私に抱きつく。

 

「良かった………!ずっと日を浴びてて、もう助からないかと思ったわ!」

 

「妹様………無事で良かったです」

 

お姉様は泣き、咲夜は安心した顔をしている。

というか、ずっと日を浴びてた………?

 

「私、ずっと日を浴びてたの……?」

 

お姉様が泣きながら喋る。

 

「そうよ!吸血鬼が日向ぼっこするなんて、自殺行為だわ!」

 

「いや………私は………大丈夫だよ」

 

私は怪我も全くしていなかった。

あのメルバという妖精が言っていた、「太陽に勝てる」とは、このことなのだろうか。結局メルバの目的はなんだったのか。謎は深まるばかりである。

 

結局、私も祭りに行けることになった。今回のことでお姉様の心配が加速したからである。私も嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、この時、焦っていて誰も気づいてなかった。

私の瞳は蒼く染まり、虹色の翼は全て真っ黒だったことに………




ということで、フラン……暗黒化……禍フランですかね?そんなイメージ。
幻想郷大祭はもっと先の話での舞台となりますが、ここからはフラン達はそこに向かっていく話になります。

フラン編は続きますが、次はクシーちゃんとの出会いになるかも。
良ければ、僕の活動報告の返信から出して欲しい東方キャラのリクエストをお願いします!作りやすくなります!笑
旧作キャラでも頑張る!

それでは、また!


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第八話 レミリアの苦悩

フランの待遇が大きく変わりました。
期待しないでお読み下さい。


少女、フランドールは今、楽しそうに日を浴びて飛び回っている。これは吸血鬼にはありえないことであり、姉のレミリアもこれには非常に驚いていた。

 

「一体、何がどうなってフランはこうなったの……?」

「私も全く分かりません」

 

フランに変化が起きたのは、三日前のことだった。紅魔館を抜け出したフランは太陽の光を全身に浴びながら気持ちよさそうに寝ていたのだ。フランは、メルバと名乗る妖精に何かをされたと語っていた。

 

「つまり、そのメルバが原因………っと」

 

フランが変わってから、色々な所に変化が起きた。まず、フランの目は蒼く染まり、虹色の翼は黒い闇に覆われていた。しかも、太陽の光を操ることができるようになったのだ。

 

代わりに、フランの「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」は弱まり、フランの破壊衝動も無くなっていた。

 

そして………

 

「お姉様、お花摘んできたよ!輪っかにしたの!綺麗でしょ?」

 

フランは、驚く程に綺麗で、大人しくなっていた。

 

 

 

 

 

 

「今のフラン……フラン感がないわね」

「確かに……別人のようですね」

 

レミリアは今までフランの無邪気な性格に悩んでいた。遊び感覚でものを破壊されるのは日常茶飯事だった。

 

でも、いざこうなってみると困惑する。

何か別の生き物を見ているようで、少し変な気がした。

でも、これなら祭りに連れて行っても大丈夫だろう。

 

 

それからレミリアはフランの観察を続けたが、本当に別人になってしまった。

魔理沙が図書館に泥棒に入った時だって、いつもなら

 

「マリサ!遊ぼう?」

 

と、弾幕勝負を持ちかける。

だが、この間は、魔理沙と遭遇した時、

 

「おはよう、魔理沙。いい天気だね」

「………え?…………ああ、そうだな」

「ふふふっ…」

 

と、恋する乙女のような平和な会話をして終わりだったのだ。

 

(…………本当誰よあれ?)

フランの変貌っぷりに悩むレミリア。

 

「とりあえず、この「綺麗なフラン」を祭りに連れていく、で決定でいいかしら?」

咲夜が頷く。

理解してなさそうなフランの顔。

レミリアとフランに起こる異変は、ここからなのだった。

 

 

 

 

夜……紅魔館の外。

私………レミリアは気を沈めるために外で涼んでいた。

 

「はぁ……」

 

私は大きな溜め息をつく。

その原因のほとんどがフランのことであった。

 

フランを祭りに連れていくかどうか。その問題が解決するも性格が丸くなりすぎて誰かわからなくなったフラン。

 

本当に大変である。

 

「疲れた……」

言葉が零れたその瞬間、隣から声が聞こえた。

 

「あなた、悪魔?」

 

振り返ると、白い翼をもつ、天使のような見た目だが、近づかなくても分かる悪魔の気。白い悪魔が、そこに立っていた。

 

「私は吸血鬼よ。あなたこそ誰よ」

悪魔は返答する。

「まあ、悪魔だ。最強のな」

 

 

 

 

「それでね、フランが変になっちゃって…」

「なるほど。そんな経験は私の妹にはないからわからんなぁ」

 

悪魔とは割とすぐ打ち解けた。

彼女にも妹がいるらしく、可愛いが自分より外道だなど言っていた。

話を聞く限りこの悪魔も外道であるが。

 

「まあいい。スッキリしたか?」

「ええ……ありがとうね、名も知らぬ悪魔」

「えぇ…またどこかで」

 

悪魔に別れを告げる。

彼女が一体誰だったのかは分からないが、咲夜以外でちゃんと愚痴を聞いてくれた人は初めてだった。

 

「さて、悩んでたらせっかくのカリスマが台無しね」

私は心を改め、紅魔館に帰るのだった。

 

 

 

 

おまけ

 

 

「あなた………誰?」

 

「あなたは、フランドール・スカーレット…

………ごめんなさい、弾幕ごっこは後でいいですか?」

 

「弾幕よりお茶しましょ?」

 

「…………へ?」




一つだけ言います。
悪魔はオリキャラじゃないです。
次回からクシー視点で再開。フラン編は次で終えるかな?


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第九話 それは新たな友達で

フラン編最終回。
これを二章にする予定でしたがやめたことで短くなりました。


「ふふふっ…いいお天気ね。日向ぼっこでもしたい気分だわ」

「えーと、フランドールさん?」

「何?どうかしたの?」

 

確実にどうかしてしまったのはフランのほうである。

 

前世の記憶だとフランは無邪気で姉と同じく一応太陽光に弱い。

さらに「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」を持ち、好戦的で狂気じみた性格だったはずだ。

 

しかし目の前にいる少女フランはおしとやかで日向ぼっこが大好き。

しかも能力も結構変わっており、「太陽光を操る程度の能力」も手に入れ、しまいにはめちゃくちゃいい子である。

 

そしてそんな綺麗なフランに、僕は今、お茶に誘われたのである。

どうしてこうなった…………?

 

 

 

 

 

 

時は三時間前………

 

「ルーミア……そろそろ食料が尽きてきたよ…」

 

お腹の減った僕はルーミアにそう告げた。

 

「私もお腹空いたー!でも食べるものなくない?」

 

その通りである。一応妖精と妖怪は人間よりしぶといので、少しくらい何も食べなくても大丈夫だが、前世の引きずりもあって、さすがに毎日何か食べたかった。

気持ち悪くなるほどにお腹が空いた僕は、

 

「この近くに、ご飯がありそうなところはあるかな…?」

 

と、ルーミアに聞いてみる。

ルーミアは少し考え、思い出したのかその場所の名前を僕に告げた。

 

「紅魔館は?くれるかわかんないけど」

 

 

 

「よし………今は昼だから主は寝ているはず」

 

紅魔館の前まで来た僕は、既に潜入することを考えていた。

ちなみに今回はお腹は空いてても大丈夫そうなルーミアは留守番である。

面識があるうえに仲がいいのかも分からない。

 

正面から貰いに行っても良かったのだが、普通に追い返されそうだったので、潜入することにした。

正直ここのメイド、十六夜咲夜は怖い。僕は弾幕も撃てない(撃ち方を知らない)ので、対抗手段はほぼないだろう。能力を使って眠くなっても嫌だ。

 

結論的に、咲夜さんに見つかったら終わりである。

 

「よーし………行くぞ」

 

意を決して門の前に立つ。相変わらず門番の美鈴は寝ている。

 

「いや、でもここで門を開けたら咲夜さんに気づかれる可能性があるなぁ。飛んでいくか」

 

飛んでも危ない気がするなんてツッコミはいらない。

 

 

 

よし…裏庭に着いた。

ここまで来れば、とりあえず一安心だ。この時間に誰かに出くわすことは

 

「…………誰?」

 

即見つかった。

まずい。メイド妖精くらいなら撒けるか……?

 

恐る恐る振り返ると、そこにいたのは、レミリアによく似た服、特徴的な翼…悪魔の妹・フランドール・スカーレットだった。

 

一番ヤバイ存在に遭遇した。これは弾幕不可避である。

 

「私はフランドール。あなたはだあれ?」

 

「えーーっと、僕は通りすがりの妖精です………弾幕は後ででいいですか?」

 

「弾幕はいいわ。お茶しましょ?」

 

「…………え?」

 

そして今に至る。

 

 

 

 

 

 

フランのことについては本人に全て聞いた。赤い妖精…メルバに色々変えられてしまったこと、祭りに行けることになったこと、この姿には期限があるらしいこと…

 

聞けば聞くほどそのメルバという妖精の意図が分からない。この間霧の湖を襲ったやつと同じであるだろうから、余計分からない。

 

「妹様、お元気にお過ごしですか……あら?そちらの方は……」

 

突然後ろからひ人の気配がした。この話し方は恐らく……

 

「咲夜さん……」

 

口に出てしまった。

 

「……私とは初対面のはずですが……なぜ名前を?」

「えっと……フランさんから……」

 

見苦しい言い訳だった。頼む。フラン、察してくれ。

フランは何も言わなかった。良かった……。

 

「なるほど。妹様からですか。それでは、改めまして、私は十六夜咲夜。紅魔館のメイドです」

 

とても礼儀正しく名乗った咲夜さん。その姿は美しい通り越して神々しいまであった。

 

「ボクはクシーです。フランさんにさっき出会って話していたんです」

 

僕も名乗った。さすがに潜入してきたことは言えない。

 

「そうですか。何かあれば私に申してくださいね」

「あ、ありがとうごさいます。今は特に………」

 

 

ぐぎゅるるるるるーー…

 

 

盛大に僕のお腹が鳴った。

 

「あら。何か食べるものをお持ちしましょうか?」

 

フランと咲夜さんに腹の音を聞かれたのは恥ずかしいが、状況は好都合である。

とりあえずお願いすることにした。

 

 

 

 

「ありがとうごさいます……やっぱり食べ物はいいですね……癒される……」

「喜んでいただけて良かったです」

「いえいえ。外に出ていたのも食料探しだったので、助かりました」

 

この際食料のことは全部話そう。

 

「この食べ物……ボクの友達に持っていってもいいですかね?今食糧難で」

「ええ。それは大丈夫ですよ」

 

良かったー。侵入者に厳しい咲夜さんVSのミッションは、フランと出会ったおかげで戦わず済んだ。

 

僕とフランがくつろいでいると、上から声がした。

 

「あら。今日は客がいたのね。」

 

彼女は幼くもカリスマ性溢れる、紅魔館の主…レミリア・スカーレットである。

 

「初めまして。私はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主よ」

「はい。ボクはクシーと言います。よろしくお願いします、レミリアさん」

 

ここの人はみんな礼儀正しい。レミリアもちゃんとカリスマであった。

 

「さて、せっかく来てくれたのだから、お話でもしましょうか」

 

 

 

 

 

 

一時間後……

そろそろ日が暮れるので、僕はルーミアのもとに帰ることにした。

 

門の前で咲夜さんとレミリア、そしてフランに見送られながらである。

と、レミリアが突然僕に告げる。

 

「あなたの『運命』覗かせて貰ったわ。あなたになら、少しの間託しても良さそうね」

 

そしてレミリアはフランの頭を撫で、

 

「フランにこの幻想郷の各地を教えてあげて欲しいの。簡単に行って少しの間、フランを預かっててくれるかしら。」

 

それは唐突すぎて、返答が一拍遅れた。

 

「……え、フランさんを?」

「そうよ。今のフランは四六時中活動できるわ。それと私と咲夜にもやることがあるのよ。だから、フランを預かっててくれないかしら」

 

レミリアが初めて出会った僕にフランを頼むなんて、らしくない気がした。それとも、僕がフランに危害を加えないとあの短時間で察したのだろうか。過去の記憶、運命を見られた可能性はあるが。

 

でも、そんな重い頼みなら断るわけが無い。

 

「わかりました。しばらくフランを託されました」

「ええ、お願いね」

僕とフランは、笑顔でレミリアと咲夜と別れた。

 

 

「良かったのですか、レミリア様」

「あの子は……恐らく、本気で信用できるわ。そう思える『運命』だったのよ」




フラン編おわり。
さーて、第二章の内容どうしようかなー?

良ければキャラ出演リクエストとかお願いしたい。
活動報告からお願いします!

それでは、また!


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第二章 夢月とボクと姉妹戦争
第十話 うそっこメイドと性格豹変の異変


第二章、スタートとなります!
僕の好きなキャラがまた再び現れる………!


「あら、夢月じゃない。どこへ行くの?」

 

妖怪・幽香は私に尋ねる。

幽香は私と面識のある妖怪で、異常な人間嫌いである。私も人間などはどうでもいいのだが。

 

「ええ。姉さんがウザイのでちょっと出かけようかと」

 

私は返答する。姉さんがウザイ。それはちゃんとした事実である。

思い出すだけで本当に腹が立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢月、今度はこの服を着てみてよ!ねーねー」

「なんですか姉さん。メイド服だけじゃ満足しないんですか?」

 

他人と話す時真面目な顔で凛々しい姉さんは、私に見せる顔だけ欲望に歪んでいる。

姉さんは幻想郷の外の世界でいうオタクのような感じで、私にコスプレをさせたがるのだ。このメイド服も姉さんのチョイスである。

 

「ほら!ゴスロリとかどう?ダメなら和服とかは?晴れ着とか似合うよ?」

 

似合う云々の問題ではない。そりゃ私はそれなりには美しいのだから似合うかもしれないが、そうではなくそれをガンガン勧めてくる姉がウザすぎて余計着たく無くなるのだ。

 

「今日は嫌です。お引き取りください」

「今日は嫌ってことは明日はいいのね?じゃあ明日来るわ」

「明日も嫌です。絶対着ません」

 

全力で抵抗する。私は見世物では無いのだ。

 

「なら、弾幕勝負でどう?」

「え、嫌だ………」

「どうしたら着てくれるのよ!」

 

姉さんが泣きつく。本っ当にウザイ。

 

「……………………じゃあ明後日着ますよ」

 

ホントめんどくさいので観念した。途端に姉さんは笑顔に変わり、

 

「やったー!楽しみにしているね!」

 

と、笑顔で去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで毎日押しかけてくるものだから、そろそろ安心した、落ち着いた生活がしたいのだ。姉さんといると、嫌なことや面倒臭いことは押し付けられるが、他の面で疲れる。

1週間の家事を姉さんに丸投げするよりよっぽど辛いのである。

 

「とまあ、そんな感じで。家出しようかと。」

 

ちなみに今日はあれから二日。私がコスプレ衣装を着ると言ったその日である。

姉さんは地の果てまで私を追いかけて来て私にコスプレをさせるのであろう。でも、やっぱり私はしたくないので、全力で抵抗するのである。

 

「ふーん。また姉から逃げているのね。まあ頑張ってね」

 

と言って幽香はどこかへ去っていく。私が家出をする時はちょくちょく出会うので、もう「久しぶりね」みたいな空気にはならなくなった。

幽香と別れ、私は走る。着せ替え人形にならないために、あのウザイ姉から逃げるのだ。

1度だけでも、落ち着いた生活がしてみたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

気持ちの良い朝。

僕━━━妖精クシーと人喰い妖怪ルーミア、豹変した吸血鬼フランは太陽の下で目を覚ます。

毎日が苦痛だった僕、闇の妖怪であるルーミア、ずっと引きこもってたフランにとって、こんなにも清々しい朝は珍しいものであった。

 

「おはよう、二人とも」

 

さわやかに挨拶する。元々夜の妖怪というのもあり、ルーミアはまだ眠そうである。

最初に起きる僕は森で採った草やキノコを調理し、今日の朝ごはんを用意する。

咲夜さんに調理道具を貰ったので、そこら辺の草で食事ができるようになったのだ。

次に起きるフランは僕を手伝おうとしてくれるが、色々ダメになりそうで怖い……と思いきやちゃんと手伝ってくれる。綺麗なフラン、本当に綺麗である。

 

ルーミアは全然起きないので朝の支度はしない。まあ僕は全く苦痛に思っていないので問題は無い。

 

三人で食卓(切り株)についたら今日の朝ごはん「山菜と謎のキノコのスープ」を適当に作ったお椀に注ぐ。ちなみにこのキノコの安全性は生で食べたので保証できる。

 

みんな、とても美味しそうに食べてくれるので、僕はこの時間が大好きである。

そして、こう見るとやっぱりルーミアもフランも美少女で、ものすごく僕が見劣りする気がする。

 

さて、今日からはフランと一緒に幻想郷を旅してみんなで楽しもうという約束をしているのだが、まずアテが無い。それに加え人里にはおりづらい。

どうしたものか。まずどこに行けばいいのだろう。

 

紅魔館に戻って聞いてみるか?あの別れの雰囲気が台無しな気がする。

 

霧の湖は?はたしてチルノたちがちゃんと案内するだろうか。

 

あとは………博麗神社。

 

そうだ。霊夢さんならどこか行って面白そうな所を知っているかもしれない。

…………ということで、霊夢さんに面白そうな所を教えて貰うため、博麗神社に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

「はぁ…………」

 

私はため息をつく。また、「異変」が起きたのだ。

首謀者と思われるのは、恐らくこの間戦った、サニーミルクを洗脳した妖怪。

実は彼女は逃げる際、「必ず戻ってくる」と言ったのだ。

 

今回の異変は、幻想郷に住む人間や妖怪が「別の人」となる異変である。と言っても、それは物理的にではなく、性格や性質がほとんど別のものになってしまうという異変だ。被害者は多く、全員が揃って「自分を変えた存在は『三ヶ月後に戻る』と言った」と話した。

 

三ヶ月後と言うと、私と紫主催の大きな祭りがあるが、何か関係があるのだろうか。

考えれば考えるほど、頭が回らなくなる。とりあえず外に出て何か行動を起こした方がいいのだ。

 

勢いよく襖を開ける。すると、そこには……

 

白黒の妖精・クシー。

 

人喰い妖怪・ルーミア。

 

何故か昼間なのにいる吸血鬼・フランドール。

 

そして、かなり昔に戦った悪魔………夢月。

 

何故か四人が私の神社の目の前で立っていた。




旧作キャラで一番好きな夢幻姉妹ですよ!
どうにかして絡ませていければいいなと思っております。


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